衆議院

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第4号 平成17年3月18日(金曜日)

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平成十七年三月十八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 松下 忠洋君

   理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君

   理事 増田 敏男君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 須藤  浩君

   理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君

      江渡 聡徳君    大村 秀章君

      川上 義博君    木村  勉君

      佐藤 剛男君    桜井 郁三君

      土屋 品子君    西村 康稔君

      萩野 浩基君    早川 忠孝君

      宮澤 洋一君    石毛えい子君

      市村浩一郎君    梶原 康弘君

      小宮山洋子君    今野  東君

      近藤 昭一君    藤田 一枝君

      藤田 幸久君    牧野 聖修君

      遠藤 乙彦君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         村上誠一郎君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (内閣官房地域再生推進室長)           滑川 雅士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  島田  久君     梶原 康弘君

  太田 昭宏君     遠藤 乙彦君

同日

 辞任         補欠選任

  梶原 康弘君     近藤 昭一君

  遠藤 乙彦君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 昭一君     島田  久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

松下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域再生法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域再生推進室長滑川雅士君及び経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子君。

石毛委員 おはようございます。

 地域再生法案の審議も、きょう、ほぼ半日を尽くすところとなりましたけれども、本日は早朝から御苦労さまでございます。

 まず最初に、村上大臣にお尋ねいたします。

 私は、地域再生法案というこの法案の名前を拝見しましたときに、率直な思いといたしまして、違和感という表現は必ずしも当たらないのかもしれませんけれども、地域再生、言葉にこだわっているようですけれども、再び生き返らせなければならないほどに、よみがえらせなければならないほどに地域を再生しなければならない事態にこの日本が至っている、その認識の上でこういう法律の名前が付せられたのかというような思いがいたしました。

 それほどに地域が言ってみれば疲弊をしている実情があるのかというふうに思うわけですけれども、この法案の提出理由説明とか、あるいは第一条の目的規定では、そこのあたりが、「近年における急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化」というようなことで、つづめて、集約した表現であるといえばそれまでかもしれませんけれども、もう少し厳しい現実認識と申しましょうか、そのあたりを率直に示された方がよろしかったのではないかという思いがしておりますけれども、大臣はいかがお考えになりますでしょうか。

村上国務大臣 お答えいたします。

 まさに委員の御指摘どおりでございまして、私の認識というものは、ある面では委員以上じゃないかと考えています。きょうは、せっかくの御質問なので、ある面では自分の独断と偏見になるかもしれませんが、なぜ日本がここに陥ったかについて、私なりの分析を多少述べてみたいと思います。

 私は、今日本がこの失われた十年を含め大変な事態に陥ったのは、三つのことが同時に重なったんじゃないかなと思っています。

 一つは、経済のボーダーレス化、グローバル化です。

 それはどういうことかというと、例えば私の地元のタオル業界を見ていますと、今までは日本のタオルの七割をやっていたんですが、どんどん中国に出しました。そうしたら、同じ機械で同じ糸で織れば、実は、最後にどこで差がつくかというと人件費なんですね。だから、今治のタオルといえば日本を代表するタオルだったんですが、そういうことでかなりのダメージを受けました。

 実は、この携帯電話が日本の最高の携帯電話です。実は、おととし中国に行って、見てきました。同じ三洋の工場で、同じ機械で同じ原材料です。そうすると、日本では七千円が向こうでは千円なんです。それは、一言で言えば、すべて人件費なんですね。そういうことで、私自身、地元にも松下寿というのがあるんですが、テレビだとかビデオをつくっていた、そのつくっていた下請に二、三百人のパートの御婦人のいた会社があったんですが、それもあっという間につぶれてしまいました。

 ということで、一つはやはり経済のボーダーレス化、グローバル化で、社会主義や共産主義を標榜していた国々の人たちが資本主義経済に労働力として参入してきた。その労働力が十億以上の労働力であって、三十分の一の賃金で導入してきたために、大変なことに地域のそういう産業が陥った。

 二番目は、やはりバブル経済の崩壊だったと思います。

 特に、大蔵委員長をやっていたときに感じましたのは、地域経済は、例えば北海道拓殖銀行のように、その地域の経済の三〇%をカバーしている地域銀行、これがやはり大打撃を受けました。昨今では足利銀行があります。そういう面で、バブルの崩壊に伴う地方の金融機関の打撃。

 そして最後には、私自身が一番、非常に苦慮していますのは、昭和四十九年の第一次石油ショックのときもそうだったんですが、経済が落ち込んだときに、財政支出することによってかなりの景気の下支えをやったんですね。今回も、バブルの崩壊の後の景気の下支えのために大変な財政支出を行った。そのために、要するに急激な財政悪化を招いてしまった。そのために、御承知のように今公共事業それから地方自治を含め、かなりスリム化を図っていますが、やはり地域においては公共事業の依存度というものが大きかったわけです。ですから、公共事業をかなり削られた部分において、地域の経済がかなり打撃を受けた地域もある。

 まさに経済のボーダーレス化、グローバル化、そしてまたバブルの崩壊、そして急激な財政悪化と三つの津波が一斉にかかったために、地方が、地域が大変苦労している、私はそういうふうに痛切に感じます。

 そういう面において、前回も申し上げたんですが、限られた財政において、では行政や政治は何をすべきかと考えたときに、やはりこれからは全地域、全分野において選択と集中しかないと思うんです。

 そういうときに、それぞれの地域の特性や力や魅力をそれぞれの地域の皆さん方に自覚していただいて、その力を自分の頭で考え、そして自分の足で立っていただく。そのためのツールというか、そういう道具を提供するのが重要じゃないか。特に、前から御説明しています特区制度も、最初、三、四年前にできたときは海のものとも山のものともわからなかったんですが、地域の皆さん方の懸命な努力によって、我々の想像以上のすばらしいアイデアを出していただいた。

 ですから、我々は正直言ってこれですべてだとは考えておりません。しかし、それぞれの地域の多様性を引き出すためには、できる限りのツールというか道具を我々が提供することによって、皆さん方に自分の頭で考えていただき、そして自立していただいて、地域の力、魅力を引き出して、そして活性化に結びついて、最終的には雇用の創出となるように結びつければ非常にありがたいんじゃないかな。そういうねらいを持って、今回、地域再生法を提出させていただいたわけであります。

 以上であります。

石毛委員 先回来の大臣の非常に厳しい現実認識、そして地域再生あるいは日本の経済社会の再生にかける強い思いを、ただいまの御答弁でもうかがわせていただきましたけれども、私は、一つは、ただいまの大臣の御答弁が、公的に日本の政府として非常に厳しい経済実態、社会実態を総括的にお認めになられていることを表明していただいたという意味で受けとめさせていただきたいと、今伺っていて思いました。

 もう一つは、この法案に対する危惧の一つだと思いますけれども、大臣、今三つ要因をお挙げになられました中で、最後に公共事業にお触れになりました。

 この法案の中では、改めて私が申し上げるまでもないことなのですけれども、地域再生基盤強化交付金の交付ということが規定されてございます。この中身は、いわゆる公共事業の重要な分野でございます。

 これは、例えば道整備交付金とか汚水処理施設整備交付金とかは、それ自体としても実行して意味がある施策であるとは思います。ただ、もう一つの解釈をすれば、特に道などはインフラでございますから、インフラの取りつけの先といいましょうか、本体として何が主軸になって地域を活性化していくかという、その総体がうまくワークしなければ、道はできたかもしれない、確かに今回の法律で使い勝手は、省庁間で流用とかあるいは年度繰り越しなどができるようになって、融通性はきくようになったかもしれない。

 だけれども、要するに公共事業投資だけで終わって、トータルで八百十億円ということですけれども、確かに一過性の意味は、それはそれでゼロとは言えないにしても、本当に地域再生につながるかどうかということでは、大変難しいといいましょうか、大事なポイントが残されているというふうに私は思って、ややもすると、この分野に絞って、新しい形をとった公共事業の再興ではないか。

 これは、現に地方経済では大変求められているということも事実でありますから、それが一〇〇%問題だというふうに言い切るつもりも私はないわけですけれども、この法律の本来の目的は、地域をトータルといいましょうか、ゾーンかもしれませんし、もう少し狭いのかもしれません。ですけれども、地域を再生するということでございますから、そうした目的にきちっと沿うようにということがこの法律がワークするかどうかの肝心なところだというふうに私は認識しておりますということを、今大臣の御答弁を伺いまして、二点にわたって申し上げさせていただきたいと思います。

 私の問題意識の中には、新しいエリア、それから新しいテーマでの地域を再生させていく、そのことを考えることももちろん意味がありますけれども、もう一方で、先ほど大臣に御認識をお伺いいたしましたけれども、なぜ地域が疲弊してきたのかという、そこのところもきちっと顧みておく必要があるだろうという、その思いを強くいたしております。

 大変身近なところで申し上げさせていただきたいと思いますけれども、私は、現在は東京の郊外都市の居住でございますけれども、出身は人口四万人ぐらいの地方都市でございます。年に一、二度帰省をいたしますけれども、帰省をするたびに、私の青年時代までは国道の両わきは田んぼであったり畑であったり、あるいは里山であったりというようなところが、どんどん年ごとに開発されて、いろいろな種類の大型店舗が登場してきております。

 象徴的に申し上げますと、その大型店舗がふえてくるのに反比例して小さな町の中心の商店街はそれこそ疲弊していって、全国どこにでも見られるシャッター通りが我がふるさとにも当てはまるというか、そういう状況になってきますと、そちらの部分も今回の地域再生のエリアに入れていけないということは法的にはないわけでございますけれども、一度そこのあたりをきちっと顧みる必要があるのではないか、そういう思いを強くしております。

 つけ加えさせていただきますと、私はもともと福祉とか社会保障畑でございますので、このごろ強く思いますのは、地域の、例えば商店街に、経営者の方御本人であったり、経営者の方をサポートされて、お手伝いをされていらっしゃる方に御高齢の方がたくさんいらっしゃって、そこで働けて元気を保ち続けていられるということは、まさに広い社会的な意味で福祉であります。そこがどんどん疲弊していくということは、狭い意味での福祉の該当人口をふやしていくという、だから社会的負荷をふやしていくという、そういう相互関係にあるような。

 だから、今まで一生懸命働いてこられた皆様が働き続けられるということは、それ自体、経済の維持であると同時に社会の維持である、そういう思いを本当に強くしております。社会的に支援を投入しなければならない方がふえるということは、財政的に見ればそれだけ財政コストが増していくということでありますから、今申し上げましたような意味での結果を防ぐというようなことで、もう少しきちっと考えてくるべきではなかったのかという、そんな思いを強くしております。

 そこで、今までの経緯の中で、例えば大店規制法という、正式なネーミングではございませんけれども、大店規制に関しましての規制の変化などというのは、ある意味では問題を生み出してきた重要な要因の一つではないかというふうに認識しておりますので、少しそこのあたりを顧みておきたいと思います。

