衆議院

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第17号 平成16年5月26日(水曜日)

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平成十六年五月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      河井 克行君    西川 公也君

      西村 康稔君    葉梨 康弘君

      早川 忠孝君    平田 耕一君

      平沼 赳夫君    宮腰 光寛君

      村上誠一郎君    石毛えい子君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    島田  久君

      原口 一博君    山内おさむ君

      横路 孝弘君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   内閣官房副長官      山崎 正昭君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   江利川 毅君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西江  章君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君

   参考人

   (日本道路公団理事)   奥山 裕司君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  江崎洋一郎君     岸田 文雄君

同日

 辞任         補欠選任

  岸田 文雄君     江崎洋一郎君

    ―――――――――――――

五月二十四日

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)(参議院送付)

同月二十六日

 日本国憲法の改正反対に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第二四五一号)

 憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二四九五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五一五号)

 同(石井郁子君紹介)(第二五一六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五一七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二五一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五二一号)

 同(山口富男君紹介)(第二五二二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件及び男女共同参画社会の形成の促進に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事奥山裕司君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房長江利川毅君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、国税庁課税部長西江章君及び国土交通省大臣官房長安富正文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 自由民主党の西村康稔でございます。

 いいタイミングで質問の機会をいただきましたので、総理訪朝の成果、特に拉致問題につきまして、官房長官に御質問をさせていただければと思います。

 今回の総理訪朝の成果につきましては、各紙の世論調査でも、六割、七割の方々が成果を認めている。私も、大変意義ある成果だったと評価をするものであります。

 特に、総理が訪朝したからこそ、地村さん、蓮池さんの御家族五人の方が帰国できたものだと思いますし、また、安否不明の十名の方々の真相につきましても、交渉の話を聞きますと、当初、金正日委員長は解決済みということで言っておったところを、総理が何度も執拗に主張されたからこそ、もう一度白紙に戻して直ちに本格的な調査を再開するという約束を取りつけたものだと思いますので、大変評価をするところであります。

 実は、私の地元、有本恵子さんがおられまして、有本恵子さんのおばさんが私の事務所でボランティアで手伝いをしてくれておりまして、事前にいろいろお話もさせていただきましたけれども、大変期待感が高まっておりまして、八人の御家族の方が帰ってくるのは当たり前、それが前提になって、さらに十名の方についてもいろいろな情報が今回得られるんだ、そんな期待感を持っておられた。

 新聞報道もいろいろありました。これは、事前にいろいろな情報が漏れた結果、そういう期待感を高めてしまったんじゃないか、そういう反省をしなきゃいけないんだと思うんです。外交交渉における情報管理を適切に行っていくべきじゃないかと思いますけれども、この点につきまして、官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 今回、小泉総理が一週間前に決断をされて、そして二十二日に訪朝されるということになったわけでございます。その前から、そしてその発表後の訪朝までの間も含めまして、西村議員が御質問のように、さまざまな憶測、情報などが流れたことは事実でございます。

 私どもも私どもなりに分析しておりますけれども、政府からこれはもしかするとだれかがしゃべったのではないかというようなものもなきにしもあらずではございますけれども、北朝鮮との関係においては非常にさまざまな関係者がいまして、いろいろな形で、こういうことがありそうですよ、こうなるかもしれませんよというような、私どもから見ると全く未確認の情報が乱れ飛ぶというようなことが現にございました。

 そういった点は私ども政府としては大いに反省をすると同時に、今、社会の複雑な様相もございますし、北朝鮮との関係は歴史も長く複雑でございますので、その点をしっかりと考えながら外交交渉に当たらなければならないなということは、私どもも感じておるところでございます。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

西村(康)委員 ぜひ、外交交渉でありますので、適切な情報管理を的確に行っていただければというふうに思います。

 安否不明の十名の被害者の方々の真相究明なんですけれども、前回の総理訪朝以降、百五十項目にもわたる質問項目を向こうに投げかけているということであります。いろいろなところに住んでおりながら同じ病院から診断書が出ていたり、死んだとされる方々も非常に不審な原因であるというような事柄について質問をしている。これについて回答があったのかどうか、その間、事務的にはちゃんと交渉を続けてきたのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

細田国務大臣 一年八カ月の間ずっと、この問題、安否未確認の十人の方については交渉で問題提起をしておりますし、先ほど言われました百五十項目の質問もしておりますが、向こうの答えはずっと一貫しておりまして、それはもう一度回答した、解決済みの問題だ、これ以上のものはない、これでずっと来ておったわけですね。

 しかしながら、今回、小泉総理から金正日国防委員長に非常に強く何遍も働きかけ、これでは日本国民は納得しないんだということを言いましたところ、金正日国防委員長は、そこまで言うのであれば、これは全体を白紙に戻して、改めて直ちに本格的かつ徹底した調査を行うということを明言したわけでございます。

 これは、今までの長い間、決着済みで通報済みの問題だとずっと言っておりましたことを事実上撤回したということで、大きな前進があったと考えておりまして、この真相解明は一刻も早く行う必要がある。そして、当然ながらこれは、向こうに生存しているとかどこにいるとか、そういう情報でございますので、向こう側が積極的に協力しなきゃならない。したがって、金正日委員長の発言を受けて、これから急速に調査等が展開していくものと考えております。

西村(康)委員 ぜひ、生きておられるという確信を持って、前提に立って調査を進めていただければと思います。

 もちろん、向こうに立証責任があるというか、向こうに責任がある問題です。向こうが協力しないと真相がわからないわけですけれども、いわば犯人側にすべてを任せてしまうと、これまた、我々が納得いくような、国民が納得できるような調査結果が得られるかどうかわからないわけであります。ぜひ国民みんなが納得できる調査になるように進めていただきたいと思いますけれども、この点、どんなふうに実際には進めていかれるおつもりか。

細田国務大臣 当然ながら当方からも、いかなる人がいつ行方不明になり、このような年齢あるいはその他の特徴を持った人であり、この人については過去においても強く要求しているけれども、この答えがこのように不十分であり、この点、金正日氏との会談を踏まえて改めてどうであるか、そういう具体性のある要求をしてまいりたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひ納得できる形での調査をお願いしたいと思います。

 それから、今回の訪朝の首脳会談で、食糧、医療の人道支援を行うということを約束されたようであります。確かに、人道支援ですから、これは拉致問題とは別次元の話というのもよく理解はできるんですけれども、国民感情として、なかなか納得できない部分もあるんじゃないかと思います。

 この十人の方々の調査進展、向こうの誠意が見られなければ、場合によっては食糧支援も見合わすということも含めて考えた方がいいんじゃないかと思うんですよ。これは国民感情としてそういう意識があると思うんですけれども、この点どんなふうにお考えか、御意見をお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 基本的には、国際機関を通じて行う人道支援であり、国際的なプログラム等も勘案しながらタイミングをはかってやる支援でございますけれども、やはり私どもとしては、さまざまな懸案が速やかに進展するということも非常に大事でございますから、そのことも十分見ながら他方で人道支援も進める、こういうことを考えていきたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひ国民が納得するような形で進めていただきたい。人道支援ですから国際機関のプログラムに従うというのはよくわかりますけれども、ぜひ御配慮をいただければと思います。

 実際に食糧支援を行う場合ですけれども、いろいろな報道を見ていますと、北朝鮮の場合、食糧を渡したはいいけれども、渡しているときはみんな喜んでいるけれども、しばらくして関係者が出ていくと、みんなそれを政府が取り上げてしまう、そんな報道もよくなされます。本当に苦しんでいる一般の市民の方々に届くように、しっかりとフォローアップをすることが大事じゃないかと思いますけれども、この点、どんなふうに進めようとしておられるか、お伺いしたいと思います。

細田国務大臣 おっしゃるように、あの国は、実際の政府のメカニズムとか物の流通のメカニズムとか、我が方から見るとよくわからない不明な点もたくさんございます。

 したがいまして、我が国が直接物を運び、どこかへ陸揚げするというようなことをいたしましても、その点がどうも十分はっきりいたしませんので、既に、食糧支援等あるいは医薬品等の支援も、国際機関があるルールのもとに、国際的に見てもきちっとバランスがとれて、本当の意味での人道支援になって一般庶民に渡るような仕組みを一生懸命改善しながら対応しているわけでございますので、そういったルートを活用して行うことが最善であると思っております。

西村(康)委員 ぜひ、これもまた国民感情が納得できる形で、せっかくやる以上は本当に困っている方々の手に届くように、口に入るようにお願いをしたいと思います。

 それから、今回の訪朝、首脳会談の中で、総理から、制裁措置を発動する考えがないことを明らかにしたようでありますけれども、これは日朝平壌宣言が遵守される限りという前提条件つきでありますので、今後も、日本国として、幾つかの、複数の交渉カード、外交カードを持って交渉に臨んでいただくことが大事だと思います。

 その中で、今審議されております特定船舶等入港禁止法案ですけれども、ぜひこの成立に向けて努力をしていただきたい。カードの一つとしてこれも使える。発動するかどうかはその次の問題でありますけれども、カードとして持つことが大事だと思いますので、この成立に向けて努力をすべきじゃないかと思いますけれども、この点についても御意見をお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 これは、国権の最高機関としての立法府、国会のことでございますので、国会で成立いたしますと、今度は行政の方で判断するということになるわけでございます。外国為替・貿易法におきましても、もう圧倒的な多数で衆参両院を通過した、そのことが非常に、対話と圧力などと言っておりますが、大きく向こうの方針を動かしていくような原動力になったことは事実でございます。

 ただいま船舶の関係の法案については与野党間でも協議をされていると伺っておりますので、私どもとしては、国会の御議論を見守らせていただいているような状況でございます。

西村(康)委員 外交交渉でありますので、いろいろな駆け引きの中でいろいろなことが交渉されると思います。あめとむちとよく言われますけれども、人道支援も一方であり、また経済制裁、それからこの船舶法案の成立、この発動もまたこれあり、いろいろな複数の外交カードを持って交渉に臨んでいただければと思います。

 ぜひ、今回の訪朝が契機となりまして、安否不明の十名の方々の真相解明が進みまして、最終的に拉致問題が解決すること、そしてまた正常化交渉に向けて前進がなされますことを期待申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

今津委員長代理 大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 五月二十二日の小泉総理と金正日国防委員長との首脳会談の結果、日朝平壌宣言が日朝関係の基礎であることが再確認された。総理の大局的な見地に立った行動を評価します。

 総理のリスクを覚悟の決断によって、蓮池、地村両家の御家族五名の帰国が実現したことは大変喜ばしいことであり、長い間この日の来ることを待ち続けてこられた御家族の皆様に対し、心からお喜び申し上げたいと思います。曽我さん御一家については胸の痛む思いでありますが、第三国での再会について政府を挙げてバックアップを行い、早期に実現していくべきだと考えます。

 また、これまで北朝鮮側が解決済みとしていた十名の安否不明の方々について、白紙の状態から本格的な再調査を行うことになった。北朝鮮が拉致問題を小出しにして取引に利用しているようにも見えますが、真相解明に向けてこれからが正念場であり、政府と我々が一丸となって、四半世紀に及ぶ苦しみに必死で耐えて闘っておられる拉致被害者の御家族の方々、国民が納得できる結果を出さなければならない、こう思っておるわけでございます。

 そのほか、弾道ミサイルの発射実験のモラトリアム、一時停止が確認され、核、ミサイル問題では、金国防委員長から、朝鮮半島の非核化が最終目標、核の凍結は非核化の第一歩であり検証を伴うのは当然、六者会合を活用した平和的解決に向け努力する旨表明があった。六カ国協議における北朝鮮の出方をしっかりと見きわめなければなりませんが、一歩前進である、こう考えます。

 そこで、これから質問させていただきたいと思います。

 まず、曽我さん御一家の再会についてでございます。

 国交正常化交渉再開の前提条件である曽我さん御一家の再会について、政府は、ジェンキンス氏に対して、日本への入国について、日米地位協定や日米犯罪人引き渡し条約上の日本の法的義務の説明、米国の訴追免除の担保を示す必要があります。さらに、再会場所について、ジェンキンス氏と二人の娘さんの自由な意思決定に対する北朝鮮の影響力を排除しなければなりません。また、米国の犯罪人引き渡し条約締結の相手国、百九カ国一地域を避け、これは香港を含みます、曽我ひとみさんの意向も尊重しなければなりません。

 これらの点を十分考慮して、できるだけ早い再会の時期、場所、相当長い滞在期間、具体的な財政支援等を検討すべきであると思いますが、政府はどのように考えておられましょうか、御答弁を願います。

細田国務大臣 小泉総理訪朝の際に金正日委員長からもそういう指摘があって、ジェンキンス氏はみずからどうしても日本に出られる意思がないようだ、このことは直接お会いして確認もしてほしい、お嬢さんも近くに来ておられるからお会いしてほしいということでございました。そうして、一時間にわたりましていろいろお話を申し上げましたが、ジェンキンス氏は、過去のことについて、アメリカから常にかなり情報も得ておられるような感じでございまして、アメリカはそれほど甘くはない、だから本当に自分の身が安全であるかどうかについては非常に不安を持っておるということを言われて、日本にこのまま移るということについてはどうしても了承しなかったわけでございます。

