衆議院

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第5号 平成17年10月26日(水曜日)

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平成十七年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 剛男君

   理事 河本 三郎君 理事 戸井田 徹君

   理事 西村 康稔君 理事 山本  拓君

   理事 吉川 貴盛君 理事 泉  健太君

   理事 大島  敦君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    江渡 聡徳君

      遠藤 宣彦君    小野 次郎君

      小渕 優子君    木原 誠二君

      佐藤  錬君    桜井 郁三君

      土屋 品子君    土井  亨君

      中森ふくよ君    松本 和巳君

      松本 洋平君    宮澤 洋一君

      市村浩一郎君    大畠 章宏君

      川内 博史君    小宮山洋子君

      鉢呂 吉雄君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田口 義明君

   政府参考人

   (警察庁長官)      漆間  巌君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁長官官房会計課長)            西村 泰彦君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    小林 武仁君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     松本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 和巳君     松本 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 憲法改悪反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第一一五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三三号)

 憲法改悪に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二八号)

 憲法二十五条を守ることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第一二九号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三一号)

同月二十六日

 全国戦災犠牲者の平和慰霊碑建立に関する請願(大島敦君紹介)(第一九七号)

 同(河本三郎君紹介)(第一九八号)

 同(滝実君紹介)(第一九九号)

 同(山本拓君紹介)(第二〇〇号)

 同(泉健太君紹介)(第三一〇号)

 同(田端正広君紹介)(第三一一号)

 同(松島みどり君紹介)(第三五九号)

 同(保岡興治君紹介)(第三六〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三六一号)

 非核三原則の法制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇一号)

 同(石井郁子君紹介)(第二〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇三号)

 同(五島正規君紹介)(第二〇四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇八号)

 同(仙谷由人君紹介)(第二〇九号)

 同(高木義明君紹介)(第二一〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一一号)

 同(保坂展人君紹介)(第二一二号)

 同(三谷光男君紹介)(第二一三号)

 同(山田正彦君紹介)(第二一四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三一二号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第三一三号)

 同(松本大輔君紹介)(第三一四号)

 同(三井辨雄君紹介)(第三一五号)

 同(山井和則君紹介)(第三一六号)

 同(柚木道義君紹介)(第三六二号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 警察に関する件について調査を進めます。

 この際、十月二十四日、松山市において実施いたしました警察に関する実情調査につきまして、その概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、戸井田徹君、西村康稔君、山本拓君、泉健太君、大島敦君、田端正広君、吉井英勝君、そして私、佐藤剛男の八名でありました。

 実情調査においては、愛媛県警察における会計経理をめぐる諸問題について、愛媛県警察本部長粟野友介君及び愛媛県公安委員会委員長吉村典子君の二名に対し、個別に意見聴取及び質疑応答を行いました。

 まず、粟野君から、

  大洲警察署における捜査費不正執行調査の経過及び処分結果

  愛媛県監査委員による愛媛県警特別監査の概要と結果及び同県警における監査結果を受けた不適正執行額の返還等

  現職の鉄道警察隊巡査部長による告発の概要とその調査結果

  当該巡査部長の配置がえと訟務事案等

にわたり愛媛県警察における捜査費会計経理問題等についての説明を聴取いたしました。

 これに対し、各委員から、

  不正経理問題に対する県警本部長としての所感と今後の対応策

  当該年度以外の捜査費に対する内部調査の可能性

  県警本部長自身による聞き取り調査の必要性

  不正経理の再発防止、適正執行に向けた早期の具体的施策

  公益通報者保護法の趣旨を尊重した告発者の取り扱い

等について質疑が行われました。

 これに対し、粟野君から、

  まことに遺憾であり、申しわけなく思っている。現在、内部調査続行中であり、厳正かつ速やかに調査していく所存である。

  現在、実施中の平成十三年度に関する全面的な内部調査を実施した上で、他年度についても実施するか判断したい。

  逐一状況の報告を受けたり、調査班の現場に行って、作業状況のメモや書類を見るなどしており、本部長として確認している。

  再発防止に向けて、署長・副署長会議、巡回指導等を通じた指導教養の徹底や、監査体制の強化、捜査員からの直接の聞き取り監査や臨時の監査等を行う。

  告発者に対し公益通報者保護法等の精神を尊重して対応している。

等の答弁が行われました。

 次に、吉村君から、

  大洲警察署における捜査費不適正経理問題の経緯

  県監査委員の特別監査とその結果を踏まえた公安委員会の対応

  現職警察官による内部告発会見の内容及びその真偽の調査

  県民の理解及び再発防止のための今後の対応方針等

愛媛県警察の会計経理問題に関する愛媛県公安委員会の対応について説明を聴取いたしました。

 これに対し、各委員から、

  不正経理問題に関する公安委員会の対応

  会計処理のみでなく、予算執行自体が不適正ではなかったのか

  内部告発者である現職警察官の配置がえについての認識

  調査の客観性、公平性を確保するためにも告発者への事情聴取の必要性

  再発防止に対する取り組みいかん

等について質疑が行われました。

 これに対し、吉村君から、

  公安委員会が監査に立ち会うなど県民の目線に立って努力していく。

  予算執行自体は適正だったと認識している。

  当時の状況や、本人の資質・能力から、異動は妥当なものであったと考える。

  現職警察官の告発内容の真偽を確かめることが先決である。

  職員倫理向上の徹底を指示した。会計監査についても、捜査経験者を監査体制に加える等のチェック機能の強化を図っている。

等の答弁が行われました。

 なお、今回の実情調査に当たりまして、御協力をいただきました方々にお礼を申し上げ、御報告といたします。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君、内閣府国民生活局長田口義明君、警察庁長官漆間巌君、長官官房長安藤隆春君、会計課長西村泰彦君、生活安全局長竹花豊君、刑事局長縄田修君、警備局長小林武仁君及び法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。民主党の大島でございます。

 きょうは、月曜日、おととい行いました愛媛県警に対する委員会としての調査に関しまして質疑をしていきたいと思います。

 私、これまで警察に関しての質疑というのは携わったことがなく、今回初めてさせていただきます。

 これまで五年間、厚生労働委員会を中心に、厚生労働関連でも、これは兵庫ですか、兵庫の労働局の不正とか、幾つかの予算の不適切な執行があったことを記憶しております。ですから、今回のこの愛媛県警の事件に始まる警察一般の、警察全体に関する経理の疑惑について、なかなかのみ込めない、まだ納得できない点がございます。

 例えば、今回の愛媛県警の調査報告書というのが三つ出ておりまして、一つは、大洲警察署における捜査費執行に関する調査ということで昨年の九月十七日、それに対する補足の調査結果がことしの六月三十日に出ております。もう一つが、愛媛県警に所属している仙波巡査部長が記者会見を行ったことに伴い、委員会の委員長が求めた結果報告書というのがございまして、全部で三つ報告書が出ております。

 これら報告書を読んでも、なかなか、本当に正しく予算が執行されていたのかどうかのみ込めない、納得できない点が多々ございまして、例えば六月十日のこの資料についても、八ページの内容しかなくて、かつ、その後、正誤表ということで、記載ミスがあったということでの七月付の報告もあるわけでございます。ですから、本当に調査したのかどうか、なかなか疑わしいと考えております。

 その点につきまして、村田国家公安委員会委員長のまずは御所見、普通、調査報告書は、もう少し分厚くて、もう少し丁寧に、かつ、領収書のコピーとかがついてわかりやすい資料を私は当委員会に対して提出すべきだと考えておるんですけれども、この程度の簡単なものでいいのかどうかということについて率直な御見解をいただければと思います。

村田国務大臣 委員会に対してきちんとした資料を提出すべきということはそのとおりでございまして、もし、今委員のおっしゃるように、さらに詳しい資料が要るというならば、委員会で御判断をしていただきたいと思います。

 私どもも、今回の愛媛県の調査報告でございますが、愛媛県の公安委員会の管理のもとに愛媛県警察において調査した結果、これはそのものを報告されたのであって、それを愛媛県公安委員会でも了としてその報告書を受け取ったものというふうに考えておるわけでございます。

大島(敦)委員 今の御答弁ですと、愛媛県の公安委員会においても結果報告書の内容について了として受け取って、かつ、当委員会に提出されたという経緯の御説明がございました。

 やはり、このような資料、このような調査報告書というのは、まずは、県警が正しい仕事をしているという認識に基づいて調査報告するのと、いや、そうじゃない、何か間違いがあるという認識に基づいて調査報告書を受け取るのとでは、受け取る観点が違うと思うんです。

 恐らく、今回の六月十日の結果報告書については、愛媛県警が正しい仕事をしているという前提に立って報告書を受け取っているのかなと思うんです。やはり一つの仕事の仕方として、今回愛媛県警から出ている報告書というのは極めて簡単なものであって、これをもって信じてくれと言われてもなかなか信じられないので、今回のおとといの調査もさせていただいたのかなと考えております。

 したがいまして、今後このような報告書を出すときには、やはり一つ一つの事例、事案について、細かく、かつ納得できるだけの資料をつけて提出するのが私は正しい姿だと思いますし、そうすることによって、警察全体、愛媛県警あるいは警察庁、警察行政に関する全体が信頼感が増していくかと考えております。

 特に、隠すよりも、間違ったものも全部、すべてのことを、一個一個の、ここに書いてある、例えば各警察署のヒアリングを行ったということなんですけれども、それを、一件一件の事案について、それぞれがどういうふうに言ったとか、どのような金銭の領収書等があったのかとか、しっかりとしたものをつけて提出していただかないと、なかなかこれはおざなりの報告書かなと考えております。

 次に、おとといの、これは粟野県警本部長に質問させていただいた中で、県警本部長として、今回の不正経理の捜査費、捜査報償費の使途について直接捜査員に聞いたのか、要は、県警本部長みずから捜査員に対してのヒアリングを行ったのかということを伺ったところ、そうじゃない、それはあくまで捜査に携わっているチームに対してはしっかり聞いているんだけれども、直接現場までおりていって聞いたことはないということを申しておりまして、本当にそれで正しい仕事ができるのかなという疑問を私は感じるわけなんです。

 やはり仕事として県警本部長は、県警本部長があり県警があった場合に、県警としてはずっとその県警の中で働く方が多いものですから、多分二年ごとに県警本部長が交代していくとすれば、そこに対する正しい情報というのが上がっていかないケースもあるのかなと考えるわけです。

 ですから、今回の調査に当たって、今後、県警本部長みずからが陣頭指揮をとることによって、しっかり県警本部長が、全部とは言わないけれども、何人かの捜査員に対して、私だったら心証形成のために多分聞いていくと思うんです、本当に正しく行われているのか行われていないのか。