 まずは、その大型店舗につきまして政府がどのような政策をとってきているのか、あるいは規制の変化をどのように今認識されているのかということをお伺いできたらと思います。

小此木副大臣 おはようございます。

 今御指摘の大店法、私も大店法、大店法と言いましたから、これは正式にはどういうふうな名前か改めて調べてみましたら、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律と、本当に長い法律。そういう意味では、規制と今言われましたけれども、商業調整をしてきた法律。昭和四十九年から平成十二年まであった法律でございますけれども、例えばそれは、面積を何平米にしなさいだとか、閉店時間は何時までですよとか、開店日はこの日にしてくださいだとか、国が主体となってそういう商業調整をしてきた。

 それで、もう商業調整だとか需給調整だとか、そういったものはやめましょうよと、これは海外からのいろいろな声もあった、国の中からもそういう声がありました。いわゆる規制緩和でございます。

 そういう経済的規制から社会的規制、これは残さなきゃいかぬなということで、例えば町づくり三法の中の大店立地法というものがありますけれども、その三法の立地法の中では、大型店がそこに建設をされれば非常に多くの人々がやってくるだろう、そのためには駐輪場だって駐車場だって用意をしなければならないな。人が集まってくれば、あるいは閉店時間が遅くなれば、夜は騒がしい状況もやってくるであろう、そういったところは町の皆さんと話し合いをしながら配慮をしてくださいよと、いわばそういう社会的な規制といいますか、話し合いによってきちんとそれは守ってくれということをやってきた。

 今までは国が主体でやってきたものを、まさに地域にゆだねるという形で、町づくり三法、社会的規制に転じた中心市街地活性化法あるいは都市計画法あるいは大規模小売店立地法、この三つを町づくり三法と言っておりますが、そういった形に変えていったということで、地域が中心となってやっているものを政府が支援をしましょうということに変えていったということであると認識をしております。

石毛委員 それが行われましたのが平成十二年、二〇〇〇年というふうにお聞きしておりますけれども、国が中心になって規制していたものを、地域に政策の推進主体を変えていった。そして今、小此木経済産業副大臣は地域で社会的規制というふうにおっしゃられまして、それはそのとおりなのかもしれませんけれども、国から地域に主体を移すということ、それから経済規制を緩和して地域での社会的規制に変えるというときに、顧みれば、やはり大いに足りなかったのではないか。

 その社会的規制が、私はこの分野の詳しいところまで掘り下げて存じているわけではありませんけれども、社会的規制が、どちらかといいますと、交通の便を考えて駐車場の問題でありますとか、騒音の問題でありますとか、あるいは排出されるごみの処理の問題でありますとか、確かに、郊外にできた大店舗がその周辺の環境維持に対してどういう役割を果たさなければならないかという規制はかかっているんです。

 私は、一概に郊外にお店をつくることを一〇〇%問題だと言っているわけではありませんけれども、旧来の町を含めましてトータルで店舗の問題もどう考えるか、あるいは大店舗が進出してくるとすると旧来市街地商店街はどのようにワークするようにしたらいいのかという、トータルとしての社会的コントロールといいましょうか、そうしたところが欠けていたのではないか。

 だから、一方で、大店舗単体に対する、個体に対する社会的規制は確かにかけたのかもしれませんけれども、トータルな意味での社会的コントロールといいましょうか、あるいは社会的方向性のビジョンをきちっとしていくという、そこのあたりが欠けていたのではないか。それと相見合いで中心市街地活性化法というのをつくらざるを得なかったというのは、何か非常に、その当時の事態のいわば社会の皮肉といいましょうか、歴史のアイロニー、ちょっとこれはオーバーな表現かもしれませんけれども、そうなってしまったのではないか。

 だから、地域に移すのはいいのですけれども、地域に移すときに、もっと大きく、総体としてどのように考えていくかという、それが大事だったんじゃないかなというような思いがしております。ある意味で地域が分極されてしまった、そういう事態が起こってきたというふうに私は認識しております。

 それと、いただいた資料では、例えばイギリスでは、郊外は大型店の規制だけではなくて住宅地開発なども厳密に規制されているというふうに伺っておりますので、トータルな町づくりの中でどのように大店舗も位置づけていくのかという、そのようなもっと大きな発想が必要だったのではないかなということを振り返って思うところでございます。

 そこで、これは申し上げさせていただきたいということですけれども、もう一方で、ただいま申し上げましたように、購買人口を周辺地域に移動させてしまって、その一方で中心市街地活性化法をつくるというのは、繰り返しになりますけれども、何か矛盾を来している事態を受けざるを得なかったということを象徴しているように思うんです。

 その中心市街地活性化法は、八府省庁で推進しているということですけれども、まずそのおおよその内容、それからこれまでのところ実施自治体数がどれぐらいに上っているか、あるいは国からの財政支援はどれぐらいの実績規模になっているか、そしてさらに政策効果をどのように評価しているのかということについてお伺いさせてください。

迎政府参考人 中心市街地は、まさに商業とか業務とか居住の都市機能が集中した地域でございまして、いわば町の顔ともいうべき地域で、地域コミュニティーの中心でもある。ここが寂れていくということはいろいろ問題も生じてくるものでございますので、これを活性化していこうということで中心市街地活性化法を平成十年七月に施行いたした次第でございます。

 中心市街地活性化法は、市街地の整備改善、それから商業の活性化を中核といたしました総合的な施策を各市町村で中心市街地活性化基本計画という形で策定をしていただきまして、計画された事業に対して、経済産業省を初めとして国土交通省、総務省、農水省等八省庁が各種の支援策を講じていくこととしておるものでございます。

 それで、中心市街地活性化法に基づきまして活性化に取り組んでいる市町村の数についてのお尋ねでございますけれども、施行から七年が経過いたしまして、本年三月一日の時点で六百三十一の市町村が基本計画を策定いたしまして、市街地の活性化に取り組んでいるということでございます。

 それから、これに対する補助の実績ということでございますけれども、八省庁全体の数字は持ち合わせませんが、経済産業省では、中心市街地における商業等の活性化に向けて、市町村とかあるいは商店街が実施されます施設の整備、ハードの事業、あるいはいろいろな催しとか、そういったソフトの事業両面にわたって支援策を講じてきたところでございます。

 私どもの主な補助金の交付実績額といたしましては、平成十年度から平成十五年度までの六年間で三百六十億円の補助金の交付を行っております。今後とも、中心市街地の活性化につきましては、こうした支援措置を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、ではその効果についてどういうふうに考えているかというお尋ねでございますけれども、こうした市町村ごとの取り組み及びそれに対して国が支援してまいるということで、事業の実施の結果として成果が上がっているというふうなところも幾つも出てきております。具体的に言いますと、空き店舗がなくなったとか、あるいは市街地の歩行者の通行量が取り組みを行う前に比べて格段にふえたというふうな地域もございます。

 ただ、そういった効果が上がっている地域もある反面、中心市街地全体として問題が解決したかということになりますと、全国の中心市街地全体としては依然として厳しい状況が続いているというふうに私どもも認識しておりまして、引き続き関係省庁とも連携をしながら努力をしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

石毛委員 私がこういう質問をさせていただきますのは、政策を行うからには政策評価、政策効果をきちっとすべきだという認識に基づいております。それは数量的な効果測定もあるかもしれませんし、定性的な効果測定もあるだろうというふうに思います。

 それで、今、経済産業省限りでお伺いいたしましても、実質でいえば六年間でございましょうか、六年間で三百六十億円。これが多いと見るか少ないと見るかいろいろあるかもしれませんけれども、八省庁合わせれば非常に大きなお金が動いているという、これはまごう方ない事実だと思います。

 その事実は、改めて私が申し上げるまでもなく、国民の皆様がお納めになっておられる貴重な税金であるわけですから、どのような成果を生んでいるのか生んでいないのか、あるいは生んでいないとすればどういうところに原因があるのか、それは方向性として解決可能なのかどうかというようなことをきちっと評価していくということが非常に重要なのではないか。

 きのうレクのときにお伺いしましたら、経産限りだったらということで受けていただいたわけですけれども、少なくとも、私は、地域再生法案提出の際には、そのぐらいの関連資料はきちっとお示しいただいてというふうに考えるわけでございます。

 この地域再生法に関しましても、後ほどお尋ねいたしますけれども、八百十億円という巨大なお金が動くわけですから、実は、ちょっとここで言わせていただきたいんですけれども、本当に大きなお金なんですね、厚生労働委員会に所属をしております私から見ますと。

 御承知でいらっしゃると思いますけれども、厚生労働委員会の方では、障害者の方々の二〇〇〇年から始まりました支援費制度の、昨年は百五十億円ぐらい、その不足をどう捻出するかということで大変厳しい状況にあり、そしてまた障害を持つ当事者の方も厳しい実態になっているわけです。

 その金額と比べますと本当に大きなお金が動いているというのが私の改めての実感でございますし、再認識といいましょうか、当然のことを今申し上げているにすぎないと思いますけれども、気持ちの上では本当に、何かこんなにお金を使うんだったらば少し回してくれればいいという、別にこれは厚生労働省から聞いたわけでもありませんけれども、比べてみますとそういうことを本当に強く思います。であればこそということで今申し上げておりますということをぜひぜひ強く御認識いただきたいと思います。

 それで、この町づくり三法、都市計画法をも含めてでございますけれども、ただいま再検討の作業が進められているというふうに伺っておりますけれども、その作業の進捗状況、それからどんな点が論点になっているのか、あるいは今後法改正も含めて、作業見通し、どんなところにあるのかということを、ごくかいつまんでお教えいただければと思います。

小此木副大臣 お答えいたします。

 先ほど審議官がいろいろ申しましたが、私も申しましたけれども、これは経済的から社会的規制に、よりその地域で考える、自主性に任せるということでありますが、その思いが必ずしも地方公共団体に伝わったかというと、それも完全にそうなったかといえば、そういうことが断言できないということなど、あるいは中心市街地の活性化がないままいろいろな要因が生じ、そしてそこに余り当たらないところに法律を立ててしまった、最初からの思いがそのまま通らなかったという反省点も、これは率直に認めなければならないことだというふうにも思います。

 しかし、その意味が通って、よき事例、すばらしくなった事例もあるということも踏まえながら、昨年の九月に審議会を設置いたしまして、これまで中小企業団体関係者や大型店の関係者、地方公共団体、学識経験者などの幅広い関係者から意見を伺って、関係省庁とも議論をし合って、ことしの夏までにはその見直しを含めた方向性の取りまとめをしたいということに今なっております。

石毛委員 論点をもう少し具体的に幾つか挙げていただくとありがたかったかと思いますけれども。(小此木副大臣「理由というか」と呼ぶ)理由は今お示しいただきましたけれども、大体どの法律でこういうところが論点になっているということをお示しいただければと思いましたけれども、結構でございます、時間ももう不足をいたしますので。

