衆議院

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第7号 平成16年11月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成十六年十一月十七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 松下 忠洋君

   理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君

   理事 増田 敏男君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 須藤  浩君

   理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君

      大村 秀章君    川上 義博君

      木村  勉君    桜井 郁三君

      砂田 圭佑君    田中 和徳君

      土屋 品子君    西村 康稔君

      萩野 浩基君    早川 忠孝君

      宮澤 洋一君    渡辺 具能君

      石毛えい子君    泉  房穂君

      市村浩一郎君    小宮山洋子君

      今野  東君    島田  久君

      牧野 聖修君    松野 信夫君

      松本 大輔君    山花 郁夫君

      東  順治君    吉井 英勝君

    …………………………………

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  鈴木 基久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   永谷 安賢君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           片桐  裕君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 太田 俊明君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     砂田 圭佑君

  佐藤 剛男君     渡辺 具能君

  石毛えい子君     松野 信夫君

  泉  房穂君     松本 大輔君

  藤田 一枝君     山花 郁夫君

  太田 昭宏君     東  順治君

同日

 辞任         補欠選任

  砂田 圭佑君     江渡 聡徳君

  渡辺 具能君     田中 和徳君

  松野 信夫君     石毛えい子君

  松本 大輔君     泉  房穂君

  山花 郁夫君     藤田 一枝君

  東  順治君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     佐藤 剛男君

    ―――――――――――――

十一月十六日

 防犯ボランティアの必要経費の支援に関する請願(小泉龍司君紹介)(第一六一号)

 同(土屋品子君紹介)(第一六二号)

 同(中野清君紹介)(第一七〇号)

 同(山口泰明君紹介)(第一八〇号)

 同(大野松茂君紹介)(第二三三号)

 同(三ッ林隆志君紹介)(第二五七号)

 憲法の改悪反対に関する請願(山口富男君紹介)(第一七九号)

 憲法改悪反対、九条を守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 犯罪被害者等基本法案起草の件


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     ――――◇―――――

松下委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官鈴木基久君、内閣府大臣官房長永谷安賢君、警察庁長官官房総括審議官片桐裕君、法務省大臣官房審議官河村博君、財務省主計局次長松元崇君及び厚生労働省政策統括官太田俊明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 犯罪被害者等基本法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、本起草案の趣旨及び内容について、私から御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 安全で安心して暮らせる社会を実現することは、国民すべての願いであるとともに、国の重要な責務であり、我が国においては、犯罪等を抑止するためのたゆみない努力が重ねられてきましたが、この際の犯罪等の「等」はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為ということでございます、近年、さまざまな犯罪等が後を絶たず、それらに巻き込まれた犯罪被害者等の多くは、この「等」は家族または遺族のことでございます、これまでその権利が尊重されてきたとは言いがたいばかりか、十分な支援を受けられず、社会において孤立することを余儀なくされてきました。

 そこで、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため、本起草案を提案することとした次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、犯罪被害者等のための施策に関し、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、この際の国等の「等」は地方公共団体、国民ということでございます、犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により、この際の「等」は犯罪被害者等施策推進会議の設置のことでございます、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることとしております。

 第二に、基本的施策として、相談及び情報の提供、損害賠償の請求についての援助及び給付金制度の充実等について定めることとしております。この際の充実等の「等」は、保健医療サービス及び福祉サービスの提供、安全の確保、居住の安定、雇用の安定の意味でございます。

 第三に、内閣府に、犯罪被害者等基本計画の案を作成すること等のため、この際の「等」は、犯罪被害者等の施策に関する重要事項についての審議、施策実施の推進、状況の検証・評価・監視のことでございます、犯罪被害者等施策推進会議を置くこととし、会長は、内閣官房長官をもって充てること、委員は、内閣総理大臣の指定する国務大臣及び犯罪被害者等の支援等に関し、この際の「等」は刑事手続の意味でございます、すぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する者としております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 犯罪被害者等基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松下委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。松野信夫君。

松野(信)委員 民主党の松野信夫です。

 今般のこの犯罪被害者等基本法案について、発言並びに質問もさせていただきたいと存じます。

 全く新しい法案でございまして、これまでどちらかというと、犯罪の被害者の方々は十分な支援がなされないままに放置されてきた、そういうような嫌いがあったかと思います。今回、与野党が協議いたしまして新しい基本法案ができたということで、この法案に携わりました関係者の皆さんの御努力に深く敬意を表したいというふうに思います。

 私ども民主党の方も、既に四年前から犯罪被害者基本法案を提出してまいりました。残念ながら、与党の方の賛成が得られずにこれまで審議に至っておりませんでしたが、今回ようやくできてきたわけで、大変うれしいことでございます。

 これについては、被害に遭われた人たちからの悲痛な訴え、熱心な運動もございまして、そういう運動に我々議員も動かされて今回の提案に至ったわけであります。

 今回の法案の特徴は、基本法ではありますが、かなり詳しく支援の中身がうたわれているということかと思います。何よりも、犯罪被害者の方々の権利、これを明確に打ち出している、ここが大きな特徴ではないかというふうに考えております。

 ともすると、犯罪被害者の方々については福祉的な政策で事足れりという向きもないわけではありませんが、そうではなくて、しっかりとした権利、これを定めている、この点はかなり前進ではないかというふうに考えております。

