第9号 平成17年4月15日(金曜日)
平成十七年四月十五日(金曜日)午前九時十分開議
出席委員
委員長 松下 忠洋君
理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君
理事 増田 敏男君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 須藤 浩君
理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君
大村 秀章君 川上 義博君
木村 勉君 北川 知克君
佐藤 剛男君 桜井 郁三君
西村 康稔君 萩野 浩基君
早川 忠孝君 原田 令嗣君
宮澤 洋一君 小宮山洋子君
今野 東君 篠原 孝君
島田 久君 永田 寿康君
計屋 圭宏君 藤田 幸久君
牧野 聖修君 村井 宗明君
太田 昭宏君 吉井 英勝君
…………………………………
議員 小坂 憲次君
議員 宮腰 光寛君
議員 白保 台一君
議員 西川 京子君
議員 後藤田正純君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 高橋 直人君
政府参考人
(水産庁漁政部長) 武本 俊彦君
政府参考人
(水産庁増殖推進部長) 井貫 晴介君
内閣委員会専門員 高木 孝雄君
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委員の異動
四月十五日
辞任 補欠選任
江渡 聡徳君 北川 知克君
土屋 品子君 原田 令嗣君
石毛えい子君 篠原 孝君
市村浩一郎君 計屋 圭宏君
藤田 一枝君 村井 宗明君
同日
辞任 補欠選任
北川 知克君 江渡 聡徳君
原田 令嗣君 土屋 品子君
篠原 孝君 石毛えい子君
計屋 圭宏君 永田 寿康君
村井 宗明君 藤田 一枝君
同日
辞任 補欠選任
永田 寿康君 市村浩一郎君
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四月十三日
戦時中の民間徴用者の遺骨収集に関する請願(阿部知子君紹介)(第八五一号)
憲法改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八五二号)
同(石井郁子君紹介)(第八五三号)
同(穀田恵二君紹介)(第八五四号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第八五五号)
同(志位和夫君紹介)(第八五六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第八五七号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第八五八号)
同(山口富男君紹介)(第八五九号)
同(吉井英勝君紹介)(第八六〇号)
同(志位和夫君紹介)(第九一七号)
憲法改悪反対に関する請願(山口富男君紹介)(第九一六号)
憲法九条を変えないことに関する請願(山口富男君紹介)(第九六四号)
全国戦災犠牲者の平和慰霊碑建立に関する請願(山本拓君紹介)(第九九〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
食育基本法案(小坂憲次君外五名提出、第百五十九回国会衆法第四九号)
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○松下委員長 これより会議を開きます。
第百五十九回国会、小坂憲次君外五名提出、食育基本法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官高橋直人君、水産庁漁政部長武本俊彦君及び増殖推進部長井貫晴介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野東君。
○今野委員 おはようございます。民主党の今野東でございます。
食育基本法についての議論でありますが、私は、けさ、御飯に納豆をかけて、みそ汁、そしてたくあんという朝食をしてまいりましたが、提案者の皆さんは、けさはどんな食事をしていらしたんでしょうか。お一人ずつ短くお願いします。
○小坂議員 よろしくお願いいたします。
けさは、アサリのみそ汁、これはたまたまアサリをいただいたものですからアサリのみそ汁と、それからじゃこをかけた地元の大根おろし、あとはノリと、それからつくだ煮がちょっと残っていたのでつくだ煮で、ささっと食べてまいりました。
ふだんは、自民党の方の朝食が大体一週間のうち半分ちょっとだと思います。そのときは結構よくて、魚とみそ汁と生卵とノリ、それから漬物と理想的なバランスなんです。
○宮腰議員 私もきょうは自由民主党の朝定食を食べてまいりました。御飯、みそ汁、生卵、それから焼き魚、それにちょっとしたサラダに、タケノコとコンニャクのあえ物という感じでありました。
○白保議員 通常ですと御飯とみそ汁を食べるんですけれども、きょうは党の朝の会合があったものですから、そこでおむすびを食べました。
○西川(京)議員 おはようございます。
私もきょうは党の部会の朝食を食べてまいりましたので、宮腰先生と同じで、和食のほとんど理想的なあれでございました。
公明党さんはおむすびを食べるんですね。よくわかりました。
○後藤田議員 私は、具だくさんのみそ汁、それとイチゴ入りのヨーグルトと、それに我が家は、すりゴマとあと納豆の粉を入れたオリジナルのミックスふりかけをヨーグルトにかけて食べました。
以上です。
○今野委員 それぞれ皆さん健康に気を使いながら食事をしていらっしゃる。多分、白保さんはおにぎりだけだから、昼はそれじゃこうしようかというぐあいに自分で食の管理というのはしていらっしゃると思うんですね。
このように、食というのはそれぞれの人に与えられた権利であると私は思っておりまして、そういう観点からこの食育基本法を読ませていただくと、これまでの議論の中でもありましたけれども、それぞれの食に関して、生産するところから消費をする、食するところまで、何かいろいろな本来求めるべき形が壊れてきているという認識はみんな共通していることだろうと思うんですね。なので、なおのこと、この食育基本法を読んでいきますと、なるほどな、そうだなと思うことの連続であります。大事なことだらけです。
しかし、だからといって、法律として国民の食について定めるということになると、これは余計なことなんじゃないかなというふうに思うわけであります。
この前文を見てみますと、二ページのところ、
一方、社会経済情勢がめまぐるしく変化し、日々忙しい生活を送る中で、人々は、毎日の「食」の大切さを忘れがちである。国民の食生活においては、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題に加え、新たな「食」の安全上の問題や、「食」の海外への依存の問題が生じており、「食」に関する情報が社会に氾濫する中で、人々は、食生活の改善の面からも、「食」の安全の確保の面からも、自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている。また、豊かな緑と水に恵まれた自然の下で先人からはぐくまれてきた、地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機にある。