 そこで、どうなんだろうか、例えば北京という話はしたのでございますけれども、総理から、そういうところで家族水入らずで四人でお話しになってはどうかということを言いましたら、ジェンキンスさんはむしろ、それは自分も考えた案なんだ、それを提案したぐらいの案であって、強く望むというお話がございました。私は、日本側におって、そういうことでいいかということで曽我ひとみさんに直接お話ししましたら、どこかの、第三の地でお会いして、いろんな話をしたいということを言われましたので、じゃ、そういうことでということでございます。

 ただ、場所の選定につきましては、大口議員が今言われますようにさまざまな条件がございますので、要は、四人の御家族が水入らずで、いろんなことに煩わされたりおかしなことにならないようにしながら、意見を交換して、将来の御家族のありようを決めていただくということが一番大事だと思っておりますので、私ども、今緊急に、曽我ひとみさん御自身、そしてジェンキンスさん、お嬢さん、そして間に立つ日本政府、北朝鮮の政府との間で協議を開始しておりまして、最もいい場所の選定をいたしたいと思っておるところでございます。

 まだ方向は決まっておりませんが、考え方は大口議員がおっしゃったとおりでございます。(大口委員「財政支援は」と呼ぶ)財政というのはどちらの……(大口委員「経済的な支援です」と呼ぶ)その人たちに対するですね。

 当然ながら、支援室でいろいろ支援、これまでもやってきておりますし、そのための支援体制は万全を期してまいりたいと思っております。

大口委員 次に、十人の安否不明の方々について、白紙に戻す、本格的な再調査をする、こう北朝鮮側は約束したわけでございます。北朝鮮側の単なる時間的な引き延ばしにすぎないという批判もあるわけでございますが、この再調査について、具体的で実効ある調査体制を早急につくるべきだと考えます。

 そこでまず、この白紙の意味について、五月二十三日、山崎官房副長官はテレビ番組で、金委員長が従来の調査結果の内容の誤りを認めたと受けとめても構わないと言明した。これは政府の公式見解でありましょうか。

 さらに、政府は、十人の安否不明の方々、新たな拉致被害者と認定された方々の真相究明について、我が国が参加する調査体制をどのように構築するのか、日本独自の情報収集はどのように行っていくのか。

 北朝鮮からの十人の安否不明の方々の調査結果が証拠に基づく客観的、合理的なものでない場合、日朝国交正常化交渉を再開すべきでないと私は考えるわけですが、正常化交渉の再開の前提条件として、このような証拠に基づく客観的、合理的な調査結果というものが前提条件であるかないかについて、昨日の総理の本会議における答弁と官房長官のお話とがまた食い違いもあるように考えます。その点について、整理して御答弁願いたいと思います。

細田国務大臣 まず、白紙の意味でございますけれども、これまで北朝鮮は、もう本件は解決済みである、すべて回答したと主張して、一切のそれと異なることを認めなかったということは御存じのとおりでございますので、白紙に戻って本格的に、早期にかつ徹底した調査を行うと言明したことは、従来の姿勢を改めたものと私どもは解釈しております。

 次の、調査期限の問題とか調査への参加とかという調査のあり方の問題でありますが、基本的には向こうの、北朝鮮側においてその人たちがどういうふうに生活しておったか、今しておるかということは、彼らは当然情報として持っているはずですね。これは間違った結果にしても、その八人はかくかくしかじかであったとわざわざ言ったわけですから。ということは、その人を一応確認して、その上で、結論がどうかはわかりませんが、情報を提供したということは、今ここにおられればすぐにわかるわけですから、速やかにそういうことを、調査を、結果をこちらに通報すべきでありますし、二名の方は、いや全く確認できないと言っていますけれども、状況から見て当然知っておるはずでございますので、この点は速やかに接触を行って話し合う必要があり、先ほどもちょっと御答弁いたしたんですが、こちらからの問題意識も提示していかなきゃならないと思っております。

 情報収集は、こちら側でもいろいろな形でございます。また、こちらで、このたび帰国された皆さんもいろいろ情報も自分なりに持っておられるというようなことも言っておられますが、十分このあたりも伺いながら、こちらとしての情報を煮詰めていきたいと思っております。

 そういった交渉は、当然早期に始まるものと思っております。総理の言い方は、当然始まると約束しているんだから、正常化交渉というのも直ちにすべてが進むというわけじゃないから、まずいろんな問題から、それではやりましょう、この問題はどうしましょうかというような話し合いですから、それは始めてもいいんじゃないかという意味で言われたと思っておりますが、やはり今回、十人の御家族の方々の非常な強い御心配がありますから、この問題を精力的に取り組んでまいることも私は本当に大切なことであると思っております。

大口委員 次に、総理は、日朝平壌宣言を遵守する限り制裁措置を発動しないと表明しました。北朝鮮は現在、日朝平壌宣言の第三項、第四項を遵守していると言えるのでしょうか。

細田国務大臣 さまざまな経緯がありまして、最初に、一年八カ月前に総理が行かれて、その後、核、ミサイル政策などについても非常にその主張を変えてみたり、それから、拉致の問題についても、一たん帰国したものを帰さなきゃだめだとか、十人のものは解決済みだとか、いろんなことを言いましたね。いろんなことを言っている間に、主張には揺れがあって、このたびようやくもとの線に戻りながら前向きに取り組もうとしておりますので、私はこの平壌宣言の条項に戻りつつあるのかなというふうには考えております。

大口委員 戻りつつあるということは、今は違反している状態だというふうに思うわけでございます。

 いずれにしましても、今回、与野党で今、特定船舶入港禁止法の調整をしているわけでございますけれども、やはり、この法律の制定に向けて私どもも全力を挙げてまいりたい、こういうふうに考えております。

 それでまた、ずさんな調査の結果ですとか、あるいは核、ミサイルについて六カ国協議で不誠実な対応があれば、これは日朝平壌宣言の履行の誠実な態度が見られない、こういうふうに私どもは判断したい、こういうふうに考えております。

 そしてまた次に、拉致、核、ミサイル問題の包括的解決なしに日朝国交正常化はあり得ない、こういうように考えておるわけでございますけれども、これについての政府の御認識と、今後の日朝国交正常化へのロードマップをお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 政府といたしましては、日朝平壌宣言に沿いまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、その上で、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現するとの一貫した基本方針を堅持しておりまして、これに基づいて、引き続き対北朝鮮外交を進めていく考え方であります。

 国交正常化交渉の再開に関しましては、政府として、かねてから、拉致被害者五名の御家族の速やかな帰国を実現し、その上で、再開された正常化交渉の中で安否不明者の真相究明も行っていく方針をとってまいりました。今回、日朝首脳会談によりまして、八名の御家族のうち五名の帰国が実現しました。残る三名の御家族については、御本人の意向もあり帰国は実現しなかったけれども、これについては、今後第三国における再会を実現すべく調整していくことで双方が一致いたしました。したがいまして、政府としては、今回の首脳会談を踏まえて、しかるべき時期に日朝国交正常化交渉の再開に向けて調整を行っていく考えであります。

 今次総理訪朝に際しましては、北朝鮮が安否不明者の真相究明についても再度着手する旨約束しており、政府としては、その進展も見つつ、必要に応じて国交正常化交渉の中でも真相究明を強く求めていく考えであります。

 いずれにしても、政府としては、国交正常化が実現されるに当たりましては、この真相究明や核、ミサイル問題の解決が行われることが必要であると考えております。

大口委員 小泉総理の再訪朝について、政治家の中には評論家的な批判をする方もいらっしゃいますが、非常に違和感を感じます。国交正常化及び国交正常化後の本格的な経済協力が日本にとって北朝鮮に対する最強のカードであり、これを最大限活用して、包括的解決の実現に向け、政府、私ども、一丸となって全力を尽くしてまいる、そういう決意と考えを示しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今津委員長代理 吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、官房長官の政治資金にかかわる問題について質問をいたします。

 昨日も参議院で質疑がありましたが、細田官房長官の答弁では、日本道路興運とのつき合いは細田吉蔵氏のときからのことだということも既にお話ありました。

 きょう最初に伺いたいのは、日本道路興運の関係からあなた御自身が政治資金をもらわれるようになったのはいつからのことか、これを最初に伺いたいと思います。

細田国務大臣 ただいま手元にあります記録では、道路興運という会社そのものから政治資金を受けておるということは記録がございません。ただ、二〇〇〇年、二〇〇二年に、その会社の役員から個人献金という形で受けたことはございます。

吉井委員 あなたの資金管理団体、通商産業エネルギー政策研究会ですね、これの九六年分で、この日本道路興運の現会長、現副会長から百五十万円受け取っておられることなど、それは記載されておりますから、政治資金の提供というのは一九九六年からというのが、そこから始まったというのが実際じゃないんですか。

細田国務大臣 ちょっとそこの九六年まではさかのぼって調べておりませんでしたので、それが掲載されておれば事実かと思います。

吉井委員 実はこの一九九六年というのは、この道路興運から給料をもらっていた運転手の方を採用されたときなんですね。

 これは既にマスコミ等でも紹介され、御答弁にありましたが、最近、運転手が前から籍ある会社の社員、日本道路興運の社員も兼ね、同額程度の給与をもらっていたことが判明した、政治資金として処理した方がいいとの結論を得て修正提出したという説明なんですが、九六年から、政治献金も受け取れば、運転手の給与も出してもらっていた、これが実際なのではありませんか。

細田国務大臣 きのうも御答弁をいたしたわけでございますが、一九九五年に突然運転手さんが心筋梗塞で亡くなったわけでございまして、それまで父の代からずっとお願いして何十年と勤めていただいた運転手さんだったものですから、非常に緊急に運転手さんを探さなければならないという事態が発生いたしました。そこで、私としては、本来、前の方にも出しておりました月給約二十万円強、それから公務員並みのボーナスを含めて十七カ月分という条件で、よく探すようにということを秘書に依頼して探してもらったわけでございますが、その結果、この運転手さんが見つかったということでまたお願いをした、こういう経緯があるわけでございます。

 そのとき以来、私どもは十分な給与を払っておりますから、また、私どもとして、働いていただいている対価としてはちゃんと払っておるという認識をずっとしておったわけでございますが、去年からことしにかけまして、実はその人はその前からその会社にずっと勤めておって、かつ一部給与をもらっておったということが判明したということでございましたので、平成八年にさかのぼりまして、政治資金の寄附ということで修正を届け出たわけでございます。

吉井委員 最近判明したというお話がずっとあったんですが、九六年から、この会社から政治献金も受け取れば、この会社が給料を持っている運転手の方にも来てもらっていた。だから、最近判明したというのは非常に不自然な話ではありませんか。どうですか。

細田国務大臣 この方は、ほかの方の運転手さんもしておられて、そして、私どもの運転手さんが亡くなったということを聞きつけて個人でお見えになった方でございまして、ぜひ雇ってほしいということで雇用関係を結んだわけでございますので、そのようなことがあるとは私は全く予想しておりませんでした。

吉井委員 たまたまあなたのところだけが運転手の人を探している、それを知るということは、それ自体が非常に不自然な話です。

 読売の報道によると、ことしに入って事実が判明し修正をしたということが出ておりますが、ことしに入ってというのは、ことしに入ってのいつのことなんですか。

細田国務大臣 私が秘書から、実はこういうことで会社が給与を払っておったということが判明した、そしてそのことは、法律的にもいろいろ照会をした結果、これはやはり政治資金規正法上の寄附に当たるということなので処理します、そういうことを言われたときでございます。

吉井委員 ですから、ことしに入ってからというんですが、そのことを知ってからのことなんですが、その知ってからとおっしゃるのはいつの時期ですかということなんですが。

細田国務大臣 ことしになってからですから、二月だかそのあたりだと思います。この人は去年の暮れにもう既に退職しておりますけれども。

吉井委員 二月にお知りになって、政治資金規正法の修正申告をされたのは今月の七日の日ですね。

 それで、自由民主党島根県第一選挙区支部、支部長細田さんですが、収支報告書を訂正されたんですが、〇〇年に四百万千二百三十九円、二〇〇一年は三百七十九万五千五百七十五円、二〇〇二年は三百六十三万七千二百四十五円というふうに、日本道路興運からの寄附と記載されております。

 非常に不思議なんですね。千二百三十九円だとか、七千二百四十五円と、端数が出てくる修正申告なんですね。これはどうしてなってくるのか。脱税発覚のときに端数を含めて情報を得ていないことにはこんなきれいな端数まで修正申告のやりようがないと思うんですが、これはどういうことなんですか。

細田国務大臣 これは、私の秘書が当該会社に照会をしまして、そういう事実がある、給与を払っていた、どうも保険料等も含めて払っていた事実があるということを聞きましたので、それでは厳密に幾ら負担していたのかと。それは当然、給与も含めましていろいろな数字を積み上げていかなきゃいけませんから、つまり、具体的な、幾ら献金をするというような丸い数字でないはずでございますから、厳密に調査を依頼して回答を得たわけでございます。

吉井委員 そのこと自身が非常に、大体、脱税がわかったのは一月ですから、もっと早くに出ていたものだと思いますが。

 次に、五月に修正をしたということですが、会社から給与をもらっていた事実は知らなかったが反省しているとか、いろいろマスコミでも、お話しになったことは載っておりました。普通、給料を払うということは、それだけどこかから金を集めなきゃいけないんですね。だから、どこかから金集めをしなきゃならないので、知らなかったで済む話じゃないんですが。

