第2号 平成17年10月12日(水曜日)
平成十七年十月十二日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 佐藤 剛男君
理事 河本 三郎君 理事 戸井田 徹君
理事 西村 康稔君 理事 山本 拓君
理事 吉川 貴盛君 理事 泉 健太君
理事 大島 敦君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 江渡 聡徳君
遠藤 宣彦君 小野 次郎君
木村 勉君 佐藤 錬君
桜井 郁三君 土屋 品子君
中森ふくよ君 長島 忠美君
宮澤 洋一君 山内 康一君
若宮 健嗣君 渡部 篤君
市村浩一郎君 大畠 章宏君
川内 博史君 小宮山洋子君
鉢呂 吉雄君 太田 昭宏君
吉井 英勝君 糸川 正晃君
…………………………………
国務大臣
(青少年育成及び少子化対策担当) 南野知惠子君
国務大臣
(内閣官房長官)
(男女共同参画担当) 細田 博之君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君
国務大臣
(経済財政政策担当) 竹中 平蔵君
国務大臣
(規制改革担当)
(産業再生機構担当) 村上誠一郎君
国務大臣
(科学技術政策担当)
(食品安全担当)
(食育担当) 棚橋 泰文君
内閣府副大臣 七条 明君
内閣府副大臣 林田 彪君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
内閣府大臣政務官 西銘順志郎君
会計検査院事務総局第一局長 諸澤 治郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中藤 泉君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 橋口 典央君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 松井 房樹君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 宮野 甚一君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 笠井 俊彦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 荻野 徹君
政府参考人
(内閣官房構造改革特区推進室長)
(内閣府構造改革特区担当室長) 大前 忠君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中城 吉郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 細見 真君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 榊 正剛君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幹雄君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 名取はにわ君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 田口 義明君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 齊藤 登君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 竹花 豊君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 縄田 修君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(警察庁情報通信局長) 武市 一幸君
政府参考人
(法務省刑事局長) 大林 宏君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 布村 幸彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡島 敦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 白石 順一君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 小野 晃君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局労災補償部長) 森山 寛君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 山本繁太郎君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君
政府参考人
(環境省総合環境政策局環境保健部長) 滝澤秀次郎君
参考人
(食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君
参考人
(食品安全委員会プリオン専門調査会座長代理) 金子 清俊君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
―――――――――――――
委員の異動
十月十二日
辞任 補欠選任
木原 誠二君 若宮 健嗣君
土井 亨君 渡部 篤君
同日
辞任 補欠選任
若宮 健嗣君 山内 康一君
渡部 篤君 長島 忠美君
同日
辞任 補欠選任
長島 忠美君 土井 亨君
山内 康一君 木原 誠二君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君及び食品安全委員会プリオン専門調査会座長代理金子清俊君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣参事官宮野甚一君、荻野徹君、笠井俊彦君、内閣審議官松井房樹君、橋口典央君、中藤泉君、内閣官房構造改革特区推進室長・内閣府構造改革特区担当室長大前忠君、内閣審議官中城吉郎君、細見真君、内閣府政策統括官榊正剛君、林幹雄君、男女共同参画局長名取はにわ君、国民生活局長田口義明君、食品安全委員会事務局長齊藤登君、警察庁長官官房長安藤隆春君、生活安全局長竹花豊君、刑事局長縄田修君、交通局長矢代隆義君、情報通信局長武市一幸君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、白石順一君、労働基準局労災補償部長森山寛君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、環境省大臣官房審議官寺田達志君及び総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河本三郎君。
○河本委員 おはようございます。自民党の河本三郎です。
僕の時間は十分しかありません。まず、村田国家公安委員長に御質問をさせていただきたいと思います。
私は、この内閣委員会の筆頭を務めさせてもらってもう二年になります。委員長も三人かわられました。
村田大臣、この委員会は六人の大臣がおられます。法案審議を進めていく中で、いつも問題になるのが警察なんですよ。ほかの法案審議はなかなかできないという、これはもうお荷物になっておると言っても過言ではありません。
そこで、委員長の所信表明の中で、随分後段の方に不正経理の問題が載っておりました。その不正経理について、警察庁に適正な会計経理をするように強く指導したと言っておられますけれども、具体にどういう指導をされたのか、そして警察庁からどういう答えがあったのか、詳しく丁寧に説明してください。
○村田国務大臣 今、河本委員から厳しく御指摘をいただきましたように、幾つかの県におきまして会計の執行において不適正な事例が出たことに対しまして、長年、この委員会の与党の筆頭理事に対しても大変な御迷惑をおかけした、そうしたことに対して心からおわびを申し上げなければいけないというふうに思っております。
国家公安委員会といたしましても、そうした不適正経理につきまして大変重く受けとめておりまして、国民の信頼を得ながら警察の行政の執行をやっていかなければいけない、そうした警察を管理する立場から、私どももこうした問題については直ちにいろいろな指摘を行いまして、警察の不正経理の是正につきましていろいろな指示をしたところでございます。
具体的に申しますと、まず、厳正な調査を行うこと、そのように指示をいたしまして、できるだけ速やかにそうした調査を行うとともに、その調査に基づきまして、関係者の処分とか、あるいは、要すればそうした国や県がこうむった被害額の返還をしなければいけない。最も大事なことは、それに加えまして、将来に向けてそうしたことが二度と起こらないように再発防止策を講じなければいけないということで、必要な措置をとってきたというふうに考えております。
具体的にさらに申し上げますと、警察庁が行う会計監査につきましては、毎年度すべての都道府県警察を対象とするということ、それからその手法とか監査の体制につきましても、もうちょっと充実をするように、そういうことで警察庁を指導してまいったわけでございます。その上で、警察庁による会計監査の実施状況につきまして、毎年適宜報告を求めるということでございます。
それを受けまして、警察庁においては、会計の監査に当たりまして実施体制を強化する、こういうことでございまして、一部署当たりの監査の実施対象所属数を増加させること、それから幹部だけではなくて末端の捜査員も含めた聞き取り調査を重点的に行うこと、そういう意味で会計監査を強化するということを警察庁としても行ったわけでございます。
それから、再発防止策といたしまして、職員に予算執行の手続に関します必要な知識を十分習得させるように指導する。それから、予算の執行の適正化を行うということが最も大事であるということを再認識させるという観点から、捜査費等の経理に関する各種の資料を作成、配付するなどいたしまして、警察官に対しまして会計に関する教養を強化するということもやってまいったわけでございます。
そういう意味で、繰り返し申しますが、私ども、将来に向けても二度とこういうことを起こさないように、職員の末端まで会計の適正な執行についての認識をさらに強化、徹底するように、今後とも警察庁を督励してまいりたいというふうに考えております。
○河本委員 村田大臣、今後一万人の警察官を増強していくということも言われておりますので、そういう新しい警察官に対しても、きちっと指導、教育、徹底をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
村上大臣、御苦労さまでございます。
行革の目玉である特殊法人の統廃合についてお尋ねをいたします。
この四年間で一兆五千億円のむだ遣いをなくしてきたという評価があるんですけれども、一方で、独立行政法人に移行したことによって、役員の報酬は減らしたけれども、焼け太りではないかという指摘があるんです。
行革の目玉は税の投入を断つということだと私は承知しておりますけれども、こういう指摘があることに対して、大臣、ぜひ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○村上国務大臣 河本理事のおっしゃるとおりでございまして、やはり特殊法人の改革というのは、官から民への流れのもとで公的部門をスリム化する観点から、平成十三年度に策定した特殊法人等整理合理化計画に沿って、改革を着実に実施しているところであります。
既に、改革の対象となる百六十三の法人のうち、去年までで約八割強、百三十六の法人について、廃止が十六、民営化が三十六、それから独立行政法人化等三十九と、法改正等の所要の措置を講じられてまいりました。今、河本理事が言われているように、財政支出を実質的に約一兆五千億円削減する等の成果が上がっております。
今後とも、今後の行政改革の方針、平成十六年十二月の閣議決定、去年の閣議決定に基づいて、事業の廃止、縮小、重点化を通じた毎年度の財政支出の削減を図るとともに、独立行政法人の中期目標の期間の終了時に行われる組織及び業務全般にわたる厳格な見直しを通じて、財政支出の縮減を図っていく、そういうふうに考えております。
特殊法人等及び特殊法人等から移行した独立行政法人について、引き続き改革の実施に取り組む所存でございますので、なお一層の御理解と御支援を賜りたい、そういうふうにお願いします。
○河本委員 委員長、時間が来ました。終わります。
○佐藤委員長 次に、中森ふくよ君。
○中森委員 おはようございます。
貴重なお時間をいただきました、自由民主党の一期生、中森ふくよでございます。質問に先立ちまして、一言御礼を申し上げたいと思います。
私は、昨年、犯罪の撲滅を目指しまして、防犯ボランティアへの必要経費の支援を求める会を立ち上げまして、そして、防犯ボランティアへのパトロール用品や保険などなどでございますが、そういった支援を国会に陳情に上がっておりました。
そのとき、前国家公安委員長の小野清子先生でいらっしゃいましたけれども、実はこのときに署名をお持ちいたしまして、二週間で何と支援を求める署名が十五万も集まりました。そして、八カ月で、埼玉県の中だけで三十七万という署名をいただきまして、防犯そして防災に対する国民の関心の高さにびっくりしたわけでございます。
そういった経緯を経まして、村田国家公安委員長を初め多くの議員各位のお力添えによりまして、地域住民やボランティア団体が管理運営する地域安全安心ステーションという国のモデル事業を今年度から実施していただきました。このことにまず深く感謝を申し上げます。
埼玉県を例にとりますと、一昨年、わずか百団体でありましたこの自主防犯ボランティアが、一年後の三月、ことしの三月でございましたが、千団体を超えまして、十倍になりました。そして、全国では、昨年末現在で八千七十九、実に五十二万余の方々が自主防犯ボランティア活動に参加され、活躍しておられます。
この事実を見ますと、地域住民の方々の自分たちの地域は自分たちで守りたい、そして守るという活動に対して、国としても必要な支援をいたしますというはっきりした国からのメッセージが、国民の皆様もこたえてくれた結果であろうと考えております。
そこで、村田国家公安委員長にお尋ねいたします。
今ようやく地域に根づこうとしておりますこういった防災のための取り組みを絶やしてはならない、そう考えておりますので、その実態を見ますと、防犯パトロールに参加している多くの地域の活動家の方々が六十代を中心としております。そして、三十代、四十代の働き盛りの方々は昼間仕事に追われ、かわって地域を守っている形となっております。国として、こういった高齢者や地元を守る子供たちにさらなるバックアップを行っていくならば、防犯さらには防災のための今後大きな担い手になっていくと考えますが、いかがでございましょうか。
また、地域住民に対する防犯、防災のための活動の第一歩が地域安全安心ステーションであり、そのさらなる発展、拡大を図っていくことが、安全、安心で、だれもが不安なく暮らせる日本を目指していくという自民党の政権公約を実現していくことでもあると考えますが、いかがでございましょうか。
○村田国務大臣 最近、我が国の犯罪情勢というものが残念ながら大変悪化をしてまいりまして、警察といたしましても、一刻も早くもとのように世界一安全な国日本を取り戻したいということで、いろいろな活動を強化しているわけでございますけれども、警察の活動を強化するだけではなかなか目的が達成できませんでして、今委員が御指摘なさいましたように、地域の住民、ボランティアの皆さん方と警察も連携して地域の治安を守っていくということが大変必要になっておるわけでございます。
このたびの自由民主党の政権公約にも、「誰もが不安なく暮らせる日本へ。」そういうテーマで自由民主党は戦ったというふうに聞いておりますが、その中で、警察庁としても、今年度の予算も二億円以上出しまして、そうした地域のボランティアを特に支援するということで、地域安全安心ステーションモデル事業というものを全国に百カ所つくろうということでやってまいっているわけでございます。
どうかひとつ、私は防災もあわせて担当しているわけでございますが、地域防災も、地域の犯罪の発生を抑止するという観点からも、そうした住民の自発的な活動というものをさらにもっともっと支援していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
○中森委員 ありがとうございました。
地域安全安心ステーションの今後について、さらにちょっとお尋ねをしたいと思います。
自主防犯ボランティアにはさまざまな立場の方が地域のために何とか役に立ちたい、こんな崇高な思いから参画していただいていますが、その熱心な活動が、やはり世界一安全な国を取り戻したいという思いで犯罪防止のために効果を上げつつあると思っております。
今、大臣から、百カ所という地域安全安心ステーションのさらなる拡大をお答えいただきましたけれども、これは十七年度のモデル事業の継続、そして拡大ということに考えてよろしゅうございますか。
○村田国務大臣 翌年度、来年度の予算につきましてはただいま要求中でございますけれども、平成十七年度の状況を見ながら、来年度についてはモデル事業の対象箇所をさらに百カ所追加したい、こういうふうに考えているわけであります。
○中森委員 ありがとうございます。
それでは、ちょっと細部になりますけれども、さらに三点、国家公安委員長にお伺いをさせていただきます。
一つ目は、自主防犯ボランティアに対する経済的な支援、さらには報奨制度の導入についてでございます。
八千七十九団体が将来にわたって継続して活動できるよう、そして、五十二万余の方々の住みよい地域づくりに向けた努力の火を絶やさないよう、活動経費の支援は極めて効果的であると思いますが、国として報奨制度を取り入れていただきたいと考えます。いかがでございましょうか。
○村田国務大臣 自主防犯ボランティアの団体、ボランティアということでございますので、国としては無償で自発的に御活動願うということを期待しているわけでございまして、特に報奨制度という制度は頭の中にただいまのところ具体的にあるわけではございませんが、例えば千葉県の市川市などは、それを見ると、ボランティアに参加して、地域の自主ボランティア活動に参加した方に対して地域通貨を供与するという形で、それをいろいろな公共施設等で利用できる、そういうシステムをつくっているところもあるようでございます。
国が何とか報奨制度ということは具体的にはないんですけれども、お互いにそうした今言った地域通貨の供与なんというのを、例えばですよ、そういうことをやっていけば参加する人も励みになる、そういう一つの例があるようでございまして、その点を御披露させていただきたいと思います。
○中森委員 今、地域通貨の連動ということでございますが、この地域通貨の連動の取り組みということも、一つの国としての方向をお示しいただいたということでは大きな前進と思います。一層の励みになると思います。ありがとう存じます。
二つ目でございますが、地域安全安心ステーションの機能強化についてでございます。
自主防犯ボランティアに参加されている方々は、地域の地理や住民の方々の状況についてよく御存じの方が多くいらっしゃいます。単に防犯パトロールとして巡回して歩くだけでなく、さらに多くの活動が期待できます。例えば、地震や大火事といった災害時における体の不自由な方、ひとり暮らしのお年寄りの避難状況、そして安否の確認といった現実的な問題への対応においても大きな力を発揮するのではないでしょうか。
こうした防災面においても自主防犯ボランティアに活躍していただくことが、防犯そして防災へと、より大きな効果につながっていくと考えますが、国家公安委員長のお考えはいかがでございましょうか。
○村田国務大臣 地域コミュニティーの力を強めていって社会の連帯力を強化する、そういうことが防犯だけではなくて防災活動、これにも大変いい効果があるということであると思います。
今度、皆さん方と同じように御当選なされた東京の早稲田商店会の安井さん、東京の比例区で当選なさいましたけれども、安井さんもそうした地域で防災も含めた熱心な活動をされていまして、中央防災会議でも安井さんの御意見あるいは今までやってきた御活動の一端を御披露させていただきまして、大変我々もためになったわけでございますけれども、防災活動にもそうした地域ボランティアの活動というものが大変有益である。
今委員がおっしゃったように、我々も、昨年、例えば福井とか新潟とかそういうところで大変集中豪雨が起きまして、そのときに御老人があたら命を洪水によって失われてしまった。災害のいわば弱者ですよね、そういう人たちをどうやって救おうかということで、一つは、そういう人たちが避難するために、避難勧告とか避難指示とかいう危険が迫ったときに市町村が発する避難のための指示、勧告、この前に、災害弱者に対しては避難準備情報という一段階前の情報を出して早目に御避難いただくということも講じました。
それに加えまして、あそこのうちには足の悪いおばあちゃんがいるとか、ここは寝たきりだとか、そういう情報は地域の皆さん方が一番よく知っておられるわけで、あらかじめそういう情報が、消防団の皆さんのみならず、地域のボランティアの方のところに行き渡っておれば、自発的にお助けいただくという可能性があるのではないか、そういう検討もしてきたわけでございます。
ただ、個人情報の法律ができまして、人によってはそういう個人情報を出すのは嫌だという方もおりまして、そういうところが壁になっております。そういう実情がございますが、人の命にかかわることでございますので、何とかして、地域の皆さん方あるいは災害弱者の皆さん方の御了解を得ながら、今委員の御指摘のあったようなボランティアを含めて、そういう災害に弱い方々の命を助ける仕組みが充実できればなというふうに私も思っている次第でございます。
○中森委員 ありがとうございます。各省庁との連携に向け前向きに御検討いただいていることに感謝いたします。
三つ目に、自主防犯ボランティアへの表彰についてお尋ねをいたします。
地道な活動に持続的に取り組み、地域の安全に寄与した方々に対して国からの表彰を行うことも参加者の励みにもなる、また国への信頼も高まると考えるのですが、いかがでございましょうか。
○村田国務大臣 防犯活動に限らず、地域のために継続して一生懸命取り組んでおられる方々を表彰するということも、そうした活動を活発化させるために大変有益であるというふうに考えております。
せんだっても、私も出席をいたしたのでございますが、警察庁と全国防犯協会との協賛で実際そういう表彰をやっておりまして、日ごろの、個人、団体を含めまして、そうした表彰の栄にあずかられた方が全国にたくさんおられまして、今後とも、そうした表彰の制度を通じまして、ますます防犯に対するボランティアの活動を強化していっていただいたら大変いいのではないかというふうに私も考えております。
○中森委員 ありがとうございます。
国の方でもいろいろと考えていただいておりますが、何か、内閣総理大臣賞がいただけるというようなことも考えているということもちょっとお聞きいたしましたけれども、ボランティアでありますので、何とかこの八千団体を、火を消さないで力強く根づいてほしいと思うものですからあれやこれやと考える次第でございますので、そこのところをお答えいただければありがたいと思います。
○村田国務大臣 かつて犯罪対策閣僚会議で、内閣総理大臣賞を差し上げたらどうだ、そういう意見が出たと承っておりますけれども、既存のいろいろな表彰制度との兼ね合いなんかを考えつつ、そういう制度、内閣総理大臣が、特に顕著な防犯活動、あるいは一般的に地域のボランティア活動について、本当にその御貢献があった方を表彰できるという制度があれば大変いいなというふうに私も考えております。
○中森委員 それでは、最後になりますけれども、近年、特に都市部においては、近隣の人々とあいさつを交わす程度で話をしたこともないというか、地域のコミュニティー機能が崩壊に向かっております。ことしの国勢調査一つをとりましても、調査員を装ってお金をだまし取ったり、調査票をだまし取ったりという事件が新聞にも上がっておりました。
地域コミュニティーというものが築かれていれば起こり得ないような事件が発生しているわけでございますが、この地域コミュニティーの再構築という観点から、自主防犯ボランティアについて、以上、今申し上げました三点をもう一度お考えいただき、最後にまとめて御所見をお伺いできればと思います。
○村田国務大臣 おっしゃるとおりなんですね。
防犯の力を強化していくためには、個人の防犯に対する意識を非常に高めるということが必要であるし、それから個々の家が防犯に強いいろいろな設備をするということも必要だと思うんですけれども、やはり地域の人たちが協力して防犯に対する意識をし活動するということが重要じゃないか、そういうことが指摘されておるわけです。
例えば、見知らない人が歩いていたら、その町の人が、あなたはどなたですかと声をかけるだけで、犯罪者が、泥棒さんがぎくっとしまして、そういうところにはなかなか近寄らないというケースも非常にあるようでございますので、その意味で、みんなで防犯、防災をやっていくということが今一番大事だ。だから、コミュニティーの力を復活するということをやっていけば、我々が今直面している問題の幾つかが解決できるのではないかなというふうに思っております。
○中森委員 防災、防犯に関する国家公安委員長の前向きな御答弁、本当にありがとうございました。
地域安全安心ステーションがしっかりと地域に息づいて、そしてその地域での役割が果たせるよう、国からのますますのバックアップをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとう存じました。
○佐藤委員長 次に、遠藤宣彦君。
○遠藤(宣)委員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。新人でございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
この内閣委員会という非常に幅広く国政全般を見られる委員会に所属をさせていただき、そしてまた、新人でありながらこういった質問の機会をいただきましたことを心より感謝を申し上げたいと思います。
さて、私の質問の前提といいますか、時代認識といいますか、私、今四十二歳なんですが、この十数年、社会が大きく変わってまいりました。日本人として、いわばアイデンティティーがこの社会で大きく崩れているのではないか、それがさまざまな問題を引き起こしているのではないか、こういった問題意識を持っております。本日いただきました貴重な時間、この問題意識に基づいた質問をさせていただければなというふうに考えております。
さて、今まで、日本の社会、西側の一員としてやってきた、あるいは会社や組織の一員として自分のアイデンティティーを持ってきた、そしてまた自分はこういった親のもとで、何々家の人間としてやってきた、あるいは自分は男だ、女だ、こういった明確なアイデンティティーを持ってきた。しかしながら、今それが大きく揺らいでいると思います。
さてそこで、御質問を申し上げたいと思いますが、男女共同参画社会、そしてまた一方においてジェンダーフリーという問題が今起きております。
私自身は郵政省という役所の出身でございますが、今までの近代工業社会、男の体力の優位性が非常に反映される社会であった。力のある者が物を生産する社会が情報化社会ということになって、簡単に申しますと、パソコンのキーがたたければ能力が遺憾なく発揮できる。つまり、男女の能力差というものがない社会になってきた。こういった社会の中であらゆる場面で男女がひとしく社会に参画できる、こういったシステムをつくっていくというこの大きな方向性は間違いなく正しいと思います。
しかしながら一方で、冒頭申し上げましたように、男女のアイデンティティーという問題が非常に大きな影を落としている。仄聞するところによりますと、例えば、中学校の修学旅行で男女が相部屋になるとか、あるいはひな祭りが女の祭りで決めつけていいものか、そういったような話がちらちら聞こえてくる。こういった中で、男女共同参画社会の本質の話とジェンダーフリーの話、ここら辺がどうも混同されているような気がいたします。
官房長官が所管をされている中で、これはなかなか価値観の問題が反映される非常にデリケートな問題だとは思いますが、御所見をお伺いできればなというふうに思っております。
○細田国務大臣 私、男女共同参画担当大臣としてお答え申し上げます。
他の委員会等でも、あるいは参議院でも相当な議論が行われたことがあります。その中で、非常に共同参画社会というものに対して履き違えまして、さまざまな事象が生じているではないかという指摘がありました。その典型例が、今おっしゃったような、男女の性差に基づいて、例えばトイレの使用、脱衣場の使用、宿舎等の使用について混同を生じる例があるんじゃないかとか、あるいは過剰な性教育をするものがあるんじゃないかというようなことを指摘する向きがありました。
当然ながら、男女共同参画社会というときに、そのようなことを許容するというようなことを言ったことはございませんし、そのような趣旨ではございません。
当然これは、日本においては特にその点を強調されるわけですが、諸外国に比べて、女性は出産に際しては職場をやめる人が七割にもなる、そして、戻ろうとするともうパートしかないとか、職場においても男女の性差によるいろいろな労働内容が違ったり、社会においてもさまざまな差があったりする、それをなくして男女とも適切な共同参画社会をつくっていこうというのが本旨であります。
