第11号 平成17年6月3日(金曜日)
平成十七年六月三日(金曜日)午前九時三十二分開議
出席委員
委員長 松下 忠洋君
理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君
理事 増田 敏男君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 須藤 浩君
理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君
江渡 聡徳君 大村 秀章君
川上 義博君 佐藤 剛男君
桜井 郁三君 土屋 品子君
西村 康稔君 萩野 浩基君
早川 忠孝君 宮澤 洋一君
石毛えい子君 市村浩一郎君
菊田まきこ君 島田 久君
藤田 一枝君 藤田 幸久君
牧野 聖修君 太田 昭宏君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣 村上誠一郎君
内閣府副大臣 林田 彪君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
政府参考人
(内閣官房構造改革特区推進室長)
(内閣府構造改革特区担当室長) 滑川 雅士君
政府参考人
(内閣府市場化テスト推進室長) 河 幹夫君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 岡田 薫君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(法務省矯正局長) 横田 尤孝君
政府参考人
(法務省保護局長) 麻生 光洋君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 樋口 修資君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 金森 越哉君
内閣委員会専門員 高木 孝雄君
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委員の異動
四月二十八日
委員今野東君が退職された。
六月三日
辞任 補欠選任
小宮山洋子君 菊田まきこ君
同日
辞任 補欠選任
菊田まきこ君 小宮山洋子君
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五月十七日
全国戦災犠牲者の平和慰霊碑建立に関する請願(田端正広君紹介)(第一二五二号)
同月十八日
憲法改悪反対、第九条を守ることに関する請願(山口富男君紹介)(第一三三四号)
憲法を守る意思をあらわすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三三五号)
憲法改悪反対、九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一三三六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三八二号)
憲法の改悪反対に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一三八三号)
同(山口富男君紹介)(第一三八四号)
六月三日
全国戦災犠牲者の平和慰霊碑建立に関する請願(滝実君紹介)(第一五一〇号)
同(井上和雄君紹介)(第一五二一号)
同(西村真悟君紹介)(第一五三二号)
同(山口富男君紹介)(第一六五八号)
憲法の改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六一一号)
同(石井郁子君紹介)(第一六一二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一六一三号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一六一四号)
同(志位和夫君紹介)(第一六一五号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一六一六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一六一七号)
同(山口富男君紹介)(第一六一八号)
同(吉井英勝君紹介)(第一六一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)(参議院送付)
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○松下委員長 これより会議を開きます。
この際、警察庁に対し、委員長から一言申し上げます。
警察庁は、今回の愛媛県警の事案について、愛媛県警において、正義と良心に従い、誠意を持って調査を行わせ、今後の対応もあわせて、六月六日月曜日の週に内閣委員会に報告することを要請いたします。
以上であります。
――――◇―――――
○松下委員長 内閣提出、参議院送付、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房構造改革特区推進室長・内閣府構造改革特区担当室長滑川雅士君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、警察庁長官官房長安藤隆春君、刑事局長岡田薫君、交通局長矢代隆義君、法務省矯正局長横田尤孝君、保護局長麻生光洋君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君及び高等教育局私学部長金森越哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○松下委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。
○早川委員 おはようございます。自由民主党の早川忠孝でございます。
ようやく、衆議院の内閣委員会において、構造改革特区改正法案の質疑をさせていただくことになりました。三月十一日に国会に提出されて、約三カ月になるわけであります。
ようやく審議をさせていただくことになったわけでありますが、これまでの経過について若干感想を申し述べさせていただき、質疑をさせていただきたいと思います。
御承知のとおり、今国会で一番大きな焦点となっております郵政改革に関する特別委員会の設置に関連して、残念でありますけれども、この法案の内容に反対をする野党の方々が郵政改革関連にかかわらない他の法案の審議を衆議院、参議院両方とも拒絶されてしまったために、大事な他の法案の審議が前へ進まなかった。そのために、恐らくそれぞれの省庁において、法案の成立に伴って必要なその後の作業が停滞をしていたのではないか、あるいは国政の他の課題について取り組むべきことがおくれてしまったのではないか、こういう危惧があります。
国民の代表者として、国会議員が、たとえ自分の意見とは異なり、あるいは、仮に少数であるために最終的には自分たちの意見が通らないことがあったとしても、審議の場において十分問題点を明らかにし、議論をもって他の同僚議員を説得する、よってよりよい制度改革につなげる、こういう基本的な態度を与野党ともに持つべきではないかというふうに思っております。
さまざまな御意見がある中で、この構造改革特区法案について、実はこれまで二回、私に質疑の機会をいただきまして、準備をしておりました。これは過去二回とも流れてしまいました。ようやく三度目にしての、三度目の正直であります。
当初は、この構造改革特区法について、もろ手を挙げて賛成である、大変すばらしいというふうに思っておりましたが、時間が経過するごとに、だんだん違った情報も入ってくるようになりました。
昨日、関東地方知事会の決議事項の提案・要望というのが届けられまして、この中に「構造改革特区の再活性化について」という一文がございました。これによりますと、「構造改革特区は、取組み開始後二年半余りを経て提案の実現率が著しく低下している。このため地方の提案意欲の減退を招き、提案数自体も減少している実情にある。」こういったことの指摘がございました。
私は、民間のさまざまな創造力、活力を導入し、あるいは基礎的な自治体である市町村がさまざまな提案をして、これまでの官主導型であった日本の政治あるいは行政、経済そのもののありようを変えていくための構造改革特区である、都道府県の知事の立場でいろいろお考えがあるのと市町村の場合とは若干違うのではないのかなというふうに思いながら、この決議書を拝見したところであります。
そこで、村上国務大臣にお伺いをさせていただきますが、特区制度発足から二年を経過して、現状をどのように評価されているか、お伺いをしたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。
特区については、御高承のように、これまで六度にわたり規制改革の提案を募集しまして、教育、農業、医療といった分野への株式会社の参入など、従来は非常に難しいと考えられた分野において規制改革を実現するなど、構造改革の突破口として大変大きな役割を果たしてきたんじゃないかなと私自身は思います。
特に、既に全国で五百四十九件の特区が認定されまして、いろいろあるんですけれども、私の印象に残るのは、三重県の四日市市のコンビナート特区、群馬県の太田市の外国語教育特区、世田谷区の日本語教育特区、それから香川県の内海町のオリーブ特区、それから愛知県の豊橋市の仮ナンバー特区、それからあとカブトムシ特区等、本当にそれぞれの地域の実情を考えたユニークな、またおもしろい、斬新なアイデアが次々出てきているんじゃないかと思います。
また、地域を限定して特区として認められた規制改革の項目のうち、平成十六年度には、農地のリース方式による株式会社の農業参入など、合計四十六件、全国展開をしています。このほかにも、岐阜市の水防団員への退職金支給のように、特区提案を契機にしたんですが、一挙に規制の所管省庁がみずから検討を行って、全国的な法改正等が行われて実現されたものもあります。
そういうことで、さらに特区の大きな成果を考えるのは、今の財政事情の中で、今までは補助金だとかそういうものに頼る風潮というか傾向が強かったと思うんですが、やはりこれからは、地域活性化のためには、ばらまき的な財政支援に頼るのではなくて、地域それぞれがみずから考えて立ち上がる、私が常に言っている自主、自立、自考の意識改革が全国に広がりつつあるんじゃないかと思います。
特に、特区制度と地域再生の取り組みとをあわせながら、地方にとって政策立案能力の鍛錬場としての役割が随分果たされてきたんじゃないかと思います。そういうことで、引き続き地域活性化やビジネスチャンスの拡大に向けて、特区とせんだって通させていただいた地域再生法を絡めながら、幅広く利用されることを今期待しております。
○早川委員 ありがとうございます。
私も、そういう前向きでこの構造改革特区制度を活用していかなければならないというふうに思っているところであります。
ところで、今回の特区法の改正でありますけれども、その目的とかあるいは効果についてどのようなことをお考えであるのか、まずお伺いをしたいと思います。
○滑川政府参考人 今回の特区法の改正は、監獄法等と私立学校法についての特例措置の追加を行うものでございます。
まず、一つ目の監獄法等の特例措置につきましては、これまで官が行ってまいりました業務を民間に開放するという大きな意義があるというふうに考えております。
この特例措置によりまして、警備等の業務の民間委託が可能となることによって周辺地域における雇用の増加が見込まれる、また、刑務所内の診療所を周辺住民が利用可能となり、地域の医療サービスの拡充が図られるといった効果が期待されるということでございます。
また、私立学校法の特例措置につきましては、地方公共団体と民間との連携協力に基づきまして教育を行います公私協力学校を設置するためのものでございます。
この特例措置によりまして、地方自治体の一定の関与のもとで安定的な運営を確保しながら、民間の知見を生かしました地域の特色ある教育活動の実現が可能になるものというふうに考えておりまして、人材育成を通じました地域活性化というものが期待されるということで、この二つの特例の追加によりまして、さらに特区が拡充されるものというふうに考えております。
○早川委員 ありがとうございます。
それでは、今回の改正の対象となっております、まず刑務所の関係についてお伺いをいたします。
まず、行刑改革を通して、国民に理解され、支えられる刑務所を目指すという方針が示されております。
今回の構造改革特区制度では、いわゆるPFIを活用しながら、かつ、構造改革特区によって、これまでの過剰収容状態になっている刑務行政、行刑行政を大きく変える、その第一歩としてこの構造改革特区とPFIを活用するというふうに伺っておりますので、具体的にどのような措置を講じられるのかについて、御説明を法務省にお願いしたいと思います。
○横田政府参考人 お答えいたします。
今回の改正では、監獄法の特例として、まず第一点として行刑施設における業務の民間委託に関する特例、第二点として行刑施設における診療所の管理委託に関する特例を設けることとしております。
具体的には、行刑施設における業務の民間委託に関する特例といたしましては、施設の警備や職業訓練などの被収容者の処遇の一部を一定の要件を満たす民間業者に委託することを可能とするとともに、受託者の守秘義務、みなし公務員規定、国による監督規定など、業務を円滑かつ適正に実施するための所要の規定を設けることとしております。
また、行刑施設における診療所の管理委託に関する特例といたしましては、国が施設内に開設した診療所の管理を公的医療機関に委託するとともに、地域住民に対する医療を提供するため、施設内の診療設備等の利用を可能とするための所要の規定を設けることとしております。
これらの措置により、地域といたしましては、周辺地域での雇用機会の増大や地域医療の充実など、地域の活性化が期待できるものでありますし、また行刑施設といたしましても、官民協働による運営を実現するとともに、地域との共生を図ることが可能となります。
このようなことから、国民に理解され、支えられる刑務所を実現することができるというふうに考えております。
○早川委員 時間が余りないことがわかりましたので、質問を急いでまいります。
刑務所業務の民間委託については、委託できる業務と委託できない業務、これを整理する必要があると思います。どのような整理を行ったのか。あるいは、今回のような診療所の管理委託という非常に新しい制度が出て、恐らく地元の住民の方々にとっては、利便性が増進をするということで、歓迎をされることだと思います。そういうことからすると、これから先もこのようなスキームを全国的に広げていくべきではないかと思います。
こういったことについて、念のため法務省にお伺いをいたします。
○横田政府参考人 お答えいたします。
まず第一点の、委託できる業務と委託できない業務との整理の問題でございますが、御案内のように、行刑施設におきましては、給食とか洗濯とか清掃などの非権力的な事務から、武器や戒具の使用、懲罰、信書の発受の許否処分などの権力的な事務まで、幅広い事務を行っております。
非権力的な事務につきましては、これまでも一部民間委託を行ってまいりました。これに対しまして、被収容者の身体、財産を直接侵害する実力行使や、被収容者に対して直接に義務を課し、または権利を制限する処分などを行う権力的な事務につきましては、行刑施設の長または刑務官以外の者がこれらの事務を処理することはできないものと考えております。
もっとも、例えば、健康診断の実施であるとか所持品や居室の検査、収容監視、職業訓練の実施、信書の検査補助、領置物の保管など、行刑施設の長または刑務官が行う処分等に当たる事務の準備行為またはその執行として行われる事実行為につきましては、一定の法的制約のもとに、その権限の行使を補助するものとして委託することが可能であると考えられます。
すなわち、法律に委託の根拠規定を設けますとともに、守秘義務、みなし公務員規定、監督規定など、事務の円滑かつ適正な実施を確保するための担保措置をあわせて講じることによりまして、民間委託は可能だと考えられますので、このような整理のもとに、今回の改正案、十一条でございますが、ここにおきましては、行刑施設の事務の民間委託に関する規定を盛り込んだところでございます。
それから、山口県美祢市のPFI事業で診療所の管理委託を行いますが、その具体的措置についてお答え申し上げます。
この山口県美祢市に現在整備を進めております第一号のPFI刑務所におきましては、刑務所内の診療所の管理を公的医療機関である美祢市立病院に委託することとしております。具体的には、国が刑務所内に診療所を開設いたしまして、その管理を受託する美祢市立病院の医師が管理者となって、その管理運営を行います。複数の診療科の医師が交代で受刑者に対する診療を行うものでございます。こうして診療所の管理を美祢市立病院に委託することによりまして、受刑者に対する安定的な医療の確保が可能となりますとともに、行刑施設における医療の透明性を高めることが可能であると考えます。
また、美祢市では、かねてから婦人科診療を行う医療機関の設置が地域住民から要望されておりましたところ、本施設では女子受刑者も収容いたしますことから、必要な診療設備を設けまして婦人科診療を行います。この今回の改正によりまして、これは第十一条の二第一項になりますけれども、美祢市立病院が刑務所の診療設備を利用して地域住民に対して婦人科診療を行うことも可能となります。これによって、地域医療の充実を図ることができるというふうに考えております。
最後に、これらの規定を今後どのように活用していくかというお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたように、PFI手法による刑務所の整備は、山口県美祢市における第一号PFI事業のほか、第二号のPFI事業予定地といたしまして島根県那賀郡旭町を選定いたしまして、男子の初犯受刑者等二千名を収容することを検討しております。第一号の事業とともに、今回の改正による業務の民間委託、あるいは診療所の管理委託に関する特例措置を活用することを検討しております。
また、PFI手法による新設刑務所のみならず、既存の行刑施設におきましても、これらの民間委託等の特例措置を活用することについて、今後検討してまいりたいと考えております。
○早川委員 今度は、もう一つの柱であります公私協力学校法人に関する制度についてお伺いをいたします。
恐らく、これは地方公共団体、民間主体のNPO法人あるいは株式会社等の提案を受けた制度設計だろうと思っております。現在進められている教育改革の中でどのような意義を持つものとして位置づけられているのか。それから、今回の公私協力学校制度においては高等学校及び幼稚園のみを対象としているけれども、これはなぜなのか。今後、過疎地域等における小中学校の空き校舎等の問題を考えれば、義務教育段階についてもこういった公私協力学校の制度の対象を広げるということが当然あっていいのではないかと思いますけれども、どのように検討を進められるか。これを一括してお答え願います。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
まず教育改革の関係でございますが、今回の公私協力学校法人制度の制度化を図ることによりまして、民間の創意工夫を生かしながら、地域のニーズに的確に対応した特色ある学校の設置が促進されることになると考えておりまして、生徒等や保護者にとりましても、より多様な学校教育の選択肢が提供できるということで、教育の活性化が進むであろうというふうに私どもは考えているところでございます。
