第13号 平成17年6月10日(金曜日)
平成十七年六月十日(金曜日)午後一時五十一分開議
出席委員
委員長 松下 忠洋君
理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君
理事 増田 敏男君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 須藤 浩君
理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君
江渡 聡徳君 大村 秀章君
奥野 信亮君 川上 義博君
木村 勉君 佐藤 剛男君
桜井 郁三君 土屋 品子君
西村 康稔君 萩野 浩基君
早川 忠孝君 宮澤 洋一君
望月 義夫君 山際大志郎君
石毛えい子君 市村浩一郎君
島田 久君 藤田 一枝君
藤田 幸久君 牧野 聖修君
太田 昭宏君 吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 細田 博之君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君
国務大臣
(経済財政政策担当) 竹中 平蔵君
内閣府副大臣 西川 公也君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 山本信一郎君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 山木 康孝君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(金融庁総務企画局参事官) 大藤 俊行君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 久保 信保君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 黒川 達夫君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 新島 良夫君
内閣委員会専門員 高木 孝雄君
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委員の異動
六月十日
辞任 補欠選任
川上 義博君 奥野 信亮君
土屋 品子君 望月 義夫君
西村 康稔君 山際大志郎君
同日
辞任 補欠選任
奥野 信亮君 川上 義博君
望月 義夫君 土屋 品子君
山際大志郎君 西村 康稔君
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六月九日
全国戦災犠牲者の平和慰霊碑建立に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一七八二号)
同月十日
全国戦災犠牲者の平和慰霊碑建立に関する請願(松島みどり君紹介)(第二一二〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
警察に関する件(愛媛県警察における会計経理をめぐる事案に関する調査結果報告)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○松下委員長 これより会議を開きます。
警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長安藤隆春君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○松下委員長 愛媛県警察における会計経理をめぐる事案に関する調査結果について政府より報告を求めます。警察庁長官官房長安藤隆春君。
○安藤政府参考人 内閣委員会の御審議に先立ちまして、会計経理をめぐる事案に関する愛媛県警察による調査結果報告書及び愛媛県警察における今後の対応について御説明申し上げます。
まず、愛媛県警察による調査結果報告書について御説明申し上げます。
平成十七年一月二十日、当時、愛媛県警察本部生活安全部地域課鉄道警察隊に所属していました仙波敏郎巡査部長が記者会見を行い、愛媛県警察において不適正な会計経理が行われていた旨述べたと報じられたことから、愛媛県警察は、総務室長を調査責任者として、また、四月一日以降は警務部長を調査責任者として、調査を実施したところであります。
調査においては、当時の関係者のうち、死亡、病気等により聴取が不可能であった五十七人を除く二百四十七人からの聞き取りを行うとともに、関係する文書の確認を行ったところであります。
調査結果のその一は、にせ領収書作成依頼等の有無についてであります。
聞き取り調査におきまして、仙波巡査部長が、昭和四十八年から平成七年までに勤務した警察署において、にせ領収書の作成を依頼され、いずれも拒否した旨述べたことなどから、愛媛県警察は、仙波巡査部長が平成七年度までに勤務した警察署の関係者百五十三人から聞き取り調査を実施したところであります。
調査の結果、当時の関係者はいずれも、仙波巡査部長が指摘したような事実はない旨述べており、仙波巡査部長に対するにせ領収書作成依頼等が行われていたとの事実は確認されなかったところであります。
その二は、鉄道警察隊における警乗旅費の支給についてであります。
聞き取り調査において、仙波巡査部長が、鉄道警察隊では平成十三年三月以前は警乗旅費が支給されず、また、鉄道警察隊では警乗旅費を水増し請求していた疑いがある旨述べたことから、愛媛県警察は、平成十一年度から平成十六年度の間の鉄道警察隊における警乗旅費の支給に関して、関係者五十五人から聞き取り調査を実施するとともに、関係文書の確認を行ったところであります。
調査の結果、平成十六年度の警乗旅費の支給について、鉄道警察隊活動日誌に旅費が支給されるべき長距離警乗に従事した旨の記載があるにもかかわらず、旅行命令簿に記載がなく、結果として旅費が支給されていないものや、長距離警乗の行き先地の記載誤り等の不備が五件認められたところであります。これ以外に関しては、平成十五年以前の鉄道警察隊活動日誌は既に保存期間を満了し廃棄されているため、これと旅行命令簿との突き合わせによる確認はできなかったが、現在保存されている関係文書を確認した限りにおいては、長距離警乗に従事したものについては、旅行者の口座に旅費が振り込まれていると認められること、聞き取り調査においても、長距離警乗に従事した結果に基づき旅費が口座に振り込まれていた旨の供述がなされていることなどから、鉄道警察隊における警乗旅費の支給に不適正な点はなかったと認められたところであります。
その三は、飲酒運転検挙に対する報奨金交付の有無についてであります。
聞き取り調査において、仙波巡査部長が、昭和六十二年ごろの松山東警察署及び平成元年ごろの伊予警察署において、飲酒運転を検挙すると一件当たり千円の現金が交通課長から渡されていた旨述べたことから、愛媛県警察は、当時の関係者五十人から聞き取り調査を実施したところであります。
調査の結果、昭和六十一年に愛媛県下で飲酒運転による死亡事故が急増したことを背景に、飲酒運転取り締まりを重視した当時の署長の方針等により、松山東警察署及び伊予警察署において、飲酒運転を検挙した際、署長からの表彰として千円が交通課長を通じて交付されていたこと、また、これらの表彰は、県費の報償費から支出されていたが、検挙件数が多く予算が不足したことなどから、いずれも開始後数カ月で廃止されたことが認められたところであります。
その四は、JR業務証明書の不正使用の有無についてであります。
聞き取り調査において、仙波巡査部長が、鉄道警察隊員以外の者が鉄道警察隊のJR業務証明書を借りて出張しているが、その者が乗車料金分の旅費を請求していた旨述べたことから、愛媛県警察は、関係者六人から聞き取り調査を実施するとともに、関係文書の確認を行ったところであります。
調査の結果、JR業務証明書を使用する一方で乗車料金分の旅費を請求していた事実は確認されなかったところであります。
次に、愛媛県警察における今後の対応について御説明申し上げます。
先ほど御説明申し上げたとおり、今回の調査の結果、平成十六年度の警乗旅費の支給について不備が五件認められたところであります。
愛媛県警察は、今回の調査において支給されていないことが認められた旅費について支給の手続をとるとともに、旅費の支給に関する幹部によるチェックを徹底することとし、さらに、今後の監査において旅費の支給状況を厳格に確認することとしているところであります。
また、愛媛県知事からの要求による監査結果報告において、十三事案三十五件の捜査報償費の執行の事実に疑義があるとされたことから、これらの執行について調査を進め、調査結果を早急に明らかにすることにより、県民の信頼回復に努めることとしているところであります。
最後になりますが、警察庁においては、北海道警察等において予算執行に関する不適正事案が発生したことを踏まえ、会計監査の強化を図るなど、予算執行の一層の適正化に向けた施策を講じてきたところであります。
今後とも、これまで講じてきた施策の徹底を図り、国民の信頼回復に努めてまいる所存であります。
説明は、以上でございます。
○松下委員長 以上で政府の報告は終わりました。
――――◇―――――
○松下委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官山本信一郎君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、金融庁総務企画局参事官大藤俊行君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、厚生労働省大臣官房審議官黒川達夫君及び新島良夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。
○田端委員 きょうは、金曜日の午後ということでありますが、こういう形で官房長官にもお出ましいただきまして、ありがとうございます。
今月の二十日から薬物乱用防止キャンペーン月間が始まりますので、それに関連した質問をさせていただきたいと思います。
今、脱法ドラッグといいますか、大変若い人たちの間でひたひたと浸透しているといいますか、これは非常にゆゆしきことなので、この辺のところを少しお尋ねしたいと思います。
フォクシーとかデイトリッパーとか、覚せい剤や麻薬ですけれども、それと同じような幻覚作用という形で、脱法ドラッグの販売あるいは製造といったことがひそかに行われている。
例えば、化粧品とかそういうものと称して、あるいはビデオクリーナーという形で、合成薬物ですけれども、そういうものをつくって、そして、そういう覚せい剤的な、それに近いような、似たような、そういう作用が起こることを売りにして、若い人たちの間で、やせますよ、やせる薬ですよ、あるいはこれはもうファッションですよ、こういう一つのそういう時代の流れのような形で出回っている。
この合法ドラッグが、商品名でいっても百種類以上、もう二百ぐらいあるだろうと言われていますし、いろいろな成分別でも数十種類に分けられてつくられている、こういうことであります。しかも、今、インターネット販売という形あるいは学校の中で友達同士で、こういうことであります。
それで、いろいろな事件が起こったり、死亡者が出たりというようなことでありまして、私は、これは非常にゆゆしきことで、こういうことを今の間にきちっとやっておかないと、本当の薬物の方に、覚せい剤の方に次はもう必ず行ってしまう、こう思います。
それで、実は、私、平成九年二月の予算委員会のときにも合法ドラッグのことを取り上げました。マジックマッシュルームというものとか、あるいはベラドンナというものを、現物を持ってきまして、委員会でこういうものですよということでお見せしながら、当時、小泉厚生大臣でございましたが、質問させていただいたことがございます。
そのときに、厚生省の方は、これらは、規制は国際条約で指定ということが大きな問題なので、国際的な規制という中でしかできない、今後そういう中で進めていきたい、こういうことでありました。もしそのときにもっと手を打っていれば、私は今日のようになっていなかったんじゃないかと思いますが、対策は非常におくれたのではないか。
そのとき指摘したマジックマッシュルームなんかは今麻薬として規制されるようにはなっていますけれども、そういう意味で、私は、厚生省は少し出足がおくれたのではないかと思いますが、この点、今、合法ドラッグに対してどういうお考えなんでしょうか。
○黒川政府参考人 御説明申し上げます。
現在の脱法ドラッグ対策はいかんという御質問かと存じます。
いわゆる脱法ドラッグについては、買い上げ調査や、先生のお話にありましたインターネットに対する監視を行いまして、人体の構造、機能に影響を与えることを目的として販売されているものについては、薬事法の無承認無許可医薬品の販売、広告に該当する、こういうことから同法に基づく販売中止等の指導を行っております。