 もちろん、犯罪被害者等には例えば告訴の権利があるわけですけれども、とてもとてもこれだけでは十分ではないわけであります。

 そこで、この権利性をより今後とも充実していかなければならないし、また、福祉政策的な面においても、被害者の権利というものをしっかりとらえた上で政策に反映をしていかなければならない、こういうふうに考えているところです。

 そこで、まず、厚生労働省の方にお伺いをしたいと思います。

 今度の基本法案の第十四条から第十七条にかけて、基本法としてはかなり詳しく、例えば保健医療サービス、福祉サービス、安全の確保、居住、雇用、こういうものの安定をそれぞれうたっているわけです。かなり詳細にうたっているかと思いますが、これまで厚生労働省において犯罪被害者等にはどのような施策を講じてきたのか、今回の基本法を受けてそれをさらに充実していくのかどうか、その点についての決意もあわせてお願いしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今まで厚生労働省におきましては、例えば、犯罪被害を受けられた方の心のケアが必要な場合には、保健所でございますとか精神保健福祉センターにおける相談支援を行ってきたところでございます。

 また、生活困窮など、生活を営む上で困難な問題を抱えるに至った児童や家庭につきましては、児童福祉施設や婦人保護施設におきまして福祉サービスの提供を行ってきたところでございます。

 さらには、例えば虐待被害を受けている児童や女性につきましては、児童相談所や婦人相談所におきまして一時保護をするなど、安全確保面の支援も行ってきたところでございますし、さらには、やむを得ず離職して新たに仕事を探している方につきましては、ハローワークにおきまして求職者の置かれた状況に応じたきめ細かな就職支援を行うなど、医療、福祉、安全面あるいは雇用面の施策を行ってきたところでございます。

 今後とも、私ども、犯罪被害者等の実情でございますとか、今御議論されていますこの犯罪被害者等基本法案の趣旨を踏まえて、さらに適切に対応してまいりたいと思っておりますし、また、今後、犯罪被害者等基本計画の策定につきましても、積極的に参画してまいりたいというふうに考えているところでございます。

松野(信)委員 次に、警察庁の方にお伺いをしたいと思います。

 今度の基本法の十三条のところで、給付金の支給に係る制度の充実ということがうたわれております。犯罪被害者の方々への給付金を支給するということで、既に犯罪被害者給付金法が制定をされて、これは平成十三年に改正をされて、給付金額等がアップする、こういうふうになっております。

 どちらかというと、この給付金についても、犯罪被害者の人の権利というよりか、福祉政策的なものだというような向きが強かったかなというふうに思います。しかし、そういう福祉政策からスタートしても、だんだん社会的に認知をされて、それはもう犯罪被害者の皆さんに対する当然の国の責務だというようなことにでもなって、社会的合意が広く形成してくれば一定の権利性も強まってくるのではないか、こういうふうに思います。

 この給付金の充実をどのように図っていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

片桐政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察は、犯罪被害者に最も身近な機関として、これまでも被害者支援のための施策に積極的に取り組んでまいったところでございます。

 御指摘の犯罪被害者等給付金支給法につきましても、今お話がございましたように、平成十三年に改正されまして、重傷病給付金の創設、障害給付金の支給対象の拡大等の措置が設けられたということでございます。

 そして、今回、今お話がございましたように、犯罪被害者等基本法におきまして給付金の支給の充実を含めたさまざまな基本的施策が規定されることとなるものと承知しております。

 警察としましては、この基本法が制定されました際には、その御趣旨を踏まえて、なお一層の被害者の救済に資するため、関係機関等とも連携、協議しながら、犯罪被害者等に係る施策の見直し、充実を図ってまいりたいと考えております。

松野(信)委員 ぜひ、この十三条の趣旨を踏まえて充実をしていただきたいというふうに思っております。

 特に警察の方は、犯罪が発生をした、そういう場合にまず第一線で捜査をする、直接に被害者の人たちと接触をする、いろいろな事情聴取、取り調べ、こういうものも行うわけでありまして、基本法は基本法でできましたけれども、やはり警察の対応というものは、この基本法ができる前後を問わず、これは大変重要なことだというふうに私は思っております。いろいろな情報を提供する、これも含めて、警察の犯罪被害者に対する対応、これはぜひやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 そして次に、法務省の方にお尋ねをしたいと思います。

 基本法の十八条、十九条というような条文があります。これは、十八条は刑事手続への参加を拡充するための制度の整備等というような内容、そして十九条は保護、捜査、公判の過程における配慮、こういうふうにうたわれているわけであります。

 現在、刑事裁判ではどこまで犯罪被害者の人たちが関与できるのか、今現在どういう状況になっているのか、そしてこの基本法が成立することによってそれがどういうふうになっていくのか、この見通し等についてお答えください。

河村政府参考人 犯罪被害者の方でございますとか、その御遺族の方々が直接公判で被害に関する心情などを訴えたいという思いは十分理解できるところでございまして、平成十二年の刑事訴訟法改正によりまして、被害者等が公判廷において被害に関する心情その他の意見を陳述できる制度の法整備を行っていただいたところでございます。

