衆議院

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第3号 平成17年3月16日(水曜日)

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平成十七年三月十六日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 松下 忠洋君

   理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君

   理事 増田 敏男君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 須藤  浩君

   理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君

      江渡 聡徳君    大村 秀章君

      川上 義博君    木村  勉君

      佐藤 剛男君    桜井 郁三君

      土屋 品子君    中山 泰秀君

      萩野 浩基君    早川 忠孝君

      宮澤 洋一君    石毛えい子君

      市村浩一郎君    加藤 尚彦君

      小宮山洋子君    今野  東君

      鈴木 克昌君    藤田 一枝君

      藤田 幸久君    牧野 聖修君

      松崎 哲久君    室井 邦彦君

      若井 康彦君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         村上誠一郎君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   総務副大臣        山本 公一君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   政府参考人

   (内閣官房地域再生推進室長)           滑川 雅士君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    福田  進君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       佐藤 正典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           阿部  健君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     中山 泰秀君

  小宮山洋子君     若井 康彦君

  島田  久君     加藤 尚彦君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     西村 康稔君

  加藤 尚彦君     鈴木 克昌君

  若井 康彦君     小宮山洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 克昌君     室井 邦彦君

同日

 辞任         補欠選任

  室井 邦彦君     松崎 哲久君

同日

 辞任         補欠選任

  松崎 哲久君     島田  久君

    ―――――――――――――

三月十五日

 地域再生法案(内閣提出第七号)

同月九日

 非核法の制定に関する請願外一件(山本喜代宏君紹介)(第三一八号)

 憲法の改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第四一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

松下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域再生法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。村上国務大臣。

    ―――――――――――――

 地域再生法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村上国務大臣 おはようございます。

 このたび、政府から提出いたしました地域再生法案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年における急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応して、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生、すなわち地域再生を推進することが重要な課題となっております。

 地域再生を推進する上では、地方公共団体が、地域における地理的及び自然的特性、文化的所産並びに多様な人材の創造力を生かして、自主的かつ自立的な取り組みを行い、国はこのような地域の取り組みを総合的かつ効果的に支援する必要があります。

 この法律案は、このような状況にかんがみ、地域再生基本方針の策定等政府全体として行う地域再生への取り組みを明確にするとともに、複数の省庁にまたがる同種の事業について、窓口を一本化して実施するための交付金の交付等の特別の措置を地域再生計画の認定に基づき講ずることにより、地域再生を一層強力に推進しようとするものであります。

 次に、その要旨を御説明申し上げます。

 第一に、政府は、地域再生に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本方針を閣議決定により定めるものとしております。

 第二に、地方公共団体による地域再生計画の認定申請、内閣総理大臣による計画の認定等の所要の手続を定めております。

 第三に、認定を受けた地域再生計画に基づき、地域再生に資する事業に対する投資を促進するための課税の特例、地域における生活環境の整備及び経済基盤の強化のための事業に充てられる交付金の交付等の特別の措置を講ずることとしております。

 第四に、地域再生に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする地域再生本部を設置することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

 以上であります。

松下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松下委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域再生推進室長滑川雅士君、内閣府政策統括官柴田高博君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、消防庁次長東尾正君、財務省主税局長福田進君、農林水産省大臣官房政策評価審議官佐藤正典君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、国土交通省大臣官房審議官阿部健君及び総合政策局長丸山博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。

早川委員 自由民主党の早川忠孝でございます。

 国家の基本問題について審議をいたします内閣委員会において、自由民主党を代表する形で質問させていただく機会を与えてくださったことに感謝を申し上げます。

 本年は、戦後六十年の節目に当たります。また、小泉内閣が発足して満四年を迎えるわけであります。日本再生のための小泉構造改革がいよいよその成果を上げる正念場を迎えていると考えております。

 この時期になって、野党第一党の民主党が、単純なる野党ではなく政権準備党であると表明をされました。本日の審議に当たっては、与党、野党の立場を超えて、日本の国の再生のために我々は何をなすべきかという観点から、また日本の国の政治を担う同志として、また日本の将来をつくっていく同志として、建設的な議論が展開されることを期待しております。

 そこで、本日提案されました地域再生法案の審議に当たって、私が持っております問題意識をまず述べてみたいと思います。

 我が国が抱えている最大の課題は、地域の再生ということもありますが、日本の国の再生ではないか、これが最も優先課題ではないかと考えております。

 地方分権推進あるいは三位一体改革、市町村合併の途上にあって、地域再生の基本方針をそれぞれの地方公共団体が策定するには、いまだその基盤が十分できていないのではないか。法律の制定によって、かえって地域再生計画が固定化してしまい、地方団体や民間団体の地域再生にかける夢あるいは自由な発想が妨げられたり、あるいは、一たん地域再生計画が策定されると、その後の弾力的な運用が阻害されることになるおそれはないだろうか。地域再生法の施行後七年以内に本法の見直しを行うこととされておりますけれども、これから国と地方の役割がそれぞれ急激に変わることが必至である時期において、見直しの時期を七年以内とされているのはなぜなのか。そういったことについて、いささか疑問を持っております。

 以上のような私の問題意識について、まず村上大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

村上国務大臣 早川委員の御質問にお答えします。

 私は、やはり地域再生は、国が一方的にメニューを用意するのではなくて、そういうような従来型の支援ではなくて、地域の特性、力を引き出すことが重要じゃないか、そのために、担当している特区とこの地域再生法を絡めながら、それぞれの地域の力、特性を引き出すことによって活性化を図り、地域の雇用の創出等を図りたい、そういう面の一つの触媒的な、一つのきっかけとしてこの法案を大いに活用していただきたい、そういうふうに考えているわけであります。

 やはり、地域再生の主体は、あくまで私は地域自身であると考えます。それは、なぜならば、地域の魅力や力を一番知っているのはそれぞれの地域の人々だからです。

 先ほど、最後に御質問がありました七年の問題でありますが、この法案上、見直しの時期を七年以内としていますけれども、これは五年程度の事業期間を想定している交付金の事業の評価を踏まえて、少なくとも七年以内に見直しを行うとしたものであります。

 そういうことから、地域の声を踏まえつつ支援措置の充実を図っていくこととしておりまして、必要に応じ適時適切に所要の見直しを行うというふうに考えています。

 以上であります。

早川委員 私も、弁護士として三十年間、さまざまな企業の再生等を見てまいりました。また、自治省という役所に入って富山県庁へ行って、地方の行政と国の行政を見てまいりました。

 そういう過去の経験から考えると、地域の再生というためには、やはり地域の特性を生かした地域間の競争を促すということは極めて重要であるということは同様であります。しかしながら、過重な債務を負担しているようなところ、そういった重荷を取ってあげないことには、なかなか再生のための意欲というのは出てこないだろうなというふうに思っております。

 いずれにしましても、地域の担い手となる新たな人材の育成を推進するとともに、町づくりや都市づくりの分野の施策の充実を図るなどの多様な施策の展開が必要であると考えております。

 概括的に、地域再生の推進に当たっての政府の施策の対応について、御説明をお願いしたいと思います。

村上国務大臣 今回提出させていただいている地域再生法は、先ほど申し上げたように、特区制度とあわせ、自主、自立、自考の取り組みを行う人を支援するために地域再生にも取り組みました。

 大きく三つの柱でございまして、第一は、地方公共団体の使い方を格段に向上させるための各省横断的な交付金制度の創設であります。例えば、今まで下水道については国交省、集落排水については農水省、それから浄化槽については環境省というように別々であったんですが、それを一括計上するというのは戦後初めての画期的な取り組みであります。

 それから二番目に、地域再生に役立つ事業を行う企業の民間資金を誘導するための税制上の特例措置であります。地域の活性化のための事業というのは、残念ながら、なかなか収益性が高いものばかりとは限らないわけで、やはり収益性の低いものであっても地域の活性化のためには必要である、そういう事業については税制上の特例措置を行うということであります。

 第三番目に、昭和三十年につくった補助金の適正化法というのがあるんですが、その特例の創設でありまして、最初の補助金の目的で、例えば廃校になった校舎のように、補助金で整備した施設を当初の補助目的以外に転用する際の手続を簡素化、迅速化して、既存施設の有効活用を進める、そういうふうにしております。

早川委員 ありがとうございます。

 今回の地域再生という考え方の中で、これまでの地方行政について大きなネックとなっていた補助金改革というのが大きく変わり、省庁横断的な交付金に変わっていくということは極めて画期的なことだと私も考えております。

 今、国が進めているさまざまな構造改革の中で、私は、規制改革特区という特区構想が極めて大きな貢献を上げてきているというふうに思っているわけであります。私の地元でもこの特区構想に取り組んでいるところでありますけれども、今回の地域再生法だけではさまざまな問題を抱えているということで限界があるだろう。

 そういうことで、特区と地域再生を兼ね合わせた形での地域の応援ということは極めて重要であると考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

村上国務大臣 今委員お話しになりましたように、特区は、官から民へ、国から地方へという構造改革を加速させるための突破口であります。委員の御地元である埼玉県の十五を含めて、全国に四百七十五件の特区が誕生しています。

 そういう面で、私も大臣に就任して非常に感心したのは、特区は宝の山であるなと。時間がないので言いませんが、特に、四日市のコンビナート特区だとか、カブトムシ特区、どぶろく特区、それから豊橋市の国際自動車特区というふうに、本当に、想像もできないようなそれぞれの地域の特性を引き出した特区があるんですね。やはり、そういうアイデアと今回の三つの柱にした再生法案をうまく絡めながらやれば、かなりいろいろなことができるんじゃないかな、そういうふうに私は考えています。

 そういう面で、委員がおっしゃるように、特区のアイデアは、カブトムシ特区のように一農家の方でも出せますし、最近はサマータイム特区のように地方の中学校の生徒さんも出しているんですね。アイデアはだれにでも出せます。会社でも出せます。

 そういうことで、そういうアイデアをみんなが出し合う、そしてアイデア合戦していくということが重要じゃないかな、そういうふうに考えています。

早川委員 地域再生の手法というのは非常に広範囲に考えられるわけであります。

 私は、地域の再生の中で、地域の子供たちやお年寄りが安心して暮らせるような、防災とか防犯に配慮した町づくりというのが極めて重要であろうと考えております。地域再生の取り組みによってそのような施策を積極的に打ち出していただきたいと考えておりますけれども、所管省庁での取り組みの御方針をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 警察庁といたしましても、犯罪に強い町づくりは地域再生に資するものと認識しておりまして、関係省庁と連携しつつ、ハード、ソフトの両面から取り組んでいるところでございます。

 まず、ハード面からの施策といたしましては、警察では、自治体等との連携のもと、道路、公園などの公共施設や、住居の構造、設備、配置等につきまして、犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい町づくりに取り組んでいるところであります。このため、警察庁としましても、共同住宅、道路、公園等に係る防犯上の基準の策定や、スーパー防犯灯の整備などに取り組んでいるところであります。

 また、ソフト面からの施策といたしましては、警察庁では、昨年六月、犯罪に強い地域社会再生プランを策定いたしまして、消防や市町村と連携しつつ、自主防犯活動の拠点の整備や、地域安全情報の提供、防犯講習、防犯訓練の実施等による自主防犯活動の支援に取り組んでいるところであります。

 特に、平成十七年度の予算におきましては、活動拠点を中心とした自主防犯活動を支援する地域安心安全ステーションモデル事業を全国百地区において実施するために要する経費を計上したところであります。

 警察庁といたしましては、今後とも、これらの施策によりまして、子供やお年寄りを初めとする地域住民が安全に安心して暮らせる町づくりを推進してまいりたいと考えているところでございます。

早川委員 総務省の消防庁の方からもお答え願います。

東尾政府参考人 総務省関係についてお答え申し上げます。

 ただいまのお話のように、地域の安全のためには、地域の安全の確保が地域再生のために非常に重要と考えておりまして、総務大臣は十六年五月の経済財政諮問会議におきまして、地域安心安全アクションプランというものを提出して、自主防災組織や消防団あるいはコミュニティー組織等の住民パワーを生かした、地域の安全安心の構築のためのネットワークの創出に取り組むことを提案したわけでございます。

 ただいま、それを受けまして、具体的には、全国の小学校区単位で公民館や消防団の詰所などを、先ほどの警察庁の御答弁のように、地域の安心安全ステーションとして指定し、そこを活動拠点としながら、初期消火、救急救命等の防災訓練、安心安全パトロール活動や危険箇所の把握などを行っていくようなことを考えております。

 十六年度につきましては、先行的に十五団体で取り組みをしたところでございます。十七年度につきましても、引き続き警察庁等関係機関と連絡いたしまして、全国百団体程度でモデル事業を実施し、このことによる報告によるモデル事業活動事例については、評価、検証を行いまして、他地域への普及を図ってまいりたい、このように考えております。

早川委員 これは内閣府の所管でありますが、中央防災会議で昨年の十二月及びことしの二月に首都直下地震被害想定結果が公表されました。極めて首都圏直下の地震の発生率が高く予想され、かつ被害が膨大であるという想定結果でありました。

 安心安全のための町づくりという観点からは、単独の市町村だけではなく、関係する市町村が広域的に連携して、災害に強い町づくりを推進していくことが重要と考えております。そういう観点からいうと、地域再生との関係で、所管省庁におかれてはどのような取り組みをお進めになるのか、お伺いをしたいと思います。内閣府の防災担当にお願いいたします。

柴田政府参考人 首都直下地震でございますが、御指摘のように、被害想定を出したところでございます。専門調査会で、東京湾北部を震源とする例えばマグニチュード七・三の地震につきまして、被害は最大で建物全壊、焼失棟数が約八十五万棟、死者数約一万一千人、経済被害約百十二兆円という甚大な被害を想定いたしてございます。

 これら想定される甚大な被害を最小限に抑えていくためには、平常時から建築物の耐震化、不燃化、市街地の面的整備、地域防災力の向上など、地震に強い国づくり、町づくりを推進する必要がございます。地域再生プログラム二〇〇五におきましても、公共施設の耐震化などによります生活空間の再生や、自主的な防災活動の活性化など、災害に強い町づくり、地域づくりの推進が位置づけられております。

 特に、首都直下地震はその被害が広域的に及ぶということ、地方公共団体ということで、官または地方公共団体と国との間の連携が重要でございます。御指摘のように、広域的な連携も念頭に置いて町づくりを進めていく必要があると考えておりますし、このことにつきましては、災害対策基本法及び防災基本計画におきましても、この連帯の必要性を定めているところでございます。

 この対策につきましては、被害想定結果を受けましたので、今後、専門調査会におきまして対策の議論を本格的に進めてまいりますが、この地域再生プログラム二〇〇五の視点も踏まえまして、首都直下地震対策を確立してまいりたいと考えております。

早川委員 ありがとうございます。

 地域再生については、平成十五年に地域再生本部をつくられて、法律によらない形での地域再生計画を推進されてまいったと思います。今回改めて、地域再生法という形での法律を必要とする、そういうふうに至った理由について具体的にお伺いをしたいと思います。

滑川政府参考人 地域再生につきましては、御指摘のように、一昨年の末から政府として取り組んでまいってきておるところでございます。そうした中で、既に二百五十件の地域再生計画も認定させていただいたというところでございます。

 ただ、その取り組みは、この取り組みを開始した時点で既に翌年度の政府予算案が決定してあったというようなことがございまして、そうした制約の中でやってきたということでございます。

 昨年の六月に、改めまして地域からさまざまな提案の募集を行いましたところ、補助金の整理統合など、予算関連を含めまして数多くの提案が寄せられました。

 このような地域の具体的な声を踏まえまして、より強力な地域再生を推進していくということで、平成十七年度の予算編成過程を通じまして、地域再生に資する取り組みについての十分な検討を行ってまいりまして、税制の特例など法的な位置づけが必要な措置を含めまして、より本格的に地域再生を進めるという法律の枠組みを構築させていただきたいということになったものでございます。

早川委員 三月の十五日付の日本経済新聞に、地域再生法案は志ある投資を後押しするということで、西村清彦東京大学教授の論考が載っておりました。地域再生に資する取り組みを行う民間事業者の出資について、課税の特例を盛り込んだということに極めて大きな意義があるという紹介でありました。

 この特例によって、具体的にどのような事業が推進されることとなるのか、お示しをいただきたいと思います。

滑川政府参考人 地域再生法案の支援措置の一つといたしまして、地域再生に役立つ事業を行う企業に対して個人の投資家が投資を行う場合に、投資額を控除するなどの課税の特例措置を設けております。今御指摘いただいたとおりでございます。

 この措置によりまして、収益性は低いが地域再生の観点から有意義な事業に民間資金が集まりやすくなるということが期待されるものでございまして、地域全体にとっても意義のある民間事業の円滑な推進を図るとともに、官から民への改革の流れを一層加速できるのではないかと考えております。

 課税の特例の対象となる事業といたしましては、医療、福祉、地域交通など、従来、公的主体が担ってきた事業分野、あるいはリサイクル、新エネルギーなどの環境負荷の低減、地場産業支援のための試験研究、商品開発、販路拡大などの促進といった、政策的意義が高いものの収益性の観点から民間事業者の積極的な参入が期待できない、そうした事業分野で、地域再生計画に位置づけられた事業を考えております。

 この特例措置によりまして、例えば例を申し上げてみますと、一例を申し上げますと、地域コミュニティーのための小規模バス事業などを行う企業の資金調達が容易になって、地域の足の確保ができるのではないか。あるいは、医師の新規開業を施設面で支援するクリニックモールのようなものの整備運営事業を行うような企業の資金調達が容易になって、地域の医療サービスの向上につながるのではないか。あるいは、風力やバイオマスというものを活用したような小規模電力供給事業を行う企業の資金調達が容易になって、環境対策に役立つような地域ビジネスが展開されるのではないかといったことを初め、さまざまな地域再生の取り組みの中で、地方公共団体、さまざまな意欲のある取り組み、民間の事業者と取り組んでいただくことを期待しているというような状況でございます。

 地域におきまして、民間事業者のノウハウや資金を生かした地域再生の取り組みが推進されるということで期待をしておるところでございます。

早川委員 私も、民間の事業者がさまざまな知恵を出していただく、また各地方団体においても知恵を出す、まさに地方の知恵比べという時代を迎えてきたんだなと思います。

 コミュニティーバスの事業の推進については、特に地域の関心が高いのではないかと思います。ただ、コミュニティーバスの事業運営については、事業の認可の要件が厳しい、これが阻害要因になっていると伺います。特区あるいは地域再生を通じた政府の取り組み状況について、副大臣にお伺いをいたします。

林田副大臣 委員御指摘のとおり、コミュニティーバス事業につきましては、地域にとってはなくてはならないというか、便利、特にお年寄り、あるいはまだ免許を持っていない方々の日々の交通であろうかと思いますけれども、このようなものは、これもいみじくも委員がおっしゃいましたように、採算性がどうしても余りよろしくないということで、民間事業者がなかなか参入しにくい分野でないかというふうに思っております。そういうことを思いますと、この地域再生法にも、今、税制の点を政府委員が説明しましたけれども、そういうものを考えていきたいというのが基本的にございます。

 したがいまして、今、具体的にコミュニティーバスの認可状況がどうかということでございますが、これにつきましても、既に、構造改革特区あるいは規制改革においてもいろいろな提案がなされております。したがいまして、政府といたしましても、検討した結果、具体的事例を踏まえて、認可基準、あるいは時間がかかり過ぎる等々も含めまして、許認可等の基準の運用を平成十六年度中に見直すということにしております。

早川委員 同じく副大臣にお伺いをいたしますけれども、課税の特例のような制度が本当に有効に機能するためには、制度の趣旨、内容を民間の事業者が十分に把握することが何といっても重要であります。こういった民間の事業者が地域に貢献するような事業に積極的に取り組む、そういう促進策ということを考えなければならない。

 政府として、まずは、民間事業者のニーズをどのように踏まえるか、あるいは制度の周知徹底をどのように図られるか、こういったことについてどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。

林田副大臣 担当大臣の村上大臣が何度もおっしゃっておりますように、この法案、まず、みずから、自分で立って、そして自分で考える、いわゆる自主、自立、自考の取り組みでございまして、これは何も行政機関等々だけではできない部分でございます。あくまでも、その地域に住んでおられる方々、いろいろな業種の中で悩んでおられる方もおられるだろうし、あるいは年齢層もいろいろあろうか、そういう民間の方々がいかにこれに入っていただくか、知恵を出していただくかということが決め手になろうかと思います。

 そういうことで、課税の特例措置の対象となる地域再生事業を民間事業者が事業主体となるものであるというふうにうたっておりますし、また、新たな制度であることから、委員御指摘のとおり、こういうことは全く地域にとって初めてだと思います。

 そういうことで、いかにこれを周知徹底するかということを我々考えておりまして、既に少しずつ動いてはおりますけれども、地域における説明会の開催やあるいは相談の窓口といいますか実施、あるいは、今はやりのインターネット等を駆使いたしまして周知するつもりでございますし、なおかつ、この税制の特例措置を活用する意向があるいわゆる民間事業者、地域で頑張っておられる、何か自分でも出していきたいなというような方があった場合には、相談を受けた場合には、地域再生計画に積極的に位置づけるように地方公共団体を指導してまいりたいというふうに思っております。

早川委員 構造改革特区の際に提案を募集したときは、大変多くの民間の事業者等からも提案があって、これが、日本が抱えているさまざまな現在の制度についての問題点を意識させることになったと思います。恐らくは、この地域再生の考え方もそういったさまざまな提案の中から生まれてきて、現在のような形になってきたんだと思います。

 そういう意味で、内閣が取り組まれている今の財政構造改革あるいは経済構造改革あるいは教育の構造改革、極めて重要な問題であります。特に、村上大臣はこの三本の構造改革を重要な柱であるというふうに主張されているところであります。

 改めて村上大臣にお伺いをいたしますけれども、これからの日本の再生のためのこういった新しい行政改革とか地域再生、規制改革、特区あるいは産業再生といったさまざまな日本の構造改革の重要な施策を、今後どのような形でもってさらに推進をされるか、我々後進の政治家にぜひ大臣の御所見をたっぷりとお示しをいただきたいと思います。

村上国務大臣 ありがとうございます。

 私は、ある面では、小泉総理から、郵政の民営化、道路公団の民営化以外のすべての構造改革をいただいているような気がします。そういう面では非常に感謝しています。

 先ほど委員に申し上げましたように、私自身は、やはり構造改革は、社会保障、地方自治、公共事業をスリム化して、可及的速やかに歳入的欠陥構造を是正すること。経済の構造改革は、技術革新、イノベーションを継続しながら、経営技術の習得、そして将来性のある分野への人と資本の移行をスムーズに行うこと。そして、最後の教育の構造改革は、文章力、読解力、数的処理能力の基礎学力をつけた上で、やはり自分の頭で考え抜く力とみずみずしい感性を持たせること、それで最終的には、きょう御出席の委員の皆様方のように、公の精神と青年の矜持を持ったリーダーをつくることだと考えています。

 まさに、今そういう目的のために、行政改革、規制改革、構造改革特区、地域再生、産業再生機構を担当させていただいているんですが、簡単に申し上げますなら、行政改革においては、やはり給与や定員の問題、それから、今回やりましたように、独立行政法人の統廃合の問題、そういうことによって歳出の削減を図る。

 そして、規制改革においては、御承知のように、市場化テストによって、インディアナポリスの市長のように国や地方の仕事を極力民の方に移行していく、そのために市場化テストでどんどん仕事を移行していく。そしてまた、混合診療とかそういうような規制改革によって、民のビジネスチャンスをふやしていく。

 あと、経済については、今言った規制改革、地域再生、構造改革特区、産業再生機構によって再生を図りつつ、教育においては、特区で、例えば最近できている日本語特区だとか、私がもし市町村だったらスパルタ特区みたいなものをつくって、先生方のように能力のある、持っている人たちの能力を極力伸ばせるようなシステムをつくっていきたい、そういうふうに考えています。

 そういうことで、今与えられた五つのツールによって、財政、経済、教育をいろいろな面でカットしていきながら、再生していけるように、皆さん方とともに努力していけたらいいな、そういうふうに考えております。

早川委員 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

松下委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長梅田春実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 次に、太田昭宏君。

太田委員 太田でございます。

 昨日、東京足立区竹の塚の東武伊勢崎線竹ノ塚駅の近くの踏切で、四人の方が死傷、うち二人が亡くなるという痛ましい事故が起きました。

 この踏切は、全国の遮断機つき踏切が三万五百三十九カ所あると聞きましたが、これを確認したいわけですが、保安係員が手動で再開する七十六カ所の一つであったということが報道されております。

 その辺の状況について、数の問題、そして、手動というものが一体どういう形で来ているのか。ああ、そんな、手動であけたり閉めたりということは余りに危険ではないかということを多くの方が印象づけられたというふうに思いますが、まず、その辺の数、また、実態、今回の事故の教訓等についてお話をいただきたいと思います。

梅田政府参考人 昨日、四時五十分ごろに、伊勢崎線三十七号踏切で歩行者が列車と衝突して、二名が死亡、二名が負傷するという事故がございました。

 亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げますが、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りしております。

 さて、御指摘の、質問でございます。全国の第一種踏切は、十六年六月時点で三万五百三十九カ所でございます。そのうち、手動の踏切は七十六カ所でございます。現在のところ、これを精査しておりますが、若干廃止された踏切もございますので、現在の時点では若干減ると見込まれます。

 この手動の踏切につきましては、主として、例えば、一番多いところはJR貨物の二十五カ所でございます。つまり、貨物の引き込み線とかあるいは専用線、こういうようなところで設けられているケースが多うございます。これは、ある意味ではダイヤが非常に不規則に動くようなところでございます。そのほか、旅客の点におきましては、今回の踏切のように、例えば東武鉄道だと三カ所ございますし、それから京成だと二カ所ございます。

 こういうふうなところでございますが、これは、今回、踏切の幅が十四メーターございました。比較的遮断時間が長い、つまり、あかずの踏切の状態であるということと、横断するためにかなり時間がかかるということのために、有人、人を配置して、中に取り残された方々が踏切の中で閉じ込められないようによく見て、それで、場合によっては若干柔軟に対応するというようなやり方で、安全をできるだけ確保するというようなことでつくられているものでございます。

 したがいまして、有人だからといって、規定どおり運用されれば、殊さら問題になることではないというふうに認識しております。

太田委員 長いから、中に取り残された人を何とかしなくちゃいけないから、有人にしている。だから、それは見方によっては、安全のためにやっているのか、危険というところにあえてほうり込むのかということですよね。

 私は、交通渋滞とかあかずの踏切ということを全面的にこれはしっかりやってもらいたいと思いますが、予算の関係もあったり順番もあるでしょう。しかし、もう一遍、一番大事なのは危険箇所という、あかずの踏切というと渋滞するからということで、それはまた一つ大事な問題です。しかし、こういう事故が起きた以上、危険箇所ということについて、早急に国土交通省としても対応できるようにということを強く要望したいと思いますが、いかがですか。

梅田政府参考人 私どもといたしましては、事故発生後直ちに係員を現地に派遣して、現在、原因の究明等に当たっておりますけれども、こういう問題、同種の事故の再発はぜひ防がなければいけないというふうに思っております。

 したがいまして、先ほど申しましたような踏切を管理する全国の鉄道の事業者に対しまして、まずマニュアルをきちっと守って運用するように注意を喚起したいというふうに思っておりまして、本日、通達を発出して、事業者の指導に当たりたいというふうに思っております。

 あわせまして、当該の踏切におきまして、今後こういうことがあってはなりませんので、どういう方策があるのか、地元の方々、事業者、それから関係の方々とよく相談をして検討してまいりたいというふうに考えております。

太田委員 少なくとも、七十六カ所、これについては大至急総点検して報告をしてもらいたいと思います。いかがですか。

梅田政府参考人 現在のところ、先ほど申しましたように、廃止されている踏切もございますので、実態を詳細に調べているところでございます。まとまりましたら、公表すると同時に、御報告したいと思います。

太田委員 まとまりましたらというよりは、調べますという答弁をいただきたい。(発言する者あり)

梅田政府参考人 先ほど言いましたように、現在調査しておりますので、きちんと調べますので、その点は任せていただきたいと思います。

太田委員 お任せをします、お任せをしますよ。だけれども、もう一遍僕が聞くというときがないように、すぐ調べて、こういうふうにきょうから動きましたという第一報をぜひともいただきたいと思います。

 鉄道局長、結構です。

 そこで、地域再生法です。

 私はかねがね、地域の活性という、町が壊れているという状況でどうするかということをずっと考えてきました。そこで、今回の地域再生法、非常に結構だ。

 しかし、市町村というここの補助金の縦割りということは改革する。そして、まず市町村の枠を超えるべきだという発想を持てということで、市、例えば私の田舎では、愛知県豊橋市というのがあって、先ほどの質問の中でも車の特区ということで説明があったところなんですが、隣には浜松があり、新しい中部の空港ができる、東三河というふうに言われる地域です。全国には、そういうふうに何々県でもない、また昔の藩でもない、通称言われているところが一つの生活共同体という、我々のところは東三河、三河の中でも東三河、こう言われるところで私は育ったわけです。

 そういう意味では、市町村と広域的な地域と、市町村単位に結局なってしまうんじゃないかなという感じが私はしているわけですが、ぜひとも、これからのあらゆるもののとらえ方として、市町村の枠を超えて、ある意味ではゾーンというんでしょうか、そういう角度でいってもらいたいというふうに思うわけですが、今回の法案のまず市町村の枠を超えよという発想について、答弁をいただきたいと思います。

村上国務大臣 太田委員の御質問にお答えいたします。

 まさに委員のおっしゃるとおりでして、今回の地域再生法の申請は、市町村だけにとどまらず、県や市町村との共同体でもできますし、我々も、市町村に限ったものであるというふうにまず考えてはおりません。

 そういうことで、地域の再生のためには、それぞれの地域の歴史的、文化的とか、いろいろな力があるわけですね。そういう地域の地域力と申しますか魅力を、やはり今委員が言われたように、今回の特区や地域再生法で引き出してほしい、そういうものが大きなねらいであります。そういうことによって、それぞれのゾーン同士のアイデア合戦を活発化させていけたら、そういうふうに考えています。

 例えば、地理的に広域にまたがる史跡全体を対象とした地域観光の振興や、広域的なリサイクル拠点の整備等による環境問題への対応など、市町村の枠を超えたこういった課題に対応していくことも、委員がおっしゃるとおり、非常に重要だというふうに考えております。

 このような観点から、地域再生の仕組みを活用して、市町村が広域的に連携し、あるいは都道府県と協力して、創意工夫にあふれる地域再生計画を作成することが非常に望ましいのではないか、そういうふうに考えております。

