第3号 平成16年10月29日(金曜日)
平成十六年十月二十九日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 松下 忠洋君
理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君
理事 増田 敏男君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 須藤 浩君
理事 田端 正広君
江渡 聡徳君 大村 秀章君
川上 義博君 木村 勉君
桜井 郁三君 土屋 品子君
西村 康稔君 萩野 浩基君
早川 忠孝君 宮澤 洋一君
石毛えい子君 泉 房穂君
市村浩一郎君 小宮山洋子君
今野 東君 島田 久君
中村 哲治君 藤田 一枝君
牧野 聖修君 太田 昭宏君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(青少年育成及び少子化対策担当) 南野知惠子君
国務大臣
(内閣官房長官)
(男女共同参画担当) 細田 博之君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君
国務大臣
(経済財政政策担当) 竹中 平蔵君
国務大臣
(規制改革担当)
(産業再生機構担当) 村上誠一郎君
国務大臣
(科学技術政策担当)
(食品安全担当) 棚橋 泰文君
内閣官房副長官 杉浦 正健君
内閣官房副長官 山崎 正昭君
内閣府副大臣 七条 明君
内閣府副大臣 西川 公也君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
内閣府大臣政務官 西銘順志郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 西 達男君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 橋口 典央君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 堀内 文隆君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 増田 好平君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 小川 新二君
政府参考人
(内閣官房構造改革特区推進室長) 滑川 雅士君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幸秀君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 柴田 高博君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 山本信一郎君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 名取はにわ君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 田口 義明君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 伊藤 哲朗君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 岡田 薫君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 知念 良博君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(防衛庁運用局長) 大古 和雄君
政府参考人
(総務省行政評価局長) 田村 政志君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 梅本 和義君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 宮家 邦彦君
政府参考人
(外務省経済協力局長) 佐藤 重和君
政府参考人
(外務省領事局長) 鹿取 克章君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 藤田 明博君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 小田 公彦君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 伍藤 忠春君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 小島比登志君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務流通審議官) 迎 陽一君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院長) 松永 和夫君
政府参考人
(国土交通省河川局長) 清治 真人君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 谷口 博昭君
参考人
(原子力安全委員会委員長代理) 鈴木 篤之君
内閣委員会専門員 高木 孝雄君
―――――――――――――
委員の異動
十月二十九日
辞任 補欠選任
小宮山洋子君 中村 哲治君
同日
辞任 補欠選任
中村 哲治君 小宮山洋子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○松下委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官西達男君、内閣官房内閣審議官橋口典央君、内閣官房内閣審議官堀内文隆君、内閣官房内閣審議官増田好平君、内閣官房内閣参事官小川新二君、内閣官房構造改革特区推進室長滑川雅士君、内閣府政策統括官林幸秀君、内閣府政策統括官柴田高博君、内閣府政策統括官山本信一郎君、内閣府男女共同参画局長名取はにわ君、内閣府国民生活局長田口義明君、警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁刑事局長岡田薫君、警察庁組織犯罪対策部長知念良博君、警察庁交通局長矢代隆義君、防衛庁運用局長大古和雄君、総務省行政評価局長田村政志君、外務省大臣官房審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省大臣官房参事官梅本和義君、外務省大臣官房参事官宮家邦彦君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省領事局長鹿取克章君、文部科学省大臣官房審議官藤田明博君、文部科学省大臣官房審議官小田公彦君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君、国土交通省河川局長清治真人君及び国土交通省道路局長谷口博昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川上義博君。
○川上委員 おはようございます。川上でございますが、自民党会派に所属をしております。
今回の台風並びに中越地震の被害を受けられた被災の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
きょうは三点について質問をいたしますので、余計な説明は加えないで、質問に的確にお答えをいただきたいと思います。
まず、今回の地震で非常災害対策本部を設置されました。この非常対策本部の設置は二十四日の朝七時五十分のようでありますが、何ゆえ、ランクがもう一つ上の緊急災害対策本部、これは本部長は総理のようでありますが、非常対策本部は防災大臣、なぜこのように格付というか、このように決まったのかということをお伺いしたいと思います。特に、だれがこの二つの本部を判断するのか、あるいはその判断材料というのは基準はあるのかどうかをまずお伺いいたします。
○柴田政府参考人 お答えいたします。
今般の地震によります被害が非常に甚大であったということで、御指摘のように非常災害対策本部を設置いたしました。そういうことで、非常災害対策本部が中心になりまして、政府が一体となって全力で対応に当たっております。
非常災害対策本部と緊急災害対策本部の差でございますが、非常災害対策本部というのは非常に大きな災害が発生した場合に置くことになってございまして、また、緊急災害対策本部というのは、両方とも災害対策基本法に基づきますけれども、法律上は「著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合」ということでございまして、極めて大規模で、かつ、まれに見る災害で、国家の総力を挙げて災害応急対策を緊急かつ総合的に推進する必要がある場合に設置するということになってございます。
これまでの例でございますが、非常災害対策本部についてはかなりのケースがございます。阪神・淡路のときも法律上は非常災害対策本部でございましたが、そういう意味で、ちょっと緊急災害対策本部というのは、非常に大きなものだというぐあいに考えてございます。(川上委員「基準はないの」と呼ぶ)
基準はございませんが、そういう判断につきましては、総理あるいは防災担当大臣に上げて御相談して、非常災害対策本部につきましては総理大臣が御決裁いただきます。緊急災害対策本部という非常に大きなものになりますと、これは閣議で決めるということになってございます。
○川上委員 先ほど私が、非常災害対策本部を設置したのが二十四日の七時五十分と。初動マニュアルの体制に、内閣危機管理監は、緊急事態に関する情報を掌握して内閣総理大臣並びに官房長官に報告する、それで必要な指示を受けるとあるんですね。本部が設置されたのが翌朝なんです。その間の責任というのは一体だれが負うんですか。マニュアルの中には、担当大臣の指示を仰ぐというのはないんですね。だから、その間の責任者というのは総理並びに官房長官なんですか。その間の、なぜマニュアルに担当大臣の指示を仰ぐという項目がないのか、不思議に思うわけであります。
○堀内政府参考人 お答えをいたします。
緊急事態に対する政府の初動対処体制という閣議決定が昨年十一月に決定されておりまして、今回、十七時五十六分に地震が発生いたしまして、十八時に官邸対策室設置、緊急参集チーム招集等をいたしておりまして、非常災害対策本部設置までの間の初動対応につきましては、危機管理監が情報集約等の責任を負いまして、その間、総理、官房長官等に情報を集約して報告をし、指示を仰ぎながら政府としての対策を進めていく、こういう形になっております。
○川上委員 それはわかっているんですよ。その間の責任というのはだれが負うんですかということを言っている。要するに、対策本部の設置の間に何かあった場合、防災大臣が負うんですか、総理が負うんですか。
○柴田政府参考人 ただいま内閣官房の方から、初動の、地震が起きて直ちの情報収集についての体制が整備された、非常に緊急かつ迅速な対応ができたものと考えてございます。
なお、災害についての責任者はだれかということでございますと、これは、災害対策基本法に基づきまして、防災担当大臣になろうかと思います。ちょっとそういう意味で緊急参集チームの話とは別かと思いますが、災害、自然災害に対する責任者は防災担当大臣ということになります。
○川上委員 テロとか武力事態の場合は総理が責任者でしょうが、災害の場合は、大規模災害の場合は担当大臣なんです。要するにそういうことなんですね。
その初動マニュアルの中に、総理と官房長官のどのような行動をすればいいかというマニュアルがなくて、要するに、新聞記事にありましたけれども、官邸に行くのが何日か後であったとかあるわけなんですよ。だから、そういったマニュアルというのは、総理と官房長官の行動マニュアルというのを、これは御本人の判断に任せていいということなんですか。
○堀内政府参考人 お答えをいたします。
先ほどの閣議決定で、政府のとるべき初動体制についていろいろ定めてございます。先ほど私が申しました情報集約の関係で、緊急参集チームの関係ですとか、あるいは関係閣僚会議、あるいは大きな事態等につきましては安保会議を活用するというようなこと、また、政府として総合的な対策をとるときには対策本部、こういった一連の流れの規定を定めてございまして、その間、官房長官、総理等の御判断を仰ぎながら進めていくということでございます。
○川上委員 私のつたない県会議員の、鳥取西部地震というのがあって、それでの経験は、各人員を配置しても、集約する人がいなければいけない。要するに、何かの場合は一人の人間に権限と情報を集中させるということなんですよ。その一人の人間が最高司令官としていろいろな指示を出して判断する、判断を間違えればその最高司令官は責任をとるというふうに、そういう体制をとるということは極めて重要なことだと思うんですね。それが何か漠然としているというのを私自身は危惧を感じるわけなんですよ。だから、そのあたりのことをぜひ研究していただきたいなと思うわけです。
それから、きょうの新聞も、危険度、要するに応急危険度判定調査、鳥取の地震のときも、建築士さんなんかが行って、これは要注意、これは赤紙だということをやったんですけれども、今回政府は、被災者生活再建支援法を弾力的に適用するということを決定したようだと新聞にありました。
これは、知事会が六百億円の基金を積んでいるんですね。住宅本体に対する基金を見込んで六百億円を積んでいます。この基金とは要するに別なんですかということなんです。
それから、弾力的とはどのようなことを示しますかということと、今回のこの災害は台風も含んでいるのか、あるいは中越地震だけなのか。台風災害を含むとしたら、ことしのいつの台風からなんですかということなんです。
別仕立ての国独自の基金をつくるというふうな話も一部聞いていますけれども、実際それはそのように動いていくんですかということをお伺いしたいと思います。
それから、大体これを出す見込み額ですね。要するに、生活物資支援とか周辺整備の、家屋に係る、今の制度内で最大三百万円なんです、それに対する見込み額。今、危険度調査とかやっていますけれども、大体見込み額というのはわかると思うんですよ。それをちょっとお願いします。
○柴田政府参考人 被災者生活再建支援法につきましては、前国会で先生方の熱い熱意によりまして御改正いただきまして、百万円の支給が要件的に加わりまして、最大三百万円まで出せるということで改正していただきまして、大変ありがとうございました。
今回の弾力的な運用でございますが、これはこの法律の運用についてでございます。別のものではございません。
特に、七月の十三日、新潟の大水害が起こりました。その後また、福井の大水害が起こりました。水害によりまして多くの住宅が水浸しになったわけでございます。そのときに、水害についての判定基準がわかりにくいということを言われました。地震であれば、傾きがこれくらい傾いている、あるいは、見て、ここが壊れてしまっていると非常にわかりやすいわけでございますが、水害についてはわかりにくい。この被災者再建支援法は水害を対象としていないんじゃないかというようなことを言われたわけでございます。
確かに、これが出てきた背景は、阪神・淡路の大震災で家が相当壊れてしまった、これに対する支援を何とかしたいというところから始まっているわけでございます。ですから、そういう御批判をいただいたんだろうと思っております。
そこで、我々は、七月時点で、中央防災会議を開いて水害の対策等を御報告したわけでございますが、総理大臣の方から、支援法を積極的に活用して被災者対策に当たるようにという御指示もいただいております。その場合、やはり公共団体が見てわかりやすい基準をつくる必要があるだろうということで検討してまいりました。その結果、出したわけでございます。
具体的にはどういうことかといいますと、浸水によりまして畳が吸水して、畳が膨張する、こういった場合には例えば床が損傷したというぐあいに扱うとか、浸水の水位が低位であった場合でも、壁内部のパネルや断熱材の吸水により壁の内部が膨張している場合には内壁全面の損傷として取り扱うとか、あるいは、台所の流し台、浴槽、洗面所、便器などの設備は、浸水によりまして衛生設備としての機能を喪失する場合があります。その場合設備の損壊として取り扱うといったような項目についてわかりやすく掲げてございまして、その取り扱いを昨日公共団体に通知いたしたところでございます。
我々といたしましては、この支援法の積極的な活用により被災者の生活支援に努めていきたいと考えてございます。(発言する者あり)本体の問題については、これはいろいろなまた御議論のあるところだと思います。
それから、六百億円の基金が公共団体で積んでございますが、国といたしましては、公共団体がこの何億円か何百万か出される、それと同じ額を国の方からも出して、一対一の割合で予算措置をいたしてございます。同じ額を予算措置いたしております。基金ではございませんが、同じ金額を出させていただいております。
また、今回の災害、いつから適用かということでございますが、我々といたしましては、ことし発生しました一連の豪雨、台風災害についても、この運用の考え方に立って、各地方公共団体において支援法の積極的活用を図っていただきたいというぐあいに考えてございます。
それから、金額がどれぐらいになるかということについては、今後、各公共団体からの積み上げによって決まるものというぐあいに考えておりまして、今のところ、ちょっと幾らかというのはわかっておりません。
○川上委員 今応援の声がありましたけれども、要するに、こういう災害で、地域の崩壊というのは、生活弱者とか高齢者の方は家がなくなったといった場合はそこの地域にもう住まなくなるわけですよ。何千万も新しい家を建てるわけではない。したがって、ライフラインだとか道路とか橋を整備しても意味がなくなるわけなんです、人が住まなくなるわけですから。
だから、ぜひ政府としても、住宅本体を対象に絶対しなきゃいかぬと思うんですね。生活再建のポイントは住宅再建なんですよ。これは絶対必要なことだと思いますが、その方向について検討するというふうな構えはありますか。
○柴田政府参考人 この被災者生活再建支援制度につきましては、最初、成立していただきましたときにも同じ議論がございました。
また、前国会で制度を拡充させていただきましたが、これまでは、生活再建にかかる経費、百万円が最大でございましたが、住宅の解体撤去費、ローン利子等、居住安定にかかる経費、最大二百万、合わせて三百万でございますが、この法改正のときにもいろいろな御意見がございました。私有財産である個人財産への支援についてさまざまな議論がございました。私助、公助、共助、その中で、公助として、可能な限り支援の充実を図ったというぐあいに考えてございます。
また、この法改正の審議の際に附帯決議をいただいてございまして、「居住安定支援制度等の充実を図るため、本法の施行後四年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること。」との附帯決議をいただいております。
この附帯決議を踏まえまして、今回の災害事例等を含めまして、改正法の施行状況等を勘案しながら、総合的な検討を加えてまいりたいというぐあいに考えてございます。
○川上委員 それでは、北朝鮮の拉致のことについてお伺いします。
十一月の八、九にピョンヤンで実務者協議があるという話がありましたが、この日時と日数は決定しておりますでしょうか。決定しておるとすれば、その協議の代表団の構成員、人員、あるいは捜査当局も入るのか、あるいはその他の医師とか専門家みたいな要員は構成員として入るのか。代表団の、齋木さんは何かどこかアメリカの担当審議官だと言われていましたけれども、どうなっているのかというのも含めてお伺いします。
○齋木政府参考人 お答えいたします。
実務者協議、次回は十一月の中旬にやりましょうということで、一応、原則的に、日朝双方合意ができております。日程の細目、いつからいつまでということにつきましては、今まだ先方との間で調整中でございます。
と申しますのは、今度私どもピョンヤンに参りますけれども、向こうへ参りまして一体どういう日程をこなすのか、単に机に座って協議をするのか、あるいはいろいろなところを訪れるのかということも含めまして、日程の細目について今先方と調整中でございますので、この点について、いましばらく先方とやりとりをした上で、確定次第、速やかに日程の公表に進めたいというふうに考えております。
代表団でございますけれども、前回までの二回の実務者協議の結果を踏まえまして、次回の協議は、これは、相当、我々は極めて重要な協議になるというふうに認識しておりますので、前回までは私が代表団長を務めていっておりましたけれども、次回は私の上司である薮中外務省アジア大洋州局長が代表団長を務め、そこに私も随行いたします。外務省の人間何人かと、それから先ほど委員の方から御指摘のありましたいろいろな分野の専門家の参加も含めて、今、いろいろと関係省庁とも相談しながら、メンバーの確定に努めているところでございます。
私自身につきまして先ほど御指摘ございましたが、まだ人事の話につきましては、報道等で随分ございましたけれども、私に関しましては一切そういう話は上司の方からは来ておりませんので、根拠のある報道だというふうには思っておりません。
○川上委員 では、いずれにしても、十一月の八、九以降になるわけですね。いいですね。
○齋木政府参考人 おおむねその辺を念頭に置いて今日程を調整中でございます。
○川上委員 それでは、私は、拉致被害者と認定される可能性の方、特定失踪者と言われる方があるわけですが、これは、いつまでたっても、北側に調査を依頼してもらちが明かない、それこそらちが明かないと思うわけでありまして、今度の協議に日本側独自の調査団を受け入れなさいという要求をするべきだと思うんですね。そういったある程度強い要求をするべきだと思いますけれども、そのような要求をされますか。
さらに、二〇〇二年に死亡とした被害者、二〇〇二年にですね、その死亡とした被害者について、さらに生存を確認するに足りる情報を提供しなかった場合、どのような対応をされますかということです。
○齋木政府参考人 お答えいたします。
いわゆる特定失踪者の方々の問題につきましては、これまでも、実務者協議の場、あるいは五月の日朝首脳会談、総理が再度ピョンヤンを訪問されたときの先方との首脳会談の席上もこの問題について取り上げましたし、情報提供、特に具体的に何人かの名前をこちらから挙げまして、そういった方々についての関連情報の提供を北朝鮮側に対して強く求めたという経緯がございます。残念ながら、こういった私どもの指摘に対して、現在までのところ、北朝鮮側からは具体的な情報の提供はございません。
御案内のように、この特定失踪者の方々につきましては、関係省庁、本来は政府が認定している十件十五人の拉致被害者の方々以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方々がいるだろう、事案があるだろうということで、いろいろな調査をやってきておるわけでございます。
これは、外務省というよりは、むしろ国内でそういったことを担当しておられる省庁が主としてやってきていただいておるわけでございますけれども、そういった調査の結果、新たに、拉致である、拉致されたんだということを認定されるということであれば、当然、これは政府として北朝鮮側に対して被害者としての安否の確認を求めていくということになりますし、そうでない場合にでも、申し上げたように、実務者協議の場で相当強い調子で、これは従来よりも、特定失踪者の方々についての情報提供というのを求めてきているわけでございます。
今度の実務者協議、先ほど申し上げましたように、来月中旬をめどにやりますけれども、当然、次の実務者協議の場におきましても、特定失踪者の方々についての情報提供を引き続き強く求めていく考えでございます。
他方、御案内のように、私どもは、まずとにかく安否不明の十人の方々についての具体的な情報提供、これをずっと求めているにもかかわらず、いまだにこれが先方から示されていないこの段階で、特定失踪者の方々のためのミッションを送るというこのアイデアが、本来、私どもとしては、もちろんすべて包括的にきちっと解決しなきゃいかぬと思っておりますけれども、物事を効果的に解決する上でどういうアプローチをとるのが一番適切かということは、いましばらく、ちょっと検討をさせていただきたいなというふうに思っております。
それから、二つ目の御質問でございましたけれども、もし、今度、被害者について生存を確認するきちんとした情報がなかった場合どうするんだというお尋ねだったと理解しておりますけれども、まずは先ほど申し上げましたように、次の実務者協議で先方からどれだけきちんとした調査の結果を我々の方に提示してくるか、具体的な調査結果、物的な証拠も含めてきちんとしたものを出させるということに全力を傾注いたしたいと思っております。
○川上委員 頑張っていただきたいと思います。
次に、人質事件のことについてお伺いします。
香田さんはアルカイダ系の組織に拘束されていると言われているようですが、その組織は特定できましたか、どんな組織でありますか、その後の今の状況はどのようになっておりますかということであります。
並びに、実は、要するに日本人だけが一般の人が、アメリカとかイギリスの人たちというのは仕事上でイラクへ行くんですけれども、どうも日本人は安易にイラクに行く。それは、外務省が今まで、強烈に、あそこは危ないんだ、パスポートの中に通行させてくださいという文言があるんだけれども、これは保証できませんよ、政府は責任を持ちませんといったようなことを強く言うべきなんですよ。それを今後どのように主張されますかということなんですね。
要するに、イラクの現状を国民に知らせるという努力をもっと払うべきだと思いますし、ヨルダンから大体入っているんですね。イランから入ったり、あるいはクウェートから入ったりということは、私の聞いたレベルでは、絶対入れさせない、例えばイラン側は。ところが、ヨルダンは入れちゃうんですね。だから、ヨルダン政府に対して、絶対我が邦人は本当にイラクに行かせないでもらいたいというふうな要請をするべきだと思うんですね。
それと同時に、フセインのときに、我が国がお金を出しているわけです。債権を出しているわけですね。その債権の額はわかっているんですけれども、フランスとイギリスは債権放棄をやる、フランスは五〇%ぐらい、半分はもう放棄する、イギリスは九五%やるというんですけれども、日本はどの程度お考えになっていますかということです。
○鹿取政府参考人 今先生から、犯人が特定し得たのかという御質問がございました。
今次事件の実行犯はまだ確定し得ておりません。しかし、犯行主体を名乗るメソポタミアのジハード基地組織との名称について申し上げれば、イラクで多くのゲリラ活動、自爆テロ、誘拐等を首謀していると見られるザルカウィを首謀者とする組織が最近になって使用している名称だと承知しております。
また、次に、先生より、邦人の渡航者の安全についての御質問がございました。
私どもといたしましても、海外に渡航する邦人の方々の安全にとって適切な情報発信が極めて重要であると考えております。まさに外務省としても、かかる観点から、昨年の二月以降、イラク全土に対して退避勧告という危険情報を出しております。また、昨年の八月以降、累次、これはもう六十二回出しておりますけれども、注意喚起、テロ等に対する注意喚起を行っております。かかる結果もあって、イラクに赴くことが極めて危険であるということは相当広く伝わっているのであると思います。
また、先ほどヨルダンの話がございました。確かにヨルダンは、イラクに陸路で向かう上での極めて重要な通過点でございます。ヨルダンとの間に二国間の取り決めというのは、これはなかなか難しい面があると思いますが、私どももヨルダンでできる限りのことはしたいと考えておりまして、ヨルダンにおいて邦人が多く泊まるホテルにつきましては渡航情報を出す、あるいは、もしもそのホテルにおいてイラクに行くような計画を有している日本人がおられれば、できるだけ行かないようにときちっと説得してもらう、あるいは大使館に連絡してもらう、こういう措置を我々今とっているところでございます。
外務省としては、やはり、先ほど先生も御指摘になりましたように、海外に渡航する方々がきちっとその安全についての情報を持つということが重要だと考えておりますので、これからもさまざまな観点から情報発信については努力してまいりたいと思っております。
また、もう一つあえて申し上げれば、やはり同時に、今先生も御指摘になりましたが、個人個人の方々が、みずからの安全を確保する上では、危険を十分認識して、みずからの判断に基づいて危険に遭遇しない、そういう慎重な行動を行うことが重要であると考えておりますので、私どもといたしましても、特にイラクについては渡航はぜひ差し控えていただきたいということをこれからも強くお願いしてまいりたいと考えております。
○佐藤政府参考人 イラクの債権の問題についてお答えを申し上げます。
イラクの債務、我が国から申しますと債権でございますが、このイラクの債務の扱いにつきましては、本年のG8のサミットで、イラクの復興、再建が重要であるということで、そのために十分な額を削減するということで一致をしておるわけでございますが、それでは具体的にどれぐらいの額をどのような形で削減をするかということにつきましては、その債権国の会合でございますパリ・クラブというところで結論を出すことになっておりまして、ただいま議論が行われているところでございます。
先ほど先生からお話がありましたように、フランスであるとかイギリスであるとか、削減の方針ということを示しておりますけれども、具体的にどれぐらいの額をみんなが一致して削減をするかということについてはこのパリ・クラブの場で結論を出すということでございまして、我が国といたしましても、各国と調和を図りながら柔軟にこの削減ということに対応をしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○川上委員 時間がなくなりましたが、今の調和を図るということは、要するにイギリスとかアメリカ並みの調和を図る、そのレベルはやるんだということで理解していいですか。例えば今言ったように九五%とか、そのあたりの調和なんだということで理解していいかということと、一日に三十名のイラク人が今まで延べというか大体二万人死亡者がある、イラク以外の人は二千二百人だ、一日に三名死亡しているんだという話があるんですけれども、本当にこの数字は正しいのでしょうか。
最後に、昨日のイラク特で大野長官が、ロケット弾が飛んできて弾着した、信管がついていなかったという話がありまして、ロケット弾が飛んできて、安全対策をやっています、安全網をやっています、だから、それは言えませんけれども、大丈夫ですとおっしゃったんです。実際、ロケット弾が飛んできて弾着しているのに、いや、安全網があるんですよなんという議論というのは、私は不思議な議論だなと思うんですけれども、そのあたりのロケット弾の対策、これをちょっとお伺いしたいと思います。
○松下委員長 川上義博君、もう時間が超過していますので、この質問は次回に答弁してもらうようにします。太田君がお待ちでございますので、交代します。
○川上委員 はい、終わります。どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、太田昭宏君。
○太田委員 まず、新潟県中越地震についてお伺いをいたします。
我々は、とにかく現地対策本部を早く立ち上げて、そして政府を挙げてしっかり対応しろということをずっと申し入れてきましたが、村田大臣のもとで、きょうは災害対策特じゃないので大臣にこういう質問はいけないということで、私、控えますが、村田大臣の判断をいただいて、現地に対策室が強化されて、そして林田副大臣がもう既に現地で指揮をとっているということで、我々の要求というものがすぐ実行されてよかったというふうに思っております。
現在の現地の対策室の状況、状況というのはその体制をどう組んだかということと、それから、私はできれば長岡にということを言っているわけですが、長岡でできるだけ現場に近いところに、直接判断し、指揮ができるという政治家、そして行政というものの拠点があるということが大事だ、一々一々、連絡が遮断されていますから、そうした現地の対策室の状況、そして、今後さらにそれを強化して指揮をとってくれということを強く要望したいと思いますが、いかがですか。
○江渡大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