 これに加えまして、先生御指摘の犯罪被害者の方、あるいは遺族の方々が刑事手続に参加するということでございますけれども、これが検察官から独立いたしまして訴訟活動を行うような制度ということになりますと、刑事訴訟法の基本構造にかかわるものでございまして、慎重に検討すべきものと考えておるわけでございます。

 しかし、被害者が刑事手続に適切に関与することができるようにするため、現行制度に加えましてさらにどのような施策があり得るかということにつきまして、現在、法務省内に研究会を設けまして、幅広い観点から調査研究を進めているところでございまして、今後、このような調査研究の結果などを踏まえまして検討を進めてまいりたいと考えております。

松野(信)委員 犯罪被害者の方々が刑事手続にどういうふうな形で関与できるのか、これは大変重要な問題かと思います。現在は、今お話しいただきましたように、意見陳述という形でそれは実現できているわけでありますが、さらに進んで証人に対する質問、あるいは刑事被告人に対する質問、そういうようなところまでの権利を認めるかどうか、これは私も、なかなか、今の刑事訴訟法の構造からすると、率直に言うと難しい問題があろうかというふうに思っております。

 もう言うまでもなく、今の刑事訴訟手続というのは当事者訴訟構造というような形になって、検察官そして弁護人が法廷でやりとりをする、それを中立公正な裁判官が見た上で判断する、こういうような三角形の構造になっているわけで、ここに被害者の人をどういう形で入っていただくのが最も適切なのか、これは訴訟構造にもかかわる問題ですし、また、被告人は被告人の無罪推定等のいろいろな権利があるわけですから、その辺のバランスも踏まえた上で、これは十分慎重に検討していただかなきゃいけないというふうに思っています。

 今、御答弁がありましたように、検察庁としても、この問題はこの問題として大変重要な問題だ、こういう認識を持っておられるようで、部内で慎重に検討するという答弁がありましたので、ぜひ、検討を鋭意進めていただくということでお願いをしたい、このように思っております。

 率直に申し上げると、犯罪被害者の人たちの意見、これをさまざまお聞きしますと、法廷の中で被告人が言いたい放題言って、ある意味では犯罪被害者の気持ちを逆なでするようなというところもないわけではない、そういうものに大変苦しめられるというような声を私も聞いておるわけでございます。刑事訴訟構造との関係でどういうふうに位置づけるか、ぜひ、慎重に検討をお願いしたいというふうに思っております。

 それから、続いて、犯罪被害者の人たちに対する情報の提供、これまた大変重要なことであろうかと思います。現在でも、警察、検察それぞれに、犯罪の被害者の人たちに対しては一定の情報を提供する、サービスとして提供するというふうになっているかと思います。これはこれで行われているかと思います。

 その実態について、よければ、警察そして検察庁の方から、どういうふうな情報を被害者の人たちに現在提供しているのか、お答えいただければと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、平成八年二月に、犯罪被害者対策要綱というものを制定しまして、その中で、被害者への情報提供についても規定をいたしております。

 例えば、その中で規定をしておりますのは、刑事手続の流れ等を記載しました「被害者の手引」というものを配布したり、また、警察署等に被害者連絡担当者というものを指定しまして、随時、被害者に対して捜査状況等の情報提供を行っているということをやっております。

松野(信)委員 では、検察の方も。

河村政府参考人 お答えいたします。

 法務省におきましては、検察庁の方から被害者の方々に対しまして処分結果を通知させていただいたりしておりますほか、支援員による捜査の情報提供その他、パンフレットやホームページを作成させていただいているところでございます。

松野(信)委員 今、法務省は法務省、警察庁は警察庁で、それぞれ、被害者の人たちに対して情報の提供を行っている、こういうお話がありました。しかし、私が見ているところでは、必ずしも連携された、統一的な形で情報の提供がなされていないのではないか、こういう気がしてなりません。

 例えば、警察庁は警察庁で、これはありますが、「警察による犯罪被害者支援」という、なかなか立派なパンフレットをおつくりになっていらっしゃる。ところが、中身を見ますと、これはある程度やむを得ないところがあるかもしれませんが、警察庁がやっている犯罪被害者に対する支援はこうだああだという、それは載っているわけです。警察庁は警察庁で犯罪被害者対策室というのを設けてやっておられるわけで、それはそれで結構なんですけれども、例えば、これを見ますと、いわゆる犯給制度、犯罪被害者給付制度をやっているとか、あるいは指定被害者支援要員制度、そういうような要員を設けてやっているとか、そういうことは載せておられます。

 他方、検察庁は検察庁でまた同じようなパンフレットをつくっておられます。「犯罪被害者の方々へ 被害者保護と支援のための制度について」ということで、パンフレットをつくっておられる。

 この中身を見ますと、検察庁というものが刑事手続にどうかかわっているのか、捜査段階、そして公判段階で被害者をどういうふうに支援していくのか、こういうくだりが書いてはあるんです。

 しかし、例えば犯罪被害者給付金制度については何ら触れていない。これは、検察庁は、給付金制度については自分の所管ではないからということでパンフレットには載せていないのかもしれませんが、しかし、考えてみると、犯罪の被害者というのは、言うなら一人であるわけです。お役所は幾つもある。ほかにも、例えば先ほど御説明いただきましたように、厚生労働省は厚生労働省の役割でちゃんとやっています、こういうお話です。