 そういう意味におきまして、市町村単位のみならず、このような広域的な取り組みについて積極的に支援していきたい、そのように考えております。

太田委員 縦割りの弊害をなくすというチャンスが訪れた、各省庁もまじめに一生懸命やっているということは、私は非常に理解をしている一人なんですが、しかし、昔から言われる、この縦割りでという嘲笑の対象になるようなことはもうほとんど今はないわけですが、あえてここで縦割りの払拭という角度がこの法案の中にはあるわけです。内閣府に予算が一括計上されるといえども、執行は各省庁というようなことになれば、三省庁を牛耳るということになるのではないかという危惧、そこのしっぽをしっかり切れということを私は強く要望したいと思いますが、いかがですか。

江渡大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 まさに委員が御指摘のとおり、その辺の点が私どもといたしましてもしっかりと考えていかなければいけないというふうに思っているところでございまして、それゆえに、今回の地域再生の交付金というものは、あくまでも、地域からの具体的な提案に基づきまして内閣官房が一元的に関係省庁と総合調整させていただいて、その結果として新たな制度として構築させていただくというところでございます。

 具体的には、地方公共団体が策定いたしました、そして内閣府において認定する地域再生計画、この計画に基づいて交付金が交付されるということになっているわけでございますけれども、今後は、毎年度内閣府が、地域から聴取した予算要望を踏まえまして交付金の配分を決定し、所管省庁に対して所要額の移しかえを行うなど、地域の意図を尊重して一元的に関係省庁の調整を行うということでございます。

 つまり、内閣府が地方の要望をしっかりと聞いて、内閣府が責任を持って行う、そういう対応をさせていただきたいと思っております。

太田委員 村上大臣も林田副大臣も敏腕だし、そういうことについてよくわかっている方なんで、僕は今、江渡さんがおっしゃったように、思い切ってここはがっちりと推進して、ハンドル、グリップを緩めないでお願いしたいと思います。

 逆に言うと、これは、率直な話をしますと、三位一体という中で、この三種類のものが交付金化されて一体となっていくという出自というか、そういうものがあろうと思います。今度はそこのところの、結局はそういうこと以外というところに展開をしたいというんだが、この道路整備交付金、汚水処理施設整備交付金、そして港の整備交付金という、内閣府に一括計上されるというここの三つだけでは何ともならないわけで、今度は財政的な出資の問題としてこうしたことを突破して、幅広い地域再生に向けてのリーダーシップをとっていただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。

江渡大臣政務官 お答えいたします。

 今まさに委員御指摘のとおり、この地域再生というもの、あくまでも幅広い分野ということでいろいろなことを考えていかなければならないと思っているわけでございます。ですからこそ、御指摘のとおり、交付金に限らず税制の特例とか各省庁の地域再生に資する施策など、本当に幅広く、多様な支援措置ということを用意していくことが必要であろう、そのように考えているところでございます。

 それゆえに、地域再生の補助金改革におきましても、地域からの具体的な提案に基づきまして、地域の自主性、裁量性の拡大の観点から、広い分野にわたって交付金化というものを推進してきたところでございます。

 地域再生法に盛り込まれました省庁横断的な交付金以外にも、地域介護・福祉や地域住宅に関する交付金、あるいはむらづくり交付金とか漁村再生交付金など、このように各分野において新たな制度の創設というものが今回の予算に盛り込まれているところでございます。そして、これらのことをしっかりと考えながら、積極的に活用が図られるように、地方公共団体に周知を図っていきたいと思っております。

 また、先般、二月の十五日ですけれども、地域再生本部におきまして決定いたしました地域再生推進のためのプログラム二〇〇五におきましても、地域再生計画に複数の交付金を組み合わせて行う総合的な取り組みというものが位置づけられたところでございます。

 そして、内閣総理大臣が第三者の意見を聞いて評価して行う認定に基づきまして、関係大臣が連携して支援する制度につきまして、平成十八年度から創設することを盛り込ませていただいたところでございます。

太田委員 こうしたことで、地域再生本部のほかに、都市再生本部がもう既にスタートして何年かたちます。

 我々は大きく、僕なんかは大変それについて推進をして、小泉内閣のちょうど発足したあのころに、都市再生本部をスタートさせたということを自負しているわけですが、もう一つ、構造改革特区というのがあって、現場からいきますと、構造改革特区と都市再生本部と今回の地域再生本部というのが一体どうなのかと。

 現場の市町村あるいは県にとっては、これは何を使うか、どういう手段が、どういう特徴があるか、お金が出るのもあれば出ないという、構造改革特区というのはまさに規制緩和をしてお金は出ないわけですが、どういう角度でそれぞれをどう使ったらいいのかというようなことも含めて、現場のそうした県の知恵を出す人、あるいは市長さん、そういう人たちにわかりやすく、この三つの特徴と使い方、そういうことについてよく説明をしていただきたいし、市長さんやあるいは地域の人の側に立ってそうしたことのバックアップ体制をとっていただきたい、私はこう思いますが、いかがでしょうか。

村上国務大臣 太田委員のおっしゃるとおりでございまして、今回の地域再生室ができた暁には、やはりその中身なりあれを周知徹底することがまず大事ではないかと思っています。

 まず、構造改革特区は、地域を限定して規制の特例を講ずるものであります。都市再生は、御承知のように、町づくりの分野における規制緩和、公共施設設備や地域活動への支援等を行う。今度の地域再生は、これらの分野の取り組みと連携しながら、地域の自主性、裁量性を拡大するための省庁横断的な交付金や、地域再生に資する事業を行う民間企業への投資を促進するための課税の特例等、独自の支援措置を通じて、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出など、地域の活力の再生を図るようにねらっているものであります。

 政府としましては、地域がみずからのアイデアに基づいてさまざまな施策を自主的に自立を目指して自分の頭で考える、そういう地域再生に取り組んでいくことを期待しておりまして、構造改革特区推進本部や都市再生本部と、他の本部ともども緊密に連携して地域の取り組みを支援していきたい、そのように考えております。

太田委員 いいお話をされましたが、まさに自立的にまた主体的に考えるということで、私も土木屋出身なんですが、なかなか町づくりの知恵を出すというのが、小さい、駅前をどうするかとか、または地域全体をどうするかということでも、そうするとすぐコンサルタントに投げていくとかいうようなことで、本当にそこの知恵を出す主体というもの、人材というものが非常に私は大事なことだというふうに思っております。

 そこのバックアップ体制をここまで整えて制度をつくっていこうとするならば、一番の基軸のところの知恵の主体、物を考える、何でもコンサルタントにぶん投げましたというようなことではない、そうした三つの地域再生、都市再生、構造改革特区というような判断の仕方も含めて、私はそこの人材の確保、その支援ということについて、ぜひとも地域再生ということで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

滑川政府参考人 地域再生を進めるに当たりまして、それぞれの地域がその特性を生かして知恵と工夫を競うアイデア合戦をしていく、それが活発に行われるということが重要であると考えております。

 このために、当然、委員御指摘のように、専門家やコンサルに任せきりにならないよう、構想力、調整力を持った地域自前の人材確保というものが重要であるとともに、地域再生の担い手となるさまざまな主体の方々の意識の向上というものを図れるような仕組みをつくっていくことが重要だと思っております。

 こうした認識のもとに、先月、地域再生推進のためのプログラム二〇〇五というものを地域再生推進本部で決定いたしました。この中で、地域再生の施策の柱の一つといたしまして「地域再生のためのひとづくり・人材ネットワークづくりの促進」を位置づけておるところでございまして、御指摘の人づくりのための支援を適切に行ってまいりたいと思っております。

 具体的に例を挙げますと、例えば、地域からの相談にワンストップで対応する地域再生支援チームというものを設置したり、あるいは市町村などに地域再生のアドバイスを行う地域再生伝道師の活用などを行うなどによりまして、地域におきまして、地域再生の取り組みに対して人づくりの観点から積極的に支援していくということを考えているところでございます。

太田委員 今から六年前に、町づくり三法というのが大変大きな課題になって審議をしたことがございます。僕は積極的に論議に加わったわけですが、六年たちました。都市計画法の改正、中心市街地活性化法、そして大店立地法、こういう三つの法律、町づくり三法の見直し時期に来ているなというふうに私はずっと思っております。

 これも、省庁に聞きますと、なかなか難しいというようなことを言うわけです。何かそこでみんな思っているんですか。当時は大店法、私は、今は各市町村単位になってしまっていますから広域ということに対して意見が出せないということになります。ですから、ここから排除しても隣接のところに大きな店舗ができて、そして壊滅的になってしまうというようなことがあって、もう少し広域的調整というようなことができるように町づくり三法というものを改正した方がいいということを強く言っているわけなんですが、なかなかこれが、きょうは経済産業省は来ているのかな、経済産業省は何々が難しゅうございます、農水省は何々が難しゅうございます、国土交通省は何々が難しいことでございますと。

 今は、難しゅうございますじゃなくて、それを集めてこうするんだというところが一番大事な内閣府の役割ということで、私はそういう時代に来ていると思いますが、この町づくり三法を見直せということを強く主張したいわけですが、だれが答えるのかわかりませんが、とにかく質問だけします。

迎政府参考人 商店街関係の方々等いろいろな方々から、町の活性化を何とかしてほしいというふうな多くの御意見をいただいております。

 中心市街地の活性化が進まない要因といたしましては、郊外に大型店が立地をして競争が激化をするというふうなこともあるわけでございますけれども、ただ、これだけではなくて、都市が拡大をして郊外に居住者がふえている。車社会が進展をいたしまして、そういった町中よりもロードサイドの駐車場の広いところに買い物に行く人がふえているとか、あるいは、町づくりの中で人が集まるような病院ですとか学校ですとか、こういったものが郊外に立地をしてなかなか人が町中に集まらなくなっている。あるいは、商店街自体が、シャッターを閉めた店がそのままずっと長期間閉めたままになっているというふうなこともあって魅力が低下しているとか、いろいろな要因が複合的に関連をしておるわけでございます。

 そういう点では、なかなか難しい問題ではあるわけでございますけれども、町づくり三法施行後、日にちもたちましたので、私ども経済産業省といたしましては、現在、産業構造審議会と中小企業政策審議会におきまして、幅広い関係者の方々から意見を伺いながら、また関係省庁とも連携をしながら、町づくり三法につきましては見直しを含めて検討を進めておるところでございまして、できますれば、ことしの夏ぐらいには方向性というものを取りまとめたいというふうなことで、作業をしておるところでございます。

阿部政府参考人 私どもといたしましても、中心市街地の衰退という問題は、やはり都市の顔が中心市街地でございますので、非常に重要な問題でございまして、その解決が地域再生にも大きな意味を持つというふうに認識しております。

 そういう観点から、私ども、従来から、地域の創意と工夫を生かしたまちづくり交付金の創設とか、これは十七年度からは公共団体と民間が一緒になって、公共施設整備とあわせて民間の事業も立ち上がるような、そういう総合支援事業、こういったものも創設いたしております。

 そういう流れでございますが、さらに、学識経験者にも御参加いただいたようなアドバイザリー会議を今設けておりまして、その中で中心市街地再生のための町づくりのあり方について検討しております。そういう中におきましては、先生御指摘の広域的な調整機能のあり方も含め、要するに、中心市街地の活性化に一体どのような対策が必要か、規制、誘導、公共施設整備、あるいは交通対策、いろいろございますが、そういう中で総合的に検討しているところでございます。

太田委員 滑川さんと迎さん、せっかく答弁を代表でするわけだから、本当にやってくださいよ。この場しのぎで答弁されても困るからね。これは、夏までといって、そこのところに例えば私なんかの意見もしっかり入れて。

 非常に不満なのは、そういうような形もそうだが、生活環境概念ということが非常に大事で、大型店舗が出ます、そしてそこの交通が渋滞をするからチェックができます、あるいは、いろいろな廃材が出たりごみが出たりするということだけは注意しなさいというぐらいの、狭い意味での生活環境概念みたいなことに結果的にはなってしまっているんだ。

 僕はずっとそこを、かなり、十時間以上私は質問をしたりしてそのときにやったんだけれども、もっと幅広い、まさに今回言っている、町づくり、そしてみんなが歩いて暮らせるとか、そして新しい時代の町づくりという観点に立って大店立地法というものは考えていかなくちゃいけないというような思想性を私は指摘をしたのが六年前。

 ぜひともそういう観点をしっかり入れて、そして、今回のこの都市再生というのはそういう角度である、時代はそうなっていますよ。そこのところをよく踏まえて、省庁を代表してきょうは二人で来たということで、全責任を、さっき任せてくださいと言って帰った人がいるけれども、任せてくださいということで帰っていただきたいと思います。

 最後になりますが、補助金適化法の特例をぜひとも生かしてもらいたいということで、空き教室やそういうものが非常に多くなりまして、その辺の、デイサービスセンターにしたり、公営住宅を福祉施設にしたり、漁村センターを農産物の販売所にする際に、弾力的に、また迅速に、簡単にできるというようなことが今回のこの地域の再生という法案においてはできるということが、非常にまた大きな、現実的な、法案ができました、自分たちの生活とか自分たちの地域にとってこれはありがたい法律だなということが非常に大事で、法律をつくりました、全然使われませんでしたというのが結構いろいろな省庁の法案にはあるわけなんだが、これはこういうことでということはかなり具体的に、空き教室を初めとして、そういうことがこうなりますよというような手をしっかり打っていただきたいと私は思いますが、最後の質問になりますが、いかがでしょうか。

江渡大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 まさに委員の御指摘のとおり、既存のストックをうまく使っていくということは本当に大事なことであろうと思っております。ですからこそ、そのことを有効活用することによりまして、地域の需要に迅速に対応することができるわけでございますし、また、追加的な財政負担というものを抑制することができる、そのように考えております。

 ですからこそ、そのことをしっかりとさせていくために、今回の地域再生法の支援措置の一つといたしまして、補助金等適正化法の特例を設けまして、補助金で整備した施設を転用する際の手続を簡素化、迅速化し、既存施設の有効活用を進めるということにしているわけでございます。

 具体的には、地方公共団体が補助金で整備した施設を転用して行う事業を記載した地域再生計画を内閣府に対して認定申請を行いまして、計画が認定されれば、今先生がおっしゃられたように、補助金等の適正化法の補助対象施設の転用というものが承認されたというふうにみなすわけでございます。

 このことによりまして、まさに内閣府の窓口が一本化ということになされまして、地方公共団体の手続負担というものは私は軽減されることであろうと思っていますし、また、三カ月以内という期限を区切って手続を処理するということにしております。ですからこそ、まさにワンストップで、三カ月以内にやるということであります。そして、本当にこの結果によって、イエス、ノーが三カ月以内に出るということですからこそ、しっかりとした形を進めていきたい、そのように思っているところでございます。

太田委員 仏つくって魂入れずという言葉があるけれども、魂をぶち込んで、村上大臣の気合いで、実りあるものに、ぜひとも、この法案は運用が大事ですよ、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

松下委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 これから一時間にわたりまして、この地域再生法案に関しましてさまざまな議論をさせていただきたいと思いますが、大きく二つに絞って、前半、後半ということでやらせていただきたいと思います。

 後半では税制のことについていろいろお聞きしますけれども、まず、もっと大きな観点から、今度の法案は地域再生法案と呼ばれております。通称かどうかわかりませんが、ひょっとしたらもっと長い名称があって地域再生法と略して言っているのかもしれませんが、少なくとも地域再生法ということでこの法案は呼ばれているわけでございまして、地域再生となりますと、これはかなり大きな志を持った法律ではないかというふうに、普通はそういうふうにとらえるのだと思います。

 そこで、本当にこれがその名にふさわしい法律かどうかにつきまして三十分ほどいろいろと議論をさせていただきたいと思っておるんですが、まず、村上大臣、これは地域再生法ということなんですが、改めてここで、この地域再生法で定義されている地域再生ということについて教えていただければと思います。

村上国務大臣 市村委員の御質問にお答えします。

 まず最初に、この地域再生というものの取り組みについて若干お話ししたいと思うんですけれども、やはり私は、地域再生というのが、国が一方的にメニューを用意する従来型の支援措置ではなくて、やはりそれぞれの地域が特性や力があるわけですから、それを一番知っているのは地域の皆さん方である。そういう地域の皆さん方が自主的に、自立を目指して、自分の頭で考えていくということが今回の再生法の大きなねらいであるというふうに考えております。

 そういう中で、地域の取り組みを支援する、国としてはそういうふうに努力するところの地域を支援するものと考えているわけですけれども、地域再生の主体はあくまでその地域自身であるというふうに考えております。

 ですから、そういう面において、先ほど太田委員の方からも御質問があったように、市町村という立場もあれば、国と市町村の共同体というものもあれば、それぞれのゾーンも含めて、自分たちがそこの地域の主体であるというふうに考えているものが地域再生の地域というふうに私どもは考えております。

市村委員 今大臣がおっしゃっていただいたことというのは、つまり、では、法律的には、地域再生というのは具体的に定義をしているわけじゃなくて、今おっしゃったように、地域の皆さんが自立できるように、また、みずからで考えられるように、地域のことを考えて動いてくださるようにというか、あくまで地域だということですね。

 ではここで、またもう一個だけその質問をさせていただきたいんですが、では、地域が再生されるということは、どのようなことで、具体的なイメージというのはお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

村上国務大臣 実は、私もこの担当をするまで、特区を一つとってみてもよくわかったんですけれども、大臣になるまでは、特区というものがいろいろ行われている、例えばどぶろく特区があるとかいろいろなことは知っておったんです。ところが、全国のそれぞれの特区のアイデアを見ていますと、先ほど申し上げましたように、我々の想像以上にそれぞれの地域の特性を引き出しているわけですね。

 例えば、最初に申し上げました三重の四日市のコンビナート特区というのは、コンビナートというのは普通は物すごい面積が要るんですね。それを、水のファイアウオールをつくることによって、その数分の一の面積でできるコンビナートをつくることを可能にしたわけです。そうすると、何と五年間で七百億の設備投資を引き出したわけですね。

 それから、先ほど太田委員のお生まれの地域であった豊橋においては、国際自動車特区ということで、あそこは、BMWだとかベンツだとか、年間何万台も車が陸揚げされるんですね。それが例えば整備工場に行くときに、今までは、普通の従来どおりのナンバープレート、鉄のやつを張っていたわけですね。それを何とプラスチックでぺたっと張れば済むようになった。そのための取りつけ時間や経費が物すごい。

 そういうようないろいろなあれを見て、つくづく私が感服したのは、やはり、まだまだ地域には、それぞれの地域や特性を考えたアイデア、そういうものの力があるんじゃないか。

 また、今まで国の政治というのは、規制ということで国全体に網をかけていたんだけれども、やはりこれからは、そういう地域の魅力や力を引き出すために、地域がみずからの足で立って再生できるような形に大きくサポートするのがこれからの国の役割じゃないかというふうに考えています。

 ですから、それぞれの地域によってそれぞれの独自性があるわけですから、一律的には物は言えないんですけれども、まさに、そうしたように、それぞれの地域にあるいろいろな歴史や文化や伝統やそういう力を引き出すということによって、それぞれの地域の力を引き出すことによって活性化され、結局は雇用が創出される、そういうことをねらえるんじゃないかなというふうに思っています。

市村委員 今大臣がおっしゃっていただいたことは私も全く同感で賛成なんですが、では、この地域再生法が今おっしゃったような力を引き出すものになるのかどうか、ここは問題だと思います。

 では、具体的にこの地域再生法の中で、今種々いろいろ説明をされておりますが、大臣が、この法律のこの部分を使えば、今おっしゃったように、みずからの力で考え、みずからの力で地域の特性を引き出して、地域の独自性や特性や伝統文化を生かしてやれるんだ、どこがそうなるのかということをまた御説明願います。

村上国務大臣 大きく三つの柱になりまして、先ほど来御説明しましたように、一つは、補助金は今まで各省ごとにばらばらであった。それで、これははっきり申し上げて各市町村長さんたちの要望であったんですが、特区のときもそうですよね。特区を申請するときに、今まで特区室がなかったから、文部省だ建設省だと、いろいろなところへ行かなきゃいけなかったわけです。それが、特区室をつくることによって、特区室のスタッフがそれぞれの役所と打ち合わせをしてくれて、どういう形でやったらその特区が成りやすいかとかいろいろサポートするわけですね。

 それと同じで、今まで、先ほど申し上げたように、下水なら国交省、集落排水なら農水省、浄化槽なら環境省と、いろいろ行っていたわけですね。それを、地域再生室ができれば、そこへ行けばそれぞれの地域に合ったどれが一番使い勝手のいい補助金であるか、また、それがいろいろ融通が、年度にまたがった場合どうしたらできるかとか、いろいろ配慮できる。

 それから二番目、これが一番私は今回のあれだと思うんですけれども、やはり、地域再生のためにいろいろな民間の資本を引き出さなきゃいけないわけですね。ところが、御承知のように、民間の資本というのは、収益性が高ければどんどん出資してくれるわけですけれども、やはり、収益性が低いとどうしても出資しにくいわけですね。これも、先ほど申し上げたように、国が一律的なメニューを与えるのではなくて、それぞれの地方公共団体や事業者がこういうことをしたいということで、そちらから提案をしていただくという形をとっています。そういう面で、また特区と同じように、税の特例措置のいろいろなアイデアがどんどん出てくるんじゃないか。

 最後に、先ほど太田委員が力説して帰られたように、今まで、本来この補助金はこの目的のために使うという建物だとか施設があるわけですけれども、それが時代の変遷によって廃校だとかいろいろになった場合、それを別なところに転用することを補助金の適正化法の特例ということで、昭和三十年にできた法律でありますから、五十年ぶりに改正することによって、そういう今までの既存の施設やいろいろなものを新たな需要に振り向けることができる。

 そういういろいろなものを、先ほど言った三つのものを絡み合わせながら、また特区も絡めながらやれば、私は、我々が想像している以上にいろいろなアイデアが出てくるんじゃないか、そういうふうに考えています。

市村委員 ありがとうございます。

 今、三つ挙げていただきました。二番目の民間の資本を引き出すということにおきましては、多分税制のことですから、後で議論させてください。

 特に一番目なんですが、今度地域再生室というのができるんだ、地域再生室ができて、そこがまとめてやっていただけるんだ、こういう話なんですが、今までもいろいろこの種の試みがあったかもしれません、各省庁、縦割りじゃなくて、横断的なものが必要なんだと。しかし、ここは、きょう現在に至りましても、地域再生室をつくらなければいけないということが物語っていますように、残念ながらうまくいっていない。やはりどうしても、各省庁の思惑やいろいろな各省庁の周りにいる方たちがそれを働かせないような動きをしてきたことも事実なんじゃないかと私は思っています。

 では、今度この地域再生室は必ずうまくいくのかというところで、先ほど村上大臣は、エネルギーで、志でというお話もありましたけれども、本当にこれを突破していただけるのかどうか、大臣、その辺の決意をちょっと。

村上国務大臣 実は今まで、委員御承知のように、例えば、農水省なら農水省の補助金を一括するとか、建設省なら建設省になるというのはあったんですけれども、今申し上げたように、建設省、農水省、環境省、それから、例えば港ですと漁港は農水省で一般の港は運輸省、このように各省庁にまたがる一括計上というのは戦後初めてなんです。大体御推察いただけると思うんですが、そういうふうに今までの各省庁にまたがるものを一括計上するということは、ある面では日本の行政上では画期的なことなんです。

 そういうことで、今般の地域再生法に基づく省庁横断的な三つの交付金は、今申し上げた道整備の交付金、それから汚水処理施設整備の交付金、それから港整備の交付金、そういうことが一応象徴的なんですが、及び地域再生推進のためのプログラムに位置づけられた各省の四つの交付金、例えば地域介護・福祉空間整備の交付金、それからむらづくり交付金、それから漁村再生交付金。地域住宅交付金は、昨年六月に行った地域再生の提案募集で、地域からの具体的な提案に基づいて、地域の自主性、裁量性を拡大される観点から支援措置として盛り込まれたものなんです。

 そういうことで、これをこれから内閣府において、子供は小さく産んで大きく育てるということがあるように、私は、これを一つの大きな試みのきっかけとして、私のように丸々と育てていきたい、そういうふうに考えております。

市村委員 つまり、何で三つに限定したのかという質問もしようと思ったんですが、要するに、小さくスタートして大きく育てていくというお話だということで、一応、私はこれでこの話はしません。

 先ほどもちょっと同様の質問があったかもしれません。これまで特区室もあれば都市再生室なんかもいろいろあったんだと思いますが、こういうことのちゃんと、連携とおっしゃいましたけれども、やはり、本当に何でこんなに幾つも幾つも出てくるのかな、どうせならこの地域再生室に全部まとめた方がいいんじゃないか。せっかくそこまで内閣府が志を持ってやろうとするのであれば、また大変だと思います、これは、いろいろな各省庁の抵抗とか、周りのいろいろな人たちの話も、抵抗もあるでしょうから。

 そうしたら、これはもう一本に絞って、そこで徹底的にやっていく、今のお志のようにやっていくということであれば、一本に絞った方がいいんじゃないかと思うんですが、大臣、その辺はどうでしょうか。

村上国務大臣 これは、私も担当大臣として実務を掌握してびっくりしたんですけれども、やはり、毎年、例えばもみじ月間とかありまして、全国から何百何千というのが来るわけですね。その中で、簡単に言えば、特区についてなんですけれども、本来今の法律でできるものだけれども、残念ながら誤解なさっていて出すものだとか、全部で千幾つ一々チェックしなきゃいけないんですね。やはり、その事務量も実は大変なものなんですね。

 今度また地域再生というものができて、やはり、今回の新たな試みですから、先ほど言った汚水処理の国交省の専門で査定する人、農水省の集落排水で査定する人、また環境省におけるそういう査定する人たち、ある程度、専門的知識を持った人を集めなきゃいけないわけです。そういうことで、いろいろな今までのノウハウや力をかりながら、やはり独自に内閣府で人材もつくっていく、そういう同時の作業もしていかなきゃいけないわけで、将来的には、今委員が言われるようなものが望ましいと思うし、そうなるんじゃないか、現に両方兼ねている人もいますからね、少ない人員でやっていますから。

 ただ、私は、今回やってみて思ったんですけれども、内閣府というのは仕事量は莫大に多いんですよ。例えば、ここの担当じゃないんですけれども、市場化テストというものもあるんですけれども、これでも限られた人数で、きのうも宇佐美委員から御質問がありましたけれども、人員をふやさないように極力努力して、各省庁から借りたりして、だから、絶対数はふやしていないんですけれども、本当に物すごい莫大な事務的作業が要るんで、やはり当分の間、セクションを分けてやらせてもらった方がいいんじゃないか、そういう気がします。

市村委員 いろいろな経緯があってできたものですから、なかなかそう簡単には、一足飛びにはならないのかもしれませんけれども、ただ、特に人員が少ないのであればあるほど、やはり一つに統合して、そこでそういった人材を生かしていく方がいいのではないかというのが率直な思いであります。

 私も、以前の仕事で、阪神・淡路大震災の復興過程で活躍していただいたNPOにいろいろな活動資金を助成する仕事をしていました。プログラムオフィサーという肩書だったんですが、一人でほとんどそういうことを、いろいろな申請があるわけです、申請があって、一つ一つ現地、現場に足を運んでじっくり話を聞いて、それで、では、あなたのところにはこれぐらいのお金が必要かな、また、プログラムとしてはもっとこうした方がいいんじゃないでしょうか、こういう話もしておりました。

 それでも年間百件近いいろいろなプログラムに助成ができていますし、それ以上に、何百件といういろいろな申請を受けるわけですね。それを一人でやっていた経験もありまして、担当者の志と本当に熱心さがあれば、私は、少ない人数でも千件ぐらいであれば、私の直観的な、素直な感想で言うと、千件ぐらいなら四、五人もいれば十分にやれることかなというふうには思っておるんですが、ただ、もっともっといろいろ多岐にわたるかもしれませんから一概に言えないと思いますけれども、ぜひとも少ない人数でやっていただくということはお願いしたいと思います。

 それで、これから地域再生ということで、いろいろなアイデアを求めていくんだ、先ほども人材が必要なんだという議論もありましたけれども、これのスキームを見ますと、基本的にワンストップ、一つの窓口だ、これはこれでわかるんです。しかし、どうしてもやはり内閣府と、認定された都道府県というか地方自治体だということになっているんです。結局、ある意味でいえば、私の立場からすると、残念ながら、行政の中だけで情報が回るような、知恵もそこからしか出てこないようなイメージなんですね。

 だから、そこでもう一つ、先ほど御説明があった、いや、これは今度は事業者が提案できるんだという話もありましたが、しかし、もっと幅広く地域の皆さんの声をこうした地域再生計画に入れていくということも必要ではないかと私は思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

村上国務大臣 市村委員御指摘のとおり、法案では、地域再生計画の認定を受けた地方公共団体は、地域再生本部に対し、政府の地域再生に関する施策の改善について提案する旨を規定していると第十一条第一項及び第二項に書いています。

 これは、認定を受けた地方公共団体には地域再生計画の実施を通じて得られた知見に基づいて有益な提案を行うことが特に期待されるための、法文上、明確に提案権を規定したものなんです。

 しかしながら、これは、政策の提案の主体は、認定を受けた地方公共団体に限定する趣旨ではなくて、今後も、従来と同じく、地域からの提案募集を引き続き実施し、幅広く地方公共団体また民間事業者等からいろいろな提案を受け付けてまいりたい、そういうふうに考えているわけであります。

市村委員 受け付けていきたいというその思いは大変私はいいと思うんですが、実際、では、本当に受け付けてくれるのか。

 例えば、私が一市民として市役所に行って、いや、今度、地域再生計画というのをつくっているそうですけれども、私はこういう考えがありますよと言って、一体、では、具体的にどの窓口がどのように受け付けてくださって、しかも、それをちゃんと聞き届けて、かつ、ちゃんと考えて、それに対するフィードバックをしてくれるのか。つまり、あなたの考えはここまでちゃんと聞きましたよ、ちゃんと検討しましたよ、結果として、採用しますもしくは採用できませんとか、こうしたスキームというのはないように思うんですが、いかがでしょうか。

滑川政府参考人 今御指摘のように、地域で地域再生計画をつくるときに、地域の皆様方、企業の方あるいはNPOの方その他さまざまな住民の方々の御意見を聞いていただくということは非常に重要なことだと思っております。

 そうした方々のさまざまなニーズを十分に踏まえて、アイデアを結集して地域再生計画をつくっていただくと、より効果のある地域再生計画ができるだろうと思っておりまして、先ほど来御紹介しておりますプログラム、二月につくりましたプログラムにおきましても、地方公共団体が作成する際にそうした方々の意見を十分把握するように努めることが望ましいということで、その内容を記載させていただいたことでございます。