現地状況の把握につきましては、発生後直ちに先遣チームを派遣させていただきました。そして、新潟県庁内に現地連絡調整室を立ち上げたところでございます。さらに、体制を強化するために、十四名から三十一人に人員をほぼ倍増させていただきました。そして、連絡調整室から支援対策室というふうに格上げもさせていただいたところでございます。また、現地支援対策室には機動班を設けさせていただきました。そして、被害の大きい長岡市や小千谷市、さらには孤立しております山古志村を含めまして、被災市町村のニーズというものを細かく把握しようということで、新潟県と連携して今支援を行っているところでございます。
また、余震が続きまして、かなり複雑多様化している現地の情勢というものに応じまして、対策を一層推進しなければいけない、そういうこともございまして、二十七日の夜からですけれども、林田副大臣を現地支援対策室の方に派遣させていただきまして、今現在、総力を挙げているところでございます。また、本日ですけれども、さらにきめ細かなニーズにも対応しようということで参事官を派遣させていただきました。
今後とも、非常災害対策本部を中心といたしまして、政府一体となって被災者の支援、被災地の復旧復興に取り組んでまいりたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
○太田委員 長岡とか、現場にとにかく一番近いところで指揮をとるということが大事で、なかなか、僕は指示を聞いていたりするんですが、指示をしました、指示をしました、指示をしましたと言うんだが、現場の話をよく聞いていると、そこに指示をしたんだけれども、何か、伝わるには随分かかっていくということがありますから、現場で判断してきちっと、責任も自分がとる、そういうことをさらにやっていただきたいというふうに私は思っています。いろいろな省庁の、担当でございます、指示をしておりますという言葉を余り聞くと私も腹が立つようなことがあるから、その辺についてしっかりやってもらいたい、こう思います。
大事なのは、人手の問題だと思うんです。阪神大震災の、そうした人たちが現地に入ったり、橋本さんがこう言ったとか、いろいろな話を聞いていいと思うし、また、地方自治体の人たちが、結成されて、消防とかいろいろな、あるいは救出作業でも、東京の警視庁とかあるいは水戸とか、いろいろなジャンパーは見ましたけれども、そうした人たちの、地方自治体の職員の派遣というようなこと。それから、最近ボランティアということがありますから、その辺の人手の問題について、ここが一番の急所ですから、ぜひとも、例えば高速料金はそこは無料にしてあげるとか、いろいろなそういう体制をとっていただきたいということ。
それで、既に何日かたっていると、一番大変なのは被災者ですけれども、そこで陣頭指揮をとっている地方自治体の役人さんも非常に疲れている。そういうところにもよく配慮をしてあげて、そこを補っていくという配慮をお願いしたい、こう思います。
人手の問題についての特段の配慮ということなんですが、その辺について具体的なことがあったら示してください。
○江渡大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
今、人手の問題ということですけれども、まさに災害復旧するために人手というのは本当に大事な点であろうと思っております。
そこで、広域的な自治体職員の派遣ということへ、総理の方から指示を受けまして、総務省より各都道府県あるいは政令指定都市にあてまして、協力依頼というものを十月二十六日付で出したところでございます。
そして、この地震に対しての対応をきめ細かくするためということでの各種の専門家を特に派遣していただきたいということで依頼したわけです。今現在、詳しい数字は、私、把握しておりませんけれども、二百名を超えているというところを聞き及んでいるところでございます。
また、ボランティアのこと、これは、先生も御承知のとおり、ボランティアの活躍というものは本当にありがたいものだと思っているわけでございまして、特にことしは、一連の豪雨の災害等におきましてボランティアの方々は本当に目覚ましい活躍をしていただいたというふうに私も思っておるところでございます。私自身も、ボランティアの方々に対しては、頭が下がるな、そんなふうに思っていますけれども、このたびの新潟県の中越地震におきましても、被災者の方々に必要な物資を手渡す、確実に渡すという、そのためにはやはり多数のボランティアの方々の協力というのは必要であろうと私も考えております。
そのために、国といたしましても、被災地への受け入れの窓口ということ、できるだけ一本化した方がいいだろうということで、ホームページ上で情報提供を行うことによりまして、ボランティア活動への参加というものも呼びかけさせていただいております。
また、特に今回の地震災害におきまして、ボランティアの通信手段の確保をしっかりしようということ、あるいはさらにトラック事業者の専門家を確保させていただきまして、物資の配送、これをボランティアの活動にしっかりと円滑化できるような状況に持っていこうというふうに今行っているところでございます。
また、ボランティア等のことに対しまして、九月に防災大臣が出席いたしまして、特に新潟と福井の水害の後のことでしたけれども、そのときに、ボランティアの活動というのは非常に目覚ましかった、そういうことで、ボランティアがその自主性を生かしながらいかに行政と連絡していくかという、そのための議論というものもきちんとさせていただいているというようなところでございます。
○太田委員 質問通告していませんけれども、ちょっと、だれでもいいから答えてもらったらいいんですが、私は、毎日毎日状況が変わってくると思うんです。
最初のときに、きめ細かな、医療品でも、六時直前に地震が起きて、余震があって、いろいろなうちはみんなガラスが割れています。ガラスにひびが入ったり、それが余震でまた割れる。そして、停電があった。みんな、ガラスで手を切ったり、いろいろなことがあります。だから、食糧、電気、インフラということを言っているわけですが、きめ細かな、そうした切り傷に対しての軟こうとか、バンドエイドとか、あるいは生理用品とか、ホカロンという言葉は商品名だから使っちゃいけないらしいが、使い捨て懐炉、そういう対応というものをしっかりやるということが一番の配慮ですから、そこをお願いしたい。
それと、時系列に従って、きのうも与党側の打ち合わせで出ましたけれども、下水が寸断されているとすると、仮設トイレというだけじゃなくて、それが動き出してくると、今度はバキュームが必要になってくる。そのバキュームというものがもう今の時代にないというようなこともあって、そういうようなきめ細かな、何日のあたりにはこういうふうになってくる、こうなってくる、こうなってくる、これからはバキュームカーみたいなものが要るようになるよと、そうしたら前もってそれを準備するとか、そういう配慮ということと体制を今どう考えているかということ、質問通告していませんけれども。
○江渡大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
今委員の方からもお話がありましたとおり、まさにきめ細かな対応をしっかりとしていかなきゃいけない。そのバキュームカーのお話等におきましても、実は一昨日、その前の日ですか、毎日防災対策会議をやっているわけでございますけれども、その中において大臣等からも御指示がございまして、できるだけ、やはりトイレの問題というのは大切だということで、その辺のところはもう指示を出しているところでございます。
また、医療関係の方、医薬品の方、これらのことに対しても、厚生労働省の方にしっかりと指示を出しておりまして、万全の体制をとるようにということで、お医者さんの方々の方も七班で出ておりまして、そのほかに医薬品等の方に対しても十分な対応ができるという状況には今現在なっております。
○太田委員 被災者生活再建支援法についてでありますが、全壊、半壊というものが基本であるということで今日まで来ました。水害の点では、特に床上浸水というようなことがいかに大変かということを身をもって感じたり、豊岡あたりはほとんど水没をするような状況だったわけです。その辺の適用が十分されない、あるいはされるんだろうか、弾力的になってきたけれども、果たしてどこまでがどうなんだということが不明確だったんで、基準を出せということをやりました。
昨日、非常に早く措置をとっていただいて、私も大変感謝をしていますが、お互いに一生懸命頑張るのが当たり前の立場でありますから、ありがとうなんて言っていてもしようがない話なんですが、決めたことは大変よかった。そういう意味では、床上浸水ということについても、大体、その辺をどういうふうに考えて、どういうふうに対応していただいて基準を出したのかということをお聞きしたいのが一つ。
もう一つは、地震も、私は大学時代に耐震工学を専攻して、非線型振動論というのが僕の修士論文のテーマであったわけなんです、余り言ってもこれはしようがないんだが。
今は、耐震診断というのは非常に難しいんですが、倒れないように、一気にどさっと落ちないように、そういう建物にしているわけです。それは、阪神大震災の教訓です。一気に倒れないように、じわじわじわとして、何とか空間をつくるような倒れ方をするクロスというものを研究したり、はりというものにかわる、張るだけでクロスになるというようなことを研究室でいろいろやったりしている、そういう時代になってきました。
全壊、半壊という中の地震ということについても、私は、そういう構造の中で事実上、命を守るためにそういうふうにしているという状況があったり、あるいはこれから、雪国です、二メートル、三メートルの積雪があるということを前提にして、今見たら、確かにちょっと傾いているように思うかもしれないが、十二月の終わりぐらいになると、これはもう完全に崩れる、雪が上からのしかかった場合にはそうなる。
だから、雪がない中で、阪神大震災のときには、屋根が重い。日本は台風ということを想定していますから、屋根がかなり重かったり、昔は石を乗せたりした。ところが、雪があったので、あの方の建物の屋根は軽くしてあった。強いが軽い。それが今回、非常に助かっているんですが、事実上、これから雪、積雪ということの中で、全壊、半壊というようなことが起きてくるということを含めて、震災の方もそうした、床上浸水というところを基準にした、同時に、今度は積雪というようなことを想定しての被災者生活再建支援法の弾力的措置ということについてのしっかりした基準をできるだけ多くの人に周知徹底してもらいたい、こう思います。それについていかがでしょうか。
○江渡大臣政務官 お答え申し上げます。
今、先生からもお話がありましたとおり、昨日、水害等の方に対しましてはガイドラインというものを出させていただきました。特に、被災者生活再建支援法を積極的に活用する観点からということでの、そしてまた、地方自治体がわかりにくいから、わかりやすい形でということでのガイドラインを出させていただいたというところでございます。
そして今、地震等のことでのお話もいただきました。また、積雪のこともお話しいただきましたけれども、私も地元が青森でございます。雪が多うございます。ですから、被災地の状況、これからの冬場の状況ということを考えると、本当に大変だなというふうに思っておりますし、また、私自身、昭和四十三年には十勝沖地震、あるいは平成六年には三陸はるか沖地震という二度の大きい地震を経験しております、たしか震度六あったと思っておりましたけれども。
ですから、そういうことも頭の中に入れながら、今回の支援法というものをできるだけ弾力的にというふうに考えておりますけれども、特に地震による被害の場合というものは、まず一見しまして、家全体が倒壊している場合というのはすぐわかるわけでございますけれども、先生の御指摘にあるように、一見して判断ができないというような場合において、住宅、特に家屋の傾斜により判断して、傾斜が大きい場合に、特に木造の場合は一応二十分の一以上というものですけれども、全壊として認定を行うというふうにとらせていただいているところでございます。
さらに、これ以外の場合におきましても、住宅の傾斜程度あるいは床、柱などの被害というものもしっかりと組み合わせながら、被害等の程度を認定していこう、そして、それらのことに対しては弾力的に考えていこうというふうで、これからも運用してまいりたいというふうに思っているところです。(発言する者あり)
○太田委員 いや、きのうから床上はできるようになったということは大変大きなことで、私が答える必要はないと思いますが、大変僕は前進したというふうに思っています。
それから、あそこのあたりを、映像を見ますと、おふろに入ったことを大変喜んでいるとか、見ている方も、笑顔を見れば本当にうれしくなるというようなことがありまして、宿泊施設がたくさんありますから、そこをしっかり利用するようにということを要望したわけですが、既にきのうやりましたとか、指示を出しましたと言うけれども、まだ現地へ行くと、遅いと言っているわけです。その辺についての、指示を出した、現地はまだ遅い、こういうことのすき間をしっかりやってもらいたいと私は思いますが、その辺の状況についてお聞きします。
○小島政府参考人 厚生労働省におきましては、地震発生翌日の二十四日に、高齢者や障害者等の要援護者につきまして、社会福祉施設への受け入れに加えて、ホテル、旅館等を避難所として活用するよう、新潟県に連絡したところでございます。また、二十七日には、業界団体であります全国旅館生活衛生同業組合連合会に対しても、協力要請を行いました。
新潟県の報告によりますと、これまで約百三十施設、約四千八百人の受け入れ可能人数を確保できたところから、昨日、高齢者、障害者、妊婦あるいは乳幼児などの要援護者を旅館などに受け入れるための実施要領を策定したところでございまして、きょうから、各市町村がこの実施要領に向けまして動き出すというふうに聞いております。
○太田委員 それを、もう質問通告もしているわけだから、聞いているとかいうのじゃなくて、もう動き出したという答えを僕は欲しいわけですよ。だから、指示を出しましたとかそういうことではなくて、それについて、本当に政府を挙げてしっかりお願いしたいと思います。
河川局長、来ていると思うんですが、今回は、何といっても台風が十個来たということで、国の円山川を初めとしてですが、私の地元の荒川の土手が崩れたりというようなことがあったりします。特に中小河川、私は、本当にここは、堤防改修ということに対して総点検等々を行っていただきたい。
それからもう一つ、一昨年の五月ごろでしたか、都市部の集中豪雨対策について法律をつくったりして、今の雨の降り方、そしてコンクリートを張っていますから、一瞬のうちに全部流れ込むということについてどうするか。土管を大きくするとかいろいろなことでお金も随分かかるわけですが、その辺の都市集中豪雨対策ということについて、一層進めていただかなくちゃならぬということになっていると私は思います。
この中小河川の堤防の改修あるいは都市の集中豪雨対策について、二点お聞きしたいと思います。
○清治政府参考人 ことしの水害を受けまして、今御指摘のありましたような施設の管理等に強化を図っていかなければならないというふうに思っておりますが、梅雨前線豪雨によりまして、新潟あるいは福井の中小河川が破堤によりまして大災害が発生いたしました。
これを契機といたしまして、とにかく出水期前に総点検をかけようということで、目視の総点検をかけました。一カ月間で全体を見たわけでございますが、中小河川につきまして、たくさんのすぐ対応しなければならないようなところが出てきまして、これについて、現在、逐次整備をしているところでございますが、なお、これだけではなかなか万全ではないということでありまして、大臣からも、次々起こる水害に対しまして、従前からの災害対策の総点検と抜本的見直し強化という指示がおりておりまして、その中でも特に重要なのが、今御指摘のありました中小河川の総点検ということになろうかと思います。
これにつきましては、目視のみならず、きちっとした点検が必要だということで考えておりまして、ガイドラインを現在策定しておりまして、近々それぞれの河川管理者の方にお流しできるような状況になってございます。
これに基づきまして点検を実施してもらいたいと思っておりますが、それに当たりましても技術的な支援を行ってまいりたいと思いますし、その点検結果あるいは災害の起こってきている経緯、こういうものを踏まえまして、中小河川の重点的な整備に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
それからもう一つ、都市の水害についてのお話がございましたが、都市化の進展によりまして、集中豪雨に非常に弱い、脆弱な都市構造になってきているというところがございますので、これにつきましても、流域内のいろいろな対策でありますとか、それからハードの対策、ハードの対策としては、一つPRさせていただきたいと思いますが、東京都心で、ことしは台風二十二号が首都圏を襲ったわけでありますが、そのときに、神田川の流域で環状七号線の地下に東京都が地下の調節池をつくっております。これが半分供用できるような状況になってございますが、これが機能したことによりまして、平成五年に約三千戸の浸水が発生したのと同じぐらいの、もしくは時間雨量はそれより多かったわけでありますが、ほとんど被害は百分の一ぐらいにおさまったというようなこともあるわけであります。
ハードの整備は着実に進めていきたいというふうに思っておりますが、あわせて、地下街等についても、それぞれの地下街の管理者に対策の強化を求めるためのいろいろなガイドラインでありますとか手引、こういうものを普及させていく努力も行っております。
いずれにしても、地方公共団体あるいは地下街の管理者だとかそういう方々と一緒になって、都市の水害防止に取り組んでいくことが非常に重要だと思っておりまして、我々も、そういう意味でいろいろな方策を検討して実施に移してまいりたいというふうに思っております。
○太田委員 村田大臣、イラクの邦人人質事件の現時点の状況としての、けさも閣議であったかもしれませんが、警察あるいは国家公安委員長としていろいろなことを政府を挙げてやっていることは承知をしておりますが、これについての認識と対応について、大臣の立場で、できる範囲で結構ですから、報告をお願いしたいと思います。
○村田国務大臣 ただいま御質問がございましたイラクの人質事件でございますけれども、私どもといたしましては、福岡県出身の香田証生さん、二十四歳だそうでございますが、香田証生さんと見られる男性が武装グループに拘束されまして、自衛隊の四十八時間以内のイラクからの撤退を要求しておりまして、撤退しなければ殺害するとの声明が十月二十七日未明に出された、こういうことでございます。
警察といたしましては、警察庁に直ちに警備局長を長とする対策室を設置いたしまして、内閣官房あるいは外務省等と連携をとりながら、情報収集に努めておるわけでございます。
一方、TRT―2、そういう組織がありまして、そういうチームがありまして、国際テロリズム緊急展開班、こういうふうな感じでございますが、テロリズム・レスポンス・チーム、こういうんだそうですが、これを谷川外務副大臣のヨルダンへの出発に合わせまして派遣して、外国においてなおかつ情報収集に努めているということでございます。
一方、被害者の地元の福岡県警におきましても、警備部長を長といたします対策室を設けまして、一つは被害者の家族との窓口となって連絡調整をする、あるいはお宅の前の交通整理等をするというような、そういうことに努めているところでございます。
また一方、同時に国内でのテロが予想されるということから、全国の警察に対しまして、そうした警戒警備に努めること、あるいは情報を集めるということを指示しているわけでございます。
いずれにしましても、私どもとしては、事実関係の究明、把握と邦人の救出に向けまして、きょうの総理からも御発言がございましたけれども、無辜の人間を人質とするようなことは断じて許されないということでございますので、私どもとしては、関係各省あるいは外国の関係機関とも連携をしながら、本人の救出に向けて万全の体制で力いっぱい努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○太田委員 最後になりますが、おれおれ詐欺というのは、みんな、おれおれと言ってくるという、これだけは伝わったわけですね。ところが、おれおれなんといって言っている状況ではなくて、非常に巧妙になって、パトカーのサイレンがそこで鳴っていたり、弁護士と称する人が隣にいたり、警察と称する人が隣にいたりというような、私は、もう一遍、おれおれという単純なものではなくなっているという広報体制をしっかりマスコミの方々にも連携を願ってやるということが非常に大事だというふうに、一つ思います。
認知件数に比べて検挙が少ないとか、プリペイド式の携帯電話を使うとか、特に他人名義や転売された架空名義のもとの口座を使うとか、そういうことがあるわけです。時間の関係でもう質問を具体的にできませんが、これらの一つは広報を含めた防止策について、大臣、最後御答弁をいただいて、私は質問を終わりたいと思います。
○村田国務大臣 太田委員御指摘のように、いわゆるおれおれ詐欺という犯罪でございますが、手口が本当に巧妙化しているようでございまして、そういう意味で、我々は、テレビでも報道されているように、警察でもいろいろな、もっとわかりやすい寸劇をつくって、こういうのは気をつけてくださいという広報に努めていたり、あるいは、できる限りメディアを使って気をつけるようにということに努めているわけでございます。
その一方で、プリペイドの携帯電話が使われるとか、あるいは銀行の口座売買がそうしたおれおれ詐欺に利用される、こういう事態も踏まえて、与党でもこの対策に努めているというふうに聞いておりますが、我々も、警察を督励してそうしたおれおれ詐欺の犯罪をできるだけ減少していくというふうに最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○太田委員 ありがとうございます。終わります。
○松下委員長 次に、小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。
私は、民主党の次の内閣で、男女共同参画、人権・消費者、子ども政策担当のネクスト大臣を今務めておりますので、この問題を中心に質疑を行いたいと思いますが、まず初めに、今国会で重要なテーマになることにつきまして、新しく大臣になられた皆さん、また副大臣、政務官の皆様にお尋ねするようにという指示がございましたので、まずそのことから伺わせていただきたいと思っています。
一つは、年金の未納がないかどうかということでございます。
村田大臣から順次お答えいただきまして、この後、また質疑のない大臣、副大臣、政務官につきましては、お答えいただきましたら御退席いただいて結構でございます。
では、村田大臣からお願いいたします。
○村田国務大臣 私は、平成二年に衆議院に当選させていただきましたが、それ以来、国民年金につきましての未納はございません。
○竹中国務大臣 私の年金の状況でございますが、前国会、五月十一日の財務金融委員会で御報告申し上げたとおりでございます。平成十三年四月の大臣就任以降、十一カ月間が年金の未加入の期間となっております。
○村上国務大臣 納付状況について確認しましたところ、私は、昭和六十一年七月に衆議院に初当選以来、今日までずっと払っていたと思っていたんですが、実はちょっと、数カ月間払っていませんでした。それは、平成二年の一月と二月の二カ月間と、平成四年の十二月から平成五年七月までの八カ月間でした。
前者は、よくわからないんですけれども、総選挙の準備などで多忙な時期でもあって、何らかの事務的な不手際で支払われなかったんだと思われます。それから、後者の平成四年十二月から五年の七月までは、大蔵政務次官に就任して社会保険の国家公務員共済健康保険に加入した際に、誤って、手続を秘書官かだれかがしたせいかわからないんですが、国民年金からの脱退が行われたということで、その二回だけであります。
それで、こうした結果については、私はずっと全額払っているものと思っていたし、払うつもりだったので、非常に残念だと思っています。
今後、同様な不手際が起こらないように、細心の注意を払っていきたい。現在は給与の口座から自動で引き落としをしていますので、今後はもうそういうことはないと思います。
以上であります。
○棚橋国務大臣 お答えいたします。
年金の未納があるかという御質問でございますが、私は平成八年の十月に衆議院議員に当選をさせていただいておりますが、それ以来、未納はございません。
以上でございます。
○南野国務大臣 お答えいたします。
平成四年に参議院に当選以来、全期全納、全額納めております。
○小宮山(洋)委員 それでは、官房副長官と官房長官にはちょっとそのほかのことも伺いたいと思っておりますので、西川副大臣からお答えいただければと思います。
○西川副大臣 私は、平成八年に衆議院議員に初当選して以来、六十歳になるまで年金に加入し、保険料を払ってまいりました。
○七条副大臣 私の方からも答弁させていただきますが、年金の納付状況を確認いたしましたところ、国会議員に当選して以来保険料を納付しており、現時点では未納期間はございません。
以上でございます。
○江渡大臣政務官 私は、平成八年の十月に衆議院議員に初当選させていただいて以来、現在まで国民年金の未納はございません。
○木村大臣政務官 私は、平成十一年に衆議院議員に初当選して以来、六十歳になるまで年金に加入し、保険料は支払っておりました。
○西銘大臣政務官 国会議員になりました平成十三年七月以降、未納期間はございません。
○小宮山(洋)委員 官房長官は、今記者会見が終わって五十分ぐらいにはお見えになると思いますので、そのとき伺いたいと思いますが、お二人の官房副長官には、きのう、年金未納のことだけしか通告はいたしませんでしたけれども、あと三点ほど同時に伺いたいと思います。
郵政民営化に対する考え方。それから、自民党の郵政懇話会に入っていらっしゃるかどうか。四点目は、政治と金の問題に関しまして、迂回献金や旧橋本派からの献金があるかどうか。この四点について、年金未納の有無も含めましてお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○杉浦内閣官房副長官 杉浦でございます。
年金につきましては、国会議員になった昭和六十一年七月以降、国民年金に加入して、未納はございません。
それから、郵政民営化の問題につきましては、当然、賛成の立場で総理大臣を補佐させていただいております。
その余の問題については、ちょっと、たくさん議員連盟に入っておりますので、即答はいたしかねます。
それから、三番目、もう一つは何でしたか。
○小宮山(洋)委員 政治と金の問題に関して、迂回献金や旧橋本派からの献金があるかどうか。
○杉浦内閣官房副長官 ありません。私が知っている限り、ございません。
○山崎内閣官房副長官 私は、平成四年に国会議員になりましてから、年金保険料の未納はございません。ただし、六十歳を越しておりますので、誕生日まででございます。
さらに、迂回献金でございますが、旧橋本派というと、どういうものなのか私ははっきりわかりませんが、一切迂回献金はございません。
それから、郵政民営化の問題でございますが、私も政府の一員でございますから、内閣の方針に従って一生懸命頑張っていきたい、こう思って取り組みます。
それから、郵政懇話会でございますけれども、議員の活動、あるいは議連、あるいはその他のいろいろな活動がございますけれども、これにつきましては、やはり私は個人の自由だと思いますが、懇話会に入っております。しかし、政府の方針に一緒になって取り組んでまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 先ほど杉浦副長官が、郵政懇話会だけ不明というお話でございましたので、また後の議員にお答えいただくときに、それまでにお調べいただいておきたいというふうにお願いいたします。
官房長官につきましては、おいでになってから改めて伺いたいと思っています。
それでは、本来の質問の方のテーマに移りたいと思いますが、まず初めに、クローン胚の研究容認について伺っていきたいと思っています。
ことし七月に、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が研究目的の人クローン胚づくりを条件づきで認めるという最終報告をまとめて、総合科学技術会議に報告をいたしました。
この調査会は、二〇〇一年の八月に立ち上がり、クローン技術規制法の附則で、見直しなどの必要な措置を三年以内にとるよう政府に求めていたというようなこともありまして、今回の最終報告という、その期間によってそろそろ出さなければいけないということはわかりますが、生命の根源にかかわる技術を規制するために法の整備を求める委員との議論が最後までかみ合わなかったと聞いています。
そうした中で、異例の採決を強行してこうした大事な問題を決定したということにつきまして、棚橋大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。
○棚橋国務大臣 小宮山議員にお答えをいたします。
まずもって、小宮山先生のこの問題に対する大変深い情熱に心から敬意を表すると同時に、先ほどNCの閣僚という話がございましたが、できれば科学技術政策担当の閣僚も兼ねていただきたいなと個人的には思っている次第でございます。
ただいまの御質問につきましてでございますが、生命倫理調査会におきましては、クローン技術規制法に基づきまして、ヒト胚の取り扱いに関する基本的な考え方につきましては、御承知のように、今先生のお話にもございましたが、平成十三年八月からおおよそ三年にわたり、合計三十二回審議を行っております。また、その間、多数の有識者からのヒアリング、あるいは中間報告書に対するパブコメ、あるいはシンポジウムにおける国民との直接対話も実施してまいりました。
採決の話でございますが、このような長期にわたる幅広い検討を経た上で、薬師寺会長から、議論が尽くされたという判断のもとで、本専門調査会の運営規則にのっとって採決が行われたというふうに聞いておりますが、採決の前に開催されました第三十四回の専門調査会においても、最終報告書については一貫した論理の記述でまとめることとして、少数意見については報告書の巻末に別途添付するということで最終的には合意がなされたというふうに聞いております。これを前提として、どうしても合意に至らない点については、記録にとどめる意味でも採決を行うことがあり得るということに関しても、おおむね了承が得られたと伺っております。
ただ、先生の御指摘の趣旨にございますように、この問題は非常に重要な問題でございますし、人の生命観あるいは倫理観、こういったものも含めて大変深い議論が本来必要なものでございます。そういった意味で、この議論がさらに深まってまいりますことを私どもとしても期待しておるところでございます。
○小宮山(洋)委員 御答弁いただく方に一言だけお願い申し上げます。
私は先生と呼ばれない議員をしておりますので、委員は役職だと思いますから委員は結構でございますけれども、よろしくお願い申し上げます。
今、大臣のお答えで、薬師寺会長から議論が尽くされたと聞いているということですけれども、中の委員の方からお話を伺いますと、唐突にこのような報告が出されたと思っていらっしゃる方もあるようですので、最後にお答えいただいたように、やはり慎重に、今後とも、まだ条件つきですので、実施するまでにはさらに慎重な取り扱いをぜひお願いしたいと思っております。
そして、人クローン胚作成、研究容認の最大の問題点となりますのは、体細胞を核移植するための人の未受精卵を大量に必要とすることです。
七月二十三日に総合科学技術会議で承認された基本的考え方の十四ページでは、二つの方法を提示しています。一つをAとしますと、このAの方法としては、手術等で摘出された卵巣や卵巣の切片、切れ端ですね、それから採取する方法。もう一つをBといたしますと、Bの方法としては、生殖補助医療目的、不妊治療などですけれども、そのために採取されて使われなかった未受精卵、これを研究用に提供してもらうこと。この二つを想定しています。
このAの方法、この場合の手術等というのは、どのような病気に対するどのような手術を考えていらっしゃるんでしょうか。
○林政府参考人 お答えいたします。