 それでは、残り二十五分ほどになりましたけれども、本法案の中身につきまして伺っていきたいと思います。

 まず、地域再生推進のためのプログラム二〇〇五、これにつきましてはいろいろとこの委員会でも取り上げられてきておりますが、この中に地域再生支援チームあるいは地域再生伝道師などという、特に後者のネーミングは非常に聞きなれないといいましょうか、こういう施策が記述されております。これにつきまして、実際の中身ですとか、あるいは構成、あるいはねらい、それからどのような可能性を込めているのかということを、簡略に御説明いただければと思います。

滑川政府参考人 お答え申し上げます。

 地域再生支援チームとか地域再生伝道師とかいうものをこのプログラムの中で「地域再生計画の策定、実施のための人材派遣、情報提供」という項目の中に入れまして、知恵と工夫を競う地域のアイデア合戦が行われるようにという、人づくりのための観点から入れておるところでございます。

 実は、この二つの項目につきましては、昨年の二月に定めましたプログラムから引き続いて新しいプログラムにも盛り込んでいるものでございまして、既に一年にわたって活動をしてきた実績がございます。

 具体的に御紹介申し上げれば、地域再生支援チームは、地方整備局あるいは地方農政局といったような関係省庁の地方ブロックの支分部局が連携協力いたしまして、地域再生に関する相談にワンストップで対応するというものでございまして、地域から、例えば都道府県あるいは市町村からの相談に対応してきております。

 また、この地域再生支援チームの枠組みのもとに、個別のプロジェクトごとに関係する省庁の地方の支分部局の担当者が連携して、事業の実現に向けて支援していくという特定地域プロジェクトチームというものがございまして、これが既に全国で三十程度編成されてきているということでございます。

 また、地域再生伝道師につきましては、地域再生についての考え方や制度を地域の市町村や民間の事業者の方に浸透させていただくとともに、また地域再生計画の作成に対してアドバイスを行う、あるいは地域と国の間の情報の相互発信の拠点となるような方をということで、各都道府県当たり二名程度、全国で約百名が選任されております。

 具体的には、こうした方々の間で、インターネットなどを通じまして、国と地方の間の情報交換を日常的に行っております。また、市町村や民間事業者に対して説明会、啓発活動などを行っていただいたり、あるいはホームページを開いていただいて広報されるなりという、それぞれ地域再生伝道師の方々独自の活動が広がってきているところでございます。

 今後とも、こうした枠組みを積極的に活用、推進いたしまして、地域における地域再生の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

石毛委員 アイデア合戦の人づくりというところを一つのキーワードとして伺いましたけれども、伺うところによりますと、その構成は官の方だけというふうに聞いております。確かに、インターネットを通じて公開すれば、そこに民間、市民、住民からの発信もあるでしょうし、相互、インタラクトで進んでいるのかとは思いますけれども、もう少し多様な人材が多様に参加していく、民間からの伝道師というのも生まれていいのかなという思いはいたします。そのことを申し上げます。

 次に、地域再生基盤強化交付金についてですけれども、先ほどちょっと申し上げましたけれども、確かに、省庁にまたがる補助金が、今度は総括されて交付金という形になっているということで、それなりの利便性は増したかと思います。

 ただ、各個別省庁の補助金であったのが包括化されたという意味はそれなりにあったとしても、これも何度か他の委員の方が指摘をしていることに重なりますけれども、そのことによって、それでは権限が中央政府から地方政府に移ったかといえばそういうことではなくて、依然として中央政府に許可を求めなければならない、認めてもらわなければならない、この構造自体は変わらないということだと思います。

 そのことともかかわりまして、第十三条四項に、交付金交付の事務につきまして、農林水産大臣、国土交通大臣、環境大臣が行うというふうに規定をされております。ですから、御説明いただきましたこの資料では、確かにここまでのところは事実でしょうけれども、ちょっと上のところに、「執行は各省が適正に実施」、こう記載されておりまして、入り口のところは、交付事務は窓口一本化で簡略化されたということでしょうけれども、手続は各省庁であって、実施事業報告はもちろん各省庁になるんだと思いますと、地方公共団体の立場から見れば、本当に事務の効率化が図られたとは言えないというふうに言わざるを得ないのではないか。

 実は、先ほどちょっと触れました中心市街地活性化法などにかかわりまして、まちづくり交付金というのは自治体から見ると非常に使い勝手が面倒だ。八府省庁入っていて、幾つか組み合わせて町づくりをしようと考えても、一つ一つ全部各省庁に行かなければならないということで、大変使い勝手が悪い。

 翻ってこの図を見ますと、確かにワンストップのところまでは行っているわけですけれども、実は交付から始まる各事務は各省庁になっていて、これでは地方公共団体から見て事務の効率化が図られたとは言えないというふうに認識するわけですけれども、そこのあたりはどんなふうに構想されているのでしょうか。

林田副大臣 委員御指摘のとおり、非常に大きな予算といいますか、これを大切に使わないかぬというふうに基本的には思っておりますし、この三種類の交付金の中でも、例えば汚水関係、これは三省庁にまたがっております。ある地域で、いろいろ人口の張りつきぐあい、あるいは地形の状況で、ここはやはり国土交通省が所管しているような下水処理、あるいはこの地域は集落排水だ、あるいは点在したら合併浄化槽だ、そういうのを一括して恐らく地域は汚水処理対策をつくると思うんです。

 そうなってきたとき、一括してある地域をこの地域再生計画で地元の公共団体がつくったとき、当然、トータルとしてそれを内閣府に予算要望していただきます。この要望を踏まえまして、では、交付金の配分をまず内閣府がやる。交付金ですから当然単年度ですけれども、計画自身は恐らく、区域によって違うんでしょうけれども、最大五年ぐらいかかるんじゃなかろうかなと思うものですから、五年分の計画を認定するというのもまずこれは一つの大きな特徴ではなかろうかと思っております。

 そういうことで、省庁でその配分をいたしますけれども、交付申請、今委員御指摘のとおり、交付決定の執行事務については、いわゆる各施設を所管します所管省庁が実施するわけですけれども、今お示しになられましたその図にありますように、実は、先ほど政府委員も答弁しましたけれども、出先にはそれぞれの機関がございます。

 したがいまして、本当に、地方公共団体、一つの窓口ですべてワンストップで処理するためには、はっきり申しまして制度の設計がある面では死活問題といいますか、これを運用するのではなかろうかということで、実は今その関係省庁が一緒になりまして、とにかく地方公共団体の事務負担がより軽減されるような方策を鋭意検討中ということでございますけれども、基本的にはどこかの一つの窓口でできるようにしようというのは変わっておりません。

石毛委員 先回来の委員会の質疑の中で、御答弁の中に、例えば、基盤強化交付金と、それから厚生労働省の方で設計しております、高齢者の方にかかわる空間整備交付金とを組み合わせて使うようにとか、あるいは、むらづくり交付金とかまちづくり交付金とか、さまざまな単体の補助金もあると思います。それと組み合わせて使えば使うほど、恐らく、先ほど申し上げました八府省庁にまたがるという中心市街地活性化法、これの補助金の手続執行の面倒さが再現されるというふうに思われてならないわけですし、地方公共団体の方も、私が伺うところ、例示ではありますが、そのように言われております。

 ですから、そこのあたりは、本当にもっと、本来でしたら全部そのまま交付金としてお渡しして、そしてそこでどういうふうに使われたかということを、実績をきちっと上げていただくとか、あるいは評価も含めて上げていただくとかという、もっと分権化する、もっと自治体に権限も含めて移譲していくということが本当のあり方なんだというふうに私は思っております。

 そういう意味では、問題点としてつとに指摘されているところでございますけれども、個別補助金を包括化したというところで利便性、効率性はある意味で多少は増したと言えるのでしょう。でも、問題は依然として解決されていないということについては十分に御認識だと思いますので、今林田副大臣が御答弁くださいましたので、これからの帰趨を十分に注目させていただきます、注視させていただきますということを申し上げさせていただきたいと思います。

 ちょっと、施設の転用に関しましてお伺いしたいと思いましたけれども、申し上げたい本旨は今と同様でございますので、大変恐縮ですがカットさせていただきます。

 もう一つ、この法律の中で、大きな新しいアイテムとして課税の特例ということが規定されてございます。

 まず、第十二条は特定地域再生事業会社の発行株式を個人が投入して取得した場合にはという書きぶりになっておりまして、個人が取得した場合にはという書きぶりですので、この株式投入は個人以外にどういう主体が想定されているのかということを念のために確認させておいていただきたいと思います。

滑川政府参考人 今回の法律におきますこの課税の特例措置につきましては、個人の、地域再生に関する事業を行う企業の株式の取得ということを対象としておるものでございまして、その他の主体の取得については考えておりません。

石毛委員 一〇〇%個人が投入という理解でよろしいんですね。

滑川政府参考人 失礼いたしました。会社の資本の構成要素として、個人からいただくものあるいは法人からいただくものとか、いろいろな組み合わせはあるだろうと思っております。

 ただ、その中で、この税制の特例が適用されるのは、個人が払い込む株式の取得について適用されるという意味でございます。

石毛委員 わかりました。要するに、実際に再生事業会社が、会社を起こそうとする主体が株式発行をみずからの資金で行うということもあるでしょうし、場合によっては地方自治体が資金投入をするということもあるでしょうし、課税特例は個人だということは理解するわけですけれども、そこのあたり、実際問題はなかなか個人の株式取得ということはないのではないか。どれぐらいあるのか。

 だから、こういう書きぶりになってはいますけれども、実際は、本当に個人が株を購入して地域再生事業を起こして、地域を活性化するというアクションにつながっていくのだろうか。法律をつくるときにはある程度のシミュレーションはされていらっしゃると思いますので、そこのあたり、どのように見通されているのかということを明らかにしていただきたい。

 それから、個人が投入する場合にリスク管理はどういうふうになるのか。私はこの分野は本当に熟知していないんですけれども、民間企業がお互いに出資し合ってする場合には、それはそれで税法上のいろいろな手だてとか、そのまま損失をかぶったとしても何とかなるというようなレベルで参入するとか、いろいろあるんだと思います。

 例えば、私なら私が、地域社会貢献から、やはり大事だと思うから株をこの際取得しようかと思う方だっていないわけじゃないと思います。でもそれは、利益は出なくてもいいですけれども、株の譲渡ぐらいはきちっとできるようになっていたいということも思ったりした場合に、リスクマネジメントというか、リスクはどこまでとっていただけるのか。

 三つ課税の特例は書かれているわけですけれども、そこのあたりが明確に出てこないと個人の投資というのはなかなか進まないのではないか。まずは政府参考人にお答えいただきまして、そのあたり、大臣はどのように想定されていらっしゃるかということを御答弁いただきたいと思います。

滑川政府参考人 全体はまとめて後ほど大臣からお願いをいたしまして、例えば今、リスクの高い投資ではないかというような御指摘をいただいたことなどについて御報告申し上げます。