 こうしたことで、地方公共団体に対しましても、ぜひ地域の皆様方とよく対話をされる、あるいは御意見を聞いて、いい計画をつくっていただきたいというふうに思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 今、たまたまプログラムの話を出していただきました。私も手元にあります。

 この六ページ目に、今まさに滑川室長がおっしゃっていただいたことが書かれております。ただ、これは結局、「地域のニーズを十分に把握するよう努めることが望ましい。」ということでありまして、努めなければならないとか努めるべきであるとかではないんですね。「努めることが望ましい。」であって、実際、これであると、私が知っているといいますか、何となく感じていることでありますと、努めるんだから、別に努めなくても、努めたふりをすればいいし、また、努めなくても、やらなくても別に何らそれは問題はないわけですね。

 やはり私は、こうしたときに、本気で地方公共団体がその地域の皆さんの声を聞くための工夫というか、仕組みづくりをしておかなくちゃならないと思っています。

 そのときに、国土交通省さんが出している、今度閣議決定されていますが、都市鉄道等利便増進法案というのがあるんですね。この十三条を見ますと、今私が指摘したことなんですよ。結局、幾らそうやって頑張っていこうと思ったところで、いろいろな話を聞こうと思ったところで、なかなか聞いてくれないんですね、これは実際の話。聞かせなきゃだめなんです。

 そのための一つの仕組みとして、この増進法の十三条に「協議会を組織することができる。」こういうふうな規定があります。これはまさに画期的な法律だというふうに私は評価をしているところなんですが、こういう仕組みをやはりこの地域再生法にも入れて、地域住民の意見とか地域の人たちの幅広い意見を聞く、聞かざるを得ないような、聞いた上で地域再生計画を立てる、こういう仕組みづくりが私は必要だと思っているんですが、大臣、これはいかがでしょうか。

滑川政府参考人 この都市鉄道等利便増進法案については私どもも承知しておりますけれども、地域再生という試みは、例えばこの都市鉄道等利便増進法で描かれているようなものに比べると、より幅広いさまざまなものが入ってくるものでございます。それからもう一つ、先ほど来大臣からも申し上げていますように、地域がいかに自主的に、自立的に取り組むかということが大事であるということでございます。

 そうした意味で、そうした幅の広さあるいは地域の自立性という意味から、その地域での議論あるいは地域でのいろいろなニーズの吸収というか、それぞれの地域の状況に応じ、また特性に応じて行われることの方がよりふさわしいのではないかというふうに思っておりますので、私ども、御指摘のように、かたい形で決めるのではなくて、地域でそういう努力をしていただくような形でお願いして、それぞれまたいいものを工夫していただくということの方が大事ではないかというふうに思っております。

市村委員 ただ、今おっしゃったように、幅広いからこそ、こうした意見を幅広く聞く仕組みをつくっておかないといけないと私は思うんですね。

 実際聞いてくれません。一市民が言ったところで、なかなか提案なんて、はい、わかりましたと言ってくれるかもしれませんけれども、実際それが反映されることなんというのはごくまれです。やはり、もう決まったことですからと、一応聞き届けましょうか、お聞きおきましょうかぐらいで済んでしまうんですね。

 しかし、いろいろな幅広い意見を吸収するということは、幅広い方を取り込むということなんですね。この計画の中に幅広い方に入っていただく、それで一緒にやっていただくということだと思うんです。

 林田副大臣はたしか国土交通御出身だということでありますが、どうですか、こんなすばらしい法案を国土交通省は出しているんですが、どう思いますか。

林田副大臣 お答えいたします。

 日本全国三十七万平方キロ、北海道から沖縄まで、そういう中で地域というのはいろいろな形態があろうかと思います。そういうところでいろいろな施策がなされておるわけですけれども、いわゆる公的部門の限界もあるだろうし、営利目的をしただけの民間事業というのも限界があろうかと思います。そういう中の間を埋めるというような動きがNPOとか含めまして、限らず、いろいろなそれぞれ老人会であり子供会であり、そういうものが埋めているんじゃないかというふうに思っております。

 そういう中で、我々が今出させていただいております地域再生法、その地域で、未来永劫といったら失礼ですけれども、末永くといいますか、少なくともそこで自分で生きていかなきゃいけない、自分でそこで生活していかなきゃいけない人たちが、未来に向かって自分たちの地域はどうあるべきかということをみずから考えてもらうというのが、この自主、自立、自考なんです。

 そういうことを思いますと、私、国交省という話をさせていただきましたけれども、確かに社会資本の整備というのは、ある面では地域のインフラ整備という形になりますし、その地域の方々の利便性あるいは安全性を保ってきたんです。これにつきましては、先ほど鉄道事業の云々というお話をされましたけれども、私は、若干限定されるのかなと。正式名称はちょっとあれでございますけれども、都市鉄道等利用増進法案ですか、これについては、確かに等と整備主体の中に入れている形になっておりますけれども、やはり、そういうインフラ整備になりますと、どうしても若干ダイレクト過ぎる関係者になってしまうのかなという思いがします。

 この法案は、我々は、すべての地域の方々の声を、地方公共団体であり、地方議会、あるいはそれぞれのいろいろな公共団体に類した団体がいかに拾い上げてくれるか、それにかかっておるし、最終的には、そこに住んでいる人の身になって考えようということでございます。

市村委員 この増進法をもう一遍読んでいただきたいと思いますが、確かに鉄道事業というふうに限定されているかのように思うんですが、実はこれは、非常に町づくりに関係する法律になっているんですね。この場合、地域の広さは関係ないと思うんです。つまり、大切なのは、幅広い意見を取り入れるということをちゃんと制度的にも担保する、そういうことが本当に取り入れられるように、取り入れるように担保しておくということが大切だという議論をさせていただいているつもりなんです。

 このままいくと、はっきり言って、住民の意見とかいうのはなかなか聞いてもらえないですね。それで、聞かないまま、いつの間にか決まって、ああ、そうだったのかというふうになっているんですが、それでは本来的な意味のみずからの頭で考え、みずから行動し、地域の特性豊かで伝統文化を生かした地域再生は難しい、私はこのように思わざるを得ないんです。大臣、いかがでしょうか。

村上国務大臣 委員の御懸念もある面ではもっともなところであると思うんですが、私は、さっきから申し上げているように、民間企業やNPOの地域のさまざまの主体が、知恵と工夫とアイデア合戦に参加することが重要であるというふうに考えているんです。

 ただ、それを国の法律で担保するのか。それは、あくまで主体はそれぞれの市町村やゾーンの人たちだと思うんですね。例えば市村委員のように聡明な人だったら、当然その地域の市会議員や県会議員のお知り合いの方もいるでしょうし、また、そういう市会議員や県会議員に、アイデアの内容にもよりますけれども、議員さん、実はこういうアイデアがあるんですよ、これについてこういう形できちっと上げてくださいという努力の仕方もあるんじゃないかなと思うんです。

 ただ、先ほど来言っているように、民間企業やNPOの地域の担い手になるさまざまな主体のニーズも、私は、委員が言われるように、十分に踏まえながらやらなきゃいけないし、そして、作成して実施することが重要と考えているんですね。だから、これはやはり、地方自治の本旨にもあるように、それがそれぞれの市町村や市町村長たちから出てくるように働きかけるのもそういう皆さん方の責務ではないかな、そういうふうな気がします。

市村委員 全くそのとおりでありますし、私も実は地域でそういうことをやっております。これはなかなか難しいんですね。いろいろな思惑があると、本当にいいものなのにかかわらず、なかなか動かないというのが実際あるんです。私も経験上あるから言っているんですね。

 だから、さっきの鉄道増進法の協議会を設置しなければならないという項目は、これは現状から考えると、本当はだめなんです。こんなことなくたって、法律にこんなこと書かなくたって、当然のごとくそうなっていなければだめなんです、後で議論しますけれども。だから、私がずっとここで申し上げた、NPOが発展していないからこういう弊害が起きてくるんです、この国では。後でまた議論申し上げます。

 本来であれば、国の法律でこんな協議会つくりなさいなんというのは実は情けないんです。当たり前のごとく、いろいろな幅広い意見を取り入れるような仕組みが地域にあって、そこでいろいろな声を吸い上げながら一つの計画をつくって、いろいろな意味で税金を使ったり、民間資本を取り込んだりするべきなんですよね。ところが、そういう仕組みがないんです、この国。ないから、では、とりあえずここで強制的につくらなければいかぬぐらいのことになってしまう。

 では、現状でこういうものがないとなると、結局は、住民の意見がどこかに、住民の意見というより、まず住民はほとんど知らないまま、何か地域再生法で地域再生計画ができ上がって動き始めて、いつの間にか決まって動いていっているな、こういうふうに多分なるんです、この現状から考えて。

 もちろん私は努力をしますが、なかなかそれもいろいろな思惑が絡んでくると、そう新しいことがすんなり通るということがないというのが私の経験からも思うものですから、こういうふうな議論をさせていただいております。だから、ぜひともこの辺は、今後これを踏まえた上でやっていただきたいなというふうに思っております。

 いろいろ議論したいんですけれども、ちょっと後半の税制の議論をしたいものですから、前半の議論はこれでとりあえずストップさせていただきたいと思います。

 それで、では後半は、これから地域再生法の中で、先ほど村上大臣も、これが実は目玉なんだとおっしゃって、民間資本を引き出すためのその方策として、方法として税制面での優遇があるということだと私は思いますが、それで理解はよろしいでしょうか、大臣。税制の優遇ということですね。

村上国務大臣 先ほどある委員が御指摘いただいたように、きのうの日経の「経済教室」で東大の西村教授が言っているように、地域再生に寄与するが採算性の低い事業に民間資金、すなわち志ある投資を呼び込むことがなかなか難しい、そういうことを、志ある投資を呼び込むについてこの法案のあれを評価してくださったわけです。

 まさに我々は、資本主義の原理からいえば、当然収益性の高いものはどんどん投資されますけれども、地域再生に必要なものでも収益性の低いものは、やはり資本の原理でなかなか難しいんですね。そういうものをインセンティブをつくって引き出していきたい、そういうふうに考えています。

市村委員 それで、今大臣のお話にもありました、多分この記事だと思います。東大の西村教授が書かれた記事といいますか「経済教室」の論文なんですが、ここで西村さんがおっしゃっているのは、結局、今回の地域再生税制というものを使うと、不採算、採算が余り合わないような公益的な事業に対して、実質、寄附と同じようなことができるんだというふうなことがここで主張されております。

 これは、説明すると非常にややこしくなるんですが、結果としては、この税制、寄附じゃないんです、投資なんですけれども、実質、寄附と同じような効果を持つことができるのがこの地域再生税制だというふうにおっしゃっているんですね。

 こんなことは実際可能なんでしょうか。この記事の主張どおりと踏まえてよろしいんでしょうか、税制について。お願いします。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 少し長くなりますけれども……(市村委員「短目にお願いします」と呼ぶ)はい。

松下委員長 簡潔、しかし明瞭にお願いします。

福田政府参考人 はい。

 十七年度の税制改正におきましては、今御審議いただいておりますこの地域再生法の制定に伴いまして、いわゆる特定地域再生会社、民間資金を活用した地域再生の推進に寄与する観点から地域における雇用機会の創出その他地域再生に資する経済的、社会的効果を及ぼす事業を行う会社に対する投資につきましては、個人の投資家による資金供給を促進する観点から、税制上の優遇措置を講じることとしております。

 具体的には、特定地域再生会社に対する投資額につきまして、投資を行った年分に生じた株式の譲渡益からの控除を認める。二点目といたしまして、特定地域再生会社の株式について譲渡損失が生じた場合、つまり投資がうまくいかなかった場合には、三年間の損失の繰越控除を認める。特定地域再生会社の株式について譲渡益が生じた場合、つまり投資が成功した場合には、税負担を通常の二分の一に軽減するといった優遇措置の対象としたところでございます。

 ただ、投資が成功した場合に、この税負担を二分の一に軽減する措置は、投資をいたしましたその特定地域再生会社の株式が上場された後三年以内に譲渡された場合、あるいは上場前にいわゆるMアンドA等によって譲渡した場合に認められるものでございます。

 したがいまして、記事にございますように特定地域再生会社に売り戻した場合には、適用にはなりません。御指摘のような、特定地域再生会社への寄附に税制の優遇措置を認めたというふうにこの記事は読めるんですけれども、そうはならない。

 ただ、記事をごらんいただきますとおわかりになりますように、西村先生は「寄付」ということにかぎ括弧をつけて用いておられますので、これが、今私が申し上げました寄附、つまり法律上の寄附の意味に当たるのか、それとも何らかの概念をこのかぎ括弧に含めておられるかはちょっと想定いたしかねますので、税法上から説明させていただきました。

市村委員 当然何らかの概念を込めた寄附だというふうに私は認識をしております。別に法律上の寄附だと思っていません。当然のごとく私も思っていません。

 実質上は寄附に近い形、法律上か概念上かは知りませんが、いわゆる寄附に近い形の運用をできるんだということなんですが、ちょっと待ってください。(発言する者あり)ちょっと議論の展開が……(発言する者あり)ありがとうございます。

 では、ちょっと話題をかえさせてください。とりあえず、さっき一点聞き忘れたので、それだけちょっとお答えください、さっきの議論で。

 例えば、この地域再生計画で目標設定をするんですけれども、その目標の成果というものについて、その評価はどう行われるか、これをちょっと教えてください。

村上国務大臣 地域再生計画の成果の評価がどのように行われるかという御質問なんですが、地域再生計画は地域の自主的、自立的な取り組みによるものでありまして、計画に掲げられた目標の達成状況については、まず、地域がみずから評価して、計画の内容を見直し、実施体制の改善等を自主的に反映させていくというふうに考えております。

 一方、政府は政府として、地域再生計画の認定制度や認定に基づく支援措置について、地域再生計画の実施状況を踏まえて第三者の意見を聞いて事後的に評価して、制度の改善、充実を図っていくことにしております。

 このように、地域の政策は地域がみずから、政府の政策は政府がみずから、それぞれ評価し改善していくものだ、そういうふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、この実質上寄附になるという話なんですが、非常にややこしい、大変わかりにくいんです。この記事によると、実質上寄附じゃない、投資なんだ、だが一応税制上の優遇措置があって、実質上寄附と思われるような結果になるんだということなんですけれども、それで実際それはやれなくはないかなと思っているんですが、局長、やはりこれはできないんですかね、MアンドA云々とかおっしゃっていましたけれども。

松下委員長 わかりやすく、明瞭に、簡潔に。

福田政府参考人 先ほどの質問の繰り返しになるかもわかりませんけれども、記事にございますように特定地域再生会社に売り戻した場合には、この制度は適用できません。したがいまして、そこに出ているような答え、数字は、ある一定の仮定を置いてもちろん計算されているわけですが、それを行いましても、税制上はそういう結果にはならないということでございます。

市村委員 ということは、この記事はかなり誤解に基づいて書かれているというふうに言ってよろしいんでしょうか。

福田政府参考人 先ほども申し上げたことの繰り返しになりますけれども、かぎ括弧をつけて書いておられますので、誤解されているのか誤解されていないのかということにつきましては私ども判断しかねますけれども、少なくとも、税制を、今御審議いただいています法案が成立いたしまして、その結果を適用いたしますと、そこに出てきているような数字にはならないということだけは断言できます。

市村委員 実は、それは大変残念なんです。私、この記事を読んで、ああ、これはすばらしいんじゃないかと思いました。ただ、本当はここで質問したかったのは、すばらしい、しかし大変わかりにくいから、どうせ、これは結局、これが本当だったら、今の局長のお話だと残念ながらこうならないという話だから、残念なんですが、もしこれが本当だったらば、実質上税額控除に近い効果をもたらすようなことができたんですね。

 であれば、もともと、そもそもこんな複雑な過程を通すんじゃなくて、例えば、この特定地域再生事業会社に、譲渡益の課税分以内であればその分を税額控除、その半額を税額控除する、それぐらいのわかりやすい、実質そういうことですから、今私が申し上げたようなことになるわけです、この記事が正しければ。だから、本当はそういう提言をしたかったんですが、残念ながら、局長がおっしゃるように、これはならないということなんですね。

 もう一回確認しておきます。残念ながら、こうならないですね。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 たびたびの答弁で、繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、制度を、税制を前提にいたしますと、そこに出てくるような数字にはならないということでございます。

市村委員 大変それを聞いて残念でございます、ならないのであれば。

 とすると、この先生もおっしゃっているように、ある種こういうことがあれば、多少株でもうけてどうせ税金で取られていくなら、自分のこれぞと思う地域のためになる会社に半分振り分けていいか、どうせ税金で持っていかれるんだから、半分は、国に行くんじゃなくて、国庫に行くんじゃなくて、地域の再生のために使ってというインセンティブがあればこれはいいんですけれども、ないんですね、結局。それはないということですね。

 では、ないということであって、地域再生税制をもう一遍考えてみますと、この地域再生税制、これは実はエンゼル税制と同じだというふうに聞いておるんですが、これはこの認識で正しいんでしょうか、局長。

福田政府参考人 基本的に、いわゆるエンゼル税制が適用されるという理解で結構でございます。

市村委員 では、エンゼル税制というのは平成九年にできたんですが、これまで一体どれだけの投資額がエンゼル税制に基づいてあったか、教えてください。平成九年ですから、もう既に七、八年たっているわけですけれども。

滑川政府参考人 エンゼル税制につきましては、制度発足でございます平成九年六月から平成十七年二月末までの実績累計で、投資件数千四百二十五件、投資総額約十九億九千万円ということであるというふうに承知をしております。

市村委員 十九億九千万ですね。つまり、これは委員の皆さんもお感じだと思いますけれども、七年たって二十億です、このエンゼル税制を使って投資されたお金というのは。日本の経済規模から考えると、七年たってこの税制を使って投資された額が二十億となると、もうゼロに等しいと言わざるを得ないです。つまり、なきがごとしだというふうにこれは言わざるを得ないんですね。

 実際、目玉とされているこの地域再生税制というのはエンゼル税制なんですよ、イコール。これは今までの間、わずかそれだけの投資しか呼び出せない、そういうスキームなんですね。実際に見ても、これで本当に投資する人がいるのだろうかというようなスキームだと私も思いますが、本当にこれで、しかも不採算であるような事業に投資を呼び込めるとお考えになりますでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

滑川政府参考人 今御指摘のように、エンゼル税制での利用件数の大きさというのは御議論があるかもしれませんが、この統計を見ますと、平成十五、十六と、最近非常に大きくなっております。また、個人投資家がさまざまな、いわゆる社会的なものに投資しようというような動き、例えばエコファンドとかあるいはミニ公募地方債でしょうか、愛県債みたいなもの、そういうものに投資されるような動きもふえてきているというふうに伺っております。そうした意味では、私ども、地域の再生に当たって、みずからの譲渡益なりなんなりを投資してみようという方はいらっしゃるのではないかというふうに思っております。

 そうした意味では、私ども、実際にこうした仕組みをよく知っていただくこと、そして使ってみようという気持ちになっていただくことが大事だろうというふうに思っておりますし、また地方公共団体についても、こういう仕組みがあるんだということを、特に民間の方々から御相談があった場合は積極的に対応していただくように周知をしてまいりたいと思っています。

 いずれにいたしましても、地域で民間事業者のノウハウとか資金とかを生かした地域再生の取り組みが推進されるための手段ということで、この税制の特例についても期待をしているところでございます。

市村委員 今、平成十五年、十六年、伸びているとおっしゃっても、申しわけないけれども、日本の経済規模から考えて、たった二十億なんですね。恐らくこれは経済産業省の制度だったんでしょうけれども、多分経産省だって、一生懸命エンゼル税制についてはいろいろな説明もし、投資を呼び込もうとしていたと私は思います。にもかかわらず、これなんですね。

 しかも、今回の場合は、これは対象にしているのが、大変公益性は高いけれども不採算、なかなか採算が上がらない事業なんですね。今までだってお金、投資が集まらなかったものに本当に集まると考えているのかというのは、例えば、潜在的マーケットは把握されていますか、大体これでどれぐらいの投資を呼び込めるとシミュレーションをされているんでしょうか。どうぞ、お願いします。

滑川政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、この制度は新たな制度でございます。実際に行われる税制の措置の方はエンゼル税制と共通でございますが、入り口は全く違ったものということで、新たな制度でございます。そうした意味で、この法案の施行後に支援策として利用が開始されるということでございます。

 この支援措置を実際どういうふうに活用されるかというのは、実はそれぞれの地域で御判断いただくということでございますので、私どもとしても、今後の地域の取り組みあるいは地域での民間の方々の意向というようなものが反映されるものではないかというふうに思ってはおります。

 ただ、先ほど申し上げましたように、やはり、何がしかの形で地域の再生なり地域の活性化に参画したいという方々であれば、この仕組みをお使いになることによって、地域の再生に寄与する会社に株主として自分が直接参画されるというようなことがより容易になるということでいえば、私ども、そうした地域での盛り上がりにぜひ期待したいというふうに考えておるところでございます。

村上国務大臣 今の滑川室長の答えで尽きているんですが、実は私も担当してよくわかったのは、特区も、実は鴻池さんがやったころは、みんなどうなるんだろうということだったんですね。私も横で眺めて、やはり、それでやって、特区というシステムを導入することによって、何千、何百というアイデアがそれぞれの地域から自主的に上がってくるようになったんですね。実はそれが私は一番大事だと思うんです。

 まさに今回は、そういうことで、先ほど申し上げたように、地域再生は国が一方的なメニューを押しつけるんじゃなくて、この税制も、市村委員のように聡明な人がこういうことでこう使ったら地域の再活性のためにこういう会社なんかができるんじゃないかとか、そういういろいろなアイデアを出すことが非常にメリットにつながる、そういう受け皿をつくるということ自体が私は非常に大きなトライというか試みだと思っているわけです。

 そこで何が出てくるかは、まさに、それぞれの地域のそういうアイデアマンや、よく委員がおっしゃるNPOの人たちを含め、中小企業の皆さんや、そういう皆さん方にアイデア合戦をしていただきたい、そういうことなんです。

市村委員 まさに、その志は私も、ある種同志と言うのは先輩に対して失礼なんですけれども、言ってもいいと思うんです。だから、そのために本当に使えるような法律じゃないと意味がないという思いで質問させていただいたんですね。どうぞ、大臣。

村上国務大臣 先ほど福田主税局長が申し上げたように、特区のときもそうなんです。特区で税を絡めてくる人がよくいるんですが、税だけは公平、公正、簡素、活力で、全国イコールフッティングでなければいけない。そういうことを考えた場合には、先ほど主税局長が言っている答弁の、限定がつくことはある面ではやむを得ないかな、そういうふうに私は考えています。

市村委員 税制については、細かい議論はここでは避けますが、私も、これは仕方がありません。ただ、こういう記事の話があったから、いや、本当にこうなったらすばらしいことだなと思ったんですが、残念ながらそうじゃない。

 私は、もう残り五分ですけれども、ですから、いつも私が提案していることなんですが、最後に提案でちょっとお話をさせていただきますけれども、結局、地域再生をしていくときに、やはりプレーヤーはたくさんいた方がいいんですね。

 いつも申し上げているように、日本の場合、どうしても民営化というと、私いつものこのフリップを持ってきましたけれども、必ずこの営利企業、株式会社になるんです。今回もそうですよね。株式会社なんです。いつも申し上げているように、民営化というと株式会社だけじゃなくてNPOも入るんだ、二つの柱なんだ。結局、日本はこの一つの柱が欠けているがために株式会社に一足飛びに行ってしまうんだということなんですよ。(発言する者あり)個人事業主も、この辺に入るかどうかわかりませんけれども。

 だから、今回の場合でいえば、一つは、株式会社に税制優遇といってもいいですよ、エンゼル税制。でも、これは使い勝手が悪いのか、投資がなかなか進んでいないわけですね。もし今本当にある種の投資をしても返ってくると見込まれたら、ある程度のリスクを負っても投資するような投資会社がどんどん出てきているわけですよ。日本にも出てきているわけです。

 だから、実はエンゼル税制のニーズは、僕は余りないと考えています。本当に採算が、リスクはありますよ、ただ、投資会社というのは、例えば十に一つでも成功すれば巨大な利益が上がりますから、九ぐらい失敗してもいいぐらいのつもりでやっているわけです。そういうところ、投資会社が日本にもどんどん出てきているわけです、リスクを負って投資する会社が。ある意味では、実はこの税制の意味合いはもっと薄れていると考えていいんです、今の現状では。

 であれば、地域再生にとって必要なのは、株式会社も市場化テストの中で働いてもらうのはもちろんなんですが、やはりNPOがしっかりと基盤をつくっていって、そこにお金が回る仕組みをつくらなければいかぬのです。そして、NPOがその事業主体となって地域のために頑張っていく。そのためには資金が要るんです、資金が。

 そのときに、やはりその資金が回るような税制改正、寄附税制とか、今度私、今民主党で議論をやられていますけれども、コミュニティー財団の法案とか、そうしたものを皆さんで議論していただいてつくっていって、そしてそうやってNPOに資金が回る。つまり、地域再生のために頑張ってくれる、株式会社もいいけれども、民間であればNPOもあるんだと。そのNPOに対して資金が回る、そういう仕組みをつくっていくということが必要だと思っているんですね。

 だから、実はこの記事が、もし西村先生がおっしゃったことが正しければ、こんな回りくどいことをせずに、寄附税制をもっとしっかりしてほしい。そして、株式会社だけじゃなくて、NPOにもしっかりと働いてもらうような基盤づくりをしようという提言をしようと思ったんですが、主税局長は、いや、これはどうも違うとおっしゃるから、残念ながらそういった提言はその観点からはできません。

 しかし、その観点をおいたとしても、やはり民営化、民にできることは民、賛成です。しかし、民というのは、株式会社だけじゃないんだ、一つの柱としてNPOもあるんだ、民間で公益活動を行う、公益サービスを提供する主体があるんだということ。ここのところをしっかりと踏まえてこれから議論していかないと、やはり地域再生においても、株式会社だけ、また行政だけに頼っている地域再生ではなかなか難しい、私はこのように思いますが、大臣、最後にちょっと御所見をお聞かせいただきたいと思います。

村上国務大臣 市村委員の情熱というか、思いはよくわかりますが、今の公益法人のそういう考え方、委員のようなお考え方も多々あると思うんですが、まずは民主党さんの方でひとつ党として取りまとめをしていただけたらと思います。

 もう一つ、先ほど来申し上げている西村先生が書いた「社会投資ファンド」という本が実はそれの原点なんですけれども、私自身思うのは、「PFIを超えて」と書いているように、西村さんの考えは、やはり民間活力をどうやって引き出すかというのが大きな力点というか視点だったんじゃないかなという気がするんです。

 そういうことで、委員のお気持ち、それから熱意は痛いほどよくわかるのでございますが、やはり先ほどの、例えば市で提案しても受け入れない、私もそうでした。正直言って、私が十八年前に選挙に通ったとき、応援してくれた県会議員はゼロ、市会議員は一人か二人でした。しかし、今や、知事や市長を含め、県会議員、市町村、シンパが、同志がいっぱいいました。まさに、自分と同じ考え方の同志をつくるということも大きな政治活動じゃなかろうか、そのように考えております。

 以上であります。

市村委員 ありがとうございました。一生懸命私も頑張っていきますので、大臣も建設的によろしくお願いいたします。

 きょうは、どうもありがとうございました。質問を終わります。

松下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

松下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉置一弥君。

玉置委員 地域再生法という、何か非常にいい名前の法律でございますが、きのう本会議で宇佐美君が質問しまして、どうも名前につられて賛成しそうだというふうな話もしておりましたけれども、私たち、田舎を抱えた市町村を選挙区にした議員からしますと、昔のいろいろな懸案のいわゆる縦割り行政、これに対して一歩踏み込んだ法律というふうな感じを受けるわけです。

 縦割り行政の弊害についてはまた後ほどお話しするかと思いますが、私どもからすると、同じような類似の補助金が各省庁から個別に出ているということ、それから、省庁間の調整が行われないままに何年計画というふうな長期的な事業計画を打ち出されて、そのときにうまく乗らないと予算がつかなかったということが多々あったわけです。

 そういうところから考えますと、今回は事業認可というふうな形で全体の中の統合をされる、今回は三つですけれども、例えば道だとか、浄化槽だとか下水道とか、こういうものを総括的に事業認可するというようなことになっているということでございまして、縦割り行政を逆に堅持してきたといいますか、いわゆるセクショナリズム、これ一本でやってきた行政からすると、本当にかなり新しい姿勢が見えてきたなという感じがします。

 そこで、この法案の使い方なんですけれども、どういうふうに各自治体あるいは公共団体が活用できるか。というのは、今までは大体メニューを示して、メニューに合った人たちが手を挙げるというようなことで、大体上を見て仕事をしてきたのが非常に多いんですね。地元の細かい要望がなかなか入らないとかいう話がありました。

 そういうところからすると、自分たちの地域の計画を立てて、そして内閣府に計画を提出して、それの認定を受けるということになると思いますが、自治体にこの制度そのものが大まかにどういうメリットがあるとお考えになってこういうことを法案として出されたのか、そこをまずお伺いしたいと思います。

村上国務大臣 玉置委員の御質問にお答えします。

 まさに委員がおっしゃるように、今までは、ある面では地域の問題について国の方がメニューを画一的に提示して、それに乗っかっていくというような形が多かったと思うんですね。今回の地域再生交付金は、地域の具体的な要望を踏まえまして既存の補助金を見直したもので、まさに委員がおっしゃるように、縦割り行政を打破し、地方の自主性、裁量性の向上という面で、私は画期的なものじゃないかなと思います。

 先ほど来申し上げているように、今まで汚水に関しては国交省の下水、それから集落排水の農水省、そして浄化槽については環境省。例えば地方の市町村長さんが東京に来られたときに、各省庁二つも三つも回りながらいろいろ陳情に歩いたりしていた。それを、もし地域再生室ができれば、ワンストップ窓口じゃないんですけれども、そこへ行けば、そこにいるスタッフが親身になって、その地域の特性や何が合うかということを判断しながら、いろいろアドバイスしたり、そういうニーズを探し、そしてまた応援してくれるということで、こうした施設を一体的に整備しようとする地方公共団体にとっては、今まで複数の省庁の窓口に出向いて手続を行う必要があったんですけれども、予算執行上の柔軟性が低いなど、手続面や運用面で使い勝手がよくないという指摘がありました。

 そういうことで、新たな交付制度のもとでは、各種手続を一元化して簡素化を図るとともに、施設設備の自由度を高めるなど、地方公共団体にとって非常に使い勝手がよくなるんじゃないかと思います。それから、先ほど来申し上げているように、補助金の各省庁にまたがる一括計上は戦後初めてのトライ、試みでありまして、画期的な取り組みだというふうに考えています。