 書面に基づいてこれを信じろというんだったら、私たちの委員会のレベルと変わらないわけですよ。上がってきた書類に基づいてこれが正しいかどうかを決めるというのは、本当に正しく行われたかどうかが私はにわかには信じがたいと思っておりまして、その点につきまして、今後、調査に当たって県警本部長の役割について国家公安委員会委員長としてどのような取り組みをすべきなのか、その点についてお聞かせいただければ幸いでございます。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 愛媛県警察本部長は実際にどういうリーダーシップを発揮したということをまず御説明いたしますと、これはもちろん、本件調査の責任者としまして、調査全体を掌握して、当初から具体的な調査の方向性を指示いたしますとともに、実際、その調査に当たります調査班にみずから赴き報告を受けて、また、現場で聞き取り状況を記載しましたメモを見るなどしまして、常時調査状況を確認しているところであります。

 したがいまして、今委員御指摘のように直接捜査員に話を聞いておりませんけれども、やはり、これだけの大きな組織の長として、それぞれのつかさつかさを叱咤激励してといいますか、チェックしながら、全体として調査責任者として陣頭指揮を図る、そして県警本部長として責務を全うするということを我々としては妥当なものだと思っております。

大島(敦)委員 確かに、今までの仕事の仕方というのは、県警本部長が組織の二千三百人のトップとしてつかさつかさに任せて調査を行っているというのは、一般的な業務であれば正しいかもしれない。

 しかしながら、今回のように、国民からあるいは県民から疑いを持たれていて、それを晴らさなければいけないという特別な職務を遂行するに当たっては、県警本部長を任命するのはたしか国家公安委員会委員長ですから、その国家公安委員長に任命された県警本部長としては、国家公安委員会委員長として愛媛県警の本部長に任命しているわけですから、そこの県警本部長として、役割が組織の中に埋没するのではなくて、組織と一定の距離を置きながら捜査すべきだったと私は考えるんですけれども、その点について委員長の御所見があれば伺いたいんです。

村田国務大臣 しっかりとした調査をして、その結果をきちんと説明して、県民の不適正な会計執行に対しての疑念を晴らすというのは大変重要な仕事だ、こういうふうに思います。

 ただ、今官房長も申し上げたとおり、つかさつかさでということでお答えをいたしましたけれども、大変膨大な書類等を、あるいは直接捜査員からヒアリングをする、そういう作業に県警本部長がみずから取りかかった場合に、果たしてそれが、仮に一部を見ることによって予断を持ってしまって、最終的に県警本部長の公正な判断が導かれるかどうかということについても、必ずしもそこはそうなるかどうかわからないというところもございます。

 だから、私は、そういう意味では、本部長が細部というか直接の具体的なところまで入ってみずから調査に入り込んでしまうというのが、果たしてその調査の公正さを確保する観点からいってもいいのかどうかという判断はまた別途あるんじゃないかというふうに思うんですね。

 今大島委員のおっしゃるようなやり方もないわけではないと思うんですが、それは公正な調査というものに対して予断を与えることになってしまって、かえって間違ってしまうということもあるかもしれないので、それはそのトップに立つ人の調査についての指揮の方針みたいなものがあってそういう形になっている。私個人としても、そういう形の方がむしろいいのではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

大島(敦)委員 今回のこの事案というのは、自分の組織が正しく業務を行っているかどうかの多分監査的な調査ですから、それに関しては、県警本部長が陣頭指揮をとり、一人一人ごく少数の捜査員のお話を聞いて心証形成をして、確かに全体的にそれが正しい判断に結びつくかという村田委員長の御見解はわかるんですけれども、やはり個々に聞いたり見ることによって具体的に心証を形成した方がより正しい判断につながるケースもあるのかなと考えておりまして、その点については、今後そうしていただきたいなと思っております。

 まず、その中で今回の捜査費とか捜査報償費について、使う人、要は捜査費、捜査報償費を使用する職務というのはどんなものがあるのか、二千三百人の愛媛県警の警察官がすべて使うのか、あるいは特定の部署だけ使うのか、その点について伺わせてください。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、捜査費、捜査報償費というのは、犯罪の捜査等に従事します職員の活動のための諸経費、捜査等に関する情報提供者、協力者等に係る諸経費でありまして、その使途は、例えば、レンタカーの借り上げ費とか、捜査本部を設置しますものに伴ういろいろな諸経費とか、聞き込みとか張り込みとか、あるいは捜査協力者への謝礼等に要する経費であるわけであります。

 したがいまして、犯罪捜査等に従事します刑事等の職務にある捜査員が執行することとなりまして、いわゆる制服勤務であります交番勤務の警察官とかパトカー乗務員等は、通常犯罪の捜査等に従事しませんので、捜査費等は執行しないものでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、今のその御答弁だと、要は、捜査費とか捜査報償費を使うのは、制服を着ている警官の方ではなくて、刑事さんとか一部の方しか使っていないわけですよね。そうすると、今愛媛県警で何割ぐらいの方が捜査費とか捜査報償費を使ってもいい職員の方なんでしょうか。

安藤政府参考人 これは、一部といっても、例えば愛媛県警では全体の職員の三五%に当たるものが使っております。

大島(敦)委員 そうすると、捜査費とか捜査報償費に当たって、今の業務的には三五%に当たる刑事の仕事ですか、その仕事に当たっている以外の方が捜査費とか捜査報償費を使用していたとしたら、それは本来使うべき目的ではないものに対して使ったということが言えるんでしょうか。そういうことはないんですか。制服を着ている警官の方が捜査費とか捜査報償費についての請求をするということはあり得ないと考えてよろしいんでしょうか。ないと理解してよろしいでしょうか。

安藤政府参考人 通常のケースであれば、例えば刑事とか薬物の捜査とか公安捜査とか、そういうところに常時配置されております者に捜査費が配分されて、それで捜査活動に使うということはありますが、例外的に、例えば臨時に、大事件がありまして捜査本部に別の所属から応援が来た、そのときに例外的なケースとして使うということはあり得ると思います。一般的には、常時そのポストにいる捜査員が使うという形式になっていると思います。

大島(敦)委員 そうしますと、捜査費、捜査報償費は事件ごとに集約できるのかなと考えるわけです。事件ごとに、例えば、張り込みのために家を借りたとか、あるいは一つの事件のためにタクシーで追跡するためにタクシーに飛び乗ったとか、そのように捜査費とか捜査報償費というのは事案ごとに集約できるという理解でよろしいでしょうか。

安藤政府参考人 これは、可能であるかどうかといえば、可能であります。

 通常、一つ一つの所属において年間こういう使用をしたとか、あるいは捜査員がこれだけ使用したとありますが、個別の事件についてそういうことを常時算定しておりませんので、そういう点では、執行額を算定することは一つ一つの事件については現在ではできないものと思っております。

大島(敦)委員 今回、皆さんのところで、「捜査費経理の手引き」という十七年度版の資料をいただきました。捜査費の支出伺いとか支払い精算書とかいろいろと事細かに書くようになっておりまして、恐らく、自分で勝手に捜査員の方が捜査に当たるのではなくて、一つのチームを組んで、あるいは一つの目的を持って捜査に当たるわけですから、このような届け出書類に各事案について記載をするということだけでも一定の、今後捜査費が、皆さんが不正の疑惑があったんじゃないかと言われたときに、いや、大島さん、そうじゃない、こうやってしっかりと使われているんですよという証明書にもなるかとは思うんです。その点について改善すべきだと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

安藤政府参考人 今委員御指摘のような考えも一つあろうかと思いますけれども、実際は、捜査というのは、組織的な捜査ももちろんありますが、一人一人の刑事が個人的な協力者を開拓しましていろいろ持っているということ、あるいはいろいろな個々の捜査ということですから、それはなかなか今直ちにといっても難しいかなという感じを持っております。

大島(敦)委員 これは、今できるかできないか、手間をかければできるということだと思うんですよ。手間をかければできることと、あとはそれに対する手間の費用と皆さんに対する信頼をどうやって取り戻すかという比較の問題だと思うんです。

 ですから、ここまで結構大きな問題となって、まだ疑惑が晴れないわけですから、この「捜査費経理の手引き」について厳格に執行するとともに、国民の信頼を取り戻せるような仕事の仕方、経理処理の仕方を今後検討すべきかなとも考えるわけなんです。これはすべて手書きであるとは思うんですけれども、集計の仕方によっては可能であるかもしれませんので、その点の御検討をお願いいたします。

 もう一点、国家公安委員会委員長に質問をさせていただきたいんです。

 この場で、きょうも終日村田委員長がここで答弁をされるんですけれども、国家公安委員長と警察庁長官の仕事の区分について、ちょっとその職務について、関係について説明をしていただきたいんです。

 なぜかというと、ここで国家公安委員会委員長が答えた答弁とか答えた内容というのは、直接警察庁の職員あるいは警察庁長官が聞く義務があるのかどうか、それに対して従わなければいけないのかどうか、その点について御所見をいただければ幸いです。

村田国務大臣 よくこの委員会でも質問を受けるんですね。行政委員会というもの、それと役所との関係がなかなかわかりにくいところもありまして、よく質問を受けますが、どうも警察法上、国家公安委員会は、警察庁を管理するという形で法文上は書いておりまして、端的に申しまして、私どもが直接警察庁を指揮監督する権限はないという御理解をいただきたいと思います。

大島(敦)委員 そうしますと、指揮監督する権限がございませんので、管理するということで、それは国家公安委員会委員長とともに国家公安委員会として管理するわけですから、ここでの御答弁が、多分長時間にわたり事細かな内容まで事案について知らなければいけないということは大変なことなのかなといつも感心をしておるところなんです。

 できればやはりこの場に、そうすると、よく言われるのが、警察庁長官は事務次官扱いだから、なかなかこういう委員会に出席して答弁するのはなじまないということを言われるケースもあるんです。その点につきまして、国家公安委員会委員長としての御所見があれば伺わせてください。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、国会における政府参考人の説明については、もちろん国会の御判断にゆだねられるものと承知しております。

 現在、各省の次官は、今議員御指摘のように、これは警察庁長官も同様の立場でありますが、組織内部の統率を主たる任務としておりますので、所管行政に支障を生じさせないよう、慣例といたしまして国会答弁に立てないこととされているわけでございます。

 とりわけ警察庁長官の場合は、警察行政の特殊性から、重大事件、緊急事態への対処などにおいて、長官の迅速な判断が求められる場面があるということで、よりそうした配慮を行う必要性が高いというふうに認識しております。