また、これまで科学的データに基づき有害性等が確認されたものは逐次麻薬に指定をしておりまして、例えば、本年においても新たに二物質を麻薬に追加いたしまして、四月十七日から規制を行っております。また、本年度予算において、新たに麻薬指定の根拠となる科学データが乏しい脱法ドラッグについて、依存性、精神毒性に関する試験を実施するための経費を確保し、速やかな麻薬指定を行えるよう努めているところでございます。
また、いわゆる脱法ドラッグについては、先生お話しのとおり、最近、研究用試薬やビデオクリーナー等と称して、人体への摂取目的以外の用途を標榜して販売しているものが多くなっていることから、本年二月に、このようなものであっても、人体の構造、機能に影響を与えることを目的として販売される場合には、薬事法による取り締まりを行うよう都道府県等に通知し、脱法ドラッグの監視、指導の強化を図っておるところでございます。
○田端委員 そんなことから、私は、東京都が一歩先んじてといいますか、東京都薬物の濫用防止に関する条例というのをこの四月から全国で初めて施行されたということは非常によかった、こう思っております。
それで、ここでは、罰則も一年以下の懲役とか五十万円の罰金とか、こういうことも明記されております。それから、みだりに使用する行為とか、使用目的で所持する行為、あるいは使用場所の提供、あっせん、そういったことに対しても明確に指定されています。それから、立入調査権までつけているというのは非常にいいことだと思っております。
この知事指定の薬物の中に、もうたくさんあります、この合法ドラッグの中でもたくさんありますが、例えばエクスタシーというのがあります。それから、セカンドCIとかビビッドとか、ブラックラベルとか、サードアイとか、たくさんずらっと並んでおります。
このエクスタシーと通称言われているものはMDMAと言われるものでありまして、これは幻覚作用が大変強くて、精神的毒性が非常に強烈で脳をも破壊してしまう、こう言われています。だから、これは小さい錠剤になっておりますが、もう三錠飲んだだけでもおかしくなったとか、気分が悪いとか、頭がおかしいとか痛いとか、こういうことになるわけであります。
それが、何と十年前に検挙された錠剤は八千錠であったのが、今、昨年、四十六万九千錠、六十倍ふえているんです。これが若い人たちの間で大変に今はやっているといいますか、そういう形で使われているということを非常に私は危惧しているところでありまして、こういったことは一つの例ですけれども、大変ゆゆしき時代だと思います。
それで、申し上げたいことは、東京都でもそこまで頑張ってやっているわけですから、厚生省はぜひ、この薬事法の改正とか、あるいは麻薬向精神薬取締法の改正、あるいは政令でこの指定を見直すとか拡大するとか、こういったことを東京都と連携をとりながら積極的にそういうことを進めるべきではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○黒川政府参考人 御説明申し上げます。
東京都が脱法ドラッグ対策に関する条例を制定し、本年六月から本格施行されたことは承知しております。厚生労働省といたしましても、これまで、東京都とも情報交換を行いつつ、全国的な脱法ドラッグ対策に努めてまいりました。
また、加えまして、本年二月には専門家から成る脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会を設置いたしまして、脱法ドラッグ対策について、法改正も視野に入れて現在幅広く御検討いただいているところでございます。
具体的には、脱法ドラッグの範囲、規制方法、規制するための科学的根拠とその収集や評価の方法、対策のあり方などについて御検討いただくこととしております。
この検討会においては本年十月を目途に提言をまとめていただくこととなっておりまして、こういった御提言等を踏まえ、脱法ドラッグ対策を積極的に進めていく所存でございます。
○田端委員 ぜひ脱法ドラッグの段階でしっかりと対応していただかないと、本物の薬物、覚せい剤に手をつけてしまったら大変なことになる。脱法ドラッグでも大変なんですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
私は大阪の西成区というところに住んでおりますが、正直言って、ここが日本の薬物の密売の大きな拠点になっていることも事実でありまして、私は、そういった現場を今までも何回と見ておりまして、薬物に対しては今までも人一倍気を使ってきました。しかし、まだまだ大変な状況だ、こう思います。
それで、官房長官にお願いしたいことは、平成九年に薬物乱用対策推進本部というのが総理を本部長に設置されておりまして、そして、五カ年計画が平成十年、十五年と二回つくられております。そういう流れの中で、薬物に関する省庁というのはみんな縦割りで、大変ないろいろな関係を持っているわけです。
国家公安委員長はもちろんですけれども、地方自治体もそうですし、それから法務大臣、文部科学大臣も関係しますし、厚生労働大臣、それから海上保安庁がありますから国土交通大臣、それから外務大臣はもちろん、経済産業大臣とか、たくさんの関係大臣が出てきます。だから、ぜひ官房長官が指揮をとって、中核になっていただいて推進していただく以外に、薬物乱用の防止キャンペーンもばらばらでやっていたのでは本当に成り立たない、そんな思いがしております。
官房長官、ぜひ、総理の意思を受けて、この問題について積極的にお取り組みいただくようお願いしたいと思います。
○細田国務大臣 ただいま田端議員がおっしゃいますように、脱法ドラッグ、これが麻薬、覚せい剤乱用へとつながる大変大きな社会問題である、そして国民の健康に大きな影響を及ぼす大問題であるということをよく承知しておるつもりでございます。
脱法ドラッグを含めまして、薬物対策を推進する上で御指摘の広報啓発活動の持つ意義も非常に大きいわけでございます。また、縦割りの組織でそれぞれできておりますので、連携をして対策を講じていかなきゃならないということも事実でございます。政府におきましては、総理を本部長とする薬物乱用対策推進本部のもとで、さまざまな方策によりまして多様な活動を推進してきたところではございます。
今後とも、薬物乱用防止の徹底について、私も推進本部の副本部長として関係省庁全体を取りまとめながら、国民の皆さんにさらに深く理解していただくためのより一層の広報啓発活動、さらに規制強化等、各方面の対策を講じてまいりたいと思います。
現在は、かなり広報啓発活動も目にするようにもなっておるわけでございます。薬物乱用防止教室の開催をするということもあります。「ダメ。ゼッタイ。」という標語の普及運動の実施、あるいは薬物乱用防止キャラバンカーの運行、そして厚生労働省における脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会において規制方法を検討する、そういうことを今やっておるわけでございます。
学校の面でも非常に広がりつつあるということ、そういう認識のもとで、小学校のうち五千校以上、中学校のうちやはり五千校以上、高等学校のうち三千校以上、全体で言うと高等学校では六二%の学校を対象に薬物乱用防止教室を開催し、子供たちに絶対に手を出さないようにという教育、普及運動をやっているところでございます。
今後とも、さらに対策を強化してまいりたいと思います。
○田端委員 「ダメ。ゼッタイ。」というその標語をぜひ官房長官を先頭に実践していただいて、防止キャンペーンをよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○松下委員長 次に、宇佐美登君。
○宇佐美委員 お疲れさまでございます。民主党の宇佐美登でございます。
本日は、竹中大臣にお越しいただきまして、各種質問をさせていただきたいと思っておりますが、同時に、先ほど警察庁の官房長から御報告いただいた愛媛県警の報告書に関してなど、国家公安委員長にも御質問させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
いよいよ梅雨入りをしたと先ほど気象庁の発表があったようでございまして、クールビズとはいうものの、この部屋も少し暑くなっておりますけれども、昨日、郵政問題の特別委員会の部屋に行きましたら、あそこはさらに暑いですね。何か、テレビで拝見していたら、ここの国は温帯なのか熱帯なのか亜熱帯なのかといったら、熱帯じゃないかと思うぐらい皆さん汗をかきながら御議論いただいているところでございます。その中でも竹中大臣は、きょうもそうですけれども、ジャケットを着たまま頑張っていらっしゃるんですけれども、今大臣は、郵政担当大臣と経済財政諮問の両方の大臣、二つやっていらっしゃいますけれども、大体割合はどれぐらいでやっていますか。
○竹中国務大臣 割合ということになりますと、時間をどのぐらい割いているかということかもしれません。この局面におきましては、御想像いただけますように、昼間はほとんど国会審議でございますので、郵政民営化担当大臣として費やす時間が大変多くなっております。同時に、今は例の骨太の方針に向けた大変重要な局面でもございます。経済財政政策担当大臣としてはその取りまとめの任にございますので、朝、夜、また休日等も骨太の会議等々があることもございます。
今の局面に関しては、郵政民営化にかなりの時間を費やしている、しかし経済財政政策担当大臣としても仕事をさせていただいているという状況でございます。
○宇佐美委員 この前、六月七日に経済財政諮問会議の方の会議はあったんですよね。次の予定、何かホームページで見たところ未定になっておりましたけれども、次はいつごろやる予定ですか。
○竹中国務大臣 ここのところ、今申し上げましたように、骨太方針に向けての大変重要な会議がございまして、先般、骨太方針の素案を発表させていただいて、調整を終えて、今度原案を出す、その中で取りまとめていくということになりますので、ここのところは一週間に一度ぐらいの割合で諮問会議を開くことに相なります。
次回は、来週の半ばにやはり開くことになるというふうに承知をしております。
○宇佐美委員 来週というと、国会は終わりなんですよ、もう会期末ということで。先ほど理事会でも、与党さんの筆頭理事さんや委員長にも会期延長のことは全く聞いていないとおっしゃっている中で、今、郵政特の方の議論も煮詰まっている、どんどん今やっている中ですけれども、やはり両方やるというのは元来無理なんじゃないですか。この国にはちゃんと労働時間というのが決まっているわけですから、今のお話を聞いていると、何か働き過ぎているんじゃないかと思うんですけれども、竹中さん、いかがですか。
○竹中国務大臣 二つの大臣を兼務させていただくというのは、宇佐美委員に今御心配いただきましたように、やはり大変きつい仕事であると思います。
同時に、これは郵政民営化担当大臣等々、その時々にやはり必要な担当大臣がございます。それは閣僚の数が限られておりますので、やはりだれかが何かを兼務しなければいけないというのも、実際の仕事量と法律の枠組みの間での現実であろうかと思っております。私以外にも兼務をしておられる大臣はいらっしゃいます。その意味では、しっかり頑張らなきゃいけないなと思っているところでございます。
一点、先ほど、諮問会議は週に一回ぐらいここのところやらなければいけない、来週半ばと申し上げましたが、正確には来週月曜日に予定されているということでございます。
○宇佐美委員 前回、竹中大臣に質問させていただいた内閣委員会のしょっぱなですね、ですから、二〇〇三年の冬か二〇〇四年、去年の春か、ちょっと記憶は定かではありませんが、私が質問をさせていただいたときに、竹中大臣のお知り合いで不幸なことに自殺をされた方がいらっしゃるかどうかなどという質問をさせていただいて、直接の知り合いではいらっしゃらないということを答えられておりました。そして、私の方は、本当にたくさんの悲惨な状況を見聞きさせていただいていたわけでございます。
それにもかかわらず、先週というか、七日に出た経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五、案の段階で、中小企業対策とかそういった自殺に対しての見方とか、特に、先週は警察庁の方から、また去年ですか、三万人を超えた自殺者がいるということでありますけれども、そういった中小零細企業に対しての配慮が全く私の中では感じられません。
大臣は、去年の参議院選挙のときに、中小企業も頑張れよみたいなことを、これは携帯電話から見られる政策のところで、これは選挙のときですか、いつのかはちょっと不明ですけれども、書いていらっしゃるんですね。地域や中小企業をめぐる雇用情勢は都会や大企業に比べていまだ厳しいままです、そういうことを書いていらっしゃるんですが、一方で、大臣が中心になってまとめていただいているものには全く感じられないんです。さらには、これから予算の概算の話も出てきますけれども、この中小企業対策など、どう考えていらっしゃいますか。
○竹中国務大臣 今の骨太の、今、素案の段階で、いろいろ調整している段階でございますが、それに目を通していただきまして、中小企業の問題に関して大変重要な御指摘をいただいていると思っております。