 そういうことで、今委員が御質問なされたように、地域とっては手続面やいろいろな面で非常に便利性がふえるんじゃないかな、そういうふうに考えております。

玉置委員 各事業認可ですけれども、省庁別にやはりいろいろな詰めをやっていかなければいけないと思うんですね、予算要求をするにしても。そういうときに、内閣府だけでその中身を全部精査できるかどうかというところが問題だと思うんです。それからもう一つは、国土交通省の関係でいいますと、地方整備局というのがありまして、そこにも行かなければいけないんじゃないか。ですから、統合はされたけれども、行くところがほとんど減らないで、むしろ逆にふえたんじゃないかというふうに思うんですが、この辺はいかがでしょうか。

滑川政府参考人 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、今回の交付金におきましては、入り口、窓口、最初の計画をつくって、その認定をしていただくという窓口は内閣府に一元化されております。それから、実際の資金の交付、交付金の交付そのものは関係各省が行いますが、その際にも一元化した窓口をつくるということで、そうした形で入り口については一つにするということで、御負担を減らすことを考えております。

 また、内閣府では、関係各省からの人材の御提供なりを受けながら、具体的に地域の御相談に乗り、また具体的に地域の計画の認定作業に入れるような体制というものも整備してきておりますので、そうした意味で、地域にとって窓口が一つになったということでかなり手続面での使い勝手はよくなるものと思っております。

玉置委員 今回のこの地域再生法の適用の対象なんですけれども、これは一応市町村を対象にというふうに考えていいわけですか。地方公共団体、府県とかそういうところがタッチをするということはないんでしょうか。

滑川政府参考人 法律の中では、この地域再生計画の認定を申請できる主体といたしまして地方公共団体ということにしております。この中身は、御指摘の市町村、市町村の共同体、県と市町村、あるいは県、そういう意味では地方公共団体であれば計画の策定主体となれるということでございますので、それぞれの事業あるいは計画の適用される範囲に応じた形で地方公共団体が御検討いただくものというふうに考えております。

玉置委員 この計画立案に当たりまして、大変技術力ということも要るだろうし、例えば地域振興のための企画といいますかアイデア、それと実行していく推進力、いろいろな要素を兼ね備えた人材が必要だと思うんですよね。この辺をうまく配置をしていかなければいけないし、逆に、そういう能力のないところがどんどんおくれてしまうということにつながりかねない。

 今ちょうど品確法、公共事業の品質確保をする法案の議員立法の準備をしているんですけれども、そのときでも、審査する能力があるかないかとか、あるいは評価する技術があるかないかとか、こういうことが問題になるわけですね。同じようなことが今回も言えるわけでございまして、やはり、やりなさいやりなさいと言っても地元に能力がなかったら何も動かないということになって、力のあるところはしょっちゅう手を挙げて次から次へと出してくるというふうに非常に格差が出てくると思うんですね。

 この辺をどういうふうにお考えになっているか、ぜひお答えをいただきたい。

村上国務大臣 まさに委員のおっしゃるところがポイントでありまして、これから地域の首長は、やはりそういう人づくりも大きなポイントになってくると思うんですね。私自身は、今の現状におきましては、地域再生を進めるためには、地域が持つ特性を生かして、自主、自立、自分の頭で考える自考の取り組みを行うことが重要であり、知恵と工夫を競うアイデア合戦を特区や地域再生法でやってもらいたいと思います。

 私の感じでいきますと、最初、特区のときにどういう形で出てくるのかなと思ったんですが、特区の申請が案外多いのが長野県なんですね。三十二認められているんですが、やはり一番重要なのは、それぞれの市町村長や首長がスタッフの皆さん方を奨励して、アイデアを持ってこいということが私は重要じゃないかと思うんです。

 委員の御指摘のとおり、構想力、調整力を持って地域の再生の取り組みを牽引していくことのできる地域の自前のリーダーの確保が必要であるとともに、地域再生の担い手になるような主体の意識の向上を図ることもやはり重要じゃないかというふうに考えています。

 こうした認識のもとに、先月、地域再生推進のためのプログラム二〇〇五を地域再生本部で決定いたしまして、その十二ページから十三ページのところにあるんですが、地域再生の施策の柱の一つとして、地域再生のための人づくり、人材ネットワークづくりの推進を盛り込んでいるところであります。人づくりのための支援を一生懸命やっていきたい、そのように考えています。

 具体的には、地域からの相談にワンストップで対応する地域再生支援チームの設置や、市町村等の地域再生のアドバイスを行う地域再生伝道師の活用などによって、地域みずからの地域再生の取り組みに関して人づくりの観点からも積極的に支援していきたい、そのように考えております。

玉置委員 人材に入ってしまったので、一つ人材の話をしますけれども、例えば都道府県が同じような体制で、要するに横の連携をよくして各市町村を指導できるかどうか。それから、市町村がまさに縦割りでやってきたんですけれども、そこがまずちゃんとそれだけの人材を育成できるかどうか。

 それから、外部ですね。外部で、例えば相談センターというかユースセンターといいますか、そういうところが近畿圏とかあるいは京都府とかという単位であって、一々国の方に出てきてああしようこうしようという話じゃなくて、そこで大体全部片がつくというふうな指導ができる、あるいは人材育成ができるということ。もう一つは、事業を受ける事業者あるいは地域住民、その中でNPO的動きをやっておられる方とか、あるいは昔都市開発をやったOBが住んでおられるとか、いろいろなことが考えられると思うんですよ。

 それをやはりある程度一つのモデル的に、こういうふうにすると確実に企画力のある、推進力のある人が育ってきて、それがその地域全体を、一つの町村だけじゃなくてエリア的に面倒見切れるよというふうに本来やっていかなければいけないと思うんですね。そういう人材の育て方なのか。今おっしゃったのはあくまでも行政の中みたいな感じがするわけですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

滑川政府参考人 ただいま大臣の方からは、今回のプログラムに盛り込まれました国としての御支援の中身ということで御報告を申し上げました。今回のプログラムでも、私ども、地域再生のための人づくりあるいは人材ネットワークづくりの促進というのを大きな柱としておるところでございます。

 そこでは、地域の自主的な、自立的な取り組みで地域再生を進めるためには、担い手となる方々、さまざまな主体の意識、能力の向上を図るとともに、相互の有機的な連携を促進することが重要であるということをうたっておりまして、NPOの方々、あるいはさまざまな地域の組織なりの再活用、再活性化というものが大事だろうということで、地域固有のそうした結びつきというものを重視していかなければならない。

 また、そうした主体とあわせて、地域の企業とか教育機関、公共団体などが、それぞれ重要な政策テーマに応じて連携して、おのおのの役割を明らかにしながら、ある期間内にある目標を達成していくというような取り組みを適切に支援できるような形というものをこれからつくり上げていかなければならないのではないかというふうに思っております。

 これを大きな課題といたしまして、先ほど申し上げましたような一つ一つの支援策を積み重ねながら、さらにこうした課題に向けて地域のお話などを伺いながら進んでいきたいと思っております。

玉置委員 今回の法律の中に、補助金対象財産の転用による地域再生というのがございます。これは学校だとか公民館だとか、不要になったものをほかに転用する、あるいは不要というよりも、使用頻度から見てほかに転用した方が効率がいいとか、こういうことだと思うんですね。

 そういう中で、特に今市町村合併が進行しておりますけれども、施設の統廃合というのは、逆にこの機会に大いに進めなければいけないんじゃないかと思うんですね。そして、既存のものをかなり大改修してでもより使い勝手をよくする、あるいはいいものにかえていく。

 余りにも昔は、隣がつくったからうちもつくらなきゃいけないと、何か昔の団地のテレビみたいなお話があって、向こうが体育館をつくったらうちは文化センターだとかどんどんエスカレートして、本当に箱物の競争が首長さんの生命みたいなところがあったんですけれども、そんな時代じゃないと思うんですね。だから、ちょうどいい機会でございますから、ぜひ整理統合という面でこれを活用していただきたいし、逆にそういう指導をお願いしたいというふうに思うんです。

 市町村合併が進んでいきますとかなり出てくると思うんですが、今の転用についてどういう支援策を考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

林田副大臣 委員御指摘のとおり、地方、町村には、全くおっと思うような施設がそのまま残ってみたり、こういうのが欲しいなというような要望等は、それぞれ委員の先生方、地方を抱えておられる先生方は特に思っておるんじゃないかと思います。

 したがいまして、市町村合併に伴う施設の統廃合を円滑に進めることは、既存施設を有効に活用する観点からも重要なことだと認識しております。このため、補助金で整備した施設の転用のために必要な手続の簡素化、迅速化を図るための支援措置をこの法案にも盛り込んでおるところでございます。

 具体的には、補助金で整備した施設を転用して行う事業を記載した地域再生計画を、御案内のとおり、内閣に対して認定申請していただきます。したがいまして、計画が認定されれば、補助金等適正化法上の補助対象施設の転用が承認されたものとみなすということでございます。

 このことにより、複数の省庁にわたる複数の施設の転用を行う場合であっても、内閣府に窓口が一本化されるとともに、認定に要する処理期間も三カ月以内に行うこととしておることから、地域の事情に迅速に対応できるというふうに思っております。また、追加的な財政負担を抑制する効果もあるのではなかろうかと考えております。

玉置委員 箱物競争が行き過ぎて、使われていないものが結構あるわけですよね。ああいうものを見ると、本当にむだなことを平気でやる国だなという感じがするんです。

 私どもからすると、この合併というのは非常にいい機会で、広域行政で、例えば広域行政として必要なものと、あと、やはり旧村単位の拠点として必要なものと分かれてくると思うんですね。だから、ある意味では、合併の直後というのは特殊な時代だと見ていただいて、それに対して、合併後何年以内はとか、そういうような形で、合併をうまくいかせるためにというのと、ほかに、その後の投資を少なくするためにできるだけ転用と増改築で行うようにというような指導をぜひお願いしたいと思うんですが、この辺についてはいかがでしょうか。

滑川政府参考人 ただいま御議論いただいておりますように、既存施設の活用ということは非常に重要だと思っておりますし、これまで、実は、本部決定に基づきましたプログラムで転用についてもいろいろと支援をしてまいりましたけれども、かなり多くの試みがなされてきておるということでございます。

 そして、こうしたものを知り、また、今回のこの法案の中に盛り込まれております転用手続の迅速化、簡素化というものをよく地域に知っていただくことによりまして、御指摘のような、市町村合併、それに伴う広域的な施設の再配置というような際に、適正化法の特例が非常に使いやすいということを周知していきたいと思いますし、それをぜひ使っていただくようにということで、県、市町村、地方公共団体にも御説明してまいりたいというふうに思います。

玉置委員 こういう類似の補助金といいますか、今、一般会計で大体十七兆数千億円ぐらいが補助金として出されていると思うんですが、その中で、今回対象になっている金額をまずお伺いしたいと思います。

滑川政府参考人 今回の交付金、道、港、それから汚水処理、三つ合わせまして八百十億円という予算が来年度予算に計上されているところでございます。

玉置委員 十七兆五千億ぐらいから見ると、本当に微々たる金額なんですよね。それで何か非常に大々的に、こんな法律が出るよと去年から騒がれていて、出てきてびっくりしたんです、少な過ぎて。この辺、どうですか、村上大臣。

村上国務大臣 先ほど申しましたように、私も生まれたときは三千グラムでありまして、今百キロでございます。そんな話で、規制改革や行政改革というのは、最初に今までの縦割りを横断的に穴をあけるというのは、委員も御承知のように、非常に大変なことでございます。

 我々としましては、特区のときもそうだったんですけれども、最初、鴻池さんがやっているときに、本当に特区というのはどういうようになるんだろうか、しかし、皆さん方の御協力や各市町村のアイデアで、本当に我々が想像していた以上の、それぞれの地域に合った、地域の特性を引き出した特区が出てきたわけですね。

 我々としては、これは本当に、今まで各省庁ごとのものをまとめたのは初めてなんですが、各省庁にまたがるものを一括計上というのは実は戦後初めてというか、行政史上初めてと言っても過言じゃないというわけですので、何とかして、小さく産んで大きく育てるように、一生懸命スタッフともども努力していきたい、そのように考えております。

玉置委員 大まかにばさっと出ていくと、非常にむだなものもたくさん出てくると思うんですね。ですから、ぜい肉を取ってスリム化をしながら、なおかつ健康に長生きする、そういう制度をぜひつくってほしいんですよ、私もそうですけれどもね。ですから、ある意味では、やりながらだんだん一つのルール化といいますか、人を育てるとともに、ちゃんとしたルールをもう一回、手直ししながらぜひやっていただきたい、こういうように思います。

 それで、類似のものが、先ほど言いましたように十七兆何千億あって、各省ともに、例えば海岸とか道路とか、複合的に入りまじって補助金を出しているというのがあるんですよね。そういうふうな整理というのは、やはり当然、こういう事業を計画されていく中である程度整理してこられたと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

村上国務大臣 先ほど来申し上げましたように、今回は特に、昨年六月に地域再生に関する地域からの提案募集をしてみたんですね。その中で統計をとってみますと、一番大きかったのが汚水関係で一くくり、それから港関係で一くくり、それからまた道、林道だとか農道だとか普通の市道だとか、そういう形で、そういう地域の声に基づいてやったわけです。

 委員も前から御指摘されているように、幼保一元化の保育園とか幼稚園、これは実は規制改革の方では、地域によっては幼保一元化ということで一つの建物にやるような努力を今しておりまして、そういうような縦割り行政の弊害を打破して、地域の利便性、裁量性を向上させる意味においては、今後とも引き続き努力してまいりたい、そのように考えております。

玉置委員 きょう、国土交通の丸山局長においでいただいていますけれども、私たちは、もう数年前から交通バリアフリーというのを一生懸命やっているんですが、これがまたいろいろな省庁にまたがっております。そして、予算もだんだんよくつくというか、多少ふえてきているんです。ことしは三百五十億ぐらいですか、そういうことで、立ち上がり当初は七十億ぐらいだったと思うんですけれども、ほかのところに組み込まれたものを見ると、千七百億ぐらいになっていると思うんですよね。

 それだけ複合的にそれぞれがやっていただいているんですが、こういうものこそ、一つの大ぐくりの交通バリアフリーとして予算化を枠取りして、各省庁でそれぞれ分担した仕事をしていただくというようなことが望ましいと思うんですね。その辺について、まず村上大臣にお聞きをして、そして、丸山局長に後、答弁願います。

村上国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、ただ、我々のセクションは、歴史に例えると楠木正成みたいなもので、多勢に無勢で、本当に少数の人数で全省庁を応援しているわけなんですね。それで、全省庁と交渉しながらやっているので、何とぞ、きょう御出席の委員の皆様方は党派を超えて応援していただきたい、そういうことでひとつよろしくお願いいたします。

丸山政府参考人 玉置先生からお話がございましたけれども、地域再生ということにつきまして、バリアフリー環境を整備するというのは非常に大事だというふうに思っています。

 それで、国土交通省になります前から、旧運輸省がいわゆる交通バリアフリー法というものをつくってまいりました。それから、旧建設省はハートビル法というものをつくって、その法律を持ったまま省庁統合されたという状況でございます。

 そうではございますが、結構それはそれなりに今成果を上げているというふうに私ども思っておりまして、例えばハートビル法では、床面積が二千平方メートル以上の不特定多数の者が利用するものをバリアフリー化しなさいということで、三割達成したということになっています。それから、交通バリアフリー法では、平均利用者数が五千人を超える旅客施設の段差の解消をやれ、こういうことなんですが、これは四四%まで来ているということでございます。

 それから、省庁を統合いたしまして、まちづくり交付金というものを国土交通省としてつくりました。これによりまして、私ども、連携施策と言っておりますけれども、旧運旧建にとらわれずに、例えば、福祉医療施設へ行く駅からの道を全部一括して連続したバリアフリーの空間をつくっていくということに対して支援するようなことを行ってまいりました。

 ただ、それだけで十分かと言われますと、それはそういうことではない。特に、少子高齢化とか国際化が進むと、どこでもだれでも自由に使いやすいというユニバーサルデザインの考え方を持って町づくりの環境をやっていく必要がある。これは、旧運旧建の枠にとらわれないということにもつながるかと思います。

 それで、昨年の十月に省内にユニバーサルデザインの政策推進本部というものをつくりまして、この六月に取りまとめを目指しておりまして、交通バリアフリー法とハートビル法を発展的に解消した総合的な施策の構築に向けまして、今幅広い検討を行っているところでございます。

 先ほど申し上げましたけれども、連携施策ということで、国土交通省の統合を目指したような、国土交通省が所管しております施設に限らず、あらゆる施設につきましてユニバーサルデザインという観点から支援ができるように議論してまいりたいというふうに思っています。

玉置委員 今は、どちらかというとハードの部分のお話だったんですよね。それで、例えば交通バリアフリーも、老人や障害者に対して自然に手が差し伸べられる、これは一つは教育だと思うんです。教育なり生涯教育なり、そういうもののいわゆるソフト面、こういう面で多省庁の連携というのが必要だ。それから、例えば厚生労働省の中でも同じように、そういう教育をできる人を育てていくとかいうようなことも必要だと思うんですよね。

 ある面で、ハードの面ではいろいろな計画をこういうふうに出してこられるんですけれども、この地域再生のための、先ほどの人材育成もありますけれども、ソフトという面ではどういうふうにお考えになっているか。質問通告はしておりませんが、その辺は十分いろいろ論議されていると思うので、ぜひお答えいただきたいと思います。

村上国務大臣 先ほどもお話し申し上げたように、今回の地域再生法は、大きく三つの柱で、一つは、補助金の各省にまたがるものを一括計上、二番目は、先ほど市村委員とも随分議論した税の特別措置なんですね。

 特に、税の特別措置においては、今までのように国が一般的なメニューを提示するというわけではなくて、それぞれの、例えば民間の会社にしても人にしても、地域の再生のためにどうしても、収益性は低いけれどもやはり何とかやりたい、そういうなかなか投資しにくい部分をインセンティブで持っていきたい、そういうことでこの税の特例措置をつくっているわけであります。

 これは、やはり特区のときもそうだったんですが、特区もいまだ、実は特区のアイデアの提案については国民だれもがやれるし、また民間中小企業でもいいし、地方公共団体でも提案することができるんですが、そういうこと自体もまだあまねく国民の皆様方全員に知れ渡っていないというところがあるわけですね。

 まさに税の特例措置においては、こういうような考え方があって、こういうようなチャンスというかトライができるんだよということを、こういう機会や政府広報を使って、やはりあまねく一人でも多くの地方を活性化したいという皆さん方に周知徹底するようにすることが重要ではないかな、私はそういうふうに考えています。

滑川政府参考人 法律上、扱っている内容が交付金とかそういうものが中心になりますので、いわゆる施設の整備とかあるいは転用というのもでき上がった施設の有効活用というようなことで、ハードというものが若干目立つかもしれませんが、きょう御説明しておりますプログラムというものをより幅広い範囲で各省と相談いたしまして、地域再生に当たって地域で使っていただけるような施策を挙げております。

 この中には、きょうも御説明しましたNPOの支援とか、地域提案型の雇用創造促進事業とか、あるいは地域通貨とか、そういうふうなソフトに関連したような支援策も数多く入っておりまして、実際にそうしたソフトの施策も地域再生に重要だろうというふうに考えているところでございます。

 また、転用とかそういう形でハードを利用する中身として、その中に入られるNPOとかあるいはその他のいろいろな組織がどう活動されるかというような支援も含めまして、地域とあわせまして、そういう具体的な動き、ソフトの動きというものをやはり計画の中でもぜひ盛り込んで、そういう中で、全体として地域の活動が地域再生につながるようなものになっていけばいいのではないかというふうに考えている次第でございます。

玉置委員 バリアフリーの関係でいきますと、福祉輸送というのがありますね。福祉輸送というのは、もともとボランティアの方が障害者とか高齢者とかを医療施設なんかに連れていくために生まれてきたものなんですけれども、これを介護とかにも活用していこう、そして、できるだけ福祉タクシーで充実すればいいんですけれども、やはりなかなか高いものですから、ボランティア活動の手をかりてやっていこうということで、これは、国土交通省と警察庁とか、それこそ厚生労働省とかの中での枠組みをいろいろ論議されていると思うんです。

 いわゆるソフトの面ですよね。そういう面で協議というのは進んできていると思うんですが、そういうソフトの連携とかというのをどういうふうに今やっておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。

丸山政府参考人 バリアフリーとか福祉輸送とかいいましても、国土交通省内でできることというのは非常に限界がございます。それから、役所だけでできることというのも非常に限界がございます。

 バリアフリーにつきましても、やはり最後に残るのは、私どもは心のバリアフリーと言っておりますけれども、いろいろな、社会全体で障害者の方も健常者の方と同じように動くような心構えといいますか、そういうものを持っていただくということで、ソフトのバリアフリー対策というものを私ども進めておるところでございます。

 それから、福祉輸送などにつきましても、これは非常に普通のことを申し上げて恐縮でございますけれども、やはり国土交通省だけでなくて、各省連携して、施策を持ち寄って、昔みたいに縄張り意識を余り出さずにやっていくということで、福祉輸送なども進めておるというところでございます。

玉置委員 先ほどから話が出ております民間の投資に対する支援策ということでの税制のお話があったわけですけれども、地域再生の中でいろいろな事業を起こしていくというのは非常に難しいんですよね。簡単にできていれば、今ごろもっと景気がよくなっているし、特に田舎はもっと栄えているはずなんですが、大変なお金を投資しながら、これがほとんど生きてこないということなんです。

 ある意味では、例えば中曽根内閣のときに、海底トンネルをつくってそれを民活の事業にするんだとおっしゃっていましたけれども、何兆円とかかるお金を、本当に戻るのかなということで、採算ベースで料金設定したらとても車が通らないということで、慌てて下げたということもあるわけですね。非常に危険度が高いということで、単なる投資回収ということだけではなくて、どういうメリットを相手に与えていくかということが明確に出ていないと非常に難しいんじゃないかと思うんですね。

 税制で優遇措置というよりも、むしろ危険分散をどうするんだとか、あるいはその際にどう支えるんだとかいうことが大事かと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

滑川政府参考人 御指摘のように、例えば地域での需要あるいは地域での施設を整備するためのコスト、そうしたものを見合わせてみると、成り立つかどうか、それぞれの地域によっていろいろ状況が異なりますが、必ずしもそういうものがどこでもできるというものではないということは事実だろうと思っております。

 そうした中で、これまでどちらかといえば公益的な事業とかそういうものについては公が中心となって責任を持ってやるというような考え方が強くて、公が直接、あるいは第三セクターというようなものをつくって、これまでそうしたサービスを提供してきたということかと思っております。

 ただ、なかなか公の力だけでは、そうしたそれぞれの地域の需要の違い、状況の違いというものをうまく反映した適切なサービスがしづらいということも強く言われるようになって、最近、そうした意味で、なるべくそうしたところに民の力を活用できないかというお話が出てきているという状況だろうと思っております。

 この地域再生の取り組みの中でも、民でできるものはなるべく民でやっていただくということを考えてきたわけでございますし、また、地域で民のお持ちになっている資金がなるべく円滑に回って、民間の活動、地域の活動につながるようにしたいというような問題意識を地域からも強く提示されてきたところでございます。そうした中で、この課税の特例というのが一つのそれに対応するアイデアとして出てきたということでございます。

 すなわち、これまで公が専ら担っていたものをなるべく民が参加できるようにする。そして、そうした中で、当然、お話にございましたように、その事業だけではなくて、その事業が周辺に与える、いわゆる外部経済効果といっているようなもの、例えば環境に関するものとか、そういうものは外部経済効果があったりします。そうしたようなものをうまく枠組みの中に入れて、民の力でやっていけないかというような御議論を重ねてまいりました。

 今回の課税の特例というのは、そうした意味で、収益性が低くても、いわゆる経済、企業単位で見る効果ではなくて、やはり地域にとって効果の高いものになるべく民間の力が入るようにということで、地域のお金がなるべく地域の中で回る、さらに、そうした地域の事業にお金を出してもいいという方がふえるようなことを考えてつくってきたわけでございます。

 そうした意味で、私ども、こうした課税の特例が、もちろん全国さまざまな形で、今申し上げたような、これまで公あるいは民間だけではなかなか担えなかったものを担えるようになるということを期待しているということでございます。

玉置委員 国土交通の丸山局長、もう質問しませんので、御退席ください。済みません。

 例えば、ほかのいろいろな補助制度がございますね。特に、新農村だとか、これは貸し付けですけれども近代化資金だとか、あるいは離島振興とか過密過疎地域振興とかまちづくり交付金とかいろいろなものがありますが、こういうものと今回の地域再生法の事業を組み合わせてやるとかいうことは可能なんでしょうか。

林田副大臣 地域にとりまして、各地域の特性を生かした地域再生の取り組みには、今委員おっしゃいましたように、幅広い分野が用意されているかと思います。交付金に限らず、税制の特例とか、あるいは各省庁がいろいろな地域再生に資する施策を展開している状況ではないかと思います。

 したがいまして、こういうことを用意しておくのも必要だと思いますけれども、御案内のとおり、地域再生の補助金改革においても、地域からの具体的な提案に基づきまして、地域の自主性、裁量性の拡大の観点から、広い分野にわたって、それぞれ各省庁、交付金化を推進してきたところでございます。したがいまして、この地域再生法案に盛り込まれました省庁横断的な交付金以外にも、道、汚水処理あるいは港、これ以外にも、地域介護・福祉や地域住宅に関する交付金など、それぞれ各担当省庁で鋭意頑張っていただいておるというふうに思っております。これらの交付金につきましては、地域再生の推進の観点からも積極的な活用が図られるよう、一番大事なことは、何回も出てきておりますように、それぞれ、やはり主体となる地方公共団体に周知徹底を図るということに尽きるかと思います。

 したがいまして、これも何回も出てきておりますけれども、去る二月につくり上げましたいわゆるプログラム二〇〇五におきましても、地域再生計画に複数の交付金を組み合わせて行う総合的な取り組みが位置づけられた場合には、内閣総理大臣が第三者の意見を聞いて評価した上で行う認定に基づき関係大臣が連携して支援する制度について、平成十八年度から創設することを盛り込んだところでございます。

玉置委員 きょうは、農水省の方にもおいでいただいておりますが、町づくりの補助金とか基盤整備とか、こういう補助金は非常に農水省に多いんですよね。

 いつも思いますのは、生産については、農水省はかなり力を入れていろいろな支援をしていただいております。しかし、卸売までなんですね、農水の管轄といいますか。小売の方は全然、もう相手任せといいますか市場任せということで、頑張ってくださいというだけで、それで終わりなんです。私どもからすると、やはり生産に力を入れて支援をするということは、販売が前提なはずなんですけれども、そういう意味で、補助金がちょっとむだに使われているような感じがするんですよね。

 幾ら生産をやって、それが適正な値段になって、あるいは基盤もきちっとできてやられても、実際に、物はつくった、値段はたくさんできたから安くなったということで、予測どおりにはなかなかいっていない。野菜価格安定基金とか、いろいろなあれはありますけれども、生産調整もできますけれども、しかし、実際に各農家で聞いてみますと、なかなか価格と生産のバランスがうまくいかないという話があります。

 それから、各農協、大分大規模に農協は集約されてきましたけれども、農協がいつまでも昔の仕事をそのままやっているような感じがするんですね。私が二十年以上前にアメリカの農協とかいろいろな視察に行ったときに、やはり情報収集と指導なんですよね。今、作付の指導、そのための金融というか、そういうものを主体にしてやらないと農協というのは何の意味もないんだとその当時からアメリカの方は言っておられましたけれども、日本はなかなかまだそこまで踏み切れないということなんですね。

 ですから、幾ら地域振興のためにというふうに頑張っていただいていろいろなお金を投入しても、実際にそううまく生きてこないということでございまして、農協のあり方を含めて、農村、要するに産地の活性化のために、一体どういう活用方法を考えればいいのか。

 農協の組織改組といいますか、それから補助金のあり方というものも複合的に考えて、全部あれは単品というか、一つの事業で全部出ていますから、その地域にとってみるとかなりたくさん出ているんですけれども、その補助金で豊かになった農家はないんですよね。

 ということで考えていきますと、余り物を売るという面で効果がなかったのか、それから、地域の中で道路とか排水とかはよくなりましたけれども、実際に、生産農家が安定して物をつくって、それが確実に売れていくというところにつながっていないんじゃないかというふうに思うんですが、今申し上げたことを全部考えていただいて、お答えをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 ただいま、大変広範にわたります農業、農村問題について御指摘がございました。委員御指摘のように、やはり消費者にどういうふうによい農産物が供給されていくかということにまず軸足を置いて生産に取り組むということは、まことに重要なことだというふうに思います。

 農協組織につきましても、御承知のように、農協組織は農村地域を基盤といたします協同組織でございますが、その中で、先ほどお話の出ました農産物の販売あるいは購買、それから信用、共済というさまざまなサービスを提供しているわけでございます。今般の地域再生の関係におきましても、市町村と並びまして、農村地域活性化対策あるいは中山間地域対策などの事業主体として、地域の再生に向けまして重要な一翼を担っていくべきものだというふうに考えております。

 委員の方から御指摘がありましたように、農協の経済事業につきましても、昨今、例えば全農の不祥事件等の続発というようなことで、農業の内外から、本来の使命がないがしろにされているのではないかといったような批判もいただいているところでございますが、御指摘いただきました情報、それからそれを金融につなげ、さらには共同利用施設をしっかり整備していくというようなことを通じまして、きちんとその役割を果たしていけるように真剣に取り組むよう指導してまいりたいというふうに考えております。

玉置委員 補助金の転用といいますか、こういうものも、逆に言えば、農村と言ったら本当の村みたいですけれども、普通の農業生産地を中心にした集落といいますか、こういうところにこそ今提案のあります地域再生法の物の考え方が非常に有効ではないかと思うんです。

 ずっと調べていたら、こういう補助金の一番多いのが文部科学系統と農水なんですよ。例えば、水産加工場とか農産加工場とか、こういう面は民間投資でもできるし、第三セクターでもできるし、あるいは農協でもできるわけですね。地域再生のために、そういうところに投資をして、そこから利益を生み出す、雇用を拡大する、こういうことも可能だと思うので、ぜひまたそういう活用方法を考えていただきたい、こういうふうに思います。

 それから、私の昔の選挙区ですけれども、例えば、このサンプルの中に入れていただいています美山町というところなんですけれども、大体人口三千人弱で、非常に広いんですね。京都市より広いという町ですけれども、ここで何かやろうとしても、非常に心配するのは、どんな人がここへ来るのかなというのと、それから、そこにお金を落としてくれる人がわざわざ来るんだから、何かをしないといけないということなんです。そういう観点からすると、先ほど人材育成の話がありましたけれども、この町で考えて、どういう手順でこれを拡大して事業化していくのかという心配をちょっとするわけですね。