 そこで伺っておきたいんですが、細田事務所の東京の職員の方は何人いらっしゃって、地元島根の職員の方は何人いらっしゃるのか。日本道路興運という会社から給料を支払ってもらっている方は何人いらっしゃって、それはこの運転手さん一人だけなのか。あるいは、このほかにも企業に給料をもらっているという職員の方がいらっしゃるのか。この点はどうなんでしょうか。

細田国務大臣 私の事務所は非常に小規模にやっております。

 東京の事務所は議員会館のみでございまして、一人の秘書は政策秘書、今は役所の官房長官秘書官をやっておりますけれども、それが一名。今は、そうなりましたので、政策秘書が一名、それから、既にあるところを定年退職してパートで働いている女性が一名、運転手はゼロ、それが東京のすべての体制でございます。

 そして地元では、第一秘書、男性一人、第二秘書、男性一人、それに加えまして、年としては定年を過ぎたような年の女性と男性各一名、それですべてでございます。

吉井委員 それで、この運転手さんに日本興運が払っていたということはもう事実になっているわけですよね、明らかなんですが、細田事務所の方からこの運転手さんに実際に給料を支払っておられたかどうかというのは、実のところまだ明らかになっていないわけですよね。

 ですから、給与支払いをしますときには、給与明細なり、あるいは支払いした側の支払い調書なりなんなり、資料があると思うんですね。だから、日本道路興運から運転手さんに給料が出ていたことははっきりしているんだけれども、細田事務所から出ていたかどうかというのはわからないわけですから、これは、例えば氏名欄は黒塗りでもAさんでもいいんですが、やはり給与支払いの資料をきちんと出して、実際に払っていたんだということをきちんと明らかにしていく、説明責任というものをきちっと明らかにしていくということが今必要なときだと思いますが、これはお出しになりますか。

細田国務大臣 私の事務所で本人に、昨年でいえば三百五十七万円強、支払っております。これは事実でございますので、それ以上の資料について今提出を考えておりません。

吉井委員 私が言っておりますのは、要するにそれは信じてくれという話なんですね。出しました、信じてくださいというのはその証明にはならないので、これは、質問を繰り返してもそういうお答えを繰り返されるだけなんでしょうが、委員長におかれましては、ぜひ提出をされて、やはりこういう問題をきちんと解明されるように、後ほど理事会で諮って、対処をしていただきたいと思います。

今津委員長代理 理事会で相談いたします。

 質問を続けてください。

吉井委員 次に、細田長官は昨日の答弁で、今もおっしゃった、月々二十万円以上、ボーナス含めて十七カ月、年間三百五十万円ほどですか、三百数十万円の給与を払っていたとお話ありました。また、松本秘書官の方は、議員本人は知らなかったが事務所として給与補てんの認識はあったということも述べておることが伝えられております。

 一方、細田議員の資金管理団体の通商産業エネルギー政策研究会と自民党島根県第一選挙区支部の人件費の推移をずっと見ていくと、きょう資料をつくっておいてお出しすればよかったのかもしれませんが、時間がありませんので口頭で述べておきますと、一九九六年が千二百五十五万七千八百九十九円、九七年が八百十九万千百七十円、九八年が千二百六万八千六百三十二円。九九年が千百三十五万三千九十七円なんですが、このときから、島根県の支部の方の分で五百二十四万八千百九十円。二〇〇〇年は、個人の資金管理団体四百十五万八千円と、政党支部の方で六百十七万四千三百六十九円ですから、合計すると千三十三万円とか、大体ずっと一千万円台で来ているんですが、二〇〇二年は百八十一万六千四百円、これは個人の資金管理団体の方ですが。

 そうすると、東京における細田議員の運転手をされた方、さっきのお話では三百五十万円前後になると思うんですが、これに該当するのは、通商産業エネルギー政策研究会の人件費と思われる、二〇〇二年度分ではわずか百八十一万六千四百円なんですね。つまり、人件費は払えないということになるので、これは、日本道路興運の給料肩がわりがあって初めてこういうことが可能になってくるんじゃないでしょうか。この点、どうなんでしょうか。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

細田国務大臣 ちょっと急に細かい数字をおっしゃって、若干はっきりいたしませんけれども、政党支部も含めまして人件費をきちっと払っておることは事実でございますので、よく精査いたしたいと思います。

吉井委員 そこで、次に伺っておきたいのは、五月七日に修正申告をしておられるんですが、話は変わりますけれども、福田官房長官の辞任の意思を聞かれたのは、当時副長官として辞任の意思をお聞きになったのはいつのことですか。

細田国務大臣 五月七日の昼前でございます。

吉井委員 五月七日の昼前に聞かれて、実は、連休明けは五月六日からなんですが、五月七日といえば細田さんの官房長官就任の日なんですね。だから、普通で考えますと、慌てて修正をしたようで、ですから前年繰越額までは修正に気が回らなくて、五月十九日に前年繰越額を改めて修正しておられる。収支報告書の訂正というのは、これは官房長官就任のための身辺整理という感じが非常に強いんですね。

 一月に脱税事件が発覚して、運転手の方にこの会社が給与を出していたということもわかって、それからずっとそのままで、五月七日に急遽修正申告されたというのは、これは、普通で考えたら官房長官就任のための身辺整理という感じになってまいりますが、なぜ五月七日だったんですか。

細田国務大臣 連休の関係もありまして、島根との連携ということもございますので、これだけの数字を出すには相当周到な準備が当然要るわけです。四月から五月にかけまして十分数字を詰めて、正式な報告でございますので、様式にも書き込まなきゃいけません。七日に用紙を取り寄せたわけじゃなくて、連休前からきっちりとした修正の手続を準備しておって、出したのが五月七日であったということですから、そういうふうに思われないようにお願い申し上げます。

吉井委員 不思議なんですね。さっきの御答弁では、二月ごろに、この日本道路興運の方から給料をもらっている運転手さんだったということがわかったということなんですね。それからずっと問い合わせをされて、修正した数字というのはそんなたくさんのことがあるわけじゃなくて、日本道路興運株式会社、四百万一千二百三十九円、平成十二年十二月二十五日、住所地を書いて、山口哲也さんの名前。それから、日本道路興運株式会社、三百七十九万五千五百七十五円、平成十三年十二月二十五日。もう一つ、日本道路興運株式会社、三百六十三万七千二百四十五円、平成十四年十二月二十五日。

 要するに、これだけのことなんですから、二月からわかってやっておられて、連休明けにならないと――この収支報告書の訂正にしても、この紙を取り寄せてというのはそんな大層な話でもないんですね。

 なぜ五月七日になった、訂正をされたのか。私、いまいちよくわからないんですが、もう一遍説明してもらえますか。

細田国務大臣 それは、私は経緯は知っておりまして、これを出そうと連休前には決めておったわけでございまして、その数字もきっちりと会社側に照会をしなければできないわけでございます。これが、いわば寄附としてどうも給料を払っておったようだということを秘書が確認して、それも届け出をしなきゃならないということを四月いっぱいかけて準備しておった、それが連休明けになったということでございますので、決して、私の発令の日に合わせて、発令をしたからすぐ出したというようなものではございません。

吉井委員 それだけ周到に準備されて、それで実は五月十九日にまた、前年繰り越しのためということでもう一度訂正しておられるんですね。

 二月にわかってずっと問い合わせをされ、このお金の訂正もたった三行なんですけれどもね。一行、二行、三行、三行だけですね、追納訂正と。地元の立脇さんという秘書の方のサインもして、印をついて、訂正をされて。ですから、そんなに日本道路興運と緊密に、相当綿密な問い合わせをやらないことにはわからないというはずのことじゃないと思うんですが、しかし、綿密にやったというお話なんですね。そこまで綿密にやったら、二週間ほど後にすぐもう一遍訂正せないかぬ、これがどうもわかりにくいんです。

 これはやはり、五月七日の就任の日、慌てて身辺整理ということでされたのではないか、だから十九日の日にもう一度訂正をするということになった、こう考えた方が普通なんですが、ここはどういうことなんですか。

細田国務大臣 五月十九日の訂正は、実は一九九六年からの分をどうするかということで協議をいたしまして、さらにさかのぼって九六年から九九年分の四年分を訂正したということでございますので、さかのぼるために時間を要したということだと思います。

吉井委員 さかのぼるための時間といっても、これは九六年からのお話でしょう。それで、毎年一行分ぐらいのことなので、それをどうするかという、そんなに一つの年度について膨大な資料があっての精査という話じゃなくて、要するに、記入漏れをどのように年度繰り越しの処置をするかということだけなので、ですから、普通でいったらそんなに、最初五月七日の日に訂正されたときですべて明らかになっている話であって、それがこれだけかかったというのは、私はやはり、これは官房長官就任に合わせて慌てて修正申告されたので、それで二度目の訂正を二週間後に改めてやらなきゃいけなくなったと言わざるを得ないと思います。

 そこで次に、細田官房長官は、道路公団改革と直接の資本関係や道路公団自体との関係はよくわからないが、報道によれば、税金の面で若干問題があったようなこともあるので私も反省しているというお話はもう既にありましたが、道路公団と国土交通省の契約をどれだけしている企業なのかという、これは当然よく御存じだったと思うんですね。

 昨日の答弁でもありましたが、私、改めて国土交通省の、これだけは政府参考人に伺っておきたいんです。

 大体、日本道路公団分と国土交通省分だけでこの企業の業務の六割、これ以外に厚生労働省分だとかその他の国関係がありますから、もっとたくさん国の仕事にかかわっている企業だと思うんですが、とりあえず国土交通省の方には、発注部局別の内訳がどうなっているのか、国土交通省関係で八十九億円契約しているということですが、これを伺っておきたいと思います。

安富政府参考人 国土交通省におきましては、国土交通省本省、それから各地方整備局本局、それから各事務所単位、それぞれで、いわゆる保有公用車の運行管理に係る業務につきまして入札で委託しておりますので、これは全部集めてやりますとなかなか時間がかかりまして、全体を把握することはなかなか困難でございますが、とりあえず平成十四年度で、国土交通省全体の車両管理業務の詳細につきまして概略調査したところがございますが、全体ではおおむね二百億円程度の車両管理業務の支払い実績がございますが、このうち、日本道路興運との契約におきましては約八十九億円というふうになっております。(吉井委員「いや、その内訳」と呼ぶ)

 具体的な各部局ごとの内訳について概略申しますと、国土交通本省で約一千万円程度でございます。それから地方整備局等、これは事務所を含みますが、約八十八億程度でございます。それから、そのほかの施設関係で、国土地理院等で約一千万円、それから北海道開発局で約八千万円という数字になっております。

吉井委員 ですから、さらに道路公団分で二十三億八千四百万円ありますから、合わせると百十三億ほどでしょう。これは要するに、国関係の仕事を物すごくやっている、利害関係の極めてきつい会社ですね。

 採用時点で既にその会社から九六年にも会長、副会長の個人名にしても政治献金をもらっておられて、採用するときには運転手が日本道路興運の人ということだったわけですが、一応それは知らなかったということで今言っておられるわけですが、これだけ日本道路興運が道路公団、国土交通省など国の機関と大きな契約をする、大きなかかわりのある、利害関係を持つ企業であるのに、そこから政治家が金をもらうとか、あるいは運転手の給料という形で利益供与を受けるとか、私はどう考えてもこれは政治的、道義的にやはり重大な問題があると思うんですが、この政治的、道義的な責任という問題については大臣はどのようにお考えになっておられるか、伺いたいと思います。

細田国務大臣 再三申し上げておりますように、私の事務所では、運転手さんが応募してきて、この方が従来から同種の仕事をしておられるということを聞きまして、それでは採用しよう、給料は幾ら払いましょうということで雇用したわけでございますので、それがたまたま、ほぼ同額に及ぶ所得を別途得ていたということは、私自身、全く気がついておりませんでした。したがって、この点は深く反省をしておるわけでございます。

 また、この会社自体の仕事の内容とか、それがどのように公と関係しているかということにつきましては、私はそれほど深く知っておったわけではございません。その点は、私の父の古い古い友人だということはありますけれども、会長とか皆様方とは父が友人関係にはありましたけれども、会社の内容については深く存じておりません。

吉井委員 九六年から政治献金を受け、この会社の社員である運転手さんを運転手さんとして迎えられて、会社が給料も払っていた。日本道路興運が払っておったことはもう既に明白になっているんですが、細田長官の側が、事務所が、この人に実際に給料を払っていたのかどうか。これは、あなたは払った払ったと言うだけで、何にも解明されておりません。

 私は、これだけ国と利害関係のある企業から政治家が金をもらう、運転手等の便宜供与を受けるということは、これは政治的、道義的に絶対許されないことだと思うんです。しかも、国の仕事というのは、国民の税金なんですから。税金が還流されているという問題ですから。

 最後に、委員長、私は、これはやはり道路興運の社長さんなりに参考人として来ていただいて、きちんとこの問題は解明するべきだ、このことをお願いしたいと思いますが、委員長、どうでしょう。

山本委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。

吉井委員 それでは、時間が参りましたので、質問を終わります。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 今もさまざまなお話がございましたけれども、せっかく官房長官にお越しいただいたときにこのような話をしなければならないのは大変残念ではありますけれども、しかし、官房長官、やはりこのところ官邸が随分と不祥事続きのような気がしております。これは、一般の国民の皆さんもそういうふうな認識を持っておられるんではないかなというふうに思うわけです。

