衆議院

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第19号 平成16年6月9日(水曜日)

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平成十六年六月九日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      倉田 雅年君    橘 康太郎君

      西川 公也君    西村 康稔君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      平田 耕一君    平沼 赳夫君

      宮腰 光寛君    石毛えい子君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    島田  久君

      原口 一博君    前田 雄吉君

      山内おさむ君    横路 孝弘君

      太田 昭宏君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  永谷 安賢君

   政府参考人

   (警察庁長官)      佐藤 英彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    人見 信男君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   藤井 昭夫君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           峰久 幸義君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     倉田 雅年君

  村上誠一郎君     橘 康太郎君

  石毛えい子君     前田 雄吉君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     河井 克行君

  橘 康太郎君     村上誠一郎君

  前田 雄吉君     石毛えい子君

    ―――――――――――――

六月七日

 憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二九六三号)

 憲法の改悪反対に関する請願(山本喜代宏君紹介)(第三一一〇号)

同月八日

 ILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立に関する請願(荒井聰君紹介)(第三一五四号)

 同(伊藤忠治君紹介)(第三一五五号)

 同(梶原康弘君紹介)(第三一五六号)

 同(河村建夫君紹介)(第三一五七号)

 同(園田康博君紹介)(第三一五八号)

 同(東門美津子君紹介)(第三一五九号)

 同(永田寿康君紹介)(第三一六〇号)

 同(原口一博君紹介)(第三一六一号)

 同(松野信夫君紹介)(第三一六二号)

 同(石井一君紹介)(第三二二一号)

 同(北橋健治君紹介)(第三二二二号)

 同(前原誠司君紹介)(第三二二三号)

 同(笠浩史君紹介)(第三二二四号)

 憲法の改悪反対に関する請願(東門美津子君紹介)(第三一六三号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第三一六四号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第三二二〇号)

同月九日

 憲法の改悪反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第三二七五号)

 同(土井たか子君紹介)(第三二七六号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第三二七七号)

 同(横光克彦君紹介)(第三二七八号)

 日本国憲法の改正反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第三二七九号)

 ILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立に関する請願(阿部知子君紹介)(第三二八〇号)

 同(五島正規君紹介)(第三二八一号)

 同(中村哲治君紹介)(第三二八二号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第三二八三号)

 同(前田雄吉君紹介)(第三二八四号)

 同(山岡賢次君紹介)(第三二八五号)

 同(横光克彦君紹介)(第三二八六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官佐藤英彦君、警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁長官官房総括審議官安藤隆春君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁交通局長人見信男君、警察庁警備局長瀬川勝久君、内閣府国民生活局長永谷安賢君、総務省政策統括官藤井昭夫君、法務省矯正局長横田尤孝君、国土交通省道路局長佐藤信秋君及び国土交通省自動車交通局長峰久幸義君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河本三郎君。

河本委員 小野大臣初め警察の皆さん、長い間警察行政について御苦労をいただいたわけでありますけれども、きょうは事実上の最後の内閣委員会になります。

 大臣には最後に御答弁をいただきますけれども、この内閣委員会は大臣が五人もおる委員会で、その入り口で、警察の不祥事、不正経理の問題で随分手間取りました。ほかの委員会もこのことによって随分ふぐあいを生じたと思いますが、そのことは最後に大臣に御答弁いただきたいと思いますので、丁寧にきちっと御答弁をいただけるように心の準備をしておいていただきたいと思います。

 警察法の改正がございまして、外事情報部というのが新しく設置されて二カ月がたったわけでありますけれども、二カ月の間のその評価について御答弁をいただきたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 これは、九・一一のアメリカの同時多発テロ以降、世界的な国際テロ情勢の脅威の高まり、我が国を取り巻く厳しい国際テロ情勢を踏まえまして、先般の警察法改正により外事情報部を設置させていただいたわけでございます。その設置後も、例えばイラクにおける邦人の人質事件でありますとか、アルカイダ関係者が国内に潜伏をしていたというような事案が発覚をするなど、一層、我が国を取り巻く国際テロ情勢は非常に厳しいものがあるというふうに考えております。

 国際テロ対策のためには、水際対策でありますとか、国内におけるテロリストの発見でありますとか、それから警戒警備の徹底ということが重要でありますが、なかんずく、海外におけるこの種国際テロ情報の収集というのは極めて重要であるというふうに考えているところでございます。

 まさにその目的のために外事情報部が先般の警察法改正により設置をされたところでございますが、設置以降、その目的としたとおり、部長がみずから先頭に立ちまして、外国の治安情報機関との間でハイレベルかつ緊密な関係の構築に努め、質の高い情報の入手に努めているところでございます。二カ月でございますが、既に、回数にして三回以上、期間にいたしましても一カ月以上、半分以上外国出張し、各機関との関係構築に努めているという状況でございまして、それぞれの諸外国の情報関係あるいは治安関係の機関からも、日本警察がこのような組織を設けたということ自体につきまして非常に高い評価を受けているところでございます。

 今後とも、密度の濃い情報交換を推進いたしまして、国際テロ対策に万全を期してまいりたいと考えております。

河本委員 瀬川局長、それで、外事情報部を設けたことによって、今御答弁の中にあったかどうか、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、アルカイダの一味が日本に潜伏をしておったというようなこともありまして、そういう外事情報部が設けられたにもかかわらず、アルカイダの一味が日本にずっとおったということなどは、どうなんですか、それは。外事情報部の役割が随分注目をされるというか、これからそういうことになっていくと思うんですけれども、外事情報部ができたことによって水際できちっと食いとめられるのかどうか、その辺をもうちょっと掘り下げて御答弁ください。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのアルカイダ関係者の日本での潜伏でございますが、これはまだ今捜査中でございますが、恐らく数年前から日本にいたというふうに現在見ておりまして、まさに先ほど申し上げましたとおり、我が国を取り巻く国際テロ情勢が非常に厳しいものがある。オサマ・ビンラディンも我が国をテロの対象国として名指ししているということで、我が国も決してこういった国際テロリストと無縁ではないという認識のもとに、今回、外事情報部を設置したということでございます。

 こういった事象に対しまして、先ほども申し上げましたとおり、やはり海外の治安機関との情報交換が非常に重要だ。今回の対象につきましても、これはアルカイダ関係者だということでICPOを通じて国際手配を既にされていたものでございまして、これに基づいて、ドイツで昨年十二月に逮捕されたというものでございます。

 こういった者の国内潜入につきましては、実はこれは、偽名の旅券を使って我が国に入国をしていたという事実関係が明らかになっておりまして、偽造旅券対策、水際対策ということが、先ほど来申し上げております情報収集の関係と同時に極めて重要なものであろうというふうに考えておりまして、政府におきましても、こういった水際対策についての見直し、検討ということを、鋭意、現在進めているところでございます。

河本委員 ありがとうございました。

 次に、道路交通法の改正も、これは参議院先議でやって、先日成立したわけでありますけれども、この道路交通法の改正に関連して、駐車違反のあり方について、僕は警察の取り締まりに対してかなり不満を持っておる一人であります。

 捕まるのは運が悪いんですよ、運が悪い。駐車違反を取り締まる地域をやはりきちっと絞り出して交通事故防止につなげていくということが本当の姿だと僕は思います。そんな中で、どうでもいいようなところにとめている車をあえてねらい撃ちにして、そしてそれを摘発するというのは、僕はどうも間尺に合わぬと思います。

 先日、赤坂の住人からこんな話を聞きました。大通りの二車線目にタクシーがずっと縦列駐車をしておる。あれは皆さん御存じですか。どういうことか、なぜああいうタクシーを取り締まらないのか、そういうことをちょっと教えてほしいと思います。

人見政府参考人 お答えいたします。

 現在、駐車違反の取り締まり、いわゆる不運にも取り締まりに遭ったとかあるいは逃げ得であるということのために、今回、使用者責任の拡充あるいは民間委託の拡大ということで改正をお願いして、成立させていただいたところであります。

 私ども、公平公正な取り締まりをしていくためには、一つは、先ほどのような法改正とともに、駐車規制を見直していく。今の駐車規制が果たして合理的なのかどうか、法の施行までにそういった見直しをしっかりとやるつもりでおります。それとともに、私どもだけの力ではできませんが、駐車場の拡大、駐車場枠の拡大と申しますか、そういった、合理的な規制と、駐車できるスペースがあるということ、それと相まっての駐車マナーの向上、こういうことが大事だろうと思います。

 また、先生御指摘の赤坂の二重駐車でございますけれども、これは本当に、そうであればけしからぬことでありますし、我が方の取り締まり力の、執行力と申しますか、それがまだ不足しているんだなと。ただ、国土交通省の方とも連携して、なるべくそういったものについては取り締まりをしておりますが、またいろいろと御指摘を賜ればと思います。

河本委員 人見さん、今晩にでもいいから、ちょっと赤坂へ出てその実態をきちっと把握して、あれもう大事故につながりますよ。(発言する者あり)銀座もそうなのかな、六本木もそうなんでしょう。ですから、そういう盛り場をやはり重点的に取り締まるべきだと思いますし、本当に、絶対事故が起きないとは言いませんけれども、ふだんとめても何でもないようなところをやるというのは少し行き過ぎだと僕は思います。

 速度取り締まりについても、同じような性格のものがあると思いますので、そういうこともぜひ御検討していただきたい。下り坂をねらってネズミ取りをやるというのは、こそくとしか言いようがないと僕は思います。僕も捕まった経験者でありますので、ああいうやり方は事故につながるということも考えられますので、よくその辺も見直していただきたいと思います。

 では、きょうは国土交通省も来ていただいていますが、リコール問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 三菱自動車のリコール隠しということが連日報道されております。夕べの読売の夕刊にも、新たにまたそういう事象が、事件が出てきたということで、リコール制度を強化するという国土交通省の見解が載っておりましたけれども、そのことについて、どういうことを中心に制度を強化するのか、お願いします。

峰久政府参考人 三菱製自動車につきましては、業務上過失致死の疑いで起訴され、あるいは我々も虚偽報告で告発しました大型車のハブに加えまして、そのときに我々国土交通省からもリコール業務の改善に関しまして警告を発しておりまして、それを受けまして社内において過去にさかのぼっていろいろ精査してきているところ、平成十二年のリコール隠しがあったわけでございますが、それ以前のものも含めて、リコール届け出を行わずに回収されていた案件が多数あるということが今判明してきております。

 こういう基本的な問題は、基本的には、安全対策を最優先すべき自動車メーカーが平成十二年に引き続き再度不正行為を行ったという悪質な行為で、極めて遺憾なものであります。

 国土交通省におきましても、その時点で制度の体制の中でできる限りの対応をしておりますが、制度の改善につきましては、平成十二年のリコール隠しを踏まえまして道路運送車両法の改正をしまして、その際には、懲役刑をつくったり、あるいは罰金額の引き上げ、あるいはリコールの命令制度の創設等のリコール制度の改正を行いました。今回のハブ等については、これ以前の問題でありまして、平成十五年の一月から新しい法改正が適用になるわけでございますが、これの適用にはなっておりません。

 こういうふうな十二年の制度改正を踏まえまして、さらに今回の事案を踏まえまして、その運用強化を図るということで、昨日発表させていただきましたけれども、自動車メーカーに、安全上重要な情報については四半期ごとに報告を義務づけるということ、あるいは、外部の専門家の協力も得ながら、重要案件については現車の確認あるいは試験を実施するなどの技術的検証体制をみずからやれるように強化するということ、あるいは問題があるメーカーにつきましては集中的な監査を実施する、あるいは我々のリコール業務体制を強化する、こういうことの再発防止対策を決めたところでございます。

 国土交通省におきましては、こういう再発防止対策を適切に実施しまして、同種事案の再発防止に万全を期したいと思っております。

河本委員 局長、御答弁はもう結構ですから。

 人を殺しているんですよ、人を。メンテナンス不良だ、こういうことを言われて、メーカーの言うておることをうのみにしておったということが一つ大きな原因だと僕は思うので、やはり事故を、警察と一緒に、原因は何であったか、タイヤが外れていくという事故はぶつかった後の話ではないのでありますので、ぜひそういうこともよく注意してこれからモニターをしていっていただきたいと思います。

 佐藤さん、もう質問時間がなくなってしまった。ごめんね。

 大臣、不正経理の問題で内閣委員会がすったもんだしました。この問題について、改めて大臣のその取り組みについての決意。公安委員長としてきちっと警察を指導していく、そういう立場を忘れずに御答弁をいただきたいと思います。

小野国務大臣 先生からお話ございましたように、内閣委員会の冒頭に警察の不正事案が多々起こりましたことを、まことに遺憾に存じているところでございます。

 また、北海道警察、静岡県警察それから福岡県警察におきまして警察の予算の不適正な執行が判明いたしましたことも、あわせて遺憾に存じておりますし、これら関係道県警察におきましては、それぞれの公安委員会の指示を受けまして、引き続き事案の全容解明に調査を進めているものと承知をいたしております。

 これまで、十部局十七所属におきまして、三月二十四日に警察庁が会計文書の保存継続の指示連絡をいたしました後に当該会計文書が亡失をし、廃棄されていたことが既に判明したところでございますが、新たに、警察庁が指示連絡する以前に、四十五部局三百十二所属において既に会計文書が亡失し、廃棄されていたことが判明していたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。

 警察活動は国民の信頼と協力がなければ成り立っていくものではないということに考えを及ぼしましたときに、予算執行が適正に行われますとともに、会計文書が適正に管理されなければならないということは言うまでもございません。

 国家公安委員会といたしましては、予算執行をめぐる個別の不適正事案につきましては、警察庁に対しまして、関係道県警察と連携をいたしまして事案の解明を進めますとともに、予算執行の一層の適正化を進めるように指示をいたしているところであり、事案の全容の解明が明らかになった段階で、返還すべき額を早期に確定し返還するとともに、責任の所在を明確にいたしまして厳正に対処するなど国民の信頼を回復してまいりたい、そのように考えております。

 会計文書の亡失・廃棄事案につきましては、警察庁に対しまして、既に警察庁の全所属を含む全国警察に通達をいたしました再発防止施策を徹底し、今後さらに会計文書の適正な管理あるいは保管に努めるよう指導、督励してまいる所存でございます。

河本委員 終わります。

山本委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 今、学校も通学路も地域も大変犯罪というものに脅かされている。そういう点で、治安の回復というのが喫緊の課題である。私ども、マニフェストにおいても、あるいは基本方針二〇〇四においても、治安の回復ということを強く要求しておるところでございます。

 そういう中にあって、やはり治安の回復の主軸が警察でありますから、警察がもっとしっかりやってもらいたい、これは国民の願いでありまして、ぜひとも、この審議を通して、反省するところは反省して、警察の改革に邁進していただきたい、まずそのことを要望しておきたいと思います。

 今大臣からも御答弁ありましたが、今回の会計文書の亡失・廃棄の問題、非常にゆゆしき問題でございます。

 警察庁から、ことしの三月二十四日、平成十年度会計文書の保存継続を求める指示連絡を行ったわけでありますが、その指示連絡以前に、保存期間がまだ満了していないにもかかわらず、四十五部局三百十二所属、これは五月末現時点ですが、この会計文書の亡失・廃棄があった。そして、この連絡指示した後、三月二十四日の後、十部局十七所属でこういうことがあった。私は、これはとんでもないことである、こう思っております。証拠隠滅である、不祥事隠しである、いろいろこういう批判を受けても仕方がないんじゃないか、こう考えておるわけであります。

 そこで、この会計文書の亡失・廃棄による実害ですね、三月二十四日以前と三月二十四日以後で分けて、どういう実害があるのかということをまず官房長に答弁していただきたいと思います。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 三月二十四日以降は十部局十七所属、以前は、五月三十一日現在でありますが、四十五部局三百十二の所属で会計文書の廃棄等の事案の発生が確認をされておるわけであります。

 それで、例えば国費の旅費関係で申し上げますと、国費の旅行命令簿が亡失をいたしましても、旅費請求書が別途あれば、用務名を除きまして、出張の事実の確認はできるわけであります。多くの都道府県警察では、旅費請求書の備考欄に用務名もかつ記載をしておるということでありますから、その場合は、たとえ旅行命令簿がなくなっても旅費請求書が残っておればその内容は補完できるし、監査、調査はできるということは言えます。

 また、捜査費につきましては、現金出納簿を亡失等いたしましても、代替文書としての証拠書類がありますともちろん個別の証拠書類から交付金額を抽出することはできますので、現金出納簿を補完することは可能でございます。

