第5号 平成17年3月30日(水曜日)
平成十七年三月三十日(水曜日)午前十時一分開議
出席委員
委員長 松下 忠洋君
理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君
理事 増田 敏男君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 須藤 浩君
理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君
江渡 聡徳君 大村 秀章君
川上 義博君 木村 勉君
桜井 郁三君 土屋 品子君
西村 康稔君 萩野 浩基君
早川 忠孝君 宮澤 洋一君
石毛えい子君 市村浩一郎君
小宮山洋子君 今野 東君
島田 久君 西村智奈美君
藤田 幸久君 牧野 聖修君
太田 昭宏君 吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
政府参考人
(警察庁長官) 漆間 巌君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 伊藤 哲朗君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 岡田 薫君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 知念 良博君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(警察庁警備局長) 瀬川 勝久君
政府参考人
(国税庁課税部長) 竹田 正樹君
内閣委員会専門員 高木 孝雄君
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委員の異動
三月三十日
辞任 補欠選任
藤田 一枝君 西村智奈美君
同日
辞任 補欠選任
西村智奈美君 藤田 一枝君
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三月二十五日
憲法の改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第五一一号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第六一九号)
同(石井郁子君紹介)(第六二〇号)
同(穀田恵二君紹介)(第六二一号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第六二二号)
同(志位和夫君紹介)(第六二三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第六二四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第六二五号)
同(山口富男君紹介)(第六二六号)
同(吉井英勝君紹介)(第六二七号)
レッド・パージ犠牲者の名誉回復と正当な国家賠償に関する請願(阿部知子君紹介)(第五七九号)
ILO勧告に沿った公務員制度の確立に関する請願(玄葉光一郎君紹介)(第五八九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
警察に関する件
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○松下委員長 これより会議を開きます。
警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官漆間巌君、長官官房長安藤隆春君、生活安全局長伊藤哲朗君、刑事局長岡田薫君、組織犯罪対策部長知念良博君、交通局長矢代隆義君、警備局長瀬川勝久君及び国税庁課税部長竹田正樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。
○田端委員 きょうは、早川先生の御好意で、最初に質問をさせていただくことになりました。大臣、また大変お忙しい中恐縮ですが、参議院本会議までよろしくお願いしたいと思います。
それで、早速ですが、私も順番を入れかえまして大臣にお伺いしたいと思います。
先般、私も予算委員会で、これからの犯罪対策、治安対策は、本格的に警察庁が中心になったそういう仕組みというものをつくらないと、今の犯罪は非常に広域的であり、一つの県警本部で対応するという次元ではなくなったということを指摘させていただきました。(発言する者あり)
○松下委員長 今質疑中ですので、ちょっとそこの話、控えてください。お願いします。
○田端委員 特に、例えば偽造キャッシュカード事件とか、振り込め詐欺事件とか、外国人組織犯罪事件とか、あるいはインターネットを使った事件とか、最近の事件は、広域的、そしてしかも非常に巧妙な、悪知恵の限りを尽くした事件が多発しているわけでありまして、さらに国際化までしているわけであります。
そういった意味で、今の日本の警察制度のあり方というものをやはり考えていかなければ、これだけ進化したというのは変な言い方でありますが、進んでいる犯罪に対応し切れないのではないか、こういう思いをしみじみとしているわけであります。そういった意味で、これは機構改革も含めてぜひ考えていただかなきゃならない今非常に大きな曲がり角に来ているのではないかと思います。
それで、例えば、私の言いたいのは、いいか悪いかは別として、日本版のFBI的なものとか、それから、日本の警察がモデルにしている英国には国家犯罪捜査庁というのがありますが、こういった国家機関としてきちっと手足も持った捜査機関を持っていく、こういう仕組みに英国も変わるわけでありますから、そういったことを考えるときが来ているのではないか、こんな思いがいたします。
それで、ちょっと一点、具体的な事例を申し上げますと、昨年のシーアイランド・サミットで、安全かつ容易な海外渡航イニシアチブというのが合意されております。そして、これは、飛行機の飛行中におけるハイジャック等の事件に対応できるような執行官を便乗させている、そしてスカイマーシャルに関する国際協力の強化が各国で打ち出されて、我が国もこれは運用を始めた、こういうふうに伺っております。
こういうことになりますと、県警の捜査官が国際線に乗ってハイジャックに対応する、そういうことではこれからうまくいかないのではないか、そういった飛行機の中という限定された場所、しかも一つ間違えば大変なことになる、そういう中での対応となれば、それなりの技術、それなりの知識を持った、訓練を受けた、そういう対応をしていかなければ国際的な犯罪にも対応し切れないのではないか、こう考えるわけであります。
そういった意味で、今、警察庁がこういう広域的また国際的な犯罪捜査あるいは予防に対してどう取り組まれているのか、あるいは、これから機構改革も含めてどういうお考えでいるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○村田国務大臣 田端委員が今御指摘になられました、警察をめぐるいろいろな環境が変わっている、犯罪も非常に広域化あるいは国際化している、あるいは国際テロに対処していく、そうした構えも警察には必要ではないか、だから組織改革も含めて何か手だてはないだろうか、こういう話でございました。
その御意見は私も共有するところが随分ございまして、まさに犯罪が広域化あるいは国際化している、そういうことはおっしゃるとおりであろうかと思いますし、それから、国際テロに関しましても、あるいはその他の事象に関しても、外国の当局との連係プレーも本当に必要だろう、こういうふうに思っているわけでございます。
ただ、捜査にまでもう一つのアメリカで申しますFBIみたいな機関を新たに設けるということになりますと、昨今の財政事情等も考えたときに果たしてどうか、こういうこともありますので、そういう意味で、昨年も警察法の改正をお願いいたしまして、昨年の四月から改正警察法が施行されました。
その中で、警察庁の刑事局に組織犯罪対策部を設置いたしまして、組織犯罪に関しましての情報を集約、分析しまして、全国的、統一的な見地に立った戦略を立てて、いろいろそうした捜査に関することについて立案をしていく、こういう組織がえをお認めいただいたわけでございまして、全国警察に対して組織犯罪対策部から分析結果を還元する、あるいは歌舞伎町に象徴的にあらわれますような歓楽街の犯罪対策、こうした事例もどんどん地方にも還元していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
もう一つは、警察庁の警備局に外事情報部を設けまして、これは外国の当局との間で国際テロ関係の情報交換をする、こういうことでございますが、国際テロも大変危ぶまれる中で、警察庁、それから外国の当局、そして都道府県警察とも協調してそうした国際テロに対処していく構えを設けているわけでございます。
先生のおっしゃることについては、我々警察庁のそうした企画能力、立案能力を充実しながら、社会の変化、警察を取り巻く環境に対しての変化に対応して万全を期していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田端委員 スカイマーシャルに関する答弁がなかったんですが。
○瀬川政府参考人 スカイマーシャルの状況について御報告をさせていただきたいと思います。
確かに御指摘のとおり、スカイマーシャルを実施しているのは、都道府県警察の警察官が具体的にはやっているわけでございますけれども、それはやはり、それぞれの県警察の公安の維持といいますか、治安に深く関連するところがあるということで、具体的な飛行機に搭乗してのスカイマーシャル業務というのはそれぞれの県警がやっている、こういう格好になっております。
しかしながら、御指摘のとおり、これは極めて国家的な要請というものもありますし、国際的な要素が非常に強い業務でございますので、警察庁といたしましては、そもそも、御質問にございましたシーアイランド・サミット等における合意を踏まえまして、政府の国際組織犯罪・国際テロ対策推進本部の決定というものを受けまして実施することといたしまして、国土交通省、外務省、それから関係の外国機関、外国政府等の連携というのは警察庁が行っております。
それから、御質問にありました、このスカイマーシャルを実施する要員の教育訓練、こういったものにつきましても、警察庁がイニシアチブをとりまして積極的に関与し実施していくということを進めながら、この円滑な業務の推進に当たっているというところでございます。
○田端委員 大臣もさっきおっしゃっておりましたが、確かに、この犯罪に対応するあり方というものを考える必要はあるということはお認めになっているわけでありますから、きょうは、そういった意味で、私は何点か問題提起をさせていただきます。
例えば、先般、マラッカ海峡でも日本船が襲撃されるという事件もありました。あるいは、新幹線だっていつねらわれるかわからないわけでありますし、例えば、今、愛・地球博が先般来スタートしておりまして、半年間、これは外国要人、この間シラク大統領もお見えになりましたが、各国要人が日本に来られて、そしてまた愛知に行かれるケースというのは多々あるかと思います。
そういった意味では、その警備というものは大変大事になってくるわけでありまして、この乗り物、海であれ陸であれ飛行機であれ、これは大変大事な警備の範囲になろうか、こう思います。それが、県警本部という縦割りの、都道府県県警、そういうことで果たしてこれからもいいのかどうかということは、これはもうだれが考えても矛盾があるわけでありますから、ぜひそこのところは考えていただきたい。
そしてまた、外国人の犯罪が急増しているわけでありまして、平成十六年の検挙数は前の年よりも六千五百件ふえまして四万七千百二十四件、検挙人員も千八百三十五人ふえまして二万一千八百四十二名、過去最多を更新しているわけであります。そういった意味で、不法滞在者が犯す凶悪犯というのが三八%もあるわけでありまして、もう本当に国際的な犯罪に今なっているのではないか、こう思います。
この点について、警察庁がどこまで責任体制をとっているのか、そこのところを国民にわかるようにひとつ御説明いただきたい、こう思います。
○瀬川政府参考人 お答えいたします。
まず、現行の警察法におきまして、その五条でございますけれども、一定のものについて警察庁が関与するということになっております。例えば、五条の四号におきましては、一定の事項のうち、国の公安に係るものについての警察運営、それから六号におきましては、広域的な事案や海外における事案で一定のものにつきましては、警察の態勢に関することについて警察庁がみずから行う、こういうことになっているわけでございます。
そういった現行の規定を受けまして、今御指摘がございましたいろいろな事案につきまして、特にテロの問題につきましては、最近の状況から、これは非常に重要といいますか喫緊の課題であるということで、政府全体といたしましても、昨年の八月に、それまでございました国際組織犯罪等対策推進本部にさらに国際テロ対策というものをつけ加えまして、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部というふうに改組をいたしまして、政府全体としてこういった問題に取り組むという体制になっております。
警察庁におきましても、平成十三年の米国におきます同時多発テロを受けまして、緊急テロ対策本部というものを次長を長といたしまして警察庁に設けております。そして、緊急テロ対策要綱あるいは政府全体としてのテロ対策の行動計画といったものを策定いたしまして取り組んでいるところでございます。
御指摘がございました新幹線等の乗り物の問題につきましても、スペインにおきます列車テロを踏まえまして、警察庁がまさにイニシアチブをとりまして全国警察一体となって対策を進めておりますし、それから、さらにございました愛知万博、これも、御質問にございましたとおり、大変多数の要人が訪れるということで、この対策も、警察庁と愛知県警のみならず、全国警察が一体となってその対策に取り組んでいるところでございます。
特に、NBCテロという問題につきまして、私どもとしても非常に重要な問題と考えておりまして、愛知県警におきましても、関係機関と共同して、数次にわたりまして合同訓練等も実施をいたしまして、万全を期しているところでございます。
今後とも、警察庁がしっかりイニシアチブをとりつつ、全国警察挙げて警備の万全を期してまいりたいと考えております。
○田端委員 とはいえ、二〇〇三年の刑法犯の検挙率は二六%ということで、これはもう大変ゆゆしき事態だと私は思います。
三月の八日に、私は公明党の治安・学校問題の安全に関するPTの座長をしておりますが、総理に治安問題で申し入れをさせていただきました。
小泉総理は、これは政府挙げて治安対策には取り組みたい、こうおっしゃっておりましたし、また、今国会の冒頭での総理の所信表明演説の中でも、世界一安全な日本を復活させると総理はおっしゃっているわけでありますが、しかし、現実は二六%、こういう状況であります。
そこへ、具体的なことでございますが、ことしになってから、大阪の寝屋川の小学校で殺傷事件が起こる、小学校の中で犯罪事件が起こるということがありまして、この委員会でも私は質問させていただきましたが、その後この問題に対して、全国の小学校、大変今保護者の方は神経をぴりぴりさせておりますけれども、どういうふうに対応されてきたのか、文科省との間でどういう形で具体的な手を打ってこられたのか、御答弁いただきたい。
それから、私たちが言っているスクールガード、これは大変、今回も七億五千万から予算をつけていただきましたが、ちょうど安保闘争のときの団塊の世代の警察官がことしから年間一万人ずつぐらい定年退職されていくというふうに伺っております。今、ことし三千五百人ふやして、しかし一万人退職したら、これはマイナスになるわけでありますから、この一万人退職される方々、OB警察官のキャリアといいますか力をかりて、これを地域の中で、あるいは学校の安全、スクールガードなんかに、ぜひお力をかりて体制をとっていく必要があるのではないか、そういう具体的なきめの細かい施策をぜひ実施していただきたい、こんな思いですけれども、いかがでございましょうか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
先般の大阪寝屋川市内での事件につきましては大変痛ましい事件でございまして、警察といたしましても、この種事犯の再発防止のために、学校、地域社会、家庭等と共同しながら取り組んでいるところでございます。
全国警察におきましては、事件後、この種事件の発生の防止を図るために、パトロールの強化あるいは警察OBの派遣等もやっておりますし、また、学校や地域住民等に対する子供を対象とした犯罪や不審者に関する情報の提供、さらには、学校における不審者侵入時の防犯訓練、子供への防犯教室、また、学校と警察との間の緊急通報システムや通学路の安全確保のための子ども緊急通報装置の整備など、学校を初め関係機関とも連携しながら取り組んできたところであります。
具体的に申しますと、例えば警視庁では、事件後、学校施設等の点検や不審者侵入時の防犯訓練を事件前に比較して大幅に増加させて実施しているほか、行政機関からの、自治体でございますけれども、要請につきましても、パトロールあるいは制服警察官による立ち入り、訓練、施設点検等、多岐にわたって要望がなされているところであります。
こういったことにつきましては、そうした県警レベルの問題もございますけれども、国としてもやはり文科省と共同しながらやっていく必要があるということで、現在、文部科学省ではプロジェクトチームを設置して学校安全のための方策について検討されているところでございまして、警察庁では、文部科学省と連携いたしまして、安全な学校づくりのための学校警察連絡協議会の場の活用を初めとします学校と警察の一層の連携の推進についての検討を行っているところでございます。
こういった連携の場のほかに、学校の実情に応じたパトロールの強化、あるいは実践的、効果的な防犯訓練、防犯教室の実施、さらには学校の施設や防犯設備、マニュアルなどの学校安全体制の再点検の実施、さらには、先ほども申しましたけれども、学校と警察との間におきます非常時の通報体制の整備、あるいは通報訓練の実施などなど、ともに共同しながら進めていく事業について検討を進めているところであります。さらには、地域や学校の安全確保のためのボランティアによる取り組みにつきましても、両省庁の支援を行っていこうということについても検討をしているところでございます。
今後とも、文部科学省とは連携しながら、こうした学校の安全対策が推進されるように努めてまいりたいと思っています。
それと、三点目でございますけれども、学校の安全のための警察OBの活用の問題でございます。
学校等の安全対策につきましては、従来から学校等における少年の非行防止や児童等の安全確保に従事するスクールサポーターという制度がございますけれども、そうしたところには警察OBが活用されております。また、警察官OBの中には、スクールサポーターではなく、警視庁のシルバーポリスのように自主的に小中学校の児童の登下校時におけるパトロールを実施している例もございます。
なお、現在文部科学省では、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業というものが平成十七年度から行われるということを聞いておりますけれども、この事業の中では、先ほどお話がございましたスクールガードリーダーとして、警察OBがその経験を生かして学校の安全対策の活動に当たることが期待されているという状況でございます。
警察OBにつきましては、学校の安全や地域の安全に大変大きく貢献できるものというふうに考えておりまして、警察庁といたしましても、その積極的活用がさらに促進されますように、都道府県警察と連携をとりながらその実現に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○田端委員 いずれにいたしましても、国民にとって安心安全のかなめは治安対策だと私は思いますので、ぜひそういった意味で、課題はたくさんあると思いますが、国民が安心安全できるような社会づくりに一層の汗をかいていただきたい、こう思って、質問を終わります。
ありがとうございました。
○松下委員長 次に、早川忠孝君。
○早川委員 自由民主党の早川忠孝でございます。
本年は、地下鉄のサリン事件が発生してから十年目を迎えます。先ほど質問にありましたが、寝屋川小学校事件、あるいは奈良小学校事件等、予想しなかったような新たな犯罪が発生をしております。国民の安心安全を守るという重大な責務を有する警察の役割がますます重大になっていると思います。
私ごとでありますけれども、かつて自治省に在職していた昭和四十六、七年ごろ、浅間山荘事件が発生をいたしました。地方公務員の公務災害補償制度の企画立案を担当しておりましたので、この浅間山荘事件を契機に、危険な業務に従事される警察官等に対する特殊公務災害補償制度の創設に私は関与をいたしました。弁護士に転身してからは、日弁連や東弁の民事介入暴力対策委員会の委員として、組織暴力集団あるいは民事介入暴力に対しても自分の身をもって対処するという役割を果たしてまいったわけであります。
本日、内閣委員会において警察行政全般についての質疑の機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
さて、平成十六年の刑法犯の認知件数が二百五十六万二千七百六十七人、検挙人員が三十八万九千二十七人と伺っております。昨年は刑法犯の認知件数が減少したようでありますけれども、まだまだ体感治安が悪いというふうに感じております。
そこで、最近の犯罪の発生状況、検挙状況の推移と、警察における具体的な取り組みについて、警察庁にお伺いをいたします。
○伊藤政府参考人 最近の犯罪情勢でございますけれども、平成八年以降平成十四年まで七年連続して最多を記録しておりました刑法犯認知件数は、平成十五年に減少に転じまして、十六年も前年に比べまして八・一%減少したところであります。一方、検挙件数及び検挙人員につきましては、前年に比べそれぞれ三・〇%、二・五%増加しておりまして、犯罪の増加傾向には一定の歯どめはかかっているところでございます。
しかしながら、刑法犯認知件数は、治安がよいと言われておりました昭和期の約二倍である上に、特に来日外国人犯罪の増加、昨年来のいわゆるおれおれ詐欺等の振り込め詐欺の急増など、御指摘のように、治安は依然として厳しい情勢にあると認識しております。
警察といたしましては、このような情勢に対しまして、平成十五年八月に策定しました緊急治安対策プログラム、さらには、同年十二月に犯罪対策閣僚会議が策定しました犯罪に強い社会の実現のための行動計画に基づきまして各種対策を推進しておりまして、特に犯罪抑止の観点からは、平成十五年から推進中の街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策に取り組んでいるところであります。
その結果、平成十六年には、街頭犯罪は二年前の平成十四年に比べまして二一・八%減少しておりますし、侵入犯罪につきましても同じく一一・六%減少したところであります。
今後とも、犯罪の減少傾向を定着化させまして、国民が安全に安心して暮らせる社会の実現に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○早川委員 先ほどの田端委員の質問にもありましたけれども、寝屋川小学校事件等、子供を対象とする性犯罪あるいは殺人等の重大犯罪が多発していることについては、本当に心が痛む思いであります。
