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第1号 平成16年8月4日(水曜日)

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本国会召集日(平成十六年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      河井 克行君    西川 公也君

      西村 康稔君    葉梨 康弘君

      早川 忠孝君    平田 耕一君

      平沼 赳夫君    宮腰 光寛君

      村上誠一郎君    石毛えい子君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    島田  久君

      原口 一博君    山内おさむ君

      横路 孝弘君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

平成十六年八月四日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 宇佐美 登君

   理事 鎌田さゆり君 理事 中山 義活君

   理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      鈴木 淳司君    西川 公也君

      西銘恒三郎君    葉梨 康弘君

      早川 忠孝君    平田 耕一君

      宮腰 光寛君    村上誠一郎君

      石毛えい子君    泉  健太君

      市村浩一郎君    大畠 章宏君

      島田  久君    原口 一博君

      山内おさむ君    横路 孝弘君

      太田 昭宏君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    人見 信男君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  増田 暢也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     西銘恒三郎君

  西村 康稔君     鈴木 淳司君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     西村 康稔君

  西銘恒三郎君     河井 克行君

    ―――――――――――――

七月三十日

 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案(保利耕輔君外四名提出、第百五十九回国会衆法第一四号)

 食育基本法案(村田吉隆君外六名提出、第百五十九回国会衆法第四九号)

八月四日

 ILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立に関する請願(若泉征三君紹介)(第二六号)

 憲法改悪反対に関する請願(山口富男君紹介)(第二七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二八号)

 憲法の改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二九号)

 同(石井郁子君紹介)(第三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 内閣の重要政策に関する事項

 栄典及び公式制度に関する事項

 男女共同参画社会の形成の促進に関する事項

 国民生活の安定及び向上に関する事項

 警察に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山本委員長 警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁交通局長人見信男君、警察庁警備局長瀬川勝久君、法務省入国管理局長増田暢也君及び国土交通省道路局長谷口博昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河本三郎君。

河本委員 自民党の河本三郎であります。

 七月の中下旬、先般、集中豪雨が北陸と東北を襲いまして、十八名の方が亡くなられ、そして三万戸に及ぶ家屋が浸水被害を受けておるということでございます。

 亡くなられた皆さんに、委員会としても、謹んで哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、また、被災者の皆様にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 私も、阪神・淡路大震災の体験者、被災者の一人でもございますが、この集中豪雨が起こったことによって、たしか記憶しておりますのは、阪神・淡路大震災を教訓にして、警察の皆さんが広域緊急援助隊、正確な表現でなかったかもしれませんけれども、このような記憶があるんですけれども、この広域緊急援助隊の皆さんが随分被災地でも活躍をされたと聞いておりますが、どのような内容で御活躍をされたのか、お聞きをしたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 広域緊急援助隊でございます。御質問にございましたとおり、平成七年一月の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、国内の大規模災害が発生したときに、都道府県の枠を超えまして広域的に即応でき、かつ高度の救出救助能力と自活能力などを持つ災害対策の専門部隊といたしまして、平成七年六月一日に設置をしたものであります。

 この部隊は、全国の機動隊員それから交通機動隊員などの中から四千人を指定して編成をしているものでございます。

 今般の新潟・福島豪雨に際しましては、七月の十四日から二十日までの七日間、長野、群馬、埼玉、茨城、栃木、神奈川、山梨の各県警察の広域緊急援助隊延べ七百二十九人を新潟県に派遣いたしました。

 また、福井豪雨に際しましては、七月十八日から二十日までの三日間、富山、石川、岐阜、愛知の各県警察の広域緊急援助隊延べ五百二十五人を福井県に派遣したところでございます。

 活動の内容でございますけれども、それぞれの被災地に派遣されました広域緊急援助隊は、地元の県警察本部長の指揮下に入りまして、情報収集、被災者の救出救助、行方不明者の捜索、それから治安維持活動、交通対策などの災害警備活動に当たったところでございます。

 なお、このほか、広域緊急援助隊そのものではございませんが、石川、愛知、大阪の各府県警察のヘリコプターを福井県に派遣いたしまして、ヘリテレ映像による情報収集、救出救助、孤立集落への部隊の搬送などを実施いたしました。

 その結果、広域緊急援助隊の活動によりまして百八十五人の被災者を救出救助いたしました。また、広域緊急援助隊を含め、新潟、福井両県警察の活動全体で七百四十一人の被災者の救出救助を行ったところでございます。

河本委員 ありがとうございます。

 きょうも、四国の方に集中豪雨が来る、こういう予想がされておりますけれども、大規模な災害が予想されるときには、そういう援助隊の人は何か待機をしておるんですか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 災害発生のおそれがあると認知したときに、私ども、迅速に出動待機命令等をかけるということにしておりまして、出動命令がかかりましたならば迅速に対処できるための態勢、有事即応の態勢を常に保持しているところでございます。

河本委員 ありがとうございます。どうぞまたよろしくお願いします。

 委員長も……(発言する者あり)愛媛か。気をつけてくださいね。

 過日、国松長官狙撃犯を特定できたというニュースがありました。これは、狙撃犯が着ておったコートに付着しておった硝煙反応を解析したことによってその犯人が特定できた、こういうふうに聞いておるんですけれども、それに随分貢献したのが播磨科学公園都市の大型放射光施設SPring8だ、こういうことでありますが、どういうことがあったのか、詳しく教えていただきたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 SPring8は、もう御案内のとおりだろうと思いますけれども、世界で最高性能の放射光を発生させることができる大型の研究施設でありまして、生命科学あるいは医学、核物理といったさまざまな分野に関する最先端の研究が行われているというふうに承知をしております。犯罪捜査におきましても、このSPring8の活用事例が見られるところでございます。

 また、およそ犯罪捜査におきましては、あらゆる手段を講じて証拠の収集あるいは分析ということを行っておりまして、こういった最先端の技術につきましても、積極的な活用を私ども図っているところでございます。

 しかしながら、御指摘の国松長官狙撃事件も含めまして、個々の捜査中の事案に関しまして、具体的にどのような鑑定、分析を行って、また結果がどうだったかということにつきましては、捜査中の事案であるという性質上、お答えを差し控えざるを得ないことを御了解いただきたいと思います。

河本委員 ちょっとまた角度が違うんですけれども、SPring8が随分毒入り砒素カレーについて貢献をしたということです。

 今回は、その特定されたと思われる人物が処分保留になって釈放されておるということですけれども、これは、わしがやった、こう供述をしておきながら、なぜそういうふうに釈放されてしまうのかなというところがなかなか国民には理解できないところがあると思うので、答弁できる範囲でちょっと教えていただけませんか。供述があっても、どうしてもそないになってしまうのか。

瀬川政府参考人 お答えします。

 本件捜査につきましては、いわゆる証拠が非常に乏しい状況の中で、警視庁におきまして、長期間粘り強く、かつ、緻密に捜査を推進してきたところでございます。

 殺人未遂事件等の関与の疑いを相当程度明らかにするまでに至ったものの、任意捜査を尽くしてもなお未解明の部分があるということで、法の定めるところにより、強制捜査に着手したものでございますが、結果的に、被疑者の犯罪容疑について現時点まで起訴されるに至る解明ができなかったというものでございます。

 鋭意捜査をしてきたところ、起訴されるに至るまでの解明ができなかったということでございまして、現在もなお、事案の全容解明へ向けて警察といたしましては鋭意捜査中でございます。

河本委員 では、次に行きます。

 埼玉県の草加署の駅前交番で事件がありました。男が助けを求めに来た。その男を暴力団関係者が連れ出して、交番の前で殴った、暴行を加えたという報道があったんですけれども、これは事実かどうか、確認をしたいと思います。

伊藤政府参考人 御指摘の事案は、七月十四日の午後七時二十五分ごろでございますけれども、埼玉県の草加警察署草加駅前交番におきまして、入ってきた男性が暴力団関係者に連れ出されて、交番近くの路上におきまして暴行を受けまして、その後、車で連れ去られ、全治三カ月の重傷を負わされたという事案でございます。

 当時、交番には警部補以下四名の勤務員が在所しておりましたけれども、こうした行為を制止せず、また検挙活動をしないなど、不適切な職務執行を行ったものでございます。

河本委員 交番に助けを求めに来た。これがやくざ者、暴力団関係者であろうと、命ごいに来ておるわけでありますので、これを見過ごすというのは警察の怠慢であると言わざるを得ません。再発防止などはどういうふうに検討されておられますか。

伊藤政府参考人 今回の事案は、交番に対する国民の信頼と期待を揺るがしかねないものであるというふうに認識しております。

 警察庁におきましても、こうした不適切事案の絶無を期してまいりたいというふうに考えておりまして、街頭における犯罪や暴力団に対しまして毅然と対決する姿勢というものを堅持していくことが極めて重要であるということを第一線の警察官に強く認識させまして、この種事案の再発を防止するための指導、教養の徹底というものを行っていきたいと思っております。

 また、地域警察官が街頭におきます粗暴事案であるとかあるいは暴力団犯罪といったものを現認した際に、きちっと事件として処理していくための能力の向上であるとか、あるいは毅然として対処していくための術科技能の向上など、地域警察官が自信を持って職務執行ができるようにするためのさまざまな施策を強化していきたいと思っております。

 また、幹部におきますこうした事案の際の具体的確認であるとかあるいは現場指揮の徹底につきまして、再発防止対策を各都道府県警察に指示することとしております。

河本委員 職員の処分はどないしたんですか。

吉村政府参考人 草加署の事案については、ただいま生活安全局長から御説明をしたとおりでございますが、埼玉県警察で本日午後に懲戒審査委員会を開く予定にしております。交番の勤務員を含めて、厳しく責任の所在を明らかにして、関係警察職員の処分が行われる予定と承知をしております。

河本委員 では、大臣に質問です。

 今の草加署の駅前交番の職員の怠慢が新聞でも大きく報道された。一方では、冒頭に質問をしました広域緊急援助隊が現場で汗をかいて命がけで活躍をされておられるわけであります。さきの国会の中でも、この内閣委員会、警察の案件で随分つまずいて審議入りができなかったというのは、委員長もよく覚えておられると思います。

 それで、委員長からまた、警察の信頼回復に向ける努力を一生懸命やっておられると思うんですけれども、その決意をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

小野国務大臣 今回、被害に遭われた男性の方にはまことに申しわけなく思う次第でございますし、一日も早い回復をお祈りしているところでもございます。

 本件に関しましては、現場でまずは警察官が制止あるいは検挙してしかるべき状況であるにもかかわらず、不適切な職務執行だと言わざるを得ない、そのように感じているところでもございます。

 ですから、こうした警察官が当初こういうことに関わりましたときの行動そのものに対するありようというものに関して、国民の皆様方の不信も一番抱いたところでもございますし、今局長の方からも教養の問題その他、それにふさわしい能力をきちんと持ち、備えるだけの教養、そういうものを培っていかなければと思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、埼玉県警察の方におきまして、事実に即して厳正に処分をさせていただくということを今官房長の方からもお話がございましたけれども、やはり姿勢を正すという中における今回のような問題を警察全体の問題として、各県警に連絡をし、そして反省の機としてもらいたい、そのような気持ちでおりますことを申し上げたいと思います。