その中の一部の言葉等を使って履き違えるという事態が何例か見られたということが例示されまして、強く反発される国会議員の方もおられたわけでございますが、そのようなことは男女共同参画社会政策の本旨で全くございませんのと同時に、全くの履き違いであるということでございますから、この間も、男女共同参画推進連携会議というところでも、そのような履き違い、あるいは逆に弊害というものがあるとすれば、これは断固正さなきゃならないという議論が行われました。そうして、もしそれが間違って伝えられているようなところがあれば、これを正そうという方向になっております。
この共同参画問題、また現在検討が行われて間もなく結論が出されるわけでございますが、そういった過程においてしっかりと対応してまいりたいと思いますし、先ほど言われましたジェンダーフリーという言葉は、そもそも使われておりません。そしてまた、ジェンダーフリーがフリーセックスと同義であるというような語法で使われているということも、ほとんど皆無なのでありますが、何か事例があるということを言われるものですから、そういうものは間違いであるということを申し上げているわけです。
こういったことを徹底するためにも、私ども、今回の検討の過程で、地方公共団体等あるいは教育関係についても、これは文部科学省にもしっかり言っていかなきゃなりませんが、教育の自由とかそういうものがあるという見地もありますけれども、それは、そういう教育が自由であるということは全くの履き違いでございますので、しっかり対応するという方針で今おります。
しかし、一部の方は、そのことをもって男女共同参画社会実現というものそのものに疑問を投げかける方があられまして、そういうことは決してあってはならないことであって、日本の社会は、そこをしっかりと対応していかなければ、非常に男女間の格差が解消しない、ひいては少子化、高齢化、こういったことにもなかなか歯どめがかからない、こういう問題認識で取り組んでおりますので、遠藤議員も積極的にそういった方向での御支援をお願いしたいと思います。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございました。
私自身も、日本という社会は資源も食料も基本的に乏しい国ですから、何歳であっても、そして何度でも、男女を問わず一人一人が力を発揮できる社会にならなければならないというふうに思っておりますので、この男女共同参画社会、本質に立ち戻って進めていければなというふうに思っております。
そして、次の質問でございますが、このアイデンティティーの問題、そして今官房長官が御指摘になったこととも関連いたしますが、実は少子化の問題というものも非常に影を落としていると思います。
私自身も五歳の娘のいる父親でございます。具体的なこれからのことを考え、子供を持つということがこんなに楽しく、また大変なことなのかということを日々感じておるわけでございますが、今少子化がここまで進んでいる原因、さまざまな指摘がございます。
一つは経済的な問題。子供一人を持つことで非常に家計の負担が重くなるという問題。そしてまた、これは私の家内も仕事をやめましたけれども、労働市場において、一たんやめると途中の参入が極めて難しい。一度やめると、年齢制限があったり、あるいは性別のまだまだ残っている制約があったり、そういったものに阻まれて戻る機会がない。となれば、女性にとっては究極の選択を迫られるという点が多々あると思います。
そして、きょうの問題意識に即した質問でございますが、先ほどのアイデンティティーの問題、家族を持つということに対しての魅力が薄れている。例えば夫婦別姓論議があったり、あるいは家族を持つという意味がよくわからない、そういった議論も一部にはあると思います。
そこで、南野大臣にお伺いをしたいと思いますが、その観点で、家族を持つことに関して魅力が薄れているんじゃないか、その問題意識を持って私自身は考えておるんですが、そこについての大臣の御所見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
あくまでも自分の考えもその中に含めたいというふうに思っておりますが、御指摘のとおり、家族を持つという価値観、これはどのようなものであるかということについて、家族を持てばそこに親であり子であるという関係が生まれてくるのではないだろうか。そういう意味で、親という立場から親業をどのように展開していき、そこに魅力を持つかということが一番大きなポイントになってくると思います。
先生、お嬢様がおられるということでございますので、毎日、日々心身のキャッチボールをしておられると思いますが、ただ、多くの虐待をしたりなんかという方々の場合には、自分の方からのボールばかり投げて、子供から返ってくる反応をどのように楽しむか、喜ぶか、その成長をどのように見守るかというところのゆとりがない場合もあるのかな、それも経済とか就職とかそういう問題とのかかわり合いもあるのかなというふうに思っております。そういう意味では、仕事との両立というところにも大きなポイントをしなければいけない。また、子育てをするという社会、負担の軽減もしなければいけない、社会全体で子供を育てるということが親業ということとマッチして展開されていかなければならないというふうに思っております。
また、そういう意味では、政府といたしまして、昨年六月に決定いたしました少子化社会対策大綱及びその具体的実施計画として昨年十二月に決定しました子ども・子育て応援プランということに基づきまして、保育所、働くママたちに対しては待機児童ゼロ作戦というような問題、また、育児時間を確保するための働き方の見直しということで、地域の子育て、それらの支援、それから、妊娠、出産、育児にわたって切れ目のない支援をどうするかということなども大切なことであろうか。生まれてきた子供一人一人が虐待を受けることなく育っていくというのが少子社会との連動の中で必要になってくるというふうに思います。
健やかに子どもから大人に育っていく、それを全部バックアップすることの大切さがあるのではないだろうか。そういう喜びの実感をもっと持ちながら親としての役割をしていただく、または社会はそれをバックアップしていく。それから、育児休業なども今男性はなかなかとれておりませんが、そういう問題も一応、家族の中に目を向けて、自分の仕事場における役割ということもお考えいただければというふうに思っております。
以上です。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございました。
少子化の問題、経済的な問題やあるいは労働市場への再参入という問題もありますが、私自身の実感としては、家族を持つことというものが本当に楽しいことなんだ、いいことなんだという価値観を、ある部分強要ではなくて、そういった実感があるんだということをわかっていただける社会になればいいなというふうに思っております。
そして、次に治安の問題なんですが、やはりアイデンティティーの問題ですが、社会の中で個人のアイデンティティーが崩れていきますと、特に青少年にありがちなことですが、非常にせつな的になりがちになる。私どもは、言うまでもなく二人の親から生まれ、その上には四人の祖父母がいて、ずっとさかのぼると先祖がいっぱいいる、大きな歴史の流れの中で私たちが生きているというそういった縦軸、そして、社会の中で、あの人ともかかわりがある、この人にもお世話になっているという横軸の、そういった中で自画像というものができてくる。そういった中で自分を律していくことで社会の秩序というものが保たれているのではないかなというふうに思っております。
昨今の犯罪の急増というもの、いろいろな分析がありますが、一つは、警察官が足りない。よく指摘されますように、日本の公務員は、数としては決して先進国の中では多くはないけれども、執行機関が極めて手薄である、こういった指摘がございます。今、警察官の増員の話ということが進んでおりますが、これはもうぜひとも実現をしていただきたいというのが一点。
そして、二番目は刑罰法規。私も法律を多少かじった人間ではありますが、刑法の抑止力といいますか、刑法が人を犯罪に走らせないことの一つの歯どめといいますか、こういった機能があると思います。外国人犯罪なんかも、日本の刑法が緩いから、日本に来て犯罪を犯せば、これは罪を犯しても刑罰が緩くてもうけが大きい、こういったところも検討していっていただければなと思うのですが、きょうの本題であります個人が教育の問題あるいは倫理の問題で、非常にアイデンティティーが失われていることが犯罪の増加に実はつながっているのではないかなという問題意識がどうしても捨てられません。
この観点から治安を預かる国家公安委員長にお尋ねをしたいと思いますが、社会においての倫理といいますか、あるいは教育の面においての秩序感覚というものについて、治安を維持する点において全般的な所見をぜひこの機会に伺えればなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○村田国務大臣 委員の御質問の幾つかの部分は私の所管を超える問題であるかもしれないと思いますが、お答えをさせていただきたいと思います。
少年事件について見ますと、刑法犯の総検挙人員の残念ながら三分の一を占めております。それから、街頭犯罪については特に六割が少年によるものである、そういうデータがございまして、我々は、安心できる社会を取り戻すためには、やはりこうした少年による犯罪というものを少なくしていかなければならない、こういうふうに考えております。
委員が御指摘なさったように、ひところと比べますと、家庭の教育能力といいますか、そういうものが非常に落ちているんじゃないか。自由な教育といいますか、それを強調するが余りに、子供が夜何時に帰ってきても親はとんと無関心であるとか、子供が万引きしても、まあ大したことじゃないんじゃないかとか、あるいは酒やたばこをやっても、それもとにかく我々の子供のころもやったんだとかいう親が、極めてそういう、だめなものはだめ、いけないものはいけないというようなしつけをきちんとする親が大変少なくなったということも指摘されておりまして、そういうところを含めまして少年の規範意識というものが非常に低下しているという実態があるか、こういうふうに私は思います。
私も、この任に携わってから、少年刑務所とか鑑別所とかいろいろなところ、これは私の所管のところじゃありませんが、行ってまいりまして、やはり子供たちにとって、学校もどうもおもしろくない、家庭にも居場所がないんじゃないか、仕事を持っていても、そこの会社でも、職場でも余り居心地がよくない、そういう実態があって、悪い仲間と一緒に犯罪に手を出すということがあるように思います。
だから、そういう意味で、私は、家庭がまず一番大事で、その上で、家庭だけが問題だといって済む問題じゃありませんので、地域全体、社会全体がもう一度、青少年についてどう対処していくのか、直面するのかということですね。しかるについても、やはり子供が大事だから、あなたの将来を大切に思うから、親として自分は注意するんだというメッセージをきちんと送りながらしつけもしなければいけないんじゃないかな、こういうふうに常日ごろから考えております。
いつか、あるテレビ会社のアナウンサーが若い未成年のタレントと飲酒をしていたということがあって、テレビ会社の処分が甘いのではないかと記者会見で私が発言をしましたら、いろいろな反響がありました。私がびっくりしたのは、子供たちから、国家公安委員長、よく言ってくれた、そういう中学生とかなんとか、いっぱいメールが来まして、子供たちもきちんとした、悪いことは悪いと大人が言ってもらいたいという気持ちがあるんだなとむしろちょっと私どもがびっくりしたことがございました。
やはり子供たちは、我々の将来、日本の社会を握るかぎでございますので、大切な宝だから、親だけではなくて我々社会の一構成員としても子供たちを善導していくという態度が常に求められているんじゃないかというふうに思います。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございました。
なかなか価値中立的ではないけれども、子供たちにとってある種の方向性といいますか、こういった生き方があるんだよというような、構うといいますか、きっちり対面していくということが重要なのかなというふうに思っております。
そして、残り時間がわずかになりました。質問の趣旨を若干変えます。
昨日、郵政の民営化法案が通りました。冒頭申し上げましたように、私自身が郵政省の出身でございます。しかしながら、民営化はしなければならないということで、こちらの世界に五年前に飛び出して入ってきたわけですが、もう一つの問題が実はございます。
在籍中から、なぜこれからの国家戦略のかなめである情報通信あるいは知的財産権、こういったものが郵政省と通産省と文部省にまたがっているのか。これから台頭してきた中国にも対峙しなければならない。あるいは、ソ連がなくなって、容赦なく規制緩和要求をしてくるアメリカという国にも対峙していかなければならない。日本は極めて大きな曲がり角にあると思います。
今まで私、随分郵政省でいろいろな方と議論をしてきました。彼らの嘆きの本音は、何でこんな不毛なエネルギーを使っているんだろう。通産省とけんかをする、郵政事業をかたくなに守るために今まで随分エネルギーを浪費してきた。その重荷が取れた現在、第二の省庁再編とまではいかないにしても、IT、情報通信、そして知的財産権の問題をきっちりと国益にかなう形で統合していく。そしてそれを、大げさな言い方をすれば、日本版のUSTRのようなしっかりとした交渉ができる体制を今つくっていくことが、郵政の改革がこれからの改革の入り口であるということを経済界にも実感をさせる一つの道筋ではないかと思います。
棚橋大臣も通産省の出身だとお聞きしております。今、政治の側が主導権をとって、国益そして国策としてそういった方向を打ち出すべきと私は考えておりますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○棚橋国務大臣 遠藤議員にお答えをいたします。
まず、ITの分野における先生の御知見の確かなこと、今の御質問からも本当に敬意を表させていただく次第でございます。
ITは、もう先生重々御承知のように、単なる技術ではなくて、国民生活や経済活動に大変大きな影響を及ぼす、まさにIT革命と言われるように革命的な技術の革新でございますし、それは省庁でいうならば、今御指摘にございましたように、総務省あるいは経済産業省だけではなくて、例えば医療の分野でいうと、医療の情報化に関連して厚生労働省、あるいはIT教育という観点から文部科学省等々、さまざまな所管省庁にもまたがるものであり、政府として一丸となってIT戦略をやっていかなきゃいけないというような趣旨の御指摘ではないかと思いますが、私も全くごもっともだと思っております。
また、これまた先生がお詳しいところでございますが、IT基本法を制定していただきまして、これに基づいて、全大臣とそれから民間有識者の参加するIT戦略本部を内閣に設けておりまして、本部長は御承知のように小泉総理、総理のリーダーシップのもとにIT政策を進めているところでございます。
私どもとしても、特にこれまでのIT戦略本部等の取り組みによって、世界で最も低廉で速いインターネットというのも小泉内閣の中で実現をさせていただきましたし、さらには電子商取引の拡大、これも飛躍的に拡大したと思っております。あるいは、電子政府の構築、現在、申請ベースでいうと、九六%の申請が電子的に申請できるようになっております。あるいは、昨年の臨時国会で成立をさせていただきましたe―文書法の制定等々、ITの分野における必要な政策も着実に進めさせていただいているというふうに思っております。
ただ、これは何といいましても、二〇〇五年、世界最先端のIT国家というのを実現し、そして二〇〇六年以降もそうあり続けるためには、政府一丸となって取り組んでいかなければいけないという観点からの御指摘は全くおっしゃるとおりでございまして、先生の御指摘も踏まえながら、さらに進めてまいりたいと思っております。
○遠藤(宣)委員 私、社会人になったのがバブルの最盛期、バブルの崩壊からそして日本の社会の大きな変化を目の当たりに見てきた世代として、きょう質問させていただいたこと、これから本当に日本の国が取り組んでいかなければならない課題だと思っております。
新人ながら生意気な質問をさせていただきました。どうか……(発言する者あり)はい、これからもどんどんと質問させていただきますので、ありがとうございました。質問を終わります。
○佐藤委員長 次に、赤澤亮正君。
○赤澤委員 おはようございます。
自由民主党の赤澤亮正です。さきの総選挙で鳥取二区から立候補いたしました新人でございます。本日、内閣委員会という大変重要な場で新人ながら質問をさせていただき、大変感謝をしております。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
冒頭、質問に先立ちまして、十月八日、パキスタンの北部において発生した大規模な地震について触れさせていただきたいと思います。
甚大な被害が発生し、死者、行方不明者、現在のところで既に三万人を超えております。さらに拡大の一途という感じでございます。御案内のとおり、国際協力機構、いわゆるJICAから現地へ派遣されておられました三十六歳の楢原さんと御長男もとうとい命を亡くされております。
被害に遭われました皆様、御遺族の皆様、心から哀悼の意を表するとともに、我が国を初めとする緊急援助隊、救助隊の皆様方の御無事と御活躍、心より祈念をいたします。
このような自然の猛威の前で人間の無力さに茫然とすることが非常に多いわけでありますけれども、インド洋における津波の大被害の際もそうでありました。我が国は自然災害大国といった側面がありまして、地震、火山、台風、津波といったあらゆる天災について、高度の科学技術、これに裏打ちをされました対応の知識、経験、ノウハウといったものを保有しております。この普及、協力を世界じゅうの国々から求められる立場にあると考えております。我が国の目に見える国際貢献として積極的に取り組むべき分野と確信をいたします。
そこでお尋ねをいたします。
今回のパキスタンの大地震の大被害というのを目の当たりにし、日本の防災に関する高い技術それからノウハウの提供など、日本の目に見える国際貢献を果たすためにも、防災に関する国際協力を積極的に推進すべきと考えますが、この点についての政府の御見解をいただきます。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今回の地震災害で被災された方々にお見舞いを申し上げますとともに、日本人としてパキスタンの国づくりに尽力されたJICAの専門家とその御子息が犠牲になったことは極めて残念であり、改めて哀悼の意を表したいと思います。
我が国政府でございますけれども、被災国政府に対していち早く支援の申し入れを行いました。パキスタン政府の方から援助要請がございまして、災害発生時の八日にはJICA国際緊急援助隊派遣を決定いたしました。翌九日には四十九名の救助チーム、十日には二十一名の医療チームを派遣というような手はずという形になっております。
また、九日にはテントなど約二千五百万円相当の緊急援助物資を決定する、十一日は二十一億円の無償支援を行う、さらに十日には谷川外務副大臣がイスラマバードに向けて出発される、こういったようなことをやっております。
さらに、今後、余震の二次災害防止助言を行えるような専門家チームが必要であればいつでも出しますよということの申し入れも、外務省の方から現地の政府の方にやっていただいております。
私どもとしては、ことし一月、阪神・淡路十周年というような年でございましたので、ことしの一月の神戸で開催されました国連防災世界会議、この成果でございます兵庫行動枠組みというのがございます。これは、制度の構築、人づくり、経済社会基盤整備を中心といたしました防災協力イニシアチブ、こういうものに基づきましてODAを通じた貢献だとかノウハウの共有をいたしまして、我が国の保有する知識、経験、情報、資源、これを最大限活用して防災に関する国際協力を積極的に行おう、こういったようなものでございます。
この枠組みに沿いまして、私どももきっちりとした支援をやっていきたいというふうに思っております。もちろんのことながら、スマトラ島の津波のときにも同じようなことでやるということでやってまいったところでございます。
なお、パキスタンはこの七月、アジア防災センターというところに加盟をいたしましたので、中長期的にはこのアジア防災センターを活用いたしまして、復旧、復興とか、予防面を含めた我が国の防災行政のノウハウの提供も行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
○赤澤委員 たった今の答弁に立たれました榊統括官、私の出身元であります国土交通省の大先輩で、大変力のある方でございます。今後とも、非常に思いやりというか深い人類愛にあふれた積極的な取り組みを続けていただけるものと確信をいたします。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、構造改革特別区域、いわゆる特区について御質問をいたします。
既に全体としては日本経済に明るい兆しが出てきている、これは周知のところでございますけれども、さきの総選挙で、私、鳥取二区を遊説中に実感したことは、地域経済に明るい兆しが差すというのはまだしばらく先のことではないかということであります。地方が、そして地域経済を支える中小企業が元気にならないと日本経済の本格復活と言えないというふうに私は考えます。
私は、特区の取り組みが地方を、そして地域経済を支える中小企業を元気にする起爆剤、活性剤になることを大いに期待しております。現に、鳥取県、私の地元でも既に六件ほど特区の取り組みをやっていただいております。
そこでお伺いをいたします。
特区の提案の中には中小企業、地域経済を元気づけるものがたくさん含まれている。大変すばらしい取り組みであると私は思っておりますけれども、過去七次にわたる取り組みの中で、最近、実現数が減ってきている点が大変気がかりでございます。この点を踏まえて、今後の特区に関する取り組みの考え方をお伺いいたします。
○林田副大臣 委員御指摘のとおりでございまして、これまでの特区提案のうち、実現しなかった意見が多数ございます。それよりも、今おっしゃいましたように七次でございますけれども、四年目を迎えておりますし、提案件数そのものも実は減ってきております。
その中で、実は現行制度で対応可能なもの、要するに中身を知らなかったというか、そういう表現に当たるかと思いますけれども、よく調べてみれば現行制度で即いけるというものも二、三割あったようでございますし、ただ、その中には規制の趣旨から照らしてどうしてもこれは無理だなというのもございました。
したがいまして、実現率の推移のみで特区制度の進捗を云々というのはちょっと無理かなという思いがいたしますけれども、いみじくも委員御指摘のとおり、地域経済を支えるのは、全く中小企業初め地域の皆さん方や、その地域で一生懸命頑張っていただいている方に、いかに元気を出していただくかということに尽きるかと思います。そういう意味合いでは、今委員も地元のお話をされましたけれども、地元の建設会社がいわゆる農業参入などの規制改革で成功しているんであろうと私は思っておりますけれども、頑張っていただいているということでございます。
いずれにしましても、提案件数そのものが減ってくるということは、これをもうちょっとよく理解していただかなきゃいかぬということで、実は内閣府も事前相談の窓口を常時開いておりますとともに、各都道府県にいわゆる特区エキスパートを配置していただきまして、事前に日ごろの日常業務の中でいろいろな相談を受け付けていただくということをやっております。
我が内閣府も、ことしの秋も、特区、規制改革・民間開放にかかわる提案募集の説明会、いわゆるもみじキャラバンと言っておりますけれども、春があじさいキャラバン、秋がもみじキャラバンということで展開していきたいというふうに思っております。
いずれにしましても、今後とも、村上大臣とともに政治的リーダーシップを発揮して、地方公共団体や民間事業者等からの提案の実現に最大限努力してまいりたいと思っております。
○赤澤委員 今副大臣からも御紹介ありました試み、私の地元でございますけれども、鳥取県の江府町でやっております江府町南大山農業活性化ブルーベリー特区というものでありまして、建設業者の方が農業経営に参入するといった取り組みでございます。これは、建設業者の方にとっても、あるいは農村地域の再生にとっても大変すばらしい取り組みだと大いに期待をしております。引き続きいろいろと頑張っていきたいというふうに思っております。
さらに、特区の全国展開について申し上げますと、既にこれまでに七十五特例措置を評価いただきまして、五十三件が全国展開にこぎつけられていると理解をしております。その御努力に大いなる敬意を表するものでございますが、地域経済を元気にするために、なお一層このスピードを上げて全国展開を図るべきであると考えますが、御所見をいただきます。
○林田副大臣 委員御指摘のとおり、特区の全国展開は、いわゆる特区を活用する地域の成果を全国的な規制改革へと波及させるものでございまして、本当に、このテーマでございます我が国全体の経済の活性化をいかに実現していくかという観点から重要であると考えております。
このため、特区の特例措置につきましては、特区での実施状況、まずその状況を踏まえて、速やかにこれは民間有識者から成る評価委員会で評価を行っていただきまして、その結果、特段の問題がないと判断されれば、構造改革特区推進本部が全国展開を決定することとしております。
これまで評価委員会は三回にわたって評価を行ってきたところでございますが、委員御指摘のとおり、七十五件のうち五十三件を特に問題がないと判断し、これを受けて特区推進本部が全国展開を決定しております。
なお、今後とも、特区の全国展開につきましては、御指摘を踏まえ、なお一層スピード感を持った対応をしてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○赤澤委員 どうもありがとうございます。
ぜひ、地域経済のためになる大変重要な取り組みですので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
次に、少子化対策についてお伺いをいたします。
過去の議論を見てまいりますと、私の感じるところ、少子高齢化対策については、どうもその悪い面ばかりが強調され過ぎているように感じます。端的に申し上げれば、総人口、特に若い労働力が減るということで、社会からは活気がなくなる一方であって、病気がちの高齢者があふれた町といったような暗いイメージが先行しているように感じます。しかしながら、私は少子高齢化にもプラス評価すべき面もあるだろうというふうに思います。
例えば、人口減に伴い都市の過密問題なども大幅に緩和をされて、若い世代で見ても、住宅、教育といった面で、これまでぎゅうぎゅう詰めだった社会に少しでもゆとりができるといったようなことはないでしょうか。あるいは、時間とお金に余裕があるいわゆる元気老人の皆様が、人口減により、道路を初めとする公共インフラあるいは公共施設、これを余裕を持って利用できるようになって明るく楽しい後半生を謳歌しているといったような、世界のうらやむ国日本といったような絵が描けないでしょうか。
私としては、今後、中長期にわたる人口の減少、これ自体もちろん問題でありますので別途考えなきゃいけないことでありますけれども、そういった人口の減少は不可避である以上、現実は現実として受けとめて、その中で明るい展望を描いていくことも国の仕事ではないかというふうに感じるところでございます。
そこで、お伺いいたします。
政府において、少子高齢化のメリットを洗い出して、これを発展拡充させる方向で施策展開するといったようなお考えはないでしょうか。よろしくお願いいたします。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
本当に先生がおっしゃっているように、やはりメリットを出していかないと、みんな明るくその政策に乗ってこないという問題点はあろうかと思いますが、少子高齢社会の中でどのようなメリットを出していったらいいのかという大きな課題があろうかと思っております。
お答えさせていただく前に、先生、鳥取とおっしゃっておられましたので、鳥取県におきましては、DV法その他についても、弱い人たちに本当にいい力を出していただいております。
どうしてDV法を申し上げるかというと、これからの家庭という問題の中で、夫婦関係の問題、女性に対する、妻に対する虐待、そういう問題が子供に対する虐待にもつながるというようなこともあり、それもやはり少子社会また高齢社会との家族のきずなということとも関連して大きな課題がありますので、先生方が今鳥取で取り組んでいただいていることに一つ敬意を表したいというふうにも思っております。その中からいいポイントが何か出てこないのかなということも一つでございます。
また、少子化に対する社会のメリットとして、例えば平成九年には、いろいろなことが言われました。これは人口問題審議会の報告書に基づいてでありますが、環境負荷の低減だとか住宅土地問題、または交通混雑などの改善、子供さんが大きくなれば受験勉強というようなこともありますので、そういうものの緩和のプラス面を指摘するというような意見も存在したわけでありますけれども、これはまた、年数がたつにしたがって、だんだんと崩されていっている面もございます。
そういう今挙げましたような問題点は、比較的短期な影響ということも考えられておりますので、少子化が急速に進行してまいりますと社会全体の中で若い力が減少する、これは、持続的な経済成長または社会保障制度の維持を初めとしまして、国の基盤にも深刻な影響を与えていくというようなことも問題であるのではないかと考えております。そういった、みんなが分け合わなければならない社会保障の問題については、積極的に取り組むことが逆に国の明るさを取り戻していくということにもつながるのではないかなと思っております。