 そこで、両方なくしてしまうということになりますと、これはなかなか、監査、検査時に実害が生じるということになります。このような部局は、数にいたしまして、旅費につきまして指示以前で十三部局四十二所属、指示以降で一部局一所属の旅費が支払い事実の証明が困難になっております。捜査費につきましては、指示以前が十一部局二十一所属、指示以降が一部局二所属の合わせて十二部局二十三所属について支払い事実の証明が困難になっておるところでございます。

大口委員 その中で特に、三月二十四日の後、代替文書もない、こういうところは具体的にはどこですか。

吉村政府参考人 十部局十七所属の中で代替物がないものは、兵庫県警察の相生警察署の一部局一所属、これは旅行命令簿と旅費請求書、両方なくしております。それから、捜査費証拠書類と捜査費現金出納簿の両方をなくしましたのが、指示以降では、御承知のとおり、九州管区警察局の広域調整一課と二課でございます。

大口委員 これは本当に大変な問題であります。代替文書がないわけでありますから、調べようがないわけですね。これについてはどういう対応をしようと思っていますか。

吉村政府参考人 どのように検査、調査に対応するかということについて、これというものは、方策はございません。前後の、その月なり、年の分なり、いろいろな推移を見るなり、全体的に適正にやられていたことの証明をしていかざるを得ないと思いますが、文書がないのは事実でございます。

大口委員 これについては非常に重要な問題であるということを私は指摘しておきたいと思います。

 それで、こういうようなことは、平成十一年の行政機関の保有する情報の公開に関する法律あるいは施行令、そして平成十二年のガイドラインに規定されておるあるべき文書の管理という観点からしますと、非常に問題があると思うんですが、これにつきまして、総務省、どういうふうに見ておるんですか。

藤井政府参考人 文書管理の問題は、今御議論があったように、本来、各省の事務事業そのものの適正、効率的な執行という観点でなされるべきものと思います。

 ただ、情報公開法の観点からも、例えば対象文書の検索が難しくなったり、あるいは本来あるべき文書が不存在ということになると問題であるということで、御指摘のように、政令基準とか行政文書の作成についてのガイドライン、そういったものをつくって各省に適正な文書管理をお願いしているところでございます。

 今回のケース自体はもう警察庁で詳細をお調べになって改善方策を講じられているということでございますが、あくまで情報公開法を推進する一般的な立場の総務省ということから申し上げますと、ガイドラインの中にも、行政文書の保存については、例えば会計文書については五年、あるいは廃棄に当たっては文書管理者はチェックできるようにしておいてくださいとか、それから、保存の方法でも、職員が個人で勝手に管理するということではなくて、やはり組織として管理するというようなことでやっていただきたいというようなことをお願いしておりまして、それに沿って、行政文書の管理に関する定めというのは各省において既に整備されているところでございます。

 問題は、そういう定めをつくったから終わりということではなくて、やはり現場の職員に対する周知徹底、これが、職員の方々もお忙しい中で文書管理を進めるということでなかなか徹底しにくいというところがございますので、引き続き総務省としても、こういう周知徹底方策については極めて重要な課題だというふうに認識しているということでございます。

大口委員 そこで、国家公安委員長、今回、こういう会計文書の亡失・廃棄があったわけでございますが、この再発防止について、今総務省から話がありました。そういうことも踏まえて、簡潔に答弁をお願いいたします。

小野国務大臣 警察庁におきましては、国家公安委員会の指示を受けまして、これまでの会計文書の亡失・廃棄事案のそれぞれの原因をまず分析するということ、それから、徹底した再発防止策を取りまとめて、全国警察に対して通達を発出したものと承知をいたしております。

 具体的には、会計文書について、専用のキャビネット等、こういうものを設けまして他の文書と区別をするということ、それから廃棄可能時期を明確にそこに示すということ、いついつという廃棄すべき時期を明確に示すということ、だれが見ても間違いを起こさないようにするということ。それから、会計文書の廃棄に当たっては、所属長の決裁を受けるとともに、廃棄時に所属長が指定する立会人を設けるということ。それから、会計文書の管理状況については、所属長による定期検査、いわゆる点検を行いまして、その管理に関する指導をしっかり行うということ。

 こういったものから、国家公安委員会といたしましても、これらの施策が全国警察において徹底されるということ、この種の事案の再発防止が図られるように警察庁を督励してまいりたい、そのように考えているところでございます。

大口委員 この委員会でも何回も警察の不祥事については質問させていただきましたが、その委員会のときに、私も、公安委員会のあり方につきまして、大臣も大変お忙しいとは思いますが、やはり各都道府県の公安委員と時間をつくって意見交換をしていただきたい、電話でもいいから、こういうお話をさせていただきました。その後、大臣としての取り組みを、また内容をお願いいたします。

小野国務大臣 四月十四日だったと思います、委員から御指摘をいただきまして、それを踏まえまして、翌日の国家公安委員会にそれをかけましてお諮りをして、北海道それから福岡県あるいは静岡県の公安委員会の委員長と直接お話をさせていただきました。

 それらの連絡の場におきましては、私から国家公安委員会における議論や取り組みにつきましてお話をし、関係道県公安委員会からは、委員長等のお考えや具体的な取り組みについてお話を交わしたところでございます。

 その結果につきましては、警察に対する信頼を確保するためには、会計経理の問題については厳正にかつ的確に対処していくと同時に、警察が本来の活動に邁進できるように、厳しい治安情勢を好転させていくことが不可欠であるということ、そのためにも、国家公安委員会が、国民、県民の目線に立ちまして、その理解を得られるよう警察を管理していくということ、これが何よりも強く求められているというところの認識を一にいたしましたので、今後ともそういう気持ちを大事にしながら取り組んでまいりたいと考えております。

大口委員 最近、七日ですかね、全国市民オンブズマン連絡会議ですか、ここが、捜査用の報償費の支出のチェックということで、偽名の領収書の情報公開請求をしております。これにつきましてどう警察は取り組んでいくのか。各都道府県のことだと思いますが、御答弁をお願いします。

吉村政府参考人 都道府県警察に対しまして、捜査費を受領した者以外の氏名または住所が記載をされている領収書等の、いわゆる偽名領収書に係る開示請求が最近なされたということは承知をしております。今委員がおっしゃったように、情報公開請求に対しましては、これは各都道府県の情報公開条例の判断の問題でございますので、各都道府県警察において適切に対応するものと考えております。

 ちなみに、愛知県警察でも開示請求がなされているわけでありますが、これは一斉のタイミングより少し前になされたと承知をしておりますけれども、愛知県警察では、いわば本人以外の名義による領収書と本人名義の領収書を明示的に分けて編綴をすることはもちろんしていないわけでありますので、特別な調査が必要になるわけでありますが、こうした特別な調査を行ってまで行政文書を特定するということを条例は予定していないということで、愛知県警察では、現在の請求内容では文書が特定できないということで、補正を求めている段階にある、これは参考に申し上げればそのような状況でございます。

大口委員 最後に、今、北海道も、北海道警で、予算執行委員会で全道調査が行われているわけですね。そして、そういう中で、弟子屈署の調査結果についてもいろいろ出ております。

 私的流用があったのかどうか、不適切なものがあったのかどうか、またその返還額、根拠、対象者、返還方法、職員の処分、国費の対象の有無、こういうことが一つ問題になると思うんですね。そういうこととともに、北海道の監査事務局において特別監査が実施される、こう聞いておるのですが、道警の調査と食い違いの結果が出た場合、道警は再調査するか。この二点について、弟子屈署の二人の元署長と斎藤次長の証言が食い違っておりますので、その点についてお伺いしたいと思います。

吉村政府参考人 最初に、北海道の監査委員事務局による特別監査がなされていることについて、道警の調査と食い違った結果が出た場合にというお尋ねかと思いますけれども、道警が行う特別調査、あるいは道の監査委員が行う特別監査、これはともに、調査対象部署に保管をしております会計の関係書類の調査あるいは監査でございますから、また当該調査年度に在籍をした関係職員からの事情聴取ということでございますので、大きく調査と監査が食い違うことはないのではないかと考えておりますけれども、実際にもし食い違ったというような場合には、その時点で適切に判断していく必要があろうかと思います。

 それから、弟子屈署については、これは御承知のとおり、住民監査請求で今月いっぱいにきちんと結論を出しなさいという指摘を受けておりますので、先日、北海道警におきまして、平成十二年度分の道の捜査用報償費の使途それから金額を点検いたしました結果、確証を得られないもの、それから確証が得られても公費として支出できないものは幾らかということを算定いたしました結果、十万九千四百九十五円になったようでございまして、これに法定利息を加算した額を返還するという方針を打ち出したと承知をしております。

 また、この時期の署長は二名、それから次長は一名でございますので、三名に対して、返還の意思の有無、それから返還協議に応ずるかどうかの連絡を現在行っているところでございます。

大口委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 私は、一昨年、街頭演説中に、地元の国宝犬山城のある愛知県犬山市で暴漢に襲われまして、全国ニュースになりました。その折、私が、二週間のけがを負いましたけれども、現場にうずくまって県警本部長に直接第一報を入れましたけれども、電話にも出ない。そして、もう本当に、その後も何の電話もかかってこない、六時間半犬山署にいても署長すら会えない、こうした警察幹部。それに比べて、一般の刑事課のお巡りさんたちはまじめに働いておられましたよ。

 私は、そうしたまじめに働かれている第一線のお巡りさんたちのために、本日また警察幹部の不正について追及させていただきたいと思っております。

 委員各位、本日まず初めに、私は残念でしようがない。私が警視庁の現職の捜査官の方から入手しましたこの文書、これがこの委員会で配付できない。どうしてこんな検閲みたいなことを受けなきゃいかぬのですか。これは、この委員会終了後、私は全マスコミに開示させていただきますよ。

 進めさせていただきますけれども、六月の三日、警察庁は、同庁の会計課を初め全国の警察本部や地方機関など三百十二部署で期限前の会計文書を破棄したり紛失していたと発表されましたね。これは、全国六十部局のうち四十五部局、つまり三十八都道府県警と警察庁、皇宮警察本部、関東、中部、九州の三管区警察局、東京都、北海道の二警察情報通信部の四十五部局ということですね。六十部局のうちの四十五の部局、つまり四分の三で文書が破棄、紛失されているわけですよ。これは幾ら何でも、組織的な証拠の隠滅じゃありませんか。

 三菱自動車が証拠隠滅のおそれがあるといって、そうしたら神奈川県警は真っ先に飛んでいきましたでしょう。警察のこうした文書の隠滅に対してどこが飛んでいくんですか。警察内部で浄化していく、あるいは監察の能力が全くないじゃありませんか。これはひどい時期に入ってきたと思いますよ、今現在。

 警察幹部が裏金づくりをする、そしてそれが警察に蔓延する、証拠の隠滅を図る。小泉内閣は、年金等で国民を苦しめて、そしてまた、警察行政がむちゃくちゃであっても何も処分もしない。こんなことでいいんですか。まるでこれは中国の専制王朝の末期じゃありませんか。(発言する者あり)中国が怒るぞという声もありましたけれども、本当にひどいじゃありませんか。

 まず初めに、国家公安委員長、どうしてこれだけ、全部局六十のうちの四十五、四分の三の部局で文書の隠滅がある。責任者の処分をどうしてされないんですか。先ほど国家公安委員長は言われましたね、警察を管理するのが仕事であると。厳正に警察の幹部の処分を求めますが、どうですか。

小野国務大臣 委員御指摘の件につきましては、今、具体的な数字はもう私から申し上げませんけれども、厳正なる処分はもう始まっておりますし、そしてそれに対応する具体的な点も粛々と行っておりますので、委員が御指摘のことが、私は、おっしゃっていらっしゃる中ですべて進行形であるということを申し上げさせていただきたいと思います。

前田委員 今進行中だと言われましたけれども、では、現在どこまで進行しているんですか。今言っていただきたいという気持ちはいっぱいありますけれども、後ほど、現在どのぐらい進行しているのか、理事会に諮っていただいて、しっかりと出していただきたいと思います。

 では、具体的に伺っていきたいと思っております。

 官房長に初めに伺います。

 三月の二十四日、一連の不正経理問題を受けて、同月末で保存期間の切れる九八年度の会計文書を引き続き保存すると指示されましたね。もう一度確認したいと思います。

吉村政府参考人 三月二十四日に、全国の警察に対しまして、平成十年度の会計文書を当分の間保存をされたいという指示を出したのは事実であります。

 これは当委員会でも御議論になりましたし、北海道やあるいは福岡等で不適正な事案が出ていたということもありますので、十年度分について、そのときも申し上げましたけれども、これはあくまで都道府県のそれぞれの文書管理規程で処理をしている問題ではございますが、十年度分については一斉に、一応残せ、それで後々の検証にたえるようにということで指示をいたしました。

前田委員 しかし、警察庁と皇宮警察本部そして七カ所の県警本部で、指示後に文書を破棄したことが発覚しています。事実ですね、官房長。

吉村政府参考人 御指摘のとおり、三月の二十四日以降に会計文書を破棄した部局として、皇宮警察本部の一所属、それから九州管区警察局の三所属、それから都道府県警察では八都県警察の十三所属、合わせて十部局十七所属において会計文書を破棄したケースがございました。

前田委員 正確にお答えいただいたと思いますね。

 それでは、皆さん、きょうお配りさせていただきました六月三日付「警察における会計文書の亡失・廃棄事案について」という文書を見ていただきたいと思います。

 指示以前の保存状況調査と言っておいて、ちょうど真ん中よりちょっと上に、「なお、五月末時点において亡失事案が判明しているのは、四十五部局、三百十二所属である。」こうあります。これは言葉のレトリックじゃありませんか。指示以前と言っておいて、その後も現実としては文書がない。うまい言葉を使われましたね、この「亡失」。紛失でしょう、これは。実際に、指示後も文書が現実としてないんじゃありませんか。

 四月の三十日に再び官房長通達を出されたということですけれども、その後も、今現在、「五月末時点において」と書いてありますね。ということは、三月二十四日以前の調査と言っておきながら、五月末で文書がないものが非常に多い、そう言っているじゃありませんか。

 結局、指示後もどんどんと文書が破棄されている。そうではないんですか、官房長。

吉村政府参考人 三月二十四日に平成十年度の会計文書は保管をするようにということを指示いたしたわけでありまして、その後、今申し上げましたように、十部局十七所属で廃棄をしたケースがわかったということであります。

 それで、十部局十七所属につきましては、それぞれ、廃棄日につきましては、以前も申し上げたかと思いますけれども、三月の末から四月にかけてのものがほとんどであったわけでありますけれども、十七所属のうち青森県の大間警察署についてが、実は廃棄したのが五月の一日であります。

 これは、四月末の段階では大間警察署についても間違いなく会計文書があったわけでありますけれども、五月の一日に、八年度、九年度分の不用文書があるということで、担当者が、土曜日に当直か宿直かで出勤をいたしました際に、十年度の当該文書を過って廃棄をしたということであります。

 その意味では、三月二十四日に指示をし、かつ四月三十日に警察庁として改めて官房長通達を出した後に廃棄をしたのはこの青森の例だけでありまして、あとは、三百十二所属でなくなったというケースは、改めて全国で調査をかけましたところ、これは廃棄あるいは亡失をした時期はまちまちでありますからなかなか一概にくくるわけにはまいりませんが、原因関係等を詳細に今把握いたしまして、それに応じて防止策を講じていこうということで、これも進めているところであります。

前田委員 今、正直にお答えいただきました。五月一日、このときに文書が失われていた。三月二十四日以降、そして四月の三十日に再び官房長通達を出されて、正直に、五月一日に文書が失われたところもあったということを伺いました。

 いずれにしましても、これはひどい状況にありますよ。四分の三の部局でないということは、もう組織的に警察の不祥事の隠ぺいをしているんじゃありませんか。

 国家公安委員長、これは組織的ではないという反証をしていただけませんか、納税者が納得ができるように。組織的ではない、私も信じたいですよ。警察がそんな組織的に文書を破棄するなんてことは信じたくない。しかし、これは反証はなかなかできないと思いますよ。どうやって御説明されますか、納税者に。

小野国務大臣 今も官房長の方から説明をさせていただきましたけれども、それぞれの部署部局によりまして廃棄の時期が違うということは、いわゆる要らなくなった、期日の過ぎた他の不用文書の廃棄作業中に過って廃棄してしまったという点がまず一点あろうかと思います。その次は、保存期間を誤認したということ。年度末廃棄と年末廃棄との間違いとか、そういうふうに廃棄の時期がずれているということも原因になろうかと思いますし、それから、庁舎の移転時に他の文書と一緒に廃棄してしまった。