ところで、報道によりますと、警察庁が子供を対象とする性犯罪の前歴者について法務省から出所情報の提供を受けるというふうに伺っております。情報提供を受ける前歴者の範囲並びに警察においてこの情報をどのように活用されるか、その具体的な考え方について生活安全局長にお伺いをいたします。
○伊藤政府参考人 性犯罪の中でも子供を対象とします暴力的性犯罪につきましては、子供は犯罪の回避能力が低い、また子供は特に心身に受けるダメージが大きい、また保護者など地域社会に与える不安が大変大きいということから、子供を対象とします暴力的性犯罪の未然防止が特に重要であるというふうに考えているところであります。
さらに、警察庁の調査によりますと、子供を対象とする暴力的性犯罪というものは、同種の犯罪の前歴を持つ者により引き起こされる可能性が高いという調査結果も出ているところでございます。
そこで、警察といたしましては、法務省から十三歳未満の子供を対象とする暴力的性犯罪の前歴者の出所情報、刑務所から出てくるときの情報でございますが、この提供を受けまして、出所後の居住状況の把握に努めまして、子供に対する声かけ、つきまといなどの事案が地域で発生した場合には行為者の特定に努め、例えばそうした人がだれであるということがわかった場合には警告を行いながら、犯罪に至る前の段階での対応に活用したり、万が一犯罪が発生した際には捜査に活用して被害の拡大防止に努めていくという形でこの情報を活用していきたいというふうに考えております。
なお、こうした情報の提供につきましては、ことしの六月一日からやっていこうということで法務省と合意に至っているところでございます。
○早川委員 これも既に質問がなされたところでありますけれども、単なる情報の提供を受けるというだけでは子供が被害者となる犯罪を事前に防止することがなかなか困難であると私は思っております。
そこで、概括的にではありますけれども、こういった子供が犯罪の被害者となるという、その犯罪を防止するための警察の現時点における総合的な取り組みについてお伺いをいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
子供を犯罪から守ることは、警察そして学校、また地域社会、家庭などが共同して取り組むべき課題というふうに考えておりますけれども、警察といたしましても、この種事件の発生の防止を図るために、関係機関とも連携していろいろ主体的に行っていかなければならないというふうに考えているところでございます。
具体的には、パトロール等の街頭警察活動を強化するということがございますし、また地域の方々あるいは学校の方々に対しまして、子供を対象とした犯罪、あるいは不審者といったものに関します情報を広く提供していくということも大事なことだと思っています。
また、学校の中で、子供たちに対して防犯教室を開催いたしまして、いわゆる街頭でこういった不審者に遭ったときにはどう対応すればいいかといったようなこととか、あるいは地域の人たちに対しましてもそうした教室を開催して、自主防犯活動を支援していくといったことも大事だと思っています。
また、学校と警察との間のいざという何か発生した際の緊急連絡のやり方というものにつきましても、しっかりと構築していく必要があると思っていますし、また、子供さんたちが通学途中あるいは帰宅途中にいろいろな事案に遭ったときに、安心して周りの人たちに助けを求めることができるような子ども一一〇番の家の活動の支援であるとか、あるいはスーパー防犯灯あるいは子ども緊急通報装置といったものの整備なども大事なことだというふうに考えているところであります。
警察としては、そうしたいろいろな施策がさらに充実するように取り組んでいるところでございますけれども、今後とも関係機関と連携しつつ、子供の安全の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○早川委員 ありがとうございます。
最近、警察官の姿がしっかり見える、そういう場面がふえてまいったようであります。町会等の見回り等について、町会、自治会の役員と一緒に警察官が回っているということで、地域の安全が相当向上したというふうにも聞いております。ぜひ、頑張っていただきたいなと思っております。
そこで、今度は、来日外国人による犯罪の点についてお伺いいたします。
平成十六年中の来日外国人の犯罪の検挙件数が四万七千百二十四件、検挙人員が二万一千八百四十二人と伺っております。来日外国人犯罪が増加傾向にあると聞いておりますけれども、その現状がどうなっているのか、また、警察としてどのような対策を講じていこうとされているのか、これは組織犯罪対策部長にお伺いいたします。
○知念政府参考人 昨年の来日外国人の検挙状況でございますが、先生御指摘のとおりでございます。その前年、十五年が過去最多でございましたが、それをさらに上回っている状況にあります。また、組織化や全国への拡散傾向が見られるところであります。総じて、依然として来日外国人犯罪が治安上大きな問題であると認識しているところであります。
このような情勢に対処するため、警察としましては、引き続き、来日外国人犯罪の徹底検挙に努めるほか、捜査体制の充実強化、入国管理局など関係機関との緊密な連携による水際対策等の推進、外国捜査機関との協力関係の緊密化等諸対策を一層推進してまいる所存であります。
○早川委員 外国人による犯罪の中でも特に気をつけなければならない、対処を必要とするのが、殺人とか強盗、放火あるいは強姦、いわゆる凶悪事犯でありますね。
これも手元にある資料ですと、平成十六年中の凶悪犯の検挙件数が三百四十五件、人員が四百二十一人で、件数では若干増加、人員では若干減少ということでありますけれども、大体、この傾向というのは今後どういうふうに見込まれるか、あるいはこれに対してどのような対策を講じられようとしているのか、お伺いいたします。
○知念政府参考人 昨年の凶悪犯の検挙件数、検挙人員は、先生御指摘のとおりでございます。検挙人員ベースでここ数年少しジグザグがございます。ただ、およそ十年前の平成六、七年ごろと対比しますとほぼ二倍という状況でございまして、全体的なトレンドとしては増加傾向にあるととらえているところであります。
中でも、国民に著しい不安を与える強盗の検挙件数につきましては、過去最多を記録しております。昨年のケースで申し上げますれば、資産家をねらった強盗事件、歯科医院などを対象とした強盗事件、こういったものが広域に及んでおります。それから組織的な犯行が目立っているところでありまして、全国警察を挙げてこの取り締まり強化に努めているところであります。
警察としましては、引き続き、国民の治安に対する不安を増大させている大きな要因であります組織的なこの種事犯に関する情報の集約、分析をさらに徹底しまして、また国内外の関係機関との連携を図ってまいります。そして、全国的な合同、共同捜査を積極的に展開しまして取り締まり強化に努めてまいる所存であります。
○早川委員 最近の警察の施策として注目に値するのは、私は、新宿歌舞伎町浄化作戦ではないかなと思っております。これは警察庁だけではできない、関係省庁あるいは東京都との連携が必要であると思っております。
その具体的な対策の中身あるいはその効果、さらには今後の展開ですね、特に他の地区での繁華街での展開をどのようにお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 現在、警察におきましては、歌舞伎町におきます浄化作戦という形で歌舞伎町対策を行っているわけでございますけれども、御承知のように、歌舞伎町では、性を売り物とします違法な店舗が乱立して風俗環境が退廃的なものとなる一方、暴力団や来日外国人犯罪組織等が事務所等の拠点を置きまして、あるいは犯罪に係る情報の交換などを行うなど組織犯罪の温床となっておりまして、その周辺を含む地域の治安に悪影響を及ぼしているところでございます。
こうした情勢を踏まえまして、現在、歌舞伎町対策といった形で対策を進めておりますけれども、これは、御指摘のように、警察のみならず、地域、関係省庁、東京都、あるいは自治体といったものと一緒になってやらなければならない施策でございまして、警察としても、そうしたところと連携をとりながら行っているところであります。
歌舞伎町のほか、現在、警視庁におきましては、池袋及び六本木を重点としました三地区特別対策本部というものを設置いたしまして、この三地区における同様の事象に対する対応を行っているところでございます。
警察としましても、地域住民や関係行政機関等と連携を図りながら、風俗事犯等の取り締まりの強化、街頭犯罪対策、暴力団や不法滞在外国人等による組織犯罪対策、さらには青少年の健全育成のための街頭補導活動などの諸対策を推進しているところでありますけれども、結果といたしまして、この三地区におきましては、ひったくりなどの街頭犯罪を初めとする犯罪が相当減ってきておりますし、また、違法な性風俗店の大量摘発などの成果も上げてきているところであります。
さらに、こうした対策というものは、東京のみならず、全国でも広げていく必要があるというふうに考えておりますので、全国の歓楽街の風俗環境の浄化を図るために、風俗営業者や性風俗関連特殊営業者等によります客引きやビラ配布等の行為に罰則を新設することなどを柱とします風俗営業法の一部改正案を今国会で御審議いただくこととしているところでございます。
警察といたしましては、これらの諸対策を強力に推進いたしまして、歌舞伎町初め全国の歓楽街の治安の回復のために努力してまいりたいと考えているところでございます。
○早川委員 ありがとうございます。
昨年は、各地の警察で裏金問題あるいはその他の不祥事で、警察に対する国民の信頼を大きく損なうような事件が相次ぎました。私は、まことに残念なことだと思っております。戦後六十年を迎えた今日、警察の改革に向けて引き続き最善の努力をされるよう強く要請して、質問を終わります。
ありがとうございました。
○松下委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
本日は、午前午後、五十分ずついただきまして、警察に対しますいろいろな御質問をさせていただきたいと思っております。
まず、いつも警察のこと、私も当選以来内閣委員会に所属させていただいてもう一年半ぐらいたちますけれども、こうした警察のおつき合いもこの内閣委員会に入ってからなんですが、この間、警察等のこともいろいろ勉強させていただく機会をいただいたということの中で、やはり一連の流れの中で残念に思うのは、警察に対する信頼というものが損なわれている現状があるということでございます。
特に、昨年から私ども民主党を初め、本当に多くの皆さんが御質問をされている件等々を含めて、きょう質問させていただきたいと思っております。
それは、一つは何といいましても警察の不正経理疑惑というものでございまして、警察が長年にわたりまして、各都道府県警察それから警察庁を巻き込んだ裏金をつくっているのではないか、それをひょっとしたら私的流用もしているのではないかという疑惑が常にこの間漂っておりまして、それにつきまして何度もこの内閣委員会でも集中審議を行って、その実態について解明をしていこうということでございます。そして、その目的は何かといいますと、決して警察を何か破滅に追いやろうとかということではなくて、やはり警察というのは大変重要な仕事をしていただいている、そういう部署である。
そもそも国家というものの成り立ちは夜警国家だと言われておりまして、国民国家というものができたときに、国民というものがまず最初に必要だと思ったのは、やはりそれは警察ということだと私は思います。
やはりなかなか一人で、自分でお金を出して、自分の命を守ろう、財産を守ろうとすると、それはとてもできない。とてつもない大金持ちの方がいらっしゃれば自分でできるんでしょうけれども、それはなかなかできない。だから、私たちは、お金を出し合う、今で言えば税金によって、私たちの生命財産を守る、そういう部署をつくろう、つくっていこう、それがそもそも国民国家の初期の段階で行われた、そうした規模だったと私は思います。
現在もそれは変わっていない。やはり国民国家を維持していく上で治安というのは大変重要な問題でありまして、それを担うのが、国内的な治安を担うのが警察の役割だということであれば、私たちはそれに対しては喜んで税金を出し、そして、きちっとその税金を使って治安を守ってほしい、安全な世界を、安全な日本を維持してほしい、こういう思いでいるわけでございます。
ですから、警察の任務というのは大変重い、そして私たちが最も期待するところの一つである、そして、税金を使っていこう、税金を使うべき部署であるということであります。その警察が、今大変大きな疑惑を持たれているということであります。
きょうは長い時間をいただいておりますので、徐々にいろいろ御質問をさせていただきたいと思いますが、特に、去年からことしにかけて大きく動いたと思われるのは、愛媛県警におきまして、現職の巡査部長さんが実名で警察のさまざまな裏金づくり等々についての告発をされているというところが大きく違っている現状だと思っております。
また、午後にも特に集中して質問させていただきますが、昨年問題になりました北海道警におきまして、元警察OBの原田さんが実名でまた内部告発をされておりましたが、つい最近、こうした本も出版されました。「警察内部告発者」という本ですね。これにつきましては、午後、警察庁長官もいらっしゃっていただけるということでございますので、この内容につきましてはまたいろいろお聞きしたいと思います。
こうした、匿名じゃない、実名で名乗り出て、警察の過去の実体験に基づいたいろいろな不正等を内部告発されている、しかもこの一人は現職警察官がされている、こういうところが大きく違っております。
そこで、きょうは、午前中は、特に愛媛県警で実名を挙げて内部告発をされております仙波さん、仙波巡査部長の、これは実は愛媛県警を訴えていらっしゃいまして、訴状があります。その訴状等に基づいて、そこに書かれている内容について、少しの間、事実確認等々を行っていきたいと思っております。
まず、仙波さんが訴状の中で、実に具体的に裏金づくりといいますか、にせ領収書を書かされそうになったという経緯を述べていらっしゃるんですね。これを、この辺の会話をちょっと一遍ここで申し上げさせていただきたいと思います。
例えば、まず、これは昭和四十八年にさかのぼります。巡査部長の昇任試験に合格し、同年九月に三島署に巡査長に昇任して勤務するようになった際、同署の会計課長から、三人分の住所と氏名を記載したメモを渡され、約四掛ける十センチメートルの領収書(ざら紙に手書きで三千円とのみ記入されていた)に書き写すように指示された。原告というのはつまり仙波さんでございますが、これは何ですかと質問すると、同課長は組織のためだと答えた。しかし、原告は、裏金づくりに使われる領収書であることがわかったので、私文書偽造になるから書きませんと拒否したということでございます。
そしてまた、昭和四十九年三月には、同様に会計課長から領収書の作成依頼があった。同課長に、この住所、氏名はどうしたのですかと質問すると、同課長は電話帳から抽出したものだと答えた。作成を求める同課長に対して原告は、昨年九月にも断っています、私を犯罪に巻き込まないでくださいと応酬してかなり激しい口論になったということですね。
その他、ここには、昭和五十年、五十一年、五十四年、五十四年、六十二年、そして最後は平成三年、同じような依頼をされたけれども、拒否をしたということが載っています。
これまでも、警察の裏金づくり、にせ領収書作成につきましては、一部の都道府県県警、また一部の署、また一部の課の、一部の機関の一部の項目ということで今まで調査をされてきたということでありますけれども、どうでしょうか、国家公安委員長、ちょっと今このような私の話を聞いていただいて、どういう御感想をお持ちでしょうか。
○村田国務大臣 当該巡査部長が述べておられることについては、本人の御協力も得て、また、内部、警察の中でも調査を進められるものと思っておりますので、事実が解明されることを期待しておるわけであります。
○市村委員 では、その事実解明のための努力というのは具体的に今何をされているのかということをちょっとお願いします。
○安藤政府参考人 一月の下旬に仙波巡査部長が記者会見をした後、我々としましても、愛媛県警としても、調査体制を確立しまして、本人の事情聴取といいますか、会見で述べたことの確認、あるいは、これは今委員御指摘のように、昭和四十八年からさかのぼっているということでございますので、非常に関係者が多いということでございます。そういうことでございますので、多少時間がかかりますけれども、今現在、最新のをちょっと確認しましたら、三十名の体制で調査、いろいろ事実確認とかをやっている最中でございます。
○市村委員 今三十名でということですが、恐らく対象者というのは、これはもう私の方で知っていますから私から申し上げますが、大体二百名ぐらいと聞いております。それは、現職の警察官だけではなくて、OBも含めて二百名ぐらいの対象者に対して、では、今の官房長のお話だと、三十名の方が当たっているということでございますね。
大体これはいつごろぐらいまでにある程度の調査結果が出てくるという感じで考えていればよろしいでしょうか。
○安藤政府参考人 もちろん、基本的には、可及的といいますか、可能な限り早く事実確認をして県民の信頼を回復するということが非常に大事だということで、愛媛県警もそれに取り組んでおりますし、また警察庁もそういうように指導をしておるわけでありますけれども、何分、先ほど申し上げましたように、昭和四十八年からという非常に古い話でありますし、OBの方とか、いろいろありますので、調査が非常に多岐にわたるということで、今一概にいつまでということは申し上げられませんが、そういう気持ちで全力で取り組んでいるというふうに承知しております。
○市村委員 今三十名でいらっしゃいますけれども、この三十名というのは、この調査に対してどういう方がかかわっていらっしゃるんでしょうか。
○安藤政府参考人 お答えします。
今手元に詳細なメンバー表はありませんけれども、恐らく、これは警務部門を中心にしまして、それから、告発といいますか、指摘された内容自体が捜査報償費にかかわるということでありますから、恐らく捜査部門のメンバーも加えて、非常にそういう点では体制としてはきちっとした人材を集めて調査をしているというふうに理解しております。
○市村委員 しかしながら、それは警察内部の調査というふうに理解をしてよろしいでしょうか。それとも、外部のだれか、警察関係者以外の方がその調査にかかわっているという事実はありますでしょうか。
○安藤政府参考人 これは、愛媛県警の職員をもって構成されているということでございます。
○市村委員 きょうは時間をたっぷりいただいておりますので、これからいろいろと議論をさせていただきたいのですが、これまで私も一年ちょっとかかわってきまして、やはり警察というものが今現在持っている、いわゆる警察一家と言われるんでしょうか、そういう言葉もあるようですけれども、二十三万とか四万とか、物の本によると二十七万とか、警察官の数が少し、数万の違いなんですが、私がここで聞いただけで今二十三万数千人、これで一万人増員されて二十四万ぐらいだと思います。この二十四万人もの方、しかもOBを含めるともっとさらに多くの方々の警察という組織は、どうも一つの家族、ファミリーのような関係にあるようでして、なかなか、実際にあったこと、見たことを言いづらい雰囲気があるというように、この一年半、一年ちょっとぐらいかかわってきていろいろな方のお話を聞くと、どうしてもそういう印象を受けざるを得ないんです。
そうなると、今官房長がおっしゃられたように、内部の関係者が調査しに行った場合、それに対して本当に本当のことを話せるかというと、これはなかなか実態として難しいのではないかという感想を私は持っているんです。ですから、あえて、外部の方は入っていますかということをお聞きしたけれども、どうも今現在入っていないということでありまして、果たしてそれで、本当に事実関係をしっかり確認できるような、そういう調査結果を出せるのかどうかというのは、非常に私自身は疑問を持つんです。
一つの疑問を裏づけるといいますか、疑問を強くそうだなと思わせたのは、最近になりまして、また北海道警で、これは監査について、どうも、いわゆる調査を受ける警察官に対して、上司の方とかが要するに虚偽の発言をしろというふうに圧力をかけたということが、この十日ぐらい前から北海道警では大変問題になっている。去年一番大きな問題になったのは北海道警の問題です。そこで、今日現在もそういう問題が出てきて、つまり、そうした調査を行ったときに無理やり判こを押させられたとか、無理やり虚偽の報告をさせられたというようなことが今出てきているわけです、この状況の中で。
では、今度の愛媛県警の仙波さんの件でも、内部の方が行って本当にそれを正直におっしゃられるかというのは、本当にこれは疑問でありますが、官房長、どうですか。今まで、この一年間、私がかかわっただけでも一年ちょっとですけれども、去年からいろいろな議論をさせていただいておりますけれども、本当に内部の調査だけでそれが出てくると確信をされますか。そう思われますか、どうでしょうか。
○安藤政府参考人 一番最後に御指摘の北海道の件は、最近そういう報道がございまして、これは、真偽のほどはわかりませんけれども、北海道警察の方で今再調査をいたしているということでございます。
これは、早晩結論が出るというふうに思いますが、今、冒頭の委員のお話のように、警察の中で調査ができるかということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、愛媛県警であろうと北海道であろうと静岡であろうと福岡でも、相当な体制を組んで、自分のところの不適正事案というものをやはり自分のところで解決するということでなければ、その組織は私はもたないというふうに思います。
それと同時に、もちろん理由としては、捜査活動という非常に特殊な分野でありますから、捜査の事情がよくわかった人がその疑問点を追及していくというようなことで、組織的に体制を組んでやっております。
これまで、例えば不祥事案いろいろありましたけれども、その監察で、不祥事案を起こした警察官もきちっと、これは御案内のとおり、人間というのはできるだけ全部しゃべりたくないというのはどの社会もそうでしょうけれども、これは、監察も平成十二年の警察改革で強化して、それはきちっとしたプロフェッショナルな調査をして事案の全容を明らかにしている。
そういう警察の中できちっと明らかにするということが非常に大事でありますし、そういう発言を言いにくいというようなことを外から何か報道されますけれども、私自身は、これは三十数年おりまして、警察の幹部といいますか、いろいろな部署でやりました。それはもう末端と一緒になって意思疎通を図りながら、治安という責任を果たす、みんなそういう一致団結してやってきたつもりでありますし、今日、日本の警察の、治安がこれだけ確保されている、多少数年悪くなっておりますが、それは、そういう連帯感といいますか、そういうものが確保されているからだというふうに確信しております。