今回の公私協力学校制度において、対象を高等学校、幼稚園に限定しているということについてのお尋ねにつきましては、この件は、平成十五年の九月の構造改革特区の推進本部決定におきまして、まずは高等学校と幼稚園を対象とした公設民営方式を導入するということで、その検討対象とされたわけでございます。今回の制度によりまして、私立学校において、地方公共団体と民間とが連携協力いたしまして、民間のノウハウを生かしながら、地域のニーズを反映した特色ある教育を実施しようとする新しい制度でございまして、まずは幼稚園と高等学校を対象にして、構造改革特区において試行的な取り組みを進めながら、その成果等を十分に検証することが必要であろうかと考えているわけであります。
三点目のお尋ねで、義務教育段階の取り扱いについてどう考えるかというお話でございますが、私ども、義務教育段階の問題につきましては、地方公共団体に学校の設置義務が現行法制上課されているわけでございまして、幼稚園、高等学校については、授業料等の徴収も義務教育と違って可能だということ等、市町村等に公立学校の設置を義務づけていること等との関係上、義務教育制度全般にわたる、行財政制度全般との関係について十分、慎重に検討することが必要であろうかと認識しておるわけでございます。
したがいまして、今回は小中学校を対象にしなかったわけでございますが、今後、この制度の対象の拡大につきましては、高等学校と幼稚園におきます特区での新しい試みを十分検証した上で、必要に応じて、私ども文部科学省内に中央教育審議会を持っております。中央教育審議会等において検討することも考えていく必要があろうかと考えておるわけでございます。
以上でございます。
○早川委員 質疑持ち時間が終了したという通知が来ていますけれども、この問題は、今後大いに活用していかなければならない大事な制度だと思います。そのために、やはり何といっても、民間の提案というのをふやしていく、このためには一体何をすべきかということとあわせて、村上大臣のリーダーシップが特に求められている分野ではないかと思います。最後に、その点だけお答えを願いたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。
まさに委員のおっしゃることは大事でありまして、私は、まず一つは、提案者がまだまだ、だれでもできるんですね、個人でもできるし、中小企業で、市村先生の専門でいらっしゃるNPOの人もできる、それがまだ周知徹底されていないんじゃないかな。そういう面で、だれでもできるということ、特にカブトムシ特区は一農家の方だったんですね。それからもう一つは、特区の事例を見ていると、本当にすばらしいアイデアで、私は特区は宝の山だと思っているんですが、その事例がまだまだ一般の国民の皆さん方に知れ渡っていないんじゃないかな。だから、そういうPRですね。
それから最後に、もう一つは、やはり特に私が一番感じるのは、建築基準法の問題なんですが、これが一番ハードなんですね。特に教育関係の基準がきついというところでありまして、とにかくそういうものを、この間の外国人看護師等の日本国内の実務研修については、尾辻大臣と直接やって、一発回答をもらったんですが、頂上決戦で一つでも多く実現できるように、一生懸命リーダーシップをとって頑張りたいと思いますので、御声援、よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○早川委員 ありがとうございました。
○松下委員長 次に、宇佐美登君。
○宇佐美委員 おはようございます。民主党の宇佐美登でございます。
本日は、構造改革特区の一部を改正する法律案にやっと実質的な審議入りをすることができました。
思えば、四月二十七日に趣旨説明がこの委員会で行われておりまして、この間、一月余りたっていたわけでございますけれども、その間、委員長や理事、委員各位にはいろいろな御配慮をいただきながら、ここに至った経緯をまず最初にちょっと述べておきたいと思います。
二十七日の委員会の冒頭に、愛媛の警察問題での委員会視察を決議いただきました。その後、与党との協議の中で、この警察不祥事問題の発端となりました、特に愛媛県警について、内部告発者に対して、我々が会見、質疑を行いたいという旨の私たちにとっては至極当然の要求を行ったわけでございますけれども、二点、一つは裁判で係争中、二点目、県議会において調査続行中という理由から、残念ながら与党から拒否される中で、ずっと平行線をたどることになったわけであります。
その後、筆頭間、理事懇、十回以上、電話を合わせれば二十回、三十回と協議を重ねさせていただき、委員長には大変な御努力も御尽力もいただいたわけでございますし、本日、冒頭でも、調査報告書の内閣委員会に対する提出を委員長から御指示をいただいたところでございます。
こういった再三にわたる協議の中で、この一月余り、構造改革特区法案が参議院から送られてきて、そしてこの趣旨説明から一月たったということでございます。
その点、大臣には、二回ですか、委員会のこの場まで来ていただいたわけですけれども、元来、なかなか難しい委員会建ての中で、流会に至ったということでございます。
こういった中で、内閣委員会の特徴とも言えるんですけれども、いろいろな役所、大臣として六人抱えている中で、村上大臣の御地元の愛媛県なんですね、この問題。大臣、この一月の経緯を含め、愛媛県の話でもありますし、一連のことについて、まず御感想、御意見をいただきたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。
今回の構造改革特別区域法の一部を改正する法律案は、特区制度のさらなる拡充を図る重要法案として、早期成立を期していたところでございます。
本案は、委員御承知のように、四月七日に参議院の内閣委員会で可決され、四月二十七日に衆議院の内閣委員会にて提案、趣旨説明を行って、何とか早く通していただきたいと思っていました。
そういうことで、二カ月を経て、六月の上旬のきょうにようやく委員会審議に至るに至りまして、何とか、一生懸命答弁して、法案を成立させていただきたいと思う、身の引き締まる思いであります。
特に宇佐美先生には、一日千秋の思いで、一日も早く開いていただきたいと思っていました。
ただ、国会審議日程については、三権分立の立場において、国会においてお決めになることでありますので、行政府の大臣としては発言を控えさせていただきたいと思います。
以上であります。
○宇佐美委員 恐らく大臣のことですから、御地元愛媛県の警察に対しても、早くやれ、そうしないと委員会審議ができないだろうぐらいのことを言っていただいていたんじゃないかと思っているわけでございますけれども、警察庁に対し、我々、民主党、共産党を含め再三、いろいろな要請を、つまり、我々の調査に対しての協力依頼などをさせていただいたわけでございます。
まず第一に、先ほど委員長から指示された案件について、官房長の方から、御答弁というか御意見というか、きちっとやるという決意をお述べいただきたいと思います。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
現在、愛媛県警におきまして鋭意作業を進めておりますが、警察庁といたしましては、先ほどの内閣委員会、委員長からの要請に対しまして誠実に対応してまいる所存でございます。
○宇佐美委員 これまでも、一年以上にわたって、北海道警の問題を初めとして福岡県警、静岡県警、京都府警、本当にありとあらゆる場所で出てきているわけで、平成十二年の雪見酒事件のときも、誠実に対応すると言っていらっしゃった気がするんですけれども、もうこれは与野党を超えて、本当に堪忍袋の緒が切れるという状態になっているというのは、警察の、今回の文責、文書の責任者に官房長がなられるわけですよね、ここは本当に意を決してやっていただかないといけないと思います。
例えば、前回の委員会の私の質疑のときに御指摘をさせていただきました愛媛県警松山東署における飲酒運転の際のキャッシュバック、当然、当時の署長さんや課長さんへの事情聴取をして、どうだったかということも含めて報告があるべきだと思っていますけれども、この点などについて警察庁はどういう認識をしていますか。
○安藤政府参考人 先般の委員会で委員の方から御指摘がありました交通関係の点も含めまして、今、事実関係について鋭意最終的な調査、作業をいたしております。
○宇佐美委員 本当にここが、これで、さすが警察庁、真剣にやればここまでできると、大体、捜査するのが一番得意なのは警察の方なんですから、その方が信用される報告書を出さないと、ほかもどうなっているんだろうというふうになっていきます。きちっとした報告書を改めて求めておきたいと思います。
この構造改革特区に関係してというか、逆の形になっているのが、私がこの十二年間やってきました高速道路におけるオートバイの二人乗りなんですね。
去年の六月、この委員会で法案を審議され、決定され、ことしの四月一日から高速道路での二人乗りがオーケーになったわけでございます。施行後二カ月余りがたったわけですけれども、現在までの状況、事故を含めて、御報告をいただきたいと思います。
○矢代政府参考人 お答えいたします。
高速自動車国道等におきます自動二輪車の二人乗りに係ります改正施行一カ月の状況を各県から報告いただいております。
まず、事故の方ですが、二人乗りで五件、死亡事故二件を含めまして五件発生しております。うち、死者が二名、負傷者六名となっております。
それから、この一カ月間の、大型自動二輪車等の乗車方法違反の取り締まりもあわせて実施しておりまして、高速自動車国道等、これは自動車専用道を含むわけですが、免許経験三年ということになっていますが、その違反が十八件。それから、一般道路では経験一年ということになっていますが、これは一千四百二十一件を取り締まり、指導活動したところでございます。
○宇佐美委員 出ているのが四月の一月間の事故件数だと思いますけれども、その中で、オートバイ二人乗りの死亡事故は二件、二人だということでございます。
この二件、二人というのは、一件に二人乗りしているうちの両方とも運転手さんが残念ながら命をなくしているわけですけれども、この二件とも違法な中で行われている。片方は無免許、もう一件は十七歳ということで、この二人乗りについては私はずっと進めてきたわけですけれども、こうやって結局、一人乗りでもそうなんですけれども、合法的な運転をされている方の中ではいまだ、少なくとも私の聞いている限り、五月はまだゼロ件というふうに速報的なもので聞いておりますので、合法、つまり免許をきちっと持って、三年以上持っていらっしゃって二人乗りをしている方の死亡事故はまだゼロ件だというふうに理解しておりますけれども、それでよろしいですか。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
そのとおりでございます。
○宇佐美委員 先ほど、構造改悪特区がどこにあるかというと、警視庁管轄内、首都高速の環状線の付近のところでございまして、これは去年の五月、六月の委員会審議のときも、ちゃんと交通のネットワークをつくっていきますと、当時、人見局長がおっしゃっていたんですよ。でも、これ、ネットワークが全然できていない。
つまり、例えば中央高速を走ってきた方が東名高速に行けるかというと、一回おりてからまた首都高の四号と三号に、新宿線から今度は渋谷線に乗って、例えば東名でどこかに行くとか、そういうふうになっているわけでございます。
聞くところによると、平成十九年三月、十八年度末までに中央環状新宿線、首都高速ができて、ここでやっと一応のネットワークができるわけですけれども、とはいえ、例えば東名高速で走ってきて、首都高速三号渋谷線に乗りました。湾岸、例えばディズニーランドの方に行きましょうというときには、わざわざ外回りで、左回りでぐるっと埼玉の方まで回って葛西の方におりてきて浦安に行くとか、そういうことなんですね。これでは、ネットワークでつながってはいるけれども、余りに遠回り。
今、温暖化対策で、少しでも省エネとか、ガスの排出量を減らそう、ガソリンの使用量を減らそうと言っている中で、これはもう全く、形はつながったけれども実質はどうするのというところでございますけれども、いずれにしてもこのネットワークについて警察庁としてはどう考えていますか。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、首都高の内環状の部分は、現在の道路構造が政令ができる前の古い規格でございましたので、一部規制がなされておるわけでございますが、ただ、交通規制につきましては、安全を確保しながら、かつ、道路の機能を確保するということが基本的な考え方でございますので、全体として、交通のネットワークについても十分考慮しながら、各県の公安委員会で判断しているものというふうに承知しております。
○宇佐美委員 大阪環状線も、東京の首都高と比較したときに、大阪の方がちょっと後からできているので、道路の一車線当たりの幅員とか路肩の広さとか、少し広くなったりというような話を聞いていますが、少なくとも死亡事故も起きていないというふうに聞いております。
現状の中でも、私は、東京の首都高環状線、内環状も走って平気だと思っていますし、また、首都高の新宿線が延び、新宿線から今度は品川線というものが延びていくときに、このネットワーク、特に、先ほど言ったように、新しい道路ですから、高速道路の中でもそう無理のない曲がり方とか幅員の広さになっているはずでありますので、ぜひ警察庁としても、東京都公安委員会及び警視庁ときちっとした協議をして、前向きに進めていっていただきたいと思っております。
ほかにもたくさん質問をさせていただきたいんですけれども、一月待った法案審議でございます、時間が参りましたので、次にバトンタッチをしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
きょうは、構造改革特区の一部改正法案の審議ではございますけれども、先ほど宇佐美筆頭からもありましたように、久しぶりの内閣委員会ということもありまして、実は、この間、JRの福知山線の脱線事故が起こったということでありまして、その中で、私はどうしても警察と議論したいことがありますので、冒頭ちょっとお時間をいただきまして、警察の皆さんと議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
と申しますのも、私は、最後のお一人が、残念ながら御遺体でございましたけれども、運び出されるまで、事故現場の方におりました。その間、事故現場のみならず、御遺体の検視安置所となりました尼崎の記念体育館の方にも行かせていただきました。
そのときに、本当は私は、尼崎の記念体育館には、安否確認に来られた方にお見舞いを申し上げたいという思いで、すぐに引き揚げる、様子を拝見させていただいて、お見舞いを申し上げて、すぐにまた事故現場の方に戻ろう、こういう思いで、事故が発生しました四月二十五日の午後六時ごろ行ったわけでございますが、そのときに、入ったときの光景がこういう光景でありました。一人のJRの職員を三人ぐらいの安否確認の方が取り囲んで、いろいろとお話をされていたという状況でありました。
その内容というのが、私はこの場にお昼過ぎからいて、何度もこうしたらいい、ああしたらいいと提案をしているにもかかわらず、皆さん、わかりましたと聞いてはいくけれども、全然返事がないんだ、私は午後二時からここに来て言っている。私が行ったのは午後六時ですよ。四時間、また、ある方はお昼過ぎからいる、もう六時間ほどですね。そういう安否確認に来られた方への対応が、残念ながらきちっとしていなかったというふうにとらざるを得ない状況がその場でありました。
その安否確認の現場におられたのは、警察の方とJR西日本の関係者の方、大体二つの方が主ということでありまして、一体、では、その間何をしていたのかなということも含めて、疑問があるわけであります。
特に、JR西日本の方に関しましては、この間、国土交通委員会でも少しお話をさせていただきましたので、きょうは警察についてちょっと、決して警察を批判するということではありません。
私は四日間現場にいまして、警察初め消防の方、自衛隊の方、また関係者の方、自治体の方、尼崎の白井市長も含めて、本当に尼崎市の方々も一生懸命やっていらっしゃった。それを一番証言できるのは私でありますから、皆さんが一生懸命やられた、持ち場持ち場で本当に御努力された、一人でも早く助けたい、一刻も早く御遺体を運び出したいということについて、もう本当に皆さんが持ち場持ち場で一生懸命やっていらっしゃった、このことは私が証言いたしますが、では、それでよかったねということじゃなくて、やはり今後に生かす意味でもちょっとだけ議論させていただきたいんです。よろしくお願いします。
それで、警察に関して、何点かあるんですが、私が一つ申し上げたいのは、体育館そのものが、御遺体の検視をし、かつ安置をする、そしてまた御遺族に対して引き渡しをするという機能を持った場所になっていました。それで私がお見舞いに入ったときに、要するに、全然情報が来ない、安否確認に来られた方に情報が来ないということを、不満をおっしゃる方がいらっしゃったわけです。
私の方が、わかりましたということで、御遺体が安置されている、検視をし、安置をし、引き渡すとして設置されている体育館の中に入っていきました。多分、その中に入れるのは警察ぐらいの方で、あとは、私が国政調査権という思いで、これが果たして私にあるのかどうかわかりませんが、思いで入っていかせていただきまして、皆さん、実は、その方で安否確認の方々が今こうやって全然情報来ないとおっしゃっているではないかということを申し上げたわけでございます。
そのときに、皆さんももちろんお忙しそうにされていました。検視の方は忙しい、またいろいろな方、警察の方、たくさんいらっしゃいましたけれども、お忙しそうでしたので、できる限り邪魔しちゃならないので、どなたが責任者の方ですかということをお尋ねしました。
あの人だということがありましたので、その人のところに行って、実は今、こういった情報が来ないという話になっていますがどうなんでしょうかとお聞きしましたところ、最初はその方も、ああ、そうですかということで、検討するみたいなことはおっしゃったんですが、やはりなかなかすぐには対応できなかったみたいで、それからしばらくたって、またもう一度、どうなんでしょうかというふうにお聞きしましたら、ちょっと何か、うにゃうにゃという感じだったんですね。
それで、ほかの、広報担当の方もおられましたので、例えば基礎的情報ですね、一体、どれだけの御遺体がそこに運ばれてきて、どれだけの検視が済み、どれだけの御遺体がひつぎにおさめられ、もう既に身元が判明し、かつ、身元が判明して、身元が判明した情報がもう安否確認の場所にありましたから、その安否確認された方が、ああ、自分の親族だということで確認できた、それで、では対面ができる、かつ引き渡しができる、そういった基礎情報を、では、どなたが一体きちっと取りまとめていらっしゃるんですかとお聞きしましたら、実は、先ほど申し上げたあの方だと言うから、その方のところに行って、どういう情報ですかと言ったら、いや、私は検視担当なんです、だからわからないんですということなわけです。
では、一体どなたが基礎的情報を把握されているんですかと言ったら、そうしたら、実は、いや、だれでしょうかねということで、それでまた広報担当の方に聞いたら、その方に聞いても、いや、わかりません、わかりません。あの方に聞いたら検視の担当だとおっしゃっていますよ、では、ここを統括している方は一体どなたなんでしょうかと聞いたら、わかりません、わかりませんということで、結局、しようがないから、私は県警本部に電話して、一体どなたなんでしょうかと。