 結果的にはこのような具体的なことがありますし、まことに亡失・廃棄ということは、先生おっしゃるまでもなく、私も、大変残念なことである、そのような認識は持っておりますけれども、それぞれの部署別の廃棄の状況が違いますし、年月が違いますので、警察がまとめてどうこうしたということは私は考えていないところでございます。

前田委員 とても納税者、国民の皆さんが今の話を聞いて納得できませんよ。全四分の三の警察で文書を破棄されていて、新しく庁舎を建ててなくしたとか、たまたまなくしたとか、そんな言いわけ通じませんよ。

 これは、一回、なくなった一つ一つの文書について、いつなくなったのか、どういう原因でなくなったのか、これを全部出してもらえませんか。これはまた理事会で後で諮っていただいて……(発言する者あり)

 とにかく、では長官、一回、どうですか。この件について、組織的じゃないという反証をしていただきたいと思います。長官、どうですか。

佐藤(英)政府参考人 ただいまお尋ねの件につきましては、大臣より御答弁申し上げたとおりでございます。

 今回明らかになりましたことは、やはり、我々警察の文書の管理の現状、これが厳格さを欠いていたということでありますし、いま一つは、不用文書ないしは保存期間の徒過した文書、これの廃棄についてのシステム、手続というものがあいまいであったというようなことも明らかとなりました。したがいまして、これらを改善すべく措置を講じ、官房長の通達も発し、また、先般の警察本部長会議においても細かく指示をしたところでございます。

 したがって、我々としては、この文書管理のあり方及び処分の仕方について、この機会に厳正に行えるようにしてまいりたいと考えている次第でございます。

前田委員 長官の話を聞いても納税者の皆さんは納得できませんよ。組織的ではないという反証、全くされていませんよ。

 これは一回きちっと、全文書について、先ほど申し上げたように、いつなくなったのか、どういう理由でなくなったのか、これは全部出してください。理事会の方でお願いします。委員長、お願いします。

山本委員長 理事会で協議いたします。

前田委員 さらに、まだやりたいんですけれども、先に進ませてください。

 私、四月二十八日、決算行政監視委員会で、安藤総括審議官に、九八年度保存文書の保管継続の指示を徹底していただきたいと。そして安藤総括審議官は、約束させていただき、私は確認いたしました。では、そのときの議事録を読ませていただきます。

 まず、安藤総括審議官の言葉、「いずれにしても、三月二十四日の指示はさらに徹底をしてまいりたいと思います。」「○前田委員」私ですね、「今、私はしっかり聞きましたよ。いいですか。さらに徹底するよう指示したいということですので、きちんと再度、各都道府県警に対して文書の破棄をしないようにという指示を再度してください。確認します。いいですか。」と。

 安藤総括審議官は、きちっと全都道府県警に文書破棄をしないように徹底すると約束されましたでしょう。先ほど官房長は、五月一日に破棄したところがあったと。これは、徹底をすると言っておいて一方で破棄しているわけですから、どうですか、安藤さん、あなたに責任があるんじゃありませんか、徹底できなかったという。

安藤政府参考人 今先生御指摘のように、私、去る四月二十八日の決算行政監視委員会におきまして、三月二十四日の指示をさらに徹底してまいりたいということを確かに申し上げました。それを受けてといいますか、その直後、先ほど来お話があります四月三十日の官房長通達で、各都道府県に対しまして、文書管理のさらなる徹底を指示しております。

 そういう中で、先ほど官房長の方からお答えがありましたように、五月一日に青森県で廃棄事案が起きたということは、私自身あるいは警察庁自身も大変遺憾なことだと思っておりますが、それ以後は、御案内のように、事案が拡大しているとかそういうことはございませんし、さらなる徹底をまた努力してまいりたいというふうに思っております。

前田委員 それ以降、五月一日以降出てきていないから、徹底しているから、私はまだこれから頑張りたい、これは間違っているんじゃありませんか。一件でも出てきたら責任問題ですよ。あれだけ公の決算行政監視委員会で約束しておきながら、実際にそういう事案が出てきているんだ。責任をとられたらどうですか、安藤審議官。もう一度。

安藤政府参考人 私も、もちろん、四月二十八日の決算行政委員会でそういうお答えをして、そういう警察庁の指示を徹底したということに対して、まことに残念ながら青森県でそうしたケース、いろいろな事情はありますけれども、そうしたことが発生したことは私個人としても責任は感じておりますが、一件でもそういう指示を徹底した後にそういうことが発生しないように、今、再発防止策を六月三日に公表しました。これは抜本的な再発防止策だと思います。そういう再発防止に全力をさらに挙げるということで責任を全うしてまいりたいと思います。

 以上です。

前田委員 それは何も安藤さんじゃなくても、次の後任の方がやられればいいんでしょう。全くだれも責任をとらないという体質は、これでは国民が警察行政を信用できませんよ。

 長官、どうですか。警察全体の話で、文書破棄、最終的には長官に責任があるんじゃありませんか。どう考えられますか。

佐藤(英)政府参考人 御指摘のように、公用の文書が廃棄をされてしまったということについては、まことに遺憾であることはたびたび表明をさせていただいたとおりでございます。

 しかしながら、その理由につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、確かに外部からごらんになったときには不可思議に感ずるところがあろうかと思いますけれども、しかし、一つ一つ調べていった場合には、大きく分けて三つの先ほど申し上げた理由により、大臣が御答弁した理由により廃棄されていたということでございました。

 この原因は文書管理の不徹底ということにあり、文書の処分のシステムの不明確さにあったということでございますので、これを徹底して改善していくということをなすべきであろうと思っております。それによって我々としての責任を果たしていくということにしてまいりたいと思っております。

前田委員 もう先ほども伺いましたけれども、この「会計文書の亡失・廃棄の再発防止策」。キャビネットにしまうとかですね。では、今、しまっていなかったんですか。それから、廃棄に当たっては所属長が決裁する。今、決裁していなかったんですか。むちゃくちゃじゃありませんか。こんな当たり前のことを改めて書かなきゃいけないようなことでは、警察は内部で浄化していく力が全くない。

 国家公安委員長、大臣、どうですか。内部のこうした不祥事に対して、監察機構、全く働いていませんよね。やはり私は、こうしたときに、警察の内部の監察の機構が働いて浄化ができるというのが筋であると思います。これができない以上、明らかに、警察の責任者の処分を求めるべきだと思います。でなければ、小泉内閣、全く国民に信用されませんよ。どうですか、大臣。

小野国務大臣 会計文書廃棄事案につきましては、警察庁を初め各都道府県警察におきましては、現在、監察部門も投入いたしまして調査中でございます。その事案につきましては、調査結果を踏まえまして、事実に即して厳正に対処されるものと承知をいたしておるところでございます。

 また、亡失・誤廃棄事案の再発を防止するための通達を出しているところでございまして、会計文書の管理の徹底について、先ほど、余りにも初歩的であると先生からおしかりをいただいたわけでございますけれども、指示を改めてさせていただき、会計監査実施時においては、会計監査の実施担当官が会計文書の保管状況についても点検をする。やはり、基本的なところが一番大事ではないかと改めて思うところでございます。

 国家公安委員会といたしましては、今後とも、事案の調査状況等について適時適切に報告を受けまして、第三者的立場からのチェックを行いますとともに、会計文書廃棄事案の再発防止対策の推進について、その指導に改めて努めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

前田委員 今、内部の監察機構を働かせてという御答弁でしたけれども、じゃ、いつまでにやられますか、これを。はっきりと、いつまでにやるということを聞かなければ納得できません、国民の皆さん。どうですか。

吉村政府参考人 一連の文書廃棄事案につきましては、委員も御承知のとおり、九州管区警察局のケースについては、既に、担当者等につきまして、戒告等の処分をしておるところであります。

 それ以外にたくさんケースがあるわけでございまして、これが亡失・廃棄の時期はいつなのか、原因は何なのかということについて、ただいま大臣からも御答弁ありましたとおり、監察を今実施しておりますので、これはできるだけ速やかにやりたいとは思いますが、中途半端な状態で事実を確定するわけにもまいりませんので、今しばらく時間をいただきたいと思います。

前田委員 いつまでにやるということも明らかにできない。これでは全く納得できませんよ、国民は。納税者は怒りますよ。やはり、きちっと時期を明示していただいて、いつまでに内部監察を行う、できなかったら第三者機関で行う、やってもらう、それぐらいの態度で臨まないと、国民の皆さんは理解しません。

 さらに進みたいと思います。

 六月三日の文書の詳細なページにわたる部分でありますけれども、これから警視庁の事案について扱わせていただきます。

 六ページ、七ページ、八ページ、ちょっと見ていただけますか。六、七、八ページ。委員各位も警視庁の部分を見られてわかりますよね、旅行命令簿ばかりがほとんどすべて失われている。六ページもそう、七ページもそう、旅行命令簿、旅行命令簿。八ページもそう。各警察署、各課、分かれていても、旅行命令簿ばかり失われているじゃありませんか。どう御説明されますか。

吉村政府参考人 委員御指摘のとおり、警視庁の全所属の数は、警察署百一を含んで二百七でございますが、廃棄・亡失が、二百七のうちの六十五所属に上っております。そのうち、平成十三年度の都費の旅費関係文書を廃棄・亡失した部署が、その六十五部署のうち三十八部署に上っておるわけであります。

 警視庁に対しまして、いろいろと連絡をとり、調査もしておるわけでありますが、警視庁におきましては、平成十三年十月に東京都の情報公開条例に定める実施機関となりまして、会計文書に対する開示請求が多くなされる実態にあるということから、それまでは警視庁におきましては都費の旅費関係書類の保存期間は一年としていたようでありますが、それまで一年の保存期間の文書を、都の知事部局でありますけれども、東京都の保存期間との均衡を図る上で、情報公開制度の趣旨にこたえるために、平成十五年四月に保存期間を三年に変更したと報告を受けております。

 そうなりますと、平成十三年度の旅行命令簿は、それまでは平成十四年の三月を起点として一年ということでありますから、平成十五年の三月末日をもって廃棄、保存期間が満了するという扱いでありましたものを、さらにそれから二年延びたということになるわけであります。

 どうも、いろいろ聞きますと、一年を三年に延ばしたということは各種の連絡会議等で通知をしたようでございますが、結果としてはそれが必ずしも十分ではなかったということで、警視庁のそれぞれの所属では、一年から三年に変更になったことを失念して、十三年度の旅行命令簿について、十五年の三月末日をもって保存期間が満了したと誤認をして、あるいはまた、保存期間が満了した他の不用文書と混同をして廃棄してしまったということの報告を受けているところであります。

前田委員 むちゃくちゃな答弁ですよね。委員各位、聞かれてわかったと思います。もう本当に、これは旅行命令簿を使って不正経理を行っていたという証左ではありませんか。課も違うし、まだほかにも警察文書はたくさんあるわけでしょう。ほかにもたくさんあって、どうして旅行命令簿だけがないんですか。組織的に旅行命令簿を証拠隠滅したんじゃありませんか。組織的に文書破棄が行われているという証左ですよ。

 先ほど、国家公安委員長も警察庁長官も、組織的じゃない、こう一生懸命答弁されましたけれども、組織的ではありませんか、これは。組織的に警察が文書を隠滅している。その警察のトップである長官、責任感じませんか。長官、どうですか。

佐藤(英)政府参考人 確かに、私どもも、この実態が報告されましたときには驚きを禁じ得ませんでした。そこで、御指摘のように、我々としても、なぜかということについて厳格に調査すべしということで、さらに調査を進めて、今日に至っているということでございます。

 その結果、今申し上げた理由によって、例えば警視庁でありますと、旅行命令簿が押しなべて誤廃棄をされていたということ、その理由は今説明申し上げたとおりでありまして、その意味で、驚きにおきましては共有するものだと思います。

前田委員 御自分の責任について何も答弁していないじゃないですか。

 やはりこれは、国家公安委員長、警察を管理される立場として、厳重に警察の幹部の責任を追及されるべきだと思います。でなければ、国民は警察行政に対してもう信用は置きません。

 これから、私が配らせていただいたこのフライデーの記事、載ったものだけはいいということなので、これは委員各位に配らせていただいております。

 これは、警視庁の現職の捜査官の方から入手いたしました文書であります。まだ私は十年以上のものを持っています。しかし、残念ながら手書きで書いてある。これは、情報提供者が、内部告発者が保護される法律がきちっとあれば、この情報提供者が証言してもいい、そこまでおっしゃっている。

 これで、皆さん、どういうことかといいますと、現職の捜査官の方がどうしてこの文書を出されたかと言われると、これは、実際に捜査費が自分たちの手元のところに回ってこない、一チーム一万円しか月に来ない、そういうことでこの文書を出されました。

 実際にどうですか。警視庁には、国庫から十億、都からも十億、二十億の税金が投入されているではありませんか。数名以上の一チームで一カ月わずか一万円の捜査費しかない。一生懸命、足を棒にして働いておられる警視庁の捜査官の皆さんは、現場の皆さんは非常に苦労しているんですよ。

 実際に、警視庁の各部局に対して、予算ベース、決算ベースで、各課とか部に対して幾らの捜査費が出されているんですか。

吉村政府参考人 手元にありますのは、平成十四年度の決算ベースでの警視庁各部における国費の捜査費の執行額がわかっておりますので、読み上げたいと思います。

 平成十四年度における警視庁各部の国費捜査費の執行額につきましては、交通部が三百八十九万三千七百十五円、警備部六千五百四十九万八千百八十七円、公安部四億三千四百九十五万二千八百二円、刑事部六千九百四十八万八千六百五十五円、生活安全部は九千百四十万三千六百九十五円となっております。

前田委員 刑事部には、今おっしゃられたとおり、六千万円のお金が捜査費として行っている。皆さん、先ほどの私の手元に来たこの資料、「刑事部捜査第二課知能犯特別捜査」というところですけれども、この刑事部、花の二課でありますので、職員の数三百名、一チーム五名、割って六十、月六十万。年間、掛ける十二、七百二十万円。一けた違うじゃないですか。

 現職の捜査官の皆さんは、先ほど言ったように一チーム一万円しか来ない。それで計算すると、この二課には七百二十万円のお金が年間使われるだけ。しかし、この刑事部には先ほど言われたように六千万円のお金が使われている。どこへ行っちゃったんですか、これは。不正経理そのものでしょう。そして、ことしの一月、最高裁の第三小法廷において、偽造領収書がつくられている、偽名でつくられているということが、これが司法の場で認定されたわけであります。

 それで、またこの前、四月二十一日の決算行政委員会で私が明らかにしました平成十一年からの「会計検査院検査官個人別応問状況」。これは警察庁がつくられたんじゃないと言われましたけれども、私が立証したように、警察庁の長官官房、会計監査室の職員しかこれはできないんだ。そして、会計検査院にもしっかりと聞きました。検査日、そして、この検査院の人が実際にそのときに行かれましたか、一枚一枚めくって聞きました。全部正しかったですよ。

 では、どういうことかといいますと、会計検査院の方が各県警に行かれて検査をする、そのときに何を聞かれたか、それらを警察庁が全部吸い上げてこの「個人別応問状況」をつくられていた。いわば傾向と対策集ですよ。どうしてこんなものが要るんですか、これが要るのは不正経理を隠すためでしょう。警視庁は、司法の場で既に、先ほど申し上げたように、一月、最高裁が偽造領収書をつくっていたということを認定していますよ。

 この「個人別」、会計検査院の個人の方、検査官の方がどういう質問をするか、これで勉強しておいて、きょう明らかにしましたこの「会計検査院検査応問事項」、これは想定問答集ですよ。こう聞かれたらどう答える。このフライデーの記事でも、皆さん見えると思いますけれども、例えば、「情報謝礼の金額の範囲は?」「五千円位から三万円位までです。」こう答えなさいでしょう。

 こうした傾向と対策集があって、想定問答集があって、警視庁の十七階の大会議室で想定問答を繰り返す、そして会計検査院の検査に臨む。この一連の流れは、明らかに不正を隠ぺいする、警察の裏金づくりを隠ぺいするルートができ上がっている、マニュアル化している。もうこれでは国民の皆さんは納税する意欲をなくしますよ。

 どうですか、国家公安委員長、どう感じられますか。

小野国務大臣 警察庁におきましては、お尋ねのような会計検査のためのマニュアルというようなものを作成している事実はないと報告を受けておりますし、私も今初めて目にさせていただきましたけれども、事実はないという報告を受けておりますので、ああいうものがどういう形で外に出ているのかも承知できないところでございます。

