第8号 平成17年4月8日(金曜日)
平成十七年四月八日(金曜日)午前九時三分開議
出席委員
委員長 松下 忠洋君
理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君
理事 増田 敏男君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 須藤 浩君
理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君
江渡 聡徳君 大村 秀章君
川上 義博君 木村 勉君
佐藤 剛男君 桜井 郁三君
土屋 品子君 西村 明宏君
西村 康稔君 萩野 浩基君
早川 忠孝君 宮澤 洋一君
石毛えい子君 市村浩一郎君
小宮山洋子君 今野 東君
島田 久君 藤田 一枝君
藤田 幸久君 牧野 聖修君
太田 昭宏君 吉井 英勝君
…………………………………
議員 小坂 憲次君
議員 西川 京子君
議員 宮腰 光寛君
議員 白保 台一君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
参考人
(学校法人服部学園服部栄養専門学校理事長・校長)
(医学博士) 服部 幸應君
参考人
(食の安全・監視市民委員会事務局長) 水原 博子君
参考人
(21世紀の水産を考える会代表理事) 河井 智康君
内閣委員会専門員 高木 孝雄君
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委員の異動
四月八日
辞任 補欠選任
萩野 浩基君 西村 明宏君
同日
辞任 補欠選任
西村 明宏君 萩野 浩基君
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本日の会議に付した案件
食育基本法案(小坂憲次君外五名提出、第百五十九回国会衆法第四九号)
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○松下委員長 これより会議を開きます。
第百五十九回国会、小坂憲次君外五名提出、食育基本法案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、学校法人服部学園服部栄養専門学校理事長・校長、医学博士服部幸應君、食の安全・監視市民委員会事務局長水原博子君、21世紀の水産を考える会代表理事河井智康君、以上三名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
服部参考人、水原参考人、河井参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いを申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承をお願い申し上げます。
それでは、服部参考人にお願いいたします。
○服部参考人 おはようございます。
今、私は、二種類、大きな文字で、それと小冊子、この二つを用意してございますけれども、この中身についてもちょっと私の発言の中で触れていきたいと思っております。
食育基本法に関しましては、支持する立場でございます。
と申しますのは、私は平成三年、十四年ほど前から食育をテーマに活動してまいりました。なぜそういうことになったかといいますと、今、核家族化が進んでおりまして、おじいちゃん、おばあちゃん、子供たちが一緒に団らんを囲む機会もございません。そのことによって、衣食住の伝承が大分切れてきていると思います。
例えば料理に関して言いますと、世界で一番料理ができない子供たちが育ったと思います。これからの時代ですから、料理をしなくても、調理済み加工食品等の安全性を確かめて食品を選ぶ能力を身につけさせれば私はいいと思っているんですけれども、やはりおふくろの味というんでしょうか、一品でもいいんです。私は一汁一菜と申していますけれども、一つの汁物と一つのおかず、こういったものを調理済み加工食品にあわせて食するような、そういう環境づくりぐらいは必要だろう。
何もできないというのは、世界で私は恥だと思います。私は七十六カ国を回っておりますし、それぞれの家庭で私も体験をしましたけれども、どこの国も、おふくろさんなりそこのだんなさん、こういった形で物をつくって子供たちに食べさせないというところはないんですね。ですから、そういう意味では、一品でもいいんです、そういう環境づくりをしていただきたい。
それから、世界で一番残飯を出す国だと私は思います。
今、世界は六十四億と言われています。そのうちの八%が衣食住が非常に満ち足りている。ところが、日本は御承知のようにカロリーベースで食糧自給率四〇%、六〇%は輸入でございます。これは、私が京都大学の方々とお話ししたときに、実は七百二十万トンほど残飯が出ているけれども、金額に直すと十一兆一千億だ。ところが、日本で生産されているその四〇%の自給率を金額に直すと十二兆四千億だ。何と、日本で生産されたりまた確保できているもののうちの九割近くを残飯に充てている国というのは、こんなものはないだろうと。私は、EU、ヨーロッパ連合の家庭がどういう状況であるかというのを調べさせていただいたんですが、日本人は約倍の残飯を出していますね。本当にむだをしていると思います。
こういったことをきちっと子供のころから知らしめる、そういう環境というのは、では家庭ができるのか。私は、今、家庭ができなくなってきているんじゃないかなと。それであれば、小学校、中学校、少なくともこの時期に、これは学校の組織を使ってやはり教えていく必要があるだろう。
そのためには、今皆さん一番憂えておられるのが生活習慣病等だと思います。毎年百万近い方が亡くなっておられますが、そのうちの六四・八%が生活習慣病によって、これは食物によって亡くなっている。感染症が約一〇%、そして二五%が交通事故、自殺その他ですね。ですから、私は、食べ物をどう摂取するか、この部分を子供のころからきちっと、親はもう教育できないと思っています。ですから、その親自体がやはり同じように勉強していく必要もあるんですけれども、両面から押さえていく必要がある。
今まで、市民活動その他で随分いろいろな方々が栄養の問題に関してやってまいりました。しかし、これが、一部の方には入っていっておりますけれども、組織的にきちっと将来を見据えてやっていくことができないような状態です。
各省庁、例えば厚生労働省、こちらは健康日本21というものを打ち出しておられます。それを市民の段階まできちっと知らしめるためには、やはり学校の組織を使うべきだろう。農水省が打ち出している、これから農業も活発に行っていかなければいけない、これもやはりそういう組織の中、学校教育の中でそういういわゆる知識を与えていくべきではないだろうかな、そしてそれを受けるのが文部科学省だろうというふうに思っています。
ですから、文部科学省のいわゆる知育、徳育、体育で今までやってきたものにプラス食育、そういう科目を僕はできたらば法律的に位置づけていただきたい。今、家庭科がありますけれども、家庭科というのは大体小学校五年生ぐらいから料理なんかに入ります。もう遅いと思いますね。僕は、料理を家庭で全部やることはないというのは冒頭で申し上げたとおりです。しかし、選食能力といって食品が安全かどうかということを見きわめる能力、こういったものを子供のときからつけるべきが一つ。
二つが、はしを持てない子供たちがこんなに多いとはびっくりしました。七割の小学生がまともにはしを持てません。こんなことでいいんでしょうか。中学生が五三%ぐらいですね。そして、そこで教えている担任の先生の四七・二%がはしを持てません。日本人として私は恥ずかしいと思いますね。私は北海道から沖縄まで今各学校を回っておりますけれども、やはりそういうことすらできないというのは、その先生自体が核家族で育った人たちなんです。
やはり、こういうものは教育組織というものをきちっとしていくべきだろう、そのためには、今諸外国も私は調べてまいりましたけれども、どうも、国がある程度音頭をとってくださらないと、こういったものは広まる可能性というのは非常に低いです。やはり、予算の裏づけというのももちろんあるというふうに思います。
そして三番目が、食糧問題、環境問題、そしてそれを取り囲む、いろいろ先ほどからの残飯の問題であるとか、こういうことじゃないかなというふうに思っているわけです。
時間があれですけれども、そういうことで、実はこれは、お手元に配らせていただきましたけれども、社団法人の全国調理師養成施設協会、私は会長をやっておりますが、全国の調理師の養成の学校というのは約二百七十校あるんです。これをぜひ調理師のいわゆる学生に、授業の中に組み込んでいこう、そして卒業してからちゃんと現場で食育ということを頭に置いて調理ができる人たちを育てたい。
ただ、残念ながら、我々の学校に入ってくる子自体が、包丁を持ったこともなければ、まないたもさわったことがない、そういう子ばかりなんですね。そこからプロを養成するには時間がかかる。やはり、小学校、中学校の時点でそういうことがきちっと行われるべきじゃないかな、私はそう思っております。
そして、この一枚目に、皆さんの目につくように大きく書かせていただきましたけれども、これの一番後ろに「食育三カ条」というのがございます。この三つが大きな柱になってこれから展開していくには、授業として私は学校教育に入れていただければと。
だからそのために、今本当に皆さんもそうでしょうけれども、三十歳以上の男性の三人に一人が高血圧症です。そして糖尿病、これは毎年二百万ずつふえておりまして、現在千六百万ぐらいいるわけです。例えば、七百四十万人が糖尿病、そして八百八十万人が予備軍ですね。これが二〇一〇年には両方合わせて二千万人になると言われています。
本当にそういう意味では、我々がそういうものに対応するには、きちっと子供のころからの教育が必要ではないだろうかということでございます。
以上でございますけれども、後ほどまた御質問等がございますならば、どうぞお出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
○松下委員長 次に、水原参考人にお願いいたします。
○水原参考人 食の安全・監視市民委員会の事務局長をやっております水原博子と申します。
ここに、お手元に配付させていただきましたが、「食の安全ウオッチ」という季刊誌があります。これが私どもの季刊誌でして、食の安全・監視市民委員会といいますのは、二年前に食品安全委員会が設置されましたときに、私ども市民の側から食の安全に関していろいろと提言して、活動をやっていこうということで立ち上げました。
きょうはこの立場から私はお話し申し上げますが、実は、私は日本消費者連盟という団体の事務局長もやっております。食の安全・監視市民委員会の活動の事務局を日本消費者連盟に置いていまして、私が食の安全・監視市民委員会の事務局長もやっております関係で、そちらの立場からきょうは皆さん方にお話ししたいと思います。
まず、食育基本法の内容なんですが、いろいろと現状分析が行われております。この現状分析といいますのは、私どもが見ましたときに、本当にそのとおりなんですよ。ここに書いてあります危機感というものは私どもも共有しております。こういうふうな食の環境というものは非常に危機的な状況になっていることは事実なんです。
ただ、私どもは、ここに書いてあります危機の状況の中で、ではそれに対してどういう対応をすべきか、私たちがこれからどういうことをやらなければいけないかということにつきまして、食育ということに関しましての立場が異なります。
ですから、きょうは私は反対の立場から御意見を申し上げたいと思います。
まず、私はこの法案の中をよく拝見いたしましたが、行政の責任と、それから国民が食生活の中でいろいろと、先ほどもお話がありましたけれども、やってきたことの中で、今の食の危機をもたらしている、おはしが持てないということもありましたけれども、子供たちが孤食であるとかいろいろな問題があるんですけれども、行政の責任とそれから一人一人の食習慣によって今の現状がもたらされたこととが、この法案の中には一緒になっているんですよ。
そのなっていることの中で今後食育をやろうということになりますと、そのことが全部一緒になって私たち国民も国民運動としてこの食育をやらなければならないということで、それらすべてが私たち国民の責務としてかかってくるんではないかという危機感が非常に大きいわけです。
私は、この食育基本法そのものを何らかの形でもって制定すること、それはあるかもわかりませんけれども、ただ、法案をつくりましても、これまでの法案の中で実際に食育に関するものはたくさんあるわけですね。
例えば、学校給食法だってあります。では、その学校給食法が本当に守られて、充実した子供の食の場になっているかどうかということを考えてみたいと思うんですね。そうならないということがあります。
それから、家庭の団らんということがありますけれども、では、今この法案の中で指摘されているような問題点、それをなくすためにはどうしたらいいかといいますけれども、それは皆さん、家庭の団らんをやったらいいとか子供の孤食をなくしたらいいとか、そういうことを言われますけれども、そういうことができないような状況になっている。