と。これは全く私もこのような状況であるということは同感なんですが、では、こういう社会になってしまった責任というのはどこにあるというふうにお考えでしょうか。
○小坂議員 お答え申し上げます。
いろいろな原因があると思いますが、一つは戦争に負けた。占領政策もありますが、その後、大変貧しい食生活の中から、しかしながら、日本型の、穀物中心のアジア型と油脂分の多い西洋型の中間のような、バランスのとれた日本食というのが形成されてきたと思うんですが、そういう意味からすれば、一つは原因はそういったところにもある。
しかし、一番の原因は我々自身だろうと思います。忙しがって朝ぐらい抜いた方がいいんじゃないか、あるいはむしろそれがダイエットにいいんだという自分勝手な理論で自分の食生活を変えてきたということが、今日、生活習慣病あるいは過度の痩身志向というような言葉で表現されていますが、カロリー計算ばかりで栄養バランスを考えない食事、こういったものをつくり出してしまった、そういう意味では私たち自身にも大きな責任がある、このように考えております。
○今野委員 私は、こういう原因は、もちろん今おっしゃったようなこともあると思いますけれども、やはり経済効率だけを優先してきた社会が、余りにも、食を生産する場所と家庭の食、それぞれの食というのを分断してしまったというところに原因があるのではないかと思っているわけです。
これは、むしろ社会的な病理で、これをどうするかということを私たちは国民の代表として議論をしなければいけないということが大事なのではないかというふうに思って、そこのところをちゃんと認識しないと誤った方向に行ってしまう。表面的にあらわれてきたところだけ対処しよう、結果に対処しようということでは、これは本来の国民の利益を追求するということにはならないのではないかというふうに思っているわけです。
この中に、今読み上げたところの左の方に「食料自給率の向上に寄与することが期待されている。」というふうにあるんですけれども、これは、一日として欠かせない一億二千六百万人の日本人の食糧は何人の生産者によって支えられているんでしょうか。例えば、農業従事者の方はどれぐらいいらっしゃるんでしょうか。
○後藤田議員 お答え申し上げます。
今、農業就業者数は平成十六年で三百六十二万人となっております。昭和三十五年の千四百五十万人と比べますと大変な減少でございます。しかしながら、その中身につきましても、やはり農業形態の形も、昭和三十五年から比較しますと大変変化をしておりますので、その点については、自給率向上におきましても農業構造の改善というものは必要だ、そういうふうに考えております。
○今野委員 農業従事者の方、おっしゃるようにおおよそ三百六十万人おられるわけですが、漁業をなりわいとしている人は二十四万人。大体四百万人に満たない人々が一億二千六百万人の国民の食糧の、自給率は今四割ですから、四割を支えているわけですね。
しかも、四百万人の食のつくり手の六七%、つまり、三人に二人は六十歳以上の人々であります。二人に一人は六十五歳以上の高齢者です。日本の食は高齢者によって支えられていると言ってもいい状態です。自給力はまさに崩壊の危機にあるという状況です。
一九九四年の農業人口、四百四十万人、十年後、二〇〇三年には三百六十八万人と、七十二万人も離農しています。恐らく十年後には、このままいきますと百万人以上の離農者があるのではないかと想像できるわけです。
食糧というのは土を耕して種をまくところから始まるわけですが、一体だれが種をまくのか。ここの議論をしないで、どのようにして食糧自給率を高めていくんだろうというふうに思うわけですけれども、これについてどういうふうにお考えでしょうか。
○後藤田議員 お答え申し上げます。
今野先生おっしゃるとおり、農業従事者のみならず、漁業そしてまた林業におきましても高齢化が進んでおりまして、そういう意味では、農林水産業の担い手につきましては大変な危機感を持っておるところでございます。
その中でも、農業におきましては、先生おっしゃるとおり、農業就業人口が減ってはおりますが、その中でいかに効率的な、大規模な農業をするかということで、政府におきましても、食料・農業・農村基本法を改正しながら、効率を上げていこう、そして同時に、若い方々が農業に関心を持つようにしよう。そのためにも、所得をきちんと確保できるような農業をやっていくべきではないか。
その中で、我々の自民党の中でも、また政府におきましても、減反政策につきまして、米政策大綱ということで大きな転換をいたしたところでございまして、今までのようなばらまき等々ではなくて、本当に農業をやっていこう、本当に農業によって食べていこう、農業を産業としよう、そういう方々に対してきちんと評価するような政策をこれからやっていかなくてはいけない、そのように思っております。
加えまして、自給率を上げるためには食生活を変えていく、変えていくといっても、いわゆる健康な生活を基本とした食生活に変えていくということでございまして、昭和三十年代に比べまして、今の食生活は大きな変化がございます。
英国におきまして、イギリス、今野先生も行ったことがあると思いますけれども、飯がまずい。しかしながら、イギリスの場合は何十年たっても余り食卓が変わらないというようなこともございます。
そういう点におきまして、日本は大きく食生活の変化、肉食になっていったということも自給率が下がった大きな原因だと思っておりますので、肉が悪いというわけではございませんが、健康な生活をするための食を改めて考えていくという両面が必要だと思っております。
○今野委員 これまで農業政策がばらまきであったという反省が若干見られました。
さっき私がお話をしましたように、今、農業も漁業も、その生産者の方々の人口というのは、二人に一人が六十五歳以上でありまして、そういうところから見ていきますと、この十一条の二ですが、「農林漁業者及び農林漁業に関する団体は、農林漁業に関する体験活動等が食に関する国民の関心及び理解を増進する上で重要な意義を有することにかんがみ、」云々とあって、「教育関係者等と相互に連携して食育の推進に関する活動を行うよう努めるものとする。」というふうにあるんですが、これは具体的にどういうことをイメージしたらいいんでしょうか。
○後藤田議員 お答え申し上げます。
これにつきましては、都市と農村の交流ということも含めまして、また、消費者が農業現場を詳しく知るということも含めまして、水田での田植えだとか稲刈り、またとれた米を使ってのもちつき体験だとか、また地域特産の野菜や果実の栽培、加工、収穫体験、また酪農教育ファームでの乳搾りやバターづくりの体験、また山林に入っての山菜とり、またはカキの養殖や魚のつかみ取り、さまざま、いろいろな体験をすることによって、消費者と農林漁業者をつなげていくというような目的でございます。
○今野委員 おっしゃるようなことを腰を曲げて一生懸命に畑や田んぼを耕している人たちに要求するのは、これは無理です。農業生産者の人口をもっとよく見てからこのところを考えないと、だから、そこのところの方がもっと先なんじゃないんですかということを言っているわけです。
昭和三十年代まで、食に関する教育は家庭内で当たり前に行われておりました。そういう生産の現場にわざわざ行って、そういうことをしなくとも、家庭の中で生産者の姿が見え、料理をしている家族の姿が見えていて、自然に食育というのはできていたと私は思います。