生命倫理専門調査会の議論におきましては、手術等により副次的に未受精卵を入手することにつきましては、患者夫婦のインフォームド・コンセントを得た上で、婦人科の開腹手術あるいは腹腔鏡検査などの際に摘出しました卵巣あるいは卵巣切片等から採取することが紹介されておりました。具体的な病名としましては、卵巣嚢腫が挙がっておりました。
ただし、最終報告書におきましては、手術を含めた具体的な入手方法につきましては、今後、文部科学省及び厚生労働省において検討されるということになっております。
○小宮山(洋)委員 先ほど夫婦のインフォームド・コンセントとおっしゃいましたけれども、今婦人科の方の内規みたいな形でいろいろなってはいますけれども、やはり医師と患者の関係は力関係の強弱がありますから、そのあたりが非常にやみになっているというところが問題なんだと思います。
そして、対象になる女性の年齢層はどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。未成年の女性からも、親の承諾を得るなどして卵を採取するということがあるのかどうか。
○林政府参考人 お答えいたします。
具体的な未受精卵の入手対象年齢でございますけれども、何歳から何歳にすべきかといった細部の議論は、専門調査会の議論ではございませんでした。しかしながら、提供する女性の精神的、肉体的な負担を踏まえまして、最終報告書におきましては、両省、具体的に言いますと文部科学省と厚生労働省でございますけれども、その両省におきまして、具体的な入手方法にあわせ、入手の制限等についても検討がなされるということになっております。
○小宮山(洋)委員 いつ自分たちが、自分たちの卵がクローン胚作成、研究の源とされるのか、女性は知る権利があるのだと思います。この報告書につきましては、そのようなことは具体的に何も書いていないんですね。そのあたりを具体的に示していただきたいと思います。
○林政府参考人 お答えいたします。
通常、未受精卵を提供する女性は、患者という、自分の権利を主張しにくい弱い立場にあるということでございますので、インフォームド・コンセントの徹底、それから不必要な侵襲の防止といった、当該の女性の保護を図る枠組みの整備が必要であるということでございます。
これにつきましても、両省、文部科学省及び厚生労働省において検討されることになっておりまして、この枠組みの中で、女性の知る権利につきましても十分担保されるべきものと考えております。
○小宮山(洋)委員 そして、もう一つの、不妊治療などの生殖補助医療目的で使われなかった未受精卵というこの方法ですけれども、子供を持てずに苦しみ、生殖補助医療を受けている女性に、自分とは関係ない研究目的でかけがえのない未受精卵を提供するという余計な負担を負わせることにもなるのではないかと思います。肉体的、精神的苦痛の中で、一つでも卵がとれれば、それは子供を産むことに使いたいと願うのが当然の心情だと思います。
報告書では、個々の研究で使う未受精卵、必要最小限に制限するとされていますけれども、必要最小限というのは幾つぐらいと考えていらっしゃるんでしょうか。
○林政府参考人 お答えいたします。
今委員おっしゃいましたように、最終報告書におきましては、未受精卵の入手につきましては、提供する女性に精神的、肉体的負担が生ずることも考えられるため、その利用は個々の研究において必要最小限の範囲に制限すべきであるということになっております。
具体的に必要な未受精卵の数につきましては、人クローン胚の作成、利用の場合、ヒト受精胚の場合に比べましてより多くの未受精卵が必要であるということにはなっておりますけれども、具体的に必要な未受精卵の数そのものにつきましては言及されておりません。
○小宮山(洋)委員 そういうように、大切なところがまだ全部これからの検討になっているんですよね。そうした点からも、やはり強行に容認をするという方向を出したということは私は問題だと思っています。
現状では核移植の効率が非常に悪いので、一つのクローン胚をつくるのに、数十では卵が足りない、数百の卵が必要だという予測もあります。そうなりますと、それを得るために何人の生殖補助医療を受けている女性から卵を提供しなければならないのか、そのあたりの具体的な数字もないとなかなか判断がしにくいと思うんですが。
○林政府参考人 お答えいたします。
現時点で数の関係の例といたしまして世界で唯一の例でございます韓国の事例でございますけれども、これにおきましては、十六名の提供者から二百四十二個の未受精卵を採取したということが報道されております。
なお、必要最小限の未受精卵を提供する女性の数につきましては、手術等により副次的に入手した卵巣切片等の利用いかんによりましては、この数が大きく減少するんじゃないかというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 今お聞きになって、大臣もちょっと首をかしげていらしたのではないかと思いますけれども、一つのクローン胚をつくるのに、それぞれ一個ずつの卵は生命、人間になる可能性を持っているわけですよね。それをやはり使わなかったからといって、不要なものだという考え方にはなかなかなりにくい。今、韓国でも十六人から二百四十二個、それでやっとつくれると。そういうようなことを、この報告書では、法規制が必要だという意見も少数意見として報告書の後ろにつけられていますけれども、これも本当に異例な形の報告書だと思うんですけれども、その法規制が必要という意見をとるのではなくて、指針で定めることになっています。
ところが、指針というのは御存じのように法的拘束力がない、従わなくても罰則もない、それで規制できるとお考えでしょうか。大臣、いいですか。
○棚橋国務大臣 先ほどは失礼をいたしました。
小宮山委員にお答えをいたします。
今お話にございましたように、法規制を設けるべきではないかというのは一つやはり議論をしなければいけないところであると、私も、その点に関しては議論の出発点は一緒でございます。
ただ、これまた委員御承知のように、特に人クローン胚の研究目的の作成、利用等につきまして、大変議論をしていかなければいけないものは、この問題につきましては、やはり国民個々人の倫理観とか、あるいは生命観とか、まさに今お話にございましたように、卵は生命なのかどうかということも含めて、非常に深い議論とそれから国民的なコンセンサス、合意が必要なものでございます。一方で、やはり何らかの、難病治療等の目的のために、こういった研究を進めてほしいという声もあることも事実でございます。
こういった問題については、本当に価値観、人の価値観がある意味では大きく左右をしますし、生命観、倫理観、こういったものも含めて国民的な合意が形成された段階で、私どもとしては法律が初めて出てくるのではないかと思っておりまして、現在のところ、議論は深まっておりますが、法でこれを何らかの形で規制するというところまで成熟した社会的な議論はまだ高まっていないのではないかと私は思っております。
いずれにいたしましても、この問題は非常に重要な問題ですので、委員と私、共通の認識だと思いますが、こういった議論がさらに深まって高まっていくことを期待しているところでございます。
○小宮山(洋)委員 そして、今考えていらっしゃる指針なんですけれども、クローン規制法に基づく特定胚指針の改定、これは文部科学省が担当するのだと思いますが、それだけで済ませるのか。それとも、生殖補助医療を所管する厚生労働省にも指針をつくらせるのか。内閣府の方からお答えいただきたいと思います。
○林政府参考人 お答えいたします。
最終報告書におきましては、まず、人クローン胚の研究目的の作成、利用に関しまして、これを限定的に容認するに当たりまして、先ほど委員おっしゃいましたように、特定胚指針の改正を行うということとあわせまして、必要に応じて国のガイドラインで補完するということが適当だということになっております。
それから次に、受精胚の作成、利用につきましても、両省におきましてガイドラインを作成すべきであるということとされております。
それから三つ目でございますけれども、先ほども議論がございました未受精卵の入手制限につきましても、生殖補助医療の現場における知見も踏まえまして、両省において、具体的な手続の検討に当たるべきであるというふうになっております。
○小宮山(洋)委員 その指針をつくる場合、どのような法的根拠に基づいて、どれだけの拘束力があるものをつくられるのでしょうか。
○林政府参考人 お答えいたします。
一般論といたしまして、国のガイドラインでございますので、これは行政指導の一環でございます。ただ、行政指導の一環でございますが、同様の国のガイドラインでございますES指針、これはヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針でございます。これも国のガイドラインでございますけれども、これにおきましても、これまでの運用上特段の問題が生じていないということでございますので、今回のガイドラインにつきましても、両省において、同様に実効力のあるものを作成すべきであるというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 女性から卵を得る条件とその手続を定めた指針、ガイドラインというのは、いつ、どのような形で公布されるのか。文部科学省、厚生労働省、それぞれ伺いたいと思います。
○小田政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、クローン技術規制法に基づきます特定胚指針を定めるものでございますが、総合科学技術会議の意見具申を受けまして、この十月七日に科学技術・学術審議会のもとに生命倫理・安全部会がございまして、そのところで人クローン胚の取り扱いについて検討を行う作業部会を設置いたしまして、先ほどから御質問の未受精卵の入手制限など、女性保護の観点を踏まえた具体的な手続とか、人クローン胚作成の要件、あるいは研究機関の技術的能力等について検討を行うこととしたところでございます。
御指摘の先ほどからの人クローン胚の研究目的の作成を例外的に認めるに当たりましては、その研究内容につきましては、研究機関の技術的能力とか人クローン胚の厳格な管理条件、また未受精卵の入手の具体的な仕組みなど、慎重な検討が必要な事項が多いと我々考えておりますので、また、先ほどの厚生労働省の行う未受精卵入手の方法の検討も開始されると聞いておりますが、ヒト胚の制度的枠組みに関する検討状況を踏まえる必要があるといったことから、慎重に検討を要するものでありますので、早急に対応していきたいと思っております。
○伍藤政府参考人 厚生労働省といたしましては、生殖補助医療研究目的のためのヒト受精胚の取り扱いを研究するために、平成十六年度の特別研究といたしまして、この十月から、ヒト胚の制度的枠組みに関する研究を開始したばかりでございます。
この中で、未受精卵の提供の手順とか提供する女性の保護、こういったことについてもいろいろ議論をしていただきたいと思っておりますし、この研究成果を踏まえて、さらには関係の審議会にこれを持ち上げまして、これを公開の場でいろいろ御議論をいただき、文部科学省ともいろいろ連携を図りながら、早期にガイドラインを策定し周知をしていきたいというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 ぜひ、慎重な検討と、やはり女性たちがちゃんと知る権利を守られる、そのことの整備を強くお願いをしておきたいと思います。
このテーマにつきましては最後に大臣にもう一度伺いたいと思うんですが、先ほど大臣もおっしゃったように、クローン規制法をつくるときにも、胚を生命の萌芽であるヒト胚と言いました。その前の未受精卵というのはまたさらに、どこから生命かという議論にもなりますので、これは倫理観、価値観にかかわる大きな問題だと思います。
そもそも日本に生殖医療、生命倫理に関する基本的な法律がない、その中でこういうクローンの技術を規制する法案とか、今回のような利用する報告とかが出てくるからおかしくなってしまうんだと思うんですね。先ほどおっしゃったように、ぜひ、国民的な議論も起こしながらこれをつくることを考えていく必要があると思います。
諸外国では、一覧表だけでも分厚いものが出てくるぐらいそうした法律ができていまして、例えば、フランスの生命倫理法、カナダの生殖医療法、イギリスのヒト受精・胚研究法、韓国でも生命倫理安全法など、その基本になる法律を持っている国が多いわけです。こうした法律がぜひ議論の上、必要だと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○棚橋国務大臣 お答えいたします。
小宮山委員と私の認識は、基本的には大きな方向で多分一致しているんではないかと私は思っております。この問題については、おっしゃるとおり、各国においても、法の規律、あるいは法で規制している国も多うございます。
ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、一番の問題は、これはまさに人の価値観、人とはそもそも何ぞやという価値観、あるいは倫理観、そういったものにも関連するものでございまして、一方で、やはり医療の目的の中で何らかの形で研究をさせてほしいという要望もこれは全く無視するべき意見ではないわけでございまして、これを言い出すと、本当に長い、深い議論になりますが、こういった議論をきちんと高めていった上で、それも、私ども国会の中ではもちろんでございますが、国民の各界各層の中でこういった倫理観や価値観に基づく判断に関して社会的な合意が形成されることが私は必要だと思います。
また、社会的な合意が形成された上で、やはり法の議論になるのではないかと思っておりまして、この点、委員と共通認識の中で、国民の中で各界各層で議論が高まり、深まることを私どもとしてもエンカレッジしてまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 先ほどからお話を伺っていますと、大臣は非常にこの問題について真剣に取り組んでいかれようという姿勢がわかると思いますので、私どもも党の中で検討する仕組みもつくりたいと今考えていますので、これは与野党ということ関係ないと思いますから、ぜひ、活発な議論が行われるように、今後ともいろいろ御努力をいただきたいというふうに思っています。
どうぞ、この項目終わりましたので、御退席いただいて結構です。
それでは次に、官房長官、記者会見が終わられるのをお待ちしておりました。
本題の男女共同参画の話に入ります前に、各大臣、副大臣、政務官の皆様に、この国会での重要なテーマにつきまして、ちょっと入り口になるそれぞれの御意見やお立場を伺いましたので、官房長官にも伺いたいと思います。
一つは、年金の未納はないかどうかということ、そして、昨日これは通告はしていないのですが、先ほど官房副長官にもお答えいただきましたが、二つ目が郵政民営化に対する考え方、そして三つ目は、自民党の郵政懇話会に入っていらっしゃるかどうか、そして四つ目が、政治と金の問題に関しまして、迂回献金や旧橋本派からの献金があるかどうか、その四点をまず最初に伺いたいと思います。
○細田国務大臣 第一に、年金の未納はないかということでございますが、国会議員になりました平成二年の二月以降、私は本年四月に六十歳になりましたので、三月までの保険料でございますが、すべて納入しております。
それから、郵政民営化についての考え方でございますが、私は、小泉内閣の官房長官として、これまでのさまざまな行政改革、国が事業を直接行うということはやめて、民間企業として行うようにするという基本方針に賛成でございまして、今後、この政策を進めてまいりたいと思います。
それから、郵政懇話会は、私は、自民党の議員としてここには入っておりまして、参加したこともございますが、ここのところ、閣僚その他政府に入っておりますので、活動は休止しております。
それから、迂回献金あるいは旧橋本派ですか、平成研でしょうか、献金がないかということでございますが、一切のそういった資金受領はございません。
○小宮山(洋)委員 それでは、本題の男女共同参画の問題につきまして、これから担当大臣、官房長官といろいろ、できれば建設的な議論をさせていただきたいと思っております。
参議院でやはり内閣委員会に所属しておりましたときも、当時の福田官房長官、担当大臣と、なるべく政府委員からの答弁ではなくて、基本的な考え方でいろいろ議論をしてまいりましたので、官房長官にもぜひそのような形でよろしくお願いしたいと思っています。
まず、一九九九年に男女共同参画社会基本法が成立いたしまして、基本計画が策定されてから来年で五年になります。新たな基本計画を策定するための基本的な考え方の検討を開始するよう、ことしの七月、男女共同参画会議に総理から諮問をされています。
男女共同参画担当大臣としての官房長官に伺いたいと思うんですが、この基本法、当時の民主党からの案を入れまして、前文に、男女共同参画社会の実現は二十一世紀の我が国の最重要課題であるということが書き込まれています。最重要課題の一つというのではなくて、これが最も重要な最重要課題だと書いてある。こういう法律というのはほかにないのではないかと思うんですが、このことが二十一世紀日本にとって最も重要だという、このことの認識と取り組みへの決意をまず伺いたいと思います。
○細田国務大臣 おっしゃいますように、男女共同参画社会基本法前文では、「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題」と位置づけておりまして、政府としても、そのような認識に基づきまして、男女共同参画基本計画を閣議決定して、そのための施策を総合的かつ計画的に推進しております。
今後とも、男女共同参画担当大臣という立場からも、男女共同参画社会の実現に向けてリーダーシップを発揮してまいりたいと思います。
○小宮山(洋)委員 そもそも、この男女共同参画を担う部門を、ナショナルマシーナリー、中心になるものを政府のどこに置くかということが、この議論をもともとしていました男女共同参画審議会、私もそのころNHKの解説委員でそこに属しておりましたけれども、そんな中でかなり詰めた議論がいろいろ行われました。
二つの考え方があって、単独の省庁を置き、独自の大臣が担当するようにするか、あるいは、そうなりますと何分の一かの力になってしまうので、そうではなくて、内閣のかなめである官房長官がそこを担当するのかどうかということがありまして、日本ではその後者、官房長官がかなめとして力を発揮されるという方法を選んだわけですけれども、御自身、なられて何カ月でしょうか、十分そのことで男女共同参画の担当大臣として力を発揮されている、できていると思われるか。官房長官のお仕事、本当に忙しいのは存じておりますけれども、その中で何割ぐらい、あるいは、何割にならなければ何%ぐらい、この男女共同参画に割いていらっしゃると考えていらっしゃるか、それを伺いたいと思います。
○細田国務大臣 経緯を伺いますと、平成四年の宮沢内閣のときの河野洋平官房長官以来、大体切れ目なく官房長官がこの担当大臣を務めているわけでございます。
私も、官房長官を拝命して以来、さまざまな審議の過程等におきまして担当大臣として発言もさせていただき、また、男女共同参画会議の議長を務めさせていただきまして、一生懸命取り組ませていただいております。
業務の中の何割かという問題については、いろいろな出来事が起こるものですから、はっきりとこれが何割かと申し上げることはできませんけれども、例えば担当の名取局長がしばしば私のところへ来られて、レクチャーをしてはいろいろな対応をしておりますので、御安心いただきたいと思います。
○小宮山(洋)委員 安心していいだけ十分お取り組みいただいているという大変力強いお言葉をいただきましたので、これから議論の中でもぜひそういうお立場で御発言いただきたいというふうに思っています。
そして、日本のこれからの課題であります少子化への対応、あるいは男女がそれぞれ人権を尊重しながら、されながら、生涯安心して暮らすためにも、この男女共同参画は不可欠な考え方だと思います。
そして、男女共同参画推進連携会議、えがりてネットワークからも、このように非常にいい、いろいろなデータの入ったものも発行されているわけです。この中にも入っているんですけれども、女性の社会進出の度合いを国連が毎年発表していますジェンダー・エンパワーメント指数、GEM、これは日本は七十八カ国中、何と三十八位にとどまっている。非常にこれは寂しいことだと思うんですね。そういう意味からも取り組みを一層進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○細田国務大臣 今おっしゃいましたジェンダー・エンパワーメント指数によりますと、我が国の順位はなお平成十六年に七十八カ国中三十八位ということで、これは女性が政治経済活動に参画する機会が十分でないということを示しておると思っております。
そこで、政府におきましては、二〇二〇年までに、社会のあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるよう期待し、女性のチャレンジ支援策に取り組むことを平成十五年六月に閣議決定をしたところでございます。さらに、本年四月には、政府が率先垂範して取り組むべく、女性公務員の採用、登用の拡大等につきまして、男女共同参画推進本部決定を行っております。
今後、二〇二〇年の三〇%の目標の着実な達成を図るために、ポジティブアクションの推進など女性のチャレンジ支援策の充実に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 これまでも、基本法ができて以来、基本計画をつくってそれで取り組んできたわけですけれども、取り組んで来年で五年たつ結果がこのような状態。
そうすると、これから推進するための根幹となります新たな、来年つくられると思うんですが、男女共同参画基本計画には、達成目標とか実施期間などについて可能な限り定量的に記述することが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○細田国務大臣 現在の基本計画におきましても、国の審議会等委員への女性の参画については、達成目標及び実施期間を定めているところであります。男女共同参画会議においては、施策の実施状況を監視し、内閣総理大臣及び関係各大臣に対して意見を述べることにより、各省庁における男女共同参画基本計画の着実な実施を図っているところでございます。
今月初めの男女共同参画会議におきまして、新しい基本計画の策定に当たっての基本的な考え方を議論した際、有識者議員から御指摘のような御意見があったところであり、今後、男女共同参画基本計画に関する専門調査会において適切に検討されるものと承知しております。
○小宮山(洋)委員 なるべく可能な限りそういう定量的な記述をされることを強く希望したいと思います。
また、内閣府とか関係省庁で評価や影響調査を行うなど、施策の遂行を担保するその方策を検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○細田国務大臣 政府の施策を初めとして、社会における制度に男女共同参画社会の視点を反映させるという観点から、これまでも男女共同参画会議においては、基本法に基づきまして、男女共同参画社会の形成に関する施策の監視及び影響調査を行っているところであります。
内閣府におきましては、今後、関係省庁を含めた各方面で影響調査を実践する際の手がかりとなるような調査事例や手法例について調査検討を行っております。
今月初めの参画の会議におきまして、新しい基本計画の策定に当たっての基本的な考え方を議論した際、やはり有識者議員から御指摘のような意見があったところでありますので、専門調査会において適切に検討されるものと承知しております。
○小宮山(洋)委員 男女共同参画社会を実現していく、このことは別に女性だけがよくなるということではなくて、男性も女性も、それぞれが持っている個性とか能力を十分に発揮する、それぞれにとってもいいし、日本の社会にとってもぜひ必要だということで最重要課題としているわけですけれども、ところが残念なことに、ジェンダーという言葉について正しくない、誤った認識が最近、はびこっていると言うと変ですね、広がっておりまして、せっかく進んできたあるべき社会へ向けての動きが揺り戻される、バックラッシュが起きているという現象があります。
そこで、ジェンダーにつきましてしっかりと正しい認識を持つように、十分に安心できるほどお取り組みいただいている官房長官には強くお願いしたいと思うんですね。
ジェンダーというのは、生物学的な男女の性別、セックスに対しまして、社会的、文化的につくられた性別をあらわす概念、解説員的に言うとそういうことになるわけなんですけれども、つくられたというのは、一人一人がつくっているということだと思います。ジェンダーに敏感な視点ということをよく使いますけれども、それは一人一人の人間がそれぞれにその人らしく個性と能力を発揮できるよう、選択肢が豊かな環境、その中で充実した生活をする、そのことを重視するものだというふうに考えています。
ジェンダーに敏感な視点を定着させることが現在の基本計画の十一の重点目標の各分野あるいはそのほかの政策の推進のために重要な基盤となるものだと思いますので、基本的な考え方として明確に位置づけるということが必要だと思います。
そこで細田担当大臣、官房長官に伺いたいんですが、基本法制定の際の国会の審議で、当時の官房長官や総理府審議官から、基本法にはジェンダーの理念があるという答弁が何回かされています。その考え方は今も変わっていないかということ、そしてこの基本法とジェンダーの関係についてのお考えを伺いたいと思います。
○細田国務大臣 基本法においては、言葉としてはジェンダーという言葉が一般に理解されにくいということから、文言はそのまま使っていないわけでございますが、例えば第三条、第四条、第六条を基本理念として規定しておりまして、ジェンダーという視点はこのような条文に表現されていると考えておりまして、そのことは基本法制定時における野中広務官房長官の答弁と全く軌を一にしております。
○小宮山(洋)委員 その当時の議事録を見ますと、衆議院内閣委員会あるいは参議院予算委員会で、閣僚の皆さんあるいは副大臣の皆さんなどがそういう答弁をされておりますので、ぜひ、そのことが徹底するようにお取り組みいただきたいと思っています。
そしてまた、基本法前文の中の性別とかかわりなくということの意義はどのように考えていらっしゃるでしょうか。これをつくったもとになりました、縫田さんが座長をされていました男女共同参画会議、このことでも、これは男女特性論の立場をとらないということを確認していると思うんですが、この性別とかかわりなくの意義につきまして伺いたいと思います。
○細田国務大臣 基本法の前文は国会審議の過程で追加されたものでありますが、その際、「性別にかかわりなく、」の意義についての議論はなかったと承知しております。
基本法前文の、三条、四条などの規定を踏まえますと、つまり三条は「男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること」、第四条は、性別による固定的な役割分担等が男女の社会における活動の選択に影響を及ぼさないことなどの規定を踏まえますと、生物学的に男女に違いがあることを前提としつつも、社会的、文化的に形成された性別、ジェンダーにとらわれることなく、一人一人の個性や能力が多様であるので、それを尊重し、多様な選択を認め合うという趣旨であると考えております。
○小宮山(洋)委員 先ほど申し上げたように、誤ったジェンダーに対する考え方がいろいろ言われている中で、各自治体なども非常に困っているという現状がありますので、ぜひ、つくったときの基本精神に立ち返って、このときの議事録などをホームページに掲載するとか、あるいは各自治体に周知をするとか、そういうようなこともしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○細田国務大臣 誤った認識に基づく議論がだんだんと、私自身も拝見していますと、ジェンダーという言葉が、耳なれない言葉から、しばしばいろいろな論文ですとか新聞、雑誌にも出てまいりますし、テレビなどでも聞くようになったわけでございますので、非常に一般化しつつあるなという感じもいたします。
ジェンダーに敏感な視点を定着させることは、すなわち男女が個人としての能力を発揮する機会の確保や性別による固定的な役割分担等が男女の社会における活動の選択に影響を及ぼさないことにつながり、男女共同参画施策を推進する上での基盤となるものでありますので、次期基本計画においても明確に位置づける必要があると考えており、また、例えば今言われたようなホームページその他広報とか、そういったところでもそのような考え方をしっかりと国民の皆様にお伝えしてまいりたいと思います。
○小宮山(洋)委員 ありがとうございます。ぜひ、そのようにお願いしたいと思うんです。
次の質問で伺おうと思ったんですけれども、今、後ろからペーパーが入って、そこもお答えいただいたようでございますが、基本計画に立ち返りますと、基本計画改定の検討に今取り組んでおられますけれども、その中で、ジェンダーの視点を踏まえて取り組むという考え方に変わりはないのか、そしてこの基本計画の中にきちんと明記をしていただきたい、その点について改めてもう一度伺いたいと思います。
○細田国務大臣 ジェンダーに敏感な視点を定着させることとは、すなわち男女が個人としての能力を発揮する機会の確保や性別による固定的な役割分担等が男女の社会における活動の選択に影響を及ぼさないことにつながり、男女共同参画施策を推進する上での基盤となるものでありますので、次期基本計画においてしっかりと位置づけてまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 ぜひ、そうお願いしたいと思います。
そして、これは先ほど安心していいほどしっかり取り組んでいるよと言っていただきました担当大臣といたしましては、基本になる考え方でございますので、できれば答弁書をお読みにならなくてもお答えいただけるように、私もまた繰り返し質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ジェンダーのことはきちんと明記をするということをお約束いただきましたので、それは安心をいたします。
そして基本計画のそのほかのことについてちょっと二、三、伺いたいと思うんです。
一つは、基本計画の改定に当たって、今十一分野あるんですけれども、それに限らず、何か新しい視点があるでしょうか。ここは全部官房長官にお答えいただくようにきのう質問のときにお願いをいたしました。
○細田国務大臣 現行の基本計画においては、施策の基本的方向及び具体的施策について十一の重点目標を掲げているわけでございます。例えば、政策、方針決定過程への女性の参画の拡大、あるいは社会制度、慣行の見直し、意識の改革、雇用等の分野における均等な機会それから待遇の確保、農山漁村における男女共同参画の確立等々、全部ちょっと時間の関係で申し上げませんが、十一の重点目標を掲げているところでございます。
今月の初めの参画会議におきまして、新しい基本計画の策定に当たっての基本的な考え方を議論した際、有識者議員からも御指摘のような御意見がありました。そこで、この専門調査会において適切に検討されるものと承知しております。
○小宮山(洋)委員 これから具体的に出てくるということですけれども、ぜひ、さらにこの男女共同参画社会を進めるための新たな視点も入れていただきたいと思っています。
そして、これは先ほど申し上げたように、日本のこの男女共同参画の取り組みは、内閣のかなめである官房長官が扇のかなめのように取り仕切って力を発揮していただきたいという願いを込めてつくられているわけですが、そこのかなめが力を発揮するためには、各省庁がそれぞれにしっかり取り組んでもらうことが大前提だと思います。
この基本計画をつくるに際しまして、ほかの省庁との連携の状況はどのようになっているでしょうか。
○細田国務大臣 おっしゃいますように、各省庁の連携が必要でございますし、また、そこで内閣官房長官が担当をするという意味もあると思います。専門調査会等におきまして関係府省からヒアリングを行うなど、各省庁における施策の実施状況も十分踏まえた調査検討を行っておりますので、おっしゃいますような各省庁の密接な連携を強化してまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 この基本法が制定されて来年で五年になりますので、今はそういうことはないと思うんですけれども、つくったころは、各省庁にどこが男女共同参画担当ですかと聞きますと、わからない、そんな省庁も結構ございまして、ぜひ、各省庁挙げて取り組めるように、そのあたりの連携も強化をしていただきたいと思います。