それは、もう皆さん、説明は要らないと思いますね。労働の状態とか長時間労働とか残業とか、母親はパートを三つも四つもかけ持ちでやらなきゃいけないとか、それから子供は塾に通うとか、そういう状況があるということ。
それを私たちが今後どういうふうに考えるかということがなければ、立派な法案をつくっても、今の法案が実行できないのと同じように、私は実現できないのではないかと思うわけです。
それから、学校給食のところに関しましては、せっかく学校給食法がありまして、今もその学校給食の場を使えば食育ということは幾らでもできたと思うんですよ。
ところが、学校給食法はできましたけれども、合理化案ということでいろいろ合理化の方向で、学校方式ですね、学校単位でもって給食をつくるということじゃなくて、センター方式、大量にセンターで給食をつくって運んでくるという状況になりまして、それで子供たちが給食をつくっている調理師さんの姿を見ていない、それから冷めたものがえさみたいに運ばれてくるということがあるわけですね。
そうじゃなくて、本当に子供たちが学校でもって一緒に食をつくる、それから、ゆったりとした給食時間でもって、子供たちにはしの持ち方から食器の使い方から食の文化、いろいろなことをやりながら学校給食をやるということであれば、今、学校給食法のもとで給食をやっている、それを充実させれば、食育は十分にできると思うんです。そういうことができない状況のままでは、今の食育基本法をつくっても、私はそれは目的を達することはできないのではないかと思います。
ことしから栄養教諭の創設ということができました。それは、学校給食の関係でやはり栄養士がいないという状況、それを少しは改善しなければいけないという方向に来たわけですよ。ところが、栄養教諭の配置は各都道府県の任意に任されています。必須ではありません。ですから、私どもがこの二月に全国学校給食集会をやったときに聞きましたら、初年度からスタートするのはたしか三つの都道府県だけだったと思います。
そういうふうに、幾ら制度をつくりましても実際は動かないということがあるわけですね。それをどうするかということを考えなければいけないと思います。
それからもう一つ、食材の方のことでございますけれども、今農業の方で盛んにいろいろと有機農業で安全な食糧をできるだけつくらなければいけないということが言われておりますけれども、有機農業をやる農家の方々が、本当に小さな家族農家でこつこつと有機農産物をつくっていた人々が、有機のJAS法には乗っからないということがあるわけですね。それはもう皆さん御存じだと思います。
そういうことでもって、では本当に国内で有機農産物が推進される方向にあるかというとそうではない。どっと外国の大きな産業の有機農産物が入ってくるという構造になっているわけです。これは、ここにうたってありますような、食糧の自給率達成ということについては非常に逆の方向ではないかというふうに思うわけですね。
今私は障害になっていることを述べました。ですが、またそういうことの障害を乗り越えて、今、学校給食の現場、地域、自治体、産直運動、それから農家の生産者たちも非常に努力して、いい農産物をつくってそれで子供たちに供給する、それから地域でもってそういう農産物を食べようということは着々と行われております。それはもう事実なんです。本当に努力して行われているわけです。今の現状の中でも行われているわけですね。だから、私は、そういう障害を取り払えば、今の状況の中でも十分に行えると思うわけなんです。
むしろ、私は、食の基本法という法ができますと、地方自治体でもってまた条例ができまして、それで食育推進会議、基本法でいろいろつくられていきますね。私は現場でいろいろ聞いていますと、また大変な負担がかかるわけです。今の、現状の法のもとでの実行も十分できない上に、またこういうふうな形の実務の負担がかかってくるということになるわけで、それを両方、いろいろなものを地域でもって実現するのに大変な負担がかかってくる。
私は、そういう負担をかけるよりも、今ある形の中で、食育をやっている現場、学校給食の現場、地域で活動している産直の現場、それから有機農業をやっている人々、そういうところに十分に予算を充てることによって、日本の有機農産物も増加していくと思いますし、それが食育の中でそういう安全な食材を使った食育ができるということになると思うんです。
そういう基本のところを今の既存の法律の中で実行されていないということを私は問題にしたいと思うんです。そのことを私は皆さんにぜひ検討をお願いいたしたいと思っております。
それからもう一つ、自給率のことなんですけれども、食育でもって自給率の達成に貢献するということがあるんです。食糧の自給率の達成というのは、これは私はそういうものではないと思うんです。
今、食料・農業・農村基本法のもとにおける食料・農業・農村基本計画の見直しが行われていますよね。あそこでは、食糧自給率の達成は後退しました。それで、自給率がなかなか四〇%を超えないものですから、それで四五%にするのに、目的を二〇二〇年まで延ばしましたね。しかも、自給率が余り達成しないものですから、野菜、高級野菜を売った金額でもって自給率を今後表示しようということになったんです。それは私は非常にゆがめられた自給率だと思うんです。そういうもののために私たちはこの食育というものを法のもとに国民がそこに参加して協力しなきゃならないなんということは、これは国民から見て非常におかしな状況になるということを感じております。
そのほか、時間になりましたので、また質問があったらお答えいたしますが、この法案の中に欠けているのは乳児の問題です。私は、食育は乳児から行わなければならない、授乳からです。子供のころから、三歳までが食育の一番決定的な時代ですよ。だから、本当に日本の子供の食育を考えるのであれば、そこをどうするかということが本当は検討されなきゃいけないと思うんです。そのためには、働く母親の労働の条件とか保育をどうするかということが全部絡んでくるわけですね。そういうことをぜひ検討していただきたいと私は考えております。
以上です。(拍手)
○松下委員長 次に、河井参考人にお願いいたします。
○河井参考人 河井でございます。
二十一世紀の水産を考える会が何者かというのを御承知ではないと思います。一九八二年にスタートしました。二百海里法が国連で確定したときにスタートした任意団体なんですけれども、水産関係のいろいろな政策提言などをしていまして、今も「日本人とさかな」、こういう雑誌を出して、いろいろと世の中に訴えておるわけですが、何せ魚の方は余り皆さん関心がないような感じで見ておりますけれども。
せんだってといいますか、昨年の秋に、この食育基本法の問題では我々もフォーラムを開いていろいろな議論をしてきましたので、そこにも関連させながら少し提案したいと思います。ただ、きょうは水産に限らずいろいろなことを述べてみたいと思います。
うちの会の主張とこの食育基本法の中に掲げられているテーマというのはかなり一致する部分があるというふうに我々は見ております。直接国民の食生活改善に国が総合的に責任を持とう、そういう発想なんだろうと思います。これは我が国で初めてのことでして、とりわけ注目をしているところです。今まではどちらかというと、省庁別の形になっていまして、産業振興が中心だったように思っているところですね。
ただ、我々としても二つの点で、きょうは時間の制限もありますから、二つの点だけに絞って、よりよいものになるだろうと思われる点をお話ししてみたいと思います。
一つは、基本理念が六つか七つ並んでおりますけれども、いわゆる並列的で、どこかにやはりアクセントをつける必要があるんではないかというのが我々の考え方です。そうでないと、これから毎年評価をしていくわけですね、報告書も出すわけですから、評価があいまいになる可能性がある。どこに最大のポイントがあるのかということになるわけです。
皆さんのお手元に一枚紙で表が二つあるのを見ていただきたいのですが、ちょっと欧米のケースを参考にして見てください。これは内閣委員会の方からいただいた赤い資料にも載っていたものなんですけれども、私どもの方で、対照的に見た方がわかりやすいのではないかということでまとめてみました。
実は、ここには四カ国出ているわけですが、アメリカ、イギリス、ドイツの三カ国は、肥満及び虚血性心疾患死亡率が高まったこと、これが食育に力を入れようというきっかけになったんですね。そこがもう最大のポイントになってきています。例えば、アメリカの場合、虚血性心疾患死亡率というのは十万人中百八十三人という数字が出ておりますが、日本はちなみに五十七人なんですね。ですから、三倍以上のそういうあれがあって、日本はその点、我田引水じゃないですけれども、魚食の効果が出ているのかなというようにも感じているところです。
ところが、おもしろいのはフランスでして、フランスは実は、もうどんどんいろいろなファストフードなどが入ってくる中で、子供たちの味覚が減退しちゃっているんですね。味がわからなくなってしまった。これはやはりフランス料理の危機であるというところで、どうしても味覚を復活させる、そういうことをテーマに考えなければいけない、そういうことで食育にずっと予算をかけているわけです。
では、一体、日本は何を重点にすべきかということで考えてみると、日本は、食問題で最大の弱点というのはやはり食糧自給率なんですね。この下の表二というところにいろいろな項目別の自給率を比較しておきましたけれども、先進国中最低である。これが今まで長寿国をつくってきた和食離れというものを起こしている。ここに食文化の後退という問題もあります。
そして同時に、CPFの栄養バランスが崩れてきている。このCPFというのは炭水化物、脂肪、たんぱく質のことですけれども、これが世界で一番バランスがとれているのは日本だと言われていて、諸外国が日本食というのを見直したというそのきっかけになったわけです。それが今崩れてきていまして、いわゆる脂肪がふえて炭水化物が減ってきたという欧米型になってきてしまっているということなんですね。
もともと、日本人の生理機能というのは欧米とは違うということがよく言われます。これは歴史の中でつくられてきた消化管の状態が違うというような、そういうような民族的な特徴もあって、やはり欧米食というのは余り合わないというのが実態だと思います。そういう点で、ぜひこれは、やはり輸入に頼らない日本人の食事というのを構築していく必要があるんじゃないんだろうか。
同時に、輸入依存というのはほかにも欠点がありまして、一つは、御承知のようにアフリカなどの飢餓民族、こういった人たちが片方にいるわけですから、お金に飽かせてどんどん輸入して飽食の民でいるんではなくて、本当に実質的な食生活、食育をやる必要があるんじゃないだろうかなというふうに思います。
さらには広域流通、今貿易もそうですけれども、国内でも広域流通などといっていろいろなものが流れていますが、これは環境破壊のもとにもなるし、地球温暖化の遠因にもなっていくということだと思います。
私は、そういうことを考えると地産地消こそが、自給率を上げることにもつながるし、食文化を促進することにもつながるし、健康にもよいし、環境にもよい。そういうことを、やはり基本理念の大きな柱として考える必要があるのではないかなと思います。
二点目、実は、これを実行する場合、とかくスローガン倒れになる可能性がある。仏つくって魂入れずじゃありませんけれども、とりわけ基本法というと割合理想論が述べられるんですけれども、基本計画になって、五年目の見直しぐらいになるとだんだんそこが崩れてくるというのがよくある中身だろうと思います。
これは、食料・農業・農村基本計画のところで先ほどもお話ありましたけれども、一つは、安全、安心と言っていたのが、安心を削ってしまって安全だけでいいというような話になりました。この食育基本法にも安全と安心という言葉は出ています。ですから、そういう問題であるとか、あるいは先ほどの生産額ベースの自給率などという、ちょっと普通には考えられないようなことが起こるような、こういうことがあります。これらはやはり生産者中心、産業中心の物の発想がそういうものにつながっていくんだと思うんですね。
安全、安心の問題で、安心を取っていいという消費者はほとんどいないというふうに思います。あるいは、生産額ベースの自給率ということでメリットがあるのはやはり生産者の側だと思うんですね。そういう点では、今度の食育基本法はそういうごまかしは許されない。なぜならば、国が直接国民、消費者に責任を負うという、そういう今度の食育基本法ですから、生産者側には有利であるけれども消費者側には不利な、そういう物の発想というのは許されないんだろうというふうに思います。
そういう点で、今度の食育基本計画ができた後の問題をぜひお考えいただきたい。ここには食育推進会議というものが提起をされているわけですけれども、私らは、これを思い切って民間のものにして、そして議論を公開制にする。必要ならば、委員を公募して選挙もして、公開制をとれば、いわば食育国会だとかあるいは食育議会とか、それに匹敵するような、そんなイメージのもので構成すればごまかしのチェックがきいてくるのではないだろうかな、そんなふうに考えております。