高度経済成長以後、つくる食事から買う食事になってしまって、経済効率優先の社会が食育どころか食そのものを解体してしまったわけです。つくる食事から買う食事、つまり他人任せの食事、外部依存の食卓になってしまったわけですね。
そこから、食に対するさまざまな不安というのが今度は私たちの間にあらわれてきているわけなんですけれども、私たちの食卓は、これはある調査によりますと、外食三〇%、調理済み食品、加工食品が五〇%、自分で調理するために購入する食材費というのは二〇%という数字もあります。
生命と生存の土台を他者や外部にゆだねてしまっている状態の中で、私たちは、介護を家庭の外に出しました。今、食育も外に出そうとしています。それでは、一体家庭は何をするんでしょう、家庭はどういう役割をしたらいいんでしょうか。
○西川(京)議員 今、今野議員のおっしゃること、大変同感する部分があります。
言うなれば、この高度経済成長の流れとともに日本人の生き方そのものが変わってきたと思います。それにつれて女性の生き方も変わってきたと思います。私は、女性の職場進出は大いに結構だと思っている人間です。ただし、そういう現象の中で、女性が家庭の中で今までさまざまに担ってきたものが物理的にできにくくなってきた状況というのがあります。
そういう中で、本来は、人間の生き方、人間がこの世に生まれて、生んでもらって、あるいはそういう親に育てられて、子供を育てるのは当たり前の人間の姿。そして、自分を育ててくれた親が動けなくなったら、子供は当然の姿として親の面倒を見る、それは当たり前だったわけです。それが当たり前にできにくくなった社会であるということは、現実に確かにそのとおりだと思うんですね。しかし、だからといって、では、すべてそれを社会化していいのかということになると、私はちょっと疑問を感じております。
本来は、やはりあくまでも個人の、人間としての義務として、子育て、親の面倒、それは個人の段階ですべきでしょう。しかし、いろいろな状況の中でそれが困難な方々への補助として、社会的に介護制度もでき、保育園整備もでき、それがいわゆる公の立場だと思います。
こういうことで、要するに、自助努力、そして公助、官の方のあれ、それともう一つ、共助という考え方があると思うんですね。お互いにそれぞれできることを、例えば介護保険のように、お金を出し合ってみんなで支え合っていこう、そういうシステムの中で今の姿があるわけでして、本来は当然、家庭が子育ても親の面倒も見る、私は基本はそういう考え方が必要だ、そういうふうに思っております。
○今野委員 この食育基本法を見ていると、そこのところが家庭ではなかなかできないから、子供への食育を国や地方公共団体がある程度その枠を決めてやるんだという意気込みを感じるわけなんですけれども、学校給食法がありながら国や地方公共団体が食育をやろうということは、学校給食法ではだめなんだろうかということなわけですね。
質疑時間が終了してしまったので、これは質問ではなくて、私の意見を述べて終わりにしたいと思いますが、私の子供のころというのは、昭和三十年代、まさに地産地消でした。
私は、宮城県の塩竈というところで生まれまして、魚の水揚げをする漁師の姿がそこにあって、魚を料理する母の姿があり、そしてそれをみんなで食う、家族で食うという姿があったわけです。学校から帰ると、農家のおばちゃんがリヤカーを引いて野菜を売りに来ていました。キュウリは曲がっていてもおいしかったし、トマトは、少々形が悪くとも、味が濃くて本当においしいものでした。今あのトマトを食べたいと思っても、そういうトマトはもうありません。ふぞろいの野菜は食材として評価されなくなってしまいました。
これは、さまざまな流通の問題もありますが、昭和四十一年に野菜出荷安定法が制定されて、そして特定の産地が指定されて、そこから段ボールに入れられて、その段ボールに合った野菜でなければ食材としてはじかれてしまうという現実があるわけです。
私は、だから、こういうふうに何か枠をはめて、こうあらねばならないということよりも、国民の皆さんが、なぜこうなったんだろうということを考えて、そして自分たちのために、また子供たちのために、食育、食事について考えていくというのが本来の姿ではないかと思います。
生産の現場も、それから流通も、食の行為そのものも、すべてが狂ってしまっている、根腐れを起こしている。この根腐れを起こして元気のない植物を見て、何だか元気がないからこれは突っかい棒を立ててやろうじゃないかというのが食育基本法じゃないかと私は思うんです。本来の生きる活力を失いつつある社会をどうするかという議論は大いにすべきだと思いますけれども、突っかい棒的な政策は、私は、活力の復活には役立たないと思います。
以上、終わります。ありがとうございました。
○松下委員長 次に、篠原孝君。
質疑時間が限られていますので、簡潔明快に、ピンポイントでやりとりをお願いいたします。双方にお願いします。
○篠原委員 民主党の篠原でございます。
今、委員長の御指摘のとおり、十八分しかございませんので、七問、時間がよくわからなくて七問ほどやったんですが、これはとてもすべてお答えいただくわけにはいきませんので、少々省きます。
それで、まずお願いですけれども、きょう、答弁者を指定していただいたんですが、こちらからもリクエストで、三番は小坂さんに前向きに答えていただきたい。五番は、また違った意味で、西川さんに前向きに答えていただきたいので、ほかの方がお答えいただくのはいいんですが、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
それで、一番は抽象論なので省かせていただきます。それで、二番目の方からスタートさせていただきます。
食が乱れているのは、いろいろなところで見られているんだろうと思いますけれども、家庭がだめだというのもあると思います。家庭が、奥さんというか、みんな料理をきちんとやらなくなったとかいうのがあるんでしょうけれども、学校給食が及ぼした影響というのも多大なものがあるんじゃないかと思います。パンだ、脱脂粉乳だとアメリカの余剰農産物を押しつけられたというのを島田委員が先日指摘していたと思いますけれども、無国籍になってしまった。
この学校給食が日本の風土と隔絶したような食生活に堕してきたことが一つの問題だと思うんですが、そのような反省というのはこの法案に盛り込まれておるんでしょうか。
○白保議員 学校給食は、子供たちに栄養バランスのとれた望ましい食習慣をつけさせるために行っている。それからまた、準備や片づけなどの作業を通じて、協同、協調のそういう精神を身につけさせ、教育的な意義も含めているわけでありまして、それに加えて、地域の食材等も入れてやっておるわけでございます。本法は、そういった基本的なものをきっちりとやっていこうということでありまして、その辺はしっかりと踏まえている、こういうことであります。
○篠原委員 踏まえてやっておられるということなんですが、ちょっと、資料を皆さんのところにお配りしてありますので見ていただきたいんですが、食育の必要性、私は食育は絶対必要だと思います。
それで、これは二十年ぐらい前から言われておるんですが、これはごらんになったことはありますでしょうか。