河本委員 最後の質問です。

 さきの国会で、警察法の改正の中で、外事情報部というのが設置されました。前の国会でもちょっと質問したと思うんですけれども、アルカイダの一味が新潟に潜伏をしておって、諜報活動をしたり、出入国が簡単にできておった、こういう話も聞いております。これはもう言語道断の話でありまして、こういうことを絶対に許してはいけない。

 そこで、やはり水際でこれを阻止する、防止をするという対策をとっていかなければいかぬと思うんですけれども、先進諸国ではバイオメトリックスというものを導入して、指紋のみならず、ひとみ、瞳孔などもICに入れて、水際作戦を展開しておるということを聞いておるんです。

 これは法務省、だれが来ているんですか、ちょっとどういう考えなのか、何か対策を講じようとしているのか、教えてください。

増田政府参考人 国際テロを未然に防止するために、偽変造文書対策を初めとして、水際対策が大変重要であって、入管当局といたしましても、バイオメトリックスを出入国審査に活用することが有効であると認識しております。

 旅券へのバイオメトリックス導入に関しましては、国際民間航空機関、ICAOにおいて、顔画像を基本としつつ、追加的に指紋、虹彩を採用することができる、そういう方針が決定されておりまして、技術面での標準化作業もほぼ完了しているものと承知しております。

 入管局におきましては、現在、こういった国際標準に準拠したバイオメトリックス導入の旅券に対応できるような機器の開発、設置に向けて作業をしておりまして、今年度は、旅券に組み込まれるICチップに記録されたバイオメトリックス情報の読み取りが迅速、確実に行われるかどうかといったことについて、調査研究や実証実験を行うこととしております。

 今後、その結果や国際的動向などを踏まえまして、偽変造旅券の行使者であるとか、あるいはテロ活動等の国際犯罪者、要注意外国人、こういった者の入国を阻止するため、出入国審査におけるバイオメトリックスの活用について、さらに研究、検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

河本委員 終わります。

山本委員長 次に、宇佐美登君。

宇佐美委員 引き続き、草加の案件、交番に男性が逃げ込んだけれども、警察がきっちり対応しなかったという案件ですね。

 今、委員長及び理事会の許可をいただいて、警察庁が七月二十七日に民主党の警察不正経理疑惑の本部に提出をされました「草加駅前における集団暴行事件の対応について」という書類、及び、後ほど質問させていただきます、八月二日、一昨日未明に起きました、非常に心の痛む、加古川市内における多数の方の殺傷事件についての書類を配付させていただき、質問させていただきたいと思います。

 先ほど、局長の答弁の中でちょっとこの書類と違うところもありましたので、確認をまずさせていただきたいと思っております。

 この案件は七月十四日です。この書類を出してもらったのは七月二十七日。そして、きのう説明に来られた警察庁の方に、新しいペーパーはないんですかと言って何回も確認をしましたが、ありませんと。加えて、七月二十七日に配付したものについて、どこが出したのか、その日、たしか生活安全企画課の課長さんが来られたと思っておりますけれども、が出したと言っているにもかかわらず、では、この右肩にちゃんと肩書を書いてくださいと言ったら、それはできませんと言っているんですね。

 一つの文書とっても、警察が信頼を取り戻そうとしている姿勢が見えない。なぜ、自分たちが出した書類について、これは私たちが出したと。その日付ですよ。私、きのう申し上げたように、新しい事実が見つかって訂正される部分があるんだったらそれを文字化してください、文書化してくださいということを申し上げました。それはできないと言っている。では、これの書類に基づいてしか質問できませんねということでいるわけですけれども、まず、局長、どうしてこれは頭に肩書すらつけられないんですか。

伊藤政府参考人 御指摘の資料は、民主党の警察関係の役員会のときに、当庁の地域課長が本件について説明する際に、当時の時点で判明していた事実に基づきまして簡潔にその内容を記載したものというふうに聞いておりまして、その際の資料だということでございます。

宇佐美委員 質問の答えになっていないですよ。では、何で地域課長なりそういうふうに書いていないんですかということで、加えて書けと言っているわけですよ。

 あなたたちは、書類をつくるときに、どこかに提出するときに、仮にも政党の勉強会、それも公にきちっと党で確認されている会に正式にお呼びをして、書類を出してください、資料を出してくださいといったものに対して、だれがつくった資料かもわからないようなことをしているんですか。

 これだったら、あれですよ、では、例えば情報公開制に基づいて、文書の保存にこれは当たらないものですか、当たるものじゃないんですか。

 二つ質問をしましたよ。文書の保存に当たるものかどうか、そして、肩書をつけるべきではないかということの二つの答え、お願いします。

伊藤政府参考人 まず最初に、クレジットをつけるべきではないかという御指摘でございますけれども、当日出したときには、説明のための資料ということで出したものでございますので、きのうのお話でしょうか、説明に来た人に対してつけろと言ったけれどもという話でございましたけれども、当日出したときにはついていなかったということでございますので、改めてさかのぼってということは特にしておらないという状況でございますので、つけなかったというのが一つでございます。

 もう一つは、公文書に当たるかどうかということでございますが、警察庁の地域課長が民主党の警察関係の役員会におきまして御説明した資料でございますので、当然公文書に当たるものだと考えております。

宇佐美委員 いいですか。だったら、公文書をつくるとき、あなたたちは担当の課もだれの文責かもわからないようなものをつくるんですか。答えてください。

伊藤政府参考人 これは、地域課長が御説明申し上げますときに説明の一助という形でお渡ししたということでございますので、どういった形での文書であるかということは、その状況から見れば明らかであろうということであろうかと思いますが。

宇佐美委員 局長、そんなことを言っているから、日本全国の警察で文書をどんどんなくしているんですよ。まさに文書保存の規定について、前国会においても、公安委員長、小野さん、しっかりしろと言ったばかりじゃないですか。何でそれもできないんですか。

 国家公安委員長、どうですか。委員長、自分の考えを言ってください。公文書に何で文責が載っていないの。

伊藤政府参考人 当日御説明するときに、地域課長、地域課というクレジットをつけておけばよかったんだと思いますけれども、そのときは説明のメモということで考えておりましたものですから、つけていなかったというふうに聞いております。

小野国務大臣 直接担当の者でない者がメモとして出していたということに、今のような形の中で正式名称ということを出し切れなかったのではないかと私は思いました。(宇佐美委員「担当ですよね、局長」と呼ぶ)

伊藤政府参考人 地域課長、担当の課長でございます。

小野国務大臣 失礼いたしました。

宇佐美委員 よろしいですか。文書保存の問題が今全国で問題になっているのは、国家公安委員長、御存じのとおりですよね。いいですか。五年間の保存期間のものを、それ以前に捨てたものが山ほど出てきている。

 そういった中で、警察庁が先ほど言ったのは非常に微妙なんですよ、説明のメモといった場合には公文書に当たらないものもあります。しかし、局長は公文書だと言っている。公文書をつくるのに、文責がわからないようなものを出すんですかと言っているんですよ、公安委員長。だから、将来的に保存をするときに、これはだれのものかわからない。説明のときはわかるかもしれませんよ、だれがやっているか。しかし、将来的にこの保存がどうなっていくのか、わからなくなりやすいじゃないですか。

 どうですか、公安委員長。今後の文書については、少なくとも公文書に将来的に当たるものと思われるものについて、常に文責は、文の、ペーパーの責任は明確にすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

小野国務大臣 期日と文責はやはりメモすべきだと思います。

宇佐美委員 局長、どうですか。これについて、今の委員長の意見。

伊藤政府参考人 そのとおり、当日御説明申し上げたときに文責を書いておくべきだったというふうに考えております。

宇佐美委員 済みません、本文の方に入れないで困っているんですけれども、ですから、きのう、文書を出してくださいと言ったんですよ。

 いいですか。そういった問題もあるだろうから、このときはメモかもしれないから、きちっと、きのう付でもいいから、日付は別に七月二十七日にさかのぼってくださいなんて私は申し上げていません、ちゃんと、地域課だったら地域課の名前で、きっちりしたものを出した方が警察庁の汚名挽回、信頼回復になりますよということを申し上げたのに、できないというのをけさまでにまた回答してきているじゃないですか。その姿勢というものがいかがなものかと言われているわけですよ。

 この内容に行きます。ぜひ、委員の皆様もペーパーを見てください。

 七月十四日夕刻ころ、先ほど局長は七時二十五分、十九時二十五分ということを言われております。「交番から連れ出され、」と書いておりますよね。交番から連れ出された時間、及び、その後、車両で連れ去られています。局長、これの事実確認をお願いしたいのと、これは何時ごろだったか教えてください。

伊藤政府参考人 今手元に正確な時間を報告を受けたものを持っておりませんけれども、全体として、最初に交番に入ってきてから車で連れ出されるまでの間は、全体として二十分から三十分ぐらいの間の時間であったかというふうに思っております。

宇佐美委員 先ほどの局長の河本議員への答弁では、交番勤務員は制止せずということをおっしゃっておりました。少なくとも七月二十七日のペーパー段階では、「制止することができなかった。」これは一般的な認識、この文章をそのままとれば、制止しようとしたけれどもできなかったというのが一般的に国語の文法の範囲なんですよ。ところが、制止をする努力をしたのかどうかということですよ。あったんですか、なかったんですか。

伊藤政府参考人 この「できなかった。」と記載している趣旨でございますけれども、理由のいかんはともかくとしまして、警察官としてすべきことができていないという結果を示そうとしてこういう表現となったというものでございまして、例えば、懸命に努力したができなかったという趣旨で用いたものではないというふうに聞いております。

 また、当時の調査で、車で連れ去られる際、交番勤務員がこれを阻止しようとしたという供述もございますので、単純に制止しようとしなかったというよりも、結果的には制止ができなかった、制止すべきところが制止できなかったという趣旨だと思います。

宇佐美委員 済みません、今の局長の答弁、私の理解力が足りないのか、よくわからないのですが、公安委員長、この話について報告を受けているのか。そして、受けているとして、委員長の認識をお願いします。

小野国務大臣 宇佐美委員が今質問されているとおり、私も同じ質問を役所の方とやりました。

 制止したのかしないのか、そしてまた、行こうとしたのをどうしたのか等々やりましたけれども、現実的には、この事案、制止、検挙してしかるべきことにあるにもかかわらずしなかった、このことは、いわゆる警察官としての職務の不適切な執行であると言わざるを得ない、そのように私は認識を持っております。

宇佐美委員 これは二十分間から三十分間と言っておりますけれども、警察の方、交番の方ですと無線機がついていますよね。みんな無線機を持っているはずですよ。無線連絡を署の方にされているのか、されていないのか。いかがですか。

伊藤政府参考人 当時、交番勤務員の方から、警察署の方に無線連絡をしたとの報告は受けておりません。

宇佐美委員 それをまた事実確認してほしいんですけれども、警察の方が、また監察官がいらっしゃるのでぜひ確認してほしいんですけれども、交番の方が無線連絡をだれかとしている模様ということを言われております。それが事実かどうか、私、確認のしようがないので、無線連絡、その無線の記録というのは残るんですか、残らないんですか。