 地域で地域の再生に対する事業ということを行う会社を念頭に置いておりますけれども、こうした会社について、私どもかなり収益性が低いのではないかというふうに考えております。そういう意味で、もうからない会社というのが多いのではないかというふうに考えているわけでございます。

 他方、ある意味でいいますと、公益的な活動という意味でいえば、顧客の需要はある程度あるものというふうに考えておりますので、そこをどうつないだらいいかということを考えて、今回、ここにございますような税制、すなわち収益性の低い部分をこの特例によってカバーするというようなことを考えたわけでございます。

 もちろん、リスクというものは、事業でございますから当然ございます。ただ、そうした意味で、地域の再生に役立つということを念頭に置いていただいて、通常の事業会社に対するリスクと比較考量していただきながら御投資をいただけるものだと思っていますし、そうした際に、今申し上げたような公益的な要素と考えれば、確かに収益は低いけれどもということは考えられるのではないかというふうに思っております。

 それから、今、需要というか、そういうところに投資される方々というのはどうなんでしょうかというお話をいただきました。私ども、必ずしも十分定量的にとらえられるわけではございませんが、個人の方々などで、いわゆる社会的責任を評価するようなものに投資をしたいというような動きは出てきているのではないかと思っております。

 エコファンドというような、環境問題の取り組みを先進的にされている企業を集めたような投資方針を挙げたファンドというのがございまして、これが結構設定が進んでいるというようなこともございますし、あるいはミニ公募地方債と言っております、いわゆる愛県債とかいって県債を出して、小規模な、個人の方に買っていただくようなものも数多く出始めております。

 そうした意味で、個人の方々が地域にとって何か役に立つことをしたいというような気持ちは出てこられているのではないか、そうしたものをこの税制がさらに促進することができればいいかなというふうに考えているというような状況でございます。

村上国務大臣 今滑川政府委員がお答えしたので尽きているとは思うんですが、要するに、今回の税制は、地域の自主的な取り組みのための環境整備という方が大きいわけですね。だから、普通の金融における利益とか投資とかそういうものを主眼に置いたものではないわけでございます。

 そういう中で、地域の活性化につながるためには、すべてが収益性が高ければいいわけですけれども、高いというのはなかなか最初からは難しいであろう。そうした場合に、収益性の低いものにでも投資してもらうようなインセンティブが必要じゃないか、そういうのがこの立法趣旨であります。

 特に、地域住民等を含めた個人投資家にとって、単に金銭的な価値にとどまらない意義を見出せるかどうか、そこが私はポイントになると思います。先ほど滑川政府委員が言ったように、近年、愛県債だとかエコファンドのように、社会的責任を果たしたいという意識に基づく個人投資家の動きが見られるわけでございますので、そういう西村教授が言われているような志のある投資を行おうとする地域住民等の個人投資も期待できるのではないか、そのように考えているわけであります。

石毛委員 私からも一つ要望をさせていただきたいと思います。

 市村議員ほか何人かの議員が発言されていることですけれども、私も地元で、いわゆる最近言われておりますコミュニティー事業とか市民が手がける事業につきまして、ニーズ調査をなさっているNPO団体の調査結果を勉強させていただいております。

 そこで、今回の地域再生法案の中には、いわゆる特活法人に対する課税の特例はないわけでございます。私は、大きな資本を要するもの、それからそれなりの資金でスタートできるもの、いろいろあろうかと思いますので、ぜひとも、市民がつくり出している多くの活動、いわゆるNPO法人と言われている、法律名は違いますからそういう表現ですけれども、そこに対する寄附税制の優遇支援というような方策をプログラムとして組んでいっていただければというふうに考えるところでございます。ぜひよろしく御検討ください。

 それから、時間がなくなりましたけれども、最後に一点簡単に。

 先ほどの前段の町づくりの質問とも関係しますけれども、この認定地域再生計画の実施後の評価についてどのように考えておられますでしょうか。私は、ぜひとも第三者による評価を義務づけていただきたいということと、それから政府全体としてこれの推進状況をどのように評価していらっしゃるのか、これも第三者評価が必要だというふうに考えているということを申し上げまして、簡単にお答えいただきたいと思います。

村上国務大臣 議員は、地方公共団体の計画評価について、第三者評価を義務づけて透明化していくべきじゃないかなというお考えじゃないかと思うんですね。

 地域再生計画は地域の自主的、自立的な取り組みであり、計画に掲げられた目標達成状況については、やはり地域がみずから評価し、計画の内容を見直して、実施体制の改善等を自主的に反映させていくのが本旨ではなかろうかと考えております。

 御指摘のとおり、計画の評価の透明性の確保は私どもも重要なものと考えておりまして、第三者評価の活用など適切に対応を行うことが望ましい旨、地方公共団体に周知していきたい、徹底してまいりたい、そういうふうに考えています。

 なお、地域が行う評価の方法については、国が特定の方法を限定するのではなく、まずはそれぞれの地域がやはり考えるべきじゃないかな、そういうふうに考えています。

 透明性の確保のためには、第三者評価以外にも、評価の住民への公表など多様な手段が考えられることから、評価の方法を義務づけることは今のところは考えておりません。(石毛委員「政府の方はいかがですか」と呼ぶ)政府の方も、これを見ながら考えていきたいと思います。

石毛委員 今、いろいろな委員会で質問いたしますと、それは地方公共団体の主体的な判断というような御答弁をよく伺います。しかしながら、当然、地方公共団体との意思疎通を図った上で法定化していく必要はあろうかとは思います。

 私は、この地域再生法案が施行されました暁には、まさにそこの地域の方々がどれだけ元気を出すか、エネルギーを出すかということでございますから、そうしたかかわりを持つ地域住民、市民が参画して評価をしていくということは当然のものだと思いますし、その当然のことを基本方針にお書きいただく。それがある意味で、第三者評価とイコールフッティングではございませんけれども、ほとんどそういう意味を持つということでは、お書きいただいて決して何らそごするところはないというふうに認識しております。

 それから、この法案は、先ほどちょっと触れましたけれども、補助金を交付金化したというようなことでは一歩前進という側面もあると思いますけれども、権限が中央政府にあるというようなこと。それから、本来でしたら、地方が求めているのは丸ごと自分たちが事務を実施していけることであり、そのために補助金を廃止して財源を自治体に移譲していくということが本筋であるということ。特に事務の簡素化ということにつきましても、自治体で伺いましたら、それは非常に大きな論点として主張されておりましたので、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

松下委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 ありがとうございます。また本日も多少のお時間をいただきまして、実はおととい質問させていただいたんですが、その追加ということになりますけれども、質問させていただきたいと思います。

 それで、私、おととい大臣ともいろいろ議論させていただきまして、大臣のおっしゃる、小さく産んで大きく育てたいんだ、こういうことは大変私は同感でありますし、この間申し上げたように、そういう方向で進んでいただきたいというふうに思っておるわけでございます。

 また、大臣が主張されました三本の柱の中で、いわゆるワンストップ窓口でありましょうか、しかも三カ月以内に結論を出していこう、こういう試みに対しても、私は高くこの法律を評価したいと思っています。

 ただ、この間も少し時間をかけて議論させていただきましたが、税制優遇の点なんです。これについてはやはり、かなり疑問が残るところが多々あります。

 それで、おととい、私の質問が終わった後、若井委員の質問に対しての時間の中で大臣は、先ほどの関連で私と話し合った税制問題についても、先ほどの主税局長はすごく短く明快に答え過ぎちゃったんですが、例えば、なかなか収益性が上がらないものでも赤字を覚悟でやる場合には、そういう面では税制の特例措置によってかなりサポートしよう、そういうねらいもあるというお話をされました。

 ただ、委員会の私の質問時間でお話をしたことは、実はこのことも含めて議論していたつもりなんです。つまり、このことも含めて、これはいわゆるエンゼル税制と全く同じであって、エンゼル税制は結局七年たったってわずか二十億、ほとんどなきがごときの投資しか生み出せなかったんですね。地域再生税制と言っておりますが、それと同じものなんだ。だから、今回これで本当にきくのかどうか。

 私、これで本当にちゃんと動き出すというならいいんですが、どうも、七年かけても、そうやって一生懸命努力しても動かないものが、では地域再生税制と言葉をかえれば本当に動き出すのかということに対しては非常に疑問を持っておるんですが、大臣、この点、いかがでしょうか。

村上国務大臣 先ほども御質問の中でお答え申したんですが、そもそも今回のは、エンゼル税制と仕組みは似ているかもしれないけれども、ちょっと意味合いが違うと思うんですね。やはり今回のは、個人投資家にとって単に金銭的な価値にとどまらない意義を見出せるかどうかがポイントだと私は思っているわけです。

 特に、先ほど委員は、エンゼル税制が七年間で二十億とおっしゃるんですけれども、ただ、私は最近いろいろ担当者から聞いていると、この二年間でかなりエンゼル税制の活用が活発になっていること。それからもう一点は、先ほども申し上げたんですが、近年、委員がよくおっしゃられる、企業が社会的責任を評価するエコファンドや愛県債への投資など、社会的責任を果たしたいという意識に基づく個人投資家の動きが見られつつある。委員が前回非常に引用なされた西村教授がよく言われる、やはり志のある投資を行おうとする地域住民等の個人の投資も期待できるんじゃないか、私はそういうふうに考えております。

 ですから、この間申し上げたように、特区ですら、最初できたときはかなり鴻池さんがバッシングされて大変だったんですが、あれを実施して、それぞれの地域の皆さんの現場からの熱意というか発意というものをかなり引っ張り出せたように、今回のこの税制も、皆さんに周知徹底させていただいて、それぞれの地域の特性を生かした税制の特例措置の発案を出していただければ、私は、特区のときと同じような、いい結果が得られるんじゃないか、そのように考えております。

市村委員 もうちょっと議論させてください。

 きょう財務省からもいらっしゃっていただいているはずなんですが、私が事前に説明を受けたときは、財務省の方は、これはエンゼル税制そのものですというふうに役人の方はおっしゃっていたんですが、そういう認識でよろしいでしょうか。

倉田大臣政務官 その質問内容を私はお聞きしていなかったので、村上大臣のお答えのとおりじゃないか、こう思っております。

市村委員 いや、私、これは事前通告はしていたつもりですので、この点について、私が説明を受けたときは、これはエンゼル税制そのものですという説明なんですね。それについてちょっと確認だけしておきたいんです。

倉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどは失礼しました。地域再生法の認定地域再生計画に基づく事業、これもエンゼル税制の中に、その一部として位置づけられている、今度の改正案、そういうことでございます。

市村委員 まさにそうなんです。地域再生法の認定地域再生計画に基づき特定地域再生事業を営む特定地域再生事業会社を入れるということですから、要するにこれはエンゼル税制なんですよ。エンゼル税制の中に新しくこれも入れ込もうという発想ですから、エンゼル税制なんですね。