 私は、もう少し、やはり犯罪被害者は一人でいるわけですから、検察庁にも行かなきゃいけない、警察にも行かなきゃいけない、また厚生労働省の施策の方にも対応しなきゃいけないということで、どうも少し振り回されるというか、ばらばらになっている、そういう向きがあるのではないか、こういう印象を持っております。

 そうした中で、今回の基本法案では、犯罪被害者等施策推進会議というのが、第三章以下、これは内閣府にできました。第二十四条以下、内閣府に、特別の機関として、犯罪被害者等施策推進会議というものを置くということで、会長以下十人の委員で組織されて、会長は内閣官房長官だ、こういうような組織が新しく設置をされるということになります。

 私は、この点は高く評価をしていいのではないか。今まで、ともすると、それぞれの省庁がそれぞれにパンフレットをつくったり、被害者に対応していたというものが、もう少し統一的な形で被害者に対して接することができるようになるかなと。ぜひ、そういうような形で、統一的な対応を進めていただければというふうに思います。

 この点については、まだ内閣府に犯罪被害者等施策推進会議というのができておりませんので、ここに答弁を求めるわけにはまいりませんが、きょうおいでいただいたところの代表として、法務省あたりに、ぜひ、ばらばらの対応ではなくて、できるだけ各省庁連携をとった対応を被害者の方にしていただきたい、こういう思いも込めて、法務省に答弁をお願いしたいと思います。

河村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の点につきましては、法務省といたしましても、被害者に対する情報提供に関してどのような連携ができるかも含めまして、関係省庁と十分協議しながら検討していきたいと考えております。

松野(信)委員 ぜひ検討していただいて、せっかく新しい基本法ができて、新しい組織もできるわけですので、ばらばらな対応でない、被害者の人たちに対する温かい対応をしていただきたい、こういうふうに思っております。

 先ほどもちょっとお見せしました、警察庁は警察庁のパンフレットというのではなくて、できれば統一的な形で、犯罪被害者の人たちがこれを見れば、大体国の施策が、どの省庁はどういうことをしてくれる、どこでどういうふうな対応をしてくれるというのが一目瞭然でわかるような、そういうパンフレットの作成など、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 そういうことを最後にお願いいたしまして、時間になりましたので、私の発言を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松下委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。

 本日は、犯罪被害者基本法案の審議ということでございますけれども、かつて我が民主党といたしましても、北村哲男先生と細川律夫先生で、ほぼ同じ内容の法案を提出いたしました。二〇〇〇年総選挙の後に、党の方で犯罪被害者についてのプロジェクトチームをつくりまして、細川さんが座長で、私が事務局長を務めさせていただきまして、そのときにほぼこういった内容の法案を提出させていただきました。

 あのときに、危険運転致死傷罪を特別法でつくるというのも提出をいたしまして、結局本会議で否決をされまして、その後、特別法ではなくて刑法改正という形で法務省から提案がなされまして、もちろん趣旨については賛成でありましたので、そういう形で成立をしてきたわけでありますが、願わくは、もっと早くこの法案もこういう形で処理がされていればなという思いもございますけれども、先ほど私どもが提案をしていたものに一歩前進するような形での趣旨の御説明がありましたことは大変喜ばしく思っております。

 ところで、その上で、この法案、この法案というか前に提出をいたしました法案については、既に百五十一国会で当委員会で質疑をさせていただいておりますけれども、改めて日本政府の対応について確認をしたいことがございます。

 一九八五年八月、イタリアのミラノで開催されました犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する第七回国際連合会議というものがあります。犯罪及び権力濫用の被害者に関する司法の基本原則の宣言というタイトルの決議案が採択をされております。いわゆる国連被害者宣言あるいは犯罪及びパワー濫用の被害者のための司法の基本原則宣言と呼ばれているものでございます。

 この決議に当たっては、日本の政府として、各国の意見の一致に向けて努力を払ったというふうに承知をいたしております。政府を代表してということになると外務省なんでしょうけれども、具体的に事務局として動かれたのは法務省であると承知をいたしております。

 法務省、この点について、かつて第百四十七国会で、臼井法務大臣のころですけれども、「同国連犯罪防止会議におきましては、三十二に上る多数の決議が採択されたわけでございますが、我が国は、同宣言の決議を重要な決議の一つと評価いたしまして、各国の意見の一致に向けて努力を払ったものと承知をいたしております。同国連犯罪防止会議におきまして、我が国を含む各国が意見の一致に向けて努力を払った結果、我が国を含む参加国の全会一致で採択されたものと承知をいたしております。」と答弁をされておりますけれども、この点、改めて確認をしたいと思います。

 日本政府は、そういった形で全体をリードするというか、取りまとめのために大変努力をされたということで間違いないですね。

河村政府参考人 御指摘の宣言は、一九八五年八月から九月に開催されました第七回国連犯罪防止会議において採択され、さらに同年十一月の国連総会において採択されたものと承知いたしておりますが、この決議の採択に当たりまして、先生御指摘のとおりの努力を払ったものと承知しております。