そこで、昨年六月には、少子化社会対策大綱というものを定めました。少子化の流れを変えるために、我が国の人口が減少に転じていくことから、これから五年程度をとらえて、集中的な取り組みをやっていこう、その中でどれだけの効果が見られるのかというようなことでございまして、政府としましては、昨年の十二月に決定した子ども・子育て応援プラン、それに基づきまして、待機児童ゼロ作戦、これは保育、働くママということの関連でございます。
そういう育児時間を確保するための働き方の見直し、また、地域の子育て支援などの施策を着実に実行してまいりたい、これのためには関係省庁が一体となって少子化対策に取り組んでいきたい、少しでも明るい目的を見出して取り組んでいきたいというのが私の気持ちでもあり、先生とこれは一緒であるなというふうに思っております。
○赤澤委員 一言で言って、問うはやすく答えるはかたしというところで、非常に難しい問いかけを私自身はしたと思っております。私も道半ばでございまして、どうやったら明るい展望を描いていけるか、自分なりに一生懸命考えて、また、いろいろと御指導いただきたいというふうに思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
そうはいっても、人口減少は大きな問題でございますので、少子化の傾向を食いとめ、できれば反転させるために、最大限努力をしていくべきである、これは間違いのないところだと思います。
現在の独身女性については、たとえ時間やお金に余裕ができても、結婚、出産の環境が整備されても、必ずしも子供を持ちたいという希望が多いようには見受けられないところでございます。私、さきの総選挙期間中に若い女性のグループとミニ集会を開いた経験も踏まえて申し上げますと、若い女性に時間やお金に余裕ができたら結婚して子育てはしますかというような質問をすると、ノーの回答が非常に多かったところでございます。理由も尋ねますと、いい男がおらぬとか、他にやりたいことがたくさんあるとかいった答えが多かったといったところであります。
そこで、とりあえず、少子化対策に関しては、若い女性に期待するというよりは、むしろ既婚女性を対象に、仕事と家庭の両立支援、あるいは仕事と学校の両立支援というのを行うのが得策ではないかというふうに考えるところでございます。結婚、出産後も仕事を続けたいという女性が非常に多いですし、労働力の確保の観点からも、日本社会において既婚女性が働きやすい社会を実現する必要性が大です。
また、家庭と仕事の両立ほどはまだ言われていないように私は感じますけれども、我が国において、既婚女性が子育てを終えてから学校にスムーズに戻れるといった方向も検討していく必要があるなと私自身は感じるところでございます。
そこで、お伺いをいたします。
少子化対策については、既婚女性に焦点を当てて、容易に職場復帰できるようにしたり、あるいは、先に子育てを終えてから大学などに戻って存分に勉強するといったようなことができる仕組みを全体としてつくり上げていくということが最も有効ではないかと考えますけれども、この点についての御所見を伺います。
○南野国務大臣 今先生がおっしゃられたこと、本当にそういう問題が社会環境を整えてできるようになれば多少違うのかなというふうにも思ったりいたしております。
未婚化というところの中で、今、先生がおっしゃったのは、いい女性が見つからないということでございますが、女性側にとってもいい男性が見つけにくいなというようなところもあるわけでございます。それはそれぞれの価値観でございますので、そういう未婚から既婚にというような気持ちというものをどのようにして変えていけるのかということもございます。
それなりの、それぞれの背景に、働く女性が増大していくという一方、仕事と子育ての両立が難しいというようなことを仄聞しながら自分の結婚観ということもつくっていくのではないかなと思っておりますが、妊娠、出産で退職すると、これもまた再就職が難しいということなどが挙げられます。
そういう意味では、先生御指摘のとおり、既婚女性の再就職支援、これは大変重要な問題でありますので、せっかくキャリアアップしてきたことが中断されないような仕事環境ということも大切なことであろうかな、それについては、もう一度勉強し、フィードバックできるということも働く者にとっては大切なことだな、リタイアしている間に社会は変わっていきますので、その変化をどうキャッチアップするかという社会環境が、一つサポートシステムが要るのかなというふうにも思っております。
また、大学また勉強と両立ということについての先生の御指摘でした。
私がイギリスにおりますときに、もう大分前になります、先生がお生まれになっているかどうかわからない時代にイギリスに行っておりましたが、そのときには、イギリスに留学に来る人たちはみんな、アフリカとかそういうような方々は、子供を置いて留学に来ている。そういった意味では、結婚にはこれは適齢期はありませんが、妊娠、出産には適齢期があると思う一人でございますので、そういう観点から、どのように人生設計をするかということが一つ大切になってくるというふうに思います。
そういう中で、自分の教養を身につける、学問をする、キャリアをつけるというところの学業というポイントを人生のどこに置くかということも、それはそれぞれにお考えになられたらいいことだと思いますが、これはお父さんのすねがしっかりしていないと、子供が学業している間に子育てということを両立するということも多少難しいことだというふうに思っております。
そういう観点の中で、子育てを終えてから大学など勉強ができるようにするという点につきましては、そもそも、妊娠、出産、また個人や夫婦の自由な選択ということに基づくものであり、そうした生き方を強制することはできないんですけれども、子育て後でも大学で学べるという環境整備をすることは、人生の選択の幅を広げるということで大変意味があると思いますし、少子化に対しても大きく資するものであるというふうに思っております。
○赤澤委員 次に、男性の育児についてもちょっと御質問をしたいと思います。
日本の男性の家事、育児時間というものを諸外国と比較した資料によりますと、一日一時間にもならない。他の国では二、三時間といったことから見ても、男性の育児についての日本男性の意識、まだまだ低いといった感じがいたします。
育児休業した場合の所得保障といった制度の面で見ても、今、日本では四〇%、スウェーデンなどでは八〇%ぐらいまで所得保障ということになっているようでございます。
育児休業、法律により、労働者の権利として一年、あるいは特例によって一年半とることができるという制度ですけれども、女性が七〇%、男性はまだ一%にも満たない取得状況と伺っております。
この点、そこで、育児休業、特に男性の育児休業の取得を促進するための取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
○白石政府参考人 育児休業の取得率、特に男性の場合、平成十六年度の調査で〇・五六%、一%に満たない、今御指摘のとおりでございます。
男性がなぜとらなかったのかということをアンケートしてみますと、ほかに育児をしてくれる人がいたからというお答えが一番多うございまして、想像するに、奥様の方、妻の方、母親の方が育児休業をとるケースが圧倒的に多いということは御指摘のとおりでございます。
男女共同参画というふうな観点からも、男性もやはり育児に参加するということは極めて大事なことでございますので、その点、いろいろ啓発の問題であるとか、あるいは助成金の支給というふうなこともやっておりますが、さらに、特に、育児休業の取得が男女ともに低い中小企業向けの対策につきまして、来年度予算において特に充実するように努力をしていきたいと思います。まだまだそれだけで十分とは申せないかもしれませんけれども、一つ一つ充実に向けて頑張っていきたいと思います。
以上でございます。
○赤澤委員 これまでにもいろいろ取り組んでおられる政府の御努力、実を結んで少子化について一定の歯どめがかかっていくことを強く期待いたします。
引き続きまして、私の実体験に基づいて、交通事故の被害を抑えるために非常に有効と考えられるシートベルトの着用の義務づけについて、若干詳細にわたる質問をお許しいただきたいと思います。ちょっと時間の関係もありますので、三問ほど通告していましたが、若干まとめさせていただこうかと思います。
この私の実体験というのは、過去に館山で、私が助手席に乗っていて私の後輩が運転していた自動車が、完全にカーブを曲がり切れずスピードの出し過ぎで反対車線に飛び出してきた車とぶつかった、正面衝突をしたという事故であります。先方の方は全くシートベルトは締めていなかったという状態でございます。
この事故で、私、助手席におりましたけれども、本当に九死に一生を得たというか、体が瞬間に二つ折りになって、眼鏡をかけている方はおわかりかと思いますけれども、瞬間的に眼鏡が振り飛びました。その衝撃のすさまじさというのは、眼鏡をかけている人間は、眼鏡が振り飛ぶぐらいの衝撃というのもほとんど経験したことがないような、歯にひびが入って、胸も打つしと大変あれだったわけです。
逆に、ベルトを締めていなかった相手の車の助手席に乗っていた方というのは大変な傷害を実際負われたわけでございます。ベルトの効果というのも間違いなく非常に大きいだろうと私は思っております。
現在、交通事故については警察の大変な御努力で、平成四年に一万一千四百五十一人だった死者数、これが平成十五年では七千七百二人、私の手元の資料が正しければそういうことであります。既に、毎年亡くなる方の数が約四千人減っている。
四千人の死者が出るような災害といったらこれは大災害でありますので、一年当たりそれだけの死者数を減らしたということは、そういう災害を防ぐに匹敵するような御努力を警察がされてきたということでありまして、私、この点は本当に評価に値する、感謝を申し上げる次第であります。
さらにさらに、将来的には死者数五千人といったことも目指しておられるようですので、さらに取り組んでいく際の御参考にならないかということで申し上げるわけでありますが、一つ目の質問は、現行のシートベルト着用の義務づけというのは、衝突の発生時、これに各座席ごとのシートベルトをつけていなかった場合の死亡率とか負傷率、こういったものに関する統計とかそういった数値、合理的な根拠に基づいて規定をしておられるのか、この点について教えていただきたいと思います。
○矢代政府参考人 お答えいたします。
確かに、シートベルトの着用は、自動車の衝突時の被害軽減効果は絶大でございまして、総じて、致死率がシートベルトをしていない場合に比べますと十分の一以下になる、こういう計算でございます。
それで、座席ごとに義務づけあるいは努力義務、前部座席と後部座席に差をつけておりますが、特に前部座席の方がその被害軽減効果が高い、逆に言いますと、後部座席の方は危険率は若干低い、大体四分の一ぐらいでございます。そういうことで、差をつけて、その制度を仕組んでいるところでございます。
○赤澤委員 通告をしておりましたので、次の質問も先回りしてお答えをいただいたんで感謝をいたします。
そういうことであれば、後部座席については、これは現在、シートベルトの着用義務、努力義務にしかなっていないところでありますが、一応客観的な知見、統計値等に基づいて差があるということのようですので、それについては質問をいたしません。
次に、実は、私自身が自分で経験した事故で思ったのは、一台目の車に衝突した時点で、ベルトをしていない運転者が助手席の女性の足元にもう体ごと飛んでしまって、ハンドルも握っていない、ブレーキも踏まれていない、時速七十キロの車が暴走するということで、二台目の私の車に正面衝突をしてきたところであります。
この点、運転者がシートベルトを着用していない場合というのは、本当に、一次衝突が起きたときに二次衝突を防げない、もう運転者としての安全義務を完全に放棄した状態でどこかに飛んでいってしまっているというようなことが起きる点で、非常に責任が重いんじゃないかと私自身は思っております。
私の理解するところ、現在、運転席でハンドルを握っている方と助手席の方のベルトをしていないときの違反点数等、全く同等ということで扱われていると承知をしておりますが、これにはどうも合理性がないんじゃないか。私の考えとしては、運転席でベルトをしていない運転者については、点数がより多くてもおかしくないんじゃないか。その辺について、差をつけることについてどのようにお考えになるかを承りたいと思います。
○矢代政府参考人 お答えいたします。
事故時の被害、身体被害の態様、これは確かにさまざまでございまして、車外放出あるいは車内の設備との打突でございますとか、あるいは運転手自体が体を支えられない、こういうことでございます。その状況はさまざまでございますが、全体としての被害軽減効果をねらいまして、運転者自身それから助手席にある者、これにつきましてのシートベルトの着用を義務化しているところでございます。
そこで、運転者席の方のシートベルトの着用者率ですが、現行の制度下で、平成六年には七八%でございましたが、これが年々向上し、昨年は九六・一%まで向上しておりまして、これが近年の交通事故の死者減少の大きな要因の一つなわけでございます。
ただ、御指摘の点でございますが、着用率をさらに向上させるためにはということですが、やはり国民にシートベルト着用の有用性を理解していただき、自主的に着用していただく、これが基本でございまして、また、行政処分につきましても、何点にするかという基礎点数ですが、他の違反の基礎点数との均衡もございます。
そういうことで、今の制度としておりますが、ただ、御指摘のような具体的な危険性の中身につきましては、これを理解させることによりましてシートベルトの着用率のさらなる向上が期待されるわけでございますので、今後の交通安全対策その他に、啓発活動におきます内容とあわせまして配慮してまいりたいというふうに考えております。
○赤澤委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、基本的に、シートベルト着用の必要性を国民に理解してもらうためにも、運転している方の方が助手席の方よりも着用の必要性が高いということを理解していただくには、やはり点数等で区別をつけるのがいいのではないかと私自身は思います。引き続き、よろしく御検討いただきたいと思います。
終わります。どうもありがとうございました。
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○佐藤委員長 この際、お諮りいたします。
政府参考人として法務省刑事局長大林宏君及び厚生労働省労働基準局安全衛生部長小野晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○佐藤委員長 田端正広君。
○田端委員 公明党の田端でございます。よろしくお願いいたします。
最初に、せっかく官房長官お見えでございます、アスベスト問題について、少し時間をかけて質問させていただきます。
今、このアスベストの問題は大きな社会問題になっていると私は思っておりますが、この発端になりましたクボタの阪神工場、尼崎に、あの事件が起こったときにすぐに私も冬柴幹事長と一緒に視察をさせていただきましたけれども、厄介なことは、三十年、四十年たってから発病するという非常に難しい、時差があるということと、それから、発病したら一年、二年で命にかかわる大変なことになってしまう。こういうアスベストの問題というのは、これはなかなか、対策は非常に困難であり、また、しかし緊急を要する課題だなとしみじみ感じました。
特に、このときに、後で被害者の方に会ったんですが、亡くなった方のお姉さんなんです。弟は四十五歳で亡くなったときに、医者の方から、アスベストに関係したところで働いていたか、市役所に勤務している方ですからアスベストには関係していなかったんですが、中皮腫であると。それは、よく考えてみたら、高校時代に、春休み、夏休み、クボタにアルバイトに行っていた。そういうことが今になってわかってきた。しかし、弟はそのこともわからずに四十五歳で今から十年前、平成七年に亡くなった。こういう一人の主婦の訴え、お姉さんの訴えがありましたが、本当に、そういう意味ではこのアスベスト問題というのは、なかなか救済というのは難しい、しかし緊急を要する課題だ、こう思います。
それで、この問題が起こり、我々もいろいろなことをお願いして、政府の中にアスベスト関係の関係閣僚会議というものを設置していただきまして、今救済に向けて大きな流れができたと思います。私も、与党のアスベスト対策PTのメンバーの一人としてずっと一貫してこの問題にかかわってきておりますけれども、なかなか、まだまだ見通しが厳しいものがあるな、こういう認識でございます。
まず、救済措置として、新しい法律はなくてはならないだろう、こう思います。特に、時差があり、また労災の適用等の期限があり、いろいろな意味で困難な問題がありますが、しかし、中皮腫という、もう一〇〇%近い、九十何%アスベストが原因であるということがわかっている方で、そういう方が年々千人近く、八百から千人ぐらいの間で亡くなっていっているわけです。ここ五、六年の間だけでも相当数の方がはっきりとしてきたわけでありますので、こういった方に対する救済措置としての新しい法律をぜひ通常国会に提出して、そして被害者の救済、例えば見舞金とか一時金とか、いろいろなことがあるでしょうけれども、そういったことをひっくるめてすべきではないか、こういう思いがしております。
その際に、汚染者負担といいますか原因者負担といいますか、企業責任というものも明確にしなきゃならないと思います。そういう意味では、見舞金等に充てるお金を、国からあるいは地方自治体からということもありますが、しかし、公的なお金以外に、そういう汚染者、企業の関係の方から拠出をしていただいて、基金なりなんなりつくって、そしてそこから救済措置を講じていく、そういうことがぜひ必要だと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
○細田国務大臣 田端議員がおっしゃいましたように、クボタの関係で、このアスベストについて、本当に、何十年も前の方がはっきりと因果関係があって被害に遭われたということで、企業側も一種の責任といいますか、これを認めて被害者の御親族の方と話をされている、こういうことを伺っております。
この問題は非常に歴史が長い経緯があること、アスベストが逆に有用でもある物資であるために、健康被害の面を看過して、有用性の方から活用されてきて非常に久しい物資であるということから、今後さまざまな形で健康被害者が出てくるんじゃないか、これまでも出ておりますが、これからも出てくるのではないかということで、今、関係省庁緊密な協力のもとに、まず実態を把握しようということ。実態というのも、被害者の実態、それからもう一つは、どういう輸入あるいは加工、使用、そういった実態があるのか。現に、学校その他の建物等でどう使われているのか、船舶等にどう使われているのかといった、幅広い実態調査も進めているわけでございます。
そういった中で、法制度をひとつ検討しなければならないということで今検討しておりますが、これは、既存の制度では救済できない被害者を対象に医療費とか遺族一時金等を給付するという内容で検討しておりますが、田端議員おっしゃいましたように、関与した企業も大変たくさんございまして、先例としては、公害健康被害の補償法というようなものが川崎におけるぜんそく等のときにあって、いわゆるPPPの原則というものもあって、企業から非常に多くの負担金を徴収しながらその補償等に充てたということがございますけれども、そういったものも念頭に置きながら、今後の検討課題でありますが、やはり関係企業にもしかるべき協力を求めるという方向で今検討しております。
全体の枠組みとか、一体どのぐらいの規模を想定して考えるべきかとか、それから、そもそも、先ほど言いましたような医療費とか一時金をどの程度給付する必要があるかとか、詰めるべき点が非常にたくさんございますものですから、この点を今鋭意検討しておりまして、法案の次期通常国会への早期提出を目指して最大限努力しているところでございます。
○田端委員 その際に、ぜひ大臣に知っていただきたいことは、例えば、中皮腫で亡くなった方は、平成十五年で八百七十八人、平成十六年で九百五十三人と数字が出ております。そして、肺がん、中皮腫で労災の補償を受けた方は、その八百、九百のうち、平成十五年で百二十三人、そして平成十六年で百八十六人。つまり、一割ちょっと、二割いるかいないかということでありまして、残りの八割ぐらいの人は、中皮腫で亡くなっていながら、労災を初めとしたそういう措置から外れてしまっている。これは、今までのいろいろなこういうあれには考えられないすき間が大変大きいわけですね。
だから、こういったすき間をぜひ詰めていただいて、つまり、九百五十三人亡くなっているんだったら九百五十三人が全員救済措置をとっていただかなきゃならないのが、百八十六人しかないわけですから、そういう意味では、これはなかなか立証ということは難しいかもわかりませんが、ぜひ、できるだけの人が救われるような法案の中身にしていかなきゃならないと思いますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。
それから、今、実態調査にかかっているということでありますが、これもなかなか難しい問題がたくさんあると思います。建物で、アスベストが含まれている建物、そしてその暴露のおそれがある建物、こういうふうに分けていきますと、病院における調査を見ましても、厚生労働省の調査ですが、三百四十一の病院に暴露のおそれがある、こういうことでございます。それから、学校等の施設ですが、これも暴露のおそれのあるのは四百四機関、こうなっております。それから、民間においては、これはまだはっきり余り出ておりませんが、暴露した吹きつけがある建物数としては六千八百三十八棟、こうなっております。
何を申し上げたいかといいますと、公的な学校、病院、これは今申し上げたような数字で、三百四十一、四百四ということであるわけでありますが、これはまず公的な機関であるだけに早急に対応していただいて、例えば学校の子供さんが安心できるような、父兄も安心できるような、そういう措置を講ずる必要がある、こう思います。あるいは病院においても同じだと思います。
しかし、この調査自体がまだ全体のうちの四割かその程度の中でのことでありまして、まだ学校総数とか病院総数全部いっていないわけでありますので、大至急すべての公的機関における調査を急いでいただいて、そしてその対応をしっかりとしていただきたい、こう思いますし、できたらはっきりともう公表等もしていただいて、そして方向性を各自治体等とも協議していただいて対応すべきではないか、こう思います。
それで、私は、この場合に、さっきの救済措置に関することは来年の通常国会で新しい法律ということですから、施設における、改修しなければならないような建物については早急に予算措置を来年度予算にとっていただいて、改修を行う手順というものを、あるいは方向性というものを決めていただくことが大事ではないかな、こう思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいということが一点でございます。
それからもう一点は、民間の場合はなかなか、非常に難しくて、例えば、この建物のここがこうだということがわかっていながら、それをするにはお金がかかるといったこと、いろいろなことがあると思います。
そこで、民間の暴露をどう改修し安全なものにしていくかということになりますと、やはり融資制度か何かそういうものをしてあげないと、なかなか中小企業等においてはそこまで、建物をいじるという気持ちにはなれないんじゃないか、こんな思いがしますので、民間に対する措置というものをどうするかということが大変大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
これは、きょう、国交省の方にも来ていただいておりますが、つまり、今大変なパニック状態になっておりまして、調査をする、その調査をしてくれる業者といいますか機関、これがもう仕事が殺到していて、今頼んでも、もう半年先、一年先でないと調査できないという状況。それから、ここをはがして安全なようにしてもらいたいという工事をお願いしても、そのアスベストを請け負う業者が、回収業者が、これもまた、いや、もう一年先までいっぱいだからとてもだめだ、こういうことでございます。
こういう状況を解消するためにも、そういった関係の業者を育てていただくといいますか養成していただく、そういうことも考えていただかないと、今のこの状況はなかなか、病院だけでも三百、四百、学校だけでもそれだけということでありますから、これがまだ半分の調査ですから、もっと、倍になると思います。そうなってきますと、もう全国大変なことになると思いますので、そういったことも含めて、官房長官のお考えを伺いたいと思います。
○細田国務大臣 まず最初に、公的な機関も、これはすべてまだ十分に、一〇〇%というわけにいきませんので、あらゆる手だてを講じて一〇〇%に至るまで調べてまいりたいと思います。自治体にもそのような指示をして、自治体の関係のところも進めてまいりたいと思います。
そして、おっしゃいましたように、民間にも非常に多くアスベストも使われておりますし、民間の調査会社とか建築業者の中には、今までアスベスト問題でよくわかった人というのは数社しかなかったようなんですね。
今、講習会をやったり、どのようにしてこれを検証していくかというような、どのようにしたら対策が講じられるのかということをどんどん団体等を通じて研修をしておりまして、今五、六十社、六十社近くまでそういうことができる会社ができてきておるようですが、隣接するそういう調査会社や建設関係会社というものがありますので、さらに研修を進めまして、こういった作業、実際に調査をして、分析をして対応できるような数をふやさなきゃならないと思っております。
担当省の方で懸命に今取り組みをしておるところでございますし、かつ、今おっしゃいましたような、それでは実際に必要になったときに融資その他資金的な面はどうかというお話でございますので、これは政府系の金融機関に指示をしておりまして、対応する、しようとしておるところでございます。
○田端委員 この前、兵庫県の明石市だったと思いますが、保育所の施設の中にアスベストが暴露しているということが問題になりまして、調査した結果、大気中の濃度が二倍以上の数値が出てまいりまして、子供さんはよくわからないにしても父兄の方が大変な心配をされて、直ちにそこは恐らく閉鎖になったと思いますけれども、そういった意味で、調べれば調べるほどそういったことが起こってくるんだろうと思います。そういう意味では、これはスピードを要する問題だと思いますので、ぜひスピード感のある措置をお願いしたい、こう思います。
そして、そういう意味での健康相談とか健康被害に関する窓口相談みたいなものを督促していただいて、全国にもいろいろな意味で心配されている方がいるわけですから、健康被害に関する不安を解消する、そういうきちっとした対応も含めてよろしくお願いしたいことと、さらにまた、この労災の問題はなかなか難しい問題があろうかと思いますが、五年を過ぎている方がいっぱいいるわけですから、これをどうするかといったことも含めて対応していただかなきゃならない、こう思います。
それで、私は、この関係閣僚会議というものがもう少し、一歩格上げしていただいて、アスベスト関係対策本部というふうに位置づけていただいて、そして各省庁連携、しかもリーダーシップを官房長官あるいは総理のもとで発揮していただくような形での、新しい一歩前進した組織体にしないとなかなかそこはいかないんじゃないか、こう思っておりますが、官房長官の御意見を伺いたいと思います。
○細田国務大臣 アスベスト問題につきましては、七月以来、関係閣僚会合が三回、それから局長級、課長級の関係省庁会議を十八回にわたって開催しておりまして、スピード感を持って次々に対応していくということで、私からも指示を出しておりますし、関係省庁も努力してもらっておるところでございます。
したがって、体制としては、閣僚会議、局長会議、課長会議、それぞれにワークしておりますが、御指摘のように、大きな本部として格上げして対応すべきではないかという御提案ございましたので、これも検討課題といたしたいと思います。
○田端委員 大変にありがとうございました。ぜひそういった意味で、これは今本当に大きな社会問題になっておりますので、政府挙げてお取り組みをお願いしたいと思います。
次に、最近続発しているエアガンによる発砲事件のことについてお伺いしたいと思います。
九月の二十六日に和歌山市の阪和自動車道、そして二十七日にも大阪市内ということで、この二つの事件が関係しているんじゃないかとも言われておりますが、ここのところ改造エアガンにおける発砲事件が全国的に多発しております。
これは、どういうことでこうなっているのかよくわかりませんが、大阪だけでもこの夏以降二十件ぐらい事件があったと聞いておりますけれども、村田大臣、これはちょっと大変なことだと私は思っておりますので、今どういうふうに掌握されているのか、何でこういうふうになってきたのか、少し実態について御報告をお願いしたいと思います。
○村田国務大臣 和歌山あるいは大阪の事犯を契機といたしまして、急に改造エアガンに関する事犯が注目を浴びるようになってきたわけでございますけれども、過去三年間の刑法犯の検挙状況から見ますと、空気銃、エアガンが使用されたものは、平成十四年五十八件、十五年八十一件、十六年七十七件でございまして、本年九月末では四十一件、こういうふうに、ある程度七、八十件の件数でもって推移しているということでございます。
私どもといたしましても、こうした事件というのは、国民に大変不安感を募らせる、そういう大変けしからぬ事件でございますので、取り締まりを徹底するということで、まずは、もちろん事件が起こったときは早期の検挙に努める、こういうことでございますが、仮に、検挙された場合に、改造エアガンとか改造用部品の入手経路の実態を解明するとか、そういうことをきちんとやっていくということが必要だろう、こういうふうに思っておりまして、警察庁も、たしか昨日だと思いますが、各県警本部等に取り締まりの強化という通達を出した、こういうことでございます。