前田委員 では、ちょっと今度は会計検査院に伺いましょう。

 平成四年七月二十九日水曜日、十六時から十六時五十分、応問者甲斐司法検査課長。会計検査院のこの方の質問に備えて、この想定問答集ができておるわけです。

 実際に、平成四年、甲斐司法検査課長は実在しておりますか。

石野会計検査院当局者 今お話しの課長が平成四年当時在職していたということは事実でございます。

前田委員 これは、きょう皆さんの前にお配りすることができなかった部分のところに、このことがはっきりと、今も読み上げましたように、平成四年七月二十九日水曜日、十六時から十六時五十分、応問者甲斐司法検査課長、こう書かれているわけであります。その方の質問に備えてという想定問答集であります。今、会計検査院の方からもありましたように、実際に甲斐さんはこの時期にこの職にあった。これは正しい資料ではありませんか。

 そして、使ってある言葉も、例えば皆さんのお手元にある六番を見てください。これはちょっと見にくいですけれども、「聴訴係」と書いてあるんです。「聴訴係とはどのような係ですか?」「告訴等を受理する係です。」五番を見てください。「知能犯特別捜査係の具体的な体制は?」等、内部の方じゃなきゃわからないようなことが非常にきちんと、克明に書いてあるわけですよ。こうした傾向と対策集、何を聞かれるかがあり、そして想定問答集まである。

 もともと、会計検査院の方、数名で、五、六名で都道府県警を会計検査で飛び回られている。専門性がありますので毎年かわるわけにいかない、何年かは同じ方が務められる。だから、こうした傾向と対策集、何が聞かれるか、ばっちりつくられているわけですよ。そして、警視庁にそれがおろされて、警視庁で想定問答集がつくられている。おまけに、だれの質問に対しての想定問答集かというところまできちんと書かれている。

 明らかに、警察の不正な経理を隠ぺいするためのシステムがつくられているのではありませんか。それが明らかになってきた。どんどんと資料請求をされる、情報公開が求められる、これは大変だ。そして、どんどんと資料の隠滅に走る。もうこれは警察が自分で自分を管理していく能力が全くなくなっている証拠ですよ。

 何も国民の皆さんは、不正経理で警察幹部が自分の懐に入れるお金をつくるために税金を払っているんじゃありませんよ。税金ですべてが動いているんですよ。不況の中で苦しい中からも搾り出して捻出したお金で税金を払っているんですよ。大臣はわかりますか、その苦労が。

 大臣、最後に、厳正な警察の責任者の処分を求めます。どうですか、もう一度。

小野国務大臣 このたびの事案に関しましてはただいま調査中であるということを先ほどから申し上げておりますけれども、その結果につきましては厳正な処置をさせていただくということも既に申し上げているとおりでございます。

前田委員 厳正な処置をしていただけるということなので。

 それから、期限も切れないような調査じゃなくて、きちんと、いつまでにやります、全力を挙げてやります、こうした態度が必要ではないですか。これを最後に要求させていただきます。

 そして皆さん、私は、きょう配れなかった資料、これが終わりましたら全マスコミに公開しますよ。実際にこういうことが行われている、非常に悲しいことですけれども。これから警察がもう一度信用を取り戻していただきたい、そして第一線で働かれているお巡りさんたちが苦労しなくても済むように、偽造領収書をつくってそして毎日足を棒にして働かなくても済むように、何とかしてあげたいと思います。

 長官、どうですか。そうした一般の最前線のお巡りさんたちに一言、最後に言ってください。

佐藤(英)政府参考人 既に御案内かと存じますけれども、この十年、犯罪が非常にふえてきた。さらには、テロの危険というものを日本ではさほど感じていなかったものが、身近な脅威として存在するようになってきたということがありまして、治安回復あるいはテロの未然防止ということで、昨年来、特に全国警察を挙げて取り組んでいることは御承知いただいているとおりかと存じます。

 そして、昨年はその成果が上がりまして、犯罪が八年ぶりに減りました。しかし、この増勢の中で減ったということではすぐもとへ戻ってしまうということで、本年に入りましても、その治安の回復を軌道に乗せようということでさらなる努力をし、また関係の機関・団体、住民の方の御支援をいただいているところであります。その結果、この一―四月の数字でございますけれども、さらに減少し、また検挙は人員、件数ともに伸びてきているということで、第一線におきましては国民の期待にこたえて精いっぱいの努力をしてくれていると確信している次第でございます。

 我々としても、その第一線の勤務をやり抜いている諸君のために、我々としてなすべきことを精いっぱいやってまいりたいと考えている次第でございます。

前田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 前田委員に引き続きまして、ちょっと関連して、継続して質問をさせていただきたいと存じます。

 私、昨日この「警察における会計文書の亡失・廃棄事案について」という書類をいただきました。きのうはきょうの質問の用意もありましたしいろいろありましたので、改めてきょう委員会でこの書類を見ていましたけれども、本当に驚きます。

 一つ、ちょっと具体的に御質問させていただきたいんですが、この中に、部局名で警察庁、所属名で会計課というのがあります。それで、その中で国費の分の平成十年度分が、これは亡失なのか廃棄なのか知りませんがどっちかされていると思いますが、これは具体的にいつ亡失または廃棄されたのでしょうか。

吉村政府参考人 警察庁の会計課におきまして旅行命令簿がなくなっておりますが、これはことしの三月中旬ごろになくなっているということを確認したところであります。それ以降調査をいたしましたところ、紛失に気づいて捜索をしたけれどもなかなか発見に至らなかったということで、ずっと前までさかのぼったわけでありますが、平成十二年の八月には当該平成十年度の旅行命令簿は存在していたことが、これは確認をされております。

 そこで、警察庁は平成十二年の十二月に古い庁舎から今の庁舎に移転をしておりますが、当該庁舎移転時に紛失をした可能性が高いと見ているところであります。

市村委員 なるほど、これが先ほど新庁舎の建設に伴っての紛失ということなのかもしれませんが、その他のことも実は聞きたいと思います、警察庁関係だけでも。でも、あえてここは聞きませんが、驚きですね。

 というのも、ここまで、私も昨年当選させていただいて以来、内閣委員会に所属させていただいて、その中で、この警察の不正経理について、もしくはもっといえば裏金づくりについて、この委員会でもいろいろな質問があったわけでございますけれども、この中で、警察庁にまでこうした亡失や廃棄があったということは本当に私は信じがたいのです。先ほど前田委員からも責任はどうなんだということがありましたが、一体何たることかということを本当に率直に思わざるを得ません。

 それで委員長、ぜひとも私、この書類に載っております廃棄年度、廃棄された年度というのはわかっているんですが、いつどのような原因でこれが廃棄されたもしくは亡失されたのかについて、詳細な資料を求めたいと思います。それを、今国会、通常国会が終わるまでにぜひとも求めたいと思いますが、委員長、よろしくどうぞ。

山本委員長 理事会で協議させていただきます。

市村委員 はい、わかりました。

 ただ、長官にもちょっと具体的に幾つかお聞きしたいんですが、今、会計課の件はそうだったんですが、例えば薬物銃器対策課なんかも、これは平成十一年度分までなくなっているということでございますけれども、これはいつどうやって廃棄もしくは亡失されたか把握されていますでしょうか。

吉村政府参考人 旧薬物対策課については、給与を払ったという給与の現金出納簿で十年度分、十一年度分がなくなったということの不存在確認はことしの四月の二十二日であります。ことし四月二十二日に、会計課からの会計文書の所在確認依頼に基づいて確認をした際、紛失に気づいて、捜しましたけれども発見に至らなかった。

 亡失をした簿冊は、年度終了後ほとんど使用されることがなく、作成、記帳当時の平成十二年当初ごろには存在していたものと思われますが、以後、現在まで存在が確認をされておりません。

 ただいま申し上げましたように、十二年十二月に庁舎移転があり、あるいはことしの三月の組織改編で薬物対策課が薬物銃器対策課ということで、文書保管場所の移動が二回ありますので、その際に紛失した可能性があると考えております。

市村委員 先ほどから官房長が大変詳しい説明をしていただいています。ということは、恐らく全部の件についてあるということだと思いますので、いつどこでどういう原因でなくなったかということは把握されているということだと思いますので、ぜひともといいますか、間違いなく今国会中にその詳しい資料を作成いただきたいと思います。

 ただ、先ほどから、新庁舎が建設されたからそのときになくなったんだろうという御説明があったんですけれども、公文書というものはそんないいかげんな取り扱いでいいんでしょうか。ちょっとこれもまた教えてください。

吉村政府参考人 もちろん、いいわけではありません。

 それで、今詳細に申し上げましたのは実は警察庁の会計課あるいは薬物対策課に係るものであり、まさに自分の家のことでありますから、これは詳細に現実に調べをしております。全般に、警察組織全体として見た場合に、全国の三百十二所属をどこまでの密度でどれくらいの期間でできるのかということになると、ちょっとこれはにわかには難しいのかなという気はします。ただ、責任の所在あるいは処分の問題等がありますから、これは一つ一つきちんとやっていきたいと思います。

 それだけ範囲が広がったわけでもありますので、せんだっての六月七日の官房長通達を出して、きちんと、いわばこれはイロハみたいな話ではありますけれどもそれができていないということでありますので、制度論なりあるいは気構えの問題等について通達も出しましたし、先ほど御答弁もありましたが、当日、同じ日に、全国の警察本部長会議も開きました。ここで私から、かなり詳細に、文書の亡失・廃棄が以後一切なくなるようにちゃんと措置を講じるべしということで、それぞれの県警本部長にも強く申し入れをしているところであります。

 決して、公文書をいいかげんなものにしていいとは、とてもそうは思っておりませんけれども、結果としてこのようなことになりましたので、自後絶滅を期していきたいと思っております。

市村委員 なぜにそこまでの徹底を三月二十四日の段階でできなかったのか、非常に疑問に思うんです。あれほど、この委員会でも、我が党委員からも、確実にしてくださいよ、文書保存を確実にしてくださいと何度も何度もこの場で念押しをし、御答弁を求めてきたはずなんです。そのときの対応については、いや、電話ででしたとかいうあいまいな対応だったんですけれども、この期に及んで、今官房長からありましたように、きちっと対応されているんですよ。

 ということは、やはり素朴に考えると、結局、まず要らないもの、ちょっとまずいものは捨てておいて、そして、よし、捨て終わったから後はちゃんとやりましょうというふうに疑わざるを得ないんですね。先ほど前田委員からもありました、特に旅行命令書に多いと。こんな偶然にこうなるんでしょうか、偶然に。これもやはり、一般の、普通の感覚からしたら、おかしいんじゃないですかというふうに疑わざるを得ないんですね。だから、後でちょっと私お聞きしますが、本当にそういう一般の感覚というものが一体どこに行ってしまっているのかなんですね。

 もう一つ具体的にお聞きしたいんですが、これは警視庁の関係なんですが、平成十三年度から、警視庁の機動隊の活動旅費という項目がなくなっているんです。このなくなった理由を教えてください。

吉村政府参考人 お尋ねは、機動隊の日額旅費ではないかと思いますが、それでよろしゅうございますか。

市村委員 活動旅費というのはないんでしょうか。

吉村政府参考人 いや、活動旅費は今もあります。日額旅費を十四年度からなくしております。これは警視庁に限らず全国の機動隊において運用を、十四年度からこの日額旅費は廃止をしたところであります。

 実は、日額旅費につきましては、これは細かく申し上げますと時間がかかるんでありますが、要は、旅費法におきまして、長期間の研修でありますとか講習とか訓練のための旅行等については、一々その旅費を出すのではなくて、国費の適正な支給及び事務の合理化の観点から、財務大臣の指定で一般の旅費にかえて支給される減額調整された旅費のことを日額旅費と呼んでいるところであります。

 機動隊は、機動隊員になって、訓練を受け、出動をしている。訓練している中でいろいろ移動もいたしますので、それを日額旅費としてカバーをしておったわけでありますが、十四年の四月からは、実際に機動隊の動きを見ますと、例えば外国人犯罪ですとか、ひったくり、路上強盗等の街頭犯罪がふえてきたということもありまして、限られた警察力のもとで処理をしなければならないということで、機動隊が多角的にそういう街頭犯罪の増加に伴って対処する要員に充てられたりということで、具体的には繁華街の街頭警戒ですとかターミナル駅の警戒等に投入される傾向が顕著となってきたわけであります。

 そこで、機動隊のいわば多角的運用がなされてきたことから、機動隊員の訓練が減少してまいりました。そこで、旅費法による長期間の研修、講習、訓練を行っているとは必ずしも言えないのではないかということで、機動隊の日額旅費は平成十四年度以降は廃止をしようということで、これは警視庁に限らず、全国でそういう運用にしたところであります。

市村委員 機動隊の日額旅費というわけですね、活動旅費じゃなくて。これにつきましても、いろいろ私も聞いている中で、やはりどうもこの項目もまた裏金づくりに使われたんじゃないかというようなことも指摘されている部分があります。

 きょうはこの詳細まで行きませんが、いずれにしましても、先ほど委員長にもお願いし、また後刻理事会で協議していただけることでございますので、詳しい資料をこの通常国会中に、大変だと思いますが。

 本来であれば、私もこういうことはお願いしたくない。大変なときですから、特にこの六月、テロの危険性の高いと言われているときに、もっとそういうところに警察の皆さんの力は使ってほしいと私も思っています。しかしながら、この国民の警察に対する信頼がこれだけ揺らいでいるということになりますと、きちっと情報公開していただいて、そして、そうしたことがなかったということもはっきりと明示していただかないと、これはやはりどう考えてもおかしいということでございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、私の役目は、民主党が今ホームページとかいろんな夕刊紙とかで警察の不祥事に関する情報提供を広く募集しております。今私の持っているのは最新の版で、昨月五月二十一日四時現在の資料ということで、資料を手元に持っております。いろいろプライバシーにかかわる問題もありますから、これを皆さんの前で公表することはできないんですけれども、これを読んでおりますと、もちろんいろいろな具体的な事例がありますが、かなりの部分、現場の警察官の対応いかんでこの苦情に対する怒りはおさまっている、もしくは警察に電話したときの対応いかんで苦情とか怒りがおさまっていたのではないかという事例が見受けられるんです。

 もっと複雑な事例もあります。これについては今から民主党で調査をし、その事実関係も確認した上で、また改めて内閣委員会の場を通してでも出させていただきたいと思いますが、非常に実は素朴なところで、単純なところで国民の怒りを買っているという実態をやはりまた改めて私も再認識させていただいたわけでございます。

 この場では、よく、現場の警察官は一生懸命やっていらっしゃるということでありますし、そうだと私も思います。ところが残念ながら、一部、その対応の悪さのために、それは悪気があるのかないのかはわかりませんが、そのことで非常に警察に不信感を募らせている。そのことが、例えばいざというときに警察が協力を求めても、もう不信感が募っているわけです。警察に何を言ってももう聞いてくれない、はぐらかされる、まともに取り合ってくれない、訴えたらかえって犯罪者扱いさせられた、何か本当にちょっとしたことで手錠をはめられたとか、こういう事例が載っているわけですね。

 前、事件もありました。たまたま現金自動支払い機の前にいたら、後ろから何か泥棒だと言われて捕まって、翌日亡くなられた方もいたということもありました。そして、事件化し、マスコミで大きく報道されたものもあります。しかし、それだけじゃないんですね。この声を見てみますと、そうじゃない。

 私自身も、これまで個人的な体験でも、やはり本当にすごくいい方もたくさんいらっしゃる中で、たまたま友人の、前も申し上げましたけれども、この間宇佐美委員も話をされていましたけれども、右折禁止とか左折禁止の部分があるんですね。あの標識というのは、例えば一方通行、指定方向外通行禁止ですから、ここしか行けないと一方通行のマークがあるわけですね。でも、あれは非常にわかりにくいんです。例えば、角があって、曲がりやすいところにどんと一個あっても、何のことかよくわからないで曲がってしまう事例はたくさんあると思います。実はそういうところにわざわざ張っているんですね。どんどんどんどん曲がってくるんです。そういうところに張っていて、はい、いらっしゃいという感じでやるんですね。