 その上で、御質問の点につきましてでありますが、警察行政に係ります基本的な問題は、警察庁を管理する立場にあります国家公安委員会、それを代表します国家公安委員会委員長において答弁するという形をとりつつ、さらに細目的あるいは技術的な問題については、これに精通しております警察庁の担当部局長等が答弁することで十分な説明責任を果たすことが可能ではないかというふうに考えておりますので、その事情を御理解いただきたいと思います。

大島(敦)委員 警察の問題は、平成十二年の八月にも、警察改革要綱ということで、当時の警察に対する不信感を取り除くために一回改革要綱が出ております。これに基づいて、村田国家公安委員会委員長の職務、公安委員会についての充実が図られたと理解をしております。

 しかしながら、やはり今回この場でずっと委員長には御答弁いただいているんですけれども、なかなか私たち委員として疑惑が晴れないのは、直接の当事者ではないわけだからなんですよ。

 やはりこれは、その組織を管理する方に対して直接質問をさせていただいた方がかえって組織に対する信頼感が増すのかなと理解していまして、その点については、多分それは委員会の皆さんに御判断いただくということかとは思うんですけれども、率直に委員長としての、政治家としての御見識を賜れれば幸いなんですけれども、よろしくお願いいたします。

村田国務大臣 今官房長からもお答え申し上げましたように、警察庁長官は、警察行政の最高責任者として、四六時中発生する可能性がありますいろいろな事件やあるいは治安情勢に対処しなきゃいけないということでいるわけでございます。

 国会については、説明責任を果たすという観点からいうと、国会とのお約束で関係局長が御答弁申し上げるということでございまして、私が政治家として、国家公安委員会の会務を総理し、また代表するものとして御答弁申し上げることで、私ども国家公安委員会としても、警察行政の全般的な運営方針といいますか大綱について影響力を行使し得る立場にあるわけでございますので、立法府の皆さん方の御意思については、私どもが私自身も含めて御答弁申し上げる形で警察行政に反映できるのではないかというふうに思っております。

 この会計の問題についても、平成十六年の四月に国家公安委員会規則を改正して会計に関する規則をつくって、毎年会計の調査を警察庁が行うべしという規則を定めたところでございまして、具体的に申しますれば、そういうことでもって影響力を行使している、管理の機能を発揮しているということが言えるのではないかというふうに思っております。

大島(敦)委員 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 私は、昨年、通常国会の時期に内閣委員をさせていただいておりましたが、この特別国会から、約一年ぶりに内閣委員会にまた入らせていただいているわけですけれども、まだこの問題が、引き続きこうして警察集中の審議をしなければならない。私は、この問題、いつまで国会で議論をしなければならないのかなと非常に残念な思いを持っております。

 公安委員長、やはり前回の、昨年の通常国会から、この問題というのは早くうみを全部出し切って、そして気持ちを新たに治安対策あるいは国内テロ対策、そういったものに取り組むべきだということを私たちも望んでまいりました。

 そしてまた、警察機構の改革、やはり時代に合わせて改革していかなきゃならない、このことも強く強く私たちは念じておりましたが、残念ながら、五月雨式にいろいろな都道府県の県警でこういった不祥事、不正経理疑惑というものが出てきているという実態がございます。

 これに対して、私たちは今回愛媛県警の視察を行ったわけですけれども、そしてきょうの警察集中審議、できればここで終わりたい、そんな思いを持っているわけですが、しかし、残念ながら、現在は、私の認識ではなかなかそうはなっていないという気がしてなりません。

 そこで公安委員長にお伺いをしたいんですが、私たち、こうして愛媛県警の視察を行って戻ってまいりました。そして、ほかにも複数疑惑が持ち上がっているわけですが、公安委員長として、現在、各都道府県の不正経理疑惑、これが何件認識をされていて、そしてそれはいつ解決をなされる御予定なのか、まずこの件についてお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 泉委員に御指摘をされるまでもなく、警察におきます会計の不適正執行の問題が起こっているということにつきまして、警察行政全般に対します国民の信頼を失うものだとして、国家公安委員長としても、まことに遺憾、こういうふうに考えておりますし、また、そうした疑惑は、まずは厳正な調査をやって、それに基づきまして適切な措置をする、最終的には、二度と起こらないように、警察の職員全般に対しまして会計経理の適正な執行が本当に重要なんだということを認識させていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 まだ何件残っているかということでございますけれども、具体的に何件ということを申し上げるのはなんでございますが、今なお、私ども、国家公安委員会の定めた規則によりまして、国家公安委員会として調査をこれから警察庁を通じましてやってもらわなきゃいけないところが残っているところは、北海道警の調査それから愛媛県警察本部に対しましての調査でございます。その点につきましては、会計検査院の検査の推移、継続状況等も勘案しながら、速やかに調査をすべきものというふうに考えております。

泉委員 今、公安委員長は厳正な調査ということをおっしゃられました。私も言いたくないんです。もう言われるまでもなくという話をされましたが、本当は言いたくないわけですよ、こんな問題について数時間も議論しなきゃならない、余り前向きな話というふうに私は思いません。しかし、やはりしっかりと警察が国民に信頼をされるためには、イバラであっても通らなければならない道であるというふうに思っておりますから、私もこうして質問させていただいております。

 厳正な調査というふうにおっしゃられました。

 私は改めてお伺いをしたいんですが、まず一つ、確かに国のシステムとしては検査院がある、その検査というものがあるわけです。これを公安委員長は、適正に作用している、そして十分なチェック機能を果たしているということでお考えかどうか。

 そして、厳正な調査と言われたときに、これまではいわゆる警察の内部調査という形をとってきたわけです。ですから、ある意味、告発者がいれば、片一方の当事者というのは警察組織そのものになるわけですが、その組織そのものが内部調査をしてきた結果、今のような調査結果が出てきているわけですが、これを厳正な調査というふうな御認識をお持ちですか。

村田国務大臣 一つは、都道府県警察の会計に関しましては、県によるもの、これは県知事が県警本部あるいは都道府県警察に命じてやる調査というものがあるし、それから監査委員による監査というものもありますし、それから国費につきまして警察庁がやる調査というものもあるし、会計検査院のやる会計検査というものもあるわけでございまして、そういう中で会計の適正な執行が図られていくということになるというふうに思います。

 要するに、その会計検査院の検査について厳正に行われているかどうかということについて、私がその評価をするということは大変難しいことでございますし、それは私が意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私の立場から、都道府県警察によります検査、調査につきましては、各都道府県の公安委員会の管理のもとに、適切あるいは適正あるいは厳正に行われているものというふうに考えているわけでございます。

泉委員 もう一つの質問の警察の内部調査ということについて、そのものについてどう思われますか。

村田国務大臣 事実、正直申しまして、これまでの調査について不適正といいますか、十分でないというところもあったかに思います。したがいまして、捜査の対象を、部署をかなりたくさん拡大するとか、あるいは調査の手法も、会計課の課員がやるというようなことではなくて捜査員が加わってやるとか、あるいは聞き取りなんかの手法についてもかなり変えるとか、いろいろな内部の調査のやり方についても、これまでの御批判を受けながら、かなり改善がなされてきているのではないかというふうに私ども考えております。

泉委員 そういう御姿勢で取り組まれてきた結果、先日、視察のときに、視察に一緒に行かれた共産党の吉井議員がお話をされていたことで、愛媛県の県民への世論調査というものをされたそうですね。そのときのことを吉井議員は報告されていましたが、県民の八割が県警の調査に対して、これは信頼できないというような回答を出されている。これはいわゆるアンケート調査なわけですが、多くの一般の国民もです。

 私たちも、ある意味、一般の国民の感覚も時に持ちながら、しっかりとこうした審議に取り組むわけですが、やはり当事者であるところの組織が、第三者機関、例えば公安委員会が特命チームをつくり、各都道府県の公安委員の指導のもとでこういった不祥事、不正経理疑惑について取り組まれたというところは、私は一つもまだ聞いておりません。なぜもう少し客観性を持てるような、いわゆる警察が起こしたかもしれない不正の疑惑について、同僚あるいは後輩がその聞き込み調査に行くということ自体が、これはもう機能しないということ、残念ながら、これはどの組織でもそうです。

 やはり身内に対しての調査というものは、一般的にはそれは及ばないということを考えるべきであって、例えば厚生労働省の薬害エイズの問題のときのような、全国注視のもとで特命チームをつくって、そして資料を捜すという、そこまでの明確な意思が国民に伝わることがあればいいですが、今回この不正経理疑惑、そこまでのメッセージが伝わっていないんじゃないですか。いかがですか。

村田国務大臣 愛媛県の世論調査によって、まだ会計疑惑に対しましての県民の信頼というものが低いという結果が出たそうでございますが、それは大変残念なことでございます。

 ただ、先ほど私も申しましたように、国家公安委員会が専任チームをつくって出かけていくということまではもちろんございませんけれども、例えば県費の関係の調査につきましては、最終的には監査委員の監査というものもございまして、これはまさに第三者機関でございます。

 ただ、警察のいろいろな経費の執行状況の問題については、この委員会でも各委員から何回も御批判もされましたけれども、一定の限界もあるわけでございます。捜査に対しての秘密といいますか、秘密保持という限界もございまして、まるっきりすべてをあからさまにするということについては限界があるということでございまして、そういう意味で御批判があるということも私どもよく存じております。

 しかし、そうであるがゆえに、私どもはいろいろな調査のやり方につきましても、公正さを確保するように、公安委員会も、その調査の手法も含めてしっかりと警察から聞くということで、その調査のやり方についても、きちんとしているのかどうかということについても改めて点検をして、公正さを確保するという努力をしているわけでございます。

 そういうことで、なお一層、私ども厳格な調査に心がけて、一刻も早く県民の信頼の回復に努めなければならないと考えております。

泉委員 委員長、私も、国家公安委員会が地方に出張って、そして特命チームでという、それは最終手段としてあり得るかもしれませんが、そこまでは考えておりませんでして、例えば今回の愛媛県警でいえば公安委員会があるわけです。そして、私は公安委員長からこんな発言をお伺いしました。これはある意味、全国の公安委員長の思いでもあると思います。

 それは、できたら、予算さえつけば、各都道府県の公安委員会の事務局、これをやはり警察職員からの出向ではなくして、しっかりと知識や経験、警察内部のことにも詳しいプロパーの職員で事務局をつくりたいというようなお話をされていました。