そうしたら、結局それが午後十時半ごろです。私、六時に行ったが、午後十時半ごろにやっと、実は何とかさんという人がいて、その人が統括しているはずなんだけれどもと、こういうはずなんですけれども、その方に、いや、あなたでしたかと言ったら、いやいやという感じで、何か、その方も別に自分がそうだというふうに思っていなかったみたいでありました。
結局、何が言いたいかというと、要するに、しっかりと全体を見てその場を調整し、統括できる方がその場にいなかったわけです。結局、そのことが非常に現場を混乱させている。そして現場が混乱しているから、個々の担当者の方たちも、警察の方、またJRの方たちも、何かしたい、何とかしようと思っているんでしょうけれども、自分で勝手に動いたらまた何か言われるかもしれない、こういう中で、結局、JRの方も固まって立っているだけとか、警察の方もどうしたらいいかななんという状況になったわけであります。
だから、そうすると、その中でいろいろな、安否確認の方は一刻も早く情報を知りたいわけですから、それは突っかかっていくこともあります、どなることもあります。そうなると余計に引いてしまって、何かなかなか会話が進まない、こういう状況があるわけですね。
そして、警察の方にしてもJRの方にしても、特に警察の方にしても、検視官が中心ですから、なかなか自分はどうも言えないわけですね。自分は自分の仕事に専念しているわけです、検視の仕事に。検視とか、あと御遺体をきれいにしたり、ごひつぎにおさめたり、またそれを引き渡すよう準備したりとかいうことで、皆さんはその場その場で頑張っているわけですね。ただ、そういうことをやはりきちっと把握して、安否確認の方のお気持ちも酌み取って、それでその方たちに対してしっかりと情報を、お気持ちを酌み取りながら情報を提供できる人がいないんですね。
私、警察にお聞きしたいんですけれども、これまでの事故現場でもそういう状況なんでしょうか。大体、警察には、そういうときに、そういうふうに情報をきちっと統括して、情報をまとめて、そして、安否確認に来られた方、結局その方は、御遺族になられたり、おけがされた方の親族であったり知人であったり、それから、ひょっとしたら何も関係ない方なのかもしれません。そういう方たちに対してのリエゾンですよね、いわゆる折衝する方というのはいらっしゃるんでしょうか。そういう担当の方はいらっしゃるんでしょうか。まずお聞かせください。
○岡田政府参考人 御説明申し上げたいと思います。
御案内のとおり、先生、現場を見ていただきまして、大変いろいろなことをお感じになられたと思います。
ただ、一般論的で恐縮でございますが、こういう現場というのは大変混乱をいたしますし、非常に厳しい現場だと思います。警察としても、当初、最大人員で千九百名の体制を立てておりますので、だれがどういう形で責任体制をとるかというのは非常に大きな課題であると思います。
別の言い方をしますと、それだけ大勢の人間が急遽臨時の部隊を編成して仕事をする場合の分業と統括の問題というのは、常に私どもにとっては重大な課題だと思っていますし、そうしたことについての一応の、マニュアルといいますか、基本的な手順というのはございます。
そういう意味で、今回のケースで申し上げますと、全体を統括するのは対策本部ということで、県警本部長が対策本部長でいます。これは通常県警本部の方にいると思いますが、そのほか、現地対策本部でありますとか、あるいは任務ごとの捜査のための捜査本部とか、いろいろなものもつくりますし、それぞれ、分業体制では、救出救護隊ですとか、被害対策、広報、くどくど申し上げることもないと思いますけれども、そういうそれぞれの責任者は一応つくっているわけでございますけれども、今回のケースの、御遺体の扱い、あるいはおけがをされた方の家族も安否を大変心配されるわけだと思いますので、いろいろなところでいろいろな問い合わせが来るわけですね、必ずしも体育館ということだけではなくて。その被害者対策という形、被害者との対応という形での班というのはつくってあって、このときは六十名で、一応、事故現場、病院、それから遺体安置所等に派遣をして、任務をさせております。
ただ、私ども、先生の御意見もこれからいろいろ参考にしていきたいと思っていますけれども、その場所についての、現地全体の統括本部長はつくっておりましたけれども、その御遺体の安置所という意味での、その体育館の責任者という形での決め方はしていなかったと思います。
ただ、しかし、被害者対策についてはそういう意味で体制をつくっておりましたけれども、今後とも、そういった事案の規模とか内容、それから安置所が分散される場合もありますし、さまざまなことが考えられますので、そうした点につきまして、今後も、先生の御意見なども参考にさせていただきながら努力をしてまいりたいと思っております。
〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
○市村委員 やはり、犯罪被害者等基本法ができ、この十二月に向けて犯罪被害者等基本計画を今策定されている途中だというふうにお聞きしております。ですので、今回私が拝見していて、やはり、そうしたリエゾン役ですよね。その安否確認者の方の、本当にその市民の機微に入って情報提供を進めていくような担当者がいないと、これはやはり、検視の方に、あの人が担当者だからその人にというのでは、ちょっと検視の方にとっても厳しい話であります。それまで全部やれというのかということになるとそれは厳しい話でありまして、やはり検視は検視で一生懸命やっていらっしゃるわけですから、そうしたリエゾン役をきちっとこれからやっていく。
それは、やはり犯罪被害者等、今回、JRの事故はまだ犯罪被害者かどうかわからないんですが、一応、「等」に今回のような事故の被害者も入っているそうですので、犯罪被害者等基本法の中に含まれる、今回の犠牲者及び御遺族や関係者の場合も入るそうでございますので、その基本計画の中に、今回のことを踏まえて、ぜひとも御検討をいただければというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
御承知のとおり、現在、犯罪被害者等基本法に基づきまして、犯罪被害者等施策推進会議におきまして、犯罪被害者等基本計画の案の作成作業が鋭意進められているところでありまして、この基本計画に盛り込まれるべき基本的施策の中身としまして、これは基本法の中に定められておりますが、国及び地方公共団体の責務として、犯罪被害者等の保護、捜査、公判等の過程における配慮等が定められているということであります。
これに関連しまして、事件とか事故発生時において、被害者や被害者の御家族、御遺族などからの御要望等への関係職員の対応につきまして、現在、被害者支援団体等からさまざまな意見が寄せられておりまして、こうした意見等を踏まえた議論が進められ、基本計画の内容に反映されるというふうに承知しておりますし、我々としても努力してまいりたいと思います。
○市村委員 国会でもこういう議論をしているわけですから、ぜひとも反映していただきたいと思います。
なぜこういうことを申し上げるかといいますと、阪神・淡路大震災のときも大混乱でした。そのときに、しかし、今でも私が記憶していて、大変印象に残っている言葉は、あのとき、自分の親族の遺体を、これ、あれ扱いされたんだ、物扱いされたということ。ことしは阪神・淡路大震災から十年目を迎えますが、十年たってもあのことが一番悔しいということをおっしゃる方がいらっしゃるわけです。
やはり、警察の皆さんからすれば、そういう事故現場はなれていらっしゃるし、検視もなれていらっしゃるし、御遺体にもなれていらっしゃるかもしれません。しかし、一方、犯罪被害者等からすれば、かけがえのない自分の肉親の遺体だったりするわけですね。それを、これ、あれとか、番号で呼ばれたりとか、こうするのは非常に心の傷として残ってしまいます。
だから、そうしたことも、今後、犯罪被害者等基本法の精神にのっとって、ぜひとも警察庁の方で御検討いただき、この基本計画の中に、そうしたことにならないように、そうした傷が、いわゆる二次的被害を御親族とかに与えないように、ぜひとも御配慮いただきたい、こういう思いでございます。
それともう一点、当時は、先ほど申し上げましたように、体育館には警察の方とJRの方がいらっしゃいました。一応、災害があったときの基本マニュアルには、鉄道事故の場合は、鉄道事故を起こした当事者が、基本的に、そうした御遺体の安置所でもイニシアチブをとるようなことが書いてあるんです。でも、一般的に考えていただいて、事故を起こした当事者が、申しわけないと思っているときに、警察の方が来られて、警察の方に、じゃ、あれしてください、これしてくださいと、多分言えないと思います、常識的に考えて。幾らマニュアルにそう書いてあっても、まず当事者、JRがまずイニシアチブをとるべきだと書いてあっても、現実は難しいと思います。結局は、現実を私は見てきましたけれども、難しいわけです。だからJRの皆さんも、どうしていいかわからないわけですよね、これははっきり言って。
だから、やはりそういうときは、マニュアルはそうだけれども、警察の方から、これは指揮命令じゃありません、JRの方に、皆さんが一応当事者としてイニシアチブをとるところであるでしょうけれども、なかなか皆さんも大変でしょうから、私どもの方で、例えばこういう情報を皆さんに流しますから、安否確認に来られた方にちゃんと伝えてほしいとか、そういうイニシアチブは警察の方がとっていただいて、指揮命令系統というか、どっちかが指揮をし、こっちが命令を受けるとかいう立場じゃなくて、当事者を立てながら、しかし警察の方がやはりちょっとイニシアチブをとるというのが現実的対応だと思いますので、このことについてもちょっと一言、私はそう思いますが、いかがでしょうか。
○岡田政府参考人 イニシアチブという言葉の範囲というのは結構微妙なところがあろうかと思いますけれども、ただ、いずれにしても、こうした現場においては、それぞれが大変な機関の人たちがそれなりに責任感を持って仕事をやっているわけでありますので、お互いが、いろいろなケース・バイ・ケースの面はあろうかと思いますけれども、余り遠慮し過ぎずに意思疎通をして、こうしたらどうか、ああしたらどうかということがうまく進むような現場であってほしいとは思っております。
○市村委員 まさに私もそう願っているんですが、ただ、やはり、極限状態の中でそういう人が集まってくるわけですね。ああいう大事故が起きた、一方は申しわけない、一方はたくさん被害者が出ている、本当に、そういう状態の中で集まってきて、なかなか、それであいさつも多分している暇はないと思います。済みませんとか、よろしくお願いしますなんて言っている暇もなく物事が始まっているわけでありまして、そういう状況の中で、打ち解けてくださいとか、お互い協力してくださいというのは、言うのは簡単ですけれども、なかなかそれは難しいと思います。だからこそ、先ほどから申し上げているように、リエゾン役とか調整役とかが必要なわけであると思っています。
これは、この間の国土交通委員会で私申し上げましたけれども、やはり、アメリカのFEMAのような組織では、いわゆるそうしたことも含めて、調整官がいて、日ごろから地域の方との顔合わせをしておいて、いざとなったらその調整官が飛んでいって、いろいろな事故現場なり、そうした安否確認の方への対応とか、総合調整をするわけですね。
そうした日ごろからの顔合わせ、日ごろからのネットワーク、おつき合いというのを築いておかないと、いざというときに、さあといっても、普通の状態でもなかなか打ち解けません。にもかかわらず、余計、ああいう状況で打ち解けるなんということは当然考えられませんので、そのことも含めて、やはり、ああいうときは警察だなと私は思いますから、警察がイニシアチブをとるということを日ごろから考え、そして訓練し行動していただきたいという思いなわけでございますが、一言またよろしくお願いします。
○岡田政府参考人 御趣旨は大変わかるつもりではおります。
例えば、一例を申し上げますと、私どもは捜査の方を担当していますので、余りセクショナリズムで申し上げるわけではありませんけれども、ある時点から捜査というものが大変大事になります。
捜査という問題を考えるとき、必ずしも警察だけではないので、警察、事故調、あるいはJR西日本、今回のケースですね、お互いの間で、現場でいろいろな話もあるけれども、そこでいろいろなトラブルや何かが起きたときは上の方のレベルでだれとだれが連絡をとるようにしましょうというようなことを申し入れてというか、お互いの意思、合意をしてしたりとか、そういったことは一応してはおりますけれども、もちろん、常にいささか不十分な点は出てくるんだろうと思います。そうした点についても、これから気をつけてまいりたいと思います。
○市村委員 本当は終わろうと思ったんですが、今のお話で、だから、今回、消防の方もおっしゃっているんですけれども、大変警察の協力がうまくいった、合議制がうまくいったということでありまして、それはあながち私は否定はしません。そうなんだろうと思います。
だから、私が問うているのは、本当に合議がいいのかどうかなんです。そうした事故現場で合議をしている場合なのかというのが、私が問うているところの一点でもあるんですね。
やはり、調整官がいて、そういう人が日ごろから地域とのネットワークを築いていて、いざとなったらその人が行って、合議ではなくて、調整をする。その人が間に立って、もう全部調整をして、大体こうしてください、ああしてください、こういきましょう、こういうふうに言うことの方が、やはりああいうときはもう一刻を争うことでありますから、まあ、御遺体の安置所はそうでもないかもしれないけれども、特に現場なんというのは、もう本当にあと一人でも、もう一人でも命あるまま何とか運びたい、助け出したい、救助したい、こういう思いでやっているわけですから、合議をしている場合ではないと私は思いまして、だから、そういうことも実は問うておりますので、その辺もぜひともまた一言だけよろしくお願いいたします。では、一言だけお願いします。
○岡田政府参考人 済みません。現場は、私どももいろいろ経験したりすることあるんですけれども、おっしゃる側面があることは間違いないと思いますね。
一例みたいな形で申し上げると、そういう場合に一つの考えなきゃならない要素というのは、例えば御家族だとか御遺族に対する敬意というのは非常に大事な柱だと思いますね。
他方で、それとも絡むんですけれども、迅速さというのも大変大事なんですね。
それから、正確さというのも実は非常に大事で、一番、私ども御遺体なんかに関して気をつけろと言うのは、間違いのないようにということを言わざるを得ないんですね。
そうした要請というのは若干矛盾しているところがございます。その時々の指揮官なり現場の人間によって行動は違ってくることも恐らくあるんだろうと思います。
私らも、現場で、そんなもたもたしないでさっさとやれとどなるようなこともあります。もちろん、その後のフォローアップなども気をつけたりはしますけれども、そうしたことをすることもありますし、他方で、少し時間がかかっても、これはお互いに納得してやらないとうまくいかないんじゃないかと考えながらやることもありますし、さまざまな状況の中でいろいろな苦労をそれぞれの担当者はしているということだけは御理解をいただきたいなと思います。
どうもありがとうございます。
○市村委員 まだいろいろ本当は議論したい、今の話を聞いても本当に言いたいこともあるんですけれども、きょうはやめておきます、構造改革特区の話ですから。
私は、だから、警察の方々初め、今回の現場の消防の方々、自衛隊そして地方自治体、特に尼崎市の方々、本当に頑張っていらっしゃった、持ち場持ち場で本当に一生懸命やっていらっしゃった、これはもう前提ですので、この議論は。ただ、今後につなげる意味でのことでございますので、今後も引き続きまた議論させてください。本当にありがとうございました。
それでは、きょうの本題であります構造改革特区の方なんですが、大臣に本当は余りお聞きすることはなくて、最後の御意見だけ聞こうと思っていたんですが、先ほどから大臣のお顔を見ているとどうしても議論したくなりまして、ちょっとしばらく根本的な議論をさせていただきたいと思います。
きょうは、特に公私協力学校についてちょっと私は議論したいと思っています。
大臣、この公の意味はどういう意味でしょうか。この公設民営の公の意味は、大臣はどうとらえていらっしゃいますでしょうか。
○村上国務大臣 お答えします。
公ですから、私立学校以外のすべての範疇を含んでいるのかなと思っていたんですけれども。
○市村委員 私、この場でもフリップ、きょうは持ってきていませんがお示ししまして、公には二つあるといつも申し上げているつもりです。なぜこういうことを申し上げるかというと、さっき、大臣、私の名前をあえて出していただいて、NPOの専門家だとおっしゃっていただいたので、この場でも何度も議論していますのでこのことをまた申し上げるんですが、公には官の公と民の公があると私は思っております。ですから、この公は、一体、大臣の認識としてはどっちの公を考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
○村上国務大臣 私は、単純に官の方だと考えております。
○市村委員 まさしく私もそうだと思います。まさしくこれは、言葉というのは大切でありまして、公的資金とかいいながらも、結局何かといったら税金のことでありまして、公的資金というと何か私たちに関係ないような感じですけれども、実は税金なわけですね。
官の公なんです、これは。ということは何かというと、つまり税金でつくってやりましょうということなんですね。結局そこが大切なんです、このことも。税金でつくって、民の公でありますところに任せていこうというのが私はこの問題の本質だと思っています。
基本的に賛成です。賛成ですが、こういう状況になったときに、例えば税金でつくっていくものがあって、公立幼稚園とか公立の高校というのは、今回、義務教育を外されていますからあえて公立幼稚園と公立高校の議論をしますけれども、しかし、もともとこの公立幼稚園とか公立高校というときのこの公というのは、実は私は民の公だと思っているんです、本当は。そうでなくちゃならないなと思っておりまして、ただ、税金を入れているという意味で公立だというふうになっているのかもしれませんが。
今回は、特に私立学校ですよね。私立学校というのは、そもそも私の考えではNPOなんです。いや、考えじゃなくて、そうなんです、範囲でいえばNPOなんですね。
だから、そもそもがこのことは民の公を議論する議論なんだと私は思っています。だから、そこを踏まえておかないと、何か議論がおかしくなりまして、要するに、では何かといいますと、結局は官に対する不信感、不安感というものがこの前提にあるということだと私は思っているんですけれども、村上大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○滑川政府参考人 先ほどちょっと申し上げましたように、公私協力学校でございますけれども、いわゆる官、これの一定の関与というものを前提といたしまして民の知見を生かすという、両者の混合という形で、両者が協力連携してつくられるものというふうに理解しておりますので、ちょっと言葉の定義の問題は先生いろいろお持ちかもしれませんけれども、私どもといたしましては、官の関与のもとで民の知見が生かされるという形で整理をさせていただいているというふうに理解しております。