食育の必要性、ゆがんだ食生活というのを「お母さんは休め、母危篤」という。これは男女共同参画の皆さんから怒られるかもしれませんけれども、どうも、オムレツ、カレーライスと、ばっと見ますと、洋食、簡便化で、日本食はカレーライスと焼き飯と目玉焼きぐらいですね。
これに対して、望ましい食生活の方、こっちは余り知られていないんですが、「お母さん大好き・ママすてき」と、おから煮やかば焼きとか芋料理とか、これは長生きできるようなものばかりですね。それから、「孫は優しい」、この下に、祖父母は健康、長生きというのが続くんだろうと思いますけれども、こういう食生活がいいんだというのがあるわけです。
しかし、本法案に、教育関係者、それから食品産業関係者とかありますけれども、僕は、もう一つ問題なのは、次のページを見ていただきたいんですが、日本のテレビ番組でございます。
テレビ番組を見ますと、外国人が日本に来てびっくり仰天するテレビ番組がいっぱいあるわけですね。暴力、セックス場面がこんなに多いのはないんです。これは規制していいんだろうと思うんです、NHKに何か変な圧力をかけるのはよくないんだろうと僕は思いますけれども、ああいうのは。しかし、例えば、いろいろ共通なので、昼メロなんかはどこの国にもあるはずなんです。ソープオペラとアメリカでは呼ばれています。ソープオペラというのは、宣伝が石けん会社だからですね。
しかし、料理番組、こんなにはんらんしているんです。見ていただきたいんですが、皆さん見ておられるかどうか、忙しくて見ておられないかもしれませんけれども、結構あるんですね。
それに対して、その下を見ていただきたいんですが、これはちょっと、昔からわかっていたんですが、インターネットで調べられるようになって精緻に調べたんです、ただ、私の記憶によるところが多いんですが。
いろいろな職業の人がテレビに出てくるんです。いろいろな場面が出てくるんですが、ドラマに農業、農村が出てくるのは本当に少ないんです。皆さん、覚えておられますかね。こんなに少ない国は、またないんですね。
その下、私の年が知れてしまうんですが、私なんかは、テレビの初期、テレビにかじりついていました。力道山とかああいうのを見て育ったんですが、そのときに番組は何かというと、「名犬ラッシー」「名犬リンチンチン」、犬ばかりで済みませんけれども、「ライフルマン」「ララミー牧場」「ローハイド」と、アメリカの健全な農民像を見て育ったんです。もしかしたら、私の価値観の中にはカウボーイ精神があるかもしれないんですね。よくわかりません。植えつけられたものはその後もなかなか抜けないということですね。
そういう点からすると、テレビで生産現場が全然映っていないんですよ。これが問題で、ですから、食育の必要性というのを言っていますけれども、やはり私は、農業の場面というのが必要で、食農教育というのを一緒にぜひ言っていただきたいんです。
それで、こういう点からすると、私は、テレビにきちんと、こんな俗悪番組ばかりつくっていないで、食べ物の番組をやるんだったら生産現場もたまには、まあ三分間ぐらい流せというのは、こういうのは圧力でも何でもないと思うんです。
これをぜひしていただきたいので、なぜこれを小坂さんにというのはおわかりいただけるかと思います。初の総務副大臣をやっておられまして、その辺に影響力があると思うので、この点は小坂さんにお答えいただきたいと思います。
○小坂議員 御指名をいただきましてありがとうございます。
篠原先生の御指摘ではございますが、私もテレビ番組を見ていろいろな感想を持つことはあります。そういったものは一般の投書欄とか意見では述べたいと思いますが、政治家の立場で番組をこうしろああしろというのはなかなか言いにくい。これを言いますと、今、圧力にはならないと思うとおっしゃったけれども、やはり圧力に感じられるかもしれません。
したがって、御指摘の点は私も同感でございます。もっと農業の生産現場、そして若い人が農業で頑張っている、こういう姿を見せていただいて、そして、おれもああいうふうにやってみたいとか、そういうふうになることを私ども期待しているんですね。
そして、そもそも、食というものについて私どもは教育をしようなんて思っているわけじゃないんです。私どもは、人間が人間として生きる力をまたみんなで取り戻そうじゃないですか、そういう呼びかけの一つとして、基本法という枠組みの中で提案をさせていただいた。
そもそも、食というものは、人が良いと書くわけですね。ですから、人に良いものが食なんですよ。だから、余り栄養面で偏ったり、バランスを欠いたようなもの、医食同源と言われるように、食べることが自分の健康を増進するような、正しい食生活は薬膳効果をもたらすというようなこともありますから、そういった意味の食というものを進めたくて、この食育というものを、全体的な、文化の面、いろいろな環境の面、すべてから進めたいということで今回提案をしているわけですが、今の御指摘からいえば、そういったあらゆる面のことを番組にして、そして伝えていただければ、この食育基本法というものの精神もより早く皆さんに理解いただけるんじゃないかなと期待をしているところでございます。
○篠原委員 ぜひ、そのようにしていただきたいと思います。
それから、先ほどの延長線上にあるんですけれども、やはり食の乱れというのは食べる方ばかりになっちゃっているわけですね。
皆さんも、いろいろな極端な例を御存じだと思いますけれども、四本足の鶏というのを、いっぱい、三分の一ぐらい幼稚園児がかく。イチゴが土の上からぴょこんと出ている、イチゴが大好きで。そういうことを平気でかいて、それで信じている。それから、豚肉のとれる畑に連れていってと言う。あの豚の肉だと言うと食べなくなるとか、そういう話もあるわけですね。
こういうのは、やはり生産現場とかけ離れている、見る機会がないということが食の乱れの大きな原因になっているような気がするんですが、この点についてはこの法案でどのように推進していくか。例えば農業体験ですね、そういったようなことをどの程度織り込まれているんでしょうか。
○後藤田議員 お答え申し上げます。
先ほどの今野先生の御質問にもありましたとおり、その中で御指摘を受けた箇所だと思います。繰り返しになりますけれども、先生おっしゃるとおり、現場と食、農業の現場と消費者、生活者がつながっていくということは大変重要でございますので、食農教育という分野につきましては、大変重要な点でございますが、今回の食育というものの中に含まれているということを簡潔に申し上げたいと思います。
○篠原委員 それでは、その含まれている部分を積極的にぜひ推進していただきたいと思います。
それから次に、この基本法ですけれども、基本法の性格というのは、先ほど今野委員が質問されましたけれども、これは大事なことですし、そんな介入すべきじゃないというのはあるんですが、できたらやはり実効性を相当持たせたい。
食料・農業・農村基本法というのができました。基本法の性格的に、性格上しようがないんですが、できたときに役割が終わるという部分もあるわけです、やっていこうというのですね。しかし、食料・農業・農村基本法は一つ大事なものが残されています。何かというと、計画です。その計画の中にはだらだらだらだら文章がある、あれはだれも余り見ないんじゃないかと思います。