選挙のときにもよく申し上げたんですが、私自身、中小企業というよりは零細な小売業の家に生まれ育ちまして、そういう環境を私自身体験しているつもりでございます。したがいまして、金融担当大臣に就任したときも、大手の銀行については不良債権を減らすことが重要であるけれども、中小の金融機関そして地域の金融機関、中小企業に直接深く関連しているものについては、いわゆるリレーションシップバンキングという新しい考え方で中小企業の再生をしっかり図っていかなければいけないというふうに考えてきたところでございます。
こうした考え方、基本的にはそれぞれの役所の中でしっかりと今定着しつつあると思っておりまして、例えば、金融に関しては、リレーションシップバンキングを引き続きしっかりとやっていくというのが金融庁の基本方針であるというふうに思っております。
また、中小企業の全般につきましては、中小企業庁、いわゆる経済産業省の中で総合的ないろいろな対策を常に御検討いただいておりますけれども、その取りまとめを、総合的ないろいろな戦略を経済産業省としてお考えいただいておりますので、そうしたことを引用するということも含めまして、最終的には、中小企業に対する施策もしっかりと拡充できるような形で骨太の方針がまとまっていくものであるというふうに思っております。
いずれにしましても、これは経済産業省、金融庁、いろいろなところと今協議を重ねておりますので、委員御指摘の問題意識を私も持っておりますので、しっかりと対応していきたいと思っております。
○宇佐美委員 先ほど、大臣のお仕事は二十四時間三百六十五日に近い形で大変だなと申し上げましたけれども、中小企業の方は、それに加えて、この不景気の中で借金返済に本当に苦労しているんですね。特に、月末付近になってくると、返済が今月できるかどうかということ。例えば、手形をジャンプしなきゃいけないのかどうか、ジャンプさせてもらえるだろうかとか、そういった本当にストレスが多い中で、さらに休みもなく働いているのが零細町工場の現状です。一方で、大企業がそういった零細企業の下請に対する作業代、手間賃などを減らしていった結果として大きな利益が出ているというのも現実です。
そういった中で、中小零細を助けていかなければ、この国の技術はどんどん壊滅的な状況になっていくと思います。私もいつも申し上げているように、電子部品の町工場でしたから、そういったものをみずから体験してまいりました。ぜひ、竹中大臣にはその立場から、中小零細に対してもっともっとバックアップをする形をつくっていっていただきたいと思います。
一方で、例えば、道路特定財源が今余っていて、その財源をどうしていくかというような問題も出てきますけれども、公共事業にはまだまだお金が流れていっている状態、ここをやはり一人一人、中小企業というのは体制としては法人になっているけれども、やはり個人商店に近い形です。ここを本当に命を込めてバックアップする体制をつくっていただきたいと思います。
大臣は、同時に、大臣に就任する前まで、御自身も有限会社の何とかカンパニーというのをつくっていらっしゃったようで、今は奥さんが社長なんだそうですね。ですから、そういった意味で、御自身も中小企業の経営者であったのでわかっていらっしゃると思うんですが、ちょっとそれに関しての質問をさせていただきます。
二〇〇一年十一月十三日の衆議院予算委員会において、アメリカに家を持っていると当時の上田清司議員の質問に答弁をされているかと思いますけれども、これもやはり会社でお持ちなんですかね。アメリカのうちですね。
○竹中国務大臣 二〇〇一年の十一月でございますか。小泉内閣の発足が二〇〇一年の四月であったかと思います。
急な御質問でございますが、その時点で、私、アメリカには不動産は一切所有をしていないというふうに承知をしております。以前住んでいた時期には所有をしておりましたが、それはもうかなり以前のことでございまして、二〇〇一年の時点ではアメリカに不動産等々は一切所有はしておりません。
○宇佐美委員 その委員会の質問のときには、住民票とか住民税及び所得税の議論の中で、大臣が住民票との兼ね合いの中でアメリカに家を持っていたと答えていらっしゃったので、その点を御質問させていただいたんです。
先ほども、大臣を兼務されているんですが、この前の参議院選挙のときは金融担当の大臣をされていましたよね。
「味の手帖」という雑誌の牛尾治朗さんとのインタビューというんですか、やりとりの中で、大臣は、ボランティアの皆さん、「Tシャツを着てビラを配っていたのは私の教え子だから、三菱商事の社員であったり、銀行の社員やゴールドマン・サックスの社員、日銀の社員であったり、そういう人ばかりだったんです。」とおっしゃっています。
先日の予算委員会でも、うちの島聡議員からこの旨を聞かせていただいていて、これを否定はされておりませんので、事実としては、本人がおっしゃっているわけですから事実なんでしょう。とすると、学生のゼミのOBといっても、当時は金融担当大臣なわけですから、金融機関に調査などの権限を持っていらっしゃったわけですよ。その大臣が、たとえ学生時代に教え子だとはいっても、その人たちに選挙を手伝ってもらっているというのはいかがなものかなというふうに思うんですね。
まず、公職選挙法上どうか。今、選挙部長さんにお越しいただいていると思いますので、お答えをいただきたいと思います。
○久保政府参考人 私ども、個別の事案につきましては、具体の事実関係を承知する立場にございませんので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
それで、公職選挙法でございますけれども、第百三十六条の二第一項というのがございます。これは、公務員等はその地位を利用して選挙運動をすることができないと定めております。この場合、一般論ではございますけれども、その地位を利用してという意味でございますが、公務員等としての地位にあるがために、特に選挙運動等を効果的に行い得るような影響力または便益を利用する意味であって、職務上の地位と選挙運動等の行為が結びついている場合を言うものと解されております。
○宇佐美委員 今御答弁いただいたとおりでございまして、これは日銀の社員まで、御本人がおっしゃっているんですよ、日銀の社員もそうですし、これはゴールドマン・サックスですから外資ですよね。外資の場合には政治資金規正法上寄附行為が禁止をされているわけでございますので、これは選挙期間中だったら寄附という行為は基本的にないですから、慈善活動、まあ公職選挙法上慈善活動というのは違反になっていますから、いわゆる政治活動の際にもしもこの外資の方がお手伝いしていて、それが無償の奉仕、結果として寄附行為に当たるとするならば、これは政治資金規正法違反になるわけですね。
どれもこれも、竹中さんは頭がいいからうまくやっていると思うんですよ。でも一般的に考えて、当時担当大臣が銀行の人たちを使ってやるというのは、今考えてどうですか、よかったことだと思いますか。
○竹中国務大臣 まず最初に、これは私から選挙応援を依頼したものではないために、元教え子が応援に来ていたというのは現場に行って初めて私も知ったわけでございます。
今選挙部長がお話ししてくださいましたけれども、これは公職選挙法第百三十六条の二第一項においては、公務員等はその地位を利用して選挙活動をすることができない。地位を利用してというのは、公務員等としての地位にあるがために、特に選挙運動等を効果的に用いるような影響力または便益を利用する意味であって、職務上の地位と選挙運動等の行為が結びついている場合をいうものということ、これは解説があったと思います。
今回の参議院選挙においては、私の元教え子が、あくまでも個人的な立場で、勤務時間外にボランティアで選挙応援を手伝ったというものというふうに認識をしておりますので、その意味で問題はないというふうに思っております。
それでもう一点、何か「味の手帖」で私ゴールドマン・サックスと言ったらしいんですが、ゴールドマン・サックスにかつて働いていた教え子はそのときはもうやめておって、これは違うぞというふうに指摘を受けたことでございます。
○宇佐美委員 ということは、日銀の社員は当時日銀の社員だったんですね。
○竹中国務大臣 私の教え子で、あくまで個人的な立場で、勤務時間外にボランティアで選挙応援を手伝ってくださいました方が何人かいらっしゃいます。その中に日本銀行の方がいらっしゃったということを、現場に行って知った次第でございます。
○宇佐美委員 現場に行って知ったということは、一度しかボランティアに来られていないというふうに認識をしていいんですか。つまり、二回目以降でしたら、もう知っているわけですから。
例えば、これはホームページとか写真とかで出てきていて、たくさんの若い方々が竹中大臣と一緒に歩いていらっしゃって、以前議論されたマル平、竹中さんは平和とかの意味だと言っていますけれども、このTシャツを着た方がいっぱい歩いていらっしゃるんです。例えば、その日銀の方で言えば一度しかボランティアに来られていないのか、その他ほかの銀行関係の社員の方々も一度しか来られていなくて、現場に行ったら初めてお会いしましたというふうに理解してよろしいですか。
○竹中国務大臣 私が申し上げています意味は、私は、だれがきょう来ることになっているとか、そういうことを事前に承知はしていないわけでございます。その日にその現場に行って、ああ、その人が来ていたと。
その特定の人が一回きりであったか二回、三回であったかというのはちょっと私もよく記憶をしておりませんけれども、基本的には土日を中心にしての時間外、大変限られた時間であったということと、それとあくまで、まさにボランタリーに来てくださっておりますので、その人がいるかどうかというのは、その日来ているかどうかというのは現場に行って初めて知る、そういう趣旨で御発言をさせていただいております。
○宇佐美委員 実際、大臣、私も初めて選挙をやったのは十二年前になるんですけれども、いろいろなボランティアの、昔の友達とか来てくれたり、大臣の場合で言えば大学の元教え子であったり、私も昔家庭教師をやっていたときの教え子が来てくれたり、本当にありがたいですよね。特に今はホームページとか、特に大臣は有名だから、テレビで今大臣が選挙をやられているというのを知って、どこからともなくと言ったらあれですけれども、自発的に来られている方もいるんでしょう。
本当にありがたいことだと思いますが、結果として、今申し上げているのは、当時金融担当大臣をやられていたわけですよね。にもかかわらず、その影響下にある銀行の方が来られているということは、法律的には先ほど部長のおっしゃったとおりでしょうし大臣もわかっていらっしゃると思いますけれども、それについて今思うのは、私も選挙をやっている立場ですから、ありがたい気持ちはよくわかります。でも当時の影響力を考えたときに、よかったのかな悪かったのかな、もう少し気をつけてもらえばよかったかなとか、気をつけろというような発言をされたのかどうかも含めて、感想を教えていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 感想ということでございますので。
私の場合、特に選挙が始まる何日か前に急に選挙に出るということを決めて、まず本当に無我夢中で選挙戦をやらせていただきました。したがって、そのときの感想としては、とにかく暑い中を頑張らなきゃいけない、そしてその意味で、先生頑張ってくださいというふうに駆けつけてくれる元教え子はありがたいな、それが非常に強烈な印象として残っているところでございます。
法律をしっかりと守って、そして支援してくれる方々の気持ちを大切にして選挙を戦えたと思っておりますし、それがまた、今後ともそういうきちっとした選挙をしなければいけないなというのが私の感想でございます。
○宇佐美委員 元教え子さんたちはよかれと思ってやっていただいているわけだからこそ、例えば、ほかの人目につくというか、直接的な選挙運動の現場に入ってきているわけですから、そういうのを控えてもらうのは、私、竹中さんは多分選挙に出るに当たって相当法律を、公職選挙法を勉強されているようですし、もしくは相談する方がいたんだと思います。
そういった中で、指摘されるような話をそのときに既にやっておいてあげれば、例えば当選したときに後ろにいる方はボランティアで来られていた方でしょう。本当にうれしかった教え子さんだと思いますけれども、思いっきりそれがテレビに映っているというのは、その方個人の一生懸命やられている思いに対してもよくなくて、大臣の方からそのときにも言うべきだったと。それは元先生なんだから、生徒に教えてあげるのは当然のことだと思います。
大体、竹中さんは目につくんですよ。いろいろな人から行動がチェックされているんだから、それ相応のことをしないといけないんですよ。マル平の問題も、いろいろな街宣車の写真とか拝見しましたけれども、ほかには入っていませんよ。だから、このマル平は竹中平蔵を想像させるんではないと言い逃れができるような形をつくっていらっしゃるんでしょう。
それは法律的にはそうかもしれないけれども、我々は立法家として、ある意味、超法規的だから今ある法律を変えていくという力があるわけですね。今行政の保護の立場が強いから、そういった認識よりも行政側の立場を重んじられるかもしれませんけれども、そういったものがグレーか白かといったときに、選ぶのは白を選ぶべきなんですよ。グレーの判断をしてはいけないんですよ。特にあなたは先生だったんだから、その教え子に対してこれはグレーだと。