○市村委員 今、最後に官房長がおっしゃられたこと、日本の治安はいい方だということは、私もそう思っています。やはり海外いろいろ回っていまして、最近、いろいろな凶悪事件、特に、先ほど議論もありました子供が巻き込まれる事件は、私も小さい子供がいますから、もういたたまれません。もう聞くだけで本当にいたたまれない気持ちになりまして、そんな子供を巻き込むような事件は絶対あってはならないと思うのはそうでありますけれども、全体的に日本という国が、総体的にまだ治安がいい方だということはそれは私もそう思っています。だから、それは警察がしっかりと頑張ってくれているということは、そこは評価をしています。
しかしながら、だからといって、今警察に向けられている疑念というもの、疑惑というものがないか、またそれを無視していいかという話にはならないわけです。
それで、最初に官房長が、これは内部の問題なんだ、だから内部できちっと処理をするべきなんだ、まさにそうしてほしいんです、本当は。特に、この話というのは非常に後ろ向きな話です。本来であれば、ここでいつも申し上げているように、これからの、それこそ今さっきお二人の委員がここで議論されていたような前向きな、この日本の治安をもっとよりよくするにはどうすればいいのか、特に子供が巻き込まれるような本当に痛ましい事件がたくさんある、どうすればいいのかということについての議論をもっと深めていくべき場所だと思っています。本来であれば私もそうしたいんです。
ところが、それをしっかりとやっていくためには、過去のいろいろなことがあった、いや、ひょっとしたら現在もあるかもしれないと思われるこの疑惑に対して、しっかりと踏ん切りをつけて、区切りをつけて、一回ゼロにして立ち直っていかないと、これはやはり警察に対する不信感がどんどん増幅していくんですね。
ですから、本来であれば内部の問題なんです。だから、内部で解決していただきたいんです。こんなところに持ってきて、これはある種迷惑なんです、はっきり言えば。内部でちゃんとやってくれればいいものを結局こうやって外部まで巻き込んで、こうして貴重な国会の時間を使わざるを得ない。
また、先ほどからおっしゃるように、毎回、事が起こるたびに、何十人体制です、何十人体制ですと。ただでさえ警察は、人が少ない、手が足りないといって増員だと言っている一方で、はい、今回も三十人体制です、今回も何十人体制ですと。
また、調査をするために、多分、報告書をつくるためには、これは膨大な労力と時間がかかっているはずです。それを、例えば警察官の給料とか、あと国会の開会費とか計算すると、莫大なお金をかけてこの問題に今取り組まざるを得ない状況になっているわけですね。
そこを考えていかないと、私たちが、税金で国会も維持され、国会議員もあり、また警察の皆さんも税金で維持されているわけですから、やはり国民に対し、また納税者に対する責務としては、本当はこんなことのためにこの時間を使うべきでないんです。でも、使わざるを得ない。
だから、そのためには、私がかかわってからも一年以上ですから、もうそろそろ、しかもこうやって内部告発も出てきて具体的な事例も出てきたのであれば、後で警察庁長官とも議論したいと思いますけれども、本当はしっかりと、ここは最後だぐらいの調査をしていただきたいと思っていますが、国家公安委員長、どうでしょうか。
○村田国務大臣 そういう観点から、国家公安委員会といたしましても、昨年の四月に委員会規則を改正しまして、これは会計監査に関するものでございますけれども、全国で、会計に関しまして監査を行う、そういうことを今警察庁を通じてやっているわけでございます。
また、せんだって、愛媛県の公安委員長に対しまして私から、電話でございましたけれども、ばらばら出てくるようなことはますます警察の信頼を失うものでありますから、とにかくしっかりした、きちっとした調査をするように、県警を指導してくださいというふうに命じたところであります。
また、この前、福岡県に、博多に、地震で、私参りましたものですから、夕方、もう時間は過ぎておりましたけれども、県警本部の会、席を設けていただきまして、またすぐ私から訓示を申し上げました。
その中でも、こうした会計の不適正執行というのは、これは公金の問題なので、そうした公金を扱って我々は仕事をしている、これを不適正に使うということについてはまことに問題でありまして、どうか、こうしたことが二度と起こらないようにしっかり認識を改めてもらいたいという訓示をしてきたところでありまして、私としましても、一刻も早くこうした事態を脱却して、本来の仕事に警察の総力を向かわせたいという気持ちでいっぱいでございます。
○市村委員 国家公安委員長の今のお話、私は、大変うれしいというよりも、何というか、うれしいというのはあれですね、ぜひとも本当に今の思いを、今、愛媛県警の公安委員長さんにお電話していただいたということなんですが、実は、この問題は、昨年からも出ておりますように、これは全国的な問題ではないか、広がりを持ったものではないかということがやはり言われているわけです。
しかも、それは、きょうおそろいの警察庁の皆様、警察庁も巻き込んだ問題ではないか、実はそういう指摘をされているわけでございまして、何年度のどの署のどの課のどの項目のということではなくて、やはり全国的なそういった実態調査、一体本当に、現在はないと信じたいんですが、過去であったとしても、過去そういうものがあってそれが現在まで尾を引きずっていると思われますので、では、過去のことにさかのぼって、にせ領収書を書いたりとか、それによって裏金がつくられて、それがどうも一部の人たちのいわゆる遊興費、飯食い費とか飲み食いに使われていたのではないかというような疑いが持たれているわけですから、それについての実態調査を全国的に見て、やはりここは国家公安委員長から命じていただければというふうに思うんですが、どうですか。国家公安委員長、いかがでしょうか。
○村田国務大臣 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、警察庁を通じまして、全国の会計監査をしているというところでございます。
愛媛県の公安委員長に対しましても、私の方から、そうした残尿感のないきちっとした調査をしてくれるようにということでお願いをしたということでございまして、先ほど、命じたというふうに申し上げましたが、私にその権限がございませんので、私の発言を改めさせていただきたいと思います。私の気持ちをお伝えして、お願いをした、こういうことでございます。
○市村委員 国家公安委員長は命じる権限はないんですか。命じられるのは警察庁長官ということなんでしょうか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
命ずるといいますか、警察法の規定の中に、警察庁長官が所掌する事務、これは国家公安委員会の管理のもとに警察庁が管理されている、そこのいわゆる国家公安委員会の所掌事務の中にいろいろな権限があるわけですが、その中で一つ調整権というのがございますので、調整権を通じまして、各都道府県警察を指揮監督するということでございますが、その関連で、全国的な調査をするとか、そういう権限的にはございます。
○村田国務大臣 私の立場からいいますと、私は、警察庁を管理しまして、都道府県公安委員会とは、要するに指揮命令関係はございませんで、緊密な関係を保つ、警察法第五条に国家公安委員会の側からはそういうふうに書いてあるわけです。その中で、私が、愛媛県公安委員会委員長に対して、どうか管理権をしっかりと行使してくださいということをお願いした、こういうことでございます。
○市村委員 これまでも何回も実は委員長に対して、前は小野清子委員長でございましたけれども、私たちは、やはり「国家公安委員会に、警察庁を置く。」ということが警察法第十五条ですから、だから国家公安委員長にお願いすれば多分そういう全国調査も可能かということで、今まで、小野清子前委員長含め、今、村田委員長でいらっしゃいますけれども、申し上げてきたんですが、これは、では、村田委員長にある種権限はあると考えてよろしいんですか、実は結構今まであると思って申し上げてきましたが、あるわけでございますか。
○村田国務大臣 これは、警察の指揮は地方分権になっていまして、私は、警察庁を管理して、警察庁を通じて、要するにいろいろ警察庁が先ほど官房長が言ったような指揮命令権を発揮する、こういう形、間接的になっているわけでありますし、公安委員会同士は要するに指揮命令関係はないということで、先ほど申しましたように、相互に緊密な関係を保つということになっているわけであります。
○市村委員 そうであれば、ぜひとも国家公安委員長の方から警察庁の方にきちっとお話をしていただき、かつ、各都道府県公安委員の皆さんと緊密な関係の中で、お電話等をしていただいたということでございますので、全国的なところで、まず、国家公安委員長からそういった電話というのがあれば、各都道府県公安委員も、指揮命令系統でないとしても、緊密な関係の中で、当然それは真に受けとめて動いてくれると信じたいと思っていますので、ぜひともそういうことを改めてお願いしたいと思うのでございます。
あと一点、ここでまた実はお願いがあるんですが、いろいろな警察の不正、いわゆる裏金、不正金疑惑というものをこれから調査するに当たっては、やはり証拠書類といいますか、証拠となる会計書類が残っていないとどうにもなりません。ことしは、多分、平成十年度の書類がもうじき、あした、あさってぐらいに期限切れで破棄をされる可能性が高くなってきていますので、ぜひとも平成十年度の破棄される予定の書類も、これはちょっと保管をしていただきたい。
去年、保管をするとせっかく前委員長におっしゃっていただいたのに、実は間違って捨てたとか、こういうことが起こりましたので、ここは委員長にもお願いしたいんですが、これは、国家公安委員長の方から、警察庁を通じて、全国の都道府県公安委員会にも連絡をしていただいて、平成十年度の書類も捨てないで、これからそういう全国調査をするに当たりましてはそれは必要ですから、ぜひとも保管をしていただきたい、保全をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○村田国務大臣 既に二月の二十四日に、別途指示連絡があるまでの間、昨年三月二十四日に保存の継続の指示連絡を行った会計文書と本年三月三十一日に保存期間の満了する、新たにつけ加わる分ですね、会計文書については保存するように各都道府県警察に指示をいたしたところであります。
○市村委員 その話を聞いて、私、大変うれしく思います。去年は何かそれが、電話でやっていたんだけれども、連絡が行き届かずに、連絡が入ったところと入っていないところとあったりとかしましたけれども、今回は、では、ファクスできちっと……(村田国務大臣「文書で」と呼ぶ)わかりました、文書できちっとそういったことをおっしゃって、大変すばらしいと思います。
それでは、ちょっと細かい議論をこれから残りの午前中の時間はさせていただきたいと思いますが、国家公安委員長、国家公安委員の年収というのはお幾らか御存じでいらっしゃいますか。
○安藤政府参考人 約二千四百万ぐらいだと思います。
○市村委員 二千四百万ということなんですが、国家公安委員長にこれを聞くのはあれなんですね、私の感想を申し上げると高いんです、非常に高いと思います。
私は、一点ここでお聞きしたいんですが、これまで国家公安委員を委託されるという方の中で、委託される、国会の承認が要りますから、一応、なってください、恐らくこういう相談をされると思いますが、これまで相談された方が、それは大変名誉なことであるということで、国家公安委員になられている方だったら大体功成り名を遂げた方だと私は思います、いろいろ顔ぶれを見ていますと。当然年齢からしても、社会の第一線で活躍をされて、ある種資産的にもたくさんあって、お子さんももう独立されて、本来でいえば年金生活に入っていらっしゃるような方が国家公安委員にはほとんどだと思います。
その中で、そういう立場の方が、例えば二千四百万の報酬を、いや、それはもう要らない。私は、日本という国で仕事をさせてもらって、これまでちゃんとやってこれた、だから、そういう国家公安委員に命じていただいたということは大変名誉なことであるから、一生懸命やるから、それは報酬はそんなにいただかなくてもいいということで、報酬を断ろうとした方は一人でもいらっしゃいますでしょうか、どうでしょうか、今まで。
○安藤政府参考人 質問がございましたので、現時点で調べた限り、現存する書類で確認した限りでは、俸給等が支給されていないという委員はいないものと承知しております。
○市村委員 実際に俸給が支給されても、受ける段階で、いや、いいですよ、そういう意思、気持ちを表明された方はいらっしゃいますでしょうか。
○安藤政府参考人 そういう受諾されるときにどういうやりとりがあったというところまでの記録が残っていないというふうに思いますので、そこはちょっと不明なところであります。
○市村委員 これは、実は、国家公安委員会だけの問題でなくて、いわゆる政府のいろいろな審議会の委員等々にも言えることなんですが、大体かなりこういう多額の報酬を受け取れる立場というのは、本当に国家、国の第一線で活躍していただいた大先輩方がなっていらっしゃるケースが多いと思います。
私が大変、私のこの世代で残念に思うのは、そういう方が一人でもいいから、私は名誉なことなんだ、この立場を与えていただくだけで名誉なことだから、そんな報酬などというものは気にしないでいいですよ、これくらいのことをおっしゃる方が一人ぐらいはいたのかなというふうに思いたいのですが、どうもいないと。
一方、見てください、今の二十代。手取り十数万で、東京なんといったら、ワンルームマンション借りるのも八万、十万ですよ。そこの中で、子供を産んで育てている世代が本当に多いですよ、二十代とか見たら。
では、これから世の中どうなるかというときに、非常に若い世代が将来に不安を持たざるを得ない。だから、非常に、子供を持てない、少子化が進むというような状況になってきているときに、私は、そうした功成り名を遂げた方が、もういいよ、後は社会のために私たちは尽くすよと。昔の江戸時代の隠居というのは、四十代であろうと二十代であろうと、一財産つくった人間が、もういい、これからは稼ぐ必要はない、一生生きていけるだけの金は稼いだ、だから、たとえ四十であっても隠居して、例えば日本地図をつくった伊能忠敬さんなんというのは、あの人も隠居ですよ。あの人だって、金もうけはもういい、生活する金は稼いだから、蓄えたから、あとは隠居して、社会のために役立とうということで、日本全国回って日本地図をつくったのが伊能忠敬さんですよ。
だから、日本はそういういい先人がいるにもかかわらず、いつから、しこたま頑張ってやった方が、何でそんな、さらに二千四百万もの報酬を平気で受け取るのか、私には理解できないんですが、どうですか、国家公安委員長。
これは国家公安委員だけの問題じゃありません。ほかの政府のいろいろな審議会の委員も同じだと思いますけれども、やはり、僕は大先輩方に求めるのは、それはなかなかお金がなくて困っている人がいたら別かもしれませんけれども、少なくとも、あの顔ぶれを見て、そういう方ではないと私は思いますが、いかがでしょうか、委員長。
○村田国務大臣 国家公安委員会委員の給与ですけれども、特別職の職員の給与に関する法律において定められておりまして、たしか昨年の秋に改正されまして、段階的でありますけれども、報酬が引き下げられていくというふうに聞いているわけであります。
しかしながら、私は国家公安委員会は国会の関係があってほとんど出席がなかなか思うようにできない中、委員の皆さん方が大変真剣にいつも議論をされておられまして、警察の運営の本当に大綱を議論していただいているということ、あるいは、場合によっては、自衛隊の治安出動とか警護出動についての対応についても協議を受けるというような大変重要な職務を帯びているわけでございまして、私は、その法律に基づきまして適正なる報酬というものは支給されるべきではないかと私自身は考えているわけであります。
○市村委員 私は、適正の水準がどこまでかと思いますが、例えば交通費とか実費、これは出てきていただくに当たっては当然だと思いますし、その他わざわざお時間をいただいて出てきていただくんですから、それは多少の謝礼というのはあってしかるべきで、全くゼロで無報酬でボランティアやってくれということではないとは思っています。
ただ、やはり、二千四百万というこの額というのは、これは大変大きな額だろうと思います。ですから、これについては、これは国家公安委員だけの問題じゃありません、各種の政府の審議会の委員等々のことも含めた上ですけれども、やはり、きちっと見直されるべきだというふうに私は思っておりますし、見直す以前の問題として、私としては、さっきも申し上げたように、一人ぐらいそうした人物がこの国に残っていらっしゃらないかな、こういう期待をしたんですが、いらっしゃらないということでございますので、ちょっと残念な気がします。
ただ、国家公安委員の皆さんが、それは真剣にやっていらっしゃるということは、当然そういうふうに信じたいと思っておりますし、そうであろうというふうに感じておりますので、別に国家公安委員になられた方がだめだと言っているわけではありません。その仕組みとしての考えと、やはり日本という国がこれまで輩出してきた人物というものを考えたときに、今の現代というのはどうかなというふうに思っているわけでございます。
それで、次に、実はさっきの愛媛県の仙波巡査部長さんといろいろ話した中で、警乗パスというものが実は話題に上ったことがあります。仙波さんは鉄道警察隊にいらっしゃったので、鉄道警察隊の方には普通のいわゆるJRの無料パスみたいなものが警乗パスとして支給をされているのか、何か一つあってそれをみんなで鉄道警察隊の方が使い回しているのかどうかわかりませんが、少なくとも、警察官、警察隊の方は、当然鉄道警備ですから、鉄道警察ですから、無料で行き来できるような、無料というよりも、勤務ですから当然だと思います。
しかし、問題は、それを使うべきでない人がそれを使わせろといって借りに来て、それで出張する。そして、それだけでもかなり問題かと思うんですけれども、それプラス、無料で乗っておいて、出張費はちゃんと、これはせこい話です、千七百円です、千七百円は別途にちゃんと請求をしているということでありまして、すなわち、千七百円は交通費として使っていないわけですから、つまり、使わずに自分のお小遣いにされているのか何にされているのか、入れているということがどうもあるようだということでございますが、これについて、どうでしょうか、事実と考えてよろしいんでしょうか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
まず、警乗パスという御指摘でありますが、これは、JR各社が必要と認めた業務に従事するため、駅構内、列車内等に立ち入らざるを得ないと認められた者に対しまして交付される業務証明書を指すものと思います。
これは、JR各社におきまして、警察官が駅構内、列車内等における犯罪の予防、捜査、犯人の追尾及び逮捕等の公務に従事する場合、業務証明書を携行して立ち入ることができる、こうなっておりまして、各都道府県警察では、交付を受けました業務証明書を、列車警乗だけではなく、すり犯捜査等に活用しておるということでございます。
今御指摘がございました、警乗パスを使用しながら旅費をもらっているのではないかということでございます。
委員御指摘の千七百円というのは、正確に申し上げますと、実際、運賃は要りませんので、旅費としては、日当等が千七百円ということでありますけれども、そういうことは恐らくないと思いますが、現在、愛媛県警察におきまして仙波巡査部長本人や関係者からの聞き取りを行っております。事実関係の確認を今鋭意行っておるということでありますので、お尋ねのような事実の有無というものも、この調査を通じて確認されるというふうに思っております。
○市村委員 済みません、あと五分になってしまいましたので、また午後にこの続きをさせていただいて、きょう、実は、ちょっと一点、国税庁といいますか財務省から来ていただいていますので、その点についての質問をさせていただきたいと思います。
と申しますのも、原田元釧路方面本部長の御著書であります「警察内部告発者」の二百三十七ページに書かれているんですけれども、当時、一九八六年前後ということでございますけれども、北海道警察の警察官等の保険事務手数料が、北海道警察の外郭団体である北海道警察協会に計上されたということでございます。
それにつきまして、このような例えば保険事務処理の代行事業を財団法人等の公益法人が営んでいる場合、その手数料収入については現在も収益事業として申告義務はあるかどうか、そのことをちょっとお尋ねしたいんですが、よろしくお願いします。
○竹田政府参考人 お答え申し上げます。
個別にわたる事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、法人税法上、公益法人等につきましては、税法所定の三十三の収益事業を営む場合に限り、その収益事業から生ずる所得につきまして法人税が課されるということになってございます。
そこで、今先生お話しの保険の関係でございますが、一般に、保険に係る事務処理を代行して保険会社から事務手数料を得る行為、これはこの収益事業の一つでございます請負業に該当すると考えられます。したがいまして、このような保険に係る事務処理の代行事業を公益法人等が営んでいる場合には、当該収益事業に係る法人税の申告義務があると考えられるところでございます。
○市村委員 それで、今、いわゆる申告義務があるということなんですが、どうでしょうか、これも事前通告しておりますが、現在でも北海道警察では保険会社からの保険事務手数料を受け取っているんでしょうか。それは、受け取っているとしたら、やはり現在でも警察協会に計上されているんでしょうか、どうでしょうか。事実関係をお願いします。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
保険料徴収事務につきましては、財団法人北海道警察職員互助会が同じく財団法人の北海道警察協会に委託しているものと承知しております。
お尋ねの税務申告につきましては、現在、北海道警察職員互助会において税務申告がなされているというふうに承知しております。
○市村委員 大体年間どれぐらいの額がこの件で申告されているんでしょうか。どれだけの手数料が集まっているのか、請負手数料ですね。
○安藤政府参考人 ちょっと急な話でございましたので、そこまで承知しておりません。
○市村委員 では、午後はまたぜひともお願いします。
それと、これも時間的に午後にまた改めてになると思いますけれども、先日、仙波巡査部長が、一九九九年十月から二〇〇一年の一月までの間、都合八回の旅行命令があったので、それで出張といいますかいわゆる県外に行かれた、八回ですね。その書類を保全してもらおうとして裁判官とともに愛媛県警に出向いたということなんですが、何とその仙波部長の分だけない、こういう話であったようでございます。
仙波部長は確かに八回旅行したということでございますので、時間切れでございますが、午後にまたこのことについて、最初に、冒頭でまたお返事を下さい。ないということでございますので、あったかどうかだけ、本当にないかどうかだけお伝えください。
では、これにて午前中の質問を終わります。
○安藤政府参考人 委員御指摘のように、旅行命令簿に仙波部長の関連するものは、その当時のものはございませんでした。
○市村委員 また後ほどやります。
○松下委員長 次に、宇佐美登君。
○宇佐美委員 おはようございます。宇佐美登でございます。