しかし、その中で非常にさん然と輝いてみんなが関心を持ったのは何かというと、自給率目標です。松下委員長なんかもそれで大変御苦労されたと思います。四〇%を四五%にする、残念ながら五年たって一%も上がっていないので、十年先に先送りというだらしないことをしているわけですけれども。
この法案を見ますと、やはり計画が輝いてくるんじゃないかと思います。都道府県の計画、市町村の計画ですね、推進計画。その中に地産地消が入ってきて、地元の食材率がどのぐらいかと、学校給食ですね、公的なところから直していかなければいけないと思いますけれども、そこのところにそういったものをきちんと織り込むことをお考えでしょうか。
○西川(京)議員 学校給食の評価は確かにいろいろあると思います。子供の体力向上その他、一定の評価はありますが、片一方で、パン食導入などによって、日本の伝統的な食生活というものが子供たちの小さいときになかなか、舌をそういうものにならしてしまった、こういういろいろなこともありますし、食べ方の問題、マナー、文化その他、大いに考えるべきところは今後あると思っています。
その中で、今回、この食育基本法の中で、市町村農産物を、地産地消という概念から、なるべくもうちょっと入れようということをうたっております。具体的には、第十八条において、市町村は、国の食育推進会議が作成する食育推進基本計画や都道府県推進計画を基本として、市町村食育推進計画を作成するよう努めることとされているということで、ここにおいては具体的な数値目標はまだ出ておりませんが、これは今後一層推進する、そういうことに努めたいと思っております。
そして、現在、学校給食、公立の小中学校の学校給食実施校及びその調理場を対象にいたしまして、五日間で学校給食に使用した食材数のうち都道府県内の食材を活用している割合について調査をしております。その中で、全国平均で、平成十四年度は二〇%、平成十五年は二一%と、わずかでございますが、少しずつふやしていく、そういう方向で努力を大いにこれからしていきたいと思っております。
○篠原委員 学校給食は、今お答えいただきましたように、本当に大事なんですね。優良事例はいっぱいあるんですよ。学校給食がなぜ大事かというのは、もう皆さんおわかりだろうと思いますけれども、小さいときに、九つぐらいから十二歳ぐらいまで、小さいときの舌で覚えているというんですね。ですから、そのときに日本の味を覚えさせなくちゃいけない。だから、世界じゅうが食文化とかを教えようとしているわけです。
簡単な話、ちょっと考えていただきますと、市町村立小中学校なんです。ですから、気のきいた市町村長さんがいれば何とかなるんです。西川さんにと言うのはなぜかというと、御主人の西川裕さんのしりをひっぱたいたり鼻をつまんでもいいですけれども、優良事例をぜひ見せていただきたいと思います、地元で。
やっているところはいっぱいありまして、島根県の木次町というところがあります。そこは有機農業を一生懸命やっている佐藤忠吉さんという私の昔からの知り合いの立派な農家の方がおられるんですけれども、この方がわいわい騒ぎまして、地元の野菜を使え、地元のを使えということで、一九九〇年代に入ってからですが、本格的にやり始めまして、女性グループができまして、地元の野菜等を供給するグループができまして、とうとう自給率が五〇%を超えた、そして農林水産大臣賞と文部科学大臣賞、ダブル受賞をしております。だから、市町村長さんが一つ。
もう一つ、いろいろなところにあるんですが、栄養士、テレビドラマをちょっと思い出していただきたいんです。二〇〇〇年の「私の青空」、北山なずなというのを田畑智子がやりました。それから、そこの中にあき竹城が出てきたのを覚えておられますか。星小百合と、吉永小百合とは似ても似つかないわけですけれども、名前は非常にいい名前です。管理栄養士で出てきました。そして、主人公のなずなが栄養士の試験に挑戦するという場面がありました。あき竹城は非常に威張っていました。あれは事実なんです。
日本人は従順ですから、栄養士さんがこういう献立でと言うと、大体そういうふうになるんです。ですから、市町村長さんがこういう方針でいくというのを決め、栄養士さんが周りのできているものでもって献立を中心にやりましょうと言ったら、相当変わっていくんです。
例えばの例で申し上げますと、優良事例はいっぱい入ってくるわけですけれども、学校給食を自校方式でやっている、きょうのこのトマトは四年一組の西川京子さんのお父さんがつくったトマトですよと言って放送するわけです。誇りに思います。帰ってお父さんに話をする。お父さんはいかがわしいトマトをつくれなくなる。それで、子供たちは、どんなふうにつくっているかと、ちょっと失敬してもらっていこうと思ったら、お父さんがいて、もらって、またファンになるというような交流が生まれるわけですね。やろうと思ったら幾らでもできるんです。ぜひそういうことをしていただきたいと思います。
それから最後に、余りこういうところでこういうのを言いたくないんですが、資料の最後のページを見ていただきたいんです。
食育、大賛成です、必要だと思いますけれども、この基本法、いろいろ問題あるんですね。
ちょっと見ていただきたいのは、これは文書課とか法制局的になるわけですけれども、どうも見ていまして、これは議論のとき意見で申し上げたんですけれども、使いなれない言葉がこんなに使われているというのを見ていただきたいんです。
この間、岩國さんが、共生、対流なんて聞いたことない言葉と。これはみんな関係者は御存じですけれども、これは武部農林水産大臣がこういうことを言い出されたので、前文にそれをそのまま使ってあるわけです。
それから、「食事の提供を行う事業者」、これは外食のことなんですが、ぐだぐだ書いてある。
右側の方に口語的過ぎる表現があるんですが、「あらゆる機会とあらゆる場所」なんというのがある。それから「生涯にわたり」とか、思い入れはわかるんですが、余り法律用語としてふさわしいとは思いません。
それから、服部さんがいろいろ意見を言っておられるのかもしれませんけれども、「親子で参加する料理教室」という例が突然基本法に出てくるわけです。基本法に出るには余りにも超具体的過ぎるんじゃないかという気がします。
それから、ずっとここで皆さん地産地消という言葉を使っておられる。これはちょっと書いていないんですが、二十三条のところに、手元にある人はちょっと見ていただきたいんですが、「農林水産物の生産された地域内の学校給食等における利用その他のその地域内における消費の促進」、これは何のことかというと、学校給食における地産地消の促進なんです。こういうふうに書いたらいいんです。
そうやって意見を申し上げたんですが、何か直っていないような気がするんですが、検討され始めてから、原案から少しは直っておるんでしょうか、いないんでしょうか。
○宮腰議員 法制局とも協議をいたしまして、このままでいきたいということで出させていただいております。
具体的な内容につきましては、食をめぐる環境の変化でありますとか、食の大切さ、食育の必要性などにつきましては随分御認識いただいているというふうに思っておりまして、共感できる部分も私どももお話を伺ってあると思っております。
言葉そのものにつきましては、今ほど申し上げたとおり、法制局の方とも協議をしながらやってまいりましたので、現在の案が最善と考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○松下委員長 小坂憲次君、補足で。簡潔にお願いします。