 うまく時代の波に乗って、例えば、京都市内でいうと町家とかいうようなかわりに、いわゆる旧農家があるわけですね。そこが例えば夏の間だけ貸しに出る、いわゆる貸し別荘みたいな形で活用されていくとか、あるいは森林浴とか、もうちょっと外れるとマツタケの産地なんですけれどもマツタケ狩りとか、要するにレジャー、ゆったりとして過ごせる村、そういうのどかなところなんですけれども、のどかだけに、企画力があるかどうかという心配もありますし、それをフォローしていく人材が本当にいるかどうかというのもあるんですね。

 だから、そういうふうに、何か新しい町のために企画をして、役所というのはどんどん人がかわっていきますから、いつまでもその考えが残っているということじゃないし、推進者も、おれはあと一年でかわるんだと突然かわってくるというふうに、やはり人がかわりますから、その辺をちょっと心配するわけです。

 ですから、やはり何年かかかって推進をしていく、村上さんが百キロになられたような、年数を経て定着していくという、少なくとも五年ぐらいは、ある程度安定するまで推していかないといけないと思うんですね。

 そういうときに、何か方法を考えておられるかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

滑川政府参考人 ただいま御紹介いただきました美山町の例、これは、私どもも各方面で使わせていただいておりますけれども、日本一の田舎づくりということをうたって、田舎を逆手にとって地域の活性化を図りたいと言われていまして、今回、交付金ということで法案の中に具体化されております、いわゆる汚水処理系の事業の一体化、あるいは地方道、農林道の一体化というふうなことについてもぜひやってほしいという御提案をいただいたり、あるいは規制の面でも、地元のカヤぶきの農家をうまく都会の方に泊まっていただけるようにということで、その泊まっていただく民宿経営のためには、厳しかった建築基準法の緩和というか改革をしていただくというようなことをあわせて提言、提案されてきたという、ある意味では非常に総合的な地域の再生に対しての取り組みをされていらっしゃるというふうに私どもは評価をしておりますし、非常に喜んでおります。

 こうした取り組み、御指摘いただきましたように、単年度とか二年度で済むようなものではございません。逆に言えば、先ほど来申し上げていますように、地域再生計画というようなものをつくっていただく、あるいは特区計画というものをつくっていただく、そうした中で、私たちはこの期間こういう事業をやりたい、この期間こういう方向で自分たちの町を整備したい、あるいは民間と協力していきたいというようなことを計画として盛り込んでいただくと、それによって、それを国が認定するということによって、ある意味ではその期間にわたってそういう支援を受けるということを想定できるわけでございます。

 また、計画につきましては公示をしてまいりますので、そうしたものが広く全国に知られるということで、ある意味でいえば一つのPR、あるいは地元にとっても一つの結集のための道具になるということで、こうしたものを通じて、地域の方々の意識も変わり、地域の活性化により強力に取り組めるようになるのではないかということでございますので、ぜひ、この地域再生の枠組み、あるいはこれまでやってまいりました特区の枠組みを使っていただきまして、地域の活性化を進めてまいりたいと思っております。

玉置委員 もう終わりますが、最後に、地域再生のモデルケースとして、多分モニターをいろいろ当たったと思うんですね。そういうところはまず大事にして、予算化のときにはぜひ優先的につけていただきますように、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。終わります。

松下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松下委員長 速記を起こしてください。

 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦です。

 この地域再生法というのは大変に興味深い法律で、一度は大臣とじっくり議論をしてみたいなと思っておりましたが、いつまでたってもそういう機会がめぐってこない。おととしの十月に再生本部が設置をされてから、いろいろなことが起きている、既成事実がどんどん先行するという中で、どうしてこの議論をみんなでじっくりやらないのか、大変けげんに思っておりました。

 先般の本会議で大臣は、事業執行が急がれているんだ、だから日切れだとおっしゃいましたけれども、ちょっとそれは乱暴ではないか。何でもいいからとにかくやれという、ある意味でいうと小泉せっかち内閣、内閣主導の行革推進、それなりにはいいと思うんですけれども、まだまだこれはとても生硬な法案だと思うんです。基本認識や方策等についても、残された問題が多いような印象を私は持っております。

 そういう意味で、地域の要望や提案は聞いた、省庁挙げて支援措置は練った、それを並べたというだけでは、ちょっと余りに荒っぽいんじゃないかなというふうに思わざるを得ない。ボタンのかけ違いは後に禍根を残すと思いますけれども、大臣、その辺いかがですか。

村上国務大臣 実は、先ほど来申し上げていますように、私も今回、行政改革、規制改革、構造改革特区、地域再生、それから産業再生機構を担当させていただいて、本当につくづく痛感したのでありますが、結局、現場と、国民の皆様また議員の皆様方との、私自身もそうだったんですけれども、ギャップというものがあるんじゃないかなという気がするんですね。

 特に、先ほど来申し上げましたように、一番最初に特区を手がけられたのは鴻池さんなんですが、あのときは医療問題を中心に大変な激論があって、何か医療中心的なあれだったんですが、やはり、私も担当して、全国津々浦々の特区の申請内容、そしてまた、先ほど来何回も申し上げましたように、四日市のコンビナート特区、それから豊橋市の国際自動車特区というふうに、結局、最初つくったときには、海のものとも山のものともならないでどうなるかと思ったんですが、実際は、やはり現場からの熱意と申しますか、現場からの発意によって我々の想像以上のアイデアが随分出てきたんじゃないか。

 特に今回の地域再生についても、先ほど来委員が言われるんですが、後でまた質問のときに答えるんですが、去年の二月の段階では、御承知のように、去年の今ごろですから、予算とか税とかがまだ何もなかったわけなんですね。

 そういう中で、去年の六月に、私が就任する前なんですが、いろいろな市町村長さんのお話を聞いていると、例えば補助金についてはこういう使い勝手がよくない、それからまた、いろいろな投資をするときにおいてこういうインセンティブがあったらいいんじゃないか。

 それから、先ほど玉置委員からもあったように、やはり今回は急激な町村合併がありますね。昔は、御承知のように結構箱物が、私の選挙区ですと三十一市町村ごとに三十一市町村同じものがあったりするわけです。そうすると、それをどういうふうにうまく活用するかということをいろいろ考えた場合に、先ほど来申し上げているように、それは法律というのは、すべて一〇〇%の状態に適合できる法律ができるにこしたことはないと思います。しかし、私は、今のような町村合併がもうかなり急激に進んでいるときには、やはり、それに対応した受け皿というかそういうものを考えていくことも行政や政治にとって必要じゃないか、そういうふうに考えております。

若井委員 その問題、今後さらに議論をさせていただくことにして、本題に入らせていただきます。

 地域にかかわる制度というのは結構たくさんございますね。どれも、この間見てまいりますと、十年は何とかなったけれども、二十年はもたないというようなものが多い。特に、ごく最近でいうと、中心市街地整備改善活性化法というのがありますね。八省庁が寄ってたかって、とにかく瀕死の商店街を何とかしようよという、五年ぐらいやっているんだと思いますけれども、全国歩いてみますと、なかなか目覚ましい成果が上がっているところがないように思われる。いろいろ評価をする方はあると思うんですけれども、もしそれがうまくいっているのであれば、また改めて、地域再生だとかいう議論にはならないんじゃないかと私は考えております。

 地域が大切だということは当然です。もう手足がしびれて動かない、そういう人間になってしまえば、頭も働かないし、心臓もとまってしまう。東京も危ない、そういうあかしだろうと思う。それだけに、地域を、ある意味でいうとしびれかけている手足ですか、これを何とかもう一回きちんと健全な姿に戻したいということは当然のシナリオだと思うんですが、ある意味でいうと地域活性化、再生以前の地域活性化という発想では、もう物事が動かなくなっているということがベースにあるんじゃないか。

 今回、各省庁がさまざまな連動施策とか並べられておりますけれども、その中には相変わらず一時代前の活性化という言葉が、キーワードがたくさん出てくるんですね。発想が変わっていない。つまり、地域再生というものに対する認識をもう少し掘り下げた方がいいんじゃないかということを私はここで申し上げたいわけです。

 例えば、さっきの商店街の問題に戻りますけれども、何で、通り商店街はあんなに衰えてしまったか。はっきりしております。郊外にスーパーができた。そこへみんなが車で買いに行って、たくさんどかっと買ってきて、冷蔵庫に入れておく。ある意味でいうと、大量生産、大量消費の象徴みたいな景色ですけれども、要するにそうしたシステムが通り商店街を衰退させている。もっと言えば、今、地方で起きている、つまり地域で起きている衰退の理由というのは、明らかに、今申し上げたような仕組みが全国を覆っているということですね。

 ところが、最近、大変に注目すべきことが起きてきて、そうやって全国を制覇したマイカルグループ、ダイエーグループ、そして西武グループ、全部もうアウトですよね。要するに、養分を吸い尽くしたところで倒れてしまうような仕組みになっているわけです。今やイオンだけが勝ち残って、イオン政権がスーパー業界では既に成立をしておるわけです。

 そんな調子なわけでして、そういう中で、例えば衰えてしまった商店街を一体どうやったらよみがえらせるのか、そういうふうに考えていけば、この地域再生というのはもう少し違ったシナリオになるんじゃないかと私は思うんです。

 今回の地域再生のプロセスがだんだんその議論の中で変質していっている。改革工程表がありますね、十六年の三月に出ている。いつの間にか、「改革の加速・拡大による新たな成長・雇用機会の創出」というふうに、ある意味でいうと経済の問題に矮小化しているんじゃないかというふうに思うんですね。今回の法律も、そういう意味でいうと、そっちへ大変に傾斜をした法律になりかかっている。法の第一条の中にも、地域経済の活性化と雇用の創出、そういったことが中心的にうたわれているわけです。

 ちょっと長くなりますけれども、もう少し聞いてください。

 さっきの商店街の話に戻りますけれども、これから、僕は、商店街は上手に立ち直るところが出てくると思います。それは、さっきの中心市街地活性化法で、寄ってたかって補助金を注入されるからじゃないんですね。例えば、そこにいる商店街のおやじが、ちょっと外れたところに動けなくなっているばあ様がいて、あの人の台所には今これがないというようなことがわかっているということです。そういうことがきちんとよみがえってくれば、商店街はもう一回生き返ります。昔の商店街はそうだったんですね。

 とてもそれじゃ商売にならないよと言うかもしれないけれども、いずれスーパーはつぶれてしまう、そして何もなくなった、そういう中でどうやって生きていったらいいんですか。それを地域再生と名づけたらどうかと私は思うんです。そうすると、多少物は高くても、御用聞きに来てくれるような商店街をもう一回つくっていこうじゃないかというような話が地元から起きてくれば、これはまさに地域再生ですよ。

 そういうふうにして、例えばおいしい豆腐屋があったり、隅っこの方でだれかがうまい干物を焼いていたり、新鮮な野菜を届けてくれたりするような、そういう町をもう一回つくることが地域再生じゃないんですか。

 これから人口も減ります、高齢化もすごく進む、そういう中で地域再生をしようと思ったときに、地元の人に、応援するから企業をつくって地元のスーパーをつくれといったって、それは無理ですよ。それをもうさんざんやってきて今がある。再生というのは、要するに死にかけているから再生なわけでしょう、活性化とは違うわけで、そういうシナリオでもう一回この制度を見直していくと、大分違ってくるんじゃないかと思うんですね。人間はそういうところじゃないと生きられない。どんなに知恵がある人も、新しい産業の芽を起こす人も、それ以外ないじゃないですか。そういう町をどんどんつくったところが再生するんだと僕は思うんですね。

 そういう意味で、今回のこの法律、どうして経済の方へ傾斜をしてしまったのか。どうなんでしょうね、大臣、その辺は。

村上国務大臣 まさに委員のおっしゃるとおりなんですよ。だから、今までの地域のいろいろな案というのは、国がこういうメニューだよ、こういうメニューに、先ほど玉置委員が御質問なされたように、それに乗っていく形というのが多かったんですけれども、特区にしても地域再生にしても、まさに今、若井委員がおっしゃられるように、地域の魅力や力を一番知っているのはやはり現場の方、すなわち地域の方なんですよ。

 ですから、そういう地域の皆さん方がその魅力や力を引き出すために、いろいろなサポートできる道具というかツールを提供したい。これが実は我々の真のねらいでありまして、まさに委員がおっしゃっているように、現場からの発意、熱意というものを引き出すための、特区と同じような、何とかそういう道具でみんなの、自分たちの自立と自主性によってみずからの頭で考え出す、そういうような一つの方向づけのきっかけになっていただきたいというのがこの法案の真意なんですよ。

若井委員 もしそうであれば、この法律の組み立て方というのはもうちょっとやりようがあるんじゃないかと私は思っているので、こういうことを申し上げているわけです。

 この「基本理念」のところに、地域における創意工夫を生かしつつとありますけれども、この後の、住民が誇りと愛着を持つことのできる住みよい地域社会の実現を図ることを基本とするというふうに書きながら、実は、この「基本理念」には主語がないんですよ。だから、これは、頭のところに国がと書いてもいいし、地域がと書いても、どちらでも読めるような法律になっているんです。

 その証拠に、第三条の「国の責務」のところに、国は、地域再生に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有すると書いてある。地域再生計画は国がつくるんだと書いてあるじゃないですか。要するに、地域から知恵はもらうけれども、国がやるんですよということを書いてあるのがこの法律じゃないんですか。まあ、運用によってそうじゃなくしますよというのであれば、その具体的な道筋を教えていただきたいんですけれども、いかがですか。

 後から出てまいります連動施策や分野別の施策を見ていると、どうも、地域再生の名のもとに、役所の仕事づくりや地域再生の動きを省庁ペースに誘導するということがほの見えているような気がするんですけれども、これはうがち過ぎでしょうか。

村上国務大臣 それは全くそういうことは考えておりませんで、まさに、さっきの補助金の一括計上にしてもすべてそうですけれども、これはそれぞれの市町村長さんが東京に上京されたとき、特区にしても地域再生にしてもそうですが、いろいろな省庁を回らなきゃいけなかった。その中で、やはり使い勝手のいい制度にしてくれという御要望がそれぞれの市町村長さんからあったわけであります。

 それから、先ほど来、市村委員と話し合った税制の問題についても、先ほどの主税局長はすごく短く明快に答え過ぎちゃったんですが、例えば、なかなか収益性が上がらないものでも赤字を覚悟でやる場合には、そういう面では税制の特例措置によってかなりサポートしよう、そういうねらいもあるわけです。

 それで、先ほど来、玉置委員とも議論したように、町村合併における本来の、五十年前につくった補助金適正化法においては、その目的でつくった用途でしか使えなかった。それを、町村合併によっていろいろな施設が遊休施設として残る可能性がある、そういうものを今後の市町村合併において有効に使おうではないか。そういういろいろなアイデアを組み合わせたのであって、決して、委員がおっしゃるような、国の仕事や行政の仕事をふやそうなんてけちな考えは一切考えておりません。

若井委員 行革担当大臣はそういうふうにおっしゃっておられるわけですが、ではちょっと、総務副大臣、いらっしゃいますか、お聞きをします。

 今回の、これは分野別の施策になるんですか、例えば総務省でやっておられる地域通貨モデルシステムの導入支援、これを地域通貨モデルシステムの無償配布等の支援というふうに、ここに挙げておられますね。

 私もこれは大変に興味深く、なぜなんだ、地域通貨というのは本来地域の人たちが自分たちの自発性でつくってやるのが地域通貨であって、国と相談をしながらやったんじゃ地域通貨にならぬわけですよ。二重通貨になっちゃうじゃないですか。円と、それから、いろいろありますね、栗山町とか千葉のピーナッツとかいろいろありますけれども、それの例えば為替レートをつくるような話じゃないわけですね。

 いろいろこれまでやってこられたところを聞いてみますと、この無償配布のシステムというのは、要はパソコンのシステムをもらったそうです。要するに、紙幣を発行するんじゃなくて、みんなそれを通じてお金をやりとりする、対価をやりとりすると言ってもいいんだろうけれども、そういうことをしているんですが、何とこれは住基ネットなんだよね。驚いてしまいました。

 要するに、住基ネットの活用、普及という目的にこの地域通貨モデルシステムがぴったり重なっている、地域再生の名前でそれに載っている。これはまさに、村上大臣、私が省庁ペースに誘導するというのとは違うとおっしゃいますけれども、総務省はそういうこともしておられるということは御存じですか。

山本副大臣 先生の御指摘、私、個人的に考えましても、ちょっとおかしいなと思っております。

 私は、かつて地行の理事をやっておりまして、住基の基本台帳をつくるときにもかかわった者でございますけれども、住基のカードが多目的に利用されるということは、大変進歩したなという個人的な感想を抱いております。

 私が地域通貨というものを考えたときに、やっておられるところの地域の方法を見ておりますと、JALやANAがやっているマイレージのようなものだなというふうにかねがね思っております。いわゆるポイントをためて何かに地域の中でそれを使っていく、ではポイントをためてちゃんとどこが管理できるのかなといったときに、いわゆるICTの技術というのが必要になってくるんだろうというふうに私は思っております。

 それに対して総務省が開発したシステムを無償で供与するということでございまして、私どもとしましては、地域通貨をやっておられるところに対して主導をするという意味は全く今のところ持っておりません。

若井委員 そこら辺はちょっと見解の相違もあるのでこれぐらいにしておきますけれども、いずれにしても、地域あるいは自治体がみずからの発意で動きやすいという条件をつくるには、もっとうんとベースのところでシンプルな条件づくりをする以外、これは手がない。自治体に大幅な権限移譲と財源移譲をしていただきたいということを、この例を挙げて申し上げておきたいと思います。

 では、さっきの話の確認なんですけれども、特定地域の再生事業会社については税制上の特例措置があるということでしたが、私は、先ほどの商店街の例でちょっと申し上げたとおり、決して利益が上がるような活動が地域再生を支えているのではないという観点から、NPOとかボランティア等の活動についても、ボランティアはなかなか難しいかもしれませんが、税制上の特例措置、この地域再生計画に載っているNPO活動等については、そうした税の控除というような仕組みをぜひ次の法改正までには御検討願えるよう、切に申し上げたいと思います。これはお答えは結構です。

 それから、先ほどのワンストップ窓口の話なんですけれども、いろいろ調べてみますと、地域再生計画で認知をされた事業についても、それぞれ個別の事業については、補助金の採択とか交付の申請については個々の所管の省庁に手続をしなきゃいかぬということは、それでよろしいわけですね。

 結局のところ、屋上屋を重ねるというようなことに、行革担当の皆さんはそうは思っていらっしゃらないかもしれないけれども、客観的に、地方自治体からすればそれだけ事務がかさむということは事実でありますし、そこら辺、要するに地域再生パスがあるんだったらそこはフリーパスだというふうにどうしてできないのか。この仕事については内閣府できっちりやりますよというふうに、一気にできなければ少しずつでもいいですから、そういうふうに整備をしていっていただきたいと思いますが、いかがですか。

村上国務大臣 若井委員、それはちょっとあれでして、再生室ができて窓口ができれば、各市町村長は、受付は窓口一つになりますから、手続は一個に集約されるわけです。そこから先はそのスタッフが各省庁に持っていくわけで、そういう点では、当事者である市町村長さんに対しては、作業は格段に減るということであります。

若井委員 では確認ですが、今のお話ですと、地域再生計画の枠内のものについては、内閣府の方で自治体にかわってそうした個別省庁に対する手続は全面的にするというふうに大臣は御発言をしたということでよろしいですね。

村上国務大臣 ですから、今申し上げたように、地域再生の認定についての手続は、窓口で受け取って、地域再生室が全省庁と当たって調整いたします。

若井委員 その調整という言葉がとてもひっかかりますけれども、一応そういう御発言をいただいたということにしておきたいと思います。

 次に、地域再生計画の認定のところなんですが、地域再生をどうするかというのは、当然地域の自発的な行為であるということはこの法律の前提になっているわけで、地域再生計画が認定されようがされまいが、地域にとっては、この地域再生のシナリオに沿って粛々と地域再生を進めざるを得ないわけですね。この場合に、わざわざそれを国が認定するという意味です。これは、要するに国の施策に対する一種のパスを与えるという意味なのか、あるいはもう少し広い意味で、これは地域再生計画という名に値するかしないかを判断するものなのか、そこら辺はいかがでしょう。

村上国務大臣 だから、先ほど来申し上げているように、三つの柱があるわけですね。その三つの柱をつくるためには、認定をすることが最初の要件ということになっているわけです。

若井委員 わかりました。要するに国が、国がというか今回の法律が規定をしている、法律の要件に合うものだけを地域再生計画として認定する、こういうことですね。それなら大変話はわかりやすいわけです。

 それではもう一つお聞きしますけれども、かつて、経済財政諮問会議の中で、認定をだれがするのかという議論になったことがあるはずです。その段階では、これは新聞にも発表されていますからだれでも御存じだと思うんですけれども、わざわざ役所の外に民間の有識者による第三者の機関をつくってこれを評価するということを提案したわけですね。ところが、この一年余りの間に、法律からこの第三者の評価機関というものはいつの間にか消えてしまい、これは、だれが評価をするのか、だれが認定をするのか。結局は、役所の中で、ある意味でいうと役所のシナリオに沿う、もっと極端に言えば都合のいいものだけが認定をされかねないということに今なっている。

 これは、第三者機関の評価というのはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。

村上国務大臣 それはちょっと若井委員とは考え方が逆でありまして、地域再生計画の認定基準は、法案第五条第四項に定めるとおり、地域再生基本方針に適合するものであること、二つ目は、当該地域再生計画の実施が当該地域における地域再生の実現に相当程度寄与するものと認められること、それから三番目に、円滑かつ確実に実施されると見込まれることであって、我々としては、入り口についてのハードルはできるだけ低くしたいと考えています。だから、入り口のハードルは余り高くしたくない、低くして、なるべく認可されるようにしたいというねらいなんです。成果主義でありますから、きちっと事後的には評価する、そういう考えです。

 そういう考え方から、地方公共団体から申請される地域再生計画は、この認定基準に適合していると認められれば内閣総理大臣が認定するものとしているわけです。その認定に当たっては、地域の自主性、自立性を尊重することを旨として、必要最小限のチェックにより速やかに行うこととするために、事前に第三者評価機関の関与は予定しないものだ、そういうふうに考えています。

 また、地域再生計画に基づく政府の支援措置の見直しのため、先ほど申し上げたように事後的な評価を行うこととしていますが、この評価に際しては、第三者の意見を聞いて、きっちり透明性を確保するようにしたい、そのように考えているわけであります。

若井委員 大臣の今のお話ですと、事前の、要するに認定をするかしないかについては第三者機関を予定しないというお話なわけですが、当初のお話ですと、今回も幾つか交付金等がつくられておりますが、その交付金の配分について、この第三者機関が意見を言うというふうな提案だったと思うんですけれども、それについては否定をしたということでいいわけですね。

 そうしたら、もう一つお聞きしますが、先ほど事後評価とおっしゃいましたけれども、事後評価というのは一体何ですか、何のためにそんなことをなさるのでしょうか。

村上国務大臣 地域再生計画に基づく政府の支援措置の見直しのために事後的な評価を行うこととしているわけです。だから、その評価に際しては、客観性を持たせるために、第三者の意見を聞いて透明性を確保したい、そういうふうに考えているわけです。

若井委員 役所が予算を配分するというこれまでのやり方は全く変えるつもりはない、そして、この雲をつかむようなタイトルの地域再生という仕事に取りかかるというのは、蛮勇といいますか、私にとってはとても理解ができない取り組みのような気がしますけれども、この辺については、また後ほど仲間の議員から質問をさせていただきます。

 いずれにしても、この都市再生にかかわるすべての地域の国民と、それを応援しているみんなが納得のいくような形で進めていただきたいということを御要望したいと思います。

 それから、次に、行革担当大臣、先ほどたくさんこれまでのお仕事を挙げられましたが、私、この地域再生、とても似ている事業は、都市再生事業ですか特別措置法、あるいは構造改革特区もかなり似ていると思うんですが、そうした幾つかのプロセスを踏んできたんだと思いますけれども、例えば、都市再生事業と地域再生事業を見比べてみますと、大変に類似の事業になってきている。

 都市再生事業については後ほど国土大臣にもお話を聞きたいと思っておりますが、こういうふうに、一つの建物の中にさまざまな店舗を並べるというふうなことはもうそろそろやめて、国民からすれば、そうしたものを、先ほどのスリム化ですとかわかりやすさとか、構造改革の一番の意義だと思いますけれども、例えばこれらを統合するというようなことをお考えになったことはないんでしょうか。もし考えられないとすれば、その理由は何か教えていただきたいと思います。

村上国務大臣 そこは、先ほど市村委員からも同じような質問がございましたので、ちょっと説明が足りなかった点もあって、補足しながら説明したいと思うんです。

 構造改革特区は、御承知のように、国全体にかかっている規制をそれぞれの地域ごとにパーツにして、地域を限定して規制の特例を講じるものであって、都市再生は、町づくり分野における規制緩和、公共施設整備や地域活動への支援等を行うものです。地域再生は、これらの分野の取り組みと連携しつつ、地域の自主性、裁量性を拡大する省庁横断的な交付金や地域再生に資する事業を行う民間企業への投資を促進するための課税の特例等の独自の支援措置を通じて、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出など、地域の活力。

 先ほど市村委員には、ちょっと時間ができなくて、説明が足りなかったんですが、例えば、毎年何百というのが来るんですが、先ほど市村委員はNPOと比較したんですが、NPOの場合はそれでお金を配るぐらいで終わるんですが、実は、それぞれのアイデアを、担当職員が、それぞれの省庁に出向いてやるんです。

 例えば、私が今早くするように指示を出しているのは草加市の教室特区なんですが、今、御承知のように、日本の教室の高さは三メートルと決まっているわけです。それを二メートル七十センチに、一階ごとに三十センチ圧縮すれば、四階建て、五階建てで大体一メートルちょっと縮むわけですね。そうすると、大体校舎を一棟建てるのに八億かかるんですが、八千万圧縮できるんですね。それを十棟建て直すとしたら、八億草加市の年間の市の予算が減るわけなんです。ところが、御承知のように、三メートルという基準は明治三十八年の文部省の省令なんですね、あと建設省と。

 実は、まさにそういう何百というアイテムについて、それぞれのうちのスタッフは、建設省行ったり、文部省行ったり、議論をやります。もちろんやはり各省庁の壁がありますから、最初はゼロ回答なんです。ゼロ回答を何回もしているうちに、これは、やはり、埼玉県の草加市にとっては、人口急増地域ですから、建て直す校舎がいっぱいあるから、何とか予算化したい。そうすると、ことしの七月のシーリングまでにやらなきゃいけない。そういうときに、そういうものは大臣折衝で上げてこいと言っているわけですが、まさに、私もスタッフと一緒に、それぞれのアイテムなり項目について検討して、あれをやっていると、本当に気の遠くなるような作業なんです。

 だから、将来的には、若井委員がおっしゃるように、構造改革特区についても都市再生についても、地域再生についてある程度同じような範疇に入ってくるだろうから、今の時点では、私は、きょうもうちらのスタッフ、三時、四時まで徹夜していましたけれども、まさに、スタッフの毎日の苦労を見ていると、そういう方向にしたいと思うけれども、しばらくの間はそう簡単にはいかないんじゃないかな、そういうふうに考えています。

若井委員 むしろ一元化して皆さんのお仕事を減らしてあげたらどうかという一心で申し上げました。要するに、重複したような事務が三つの部屋で行われているのではないかということです。

 それと、規制緩和は地域指定だけだとおっしゃるけれども、地域再生法も、地域指定だけで行うところもあるわけですね。それは、そういうふうに一つの制度の中でバリエーションをつければいい話だと私は思うわけですし、村上大臣はたくさん仕事があった方がいいかもしれないけれども、職員からすれば、あるいは逆にその地域からすれば……(発言する者あり)ごめんなさい。地域からすれば、それはシンプルでわかりやすく一元化をしてもらいたい。そのことを構造改革と言わないで、何を構造改革とおっしゃりたいのか。それは後ほど、またいずれ機会をつくって議論したいと思います。

 次に、今回の計画のもう一つの柱になっている連動施策とか分野別施策がありますね。これを見ておりますと、要するに、地域再生計画に認定されようがされまいが、今までそれぞれやっていた話ばかりじゃないですか。

 特に何か地域再生計画に載せなければできないというような事業が、まあ最初の方に幾つかありますけれども、その話はおいておいて、ある意味でいうと、何となく、例えば中心市街地の話を先ほどしましたが、このリストを見るとたなざらしの在庫一掃みたいな感じになっている。地域再生になれば生きるという話でもなさそうな気がする。そういう意味で、これはちょっと、この部分は、特に地域再生法として言わなければならない意義が何なのか、私にはよくわからない。

 それから、補助金申請の簡素化や撤廃の話は先ほどしましたからいいですが、例えば、こういう連動計画と分野別計画の本当に分厚い資料をもらっておりますけれども、買いに行く方からすれば、えらいわけのわからないフリーマーケットの中へ入ってしまったようなもので、そこに、村上大臣でも内閣府の若い人でもいいですけれども、全部そういうのは私に任せなさい、あなたが言っているのはこれですよと、すぱっと見せてくれるようなものにどうしてできないのかということをちょっとお聞きを、まあ、では、これはお聞きしないで感想ということにいたしましょうか、お答えいただけるならぜひ答えていただきたいと思います。

 関係分野の施策を羅列しただけではないか、こういうふうに申し上げている。

林田副大臣 若井委員の御意見といいますか主張を聞いておりまして、私たちが考えているのと基本的にちょっと違っているような気がいたします。

 これは、うちの大臣がもう何十回何百回言ったかもしれませんけれども、地域がみずから立って、そして自分で考えて出す計画なんですよ。こういう地域再生計画じゃないと認めませんよというのを我々内閣府が先につくって提示するものじゃないんです。どうしてそうなったかというのは、るる大臣が説明したとおりです。

 それぞれ、特区であり地域再生計画、いろいろな首長さんたち、首長の出身の議員もおられるようでございますけれども、例えば首長、私は経験ございませんけれども、自分の市町村なら市町村でこの地域の汚水対策を一気にしたいと思ったとき、今でも国交省だったら、二平方キロ以上だったら広域下水道でできますよ、しかし、それ以下のところは集落排水ですよ、そういう区域もなっていますし、あるいは、これも一つ議員も現場で知っておられると思いますけれども、いわゆる農免道路は国道にタッチされていないんですよ。その間は市町村道でつながなきゃいかぬ。これもはっきり言って縦割りの世界なんです。

