第3号 平成17年10月14日(金曜日)
平成十七年十月十四日(金曜日)午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 佐藤 剛男君
理事 河本 三郎君 理事 戸井田 徹君
理事 西村 康稔君 理事 山本 拓君
理事 吉川 貴盛君 理事 泉 健太君
理事 大島 敦君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 江渡 聡徳君
遠藤 宣彦君 小野 次郎君
小渕 優子君 木原 誠二君
木村 勉君 佐藤 錬君
桜井 郁三君 杉田 元司君
土屋 品子君 中森ふくよ君
宮澤 洋一君 市村浩一郎君
大畠 章宏君 川内 博史君
小宮山洋子君 鉢呂 吉雄君
高木美智代君 吉井 英勝君
糸川 正晃君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君
内閣府大臣政務官 江渡 聡徳君
内閣府大臣政務官 木村 勉君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 荻野 徹君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 竹花 豊君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 三浦 守君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 倉吉 敬君
政府参考人
(法務省入国管理局長) 三浦 正晴君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局アフリカ審議官) 小田部陽一君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 素川 富司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡島 敦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 白石 順一君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
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委員の異動
十月十四日
辞任 補欠選任
土井 亨君 杉田 元司君
太田 昭宏君 高木美智代君
同日
辞任 補欠選任
杉田 元司君 土井 亨君
高木美智代君 太田 昭宏君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
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○佐藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官荻野徹君、警察庁生活安全局長竹花豊君、法務省大臣官房審議官三浦守君、司法法制部長倉吉敬君、入国管理局長三浦正晴君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田部陽一君、文部科学省スポーツ・青少年局長素川富司君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君及び白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○佐藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川貴盛君。
○吉川委員 ただいま議題となりましたこの風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、村田国家公安委員長に御質問を申し上げたいと存じます。
一年十カ月ぶりでございますので多少緊張いたしておりますが、言葉に語弊がありましたらお許しをいただきたいと存じます。
私の選挙区ではございませんけれども、地元札幌にはすすきのという東北、東京以北最大の歓楽街がございます。そのことを最初に御紹介申し上げたいと思いますが、このすすきのというところは〇・五六キロ平方メートル、この中に何と約三千六百店の風俗営業所等がございます。かつてはもっと数があったのでありまするけれども、最近はいろいろな経済状況その他によりまして店を閉めるというところも随分多くなってきております。
その中で、特に性風俗店というのが三百二十八店今でもございます。ちなみに、東京新宿の歌舞伎町には、〇・三六キロ平方メートルの中にこの性風俗店というのは百二十九店だそうでございます。実にすすきのの方が倍以上の数があるということであります。
さらに、風俗営業所というのが、すすきの地区が二百六十一店、歌舞伎町は千二百四十八店でありますから、実に数多い営業所があるということが言われるのではないかと思います。
深夜酒類飲食店と言われるのが、すすきのが二千九百三十九店、歌舞伎町に至っては千二百三十五店を有しているということでございます。
合計、今の数字を合わせますと、すすきの地区は三千五百二十八、約三千六百店、歌舞伎町が二千六百十二店ということになります。
その中で、今回の法案の一つの柱にもなっております人身取引の防止のための規定の整備ですとか、あるいは性風俗営業の規制の強化ですとか、それから三つ目に、性風俗営業等に係る集客行為の規制の強化。
これはカラス、カラスというのは私は何かなと思ったんですけれども、黒い服を着て、集客、引致をする、よく声をかけてこの店がいいですよと言う、そういう行為をするのがカラスと言われるんですけれども、最近はこの黒い服を着ないカラスがふえているんだそうでございまして、実に巧妙になってきているという話も聞くわけでございます。
四つ目に少年の指導委員に関する規定の整備、そして五つ目に罰則の強化。いただいた資料によりますと、この今申し上げました五つが今回の一部を改正する法律案の大きな柱になっているわけでございます。
また札幌のすすきのの話に少し戻させていただきますけれども、客引きが、北海道警察の調べによりますと、約百三十名ほどが活動して、暴力団が縄張りを設けて資金源としているというような情報もございます。さらには、このすすきの地区というのは、稼働人口が約一万八千人おりまして、一日当たり多いときに三万五千人から四万人が訪れているということであります。
村田国家公安委員長も、何回かすすきのには行かれたことがございますでしょうか。
まあ、そのことは別にいたしましても、ここには近年、卑わいな写真やパネルなどを店舗の内外に掲げて、個室つき浴場やファッションヘルスなどの性風俗店ですが、無料で紹介をする風俗店の無料案内所があらわれて、現在十五店舗が存在をしているという調査の結果も出ております。
そういったことを考えますと、この法律は、一日も早く法律としてしっかりとした形の中で、取り締まりの強化も含めながら、安心で安全なこういった飲食を提供する場所というものを私たちはつくっていかなければならない責務があるだろうと思います。
そこで、公安委員長にお伺いをさせていただきますが、先ほど五つの柱を私あえて申し上げさせていただきました。今回の法案の最大のねらい、ありていに言うとねらいだと思いますけれども、さらに、この法案が成立することによってどのような効果があらわれてくると思われているのか、その所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○村田国務大臣 ただいま吉川委員からお地元の北海道札幌のすすきの地区のいろいろな風俗店の状況につきまして、新宿の歌舞伎町などとも比較をされながら御紹介をいただきました。
私、残念ながら、余りすすきのへ行ったことないんでございますが、近くを通りますと、けばけばしいネオン等が輝いている地域で、本当にこれまでのところ大変な繁盛をしているんではないか、こういうふうに思います。
今回の風営法改正の最大のねらいでございますけれども、一つは、米国の国務省のレポートで、我が国は人身取引の防止に余り熱心な国ではないという指摘を受けまして、そういう意味で、人身取引というのは、米国に指摘されるまでもなく、人権をじゅうりんする人権侵害の最たる行為であるということで、我が国も、そうした人身取引の実態を調査しつつ、今回この風営法の改正に及んだ、こういうわけでございます。
一つは、今申しましたように、人身取引の防止対策が主眼となっている法律の改正でございますし、もう一つは、歓楽街におきまして性風俗にかかわる違法な営業が大変横行している、こういうことに対します対策をとる、こういうことでございます。
今回の改正では、性的な搾取につながる危険性の高い営業を営む者に対しまして、客に接する業務に従事させようとする者の、主として外国人でございますけれども、在留資格等を確認することを義務づけているわけでございまして、本来そうした風俗営業等に就労できない外国人の不法就労を抑止することによりまして、人身取引を防止する効果が出てくるのではないかというふうに考えております。
それから、性風俗関連特殊営業に関しましては、受付所営業に対します規制を新設するということ、それから広告宣伝ビラの配布、よく普通のマンションとか民家のポストに広告宣伝ビラが投げ込まれていることがあるわけでございますが、これまで県の条例などによってブレーキをかけていた例もございますけれども、これを今回、直罰規定を設けまして、そうした行為も罰則をもって規制を強化する、こういうこと。
ほかにも、今委員がおっしゃったような、御指摘なさいましたような改正案を設けておりまして、善良の風俗を害し、少年の健全育成に障害を及ぼすような違法行為を抑止しようとする、そういう目的に出るものでございます。
○吉川委員 委員の皆様に誤解をしてほしくないことが一点ございますが、すすきのというところは極めて安全なところでございます。ただ、性風俗店が非常に多く、客引きだとかそういうものも多くなっているのも事実でありますけれども、ビルのテナントやオーナーや飲食店の協会の皆さんが、警察と一体となってそういった排除の活動もしているということを付言させていただきたいと思います。
人身取引、違法営業を許さない環境の実現を目指してこの法案が出されるということでありますので、ぜひとも、全国の歓楽街においての警察行政の立場において、しっかりとこの法案が生きるような、そういう活動をしていただきたいなと思っております。
時間がありませんので、最後に一点だけ国家公安委員長にお伺いしたいと思いますが、最近、犯罪が非常に多くなってきております。少年犯罪の増加、あるいは犯罪も複雑化をしておりますし、さらには組織犯罪が極めて深刻化をいたしておりまして、刑法犯が急増している中で検挙率が低くなっているというのが私どもは大変気になるところでございます。
地域の皆さんにおきましても、路上でのひったくりですとかそういった被害に遭わないように、本当に今、地域ぐるみで安心安全の町づくりを推進しているところでありますが、警察官の増員、平成十八年はたしか三千五百人ほど要求いたしているようでありますけれども、これはしっかりとやっていただきたいなというふうに思います。
ただ、私は、警察官の増員はもちろんでありまするけれども、地域の皆さんと一体となった安心と安全な町づくりというのを目指していただきたい。警察庁の方でも、私の地元に北区屯田という地域がございまして、そこにパトロール隊というのが結成をされまして、今毎日のように、Tシャツを着て、あるいはジャンパーを着て地域を巡回いたしております。最近、大変ありがたいことに、防犯協会連合会などの主催で、全国地域安全運動中央大会で表彰をされました。まさしくこういったことに代表されるように、警察力だけではなくて地域の皆さんと一緒になって地域を守るというようなことをぜひ奨励していかなければならないのではないかと思うんです。
そういったことに対しまして、公安委員長の御所見がございましたらば、最後にお話をしていただければと思います。
○村田国務大臣 委員が御指摘になりましたように、国民の大変要望の強い安全、安心を確保するため、我々は、世界一安全な国日本の復活ということで目標を立ててやっておるわけでございます。
警察官の増員ということもお認めをいただいて、また来年度予算にかけても、三千五百人の要求をしておるわけでございますが、警察の人員をふやすだけではなかなか目的は達成されなくて、やはり地域住民の自発的な御協力がなければ目的は達成できないわけでございます。近年、地域におきましてボランティアの防犯団体が非常にたくさんふえてまいりまして、そうした地域の住民の意識の向上と自発的な意思が非常に強くなっているということを大変我々はありがたく思っております。
私もせんだって防犯協会の表彰式に出席をさせていただきましたけれども、そうした地域の住民の防犯、安心、安全な暮らしを求める活動というものを私どもがお助けすることができれば、大変目的の達成にかなうのではないかというふうに思っている次第でございます。
○吉川委員 時間でありますから終わりますけれども、ぜひとも国家公安委員長におかれましては、全国の警察官が地域の皆さんと一体となって頑張れるような、そういった環境づくりと陣頭指揮をお願いいたしたいと思います。
終わります。
○佐藤委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
五月十一日に発表されたILOの強制労働に反対する世界同盟という中で、日本についての記述で、日本は世界じゅうから性的搾取のために人身売買の犠牲者が送り込まれている主要な目的地国であるというふうにされております。先ほどお話がありましたように、アメリカ国務省の指摘もあります。
このILOの報告の中では、売春は違法であるが、性関係の特定のビジネスによって成り立っている強力な犯罪組織は、性産業を支配し、人身売買のセンターであるということも指摘しています。
今回の風営法改正で、人身売買に関する罪を風営法の許可の欠格事由に挙げているというのは、これはこの指摘からしても、私は当然の措置だというふうに考えております。
風営法上、風俗営業は二つに区分されて、接待飲食営業、遊技場営業のいわゆる風俗営業と、もう一つは性風俗関連特殊営業になりますが、問題は、日本に人身売買で連れてこられた被害者の多くが性風俗関連で働かされて、性の奴隷、性の売買が深刻な人権侵害を引き起こしているという、このことであります。
そこで、最初に政府参考人に伺っておきますが、実情はどうなっていて、被害者の救済にどう取り組んで、どういう成果を上げているのかということを簡潔に伺っておきたいと思います。
○竹花政府参考人 お答えいたします。
警察が人身取引事犯の取り締まり等によりまして、昨年は七十七人、本年上半期は五十一人の被害者を確認いたしておりますが、これらの方々の大半は、スナックやキャバレー等の風俗営業や性風俗関連特殊営業で働かされておりまして、売春等を強いられているのが実態でございます。
ただ、先生御指摘のように、性風俗関連産業が大変多いということの御指摘もございましたけれども、十六年は七十七人のうち、キャバレー等の接待飲食店営業でホステスをしていたという者が六十三名、性風俗関連特殊営業にいたという者が七名という状況でございますが、いずれにいたしましても、売春等を強いられていたのが実態であるということでございます。
警察は、こうした被害者を確認いたしました場合には、大使館とも連絡をとりながら、婦人相談所で保護がなされるように配慮するとともに、入管当局とも連携し、被害者の立場を考慮した適切な配慮が行われるように努めているところでございます。
○吉井委員 実際には、救済された人というのは一部なんですね。多くの方というのは本当にひどい状態に置かれているという、このことを考えたときに、この救済の取り組みというものを緊急に、強力に進めていかないことには、国際的に指摘されているこれらの問題の解決にはなかなかつながっていかないというふうに思います。
次に、風営法では、接待飲食業などの風俗営業の方は許可制なんですけれども、性風俗営業の方はこれは届け出制なんですね。今回の法改正というのは、この枠組みはそのままなんですが、通常の飲食等での風俗営業ということで許可を得ながら脱法的風俗営業というのは非常に多いという問題について、尼崎の問題などで伺いたいと思います。
風俗営業第二条一項二号の定義によると、接待飲食営業、これは性風俗産業ではないわけですよね、通常のものは、飲食等に関しては。一般には、キャバクラ、ピンクサロン、ホストクラブなどの脱法行為というものは、接待飲食営業として許可を得ておきながら実態は性風俗営業を行っている店の野放し状態といいますか、仮装型性風俗営業というものが今横行しております。
兵庫県の阪神尼崎駅近くの風俗営業が軒を並べた通りがありますが、これは、来年国体が開かれるということで、尼崎市では、水泳とか野球とか競技が行われるので全国から多くの青少年が訪れてくる。だから、この尼崎駅周辺の風俗店の林立状態を放置できないと、地域の住民の皆さんの声を受けて、さまざまな取り組みが行われております。
私たちの党も市会議員団の方でタウンミーティングを開いてきましたが、参加した市民の方の共通の声は、現行法で有効な対策はとれないのか、現行法をもっと活用して何とかしなきゃいけないじゃないか、現場の実態はひどいものですから、市民の方たちからこういう非常に強い声が寄せられております。
風営法で接待飲食営業として許可を得ながら実態は性風俗営業を行っている店が野放しという、この仮装型性風俗営業の放置ということが、この地域では本当に深刻な問題になってきております。
店内はのれんのようなもので仕切りをして、いかがわしいことをさせる店が野放しなんです。県の条例がありますから、個室にした性風俗店というのは、これは県条例で禁止するからできないんですね。だから、のれんのようなもので仕切りをするということですが、風営法の接待飲食営業で出店許可をとって、このような実態性風俗店らが、県条例で禁止しても、そのすき間を縫うようなやり方ですね、だから幾重にも脱法的違法行為というのが行われております。
これは、尼崎だけでなく各地にこういう状態が見られますが、まず、実態をつかんでおられるのかどうか。売春が行われていることが判明すれば売防法違反で検挙する、売春さえ行われなければ、あるいはその実態がつかめなかったらどんな接待をしてもいいというものじゃないわけですね。
だから、そういう点では、今のような市民の皆さんから生ぬるいと言われているものじゃなくて、脱法行為、違法行為は厳しく規制をするべきだと思うんですね。この点について、実態を調査し、公表し、風営法の営業許可を取り消すとか、風営法の営業を許可したところでも脱法的にやっていますから、その許可の取り消しなど規制を強めるべきだと思うんですね。
まず、尼崎のこの例についてはどのように取り組みを強めていかれるか、伺います。
○竹花政府参考人 お答えいたします。
兵庫県警の報告によりますと、同県警においては、尼崎市における違法な風俗営業の取り締まりをこの間相当厳しく推進をしておりまして、風俗営業の許可を取得していた営業者が店舗型性風俗特殊営業を禁止地域で営んだという罪で、昨年は三件、二名を検挙いたしております。
本年に入ってからも、引き続き違法な風俗営業の取り締まりを推進しておりまして、風俗営業の許可を取得していた営業者が客室を個室化するなど公安委員会の承認を得ずに構造設備を変更したといたしまして、この九月までに十二件、十四名を検挙したほか、四十四の営業所に対して行政処分を行うなど、徹底した取り締まりを行っているものと報告を受けているところでございます。
いずれにいたしましても、御指摘のような違法な営業に対しては、風営法や売春防止法に違反するものとして、兵庫県警において引き続き徹底した取り締まりを行っていくものと承知をいたしております。
○吉井委員 取り締まりを強めてきているということですが、実際、私なんかも阪神尼崎駅、おりにくいぐらいの感じですよね。異様な雰囲気ですよ。これは、国体前で随分頑張ってもらっているんですが、国体が済んだらまた元に戻るというんじゃ全然話にならないわけで、ですから、これはまず国体の前に、こういうものは、脱法、違法行為については一掃する、徹底した取り組みをやってもらいたいというふうに思います。
次に、この性風俗営業というのは売春との関係が非常に強いもので、近年の売春防止法違反の検挙人数の推移について、特に九九年以降、風俗営業における検挙人数は減少傾向なんですが、性風俗営業における検挙人数はふえている。それは取り組みによってふえるということもありますが、実態のひどさというのがここにあらわれているわけです。
売春というのは大きな人権侵害ですが、売春防止法では買う方の買春者は罪に問われない、禁止を規定しているが罰則はない。これでは売春撲滅という目的達成はできないわけですから、やはり売春を必要悪として買春はとがめないという風潮があってはとんでもないわけで、人身売買罪の制定をきっかけに、買春に刑罰を科すことで性的搾取の最たる売春を撲滅、一掃するという取り組みを、これは大臣、あなたが法務大臣の所管までというふうに私は言っていないけれども、やはり内閣を挙げてそのことにきちっと対処していく、そのことをやらないと、私は本格的な解決というのはなかなか進まないと思うんです。これは、大臣に伺っておきます。
○村田国務大臣 委員が御指摘なさいますように、売春関係の事犯につきましては、売春防止法あるいは児童買春、児童ポルノ法、児童福祉法等、これらの法律による違反ということで挙げられているわけでございますけれども、平成十六年におきましても千四百五十二人が検挙されているということで、まだまだこうした売春関係事犯が多数検挙されているという事態はまことに遺憾であるというふうに考えております。