やはり、この食育基本法は、この文面どおり本気にやればかなり大きな価値のあるものだと思いますので、ぜひそういう点で、本当に理想が現実とマッチしていくような、そういう仕組みをつくっていただきたい、そんなふうに思っている次第です。
時間ですので、私の方からは以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○松下委員長 ありがとうございました。
以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○松下委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。
○西村(康)委員 自由民主党の西村康稔でございます。
参考人の皆様、お忙しい中お越しをいただきまして、また貴重な御意見、大変示唆に富んだ御意見をいただきまして、ありがとうございます。時間もございませんので、早速質問に入らせていただきます。
私も、この食育基本法、大賛成でありまして、お三人の参考人の皆さん方、まさしくおっしゃられたさまざまな食に関する問題点が今日本である中で、それをぜひ国民運動的に展開し、さらに、どこか一つの、国だけがやるあるいは家庭だけがやる、学校だけがやるじゃなくて、法律を読んでいただいたらわかりますけれども、みんなで力を合わせて、それぞれ少しずつ役割分担をしながら、責任を果たしながら運動を推進していこうということになりますので、ぜひこの法律は成立をさせたいと思っているところであります。その役割分担というか、その観点からぜひお伺いをしたいと思うんです。
まず、服部参考人にお話を伺いたいと思うんですが、家庭が今崩壊してなかなかその役割を果たしていない、むしろ学校でしっかりやるべきだ、これもごもっともでありますけれども、この法律、繰り返しになりますが、国も責務を果たす、地方自治体も責務を果たす、それから家庭も責務を果たす、学校も果たす、地域も果たす、それから関連する農林水産業の方々あるいは食品業者、それぞれが少しずつ役割分担を果たしていこうということでありまして、これはぜひ家庭でも、あきらめずにぜひ推進をしたいと思うんです。
私も、娘が三人おりますけれども、朝御飯は必ず食べさせる、時間がかかっても食べさせる。それから、夜一緒に食べていまして、きょうは何か食が進まないなといっていろいろ問い詰めると、三時か四時に間食でお菓子をたくさん食べたりしている。間食でその分カロリーをとり過ぎて、肝心の栄養をとれないということになるわけでありまして、こんなところで私の家族なりに食育を進めているところであります。
そういう観点から、家庭の食育をもう一回進めるにはどうしたらいいかというところを一点と、もう一点、服部先生に、小学校五年生からの家庭科では遅いというお話もありました。学校でももちろんこれはやっていかなきゃいけないわけですけれども、この法律の中にも書いてあります、都市と農村の交流、共生、対話を進めようじゃないかということも大きな一つの柱だと思います。
以前から私も主張しておるんですけれども、小学校の夏休みとか早い段階で、私は淡路島が選挙区でありますけれども、都市の、都会の子供たちを淡路島に受け入れて農体験してもらったり、漁業体験してもらったり、あるいは自分たちでとったものを自分で調理して食べたり、そういう体験こそが、自然の営みを含めて物すごく理解が進み、いいんじゃないかと思うのであります。
その二点、家庭での役割、それから都市と農村の交流をもっと進めるべきじゃないか、この二点について御意見をいただければと思います。
○服部参考人 今、西村先生から御質問が出ましたので答えさせていただきます。
家庭のこと、私、先ほど、時間がないものですから、家庭の現状とか学校のあり方というのをお話しさせていただいたんですけれども、現実に今、ばらばら食であるとかばっかり食というのが、家庭もそうですけれども、学校でも行われているんですね。
これは、ばっかり食というのは御存じでしょうか。一九七〇年代からなんですけれども、学校の給食で、トレーに例えばハンバーグがあって、ポテトサラダがあって、みそ汁があって、御飯があると、今、まずハンバーグばっかり食べるんですね。それで、その後にみそ汁ばっかり飲んで、それからポテトサラダばっかり食べて、最後に御飯ばっかり食べるんです。まるでコースを食べているみたいな。
これは、私、先ほども申しましたように、世界じゅう見ますけれども、家庭料理の中でフランスでさえ、よっぽど気取った家以外はみんな三角食べするわけですよ。というのは、ばっかり、そればっかり食べるということはどういうことかというと、例えば、甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、辛いというおかずがあった場合に、しょっぱいおかずを口に入れた場合には、これは辛いですから、御飯であるとかパンを口に入れて中和するわけですよ。この中和するということ、甘いおかずを口に入れた場合は、さっぱりした酸っぱいおかずを口に入れて中和する。
この中和というのが、実はメンタルを育てる、いわゆる精神を育てる意味で物すごく重要なんです。というのは、今度は人づき合いがばっかりになっちゃうんですよ。人とつき合う場合に、自分の気持ちをそしゃくして相手にソフトに伝えるということができないで、全部ストレート。こういう脳のでき方、それと味覚とそういう日ごろの行動がみんな関連してくる。
ばらばら食というのがあるんですが、これは、たまの土日に親子で団らんを囲むということがこのごろ随分言われてきておりまして、出てまいりました。ところが、お父さんが食べているのがハンバーグで、お母さんが食べているのがスパゲッティで、子供が食べているのがチャーハンなんです。これはまるでファミリーレストランで食事しているようなんです、家庭が。
御承知のように、今、デパ地下グルメその他、非常に簡便に調理済み加工食品が売られておりますけれども、チンしてそれぞれが好き勝手なものを食べているわけですよ。ところが、私ども子供のころを思い出していただきたいんですが、八割方は大体共通のものを食べました。これは世界じゅう見ましても、まず八割方共通のものを食べています。
その中で、これをなぜ食べなきゃいけないかというコミュニケーションがそこでできるんですが、今は好き勝手なもので、親が子供に向かって、あなたは何が食べたいのとオーダーをとっている。こういうことをやっているから、子供自体がわがままになる。こういうわがままを育てる環境というのはたくさんあるわけですよ。ですから、こういったものをきちっと子供のころから育てる親のしつけ、親にこういうものを教えていくこと。それで、学校の先生がそういうことを知らないから、学校自体もそういうことを平気で給食の時間にやらせている。
はっきり言いますと、先ほど総合的にやっていかなきゃいけない、まさにおっしゃるとおりで、総合的に、教育の面からも、そして国からこれをなぜやらなきゃいけないかというと、市民段階、家庭段階、あらゆる段階でこういう活動をしていかないと、やはり大きな声をかけていただきたいというか、御旗を掲げていただくと、みんながそれに向かって追い風になってわっと行くわけですよ。この勢いが今必要なときなんですから、せっかくこういう市民団体その他がそれぞれに活動し始めたこの段階で、まさにこれを打ち上げていただければ、私ども一挙にぎゅっとつながっていくのではないだろうかなというふうに思っています。
それと、都市と農村、この体験。私は、実は今、本も出しているんですけれども、北海道から沖縄まで、いろいろな学校をのぞかせていただいています、小学校、中学校。これは新潟の学校なんですが、私、NHKで、これは二年ぐらい前、「わくわく授業」というのがあるんです、あれに出させていただいたんです。
新潟の学校では、自分たちで一年間収穫したものを、二日間使いまして、自分たちのとった、そのいわゆる自給したものだけで過ごすんですよ。では、それはどのくらいあるかといいますと、三百六十五でまず割るわけです。そうすると今度は、クラスが二十人しかいませんから、二十で割るわけです。朝昼晩で割りますと、米が一人当たりたった五グラムしかないんです。そのほかに、小指ぐらいのジャガイモだったりニンジンだったりするわけですけれども、では、これをどうやって食べるか。みんなで工夫するんですが、最初はおままごとのように喜んでいるわけですが、だんだんお昼ごろになるとおなかがすいてきて、夜になると、本当に嫌いだったニンジンなんかも食べるようになるわけです。
そして、その間に食育の授業を入れております。自給率の問題とか、生産性の問題とか、これからはやはり、はしを持てなきゃいけないというようなものを全部入れましたら、何と、最後にマイクを向けたところ、やはり我々、世界にこんなに苦しく、自給率が低くて食べられない人たちがいるんだったら、我々もむだを出しちゃいけないというところまで、みんながその体験を感じてくれたんですね。これはむしろ大人にやるべきだと僕は思っているぐらいです。
それとともに、ついでにですけれども、私、今、小児科の先生方といろいろとお話ししているんですけれども、今お母さん方に非常に危ないお母さんが出てまいりました。うちの子供、ブルーのおしっこが出ないんですけれども、どうしたらいいんでしょう。ブルーのおしっこって何ですかと。某テレビのコマーシャルでおむつの宣伝があるんですけれども、ビーカーのブルーの液をかけるとすっとしみていく。それが出ないと本当に信じている若いお母さんが出てきた。そうしたら横で、もっとすごいのがありますよと先生が言いますから何ですかと言ったら、うちの子供は離乳食、カスタードプリンが大好きです、一日七個食べさせています、それしか上げていないと。
本当にある意味では、子供が三歳までにとおっしゃいましたけれども、現実に、それまでの間にどういう食べさせ方をしたらいいのかということもきちっと教えられるような、そういう体制づくりをしないと、これからますます世の中おかしくなってくる。今、キレる子供の話も、後ほどあればお話しさせていただきますが、そういうものにみんなつながってくると思います。
これで答えになりますでしょうか。済みません。
○西村(康)委員 聞いておりますと時間があっという間にたってしまいますので、できるだけ簡潔にお答えを。ありがとうございます。大変恐縮でありますけれども、十五分しかないものですから、済みません。申しわけありません。
河井参考人にお話をお伺いしたいと思うんですが、先ほど申しましたように、私も地元は淡路島、明石でありまして、水産業の大変盛んなところでありまして、漁業組合も三十三もあって、合併もしなきゃいけないんですが。昔に比べて、地元の子供たちでさえ魚を食べるのは減っております。先ほど地産地消というのを非常に強調しておられまして、まさしくそのとおりでありまして、食文化の観点、自給率の観点、さまざまな観点から大変重要なことで、この食育基本法もその観点を十分取り入れて実践していこうということであります。
一点だけ、学校給食にもっと地元の産品を入れてはどうかということで、私もいろいろなところで提言したり運動しておるんですけれども、これは先ほど水原参考人が言われていましたように、給食もセンターでまとめてやるものですから、地元の産品を例えば市内の全学校に入れようとすると、同じメニューだとその日に集中して、とても地元からその産品、例えばホウレンソウでもあるいは魚でも、集まらないときがあるということで、これが非常にネックになっているというような話も聞くんです。多少その学校によって、センター制じゃなくてメニューを少し変えたりするだけで、少量のものを、多少効率は悪くなるかもしれませんけれども、そこのところはまたプラスアルファ、付加価値もあるわけですから、そんなような取り組みもすべきだと思います。
学校給食について、何かお考えがあればちょっとお伺いしたいと思います。
○河井参考人 私もそのとおりだと思っているんですね。センター給食だと、品ぞろえとか、本当に同じ大きさのものがいっぱいないとだめだみたいな話がありますけれども、やはり個々の学校で給食の用意をすれば、そういう地産の魚を用意することができるというふうに思います。
とりわけ、魚介類というのは、足が速いといいましょうか、長期保管というのは野菜や穀類に比べて弱いですから、したがって、なるべく細かいところでやっていった方がいい。ただ、それにはお金がかかるわけですね。やはりそのお金をどういうふうにしてこの食育に費やすのかというのは、これはもう国策になってくるわけですから、ぜひ、そういった点で、絶対に食育にたくさんのお金を投入できる、そういう発想に立っていただきたい、そんなふうに思っているところです。
○西村(康)委員 ありがとうございます。
続いて、水原参考人にお伺いしたいと思います。
この法案、食育基本法案について反対のお立場でお話しをいただきましたけれども、御指摘のあった安全性の観点も、これは八条に、安全性の情報提供なり、知識と理解を深めるために運動をしていこうということで、国の責務、地方自治体の責務をちゃんと書いてあります。