なお、そういう改造のいろいろなやり方についてのホームページのサイトがあるとか、あるいは改造したガン、改造銃をオークションに出すようなサイトがあるとか、そういうものについて、有害な情報についてインターネットを通じての情報提供、これはしっかり見なきゃいけないということで、我々としてもサイバーパトロールというのを警察でやっていますので、そういうものもやはりきちんとやっていって、有害なものについてはきちんと取り締まるということが必要じゃないか、こういうふうに思っているわけでございます。
なお、武器等製造法というのが経済産業省所管でございますが、我々警察庁の方は銃刀法というものがございますので、そうした法律を駆使しまして、できるだけ、そうした改造エアガン等の事犯が出た場合には早期に取り締まるということをなお一生懸命努力してまいりたいというふうに考えています。
○田端委員 これは、私、素人的考えかもわかりませんが、例えば、関係業界に働きかけていただいて、銃刀法等の法律からいけば、エアガンとかこういう模造のおもちゃの玩具は、例えば色で、明確にこういう色を使いなさいという指摘をしてもらって、そして、業界と話し合って、本物とにせものとは、おもちゃとは色で一般の人がわかるとか、何かそういうふうにまで踏み込むとか、あるいは何かマークをつけるとか、そこまで業界とも話し合ってやっていただかないと、このまま放っておいては、幾らでも改造していって、幾らでも本物に似せたものにどんどんなっていくのではないか。しかも、非常に威力まで増してきているわけでありますから、ぜひ踏み込んで対応をお願いしたいな、こういうふうに思います。これはもう要望にしておきます。
それで、もう一点お願いしたいことは、ことしの二〇〇五年の骨太の方針にも我々お願いして、安心、安全というものを大きな柱にしていただきました。この安心、安全というのは治安対策とかいろいろありますが、やはり大きな問題は私は災害だと思っております。
今回、アメリカにおけるハリケーン等の事例を見てみましても、大変いろいろな意味で、日本にも教訓としてそれを生かすべきことがたくさんあったかと思いますが、一番大事なことは、災害時において国民、市民をどれだけ安全に避難誘導するかにあるのではないか、ここが最重要ではないか、私はこう思っております。
例えば、地方自治体の中ではなかなか頑張っているところがたくさんありまして、成田市では、市民の皆さんに呼びかけて、パソコンとか携帯を登録していただいて、そして、何かあったときにその登録された携帯電話に一斉に情報を流す、ここが危ないからこっちへ逃げなさいとか、こういう情報を市の方でやる、防災メール配信サービスというものを始めたというのは、これは私は非常に画期的なことだと思います。
それから、兵庫県の豊岡市は、昨年、台風二十三号のときに旧市街の半分以上が水浸しになったわけでありますが、犠牲者が一人も出なかった。これは、防災行政無線で直ちに情報を流して避難を誘導した、そのときのそういう決断をした市長の判断が非常によかったということで評価されているというふうに聞いておりますけれども、それはやはり、各戸別にそういう防災無線のシステムがあったからそれができたんだ、こう思うわけであります。
そういう意味では、今後、地震とかいろいろなことが想定されるわけでありまして、これをどういうふうに犠牲を少なくするか、どういうふうに避難誘導することによって市民、国民の安全を守るかということが大変大事なことであって、きょうは、村田大臣は国家公安委員長で御出席で、防災担当大臣として出席じゃないというふうに聞いておりますが、もし御意見があったらお伺いしたいのと、内閣府の中に中央防災会議で、ことし三月に避難誘導に対するガイドラインをつくられたということ、そして、災害弱者といいますか、高齢者の方とか、そういった方に対しての避難誘導を優先するような体制を急ごう、そういうことを決められたというふうにも聞いております。
これは非常にすぐれた発想だと思いますから、ぜひこういった市民の安全を守るという意味で、この体制を早急に全国的にお取り組みいただくよう、そして、全国的にそういう情報をいろいろ発信していただいて、各自治体が積極的にこういう体制がとれるように督励を出していただきたい、こんな思いがしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○村田国務大臣 与党の筆頭理事の御指示も、委員長の御指示もございましたので、お答えをさせていただきたいと思います。
やはり昨年の福井とか新潟の集中豪雨、あのときに、大変お年寄りを初めとしまして災害時の本当に逃げにくい方々が被災されてとうとい命を失われたということがございまして、私どもは、災害時要援護者の避難支援ガイドラインというものをつくりまして、ことしの三月に報告をいたしたところでございまして、このことについては、中央防災会議にも報告をさせていただいたところでございます。
委員が今御指摘のように、いろいろなことで、やはり危険をあまねく知らせるということは大変大事なことだと思っております。せっかく我々もこういう仕組み、ガイドラインをつくりましたので、これから、特に去年からことしにかけましては地方公共団体が合併をいたしましたので、新たに地域防災計画などをつくるようなチャンスが非常にあると思うので、できたらそういう中にも具体的にこうした仕組みというものを織り込んでいただきたいなと私は個人的にも思っているわけでございます。
ただ、最近個人情報の問題が非常にクローズアップされてきまして、なかなかそういう対象の、特に災害時に支援を要する人たちが、自発的に、私を助けてください、登録してください、そういう御要望があれば本当にいいのでございますが、個人情報の保護を盾に、なかなか救援をする方にそういう情報が行き渡らないというケースが多いようでございますので、ここは何とかならぬかなと私も悩んでいる次第でございます。
○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○佐藤委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時六分休憩
――――◇―――――
午後零時三十六分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。大島敦君。
○大島(敦)委員 民主党の大島でございます。
きょうは、先般行われました所信に対する質問を何点かさせていただきたいと考えております。
まず、アスベストの問題について質問をさせてください。
今回、政府が九月二十九日に、「政府の過去の対応の検証について」ということで、アスベスト関連の補足の資料を提出されております。
その中でこういう書きぶりがございまして、「行政の不作為があったということはできないが、当時においては予防的アプローチが十分に認識されていなかったという事情に加え、」ということで、その「行政の不作為があったということはできないが、」ということで、行政の不作為について、なかったという政府としての対応を示されております。
このことにつきまして、私はやはりアスベストの問題というのは、一つには政治の問題もあるかもしれません。十年以上前に一回、日本の中でアスベストの問題が大きく報じられて、それについて幾つかは対応をとっているんですけれども、抜本的な対応というのがとられていなかったという事実がございます。
そのことについて、まず、政府を代表する細田官房長官から御所見を承れれば幸いでございます。
○細田国務大臣 七月以来、非常に精力的に、過去の状況あるいは現在の状況、これからの問題について協議を重ね、また調査もしております。
そういう中で、大島議員おっしゃるように、昭和六十年代において、既にこのアスベスト問題は問題になっていたではないか、それ以来、行政がきちっと対応してきたのか、政府があるいは政治が対応してきたのかという御指摘があるわけでございます。
確かに、経緯を見ますと、最初に業界自主規制等によって青石綿が使用中止ということになったのが昭和六十二年でございますが、その他実際の使用禁止になった年代、あるいは茶、白等の石綿についてはさらに遅いという事実があるわけでございます。それで、これは当然ながら、これからも過去については検証もし、反省すべき点は反省すべきである、一々言いわけめいたことをすることで対応がおくれてはいけないということは強い指示として私からも出しているわけでございます。
そして、現に苦しんでおられる方、既に死亡された方もかなりおられますし、かつ、この問題は三十年、四十年の間に発症するということで、実際は石綿の被害を受けておられるけれども、発症されておられない方もたくさんおられると推測されますし、かつ、全国津々浦々いろいろなところで使われておりますので、これに対する対策をしっかりととらないと、これから飛散が生じたりしてさらに多くの被害が生ずる。
これは欧米等でも、特にヨーロッパにおいても多く見られるわけでございますが、それも防がなきゃならないということで、過去、現在、未来、すべてにわたってしっかりとした対応をとらなければならないということで、政府としては、重く受けとめ、かつ、早急な対策に今着手しておるところでございますし、また、被害等の調査も進めておる、使用の調査も進めておるところでございます。
そして、それに適用する法案も現在検討を進めておりまして、次期通常国会のできるだけ早い時期に提出して、速やかな救済を行わなければならないと考えておるわけでございます。
○大島(敦)委員 早期の救済は必要であると考えております。特に中皮腫の患者さん、一回発病すると、胸が本当に常時燃えるように熱くなって、それで、なかなか治療法も確立されていませんから、二年から三年でお亡くなりになってしまうケースが多いということを承っております。
その中で、やはり政治家としての大臣の答弁があると思います。これまでも、私、ここ五年の間、さまざまな政府の大臣の方に質問をさせていただきまして、野党の質問を利用しながら、ある程度、行政あるいは官僚機構に対して仕事をさせるということを心がけた方、あるいは逆に、できるだけ言質を与えないようにされる方、さまざまな対応がございました。やはり政治家としての御所見をぜひ大臣に承りたいと思うのは、行政の不作為があったということはないという非常に遠回しな言い方、「行政の不作為があったということはできないが、」ということで、行政の不作為はなかったということを政府は九月二十九日の資料の中で示されているんですけれども、そうすると、では、私たち立法府の責任があったのかということもえんきょく的に言えるのではないのかなと思っております。
ですから、このことについて、私たち立法府としてどう考えるのかということについて、再度、細田官房長官の御所見を聞かせてください。
○細田国務大臣 過去の問題について、行政庁が過去においての対応に明らかな責任が必ずしもないという意味で書いてあるわけでございますが、私は、そのことが一〇〇%検証されたというわけではありません。過去にも、さまざまな事件が起こったときに、さまざまな証拠が出てきたり、あるいは対応について実態がいろいろ明らかになったりして、これから証明すべき課題も多いと思うんですね。
したがいまして、私ども行政も、あるいは政治家としていえば、政治あるいは立法府としての国会も、私は、謙虚にこのアスベストの問題というのは受けとめて対応をし、かつ、過去にさかのぼって、また適切な法的措置もとるということが必要である、そういった事態ではないか。
特に、非常に多用されておる物資でございますね。そして、これは、例えば、断熱とか防音とか耐熱とか、あるいは火事を防ぐ防災とか、そういった面では有用だとされてきた物資、多量に使われた物資が、実は有害であったという、また一つの典型的な事例になっております。
しかも、すぐに健康被害が発生するということでなくて、三十年、四十年かかる。そして、かつ、それが非常に高度な確率で死に至るというような病になってしまう、特に中皮腫の場合ですね。そしてまた、肺がんの中で一部それがあって、一般の肺がんとアスベストをもとにする肺がんというものをまた分けていかなきゃならないという非常に重い課題に我々も遭遇しております。
そのときに、国会におきましても、また我々行政、政府におきましても、真摯な対応でこの対応措置を、法的措置も含めて、行政的な対応も含めてしていく。そして、お亡くなりになった方や患者さんとして治療を受けておられる方、そしてまた将来発生する事態も防止していかなきゃなりませんので、決して我々の責任があるとかないとかいって逃れるようなことをしてはならないという姿勢で取り組んでまいりたいと思います。
○大島(敦)委員 やはりこれまでの政治の不作為というのは、たびたびそれによる事件はあったかと思います。例えば、ハンセン氏病の対応についてもそうですし、先般の、今の郵政の問題についても、私は、プラザ合意以降の二十年間の郵貯、簡保のあり方が今回の事態を引き起こしたこともあるのかなと考えておりまして、やはり内閣府の役割というのは非常に大切だと思っております。
それは、内閣府というのは、内閣、政府全体の企画及び調整をすることを旨としておりまして、やはり問題を提起して、各省庁に対してその問題を投げかけてまとめていくというのが内閣府の機能だと考えております。ですから、今回のアスベストの問題についても、内閣府が中心となって、環境省、厚生労働省を初め各省の調整及びそれのいわば目標を設定して対策案を詰めていただいているかと考えております。
特に、今回の対策案の中で、さまざまなことが考えられると思います。例えば、今までの中皮腫の治療方法について、あるいは中皮腫でお亡くなりになった方、あるいは今中皮腫を持っていらっしゃる、要は病に侵されている方、それがアスベスト被害によるかどうかの科学的な検証も必要だと思いますし、もう一つは、お亡くなりになった方あるいは今かかっていらっしゃる方がアスベストによる中皮腫あるいは肺がんだとすれば、その救済をどうするかということが非常に大切だと考えております。
アメリカの例でも、非常に多くのお金が今このアスベストの対策で使われていたり、企業買収、MアンドAするにしても、もう数年前から、アスベスト被害と企業の価値というのをしっかりと彼らは企業の買収という中で項目として挙げて企業の価値を決めていたわけなんです。
ですから、アスベストがこれから及ぼす産業界への影響も非常に大きいと考えておりまして、今回のアスベストの基本的枠組み、これは案なんですけれども、その中ですと、「石綿による健康被害の救済に関する基本的枠組み」になっておりまして、この救済ということですよね、補償ではなくて救済という立場を政府はとっているわけです。
補償というと、それは因果関係がしっかりして、その因果関係に基づいて、被害者にその事件を起こした人が払うのが補償という考え方。救済という考え方はもっと間口が広いという考え方だと思います。今回、この救済という立場をとられることは、私としては非常に評価はするんですけれども、影響も非常に大きいかと思うんです。
これからさまざまなこのような被害が起きたときに、やはり因果関係を特定しないでも救済という立場で救っていくというお考えも今の政府の中で持ち始めてきたのかなと思っておりまして、その点について、今回、救済ということに枠組みをつくるとした、そこの考え方について御説明していただければありがたいです。
○細田国務大臣 法案をこれからつくってまいりますので、主としては、この法案審議の中でまた御議論をいただかなければならない深くかつ広い問題があると思います。
あくまでも、本来企業に働いていて、そこでアスベストを浴びたとか吸ったということがはっきりした方については、その労働の中で得たアスベストであり、それをもとに何十年後かに中皮腫になった、肺がんになったということで、例えばお亡くなりになった、あるいは今現に病に侵されているという場合は、基本的には労働災害であるけれども、これが普通の時効で考えられるような、例えば労働中のけがですとかそういうものと横並びの時効がある、これが本来、アスベスト被害に合わない状況であるということがありますね。
そうすると、それをどのような因果関係で企業のいわば補償あるいは損害賠償とリンクさせるのか。それから、労災というのは、当然ながら、そこで時効であったことがおかしいから、それの救済をしなければならないという面がありますね。
それから、なかなか労災という環境にあることが証明できない場合に、一般的にどこかでアスベストを浴びられたというような可能性の高いときには、これは今、中皮腫というものについて医学的な検討も担当省でやってもらっていますが、中皮腫であれば、ほぼアスベスト被害と認定してもいいのではなかろうかという方向で検討されております。
そして、肺がんの場合が因果関係が非常に難しゅうございます。普通でも肺がんになり得るわけでございますが、その人の環境その他をどう考えていくのか。そして、それでも検証される場合もありますので、それからお亡くなりになっている場合にどうするかというときに、一体、補償というような、因果関係があってそれを救済しなければならないケースと、おっしゃいましたように、因果関係は立証しにくいけれども、やはりこれは救済措置をとるべきであるという政治判断、行政判断をしてやるべき部分と、これが今の検討段階でまだ混在しております。
そこに、例えば川崎におけるぜんそくというのが、一般的に車からの排気ガスや工場からの排気ガスによって多くの方が被害を受けたのではないかという推定をして、そしてPPP原則、当時からある原則に基づきながら救済措置をとるということも過去に行われております。
それらの考え方を総合的に考えて、最も適当な、かつ、すき間のない救済をすべきであるという考え方で今取り組んでおりますが、まだ、そういったそれぞれの法的な関係や因果関係、そして、不法行為といいますか、法律上いえば不法行為になるわけですが、損害賠償あるいは国家賠償という観点があるのかないのか、こういう点も十分詰めて法案化しませんと、これからの議論として非常に難しい面がございますので、それを今詰めておる、こういう段階でございます。
内閣官房としては、それぞれ、私の立場で今、関係大臣会議や局長級、課長級の会議を多数持っておりますが、その中で、関係省、特に厚生労働省や経済産業省、環境省等、あるいは施設官庁としては国土交通省、文部科学省その他あるわけでございます、防衛庁にもある、そういうところと連携をとって、具体的な対応を詰めて、できるだけ早く結論を出して、法案という形にしてまた御審議をいただきたいと思っております。
○大島(敦)委員 確かに労災保険法のように因果関係を確定して、時効があったものについてはその時効の期限を変えることによって、それは補償という形で対策がとれる。それ以外については救済という形で、因果関係がしっかりしていないものについては救済をしていくという考え方、それはよくわかります。
そうしますと、財源の問題が出てくるかと思うんです。今恐らく、民間企業を初め、給付金の財源、この補償、救済するための財源をどうするかという議論が出てくるかと思うんです。それは、政治の責任だから、あるいは行政の不作為あるいは政治の不作為だから税で賄うのか、あるいは、関連する企業があるものですから、その企業から拠出するのか、その考え方があるかと思うんです。
救済という考え方をとった場合に、それは民間企業、要はアスベストを使っている企業から給付金を徴収するという考え方はよくないかもしれないんですけれども、給付金を仰ぐとするのか、あるいは税の投入をするのか、そこの考え方をちょっとお聞かせいただけませんか。
○細田国務大臣 この点が今詰めております最大の問題であります。
先ほど申しましたような過去の事例もございまして、例えば、ぜんそくの原因に大気汚染があって、それが自動車からの排気ガスであったり工場からの排気ガスであったり、さまざまな要素はあるけれども、これは多少、三十年も前の法律ではありますけれども、いろいろな日本的な妥協もあって、それじゃ、産業界で、全体で被害者を救済すべきじゃないかということから、基金を設けまして対策をとったという経緯があるわけでございます。
同じような考えがとれるのかどうか。現に、建設業やあるいは一部家電とか造船とか、そういう明らかにアスベストを使ったところがある、それから輸入したところもある、加工したところもある。それらが特定できて、その方々だけに、例えば使用した数量に応じて、あなた方はこのぐらいは原因者になっておる可能性があるから負担してくれませんかという考え方もありますが、ちょっとまだそういう考えを煮詰める段階ではございませんので、ただ、社会全体としてこの問題についてしっかりと対応していくためにどういう枠組みがいいかということを協議していかなきゃいけないと思います。
そしてまた、その協議の結果、こういう考えでということを行政庁としては判断し、かつ、国会に法案としてこういうことでお願いしたいと。これは、基金のようなものを設立するにしても法案化されるわけですから、その中で、関係者が協議をして、では、こういうふうにしていきましょうという考え方を確立していかなきゃいけませんので、いましばらく調整時間を要すると思いますが、真剣に、このアスベストの過去の被害者、現在の被害者、そして将来何十年かにわたって起こる可能性のある被害者を救済する仕組みを考えてまいりたいと思っております。
○大島(敦)委員 現時点ではなかなか答えにくい内容かと思うんですけれども、三十年前の別の事案に基づくか近い形を想定しながら、恐らく、業界あるいは民間企業の方にも負担をお願いするのかなというように理解をさせていただきまして、ですから、この問題は時間が大分経過しておりますので、民間企業の立場からしてみても、なかなか因果関係がしっかりしていないものにお金を拠出することに対して、今度は株主との関係もあるかもしれませんし、深い検討が必要なのかなと考えております。
特に、先例になるかと思いますので、その点を御検討していただきながら、いい形でまとめていただければなと考えております。
次に、今度はまた別件について、防災についてお伺いをしたいんですけれども、これまで、例えば国会等の移転に関する特別委員会等、あるいは国土交通委員会等で、首都機能が麻痺したときの対策案として、バックアップ都市という考え方の論点も幾つか出てきております。
特に、今、例えば町の本屋さんに行きますと、この「東京大震災帰宅支援道路」とか、あるいは「震災時帰宅支援マップ」とか、震災が起きたときにどうやって自宅まで帰るか、こういう地図が大分ベストセラーで売れている時代でして、国民の関心も災害に対して高くなってきているのかな、もう地球がほえている、そういう感じもしないでもないわけなんです。
そうしますと、首都機能が麻痺したときにバックアップをとるという考え方、これについても国土交通省だけの担当ではなくて全省にまたがっているものですから、その点について、政府として、内閣府として、官房として、あるいは細田官房長官として、問題意識を持って進めていらっしゃる予定なのかどうなのかということについてお伺いをさせてください。
○細田国務大臣 従来は、平成十二年に定めました「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」というものに基づきまして、政府機関の各機関の情報システムに関するセキュリティー対策は、いわばバックアップ対策も含めて各省庁の判断に任せられておりました。
しかし、実際に調査をいたしますと、どうもそれぞれ省庁の問題認識によってばらばらであるということが判明いたしましたので、本年の九月十五日に、政府機関の情報セキュリティー対策のための統一基準というものを定めまして、これはそういう情報セキュリティーに関する対策室をつくり、かつ、専門家を配備して対策をとった。その責任者として山口先生というこの道の専門家を奈良先端大学からリクルートしましてお願いするとか、いろいろな対策を講じてきたわけですが、その方針の一環として、政府として、統一的な対策事項としてバックアップ体制をとるということを決定したわけでございます。そういったことで、今各省庁にも指示を出しております。したがって、バックアップ体制を全省庁とるということになっております。
大きく言えば、すべての情報をまた一つのところにバックアップするシステムをつくるべきじゃないかという議論もありまして、例えば神岡鉱山の下にそれを全部集約させろという議論もする方がおられまして、それも含めて検討はしておりますが、それはとりあえず先の検討でございまして、今時点は、各省庁においてきちっとしたバックアップ体制をこのような基準でとるべしということを指示して決定したところでございます。
○大島(敦)委員 今細田官房長官がおっしゃったのは、情報システムに関するバックアップだと思うんです。これは銀行あるいは金融機関でも、もう何十年も前からバックアップは東京のほかにもう一カ所あるいはもう二カ所持つということはしております。
情報のバックアップを持つとともに、人的被害が多分麻痺することが想定されておりますので、人も含めてバックアップをとれる体制をそろそろ、あるいは私としては、検討に入り、一つの考え方で、首都機能というのは国会を移転するから非常に大問題になるんですけれども、バックアップする人的なものも含めて対応をとっておくという考え方もあるかと思うんですけれども、広がりの多いバックアップについて考えられる御予定があるのかどうか、あるいは問題意識について、お伺いをさせてください。
○細田国務大臣 ちょっと具体的に、特にどういうことが必要であるかということを検討したいと思います。
今の行政庁は組織で、何人もで実際の業務に従事しておりますので、今危機管理センターで、一朝事があると集まって対策をとるんですが、その背景に大変な大量の人数がいまして、一つ事にかかり切ってはいるんですが、それで本当に足りるのか、一つの役所が壊れてしまったという場合にそれができるのかというようなことについては、確かに現時点まででそういうことまでは想定しておらないのは事実でございます。関係各省から危機管理センターに集まって、そこで協議をしながらやるというところまででございますので、検討に値する事項であると思いますので、担当の方によく検討させます。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
特に、情報のバックアップとともに人的なネットワークのバックアップも多分非常時には大変有効に機能していくかなと思いますので、その点も御検討していただければと考えております。
もう一つ、BSEの問題について、昨今、アメリカ産の牛肉を輸入する可否に対して大分議論がされております。
その中で、まず、これから私どもの政党の委員の方もBSEの問題を取り上げますけれども、今回、委員会の方で、今回のアメリカの肉骨粉のことについて、要は、一〇〇%疑いを晴らせないというような報道がなされておるんですけれども、その内容について御説明していただければと考えております。
○棚橋国務大臣 お答えをいたします。
委員御指摘の今のお話は、食品安全委員会のプリオン専門調査会における現在の議論のことではないかと思います。
先般の議論の中で、確かに、いわゆる十月四日のプリオン専門調査会において提出されましたたたき台の中で、米国では、反すう動物由来のたんぱく質を豚、鶏の飼料に給与すること、あるいは鶏の飼料の残渣、豚の飼料の残飯などを牛に給与することが禁止されていないということを理由として、現在の飼料規制のもとでは、一定の割合で交差汚染が起こる可能性が今後も残るものと考えられるというようなたたき台が出ていることは事実でございます。
ただ、これは、御承知のように、まだ今議論をしているところでございまして、なおかつ、BSEの問題に関しては、大島先生一番お詳しいでしょうが、科学者、専門家が科学的知見に基づいて安全性をきちんと議論して、そしてその審議をする。そして、今まさにプリオン専門調査会で議論をしている途中でございまして、その中であくまでたたき台での議論でございますので、それは重々御承知の上で御質問なさっていると思いますが、念のため申し添えさせていただきます。
○大島(敦)委員 たたき台での議論だったとしても、私ども食べる側にとっては、大臣もそうだと思うんですが、非常に気になる点でございまして、科学的見地に基づいて結果が出た後の政治的な判断が入るかと思うんです。その判断をする方がだれかというのはちょっと伺いたいと思っていまして、厚生労働大臣なのか、あるいは官房長官なのか、総理大臣なのか、内閣全体なのか、農水省なのか、農水大臣なのか。
今回の決定を受けて、最終報告を受けて、だれが米国産の牛肉の輸入再開の結論を出すのかという、担当者というのかな、だれが責任を持って決断を下すのかについてお答えをいただければ幸いでございます。
○棚橋国務大臣 私の方からお答えできますことは、まず、これまた委員重々御承知の上でございますけれども、あくまで食品安全委員会の方はリスク評価機関として、リスク管理機関、今回は厚生労働省と農林水産省ですけれども、科学的知見に基づいて安全かどうかという諮問を受けているところでございます。
また、委員御承知のように、まず食品安全基本法の中で、いわゆる「食品健康影響評価は、その時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて、客観的かつ中立公正に行われなければならない。」というふうにされています。
ですから、食品安全委員会はあくまで、これは政治的判断ではなくて、現在のレベルの科学的水準に基づいて安全かどうかという観点から判断する。
そしてまた、食品に関しては、これまた委員御承知のように、ゼロリスクというのは基本的に考えづらい。すべての食品は基本的にはリスクがあるというふうに、誤解を恐れず、あえて言うならば、言ってもいいんではないか。
ただ、通常の食生活を送るに当たって無視できるリスクかどうかという観点から判断してまいります。