御指摘のように、売春防止法については買う方についての処罰規定はありませんけれども、特に児童にかかわるものについては、青少年の健全な育成という観点から、相手方となる買う方、者については罰則がつけられておるわけでございまして、そういうことも含め、また、今回の風営法の改正につきましても、そうした売春行為が行われる可能性というものを極力防止しようという観点から改正が行われる、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○吉井委員 売春防止法で売る方のあっせんとか売春については規制しても、それから児童ポルノ等のお話ありましたが、児童の方の関係ですね。しかし、人身売買で売られてくる人というのは児童だけじゃないんですね。
要するに、買う方がおとがめなしということで、そこに目をつけた暴力団系の業者がこのことを繰り返し繰り返しやっているわけですから、やはり買春についてもきちんとした、相手が児童ということだけじゃなしに、そこに処罰を含めてきちっと対応するということをしないと、幾ら警察の方が風営法を改正して一生懸命取り組んでいるといっても、これは根本的になかなか解決しない。
だから、私が言っていますのは、これは法務大臣とも連携してやってもらわぬと、国家公安委員長が売春防止法を改正しますとここで言える話じゃないんだ、これはわかった上で言っているんですから。だから、このことについて内閣を挙げてきちっと取り組むという姿勢をやはり示す必要があると思うんです。
○村田国務大臣 売春という行為が人身取引に結びつきやすい、そういう人権侵害にかかわる問題があるということで、私どもの今回の改正は、風営法の改正によりましてそうした人身取引を抑制する、その中で、今委員が御指摘のように、そうした売春にかかわる行為が極力減少していくような効果をねらっている、こういうことでございます。
○吉井委員 要するに、買春という行為は、これは人身売買そのものなんですよ。ですから、人権に対する侵害であるわけですから、このことについてやはり内閣を挙げて、きちんとした法の改正をやって取り組んでいくということをやらないと、風営法のところであっせん業者だとかそこだけ一生懸命警察が規制をしていっても、きちんとした解決にならない。
だから、私言っていますように、あなたがこの法を改正しますと言えないのはわかった話だから、法務大臣などと御相談もされ、内閣を挙げてその姿勢をきちんと貫くということが一番大事なことだと思います。どうですか。
○村田国務大臣 売春の行為が極力減少するように、私どもも努力してまいりたいと考えております。
○吉井委員 努力をすると言うんですが、なかなか内閣を挙げて買春の方の処罰による禁止等、進んでいこうとしないところに、私は、やはり内閣が、国際的に批判の強い日本における性的搾取を目的とした人身取引と結びついたこういう問題に対する姿勢というものがまだ非常に甘いということを指摘しておきたいと思います。
次に、無店舗性風俗営業とラブホテルについて質問したいと思います。
兵庫県明石市で問題になっているビジネスホテルを偽装したラブホテル建設問題ですが、明石市の山陽電鉄西新町駅近くの元パチンコ店の空き地に、五階建て客室数二十八室のビジネスホテルという形なんですが、建設が計画されています。
客室数二十八室の内訳を見れば、ダブルが十八、トリプルが十で、ビジネスホテルなのにシングルは一室もない。駐車場は三十八台収容で、外壁は派手なオレンジ色で、屋根に紫色の塔を設置予定となっています。
建設予定地の近くに小学校、中学校があり、周辺は通学路です。申請はビジネスホテルなんですが、実態はラブホテル。通学路にラブホテルは要らないということで、計画を知った住民約二万人の方が二万人分の署名を集めて、業者と市に対して建設の白紙撤回を求めております。
既に明石市の方では、一般のビジネスホテルを装って、実際はラブホテル営業を行っている例が多発している。とんでもないことだということで今大問題になっておりますが、こういう事実を警察庁の方は承知しておられますか。
○竹花政府参考人 兵庫県警の報告によりますと、兵庫県明石市において、風営法で規制するいわゆるラブホテルという形で届け出を受けておりますのは二件でございますけれども、そのほかに、十を超えるビジネスホテルで、御指摘のようなラブホテルとしての運営がなされているのではないかとの状況がございまして、兵庫県警におきまして、それらのビジネスホテルと言われるものに対しまして、立ち入り等の調査を行い、警告措置を講じるなどして、ラブホテルとしての実態を改善させたとの報告を受けております。
○吉井委員 全然改善というのは進んでいないから、今大問題になっているんです。
それで、実態がラブホテルというのは十五あるんですね。その中で、風営法に定められた店舗型風俗特殊営業の届け出が出ているのが、今おっしゃった二件ですね。ですから、残る十三件というのが、全く、無店舗型風俗営業を行う、そういうものと結びついた、申請はビジネスホテルなんだけれども、許可はそれでとっておいて、実態はラブホテル、そういうひどい状態にあります。
十三件のビジネスホテルとして許可を受けて実態はラブホテルというものは、風営法の届け出をしていない。例えば、タイムレス24か、これのタウンページを見ると、「定料金」「おしゃれで綺麗なラブホテル」と。これはビジネスホテルの広告ですよ。「定料金システム!おしゃれで綺麗なラブホテル十八歳未満入店不可」となっているんですね。
厚生労働省に伺っておきますが、旅館業法第五条で、三つの条件に該当するものを除いては宿泊を拒んではならないとなっていますね。年齢に関する条件はないと思うんです。十八歳未満入店不可というのは、これはもともと許可を得たのは旅館業法の方ですが、旅館業法違反ということになるんじゃありませんか。
○岡島政府参考人 旅館業法上は、年齢によりまして宿泊を拒否することができるといったような規定はございません。
○吉井委員 いや、だから、違反なんですよ。これはもともと、ビジネスホテルで、ラブホテルじゃないといって建てておいて、タウンページにはラブホテルですと。旅館業法違反の十八歳未満入店できませんとなっているんですから、明白に違反ですね。
私は、これは旅館業法のその部分を今一つ取り上げましたけれども、市民の皆さんが求めていらっしゃる、法律をもっと徹底的に使って何でやってくれないのかという中には、例えば、タイムレスに限らず、風営法の届け出がないホテルについて、風営法の面からも、それから旅館業法の面からも、構造上の調査とか実態の調査ですね。
例えば、宿泊名簿をきちっと備えているかどうか、これは立ち入りして調べることができるわけですよ。それから、客との面接にふさわしいフロントがあるのかどうか、ホテルの規模に応じた食堂、調理室があるのかどうかですね。当然、調理室があれば調理員がいるわけですよ。調理員の方がいらっしゃったら、調理員の出勤がちゃんとなされているのか、名前だけで全然出勤が実態としてないのかとか、出勤しておったら当然給料が入りますから税務申告もするわけですね。それから、ロビーがあるのかどうかなどですね。
私は、旅館業法と風営法だけに絞って言っているわけじゃありません、ほかのあらゆる法律を駆使して、問題があれば、必要な調査をやり、そして取り締まりを行って、営業停止や許可の取り消しをするべきだというふうに思うんですが、警察庁の方とそれから厚生労働省の方でどういう調査を行っておられるか、伺います。
○岡島政府参考人 旅館業法におきましては、一定の構造、設備を有するか、あるいは宿泊人名簿をきちんと備えているか等々規定がございまして、法律に違反した場合には営業の許可の取り消しということができる規定となっております。
ただし、旅館業法に基づく営業許可及び個別の営業施設に対する立入検査等の事務につきましては、自治事務としまして都道府県知事にゆだねられているところでございまして、個別事案につきましては各都道府県で対応していただいておるところでございます。
厚生労働省といたしましては、都道府県等におきます旅館業法に基づく事務が、旅館業法の目的であります公衆衛生の向上に寄与するということに沿いまして、適正に行われることが必要と考えておりまして、そういう観点から今後とも都道府県等に対しまして指導助言等を行ってまいりたいというふうに考えております。
○竹花政府参考人 風営法で規制されておりますラブホテルにつきましては、ロビーや食堂の床面積が収容人員に比して一定の面積を有しない施設であることとともに、設備について、回転ベッド、いわゆる性具自動販売機等の設備を有しているということがラブホテルとしての要件とされているところでございます。
御指摘の地域におきまして、ビジネスホテルであるにもかかわらずラブホテルではないかとの市民の御指摘もあり、兵庫県警におきましては、この地域のすべてのビジネスホテルに対して立ち入り等の調査を行っております。
そういう状況の中で、ラブホテルとしての実態を有すると認められた六件について、その状態を改善するよう措置を講じ、改善されているものと承知をいたしております。
しかしながら、今後もさらに改善の状況がしっかり確認できますように、立ち入り等を通じまして実態の把握に努めてまいりたい。もし法に違反する状況がありますれば、発見できますれば、厳しい行政上の措置を講じてまいりたいと考えております。
○吉井委員 旅館業法に基づいて指導だ何だとおっしゃったけれども、それだけしっかり指導していらっしゃるとすると、何でこれだけはびこるんですか。
指導が足りなきゃ足りないで、みずから乗り出すか、都道府県に対してやらせるようにするか、都道府県の方が金がないからできませんと言ったら財政的支援してでも、私は金の話をしているんじゃないけれども、あらゆる手だてを講じて、きちんと調査をやらせて、指導させて、こういうことは許さないというのを、国の方がやはり、法律をつくっているんですから、その法律を執行する上で必要なことを徹底してやるというのが必要なんじゃないですか。
厚生労働省のお話を伺っておりますと、何かよそごとのように聞こえてきて、これでは話がさっぱり進まないのは私は当然じゃないかと思うんです。
だから、もう一遍繰り返して聞きますが、国としても、みずからやるか、それは自治体にお願いするかにしても、これは徹底的にやり切るという姿勢をとって進めるかどうか、もう一遍答えてください。
○岡島政府参考人 売春の防止等、非常に重要な課題だというふうに考えております。ただし、旅館業法につきましては、これは公衆衛生及び国民生活の向上に寄与するということを目的とした法律でございまして、その範囲で必要な構造設備の基準、営業の許可制度、取り消し制度、立入検査等の仕組みがございます。
そういう範囲内におきまして、適正な運用が確保されるよう私どもとしては努めてまいりますし、また、具体的な立入検査等の事務につきましては、各都道府県の自治事務でございますので、各都道府県で対応していただいているところでございます。
○吉井委員 私は法律の仕組みはよくわかっているんです。それは警察も都道府県の保健所なりなんなりも、要するに、徹底して、あらゆるものを駆使すれば、大体、ビジネスホテルということで旅館業法で許可を得たものが、平気でこんなタウンページに書いているような実態が起こること自体おかしいんですよ。
それを規制しようと思ったら、宿泊者名簿その他にしても、徹底的に、例えば極端な話、毎日でも行って調べてでもやり抜くということが、実態としてそれは営業できないと追い込むことができるわけですよ。そういう姿勢を持たない限り、これは解決しないですよ。今の話じゃとても承服できません。
それで、今回の風営法改正案で問題にしている無店舗型性風俗特殊営業の役務の提供の場として、ビジネスホテルとして建設した脱法ラブホテルが要するに売春の場所として利用されているのではないかということが問題になってきますが、警察庁の方はこういうことについては把握しておられますか。
○竹花政府参考人 無店舗型の性風俗営業といいますのは、客の自宅ですとかあるいはホテル等に女性が派遣をされて、そこで性的サービスを行うという業でございますので、そうしたホテルがそうした業務に利用されているという実態はあると思います。
しかし、当該明石市の地域のビジネスホテルがそのように利用されているかどうかについては承知をいたしておりません。
○吉井委員 ですから、私は徹底的な調査というものをまずやってもらいたいと思います。
明石のビジネスホテルで許可を得て実態はラブホテル営業をしている店、これは近畿圏ではテレビで放映されました。
それを見た北口明石市長は、これはビジネスホテルではない、どう見てもラブホテル、こういう抜け駆け的なことがあるのが実態だ、行政として実際を規制していきたいと考えているというふうにインタビューで語っておられます。
最近では明石市の議会の方でも、市当局は、風営法の届け出義務を破ることがあれば建設に反対するという、市当局もその決意をきちんと表明していらっしゃるんですね。
風営法施行令に定められたラブホテルの基準上問題はないとか、室内に回転ベッドがないだとか、レストランや一定の広さの会議室、ロビーを建設時だけ設置してあればビジネスホテルだなどといって、法令上どうだこうだということ、建前だけを国の方が言っておって、それで建設許可を得たからといったその後、建設後は無法の野放しというんじゃ、私は逆に風営法というものが無法にお墨つきを与えるものになってしまうと思うんですよ。
だから、警察庁が一番しっかりしてもらわなきゃ困るんだけれども、厚労省であれどこであれ、自分たちの責任を持たなきゃいけない法律について、法律の解釈なんか聞いているんじゃないんですよ、それをどう実際に使ってびしびしやり切るかというところを聞いているんですよ。
これは大臣、最後にあなたに伺っておきますが、国家公安委員長の管轄以外に、例えば厚労大臣がやらなきゃいけないところもあるでしょう。しかし、まさにそのことについて、これは内閣を挙げてきちんとやり抜く。
とりわけ国家公安委員長の責任は一番大きいんですから、今、明石で問題になっているような偽装ラブホテル建設を許さないために、ビジネスホテルとして建設したものについては、関係機関が連携して、さきに紹介したような現場調査を徹底して、こんなやり方じゃ営業はできないところへ追い込んでしまう。そのことによって、風営法というものを本当に効果のあるものにしていくということ、私は、この取り組みはやはり国家公安委員長が先頭になって厳しい覚悟や決意を持ってやらないと、ふわふわふわふわした解釈だけやっておったんじゃ、とてもじゃないけれども進まないと思います。
最後に大臣に、その決意というものを伺っておきたいと思います。
○村田国務大臣 先ほど委員からも売春行為の点についても御指摘がありましたし、今、風営法が実現しようとしておる法益の実現に関しまして指摘もございました。そうした、その目的が達成されるように、やはり政府を挙げて努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
○吉井委員 時間が参りましたから、最後に一言だけ言って終わります。
明石では、市長も実態はラブホテルだというふうにもうテレビで言っておられる。こういう脱法を違法業者は行っているわけですけれども、国家公安委員長としてもっと実態把握をやってもらって、同じようなことが起きないように、ビジネスホテルを装ってラブホテルを営業するという、そしてそれが無店舗型風俗営業の売春に使われるような、こんなことをそういう面からも防いでいくということが、風営法改正に当たって、私は本当に実効あるものにする上で大事なことだと思いますから、市の市議や市長なんかの期待にもこたえるような取り組みをぴしっとやっていただきたい、このことを申し上げて質問を終わります。
○佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 おはようございます。民主党の市村でございます。
本日、四十五分間いただきまして、ただいまより質問、議論をいろいろさせていただきたいと存じます。
本日は、風営法の改正案ということでございまして、特に、海外から来られて夜の歓楽街で働いていらっしゃる方々の人権じゅうりん等々のことについて、しっかりと対応していこうということの趣旨だというふうに理解をしております。
もちろん趣旨は大賛成でありますし、この法律自体、もちろん賛成なんでございますが、ただ、私が一言、まあ、これは質問というよりは懸念しておりますのは、過度に警察権力がこうした民の世界に入っていくことは、私は一般論として余りよくないという思いを持っておりますので、そこだけはしっかりと踏まえていただきたいということを一つの意見としてお話をさせていただいておきたいと思います。
きょうは、実はちょっと大きく視点を変えまして質問をさせていただきたいと思っておりますが、もちろんこれは、今回の風営法の改正は、人身取引、人身売買という言葉というのに一応関連して語られていることもあります。
先ほどから申し上げておりますように、特に夜の歓楽街で働く海外からの女性の方の人権をどう守るか。例えば、パスポートを取り上げたり、月二十万払うと言いながら実際はもう全然そんなお金じゃなくて数万、どこにも行けない、結局逃れられないという状況をつくって自由度を奪う。これはもう言語道断でありまして、人を人とも思わない、そうした対応だと思います。これはしっかりとやってほしいと思います。
一方で、私がきょう取り上げたいのは、この夜の歓楽街ではなくて、海外から、例えば高校とかに留学をしている、特にスポーツ関係で留学をしている方たちがいらっしゃるわけですね。では、この方たちが一体どういう扱いを日本で受けているのか。
特に最近、駅伝とか卓球、バスケットボール、いろいろと目立っているわけでございますけれども、こういう方たちが、では、日本でどういう生活をされているのかということ、また、どういう扱いをされているのか、また、こういうことにまつわってどういう問題が今起きているのかということにつきまして、これから議論させていただきたいと思っております。
きょうは文部科学省さんがいらっしゃっていますが、一般論として、例えばこうした海外からのスポーツ留学といいますか、スポーツというより留学ですね。知徳体、やはりこうしたものが一体となって教育というのはあると思います。ただ単なる体だけじゃない、知だけじゃない、徳、知徳体というのをしっかりとバランスがとれてこそ人間というものの教育が成り立つと僕は思っておりますが、こういう方たちが、海外からの留学生の皆さんが日ごろどういう生活を送っていらっしゃるか。
特に、スポーツ留学という枠組みで来られている方たちがどういう扱いを受けているかということ。例えば、授業をちゃんと受けているのか。やはり留学生でありますから、たとえスポーツ留学でも、日本の教育機関に来ていただいているわけですから、当然、知徳体であれば、スポーツだけやっているわけじゃない。日本の授業、日本語も覚えていただきたい、日本の文化にも触れていただきたい、やはり日本というものを好きになって帰っていただきたい。
そしてまた、お国に帰っていただいて、日本はよかったよ、将来日本とのかけ橋になりたい、こういうふうに思っていただいて帰っていただく。もしくは、それから日本に住み続けたい、これもうれしいことでございますけれども、どういう状況なのか、ちょっと一般論として教えてください。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
先生今お話がありましたように、日本の高等学校は外国人留学生を受け入れております。受け入れた場合に、日本語でございますとか日本の文化、社会、習慣、そういうことを学ぶ、そして日本に対する理解を深めていただく。そしてまた、先生お話がありましたように、ひいては日本とその本国とのかけ橋になっていただくという意味で、高校生の留学受け入れというのは非常に有意義なものであります。
そして、そのような留学生が日本の高校で部活動、特に今のお話ですと、運動部に所属いたしまして活動する、活躍していただくということも教育的意義があるものだと思っております。
私どもで、全国高等学校体育連盟というのがございますけれども、財団法人でございますけれども、そこで把握しているところでは、日本に留学をしておりまして運動部に加入している生徒の数、これは今年度、約二百五十名というふうに聞いておるわけでございます。
一般的に申し上げまして、外国人の留学生は、部活動もし、また学校の授業を受けるなど、高校生としての学校生活を送っているものと認識しておるわけでございます。ただ、少しそれを逸脱したものがあれば、そこはまた少し考えなきゃいけないと思いますけれども、一般的にはそのようなことではないかというふうに理解しております。
○市村委員 例えば、留学を認めるということではないですよね、これは入管ですよね。だから、ただ、ビザを発行するということはあるんですが、そういう場合のビザというのは、例えばどういうビザになっているんでしょうか。こうしたスポーツ留学というか、留学ですね。ビザ、ちょっと教えてください。
○三浦(正)政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまの御質問でビザということ、いわゆる査証の御質問だと思いますが、査証を発給いたしますのは外務省の所管になるわけでございますけれども、例えば留学ですとか、高校生の場合は就学という在留資格を設定しておりまして、大学生を中心とした方々は留学、こういう在留資格がございます。
あらかじめ、留学もしくは就学をする先の日本の学校の方に、御本人から当然入学の依頼といいますか申し出があって、その学校から日本の入管に事前に、果たして留学、就学が可能かどうかということで手続がございます。入管の方で問題がなければ証明書を出しまして、この証明書を本人が持ちまして、本国の日本の在外公館に査証の申請をした上で我が国に来る、こういう手続になっておるわけでございます。