それから、おっしゃった負担の点、一部のところ、例えば自治体の負担が重くなるんじゃないかというお話もありましたけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、国も責任を果たし、自治体も責任を果たし、家庭でも責任を果たし、学校でも責任を果たし。確かに、どこか一カ所で全部やれといったら、お金だけじゃなくて精神的にも、いろいろな意味で大変なコストになると思うんですけれども、今さまざまな問題のある食の問題をみんなで役割分担を、少しずつ負担をしていきながらみんなで取り組んでいこうというのがこの法案であります。
そういう観点から、自給率のこともおっしゃいました、自給率の観点ももちろん取り入れ、あるいは食文化のことも取り入れながら、みんなで問題を考え、運動を展開していこうと。これまで、もちろん個別の法律もありますけれども、さらに推進させていく、アクセルになるような、きっかけになるような、起爆剤になるような、そのための法案だと思っておるんですけれども、その点について、みんなで役割分担して少しずつ進めていこう、この考えについて少し御意見をいただければと思います。
○水原参考人 食の安全、それから食育といいますのは、私どもはこれは消費者の権利だと思っています。権利、義務ではありません。それを、今回の食育基本法では義務的な形でもって位置づけられているんじゃないかと私は思うんです。そこが一番問題だと思います。
ですから、みんなでやるということはいいんですが、みんなでやるということでもって責任が非常に分散化してしまって、だれがやっているかわからないみたいな。本当のことを言いまして、この法案を読みましたときに一番感じたのはそこなんです。
ですから、やはり食の安全を守ることは国の責任であるし、そのことで食品安全基本法もできているわけですよね。それが、今いろいろリスク評価が食品安全委員会で行われていますけれども、BSEに関しましてのことは、今回の経過は御存じですけれども、私ども、傍聴していて、本当にあそこでもって国民の安全が守られていくのかと非常に危惧を持っているわけです。
だから、そういう意味で、私はやはり国が責任を持つということは絶対必要だと思います。責務、責務ということが、すべてにおいて国民に負担が起きるということは、これは私は絶対反対です。権利なんです。国民には求める権利がある。そこなんですよ。権利ということが日本の法案の中には明記されませんよね。この前の消費者基本法の中で、初めて権利ということが出てきましたけれども。
ですから、そういう意味で、負担をみんなに分散するということについては、私は問題があるというふうに考えております。
○西村(康)委員 三人の参考人の皆さん方、ありがとうございました。若干、考え方の違いというか、国民はもちろん権利を持っておりますし、一方で、子供たちを育てる責務なり地域社会で果たす責務もあると思っておりますので、もう少し議論をしたいところでありますけれども、時間となりましたので質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、太田昭宏君。
○太田委員 きょうは、三人の先生方、大変ありがとうございます。
今のお話からいきますと、私は、法律というものは、基本的な構造は、国、行政というものに対して、これを縛る、国民の権利を守る体系というものが憲法やあるいは法律というものの基本でなくちゃならぬというふうに思います。ですから、この法律というものは、あくまでそうした前提に立ってやるということが非常に大事なことであろうというふうに私は思います。
その上で、せっかくさっき服部先生からお話があったんですが、私は質問しようと思っておりました。ばっかり食べということの現象は、私のうちでも、三人子供がいまして、同じ習慣、同じように朝御飯もしっかりということをやっているわけですが、三番目の子が、はっと気がつくとばっかり食べにちょっとなっている。最後にお米とノリでさっと食べるというような形になっているわけです。
このばっかり食べというものは、これは、町中とか給食とかいうようなことの中で起きてきているものなのか、そこに家庭のあり方というものが影響するものなのか。さっきは中和ということの中で大きな味覚の変化であるとかあるいは友達づき合いの変化があるということはありましたが、その辺は、簡単で結構ですが、いかがなものでしょうか。
また、これをやめた方がいいというような運動というものは、この基本法の中には当然書いてありませんが、何らかの形で言うということをもっと強くやる必要があると考えているかどうかということについて、簡単で結構です。
○服部参考人 私は、ばっかり食べというのは、今、現場で指導をするように図っております。
というのは、どういう指導かというと、やはりこれはおやめになられた方がいいと。何でもストレートに食べる。辛いものでも平気で食べるようになるんですね。甘いものでも平気で食べる。コースという組み方で最初からできていればそれほど、ばっかり食べをしたとしてもいいんですけれども、おかずがいろいろあって、御飯までついている部分であれば、やはりこれを中和して三角食べをすべきであろうということ。
それから、先ほどのように、メンタルにまで影響するということは事実でございます。では今どのぐらいかというと、本当にすべてばっかり食べなのは、小学校では一五、六%です。しかし、半分ぐらいがばっかりで、途中で気がついて何かを食べ始めるという子が残り七〇%ぐらいなんです。
ですから、まだまだなんですけれども、家庭の方でも、父兄の方と御一緒すると、何が悪いんですか、好きなものを食べさせればいいじゃないですか、こういう御父兄が多いんです。先生もそうです、好きなものを食べさせたらいいでしょうと。ところが、先ほどのように、メンタルな面までというのは裏づけをとっていますから、こういうものまで含めてやはり我々は考えていくべきであろう。やはりぜひ、御三女の方ですか、御一緒に同じものを食べられるような方向というのがよろしいのじゃないかと思います。
○太田委員 教育ということについては、いろいろな切り口がありまして、百人は百人の教育論を持ちます。しかし、私は、例えば一つの大きな切り口として、今の教育ということについては、家庭の教育力が低下している、地域の教育力が低下している、学校の教育力が低下している、この教育力をどう上げるかということが大事だというわけです。
その中で、例えば学力低下という問題で今盛んに話題になっているわけですが、結局、今の子供たちは、土曜日がどうだとかゆとり教育がどうだという以前に、睡眠不足である。勉強というのも、テレビを見る時間が長い、そしてゲームをする時間が長い、夜はお互いにメールを送っている、学校は睡眠不足、学力が低下する。こういうことで、広島の先生は、早寝早起き朝御飯、こういう標語で学校で一生懸命やる。そうすると、それが家庭にどう影響を与えるか。こう言うと、やはり学力を向上したいと子供は思うから、家に帰って、そういうことを努力しようとして、お母さん、お父さんにそういうことを言うということで、早寝早起き朝御飯というようなことが大変、学力も現実に上がってきているという話があります。
私は、服部先生が三つの柱というのをおっしゃったわけですが、できるだけ、世論形成に大きな役割を果たしている三人の先生方が、早寝早起き朝御飯とかいうようなわかりやすい標語というようなものをやるということが実は啓蒙の突破口になるのではないかと思いますが、先生、いかがですか。
○服部参考人 まさに先生おっしゃるとおりだと思います。
それで、実は、テレビとか、あとゲームをやっている子供たちがふえました。今公園を皆さんごらんになられて、どう思いますか。子供たちは遊んでいますか。公園にいるのは、ジョギングしているか、ベンチに座ってうらぶれたコートを着ているおじさんか、段ボールの中に入っている浮浪者というかそういう人たちだと思うんですね。子供たちは遊んでないですよ。また親も、危険だから遊ぶんじゃない、こう言っているわけです。では、だれと遊ぶか、同級生なんです。同級生もしくはゲームなんですね。
ところが、我々が子供のころを覚えていらっしゃいますか。近所の子が、幸應ちゃん、遊びましょうと言って僕を誘いに来てくれましたけれども、年齢差のある人たちと遊んだんです。これは群れ遊びというんですが、そこで近所の子たちと公園を使ったり、いろいろして遊んだんです。そのときにもし問題が出たら、上級生が中にいまして、仕切ってくれるんですね、お姉さん役、お兄さん役が。
こういうような体験を十歳までに経験しないと、実は、人間は大人になるまで、仕切るとか、その中でお姉さん役、お兄さん役を知らないまま育つんですよ。こういうような問題がたくさんあります。ですから、これは行政の問題もあると思います。公園を使わせるような方向に持っていくという、地域社会のこういったものがある。
それと、規範意識の調査というのを私、二十カ国に対してやらせていただきました。先生を尊敬しますかとか親を尊敬しますか。僕はびっくりしたんですけれども、中国ではかりましたら八〇・三%ありました、これは高校生対象です。そうしまして、アメリカではかりましたら八二・二ありました。EUで平均を出しましたら八二・七、韓国が八四・九です。そして日本は何と五〇を切りました。二一でした。
僕ははっきり言いますけれども、五人のうちの四人までが先生を尊敬していない、こんな国はないです。なぜこういうことになったか。実は、最終的には、学校と家庭、これがうまく連携されていない。
家庭は八歳までに実はしつけ終わらなきゃいけないであろうというのが、今、大方、世界の目標です。なぜかというと、向こうは手をたたいたりおしりをたたいたりするのが、日本の親は、頭たたくわぴんた張るわ、けりまで入れるんですね。しかし、それも、八歳までにしつけをするというのは非常に重要な要件なんですね。それで、後、八歳以降はたたかない、ちゃんとしたしつけをしているお宅はそうなんです。それはなぜか。
十二になって、十五になって、十六になってたたきますと、後から復讐されるんです。寝ている間にバットでたたかれたりするわけですよ。こういうようなことの環境を我々はもっとつくらなきゃいけないのに、今、親が子供をしつける、そういう資格が果たしてあるんだろうか。八歳までにそういう環境をつくっていただきたい。それが先ほどのばっかり食であるとかいろいろなものにも派生していっていると私は思っております。
○太田委員 その親が、食が一体どうなっているかというような現状自体がなかなかわからない。そこで、服部先生のおっしゃる安全なものという中での選食、選ぶという問題が起きてくる。
三人の先生に共通する問題意識は同じ。水原先生は、今の法律があるからそれでできるじゃないかということと、国民に義務を課す、そういうことを問題にされる。そこは結局、この基本法をつくった、その後にどういう展開をするかということで、先ほどはお話も河井先生の方からもあったわけですが、その辺の選食という、安全なものという情報をどういうふうに国民の皆様に正確に、しかも何か恣意的な基準ではなくて、そういう仕組みづくりというものは一体どうすればいいのかということについて、服部先生と河井先生にお聞きしたいと思います。
○服部参考人 選食能力というのは、地域の食、先ほど地産地消もございましたけれども、各学校で、これはヨーロッパもそうです、今まで行われてきているのは、そういう習慣の日をつくるというようなことをしまして、地域の食材を持ち出しまして地域の伝統食というものを食べさせたり、いろいろするわけですけれども、そのほかに、どんなものが安全か危険か、食選びを教えてあげる授業がやはり必要なんですよ。
これははっきり言いますけれども、やはり学校というシステムをきちっと使って教えない限りは、みんなばらばらになるんです。ぜひ、まず小学校、中学校、そしてその後はまた大学、短大に向かうためのいろいろな授業があるでしょうから、まずベースをつくる、そして親御さんにもこれをきちっと教える、こういう体制づくりというのが必要なんじゃないかなと私は思っております。
○河井参考人 言われることはよくわかるんですけれども、今全体にこの食問題で大事なのは、個々人あるいは家庭の努力よりも、国あるいは公、地方公共団体もそうですけれども、そこがどういう姿勢をとるのかというのが大事だと私は思うんですね。
ほとんど個々人のあれでは、情報というのはつんぼ桟敷に置かれる場合が多いわけでして、情報をやはり、広い意味では公開するということになるんですけれども、もっと公開することに自由にならないと、なるべく物を隠そうよという今の風潮といいましょうか、それをどうやって払拭するのかというのが本当に安全性を求める側としては重要だなというふうに常々考えているところです。本当にそれは国の責任であり、地方公共団体の責任だろうと思います。
国民はそれを公にしろという運動はもちろんやるとして、そこのところが基本的に知らしむべからず、よらしむべしみたいな風潮の中では解決をしないんではないかな、そんなふうに考えております。
○太田委員 健康法でも、毎日テレビで報道されて、テレビ見て毎日変わる健康法なんという歌が詠まれたりするような、そういうことです。
今河井先生のおっしゃったように、そこで、国としてそういうことに真剣に取り組む、しかしそこは公開制のもとで、秘密で何か数値を操作するみたいなことがあってはならないよということであるわけですが、その辺の、一般の方に対してしっかりしたものと言えるものをつくる作業、実際難しいと思いますが、そういう啓蒙ということと基準をつくるということのかかわり方について、何か消費者の側として感じていることがあったら、水原先生、最後にお答えください。