私どもの所管にございます食品安全委員会で、現在、厚生労働省と農林水産省から諮問を受けている内容は、これは正確を期するためにそのまま読ませていただきますと、「現在の米国の国内規制及び日本向け輸出プログラムにより管理された米国から輸入される牛肉及び牛の内臓を食品として摂取する場合と、我が国でとさつ解体して流通している牛肉及び牛の内臓を食品として摂取する場合の牛海綿状脳症(BSE)に関するリスクの同等性」について私どもとしては諮問を受けておりまして、これを厚生労働省、農林水産省にお返しする。そして、その中で、そのリスク管理機関である厚生労働省、農林水産省によって判断されるもの、具体的には両大臣によって判断されるものというふうに理解しております。
○細田国務大臣 今、棚橋担当大臣からそういう御説明がありました。
そして、今議論されておりますことは、委員御存じのように、国内においても、二十カ月以下の牛肉であって、かつ、この危険部位を除去するということによって安全性が確保されるという第一の判断がありまして、それと同じ条件で、輸入牛肉、特にBSEが発生したアメリカ、とりあえず禁じられているアメリカにおいても、同じ条件であれば安全かどうかという技術的判断をしているわけです。それは専門家の判断ですから、政治的にそれがどうこうというわけにはまいりません。
そして、その後、実際に米国産牛肉が二十カ月以下であって、危険部位を除去して、仮にそれが安全だという判断があった場合に、それが確保されるかどうかということが行政的に判断しなければならない事項になる、この点をまたしっかりとしていかなきゃならない、こういうふうに考えておりますので、むしろ、あらかじめ今判断している中身で政治的に決断をするとかしないとかということではないわけでございまして、かえって、それは今のプリオン調査会あるいは食品安全委員会の判断を左右することになりますので、そこまでやった後にさらに行政として責任を持って判断しなきゃならない、こういうことであります。
もちろん、議員はよく御存じの上で御質問されていると思いますが、そこが混同が生じている議論が間々見られますので申し上げた次第であります。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
今回の食品委員会については中立的な立場での御議論をしていただいて、その後の判断について伺いたかったものですから、まことにありがとうございました。
それでは、終了いたします。
○佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。
私は、警察の不正経理問題に限って三十分間質問をさせていただきます。
まず、村田国家公安委員長、御苦労さまでございます。
私は、この警察の不正経理問題、もう二年余りたつわけであります。一部の幹部を含めて、警察の捜査費あるいは捜査報償費、これが裏金化をされ、そして私的流用もされておるのではないかということで、この内閣委員会でもたびたび問題になってきておるという事案でございます。
私は、この真相解明というものがますます今必要になってきておる、こういうふうに思いますが、まずは、村田大臣のこの関係の真相解明についてのお考えをお聞きいたします。
○村田国務大臣 警察に関します予算の不適正執行の事例が幾つかの都道府県警察において出たということにつきましては、警察行政に対する信頼という観点から考えても、私自身、大変遺憾に思っている次第でございます。したがいまして、二度と将来にわたりましてこういう事件が起こらないようにするということが私ども国家公安委員会に課せられた責務だというふうにも考えております。
まずは、問題が出た点につきましては調査を徹底的にしていくということ、それに基づきまして処分を行い、場合によっては国や県がこうむった損害金について返還をさせる、それから将来にわたって再びこういう事態が起こらないような再発防止策を講ずるということが最も緊要であるというふうに考えております。
○鉢呂委員 私は、調査の必要性についてお伺いしたわけであります。今は、問題が出たらという話でございました。
私の認識上、北海道警察、福岡県警あるいは静岡県警、いずれも内部告発という形でしかその調査を開始しておらない。警察庁もさまざまな監査機能を持っておりながら、こういった不正流用、不正経理を見つけ出し、そして返還に至ったという事例はあるんでしょうか。
○村田国務大臣 こうした事案の発見が内部告発あるいは報道に基づいたということはまことに残念に思いますけれども、しかるがゆえに、私ども国家公安委員会といたしましては、国家公安委員会の規則を改正しまして、会計の監査に関する国家公安委員会規則というものを設けて、毎年警察庁が会計に関しましての監査を行うということを定め、それから国家公安委員会に各都道府県から警察庁を通じまして報告を聴取する、そういうシステムを定めたところでございます。
○鉢呂委員 これまでも、その他宮城県警、長崎県警、愛媛県警、広島県警、さまざまな内部告発が出ております。警察庁は、この問題は、県ごとの特例、特殊的な事例で警察全体の問題ではない、構造的な不正経理問題ではないという考えをとっておるのか。私が昨年十二月に漆間現長官に聞いたときはそういう発言をされたわけですが、国家公安委員長としてどういう認識を持っていらっしゃいますか。
○村田国務大臣 私ども国家公安委員会としましても、問題が発覚した各道府県警本部から事情を聴取し、これは警察庁を通じてでございますが、報告を受けて、場合によっては組織的、慣例的に行った事例はございましたが、それが全国全体にわたりまして組織的に行われたという事実はないものと考えたわけでございます。
○鉢呂委員 私は、昨年二月二十五日の予算委員会で総理に対して、これは単なる北海道だけの問題ではなくて日本警察全体の問題ではないか、こういうふうに私は認識しておる。こういうふうな質問に対して小泉総理は、警察の信頼をいかに回復するかということに対して、国民の声を真剣に受けとめ、きちんとした対応が必要だと思います。その点について、北海道警察のみならず、日本全体の警察の問題であるという意識を持って、信頼を得るため、対応、反省、改革が必要、そういうことをしっかり踏まえて、調査を含めて厳正な対応をしていかなければならないというふうに小泉総理は去年の二月の時点で述べております。日本警察全体の問題である、この改革をしていかなければならないと。
私は、警察官僚がまさに捜査上の秘密ということに逃げ込んで、官僚の最も悪い、閉鎖的な、開かれない、こういう形でこの二年間、推移してきたではありませんか。これを打ち崩すのがまさに小泉さんの言う改革。今もう十一月二日で任期が切れようとしておるかもわかりませんが、村田さんが再任を得るためには、ここをきちっと、今、一年間の期間は過ぎたわけですから、本当に警察の改革を進める。
この問題は次から次に出てきて、いや、これはしかし日本全体の警察の問題ではない、構造的な問題ではないというような警察官僚のその言葉を真に受けてこのままにしている限り、私はこの警察問題の本当の改革はできない、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
○村田国務大臣 私も、小泉総理が昨年の予算委員会、たしか二月の予算委員会だったと思いますが、そうした発言をされたということはもっともだろう、こういうふうに思っております。
ただし、その内容は、警察によります予算の不適正経理というものについて、これは大変好ましくない事態であるということを、好ましくない、まことに遺憾な事態であるということを全国の警察がひとしく持たなければいけない、こういう認識を総理がお示しになったというふうに理解をしております。
しかるがゆえに、私どもも必要に応じて調査の徹底を指示し、またその報告を受けていたということでございまして、今、鉢呂委員がおっしゃるように、私どもも、こうした事態というのは将来に向けてもあってはならないことだという意味で、先ほど申し上げた国家公安委員会規則というものを設けたということでもございます。
○鉢呂委員 単に北海道のことが他にあってはならないという精神論で言っているわけではないと私は思います。
会計検査院の報告があります。
捜査費は、四、五年前まではまさに予算と決算が同額程度という形でずっと推移してまいりました。これは県警段階で、国の国費を投入しても、全く予算と決算が同じ。
ところが、昨年の会計検査院の報告、これは会計検査院に聞きましたら、これは何も偏った形でとっているわけではないと。抽出して十四所属、これについて、五カ年の捜査費の中身、これは警察庁からは一切明らかにされませんでした。捜査費という形の全体額は、当時から見ますと七割、六割ぐらい減っております。
しかし、その中身は、捜査協力者謝礼というような、あるいは接触費というような項目が六つか七つあったのでありますが、この捜査協力者謝礼というものだけ見ますと、平成十一年、この十四所属だけでありますが、一億八千万、十二年も一億七千九百八十万ですから、まあ一億八千万。ところが、十三年からつるべ落としでありまして、何と十五年は四千三百万に減っておるんです。五分の一以下です。これは何も特殊な北海道とかということではありません。
私が何を言いたいかというと、全国どこの所属でも、当時は満度に使っておった、これが五分の一以下になっている。皆さんの答弁は、皆さんというのは、委員長の答弁というよりも官僚の皆さんの答弁は、協力者の協力ができなくなってきた、都市化だとか住民意識の変化とか、情報収集活動が困難性を来して協力者の協力ができなくなったから減ってきたんだ、こんなへ理屈を言って言い逃れをしておる。我々も情報が入手できませんから、会計検査院、では、これはこういうことを言うのではないかと。会計検査院は、証拠がないからそこまでは言えぬけれどもというふうに口を濁しております。
しかし、これは、結局のところは、ほとんど全国の警察署で、県警で、協力者という名前の協力費はほとんど裏金になっておっただけで架空の協力者だった、そういうことを示しておる。これはだれが見ても客観的にそうであります。
そうであれば、村田委員長の今の言葉は、北海道警察だけで、あとは精神論で、ほかのそういう形がないように改善すべしという小泉総理の言葉ではありませんよ。これは全国共通の問題として委員長はとらえるんですか、とらえないんですか。はっきり答えてください。
○村田国務大臣 捜査費とかあるいは報償費の執行額が非常に落ちているということは委員の御指摘なさるとおりだ、こういうふうに思います。
その理由はいろいろな理由が複合的に考えられるというふうに思いますので、今、私ども、かつてこの委員会あるいはほかの委員会でも答弁させてもらったことがございますけれども、捜査をめぐるいろいろな環境が大きく変化しているという事態は、今委員が御指摘になった、そういう理由の一つでございます。
また、大変こうした経理の問題についての指摘が厳しくなって、場合によっては、本来なら、私としてはきちんとした捜査にはきちんとしたそうした費用を使うべきだというふうに考えておりますが、なかなか執行しにくくなった、そういう環境もあわせてあると思いますし、また、そのほかの理由も存在しているのではないかというふうに考えているわけでございます。
○鉢呂委員 ここまで言っても、委員長、それをお認めにならないというのは、本当にこの警察改革に取り組むかどうか、私は疑問に思います。やはりなぜ、今回の真相解明、国民があるいは第一線の警察官が納得しないのか。それは、やはり使途不明金があり、その使途不明金の内容がつまびらかにならない、そしてそれは一部の幹部が私的流用しておるのではないかということであります。
私も北海道でありますから、選挙中もさまざまな人から、郵政民営化よりもむしろこの北海道警察の不正経理の問題についてもっとしっかりやってほしいと、第一線の警察官からも、今読み上げますが、多くの御支援をいただいております。
例えば、これは五月三十日に私のところに来た警察官の方です。
いつも国民のため、道民のため御活躍されていること、そして警察改革のために御活躍されており、警察官の中にも、先生というのは私のことを言うんですが、鉢呂を信じている人々が数多くいます、こういうふうに切り出して、警察官の皆さんが、私ども国会あるいは国家公安委員長のやり方を注視していると、警察官自身が。
なぜなんでしょうか。それはやはり、私的流用があるのではないかと。
具体的に行きましょう。
北海道警察で三億九千万円、これが使途不明金だ、こういう指摘をしました、北海道監査委員がかかわって。それ以上の中身はわからないということでありました。これはどういった内容、中身なんですか。
○村田国務大臣 三億六千万円とおっしゃいましたか……(鉢呂委員「三億九千万」と呼ぶ)三億九千万ですね。
三億九千万につきましては、北海道警察におきまして調査をした、その中で、適法に執行されたものあるいはいろいろな証拠があるもの、そういうものを厳しく詰めていきまして、どうしてもその確証が得られないというものを抜き出していった結果、損害額として三億九千万円ということ、今先生は使途不明金とおっしゃいましたけれども、具体的には不適正な予算執行の金額でございます。
どういうふうに捜査、調査をしていったかといいますと、捜査員からの聴取、それから備忘録やメモとの照合とか、いろいろな関係者への聞き合わせとか、あるいは、そういうものの突き合わせをしてまいりまして、例えば捜査報償費とか捜査費の関係で、協力者への情報提供謝礼というものについても、協力者との接触の事例として確証の得られたものを落としていって、その残りというものを三億九千万円ということで、不適正な、執行の確証が得られない金額として損害額というものを確定して要返還額とした、こういうことであると私は考えております。
○鉢呂委員 これについては、先ほどのことを言いましょう。先ほどのこの方は、もう少し言いますと、私は今春、ですからことしの春、北海道警察の中枢部の役職を無事勤め上げて退職した者ですと。しかし、警察の実態は非常におぞましく、今回返還金を多くの警察官の方が返還したんですが、この程度で済んでよかったという人々が圧倒的に多いのですと。
固有名詞を挙げて申しわけないんですが、それは芦刈本部長が、これは道警の本部長だった方です、第一に、ばれないものは全部うそで上塗りをしなさいという主張を徹底して言うのですと。私たちがうその領収書が出ているからそれを知らないと言うことはできないということを言っても、どのように言っても耳をかそうとしません、というくだりが出てくるわけであります。
本当に、これは委員長、領収書ですとか、確証を得られない、捜査上の心証というところまでは監査委員にも述べたようでありますが、捜査の環境からいってこの支出はしておるというようなところまでは確定をした形で、それ以外は使途不明金という形でありますが、違法な支出について、全部領収書等を隠匿して、そしてそれを使途不明金に落としたのではないですか。
○村田国務大臣 道公安委員会では監察の指示を発出いたしまして、それでまずは道警察に調査を行わせた。それから、監査も行われたわけでございまして、監査委員による監査も行われて、その監査委員自体の報告、監査結果も、私的な流用はなかった、こういうことでございまして、先生の御指摘のような、違法な支出を使途不明金として、今私が要返還額と申しましたものの中に入れ込んだという事実は、道の監査委員の調査をもってもそうした事実はなかったと私どもは報告を受けておるわけでございます。
○鉢呂委員 ことしの警察白書によれば、不適正な事例の判明という項目で、北海道警察、静岡県警、福岡県警の三警察署、多くの所属で、捜査費等の一部を警察本部長と部外関係者との交際に要する経費等に充てられていたことが判明、こういうふうに述べられております。本部長経費というのは静岡県警と福岡県警でありますが。県警本部長までこの裏金から交際費として渡されていたということであります。原田警視長が月々定額を現金で本部長に渡しておったと。これは符合するところであります。
月々渡しておったのか、その都度あったものについて交際費等で渡しておるのか、この点を明確にしてください。
○村田国務大臣 原田さんがおっしゃることにつきまして、私どもも、本来ならば御本人に直接お目にかかりまして確認ができれば、そうした事態が実際あったかどうかということは明らかになったかもしれないと思いますが、渡し切りで定額交際費を渡すということについては、まあ原田さんがそうおっしゃっておるわけでございます。その原田さん自体がお会いくださらないということだそうでございまして、なかなか、そうした実態があったかどうかということについては定かにできないというところがございます。
ただ、静岡県あるいは福岡県警等の問題についていろいろ調査した結果を聞きますと、その都度必要な経費を担当の課、多くの場合は総務課なんかだと思うんですが、そういうところが引き落として使っていった、こういうことではないか、それが事実ではないかというふうに思っております。
だから、毎月定額を交際費として部長に渡すとか、そういう実態は私どもの調査では確認できていないという報告を受けているところでございます。
○鉢呂委員 確認できておらなかったというようなあいまいな形ではありません。県警本部長はほとんど警察庁から行っているキャリア組だと思います。公安委員長の責任で、そういった定額の、前々に現金で渡すようなことがあったかなかったか、きちっと確認をしてください。
○村田国務大臣 いや、そういうことも確認した結果、そうした事実はないという報告を受けているわけでございます。
○鉢呂委員 裏金の恩恵に浴しているのは、上級幹部、警察本部長等キャリア幹部の異動時のせんべつ分担金、所属長のせんべつ、これが一番多い、こういうふうに言われておるのであります。せんべつに対する、北海道警察でのこの点についてはどういうふうに掌握していますか。一切ないということですか。領収書、心証、そういうものがなくて、全くないということですか。
○村田国務大臣 せんべつにつきましては、これは平成八年、全国に対しまして警察庁の方から、そうした慣習があるとすればそうしたことはやめるように、そういういわばお達しを出したということでございます。私どもは、それ以後は警察の内部におきますそういう慣習というものは存在していないというふうに理解をしておりますし、それ以前につきましても、今せっかく鉢呂委員が御指摘でございますけれども、聞き合わせて調査したところ、そうした実態はないという報告をちょうだいしているわけでございます。
○鉢呂委員 その聞き合わせたその調査の内容、簡単に言えばどういうふうな調査をしたんですか、調査方法。
○村田国務大臣 私、今のところ具体的にどういう方法ということを正確に申し上げることはなかなか難しいと思いますが、該当本人に対しまして聞き合わせて、そうした実態の有無を問い合わせたというふうに報告を受けているわけでございます。
○鉢呂委員 内部調査ではこの種のことはきちんと客観的なものにならないということは、この間、大変な事例で多くなっております。
私は去年の十二月、私ども民主党のこの対策本部、中井本部長や、きょうも内閣委員であります大畠章宏事務局長、そして私と三名で、漆間警察庁長官にお会いしました。まずもって、このような県警の特殊な例であって、全国共通の問題ではない、構造的な問題ではない、こういうふうに長官は言い切り、そうであったら私は責任をとるとまで言って、私は本当に、漆間長官がこの裏金問題、過去にどういう経緯で県警に行っているのか、聞きました。青森県の捜査二課長に行っておる、あるいは愛知県だというような言い方をしました。捜査二課というのはこういった裏金というのは全くないところなんだ、こういう言い方をしました。
私は帰ってきて資料を調べたら、北海道警察で一番多いのは北海道警察捜査二課でありました。捜査二課というのは全国ほとんどどこにもないというような、そういう一般化した話をしたにもかかわらず、そういうことでありました。私はその上に立って、漆間長官、この間この裏金問題に、聞いたり手を染めたり、そういった事例が県警であったという話は聞いたことはありませんかと言ったら、私は目が大きいから目を向けたら絶対に離しませんから、そうしたら、今まで強気だった漆間長官が私の目を外して弱々しく、私はそういったことは一切ありませんでしたと。
ところが、今月の文芸春秋十月号、先月号ですが、朝日新聞を退職された編集委員の落合さんが、九六年当時、愛知県警で、それはもっと昔の事例なんですが、こういった裏金の帳簿が十冊出てきて、これを愛知県警に突きつけたところ、ちょうど漆間長官で、漆間県警本部長だったようであります。
しかし、一日目に行ったときはけんもほろろだったそうでありますが、次の日にまた総務部長等が来て、これは何とか穏便にしてほしいという記載になっておるわけであります。それほどこの問題は警察の最高幹部のところまで行っておる。九六年当時、そういった事例に接触したのであれば、当然漆間長官は昨年の十二月、私どもの質問に対して、そういう事例もあったというような話になっていいはずであります。
きょうは時間がなくなりました。北見方面本部の警備課長さんがやはり仮装の領収書をつくって、会計検査にこれは実在しないといってひっかかって、にせの、架空の説明資料をつくってこれを提出した、外部情報でこれが明らかになったという事例がありました。これも、会計検査院が三日間現地調査をやったときに立会したのは、北海道警察会計課長、警察庁の監査室長。私はこの当時の北海道警察の会計課長の職歴を見ましたら、ずっと会計課オンリーです。その前任は警察庁の課長補佐でした、道警会計課長は。今どこにいますか。管区警察本部の会計課長であります。
歴代、青森県警の会計課長、千葉県警の会計課長、そういった方が会計検査院からこの接触費たるパブコンパドールという店の所在が備えつけの地図帳にはないですよと指摘されたら、だれでもすぐ、私も会計検査を何回も受けておりますが、本当に実在する店かどうかというのをまずは確認するのが、チェックする機関の会計課長の責務ではありませんか。これに全く思いが及ばなかったということで、その後、その所在を証明するうその求人広告紙、これを印刷業者につくらせて、そして会計検査院に提出をする。
私は、去年の十二月、北見方面本部に行きました。私といえども、選挙を抱えていますから警察はおっかないです。しかし、国民、道民の皆さんが、この問題をほったらかしにすることはできないぞ、やはりそれをただすのは政治家だということで、勇気を持って行きました。そして、その当時の菅井北見方面本部長にお会いしました。
これについて、私は組織的な犯罪の容疑があるというふうに思っていると。この菅井本部長は、これに対してどういった調査をされたのか。この疑いがあったときには、そういう関係者は全部はじかれて、道警本部が全部調査主体でやりました、私に対する調査は一回だけ電話で北海道の警務部長からあっただけですと。こういったことによって会計検査院の捏造資料を出すというようなことは、私はあり得ないと思うんですね。道警の会計課長も加わって会計検査院の対応をするというのが普通ではありませんか。
そういったことからいっても、私ども民主党は、きょうは時間がなくなりました、時間が過ぎましたからこれで終わりにしますが、やはり、村田さん、政治主導でこの問題を解明しなきゃならないんです。私どものマニフェストでも今回の衆議院選挙でも、委員会だとか官僚に任せるのではなくて政治主導で、この内閣委員会なりあるいは国家公安委員会の委員長たる村田さんが率先してこれを解明せずして、私はだれも解明できない。
そのことは、結局は、警察官を何人増員しようと、地べたをはっている第一線の警察官は、あの責任をうやむやにして、当該する警備課長が責任をとったりそういった形で済まそうとしておる、このことに第一線の警察官は物すごく悩んでおり、私どもに対してもこういう資料を提示しておるんですよ。
きょうは質問時間がなくなりました。この質問の趣旨は、北海道の共済資金を今は流用してこういったものに使っておる、これも早急に調べてほしいんですが、本当に時間がなくなりましたのでこれで終わります。答弁は必要ないですが、また後ほど十分やります。
ぜひ、国家公安委員長に再任をしていただくためには、この問題をきちっと解明する、その改革の勇気を表明しなかったら、私は小泉さんは再任しないと思いますよ。このことを明確にすることが必要だ、このように思いますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○村田国務大臣 委員がたくさんまとめておっしゃられましたので、一々私の方からお答えを、したいところはたくさんあるのでございますが、一つだけ、間違っていることがありました点で気がついたところがあります。
文芸春秋の記事で、当時の総務部長が穏便に済ませてくれ、そういう発言があったという点については、私も当時のその総務部長に確認せよということで確認をさせましたが、そういう事実は全くないということでございますし、文芸春秋の記事自体は、外部の朝日新聞でせっかくそういう問題を把握したのにそれが握りつぶされたということについての問題点の提起のような内容だったというふうに思います。
それはともかくとして、私ども国家公安委員会といたしましても、ともかくこうしたことで警察行政に対しての国民の信頼を失うということはまさに大変な事態でございますので、国家公安委員会でも、こうした会計経理の適正化に向けて各委員がこぞって問題点の指摘をしているんだということを私からお答えさせてもらいまして、私の答弁とさせていただきたいと思います。
○鉢呂委員 終わります。
○佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
今の続きで、不正経理疑惑につきまして、唯一の現職警察官であります仙波部長が不正経理があったということを証言しておられるということで、選挙前の前国会におきましても、ぜひともこの内閣委員会に来ていただいてお話を伺いたい、こういうことを伺ったと思います。
ここで私、委員長、仙波さんの参考人招致をぜひとも御検討いただきたいということを委員長に申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤委員長 理事会で相談させていただきます。
○市村委員 相談してください。
それから、村田国家公安委員長に、今までいろいろ、私は委員長が大変この件に関して御苦労されているということはこの国会も通じて拝察しております。その中で、私、率直に村田委員長の御所見を伺いたいんですが、今の警察機構の中でやはり委員長がやれる限界というものもひょっとしたらお感じじゃないかと思いますが、その辺について、率直に私は委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村田国務大臣 警察法第五条の規定がございまして、それは警察庁を我々国家公安委員会が管理するということで、直接の指揮命令関係にはないと。特に私の場合には、警察の政治からの中立といいますか、そういう中立性を確保するという見地から、私には、通常他の国家公安委員には与えられている表決権が与えられていない、こういうことでございまして、法律上、あるいはシステム上、多少浮いているといいますか、浮いているというのはおかしいんですが、行政委員会として、かつまたその中、行政委員会の委員の私が政治家として参加しているという特別な立場から、ほかの大臣とは違う関係にあるということは御理解をしていただきたいと思います。
とはいえ、私も今のシステムの中で、警察に対して一定のよい関係を、緊張関係を行使しなければいけないということで一生懸命努力をしなければいけない、こういうふうに考えているわけであります。
○市村委員 率直にお話しいただきましてありがとうございます。やはりこれから、こうした不正経理問題だけではなくて、また、私たちがここで議論しているのは、決して警察をここでいじめてやろうとか、警察の内部を何か暴露してやろうとか、そういう目的では全くありませんで、まさに治安、防犯がこれだけ悪くなっていると国民が感じている中で、警察の役割は重い、大きいという中で、警察にもっと頑張ってほしい。
特に、現場で御苦労されている警察官の皆さんが、もっと胸を張って、プライドを持ってやってほしい。そのために、こんな過去のことで小さな思いをしてはいけない、身を縮ませるような思いをしてはいけない、させてはいけない、こういう思いで皆、議論していると私は思っています。
ですから、こういう問題をしっかりと解決する意味でも、もし機構に問題があるのであれば、その機構をしっかりと改めていくということが必要だと思いますので、ぜひとも、また国家公安委員長が先導されて、こうした機構改革というのも率先して進めていただけたらと。
そういった意味では、私たちもこれについては与野党関係なくしっかりとやっていくべきだと思っておりますので、最後にちょっと委員長の御所見を伺いたいと思います。
○村田国務大臣 会計の問題ということだけではなくて、警察行政、特に良好な治安を確保するというか、そういう意味で、今の仕組みで問題がある、限界があるということであれば、機構改革ということも含めまして考えなければいけないときがある、こう私は思っております。
○市村委員 では、この件については、また改めて時間をとっていただけると思いますので、またそちらのときに回します。
警察に関してもう一点だけ。私も、この内閣委員会で、さきの国会からずっとお訴えしておりますことの一つに、規制速度についての見直しということを申しております。
一つの具体的例として、私の家のそばの、近くの阪神国道北神戸線が六十キロ規制でありますけれども、一台たりとて六十キロ以下で走っている車はない。これは兵庫県警で調べた実勢速度で、八十三キロなんですね。六十キロ規制の道路で、結局実勢速度八十三キロで走っているということなんです。しかし、これでスピード違反で捕まると、六十キロから何キロオーバー、何十キロオーバーということで罰金を払わなくちゃいけない。