山花委員 つまりは、日本政府として、こういうことはぜひやろうということで今まで努力をされてきているわけであります。法務大臣のもとには何度か、犯罪被害者のことについてもしっかり検討していただきたい旨申し上げたり、あるいは委員会の場で申し上げてまいりましたけれども、そういった形で努力をされてきているわけでありますので、今回、今の段階では法案でありますけれども、この法律が施行された折には、法務省は特にと申し上げたいですが、政府全体としてしっかりと施策に当たってはお取り組みをしていただきたいと思う次第でございます。

 ところで、警察庁にお伺いをいたします。

 これは一九九六年の五月ですけれども、国連の犯罪防止司法委員会の第五回会合ということでしょうか、国連被害者宣言の活用及び適用についてのマニュアルを作成する、こういった決議案が採択をされまして、国連の専門家グループによって国連被害者宣言実施のための政策立案向けガイド並びに国連被害者宣言の活用及び適用のための被害者をめぐる司法に関するハンドブックというものが作成をされております。

 これを受けまして、ハンドブックなどもつくられたようですけれども、現在警察庁として、例えば被害者のための手引などを作成されていると承知をいたしておりますが、まず、全体として、犯罪被害者、先ほど同僚の松野委員からも指摘がございましたけれども、第一次的に被害者の方が接する機会というのは警察がほとんどで、時には医療機関でというケースもあるかもしれませんけれども、そういうことだと思います。こういったことについて、全体的にどういった取り組みをされてきたでしょうか。また、今後全体としてどういう取り組みをしたいという所信があればお聞かせいただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のハンドブックは「被害者のための司法のハンドブック」というものでございまして、これも御指摘のあったように、一九八五年に国連総会で採択された宣言を受けて、これを実行に移すために一九九八年に国連犯罪防止刑事司法委員会に提出されたというものでございます。

 これにつきましては、警察庁は早速その翻訳をいたしまして、関係都道府県警察に配付をし、被害者支援に関する学校での教育とか職場での教育に際してこれを活用するということをいたしておりますし、また関係の機関、団体にも配付をして広く周知に努めたということでございます。

 現在、このハンドブック、残部が余りないようでございますけれども、その中身につきましては引き続き、そうした学校での教育でありますとか職場での教育でありますとか、また関係機関との連携に際して活用しているという状況でございます。

山花委員 もう随分そのころから時も経過をいたしておりますので、場合によってはバージョンアップも必要かもしれません。当時、例えばDVであるとかストーカーなどは、まだそういう防止法なども成立をしていない時期のものでございますので、これは要望ですけれども、そういったものも含めて改訂作業などをやっていただければと思います。

 ところで、九〇年代に入りまして、犯罪の被害者についてということで、各国でも議論が非常に盛んになりました。例えば、アメリカの多くの州であるとかドイツでは、憲法そのものに国家の保護義務が規定をされておりますし、アメリカでは、九八年までに、すべての州で被害者権利章典が制定をされております。二十九の州では憲法上の規定でそういった権利が与えられている。

 イギリスでは、九〇年に政府が被害者憲章、そして九六年には新被害者憲章を発表しております。この憲章というのは、刑事司法機関や犯罪被害者援助機構等の実務規範というふうになっておりまして、事実上の規範力、拘束力というのを持っております。イギリスでは、被害者補償制度、これが大変充実をしておりまして、このことについても大変有名で、いろいろな研究書でも、清和法学で奥村先生であるとか、あるいは産大法学で、これも奥村先生ですね、こういう方が発表されたりしております。

 オランダでは、九五年に、被害者支援法などによりまして刑事手続や支援組織との連携を深めて、被害者に対してさまざまな救済のプログラムを実施しております。

 また、欧米諸国のみならず、九八年は台湾、また韓国などアジアでも同様の動きがある中で、大変私たちとしても少し焦るぐらいの気持ちがありまして、本当に日本はこういったトータルな支援がおくれているのではないかと思っていたんですけれども、政府もそれなりにいろいろと研究はされていたようです。

 法務総合研究所の犯罪白書、平成十一年度版は「犯罪被害者と刑事司法」という、きょうはコピーを持ってまいりましたけれども、こういうことで各国の事情について研究をされていたようであります。

 また、後ほど内閣官房にも少しお話をしたいとは思っていますけれども、平成十二年の三月には犯罪被害者対策関係省庁連絡会議の報告書というものが出されておりまして、さらには十二月二十五日、クリスマスのときには犯罪被害給付制度その他犯罪被害者支援に関する提言、こういう取りまとめもなされております。

 ところで、引き続きまして警察庁の方にお伺いをしたいと思いますけれども、この被害者対策関係省庁連絡会議でも指摘をされておりますけれども、特に性被害であるとか、あるいはこの報告書ではストーカーだとかDVだとかのことが書かれておるわけですけれども、被害女性対策ということで、大変残念なことに、大変努力されていることは承知はいたしておりますが、それでもいまだに、被害女性の側が実際交番などに行った、あるいは一時的に警察にいたところ、対応について不快感を示されるというケースが時としてあるわけであります。もちろん、女性警察官がたくさんいればそれでいいというわけではなくて、ちゃんと対応できる方がそこにいるということが大事なんだと思います。