○市村委員 その際、例えば日本での高校でどういうカリキュラムを受けるかとかいうことは義務づけられているんでしょうか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
正規の学生として入学し、卒業を目的とするという場合には、日本の学習指導要領に基づいて教育課程が各学校で定められるわけでございますけれども、所定の単位を取って卒業する。その中には、当然、外国人留学生でございますと、一部カリキュラムを柔軟に運用しまして日本語の学習にかなり時間を割くとか、そういった工夫というものはあろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、学校で単位を認定するための学習をし、所定の単位を累積することによって卒業する、そういうようなことになっていこうかと思っております。(市村委員「だから、査証のときに義務づけられるのか、そういう提出が」と呼ぶ)はい。留学といいましても、短期の三カ月程度のものと一年以上の、単位を取って場合によっては卒業もするというようなことを目的とする場合と、いろいろございます。
ですから、そういった聴講生的な扱いでございますと、正規の学習指導要領にのっとった教育課程を受けるということはないかと思いますけれども、一年以上の就学ということを目的とし、場合によっては卒業するということを前提に入ってきている生徒には学校側が、日本の子供たちと全く同じというわけにはいきませんけれども、そういう単位を取得できるような学習を提供するということになろうかと思います。生徒の目的によって、また期間によって、そこは少しまちまちの部分があろうかと思います。
○市村委員 丁寧に御説明いただいたのは大変ありがたいと思います。そういう気持ち、そういう精神は当然のことだと思いますけれども、ぜひとも今後とも生かしていただきたいと思うんですが、私が今御質問しておりましたのは、そういう査証を発行するときに、例えばそういうカリキュラムというものの提出は義務づけられているのかということ。
つまり、この人が、この留学生が短期であろうと卒業を目的にするのであろうと、日本に行ったときに、こういう生活をするんですよ、学校生活を送るんですよ、学校以外の生活を送るんですよということが、ある程度、特に、学校以外の生活はちょっとこれは自由度を奪っちゃいけませんけれども、少なくとも留学ですから、学校ではこういうカリキュラムを受けるんですよということについては、査証を出すときにこれは義務づけているのかということをちょっと教えてください。
○三浦(正)政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど手続の御説明をさせていただきましたが、その中で、留学先もしくは就学先の学校が、本人にかわりまして日本で申請手続をするというお話を申し上げました。この場合に、入管の方で、果たして本当にこの人が日本で勉強をする意思があるのかどうかということをやはり確認しなければならないわけでございます。
その際に提出していただく資料といたしまして、ただいま委員御指摘のように、留学、就学先の学校でのカリキュラムの内容について証明する書類は入管の方へ提出していただきますし、また、日本に行きまして、勉学に専念するためには当然自己資金が必要でございます。この資金がきちんと手当てされているかといったような書類もあわせて提出していただきまして、問題がなければ日本で在留することができるという証明書を発行することになりますし、これが問題があれば証明書の発行は見合わせる、こういう手続になっております。
○市村委員 ありがとうございます。
きちっとした、やはりちゃんとしたカリキュラムを出しながら、入管の方ではきちっと査証といいますか、大使館が結局発行するんでしょうけれども、やっていただいているということでございますし、ぜひとも、それは当たり前のことなんですけれども、ちゃんとやっていただきたい。
というのも、結局は、私も海外に住んでいた経験がありますけれども、やはり不安なわけです、全然知らないところに行くわけですから。そういった意味では、ちゃんとした手続をとってもらうというのは逆にありがたいんですね。この国に行くときは、ちゃんとこれだけのものを見てくれているんだなというのは、実は大変ありがたい。不安で行くものだから、行って、何かわけわからぬよりはそっちの方がいいわけです。
だから、日本という国はしっかりした国なんだということで、日本に入っていただいた後のまさにそういった意味でのカリキュラムや生活のこともしっかり考えた上で、どうぞお越しください、日本を好きになってくださいということだと思っておりますので、ぜひともそういうふうにお願いします。
きょうはこれが主たる話ではないんですが、ただ、留学、一般的に海外からの留学生の方、特に小泉政権のビジット・ジャパンとか、一千万人来ていただこう、私も大賛成です。日本という国はすばらしい国だと私も自分で思っていますし、ぜひとも見ていただきたい。
ちょっと今、高度経済成長期以降、日本が本来誇っていた自然環境とかいうのを失ってしまっていますので大変残念なんですが、これからまた二十一世紀かけてしっかりそれもまた取り戻していくという中で、また、大和は国のまほろばと言われた、秋津島、秋津の国と言われたような本当に美しい日本を取り戻していくということの中で、また、日本をもっと好きになっていただけるような、来ていただけるような国にしていきたい、こういうふうに思います。
それで、実は関連してなんですが、来ていただく、そういうスポーツで来ていただく。ちょっと目を転じてみますと、実は今、こういうスポーツ界における、ちょっとこれは高校生というよりもスポーツ界全体における問題として、年齢詐称問題というのが非常に国際的に大きな問題になっていますし、なってきたんです。日本ではほとんど取り上げられることはなかったんですが、実は海外では、特にサッカーの分野で年齢詐称問題というのが大きな問題になってきましたし、今も問題なんですね。
特にサッカー、私も余り詳しくはないんですが、ただ、よくテレビで見ていると、アンダー何とかとか、アンダーセブンティーンとかアンダートゥエンティーとか、特にサッカーの世界というのは、年齢によって分けて、国別対抗で争っているわけですね。それでみんな興奮しているわけですよ。
よし、日本、頑張れ、アンダーセブンティーンで日本も頑張るんだぞとかいうことで頑張っているんですが、日本の場合はすぐれて戸籍制度があり、これもちょっと是非はおくとしましても、少なくとも、世界でまれに見る戸籍制度を持って、出生届もしっかりとしていますから、日本のパスポートの年齢が実際と違うということはほとんど考えられないということでありますけれども、しかしながら、世界に目を転じますと、こうしたサッカーの世界で年齢詐称問題が起こっているということなんです。
例えば二〇〇三年、ケニアではアンダーセブンティーンチームの二名の選手が年齢を偽っていることが発覚して、同国スポーツ大臣が、ケニアのスポーツ大臣がチームの解散を命じる事態にもなっていますし、ことし、つまり二〇〇五年になってからも、アフリカのアンダーセブンティーン選手権で年齢詐称が発覚したタンザニアが出場禁止処分となっている。すなわち、解散とか出場禁止に至るまでの重要な問題なんです、年齢詐称という問題は。これは実は大変重要な問題なんです。
ですから、この問題について、では日本はないのか。なかったらいいんですけれども、実は日本にもこういう疑惑が実はあるんですね。しかも、それが高校スポーツ界で起こっているというのが非常に大きな問題なんです。
これは、サッカーの場合は教育界じゃありません。クラブチーム対抗、国別対抗で、すなわち、ある種スポーツというものを純粋に考えて、年齢別に対抗戦をやっているわけです。
ところが、日本で起きている問題というのは、高校の教育界においてこの年齢詐称というものが起こっているということが実に問題だということなんですよ。それをきょう私は、今からいろいろと議論させていただきたいというふうに思っているわけでございます。
この年齢詐称問題に関しましては、何もアフリカに限ったものではありませんで、例えばアジアでも、昨年九月に開催されたサッカーのアンダーセブンティーン大会で、骨から実年齢を割り出す、MRI検査を導入して年齢詐称を防ごうとする動きすら出てきているということなんですね。ですから、大変大きな問題になっている。
つまり、アフリカだけの問題じゃない、ヨーロッパだけの問題じゃない、実はアジアでも大変大きな問題になっているということ。たまたま日本が今までだれも議論しなかったということですけれども、今日をもって、ぜひともこの問題、日本でも大きな問題として取り上げていく必要があるというふうに私は思っています。(発言する者あり)いえ、風営法です。これはまさに風営法の関係であります。
それで、特に高校バスケットボール界におけるこの近年のセネガルの国から来られている方の問題があるということなんです。(発言する者あり)人身売買、そうです、人身売買、人身取引ということでやっていますので。はい、ありがとうございます。
それで、近年、日本の高校スポーツでも、今バスケットと言いましたけれども、先ほどから申し上げたように、高校スポーツでも、駅伝、卓球、サッカーを初めとして、留学生選手の活躍が目立っているわけです。
今の横綱朝青龍さんも、もともとはモンゴルからの留学生だったわけでありまして、こうした留学生が来ていただいて、特に朝青龍さんが日本に住んでいただいて、住むどころか、あの大変な角界に入っていただいて、しかも頂点をきわめていただいて、今や破竹の六連覇、こういうことで、すばらしい成績をおさめていただいている、これはまことに結構な話だと私は思っておりまして、まさにこういうことはどんどん日本でもあってほしいというふうに思っています。
しかしながら、例えばこの高校バスケットボールで起こっていることをちょっと見ますと、二〇〇三年と二〇〇四年度におきまして、セネガルからの高校のバスケットボールで留学した方が十名以上おられるということなんです。男女含めてセネガル人のバスケットボールの世界に来ていただいた方が十名以上いらっしゃるんですが、とりわけ男子の活躍が目覚ましく、何と、昨年とことしのインターハイでは、ともにセネガル人選手がいらっしゃる高校が優勝しているということであります。
ことしの大会ではベストフォーに残ったうちの三校がセネガル人選手を擁しているということでありまして、まさにセネガル人選手抜きでは全国大会は戦えないと言っても過言じゃないような状況になっているんですね。
もちろんこれが、先ほど冒頭で議論しましたように、きちっとしたカリキュラムを受けていただいて、知徳体ですから、単にバスケットボールだけじゃない、しっかり日本の高校になじんでいただいて、しかも日本語も多少は覚えていただいて、日本の授業も受けていただいて、かつ、こうやってバスケットボールもやっていただいて、そして目覚ましい活躍をしていただいている、こういうことであれば、これはすばらしいことだ、まことに結構なことだと思うんですが、どうも私が実態調査したところによりますと、そうじゃないような事例もあるのではないかということが大変疑わしいんです。しかも、そこに年齢詐称というものがあるということが大きな疑いとなって出てきているということなんです。
それで、ちょっと具体的な例を挙げます。ただ、実名と具体的高校名は挙げません。それは、私の趣旨は、別にその高校を非難しようとか、セネガルから来られた留学生の方を非難しようとかいう趣旨ではありませんので、具体的な高校名と具体的な名前は挙げませんが、ある高校のD選手ということにさせていただきたいと思います。
結局、バスケットボールの世界というのは、基本的に十九歳以下、高校生というのは十九歳以下ということになっているようでございます。そのある高校のD選手という者を擁して、その高校はインターハイで優勝をしています。そして、その選手が、実はこれが十八、十九以下ですから十九以下の範囲の年齢だったらば問題ないわけです。
先ほど多少申し上げたように、日本でどういう生活をしているのか、ここは大変大きな問題なんですよ。単にバスケットボールだけやって、さあ、帰ってくださいということでは大変大きな問題であって、それはまさに高校の教育界におけるプロをある種容認しているという世界になってしまいますから、これは大変問題なんですが、そこはきょうの議論じゃありませんから、また改めてさせてください、どういう生活を送っていたか。
問題は、年齢詐称なんです。このD選手につきましては、実は、そのプレーをしたときに二十一歳ではなかったかという疑問が出てきておったんです。昨年の暮れあたりでございました。私も昨年の暮れにそういう話を聞いておりまして、実は調査をこれまで進めてきております。実際にセネガルまで私も調査に行ってもらいました。お願いして行ってもらって、セネガルで調査もしてきております。
その調査結果を見ますと、この年齢詐称は疑惑ではなくて、残念ながら年齢詐称だったなという、結論でいえば、そういうふうな結論を出さざるを得ない調査結果が今私の手元にあるわけでございます。
すなわち、何が起こったかといいますと、高校生と称して十九歳以下しか出られない大会に二十一歳の選手が出て、しかも優勝をしてしまった、こういうことが日本の高校生のバスケットボール界で起こってしまったのではないか。これは決めつけるのもどうかと思いますので、少なくとも私の調査では限りなくクロに近いということで、きょうはとどめておきたいと思いますが、そういうことが起こっているということがあるということでございます。
そこで、きょうは外務省からも来ていただいていますが、セネガルという国において、それから、その前に申し上げておかなければいかぬのは、その高校に私も直接ではないですけれども間接的に問い合わせておりますが、では、何でそのある高校はその選手が十九歳以下だと思ったかというと、その唯一の根拠がパスポートなんです。パスポートに記された生年月日が一九八六年であった。ですから、二〇〇三年ですから、その段階では十八歳であるということでオーケーだ、私は、パスポートに書いてあったんだから、それを信じたんです、こういうことでありました。
さて、そのパスポートについて今から議論していきたいと思いますが、セネガルの国においてパスポートはどういう申請過程をとるのか、ちょっと教えてください。
○小田部政府参考人 答えさせていただきます。
セネガル共和国についての旅券発給手続でございますけれども、申請者が写真、申請書、それからセネガル内務省が発行する身分証明書をまず提出いたしまして、それをセネガル外務省が、その身分証明書に記載されている氏名あるいは生年月日等の申請内容を確認の上、旅券を発行するというふうに承知しております。
○市村委員 その身分証明書は、どこから発行されるのでしょうか。
○小田部政府参考人 この身分証明書につきましては、市役所または警察署に提出された申請書、写真、出生証明書に基づき発行されると承知しております。
○市村委員 この出生証明書ですが、日本においては二週間以内に出生証明を出さないといかぬ。私も、また三人目の子供が生まれてきますから、名前を考えるのが大変なんですが、セネガルにおいては、出生証明書というのはどういうような決まりになっているのか。それは極めて重要なんです。
つまり、この出生証明書に記されている、実は今ヨーロッパでは、先ほどから問題になっていると言いましたが、出生証明書に記載されている年齢とパスポートに記載されている年齢と身分証明書に記載されている年齢が全部違う場合があるということがあるんですね、いわゆる今問題になっている年齢詐称の問題が。ヨーロッパやアフリカではそういうことすらあるというふうに言われていますが、この出生証明書というのはどこまで確かかということについて、ちょっと教えてください。
○小田部政府参考人 答えさせていただきます。
出生証明書につきましては、市町村役場が発行するというふうに承知しております。
○市村委員 役場が発行するんでしょうが、また、こういう指摘もあります。アフリカでは、日本と違って、結局大変、特にアフリカも、しかもかなり都市から離れたところに行くと、残念ながらそういう出生証明というものもしっかりとしていないというようなことがあるやにも聞いております。
私は行ったことがありません。まずアフリカ局長、ちょっと教えてください。
本当に日本のようなもの、日本を考えると、それは出生証明書はしっかりしているだろう、それに基づいて戸籍もしっかりしている、住民票もしっかりしている、だからパスポートもしっかりしている、我々はそう思って、このパスポートというのはちゃんとしているものだ、こう思っていますが、いかがですか。
全世界に目を向けてみると、一般論的で構いません、別にある特定の国を言っていません、一般的にこのパスポートというのはどういうものですかね、教えてください。
○小田部政府参考人 先ほど答えさせていただきましたように、旅券につきましては、内務省発行の身分証明書というものがあり、その身分証明書のもととなるものとして出生証明書があるわけでございます。出生証明書については市町村役場が発行するというところまでは承知しておりますが、それ以上の詳細につきましては調査中でございます。
○市村委員 わかりました。調査中ということで、昨日御連絡いただいたところによりますと、今ラマダンの月に入っているということで、なかなか調べるのも難しいということでありましたので、それであればぜひとも調査をしていただきたい。大変これは極めて重要な問題なんです。ぜひお願いします。
では、法務省さん、きょう来ていただいていますが、法務省さんの見地から、このパスポートというもの、例えば偽造パスポートとか取り締まっていらっしゃる、大変なところにいらっしゃる法務省さんでございますが、偽造パスポートの状況等々、一般論として教えていただきながら、パスポートというのはどこまで確かなのかということについても、ちょっと御見解をいただけたらなと思います。
○三浦(正)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、最近、偽造旅券や変造旅券等を使って不正に我が国に入国しようとするケースがかなり目立っておりまして、これは出入国管理上、大変問題であるというふうに認識しております。我々もこれに厳正に対処しているところでございます。
そこで、最近の実情を若干御紹介させていただきたいと思いますが、昨年、平成十六年の一年間でございますが、我が国全体の空港、海港、港でございますね、海、空の港の上陸審査の際に入国審査官が発見した偽変造の旅券の件数でございますが、千十一件という件数でございます。
もちろん、これは旅券に限ったものでございますから、このほかに、旅券の中に押されている査証でございますとか、それから外国の出国の証印というような印鑑、こういうものを偽造するケースもほかに、これ以外にたくさんございますが、旅券に限って申しますと、今申し上げたような数でございます。
どんな手口が目立つかということでございますけれども、まず一つには、まるっきり新しい旅券を偽造してつくってしまうというケースがございます。これは全部偽造というような言い方をしております。
そのほかに、有効に発行されました、外国政府が発行しました他人名義の旅券のうち、例えば年格好が似ている人のものを譲り受けまして顔写真の部分だけを張りかえるというような、変造になりますが、こういう変造を施して我が国にこれを持って入ってくるというようなケースがございます。また、身分事項の欄、生年月日等を書き直して変造したものを持ってくるというケースもございます。
それから、およそ正規に発行された旅券に手を加えないで不正に入ってくるというケースがございまして、我々、成り済まし事案と申しておりますけれども、日本に来ようとする本人と顔、姿形がよく似ておって、なおかつ年齢や背格好も非常に近いような人に依頼しまして、正規の旅券を取得してもらって、これをブローカー等を通じてお金を出して買い取る、その人間に成り済まして日本に入ってくる、こういうケースがかなりございます。
そのほかに、例えば、退去強制で過去に前歴があるものですから、日本に入ってこれないというような人が、本国に戻りまして、何らかの事情で従来とは異なった生年月日や、名前のスペルが一字違うような形の正規の旅券を取得しまして、それで入ってくるというケースがございます。こういうものになりますと、日本の入国審査官も、前に来た人と似ているようだけれども同一人かどうかということが確認できないで、入国をしてしまうというケースもないわけではございません。
以上のような状況にございます。
○市村委員 それで、旅券にまつわる偽造、成り済まし、また詐称、いろいろなことで今御説明いただきましたが、これは、ちょっと話を外れますが、大変重要な、極めて重要な問題ですね。
特に、これから、テロというものが日本で大変懸念されている中で、やはりこうしたパスポートを偽造したり、成り済ましたりしてテロ犯が日本に入ってこないとも限らない、そういうのは水際でしっかり防がなきゃいかぬわけです。
そういうときに、日本のような感覚で、パスポートはすばらしいものだ、パスポートは正確なんだ、こういう気持ちで、もし、このパスポートはちゃんとしたところが、政府が発行しているんだから間違いないでしょうなんという甘ったれた考えでいたら、これは大変大きな問題なわけです。
やはり、日本とは違うんだということを我々はしっかりと踏まえた上で考えておかないと、パスポートに書いてあることが正しいんじゃないか、正しいんです、絶対正しいんです、こんなことを言っていたら大変なことになる、私はそう思います。