それでは、市村議員に引き続きまして、警察に関しての集中審議をやらせていただきたいと思います。
もうこれまで幾度となくやらせていただいているところですが、公安委員長、本当にいろいろお疲れさまでございます。特に、本当に残念なことに災害がたくさん起こっている中で、あわせてお仕事が重なっているということで、本当にお疲れのことかと思います。
ところで、公安委員長、警察庁の庁議というのがございますよね。庁の、恐らく警察庁長官以下の会議、これは公安委員長は出席をされるんですか。
○村田国務大臣 私は出席をいたしません。
○宇佐美委員 これは、ほかの大臣ですと、例えば防衛庁長官が防衛庁の庁議に参加しないなんてあり得ないことですよね。もちろん時間の都合があるかもしれないですけれども、基本的には、大臣たるもの、そこの庁を統括していくわけです。
釈迦に説法でありますけれども、公安委員長というのは、先ほどからありましたように、親密では困りますけれども、緊密な連携をとりながら、警察庁をしっかりと監督していただくわけでございます。
とすると、公安委員長には警察庁のいろいろな情報はどういう形で入ってくるんでしょうか。
○村田国務大臣 私は、行政委員会のトップといいますか委員長でございまして、警察自体、私どもは要するに、警察法上、警察の政治的権力からの独立といいますか、それを担保する意味でそういう形になっていると思いますが、そういう意味で私は庁議に参加する資格がない、こういうことであります。
しかし、国家公安委員会を主宰し、運営する観点から、私だけではなくてほかの委員も、適宜、会務の運営に必要な情報は会務官室を通じまして報告を受けることができる、こういう形になっていると思います。
○宇佐美委員 とすると、ふだんは、公安委員長、今災害対策もあるので現地に行かれたりも多いかと、特に大臣が就任されてからだと思いますけれども、基本的には、公安委員会のもとに警察庁があるわけですから、公安委員長室があるわけですよね、そこにいらっしゃって、一人ぽつんと寂しくいるのか。それとも、一日の、昔、小野公安委員長にも聞きまして、あのときは少子化対策も小野さんはやられていて、あともう一つ何かあったような気がするんですが、その時間配分はどうするんですかというようなことを聞かせていただいたんです。今本当に一番大切な災害対策、何かあったときに手を差し伸べてほしいという国民の声に、残念ながら今の政府の対応は、公安委員長はしっかりと個人的には対応されていらっしゃるかと思いますけれども、政府としては、例えば個人の財産の部分について、よく御存じのとおりであります、対応ができていないところもあります。
いずれにしても、公安委員長としての仕事というのは御自身の中でどれぐらいあるか、もしくは、公安委員長室というのにどれぐらいいらっしゃるものなんですか。
○村田国務大臣 私に与えられた部屋は実は三つあるんですよ。内閣府の本府の方に一つと、それから、五号館といって厚生労働省の三階にいろいろな危機管理のセンターがありますよね、内閣府の防災担当のスタッフは昔の国土庁の系譜を引きずっていてそこにいるんですね。もう一つ、私は有事法制というのもやっておりますから、これは内閣官房でございまして、内閣府本府の裏にプレハブがありまして、スタッフはそこにいる。それからもう一つ、私は犯罪被害者基本法の担当でございますから、これを内閣府の方で担当しているということであります。
これが私のいつもの頭痛の種でございますが、適宜私が国会との関係で一番都合のいいところに陣取る。だけれども、原則がありまして、月曜日と金曜日は内閣府本府、それから、それ以外の火曜日から木曜日は国家公安委員長室ということであります。場合によって、災害が起こったときとかスタッフが緊急に動けないときは、私の方が動いた方が早いものですから、私が五号館の方に行って執務をする、こんな感じでございます。
だから、ぽつんとしているんじゃなくて、しょっちゅう説明を受けるし、私の方からいろいろなことを要求いたしますので、その意味で朝から晩まで結構繁盛いたしております。
○宇佐美委員 スーパーマンのように飛び回っていらっしゃるんだと思うんですが、その中で、国家公安委員長が警察関係で出席をされる会議というのは一週間でどういう感じなんでしょうか。
○村田国務大臣 警察庁の幹部といいますか、ずらっとそろったものは、さっき言ったように、ないわけですね。私が個別に担当者、課長とか審議官とか参事官とかを呼んで、あるいは説明に自発的に来られるというのを聞く。だから、定例的なのは国家公安委員会ということで、木曜日にあるということであります。
だから、どちらがどちらかというと、災害の方は突発的にどんどん起こってきますから、そういうことと、それから災害の方も、定例的な中央防災会議の話とか、あるいは検討会で詰めていること、ボランティアの会とか集中豪雨のあれとか答えを出さなきゃいけないようなものをやっているのがありますから、そういう会議に私も出たり、いろいろな意味で、やりくりしながらあっちこっち出ている、こういうことであります。
警察の方も、官房長官主宰のいろいろなテロ関係とか治安関係とか、そういう会議もございます。あるいは安全保障会議もある、こういうことでございますので、そういうことをいろいろ、時期に応じて走り回っているということではないかというふうに思うわけであります。
○宇佐美委員 今お話を伺っても、忙しいことはよくわかったわけですけれども、とすると、やはり、ある意味オフィシャルに警察庁の皆さんに話すチャンスというのは、基本的には公安委員会の場しかないということですよね。それ以外には個々呼んだり来たりということであります。
この一年数カ月余り、警察の不正経理、もとをただせば平成十二年の新潟雪見酒事件からあるわけでございますけれども、まだ脈々と続いているというのが、私を含めて民主党で今ずっとこの不正経理問題を追いかけている中で感じるところなんですね。
一方で、災害対策の話もあるというのも、私どももわかる。阪神大震災のときに、私、一年生でおりましたけれども、当時、たしか国土庁長官が併任をされているというか地震対策も見ていたんですけれども、阪神大震災が起きて、ものの数週間で別の方を充てられたような記憶がありますが、公安委員長として、今国家公安委員長でいらっしゃいますけれども、災害対策もこれだけ起きている中で、ちょっと荷が重いんじゃないかなというような思いがあります。
というのは、この不正経理問題、ずっとやってきても、例えば資料が出てこない部分がたくさんある。昨年も、公安委員長からの指示もあって、資料を保存しておけ、保全しておけと言ったけれども、現実問題、保全もできなかった。ことしは早々と公安委員長がやられたということでありますけれども、どうでしょう、もう公安委員長は公安委員長単独の仕事をやられたいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○村田国務大臣 私は、総理から、就任時に、君の仕事はすべて国民の安全にかかわることでありますのでしっかりやれということでございましたので、総理からの指示を責任を持って今後とも果たしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
○宇佐美委員 就任されてから警察の状況にどんどん詳しくなっていらっしゃると思いますけれども、今の警察庁及び全国の自治体警察の皆さんのあり方についての感想をお願いします。
○村田国務大臣 先ほど田端先生からもお話がありましたけれども、要するに、行政委員会という組織になって、その上に私が座っている。これは戦後の形態として、戦前のいろいろな反省もあってそういう形になっているというふうに思いますが、そういう中で地方分権の形になっている。そういう中で、いろいろ社会情勢が変化している中でどうかという田端委員からの御質問があったのに由来するところもございますけれども、やはり警察の権力というのは大変強力なものでありますから、私は、今の体制というのは尊重してしかるべきだ、こういうふうに思います。
ただ、人材が今のままで果たして育っていくかということですね。要するに、もまれ合う世界というのが広いほど、もまれて経験を高めていくということはあると私は思いますので、地方分権になっているのが果たしてそのままでいいのかどうか、人材を養成するという意味で、能力を高めるという意味でいいのかなというのは、つとに私は考えているわけであります。
○宇佐美委員 先ほど市村議員からもありまして、これまでの議論で、警察の不正経理、我々は、ある、もしくは少なくともつい最近まであったという認識をしています。北海道だけでありません、愛媛もそう、福岡もそう、静岡もそう、四十七都道府県津々浦々といってもいいぐらいに不正経理があるというふうに、私どもは、大変悲しいことです、残念ながらそう認識をしておりますけれども、公安委員長はいかがですか。
○村田国務大臣 個々にいろいろな県で、こうした不正経理といいますか、予算の不適正執行という実態がぱらぱらと出てきているわけでありまして、国家公安委員長といたしましては、とにかくしっかり各都道府県において責任を持って調査を行っていただいて、これで、とにかく反省すべきは反省する、処分する者は処分する、それから返還しなければいけないものは返還しなければいけない。できるだけ早い間に線引きができるということ、そして警察が本来の業務に前を向いていける事態というものを早くつくらなければいけない。
私がこの前、愛媛県の公安委員長に対して、電話でございましたけれども、そういうことをお願いしたのも、私のそういう趣旨を伝えたかったからでありますし、福岡県警本部に行って訓示を垂れましたのはそうした意味であります。
今後も、やはり、そうした警察というのは国民の信頼を一手に集めてやらなければいけないところでございますので、私も機会を見て各都道府県警察に参りまして、もう一度私からも、しっかりとした調査と、それから今後の適正な会計の執行ということは要請してまいりたいというふうに考えております。
○宇佐美委員 もう一度お伺いしますけれども、全国で四十七都道府県の県警本部及びそこの下にあります警察署において不正経理があったかどうか、組織的にあったかどうか、そのことについて端的にお答えください。
○村田国務大臣 これまでの例では、過去において慣例的に行われた事実というのはあったんだろうと思います。ただ、それが組織的に行われたかどうかということについては、私は、そういう事実はなかったものと承知をいたしておりますけれども、しかし、それぞれの都道府県警察において、大規模なところもありましたし、ないところもありましたし、そういうことを見ておりますが、いささかでもそういう実態があるということは、私としては、まことに残念な事態であると認識をしております。
○宇佐美委員 今、愛媛県の公安委員長に直接お電話で話をされたというふうにおっしゃったと思いますけれども、愛媛県警の本部長には直接指示などをされたのか、それともそういう権限があるのかないのかも含めてお答えください。
○村田国務大臣 直接のそういう権限はないわけでありまして、警察庁を通じまして国家公安委員長としての管理権を発揮するということになろうかというふうに思います。
○宇佐美委員 とすると、先ほど福岡県警に行って訓示をされているというのは、まさに話が違いますよね。
○村田国務大臣 これは、私が事実として訓示をしたということだけでございますので、そこは指示をしたり命令をしたことではございません。私の希望を、要請を現場に行って述べたということでありますので、命令をしたとかそういうこととは全く違うのではないかと思っております。
○宇佐美委員 国家公安委員長は、各都道府県の公安委員長にも命令をする権限はないと思います、指示なり要請をすることはできても。つまり、同じように、愛媛県警の幹部、本部長を中心にした幹部に対しても、先ほど言われたような訓示という表現なのかわかりませんけれども、少なくとも、直接的に連絡をしてしっかりとやるようにということを要請なり訓示をすることはできるかと思いますけれども、する意思はございますか。
○村田国務大臣 私の国家公安委員長としての立場と、私の会計の執行の適正化を本当にもだえるような気持ちでお願いしたいという気持ちで、機会を見て行きたい、あるいは要請をしたいということでございますので、私は、今後も機会があればやりたいというふうに考えておりますが、一定の法律上の権限から限界はあるというふうに思います。
○宇佐美委員 午後、警察庁長官もこの会議に出席をされますので、警察庁長官にもそのことについて引き続き質問させていただきたいと思いますけれども、午前中、ちょっと残りの時間をこれまでずっと継続的にやってまいりましたオートバイの高速道路の二人乗りを短くやらせていただいて、午後またこの不正経理問題も質問させていただきたいと思います。
交通局長、あさって四月一日から、この十二年間私も国会でずっとやってまいりました高速道路におけるオートバイの二人乗りが全国的に解禁をされるわけでございますけれども、甚だ残念なことに、前臨時国会のときにも指摘をしておりました首都高速道路、東京の首都高速道路において環状線を含む結構な部分が通行を禁止されるということが東京都の公安委員会で決定をされているわけであります。
警察庁は、二〇〇四年、昨年の十一月十日に、どういう状況のときに禁止ができるのかということに対しての御回答などから考えて、個別路線ごとに交通事故発生状況、道路構造など、この中には交通量、渋滞規制状況など点検の上となっているわけでございますけれども、東京都の公安委員会はこれらを全部されているんでしょうか。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
都の公安委員会のことであります。警視庁におきましては、昨年の法改正を受けまして、首都高におきます自動二輪車の二人乗り通行禁止規制の見直しを検討するに当たりまして、首都高速道路の路線ごとに、過去十年間の交通事故の発生状況、あるいは交通規制の実施状況、それから道路構造、交通量、安全施設等の道路交通環境について調査をしたものと承知しております。
○宇佐美委員 その調査内容について、私ども委員に報告はいただけますか。
○矢代政府参考人 概略次のように御説明したいと思います。
今申し上げましたように、警視庁でそのような調査を行ったわけですが、あわせて二輪関係者等からのアンケートなどもやっておりました。そこで、首都高速道路の全区間の中から五十七カ所におきまして、交通安全施設等の整備につきまして、道路管理者であります首都高速道路公団に相談し、かつ要請もいたしました。
それで、安全対策の主な項目ですが、道路構造、これはカーブの改善あるいは縦断勾配等の改善でございますけれども、二十八カ所。それから、一カ所につきまして複数の改善点がございますので、カーブ注意、追突注意等の看板の設置や、それから高機能の舗装、滑りどめでございますが、そういう措置、あるいは段差舗装、それから合流部におきます区画線の改良でございます。あるいは、車線指定を示す案内標識等、もろもろの対策を申し入れました。
それで、構造のところはやはり用地あるいは工事規模の点からちょっと困難であるということで実施できなかったわけですが、そこのところにつきましては、現在、二十八カ所ほど申し入れたわけですけれども、そのうちの一カ所につきましては他の措置を講ずるということで、これは通行はできる箇所でございまして、残りは内環状、その枝でございます。
それから、構造以外のところでの改善も二十九カ所申し入れているわけでございますけれども、二十五カ所は改善していただきました。改善はできず、あるいは既にしてあるのでということで、四カ所はいたしませんでしたが、この結果、これを区分しますと、十三カ所は通行ができる、その他の十六カ所は通行できない部分が若干残る。これはネットワークの内環状の中にありますので、そういう関係もあります。
ということで、検討につきましてはそういう作業をいたしまして、それで御案内いただきましたような範囲に絞り込んだということでございます。
○宇佐美委員 きょうは国土交通省を呼んでいないわけですけれども、以前も申し上げたように、途中までオートバイで乗ってきました。一人乗りの人はそのまま行って、二人乗りは、どこからでもいいですよ、中央高速から首都高四号線でもいいですよ、たしか永福あたりでおりなきゃいけないんですよね。
とすると、片方は永福までのお金、あそこは、永福は三百円とか何か、七百円ではなくて安くなっているんですけれども、そうでない部分もありますよね。つまり、首都高全域を走れるだけの金額を払ったにもかかわらず、途中でおろされるというケースがありますね。これは極めて不公平だと思いますけれども、局長、どうですか。
○矢代政府参考人 御指摘のとおり、首都高に乗り入れて短区間でおりざるを得ないというところが出てきますので、それはそのとおりだと思います。ただ、全体の交通規制をしていく上ではどうしてもそのような箇所が部分的ではありますが出てまいります。
それで、これは道路の管理区分が違ってくるわけですが、首都高速公団と道路公団は違いますが、道路公団の方にもお願い申し上げまして、その前の道路公団の管理区間の間から事前にいろいろな看板なり案内を出して、それでそこを選択できるように、そういうふうな工夫もいたしております。
○宇佐美委員 たとえ選択ができたとしても、それでいいというようなレベルでの話ではないと思います。また今度、国土交通省なり首都高速公団も呼んで、そこの点を質問させていただきたいと思います。
大阪にも、首都高速という名前ですか、環状線のところがありますけれども、そこは今回、大阪府の公安委員会が通行していいですよと、オートバイの二人乗りはオーケーになっているわけですね。そういった中で、これは東京だけ、首都高速の一部だけなっているわけですけれども、では、どのような状態になったらこれは通行が可能になるというふうに警視庁なり東京都の公安委員会は言っているんですか。
○松下委員長 大きな声でお答えください。
○矢代政府参考人 はい。
これは、都の公安委員会及び警視庁が御判断されることになるわけでございますけれども、通例の交通規制のやり方から見まして、現在、規制が続いた後も引き続き道路の改良等の安全対策は公団には要請しておるわけです。
今後、安全対策の実施状況や、あるいは二人乗りの解禁後になりますと交通事故の実態がどうなっていくのかということで、自動二輪二人乗りの危険性の評価などが具体的になってくると思いますし、また、その際どういう点に注意すればいいのかというような知見も出てくるかと思いますが、そのようなものを見きわめながら、東京都公安委員会において適正に判断されるものというふうに考えております。
○宇佐美委員 今局長、実際に二人乗りの自動二輪の安全が確認できればと言いますが、私の知る限り、昨年法案が通過してから、きょう現在まで、例えば首都高速で、警視庁の方でもいいですよ、オートバイで二人乗りで首都高速を試験走行されて安全か危険かというのを試験されたというのを私は少なくとも知らないんですけれども、そういったことをされたんでしょうか。
○矢代政府参考人 お答えします。
そのような実験はやっておりません。これは自動車安全運転センターなどの施設内でいろいろな実験をやっております。
私から申し上げましたのは、そのようなさまざまな知見から、高速道路におきます二人乗りで条件の悪いところについては危険であろうというふうに判断しているわけですが、それで恐らく、それ以外の区間も通じましてさまざまな状況が、実際の実走行に伴ういろいろな状況が出てくると思います。そういうものを全体として踏まえますと、評価というものもさらに現実的なものが出てくるんだろう、こう思っております。
恐らく、将来、そういうものも含めまして見きわめながら、東京都公安委員会において適正に判断するものであろうというふうに考えるわけであります。
○宇佐美委員 今の局長の答弁だと、今まではされていない、実験場でシミュレートされているけれども。今後は、つまり、東京都公安委員会なり警視庁においても首都高速で実走行の実験をやられていく、それを期待しているというような答弁だと思いますけれども、端的にお答えください。
○矢代政府参考人 大変失礼いたしました。
そういうことではございませんで、禁止区間につきましては当然二人乗りでは乗り入れられないわけでございますが、高速道路でいろいろな分合流、カーブ、そのような、状況は若干違いましてもさまざまなところでの実走行が出てまいります。
したがいまして、いろいろ心配しております分合流あるいはカーブ地点のすりつけ、あるいはその他の縦断勾配、横断勾配それらの影響、あるいは混雑時、特に低速走行になったときの状況など、そういうものは首都高以外のところでいろいろ実際の走行の中で状況が出てまいりますので、それは知見としてはいろいろ評価していく上で要素になるであろう、こういうことでございます。
失礼いたしました。
○宇佐美委員 局長に聞いていてもらちが明かなくて、これは東京都の公安委員長か何かここに呼ばないと話にならないんですよ。
続いて、もう時間ですので、きょう午前中は終わりますけれども、例えば、ではマネキン人形みたいなもので、もしくはロボットでもいいですよ、後ろに乗っけて、人間ではないからということで首都高速で実験をしたか、もしくはそれが可能かどうか、法的に違反かどうか、こういった話も東京都の公安委員長に聞かないとわからないですね、局長。
だとしたら、ここに来て説明してもらわないと、いつまでたっても、つまり、昨年この国会で道路交通法の改正をしたにもかかわらず、そしてそのルール、条件を出したにもかかわらず、それがしっかり実行されていないで禁止をされているというのは、我々が一生懸命議論をして法律を通しても、それを実行していないというのは、やはり正しい状態ではないというふうに思っています。
午後、この話はやめますけれども、今後とも局長もしくは、これはまた公安委員長に言ってもちょっとずれる話なんですけれども、ぜひ、日本全国オートバイで高速道路も二人乗りできると。
合流、分流とかの話だと、基本的に加速性、減速性、安定性が問題になるんですが、では、体重二百五十キロぐらいの人がオートバイに乗っていて、一人乗りですよ、当然加速は悪くなりますよね。体重八十キロの人に比べれば三倍、加速度はまた違う計算ですけれども。では、それと二人乗りの違いはどこに出てくるのか。加速性、減速性においては体重が重い人が乗った時点でイーブンですよ。恐らく安定性について初めて、二人違う人が乗るということで出てくるかもしれません。
この中にはオートバイ乗りの方もいらっしゃる、警察幹部の中にもいらっしゃるわけですから、私の言っていることはよく理解いただけると思いますけれども、引き続き、この東京都公安委員会の、私からすれば間違った決定について議論をさせていただきたいと思っております。
公安委員長、午後は、交通安全協会の問題と、愛媛県で酒飲み運転したときに現金をキャッシュバックしていたというようなゆゆしき話を聞いておりますので、この点などについて質問させていただくことをお話しさせていただきまして、終了いたします。
ありがとうございました。
○松下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時六分休憩
――――◇―――――
午後一時二分開議
○松下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宇佐美登君。
○宇佐美委員 警察庁長官にお出ましいただきまして、引き続き質疑をさせていただきたいと思います。