先ほど、各自治体、ジェンダーについての誤った考え方に困っているという話を申し上げましたが、言うまでもなく、基本法というのは土台になる法律で、これが力を発揮するためには、いろいろな個別法、例えばこれができた後、DV、ドメスティック・バイオレンスの禁止法ができたり、国会の中でもそういうことをしておりますし、身近なところで実現していくためには、各地方公共団体が条例や計画を策定してきちんと進めていくということが大事だと思います。
当然のことながら、先ほどからのお話の続きですけれども、男女共同参画条例や計画の制定に際しましても、これはジェンダーの視点で進められるべきだと思っておりますが、各地方公共団体がジェンダーという言葉や考え方を批判されずに安心して使っていけるように、ぜひ、もう一度その点を各地域の取り組みに絡めてお話をいただきたいと思います。
○細田国務大臣 基本法の第九条におきましてそのことはまず明記されておりまして、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と書いてございます。そして、十四条において、都道府県、市町村が、基本計画を勘案して、男女共同参画計画を定めるということになっております。
基本法の基本理念はジェンダーという概念を含んでおり、また、現行の国の基本計画においては、ジェンダーに敏感な視点を定着させることが明確に位置づけられておりますので、さらに今後とも地方公共団体においてもジェンダーに敏感な視点を踏まえた施策を策定、実施するように、国としても今後連携を強化してまいりたいと思います。
○小宮山(洋)委員 最近では、このようにまとまってジェンダーのことをきちんとお答えいただいたのは初めてだと思って、大変うれしく思います。ぜひ、きょうの議事録も各自治体などが見られるように、名取局長にもよろしくお願いをしたいと思います。
そして、男女共同参画と少子化の問題について、ちょっと伺いたいと思うんですけれども、少子化が現在進んで、一・二九に合計特殊出生率がなっていますが、これは女性が外で働くようになったからだというような誤った見方をされることもあります。ところが、統計などで見ますと、働く女性の方がより出産をしているというデータがございますし、所得が上がった方が子供の数が多いということが諸外国の例などを見てもございます。
少子化対策と男女共同参画社会の実現ということの関係をどのようにお考えになっているでしょうか。
○細田国務大臣 御指摘のような意見も、つまり男女共同参画が進むと少子化が進むのではないかという意見はあることは承知しておりますが、これまでにOECD諸国において行われました調査結果等におきましては、女性労働力率が高い国や男性の家事、育児分担度合いが高い国ほど合計特殊出生率が高いという傾向も見られます。
このような状況も踏まえまして、本年七月に、参画会議に少子化と男女共同参画に関する専門調査会を設置しておりまして、データ等の分析を通じて、少子化と男女共同参画のかかわりを明らかにすべく検討を始めたところでございます。総理からも、男女共同参画については、少子化対策等、関連の問題も視野に入れて、広く国民の理解を得られる施策を推進するように指示を受けております。
男女共同参画と少子化対策を軌を一にして進めていけるように、専門調査会での検討を鋭意推進して、その得られた結果を次期基本計画に盛り込んでまいりたいと思います。
○小宮山(洋)委員 ぜひ、そうお願いしたいと思うんですね。
今の若い人たちに聞いても、子供は欲しい、持ちたいと思っている人が九割ぐらいいます。けれども、持たない、持つ人が減っているということは、自分らしく生きることと育児をすることが両立をしていないという現状が残念ながらあるからだと思います。
育児休業の取得率から見ましても、九八%が女性がとっている。それから、働く女性が家事、育児、介護など、家族のために費やす時間は一日四時間、これに対して、男性はどれぐらいだか御存じでしょうか。(細田国務大臣「いや」と呼ぶ)これは質問通告してありませんので、女性四時間に対して、男性は十六分。これではやはり、仕事もしながら、何で女だけがこういうことをしなければいけないのかとなると、女性が自分らしく生きるためには、持ちたいけれども子供をあきらめなきゃということもある。この数字もぜひ、担当大臣、御記憶いただきたいというふうに思います。その差が少しでも縮まることが、今おっしゃったように、家事分担が高いところの方が出生率が高いということにもつながるんだと思います。
そして、育児をする二十五から三十四歳の女性、仕事をやめるケースが相変わらずまだ多くて、女性の労働力率がこの年齢のところで下がっている。先進国の中で女性の就業率がM字型、ここが下がるからMの底になってしまうわけですね、M字型をとっている国は、残念ながら先進国で日本だけです。ここも是正をしていく。
だから、本当の意味の男女共同参画社会を実現していくことが、持ちたい人が安心して子供を生み育てられて、結果として少子化対策になるのだということをぜひ強く御認識いただいて、そのように安心できる働きをしていただきたいというふうに思っております。
この点につきまして、直接担当されている内閣府の山本少子化政策統括官に伺いたいと思います。
少子化対策とか新新エンゼルプラン、これは男女共同参画の視点を踏まえて策定していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
共生社会政策担当という職名になってございます。
今委員御指摘のように、少子化対策につきましては、男女共同参画の視点を踏まえた取り組みが大切だというぐあいに考えております。特に、今委員いろいろ御指摘のございましたように、働く女性が非常にふえているということから、希望する人が出産、子育てをしやすいように、例えば、男女を問わず育児休業がもっととれるように促進をしていく。それから、育児、家事にかかわる父親の時間というのは非常に諸外国に比べても突出して少ないというようなことから、男性の子育て参加をもっと促す。あるいは、長時間労働などの職場優先の風潮といいますか風土、そういうものを見直して、家族の時間とかあるいはプライベートな時間をもっと大切にしていく、そういったようなこともつくっていく、こういったようなことを非常に大切だと考えておりまして、六月に策定しました少子化社会対策大綱にも盛り込んでおりますけれども、実行に移していくということが必要だと思います。
年内に策定することとしておりますいわゆる新新エンゼルプランにおきましても、そういった観点を十分に踏まえまして、具体的施策が幅広く盛り込まれるように、関係各省とも連携して取り組んでいきたいと思います。
○小宮山(洋)委員 少子化担当というのは、来た肩書がそうなっていたものですから、私のメモには共生社会と書いてあったんですけれども。
なぜ官房長官、担当大臣とすべてお話をすると言いながら山本さんにだけ伺ったかといいますと、今お答えいただいたのは本当に優等生の答弁でございますけれども、山本さん御自身の御認識がどうもそうではないのではないかと思っている人が周囲にいるようでございますので、ぜひ、今お答えになったことに基づいてやっていただくように、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、官房長官、担当大臣に話を戻させていただきたいと思うんですが、新しい基本計画の策定につきまして何点か、あと十分ぐらいで伺いたいと思います。
一つは、先ほどのお話にも出てきましたけれども、女性のチャレンジ支援を推進するということを強く今政府では出していらっしゃるんですが、それを推進するためには、ポジティブアクション、積極的是正措置を含めて取り組む必要があるのではないかと思っています。
冒頭の御発言で官房長官がおっしゃいましたが、社会のあらゆる分野で、指導的地位に女性が占める割合が二〇二〇年までに少なくとも三〇%程度になるよう期待するという閣議決定、これを着実に達成する必要があると思うんですね。
これも、三〇%、期待するというのもちょっとあいまいな言い方で、なるようにすると本当は言っていただきたいんですが、実は、この三〇%というのは、一九八五年にナイロビで開かれました世界女性会議で採択されましたナイロビ将来戦略で、本来は二十世紀の終わりまでに達成することが目標に掲げられたものです。ですから、そういう意味では日本は二十年おくれてしまっているということなんですが、そういう意味で、そのポジティブアクションを含めて取り組む必要があるということについてはどういうふうにお考えになりますか。
○細田国務大臣 昨年四月の参画会議におきまして、女性のチャレンジ支援策についてという意見、決定されたわけでございますが、これを踏まえまして、政府におきましては、女性の多様な能力を生かせるよう、さまざまな分野への女性のチャレンジ支援策を推進しております。
施策の遂行に当たりましては、三つのチャレンジ。すなわち、上へのチャレンジ、政策方針決定過程に参画し、活躍することを目指す上へのチャレンジ。横へのチャレンジ、女性の進出が少なかった分野に新たな活躍の場を広げる横へのチャレンジ。それから、再チャレンジ、子育て等で就業を一たん中断した女性の再チャレンジ。この三つのチャレンジにつきまして総合的に支援していくということが必要であります。その具体的手法として、ポジティブアクションの推進、いつでも、どこでも、だれでもチャレンジに必要な情報をワンストップで入手できるネットワーク環境づくりなどを行っているところであります。
今月初めに男女共同参画会議を開きまして、新しい基本計画の策定に当たっての基本的な考え方を議論した際、有識者議員から御指摘のような議論があったところでありまして、専門調査会において適切に検討されるものと承知しております。この会議は、非常に、有識者議員から多様な、これまでも紹介したような議論が数々ございまして、私もずっと拝聴しておりました。
○小宮山(洋)委員 そして、もう一つの視点として、やはり働き方を見直していく必要があるのだと思います。
少子化の傾向が最初にあらわれましたのは、出生率がひのえうまの年の一・五八を下回って一・五七ショックと言われた一九八九年のことだと思います。そのときに政府が、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議という大変長い名前の省庁が連携して取り組む会議をつくりまして、そこの対策の第一に挙げたのが働き方の見直しでした。
ところが、バブルがはじけてリストラというような状況になって、そのとき考えたこととどうも逆行しているんじゃないかというような気がいたします。その少子化への対応という意味からも、多様な就業を可能にする本当の意味でのワークシェアリングが必要なのではないかと思います。
女性も男性も、短い働き方も長時間働くことも選べる。特に子育てとか介護、家族が必要とするときには短い時間働ける。そのためには、やはり一時間当たり同じ価値の仕事をしたら同じ報酬が得られるという、同一価値労働同一賃金といっていますけれども、均等待遇ということが非常に必要なのではないかと思います。
パートの働き方というのがこういうように処遇が全く違うというのはヨーロッパではないことで、短い時間働くか長い時間働くかの違い、そういうように働き方を根本的に変える。そのための均等待遇というものを、法制化も含めてきちんとやっていくことが必要だと思いますが、その点はいかがでしょう。そのこともぜひ基本計画に盛り込んでいただきたいと思いますが。
○細田国務大臣 パートタイム労働、有期雇用あるいは派遣を初めとする就業形態の多様化が進んでいると思います。また、特にバブル崩壊後、事実上、雇用の機会が相当減少したということもあって、このような傾向が依然としてまだ非常に大きいというふうに感じておるわけでございますが、男女共同参画の観点からいいますと、希望に応じた就業形態を選択できる面については評価できますけれども、一方で、働きに応じた適正な賃金等の処遇を確保することが極めて重要であると思っております。
本年七月の影響調査専門調査会報告におきましても、多様な就業形態において働きに応じた賃金等の処遇の実現というものを提言したところであります。また、今月初めの参画会議におきましても、新しい基本計画の策定に当たっての基本的な考え方を議論した際、有識者議員から御指摘のような御意見があったところであり、今後、基本計画に関する専門調査会において検討が進められるものと承知しております。
○小宮山(洋)委員 今、少子化と男女共同参画の観点から申し上げましたけれども、この多様な働き方で、能力を持った女性がもっと働きやすくなる、男性もそうですけれども。ということは、これまでの枠組みの中では、もう日本の社会、閉塞状況になっている部分が多いと思いますので、やはり女性のしなやかでしたたかな能力を使っていただくことが日本の社会全体のためにもいいと思いますので、ぜひ、その多様な働き方を保障するような均等待遇ということをしっかり位置づけていただきたいと思います。
そして、官房長官に伺う最後の質問でございますけれども、この基本計画の中に、やはり多様な価値観を認め合って、個性を生かしてともに生きる男女共同参画社会を実現するためには、地域活動とかNPO活動など、ネットワークづくりを推進していくということが一つ重要な要素だと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○細田国務大臣 男女共同参画の実現に向けましては、各分野においてさまざまな形態のネットワークを活用することが重要な要素の一つであると思います。
例えば地域活動、NPO活動など、人的なネットワークが女性に活躍の場を提供することになりますし、育児サポートボランティアとか、あるいはいろいろな情報ネットワークの構築によりまして、非常にこの点に貢献することができると考えております。この点につきましても、参画会議におきまして議員からの同様の指摘もございました。基本計画に関する専門調査会においても、今後検討を進めていきたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 きょうは、数十分にわたりまして、今、男女共同参画の話を官房長官とさせていただきました。本日のお仕事の中で何割かわかりませんけれども、男女共同参画のことを集中的に考えていただけたかと思っております。今後とも、ぜひこういう機会を多く持ちたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
そして、きょうの質疑の中で、ジェンダーについて正しい考え方をきちんと基本計画にも位置づけるし、地方の自治体にもわかりやすくしていく、このことは本当に重要な御答弁だと思っておりますので、ぜひ、そういうことが広く広がっていきますように、男女共同参画社会づくりのかなめのお立場で、今後ともよろしくお願いをしたいと思っております。
官房長官には、イラクの問題そのほかお忙しいと思いますので、ここで御退席いただいて結構でございます。
続きまして、最後のテーマですが、村上大臣、大変長らくお待たせをいたしました。
男女共同参画社会についてもいろいろお聞きいただいたかと思いますけれども、これもその中の一つとも言えると思うんですが、独立行政法人国立女性教育会館の統合の問題について伺っていきたいと思います。
政府の有識者会議、これは特殊法人等改革推進本部、内閣にあるものですが、その有識者会議と、総務省の政策評価・独法評価委員会などで、独立行政法人の合理化等が議論されております。
その中で、独立行政法人国立女性教育会館も見直し対象の法人として検討されているということですけれども、どのように見直そうとされているのか。村上大臣はその有識者会議のところを担当されている大臣かと思いますので、おととい、二十七日にこの有識者会議が意見を取りまとめて総理に報告していると承知しておりますけれども、その内容を含めてお話しいただきたいと思います。
○村上国務大臣 小宮山委員の御質問にお答えします。
十月二十七日の独立行政法人に関する有識者会議は、独立行政法人の中期目標期間の終了時の見直しが厳格に行われるよう、主要な法人を対象とした各省からのヒアリングを行いまして、指摘事項を取りまとめまして、十月二十七日に首相官邸で飯田座長から総理に報告を行いました。
指摘事項におきましては、各法人は、予算額や人員規模から見て細分化し過ぎてあったり、また類似業務を行う法人については再編統合に向けてさらなる検討を行っていただきたいということにしました。
国立女性教育会館は、実は具体名を挙げられた法人の一つであり、文部省関係では、同様に研修業務を行っている国立オリンピック記念青少年総合センター、それから国立青年の家、それから国立少年自然の家の三法人との再編統合に向けたさらなる検討を文部科学省に要請しているところであります。
以上であります。
○小宮山(洋)委員 そして、もう一つ検討しているところの総務省ですけれども、総務省ではどのような検討が行われているでしょうか。
○田村政府参考人 お答えいたします。
独立行政法人については、独立行政法人通則法に基づきまして、中期目標期間の終了時に主務大臣が組織、業務全般にわたる見直しを行うこととされておりまして、その際、御指摘の総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、主要な事務事業の改廃に関し勧告することができるとされております。
また、本年六月に決定されましたいわゆる骨太方針二〇〇四を踏まえ、国立女性教育会館を含む三十二法人について、本年中に見直しの結論を得ることとされております。
これを受けまして、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会におきましては、国立女性教育会館を含む三十二法人について、十一月中には主要な事務事業の見直しに関する勧告の方向性を指摘する予定でございまして、現在、事務事業の必要性、有効性や効率化あるいは業務の質の向上などの観点から議論を行っているところでございます。
その上で、各法人の見直しにつきましては、文部科学大臣など各主務大臣において、勧告の方向性も踏まえてさらに検討を重ねまして、本年中に政府行政改革推進本部の議を経て、見直し内容を決定することとなるわけでございます。
○小宮山(洋)委員 総務省の方では、そうしますと、今大臣も言われた四つの法人を一緒にするということは具体的には検討していないんですか。
○田村政府参考人 ただいま申し上げましたように、それぞれの独立行政法人の主要な事務事業の改廃について検討する。したがいまして、その中ではやはり、業務のあり方として四つの法人が類似性がある、あるいは統合した方がもっと効率的になるのではないか、こういう議論が行われております。
○小宮山(洋)委員 類似性があるというお話がしばしば出ているんですけれども、やはり青少年に対するものと、女性の、先ほどから申し上げている男女共同参画を進めるものというのは、基本的に私は違うと思うので、宿泊施設を持っているとか研修とかいろいろなことがありますけれども、この青少年の関係のものは団体で過ごすことを割と主な内容としていたり、いろいろ私は違うと思うんですけれどもね。
それで、見直すに際して、通則法三十五条で、主務大臣が中期目標期間終了後、所要の措置をとるとなっております。ここの場合、主務大臣は文部科学省になるわけですけれども、その所管の文部科学省は、この国立女性教育会館の統合問題についてどのような考え方を持っていますか。
○藤田政府参考人 お答えを申し上げます。
国立女性教育会館は、我が国唯一の女性教育のナショナルセンターといたしまして、地域の女性教育関係の行政担当者など女性教育指導者等に対しての研修、それから女性教育に関します専門的な調査研究などを行うことによりまして、女性教育の振興を図りまして、そして、先ほど来御議論されておりました男女共同参画社会の形成の実現に資するというふうなことを目的とする重要な独立行政法人であると思っております。
今回の見直しに当たりまして、文部科学省といたしましては、同会館が今後、男女共同参画社会形成のための学びの拠点として一層効果的、効率的に業務を推進するとの観点から、先ほど御議論がありました女性のチャレンジ支援など、現在、男女共同参画を取り巻いております喫緊の課題への対応でございますとか、それからアジア太平洋地域などの女性教育への貢献、こういった国として実施すべき重要性の高い業務に一層重点化を図るとか、それから職員の身分の非公務員化などを含めまして、事業面、運営面全般の見直し、合理化を考えているというところでございます。
国立女性教育会館と青少年教育の三法人との再編統合の問題につきましては、今委員御指摘のとおり、女性教育と青少年健全育成という観点につきましては政策において大きく位置づけも違いますし、また、これらの法人についての果たすべき役割、それから研修等の対象が大きく異なっておるということから、やはり女性教育会館は、青少年教育法人とは別に、独立した法人格を有する方が効果的な運営ができるのではないかというふうに考えているところでございます。
○小宮山(洋)委員 先日、国会の中の超党派の議員でつくっておりますある議員連盟で、文部科学省からヒアリングをさせていただきましたけれども、そのとき担当の方は、この総務省とか有識者会議でヒアリングを受けて、自分たちは存続が必要だと言っているんだけれども、どうもその考えはなかなか聞き入れてもらえないというニュアンスの発言があったのではないかと私は記憶しております。
ところが、その後お話を伺っていくと、先ほど申し上げた通則法によりまして、結局、所要の措置をとるのは主務大臣なわけですね。だからもちろん、いろいろな勧告を受ければ、それに議論をして、最終決定をするのは文部科学大臣だということですので、もう少しそこのところは積極的に文部科学省、文部科学大臣はやっていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○藤田政府参考人 お答えを申し上げます。
委員お話ございましたように、最終的には主務大臣が決めるわけでございますけれども、その際には、行政改革本部での決定等ございますので、現在鋭意関係の、例えば有識者会議でございますとかそれから総務省の評価委員会等に、私どもの考え方を一生懸命説明させていただいてきているところでございます。
○小宮山(洋)委員 大臣に伺いたいんですが、最終的には行革本部が決定をするというお話でしたけれども、まあ、決めるのは最後は主務大臣なんでしょうけれども、その方針を行革本部が出せばそれに従わざるを得ないというニュアンスなのだと思います。
先ほどから話をちょうど官房長官、担当大臣としているのをずっとお聞きいただいていたわけですけれども、男女共同参画社会の推進のために、埼玉県の嵐山にあるこの国立女性教育会館は、本当に国内的にも大きな働きをしてきていまして、いろいろな女性研究者、女性団体、さらに地方からもいろいろな人たちが集まって、ここで、女性のためだけではないと先ほどから強調していますが、大臣も含めて皆様のためにも、日本の社会のためにも必要なこの男女共同参画社会を進めるために、いい働きをしてきていると思います。
その辺の御認識と、それを青少年と一緒にするということが本当にいいことなのかどうか、御意見を伺いたいと思います。
○村上国務大臣 小宮山委員の御質問にお答えします。
御高承のように、男女共同参画の推進については、平成十一年の六月に、二十一世紀の最重要課題である男女共同参画社会の実現に向けて、男女共同参画社会基本法が制定されました。その同法を受けて、平成十二年十二月に男女共同参画基本計画が策定されています。
国立女性教育会館は、同基本計画の十一重点目標の一つでありまして、男女共同参画を推進し、多様な選択を可能にする教育、学習の充実を推進するための機関として位置づけられていると考えています。
具体的には、国立女性教育会館は、同基本計画において、女性指導者その他女性教育関係者に対する研修等の男女共同参画社会の形成の促進に努めてまいります。それから、国内外の関連機関、施設等の女性情報ネットワークの拠点として機能強化を図る。そして、公私立の女性教育関連施設の各種事業等の支援を図ることにより、地域における女性の生涯学習の総合的な推進をするということで、私も委員と同様に、男女共同参画の推進のために重要な役割を担っているということに対しては、認識は全く同じであります。
ただ、ちょっと委員、御理解いただきたいのは、今文部省を通じてお願いしている四つなんですが、ちょっと御参考に数字を言いますと、国立女性教育会館は大体予算が八億円で、そのうち国の財政出動が七億円なんですね。それから、国立青年の家が、五十一億円のうち、国の財政出動が大体四十八億円なんですね。やはり、国立少年自然の家が、四十九億円の予算のうち、四十六億円が国の財政出動。それから、国立オリンピック記念青少年総合センターが五十二億円で、そのうち四十二億円が国の財政出動。
私は、正直言って、その存在意義については委員と全く同じなんですが、我々が考えているのは、コストパフォーマンスというかマネジメントについて、いろいろトータル的にお考えいただけないかということであります。
○小宮山(洋)委員 そして、国内的なことだけではなくて、国立女性教育会館、アジア地域の最初の女性の社会教育と生涯学習のナショナルセンターとして設置をされていまして、中国や韓国、そして、最近では政府も力を入れていらっしゃるアフガニスタン、アフガニスタンでは三十二の州に全部これに倣った女性センターをつくろうとしているなど、各国からも注目をされてきています。そして、開発途上国の女性のエンパワーメントを支援する中核的な役割も担ってきている。
そういう意味でも、やはり存続を私どもとしては単独でしていくことが必要だと思っておりまして、この女性教育会館のニュースなどにも各国から非常に激励のメッセージが届いておりまして、例えば韓国の鄭世華さんとおっしゃるソウル女性プラザの理事さん、梨花女子大学の名誉教授でもいらっしゃいますけれども、このヌエック、国立女性教育会館をヌエックといっていますが、ヌエックの活躍に、これからの発展をまた期待するというようなメッセージやら、ここで研修を受けた人たちからもいろいろなエールが送られてきている。
そのことは御認識いただいていると思うんですが、今おっしゃったように、今行革をしなければいけないということも私は十分承知しています。ですから、国立女性教育会館の方にも、それから文部科学省の方にも、私ども超党派の女性の議員としても、やはり新しい価値がそこから生み出されるという説得力を持たないと、今の行革の流れの中で単独で存続するということは難しいという話はしておりまして、新しい価値を生み出すための具体的な提案を、いろいろもう既にあるものもありますけれども、まとめて御提示できるような形を国立女性教育会館ですることを、全国の女性の研究者やいろいろなところから知恵を集めて今やっているところです。
例えば、政府がやっと取り組もうとしていると言っていいかと思いますが、人身売買についての調査研究、このようなことも科研費を活用して行うことも今プログラムとして挙げていまして、このようなことでも、やはり科研費を有効に、国際問題について日本の位置をちゃんと示すような形でやっていく。これができるのも、やはりこの国立女性教育会館の役割だと思っておりますし、日本は世界、特にアジア太平洋地域でハブ機能を果たすことができるんじゃないかということで、今その具体的なものもお示しできるようにしたいというふうに努力をしているところです。そして、この人身売買につきましても、人権意識ということが基本にあることですから、その教育などもここでできると思っております。
また、もう一つは、女性の視点での資料収集機関というのはほかにないんですね。そういう意味で、国立女性アーカイブとしてこれを充実させる計画とか、さらに、先ほど申し上げた国際的な関係で、新たに女性センターを各地で今つくっているところですが、そこの職員などの研修とか、今宿泊施設が三割しか稼働していないということは私も承知していますので、それを具体的に、こういう方法で人を受け入れて、もっとそこを効率化していくとか、今新たな検討をしているところですので、そういうこともお含みいただいて、統合の方針を見直す可能性もあるというようなことをもし御発言いただければ大変うれしいのですけれども、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 先ほど申し上げましたように、小宮山委員と同じで、この国立女性教育会館における意義、存在価値に対する認識は、もうほぼ一致していると思うんです。ただ、私の仕事の立場としては、先ほど申し上げたように、それの重要性にかんがみながら、先ほど主務官庁のお話をされたんですが、文部省の方に、それはしっかり残せ、しかし、ほかの三つはしっかりまとめるというふうに御声援をお願いしたいと思います。
以上であります。
○小宮山(洋)委員 それは残せ、そして、確かに青少年関係のものは三つ一緒にして私もいいと思っていますので、そういうようなことを文部科学省ともいろいろ話をしているというか、この間のヒアリングをさせていただいて、意見交換をいたしました。
全部いけないというのではなくて、やはり、そこから残すに足る、説得力ある新しい価値を生み出すということを、私ども女性の議員も努力をいたしますし、今全国から御存じのように非常に大きな声がこのことに対して上がっているということは御認識をいただきまして、力を合わせていい行政改革が、行政改革をして、いいものをつぶしてしまっては仕方ないと思いますので、そのあたりをぜひ御協力いただきたいと思いますので、改めて一言いただいて、質問を終わりたいと思います。
○村上国務大臣 したがいまして、国立女性教育会館については、その役割、機能を本当に重要なものと考えておりますので、今委員の御指摘を踏まえ、さらに効果的かつ効率的な運営ができないか、文部科学省において検討していただくようにさらに申し上げますので、先生の御声援もよろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○小宮山(洋)委員 ありがとうございました。終わります。
○松下委員長 次に、須藤浩君。
○須藤委員 民主党の須藤浩でございます。
まず、質問の中で最初に、先ほどの質問でもありましたけれども、大臣に今国会で大きな問題となっております幾つかの点についてお伺いしたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。
それは、年金の問題は先ほどお伺いしましたので、以下三項目の、郵政民営化に対する考え方と、それから自民党の郵政懇話会に入っているかどうか、さらに、政治と金の問題に関して、迂回献金や旧橋本派からの献金があるかどうかをまずお伺いしたいと思います。
○村田国務大臣 お答えいたします。
一番初めの郵政民営化についてでございますが、閣僚、内閣の一員として、内閣の方針に従いまして対処していきたい、こう考えております。
それから、郵政懇話会に入っているかどうかにつきましては、閣僚として答える立場にございませんので、答弁を差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。
それから、自民党の迂回献金については、そうした事実は承知しておりません。それから三番目に、橋本派からの献金ですが、これはありません。
以上であります。
○須藤委員 では、さらに一般質疑をさせていただきます。
きょうは、新潟の中越地震が起きて本当に大変な中で、国民の耳目はもうそこに一点集中という状況であろうと思います。実は、私もそのことに関してはいろいろと質問をさせていただきたいと思っているんですが、同僚議員あるいは他の委員会でもかなり深くやられておりますので、私の方からはまた別のことについてお伺いをしたいと思います。
まず最初に、交通事故の防止対策について伺いたいんですけれども、交通事故は、交通戦争という言葉でよく言われていますけれども、とにかく、車の社会にあって、非常に私たち一人一人が事故に遭う危険性、危険度が高くなっていると思います。昔、今まで、こういった車社会でないときは、命を落とすというようなことはよほどのことがない限りなかった。疾病、病気とかで亡くなるということはあったんですが、それがこの車の社会に入ってからは、自分自身が加害者になってしまうかもしれないし、あるいは突然被害者になるということも日常茶飯事で起きているわけですね。