 ただ、女性警察官志望者もそんなに、要するに母数の問題もありますから、ふやせ、ふやせと言っても、全体の警官の人員配置の問題もありますし、また受験生がそうそうふえている、増加傾向にあるというわけでもない中で、なかなか難しいことかとは思いますが、一方で、こういう対策のためにということですので、少なくとも、比率の面で、比率だけでいうと女性警察官、大変少のうございますので、そこの部分を上げるというような取り組みがあってもいいのかな。

 いろいろ施策を講じることということがこの法案の中身で要請をされておりますので、そういった取り組みをやっていただきたいと思うわけでございますが、この点について、特に警察官だけの話ではないかもしれません。女性の被害者に対してのバックアップ体制について、今後もしっかり取り組んでいただきたい、そのことに対して御所見があればお述べいただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 性犯罪は、羞恥心から被害者が被害申告をためらい、事案が潜在化する傾向がある一方、人権侵害の度合いが極めて高い重大な犯罪であると認識しております。したがいまして、警察としましては、積極的な被害申告を促し、被疑者を検挙するためにも、可能な限り被害者に精神的負担をかけないように、その心情に配意した施策を推進することが必要であるというふうに考えております。

 このため、警察としましては、性犯罪の担当係に専門の女性警察官を配置し、女性警察官による事情聴取等被害者の心情に配意した捜査活動を実施しますとか、性犯罪被害相談窓口の開設をいたしまして、そこに、被害者心理に精通した女性警察職員によるカウンセリングの実施でありますとか、警察と産婦人科医のネットワークの構築とかといったような対策を今推進しているところでございます。

 御指摘のように、被害女性の精神的負担を軽減するためには、被害者の心情に精通した女性警察官等の女性職員がこれに当たるということが極めて重要であると認識しております。今後、性犯罪の被害者の方に適切に対応できる女性警察官等の職員の育成、そしてまた、必要に応じてその増配置を図る等の施策を引き続き積極的に推進してまいりたいと考えております。

山花委員 質的な充実というためには、まず母数もある程度確保しないといけないと思いますので、その点はしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 また、今、性被害というようなことについてはるる御説明がございました。警察も最近いろいろやらなければいけないことがあって大変なんだと思いますけれども、DVだとかストーカーの関係でいいますと、必ずしも性被害の範疇に入らないケースもございますので、こういった点にも御留意をいただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 続いて、厚生労働省、お願いをいたしたいと思います。

 今回の法案の中では、保健医療サービス、福祉サービス、安全の確保、雇用の安定などいろいろと入っているわけで、先ほど同僚委員からも質問がございましたので、御答弁もあったものと承知はいたしておりますが、これまでの取り組み及び今後の取り組みということで、そういった形で聞こうかなと思っていたんですけれども、もう一歩ちょっと踏み込みまして、つまりは、特に医療のケースで申し上げますと、犯罪の特に被害者の方で、財産犯はいいとは言いませんけれども、財産犯に比較して身体犯等に関して申し上げますと、肉体的な、つまりフィジカルな点での医療というだけではなくて、その後、特にメンタルな面でいうと、重篤なケースだと何年もやはりケアが必要になったりとか、こういうケースがあるわけであります。

 こういった点について、やはり総合的な調査研究であるとか、あるいはそれに対する支援という取り組みというものを、ぜひ、今後この法律が成立した暁には、これを契機にやっていただきたい、このように思う次第でございます。この点について所信をお述べいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございましたメンタル面のケアでございますけれども、特に、犯罪被害者の方がいわゆるPTSD障害を受けられるということで、この点につきましては、やはり長期間の療養期間を要するものとして非常に注目されておりまして、専門家による専門的なケアが非常に重要な課題になっているというふうに考えているところでございます。

 私ども、PTSDの専門家の養成研修を行いまして、この成果を生かして、保健所でございますとか精神保健福祉センターでの相談支援をやってまいりたいと考えておりますので、そういう面での養成研修、あるいは相談援助の強化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山花委員 次に、内閣官房にお伺いしたいと思います。

 先ほど、犯罪被害者対策関係省庁連絡会議のことについて少しこちらから御紹介を申し上げてしまいましたが、百五十一国会のときに、当時安倍内閣官房副長官から御答弁をいただきまして、しっかりやってくださいという旨申し上げましたところ、「同連絡会議の場を中心に、関係省庁相互の連絡を緊密にしながら積極的に犯罪被害者対策を推進していきたい、」こういった答弁をいただいていたんですけれども、この後、どういった形で取り組みがなされていたんでしょうか。

鈴木政府参考人 犯罪被害者対策関係省庁連絡会議の活動状況についてお尋ねでございます。

 当会議につきましては、被害者対策に係る問題について関係省庁の密接な連携を確保し、政府として必要な対策を検討するため、平成十一年十一月に内閣に設置されたものでございます。その後、御指摘がございましたとおり、平成十二年三月に、当面の被害者対策について取りまとめました。

 以後適宜、連絡会議及びその下に設置されました幹事会を開催しておりまして、犯罪被害者対策等のフォローアップ、あるいは各省庁における犯罪被害者対策の実施状況を相互に確認し、対策の推進を図ってきたところでございます。