午後は、仙波さんのいろいろな発言もあるんですが、その中で、特に、飲酒運転のときの交通違反切符でお金を警察官にキャッシュバックしていたというゆゆしき話を聞きましたので、その事実確認をさせていただきながら質問させていただきたいと思います。
具体的には、仙波さんは昭和六十二年の四月から八月まで松山東警察署に勤められていたそうであります。その際に、飲酒運転をすると、酒気帯びと酒酔いがありますけれども、赤切符になるわけですよね。それを毎月毎月月末にまとめて、その担当警察官、赤切符を発行した人間、この人に対して一月まとめて、例えばAという警察官が三件挙げたら三千円、松山東警察署、当時は合田さんという署長さんだったらしいんですが、署長じゃなくて交通課長からその警察官に千円を渡していた。そのお金はでは一体どこから出てくるのかという疑問もあるわけですけれども、そういったことがあったと言われております。
それで、調べさせていただきました。昭和六十一年当時、松山東警察署は飲酒運転で年間で検挙というんですか、赤切符を出しているのが三百五十一件でした。翌昭和六十二年、キャッシュバックするようになって、千七百二十五件、五倍。翌昭和六十三年はほぼ同じ数字、千八百四十六件なんですね。
では、その松山東警察署、よく交通違反のところで飲酒と速度とある、あと駐車禁止とかありますけれども、速度はどうかというと、昭和六十一年、松山東警察署は七千百三十四件、これは赤切符じゃないと思います、含まれていると思いますけれども、全部の速度違反で。翌昭和六十二年は減って六千二百七十六件、六十三年には三千七百六十八件、二年間で半分近くに減っていきます。わかりますか。キャッシュバックをしている飲酒運転の取り締まりは一年間で五倍になった。
では、これは松山東警察署だけなのかということを考えると、次に昭和六十二年の八月から伊予署に仙波部長は転勤しているんですけれども、昭和六十三年四月に鳥生さんという署長さんが入られ、三須田さんという交通課長が入られたそうです。この人が、六十三年四月に、東方式、さっき言ったように松山東警察署が始めたので、東方式をまねてやろうと言ったそうです。このときはもっと露骨で、一件一件、違反切符を持っていくと、交換で封筒に入れた千円を交通課長から直接渡されていたということであります。
さらには、これは伊予署と、松山東署も多分同じだと、ここはあれなんですけれども、一月一日から数え始めて十件目ごとに倍づけ、二千円あげる。恐らくこれは伊予署の話だと思うんです。そうすると何が起きたかというと、十五件目とかのときに持っていっても千円だから、みんなが抱えちゃうんだそうですよ。十八件目、十九件目で、ここだろうといって持っていって二十件目になって、十件ごとですから二千円のキャッシュバックということで、月曜に捕まえたのが金曜日あたりに、つまり十件ごとの切りのいいところで、倍づけだというところに出てきたということです。
まだ、この昭和六十四年というんですか、平成元年の数字はもらえていないんですけれども、伊予署においては、飲酒の取り締まり件数が昭和六十一年が八十九件でした。それが昭和六十二年で百六十七件、この鳥生さんという署長が来て東方式をまねたところ、二百九十八件、二年間でここは三倍以上ふえたわけであります。
松山東、伊予がふえています。これは全域的に例えば飲酒運転というのが悪であるから件数がふえていったのかという見方もあり得ると思いますので、松山東のお隣、松山西警察署を見てみます。
松山西警察署は、昭和六十一年、飲酒の赤切符が挙がっているのが二百三十三件でした。これが翌年は二百十六件、そして昭和六十三年には百九十九件。減っています。
おもしろいのが、大洲という前回不正経理が出てきたところでもあるんですけれども、ここは、昭和六十一年は百十件だったのが昭和六十二年には九十五件で、翌昭和六十三年で百七十件に上がっているんです。
ここは推測の範囲、これから言うのは推測の範囲を超えませんが、昭和六十三年ぐらいから愛媛県の中でこの松山東方式というのが非常に伝播していった、キャッシュバックが横行していたのではないかと思われてもおかしくない、この大洲署のふえ方もあります。
松山西は減っていますよね。では、速度違反もどうかというと、実は松山西は速度違反も半分ぐらいに減っています。ところが、大洲に至っては、先ほど申し上げたように、飲酒の検挙数は昭和六十一年から六十三年までにふえたんですけれども、逆に速度については千九百二十四件から八百五十五件と半分以下に下がっている。
ということは、恐らくこの時期に、飲酒運転をしっかりと取り締まれというような指示なり合意もあったんだと思います。そこについては、問題はないと思います。
特に、飲酒運転の結果というのは、非常に死亡事故につながるケースも多いし、今罰金制度を高くして、如実に飲酒運転による交通事故、特に死亡事故という件数が減っていると聞いておりますので、飲酒運転の取り締まりを強化することについては異論はないところでありますけれども、仙波さんの言われているようにこのキャッシュバック制度があるとしたら、これは運転者、国民としては許しがたい話であります。
交通違反でお巡りさんが小遣いを稼いでいる、このことについては、長官、いかがですか。
○漆間政府参考人 今のお話は、実は私も、統計を見まして、確かに委員おっしゃるような形にはなっております。ただ、飲酒運転全体の取り締まりは、愛媛県下全部、六十二年から六十三年にかけてふえたと思います。したがいまして、基本的には、飲酒運転を取り締まるんだという号令がかかったということもあり得るとは思っています。
ただ、先ほど委員が御指摘されたように、キャッシュバックする原資は一体何があるんだと考えてみると、そんな原資なんかあるわけはないんですよね。何で交通課長のところに持ってくるとそんなキャッシュバックができるのか、私としては本当に、私も一線勤務を何度もやってきていますけれども、何でそんなことができるのかなということはあります。
ただ、そういう御指摘もありますので、やはりこれはきちっと事実関係を明らかにしなきゃいかぬというふうに思っていますので、事実関係が明らかになった段階で、それは一体どういう理由でそれがふえたのか、本当にキャッシュバックがあったのかどうか、その辺のことを確かめた上で私としての措置を考えたいと思っています。
○宇佐美委員 この数字を見ながら、いや、県下全部が飲酒運転の取り締まり検挙数がふえたんではなくて、先ほど申し上げたように松山西は減っています、お隣は。
全体としてふえています。それはなぜかといえば、この松山東方式が六十三年以降非常に広がったんじゃないかということを仙波部長もおっしゃっていたし、逆に鳥生さんが署長に入られる前、六十二年の八月から六十三年の三月まで仙波さんは伊予署にいらっしゃいましたけれども、そのときにはキャッシュバックはなかったそうです。
六十三年の四月からこの新しい署長、この署長は、通常大体二年ぐらいで転勤、二年以下の場合もあるんです、この人は三年残っているんですよ。三須田さんという交通課長が非常に問題が多かったというような話があって、それの事後処理も含めてこの鳥生署長というのは三年いざるを得なかったというような情報もありますので、それも含めて、長官、ぜひ調査をしていただきたいと思います。
それで、交通違反の話の引き続きということで、交通安全協会の話をさせていただきたいと思います。
これは、全国交通安全協会、チラシをいただきました。今、財団法人になっていらっしゃいますよね。
道路交通法五十一条の三で、警察署長は五十一条何々ということで、「車両の移動及び保管」、これはレッカー移動の話なんですけれども、に限って、以下の「全部又は一部を、民法第三十四条の規定により設立された法人であつて、当該事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして公安委員会があらかじめ指定する者に行わせることができる。」指定車両移動保管機関のことなんですが、これは多くの場合は安全協会に地域でもなっていると認識をしております。
ところが、安全協会は、先ほど、この条文に書いてあるように、警察署長が任務を行わせることができるということで、一般的には、都道府県の県警がその都道府県の安全協会、交通安協に委託をしているというように認識をしておりますけれども、各警察署の委託状況というのはどういうふうになっていましょうか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
ただいまの指定車両移動保管機関ですが、これは各都道府県の公安委員会が指定をいたします。その指定の際に、活動の地域、それから行う事務の範囲、移動ないし保管ですか、これを明らかにして、それに対して指定をするということになります。
それで、その指定がされますと、その指定された機関に対しまして各警察署長が移動の事務を行わせることができる、こういうふうになっております。
それで、この指定につきましては、全国の都道府県とも各県の交通安全協会が指定されております。
以上でございます。
○宇佐美委員 まあ、わかりにくい話なんですけれども、都道府県警が県の安協ですよね、それから、そこから地域の安全協会に行くんですよね。
例えば、これは愛媛県でいうと、さっきから言っている松山東を例にすると、松山東交通安全協会に松山東警察署はこの指定車両移動保管機関の実質的な仕事をさせているんではありませんか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
これは各県とも共通であると思いますが、指定は各県の交通安全協会が指定をされております。したがいまして、その事務を行いますのは、あくまで各都道府県の県の交通安全協会ということになります。
それで、実際に仕事をする上で、例えば県の交通安全協会がレッカー移動するとした場合に、自分でレッカー車を配置してその事務をすることもありますし、それから、レッカー業者を使って移動するということもあり得るわけですが、いずれにしましても、具体的にどの作業をどの人がやっているかというのは別にいたしまして、指定を受けました県の安全協会がやっているということでございます。
○宇佐美委員 とすると、各警察署に安全協会というのがあって、レッカー移動されたときにレッカー代を払ってくださいねと警察署で言う場所があると思うんですよ、局長、この前まで埼玉県警の本部長をやっていたからよくわかりますよね。その方は、では、全部例えば県の安協の社員なんですね。
つまり、例えば埼玉県、どこの警察署でもいいんですけれども、今私の手元にあるのが愛媛しかないので、愛媛でいうと、西条の交通安全協会なんかは社団法人になっているんですが、それと、もう一つ、何と読むのかな、これ、わからないですけれども、愛媛県の交通安全協会が県以外のもので二十ぐらいあるうち、社団になっているのが四つ、財団になっているものはありません。とすると、これらは民法三十四条に規定された法人ではないですよね。その法人でない安全協会が実質的な業務はやっていませんね。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
ただいまの御指摘は、いわゆる地区の交通安全協会のことであろうかと思いますが、地区の交通安全協会で法人格を持っておるものと持っていないものとございます。それで、法人格を持っておりますものは、これは安全協会に限らず、指定移動保管機関の指定を受け得るわけでございますけれども、現実に指定を受けているところはございません。
○宇佐美委員 とすると、各警察署で実際に、交通巡視員の方、また警察官の方が、現場、駐車禁止を見つけます、見つけますよね。この方がレッカーをすべきだという認識をしたときに、交通安全協会はどういう仕事をされるんですか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
これは、指定移動保管機関としての交通安全協会ですが、どの範囲までの事務をやるかということによって違ってくるわけですが、通例ですと、車両の移動、それから移動した後の車両の保管、それからこれを返還するときの手続、この範囲について事務を行うことが多いと思います。
したがいまして、県の交通安全協会の職員は、警察官からこの車をということになりますと、その車につきまして、自分のところでレッカー車を持っているところについては自分のところのレッカー車でやると思いますし、それから業者と委託しているところにつきましては業者のレッカーを使いまして車を所定の場所に移動する、それで後に運転者があらわれればこれを返還する、こういうことになります。
○宇佐美委員 さらに具体的な話をします。
どこどこの警察署、ずっと例を出しているので松山東署でやりますね。交通違反を、駐車違反をやりました。警察官が見つけました。その署員の方が、見つけた警察官が連絡をするのは警察署ですよね。それで、その警察署に連絡するのか、もしくは県警本部に連絡するのか。そして、その先に、だれが、先ほど言われた県の指定をされている指定車両移動保管機関にどういう形で連絡をするんですか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
具体的にどのような連絡方法をとるかというのは、多分各県によって違うと思いますし……(宇佐美委員「埼玉県でいいですよ」と呼ぶ)それから、実は私が埼玉県の状況を御説明するちょっと知識が今ありませんので、その前の大阪府警のときはよくわかっていますので御説明いたしますと、これは、大阪府警の例ですと、ちょうどミナミとキタにクリアウェイセンター、保管場所がございます。
そこに府の交通安全協会の職員、指定移動保管機関ということになりますが、ここが拠点になっておりますので、警察官がこの車をということになりますと、そこに連絡することになります。あるいは、あらかじめ計画的にある一定の路線を取り締まりをすることがございますので、その計画に従って、一緒に出かけまして、それで違反事実を確認したときに移動措置の連絡をその場でとるというようなことにもなるかと思います。
そういうことで、どういう取り締まりをしたときに、どういうようなルートでだれに連絡するかということを、それぞれ各県で想定しながら仕事をしていると思っています。
○宇佐美委員 そうすると、続いて、レッカーをされました、警察に行って支払う相手は、例えば、どこの警察署でもいいです、大阪の何とか署でもいいんですけれども、払っている相手は県の交通安全協会の職員なんですね、各地区の交通安全協会の職員ではないんですね。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
これも、いわゆる今はレッカー移動された運転者ないしは車の使用者が支払う負担金ということだと思いますが、それは、指定移動保管機関の場合には、その指定移動保管機関に対してこれを支払うということになります。したがいまして、そこに、その事務を行っておる者が、指定移動保管機関、つまり県の交通安全協会の専属の職員である者なのか、あるいはそれ以外の何か、例えばアルバイトなり、あるいは何らかの契約でその事務を行っている者なのか、この辺になってきますと、ちょっと私の方で実態が十分に御説明できませんが、いずれにしましても、その負担金は指定移動保管機関として受け取る、その制度に乗っかって受け取るべき立場にある、そういう者が受け取っていると思います。
○宇佐美委員 いよいよ不確かになってきましたけれども、先ほどから言われて、なぜ今この話になっていくかというと、警察庁長官が先ほど、酒気帯びの違反切符に対するキャッシュバック、どこから金が出てくるんだろうといううちの一つがこんなところからあり得るなという話を聞いています。
つまり、今度、レッカー移動費について言いますね。これは道交法五十一条の三の六です。「実費を勘案して都道府県公安委員会規則で定める額の負担金」を払わなければいけないことになっているんですが、これは、実費は各地違うと思うんですけれども、実費は幾らかと聞いても出てこないんですよ、局長、何でですか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
今の実費ということになりますと、レッカー移動、業者に委託していますと、委託業者に払うレッカー代、それからその他いろいろ移動、保管、返還に伴いまして職員も使いますから、その職員ないし印刷費その他物件費もあると思います。
そのうちのレッカー移動のために委託業者に支払う額、これは昼と夜でちょっと違っているところもありますし、それから若干、出動したけれども最後まで作業はしなかったというようなケースもあるようでございます。したがいまして、一応、そういう意味で、恐らく実費を決算ベースで計算すると、大体一件当たりこのくらいということになるだろうということはわかると思いますが、実費自体を正確に御説明する、そういう状況にはないということだと思います。
○宇佐美委員 皆さん聞いていて多分意味がわからないと思いますけれども、途中まで説明していたけれども、最後で説明するものがないというような、まあ、いいです、ちょっと待ってください。
一般的に言われているのが、これは昭和六十二年から六十四年当時、仙波さんがいられたころの話でいうと、実際は、例えば移動費が、レッカー代が一万五千円だったら、七千五百円レッカー業者にあげて、残り七千五百円が安全協会に入った、つまり、半額というのが恐らくいろいろな地域であるんじゃないかというような話を聞いておりますけれども、これは大体半額くらいだと思ってよろしいですか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
ただいま愛媛の松山の例でございますと、指定移動保管機関に支払うべき負担金は、一台、普通車ですが、一万一千円となっております。それで、現在、指定移動保管機関として、愛媛県の交通安全協会は今休止しております。今警察署長がやっておりますが、似たようなものだと思いますので、そのレッカー業者に支払います金額は、昼間で九千六百円、それから夜で一万四百円というのが最近の状況のようでございます。
○宇佐美委員 非常に重要な数字を言っていただきました。今、愛媛県下においては、レッカー移動費が一万一千円で、業者に払うのが昼間九千六百円で夜一万四百円だということでよろしいですね。
今休止していると言いましたね、愛媛県の。警察署長が直接やっているんですね。とすると、これは、警察署長が直接移動を、つまりレッカー業者に多分委託しているんだと思うんですよ。そうすると、この差額はどこへ行くんですか。
○矢代政府参考人 御説明いたします。
今ほど来ずっと指定移動保管機関の手続を御説明してきたわけですが、あわせて、指定移動保管機関が移動措置を行わないときには警察署長が行うわけでございます。
それで、今の御下問は警察署長が行う場合ということになりますが、警察署長が行う場合の負担金、これはほかの手数料や負担金同様ですが、すべて県の収入に入るわけでございます。
それで、警察署長がレッカー業者に対して委託費を支払う必要がありますが、これは、あらかじめ年間の予算化されておりますので、その予算を執行する形でその所要額をレッカー業者に支払うということでございます。したがいまして、その間の差額というのは警察においては生じないわけでありまして、つまり、先ほど普通車一万一千と申し上げました、これはすべて県の収入ということになります。
○宇佐美委員 今また大切なことをおっしゃいました。つまり、予算化されているんですね、レッカー業者に払うのが。つまり、ことしは何台レッカーしましょうというのが予算の中で決まっているという理解でよろしいですか。
○矢代政府参考人 そのとおりでございます。行政の執行の場合には、すべて予算がありませんと動けませんので。
ただ、その予算の見積もりをどういうふうな形でなされているかというのは、多分、対前年の実績などで、おおむねこのくらいかかるだろうということで想定して積算していると思いますけれども、それが全体の、交通警察のいろいろな活動をやっているわけでしょうが、その中でレッカー移動に係るものの予算の立て方が具体的にどういう立て方になっているかということになりますと、つまり、全体の中で見ているものなのか、あるいは個別な項目になっているものか、そのようなことになりますと、ちょっと御説明申し上げられません。
○宇佐美委員 私の質疑時間が終了しておりますけれども、党内会派の中で市村議員の協力をいただいて、引き続き質問させていただきたいと思いますが、委員長、よろしいですか。
○松下委員長 そういう条件で許可します。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
今、局長答えられていますけれども、とすると、この業者との契約があるわけですね、九千六百円で、何件やると。これは、契約は入札方式はどうなっていますか。
○矢代政府参考人 大変申しわけないのですが、どのような契約方式になっておるか……(宇佐美委員「大阪でもいいですよ」と呼ぶ)それはちょっと御説明申し上げられませんが、それで、大阪の場合には、不確かなことを申し上げるといけませんので、ちょっと御説明申し上げる用意がございません。
○宇佐美委員 別途御報告をいただきたいと思います。
もう一つ、別の話をします。
月に一回ぐらい、交通課の皆さんで、当時、少なくとも、愛媛県、昭和六十二年八月から伊予署に三年半いたときに、大体、月に一回ぐらい交通課の皆さんが飲み会をやっていたというふうに仙波部長はおっしゃっています。
このときに、地域の安全協会から、これは地域かどうか、さっきからの話で不確定ですけれども、月に一回の飲み会のときに交通安全協会からお金が来た、もう一つ、そのたびごとにレッカー業者から寸志が来ていたというふうに言われています。
先ほどの話でいうと、愛媛県については、今、安協が休止状態なんですよね。移動保管機関としてはやっていない、警察署長が各署で直接的にやっているということなんだと思います。
そうすると、レッカー業者から飲み会のたびにもしも寸志が来ているとしたら、これはどう考えても業者との癒着関係と言わざるを得ないわけですが、こういったこと、例えば大阪府警にいらっしゃったときとか埼玉県警にいらっしゃるときとか、交通局長、どうですか、ありましたか。
○矢代政府参考人 お答えいたします。
そのようなことは、大阪、埼玉通じて聞いたことはございません。
○宇佐美委員 この安全協会の話が、先ほど言ったように休止状態になっているところとそうでないところなどなど、これから、今後、私ども調べていきたいと思っております。ですから、各地区の安全協会の例えば職員の方が本当に県の職員になっているのか、その契約関係がどうなっているのか、これらについて、警察庁として情報を収集し、私どもに提供していただきたいんですが、長官、いかがでしょうか。
○漆間政府参考人 今のいろいろなお話を聞きましたので、どういうふうに進めていくか、いろいろ今後とも私の方で検討して考えてみたいというふうに思っております。
どういうふうに配置をするとか、その辺のところもいろいろな考え方があるんだろうと思いますので、そこのところはよく交通局長の方からもいろいろと話を聞いた上で、今後整理をしてみたいと考えております。
○宇佐美委員 公安委員長、今の話を聞いていただいて、まず一点目に指摘させていただいたように、本当に、交通違反の赤切符なり、飲酒ですけれども、それでお小遣いを稼いでいるような話だったら、国民は怒り爆発ですよ。
同時に、もう一点目、レッカーのときに、何でこんなところでレッカーするのというように思われているところでレッカー移動を、例えば住宅地とか、今、全国的に駐車禁止規制の見直しを警察庁としてされている、ここは大変すばらしいことだと理解はしています。が、現実問題、夜の繁華街に行っていただいたら、至るところで不法駐車、違法駐車、山ほどやっていますよね。これはレッカーなんか全然しませんよ。