自分が車を運転する、あるいはオートバイでもそうなんですけれども、しながらも、本当によく事故が起きないものだなと私自身は感じています。一つハンドルを切り間違えれば事故になってしまう、あるいは、自分の前を走っている人がちょっとふらついたり、歩行者が一歩車道の中に入ってくれば、そこで大変な交通事故が起きてしまう。危険と隣り合わせどころか、本当に危険と一緒に生活をしているような状況かと思います。
それで、資料をいろいろ見せていただいたんですけれども、ことしの上半期、件数等見ますと、交通事故の死者数を一万人以下にするということで非常に皆さん御苦労されていると思いますが、この上半期に関して、交通事故の発生件数、負傷者数ですか、これが非常に高く、昨年もそうだと思いますが、逆に高くなっている。死亡事故は減っているんですが、件数と負傷者数が非常にふえていますけれども、この辺の状況分析といいますか、どうなっているかを伺いたいと思います。
○矢代政府参考人 ただいま御指摘のとおり、交通事故は引き続いて増加を続けております。上半期も同様でございます。
この交通事故の増加ですが、これは、ありていに申しますと、交通量がずっと引き続いて増加しておりまして、それに伴って、これを背景として交通事故が増加しているということになろうと思います。
一方、死亡事故、死者につきましては、これも平成五年以降、ずっと減少しているわけですが、これは、一つには自動車乗車中の死者、これが少し減っておりますが、シートベルトの効果によるものが大きいと思っております。
それからさらに、死亡事故に至る重大な事故、スピードの出し過ぎによります正面衝突ですとか、あるいは路外逸脱ですとか、死にやすい、致死率の高い事故ですが、これが減少しております。
また、特に人対車、車と人との事故、これも非常に致死率の高いものでございますが、これは比較的抑えられております。
このあたりが交通事故の死者あるいは重傷者の減少の要因になっているというふうに理解しております。
○須藤委員 恐らく、交通事故対策、撲滅運動といいますか活動は、日ごろ一生懸命警察でもやられていると思うんですけれども、当初、毎年毎年一万人以上の方が亡くなるということで、私は千葉県なんですが、千葉県は毎年、一位、二位、三位以内という上位に名を連ねていて、交通量がどんどん増加をする、そして車がふえてくると、いわゆる交通事故の比率とも比例して大きくなってしまって、これはよほど何かがないと事故死を減らすことができないのかなというふうに私も日ごろ思っていたわけですね。
そこで、各市町村で、交通事故の死亡ゼロ対策で、何日更新したというようなことを皆さんやっています。それはもう住民がこぞって、交通事故が起きないように皆さん活動しているわけですね。その成果も相まって、例えばある町なんかでもそれが一年間続いたとか二年間続いた、もしそういった状況を全国に広めていけば、恐らく死亡事故が数字上はゼロになるのかな、現実にはなかなかないんでしょうけれども、それぐらい努力をすればとにかく減っていくんだというふうなことを実は思っていたんですが、残念ながら、一万人を切るということがなかなかできなかった。
そして、社会的にも、政治の場でも、とにかく交通事故、死亡事故を減らそうじゃないかというような話になって、急激といいますか、これは減ってきたわけですね。
そうすると、今まで一体何をやっていたんだろうということがどうしても思えて仕方ないんですね、つまり、やればできるじゃないかと。当然、ドライバーのマナーも含めてですけれども、みんなが協力してやれば、事故はどんどん減っていく、当然、死者数も減っていくということがある意味で実証されているのかなと。
ただ、今後、力を緩めるとまたこれが増加をして、一万人を突破してしまうということになるのかもしれませんけれども、この辺の評価といいますか、今まで一万人を超えていたものが本当に減ってきたということに関して、みずから、警察として、事故数を減らそうとしている立場としてこれをどうとらえているか、お伺いしたいんです。
○矢代政府参考人 ただいま御指摘のございましたように、交通事故の件数あるいは死者数は、一時ふえた時期があり、また減少し、またふえたりということの状況が、推移がございます。
昭和四十五年には第一次交通戦争のピークがあったわけでございますが、それ以降は事故も減り、死者も減るという状況がございました。また、その後、平成に入りまして第二次交通戦争の状況に至ったわけですが、これも幸い、死者につきましては、今ほどお話し申し上げましたように、今、減少を続けているという状況がございます。
これを翻ってみますと、やはり事故防止に対して大きな取り組みを行えば、それだけの効果があって事故が減り、死者も減ってきている。それで、対策が十分でないと、交通量の伸びに十分に見合うだけの対策を打ちませんと、交通事故がふえる、ないしは死者もふえるというようなことであったと思っております。
したがいまして、今後とも対策を持続していくということが重要であるというふうに私どもは考えております。
○須藤委員 大臣はいかがでしょうか。
○村田国務大臣 やはり、みんなが気をつけるということが基本になると思いますね。それは、運転する人、それから町を歩く人、すべてが交通安全に気をつける、そういう意味で、そこが非常に大きな役割を果たすのではないかなというふうに思います。
そのために、警察といたしましても、日ごろから、子供からお年寄りまで交通安全教育というものをやっているわけでございますし、それから警察官の取り締まりも必要であろうし、街頭のいろいろな指導も必要であろう、こういうふうに思います。
それから、取り締まりに関しましては、道路交通法につきましても、前の通常国会でも改正をさせていただいたわけですけれども、そうした道路交通法の改正も、これに寄与してくるのではないかというふうに思います。
これに加えまして、私も、党の交通安全対策特別委員会の幹事か幹事長をしておったときがございまして、一つは、やはり車自体の安全性の向上ということになりますね。それから二つ目としては、やはり道路自体の線形が、あるいは道路自体の構造が、交通事故を避けるため、防止するためのようになっていないかということ、これがかなり重要でございまして、そういう交通事故多発地点というものを全国百ぐらい選び出しまして、そこで改良する余地がないかということも具体的に検討してみました。
それで、私の選挙区のことを言って申しわけないんですが、私の選挙区のある橋の出口が大変細くなっています。これは国道なんですが、Tの字になっている。これが岡山県で交通事故多発箇所のナンバーワンだったんです。これを、十億以上のお金をかけていただきまして改良してもらいました。そうしたら、たちどころに交通事故の多発地点のナンバーワンの座を譲り渡したということです。
そういう意味で、道路の構造を交通事故が起こらないように改良するということも必要だと思うし、それから、道路標識とかあるいは信号とか、交通情報、どこが込みますよとかいう道路情報の提供まで含めまして、すべてのソフト、ハードの対策を講じていけば、私どもは、昨年の、十五年の所信表明で総理も、交通事故の死者数は半減したい、五千人以下にしたいということを申し上げましたけれども、そういう目標に向かって進んでいくことができるのではないか、こういうふうに考えております。
○須藤委員 今大臣が言われたように、交通安全施設、道路を含めて交通安全施設を改良することによって危険箇所を減らす。つまり、これは、ある意味で予算を割いていけば、どんどん改良して事故が起きる危険場所を減らすことができるということを如実に証明しているわけですよね。
私も日ごろ感じますけれども、例えば、今の日本社会というのは、車にとっては結構快適な道路環境ができつつあるなというふうに思いますけれども、歩行者、あるいは自転車も入るでしょうけれども、歩行者や身障者の方、体の不自由な方にとっては、ある意味で危険きわまりない道路がそこらじゅうにあるなというふうに感じています。
実際に歩いてみますと、歩道がほとんどないために、どうしても車道あるいは路側帯を歩かざるを得ない。そこにダンプカー等が来たときはどこによけたらいいんだというところがたくさんありまして、これは道路を拡幅するかガードレールをつけるか、何らかの措置をすれば、その危険度はかなり減るんじゃないか。ただし、どこへ行っても、お金がない、お金がないということで、全く進まないわけですね。特にお年寄り、あるいは小さな子たちが学校に通うときに歩くような道路、通学路なんかも、そういった意味では、私はよほど本腰を入れて、ある意味で予算を使って整備していただきたいというふうに思っています。
総理が三カ年で半減だというふうに旗を振られて、かけ声がかかれば、どういうわけか一生懸命、もしかして事故が減るというんであれば、これはある意味では不作為のために今まで事故が起きていたという話にもなりかねないので、その意味では、担当が国交省かどうかは別として、政府として、地方に対する助成も含めて、私は全力でやっていただきたいというふうに思います。
そこで、ちょっと細かいことになりますけれども、オートバイが、さきの通常国会で二人乗りもオーケーだということになりましたけれども、最近とみにふえているかなと思うのが、オートバイが車間の間をすり抜けていく、あるいは込んでいるから路側帯を通り抜けていく。その中で特に多いのが、バイクによる宅急便ですね。これは何分を争って、それがサービスにもなる、商売になるということかもしれませんけれども、かなり私は危険じゃないかと。本当に途中でとまってドアをあけたり、あるいはちょっと車線変更したりしたら、間違いなく死亡事故につながってしまうようなものが、毎日のように私も経験をします。
こういうバイクの走行に対する取り締まりといいますか注意というか、そういった状況は今どうなっているのか、伺いたいと思います。
○矢代政府参考人 バイクでございますが、確かに、すり抜けたり路側走行をしたり、あるいはジグザグ走行をしたりという状況が見られるわけでございます。また、これに伴っての事故もあるわけでございます。
そこで、警察の方といたしましては、やはり街頭活動によりまして、これらの危険な行為を抑えていく、あるいは場合によっては検挙していくということが一つ重要であると思っておりまして、それぞれいろいろな状態ごとによって適用条文が違いますけれども、現場での指導、取り締まり活動、これを一つの柱にしております。
それからもう一つは、運転者、バイクの場合には比較的若者が多いわけですが、年間五十万人を超える人たちが新しくバイクの免許を取っていきますので、これに対する免許取得時の教育、特に取得時の安全知識、危険に対する教育というものをしっかりとやっていく必要がある、これをやっております。
それから、今ほどのバイク便などでございますが、これは運転者もさることながら、やはり事業者に対して、事業を通じてのバイクの走行が危険なものとならないようにということを呼びかける必要がございますので、例えば警視庁でも、事業者に対しての注意喚起を行っているところであります。
○須藤委員 もう少し大きい声で答弁していただきたいんですけれども。
○松下委員長 委員長からもお願いします。
○須藤委員 最後に言われました、事業者に対する注意喚起ということですが、これは実際にそういう注意喚起をして、功を奏していますか、効果が出ていますでしょうか。
○矢代政府参考人 注意喚起のやり方は、事業者に対しまして、協議会のようなものをつくって安全運転について申し合わせをしてほしいというような趣旨の呼びかけなのですが、これに対しまして、効果が現実にどのようなものになっているか、今御説明申し上げる用意がございません。
○須藤委員 恐らくそういうことじゃないかなと思ったんですけれども、やはりバイク便の場合は、かなり腕がいいといいますか、技術を持っている人が雇われているわけですね。ですから、本当に五十センチぐらいの車間でもすごいスピードで通り抜けていく。加速していきますから、その意味ではふらつくということはないんでしょうけれども、それでも、ちょっと間違えば間違いなく大事故につながることは明らかなので、きょうは細かくは言いませんけれども、その対策は十分に練っていただきたい、このように思います。
続いて、次の防犯対策について若干伺いたいんですが、最近、ひったくり、主婦がバッグを持って歩いている、主婦じゃなくてもいいんですけれども、お年寄りや女性や、とりやすいような人を目がけて、後ろからバイクや自転車に乗ってバッグを奪っていって、そして中をとって捨てていっている。何かこれまで余り考えられなかったことが本当に日常のように起きています。
と同時に、もう一つ、防犯という意味では、空き巣が近年非常にふえています。実は私もいろいろ相談を受けたりしているんですが、先般、団地が最近非常に多いということで、あるお宅が留守にしているところに、よくクレーン車じゃないんですけれども人が乗って窓をふいたりするために乗せて上げるものがありますね、それで二階に上がって、当然、白昼堂々とですが、二階に上がって、そこから入ろうとしている。近所の人が何をやっているんですかというふうに聞いたら、もごもごとあいさつしたりとか何かわけのわからないことを言ってさっと逃げていってしまう。
そうかと思いましたら、今度は、これは当然複数犯なんですけれども、日中、見張り役等いろいろ役割があるんでしょうが、ピンポンと押すわけですね。ピンポンと押して出てこないと、それを全部チェックしておいて、そのときは入らないわけですね。入らないでチェックをしておく。ピンポンと押して、なかなか出てこない、いないのかなと思ったら、中にたまたま人がいて出てきたんだそうです。何の用ですかと言ったら、おどおどしてしまって、いや、頼まれて何か二階に穴があいているから見に来ましたとわけのわからないことを言ってさっと消えて、のぞいてみたら、向こうでも同じようなことをやっているわけですね。そういうものが何か最近物すごくはやっていて、うちもやられた、うちも来た、あそこで見たというのが結構あるんです。
そのときに、当然、挙動不審な行動をしているわけですから、交番に行くか一一〇番をするか、一般的にはそういうふうに考えられるんですが、なかなか最後の一歩までいかないんですね。当然、留守にしているわけですから、留守宅がどうこうすることはあり得ない。そうすると、近所の方か、見ている方か、通りがかりの人がもう一歩進んでそこまでやってくれると、そういう意味ではこういった空き巣に対する抑止力が非常に出てくるんですが、残念ながらそうはいかないし、また、そういうことを見抜いているというかわかっていて、あえてさらにそういった空き巣がうろうろしている。
団地では、自治会も含めて、自警団といいますか、自衛のために、グループを組んでぐるぐる回ることもこれから始めるそうですけれども、実は、交番のお巡りさんが、空き交番、人がいないとかいろいろ言われていますけれども、その辺の連係プレーみたいなものは今どうなっているか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
○伊藤政府参考人 今委員御指摘のとおり、犯罪の発生を抑止するためには、警察活動の充実強化を行うだけではなく、地域住民や民間団体などとの連携を強めていくことが極めて大事だと思います。最近、全国的にも、地域での防犯のための組織が新たに結成されたり、町内会や自治会で防犯パトロールを行う取り組みが広まってきておりまして、国民の自主的な防犯意識が高まってきております。
警察といたしましても、そうした地域の自主防犯活動との連携というものは極めて重要だというふうに考えておりまして、そうした自主防犯組織に対しましてのいろいろな地域の犯罪情報でありますとか防犯情報というものを提供したり、そうした自主防犯組織との連携した合同パトロールを行ったりとか、地域の危険箇所の点検でありますとか、あるいは地域の人たちに対するさまざまな防犯教室みたいなものを開いていったりとかいった形で、私どもとしても、今後、やはりこうした地域の自主防犯組織あるいは町内会といったものとの連携というものが犯罪を抑止する上で大変重要な課題だというふうに考えておりますので、そうしたことに今力を入れてやってまいりたいというふうに考えております。
○須藤委員 その意味では、大いに力を入れてやっていただきたいと私は思います。
そしてそのときに、日ごろ交番、お巡りさんと自治会の役員の方とか地域の方の交流があると非常に私はスムーズに進むと思うんですが、これは聞いた話で申しわけないんですけれども、やはり同じように空き巣みたいなものが来てお巡りさんに言ったら、いろいろ質問をされて、何か、犯罪じゃないですけれども、困ってしまって、もう二度と協力をしないなんて、そういう話も一部では出ているわけですね。
これは、たまたまそういう人にめぐり会ってしまったのかなとも思いますけれども、やはり、警察官に対する信頼感あるいは安心感、あるいはある意味で気安さみたいなものをもう少しつくっていただいて、そして、空き巣等が、あそこに入ったらだれかが見ているよ、当然警官の人もそれをバックアップして見ているんだということがわかってくると、空き巣は、あそこの団地はやめようという話になりますから、減ってくるんじゃないかと思いますので、その点、十分今後とも御努力を願いたいと思います。
時間が多少短くて質問が深くできないんですけれども、もう一点、今のことに若干関連しますけれども、警察官の資質といいますか、これについて伺いたいと思います。
この問題に関しましては、これまでさまざまに国会の中でも質問もありましたし、あるいは世論としても非常に厳しい目を持っているのではないかというふうに私は思います。
例えば先般の不正経理問題とかありましたけれども、それはきょうはちょっとわきに置いておきまして、国民の警察官に対する信頼感あるいは安心感、これが事件のたびに急速に下がってくるし、そして、安心感、信頼感というものがなかなか上がってこない。たまたま自分が何らかの関係で会ったお巡りさんとか警官の方々がいい人だというようなことがあった場合には、やはり警察は頼りになる、安心できる、信頼できるという話になるんですが、なかなかそういうものも余り多くありませんから、そうしますと、一般的には、皆さん一生懸命やっているんですけれども、不届き者の行う行為が警察全体の信頼を低くしてしまうということがあると思います。
そこで、観念的といえばそうなんですが、この警察に対する国民の安心感、信頼感を取り戻すためには何が重要か、どうしたいかということを大臣にまず伺いたいと思います。
○村田国務大臣 先ほども須藤先生から御指摘ありましたように、やはり空き交番もある、それから、その一方で街頭犯罪、ひったくり等のそういう犯罪も本当に増加している、あるいは侵入盗もあって空き巣なりが入ってくるということでございまして、パトロールも強化しなきゃいけないということで、地方警察官の人数が不足しているということでお願いをいたしまして、これまでも一万人を超える地方警察官の増員をお認めいただいたわけであります。来年度につきましても、今、三千五百人ぐらいの定員の増加の要求をしているわけであります。
そういうことで、なおかつ、住民の皆様の御協力を得ながら、犯罪のない安心できる生活を送れるようにしなきゃいけないというのが我々の役目だと思っているわけです。
ところで、では、人がふえれば、警察官がふえればいいというわけではなくて、今先生から御批判をちょうだいいたしたように、やはりしっかりとした倫理観の高い、あるいは責任感、正義感の高い警察官を求めなきゃいけないということであります。
そういう意味で、まずは、新しく採用される場合には、筆記試験だけじゃなくて面接もやる。面接もいろいろな形で、その人の人物、あるいはさっき申しました責任感とか正義感とか倫理観とかそういうものをテストする。あるいは体力テストもやるとか、そういうことで、警察官としてふさわしい、信頼に足るような新しい人材を求めていく、我々はそういう構えでいるわけです。
しかし、一たん入ってからは、今度はまた教育ということで、警察学校とかいろいろな場面でもって繰り返し繰り返し警察官の行うべき、あるいは警察官としてあるべき姿というものを教育訓練していかなきゃいかぬ、こういうふうに思っているわけであります。
警察官でありますから、今繰り返し申しましたように、どういう警察官が必要かという今の御質問に関しましては、やはり倫理性、倫理観が高い、法律を執行するわけですから、まずは倫理性、倫理観の高い警察官でなきゃいけない、あるいは責任感が横溢していなきゃいけないとか、そういうしっかりとした信頼に足るような警察官であってほしい、国家公安委員長の立場としてそう考えております。
○須藤委員 その意味で一生懸命頑張っていただきたいと思います。
基本に返って、何のために警察官になったのか、人が安心して暮らせる、そして人のためにということを、原点に返っていただいて、資質をもう一度しっかりと私は見直していただいて、今後とも努力をしていただきたいということをもちまして、終わりにしたいと思います。
○松下委員長 この際、休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
――――◇―――――
午後二時六分開議
○松下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○松下委員長 質疑を続行いたします。市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。これから一時間質問をさせていただきます。
まず冒頭でございますが、大変、これは党本部からの指令でございますので、党命によってちょっとお聞きしますが、村上大臣、済みません、先ほど、午前中、小宮山ネクスト大臣からも質問させていただいた残りなもので、郵政民営化に対するお考え、それから自民党の郵政懇話会に入っていらっしゃるかどうか、それから政治と金の問題に関して、迂回献金や旧橋本派からの献金があるかどうか、ちょっとお答えいただけますでしょうか。
○村上国務大臣 まず、第一問の郵政民営化に対する考え方は、当然のことながら、小泉内閣の閣僚の一員として政府の方針に従い、しかるべく対処してまいる所存であります。
それから、自民党の郵政懇話会に入っているかという御質問は、入っておりません。
それから、迂回献金や橋本派から献金があるか。御指摘のようないわゆる迂回献金はありませんし、また旧橋本派からも献金を受けておりません。
以上であります。
○市村委員 これから私の本当に質問したかったことをやらせていただきます。
まず、村田国家公安委員長に御質問したいんですが、よろしいでしょうか。
まず、国家公安委員長、警察法第十五条に何が書かれているか御存じでしょうか。
○村田国務大臣 手元に法律がございませんが、私の記憶では、国家公安委員長は警察庁長官を管理する、こういうふうに書いてあると。第五条ですか。(市村委員「第十五条です」と呼ぶ)十五条ですか、はい、失礼しました。「国家公安委員会に、警察庁を置く。」と書いてあります。
○市村委員 まさに「国家公安委員会に、警察庁を置く。」わけでございまして、その警察庁を置く国家公安委員長としての、今回新任されたわけでございますが、まず、その意気込みをお聞かせいただきたいと存じます。
○村田国務大臣 国家公安委員長として、現下の日本の社会のあらゆる局面において、最近、残念なことながら、治安の情勢が非常に悪化しているということでございまして、そうした国民の、かつてのような平和なそして安全な日本を、あるいは社会を取り戻さなきゃいけないということで、国家公安委員長としてその職務を全うしたい、最善の努力をいたしたいというふうに考えております。
○市村委員 さきの通常国会では、いろいろ警察の問題に対して集中審議等も本当に長い時間かけて行っています。その中で、警察の不正経理問題というのが多々出てまいりました。北海道、静岡その他いろいろなところで不正経理問題、福岡もございました。出てまいりました。これに関して、村田国家公安委員長としてどういう態度でお取り組みをされていくのか。これについてもちょっとお答えいただければ幸いでございます。
○村田国務大臣 警察の会計の処理あるいは執行におきまして不正の事例が出ておりましたことに対しまして、国家公安委員長として、まことに遺憾に存じております。
その意味で、そうした事態を把握し、調査を行いまして、そして場合によっては処分をする。それから、必要とあれば、検討の結果、不正経理にかかわる、該当の予算にかかわる資金を返還するということもこれまでやってきましたし、そして、一番大事なことは、調査でしっかりどこが悪かったかということを認識させ、そして会計の予算の執行について正確にやる、正しくやるということについての重要性を、警察庁以下各県警本部の職員についても正しく会計処理はやらなきゃいけないという認識を徹底するように督励すること、そういうことでございまして、そうした方向に向けて国家公安委員長として警察を督励してまいりたい、こういうふうに考えております。
○市村委員 本当に御自分の言葉で語られる国家公安委員長になられて大変うれしいと私は思っております。
そんな中で、警察法第五条二項イには監査権、済みません、間違えました、とにかく監査のことも国家公安委員長が指示できるわけでございますから、とにかく、今からでも遅くはありませんので、各都道府県、実はこれは、今問題になった都道府県だけではなくて、全国にどうも蔓延している、しかも、少なくとも、さかのぼると昭和三十年代以前からこうした慣行が、つまり、私たちはこれを裏金問題というふうに言っておりますが、やはり裏金をつくって、そしてそれを不正に、不正といいますか、不正に裏金をつくって、そしてそれを使っていた。私的流用があったかどうかについてはまだ、しっかりとこれからの判断でございますけれども、そういうこともあったのではないかという疑いも多々あるという中での議論が通常国会でもありましたので、それについては厳しく国家公安委員長として、警察庁は国家公安委員会に置かれているわけですから、やっていただきたいと思います。
もう一点、それに関連しまして、実はその文書の保存期限というのが大体五年ぐらいという話があった中で、さきの通常国会途中に期日前のものが廃棄されてしまった。誤ったというような表現をされていますが、しかしながら、例えば旅費というか、ある種一番大きな額を扱えるようなものに集中していたりとか、非常に疑わしい文書廃棄がございましたことは、まず国家公安委員長は御存じでしょうか。
○村田国務大臣 まず初めの方の御質問からお答えを申し上げたいというふうに思います。
現行の警察制度におきましては、警察の行政の執行は原則として各都道府県の県警において行うという建前になっておるものですから、そうした意味で、会計の執行、処理におきましても、おのおのの県警でもって処理をしているということでございまして、私どもは、それぞれの県警においていろいろな問題、会計処理の問題について問題があれば、第一義的に各県警に置かれました公安委員会において適正に正していってもらうというのが、これが仕事の流れとして原則でございました。
しかしながら、国家公安委員会としては、警察の信頼を失わない、あるいは回復するという意味からも、会計の処理の適正化を図る意味で、この平成十六年度初めに、国家公安委員会として会計の処理あるいは監査に関しての規則をつくりまして発布して、その会計処理の適正化を図る、そうした努力をしたところでございます。
それから、二番目の御質問でございますが、残念ながら、そういう期限前の書類について廃棄をした、そうした警察があったということについては私も存じております。
○市村委員 非常にそうした、まさにこの内閣委員会で質疑が行われている矢先といいますか、その真っ最中に、しかも、その文書の保存をしてほしい、捨てないでほしいと、それは期日の切れた分ですよ、切れた分ですら捨てないでほしいと言っていた矢先に、期日前の分まで捨てたという状況があったわけです。これは、単に誤りでは済まされないことだということで、さきの通常国会でもかなり議論をしています。
捨てたものは仕方ないんですが、今後そういうことがないように、重々、我が国家公安委員長からもしていただきたいと思います。
○村田国務大臣 そういう事態が起こったということは、私としてもまことに遺憾であるというふうに感じております。
今後そういうことが起こらないように、まず責任をはっきりいたしまして、そうした関係者については厳正な処分を行いました。その上で、そうした会計書類につきましては特別にキャビネットを分けて保存をする、そしてその保存期間についても明示して保存する、こういうふうな措置をするように、警察庁を通じて督励をしたところでございます。
今後はそうした事態が出ないように、なお一層努力をさせたいと考えております。
○市村委員 この問題については、またこれからも、恐らくこの臨時国会でも集中審議等、多分うちの筆頭理事が求めていくかもしれませんが、ぜひとも警察の問題を集中審議等でまた細かくやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
それから、先日、米軍ヘリが沖縄で墜落をするという事故がありました。ちょうど私もその四日後に沖縄に偶然に行くということがありまして、現場の方に行かせていただいたわけでございますが、そこで、初動のころ、初期のころに何があったかということで、多少お聞きしたことがあります。
その中で、あの事故が起こった直後に何が起こっていたか。まず米軍がやってきまして、警察の絡みでいえば、地元の警察官が排除されたという言い方を地元の方はよく、その現場におられた方はされておりました。
日本の国土であります。確かに日米地位協定では共同で当たるということは書かれておりますが、日本の警察官を米軍が排除していいなどということは一言も書いていないわけでございまして、そういうことが、地元のその現場にいた方は、いや、実は私たちは排除されました、米軍がやってきて、どけどけと言われて、突然テープを張られて、そして、あなたたちはあっちに行っていなさいと。実際、その後の経過を警察庁から聞きますと、必ずしもそうじゃなかったということも聞いておりますけれども、しかし、少なくともそのように感じられる、思われる事態が発生していたわけであります。
やはり、地位協定のことは地位協定のことでまた別途にそれは議論され、米軍、アメリカとの間でしっかりと見直すことが必要でございますけれども、今後そうした、万が一でも、万が一でもあってほしくないんですが、万が一にでも日本の国土で米軍機がまた墜落するというようなことがあった場合に、少なくともまた日本の警察がその現場で、日本の国土です、日本の国土で排除されたかと思われるようなことがないようにお取り組みをいただきたいと思いますが、それについて国家公安委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○村田国務大臣 私も、あの事態について時系列に、問題点はないか、警察の関係者から、関係当局、そして警察庁から聞きました。
それで、実態として、隣が普天間基地なものですから、あの事故が起こったときに直ちに時間的に駆けつけたのは米軍当局であった、なおかつ、爆発の危険があったということでありまして、そういう意味で、危険なケースではまずは爆発防止のための処理を行ったということでございまして、その後は共同統制に入ったということでございまして、私どもとしては、あの事故に際しての対処については警察として問題はなかったという認識でございます。
なお、この間の事故が起こったことに関しまして問題がなかったかどうかということは、事故現場における協力に関する特別分科委員会というのが、委員も御存じのことと思いますが、ございまして、あのときの事故について問題点がなかったか、あるいは今後改善すべきことはないかということについては検証を続けている、こういうふうに聞いております。
○市村委員 今、国家公安委員長の方から、ちょっと、現場ではまず問題なかったというような御発言もあったので、これはどうかなと思っていたんですが、その後、分科会の方で問題があったかどうか再度またやっている、話をしているということでしたので、ここではその言葉をよしとして、これ以上はここで言いません。また改めてこのことは細かく議論があると思います。
いずれにしましても、やはり日本の国土でありましたから、日本の警察が警察権をしっかりと執行していただいてやっていただくべきことでございますので、いささかでも米軍にひるむようなことがあってはならない。ただ、日米地位協定上のことは仕方ありません。これはそういう合意をしているわけでございますから、その範囲ではいいこととして、範囲を逸脱したような、しかも、これは米軍の方が、実は今回運用の間違いがあったかもしれない、行き過ぎがあったかもしれないということで初期の段階で米軍が認めているぐらいなわけですから、米軍が認めているようなことを日本の警察が問題なかったというのではちょっと困りますので、問題があったとして、では今後にどう生かすかという考え方でやっていただければというふうに思っております。