山花委員 まあ、そういうことなんでありましょうけれども、いろいろとその中で提言のようなこともされておりますし、各省庁の取り組みなどの報告もございます。

 また、これはどこが所管されていたんでしょうか、犯罪被害者支援に関する検討会という冊子が平成十二年十二月二十五日に出ておりまして、宮沢浩一先生を座長といたします委員の方から大変いい提言が出されております。ただ、まだまだちょっとそこまでたどり着いていないのかなとお見受けするようなものも残念ながらあるというのが実態であります。

 そこで、一つは、各省庁でいろいろそれなりに取り組みをされているということは理解できないではないのですけれども、やはり、かつてこの法案を策定しようというときに、どこが所管をするのだということが立法作業のときに非常に議論になりました。

 ただ、先ほど御紹介をいたしました国連犯罪被害者宣言であるとか、特に国連犯罪被害者宣言の十四項、十五項、十六項、十七項あたりですと、例えば十四項「被害者は、政府・ボランティア・コミュニティに基礎をおく機関、および地域固有の機関などから、物質的、医療的、精神的、社会的に必要な援助を受けることができる。」十五項「被害者には、医療サービスや社会福祉サービス、その他の関連援助について知らせ、すぐに利用できるようにしておかなければならない。」「警察、司法、健康、社会サービス、その他の関係担当者は、被害者のニーズに適切に対応し、適切な援助を迅速に行なうためのガイドラインについて、トレーニングを受けなければならない。」これが十六項です。

 こういうふうに、やはりどこの役所が仕切るというような中身ではありませんで、いわば、法務省が関係するケースもあるし、警察が関係するケースもあるし、厚生労働省が関係するケースもあるし、本日お越しいただいておりませんけれども、文部科学省が関係するケースもあるでしょうし、自治体は中央の権限の割り方と違いますから、場合によっては総務省から指示を出していただかなければいけないようなケースもあるのかもしれない。こういう中で、やはり所管は内閣府にすべきだろうというのがその法案を議論したときの検討の結果で、今回もそれを踏まえた形での委員長からの御提案という形になっているわけであります。

 つまり、個々の、大変いろいろな役所の方に来ていただいて、縦割りの弊害なんという言葉を使うのは失礼に当たるかもしれませんけれども、どうしてもやはり被害者サイドから見ると、縦割りの弊害のようなものが目につくところでございまして、そういった認識があった上で、犯罪被害者対策審議会というのを内閣府に設置するというような立て方になっているわけであります。

 十三年三月には、内閣府大臣官房政府広報室編ということで、月刊世論調査も犯罪被害者についての調査をされて、こういったものを公にされているようでありますけれども、こういった調査活動だけではなくて、当時、その法案の策定のときにも、ちょうど中央省庁の再編のころに作成をしたものですから、そのころは政治主導であるとかあるいは内閣府主導ということが非常に強く言われていて、内閣府がリーダーシップを発揮するんだというような議論があった中で、こういう立て方になっているのだということは、一応、今回の委員長から提案されたそのものではありませんけれども、この法案に関連する法律を策定した立場の者として、そのことは申し上げた上で、内閣府は今後しっかりとそういった観点から取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 この点について一言内閣府からいただきたいと思います。

永谷政府参考人 安全で安心して暮らせる社会を実現していくために、この犯罪被害者等基本法の趣旨にのっとりまして、各般の取り組みを総合的かつ計画的に推進していくというのが極めて重要なことであるというふうに認識しております。

 この法案が成立しました後でありますけれども、私ども内閣府としましては、この法案の中心業務でございます犯罪被害者等施策推進会議を設置するということと、その会議での審議に基づきまして、犯罪被害者等基本計画を作成するということ、非常に、大変重い役割を担うことになっております。そういう中で、先ほど来先生おっしゃっていますような施策の一体性みたいな部分を極力、その要請にこたえられるような形で配慮していければというふうに思っております。

 私ども内閣府でありますけれども、これまでいろいろな施策の総合調整事務というのをやってきております。やってきてはいるんですけれども、実はこの犯罪被害者対策ということに関して申し上げれば、初めてタッチする業務であります。いわばゼロからのスタートになるわけでございまして、そういう意味でも、これから先、関係省庁の協力を得ながら、体制の整備を初め、施行に向けたいろいろな準備を進めてまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞ先生方におかれましても、御支援いただければというふうに思っております。

山花委員 今回、この手のケースは初めてだということなんですけれども、その他の点でも内閣府にもうちょっとリーダーシップをとっていただければなと思うケースもいろいろありまして、なかなか関係省庁を束ねて、そして先頭を切るというのは難しいことだとは承知はいたしておりますけれども、大変重要なテーマだと思いますので、その点はしっかりやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松下委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 我が国の犯罪被害者支援というのは諸外国に比べて著しく立ちおくれています。犯罪被害者支援を法的にきちんと確立するというこの基本法の制定が被害者団体などから強く求められてきました。

 そこで、基本理念を初め、基本施策を規定し、施策を総合的に推進し、犯罪被害者の権利利益を図る犯罪被害者基本法の制定というのは、これは犯罪被害者施策の一歩前進であり、意義あるものであります。