○市村委員 私は、言葉の遊びをしているつもりはないんです。非常にこれは本質的なことを私は申し上げているつもりです。特にここは言論の府です、国会は。特に言葉は大切にしなくちゃいけない場所だというふうに思っています。お互いが定義があいまいなまま議論していたら、議論にならないんです、はっきり言って。かみ合いません。議論になりません。だから私は、あえて言葉にこだわっているつもりであります。
それで、結局なぜこういう話になったか、つまりなぜ公設民営などという話になってくるかというと、要するに、私は、公立幼稚園とか公立高校も、本当であれば、私立学校であればこれはNPOの範囲だとは思っていますが、税金が入っているから公立幼稚園、公立高校と言っているわけですよね。
結局、では何でこういう話になるかというと、そもそもやはり、今の公立幼稚園や公立高校のあり方について、例えば公立幼稚園の保母さんの、保父さんといいますか今は保育士というんでしょうか、給料が高いとか、どうもそういう声があるような気がしてなりません。それは私も相対的に高いということは思います。
ただしかし、もっと根本的に考えて、では官の役割は何なのかということなんですね。特に、税金は何のために使うのかということをそもそも考えなくちゃいけない。私は、やはり税金、私も今それこそ幼稚園生というか保育園生を抱えた父親でございますけれども、そもそも、私も税金を払っているときに、では何のために税金を使ってほしいかというと、やはり子供のためには使ってほしいなと思うんです。
特に今、社会保障費の子供と大先輩方の比率が一対八十なわけですね、これ。一対八でも驚くべき数字なのに、差なのに、一対八十という、つまり子供にほとんどお金を使っていない、相対的にですよ、相対的に。大先輩方に比べて子供にはお金を使っていない、こういう現状がある中で、やはり私は、大先輩からすればお孫さんたち、私たちからすれば子供たちのために、もっと税金を使っていいんじゃないか。
それが、であれば、では何で官じゃだめなのかというような話にもなってくるわけですね。もちろん官のいろいろな問題も指摘されているところでありますけれども、しかし、そういうことはうわっとおいておいて、では民ならいいのかという話になるわけです。
そこで、例えば、私が今子供を通わせている保育園などはビルの一画を使ってやっているわけであります。ユニークな教育方針ですから、皆さん、親御さんもたくさん通わせているということでありますけれども、ああいう状況を見ていると、例えば何か事件が起きた場合、火事が起きた場合はどうなのかとかという、親からすればやはり大変不安なわけであります。
だから、しっかりとした施設をつくってそこでやってほしいというのがやはり親の気持ちとしてあるんですよね。しかしながら、そういうものに対してお金が振り向けられないということがあって、そういうときに、やはり私は、もっと税金の使い方、官とか民とかいうこと、官とか私とかいうことを議論する前に、税金を何に使うのかという根本的な問いかけが今何かどこかに置かれてしまっているような気がしてならないんです。
私はだからそうしたことで、基本的には賛成ですが、やはり官は、これは結局、言えば、官が官に対する不信感、不安感を持っているからこういう話になるわけですね。こうなるんですよ、官が官に、そう帰着しないと、結論づけないとどうにもならないんです、この話は。だから、もっと言えば、官の役割というのも私は大切だと思っています。いつもNPOの役割は大切だと言いながら、一方で官の役割、つまり私たちの税金で公益サービスを提供する主体である行政、官の役割、これも大切なわけですよ。
だから、こっちに対して何でもかんでも悪いということで、もう民営化で、何でもかんでも民営でやってくれ、では何で今私たちは税金を払っているのかということですよ。教育とか医療なんというのは、特に税金でやってくれというものじゃないかと私は思うんです、大臣。いかがでしょうか、大臣、私はそういうふうに思いますが。
○村上国務大臣 委員の言っていることは多分こういうことじゃないかと思うんですが、私は、日本が近代化をなし遂げる一番大きな原動力はやはり教育制度だったと思うんですね。
特に、江戸時代は三百諸侯の藩校と寺子屋、そして、明治政府が一番最初にやったのは師範学校をつくったことなんですね。市村先生のような優秀な人を集めて、次の世代の人づくりのためにやる、これが今日の日本の近代化の最大の原動力になったと私は思うんですね。そういう面において、今まで明治から百三十年、官が教育においてやってきた役割というのは非常に大きかったと思うし、委員が指摘するような役割というものはかなり果たしてきたと私は思うんです。
ただ、いよいよ成熟社会、マチュアソサエティーになって、それぞれのニーズというものがいろいろ変わってきて、そういうときにおいて、やはり民間の知見を生かした、それぞれの個性とか地域に合わせた特色ある教育活動をいろいろ試みてみたいという動きが出てきたんじゃないかと思うんですね。そういう面において、今回、この特区において、そういう多様なケースというか教育の場をつくるという意味で今回の提案がなされている、そういうふうに私は理解しているんですけれども。
○市村委員 大臣のおっしゃることは、本当にそのとおりだと思いますし、重々承知をしながらもあえて、だから基本的に賛成なんですよ、本当に賛成なんですが、しかし、何か民営化ならそれでいいのかというような、こういうのではやはりだめなんですね。
やはり官は官の役割があるんです。私はNPOの役割を言うからこそ、余計、官の役割に物すごく注目しているんです。ただ、やはり税金でやってほしいことはあるんです。NPOは会費とか寄附金でやります。これはやらなくちゃいけません。しかし税金は、じゃ、一方で税金をなくすというのはまた別の議論ですよ。税金をなくして、一切もうNPOに任せて、我々は税金じゃなくて自分の好きなところに、NPOにお金を寄附して、そこで公益サービスを提供してもらえればいいんだ、そういう社会にするんだというのなら、また別の議論かもしれません。
しかし、依然として税金は取って取られて、官はあるんですから、じゃ、そこはそこでしっかりちゃんとやってもらわないと、何のために税金を払っているのかという根本的な問いかけにやはりなるんですよ。だから、あえて私は官の役割を問いたい。
だから、私はここはやはり、なぜ今民営化と言われているかというと、特にこの問題なんというのは、官が官に対する不信感、不安感があるからなんですよ。だから、それについてはやはりきちっと、私は官の中でもしっかりと議論をしていただきたい。何でこんなふうに批判されるのか、なぜ官がこうやって国民から不信感を持たれ、不安感を持たれているのか、ここはきちっと反省してもらわなくちゃいけないんです、はっきり言って。
その上で、やはりそれは官の問題があるから、じゃ、それこそそういった民の知恵とかを生かしていきましょう、機動性を生かしていきましょう、こういう話になった上で初めて民営化という議論が成り立つと私は思っているんですね。どうもそこが欠けているというのが私の不安感、まさに官に対する不信、不安なんですね。
だから、ぜひともその辺は、大臣初め御検討をいただきたいというのが私の本当に心からの気持ちでありまして、そういうことを御決定いただくことが実はしっかりとNPOに対する理解を深めていただける大切なことなんだというふうに私は思っています。
それで、私は、ちょっと残りの時間、これから細かい議論をさせていただきます。
こうした学校ができますと、それはいいんですが、一番私たちの問題、今こうしたいわゆる就学前児童を抱えた親の問題としては、つまり養育費がめちゃくちゃ高いんです。結局、この間文部科学省さんに聞いたら、あれは厚生労働省さんか、保育料の平均は三万五千円とかいう統計があるんですけれども、これは私の実感からすれば全然違うと思います。倍もしくは三倍、一人について保育料がかかります。
多分、恐らく所得によって保育料はゼロに近い方もいれば、それこそ八万、九万の方もいらっしゃるから、平均すれば三万五千円ぐらいでしょうけれども、本当に一生懸命働いているサラリーマン世帯、税金をたくさん納めている世帯が一番苦しんでおります。税金をたくさん払うけれども何の見返りもない世帯が本当に今苦しんでおります。高い保育料、一人産んだら一人八万とか、二人で十六万とか三人で二十四万とか、こんな、普通のサラリーマンはやっていられません、はっきり言って。だから子供を産めないんですよ。合理的な判断なんですよ、これ。いけません、これは本当に産めませんよ。一人、二人とふやせません。
では、この学校ができたら料金は下げる方向になるんでしょうか。それをちょっとお答えください。下がる方向になるんでしょうか。
〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
今回の公私協力学校の授業料等についてのお問い合わせでございますが、これは、第二十条の第四項第三号によりまして、公私協力基本計画で定めるべき事項の一つとされておるわけでございます。
当該学校の授業料水準に関する一般的な事項については、協力地方公共団体の長が基本計画によってこれを定めるということになっておるわけでございますので、授業料等の実際の額につきましては、毎年度の収支予算等を通じまして、特区の地方公共団体の長の認可に係らしめられることになるわけであります。
このように、公私協力学校では、幼稚園の保育料につきましては特区地方公共団体の関与が法定されておるわけでございますので、特区の地方公共団体においては、保育料の設定に当たって、保護者の負担に十分配慮していただきながら、適切な判断がなされるものと期待しているわけでございます。
○市村委員 今、少子化対策に非常に政府も取り組んでいただいていると思います。こうした保育料の高さというのはやはり大きなネックです。ですから、せっかくこうして多様化し、選択肢を広げようとしていらっしゃるわけですから、特に私はきょうは就学前児童についての、ゼロ歳児から義務教育までのことについて議論をさせていただいておりますけれども、ぜひともこれは検討をいただいて、できるだけ親の負担を減らすということを、多分、税金を払っていれば私はゼロでいいと思いますよ。本当に、義務教育も含めて、ある程度までは国が教育は面倒を見るぐらいの発想で、はっきり言って、そうでないと税金を払っている側の親からすれば浮かばれません、税金はたくさん払うわ、保険料はたくさん取られるわといって。
その中で、私は一点だけ最後に、バウチャー制度というのが今議論をされておりますが、これはぜひとも私が検討をしていただきたいと思うことであります。
やはり、選択肢を広げるということであれば、例えば月三万円、国がバウチャーを発行して、それは教育機関に持っていきなさい、それで、六万円のところに行かせたら自己負担は三万円、三万円のところに行かせたら三万円でいいわけです。自己負担はゼロなんですよ。それは選択できるんです。
だから、できるだけバウチャーを発行し、かつ負担を減らす中で、しかも選択肢が多い社会に対応をする意味でも、私はバウチャー制度というのは検討に値すると思っておりますが、最後にこのことを局長及び大臣からお答えいただいて、私の質問を終わります。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、バウチャーと申しましても、形態も対象も多様でございます。諸外国における実施例も必ずしも多くないということで、その評価は賛否両論があるものと承知しております。
こうした状況も踏まえながら、私どもといたしましては、幼稚園も含め、我が国の学校におけるバウチャー制度の導入につきまして今後検討していこうということで、海外の事例や制度の意義、問題点の分析を含めながら、今後研究を行わせていただきたいと思っております。
ちなみに、幼稚園におきましては、我が国の場合は八割が私立幼稚園、大宗を占めているわけでございまして、こういった公私の授業料格差も非常に大きな課題があるわけでございまして、従来から、幼稚園就園奨励費、現在百八十一億円ございますが、この幼稚園就園奨励費を通じまして、幼稚園に通う園児の保護者の経済的な負担の軽減あるいは公私間の保護者負担の格差是正ということで、この幼稚園就園奨励事業が機能しているわけでございます。
これをバウチャーと呼ぶかどうかは別といたしまして、こうした幼稚園就園奨励費の制度を通じまして、幼稚園の実情に即した形で幼稚園選択の拡大にも寄与しているだろうと思っておりまして、私ども、この幼稚園就園奨励事業についても、今後とも意を用いてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○村上国務大臣 お答えします。
バウチャー制度については、規制改革・民間開放推進会議でも提言しておりますので、しっかり検討していきたいと考えています。
それから、最後に委員がおっしゃったように、私の場合も、おやじが公務員で、要するに公立をずっと小中高と来たんですけれども、やはり昔は、県立高校や都立高校、おっしゃるように、きちっとそれだけの実績を上げていたと思うんですね。そういう面では、最近やはり私立の方が非常に人気も高いし、教育内容が上になっているということは、国や地方自治体としてもう一回気を引き締めてやっていかなきゃいけないように私も考えています。
以上です。
○市村委員 では、終わります。
○松下委員長 次に、島田久君。
○島田委員 民主党・無所属クラブの島田久でございます。
まず最初に、構造改革特区の成果と課題について幾分質問させていただきたいと思うんです。
私はいつも思うことがあるんですけれども、小泉構造改革というのはどうも何か冷たくて、それで、内閣委員会でも竹中大臣に経済運営の基本は何かということを聞いたことがあって、経済成長は大事にするけれども、景気はもう余り重要視しないんだというようなことを言われているんですね。
何としても構造改革を進める上で、やはりヨーロッパなどはセーフティーネットがきちっとしている。日本の場合は、不良債権をどうするかという形で経済運営が進められている傾向が強過ぎる。そういう面で、構造改革の特区そのものの重要性、あるいはそれを体系的にきちっと進めていくという考えというものをやはりきちっと位置づけていくということが私は大事だと思うわけですね。
そんな観点を持ちながら、構造特区、制度として二年間過ぎたわけでありますけれども、その特区の件数及び認定件数、そして今後の社会的制度を変える上で、全国的な制度の中で、社会制度を変えるような特区制度認定の中にどんなことがあったかをまず御説明願いたいと思います。
○滑川政府参考人 一応、事実関係について、まず御報告を申し上げます。
構造改革特区につきましては、基本的に広く国民の皆さんあるいは地方の皆様方からいろいろな御提案を募集します。これまで六度にわたりまして、特区で行うべき規制改革ということで知事からいろいろな御提案をいただきました。
こうした御提案を具体化していく、すなわち特区で実現させていくというような形で、これまで、教育とか農業とか医療とかいった分野への株式会社の参入を初めといたしまして、特区でやりましょうということで百九十四件の規制改革を行っておりますし、また、最初から特区じゃなくて全国でやっていいというような形で全国で進められる規制改革として三百十二件、合計五百六件の規制改革が特区の提案、それを実現していくという仕組みの中で生まれてきているというのがまず一つでございます。
それから、こうした具体的な特例を使いまして、地域でそれを具体的に実施して、地域の活性化とかあるいはいろいろな効率化、構造改革あるいは地域の方々の豊かさを実現する方策の一つとしてということで進められておりまして、五百四十九件の具体的な特区ということで認定されておりまして、それぞれの地域で活動され、目に見える形で実績が出てきていると思います。
先ほど大臣から御紹介申し上げました三重県の四日市市のコンビナート特区とか、さまざまな形でそれぞれの地域を生かして、これは、地域の地方公共団体、市町村とかあるいは都道府県とかいうところが自分たちのイニシアチブ、あるいは自分たちの責任も含めて、こうした特区での特例を使って具体的に地域の活性化なりに努めておられるという状況でございます。
そして、こうして特区で行われていました特例というものも、御指摘のように、できれば全国で使えるようにしたいということでございますので、地域を限定いたしまして特区として認められた規制改革項目のうち、一年ぐらい具体的に運用されたものを評価させていただきまして、平成十六年度、昨年度につきましては、農地リース方式による株式会社の農業参入などにつきまして、合計四十六件の、特区に限っていたものを全国で行うという全国展開というものを決定させていただいておるということでございます。
特区、申し上げました、特例をつくる、実際に使う、そしてその使ったものを見ながら全国に展開していくというような流れが確立してきているというふうに考えておる次第でございます。
○島田委員 先ほども質問がありましたように、現在まで八回ですか、いろいろな審査を進めてきている中で、最近幾分停滞ぎみだというような意見もありますし、提案件数も減ってきていると。制度の持続性というその根幹のところに幾分まだ問題点があるのではないかというようなことを思うんですが、そういう中で、大臣、どんな御感想とその解決策をお持ちでしょうか。
○村上国務大臣 お答えいたします。
島田委員のおっしゃるとおりでございまして、私も実は担当大臣になるまでは、特区の意味というのはよくわかっていたんですけれども、具体的事例というのはやはり担当して何百という事例を見て初めて実感したわけですね。
まず、やはり一番最初に感じるのは、どういうアイデアがどんどん出てきているかというのは案外知られていないんですね。
それから、先ほど市村先生にも申し上げたように、NPOも含めてあらゆる人が、個人でも中小企業でも会社でもできるんですが、認定を一応最後に出してくるのは地方公共団体なので、発案がだれでもできるということがまだ知られていない。
それからもう一つは、委員、これは私も調べてびっくりしたんですが、半分以上が実は現行法上でできるのに、ちょっと錯覚なさって出してくる案が多いんですね。
それからもう一つは、例えばよく言われる賭博というかバカラのような、やはり公序良俗に反するようなものも結構あるわけですね。
そうすると、私はじっと見ているんですが、確かに件数として雨後のタケノコのように最初はばっと出てきたんですけれども、だんだんみんな精査して、いわゆる現行法上でできるかできないか、公序良俗に反するか反しないか、そういうものをやはり出す前にかなり自分できちっと精査して出される方があったから、件数自体としては減ってきたんじゃないかなと思うんです。
ただ、先ほど来申し上げているように、やはり私も、大臣折衝をしたりいろいろな担当部局と交渉していて思うのは、残念ながら日本の国会というのは法律をつくることによって規制をどんどんきつくするというか多くするんですね。欧米は逆に緩めていく方向にあるんですね、ベクトルとして。そういう面で、今回、この特区法や地域再生法というのは、まさに欧米のように逆ベクトルであって画期的な法案だと考えているんです。
特に、私自身、一つ一つ検討して思うのは、なぜこんなことが規制にかかって動かせないんだというのを体で生で実感しますもので、なおさら、この特区制というものをもっと幅広く理解してもらって、そして、先ほど滑川さんが言ったように、四日市のコンビナートや豊橋市の仮ナンバー特区のように、その地域に合わせたいろいろなアイデアを、もっともっと積極的にトライしていただけたらなという気持ちが今強うございます。
以上であります。