 この公安委員長は、もちろん現在の実情を踏まえた上で、それも難しい、そして現在の状況では警察からの出向もそれはいたし方ないという御意見をしっかりと持っていられる方です。しかし、思いとしては、やはり公安委員会としてもう少し独自性を持ちたい、そんな思いも持っておられます。

 愛媛県警には、今、正確な数字はわかりませんが、二千三百人から四百人ぐらいの県警職員がおられるはずです。そういう中で公安委員会の事務局に充てられている人数というのは、もう本当に微々たるものだというふうに私は思っております。二千三百人近くの県警職員がおられるのであれば、やはり公安委員会の事務局に独自のスタッフをせめて十数人置くぐらいの、今警察官の増員計画も出しているわけですから、私は、そのぐらいの予算を確保していいのではないかなというふうに思っております。

 大臣、この公安委員会の事務局の独自性を確保するために事務局を独立させる、これは答弁の中で、やはり警察の専門知識を持っている人間が必要だという答弁があるとしたら、それを乗り越えていただいて、私は答弁をしていただきたい。そういうことも踏まえたような専任のスタッフを置けるという状況は、この増員計画の中で私はできているというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

村田国務大臣 公安委員会のあり方、管理能力の強化ということについては、警察改革がつとに叫ばれた平成十二年当時に、いろいろな議論が起きまして、一つは、我々国家公安委員会の委員は専任が原則でございますけれども、地方ではそうなっていない、非常勤という形になっているということ、あるいは、今委員がおっしゃったように補佐体制をしっかり充実すべきではないか、こういう意見もあったというふうに思います。

 これは、一つは、いろいろな問題が絡んでおりまして、定員とか予算の問題が重大なファクターとしてあるでしょう。それから、果たして専任をしてくれるようなスタッフがいるかどうか、そういう人たちがいるかどうか。全国くまなく、それで、しょっちゅうそういう人がもう何年かでかわっていくわけですから、そういう人材を確保できるかどうかとか、あるいは、警察行政の二重化が起こってしまうのではないかということですね。

 いろいろなもろもろの意見があって、検討した結果、とりあえず国家公安委員会につきましては、本当に部屋までつくっていただいたわけで、それからスタッフも増強されて、公安委員会の会議の中身も、私が国会で引っ張られていて不在のことも結構ございますけれども、私が出席している限り、かなり子細なところまで委員の皆さん方が警察の幹部に対しまして意見を申し上げて、適度な緊張関係を持って行われている、こういうふうに私は考えております。

 しかし、この会計の問題に端を発して、また再び警察行政についてのいろいろな問題が指摘されておりますが、とりあえず私どもは、国家公安委員会として会計に関する規則をつくりまして、二度とこうした不正経理が行われないように、管理機能をまさにこれまで以上に発揮していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

泉委員 これは、公益通報者保護法という法律が昨年審議をされました。その中でもうたわれていることですが、基本的には自浄作用というものをまず大前提にしたい、私たちもそう思っております。

 しかし、その自浄作用が発揮をされなかった場合は、やはり公益通報者保護法であれば外部通報という形で真実を明らかにしていかなければならないわけでして、今回の警察の問題も、私は正直、一年置いて、こうして今また内閣委員になって、いまだにこの問題が続いているということについて、本当にびっくりしております。

 それは、予算の執行の適正化を検討する委員会まで設けて、警察庁が取り組んできたことは何だったのか。これからももしかしたら、我々も本当に前向きの議論をしていきたいにもかかわらず、またぽろぽろといろいろな都道府県警でいわゆる内部告発というものが出てくるかもしれないわけです。

 そういう状況を早くなくさなきゃならない。私たちは本当にこれを心底願っているわけですから、ぜひ、自浄作用、そしてそれがもし警察内部でままならないのであれば、そしてまた既存の監査システムで足りないのであれば、やはり新たな手を考えていただきたい。

 私たち民主党としては、それは公安委員会が独自の事務局を持つことであり、そして独立性を発揮して、警察内部にももちろんチェック機関、監察機関というのはございますけれども、しかし、残念ながらそこでは機能していないというふうに私たちは判断をしております。

 その意味で、この公安委員会の事務局がさまざまなハードルを乗り越えて、独立性を高めて、そして警察に何か問題があったときにはそれをしっかりと第三者的に調査する、チェックする、そういった機能を持てるよう、私たちは提言をしたいということをまず第一点申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、先ほど我が党の大島議員からもお話がありましたが、改めてここで確認をさせていただきたいと思います。それは、やはり捜査費、報償費の問題についてであります。

 改めて、この捜査費とは何かということをお話ししますと、捜査員の活動のための諸経費、これが一つですね。そして二つ目が情報提供者または協力者に係る諸経費です。三つ目、その他犯罪捜査等の活動を推進することを目的として支出されるもの、そういった認識だというふうに思いますけれども、私は、この日本の社会の中に、警察が情報提供者に協力金を出す、そういう文化が本当にあるのかということをもう一回お伺いしたいというふうに思います。

 そして、あるのであれば、全部を挙げなくても結構です、それは、先ほどは薬物、銃器、公安とおっしゃられましたが、改めて、どの分野においてこういった協力金が支払われるのか。ほかにももっとあるのかもしれませんね、交通安全から、あるいは、ほかにもいろいろあるかもしれません。改めてお伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。

安藤政府参考人 それぞれの情報提供者に協力金を、謝礼を払うという場合は、それぞれの分野ごと、それから濃淡があると思いますが、もちろん公安的な捜査、テロの、例えば極左暴力集団に対して、中から情報提供を、動きをとるという場合もありますし、暴力団捜査というのは御案内のとおりあります。銃器、薬物とか、あるいは交通事件捜査でも、事件捜査の過程で情報提供をお願いするとか、もう少し一般的な窃盗犯とか、ジャンルと濃淡はありますけれども、いろいろな過程で情報提供というのは必要であるわけであります。ですから、そういう幅広い中でこの捜査費が使われて、今日の日本の治安を確保してきたんじゃないかと私は思います。

泉委員 我々、一般に、警察の方から、ちょっと隣に変な人はいませんかと、もし二人の警察官が我が家に来たら、それは喜んで進んで協力をするわけです。そこで金をよこせということは、普通、一般の国民は要求しないというふうに私は思うわけですが、これは、要求をした人間に協力金というものが払われるのか、それともあらかじめこの人にはという目星をつけて協力金を支払われるものなのか、それをお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えします。

 今委員御指摘のような、一般的な地域の住民の自発的な、市民としての普通の協力みたいなものは大体無償でということが多いわけでありますが、そういう場合でも、しょっちゅう、ある事件とか窃盗とか、地域でいろいろなことで事件捜査が進んでいるところに特定の家庭に情報提供をお願いする、そういう場合は、やはりこちらから、わずかでありますが謝礼を支払うということはあり得ると思います。

 向こうから要求というよりは、こちらの判断で決めさせていただいているということでありますし、冒頭、委員おっしゃいましたように、日本の今の捜査の状況を申しますと、だんだん一般の国民も、残念なことに警察捜査に自発的な協力というのは昔に比べて薄くなっている、そういう中でありますので、やはりこの捜査費というのは非常に大事になってきたんじゃないかなと思います。

泉委員 薄くなっているといっても、やはり全国で、数年前までは八十数億、そして最近ではようやく四十億前後ということですが、それだけのお金がこの捜査費、国費の分で出ているわけですね。

 これは全国民に渡るにしても相当な額でして、私は決して、これは協力者が減ったといっても、軽い金額ではないなと思うわけです。それだけのお金が本当に協力者に支払われているんだろうかというふうに思うわけですが、これはさらに、内訳でいきますと、捜査員活動のための諸経費、そして情報提供者や協力者に係る諸経費、これは会計報告上判別されるようになっておりますか。

安藤政府参考人 今委員御指摘のような明細については、そういう統計はとっておりません。現時点では、それは正確な数字はわかりません。

泉委員 そこで、いろいろ追及したいことはあります、ありますよ。でも、あえて前向きな提案をしますが、私は、やはり、この捜査員の活動のための諸経費と、情報提供者、協力者に係る諸経費、これは、これからは分けて報告をしていただけるような体制をつくるべきだというふうに思っております。これぐらいは私はできることだというふうに思いますよ。

 捜査員の活動のためには、いろいろあるでしょう。捜査本部を設置するための什器等の借り上げ費用、あるいは電気、ガス、水道料金、必要経費ですね。こういったものは、別に相手の名前を隠して、そして領収書を書いてもらうようなものではない、ある意味正規の支出なわけですから、それはいいでしょう。全部明らかに、真実のままを出していただく、金額もすっかりわかるはずですね。

 そして二点目、捜査活動に要する経費。この中でいうと、やはり捜査員がいろいろ使った交通費、飲食費、これは同じくやはり何も隠すことはない。近くのスーパーでパンを買ったからといって、別にそれが会計上報告されても全く問題ないわけです。

 では、何が問題かということをもう一回明らかにすれば、これは情報提供者と協力者に係る諸経費なわけですね。そういう認識ですね。

 であるならば、今言った捜査活動のための諸経費と情報提供者、協力者に係る諸経費、これは分けて会計報告がなされるべきだということを私は提案申し上げますが、委員長、いかがでしょうか。

村田国務大臣 後で官房長に補ってもらいますけれども、今、泉委員がおっしゃるように、そんなにしっかりと、はっきりと分けられない、悩ましいところが実は現場ではいっぱいあるんじゃないかなというふうに私は思うんですが、まあ、後は官房長の……。

安藤政府参考人 そういうことを仮に区分けしたとしますと、特に一点申し上げたいんですが、情報提供謝礼についての額というのはもう固定される、特定されるということが情報活動にとってこれは大きな支障を生じる。情報提供謝礼というものはどれぐらいの件数、どういうぐらいの額をやっているとか、そういうこともありますので、これは非常に慎重に考えなきゃいけないというふうに、とりあえずそういうこともあります。

泉委員 まず、大臣にお伝えしたいんですが、今、いろいろ分けにくいというお話がありましたが、ちゃんと警察庁は手引をつくって、事細かく具体的事例を書いて、分けられるように書いておりますので、これは分けられるんです。それが第一点。

 そして、今、協力者に係る諸経費が何件、幾らとわかってしまうと情報収集活動等に支障を来すというお話がございましたが、もしこの日本に、捜査費、協力費が、これが時に情報収集活動や犯罪の撲滅に有効に活用されているということであれば、それは私は、国民に対してしっかりと出していく一つの情報としていいと思いますよ。国民に対して、我々、この国では、情報提供のために、情報収集のために、これだけのお金を使って、そして犯罪をしっかりと防止、抑止をしているんだということを言ったらいいじゃないですか。自信を持って出しているお金ですから、これは言ったらいいと思うんです。