 確かに今、大臣、この二年間大変伸びているという話ですが、ただ、伸びているといっても、やはり七年間で二十億というのは、もともとそもそもが、これがきちっと使われている、エンゼル税制自体が本当にきちっと政策的な目的を果たしているかというと、私はなかなか果たしていないんじゃないかなと思うんですね。

 しかも、今、こういうスキームじゃなくたって、この間も申し上げましたけれども、本当に採算性が上がって、ひょっとしたら将来上場が見込めるような事業に対しては、投資会社とかできて、そこがさらにリスクを負って、たとえ失敗してもいい、十に一つ成功してそれで大もうけできれば、十に九つの小さな失敗はいいというぐらいの気持ちでどんどん投資をする会社が出てきている時代ですから、むしろ、こういうエンゼル税制のような役目はもう終わったんだと私は思っているんです、このスキームではですよ。

 エンゼル税制とかシード税制とかいうのが必要だということは、これは言うまでもないわけなんですが、こういうスキームの税制はもはや有効でないのではないかというのが私の疑問でありまして、だから、地域再生法の中で地域再生に本当にこれが生きるのかということを私はここで議論させていただいているつもりなんですが、大臣、いかがでしょうか。

滑川政府参考人 今お話しのように、課税の特例の内容は、例えば損金の繰り延べ、その内容はエンゼル税制と同様のものを使っておりますが、入り口はこれが違うというふうに御認識いただいた方がよろしいかと思います。

 というのは、エンゼル税制というのは、やはり、数多くの新しい企業の中からどれが将来伸びるかという大きなリスクを背負う中で投資をされるという方に対する仕組みでございます。今回の地域再生に関する事業を行う民間会社、株式会社に対する税制につきましては、考え方は、収益性そのものが低い、リスクよりも収益性の低さということに着目をして、収益性は低いけれどもやはり地域のためになるんだったらみんなで応援できないか、地元の方々を含めて投資家の方々が応援できないかというふうに考える際に、その部分についてこういう税制の形で投資のインセンティブを差し上げるということでございますので、実際に適用される中身は同じですけれども、そういう入りの考え方は違うというふうに御理解いただいて、それなりにこの税制としての存立価値はあるものというふうに考えておるということを申し上げたいと思います。

市村委員 非常に今の話というのは根本的な話でありまして、そもそも、なぜ投資をするかというと、株主というのは、やはり収益性が高いと思われるから投資をするんじゃないでしょうか。にもかかわらず、収益性が低いから、入り口が違って投資が集まるという考え方、これは、そもそもの話として、ちょっと認識が違うんじゃないかと思います。

 ちょっとまた、滑川室長から話をしてください。

滑川政府参考人 先ほど大臣からお話があったように、やはりエコファンドとか愛県債とかいうような意味で、個人の方々が、それはもちろん収益性だけを求める方もいらっしゃるでしょうけれども、単に収益性だけではなくて、自分が何を地域にできるか、何を社会にできるかということをお考えになった動きが出てきている。先ほど申し上げましたけれども、そういうことをこの地域再生の中にもうまく入れ込めないだろうかということで、この税制が考えられたということでございます。本当に資本主義の投資家、いわゆるモデルとなる投資家だけを念頭に置かれたら、確かに御議論のようなところもあるかもしれませんけれども、私ども、そうした最近の動きを踏まえながら考えたいと思っております。

村上国務大臣 委員はスペシャリストですからわかっていただきたいと思うんですけれども、やはりエンゼル税制自体が使い勝手が悪かったのは、株式譲渡益の圧縮や、投資時点での控除が十五年度に追加されて伸びたように、結局、一投資家として金銭的な価値を重視する場合は当然あると思うんですよ。だから、そういう税のテクニック的な面と、今我々が申し上げているのは、それを改善することもさることながら、やはりこれからは、特に企業の社会的責任を評価しながら、エコファンドや愛県債といったような社会的責任を果たしたいという人が、委員のような方がふえているんだと私は考えているわけです。

 ですからこそ、西村先生が言っているのは、たとえ収益性が万が一低かったとしても、そういう利益ということに重きを置くのではなくて、やはり地域の再生というか活性化のために志ある投資を行おうとする地域住民等の個人の投資をする人も、委員のように、ふえてくるのではないですか、そういうねらいなわけです。

市村委員 ありがとうございます。

 私は、今ここで議論されている中で、ほとんど、志は全く一緒だと思っています。だから、具体的に、本当にこの制度が動くかどうかということなんですね。(村上国務大臣「いや、だから、それは税の技術面も考えなきゃいけませんよということなんです」と呼ぶ)いや、だから、志のある投資ということも、私も考え方は全く理解できますし、そうあってほしいと思います。ただ、その志ある投資を呼び込むのに、本当にこの税制で十分かということを私は議論しているつもりなんですね。

 ですから、その段階で、このままのスキームではかなり疑問がありますが、ただしかし、よりよいものに、今まだ、小さく産んで大きく育てるんですというふうにおっしゃる発想がありますから、ぜひともそうなってほしいという気持ちも込めながら私は申し上げたつもりです。

 だから、ぜひとも財務省の方でも、この程度のスキームじゃなくて、もっと広く、例えば、実はきょう質問したかったんですが、質問じゃなくて私の考え方を申し上げますと、今回、これは、株式会社に対する個人の投資を促進するということだと思うんですね。そうじゃなくて、もう一方で、民というのは、民の柱には株式会社と同時にNPOもあるわけですよ。だから、地域再生で頑張ろうとするNPOに対して、例えば、株式譲渡益があって二〇%税金で持っていかれる。では、その二〇%の半分は、もしNPOに寄附したら、その分税額控除しましょうぐらいのスキームぐらいは、ぜひとも地域再生法に取り込んでいただきたい。

 だから、株式会社に対する一つの税制がこの地域再生税制で、これはもっとよくしてもらいたいんですが、その一方で、やはり民といえばNPOもあるんですから、NPOに対する税制面の支援策というのもぜひとも私は御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

倉田大臣政務官 お答えします。

 御承知のとおり、これからの少子高齢化社会、NPO法人の重要性というのはますます高まると思います。委員が長きにわたってNPO法人に対する寄附金の制度、これの拡充に御努力なされてきたこともよく存じ上げております。

 ただ、このNPO法人に対する寄附金について税務上の減免措置をとるということにつきましては、やはりNPO法人の方に、減免に値する、ふさわしい公益性というもの、これはあくまで持っていただかなきゃならない。その点をもとにしながら、いろいろと検討していくべきものだと思っております。

松下委員長 市村浩一郎君、予定の時間が来ますが、次の質問者と時間調整して、次の質問者が十一時に終わるということで、そのことはよろしゅうございますね。

 それではお願いします。

市村委員 それで、今、公益性のことをおっしゃっていただきました。まさにこれは、株式会社ですらこのスキームの中では公益性が高いもの、つまり志のある投資であれば税制優遇を認めていこうという考えでやるんですから、私は、この場合、本当であれば、NPO全体に対する税制優遇のことをいつも議論していますが、この地域再生法案につきましては、少なくとも地域再生に資する、株式会社でも先ほど言ったように特定地域再生事業会社云々ですから、例えば特定地域再生NPOに関して、それに限定して公益性の高い活動をしてくれるのであれば認めようというぐらいの、この法案のスキームの中でですよ。本当は全体にやってほしいと僕は思いますが、それはまた公益法人改革等で村上大臣と議論させていただくとしましても、少なくともこのスキームの中でぐらいは考えていただきたい。株式会社があるんだから、NPOも考えていただきたい、これぐらいのことはできないのかということを私は申し上げているんですが、大臣、いかがでしょうか。

村上国務大臣 委員の熱意は、もう痛いほどわかっております。

 ただ、私は、NPOの税制一般についてエキスパートでもございませんので申し上げる立場にはないんですが、やはり特定非営利活動法人の活動を促進する観点から、NPO法人に対して寄附をした者に寄附金控除という税制上の優遇措置を与える認定NPO法人制度が既に設けられております。また、平成十七年度税制改正において、認定NPO法人制度の認定要件の緩和等が措置されているものと承知しております。

 また、認定NPO法人を含めたNPO法人が行うことができる事業は、法律上十七項目と広範囲であり、そのうち、例えば町づくりの推進などの地域再生に役立つ事業を行う認定NPO法人に対しての寄附をした者についての税制上の優遇措置を講ずることは、現行法上可能だと考えております。

 いずれにせよ、地域再生を進めるためには、NPOといった地域に根差した活動を行っている主体も含めた、地域のさまざまの皆さん方に主体となっていただいて、知恵と工夫のアイデア合戦に参画することが重要であるというふうに認識しております。

 特に、御承知のように、この間、去年委員会でお話ししたようにまとまりまして、ことしはその税制について、これから秋にかけて議論していくということになりますので、その点については別途、また別の機会に御質問していただきたい、そのように思います。

市村委員 まだもちろんやらせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。ありがとうございます。

 それで、大臣がせっかく時間をとっていただいて今御説明いただいた件、結局それは、聞きましたのは、認定等は三十件だけなんです。かつ、税制優遇もそんなに高いものではありません。

 だから私は、今回の地域再生に関しては、先ほど申し上げたように、例えば株式譲渡益で、一億もうけたら二千万は税に持っていかれるわけです。それを、全部とは言いませんが、半分でも、一千万でも寄附する、NPOに寄附したとするならば、それぐらいは税額控除するぐらいの大胆な税制をとってはいかがでしょうかということなんです。

 つまり、これは地域再生ですから、地域再生というすばらしい、大きな志を持っておりますから、税制でもそれぐらいの志を見せていただきたいというのが私の思いでございます。もうここで答弁を求めませんが、そういう思いです。

 そういった意味では、ぜひとも今後、小さく産んで大きく育てていただきたいという思いでございますが、最後に大臣、私、この間、ちょっと聞き捨てならない大臣のお言葉があったので、ちょっとそれだけ一点、大臣の真意をお聞かせ願いたいんです。

 先ほど市村委員には、ちょっと時間ができなくて、説明が足りなかったんですが、例えば、毎年何百というのが来るんですが、先ほど市村委員はNPOと比較したんですが、NPOの場合はそれでお金を配るぐらいで終わるんですが、実は云々かんぬんという話なんですね。

 そのNPOの場合はそれでお金を配るぐらいで終わるんですがという言葉に関して、ちょっと私は聞き捨てならないのですけれども、この真意を教えてください。

村上国務大臣 これは大事なことなので、じっくり説明させてください。

 実は、その前に前提がありまして、若井委員と、地域再生本部との統合について御質問があったときに、たしか委員は外に出られていたんですよね。それで、そのときに宇佐美委員ともお話ししたんですが、市村委員がNPOから多数の助成相談を受けたことのある御自身の御経験から、特区の認定のいろいろな事務的作業は何百件、何千件あるんだと申し上げたんですよ、そのときに委員は、特区の認定の何百件、何千件というのは、私のNPOの活動から推測すれば四、五人で足りるんじゃないかとおっしゃったんですよ。