○小坂議員 はい、かしこまりました。
今の御指摘のことでございますが、十六年、昨年の三月に提出して一年経過するわけでございます。もう既に提出してしまいましてここまで来ておりますので、いまだに修正を行っておりません。
その中で、御指摘のありました対流という言葉なんですけれども、私どもは、よく交流と対流ということで何が違うかと言われます。
交流というのは二地点間の単なる行き来だ、そういう概念だとすれば、対流というのは全体をごろっと変えてしまう、そういう意味でデュアルライフの勧め、すなわち都市と農村両方に拠点を持って、両方体験できるような機会をふやす、こういうことも踏まえて対流という言葉を使わせていただいていることを一つ付言させていただいて、よろしくお願いします。
○篠原委員 せっかく議員立法でやっているわけですから、十六年に提出されたのはわかるんですが、これは指摘してきたことなんですね。今、対流を使っちゃいけないとは申し上げておりません。対流は使っていただいて結構です。ですから、外食も地産地消もちゃんと使っていただいて、簡潔明瞭な文章にして国民がわかるようにするべきじゃないでしょうか。悔い改めるのは早ければ早いほどいいので、今の時点でも修正をお考えいただきたいと思います。
以上、質問を終わります。
○松下委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
きょう、私は、法案の第七条、環境と調和した生産について、また食糧自給率について触れている部分についてですが、ここを中心に質問したいと思います。
政府参考人に最初に伺っておきますが、アサリガイの産地の表示が最近社会問題になってきておりますが、我が国のアサリ生産を見ると、一九九〇年に七万トンを超えていたのが年々減少して、一昨年の統計で五万トンを切っている。反対に輸入量の方は、一九九〇年の三万トン余りだったものが、二〇〇〇年の約七万六千トンをピークにして、若干今は減っているようですが、明らかに輸入の方が国産を上回っている。アサリの面でも自給率がぐんと落ちてきているわけですね。
なぜアサリ生産が落ちたのか、自給率が落ちたのかについての考えを伺っておきたいと思います。
○井貫政府参考人 アサリの国内生産量につきましては、昭和五十八年の十六万トンをピークに近年では三万トン台まで減少しております。このような状況を見まして、水産庁におきましては、平成十五年度から十七年度までの三年間の予定で、独立行政法人の水産総合研究センター、それから都道府県等と連携いたしましてアサリ資源全国協議会というものを開催いたしまして、アサリの生態の解明や効果的な増殖手法の研究に取り組んでいるところでございます。
この協議会におきまして、アサリ資源の減少の原因として、海岸線の埋め立てによります生息適地の減少、生息の場であります海底の底質の悪化、それから貧酸素水の発生によります窒息死、そして過度の漁獲による親貝の枯渇等が挙げられておりますが、現段階では必ずしもそれぞれの原因の特定には至っておりません。
引き続き、アサリの増産につきましては、方策を確立するため、この本協議会を活用いたしまして、関係者間で原因の解明に努めてまいりたい、そしてアサリの自給率を高めていきたいというふうに考えてございます。
○吉井委員 農業、漁業ともに自給率をどう高めるかという発想で、今アサリを一例に挙げているわけですが、グラフで見ましても、最近ちょっと上がってきた。ところが、上がってきているかと思うと、中には、これは熊本日日のインターネットで引いた報道でも出ていますが、北朝鮮産アサリが九千トン入ってきて、あるものは中国産に化けたものがありますが、熊本産というのに化けているものもある。
つまり、こういうふうになってくると、国産の自給率のカウントがそもそも減っている中でも最近少し改善されたかのように思ったら、実はどうもそうでもないということもあり得るわけで、ですから、私は、この点では、水産物の表示は、JAS法では国産品の場合は水域名か都道府県名を、輸入品の場合は原産国名を表示しなければならないとなっていますね。
ところが、食品の表示は食の安全と非常に深い関係があるんですが、ちゃんと表示されておれば、食育基本法の立場で食について関心を高めた消費者が安心して食生活を送れることになると思うんですが、しかし、そもそもこういうことがあると、消費者には全くわからないわけです。
だから、報道によれば九州の二つの業者が北朝鮮産などのアサリを有明海産、熊本産として表示していた問題などありますが、農水省は業者に改善を指示したというんですが、このアサリの表示について、実態調査をどのように進めて、どういう結果になっているのかも伺っておきます。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
私どもは、日ごろから食品の原産地表示に関しましては調査を行っているところでございますが、本年一月から、アサリにつきまして表示根拠の確認調査を実施しております。二月末までの調査状況といたしましては、小売店舗一千三百四十三店舗、それから中間流通業者につきましては三百四十六事業者の調査を行っております。
この中で、小売店舗におきましては三十八商品、それから中間流通業者におきましては三十商品の不適正表示を確認したところでございまして、これらにつきましては、その発生原因も含めて確認調査を行った上で文書指導などの措置を講じております。
それから四月一日には、今委員からお話がございましたように、この調査の中で不正表示が確認されました一輸入業者及び一小売業者に対しましてJAS法に基づく指示を行い、その旨を公表したところでございます。
なお、この確認調査はなお継続中でございまして、今後さらに、さまざまな案件があれば適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
○吉井委員 調査中でもあるということですから、速やかに進めて報告されたいと思います。
輸入業者とか流通業者にとっては、これは余り問題にならないのかもしれませんが、しかし、消費者にとって大事な問題は、私は、例えばアサリについて三つあると思うんですね。
一つは蓄養と言われているものです。有明海などでは、輸入されてきたアサリを蓄養場に入れて、輸入のアサリをばらばらとばらまいて、二、三カ月したら、これを地元産と表示して売られるという問題とか、輸入品が干潟で国産品に化けてしまう。農水省は、原産地は最も生育期間が長い場所が原産地国という見解ですが、生産者との解釈は異なっているように思うんです。解釈があいまいでは食の安心には結びつかないと思うんですね。だから、線引きをきちんとせないかぬと思うんです。
つまり、生産者も流通業界も消費者も判断に困ってしまうような表示はまずいので、原産地何々国、蓄養地何々県とか、あるいは、稚貝で入れて今の基準からすると国産になっているものについても、稚貝の原産地はどこどこ、生育地はどこどことか、やはり、そのアサリならアサリがどれぐらい日本の漁民の皆さんの手できちんと安全が管理されて生育してきたものかとか、消費者がそこをわかるように表示するということが大事だと思うんですが、この点について政府参考人に伺います。