 しかも、それは、別に都道府県警、さらに小さい所轄のところで、何件、幾らなんという話を私はしたいとは思いません。例えば国単位でもいいかもしれません。できれば都道府県単位ぐらいでおさめてもいいかもしれない。この都道府県では、いわゆる情報提供としてこれだけのいわゆる協力費、捜査費をお支払いしましたよ、活用しましたよということをやはり出していただくことこそが、この情報公開の時代、そして警察の信頼が揺らいでいる時代だからこそ、私は必要だというふうに思っておりまして、ぜひ、このことを御検討いただきたいというふうに思います。大臣、いかがですか。

村田国務大臣 私は、そういう数字を出すことが捜査の傾向とか方針を周知、明らかにしてしまう、だから困るんだという意味で、多分、官房長が答えたというふうに思うんです。だから、そういうところの問題があるということで、出すのは余り適当ではないという答えになったんだろうというふうに思います。

泉委員 これは、この捜査費については、平成九年度以前は、これは県費捜査費になりますけれども、講師謝金とかを一緒の執行の額の中に含めていたものですから、県費捜査費そのものの執行額がわかりませんでしたという答え方になっているわけです。要は、何かと一緒に抱き合わせをすることで全体が確かにぼやける、そのことによって捜査に関する、かかった費用というものが確かにぼやかされる。それもそれでメリットもあるでしょう。

 しかし、やはり都道府県レベルぐらいで大枠で出すことは、何もそれは捜査に支障を来すものではないですし、そして、モラルハザードが起こるというような御懸念もあるのかもしれませんが、私は、この日本の国民はそんなに低俗な国民ではない、たかりの国民でもないというふうに思っておりますので、これはしっかりと機能できる。

 逆に私は、例えば薬物対策や暴力団対策のいろいろなデータというものをよく見るわけです。そのときにいつも思うのは、犯罪が減ればこれは捜査費が有効に機能したからだと言い、犯罪がふえればやはり捜査費が必要だと言い、結局、捜査費が必要だという説明を警察の方はしてくださるわけなんです。しかし、やはりそれではわかりにくい。これだけ薬物の検挙事案があったり、あるいは銃器の押収事案があったり、そういうことについてのこの捜査費の関連性、費用対効果が全く今PRできていないわけですね、警察の方として。

 やはり私は、これを積極的にPRをしていただくという観点からも、もう時間が余りありませんから、ぜひともこの捜査費、今は非常にわかりにくい、ぼやかした、あえて輪郭をはっきりさせていないというところもあるかもしれませんが、この捜査費については、やはり捜査員がこれまで普通にパンを買う、什器をそろえる、什器というのは机、いす、あるいはホテルに宿泊する、そういったものについてはちゃんと報告できるわけですから、実際のところ、国民の皆さんの多くが知りたいと思っているのは、この情報提供者、協力者に係る諸経費、ここがどうなっているのかという問題です。残念ながら、皆さんもそうかもしれませんが、実際のところ、協力金がどんな実態で支払われているかということについて知られていない方が多いと思いますよ。

 例えば、委員長、実際の事例でこんな協力金の支払われ方があった、それが額が幾らだった、そういった事例はお伺いされたことございますか。

村田国務大臣 具体的には存じません。

泉委員 せっかくですから、官房長にもお伺いしたいわけです。

安藤政府参考人 私は現場の警察の幹部をやっておりましたので、情報提供謝礼というものについて、組織としてどういう情報の価値があるかという判断をいたしまして、そういう評価をして、実際に決裁をしたということはもちろんございます。

泉委員 改めて官房長にお伺いしたいんですが、官房長御自身がそれを執行されたことはございますか。

安藤政府参考人 私は捜査の担当課長とか部長とかそういう立場でありますので、それは全部統括する立場ということで、具体的には私のスタッフが執行していたということであります。

泉委員 そういうことでいうと、恐らく、この国会の部屋には実際に捜査費をみずから出されたという方はおられないんじゃないのかなと私は推測をいたします。

 こういったあいまいなところが続くと、なかなか国民の信頼が回復しないということになるわけです。冒頭申しましたが、とにかく国民の信頼を回復できるチャンスが今与えられているわけですから、そこで警察が消極的な対策ではなくして、それこそ小泉内閣であるのであれば、サプライズまではいきませんが、やはり国民が、おっ、やるな、警察、改革しているな、そう思えるような改革を出していただかないと、我々も早く、増員された警察官がどう機能するのか、国内テロに対して我々はどう対処するのか、これについて議論をしたいんですから、早いことすばらしい対策を出していただきたい、このことを改めて私はお願い申し上げたいというふうに思います。

 そして、次の問題に移りたいというふうに思います。

 きょうは警察集中ということで、ちょっとまた違った問題についてお話をお伺いしたいんですけれども、先日、レバノンの首相の暗殺事件がございました。これについて調査をしていきますと、神奈川県の相模原市での盗難車がその暗殺事件に使われていたというようなことが報告をなされました。

 この件についてなんですが、これは実際には、警察庁には鑑識の実動部隊がいないということで、警視庁から鑑識の部隊がこの国際調査に派遣をされたというわけですけれども、警察庁の中で今、鑑識という部署、あるいはたしか国際テロ対策室ですか部ですか、そういった部署は警察庁の中にもあると思うんですが、こういったところにはそういった機能というのはないんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えをいたします。

 今、レバノンに警察職員が派遣されたという件は、これは確かに警視庁の鑑識課員三名が派遣されたということでございます。

 警察庁についての御質問でありますが、警察庁に鑑識の部門というのはございまして、以前は鑑識課というものでありましたが、今は、ちょっとリストラみたいなことをしまして、犯罪鑑識官、たしかそういう名前のもとにあります。これは、指紋とかいろいろ、そういう鑑識資料を集めたり分析するということでありますが、現場の鑑識活動というのがやはり今回レバノンで必要でありますので、警視庁の鑑識課員を派遣したということであります。

泉委員 これは少し手順をもう一回再確認したいんです。どういった流れで警察庁の方にこの依頼が来たのか、これは国際的にじかに警視庁の方に話が来たのか、それとも、警察庁から警視庁の方に話を提供したというか依頼を受け渡ししたのか、その点はいかがでしょう。

安藤政府参考人 これは、レバノンのハリリ首相の暗殺事件というものについて疑いがあるということで、国連でこれが問題になりまして、その国連の調査委員会が設置をされたというのがたしかことしの春だと思います。

 それに基づいて各国が専門家を派遣して捜査するということになりまして、それでは日本の警察も一定の分野で協力ができないかという要請が、これは外務省を通しまして警察庁、これは国の関係でありますと警察庁が国際協力については一義的に窓口として受ける。その中で、もちろん警察庁のスタッフだけでいいということであれば、警察庁だけ派遣するわけでありますが、この場合、非常に専門的でありますので、それを警視庁の方に依頼をしまして派遣を要請した、こういう流れでございます。

泉委員 この国連の調査委員会というのは、何というんでしょう、インターポールでしたか、警察は警察で国際組織がございますね。ここの……(発言する者あり)ICPOですね、ICPO、こちらがこの調査委員会を主導しているということでしょうか。それとも、国連の中での調査委員会ということなのかがまず第一点。

 そして、例えばその国際の警察の組織が、直接警察庁に、そういった例えば事件捜査、国際関係の捜査をするということがあるのかどうか、まずそれを確認したいと思います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 この場合、ICPO、いわゆる国際刑事警察機構がタッチしたということじゃございません。国連の調査委員会のもとに各国に対して要請があったということでありますし、その他捜査要請につきましては、例えばICPOから各国に、加盟国に捜査の共助とか情報提供とか、そういう要請はもちろんありますけれども、この場合はそういうルートじゃございません。

泉委員 今回、警視庁の方にお願いをしたということですけれども、今後、警察庁として同様の組織の必要性、警察庁そのものですね、これは感じていられるんでしょうか。

安藤政府参考人 同様と申しますと、鑑識の分野ということだと思いますけれども、やはり現場のいろいろな事件に出動するスタッフ、そういう中で非常に専門性といいますか、そういうものが磨かれて、世界でも非常に最高水準の鑑識能力を持っているんだと思いますが、そういう専門家を警察庁で鍛えるというわけにはなかなか難しいと思いますし、そういうことで、これは都道府県の能力を活用した方がよろしいと思います。

泉委員 例えば警察庁には科学警察研究所があり、国際テロリズム対策課があり、国際捜査管理官という部署があるわけですが、これはいずれも今回のようなケースには該当しないものなんでしょうか。今回のケースなんかでどこも作用しないというか当てはまらない組織になるんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、科学警察研究所というのは研究者のグループですが、ですから、そこで鑑定といいますか、外国から資料を持ってきましてそれを鑑定するということであれば、国家機関であります科警研の能力を発揮するということでありますし、今御指摘の国際テロ情報官といいますか、そういう分野につきまして、捜査じゃなくて情報活動を外国機関とやるという場合には、これは警察庁の職員がみずからやる分野があるという形でございますが、御指摘の今回のレバノンについては、やはり現場鑑識活動でございますので、そういう形になったということでございます。

泉委員 今回のような国際協力は初めてだということですが、これはある意味、今後も同様のケースというのはこれから道を開かれたというか、そういった認識を持ってよろしいんでしょうか。

安藤政府参考人 今回のケースは全く初めてのケースでありますが、これを一つのステップとして、また国連等から要請があれば検討してまいりたいと思っております。

泉委員 私は本当に警察が大好きです。小さいころ、あこがれもしました。だからこそ、とにかく信頼回復、そして、この日本の治安を守るために皆さんに頑張っていただきたい、そのためのきょうの審議であったということで、どうか、きょう皆さんに御提言をしたことがありましたけれども、真摯に御検討いただいて、そして、よりよい警察行政を進めていただきたいということを最後に申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 先ほど泉委員も質問の冒頭でおっしゃっていましたけれども、私も同感でありまして、一体いつまでこういうことを繰り返さなくちゃいけないのかということを本当に率直に思います。