 今回の、午前中の決算行政委員会でも質問がありましたけれども、まず日テレの問題、そしてまた北朝鮮外交のその成果、そして官房長官御自身のこういったやみ利益供与疑惑というようなことになってきますと、これはもう合わせわざで一本をとられかねない状況ではないのかな。やはり一本をとらなければならない。せっかく副官房長官から官房長官にかわっていただいたんですが、やはりこういった不祥事が続けば何らかの責任はとっていただかなくてはならないのではないのかなというふうに思っております。

 その辺をもう少し解明していくために、少し質問をさせていただきたいというふうに思います。

 いろいろとマスコミ等々で話が出ております。官房長官は、この車両管理会社日本道路興運からさまざまな利益供与を受けながら、政治資金収支報告書に記載をしていなかった。もちろんもう現在では修正をされたということですけれども、修正をされる前までは記載していなかった。官房長官、改めて、これでよろしいかどうか、確認をお願いいたします。

細田国務大臣 この点につきましては、深く反省をしております。

泉(健)委員 そこで、改めて事実確認をしたいというふうに思います。

 先ほど、二月ごろにわかったというようなお話もございましたけれども、もう少しやはり正確に話を聞かなければならないと思います。

 まず一つは、マスコミでも報道がありますけれども、この日本道路興運が所得隠しをして、そして新聞報道がなされたということがございました。今はもう御存じですね。これを一番最初に御存じになられたのが何月何日なのか、そして、この給与の肩がわりを受けていたということを御自身が認識されたのが何月何日なのか。まず、この件についてお伺いをしたいと思います。

細田国務大臣 私としては、再三申し上げておりますように、この運転手さんは、自分のところで給料を払い、自分のところで雇っているという認識でございました。そしてその額も、年間三百五十万円を超える、私としては貧しい中で妥当な最大限の給与であると思っておりますので、したがいまして、別途、いろいろ保険のあれもあるんでしょうが、そういう雇用関係にあったということを聞いたときにはびっくりいたしまして、それでは直ちに修正しろということを秘書に言ったのは四月の上旬ごろではなかったかなと私は思っております。

泉(健)委員 いや、答えていないんですね。誠実に御答弁をいただけるものと思ってきょうはこちらの方に来させていただきましたので、もう一回確認をします。

 この日本道路興運、所得隠しがあったという新聞報道がなされました。御自身でこの事件について認識をされたのはいつですか。

細田国務大臣 よく覚えておりません、それは。どういう新聞報道が出たのか、余り大きな記事で出たような記憶もございませんけれども。むしろ、こういったことについて、どうも給与が払われているということを最近になって知ったということでございます。

泉(健)委員 そして、五月七日、官房長官に就任をされて、五月七日、報告書の修正をなされた。これは二回か三回ぐらいに分けて修正をされているわけですが、五月十九日の会見の方で発表された。ことしに入って事実が判明をし、五月上旬に修正をしたということですね。

 これは先ほどもお話がありましたが、修正が長官就任が決まってからということになって、その理由を、先ほどは会社といろいろと照会をしたりですとか準備に時間がかかったということでしたが、これを担当されていたのはどなたですか。

細田国務大臣 当時の私の政策秘書であります。

泉(健)委員 政策秘書からこの件についての報告は受けていましたか。

細田国務大臣 受けたわけでございます。そして、どうも調べてみますとやはりこれは政治資金規正法上寄附であるというふうに認定することが適当であると。自分で給料を払っておってもそれは関係がなくて、事実上払っておったということであれば政治資金として届け出るべきであるという、関係方面にも照会をしたようでございまして、その報告を受けたので、直ちにするようにということで、それから会社の方から、これは一円まで細かく調べなきゃいけませんので、照会をした、その結果数値が出てきて、連休前には用意しておりましたが、連休後に届け出をしたということでございます。

 それから、先ほど、五月十九日の、さかのぼっての問題につきましては、その後、県報の告示で訂正の手続ができるということを聞きまして、それに従って修正をしたということですから、そこが二段になったわけでございます。

泉(健)委員 なるほど。そうすると、政策秘書さんが会社としっかりと合わせて、一円たりともやはり間違えがあってはならないというような御意思だったと思います。確かに、官房長官自身は、平成十三年度、自民党の政治改革本部副本部長、そして十四年度は選対の事務局長、選挙にもお詳しいですね、そして政治倫理と公選法に関する特別委員会の理事もされているということで、御自身も、恐らくというか間違いなく、選挙法等々にはきっと御造詣が深いのではないのかなというふうに思っているわけですが。

 そうしますと、会社側からはその照会によってどんな回答が来たか、このことについては聞いておりますか。

細田国務大臣 秘書が照会いたしたところ、やはり給料その他支払われておったということを聞きまして、私も愕然として、かつ、いろいろな政治資金規正法の問題等についても私は勉強してきておりますので、やはりこれは直ちに修正をすべきであるということを申したわけでございます。

泉(健)委員 そうしますと、通常、会社側とそうする場合には、つじつま合わせではないんですが、会社側がどこからかお金を出したというふうにしなければならないわけですね。会社はどこからお金を出したんですか。

細田国務大臣 そこは、会社のことでありますし、わかりません。

 ただ、その人に、つまり一種の給与でございますから、しかも前から何年も働いているようでございます。それが八年前に今のようになって、引き続き保険料とか諸手当とか給料とかが払われているということを言いましたので、要するにその人について支払われたものを合計してもらったわけでございます。運転手派遣業のような、一般的でなく業務としての、非常に多数の運転手さんを抱えておられるということですから、一人一人のデータがありまして、その中から出してもらったわけでございます。

泉(健)委員 どうやらこの会社は、架空の運転手をつくって、そこにお給料を振り込むという形で裏金をつくっていたという報道がなされているわけですよね。この方が会社にちゃんと在籍をしているということはもう確認はとれているわけですか。

細田国務大臣 そのような給料を払ったと言われて、そのまま届け出をいたしました。それを確認するすべも特にございませんので、聞いた額で届け出ております。

泉(健)委員 あなたは、献金を受ける側として、相手側が何をしていても、受けた側は知らないからそれは問題ないんだということをおっしゃるわけですか。例えば外国人から献金を受けた、これまでも何人かの政治家さんがその事実によって時には糾弾をされておられるケースがあると思いますが、それは本人は悪くないというような認識でよろしいんですか。

細田国務大臣 外国からの献金等は違法でございますから、それは別の問題だと思います。

 それから、全体としての、先ほど言われた、脱税があったんじゃないか、全体にもっと大きな額の問題があったんじゃないかというようなことについては、私は存じません。

 私としては、事実上、この支払われておったという給与等が政治献金に当たるかどうか、私として政治家として届け出なければならないたぐいの寄附に当たるかどうか、ここだけが私の論点でございますから、それはそのように処理をしようということを決めたわけでございますので、さかのぼって修正しなければならないということで、さまざまな手続をとったわけでございます。

泉(健)委員 いやいや、それでいいんでしょうか。普通の会社だったらそれはあり得ると思うんですよ。ただ、この会社は、ことしの一月に東京国税局で指摘を受けているわけですね。そして、何と何と、一生懸命国税局が調べたにもかかわらず、わざわざ税率の高い制裁課税をされてまでも使途秘匿金のその使途を明らかにしなかった会社です。これはもう御存じですね。

 そういう会社のどこからお金が出たかわからない、現在もわからない。ということは、使途秘匿金の中から出た可能性もあるということでよろしいですね。

細田国務大臣 そのようなことは会社経営の問題ですのでわかりませんし、今うわさになっているような額は私どもが関与している額とまた全然額も違うわけですし、私どもとしては、それ以上のものはないわけですから、その人が給料として幾ら払われておったかという、年間の三百五、六十万円から四百万円の間、これがその人に払われておった、給与として支払っておった額でございますから、それを寄附と認定したわけでございます。

 ただ、税の当局や何かが、その額を含めていろいろなことを調査されて、どのように判断されるかというのは別の問題であると思っております。

泉(健)委員 いやいや、そうじゃないですよ。

 あなたは政治家ですよね。政治家だったら、献金を受けた方や支持者の方々に正しい選挙法や正しい政治資金規正法を教える立場じゃないですか。私は守っていればそれでいいんですか、そうじゃないんじゃないですか。やはりこういった献金を受けている企業に対して、このお金に対して、いただいている分はちゃんとこういう形で領収書を出しますよですとか、そういうことはあって当然じゃないですか。

 私が今聞いているのは、相手側がどういう名目であなたの運転手の方にお金を出したのかということですよ。これは大きな問題ですよ。

細田国務大臣 これは、当然ながら、私どもとしては給与と思っております。給与として支払われた額が今の額である、そういうふうに確認をしております。

泉(健)委員 給与といっても、例えば現に長官が事務所でお支払いをされたように、後で聞きますが、厚生年金やいろいろなものがついていたかついていないかという話もありますし、アルバイト代として渡す給与と、ちゃんとした会社の職員として給与体系に従って出す給与とは違うわけですね。

 それは、給与というのは、確実にその会社に籍があり、そして、その会社の正規の職員として適正なところからお金が出ているということでよろしいですか。

細田国務大臣 それは、会社がどういうふうに給与を払ったりさまざまなお金を支出していたのかということについては私どもとしては知ることができませんので、私どもとして最大限やることは、実は給与が払われておったというのであれば、その払われておった額を、それぞれの年次に応じて幾らであったのかを確定して、それを修正して、献金であったというふうに届け出ることが最大限の責務であると考えております。

泉(健)委員 ですから、使途秘匿金から出ているかもしれないわけですよ。それをあなたは、相手側のことですからどうなっていても知りませんと。でも、これがもし使途秘匿金から出ていたら問題だというふうには思いませんか。

細田国務大臣 そこは、向こうの会社の実態がどうなっているかということまで私ども入り込むことはできませんので、給料として払っておったと、社員を継続しながら給料を払っておった、もちろん給料の中には失業保険だとか年金だとかいろいろあると思います、そういったものの総額を聞いたわけでございますから、それで私どもとしてはすべて伺ったと見ておるわけです。

 その背景にいろいろなうわさがあるじゃないか、その会社はどういうことをしておったんじゃないかというようなことを言われましても、私のところではそこまでしか知り得ないわけでございます。

泉(健)委員 ですから、先ほど、政策秘書さんと会社側が一円たりとも間違いないようにと打ち合わせしたんじゃないですか、したんですよね。打ち合わせをしたんだったら、相手側がそのお金をどう処理しているかなんてわかる話じゃないですか。確認とっていないわけですか。

細田国務大臣 経理上、給与として支払った、そのことを聞いておりますので、そのように処理したわけでございます。

泉(健)委員 では、一般論として聞きましょう。

 そういった使途秘匿金というものの中からもし政治家が献金を受けていたということが明らかになった場合、そこには政治的な責任があるというふうにお考えになりますか。一般論ですよ。

細田国務大臣 一般論で言えば、何かいろいろなお金を浮かして、それをやみ献金として、どこにも載せずに何百万円も献金したとか、それをやみからやみへ出したとかということがあれば、それはもう大変な大きな問題だと思いますよ。

 我々の今の問題というのは、給料として、この人を社員としてずっと継続しておったと。したがって当然ながら、運転手さんですから、運転手さんに払った給料の額、月々幾らで諸経費幾らということを限度に、私どももその運転手さんを雇っておったわけですから、その運転手さんを限度に考えるのは当然のことだと思います。

泉(健)委員 今のお話ですと、やはりそういった、もし、もしですけれども、やみであれば、それは当然責任があるというような御答弁だったというふうに思います。これは今後解明がされていくでしょう。

 改めてお伺いしますけれども、これまで、この日本道路興運に限ってで結構でございます、そこから受けた利益について、一度正確にお答えをいただきたいというふうに思います。

 まず、東京事務所の運転手の給与とボーナス、そして個人献金、パーティー券、そしてまた、ほかに何か飲食の接待、贈答品、便宜供与等あるのかないのか。前段の方は額を含めてお願いいたします。

細田国務大臣 そこまで十分記憶しておりませんし、贈答品等も記憶しておりませんので、お答えしかねます。

泉(健)委員 きょう、御答弁は用意されていないんですか。基本的な、いつ、どんな献金を受けた、パーティー券を買ってもらった、そういうものはありませんか。

細田国務大臣 それは、役員の名義で、二〇〇〇年、二〇〇二年に、それぞれ三百万円、百万円を受けております。先ほどちょっと問答の中で、九六年にも出しておるのではないかということなので、ちょっとこれは調査漏れがあるかもしれません。そういう個人献金を受けております。

泉(健)委員 パーティー券はありますか。

細田国務大臣 ちょっと実態を調べなきゃいけませんが、さまざまな名簿でお願いしておりますので、パーティー券の購入限度の中でパーティー券を買ってもらっている可能性があります。

泉(健)委員 先ほど言いましたが、飲食の接待、贈答品等は記憶にないということでよろしいわけですね、記憶にないんですね。なるほど。

 事実を一番最初に二月ぐらいに知ってから、四月のいろいろなこの会社とのやりとりで時間がかかった等々言っていますが、やはりこれは、その事実が明らかになるまでは、特に修正をする前までは、まさに官房長官がさっきおっしゃられたような、やみの部分のお金でしかないわけですよ。全く表に出てこなかったお金なんですよ。

 今、修正をされて、何だか、小泉首相にも許しを得たからというふうに、それで責任が終わったかのように言っていますけれども、御自身の責任、これで終わったというふうに思いますか。