前の通常国会のときにも、河本議員の方からも、当時の交通局長に、赤坂を見に行ってみろ、実際、二重駐車、三重駐車になって危ないじゃないかと言われているけれども、その後、前局長が行かれたのかどうかわからないですけれども、とりやすいところから違反をとっている、もしくはレッカー移動してもどなったりすごんだりしないようなところからレッカー移動しているように見受けられるんですが、公安委員長、どう思われますか。
○村田国務大臣 交通違反の取り締まり全体におきまして、公平になされることが望ましいと私は思っております。
○宇佐美委員 きょう、まだ出てきていないので、お台場で警察官が逃亡されましたよね。交通事故だといって駆けつけた警察官が、相手が暴力的行為に及んだら、それを撮っていたカメラマンよりも越して、つまり一般の人を置いておいて、警察官は逃げていっちゃいましたよ。
あれを見て、テレビで放映されて、小泉総理も公安委員長にしっかりしろというような発言があったと聞いておりますけれども、ちょっと、あの詳細、だれかわかる人いますか、官房長、済みません。
○安藤政府参考人 御指摘の事案につきましては、去る二月十九日、これは午前中でございますが、車両単独交通事故、いわゆる物損ということで一一〇番通報がありまして、東京水上警察署のお台場海浜公園交番の警察官三人が現場に臨場いたしました。そうしましたら、運転者の男がバット様のものを振り回しながら自動車の車内やウインドーガラス等を損壊しまして、加えて、意味不明の言動を吐きながら車外にはい出しまして警察官に向かってきましたので、警察官はその場から逃げ出したということでございます。
この間隙に、男はエンジンをかけっ放しにして付近にとめてありましたミニパトカーの運転席に突然乗り込みまして逃走を図ろうとしましたが、駆けつけた他の警察官らがこの男を窃盗未遂の被疑者として逮捕したというような、以上、概略の事案でございます。
○宇佐美委員 その逃げ出した方は交通巡視員の方ですか、それとも警察官ですか。
○安藤政府参考人 これは、先ほど申しましたように、海浜公園交番の警察官で、いわゆる地域係でございます。
○宇佐美委員 公安委員長もどこかの委員会で答弁されていたように、交通事故だと思って行ったらいきなり襲われたからというところもあるんじゃないかというような御答弁を議事録で拝見しましたけれども、だれもいないのならまだしも、一般の国民の方がいらっしゃるのに、その人を置いて逃げ出すというのはいかがなものですか。委員長、どう思われますか。
○村田国務大臣 警察官といたしまして、犯罪に対しまして毅然として対処しなきゃいけないということでありまして、私としては大変遺憾なことだろうというふうに思っております。
常日ごろから、そうした犯罪に対して決然と対決するという姿勢を、日ごろの警察署におきます勤務、あるいは警察大学校、警察学校におきます訓練を通じまして、そういう気持ちあるいは姿勢というものを堅持していかなければいけない、こういうふうに考えております。
○宇佐美委員 昨年も、埼玉県のJRの駅前交番で、駆け込んできた方、追いかけられてというか、やくざ風の人間に追いかけられた人間がみすみす交番から連れ出されて、そこでリンチ的行為というか暴行を受けているにもかかわらずそこを見過ごしてきたなど、そういった事件が相次いでいるわけですね。
私が考えるに、やはり、現場警察官、二十七万人ぐらい今いらっしゃるんでしょうか、そういった皆さん方が一生懸命プライドを持ってやっていらっしゃるのに、一方で、この数年間やられている不正経理の問題、一部の人間にお金が集中して集まっていく、それも裏金ですよ。こんなのやっていられるかというのが警察官の、現場の声だと私は思いますよ。長官、どうですか。
○漆間政府参考人 草加駅前の事案もございました。それから、先ほどのお台場の事案もございました。
草加駅前とお台場が違うのは、卒配で十カ月というなったばかりのと、それから、あとは一年から二年ぐらいの実務経験、後者の二人については、非常に柔道、逮捕術も訓練もきちっとこなしている人間だったんですね。
いずれにしても、交通事故だと思って行ってしまったものですから、突然の変わりように頭の中が真っ白になったというわけです。何でそうなっちゃったのかなというのは、私にとっては非常に、警察官を志望する者としては、そういう場合であっても蛮勇を振るうというのが普通のところだと思ったんですが、それができなかった。
ただ、草加駅前の場合は、これはまさに全くの怠慢でありまして、本来権限を行使すべきものを行使しなかった。お台場の場合は、逃げたのは逃げたんですけれども、その後ちゃんと、ちゃんとというのも変ですけれども、ミニパトのところで、それに乗って逃げようとするのを、ともかくそれを阻止して……(宇佐美委員「ほかの警察が手伝ってくれたんですよ」と呼ぶ)いや、ほかの警察官も来ましたが、その中のメンバーも行ったんです。
ということもありまして、私、そういう若い人間は、若いときに失敗もあるだろう、したがって、それを糧にして今後ちゃんとしっかりやってほしいということで、現実に今、東京水上署にいますから、どうなっているかと聞いてみたら、もう完全に今はやる気満々でしっかりやっているということなので、ちょっとしたことがあって大変皆さんに申しわけないことをしてしまいました。
両方が同じだとは言えませんけれども、ただ、全体的に見ますと、警察官になるに当たって、試験のときに、やはりどうしても頭のいい子がまず第一次試験では通りまして、体力もあるし、一生懸命うんとやってやろうというのがはねられちゃうというケースもかなり多いんですね。なるべく第一次試験で足切りをうんと下げて多く採ってください、あとは面接のところでしっかり選びます、こうやっているんですが、そうでないところもあったりするものですから、そういうことも含めて、ちょっと採用のあり方ということをいろいろ検討してみて、ともかく精強な第一線警察をつくるべく一生懸命やっていきたいと思っています。
○宇佐美委員 いや、私が質問したのは、現状説明も理解はするんですけれども、不正経理問題において士気が非常に低下しているのではないかということを聞いているんですね。公安委員長、いかが思いますか。
○村田国務大臣 そういうことで、やはり警察に対するそういう不正経理の問題が長引きまして、いろいろな疑いの目をかけられるということは、第一線でそうした日々厳しい事態に対処している警察官につきまして少なからぬ影響を与えていることは否めないとは私も思います。
したがいまして、早くこうした事案から脱却して、前を向いて、国民の要望にこたえる体制をとらなければいけないと私も考えております。
○宇佐美委員 長官、同じ質問です。長官からも決意を。
○漆間政府参考人 私も、昨年の八月の長官就任に当たって、昨年三つの警察で予算の不適正執行がはっきりした、こういうような状態の中で、第一線警察官がしっかりやっていくためには、治安の回復ということを実現することも大事ですけれども、やはり信頼の回復というのをきちっとやっていかなければいかぬということを思っています。
したがいまして、我々としては、ともかく精強な警察官をつくるべく今一生懸命努力しております。やはり、精強な警察官が地域社会のために一生懸命働いているということを知っていただければ、不正経理の問題の方もなるべく早く解決して、仕事の方で、ともかく警察はよくやってくれているんだと地域の住民がわかるような形で結果を出せるように、そういう方向に持っていきたいと思っています。
○宇佐美委員 ありがとうございました。
本当に我々、きょう質問させていただいている市村議員も私も、警察頑張れと心から思っております。
というのも、何かあったら、やはり電話するのは一一〇番で、警察なんですね。それだけ信頼の厚い組織なんですよ。ところが、この不正経理問題を初めとして、今いろいろなアンケート、世論調査で聞くと、信頼度ナンバーワンは消防になっています。消防はいつでも飛んできてくれるしということでそこであるわけですけれども、警察がどうしてそこに一番になり得ないかということを、ぜひ、長官も委員長もここにいる警察庁関係の皆さんも、いま一度胸の中で考え直していただく。
そして、今までやってきたあしき慣習、あったのは間違いないです、私がこの一年間ずっと追いかけてきて。それを断ち切ること、そしてこれからは絶対にやらないということを、形を変えてやっちゃだめですよ。旅費はやめたと思ったら、一人一人通帳をつくるようにしたといったら、通帳を集めているとか、京都府警もやっていましたよね。そういって形を変えてまで、まだずっと裏金をつくっていくんだったら、いつまでたっても信頼されません。
ぜひここで、もう絶対にやらないんだという決意を、一人一人の皆さん、ここにいらっしゃらなくても、課長さんたちはみんな県警本部長とかになっていくわけですよ、その皆さんたちが絶対やらないと言ったら、本当にこの一年なくなっていてもおかしくないんですが、残念ながら北海道警においても上司がもみ消しをしようとしているということが言われているわけですね。
今までのことは全部オープンにして、ごめんなさいとするところからぜひ始めていただきたいと思います。
市村議員に後を続けさせていただきます。どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、市村浩一郎君。
時間調整の中でよろしく御質疑をお願いいたします。
○市村委員 はい、わかりました。
午前に引き続き質問をさせていただきます。
まず、午前中の一点だけ確認です。警察協会に計上された額を教えてください。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
北海道警察職員互助会が集金事務手数料に関しまして、これはまず平成十五年でありますが、手数料の額は一億四千五百九十四万ということでございます。これは大体、過去数年間も同様の金額ということでございます。
○市村委員 この件につきましてはまた改めてやりますので、きょうは、額は一億五千万にも上るかということですね。ありがとうございます。
それで、長官、きょうはどうもありがとうございます。
きょう、私が今から御質問することは、ある意味では長官の部下というか、県警の職員を部下と言っていいのか、ただ、少なくとも長官がトップであられる組織の中に所属する方の証言ということ、また元所属されていた方の証言ということでございますので、その辺のことでいろいろと御質問させていただきます。よろしくお願いします。
それで、まずは仙波さんのことでございますけれども、午前中に、仙波さんが一九九九年十月から二〇〇一年の一月までの間、都合八回の旅行をした、旅行命令で県外に行ったにもかかわらず、その書類がなかったということで、官房長からお話がありました。
ということは、それを別の言葉で言うと、仙波巡査部長がうそをついているということでございますけれども、官房長、その理解でよろしいんでしょうか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
そういう書類、旅行命令簿ですね、これは国費の旅行命令簿ですが、存在しないということは、これは事実でございますが、他方、仙波巡査部長がそういう発言をしているということでありますので、そうした警乗の状況を含めまして、同人によるほかの発言に関しましても、先ほど申しましたように、愛媛県警察において現在鋭意調査を進めておりますので、その中で事実確認がされるというふうに考えております。
○市村委員 再びなんですが、大体いつごろにその調査確認を終了される予定、予定でいいですので、教えていただけますでしょうか。
○安藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、過去長期間にわたっているということで関係者多数ということでございますが、正確に申し上げられないのが非常に残念でございますが、速やかに調査をするように、また督励いたしたいと思います。
○市村委員 ということであれば、仙波さんのことで具体的にお聞きしても、結局調査中ということになろうと思いますので、今官房長がおっしゃっていただいたように、速やかにやっていただきたいと思います。
では、仙波さんの具体的なことよりも、例えば、公益通報者保護法が昨年六月に国会を通過しています。それができた背景の中で、今回、仙波さんは、仙波さん御本人が不当と思われるような異動があったと思っているわけです。
こうした公益者通報、早期通報者保護法ができている中でこうしたことが起こった、そうしたことにつきまして、また、では、今後もし、第二の仙波さん、現職警察官の方がこうした内部通報を行った場合に、結局こんなことがまた繰り返されるのであれば、やはりこれは大変重要な問題でございます。
長官、どうでしょうか。こうした公益通報者保護法ができた今日、施行を待っている今日、今後もし、現職の警察官の方が、こうして今までの警察内部で見た不正について、特に刑事訴訟法二百三十九条第二項には、官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料されるときは、そのときは告発をしなければならないという告発義務さえ課されているわけでございます。こういう状況の中で、長官、いかがでしょうか、今後もし第二、第三の仙波さんが出てきた場合、各都道府県県警はどういう対応をすべきだと思われるでしょうか。
○漆間政府参考人 仙波巡査部長の事案について、公益通報者制度の適用は、来年から施行ですから、ないわけでありますけれども、問題は二つあると思うんですね。
一つは、配置がえという、これは人事異動とは違うわけでありまして、所属長が所属の中でどこの、今回の場合は鉄道警察隊から通信指令室に移している。これは所属長の権限で行われていますので、これが実際上処分と言えるかどうか。
それから、いわゆる実名で記者会見した、これが公益通報という概念に当たるのかというのは、その言っている内容が必ずしも正しいのか正しくないのか、あれには一応真実性の担保というのが入っているはずでございますので、その辺のところの問題点はあると思います。
ただ、一応、今度の記者会見の場で言ったことが公益通報の概念に入っているという仮定のもとでお話しする場合、実際上、今回の配置がえというのは、まさに記者会見をやったことをもってやっているわけじゃありませんで、記者会見前後の行動を考えますと、やはりこれだけいろいろな形で注目を浴びる人物が、そういういろいろなことで人前で仕事をしなきゃならない鉄道警察のような業務をやることが適当なのかどうかという判断でありますから、記者会見をやったのが公益通報の概念に当たるとしても、記者会見をやったことをもって具体的にこういうような配置がえをしたというわけではありません。
それから同時に、公益通報の枠組みの中で大事な点は、不利益な扱いをしてはいけないわけですから、実際上、今回の場合、所属内の別のところには移っておりますけれども、基本給が減ったというわけでもございませんので、不利益な扱いにもなっていないと思っています。
ただ、基本的に、こういう形で内部からもいろいろな話でこういうことを言いたいんだ、あるいは、当然公務員ですから、知り得たことを外に言うということについて、私は非常に大事なことだと思うし、我々の組織にとっても、それは、逆に言いますと、我々の組織を見直すに当たっても大変いい経験になると思っていますから、今回の事案がそれがぴったり当たる事案かどうかは別にして、今後を含めて、こういう告発等があったような場合についても、我々としては、公益通報者の法律ができておりますから、その法律の理念に沿ってしっかり対応していきたいと思っています。
○市村委員 今長官は、今回の異動でなくて配置がえについては、これは多分、この場合には異動だろうが配置がえだろうが、それこそこれについては大きな問題はない、違いはないと思います。たとえ配置がえであっても、本人が、どうも私が内部告発したことがこの配置がえにしろ異動にしろに関係しているんじゃないか、リンクしているんじゃないか、こう思っていることが問題なんですね。
しかも、本人が、その配置がえによって、配置がえを少なくとも喜んでいないわけです、不当だと思っているわけです。これはやはり、自分が内部告発したことが影響しているだろうと思わざるを得ない立場に状況は追い込まれています。
その意味で、長官にこの写真を見ていただきたいんですが、私どもが、宇佐美委員も一緒でしたけれども、二月十四日に愛媛県警に行きました。そのときに、当時既に仙波さんは異動された後です。これが仙波さんの机です。見てください、この机。もう一枚見てください。これが二週間後です。二週間後の同じ風景、これは上から撮っています。
結局この机はどうなっているかというと、普通なら、指令室ですから、皆さん、指令の管内図を見ているはずなんですね。皆さん、当然こっちを見て仕事をするはずです、指令室ですから。
ところが、仙波さんの机を見てください。仙波さん、どっちを向いていますか。管内図の方を見るんじゃなくて、まさに窓を見ているんですね、窓の方。二月十四日がこれ、二週間後がこれ、机の様子を見てください。全然何も変わっていません。結局、日がな窓の方、御本人の表現によると、日がな松山城を見て過ごしているということです。
仕事はと言うと、いや、別に与えられていないと。しかも、前も予算委員会でも中井代議士が、要するに仙波さんは配置がえがあった後に立場、いわゆる役職が決まったということなんですね。これをもってして、では一体、一般的に考えて、だれがこれを関係ないと思うのか。しかも、これをだれが喜んで異動と思うのかという話なんですね。
こういう状況です。この状況をごらんになったことはないですか。この写真は私が撮ってきました。実際行ってきました。現場で私が撮ってきた写真です。
だから、こうした状況をもってして、記者会見をして内部告発と今回の異動なり配置がえは関係ないよということはちょっと言えないだろう。要するに、やはりこれはそれなりの、報復とまでは言わないにしろ、ある種の当てつけの配置がえであるとしか考えられないんですね、この状況を見て。
一週間ですよ、二週間たっても全くこうです。今はどうなっているか知りません。だから、これを見て、私は、長官がおっしゃることはちょっと、現状、現場とこの意識、もしくは一般国民がこれを見たときの意識とはちょっとずれているんじゃないかなと思うんですが、長官、いかがでしょうか。
○漆間政府参考人 委員がお撮りになった写真については、私は初めて見させていただきました。
今回の場合、例えば仙波部長が鉄警隊に残ったとしても、鉄警隊の業務はできないと思うんですね。外に出ていって、鉄道に警乗していろいろな職務をするということになると、多くの人の前に自分の顔をさらすし、それからいろいろなことが起こればその場で対応しなきゃいかぬ、こうなりますから、鉄警隊にもし残ったとしても当然そういう机のところに行くんだろうと思います。
それから、通信指令室に行っても、彼は今通信指令のいわゆる交代制勤務の中に入っておりませんので、したがって、当然のことながら、通信指令の今どんな状況になっているか、そういう見るような仕事をやっておりません。したがって、今やっているのは新しい形の通信の指令の関係での、いろいろな通信機器がございますから、この配分をどうするかということをやらせているわけであります。
これは、先ほど申し上げましたように、やはり、記者会見という場で顔をさらして非常にマスコミ的にも取り上げられた、そういう人間を人前に出していろいろな形で行動させるということは、本人にとってもあるいは周りにとっても、いろいろな問題が起こる可能性があるということから考えておるわけであります。
そうしますと、今は通信指令室の方でいろいろな業務が残っているので通信指令室の方に移していますけれども、問題は、そこでは与えられている仕事はあるんです。与えられている仕事をやる気になりさえすればあるのでありまして、それをやる気にならないというのは、本人が、それは不利益だ、自分はあんなことをやったからこういう見せしめのためにやられているんだというようなことを非常に誇張する形でやるから余計そうなるのでありまして、例えば、当直勤務をやってみたらどうだといっても当直勤務には応じないとか、そういうような実態があるわけであります。
これはどっちがどっちかというのはなかなか難しいので、そこのところを今裁判の方でもあるいは人事委員会でもいろいろ検討もされていますし、我々の方も事実関係がどうなっているのかは調査しているわけでありますから、一概にこの写真をもって、こんなところに配置された、おかしいじゃないかと言われるのは、我々としてはちょっと心外なような気がしております。
どちらの場所にいても、ともかく鉄警隊として本来外に出ていって仕事をやるようなことを今やれるような状態ではないというふうに認識はしております。
○市村委員 長官の今のお話の中で、先ほどもそうだったんですが、やはりこういう記者会見をした人間が外に出るのはなかなか難しいだろうということですけれども、私はその感覚がよくわからないんです、その話が。
だって、結局、公益通報者保護法の観点というのも、やはりそういう不利な配置がえとかはさせないということですよ、内部通報なり公益通報をもってして。だから、それが不利か、外にさらされることが嫌かどうかというのは、それはやってみなきゃまだわからぬじゃないですか。
例えばこれが、記者会見をやった、一週間ぐらいたった、仙波さんが鉄道警察隊にいることが大変いろいろな業務に支障を来している、そういう状況で配置がえが行われたのなら、これはまだ理解はできます。ところが、これは記者会見直後に有無を言わさずに配置がえですよね。
しかも、けん銃を取り上げたということでありまして、このけん銃を取り上げたことに関しましても、警察法第六十七条では、「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」と規定されていますし、また、警察法施行令第十三条、国家公安委員会規則第十一条第一項本文には、「警察官は、制服を着用して勤務するときは、けん銃を携帯するもの」とされています。
でありますから、まだ、少なくとも配置がえそのものもえらい急でした。一週間ぐらい様子を見たものではない。急に、はい、君、もうあしたから、いや、きょうからですよ、もう二時間後に行ってくれと。記者会見の翌日に、二時間後に行ってくれ、こういう話です。
しかしながら、一日ありました。一日間ありましたけれども、けん銃を取り上げたのは記者会見直後ですよね。それはとっているんです。けれども、その段階でも、実はこれは今の読み上げたことからでも違法性があるんじゃないか、取り上げたこと自体が。かつ、しかも翌日に、二時間後に、はい、行ってくれよと。しかも、現場の上司、木下さんですね、課長は休んでいたわけです。にもかかわらず、行ってくれということ。
これは、今長官がいろいろ御説明されましたけれども、やはり常識的に考えると、記者会見をした、内部通報を、内部の情報を外に出してしまった、このことに対する見せしめである、報復とは言いませんけれども、見せしめであるとしか考えられないんですね。これは長官、いかがでしょうか。
○漆間政府参考人 これはいろいろな見方があると思います。