○水原参考人 基準づくりといいますと、どういう基準かもさまざまありますよね。今、国が基準を、残留農薬とかさまざまな、いろいろな食品の安全基準をつくりますときには、審議会をつくりまして、そこの審議会でもって大体つくっていきますね。その審議会には確かに消費者代表も入っておりますけれども、それは学者先生方の中にたった一人入りましてもその発言力たるや本当に微々たるもので、影響力を持たないような状況の中でつくられていっているわけです。
だから、私たちが満足するような形の基準にはなかなかならないということが問題として一つあると思いますね。その点を、どういうふうに本当に市民参加でそういう食品の安全基準をつくるかということは非常に大きな課題だというふうに思うわけです。それは食品安全委員会を毎回傍聴していましても感じることなんです。
そういうふうなことで、私は、基準づくりといいますのは、国がもうちょっと、本当の基準をどうやってつくるかということは、むしろ私たちの声をどうやってくみ上げるかということ。日本では、NGOとか消費者団体の声がなかなか反映しないんですよね。ヨーロッパは非常に反映されます。私たちの提起したものがよければ、それは消費者政策だけではなく環境政策でもどんどんとくみ上げてやっていくわけですよ。そういう姿勢を私は国に求めたいと思います。
○太田委員 ありがとうございました。終わります。
○松下委員長 次に、小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。
三人の参考人の皆様、きょうは、それぞれのお考えを伺わせていただきまして、大変ありがとうございます。
私ども民主党は、皆様もおっしゃったような、今の食の現状についてのさまざまな危機的な状況については認識を同じくいたしますけれども、このような形で、食育基本法、憲法の次に来る、非常にこれは重みのあるものですけれども、基本法という形で、個々人の選択、自由の領域である食のことを決めるということには反対をしております。そうした立場から皆様方に伺いたいと思っております。
それぞれ、今、学校での教育については文部科学省がさまざまな取り組みをしておりますし、食の安全のことについては内閣府が責任を持ってやっている、そして自給率とか地産地消のことは農水省がやっている、そういうことをそれぞれ推進すればいいのではないかという考え方に立っております。
まず水原参考人に伺いたいと思いますけれども、多分、水原参考人がおっしゃったことは、今私が申し上げた立場と一番共通するお考えをお持ちかと思います。
先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、食については国民は義務をかけられるのではなくて権利があるのだと言われたあたりをもう少し伺いたいと思うことと、それから、既存の法律の中で実践の障害を取り除けばいいとおっしゃいましたが、どんなことが障害であって、食育現場の状況が反映されていないというふうに言われましたが、どういうことが反映されていないのか、そのあたりのことをもう少し詳しくお話しいただけるでしょうか。
○水原参考人 お答えします。
私どもが権利と言いますのは、これは、食というものは個々人の本当に基本的な権利なんですよね。そういうことから発するものなんですけれども、そこに、確かに権利義務といって裏腹に義務ということもあることは事実なんです。ですけれども、こういう法でもって規定するときには、やはり私たちは、国民は権利があるということを明確にしなければ、一等最初の説明のときに申し上げましたけれども、国の行政の責任と、それから国民が本当に個々の責任でもって、確かに責任もありますけれども、やらなきゃいけないことが混同されまして、国の責任が非常にあいまいになってしまうということが発生すると思うわけです。
私たちは、食の安全を求める権利があるということは、これはもうずっと前から言っているわけですね。最近の、いろいろな基本法ができておりますけれども、そこには、大抵、国の責務から始まりまして、地方自治体とか業者とか、それから最後に国民の責務ということが書かれますけれども、責務ということを言うのであれば、そこにやはり明確に権利があるということ、それから国にはちゃんとした、それを完全に施行する責任があるということを明確にした上でのことではないかというふうに思うわけです。
それからもう一つ、障害があると申し上げましたのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、食育というのを今ずっと一番実践してきたのは、私は学校給食の現場ではないかと思うわけですね。
学校給食法がつくられまして、それでいろいろと長い歴史を持っておりますけれども、一九八五年に文部省通達でもって「学校給食業務の運営の合理化について」というのが出されました。
そこでもって、先ほどからちょっと出ましたけれども、センター方式とか民間委託とか、そういうものがどんどんと推進されて、それは合理化なんです。要するに、食の完全な実施、学校給食の本当に子供のための実施ではなくて、合理化のためにいかに予算を削るかという方向に持ってこられた、そこが私は学校給食法がゆがめられてきた元凶であると思います。
ですから、学校給食の中で、先ほどからいろいろ出ております問題、はしの持ち方とか三角食べとか、そういうことはじっくりと教育していけばできたはずなんです。
今の子供たちの親の世代のことが先ほどから問題になっておりますけれども、親の世代というのは、確かにずっと戦後のそういう教育を受けてきた方々なんですよね。そういう中で、では、本当に学校の給食の場でそういうじっくりとした食の教育を受けてきたかというと、そうではないと思うわけなんです。だから、それが今親の世代になって、子供に来ているということがあるわけです。ですから、学校給食の場でそういうふうにやれないような方向へ文部省の方向が来てしまったということが一つ。
それからもう一つは、家庭と学校との連携のことが言われますけれども、やはり家庭の、今の親たちの現状、それをちゃんと見据えなければ、確かにここの基本法に盛り込まれている方向はやるべきことだと思いますけれども、それができない状況だったからこそ、今の親の状況とかそれから今の子供の状況になっていると思うんですよ。だったら、それをどうするかということを抜きにしては、基本法をつくってもそれは実現しないということを私は先ほどから言っているわけなんです。
地産地消ということもあります。すべてのことにおいて、本当に農家の人も頑張ってやっているわけです。私はあちこちに行きますけれども、地方自治体でもって、地産地消で学校給食の場にどんどんと食材を提供しているところはたくさんあるわけですよ、皆さん御存じだと思いますけれども。
岩手県は、東京が食材の提供率が一%しかないんですよね。では、その東京の子供たちに自分たちの食材を提供しましょうということで、岩手県の農家の人たちは、世田谷の小学校なんかと一緒に提携して、サケとか農産物とかキノコとかシイタケとか、そういうものを持ってきて、自分も来て、子供と一緒になって学校給食の場でもって食育をやっているわけなんですよ。
そういうことをやれるのは、先ほどから言っていますように、今は栄養士です、栄養士が一生懸命取り組んでいる人がいるからなんですよ。その栄養士は、今全国に配置されていないわけです。ですから、非常にそういう欠陥があるということが障害になっているということを言っているわけです。
私は一つの、長くなりますけれども、世田谷にあります北沢小学校、下北沢の北沢小学校に、この前学校給食を食べに行きました。岩手の食材が来ているわけなんですよ。非常においしい食材で、サケとかキノコとか小芋とか、いろいろなものがおつゆとまぜ御飯になっていました。子供たちは、その日は、きょうは岩手の御飯だねと、味がわかるそうです。きょうは岩手の御飯だねと言って喜んで食べているというんですよね。本当に食べておいしかったんですよ。そういうことがやられている。
それから、そこの学校では食堂も、学校の子供の数が減っていますから空き教室が今ふえています、ちゃんと食堂に改造しております。そこで、子供たちが、毎日はできませんけれども、交代でテーブルを囲んで、食堂でもって御飯を食べている。そこでもって、ちゃんとしたマナーを学びながら先生と一緒にやっているわけです。
今、そこに幾らか予算をつぎ込んでそういうことをやり、栄養教諭の制度ができましたので、栄養士を置いて、そういうことをやれば、私はできなくはないと思うんです。それこそ、今地域の人もそこに参加していますし、親たちもそこに参加しています。それから、地域の農家の人も、県内だけではなくて遠いところの農家の人も参加してきている、そういうシステムが今本当に努力してできていることは事実なんですよね。
私はこの前鳥取県にも行きましたけれども、鳥取県だって、食材は、あそこでは四七%、県内の食糧を自分たちの学校給食に提供しているところまで持ってきたわけですよ。ここの資料の中にも、各県の食材の提供率が書いてありますよね。これを見ますと、かなりのところまでいっているわけなんです。
だから、私は、そういうことをやるような方向に持っていけば、できなくはない。それ以上に、その上に基本法をつくって、皆さん、現場の負担がどれだけかというのはおわかりにならないかと思いますけれども、細々した書類をつくったり報告したりまとめたりとか、そういうことが全部現場にかかってくるわけですよ。私は、その暇に、一人の子供と一人の親と一人の先生が一緒になって、どういうふうに食べる、食べ方を考えるということをやった方がいいというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 服部参考人に伺いたいと思いますが、問題意識というのはみんな余り変わらないと思っているんですね。ただ、この基本法をつくるということによって、おっしゃったような、先生方も四七%がはしを持てないというような現状の中で、環境づくりが、基本法をつくっただけでできるとは思っていらっしゃらないと思いますけれども、そういうことができるのかどうか。
学校と家庭の連携がとれていないというお話もされました。そういう中で、この基本法をつくることによってどんな効果があるというふうに、実際の効果はどのようにあるとお考えになっていますか。
○服部参考人 今、水原さんもお答えされている中に、ちょっとダブる部分があるんですけれども、私は、各都道府県、市町村、いろいろな活動をされていますし、市民段階でも今されておりますけれども、もちろん学校も、一部、はしの持ち方を始めたところもあります。まだまだです。あと、栄養教諭の問題、ことしからスタートいたしました。ですけれども、これはまだ義務じゃございませんで、一部しかやられておりません。
私は、市民団体でも、料理学校の先生方というのはお母さん役を務めるのに非常に、たくさんまだまだおられるんですけれども、そういう人たちを使えばいいのに、なぜ使わないんだろうと。実は、彼らはそのことで動き始めましたけれども、国から、ひとつみんなでやろうじゃないかという、裏づけである予算がつくかどうかは別なんですけれども、何か国民がそのことによって注目して、やはり食の問題に関して関心を持つということが一番重要じゃないかと私は思っています。
先ほど、今までいろいろ関心を持ってきた市民活動がある、あるけれども、その中で、はしを持てないとかいろいろな問題が生じてきた。それは、だから今さら基本法をつくることはおかしいというんじゃなくて、むしろ、そういうことが現実に行われてきたんであるからこそ、これから法律という部分をきちっと立てて、そしてその中で、やはり、今だったら厚生労働省、文部科学省、農水省の三省のお力、もちろんほかの省庁も関係ありますけれども、一体になって有機的にこれが動いてくれるような活動というのが必要なんじゃないかということ。
それと、法律的な問題を言われていましたけれども、法律で縛られるというんですけれども、これから食育基本法ができたときに国民会議ができるというふうに伺っていますから、そこで十分討議して、これをどういうふうに進めていくかということを今後やっていくのが大事なんじゃないかと私は思っております。
○小宮山(洋)委員 河井参考人に伺いたいと思いますが、先ほど、基本理念が六つも七つも並列されていて、どこかにポイントをと、私もそのとおりだと思います。
ここで基本理念がはっきりしていない、欲張ってということは水原参考人もおっしゃいましたけれども、余りに欲張っていろいろなものが並んでいるものですから、この後の方の条文で、国民とかあるいは企業とかにいろいろな責務というか推進すべき活動をしろと言われているんですが、何をするのかというのがよくわからないという非常に雑多な法律になっているんではないかと思います。
それで、河井参考人は、その中で自給率のところが最大のポイントだというふうにおっしゃいましたが、それは、今農水省がやっていることでは十分ではなくて、やはり基本法でやらなければいけないとお考えなのか。ここに基本理念が余りにいろいろなことがあるので評価があいまいになるとおっしゃいましたけれども、実際に活動もあいまいになるのではないかと思うんですが、そのあたりはどういうふうにお考えになりますか。