伊藤政府参考人 無線にはいろいろな無線がございますけれども、基本的には、個々の勤務員同士での無線のやりとりというのは記録には残っておりません。

宇佐美委員 ということでありますので、記録に残っていない範囲で、その勤務員同士、もしくは署との連絡があったかもしれません。再確認をぜひしていただきたいですし、もしもそうだとするならば、そうだとというのは、連絡があったとしたら、署としても動きが悪かったということでありますので、勤務員だけにかかわらないわけですね。

 この認識を持っていると同時に、これは一回発表したときに、事実を隠しましたよね。委員長、そうですよね、事実を隠しましたよね。この事実を隠すという行動が、この不正経理疑惑に続いている、警察への不信を増長させているということを思うわけですけれども、公安委員長、いかがですか。

小野国務大臣 まことにおっしゃるとおりだと思いまして、大変遺憾に存じております。

宇佐美委員 遺憾に感じているというのはもっともだと思いますけれども、それ以上のことをしていかなければならないわけですよ。

 続いて起きた加古川の非常に痛ましい殺傷事件でありますけれども、このときにおいても、これはまだおとといの案件ですから、今調査中の資料ということもあるんでしょうけれども、後から後から資料が出てきちゃうんですね。

 きのう、夕方の時点で私が説明を受けたときには、新しいもの、冒頭、八月の二日の夕方、記者会見したときには、相談を受けたという資料はなかった。しかしながら、現在調査中だということを記者会見に近いことで、懇談会なのかわからないですけれども、言っていらっしゃる。ですから、マスコミの報道では、なかったと警察が言ったけれども、それを否定したと言っているけれども、そうではないだろうというふうに承っております。しかしながら、これは後から二件出てきて、さらにそれから二件出てきているんですよね。

 とすると、さっきの文書保存の話とまさに重なってくるんですよ。どういった形で、国民の皆さんから受けた相談や非常に悲痛な叫び、怖いという思い、それは草加の交番の勤務員の方が暴力団に対して怖いと思ったのと同じかそれ以上に、一般の人がすぐ近くに、報道によると、壁というか、窓を全部新聞で隠しちゃっているような生活をされている方、そして時にはコンクリートのブロックを投げつけられたという人もいる。そして、地域では対策会議のようなものまで自治会でやっていたということにもかかわらず、今回、十分な対応ができていたのだろうか。

 そのときに、文書保存が十分に整理整とんされていたかどうかというのが非常に気にかかるところでありますけれども、局長、いかがですか。

伊藤政府参考人 まず、この相談の関係でございますけれども、当初、兵庫県の加古川警察署におきましては、平成十五年及び十六年中の相談記録を確認しましたところ、警察に相談が寄せられていたとの記録は発見できなかったことから、相談については、受理しているか否か調査中であるが、現時点では確認できていないというふうなコメントをしたと聞いているところでございます。

 そのときも調査をしておりましたけれども、その後、平成十二年までさかのぼって記録を調べるとともに、当時勤務しておった人たちからも事情を聞いておりましたところ、平成十三年と十四年の二度、相談を受理していた事実が判明したわけでございます。

 その時点で、こうした相談があったということは御報告したところでございますけれども、さらにその後、退職した警察官という者もおりますので、そうした方々から、当時勤務したときに何か相談を受けたことはなかったのかということをやめた方々にもいろいろと聞いておりましたところ、さらに二人、自分は相談を受けておったという方が出ておったということで、都合四度、今のところ相談を受けたということが判明しているわけでございます。

 それで、記録はどうなっているのかということでございますけれども、四件のうち、いわゆる相談受理簿に記録が残っているものは一件でございました。

宇佐美委員 つまり、記録が残っていたかどうかという、今局長が言われたので、その後、非常に期待したんですね。どういうふうに今後やると言うのかと思ったら、結局、こうやって交番勤務員の方が相談を受けても、それは記録に残らないというふうに思ってよろしいんですか。

伊藤政府参考人 本件のような相談を受けた場合には、原則として、やはり記録をきちっと残して組織としてこうした問題に対して対応していくべきでありましょうし、組織として対応するのみならず、継続的にこうした事案というものは対応していく必要があるだろうと思います。そのためにも、やはり記録をきちっと書いて、こうした相談を受けているということをきちっと記録化することは大事なことかと思っております。

宇佐美委員 とすると、この今回の殺人者、まだ容疑者になっていますよね、容疑者の人が、ほかの事件などで名前が出てくるかもしれない。そのときに、プライバシーの問題をもちろん大切にしながらも、しかし、その名前を引いたときに、こういう相談を受けている、つまり、加害者になる可能性があるんではないかという心配を地域からされているわけですね、それが十分にデータベース化されていない。

 つまり、今、記録に残すといっても、いわゆる紙に残すという話だと思うんですよ。紙に残すと言っている限り、クロスレファレンス、検索することは簡単ではない。これはもうわかっている話ですよね。先ほど、文書の責任も書かないようなものを警察が出してきているわけですけれども、まさにこの文書化を、どこどこが出したかというのを電子化して、データベースとしてしっかり残していくということが大変重要だと私は思っています。

 今、一一〇番の記録についてはある程度電子化は進んでいると聞いておりますけれども、今後、こういった交番の記録などなど含めて、電子化でしっかりと保存をしていくべきだと思いますけれども、局長ですか、御答弁をお願いします。

伊藤政府参考人 全国で多数のいろいろな生活安全相談を受けているわけでございますけれども、確かに、おっしゃるように電子化することによりまして、そうした相談の内容というものを検索することが容易になるわけでございます。

 そうした意味で、全国的にそうした電子化といいましょうか、作業を各都道府県警察で現在進めている状況でございまして、今現在では約半数の都道府県におきまして、正確に申しますと、半数を少し超えるぐらいでしょうか、進めている状況でございます。

宇佐美委員 この進めているという状況の間にいろいろな事件が起きているわけですから、公安委員長、どうですか、今概算の時期でもありますから、これはしっかりと文書保存、記録保存について徹底的に電子化をする、そして文書についてはだれがいつ書いたのかということを明確にわかるようにしておくということが非常に大切だと思います。そういう指示をぜひ出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 今回の件に関しましては、相談があった時点では必要と思われる対応を一応はしておった。しかし、起こりました結果の重大性ということにかんがみましたときに、やはり相談内容を今先生おっしゃいましたように的確に受けとめて、経過を確実に記録するということ、私は、文責と同時に時間とかその辺まで明記しておかなければ役に立たない、そのように感じているものでございます。

 そういった点から考えますれば、国民の意見を真摯に把握いたしまして、今後いろいろなことが起きました折にも、警察の改革における国民のための警察の確立のための大きな柱であります信頼問題、これに対して誠実に取り組んでいかなければと改めて思っているところでございます。

宇佐美委員 思うかどうかではなくて、思っているのは委員長が真摯に公安委員長等やっていらっしゃるのでよくわかっているんですけれども、一年とか二年とかのうちにやるべきだと私は申し上げているんですね。続いての質問のときにまた、この点も答えてください。

 これは保健所との連絡について、局長、あったというふうに言われているわけですけれども、つまり、相談を受けた警察官の方が、それはちょっと精神的に病気の懸念もあるから保健所と相談してみたらどうかということをその質問者に対して答えているというふうに聞いております。

 このときに、例えば警察の方が保健所に対して連絡をするというのがより一層適切な対応だったと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 平成十三年の七月に近隣住民の方から相談を受けた際に、保健所への連絡を相談された方に対しましてお話ししまして、その後、相談者が保健所に相談に行かれたということでございます。後日、保健所の担当の方から、警察に対して、相談を受けている旨、及び、今後緊急時に際しては警察の対応についてよろしくお願いしますというような依頼があったという報告を受けております。

 当時のその相談を、対象となった方々の状況というものが十分把握できて、それが保健所に通報すべきような事案かどうかということも判断していかなくちゃいけないと思いますけれども、そうしたものが通報すべき事案の場合はやはりすべきだったと思いますし、当時の状況、ちょっと正確にはわかりませんので、現時点でどうだったかと言われますとちょっとわかりかねますけれども、その際には一応保健所との連絡はとれていたということでございます。

宇佐美委員 つまり、警察としては相談を受けていて、何らかの問題があると認識しているにもかかわらず、今回の不幸な事件が起きているわけですね。保健所に対しても連絡をしていて、保健所と連絡をとり合っている。連絡をとり合っているというのは、じゃ、どれほどかときのう係の方に聞いたら、お互いの電話番号を知っていると。それを連絡をとり合っていると言うのはなかなかちょっと無理があって、例えば月に一回やりとりをするとか、そういったことを連絡をとり合うというふうに言うんですが、今後の対応、局長、どうですか。

伊藤政府参考人 基本的に、まず警察におきましては、精神保健福祉法第二十四条の規定に基づきまして、精神障害のために自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、保健所長を経て都道府県知事に通報することになっているわけでございます。

 その場合に、都道府県知事はそれぞれの措置を行うわけでございますけれども、保健所との連携につきましては、夜間、休日を含めてそうした連絡をとっていかなくちゃならないという場面もあるわけでございますので、連絡体制の構築であるとか、そうした対象者を発見した場合の移送の体制とかにつきまして、都道府県警察と知事との間でこの整備を図っているところでございます。

 こうした問題につきましては、やはり常日ごろから保健所とも一層の連携強化を図っていくということが現場の活動においては大変重要なことだと思いますので、この連携の強化について努めてまいりたいというふうに考えております。

宇佐美委員 私も、すぐ目の前に、非常に精神的に疾患していると思われる方が住んでいることがありまして、何が起きたかというと、ふだんからはだしで歩いている方だったので、最初からちょっと気になるところがあったんですが、最後は、はさみを持ち出して隣の方に切りかかって、けがをしたので実際の事件として立件することができたわけですが、あれがもし、その隣の女性の方の命にかかわるような事件だったら、結局、あのときも、私の自宅の目の前の話も、警察はどうしていたんだという話になったんじゃないかなという、本当に近い体験をしているので、特にこの問題は気になるんですね。

 もちろん、ほかの法律との問題、保健所との関係ということなんですけれども、これは厚生労働省に聞いたら、きょうは来てもらっていませんけれども、一保健所の件は把握していないと言うんですね。とすると、国レベルで、では、こういう保健所がどういう相談を受けているかというのを、きょう今厚生労働省がいないので欠席裁判になって申しわけないですけれども、全然厚生労働省は把握していないわけですよ。警察庁は、そういった意味では、きちっと情報を吸い上げられる手段が今、少なくともきのう聞いてこうやって答えていただけることになっているわけですが、片方の方がもう全然仕事ができていない。

 今回の年金法の間違いもそうですけれども、厚生労働省全体について、こういった事件のいろいろな問題の把握、法律的な問題も含めて、今後別の機会をとらえて、私なり民主党として、しっかりとこの問題を追及、そして改善の策を練っていきたいと思っております。

 ちょっと気になるのが、今回対応をしていくといっても、パトロールを強化するということに終始しているんですね。これは、パトロール強化というのは具体的に限度があると思うんですよ、限度が。そのときに、では、どういう方法があるのかということを考えていただかなければならないと思うんですね。