ですから、その辺で、どうでしょうか、もう一度、今回特にこの年齢詐称については、パスポートを唯一のよりどころとしているわけです、この高校なりその関係者は。パスポートに書いてあるんだから正しいだろうというふうになっているんですが、私はそれほど正しくないんじゃないかという思いなんですね。
これについてはどうでしょうか。特に、今、法務省さん、水際で一生懸命頑張っていただいている皆さんが、パスポートは本当にそんなに信じていいものなんでしょうか、そんなに確かなものなんでしょうか、もう一度その御見解をいただきたいと思います。
○三浦(正)政府参考人 お答え申し上げます。
基本的に、各国政府が正式に発行したパスポートというのは、これを我が国でも信用するということが大前提であろうかと思いますけれども、いろいろな形で発行の形態があります、偽変造もございます。
私どもといたしましては、そういったものを的確に見破るための技術を身につけることがまず重要であろうということを考えておりまして、現在その偽変造の鑑識の専門家の養成に力を入れております。成田空港ですとか関西空港にはこの鑑識の専門班も置いておりまして、それ以外の空港等について適時出張っていってはいろいろの訓練をしたりということもしております。
このほかに、委員御指摘のとおり、パスポートはすべてが正しいという保証はないわけでありますが、しょせん人間の目で見て確認するという作業もございます。
我々といたしまして、テロのお話も出ましたが、テロリストとか犯罪者が我が国に潜入する際に偽造旅券等を使うケースが想定されますので、何とかこれを阻止するためには、これらの書類のほかに、最近よく言われておりますが、いわゆるバイオメトリックスという生体情報の認証の技術がございます。これを利用した入国管理体制の整備も早急に図っていく必要があるのではないかということで、今検討しておるところでございます。
○市村委員 なかなか政府としては言いにくいのかもしれませんが、しかし、このパスポートというのはこれから極めて大きな問題になるということでありまして、きょうの、夜の歓楽街で働いている海外からの女性の方についても、割と私の聞いている話では、実際より年齢を若くしたい。日本で若い方が受ける、そういう話があって、わざわざ年齢を若くしてパスポートに書いてくるというケースもあるというような話も聞いたことがあります。
だから、実は年齢の問題というのはそんなに大したことはないということになると思います。確かに、年齢の問題だけだったらそう大したことはないんです、かもしれません。女性が実際より若く見せたいとかいうならまだいいのかもしれません、ひょっとしたら。
ただ、要するに、年齢のところがそれだけいいかげんなものであるということになると、ほかもいいかげんな可能性があるということなんですね。そこにつながってくるんです、この問題は。つまり、そんなものなんだ、パスポートというのはそういうものなんだということになると、これは、ほかも変えられる、変えている可能性があるということで、そこにつながっていきますので、非常に、極めて重要だなと私は思います。
この議論を昨日私は外務省さんとさせていただいたときに、これは、ほかの国のことはなかなか言えないということだったんです。
しかし、私、昨日も申し上げましたけれども、結局、今、外務省は各国の危機情報というのをランクづけしているわけですよね。アフガニスタンは危ないとかイラクは危ないとか、それから、渡航禁止とか渡航制限とか行っているわけでありまして、すなわち、やはり大切な情報はきちっと国民に対して伝えなきゃいかぬ。危ないですよ、今イラクに行ったら危ないですよ、アフガニスタンに行ったら危ないですよということを、そこまで言っているわけです。そこまでをやっているのであれば、例えばパスポートの確からしさというのも、これは大変重要な情報だと私は思います。
各国においてパスポートというのがどういう手続で発行されているのかということをしっかりと調査した上で、その国のパスポートの確からしさ情報というものもしっかりと外務省なり法務省が、入管が持っておいて、どうもこの国のパスポートについてはこれまでもいろいろ問題があったぞというようなことは、これはやはりしっかりと今後日本政府としても踏まえておく必要があると私は思いますが、外務省さんと法務省さん、一言ずつちょっとお願いします。
○小田部政府参考人 先生御指摘の点でございますが、法務省入管局長の方から説明がございましたように、偽造、変造旅券の問題等々ございます。
したがって、外務省といたしましても、法務省とよく相談の上、問題がなるべく起こらないように努めていきたいというふうに思っております。
○三浦(正)政府参考人 委員御指摘のようなことについては非常に重要だと思っております。
私どもも、パスポートが果たして真正なものかどうか、正規に発行されたものかどうかということにつきましては、世界に非常にたくさんの国がございます、地域がございますので、こういうところと相互に情報交換をいたしまして、お互いにそれぞれの正規のパスポートというのはどんなものであるか、どういうところに問題があるとかということを十分に情報を共有した上で仕事を進めていく必要があるかと思います。
その関係で、本年の通常国会におきまして入管法の改正がなされまして、その中で、入管の業務に関する情報交換を他国とできるという規定を、明文を設けていただきましたので、これを大いに活用いたしまして、問題がないように対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○市村委員 そういうふうな情報交換ということでございますので、ぜひともそれは進めていただきたいと思います。
もちろん私は、他国に対して失礼があってはならないということはもう当然でありますので、おたくの国おかしいよなんということはもちろん言うわけではないわけです。ただ、今、全世界的にテロの恐怖とかもあるんですから、やはりお互いにしっかり情報交換して、例えば日本のパスポートだって偽造される可能性だってあるわけですから、しっかりと日本は日本でこういうことをやっていますよ、対策を打っていますよということは伝えていただきたい。
また話は戻りますが、このパスポートを、今議論させていただいたように、すなわち、これは、これだけ余り確かとは言えないわけですよ、パスポートの内容についても。実は、日本ほどしっかりとしたわけではないわけです、残念ながらはっきり申し上げまして。しかし、そのパスポートを唯一のよりどころとして高校生と称する方の年齢を偽るということで、しかもそれが教育機関に入ってこられて、しかもその高校が優勝してしまうというのは、これはちょっといかがなものかということになるわけです。
やはり、教育機関なんですよね、教育機関なんですよ。日本人の高校生はちゃんと一生懸命、朝出て練習した後、授業を受けて、また夜の練習を積んで、大会に臨んでいくわけですよ。
これはもちろん、スポーツの世界は勝負ですから、負けたら負けたで仕方ありません。しかしながら、やはりそこにはルールというのがあるわけです。サッカーにおけるように、やはり、十七歳以下の者と二十歳以上の者が一緒にやったら、それはちょっとハンディがあるだろう。だから、十七歳以下とか二十歳以下とかと分けているわけですよね。やはりそこの、フェアにやらなくちゃいけないということで、しっかりと分けているわけですよ。
ですから、特に、分けているものを、しかも日本の高校は教育機関であり、しかも十九歳以下と定めているものを、そこにお金を払って海外から連れてきて、そして年齢を詐称して出場してもらって、しかも優勝をして高校の名前を上げて、受験生をふやそうなんというふうに、この発想自体が私は大変浅ましいというか、あってはならないことだと。
特にきょうの風営法に関して言えば、これもまさに人身売買じゃないのか、人身取引じゃないのか、こういう発想が。つまり、特定の人間の特定の能力だけに注目して、そこにお金を払って連れてきて、そこだけよろしくお願いします、ありがとうございました、さあ、さようならというのであれば、これは実は夜の歓楽街で働いている女性たちに対する態度と僕は根のところで同じだと思います、考え方として。
そういうことを、日本人がそういうセンスを持っていていいのかということですね。そういうセンスを持っていていいのか、私は情けないという思いなんです。だから、きょう、このところで取り上げさせていただいているわけであります。
ですから、ぜひとも今後、教育界において、だから、教育界で全体で話し合って、高校スポーツ界、高校の全体で話し合って、いや、これからは日本でも高校生でも一部プロ化を認めよう、それでもいいんじゃないか、もしそういうルールが決まっていたら、みんなの話し合い、合議でそういうルールが決まっていたら、それはいいですよ。しかし、そういうことはないわけです。
ないところで、何となく連れてきて、しかし、これが十八歳ならまだいいです、十九歳ならいいです。しかも、ちゃんとしたカリキュラムを受けていただいているなら、これは問題ありません。しかしながら、特に世界で大きくなっている年齢詐称。だから、今後以降こういうことがないように、僕は、日本でもこうしたものに対する意識を高めていく必要がある。
年齢詐称、これはたまたま今、教育界で起こってしまった。しかし、これは教育界以外でも起こることかもしれません、これから。実際起こっているわけです、アジアでも。日本で起こらないとは限りません、教育界以外でも。だから、それについては、先ほども申し上げたように、骨年齢から実年齢をはかるとか、そういうこともこれから入れていくということも含めて、しっかりと対応をとっていかなくちゃならないんじゃないか。
何よりも一番悪いのは何か。すなわち、そうして一生懸命練習をして大会に臨んだ高校生たちの気持ちに立ってください。どういう気持ちになりますか。
一生懸命練習して大会に出てみたら、突然、すばらしい選手がおられて、負けてしまった。それは、当然彼らは、勝負だから、負けたのはそれは仕方ないと思うでしょう。しかし、何か違うぞ、どうも年齢が違うんじゃないか。そういう人が出てきて、ある種セミプロ的な人間が出てきて、やってきて、そして優勝している。この高校生の立場に立ってみたときに、皆さんならどう思われるのか。
こうした高校生たちに、日本を信じてくれと僕は言えません。こんな問題を放置して、まあまあ、こんなのはいいじゃないの、世の中というのはそういうものだよというようなことを、そんなに知ったかのように言う大人でありたくないと私は思っています。
やはり問題は問題だ、それは問題なんだ、しっかりと問題意識を持って取り組んでいくぞということのメッセージをそうした悔しい思いをしている高校生たちに向けなければいかぬと私は思っています。
どうですか、文部科学省の方、どう思われますか。最後にしっかりとしたメッセージを全国の高校生に送ってください。まじめに一生懸命やっている高校生たちに、日本を信じてくれ、日本はちゃんとそういうことはしっかりと問題意識を持ってやっていくぞ、改善していくぞ、今回流した悔しい涙は二度と流さないようにやるぞというような思いを、ぜひとも僕は文部科学省さんから最後にきちっとメッセージを送っていただきたいと思います。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、運動部活動、これは学校における教育活動の一環として行っているものでございます。したがいまして、運動部活動が行き過ぎた勝利至上主義になるということは好ましいことではございません。
外国人留学生が専ら運動部活動のみを行うというようなことで、行き過ぎた勝利至上主義となることを助長するというようなことがあれば、それは避けなければならない問題だと考えております。
私どもとしては、運動部活動が過度な勝利至上主義にならないように、関係の方々には十分留意していただく必要があると考えておるところでございます。
○市村委員 最後に一言。
今回、セネガルから来られたD選手について、僕はこの選手については本当に、やはりセネガルという国の国情を考えるときに、特にセネガルではサッカーが大変人気がある。なぜかというと、やはり貧困から抜け出す、ある種、唯一と言っちゃいけないけれども、大変大きな道なんだ。若いころからクラブチームで活躍して、見出されたら、それなりのお金で引き抜かれて、それなりの報酬が得られる。お国では大変暮らしが楽になるということなわけです。
だから、そうした思いで来ているD君のことは僕は責めるつもりはありません。まさにこれは日本の問題なんですね。だから、僕はそういったことでは、このことによってセネガルのD君を責めたり、その高校のこともこれは責める必要はないと思います。
だから、ルールとしてこれからしっかりしていこう、年齢詐称ということに対しては国際的に大きな問題なんだ、日本でもしっかりとこの考えを共有していこうということで、今後ともその問題意識を持っていっていこうということだと思います。そして、今後は、フェアな戦いの中で、しっかり私たちも楽しませていただく、スポーツを見る者を楽しませていただく、こういうことが必要だと思っています。
このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。
本日は、質問時間を一時間いただいております。今回の風営法の改正案は二つ目的がある、一つが人身取引対策、もう一つが風営対策というふうに伺っております。私は、そのうちの人身取引対策を中心に伺っていきたいと思っています。
政府が人身取引への対応として、刑罰の強化などの刑法改正そして入管法改正、この二本はさきの通常国会で成立をいたしました。そして、この風営法改正が政府が予定している三本目の法改正ということになるのだと思いますが、今回の風営法改正が人身取引対策としてどのような効果があるのか、まず伺いたいと思います。
○村田国務大臣 今回の風営法の改正によりまして、風俗営業を行っている者あるいは性風俗関連の営業を行っている者に、その雇い主に対しまして、雇う、主として外国人女性でございますが、そういう雇い主がその雇う者の在留資格を確認するという義務を課すことによりまして、人身取引が行われるという実態を把握して人身取引の防止に努める、そういうことを内容としているわけでございます。
○小宮山(洋)委員 性風俗営業者等に対して、客に接する業務に従事する者の就労資格確認などを義務づけるということですけれども、それをチェックするだけの人手があるかなど、その実効性というのはどうなんでしょうか。
○竹花政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、例えば、平成十六年中には、風俗営業法違反ということで三千百二十人を検挙いたしておりますし、行政処分も約五千件を数えております。
このように、広範な風俗行政に対する取り締まりを行っているところでございますので、今回法改正がなされますれば、人身取引の観点からも一層効果的な取り締まりを行うことができるものと考えております。
○小宮山(洋)委員 今回、短期滞在も興行もだめとなりますと、日本人の配偶者等の、いわゆる偽装婚姻の増加ということが予想されます。最近、タイなどからの入国者につきましては、入国理由のうち日本人の配偶者等というのが増加しているわけなんですけれども、これに加えて今回の規制によって偽装婚姻の増加が予想される、これに対する対策というのはどのようなことをお考えなのかということと、もう一つ、百万円以下の罰金というのは低過ぎるのではないかという声もございますが、その点はいかがでしょう。
○竹花政府参考人 お答えいたします。
これまでにも、偽装結婚を行う者やこれを組織的に仲介する悪質なブローカー等がございまして、これに対して既に警察では、例えば東京入国管理局と警視庁で調査・捜査協力のプロジェクトを十六年の二月に立ち上げるなどいたしまして、取り締まりを進めてきたところでございます。
今後、御指摘のような状況の変化が生じまして、さらに取り締まりを強化するということが必要になりますれば、全国的にもこうした取り締まりを、体制の強化を含めまして、強化してまいりたいというふうに考えております。
なお、罰則の問題についてでございますが、これは基本的に、受ける雇い主の側がチェックをする、そういう義務違反でございますので、人身売買の共犯であるとかそういう罪ではないわけでございます。そういう意味で、百万円以下の罰金というのは相当なものであるというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 今回、ようやくといいましょうか、先日官房長官とも質疑をさせていただきましたが、細田官房長官の肝いりということもございまして、この人身取引の対策を考えてこのような取り組みをされているということ自体は評価をしたいと思うんですね。こうした政府の動きの背景には、二〇〇〇年に国連で人身売買禁止議定書が採択をされまして、その同じ年にアメリカ国務省が、その対策を評価する人身売買レポートの発表というのを開始いたしました。
このことをきっかけに各国の取り組みが加速をされたのだと思いますが、非常に日本の取り組みはおくれておりました。そして、御承知のように、アメリカ国務省が監視対象国という指摘をしたということもあって、取り組みにようやく重い腰が上がったのだと思っております。
そして、先日の質疑、おとといですか、官房長官も紹介されましたけれども、人身取引被害者の婦人相談所での保護人数がここ五年で百七人、そのうち今年度が七十四人ということになっております。長野県が二十一人、秋田県の婦人相談所が十八人、愛知県十五人、千葉県十三人などとなっておりまして、国籍は、インドネシアが三十九人、フィリピン三十六人、タイ二十三人などとなっています。
この五年間で百七人という人数を多いと見られるかどうかということがあるかと思いますけれども、これは本当に氷山の一角で、アメリカ国務省の指摘をまつまでもなく、国際的にも日本の取り組みはおくれているということが指摘されている大きな人権問題だと考えております。
そして、この人身取引は、多くの場合、ブローカーがかかわって非常に国際的に運用されていることもございます。そして、女性たちは、パスポートを取り上げられて、逃げたら家族や本人を殺すなどと脅迫を受けているケースが多く、精神的にも抑圧をされていて、その無力感から逃げることができない例が多い。また、HIVの感染にも直面をしている。このような本当に大きな人権問題だと考えております。
そして、政府が予定されている、今ここで審議をしておりますこの三本目の風営法改正が、国際的な指摘の中でも、罰則を強化するということ以上に、国連人権高等弁務官の報告書などでも一番大切な問題だと言われているのが人身取引被害者の保護なんです。そこのところが薄過ぎるのではないかということが、再三私が指摘をさせていただいている、民主党としても主張させていただいている点なんですが、この風営法改正が被害者の保護についてどのように役立つ点があるかということをお答えいただきたいと思います。
○村田国務大臣 この風営法の改正が被害者の保護に直接的に役立つということはないのではないか、こういうふうに思いますが、さきに申しました在留資格の確認等によりまして、被害の発生を防ぐ、売春行為等が行われることを防ぐということによって、ひいては保護につながっていく、こういうふうに考えております。
ただ、警察もそれだけをやれば足りるというふうに考えておるわけじゃなくて、先ほど理事会でも御承認いただきまして、こういうリーフレットをつくりまして、警察へぜひとも被害者は駆け込んでくださいということを呼びかけるような、これを百万部つくったのでございます。
そういうことも通じまして、我々は、法律の改正とあわせまして、これはもう前もってやっているわけでございますが、そしていろいろなNPOの団体とか、あるいは関係の諸団体あるいは関係機関とも協力して、最終の目的であります被害者の保護に一生懸命努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○小宮山(洋)委員 一番大切だと考えております人身取引の被害者の保護の観点から、この後、何点か伺っていきたいと思っております。
私たち民主党は、被害者保護のための法案を、一年間にわたりまして、被害者救済にかかわっているシェルター、NGO、弁護士、研究者など関係者の皆さんと意見交換をしながらつくってまいりました。そして、おとといですが、十月十二日に衆議院の事務総長に提出をさせていただきました。
そして、政府の取り組みを率先して引っ張ってこられました細田官房長官がおとといの質疑の中で、私が婦人相談所では無理があるので保護センターが必要ではないかとお尋ねしたことに対して、そこはもう少し検討をする必要があると。それで、私たちの党、御党でもいろいろ検討しておられるようですから、ぜひ今後一緒に検討していきたいというような御答弁をいただいていると思っております。
そして、その検討の材料として、この風営法への対案ということではなくて、政府の取り組み全体の被害者保護を行動計画だけでやろうとしていることに対する、やはり法的根拠が必要でしょうという提案型の法案として出させていただいたんですが、本日ここで、その審議もあわせてできればさせていただきたかったんですけれども、できなかったことは大変残念だと思っております。また、ぜひ今後ともそういう機会もつくっていただきたいと思います。
そして、実例をもとにしながら幾つか伺っていきたいと思いますが、この人身取引被害者、外国人の人身取引被害者のシェルターはHELPとサーラーという民間のたった二つしかないんですね。そのうちのHELPでは、二〇〇五年度、今年度になっての利用者が十三人おります。タイ、インドネシア、カナダの人で、これは、ここのHELPへ連れてこられた経路としては、大使館から、入管から、あるいは長野県や栃木県の女性センターからの依頼でここで受けております。