○河井参考人 妙な言い方ですけれども、今まで国の政策としては、食の問題というのは冷や飯を食わされてきたんではないか。要するに、工業立国という一つの大テーマのもとに食糧の課題が後回しにされて、そして、貿易なんかでも、かつて前川レポートなんというあれがありましたけれども、食の問題はやはり工業の発展の後回しにする。これでは、たとえ農水省がどんないいスローガンあるいは計画を立てても、国策ですよ、だから国策を外すわけにはいきませんよということで後退せざるを得ない。そこは、私は、今回、幾つかの省庁が一緒になって、そして内閣委員会でこの議論をやるというところに非常に大きな期待を寄せているところなんですね。
そういう点では、逆に言えば、今度これでまた自給率がそれでも上がらなかったということになれば、何をか言わんやという話になりますけれども、だから、実現できる工夫を、先ほど申し上げたような仕組みなりなんなりのところでぜひとっていただきたい。農水省だけでは、やはり今の国の全体の政策の中では、残念ながら実現できない、そういうふうに思っています。
○小宮山(洋)委員 おっしゃる気持ちはわからないではないのですが、私は、基本法というものはもう少し大事に考えたいという思いがございまして、みんなの関心を呼ぶために、環境をつくるために、予算をつけるために基本法というのは、ある意味で邪道だというふうに思います。
ここ五年間で、これで十二個目の基本法になるんですね。それまで、この間も質疑で申し上げたんですが、五十年余りの間に十六基本法が男女共同参画までつくられましたが、その後の五年でこれで十二個目で、ちょっと何でもかんでも基本法にし過ぎなのではないか。そのために、皆さんが期待されているような、例えば内閣府に会議をつくっても一年に一回も開かれない会議などというのもあるので、つくればいいというものではない。
やはり、実質的にやるためにはそれぞれ個別のところをもっと強化すべきだと思うのですが、服部参考人も水原参考人もおっしゃいましたけれども、食べ方という、食卓を家族で囲むということ、ここは私は非常に重要なところだと思うんです。残念ながら、農水省は非常に一生懸命議員立法のバックアップをしたようですが、どうも厚生労働省がかかわらなかったためか、これだけいろいろな要素が入っているのに、働き方のところが全くこの基本法には入っておりません。やはり家族で食卓を囲むということが、食べ方の基本の問題もありますし、子供の今のいろいろな問題を含めて、私は大きな解決のポイントじゃないかと思うんですが、そのあたりのことを一言ずつ皆様から伺えればと思っております。
○服部参考人 今先生がおっしゃった部分というのはそのとおりだと思うんですが、それは、子供たちのことを考えたら家庭できちっとしつけをするという姿勢が、今核家族化している中で、また、女性も社会で非常に活躍される時代になる、本当に、さっきはばらばら食でしたけれども、家庭がばらばらという段階で、やはり学校がそのかわりをする部分というのがこれから絶対必要だと私は思っているわけですね。
そのときに、しつけもそれに入る。もちろん、それとともに親御さんももう一度改めてそういうものを知る。それで、最終的には健康な人づくりというのが大事なことですから、それには日ごろからの食生活をきちっととらえる必要があるんじゃないか。今の答えになるような時間じゃありませんけれども、そういうことだと私は思っています。
ですから、法律としてぜひ、これをまず法律ありきで、我々今機運が高まっているんですね。この機運が高まっている、民間で高まっているときにどんと乗せてくれれば、我々はさらにそれが拡大するだろうというふうに期待しております。
○水原参考人 私どもの家族の意識なんですけれども、私は、女性が、じゃ、子供のしつけをしないということについて悩んでいないかというと、そうじゃないと思う。一番わかっているのは女性、母親だと思いますよ。
働いている親たちが、だけれども、残業しなければならない。それから、正規の社員じゃなければパートの場合だって、それは時間が自分の思いどおりになりませんし、給料が少なければ二つも三つもかけ持ちでやらなきゃいけない。子供が帰ってくる時間にまた出かけるなんという親もいるわけですね。ですから、親が何も考えていないというのは、これは私はちょっと違うんじゃないかと思います。一番悩んでいるのは母親です。
それからもう一つは、家族の団らんというときに、父親の役割ですよ。私は、それがいつも欠けていると思います。この法案づくりといいますのは、どうも男性の皆さん方の発想じゃないかなといつも思うことがあるんですけれども、やはりそこをどうするかということが一番問題だと思います。
それは、働き方、今の状況をどうするか。だから、団らんができなくなったその状況をどうするか、それは食育基本法ではなくて、ほかのいろいろな法律でもってやらなければ、労働の方にも関係しましょうし、厚生省の法律も関係しましょうし、そこのところで、子供がこれだけばらばらにされて団らんができない、親たちも苦悩しているような状況の中に、父親だって苦悩している、それをどうするかということをやはり考えなければ、食育だけで団らんをやるといってもなかなかできないのではないかというふうに思います。
○河井参考人 今、家族の団らん等々ができない社会的な仕組みというのが大前提にあって、そこを取り払うのはやはり政治だと思いますから、そこのところは前後を間違えないようにした方がいいかなと私は思っています。
それからもう一つ、先ほど来給食の話が出ているように、給食は教育の一環であるということで、学校教育で食育の問題をとらえるというのが大事だと思っているんですが、私どもの話の中で聞いたのでは、どんどん家庭科の教育が軽視されて、時間もなくなるし、それから教師の人数も少なくするとか、そういったような逆向きのあれが行われているということも問題ではないのかなと思っています。
○小宮山(洋)委員 食についての法律をつくっている国というのはほかにございませんので、できれば個別のところで推進をしていければというふうに思っております。
ありがとうございました。
○松下委員長 次に、藤田幸久君。
○藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。
三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
私が時々行っておりますグループで、食事をする前に皆さんが、天つちの恵みと多くの人々の働きに感謝して命のもとをいただきますという言葉で食事をいただくグループがあります。私も、ふだんから、毎日三食そんな気持ちで食事をいただかなければいけないと思っていながら、なかなかできない。そんな意味で、そのグループに行ってこの言葉を言うときには、身が引き締まる思いで、おいしく食事をいただいております。
そんな観点から、この食育の問題について今回考えさせていただきました。
それで、こういった問題を解決するには、病気が起こると、よく言われますように、西洋医学か漢方薬かというような話もございますし、あるいは、自然治癒力か投薬かというような言われ方もするわけです。
まず、服部参考人にお聞きしたいんですけれども、時間の関係で簡単にお答えいただきたいんですが、参考人は、あえて漢方か西洋医学か、あるいは自然治癒力か投薬かと言われたら、どちらを選ばれますでしょうか。
○服部参考人 私、今、代替医療の時代に入ってきているんだろうと思います。というのは、西洋医学と東洋、それ以外のやはり気の問題ですね。気持ちによって大体病気というのはどうも起こってきたり治ったりしますね。そういった部分を加味したもの、これは今欧米が相当進んでいますが、日本の医療の中ではまだ一握りしか行われていない、西洋医学信奉ですので。そういう方向には今なりつつあると私は眺めております。
○藤田(幸)委員 私も大賛成でございます。
ちなみに、服部参考人のこのパンフレット、大変よく書かれていまして、さっと読んだだけですが、一番最初の「食育の大切さ」というところで、「食という字は「人」に「良い」と書きます。つまり、人を良くすることを育むことが「食育」です。」と。
つまり、食べるという字は人を良くするということになっているんですが、今、その人を良くする食べるという字が、人を良くしないふうになってきたということが今回の食育問題の根本だろうと思うんです。
では、なぜその食べるという字が人を良くしなくなってきたかというと、私が思いついたのは、心を亡ぼすという字でございます。心を亡ぼすという字を漢字で書きますと、忙しいと書きます。りっしんべんに亡ぼすと書いて心を亡ぼす。
つまり、今問題になっておりますこの生活習慣病、それから食育が侵されて、今、いろいろな現象面について、それからこういった現象に対して対応すべき必要性については、お三人の参考人の方々も、この委員会に参加をしておられる皆さんも、全員一致しているわけですが、では、それについてどう対応しようかという方法論について立場が違っているわけです。
私は、この生活習慣病を起こしている一番大きな原因が、やはり、この忙しさ、心を亡ぼす。忙しさというものがなぜできてきているかというと、これは、生活習慣病というのは、個人が、委員長も私も服部参考人も、私自身が生活習慣をみずから発明してつくったんじゃないんですね。別に逃げるつもりで申すわけじゃありませんが、やはり先ほど来出ております通勤時間の問題とか、それから雇用の関係の問題とか、なかなか実際の有給休暇もとらない、習慣とかでとれないとか、これは個人の生活習慣ではなくて、私なりに申し上げますと、管理社会習慣病といいますか、生活習慣というよりも社会の習慣なんだろうと思うんです。
したがいまして、人を良くする食べるという字を否定してしまった忙しさ、心を亡ぼすということは、個人が心を結果的に亡ぼしておるわけですが、社会全体が、特に日本の場合には管理社会全体が、その忙しさをつくってしまっている。
そうしますと、服部参考人に代替医療のことまでおっしゃっていただいたそのお答えに私も賛同しておりますけれども、その観点からいたしますと、やはり今回のいろいろな孤食の問題とか出ておりますけれども、いわゆる管理社会生活病の根本の原因を除去していく、そのための総合的な努力が必要ではないか。その観点から考えた場合のいわゆる基本法というアプローチの仕方が最も妥当であるかという観点が私は必要ではないかというふうに思っております。
そうしますと、先ほど来の質問に出ておりますけれども、ちょっと逆の現象から申し上げます。
先ほど、太田昭宏議員の質問の中で、早寝早起き朝御飯という話が出ました。実は約一カ月ほど前でございますが、東京都の足立区に入谷小学校というところがありまして、非常に成績が悪いんです。それで、そこの校長先生とかが工夫をして、朝御飯を小学校で出す活動を始めました。それで、非常に成績が上がったというのをNHKの総合テレビでやっておりました。これは、地域が非常に貧しい、所得の低い地域があるので、朝飯を食べないで来る生徒がいるので、朝御飯を出すことによって成績が上がったという事例なんです。
私は、こういったイニシアチブ、いろいろな面で、いわば親の忙しさ、あるいは管理社会の生活病による、習慣病によるものを変えるいろいろなイニシアチブがいろいろな形で出ていく環境が必要だろうと思うんですけれども、例えば、逆にこの基本法ができて、上からといいますか、いろいろな形で出てきますと、多分、校長先生はなかなかそういったイニシアチブが自由にできないのじゃないかという気もするんですが、水原参考人、その辺いかがでしょうか。
つまり、基本法というやり方と、先ほど来おっしゃっておられる民間の方とか個人の方がいろいろやられているイニシアチブが結果的に逆効果になってしまう面もあるのではないかという気もいたしましたので、御質問したいと思います。水原参考人にお願いいたします。
○水原参考人 私は、先ほどから申し上げておりますように、今、管理社会生活習慣病とおっしゃいましたけれども、そのほかにもいろいろと問題は、子供自身の健康状態の問題とか、それから、今の子供たちが乳児のときから反応を示さないということも出てきているわけですね。それはなぜかというと、今おっしゃったような母親が忙しくて子供をじっくりだっこして語りかけないということもあって、それは都会の子供だけではなくて、実はデータがありますけれども、青森県の非常に農村地帯でもそういう子供たちがふえているというデータは出てきているわけなんです。だから、そういうことで、今の大人の世界の忙しさが子供の世界にも非常に大きな影響を与えているということがあるわけです。
そういうことを今回の食育基本法の中でどういうふうに是正していくのかということについては、私は先ほどから、この食育基本法というのは余りにもそういうところの根本的な問題に触れないまま本当にたくさんのことを網羅して書かれておりますけれども、実際にはそれが実現しないのではないかということを申し上げておりまして、私は余り期待できないというふうに思っております。