○高橋政府参考人 ただいま、現在では、畜産物あるいは水産物につきましては、その生育期間の最も長い地区を原産地と表示するというのは、これはルールでございます。この点につきましては事業者の方々にも十分周知をしていまして、このような徹底はされているというふうに考えております。
今お話しの中で、幾つかの場所を転々とした場合にはそれぞれの場所を明示すべきというお話がございましたが、これは、食品にいろいろなものがございます。ほかにも、例えば牛なんかもいろいろな場所を転々としますけれども、そういったすべての食品について、最初の産地から最後までの産地を全部表示するということになりますと、これは大変複数の地名が記載されるということで、実際はその主たる生産地がどこにあるかというのがなかなか表示しづらい。
あるいは、では、それぞれの期間はどれぐらいの長さであったのかもあわせて明示ということになりますと、これは、よく食品のパックにつけますラベルの大きさの問題がございますので、その中の大きさとの兼ね合いでどこまで記載ができるかという限界がございますので、お話の趣旨は私どもも十分理解できるんですけれども、そういった複数の成育地ごとにすべてのものをいろいろ表示するというのは、なかなか現実には難しい問題があるというのは、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
○吉井委員 商品であれば転々と流通するのはよくわかるんですよ。しかし、稚貝なり稚魚なりを入れて、それが転々とすることは、全くないわけじゃないんですけれどもね、それはわかるんです。しかし、それを、飼育、成育地が例えば二十七カ月で、それでその後蓄養ですか、そこが三カ月であれば、長い方ということで、AとBでいけばAの方が原産地となるんですが、私はそこで、少なくとも主たる稚魚、稚貝の原産地、それからそれこそ長期にわたって生育したところ、そこをやはりきちんと書くことが、消費者にとっても非常によくわかるんですね。消費者に、賢くなれ、食育だと言いながら、そこがあいまいでは、本当のところを言って消費者は情報不足でわからない、これはやはり考えなきゃいけないと思います。
次に、二つ目に、これも政府参考人に伺っていきますが、稚魚、稚貝の輸入問題なんですが、先日、参考人の答弁の中でもありましたが、バクテリアの問題とかがやはり出てくるんですね。コイとサケとクルマエビ属のクルマエビ以外には水産物の種苗の伝染性疾病対策としての輸入許可というのは要らないことになっていますね。
コイヘルペスの場合は、ある意味では池とか特定の水域対策ということで、ある程度感染対策というものが考えられるんですが、しかし、日本の沿岸部の方で稚魚、稚貝等を入れて、バクテリア等を持ち込んできたときには海洋汚染となるんですね。その対策は非常に難しいんです。
もちろん、蓄養の場合も感染問題というのは考えなきゃいけないんですが、私は、この点ではやはり漁業者の方を応援して、日本の漁場の安全対策をどう進めていくのか、そして、日本でとれた魚や貝は安全なんですよということがまた食糧自給率を高めるということにもつながってくると思うんですね。
この点についての参考人の答弁を求めます。
○井貫政府参考人 特に養殖業の関係につきましては、漁場の環境を維持する、それからいい種苗を入れる、いいえさをやって、いい品質に育てるという商品としての養殖業の品質管理が非常に大事だと思っておりますので、その一環の中でいい種苗を入れるというのが、結局バクテリア等の付着物等のない形であるということが基本だと思います。
特定の疾病、非常に大きな被害を与える可能性のある疾病につきましては、先ほど先生御指摘ありましたように、水産資源保護法なり持続的養殖生産確保法で強制的な措置もできる形でとめている、そういう状況で、今後もそういう養殖業の品質管理という中の一環で、そういった種苗の面も厳格に指導していきたいというふうに考えてございます。
○吉井委員 これは、私この間もお話ししたことがあるんですが、我々人間だって、日本の風土病には耐えられる体になっていても、外国の方の熱帯その他のところへ行ったらその風土病には耐えられないということがあるように、バクテリアの問題、微生物菌、細菌の問題というのは非常にきちんと見ていかないと、日本の水産業全体にとって大きな問題になってきますから、今は三つですよね、コイとサケとクルマエビ属のクルマエビということですが、それ以外のものについてもこれはきちんとした対策というものを考えていく必要があると思います。
三つ目に、外国産のアサリの稚貝にまじって放流された中にサキグロタマツメタガイという外来種の巻き貝がいて、これがアサリの稚貝を食べてしまう、食べ尽くされるという問題が起こっています。ブラックバスの問題と同じように、やはり対策をとらないと、日本産のアサリがなくなって、日本産のアサリということで見れば自給率ゼロになってしまう、これは本当に真剣に取り組まないと大変なことになるんじゃないかと私は思うんです。
こういう点では、農業も漁業も、自給率の向上には環境保護という観点からの取り組みも大事だと思うんですね。同時に、農業、漁業が日本の環境を守っていく、そういう立場に立った、外来種の巻き貝等によってアサリが食い尽くされるという問題などについても、やはり、簡単に外国からの稚貝、稚魚の段階でも何でも入れればいいというものではないと思うんですね。そこの対策をしっかり見て、そして、本来は、日本のアサリの稚貝を育てて、日本産のアサリというもの、その自給率を高めていく、こういうことが大事だと思うんですが、この点も政府参考人に伺っておきます。
○井貫政府参考人 先生御指摘のサキグロタマツメタによります被害につきまして、国内の一部の地域において大きな被害が出ているということについては承知してございます。
このサキグロタマツメタといいます巻き貝につきましては、外国からの輸入アサリ稚貝に付着してなり、まじって国内に入ってきたという情報もございますけれども、もともとこの巻き貝は日本にも存在する貝でありますので、その由来については現在のところ判明していないというふうに考えております。
水産庁といたしましては、先ほど申し述べましたが、アサリ資源全国協議会の中で、アサリの親貝、卵、それから浮遊幼生、それから付着稚貝、それからだんだんと大きくなっていく段階、そういった段階すべてを踏まえまして、どういう対策を打てばアサリの資源回復ができるかという観点で考えておりまして、その中でツメタガイ等の食害生物対策も視野に入れて検討しているところでございます。
○吉井委員 そこで、提案者にお伺いします。
私、アサリというのは一例を挙げてきょうは取り上げたわけですが、アサリ一つとってみても、蓄養の問題、稚魚、稚貝を輸入して、入れて育てる中での、外国から簡単に日本の海に魚が入ってくる、あるいは貝類が入ってくるということは本当に大丈夫なのかということをよく見ておかないと、もちろん温暖化の中での海洋環境の変化もありますけれども、これはやはり日本の漁業環境にとっても大事な問題になってきているんですね。
さらには、外来種の害になるものが入ることによって日本のアサリが稚貝の間から食い尽くされていくとか、こういうことを考えたときに、地産地消の推進、食育の推進の向上はやはり当然なんですが、食糧自給率向上の責任を、これらの問題は消費者に求めても消費者はどうしようもないわけですから、やはりここは、見直さなければならないのは、国内の多くの生産者に打撃を与えている輸入の野放しや、生産価格を市場任せにしている問題ですね。