 きょうも河本委員からもその取り締まりについての話がありました。私、再三申し上げておりますが、こうした納得できない取り締まりをされると、やはり不信感、怒りが募って、いざというときに警察が来ても、だれが協力できるかと。かえって、協力した途端、名前がどこかに漏れてしまって、あいつは協力者だということで嫌がらせを受けたということも実は書いています、あるんです。匿名で言ったつもりなのに、翌日か、その後になったら、なぜか不明な電話がかかってくるようになった、一体どういうことなんだということの苦情が載せられています。これでは本当に信頼できないですよ、こんなことでは。

 それで、ちょっと私、長官がせっかくきょうお越しですからお聞きしたいんですが、今まで、長官御自身が、例えば職務質問をされたとか、逆の立場になられたことというのは、御経験ありますか。警察に何か職務質問されたとか、そういうことは御経験ありますか。

佐藤(英)政府参考人 幸か不幸か、そういう体験はございません。

市村委員 国家公安委員長はいかがですか。

小野国務大臣 ございます。

市村委員 委員長、そのときに、委員長個人の御見解でいいんですが、警察に対してどういう思いを抱かれましたか。ひょっとしたら公安委員長に対しては、もう有名な方でしたから、ちゃんと丁重な対応をされたのかもしれませんが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 若い方でしたから、全然私の名前を見てもわかりませんでしたけれども、交通違反ですね、左折するときに直近じゃなくて二列目を曲がったときに、おしかりをいただきました。

市村委員 委員長はもうその辺は御人格者ですから、おしかりいただいたなということなんですが、大体、そういうときに、私も経験ありますけれども、失礼な態度で臨んでこられる方がやはり残念ながらいらっしゃるんです。

 やはり、権力を握っている者、持っている者というのは特に謙虚でなきゃならないと私は思っております。ここは国会、国権の最高機関です。私たちは国権の最高機関の権力を預からせていただいている国会議員です。私は常にそういう意識を持っていますし、やはり常に謙虚でなければならない、特に謙虚でなければならない、こういう思いなんです。

 特に警察の方というのは今、ピストル、けん銃を持っていらっしゃるんですね。昔でいえば帯刀ですよ、刀を持っているのと同じですね。昔の武士というのは、ここで大畠委員なんかもよく武士道のことをおっしゃいますけれども、それなりの権力を持ち、しかも武器まで持っていらっしゃる方が、物言いに関してもやはり一番謙虚でなくちゃならない。

 やはりみんな怖いんですよ。私なんか結構言う方ですから、囲まれて言われても何でも対応できますけれども、しかし、普通は警察に対してみんな、恐ろしい、呼びとめられるだけで何かどきっとしてしまうという人が多いんですね。何も悪いことをしていなくてもですよ。つまり、警察というのはそれだけの存在なんですね。だから、その方から呼びとめられて、はいと言われたときに、なかなかそれに盾突くことはできない。盾突いていると、では署に行こうかなんて言われた途端に、これはもう普通は黙るしかないんです。

 だからぜひとも私は、長官はまだ、幸か不幸か、多分、恐らくそういう御経験される前からもう警察に入られて、ずっとその道を歩んでこられましたから、残念ながらそういうことはなかったのかもしれませんけれども、現場の対応いかんで警察に対する信頼、不信というのが本当に変わっていくんです。実はこれ、予算はかかりません。本当に笑顔とあいさつとお声がけ、その背後に思いやり、これさえあれば、予算かからなくて、今からでも、すぐにでも警察に対する不信感というのはかなり軽減できると私は思います。

 その意味で、長官、僕はやはりトップに立つ方が、私はきょうこの委員会を通じて、長官が大変誠実な方じゃないかというふうにお見受けをしております。せっかくそうした方が長官に今あられるときに、また国家公安委員長だってそうだと私は思っています。そういうお二人がいられるときに、私はぜひともその姿勢を現場まで徹底するようにしていただきたいと思っているんですね。

 私が大変尊敬しております、もう亡くなられましたけれども、新井正明さんという方がいらっしゃいました。住友生命を大変大きくした方でございますけれども、その方が亡くなられる前に、私、色紙をいただきました。私が一番好きな言葉を君に上げようと。これは何かというと、論語の言葉ですけれども、「その身正しからざれば、令すといえども従わず。その身正しければ、令せずして行わる。」ということなんですね。すなわち、上の者が正しくない行いをしていたら、幾ら上から命令したってだれも従わないんです。ただ、上の者が正しい行いをしていれば、だれにも言われなくたって下はちゃんとやるという言葉です。この言葉は私今一番大切にしているということで、私はその言葉をいただいております。

 今回の警察のいろいろな不祥事について、この場で議論がありました。私も聞いておりまして残念な思いもたくさんしています。やはり、きょうこちらに並んでいらっしゃる方というのは恐らく上に立つ方なんです。この上に立つ方の姿勢いかんで警察というのは大きく変わってくるというふうに私は思っています。だからぜひとも、もちろん警察の組織を守るということもあるのかもしれませんが、しかし、警察は何のためにあるのかということもいま一度考えていただきたいと思っています。

 小野国家公安委員長にはぜひとも、この間、泉委員が、ここで警察法第十五条を読み上げてくれということでした。国家公安委員会の中に警察はあるということなんですね。私もなるほどなというふうにあのとき納得した。そうだろうなと。それが、この委員会の話を聞いていると、どうも逆転をしているといいますか、警察の中の何か申しわけ程度にといいますか、そこに何か国家公安委員会がくっついているかのような印象しか持たないんです、ここにいると。(発言する者あり)そうです、まさに今言われましたけれども、立法府が正すという思いで私も今質問させていただいておりますので。正すところはやはり国権の最高機関である立法府しかない、そういう思いで私も質問させていただいています。

 その意味で僕はぜひとも、国家公安委員長、あとこの通常国会も会期十六日までしかないです。多分恐らくきょうが最後だと思っていますが、この間のいろいろなここの場の質疑、きょうは長官がいらっしゃっていますし、お聞きになられていて、僕はもう本当に長官の率直な感想もお聞きしたいんです。

 だって、もう委員長しか正す人はいないんです。一国民の立場からすると、国家公安委員長が積極的に動いて、警察に対してきちっとした指導といいますか対応をしていただかないと、これはだれが一体やるんですか。もちろん立法府は一生懸命やります。だからそういう意味で私たちはここで一生懸命やっています、ここで議論しているんです。しかし、幾ら議論しても、何か後ろからまたペーパー持って出てきてそれを読まれている姿というのは、本当に私は見ていて情けない思いをしてきました。きょう最後ということであれば、ぜひとも委員長にちょっとこの感想をお聞きしたいと思います。

小野国務大臣 私も就任をさせていただいて九カ月弱というところでございます。具体的な事案に関しましては、いろいろと警察庁の各部署の者から指導を受け、また私なりの意見を、ここで国民の立場に立った意見を申し述べることができなければ何の委員長か、こういうことになってしまいますので、積極的にそういった意味におきましては議論をさせていただいているところでございます。

 国民の安全と安心という治安問題というのは、命と財産を守るという大変大所高所から大事にしなきゃならないという反面、今市村委員がおっしゃったように、やはり対するは人対人でございます。相手の気持ちに立って、相手の立場に立って、しかも治安あるいは大きな国の立場からこの問題をどう対処していくかということは、とても大事な、バランスの必要なことでございますので、その点は、従来やってきた警察庁あるいは警察関係のさまざまな事案と同時に、国民がそれをどう感じ、どうしてほしいかという観点を忘れてしまったのではいけない、そこに私がここに就任させていただいた意義があるということで、私も積極的に意見を述べさせていただいておりますし、今後ともそうした姿勢を最後まで貫いてまいりたい、そのように考えております。

佐藤(英)政府参考人 国家公安委員会の管理を受けている方の立場から、今のお尋ねにちょっとお答えをさせていただきたいと存じます。

 今回の問題について、この委員会においても大変活発な御議論、御指摘をいただきました。そして、その結果を受けまして、大臣から国家公安委員会においてるる報告、説明がございました。私どもからも報告をいたしております。その結果が、国家公安委員会から大変厳しい指示がございました。例えば、県の監査委員の監査を受けるときのあり方、あるいは領収書を徴取できないときの措置の仕方、ないしは警察庁の都道府県に対する会計監査の体制の問題等について、直ちに指摘がございました。

 さらには、三月十九日でございましたでしょうか、この委員会で十年度分の文書を保存すべしということの話がありました。それを受けて、直ちに二十四日に指示をしたわけでありますけれども、それも、国家公安委員会において大臣からのお話を受けて警察庁に対し指示があったものでございます。

 国家公安委員会は警察庁の所掌事務のすべてについて管理をされておりまして、その管理の方法として、具体的な今申し上げたような指示をるるされております。我々はそれを受けて執行しておるのでありまして、外部から見ましたときには警察庁の通達という形でしか映らないかもしれませんけれども、内実においては以上申し上げたとおりでございます。したがって、これからも我々は国家公安委員会の一般市民的な常識からされる具体的な指示を受けて、職務を遂行してまいりたいと思います。

 なお、付言で大変恐縮でございますけれども、先ほど職務質問等の取り締まりについてのお話がございました。確かに御指摘のとおりでありますけれども、現実の職務執行、私も、職務質問を受けたことはありませんけれども、したことがございますが、警察の職務執行は矛盾の統一という観点がございます。すなわち、おかしいと思った人物については、これは間髪を入れずに質問をし、場合によっては検挙しなければならない。しかしながら、それが実はおかしくなかったとき、あるいは仮におかしかったとしても、その質問の仕方、それは合理的、妥当なものでなければならない。この二つの矛盾した要請を実行するというのは、意外に難しいものでございます。

 したがって、御指摘のように、国民が不満を抱かないような形での職務執行に努めるべきでございますけれども、これはある意味永遠の課題と言える部分もございまして、我々としてもそのように努めていかなければならないと思いますし、現場の方にもそのように督励をしてまいりたいと存じます。

市村委員 その志、ぜひとも実現していただきたいと思います。

 現場の対応というのが難しいのは、私も選挙とかをやっていますとそれはいろいろな御意見をいただくわけですから、わかっているつもりであります。ただ、そこでしっかりとお声を受けとめることが必要なわけでありまして、私も街頭演説をしているといろいろなおしかりを受けたり罵声を浴びせられたりしますけれども、最後は、いろいろ話を聞いていると、にこにこしながら、頑張ってくれよと言って帰っていただく方がほとんどなんですね。やはり、ちゃんと声を受けとめて話をすれば大丈夫なんです。私は、自分の経験からそういうふうに思っています。

 またきょうも最後の最後に、ちょっと最後にまた一つだけ御指摘して終わりますが、この間、道路交通法改正案が通過しました。その中で、今度の民間委託ですけれども、法人ということになっておりますけれども、私は、株式会社はそこに入らないだろう、それは問題があるだろうということでこの間から御指摘を申し上げております。

 これにつきましては、施行まで二年間あるそうですので、しっかりと株式会社については調査研究をしていただいて、これが適切なものであるということをきちっと確認した上で実行していただきたいと思いますが、ちょっと局長、この件について一言だけ御答弁をお願いします。

人見政府参考人 お答えいたします。

 確認義務の民間委託につきましては、事務が適正かつ的確に行われるということが大変重要であるというふうに認識しております。このような観点から、今の改正された道交法では法人は全然限定しておりませんが、今後、施行に向けまして、各般の御意見、御指摘を踏まえつつ、細部の検討を進めてまいりたい、こう考えております。

市村委員 どうもありがとうございました。終わります。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 この内閣委員会で随分と長いこといろいろな質疑をさせていただきました。そういう中で、自分も初めての国会で、いろいろな、最初、内閣府予算を質問させていただいて、あるいは官房長官の所信の演説をいただいて、さまざまな、消費者問題や警察行政、宮内庁関係あるいは男女共同参画、青少年育成、そういったこと全般をさせていただく大変有意義な委員会だなということで、入らせていただいて本当にうれしく思った次第です。

 しかし残念ながら、その大半は、本日も扱われているこの警察不祥事という問題に時間を費やさざるを得なかったということを、やはり重く受けとめていただきたいというふうに思います。我々は国民に、大きな大きなたくさんの課題がある中で、それぞれが貴重な時間を使ってこの委員会質疑というものを行っている。その中で、これだけ警察を、しかも、警察の、治安回復ですとか前向きな話じゃなくして、後ろ向きのものでこれだけの時間を使っていることそのものが、これは警察にとって大きな責任があるというふうに私は思っております。

 こういった、今国会、内閣委員会において随分とこの警察不祥事が取り上げられてしまったことについて、きょうは長官もお越しいただいておりますので、長官と国家公安委員長に、まずその思いをお伺いしたいと思います。

小野国務大臣 委員からのお話を、改めてこれまでの委員会を通しました経緯等も頭に浮かべておりましたけれども、私といたしましても、大変遺憾でございますという言葉を何回発したかなと、そんな思いに立ちながら、かつまた、いつまでもそれを背負っているわけにはいきません。それをどう解決し、そして今後どう進めていくかということがもう一つ大事なことであるという認識に立ちまして、現場におります警察官の一人一人の顔を思い浮かべながら、やはり厳正に対処するものは対処しつつも、さらに前進していくことを今改めて心に置きながら会議に参加させていただいておるところでございます。

佐藤(英)政府参考人 以前にもこの場で申し上げたかと存じますけれども、私といたしましては、今日の警察における基本課題は三つあると考えてまいりました。

 一つは、かつて日本国民が誇った日本のよき治安、その復活であり、それに向けての治安の回復であります。いま一つは、組織犯罪、サイバー犯罪への対策ないしは国際テロリズムの未然防止等、新しい脅威への対応でございます。そして三つ目が、警察改革の持続的な断行でございました。

 この警察改革のうち、今日議論をいただいておりますのが経理をめぐる問題でございましたが、この経理問題についての御批判を受けて、我々として、将来に向けて何をなし、また過去の遺産についてどのように正していくかということと、治安回復あるいは新しい脅威への対応、これをやり抜くということは、根っこは一つであろうかと思います。すなわち、国民の信なくして治安回復、テロの未然防止等の新しい脅威への対応はなし得ませんし、また、その二つをやり抜かなければ国民の信は警察に参らないと思っております。

 したがって、この三つをやり抜いていくという観点に立って仕事を進めてまいりたいと考えておりますし、この委員会等において受けた御指摘を真摯に受けとめて、我々としては実行してまいりたい、そう考えている次第でございます。

泉(健)委員 今お話をいただきましたが、先ほども言ったように、この委員会でこれだけの時間をかけているということの重み、それは、我々もそれだけ、取り扱うことについては重みを持ってこの審議に臨んでいるわけです。その重みを考えていただいたときに、やはり、委員長、これは私は、何らかの責任というものは出てくるんだろうなというふうに思います。それが警察内部ということでの責任なのか、国家公安委員会としての責任なのか、これは両面あると思います、そこは御自身で判断をしていただきたいと思いますけれども、今各委員が指摘をしているとおり、私も本当に残念です。本当に、ただただ残念です。

 まさに、私が以前、三月の十九日のこの委員会において、文書の保全をしてくださいと一生懸命お願いをさせていただきました。その後に、二十四日、委員長の指示によって警察が動いた。それを、ちょうど民主党が静岡県警の視察に、調査に行っているときに、その県警の中でお伺いをしました。大変うれしく思いました。誠実に対応されている姿、これこそ国民の期待にこたえるものだというふうに思ったわけです。

 しかしながら、実態は、その網の目をいとも簡単にくぐり抜けた形での三十八都道府県警のこの文書廃棄ということになっておりました。大変残念でなりません。

 私は、先日の委員会質疑の中では、「委員長、もし、ではここで廃棄をされました、その後に内部告発がありました、九八年度分のものでした、書類はありませんでしたというふうになったらどうするんですか、これ。責任とらなきゃならないですよ。書類は廃棄されてしまいましたと。」というふうに、まさに実は想定をしているんですよ、こういうことを。どうせそうなんだろうな、信じたくないけれども、もしかしたらそんな体質かもしれないなと思って言っているわけですよ。それがそのままこのとおりじゃ、余りに情けないじゃないですか。これは本当に情けない話ですよ。

 各都道府県警におきましては、会計文書の保存期間を延長するか否かについて都道府県警で判断するけれども、指示をしたいというふうに公安委員長はおっしゃられた。ただ、僕は、静岡県警で聞いたとき、何かおかしいなと思ったことが二つあったんですね。一つは、どうやら文書で届いていなかった、電話連絡で来たということがありました。もう一つは、会計課長の名前で来たということがありました。なぜ電話連絡そして会計課長という形をとったのか、その理由を教えてください。

吉村政府参考人 三月二十四日に、十六年三月三十一日に保存期間の満了する平成十年度の会計文書については、当分の間、保管を継続していただきたい旨の電話連絡を行ったところであります。