ところが、十三人いるのに、しっかり委託費が出ているのはセンターから来た四件のみなんですね。あとは、いろいろ志のある人などが寄附をしたりして成り立っている、民間のシェルターが自分で経費を捻出しなければいけないという状況になっております。
そして、ここに滞在する人は、だんだん在留期間が長期化しておりまして、一カ月から一カ月半ぐらいは滞在をしています。その間、病気、心の病気も含めまして病気になる人が非常に多い。性感染症、てんかん、心臓病、水ぼうそう、こういった体の病のほかに、心も患う人が多いということです。現在、病気の人につきましては、無料低額診療事業の病院に行けば、そこで診てもらえる。ただ、そのときにはスタッフが必ず同行するというようなことが必要とされております。
このHELPなどのシェルターへ来て病気が出るのは、過度のストレスから免疫力が低下をしていること、それから、こういうところへ来て、ほっとして力が抜けたということもあると思いますし、この方たちは本当に、何度も申し上げるように、人権を侵されている性暴力被害者であるために、心のケアというのが特に必要な状況にあるわけです。
こうした心のケアも含めました病気への対応、これは、行動計画の中では現在よりどのように改善をされるのか。そうした費用の面、心のケアのためのソーシャルワーカーなどの専門職の必要性、そうしたことなどもあると思いますので、少し丁寧にお答えをいただきたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の中にもありましたとおり、先日の委員会で官房長官の方からも御答弁いただいておりますが、婦人相談所というのがございます。ここで一時保護されました人身取引被害者につきましては、心理的ケアも含めた医療的支援が必要とされることが多いという御指摘がございました。そのとおりでございまして、そういう場合には、婦人相談所のカウンセリングや医師の診察機能がございますので、それを活用するというのがまず第一でございます。
婦人相談所を通じて民間シェルターに一時保護委託されるというケースが多うございますけれども、そうした場合の被害者につきましても、心理的ケアを含めました医療支援が必要とされる場合や、あるいは、医師の診察機能を活用するということは同じように行うことが可能でございます。婦人相談所だけではなく、一時保護委託された先でも同じことが可能でございます。
さらに、御指摘もありましたような本格的な医療が必要となる場合には、御指摘がこれもございましたが、全国二百六十二カ所ほどございます無料低額診療事業を行う医療機関を初めとする周辺の病院などに利用可能ないろいろな制度がございます。そういうところにつきまして、情報提供を行うなどを通じまして、必要となる医療の確保に努めてまいりたいと思います。
また、心理的ケアのことでもう少し詳しくという御指摘がございましたけれども、婦人相談所には、心理療法担当職員が配置されてございますので、そういう方への心理面接、あるいは本人への情報提供というふうなことを行うようにしているところでございます。
○小宮山(洋)委員 そうしたことに取り組んでいらっしゃるのはわかるんですが、今回の行動計画でそこがどう改善をされるのか、具体的にお話しいただきたいと申し上げたんですね。
それで、心理療法担当職も婦人相談所にいると言われましたが、全国津々浦々というか、各都道府県の婦人相談所すべてにいらっしゃいますか、常駐をしていますか。そして、今申し上げましたように、婦人相談所だけじゃなくて、今これは民間施設の話をしているんですが、民間のHELPやサーラーで受けている数は非常に多いわけなんですけれども、婦人相談所の中だけではなくて、そういうところへ一時保護を委託した場合などについてもどうですか。もう少しきちんとお答えいただきたいと思います。
○白石政府参考人 まず、婦人相談所の方におきます心理職というのは配置されております。
それから、HELPのケースをおっしゃっておられますが、私ども行政としましては、行政を通じて、つまり、婦人相談所の方に通報があって保護するシステムになった場合には、委託を民間にするという形で委託費を出すことができますが、その中でも必要な、そういう心理職の者も含めました経費は計上しておるところでございます。
○小宮山(洋)委員 配置しているのはわかりましたが、常駐をしているのですかということと、それからあと、今御紹介したように、HELPの場合も、今年度に入ってからの十三件のうちセンター経由で委託費が出ているのは四件のみなんですよ。あとの場合については知らないということでしょうか。
○白石政府参考人 常勤、非常勤を含めまして婦人相談所には常駐しているところでございます。
それから、HELPの御指摘、十三ケースのうち四名の場合だけ委託費が出ているということでございますが、まさに行政を通じてHELPに委託している場合には委託費が出る、直接行かれてしまう場合には、私どもも把握ができないので、その部分についてはお出しすることができないという仕組みでございます。
○小宮山(洋)委員 それは、やはり行政の中で対応し切れていないから、こういうところで、かなり財政的困難の中で対応しているのですよ。ところが、行政を通らないで行かれた場合にはしようがないでは済まないのじゃないですか。
○白石政府参考人 実際に公費を使っていろいろな行為をするというときには、やはりそれなりの手続が要ることは御理解をいただきたいと思うのですけれども、そこら辺につきましては、HELPの方ともよく相談をしながらやっていかなければならないと思っております。
○小宮山(洋)委員 今HELPのお話をしていますが、サーラーも同じような実情がございます。それで、民間でもこれは二カ所しかないというのは本当は足りないわけなんですけれども、やはりそういうような政府の対応が私は足りないと思いますけれども、サポート体制もないためにそれがなかなか行えないということもありますので、今回、私が取り組みが足りないと言っているのは、行動計画でやりますと言われても、法的バックアップがないと、やはりそこをもう一歩踏み込んで今よりよくするという被害者保護のための努力が足りないというふうに思っております。
そして、この話ばかりしてもなんですから、次に通訳のお話をしたいと思います。
通訳者が必ず必要になります。そしてこれも、HELPにもサーラーにもいますが、HELPの場合は、タイ語、タガログ語、スペイン語を話す外国人スタッフがいます。そのほかのインドネシア語などの場合は外部に依頼をすることになりまして、ここも通訳費が必要になります。この通訳費にしましても、女性センターからの委託があれば通訳費が出せますけれども、ほとんどの場合、どこからも委託費が来ないため、やはりそこの民間シェルターがこの通訳費も出すということになります。
言葉ができないと、こういうシェルターにいても、どんどんやはり心の病気が進行してしまうということがありますし、今度、刑法が改正されて、処罰をするためにも、裁判に協力をしてもらう特別在留許可とか、いろいろな体制をとっておりますけれども、警察へ行く場合、あるいは入管へ行く場合、そして病院へ行く場合、同行をして支援をする必要がございます。
この場合の通訳者というのは、ただ言葉が話せるだけではなくて、再三申し上げるように、非常に心の痛手も負っている被害者の状況にちゃんと対応できるように、ある程度は、その国の状況とか文化的なこととか、それから女性たちの体験に心を寄せることができるとか、信頼関係をつくれる人であるということが必要だと思われます。
行動計画では、各都道府県の婦人相談所が被害者の保護に当たるということになっていますが、この通訳の問題はどうするんでしょうか。また、これも医療費と同じことになりますけれども、このような民間シェルターへの通訳費の補助ということをもっと実態に合わせて行えないのか。先ほどのような行政手続をとらなきゃいけないとかいう形式的なことではなくて、実際上、やはりここでやっているわけですから、そこをもっと支援できるような方法を考える必要があるということも含めてお答えいただきたいと思います。
○佐藤委員長 はっきりと答えてください。
○白石政府参考人 言葉の問題の御指摘でございます。御指摘のように、カウンセリングのときのいろいろな恐怖感であるとか不安感、こういうものを取り除くために多くの言語に対応する体制が必要だということはおっしゃるとおりだと思います。婦人相談所の運営費の中には、こういう外国人の一時保護の経費を計上しておりますが、その中には通訳を雇い上げる費用というのも入っておりまして、必要に応じて通訳を現実に雇って対応をさせていただいております。
また、各都道府県におきましては、国際交流関係団体などと連携しまして、必要な通訳がどこにいらっしゃるのかというふうなことなどの連携を強化することをしていただいておりまして、それぞれ皆さんが努力しておられるというふうに考えております。
また、通訳の雇い上げにつきまして、民間シェルターも、これもちょっとまたおしかりをちょうだいするかもしれませんが、一時保護を委託している先の民間シェルターにおきましては、同様に、通訳の経費について活用ができるというふうになっておりまして、その旨は関係自治体の方にも御連絡さしあげているところでございます。
○小宮山(洋)委員 各都道府県でいろいろなところに協力を求めているということはわかりますが、実態として、二十四時間、四六時中、いつ来るかわからない人に対して、すぐにその言語が話せる通訳が手当てできるはずがないのですよ。ですから、せめてどこかにアクセスポイントを持って、各国語の通訳を置くようにするとか、何らかの対応をとらないと、現状としてできていないのですよ。それは努力をされていることはわかりますけれども、普通に考えていただいても、各都道府県の婦人相談所で、例えばタガログ語の人が必要だといって瞬時にその人が来るということはまず難しいということがおわかりいただけると思います。
それで、きょう官房長官は、この法案審議で所轄外、また郵政の審議もされているということでおいでいただいていないので、これはやはり政治家同士の話ということも必要だと思いますので、風営法の担当でいらっしゃいますけれども、村田国家公安委員長は、今のやりとりをお聞きになっていて、やはりちょっとしゃくし定規過ぎるとお思いになりませんか。
政府が、公的なものが対応し切れないからいろいろな気持ちを持った民間がやっているのに、そこに公的なものを通るものしか費用が出ないということは、もう少し何とかした方がいいというふうに、これは感想で結構でございますので、ちょっとお答えいただきたいと思います。このやりとりを聞いていただいても、やはり何か木で鼻をくくったようで全然温かみがないというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○村田国務大臣 私も、所管を離れて、婦人相談所へ視察に行ってまいりました。行きましたのは、最近とみにふえているDVの被害に関連して行ったわけでございますが、人身取引に関連して、外国人の保護を婦人相談所で行うということになったわけでございますので、そのこともあわせて担当者に聞いてまいりました。
端的に言って、施設が少ないことが一つだし、それから、被害の実態を見ると、結構、東京都じゃなくて、周辺の県にそういう被害が多い、そういう実態があるようでございまして、そこは私も聞いております。そうした場合に、特に周辺の首都圏を離れた、例えばそういう県において、今委員がおっしゃるような、御指摘なさるような対応がすぐさまできるかということについては、なかなか大変だろうなというふうに私も実感を持っております。
したがいまして、これは厚労省から都道府県に移っている仕事でございますけれども、こうした保護の実を上げるということになるならば、国のレベルでもう少し踏み込んでいった方がいいかな、こういうふうにも思っておりまして、昨日だったか一昨日、ちょうど答弁ですれ違ったときに官房長官に同趣旨のことを申し上げました。
私は、こういう問題が官房長官と野党の皆さん方で議論がされた、そういうことを知らなかったんですけれども、たまたま私も、実態としてはなかなか、都道府県というか主として地方の県、そういうところではお困りなのではないか、ひいては日本人のDV被害者のケアに支障が生じなければいいなということを私個人として心配をしているところでございます。
○小宮山(洋)委員 通告してございませんでしたが、気持ちのこもった御答弁をいただいてありがとうございます。これは与野党関係なく、やはり必要な手だてというのは、こうした人権問題にとってはとれるような知恵を出し合っていく必要があるのではないかと思っております。
そして次に、滞在期間が長くなった人は、犯罪者の摘発への協力だけではなくて、被害者が働いた分を取り戻せるための損害賠償請求ができるようにしてほしいという要望がございます。
人身売買禁止ネットワークとお茶の水女子大学が行いました被害者の実態の調査があるんですね。こういう大部の報告書ができ上がっておりますけれども、この中でも日本政府に被害者が望むこととして、処罰をしてほしいということに次いで多いのが、未払い賃金もしくは報酬を払ってほしいということが出ております。これへの対応はいかがでしょうか。
○倉吉政府参考人 まず、前提としてでございますが、人身取引の被害者が加害者に対する損害賠償請求訴訟をするとか、そういう損害賠償請求に絡むいろいろな事情があるということになると、当分日本にいなければならないということになろうかと思います。そうしたことをやることを理由に、引き続き我が国に在留を希望し、その必要が認められる場合には、まず在留特別許可や在留資格の変更許可等により必要と認められる期間の在留が可能となるように対応することができると思われます。
次に、若干ずれるかもしれませんが、実は、今、司法制度改革が御承知のとおり進んでおりまして、その一環として、昨年、総合法律支援法という法律が成立いたしました。この法律に基づきまして、来年度、平成十八年度に日本司法支援センターというちょっと変わった新しい法人ができます。全国五十カ所に事務所を置きまして、困った人の相談に、最初の紛争解決への道案内をしようということを考えておるわけですが、この支援センターでは、被害者支援団体などと連携協力いたしまして被害者の方々にも有益な情報の提供を行う、それからさらに、各地の弁護士会や日弁連と連携いたしまして犯罪被害者問題に精通した弁護士を紹介する、こういったこともやろうと考えております。
したがいまして、人身取引の被害者に対しても、この支援センターのこのような業務を通じて、損害賠償請求の実現などの役に立つ必要な情報を提供する、あるいは弁護士を紹介するというようなことはできるのではないかと思っております。
○小宮山(洋)委員 もちろん、こういう加害者の方を処罰するために、裁判などの証言など、協力してもらうための特別在留許可ということも結構ですけれども、やはり被害者の身になった、未払い賃金なども払われるような、そのような努力も、今の新しい機構などもまだまだ動き出すのにいろいろ大変な実情がございますけれども、ぜひ積極的な取り組みをしていただきたいと思っております。
そして次に、これは自立支援ということになるかと思いますけれども、先ほど申し上げたような、HELP、サーラーといったような緊急避難所では外出することもままならないわけですね。ですから、このままこちらで職業訓練を受けて仕事をしていきたい、そのような人たちもいるし、また、お金を持たないので、そういう人たちがこちらで自立をするために生活保護にかわるようなものができないかというような御意見もあります。今の仕組みで難しいことは承知をしておりますけれども、そうしたことに対する対応はどのようになっているでしょうか。
○白石政府参考人 婦人相談所で一時保護いたしました被害者の現在の状況を見せていただきますと、本国への早期帰国を希望する方が多いということもございまして、大体十五日程度の保護で本国の大使館等を通じて帰国されるというケースがほとんどでございます。中には先生御指摘のような場合も考えられますけれども、在留期間中の生活ということを考えますと、在留特別許可によりまして入管法に規定する永住、定住等の在留資格を有することになった場合の中で生活保護法に定めるような要件になってしまう場合には、生活保護法を御案内のように外国人にも準用して保護を行うことは可能でございます。
それから、それ以外の場合であっても、一時保護所あるいは委託先も含めてでございますけれども、被害者に対しましてその期間の衣食住の提供はしておる、その必要に応じて長くなれば保護を延長するということもございます。そういうふうな形で対応をしているところでございます。
なお、在留特別許可の間の職業訓練のお話でございましたけれども、我が国での就労が在留特別許可のステータスに応じまして認められているような方に対しましては一般制度の対応が可能でございますが、冒頭申し上げましたように、ほとんどそういうケースというのは現実には余り考えられないのではないかと思います。
○小宮山(洋)委員 被害者となった方々はいろいろな状況の方があるんですけれども、この調査の中でも日本で仕事をしようと思って来ている方が非常に多いわけです。魚工場での仕事ですとか、それからタイ・レストランでの仕事だとか、スナック勤務とか、カラオケの仕事だとか、レストランで働くとか。貧しいタイなどの場合、家族のために働こうとして来ている方が多いので、もちろん今のいろいろな被害に遭った状況の中で帰ろうという方が多いということは事実だと思いますけれども、やはり本当にここで仕事をしたいと思う方についてはそのような配慮もあっていいのではないかというふうに思っております。
そして、今、病気への対応、それから費用の問題、そして通訳の問題など幾つか指摘をさせていただいて、今回、被害者保護については、行動計画で婦人相談所で対応をするというのが政府の対応方針ですが、それだけではやはり無理があるのではないかと考えております。
そして、私たちは、HELPなど民間シェルターで被害者の保護をされている方や、弁護士さん、NGOの皆さんなどが強調をされておりまして、私たちの議員立法のこれが中核なんですが、ここに据えているのが人身取引保護センター、被害者保護センターなんですけれども、これを最初は入管のある全国八カ所ぐらいつくってほしいという御要望が関係者からはあったのですが、それはとても無理ということで、当面は全国に一カ所でもいいからそういうところをつくってほしい。
そこには被害者が理解をする言語を話せる通訳やソーシャルワーカーなどの専門職が常駐をしている。そして、被害者の状況の把握や相談、情報の提供、助言、一時保護、関係機関や民間団体との連絡調整などがスムーズに行えるようにする。とにかくこの保護センターに連絡をすれば大丈夫だと被害者が安心できるような体制を整えた、アクセスポイントの役割も果たすものが必要だと考えておりますが、こういうセンターをつくるということについてはいかがでしょうか。
○荻野政府参考人 お答えを申し上げます。
アクセスポイントあるいは連絡調整の拠点としてのセンターを設置するという御指摘でございますが、先般の官房長官の答弁にもございますように、現状では各県の婦人相談所も大変一生懸命活動されている、保護されている人数も大変増加しているという状況でございます。
こういった中で、これらの婦人相談所がやっていただいている現状を踏まえまして、政府といたしましても、関係機関の連携を実効性あるものとするために、関係省庁あるいは在京大使館、NGO等の連絡会議を定期的に開催する等の措置を講じまして、あるいは、警察の方でも関係機関とのコンタクトポイントの会合を定期的に開いていただくといったことを通じまして、そういった関係機関の連絡調整の実を上げるように努力をしているということでございます。
○小宮山(洋)委員 筆頭理事にちょっと聞いていただきたいんですが、超党派での取り組みということで、今までの経緯をちょっと御説明したいんですが、いらっしゃいませんね。今後のこの委員会の対応も含めて、ぜひ聞いていただきたいと思っておりますが。
それでは、おいでいただくまでに次の質問をちょっと先にさせていただいてよろしいでしょうか。
○佐藤委員長 どのようにすればいいんですか。
○小宮山(洋)委員 はい、筆頭が戻られてからその部分の質問をいたしますので、ちょっと質問を……(発言する者あり)申しわけございません、お呼び立てをいたしまして。ちょっと先に別の質問をしていようかと思ったんですけれども。この問題に対する超党派のこれまでの取り組みの経緯もちょっと聞いていただきまして、この内閣委員会で今後取り扱うときにも御考慮をいただきたいと思いまして、申しわけありません、お呼び立てをして。
今申し上げていた被害者保護センターのことなんですけれども、民主党としては、この被害者保護センターをとにかく一カ所でいいからつくってほしいということを中核といたしました議員立法をこの春には用意しておりました。そのときなぜ提出しなかったかといいますと、与党自民党の中にも、政調の中に人身取引対策プロジェクトチームというのをおつくりになっていまして、座長が森山眞弓さん、そして塩崎恭久さんが事務局長という形で、NGOなど取り組んでいるメンバーから同様にヒアリングをされまして、同じような問題意識を持っていらっしゃいました。
そして、政府として、今回、被害者保護については、法律ではなくて行動計画で対応をするということは理解しながらも、やはり保護センターは必要だと皆さんもおっしゃっていまして、何とかこの保護センターだけは超党派でつくれないかということをずっと春からこれまで検討してまいりました。それで、そのときに多くの可能性を探りまして、既存のもののどこかを活用しないと、今新しくつくるということはなかなか難しいだろう。この保護センターにつきましては、国がつくりますが民間へ委託というようなさまざまな柔軟な形を考えていいという話をしておりました。