これはちょっとおかしい、やはり実勢に基づいた、合わせたような速度規制をすべきだということをずっと主張してまいっておりまして、これは阪神国道北神戸線のみならず、全国にこうしたおかしな規制があるということもありますので、ぜひとも、これは全国的にやはり一度規制速度というものを見直していただいて、実勢に近いところで規制をかけていただきたい、かけるべきだ、こういう思いでおります。
これにつきまして、また国会が新たになりましたので、また局長からの所信でもお聞かせいただけたらと思いますが、よろしくお願いします。
○矢代政府参考人 お答えいたします。
高速道路につきまして、速度を、できるだけ現実を踏まえて適正な速度規制を行うべきだ、そういう総論につきましては全くそのとおりと考えておりまして、高速道路の速度規制は、道路構造のほかに、交通量及び事故の発生状況、あるいは安全施設の整備状況、諸条件を勘案しまして、これらの変化があれば適宜見直しを行うということでございます。昨年度も、これは道路構造が往復分離が完全になされた区間が中心でございましたが、十区間について行っているところでございます。
○市村委員 もう一度。十区間を見直したのはよくわかりました。けれども、私は、今後全国的な見直しをすることはないのかと。やはり実勢に合っていない規制速度があって、それで、捕まると、取り締まりを受けるとそこから何キロオーバーというのが、これはちょっとないぞということですよ、国民感情からして。だから、それについて今後全国的な見直しを、特に私は一つの例として挙げたのは阪神国道北神戸線ですが、やはり実勢に合わせてほしい。
では、もう一つ具体的に挙げますと、たまたまこの間走っていました。実際、やはり六十キロで走れないわけですよ、あの道路を。走ろうとしたら怖いわけです、はっきり言って、あの道路を六十キロで走ろうとすると。やはりどうしても八十キロ以上になるわけです。そうすると、私の横をパトカーが九十キロ以上で飛ばしていくわけですね。
パトカーには速度規制はないのかもしれません、ああいう緊急車両には。しかしながら、やはり、警察車両ですら六十キロを守れないというような道路で六十キロ規制を課しておいて、しかも取り締まる方が六十キロから何キロオーバーだというのは、これはどう考えても間尺に合わない。だから、一度見直してください。そこだけじゃないから、全国的にあると思いますから、見直していただきたいということを申し上げているわけです。
ちょうど道路の脇のくねくねした道路、これは五十キロ規制なんです。そっちの方がよほど危ないです。そっちは四十キロにした方がいいと思います、私は。道路の脇のこんなくねくねした道路が五十なんですよ。高速道路は六十なんですよ。(発言する者あり)わかりました。では、またよろしくお願いします。
○佐藤委員長 しっかりと答えてください。
○矢代政府参考人 二点についてお答えしたいと思いますが、御指摘の阪神高速道路の北神戸線、延長三十五キロちょっとでございまして、設計速度が六十キロの区間でございます。それで、平成十四年当時、県警が、道路の見通しのよい直線部分ですが、実勢速度を見ますと、大体八十キロ前後、八十三キロあるいは七十九キロ……(市村委員「八十三キロです」と呼ぶ)それから七十九キロもございました。
そこで、ここのネックは、結局のところ、三十五キロ区間の、設計速度が六十キロになっておりまして、例えば分合流の部分のテーパー長、つまり減速車線、加速車線、これが短いわけです。あるいは、視距につきましても、六十キロ設計になっておるわけです。あるいは、片勾配、カント、それもそのようになっております。そのようなことで、十四年度の阪神高速の予算におきまして、これは改良していただきますと八十キロ規制は可能でございますので、申し入れしてお願いをしておったわけですが、それで相談もかなり進んでいたんですけれども予算がつかず、それはそのままになっているという状況でございます。
それで、その余の状況を見ますと、十六年、去年ですと、実はこの区間の事故が倍増しております。それまで、十五年度は二十五件でしたが、五十三件で、死亡事故も発生しております。したがいまして、実速度が高いと、それに合わせて走らないとなかなか走りにくいという状況は確かにわかりますが、ただ、そういう状況下でございますので、やはり規制速度につきまして今の状況で見直すというのはなかなか進めがたい状況である、これは具体的なことでございます。
それから、全国的に見直すということですが、これは、実は、高速道路、自動車専用道路につきましてはいずれも共通ですが、供用の段階で警察と道路管理者では事前からかなりの協議をいたします。相談もいたします。それで、それによりまして想定される規制速度に合わせまして安全施設の上乗せなどもお願いしながら、それで規制速度を決めております。
したがいまして、さっき申し上げましたように、当然そのうち状況に変化がございますので、それについては見直しておりますが、これはまことに個々具体的な、その場のものでございます。したがいまして、今の段階でこれをさらに一から全部見直せ、そういう状況ではないと考えておりまして、ただ、そういう状況変化があったところについては当然実態を踏まえて見直すべきだ、こういうことでございます。
○市村委員 きょう、もうこれ以上はちょっとこれに踏み込みません。また改めてこれはやらせてください。これは私、しつこくやってまいりますので、よろしくお願いします。
それでは、きょうの一つ私の本当のメーンの方に移らせていただきたいと思います。公益法人改革でございます。
それで、きょうは、村上大臣、顔を隠していらっしゃいますけれども、またよろしくお願いします。また、竹中大臣もいらっしゃってくれていますが、これもまたしつこくやらせていただいているところでございまして、この公益法人改革、いよいよ来年の通常国会にこの法律、法改正を出してくるということの発表がありますが、これは予定どおりでございますか、大臣。
○村上国務大臣 来年は、福原義春会長のもとでやった公益法人制度の改革に関する有識者会議におけるレポートをもとにして、税制も含めて一緒に包含された法案を出そう、そういうふうに考えております。
○市村委員 これについては、昨年の十二月二十四日の「今後の行政改革の方針」ということの中に公益法人制度の抜本的改革というのがうたわれているわけです。八つの柱のうちの一つですね。
竹中大臣にお聞きしたいんですが、公益法人は民ですか、官ですか。
○竹中国務大臣 公益法人は、基本的には、公的なことを政府以外のところで行うという意味で、民であると認識をしております。
○市村委員 しかし、何で民がこの行政改革の方針の中に出てくるのかについて、済みません、竹中大臣、改めて御説明いただけますでしょうか。
○竹中国務大臣 これは、市村委員もかねてから指摘しておられますし、私も以前そういうことを議論してきましたけれども、公私と官民というのを明確に区別する必要があるだろう。
資源配分のルールとしては、公的な財・サービスと私的な財・サービス。私的な財とサービスは市場で配分できるけれども、それでは配分できないものがある。そこには何らかの公的な配分のメカニズムが要る。それに対して官民というのは、それを担う事業の、サービス提供の主体でありますけれども、それが民か官か、政府かどうか。実はその間も厳密な定義はなかなか難しいようなものも最近は出てきているようでございます。
いずれにしても、これまで公的なことを官が、日本の場合、非常に強い影響力を持って行ってきたという経緯もあり、現実にマーケットに任せることができないルールの配分ですから、何らかの形で官がしっかりとしたルールをつくって、そしてその公的なものを民間に任せるものは任せていく。しかし、そのルールづくりはやはり政府の重要な仕事であろうかと思います。
○市村委員 今回、郵政民営化ということが大分争点になって選挙が戦われたということでありますが、今の小泉内閣は、決して私は民営化の方向性は全然反対をするものではありません。私も一貫して民営化のことを言っているわけであります。ただ、今回の小泉内閣の、いろいろこれは竹中大臣が中心になって進められていると思いますが、何か小泉内閣だと民営化イコール株式会社だというふうにとらえざるを得ないような話になってくるんですね。
まさに今、竹中大臣もおっしゃられたように、民営化の中には株式会社だけじゃないです。私は常に申し上げているように、やはり公の民といいますか、民の公というか、そういう部分があるんだ。これはずっとフリップを使っていますけれども、まさにここが官民、公私の区別だということで、私はずっとこの座標軸を使っていますけれども、やはりこうした民の公があるんだということ、この部分の議論が抜け落ちてしまって物事が進むと、非常に議論も浅薄になるし、やはり政策の選択の幅も狭まってくるということであります。
私は、今回の郵政民営化の議論についても、やはりまだ官に残すべきは官、民は民と民主党は言いましたけれども、それもあるし、かつ公の民の部分というものも考えながら、やはりそうした部分を踏まえて本当は議論をしなくちゃいけなかったんじゃないか、このように思っているんです。何か、イコール株式会社、何か株式会社にすれば何でもうまくいくような、そんな幻想に私は浸っているような気がしてならないんですね、いろいろ議論を聞いていまして。
私は、改革の本丸というのは、郵政民営化、あの法律ではなくて、まさにこうした仕組みをつくっていくこと、まさに公の民も含めてこうした社会の仕組みをつくっていくことこそ改革の本丸だと私は思っているし、これは信念なんです。
竹中大臣、いかがでしょうか。竹中大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○竹中国務大臣 議論の仕方として、市村委員おっしゃいますように、公の民、さまざまな形態を含めて議論しなければいけないというのは全く同感でございます。我々は決して株式会社にすることを最初から決めていたわけでもありませんし、株式会社にすることがよいというふうに最初から決めていたわけでもありません。
でありますから、さまざまな要因を考えて、例えばでありますけれども、郵政の例をお挙げくださいましたので、旧勘定を管理するのは独立行政法人としております。そして、民営化はするけれども、株式会社にはするけれども、公的な役割を担わなければいけない持ち株会社、郵便事業会社、郵便局株式会社、これにつきましては特殊会社という形をとっております。
しかし、金融というのは信用が大変重要でありますから、ここは極力官の影響力を排除したい、そういうものについては特殊会社ではなくて当初から商法の一般法人として設立する。そこは、やはりちゃんと私たちはそういうことを意識して使い分けて設立をさせていただいているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
そのほかに、例えば中間法人とすべきであった、例えば財団法人とする方法があったかなかったか、そこはいろんな御議論があると思いますから、もう一度対案をお出しいただいても結構かと存じます。
○市村委員 将来的にきちっとした、別に郵政だけじゃなくて、これから真の改革を競い合うということですから、当然そういった意味で対案を出していかなくちゃいけません。ただ、私は、別にこれは与野党関係なく、やはりこれからの民営化の議論については、いわゆる株式会社だけでない、公の民というものも含めた上で議論をしていかないと、先ほどから何回も申し上げますように、浅薄な議論になるんです。選択肢も幅が狭まるんです。ですから、ぜひともそういった議論をこれから与野党関係なくやっていかなくちゃいけない。私はそのことを申し上げたいんです。
その意味で、公益法人改革、私もこれはぜひともやってほしい。今回、結局、私も選挙期間中、何を訴えたかといいますと、国民の皆さん、有権者の皆さん、今度の選挙の結果で決めた政権、私たちが選んだ政権がやったことについては、そうそう文句を言っちゃいけませんよと私は言ったんです。
というのも、これまでは残念ながら選択肢がなかったわけです。万年与党と万年野党しかなくて、結局、選択しようにも選択できなかったんです。二大政党じゃなかったんです。しかし、今回はできます、できるから、今度選んだ政権は私たちが選んだ政権なんだから、これが何をしようとそうそう文句を言っちゃいけませんよということを私は言って選挙戦を戦いました。
その結果、自民党及び公明党の政権ができたわけです。私は、その政権が改革をやると、これはだれの言葉か知りませんけれども、自民新党だと言った方もいらっしゃるようでして、要するにそれだけの覚悟を持って改革をやるとおっしゃっているんですから、私はぜひともやっていただきたい。
そして、この公益法人改革、これは別に私がやらなくてもいいです。ぜひとも、お立場の村上大臣に、これはもう最大のやっていただきたいことの一つだということで僕は一番最初に申し上げておりますが、そのために、もしやっていただけるなら、ぜひとも残っていただいて、また大臣を続けていただいて、やっていただきたいわけでございます。ぜひともこの公益法人改革をやっていただきたいんです。
しかし、これは問題があるんです。何が問題か。何で社団と財団だけなんですか。なぜ公益法人等まで踏み込まないんですか。しかも、前もこの場で議論させていただきました、なぜ特定非営利活動法人は外すんですか。すべてひっくるめて一般的な非営利法人制度をつくるのであれば、改革を言うのであれば、私はぜひともそこまで踏み込んだ上で徹底的にやっていただきたいんです。
どうでしょうか。新しい国会になりました。またここで竹中大臣のこれについての所信をもう一度お聞きしたいと思います。村上大臣も、ぜひともよろしくお願いします。特に、特定非営利活動法人をなぜ外すのか。
○竹中国務大臣 委員がかねてから非営利法人全体をカバーするような包括的な制度をつくるべきだという御議論をなさっていることは承知をしておりますし、非常にすぐれた見識であるというふうに思います。同時に、今既に活動しているこの非営利の分野の法人がたくさんございます。そういうところとの実際の整合性をとりながら、どのように制度をつくっていくかという、私はそのような問題だと思います。
これは、例えば白地のところに全く新しい制度をつくるということであるならば、一気にもう網を広くかけて非営利法人全体をやるというようなアプローチも考えられると思います。ただ、現実に私が担当しております特定非営利活動法人制度というのは、これは発足六年で既に法人数が二万になった。そういう形で既に定着して、ユーザーからの非常に強い御希望もあるというのも事実でございます。そういう制度の活動を妨げないような形でより広い網をかけていく方法はどういうことなのか。私たちはやはりそういう方向をとろうとしているわけでございます。
したがいまして、今回、村上大臣の方で一般的な非営利法人制度についてより踏み込んだ議論をなさってくれています。私たちは、先行して出発している特定非営利活動法人についてはやはりこのまましっかりと維持しながら、そして制度の発展を見ながら、吸収できるような状況になるんだったらその中に吸収していただくということに関して、私は全く問題ないというふうに思っております。
ただ、繰り返しになりますけれども、この今の制度というのは、認証という非常に簡易な仕組みで法人の設立を可能にしている、現実に社会に定着している、制度的なメリットや法人形態の選択の幅を確保するという観点から、積極的に残すべきという御意見も非常にある。そういう中で、制度のより広い問題については、村上大臣の方でさらに今後税制の問題も含めて議論をしていただきます。私たちはそれを注目しています。しかし、それとは別に、私たちの特定非営利活動法人の制度そのものは、やはりしっかりと維持していかなければいけないというふうに思っております。
○村上国務大臣 今の竹中大臣の御答弁で尽くされていると思うんですが、前国会でも申し上げたように、市村委員の概念というか考え方、ロジックというのはそれなりの見識である、そういうふうに考えています。
ただ、やはりまず御理解いただきたいのは、我が方はいろいろな部会でこの概念について、自民党なら自民党、それから一緒に与党を組んでいる公明党の皆さん方ときちっと詰めてこういう概念を御説明申し上げているわけで、まずその市村ワールドを、何と申しますか、通説、判例と申しましょうか、がちっと民主党内でまず固めていただきたいな、それをまずお願いします。
なお、御指摘の点については、先ほど竹中大臣が申し上げたように、去年の福原さんの公益法人制度に関する有識者会議で、今言った特定非営利法人制度は、「今回の一般的な非営利法人制度とその下での公益性を判断する制度からなる新たな仕組みにも必ずしも包含される関係はない。」というふうに判断されて、先ほど大臣も言われたように、平成十年度の発足以来、約二万三千百八十六の法人数が大幅な増加傾向にあって、やはり抜本的に見直すべきという社会的要請にも乏しい、そういったことから、特定非営利活動法人の制度を引き続き存置する必要があるとの考え方が福原さんたちのところで示されたわけであります。
そういうことでございましたので、昨年の十二月の閣議決定で、今後の行革の方針においては、特定非営利活動法人制度については引き続き存置することにしたということで御理解いただきたいということであります。
○市村委員 この議論は始めますと長くなりますから、また改めてぜひともやらせてください。今国会は後に回しましたから。
ただ、きょう私、実は一つなるほどなと思っているのは、公益法人のみですよ、社団、財団だけで年間収入額が十八兆三千九百三億円、支出額が十八兆三千五百八億円。実は私、今までNPOのことをずっと研究してきて、アメリカが大体年間、アメリカのNPOですよ。NPOというのは公益法人を含む概念ですから、NPOの中に公益法人が含まれるわけですから、アメリカのNPO全体で大体十八兆円ぐらい流れています、フローとして。ということは、人口二倍のアメリカ、だから日本では、人口二分の一ぐらいだから、年間九兆円ぐらいNPOに流れてもいいなと私はずっと思っていたんです。
ところが、この総務省の大臣官房管理室からの資料を見ると、何と日本は、もう公益法人のみで十八兆三千九百三億円の収入を得るような巨大ないわば民間非営利市場があるんだと、言えばあるんです。民間とおっしゃいましたね、竹中大臣。あるんだということ。これはとてつもなく大きな額なんですね。
では、この額が一体何に使われているのか。どこから入ってきて、何に使われているのかということなわけです。なぜアメリカのような状況じゃないのか。
これだけの金が流れているのであれば、アメリカの二倍ですよ、人口比にして二倍の金が民間に入っているのであれば、しかも民間非営利公益部門に入っているのであれば、もっと日本の社会は、価値観が多様で、もっと民主的で、もっといろいろな考え方を包含する社会になっていなくちゃいけないんです、本当は。一体何になっている、どうなっているんだということなんですね。
それで、これでちょっと教えていただきたいのは、どこから入ってきて、どこに使っているんですか、このお金は。教えてください。事務方の方で構いません。
○中藤政府参考人 お答えいたします。
先生今お示しの数字は、毎年、公益法人に関する年次報告として総務省の方で取りまとめ、公表しているものでございます。
これにつきましては、今、全国約二万六千、公益法人がございます。社団と財団、大体半数ずつということで、さまざまな分野で、生活あるいは教育、学術、政治、行政、産業というところでさまざまな公益活動をしている、そういったものに充てられているということでございます。
○市村委員 もう時間がなくなりましたので、この内訳、詳しい資料を持ってきてください。お願いします。
それをお願いしまして、一分残していますが、この辺で終わります。またぜひともよろしくお願いします。ありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。
きょうは、三十分の質問時間の主な部分を、民主党の男女共同参画、そして子供政策の責任者といたしまして、官房長官、男女共同参画担当大臣に伺っていきたいと思っております。
新しく入られた議員の方もいらっしゃいますが、男女共同参画社会基本法につきましては、一九九九年に政府・与党と私たち民主党が提案をいたしまして一緒につくった法案でございます。これは、女性も男性も個性、能力を発揮して生き生きと生きられる社会、それをつくるというための男女共同参画社会基本法です。この基本法に基づきまして基本計画がつくられて、その五年後の見直しが今行われようとしておりまして、七月に男女共同参画会議から答申が出ています。
この新しい基本計画の特徴はどういうことかということをまず一点伺いたいと思います。そして、今回の答申、ちょっといつもとは違いましてなお書きがついておりまして、そこに、「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の表現等については、引き続き男女共同参画基本計画に関する専門調査会において調査を行うこととする。」とありますが、これはどういうことなのか。その二点をまず伺いたいと思います。
○細田国務大臣 男女共同参画基本計画の改定につきましては、本年の七月二十五日に男女共同参画会議から内閣総理大臣に対して答申が行われたわけでございます。
答申におきまして、今後重点的に取り組むべき事項として、二〇二〇年までに、社会のあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるように期待し、各分野における取り組みを促進すること、第二に、女性のチャレンジ支援策、特に一たん家庭に入った女性が再就職や起業などを行いたい場合の再チャレンジ支援策を充実すること、第三に、科学技術、防災、災害復興、地域おこし、まちづくり、観光、環境など、新たな取り組みを必要とする分野における男女共同参画を推進すること、第四に、男女共同参画社会の形成の男性にとっての意義と責任や、地域、家庭等への男性の参画を重視した広報、啓発活動を推進することなどが挙げられているわけでございます。
また、答申において、御指摘のように、ジェンダーという言葉、これを「社会的・文化的に形成された性別」といつも訳しておるわけでございますが、この表現についてはさまざまな議論があることから、引き続き、男女共同参画基本計画に関する専門調査会において調査を行うこととされております。
これは、御承知のように、国会などでも、衆参両院で、特定の議員の方からも、本日もございましたが、いろいろな弊害もあるんじゃないか、特にジェンダーフリーということでフリーセックスを慫慂するような向きがあるとか、あるいは、更衣室やあるいはトイレとか宿泊関係を男女差を設けないというような指導をしているところがあるんじゃないかというような、これはもちろんそれの乱用といいますか、はき違えでございますけれども、そのような例があるということで、このジェンダーという言葉に対する非常に強い批判があったことは事実でございます。これは国会での議論ですから御存じのとおりですが。
そこで、むしろ男女共同参画会議としては、そしてかつその専門委員から、国民各層に、そのようなことでないという本来の男女共同参画の趣旨でその言葉を用い、かつ、そのような乱用があっては当然ならないんだということを徹底しなきゃならない。
そのためには、このジェンダーの訳である、「社会的・文化的に形成された性別」という舌をかみそうな言葉と、それから国民がなかなかなじめないジェンダーという言葉をどう理解してもらうか、これを真剣に検討しようということになって、学者の方からもかなりの報告がありましたし、今検討されている。そのことを申しておるわけでございますので、今後、答申、専門調査会の検討結果及び関係各方面の御意見を十分踏まえながら、今年度末までに基本計画の改定に取り組んでまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 今、政府としては少子化への対応に力を入れて取り組んでいらっしゃると思うんですけれども、この少子化への対応につきましても、男女共同参画社会の実現ということが欠かせないと思っております。
先月、男女共同参画会議の専門調査会からこういう大部の報告書が出ておりますけれども、この公表された調査結果によりますと、OECD諸国の中で、日本は韓国などとともに最も出生率の低下が著しいグループとされております。
出生率が上昇している北欧やオランダ、アメリカなどでは、柔軟な働き方や家庭内での役割を分担し合っていること、また地域で子育てをする環境が整っていることなど、男女ともに、仕事か子育てかの選択を迫られるのではなく、両立できるようになっているという結果がここに報告をされております。
これに対しまして、日本では、相変わらず子育てなど家族への責任は女性がかなり偏って負担をしておりまして、仕事か子育てかを選択せざるを得ない人が多く、妊娠をしますと、先ほどの御答弁にもありましたように、仕事をやめる女性が何と七割にも上っている。育児休業を六割の女性がとっているというのはちょっと数字のまやかしで、七割やめた後の六割ですから、三割の六割で、二割しか育児休業で仕事と両立させられない、こういう事実があるわけです。
そして、UNDP、国連開発計画が毎年発表しておりますジェンダー・エンパワーメント指数、これは女性の国会議員の数や管理職、専門職、勤労所得など、女性の政治や経済活動、そして意思決定への参加の度合いに焦点を当てた指数なんですが、これも世界の三十八位から、二〇〇五年は四十三位へと下がってしまっているんですね。
こうした現状の中で、父親も母親も子育てに十分な時間がとれるような環境をつくるには、男女共同参画ということを職場でも家庭でも進めることがまず必要なのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○細田国務大臣 少子化あるいは育児休業等のデータは、小宮山議員の御指摘のとおりであります。
そして、いよいよことし、来年から人口がもう減少するという事態になり、そして非婚化、晩婚化、少子化がどんどん進んでいく。その背景には、当然のことながら、結婚をして子供を産もうという人がどんどん減っている。それはなぜかというと、やはり社会的な制約、現象が大きく横たわっているのじゃないか。
先ほど言われましたように、七割の方が出産を目前にして退職をされるという事実もございます。そして、復職をしようと思うとほとんど難しい。特別な技術、技能を持った方はともかく、ほかはほとんどそういう職に戻れずにパートをしてしまうというようなことがある。これは、日本特有のことであると言っても過言ではありません。そして、特に、男性が早く家庭に帰って育児をする、あるいは育児休暇を男性がとるという社会環境もまだないということもございます。
そういったときに、何とか環境を整備していかなきゃならない。もちろん、児童手当を何歳まで出せとか、保育所をもっと整備しろ、待機児童をゼロにしろ、それはいろいろなことはやっておりますが、基本的には、夫婦で子育てを家庭を大事にしながらしていくという基盤が余りないんじゃないかという感じがしますね。
したがって、私自身も、きょうもトップ懇談会といって、日本経団連とか生産性本部とか商工会議所とかその他中小企業団体の会長、代表と、育児、出産をしやすい環境を企業が率先してつくるための工夫をしてほしいと言って、きょうが第二回なんですが、どうもやはり、もしも中小企業にそのようなことを強制するからには金をくれと。ちょっと金をくれというのは言葉がよくないですが、そういうような対応で必ず来て、若い男性もそんなに早く帰せない、忙しいんだというような対応なんですね。
これをいつまでやっても、このことは非常に大きな障害となって、しかも世界の潮流から見ておくれてしまうということがございますので、何とか私自身も担当大臣として、意識改革もしなきゃいけないし、社会運動を起こさなくちゃいけないんじゃないかと。家庭を大切にして、子供を慈しんで、そして幸せな生涯を送るということが社会の目的であるような社会にしなきゃいけない。
戦後の貧乏の記憶が、みんな我々世代にはあって、どうも対応がおくれている。そうすると若い人にも強制してそれが悪い循環をしているんじゃないかと思っておりますので、小宮山議員の御理解をいただきながら、一緒になってこの対策に取り組んでまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 この少子化と男女共同参画に関する調査によりますと、日本で特に水準が低くて取り組みが必要な項目は、家庭内での役割分担の柔軟性、働き方の柔軟性、雇用機会の均等度などとされております。そして、こうしたことは、本来の意味でのジェンダー、社会的、文化的につくられた性別の視点で見直していくべきだと考えております。
このジェンダーという言葉は、国連でも国際機関でも普遍的に使われているもので、WHO、世界保健機関では、例えばジェンダーの例として、女性が男性より賃金が低いこと、家事を多く女性が負担していること、例えば中東の国の中には女性が車の運転をできないこと、こうしたことを挙げております。このことについては異論はないと恐らく思います。
そして、文部科学省に伺いたいんですが、先ほども御質問がありましたが、そのジェンダーにつきまして、生物学的な性差、セックスの差をなくそうとしているという誤解に基づいた批判があることに危惧の念を大変持っております。
その例として、学校で男女同室で着がえをさせたり、小学校の林間学校で男子と女子を同じテントで寝かせたりということがジェンダーフリー教育のためだとして批判をされていますが、これはジェンダーの視点とは全く関係のないことで、むしろ逆方向のことなのだと考えております。同室の着がえというのは、更衣室が不足をしていたからたまたま以前に行っていたとか、また、男女共同参画とは全く関係なく、男女のことに無理解な教師が行っていて、今は是正されているなどの話が私のところにも現場から数多く寄せられております。
そして、文部科学省に伺いたいのは、一部の人たちが主張している、同室での着がえや宿泊をジェンダーの視点に基づいて行っているという事例は、恐らくないと思うんですが、その実態を把握していらっしゃるかどうかを伺いたいと思います。