○島田委員 発想、提案があった時点はいい課題であったり、これはやはり特区としてやっていくべきだというような課題もありながら、上げてみると、省庁間のお互いの縄張り争いというんでしょうか、そういう点で問題点があったり、なかなか解決し得ない問題点がある。
それを特区である程度打ち破っていくという省庁間のあり方について、制度としても、特区だけではなくて、役所あるいは所管庁のあり方というところにも大きく触れてくる問題も、省庁再編の問題とかそういう本質的な問題に絡んでくる問題もあるような気がするんですが、これは通告していませんでしたけれども、大臣としてその辺はどうお考えでしょうか。
○村上国務大臣 特に、実務を担当して思いますのは、例えば前回お願いして通していただいた地域再生法で、補助金の目的以外のものに転用という場合、これはやはり一番ネックになるのは建築基準法の問題なんですね。特に、普通の建物から学校とか教育制度に変えるときの基準というのは物すごくきついんですね。だから、それは正直言って私もびっくりしたんですが、特区で出されて検討して、そのハードルの高さというんですか、やってみて初めてわかるんですね。
だから、いつも話しているのは、尾辻大臣もそうですし、今後、草加市の教室の高さ、明治三十八年の省令で三メートルと決まっているんですが、欧米は日本人より体格がいいのに二メートル七十センチなんですね。ところが、建築基準法とその三十八年のものでなかなか難しいんですが、そういう問題を、今委員おっしゃられたように、なるべく上に上げて、要するにトップダウンで、トップの交渉で決着するように一生懸命努力していきたいと思いますし、そういうことで応援いただけたらと思う次第でございます。
○島田委員 私も今の問題は現実的に苦しんでいるんです。個人的なことなんですけれども、実は私のところの学校の前に、地域が工場誘致の特例で誘致をした外資系の大きな会社がありますが、集中合併で要らなくなった。だけれども、外資系なものだから、引き揚げて統合しちゃった。壊すわけにも、壊すと五億もかかるということで大変で、近くに私の学校があったものですから、学校に利用してもらえないだろうかという希望があって、やってみようということで今決断をしたところなんですけれども、今言われたような天井の三メーターの問題がひっかかっていて、実際上は天井は高い方がいいのはいいんですけれども、なかなか現実的にはそのことがクリアできないというような問題点があって、興味を持っているところなんです。
そういうことで、今まであった規制をどう外しながら、より現代的な、社会的なニーズにこたえられるような特区のあり方というものをやはり追求していかなきゃならない。まあ、いろいろな法律の関係もありますけれども、ぜひそういう問題に積極的に取り組んでいただくことをお願いしたいと思っているわけなんです。
そこで次に、全国展開する、あるいはあった案件について評価委員会をつくられているわけですね。評価委員会というもののあり方について、はっきりしていない、提案される側も、評価委員会がどういう形で評価をされるのかというふうなことについての、評価委員会が何か有名無実になったりするような感じもしているんですが、評価委員会そのものの基本的な考え方はどんな考え方なんでしょうか。
○滑川政府参考人 御指摘の評価委員会でございます。この評価委員会の任務は政令で決めさせていただいておりますけれども、特区の事業の実施状況等について評価を行いまして、先ほど御説明申し上げました、特区で行われているものを全国に展開するという是非など、必要な措置につきまして、特区推進本部の本部長でございます総理大臣に意見を述べるという機能を持っておりまして、特区制度の、先ほど三つ申し上げましたけれども、全国に広げていくという最後の段階で非常に重要な役割を担っていただいている委員会というふうに考えております。
先ほど御説明申し上げましたように、平成十六年度、二度にわたりまして、特区で行われました特例の評価を行いまして意見を述べていただきました。それに沿いまして、各規制所管省庁におきまして全国へ展開していくのに必要な措置を講じつつあるという状況でございます。
御指摘のとおり、こうした機能は重要だと思っておりますので、今後ともこのような機能が十分に発揮されてまいりますように、適切な運営を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○島田委員 そこで、議題となっております行刑施設の業務の一部民間委託についてお伺いをさせていただきます。
行刑施設の事務の一部を民間事業者に委託することができるという今度のところで、特に、診療所の管理を公的機関に委託できるというようなことを含めてこの法案が提案されているわけでありますけれども、例えば、公的な権力を行使するということについてのこの施設を民間に一部委託するということについて、どんな配慮をする点と留意点をこの法案を提案する場合に考えられたんでしょうか。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
公的な業務の一部を民間委託を行うという点についての留意事項ということでお尋ねでございます。
その前に、まず、どのような基準で民間委託を行う業務とそうでないものを切り分けているかということにつきまして若干御説明させていただきます。その上で申し上げます。
御案内のように、刑務所、行刑施設におきましてはたくさんの事務がございます。その中で、いろいろ分類できるわけですけれども、大きく分けますと、非権力的な業務と権力的な業務というふうに分けることができると思います。
非権力的な業務といいますのは、給食だとか洗濯であるとか清掃であるとか、これはもうだれが考えても権力性が入らない、全くどなたでもできるという業務でございます。
それから、権力的な業務といいますのは、例えば武器あるいは戒具を使用するとか、懲罰を加えるとか、あるいは信書、手紙を出したり受けたりすることを許可するかしないかといったような、そういった仕事がございます、権力的事務と言っていいと思いますけれども。
ですから、そのうち、先ほど申し上げました非権力的な事務につきましては、これは民間委託できると考えられますけれども、権力的な事務につきましてはできない、これはやはり国が行わなきゃいけない事務だというふうに考えます。
ただ、もう一つ、刑務所の業務の中に、そのどちらにも属さないといいますか、中間的な事務と言っていいんじゃないかという部分がございます。例えば健康診断というものでございます。これは入所時であるとかあるいは入所中、定期的な健康診断を行うことがあります。あるいは、所持品とか入っている部屋の検査といったようなことを行うことがございます。それから職業訓練を行ったり、そんな業務がございます。
そういった業務は、権力的といえば権力的ですけれども、しかしそれは、ある意味では決定的な、処分的な行為部分は刑務所の長であるとかあるいは刑務官がしなければなりませんけれども、それの補助的な業務、あるいはその準備段階のような事実的な問題、判断を含まない事実的な行為については、これはある程度の法律の留保といいますか、法的な根拠が与えられれば民間に委託しても問題はないんじゃないかというふうに考えられるわけですね。今回の改正法の十一条は、そういった考え方に基づきまして、列挙事項の事項を民間委託できるようにしようと。
その場合に、そのまま民間委託にすること、これはやはり問題がございますので、その上で、民間に委託する以上は守秘義務を設ける、あるいは、罰則の適用につきましては、刑罰の適用につきましては公務員と同じように考えるというみなし公務員規定というもの、それから国の監督規定を置くとか、そのような事務の円滑かつ適正な実施を確保するための担保措置、これをつければ、これは先ほど申し上げましたように、言ってみれば中間的と申し上げましょうか、そういった業務については民間委託できるんじゃないか。逆に言いますと、そのような担保措置を講ずることによって適正な事務の執行を図るということでございます。
ちょっと長くなりました。
○島田委員 この中で、国の財政が困難で、民間の資金を利用して刑務所の建設資金を、PFIで刑務所を計画していくということのようですが、美祢社会復帰促進センターの例などをもとにしながら、第十一条第一項の第五号に「被収容者に課す作業に関する技術上の指導監督及び職業訓練の実施」という規定がありますが、ILOの第二十九号条約との関係において、このPFI刑務所における労働をだれが管理するかという疑問が生じるわけです。
同条約の第二条第二項(c)には、その労働は公の機関の監督と管理のもとになされなければならずとありますけれども、これらのことについて、公務員にどのような業務を留保させて指導的なものを明確にしていくという、このILO第二十九号条約との関係はどんなふうに考えられているんでしょうか。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
おっしゃるように、ILOの第二十九号条約、強制労働に関する条約の第二条、これは委員御指摘のように、公の機関の監督及び管理のもとに行わるべくということがございます。
いわゆるPFI刑務所、具体的には今私どもが念頭に置いておりますのは第一号PFI刑務所である山口県美祢市に設置予定の刑務所でございますけれども、そこにおきますいわゆる作業でございますけれども、この作業を行う主体は国でございまして、この美祢社会復帰促進センター、具体的にはそこになりますけれども、そこは民営刑務所ではございませんで、国の設置、運営する刑務所でございます。そこの業務の一部をPFIという形で委託するということでございますので、あくまでも国が行うものでございますので、公の機関の監督及び管理のもとに行われるべくということに該当するわけで、抵触するものではないということでございます。
具体的に、では民間の事業者にどんなことをやってもらうかということでございますけれども、これは、作業企画支援業務と申しますか、例えば、刑務作業を提供する企業を確保するため、言ってみれば営業活動のようなものですけれども、いろいろな仕事、受注するための活動であるとか、作業の設備や材料の調達であるとか、それから完成品の管理、そういったことを民間に委託するということでございます。
先ほど申し上げましたように、若干くどくなりますけれども、あくまでも、この刑務作業の実施主体は国でございますということであります。
○島田委員 そこで、公的な権力が行うものと非権力が行うというもので仕分けをされているという理論的な立て方だと思うんですけれども、私は八王子の医療刑務所を視察させていただいたときがあるんです。その中でも、例えばお医者さんを確保するとか、地域に幾分医療として開放して、地域の人も医療刑務所を利用できる、そういうこともなされているようでありますけれども、実際上、いろいろ聞いてみると、お医者さんを確保する、診療所として適正な運営を行うという面で、言うに言われず、なかなか難しい問題もどうもあるようなんです。
そういう点で、国が例えば機関等に、そういうものに対するいろいろな話し合いなり、あるいはそういうものがスムーズにいくような何らかの手だてはされているんでしょうか。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
委員もよく御存じだと思いますけれども、二年あるいは二年半余り前から、行刑というものが大変社会的にさまざまな問題がありまして、行刑が多方面からいろいろな検証を受けた事例がございます。
その中で、これまで行刑がやってきたことについて、改めるべき点である、あるいは充実しなければいけない点であるとか、多数取り上げられましたが、その中の大きな一つが矯正医療の問題でございました。矯正医療というのが不十分であるという大変厳しい御指摘、御批判をたくさん受けました。
おっしゃるように、矯正医療が、私ども一生懸命やっているつもりでございますけれども、しかしやはり十分でない、まだまだ充実しなきゃいけないということは全くそのとおりだというふうに思っています。
そこの最大の問題は、やはり医師の確保ができないということなんです。これは、いろいろございますけれども、お医者さんから見れば、患者さんの一種の特質と申しましょうか、といったこともありますし、勤務条件のこともありますし、さまざまなことがありまして、なかなかお医者さんになり手がない、これが実情です。
そこで、私どもは、何とかお医者さんの確保のためにということで、昨年、国、中央レベルとそれから各施設レベルで、私ども矯正側とそれぞれの医師会、中央レベルでは日本医師会ですけれども、地方でいけば地元の医師会、それから国でいえば厚生労働省、地方でいけばそれぞれの出先機関とか、そういった関連機関と一種の協議会というものを設けまして、そして、医療の確保、医師の確保、それから、刑務所の中で病気になった場合に、刑務所の中で処置できない場合もありますので、その場合には外に連れていってお願いするんですけれども、そういう受け入れ先の確保とか、そういった点について話し合う機関を設けまして、そこでいろいろな、これからも協力をお願いするということで一つ手だてを考えております。
それは一般的な場合でありまして、もう一つは、今般の、今回お願いしております法案の中にございますけれども、第十一条の二でございまして、これは医療機関の管理委託ということで、刑務所の中に設置する診療所、これを公的な医療機関にそのまま管理委託をいたしまして、そこの公的医療機関のお医者さんが刑務所に来て診療していただくということになりますと、医師の確保という点が一つ解決できるということで、そういう手法も今回の法案の中に入れてお願いをしているところでございます。
○島田委員 そういう中で、犯罪者そのものが今大きな問題になっている、早く社会復帰をする場合に、民間に一部委託するというようなことによって、特に軽犯罪の場合のそういう施設というものが、こういう特区制度などでいろいろ検討されて、あるいは住民の中でもそういうことが理解をされて、診療形態あるいはお医者さんの確保の問題等がスムーズにいくようになるということが、犯罪にかかわっている人たちの人権というものをどう守りながら、より社会的な中で対応していくかということが一番大きな今度の法案の意義ではないかな、そんな思いをするのです。
そういう中で、例えば教育部門あるいは監督管理あるいは作業指導や食事の供給、図書館の運営などをアウトソーシングすることについて、私はどちらかというと賛成をして、これらの問題がうまくいくということについて、今度の法案の中の重要な一つの意義があるものだな、そんな思いをしているのです。特にそういう中で、先ほども言われたように、権力側としての守秘義務だとかなんとかという問題についての、慎重にやるべきだということだと思うんですけれども、それらについてもう一度、どんなお考えだかお答え願えますでしょうか。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、民間委託できるもの、それからできないもの、そして法律に根拠規定があればできるものという仕分けをいたしました。
法律によって民間委託にできる業務につきましても、やはりこれは、権力的な事務、業務に密接に関連する事務であることは間違いございません。したがって、委員がおっしゃるような懸念というものは私どもやはり考えなければいけないことでありまして、そのための一つの措置といいますか担保措置として、例えば先ほど申しましたみなし公務員規定のようなものがございまして、それによって、民間委託を受けて刑務所の中でいろいろな事務を行う者の行為をある程度行為規範を置いて規制するといいますか、そういうことも起きます。
やはり、大事なことは、もう一つ私ども考えておりますのは、人権教育といった教育ではないか、教育研修じゃないかというふうに思っています。
これにつきまして、私ども考えておりますことは、現在、刑務官に対しては、行刑改革会議の提言も踏まえまして、さまざまな研修を行っています。それから、いわゆる監獄法の改正ということで言われております刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律という法律が五月十八日に成立いたしましたが、その中で、衆議院の修正によりまして、刑務官に対する研修という条項が明確な形で入りました。
私ども、やはりそういった人権教育というものは大事だと思いますので、これは民間委託を受けるものにつきましても、当然、そういった研修を受けさせる、そしてその充実を図っていくということで、委員が御懸念になるような事態があってはならないわけでございますので、そのようなことのないように、いろいろなことから考えてやっていきたいと思っております。
○島田委員 それでは続いて、学校制度の公設民営化についての法案について質問させていただきたいと思います。
この中で、今度の法案が通ったとした場合に、民間に管理運営を委託する公設民営のどんな事例が今まであるのでしょうか、その事業内容等がおわかりでしたら御説明願います。
○滑川政府参考人 特区におきまして、今御指摘のような、公で設置して民間で管理委託というような特例としては、民間事業者によります特別養護老人ホーム設置事業、あるいは地方公共団体の設置する特別養護老人ホーム管理委託事業というものがございます。
前者は、PFI法に基づきます選定事業者でございます法人が、特区内の特別養護老人ホームが不足している区域において特別養護老人ホームを設置することができる、いわゆるPFI方式による特別養護老人ホームでございます。
また、後者の方、地方公共団体の設置する特別養護老人ホーム管理委託事業は、特区内の特別養護老人ホームが不足している区域におきまして、特区法に定められた基準に適合すると認められる法人にその管理を委託することができるというもので、いわゆる公設民営方式による特別養護老人ホームということでございまして、この両者あわせて、これまで二件の特区の認定を行っているということでございます。
○島田委員 今回の特区の認定をする場合、本制度が活用される場合には、どんなケースを想定されて見込まれているのでしょうか。
○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の公私協力学校制度は、地方公共団体と民間主体との連携協力によりまして多様な学校の設置を促進することをねらいとするものでございまして、例えば、民間のノウハウを活用して、公立学校では難しい、特色ある学校をつくりたいとか、都市部以外でも公立学校以外の選択肢を得られるようにしたい、地方公共団体の協力を得て自分たちの教育理念を実現する学校をつくりたいなどのケースにおいて、この制度の趣旨が生かされることとなると考えております。
現に、構造改革特区の第六次提案におきましても、県立高校の再編計画によって廃止が決定された定時制高校につきまして、地元自治体と学校法人とが協力して、受け皿となる学校法人を設立して新しい定時制高校としてその機能を存続させたいという提案や、高等学校の中退者や不登校状態の生徒を対象とした高等学校を地元自治体と民間主体とが協力して設立したいという具体的な提案がなされておりまして、今回の公私協力学校の制度化によって、これらの提案の実現を図ることが可能になるものと考えております。
○島田委員 先ほど大臣からもちょっと御答弁がありました中で、今提案されているのは幼稚園と高校、義務教育の中の問題について、例えば不登校児を行っている中で、地方の教育委員会がその運用上管理していますけれども、地域以外で不登校児を集めというか、加入あるいは入学を要請して、入りたいという場合があるんですね。だけれども、地方自治法上は入れない。なぜかというと、それはお金をいただかなきゃならぬ、税金との兼ね合いとかですね。