細田国務大臣 私としては、そのような、給料をもらい続けていたという事実を知りまして、これはしっかりと報告をするとともに、深く反省しておるわけでございます。

泉(健)委員 反省以外は何か、責任をとる、例えばそれは職員の内部の処分ということもあり得るかもしれないですね、あるいはいただいたお金をやはり返金するということもあり得ると思うんですね、そういったことはお考えにはなられませんか。

細田国務大臣 返金ということができるのかできないのか、これは私どもで今検討しております。政治資金として過去にいただいてしまったものを返金するということが今できるのかできないのか、法律上の問題も詰めてまいりたいと思います。

泉(健)委員 総務省さんにちょっとお伺いをしたいと思うんですが、今回修正をされたわけです。たしか、規正法の二十五条、ここには不記載、不実記載というところがあると思いますけれども、今回のケースはそれには該当しないんでしょうか。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、政治資金規正法には、記載すべき事項を記載しなかった、あるいは虚偽の記載をした場合の罰則が定められておるところでございますけれども、個別の事案が具体的にこの法令に反するかどうかというのは、私ども、具体的な事実を承知する立場にございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

泉(健)委員 いや、一般論として、その法律があるわけですから。罰則もあるわけですね。これを判断するのは、では警察になるんでしょうか。そういうものもあると思いますが、一般論として、正しいことが記載をされていなかったら、それはやはり罰則がかかってくるということでよろしいんですね。

高部政府参考人 政治資金規正法の今の罰則の体系、この記載義務違反の関係でいいますと、虚偽の記載があったかどうかということの中で、事実と異なる記載があったかどうかということとともに、故意または重大な過失によってそのような行為が行われた場合の罰則が定められておりますので、個別具体の事案がこれに当たるかどうかというのは個別に判断されるべきものだと考えております。

泉(健)委員 官房長官、もしかすると当たるかもしれないですね。これだけ、最初に事実を確認してから修正まで時間がかかり過ぎている。もしかしたら危ないかもしれないですね、そのおつもりも持っておいていただければと思います。

 もう少し細かい話をしていきたいと思いますけれども、この運転手さんの採用時のことについてお伺いをしたいというふうに思います。

 この採用についてお話し合いをされたのは、どなたとどなたが採用の話をされて、そして決定をなされたんでしょうか。

細田国務大臣 これは、先ほど申しました秘書、つい先日まで政策秘書をしておりまして、その秘書と、実は本人がやってきたのであります。そして、お互いに、こういう議員会館にいたりする運転手さん仲間で突然心筋梗塞で亡くなった人がいるということで、その方が、ぜひ勤めたいと。私はこのあたりの経験もあるし勤めたいということでやってこられたということが実際の姿であります。

泉(健)委員 おかしいですよね。会社に、この方はそのとき日本道路興運に勤めておられたわけですね。勤めたいというのはどういうことなんですか。官房長官も、これは今思うと不思議だなということでよろしいんですか。

細田国務大臣 しかし、そのときにちゃんと給与条件も言って、ぜひ払ってほしい、これだけの給与なら結構ですと言ってきたわけでございますので、それは事実でございます。

泉(健)委員 履歴書はなかったんですか。

細田国務大臣 運転手さんでございますので、運転手さんだからどうというわけじゃございませんけれども、運転技術、あるいは過去を伺いますといろいろな政治家の運転手さんも歴任しておられるようでございまして、こういった経験がある、前の運転手さんとも知り合いであるというようなことを言われたようでございます。

 したがって、前の方が亡くなって緊急の場合でございましたので、それじゃお願いしようか、条件はこれでいいんですねということを申したようでございます。

泉(健)委員 いやあ、不思議な話ですね。本当に知らなかったわけですか。

 政治家の運転手を歴任されていたということは、では、もしかしたらほかにも同様のケースがありそうですね。多分この会社にはずっと勤められていたんでしょうし。それは後々調べていけばいいのかもしれませんが。もし御存じであれば、前職はどなたの運転手をされていたんでしょうか。

細田国務大臣 個別のことについては申し上げませんけれども、そういう過去の経験から、運転手さんとしてお願いするのが適当であるかどうかという判断は私がしたわけでございます。主として給与条件、それから地理その他よく御存じかどうかということ、これがやはり大事だと思っておりました。

泉(健)委員 そうですか、私が適性を見てしたと。

 しかし、恐らく同い年ぐらいの方じゃないですか。去年六十歳でたしか退職をされたということであれば、働き盛りの五十二歳か三歳ぐらいのときに多分お勤めになられたと思うんです。御自身と同い年ぐらいの方に、年収が三百五十万ぐらいで本当にいいのかと聞いたとして、それだけで、それ以外の話はしていないんですか。その方の御出身や背景や、今まで何をされてきたんですか、今どうやって生活しているんですかと、言葉をかけたことはないんですか。

細田国務大臣 私自身が面接したわけではございませんので、私自身は、いい人が見つかった、もう来月から勤めてもらえそうだからという話で、それじゃお願いしてくれ、こう言ったわけでございます。

泉(健)委員 いやいや、違いますよ。だって、その事務所に勤めるに当たって、先ほどおっしゃったように、貧乏な事務所ですからと言って、一生懸命現場では交渉しているわけですよね。それを多分、報告は絶対受けていたはずですよ。交渉を全部任せっきりにはしていなかったと思いますよ。

 それで、任せっきりにしていたとして、御自身が車に乗られたときに言葉をかけるときがあるじゃないですか、普通の政治家だったら。全然お話もされずに、同情もせずに、話しかけもせずに。その方がどうやって、この給料だけで生活をしているということだけで今まで来ていたわけですか。

細田国務大臣 余りそういう話は普通はしないんじゃないかなと思いますけれども。

泉(健)委員 もう少し人情を持っていただきたいと思いますね。私は苦しい生活をしてきたからわかるんですよ。だって普通、後から聞きますが、厚生年金とかをもし会社が払ったとしても、同い年ぐらいの方々が三百五十万で、まあ議員はたくさんもらっているかもしれませんが、こういう生活をしていて心配をしないというのは、これはちょっとどうかなという気はしますね。私は本当は話はあったんだと思いますけれども、言っていただけないんでしょう。

 しかし、そういう公にならない話だとすると、細田事務所から受け取っていた給与というのは、この運転手さんはどのように、確定申告をなされていたんでしょうか。

細田国務大臣 そこははっきりわかりません。

泉(健)委員 いや、ですから、先ほどから姿勢を問うているんです。御自身から解明をしようとする気持ちが全く見られないんです。会社側にも全くちゃんとした調べもしていない、そして、この運転手さんがいただいたお給料をどう処理しているかまで何もしていない。

 では、源泉徴収はやっていましたか。

細田国務大臣 その点は、ちょっと私は承知しておりません。

泉(健)委員 だって、官房長官も御自身で、大変厳しい事務所だというふうにおっしゃられたじゃないですか。お金のことについて、しかも党のいろいろな役職をされてきて、何でそんなことを任せっきりにしているんですか。

 では、これから調べて、すぐ記者会見なりで御回答いただけますね。

細田国務大臣 私としては、結果として、その方が給料見合いのものをある会社から受けておることを知り、そのことを当然認め、反省をして、政治資金規正報告書の修正という形で出しておりますので、その点は、十分この問題に対処していると考えております。

泉(健)委員 これは官房長官の名誉のためにぜひやはり明らかにしていただきたいんですよ。

 先ほどからの答弁を聞いていたら、もしかしたら使途不明金からその給与が出ているかもしれなくて、さらに、細田事務所から運転手さんに出ているお給料は確定申告がなされていないかもしれないという話になったら、もうめちゃめちゃじゃないですか。何だか、本当にひどい管理になっていませんか。事務所としての人の管理について、御自身は責任を感じませんか。

細田国務大臣 私は全体として非常に反省をしております。私として、十分な給与を払っておればそれでいいという前提で、それでは早く雇ってくださいということを秘書に伝えたわけでございまして、その後起こりました最近わかりましたことについては反省しております。

泉(健)委員 では、この方の勤務なんですが、細田事務所で採用されてからずっと日々勤務をされていたということでよろしいですね。

細田国務大臣 基本的にはそのように理解しております。いろいろな役職の形態によりまして、ほとんど公用車がつくとかいろいろな状況がございますが、そういった状況によってどういうふうに対応していたかはよくわからないところがございます。

泉(健)委員 この方の雇用保険、厚生年金、これはどこから出ていたかは御存じですか。

細田国務大臣 後から考えてみますと、その会社から出ておったのではないかと思っております。社員でございますから、その会社の社員であったということで、出ておったんではないかと思います。

泉(健)委員 この件も、やはり誠意を持って対応していただくのであれば、必ず確認をとっていただきたいというふうに思います。もちろん確認をとっていただくわけですけれども、雇用保険の場合は、たしか勤務実態が、その職場に週二十時間以上ないと雇用保険というのはだめなはずなんですね。そうすると、日本道路興運に週二十時間勤務をされていなければならないわけですが、そういった時間は、官房長官、あったというふうにお考えですか。

細田国務大臣 ちょっと私は承知しておりません。

泉(健)委員 では、働いていたかもしれないということでよろしいですか。

細田国務大臣 これははっきり今申し上げることはできません。確認をしてみないといけませんが、基本的には私のところで働いていただいておったというふうに理解しております。

泉(健)委員 そうしていくと、まずは、勤務実態のない人間に対して、本当にその籍があるかどうかというのはまだ証明されていませんが、その勤務実態がない人間に対して雇用保険や厚生年金を続けていたこの会社、ここにも当然違法性というものが今後出てくると思います。やはり関係省庁の方にはそこを見ていただかなければならないだろうなというふうに思います。

 そしてまた、そういったことをある程度事務所の方では当初から認識をされていたというようなお話が伝わってきておりますけれども、それはそのとおりでよろしいですね、事務所の方では認識をされていたということで。

細田国務大臣 いつのころからかわかりませんが、秘書の方で、どうもそのような実態があったらしいということは感じておったと申しております。

泉(健)委員 そうすると当然、細田事務所というのも違法性を免れないということになってくるんだと思います。そしてまた、確定申告をしていないのであれば、残念ですが、この方自身も、その部分では問われなければならないということになるんだろうなというふうに思います。

 一般論としてお伺いしますが、国税庁、もしどこかの事務所からお給料を得て、それを確定申告をしていなければ、それは脱税行為だということでよろしいでしょうか。

西江政府参考人 お答えさせていただきます。

 給与を二カ所以上から得ている場合には、原則として、主たる給与につきましては年末調整の対象とされますけれども、その他の従たる給与については年末調整の対象とされませんので、すべての給与を合計したところで確定申告により所得税額の精算を行うことが必要でございます。

 いずれにせよ、個々の事実関係に即して、法令に照らし合わせて適正に対処してまいりたいと考えております。

泉(健)委員 次に、この日本道路興運という会社についてやはり触れなければならないと思うんですね。

 道路公団との深いかかわり。かかわりを持つこと自体は悪いことではありませんけれども、呼ばれ方としてはいわゆる準ファミリー企業という形になっております。道路公団が二〇〇二年度で発注した五十五億円の事業のうち、十九億円分を受注しているというようなことですね。そして、先ほど言ったように、ことしの一月、二億八千万円もの制裁課税をされたというようなところの会社でございます。

 そして、資本金が八千万なわけですが、そうすると、規正法では一年間の政治団体への寄附上限が七百五十万円ということで、細田事務所の給与肩がわり分、そして長官以外へのさまざまな献金等で、この総枠規制というものを超えているというような判断をされるのではないかとされている会社でございます。こういった会社でありますけれども、この総枠の規制については、上限を超えれば受け手の側も出した側もやはり罰則の対象になるということで、総務省、よろしいですか。

高部政府参考人 政治資金規正法の総枠制限に違反して寄附をした者及び寄附を受けた者につきましては、一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処する旨の定めがあるところでございます。

泉(健)委員 これは、受け手はもちろんばらばらに違うわけですが、受け手が一つ一つ違うからといって罪を免れるものというか、その規制の対象から外されるようなものにはなっているんでしょうか。

高部政府参考人 お答え申し上げます。

 総枠制限でございますので、トータルの額としてどうなっているかということがポイントになると思います。

 ただ、いずれにしても、この罰則が適用されるということになりますと、総枠制限を超えているということについての認識が必要になってくるもの、かように考えます。

泉(健)委員 なるほど。総枠制限を超えているという認識がないとそれはかかってこないということでよろしいですね、再度ですが。よろしいですね。――わかりました。

 それで、お伺いをしたいわけですが、道路公団、きょうは参考人として奥山理事にお越しをいただいていますけれども、日本道路興運が所得隠しをしていたということが発覚したわけですが、このことについてはいつ御承知になられましたでしょうか。

奥山参考人 お答えします。

 この所得隠しの件につきましては、ことしの一月十四日に新聞報道がございまして、これでもって承知した次第でございます。

泉(健)委員 たしか、さまざまな都道府県の文書を見ておりますと、入札停止に関するいろいろな基準、法令というのがあるはずなんですね。こういったケースは対象になりますでしょうか。

奥山参考人 お答えします。

 入札停止の件につきましては、内規では、業務に関しまして不正または不誠実な行為をして契約の相手方として不適当であると認められたとき、あるいは、代表役員等が禁錮以上の刑に当たる犯罪の容疑により公訴を提起され、または罰金刑を宣告されて契約の相手方として不適当であると認められたときが、指名停止等の措置についての基準になっております。