 だから、私が申し上げたのは、要するに特区の場合は、もしあれだったらNHKスペシャルのビデオを差し上げますけれども、先ほど来申し上げていますように、各省庁にまたがってやる場合は、その市町村長さんが来られる、それで文部省に行く、建設省に行く、いろいろ行くわけです。行って、例えば予算配分だとか予算の査定だとか、そういう感じだけの仕事であれば、時間的にはある程度可能かもしれませんが、そこで交渉を始めるわけです。交渉を始めたら、一つのアイテムに一時間、二時間、大変な議論になるわけです。そのときに問題なのは、物すごく時間がかかって、とてもじゃないけれども四、五人ではできない、そういうことを申し上げたかったわけです。

 ですから、私の発言の意図は、特区などの提案募集に関する各省庁のやりとりは調整に多大な労力が伴うものであり、一定規模の事務体制は不可欠である旨、申し上げたものでありまして、NPOの役割についての認識について述べたわけではありません。

 なお、社会のニーズが多様化している中で、行政部門や営利部門だけでは満たすことのできないニーズに対し、NPOを初めとした民間非営利法人活動に期待される役目については、委員と同じように十分認識しておりまして、私自身、公益法人制度の改革をする担当大臣として、そうした民間非営利活動を積極的に推進してまいりたい、そのように考えております。

市村委員 もう最後にします。本当にありがとうございます。

 ただ、NPOの場合でも、お金を配るぐらいでは終わらないということだけは御認識をいただきたいと思います。

村上国務大臣 逆に、市村委員の方も、特区の一つ一つの交渉は物すごく時間と労力の要ることを御理解していただきたいと思います。

市村委員 はい、わかりました。私もそのように重々認識しております。

 須藤さんの方に渡します。七分ありますので、済みません。

松下委員長 次に、須藤浩君。

 残り時間、少なくなっていますので、恐縮ですが、十一時二分までに終わるようにお願いします。

須藤委員 簡潔にいきたいと思います。

 今回の法案の意味するところは大変大きなもの、スタートとしては小さなところからの第一歩ということですが、行き着くところは日本の構造改革、地域を再生させることによって日本自体を生き返らせる、そういうような重要な意味があると私は思っています。

 そこで、法的な位置づけとして若干伺いたいんですが、地域再生法の附則第三項について、これは改正後の内閣府設置法第四条第三項第三号の三という新たな条文が一つつけ加わるのですが、その位置づけについてお伺いしたいと思います。

滑川政府参考人 地域再生法の附則の第三項に、改正後の内閣府設置法の第四条第三項第三号の三の位置づけが書かれております。

 この具体的中身でございますけれども、この地域再生法案が成立いたしますと、それに伴いまして、内閣府が行うこととなる実施のための事務といたしまして、第五条一項にございます地域再生計画の認定に関する事務、第十三条の地域再生の交付金について、それから各行政機関への配分計画を定める事務、それから第十二条の課税の特例の対象となる特定地域再生事業会社の指定の事務というものがございます。

 内閣府設置法の改正によりまして、これらの事務について、これらが内閣府の所掌事務となることを明記したというものでございます。

須藤委員 そうしますと、これが成立することによって、要するに内閣府が事務局としてすべてを取り扱っていくということだと思うんですが、法案の第二十二条に、「事務」として、地域再生本部ができ上がった時点で、内閣官房において事務を処理し、命を受けて云々ということがありますが、こことの関連はどうなるんでしょうか。

滑川政府参考人 ただいま申し上げました、内閣府設置法の改正に伴いまして内閣府が行うことになる事務は、この地域再生法案の実施のための事務ということでございまして、他方、本部以下、第二十二条で定められております内閣官房の事務でございますが、これは地域再生につきまして、内閣総理大臣のリーダーシップのもとで政府全体で取り組むという必要があるものですので、本部は内閣に置かれます。これは十五条に書いてございます。

 その中で、地域再生に関する施策の推進を図るための基本方針の案の作成とか、当該本部の事務につきましては、内閣の企画立案、総合調整機能を持ちます内閣官房が行うということで、特区と同様なんですけれども、この企画立案、総合調整という部分については内閣官房が行って、実際に計画を認定し、交付金の配分計画を定めたり、あるいは税制の特例の対象となります特定地域再生事業会社を指定したりという実施の業務については内閣府の方にゆだねられるという、その関係が、先ほど御指摘いただきました二十二条と、附則にございます内閣府設置法の改正の中に盛り込まれているところでございます。

 いずれにしても、内閣官房と内閣府、また関係の行政機関と一丸となって地域再生の推進に取り組んでいくという体制は、もちろんでございます。

須藤委員 そこで、内閣府設置法の第三条の第一項は、「内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける」、内閣府の任務ですね。その重要政策ということの中身が、よく読んでみると、恐らくこれは第四条の第一項に、その所掌事務としての具体的な項目が書かれているか、このように思います。

 この重要政策、どれぐらい重要かということの中身をいろいろ読んでみますと、かなり大くくりといいますか、財政運営であるとか経済に関するとか科学技術に関する予算とか、基本になるようなことが書かれておりまして、第三条の二項には、準重要政策ぐらいですか、重要政策に次ぐ重要政策的なことが、前項に定めるもののほか、内閣府の云々ということで書かれております。

 そうすると、重要度の違いによって条文の中で各項目に分かれているんですが、今回、内閣府の新たに設けられる条文、第四条第三項第三号の三の位置づけというのは、前後の条文を見ますと、規制緩和とか構造改革特区とか、そういうところの一つの事務的な位置づけになっているんじゃないか。

 一番最初に申し上げましたように、地域を再生させ、日本を再生させるぐらいの重要度の高いことの仕事がかなり下位の位置づけになっているんじゃないかと私は思いまして、これは本来もっと繰り上がってくるんじゃないかというふうに思いますけれども、事務的なことは事務方で結構ですが、その考え方について、順番に大臣にもお聞きしたいと思います。

滑川政府参考人 ただいま御説明申し上げましたように、地域再生の業務は、本部に関するような企画立案、総合調整の業務を内閣官房で、そして実施に関する業務を内閣府で、協力し合いながらやるということでございます。

 ですから、内閣府の業務は、この三項にございます実際にそれぞれの施策を実施して推進していくという業務になりまして、内閣官房の方の業務として、この法律に規定されているように、設置された本部で行われる事務に沿って企画立案、総合調整をやるという、二つが組み合って全体が成り立つという形になっておりますので、そういう意味で、業務を内閣官房と内閣府とに分けて、協力し合いながらやるということになっているわけでございます。

村上国務大臣 お答えいたします。

 須藤委員のように御理解いただける方ばかりだったらいいんですけれども、私も、本来ならば、本当にスタッフももっと多くふやして楽をさせてやりたいと思うんですけれども、他方、私は行革も担当しておりまして、そのために、そっちの人数をふやすとやはりまたいろいろなところからくる、まさに苦渋のところであります。

 そういう中で、先ほど来申し上げているように、特区業務にしても地域再生決定やこの業務にしても莫大な量なんですが、スタッフのみんなはほとんど毎日、連日三、四時間の睡眠で頑張ってもらっていまして、本当に私としては、一生懸命やって、感謝の気持ちでいっぱいでありますし、できればもっとスタッフやそういうものを充実してやりたい。しかし、行政改革担当でもあり、そこら辺の兼ね合いをどうやってバランスをとったらいいか、毎日悩んでいるところが本音でございます。

松下委員長 須藤浩君、質疑終了時間ですけれども、続行するなら次の質疑者との調整の上でお願いします。

須藤委員 時間になりました。

 私はぜひ、法的な根拠も含めて、やはり制度的なものをしっかりつくった上でこの再生に係る仕事をしていただきたい、このように思います。

 ですから、これは他省庁との力学や、あるいは内閣の中でのお互いの協力ということにかかわってくるんだと思いますが、そういう意味では、よほど武闘派をそろえて力をつけていかないと、これはなし崩しになって、ああいうときこういうものをやったけれども余り成果がなかったなと。かつて、パイロット自治体のそういった法律を細川内閣のときやったんですが、これも大きな抵抗のもとにうやむやになってしまいました。決してその二の舞を踏まないように全力を尽くしてやるべきだと私は思いますので、頑張ってください。

 終わります。ありがとうございました。

松下委員長 次に、牧野聖修君。

 質疑時間、全体で調整いたしておりますので、よろしくお願いします。

牧野委員 民主党の牧野聖修です。

 地域再生法本体とそれに関する数点につき質問いたします。

 大臣と私は宿舎も一緒ですし、よく食堂でもお会いしましたし、いろいろなお話をさせていただきましたから、大臣の人柄については私も承知をしているつもりであります。どうぞ、健康に留意されて、国務に専念されて、立派な大臣と評価を受けるような仕事をしていただければ、個人的にはそういうふうに思っております。

 ただ、私も民主党の国会対策の筆頭副委員長をしております。それから、懲罰委員会の筆頭理事もしておりますので、その観点から大臣に一言先に言わせていただきたいんですが、大臣席からやじを飛ばすのはやめた方がいい。委員会運営ではやはり委員長の采配の中で答弁されるように、それから、質問者の意見を途中で封じるような発言は決してなさらないように、まずもってお願いをさせていただきながら質問に入りたいと思います。

 この地域再生法を出すに至った経緯の中で一番大切なのは、地域がここまで疲弊してしまったその原因はどこにあるかということですね。そのことを私は大臣の言葉としてじかにお伺いできればと思っておりました。ところが、先ほど石毛委員の質問の中で同趣旨の質問等がありまして、答弁書にはない、そういう中で大臣から生の声でお考えを聞かせていただいて、ああ、よかったなというふうに思っております。

 確かに、大臣の言われたようなグローバル化と、バブル経済の崩壊と、財政悪化に伴う公共事業の削減ということが地域に与えている影響は大だ、これは事実だと思いますね。

 ところが、私が言いたいのは、先ほど来課題となっております大型店の問題、これは三十五年前からの問題ですね。一九七〇年の当初からの問題です。それから、木工業界、輸出雑貨業界につきましても、大臣は詳しいと思いますが、これももう三十数年来の地場産業を中心とした大きな課題を引きずっている問題ですね。それから、ハウスメーカー、プレハブ協会ができて、外国産材を中心として新しい工法で地方を席巻してきて、従来型の杉、ヒノキを中心とした木造住宅の業界が本当に瀕死の状態に陥っているというのももう数十年来の問題でありますし、バブルがはじけたその時点から、金融の再生という美名のもとに、貸し渋り、貸しはがしで地域の中小企業、零細企業がばたばた倒れている。