そういう面で、ある程度規制緩和特区というような形で認めてもいい、さっきの大臣がちょっと言われた中でそんな思いをしたんですけれども、そういう義務教育の中において、今はどちらかといったら特区の特質みたいなものからある程度考えられた認定みたいになる。そういう地域以外の中で特区として規制を緩和するというようなことも考えられるのでしょうか。
○滑川政府参考人 もう先生御高承のとおり、教育また不登校対策ということにつきましては、特区におきましてさまざまな特例が既につくられております。例えばITを使った不登校児への対応とか、あるいは不登校児のためにカリキュラムを変えることができるとかいうような特例がつくられまして、一部全国化というような動きも出てきております。
こうした中で、今後、義務教育課程なり、あるいは地域と義務教育との関係ということにつきましてでございますけれども、私ども、地域からいろいろな提案をいただく中で、そうした御議論があれば、それをまた関係の省庁と相談をさせていただいていくということになろうかと思っておりますけれども、今回のこの特例につきましては、先ほど申し上げました地域からの御提案に基づいて、公と私がその地域で組み合わさって対応するというような特例になっておるということでございます。
○島田委員 私も学校法人をつくるときに苦労したことがあるものですから、寄附行為の中で、特に一番問題点は、例えば学校運営がうまくいかなかった、あるいは解散しなきゃならなくなったという場合に、地方自治体と株式会社なりNPOなりが協力をして、その財産を運営して学校法人として公設民営で運営される、その場合に、やめようとしたときに、今の学校法人の場合だと、類似団体に寄附をしなきゃならないという規定があるわけですね。
やはり、公の財産を、学校法人とはいえ公の場で運営するわけでありますから、そういう面は、運営する場合の、こういう中でも厳しい規定がないと、学校法人としての存立、あるいは公に認めるという面でも、そういう点が最終的には重要なポイントにもなるような気がするんですけれども、その辺はどういうお考えでしょうか。
○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
協力学校法人が解散した際の残余財産の帰属についてのお尋ねでございますが、協力学校法人の設立に当たりましては、特区地方公共団体が必要な施設設備を貸与または譲渡するなどが想定されているところでございます。地方公共団体が財産を譲渡した場合、学校法人の解散時における残余財産の帰属につきましては、寄附行為の規定によりあらかじめ定めておくことが可能でございます。
また、協力学校法人の残余財産処分に係る方針につきましては、特区地方公共団体の長が公私協力基本計画を策定いたしますが、その基本計画の中で示すこととなっておりまして、協力学校法人は、この基本計画の定めるところにより、寄附行為を作成することになるところでございます。
また、学校法人の寄附行為に係る認可申請は、特区地方公共団体を経由して行われ、所轄庁は、認可に当たりましては、この特区地方公共団体の意見に配慮しなければならないこととされているところでございます。
こういう仕組みでございますので、地方公共団体が譲渡した財産につきましても、学校廃止の際には当該地方公共団体に返還されることとなるのが通常であろうと考えております。
○島田委員 時間になりましたので、最後に、五年の見直しということで、この見直しも今から積み上げていく面でも重要なポイントになるような気がするんですけれども、これからどういう形で全国展開、特に幼保一元化という形の場合は、特区で積み上げられてこられて、今年度、試行事業という形で進められている。
そういう中で、先ほども言われたように、文科省と厚労省との間の、どういう形でそれを調整して新たなる総合施設として位置づけるかというのは、やはり特区の生命にかかわっている重要な、せっかく特区がこれだけいろいろ積み上げてこられたわけですから、このことの位置づけというものがこの五年の見直しの重要なポイントになるような気が私はするものですから、最後に御所見をお伺いしたいと思います。
○村上国務大臣 先ほども申し上げたんですけれども、この特区というのは、やはり地域の皆さん方の意識変革の大きな突破口になったと思うんですね。特に、今委員が言われたように、幼保一元化は、狭いエリアで二つ設けるよりは、やはり一つで両方兼ねられる方が非常に効率的であるし、スムーズであるということで、かなり積極的にバックアップしてきたんですが、地域のニーズや要望に合うように、それがまた可及的速やかにできるように、一生懸命バックアップしていくのが我々の責務じゃないかと思います。
だけれども、先ほど来申し上げているように、国民には、特区の具体例だとか発案者がだれでもできるとか、そういうことがまだまだ周知徹底していませんので、そういうものも一生懸命啓蒙していきたい、そのように考えています。
○島田委員 どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、藤田幸久君。
○藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。
村上大臣に初めて質問をさせていただきますので、あいさつがわりに一言。
小泉総理のツルの一声で服装がかわっている中で、大臣はしっかりスーツを着ておられて、私は大変うれしく思っております。大臣がスーツをしっかり着ておられる理由について、一言お伺いしたいと思います。
○村上国務大臣 藤田委員のようにスマートな方は何を着ても似合うんですが、私のような体型の者は、まずこういうのが一番無難かなと。それから、やはり、委員会における質疑は真剣勝負でありますから、委員の先生方も真摯に質問しているわけでございますから、私もやはり気合いを込めて答える意味でネクタイを締めている、以上であります。
○藤田(幸)委員 体型的に見ますと真っ先にポロシャツで出ていらっしゃる大臣かなと思っておりましたが、いや、いいお答えをいただきまして、と申しますのは、構造改革特区というのが、ややもすると逆規制になってしまったり、画一主義になってしまう可能性がある。総理がネクタイを取れと言ったらみんな取るというのも、これは一種の画一主義、逆規制でございますので、構造改革特区の面で若干そういう点もあるかと思っておりますので、そういう観点から質問させていただきたいというふうに思っております。
まず、大臣にお伺いしたいんですが、五百件ほど認定がされたということでございますけれども、それから、一方で敗者復活というような話も出ております。千ぐらい一次で落ちた中で、六十件ぐらいでしょうか、復活候補に挙がっているというようなことでございますけれども、この法案が決まってから現在までの認可の進行状況、それから、今、敗者復活も含めて、これからどういう形でさらにこの本来の趣旨を生かしてやっていかれるおつもりなのか、その点について真剣にお答えいただきたいと思います。
○村上国務大臣 先ほど来申し上げているんですけれども、この特区というのは、地域だけじゃなくて、私は、日本全国に大きく意識変化をもたらしたやはり突破口じゃないかと思うんですね。特に、私自身も十八年、十九年近く国会議員をやっているんですが、規制というものがこんなに多岐にわたって強固なものというのは、特区を担当して非常に強烈に感じました。
特に、やはり地域再生法で、皆さん方のおかげであれだけ通して、補助金の目的以外の転用ということを先ほど先生も御質問なさっていましたけれども、なかなか建築基準法等でできない。そういう中で、やはり一つ一つを特区法で抜いていく。そして、抜いていって、先ほどの幼保一元化のように、既成事実として全国展開を図っていくような形にするということで、この特区法というのは鴻池さんが一番最初に御苦労されてやったんですが、鴻池大臣のおかげで、小さく産んで大きく育っている、私はそういうふうに思っています。
それからもう一点は、やはり、先ほど来申し上げているように、地域が今までのばらまき行政的な交付税、交付金等に頼るのではなくて、その地域に根差したアイデアというか、そういう特徴を引っ張り出そうということで、我々が想像もしなかったようなアイデアがどんどん出てきている。そういう面で、自主、自立、自考の政策の立案の鍛錬場としての効果というものがやはり非常に出てきているなと思います。
その中で、今委員がお触れになりました敗者復活戦の問題でありますが、先ほどもお答えした中に、千件以上のうち半分は実は現行法上でできる、そしてまた、暴走族特区のような公序良俗に反するような案も多かったということで、そういうものは残念ながら消さざるを得ませんでした。
しかし、その中でも三百から四百を一つ一つ丁寧に点検しまして、何とか地元の要望にこたえられるようにということで、最初、八代さんのところの有識者会議で二十六項目をピックアップしまして、今鋭意検討しております。
私としましては、やはり、先ほど来申し上げているように、尾辻厚労大臣や北側国交大臣等と直接交渉して、可及的速やかにそういう案件が一つでも多く実現できるように鋭意努力していきたい、そのように考えております。
○藤田(幸)委員 ありがとうございました。
これから政府委員の方々に幾つか質問させていただいて、その後また大臣にお伺いしたいと思いますので、ちょっとやりとりを聞いていただきたいと思いますが、まず、文科省の方にお尋ねをしたいと思います。
この公私協力校の関係で、実は逆に、足立区の五反野小学校というのが有名な全国で初めての地域運営学校として活動を始めておりますけれども、要するに、地域と保護者、それから学校と行政の代表者が学校理事会というものをつくって、公立校で初めて民間の出身の校長先生ができている。それから、単純な計算とか漢字の反復練習のパワーアップ作戦とか、学校の前をあいさつ通りと命名したとか、それから生徒たちがあいさつ隊といって毎朝校門前であいさつをするとかなんですけれども、これはある意味では今回の公私協力校と逆で、公立校におけるイニシアチブということで違うんですけれども、したがって、私立校じゃなくて公立校でもこういったかなりのことをやっているということに対する、この五反野小学校のイニシアチブの評価をまずお聞きしたいと思います。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
足立区の五反野小学校を初めといたしました十数校の学校におきまして、研究開発学校制度という形でコミュニティ・スクールを実験的に三年間やらせていただきまして、そういった成果をもとに、昨年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を改正させていただきまして、全国的にコミュニティ・スクールを公立学校に設置し、地域や保護者の参画のもとに学校運営を活性化する、学校の教育活動を活性化するということを新たに制度化したところでございます。
その第一号として、この足立区の五反野小学校がコミュニティ・スクールに指定されたわけでございますが、これまでの御活動によりましても、学校理事会の方針を踏まえながら、基礎学力の定着のために毎朝十五分間は必ず計算、漢字、音読に取り組むパワーアップタイムを実施されておられる。これも地域の声として実施されておるわけであります。
また、地域を巻き込んだあいさつ運動の展開とか、地域の方々がボランティアとなって土曜日にパソコン教室や囲碁教室の開催など、地域ときっちりと連携しながら取り組みを行い、成果を上げているところでございます。
こうした成果というものは、学校理事会を通じながら、保護者や地域住民の意向を学校運営に反映させるという形とともに、学校からも家庭や地域に対して積極的に働きかけを行うなど、相互に緊密な連携のもとに取り組みを行った成果によるものと考えております。
教育委員会の関係者からお聞きいたしますと、こういった五反野小学校の取り組みが周辺の足立区内の小中学校にも大きなよい意味での刺激を与え、そしてよい影響を及ぼしているとのことでございまして、私どもも、今後このような取り組みが全国的に広がっていくことを大いに期待しているところでございます。
○藤田(幸)委員 ありがとうございます。
そうしますと、今回の法案の公私協力校というのは、基本的に、私立学校に対する、公が認知をして支援をするという形なんですが、公の、例えば五反野小学校のようなものに対して民間が支援をするということも、この公私協力校の中にあってもよかったのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○樋口政府参考人 御案内のとおり、これまで公教育は、公立学校、私立学校が切磋琢磨しながらその教育の活性化に取り組んでいるところでございますが、今回の公私協力学校は、新しい選択肢として、公立学校と私立学校に加えて、公私がそのメリット、持ち味を生かしながら行っていくという新たな制度的な枠組みとして、多様な選択肢の一つとして用意をさせていただいたものでございます。
五反野小学校は、あくまでも公立学校を基本としながら、地域や保護者の声を公立学校運営と教育活動の活性化に生かしていくという意味で、あくまで公立学校の活性化という目標に向けての一つの手段として、活性化のための手段として、コミュニティ・スクールとして御活動いただいているものというふうに理解しております。
○藤田(幸)委員 ですから、理解はしているので、私の質問は、今も樋口さんがおっしゃっていただいたように、住民や保護者の意向を生かした教育というものが一番重要なんだろうと思うんですね。であるならば、この公私協力という公と民という形の問題以上に、その保護者、地域の皆さんの意向を反映させた教育というものが非常に有効であろうと思っておりますので、であるならば、一つの選択肢ということではなくて、やはり公立学校を支援する公私協力ということも追加すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の公私協力学校の理事会を含め、私立学校の設置者でございます学校法人の理事会は、それ自体が法人の業務を決する最終的な意思決定機関でございまして、五反野小学校の学校理事会とはその性格を異にするものではございますが、公私協力学校の場合にも、地域住民や家庭のニーズを学校運営に反映させるということは大変重要なことでございますので、そういう観点から、各学校法人の判断により、地域住民や保護者の方を理事に迎えることは十分あり得るものと考えております。
また、特に公私協力学校につきましては、地域のニーズを反映した教育活動の展開が図られるよう、地方公共団体による一定の支援と関与のもとに設置、運営されるものでございますので、例えば特区地方公共団体が公私協力基本計画にその旨を定めることなどによりまして、理事のうちに必ず地域住民や保護者を含めるということとすることも可能であると考えております。
○藤田(幸)委員 では、可能であるという下限を確認するだけではなくて、その地域の住民あるいは保護者の意思というものをより生かした教育という点がこれから、今質問いたしますけれども、小中一貫教育というような面も含めて非常に重要だろうと思いますので、より積極的に検討をお願いしたいと思います。
もう一つ、この足立区から申請がありまして四月から始まっておりますのが小中一貫教育でございます。
私が理解をしているところでは、要するに、小学校から中学校に入った際のいろいろな教育制度の違い等によってストレスが随分たまってしまったりして、不登校発生の大きな原因になっておるという文科省の認識のもとで、この不登校発生のいわば予防外交といいますか、未然に防止をするという意味でも、小中一貫校というものが特区として認められて、始まったばかりですからまだ結果は出ておりませんけれども、どんな成果、あるいはどんなねらいを持っておられるのかということについて、文科省からお聞きをしたいと思います。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
足立区におかれましては、人間力育成特区ということで平成十七年三月に構造改革特区に認定をされまして、区内の小中学校各一校において、小中学校九年間を一貫した柔軟な教育課程の編成、実施をこの特区で行おうとしているわけでございます。
具体的な中身といたしましては、小中学校九年間のカリキュラムを弾力的に編成するということで、四年、三年、二年の三つのまとまりにカリキュラムを考えまして、弾力的なカリキュラム編成を行う。そして、小学校五年生以上におきましては、児童生徒の学習意欲を高めるために、新しく選択教科を設定される。そして、コミュニケーション能力や課題解決能力等を育成するとともに、国際人としての資質、能力を育成するために、新たに小学校一年生から国際コミュニケーション科を設定するなどの新しい取り組みが行われているものと承知しております。
この足立区の取り組みは、委員御指摘のとおり、本年四月から開始されているところでございまして、今後、充実した内容のものとして展開されることが大いに期待されるところでございます。
私どもといたしましても、文部科学省としては、各地域において創意工夫を凝らした特色ある取り組みが行われることは大変重要であると思っておりまして、この実施と成果に大いに関心を寄せているところでございます。
○藤田(幸)委員 簡単にお答えいただきたいと思いますが、いわゆる今の六・三・三制の枠の中でどの程度まで小中一貫教育というものが可能なのか。それから、単なる実験だけではなくて、さっき大臣がおっしゃっていただいたように、これは全国展開ということですけれども、したがって、小中一貫教育というもののメリットを想定しながら、もちろん六・三・三制の見直しなり検討ということはあるんだろうと思いますけれども、ただ、現在の制度の中でどの程度までおやりになるつもりなのか、その点について、簡単で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
○松下委員長 簡潔明瞭にお願いします。
○樋口政府参考人 現在の学校制度は、御案内のとおり、六・三・三・四となっているわけでございまして、その六・三・三・四の基本的な学校制度を前提としながら、教育課程、カリキュラムについては弾力的な、子供たちの発達段階に即して多様な試みがあるだろうということで、今、特区の研究開発学校の制度を活用しながら、全国的にも少なからざる学校で実験的な研究を行っていただいておりまして、その成果を十分見きわめながら、私どもとしても、小中全体を見通した子供たちの発育、発達というものを考えていきたい。到達目標を明確にしながら、子供たちが義務教育を終了した段階ではきちんとした能力や資質を身につけられるような、そういう新しい学校教育の創造に向けて、今、中教審でも大いに議論させていただいているところでございます。
○藤田(幸)委員 ありがとうございます。
それからもう一つ、たまたま、足立区で入谷小学校という小学校がありまして、この間、NHKの総合テレビでも放送されておりましたが、東京の中でも非常に学力が低い地域、小学校であった。そこの校長先生ほかが何をしたかというと、朝食を小学校で出すようにして、それから学力が非常に上がったというふうに聞いております。
それから、大臣、実はアメリカの小学校ではほとんど、学校が朝食を出しているそうです。学校で出さなくても、家でも朝食を食べて学校に来る生徒というのは非常に安定して学力も上がった。ですから、学校で出すか家で食べさせるかは別にして、朝食を食べた児童に関しては学力が上がるということが、多分、世界的にもある程度証明されているんだろうと思います。