そして、可能性を探ったのは、具体的には、一つは、今取り組みを進められている婦人相談所の中で、幾つか、例えば入管のある東京、愛知、大阪、福岡などに拠点を置く、その拠点には先ほどからやりとりをしている通訳とか専門家が四六時中いるようにすることができないかということを検討いたしましたが、これは厚生労働省の家庭福祉課が担当で、そこからのお答えでは、婦人保護事業というのは自治事務であって、各県で生じた事案には当該県が責任を持って対応する仕組みなので、これを超えるものは困難という、だめだという御回答をいただきました。
そして次に、八王子に婦人補導院という矯正施設があるんですけれども、そこがここ八年間予算はついているのに矯正のために入っている女性がいないということがございまして、これは横の少年鑑別所と兼務でやっているということなんですが、婦人補導院の事業が規定をされているのにそこにいない、それならそこの施設が使えないかということで検討いたしましたが、これは矯正施設なので塀やかぎがあって被害者保護には向かないといって、法務省の矯正局からやはりノーというお答えをいただきました。
そしてまた、外務省の方で管轄をしている難民認定申請者緊急宿泊施設というのがあるんですけれども、これは外務省の国際協力部から、これはシェルターなので場所を知らせられないからここは無理だというお答えをいただきました。
また、昨年、超党派で力を合わせて、行革で統合少年施設とするのではなくて独立して残すことが決まりました国立女性教育会館、これは埼玉の嵐山にありますが、ここはどうかということを提案いたしましたら、ここは研修や研究目的なので困難で、また開放的な、一般の人が活用する施設なので安全が守れないということを文部科学省の生涯学習政策局からいただきまして、それでいろいろな検討をした結果、各省庁からはゼロ回答で、無理ということでございました。
そして、今再三お答えをいただいているように、管轄をしている内閣官房も、とにかく当面これでやらせてくれという一点張りでございまして、今回、こういうようなことができなかった。
それでも可能性を探った結果、この保護センターを、先ほどから申し上げている民間のHELPとかサーラーといったシェルターの近くにつくれば、そこにそのシェルターの専門職が兼務できるのではないか、これが一番現実的ではないかという話をいたしまして、予算措置もいろいろ検討をして、部屋の賃料、光熱費、ディレクター、ソーシャルワーカー、この人たちがタイ語、スペイン語、タガログ語などに対応ができる。
それから、カウンセラーや寮母さん、そして総務をするなどの人件費、そしてほかの言語の通訳、医療費、法的援助費用、食費、移送費、警備費、雑費、これで大体一カ所八千万ぐらいでつくれるのではないかということで検討を最終的にしたんですが、これもやはり当面二年間ぐらいはこの計画でやらせてくれということで、与党としては、今回このタイミングでやるのは無理というようなお話に最後なってしまって、残念ながら半年間検討を重ねてきたんですけれども、できないような形になってしまっています。
ただ、今やりとりをお聞きいただいていてわかるように、本当にこの人権の問題を大切にする日本としては、各国で、国連も指摘している被害者の保護にこれだけ努力をして実効が上がったということを、やはりその成果を上げていかなければならないと思うので、一カ所のセンターというのは、何とか超党派で、委員長提案でできないかということの検討を続けてまいりましたので、ぜひこのようなことも考えていただきたいと思うんですが、これは省庁がお答えになるんでしょうか。今、政治家はやはり委員長しかいらっしゃらないですが、双方からもしできればお答えいただきたいと思います。
○荻野政府参考人 お答えを申し上げます。
先般の内閣委員会でも、官房長官の方から答弁がございました。そこにもございますように、昨年末に行動計画を策定いたしまして、そこで都道府県の婦人相談所で被害者の方の保護をやっていただくということを明定したわけでございますが、それ以降、各県とも大変一生懸命やっていただいている、そういう状況でございます。
それを前提にいたしまして、官房長官答弁にもございますように、それをさらに、一定の事務を国に引き揚げるということがいいのか、あるいは現在の体制を徹底した方がいいのかといった点につきましては、やはりなお考慮を要するところがあると考えておりまして、当面は状況を見守るということを考えているところでございます。
○村田国務大臣 実は、私は犯罪被害者基本法の担当もしておるんですけれども、これはことしの末までに計画をつくりまして閣議決定をさせていただくんですが、ちょっとそれと似たようなところがありまして、これからいろいろ検討して、一年、二年、三年かけてやるんですが、民間の支援団体もございますけれども、そういうことをどうやって活用してやっていくかということを盛んに議論してきたわけであります。
官房長官もさっきかなり柔軟な答えをされたということでございますので、婦人相談所でやり始めたわけです。私もその行動計画のときには新米でしたけれども、入っていたわけなんです。
これから皆さんで、官房長官のおっしゃるように、よりよい方法、被害者の保護に実が上がるような方法が、みんなで結論を導き出せるということであればそれがいいし、まずは被害者の方々の窮状を救い出す、かつまた我が国がそういう人権保護に対して非常に熱心であるということを国際社会にアピールするということも必要でありますので、そうした意味から皆さん方でまた検討していただいたらいかがか、こういうふうに思います。
○小宮山(洋)委員 ありがとうございます。通告していないのにお答えいただいて申しわけないんですけれども、官房長官がきょういらっしゃらないものですから、ありがとうございました。
それで、これは結局プロジェクトチームの皆さんと検討してきたんですが、今回、やはり内閣官房が行動計画でやっていらっしゃるものが、それでは足りないのではないかということで、私どもの議員立法を出させていただきました。
その立法全部にこだわるというのではなくて、その中核が検討をしてきた保護センターの設置、とにかく全国で一カ所でいいからとりあえずつくってほしいという関係者からの強い要望もございますので、ここの委員会に法案を提出させていただいた関係もございまして、できればこのことは今後、超党派で検討ができるように、それで筆頭理事にぜひ聞いていただきたかったんです。
そして、委員長提案という形でこの内閣委員会でやっていけるような方向をぜひお願いしたいと思っております。私どももそのためのいろいろな努力をさせていただきたいと思っておりますので、よろしく、これはこちら側の方を向いて申し上げるんですが、委員長の方と両方を向いてお願いをしたいと思っております。ありがとうございます。
そして、あと何点か、この被害者保護のことについて内閣官房の方に伺いたいと思うんですが、国とか地方公共団体は被害者保護のために今回どのような責務を負って、どのような保護のための施策を行うことになっているんでしょうか。
○荻野政府参考人 お答えを申し上げます。
人身取引被害者の保護についてでありますが、まず、この行動計画におきましては、被害者の方を保護の対象として明確に位置づける、被害者が心身ともに過酷な状況に置かれたことを十分配慮して、被害者の状況に応じ、きめ細かな対応を行うということが基本的な思想でございます。この考え方に基づきまして、行動計画におきましては、国及び地方公共団体、具体的には入国管理部門でありますとか警察でありますとか、あるいは都道府県の婦人相談所等がそれぞれ具体的な人身取引の被害者の保護を行うという仕組みにしております。
具体的な施策につきましては、まず発見の段階では警察、入国管理局、婦人相談所がそれぞれ被害者の発見に努める。また、保護した場合には、婦人相談所や民間シェルターなどの一時保護のためのシェルターの提供でありますとか、先ほども御答弁ございましたように、カウンセリングの実施、通訳の確保などを行っております。また、人身取引により他人の支配に置かれたために不法滞在状態に陥った被害者につきまして、在留特別許可を付与し、我が国に滞在できるようにするということでございます。
また、被害者の方は、多くの場合、御帰国になるわけでございますが、こういった場合も、例えばパスポートをなくされるというようなこともあるわけでございますが、こういった場合につきましても、警察、入国管理局、婦人相談所などの関係機関が密接に連携してもろもろの手続がスムーズにいくようにといったことをしておりますし、またNGOの方々や在京大使館、国際機関とも連携しつつ、帰国のお手伝いをしているということでございます。
また、具体的に帰国する費用等につきましては、国際移住機関から補助がなされる場合もございますが、その国際移住機関に対しても国の方で財政支援をしているというところでございます。また、被害者の方が本国に帰国された後の社会復帰といったことも課題であるわけでございますが、そういったことも二国間ODA援助などで配慮をしているということでございます。
以上申し上げたようなそれぞれの施策について、国及び地方公共団体がそれぞれ責任を負っているということでございます。
○小宮山(洋)委員 そして、今回、政府の方でお考えになっているのは、官房副長官補がトップの関係省庁連絡会議でやっていくということなんですが、先ほど村田国家公安委員長からも、これは国際的にも重要な問題だから取り組みをという心強い御答弁をいただきましたけれども、これはやはり総理を本部長とする人身取引等の対策推進本部というようなものに格上げをする必要があるのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○荻野政府参考人 人身取引につきましては、重大な人権侵害、また国際的な組織犯罪という面もございます。そこで、内閣の重要課題の一つと位置づけられておりまして、御指摘の人身取引対策に関する関係省庁連絡会議におきましても、官房長官みずから御出席の上で早急に対策を取りまとめるようという指示を受けまして、昨年十二月に、人身取引の防止、撲滅、被害者の保護を三本柱とする包括的、総合的な人身取引対策行動計画を策定したところでございます。
さらに、この行動計画につきましては、その後、内閣総理大臣を主宰者とし全閣僚がメンバーであります犯罪対策閣僚会議にも報告をされまして、行動計画に掲げられた施策の着実な推進が政府として確認をされたということでございます。
さらに体制を拡充するという御質問でございますが、現状も、それぞれの省庁がみずからの役割を果たしつつ内閣官房が各省の調整を行うということで、省庁の垣根を越え、政府を挙げて問題に取り組む体制が整えられていると考えております。
○小宮山(洋)委員 先ほど村田委員長の方から犯罪被害者の保護の取り組みのお話がございまして、これも私も党内で責任者としてやらせていただいております。これについては本当に内閣官房がよく取り組んでいただいていて、今度被害者保護のための計画をつくるわけですけれども、これについても多くの皆さんの声を取り入れて、私どもも超党派というか与野党なく一緒に取り組んで、いい形になってきていると思うんですね。
犯罪被害者というと、同じ日本人ですから皆さん共感があるし、力を入れなければとなるわけですけれども、こういう人身取引の外国の女性のことについてはまだまだマイナーな問題だと考え過ぎている、そういう感じがしてなりません。
再三申し上げているように、これはもう国際的に本当に注目されている大きな人権侵害の取り組みということで、国連の議定書の後、アメリカからもそのようなレポートが毎年出されていて、国際的に注目をされているテーマでございます。もちろん、安全保障理事会に入ることと同次元のことではありませんけれども、何をしたいということを言う前に、やはりこういう取り組みをきちんとしているということがないと、なかなか国際的にも尊敬される国、いろいろなところで発言権を持てる国にはなり得ないということにもつながると思っております。
ぜひ各省庁、そして内閣官房も、とにかくこれでやることにしたんだから二年間は行動計画でやらせてほしいという一点張りなんですね、ずっとこの間取り組みをさせていただいて。二年と言わず必要なことはやる、特に先ほどから申し上げているような保護センターをとにかく一カ所つくるということだけでも取り組みが大分変わると思います。
やはり、法的な担保が必要なところにないと、被害者保護というのは本当に、長野県や栃木県や、先ほどおっしゃったようにいろいろなところにあるそういう被害者に十分対応できていないということは、皆さんも肌で感じていらっしゃると思うんです。細田官房長官の肝いりもあって、政府が今回これに取り組んでいらっしゃるということ自体は評価をさせていただきますが、肝心の被害者保護のところが何といっても余りに薄過ぎる。そういう実情をきょうは幾つか、HELPの例も引きながら、お話をさせていただきました。
このことについては、多分、きょう委員会を聞いていただいた皆様には、委員長も含め御理解いただけたと思いますので、ぜひ所轄をする委員会として、私どももいろいろな努力をさせていただきますから、積極的に検討をしていただいて、ぜひ委員長が御在任中に委員長提案でそのようなことができるように努力をしていただけるようにお願いを申し上げまして、この人身取引の部分の質問はこれで終わらせていただきます。
あと七分ちょっとでございますが、風営法全体について、あと一、二問聞かせていただきたいと思っております。
今回、風営法の改正で、デリバリーヘルスとか、いろいろ範囲を広げたり、さまざまな改正が行われておりますが、風俗営業法の対象自体をそろそろ見直さなければいけない時期に来ているのではないかと思っております。今、対象にされている業種、そしてその規制の内容、これが現状に合っているのかどうか、ちょっとその辺を御説明いただきたいと思うんですが。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
現行の風俗営業で対象にしておりますものは、キャバレー、料理店、パチンコ屋等の風俗営業、個室つき浴場、ファッションヘルス等の店舗型性風俗特殊営業、派遣型ファッションヘルス営業等の無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、電話異性紹介営業、深夜酒類提供飲食店などについて許可あるいは届け出の対象としているほか、飲食店営業、興行場営業などについても必要な規制をいたしておるところでございます。
現行の風営法がこのような業を対象にしてまいりましたのも、社会の変化に伴いまして風俗営業の業種に変化があったからでございます。昭和二十三年にこの法律は成立いたしましたけれども、昭和五十九年の改正で現行の風営適化法という法律になりましたが、平成十年に無店舗型性風俗特殊営業や映像送信型性風俗特殊営業が、平成十三年には電話異性紹介営業が規制対象として加わるなど、逐次その時代に即して規制内容を改正してきたというふうに考えております。
今後とも、風俗関係の実態把握に努めまして、必要に応じて新たな対応をしてまいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 性風俗などについて時代に合わせて規制をしたりしていくということは必要だと思いますが、例えば、ダンスホールは対象にするけれどもダンス教室は外したとか、実態に合わなくなっている部分がほかにもあると思っておりますので、今後とも、そういう見直しは積極的に現状に合わせていただきたいというふうに思っております。
そしてもう一点、今回の法改正の中で、少年指導委員、これは六千人のボランティアが公安委員会に所属をして行っておりまして、それの職務の明確化や研修の実施とあるんですが、それで十分な対応ができるんでしょうか。
これからいろいろな公でできないことを地域の中でやっていただくということは、いろいろな意味で、共助という意味で必要になってくるわけですけれども、このことだけではなくていろいろな仕組みが、退職された学校の校長先生だとか、割と名誉職的に退職後の皆さんがボランティアでやってやっているみたいなことが、特に子供たちの実態に合わなくなっているというようなことが多々あるわけですね。
ですから、今の少年指導委員、これの年齢、男女比、前職などをちょっと御紹介いただいて、今のままの形で十分な対応ができるのかどうか、お答えいただければと思っています。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
少年指導委員は、盛り場ですとか歓楽街のゲームセンター、ホストクラブ等の営業所及びその周辺におきまして、街頭補導、有害環境の浄化活動など少年の健全育成に資するための貴重な活動を行っていただいておりまして、ボランティアの方々でございますけれども、本年の四月一日現在、その数は全国で六千二百五十四名を数えております。この平均年齢は五十七・八歳でございまして、五十歳代が三八・四%となっております。男性は約七八%、女性が約二二%というふうになっております。
私ども、これらの少年指導委員の方々の補導活動等がより一層効果的に行われるように、少年指導委員の皆様方のお声も反映する形で、今回、法律上職務を明確化するとともに、新たに営業所等への立ち入り等も認めさせていただいて、その活動の充実を図っていきたいと考えているところでございます。
○小宮山(洋)委員 もちろん、志のある方がボランティアでなさるというのは貴重なことだと思うんですけれども、今も伺いましたように、五十七・八歳というその年齢の方が、本当に少年たちの気持ちがいろいろわかってできるかどうか。もちろん、ボランティアがいけないのではありません。それはそれでいいんですけれども、例えば多少の報酬を出したとしても、もっとその年齢に近い人たちも入れるような仕組みにするとか、いろいろな工夫が要るのではないかと思っております。
これはちょっと今回の風営法と直接関係ない、所轄が違うというお答えになるかと思うんですけれども、現在、性風俗の関係で私どもが日常的に困っているのは、迷惑メールがパソコンそして携帯電話に山のように来ます。私のところも大体メールの七割から八割がそういう形で、これは相手から来たメールにそのアドレスをつかって返信をする限り必ずつかまってしまうので、アドレスを変えてもだめだという困った状態になっているんですが、こういうのをもう少し規制する方法というのはないのでしょうか。
○竹花政府参考人 確かに、警察に寄せられます迷惑メールに関する相談は非常に多うございまして、本年上半期でも二千四十三件に達してございます。
この迷惑メールにつきましては、本年五月二十日に特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律が公布されておりまして、六カ月以内に施行されることとなっております。この改正法は、送信者情報を偽った電子メール送信の禁止、架空アドレスあてのメール送信を禁止する範囲の拡大、あるいは罰則の強化などを内容としておりまして、本改正法の施行によって迷惑メールがある程度減少することが期待されるところだと考えております。
なお、性風俗関連特殊営業を営む者が、その広告宣伝の手段として無差別に広告メールを送信することにつきましては、風営法上の禁止される広告宣伝に当たりまして、新処分の対象となります。
警察といたしましては、このような法令を活用いたしまして、迷惑メールに係る違反行為について、今後もさらに一層取り締まりを進めてまいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 ありがとうございました。
特に村田国家公安委員長におきましては、通告をしてございませんでしたが、本日はたった一人の答弁者の政治家ということで、心強いお答えをいただいてありがとうございました。お答えいただいたことをぜひ今後とも御一緒にしていただければというふうに思っております。
きょう申し上げたような人権問題については、これは与党も野党もないと思っておりますので、ぜひこの委員会で力を合わせて取り組んでいけますようにお願いを申し上げまして、ちょうどあと十秒で私の持ち時間が終わりますので、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
この風俗営業適正化法については、昨年初当選をさせていただいたとき、そのときの初質問でも実は取り組みをさせていただきました。こうして今回この法律が改正されるということを大変うれしく思っておりますし、そういった中で、この法律の現状についてきょう質問ができるということを改めて感謝申し上げたいというふうに思います。
そこで、早速質問に入らせていただきますが、今回の風営法の改正についてです。
これは、例えば人身取引の関係でいえば、アメリカ国務省から日本が監視対象国になったという大変不名誉な状況もございました。今はそれはもう解除されましたが、そういったことも踏まえて、風営法の中でも規定を新たに設けなければならないという中での風営法の改正という側面もあったかというふうに思いますし、一方で、その他の、ピンクチラシの規制ですとか、そういった風営法に係る部分の改正もあるかというふうに思います。
この目的が幾つかある中で、改めてお伺いしたいんですが、今回の風営法の改正というのは、人身取引に対する対策が主目的なのか、あるいは、国内における風俗業界の現状にかんがみて、その風俗環境を整えるということが主目的なのか、それをまずお答えいただきたいというふうに思います。
○村田国務大臣 端的に申しまして、今委員が御指摘になった二つの目的をあわせて実現したいというための改正でございます。
○泉委員 これは、私でいえば昨年の国会から、そして我が党の議員でいえば二〇〇一年ぐらいから、やはりこういったピンクチラシの被害というものが非常に町中で見られるようになった。これまでは、少なくとも風俗というもの、特に性風俗については、大人と子供の社会の区別、仕切りというものが少しはあったわけなんですね。