泉(健)委員 国税庁にお伺いをしたいんですが、たしか、いただいたレクの中では、国税庁としては、例えば指摘をしたことそのものは公表することをしていないというふうにおっしゃられていたと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

西江政府参考人 お答えさせていただきます。

 個別にわたる事項でございますので、守秘義務の関係上、具体的な答弁は差し控えさせていただきます。

泉(健)委員 そうすると、道路公団さんにもう一度お伺いしたいんですが、例えば脱税のようなケースで指名停止をするというのは、どのようにしてその情報を知り得て指名停止に至るということになるんでしょうか。

奥山参考人 お答えします。

 脱税等について具体的にちょっと把握はしておりませんが、先ほど申し上げました内規に従いまして、例えば政治資金規正法も禁錮以上の刑というのが書いてございますけれども、今後、同社の代表役員等が公訴を提起された場合等においては、これを承知しまして、私どもで内部で厳正な措置をするということになろうかと思います。

泉(健)委員 そうすると、この日本道路興運の所得隠し、発覚をしました。道路公団としては何かそういった処分等はされましたか。

奥山参考人 お答えします。

 先ほど、ことしの一月十四日に新聞報道で承知したというふうに申し上げましたが、直ちに、翌十五日に、会社の代表者に対しまして日本道路公団との契約に関しまして事実確認を行ったところでありますが、今回の追徴措置等々所得隠しの問題と私どもの契約等の関係では無関係であるというふうな回答を得ております。

 また、車両管理業務に関しましての確認の状況でございますが、履行確認につきましては、契約書において、業務の実施状況を詳細に記載しております車両管理確認日誌がございます。これを、当該日の翌日に、毎日提出していただくことになっております。したがって、これを見まして、JHが、私どもが指示しました業務内容とその日誌の内容を確認することによって、業務内容の確実に行われることを確認しております。

 今回、現時点においてはこれが誠実に履行されているということでございまして、現時点では、JHが契約書に基づいて契約の停止等の措置をする事由は発生していないと考えております。

 なお、今後、同社がJHの契約に違反するというような行為が明らかとなった場合には、公正かつ厳正に対処してまいりたいと考えております。

泉(健)委員 こういうケースが出てきている中で、業務は適正にやっているかもしれませんが、反社会的な行動をしている、そして、使途秘匿金を明かそうとしないという実態があるわけですね。そういったことに対して、道路公団がやはりちゃんとした厳正な処分をすべきではないかなというふうに思います。

 それは三菱の問題でも、ちゃんとそれぞれの省庁が、例えば入札停止ですとか車両の買い取りということについて、相当な期間、控えをされていたりするわけですから、道路公団というものもそういうことがあってしかるべきだろうというふうに思いますし、もしそれがちゃんと行われていないような状況があれば、そこら辺に何か、今後とも追及をしていかなければならないというところもあるように感じます。

 とにかく、官房長官、きょうは、せっかくお越しをいただいて、いろいろとほかの問題も扱いたかった、前向きな問題も扱いたかったわけですが、やはり不透明な部分が多過ぎることが第一点。そして、それを御自身で解明しようとなされていないというこの姿勢がやはり大問題だというふうに思います。そして、この問題を御自身で解明されるなり、あるいは周囲から解明をされたときに、もし何か問題があれば、やはりそこはしっかりと身を処す。何でもかんでも個人の問題だというふうに最近言われがちですけれども、外から見れば、最初に言いましたが、完全にこれは合わせわざで一本ですよ、とらなければならない。そういうことをお忘れいただきたくないというふうに思います。

 また、今後とも、党としてこの問題は追及をしていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 きょうの新聞記事で、北朝鮮の方で首相が来ないと子供は帰さない、こう言ったから自分は行ったんだと総理は言っているんですね。これは田中直毅さんか何かと会食してそういう発言をしているんです。

 もともと拉致というものを官邸はどうとらえているんですかね。これは、国家が日本人の主権を侵して、ある人間を誘拐したという犯罪ですよ。犯罪者の要求が、総理が来なければ子供は帰さない。これにまんまと乗って行ったというのが、まず大きな問題点があると思うんです。

 しかし、それ以外にも、なぜこの時期を選んだのか。きのうの我が鳩山由紀夫前代表も、単なる政治ショーじゃないか、この時期に、余りにも計画がしっかりとれていない、稚拙なことだったと。しかも、我々が向こうに要求するならわかりますよ、向こうは犯罪なんですから。ところが、こちらからお土産を持っていったり、そういうふうにとられがちなあのショーは一体何だったのか、こう思うわけですが、総理が行くのは向こうが要求したんですか、本当に。総理が来なければ子供は帰さない。これは事実ですか。

細田国務大臣 きのう、夕食をとりながらいろいろな方と談笑されて、その中でそういう話があったということを、外で、出口で記者団に語った人がいたようでございます。しかし、私ども、総理のそばにいて、断じてそういうことはございません。

 つまり、総理は、本当に第一回の会談以降、一年八カ月というもの、事態が一向に進展しない、五人の御家族の八人の方も帰ってこない、そして安否未確認の方もはっきりしない、そういった中で、しかも、核、ミサイルの問題も前進しない。ここで自分は、やはり訪朝して、金正日氏、国防委員長が本当にリーダーシップを持って責任ある判断のできる唯一の人物であろうから、自分が直接話をしてきたいという思いがあったということだと思います。

 特に、この一年八カ月、帰られてから七カ月の間ですけれども、親子がばらばらに過ごさざるを得なかった、夫婦がばらばらに過ごさざるを得なかったということについては非常に頭を痛めておられることは事実ですが、やはりアジアの平和のためには日本と北朝鮮の関係がよりよくなっていかなければならない、対話と圧力とかいろいろなことがありながらも、そういう基本的な考え方があったと思います。

中山(義)委員 私は、一つは、なぜこの時期に行ったのかということを問題にしたいんですね。

 参議院選挙の前。しかも、年金でいろいろ自分にも未納や未払いがあった。こういうような問題から、または、我が党の選挙の一番始まるところに小沢さんの名前が挙がった、そのときに記者会見をやった。すべて、何かこの時期に合わせたような、こんなときに合わせる必要はないじゃないですか。本来、外交というのは、内政に使うものじゃないんですよ。我々の党の選挙になんて関連ないことですよ。本来であれば、もっともっと大きく考えてもらいたい。

 今、何とかしたいという気持ちはわかりました。だから山崎さんや平沢さんが行って、そういう二元外交もやったんですか。私は、福田前官房長官も、おやめになったときに、何かわからないけれども変な理由があったんだろうと思う。一つは年金の問題がありました。ほかにも、二元外交みたいなことをやったら、官邸だって私はおかしいと思う。

 細田長官、細田長官のわからないところでもし外交ルートがあって、ほかに行っていた、こういうことがあったら不愉快でしょう。何か二元外交のにおいがするわけですよ。しかも、ソフトボールの大会か何かで山崎さんは、二十二日の日の朝、きょうは八人帰ってくると言ったそうですよ。あともう一人帰ってくればソフトボールができると言ったって。そういう記事が現実に出ているんです。こういう二元外交をやっていて、現実はぺらぺら外へしゃべる。日本の国がおかしくとられませんか。

 この間、理事の方がいい話をしていて、私たちがここでしゃべっていることも全部相手が知っていると言うんですよ。そんなの、自由主義国家では当たり前ですよ。日本の国だって、ほかの外国の国がどういう発言をしているか、議会がどんなことを言っているか、こんなのをとるのは当たり前のことでありまして、我々の言っていることや何かが向こうに伝わっていることはもちろん。だからこそ、正式に、いろいろな声がなくて、一元的にしっかりやる外交が必要なんじゃないでしょうか。

 今回のこの二元外交で、大連で決めた話が今回のこの政治ショーにつながったと私は思うんですが、その辺はいかがなんですか。

細田国務大臣 山崎前副総裁、そして平沢議員が接触したということについては、政府は全く関与しておりません。議員の思いで、何とか自分の力で解決したい、それをまた紹介、仲介する人がおられたということではなかろうかと思いますけれども。したがいまして、どうも八人が帰ってくるんじゃないかということについても事実と違ったわけでございます。

 そして、二元外交云々ということについては、政府は絶対にとらない。まずは外交ルートできっちりと調整をし、その上で訪朝するということでございますが、ただ、今回の総理の決断は、どうも実務ルートだけでは十分簡単に解決しないなと。ですから、自分で行って直接話し合いたいという思いが強かったことは事実でございますが、決して、二元外交とか、だれかに言われて向こうへ渡ったというようなことはございません。

中山(義)委員 つまり、外交というものと内政というものといろいろかんでいると、やはり、さっきお話があったように、我々の言っていること、こちらの国会のこともいろいろ知っているわけですよ。そうすると、年金のことで大分自民党はやられているな、いろいろ総理の問題も出たな、総理もそのいろいろな問題点を解消するために外交で一発勝負しよう、こういうことで来たんだと相手が思ったら、相手は足元を見ているわけですよ。日本の総理ですから、我々の代表ですよ。その総理が、大体、外務次官が迎えに来て、何かそういうところから軽く見られているというような報道がされているわけですね。初めから喜んで小泉さんが参議院選挙を目当てに来ているという、そんな足元を相手に読まれている可能性だってあるんですよ。

 そこで、ちょっと山崎さんに聞きたいんですが、本来だったら杉浦さんが行くべきなんですが、山崎さんが行ったのも、改選期だからということで行ったのかという新聞記事が出ている。私が言っているんじゃないですよ、新聞記事がそう言っている。悪口でも何でもない、そういう客観的事実を言っているわけでございまして。

 すべてが、この大事な外交の問題が選挙に使われたり内政に関与しているとなると、それはもちろん外交と内政は一緒かもしれない、しかしそれが、選挙という直前で支持率を上げようなんという、そんな気持ちで拙速にこれをやられたらたまりませんよ。我々だって、拉致の問題に対しては、もう煮えたぎるように頭にきていることはうんとあるわけですよ。そういうことに対して、何か選挙に使われたのでは私は困ると思うので、その辺、答弁をしてください。

山崎内閣官房副長官 お答えをいたします。

 このたびの日朝首脳会談に際しまして、私が総理とともに訪朝に同行させていただきました。この問題と参議院選挙は全く関係がない、私はこのように思っております。

 御案内のとおり、拉致問題は、我が国国民の生命と安全を守る大変重要な課題でございますので、私も官房副長官として総理を支え、官房長官を支え、杉浦副長官とともにこの拉致問題の解決に全力で尽くしてまいりますし、今日までもそのような気持ちで努力をしてまいりました。

 なおまた、役割分担でございますけれども、どのような分担でこの問題解決に適切に対応できるかというようなことも、総理以下、官房長官、杉浦副長官とも相談のもとで決まったものでございまして、何ら問題はない、このように思っております。

 以上です。

中山(義)委員 そこで、山崎さんの自己評価ですが、今回、山崎さんも訪朝して、もう今度の選挙はこれで安泰だ、大変効果があった、このように評価されていますか。今、北朝鮮を再訪朝したことについては、評価はいろいろ分かれていますよ。だけれども、これはすごくすばらしい評価だった、こう思いますか。まず、それを一応聞かせてください。

山崎内閣官房副長官 なかなか難しいお答えになろうと思いますが、参議院選挙だけとらえますと、選挙はすべていつも初めてでございますから、新たな新たないわゆる信託を受けるわけでありますから、それはその人なりに、そういったことも考えず、ただ政治活動に邁進した結果が県民、国民の皆さんから評価をいただけるもの、このように思っておりますので、先生に申しわけありませんが、そういうことは当たらないと私は思って努力をしておるところでございます。

中山(義)委員 私たちは、どちらにしても、参議院選挙前にやったということは、何か支持率が少しずつおっこちてくると北朝鮮へ行くというのがどうも今までのやり方でございますから、また同じようなことを考えたのかなと思ったわけです。

 そこで、今回の評価ですが、一番初めに拉致議連の方や拉致家族の方とお会いしたのは細田さんです。どういうような、まあ怒号の中で説明をしたというような新聞記事になっていますが、恐らく細田さんが一番感覚的にあのときの拉致の家族やまたは拉致議連の怒りをまともに受けたんですよ。私は本音だと思いますね。つまり、よく物を考えないうちに感覚的に、何やっているんだ、この交渉は、本当に拉致の安否や何かこういうことを真剣に論議してくれたのか、特定失踪者のことはどうしたんだろうか、こういうような問題も一番受けたと思うんですね。その感想を述べてください。そのときの状況をつぶさに話してもらいたい。

細田国務大臣 第一報を受けたときには、蓮池さん、地村さんの五人の御家族は御帰国になることが決まった。そして、ジェンキンスさんとお嬢さん、この三人については、総理がいろいろな意味で説得をされ、結局、第三国でお会いになってまた今後のことをいろいろお話をされるということになった。そして、例えば十人の安否未確認の方については、金正日氏が、白紙状態に戻して、今後、一生懸命、積極的にこの問題に対応していくということを言ったわけでございます。そのことを率直に申し上げましたが、決して家族会の方々や関係の皆様方は御納得をされず、それでは意味がないではないかというおしかりを非常に私は直接いただきました。

 そして、そのお怒りを、これはもう交渉しておって、その後に発表をして、そして帰国の途につこうとしておりましたから、総理にきちっと報告いたしまして、そして帰国されてから直接お話をされるということになりましたので御相談しましたところ、もうマスコミのカメラとか皆さん入っていただいて結構だ、すべての方に思いのたけをおっしゃっていただいて結構だと。自分としては、この問題についてはできる限りのことをやって白紙に戻して今後努力をするんだ、そして向こうも了承したんだということを明確にしたのであるからということで、説明をするからということで、るる総理が説明されたわけでございます。