 私も二年近くこの警察不正疑惑なる問題にいろいろかかわってきて、ある意味で言えば、聞きたくもない知りたくもないことをたくさん聞いてきたなというような思いでいます。

 特に昨今、現職の警察官の方、愛媛の仙波さんが名乗り出たり、さまざまな告発が出てきています。

 その中で一つのパターンとして私が見えてきたのは、これをここでやっても、結局それは一部の問題だということでずっと問題をすりかえられる。そして、一部の問題である。だから、調査をさせてほしい。わかりました、では、調査をしてください。三カ月後、半年後かに調査結果が出てくる。その結果は、当然、内部調査ですから、皆さんがおっしゃる以上のものは出てこないわけですね。てっきり出てこない。おかしいじゃないか。おかしいじゃないかとここで追及しても、いや、それは調査結果ですから、もう調査は済みましたとなる。

 そこでも、ちょっとした証拠があれば、それはお認めになられて、では、そこの部分は認めて謝ります。しかし、それは一部の問題であって、例えば都道府県の問題もなければ全国的な問題もない、こういうことです。

 結局、この繰り返しなんです。それでまた告発が出てくる。いや、そんなはずはないと言って、また現場の警察官の方々から告発が出てくる。それでまた言う。そうすると、また調査しますと言う。結局、この繰り返しをずっと続けていくのかということなんです。

 それで、国家公安委員長にもずっと、ぜひともこの件について志を持って取り組むということを、国家公安委員長が最初になられたときに、冒頭で、私がここで質問したら、取り組むという決意を述べていただきましたので、私は大変期待申し上げ、特に村田国家公安委員長はやっていただいていると。しかしながら、この間も質問しましたように、機構の問題があって国家公安委員長もそこまで及ばない。結局、堂々めぐりで今まで来ているということでございます。

 この間、国家公安委員長の方も率直に御見解を述べていただいたわけでございますけれども、では、どうすればいいのかというわけです。

 本当になければいいんです。本当に、いや、裏金問題なんかありませんよ、そんなの一部ですよと。本当にそうなら、ここでやる必要はないんですよ。ここでもっと前向きなことをやるべきなんです。でも、どう考えてもそうじゃないということばかりが出てくるんですね。

 では、どうすればいいのかということなんですが、私は一つには、先ほど泉委員もここで議論されていましたけれども、やはりここは今の警察の機構というものをしっかりとしていかなくちゃいけない。今は、だから、恐らく警察の皆さんもどうしたらいいか悩んでいらっしゃると私は善意に解釈したいと思っているんですね。この問題どうしよう、みずから言えないなということで、では、どうすればいいのかなということです。

 ということは、では、警察を調べる人間はいないんですよね。恐らく、監査委員制度があります。だから、監査委員がしっかりしているところは、北海道もそうですけれども、いろいろな問題が頑張って出てきているんですね。しかし、それも一部だというふうになっていく。

 ただ、北海道は、鉢呂委員も後ほどこの場で質問されますけれども、皆さんの御尽力、または、警察そのものもやはりみずから浄化作用を発揮させようということで、組織ぐるみということをお認めになられて、そして、十四億でしたか、そういうものを返還しよう。ただ、それも自主的ですからまだ返ってきていない。なかなか自主的に返還される方が少ないということも聞いています。ただ、そういう中でも返していらっしゃる方もいるということで、僕はそれなりにこれは評価しなくちゃいけないことだと思っています。

 しかしながら、北海道だけの問題かというと、そうでもない。さてどうしようかということなんですね。

 それで、これはこの間もちょっと漠然とお聞きしましたが、国家公安委員長、これについて、ここでの議論も踏まえて御感想をまた改めてお聞きしたいと思います。

村田国務大臣 警察の会計の不適正な執行の問題につきましては、皆さん方に大変御叱正を受けてまいりましたけれども、私どもこそ、警察の信頼を、国民からの信頼を一刻も早く回復しなければ警察行政にも支障が出る、そういう認識を持っているわけでございまして、その意味でも、国家公安委員会としても、とにかく警察庁として全国の警察にきちっとした調査をする。

 昨年から、問題が残っておりました北海道と愛媛県警を除きまして調査を実施して、報告も受けているということでございまして、内部の調査もしっかりやっているつもりでございます。

 ただ、一番大切なことは、かつて、恐らくそうした会計の問題について、警察の職員一人一人について、幹部から末端まで認識が不十分なところがかなりあったのではないか、こういうふうに思います。

 そこを再発防止のために徹底していかなければいけないと私は思っておりまして、私も、これまでの在任中、幾つかの県警本部にも視察で参りましたけれども、その幾つかの警察本部の幹部の職員の前で、この会計の不適正執行の問題についてはこれは大変重要な問題で、だから、一人一人が認識を持って末端まで認識してくれ、二度とこういうことを起こさないようにしないと我々の警察行政の執行が危殆に瀕するんだということを申しまして、叱咤激励して帰ってきたというところもございます。

 今回の一連の調査を通じましても、あるいは、これほどまでに長い間このような問題がこの委員会でも議論されるという事態を踏まえまして、警察庁も一丸となってこの問題に取り組んでいると思いますので、その意味で、国家公安委員会としても総意として、公安委員会の内部の会議でも、公安委員会の委員一人一人もこの問題について強い認識を持っておりますので、どうかそういう気持ちでいるということを御納得いただきたいというふうに思います。

市村委員 私も本当に、今委員長がおっしゃったように納得したい気持ちはあるんですけれども、なかなかこれが納得できないんですね。

 私も、調べてみて、ああ、なるほど、それは確かに一部の問題だったな、そういうふうに感じられたら当然納得し、それは一部の問題として、大方は健全なんだからそれでいいんじゃないですかということで済ませたい気持ちはありますけれども、どうもそうじゃないということなんです。

 それで、委員長は今、かつてという言葉も御発言の中でおっしゃいました。これがかつてだったら私もいいんですけれども、ついこの間の仙波部長との、いわゆるこれは有志のヒアリングを行ったわけです。この間の正式な内閣委員会の派遣の事情聴取の後、私たちは有志で行いました。

 そのときにも、仙波さんの方から、やはり今でもあるんだ、今でもなんだと。今は口座で管理されるようになっています。昔はキャッシュ、現金だったんですけれども、今でも、口座に一たん入ったものを、おい、おまえのところ幾ら入っているから今月ちゃんとこれだけ出せ、こうなっておるんだ、こういう話があるんですね。

 それで、この二年間近くの中で私の思いをまとめますと、結局、警察庁のここで議論されていることと現場の状況とがすごく違う。これは認識のずれというよりも、恐らく情報が行かないような仕組みになっているんじゃないかという気がしてならないんです。すなわち、現場の声とここで警察庁の皆さんからお聞きする話が余りにもかけ離れているんです。

 私はあえて、どちらかがうそをついているという言い方はしません。恐らく皆さん、どちらともうそをついていないんだと思います。

 それほどまでに今の警察組織というのは、ある種、一部自動で動いているところがある。過去の慣性、過去の慣習がまだ残っていて、幾ら警察庁の皆さんがここで、いや、改めましょうと言っています、国家公安委員長がそうしたいと言っていますといっていろいろな通達を出しているかもしれないんですけれども、やはり現場ではまだ古き習慣が残っていて、それがいまだに続いているというふうに、あえてよき解釈をしたいと思いますが、そうじゃないか。だから、どちらともうそを言っていないんだろう、恐らく。もしそうじゃなかったら、どちらかがいけしゃあしゃあとうそをついていらっしゃるわけでありまして、それは僕は信じたくない。どちらともうそをついていない。

 となると、結局、人間の世界というのは最初から悪をなそうと思って、悪というか、皆さんは悪と思っていらっしゃらないかもしれません。ひょっとしたら、昔はそれなりに理屈があったのかもしれません。例えば警察でいえば、左翼対策とか、いわゆる浅間山荘事件のときとか、私はまだ小さいころだから余り記憶がないですけれども、ひょっとしたらあのときは、お金の執行については一々稟議に回している暇はない、だからお金をばんばん出すためには、今必要だから出すためには、ある種方便として、にせ領収書みたいなものを書いて裏金にしておいて、それでどんどん使えということがあったのかもしれない。それがある種合理的な理由を持っていたのかもしれないですね、そのときは。

 しかし、それが直されないまま今日に至る中で、そういう事犯よりも、事例よりも、自分たちのおつき合いとか、もっとありていに言えば飲み食いとかに使い始めてしまった。最初はいいのかなと思っていても、だんだんそれが麻痺してくると、まあいいんじゃないの、今までやってきたことだからと。これは多分警察の問題だけじゃないと思います。公務員全体に蔓延している問題じゃないか。

 もっと言えば、あの当時の社会に、民間を含めて、ある程度そういう緩やかな時代があったのかもしれない。しかしながら、それを警察というところは改めないまま今日になってきたのではないかということ。

 そして、ここで昨今いろいろ議論していて、これは大変なことになったな、確かにまずいんだな。世間的に言えばまずいなと思って改めようとしていると思いますが、末端までというか現場までそのことが徹底されていない。多分、今日そういう状況に至っているのではないかなと私は想像します。だから、これほどまでに現場の声と今ここで議論していることがかくも乖離しているのかということなんですね。

 どうでしょうか、私の今の発言に対して、国家公安委員長のまた率直な御感想をお聞かせください。

村田国務大臣 冒頭、委員が仙波部長の発言で、今でもやっているんだ、そういう発言がありましたけれども、具体的にそれがどういう事実を指しているのかどうか私も存じませんので、仙波部長の言っていることが正しいかどうか、この場で直ちに反論はできないわけです。

 私は、北海道のケースあるいは福岡のケース等を除きまして、あれは組織的、慣行的に行われておった例であったかと思いますが、それ以後、監査委員の監査でもそうした事態はない、あるいは会計検査院の検査の結果を見てもそういうことはないという報告結果が出ておりますので、今もってそうした事態が行われているということは信じたくはない。

 要するに、いろいろな事態が次々と出てくるという事態を警察の幹部から末端の職員まで正しく認識いたしまして、例えばお金の渡し方についてとか預金通帳を管理するとか、そういうような昔からの慣行が、制度的な問題があるところは逐一正してきたと私も認識をしておりますし、今もって過去と同じようなことが末端では行われているという今の市村委員の御指摘については、私は一概には信ずるものではないという御答弁をさせていただきたいと思います。

市村委員 私だって信じたくはないんです。ただ、京都の事例もありますね。京都も口座を全部管理していた。今は返しているそうですけれども、管理していた。これについても、実は京都じゃありませんけれども、口座を二つ持っているという事例もあるというのも、この間の仙波さんからの話でもお聞きしました。

 そうなると、きょうは金融庁の方は来ていませんけれども、私はぜひとも金融庁と一遍議論をしてみたいんですが、結局それは口座を発行している銀行があるわけでありまして、その銀行は一体どうしているのか。今これだけ厳しい名寄せをやらなくちゃいけない時期において、そうした幾つかの口座を発行し、かつそれが口座本人に渡っていないということを知っている可能性もどうもあるんですね。