あなたは白に近いと思っているかもしれないけれども、世の中ではグレーと言われても、もしくは黒扱いされてもおかしくない。これは警察の裁量権の中ですから、地域によって、名前の一文字なんか使ったら一発で挙がるところもきっとあるでしょう。そういった中で、グレーよりも白を選べということをきちっと言ってほしかったと私は思います。
一言、何かあったら答えてください。
○竹中国務大臣 政治家の先輩として宇佐美委員からアドバイスを今いただいたと思っております。また、政治家としてのみならず、教育者としてもこういうことを考えるべきではないかというようなアドバイスも含まれていたと思います。しっかりかみしめて、考えるべきところは考えてみたいと思います。
○宇佐美委員 公安委員長にお越しいただいています。公安委員長に短い時間、質問させていただきたいと思います。
愛媛県警察本部から調査結果報告書、先ほど官房長を通して御報告をいただきました。問題としては、ことしの一月に仙波さんが記者会見をされたわけですから、かれこれもう五カ月たつわけですね。五カ月たってこの報告書というのは、御努力はされているんでしょうけれども、やはりまだ足りていないなというのが率直なところでございます。
幾つか仙波さんの発言について、供述をそのまま認めている部分があって、私が前回内閣委員会で御指摘をさせていただきました、昭和六十二年ごろの松山東警察署及び平成元年のころの伊予警察署において、飲酒運転を検挙すると一件当たり千円の現金が交通課長から渡されていたということについて、ほぼ一〇〇%認められているわけでございます。
この文書の中で、愛媛県警察表彰取扱規程、当時のものがあったら下さいと言っているんですけれども、当時のものは今のところないようですね。これは当時のものですか。昭和三十五年にこれは取扱規程があったので、どこの時点で規程が変更されているのか、一応附則に書いてあるんですがわからなくて、済みません、直前にいただいたので、また精査をさせていただきます。
「ほう賞」というものがあるんですね。公安委員長、御存じでしたか。「ほう賞」は、この規程によると、県警本部長からの功績章とか賞状とか何か、それよりも下にあって、表彰取扱規程の三条に「ほう賞」という欄が出てくるんですね。今回の報告書でもその「ほう賞」という形で支給をされていたということでございます。署員の方の答えによると、当務日、働いた日に飲酒運転を検挙して交通切符を交通課に提出すると、翌当務日、働いている日の朝礼時に交通課長等から表彰され、のし袋を受け取った、中には千円が入っていたということです。
とすると、飲酒運転のときには毎回毎回千円上げていたということですよね。これは、「ほう賞」というよりも、その取り締まりを受けた人からすれば、まさにキャッシュバックに近いと思われても仕方がないと思うんですけれども、いかがですか。
○安藤政府参考人 愛媛県警察で調査しました、当時の関係者に聞きましたところ、毎回、飲酒運転の取り締まりごとに交通課長から千円、報償費の規定に基づいて出していたと。当時、この報告書にありますように、飲酒運転が非常に増加したということで、急遽、職員の士気高揚を図って飲酒運転を減少させよう、ある意味でそういう士気高揚策としてとられた特別の措置だと考えております。
○宇佐美委員 質疑時間が終了しましたので、最後に公安委員長に、今回の報告書を受け、また今私が指摘させていただいたことについての感想、意見、決意。来週以降、集中審議も含めてやらせていただきたいと思っておりますけれども、一言お願いします。
○村田国務大臣 愛媛県警察にかかわる件につきましては、一月二十日、現職警官が記者会見をやって、警察の予算の不適正な執行についての記者会見をした。そういうことに基づいて、警察におきまして、先ほど官房長官からこの報告をさせていただいたと思いますが、一部不備がございましたけれども、おおむね、私どもの調査によっては、その一月二十日で指摘されたような事実は、該当はなかったという調査報告でございました。
今、報償費のことについての御指摘がございました。これはキャッシュバックという今委員からの御指摘がございましたけれども、反則金は一たん国庫に入るわけでございますから、そういう意味でキャッシュバック、そういう言葉はまさに当たらないとは思いますが、規程によって愛媛県警察においてそうした支払いがなされたものだ、こういうふうに私も理解をしております。
○宇佐美委員 時間ですので終了させていただきますが、引き続き、この問題など今後もやらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
きょうは竹中大臣が時間をとってお出ましできることになったので、前から議論したいなと思っていたことをきょう議論させていただきたいと思います。
そもそも私は、余りワンイシュー政治はやめた方がいいという思いがありまして、民営化なら民営化、消費税アップなら消費税アップとか、そういうことばかりで政治が一緒くたになるのはよくないと思います。実は、きょうの話は内閣委員会そのものとは多少離れているかもしれないけれども、民営化というところで、内閣委員会も構造改革とかそういうことで非常に重要な議論をしておりますし、その意味で、きょうは有料老人ホームの問題を取り上げさせていただきたいと思っています。
というのも、きょうなぜ有料老人ホームかというと、竹中大臣が以前書かれた御著書「竹中教授のみんなの経済学」、この中の二百二十八ページに、子供に迷惑をかけないで老後を暮らす、一つの方法は有料老人ホームである、こういう御主張をされておりまして、このことについてきょう議論させていただきたいと思っています。
なぜ有料老人ホームをきょう取り上げるのか。きょうは厚生労働省さんにも来ていただいていますが、今回、介護保険法改正案、この間衆議院も通過して、参議院の方は通ったんですかね。この中で住所地特例というのを有料老人ホームについても設けるということでございますけれども、この住所地特例について、もう一度ここで御説明いただけませんでしょうか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
介護保険におきましては、本人の住所地において被保険者となるというのが原則でございますが、この住所地特例におきましては、施設に入所する前の市町村の被保険者になるという特例でございます。これは、施設に入った方の保険給付の負担の公平を図るということで、限定的ではございますが、そういう住所地についての特例的な扱いをしているというものでございます。
○市村委員 今のを私なりに具体的に申し上げます。
例えば、また宇佐美さんの地元かもしれませんが、東京都の大田区にお住まいの方が埼玉県所沢市の方に例えば有料老人ホームを買って住まれたというときに、これまでは、大田区にもともと家があるわけですから、大田区に住民票を置いてあるといった場合、大田区が介護保険上のいろいろな費用を負担するわけですね。
ところが、実際には所沢市の有料老人ホームに住んでいるわけですから、所沢市でいろいろな消費もしているんですね。これまで特養の場合は住所地特例があって、それでも、これは所沢市に移っちゃうと、所沢市が今度は負担しなくちゃいけないんです。ところが、これまで特養なんかは、もとの住所、特養が例えば所沢市にあっても、大田区にもとお住まいだったら、大田区が負担をしていたんです。有料老人ホームはだめだったんですね。今回の介護保険法改正で、有料老人ホームに関しても特養と同じような状況を、住所地特例を与えるとなったわけです。
ところが、どうなるか。これまで、なるべく有料老人ホームは来てほしくなかったわけです、郊外のところは。だって、負担だけふえるわけです。負担ばかりふえて、しかも、住所地はもともと大田区なんかにあると、大田区の方で税金を払っている。ところが、今後、有料老人ホームもこれでその特例が課されますから、住所地特例が適用されますから、結局、有料老人ホームが郊外に爆発的にふえる環境が整ってくるんです。これを私は悪いと言っていないんです。いいんです、これで。
いいんですが、では、有料老人ホームが、まさに竹中大臣がおっしゃっているように、子供に迷惑をかけない一つの方法だとして、では、ここに書いてありますように、「たとえば、いま保有している土地と建物の価値が一億円あるとします。これを売却するのです。その売却代金で、夫婦二人で有料老人ホームに入居します。」ということになっているわけですね。
それで、入居した老人ホームがもしつぶれた日、これからは粗製乱造で、だからどんどんふえていくわけです。多分、ビジネスチャンスと思ってこれに目をつけている人はいるはずです、いるんです。
というのも、きのうの新聞、六月九日木曜の新聞、日経の夕刊一面ですよね。「病院・老人ホームに投資 楽天証券・三井不など 市場拡大見込む」つまり、高齢者ファンドをつくる。ヘルスケアファンドをつくって、結局、有料老人ホームをどんどんつくっていく際にファンドをつくっていこうということで、実際に今住所地特例が適用されて、どんどんこれはふえていこうということになっているわけです。きのうですよ、きのう。
では、これも仕方ない、これからそれこそ団塊世代の皆さんがどんどん高齢化されて、これが必要になってくる。それは流れとしてはいいでしょう。しかし、粗製乱造で、一億円で売却して、払って入って、これで一生のついの住みかだと思って入ったものの、倒産しました、もうだめです、出ていってください、もうあなたはここに住めませんとなった場合にどうなるかというのは、非常にこれは考えておかないと、よかったよかったでは済まない問題であろうと思います。このことをきょう実は議論したいんです。
大臣に、やはり今でもこの御主張は変わっていらっしゃらないか、まず一言御見解をいただきたいと思います。
○竹中国務大臣 市村委員の問題意識は、我々団塊の世代の者にとっても大変大きな関心事でございますので、ぜひ、よい御議論をいただきたいと思います。
ちょっと私ごとですけれども、今私は団塊の世代の一番下なんですね。実は、有料老人ホームのダイレクトメールが物すごくたくさん来るんです。これは、六十五まであと十年だ、有料老人ホームはいろいろありますけれども、結構高いものが多いですから、やはり準備するのに十年ぐらいかかるということを示唆しているわけですね。
それで、自分の持っている資産の売却も含めて、十年ぐらいしっかり準備しろ、そういうことからダイレクトメールが来るわけですが、同時に、そのときに心配になるのは、一生かかって積み上げてきたものを有料老人ホームの入居金として払って、あとは何とか安心かもしれないけれども、その経営が本当にだめになったら人生どうなるんだ。その不安は、やはり当然のことながら、ダイレクトメールをもらった瞬間に感じるわけですね。
そういう意味では、有料老人ホームというのは、これだけ少子化が進んでくる中で、やはり子供にできるだけ迷惑をかけたくない、うちも一人っ子でありますから、私と妻の老後が全部一人の娘に行ったら、この娘の人生はどうなるだろうかというふうに考えますので、そこは有料老人ホームというのは、それだけではありませんが、やはりこれから老後の生活を支える一つの大変重要な手段になっていく。
そのときに、委員がまさに御指摘のように、その基盤がしっかりしていること、恐らく心配なのは、まだこういう事例がありませんから、入居してどのぐらいそこにお世話になるかという一種の確率計算が、どのぐらいちゃんと安定、長期確率で、大数の法則でできているんだろうかというようなことも含めて、やはり本当にしっかりとした制度設計とそれに基づく経営がどうしても必要になるし、利用者から見るとやはり最大の関心事になるというふうに思っております。
○市村委員 まさにそうなんです。だから、例えば今郵政特でも骨格の問題が非常に議論になっていると思いますけれども、結局、今まさに大臣がおっしゃったとおりなんです。こういうのも骨格をちゃんとつくっておかないと。何となく、つくって、つくれるぞ。ではファンドもつくっらどうだ、お金はあるぞ、つくろう。しかも、皆さんニーズは高いわけです。
そのときに、私は、ずっとこれは今まで問題を指摘してきたのは、結局、ちゃんとした表示がされているか、つまり、ちゃんとした情報がその有料老人ホームについてされてきているかということで、不当景品類及び不当表示防止法について、ずっと私はこれに取り組んできているんですね。四条一項三号で、今いろいろと、今後そういった不当表示がないようにということで公取さんも去年頑張って、十月一日に施行されている。今後、多分これは排除命令が出てくるでしょう。
こういうこともしておかないと、結局、消費者の立場に立ったときに、わからないわけですね。焦らされて、早く買った方がいいですよ、これは得ですよなんて言われて、買ってしまったら後の祭りということではだめなわけですから、こういうこともやってきました。