 私も、この十人の安否未確認の方々を初めとする皆様方の思い、三十年以上にわたりましてさまざまな御苦労になった方のことを思いますと、非常に胸の痛む思いがしましたけれども、やはり、一つ一つは手順ということもございます。いつもいつもこの八人の問題でいわば問題がつかえて、次の問題についてどうも進みにくいということも事実です。今までは、これは処理済みだといってすべての発言を受け取らなかったわけでございますから、これが、白紙に戻して取り組んでまいるという、直ちに取り組むということでございますから、このことは政府として本当に一生懸命皆様方のお気持ちを体して取り組むべきである。また、関係者の皆様方のお怒りも、そこをしっかりやれというふうにも受けとめさせていただいたわけでございます。

中山(義)委員 ちょっと今、発言で気になることがあったんです。前へ進まない。

 前へ進めるということは、拉致の問題が解決しなくても正常化交渉はやるとか、または、よく、平壌宣言がちゃんと履行されていれば正常化交渉をやるとか、または、人道支援についても拉致の問題とは別問題だからこれは二十五万トンを渡すんだ、こういう話なのか。その辺の整理がよくわからないんですね。

 それで、細田長官の言っていることと総理の言っていることは若干ずれているんです。細田長官の言っている方が厳しいと思うんですね、言っていることは。正常化交渉というのは、拉致の問題、特に安否の問題が解決しない限りは前へ出ないと。

 ここなんですが、前進しないと言うけれども、これは相手が、日本の国へお子さんたちを帰す方法であるとか、または安否の問題であるとか、しっかりこちらに提示するのが筋でありまして、向こうは誘拐なんですよね、ある意味では。犯罪なんですよ。日本が言いなりになって、日本が条件を出してやるんじゃなくて、向こうが処理をする問題なんです、本来は。そういうところで、前進というのは、そういう犯罪を認めることなのか、犯罪があっても当然だと思っているのか。これは大変なことですよ。この辺は、内閣としてもはっきりしてくださいよ。

 経済制裁のことにまず限定しますが、じゃ、経済制裁も含めて、その前進というのは経済制裁がなくなることなのか。または、さっき言った、二つありますね。一つは、経済制裁と同時に人道支援という問題。それから、正常化交渉というのはやれば前へ進んでいくのか、そのためには拉致の問題、安否の問題、この問題は絶対に避けて通れないのか、それともそれがなくても前へ進むというのか。この辺、はっきりしてください。

細田国務大臣 基本的な政府の考え方は、きのう、きょうと小泉総理が衆参両院の本会議で述べておりますので、そのことは総理のおっしゃるとおりでございます。

 そして、その中身は何かといいますと、拉致問題に関する専門の幹事長会が昨年七月に確認した基本方針に従いまして、帰国された五名の拉致被害者の御家族の速やかな帰国を実現し、その上で再開された正常化交渉の中で安否不明の真相究明も行っていく方針だということ。そして、今回、五名の帰国が実現した。残る三人の御家族については、御本人の意向もあり帰国は実現しなかったが、これについては、今後、第三国における再会を実現すべく調整していくことが双方一致した。

 そして、この会談を踏まえ、しかるべき時期に日朝国交正常化交渉の再開に向けて調整を行っていく。今次、総理訪朝に際しては、北朝鮮が安否不明者の真相究明についても再度着手する旨約束しており、政府としては、その進展も見つつ、必要に応じて国交正常化交渉の中でも真相究明を強く求めていく考えである。いずれにせよ、政府としては、国交正常化が実現されるに当たっては、その真相解明が行われることが必要である。

 これが公式見解としてきちっとまとめたことであります。

 私は、新聞記者等会見のときにも言っておるんでございますけれども、金正日総書記・国防委員長が白紙に戻して直ちに取り組んで究明をすると言っている以上、そのことが誠実に進まなければ、私はその約束が食言になっておるということがあると思いますね。

 他方、国交正常化交渉というのは、過去の問題やら、もう幅広いわけです。そして、核の問題もミサイルの問題もございますので、そういった中で国交正常化交渉に着手すると、全部が、何か経済協力が進んだり、あるいはもうそのほかのことは放置するというような、そういう意味合いでは言われておりません。したがいまして、そういった話し合いの場もまた、その十人の方々や、その他の方々の帰国に資するものだと当然思っておるわけでございまして、その点の意をお酌み取りいただきたいと思っております。

中山(義)委員 私、総理が、行く前と帰ってきてから、ちょっと言うことが変わっていると思うんですよ。どうも、私たちが今聞き取ったのは、国交正常化と両者が何か並行していくようなことがあると思うんです。

 僕は、山崎さんの新聞記事でも、どうも交渉が向こうペースで進んでいたという記事が書いてあるんですよ。最後に席を立って、ジェンキンスさんのことは総理が説得しろというような形で席を立ってしまったと。これもそういうふうに、どこの新聞かわからない、スポーツ何とかと書いてありますが、それに書いてある。こういう記事を信用するかしないか別にして、山崎さんは、やはりどっちかといえば向こうペースで行われたというのはほかの新聞でも若干書いてあるわけですね。ですから、今まで言っていたことと総理が変わったというのは、向こうの交渉にうまくやられて、正常化交渉も拉致の問題も並行でいきますよ、こういうふうにうまく操られたんじゃないか、こう思うんですが、山崎さん、近くにいてどうですか。

山崎内閣官房副長官 いろいろな新聞、いろんなことをお書きになっておられるようでございますが、私といたしましては、今回の首脳会談において、拉致、核ミサイル、こういった日朝間の諸懸案につきまして、包括的に北朝鮮側と前向きな対応を強く総理は求めてまいりました。その結果、私は、かなりの成果をおさめた、このように実は思っておるわけであります。

 拉致問題につきましても、小泉総理から、拉致問題、この問題に強く、特に強くと強調させていただきたいと思いますが、働きかけを行われました。その結果、拉致五名の家族の帰国も含めて一定の前進も見られておりますし、なおまた、核問題等についても、完全な核廃棄、また、朝鮮半島の非核化、こういった問題にも、これは最終目的であるというような言質もとっておりますし、六者会合を通じて平和的解決に努力を期したい、こういうように金正日国防委員長も申し上げておるようでございます。

 したがいまして、今申し上げましたように、金正日ペースで進んだというようなことは、私は全く考えておりません。

中山(義)委員 新聞によると、主導権は北朝鮮に握られていたということをいろんな方が発言しているわけでございまして、文書を交わしたり何か担保をとってやっていないことは、すごく心配なわけですよ。やっぱり、期限を切って、いつからやるのかとか。

 例えばこういう話もありますよ。向こうに連れていった、要するにこちらの調査員が行って、犯罪国家と一緒に調査するといったって、そんなことおかしな話だということを、前、安倍さんが言っているんですね。これは細田さんも大体同じような見解で、かなり厳し目の話だったんですよ。でも、総理が帰ってきてから何か少し修正されているんですね、随分。

 私どもは、鳩山さんも質問しました。どうも、言っていることとあの中で論議されたこと、論議されたことを知っていても言わないんじゃないか。現実に向こうで話をしたことをそのまま家族に話したら危ないですよという注意を、細田さんが早目に総理と会って話をして、こういうふうに厳し目にやった方がいいというような言い方に修正させたのかもしれないという、そんなようなことも考えたぐらいですよ。恐らく日朝でやったことがそのまま表に出てきていないわけですね。どういうふうに言ったかはわからないわけですよ。朝鮮語を日本語に解釈する、ハングルを日本語に解釈する、その解釈の仕方でも違うし、非常にこれは微妙な問題で、後で禍根を残す問題だと思いますよ。

 だからはっきりその辺は、平壌宣言と、それから正常化交渉と、拉致問題と、それから人道支援と、幾つかあるわけですよ。これは、しっかり整理したものを出した方がいいと思いますよ。この点についてはこういうふうに話をした、この点についてはこういうふうに話をした、そういうものがはっきり出てこないんですね。次の日、また二十四日の日にちょっと修正されてみたり。その辺で、細田長官、何を話してどうやったのか、はっきり統一的な見解をひとつ出してもらいたいんですね。これはお約束していただけませんか。

 委員長、これは表にして出してもらいたい。一つは、ジェンキンスさんの問題ですね。それからもう一つは、安否不明者の再調査をどうやってやっていくんだ。それから、経済制裁というのは、あくまでもこれは拉致の問題が終わってから、拉致が解決したらやるのか、それとも、拉致が解決しなくても経済制裁は発動しないというのか、そういう問題なのか。それから、食糧支援の人道支援についても、拉致の問題とは全然切り離して、これは人道支援なんだからいつでもやるんだと言っているのか。それから、正常化交渉の進め方も、拉致の問題とは切り離して考えているのか。この辺、はっきりしてくださいよ。我々にはそこがすごくわかりにくいので、ぜひ委員長、理事会で検討して、そういう資料を出してください。

 なかなかこれはわかりにくいと思うんですが、長官、どうですかその辺は。

細田国務大臣 衆参両院の本会議で総理がきちっと申し上げたことが見解でございます。それが全体の関係をあらわしていると思います。

 ただ、私は、重ねて何度かいろいろな場面で申し上げておりますが、いわゆる安否不明の被害者十人の問題については、総理が直談判で強く主張をされて、そして、もう解決済みの問題だといって一顧だにしなかった一年七カ月、いろんな証拠を出し、百五十項目も出してもナシのつぶてで彼らが反応してきたこの問題について、白紙にして再調査を行うと約束したわけでございますから、このことは約束でございます。

 この約束がどのように履行されるかということは、あらゆる問題とリンクさせるかさせないかということを余り我々も縛られることなく、絶えず相手に請求し、しかもそれはお一人お一人の家族が後ろに控えているわけでございますから、それを交渉していき話し合うだけの義務は私ども政府にある、この義務は免れないと思っております。

中山(義)委員 しかし、安否を気遣う家族の方たちは、最悪の結果だと言っているんですよ。最悪の結果だと言っているんです。そういう面から見ると、今長官の言ったことを素直に信じてもらえるんでしょうか。

 三党合意だって、あれのサインをしているわけでしょう。政党間の約束だってそうやってサインしているんだったら、国と国との話で、言ったとか言わないとかという話で後でほごにされたら、これは大変な問題だと思うんですよね。何でそういう担保をとってこなかったんでしょうか。

 やっぱり拉致家族の皆さんからすれば、当然、では期限はいつまで切ったのかとか、いろんな話が出てきますよ。そういう面で、では、この点についてはこういう交渉をすぐ、一カ月たったらやるとか、はっきりしてもらいたいということを言っているんですね。

細田国務大臣 家族会の皆様方が、私が最初に報告したときも、あるいは総理が報告をされ質疑をしたときも、本当に思いを直接ぶつけられて、これではだめじゃないかというおしかりを受けたわけでございます。そのお怒り、憤りというのは、私どもも率直に受けとめ、また、よく理解をしておるわけでございます。だからこそ総理は非常に強く交渉したわけでもあり、そして、重ね重ね申しますけれども、向こうの態度が変わった。

 それから、五人の問題も、国民の皆様方がそれでもよかったなというのは、もう親が迎えに来て、しかも、本人が、わかりました、日本に行きましょうと言わなければ絶対にだめだと言っていたわけでしょう。それがこのたびは、もう親は来なくても、君たちは、五人はもう命令だから日本に行きなさい、理由はないと、そこまで態度が変わっているわけですよ。これは、議会のさまざまな法案とかそういうものと関係していると思うんですよ。

 したがって、私は、そのときに、今後の問題として皆様方に団結しておっしゃっていただきたいことは、わかった、あなたはそういう約束を取りつけてきたんだな、これからもう一手一手詰めていくように相手国とちゃんとやってほしい、そういうことを言っていただき、かつ、政府もそのつもりでやりますから。この問題を全部放置して、いや、もうこれで日朝国交正常化が成りましたとなるわけがないんですよ。

 ただ、直接リンクさせなくても、この問題は国民的課題でありますから、一人一人の問題について、しかも何人もおられますから、しっかりと交渉をしていかなきゃならない。それに、もちろん曽我さんの問題も重要でございます、そして核も拉致もあるわけですから、その点の誤解はないように、かつ、むしろ前向きに、皆さんも我々に強くおっしゃっていただきたいと思います。

中山(義)委員 そこで、カードは何なのかというと、やはり経済制裁なんですよ。彼らが一番怖がっているのは経済制裁なんです。この経済制裁のカードを捨てちゃったら、えらいことだと思うんですよ。今言ったように、担保がない、本当にやるのかどうかわからない。これは、我々が握っているのは経済制裁しかないんじゃないですか、実は。このカードを捨てたら、今回の交渉は絶対失敗ですよ。はっきり言って、我々党としては、経済制裁を、このカードを切らないと言った総理は大変大きな問題があるし、この責任はとってもらいたいと思うんですよ。

 我々だって、日米安保も、我々がどうしても、イラクに行くのに協力するとかこういうのは、日米安保条約の中で、北朝鮮がひょっとしたらミサイルに核弾頭を載っけて撃ってくる、こういう可能性があるから、そのときは守ってもらいたい、こういう思惑が日本にあるわけですよ。だから、彼らは、核というのはある意味ではカードなんだよね。そのくらい、やはりそれぞれの国が、おれたちはこういうものを持っているんだぞというおどし、ああいう国はそういうおどしで日本に圧力をかけてきたわけですよ。日本が、今言ったすべての、これもしなきゃいけない、あれもしてもらうというのであれば、このカードをしっかり持っていなきゃだめだと思うんですね。