 例えば、今、大田区内でもそうですけれども、子供たちに防犯ブザーを持たせている、近くの人がすぐわかるような状態をつくるとか、そういうことをしているんですが、こういった相談を受けたときに、各家に例えばボタンを押したら一一〇番につながるような施設をつくるとか、また、そういったブザーとかそういったものについて、上げることは税金ですから難しいにしても、貸与するとか買ってもらうという方法があると思うんです。

 局長、このパトロール強化以外の対応方法、今申し上げたことを含めて、何かありませんか。

伊藤政府参考人 一般論の御質問かと思いますけれども、まず兵庫の方の警察としての対応を、当時のことを聞いておりますけれども、いろいろな形で、相談者に対して緊急の場合には一一〇番通報するようにというお話をしておりますほか、警察としましても、被害者方に結果的になるわけでございますけれども、被疑者の近くの家という意味でございますけれども訪問して、どんな様子だろうかとか、あるいは現実に被疑者方を訪問しまして、近隣からこういう苦情が出ているけれどもということでお話しに行ったりはしておるわけでございます。

 結果として十分な対応でなかったではないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、やはり近隣の人からじっくり話を聞いてみるとか、そうしたことをしっかりやっていくということも大事でしょうし、何かトラブルがありましたときには、直ちに一一〇番をして警察を呼んで、警察の立ち会いのもとでそういった問題を解決するなり、あるいは事案が発生した場合には、警察を呼んでもらうということも大事なことだろうと思います。

 しかし、大事なことは何かと申しますと、やはりそうした相談に対して、真摯にその相談を受けとめて、住民の方々がどのような問題点で一番お悩みになっておられるのか、その解決する方法というのはその相談の内容によっていろいろ違ってまいると思いますので、そうした相談の内容に応じて警察がとれる対応というものを一生懸命考えていくということが大事ではなかろうかというふうに思っております。

宇佐美委員 時間が参りましたので、最後に一問だけ質問をさせていただきます。

 先ほど、河本議員の質問の答弁のときに、局長が草加駅の集団暴行事件についての答弁の中で、交番に対する信用が落ちたというような趣旨の発言をしました。

 交番に対しての信用ももちろんですけれども、警察全体への信頼が今失墜しているんですよ。それは、不正経理疑惑に類を発した、もとになっているお金と警察の関係。そして二番目、今回の加古川事件。交番に相談していたけれども、警察に相談していたけれども、対応が結果としては十分でなかったということ。そしてこの草加の事件では、目の前で交番に助けてくれと来たのに助けられなかった。そして、助けられなかったではなくて、助けなかったんですよ。制止できなかったんじゃなくて、しなかったんですよ。

 こういったところが、本当に、交番ではなくて、これはぜひ局長、訂正してもらいたいですけれども、警察全体に対しての信用がなくなっているんだから、この信用を解消するために、不信を信用にしっかりと戻すために今後やってもらいたいと思いますので、局長の訂正と、最後に国家公安委員長の認識、お願いします。

伊藤政府参考人 先ほど、交番に対する国民の信頼と申しましたが、警察に対する国民の信頼と言うべきがより適切であろうと思っております。

小野国務大臣 やはり、制止、検挙という、警察官としての不適切な職務そのもののありようということが一点でございますし、それから、相談内容を深刻に受けとめて、それを確実に記録に残すということ、それとやはり組織的かつ継続的に対応していくということ、これが今回欠けていたのではないか、そんなふうに思います。ですから、相談者の立場に立った警察というものを今後私どもは目指していかなければならないということを国家公安委員長の立場として督励してまいりたいと思っております。

宇佐美委員 今、警察に対する株価が暴落しています。しっかりと信頼回復のため全力を尽くすことを要望して、終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、きょうは警察の裏金問題中心に伺いたいと思いますが、全国に今、これは問題が広がっております。昨年の十二月の北海道議会で日本共産党の道議団が取り上げて、ことしに入って国会の予算委員会、全国の都道府県の議会などでも取り上げられておりますが、この問題、ますます深刻になっていますね。

 北海道警、福岡県警、静岡県警が内部調査を報告しましたが、不十分でとても国民の皆さんは納得できるようなものではありませんでした。警察の内部調査にやはり限界が見えてきた。

 その一方で、係争中の宮城県警の問題では、宮城県知事が警察の不正の疑い濃厚だという所感を裁判所に提出されるとか、新たに京都府警で裏金づくりが発覚する、兵庫県警では捜査書類の偽造が発覚する、本当に信頼が失墜してきています。

 これは、私は、警察不祥事は今、底なしという状態なんですが、やはり最初に国家公安委員長に伺っておきますが、本当に今ゆゆしき事態と言わなきゃならぬと思うんですが、どうですか。

小野国務大臣 大変残念ながら、委員御指摘の現状を私どもも同じく大変な事態であると認識をさせていただいているところでございます。

吉井委員 それで、やはり警察が国民の信頼を回復するためには、事実を明らかにするということが非常に大事だと思うんです。例えば、報告書を見ておりますと、裏金について、捻出した金について、幹部の方の私的使用というのは見当たらないんですが、裏金の使途に、幹部が私的に使った、こういうものは調査してみて一件もなかった、こういうふうに警察庁の方は見ておられるんですか。

吉村政府参考人 委員おっしゃいました、全国各道府県でいろいろ報じられているところでございますが、いずれにしましても、それぞれの府県警における事案はすべて異なっております。したがいまして、その規模、内容におきましても、あるいは信憑性の程度においても、いろいろと差異がございますので、現在それぞれの府県警察において調査をやっておるところでございますけれども、相当程度事案が解明されたところもあれば、まだ緒についたところもございまして、なかなか一概には申し上げることはできませんが、少なくとも今の時点では、純粋に私的な流用をしているという実態はうかがわれないということでございます。

吉井委員 だから、今まで出ている各都道府県警の報告書の中でない、吉村さんの方は幹部が私的に使ったものは一件もないということですが、裏金づくりというのは長期間にわたり、全国的、大規模にやられてきたわけですが、これを内部告発した元警察官全員が幹部のポケットに入り私的に使われていたということをそろって言っておられますね。中には、幹部だった方自身が、当時自分ももらっていたとみずから言っている人もいるんですが、それにもかかわらず、数次にわたって調査報告書とか中間報告が道警を初めいろいろなところで出ておりますが、一件も私的流用したものはないということになっているんですね。

 公安委員長、あなたもごらんになられたと思うんですが、これは少し不自然だと思われませんか。

小野国務大臣 鋭意調査をいたしました結果、そのような報告をいただいたものと承知をいたしております。

吉井委員 とてもこれは国民の皆さんからして納得できるような答弁でもなければ、調査自身にやはり問題があるということを言わなきゃならぬと思うんです。

 私は、意図的に私的流用者というものが出てこないような、そういうやり方で調査をしているとしか思えないんですね。一体、裏金の使途については、関係者からはどんな調査をしてはりますか。

吉村政府参考人 関係者と申しました場合には、現職の警察官もおりますし、あるいはOBになっている人もおるわけでありますが、いろいろと本人たちから当事者としてどのような経験事実があったのかということを聞き取り調査をし、かつ、こちらで保存をしております会計書類との突合をしているわけでございます。

吉井委員 ここに北海道警が警察署のOBの方たちに事情聴取する際に使っている質問表がありますけれども、これを見ていると、要するに、署長時代にどうだったかという質問をする相手もおれば、当時課長であったという人、あるいは課長補佐時代、それでやめた方、OBですね、あるいは警務部長だけだったらどういう質問をするかとか、それから警務課長以外の統括官、課長だったらどういう質問をするかとかいうのを丁寧に質問表をつくってやっておられるんです。

 それを見ていると、いわゆる運営費について、それでそのお金はどのように、どういう使途に使われたかというのを聞いてはるんですが、私的な使用はあったんでしょうか、公的な使用はあったのでしょうか、大体、使い道というのは私的か公的かどっちかが普通だと思うんですが、わざわざ、準公的な使用はあったのでしょうかと。

 この準公的利用の内容例だけ極めて詳しいんですね。職員の入校激励、職員の慶弔費、部隊出動時の激励、術科大会の途中激励に打ち上げというのがありますね。外郭団体行事での参加の金の使用とか、公用車の修理、職員の残業代、残業時の激励とか、部外行事への賞の支給とか、部内レクへの署長賞等の支給とか、応援者への激励とか、つまり、準公的な使用という形にして、それで結局そういうところへ、本来は使途というのは公的か私的しかないんですが、準公的という範疇を設けて、それで殊さらに具体的項目を挙げて、意図的に誘導を図っていっている。

 こういう調査をやっているものですから、これでは、このやり方をやっていったら、結局、全部私的使用が準公的になるものですから、これは私的流用隠しの調査と言わざるを得ないんじゃないですか。

吉村政府参考人 北海道警におきまして質問表を用意して調査をしているという御指摘でございますが、一部地元の新聞で報じられたことは承知をしておりますが、私はその質問表を見たことがございませんので、しかとは申し上げられません。

 いずれにしましても、この質問表なるものは、いわゆるアンケート調査をしているわけではないわけでありまして、道警として内部調査を実施するに当たりまして、OBになった方もいらっしゃる、退職者に対する調査につきましては、記憶が薄れているということもあるであろうということで、事前にこのようなことを伺いたいということで、恐らくその質問表を用意して、一定期間を経た後に事情聴取を実施するという方法をとった、そのことをおっしゃっているのではないかと思います。

 いずれにしましても、じかにその方から、どういう事実関係だったのかということを聞き取っておるわけでありますので、その質問表に丸をつけて、それを回収して調査終わりということではございませんから、一つの手段として、よすがとしてやっているということではないかと思います。

吉井委員 これは、私ども、独自に入手したものなんですが、一部マスコミ等でも既に紹介されたりしたものです。北海道警で確認していないと言いながら、極めてよく御存じで、ですから、こういう内容で調査をしておられたということははっきりしてきたと思います。

 五月に発表された弟子屈署の調査報告を見ると、部外の会議に伴う懇親会における署長随行署員等の会費補てん、事件捜査の合間や打ち上げの際の捜査員の激励、各種術科大会選手に対する激励、差し入れなどというのが報告ありますし、七月十三日の旭川中央警察署の調査報告では、当時、署長三名の説明として、部内外の会議に伴う懇親会経費、事件打ち上げ等の激励経費として使用しているとし、北見方面本部の警備課の調査では、その使途に、功労のあった職員に対する激励及び表彰に伴う副賞、会議に伴う懇親会経費、各種業務の節目における打ち上げ等の激励経費等としておって、だから、今、吉村官房長お認めになったように、どれも全部質問表の中で準公的としているこの内容例に出てくるものと全く同じなんですね。だから、逆に言えば、警察の調査結果を見れば、質問表の存在というものも見ることができたんですが、今官房長が既に事実上お認めになっているとおりです。

 そこで、この質問表に基づいて聴取を受けたOBはこう言っていますね、世間に受け入れやすい使途に絞りたい道警の思惑に即した調査だと。また、旭川中央署勤務経験のあるOBは、残業時の夜食代や激励慰労はほとんど経験がない、裏金は署長の飲食代やせんべつに消えていたと言っていますね。事情聴取を受けた人がこう言っているんです。