これも小学校の一つのイニシアチブで出ているんですけれども、朝食を出す、この辺ももう少し拡大をしていくというようなお考えはありませんでしょうか、あるいはそういったことを奨励していくという。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
私どもが実施しております教育課程実施状況調査によりまして基礎学力を全国的に見させていただいているんですが、毎日朝食をとっていたり、学校へ行く前に持ち物の確認を行っている子供たち、いわゆる基本的な生活習慣が身についている子供たちは、ペーパーテストの得点が高いという結果が出ているわけであります。
また、広島県の土堂小学校の陰山校長、有名なカリスマ教師、「百ます計算」で有名な陰山校長のもとでも、学力が低下する要因としては子供たちの睡眠不足と朝御飯を食べていないことなどを挙げまして、みずからの学校においては、家庭とも連携しながら、子供たちに早寝早起き朝御飯を徹底させるという基本的な生活習慣をきちんと定着させることによって、実際、学力の向上が図られているという御紹介もあったわけであります。
私どもは、学力の向上を図るためには、学校のみならず、家庭での取り組みが重要であると考えております。家庭でしっかり睡眠をとることや朝食をきちんととることなど、子供たちの基本的な生活習慣を確立することが大事なことであるというふうに思っておりまして、私どもとしては、家庭と協力しながら、朝食を食べる、睡眠をとる、あいさつをきちんとするという基本的な生活習慣を徹底することによって学力の向上を図ってまいりたいということで、このような取り組みをさらに促してまいりたいと思っているわけでございます。
○藤田(幸)委員 幾つか質問させていただいたことを私なりにまとめますと、一つは官と民の協力、それから長い教育プロセスの中で小学校と中学校のカリキュラムの連携、それからもう一つは、朝食に関していえば、どちらが出すかは別にして、やはり学校と家庭の協力。
先ほど大臣に変なスーツの質問をしたのは、つまり構造改革特区を見ておりますと、何か、一村一品運動みたいに、ちょっと出てきたものをピックアップしたんですね。ところが、ピックアップをしてみたら、例えば五反野小学校の例などに見られるように、実はそこから発展をして物事の本質がわかってきた。つまり、私立学校と公立学校、あるいはサポート校、民間業者、それから小学校と中学校の連携、それから学校と家庭という、いろいろな意味での総合的な取り組み、今まで見えなかった部分がよく見えてきたということが多分ほかの事例でもあるんではないか。それがこの構造改革特区の意味ではないか。
そういうふうに考えていただくと、先ほどの敗者復活、六十項目ですか、多分、今までの感覚で言うとペケになっても、実はいろいろな潜在力を持っている案件がたくさんあるんではないか。そういう観点から、一つの構造改革特区の案件、一村一品かもしれませんけれども、そこからいろいろなものが見えてくる、そういう発想で取り組んでいただいたらば、さらにいい構造改革特区なりができるんではないかという印象を持ったんですが、大臣、ちょっとその点について一言お願いをいたします。
○村上国務大臣 まさにおっしゃるとおりでして、この特区というのは、本当は一発で全国展開をしたいんですが、今の日本の法制上なかなか難しいということで、部分的というか、その地域ということに特化して一応やるわけです。
ただし、今委員がおっしゃるように、特に食育の問題を含めて、重要な問題は私はやはり、許してくださいよ、老人の社会福祉も大事かもしれないけれども、やはりブレアのように次の世代の育成のためには財を集中的に投入するということは大事なことじゃないかと私は思うんです。
そういう面において、今藤田委員が言われたように、一つの地域でたまたまうまくいって、それがわかってくれれば一番いいんですが、それをもし全国的に次の世代の人づくりのためには必要だということであれば、一気に進められるような立法をお互いこの国会の中で一般法としてやれればいいんじゃないかな、そういうふうに私は考えています。
○藤田(幸)委員 ありがとうございます。
では次に、刑務所業務の民間委託について法務省の方にお伺いをしたいと思います。
刑務所の民間委託ということですけれども、例えば、一番大きな刑務所というと小菅に東京拘置所というのがあるんですけれども、その東京拘置所、大変、一番大きな、地域のど真ん中にあるんですが、具体的な、例えば今民間委託をそれなりにやっているようですけれども、実態としてはどの程度やっておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
おっしゃるように、東京拘置所は我が国で最大の拘置所でございます。そこで現在行っております民間委託ですけれども、庶務課の窓口受付などの総務系業務、それから自動車運転業務、それから正門の警備の業務、それから差し入れ窓口の受付業務を民間委託しています。さらに、防災設備などの庁舎の設備などの維持管理業務、保守点検、そういったことも民間業者に今委託しているということでございます。
○藤田(幸)委員 今のお話を伺ってみると、何か、民間委託といえば委託なんですけれども、あれだけの規模のものですから、もうちょっと民間のいろいろな知恵なり、機能を生かしたやり方というものを考えていただいたらいいのかなと思ったので、検討をお願いしたいと思います。
時間がないので、刑務所の民間委託で重要なのは、社会復帰と更生関係だろうと私は思うんです。
私も足立寮という更生保護施設を訪問したことがありますけれども、三代にわたって福田さんという方が、自分の会社でたまたま出所者を受け入れたことによって三代でやっていらっしゃるわけですが、いわば篤志家の意思によって任せておるというだけではなくて、刑務所ですら民間委託をしているということであるならば、今社会復帰というのは非常に重要ですね。この二月にも、安城の事件も、更生保護施設から出てきた方がああいう事件になったということで、その辺の補完関係ですね。
刑務所もそうだけれども、更生保護施設の社会復帰、更生のプロセスにおける民間のいろいろな知恵、足立寮というところでも料理教室をやったりとか、精神科医師あるいは保健婦の方を呼んできたりとか、やっているようですけれども、その辺をもう少し手厚くすることが刑務所の民間委託と同時に必要ではないかという印象を持ったんですが、いかがでしょうか。
○麻生政府参考人 更生保護法人についてのお尋ねでございますけれども、更生保護法人は、今御指摘にありましたとおり、犯罪や非行を犯した者で、身寄りがないなどの理由で帰住先がない者につきまして、これを保護して更生を助けている施設でございます。私どもといたしましては、刑事政策上欠かすことのできない重要な施設と認識いたしております。
現在、全国で百一施設ございますけれども、すべて民間の更生保護法人によって運営されている実情でございます。委員の御指摘のありました更生保護法人もそのうちの一つでございます。
更生保護施設におきます保護のほとんどは保護観察所からの委託によるものでございまして、国は保護を委託したときに所定の更生保護委託費を支弁することになっておりまして、更生保護施設の収入の多くはこの更生保護委託費に頼っているのが現状でございます。
また、老朽化した施設が数多くございますが、更生保護法人の多くは経営基盤が脆弱でありますため、平成六年に更生保護施設整備費補助金の制度を設けまして、改築等の支援を行ってきております。
また、中で行っておることでございますけれども、近年の刑務所収容者数の増加や厳しい雇用情勢の影響によりまして、更生保護施設に保護を求める人たちがふえているわけでございますけれども、薬物の問題を抱える人、アルコール問題を抱える人を初めといたします社会適応に困難な方々の割合が高くなっている、こういう状況にございます。就職が厳しく更生保護施設から自立しにくくなっていることなど、更生保護施設の運営は難しいものとなっております。
私どもといたしましても、これまで更生保護委託費及び更生保護施設整備費補助金等予算面の充実に努めてきているところでございます。また、更生保護施設における効果的な処遇プログラムの策定や、保護観察所との連携強化等による支援体制の充実に努めてきているところでございます。今後ともさまざまな形での支援を一層強めてまいりたいと思います。
○藤田(幸)委員 何か、いわば主食に対して副食というんですかね、その副食部分を一応やっているという程度に聞こえたんです。もう少しやはり、社会更生というのは非常に重要だろうと思っておりますので、民間委託を刑務所でやるならば、社会更生保護施設についてももう少ししっかり取り組んでいただきたいという印象を持ちましたので、お願いをしたいと思います。
それからもう一つ、この刑務所の民間委託のときに、私が気がついたのは、少年院というのがありますね。私の理解だと、少年院というのはたしか十カ月いたら出なきゃいけないんですね。あの有名な八街少年院ですか、随分いわば暴力団関係の人も多かったりとか荒い話を聞いたんですけれども、最近は非常に施設もよくなって、そうすると、十カ月いれば出られるというので、どんどんまた戻ってくるという話を聞いているんですね。
そうすると、やはりその辺も、十カ月という現在の体系そのものがいいのか、それから十カ月後どういうふうにしたらいいのか、その辺がまさに民間委託も含めた知恵の出しどころ、いわゆる大人用の刑務所以上に、少年院というのは私は非常に重要じゃないか。これも実際に事例が出ておりますので、その少年院の十カ月以降、それから民間委託の可能性、現在何が行われているのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
今、委員、十カ月とおっしゃいまして、平均すると大体その程度だというふうに言われております。
現在、少年院の業務について民間委託をしているかどうかということからまずお答えいたしますが、先ほど、刑務所あるいは拘置所では民間委託をする事務がだんだんふえてきておりますけれども、少年院におきましては民間委託をしている業務というものは特に現在ございません。
ただ、考えますに、少年院におきましても、例えば自動車運転業務であるとか差し入れ窓口業務といったようなことについては、これは民間委託になじむのではないかというふうに思っています。
少年院は、御存じのように、教育課程を編成いたしまして、それぞれ専門性を有する職員、これは少年院の教官でございますけれども、いずれも専門性を有する職員によって意図的、計画的な矯正教育を行っております。それに加えまして、民間の方々といたしましては、篤志面接委員という方がいらっしゃいます。それから、教誨師さんその他民間の方々の協力、御支援を得て、生活指導であるとか職業補導であるとか教科教育など、さまざまな教育活動を行っております。
それから、少年院法という法律がございます。その規定によりまして、学校とか病院とか事業所とか学識経験のある者に委嘱しまして、そして矯正教育の援助をさせることができるとされておりまして、この規定を活用いたしまして、専門的な知識や経験を持った民間活力を導入しております。
出た後でございますけれども、これにつきましては、これは先ほど保護局長が答弁に立ちましたけれども、やはりその保護の領域に入りまして、そこにおいて保護司さんを中心とする民間の方々のお力を得ながら更生に向かっているというようなことでございます。
なお、もとへ戻りますけれども、少年院における民間委託のあり方につきましては、今後引き続き検討してまいりたいと思っております。
○藤田(幸)委員 今おっしゃった運転がどうこうというのは、委託じゃなくて代行だろうと思うんです、さっきの小菅の話もそうですけれども。委嘱という話が出ましたけれども、やはり委嘱じゃなくて委託をしなきゃいけないんだろうと思うんです。従来の専門家の領域の専門では専門性に欠けるんだろうと思うんです。これからの新しい犯罪等々に関して言えば、それが民間におけるところのいろいろな本当の意味での新しい専門性だろう。
大臣、したがって、この特区をされたおかげで、実は周辺のいろいろなことも随分わかってきた。学校も小中、それから民間、保護者、それから今回も実は刑務所から更生保護施設、少年院もわかってきた。ですから、今まで検討した項目の周辺の要因を調べると非常に大きな改革につながるのではないかと思いますので、その点について一言、コメント、決意をいただければと思います。
○村上国務大臣 委員のおっしゃるとおりでして、ただ、私の残念なのは、提案が来たものなんですよね。そもそも今言った範囲は法務省だとか文部省だとかあるわけですよね。だから、私としましては、極力、そういう国民の皆さん方の要望やそういう提案については、いい提案については一つでも多く実現していって、そういう周辺部分も大きく改革できるように皆さん方と、先生方と一緒に提携して頑張っていきたいと思いますので、なお一層の御提案と御指導をよろしくお願いします。
○藤田(幸)委員 いい答弁、ありがとうございました。
○松下委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、最初に監獄法等の特例についてから質問したいと思います。
それで、今回の監獄法の特例による大幅な業務委託ですが、刑務所のPFIと一体で行われるもので、行刑施設の建設や運営を大きく変えるものになってくると思います。
刑務所業務については、これは食事の提供、洗濯、掃除など民間委託が可能な業務があることをもちろん否定するわけのものじゃありません。また、今回の刑務所医療機関を市立病院に委託するという措置も、まあ、当然の考え方だろうと思います。
刑務所医療機関の民間委託というのは、行刑改革会議で、刑務官の受刑者に対する暴力問題に関係して、矯正医療のあり方の問題として提案されてきたものであって、もともと、本来PFIとはこれは別のものだということを言っておかなきゃならないと思うわけです。
そこで、政府参考人に幾つか伺いますが、今回の監獄法の特例とする民間委託を可能とする収容監視、職業訓練、健康診断、信書の検査補助、領置物の保管などの業務について、これは従来は法務省は民間委託を拒否してきたと思うんですね。刑罰や保護の処分というのは国の主権にかかわる重要な公権力の行使であるということで法務省は従来反対してきたわけですが、今回これがどのようにクリアされているのかを伺います。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
平成十四年度の総合規制改革会議におきましては、民間参入の拡大による官製市場の見直し、そういう観点から議論がなされまして、国の事務事業のうち民間への委託、移管が可能な事務として、刑務所の事務が対象とされました。
この官から民への事務の移管の手法につきましては、民営化や包括的な業務委託も含まれておりましたところ、法務省といたしましては、刑務所の事務は捜査や裁判とともに一連の刑事司法手続を構成するものでございまして、国家刑罰権の実現という、まさに主権の行使に直接かかわるものでありますことから、民営化や包括的な業務委託にはなじまないと考えました。
しかし、その一方で、刑務所では権力的な事務から非権力的な事務まで幅広い事務を行っておりまして、このうち、受刑者の身体、財産を直接侵害する実力行使や、受刑者に対して直接に義務を課し、または権利を制限する処分を伴う事務といった、およそ民間委託にはなじまない事務以外につきましては、PFI手法の活用も含めた民間への部分的な業務委託は可能であると考えまして、その対象となる事務及び民間委託のあり方については今後検討を進める旨総合規制改革会議に示したところでございます。
要するに、私どもは、民営化や包括的な業務委託、これはできない、そういうスタンス、しかし一部の業務については、例えば法律上の根拠を置くなどの措置をとればできるというふうに考えたところでございます。
それで、こうした考えに基づきまして、山口県美祢市の刑務所のPFI事業では、施設の設計、建設のほか、施設の警備や受刑者の処遇の一部など運営も含めた民間委託を行うとしたものでございまして、運営のすべてを委託するいわゆる民営刑務所の整備を行うことは考えておりません。
以上でございます。
○吉井委員 美祢の話はまた後ほど伺いたいと思うのですが、二〇〇二年六月の規制改革会議に出した法務省の回答は、今冒頭におっしゃったとおりのことなんですね。
法務省の反対理由というのは、要するに業務が公権力行使の中心か否かの問題ではなかったわけで、刑罰、保護処分というのは国の主権行使にかかわる事務事業だから民間に移管できる事業、事務ではない、ここが一番根幹の部分なんですね。刑罰、保護処分のこれらの事務事業の性格は実のところ変わっていないと思うんです。だから、もう一遍確認しておきますが、問題点はクリアされていないということになるのじゃないですか。
○横田政府参考人 繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、やはり刑罰の執行、そういう国家刑罰権の実現、そういう主権の行使に直接かかわる部分につきましては、これは民営化や包括的な業務委託はできない、なじまないという考え方でございまして、このことは今回の法案におきましても何ら動くところではないというふうに理解しております。
○吉井委員 事務事業の性格は変わっていない、なし崩しに民間委託を拡大する。
なぜ法務省が態度を変えたのかということで、新聞で紹介されているのは、不祥事が相次いで明るみに出たことで事態が一変、法務省は条件つきでPFI刑務所を認めることにしたというふうに言われていますね。
PFI刑務所では、これはことし三月のパブリックビジネス・リポートに、矯正局総務課西田博国際企画官が語るということで紹介されております。
御存じのことと思いますが、PFI刑務所では、受刑者の生命財産を直接侵害する行為以外何でも民間化する。レポートの方でさらに、紹介している側の書いている文章ではありますが、「「市場化テスト導入刑務所」のモデルケースにもなりそうだ。」と書いていますね。
これでは公権力行使の範囲がやはりなし崩しに狭められて、限りなく民営化に接近する。こうした無原則的なやり方というのは、これは国の責任を後退させるということにつながっていくと思うんですね。法務省はそこのところはどういうふうに考えてはるのか、伺います。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
なし崩し的に主権の行使の一つである国家刑罰権の行使といった業務がどんどん民間に行ってしまって、委員のおっしゃるのは、恐らく、最終的には民営刑務所になってしまうのではないかという御懸念かと思いますけれども、私どもは、繰り返しになりますけれども、民営刑務所、あるいは刑務所の業務一切合財を民間委託に、いわゆる俗な言葉で丸投げをするということは決してございません。
先ほど来、別の委員の御質問にもお答え申し上げておりますように、やはり刑務所の業務を細かく見ていきますと、いろいろな性質、いろいろな内容がありまして、それはそれぞれ個性があるわけですけれども、それを大きく分ければいろいろ分類できるわけで、その中でやはりきちっと法律の根拠を置いて、そしてさまざまな担保措置を講ずれば、それは民間に委託していいのじゃないかという事務があるわけでございますので、それについて今回いわゆる特区法によって可能ならしめようというのが趣旨でございますので、繰り返しになりますけれども、御懸念には及ばないと考えております。