 そういう歴史的経過からすると、きょうここに改めて、地域再生法という美名のもとに、それに基づいていけばあたかも地域が再生されていくような法案が出されたというのは、私は奇異に感じていると同時に、何を今さらという思いなんですよ。こんなもの、三十数年来の問題、今まで一体政府は何をしてきたのかという思いがあるんですが、そのことについて大臣はどういうお考えか、お聞かせください。

村上国務大臣 先ほど、石毛先生だと思うんですが、そのときもお答えしたんですが、私はいろいろな複合的要素でなっていると思うんですね。

 先ほどおっしゃった木工とか繊維は、もう三十年、四十年前に実は経済のボーダーレス化だったわけですね。繊維とか木の方は先にあったものですから、それに企業とか事業をしている人たちが体質を合わせていってやった。ところが、先ほど申し上げたように、一番大きな問題だったのは、ロシアとか中国とか言われた共産主義の人たちは、今まで閉じられた経済体制の中におりましたから、労働力として資本主義社会に参加することはまずなかったわけです。それが、ボーダーレス化、グローバル化によって、先ほど来申し上げているように、私の地元のタオル、造船、また、宇佐美先生御承知のように、松下寿のようなテレビやビデオの下請産業、そしてその下請の下請を私の地元のところで、二、三百人の町工場で御婦人がやっていた、それが一挙にだっとつぶれたわけですね。

 だからこそ、私は、本質的な、本当の意味のねらいは、今までは、財政が潤沢なときは、ある程度ばらまき的と申しますか潤沢な予算配分ができたけれども、これからは限られた財の中で、どの分野においても、どの地域においても、やはり選択と集中をやっていくしかない。特に、地域については、道路についても橋についても、最低のインフラというものはまだまだ足りない面があると私は思うんです。

 だから、そういう限られた財の中で、この地域についてはこの部分のインフラが足りないんだと思ったらそれに集中していく。そういうことを、それぞれの地域の事情や特性や力を一番知っているのはやはりそれぞれの地域の皆さん方、地域の方である。だから、そういう皆さん方の現場からの発意というか熱意を吸収できるようなシステムをつくりたいというのが、今回の地域再生法の根本的な理念と申しますか哲学であると私は考えております。

 もう一つ重要なのは、そういう中で、あぐらをかくのではなくて、必死の思いをして自分の頭で考えて、自分の足で立ち上がるという人に対して、行政や政府は、やはり積極的に惻隠の情や温かい手を差し伸べるのが政治でなかろうか。

 先ほど来、牧野委員のおっしゃることはよくわかりますが、今言ったように、経済のボーダーレス化、それによって地域の下請へ行く。それから、先ほど言ったように、あのバブルの崩壊で、北海道のように、北海道拓殖銀行というその地域の経済の三〇%を担っている金融機関が倒れる、そしてまた、最近は足利銀行しかりです。

 そして、最後に、先生の地元や私の地元もそうですが、かなり公共事業に依拠する地域が多かったと思うんです。それが急激な財政悪化によって、一番経済効果の上がる公共事業をかなり私は削ったと思います。そういう面で、私は、いろいろマスコミは申しておりますが、公共事業はすべてが悪ではないと思いますし、公共事業や地方自治における削り方はかなりのところまで来ていると思うので、これ以上公共事業や地方自治を削るのは本来の姿としては望ましくない、そういうふうに考えて、このことを考えたわけであります。

牧野委員 力強い言い方には共感を感じますけれども、私が一番言いたいことは、大型店問題にしても木工とか地場産業の衰退にしても、もう四十年前からですね。それから、バブルがはじけたのはもう十五年前です。

 それから、十年前の二月に、当時は久保大蔵大臣のときですね、住専問題で熱くなっているさなか、僕は予算委員会に行ったときに、三十分間財政再建だけで質問させてもらったことがある。あのときに、政府の中には財政再建のための特別機関をつくれ、国会の中には財政再建のための特別の委員会をつくってやろうじゃないか、十年前ですよ、そのときは二百五十兆ぐらいでしたか、国債発行残高。今は倍を超しているわけでしょう。

 私がその質問をする前に、土光臨調ができたとき、考えてみれば、財政の問題だけでも既に二十年前から、こんなに大きな問題はない、そういう問題意識があった中で、なおざりにしてきて、しかも地方に対しての経済対策を、本質的な、抜本的な改革を四十年近く何もしないで、政府はその間何をやってきたんだ。

 私が聞きたいのは、大臣の問題意識ではなくて、何をしてきたかをもう一度御答弁ください。

村上国務大臣 先生の言っている意味はよくわかりますし、ここで大変な議論になっちゃうからあれなんですが、例えば、私は、バブルの崩壊の後、不良債権処理はもっと大胆にやるべきであったと。今回、そのときの国会にいられた方が何人いらっしゃるかわかりませんが、たったと言っては怒られるかもしれませんが、六千八百五十億の住専のあの金を出すだけでも、国会の第一委員室に座られて、徹底的に抵抗というか反対なされた党があったわけです。

 結局、民主主義の難しさ、特に小選挙区になってからの難しさは、半分以上の票をとらなきゃならないとなった場合に、やはりどうしてもあらゆる皆さんから票をいただきたい。そういう中で、いろいろな皆さんが来られたときに、どうしても八方美人にならざるを得ない。

 私は先生と同じですし、先生以上ですから、十年以上前から財政と経済と教育の立て直しが真の構造改革であると申し上げてきたんですが、要するに、この国会の場における議論というのも、なかなかそういう本音と申しますか、ぶつけにくいし、またそれぞれも、先生のような方ばかりならいいんですが、選挙になりますと、例えば高速道路の無料化だとかになってしまう。そうしたときに、では、だれが本気でそういう問題をやって、自分の選挙に落ちることを覚悟でやるかという形になってしまうわけですね。

 だから、私は、それは先生言われるように、与野党問わず、次の世代が生き残るためにはどうしたらいいかということは、やはりお互いに本音で議論すべきじゃないかな、そういうふうに考えています。

牧野委員 私のおやじは、間口三間、奥行き五間の八百屋だったんですよ。僕は、小さいころから八百屋を継げ継げと言われてきたものですから、絶対それだけは嫌だと思って大学まで行ったんですけれども、卒業のときおやじが倒れまして、私は卒業と同時に八百屋をやることになった。それで、静岡へ帰って八百屋を始めました。自分なりにまじめに仕事はしたつもりだったんですね。

 ところが、ある日突然、私の住んでいる近くに、三万五千平米のイトーヨーカドーが出てくるということになった。それで、私はそのとき、町内会も子供会も体育振興会も祭りもどぶ掃除も、何でもかんでも協力して地域のためにやってきたつもりだったんですよ。ところが、自分の命がとられそうな状況になったものですから、何とか助けてくれないかと、商工会議所へ行ったり市役所へ行ったり県庁へ行った。だれも助けてくれなかったですね。

 それで、通産省へ行ったんですよ。何回も行った。そうしたら、そのときに言ったことが、自由主義の時代ですよ、自助努力ですよと。世界はそういうふうになっているんです、ですから、イトーヨーカドーに負けないように努力されたらどうですかと言われた。そのとき僕は、ああ、政治というのは信用できないなと思ったんですね。もう自分で戦うしかない。

 当時、同じ思いであったのが松山の商店街です。松山の商店街はソフトの戦いを挑んだ。僕は、全国の八百屋、魚屋、肉屋、みんな集めて、七十万で小売連絡協という組織をつくって、武力闘争に出た。だから、三千人で東京通産局とか大阪通産局とか岡山の通産局を包囲して戦いましたよ。でも、勝てなかった。

 そのときに、世界はそういう方向に動いていると通産省は言った。でも、先ほど石毛先生の言われたように、当時、フランスではロワイエ法という法律があって、昔からの従来の商店街とか地場産業は守っていく法律があって、大型店の出店に対抗できるようになっていた。イギリスでも、建築基準法の運用によって、そう簡単に出られない。自由の国アメリカでも、当時、二十二の都市で大型店出店反対の決議をしたんですね。しかも、町づくりの法案の中で規制したんです。日本だけですよ。

 それで、後で考えてみたら、流通近代化政策というのがあって、全国に適正規模で大型店を配置して、暗黒大陸と言われた商業界を整理していく、六百万人は多過ぎる、二百万人は削れというふうなことがあって、しかも、後で調べてみれば、ダイエー、西友、ヨーカドー、ジャスコ、大型店に何千人という官僚が天下りしているんですよ。それでその政策を進めてきたんですね。

 考えてみれば、日本の国策によって日本全国の商店街がつぶされて、地域が疲弊したんですよ。しかも、バブルがはじけてゼネコンが苦労している。そして、小さな仕事をとりに地方までゼネコンが入ってきていますよ。だから、従来の地元の中小の工務店はばたばた倒れている。そのゼネコンには官僚がいっぱい天下りしているじゃないですか。

 金融もそうじゃないですか。貸し渋り、貸しはがしして、金融には何十兆というお金が入る。それから、私が言いたいのは、地域の商店街をつぶして、流通の旗手と言われたダイエーが倒産の憂き目のときに、七百億円政府から援助が入っているじゃないですか。地域の商店街を殺した人を政府が助けている。それは、国策によってああいうものを育てたからでしょう。

 私が言いたいのは、今、地方が疲弊していると言っているけれども、グローバル化だとかバブルがはじけたとか財政悪化という理由もあるだろうけれども、それだけじゃなく、国策として地方を殺したんじゃないですか。そのことについて答弁してください。

村上国務大臣 まず、それは通産省に言っていただきたいんですが、私は担当してもおりませんでした。

 ただ、御理解いただきたいのは、先生そうおっしゃいますけれども、例えば、携帯電話の中の乾電池を入れる器をつくるところがあるんですね。では、中小企業がすべてつぶれたかというと、そうじゃないんです。それぞれの特性や知恵を使って、携帯電話の中の乾電池が入っている小さいあれがありますけれども、それは世界一のメーカーで、どこも追随を許さないですね。では、先生言われた、例えばお店にしても、例えばですよ、私は岡埜の大福が好きでよく食べるのですが、ああいうふうに特性を生かして、何百年続いている店もあるわけです。

 これは御承知のように、経済というのは、例えば終戦直後は黒いダイヤと言われた石炭産業、それから繊維産業、それから造船、自動車、エレクトロニクスと、それは経済推移というのはあり得るわけなんです。その中で、自分たちがその時代のニーズに合わせたところに資本と人を移行するかどうかは、はっきり申し上げて、それぞれ商売をなさっている方の判断によるものなんです。

 ただ、私が申し上げたいのは、この間、ある業界の幹部と話したのですが、食管制度が強かったときに米をつくればよく売れるという時代がありましたけれども、今やその農業ですら、つくったから売れる時代じゃなくて、やはり品質やブランド、そういうもので、売れるものもあれば売れないものもあるわけです。だから、まさにそういう時代の推移とそれぞれの経営形態の努力、そのお互いの切磋琢磨によってやっていくのが経済だと私は思うのです。