 これについてはきょうはやりません。ただ、そういうこともあるのではないかという指摘がされているということです。だから、それについては、これもやはり調査をしなくちゃならないのかな、こういうことで、結局は、また調査する、また半年かける、それでまた結果は、ないということに恐らくなるでしょう、確固たる証拠がなければ。ということになるとまた時間がかかるなというのもあって、情けないと本当に思います。本当に警察に期待している私たちからしても、こんなことをやっている場合じゃないという思いもあります。

 私も、ないと信じたい立場ですが、今なおいろいろ告発が続いているという状況からしたときに、先ほど私が申し上げたように、今現場で行われていることについて、恐らく今の警察組織の中では、そうそうこの場に情報は出てこないんだろう、正規のルートでは。多分無理だと思います。

 であれば、今メディアとかマスコミとかに流れている情報というのがある、また、私たちのところに告発される方もいらっしゃる、そうした声をきちっと聞いていく必要があるんだな、こう思うんですね。

 それについて、いや、そんなことはないでしょう、あなたが言っているのは過去のことじゃないのとか、あなたが言っていることは作り話じゃないのということではいけないんだと思うのでありまして、その辺はしっかりと受けとめて、やはり国会の場でそういうことを一つ一つやっていくしかないのかなというふうに思うわけであります。

 きょうはその一つの例として、私が大変ゆゆしき問題だと思っていることについて、これから約三十分弱でございますけれども、いろいろとお聞きしたいと思っているわけであります。

 きょうのテーマは銃です。しかし、銃そのものではありません。結局これが裏金疑惑にもかかわる問題だということになってきますから、きょうここで議論させていただきたいと思うんです。

 まず事実から教えてください。今、銃による犯罪というのは、傾向としてふえているんでしょうか、減っているんでしょうか。

縄田政府参考人 申し上げます。

 発砲事件で申し上げますと、これはここ三年ほど減少傾向にございます。ことしの上半期も減少傾向にございます。

 それから、けん銃を使用した犯罪の状況でございますけれども、これも同じように減少傾向にあります。特に、殺人あるいは強盗事件に使用される件数等につきましては、ここ四、五年ぐらい横ばいの状態というようなことだろうと思います。

 ただ、銃器を使われる事案というのは結構な数字がございますので、厳正に私どもも対処していかなきゃいかぬ、こういうふうに認識をいたしております。

市村委員 ちょっと今明確じゃなかったんですが、もう少し明確にお答えいただきたいのは、つまり、銃を使った事案というのは増加傾向にあるのか、それとも減少傾向にあるのか、横ばい傾向にあるのか、そういうことを的確に、端的にお答えいただけますでしょうか。

縄田政府参考人 それでは、数字を挙げて申し上げさせていただきたいと思います。

 平成十三年でいいますと、けん銃使用の事件数でございますけれども、これは二百六十四。以降、毎年申し上げますと、十四年につきましては二百五十一、十五年が二百四十二、十六年が二百七十七、ことしの一月から六月が九十一というふうに、ことしはちょっと減少をいたしております。

 先ほども申し上げましたが、このうち殺人とか強盗事件等々、重要な凶悪事件に使われるものの推移は、でこぼこはありますけれども、ほぼ横ばいと見ていいんだろう、こういうふうに認識をいたしております。

市村委員 平成七年からその数字を挙げていただけますでしょうか。

縄田政府参考人 突然のお尋ねでございますので、ちょっと今手持ちはございません。

市村委員 なぜ私がそれをお聞きしたのかといいますと、実は、この間の平成七年から平成十六年に至るまでのけん銃の押収丁数というのはどんどん減っているんですね、去年の傾向でいくと若干ふえているけれども。

 平成七年の話でお聞きしたかったのは、実は押収丁数がこの十年間で三分の一になっているんです。減っているにもかかわらず、銃の犯罪は横ばい、もしくはふえているということについて、これはどう解釈したらいいのかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

縄田政府参考人 一概に申し上げるのはなかなか難しい問題だと思います。

 一つは、暴力団の抗争事件というのが最近かなり減少をいたしております。抗争事件等でけん銃が使われますと、私どもも当然それを捜査し、押収し、さらに、どこから出てきたのかというようなことを追及してまいります。そういう事案が非常に少なくなったということがございます。そういったところの影響が多分大きいんだろうと思います。そういったものが減少しているということ。

 それからもう一つは、私どもも精いっぱい、武器庫と申しまして、暴力団が系統的に銃を保持しておるものについてしっかりと追及していこうということで捜査をいたしております。

 非常に隠匿が巧妙になっております。自宅からけん銃が出てくるということはまずないという状態になりました。これは一つは、暴力団の組長等、今、山口組の組長等が最高裁にかかっておりますけれども、これをけん銃の集団所持という格好で検挙したりいたしておりまして、そういったこともあってますます厳しくなっている。

 捜査も、各関係省庁と連携してやっておりますけれども、十分行き着いていないところもあるのかなというふうな認識でございます。

市村委員 では、この間、三分の一に減ったというのは、警察庁としてはどういう自己評価をされていらっしゃいますでしょうか。

縄田政府参考人 先ほども申し上げましたように、対立抗争事件等の減少、それから隠匿の事案というのが非常に巧妙になってきておるといったところ等々が原因だろうというふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 各地で銃器対策課ができたのは大体何年ごろからでしょうか。教えてください。

縄田政府参考人 平成六年あるいは七年、八年あたりだろうというふうに認識しております。

市村委員 ちょうど平成六年にできて、七年が千八百八十丁。これは平成七年から始まっていますけれども、その前のデータを本当は欲しいんですけれども、けん銃の押収丁数というのは平成六年とか五年とかはどうなっているんでしょうか。ないですか。

縄田政府参考人 平成六年は千七百四十七になってございます。五年が千六百七十二でございます。ちょうど手元にございますが、平成元年が千十九、平成二年が九百六十三、平成三年が千三十二、平成四年が千四百五十等々となっております。これは、密輸で数百丁押収される場合とかいろいろございますので、でこぼこがあろうかと思います。

市村委員 なぜ私がこういうことにこだわるのかといいますと、前にもこの委員会でもちょっと御紹介というか話をしました元北海道警察釧路方面本部長の原田さんの「警察内部告発者」という本の中で、私は読んでいて、本当にこんなことがあるのかなと思うことがあるんです。

 ここで稲葉事件ということで稲葉さんのことを取り上げているわけですけれども、銃器対策課ができた、そして九二年、平成四年ごろ、今のお話だと、結構ふえて、千六百とか千五百とかそういうところですね。平成四年になって、警察庁から全国の警察本部に、けん銃摘発の大号令がかかるということがある。そういうものを受けて、九三年四月、北海道警では保安課に銃器対策室が誕生しているということなんですね。

 これからかなりけん銃の摘発強化が図られていくという流れの中で、そのこと自体は別にいいことだ、いいんだろうと思います。これだけけん銃が蔓延して危ないということで、それを取り締まらなくちゃいけない、それは当然のことだと私は思います。

 しかし、問題はここからなんですね。九三年に銃刀法改正が行われて、けん銃を提出して自首したときはその刑を減免するという旨の規定が新設されたんですが、これについては事実としてよろしいでしょうか。

縄田政府参考人 そのように承知をいたしております。

市村委員 これでどうなったかというと、けん銃を持って自首すれば罪を減免あるいは軽くするということがこの規定の趣旨であります。

 本当は、ちょっと話はずれますけれども、私はこれくらいのことを今回の裏金疑惑もやらなければいかぬかなと思います。過去の不正を見聞きした者は、裏金も含めて、警察内部で一定の期間を定めて、そしてその期間にちゃんと告発すれば罪をそれこそ減ずる、免除するとかいうのをやらなければいかぬかなと思っていますが、それはまた今度の議論におくとします。

 すなわち、こういうことで、けん銃を持って自首すれば罪を減免あるいは軽くするということになるわけですね。ところが、残念ながらこれだけではけん銃は出てこなかったわけです。ということを原田さんは書いている。原田さんが何せこの対策室をつくった張本人ということでありますので、多分信じなければいかぬだろうなと思います、まさかこの方がうそをつくとは思えませんので。

 そうなると、その後出てきたのが、今度は首なしけん銃というものを挙げろ。すなわち、自首しなくてもいい、物さえあればいい、けん銃さえあればいい、それを挙げればいいんだ、こういう話になってきたということの中で、結局、ここから多分この不幸なことが数年にわたって始まったんだろうなというふうに私は思うんです。

 その中で、銃器対策課のエースみたいな人が全国に何人かはいらっしゃるんでしょうね、恐らく。その方がSという者を使う。まさにスパイ、内通者を使って、いろいろおとり捜査とかコントロールドデリバリーとかいうこともやりながら銃を挙げよう、こういうふうになったんだと思います。

 そのときに、おとり捜査がいいかどうかというのは大変重要な議論ですから、ここではおきますが、おとり捜査をここではとりあえずあるものとして認めた上で、おとり捜査で本当に不逞のやからの手元にあった銃がちゃんと摘発されるとかなら、これはいいわけです。

 どうもそうじゃない事例が実は原田さんの著書には書かれているし、原田さんだけじゃありません。北海道警だけじゃないんです。その他のところでも、そういうおとりじゃなくやらせ、おとり捜査ならいいけれども、やらせ捜査というか、やらせをしてきた。今やっていると私は信じたくありませんが、やってきたというふうなことが指摘されているわけですね。

 どういうやらせなのかというと、結局、けん銃を挙げなくちゃいけない。銃器対策室までつくった、けん銃を挙げなくちゃいけない、だからノルマがある。ノルマを課された方はどうなるか。挙げられればいいわけですね。しかし、そう簡単には、銃刀法を改正しても挙がらないわけです。しかし、ノルマがある。一丁も挙げなかったら自分の出世にも響くんじゃないか。

 そうなったとき何をするかというと、自分で手に入れた銃を内通者に、Sを初め内通者に渡しておいて、その人に出させるとか、もしくはその人に頼んで、自分でやる場合もあるかもしれませんが、ロッカーに入れておいて、いかにも出ましたという形でやるというようなことが行われていたんじゃないかということが指摘されているんですね。

 北海道の場合は特にロシアとの関係があるということでこの本に書かれているんですが、当然、ロシアから銃がたくさん入ってきているんだろうから挙げろよと警察庁から指示が下ったということで頑張った。