○吉井委員 今のレポートに書いてある市場化テスト導入刑務所のモデルケースという話ですが、やはり今回の措置は、PFIと特区で民間委託と制度の複合的活用というのが特徴なんですね。つまり、公務の民間化制度をかなり使ったやり方なんですが、これは今後、市場化テスト導入が今検討されておりますが、公務とか公権力の行使を民間化するということがますます進んでいくということになると、これは国の責任放棄につながっていくという問題が出てきて、非常に懸念すべき問題なんですね。
そこで、村上大臣に伺っておきますが、刑務所の建設や運営の民間化、規制緩和はこの法律の範囲内までで、刑務所民営化はしないのだ、このことはきちっとここで言えますね。
○滑川政府参考人 今回御提出申し上げております監獄法等の改正におきましては、一部事務の委託ということでさせていただいております。それから、先ほど法務省当局から御答弁がございましたように、民営刑務所というのは困難というふうに御答弁されております。私どもはそういうふうに法務省の御答弁を受け取っているという状況でございます。
○吉井委員 ですから、一部事務の民間委託までなんですよ。だから、大臣、そこで聞いているのですよ。ここまでであって、刑務所民営化はしない、そういうことで臨みますね。
○村上国務大臣 委員は御聡明ですからよくおわかりだと思いますけれども、公権力の行使にかかわることについてはしないという前提でやりますから、そう単純には民営化という話にはならない、そういうふうに私は考えています。
○吉井委員 しかし、これはこれからやっていこうという話ですから、やはり参考になるのは、実際にPFI刑務所で大幅な民間委託というのが民営化への第一歩になっているという、アメリカの実例を我々は見ておくことが大事だと思うんですよ。
刑務所民営化のアメリカの実例を見ますと、いろいろな問題が起きていますね。アメリカの民営化も、当初は業務委託から始まっています。その後、受刑者の過剰拘禁、そして政府の財政支出の削減などを契機にして、企業のビジネスチャンスだとして民営化が進んでいったわけですよ。
刑務所の民営化後、移民者の犯罪に重罰化が行われて、移民者に重罰を科して拘禁者をふやすという政策に変わってくる。つまり、アメリカでは民営刑務所産業が働きかけたことがそこで問題になってきたわけですね。
民営刑務所の経営安定のためにはいつも受刑者で刑務所をいっぱいにしておかないと経営がなかなか大変だ。これは企業の特質としては、自分のところの経営を成り立たせるという発想はよくその部分に関してはあるにしても、そういう特質を持つ民営化というのは、これは本来行刑政策とは相入れないと思うんですね。
これは政府参考人に確認しておきますが、これは相入れないでしょう。
○横田政府参考人 同じことで申しわけございませんけれども、私どもはこういう刑務所の民営、国家刑罰権の行使を全部民間にゆだねるということは、これはまさに主権の、国家刑罰権の極端に言えば否定だと思いますので、そのように考えておりません。
○吉井委員 考えていないというのをずっと貫くということであれば、そういうことにならないと思うんですが、アメリカの場合は、やはり最初は業務委託から少しずつ少しずつこじあけて、なし崩しで結局、民営刑務所に変わっていったわけですね。
刑務所民営化で見ておく必要があるのは、アメリカの刑務所不況と今言われているんですね。アメリカの刑務所不況と各国の民営化導入の流れ、これは特に、日弁連は提言の中で、この点では、「ごく最近、カナダ、南アフリカでも民営化が決定した。このように、民営刑務所は急速に広まりつつあるが、イギリスの旧植民地やアメリカと極めて近い国に限定されている。」「アメリカ本国での民営化の停滞と後退により、アメリカを中心とする刑務所民営会社は、発展途上国への民営刑務所計画を輸出しようとしている。たとえば、二〇〇三年韓国でも、agape社が六百人定員の民間運営の刑務所の入札に成功し、二〇〇五年に開かれる予定」だというんですね。日本にあらわれている一連の動きも、このようにアメリカを中心とする刑務所民営会社の販路拡大の一環と見るべきであるというのは、これは法曹界からも指摘されているところであります。
そこで、村上大臣、私、さっきの質問であなたに言ったのも、こういうふうな動きになっていくことについて、業務の一部民間委託なんですという話でとどまるのか、ずるずるといくのかというところがやはり非常に問題になってくるところで、大臣はこうしたアメリカの刑務所産業の動向についてはどういうふうな認識を持っておられるか、伺います。
○村上国務大臣 委員の御指摘もわからぬではないんですが、まず、アメリカと日本との風土というか文化が随分違うんじゃないかなという気がするんですね。それからもう一つは、先ほど来法務省が説明しているように、公権力の行使に関することについては、今回のモデル事業においても外していますし、今後においても外す方針でありますから、多分、日本の風土や文化やそういう方針でいけば、委員の御心配は当たらないんじゃないかな、そういうふうに私は考えています。
○吉井委員 大臣も私も戦前に生まれて、戦後、学校で……(村上国務大臣「私、戦後ですよ、済みません、十年先輩なんです、徹底的な民主主義教育を受けていますから」と呼ぶ)ああ、あなたはそうか。いやいや、随分アメリカナイズされてきて、だから、日本の文化とか風土とかいっても、そう簡単なものじゃなくて、特に最近の弱肉強食の自由競争至上主義といいますか、十年ほど前の規制緩和万能論が展開されたころから随分変わってきているわけですから、日本だから心配ないよというのは簡単に言えるような話じゃないので、私はそこのところをきちっとしておかなきゃならぬというふうに言っているわけです。
さっき出ておりました山口県美祢市のPFI事業によって刑務所を新設するということに伴ってとられる、これは今国会の特区の措置でもありますが、先日、ここは新日鉄、セコム、清水建設を中心にした美祢セコムグループが落札したわけですね。地元では地域活性化と期待していたんですが、地元企業の入り込む余地は、要するに大きいところがとっちゃうわけですから、なかなかないんですね。
PFIで物をつくるというのは、私たちの住んでおりました赤坂宿舎でもそうなんですけれども、大体それをとって、あと管理から皆やっちゃおうというわけですね。だから、言われているのは、四月六日のNHKの「クローズアップ現代」でもこれを紹介していましたが、地元企業は入れてもすき間程度と。すき間産業、すき間を探して、どこかちょろちょろと入るかどうかというところですね。
ちょっと聞いておきますけれども、地元企業の受注額というのは、全契約総額の中で何割ぐらいになると、つまり、地元の活性化というからには、八割、九割が地元だったらわからぬこともないんですが、実のところ、ほとんどこの受注割合というのは、余りめどが立ってこない。まあ、そこの下請、孫請ぐらいはひょっとしてあるかもしれませんが、何かどれぐらいの割合で見通しが立つとか、見通しについては検討されたことがあるのかどうかだけ伺っておきます。
○横田政府参考人 お答えします。
具体的に言えば、美祢のPFI事業、予定している刑務所ですけれども、ここで、今おっしゃったように、いわゆる美祢セコムグループが落札をいたしました。グループとしては大企業でございますけれども、今委員もちょっとおっしゃいましたけれども、言ってみれば、この下でまたいろいろ、人を供給したり、あるいは資材を購入したり、供給したりといったさまざまな経済活動が行われるわけですけれども、それにつきましては、地元の企業、事業者を使うということが契約の内容といいますか、基準の中に入っておりますので、その点については、できるだけ地元の活性化につながるような運用の仕方をしてまいることになります。
具体的にどのくらいの割合かということにつきましては、これはまだ今動き出したばかりでありまして、そこまでまだ具体的に検討しているわけでもありませんし、実際に動いてみないとまたわからない部分もあろうかというふうに思います。
○吉井委員 ですから、NHKでも紹介されたように、地元企業は入れてもすき間程度だ、すき間産業ですと、結構、東大阪の中小企業なんかは物づくりでやるわけですけれども、本当にすき間程度のものだというのが言われているところなんですね。
PFI方式をとると、大きな受注額で、受注の多くの部分は、やはり新日鉄とかセコムとか清水建設の分野なんですよ。二十年間の長期計画、それから今後の全国展開が望める。ですから、そういう点では、大企業にとっては非常に魅力のある仕事なんですね。地元の中小企業の活性化に役立つかどうかについては、多分、少しぐらいはなるんじゃないかという期待はあるにしても、余り大きなもうけ口になるような話でもない。
では、一体だれがそれを進めているのかということで、これは規制改革・民間開放推進室の体制を出していただいて見てみると、要するに規制改革・民間開放推進会議の委員十三名のうち九人の方は、これはトヨタ、ソニー、三井住友海上、セコムなど、ずらずらと大企業の役員の方が並んでいるわけですね。
事務局は、規制改革・民間開放推進室、これは室長以下三十三人のメンバーのうち十八人と、過半数以上が民間企業からの出向者なんですね。室長一人、参事官一人、企画官三人、室員二十八人、その中で、企画官三人中一人、室員二十八名中十七人が民間からの出向者。
まず、この推進会議と推進室の構成について、私が今申し上げたこと、これは数字の点だけ確認しておきます。
○河政府参考人 私、直接その推進室の担当じゃございませんけれども、同じフロアで仕事をしている者として、今おっしゃっている数字は正確だと理解しております。
○吉井委員 ですから、結局、小泉内閣が言ってきた官から民へということで、今進めている公務の民営化ですね。大企業の側は百年に一度のチャンスだ、パブリックビジネスだ、五十兆円市場だということでウの目タカの目でねらっているというのが、これは経済誌等でも紹介されているところです。
そして、トヨタ、ソニー、セコム、オリックス等々、これでは情報はいち早く、要するにこの会議に出ているんですから、出向元に流れてくる。公正さを欠き、いわばこれらの大企業が、みずからのためにみずからの仕事をつくり出している、ビジネスチャンスとしてやっているということになってくるわけですから、私は、こういう官から民へという言葉だけで踊っちゃいけない。本来、民といったら国民の民であっていいはずなんですが、これだったら民間の一部の大企業の民になってしまう。
私は、やはり官から民だけでいいのかということが今問われているということをまずこの点では申し上げて、次に、学校法人の関係に移りたいと思います。
私立学校法の特例の問題ですが、今回の法案のポイントは、要するに地方公共団体が施設を提供する、株式会社が公私協力学校法人を設立しようというものです。
公私協力学校法人をめぐっては、文科省は昨年まではこの提案に対してCランク、つまり特区としては対応不可という方針でありましたが、その方針を変更して、今回私立学校法を特例化し、学校法人の資産要件を緩和した、その理由というのは何ですか。
○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
検討の経緯ということに関してのお尋ねでございますが、私どもでは、いわゆる骨太の方針二〇〇三などにおける公設民営学校について、中央教育審議会での議論も踏まえ、具体的な制度のあり方につきまして、構造改革特区に関する提案の趣旨を最大限実現する、また、公立学校の性格に照らし、法制上の課題等を踏まえるなどの観点から検討を行いまして、今回、構造改革特区における公私協力学校の制度としてその実現を図ろうとしているものでございます。
○吉井委員 要するに、学校法人の資産要件を緩和した理由は何ですかということを聞いているんです。
○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の公私協力学校制度では、地方公共団体と民間主体とが協力して設立いたします協力学校法人の設立認可に当たって、都道府県知事による資産要件の審査を要しないこととする特例措置を講じております。
なぜこういう特例措置を講じるのかということでございますが、通常の学校法人は私人の寄附財産により設立され、その運営経費につきましても基本的に授業料などの自己収入により賄うのが通常でございます。このような法人につきましては、継続的、安定的な学校経営を担保するためには、法人設立時において相当の財産的基礎の保有を求めることが必要でございます。
しかしながら、一方、協力学校法人につきましては、校地校舎などの必要な基本財産を特区地方公共団体が提供いたしますとともに、毎年度の運営費につきましても、協力学校法人の自己収入のみでは不足する分を特区地方公共団体が補助するなど、通常の学校法人とは異なり、協力学校法人の資産については特区地方公共団体が責任を持って支援を行うことといたしております。こういうことから、協力学校法人につきましては、都道府県による資産要件の審査を省略して学校法人の設立を認めることとしたものでございます。
この特例措置によりまして、公私協力学校が設置しやすくなり、民間の創意工夫を生かしつつ、地域のニーズに的確に対応した特色ある学校の設置が促進されることとなると期待しておりまして、生徒等や保護者に対してもより多様な学校教育を提供できることとなるものと考えております。
○吉井委員 私は、民間の創意工夫とか、余りその種の呪文を唱えてやることはうまくないと思うんですよ。
公設民営というんですが、実際は学校施設、資産を持たない株式会社が学校経営を行う。株式会社の最大の目的というのは株主利益の追求なんですよ。では、なぜ学校法人という法律で資産要件を示してきたのか。やはり意味があるわけですね。それは、教育を受けることを求めるすべての人たちに教育サービスを安定的に供給することを通じて、教育理念の達成ということが根底にあるわけですよ。
だからこそ、経営破綻とか倒産だということで教育が放棄されたらこれは大変な迷惑が及びますから、そういうことにならないように資産要件をきちんとする。もちろん、私学助成その他、それはいろいろな面については、大臣も私学助成では地元で御要望を受けられて、いろいろ頑張ってきはったと思うんですよ。そういうことがあるわけなんですね。
今回の特例措置というのは高校と幼稚園に一応限っていますが、特区の次には義務教育への範囲を広げていく、そういう布石になってくるんじゃないかと思うんですね。文科省、そこはどうなんですか。
○樋口政府参考人 今回の公私協力学校につきましては、御案内のとおり、幼稚園と高校についてまず特区で試みとしてやるというものでございまして、私ども、義務教育の問題は、先ほどもお答え申し上げましたとおり、地方公共団体に小中学校の設置義務が課されている、あるいは授業料の面を見ましても、無償制の義務教育と授業料を取る幼稚園、高等学校教育とはおのずから異なるということで、やはり義務教育制度の根本にかかわる問題だということで、こういう制度的な、財政的な問題については十分慎重に検討していく必要があるというのが私どもの基本的な考え方でございます。
まずは幼稚園、高校におけるこの特区での試行というものを十分目指していただきながら、その成果を十分検証しながら、今後の課題として研究をしてまいりたいと思っております。
○吉井委員 何か幼稚園と高校で実験をやってみて、それならば義務教育もというお考えに聞こえますが、それは本当に大変なことだと思うんです。
北九州で今、株式会社の公設民営の高等学校法人設立計画がありますが、ずっとレクを聞いておりましても、実は公募されていないんですね。公の自治体の施設を使って、ここは施設は使って株式会社で経営するというからには、類似の株式会社が七つ八つあるわけですから、本来公募するとか競争入札とか、仮にこの方向に行くにしても、やはり公正なものじゃないといかぬと思うんですね。
ところが、この仰星国際高等学園という名前の株式会社は、既にホームページ等では、もう企業情報で、平成十八年四月一日、学校法人認可が決定していると書いているし、民間主体の選定継続に当たって、地方公共団体の政策意図その他の条件をあらかじめ公表された上で公正な審査で決められなきゃいけないのに、そんなこと全然お構いなしなんですね。特区というのは公正さは要らないんでしょうかね、公募は要らない。それから、議会決議も、地方自治体の場合、公共財産の場合は必要なんですが、そういうのも何もない間に、もう決まりましたということでやるようなやり方、これが正常なんでしょうかね。
私、最後に伺っておきたいのは、学校法人といっても実質的に株式会社が設立する学校なんですが、だから、営利のためには授業料の値上げとか、経営の破綻とか、教育を受ける側の負担や犠牲の問題を常に考えておかなきゃいけないんですね。もともと学校法人というのはそこを考えてやってきたわけですよ。
公私協力学校の設立に当たって、株式会社は無償または廉価で地方自治体の施設提供を受けることができる、しかも、譲渡された施設を抵当に入れることも可能だし、経営破綻した場合も、もとの自治体所有の施設がどうなるかわからないということがあります。そして、ここは、一応公私協力にしても、学校法人ということで、法人税とか地方税の税の優遇も受けるわけですね。それでは、モラルハザードを防止する保障措置は一体あるのか、ここは非常に大事なところだと私は思うんです。
時間が来ましたので、大臣、モラルハザードを防止するための保障措置、大臣として何かお考えなのか、伺います。
○松下委員長 簡潔に答弁お願いします。
○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の公私協力学校の制度におきましては、特区地方公共団体が公私協力学校の施設設備や運営費について支援を行います一方で、当該学校の設置運営に関し一定の関与を行うことといたしております。
すなわち、公私協力学校の教育内容や教育水準につきましては、特区地方公共団体が公私協力基本計画においてその基本的方針を示しますとともに、毎年度の事業計画や収支予算につきましては特区地方公共団体の長の認可に係らしめるなどにより、学校運営の適正を期することといたしております。
こういう仕組みから申しまして、公私協力学校につきましては、これらの仕組みによって適正な学校運営を十分確保できるものと考えております。
○村上国務大臣 まず、先ほどの御質問でお答えを要求されなかったんですけれども、委員御高承のように、行政改革だとか規制改革を真剣にやればやるほど、ぶつかり合ってあつれきが出てくるわけですね。そのために、規制改革のメンバーや、いろいろ言われるんですけれども、私は、一緒に仕事をさせていただいて、そういう人たちが我田引水のようなことは一切していないですし、また、そういうことで判断していないというふうに確信しています。
それから、いま一点、これは本来はやはり南野法務大臣や中山文部大臣の範疇だと思うんですが、刑務所の業務についても、それから義務教育の内容の質についても、両大臣とも多分私と同じで、質を下げたり、また、安易に民間に委託するというようなことは毛頭考えていない、そういうふうに私は考えております。
○吉井委員 思いは思いとして伺うにしても、現実はそうじゃありませんので。
さっきのモラルハザードというのは、公募という公正さが欠けているところからモラルハザードにつながるものが既に始まっているということだけ申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。
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○松下委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま議題となっております本案審査のため、来る八日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十二分散会