○藤田(幸)委員 そこで、今事例を入れてしまいましたが、済みません、服部参考人、そんなわけで、問題の根っこに対応する、先ほど代替医療のお話もされましたが、現象ではなくて、ですから、今回の食育基本法で取り扱われている、事例として挙がっているものは、対症療法、現象なんですね。対応しなければいけない現象はみんな一致しているんです。その現象をどう治癒していくか、根本原因をどう直していくかという観点からして、私はたまたま思いつきで管理社会型生活習慣病というようなことを申し上げましたけれども、そういったものに対応する際に、先ほど小宮山委員の方から十二個目の基本法というような話もありましたが、こういう手法でやることが本当に根っこの問題の対応にどの程度効果があるのかということについて、お答えいただければと思います。
○服部参考人 人に良いと書いて食と読ませておりますけれども、私、もう今は、食という字を変えた方がいいんじゃないか、人に悪いと書いた方がいいんじゃないかという時代に来ていると思っているんですよ。ですから、「人を良くすることを育む」、そういったことを今実践しなければいけないということで食育が生まれているんだろうと私は思っているんです。
先ほど御質問の中に、校長が理解していけば、いろいろほかのことが、まだやらなきゃいけないことがあるんじゃないかというお話もされていましたけれども、大体校長が理解していませんから。いろいろと校長先生方ともお話をするんですが、食のことに関してはほうってありますね。本当に一部の方ですね、関心を持ち始めたのは。やはり、学校教育を行うのが、しつけまで含めて物を見ていかなければいけないところに欠落があると私は思っています。
それで、実は、学習指導要領というのがありますけれども、この中に、僕は、食育の時間を入れるべきだろうと、そこで進めていかない限りまずいわけですから。
これは学校基本法にも関連が出てくるんだと思いますが、その辺の連携の中で、私はやはり、食育基本法というもの自体をもっと我々の知恵でいかに使っていくかというのを次の段階で討論させていただくということが非常に必要になってくることと、代替医療その他、今、御承知のように三十二兆円ですね、医療費が。毎年一兆円ずつ上がってきているんですが、このままでいくと、二〇二五年には六十九兆円ということになる。やはりこれは、食生活自体をコントロールしていくというか、一人一人国民がわかるようにしていってあげなければいけない、そのためには組織を使ってやるべきだろう。そのためには、この基本法というのは非常に必要だと私は思っております。
○藤田(幸)委員 その際に、先ほど来私は、その原因といわゆる症状の関係についてずっと申し上げてきているわけですが、現象面については皆さん認識の一致があるわけです。そうすると、原因との関係、多分忙しくしてしまっている社会環境があるわけです。
一方、最近の新聞でも、百ぐらいの企業が例えば子育て支援、つまり男の社員も育児休暇を長く、スウェーデンの場合でしたら、夫婦で一年間とれるとか、それから子供二人目、三人目になると、かなりの多額のボーナスといいますか報奨金が出るとか、そういう子育て支援のような企業も出てきておりますけれども、例えば、有給休暇の消化の問題とか、子育て支援とか産休とか、あるいは都市環境の職住接近を可能にするような問題とか、つまり、今回のその症状を、人に悪くしてしまっているという、食べるが人を悪くしてしまっているというふうにしてしまった問題に対応するようなことも、せっかく基本法といって、かつ、省庁横断的な法律でございますから、むしろそういったことも提案をするということ。
それからもう一つは、やはりインセンティブが必要だろうと思うんですね。こういうことをすることによって、例えば食に関心を持つ、あるいはお父さんがより育児に取り組むとか、むしろ、そういうインセンティブも含めた、いわゆる原因に関する対応も本来は盛り込むべきではないかとも思いますが、服部参考人、いかがでしょうか。
○服部参考人 個人的には、盛り込んでいただきたいのはまだたくさんあります。今先生がおっしゃられたようなインセンティブな部分もありますし、ですから私は、これはその次の、いわゆる国民会議というんでしょうか、それに期待しているんです。実は、そこで言わせていただける機会があったら言わせていただきたい。
きょう、こちらに皆さん参考人の方がいらしておりますけれども、それぞれ、やはり、これが完璧ということではないと私は思います。完璧というのはなかなかできませんので、いろいろ網羅されておりますが、その中で、我々は、一番必要なものから順位をつけていって、やはりやっていく場合に、こういうものがあればみんなの機運が上がるという、そのきっかけをつくっていただくために、この食育基本法というのは非常に重要な意味があるのではないかと思っております。
○藤田(幸)委員 河井参考人にお伺いしたいと思います。
地産地消の問題とか自給率の問題とかおっしゃっておられますけれども、例えば、今、いわゆる平均寿命が低い国々、あるいは疾病が多い国々、貧困が多い国々、平均寿命も、三十五歳などという国もございます。これはほとんど途上国に多いんですが、自給自足で地産地消で、ここで言われているようなことは全部満たしているんですけれども、逆の現象が出ている。
今回の食育に関して、これはもちろん言わずもがなで、実質的には先進国の中での話になっているんだろうと思いますけれども、やはり私は、ことしは貧困がロンドン・サミットのテーマでもございますし、それから、いわゆる残飯が多いということも、これまた逆の、世界の中でそういった途上国あるいは最貧国がふえている、そういう観点からの自給率の問題、あるいは地産地消の問題という点を考えますと、ここでおっしゃっていることと全く逆のことがあるので、そういったことも考えながらこの問題についても考えていくべきではないかと思いますけれども、河井参考人、いかがでございますでしょうか。
○河井参考人 例えば、魚の問題で一つ例を挙げてみますと、今、日本は百五、六十カ国ぐらいから魚を輸入しているんですね。そうすると、もう当然、途上国からもどんどん輸入をしています。一方で、それは外貨獲得になるのではないかという議論がありますけれども、現地に行ってみますと、結局日本が高値で買うので、相場が高くなってしまって、地元の人たちは食べられないというんです。そこの国の人たちが飢餓に瀕している、そういう矛盾を今、日本は持っているわけですね。
ですから、日本としては、先進国ですから、経済大国ですから、少なくとも飢餓の国の人たちの食べ物を取り上げるような、そういうことはしない方がいいのではないか。これはやはり、自給率の問題の一つの大きな意味ではないのかというふうに考えています。
○藤田(幸)委員 済みません。先ほど名前を間違えて恐縮でございますが、水原参考人に申し上げたいと思います。
結論として、この基本法にかわって、やはり管理社会全体の問題に対する取り組み、その根っこの問題に対する取り組みを、基本法で盛り込まれている以上の大きな国民運動にしていくべきだろうと思っておりますけれども、いわゆる運動論的に、例えば、企業に対しても、あるいは行政に対しても、いろいろな省庁に対しても、いろいろな運動の働きかけ、そして、いわゆる一般の民間の方々が、むしろ、ひるまず、より積極的に、よりその気になって動けるような環境づくりが必要ではないかと思いますが、そういったことについて、御提案なり御意見があればお伺いしたいと思います。
○水原参考人 今、私も先ほどから部分的に申し上げましたけれども、やっているんですよね。皆さん、いろいろな障害があるのを乗り越えて一生懸命やっています。それを国民的な運動にするということになりますと、私は、食の問題は、こうすべきという、管理するものじゃないと思うんですよ。それがまず一つです。
ですから、もしも、だけれども今の状況をみんなで共有して今後どうするかということに入るのであれば、何かそういう検討する場を、生産者、消費者、市民、いろいろな立場の人たちが集まって、では、今のこの状況をどういうふうにやるか、この食育ということに関して、打開するためにはどうしたらいいかという検討の場をまず持って、そこでもって、一遍、現状分析、どうするかということを話し合える場を持ったらいいと思います。それも、急がなくていいんだと思うんです。一年、二年じっくりかけてやっていったらいいと思います。
そういうことを、本当にみんなが、市民とかそういう一般の人々の声を何とかいろいろな形でもって吸い上げて、そこで何か一つの方向を見つけていくという努力が私は行われたらいいのではないかというふうに考えます。
○藤田(幸)委員 ありがとうございました。
今御提案をいただきました場づくりについては、服部参考人、河井参考人も含めて、ぜひ共通の努力として、そういった努力をしていただきたいということをお願い申し上げ、それから、この委員会の中で出席者が大分減ってしまったということは参考人の方々に対して大変失礼なことになったということを、大変遺憾でございますけれども、私が申し上げるのもなんですが、おわびを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○松下委員長 委員長からも注意申し上げますが、与党の理事さんに、きちっと委員の確保と、着席して参考人の質疑、やりとりを聞くように、委員長から厳しく注意します。
次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。(発言する者あり)
○松下委員長 静粛にお願いします。
○吉井委員 きょうは、三人の参考人の皆さんには……(発言する者あり)
○松下委員長 静粛に。
○吉井委員 きょうは、お忙しいところ、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。
それで、今もお話がありましたように、委員長、やはり、せっかく参考人の方に来ていただいてお話を伺っているときです。そして、何よりも、提案会派の皆さんが一番熱心に、一番熱心と言ったら表現がおかしいかもしれませんが、我々提案会派でない者とともに、やはり提案している会派の方がきちっと出席をして、御意見も伺って、そして法律をつくり上げるという、この立場に立たないと、本当に軽いものになってしまいますから、この点、まず冒頭に、改めて委員長の方から注意をしていただきたいと思います。
○松下委員長 委員長も全く同感でございますので、与党の理事、委員にしっかりとこの前で注意します。しっかりしてください。
○吉井委員 それで、私は、この食育基本法の理念については、これはいいものだという考えを持っております。
ですから、やはりこういう法律をつくったときに、要は、この法律を具体的にどう生かしていくかという取り組みなしには、この理念というものが生きてくるのか、それとも、この法律がただの紙くずになってしまうのか、ここのところが問われてくることになると思っているんです。
そこで、最初に、自給率の問題について河井参考人と水原参考人に伺いたいと思うんです。
まず、食育が進めば、ただ安いから食材を買うというだけじゃなしに、やはり安心できるもの、安全なものをというところに向かっていくならば、農水産物の生産過程からきちんとチェックできるような、そういった点からすれば、本当に地産地消ということにもつながってきますし、そして国産のもの、自給率を高めるものにもつながってくるというふうに思っているんです。
現実には、自給率が落ち込んできたのは、やはり牛肉・オレンジなどを初めとする農産物輸入の自由化政策を進めて以来のことなんですね。あれから急減してきたことは明白です。
今、安いものが入ってくるからというので、そこへ向かっているのを、きちんと食育を通じて、やはり安いだけがいいんじゃない、もっと大事なことがあるということを知ることも大事ですし、先ほど来お話もありましたけれども、実際、この間も委員会で私お話ししたんですが、私自身がみずから農家の方から畑を借りて、そして牛ふん、馬ふん等の堆肥化したものを入れて、よく肥えた土で、それで野菜等をつくってみたら、夏場は朝晩水やりだけでも本当に大変ですよね。肥えている土ですから、雑草がどんどん生い茂ってきますから、それを農薬を使わずに安全に食べられるものをと思ったら手で引っこ抜いていかなきゃいけませんが、本当に大変だ。農家の方たちが、安心できるものを、安全な農産物をつくるということでどんなに苦労していらっしゃるかということは、よくわかります。
だけれども、消費者には、私も実際に食品を売っているところへ行っても、要するに、圧倒的に我々は情報不足なんです。わからないんですね。
そうなってくると、結局、輸入検疫をきっちりすることとか、輸入農産物であれば、その産地の検査をどれだけ徹底して、農薬その他が使われていないのかどうかとか、安全に食することができるかどうかとか、そういう情報が本当に入ってこないことには、幾ら食育基本法だといっても、これはなかなか生きたものになってこないと思うんです。
そういう点では、私は、例えば今問題になっておりますBSEの問題にしても、日本の場合であれば、そういうところから、すべての牛に個体票をつけての管理をし、全頭検査をやり、特定危険部位と言われるものについては全部除去する。ただ、危険部位というのも、科学の進歩とともにさらに広がっていくというものもあります。
そういうふうなことを進めているときに、やはり安全がきちんと約束されないものが入ってきたりすると、消費者としてはわからないわけですから、安全なものを食するということにはならない。