 結局、この準公的という表現でもって私的流用隠し、こういう調査をやってきたと言わざるを得ないと思うんですが、やはり私的使用をちゃんと明らかにするのが本来の調査というべきものじゃないでしょうか。そういう調査をこそ、これは公安委員長としても、そういう調査に本格的に取り組んで、やはり昨年の十二月以来問題になってきた裏金問題の全容を徹底的に明らかにしていく、その立場で公安委員会としても取り組まれる、指示もされる、私はそういう必要があると思うんですが、どうですか。

小野国務大臣 北海道の公安委員とも連絡を密にとっておりまして、その点に関しましては、信頼をして、この数字を見ているところでございます。

吉井委員 信頼して、それで、準公用という数字を見たって、何の意味もないんですね。

 福岡県警の調査結果、七月十三日に公表されておりますが、この調査によると、基本経費と称して月四十万円、会計課が捜査費や報償費を十四課から、その一部を取り上げて管理していた。年額四百八十万円ですが、平成八年からだと二千四百万円になる。これは本部長室経費と、激励費、慰労費に使ったとされておるんです。

 大体、この本部長室経費というのはまた示されているんですね。来客用新聞代、観葉植物借り上げ料、生花代、来客用茶菓子、来訪者お土産代、慶弔費、部外懇親会費に使われたとなっているんですが、全く捜査費と関係ないんですね。

 このうちのお茶代とか新聞代などは、これは正規に請求したらもらえる話でしょう。正規に、つまり公的に使えるものまで準公用として潜り込ませておいて、その名目でもってプールした裏金が私的に使われていっている。

 この構図は、私は、今度の裏金疑惑の解明の中で最も大事なところの一つだと思うんですが、そういうことについてちゃんと、これは公安委員長が信用してはるだけなんだから、これは難儀な話なんだけれども、官房長、そういう立場できちっとやはり調査をしていかぬと、本当の解明にならないんじゃないですか。

吉村政府参考人 福岡県警の事案についてのお尋ねでございますが、基本経費につきましては今おっしゃったとおりでありますけれども、いつからこの基本経費なるものがあったのかということはしかく明確ではございませんが、少なくとも、平成十三年の三月で、そのような制度はなくなっております。

 おっしゃるように、基本経費につきましては、会計課に留保されておりまして、とても捜査費として執行できない使途に使用されていたものでございますので、せんだっても福岡県警で、まさに公金に対する認識の甘さということで深く反省をいたしまして、その全額を返済する方針のもと、まず、福岡県の監査委員から指摘を受けた年度分について、銃器対策課分について返済をしたということでございます。

 基本経費の使途につきましては、これも今委員が言及されましたとおり、本部長室経費と、激励費または慰労費、この二つの使途に使ったという調査結果になっております。

 この本部長室経費の中で、一番最後に部外懇親会費というのがございます。これは恐らく、本部長が部外のしかるべき方と懇親、懇談をやるというときに、本部長の分としてのお金をこの基本経費から出していたんだろうというふうに推測をされますが、それを準公的というか私的というかという議論はあろうかと思いますけれども、その種のものも到底この捜査費から支弁すべきものではございませんので、返すことにしておるわけであります。

 基本経費がどういうところに使われていたのかを含めて、現在、最後の、福岡県警としての事実関係がどうであったかということについて調査をしているということで御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 私、福岡県の話にしても、北海道の話にしても、要するに、経費とか費目の問題じゃないと思うんですよ。その扱いをどうするこうするの話じゃなくて、告発者の方は、激励費という捜査の打ち上げや忘年会などはほとんどなかったと言っているんですよ。だから、打ち上げだったらこの費目に移したらよろしいとか、どういう話じゃないんですね。私的流用を隠すためだということになってきているんですよ。

 もともと、裏金問題が、疑惑が出てから、要するに幹部の私的流用の問題ということで、ずっとこれは問題になってきているわけですよね。それがいよいよ今度は、公的か私的か、新たに準公的かというようなところから、私的流用を準公的というところへ流し込んでいく、誘導するというやり方をやりながら、しかも、実はその項目で使われていないということをかなりの告発者の方が言っておられて、結局、幹部の方の私的な使い道に流されていっている。この構造を本格的に解明しないならば、私は、どんな調査だ中間報告だといったって、とても国民の皆さんが納得できるようなものにはならないということを言わなきゃならぬと思います。

 時間も迫ってまいりましたから、北海道の監査委員会と警察の調査について若干伺っておきます。

 北海道では、道の監査委員会の調査と北海道警の調査の両方が公表されているんですが、両方を比べると、警察の調査は不適正な執行を小さく小さく見せようとうかがえます。

 確認しますが、二〇〇三年度の執行分の全道調査について、道警の調査では不正経理はなかったという結果となっておりますが、これはこのとおりでいいですね。

吉村政府参考人 道警におきまして、平成十五年度の捜査用報償費それから旅費について特別調査を実施しておりますが、その結果、不適正な予算執行はないと結論づけております。

吉井委員 しかし、道の監査委員会は、旭川中央署において、捜査費、報償費が二〇〇一年度から二〇〇三年度まで合わせると四百七十七件、百二十八万二千三百五十四円が執行の事実が確認できなかったと。要するに、帳簿上あっても執行をしたことになっていないから、これは裏金分になるわけですね。

 それから、そのうち、二〇〇三年度については六十七件、金額にして十七万四千七百二十五円が執行の事実の確認ができなかったとしているわけですが、警察の内部調査では、結論として、慣行的、組織的な不適正行為は認められなかったとしています。こういう結論づけをしているということは、結局、警察が予算を適正に執行したということを確認した上での話だということになると思うんですね。

 監査委員会は執行していない、警察は適正に執行をしたと確認した。これは同じ内容について二つの異なるものが出てきているということでありますから、私は、これではとてもじゃないが信頼されるものにはならないということを重ねて言わざるを得ないと思います。

 最後に、だから、公安委員長に、一言で結構です。根本的に、抜本的にといいますか、やはり徹底した調査をちゃんとやらないと、とてもじゃないが信頼は取り戻せないと思いますが、最後に一言伺っておきます。

小野国務大臣 それぞれの問題となっている部門について、まずはそれを十分なる調査をし、分析をし、そしてやはり答えを出していくということにおいて、鋭意調査、捜査を進めているわけでございますので、その点をぜひ御理解を賜りたいと思います。

吉井委員 終わります。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、短い時間なんですが、幾つかやはり言っておかなければならないことがあると思っています。

 まずは、去る八月三日ですけれども、早朝に、大阪府警天満署地域課の藤田巡査長が信号無視の車を職務質問しようとしたところ、覚せい剤と盗難車使用の発覚を恐れた容疑者にひき逃げをされて死亡するという事件がありました。

 勇敢に立ち向かったこの藤田巡査長に哀悼の意を表したいというふうに思います。

 そして、先ほども宇佐美議員から指摘がありましたが、まず、加古川の事件について少しお伺いをしたいというふうに思っております。

 事実関係はもう皆さん御承知のとおりだと思うんですが、私は、この事件を見て、やはり従来から同じようなことが繰り返されているのではないのかなということを実感するわけです。

 一つは、マスコミが事件が起きた後に現地に行って近所から聞き込みをすれば、もう当たり前のように聞こえてくる声は、いや、あの人は以前からああだったとか、こういう傾向が以前からあったんだということを言うわけですね。そして、数日後には、大学教授がテレビや新聞でコメントをする。犯罪心理学、精神病理学、いろいろな方々が、これは家族が原因だとか地域のコミュニティー不足が原因だとか、いろいろなことを言われるわけです。もう目に見えてこういうことの手順の繰り返しというのが続いていると思うんですね。

 ですから、先ほど宇佐美議員からも指摘がありましたが、私も、やはりこれまでOBに二件、そして現地の交番に二件相談があったということを踏まえて、以前、私は児童虐待防止法について、地域の連携をどうとっていくのかと、まさに小野大臣とも別な委員会でやりとりをさせていただきましたけれども、これまでは、例えば包丁を持った方が地域におられたというときには、それはまさに持っている現場を警察官が押さえない限りはほとんど対処できないという状況であったかと思います。

 これからは、そうではなくて、やはり通常から、先ほどもありましたが、保健所との連携、そして現場の警察官にマニュアル、こういったものが今あるのかないのかということもありますけれども、そのマニュアルの中に、ちゃんとそういった相談があったときにはどう対処するのかということが書かれていていいのではないのかと思います。

 まず一点、質問ですけれども、このマニュアルというものが存在していたのかどうか、そして、存在していたとすれば、どのようなふうに書かれていたのか、それについてお願いしたいと思います。

伊藤政府参考人 生活安全相談に関するマニュアルでございますけれども、警察庁の方でマニュアルをつくりまして、各都道府県の方に配付しておりますし、また、各都道府県では、さらにそれを工夫して、マニュアルとして各警察署等の生活安全相談を受ける課に対して示しているところでございます。

泉(健)委員 多分、そこかもしれないですね。生活安全相談という範疇で本当によいのかどうかというところかもしれません。事件の一歩手前の状況である人が日常的にそういった場におられることについて、もちろん人権問題もありますから限界はあるかと思うんですけれども、やはり、例えば現場の警察の方々も、日常的に危ないものを持ってうろついている、あるいは地域とトラブルが絶えない、そういう方々に、解決に向けて対処をしていくために何ができるのかですよね。

 解決するために、例えば家を訪問するけれども、これまでだと現場の警察官にはノウハウがないから、家を訪問するということも考えられるけれども、それをやると逆に火をつけることにもなりかねないから、まずはちょっと現状維持でいこう。あるいは、近所の人たちから相談があっても、そしてまさに当事者のところに行っても、だれからそんな相談があったんだと問い詰められて、警察がそれに対処できなくてついつい答えてしまった、そうすると地域のトラブルになったなんということになるわけですね。

 やはり、そういう現場の警察官がそういったものを解決するマニュアルがこれまで生活相談という範疇だけでされていたと思うんですが、そこは少しこれから改善の余地があるのではないかなというふうに思っております。

 ですから、やはり、特に犯罪心理学ですとか精神病理学というんでしょうか、そういったものの研修を日常的に現場の警察官に受けていただいて、例えば包丁を持っている人等がいるという通報を受けた。そうしたら、それに対して、まずは現場を確認しに行って、事情を聞いて、何もなかった。だけれども、ここからさらに、そういう方がいるという事実を踏まえて、そういう方が包丁を持ったりしないようにするまで警察が何をできるのかということも、これこそまさに保健所と連携をして取り組んでいただきたいなということをまず申し述べておきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、大変恐縮ですが、次の質問に行かせていただきたいと思います。

 通常国会が終わって、通常国会は大半が警察不正経理疑惑に費やされるという大変残念な内閣委員会だったわけですが、そのことについては最終盤に小野国家公安委員長からもお話をいただいたところでした。