 電話連絡の方法により伝達を行いましたのは、従前も申し上げておりますが、年度末まで残りほとんどないということで、警察庁の附属機関、地方機関あるいは全都道府県警察に対して、担当者に直接かつ迅速に趣旨を伝達するためでありまして、実際問題として、電話で受けた方はいわゆる電話受けのメモをとるわけでありまして、それをまた次の所属に連絡をしていくというやり方をとっておりますので、まず迅速にやるために電話で連絡をしたということであります。

 それと、重ねて、その時点では、三月二十九日に臨時で全国の総務・警務部長会議を開くことを予定しておりましたので、この場でも重ねて言うことができるということもあり、電話連絡の方法をとったということであります。

 ただ、いろいろ御指摘のとおり、三月二十四日以降も十部局十七所属においてこの種の会計文書が廃棄をされているということでありまして、これの最も我々として反省すべき点は、いわば、警察庁においては、伝達の直接の相手方に伝達したことは把握をしているわけでありますけれども、その相手方がさらにその先まで伝達したか否かについては十分に確認をしなかったという点については、これは反省を要すると思っております。

泉(健)委員 全くの笑い話ですね。今のこの時代に、メールもあればファクスもあるわけですよ。ましてやファクスであれば、メモなんかで伝言ゲームをする必要は全くないわけですよね。一斉送信ができるわけですよ、ファクスであれば。後ろの方も笑っていますよ。

 官房長、この時代に、何で一軒一軒電話をしなきゃならないんですか。ファクスだったら一回で済むでしょう、一斉送信で。警察にはもしかしたら一斉送信のシステムがないわけですか。ボタン一つで登録もされていないというわけですか。これは本当におかしな話ですよ。指示をした会計課長、責任をとってもらわなきゃならないかもしれないですね。

 我々、見ていますよ。委員全体として。警察がどうちゃんとした責任をとるのか、見ていますからね。そのことを忘れないでおいてください。

 さらに聞いていきたいと思いますけれども、さまざまな文書廃棄があったわけですが、ここについての、今個別で随分と数が挙がっていますけれども、処分、大変残念なことですが、やはりだれかには責任をとってもらわなければならないということで、処分をどのように考えられているか、委員長、お答えください。

小野国務大臣 お尋ねの文書亡失あるいは誤廃棄につきましては、現在、警察庁及び関係都道府県において詳細な事実関係を調査中でございます。調査結果に基づきまして、それぞれの部局で厳正に対処してまいる、そのように承知をいたしております。

泉(健)委員 たしか、先行して幾つかの事例が明らかになって、それはもう既に戒告ですとか注意がなされていましたね。それはそれぞれの部局でされているわけですけれども、その調査というのは何も中央で把握する必要はないわけで、処分はどんどん出てきてしかるべきだと思うんです。なぜそれは出てこないわけですか。

吉村政府参考人 一連の会計文書の廃棄につきましては、御承知のとおり、九州管区警察局における会計文書の廃棄事案については、四月の十六日に、当時の九州管区警察局の総務監察部会計課長等を戒告処分等としているわけでございます。

 今大臣から御答弁あったとおりでありますが、事実関係を調査中でありまして、これはもちろん、警察庁の場合もありますし、管区も、あるいは都道府県警察の場合もあります。そこの担当の監察部門が任に当たっているわけでございまして、事実上、この種のものについて、警察庁にも、どのような処分を下すのかということについて事前に連絡をよこすようにやっております。もちろん、主体的にはそれぞれ都道府県警の分については都道府県警がやっていくことになると思いますが、結果として、きょう現在ではまだ処分例は出ていないということであります。至急にやりたいと思っております。

泉(健)委員 そうですよね。考えてみたら、警察庁そのものにもあったわけですから、やはり至急に処分をしていただかなくちゃならないと思います。

 先ほどの話にちょっと戻りますが、委員長、今度から、何か問題が起こって、それに対して対策をするというときは、もう部長名や課長名じゃだめなんだと思います。やはり、長官名なのか官房長名なのか、最低それですよね。できればやはり公安委員長という形でしっかりと各部局にも命令をしていただかなければ恐らく聞いてもらえないんだろうな。あるいは、警察の中でしんしゃくをされて、この命令は軽い、重いというものがあるのかもしれません。やはり委員長にみずからやっていただく。

 その命令を破れば、それは当然破った側にも責任がありますし、それが国民の生活、財産に大きな影響を与えれば委員長自身の責任にもなるということだと思いますので、やはり文書の発信に関しては、ここはしっかりと責任をとれる形でやっていただきたいと思います。

 今の処分の件なんですけれども、お伺いをしたいと思います。通常、公文書、会計書類の廃棄はどのような規則に反することになるんでしょうか。法律でも結構です。

吉村政府参考人 文書廃棄あるいは亡失、いろいろな対応がありましょうから、個別ケースで、どのような事案なのか、どういう点が責任があるのかということを究明していく必要があろうかと思いますが、規則というのは、にわかにはちょっと今思い及びませんが、刑法では、二百五十八条で公用文書等毀棄罪という罪名が定められておりまして、「公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。」と定められているところであります。

 ただ、具体的にこの条文に当たるのかどうかということについては、これは十分慎重に検討し、当てはめを考慮していかなければならないと思います。

泉(健)委員 もう一つお伺いしますが、規則に違反をするということは、警察の中での処分として、懲戒免職から注意まですべて、ケースによってはあり得ると考えてよろしいですか。

吉村政府参考人 文書管理の規則は警察庁に限りますとあるわけでありますけれども、そこにはいろいろ手続規定が定められております。結果として廃棄に、あるいは亡失になったということは何らかの原因があるわけでありますけれども、この原因をどのようにとらえるのか、懲戒処分に該当するのか、あるいは事実上のおとがめにとどめるのか、不問なのかということについては、そのケースケースで判断をしていかなければならないものと思います。

泉(健)委員 しかし、今おっしゃっていただいたように、どこの都道府県警にも何らか、警察行政文書管理規則、あるいは公安関係の行政文書管理規則というものがあるわけですね。そこそのものに、その文章、条文に処罰について書かれているわけじゃありませんが、警察としては当然、規則違反に関する対応というものが通常あるというふうに考えます。ですから、これは当然そのうち、個々のケース、処分が下されるものだろうなと。

 ただ、そこで私は一つ申し述べておきたいのは、先行して出された事例について、一度、院内で警察の方から話を聞きました。九州管区だったと思います。その九州管区の話を一生懸命、まさに警察庁の職員の方が、あれは故意じゃなかったんです、故意じゃなかったんですとただひたすら言い続けるんですね。何をもってそういう判断をされたのかよくわかりませんが。ましてや、それを九州から又聞きのような形で聞いて、一応意見を聴取したという話ですけれども、その本人がやった行為については、全く故意ではない、故意ではないから全く問題がなかったんだという言い方をしているわけです。今後予想されるのが、個々のケースでこういう対応をされるということです。

 もう我々は予想済みです、そういうことは。ですから、真摯にその点についてもやはり考えていただきたいと思います。想定どおりの紋切りの答え方にならないように、それこそ国民の信頼を大きく損なうのか、それとも、やはり警察というのはちゃんと対応したんだというふうになるのか、分かれ道だと思いますよ。そこを国民は見ていますからね。悲しいですけれども、しっかりとした処分が必要かというふうに思います。

 そしてまた、警察の方が二〇〇四年の四月十五日に何か指針というか基準を変えられたというふうにお伺いしています。これまでは、免職、停職については公表をしていたという形になっていると思います。減給、戒告、訓戒、注意、これについてはこれまで公表されてこなかった部分もあったというふうに思いますが、たしか四月の十五日に、職務上に関するものについては原則公開というふうになったと聞いています。それでよろしいでしょうか。

吉村政府参考人 お尋ねは「懲戒処分の発表の指針」のことかと思います。

 「発表を行う懲戒処分の種類」として、従前は、「職務執行上の行為及びこれに関連する行為に係る懲戒処分。ただし、減給又は戒告の処分で国民との直接的なかかわりを有さない内部的行為に係るものを除く。」これが(一)です。(二)で「私的な行為に係る懲戒処分のうち停職以上の処分」。(三)として「(一)及び(二)に掲げるもののほか、行為の態様、行為の公務内外に及ぼす影響、職員の職責等を勘案し、国民の信頼を確保するため発表することが適当であると認められる懲戒処分」。この三つになっておったわけでありますけれども、日にちは四月の十五日かどうか、ちょっと私も失念をいたしましたが、改正をいたしまして、(一)の「職務執行上の行為及びこれに関連する行為に係る懲戒処分」ここで切りまして、ただし書きをとったという改正を行っております。

泉(健)委員 そうしますと、恐らく、こういった文書管理規則があり、そしてまたこの規則に違反をしたということであるわけですから、これは一つ一つが公表をされるものなんだろうなというふうに思っております。それも含めて国民はしっかりと見ているということを知った上で、さまざまな処分を行っていただきたいと思います。

 各都道府県、職務の、服務に関する訓令ですとか、さまざまなものもございます。恐らく、この訓令もちゃんと運用されれば、各都道府県における訓令違反ということにもこれはつながっていくのではないのかなというふうにも思います。

 この文書廃棄について、いろいろと対策を警察の方で考えられたというんですが、私は非常に疑問なんですね。もう以前からちゃんと対策はというか、いいかげんな扱いをされないように法律はちゃんとつくってあるわけですね、細目は。文書管理の規則はつくってあるわけですよ。だから、今さら改めて対策どうこうなんという話ではやはりないんですね。

 例えば、読んでみましょう。これは愛媛県警の文書管理規則第四十九条の二です。「保存期間が満了する前に文書を廃棄する場合は、廃棄する文書の名称、廃棄の理由及び廃棄した年月日を記録しておかなければならない。」と書いてあるわけですね。

 山梨県公安委員会行政文書管理規則第十六条の三、「行政文書ファイル管理簿は、年一回以上定期的に更新するものとする。」要は、ちゃんと点検をしなさいということが書いてあるんですね。

 次は、京都府公安委員会。「京都府警察本部長は、公安委員会の文書の管理に係る次に掲げる事務を行う総括文書管理者を指定するものとする。」文書管理者がいるわけですね、そして「本部長は、あらかじめ指定する職員に、総括文書管理者の職務を補佐させることができる。」責任体制も非常に明確になっております。逃げられないようになっているわけですね。この文書管理者がだれだったのかということが今後問われてくると思います。

 そしてまた、「委員会が保有する公文書は、次のとおりとする。」というふうに四つ区分が分かれていまして、それぞれ、五年とか三年とかというふうに書いてあるわけですね。

 そうしていくと、今回失われた資料が、捜査費現金出納簿、捜査費証拠書類等といろいろな文書があるわけですけれども、この文書、ここに、まさに警察が出された文書の中で、すべてこれは保存期間五年ということでよろしいですか。本来の保存期間。

吉村政府参考人 済みませんが、どの文書が五年ということでございましょうか。

泉(健)委員 「警察における会計文書の亡失・廃棄事案について」に書かれている捜査費現金出納簿、捜査費証拠書類、旅行命令簿、旅費請求書、支出関係の証拠書類等の支出関係文書並びに物品取得書、物品供用書です。

吉村政府参考人 国費に係ります会計文書、つまり旅費関係あるいは捜査費関係、今読み上げられた文書等については、これは警察庁として五年と定めておりますし、都道府県で執行する場合も五年であります。

 ただ、先ほども申し上げましたけれども、都道府県の旅費等についてどのような定めをしているかということについては、一律に五年というふうになっているわけではございません。

泉(健)委員 理由が三つ書いてあります。「他の不用文書廃棄作業中に誤って廃棄」「保存期間を誤認したことによる廃棄」「庁舎移転等に伴う文書整理中の亡失」ということで書かれております。

 先ほどうちの委員からもありましたけれども、これはぜひ細かく、何に該当するのか。庁舎移転だって、数は限られているわけですから、当然はっきりしてくるわけですね。これが何に当たるのかもしっかりと資料を出していただきたいというふうに思います。

 先ほど、山梨県警、例えばで挙げました。これはもうどこの都道府県も一緒なんですけれども、「行政文書ファイル管理簿は、年一回以上定期的に更新する」。

 その行政文書ファイル管理簿というのを私、打ち出してきました。これは公開されているんですね。それを見ますと、これは恐らくファイルの先頭に多分穴があけられてとじられているのだと思うんですが、見ていると、ファイル名はもちろん、作成(取得)時期、保存期間、保存期間の満了時期、媒体の種別、保存場所、全部表になってここに明記をされている。間違えようがないんです。間違えるわけがないんです。

 幾らファイルがどさっとあったとしても、一ページをめくればこれがあるんです。間違えるわけがないと思いませんか、委員長。

小野国務大臣 そのファイルが全部についているわけではないのではないかと思いますけれども。(泉(健)委員「いや、ついているんですよ、規則に書いてあって、ついているんです」と呼ぶ)

 規則としてはそういうのがあるかもしれませんけれども、一枚一枚がファイルの上についているということではないところに、残念ながら間違いが起こったのではないかと今推察をしております。

泉(健)委員 警察の側、ちゃんとした答えがいただけるところはありますか。

吉村政府参考人 ファイル管理簿ではっきり明示はされておるわけでありますが、実際に、全国の警察に相当の所属、三千を超える所属がありますし、その一人一人の職員が間違いを生じないように、そこに書いてあることを、例えばファイルの背表紙にきちんと何年何月まで保存とか、明示的に、目で見えてすぐわかるようにそれをしていこうということで、今回、通達を出したわけであります。

泉(健)委員 いやいや、文書というのは、各都道府県警で、捨てられる人間というのは決まっているのじゃないんですか。だれでも捨てられるんですか。だれでもが見て、それを見逃したから捨てられるなんという話じゃないですよね、捨てる人間はちゃんと決まっているんじゃないですか。

吉村政府参考人 ですから、それは恣意的に捨てることができないのは当然のことでありますが、廃棄のときに、警察庁における文書の管理に関する訓令では少なくとも廃棄の手続を細かく定めているわけではありませんでしたから、事前に責任者の決裁をとって、別の人間を立会人に指定をして、その立ち会いのもとに廃棄をさせるという、手続面での間違いをなくそうということを今回打ち出しているわけであります。

泉(健)委員 そうしますと、大変残念ですが、九州管区の事例のときに我々は、だれがそこに携わっていたのか、どのシュレッダーを使ったのかまでお伺いをしました。本当はこんなことまで聞きたくないんです。でも、残念ながら、今の状態であれば、どなたがこれを捨てられたのか、そしてこの行政文書ファイル管理簿というものがついていたのか、いないのか。そのものにというよりかは、例えば旅行命令簿であれば、つけることになっていたかどうかはわかるわけですね。

 今委員長がおっしゃられたように、ついていないものもあるかもしれない。では、それを百歩譲ってのみましょう。ついていないものがあるかもしれないから、では、確実にこの文書にはつけられることになっていましたというものがどれなのかは出せるはずです。規則上は旅行命令簿にはこの管理簿はつけることになっていましたとか、そういうことは出せるはずですよ。だから、それも全部出していただくように理事会の方にお願いをしたいというふうに思います。

 よろしいでしょうか、委員長。

山本委員長 理事会で協議します。

泉(健)委員 とにかく、本当にひどいものです。約束を守っていただいたということで、私は、実は選挙区でも、あるいはさまざまな演説でも言っていたんです、警察は今こういうふうに対応してくださっています、やはり言えば変わるんですとせっかく言っていたんですよ。そうしたら最近、周りから電話がかかってきて、何だ、おまえの言っていることは全然違うじゃないか、何やあそこでもあそこでも捨てられているらしいな、おまえは何をしてたんやと。本当に笑われているわけですよ、我々は。内閣委員がそうだと思いますよ。政治をわかっている方、きっと内閣委員が、委員会として、こういう質疑の中で国家公安委員長に言い、そして委員長の指示のもとに、せっかく文書の保全、出たにもかかわらず、これだけ廃棄されていたら、もうここにいるすべてが笑い物ですよ。

 次の問題に行きたいと思います。

 以前、捜査費の問題で、捜査費が激減をしたことについて、警察あるいは国家公安委員会から、幾つかの理由の説明というのがございました。私はもうはなから、その説明は国民には笑われますよということを言ったわけですけれども、ここで改めて読み上げますと、犯罪がたくさんふえたために初動捜査がたくさん出てきてしまって手が回らなくなってしまったから、内偵捜査まで手が回らなくなったので捜査費が減った。そして、都市化と核家族化の影響によって十二年度から急に捜査費が減ったという点。そして、国民から警察に寄せられる相談件数が物すごくふえたので警察活動に影響を与えたということも言っているわけですね。あるいは情報公開条例等々書いてあるわけですけれども。