そういう点では、本当の食育を学ぶとともに、やはり、安全、安心の約束されないものについては流通させないということを取り組む、そして国内でそういう安全なものをつくるという努力がなされるならば、これは確実にそういう面からも自給率を高めていくということにつながっていくというふうに思うわけですが、この点について、お二人の参考人のお考えを伺っておきたいと思います。
○水原参考人 おっしゃるとおり、私ども、食の安全というものを求めておりますね。これは、特にBSEの国内発生以来、特に大きな問題になってきたことは皆さん御存じのとおりだと思います。
輸入の農産物につきましては、これはもう残留農薬の問題がしばしば問題になっております。それをきちんと取り締まるということをやることがまず第一だと思いますが、国内でいろいろと安全のための対策がとられておりますが、例えば牛肉に関しましたら、トレーサビリティー法ができましたね。
ところが、皆さん御存じかと思いますけれども、これも、法をつくったというだけで、後の管理がなっていないということの一つの実例が出てきたと私は思いますが、北海道で耳標を取りかえたという事件が起きたことを皆さん御存じでしょうか。
畜産商が耳標を取りかえてしまったんですよ。いとも簡単に取りかえてしまった。それで、子牛を、取りかえた牛を売ったわけで、逮捕されたわけですが、去年十二月の九日に発生しました。十二月七日からトレーサビリティー法は完全実施になったんですよね。その前から、七月ごろからそれはわかっていたのに、発表したのは農水省は十二月九日でした。
地裁でもって問題になりましたのは、その耳標がなぜ取れるか、これは、農水省令でもって、耳標は取り外しができるものであってはならないということと、それから再装着できるものであってはならないということがちゃんと規格にあるわけです。ところが、それが全く守られなかったわけですね。だから、裁判官は、これは耳標ではないということを言って、その畜産商を無罪にしちゃったんです。それは地裁で三月に判決が出まして、その後、今高裁の方へ検察庁が控訴していますから、後は多分、それはどうなるかわかりませんけれども。
私が言いたいのは、法律をつくってもその後の管理をやらないということであれば、幾ら安心、安全のためにそういう法律をつくっても、私たちから見れば何だということになる、全部抜け道だらけです。これは、BSEの後の食肉の買い上げの政策のときにもそうでしたよね。あれだけ、雪印食品から端を発して偽装問題が起きたのもそうです。農水省の管理がなっていなかったからですよ。
私たちから見ますと、そういうふうに、いろいろな法律はできますけれども、その後の管理はなっていない。だから、安心、安全のためにということでもっていろいろな政策が行われますけれども、それは、私どもの中にはいつも裏にどこか不安が伴っています。そういうことがありますよね。だから、どうやって、そこを本当に完璧に行政として法律をつくったら責任を持って遂行するかということになってくると思います。
ヨーロッパにもトレーサビリティー法があるし、フランスの耳標を採用したということで農水省は私たちに答えました。だけれども、フランスでも確かに違反する事例はあるらしいんですけれども、抜き打ち検査は徹底してやっているわけです。日本はそれがないです。監視体制が全くないわけです。
だから、そういうことで、本当に食の安全、安心ということを今後推進するのであれば、私は、それだけ法律をつくって、つくりっ放しじゃなくて、やはり国民にこたえるような管理、運用をきちんとやってほしいというふうに考えております。
以上です。
○河井参考人 今農産物のことについてはお話がありましたので、ちょっと水産物について例を挙げてみたいと思うんです。
よく消費者アンケートで、何が不安ですかというアンケートをしますと、ひところは、養殖魚の安全性、これが第一位だったんですが、最近は、やはり輸入物の安全性というのが問われてきています。
そういう意味で、魚というものは、基本的には生きた資源をそのまま食材にする、そういう天然資源をとってくるという意味では農産物と少し状況が違うものですから、国産物なのかどうなのかという言い方がちょっとイメージが変わるんですが、我々は、例えば生きたものを輸入してきてどこかへ蓄養しておくとか、そういうものを含めて国産とは呼びたくない、呼ぶべきでないというふうに考えています。
少なくとも、やはり産という字は産まれるという字ですから、日本の近くの海で産まれたものということでいかないと、私は、それこそ、安全、安心というのが、いろいろなところからばい菌も入ってくるでしょうし、それから、加工品なら加工品でまたいろいろ薬を使っている可能性もありますし、そういう点で、水産物はとりわけそこがあいまいにされているなという感じがしていますから、何か見直していかないといけないんじゃないのかなと思っているところです。
○吉井委員 今、水産物のお話がありましたので、例えばアサリについても、今問題になっております外国産のアサリを、例えば有明海にぱらぱらとばらまいて、二、三カ月したら有明産のアサリということで売り出すという問題。そうすると、自給率を高めるといっても、自給率の国産の中には、本当は外国産、外国産を含めて自給率を数字の上だけで高めるというのは、やはりこれはもともとインチキな話でありますし、原産国について最長生育期間の国ということになっておりますが、そこで、私、自給率を高めるということと安全ということでちょっと心配になっている点がありますので、引き続いて河井参考人に伺っておきたいんです。
かつて、もう三十数年前ぐらいに、私などが東南アジアの方へ行くときには、はだしで歩くなと。それは風土病の問題ですね。日本の国民には耐えられる細菌はあるけれども、ちゃんと体はそうなっているけれども、東南アジアへ行ったらその独自の細菌には耐えられない。だから、はだしで歩くことは気をつけなさいということを言われました。
そういう点では、今のこのアサリにしても、外国産のアサリを二、三カ月で売るのは論外にしても、これはインチキ表示ということにしても、稚貝の段階で買い込んできて、そして、有明海だとかいろいろな干潟でそれを生産して国産ということになる。
それは、自給率の問題もありますけれども、もう一つの角度から見ますと、やはり、幾ら海洋といっても、それぞれの地域にはそれぞれの地域の細菌とか微生物、日本とは違った状況の中にいるものが簡単に日本に入ってくると、今度は、日本の独自のアサリなどがそれによって大丈夫なのだろうかとか、そういう面からも、環境というものについて、また自給率を本当の意味で高めるということについて、もう少しきちんとしたことを考えていかなきゃいけないんじゃないかと思っておるんですが、この点についての河井参考人のお考えを伺いたいと思います。
○河井参考人 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。例えばバクテリアなどが、よその国のバクテリアが日本の海にまかれたときに、バクテリアを含む生態系がどうなるのかというのは、これはまた重大な問題になってくるんですね。生態系の問題というと、外来魚の方は、今、ブルーギルだとかブラックバスとか、いろいろな議論が生まれていますけれども、バクテリアの世界でもどんどん今そういう問題が出てきて、貝毒の問題なんかも、一部分そういうあれも騒がれています。
それから、もう一つ、今地球温暖化をしている中で、そういう条件がふえてきているということも心配なんですね。今までは日本にすめなかった、あるいは越冬できなかった、そういう生命が、温暖化でもって冬を越せるようになってくる。そうすると、日本の近海で繁殖をする、そういう状況も出てきますので、したがって、かなり環境面での綿密な再検討といいましょうか、そういう意味での再検討が必要だ。
そういう意味も含めて、少なくとも、自給した魚、いわゆる純粋な国産の魚についていえば、日本の権限でいろいろなコントロールもできますから、そういう点では安心、安全の面が保障されていくんではないだろうか、技術的に保障するのが可能だけれども、輸入物については技術的に保障できないというか、そういう面が心配だと思います。
○吉井委員 次に、服部参考人に伺いたいと思います。
冒頭申し上げましたように、私は、この基本法の考え方はいいと思っているんですね。それを本当にどう生かすかという点で、例えば最初に服部参考人のお話を伺っておりましても、結局、学校教育の中でどう充実したものにしていくかとか、あるいは、せっかく保健所や保健センターがありますけれども、そこの栄養指導に当たられる方とか、そういう方たちの役割をどう充実させるかとか、戦後の時期とは違った、今の時代における役割というのがあると思うんですね。これは、この法律でも二十条、二十一条でそういったことがうたわれております。
しかし、先ほど来お話がありましたように、その学校給食が今や大型弁当工場になってしまって、コンビニ弁当と余り変わらないようなものを給食としてやっておったのでは、本当に給食が学校教育の一部として、先ほど来のBSE問題であれ、外国農産物や魚介類の問題にしても、安全性の問題から、環境の問題から、食生活の問題から、いろいろなことをやはり学校も地域社会も含めて学び取っていける、この法律を生かす具体的な仕組みをどうするかというところが一番今大事な一つじゃないかというふうに思っているんです。
この点についての参考人のお考えを伺いたいと思います。
○服部参考人 今の先生の御質問なんですが、一言で答えるにはちょっと時間がないというふうに思っています、私なりに考えていることはありますが。
ただ、御承知のように、先ほど来お二人の参考人に御質問もされておりましたが、僕は、日本の社会というのはこの四十年ぐらいの間に物すごくいろいろな形での変化があったと思います。
食生活に関しますと、高脂肪高たんぱくで、米の消費量が四十年前は一年間一人当たり百十八キロとっておりましたけれども、今は五十九・五キロ、まさに一俵切ったわけですね。肉が四倍、油脂、油と脂肪四・一倍、スナック、清涼飲料水各四倍ですね。本当に食生活があっという間に欧米化してきてしまった。それによって自給率の問題も、それに合わせたような食生活を営まれる体制をとらなきゃならなくなってきた。
農家に関していえば、戦前六百三十万戸ありましたね。千三百万人の方が働いておられましたけれども、戦後どうなったかというと、二百七十万人減ったわけです。農家も今二百五十万軒ということです。
もっともっと、これは農家だけじゃなくて漁業も関係ありますけれども、こういう人たちに興味を持って動いてもらえるような体制で人をふやしていかない限り、自給率というのはなかなか上がらないんじゃないか、地域でいろいろと動きもあることもありますが。
そういう中で、先ほどの御質問なんですけれども、私は、日本というのは目先で割と国内のことばかり考えていますけれども、世界には八億四千二百万人も栄養失調の人がいるわけですよ。何せ、世界六十四億のうちの九二%が食にもあえいでおります、いろいろなものであえいでいる。八%というと、五億人が豊かな食生活から衣食住、享受されておりまして、日本人はこの中で一億二千六百八十万人ですか、みんなこの中に入ってしまうというような現状の中で、物の見方をきちっと根底から教えていくことによって先ほどのような問題は解決していくと思うんですね。
先生のおっしゃられたような、今後どうしていくかという問題も、実は、そこから議論を始められるような、この食育基本法というものがきちっとできて、これが通過して、その後に、先ほどから申し上げておりますけれども、我々は、みんな参加できるような体制をつくっていただくことが望みでございますので、その中でこういう議論をどんどんしていくことで大きく解決していくことがたくさんあるんじゃないか。あらゆる分野の方がやはりこれに入っていただくことによって解決する問題がたくさんあると私は信じておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○吉井委員 時間が参りましたので終わります。
きょうはどうもありがとうございました。
○松下委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の皆様には貴重な御意見をちょうだいいたしました。まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、心より厚く御礼申し上げます。
参考人の方々は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
○松下委員長 速記を起こしてください。
委員の皆様方、着席をお願いします。
民主党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られておりません。
理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○松下委員長 速記を起こしてください。
民主党・無所属クラブ所属委員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
――――◇―――――
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