 こういうものを何とか是正してくれというのが、ここ数年間のいろいろな動きの中でいわゆる現場からの声として出てきているわけです。それを拾い上げているわけでございますし、何も、こういう分厚いのを分類とか出したから、一気にこの何の何を適用すればおたくの地域再生計画はこれに合致しますよとか、そういう発想ではございません。

 それぞれ地域が独自のものを、しかしそれも、歴史的、地理的な要件も踏まえたところ、要するに、言ってしまえば、そこで住んでいる者、そしてまた長くそこで生活しなきゃならない者、この人たちの意見を取り入れておるということでございます。

若井委員 そこで、林田副大臣に続いてお聞きしてもよろしいんですが、ここに地域再生基盤強化交付金というのがありますね。今おっしゃられた下水道がそうだし、道路がそうだし、それから港湾、港湾と漁港が別々のところでやっているのはおかしいじゃないか、本当にそうだと思いますよ。

 だけれども、それは、要するに、地域再生がどうのこうのという前に、これは当然お役所同士で、あるいは内閣の中できっちり先にやっておくべき話じゃないですか。別に地域再生の目玉としてこんなものを出してくるのは本当は僕は筋違いだと思いますよ。だから、これはある意味でいうと、地域に恩を着せているような一種の構造改革になっている。(発言する者あり)だから、それは、地域再生として議論する前にさっさとやってちょうだいよという種類のテーマなんですよ。

 つまり、林田大臣の熊本へ行って、漁港と港湾を一緒にしてくれなんという話をしたって、どの市町村も乗ってきませんよ。要するに、余りそういう話が地域の再生には使われない。まあ、使われる場合もあるでしょう。

村上国務大臣 まあ、若井委員はたしか選挙区は千葉だから御存じだと思うんですけれども、例えば私のような地方ですと港がありますよね。(若井委員「どちらでしたか」と呼ぶ)愛媛県の、村上水軍の末裔ですからお見知りおきを。

 そうしますと、例えばさっき言ったように、漁港でも、それから普通のそんなハイレベルじゃないんですけれども港も、時々行きますと、こっち側の漁港はできているんですけれども、こっち側は針金が出ているだけなんですね。よく校舎で継ぎ足し工事をやりますよね。最初の一期工事ができていて、校舎の第二期工事のときに、鉄の棒だけが出ていますね。それと同じで、やはり地域というか地方へ行きますと、ある程度港の予算がそのときはとれたので港が先にできているんですけれども、こっち半分の簡易な漁港は鉄棒だけが出ていて、予算がとれていないということは間々あることなんです。

 そうすると、その地方によりますと、単なる漁港はできているけれども、普通のそんな高いレベルでもない一般の港はできていない、そういうアンバランスなことというのは結構現場では起こっていることを御理解いただきたいと思います。

若井委員 確かに、その隣接の漁港、港湾の例を私も忘れておりました。しかし、最初に申し上げたかったのは、この省庁横断の地域基盤強化交付金ですか、これは、例えば今村上大臣がおっしゃったけれども、自分の地元が一々地域再生計画を提案しなくても、その前にきっちり本当はやっておくべきことだということを私は申し上げたいと思う。だから、これを地域再生の目玉にするのであれば、それはお門違いじゃありませんかということを申し上げたかった。

 それで、もしこれを目玉となさるのでしたら、ほかにもいろいろあると思うんですね。今回はハード物が四種類ありますけれども、もっとやらなきゃいけないことは幾らもあるわけですよ。そこのところを、これからどういう分野を広げるというおつもりなのか、もしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

林田副大臣 若井議員、もともとやっておくべきだというお話、ある面では私も納得するところがございます。しかし、やはり地域はなかなか情報等も少のうございまして、こういうのを契機に頑張ってもらいたいなという中で、悲しいかな三つの種類の、悲しいという表現を私がしたらおかしいんでしょうけれども、正直に言えばそういうことになっておりますし、いずれにしましても、基本は地域から自主的に上げていただくということにしておりますので、その辺はぜひ御了解いただきたいと思います。

 今、このほかにもというお話がございました。確かにあろうかと思います。それぞれ各省庁いろいろなメニューをそろえて、それぞれの予算措置、あるいは施策の法制整備、あるいは税制についても、いろいろなことをやってきておるのも委員が御案内のとおりだと思います。

 したがいまして、各省庁において、地域再生に資する観点から推進が図られる分野別施策を盛り込んでおりますし、これらの具体的なものにつきましては、議員も御存じのとおり、農林水産省のむらづくり交付金、あるいは同じく漁村再生交付金、あるいは国土交通省の地域住宅交付金等があろうかと思います。

 この分野別施策につきましても、各省庁において地域再生に資する支援メニューとして用意し、プログラムにおいて整理したものであり、先ほど議員御懸念のあったようなことが起こらないように、政府一丸となって地域再生の取り組みをあらわしたものでございます。

若井委員 それじゃ、せっかくですから、今お話のあった、農水大臣はお見えですか、お聞きをしたいと思います。

 私、先ほどの連動施策や分野別の施策を読んでおって、大変にある意味でいうと感動をしましたのは、農水のところに交付金という名前がつくものが十一ありますね。例えば、連動施策のところに挙げておられるむらづくり交付金、これは、分野別で出ている元気な地域づくり交付金というのとどう違うんですか。何でこんなに十一も新しい交付金をここに掲げておられるのか、その本当の意味を知りたいような気がするんですが、教えてください。

岩永副大臣 今回の三位一体の改革に伴って、実は、農水省で百七十五事業あるんです。そして、その百七十五事業というものを統合、交付金化しようということで、それらを特に、今十一とおっしゃったんですが、七つの交付金に分けたわけです。百七十五を七つに分けて、そして七つの中で自由に使っていただける、こういう制度に仕組みを転換したわけでございます。

 今後も、これが今、地域の中で大変興味深く、そして大きな成果が上がるべく期待をされておりますので、大変画期的な交付金化だ、私はこのように自負しているところでございます。

若井委員 自負をされても困るんですが、つまり、百七十五の課があって、それぞれが補助金を持っていた、例えばですよ。(岩永副大臣「百七十五事業」と呼ぶ)事業でしょう。だから、それぞれの課が要するに補助事業を持っているみたいなものじゃないですか。それを今度は部局単位にまとめて十一だか十二にした、要は全然変わっていないじゃないですか。数が変わっただけで、要するに、それぞれの部局ごとのひもつきの補助金だというのは全然変わっていないじゃないですか。それはどうなんですか。

岩永副大臣 実は、仕組みというものの転換、そして、入り口重視から出口重視へという評価、そして成果目標を明示した事後評価を徹底するということ、採択時審査を簡素化するということ、地域が提案するメニューも補助の対象とすること、各メニュー間、地域間の配分は、地域の、地方の裁量に任せるということ。だから、それだけの部分を今回考えながら百七十五の事業を七つの交付金に分けたということでございますので、これは七つの交付金に分けなきゃ、これだけの今申し上げた部分の裁量ができないということでございますので、そういう効果が上がってまいると思います。

若井委員 ですから、それは、要するに、課の補助金が部の補助金に変わっただけであって、構造は全然変わっていないんですよ。交付金じゃない。それは、要するに、もう少し大きな包括補助金になったというだけじゃないかということを私は申し上げているんです。

 だから、恐らく、例えばこの交付金を交付されると、また農水の担当部局に日参をしなければいけないというようなことにあくまでもならないように、それは内閣府に任せられるなら任せるで、肝に銘じてそういうふうにしていただかないと、この交付金という名前が泣きますよ。

岩永副大臣 おわかりいただけないのかな。

 実は、これは、例えば、統合、交付金化して一番強い権限が持てるようになったのは、やはり県なんですよ。だから、地方がそれだけの裁量をするというところにこの七つの事業化があって、県の中でいろいろと組み合わせて、そして国へ持って上がってくるということでございますので、今までは一つ一つの事業で横の融通がつかなかったのを、横の融通をつけながらやるということでございますので、本当に我々は画期的な転換だ、このように思っているんですが、その点、よろしく御理解ください。

若井委員 さらにそれが二本とか三本になるように私は祈っておりますが、副大臣に一つだけ申し上げておきたいのは、県は、それ自身が地域ではありません。地域再生を県の単位で考えたら間違えますから、そこだけは肝に銘じてください。答弁は結構です。

 次に、国土交通の方にお聞きしたいんですが、都市再生特別措置法、ことし、また改正案が出るそうですけれども、大都市圏の仕事は一段落して、今や地方都市の町づくりですね。まちづくり交付金、さっきもちょっと議論ありましたけれども、これももう地域再生に一本化しちゃったらいかがですか。それに、今、内閣府にある都市再生の窓口をやっておられる方々は皆さん国土交通省の出向だと聞いておりますけれども、それは本当ですか。いかがでしょう。

蓮実副大臣 地域再生交付金などは、まちづくり交付金に一本化してはどうかという……(若井委員「まちづくり交付金を地域再生事業の中に一本化したらどうかということです」と呼ぶ)地域再生基盤強化交付金は、下水道、集落排水と浄化槽、二番目に……(若井委員「いや、まちづくり交付金です。再生基盤の話はもう終わりました」と呼ぶ)まちづくり交付金は、市町村が創意工夫と自主性を生かして、それぞれのオーダーメード型のまちづくりを進めるための制度となっております。このように、二つの交付金は、都市の再生、地域の再生に貢献するという意味では共通しておりますが、その手法や対象エリアについては大きく異なることから、一本化することは困難と考えております。

若井委員 ということは、都市再生は国土交通省の所管で、極端な言い方をすると、地域再生は農水の所管ということになるんですかね、今の、スペースで分けるというお話になればそういうことになる。そういうふうにならないようにぜひ運用をしていただきたいと思います。

 あともう一つ聞きたかったんですが、一言だけ申し上げておきたいのは、要するに、地域再生を今考えなきゃいけなくなった理由の一番は、地域に金が回っていないということです。金融機関がもう干上がっているということです。

 今回の法案を読みますと、日本政策投資銀行がそれに当たるというふうに書いてありますけれども、例えばNPOとか、先ほど提案があった町づくり会社ですか、これは、直接政策投資銀行が相手にする、そういうスケールの話じゃないんですよ。だから、その地域の金融機関にしっかり政策投資銀行からお金が流せるというふうな仕組みをつくっていただきたい。

 場合によったら、今、皆さん、私も含めて議論をしております郵政改革ですね、郵貯、簡保の金を地域に流すというような仕組みを考えたら、本当の意味で地域再生計画と私は言ってもいいと思うんです。民営化するかしないかの議論じゃなくて、郵政改革をしたあげく、郵貯の金をちゃんと地域に返す。つまり、地域再生の一番の要諦は、地域で集めた金は地域でということだ、私はそのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

松下委員長 次に、藤田一枝君。

藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。村上大臣には初めて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 きょう、午前中からいろいろ質疑が続いておりまして、大分この法案の問題点が見えてきたのかなという、そんな印象も持っております。質問の内容が若干重複する部分もあろうかと思いますけれども、どうか御答弁いただきますように、これまたお願いを申し上げたいと思います。

 私は、本法案が地域再生という名のもとに国と地方の関係をどのようにつくっていくのか、こういう観点からいろいろとお尋ねをしてみたいというふうに思っています。

 実は、私自身も、人と自然と歴史を生かした町づくり、あるいは歩いて楽しい町づくり、こうしたことをテーマにして、地元ではいろいろな活動にかかわっております。大臣も御承知のように、今、地域では本当にいろいろな活動がございます。自然や歴史や文化や、地場の産業、伝統産業、あるいは人々の暮らし、こういったものに着目しながら、豊かな地域づくり、町づくりを行っていく、そういう取り組みが本当に盛んになってきています。

 それは、一番最初は本当にささやかな地域の住民の取り組みでございまして、その取り組みが点を落として、それが面に広がっていく、それがひいては地域の再生あるいは地域の活力というものにつながっていく。特色ある成功例というものが数多く報告されてきているというのが今日の状況ではないかというふうに思います。

 地域の再生という観点は、先ほどからいろいろ議論があったように、いろいろな視点があるというふうに思うんです。私は、経済の活性化とか雇用の創出とか地域にどうお金を回していくのかとか、いろいろあると思いますけれども、地域の再生というのは、やはりある意味で分権自治の基本となる町づくりの取り組みだ、こんなふうに思っています。したがって、その主役、主体というのはやはり地域であり、そこに住んでいる地域の住民の皆さんであろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、この点の大臣の御認識からまずお聞かせをいただきたいと思います。

村上国務大臣 質問にお答えいたします。

 まさに藤田委員おっしゃるように、我々も、地域の主体はやはり地域の人々であり、地域の皆さんだと考えています。特に、私自身、地元も、山あり、島あり、本当に日本を圧縮したような選挙区なんですが、今委員が言われたように、それぞれの地域に魅力があり、力があるわけですね。その力や魅力を一番知っているのは、私は、まさに今委員が言われるように、その地域の人々であり、地域の皆さんだと思うんです。

 ですから、まさにそういう皆さんが主体となって、残念ながら、今までの地域の活性化というのは、玉置委員も御指摘されたように、国がある程度のメニューをつくってこの指とまれ式なのが多かったと思うんですけれども、そこについて、自分たちが主体性を持って取り組むということが大事じゃないかなと思います。

 こうした地域再生については、政府としては一昨年から取り組んできまして、これまで約二百五十件の地域再生計画を認定させていただきましたし、他方、昨年六月に提案募集を行ったところ、補助金整理統合などのいろいろな案が出てきて、そういう声を踏まえて、今回こういうふうな地域再生法案という形にある程度まとめさせていただいたわけであります。

 以上であります。

藤田(一)委員 法制化の理由を次にお尋ねしようと思いましたらば、先にお答えをいただいたような感じがいたしております。今大臣の方から、そういう理由で法制化をしたというようなことですけれども、私は、もう少しそこを詳しく伺いたいなと思うんです。

 まず、平成十五年の十月に閣議決定がされて、地域再生本部が設置をされた。そして、基本指針とプログラムが作成をされて二百五十件ぐらい認定してきた、こういう一連の流れですね。閣議決定から数えてもわずか一年数カ月ぐらいしかたっていない、こういう状況でありますし、先ほど来のやりとりの中でも、そしてまた、大臣も大変強調されていた特区の問題、この法案はある意味では特区と車の両輪になるのではないか、こういうふうにも言われているわけですね。

 ですから、それがこの法案とどう連動するのかしないのか、こういったことについても、私はもう少し具体的な検証があってもいいのではないか。あるいは、二百五十認定をして実際に動いていっているわけですけれども、その進捗状況も含めた検証というようなことがどの程度されたんだろうか。認定されて、秋の認定も含めれば半年ぐらいしかたっていないという部分も時間的経緯としてあるわけでして、その点、どのように検討をされたのか、もう少し詳しくお聞かせいただけたらありがたいというふうに思います。

滑川政府参考人 地域再生本部をつくってからの経過について、簡単に御報告いたします。

 御指摘のとおり、一昨年の十月に地域再生本部がつくられまして、昨年の二月に、地域再生のプログラムということで、地域再生本部の決定したプログラムが作成されております。この二月のプログラムをつくった時点では、既に平成十六年度予算については国会で審議をいただくような状況であった、また国会に御審議をお願いする法律もほぼ出そろっているような状況であったということで、そうしたものを取り込むわけにいかずに、いわゆる運用、行政で対応できる部分というものを中心にプログラムをつくって、二百五十件の地域再生計画の認定を受けたところで使ってきていただいたという経緯でございます。

 ただ、こうした運用という行政でできる範囲の支援策では、もっと強力な支援をしてほしいという地域の声が強くございまして、昨年の六月に、そうした意味で提案の募集をさせていただきました。地域からいろいろな意見を聞くということで募集をさせていただきましたところ、補助金の整理統合など、予算の関連を含めたようなさまざまな御提案をいただいたという経緯になっております。

 これにつきまして、今回はかなり時間が、先ほど申し上げましたように、昨年の二月、既に国会で御審議いただいている最中の予算ということではなく、そういう意味では予算編成過程に御提案が間に合いましたので、その中で十分な検討をさせていただいてきた。その結果、今回、法的な位置づけということで、税制の特例交付金などのものが出てきたということでございます。

 そして、確かに検証というのも重要な側面であろうと思いますが、ただ、現在、地域でかなり格差があり、厳しい状況に陥っている地域がある中で、早く地域に対して御支援できることはしていくということも重要な課題だろうと思っております。

 これまで二百五十件の認定を既にしてきておりますけれども、この認定したものは当然これからも引き続きその支援はしてまいりますけれども、それに、今度の法律でお願いしているような新しい支援策をさらに追加して、より強力に地域再生を応援するということが大事ではないかということで、引き続き、強力な、なるべく早く、そういう意味で地域再生を推進したいということで、今回、検証というよりは先へ進むステップをとっているという形になっております。

藤田(一)委員 そうしますと、今までに認定された二百五十件のケースというのは、本法案との関係はまずどういうふうに整理されていくんでしょうか。

滑川政府参考人 先ほど申し上げましたように、二百五十件の以前のプログラムに基づいて認定されたものは、その計画の期間については以前のプログラムに基づいた支援を受けることになります。

 また、今度の新しいこの地域再生法案に基づきまして、新たに、例えば課税の特例等の措置を適用したいという場合には、従来の認定を受けた計画も改めて認定の申請を行っていただかなくてはならないというふうに考えておりまして、既に、さまざまな説明会などを通じて地域の方に御理解をいただくようにしているところでございます。

 ただ、そうした意味で、改めて御申請いただく必要がある場合でも、既にお出しいただいた計画がございますので、ダブるような資料の提出を求めないということなどで、極力手続の簡素化を図ってまいりたいというふうに考えておりますので、従来の認定の効果は引き続き有効ですということとともに、そういう意味では、新たな適用を求めない場合は、特に手続を求めないまま従来の支援が受けられる。新しく今度の法律に基づく支援策をつくりたい場合は、新しく計画をつくっていただきますが、その手続はなるべく簡素化していくというようなことで考えております。

藤田(一)委員 手続も簡素化してということでありますけれども、この間、非常に目まぐるしくというか、法案化する、法制化するまでに、あっという間に動いたというところで何となくひっかかる部分が、特区の動きというのも今まであったわけですから、あえて車の両輪だという話で議論が進んでいたのであれば、もう少し初めから法案として出すこともできたのではないか。別に今となってしまってはということはありますけれども、過程の中で要望が出たり予算との関連があったりという事情もあったかもしれませんが、もう少し練り上げられたのではないかなという率直な印象を私は持っています。

 しかも、もうちょっと言わせていただきますと、ちょうど去年の春ごろだったと思いますけれども、新聞の見出しに交付金化とか統合補助金化とかという文字が躍ったんですね。この議論が動き出したときと重なってそういう話が出た。そして、一方では三位一体の議論がいろいろと言われてきている中でそういう文字が躍って、あげくには選挙対策だなんという、そんな論評も新聞には出たというのが実は記憶に残っているものですから、非常にひっかかって、もう少しここはいろいろと整理できなかったんだろうか。そうすれば、いろいろと朝から議論をやっていることももうちょっときちっと一つ一つ整理できたのではないかな、そんな思いを持っております。御答弁いただけますか。

村上国務大臣 藤田委員のお考えというかお気持ちも本当によくわかります。

 ただ、先ほど来、私も五つの分野を担当していてつくづく思いましたのは、例えば行政改革、規制改革というのは、真剣にやればやるほどあつれきができるわけですね。あつれきができますと、結局、はっきり言えば、それぞれの分野との激突、衝突が結構あるわけなんですね。

 私としては、今回、九月二十七日に任命されたときに、それぞれの経過というものを、全部を委員のように熟知しているわけじゃなかったんですが、現場の皆さん方の声を聞くと、これから、地域のそれぞれの格差がかなりありますね、それを是正するために、やはり特区でああいう道具というかツールというものをつくって、そして思い切りいろいろな案を出してくださいよということでやってみたところ、私も想像以上の件数や想像以上の内容が出てくる。

 ということは、さっき委員が言われるように、主体はだれかといったら、やはりそれぞれの地域であり人々であるわけですね。そういう人たちの、まさに現場からの熱意というか発意が出て、受けられるような一つの階段というか道具というものを可及的速やかにおつくりすることも一つの政治や行政の役目というか判断ではなかろうか、そういうふうに考えたわけであります。

藤田(一)委員 いずれにしても、法案が動き出したわけですので、この法案の中身、少し具体的なことをこれからお尋ねしたいというふうに思います。

 地域再生基本方針というものをこれから国は策定されるのであろうというふうに思います。今までは基本指針ということだったと思いますけれども、これを今回は、基本方針を策定して、その上で地方公共団体が作成する地域再生計画というものを認定していく枠組みを法律として整備していくということであろうと思います。そうなりますと、従来とは、仕組みそのものが飛躍的に強化をされていくということになるだろうと私は思っているわけですね。

 そして、その一番最初のところで大事になってくるのがやはりこの基本方針ではないか。法案の四条二項に基づく地域再生基本方針というもの、その中でどのような枠組みだとか方向性だとかを示すのかということがまず大変重要になってくる、このように思っておりますけれども、この点について、この基本方針の内容について、現時点でお答えいただける範囲でお願いしたいと思います。

林田副大臣 全くそのとおりでございまして、この基本方針をいかにつくるかということがまず最初の大事な仕事だと思っております。したがいまして、地域再生法案に基づき、政府は、地域再生基本方針を定めることとなっております。これは、委員今おっしゃっていただきましたように、第四条につくっております。

 その中身でございますけれども、まず地域再生の意義及び目標、次に地域再生のために政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、そして地域再生計画の認定に関する基本的な事項等を定めることになっております。

 具体的には、地域再生計画の認定の基準となる考え方を定めるほか、地域再生の新たなプログラムの基本的な方向として示した方向性に基づき、いわゆる人づくり等による知恵と工夫の競争のサポート、あるいは補助金改革等における自主裁量権の尊重、いわゆる縦割り行政の是正も含みますけれども、それから民間のノウハウ、資金の活用といった、政府の施策の方針等を定める方向で検討しているところでございます。

藤田(一)委員 ありがとうございます。

 私は、非常に大事な視点というのは、一つは、先ほど、地域再生の主体はだれかという話を最初にお尋ねをしたんですけれども、地域であり住民であるという大臣のお答えをいただきました。まさに、そこが基本じゃないかと思うんですね。

 そういう意味では、住民参加、そして情報公開、こういう視点というものがこの中にしっかりとうたわれるということがまず必要ではないか。補助金というのは、よく、補助金を通して地方にはしの上げ下げまでいろいろとかかわってなどという話がありますけれども、これからの国と地方の関係というのはそういうことではなくて、むしろ、こういう基本的な考え方においてどういうふうに理念を通していくのかということであろうと思うんですね。

 そういう意味で、私は、情報公開、住民参加ということがこの基本方針の中に明確にうたわれるべきであろうと思います。この点はいかがでしょうか。

滑川政府参考人 先ほど来、大臣からも地域が地域再生の主役であるということをお答え申し上げているとおりでございまして、そうした意味で、住民の方々あるいは地域のさまざまな団体の方々、企業の方々、そうした方々が地域の担い手として活躍されるということが非常に大事だろうと思っております。

 そうした意味で、地域の住民の方々を含めまして、地域の担い手となるさまざまな主体の意識とか能力の向上を図っていくとともに、主体相互の有機的な連携を促進して、また地域の担い手として、福祉、町づくりなどさまざまな特定の目的で組織されたNPO等に着目いたしまして、地域住民を含めて、多様な主体が連携した地域の取り組みの支援について検討していくということが大事だということを、二月に出しましたプログラムでも申し述べているところでございます。

 その具体的な支援策といたしまして、プログラムにおきましては、地域再生に資するNPOの活動支援を位置づけております。また、地域において自主的、自立的な取り組みによる地域再生を推進する上で、NPOなどの地域の担い手となるさまざまな主体のニーズも十分に踏まえながら、アイデアを結集して地域再生計画を作成し実施することが大事だということで、これもプログラムに盛り込ませていただいたということでございます。

 今後とも、もちろん地域の方々が主体的に地域再生に取り組んでいくということが大事だと思いますし、さらに、地域の皆様方の御提案を踏まえて必要な支援について検討していきたいと思っております。

 また、透明性に……(藤田(一)委員「そういうことではないんです。基本方針にどうするかということです」と呼ぶ)失礼いたしました。今申し上げたのは、これはプログラムに盛り込んだような内容でございます。

 先ほど申し上げましたように、基本方針におきましても、プログラムに盛り込まれたような人づくり、人材ネットワークの促進というのは重要だと思っておりますので、これを基本方針にも盛り込んでまいりたいと考えております。今申し述べたような趣旨に沿った形で、基本方針に、住民の方々あるいは地域の方々との連携の育成、あるいは活用というものを盛り込んでいきたいというふうに考えております。

 それから、透明性ということで御指摘いただきました。もちろん私ども、透明性は非常に大事だと思っております。そして、地域再生につきまして六月に提案募集をいたしましたと申し上げましたけれども、この提案募集、どういう提案があったか、そしてそれぞれについてどういう対応がとられたかということについて、これはインターネットで情報が公開されているということで、そうした、今までメニューというお話をいただいておりますけれども、地域の支援策をどういうふうに進めていくかということについての議論を皆様方に見ていただけるような形で進めております。

 また、地域再生計画をつくっていただくということで法律でも規定しておりますけれども、この地域再生計画は、認定されれば直ちに遅滞なく公示されるということでございます。どういう計画が地域再生計画として認定されたかということが皆様方ごらんいただけるということで、これは一方では、自分たちのところでどういうことをやろうとしているのか、どこでどういうことをやろうとしているという情報提供にもなりますし、また、お互いのいわゆる知恵と工夫の競争というものにも役立つだろうというふうに思っております。

藤田(一)委員 基本方針の内容について少し細かくお尋ねしたいので、済みません、御答弁、簡潔によろしくお願いいたします。基本方針というのは余り文章で長々書くようなものではないと思いますので、こういうものが入るんだという形でわかりやすく御答弁いただけたらありがたいと思っています。

 今、住民参加とか情報公開というのはきちっと盛り込むというふうに御答弁いただけたものと理解いたしましたけれども、もう一つ、この法案には、民間の力による地域再生を促進するんだということがうたわれておりまして、そのための特例措置が設けられています。私は、民間事業者の参入をしやすくするというのは大変大事な視点だというふうに思っておりますし、そのことをこれから助長していくということが大切だというふうには理解いたしておりますけれども、同時に、それは地域の公共サービスのあり方とか質の問題にも密接にかかわってくるのではないかというふうに思います。

 したがって、公共サービスの質の確保とか向上とかといったことについてどういう見解をお持ちなのかということ、これもできれば簡潔にお答えをいただきたいと思います。

滑川政府参考人 先ほど来申し上げていますように、地域でどういったものを計画に盛り込むかというのは、これは地域でお考えいただくということでございます。その際に、地域にどういうサービスが重要か、あるいはどういうサービスがどの程度必要かということは、地域が地域の中で御判断いただくことかと思っております。

 そうした意味で、先ほど申し上げましたように、地域でどういったものが必要で、それが実現可能かどうかとか、そういったさまざまな、先ほど、認定に関するような事項についてもこの基本方針で触れると申し上げましたけれども、地域で計画をつくる際に踏まえておいていただきたいような事項、すなわち、基本方針に適合しているのかどうかとか、あるいは実際にそれが地域再生の実現に寄与するのかどうかとか、あるいはちゃんと実施される見込みがあるかどうかとか、そういうことをきちっとチェックしてほしいというようなことを盛り込むことになると思っております。

藤田(一)委員 なかなか具体的な公共サービスのあり方とか質とかいうことは言葉として難しい部分があるというふうに思いますけれども、粗製乱造といったら変ですけれども、そういうふうになってはいけない。地域住民のサービスの問題にもかかわってくるわけですので、そこはしっかりと見きわめていただきたいな、こういうふうに思うところであります。

 それから、もう一つ非常に大事な点として、先ほどから手続論、これは私も後でいろいろお尋ねしたいと思っていますけれども、この地域再生本部というものが非常にリーダーシップを発揮していかなければいけないということになるわけでして、この権限あるいは総合調整機能、こういったものがやはり明確にうたわれる必要があるんではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

滑川政府参考人 地域再生本部につきましては、既に法律の中で明確な位置づけがされているものと私ども考えております。

 すなわち、本部の業務というのは、法律の中でも第十六条に明確に述べておりまして、今御指摘いただいております「地域再生基本方針の案の作成に関すること。」あるいは「認定の申請がなされた地域再生計画についての意見に関すること。」あるいは「認定地域再生計画の円滑かつ確実な実施のための施策の総合調整及び支援措置の推進に関すること。」というような具体的な地域再生本部の機能は既に法律に書かれておりますので、基本方針の中では、こういうものを確認しながら、具体的な地域再生の進め方というものを記載していくということになると思っております。

藤田(一)委員 基本方針はこれから作成するんですね。いつごろ明確になるんでしょうか。

滑川政府参考人 私ども、この法律の施行を四月一日ということでお願いしております。この法律が施行されたらなるべく早いうちに、そして、私ども、この法律を通していただきましたら、なるべく早く地域の方から認定申請、あるいは認定をして早く地域で具体的な作業に入っていただきたいと思っておりますので、そうした意味では、四月のなるべく早い時期にこの基本方針を策定して、直ちに公表したいというふうに思っております。

藤田(一)委員 今御説明いただいた基本方針に基づいて、その次は、今度は地方が作成する地域再生計画というものが出てくる、そして、それを国が認定するということになっていくわけです。

 ここからは、先ほど若井議員の指摘やらいろいろとやりとりがあったわけですけれども、私も、この流れというものは、この法案は、いい部分と、それからどうなるんだろうかというような部分、不透明なというかグレーゾーンというか、そういう部分が非常にまだまだ多いなという印象を持っているんです。

 平べったく言ってしまえば、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、要するに、結局は、お金を配るのも国ですし、いい案かどうかを判断するのもやはり国だということになっているわけですね。現実の問題としては、この枠組みの中で基本方針に基づいて地域再生計画をつくって、それを国が認定する。お金の流れでいえば、結局そういう話になっているわけであります。

 しかも、また、五条の三項のところでは、関係行政機関の長の同意が必要であるという部分も明確に出ておりますし、八条、九条の報告の徴収とか措置の要求という、実施状況について報告を求める、あるいは措置の必要性を判断する権限というものを国の方が有しているということになっています。先ほどからこれはツールなんだというお話もいろいろありましたけれども、ツールにしては国の関与が強く出ているのではないかな、こういうふうに思うわけであります。

 ですから、自主的な、あるいは自立的、あるいは地域の独自の裁量ということを非常に強調されていらっしゃるわけでありますけれども、その部分としては大変理解ができるんですけれども、一方で、こうした条文の中身を見ていますと、それと矛盾しているんではないかな、こう思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