 ここの、国民からの相談がかなりふえたので警察活動に影響を与えたということは事実でしょうか、委員長。

小野国務大臣 平成十五年中の相談……(泉(健)委員「いや、事実かどうかです、警察活動に影響を与えたかどうか」と呼ぶ)

佐藤(英)政府参考人 警察の実務のことでございますので、私の方から御答弁申し上げます。

 確かに、相談件数がふえれば、それへの対応というものもございましょうし、窓口での対応もございましょうし、その調査を行うということも必要でございましょうし、影響は大きなものがあるだろうとは思います。

泉(健)委員 警察が出された資料で、例えば、全体の件数でいうと、十四年が百五万件だったのが、今回、十五年で百五十一万件、確かに物すごくふえているんですね。各相談センターも、本当にひっきりなしに業務をされていて大変だというふうに私も聞いております。特にその中でふえたのは、五十万件近くふえた中で、何と実質その九九%と言っていいぐらい、悪徳商法の相談内容、これが、十四年度が六万五千件だったんですね、十五年度は五十二万七千件、増加率七一一・六%。もうすごいことになっているわけですね。

 と考えたときに、警察が措置状況というものを出しているんです。全体の百五十一万件のうち、助言・指導が百十六万七千件。七七%が助言・指導というものなんですね。その他いろいろあるわけですね、警告・説得、他機関への教示、検挙・補導等々あるわけですが、検挙・補導なんかは〇・五%だけです。

 助言・指導というのは、具体的にどういうことをされているんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、平成十五年が、平成十四年と比べまして、とりわけ悪徳商法などがふえたということでありますけれども、例えば、悪徳商法の具体的な中身といたしましては、一つは……(泉(健)委員「助言・指導の内容です」と呼ぶ)ですから、内容としましては、架空請求メールというのが大変ふえたというのがその内容であるわけでございますけれども、架空請求メールが来たけれどもどういうふうにしたらいいだろうかというような相談が実はふえておるわけでございます。

 そうしたときに、架空請求メールにつきましては、これは、全く身に覚えのないものであれば、このままほっておいてよろしいですよというようなことを申し上げるのが助言・指導ということでございまして、具体的な相談に対して、どうすればいいかという相談もありますので、それを助言するというものでございます。

泉(健)委員 国民生活センターのこともお伺いしようと思って、きょうはそのことも一応通告をしておいたんですが、国民生活センターでは、例えば今言ったようなメールの架空請求というんですか、そういうものが来たときに、どのように指導されているかというのはわかりますでしょうか。

永谷政府参考人 もう先生御案内のとおり、国民生活センター、苦情相談を受け付けて、必要に応じてあっせん等をするというのが基本的な業務であります。

 したがいまして、仮に架空請求が来た場合にどういうような助言をするかということでありますけれども、とりあえずは、架空請求の場合には、その事業者に連絡をとったりするなというようなことを一義的に申し上げている、そういうようなことをやっております。

泉(健)委員 時間もなくなってまいりましたので、こちらから答えを言ってしまおうと思うんですが、警察改革要綱、刷新会議を受けて十二年の八月に出されたものの中に、八ページにこういう一章があるんですね。

 「住民からの相談に的確な対応を」ということで、「地域社会や家庭で本来解決されるべき問題が警察に持ち込まれる傾向が強まっていることも否定できず、この傾向を懸念する。警察本来の業務として取り組むべき切実な相談への対応を阻害するおそれがあるからである。従来、警察における相談業務は「困りごと相談」などと呼ばれてきたが、警察が対応する相談の範囲・限度について国民に多少なりとも具体的なイメージを持ってもらうような名称に変更することも一案ではないか」。それで、困りごと相談という言葉がたしかなくなったはずなんですね。総合安全相談とかそういった形になっているかと思うんです。

 しかし、実際の統計を見てみると、相談がどんどんふえているということですね。相談に対する対応も必要なんですが、この刷新会議の中で言っている、警察が対応する相談の範囲、限度について国民に理解をしていただくというところができているか。逆に言うと、全くできずに、もっと国民の期待がこっちに集まっちゃっているという状況だと思うんです。それで、委員長がおっしゃるように、「警察活動に影響を与えたと思われます。」これははっきり言っておられるわけですから、これはえらいことだ。

 国民にとって何が大切な仕事なんだ、警察にやってもらうべき仕事は何なんだといえば、治安の維持ですね。やはりしっかりとしなきゃならない。犯罪の抑止ですね。

 相談業務は、今のお話を聞いている限り、警察に対する相談の助言・指導も、国民生活センターに対して電話したときの助言・指導も、中身は全く変わらないわけです。全く今変わらなかったわけですね。だったら、警察の安全相談にかかわる部分というものの中身をやはりもう少し限定して、ちゃんと、こういったものに関してはこれから国民生活センターで我々がやりますよと生活センター側も言い、警察の側も、こういった件に関しては生活センターというものを有効利用してくださいよとやはり言うべきじゃないのかなというふうに思うんですね。

 委員長、いかがですか。

小野国務大臣 議員御指摘のとおりでございまして、警察安全相談員の充実あるいは相談員に対する研修の充実等々を図ってまいる所存でございますけれども、今御指摘がありましたように、警察業務以外の分野の相談も結構多うございますので、そういった点は、丁寧に、そちらの方の御協力をいただいていくということになろうかと思っております。

泉(健)委員 これはぜひ国民生活センターの方にも連携をとっていただいて、警察の方の文書には「消費者センター等関係機関・団体等との連携の推進」というふうに一行入っておりますので、これは非常にいいことだと思います。しかし、生活センターとして、警察に今これだけの相談件数が来ている実態をどうとらえるか、やはり真剣に議論していただいて、警察に相談業務の負荷がかかってしまわないように、ここの対処をお願いしたいと思います。またこれは今後、追って話を見ていきたいというふうに思っております。

 そして次に、食糧費についてお伺いをしなければなりません。

 警察には需用費というものがあります。この需用費の中に食糧費というものがありまして、実は、この食糧費の額がずっとふえていっているという現状が今あるんですね。平成十五年で、全国、全部合わせますと四十五億円ぐらいまでにいっている。確かに、治安が悪化して留置をする人なんかもふえているということもありますけれども、そもそも、食糧費の使途、これが何なのかをちょっと教えていただきたいと思います。

吉村政府参考人 各都道府県警察の食糧費は、おおむね、今お話がございました留置人に対する食糧費、二番目に捜査あるいは警備活動における警戒時等の食糧費、その他として三つ目に来客用の弁当代、外部団体との懇談会における食糧費、会議用茶菓代などであると承知をしております。

泉(健)委員 今、五つほど分かれたというふうに思います。これはそれぞれ細かく統計はとられていますでしょうか。

吉村政府参考人 今申し上げましたのは、典型的に食糧費としてこのようなものが考えられるということでありまして、例えば留置人に対する食糧費も、都道府県によってはいわゆる食糧費費目ではとっていない県もありますし、今現在で、私どもとして、都道府県ごとに今お示ししたような費用ごとの数字を持ち合わせているわけではありません。

泉(健)委員 この食糧費がふえている原因について、留置者がふえている以外にもし何かあれば教えてください。なければいいです。

吉村政府参考人 恐らく一番関連してくるのは、今お話のありました留置人の食糧費、留置人がまさにどんどんふえておりますから、それに伴いまして留置人の食糧費はふえていると思います。それで説明できる部分があると思いますが、それ以外にどういうものがあるのかということはちょっと、数字がありませんのでわかりかねます。

泉(健)委員 やはり我々、しっかりと警察行政、これは公安委員会が管理をする話なので、本来は公安委員会が自主的にやっていただきたいんですが、今こういった警察不祥事が相次いでいますので、もちろん治安の問題もありますけれども、この食糧費が今おっしゃられたように具体的にそれぞれあって、やはり飲食に係る部分というのは、我々政治の世界でもそうですけれども、厳正に、政党助成金というものの、細かく提出をしなければならない、あるいはそういう会計文書を保存しなければならないというふうになっておりますので、警察の方でも、この食糧費というものに関して、まず、やはり今おっしゃったような主要な項目は少なくとも今後は統計をとっていただきたいというふうに思っておりますし、そうするべきだと考えておりますが、そこは御検討いただけますでしょうか。

吉村政府参考人 各都道府県の状況をこちらとして把握する必要がありますので、検討したいと思います。

泉(健)委員 ありがとうございます。この検討というのは、今国会から、国会においてはしっかりと、本当に検討するということだと思いますので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。(発言する者あり)いや、検討はしないということだとよく聞きますので、それもないようにというふうにお願いをいたします。

 法務省にきょうお越しいただいております。留置人と拘置をしている人の待遇は基本的には変わらないということでお話をお伺いしておりますけれども、例えば一日当たりの食費の単価、こういったものは変わらないということでよろしいでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 基本的には変わっておりません。(泉(健)委員「単価はどれぐらい」と呼ぶ)

 十六年度でよろしゅうございましょうか。食糧費、食費は、被疑者、被告人が四百九十二円でございます。それから成人受刑者が約で申し上げると五百二十円、それから少年受刑者が六百二円ということになっております。

泉(健)委員 それは一日ですか。

横田政府参考人 一日でございます。

泉(健)委員 一日ですね。それを含めて、管理費全体としては一日幾らですか。

横田政府参考人 お尋ねは、国が都道府県に支払う警察実費弁償金のことだと思いますが、その意味での管理費は、平成十六年度は二百五十七円でございます。

泉(健)委員 市民オンブズマンおかやまが、これは平成十三年度ですけれども、県警の食糧費の開示一覧というのを出しているんですね。そうすると、請求書の内容、これはここに表があるわけなんですが、昼食代、単価四百十八円。朝昼夕食代、これも単価が四百十八円。要は、毎食毎食四百十八円ということになっているわけなんですね。ですから、これを通算すると千三百円ぐらいになるわけなんです。警察の方、ちょっと説明していただけますか、どういうことかというのは。

 では、ちょっと質問を変えますね。警察の方では、留置をしている人に対する食事の単価というものはどうなっていますでしょうか。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 逮捕されて勾留前の被留置者に支給する食糧に要する経費は、国庫補助の対象となっておりまして、その単価基準は、十六年度予算において、一人一日当たり千百八十二円となっております。この額については、主食、副食、人件費や光熱水料の別に、毎年度物価の変動等を踏まえた上で算出をしているものであります。

泉(健)委員 ちょっと怪しい部分が残るというか、一件一件は非常に細かい話なんです。ただ、全国を通算するとこれは四十五億円という話ですから、やはり大きな話なんですね。そういう部分が留置をしている人たちに対してあり、でも、それ以外にも会議費ですとか昼食代とかいろいろ書いてあります、確かに。パンや昼食代、幕の内弁当、緊急の場合の弁当代、これは単価七百円になっていますけれども、そういったことがあるわけで、四十五億円の細かな部分というのは今後解明をしていかなければなりません。

 もう時間がありませんので、これだけ質問したいことがたくさんあるということはやはり覚えておいていただきたいと思いますし、我々はこれまで、警察そして国家公安委員会、御努力をいただいて、あるいは我々の質問によって随分と進んだ部分もありました。我々も相当努力をして、各都道府県警を調査に行ったり、さまざまな提言もさせていただきました。ただ、基本的には、マニフェストにも書いてあるとおり、やはり治安の回復、警察の信頼回復、これを本当に心から祈っております。応援をしております。

 ですから、そういった意味で、警察、公安委員会には誠実に今後とも対応をお願いしたいというふうに思いますし、そういった中で、ともすれば治安の悪化を理由に、これはどこの省庁も同じですが、問題があればそれに対応するということで組織を膨らませるという傾向がどうしても出てくるものですから、その辺も御留意をいただきながら、今後とも一緒に、この警察改革、頑張っていきたいというふうに思います。

 我々としては、これだけ課題も山積をしている、そしてまた会計文書の調査もこれから実態が明らかになっていくということでございますので、閉会中の審査もやはり要求をしていかなければならないということも思っております。そういったことも含めて最後に申し伝えまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私、会計文書廃棄の問題から質問をしたいと思います。

 三月十九日のこの内閣委員会で、警察庁の会計課の人が都道府県警察への会計検査院の検査が入る前に出張をしていたという事実を確認しました。それから、その出張が裏金隠ぺいの操作を指導するためという、こういうことは以前から警察の幹部の方たちのお話などでありましたから、そこで私は、やはり警察庁の会計課の方の旅行命令書の提出が必要だ、こういうことを主張しました。そうしたら、警察庁会計課の旅行命令簿は、私が提出を求めたのは三月十九日なんですが、三月二十四日の警察庁の保存せよという指示が出される前に廃棄処分されているんですね。

 提出を求めている書類をなぜ廃棄したのか、これを最初にまず伺っておきたいと思います。

    〔委員長退席、大口委員長代理着席〕

吉村政府参考人 警察庁の会計課での平成十年度の旅行命令簿の亡失の関係でございますが、これは先ほど申しましたように、十二年十二月の庁舎移転の際に恐らく紛失したのであろう、その可能性が高いと見ているところでございます。

吉井委員 私が三月十九日にこの旅行命令書の提出を求め、そして三月の二十四日には警察庁の方が保存せよという指示が出される、その前に廃棄されているんですね。今のお話は、それは庁舎移転のときの話だということなんですが、本当にそのときに紛失したのかどうか自体が何にも明らかになっていないんじゃないですか。

 それで、そのときに紛失ということなのか、あるいはそのときに実は紛失じゃなくて焼却していたのかとか、やはりこれはきっちりしなきゃいけないんです。実は紛失もしていないし焼却もしていない、しかし国会に提出を求められてくると都合が悪いから慌てて廃棄したということになるのか。やはりそれは、官房長、ちゃんと明らかにしなきゃいけないんじゃないですか。

 大体、紛失というのならば、その会計課の方が、例えば捜査の支出が適正かどうかということも含めて、仮にその調査で出張をされるときの出張命令であったとすると、これはやはり、逆に被疑者のプライバシーなんかにもかかわってくる非常に大事な問題も出てくるんですね。あるいは、紛失となると、警察行政の問題が明るみに出るようなことにつながるかもしれないですね。だから、簡単に紛失だということでもともと済ますことはできないと思うんですよ。さっきから話を聞いていますと、何か気楽に、あれは紛失でしたと。そんないいかげんなことかいということになりますね。

 それから、焼却となると、一体、その焼却処分は基準に合っていたのかどうか、だれが責任を持って焼却を命じてやったのか。ちゃんとしないことには、それは庁舎移転のときの紛失ですと、そんな一言で済むような話じゃないと思うんですね。

 これは、官房長、ちゃんと答えてくださいよ。

吉村政府参考人 会計課の平成十年度の旅行命令簿につきましては、ただいま申しましたように、三月の中旬に確認をしたのでありますけれども、発見に至らないということで、その後も、現時点でも捜してはおりますが、十二年の八月に当該旅行命令簿が存在をしていたということは確認をされておりますので、そうであれば、十二年暮れの庁舎移転時に紛失した可能性が高いということまでは言い得るわけでありますけれども、これから先はいかんとも事実の解明ができないというのが実態であります。

 ただ、先ほども申し上げましたが、会計課の旅行命令簿はこういうことで今現在現存していないわけでありますけれども、十年度の会計課の旅費請求書、これは別途ありますので、それをチェックすれば旅行の実態はわかるということではございます。

吉井委員 私は、長官、あのときの紛失がどうだの焼却はしたかもしれないとかいろいろあるにしても、しかし、国会の方で、内閣委員会で問題になってきて提出を求められている書類を、警察庁の保管しなさいという指示の前に廃棄処分が行われていたということは、これはやはり証拠隠滅と言われても仕方がないことじゃないか。やはりそのことだけは、そういう証拠隠し、証拠隠滅と思われるようなことは、これは絶対やっちゃならぬということだと思うんですが、ここはちょっと長官に伺っておきたい。

佐藤(英)政府参考人 そのような見方をされる可能性のあるそういう結果があったということは、まことに意外、心外でございまして、我々として、遺憾に存ずる、そういうことであったと思います。

 本来、そのような書類が保存されていないということはあってはならぬわけでございまして、その点については、御指摘を受けても、我々としても、本当になぜだということを申すしかないのが実情でございます。