それで、厚生労働省さんにちょっとお聞きしたいんですが、「有料老人ホーム入居者基金制度のご案内」とありまして、社団法人全国有料老人ホーム協会が出しておりますが、この入居者基金制度についてちょっと御説明いただけますでしょうか。
○新島政府参考人 御説明いたします。
入居一時金の取り扱いの関係でございますけれども、この基金制度につきましては、この協会に加盟している有料老人ホームが一人当たり二十万の拠出金を拠出することによりまして基金の造成をいたしまして、倒産等によって退所を余儀なくされるという場合に一人当たり五百万円が支払われる、こういう仕組みでございます。
○市村委員 では、そもそも二十万円はだれが負担をするんでしょうか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
これは、各有料老人ホームが負担をするという形になります。
○市村委員 では、二十万拠出して、それが有料老人ホーム協会に行きますが、有料老人ホーム協会はどのようにその基金を管理しているんでしょうか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
協会におきましては、この二十万円を必要な経費ということで一部基金に積み立てをする。一部につきましては、これは保険会社との契約によりまして特別の保険契約を結びまして、倒産等においては、その保険会社から基金の方に所要の保険金が出されるという仕組みになってございます。
○市村委員 その保険会社とはどのような保険会社なんでしょうか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
これにつきましては、それぞれ保険の契約ということで所要の契約がなされるわけでございまして、入居者との関係においては直接の関係に立たないということで、あくまで基金と協会とそれから保険会社との間でそういう取り決めをする、それに基づきまして基金に対して支払われるという形でございます。
○市村委員 私がお聞きしているのは、具体的にどこの保険会社ですかということです。どういうたぐいの、生命保険なのか損害保険なのか、何保険なのか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
損害保険会社九社による共同保険ということでございます。
○市村委員 九社と言っておりますが、私が得ている情報だとかなり偏りがあるという状況です。その上位一、二社が大体その保険契約の何%を占めているか、教えていただけますでしょうか。
上位一社でいいです。一社が何%を占めているのかです。
○新島政府参考人 お答えいたします。
特別にどの損害保険会社かということはちょっと承知する立場にございませんので、御理解いただきたいと思います。
○市村委員 御存じないんでしょうか。
○新島政府参考人 あくまで民間と民間の関係ということでございますので、承知する立場にないということでございます。
○市村委員 これは、いつも公益法人の話をするとすぐ民と逃れられるんですけれども、私はこの場でも言っているように、公益法人改革は行政改革の一環として政府はやっていらっしゃるんです。もうその言い逃れはしちゃいけないと言っているわけですから。この社団法人有料老人ホーム協会、これは民法三十四条法人なんですけれども、これは法律に書かれていますよね。違いますか。どうですか。その事実だけ教えてください。
○新島政府参考人 お答えいたします。
老人福祉法において規定されている法人でございます。
○市村委員 だからおかしいんですよ。あるときはその言い逃れで民間です、あるときは公益、行政改革の一環ですとか。だから、あの民法三十四条はおかしい、その法人はおかしいということをずっと私は申し上げているんです。そういう老人福祉法で書かれたれっきとした、ある種公的、公的という言葉は言わないですが、僕はこれは官の支配にある法人だと言っていいと思いますよ、傘の下の法人。それについて民間と言い逃れしてほしくないし、やはり民民の契約だからじゃなくて、それについては、ちゃんとどこの損害保険会社かということはわかっているはずですよ。どうですか。わかっていらっしゃいませんか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
あくまで入居者基金につきましては、有料老人ホーム協会の制度でございます。御指摘のようなどこにということにつきましては、まず法人自身が優先して判断するということでございますので、厚生労働省といたしましては、その法人の所管官庁として、運営につきまして一般的な指導なり監督ということは行いますけれども、個別の事業そのものにつきまして述べる立場にないというふうに考えております。
○市村委員 いつもむなしくなりますけれども、こういう議論をしていると。
結局、大切なのは消費者なんです、さっきから議論しているように。そんなことで本当に消費者を守れるのかということなんですね。これは実は非常に大切なんです。倒産したときに救ってくれるのはこれぐらいしかないんです、制度的には。しかも、たった五百万ですよ、五百万です。こんなので本当に、それこそ竹中大臣、一億かけて、何か倒産したら五百万だけ返ってきますと。しかも、その五百万も実は、今議論したかったんですけれども、返ってこない可能性だってあるんですよ。
だから、損害保険会社が、多分、私の得ている情報では、一社で七割ぐらいの契約を持ってしまっているらしいんですね、状況としては。しかも、そこも、もうちょっとかなわぬなと。銀行の預金保険機構じゃありませんけれども、粗製乱造でばたばたいった場合に、はい、五百万円をどんどん払ってくださいといったときに、これは向けられないぞ、そうしたところになっているかもしれないんですよね。
だから、今後、このスキーム自体がもう本当に破綻する可能性が高いという状況の中で、この状況を続けているとすれば、これは非常に消費者の観点からすると、いいかげんにしてくれ、こういう話になると思うんですが、大臣、いかがですか、今の議論を聞かれて。元金融担当大臣でいらっしゃいますので、損害保険会社のあれなんですけれども、どうぞ、大臣。
○竹中国務大臣 ちょっと私、制度の詳細は申しわけありませんが全く存じ上げておりませんし、また所管外でありますので、コメントは控えさせていただくべきだと思います。市村委員の問題意識は問題意識として、大変よく理解できると思います。
同時に、制度設計をしている担当部局では、いろいろな制約の中で懸命にそういう努力はしているかというふうに思いますので、そこら辺はぜひいろいろ活発な御審議をいただきたい。
具体的なコメントは、申しわけございませんが控えさせていただきます。
○市村委員 大臣も苦しいと思いますのでこれ以上お聞きはしませんが、今後、結局、一時期のアメリカのような状況になるだろうというふうに思います。
アメリカでナーシングホーム、いわゆる有料老人ホームのようなものが発展した、急拡大した背景に、メディケード、メディケアという二つの公的な制度が一九六五年に成立した、これがやはり大きな影響だったと思います。ところが、結局、メディケード、メディケアの相次ぐ給付の削減によってナーシングホーム産業の凋落は激しかったということになりまして、その状況を聞くと、結局、人件費が削られて、職員の質が低下して、トラブルが多発したということ、そして訴訟のあらしだったということ、アメリカのこういう報告をしてくださっている方もおられます。
今後、結局、同じようなことが、介護保険の今回の改正等で有料老人ホームがどんどんできてきた、公的な資金が入っていかないということになったときに、さあ、どうやるかということはよくよく考えておかないと、やはりこれは本当に後の祭りでは済まされないことだと思うんです。ですから、厚生労働省の皆さんには、ぜひともこの辺はしっかりと考えた上で今後当たっていただきたいと思っております。
また、今、老人福祉法の改正の中で、有料老人ホームの見直しも参議院の審議の中でしていただいているということも聞いております。厚生労働省さんとしても、この問題については大変重い問題だと思われて取り組んでいただいているんだと思います。だから、それは評価をしますが、このままではやはり足りないと思います。いまだに先ほどのように民民の契約だからといって逃れている場合でもないと思います。
きょうは公取の方にもいらっしゃっていただいていると思うのですが、四条三号について今どういった状況かということも、今、そうした排除命令はまだこの法律に基づいては出ていないと思いますが、取り組み状況についてちょっと教えていただけますか。公取さん、来ていただいていると思いますが。
○山木政府参考人 この問題につきましては、先日も御質問がございまして、基本的には変わっておりません。有料老人ホームの表示につきましては、やはりこの取引が長期にわたる取引であるということ、それから一たん取引をすると取りやめるというようなことが非常に難しい、それからサービスの取引でございますのでなかなか目に見えにくいということでございまして、入居を選択するときの表示が極めて重要だということで、昨年、有料老人ホーム等に関する不当な表示ということで特別のルールまで制定して、私ども、景品表示法を運用しているところでございます。
具体的な事件につきましては、具体的なものがあれば処理をするということで当たっておりますけれども、これまで十数件以上のものについて処理をしたわけでございます。
今後とも、問題のあるものについては是正をしていくということで、有料老人ホーム等に関する不等な表示の告示を運用していきたい、景品表示法を運用していきたい、このように思っております。
○市村委員 今のことに関して厚生労働省さんにお聞きしたいのですが、有料老人ホームの入居者については、その居室についての居住権というのはあるんでしょうか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
入居者の居住権ということのお尋ねでございますけれども、有料老人ホームにつきましては、居住サービスそれから生活支援サービスとあわせて提供するということでございますが、この権利形態につきましては、いわゆる終身利用権という債権的な問題と、それから賃貸借によるもの、それから終身建物賃貸借制度によるものということで、大きく分けてこの三つの類型があるということでございます。
いずれにしましても、入居者が適切に情報提供された上で選択をしていくということが重要であるというふうに考えておりますので、我々といたしましては、この重要事項説明書等における表示事項として、事業者に対して表示をすることを求めているところということでございます。
○市村委員 いろいろ御説明いただきましたが、一言、では、居住権というものはないということですか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
居住権という法律概念をどうとらえるかということでございますが、相手方に対しての債権という形では利用権はあるということでございますが、仮に物件の使用者が変わった場合にどこまで対抗できるのかという意味では、普通の債権ですと対抗できないということでございますので、そういう意味では完全な居住権という形では構成されていないということでございます。
○市村委員 もう一度教えていただきたいんですが、先ほどの説明の中で借家権はあると考えていいんでしょうか。
○新島政府参考人 お答えいたします。
施設に居住をする際の契約いかんによるというふうに考えております。
賃貸借契約ということになりますと、通常の場合ですと、これは相続の対象になりますし、所有者が変わった場合でも対抗できるという法律構成でございますので、その辺は入居する際の入居の契約の内容いかんによるというふうに考えております。
○市村委員 例えば、それは、有料老人ホームの入居者に対して終身借家権を付与するという考え方があるんですが、これについてどう思われますか。
○新島政府参考人 今ほどもお答えしましたように、いわゆる終身利用権、あるいは賃貸借によるもの、あるいは終身建物賃貸借制度によるものということでございます。例えば、三番目の終身建物賃貸借制度によるものですと、これは終身居住できるという形で構成をされております。
いずれにしましても、先ほど申し上げたように入居時の内容いかん、契約いかんということでございますので、選択をする際の情報開示、情報提供というのは極めて大事だというふうに考えておるところでございます。
○市村委員 まず入居時の契約いかんというのも、またこれから大きな課題だと思います。
例えば、若い私たちですら、賃貸借契約を結ぶときに、あの細かい字を読んでいるかというと、ほとんど読んでいないと思います。この間、私、部屋を借りるときに三十分ぐらいかかって全部読まされたんです、一字一句。それで、いいですかと言われて賃貸借契約もさせられた覚えがありますけれども、要するに、ほとんどわからないんですよ。
入居時の契約いかんによるといって、そのときは早く買った方がいいですよ、こんなものもう出ませんよとか言われて焦って買わされて、だから後の祭りで、終わったら、いや、あなた、契約書見てくださいよ、そんなことどこに書いてありますかと。こういうことは若い者もだめなのに、ましてや高齢者になった方たちにそれをやれというのはなかなかこれは難しい話ですよ。