基本的には、記者会見のときに、自分の命をかけてでもというような発言もあったり、いろいろなことがあったのを考えて、それで万一のことが起こってはいけないというような配慮があって、とりあえずはまず、そこではすぐに異動を考えたかどうか、配置がえを考えたかどうかはわかりませんが、けん銃を持たせるということについては、やはり何かの状態の中で市民の中でけん銃を撃ってしまうというような事態が起こったときに、起こってしまってからはもう弁解のしようがありませんから、そういうことも、いろいろなことを考えた上でやったと思います。
ただ、それに対しては、やはり見る人は別の見方をされるわけでありまして、したがって、私らは私どもの説をずっと通すつもりはございませんし、当然、人事委員会にも提訴されていますし、それから国賠の請求もされているわけですから、その中で判断していただきたいというふうに思っています。
○市村委員 実は午前中ちょっと時間がなくて聞けなかったんですが、仙波さんが、どうも仙波さんの実感によると、一月十三日ぐらいから自分は尾行されているという意識を持っていたということですね。そのときに、どうもNシステムを活用していたんじゃないか、警察内部ですから。
Nシステムというのはどういうものですか。ごく簡単に説明してください、ごくごく簡単に。
○岡田政府参考人 簡単にということですので、簡単に申し上げたいと思います。
このシステムは、走行中の自動車のナンバーを自動的に読み取りまして、手配車両のナンバーと照会する、そういうシステムでございます。
○市村委員 そのシステムを、まだ犯罪者じゃない場合、まだ容疑者でない場合、例えばこういうだれかの尾行に使うとか、そういうことも可能なんでしょうか。そういうことにも使えるというふうになっているんでしょうか。
○岡田政府参考人 自動車ナンバー自動読み取りシステムにつきましては、基本的に犯罪捜査に用いるものでございます。
○市村委員 犯罪捜査に用いるのはいいんですが、例えばこうして、例えばですよ、それが事実かわかりませんけれども、こうやって内部で、どうも警察からするとちょっと困るというような人間が出てきたとしますね。それを、どうしているんだろうか、彼の車ちょっと番号を入力しておけ、どこへどう動いたかちょっとNシステム、カメラでつかめ、こういったことも可能なんでしょうか。
○岡田政府参考人 個別の事案についていろいろ申し上げるのはいかがかと思いますけれども、一般論として申し上げまして、先ほど申し上げましたように、犯罪捜査のためのシステムでございますので、そういう目的のために使うものでございます。
○市村委員 これについてまた議論させてください。非常に大きな問題を含んでいると思います。
やはり、最近防犯カメラがふえているというのも、一面においてはいいことかもしれませんが、ある意味でいえば、人権侵害等々含めて大変大きな問題をはらんでいると私は思いますので、またこれは、きょうの主たる議題じゃありませんので、改めて議論させていただきたいと思いますが、少なくとも、Nシステムというものをそういうことにまで利用するのは果たしていいのかどうか、私はちょっとまた疑問であります。
仙波さんの件をちょっと離れまして、実は先ほど午前中にも申し上げましたが、元北海道警察の釧路方面本部長の原田さんが、こうした「警察内部告発者」というのを出されています。
この中で、私は読んでいまして、私も原田さんに直接お目にかかってお話を聞いたことがありましたが、そのとき稲葉事件のことを頻繁におっしゃっていました。ただ、そのときは残念ながら時間も余りなくて、どんなものか実は余りぴんときていなかったところが正直ありました。
ただ、この本を改めて読ませていただいて、これはとてつもなく大きな問題をはらんだことだったんだなということが私はよくわかってまいりました。もちろん、これは原田さんの書かれた本ですから、これが事実かどうかというのはわかりません。でも、私は、少なくともこれはかなり確実なものだろうと思いながら読んでおります。
その中で、稲葉事件なんですが、これは稲葉さん、元銃器対策課にいらっしゃった北海道警の方が、ある意味でいえば、覚せい剤に手を染め、けん銃を不法所持した等々で懲役九年の刑に今服しているというところで、一般的に、それこそ長官、いろいろ見方があるとさっきおっしゃいましたけれども、今のままの報道、一部北海道のいろいろな新聞の報道は別として、少なくとも、私たちが普通に聞けば、不届きな警官がいるな、警官なのに銃を不法所持して、しかも覚せい剤も打って、どうもその密売まで絡んで私腹を肥やしていてとんでもないやつだというふうにひょっとしたら見るかもしれません。
ところが、この原田さんの本を読むと、とんでもないと思うのは、要するに、稲葉さんは確かに覚せい剤に手を染めたのも事実、銃を不法所持していたのも事実、ある種密売に手を染めていたのも事実、手を染めてというか犯罪捜査の一環としてかかわっていたのも事実なんです。ところが、その背景にあるものというのは、実は警察庁を含むいわゆる北海道警の方針、あり方に深くかかわっていたということがこの本を読むとよくよくわかってくるわけですね。よくよくわかってきます。
稲葉さんが銃器対策課で活躍するようになったそもそもの発端は、一九九二年に警察庁が出したいわゆる銃の取り締まり強化ですよね。その後、最初は、銃を持っている人間と一緒に連れてこい、銃を所持した人間と一緒に引っ張ってこいと。ところがそのうちに、銃を所持する人間はいい、けん銃だけ見つければいいというふうに変わったんですね。変わった。そして、非常に合理性のないノルマを課していったわけです。
だから、さっきと同じですよ、宇佐美さんが言っていたレッカー移動と同じようなものですよ。挙げろ、銃を挙げてこい、しかも、北海道はロシアが近いだろう、こんな銃が見つからないはずない、もっと挙がるはずだというふうにけしかけたわけですね。銃器対策をけしかけた。
そこで、一生懸命頑張ったのが稲葉さんなわけですよ。しかもSというスパイを使い、これも渡辺司さんという実名までこの中に挙がっています。渡辺さんは自殺をしました。その後、刑務所の中で自殺をしています。
その渡辺さんというのは、別に稲葉さんが個人的につながっていたわけじゃなくて、銃器対策課のお偉方が渡辺さんの結婚式にも多数出席している。すなわち、稲葉さんの個人的関係じゃないわけですよ。銃器対策課及び北海道警が深くかかわっていたスパイだったわけですね。そうした方を使いながら、稲葉さんは身分を隠して暴力団組織にも入っておる。それこそ、こめかみにけん銃を突きつけられておまえ何者だと言われて、死ぬ一歩前まで行かれた、そこまでやって何とか銃を挙げようと。
それはだれが命じたんですか。警察庁じゃないんですか。北海道警のお偉方じゃないんですか。命じた、そして、そこまで一生懸命頑張った。
しかもその過程で、この中には驚くべきことを書いています。石狩新港で、何と北海道警及び税関までがかかわって密輸に手をかしていたわけです。覚せい剤百三十キロ、その後大麻二トン。覚せい剤は末端価格二十五億円。この密輸に対して、何と北海道警、税関までかかわってやっていた。それは何のためにやっていたか。その後に、それは見逃すから後で銃を三百丁か何か入れろ、それを挙げさせろということですね、そういうことですよ。
つまり、そこまでしながら稲葉さんは、多分、銃器対策課のエースともてはやされていたわけですから、頑張っていたわけですね。その人が、これは細かくは言いませんが、いろいろな過程があって結局は、最後は覚せい剤に手を染めてしまったりしてしまったこともある。それは事実だと本人も認めています、反省しています、だから刑に服しています。
しかしながら、その過程において、本当に稲葉さんという個人だけの問題でこれは済ませていいんでしょうか。やはり警察庁も含み北海道警も巻き込んだ大きな動きの中で、銃器対策課の稲葉さんという方が動いた、その中のことじゃないですか。
だから、これは決して一人の問題に帰すだけじゃなくて、やはり警察全体が、警察庁を含み北海道警がこの問題に対しては、こんなことを起こしてしまった、しかも本当に一生懸命頑張った部下をこんな方向に追いやったというふうに思うのが普通じゃないんでしょうか。原田さんはそういう思いでこの告発をされていたわけですね。
長官、どう思いますか、この話について。
○漆間政府参考人 私もその本は読んでおります。
当然のことながら、それは原田氏は稲葉と親しい関係にあるわけですから、それは親しい関係にある人物というのはすべての行動を正当化しようとするということがあるということは割り引いて読んでいただきたいとは思います。
実際上、彼がどういうふうな行動でやっていたかということについては、既に十五年四月二十一日の札幌地裁判決がありまして、「その犯行動機は、甚だ自己中心的かつ利欲的というべきで、言語道断である。」という判決まで出ているわけでありまして、やはり基本的には個人の資質にかかわる部分が非常に大きいという部分が私はあると思っています。
ただ、そういう暴走する人間をとめられなかった上司は一体どうなっているんだということがあるわけでありますから、したがって、その上司に対しても処分をしております。
それからもう一つ、警察庁の方で具体的にどこどこの警察は幾つけん銃を挙げろとか、そんなようなノルマを課したという事実は私のところでは把握しておりません。
それからもう一つは、税関といろいろ組んでこういうことを起こしたというのがありますが、それについても、そういう事実はないという報告を北海道警からも受けております。
○市村委員 長官、ということは、私思いますと、結局、先ほどから長官のお話を聞いていますと、仙波さんにしても原田さんにしても、結局長官からすれば、まあ、それは本人も言っていることだし、もしくは稲葉さんと親しい人間が言っているんだから大げさだろう、もっと言えば、これははっきり言ってうそだろうということなんですか。
要するに、原田さんにしても仙波さんにしても、ある種警察一家の、私は午前中警察一家という言葉を聞いたので警察一家という言葉を使いましたけれども、皆さんもともと仲間じゃないですか。
しかも、稲葉さんに関して言えば、先ほどからも出ているように、それは多少誇張があるかもしれない、私知りませんよ。でも、少なくともさっき私が申し上げたような一連の流れの中で、本人の問題、さっき判決を読み上げられました、これは本当に本人の問題だけなんですか、本人の問題に帰する問題なんですか。たった一人の稲葉さんだけの問題なんですか。これについては警察庁及び北海道警は関係ないんですか。その思想だと、僕は警察一家というのはえらい冷たい組織だなと思わざるを得ませんけれども、いかがですか、長官。
○漆間政府参考人 先ほどお答えしておりますけれども、本人の資質に起因するところが大きいとは言っておりますが、すべて本人の問題に帰しているわけではありません。したがって、その本人の暴走をとめられないような、そういう上層部はやはり問題があるということで処分をしたということでありますので、必ずしも本人だけを悪く言っているわけではございません。
それから、全体として、例えば仙波部長についても、私が申し上げているのは、まず事実関係を明らかにしてそれからどうするかという話でありまして、今仙波部長が言っていることがうそだとか、そういうふうな感じで物を考えているわけではございません。
それから、原田氏もそれは書いています。原田氏も、本の中にも出てくるとおり、稲葉との関係はそれは深いものがあるということは自分も書いてあります。
ただし、原田氏については、不正経理の問題も含めまして、いろいろ警察から事情を聞こうとしても一切それに応じない。そうなりますと、私としても、果たして原田氏の言っていることが本当なのかうそなのか、ここは全く判断がつきかねる部分でありますので、今の段階で私は、原田氏をうそつきだと言っているわけでもございません。
基本的には、だから事実関係がはっきりして、その上でどう判断するかという問題でありまして、その過程でどちらにつくかによっていい方にとられるだろうし、こっちにつく人間はあいつの言っているのはうそだよ、こうなるわけでありまして、そこはやはり事実関係がはっきりするまではこれは永遠に続くんだろうと思いますから、なるべく早く事実関係を確定してどちらが正しいかを明らかにしたいと思います。
○市村委員 本当に事実関係を明らかにしてほしいんですが、ただ一点、長官、稲葉さんに関しては、さっき稲葉と呼び捨てにされていましたけれども、もうはっきり言って警察を離れた方ですし、刑に服しているから呼び捨てにしていいということはないと思いますので、やはり稲葉さん、稲葉氏なりの言葉遣いをされた方が私はいいと思います、それはやはり今の段階では関係ないわけですから。
それはやはり原田さんもこの辺は御指摘もされているところではありますけれども、今稲葉さんのことについてまた改めて申し上げますと、もちろん私だって、覚せい剤をやっていたこと、けん銃を不法所持していたこと、しかし、これも当時の銃器対策課の机の中にはたくさん銃がころころしていたということもあります。ある種、銃器対策課の人がそれを家に持っていった。家かどうかというのは、結局、いろいろな活動をしていましたから家にはほとんど帰れずに、いわゆる姿を隠しておかなくちゃいけなかったので、いろいろなところに帰っていたという事実もあるようです。それをどうも、何かそこに入っていってけん銃を見つけたという話もありますので、私はそれは家かどうかというのはわかりません。
しかしながら、そうした事実があった、それはそれで自分は反省をしている、だから、刑に服しているわけです。だから、罪を憎んで人を憎まずという言葉がありますけれども、やはり罪は罪、それはそれで稲葉さんも十分反省をし、今、九年の服役、刑務所へ行っていらっしゃるわけです。
ただ、それと、やはり本人の資質の問題ということも多少はあるんでしょう、長官は大部分だとおっしゃいましたけれども。でも、それは確かに原田さんは稲葉さんに近いから、多少情を持って書いているとおっしゃるかもしれないけれども、しかし、私が読んでいる限り、大体それはわかりますよね、行間から出てくる言葉。少なくとも私は、この本を読む限り、そんな感情に任せて書いている本だと思いません。非常に冷静に、客観的に書こうとされていますし、そういう本になっています。
だから、長官、これは稲葉さんだけじゃなくて、今でも長官の部下なり関係者が本当に命をかけて捜査をしている可能性があります。その人たちに向けて、さっきみたいな話だと、おれも稲葉さんと同じになるのか、こういうふうに思いますよ。
だから、ぜひとも長官、そうやって一生懸命命をかけて頑張っている方に、さっきみたいな冷たい言葉じゃなくて、ちゃんとこれは警察全体の問題であるということで受けとめてやるんだぞということを、最後一言、それぐらいの言葉を言っていただかないと、現場でやっていらっしゃる警察官の気持ちは本当に浮かばれないと思います。最後に、長官どうですか。これで終わります。
○漆間政府参考人 稲葉事件については、これは警察全体の問題であるかどうかについて、私はそうは思っておりません。
少なくともこれは、道警の方で、いろいろな形で、けん銃を出すについても、あるいは覚せい剤を出すについても、いろいろな手法がとられたのであろうとは思いますが、これは警察庁としてそういうふうなやり方をしろと全国的に指示したわけでもございませんし、先ほど申し上げましたように、北海道警は何丁けん銃を出せなんというノルマを出したことは事実としてございません。
そういうことで考えますと、やはり稲葉事件というのは稲葉事件であって、これはもう既に裁判所も決着がついているわけでございます。そういうのと別個に、我々としては、だから今度は、稲葉事件にならないような形でいかにけん銃を出すか、あるいは、そのためにはいろいろな協力者工作をする必要があるわけです。そうなれば、まさに捜査費というのをいかに的確に使うかということになるわけですから、早くこういう不正経理問題ということについて決着をつけて、前向きにみんなが仕事ができるような、そういう雰囲気をつくり上げていきたいというふうに思っています。
○市村委員 終わります。
○松下委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、最初、警察庁長官に十分間というお話になっておりますが、その間に、まず長官に質問します。
ことし、年頭あいさつの中で、治安と信頼回復に向けた五つの留意事項というのを挙げておられて、その中で、不適正な予算執行が相次いで判明し、警察に対する国民の信頼を揺るがすような非違事案が発生するなど、この面でも一層の努力が必要な状況にありますと述べておられました。
北海道警以降この一年間、警察の裏金づくりについて警察は内部調査を進めてきたわけですが、警察の調査は国民の信頼回復に今つながっているというふうに考えておられるかどうかをまず伺います。
〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
○漆間政府参考人 昨年以来一年間、北海道警を初めとして、不適正経理問題というのが発覚して、実際上起こったところについては厳しい処分が行われましたし、また、返すべきものは返すということで返還もしなきゃならないというようなこともいろいろ行われました。さらに、最近になってまたいろいろな疑惑も取りざたされているという状況であります。
やはり私としては、一番大事なのは、今の時期にこそ本当に治安をしっかり回復させなきゃならない。この中で足を引っ張っている部分がこの不正経理の問題だということでありまして、まさにそういう部分を早く解決するためにも、我々としては、出てきたものについては早く解明して、正すべきものは正す、それから返すべきものは返す、処分すべき者は処分するというこの方針のもとできちっと対応して、その上で、しっかり職務に専念できるようにしたいと思っております。
残念ながら、今のところまだそうなっていないということでございますので、私としても、今後、力を入れて、まさに治安の回復のためにしっかり働けるように、そのためには信頼の回復がなければ警察活動は成り立ちませんので、そこの部分を頭に入れながら、早く不適正経理の部分についてきちっとした結果を出して、本来の仕事をきちっとやるという仕組みに変えていきたいと思っております。
○吉井委員 一昨年の道警の裏金づくり発覚から一年半たちます。それから、道警の原田宏二さんの証言から大体一年になりますが、この後、北海道警の後、静岡、福岡、宮城、京都、愛知、高知、警視庁、愛媛と次々と裏金づくりの問題が発覚してきました。
内部調査の段階で、資料の廃棄、資料隠ぺい、監査委員への非協力や妨害という行為もありました。そして、一部返還したお話もありましたけれども、しかし、内部調査の中で、結局大事なことの一つは、事実が本当にどうしようもないほど明白になったものは認めてはるわけですよ。同時に、不正は下部の方におっかぶせてしまって、幹部の私的流用の問題については頑として認めないということがずっとやられてきております。
警察幹部の処分というのは非常に不十分で、道警では退職者規定を変えて処分者を救済する措置までとっていますね。結局、警察の調査は組織を守ることを優先しているんじゃないか、こういうふうに見られても仕方がない事態にあると思います。これで長官、国民の信頼は本当に回復できるのか、これはなかなか深刻な問題として考えなきゃいけないと私は思うんですが、伺います。
○漆間政府参考人 今委員御指摘のようなことがございますし、いろいろな形で私的流用なんというのは、あったにもかかわらず、これは全部隠し続けているんだというふうな見方でごらんになる方々からすれば、我々としては、それぞれの都道府県警察がそれぞれの公安委員会の指示を受けながらきちっと解明して、私的流用という部分について立証するようなものは全然出なかった、こう言っていることすら、すべてが信用を置けないという状態になっていれば、これはまさに、そういう状況下では信頼を回復するのは非常に難しいなというのは意識としては私は持っております。
ただしかし、これは、我々としては、できる限りのことをやる、自浄作用を発揮する、このことによって最後は国民あるいは地域住民の理解を得るという方向で対応するのが今やるべきベストの姿であろうと思っていますから、いろいろな形でその過程で御批判はあろうと思いますけれども、御批判に耳を傾けながら、全体的にきちっと仕事ができる仕組みに持っていきたいと思っています。
○吉井委員 私的流用問題というのは、どういう報告書があるにしても、現実の問題としてあることについて、私たちもこの国会の中でこれまでからずっと指摘をしたり取り上げてまいりました。
ことし一月、愛媛県警の現職警官、仙波敏郎巡査部長が裏金告発の動機について語っておられるものを見ていますと、私の誇りは裏金づくりに手を汚さなかったことだ、警察官拝命から三十八年、階級からいえば今も下から二番目の巡査部長だが、出世できなかった、しかしこれは私の誇りであり、誇りある記録ですと。それで、にせ領収書を書くことは警察官の心の傷になる、こういうことなどをるる語っておられます。
原田さんがOBとして告発されたときも、やはり信頼される警察になってほしいと熱い心情を語っておられました。この仙波さんの場合もやはりそういう思いで、警察官として誇りを持って働きたい、そういう警察になるには裏金問題などがきちっとされなきゃならぬという熱い思いで会見などをされたわけですが、長官はこの現職の警察官のこういう思いをどのように受けとめておられるか、伺います。
○漆間政府参考人 それは、仙波部長のみならず、私らいろいろなところに、私はむしろ地方の勤務の方が長いですから、そこの警察官からも、ともかくこんな裏金の問題とかそういうものは早く片づけて、しっかり仕事ができるようにしてほしい、長官に対してはそういうお願いをするという声は幾らでも入ってきています。
仙波部長がどういう趣旨でやられたかどうかということについては今事実関係を確認しているところでありますけれども、まさに私も、一線の警察の人が、ともかく、変な問題で足を引っ張られる、それで自分たちの仕事がうまくいかないと思われるような、そういう形でやられるのは非常に問題であると思っていますから、先ほども、何回も申し上げておりますけれども、ともかく一線の警察官が満身の力を込めて仕事ができるような環境づくりをしていくのが私の仕事だと思っています。
○吉井委員 長官への質問は十分ということでしたから、あと一問にしておきます。
ブロック別監査室長会議という文書がここにありますが、昨年六月に、日本共産党愛媛県委員会の方に警察関係者と思われる方から送られてまいりました。この資料については、既に山口県の議会で昨年十二月九日に、警察庁のブロック別監査室長会議の中国、四国ブロック会議の内容メモと思われるものについては、山口県警本部長が答弁の中でこれのことを認めておられます。
これを見ていると、警察において不正経理、捜査費、活動旅費の不適正執行が明るみに出たら組織として相当なダメージになる、厳しい状況を踏まえて、警察全体の金の使い方を根本的に改善していかなきゃならぬ、疑いの持たれるものをなくしていくんだということで、旅費を振り込みにしながら、通帳を管理していることが聞こえてくるが、会計課が予算を流しているということになるということで、ここに警鐘を、これはこういう事実があるということで語っておりますが、捜査費の執行が、捜査活動に使われているのが十分に信頼を得られる書類か、答えは否である、この文書は、こういったことを述べてあります。
私は、会計課長さんがこのことを会議で言っておられますが、これからわかることは、これは二〇〇〇年九月の会議のことですが、やはりその当時からこの裏金づくりの問題を警察庁はしっかりつかんでいて、これは何とかしなきゃいかぬという思いがあったということは読み取ることができます。