吉井委員 残っているもの等で、要するに、会計検査院の検査の前にどのように会計課の方は出張して指導したかとか、それはきちんと我々も解明していきたいので、既に、残っているものについてはあるというお話ですから、改めて、これは提出がなされて、委員会を挙げて解明できるように、これは委員長の方でもその解明のために努力するということをまずお約束いただいておきたいと思います。

大口委員長代理 理事会で協議いたします。

吉井委員 それで、長官に重ねて伺っておきますけれども、足元の警察庁での会計文書廃棄という問題は、三十四部署のうち、会計、人事、旧国際一課、旧国際二課、旧薬物対策課の五課ですね。旅行命令簿、これは提出を求めたものですが、捜査費証拠書類が廃棄されました。

 こういうことが、警察庁の中で大量に廃棄されているということについては、警察庁長官自身が、あってはならないことだというお話だけじゃなしに、やはりこのことについてはあなた自身に直接の責任が問われてくることだ、その自覚を持って対処されることが必要だと思うんですが、この自覚について伺っておきたいと思います。

佐藤(英)政府参考人 我々としても、極めて遺憾でございますし、また、まことに申しわけないことだと思っております。

 ただ、先ほどもるる申し上げましたけれども、今回明らかになったことは、ある意味、我々の文書管理及びその保存期間を徒過した文書の処分も含めましてでございますけれども、その文書管理全般が厳正を欠いていたということが明らかになったということでございまして、そのようなことが今後ないようにしなければなりませんし、その間の状況をつまびらかにしていかなければならないと思っております。

 今なお調査中のことでございますので、それを経て、今後の対処についても考えていくべきものと思っております。

吉井委員 警察庁内部のいろいろな規則にしても、あるいは、各県警本部への文書保管に関する指示を出したり、基準を示したり、これまでからしてこられて、会計書類は五年間保存というふうになっていますね。大体、皆さんの指示に基づいて、各県警の文書管理に関する訓令、この中では、文書保存期間の指定についての基準表を示しています。その中で、五年というのは、予算、決算、出納、物品管理、監査に関する会計文書、全部五年としているわけですね。だから、廃棄の基準はもう明確なんです。管理もシステムも、これは明確なんですよ。

 それなのに、五年以内の文書を一番激しく廃棄処分したところ、昨日いただいた文書を見ていると、警察庁と北海道警が一番激しいですね。なぜ東京と北海道は保管期限を守らないのか。ちょっと、これは官房長、説明してもらえますか。

吉村政府参考人 お尋ねは警視庁と北海道警だと思いますが、まず、警視庁につきましては、三月二十四日の指示連絡後に誤廃棄を行った一所属がございますが、この一所属を含む六十五の所属において、亡失・誤廃棄が確認をされております。中でも、平成十三年度分の都費の旅費関係文書の亡失・誤廃棄が三十八所属と多く見られるところであります。

 この理由につきましては、平成十三年度分の都費の旅費関係文書の誤廃棄が多いことにつきましては、十五年四月に都費の旅費関係文書の保存期間が一年間から三年間に変更されておりまして、その結果、平成十五年三月三十一日に一年間の保存期間が満了する平成十三年度分の旅費関係文書についても一年から三年に変更いたしましたので、保存期間は平成十七年の三月三十一日まで保存することとされたものの、これがどうも部内に徹底をされておらず、誤廃棄をされたものであるという報告を受けているところであります。

 二番目の北海道警でございますが、北海道警では、指示連絡をした以前に、二十一所属で亡失・誤廃棄がなされております。

 道警において、会計文書を亡失・誤廃棄した二十一所属のうち十六所属においては、他の不用文書廃棄中に誤って会計文書が廃棄をされたものと報告を受けておりますが、さらに、その十六所属のうち十四所属においては、会計年度で管理する会計文書と暦年で管理するその他の文書との混同による保存期間満了前の誤廃棄が生じやすい、いかにも生じやすい二月に文書の一斉廃棄が行われておりまして、この際にあわせて廃棄をされたというようなことでもありまして、こうした文書の廃棄方法が誤廃棄の原因となっているものと考えられるところであります。

吉井委員 北海道と東京が突出しているんですね。期限が変更だ何だの話ではとても説明がつくような話じゃないんですね。期限が変わればこういうことはよく起こり得るものだというんだったら、全国みんな同じことになるでしょう。そうじゃないんですね。

 それで、法令や規則に定める五年間保存にも、三月二十四日の警察庁指示にも反して、会計文書が全国の警察全体の四分の三の部局で廃棄されていたことについて、これは余りにも異常なことなんですが、長官は、こういう問題について、長官が指示しようが、規則を定めようが、保存期間を明示しようが何しようが、さっぱり守られないといいますか、四分の三の部局で堂々とと言ったら変ですが、実際、堂々と廃棄が進められてきた。やはりこういうことについての警察庁としての責任、全体を見ておられるわけですから、長官はこの責任をどういうふうに考えておられますか。

佐藤(英)政府参考人 文書管理について思い起こしてみますと、やはり点検、しっかりと保管管理されているかということの点検でありますとか、あるいは廃棄の際にその時期を、今説明がありました例をとりますと年度内の二月にやっている、それを年度を越してやるべしということなども含めまして、そういう廃棄の手続について我々として厳格に関心を持って見てこなかったなという、そのような反省を深くしているところでございます。

吉井委員 これははっきり言って手続だとか点検や時期の問題じゃないということを、私は、そこを一番踏まえてもらうということが責任というものを考えていく第一歩だと思っているんです。

 官房長にこの機会に伺っておきますが、廃棄件数というのは公表したものだけで、このほかにはこれからもう一切出てこないということでいいんですね。

吉村政府参考人 警察庁による指示連絡が三月二十四日でございますが、これ以降に会計文書を廃棄した部局は十部局十七所属であります。それ以前に会計文書を廃棄していた部局は四十五部局三百十二所属であります。四十五部局三百十二所属をまとめるに当たりましては、五月三十一日現在で取りまとめたものであります。

 この後、今後一件も出ないのかということについては、私どももそのように期待したいと思いますが、全く一件も出ないのかどうかということについて、ここで一〇〇%大丈夫というふうに申し上げる自信はございません。

吉井委員 もともと、三月二十四日に指示しても守らずに、後からぼろぼろ出てきたというのはわかったわけですから、今おっしゃったように期待したいというところで、今後もぼろぼろ出てくるということもあり得るぐらい大変な状況だ。

 こうなりますと、結局、裏金づくりにかかわったところがやはり証拠隠しをやっているんじゃないか、私は、こういうふうに国民の皆さんから不信を食らって当然の話になってくると思うんですよ。

 次に、この点にかかわって聞いておきますが、北見方面本部の捜査課では、国費、道費の旅費交付簿、出張命令書類が廃棄されていました。その北見方面本部の警備課の方は、証拠となる書類と事実を突き合わせて、領収書差しかえ事案と言われている事件が起こっていますが、これはもう調査ができたんじゃないかと思います。

 四月九日の私の質問に、官房長は、刑事事件の問題も含め、不正があれば厳正に対処するという答弁でした。あれからもう二カ月たっておりますから、調査の結果、要するにどういうことだったのか、伺っておきます。

吉村政府参考人 北見方面本部の警備課に対する会計検査の際に不適正なことが行われていたという案件についてのお尋ねでございますが、本件につきましては、五月十一日に北海道警察として報告を発表しております。この内容については触れますと長くなりますので省略をいたしますが、結論といたしまして、現在、それ以降、五月十一日以降としては、北海道警察によると、現在調査中でございますけれども、いまだ調査結果が判明するまでには至っておりません。

 ただ、北見事案については、会計検査院の検査に際してのものでもございます、事実関係を徹底的に究明していく必要があると私どもも考えておりまして、刑罰法令ももちろん念頭に置きながら、責任の所在を明らかにしてまいりたいと思っております。

吉井委員 同じ北見の方で出張命令簿等が廃棄もされれば、一方、問題になっていたところでは、要するに会計検査院を欺く行為が行われていた。これは尋常な話じゃないと思うんです。

 皆さんの方の調査で、警備課長らが事実を認めたということと、領収書の書きかえがあったこと、それから住宅地図の捏造が行われたこと、会計検査院ににせ文書の提出が行われたこと、こういったことが既に明らかにされておりますが、官房長は、そこまでこの二カ月間調査してこられたことに基づいて、国会答弁では刑事事件の問題も含めてというお話でしたが、これは刑事事件になるのかどうなのか、そういう点について現在どういう判断をしておられるんですか。

吉村政府参考人 ただいま申しましたように、道警におきましては当該事案を調査しておりますので、現時点ではまだこのようなことという結果が出ておりません。

 刑事法令ももちろん念頭に置きながら、責任の所在を明らかにすると申しておるわけでございまして、警察として、当然のことながら、刑事事件として取り上げるべきものがあれば刑事責任を問うことも視野に入れて適切に対処するところと考えておりますが、まずは、事案が、事実関係がどうだったのかということを一〇〇%解明することに尽きるわけでありますので、その作業を急がせたいと思っております。

吉井委員 警察庁からの御報告を聞いておりましても、もう警備課長さんは認めてはるんですね、事実を。そうすると、領収書を書きかえるとか住宅地図の捏造を印刷所に働きかけてやるとか、地図も変えれば、いろいろなものを印刷させたり、それを、会計検査院ににせ文書を警察庁を通じて提出したということですね。

 こういうふうな、およそ文書の偽造とか、そして会計検査院ににせ文書の提出、虚偽文書の提出とか、それは皆さんの方は最後まで調べぬとわからぬという話なんですが、一般的に言いますと、こういうのは刑事事件に当たるという判断ですか。

吉村政府参考人 事実関係、繰り返しになりますが、今調査をしておりますので、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、刑事責任を問うことも視野に入れて適切に対処するということでございます。

吉井委員 去年の秋からですが、北海道議会では去年の十二月議会でも日本共産党の議員がこれを取り上げてきましたけれども、北海道裏金問題の出発点になった捜査費の証拠書類。それから、多いのが空出張で裏金をつくるという旅費請求書や旅行命令簿ですね。空出張問題では、熊本県警や宮城県警、静岡県警の問題。静岡は東京高裁の判決のこともありますが、どこでも空出張が裏金づくりの一つの原資になっている。それから、支出関係文書、物品取得書、物品供用書など物品の購入等にかかわってくるものですね。

 私が、ずっと以前になりますが、昔、大阪の方で取り上げたことがあるのは、食糧費、会議費を使った空接待という、よその人を接待もしていないのに接待した形をとって裏金をつくるとか、これは大阪の方で、かつて行政の中でありましたけれども、まさに裏金問題にかかわる費目が、昨日いただいたこの資料を見ても、要するに全部と言っていいんですね。だから、裏金にかかわる費目が全部出てくるんです。

 ですから、潔白なら潔白を証明する上で、やはり警察としても一番都合のいい証拠書類になるはずなんですね。ところが、全国的に四分の三の部局で、捜査費証拠書類、旅費請求書や旅行命令簿といった裏金づくりにかかわりの深い証拠書類を一番多く廃棄している。やはりこれは裏金づくりの証拠隠しじゃないかと言われても、これではもう仕方がないと思うんですね。

 長官、こんなことを全国的にやっておったら、とにかく裏金づくりに一番かかわりの深い文書を全部廃棄されているんですから、そのほかのものが名前がほとんど出てこないんですね。これはやはり裏金づくりの証拠隠しと言われても仕方がないと思うんですが、長官、どうですか。

佐藤(英)政府参考人 誤廃棄・亡失をされました会計文書の中には、物品の契約に関する文書でありますとか、もろもろございました。しかし、そのような文書いずれであっても保存すべき期間は保存されてしかるべきということで、国家公安委員会におきましても、そのように疑われてもやむを得ない、そういう実情にあるのではないか、そういう管理実態でいいのかという厳しい御指摘を、各委員からも、また大臣からもいただいた次第でございます。まことにお恥ずかしい次第でございます。

 したがいまして、我々として、そういう実態が明らかになりました以上、これを速やかに是正、改善しなければならないということで、先ほど来るる申し上げたとおりでございまして、そのように実行してまいりたいと考えている次第でございます。

吉井委員 警察庁の指示もそうだし、長官の訓示も無視されているような、これは本当にひどい事態だというふうに私は思うんです。

 それで、これは、担当職員の認識不足だとか、監督不十分だとか、手続がどうだとか、保存期間の認識がどうだったとか、そんな話じゃないと思うんですね。これについてはやはり、しかも問題になってからも廃棄が行われるんですから、長官として、各県警に、資料は一応出てはいるんですが、いつまで保管しなければならなかった文書をいつ廃棄したのか、このことについて実態をやはりきちんと調べて、そして、証拠隠しと見られても仕方のないような事案があった場合にはその責任も厳しく問うていくという立場で、これは長官として調査し報告をする。廃棄の年度だけじゃなくて、いつまで保管しなきゃいけない文書をいつ廃棄したのか、これはきちんと調査し報告をするということを、警察庁長官の責任において全国にこれを指示もし、やっていただきたいと私は思うんですが、約束されますか。

佐藤(英)政府参考人 現在、そのような観点に立って調査を行っているところでございます。

吉井委員 では、調査をやっているということですから、必ずこれは調査して報告をしていただきたい。

 道警を突破口にして各地で表面化してきたこの裏金疑惑には、やはり一致するものがあるんです。それは、静岡その他で見られるように、空出張が原資であったりとか、架空の協力者の名前を電話帳から選び出すとか、北海道警や高知県警に見られたように、もう既に亡くなっている方の、死者の名前まで使うとか、亡くなった方にも失礼だし、そうまで亡くなった方の名前を使うのがお好きなのかなと思うような事態が事実としてこの委員会でも次々と出てきました。

 以前にも指摘しましたけれども、要するに、不正を認めたもの、不正が明らかになったことだけは事実を後からでもお認めになる。幹部のやみ手当などの問題だとかあるいは警察庁への還流とか、不正流用は認めない。不正の責任は下部の職員か警察官に押しつける。そういう姿勢がずっと続いてきていますが、やはりそこをどう打開するかということがないと、組織的裏金づくり、ばれたら証拠書類の隠ぺい工作に走っている、組織的関与ということが、国民の間でそのことが厳しく指摘されてくることになるのは当然のことだと私は思うんです。

 そこで私、大臣に伺っておきたいんですが、警察内部の不正は、組織をむしばんで、一線の警察官の士気をくじいてしまうことになっています。やがてはこれは社会の不安を、揺るがしかねない問題です。ですから、警察が国民の信頼を得られるかどうかという、まさに今、岐路に立っているんですね。何度もこのことはこの委員会で議論しましたが、警察庁の指示すらないがしろにされるようでは、もはや自浄能力はない、もう自浄作用に任せることができないんじゃないかというのは、そうなってきますよ。

 四年前に設置された警察刷新会議は、第三者による外部監査を検討したものの、捜査の秘密を理由に結局、提言からは外されています。しかし、今回の文書廃棄を見れば、やはり再生するには外部の人の目を入れる、これしかない。そのことに本気で取り組まないと簡単に再生はできないと思うんですが、これは小野国家公安委員長に伺っておきたいと思うんです。

小野国務大臣 外部監査の件のお尋ねかと思いますけれども、委員おっしゃいますように、警察の活動というのは、国民の信頼それから協力があって初めて達成していくものと私も承知をいたしておりますし、今回のさまざまな会計文書が適正に管理されなければならないということはもう言うまでもないことでございます。

 外部審査に関しましては、やはり警察のよって立つ立場において機密部分がございますので、その辺は、警察が内部の監察をしっかりするということをまず第一義的に行わせていただき、私ども国家公安委員会といたしましては、それを十分に管理、督励していく、そういう立場を今後もとらせていただきたい、そのように認識をいたしております。

吉井委員 今、信頼が本当に失われているんです。第三者機関ないしはそれに近いものとしては、公取その他いろいろな機関でもっていろいろな分野にやはりきちっとやってきたり、あるいは監査その他でもやってきているんです。だから、やはり第三者を入れた、本当に外部の目を入れて再生を図る。そうでないと、一線で苦労している人たちは本当にやる気を失ってしまいますよ。

 この問題は、これで幕引きなどは許されない問題ですし、徹底解明が必要です。ですから、長官は調査するというお話ですが、調査をして、速やかに報告をされる。そして、この委員会としても、今後も引き続いて徹底解明と、そして問題の本当の意味での解決のために当たっていくように取り組んでいくというのが皆さん全体の意思だと思いますが、私もそういう立場で臨みたいということを申し上げまして、質問を終わります。

大口委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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