それで、もう一点、警察関連で御質問したいことがありますが、我が党、民主党の方は、警察不正経理問題に関する、また刷新に関する本部を持っておりまして、中井洽代議士の本部長のもとにいろいろ議論をさせていただいておるところでございますが、その中で、きょうは委員としていらっしゃいませんが、河村たかし衆議院議員の方から、こうした問題があるんではないかという提案がありました。私も聞いて、また一同、その場にいた者が聞いてみんな驚いたんです。
何かといいますと、けん銃なんですね。どういうことが行われているか、それは河村代議士がそういうふうに調べてきたので、こういう事実があるんじゃないかという疑いがあるというんですけれども、何があるのか。
例えば、ある警察官が百万円でどこからか、それも突然です、どこからかけん銃を購入してくるわけです。どこから購入してくるかわかりませんが、日本ではそんな、とんでもない話ですね。でも、百万円出してけん銃を購入してくる。それを自分でロッカーに入れます。それで、知り合いの暴力団もしくは元暴力団か元暴力団関係者に、君が隠したこと、おまえが隠したことにしろ、こう言うわけです。そして、あなたが、おまえが、自分にそれを、もうけん銃を処理するのに困ったからここに置きましたというふうに言ってこい、こう言うわけです。それで、けん銃が発見されます。その方が発見して、おれが発見した、おれのつてでけん銃を一丁挙げたと言うわけですね。
それで、一丁挙げるとどうなるか。河村さんによると、何か警察署から二百五十万から三百万の御褒美が出る、どういう名目か知りませんが、御褒美が出る。つまり、百万円投資しても二百五十万か三百万返ってくるからこれでいいというようなことが警察で行われているのではないかということで……(発言する者あり)いや、これは一応我が党の刷新会議で出た話ですから、まさかそんなと驚いたわけです。
そういうことがまず事実かどうか、そういうことがあるのかどうか。まず、けん銃を一丁挙げたら、何か、報賞金なのか、御褒美なのか知りませんが、二百五十万も三百万も出すのかどうか、その辺の事実関係をちょっと教えてください。
○村田国務大臣 そういうことは、そういうシステムというのは全く存在いたしません。
○市村委員 ないということを信じておりますが、きょうは国家公安委員長からないという話がありました。そのことはまた我が党の刷新会議に報告して、また引き続きちょっといろいろと調査をさせていただく次第でございます。
それでは、次は災害関係の話にちょっと移らせていただきたいと思います。
それで、きょうは村田大臣もいらっしゃっていますので、ぜひとも御質問したいんです。
まず、村田大臣は、いち早く被災地に、新潟の方に、今回風水害もありましたが、まず新潟の地震のことについて、新潟中越地震のことについてですが、いち早く大臣は新潟中越地方の方に行かれております。そのときに、被災地で何を見られ、そして何を感じ、そしてその後、その結果政府に対して何を命じられたかについてお聞かせいただければと思います。
○村田国務大臣 この委員会に対しましては、本日は国家公安委員長としてこの委員会に出席をさせていただいておりまして、今委員から防災の関係の御質問が出たわけでございますが、私の担当は防災にも及んでおりますので、災害ということの事態、並びにせっかくのお尋ねでございますので、皆さん方のお許しをちょうだいいたしまして御答弁を申し上げたいというふうに思います。
私は、発災がたしか二十三日土曜日の十七時五十六分だったと思います。自宅におりまして、大変な大揺れがいたしまして、これは大きな地震が発生した、そういう認識をしまして、テレビをすぐつけました。震度六強、そういうニュースが出まして、それから待っておりましたところ、とにかく秘書官から官邸にという指示がありまして、それで参りました。前日……(発言する者あり)指示されるというよりは、私の方もスタンドバイしてやりとりをした上で行ったということでございますから、正確に御理解をいただきたいと思います。
それで、官邸の危機管理センターに入りまして、もう既に参集チームがそろっておりまして、その中でいち早く飛び立った警察とか消防隊、消防庁とか、そういうヘリコプター、自衛隊もございましたが、上空から、本当に暗い夜間の空から被災地の上空を撮影して、問題がないか、火災がありましたけれども、そういう状態を監視しているという状況の中に入っていたわけでございます。
直ちに総理からの御指示をちょうだいいたしまして、明日、政府調査団を派遣するということで、私が団長として翌日早朝飛び立ったわけでございます。
その途中で、三国峠を越えたところで、本当にあたりの山が、クマがつめでひっかいたように、至るところが土砂崩れが起きておりまして、これは大変ひどい地震になっている、そういう考えを持ちました。
パイロットにお願いをいたしまして、山古志村の上空をぜひ通っていきたいということで、山古志村の上空を通過いたしました。これも山崩れで、その山崩れの土砂によって家が飛ばされている、あるいは道路も途絶しているということを見ながら、小千谷を経由して、それで新潟空港に着陸して、県庁で県知事といろいろ打ち合わせをしながら、長岡、小千谷と視察してまいったわけでございます。
長岡市役所に参りましたら、市長から、食糧が足りないんだ、避難所にいる被災者が三万人いたので五万食を用意したところ、自宅とかあるいは自宅前の自動車の中で避難をしておられた皆さんが避難所で食糧が配られているというのを見て、大変たくさんの人が食糧を調達に来られて険悪な雰囲気になった、まずは食糧が欲しい、こういうことでありましたので、県知事もその日が最後の任期の日でございましたが相談いたしまして、それで十万食は調達して送れと。
昼は足りないと言われました。しかし、とにかく食べ物というのがベースでございますので、昼は間に合わないかもしれないけれども、夜に間に合わすようにということで、もう既にできていた災害対策本部に対しまして、食糧の支援を頼むという指示をしました。
それで、その後で、メッセージを出さなきゃいけない、パニックになるといけませんので。だから、市長さんにも市の関係者についても、食糧についてはもう心配ないから、政府が胸をたたくから安心してくださいということを指示して、メッセージを出すように、こういうことを言ってまいりました。
その次は、もう一晩夜を迎えますので、毛布等の寝具、暖をとるもの、これが次に必要だということでありました。
あとは、山古志村ほかの地点が途絶しているところがございます。その意味で、通信の回復、これを警察庁に伝えたり、あるいは本部に伝えまして、情報が途絶している事態を回復しろということで、そういう指示もいたしました。
なおかつ、山古志村の村長にはなかなか携帯で電話がつながらなかったんですが、やっとその夕刻、小千谷を去るそのバスの中で連絡ができまして、それでお見舞いを申し上げて、かつまた、激励をし、我々ができることは何でもするから、ぜひとも御連絡くださいということを申したわけでございます。
もちろん、あと被災現場、上越新幹線の脱線現場、あるいは関越道の非常に段差があって一生懸命修復しているところ、それから、皆川優太ちゃんでしたか、救出された、妙見の付近の土砂崩落の状態、そういうものを見まして、大変厳しい、ひどい災害だ、地震だという認識をしました。
なおかつ、この地区は豪雪地帯でありますし、寒さと雪との闘いでございます。
そういうことを考えながら帰りまして、総理にも御報告申し上げ、災害対策本部を開きまして、本部員として、各省集まっていますから、あらゆる衆知を集めて、そして県とも連絡をとり合って、とにかく応急の対策に最大限の努力をするようにということを命じたわけでございます。
それで、これは皆さん、余り評価していただいていないんですが、やはり女性のいろいろな男性の救援者には言いにくいようなこともありますので、内閣府から女性の一人を調達いたしまして、現地本部に、女性のいろいろなニーズ、言えないことをお聞きする、そういうことのために、女性の現地本部員を工面して、現地に派遣をいたしまして、今活躍をしていただいておるわけでございます。おむつとかミルクとか、それから女性特有のいろいろなものについても何なりと相談するようにということでやってまいりました。
なお、メンタルケア、心のケアの問題についても直ちに対応すべきという指示も出しておりまして、ここでおしゃべりしておれば限りがございませんので、これでやめさせていただきますが、細かい指示までさせていただいているわけでございます。
私の言葉に失礼なことがあったら、平にお許しをいただきたいと思います。
○市村委員 実は私も、二十三日、地震発生時、宇佐美筆頭もそうなんですが、一緒に新潟におりまして、翌日二十四日の朝に現地に入ってまいったところでございます。そこで私も、その後、一泊、小千谷市役所の現地対策本部で一緒にいろいろとさせていただいて、初日の、大体災害時は三日間、七十二時間は自力で頑張れというのが原則でございますけれども、何とかその中でもできることをと思って、いろいろやってきた次第なんです。
そのときに、以前の阪神・淡路大震災のときと違って、あっと僕が思ったのは、現地対策本部に自衛隊の方がもうきちっとおられて、かなり一生懸命やられていたということがあります。これについて、防衛庁との連携ということに関しては、今回、どういうふうになったのか、ちょっと、どうぞ。
○江渡大臣政務官 お答え申し上げます。
今回の自衛隊との連携はどうだったかという御質問なわけでございますけれども、今般の地震に対しましては、発生直後より、官邸の地下にあります危機管理センターに、防災担当大臣ほか、特に防衛庁関係ですと防衛庁の運用局長等、各省庁の局長等が参集いたしまして、それで被災情報等をとにかく共有しようじゃないかということになりました。その後、自衛隊、そして警察広域緊急援助隊、緊急消防援助隊、海上保安庁を被災地に派遣させていただいたというところでございます。
また、被災地のさらなる状況把握を、新潟県との連携を図るためということで総理からも御指示がありまして、現地合同情報先遣チームというものを自衛隊機によって派遣させていただいております。また、同チームには防衛庁の職員も含まれているところでございます。
さらに、総理から指示がございまして、防災担当大臣を団長といたします政府調査団が派遣されたと先ほど大臣の方からもお答えがあったとおりでございますけれども、この調査団の方にも防衛庁の職員が参加しているところでございます。
以上のように、防衛庁とは初動時から適切な連絡が、あるいは連携がとれていると私は思っております。
○市村委員 それで私は、そういうものをもっと迅速な対応ができるようにということを、阪神・淡路大震災のときは初動でおくれたということで、本当に助かる命も助からなかったということがありましたので、また、そのときよりは大分よくなっているとは思いますが、さらなるあり方を検討していただきたいというふうに思います。
それで、今回、五日間瓦れきの中に埋もれていて、本当に幼い命が助かった。もちろん、お母様、そしてお姉ちゃんの方が亡くなってしまったという、悲しいことでしたけれども。
五日間、二歳の子供が助かったというあの現場ですけれども、実は、あそこにも私、一番、二十四日の朝に行かせていただいております。宇佐美筆頭も、だれかいるんじゃないかということで、本当に、だれかいないかという声をともに上げたんですが、さすがにその現場と、私たちが入れるところ、ぎりぎりまで行ったんですけれども、ちょっと遠く過ぎて、あと、二歳の子供ではなかなか声を出すこともできなかったかもしれません。実は、本当に悔しい思いで私はおります。
ただ、命が助かってよかったという思いでいるんですが、あそこの現場なんです。あの現場、実は、車があれ一台じゃありません。一番端っこに私たちも黒い軽が巻き込まれているのを確認していますが、本当にあれだけかどうかわかりません。まだ瓦れきを上げてみたら、ひょっとしたらもう何台かいるかもしれないという気もなきにしもあらずですが、行方不明の連絡がないのであれば大丈夫だとは信じたいんですが。
あの現場なんですけれども、車が巻き込まれているんですが、あの現場が危険な場所だという認識はあったんでしょうか。ちょっとお答えいただきたいと思います。
○谷口政府参考人 初めに、今回の地震で亡くなられた方に対し、謹んで哀悼の意を表させていただきたいと思います。また、負傷された方が一刻も早く回復されることを祈念するとともに、多くの避難生活を余儀なくされている方々に対しお見舞い申し上げます。
御指摘の災害が発生した一般県道小千谷長岡線は、平成十一年四月に一般国道十七号小千谷バイパスの開通に伴い、国から新潟県に移管された小千谷市と長岡市を結ぶ二・二キロメートル区間で、日交通量八千台を超える重要な路線であります。
本道路の防災対策としては、落石防護さく、ロックネットを設置するなどの落石対策を実施しているところであります。十月二十三日に発生した震度六強の地震により、延長三百メートル、崩落土砂が推定で約百万立米の大規模な土砂崩れが発生したということでございます。
委員御指摘のように、新潟県の発表では、この土砂崩れに七台の自動車が巻き込まれ、うち六台については乗員の無事が確認されておりますが、残る皆川さん親子の車が不幸にも被害に遭われたという状況であります。
国土交通省としては、二十七日行われました緊急消防援助隊による救急活動に際して、新潟県からの要請に基づき、救助活動中の安全確保のため、独立行政法人土木研究所から土質、地すべりの専門家二名を派遣するなど、最大限の支援を実施してまいりました。
いずれにしましても、今回の地震は極めて大きな直下型地震であり、道路管理者の想定を超えるものであったと推察されますが、今回の地震による被災の状況を検証し、今後の耐震対策について努力、万全を尽くしてまいりたいと思います。
○市村委員 一言でお答えいただきたいんです。
事前に、あそこは危険だという認識をどこか、別に国土交通省さんじゃなくてもいい、地元の市町村でもいい、あそこが危険だという認識はされていたのかどうかだけ聞きたいんです、私は。
○谷口政府参考人 阪神・淡路の後の平成八年に全国的な点検をしておりますが、その箇所に入っております。
○市村委員 わかりました。入っていたということですね。それが震度六強というものは想定できていないということだったわけでございますね。わかりました。これについてはまた後日、またいろいろ細かくやらせていただきたいと存じます。
それで、今後なんです。今後が大切でございまして、今後の政府の対応について、ちょっと短く防災大臣お答えください。本当に短くお願いします。
○江渡大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
今まで、一生懸命私ども政府一体となりまして取り組んでまいりまして、そのおかげをもちまして、こうした取り組みによりまして、避難地域の八千戸を除きまして電力供給はほぼ復旧するというような状況になりましたけれども、今後も、仮設住宅の設置、あるいは避難所運営の問題と、それから被災者の心のケア、このことに対しての担当者の派遣も済んでおります。そのほかに、トイレ等も含めた衛生対策、あるいは二次災害の防止など、多くの面でまだまだ対応が必要だと思っているところでございます。
それゆえに、被災地のニーズというものをもっともっときめ細かく把握して、被災地の速やかな復旧に政府一体となって対応してまいりたいと思っております。
○市村委員 それで、今回のことに関してちょっと何点か提言をしたいことがございます。
まず一点が、いろいろ緊急支援物資を運ぶ車に対し、もしくはボランティアで現地に向かおうとする車に対して、高速道路を無料にしていただきたいんです。これは法律がありますし、施行令で決まっています。
今、実は何が起こっているかというと、それは一応都道府県が許可を出すんです。許可というかステッカーを出してくれるらしいんですが、結局、行政関係者だけしか出さないとか、そういう何か枠をはめてしまっているようなんですが、私は、とんでもない話だ、もうこんなのは一言、いわゆる料金所で、明らかにもうこれは物資を見て、被災地に向かう車だと思ったら、一言御苦労さまと言って通すのが筋であって、当たり前でありまして、施行令上もできるということだと思いますが、ぜひとも、それを至急にやっていただきたいと思います。
もしそれを、火事場の泥棒じゃありませんけれども、それで、本当はそこに行かないのにただにしてもらおうなんという人がいるんじゃないかなんて心配は、もうしなくていいと思います、この際。いてもいいじゃありませんか。そんなせこい人間はほうっておけばいいんです。ほうっておけばいいんです、そんなせこい人間は。だから、それが百人いるからといって、では、本当にまともに運ぶ人たちに一々、都道府県まで行って申請してこいなんて、こんなばかなことを言っている場合じゃありません。
即刻やってほしいのですが、いかがでしょうか。
○谷口政府参考人 お答えします。
今回の新潟県中越地震に際して、被災住民に救援物資を運搬する車両につきましては、道路整備特別措置法に基づいて、料金を徴収しないよう、有料道路事業者に十月の二十六日に通知させていただきました。
今回の震災におきましては、大量の災害救助車両の通行が予想されることから、料金所における円滑な通行を確保するため、救援物資を運搬する車両の判別については、料金所での利用目的等の個別確認にかえて、都道府県知事等が発行する証明書によるところとしているところでありますが、その周知徹底等には時間を要することもあるため、料金所において、証明書を所持しない車両につきましても、事情を聴取するなどにより救援物資を運搬する車両であることを確認の上、当面、料金を徴収しない車両として取り扱うよう措置をさせていただいております。
日本道路公団では、今回の震災発生時から二十八日、きのうまでの間に無料通行措置した車両は約一万一千五百台となっており、このうち九割の車両に対し、証明書なしで無料通行措置を既に実施させていただいております。
今後とも、現地の状況を踏まえながら、被災住民への救援物資の輸送が円滑に行われ、災害救助活動が進展するよう、適切に対処させていただきたいと思います。
○市村委員 ありがとうございます。
また、物資だけじゃなくて、今後はボランティアで、もちろん、大体ボランティアで行く際は何らかの物資を積んでいるのですが、人だけの場合でも、向かうというのであれば、もうそれは通していただきたいと思います。
それから、これまでの中で、生活再建支援法の中で、全壊、半壊認定というのがあります。普通、これは罹災証明を出すんですね。この罹災証明が、一たん半壊となると、これはもう覆せないのです。これで大分泣いている人がいるのです。
結局、ちょっと見た感じは半壊かなと思っても、実際はもう住めない。結局、建てかえなくちゃいけない。そのときに、もう一遍罹災証明をといったら、いや、おたくは半壊だからだめですよということが結構あって、大変困っているケースがあるということでございますので、この罹災証明については、できる限り期間を置いてしっかりと調べた上で、全壊、また、打撃的半壊、何だっけ、何かあるらしいのですね、半壊の中でも……(発言する者あり)大規模半壊、大規模半壊ですね。大規模半壊なのか、全壊なのか、これはちょっとしっかりと調べて、慌てないでやってほしいと思いますし、一たん認定したことも、これをかたくなに覆すことができないなんということじゃなくて、もう一遍調べてみたら、やはりこれは半壊と最初は認定したけれども、大規模半壊であったり全壊であるということもなるように、そういう柔軟な対応をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村田国務大臣 今おっしゃるように、膨大な証明の請求が来るわけでございまして、現場の市町村でも大変な作業だと思いますが、担当のところに確かめましたけれども、とにかく、一たん判定しても、後で覆すことも可能である。
ただ、後が変わっちゃいますから、家の状態が時間がたつと。だから、そういう意味で、今委員がおっしゃるように、時間をかけてまずはきっちりと判定するということが大切だと思いますが、しかし、もう絶対変えないということでもないようでございますので、それだけお答えいたします。
○市村委員 今お聞きして、うれしいと思います。
ただ、現場では、そのように感じている人、また、そういうふうに運用上扱われている人がいるということも事実でありますので、その辺は、運用上きちっと、今の防災大臣の言葉が行き渡るようにしていただきたいと存じます。
それからあと、阪神・淡路大震災の折に、ちょっとしばらくたってから住宅再建ということが出てくるわけでございます。そのとき、何に一番皆さんが苦しむかというと、ダブルローンなんです。生活再建支援法、あれは多分財政的支援をするということでございますけれども、やはりここは金融的支援も大切でありまして、全壊して壊れた家、住む家もないのにローンを払い続ける、しかも、新しい家を建てたらまたそのローンもある、このダブルローンというのに一番苦しまれているんですね。
私としては、もう住む家がないわけですから、その前のもうなくなった家のローンについては、これは不良債権として取り扱う。もちろん、一定の条件は要ると思いますが、それぐらいのことで金融的支援をするというようなことが私は求められていると思います。
これは本当にやっていただきたいんですね。この国は、何か尾上縫さんとか何かに九千八百億程度貸し込んで、それを不良債権化する国なわけです。たった個人一人に九千八百億貸し込んで不良債権化しているわけですよ。それなら、被災で家を失った人に対して、大体阪神大震災でも二兆円かからないと言われています、二兆円使ってもいいじゃありませんか。日銀特融でもいいじゃありませんか。そういうことをやっていただきたいんです。それはいかがでしょうか。
○七条副大臣 まず最初に、今般の新潟県の地震について、被災された方にお見舞い申し上げます。
先ほどお話がありました件について、金融庁といたしましては、災害発生の際には、現地における災害の実情あるいは資金の需要状況等に応じて関係機関と緊密な連携をとってきたところでございます。そして、民間金融機関に対して、機を逸せずに必要と認める範囲内で適時適切な対応を講じるよう要請もいたしてまいりました。
今回の、台風もそうでございますけれども、新潟県の中越地震に関しましては、各地の財務局において、日本銀行と連名で、関係金融機関等に対して、災害関係の融資あるいは預金の払い戻し及び中途解約等に関し、適時適切な措置を講ずることも要請しており、特に災害関係の融資に関しましては、災害の状況、応急資金の需要等を勘案して、融資相談所の開設もした、あるいは、資金等の返済猶予というような形の被害者に対する便宜を考慮するような適時適切な対応をとるようにも要請をしたところでございます。
この要請に対応する形で、現在、新潟県内の一部金融機関において、復旧支援のための個人や法人向けに特に低金利の融資制度が既に開始をいたしております。
そして、金融機関が地域の復興支援の需要に対してどのように対応するのかは各行の経営判断に関するところでございますけれども、一般論で申し上げますならば、金融機関が利用者たるいわゆる被災者のニーズに対応した望ましい対応をしていけるよう、復旧支援においてもそれぞれの経営判断のもとでさらに積極的な支援が行われるよう、私たちは期待をし、要請をしていきたいと考えておるところでございます。
○市村委員 今いろいろおっしゃっていただいたんですけれども、では、それは個々の金融機関がしっかりと考えてくれるだろうということでよろしいわけですね、そういう認識で。わかりました。よろしいんですね。では、一言、いいかどうか。
○七条副大臣 先ほど来お話がありました債務の免除ということについて、これらも、先ほど申し上げましたように、金融機関が地域の復興支援の需要に対してどのように対応するかは各行の経営判断に関するところでございますが、先ほど一般論で申し上げたように、これらについては経営判断にゆだねたいと思っているところでございます。
○市村委員 この件についてはまた改めてやらせていただきますが、今、経営判断に対して、金融庁として、家を失った方に対する配慮というものをしっかりとしてほしいということで、また強くおっしゃっていただけたらと思っております。元金融担当大臣もいらっしゃいますけれども、よろしくお願いします。
それでは、もう一点、非常用備蓄といいますか、今回も、そういうもので各自治体がいろいろ、小千谷市とも杉並区なんかは提携をしているということで、いち早く杉並区なんかが駆けつけた姿を私は見ていますけれども、非常用備蓄のあり方なんですが、今聞いてみますと、いわゆる自治体がお金を出して備蓄をする、しかし、なかなか日もちもするものばかりではありませんので、結構廃棄をしているという現状があるようなんです。
高いお金を使って備蓄をして定期的に廃棄をするということよりも、私が一つ提言をしたいのは、例えばコンビニやスーパーにある食料品、あれをいざとなったら政府が一括して買い上げるというようなことをしておけば、それを備蓄がわりにできる。いざとなったら、済みませんが、非常事態ですから、スーパーとかいわゆるコンビニの物産は全部ちょっと政府が買い上げますから、全部こっちに下さいと。そして、それを一挙に持っていくということにするのはいかがという思いがあります。
今回も、二十四日の朝に行ってみますと、コンビニはあいているところもあいていないところもありました。何せ電気が来ていません。レジも使えません。だから、電卓で、一生懸命売っていらっしゃるわけです、ニーズに応じて。だから、それはそれでまた大切かもしれないけれども、やはりここは、備蓄で捨てるんだったら、その分、いざというとき買いますと言っていった方がもっと効率的に税金を使えるんじゃないかというふうに私は思っておりまして、それについてはいかがでしょうか。
○迎政府参考人 今回の新潟県中越地震に際しましては、大手スーパー、コンビニ各社に食料品等の提供の協力要請を行いまして、実際に、おにぎりですとかあるいは水ですとか、こういったものの提供がなされたところでございます。
今の先生のお尋ねは、店にあるものをいざというときに提供するというふうな……(市村委員「倉庫のような形」と呼ぶ)倉庫、実は、スーパーですとかコンビニというのは、なるべく新鮮な食品を供給するというふうなことで、在庫というのは切り詰めていまして、余り在庫の能力というのは高くないんです。ただ、むしろ迅速に調達をしてきめ細かに物流をする、こういうノウハウ、能力は大変ございまして、こういうものが今回も大いに役立ったというふうなことだと思っております。
実際、今でも、スーパーですとかコンビニと地方公共団体との間で災害時の物資提供について協定を結んでおりまして、今回も実際、ファミリーマートと宮城県というのがこういう協定を結んでいて、宮城県が今回ファミリーマートに要請をして、協定に基づいておにぎり等を宮城県に提供したというふうな事例がございます、宮城県はそれを調達して新潟に送ったんですけれども。
ですから、そういうふうな形で、スーパー、コンビニなんかの能力を活用するために事前に地方公共団体とこういういろいろな協定を結んでいくというのは一つの方法ではないかと思っております。
○市村委員 確かに宮城県がそういう例があるということだと聞きましたので、それをぜひとも国としても。
そうすると、まさにおっしゃったとおりなんです、新鮮なものをすぐ供給できる体制を持っているんです、コンビニやスーパーは。それを備蓄がわりにしておいて、それで、いざというときにどこにお金を使うかといったら、そこで金を使った方がいい。大量に買っておいて備蓄されたものをどんどん捨てているよりは、新鮮なものにお金を払うから全部買い上げますからと言った方がスーパーも喜ぶと思います。物流会社も喜ぶと思います。やはり税金はむだに使わないで賢く使った方がいいということで提言をさせていただいておきます。
では、災害関係は以上でございます。
最後に、ちょっと残りの時間を使って、村上大臣、済みません、先日の村上大臣のお言葉の中で、行政改革については、公務員制度改革、公益法人制度改革、特殊法人等制度改革を進めてまいりますとありました。
公益法人は行政の機関でしょうか。お答えください。
○村上国務大臣 市村委員の御質問にお答えします。
行政改革は、行政組織のみならず、行政の制度をも対象にするものと考えております。ですから、公益法人制度は、今まで、許可主義のもと、各主務官庁が自由裁量により判断する現行の公益法人制度を改革するのでありますから、我々は行政改革の観点から大変重要であるというふうにとらえております。
それから、私としては、本改革は幅広い視野を持って検討していく必要があると考えています。特に、市村委員はNPO等のスペシャリストでいらっしゃるわけですけれども、社会経済システムを考えた場合に、民間非営利活動を積極的に位置づけ、時代の要請に即して、その活動を促進させるということにおいても重要であると考えています。
そういうふうに認識しておりますので、これらの諸点を踏まえて改革に取り組んでいきたい、そのように考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
ちょっと一点、済みません、災害関係で重要なことを私は落としていました。今回、地震のことばかりが大変にクローズアップされておりますけれども、実は私、兵庫県、大変台風二十三号の被害が大きかったわけでございます。
こうして兵庫県の豊岡市も提言書を、緊急提言をまとめております。ぜひとも政府の皆さんには、この提言書をよく読んでいただいて、この早急な実現に努力いただきたいということをお願いしておくのを一つ最後に忘れておりました。重要なことでございます。
それで、今村上大臣からありまして、私、この十五年間、このテーマに取り組んできておるんですが、大体、ある公益法人のことについて省庁に問い合わせると、どういうふうにこれまで言われてきたか。いや、あれは民間のことなんです、私たちは知りません、必ずこの文句が出てきたんです。今さらこれは行政の機関だと言われても、では、今まで民間だと言ってきたのは一体何だったのかという強い不信感というか思いが私はあるわけですね。
だから、これは、行政改革というよりも、公益法人というのは、実はこれは、NPOという言葉、今特定非営利活動法人のことをNPOと世の中で言っているようですけれども、もともとNPOというのは私の言葉ですが、私はそんな意味で使っていないわけです。NPOというのは非営利法人一般のことを指していまして、公益法人も実は非営利法人の一種なんですね、これは。一種なんです。だから、いいんです、今までおっしゃっていただいたように民間だということでいいんです。だから、その観点でこれは進めてもらわないと、やはり行政というふうな意味で今さら言われると、何なのかなという思いがあります。
その意味で、ちょっと竹中大臣に私お尋ねしたいんですが、私は、NPOというのは、特定非営利活動法人ではなくて非営利法人一般のことであって、公益法人も含む概念だと思っておりますが、竹中大臣の御所見をお願いします。
○竹中国務大臣 まさに御専門家でいらっしゃるわけでありますが、NPOの定義というのは、これは広義、狭義、さまざまに定義はあり得るのだと思います。今御指摘ありましたように、現行の特定非営利活動法人は、これはいわば法律で特定をされた活動を行う、そういう意味で特にクローズアップすべき狭義のNPOである。しかし、公益法人を初めとする非営利法人全体を広義に考える、これはあり得るのだと思います。
これは、委員御自身がいろいろなところで公私と官民というのを非常に正確に使い分けておられます。私もそれは大変重要だと思います。公私というのは資源配分のルールの問題でございますから、マーケットでは任せられないものを公がやる、しかし、それを民がやることがあり得るわけで、これはまさに広い意味でのNPOであるというふうに思います。
村上大臣がおっしゃいましたのは、そういった意味では、公的な資源の配分に何らかの形で行政が関与することが必要な場合がございますので、そういう観点から、政府としては、行革の範囲で、行革という観点からあの議論をする、しなければならない場合がある、私はそのように認識をしております。
○市村委員 これまで、民主党は、今回の参議院選挙のマニフェストの中で民法三十四条改正をうたっております。今後は、やはり、民法を改正して、今営利法人と公益法人というふうな体系になっているのを営利と非営利という体系に変えて、非営利の中に公益、共益といった概念があるというような、あるべき姿に変えていく必要がある。