村上国務大臣 これは見解によると思うんですけれども、私のように、ずっと大蔵政務次官や大蔵委員長や財務副大臣をやってきた者からすると、本当に私が一年生のときには考えられないようなリマーカブルプログレスじゃないかなと思うんですね。

 ですから、それは委員のように、常に最高の理想を目指すということもこれは大事なことだと思うんですが、やはりステップ・バイ・ステップで一つずつ詰めていくというのも一つの政治や行政のやり方であるし、手法であるし、また価値観じゃないかな、そういうふうに感じています。

藤田(一)委員 まさにステップ・バイ・ステップということが大事なことだというふうに思いますし、この何年間というか、本当にここ最近大きく動き出したということだと思うんです。

 その大きく動き出したというのは、やはり地方分権の流れの中で、あるいは分権推進一括法ができてからの動きということとも重なっていくだろうと思うんですね。そして、今、そこをしっかりと加速させていく、しっかりと地方自治体に権限も財源も移譲していくということ、地域がやれることは地域でやって、国と地方の役割分担ということをやはり明確にしていくときに来ているんだろうというふうに思います。

 この地域再生という考え方もそれとは全く無縁ではなくて、むしろ、そのこととまさに重なった形で事が動いていくべきではないかというふうに思うんですね。そういう観点からいくと、少しここの国の関与の部分というのはいろいろあり過ぎるんではないかなと思います。

 執行手続の話もさっきからいろいろ出ていますけれども、三省の補助金が交付金として合計八百十億円内閣府に一括計上された。確かに、画期的なことだと思います。初めてのことだと思います。省庁縦割りという、本当に長年、幾ら言っても言っても動かなかった、そのことが横断的にできたという部分は私も評価をいたしますけれども、しかし、それがそれでとまってはいけないわけです。

 そしてまた、これは残念ながら、執行手続も含めてまた各省庁に戻るわけですね。そういう問題を抱えているわけでして、これは行政の仕組み上やむを得ないと言えばやむを得ないわけでありますけれども、なかなか、現実にはそうなって、各省庁との協議もあるというふうにもなっているわけです。条文上そう書いてあるわけであります。

 そうなりますと、一体どうなるんだろうか。自治体側からすれば、一生懸命内閣府を信じてやっているけれども、本当に大丈夫なんだろうかと、いろいろな心配もそこでは出てくるんだろうというふうに思うんですね。そういう省庁縦割りを超えた、制度が変わったということと実務的な問題というのは、やはり別な部分があるわけですよ。そこを本当にやれるのか。

 予算の単年度主義というのは動かないわけですから、そういう中でこれをやっていくというのは大変な難しさがあるだろうというふうに思いますし、ほかの省庁の皆さんもなれていない部分もあって、各省の省益みたいなものというか権益みたいなものは結構強いのが現実の問題であります。それを超えてやっていくというその見通しというものを、先ほどから決意はいろいろとお聞かせをいただいているというふうには思うんですけれども、本当に見通しがあるのかどうなのかということをもう少しお聞かせいただきたいと思います。

村上国務大臣 お答えいたします。

 まず、確かにそういう地方分権の流れも含めてそうなんですが、突破口を開くというのは、私も混合診療や中医協も含めてやってつくづく思うんですが、今までジ・アンタッチャブルだったところに手をつけるということは想像以上のものがあります。そういうものをまず突破した上で、先ほどお話ししたように、最初は、想定したものよりスタートは小さいかもしれないけれども、小さく産んで大きく育てるというのは今後我々の責任であるし、そしてまたそれを皆さん方とともに、ステップ・バイ・ステップで改正していくということの手続になっていくんじゃないかな、そういうふうに考えています。

藤田(一)委員 小さく産んで大きく育てるというのはまさにそうですが、見通しを持って育てていかなければいけないと思いますので、ぜひその辺もしっかりと、いろいろ整理をしていただきたいというふうに思うんです。

 一つ確認をさせていただきたいのは、省庁との協議ということなんです。関係行政機関の長の同意が必要とか、各省庁との協議という形が出てきていますけれども、これは、省庁は反対をすることができるということなんでしょうか。

滑川政府参考人 法律上、この特例措置の執行に当たっては、関係省庁の同意を得るとなっております。この同意というのは、基本的にそれぞれの省庁のやられている施策との整合性をチェックするというような観点で、私どもは、それは必要最小限なものというふうに考えておるということでございます。

藤田(一)委員 ということは、大きく計画をというか事を否定するような動きにはならない、そういうことはあり得ないというふうに想定していらっしゃるということでありますね。

滑川政府参考人 どのような計画が出てくるかによると申し上げるところもございますが、ただ、例えば法令を基本的に遵守するとか、いろいろな状況の上につくられるような計画であれば、それぞれの役所のやられている事業、あるいはそれぞれやっている施策というものと整合性がとれている限りは、私は問題ないのではないかというふうに思っております。

藤田(一)委員 時間が大分過ぎてしまいましたので、もう一つ、この法案が何となくわかりにくいなと思うのが、先ほどちょっと触れましたけれども、三位一体との関連の問題なんですね。それで、交付金化とか統合補助金化とかということが盛んにこの三位一体の議論の中で言われてきたことと重なり合う部分がありまして、非常にわかりにくくなっているので、少し三位一体との関連についてお尋ねをしたいというふうに思うんです。

 私が伺いましたところ、三位一体改革で残ったというと変な表現になりますけれども、残った補助金を交付金化したんだというようなお話も実は伺ったわけですけれども、この法案が三位一体の議論の中でどう位置づけられてきたのかというのがどうも定かではありません。特に、平成十七年度の三位一体改革の概要によりますと、国庫補助負担金改革額が一兆七千六百八十一億円で、交付金化の改革というのが三千四百三十億円程度、その中に、省庁横断的な新たな交付金制度の創設八百十億円が含まれているということになっているわけであります。この点がどう議論されていたのか、位置づけられたのかということが一つ疑問だということ。

 それともう一つ、こういう形で交付金化をしたということが、そもそも交付金化については、自治体側からは、本来税源移譲すべきではないかという声が上がっていたはずでありまして、そことの関連でどうだったのか。

 国庫補助負担金改革の今後の見通しが大変不透明になっている部分もあって、そういう意味で、本来税源移譲されるべき対象のものが、その道筋をつけないで、五年の計画という形で、今回認定という形で交付金そのものを固定化していく、こういうことになるのではないか。そしてそれは、もう少し言えば、補助金廃止に抵抗している省庁があるやに聞いていますけれども、そういったところの隠れみのになってしまうのではないか、そういう懸念があるのではないかということであります。この点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

滑川政府参考人 幾つか御指摘がございましたので、順次御説明してまいりたいと思います。

 まず、地域再生のやり方と三位一体との関係ということでございます。

 地域再生につきましては、既に一昨年の秋から始まったと申し上げていまして、地域がなるべく自主的な形で施策をつくっていくということで、さまざまな施策を考えております。そうした中でこの地域再生の交付金というものも生まれてきたわけでございまして、これは、地域の具体的な要望を踏まえた上で、既存の補助金を見直した、縦割り行政を打破して自主性、裁量性の向上ということを図ったものでございます。

 こうした形でつくっておりますけれども、他方、三位一体の方は、これは三位一体ということで、国と地方との関係、地方分権の新しいシステムを構築するということで別途議論がまた進んでおります。この中では、国庫補助負担金の改革とか税源移譲とか交付税改革といったものが内容になったわけでございまして、それぞれ地域再生で進めてきた検討と三位一体の改革で進めてきた検討とは必ずしも一致しているわけではございません。

 ただ、ここで申します交付金化というところで、実際に補助金をどういうふうにするかという中で、交付金化というところでは、三位一体で行われた交付金、それから地域再生で議論された交付金というものが、結果としては、地域再生で今回つくりました交付金が三位一体の改革にも資するような形でということでつくられたということになるわけでございます。

 そうしたことで、地域再生というのはまた、交付金だけではなくて、いろいろな要素がございますので、その中で、交付金というところで三位一体との接点はあったということは言えますが、三位一体の改革に資するような形でということで地域再生の交付金というものが考えられてきたというふうに理解しております。

 それから、税源移譲につきまして御議論ございました。もちろん、先ほどの三位一体の改革の枠組みの中で政府全体として検討されるべき課題というふうに考えております。

 ただ、今回、ここにございます地域再生の交付金につきましては、例えば施設の整備状況などにつきまして地域間で格差が大きい、そういう分野であるといったような理由から、地方の裁量度を大幅に高める、あるいは自主性を大幅に拡大するということをやりながら、補助交付金として整理をされたというふうに理解をしておるところでございます。

藤田(一)委員 本来やはり税源移譲すべきものということ、それが原則ではないかなというふうに思うんです。先ほど大臣が、高い目標というか、そこをというお話でしたけれども、基本的には、どこに今移行していくのかということがあるんではないかなと思うので、非常にここは問題のところではないか。五年の計画で交付金が固定化をされていっているということですから、今後この税源移譲の問題がどうなっていくのかというところが縛られる懸念があるというふうに、ちょっと心配をいたしております。

 この法案が国と地方の関係をどういうふうにつくっていこうとしているのかというのが正直言ってなかなか見えてこないという部分がありまして、自主自立だという言葉としてはあるんですけれども、実態的にどうなっていくのかというところがなかなか見えてきていない。

 一方では、さっき言ったように、関係行政機関の長の同意が必要だとか、交付金そのものも適化法の適用を受けるわけですね。そういう形になっていったときに果たしてどうなのかなという、何となくそういう不透明な部分があるということが非常に問題としてあるのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 特に、これが過渡的な法律だということであれば一定の理解ができるんですけれども、法律そのものは恒久法だという形で位置づけられていくんだろうというふうに思うんです。もちろん、七年の見直し規定というのは入っていますけれども、私はやはり、今の三位一体による補助金改革の動向だとか地方分権の流れだとかということを考えれば、もう少し早い段階で見直していくという柔軟性があってもいいのではないか、これはぜひ検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

村上国務大臣 先ほども実はその点について御質問があったわけなんですけれども、法案附則の第二項において、見直しの時期を七年以内としているんですが、御承知のように、これは大体五年程度の事業期間を想定しているもので、交付金の事業評価を踏まえて、少なくとも五年以内に見直しを行う。少なくとも五年以内にということでございますから、中身が膨らめば可及的速やかにやっていきたいなと考えているし、また、地域からの声を踏まえつつ支援措置の充実を図っていくこととしておりまして、必要に応じ適時適切に所要の見直しを行うことがあり得るものと考えています。

 それから、先ほど、委員の御意見で一つ私が感じましたのは、こういうことなんですね。本来ならば、国と地方の税源移譲の問題、これは価値観の相違もあると思うんですけれども、国や地方がそれぞれどういう仕事をするのか、そして民間がどういう仕事をするかという議論を、もはや与党も野党も率直なところで話し合う必要があるんじゃないか。

 例えば、インディアナポリスの市長ですと、極端なことを言いますと、給食から道路の補修からごみの収集から、全部民間に委託するわけですね。だから、本来はやはり、そういう議論を与野党が率直に、先に国の仕事、地方の仕事、そしてまた民間に回す仕事というのを把握する時期が必要じゃないかな、私はそう考えています。

藤田(一)委員 まさに国と地方の役割分担という、そこは本当に大事だと思うんですね。昨年は、三位一体改革の議論で政府と地方六団体との協議の場が持たれたということでありますけれども、それだけではなくて、それぞれ個別省庁ごとにもそういう議論を積み重ねていかないと、いつまでたってもこの議論は堂々めぐりをしていくというか、対立構図を生んでしまうということだと思っています。

 時間がありませんので、最後にもう一度大臣の決意というか御所見を伺いたいと思っているんですけれども、私は、地域再生の基本というのはやはり地域であり住民でありということでは、まず、自治体のところに権限も財源も行って、そこでしっかり取り組んでいくということが基本だろうというふうに思っているんです。

 そういう意味で、この地域再生法案というものが、これから先の地方分権改革あるいは地方の財政自立改革に寄与する、そういう法律であってほしいというふうに思っていますし、その移行のための法律であるということをしっかり理念として明確に持ってやっていただきたい。

 そうしないと、省庁の権益の隠れみのだの、やれ何だのという話がずっと続いていく。そして、手続も、最初のうちは多分混乱するだろうと思います。屋上屋の部分があるかもしれない。そういうことに対する自治体の不信とか地域の不信が大きくなってしまうわけですから、それでは元も子もないということでありますので、本当に目指すべきところは地方の分権であり地域の自立に向けた法律だと、そのことに対して、もう一度大臣の御決意を伺いたいと思います。

村上国務大臣 まさに委員のおっしゃるとおりでありまして、私の地元は委員の選挙区よりはるかにもっと田舎でありまして、委員と、それ以上に、その委員の気持ちを体して頑張っていきたい、そのように考えております。

藤田(一)委員 どうもありがとうございました。

松下委員長 次に、今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 大変長い審議時間になりましてお疲れだろうとは思いますけれども、どうぞよろしくお願いします。

 さて、この地域再生法ですが、どうも、このなべはおいしいよ、おいしいよと今みんなに宣伝をしてもらっているところですけれども、実はふたをあけたらまずくて食えないとかいうような心配があるのではないかなというので、こうしてさまざまな質問が続いているわけなんですが、さて、この二〇〇四年度の予算で地方向け補助金あるいは地方交付税が大幅に削減されました。各自治体は、自立的財政状況になるどころか、それぞれが、これもないところもあるわけですけれども、基金を取り崩したりなんかしまして、悲鳴を上げております。

 この地域再生法というのは、そうした苦しい自治体財政へのフォローアップの色合いが濃いと言われておりますが、まず、私は、この政策の発想の原点を今ここで改めて確認させていただきたいと思います。

村上国務大臣 御質問にお答えします。

 まさに私自身、地方のこともありまして、今、我が国経済全体としては一応日銀等が言っているように景気回復の局面にあるように感じますが、各地域の経済状況というのは非常に地域間にばらつきがあって大変な状態だなと。やはりその要因は、いろいろ地域の産業の構成やまた地域のそれぞれの課題があって異なるわけです。

 やはり、今までのように、先ほど玉置委員が言っているように、全国一律のような、地域の実情に合わないのではなかなか難しいんじゃないか。そういう面で、地域の実情に応じた自主的な、自立的な取り組みにおいて行われるようなサポート体制が何とかできないかなというのが実は発想の原点でありました。

 そういう厳しい財政事情のもとで、やはり地域は、ばらまき財政支援に頼るのではなくて、先ほど来申し上げているように、それぞれの地域に魅力や特性があるわけですから、それを一番御存じなその地域の人々がそこの特性を生かして、何とか地域の活性化を図りながら、ひいては雇用の創出を図っていきたい。

 そういう自主的な、自立的な、みずから考え、実施する、そういう取り組みを行えるように、先ほど来申し上げているように、特区も最初できたときにはどういうアイデアが出てくるか正直言ってだれも予想がつかなかったと思うんですが、私自身、この半年間担当させていただいて、本当にそれぞれの地域の皆さん方のアイデア力はすごいな、正直言ってそういうふうな実感を持っています。

 まさにそういうような、特区とパラレルに、両輪として、この地域再生法案は、こうした地域の取り組みをより強力に推進するために提出させていただいたわけであります。

 以上であります。

今野委員 地域によっては、その置かれている環境もまたさまざまであって、画一的な再生法などというものをそこに示してもそれは利用できない、地域の実情に応じたバックアップ体制が必要なんだということが原点だとおっしゃった。まさしくそこのところは私も同感でありますし、一致するところでありますが、それでは、あるべき、望ましい地域再生計画というのはどういうものかというのを考えてみたいんです。

 これは、中央省庁の縦割りをなくしつつ地域の自立を促し、また地域はそれぞれ置かれている環境を生かしてそこからユニークな発想をして、そして施策を体系立てていく。財源については、地域再生のために使える予算がある程度あるというのが本当の姿だろうと思うんですね。

 税源の移譲、権限の移譲を通して地域が主体的に施策を構築していくということが求められているところにこうした交付金制度を用意するということは、それこそ自由な発想をし知恵を絞ろうという主体性がむしろ失われていくんじゃないかと思うんですが、どうお考えでしょうか。

村上国務大臣 先ほど来申し上げているように、この柱は三つあるわけでありまして、今委員がおっしゃるような補助金、交付金の一括計上について、ある地域においては、例えば排水、汚水処理について一生懸命早くやりたい、そういうふうに、先ほど申し上げたように、港の問題についてやりたい地域もあるでしょう。ですから、それはそういう分野で一番自分たちが使い勝手のいい方向で使っていただければいいと思います。

 それから二番目の、まさに税の特例措置においては、今までは法定で一応全部縛っていたんですが、それぞれの地域の活性化のためのアイデアとしてこの資本を投下したい、その資本を投下するときに、なかなか収益性が低いけれども何とかみんなの資本を集めてやっていきたい、そういうものをバックアップする。

 そして三番目は、先ほど玉置委員が言われたように、町村合併で、私の選挙区は三十一町村あったんですが、三十一町村ごとにあるそれぞれのいろいろな施設を、やはり統廃合のときに、補助金で決められた使用目的以外に迅速かつ使えるようにしたいところはした方がいいということで、正直言って、それぞれの地域に合った、それぞれのニーズに合って、それぞれを地域の首長さん、市町村長さんや知事さんにはゾーンとして使っていただきたいというのが我々の願いであります。

今野委員 さっきからほかの委員の質問に対してもそうなんですけれども、地域が独自で考えてもらうんだ、地域が独自で考えてもらうんだというようなことを何度も何度もお聞きするんですが、独自に考えてもらうのならば、こういう道整備交付金とか汚水処理施設整備交付金とか、こういうメニューをなぜ示さなければならないんでしょうか。これはやはり、腹の肉と足の肉だけ多いからそこだけ取ってスマートな体をつくってくれというのに等しいんじゃないですかね。

村上国務大臣 委員は私の体を見ておっしゃるんですが、実はそうじゃなくて、今回は、先ほど来滑川室長も申し上げていますように、去年の二月の段階ではまだ予算や税の措置がなかった、それで六月において、それぞれの数多くの市町村長さんたちにアイデアを募集したときに、こういう使い勝手が悪いんだから何とかしてもらえないかというふうな要望が多かったということ。

 それからもう一点は、先ほど市村委員の御質問にも答えたんですが、二番目の税については、西村先生等を含めてそういう案がいろいろ前から提案されていた。そういう中で、やはりそれぞれの特性を生かしながら、そういうものを何とか今の時点において可及的速やかに使い勝手のよいようにしてあげることも重要じゃないか、そういうことが発想の原点であります。

今野委員 どうも今の説明では私は納得がいかないんですが、これはこれだけ異論が出ているんですから、出したものはなかなか引っ込めにくいでしょうが、これはひとつ過渡的な措置と考えて、税源移譲、地方分権も含めてもう一回考え直すんだというふうにしたらどうなんでしょうか。

村上国務大臣 それは、先ほども藤田委員の御質問に答えたように、私は、本来、やはり国の仕事、地方の仕事、そしてそれ以外で民に回す仕事と、本当は大所高所の判断を早くすべきだと思っているわけです。そこがないので、いろいろ金目の問題になると混乱になるわけですから。

 そういうところで私が言いたいのは、そういうものをきちっとやらなきゃいけないんですけれども、それはどうしても時間がかかるわけです。一刀両断のごときにそれがすぐにできるんだったら、我々も苦労しないと思うんです。だから、それを待っていたら我々の目の黒いうちにできない可能性もあるからこそ、私は可及的速やかにやっていく、そういうことであります。

今野委員 苦労して苦労して苦労して、それでも小さく産んでそして大きく育てようとしているんだということなんだろうと思うんですけれども、どうもわからないんですね。

 地域再生基盤強化交付金ですけれども、これは、今も申し上げましたが、道整備交付金、汚水処理施設整備交付金、港整備交付金と三項目に限定されているわけです。補助金等適正化法の手続の特例については、その使える三項目が、三項目じゃなくて幾らか広がっているようですけれども、その限定がひもつきで、また新たな旧来型の公共事業への傾斜の危険があると指摘する人も多くて、大変これははっきり言って不評です。中央の官庁に頭を下げて金をもらうという構図、これは全く変わらないわけでありまして、権限の移譲になっておりません。

 私は宮城県でありますが、宮城県の浅野知事は、これは地方の自立につながらない、ただ制度ができればもらいに行ってしまう、残念ながら。そこが悲しい、非常に罪深い制度だというふうに言っております、これは大分前の報道ですけれども。こういう批判があるのは、やはり一つには項目が限定されているからだと思うんです。

 大変苦しまれてこの三項目にされたんだろうと思いますけれども、それでは、なぜこの三項目なんでしょうか。ほかにも入れられるものというのは実はあって、大臣は入れたいものがあったんですか。三項目になっちゃったんですか、結果的に。

村上国務大臣 委員の御推察どおり、実は項目はもっともっとありました。ただ、御承知のように、先ほど来申し上げているように、行政改革、規制改革というのは、真剣にやればやるほどすべての省庁やすべてのそういうものを、はっきり言えばガチンコになります。そういう中で、私が九月二十七日に就任して以来、やはり、いろいろな市町村長さんとお話しし、お聞きし、可及的速やかにできる分については突破口を開くことが政治的、行政的には喫緊の課題ではないかな、私はそういうふうに判断したわけであります。

今野委員 そうすると、もちろんこの三項目では不十分だということですね。

村上国務大臣 先ほど来申し上げていますように、行政改革や規制改革は一挙に一〇〇%達成できればそれにこしたことはないと思います。しかし、やはり我々は、現実の生身で生きている人間として、政治家として、できることからステップ・バイ・ステップでやっていくということも重要な課題じゃないかな、私はそういうふうに考えております。

今野委員 私もそういう話はわかります。できるところからやっていく、そしてそれを大きく成長させていく。しかし、できるところからやっていくといっても、山道を歩くときに小さな方向の矢印がちょっと間違っているととんでもない方向に行ってしまうということがあるように、スタートをさせるときにはよほど慎重でなければならないし、これがどのように育っていくのだろうかという想像力も持たなければならないと思うんです。

 このような状態では、やはりどこまでこの項目を広げていっても権限移譲ということにつながらない、むしろ中央の官庁の権限が大きくなるということだけなのではないかというふうに思いますが、大臣、何か。

村上国務大臣 それは、先ほど委員にお話ししていますように、特区のときもそういう議論があったんです。特区室ができたときに、果たしてこの特区制度というものがどうなるだろうか、海のものとも山のものともつかぬという議論がありました。特に、鴻池大臣は一生懸命やって、いろいろなところではっきり言えばバッシングされました。しかし、やはりあのときに鴻池大臣が体を張って突破口を開いて特区制度をつくったことが、今日のいろいろなアイデアが出てきて、特区が宝の山になってきたんじゃないかな、私はそう思っております。

今野委員 強い信念をこの地域再生法に対してお持ちだということはわかりました。

 町を歩いておりますと、下水道の工事があったり、それが終わったと思うとまたほっくり返されて、今度はガスの工事だったり電気の工事だったり。これが一回でできないのかという声は昔からいろいろなところから上がってきているわけなんですが、私は、この地域再生基盤強化交付金というのは、ああ、そういうことが可能になるのかなと一瞬思ったんですが、どうもそうではないようです。

 しかし、よく見ると、地域再生税制のところでは、ここからは私の想像ですけれども、そういうガスやあるいは上下水道や、そういう事業を一括して行う株式会社をつくって、そしてそこに投資を促すことはできるのかなと。これは小さなともしびを見つけたような気持ちだったんですけれども。

 そこで、これはちょっと質問通告していないので、答えていただける範囲の中で答えていただければいいですが、ちょっと具体的にお尋ねしたいと思うんです。

 そうした上下水道、ガス、水道等の工事を一括して行うような株式会社ができて、そして自治体、地方公共団体が、これは地域再生事業を行う企業だ、私たちの事業だと認めて、内閣総理大臣に認定してくださいと申請すれば、こういうのは認定される可能性はあるんですか。

滑川政府参考人 ただいまの、こういうことでという御想定が、例えばそういう会社をつくられて、その会社が事業をする際に投資家の方に税制の優遇措置がとれるかというようなお話だとすれば、その企業が公益的な事業をやるあるいは公営企業の代替をやるということであれば、これは地域再生に関連した事業というふうに考えられますので、そうした意味での税制的な特例措置は受けられるというふうに考えております。

今野委員 大臣がいらっしゃらないんですが、どうしようか。まあいいです。

 それは、申請をすれば認定される可能性はあるということですけれども、しかし、ここには自治体の意思がかかわるわけですね、再生事業の中にその企業の事業項目が入るかどうかという。そうすると、自治体のチェックを受けなければならない。さらに、これを内閣総理大臣に認定を申請する。中央官庁でまたチェックを受けなければならない。

 この二重のチェックというのが、そういう会社はできるんですよ、税制で優遇されますよという看板はいいんだけれども、実はこのチェックされる部署というのはちゃんと二カ所あるわけです。そこが問題だと言っているんですけれども、大臣、質問を半分しか聞いていないからわからないかな。お答えは、では……(村上国務大臣「滑川さんが先に答えます」と呼ぶ)はい。

滑川政府参考人 御指摘のように、地域再生計画は地方公共団体につくっていただくという意味でございます。そうした意味で、今御指摘のように、民間企業がその特例の適用を受けたいというときは、地方公共団体と相談をして、そこで地域再生計画の中に盛り込んでいただいて、それで特例を受けるということになります。

 ただ、それが、おっしゃられるようにチェックなのかそれとも共同作業なのか、どちらかというのは御議論の余地はあるのではないかと私は思っておりまして、そうした意味で、地域で、民間企業あるいはNPO、そうした方々と密接な意見を交換される中で地域再生計画をつくっていただくことが望ましいんじゃないかということを申し上げてきたのはそういう意味で、そうした民間企業の御提案とか御要望とかいうのを地域の公共団体が伺いながら一緒に活動していただくということが大事ではないかというふうに思っております。

 それから、国のチェックとおっしゃいますけれども、これも先ほど来御説明しておりますように、必要最小限なものにとどめていきたいというふうに考えておりますので、いかにもがんじがらめですべての要件を満たさなければということではなくて、基本的に適合性があれば、そして実現可能性があればその計画というものは支援してまいりたいというふうに考えております。

今野委員 局長にも大変丁寧に答えていただきましたけれども、大臣はお聞きになりましたでしょうか。さっき私がちょっとお話しした、そういう会社は認定される可能性があるんだそうです。それで、税制上の特例措置を受けることができるということで、それはそれでいいことなんですけれども。

 しかし、その認定を受けるプロセスで、まず市町村が地域再生事業の中にこの会社の事業項目が含まれているということを認めなければいけないわけですね。その上で、今度は、国、中央省庁に、最終的には内閣総理大臣ですけれども、そこに来るわけです。そこがつまり問題になるんじゃないかと言っているんです。

 私は、そういう会社ができるのは大いに結構だし、歓迎すべきことだし、地方自治体も国もそういうのを利用すべきだと思いますけれども、そういうところが問題で、そこは何とかもっと緩くできないか。例えば、地方公共団体だけで済むようにならないかというような、輪っかを一つぐらい外すことができないかということをお尋ねしたいんです。現状ではどうなんでしょうか。

滑川政府参考人 事実関係として申し上げれば、今回の税制の措置は国税に関するものでございますので、国が指定した法人でなければ無理だということは申し上げざるを得ないかと思います。

村上国務大臣 今滑川さんがお答えしたとおりなんですが、今回、税や国の金を投入する以上はやはり最低限のチェックは必要じゃないかな、そういうふうに考えています。

今野委員 いや、それは、ですから、市町村に税源を移譲してやればいいわけです。そこのところまで進めていけばこれは可能なわけですね。

村上国務大臣 先ほども特区のときにある程度お話ししたと思うんですけれども、特区も税を絡めてくる特区申請がよくあるんですが、税というのは公平、公正、簡素、活力でありますから、やはり、全国一律の公平さが担保されることが必要でありますから、そういう面においてはある程度きちっとした判断が必要じゃないかな、そういうふうに考えます。

今野委員 全国一律の公平性というと、何かやはり地域がそれぞれユニークな発想に基づいて再生事業を行っていくというところから少しずれてくるんじゃないかなという気がしますが。

村上国務大臣 それはまさに委員、逆でありまして、税はやはり理論であります。税はやはり全国一律で公平、公正、簡素、活力でなければならないということは、これは委員にも御理解いただきたいと思います。

今野委員 まあ、なかなか地方が自由な発想に基づいて事業を行っていく、その自由な発想、その裁量をどこまで認めるかというのは大変重要な、また議論も尽きないことだろうと思いますから、そこのところはきょうはこれぐらいにしておきたいと思います。

 さて、地域が再生する、元気になるというのは、今回の地域再生法のように、公共事業を整理して少しまとめてやってみようじゃないかというようなことだけではなくて、やはり地域の経済が元気じゃないと地域の再生もなかなかこれはあり得ないわけであります。

 私は、きのう沖北の委員会の質問の中でもちょっとお話ししたんですが、沖縄は、地元経済界が沖縄元気企業外貨獲得宣言を行いまして、健康食品産業等の中小ベンチャー企業がそれによって起こってきているんですね。健康食品産業の売り上げですが、一九九五年は二十四億円だったんですが、これが二〇〇一年には沖縄の健康食品産業は百二十七億円と急成長しているんです。五倍に成長しているんです。

 ところが、こういうところへの支援は、二〇〇五年度になってやっと六千九百万円の予算。ベンチャービジネスサポート事業という名目でついてきたんです。やっとです。二〇〇一年、五倍になっているのに。

 こういうところには、大臣の所管とちょっと違うかもしれませんが、私は、国としては素早く、芽を出したところには肥料や水をやって育てなければいけないと思うんですが、こういうところが遅いんですよ。だからなかなか地域が元気にならないわけで、私が言いたいのは、必要なものと可能なものは違うだろうということなんです。

 公共事業の窓口を一本化しようというアイデアはよしとしても、その中身は、役所が本来自分たちが所管していたものなんだけれども手放してもいいようなものから、可能なものからやろうじゃないか、可能なものしか項目が立てられていないということじゃないですか。必要なものとは違うんですよ。そこが僕は問題だと思うんです。

 本当に必要なものを役所の権限から素早く解放していくという目線がこの法案のどこにあるんでしょうか。

村上国務大臣 それはまさに逆でございまして、委員の地域は宮城県ですか、宮城県でもあると思うんですけれども、やはり地方というか地域は結構下水関係というのが普及率がおくれていまして、そしてまた、非常にそれぞれの、農水省管轄、国土交通省管轄、環境省管轄で、やはりなかなか、どの地域にどれを適用するかというのは非常に今まで大変な時間と労力がかかっていたわけです。