 その通常国会が終わって、この臨時国会に至るまで、改まったのかなという思いを持ってきたわけですが、残念ながら、私の地元である京都府警においても大変残念な事例が出てきてしまいました。そしてまた、こういった不正経理疑惑だけではなく、兵庫県警のいわゆる小さな犯罪ですが、自転車盗難等の事件のでっち上げということもあったりですとか、先ほどの埼玉の事件もあったということで、残念ながら警察の信頼が回復するに至っていないという状況です。

 これを踏まえて、私はやはり、大臣、これまでもずっと見解を問われてきたと思うんですけれども、私が残念だったのは、公安委員長の記者会見の中で、ちょうど通常国会が終わって、六月十五日の会見だったかと思います。今国会を振り返ってどうですかというような記者団からの質問に対して、いろいろなことをお話しされているわけですが、一切、一言たりとも、残念ながら警察不祥事についてのことが言葉として出てきていないんですね。非常に残念でした。

 これまで、これだけさんざん扱ってきて、委員会の中ではやるけれども、しかし公安委員長としてこの六月十五日の会見で挙げられたのは、主に言いますと、この国会でいうと、あの外交官の方々が殺害をされたことは非常にインパクトのあったことだった、そして青少年の犯罪がある、コミュニティー不足が問われているのも大変だろう、そういったことを、家族のきずなを大切にするのも大変だなんというような話もされていて、それはそれで大切かと思うんですが、まさに足元である警察の不祥事に関して一言もなかったというのが残念でなりません。

 やはりこれは認識不足と言わざるを得ないんじゃないのかなという思いを持っているわけですが、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

小野国務大臣 当日の内容を今全部思い起こすことは大変難しゅうございますけれども、もちろん私の気持ちの中には、今回の不祥事に関する問題は余りにも大きな問題でございましたので、その認識は私なりにきちんと持っているところでございます。

泉(健)委員 でも、今国会を振り返ると、言葉としては出てこないんですね。大変残念です。(発言する者あり)原稿に入っていなかったんでしょうかね。

 本当に、しかし、これだけの公金を大規模にむだに使っていたという可能性がある問題について、これだけ内閣委員会で時間をかけてやったわけですから、やはり日々にこういった認識をちゃんと持っていただくことは必要だと思うんですね。公安委員長が持たなければ、それは組織の中だって持ちませんよ。やはり、こういったところでもちゃんとそういった発言が出てくるぐらい、ふだんから警察の規律の確保というものに努めていただきたいというふうに思っております。

 そして、公安委員長だけを私は悪く言うというか責めるわけではないんですけれども、官房長の方も実は国家公安委員会の委員会の中で、この京都府警におけるマスコミ報道に関してちょっと発言をされておりまして、「先日、京都府警において、国費旅費の支払がすべて個人口座への振込みになった以降も、当該口座の通帳が集中管理されていたこと等が報道されていたが、問題は、当該旅費の執行が実態を伴うものなのかどうかである。」という発言をされたというふうに報告をされていますけれども、官房長、これはそれでよろしいでしょうか。

吉村政府参考人 そのような趣旨で発言をしたと思いますが、要は、申し上げたかったのは、旅費の口座を一括管理して、例えばそこで空出張が行われていたということになりますと、悪さの程度において極めて悪質でございますから、そういうものなのか。あるいは、係単位で、これも決してやっていいとは思いませんけれども、いわば集中で持って、例えば五人いて、二人がしょっちゅう出張に行くということで、少しストックをつくっておいて、五人で共益費的に使うというようなものなのかの判断が、それは悪さの程度において、どちらも悪いわけでありますけれども、前者の方がより悪いということでありますから、そこをきちんと見きわめる必要があるというようなことで、そのようなことで申し上げた記憶はあります。

泉(健)委員 ということは、官房長にお伺いしたいんですが、まず、これは当該旅費の執行が実態を伴っていなければ当然問題だということが第一点ですね。さらに、口座の通帳を集中管理すること、これは何らかの規則に違反をしているというふうにとらえてよろしいんでしょうか。

吉村政府参考人 京都府警で当該事案が報じられまして、直後、六月の二十九日でありますが、京都府警の総務部長を長といたします予算執行調査チームというものをつくりまして、現在もどういう事実関係であったのかということで調査を実施しております。

 その結果、あるいは御承知かと思いますけれども、現時点においては、本部、署の所属ごとにはもちろんこういうことはやっておりませんで、係単位で、本部において三所属の係が九、署において六つの所属で係が七つ、合わせて九所属の十六係で国費の旅費の通帳の集中管理をやっていたということがわかりましたので、それをやめさせたというふうに京都府警から連絡をもらっておりますが、そういうものを集中でやっていることが何らかの規則に違反するのかということについては、ちょっとにわかには、突然の御質問でもございますが、思い当たらないところであります。

泉(健)委員 というと、あれですか、まだ規則に違反しているかどうかはわからないけれども、何となくまずそうだし、やめておこうということでよろしいということですか。

吉村政府参考人 普通は、だから、こういうことは社会常識で考えて、やるべきことではありませんので、京都府警としてやめたということであります。それが何に触れるのかということについては、私、個人的には今思い当たらないということであります。

泉(健)委員 そうすると、さらに、では、そういった通帳の一括管理はやめましょうという話が、当然出てくる話だと思うんですね。実際に通帳も返還をされたらしいです、ことし五月からは。

 ではというふうにお伺いしますが、これまでの警察が一生懸命、でも一括管理をやっていこう、何とかプールをつくろうという話でいきますと、今度はそれぞれから同意を得て、通帳からお金を引き出して持ってこい、みんな月五千円ずつ集めて、一緒にお昼御飯代、夕飯代あるいは捜査の激励代、そういうものに使おうじゃないかというふうに同意を得てお金を集めてくる場合、これはいいというふうに認識をされているでしょうか。

吉村政府参考人 それは所属なりあるいは係ごとに一年に一回、あるいはレクリエーションの旅行に出ることもありましょうし、レクリエーションの積み立てをやっている課もあると思います。

 ですから、純粋に同意を得た上で、幾らずつ出し合って積み立てようということであれば、それは問題ないと思います。

泉(健)委員 いやいや、ここはごまかしてはならないと思いますよ。レクリエーションでお金を集めるのと、実際の捜査に使ったりあるいは残業中の食事に使ったりする、そのお金は違うと思うんですね。ましてや、捜査費として振り込まれたもの、旅費として振り込まれたものを、そこから五千円なり三千円なり取ってそれをレクリエーションに使ったら、それは問題じゃないですか。全く問題ですよね。

 ですから、捜査費や旅費として支払われた、振り込まれたお金をそれぞれ同意を得て集めることが可能かどうかという話です。

吉村政府参考人 私が今申し上げましたのは、給料としてもらったお金の中からしかるべくお金を出すということでありますから、捜査費や旅費ではそういうことはもちろん許されません。

泉(健)委員 捜査費と旅費の話です。

吉村政府参考人 ただいま申し上げたとおりでありまして、そういうことは許されません。

泉(健)委員 では、今後、各都道府県警どこででも、一度振り込まれた捜査費、旅費については、これは同意があっても徴収できないということで、もう一度確認をお願いします。

吉村政府参考人 まず、旅費は個人口座に振り込まれますが、捜査費は振り込まれるという実態にはありません、振り込まれることはありません。

 どこの府県警においても、このような使い方をもしやっているとすればそれは問題でありますし、即座にやめるべきものと思います。

泉(健)委員 わかりました。

 福岡県警の方では、返還委員会という言い方が正式名称かどうかわからないんですが、これまでさまざまな不正経理で得たお金を警視以上の元幹部とOBが返還をしていくというようなお話も聞いております、もちろん、返せばいいという問題ではないんですけれども。

 こういった例えば返還、何か不正経理疑惑があって、各都道府県警で今調査がなされていると思うんですけれども、各都道府県警で調査チームを組む、そして事情聴取をすれば、みんな、いや、これは同意して払ったんだ、払ったんだ、そういうふうに事情聴取で答えるわけです。

 我々、外の人間から見ると、非常にこれはおもしろい話、笑い話であって、それは内部の人たちで調査チームをつくって、上司から、おまえは同意を得たのか得ていないのかと言われれば、それは同意を得ましたと言うのが普通でして、なかなかちゃんとした調査もできないのではないのかなというふうに思うところもあるわけですね。

 この調査チームというものを都道府県警単位でつくっていただくのもいいんですが、警察庁として、例えばこの問題が起こっている各都道府県警に対して調査チームを送って合同調査をする、あるいは独自に調査結果を出す、そういったことは考えられていないでしょうか。

吉村政府参考人 都道府県警においていろいろ不正疑惑があったというときに、当該府県警察において調査チームなり調査委員会、名称はともかくとして事実関係を解明しているという実態にあるわけでありますが、これに対しまして、警察庁の会計課のしかるべき人間が何度か当該県に赴いたり、あるいは当該県から警察庁に来てもらいまして、いろいろとそれまでの調査結果なりあるいは進むべき方向性についてこちらから指導もし、相談にあずかるということは現在もやっております。

 こちらから一つのユニットとしてそこへ赴いてやるということが、人的にそれだけの余裕もなかなかございませんし、法律上その行為がどう構成されるのかということもありますので、まずは今申し上げましたような、警察庁として一定の関与をするということで、事実関係の解明をそれぞれの府県警察がやることの一助にしていきたいと思っております。

泉(健)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 次に、公用文書の亡失・廃棄の問題に移らせていただきたいと思います。

 本当に大規模なもので、これは先日、警察五十周年ですか、いろいろ本当におめでたい、また晴れがましい機会だったかと思うんですが、これまでこれだけの会計文書の廃棄があったという年は恐らくなかったのではないのかなというふうに思います、我々にとっては、大変残念な一連の事件だというふうに思っておりますけれども。

 公用文書を亡失・廃棄、やはりいつまでたっても亡失・廃棄という表現なんですね。刑法で言うと、一応公用文書等毀棄罪というものが存在をするわけですが、これだけ亡失・廃棄の事例があったにもかかわらず、今のところ公用文書等毀棄罪という言葉は、この件については聞いていないような気がするんですが、これまで立件したケースはございますでしょうか。

吉村政府参考人 ことしの春以降、会計文書について、なくしてしまったり、廃棄をしてしまったということの絡みにおきまして、公文書毀棄罪で立件した例はございません。

泉(健)委員 これだけの件数があって、立件をしないというその理由をお聞かせ下さい。

吉村政府参考人 この件につきましては、警察庁それから関係の都道府県警察におきまして、いろいろと監察部門等において調査をしてまいったわけでありますが、従前も申し上げたかと思いますけれども、会計文書の廃棄を行った各所属の関係職員が、一つは廃棄文書整理中に他の廃棄文書に混同して誤廃棄をしてしまった、あるいは文書の保存期間を誤って廃棄をしてしまった、あるいはまた庁舎の移転時に、文書整理の際に誤って廃棄したというふうに事実関係としては認められたところでございますので、したがって、必要な文書を毀棄するという故意が認められないところから、私どもとしては公用文書毀棄罪は成立をしないと判断をしたところでございます。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