だから、そういうことであれば、やはり消費者の観点に今のところまだ立っていないんですよ。これからやはりふえていくんです。ふえるということを選択したんです、法律上。我々は制度を選択したんですから。だから、選択した以上、では消費者保護という観点をしっかりと一方で入れておかないと、後からいろいろな問題が発生して、いやいや、あれは、そんな発生するとは予見できませんでしたなんということは、言い逃れしないでくださいね。きょう、ちゃんとここで話をしていますから、もう言い逃れだけはしないでください。ちゃんと国会でもう話をしていますからね。
だから、これから五年後、十年後の流れの中で、こうしたことの指摘があったんですから、しっかりとこれについて対策をとっていただきたい。手を打っていただいた上で、これからのまさに団塊世代の皆さん以上の方は、これから有料老人ホーム、もう特養はできないんですからね。
最後に一つだけ指摘をしておきますが、有料老人ホームは、何と施設介護じゃないんです、厚生労働省の範疇では。これは在宅介護に入っているんです。こういうことも含めて、きちっと、有料老人ホームは在宅へ入っちゃっているでしょう。どう考えても一般的に見たらこれは施設介護です。さっきの宇佐美さんのときにも、これはキャッシュバックじゃないといっても、あんなのどう見たって世の中が見たらキャッシュバックなわけですよ。だから、幾らでも言い逃れ、説明できるかもしれないけれども、それじゃだめなんですよ。やはり、一般国民がどう見るかということを意識しながら、わかりやすい表現をやってもらわなくちゃいけないし、ちゃんと情報公開してもらわなくちゃいけない。
それがある種、消費者を大切にするという姿勢につながってくると思いますので、ぜひとも、竹中大臣に最後に一言だけ感想を言っていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 今御指摘の問題は、やはりこれから高齢化社会が本格化する、二〇〇七年以降は日本の人口全体が減り始める、そういうような中で、国民的な関心も非常に高まっていく問題であろうかと思います。
市村委員にはぜひいろいろ御指導賜りたいと思いますし、担当部局の方は担当部局の方でしっかりと対応していくものというふうに思っております。
○市村委員 では、質問を終わります。ありがとうございました。
○松下委員長 次に、島田久君。
○島田委員 民主党・無所属クラブの島田久でございます。
質問通告する前に、幾分私も感想をちょっと聞かせていただきたいと思うんですけれども、特に、竹中大臣にお伺いいたします。
私もちょっと私学の経営に携わっている者として、最近の金融事情の大きな変化というものに対応しなきゃならぬ苦しさを味わっているんですね。
それはなぜかといいますと、今まで学校をつくる、東京で五十年来新設の学校はないと言われた学校を、私学経営の苦しさというものを自分で身に感じながら、急増期の段階で、借金ばかりで進んできた学校なものですから、ある一定の大きな銀行に基本的には全額借金で進んできたんですね。
そういう中で、最近の金融事情の大きな変化の中で、金融取引のあり方というものを根本的に考えなきゃならない状況になってまいりました。
そういう中で、一つここで、地域再生も絡んで、市がつくった工場誘致というのがあるんですけれども、外資系の会社で、三回ぐらい統合合併して、今はヒューレット・パッカード、アメリカで一番大きい会社が持っていて、ここで統合でその会社を引き揚げた。壊すのももったいないから、学校の入り口のすぐ近くにあるものだから、何とか学校として使ってくれないかということで、大変だけれども何とか乗り切ろうということで、一応購入をしました。
その購入する時点で、今までは単独の銀行で融資を受けていました。今の金融事情の大きな変化の中で、リスクを伴うためにシンジケートを組んで金融を受けてほしいという、どちらかといったら銀行さん主導型の一応融資の仕方。私は、義理と人情の世界みたいなところがあって、銀行をかえるのは嫌だという自分の信念みたいなものを持っていたんですけれども、シンジケートを地域の金融機関との間に組まなきゃいけない。そのシンジケートを組んでいくことはいいんですけれども、利息の上に事務費を乗せられるんですね。これは、定款、約款で多分決められると思うんですが。
今の金融事情というものの中で、リスクを伴うための金融のあり方として、こういう指導が大手銀行の中で進められているような気がするんです。それは、これからの地域再生あるいは中小企業に対する融資のあり方、これはただ単に金融のあり方だけではなくて、政策全体の中で、今までのどちらかというと日本のいろいろな和の精神、あるいは、いつも言うんですけれども、契約約款には必ず最後には協議をしますという日本的な一つの契約約款的なものがある。
それがずっと今、構造改革、官から民へというような形の中で、社会的な大きな変化が起きている。この変化に対してどう対応していかなきゃならぬという大きな問題があるんですけれども、ここのところの政策という側面から、大臣はどんなお考えをお持ちでしょうか、感想だけお聞かせください。
○竹中国務大臣 島田委員が学園の理事長として大変御活躍になってきておられる、私も承知をしております。今のお話、学園経営、私学経営という観点から、大変示唆に富んだお話だと思います。
これは、基本的には金融担当大臣にお答えいただく方がよいかもしれないんですが、私の知る範囲で申し上げさせていただきますと、やはり特に地域密着型の金融、中小企業の金融、そういうものに関しては、まさに間柄を重視して、間柄ということの意味は、数字にはあらわれない定性情報が、地元に非常に近い、かつ、長年つき合いのある間柄ではわかるはずだ。それを大事にすることこそが金融機関にとっても重要であって、かつ、中小企業の再生、地域の再生に重要であるという観点から、まさに間柄、リレーションシップバンキングという考え方で、三年前からそういう枠組みのもとで金融行政が中小機関、地域機関に関しては私は行われているというふうに思います。
具体例として、いろいろなものがあるのかもしれませんが、これは、私の知る範囲では、そういう各金融機関に、リレーションシップバンキング、間柄を重視した、それぞれのユニークな、経営をどのように立てるのかというプランをつくらせて、これは金融庁が報告徴求をして、それでそのプランを出させて、それに基づいていろいろなチェックを事後的にしていくというふうに承知をしております。
そういう中で、これは個別の事例のことを存じ上げませんので余り申し上げることもできませんが、私はやはり、委員おっしゃったような間柄、まさにリレーションシップを重視していかないと、これは企業も困るし銀行も困るということになるのではないかと思います。
一方で、これまで銀行はやはり収益力が弱い弱いというふうに言われて、収益力を改善するためのいろいろな工夫をして、その工夫がともすれば非常に無理な話というようなものになっているのかもしれませんけれども、そこはやはり、金融機関のあり方としても定性的情報、間柄に立ち返らないと、これはみずからの首を絞めることになるはずでありまして、私としては、そういうような枠組みで金融行政はぜひやっていただきたいというふうに思っております。
○島田委員 そこで、二十一世紀ビジョンの基本的なことについてお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、財政制度審議会の合同部会の四月二十一日の議事録を読ませていただきました。
当日の議題として、日本二十一世紀ビジョンについて議論が行われたようですが、その席上、政府税調の石弘光会長が、どうもこれは楽観的に見えますね、これだと税調も楽だと思ってさっきから聞いていたのですがという発言をされた議事録になっています。その中で、臨時委員である井堀利宏東京大学大学院教授も、石先生の御指摘はごもっともだと思いますというような発言をされているわけであります。
そういう意味で、この二十一世紀ビジョンを立てる前提として、税調の関係あるいは将来の経済運営の問題等について、こういう見方等もあるんですけれども、担当大臣としてはどんな御感想をお持ちでしょうか。
○竹中国務大臣 このビジョンの試算でございますけれども、これは二十一世紀ビジョンの経済財政展望ワーキンググループというワーキンググループで行われた試算でございまして、これは京都大学の吉田教授が主査となっていまして、吉田先生が基本的な前提を置いて、吉田主査による試算だということだと認識をしておりますけれども、これはなかなか仕組みがややこしいもので、ちょっと誤解がある面もあると思います。委員は御承知だと思いますが、いろいろな議論で、こういうことなんでございます。
まず、二〇一〇年代の初頭までにプライマリーバランス、基礎的財政収支を回復させる。これはもう骨太の方針、「改革と展望」で一貫して我々が目指しているところでありまして、そこまでとにかく我々としては何とか当面の目標として進めたいということを今までも言ってまいりました。
二〇〇六年度までは消費税を上げません、それ以降についてどうするかということは二〇〇六年度中に結論を出しましょう、歳出をさらに抑えていくのか、国民の負担もあり得るのかということを二〇〇六年度までにやりましょう。しかし、何はともあれ二〇一二年度、「改革と展望」の試算ですと二〇一二年度ですけれども、そこでとにかくプライマリーバランスは回復させましょう。これが第一ステップでございます。
吉田教授のこの二十一世紀ビジョンでの試算というのは、実はその後の議論なんでございます。二〇一二年度までの目標が達成をされたとして、その後しかし第二段階として、公債残高を下げていくようなしっかりとした政策をとるためにさらに何が必要かということの議論をしてくださっています。
そこで、二〇一二年度までの第一ステップに関しては、これはいろいろなやり方をこれから議論するわけですが、便宜上、歳出削減によってそれを実現するということを仮定した上で、さあ、その後の議論をしていただいているということなんでございます。したがって、そこで二〇一二年の先の議論をする。
二〇一二年度までをどうするかについてはまだ議論の途中であるということですから、これは何らかの前提を置かないと議論できないわけですので、その意味での機械的な前提を置いている。その前提について、財政審等々で、主に歳出削減のみによって二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支が黒字化するという、これが楽観的過ぎるという御指摘があったというふうに承知をしております。
しかし、繰り返しますが、二〇一二年度までどうするかということについては、これは改めて、まさに歳出歳入一体改革で今議論をしているところでございますので、あくまでシミュレーションの便宜上の一つの仮定だというふうに私たちは理解をしております。
○島田委員 そうすると、その甘さということは、将来の展望だから幾分甘い側面があるんだという理解だと思うんです。しかし、それを規定している「改革と展望」の中期計画を一応読んでみても、プライマリーバランスを実現できるというようなところが、どうも、そういうところまで含めて甘いのかなというふうに私は理解をしたんですけれども、本当に黒字、プライマリーバランスを実現できるということが「改革と展望」の中に具体的に提示をされているんでしょうか。どうも、読んでみてもその辺のところが、具体的に展望がないような感じが、そこを含めて甘い、こう言っているんじゃないでしょうか。私はそう理解したんです。それは間違っているんでしょうか。どうでしょうか。
○竹中国務大臣 島田委員の御指摘は、まさにある意味でマクロ政策運営の核心的問題でありまして、二〇一二年度ころにプライマリーバランスを回復するというふうな「改革と展望」の枠組みを示しているわけですけれども、これは本当にできるのか、その道筋というのはちゃんと示されているのか、まさにそういう核心の御質問であろうかと思います。
これに関しましては、私たちは枠組みは一貫して示しているつもりでございますけれども、それを実現するための具体策については今後さらに詰めなければいけない部分がある、こういう御説明に尽きるかと思います。
枠組みと申しますのは、まず二〇〇六年度までに関しては、歳出をふやさない、一般政府の大きさは対GDP比でふやさない、したがって緩やかに歳出のキャップをはめている。そういう状況の中で、経済が回復するのを待って、税収が少しずつ上がってくる、それによって毎年ある程度の赤字の縮小が生じる。そういう形でこのペースを続けていきますとプライマリーバランスの回復が可能だ、そのような試算をしているわけで、実はここ数年に関しましてはおおむねこの試算どおりの動きが実現しております。
プライマリーバランスの赤字というのはGDP比で今四%台というふうに承知をしておりますが、あと八年ぐらいでこれをゼロにするということになりますと、四を八で割りますと、GDP比で毎年〇・五%ぐらい縮めていかなければいけない。今ようやく、歳出を抑えて、かつ景気の回復によってこのペースが何とか見えてきているというのが現状でございます。