 それを、先ほど、特区室と同じように、その一カ所のワンストップ窓口に来ていただければ、我々のスタッフが各省庁と折衝して、一番その地域においてどういうふうなやり方をすれば使い勝手がいいかということを、一生懸命相手方と交渉しながら、各市町村長さんや市町村の立場になって、親身になって結局対応するということであって、あくまでそれぞれの地方の要望に基づいてやることでありまして、委員の御懸念は当たらないと思います。

今野委員 国が地域再生についてしっかりかかわろうという発想があるからこうなってしまうんですね。

 可能なもの、手放してもいい可能なものというのはそこじゃないですか。地域の再生というのは、本来はどうぞ自由に発想してくださいということがなければいけないわけで、それでは、どこまで大きく生み育てていく、大きく生み育てていく最後はこのメニューがないということだと思うんですが、大臣のお考えはどうなんですか、そういう点は。

村上国務大臣 まことにあれなんですが、多少行政というかそれに立ち会った者からすれば、今までのそういう流れの中を絶ち切ってやるということは、実は想像を絶するものがありました。

 それからもう一点は、まさにそういう全国の首長さん、市町村長さんのお話を聞いたときに、私は最初それを聞いたときに、本当に各省庁がそういうものについて賛同してくれるのかどうかということ自体、はっきり申し上げて本当に危惧をいたしました。

 しかし、スタッフやみんなが一丸となって、やはり地域の再生を、やはり何とか皆さん方に数多くの道具、ツールを持っていただきたいということで、先ほど申し上げたように、補助金の一括計上と税の特例措置、それから既存にある補助金でできた建物の転用も即時スムーズにいくよ。それから、最初から申し上げている特区、その四つを絡めて何とかそれぞれの地域の皆さん方が自分たちでアイデアを考えて活用していただければと。

 そういう、私は何とか地域の皆さん方がみずからの足で立って頑張っていただきたいという、その一念で一生懸命この法案を提出させていただいているわけであります。

今野委員 ちょっと質問を、もう一つ具体的にお尋ねしたいことがありましたので、時間内におさまらないと困りますからここで伺っておきます。

 私の地元仙台市も、さまざまな環境対策、リサイクル事業など、地域再生への取り組みを行っているんですね。例えば仙台市水道局の浄水場から出る汚泥をリサイクルできないかというので、民間企業に委託して研究をさせました。この民間企業は、浄水場から出る汚泥を、上水道管の周辺には何か特別の砂を入れなきゃいけないらしいです、山砂みたいな特定の。そういう上質の土に生まれ変わらせる技術を開発したんです。

 こういう会社は、地域再生を推進するという上でも、また、ここにある、環境対策に資する施設の整備、運営という点からも、自治体の地域再生計画の中へ参入する民間事業者として内閣総理大臣に認定を申請できると思うんですが、これも質問通告していないのでもしおわかりでしたらお答えいただければいいですが、この会社が研究開発した商品、技術、これをもって、この場合だと仙台市が内閣総理大臣にこの業者を認定してくださいと言うわけですね。ある条件が整えば認定してもらえるでしょう。この会社がその技術あるいは製品を仙台市以外へ全国展開をしていった場合、これはどういうふうになるんですか。

滑川政府参考人 お答えいたします。

 その会社がその地域の地域再生のために事業を行うということで、その地域が地域再生計画の中にその会社の活動を盛り込んで、これが税の特例措置を受けるのに適切な会社ですということで認定申請をするということをされて、認定されれば、その税の特例を受けられるということでございます。

 それで、今の例、ちょっと、もし他の地域でその会社が同じことをやりたいといったときに、それが他の場所の自治体、これが地域再生計画を認定申請しますので、他の場所の、行った自治体と組んでそういうことができれば、それは仙台市とどういう契約があったかということは別とすれば、その場所で認定申請を受けることによって、その地域での地域再生活動に携わる会社というふうに認められるのではないかというふうに考えられると思います。

今野委員 済みません。質問通告していないから、調べてもらって、後で教えていただいてもいいです。

 今のお話ですと、例えばある市でこういう計画の中に組み込まれて認定された、ほかの市でも認定されれば問題ないということですよね。

滑川政府参考人 それぞれの契約による部分もあるかと思いますので、地域との契約とかその他の関係があるかと思いますので、そこは頭の整理をしまして、一回御報告をさせていただきます。

今野委員 申しわけありません、そのときに、S市と地域再生事業についてオーケーと言われて、今度はこの会社が、そうじゃなくて全く営業としてこの製品を全国に売った場合はどうなるかというところもぜひ教えていただきたい。申しわけありません、質問通告していなかったので。

 さて、そういうふうに、やってみないとわからないことがいっぱい出てくるんだろうと思うんです。走りながらいい方向に、これはスタートさせるとすれば持っていってほしいと思うんですけれども、これを利用するためには、地方自治体は地域再生によほどすぐれた発想を持たなければならない、これは地方も大変だと正直思います。

 こういう項目が立てられているわけですけれども、それをどう利用し、本当に地域の活性化のために使っていくかということは、やはり地方も優秀でなければならない、試されるときだというふうに思うんですけれども、またそれを内閣府で一括して申請を受けるというような場合も複数省庁にまたがるわけですから、これは再三問いが出ているようですが、すぐれた処理能力が必要になるだろうと思います。

 この速やかな手続処理は、これも大変難しいだろうと思うんですけれども、どのようにするんですか。一つ一つ省庁があるわけですよね、農水省とか国土交通省とか。それを手続処理はどのようにするんでしょうか。

滑川政府参考人 御指摘のように、上がったもの、例えば地域再生計画の認定という作業をさせていただくときには地域から認定書を集めて締め切りまでに来たもの、何部になるかというのはありますが、それを全部担当同士で埋め合いまして、それぞれ必要に応じ関係省庁との協議を重ねるという意味では物理的にかなり大きな仕事量になるということは否定できませんし、それは上がってきた計画の量によることだと思っております。

 ただ私ども、そういう数が多いということは地域でやはり御期待が高いということでございますので、それは私どもとしても、できるだけの労力を使ってなるべく速く多くの仕事を処理できるように努めてまいりたいと思いますので、そこは私ども、そうした期待が高いということであれば、それはつらいですけれども喜ばしいことというふうに思いたいと思います。

今野委員 そうなりますと、簡素化とはいっても相当な情報量、相当な能力が必要で、これも質問があったかもしれませんけれども、そうすると、内閣府の中でそれを担当する局長のところで、人をふやさなければいけない、あるいは処理するさまざまなIT関連のものをふやさなければならないというようなことにはなりませんか。

滑川政府参考人 もちろん私ども、そうした意味で、作業量がどうなるかというのをまだ見込める状況ではございませんけれども、なるべく私どもの持っている資源を十分に活用しまして地域におこたえしていきたい。こういう政策をするのにまた人をふやすのかというお話にはならないようにしたいというふうに努力はしてまいりたいと思っております。

 ただ、正直言いまして、どのような作業量になるか、その辺は実際に法案が成立いたしましたら、それによって動いてみるということで、ちょっとまだ私ども予断できないという状況であることを御理解賜れればと思います。

今野委員 委員会でそういう話をしてしまったから人はふやせないし、しかし残業だけがどんどんふえていって、下手をすると過労死する人が出てくることのないように、本当に上手に手続の簡素化というのも進めていっていただかなければならないなというふうに思います。

 時間もなくなりましたので、最後に、これはどういうふうに評価をするかというのも項目の中にあるようですが、わかりやすく、しかも国民の皆さんにも評価の公表をするというような形での評価方法というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

滑川政府参考人 地域再生計画の達成状況についての評価でございますけれども、地域再生計画は地域が自主的にあるいは自立的に取り組んでいただくということでございますので、地域が計画に掲げられました目標の達成状況につきましては、まず地域がみずから評価をし、計画の内容を見直し、実施体制の改善等に自主的に反映させていくということが基本だろうと思っております。

 他方、政府といたしましては、地域再生計画の認定制度あるいは認定に基づく支援措置につきまして、こうした地域におきます地域再生計画の実施状況を踏まえまして、また第三者の御意見も伺いまして、事後的に評価をいたしまして、この制度の改善あるいは充実というものを図っていくということが大事かと思っております。

 そうした意味で、地域で行われている政策は地域がみずから、あるいは政府が地域にお示ししている政策の評価は政府がみずからということでそれぞれ行い、また必要な改善、改革を図っていくことだというふうに考えております。

今野委員 これはいずれにしても国が認定をするわけですから、地域がみずからといっても国としてもある程度評価をし、それを次の改善につなげていかなければならないと思うんですが、その点はどうなるんですか。

滑川政府参考人 もちろん、今御指摘のように、国の施策を使って、例えば予算を使うあるいはその他の施策を使って行われる事業があれば、それは国としてその施策が適正に、適当に利用されているかどうか評価していくことは考えられると思います。今申し上げたそうした評価というのは、国の立場としては提示した制度そのものの改善、改革という方の評価に使うということが基本であろうと思います。

 やはり、最初に申し上げましたように、地域が自分で評価するというのがまず第一、基本になるということは変わらないだろうと思います。ただ、国のお金が入るその他の意味での国として所要の評価は当然行われるということは事実でございます。

今野委員 時間ですので質問を終わりますが、この法案が可決するかどうかはわかりませんけれども、地域の再生ということについては地域の自由度を増していくという方向にぜひ運んでいっていただきたいというお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松下委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 昨年の七月に、前の金子大臣のときに、地域再生支援に一千億円という話がありました。それが、最初は地域再生のことをいろいろ考えていたと思うんですが、お金の話からすると、どうも三位一体改革とかなり結びついた話になってきているなという感じがいたします。

 それは昨年の秋の産経でしたけれども、補助金削減と税源移譲がセットであるのがそもそも三位一体ですが、交付金化された分は税源移譲が認められない可能性がある。だから、当時の知事会長の梶原さんは、補助金と同じで国に頭を下げる構図は変わらないというお話、コメントもありました。

 それから、昨年十二月の朝日の方では、補助金廃止と税源移譲を求められた中央省庁が金と権限を手放さずに複数の補助金をまとめたりして、自治体の使い勝手をよくする工夫でかわしたという見方もありました。

 事の当否はともかくとして、それは人によって見方はいろいろでしょうが、形の上からすると、三位一体改革で、補助負担金の削減額は一兆七千六百八十一億円、これに対して税源移譲が一兆一千百六十億円。スリム化という名前でもって、三千十一億円はそもそも地方に移らない、補助金は消えたが移ることはない。交付金という名前で残ったのが三千四百三十億円ですが、その三千四百三十億円の中の八百十億円が地域再生交付金。

 こういうことになってきますと、本来、三位一体というのは、補助金を削減して、その分は全部税源移譲だとみんな思っているわけですよね。本来の姿なんですね。国のひもつきをなくすために補助金をなくすんだというのがそもそものお話であったと思うんです。ところが、本来すべて税源移譲すべきものがそうならないでいるわけですから、この八百十億というのは、結局、補助金を地域再生交付金という名前にして事実上残したものに数字の上ではならないかということが出てきます。

 この点についての、三位一体とのかかわりについて伺っておきたいと思います。これは政府参考人でも結構ですよ。

滑川政府参考人 先ほど来御説明しておりますように、地域再生と三位一体の関係ということにつきましては、それぞれ、地域再生は地域再生ということで議論が進められて、地域の自主性、裁量性の拡大ということでさまざまな改革がなされる。他方、三位一体の方は、国と地方との関係ということで、さまざまな改革、補助金あるいは税源移譲、交付税という改革がなされてきたというのが、ある意味では、接触した部分という部分に当たるということでございまして、昨年の十一月の三位一体改革についての取りまとめの際に、「公共投資関係の補助金の交付金化については、省庁の枠を越えて一本化するなど、地方の自主性・裁量性を格段に向上させる。地域再生の取り組みにおいても三位一体の改革に資するものとなるよう留意する。」というふうにされております。

 ただ、地域再生におきましては、地域の自主、裁量性の向上という観点から改革を推進しているということでございますので、その地域再生の視点から見れば、結果として、今回の交付金化が三位一体の改革にも資するものというふうに考えておるということでございます。

吉井委員 三位一体ということからすれば、そもそも削ったものは全部税源移譲でないとあかんですよ。これは三位一体なんです。削った補助金が全部税源移譲にならないというだけの話じゃなしに、その補助金が、これでいいますと三千四百三十億円の交付金化、その中の一部が八百十億円ですから、これは結局、本来ならば全部地方に丸々来るべきものが、そういうふうになっていないお金がここに流れているということをまず見ておかなきゃならぬと思います。

 法律については後ほどまた触れますが、この地域再生基盤強化交付金の創設というのは、言うまでもなく、だから三位一体改革の中で地方に対する事実上のゼロ回答の代替案として浮上してきたというのは、これは周知のところです。

 地域再生基盤強化交付金の八百十億の今度は原資の方ですが、各省庁ごとの交付金別に幾らになっているかを見ていくと、一つ一つ答えていただいてもいいんですが、手間暇かかりますから、私の方から確認だけしておきます。

 汚水処理施設整備交付金四百九十億は、国交省の三百億、農水省の農業集落排水の百億、農水省の漁業集落排水の十五億、環境省の浄化槽の七十五億で合わせて四百九十億。それから、道整備の交付金の方は二百七十億ですが、国交省の道路の百億と、農水省の農道の百億、林道の七十億で二百七十億。港整備交付金は、国交省の港湾の二十五億と農水省の漁港の二十五億で五十億ということで、要するに、それぞれの省庁の原資の面からすれば今の数字で間違いないと思うんですが、確認の意味で聞いておきます。

滑川政府参考人 まず一つ、三位一体の改革というのは、昨年の骨太によりますと、税源移譲に結びつく改革とスリム化の改革と交付金化の改革と、三本立てであったというふうに私は承知をしております。(吉井委員「いや、それもさっき言ったとおりですから、それはいいです」と呼ぶ)はい。

 それから、今御質問いただきました、いわゆる八百十億円の原資と言われたものでございますけれども、これは、下水とかそれぞれの事業ということを意味されていると思うんですが、それぞれの事業がどうなるかという仮定の計算でございますので、必ずしも数字を確定することはできないだろうというふうに思います。(吉井委員「さっきの数字のとおりでしょう」と呼ぶ)御指摘の数字でございますね。それは、そういう御説明があるやに、ということは伺っております。

吉井委員 何だか、あるやに伺っていると。よう知っているくせに、妙なことを言うから困るんだよね。

 それで、三位一体の方は、ちょっと妙なことを言いましたけれども、スリム化とかそんなのは三位一体じゃないんですよ。本来は、補助負担金の削減は税源移譲ということだったんです。これは三位一体なんです。三位一体のもう一つは、地方交付税の話ですからね。何か違う話を持ち込んで三位一体と思ったら、あなたの理解は全然違うということをまず言っておきます。

 報道によると、地域再生基盤強化交付金というのは、各省庁の関係交付金の二、三割に相当するというふうに言われておりますが、大体比率はどれぐらいですか。

滑川政府参考人 先ほど申し上げましたような前提はあるかと思いますが、私どもの方では、約一割から二割程度というふうに考えて承知をしております。

吉井委員 一割から二割というお話ですが、これは、実際に交付金化対象額の数字等からきちっと見れば、二、三割という数字はよくわかるので、後ほどこれは資料としてちゃんと出してもらいたいと思います。大体、そんなあいまいな話で法案審議をやっていこうというのは、八百十億の金なんですから、とんでもないと言っておかなきゃならぬと思います。

 次に、二月二十二日の本会議で三位一体について私が質問したときに、小泉総理は、補助負担金改革として、「省庁を越えた一本化による交付金化の取り組みなどを行うこととした」と。つまり、補助負担金改革で、省庁を越えた一本化による交付金化の取り組みをしたんだというお話なんですよね。

 実は、ばさっと削っておいて、何かいいことをしたような話なんですが、大分自画自賛なんですが、そんなに自画自賛するんだったら、なぜ事業の二、三割にとどめたのか。これは限りなく十割、全部こういう形のものにすればいいわけですね。スリム化と称して三千十一億円召し上げてしまったんですが、これは消してしまったんじゃなくて、三千十一億円は全部、地方再生の交付金なりなんなり、こういうところへ入れればもっと充実したものになるんでしょう。大臣、そう思いませんか。

滑川政府参考人 今回、三つの交付金につきまして八百十億円という額が計上されております。この八百十億円という額につきましては、例えば道あるいは港というような、それぞれの交付金の中で、それぞれの単独の事業を複数やられているようなところのものをおおよそ念頭に置いて、それだけの額が抜き出されたものというふうに私ども承知をしております。

吉井委員 ですから、各省庁の関係額の十割となりますと、今の八百十億よりもっと大きな金額に膨らむんですが、かなりのことがやれるはずなんですが、いろいろ使い勝手はよくなったという、それはそのとおりなんですよ。しかし、これは関係省庁の仕事からすると、かなり許容範囲があるといいますか、二、三割という限定的な範囲の中での話だということになってくるんじゃないですか。

滑川政府参考人 私どもの見方という考え方で申し上げますと、地域が複数の事業を、先ほど申し上げた、道とかそういう交付金のくくりでございますが、複数の事業をやっているところにとって、そのお金がどのように使いやすくなるかという考え方でございますので、御指摘のように、各省からどう切り出すか、幾ら切り出すかというよりは、それぞれの地域がどういう形で使いやすくなるかということで、その八百十億円という抜き出し、すなわち複数の事業が行われているようなところというめどをつけて、その額が抜き出されたというふうに考えておるところでございます。

吉井委員 もともと、補助負担金を削減したら全部税源移譲に行くのが普通なんです。それを残したわけなんですが、残しながら、財源の面では二、三割というかなり限定的な範囲の中での使い勝手のいいものにしているという点では、これはかなり、本当に範囲の限られたものになってしまっているということは言わなきゃならぬというふうに思います。

 次に、少し確認的に伺っていきますが、地域再生基盤強化交付金というのは、地域再生計画の枠内であれば他の類似事業への転用が認められることとしています。類似事業への転用というのは、汚水処理施設整備交付金の枠内なのか、それともその枠を超えても転用できるのか、少しここは具体的に伺っておきたいと思うんです。

滑川政府参考人 地域再生基盤強化交付金は、省庁をまたがる二種類以上の類似施設を整備する際に、類似の施設間、例えば道整備交付金であれば市町村道と林道の間などで交付金を互いに充当して進度調整をすることにより、効率的、効果的な整備促進が図られるよう、既存の補助金を見直して創設されたものということでございます。

 このため、類似施設以外の他の交付金への充当、例えば、道整備交付金を汚水処理施設整備や港整備に充当することは想定をしていないということでございます。

吉井委員 次に、年度間流用も可能としているわけですが、どうした場合に年度間流用は可能になってくるか、全くの制限のないものなのか、その手続はどういうものになるかということについても伺っておきます。

滑川政府参考人 交付金の年度間流用と申しますのは、地域再生基盤強化交付金におきまして、個別法に基づきまして、個々の施設に対する補助率を適用せずに、単年度事業費の一〇〇%まで国費の充当を可能とするというものでございます。このため、地域再生計画の認定を受けた地方公共団体が、当該計画の範囲内で各年度の事業費に占める国費の割合を翌年度以降の割合と調整することが可能としているわけです。

 このように、補助率の概念がないため、例えば用地買収が不調に終わって当該年度の事業量が縮小するなど情勢の変化が生じた場合であっても、地域の裁量で交付された交付金を当該事業に先に充当し、地方単独事業分を翌年度に先送りすることが可能になるということから、地域の判断によりまして柔軟な事業の実施が可能となるということでございます。

吉井委員 それから、手続の負担簡素化という点で、窓口一本化ということですね。これは具体的には、国へ来ての一本化ということもあれば、地方の出先での一本化ということもあり、少しこの簡素化というのを、具体的にどういう点での一本化がなされるかということも伺っておきます。

滑川政府参考人 交付金の交付に関する手続につきましては、地方公共団体が地域再生計画を策定して、内閣総理大臣の認定を受け、内閣府が予算の配分決定を行った後、各施設の所管省庁に対して行うということでございます。

 その際、従来の補助金では施設の種類ごとに所管省庁に対してそれぞれ申請することが必要でございましたが、省庁をまたがる本交付金の申請などに係る窓口につきましては、各省の地方支分部局等も活用いたしまして窓口の一元化を図ることとしておりまして、地方公共団体の事務手続は大幅に簡素化されることになるものというふうに考えておるところでございます。

吉井委員 次に、課税の特例措置について伺っておきますが、課税特例の地域再生税制ですね。資金調達が困難な企業を支援する措置として行うとしていますが、そうであれば、投資企業は中小企業に限定していくとか、しかし実はその限定措置が法律上、規定されていないんですよね。そうすると、法律成立後の内閣府令などで、非上場会社とか非店頭登録会社とか大手企業の子会社でない会社などとか、規定をきちんと設けておくことを考えておられるのかどうか、伺います。

滑川政府参考人 御指摘のように、今回の地域再生の税制の特例措置を受けます会社の要件につきましては、内閣府令の中で整理をしていくということを考えております。そうした中で、例えば今御指摘のような株式会社の要件などにつきまして整理をしていくことを考えておるということでございます。

吉井委員 次に、この法案で言う地域経済活性化、雇用創出というこの法目的を達するためには、地方の自主性と政府の適切なチェック機能がうまく働いていくということが大事だと思うんです。

 法案では、国は地方公共団体の自主性尊重を規定しておりますが、一方、チェックの方は具体的規定はないんですね。いろいろ手続を簡素化することは地方の負担を軽減するということで必要なことだと私は思うんですが、同時に、もう一つの面としては、地方で住民の合意ができていない事業などを手続の簡素化で簡単に強行してしまったりした場合に、後で問題が出てくるということもあり得るわけなんですね。そうでないように政府としては十分注意をするべきだと思うんです。ここは大臣に伺っておきます。

村上国務大臣 委員の御指摘のように、地域再生計画の認定に当たっては、第五条の第四項第三号におきまして、計画の内容が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであるということを要件としています。この要件への適合を判断するに当たり、今委員が言われたように、地域住民の合意形成が不十分で実施が困難な内容であると認められる場合には認定することはできないものと考えます。

 地方公共団体に対し、地域再生計画の策定に当たって地域の意向を十分把握するように周知徹底を図っていきたい、そのように考えております。

吉井委員 私は、この地域再生法というのは、申請窓口が一本でいいとか、転用も年度間流用もできる、そういう面で使い勝手のいいものになるという点では、そういう使い勝手のいい交付金になるということについては、三位一体の議論はちょっと置いておいて、これは問題あるんですよ、あるんだが、そこは置いておいて、地方にとってプラスになるということについては、これはいいことだと思っているんですよ。

 問題は、では、本当にこの地域再生を進めていくには何が必要かとか、どういう取り組みをやっていくかということは、これは法律がどういうことになるにしろ、やはりそこが物すごく、一番肝心なところなんですね。

 例えば、きょうも少し議論が出ておりましたが、なぜ再生が必要なぐらい地域が疲弊してきているか。いろいろな分野で、これは大型店の進出の話もありました。それから産業空洞化の問題もあります。それから、地方経済、それまで地方がどんどん金も出し、かねや太鼓でどんどん誘致して、造成もやってきたという企業が、簡単に地域を切り捨てて海外へ行ってしまうだけじゃなしに、大規模にリストラがやられてくるとか、そのリストラに歯どめがないとか、そういうさまざまな問題がありました。ですから、やはりどういう形で、本当に地域再生を可能にしていくかという取り組みというのは、これはこの地域再生法だけの話じゃなくて、いろいろなことをきちっとやっていかなきゃいけないと思うんですよ。

 昨日も経済産業委員会でちょうど参考人質疑をやって、私も行きましたが、全国商工会連合会の会長さんとか全国の電機商業組合連合会の副会長さんとか来られて陳述をしておられましたけれども、やはり大店法を廃止したあのときからですね。あのときはヨーロッパはそんなことはやっていないんですよね。ヨーロッパは、今でも経済的規制と都市計画的手法や環境やさまざまな手法を組み合わせてちゃんとやっているんですよね。

 そのヨーロッパ型のやり方でないことを、あのときは、当時、ちょうどWTO協定違反だとか通産省は言っておったけれども、GATS違反じゃないということは、当時の橋本さんが総理大臣で本会議で答弁をされ、当時外務大臣だった河野さん、今の議長が、アメリカが大店法のような規制を撤廃しろと言っているのは日本だけで、ヨーロッパに対しては言っていませんということを国会でも答弁しているぐらいで、そのときにやはり日本は圧力に負けちゃって、私はあの九八年の国会では大店法廃止は反対しましたけれども、結局大店法を廃止して大店立地法など三法にしたけれども、しかしその三法が悪法だったというのがきのうの参考人の話なんですよ。

 大店立地法の特に十三条がやはり最大のガンなんですね。これは、地方が条例をつくって規制することについて許さないんですね。これだけ地方分権だ、規制緩和だといいながら、地方が条例で、大型店の郊外への野放しの進出も中心市街地からの撤退も勝手、自由というやり方を規制することはできないという。やはりこの点では、十三条を取り除いて、もっと地方自治体独自に、条例の面からもやっていける、都市計画も条例を使ってやっていける仕組みというのを本当に考えていかなきゃいけないと思っているんです。

 だから、町づくり三法の見直しということは、経産大臣も言っていますけれども、やはり三法の見直しの中にはこうした大店立地法十三条を取り払うことも含めて、規制緩和といいながらまさに規制中の規制ですから、地方分権といいながら最も地方分権を認めていない部分の一つですから、やはりこういうところを含めて、本当に地方が再生できる仕組みというものを考えていく、その取り組みが産業の分野では一つ大事な課題になっていると思うんですが、この点は大臣にちょっと伺っておきます。

村上国務大臣 規制、くしくも規制改革担当でありますので、今委員の指摘について、役所に帰ってもう一回その事実関係について勉強してみたい、そういうふうに考えております。

吉井委員 それはぜひ、まあ、大臣の地元も、シャッター通りなんて大変なのをよう知ってはる話だから、とにかく大変な事態なんだから。やはりこれは真剣にやらないと、日本全国がこういう状況ですから。

 かつて、小樽に二十万平方メートルを超えるマイカル小樽が進出したらあっさりつぶれて、それはつぶれるのは勝手といえば勝手だけれども、その前に中心商店街、高齢者の暮らしている商店街がつぶれて、今、高齢化社会を支える地域社会は大変になっているんですよ。だからそういう角度からもきっちりやってもらうということが、本当の意味での地域再生につながっていくものだというふうに思います。

 次に、地域再生の認定を受けた一つに、米原市の山東・伊吹エコミュージアムプログラムというのがありまして、薬草、天然記念物などを生かし、中山道、柏原宿を初めとする、面としての歴史博物館機能を生かすこと、さらに、林業と結びついてはバイオマス発電施設をつくるということで認定を受けていますね。

 これはちょうど室長が私も手がけてといってなかなか御自慢のところだったので、ちょっとのぞいてきたんですけれども、この地域というのは、縄文時代の遺跡から古代国家成立の時代、戦国時代の佐々木導誉というばさら大名から関ケ原の戦いに至るまでの間、さらには江戸時代の参勤交代や朝鮮通信使の時代のことに至るまで、数千年の歴史の蓄積、集積地でもあるんですね。

 だから、それを生かそうという地域の期待と、認定されたということは私は大事なことだというふうに評価しているんですが、問題は、やはりそれを本当に生かそうとしたときに、例えば、これは一例ですけれども、学芸員の方が、縄文時代の学芸員も必要ならば、江戸時代ぐらいの古建築の学芸員がおって、重要文化財の解体修理等もできるわけですね。そういう学芸員の方が、学芸員というのは一人おれば全部やれる話じゃありません、それぞれ専門分野がありますから。

 そういう学芸員の方が、しかし、いろいろな取り組みをすると、事実上、観光課の職員みたいにもなりかねないんですね。そうすると、一時的にはうまくいくんですよ。一時的にはお客さんに説明してうまくいくにしても、長い目で見たときには、数千年の歴史を持つところで、やはり本当にその地域が長い時代にわたって発展ということにはなりません。

 そういう点では、私は、遺跡の発掘や収蔵、研究から、大学などの研究者の受け入れとか交流とか重要文化財の解体修理など、それぞれ専門分野を生かした仕事が進むように国としての協力、こういうことなしには、結局一過性の歴史遺産を使った観光キャンペーンで終わってしまうということになりかねないので。

 そういう点で、認定したからには、学芸員の定員をふやすとか、あるいは歴史書その他の図書購入費や学会、シンポジウムへの出張旅費などを応援したり、今、自治体リストラと言われている時代に一番切られるところを、逆にそこが本当にちゃんとすることによって、せっかく認定したところが発展するように、そういう応援というものを、地域再生法をつくって認定したところを応援しようというからには、やはりこれからはそういうことを政治の世界でもやはり考えていかなきゃいかぬと思うんですね。

 ここは大臣、一言でいいですから、伺っておきます。

村上国務大臣 それもよく事実関係を勉強させていただいて、前向きに考えていきたいです。

 ただ、委員のおっしゃっているのは、そういうところの委員を二人を雇うわけでしょう、歴史的にいえば二人分雇わなきゃいけないわけでしょう。(吉井委員「いや、もっと必要かもしれません、学芸員、ちゃんと資格を持った人」と呼ぶ)要するに、その人件費を国で持つべきじゃないかという御意見ですか。(吉井委員「いやいや、そこまでじゃなくて、そういうことを含めて、どういう応援をするかという」と呼ぶ)わかりました。その点についても一生懸命勉強させていただきたいと思います。

吉井委員 また、ここのエコミュージアムというところの、これは内閣府認定で、たらい回ししなくても、認定を受けたらさらにいろいろできるという点で、私はいいことだと思っているんですよ。このときに、環境省とか農水省とか、場合によっては経産省、NEDOなんかの活用をして、今考えているだけじゃなしに、主体は地方なんですが、例えば、マイクロ水力発電施設だとか小型風力発電施設などを並列して使うこととか、林業を農業廃棄物と結びつけたバイオマスエネルギーの活用とか、燃料電池と結びつけていくこととか、発想はいろいろ膨らませることもできるし、発想は非常にいいことなんですね。

 問題は、そういうことがやはり進んでいくようにどういう応援をやっていくか、どういう応援をすることによってこの地域再生法を本当に生きたものにしていくかということがこれからの政治の課題だと思います。

 時間が来たということですから、最後にこの点についての大臣の話をお伺いしたいと思います。

村上国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、そういうアイデアをそれぞれの地域の担当者が積極的に持ってきていただければ非常にありがたいなと。そのときに、先ほども言った、人件費をどうするか、それに対する費用をどうするかについては、またそれぞれで知恵を出し合えばいいんじゃないかな、そういうふうに思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

松下委員長 次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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