泉(健)委員 まず、その監察というのは、内部の話では監察でいいのかもしれません。しかし、立件というと話は別なんではないのかなと思うんですね。あくまで内部でどういう処分をするか、それは監察でやったらいいでしょう。しかし、立件という話は、やはり警察が、内部とはいえ、組織内部の行動についてどう対処するかという話だと思うんですね。

 例えば新聞報道ですが、広島ですね。新聞報道じゃないですね、これは国家公安委員会の中で言われていますけれども、ある委員からは、「「広島県警察の事案に関し、これは国家公安委員会の権限ではないが、本部広報課等における文書の廃棄を容認し、又は惹起したという総務部会計監査官については、その職責からみて戒告という処分は少し軽いのではないかと思う。」旨、発言があった。」というふうに言われているわけですね。

 本部広報課等における文書の廃棄を容認し、または惹起したという人物がいて、これは全く故意ではないということでよろしいんでしょうか。

吉村政府参考人 あくまで一般論で申し上げて、刑事事件として立件できるのか否かということにつきましては、これは個別具体的に判断すべきものでございます。

 ただいまも申し上げておりますように、広島のケースについても、まことにけしからぬ事案であることは、これはまさに仰せのとおりでありますけれども、刑事事件としての立件については難しいのではないかという判断でございます。

泉(健)委員 難しくても、警察はまず自分たちから身を正すことで信頼回復するということで、この半年間ぐらいやってきたんじゃないですか。何だか身内にばかり甘いとみんな思っていますよ。しかも戒告ですよ、戒告。それは見方にもよりますけれども、厳しい処分かどうかといえば、それは訓告とか厳重注意に比べれば厳しいですけれども、本当にこれで正しいのかというのは国家公安委員の中からも出てきている。やはりこの事実は重く受けとめるべきだと思うんですね。しかも議事録は、発言があったで終わっているんです。その後結局どうなったかとは全く書いていない。何も変わっていないのかもしれません。

 そしてほかでは多摩署。保存期限が切れていないのを知りながら、もう使わないと三月下旬に廃棄というふうに調べた結果が出てきているわけですよね。これも故意ではないというわけですか。

吉村政府参考人 あくまで個別ケースで判断をされるべきだと思いますが、公務所の用に供する必要な文書を毀棄するという行為が当該刑法の二百五十八条の成立には必要なわけでありまして、私どもの判断としては、その種の行為に、刑罰法令に触れる行為ではないという判断でございます。

泉(健)委員 そこは余りぱっぱっと判断をして、我々が調べた上では悪くない、しかも内部のことについてはそうあるべきではないと思うんですね。

 例えば、これはよく引き出される例ですけれども、交通違反なんかにしてみれば、仮にその人が一方通行の標識を見落としていようが、仮にスピードの表示を見落としていようが、アウトはアウトなんですよ。どれだけ一生懸命頑張ったって、どれだけ苦労して説明して悪気はなかったと、自分から、後ろから警察官が追いかけてきたから何だろうと思ってわざわざ車をおりて何ですかと聞きに行った人まで許してもらえないんです。放置してあった自転車を親御さんが善意で修理をして子供に使わせたら、実はそれが放置自転車で窃盗罪で捕まっちゃった。幾ら説明しても警察で写真を撮られ指紋をとられちゃうんです。

 でも、これだけの文書を廃棄して一件も立件がない、そしてこれだけ調査、本当に件数があるにもかかわらず、我々がやった結果は一件も故意はなかった、本当にそうなのかということを感ぜざるを得ません。

 そして最後になりますが、官房長は以前、三月二十四日にさかのぼります。そもそも三千の所属に一つのことを伝達する手段はなかなかないということをおっしゃられた。しかし、通達というのは、通常いろいろな形で出ているわけですね。それはちゃんと届いているはずですよ。

 ここにある一本の通達を持っていますけれども、これも各機関の長、各地方機関の長、都道府県警の長、そして庁内各局部課長までちゃんと届くように通達は普通なっていますよね。こういう形をとれば、三月二十四日のことだって電話連絡の上さらに文書で出すことだってできたはずなんですね。

 三千の所属に情報が届かないような警察だったら、それは公平性も信頼感もあったものじゃないということになってしまうと思いますし、きっと所属には届くんだろうと思いますので、ぜひ、そういったことをごまかさずに、やはり届けるべき情報は届け、そして徹底して守っていただき、守っていただけない場合は、ちゃんと処罰をする、身を律する、そういう警察であってほしいというふうに思っております。

 最後に公安委員長に、この質疑を聞いた御感想とまた決意をお伺いしたいと思います。

小野国務大臣 いろいろと反省するところが多うございます。ですから、会計文書の亡失事案という今回の大変大きなこの事案に関しましても、例えば保存期間や廃棄方法等について、伝達あるいは指示の不徹底というものが問題になったわけでございますし、それに関する問題も今事件としてはどうなのかというお話もございました。やはり、内に厳しくという姿勢を今後もきちんと持って頑張るよう督励してまいりたいと思っております。

泉(健)委員 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 通常国会の最後の方にも申し上げましたが、「その身正しからざれば、令すといえども従わず。」やはり皆さんがしっかりと正しい言動をしなければ幾ら命じても従わないということでございます。いよいよそうした悪循環になってきているというふうに私は感じておりますし、せっかくの皆さんの優秀な頭脳をこうした言いわけや言い逃れやすりかえやに使っていらっしゃるのを見ると、本当に情けない思いになります。

 やはり、一度ここは、通常国会の初めのころにも申し上げましたように、警察は本当にこれまでのことをしっかりと反省した上で、すべて明らかにして、これまでのことをしっかりと皆さんに伝えて、最初からやり直すというぐらいの気持ちでやっていただければと思いますが、きょうはそのことにはもう触れません。

 きょうは、私の質問、まず第一番目は、先日の国松元警察庁長官に対する狙撃事件の容疑者が逮捕、またすぐに釈放された件についての御質問をさせていただきたいと思っています。

 まず、この逮捕の決定、指示はいつ、どのような形でなされたのか、お願いいたします。

小野国務大臣 これは、警視庁におきまして、今回強制捜査を決定したものと承知をいたしております。

市村委員 それはいつでございますでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 警察庁長官狙撃事件につきましては、発生以来九年余にわたりまして、大変物証の乏しい中、証拠収集、裏づけ等、警視庁において鋭意捜査を進めてきたところでありまして、その中におきまして、任意捜査で可能な限り手段を尽くしてまいったわけでございますけれども、尽くしてもなお未解明の部分が残る、しかし、強制捜査に踏み切るだけの材料はこれはある、こういう状況に至ったという状況になりました。

 その段階におきまして、警視庁におきまして、これは法の定めるところにより強制捜査をもって解明に努めるべきだという判断をしたものであるというふうに報告を受けております。

市村委員 私は、簡潔に、いつその決定がなされたのかということをお聞きしております。逮捕の決定です。

瀬川政府参考人 具体的にいつということにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 今申し上げましたように、任意捜査を営々と積み重ねてきた中で、これは最終的に強制捜査に踏み切らざるを得ないという判断に至ったものということで御理解をいただきたいと思います。

市村委員 どういう理由でそれは言えないんでしょうか、教えてください。逮捕という事実はあるわけですから、世間は知っているわけですから、いつだったかということを改めておっしゃっていただければいいと思います。

瀬川政府参考人 本件につきましては、七月の七日に強制捜査に着手をしたわけでございますが、強制捜査のためのいわゆる令状、逮捕令状等につきましては、七日の朝、裁判官に請求をし、それを得ているということでございまして、最終的には、したがいまして、令状請求の判断をしたときである、こういうことで御理解いただきたいと思います。

市村委員 なぜ七月七日だったんでしょうか。何か証拠隠滅のおそれとかあったんでしょうか。その日に逮捕しないとどうしてもだめだったんでしょうか。

瀬川政府参考人 先ほど来御答弁申し上げていると思いますが、証拠乏しい状況の中で任意捜査を積み重ねてきた中で、殺人未遂事件についての関与の疑いというものが相当程度明らかになってくる。そういう状況の中で、任意捜査を尽くしてもなお未解明の部分が残るということで、法律の定めるところに従って強制捜査に移行したものでありまして、なぜこの日でなければいけなかったのかということに対するお答えというのはなかなか難しいかと思うんですけれども、したがいまして、漫然としてそういった状況の中でいたずらに手をこまぬいて月日がたつということであれば、これは私ども捜査機関としての任務を果たすということにはならないというふうに考えまして、そういう段階に至った後、できるだけ早期にこれは強制捜査に着手すべきだということで、それが七月の七日になったということでございます。

市村委員 その七月七日というのは日本がどういう状況だったか、御認識をお聞かせください。

瀬川政府参考人 これは、犯罪捜査に関することでございまして、捜査のいろいろな過程の中、あるいは手続の中で私どもは粛々と作業を進めているものでありまして、そのときの、それ以外の捜査環境といいますか、捜査を取り巻く情勢、状況以外のものがどうであったかということは、これは最終的に判断にはかかわりのないことでございます。

市村委員 もう一度お聞きします。日本は、具体的に七月七日はどういう状況だったのでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えが繰り返しになって恐縮でございますけれども、本件捜査に当たる者としては、本件捜査の進捗の状況等に応じまして、捜査機関としての的確な判断をすべくそれに努めてきた結果が七月七日の着手であるということでございます。

市村委員 わかりました。もう私の方から申し上げます。

 七月七日は参議院選挙の真っ最中です。しかも、十一日が投票日、選挙期間もあと四日というタイミングでございました。

 そして、世間で何が言われているのか。これは選挙から関心をそらすことではないのかという疑義があります。これは、皆さんがどういう認識であれ、そういう疑義があるわけでございまして、そして、国松元長官の銃撃犯の容疑者逮捕ということになると、マスコミがそれについては大きな報道をすることは、当然予測をされた範囲でありました。当時、それだけじゃありません。いろいろな、例えば曽我ひとみさんの御家族の帰国等ありました。

 しかしながら、日本がまさにこれから大きな転換点を求めて、そして選挙を行おうとしている最中に、どうしてもこの逮捕に踏み切らざるを得なかったのか。いや、私はそのときは、ああそうか、そういえばオウムのときの関係で国松元長官の狙撃犯がこのまま逮捕されたのか、私は、そのときは素直にそう思ったんです。

 ところが、それについておかしいと思ったのは、その三週間後ぐらいですか、すぐ釈放されるということなんですね。一体これは何なのかということなんです。確固たるものであって、それは粛々と進めた結果逮捕されたならよかった。しかし、結局釈放されるという結果になる。では、一体あのタイミングは何だったのかということは、やはり疑わざるを得ないんですね。

 それについて、私は、当時の日本はどういう状況であったと御認識だったのかということをお聞きしていたんです。

瀬川政府参考人 確かに、当時参議院選挙という状況があったということは御指摘のとおりだろうと思いますけれども、そのことが本件事件捜査には何ら影響を与えるものではないということをはっきり申し上げておきたいというふうに思います。