しかし、これは当初から「改革と展望」で指摘していますように、それは当面二〇〇六年度まででしょう、二〇〇七年度以降もそのように歳出を抑え続けるのがよいのか、それとも国民の負担をしかるべく考えていただく方がよいのか、それは二〇〇七年度以降の問題として、二〇〇六年度中には結論を出しましょうと。今まさに委員がおっしゃったその具体的な道筋に関しては、二〇〇六年度までに再度詰めましょう、そういう約束事になっているわけでございます。
この点に関して、これは歳出歳入一体改革というふうに我々は呼んでおりますけれども、歳出歳入一体改革をことし、来年、しっかりと諮問会議等々でもやっていく、そういう段取りになっておりまして、その中で委員が指摘のまさにより具体的な姿というものを詰めていきたいというふうに思っております。
○島田委員 そういう中で、当の竹中理念というんでしょうか竹中理論というんでしょうか、よく工程表ということが出てくるんですけれども、この経済運営の中に、では具体的に、工程表というものと政策を実現する過程というものについて、どんな理念、考えでその工程表という考えが位置づけられるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
○竹中国務大臣 島田委員のお尋ねはビジョンの方でございますね。二十一世紀ビジョンを示したけれども、それは具体策に乏しいのではないか、その中で工程表のような具体的施策の提示が必要なのではないか、そのようなお尋ねであるかというふうに思います。これは、新聞等々でもそのような御批判をいただいたものがあると承知をしております。
そもそも二十一世紀ビジョンというのは、今後四半世紀、二十五年を展望するから、西暦二〇三〇年時点での日本の姿ということになるわけですけれども、まさにこの国の目指すべき形とその方策について提示をする。私自身は、これはよく使う言葉でありますけれども、要するに、二十五年先の大きな絵、ビッグピクチャーを示そうではないか。そのビッグピクチャーを専門家に集まって示していただいたものでございます。そうすることによって、国民各層あるいは政府が将来を考える際の一つの糧として活用されることを期待しているものでございます。
したがいまして、これはすべて即、具体的な政策に結びつくという性格のものではございません。当然のことながら、具体的な政策ないしは政策を体現した予算につきましては、経済財政諮問会議等々で、骨太の方針を毎年毎年必要に応じて審議をし策定をして、また予算のあり方についても審議をしているという、その毎年毎年の政策プロセスでこれはしっかりとやっていかなければいけないものだというふうに思っております。
ただ、その際に、二〇三〇年の日本の姿についてのビジョンを持ちながら足元の施策を議論することが大切である。そういう趣旨からビッグピクチャー、将来の姿を示させていただいておりますので、そのピクチャーがどうであるかということは、これは幅広く国民の皆さんに御議論をいただきたい。そして、そのビジョンを認識しながら、各年の施策については、これまでもそうしてまいりましたように、幅広く骨太の方針等々で議論し、また年次の予算に反映させていくべきものであるというふうに思っております。
○島田委員 そういう中で、より具体性を伴っていかなければ、国民に理解し得る、あるいは説明責任という側面から考えても、なかなかそこのところが、ビジョンといっても、理解し得ない政策立てというのはやはり問題点も多くあるのではないかなというふうに思うんですね。
こだわるんですけれども、特に工程表という考え方は、どうも時間軸によって物事、政策を決めていくという大きな問題点があると私は見ているんですね。政治の制度、あり方、人間の将来、ビジョンですから、夢や希望というものを時間的なもので規定をしていく、そこのビジョンを立てる基礎的なところにどうも大きな問題があるような気がいたします。
そこに政策ビジョンを立てる上の情勢分析が甘い、その上で時間軸で決めてかかる、小さな政府をつくるというどうもその辺のところに無理があるというのか、本当の意味で日本の経済そのものを立て直すという側面から考えて、工程表という形で物事を位置づけ、政策立てていくというのが本当にいいのかどうかということについて私は疑問を感じているものですから、ちょっとくどいようで申しわけないんですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
○竹中国務大臣 工程表というのは、時間軸を設定してしっかりとその進捗を管理することである、それは委員の御指摘のとおりであると思います。
その際に、その時間軸という一つの縛りを持つことがよいことなのか悪いことなのか、これは実はいろいろな御意見があろうかと思います。結論から言いますと、これは物事にもよる、ケースにもよるということだと思います。
例えば、申し上げますと、やはり非常に金融が切迫した状況で、二年半程度で不良債権を半分にしようと。これは、そういう目標を三年前に立てましたときにいろいろな御批判も受けましたけれども、やはりしかし、これは時間を設定して、限られた時間で集中的にやるというのは、ああいう場合はやはり必要であったのだというふうに私は思います。
いろいろな意見の対立があって、もめてもめてなかなか決まらない。当事者も、実はなかなか、決めるのに汗をかいて、嫌になって、もう来年に先延ばしだというようなことに多くの問題がなりがちなんですけれども、そうならないようにするためには、今年度中に結論を出すとか、そういう縛りをみずからに課す場合も必要であろうかと私は思います。
したがいまして、そこはケースによるんだと思うんですが、実は二十一世紀ビジョンに関しては、これは性格上、非常に長い期間でございますから、そのようなアプローチは明示的にはとってはいないということでございます。むしろ、戦略といいますか方向性をしっかりと示す。例えば、将来像、ビッグピクチャーを描いて、それを実現するために、例えばですけれども「グローバル化を最大限に活かす」、そういうような戦略、方向性を示している。「国民が選ぶ「公」の価値を提供する仕組みを築く」、これも戦略、方向性を示している。その意味では、厳密な短期の工程表をつくって管理するというものとはこれは性格が違うものであるし、違うアプローチをとっているというふうに認識をしております。
○島田委員 そうしますと、「改革と展望」の中期的なところに、工程表そのものをさらに組み直してというよりも、甘いというような評価もあるんですね。
そうすると、長期的なビジョンは別にして、短期的な、例えば重点と言っていますね。このビジョンの中にも、重点を何年度からと決めて、その中に位置づけて決めていくというような考えも出ているようですけれども、そうすると、私は、竹中理念みたいな、工程表というのはどうもそういうものの中に生まれてきたような理解をしていたんですけれども、そのときの状況変化によって工程表というのは変化するんでしょうか。今までは時間軸で政策立てをし、例えば金融の場合はそうだったけれども、これからも、例えば郵政民営化においても、工程表という形のものは入るんでしょうか、入らないんでしょうか。本質とはちょっとそれるかもしれませんけれども、これは竹中経済理論の大事なところなものですから、その辺をちょっとお伺いできますでしょうか。
○竹中国務大臣 基本的には、竹中経済理論と呼んでいただくような、そんな立派なものではないというふうに思っております。要は、実務、実際の政策に即して考えるならば、やはり短期的な課題に関しては、これはある程度めどを区切っていろいろやっていくということが必要でありましょうから、ある程度工程的なものが私は必要になってくるというふうに思います。
もう少し中期的なものについては、工程的に管理できるものは、やはり今でも管理をしようとしているわけです。管理というのは言い過ぎかもしれませんが、例えば総理が、二〇一〇年で外国人観光旅行者を、これは一〇年だったでしょうか、ちょっと年限は正確ではありませんけれども、一千万人にしよう、これも立派な目標でありますし、何年以内に海外直接投資の残高を倍増させよう、これもやはり期間を決めた、時間軸を持った一つの政策の目標を実現するための管理なんだと思います。もちろん、中期の問題に関しては、そういうものができるものもあれば、できないものもあるということであろうかと思います。
したがって、一般論としては、短期の当面の政策については、これはできるだけ時間を区切って、物事を着実に結果を出していくという姿勢が私は必要だというふうに思いますが、より中期、長期になりますと、そこはケースによるということであろうかと思っております。
最後に、お尋ねの郵政についてでありますけれども、これは実は郵政の民営化そのものが、諸外国の事例を見ましても、大変時間のかかる仕事でございます。ドイツの民営化は一九九五年に着手をしましたが、まだ今の時点で一〇〇%は完成をしておりません。もう既に十年たっているわけでございます。我々は、約十年間という移行期間を設定して、その間に、銀行や保険については完全民営化を達成させたいというふうに思っているわけでございますので、その意味では、こういう大きなプロジェクト、民営化等々については、やはりある程度の中期的な目標の設定は必要になると思いますし、それは法案の中でもそのように取り扱っているということでございます。
また、短期には、できるだけ早い時期にむしろ準備企画会社を設立していろいろな準備を整えよう、そして今まさに法案の御審議をいただいておりますけれども、我々が、政府が提出している法案では、二〇〇七年四月に何とか民営化を実現したい、そのような時間軸を持って提案をさせていただいているわけでございます。
○島田委員 今の答弁と、実は、三十年先のビジョンという中で、この郵政問題も一つの大きなビジョンとしてどう描かれているかというのは大きな課題であるし、財政を立て直すという意味においても重要だと私は思っているんですね。
例えば、昔ですと、銀行にお金を集めて、信用金庫さんが中小企業から暮れになるとお金を集めて、銀行に、通帳も預かって積んでいた。そういう古い傾向の中で、ことしの暮れはどうなったんですかと交番で聞いたんですね。そうしたら、この前も話をしたことがあるんですけれども、郵便貯金、郵便局は、三十日から三が日はすごく込んでいたそうなんですね。
そこの動きというのは、国民というものが、やはりそういうことで郵便局、あるいは簡保を含めて、そこには信用度なり、政府保証というよりも、そういう長い伝統に培われてきた信頼度というものがある。それを官から民へという形で、そういう将来の財政再建をどうこうしていかなきゃならぬという重要な時期にそれを崩していくというのは、官から民へということによってそれが崩れるということではないと言うかもしれません。しかし、国民の大事な財産というものをやはり国が保障していく中で、何らかの形で維持をしていかなきゃならぬ大きな財政事情だってあり得るわけだし、そのことも必要だと私は思っているんですね。
ですから、現状の形で維持するかということの重要さというものはそういう中にもある。それが私は、竹中大臣が最初に大臣になられたときに、経済成長は重要視をするけれども、景気というものについては、これは政治だからという意味のような、余り重視をしないというような意味の答弁をされたようなことが頭に残っているんですね。それが、どうも代表的には工程表だとか、そういう今までの日本的な、今の財政状況は全部それがいいというわけではないし、官から民へ、あるいは小さくする、そういう中での議論もあります。しかし、国民が苦労して今まで培ってきた国民の財産というものはきちっとやはり維持していくべきだと思うんです。
もう時間になりましたので、その辺のことの御意見を聞いて終わらせていただきます。
○竹中国務大臣 最初に一点、景気に関しましては、決して景気を重視しないということではなくて、景気というのはそもそも空気の景色という意味だというふうに私は聞いておりまして、非常にあいまいな面もありますので、経済がやはりよくなるということで私は考えておりますというような話を一番最初にさせていただいたんだと思っております。
御指摘のとおり、やはり信用、信頼というこれまで我々が培ってきたもの、これは無形の私たちの財産でありますけれども、それにさらに有形の、まさにそれはお金、資産ということになります。それをしっかりと次世代に受け継いで活用していくということが、これはこの国のさらなる発展の基礎でもございますので、その点を踏まえて私たちも二十一世紀ビジョンを作成したつもりでございます。そうした精神が生きるような経済運営をぜひ行ってまいりたいと思っております。
○島田委員 どうもありがとうございました。
○松下委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、竹中大臣に、きょうは雇用、経済の問題を中心にして伺いたいと思います。
一九九七年から、あの年の国民負担増以降、消費不況がどんと広がったのと、二〇〇一年からのリストラ構造改革不況とでもいうべき状況の中で、日本経済と国民生活を長期不況の中に置いてきました。ちょっと政府の出している数字を見ても、雇用の状況というのは、失業率の方でいいますと、これは、大体三%を超えたら昔は大問題だったんですよね。