 ただ、正直申し上げて、流通業界の問題については、私よりも民主党の党首の方が一番よく御存じじゃないかと思いますので、そこにお聞きいただきたいと思います。

牧野委員 僕は政治家を相手に議論したいと思って来たのですね。経営コンサルタントを相手に話する、そういう感じはない。

 一部の中で、いろいろなところで努力をして、それは成功する人もいるでしょう。努力しないから失敗する人もいるでしょう。それは私は今議論の範囲にないのですよ、考え方は。全体としてどういう状況にあるか、全体としてですよ。それはそういう中で、苦しい中で成功している人もいる。本会議場でたしか小泉さんが、六本木のあの辺を見るとすごく好景気でびっくりしたと、そんな一部を取り上げて全体を評価する状況ではないと思うのです。

 だから、全体として考えてみると、それは地域でも成功している人はいるかもしれないけれども、これだけ疲弊して、正直言って、三万四千四百人も自殺をしている状況というのは大変な状況です。

 これは、いろいろな理由があるかもしれないけれども、その中に中小企業の経営者がいっぱいいる。いつぞや新聞のニュースを見て、中小企業の経営者三人がそろってホテルで自殺をしたというときがあったんですね。あのとき、これはもう構造的な、大変な状況になっているので、地域をどういうふうにして活性化させるということは、これは国の大きな課題だ、そう思っていたんです。

 だから、地域再生法の名前を見たときは、これは多少の光が見えるかなと思いましたら、環境整備とかそういったことについてはもしかしたら一歩前進なのかもしれないけれども、本体として、本質的に地域を再生するためのものになっているかというと、私はなっていないと断ぜざるを得ないと思っているのですね。

 超大型の、大きな資本に対しては、国は莫大なお金をもって、あるいはいろいろな形の中でやっていくけれども、地方については、もう万策尽きちゃったので、何もできないので、地方はみずから立ち上がれよ、それについては応援するぜ、そういうふうに聞こえるんですね。そういうふうに私には聞こえるんですよ。

 これほど中央から地方にいろいろな食いつぶすような力が来て、食いつぶしちゃって大変な状況になった後で、おれたちはやる気のある人だけは助けるというふうに聞こえる、この法案は。地方全体、日本列島を見回して、構造的に大きく地方の経済的な状況、文化の状況が伸びていくというふうにはこの法案からは感じ取れないのですけれども、もう一度大臣、その辺の思いをちょっと。

村上国務大臣 委員にはおわかりだと思うのですけれども、簡単に申し上げれば、終戦直後から今までは、人口が増える、経済規模が拡大する、税収をふやすということで、各省庁がサービスをふやしてきた。また地方も、先ほど来申し上げているように、日本経済全体がどんどんGDPをふやしていく中で、パイがふえていくわけですから、当然その分配率もどんどんふえていって、地域もそれでボトムアップしていった。それはやはり事実であったと思うのです。

 ただ、先ほど来申し上げているように、経済のボーダーレス、グローバル化やバブルの崩壊、そしてまたそれを支えるための財政の急激な出動によって、財政を大変圧迫してきた。そういう中で、やはりこれから少子高齢化になっていく中でどういうフレームワークをつくったらいいかということが、実際、構造改革の一番の考えなければならないことだと私は考えておりまして、その一環として、それぞれ、財政においては、地方自治、公共事業、そしてまた社会保障、そういう分野があるわけです。

 その中で、私がいつも申し上げているように、私が担当している行政改革、規制改革、それから特区、地域再生、産業再生の中で、まさにこの特区と地域再生についてはいろいろ御意見もありましょう。特に、いつも申し上げているように、鴻池さんが三、四年前につくったときは、かなりバッシングされました。しかし、三、四年たって結果を見てみると、私も大臣になって、就任してつくづく思いましたのは、私どもの想像以上にすばらしいアイデアがそれぞれの地域から、現場から上がってくるわけです。ところが、残念ながら、私もそうでしたけれども、国民の皆さん方もまた国会議員の方々も、皆さん、それを全部まだお知りになっていただけていないという部分があるわけです。

 まさに、地域再生法案については、委員がおっしゃるとおり、完璧なものとは私も思っておりません。しかし、先ほど来申し上げたように、特区や、こういう税制の特例や、それから各省にまたがる補助金の一括化や、そして今までつくった建物、補助金でつくった建物はその目的以外に使用できなかったわけです。

 例えば、私の選挙区は三十一市町村ありました。三十一市町村ごとに公民館やいろいろなものがあるわけです。それをほかの目的に可及的速やかに転用するということは、今町村合併が日々行われている時点において、できることからこつこつとやる、これはある引っ越し会社の宣伝でありますが、できることからこつこつとやるということは政治や行政にとって重要だ、私はそのように考えております。

牧野委員 地域を活性化させて豊かにしなければならないというのは、原理原則というのがあるのですよ。

 例えば、私は静岡だから静岡のことを言うと、静岡を活性化させるために三つの原理原則があるんですよ。一つは、これは当たり前の話なんだけれども、みんな一生懸命仕事をするのだけれども、静岡の人がよそへいって仕事をしてもうけて、その金を静岡で使うということなんですよ。もうけた金をそっちで使ってはだめなんですよ。それから、遠くの人に静岡へ来てもらって、お金を使ってもらうということが二番目なんですよ。それから三つ目は、静岡の中の富をみんなこの中で回すということなんですよ。この三つが相まっていかないと、地域は活性化できないんです。

 私は、地域を活性化させるためには、この三つの原則に基づいた政策を打つべきだと思っているのだけれども、前からそういうふうに言っていたのだけれども、そういうことは一切できなくて、どうもいろいろな地域の皆さんの意欲だけは何とか吸い上げて協力したいということで、百歩の道の一歩前進かなという気持ちもありますけれども、全体像からしてみると、法案のイメージから大分遠い結果になってきているなと思いますので、そのことは言っておきたい。

 ただ、特区のこととか、それから新しいアイデアの出てきた中で、こういうものは地域として本当に生かされる、新しい、あるいは構造改革にもなり抜本的な活性化の案になるかなと思うのは、いろいろな見方はあるかもしれませんが、地域通貨、大きな部門ですね。これはエコマネーとかという段階の、コミュニティーをさらに進化させるという意味でのエコマネーでは意味がない。

 ところが、江戸時代には藩札という制度があって、地域は地域でお金を出して、経済活性のためにやったんです。ただ、一部の武士階級のために使われてしまったからこれは失敗したんだけれども、地域通貨というものも経済活性化のために、地域を助けるために考えなくちゃならない時代が来ているだろうと私は思っている、そこまではいかないかもしれないけれども、私は個人的には思っているんです。

 それから、LRTの構想もありますね。これは、地域のコミュニティーをずたずたにしているし、文化を壊している交通体系を変えていくという意味からすれば、地域活性化のため、郊外と中心市街地を結ぶということで、重要なアイデア、政策になるんじゃないかなと思っております。

 それからもう一つは、木造住宅関連産業が本当に壊されているんですよ。これを蘇生させていくためには、地域の文化財の改修、再建というのは重要な仕事になる。文化財は外材ではできないんですよ。内地材ですべてやらなくちゃならないし、内地の伝統的な技術でやらなくちゃならない。だから私は、今出されているアイデアの中では、この三つは中心的に、重点的にやるべきだろうというふうに思っています。このことについては、もう時間が来ましたから要望だけにしておきます。

 それから、ワンストップ窓口、これは本当に、これを聞いたとき僕は笑っちゃったよ。大型店をつくるときにワンストップショッピングというアイデアを出して、大型店が郊外に出てくる大義の一つだった。ところが、それによって何ができたかというと、地域の専門店が疲弊してきているんですよ。ワンストップショッピングを進めると、本当の伝統ある専門店が疲弊してくるんです。

 だから、私が言いたいのは、内閣府にワンストップ窓口、こういうものをつくった。これはこれでいいだろうと思うんですが、このことに余り重きを置いて、これで鬼の首をとったような思いでいると、本体業務が低下しますよ。

 これはコンビニエンス化なんですね、内閣府の。僕は内閣府のコンビニエンス化だと思っているんですよ。コンビニエンスに行くと便利ですよ、いろいろなものがある。でも、本当においしいものとか、本当に価値のあるものとか、本当にデザインのいいものはないんだ、あそこには。でも、そこでもってみんな満足するような生活形態にならされちゃうということがあるんですよ。

 だから、このワンストップ窓口はいいことだと思うけれども、これですべて糊塗していくと、本体がだめになりますよ。そうすると、今までの省庁の業務が手薄になりますので、その点は気をつけてもらいたいと思う。

 もし答弁があるなら、一言お伺いしたい。

松下委員長 質疑時間は終了しました。

 では、最後の答弁だけお願いします。

村上国務大臣 いやいや、これは大事なことです。

 今、まさに委員の考え方、LRTや地域通貨、文化財の改修、整備というのは地域再生にとって重要とか、まさにそういうことを引き出すために今回の法案をつくったわけなんです。

 先ほど来、ワンストップ窓口を言われるんですが、これは、実は我々が提案したんじゃなくて、去年の二月から六月にかけて、各市町村長のお話をお伺いしていると、やはりいろいろなところへ行く、そうすると何カ所も見て大変だ、そういう要望によってやっているわけでして、結局、我々のためにやるつもりはなくて、各市町村長さんたちのいろいろな煩雑な手続を軽くさせてあげたいという善意であるということを、ぜひとも御理解いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧野委員 終わります。

松下委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松下委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地域再生法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、山本拓君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。須藤浩君。

須藤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し趣旨の説明といたします。

    地域再生法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 地域再生基盤強化交付金制度等の特別の措置を含む地域再生に係る支援措置については、それぞれの支援措置の運用状況、地方公共団体からの提案・要望等を踏まえつつ、適宜、措置の拡充、改善等を行うこと。

 二 課税の特例については、民間投資の一層の促進を図る観点から、さらなる措置の拡充等を検討すること。

 三 地域再生基盤強化交付金制度等の特別の措置を含む地域再生計画の認定に当たって、内閣総理大臣は、総合的リーダーシップの下、申請地方公共団体の意思を最大限尊重し、その認定を行うこと。

 四 地域再生基盤強化交付金制度の運用に当たっては、本法の趣旨に基づき、迅速かつ効果的な運用に努めるとともに、当該交付金の配分の透明性を確保すること。

 五 地域再生は、地域における創意工夫を生かした自主的かつ自立的な取組を推進することを基本とするものであることにかんがみ、内閣総理大臣又は関係行政機関の長が認定地方公共団体に対して行う報告の徴収及び措置の要求は、当該地方公共団体の裁量を十分配慮して行うこと。

 六 地域再生計画の作成に当たっては、特定非営利活動法人等をはじめとするNPOや地域住民、関係団体、民間事業者等からの意見等を十分反映されるよう配慮すること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

松下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。村上国務大臣。

村上国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 本当にありがとうございました。

    ―――――――――――――

松下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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