どんな情報にしろ、それは雑誌という形であり、あるいは施設内という形であり、子供の目には直接は行き届かないようになっていたものが、このピンクチラシで初めて、あるいはその後のインターネット等を通じて初めて、子供たち、あまねく国民のだれしもに、不特定多数の方々にこういった情報が届く、しかも、望む望まないの選択権がない状況で情報が届くという実態になってしまったわけです。
これについて、やはり我々は非常に強い指摘をしてきたわけです。しかし、これまでの、逆に言うと、政府の答弁では、これはやはり営業の自由、表現の自由、こういったものに抵触をする可能性があるので直罰規定は非常に難しいんじゃないのかということがこれまでは言われてきたわけです。
この間、どのような検討を通じて、そしてまたどのようにこの問題をクリアして、きょうのこの法律の改正という審議に至ったか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○竹花政府参考人 御指摘のように、多くのわいせつに係る、あるいは暴力に係る情報がはんらんをしている状況がますます進んでいるというふうに認識をいたしております。このような問題に対して法令上有効な手だてがないかということで、国も含め、あるいは都道府県も含め、さまざまな検討を進めておるところでございます。
しかし、実際上の問題といたしまして、先生申されましたような表現の自由あるいは営業の自由という、そうした一方で守るべき権利と、それから今もたらされている害悪を正していくということの要請とをどう調整するのかは大変難しい問題でございます。
しかしながら、今回の風営法の改正で、ピンクビラが住宅街に届け入れられるといったような看過できないような事態に対してはしっかりとした対応をしていこうということで、できる限り風営法の改正案の中に盛り込んで対処したいと考えているところでございます。
○泉委員 看過できない、これは、もちろん私は改正に賛成の立場で改めてお伺いするんですが、看過できないから、表現の自由や営業の自由がクリアできる状況であれば、もうこれは去年にでも、あるいは前回の改正でもできたというふうに思っているわけなんです。
その表現の自由、営業の自由というものをどのようにクリアしたか、これを改めてもう一回お伺いします。
○竹花政府参考人 ピンクビラの住宅街への配布につきましては、やはりそれ自体、ビラを配布するということについての表現の自由の活動はあるものの、住宅街の静ひつを守るということ、あるいはそこには青少年が居住している、そうした青少年を保護するという立場で、今言ったような片方の権利よりも、そこを保護すべきことが重要であって、そのことは表現の自由等を侵害するものではないというふうに考えるに至ったものでございます。
○泉委員 これはさきの、平成十六年の二月二十六日の内閣委員会で、当時の小野国家公安委員長が、これは我々から言ったのではなくて国家公安委員長の方が、「表現の自由や営業の自由という、日本には自由という言葉の中における大人社会の大変難しい山がございます。」という表現で、我々の規制をかけるべきだということに対する答弁としてお話をされていた。
今回、これが山を越えられたということは非常にありがたい、うれしいことだというふうに思っているわけでして、今後も、この風俗、特に性風俗の業界というものは新たな業態がどんどん出てくる。そこには当然やはり今局長がおっしゃられたような青少年の保護という観点が常にあるわけでして、これは被害実態をなるべく早く把握して、そして国の風営法、風適法の中でぜひとも早目早目の規制をしていただきたいということを私は思っているわけなんです。
そういう中で、このピンクチラシについては全国各地で条例がつくられました。その条例が、ちょうど去年でいいますと全国四十七都道府県の中で過半数を超えた状態になったということもありまして、私は、もうそろそろ国の方として法律をつくるべきじゃないですかという話をしたわけですが、この各都道府県における、あるいは自治体における条例制定の動きというものは、今回の風適法の改正につながったとお考えでしょうか。大臣でも結構です。
○村田国務大臣 お答えいたします。
やはり住宅街の静ひつを害するようなところまでそうした行為が及んだということで、各都道府県でもそうした条例を制定した。そういう事態も把握しながら、この風営法の改正におきまして、そうしたピンクビラの配布等につきましても直罰規定を設ける、そういうことにつながってきたというふうに私どもも考えております。
○泉委員 局長からももしあれでしたら改めてお話を聞きたいんですが、この各自治体での条例制定の動きというものは、これは逐一把握をされて、その動向を踏まえて今回の改正に至ったと考えてよろしいんでしょうか。
○竹花政府参考人 各県の条例の制定状況については私どもも承知をいたしておりまして、その条例制定に至った背景に、こうした規制を求めるそれぞれの地域の住民の声があるというふうに承知をいたしておりまして、その意味で今回の法規制は、そうした条例の制定の動きをにらみながら考えたものであるというふうに言うことができようかと思います。
もっとも、それぞれの条例の規制する内容と今回の法令の内容においては若干の差はございますけれども、いずれ趣旨としては、ピンクチラシが地域住民の平穏な生活あるいは青少年の保護に障害を生じている、そういう状態を改善しようという趣旨であることについては同様でございます。
○泉委員 これも実は過去の委員会の答弁の中で、地域の実情に合わせて対応していっております、現行法においては、まだ改正される前ですね、という答弁が何度か繰り返しあったわけでして、これも私は乗り越えていただいたことについて非常に高い高い評価をさせていただいているわけなんです。
例えば、こういった今回の改正に至る、そして全国同一の厳しい網をかけるということは、我々国政を担っている者としては非常にありがたいことだというふうに思っているわけですが、この地域の実情というものも一方ではありながら、しかし今回こうして全国的な法の網をかけることになった。このことについて、そこの明確な基準というものは難しいかもしれませんが、例えばそういった各自治体の動きというものは大きな要素として考えるべきなんでしょうか。
○竹花政府参考人 やはり地方におきましてはその社会的現象のもたらす害悪というものについて身近に感じる立場でございますので、都道府県の自治体においては、これに対して緊急に対処することをまず求められる立場であろうというふうに存じます。
そしてまた、そういう条例をつくることについて、その地域の方たちの合意が得られる条件があるのであろうと思われます。これが全国的な問題になったときには全国的、国民的な合意が得られる、そうした状況があるのかどうかというのが一つの判断の問題だろうというふうに思います。
私ども、今回の改正につきましては、そういう意味で国民的な合意が得られる段階に来ておるし、そういう内容であるというふうに考えて、法の改正をさせていただきたいと考えているところでございます。
○泉委員 大臣、実はごくごく一部になんですが、こういう指摘もあります。各都道府県ごとに条例を定めていて、先ほど局長がおっしゃったように、微妙にそれぞれ違い、特性がある。この地方分権の流れの中でいえば、それは各自治体ごとの条例に任せておいた方がいいんじゃないかというような一部の御指摘もあるわけなんですけれども、これは今回、国の法律としてこの法律の一部を改正して全国的に同じ法律で規制をするということは、これは地方分権の趣旨に反するとか、そういったことはありますか。
○村田国務大臣 同じような、同種の行為の蔓延の程度ということが一つあると思いますね。それから、そういう行為が非常に数多く頻々と起こっている地域もあれば、そうでないところもありましょう。
しかし、先ほど来御答弁申し上げているように、全国各地で条例を制定している、そういう実態にかんがみれば、今までの要するに条例のベースで、一つはやはり行政指導みたいなことをやって、そうした行為にまずはブレーキをかけて、その上で罰金とかそういうことに及ぶというよりは、直接そういう行為を全般的に、全国であまねく行われている実態というのにかんがみて、国の法律で吸い上げて直罰をする、そういうふうに進んできたのではないかというふうに思います。
○泉委員 もう一度質問を繰り返しますが、最後に私が言った、地方分権の趣旨に反するものだと思われるかどうかということについて、もう一度お答えいただきたい。
○村田国務大臣 いや、それはそういうことではないから、今回国で法律で規定しているということだと思います。
○泉委員 非常にありがたいお話であったというふうに思いますし、この法律が成立することを本当に心から喜びたいというふうに思っております。
さらに、そういった中で、今回のこの改正案の中身について少し触れていきたいというふうに思っております。まずは風営法全般、この風営法の本旨というか目的、そういったものについて少しお伺いをしたいわけです。
現在は風俗営業適正化法という法律ですけれども、大変歴史も古いわけでして、この風俗営業取締法は一九四八年に制定をされて、それから幾度も改正されてきているわけですが、ここには幾つかの大きな流れというものが多分あったというふうに思います。
江戸時代へさかのぼれば、やはり当時は一般の生活の風習、習慣というものと、いわゆる遊興というもの、これをどう分けるのか、そこには公衆衛生の観点も私はあったというふうに思います。そういった中で、明治期ぐらいまでは公衆衛生の観点あるいは社会の秩序維持という観点から、風俗、特に性風俗は分化をされてきた歴史がありました。
そういった中で、戦後のこの自由な社会になって、そういったものは基本的には個人的な選択を重視しようという中で、多くの風俗の動きがあり、そしてここ近年に至っては特に性風俗産業というものが非常に大きくなってきた。そういう中で、いわゆる一般の風俗、これは先ほど小宮山委員から指摘がありましたが、ダンスホールですとか喫茶店ですとか、昔でいえばかけ将棋、かけマージャン、そういったものも含めて、今はマージャンの雀荘も残っていますが、そういったものと今度は性風俗そのものを切り分けていこうという動きがあります。これがやはりこの風俗営業の中の二つ目の分化かな、そういったように私は感じているわけです。
しかしその一方で、この性風俗もやはり時代の進展とともに非常に大きな変化を今遂げております。といいますのは、やはり大きいものは、これまではある程度一定の地域、区域に囲い込みができたという状況があったわけですね、性風俗に関しては。そして、そこには大人と子供の社会の切り分け方もありますし、大人社会であっても、ここの地域に行けばいわゆる大人としての遊びができる、それ以外の地域は全く日常の一般の大人社会、子供も入り込める大人社会という状況になっていたわけですが、例えば今回の審議の中にも入っているデリバリーヘルス、これはもう、携帯電話が普及をしてからは、ある意味町中どこででも行われる可能性ができてきている。あるいは、翻って家の中を見てみれば、我々が自宅に帰って、家でもしかしたら自分の子供もインターネットを通じてそういった風俗の情報を得ているかもしれないということで、全く今その垣根というものがなくなっている状況です。
そういった中で、大臣にお伺いしたいんですが、風営法、風適法の中の特に性風俗の部分について、これまで国がとられてきた囲い込みという方法は、現在まだそういった方針をとられているのか、それともその部分というのはもう時代にそぐわないということで新たな方針を打ち立てておられるのか。性風俗に対してどのような網をかけようとしているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○村田国務大臣 今、泉委員が極めて歴史的にかつまた分析的に御説明をなさいましたけれども、やはりそういうものについて我々政府としての基本的な考え方というのは、どの時点でもって善良な風俗を害するものかということ、そこが基本ラインであろうか、こういうふうに思います。そういう観点で、要するに、公然と売春行為が行われる可能性があるようなものについて、あるいはそれに近い、善良な風俗に害があるような、あるいは青少年の教育に害があるようなものについて一定の規制をかけていく、こういうことでございまして、その範囲というのは定まったものではないというふうに考えております。
先ほど小宮山委員からの御質問もございましたけれども、とにかく、新たにそういうサービスといいますか、そういう可能性というものは不断に発展して新たに出てくるものですから、多少イタチごっこ的になりますけれども、我々は、基本的にはそれが青少年の教育とか、あるいはもっと大きく申し上げれば善良の風俗に害があるかどうかということでもって規制をかけていくということになっていると思います。
○泉委員 すべてではありませんが、例えば先ほど言ったような地域的に囲い込みをする手段というのが規制をかけていく一つの方法だというふうに思います。もう一つが、直接消費者というか相手側、これは大人でありあるいは被害者である青少年というものに対して何らかの規制をかけていくという方法もありますし、もう一つあるのは、やはり業者に対して規制をかけていくことで青少年や大人社会の健全な発展に資するというやり方があるわけです。これを、警察としてはどれを重視されているんでしょうか。
○竹花政府参考人 私ども、風俗営業がいわゆる健全な風俗を乱すことがないようにさまざまな規制をかけるわけでございますが、先生御指摘のように、店舗型の性風俗については、できる地域を制限していくということで規制をしようということで続けてきたものでございます。
これを逃れるために無店舗型という性風俗の営業が広がってまいりました。いわゆるデリヘルというものでございます。これについては地域に囲い込むということができないわけでございますので、この業を行っている者を把握して、その営業者に対して厳しい規制をかけていくという形で、いいかげんな性風俗の状況にしないという方向で、現在の風営法も、今後これから改正していただこうという風営法もそういう趣旨で成り立っているものでございます。
○泉委員 さらに委員長にお伺いしたいんですが、今回はこの法律ではデリヘル、あるいはインターネットによるこういった性風俗の情報の送信ということについて規制が今なされているわけですけれども、今後予想されているあるいは警察の方で把握をされている新たな性風俗の業態がございましたら御紹介をいただきたいのと、今後のそういったことに対する対策をどのように考えられているか、お伺いしたいと思います。
○村田国務大臣 やはり、私から紹介するというか、いわゆる業界が不断に知恵を絞ってお客のニーズを考え、あるいは法の網をすり抜ける方法で考えていくわけでございますからなかなか申し上げにくいわけですが、我々は、要するに青少年の健全な育成とか我々の静穏な生活を害するとか、あるいは要するに公序良俗に反するような行為が蔓延するということを防止するために、多少後追い的になるかもしれませんけれども、そういった実態を把握しながら、実情に応じて規制をしていくということになろうかと思います。
○泉委員 具体的な事例等について把握をされているんであれば、局長……。よろしいですか。
ぜひ、もうこの業界はそういったいろいろな新しい用語が生み出されておるわけでして、そういった意味でも、ぜひ大臣、すべてを把握しろとは、ほかの問題もありますから言いませんが、やはり余りこういった業界と意識のずれがないように、ぜひ業界の把握というものもしっかりと行っていただきたいなというふうに思います。そういった中でないと、やはり私が指摘をしたいのは、これはやはりテレクラもそうです、あるいはこういったデリヘルもそうですが、常に我々は後追いで、被害がさんざん報告をされてからじゃないとこの法律の改正に至れなかったということはやはり反省として持っておきたいというふうに思っております。
これは与野党、特に家族を大切にされるという主張をこの内閣委員会でも何度か聞いたことがありますが、そういった意味からも青少年の健全育成ということからも非常に関心の高い問題だというふうに思っています。そういう中で、いつの間にか我々の子供たちがそういった情報に巣くわれているような状況があるとすれば、それは我々与野党共通の課題だというふうに思っておりますので、ぜひとも早期の対策をお願いしたいというふうに思います。
さらに、中身の方に入っていきたいわけですが、私も当選以前から、地元に大きなホテル街というのもあったり、あるいはマンションに住んでいた関係でチラシがかなり投げ込まれたり、そういった意味で多くの方々、支持者からもこのピンクチラシの問題についても報告を受けておりまして、これ一つがライフワークではありませんが、かなりこの風俗営業法については勉強させていただきながらこれまでも取り組んでまいりまして、そういった中で幾つかさらに質問させていただきたいと思います。
まず、今回の改正の広告規制というところについてお伺いしたいと思うんですが、いただいた国会の資料の中で、本当は次からページを振っていただきたいなと思うんですが、六の関係資料というところがあるわけです。この三番目です。ページ、ありましたね。七ページに書いてあります、「雑誌等に掲載された広告にみる性風俗関連特殊営業者の届出の有無の状況」というのがあります。
これを見ると、我々もいわゆるスポーツ新聞なんかをたまに見ることがあるわけですが、あるいは一般の雑誌にもこういった性風俗関連特殊営業の広告がずらっと並んでいる。一言なかなか興味をそそるような言葉と電話番号が書いてある。あるいは写真が載っているものもありますが、それの警察の調査結果として、届け出が確認できたのはその広告掲載中の、上から言うと、一四・九%、二八・九%、四八・三%、七〇・一%、三九・八%。
これは大手かどうかわかりませんが、普通のスポーツ新聞Aあるいは週刊誌B、風俗専門誌に限らず、割合は非常に低いわけですね。いわゆる公器と言われるこういった報道機関というかマスコミも含めて、届け出されていない性風俗の業者が広告を出しているのを我々は見過ごしているんじゃないのかなというふうに思うわけです。このことについて、大臣、問題意識はおありですか。
○竹花政府参考人 今回の法改正は、この点を一つの私ども改善したいものとして考えて、広告宣伝活動について規制を加え、無届けの業者に対する規制を強化するということでございます。
○泉委員 これは、お伺いしたいんですが、例えば、こういった新聞社あるいは雑誌社、あるいは、こういった情報をダイレクトメールで送る印刷業者や郵送業者というものは、一般論として、これは犯罪の幇助には当たらないんでしょうか。
○竹花政府参考人 無届けであるということを知らずに協力をしているという状況でありますれば、幇助としては問えないというふうに考えます。
○泉委員 ということは、知っていた場合には、これは幇助になると。すべてがというふうに私は言いません。一般論として言えば、それはなるということなんでしょう。
でも、それは、我々、何も落とし穴を設けて、一人でも多くの人間を摘発したいなんというふうには思っていないわけでして、例えば、広告業者に対して広告を申し出るとき、打つときに、今回の法律の改正では網がかけられる、例えば、届け出受理書というものを提示するようになっているんでしょうか。
○竹花政府参考人 公安委員会が届け出受理書を届け出た業者に対して発行するわけでございますけれども、広告宣伝業者が求めれば、そうしたものを業者の側は提示しなければならないという規定にしてございます。
○泉委員 これは、求めればというふうにした理由をお聞かせください。
○竹花政府参考人 これは、やはり広告をしようとする業者が適正なものであるかどうか、広告をする業者の側としては確認をするように、できるようにしようというのが今回の趣旨でございまして、そういう意味で、提示を求められれば必ず提示はするよ、そういうふうな規定にいたしたものでございます。
○泉委員 今まさにおっしゃいましたよね。本当は、するという表現をしたかったところが、できるようにというふうにされたわけです。これは一方では、確認をしなければ提示がないということになってしまうわけですね。
もう一度、その理由をお聞かせください。
○竹花政府参考人 今回のこの法令を広告業者等を含めまして十分周知することを通じまして、こうした提示を必ず求められることが十分やっていけるというふうに私ども判断をいたしております。
○泉委員 既に業界へ通知、指導はされていますか。あるいは、今後する予定は。
○竹花政府参考人 まだ出しておりませんけれども、十分な周知の方法を検討して、実施をしてまいりたいと考えております。
○泉委員 大臣、また資料集の二、法律案要綱というところの二ページになるわけですが、第二というところで、「関係者から請求があったときはこれを提示しなければならないこととする。」というような書き方になっているわけです。
ただし、私は、やはりこういった、特に風俗専門誌まで至れば、自分たちがこれまで営業をした結果の利益となってきた広告ですね。ここについて、いや知らなかったんですと言ってしまった方が利益になってしまう状況が今あるわけですね。そこに対して、わざわざ、いや届け出受理書を提示しろということを本当に言ってくれるのかどうか。ここはやはり、普通に我々が考えると、非常に実効性に乏しくなってしまうのではないのかなというふうに思っております。
今回、これ以上望むことはできませんけれども、ぜひこれは今後の検討課題、そしてやはりこういった調査を引き続き行っていただいて、無届け業者の広告がはびこるような状況が続けば、これは届け出をしている業者に対しても、結局は届け出をしても何のイメージのアップにもならないし、逆に言うと、届け出をした業者がただ単に損をするだけじゃないかということになってしまいます。