六〇年代で見てみますと、失業率というのは当時は大体一%台、それがその後、大体九五年ごろまでだったと思いますが、二%台になってきたわけです。しかし、それ以降、三%をはるかに超えて、特に二〇〇〇年を前後して、四・五%から五・五%に失業率がぎゅっと上昇してしまう。
内閣府の国民経済計算から見ると、失業の増加に伴って当然雇用者の方の所得というのは落ち込んでまいりますが、労働者の賃金、報酬というので見ても、一九九七年から二〇〇三年にかけて十八兆円落ち込んでいる。
それから、実収入の推移というのがこれまた総務省の家計調査報告で出ておりますが、大体、世帯主の、大企業に勤めている、比較的安定した企業に勤めている人でさえ、二〇〇一年から二〇〇五年にかけて、二〇〇一年を一〇〇とすると九五。これが一人から二十九人という中小零細企業の方に勤めている方だったら九一・六%ですから、要するに、実収入は九割に落ち込んできている。
失業率は上がる、所得は落ち込む、そういう中でやはり貯蓄の方がどうなっているかというのも、政府の出している統計を見ておりますと、これは九七年から二〇〇三年にかけて可処分所得で十五兆円減少している中で、貯蓄が九兆円減っているんですね。可処分所得が減っている中で貯蓄も取り崩しながら消費へ、こういったこともあるんですが、しかし、その消費自体がこの間に七兆円減っている。
やはり経済がずっと長い間後退という、非常に国民生活が大変だというところがここにもよく出ているわけでありますが、ですから個人消費が落ち込んでくる。当然、スーパーにしても百貨店にしても売り上げが落ち込む。これはもう当たり前の話ですが、悪循環に入ってくるわけです。
私はここで、九七年以降の長期不況から大きな改善というのは動きが見られないんですが、やはり雇用の面でいえば、解雇の規制とかあるいは雇用を伸ばすということを政策としてきちっとやっていかないとだめだし、それから可処分所得を押し下げないという点では、暮らし、消費購買力を高める努力ですね。それはやはり政府として政策的に必要だと思うんですが、この点を最初に、竹中大臣の考えを聞いておきたいと思います。
○竹中国務大臣 まさに九〇年代以降、日本の経済は、これはさまざまな局面で大変厳しい状況に置かれていると思っております。そういう中で、二〇〇一年以降、小泉内閣のもとで構造改革を進めているわけでございます。
まだまだ、しかし私たちの生活実感としても、ビジネスの実感としても、日本の経済は厳しい。さらには、九〇年代からは中国を初めとするアジアの国々の追い上げ等々が非常にはっきりしてくる段階で、将来のことを考えても、経済に対する非常に厳しい実感、感覚が国民の間に広がっているというふうに私も認識をしております。
しかし同時に、日本の経済、やはり改善すべきところが、不十分ではあるかもしれないけれども改善してきたというのも事実であろうかと思います。ことしに入って発表されましたOECDの対日経済審査というのがございますが、OECDでは正式のレポートとして、日本経済は過去十年の間で最もよい状況になってきたという評価も出ているというふうに承知をしております。
吉井委員の御指摘は、専ら生活者、消費者、家計、そういう観点からまだまだ日本の経済状況は厳しいのではないかという非常に強い問題意識をお持ちだと思いますが、これは確かにそういう側面がまだ非常に強く残っているというふうに私も思います。
特に、九〇年代の後半ぐらいから、やはり労働市場に非常に大きな構造的な変化が起こってきた、それが現象からいいますと失業率の上昇等々になってあらわれておりますし、また正規雇用がなかなかふえない、減少する、パートに置きかえられていく、そういうような構造的な変化も生じて、これが国民生活、生活者から見ると非常に大きな生活に対する不安要因にもなってきたというふうに思っております。認識としては、その意味で、吉井委員がおっしゃった幾つかの点、やはり重要だと思います。
ただ、幾つかの留意点をあえて申し上げれば、名目の所得は減っているわけでありますけれども、この間、物価そのものが下がっている中で、実質的な所得というのは、決して名目所得のように低下しているわけではないということが第一点。
それと、貯蓄についても、ストックが下がっておりますけれども、これは貯蓄、貯金が減っている、つまり資産が減っている一方で、家計もやはり企業と同じように一生懸命借金を返して、企業の財務リストラに相当するようなことを個人、家計もやっている。だから、見かけ上の資産、貯金も減っているけれども、その一方で借方の負債も減らしているという面も非常に強くある、そのような面もやはりしっかりと認識しなければいけないというふうに思っております。
いずれにしましても、消費全体がしっかりとしてこないと、経済のまさに内需の足腰というのは弱いということは、これは事実なわけでございます。
ちなみに、これは一―三月期、御承知のように、四半期ベースで日本のGDP、一・三%、これは一次QEベースでございますけれども、ふえているわけでございます。年率換算すると五%を上回るあれをしてふえているわけでございますけれども、寄与度で見ますと、そのうちの半分ないしは半分強が実は個人消費によって実現されております。
そういう観点からすると、個人消費も、雇用環境が改善する中でようやくその動きを見せつつある。まだ不十分ではあるけれどもよい動きは見られつつある状況であるというふうに認識をしております。
○吉井委員 要するに、六〇年代以降ずっと、失業率で見ても一%台、うんと完全失業率が減ったりとかずっとそういう状況であったのが、九〇年代、特に九七年ごろから、もう一%台どころの話じゃなくて五%を前後するところへ、これは若干そのときの四半期ベースで見れば前後しますけれども、ある意味では、瞬間風速的に上がったり下がったりするときがあるにしても、全体としてはとてもそういう改善というものは見られないわけであります。
構造改革の話がありましたけれども、この議論をやり出すと長くなるから、私、ちょっときょうはおいておきます、十五分間じゃとても尽くせませんから。要するに、お話を聞いておって、まだ策がないというところですよ。
そこで、九五年ごろから規制緩和万能ということが随分論じられたときに、規制緩和、大リストラ、しかし、それをやっても新規産業を創出ができるんだというお話がずっと当時ありました。当時の日経連は大体二千万人ぐらい減るとか、永野さんは当時一千数百万人の減だとか、経団連は規制緩和の経済効果レポートで九百三十四万人減るだろうとか、経企庁の当時の楽市楽座報告では三百三十七万人ぐらいですか。要するに、雇用は喪失、失われるんだ、しかしそれに見合う分が創出されるんだというのが当時の規制緩和の話で、雇用のことは心配要りませんというのでずっと来たわけですね。
小泉内閣も五百三十万人雇用創出というのを言ってきたんですが、現実に、さっきも完全失業率の話をしましたけれども、雇用は本当に深刻なんです。では、五百三十万の話があったけれども、雇用創出の現実はあったんだけれども、何が新たに創出されているのか。五百三十万にはとても及ばないわけですが、この点はどのように見ていらっしゃるんですか。
○竹中国務大臣 新規雇用の創出についてのお尋ねでございます。
これは、正確には小泉内閣の発足する前に既に経済財政諮問会議の専門調査会で議論がなされていたものでございますが、五百三十万人の新規雇用をこれから、あの時点でいいますと、行うという議論がございました。今中間的な集計をしておりますけれども、今の時点で五百三十万人の目標に対しまして約三百万人の雇用が創出されたというふうに考えております。
当時の基本的な考え方は、サービス業を中心に生活密着型の分野で非常に大きな雇用の可能性があるんだ、そのような観点であったと思いますけれども、おおむねそういう観点に沿って雇用の創出がなされているというふうに考えております。
確かに、規制緩和のときも、吉井委員御指摘のように、それによってつくられるものがあるかもしれないけれども失われるものが非常に大きいという御指摘がありました。実は不良債権の処理をするときも、私たちが考えた不良債権の処理を行ったら失業が百万人ふえるという試算を行ったシンクタンクもございまして、この国会でも御紹介をされました。しかし、結果は、不良債権を償却したことによって失業が百万人ふえるどころか、失業は減りました。その分雇用が創出されているということであると認識をしております。
現実には、ここ数カ月をとりますと、実は毎年毎年生産年齢人口が三十万人ぐらい減っている、減っている中で雇用者の数というのは減っていない、ないしはプラスになっているわけでございますので、その意味でも、そのような新規雇用のメカニズムは、もちろんまだ十分とは言えませんけれども、進みつつあると認識しておりますので、こうした動きをさらに加速させたいと思っております。
○吉井委員 要するに、構造改革でそんなに減っていないという話をするんだけれども、現実を見れば、九七年からどうなっているか。正社員は四百万人減っているんですね、非正社員は四百万人ふえている。ですから、結局、不安定雇用への移動なんですよ。
若者の失業率は、十五歳から二十四歳で現在一〇・三%。総務省の労働力調査で見ると、二〇〇五年一―三月期で労働に占める非正規雇用の割合は三二・三%、ですから、三人に一人ですね。つまり、新しい雇用創出というよりは、パート、アルバイト、派遣、請負雇用の不安定雇用に移していっただけのことというのが実態です。二十四歳以下で見れば四八・二%ですから、半数が非正規の職員になってしまっている。
ですから、それに伴ってどうなっているかというと、所得格差が非常にひどくなってきているんですね。特に若者の場合ひどいんです。さっきおっしゃったOECDの別のレポートでいいますと、日本の貧困率というのは世界第五位ですね、OECDの報告では。これは国民の標準的所得の半分を下回る所得しかない人の割合が幾らかというので、日本は一五・三%、世界で第五位です。中でも若者の間で所得格差が拡大していっている。
この間の内閣府の経済社会総合研究所の報告で、「フリーターの増加と労働所得格差の拡大」というのを私も興味深く読みました。つまり、こういう状況をやっておったら、これは当面の日本経済にとっても大変なんですよ、雇用がこの状態で。それだけじゃなしに、若者の所得格差がどんどん広がっていく。つまり、これは少子化の大きな要因にもなってきて、将来の日本経済と社会にとっても深刻である。
こういう点では……
○松下委員長 吉井議員、質疑時間が超過していますので、短くお願いします。御指摘をします。
○吉井委員 非常に深刻な問題を引き起こしてくるということになりますから、これはやはり五百三十万、いろいろ挙げてみたけれども、これは正規が非正規に移ったとか仕方のないような話じゃなくて、本格的にここにメスを入れない限り、日本の経済財政にとっても将来にとって深刻な問題になる。それが、経済財政担当大臣として本当は、最もここのところが力を入れなきゃいけないところだと思うんです。伺います。
○竹中国務大臣 正規、非正規雇用の問題、そしてそれがもたらす格差の問題。私自身も、先ほど九〇年代の後半から労働市場において非常に大きな構造変化があると認識しているというふうに申し上げました。
非正規雇用の増加につきましては、これは企業が人件費を抑制するためにパート、アルバイトなど非正規を増加させたという面が確かに一面ではあると思います。同時に、一方で労働者側にとりましても、若年や女性などが短時間労働や自由度の高い雇用形態を選択する傾向があるという面も、これは一面の事実としてまたあるんだと思います。
しかし、最近また新しい変化が起こっておりまして、景気回復に伴いまして有効求人倍率が上昇する、労働需給が改善しておりまして、実はパートの求人よりもフルタイムの求人が増加をしているという状況になっております。その結果、フルタイム労働者が四カ月連続で増加する一方で、パートタイム労働者が実は九年十カ月ぶりに減少したという状況も生まれました。このパートタイム労働者比率は本年に入ってから、緩やかですけれども低下傾向にある。
そういう雇用情勢も見えておりますので、こういった傾向をしっかりと伸ばして、雇用の確保、そしてより条件のよい雇用の安定を図っていきたいと思っております。
○吉井委員 もう時間ですから終わりますけれども、竹中さん、これは瞬間風速でふえたの減ったのの話じゃだめなんですよ。やはり産業活力再生法でリストラ優遇というか応援税制をやってみたりとか、この間の規制緩和で、これは本当に派遣労働野放し、そういうふうなことを政策的にやってきたことをやはりきちんと見直さないと、ジニ係数などを使って内閣府の方で分析をやっておられますけれども、本当に若者の雇用格差は広がっているんです、深刻な事態なんですよ。
そこをきちっと見直しをやらないととんでもないことになってしまうということだけ申し上げまして、残念ながら十五分じゃとてもあなたと論議できないので、これで質問を終わります。
○松下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時七分散会