○布村政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の、男女同室での着がえあるいは林間学校での男女同宿のような事例につきましては、文部科学省がことしの三月から五月に設置をいたしました教育御意見箱に多数寄せられたところでございます。その中には、先生御指摘の、御紹介いただいた事情もございましたけれども、一方で、いわゆるジェンダーフリー教育のために行われているのは問題ではないかという保護者の方からの御意見なども寄せられたところでございます。
文部科学省といたしましては、結果として男女同室の着がえあるいは男女同宿となることについては、男女共同参画の趣旨とは異なるものであるのではないかというふうに考えているところでございます。学校の教育活動におきまして着がえあるいは宿泊などが行われる場合には、やはり各学校におきまして、児童生徒の発達段階等に配慮いたしまして教育活動が適切に行われることが必要であろうと思っております。
また、文部科学省といたしましては、今後とも、学校現場の実態につきまして把握しながら、適切に対処してまいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 私は、その実態をどう把握しているかと聞いたので、教育御意見箱に保護者からこういう懸念があると寄せられたということは実態の把握とは違うと思いますよ。しっかり実態を把握していただきたいと思います。
○布村政府参考人 近々、全国の小中学校を中心に、学校現場で男女同宿あるいは男女混合名簿などの実態がどのようになされているのか把握をしたいと考えております。把握の上で、適切に対応してまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 それは逆です。そういうことの実態を把握せよと例えば参議院の予算委員会で特定の議員がおっしゃったことは承知しておりますが、そのことをやるというのではなくて、そうしたことがジェンダーの視点で行われているのではないということの実態調査をしてほしいと言っているんです。そして、何でそこに、私は男女混合名簿というのは男女共同参画に必要だと思っておりますので、その実態を調査せよなどと言っておりません。
○佐藤委員長 御質問に答えてください。
○布村政府参考人 実態をまず把握した上で、それぞれどのような事情においてなされているのかも確認しながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 何度も言って申しわけありませんけれども、一度言ったら理解していただきたいんですが、それもじゃなくて、そのことを調査してくださいと私は申し上げておりますので。もう結構です。
文部科学省も間違いなく政府の内閣府にあります男女共同参画会議の中に入っているはずですから、その理念をちゃんと踏まえた上で、一部の人が言っているからその視点で調査するというのは公平な調査ではございません。こうした実態がジェンダーの視点で行われているのか否かということをしっかり調査して報告をしていただきたいと思います。
次に、官房長官にもう一度伺いたいと思いますが、このジェンダーの視点で企業や社会での男女のあり方や仕組みを見直していくことが、これは私は重要な点だということを先ほどから指摘させていただいております。能力にかかわらず女性に補助的な仕事ばかりさせている企業より、男女ともに能力を発揮できる企業の方が今後発展するということは、どなたが考えても御理解いただける点だと思います。男女共同参画社会基本法の前文に書きましたように、二十一世紀の日本にとってこれは最も重要な課題ということだと思っております。
このジェンダーという、正しい意味のジェンダーの概念やジェンダーの視点を守ってほしいという多くの声が、私のところにも、例えば国際婦人年連絡会という、これは全国の五十近い団体が集まりまして、自民党の皆さんとも交流をしている団体だと思いますが、そういうところやら、そして理解のある男性の方からも数多く寄せられております。
その男女共同参画の推進のためにこのジェンダーという言葉、概念は重要だと考えておりますが、いかがお考えでしょうか。
○細田国務大臣 ジェンダーという言葉は、先ほど申しました小難しい日本語の後に括弧して書いてあったりするんですが、非常に日本語としてこなれていないものですから、わかりにくいということはあると思います。今まで英語などをよく学んだような人とか知識の広い人にはわかりやすくても、一般的にわかりやすい言葉でないことも事実であります。したがって、誤用が生じたりあるいは誤解が生じたりする面もあるのかもしれません。
したがって、こういった基本は、もちろんおっしゃるとおり、これまでも正しく申し上げておりますし、正しく基本計画に位置づけてきておりまして、これを今後も位置づけてまいりますけれども、表現において何かいい言葉がないかどうか。日本語の使い方としてもあるいは英語の使い方としても、よりすべての人が、ああ、これはこういうことだなということがわかるように、これは工夫をしてまいりたいと思いますし、そういった議論は出ております。国会における議論は、ある意味では一種の触発になりまして、誤用というもの、あるいは行き過ぎを許しているという意味ではないんだと。
したがって、現場にも誤解なきようにちゃんとしろという言葉も強くいただいていますし、それはそれで徹底すべきだと私は思います、現場に。例えば教育現場でももっとちゃんと指示を出して、間違っても誤用したりこういうことをやってはならないというぐらいの強い立場で言えば、世の中はっきりいたすわけでございますから、それが教育の現場は、自分たちは、政府はあくまでも距離を置かなければならないというような、弊害が起こってもそんなことをするというのは、私は本来の筋でないと思います。
おかしなことはおかしいと。しかし、おかしいことをおかしくないとか言って境界を定めようとするといろんな議論がありますが、明らかにおかしいことはきちっとおかしいと私は言うべきだということを政府部内でも言っておりますし、この計画の中の「社会的・文化的に形成された性別」というものも、どういうふうにより改善した表現で出すべきかということについて、今基本計画に取り組んでおるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
○小宮山(洋)委員 最初にも申し上げましたように、一九九九年の男女共同参画社会基本法制定のときの国会審議、これは政府案の提出者の当時の野中広務官房長官と民主党案の提出者の私が、一緒に机を並べたりあるいは質疑をする間柄で、本当に与野党で力を合わせてつくったものでございます。一部の方が言っていらっしゃるように、急進的なフェミニズムの人やら日教組がつくったということは全く間違いでございますので、そのことは新しく議員になられた皆様もしっかりわかっていただきたいというふうに思っております。
そのときジェンダーについて私が質問したことに対して、野中官房長官から、ジェンダーの視点は基本法の第四条などに表現されていると当時の参議院の総務委員会で御答弁をいただいております。また、昨年の十月に細田官房長官からも同じ趣旨のお答えをこの衆議院の内閣委員会でいただき、次の基本計画にジェンダーの視点を位置づけていきたいという心強い御答弁をいただいております。
ぜひその次の基本計画、ことしじゅうあるいは今年度中に策定と聞いておりますけれども、わかりやすく言うのはもちろんいいんですけれども、基本的な意味のジェンダーの視点、これをしっかり明記していただくことが全国の多くの女性たちの願いだと思っております。
この基本計画の策定のこれからのスケジュールと、それから、このジェンダーという言葉、概念、その本来持っている意味をしっかり守っていただけるという官房長官の御決意を、最後にこの問題で伺いたいと思います。
○細田国務大臣 これまで使われております言葉の意味、趣旨、それから今後の基本計画においても同様の視点でこれを盛り込んでいくということは、方針として決めておるわけでございます。その中でできるだけわかりやすいものを考えていくことも必要である。これは政府の計画ですから、このことで誤解が発生することは避けなければならない。いろいろな手だても含めまして、先ほど言いましたような、政府の努力とあわせてそのような方針をとってまいりたいと思います。
○小宮山(洋)委員 今度出されます国の基本計画に基づきまして、最初のときと同様に各地方自治体でも計画を策定するということになると思うのですが、その際にも無用な混乱が起きませんように、きょうの御発言の趣旨をぜひ全国にもしっかり伝えていただきたいと思います。
次に、今度は、私は人権・消費者の部分の担当の責任者もしておりますので、その関係で、人身取引の被害者保護につきまして、残りの時間で伺いたいと思います。
この人身取引への対策がおくれているために、アメリカ国務省が日本に対して監視対象国と指定したことなどもございまして、せんだっての質疑でも、細田官房長官みずからの御指示によって政府が対応しているということは、この委員会で以前にも伺っております。そして、罰則を強化するなどの刑法と入管法の改正がさきの通常国会で成立をいたしまして、この委員会で間もなくもう一つの、三つ目の法案の風営法の改正の審議が行われる予定になっております。
前回の質疑でも申し上げましたが、国連が最も大切だと指摘をしておりまして、国連人権高等弁務官も言っているのが被害者の保護なんですね。ここの部分が政府の計画では、法的根拠なしに行動計画ということになっておりますが、これでは対応が弱いのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○細田国務大臣 先般、小宮山議員の御質問にお答えした後も、この人身取引対策については非常に大きな進展を見ております。政府を挙げてこの対策に取り組んでおりますし、これは入管法のほかにも、いわゆる婦人相談所あるいは民間シェルター等の措置、これも非常に進んでいて、大変各都道府県警察も力を入れてもらっております。
そこで、御指摘の、国としてのいろいろな保護のための政策ということで、これはぜひ……。
そこまで行きましたかね、今。まだ行っていませんか。
○小宮山(洋)委員 これが法的な根拠なしにやるのでは弱いのではないかというところだけ今お答えいただけるといいのですが。
○細田国務大臣 これは、実は後との関係もありますので、結局申し上げざるを得なくなるんですが、私も、総合的に考えろということで、指示も出し、検討しております。そこで、いわゆる婦人相談所等や民間シェルターというのが非常に今、平成十七年度機能してきておりまして、かつ保護される人数も非常に急増しております。
そこで、県別に見ますと、意外に、東京都の繁華街だけじゃないかと思うのは違いまして、例えば長野県でも二十一人、秋田県十八人、愛知県十五人、千葉県十三人、私の島根県でも十二人、東京都が八人、広島県六人、福岡県六人、徳島県、栃木県、神奈川県、岐阜県、茨城県、新潟県、大阪府、鹿児島県、沖縄県でそれぞれ数人ずつ、合計百七人が、それぞれの都道府県警察の指摘で関係者を逮捕したり、そしてそれを全員婦人相談所に預けたり、保護施設、民間シェルターに全部保護するという措置をとっております。
実は、ちょっとはてなと思っておりますのは、例えば国がやりますと、では東京と大阪とどこか、高松と福岡に置けとか、札幌に置けということになって、本当に実態に対応した対応ができるだろうかというのをちょっと今考慮中でありまして、むしろ今の体制は意外にいいぞと。
都道府県が情報をもとに全部調べて、これはどうも人身取引らしいということになると捜査に入って、すぐ都道府県の婦人相談所やシェルターで機能しているというところから見ますと、全部国の機関に引き上げるということがいいのか、この今の体制をもっと徹底した方がいいのかというのは考慮中であります。
むしろ、どちらかというと、百数人だけで本当に足りているのかというと、きっとそうじゃなくて、まだまだたくさん人身取引の被害者というのはいると思うんですけれども、さらにもうちょっと様子を見たいなという気もしております。
〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○小宮山(洋)委員 ちょっと次に伺うことまで大分先にお答えいただいた部分もございますけれども。
民間シェルターで被害者の保護をされている方、それから弁護士さん、NGOの皆さんなどが強調されるのは、やはり人身取引の保護センターが全国に一カ所でもいいから必要だということをおっしゃっています。そこで相談や情報の提供、助言、一時保護、関係機関や民間団体との連絡調整、そして、被害者の方は精神的にも身体的にも非常に傷を負っているので、その保護を行う専門職員など必要な職員を置くこと、また被害者の方たちが理解できる言語を話せることなどが必要で、これは政府が今おっしゃったような各都道府県の婦人相談所でその全部に対応するのは無理なんですね。
ですから、そこへ行けば全部、どんな言語でも話せるアクセスポイントのような形でいいから、一カ所でも置いてほしいというお考えが強くて、それは自民党、与党の中にもそういうお考えの方がありまして私どもは法案を用意したんですが、春からずっと検討を重ねてきたということもありますので、その点だけちょっともう一度お答えいただけますか、もうあと残り時間が二分ほどですが。
○細田国務大臣 そういうお考えも私はよく理解します。そして、各地で、人身取引の被害者といっても、その地において生活しながらやっているんですが、そしてそこに従来どおりいながら保護されておるという実態があります。東京で、タイ人やフィリピン人やいろいろな国籍の人がいるんですが、言葉の問題その他で東京に置いて、それで一括してコントロールというか、そこで面倒を見る方がいいのか、今の実態がいいのか。
先ほど言いました、もう十五県ぐらいで例が出ていますから、県別では対応できません、東京の方にこの人たちを引き取ってくださいというような体制なのか、あるいは人を派遣してもらって通訳がいなきゃいけないというような、そういうような体制にあるのか、もうちょっと検討してみたいので、ぜひ議員の方も、あるいは御党ではいろいろ検討しておられるようですから、どっちがいいのか、もうちょっと検討を進めるべき実態にある。そして、各県とも意外に一生懸命やっているということを御理解いただきたいと思います。
○小宮山(洋)委員 今官房長官からも、一緒に検討しようというお言葉をいただきましたけれども、民主党では、関係者の御意見も伺いながら、この一年間プロジェクトチームで検討してまいりました人身取引等の防止と被害者の保護の法案を本日衆議院事務総長に提出することにしております。
これは、内閣官房が行動計画で行おうとされていることに対する法案でございますので、今官房長官の御発言もございましたから、この委員会でぜひ審議をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、ちょうど時間でございますので私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○戸井田委員長代理 次に、川内博史君。
○川内委員 民主党の川内博史でございます。
本日は三十分お時間をいただきました。ありがとうございます。心から、委員長、理事の先生方に感謝を申し上げたいと思います。BSE問題に絞って三十分の質問をさせていただきます。
本日は、食品安全担当の棚橋大臣、さらには食品安全委員会の寺田委員長様、さらに食品安全委員会プリオン専門調査会の金子座長代理にお運びをいただきました。お忙しい中を本当にありがとうございます。特に、金子座長代理とは電話で一度私はお話をさせていただいて、きょう初めてこうして直接お話をさせていただきます。ありがとうございます。寺田委員長には重ねての御出席をいただきました。本当にありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
米国産の牛肉の輸入を再開するか否か、議論の行方に国民の皆さんも大変に注目をしていらっしゃる、食品安全委員会あるいはプリオン専門調査会の議論に大変注目をしているところであります。そして、この間我が国は、実質的には全頭検査を維持する、さらには飼料規制、SRMの除去、特定危険部位の除去、さらにはトレーサビリティー、この四つを柱として、BSEに対して完全に近い形での防御ラインをしいていこうとしてきたわけであります。
全頭検査についても検出限界がある。さらには、飼料規制も規制限界がある。SRMの除去についても除去限界がある。トレーサビリティーもトレーサビリティー限界がある。すなわち、どれもこれも完全にはならない、リスクをゼロにすることはできない。しかし、この四つを組み合わせることによって、BSEに対する世界最高の防御というものを、あるいはBSEを撲滅して国内から駆逐していくということを我が国は目標にしてきたわけであります。
さてそこで、今回、厚生労働大臣あるいは農林水産大臣から食品安全委員会に対して「食品健康影響評価について」という諮問が出て、その諮問についての御議論を今されていらっしゃる。その中で、先ほど棚橋大臣もおっしゃられたが、「現在の米国の国内規制及び日本向け輸出プログラム(別添)により管理された米国から輸入される牛肉及び牛の内臓を食品として摂取する場合と、我が国でとさつ解体して流通している牛肉及び牛の内臓を食品として摂取する場合の牛海綿状脳症(BSE)に関するリスクの同等性」、同等性を諮問されているということであります。
我が国の牛肉あるいは内臓の安全性というのは、今申し上げたように、実質的な全頭検査の維持、さらには飼料規制、SRMの除去、トレーサビリティーということで、世界最高の安全を確保している。その日本の安全と米国の牛肉の安全性が同等であるか否かを諮問されているわけでありますが、本日は三点に論点を絞って聞かせていただきたいと思います。
まず、九月二十六日、さらには十月の四日に既にプリオン専門調査会で議論が始まっている答申案のたたき台の中身について、金子座長代理、十月四日は何か御都合で御出席ではなかったというふうにお聞きしておりますが、この中身について若干の御見解を賜りたいというふうに思います。
まず、先ほど私どもの大島筆頭からもちょっと質問が出ましたが、牛由来の肉骨粉が米国においては鳥や豚に与えられている、その鳥や豚に与えられた肉骨粉あるいはレストランなどの残渣が牛に再び飼料として与えられているということについて、ちょっと前に棚橋大臣はそういうことについても書いてあるというふうにおっしゃられたんですが、このたたき台の中には、レンダリングの過程で、肉骨粉になる過程でリスクは百分の一に減少するんだと考えられるのでというふうに書いてあります。この百分の一という数字は、金子代理、どうでしょうか、根拠のある数字でしょうか。
○金子参考人 食品安全委員会プリオン専門調査会座長代理金子でございます。調査会を代表してお答えさせていただきます。
今の御指摘の点ですけれども、百分の一という数字に具体性があるのかどうか、バックグラウンドとなる根拠がどのぐらいあるのかという御質問ですけれども、そもそもBSEのリスクを定量的に数字で評価するというのは、これは極めて難しいというのが大前提にございます。
今回の米国産牛肉及び内臓の安全の同等性に関する諮問以前も、我が国のBSEの管理体制に対する評価を行った際から一貫して、それは私たちが直面してきている限界といいますか、大きな問題でございます。ですから、基本的にはその数値に基づいた定量的評価が基本になりますけれども、やむを得ず定性的に、多い少ないといった数値に基づかない評価を行わざるを得ない場面が多々ございます。そういった背景の中で、今の百分の一という数字に関しましては、やはり十分な科学的評価があるとはちょっと申しにくいところがございます。
しかしながら、何らかの前提を設けませんとリスクの評価が前進しないという側面を踏まえて、あえて妥当と思われる線を選択させていただいているというふうにお考えいただければと思います。
○川内委員 今、金子座長代理から、百分の一という数字には科学的根拠はないが、あえて数字を置いて、仮定の数字として書いているということを御答弁いただいたわけであります。
では、金子先生、そもそも牛の肉骨粉を鳥や豚に与え、その鳥や豚が、特に鳥ですが、鶏ふん、うんちをしますよね。そのうんちをまたさらに牛に与えている、米国でそういう実態があるということでございますが、この米国の飼料管理体制に対してはどのような御見解をお持ちかということをお聞かせいただきたいと思います。
○金子参考人 牛のえさ、飼料規制問題に関しましては、私たち調査会メンバーの一致した見解としまして、日本並みとはとても言いがたい、なかなか難しい点が多々あるという点は十分認識しております。
特に代表的なものは、今先生がおっしゃいました飼料の交差汚染等の問題でございます。これは一番BSEが多く発生した英国の例それからその後のBSEの管理対策を見ましても、コンプリートフィードバン、つまり牛から牛だけではなくて、ほかの動物用、反すう動物用のえさ、あるいは鳥類、鶏等に対するえさも完全に禁止しないとなかなか有効性が保てない、そういった前例に基づいて我が国もそういう対策をとっているわけでございます。
ですから、日本並みの安全性を求めれば、事飼料の問題に関しましてはやはりそういった完全な規制が望ましいんですが、現時点ではそうはなっていないということでございます。
○川内委員 さらに金子座長代理にお尋ねをさせていただきます。
私が入手いたしましたアメリカのレンダリング業界の業界誌、ナショナル・レンダラーズ・アソシエーションという業界団体のことし四月のデータでは、牛由来の肉骨粉、米国で生産される牛の肉骨粉にはSRM、特定危険部位が含まれている。さらに、その年間の生産量は、SRM入りの肉骨粉が十六万トンつくられている。さらに、牛脂、タローというんですか、牛脂も同じくSRM入りのものが十六万トン、特定危険部位入りのものが十六万トン生産をされているというふうにレンダリングの業界誌に出ております。
今回の答申に向けてのたたき台の中には、これはアメリカでは牛脂も飼料規制はされていない、牛に与えていい、牛の牛脂を牛に与えていいということになっているようでございまして、そしてまたこれは特定危険部位入りのものであるということであります。そのことについては全くこのたたき台には出てきておりません。
このことは、私は、プリオン専門調査会の中でしっかりと資料を要求し、そしてまたそのことについてのリスクの評価、定量的なのか定性的なのか、その辺は私どもは素人でありますから先生方にお任せするにしても、とにかくこの部分についてはまとめの中に、答申案の中にしっかりと書き込むべきであるというふうに考えますが、御見解をお聞かせください。
〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○金子参考人 今の御指摘の動物性油脂の点は、前回、私は欠席いたしましたけれども議事録をきちんと読ませていただいておりますが、かなり問題に思っている先生方の御発言がございます。現在、今後の審議に向けて関係される省庁の方に資料をお願いしている段階でございますので、次回以降の審議の過程でその問題が討議される、資料が出そろい次第、その問題については討議されるというふうに認識しております。
○川内委員 さらに金子先生にもう一つお聞かせをいただきたいと思います。
アメリカのFDAの資料で、米国ではミンクやあるいはシカがレンダリングの過程に混入している、レンダリングサイクルに混入しているというふうに書いてございます。アメリカでは、ミンク脳症の大量発生、あるいはシカについては狂シカ病なども大量発生をしているというふうに聞いております。
これらについての、ミンク脳症や狂シカ病のミンクやシカがレンダリングの過程に混入をしているということについてのプリオン専門調査会での議論というのも必要ではないか。特に金子先生はそのことを気にかけていらっしゃるというふうにも仄聞をしておりますが、御見解を賜りたいというふうに思います。
○金子参考人 牛のBSE汚染を撲滅していく、感染を抑え込んでいくためには、やはり先生最初におっしゃいましたように、人間の安全性を担保するのと同じように、いろいろな側面を見ながら総合的な対策が必要になることは事実だと思います。
そういった意味では、そもそも、今回の飼料規制の問題に関しては、BSE、牛の問題そのものも非常に不透明な、日本並みとは言いがたい部分が多々ある。そういった事実はございますけれども、それだけではなくて、今言われたシカのCWD、シカのプリオン病ですが、そういったもの、あるいはミンクの問題、それは恐らくほかの国ではなくて北米、特に米国が独自に抱える問題とも言えます。英国あるいは日本、そういった経験がなかなか通用しがたい部分もございまして、確かに御指摘のように、十分な検討がされていない点はあるかと思います。
ただ、各専門委員はプリオンの専門家ですので、当然そういった状況については十分認識をしておりますし、その情報もある程度認識しておりますので、御指摘の点を踏まえて、やはりあくまでも総合的に米国の今のBSEの汚染状況、どうやったらさらにより正確につかめるかという点を検討する必要があるというのはそのとおりだと思います。
○川内委員 金子先生、ちょっと確認させてください。
では、私が申し上げたとおり、ミンク脳症、ミンクやあるいはシカの問題についても、専門調査会で総合的な議論の中の一つの議論として取り上げるという私どもの理解でよろしいでしょうか。
○金子参考人 私は、どういう議題をどこでお話しするということをここで公的にお話しできる立場にはございませんが、少なくとも、私は座長代理としまして、座長と相談の上、極力、安全に軸足を置いた方向で検討いたしたいと思います。
○川内委員 さらに、そもそも私は、寺田委員長、前々から、この食品安全委員会の先生方やプリオン専門調査会の先生方は非常にまじめに科学者として真摯な御議論を展開されていらっしゃるが、その後ろにいらっしゃる事務局の皆さんが、先生方の議論を利用していると言っては言葉は悪いかもしれませんが、政治的な動きをしているのではないかと。
特に、中間取りまとめという全く意味不明の文書を食品安全委員会が取りまとめたところからあらゆる問題がスタートをしている。特に、この中間取りまとめに至る過程の中で、日本では、交差汚染、肉骨粉がこの日本におけるBSEの原因ではないかというようなある種の思い込みがずっと今に至るも続いてきているわけです。
ところが、そうではないんじゃないか、そもそも、そうではないんじゃないかという議論も他方ではあるわけですね。
畜産システム研究会報という、これは飼料の専門家あるいは飼料の統計学の専門家がそれぞれに執筆をしていらっしゃる論文集でありますが、畜産システム研究会報、これは寺田委員長と金子座長代理、読んだか読んでいないかだけちょっとお答えいただけますか、お二人に。
○寺田参考人 きのう、一ページ目だけぐらい読みました。
○金子参考人 拝読させていただいております。
○川内委員 この中に、広島大学の三谷先生とおっしゃる先生方や、あるいは日本獣医畜産大学の木村先生とおっしゃる先生方が日本におけるBSEの原因物質は代用乳ではないか。そしてまた、農水省が設置して発表をしたBSE検討会の報告書には肉骨粉が原因であるかのごとくに書いてあるわけでございますが、そのことを批判し、代用乳が日本のBSEの原因ではない確率は五十五兆五千億分の一だと。五十五兆五千億分の一ということは、代用乳が原因だということをこの学者の先生方は御主張されていらっしゃるわけであります。
私もこの論文集を読ませていただいて、さらには、農水省の方でもこの先生方の御指摘に基づいて、もう一度原因解明の議論をすべきであるというようなことの問題意識から、もう一度BSE検討会を立ち上げるというふうにもお聞きしております。したがって、食品安全委員会並びにプリオン専門調査会もこの先生方の意見というものあるいはお考えというものをしっかりと聞かなければならない。
なぜならば、今、金子先生がおっしゃったように、米国の飼料規制は甘い部分がまだある。何の規制もなしに、SRM入りの牛脂が実際に年間十六万トン生産をされている。そして、牛の飼料として使われているという実態があるわけであります。そういう中で、この先生方の、広島大学の三谷先生や獣医畜産大学の木村先生のお考えというのは傾聴に値するのではないかというふうに私は思います。
そこで、食品安全基本法にも、食品安全委員会が食品健康影響評価をするに当たっては、「その時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて、客観的かつ中立公正に行われなければならない。」と。これは第十一条三項。さらには、第十三条には、国民に対して、「当該施策について意見を述べる機会の付与その他の関係者相互間の情報及び意見の交換の促進を図るために必要な措置が講じられなければならない。」というようなことが書いてあります。
だから、非常に重要な提言をする学者の意見というのは、これは農水省も検討会をもう一度やると言っているわけですから、寺田委員長、この三谷先生や木村先生を食品安全委員会並びにプリオン専門調査会にお呼びになられて、その意見を聞いていただきたいというふうに思いますが、金子座長代理から、まず、これを全部読んだとおっしゃっていますから、どうでしょうか。調査会にこの方たちをお招きして、御意見をお聞きになられたらどうかなというふうに思いますが、どうでしょうか。
○金子参考人 内容は拝読いたしましたけれども、統計的なお話が主であるということだと思います。もちろん、それも非常に大事な点でありますけれども、農林水産省でかつて、疫学調査を含めて、飼料、どこに問題があるかを検討された際には、さらに実証主義といいますか、証拠集めをされて、その御苦労を踏まえての総合判断というふうに理解しております。