ですから、年頭あいさつでも言われた信頼回復の努力ということを言うのならば、私は、やはり一つ一つの各県警で出てきた問題もそうですし、最近でいえば仙波巡査部長のような内部告発を正面から受けとめて、そして、報復だ何だということじゃなしに、調査し事実を公開して、こういう不適正なものあるいは裏金づくりの実態などというものについては毅然とした対処をしていく、これが長官として今一番求められていることだと思うんですね。
これをあなたへの質問の最後にしておきたいと思います。
○漆間政府参考人 ブロック別会議の関係につきましては、幾つかブロック別会議はやっていますが、そこに出てきたような話について、これは、当時その会議に警察庁側から出た人間にすべて聞いております。基本的には、十三年度から捜査諸雑費制度が入るわけでありますから、その辺についてのいろいろな指示をしているということは認めていますけれども、具体的に不正経理があるからこういうふうにしろというようなことを述べたということを言った者は一人もございません。
それから、そのメモ自体も、だれが書いたかわかりませんが、かなりの誤りがございます。そこから考えますと、やはりそれ自体が正確にそのときのブロック会議の内容を記録したものであるという認識は、我々としては持っておりません。
ただ、委員おっしゃるように、いろいろな形で、こういう問題が起きれば内部から、こうだったんだ、ああだったんだというものが出てくることは当然だと思っていますから、それを踏まえながら、あとは、いかにその中で取捨選択して、この問題についてはやはりきちっとしておくのがいいのか、これはかなりうそが入っているからそう考えなくてもいいのか、ここのところをきちっと私らは泰然と分けて、あとはその中で、この問題をクリアさえできれば国民の信頼を得るような形に今後警察活動を進めていけるというようなものを私自身がきちっと頭に入れて、それを今後遂行していくということが私は大事だと思っています。
○吉井委員 では、長官への質問は終わりまして、愛媛県警の問題について引き続き、これまでから取り上げてまいりましたが、伺います。
愛媛県警の仙波巡査部長は、現職警察官として初めて、実名を明らかにして一月二十一日に裏金づくりを記者会見で告発されました。この会見の中で、一月二十七日まで六年間所属していた鉄道警察隊でも、警乗手当を原資にした裏金づくりがやられていることを明らかにしています。
鉄道警察隊というのは、一九八七年、国鉄分割・民営化に伴い、鉄道公安官制度が廃止されて発足していますが、現在の全国の実人員及び警乗手当支給額は幾らになるのかを最初に政府参考人に伺います。
○伊藤政府参考人 私の方からは、全国の鉄道警察隊員の実員数についてお答えをしたいと思います。
平成十六年の四月一日現在で、千八百八十二人というふうに承知しております。
○吉井委員 現在の人員及び警乗手当の支給額、要するに列車警乗の国費支弁というのが幾らになるのかというのを、これはもともとあなたの方から資料をもらっているんだけれども、念のため、確認のために聞いているので、専務員で九百八十五人、二〇〇三年度決算ベースでいったら五千四百八十六万四百五十円になりますというのが伺っているところですが、そのとおりなんじゃないですか。
○伊藤政府参考人 鉄道警察隊における活動旅費、列車警乗の費用でございますけれども、全国の合計で、平成十五年度でございますけれども、五千四百六十六万四百五十円というふうになっております。
○吉井委員 それで、鉄道警察隊の警乗手当の趣旨、それから、これはいつから実施しているんですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
御質問の警乗手当というのは、列車警乗に係る旅費のことでございますが、一般的に旅費というのは、御案内のとおり、旅行の実態に応じまして、運賃、日当、宿泊料等が支給されるということであります。警乗手当というのは、運賃につきましてはJRなどから業務証明書というものを受け取りますので、基本的には日当を中心とするというものでございます。
○吉井委員 ですから、旅費規程に基づく日当で、これは一回千七百円支給、こういうことでいいんですね。
○伊藤政府参考人 警乗手当は、いわゆる旅費でございまして、国費で支給する場合におきましては、一回千七百円でございます。
○吉井委員 それで、仙波さんの場合でいいますと、一九九九年二月から二〇〇五年一月二十七日まで、ことしの一月まで約六年間、鉄警隊に在職したわけですが、鉄警隊に異動した一九九九年二月から二〇〇一年三月までは、警乗手当の存在さえ知らなかった、警乗手当を受け取ったことがなかったということです。
以前に隊員であった方の話でも、九八年までは受け取っていたが、九九年、二〇〇〇年は受け取っていないという話です。それで、二〇〇一年からはこれは話がかわるんですが、二〇〇一年四月からは警乗手当が支給されて、受け取ることになって初めてこれはわかった。
なぜ二〇〇一年四月かといったら、二〇〇一年四月からは、情報公開法が施行ですね。ちょうどそれがまた二〇〇〇年の九月の例の先ほどの文書にかかわってくるわけですが、情報公開を前にして、監査室長等会議も開催され、説明もされているわけです。ですから、警察は、情報公開法施行に対応して会計資料などの取り扱いを手直しして進めてきたということで、その中で、捜査諸雑費制度と国の機関で実施される情報公開制度の説明を行って、やり方を変えていくということになっております。
この警乗手当は、全額国費支弁ですよね。そこで、九九年度と二〇〇〇年度に国が愛媛県警へ支弁した警乗手当の支給の人員と金額は幾らか、これを伺います。
○伊藤政府参考人 平成十一年度でございますでしょうか、愛媛県警の方に国の方で支給しました警乗手当の支給額は四十九万九千八百円で、延べといいましょうか、実支給人員では四人となります。四人の方に対して、それだけの金額を払っております。次に、平成十二年度でございますけれども、六人の方に対しまして、三十九万七千八百円支給いたしております。
○吉井委員 ですから、国から愛媛県警へ二年間で約九十万円払ったということになるわけですが、それで、これは九十万円なんですが、隊員に支給されていないんですね。仙波さんは、一九九九年から二〇〇〇年度にかけて、はっきり記録に残っているだけでも八回の警乗手当を受給するに該当する列車警乗をしていると言っているんですが、このことを調べておられますか。
○安藤政府参考人 現在、愛媛県警の調査チームの中で、仙波巡査部長の発言、特に警乗手当を含めまして、今調査中でございます。
〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
○吉井委員 これは調査中ということなんですが、旅行命令簿があるでしょう。旅行命令簿というのは保管期間が五年間ですから、これを見れば、そんな大層な調査をせぬでもすぐぱっと出てくるんじゃないんですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの旅行命令簿につきましては、平成十一年度と十二年度におきます仙波巡査部長に係る旅行命令簿、これは国費の分でありますが、これは調査をしましたが、現在、存在しないという報告を受けております。
○松下委員長 官房長、マイクの前でしっかりしゃべるようにしてください。
○安藤政府参考人 存在しないということを報告を受けております。
○吉井委員 これは不思議なんですよね。旅行命令簿の保管期間が五年間で、仙波さんの分はなくて、他の隊員の方の旅行命令簿はある。なぜ仙波さんの分だけがないのか、これは非常に不思議な話なんですね。
仙波氏だけが旅行命令を受けていないなどということは極めて不自然です。二年間は旅行命令がなく、その後、旅行命令もちゃんとあったんでしょう、ちゃんと手当も受けて、情報公開以降は受けているということになっているわけですから。警察の方は、これまでから会計資料廃棄とか証拠隠滅を図った経過がありますから、とてもこのやり方じゃ納得できるものじゃありません、信用できるものじゃありません。
警察庁の資料によれば、二〇〇〇年度の支給した人員は六人となっていますが、本当に六人に支給したんでしょうか。
○安藤政府参考人 先ほど委員の方からるるありましたように、平成十三年四月から情報公開施行ということでありますが、これは愛媛県では十四年の春からだと私は承知しております。
それで、先ほどの旅行命令簿がないということでございますが、これは一般的に申し上げますと、国費に係る旅行命令というものは行われておらない、そして警乗旅費の請求が行われていないというふうに理解されるところでありますが、他方、仙波巡査部長の先ほど来の警乗の状況に関する発言があるわけでありますので、愛媛県警において、事実を確認いたしているというところであります。
引き続き、可能な限り速やかに事実関係の確認を行うようにさらに督励したいと思いますが、先ほど御指摘の人数分につきましても、またそういう確認をいたしたいと思います。
○吉井委員 二〇〇〇年九月の監査室長会議というのは、国の機関で実施される情報公開制度を説明するためということで、情報公開でこれらのものが、県によって若干のばらばらはあるかもしれませんけれども、情報公開するからということで、もともと二〇〇〇年にやっているわけです。それを受けて、二〇〇一年度からは、公開ということもありでしょう、実際にこれは支払われるようになっているわけですね。
このとき、いただいた資料で、実員八人となっているんですね。私が調べたところでは、九九年も二〇〇〇年も、鉄警隊の実働は四人なんですよ。実員として資料をいただいた中で八人ということなんですが、このうち二人は庶務で、列車警乗は一切ない。さらに、隊長が一人いらっしゃいますが、九九年は隊長一人、二〇〇〇年から二〇〇三年までは隊長ともう一人の隊員が、これは愛媛県警のヘリコプターでテレビ放映するヘリテレビプロジェクトに派遣されていて、実際の列車警乗をできるという状況になかったわけですね。ですから、二〇〇〇年度の鉄警隊の実働は四人だけだったんです。こうした状況をきちんと把握していらっしゃるのかどうか。
仙波さんに支給していないということで、実働四人ということになりますと、実際には実働をした人は三人だったということになるわけですが、しかし、御答弁にもありましたように、九九年度は四人、二〇〇〇年度は六人に支給したはずなんですね。これは、なぜこういう食い違いが出てくるのか、伺います。
○伊藤政府参考人 年によって実際に支給した人員の差が出ることについて、詳細についてはちょっとわかりませんけれども、愛媛県警の場合は、鉄道警察隊のいわゆる隊員数が非常に少ないわけでございます。そのため、警乗というものを行っていくためには、鉄道警察隊長であるとか、あるいは、ふだんデスクワークを担当している者も必要に応じて列車警乗に当たったというふうに聞いておりますので、そのような形で、年によって人数が変わってくるんだというふうに思っております。
○吉井委員 そうしたら、人数は少ないからそう難しい、たくさんの名簿は要らないんですよ。簡単な話なんですね。実際に支払った人、九九年に四人の方にお支払いしたというのならば、国費で支弁したこの隊員の名前ですね、二〇〇〇年度は六人というんですから、隊員の名前を明らかにしてもらったらいいんです。聞かせてください。
○伊藤政府参考人 具体的に私どもが知っておりますのは、何人に把握したという人数については知っておりますけれども、具体的な名前については承知しておりません。
○吉井委員 これは、私の方でも簡単にわかる話ですから、四人と六人ですから、四百人、五百人の話じゃないから、これは直ちにまず把握して御報告いただけますね。
○伊藤政府参考人 個人の氏名にわたるものについては、公開できるものとできないものがあろうと思いますので、その点については検討したいと思います。
○吉井委員 これはそんな大層な話と違うわけよね。別に、正規に列車警乗をしておって、手当をもらうこと自身は不正を働いているわけじゃないんですから、もらっている場合だったら。もらった方の、四人だというんだから四人のお名前、プライバシーだとか何か不正だなんだという不都合なことに係るものは一切ないんですよ。だから、これはまず明らかにしていただきたいと思います。
委員長の方でも計らってください。
○松下委員長 理事会で検討します。
○吉井委員 次に、九九年と二〇〇〇年度の愛媛県警鉄警隊の勤務形態がどういうものであったかということについて伺っておきたいんですが、当時の愛媛県警の鉄警隊は二十四時間勤務の三交代制でしたから、実際には昼は二人が休みで二人が勤務という状況です。事務所に詰める人が一人いて、一人が駅頭の警戒やあるいは現場パトロールですから、だから、この列車警乗というのは本当に時間のあるときでないと一人で行うというのはなかなか大変だったという実態だというふうに伺っております。
しかし、九九年度の警乗手当四十九万九千八百円を、これはすぐ計算で出てきますから、そうすると一カ月平均二十四日ということになってくるわけですね、二十四・五日。それで、二〇〇〇年度の分でいったら十九・五日という計算になります。
これでいくと、もともと事務所に一人、一人が現場パトロールで大変だという中で、一人だけでも出すのが大変というぐらいのときに、実際には実動が四人の中で、仙波さんは手当を受け取っていない、出張命令簿もない。出張命令、仮にないということで三人でやっておったとなると、とてもじゃないけれども、これはそのローテーションを組むこと自体が困難なんですよ。
こういうことは、現場を知っている人からすれば、そういうローテーションを組むこと自体が大変だということがわかっているのに、これでなぜ、実動四人ということを言いながら、仙波さんに払っていなかった、実質三人ということで、うまくローテーションが回転したと言えるのかということは、これは非常に説明の難しい話です。
だから、この点でも氏名をきちんと明らかにして、実際にだれが乗ったのかということで、ローテーションを組むことができたのか、できなかったのかということ自体を明らかにしていくということは、私は鉄警隊のこの手当が裏金になっていたのではないかという問題を解明する上でも大事なことだと思うんですが、何かこのローテーションについて説明できますか。
○伊藤政府参考人 平成十一年度の支給額総額は、先ほど申しましたように、四十九万九千八百円ということでございますので、月に大体二十数回ということになります。一人当たりで見ますと、週に二回ほど行かなければならない形になりますけれども、それは、勤務のローテーションから見ると、それほど難しいものではないかなというふうに考えております。
○吉井委員 これは、計算は簡単なんですね。この月平均の試算というのは、支給額を要するに千七百円で割る、それで十二カ月で割る、これでいきますと、九九年度は二十四・五回なんですね。これを、支給人員は四人というお話でした。しかし、仙波さんはその中から受け取っていなかったということは、仮に出張命令等の記録はないので行っていなかったんだとすると、そもそも支給したと言いながら支給していない人が一人出たことになりますが、三人でローテーションを組むことになるんですよ。
そうすると、もともと当時は、さっき言いましたように、愛媛県警の鉄警隊は二十四時間勤務の三交代制の時代ですから、実際には、昼は二人が休んで二人が勤務という状況で、事務所に一人が詰めていて、一人が駅頭警備や現場パトロールに出かける。
だから、本当に現実に何人の人が、あなたは何か、一人で見れば週に二回程度だというお話ですが、そうじゃなくて、何人の人が警乗できる余裕があったのかという、そこから見ないと、両面から見ないとローテーションというのは簡単にいく話じゃないんですよ。違いますか。
○伊藤政府参考人 平成十一年度に関しましては、支給人員が四人でございますので、これは仙波部長の分は入っておりませんので、仙波部長以外の四人ということになりますから、四人の人間がローテーションで年間、月平均でしょうか、二十四回強の警乗をしたということになります。
○吉井委員 さっきその名前がわからなかったと言いながら、その四人の名前はわからないのに、何で仙波さんの名前が入っていないことだけよくわかるんですか、おかしいじゃないですか。
○伊藤政府参考人 先ほど旅行命令簿の話がございましたけれども、旅行命令簿に仙波さんの旅行命令簿はございませんので、その人以外の人に対して支給されたということですので、入っていないということになります。
○吉井委員 いや、その旅行命令簿自身が、仙波さん自身はこの管区の八回の警乗をやったと言っているのにないんですから、その命令簿がないこと自体が今問題になっているんですよ。その問題になっているものを、ないことを前提にして、だから仙波さんは四人の中に入ってこない、その論理は余りにもめちゃくちゃなんです。
そうした、要するに、仮に皆さんの論理でいったとしても、四人で回しておった、しかし、仙波さんは払っていませんでしたとなりますと、実質的には実動は三人になるんです。
そうすると、定員いっぱいいっぱいの状況の中で、仙波隊員だけが列車警乗の業務から外れるということはあり得ない話なんですよ、もともと数が少ない中で、ローテーションを組まないとやっていけないんだから。だから、仙波さんが鉄警隊の任務についた九九年度、二〇〇〇年度については、そもそも全員に警乗手当を支払っていないんですよ。
それなのに、仙波さんを除いて三人全員に支払ったという形にするから、こういうふうな現場では考えられない事態が起こっているんですよ。
だれかが受け取れば、これは、全部こういう話は同僚の間で一遍に知れ渡る話なんですよ。国から愛媛県警には支弁されていた、これは答弁でも明らかなんです。しかし、本人には渡っていない。そうしたら、その金は一体どこへ消えたのか。
これがいわゆるこの問題をめぐる裏金の問題として出てきているときですから、これは、国家公安委員長、私が政府参考人相手に時間とってやってきたのは、あなたによくここを聞いてもらって考えてもらわないかぬということで、ちょっと丁寧にやってきました。
それで、警乗手当問題の調査をこれは国家公安委員長としてしっかりと進めていただきたいと思うんですよ。金額は、あなたの感覚からすれば、二年間分、九十万ということで、余り大きいように思っておられないかもしれないけれども、しかし、そういう、ここで九十万、ここで何ぼというふうに、それが裏金というもので出てきている実態なんですから、だからこれをあなたに徹底的に解明してもらいたい、しっかりこの調査を進めてもらいたいと思うんですが、これは大臣に伺います。
○村田国務大臣 これは、その件につきましては、愛媛県警におきまして本人からも事情を聴取するなどして解明に努めているものと私は考えております。
○吉井委員 県警で調べるのも、調べるのは当たり前の部分ではあるんですけれども、しかし、あなたが調べさせると言っているところ自体がその裏金問題を起こしているところなんだから、だから、調べられる側の人に調べろと言うのは、もともと調査ということについては客観性とか公正性とか信頼性というのは極めて弱い。だから、あなたは、調べさせるのは当然ですけれども、国家公安委員長としてもこの調査は徹底的にやってもらいたいと思います。
○村田国務大臣 調べた結果は愛媛県公安委員会にもきちっと報告されるでしょうから、愛媛県公安委員会が市民の目線に立ってその調査の結果については一定の評価をされるのではないか、こういうふうに思います。
委員長、ちょっと時間をちょうだいいたしまして、答弁の途中でございますが、先ほど市村委員の答弁に際しまして、私、ちょっと間違って答弁をいたしましたので修正をさせていただきたいと思っております。
午前中の答弁でございますが、国家公安委員会の給与に関しまして、段階的に報酬が引き下げられる、こういうふうな趣旨のことを申したわけですが、手当が支給されることとなる基準が引き下げられる、こういうことでございますので、おわびを申し上げて、訂正をさせていただきたいと思います。
○吉井委員 それで、仙波さんが記者会見で明らかにした裏金づくりはこれだけじゃないんですね。
鉄警隊で、上司から、正規のものとは違う、別に電車に乗った回数を水増ししたシフト表作成を指示されたことがあるというお話です。そのときは拒否したんだが、今は別の隊員が実際より乗務回数を多くした表をつくって本部に報告しているという証言もあります。
都道府県警は、毎月、列車警乗実施計画というのを警察庁、管区警察などに提出していると思うんですが、これについて、仙波さんの方はそういう提出はしているということですが、過去三年間の愛媛県警が提出した列車警乗計画を提出していただきたいと思うんですが、これはどうですか。
○伊藤政府参考人 各県が行っております列車警乗でございますけれども、具体的にいろいろな目的を持って列車警乗を行っております。過去三年間の詳細なる列車警乗計画あるいはその実施結果等について御報告いたしますと、ある意味では、私どものどんなところにどういった力点を置いて仕事をしているかということを一般に公開することにもなりかねませんので、その点については、やはり捜査の密行といった部分もございますので、控えさせていただきたいと思っております。
○吉井委員 これは、何ら捜査上問題ない話なんです、これも。どの列車に乗ったかを出せと言っているんじゃないんです。そうじゃなくて、列車警乗の月ごとの回数なんですね。しかも過去のものであって、問題ないんです。
委員長、これは警乗手当支給氏名、さっきの分とあわせて、やはりこれを出して、少しでも解明に近づくことができるように、ぜひ理事会で協議していただきたいと思います。
○松下委員長 委員長が預かります。
○吉井委員 最後に、警察問題で厳しいお話をずっとしてまいりましたが、大臣、私は同時に、大臣もさっき言っておられた、福岡のあの地震災害のところへ調査に行かれたということですが、私も玄界島で警察官の人が頑張ってはるのも見ましたし、それから天神の警固断層のところのビルのガラスが飛びはねて、そこの警備のこととか、いろいろやってはるのをちゃんと私も見てまいりました。
それで、八一年の耐震基準が決められて以降に建設されたビルでも、実際に壊れたものが少なからず出ているというのが福岡の実態です。ですから、やはりこの問題は、地震があって警察が動くというのももちろん大事なんですが、それだけにとどまらないで、そもそもこの警固断層周辺のビルなどで、八一年以前のビルか以後のビルかで線引きしないで、すべてを対象にきちんと被災状況を調査すること、八一年耐震基準での住宅やビルへの改造を進めるように支援することを、これは内閣挙げて取り組むということが、問題が起こってから警察が動くという話じゃなくて、本当にそういう取り組みというのを今は内閣挙げて取り組むということが大事なときだと思うんです。これを最後に大臣に聞いておきます。
○村田国務大臣 五十六年以降の耐震基準によっておれば建物が一切壊れないということではありませんでして、一応、倒壊するか否か、こういうことを考えているわけでございまして、そこは、もし誤解がありましたら正していただきたいというふうに思います。
ただ、玄界島だけではなくて、市内の方にも、私も現実に屋根の部分が損壊した家屋もこの目で見てまいりましたし、それから、ビルでもいろいろなところが損傷を受けている、そういう実態も現地に参りまして見てまいりましたので、なおかつ、調査が徹底するようにということを、昨日も改めて、市長がおいでになりましたものですから、しっかりと調査をやってくださいと私の方からもお願いをしたわけでございます。
○吉井委員 では、時間が参りましたので、終わります。
○松下委員長 次回は、来る四月一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時七分散会