何より、一般の方々に対しても、無届け業者がはびこることを許すということについては、これは非常に大きな問題だというふうに思っておりますので、広告に掲載をする際は、やはりぜひ届け出受理書を提示することを義務づけるというような形で将来的に整備をしていただきたいということをまず要望させていただきたいというふうに思います。
その届け出受理書に関しまして、次に移りたいわけですが、これも店舗に備えつけるということが書かれているわけです。
これもやはりおかしな話でして、一般のお客さんも含めて関係者から請求があったときにはこれを提示しなければならないこととするということになっているわけですが、これもやはり恐らく、もう答弁は求めませんが、関係者から請求がなければ見せなくてもいいということになるわけです。
ただ、関係者の中にお客様も含むということになっているようですから、例えば、その客にとってはそこが営業禁止区域かどうか、これはわからない。でも、いきなり警察に踏み込まれたら、これは引っ張っていかれて事情聴取も中にはあるかもしれないわけですね。我々、テレビ番組の警察二十四時とかそういうものをたまに見ますけれども、そういったことからも、やはりこれは店舗にぱっと入れば見える形にできないのかなと。そうすれば、営業の届け出がなければ一発でいわゆる客側もわかるわけですね。こういったことについて、私の提案について、大臣、どう思われますか。
○竹花政府参考人 今回の改正では、届け出書の提出があったときにはそうした届け出受理書を交付することになっているわけでありますが、これを行うことによって、無届けとは知らずに手をかす広告宣伝や店舗の賃貸の状況が大きく改善されるということをまず期待いたしているところでございます。
また、この書面は届け出受理書でございまして、許可証というものとはやや性質が違うという側面も考慮をいたしまして、このような形にいたしたものでございます。
○泉委員 業者の中には、届け出済み店なんという言い方をしながら、実際には届け出をしていないケースというのも多々あるわけですね。ですから、我々は届け出済み店ですという相手側からの一方的な言い分では、これは真偽はわからないわけです。
しかし、偽造をしない限りにおいてですが、やはり届け出受理書がある者が、店舗の前面に掲示をされていれば、文書の偽造がない限りには、許可ではないが届け出受理書というものがあるということで、随分と私は業界をさらに改善させる後押しになるというふうに思っております。これも今後の課題としてお含みをいただけたらというふうに思っておりますので、ぜひ御検討を願いたいというふうに思います。
今少しビルオーナーのお話がありましたが、実は、これは局長が東京都におられたときになるのでしょうか、非常にいい取り組みをなされております。それは、いわゆるビルオーナーに対してもやはり条例で規制をしていくべきじゃないかというようなことを、既に東京の繁華街等における迷惑行為対策懇談会というもので話し合いがなされております。
このビルオーナーについても、繰り返しこういった違法営業に手をかしている者については幇助に問えるのではないかということも含めて書き込みがなされているわけですが、このことについては今回の風適法の改正になぜ盛り込まなかったのでしょうか。
○竹花政府参考人 現在、歌舞伎町を中心にいたしまして、繁華街においてビルオーナーがこれらの問題についてやはり何らかの役割を果たすべきだという観点で、一部の繁華街で取り組みが始まったばかりでございます。オーナーのあり方について条例化をしているところはまだどこの県もないわけでございまして、今東京都でも検討を進めているという状況だと伺っております。
私どもも、今回の風営法の改正によりまして、ビルオーナーが無届けの性風俗業者に安易に部屋を貸すというような実態がなくなるような形で今度改正をしようというものでございまして、この法律の効果も相当のものがあるというふうに期待をいたしているところでございます。
○泉委員 さらにもう一点お伺いしたいんですが、やはり少年指導委員について私も少しお伺いをしたいと思います。これはイメージで結構です、細かいことはまだ決まっていませんでしょうから。
例えば、研修というものがあります。あるいは公安委員会の指示によって、例えば、きょうちょっとこれは私の手持ちの資料としてだけなんですが、ホテヘル案内所のようなもののところにも立ち入りをするというようなことが書かれているわけです。業務が明確化されたというのは非常にすばらしいことだというふうに思っているわけですが、研修というものは例えば年に何回程度、何日程度のものを想定されているのか、立ち入りというものは年に何回程度のものを想定されているのか、それについて少しお伺いをしたいと思います。
○竹花政府参考人 詳細につきましては、今度の法改正を受けましてきちんとした研修をもちろん全国的に行うことといたしておりますが、定期研修につきましては、少年指導委員の任期が二年であることから、少なくとも、できたら年に一度は研修をしようということで各都道府県において取り組んでいるところでございます。
○泉委員 私も、地元で実は少年補導委員の方をさせていただいています。大体、各都道府県、自治体においては少年補導委員というのが地域に広くあり、その上に実は何人かの選ばれた少年指導委員というものが存在をしている。そして、さらにそれを警察がいろいろと御指導というかお世話をしていただいているということがあります。
この少年指導委員というのは、今後こうして役割が大きくなっていくということについていえば、やはりすべて、町の相談業務においても、それは警察が対応できないという中で非常に大きな役割を今後この六千二百五十四名の方々は担っていくということに私はなるというふうに思います。ある意味、地域の少年補導委員、こういう方々に対してもいろいろな情報をお渡しする側に立つでしょうし、あるいは、中には講師という形で少年補導委員の方を指導していただくような形になるかもしれません。
そういった形でいうと、まだその中身がよくわからない部分もあるんですが、現在、無償でお仕事をしていただくということなんですが、もう一つ言うと、私は実は地域で消防団員もやっておりまして、こちらの方は、基本的には私たちは月二回寄り合いがありまして、一回ごとに、寄り合いに出ますと手当が多少出るという仕組みになっております。
各省庁それぞれ予算というものがありまして、単純に有償化すればいいというふうには思いませんが、少年指導委員の役割が明確になった時点で、それなりの負担が、時間をとるということになってくるようであれば、あるいは、先ほどちょっと示しましたが、いろんな風俗店に立ち入りをするということは、少なからず精神的、心理的にも負担を与えるものだと私は思うんですね。
もちろん、それ以上の責任感を持って取り組まれている少年指導委員の皆さんだと思いますが、そしてまた、ボランティアだからこそという皆さんも多数おられますから、決して望んではなれないかもしれませんけれども、やはり、その業務の量にかんがみて、ここについては、全く無償でよいのかどうかということについてはぜひとも再検討をしていただきながら、この少年指導委員というものについては細かくお定めをいただきたいというふうに思っております。
大臣、改めて、今お話をしました、一つ目が広告規制。多くのメディアに対して広告の営業をするときに、届け出受理書というものを出すべきじゃないかという話が第一点。そして二つ目が、お店にもその届け出受理書を掲示すべきじゃないかという点。そしてまた、ビルオーナーに対しても、やはりしっかりと届け出受理書を見せてもらって、悪質なビルオーナーについては取り締まりをしていこうじゃないかという点。そしてまた、今言った少年指導委員の有償、無償、あるいは業務の中身についての点。
この点について、ぜひともこれからの、この法律をさらに細かく定めていく中において検討の中に入れていただきたい、あるいは次回の改正の検討の項目の中に入れていただきたいというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○村田国務大臣 委員が御指摘なされることももっともなところがあるわけでございますけれども、施行をしてみまして、その状況を見ながら、やはり実態を見ていかなきゃいけないなというふうに思うわけです。
これは保健所のあの許可証の提示も同じようなところがあると思うんですが、例えば、営業の実態は、同じ場所で朝から深夜まで、経営者がくるくるかわっていくという実態もありましょう。だから、取り締まりについても、なかなかそういう意味では大変だろうなというところがありますので、まずは、今までなかったようなこういう規制をかけることによって、要するに一番のねらいは違法な営業がなされることがないようにということを実効あらしめるということでございますので、とにかく実行してみまして、踏み込んで、どれだけ要するに是正されるかという状態も見ていかなければならないんじゃないかというふうに思います。
それから、広告のものもそうですね。広告を出す雑誌とか新聞社の方も、実際問題として、いわゆる例えば文字媒体であれば記録が残るわけでございますので、そういう意味で、その責任が問われるということになるわけでございます。
それから、最後の指導委員について何らかの報酬をということでございますが、これはいろんな難しいことがあります。
例えば保護観察制度の中で、要するに、これは法務省の方でございますが、これについて、やはり、こっちの方がもっと高年齢の方が多いわけでございまして、保護観察制度の実効性を確保し、またできるだけ若い人に加わってもらうように、お金を、実費じゃなくて、お払いすべきじゃないかという声もあるし、私もそう考えたときもあるのでございます。
しかし、やはりこういう活動について、ボランティアで参加するという極めて崇高な意思というものもたっとばなければいけないということもありますし、なかなか難しいことでございます。いろいろなことに影響がございますので、いろいろ考えつつ、委員の御指摘もまた検討をさせていただきたいというふうに思っております。
○泉委員 ありがとうございます。
ちょっと聞き忘れていた点がありまして、少年指導委員についてもう一回ちょっとお伺いしたいんですが、今回、公安委員会の指示によって営業所または事務所に立ち入ることができるという形になっているわけですが、確認をしたいんですが、この立ち入りの目的なんです。といいますのは、やはり少年指導委員に現場の実態を見ていただくという意味での研修的な要素として立ち入りをしていただくのか、あるいは、捜査目的ではないということはこの法文にも書いておりますけれども、何らかの業者の改善を目指して立ち入りをさせようというものなのか、そこについてちょっとお伺いをしたいと思います。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
営業所等の立ち入りを行いますのは、営業者が少年の健全な育成に障害を及ぼすような行為をしていないことを確認するとともに、それらの遵法意識の向上を図るほか、そのような場所に出入りしている少年に対する補導や援助といった働きかけを行うことが有効であるというふうに考えておりまして、そういう目的のために立ち入りをしていただこうというものでございます。
○泉委員 この立ち入りも、書き込めば何となく新しい役割かなと思うんですが、実際に意味のあるものになっていかなくてはなりませんので、先ほど小宮山委員の質問の中でもありましたけれども、例えば、今男女比でいうとほぼ八対二という形でこの指導委員が成っているわけですね。私もふと思いつきますに、これまでの委員の皆さんの構成については仕方がないわけですが、そういった現場の状況を見るということにおいては、一般的には利用者は男性でありまして、そういった意味でいうと、逆にサービスを提供する側は女性が多いわけです。
そしてまた、より健全なこういった性風俗というものをつくっていこうと思えば、もっともっと女性の皆様にもこういった現場の実態というものを知っていただく中で、逆に言うと、サービスを提供する、しなければならない状況になる女性の方々をまた減らしていくということも一つ大切な観点かなと思いますので、現在のところ八対二というところは、今後徐々にということで結構でございますけれども、ぜひともより一層努力をしていただきたいということも申し添えておきたいというふうに思います。
さらに、ちょっとお話をしたいわけですが、一点、気になったところがあります。映像送信型の風俗営業というものがあるわけですが、これは実は罰則がほかの業態に比べて緩くなっております。まず、その理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
映像送信型性風俗特殊営業に対する規制は、平成十年の風営法改正により導入されたものでございますが、この際、この種の営業が性を売り物とする営業であり、一たび違反行為が行われた場合には善良の風俗その他に大きな影響を及ぼすものだということではありますが、他方で、この映像送信型の営業のあり方が他の営業に比べて、営業の停止の処分を設けるということになりますと、表現の自由との関係、とりわけ事前の検閲との関係等について慎重な議論を要するというふうな配慮がございまして、指示処分は設けましたが、営業停止処分の規定は設けなかったというふうに承知をいたしております。
○泉委員 今まさに、また出ましたね、表現の自由とのかかわり。これもやはり再検討していただきたいというふうに思っております。平成十年に追加ですから、もうこうして現在平成十七年ですから、大分たっているわけですね。
そういった中で、検討されているのであればその結果というものをそろそろ出していかなければならない時期だというふうに私は思っておりまして、もう現状においては、実際の接待があったかないかということでは、いわゆる一般国民の性的好奇心というものを割り切れなくなってきている部分が私はあるというふうに思っております。
実際の接客、接待というものではなくても、やはり専ら性的好奇心をそそるためのこういった業態があり、そこに金銭が発生をしているという現状があるわけですから、これはやはり、一つの営業としてこうして位置づけられているという現状も考えますと、ぜひここについても、現在、指示ということでは実効性は全くないという状況がございますので、何らかの、厳しいかもしれませんが、これも法的規制、直罰も含めて御検討いただきたいということをお願いしたいというふうに思います。これは答弁は結構です。
そして、最後、あと十分程度ですが、最後の問題に触れたいというふうに思います。先ほど、連係をしていたわけじゃないんですが、吉井議員からちょうど御指摘があった実はラブホテルの件についてであります。これもやはり、これだけ風適法が幾度も改正をされている中で、非常にここの部分の法律が古いままになっているという現状がございます。
もう皆さんきっと御承知のことかと思いますが、実際のところ、町中にはいわゆる風俗営業適正化法に入らない範囲のシティーホテルですとかレジャーホテルという形でのホテルが多数存在をしております。もしかすれば、これは届け出をしているホテルの数よりもはるかに多い数そういったホテルがあるというふうにも言われております。
これは財団法人社会安全研究財団というところがございまして、理事の中には警察出身の方も何名か入られているところでありますが、そこの研究の中の一つでも、「ラブホテルに関する調査研究報告紹介」というものがありまして、「実際、新宿・渋谷地区内にはおよそ三百のホテル・旅館等があるが、警察署に届け出をしている営業所は半分に満たない。」というような調査結果報告も出されているという現状なんです。
これはなぜなのかと。私も見てみましたら、ラブホテルというものを定義づけるには、三つというか二つというか、要件があるわけですね。それはやはり、一つは施設であります。施設要件があるということ。そして、設備の要件があるということ。そして、構造の要件があるということなんです。
そして、施設の要件については、「レンタルルームその他個室を設け、当該個室を専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設」ということになっております。そして、食堂の広さですとかロビーの広さが書いてある。構造については、いわゆるモーテルと言われる、車の入る車庫の場所とか、車庫の見える見えないの構造が書いてある。
そして、設備のところは、「次の各号のいずれかに該当するものとする。」と書いてあるんですが、ちょっと恥ずかしながら少し読ませていただきますと、「動力により振動し又は回転するベッド、」というものですとかが書いてあるわけですね。
でも、皆さん御承知のとおり、今そういった施設でいわゆる回転ベッドというものが設置をされているようなものは、いわゆる一般の人たちが考えるホテルの中では少ない、ほとんどないわけです。ほかにも要件が幾つかあるわけですが、これは昭和五十数年ぐらいまでは恐らく実態に合っていたんでしょう。
しかし、現在はこういった実態にひっかからないようにホテルを建設しているという、それがやはり実態なわけですね。確実に最初はビジネスホテル、あるいは一般のホテルだという形でいろいろな建築申請等々を行い、しかし構造を見れば、先ほどほかの委員がおっしゃったように、実は個室ばかりがそろっているというようなケースが間々あるという状況で、この風俗営業の規制及び業務の適正化に関する法律施行令、これを変えるつもりはないのか、まずお伺いしたいと思います。
○竹花政府参考人 この政令は昭和五十九年に定められているものでございますが、ラブホテルを規制する一つの観点といたしまして、一般のホテルや旅館を不当に規制することがないように切り分けていくということが必要であるという観点で、今委員御指摘のような設備についての規定をラブホテルとしての要件に定めているところでございます。
これが、現状においてラブホテルとして利用されているホテルの設備がどのような状況になっているのかということについては、警察庁といたしましても、今後、実態をよく調査して、このような要件について改正することが必要かどうかよく考えてまいりたいというふうに考えます。
○泉委員 ありがとうございます。
実態を調査してというふうに言っていただきましたので、各都道府県に件数あるいは改善件数、それぞれ実態調査をぜひともしていただきたい、これは約束としてお願いをしたいというふうに思います。
そして、そういう中で、ラブホテルに関する調査研究というものが、先ほど言いました社会安全研究財団というところでなされているわけですが、多くの業者に調査をかけたものが結果として残っております。その中で、私もいろいろと見て分析をしてみますと、非常にゆゆしき事態となっております。モーテル、ラブホテルは届け出制である、一定の基準に照らし合わせて該当する施設は届けなければならないが、そうでなければ逆に届ける必要はない、そして届け出がされないという状況が非常に多くなっている。
そういう中で、業者にとって、届け出をすると不利だ、届け出をした方が規制が多い、いろいろな社会的な目もおかしくなる、届け出をすると不利じゃないかというような判断を業者がしているのであれば、これは合理的な範囲で改善する必要が生じるだろうという調査結果、まず結論として一つ出ております。
そして、届け出業者、非届け出業者、両方からのアンケート調査の結果をまとめると、「業界全体の不公平感になりかねないので、同じように規制すべきである」とする者が七七・六%、「「専ら異性を同伴する」ホテルに変わりはないので、同じように規制すべきである」と考える者が七五・九%いるという調査結果になっております。要は、質的には、客層も含め、届け出、非届け出の違いを否定している、全く一緒だよと言っている業者が非常に多いということが実態なわけなんです。
そして、不利益、不都合の経験があるかないかでいいますと、実は、届け出をした業者の中で三割近くの方々が不利益、不都合の経験はある、しかし、届け出をしたにもかかわらず利益、好都合だったという経験はわずか五・六%だったということなんですね。これではどんどん、届け出をしない者の方が自由に営業ができる、地域住民にもうるさいことを言われずにどんどん建設できるというような意識を我々この法律の側が与えてしまっていることになってしまうんじゃないのかな、私はここは非常に問題であるというふうに思っております。
その意味で、本当に施設、構造、設備という要件、それぞれあるわけですが、これは本当は、どうでしょう、施設ということで「レンタルルームその他個室を設け、当該個室を専ら異性を同伴する」、「専ら」ですから、専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設、もう要件はこれだけでいいんじゃないでしょうか。回転ベッドや大きなミラーがないとラブホテルに該当しないなんということを言っているから、こういった法の落とし穴が今大きく大きく住民の問題となっているということでして、どうですか。そういった改正を検討していただけませんか。
○竹花政府参考人 委員御指摘の調査等も参考にさせていただきながら、まず、私ども、現行法令で立ち入り等を行い、しっかり現行のラブホテル規制というものを実施していくということを努力いたすとともに、今先生の御指摘もございます実態等についてもよく調べてまいりまして、状況の変化に応じた適切な対応をしてまいりたいというふうに考えます。
○泉委員 大変ありがとうございました。
この調査をしたところは、改めて言いますれば、元警察大学校長も含めて四名ほど警察から行かれている大変公的なというか、ステータスの高い団体ですので、ぜひともそれは御検討いただきたいというふうに思います。
私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時七分散会