今回、政府の方でも公益法人改革をやっておられるところでございますが、ぜひともその観点、その方向で私はやっていただいていると信じていますし、そのことが実は重要なんです。やはり、今後の二十一世紀社会の中で、NPOもしくはNGO、民間で公益サービスを提供する主体というものが非常に大切になってまいります。
特に、そのNPO、NGOを支える資金というのが非常に大切なんです。法人格だけ与えれば、それで済む問題ではありません。むしろ、法人格はなくたって構わないんです。資金なんです。活動資金がなきゃ何もできないんです。事業資金がなきゃ何もできないです。
だから、そういう観点から公益法人改革をしっかりと進めていただきたいし、竹中大臣さっき御答弁いただきましたように、やはり、狭義なNPO、そうです、特定非営利活動法人はNPOの一つの形態にすぎないんです。しかも、法人格付与しか定めていないんです。一応、税制優遇措置も多少ありますけれども、ほとんどなきがごとしです、あんなものは。なきがごとしです。
だから、ぜひともNPOという言葉を正しく使っていただきたい。少なくとも、私は、コピーをつくった者として、正しく使っていただきたい。アメリカに行っても、NPOという言葉、そんなはやっていません。日本ぐらいですよ、こんなNPOという言葉。御存じですね、竹中大臣は。御存じだと思います。日本ぐらいです、NPOという言葉、こんなはやっているのは、みんな知っているのは。でも、正しく使わないかぬと思う。
だから、公益法人は、たまたま民法三十四条がそういうものだったから、行政機関の一環とされてしまう。これが国家公益独占主義をならしめているんですけれども、これを何としても変えていかなくちゃいけないわけです。官ではない民の公益があるということをしっかりと踏まえていく、そしてその仕組みをつくっていく、これが本当の公益法人改革でありますし、非営利法人改革である、非営利法人制度をつくっていくことだというふうに私は認識をしております。
言葉遣いというのは大切でございますので、ぜひとも、NPOというのは公益法人を含む概念であるということを政府でもしっかりと僕は認識していただいて、使っていただきたいと思いますが、最後、竹中大臣と村上大臣から一言ずついただいて、終わりにしたいと思います。
○竹中国務大臣 分類概念として、委員のおっしゃることは大変よく理解できることだと思っております。それを行政の場でどのように反映していけるのか、しっかりと考えたいと思います。
○村上国務大臣 市村委員は、NPOは民間で非営利活動を行い、自主的に結成された自立した運営がなされる組織というイメージをなされると思うんですね。だから、現在のNPO法は、特定の非営利活動を主たる目的とした組織に法人格を付与することを定めるにすぎず、そういう活動資金等を目指すべきであるというお考えだと思うんですね。そこら辺も踏まえながら、一生懸命検討していきたいというふうに考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
では、これにて終わります。どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、島田久君。
○島田委員 官房長官、どうも御苦労さまです。
まず最初に、官房長官に質問させていただきたいんですけれども、私はちょうど国会議員になってから一年近くになります。私ども一回生の思いも官房長官に聞いてほしいな、そんな思いをしておるところなんですけれども、テロ特措法あるいはイラク特措法など、まだ小泉総理大臣から所信表明を聞いたことがないんですよね。委員会とか何かの質疑などは聞いておりますけれども、本会議場においても所信表明を聞いたことはない。
これは間違っているかどうかわかりません、聞いた記憶がちょっとなくて、国政に参加する者としての責務というものから考えてみて、何としても、そういう思いというものを国民から聞かれた場合に、新聞など報道なんかでは聞いておりますけれども、国政に携わる者として、小泉総理大臣みずからの、国の重要な国政事項にかかわる問題として、所信表明だけは聞きたいし、そのことによって、国政に参加をしているんだという責務について、私どもも、主義主張は別にしても、責任を持って臨んでいきたいというふうに考えておりますけれども、ぜひ、官房長官の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○細田国務大臣 ちょっと事前の御通告と違うものですから、急に考えをまとめるのもちょっと大変でございますが、そもそも、総理にこういうことを言ってほしいというときには、まあ、いろいろなことがありますから、本会議において、いろいろ代表質問等あるときとか、あるいはクエスチョンタイムもそうですけれども、党からそれを上げていただいて、またお考えを聞いていただきたいと思います。
テロの問題も、私は、今起こっております日本人の人質も、これは一種のテロ行為でございますけれども、世界じゅうからテロをなくしていくという努力をする、そのために日本人も貢献をしていくということが基本的なスタンスだと思いますね。その中で、各地域地域において、アフガンの問題があったりイラクの問題があったりということで、いろいろな整理は必要でございますけれども、私どもは今、小泉総理を先頭に、もちろん片方で自衛隊と平和憲法の問題はありますけれども、世界のこういったテロ行為や大変な国際的な問題について貢献をしていかなきゃならない。
そのために、今後、今まではいろいろ法案をそれぞれに用意して、国会でお願いしておったということでございますが、これをきちっと再整理しろというような御意見があることはよく承知しておりますし、また、政府部内でこれから考え方をまとめていかなければならないと思っておりますので、このあたりで御勘弁を願いたいと思います。
よく島田議員さんの思いを今承りました。
○島田委員 なぜこういうことを、質問通告は申しわけありませんけれども、重要な問題がどんどん閣議決定をされていく。この問題については、民主党としては、シビリアンコントロールということを考えながら、やはり国会の承認事項であるという点から考えてみても、ぜひ、そういうことについて、重要な事項として取り組んでいただくように、まずお願いを申し上げたいと思っています。
それで、私が、国会中に、実はオーストラリアのニューサウスウェールズ州にあるカウラというところから招待を受けて、国会中で行けなかったんですけれども、捕虜収容所がありまして、そして、そこにちょうど千五百人ぐらいの捕虜収容所、日本人の収容所があって、ちょうど六十年、八月の三日、四日でしょうか、一年前に脱走して、そして五百人近い人が銃殺をされて、そういう状況の中で、カウラ市民が今そのお墓をちゃんと管理し、守っていただいている。そして、オーストラリアと日本との交流の大きな拠点になっている。そこには桜並木が植えられていて、大きな日本庭園があって、私ども国会議員になる前に、高校生を連れて交流のために行きました。
そのときに、行ったときに、捕虜でありましたから、まだ身内もお墓参りに来られない、そういう状態の中で、そこの記念館に野球のバットが一つあって、それらのことの中から、若い高校生との学校交流をしたらどうだというようなことを言われて、私は野球部の生徒を連れて二回行ったりしていました。
そういう中で、ああ、お墓参りも大事なことだなと思ってずっとやっていたんですけれども、生徒が、そういっても日本に帰りたいんじゃないか。そして、姿三四郎それから猿飛佐助というような名前でまだそのお墓の墓標のところにあるんですね。ああ、これは若い高校生年代の感性というのは、私どもが思っているよりもっと素直な感性があるんだなとそこでつくづく感じたんです。
そういう中で、やはり本当の意味で戦後処理という問題について、ちょうど来年六十周年になるわけでありますので、私どもも戦後処理の問題というのはもう少し真剣に考えてみなきゃならない、そういう面から考えてみなきゃならない重要な問題ではないかなということをつくづく感じたわけなんです。
そういう中で、靖国神社の問題など、今まで議論されてきたことも政治問題としては大事なのかもしれませんけれども、しかし、もっとそういう面ではない側面から、やはり戦後のそういうまだまだ実態的にある問題について取り組んでいかなきゃならぬ問題があるんではないだろうか。
そういう中で、戦後処理問題とも関連しながら、国立の無宗教の追悼施設、そういうものをつくるということ。それはなぜかといいますと、さっき言ったように、捕虜になられて、自分の名前も全然名乗れなかった、姿三四郎であったり猿飛佐助という名前を使ってまだ現地に眠っておられる、そういうことについて考えた場合に、宗教的なものとかそういうことではなくて、やはり国立追悼施設。
来年、六十周年という重要な節目に来ている年だと思うんですね。今まで議論された中で、官房長官の中に、そういう提言がされて、懇談会もつくられて議論をされて、方向性は定められたようでありますけれども、それらについてどうお考えかをお伺いしたいと思います。
○細田国務大臣 戦後、まさにおっしゃいますように六十年がたとうとしております。私も、昭和十九年の生まれでございますので今六十歳ですが、もう本当に六十年もたったのかというぐらいの長期でございますが、まだまだ当時の戦争犠牲者の御遺族もお元気に活動をされておられますし、靖国神社参拝その他いろいろな活動がある。しかも、外国においては、またその被害者の方がおられたり、また、あの戦争を忘れてはならぬということで日本に対して非常に強く言われる方々もおありになるわけでございます。
御指摘の報告書は、「二十一世紀を迎えた今日、国を挙げて追悼・平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設が必要である」ということを懇談会報告として出したわけでございますけれども、それが平成十四年の十二月のことであります。
私の前任者の福田前長官が各委員にお願いをいたしまして、さまざまな学識経験者十人にお願いをいたしまして、報告書を出したわけでございます。この検討事項は、いずれも、国民的な議論を踏まえ、最終的には政府の責任において判断されるべき重要な事柄であると指摘して、いわば政府に報告書が返ってきたということでございます。
この問題については、またその後、少し時間を要しておりますが、国民の皆様方の間にさまざまな御意見があります。新聞社等の報道機関の統計、アンケートなどを見ますと、これは非常にいいことだから大いに進めろという方が半分おられますが、これは絶対にいかぬ、あるいは特に御遺族の方とか、今までの靖国神社等を中心にすべきだという方もおられまして、非常な反対の方もおられます。
そういったさまざまな御意見がある中での世論の動向を見守る必要があるということで、今後、国民の間の議論の様子をもうちょっと見ながら具体化については判断してまいりたい、こう思っております。
○島田委員 戦後、来年ちょうど六十年になるわけだし、一つ大きな節目でありますし、日本と近隣諸国との関係などにおいても、節目の年として、世論の動向、いろいろわからないわけじゃありませんけれども、政治の一つの全体的な決断として、やはり方向性を内閣としてもう出してもいいころだし、この間の予算委員会で自民党の伊藤公介議員が質問されておりましたけれども、その中で、政治的な靖国神社の問題とは別に、小泉純一郎個人で靖国神社を参拝されることについて私どもも異議があるわけではありませんし、霊を追悼するということについて何ら問題はないと思うんです。
しかし、国の政治をつかさどる総理大臣としては、このことについての政治決断というものは、来年もう六十年ですから、その節目のときの方向を何とか政治決断すると同時に、やはり戦後処理の一つの大きな問題としても、私もオーストラリアにカウラというところがあると知りませんでしたし、実際上、そういうところに接してみると、何としても解決する道というものを求めなきゃいけないんじゃないか。外国の例でも、国の代表が行かれたときには無名戦士の墓に参拝されるという例もたくさんあるわけですし、そろそろそこにこだわることなく、もう政治決断をされてもいいような状況にあるのではないか。
これは、今こう言ってみても、すぐ、そうあっというわけにはいかないのかもしれませんけれども、何らかの、福田前官房長官のときの答申も出ているわけでありますから、それを具体的にどうするかについてどんな方向性をお持ちでございますでしょうか。もう一度、済みません、お願いします。
○細田国務大臣 島田議員の思い、そしてこうあるべきではないかというお考えは、非常によく私も理解いたすわけでございます。そして、かなりの、先ほど世論調査などでも見られましたように、調査をしますと、国民の約半数がそれがいいのではないかという御意見であるように承っております。
そこで、靖国に祭られています戦没者等の人数は二百五十万人にも達しており、また、その関係者、遺族の方は遺族会という組織で本当に年に何回か参拝を続けて、亡くなった御主人とかお父さんとか、関係者の方をお参りしておられるという感情といいますか、家族としての思いがありまして、それらの方々が一つの世論を形成しているんじゃないかと思うわけでございます。
したがって、島田議員の思いは私も痛いほどよくわかるわけでございますけれども、引き続き国民全体の世論も動向を見守りながら、また、そういう御信念を持たれている政治家の皆様方はそういう皆様方への賛同を募っていただくなど、幅広く世論に対しても働きかけていただきたいと思います。お一人お一人の議員によっても随分違いますわけでございますが、したがって、必ずしもこの問題は容易でないわけでございますが、ぜひとも、そういったことも議員に信念のもとでの御活動をいただきたい。
ただ、今の段階で政府がどうかと言われると、もうちょっと時間をいただきたい、こういう段階であることを申し添えさせていただきます。
○島田委員 信念と宗教性、それから国民における世論とのかかわり合いという問題と、もう一つは、やはり戦後の近隣諸国における感情問題を含めて、これは政治的な決断ということも必要になるのではないかと思いますから、私どももそういう点について、来年六十周年になりますから、そういう問題をいろいろな角度からとらえながら努力もします。
しかし、来年六十周年という節目のときに、先ほど言ったように、例えば戦地にいろいろな形で眠られた方たちの慰霊を国としても何らかの方向性を求めるべきだし、あるいは戦後のいろいろなそういうものに、事実についてどうあるかということについても調査もされたり、本当に具体的に自分の足で行ってみないと、まだ必ずしも十分なそういう面での資料がなかったり、そういうことの細かい外国における実態的なものをどこでどういう形で集約されているかということについても、どうも明確ではない。靖国問題ということではなくて、まだ現実に戦後の処理の問題として処理をしていかなきゃならない問題が、シベリア問題を含めてですけれども、たくさんあると思うんですね。
そういう問題について、世論あるいは実態的な戦後処理の問題、あるいは国としての責任をどうするかという問題について、何らかの方向性を定めなきゃいけないとは思うんですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
○細田国務大臣 平成十三年の暮れでございますから、ちょっと前になるわけでございますけれども、福田当時内閣官房長官がさまざまなことを検討して、この懇談会、追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会というものを、一応、私的諮問機関のような格好でございますが、非常に立派な十人の委員にお願いをして、そして一年近く検討した上で一応の結論が出されているわけですね。ですから、これはおっしゃったような方向での一つの解であろうと思うんです。そして、それをめぐっては賛否両論ある。
しかし、今これを、どれかを選ぼうとか、新しい形をつくろうと思うと、これが非常に大きな一つの例になるというところまでは来たんでございますが、それを本当に採用してどこに建設するというような段階に、残念ながら、先ほど申しましたような諸事情で、まだなっておりませんで、そういった世論のさまざまなお考えがこちらの方に集約されるかどうか、これはやはり非常に大きな戦争の問題、追悼の問題という国民的課題を担った問題ですから、これは、議論はできるだけ集約した方がいいという観点で、もうしばらく見守るといいますか、よく世論の動向は見きわめていった方がいいと思います。
おっしゃいました国際問題とか、いわゆる宗教の問題とか、それらも全部国民の皆さんは御存じですから、その中で、やはりこれを選択しようじゃないかという、また、党派によらないと思うんですね。個人的ないろいろな体験もあるでしょうし、いろいろな信念もおありになると思いますので、集約してくる方向かどうかということも見きわめるべきではないか、こう思っておりまして、もうそのとおりだというふうに申し上げる答弁ができないことは申しわけないんですが、それだけ難しい問題であるということをぜひ御認識いただきたいと思います。
○島田委員 今の官房長官の答弁もよくわかりましたし、私どもの責任もあると思っております。自分たちの責任と思いながら、やはり若い生徒諸君も、帰してあげたらどうだというような、そういう素直な気持ち、国民の気持ちというものもある面では対処をしながら、来年六十周年という中で、カウラの問題については、現地の人たちとも話をしながら、具体的な何らかの行動をとっていかなきゃいけない、あるいはとるべきだと思っておりますから、そういう何らかの方向性をとっていく努力もしていきたいと考えておりますので、ぜひ、内閣においても御協力賜りますように、お願いをしたいと思っております。
それで、次の問題に移らせていただきます。
次に、少子化の問題に移らせていただきます。
まず、担当大臣に少子化対策についてお伺いをさせていただきます。
日本が子供を生み育てにくい社会になっている現実を我々は直視すべきときに来ている。いわゆる第二次ベビーブームの世代が子供を生み育てる時期に入っているにもかかわらず、第三次ベビーブームが起こる気配はないわけであります。
合計特殊出生率も過去三十年間、人口を維持するのに必要な水準を下回ったまま、一貫して下がり続けているわけでありますけれども、これらの流れをどうしても変えていかなきゃならない。我が国の人口が転換をする、少子化の方に人口が変わろうとして、まだそこをとめるまでに至っていない状況の中で、国の重要基本政策として、少子化社会対策大綱を定め、少子化の流れを変えるための具体的な施策を強力に推進する必要があるとこの大綱の中にうたっていますけれども、担当大臣としてこれらに取り組む姿勢あるいは背景などについて、まずお伺いをさせていただきます。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
少子化対策についての基本的な考え方、取り組む方針はいかがかということだと思います。
我が国の出生数及び今申し上げておられる合計特殊出生率、これは過去三十年間、ほぼ一貫して下がり続けている。平成十五年の合計特殊出生率は一・二九と過去最低の水準となっているということでございますが、少子化の急速な進行、これは社会経済状況に広く影響を及ぼすことが懸念されております。
少子化の流れを変えていくことが喫緊の課題となっておると承知しております。このために、命の大切さやまた家庭の役割について国民の理解を深めるとともに、子供がたくましく育つ環境、そういうものをつくり、仕事と家庭の両立、また子育てを社会全体で支援するということが大切ではないかなと考えております。
また、超党派の議員立法によりまして昨年の七月に成立した少子化社会対策基本法、これに基づき、政府は、少子化の流れを変えるための施策の総合的な指針としまして、本年六月に、先生おっしゃっておられました少子化社会対策大綱、それを閣議決定したところであります。
政府はこの大綱に基づきまして、我が国の人口が転換期を迎えるこれからの五年程度をとらえているわけでございますが、集中的な取り組みに踏み出していこうとしているわけでありまして、施策の具体的実施計画である新新エンゼルプランというものを年内に策定しますとともに、内閣を挙げまして、国の基本施策として、少子化の流れを変えていくための施策に強力に邁進してまいりたいと思っております。
○島田委員 その中で、特に就学前の子供たちに対して、一般的には幼保一元化という形で言われている問題なんですけれども、この大綱の中でも、幼保一元化の方向性というものを十六年度中に基本的な考えを定める、こううたっているわけでありますけれども、その十六年度中という方向について、どんな進捗状況ですか、御説明を願いたいと思います。
○南野国務大臣 少子化社会対策大綱は、昨年の七月に策定されました少子化社会対策基本法、これの七条に基づきまして、総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策、その大綱として策定されたわけであります。
少子化社会対策基本法の第十一条の二項におきましては、国及び地方公共団体は、保育において幼稚園の果たしている役割に配慮し、その充実を図るとともに、保育等の体制の整備に必要な施策を講ずるに当たっては、幼稚園と保育所、これの連携の強化並びにこれに係る施設の総合化に向かっての配慮をしていこうと規定しているものでございます。
そこで少子化社会対策大綱におきましては、先生御存じの二十八項目、これが具体的行動として取り組まれておりますが、職員資格の併有、幼保とも同じような資格、さらにまた施設設備を共有していきましょうということなど、また幼稚園と保育の連携を進めることとしておりまして、さらに就学前の教育それから保育を一体化としてとらえた一貫した総合施設、それに関する事項も盛り込んだところでございます。
先生お尋ねの総合施設については、平成十六年度中に基本的な考え方を取りまとめまして、平成十七年度に施行する試行事業をまず実施し、そして平成十八年度から本格実施を目指すというところでありまして、今後文部科学省及び厚生労働省、これは保育は厚生労働省、幼稚園は文部科学省でございますので、両者でしっかりと検討していただき、子供の目線に合ったいい環境をつくっていきたい、そのように思っているわけでございます。
○島田委員 それで、本年度に基本的な考え方をつくって、来年度試行の段階に入っていく。保育に欠けるというのが保育園で、社会福祉法、児童福祉法で決められているわけですね。保育に欠けるということと、それから幼稚園の場合は、子供たちが集団的に耐え得る能力というのは四時間であるという設置基準を含めた指導要綱ですか、そういう点で、本質的には違うものを総合施設という形で一体化するわけですね。
ですから、厚生省と文部省との間の議論としては進もうとしているようでありますけれども、何か、保育に欠けるという形での社会福祉、児童福祉という形で決められた保育園というものが、これが予算削減あるいは三位一体の中でだんだん、本来の少子化の中で、あるいはこの基本大綱の中で、幼児の人口をよりこの五年の間に、実際に具体的にして転換をしていこうという基本的な考え方とどうも乖離があるような気がしてならないんですが、これはちょっと質問通告でそこまではあれしていないんですけれども。
どうもそう言われてみると、その辺の大事なことについて、やはり、保育園の人たちもあるいは一生懸命苦労されて、戦後のゼロ歳保育の保育行政の中で重要な役割を果たされた。そういうことによって、その辺のところが、総合施設という形の中で本質的なものが何か社会大綱の中での基本的な考え、あるいは大臣の考えられている所信表明の中に位置づけられているのかということが、たくさん項目でずっと何項目と書かれているけれども、実際上具体的に言ったら、ここのところがより具体的に制度的にどうするかという面で位置づけられているんです。
その辺の、これはここの社会大綱という基本的なところで何としても位置づけていかないと、何かばらばら、厚生省は厚生省、文科省は何かというようになるような気がしてならなくて、ちょっと何かそうなるんじゃないかなと思っていたら、中教審でまた幼小学校という構想が出てきた。
だけれども、この大綱の中には、幼稚園と保育園と小学校とを関連させるための方向性を定めるんだ、こう言われているんですけれども、それでは、具体的に幼稚園と小学校の幼児教育の中に、三歳から幼稚園と小学校と連携するための答申をここで、中間報告が出たわけですが、その辺のところは細かいことじゃありませんので、基本的な方向として、所信の中でどうお考えでしょうか。
○南野国務大臣 たくさんお尋ねでございますが、一概にして、自分の気持ちという形で申し上げるならば、保育園というのは働く女性のためにもともとつくられたところであり、それは厚生労働省として、いわゆる保育、お仕事をしに行っているから保育に欠けている、その子供たちをどのように見てあげようかという一つの大きな柱があったと思います。幼稚園というのは、小学校前、プレスクールというような形で一つの観念があっただろう、お勉強というところに主体を持っていただろう。
そういうところで、最近子供も少なくなってきておりますし、また働く婦人がふえているということから、保育園へのニーズが高まってきている。それはどういうニーズかというと、決まった時間より、より早くしてほしい、また決まった時間より夜遅くまでケアをしてほしい、そういう方々の集まりというようなところにもなってきているように思います。
それから、もう一つの特徴は、幼稚園の分であれば外食などでもいいでしょうけれども、やはり保育園であれば、離乳食からミルクからしなければならない、厨房が必要だ。そういう建物への整備ということについても考えられていることだろうというふうに思います。
そういうものをどう統合するかということでございまして、ある試しているところでは、大変立派な総合施設で、両方の気持ちを統合した施設ができているところもございます。視察に行かせていただいたこともあります。そういうフレキシビリティーを持たせていく、その一番のポイントは、子供の目線でどのように大人が環境をつくるか、それが一番大きなポイントになってくるだろうと思います。
おっしゃるとおり、二十八項目の中ではいろいろとございますので、どこにポイントを置くのかということの精査は必要であろうかというふうに思いますが、幼稚園と保育所の機能を統合する、いわゆる幼保一元化の議論の背景には、大都市では、幼稚園と保育の空き状況、これがアンバランスであるということが言われていると思います。待機児童の解消の観点から見れば、やはり幼稚園の有効性が求められているんじゃないかな。それから、利用者から見た場合は、保育所であれ幼稚園であれ、なぜ近隣の施設が使えないの、そういうような声も聞くわけであります。
また、過疎地では、少子化により、保育所及び幼稚園の両施設ともにあきがある、そういうところをもう少し何か合理的に展開できないものかなというような声も聞かれております。
また、近年、厚生労働省と文部科学省とで施設の共有化、これは砂の広場であったり建物であったりするわけですが、共有して使えるところは使いましょうというようなこともフレキシビリティーを中に入れているというふうに思います。
さらに、子供の保育や教育、そういうものをめぐるさまざまなニーズが柔軟な施設としてつくられているのが、先生おっしゃっている総合施設の構想かなというふうに思っております。
そういう新しい試みは、政府として、検討会の有識者の英知をもこの中に集めながら展開していこうとしておりますので、子供や家庭に対する支援をどのように充実していこうかということについて、いかにしたらそれが解消できるかということをその両省庁で考えていく必要というものがあるだろうと思っております。
また、少子化対策大綱の中では、就学前の教育または保育と小学校、その連携を進めるという事項は、子供の発達と学びの連続性、そういうものを確保する観点から、幼児教育と小学校教育、そういうものが連携を図っていくものであると承知いたしておりますし、その具体的な内容につきましては、文部科学省において、多くの人たちの意見を聞きながら、今幅広く検討が進められておりますので、その成果を見たい、そのように思っております。
○島田委員 私は、単純に幼保一元化というのを考えて、幼稚園と保育園が一体化するのかなというふうに最初理解をしていたんですね。今お話しのように、保育園は保育園、それから幼稚園は幼稚園という進み方もある。幼小学校をつくるといって、幼稚園と小学校と連携をしろという、その中に書いてありますね。そうすると、その総合施設というものは、幼稚園と保育園と一体的なものを総称して総合施設かなと思っていたんですね。
建物の中に幼稚園と保育園がある。それは、児童福祉法による保育園と、文部省の言う設置基準などに基づく、学校教育法に基づく学校、それらを何らかの一体的なものができるのかなと思っていたんですね。それで、それを幼児教育という形の全体の中にちゃんと位置づけてやるのかなというふうに思っていたんですね。そうすると、保育園は保育園のいいところを生かし、教育的なものの、ですから、三歳から小学校ぐらいのところの連携をさせながらいいところを生かしていく。選択は、どうも親の方に自由に選択をした方がいいのかというような、そんなものになっていくのか。
その辺のことについて、まあ、施設としてはもうありますから、保育園は保育園でそれはいくんだ。それから、幼稚園は幼稚園で従来の、お互いに、例えば、幼稚園の場合は、社会ニーズに合った時間外保育だとか、あるいはニーズに合ったような形で、幼稚園として、長時間、集団生活に耐えられる四時間という形ではなくて、親のニーズに合わせた形での、例えば時間延長をして長時間に保育ができるような、そういう幼稚園にするというようなことなのかなと。
ただ、一番問題なのは、先ほども説明されていましたけれども、保育園の中の保育に欠けるというという中で、一番大事な調理施設ですね。これを今度の三位一体の中では、どうも予算がかかり過ぎるから幾分削減するんだというような議論があると言われているんですね。あると言われているんです。
そうすると、せっかくこの大綱の中で、子供たちが本当に生み育てられるような、人口転換をするような社会状況を全体的につくり出していくんだという面から考えてみると、どうも保育に欠けるというその側面にまた戻っていくような気がしてならない。ここはぜひ担当大臣が、保育に欠けるということじゃなくて、保育を育てていくんだ、前向きに進めて、日本の社会が、生み育てて、本当に子供たちが育っていけるような社会環境をつくっていくためのこの制度だと私は考えているんです。
これは、きょうは理念的なことだけ、細かいことはまだこれから出てくるようでありますから、理念的なところが幾分今まで議論が少なかったようでありますから、ぜひその辺のことを、まず、もう一度お聞かせ願えれば幸いです。
○南野国務大臣 本当に、今先生がおっしゃったとおりだと思います。今から両者が話し合いながら、そして何をどういう形でいいものにつくっていくか、それは今後の検討にもまたれることだろうと思っておりますが、厚生労働省、文部科学省との間の合同検討会議で、今先生がおっしゃったようなものが検討されていくのだろうというふうに思っております。
本年八月に中間報告のまとめが出たところでございますが、今後の検討状況にもまたしっかりと目を向け、耳を傾け、我々の意見も通るように、また考えがその中で示されるように、しっかりと努力していきたいと思っております。そのときまた、先生、いろいろと御指導いただきたいと思っております。
○島田委員 そこで、構造改革特別区域制度の活用という規定があるわけですけれども、その中で、今、幼保一元化の具体的な全国展開で、構造特区として一応認定されたところがあると思うんですけれども、余り細かくなくていいですから、概要だけでいいから御説明願えますでしょうか。
○滑川政府参考人 構造改革特区におきます、いわゆる幼保の一体化に向けた取り組みにつきまして御報告申し上げます。
構造改革特区で、地方公共団体などから数多く、幼稚園と保育所、幼稚園児あるいは保育所の子供を合同に扱って刺激を与える、あるいは相互にいい影響を与えるということをしたいということで、地方公共団体などから数多くの要望をいただいてきたところでございます。
そうした中で、私どもの行っております構造改革特区の中で実現しております規制の特例措置といたしまして、これは、幼稚園と保育所、それぞれ現在存在するものを前提としながら、幼稚園におきます幼稚園児と保育所児の合同活動ができるようになるとか、あるいは保育所におきまして逆に保育所児と幼稚園児の合同活動ができるようになるとか、あるいは保育室を共有化できるとか、そういった形での特例が順次認められてきておるところでございます。