 私は、外為法の改正も、今回の特定船舶入港禁止法案も、これは絶対にカードとしてつくらなければ、今言ったように、約束はした、彼らの言質をとった、言質をとったってやりませんよ。日本に何がカードがあるんですか、そんな全部切っちゃったら。だからこそ経済制裁というのは一番大きなカードなんです。

 この点について、はっきり明言してくださいよ。カードを切らないなんということを言ったら、これは大変なことですよ。今後も総理は、その責任は大変大きいですよ。こんなこと、もし総理が言ったことを我々が認めたら、国会の恥ですよ、立法府の。これ、長官、どういうふうに答えますか。

細田国務大臣 この点については、昨日、小泉総理が答弁しておりますね。これをもう一度ちょっと申します。

 非常に内容、含蓄のある言葉がありまして、「日朝平壌宣言は、日朝双方が日朝間に存在する諸問題に誠意を持って取り組むとしています。 政府として、北朝鮮に対し、拉致問題の解決に向けた前向きかつ誠意ある対応を促していくため、その時々に最善の方策をとっていく考えですが、いずれにせよ、日朝平壌宣言の精神に従った取り組みがなされようとしている現時点において、拉致問題を理由として北朝鮮に対しいわゆる経済制裁を発動する考えはありません。」という言い方をしておられるわけでございます。

 したがいまして、いろいろな前提がありますね、前提が崩れるのか、前提がそのままどんどん順調に進むのか、これによって判断するという含意はあると思っております。

中山(義)委員 いや、この平壌宣言には、拉致の問題をしっかりそこに書いていないんですよ。だから、拉致がないがしろにされる可能性があるということを我々指摘しているので、本来は、日本の国家は拉致という国家の犯罪を絶対認めない、これを解決しない限りは前へ進まないと言うはずだったんですよ。今回、何か知らないけれども二元外交でどんどん話が進んじゃって、選挙前に拙速にこんなことをやって、経済制裁はしないとか、平壌宣言に基づいてあれば食糧支援から何でもやるようなことを言っちゃったのなら、大変な問題です。

 それと、私たちは拉致の問題ということを再三言っているし、拉致家族の人たちは、平壌宣言には拉致の問題が深く刻まれていない、ちゃんと書いていない、こういうふうに言っているんですよ、みんな。だから、拉致の問題を解決しなくても、平壌宣言さえ守れば国交正常化を進める、経済制裁はしない、人道支援もする、これじゃ向こうに全部持っていかれちゃって、こっちは何ももらっていないじゃないですか。

 交渉そのものは大体、普通は五分と五分。しかし、向こうは犯罪を犯しているんだから、向こうに非があるわけですよ。それなのにこんなことをやって、経済制裁をしないというようなことを、平壌宣言が守られればという前提がついたとしても、拉致の問題を捨てたのと一緒ですよ、これ。大変な問題ですよ。私たちは、これはある意味じゃ国家に対する背信行為だと思いますよ。これはとんでもない問題だと思いますよ。

 これ、官房長官、ちょっと答えてください。

細田国務大臣 拉致の問題については、これから白紙の立場に立って徹底的に調査をするんだということを向こうは首脳会談で約束しているわけです。この約束は約束でございますので、このことは今後とも徹底的に向こうに伝え、また具体的な要求を積み重ねていかなければならないと思っております。また、そのことが行われないような交渉になるはずがないと思っております。

中山(義)委員 いや、なるはずがないって、今までそう思って取り組んできた国家ですが、そうなっちゃうこともあるわけですね。今までだってやはり、この拉致家族だって、何回だまされたの、あなたにはプライドがあるのか、こういうような増元さんの意見なんかもあったわけですよ。

 私たちは、やはりこの国家とおつき合いするためには何かのカードがなきゃだめだと、それは経済制裁だと言っているんですよ。だから、自公の皆さんと我々も修正論議をして、そして今度の特定船舶というものを今やろうとしているんでしょう。そういうカードがなきゃ守らない相手だということを我々は主張しているんですよ。本当にこういうことを一つ一つ解決していかないと大変大きな問題があると思うんです。

 ですから、ジェンキンスさんの問題も、怖いのは、向こうは三人がかりでお母さんを口説いて、私、お母さんを連れていかないと国へ帰ったらえらい目に遭っちゃうんだ、私たちはちょうどどこかの収容所へ入れられるようなことになるかもしれないなんて、これはあくまでも仮定法ですから、私が推測したことですが、そんな議論をされて、またそんな説得をされてやられたらどうなるかという不安は常にあるわけです、我々に。

 本当に、ジェンキンスさん初めあと二人の娘さんが帰ってこれるかどうか、僕は非常に疑問だと思うんですね、そういう面では。だから、本来は命令で、命令して、日本へ行きなさい、これしかないわけですね、はっきり言って。

 ただ、拙速にやっていますからね、日米のどういう、アイ・ギャランティーとか言ったそうですが、そういうのを書いたりして相手に見せたとは言っていますが、果たしてこれはアメリカとの話し合いだってしっかり済んでいないし、とにかく拙速だと思うんですよね。

 経済制裁をしないと言ったことは、全くこれは大きな大罪ですよ、ある意味では。では、あれですかね、経済制裁をしなければ、子供、あとジェンキンスさんも帰すよとか、安否の方やるよとかと、山崎さん、確認をするわけですが、経済制裁しなければもっといい条件出すよとか何か、その会談中にあったんですか。その辺、ちょっと確かめたいんです。

山崎内閣官房副長官 そんなことは全くありませんでした。

中山(義)委員 ないのに、こっちからそのカードを捨てちゃうようなこと、何でこんなばかなことをしたんですか、これ。総理として大変な問題ですよ。本来だったら退陣してもらいたいくらいですよ。いや、大変な問題だと思いますよ。(発言する者あり)いや、カードは、本人が経済制裁しないと言っているんですから。(発言する者あり)前提があるけれども、それは、平壌宣言には拉致問題は入っていない、そうはっきり言っているじゃないですか。何擁護しているんですか。日本人だったら、この際、やはり日本人として怒りを持たなきゃだめですよ。相手は犯罪国家なんですから。その犯罪国家になめられていいんですか。日本はそんな国家じゃない。尊厳のある国家ですよ。(発言する者あり)あなたになんか質問していない。

 そういうことで、答弁をもう一回お願いしたい。

 本当に、この経済制裁というのをしないとしたら大変なことですよということを再三言っているので、経済制裁はあるんだと言ってくださいよ。もしないとしたら大変ですよ、これ。あると言ってください。

細田国務大臣 日朝平壌宣言を遵守している限りにおいて、その精神にかんがみ、日本側としてはいわゆる制裁法を発動する考えはないと伝達しましたが、これはあくまでも、北朝鮮側が、互いの安全を脅かす行為をとらない、国際法を遵守する等、日朝平壌宣言に従うことを前提に、我が方として現時点でいわゆる経済制裁を発動する考えはないことを表明したものであります。

 北朝鮮が平壌宣言に反し事態を悪化させる措置をとるような状況が仮に出てくれば、制裁措置も含め、政府として適切な対応ぶりについて改めて検討していくことになる、これが基本的な立場であります。

中山(義)委員 だから、さっきから言っているように、平壌宣言に拉致という問題が入っているんですかと聞いているんです。それがもし欠けているとしたら、拉致のラの字も書いていないんでしょう、それがもしそのまま、平壌宣言を守っているという前提であれば、経済制裁の発動はしないと。

 核の問題でも、実はリビアに過去にプルトニウムを売っているとか、最近になっていろいろな記事が出てきているんです。安倍幹事長でさえ疑わしいような発言をしているんですよ。おたくの党だってそういう発言をしているんだから、やはり、経済制裁をしないというような言い方じゃなくて、経済制裁はあり得る。それはもう、条件が平壌宣言を履行しているか履行していないかじゃないですよ、いつでも経済制裁は彼らにはあり得るんですよ。そうしなきゃ、だって、拉致の問題は彼らの国家の犯罪なんですよ。だから、ここは認識してもらわないと、大変大きな問題ですよ。はっきり僕は言ってもらいたい。

 何回も言うようですけれども、細田さんの見解または幹事長の見解なんか聞いていても、経済制裁はするから立法府でも今度出したわけですね、特定船舶の法律案を。だから、これは出したことと発動するかしないかは別だなんて総理は言っているけれども、どうしてもそこで後退するんですよ。

 だから、私はさっき山崎さんにも聞いたんだけれども、経済制裁をしないと言うと、何か見返りがあってそこで何か約束したんじゃないだろうな、こういう発言を私はしたわけでございまして、再度、経済制裁の発動はしないなんということは言っていないということを言ってくださいよ。

細田国務大臣 まず、船舶法が今からかかろうとしておりますけれども、これは国会の問題でありまして、国会の御意思に従う。政府は法律が通れば公布、施行する。ただ、その中で、発動するかどうかというのは政府の問題でありますね。そういう基本的な立場であることをまずもって申し上げたいと思います。

 それから、拉致の問題については、当然、両方で約束して、誠意を持って対応するということを首脳間で約束した重要な問題でありますから、これは、向こう側がどのように対応するかということは非常に重大な問題であるということでございます。

 ただ、国交正常化交渉との間では、総理が両院本会議で言っておりますけれども、この拉致の問題は安否未確認も含めて当然両政府で合意しておりますので、このことをもって正常化交渉を一切やらないとかそういうことは言っていない。しかし、先ほど申しましたように、核、ミサイルその他も含めまして全体的にこれは大きな影響があるというように、表現上は分かれておりますが、私は、実際の方針において、今委員の言っておられることと私どもが考えていることは余り大きな差異はないと御理解いただきたいと思います。

中山(義)委員 本当に話し合いの状況を実況放送のように山崎さんから聞けば中のことは一番わかるんですが、それはまあ、国家的なもの、いろいろな秘密事項もあるかもしれません。しかしながら、あくまでも口頭で約束したことですね、話し合いで約束したことです。だから、それには担保が必要なんですよ。担保と、それを守らないと北朝鮮もえらいことになるよというものが必要なんです。それが経済制裁なんですよ。今後の約束が守られるかどうか、このカードを破棄したということが私たちは大変心配なんです。

 そういう面で、参議院の選挙前に拙速に決めた、そんなあれで外交を内政に利用するようなことはけしからぬ、こう申し上げて、私からの質問を終わります。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小野国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 道路交通法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小野国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢にかんがみ、放置違反金制度の新設、放置車両の確認等の民間委託その他の違法駐車対策の推進を図るための規定の整備を行うとともに、運転者対策の推進を図るための規定を整備すること等をその内容としております。

 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、違法駐車対策の推進を図るための規定の整備であります。

 その一は、駐車に係る車両の使用者の義務を強化するものであります。

 その二は、違法駐車行為をした者が当該違法駐車行為について反則金の納付をした場合等を除き、都道府県公安委員会が放置車両の使用者に対し放置違反金の納付を命ずることができることとするものであります。

 その三は、放置違反金を納付しない者及び繰り返して放置違反金の納付を命ぜられた者に対する措置に関する規定の整備であります。

 その四は、警察署長が放置車両の確認及び標章の取りつけに関する事務の全部または一部を公安委員会の登録を受けた法人に委託することができることとするものであります。

 その五は、警察署長が移動保管した放置車両の返還に関する規定等の整備であります。

 第二は、運転者対策の推進を図るための規定の整備であります。

 その一は、自動車の種類として、新たに中型自動車を設けるものであります。

 その二は、運転免許の種類として、新たに、中型自動車免許、中型自動車第二種免許及び中型自動車仮免許を設けるものであります。

 その三は、運転免許の欠格事由及び運転免許試験に関する規定の整備であります。

 第三は、暴走族対策の推進を図るための規定の整備であります。

 その一は、共同危険行為等の禁止の規定の整備であります。

 その二は、騒音運転等及び消音器不備に対する罰則規定の整備であります。

 第四は、大型自動二輪車等の運転者の義務に関する規定の整備であります。

 その一は、二十歳に満たない者または大型自動二輪車免許もしくは普通自動二輪車免許を受けていた期間が通算して三年に満たない者は、高速自動車国道等において運転者以外の者を乗車させて大型自動二輪車または普通自動二輪車を運転してはならないこととするものであります。

 その二は、警察官が大型自動二輪車等乗車方法違反をしていると認めた場合における危険防止の措置に関する規定の整備であります。

 第五は、その他の規定の整備であります。

 その一は、自動車等を運転する場合における携帯電話用装置等の使用等に対する罰則規定の整備であります。

 その二は、飲酒検知拒否に対する罰則を引き上げることとするものであります。

 その三は、交通安全対策特別交付金に係る国への返還及び国の報告徴収の規定の廃止であります。

 なお、この法律の施行日は、交通安全対策特別交付金に係る国への返還及び国の報告徴収の規定の廃止については公布の日、警察署長が移動保管した放置車両の返還に関する規定、暴走族対策の推進を図るための規定等については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日、大型自動二輪車等の運転者の義務に関する規定については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日、違法駐車対策の推進を図るための規定については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日、運転者対策の推進を図るための規定については公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十分散会


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