 選挙があるから、ある事件をやりますとか、やらないですとか、そのときの政治状況なり、あるいは国際情勢なり、いろいろな社会事象、経済事象はあるだろうと思いますけれども、そういうことによって、犯罪捜査というものに着手する、しないということが左右されるものではないということは明確に申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それから、確かに拘束期間満了時におきまして、処分保留のまま釈放ということに本件はなったわけでございますが、私どもといたしましては、この長官狙撃事件というのは、治安に対する挑戦というべき極めて重大な事件であるというふうに認識をいたしまして、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、非常に乏しい証拠の中、鋭意緻密な捜査を繰り広げてきて、先ほど申し上げた状況の中で、これは強制捜査に着手やむなしという判断に至ったものでありまして、そういう処分保留に至ったという結果ではございますけれども、私どもとしては、全力を挙げてこの全容解明に努めてきた結果であります。

 なお、今後とも、この事件の全容解明に向けまして我々は鋭意努力を重ねていきたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

市村委員 今局長おっしゃいましたことに関する御労苦は本当に私は多として、それは敬意を表します。ですから、関係がない、思い過ごしだと言われるのであれば、そうあってほしいと思います。

 ただ、局長、先ほどそういう犯罪捜査と選挙は関係ないとおっしゃっておりますけれども、どう考えても、選挙が終わった後にぼろぼろと出てくる逮捕があるんですね。それは、今までの経緯の中でも疑わざるを得ないことがたくさんあるわけですから、その辺については、やはりフェアにやっていただきたいというところでありますし、もちろん、逮捕が必要なときに逮捕してほしい、逮捕が必要だということはそうではありますけれども、状況等もしっかりと判断をする必要もあるんじゃないかと私は思います。

 これ以上、これに触れません。

 きょうは、私としては、あと二つほど質問させていただきたいと思いますが、その一つ目は、交通事故に関することでございます。

 まず、第一番目に、これは先日も、正面衝突をして、結局、家族が五人巻き込まれて死亡した交通事故事件が起きました。昨年、交通事故死亡者も大分減ってきた、しかし、それでも七千名を超える方が亡くなられているわけでありまして、なお一層の努力が必要だと思います。

 そうした状況の中で、また交通事故がふえる傾向にあるということはやはり見過ごせない事実であると思いますが、今後、年末に向けて、交通事故対策についてどのようなことをお考えになっているか。それについて、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

人見政府参考人 お答えいたします。

 昨年の交通死亡事故は七千七百二人と、これは昭和三十二年以来、四十六年ぶりに七千人台となったというところであります。

 ただ、今先生御指摘のとおり、本年七月中の全国の交通事故死者数は六百三十一人、これは昨年と比べて五十二人増加しております。七月末現在で見ますと、交通事故死者数は四千五十八人、これはわずかでありますが、十九人、前年よりも減っております。しかし、依然としてこれだけの方のとうとい人命が失われるという大変厳しい状況であります。

 本年上半期の交通死亡事故の主な特徴としましては、高齢運転者による事故が増加しておる、あるいはシートベルトを着用しないで亡くなる方がふえておるというようなことが挙げられます。

 警察庁といたしましては、このような上半期の交通死亡事故の特徴なども踏まえて、交通事故の分析をしっかりと行い、各都道府県警察に対しましても、このような交通事故分析を踏まえて交通死亡事故抑止計画を立てるよう、またその推進について指示しているところであります。

 特に、これからは日が短くなります。九月以降、年末にかけて、薄暮時間帯、夕暮れどきでありますけれども、夕暮れどきの事故や夜間の事故、あるいは高齢者の方の事故、あるいは歩行中、自転車乗用中の事故を中心に、死亡事故が例年増加する傾向にあります。そういうことで、これらの交通死亡事故防止対策が効果的に行われるよう、各都道府県警察を警察庁としては指導してまいりたい、こう考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、きょう、改めて議論したいことがありまして、以前、内閣委員会でも私は、阪神高速北神戸線について、速度規制が六十キロであるけれども、六十キロで走っている車はほとんど、一台も見かけたことがないということでお話をしたことがございます。それにつきまして、その後、どういうふうになっているんでしょうか。その後の経緯を教えてください。

人見政府参考人 お答えいたします。

 先生が今御指摘の道路につきましては、指定自動車専用道路であると思いますが、そこについては、都道府県公安委員会、具体的には兵庫県公安委員会が規制をすることとなっておりまして、その後、変更したということは聞いておりません。

市村委員 それで、その後、私は、しつこいようですけれども、いろいろまた議論を続けさせていただいておりまして、そのときに出てきたものが、設計速度というものがある。結局、警察の方では、国土交通省が出している設計速度というものに準拠して規制速度を決めているということでありました。

 きょうは国土交通省からも来ていただいていますので、まず、設計速度とは何か、ごく簡単に御説明ください。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 設計速度とは、道路構造令第十三条に定められている道路の設計の基礎となる自動車の速度で、道路の幾何構造、例えば、曲線半径や勾配、運転手が見通せる距離であります視距等を検討し、決定するための基本となる速度でございます。すなわち、天候が良好でかつ交通密度が低く、車両の走行条件が道路の構造的な条件のみに支配されている場合に、平均的な技量を持つ運転手が安全に、しかも快適性を損なわずに走行できる速度と考えております。

市村委員 今御説明いただきました設計速度というのは、規制速度を縛るものでしょうか。

谷口政府参考人 お答えさせていただきます。

 設計速度は、国、地方公共団体等の道路管理者が道路の設計の基礎とする自動車の速度で、道路の曲線半径や勾配等の幾何構造を検討し、決定するための基本となる速度であり、公安委員会が交通状況等を考慮して、道路交通法に基づき設定する規制速度とは別のものであります。

市村委員 別のものということですね。

 私がなぜこの質問をしているかといいますと、警察庁との議論の中では、結局、いや、設計速度がありますからそれに準拠しておりますという理屈立てをされるわけですね。私としては、やはり実態に即した規制をすべきだということを再三主張させていただいているわけでございます。つまり、守れない規制をして、守っていない、実際に守っていないということなんですね。

 となるとどうなるかといいますと、結局、速度規制なんてだれも信用しないわけです。これは、アメリカに私が三年いましたときの体験ですけれども、欧州はよくわかりませんが、やはり速度規制というのは、実はすごく理にかなったものになっているんです。というのも、その速度規制以上に走るとやはり危険だなと思わせるんですね。五十五マイルだったら五十五マイル、六十五マイルだったら六十五マイル、じゃ、それ以上出すとやはりここの道路では危険だなと思うから、速度規制標識を見るわけです。標識を見て、ああ、大体このあたりはこの速度なんだなということがわかるんですね。だから、非常に信頼がまだ置けるんです、標識に。

 ところが、日本の場合、多分ほとんど見ていないと思うんですよね、標識。結局それ、見ていないで……(発言する者あり)というのも、捕まったときに不運だと。結局、六十キロで走れない道路で六十キロ規制にされておいて、捕まったときは六十キロから何キロオーバーだ、こんなような形で罰金を科される。非常に情けないというか、ドライバーからすると何だそれはという取り締まりになっているんです。

 ですから、やはり私は、実態に即した規制のあり方を検討していく。特にこのたび、後で議論したいんですけれども、駐車違反についても、今後はこの二年間に実態に即した駐車違反取り締まりにしていく。例えば、今は日中全部駐車違反にしているものを、時間帯を区切ったら駐車をオーケーにするとかということもこれから検討するんだということを聞いておりますし、ですから、スピード規制、速度規制についてもやはり実態に即した規制をしていくべきだ。

 そうすると、なるほど、これ以上で走るとこの道路は安全ではないということ、つまり、安全を保てる速度というのを、それで後はもう個人が判断するわけですね。だって、自分の命は守るわけです。家族の命を守るわけです。下手すると、きょう冒頭に申し上げたように、人の命まで奪ってしまうんです。当然ドライバーとしての最低常識がありますから、そういうことは心配しなくていいと思うんですね。ただ、警察として道路に対する規制というのは、やはり守る、守れるものにしていかなくちゃならない、こういうふうに思います。

 だから、きょう、国土交通省の方に来ていただいて、いわゆる設計速度と規制速度は違うということが明確になりましたので、今後は、ぜひとも設計速度がどうのこうのという理屈立てではなくて、警察独自の判断で実態をちゃんと調査していただいて、そして実態に即した速度規制というものをしていただきたい。特に、私は阪神国道北神戸線の例を出しておりますが、それだけじゃないと思います。全国ぜひとも見直していただいて、そして、実態に即した取り締まりをやっていただきたいと思いますが、最後に局長から一言お願いいたします。

人見政府参考人 お答えいたします。

 まず、高速道路の規制速度につきましてでありますが、これは道路の設計速度を大変参考にはしておりますが、このほか、車線やトンネルなどの道路の構造、あるいは交通量などの交通環境、あるいは安全施設の整備状況、それから交通事故発生状況等の諸要素を勘案の上決定しておるところであります。また、決定した後でありましても、道路構造の変更があったり、あるいは交通実態の変化、こういったものに応じまして適宜見直しを行っておるところであります。

 今後とも、適正な速度の規制ということについて努めてまいりたい、こう考えております。

市村委員 「道路構造令の解説と運用」というもののこれは抜粋の中で、交通規制というものは、状況の変化に応じ、弾力的に絶えず見直されるものであるということもまずは書かれてありますから、それこそ、状況の変化に応じ、弾力的に絶えず見直していただきたいということでお願いします。

 いつも最後になってしまいますが、もう一言だけまたお言葉をいただきたいのは、しつこいようですが、駐車違反の切符を張る行為につきまして、私は株式会社はないということを常に申し上げておりましたが、その後の調査状況、どうなっているかだけ最後に教えていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。お願いします。

人見政府参考人 お答えいたします。

 先般の内閣委員会で先生から、検討をしてはいかがか、こういう御指摘をいただいておるところでございまして、現在、確認事務の民間委託につきましては、私どもも、事務が公正かつ的確に遂行される、これが大変重要であるということは認識しております。

 このような観点から、現在調査研究を行っているところでありますが、それは、具体的に申し上げますと、受託対象法人の具体的要件やその選定の基準、それから確認事務の実施要領や受託法人の義務、警察の監督方法などについて定めました委託契約等仕様書、こういったもののあり方について、学者あるいは弁護士、公認会計士などの方々をお招きいたしまして調査研究を行っているところでございます。

 引き続き、この施行に向けまして、各般の御意見、御指摘を踏まえつつ、的確な民間委託を実現するため、細部の検討を進めてまいりたいと考えております。

市村委員 ちょっと、もう一つだけ。

 ですから、株式会社はどうかということで私はお聞きしていますので、それだけ、ちょっと明確にお答えください。

人見政府参考人 お答えいたします。

 確認事務の民間委託につきましては、先ほども申し上げましたように、公正かつ的確に事務が遂行できるかということが大事でありまして、今回の改正法におきましても、委託を受ける法人の登録制度、あるいは現場で実際に確認の事務に従事する者の資格者証制度、そして委託を受けた法人の役職員に係るみなし公務員制度の三点の配慮をしております。

 こういった観点から、株式会社についても十分、法人については限定しておりませんので、その一つの対象になっておるところでございます。

市村委員 では、最後に一言だけ。

 ということは、株式会社は対象として考えているということでございますね。わかりました。

 それについてはまた、今後しつこく議論させていただきます。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、来る六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時九分散会


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