 しかし同時に、基本法という、枠組み法という性格のものですから、その効果や実効性というものは、今後の具体的施策にかかってきます。

 私は、これを契機に、犯罪被害者の施策は大きく改善されることを期待し、行政府の基本法にのっとった施策が前進するように、立法府に身を置く者として、これからもフォローしていきたい、その努力をしたいと思います。

 そうした立場から、若干質問したいと思うんですが、犯罪被害者は、加害者からの被害、それに続く、被害者の方たちは捜査段階とかあるいは司法、マスコミ、地域など、いろいろなところから第二、第三の被害が生まれております。精神的に、あるいは経済的な被害を含めて、深く傷ついてきておられます。

 そこで、法案の基本理念では、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」と被害者の権利を明記しているわけですが、この権利規定というのは、国際人権宣言の権利規定や被害者団体などが提起する権利規定と比べると不十分さはありますが、何らの権利規定もない現行の被害者施策から見れば、これは改善であります。この被害者の権利規定がこれからの犯罪被害者施策のすべての根底に流れるというものになっていきます。

 現行の被害者の施策の一つである犯罪被害者給付金支給法ですね、この考え方というのは、社会の連帯、共助の精神という、こういういわばお見舞い的考え方に立った制度でやってきましたが、犯給法は、給付水準が低いということや対象範囲が狭いということ、犯罪被害者の皆さんの要望にこたえるには一層の拡充が必要だというのが実態です。

 本法案の基本施策の中でも、犯給法の充実が規定されておりますが、そこで警察庁の方に伺っておきます。

 被害者の権利を保障するという立場から、犯給法を充実する、見直しを進めることが必要だというふうに思うんですが、どのように取り組んでいかれるかを簡潔にお答えいただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 警察は、犯罪被害者に最も早い段階から、かつ、密接に接するという機関でございまして、したがって、そういう立場から、これまでも被害者支援のための施策に組織的、総合的に取り組んでまいったところでございます。

 御指摘の犯罪被害者等給付金の支給法でございますけれども、平成十三年に改正をされまして、重傷病給付金の創設、障害給付金の支給対象の拡大、また被害者に対する警察の支援といったような規定が設けられまして、その充実が図られたところでございます。そして、今回の犯罪被害者等基本法におきまして、御指摘のように、給付金の支給の充実を含めた、さまざまな基本的施策が規定されることとなったものと承知をいたしております。

 警察としましては、この基本法が制定された際には、その御趣旨を踏まえて、なお一層の被害者の救済に資するため、関係機関等とも連携、協調しながら、犯罪被害者等に係る施策の見直し、充実を図ってまいりたいと考えております。

吉井委員 また、この法案は、国が行う基本的施策を十三項目に規定していますが、今の給付金の支給に係る制度の充実、保健医療サービス及び福祉サービスの提供、安全の確保、居住の安定、民間団体に対する援助などがあります。

 このように、施策のほとんどを見てみると、これは財政措置に皆つながってくるわけですね。財政当局は、この法律案の犯罪被害者の権利の保障という趣旨を踏まえて、やはりきちっと財政措置をとっていくということが必要でもあり、また財政措置をとるようにされると思うんですが、まず、このことを確認しておきたいと思うんです。

松元政府参考人 財政当局といたしましての犯罪被害者のための施策についての御質問でございます。

 この犯罪被害者等のための施策につきましては、本法案を踏まえた具体的な手続や内容の検討が今後行われることになるというふうに承知いたしております。財政当局といたしましては、具体的な手続や内容が明らかにされておりません現時点におきましては、何とも申し上げられないということを御理解いただきたいと存じます。

吉井委員 九条関係で財政措置は触れているわけですよ。だから、具体的にこれにこう金をつけますという話じゃないんですよ。財政措置をきちんととって、この枠組みが本当に生かされるように取り組んでいくんですね、そのことだけ確認しておるんです。

松元政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますが、現時点で具体的なお話としては何も申し上げられないということを御理解いただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと、財政当局といたしましては、法律が成立いたしましたら、当該法律の趣旨や基本理念も踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。

吉井委員 これは、国会の方が今から法律をつくるわけですね。この九条関係、よく読んでいらっしゃると思うんですね。「この法律の目的を達するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」国会はこれを法律で定めようとしているときに、何とも頼りないお答えなんです。

 基本法ですから、枠組みをつくって臨むわけですから、具体的なものを今問うているんじゃないんです。こういうものを、きちっと法律に基づいて財政措置をとるんですねということを聞いているんだから、当たり前のことだと思うんです。きちっと答えておいてもらいたい。

松元政府参考人 お答え申し上げます。

 法案の趣旨に従いまして、関係諸方面と御相談の上、適切に対処してまいりたいと考えております。

吉井委員 立法者の意思を体して対処するのは当たり前なんですが、法律にきちっと私たちは明記するわけですから、この立場で予算措置をきちっととるとやっていくのが当たり前のことです。

 第三章の内閣府に設ける推進会議の十人の委員に、被害者代表、民間支援者、弁護士、専門家などを入れるとともに、確実に犯罪被害者の意見を施策に反映し、施策策定の透明性を確保する制度を確立する、こういうことが大事になります。

 このことを、これは、この法律がつくられたときにその立場で臨んでいくことを政府の側に強く求めて、発言を終わりたいと思います。

松下委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松下委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四分散会


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