これは、輸入業者やあるいは流通業者、販売業者はもうどうでもいいのかもしれません。しかし、ここは、食育を大事にすればするほど、消費者からすれば物すごく大事なことなんですね。このことをちゃんとしないと、本当の意味での安心、安全な国内産の農産物の自給率を高めるということにつながらないと思うんですね。
ですから、国内の農産物の生産量が本当にふえていくように、そういった角度からも、やはり、この法律を通すとともに、かなり、安全の問題とかいろいろな角度から自給率を高めていくという取り組み、具体的な取り組みなしにはこれは進まないと思うんです。
これをどう進めるのかということについての考え方というものを提案者に伺っておきたいと思います。
○西川(京)議員 先生のおっしゃること、大変共感を覚えます。言うなれば、日本で本当に本来独自にとれていたものを自然に食べていれば、まずもう当たり前の、問題がないということに近づけていくことだと思うんですね。それが、生活圏がすべて大きく広がった中で、今それをいかに近づけていくかということに尽きるんだろうと思います。
そういう中で、今消費者と生産者とが大変距離が遠くなっている、言うなればフードマイレージの距離が物すごく広がっているわけで、それをいかに近づけて、消費者と生産者のお互いの信頼関係を構築する、そのことが本当に地産地消のこれからの拡大につながっていくことだと思います。それは、都市と農村の対流、交流その他、今政府がいろいろなことをして、それを少しでもそういう方向に持っていくように努力しておるところでございますので、ぜひ、その辺の御理解もいただきたいと思います。
そして、自給率については後藤田議員の方からお答えいたします。
○後藤田議員 お答えいたします。
先生おっしゃるとおり、輸入の問題につきましては大変重要な問題だと思います。ただし、やはり、我々の自給率の現状を考えますと、すべて輸入がだめだということになると、我々のフーズセキュリティー、いわゆる食糧安全保障が非常に危機に瀕する。ですから、フーズセキュリティーとフーズセーフティー、そしてまたフーズトレード、この三つをこれからやはり考えていかなくてはいけない。
そのためにも、国民の皆様方に、普及啓発という意味で、全国で今まで唯一、普及啓発活動で成功した例は交通安全運動でございます。これは唯一やっております。これも実は、交通安全普及法ではなくて交通安全基本法でございまして、そのことも最後に述べさせていただきたいと思います。
○吉井委員 不足しているものをいきなり自給でといかないのは当然の話で、問題はやはり、この法律をつくったからには、その方向へ向けて前進させる具体的な施策というものが一番大事で、それなしには本当にこれはただの紙くずになってしまう、そのことをよく心して取り組まなければいけないということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○松下委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○松下委員長 この際、本案に対し、河本三郎君外一名から、自由民主党及び公明党提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。河本三郎君。
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食育基本法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○河本委員 ただいま議題となりました食育基本法案に対する修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
本修正案は、審議の現況を踏まえ、附則第二条において、この法律に係る法律番号の暦年を「平成十六年」から「平成十七年」に改めるものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○松下委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○松下委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。須藤浩君。
○須藤委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました食育基本法案につきまして、反対の立場から討論を行います。
不規則な食事や栄養の偏り、ファストフードのはんらんなどに加え、遺伝子組み換え食品や輸入食品等における安全性の問題など、現代の食をめぐる環境にはさまざまな問題が山積しており、私たちも食を対象とする政策の大切さを否定するものではありません。
しかしながら、食は人生の一番の楽しみの一つであり、安易に権力が介入すべき性質のものではありません。元来、食というものは、教える、学ぶ対象とするよりも、親の愛情のこもった料理を家庭の温かい雰囲気の中で食べることにより、心身の健全な発育の中心とし基本として身につけるべきもので、それが日本の伝統のみならず、世界の常識であります。
既に、文部科学省や厚生労働省、農林水産省が独自の施策を実施しているところでありますし、殊さら国民や地方自治体に協力や責務を押しつける基本法を制定しなければならない積極的な理由は認められません。
そもそも我が国の食品行政は、輸入食品の安全性やBSE問題などを初めとして、さまざまな矛盾を抱えており、消費者が健全で安全な食生活を送る上で、その前提となる環境が整備されているとは到底言いがたい状況にあります。健全で安全な食生活のための情報も環境もないままに、食育の名目で法律を制定し国民や地方自治体に協力を強いることは、国の責任放棄であり、本末転倒であります。
民主党としては、食育にうたわれた基本理念は、基本法を制定することではなく、学校給食制度、栄養士制度、生活改善普及員制度等、既存の各種制度、法律を改善し充実していく中で消費者の権利の観点から実現していくべきものであり、実態の伴わない名目だけの法制定は、むしろ行うべきではないと考えております。
もとより学校給食という事業に幾らお金がかかっているのかという我が党同僚議員の質問にすら答えられず、現状把握と事業費の試算すらできていないことを露呈した本法案には到底賛成しかねることをここに表明して、反対討論を終わります。(拍手)
○松下委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○松下委員長 これより採決に入ります。
第百五十九回国会、小坂憲次君外五名提出、食育基本法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、河本三郎君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松下委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松下委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○松下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時十九分散会