ただ、そういった意味では、その部分についてもう既に検討されているというふうに私は理解をしておりましたけれども、そういう御指摘もあるということを含めて、私は飼料の専門家ではございませんので、飼料の専門家の先生方の御意見を聞きながら座長と御相談させていただきたい、今の先生の御質問に対してはそういうふうにお答えさせていただきたいと思います。
○川内委員 寺田委員長、今、金子座長代理が飼料の専門家と相談して検討する、召喚するかどうかを検討するというふうに御答弁されましたが、よろしいでしょうね。
○寺田参考人 私ども親委員会といたしましては、プリオン専門調査会の専門家の先生方、それは飼料の専門家も含めまして、御意見を伺うのは当然だと思いますし、それは座長、副座長の判断にお任せいたします。
○川内委員 それでは、ぜひ呼んで、いろいろな人の意見を聞いて、やはり政治家というのは、政治家とか行政というのは、寺田委員長、金子先生、ずるいですからね、食品安全委員会に全部責任を押しつけて、科学的に科学的にと言いながら、科学的に政治的な結論を出させようとしますから、ここはいろいろなことを考えずに、しっかり御議論をいただく。そのためには、さまざまな方々の意見を聴取し、さまざまな資料を入手し、将来に禍根を残さないことが何よりも大事だと思います。
アスベスト問題でいえば、ある学者の先生の論文をこの前読ませていただきましたが、今後四十年間でアスベスト由来の肺疾患で、中皮腫というんですか、十万人死亡するかもしれないということがその先生の論文に書いてありました。さらには、過去に私たちは薬害エイズという苦い思いもしているわけですね。
今回、このBSEの問題というのは、本当に慎重に御議論をいただきたい、日本国、国民だけの目ではなくて、世界じゅうの皆さんの目が食品安全委員会そしてプリオン専門調査会に向いているんだということを御認識いただいて、たくさんの方々をぜひ呼んで意見を聞いていただきたい、これは私からの陳情であります。
最後の質問に移らせていただきますが、前回の私の質疑で、棚橋大臣は、食品安全行政は中立公正でなければならないということを大臣の御見解としてお述べになりました。
米国食肉輸出連合会という、そのものずばりの連合会があります。この米国食肉輸出連合会が、「知って安心 BSEのホント」というパンフレットを出していらっしゃいます。このパンフレットを寺田委員長は御存じでしたか。
○寺田参考人 コピーを拝見いたしました。
○川内委員 この米国食肉輸出連合会のパンフレットの監修者として、食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会の座長代理である唐木英明先生、東京大学の名誉教授でいらっしゃいますが、唐木先生がこの米国食肉輸出連合会のパンフレットの監修者として、後ろに写真も載り、そして中で対談もし、そして肩書として、プロフィールの中に食品安全委員会専門委員、リスクコミュニケーションという言葉は取り除いてあります、食品安全委員会専門委員という肩書で、この米国食肉輸出連合会のパンフレットの監修に参加し、対談もしていらっしゃる。
私は、これは食品安全行政の中立公正を甚だしく疑わせるものであるというふうに言わざるを得ないと思いますが、寺田委員長はこのことを知っていたかどうか、そしてまた、知っていたとしたらどう反応されたのか、知らなかったとしたら今後どうされるのかということを御答弁いただきたいと思います。
○寺田参考人 知っておりました。
唐木委員は、おっしゃいましたようにリスクコミュニケーションの専門調査会の座長代理であります。この場では、御存じのとおり、リスクコミュニケーションのあり方、プリオンのことをリスクコミュニケーションするのではなくて、それは評価の方の問題でございまして、どういうふうな方法がいいだろうと、消費者団体とか生産者の方、いろいろな方が入っておられる、そのうちの一人だということです。
私自身といたしましては、もう少し気をつけてくださったらいいのになと、それは正直申し上げましてそう思いますけれども、自由を妨げることの損失と、やはり私どもの委員会は自由で透明性を持ってやっているという立場からいいますと、少々外れても、委員会の立場としてしゃべっておられるのではないわけでございますから、まあしようがないというような感じでございます。
○川内委員 寺田委員長、「食品安全委員会における調査審議方法等について」という、平成十五年十月二日食品安全委員会決定という文書があります。この中に、「審議の公平さに疑念を生じさせると考えられる特別の利害関係を有する委員又は専門委員は、委員長又は専門調査会の座長に申し出るものとする。この場合の審議及び議決については、」参加できないと書いてあるんですね。
リスクコミュニケーション専門調査会は、BSEのリスクコミュニケーションが成功だったか失敗だったか、やり方がどうだったかということを審議しています。その審議に唐木先生も参加しているんですね。それで堂々と意見も言っていらっしゃる。
この唐木先生は、獣医学会の会長だし、大変偉い先生だと思います。御自分の主張を自由にされるのは私も自由だと思います。しかし、食品安全委員会の専門委員として活動しているというふうに、この米国食肉輸出連合会のパンフレット、BSEの肉を食っても大丈夫だと書いてあるんですね、このパンフレットには。肉骨粉が原因だと書いてあるんです。このでたらめなパンフレットの監修をこの先生がしていらっしゃる。
これは、食品安全委員会というのは、いろいろな調査会はあるが、食品安全委員会という一つの集団であります。ということからすれば、寺田委員長もちょっとまずいなと思ったとおっしゃられるわけですから、唐木先生に対して、ちょっとまずいなと思ったし、国会でも指摘をされてしまったので今後気をつけてくれぐらいは言わないと、肩書は使わないようにしてくださいとか発言には気をつけてくださいというぐらいは言わないといけないと思いますが、どうでしょうか。
○寺田参考人 そのような御注意は既にしております。ただ、これはバランスの問題で、こういった時間をとって申しわけないんですけれども、私どものところで、やったらいけないとか、非常勤の先生で、これをしてはいけないということになりますと、例えば、プリオンの専門委員会の中でもいろいろな方がいらっしゃるわけですね。その方は自由に国民に対してメッセージを出しておるわけです。そういうことまでもレストリクションするのはいかがなものかと私は思っております。
唐木先生は、今まで注意されていたのは、肩書上は、東京大学、学術会議何とかかんとかで、専門委員は外してあると。ただ、履歴のところにどうしても入っちゃうんですね。だから、そうしてもやはり国民がそういうふうに思われるということもわかりますので、先生の言われたとおり、もう一度確かめておきます。
○川内委員 質疑が終わっておりますので、大臣、済みません、時間が終わってしまいまして、くれぐれも食品安全行政の中立公正を損なわないように、大臣も大所高所から御指導をしていただきたいと思いますし、またこの問題について引き続き、私も市村先生と一緒で大変しつこい性格でございますので、引き続きさせていただきたいと思います。
終わります。
○佐藤委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
最初に、細田官房長官にアスベスト対策について伺いたいと思います。
先日、五日の日にも、所信あいさつでも述べられましたし、実は八月二十六日の関係閣僚会議の後の記者会見も見せていただきましたけれども、その中で、労災補償を受けずに死亡した労働者、家族及び周辺住民について、すき間を生じないような仕組みで、救済のための新たな法的措置を講ずることとしたというふうに、すき間のない対策をということで、そして内閣挙げてということで表明しておられますので、そのことに関して伺っておきたいと思うんです。
それで、十月七日の日に昨年の人口動態調査が発表されまして、中皮腫による死亡者は九百五十三人、九五年に中皮腫の項目が設けられてから累計七千人に達しておりますが、それだけじゃなしに、アスベストによる健康被害というのは年々拡大して、実は、石綿由来の肺がん、そちらの死亡者は中皮腫よりもはるかに多くて、大体年間八千人ぐらいになるという専門家の指摘もあります。
ですから、石綿による肺がんも今回の政府の枠組みの対象疾病になっておりますけれども、石綿による疾患にかかった被害者の方、その人たちについてすき間のない対策をとっていくという立場だということを確認しておきたいと思うんです。
○細田国務大臣 今、吉井議員がおっしゃったように、発病まで非常に時間がかかるということ、過去のいろいろな法規制の歴史はあるけれども、例えば労災等につきましても、すぐに時効になって、その後にまた発病され、あるいはお亡くなりになるという方も多いということで、新しい法制度を今検討しておりますが、すき間なく救済する仕組みを考えているわけでございます。
そのための法案を次期通常国会のできるだけ早い時期に提出したいと思いますが、今、吉井議員がおっしゃった中皮腫は、大体の罹病者あるいは死亡者はほとんどアスベスト由来であるという科学的知見、医学的知見もあるようでございますので、これはできるだけ広く救済をまずしたいということがあります。それで、どういう由来であるかもそれぞれ検討していかなきゃならないと思います。
問題は、今おっしゃった肺がんの関係は、それぞれ、アスベスト由来のものもありますし、一般的に肺がんという病気も数の多いがんの一つでございますので、どういう経緯があるのか、それぞれによく調べていかなければならないということが非常に大きな難題でございます。やはり医学的な見地その他専門家の意見をよく聞きながら今後の対応ぶりについては検討していきたいと思っておりますが、アスベスト由来であることが推定される限り、すき間なくやっていきたい、措置していきたい、こういうことでございます。
○吉井委員 実は、クボタ、ニチアスの問題が出ましてから、私は両社とも本社へ参りましたけれども、ニチアスへ行って、労災認定を受けた方でアスベスト疾患で亡くなった方のリスト、もちろん固有名詞は個人情報の問題がありますからいただいておりませんが、このリストをいただきました。
これを整理して見てみると、胸膜中皮腫で十三名の方、腹膜中皮腫で二十二名、石綿肺・肺がんで二十三名、肺がんで二十四名、じん肺で五十名、間質性肺炎二名、急性呼吸不全一名、急性肺炎一名、肺炎・気管支炎一名、じん肺・肺がん四名、合計百四十一名の方が亡くなられたわけですね。
つまり、石綿による被害であって、そこははっきりしているんですが、死因というのはさまざまなんですね。中皮腫と石綿由来の肺がんだけに絞れるかといったら、そうじゃなくて、それ以外にも、アスベストによるじん肺死など非常に多数あるわけですね。これらはやはりすべてを、石綿に由来するものについてはすべてを対象として考えていくということが必要だと思うんですが、この点を伺っておきます。
○細田国務大臣 これまでの死亡者あるいは罹病者、これははっきりしているわけですから、その方々がどういう症状であったのかということに加えて、例えばどういう職場環境、あるいはアスベスト飛散の場所等に勤務していたかどうか。
たしか倉庫で働いていた、何か商売をやっている方が、どうもやはり明らかにその倉庫に飛散していたアスベストの被害であるということが認められたと思うんですけれども、そういう因果関係について幅広く調査する必要は当然あると思います。医師の診断も、中皮腫、肺がんあるいは周辺の病もいろいろありますので、ただ、環境その他で強く推定されるかどうかということが、最後、患者さんにとっての必要な判断だと思います。
それから、過去にかかった人と現在かかって苦しんでおられる方ですね。過去というのはかかってお亡くなりになってしまったという診断書が残っているという方、それから現在かかっておられる方、それから、これからまた発病の可能性がありますので、それぞれについてきちっとした体制をとっていかなければならないと考えております。
○吉井委員 実は、二〇〇三年の九月十九日に、労働基準局長通達で、石綿による疾病の認定基準というのをちゃんと示していますね。そこでは石綿による疾病としては、石綿肺、肺がん、胸膜、腹膜等を含めた中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、こういったものを労災認定の基準として挙げているわけです。
まさにその人たちがニチアスの例で、先ほど御紹介しましたが、亡くなっておられるわけですから、石綿由来の疾病によって被害を受けた方については、これは中皮腫、肺がんという先ほどおっしゃった二つだけじゃなしに、これらすべてを対象としてきちんとすき間なく救済をしていく、その立場が大事だと思うんですが、重ねて伺っておきます。
○細田国務大臣 当然ながら病名を限定する必要はないので、アスベスト由来の疾病であるということがはっきりしておれば、当然含まれると思っております。その因果関係をしっかりと調べていかなければならない、こう思っております。
○吉井委員 そこで次に、すき間なく救済するというのは、当然、先ほども少しおっしゃいましたが、労災以外に、家族の方、一般周辺住民の方があるわけですが、一般住民まですき間なく救済するということになりますと、まず救済のための対策として今必要なことは、健康被害の実態調査、そして住民の健康診断です。しかし、検討していらっしゃる法案は、この間説明いただいたんですが、公的に負担して住民の健康診断を行うということが抜け落ちているわけなんです。
実は、石綿の問題が大きな社会問題になってから、工場周辺で死亡者を含む健康被害者が多数出ております尼崎とか鳥栖市とかは、市の方が予算を組んで一般住民の検診を実施しておりますね。かつて、熊本県の松橋町の方では、これは公費でもって約一万人の健康調査をやって、そのうち約一千人の方が要管理ということで、継続して管理をしていかなきゃいけないということで、これは自治体の方での取り組みはあるわけですが、すき間なくやるには、アスベスト由来で、周辺に住んでいたとかそういうことで労災にはまらない人についても、やはりまずきちんと健康調査をやって、そして健康管理を行っていくということが大事だというふうに思うんですが、この点についても伺っておきます。
○細田国務大臣 どのような枠組みでやるかはまだ検討中でありますが、当然ながら、検査あるいは調査をしなければなりませんので、その過程でアスベスト由来かどうかがわかるような形で調査も進めなければならない。これは、既往症の方ということになると思うんですけれども。
あるいは、では今後はどういうふうに対応するかというと、やはり常にそのような角度から対応していかないと、発病自体に何年もかかるという例が多いようにも聞いておりますので、そういった絶えず漏れなく調べていくということも大事であると思いますが、地方公共団体と政府の役割分担とかそういう問題もございますね。したがって、そういった点も含めて検討してまいりたいと思います。
○吉井委員 大臣もお時間のようなので、最後にもう一問伺っておきますが、要は、これは自治体の方も、今少しおっしゃった財政のことを含めて、自治体は当然一番身近なところですから取り組んでいらっしゃるんです。しかし、それに対して、国の方が、その自治体の取り組みについてもきちんと財政的にも国も考えていくということをやらないと、現に、国は国保その他保険料の方でも見ていますし、住民の方も本人負担分で見てやっているわけです。
かつて、一九七二年、もう随分古い話になりますが、衆議院で日本共産党の山原議員が質問したときに、当時の滝沢さんという公衆衛生局長が、周辺住民には国が健康管理の立場から実施する必要がある、一般住民の検診について、我々国の方でやはり考える必要があるんだということを、当時既に、一般住民検診について我々の方、つまり国の方もやっていかなきゃいけないというお考えは述べたんですが、あれからもう長い間実現されずにここまで来ていますので、この機会に、これは国の方で、例えばアスベストの健康管理手帳を交付するとか、やり方は今後考えるにしても、きちんとした健康調査をやって、後のフォローを定期的にやっていける、このことをやはり今あわせて考えなきゃいけないと思いますが、これを伺っておきます。
○細田国務大臣 これは、やや技術的な点もございますので、担当の部局ともよく今後協議してまいりたいと思います。
やはり疾病の症状として何らかのものが出て、健康被害が出て、これはおかしいぞと。異常なせきが出るとか、あるいは肺がおかしいとか、何らかの兆候がどういうふうに出ているかということがあって、それをさらに精密に検査するということに恐らくなっていくんだろうと思います。
もう既に特定の中皮腫とかそういうものになっている人は当然病名も明らかでございますが、その前段階にある人をどうするかというのはなかなか難しい問題であろうと思いますし、もしその地域が、本当にアスベストの生産等でいわば歴史的に見てもかなり汚染されている可能性のある地域であるかどうかという判断もあります。一億何千万人の全国民を調べるというようなことではないはずでございますから、やはり濃淡があると思いますけれども、今後すき間なくと申し上げている中では、そういったことも含めて検討対象になると思っております。
○吉井委員 一言だけ聞いておいていただいたら、もうお時間ということですから、結構です。
実は私もアスベストを使った研究をやったり仕事もやりましたから、普通わからないんですけれども、エックス線でなかなかわからなかったんですが、CTで胸膜肥厚というのはわかったんですね。これは、それが進行しないように定期的に検査しなきゃいけないんです。ですから、周辺の住民の人たちについても、健康管理の定期的なフォローというのは物すごい大事なんですね。熊本県の松橋の方ではそれをやっていこうとしてきたわけです。
ですから、健康診断と後のフォローを本当に進めていくということをやらないと、ほっておいて悪性中皮腫になってしまってからでは遅いんですね。早く管理をする、そういう点では国を挙げてやるというお話ですから、そのことを含めてきちんと対応を進めていただきたいということを申し上げまして、記者会見のお時間だそうですから、次に、国家公安委員長の方に伺いたいと思います。
ことし三月三十日の内閣委員会で、村田大臣は、愛媛県警裏金疑惑などの問題に関して、「市民の目線に立ってその調査の結果については一定の評価をされるのではないか」と調査などについておっしゃっておられました。警察庁が六月に本委員会に報告書を出したわけですが、あの愛媛県警の調査結果報告書は、資料の公表、科学的な根拠を明らかにされていない問題とか、証明なき結論の押しつけというものと私は思っているんですが、公安委員長は、あの調査結果が市民の目線に立って一定の評価を受けたと考えておられるかどうか、国民の多くの納得を得ることができるものと考えていらっしゃるかどうか、これを最初に伺っておきたいと思います。
○村田国務大臣 この報告書でございますけれども、その調査については、愛媛県の公安委員会の管理のもとに、愛媛県警がさまざまな書類を調査し、それからまた聞き取り調査も行った結果でございまして、そういう意味では、その結果につきましては、私も愛媛県の公安委員長に対しても、スピードアップしてしっかりやるようにという電話でのお願いもしたわけでございます。私どもは、そうした愛媛県警の調査につきましては、公安委員会がそうした調査を了としている以上、私どもも適正に調査がなされたものというふうに考えておるわけでございます。
○吉井委員 実は、愛媛テレビが愛媛県警裏金問題の警察の調査について世論調査をやりました。
不正流用はなかったという県警側の説明に納得していますかという問いに、納得していないと答えた人は八六・七%ですね。個人的な不正行為だと思うか、組織的なものと思うかという問いには、組織的なものと答えた人が八五・三%なんです。ほかの警察署でも不正があったと思うかという問いには、あったと思うが八五・三%です。
つまり、これは愛媛テレビの世論調査ですが、これからわかることは、警察が調査で否定してきた不正流用とか組織的不正行為、これはなかった、不正は大洲署以外はないとする調査結果を、圧倒的な人々がそれは本当だと思っていないということを明白に示していると思うんですが、国家公安委員長は、この六月の報告が、六月に出したあの警察の報告書、あれが市民の目線に立った調査結果と言えると思わはりますか。
○村田国務大臣 私ども国家公安委員会といたしましては、愛媛県の公安委員会の判断というものを尊重していきたいというふうに考えておるわけであります。
○吉井委員 尊重するのと、市民が、要するに、八五%を超える方があの報告書というのはもう全然信用できないと言っているんですから、それを、公安委員長の立場だったら、やはり本当はきちんとした解明をするように取り組むのが私はあなたの仕事だと思うんです。
六月の本委員会に報告されたあの調査結果報告書の警乗旅費問題について伺っておきます。
あの中で、仙波氏が、ほかの人を含めてですね、要するに列車に警乗したのに手当が出ていなかった問題、この警乗手当が裏金づくりにかかわったという問題がこの警乗旅費の問題としてあったわけですが、警察の調査では、仙波氏の長距離警乗については当時の関係文書のいずれにも記載がないとして、仙波巡査部長は長距離警乗に従事していたことは認められなかったとしていたわけです。
極めて不思議なことで、調査結果を発表した愛媛県警の長谷川警務部長は、当時の鉄警隊長から、長距離警乗に消極的だったから命令しなかったんだという証言がされているんですね。記者会見で言っております。警察庁の安藤官房長も、六月十四日の参議院内閣委員会で同様の発言をしております。
しかし、この長距離列車警乗というのは、警ら、警戒警備、雑踏警備などと並ぶ鉄道警察隊の基本的な任務なんですね。当時は駅頭警戒と並ぶ二本柱とされていたんですよ。そういう任務であったわけですが、鉄道警察隊の基本的任務であり、当時の重点任務である長距離警乗に本人が消極的だったからといって任務を命じなかったという言い分は、これはちょっと信じがたいんですね。
大体、警察は上意下達の組織ですから、そういう場合は任務だということできちっと命令するわけですが、警察の言うのが事実だったら、命令に反する勤務態度不良として処分があったことになると思うんですよ。
私の調査によれば、逆に、仙波さんは勤務優秀で何回か表彰を受けていることがわかったんです。警察では表彰を記録し、保管していると思いますが、仙波さんはどういう表彰を受けられたんですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
仙波巡査部長は、これまで警察本部長から十件、警察署長から六十三件など、合計七十八件の表彰を受けているものと承知しております。
○吉井委員 四国管区警察局公安部長からの賞までもらってはるんですね。
この賞は、一九九九年六月に、京都、岡山、愛媛、高知、香川、福岡の四管区、六府県が捜査共助、指名手配していた大物すりを松山駅で逮捕したことがあって、重要な指名手配の犯人を逮捕したのは愛媛の鉄道警察隊で初めてだということで、この犯人逮捕によって仙波氏は四国管区から表彰されたと思うんです。しかも、これは仙波さんが鉄道警察隊に異動してわずか四カ月後のことですね。同じ時期に、仙波さんは長距離警乗に消極的だと隊長に判断されたということになっているんですね。
基本的な任務に消極的な者がどうして、先ほどたくさんの表彰をもらったということですが、警察の職務上著しい業績ある者が表彰されるような犯人逮捕ができるのか。これは普通の国民の感覚からすれば、委員長もそのように思わはるでしょう、不思議なんですよね。
一方で職務に消極的と評価し、一方で四国管区の表彰を受けるような優秀な警官と評価している。これは、国家公安委員長、どうですか、評価が全然違うじゃないですか。
○村田国務大臣 その表彰の評価あるいは職場の長としての評価、それぞれその時点においてあったんだろうというふうに、私は今委員からの御説明を伺っておりまして、それぞれのケースにおいてそれぞれの判断があったんだろうと私は思っております。
○吉井委員 要するに、ことしの初めにこの委員会で取り上げましたのは、ほかの人も警乗手当は国から出ていても受け取っていない、受け取っていないのにそれがどこへ消えたか。これが、金額は一つ一つは小さいけれども、警察の裏金というものになっている原資じゃないかということを私はそのときに提起したものです。
それで、いずれにしても、鉄警隊へ異動して、その方が消極的だといって長距離勤務に乗せなかったというんだけれども、この人は非常に大きな大手柄を上げて管区警察局の方から表彰されるぐらいですから、私は、やはり警察の職務に消極的だったからというふうな言い分は全くためにするものであって、本当はやはり、では、これはまた別の機会にしますが、警乗旅費をだれがどのように受給したかというこの事実を全面的に公開すれば明らかになってくるわけです。
ですから、委員長にお願いしますけれども、やはりことしの春の国会でも、そういうことを、事実を明らかにしようということで、裏金問題の究明と是正に資料を全面的に開示してもらうことやら、それから、前国会から懸案になっております仙波さんの参考人招致などをぜひ実現していただいて、本当に、委員長が所信あいさつでお話しになったようにうみを出し切るように、本委員会としても徹底的な究明を行う、この立場でぜひ、私たちも頑張りますから、委員長にもぜひ計らっていただきたいというふうに思います。
○佐藤委員長 理事会で相談します。
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○佐藤委員長 次に、内閣提出、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。村田国家公安委員会委員長。
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風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○村田国務大臣 ただいま議題となりました風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
最近、人身取引の防止が国際的な課題となっており、我が国においては、人身取引の被害者である外国人女性が、風俗営業や性風俗関連特殊営業において売春の強要等の搾取を受けている状況が見られるところであります。また、歓楽街を中心に、違法な性風俗関連特殊営業が蔓延し、風俗営業等において客引き行為が後を絶たない状況にあるほか、住宅街におけるピンクビラの配布、風俗営業の営業所に出入りする少年の存在等が大きな問題となっております。
このような実情にかんがみ、人身売買の罪等を風俗営業の許可の欠格事由に加え、接待飲食等営業及び店舗型性風俗特殊営業を営む者等に接客従業者の在留資格等の確認義務を課し、違法営業行為に対する罰則を強化するほか、少年指導委員の職務に関する規定その他所要の規定を整備する必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一は、風俗営業等に係る人身取引の防止のための規定の整備についてであります。
その一は、風俗営業の許可の欠格事由、店舗型性風俗特殊営業を営む者等の営業停止事由等に、人身売買の罪等を追加することとするものであります。
その二は、接待飲食等営業を営む風俗営業者、店舗型性風俗特殊営業を営む者等は、その営業に関し客に接する業務に従事する者の生年月日、国籍、在留資格、在留期間等を確認し、その確認の記録を保存しなければならないこととするものであります。
第二は、性風俗関連特殊営業に係る違法営業の排除のための規定の整備についてであります。
その一は、公安委員会は、性風俗関連特殊営業の届け出書の提出があったときは、その旨を記載した書面を当該届出書を提出した者に交付することとし、性風俗関連特殊営業を営む者は、当該書面を営業所等に備えつけるとともに、関係者から請求があったときはこれを提示しなければならないこととするものであります。
その二は、客の依頼を受けて従業者を派遣し性的サービスを提供する無店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者が受付所または待機所を設ける場合には、届け出書にその旨及び所在地を記載させることとするとともに、これらの場所を警察職員の立ち入りの対象とし、また、受付所を設けて営む当該営業のうち受付所における業務に係る部分は、店舗型性風俗特殊営業とみなして、営業禁止区域等の規定を適用することとするものであります。
第三は、風俗営業等に係る客引き等の規制の強化のための規定の整備についてであります。
その一は、風俗営業、店舗型性風俗特殊営業を営む者等が当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、またはつきまとうことを禁止するものであります。
その二は、店舗型性風俗特殊営業または無店舗型性風俗特殊営業の届け出書を提出した者以外の者が、これらの営業を営む目的をもって、広告または宣伝をすることを禁止するものであります。
その三は、性風俗関連特殊営業を営む者が、人の住居にビラ等の配布等を行い、または広告制限区域等において広告物を表示する等の方法により広告または宣伝を行った場合の罰則を設けることとするものであります。
第四は、少年指導委員に関する規定の整備についてであります。
少年指導委員の職務に関する規定を整備するとともに、公安委員会は、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、この法律の施行に必要な限度において、少年指導委員に風俗営業の営業所等に立ち入らせることができることとするものであります。
その他、性風俗関連特殊営業の禁止区域等営業や無届け営業を初めとした違法営業、違法行為に対する罰則を強化するほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
○佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十二分散会