こうした規制の特例は、非常に地域におきましてニーズが高うございまして、子供の減っているところで、やはり、一緒に教育をさせるというようなことで、お互いに非常に刺激があり、お互いがよく伸びる。あるいは、違った年代の子がつき合うことによって、協調性とかあるいは年上の子が年下の子の面倒を見るというようなことが起こるということで、非常に地域のニーズも高くなっております。
そうしたことで、代表例といたしまして、例えば、北海道の東川町で幼保一元化特区という形でやられておりましたり、あるいは岐阜県瑞浪市で幼児教保育特区というようなお名前で、これまでこうしたものを初めとしまして全国で二十四件のこの幼保一体化に向けた形での特区が認定されまして、それぞれの地域で、幼稚園児、保育所児が一緒に、あるいはともに活動するというようなことがスタートしておるという状況でございます。
○島田委員 特区の中では、保育園のいいところ、幼稚園のいいところを、お互いに規制があるものを緩和しながら施設をつくっている、そのことを評価して、いいところは全国展開をする。これからの方針なんですけれども、今その議論をされている、これは、幼保一元化という中で議論している厚労省と文科省の規制を取っ払うということとどういう関連性、あるいは、そういうものを議論としてどういう形で積み上げられていくのかということについて、どんなお考えでしょうか。
○滑川政府参考人 ただいま申し上げましたように、特区におきましては、相互の施設の子供たちが合同で活動するというようなことをやってきております。
総合的施設につきましては、先ほどからお話がございますように、現在、厚生労働省、文部科学省、それぞれ御専門の方々で、合同で御検討されているというふうに伺っておりますし、来月にもその取りまとめが行われるというふうに私ども承知しておりますが、私どもの特区で行っております幼保の合同した活動ということが、この御検討に具体的な実際の例として役に立っていただいているものと期待をしておりますし、そうした中での御議論に貢献することができれば、特区制度として、今御指摘のように、規制を緩和して相互が交流できるようにするということの成果も出るのではないかというふうに考えておるところでございます。
○島田委員 そこで、幾分、全体像みたいなものは、幼保一元化の中で少し見えてきたような気がするんですけれども、ここで、文部省が中間答申で出された、三歳児から小学校と連携をしていく幼小学校という考え方が出てきておりました。どなたかこの辺についての、文部省と厚生省と話し合いの中で進めていくということですけれども、幼小、幼稚園と小学校、ここの関係はそういう中でどんな方向性になっていくんでしょうか、お伺いいたします。
○山本政府参考人 委員にお答えいたします。
先ほど来委員御指摘のように、今まで、幼保の施設の共用化ですとか、今特区室長から説明がございましたように、特区によって一元化を進めるということでいろいろ工夫をしてきておるところでございますが、これによって達成されますのは、あくまでも、二つの制度の中でのそれぞれの施設として運営をされていく、それをいかに合理的にやっていくのかというのがこれまでの営みでございます。
今先生おっしゃいましたように、八月の二十五日に、中教審の幼児教育部会と社会保障審議会児童部会合同の検討会議で、一応中間取りまとめが出ております。
これは、したがって、それのもう一歩先を行くもののように、どのように総合施設を取り組んでいくのかということで、この中間取りまとめでは、「総合施設の制度化は、既存の幼稚園や保育所の意義・役割を大切にしながら、幼稚園・保育所と新たな枠組みである総合施設がそれぞれ相まって、」「子どもの健やかな成長を支える役割を担う」もの、こういうことになっております。
したがって、こういう方向で、まだこれは中間取りまとめでございますので、今後さらに検討が進められていく、これが一点でございます。
それから、先生おっしゃいました、もう一つは、幼稚園、保育所と小学校の間の連携、あるいは一貫的な継続性といったような問題につきましても、これはまた別途の、そういう継続性という観点から今、中央教育審議会等で種々議論がなされている。いかに、就学前のそういう一元化の問題等々にもさらに工夫を加えながら、そういったものも踏まえて、それでは、小学校との間の連続性をどういうぐあいにとっていくのかということについては、中教審等で議論されて、これもまた幅広く意見を聞かれながら成案ができていくものだろうというぐあいに理解をしておるところでございます。
○島田委員 今のところがもう一つ重要な視点になるような気がするんですね。何かというと、幼稚園と小学校の連続性、保育園は、幼稚園と保育園を一体化する、横の関係ですね。ただ、今、幼小の中で問題になっている、考えとしてはいいと思うんですが、どうも幼保一元化という中では別なルートになるような気がしてならない、小学校と結ぶということによって。
ただ、今一番問題になっているのは、よく言われることは、昔のように早生まれ、遅生まれの問題というのはそう簡単に、昔は一、二年生で解決したけれども、今の社会状況の大きな変化の中では、小学校の一、二年生の中では、早生まれ、遅生まれの心理的なもの、いろいろな成長過程の問題を含めてなかなか解決できない。そういう側面から見ると、ある一面では、幼小というその連携をどうするかということも、就学前の子供たちのもう一つ大事な側面だと思うんです。
ただ、幼保一元化という総合施設をつくるという方向性を出しているわけでありますから、そこのところは、どうも私の理解が足りなさそうな感じがする面があるんですけれども、現段階でそこら辺のところの基本的な理念はやはりきちっとしていかないと、どうも混乱をするような気がしてならないんです。
担当大臣として、これをもうまとめるんだ、そして、まとめて、今の社会を何としても本当に、この大綱で書いてある、生み、育て、この五年間に人口の大きな転換をするんだ、させていく方向性を求めるんだという意味でも、ここは重要な一つの視点ではないのか。
あるいは、今言われているように、保育に欠けるという考え方というものを是正をしながら、保育を育てていくんだ、そしてその転換を求めていくんだということは、何としてもこの問題、解決しなきゃならない重要な時期だと私は思っているんですね。
ですから、これは、方向性は違いがありながらも、この社会大綱に示されたような方向を見ながら、どうしたらいいのかということについて私どもも真剣に考えなきゃいけないなと思うんですけれども、もう一度大臣の答弁をお願いいたします。
○南野国務大臣 先生は、もう既にいろいろな施設を御経営しておられますし、そこからのお考えというのは、本当に、熟度の高いものをきょうお示しいただいたというふうに思っているのでございますけれども、我々が考えますのは、やはり中央教育審、中教審、それらの議論におきまして、各地域に適した幼小の連携、それを強めたり弱めたりというところもあるかもわかりませんが、それらの強化や、幼小一貫教育、それらの必要性などが検討されていることは承知いたしております。
これは、総合施設とは別な観点からの議論でもありますが、幼稚園と小学校教育の連携により、子供の発達とその学び、連続性を確保するということも理解していかなければならないと思っております。
さらに、専門家の間での多くの意見もこれからいただきながら幅広く検討されていくものと思いますが、政府といたしましては、先ほども申しましたが、検討会の有識者の英知を集めまして、幼児教育の機会の拡大や、それから地域の子育て家庭に対する支援の充実、幼稚園と保育園をめぐる諸課題や待機児童の解消、そういったものにもつながるように、構想をこれからまとめていくことを期待しているところでございます。
以上でございます。
○島田委員 どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 私は、きょうは二人の大臣に伺いたいと思います。
最初に、村田国家公安委員長は、災害の現場へ警察広域緊急援助隊を出すということとか、また現場では、警察も自治体も、それから国土交通省であれ厚労省であれ、本当に混然一体となって取り組んでいるところで一番頑張っていただいている大臣ですし、とりわけ、警察庁を初めとする各省庁を取りまとめて、政府の非常災害対策本部長ということでも頑張っていただいておりますが、ちょうど二十三号のときには、豊岡などあの地域へも政府調査団長として直接行かれたりしていますが、私もちょうどあなたの行かれたその後を追うように行ってまいりましたので、だから見てきた現状の認識は一緒だと思うんですね。
例えば、円山川、出石川の堤防決壊箇所が多いこととか、それから堤防沿いのアスファルト道路が陥没をしてしまっている。川までいっているとか、天頂の一部を残して下がえぐられているとか、護岸のコンクリートの、コンクリートはあるんだけれども、肝心の中の方の土砂が流出しているとか、いろいろなこと、何よりも、堤防そのものが削られて危険な状態で、次に大雨が来たらもうもたないというふうな非常に危険な状況を見てこられたと思うわけです。
それからまた、そういう河川の堤防の補修とあわせまして、住宅に十センチから三十センチ泥がたまっている。これを取り除くとそれが全部水路に入りますから、水路のヘドロしゅんせつ等早くやらないことには、水路の断面積が小さくなっちゃって、これまた次の大雨が来たりすると大変だ、溢水してしまうという問題など、緊急対策というものを実感してこられたと思うわけです。
それからまた、橋げたに流木が流れていって、それで橋が崩落してしまったものがあったり、橋に流木がたまってしまってダム状になって、それでそこから住宅地に水があふれ出して浸水が起こるとか、本当に大変な状況というものを見てこられたと思います。
倒木その他については、林業の問題とかいろいろ政策的にあるにしても、それはまた別な機会として、今緊急に地域で要望の出されているのは、山間部の倒木の除去とか、橋脚にひっかかっている流木の除去とか、あるいはつぶれた橋の復旧とか、この緊急対策事業に国の財政支援をぜひやってもらいたいというのは、大臣も聞かれたと思いますし、私も聞いてまいりました。
自治体から、緊急の災害対策について、自治体は財政が大変だからみんな心配しているんですけれども、しかし、国の方から、もう金の心配せんとやれと、緊急ですからね、言ってもらったので、非常にうれしいということを言っておられる声も聞きました。
ですから、そこで政府として、補正予算も含めて、補正の以前の、まず予備費の支出も当然ですが、自治体への支援をきちんとやって、とにかくこの災害については全面的な手を打っていくという、大臣も調査に行かれてのお考えを最初に伺っておきたいと思います。
○村田国務大臣 私も、二十一日だと思いますが、東京から大阪まで、伊丹まで参りまして、それからヘリコプターで洲本を視察して、それから豊岡はおりなかったんですが上空から見まして、まだ水につかっておりまして一面の海でした。それから宮津に、京都の方におりました。それで帰ってきた、こういうぐあいであります。あっ、二十二日でございます。
それで、大変ひどくて、豊岡は堤防が決壊して水浸しになる。洲本の方は、堤防は決壊しないけれども、溢水して近隣の商店街が大変な床上浸水になるということで、本当にひどい水害の災害を目の当たりにいたしました。
それで、今先生も言われたように、私どもも、災害担当、まあ、きょうは国家公安委員長の立場で来ておるわけでございますが、私もダブルでやっておりますものですから、災害、防災担当の大臣といたしまして、私どもも一生懸命各省連携して、また、二十三号につきましては、非常災害対策本部の本部長として、各省集めていろいろな対策を打っているわけですが、私どももコミュニケーション能力が不足するところもございますが、災害の復旧対策についてはできるだけのことをいたしますので、どうか公共団体については心配のないように復旧活動にいそしんでもらいたいということを先生からもお伝え願えたら大変ありがたく思います。
○吉井委員 それで、洲本も行かれて大変だったと思うんですが、出石にしても豊岡にしても、とにかく泥をかぶった家財道具などの粗大ごみ、それから壊れた家屋などの廃材に至るまで、粗大ごみ化したものから、ごみ集積所の大量の廃棄物の搬出、これは緊急課題になっています。
豊岡はかばんの町でもあるんですね。そうすると、かばんが泥につかると、製品も材料も全部ごみになってしまう。しかし、それは産業廃棄物だとか有料ごみだと言われたら、これは大変ですからね。どだい無理な話ですから、やはり集積所のごみを緊急に持ち出さないと、後の片づけもいきませんから、私、思い出すんですが、阪神大震災のとき、あのときに震災担当大臣が要望にこたえて、瓦れき除去だと号令かけて緊急にやったように、やはり緊急に瓦れき処理を国の費用で公的にどんとやっていくということが今非常に大事じゃないかなと思うわけです。
現地を見てこられた大臣も、そこは受けとめは同じだと思うんですが、この点、ぜひ政府を挙げて、そういう姿勢でやってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○村田国務大臣 廃棄物ですね。特に、水害の場合には後に、先生おっしゃるように、大量の廃棄物が出て、御家庭もそうですが、公共団体もその処理に大変困難を来すということ、私も目の当たりにしてまいりました。
それで、きのうの災害対策本部は新潟の中越地震とこの二十三号の合同でやったわけでございますが、その席でも、本当は白物家電等につきましてはリサイクル法がありまして、それに、ラインに乗って処理をしなきゃいけないという、いいような悪いような、そういう仕組みになっているわけでございます。しかし、環境省の方にもお伺いをしまして、一般廃棄物として処理をして差し支えない、こういうお答えをいただいておりますので、そういう処理をしていただきたい。それから、あと、その補助金も出ます。
それから、あと流木についても、現在はいろいろな補助金が活用できるようになっております。それから、家庭から、あるいは溝の中に詰まった、そういう汚泥がございますね。これも、住民も出す、それで町内に集まる、それを市町村が集めて捨てなきゃいけない。これもごみとして補助金の対象になる仕組みがございますので、いろいろな方途、政策手段を組み合わせて、どうかひとつ御活用いただいて、早期の災害復旧をお図りいただきたいと心から望んでおります。
○吉井委員 阪神のときのように、緊急に瓦れき処理を国の費用で公的にどんとやるという、その徹底したやり方で早く処理されるように取り組んでいただきたいと思います。
出石川決壊などによる洪水で、私も下のところで、家が丸ごと流されて、土地だけ残って家が全くないという本当にひどい事態も見ましたが、その被災した人たちの生活と営業の再建、この支援をすることが非常に大事で、これは今の新潟の中越地震の被災者の方たちについてもそうだと思うんです。
阪神大震災のときは、例えばこういうときに固定資産税や都市計画税の特例措置を十年間とってきたとか、それから被災者に対する地方税、まあ、そういう点では被災者に対する地方税の減免制度、それから被災地、自治体に対する国の財政支援など強く求められるわけですが、もちろんそれだけに限らず、農業とか中小企業、地場産業では、税だけではない、いろいろな問題があります。
ですから私は、担当の省庁が、これはそれぞれ考えるのは当たり前だと思っているんですよ。ただ、同時に、それだけじゃなくて、政府としてやはり阪神のときのようなそういう取り組みというものを、特にことしは大規模な被災地が多いですから、考えて取り組んでいただくということが大事だと思うんですが、この点も伺っておきたいと思います。
○村田国務大臣 ちょっと先ほど一般廃棄物と申しましたが、災害廃棄物ということで、処理費用、それから運搬等も補助金の対象になるということ、改めさせていただきたいと思います。
それから、今のお申し越しの、御指摘の件でございますけれども、これは農業関係につきましても、激甚災害に指定されれば、その中でインフラとか共同施設とか、そういうものの復旧に補助金のかさ上げができる。あるいは、農業作物の滅失とか損害については共済制度もありますし、あるいは天災融資法の適用もあるということでありますし、あるいは農林漁業金融公庫等のそうした低利融資も利用できるということでありまして、メニューは結構そろっているわけでございます。
我々もそうした意味で、応急的な生活関係、インフラとかそういうものも含めまして、生活をもとに戻す、そういう作業の目鼻がついた後は、今度はなりわいの方を立ち上げなきゃいけないということでございますので、そうしたいろいろな政府の持っている政策手段というものを駆使して、一刻も早く生活も、なりわいの方も復興させるということに努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
○吉井委員 それで、担当の省のお役人の方たちと話していますと、例えば、震災十年の特例で固定資産税等税の減免とか、そこへの国の財政支出について、これまでの他の法令に照らしてとか、いろいろそれは実務的に事務方の方は事務方で考えるんですが、そこは、今度の場合、やはり阪神のときのような政策的、政治的に考えるということが、私、農業やらいろいろなことも挙げたから若干混乱しているかもしれませんけれども、例えば、阪神のときにやったという意味はそういうことなんですね。そういうことを今度きちんと考えていただいた方がいいと思うので、それを一言。
○村田国務大臣 二十三号につきましては、災害対策基本法に基づきまして非常災害対策本部ができて、その中で各省から、二十一省庁に及ぶようでございますが、本部員として来ておりますものですから、いろいろな被災地のニーズというものについてはくみ上げて、そして要するに、先ほども御答弁申し上げたように、できるだけ災害地あるいは被災者の再建が支援ができるように、そういうふうに我々も一生懸命督励したい、こういうふうに考えております。
○吉井委員 それで、二十三号で行かれたところ、私も同じ二十三号について行っていますけれども、新潟の中越も含めてかなり大きい被害、大規模災害、被害がたくさん出ていますね。そういうところについては、やはり震災特例で、例えば今言いましたような地方税の減免とか、それに対する、今度は自治体の方に対する、国がまた考えなきゃいけませんから、そういう阪神並みのことを今からきちんと考えて、どんと取り組んでいくということが非常に大事なことになっていると思うんです。
個々の一つ一つの、何号はどうだとか言い出すとまたあれですけれども、そのことをやはりこれは政府として考える必要があるんじゃないか、その点一点です。
○村田国務大臣 政府として、あの阪神大震災のときと比べますと、いろいろな法律の手当てもできております、そのもとでの制度もできておりますので、先生がおっしゃるようなことについては、また近々、新潟の方も含めまして、これはもう毎日のようにやってございますが、対策本部でいろいろ私の方からも担当省に聞いて、できるものは実現させてあげたい、こう考えております。
○吉井委員 これは、新潟を含めて、私は本当に阪神並みに、今度の場合は本当に被害が深刻ですから、地方税の減免制度、国の被災地自治体への支援、これはぜひ検討を深めていただきたいというふうに思います。
この問題の最後に伺っておきたいのは、被災者生活再建支援法の運用上、豊岡、出石、洲本でも、床上浸水被害などについて、これは昨日の通知文書で対象を広げるということになってきていますが、要するに、どれぐらい対象にして被害認定するのかとか、具体的にそれを示して徹底するということが今非常に大事だというふうに思っているんです。
そういうことはまず進めていただきたいということにして、もう一つここで伺っておきたいのは、福井県などの場合、独自の支援制度策定に当たって検討されたのは、国の今の制度では、所得制限がある、それから家財道具は全壊の場合だけ対象とするなど、被災者の要望に合っていないということやら、二つ目に、支給対象経費が解体撤去あるいは借入金利ということに限られて、住宅建設や補修は対象外になっているということ、さらに、全壊や大規模半壊のみに限定、三つ目に、床上浸水による住宅の劣化や腐食を考えていないということなどがありました。
今度、弾力的運用で部分的に、部分的にですよ、広がったのは私もよくわかっているんです。さきの本会議答弁で、この法改正が必要かも含めて考えるということでありましたが、弾力運用できる部分があるにしても、住宅への補償など、支援法の抜本改正について、やはりこれは政府として、具体的にどこをどう変えようとしていくのかということは、お考えももう始まっているんじゃないかと思うんですが、その点を伺っておきたいと思います。
○松下委員長 まず、実務的なこと。柴田統括官。
○柴田政府参考人 昨日、弾力的な運用につきましての基準を各公共団体に配付させていただきました。この中身につきましては、これまで、どちらかというと地震はわかりやすいんですが、水害、床上浸水になったときの被害の認定、基準の適用が非常にわかりにくいということでございまして、通知を出させていただきました。
これらの通知に従いまして、公共団体が基準を適用され、弾力的に活用され、積極的に利用していただきますことを心より我々もお願いいたしたいとまず考えております。
○村田国務大臣 吉井委員が、とにかく法改正まで含めて、こういうふうにおっしゃっておりますが、本会議の方では、私は、弾力運用に努めるということが一点と、それから、附帯決議に四年後の見直し規定がありますので、そういうことを踏まえてこれから対応してまいりたいとたしかお答えをさせてもらったというふうに思います。
委員のお話しの御質問の目的が建物本体部分についてのことではないかと想像いたしますが、さきの通常国会の中で、議会で長い真剣な御議論の後で、今のような制度、これも枠を広げまして、二百万円プラス、住宅の支援策も、住宅の撤去費用とか、それから、あるいはローンについての費用とか、そういうものについて支援するという措置にまずは広げ、その他もろもろの改正をなしたばかりでございますので、私どもは、今度の相次ぐ災害にかんがみ、弾力的に運用ということでまずは対応させていただきたい、こういうふうに考えております。
兵庫県も、昨日、兵庫県知事がおいでになられまして、県でも独自の御判断でいろいろお考えになっているようでございますが、私どもは、そういう意味で、できるだけ全壊等の被災者をお救い申し上げたいという気持ちもございまして弾力的運用を図ったということで、今後の皆さん方の御意見の方向性を見ながら私どもとしては対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
○吉井委員 住宅についてなかなか慎重な物言いをしておられるのは、従来より、私有財産、個人財産については税を使わないという考えが一つ根底にありますが、ただ、災害時に住まいというのは、私有財産権の考え方とはまた別に、災害時に、それは生活権、生存権にかかわるものの保障ということもまた一方ではあるわけです。ですから、そういう角度で、これはやはり住宅の建設、補修は、まさに雨露しのぐというのは生存権にかかわってきますから、そういう角度からの取り組みというのが必要だということを申し述べて、この部分については質問を終えたいと思います。
対策でお忙しいでしょうから、どうぞ。
次に、科学技術の関係ですが、少し時間が詰まってまいりました。
ことし七月二十七日に、保安院に対して、中部電力浜岡原発四号機の基礎及び建築建屋全般について使用されているコンクリートのアル骨反応についての内部告発がありました。八月十二日には、東京電力の福島第一と、それから福島第二原発についても、同様の内部告発がありました。
私は、十月十四日に既に政府に質問主意書を出しておりますが、中部電力は、十月十二日に試験成績書の改ざん、試験サンプルのすりかえという不正行為を確認したという発表がありました。東京電力も、十月二十二日に、福島第一原発についてはデータ改ざんがあったということを発表しております。
そこで、私はきょうは、質問主意書の回答をまだもらっていない段階ですから先に聞いておきたいんですが、福島第二原発についてはまだ明らかになっていないんですが、それを含めて、告発の事実がそのとおりであったのかどうか、これを保安院の方から報告を求めたいと思います。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
個別の申告案件につきましては、原子炉等規制法に基づきまして申告制度を設けております趣旨にかんがみまして、その有無を含めましてお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、本件につきましては、今御指摘ございましたとおり、中部電力浜岡原子力発電所四号機の建設時にコンクリート骨材を納入しておりました会社の元従業員が、砂利の品質を保証するアルカリ骨材反応性試験の成績書を偽造したと保安院に対して内部告発をしたとの報道がございました。また、別の報道によりますと、同じ人物が、福島の原子力発電所においても同様のことが行われていたということを聞いたと保安院に対して内部告発したとされております。
原子力安全・保安院といたしましては、これらの報道を重く受けとめまして、中部電力及び東京電力に対しまして、事実関係を調査するよう指示をいたしました。今委員御指摘のとおり、中部電力からは十月の十二日、東京電力からは十月の二十二日に報告が出ております。
中部電力からの報告によりますと、浜岡四号機におきまして、一部の骨材納入業者により、アルカリ骨材反応性試験の成績書の改ざん、試験サンプルのすりかえというのが行われたことは事実との報告でございました。
また、東京電力からは、一部の骨材納入業者によりアルカリ骨材反応性試験成績書のねつ造が行われていたということは事実だという報告がございました。
ただ、いずれの場合におきましても、アルカリ骨材反応によるコンクリートの有害なひび割れというものは認められていないという報告も、あわせて出されているところでございます。
当院といたしましては、こうした報告内容の精査を行うとともに、十月の十四、十五、二日間かけまして、コンクリートの専門家の先生にも参加をお願いいたしまして、浜岡の発電所の現地調査を実施いたしました。また、福島の第一、第二の発電所に対しましても、近く現地調査を実施することとしております。
私どもとしましては、これらの調査結果を踏まえまして、これらの原子力発電所におきます建物、構築物のコンクリートの健全性というものをきちんと確認をしてまいりたいと思っております。
○吉井委員 私、原子力安全委員長代理にも来ていただいておりますので、伺っておきたいと思います。
原子力安全委員会というのは、原子炉設置のときに申請図書を審査して、そして要するに許可するわけですね。そのときに、強度がこれだけあるというのが前提なんですね。その強度が崩れてしまうと、それは原発の健全性そのものに問題が出てきます。
アル骨反応が起こると、コンクリート内部で膨張が起こって、コンクリート建造物を局所的あるいはかなり大きく破壊するということにもつながり、まさに原発の安全性を揺るがす大きな問題になります。ですから、建設当時のコンクリートの配合表を調べて、アルカリ骨材反応が起きるか否かの専門的評価がやはりこの場合は必要になると思うんです。
まず、とりあえず保安院の方が行かれるというのも大事なんですけれども、やはりそういう専門的評価を現地へ行って、外から見てすぐわかるような話じゃありませんから、安全委員会としても原発の健全性を確認する、その指示をしておられるのかどうか。そしてまた、そのためにもコアの採取などをやって調査をするようにという指示を出すべきじゃないかと思うんですが、この点について、この二点、お伺いしたいと思います。
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
まず、そのようなアルカリ骨材反応が起きる可能性に対することと、耐震安全性の問題でございますが、これにつきましては、基本的に、先生がおっしゃるように、そういう反応が深刻に進展してまいりますと、耐震安全性の観点からも、これをよく吟味しなきゃいけないということだと思います。
まず、安全委員会の役割について、私の理解しているところを申し上げたいんですが、安全委員会におきましては……(吉井委員「安全委員会の役割はもうわかっていますから」と呼ぶ)そうですか。
耐震安全性についてですね。そのような材料の健全性も含めまして、コンクリート構造物については、基本設計段階で、私どもが決めている耐震安全性に係る要求を満たすように、そういうことを事業者に求め、また、それについての事業者の考え方を確認している、こういう立場でございます。
その後、具体的に物を詳細設計し、その詳細設計の図面に従ってこれを製造し、建設し、そういう具体的な工事が始まるわけですが、今問題になっていますことは、その工事の段階だというふうに理解しております。個々の細かい点につきましては、これはもちろん技術的な適合性の観点からこれをきちんと見ていかなきゃいけないんですが、これについては、原子力安全委員会は、今の仕組みですと、直接その点には関与しておりません。
したがって、こういうことが明らかになったところで、安全委員会は実際何をすべきか、耐震安全性についてはどう思うのか、そういうお尋ねではないかと理解いたしましたが、これについては、まず第一に事実関係を調べることで、データの改ざん等があったかどうかということはもちろん大事でありますが、まず何よりも安全性の観点から現状において問題がないかどうかということを確認することが大事であります。
その点につきましては、安全委員会の方では、中部電力の浜岡については十月の十八日の月曜日だったと思います、それから、東京電力につきましては十月の二十五日の月曜日、安全委員会の場で保安院の方から、先ほど院長からお話がありましたが、その点についての報告を受け、今後の取り組みについても伺って、それで、今後さらに精査した結果をまた私どもの方に報告いただいて、それに基づいて、安全委員会として必要な勧告をしたい、こう考えております。
○吉井委員 ありがとうございました。
済みません、ちょっと大臣に一言聞いておかぬと。
○松下委員長 時間をオーバーしておりますので、簡潔にお願いします。
○吉井委員 わかっています。はい。
それで、安全委員会の方も、この間の関電の美浜三号の事故の後は行ってはるわけですよ。ですから、その審査のとおりになっているかどうかとか、問題が起こったら必ず行かれますので、専門的にきちっとコンクリートの健全性の確認をやっていただきたいと思うんです。
大臣、柏崎原発は震度六前後でも運転継続しておったわけですが、関電美浜三号ですと、十ミリないといけない配管が一・四ミリまでなっておったとか、〇・四ミリもあったんですね。つまり、そういう配管が、地震と重なったときにどうなっていたか。あるいは、沸騰水型ですから、原発本体の事故につながってくるわけですね。ですから、もう原発の基礎や建屋のコンクリートの異常というのは原発本体と配管その他のトラブルに直結してきます。
そこで、大臣所信で原子力の安全確保に万全を期すと言われたわけですが、東海地震の震源域の真上に立つ浜岡原発を初め、日本全体が何しろ地震列島ですから、そこで、すべての原発の基礎や建屋のコンクリートの検査をこの機会に徹底して行うべきだ、コアの採取その他も含めて。それを私はやるべきだと思うんですが、大臣のお考えを伺うのを最後に質問したいと思います。
○棚橋国務大臣 吉井委員にお答えいたします。
この分野は先生大変お詳しい分野でございますので、もう私からお答え申し上げるまでもなく御承知のとおりでございますが、原子力発電所の耐震問題は、御承知のように、安全性に関する最重要課題でございますので、今お触れになったように、私も所信的なごあいさつの中で、この分野に関しては最大限の力を注いでまいりたいと申し上げたところでございます。
地震と原発の話がございますが、まず、安全審査の段階で、これは御承知のように、十分な余裕を持って設計がなされていることは、これはまた先生が一番お詳しいことでして、また、運転段階においても、特に地震の場合は、緊急に停止するように、適切に原子炉が停止できるようにこれまた配慮をされておりますので、そういったことも含めて、原子力の安全はきちんと確保をしていかなければいけないと思っております。
今先生の御質問にあったように、例えば今回のコンクリート骨材に係る問題など、鈴木委員長代理からも御答弁させていただきましたが、経済産業省が行う調査の結果も踏まえた上、私どもとしては、やはり原子力は安全確保が最重要課題であるという観点から、経済産業省の調査を踏まえた上でさらに適切に措置してまいりたいと思っております。
○吉井委員 時間が参りました。終わります。
○松下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十二分散会