 そのとき起こったのが、いろいろロシアから船隻が来ています。いろいろな物資を運んで、日本からもいろいろなものを運んでいくということで来ている。その人たちに、今度銃を持ってきてくれないかということを依頼して、そして持ってこさせ、それを結局、持ってきたところを捕まえて、おまえら何だということでロシア人が捕まって罪に問われているケースがあるということなんですね。

 これはひどい話だと私は本当に思います。この間ここで風営法の改正の議論があったときに人権じゅうりんのことを議論していましたけれども、まさにこんなこともロシア人の方に対する人権じゅうりんだと思いますし、また、実はほかのところでも、タイ人の方への人権じゅうりんとか、日本人に対しても、おい、ちょっとこの銃を預かっておけ、持ってこい、そして取り囲んで、おまえ何だといって捕まえるとか、どうもこういうことをやっているということが、結局、この原田さんの本だけじゃないです、いろいろなところからそういう話が出てきちゃったんですね。

 そうなってくると、おとり捜査というよりも全くこれはやらせ捜査でありまして、しかも、この間、風営法改正までやって人権じゅうりんを言っておきながら、どうも警察が人権じゅうりんをやっているんじゃないか。人権じゅうりんどころじゃないですよね。逮捕するんですよ、罪に陥れるわけですよ。無辜の罪なき人を罪に陥れるということをやっているんじゃないか、こういうことが言われておるんですが、こういうことに関して、警察庁どうでしょう、刑事局長どうですか、御見解をお聞かせいただけますか。

縄田政府参考人 おとり捜査の関係について御説明申し上げたいと思います。

 おとり捜査と申しますのは、捜査機関またはその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯行を実行するように働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕により検挙するものでありますけれども、これは、判例によりまして一定の場合には許容されるということはもう委員御承知のとおりだろうと思いますし、最高裁決定で確定をいたしております。

 もとより、私どもとしては適正にやるべきと考えておりまして、相手方に対して犯意を誘発させるような、適正を疑われる違法な捜査というのは厳に慎むということでやってございます。

 先ほど委員の御指摘のロシア人に関係するものにつきましては、若干、協力者等の関与について、先ほどの元北海道警察の稲葉氏等による偽証事案等がございましたけれども、これにつきましては、誘発型ということではなくて適正になされたものとしてロシア人等は有罪判決を受けておるというふうに認識いたしております。

市村委員 もちろん警察庁としてはそういう見解なんだろうと思いますが、しかし、稲葉さんの証言もあります。また、稲葉さんが原田さんに送られた手紙の中での証言もあります。これは裁判で出ている陳述書を見れば出ていると思います。

 おとり捜査は、先ほど申し上げましたように、これは大変議論がありますけれども、ここではおとり捜査があるという前提で話をしています。ただ、おとりならまだいいんですけれども、やらせ捜査じゃないかということなんですね。しかも、人権じゅうりんどころじゃない。無辜の民を罪に陥れていませんかということなんですね。これはあってはならないことなんですよ。そういうことが行われていないか。

 しかも、私が特にきょう一番申し上げたいことは、どれも一番なんですが、これは一遍この委員会でも私は指摘を申し上げたんですが、結局この部分は、税関が実は銃の摘発に関連して覚せい剤の密輸を見逃していたんじゃないかということも、原田さんが稲葉さんの証言を受けて、しかも原田さん本人も、これは驚くべき事件であるということで書いている。すなわち、原田さん本人も、稲葉さんの言うことが本当であれば驚くべき事件だということで書いているのが、けん銃の摘発を目的として覚せい剤の密輸を見逃したと。

 しかも、その見逃した量がすさまじい量なんですよ。ここで出てくるのは百二十キログラムなんです。これでも末端価格二十五億円ですよ。さらに大麻が二トンだというんですね、この後に二回に分けて。それは何のためにやったか。けん銃の摘発を目的としていたらしいんですね。では、けん銃を摘発できたかというと、できなかったらしいんですよ、結果としては。

 その大麻はどうなったと思いますか。覚せい剤はどうなったと思いますか。百二十キロプラス二トンが日本にばらまかれているんですよ、これはそのまま行っちゃったわけですから。

 昨今、割と若者に対してとか、えっ、ここまでというところに大麻とか覚せい剤が蔓延しているという指摘がありますね。ひょっとして、これがかかわっていませんか。だとすると、これはとんでもないことがこの国では起きているなということになってしまうんですよ。刑事局長、いかがですか。

縄田政府参考人 御指摘の件につきましては、委員も以前御指摘もありましたし、一部報道等でもなされておりますけれども、北海道警察からは、まさにその当時、そのような捜査が実施されたということはないんだ、そういう事実はないんだというふうに報告を受けておるところでございます。

市村委員 ないということですね。これは、稲葉さんがいろいろと原田さんにお手紙を送られたりやっていらっしゃいますから、またこれから議論しなくちゃいけないというか、話をしなくちゃいけないことだと私は思います。これはやはりほっておかれない事例ですよ。

 私は、これを、だれかが罪にということじゃないんです。いつもここで私も何回も申し上げていますけれども、やはり仕組みの問題なんですよ、仕組みの問題としてとらえなくちゃいけないということなんです。

 先ほど申し上げたように、僕はだれもうそをついていないと信じたいです。みんなそれぞれがそれぞれの思いで、よかれと思ってやっているんではないかと信じたいわけです。しかし、結果としてはそうなっている。

 だから、けん銃取り締まりという目的はいいんですよ、大変。銃器対策課をつくった、これもいいんです。しかし、そこに過度なノルマ主義があって、これは僕は交通取り締まりのことについても納得いく取り締まりをやってほしいと言っていますけれども、そのとき、ノルマ主義のこともここで議論させていただいたことがあります。どうも、そういう過度なノルマ主義がそこに入ってきて、結局はその所期の目的とは違う方向に走ってしまい、そして、あげくの果てにはこの国に大麻をばらまいたんじゃないか、覚せい剤をばらまいたんじゃないか、こういうことなんです。

 だから、だれかの責任じゃないんです。みんな一生懸命やっていてもこうなるということは、すなわち仕組みの問題としてこれはとらえなければいかぬじゃないかと私は思っていますが、きょう、官房長お見えですから、ちょっと御感想を聞かせていただけますでしょうか、今までの議論をお聞きになられて。

安藤政府参考人 担当ではございませんが、先ほど来伺っていますけれども、この事件の、原田氏が本でそういう指摘をしたということは承知しておりますが、北海道警察もやはり責任を持って、対外的にいつも、報告書を出す場合も、こういう調査をする場合も、そういうスタンスでやっておりますので、先ほど刑事局長が申し上げたような結果であるというふうに思います。

市村委員 国家公安委員長、いかがですか。今までの議論をお聞きになられて、いかなる御感想をお持ちでしょうか。

村田国務大臣 市村委員がこの事件についてかつても委員会で議論をされたのも私も読んでおります。

 ノルマがあるのではないか、そういう御指摘なんですけれども、ノルマというのは存在しないと私も聞いております。ただ、警察官個人一人として、けん銃の押収という本来の目的を達成するために大変なもう一つの犯罪を犯してしまったということは、これは本当に取り返しのつかない事件だったというふうに思いますし、それから、それを北海道警察の中でチェックする仕組みが働かなかったということも、これも大変大きな問題として残ったということで、道警本部長、当時の監督責任を問われたということではないかというふうに思います。

 私どもとしては、警察行政としての本来の目的がゆがんでいかないように、あるいは、本当に警察官個人としては、熱心な余りに本来の目的を逸脱して不適正な行動に走らないように、警察の幹部あるいは内部一体となって、よくみんなで相互協力して気をつけていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 もう一度申し上げておきますが、そうしたノルマ主義というのはないんだということをどうか御理解いただけたらありがたいと思います。

市村委員 委員長、現場の声もぜひとも聞いてください。ノルマはあると皆さんおっしゃっていますので、よろしくお願いします。

 では、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 一年ぶりに内閣委員会で質問をさせていただきますが、相変わらずこの問題がこの内閣委員会で大変大きな課題として論議されていることに対して、私は大変残念であります。

 ここにファイルが二冊ありますが、民主党の警察不正経理疑惑調査・警察改革推進本部というものをつくりましてやってきたんです。私は一年前に内閣委員会をやめるときに、これは多分、国家公安委員長の村田さんが一生懸命頑張って、もうこんな論議をする必要もないから処分しようかなと思ったんですが、万が一のことを考えてとっておいたら、またこれを使わなきゃならない。非常に残念なんですね。

 きょう、私は五時半ごろ目が覚めてしまいました。一年ぶりに内閣委員会でこの問題を質問しなきゃいかぬ。そして、六時に宿舎を出て、周りを軽くジョギングして汗を流して、さっぱりして、きょう委員会に参りました。

 実は、前の日曜日、二十三日は、私の地元の陸上自衛隊の勝田駐屯地の五十四周年記念式典がありまして、自衛隊の隊員の皆さんがどんな日常生活をしているのかの一端を見せてもらいました。

 六時に起床ラッパなんですね。長官は何時に起きておられるかわかりませんが、六時には起床ラッパが鳴って、自衛隊隊員は起きなきゃならないんですね。十分にはもう食事です。そういうことで、夜は十時ですか、消灯のラッパで寝る。

 まさに日本の平和あるいは日本の国民の生命財産を守るために全力で活動している自衛隊隊員の皆さんの日常活動の一部を見せていただいたんですが、なぜ彼らがそういう気持ちで六時に起き、夜十時に消灯し休むか、その緊張感を持っておられるか。まさにプライドなんですね。プライドを持っているから、日本の国を守るんだというそのプライドがあるから、そういう日常活動に耐えられているわけですね。

 私も、大学時代、体育会系剣道部に入りまして、夕方からは剣道の世界に没頭してまいりました。昼間は工学部で勉強をして、夕方からは剣道、そういうものの中で、一時は、警察の世界に私も入ろうかな、そんな思いもしたんです。とても魅力のある職業なんですね。

 ここに九州地域の警察官募集のパンフレットがあるんですが、すごいキャッチコピーといいますか、「プライドを持つ、そんな生き方がある 警察官募集!」まさにこれで、二十四万の警察官が多分こういう気持ちで頑張っているんだと思うんですね。「プライドを持つ、そんな生き方がある」、それでみんな来ているんだと思うんです。

 それで、今回私も、北海道から端を発してずっといろいろな話を聞かせていただきましたが、こうやってそういう気持ちを持って警察官になったんだけれども、何かおかしいんじゃないかなということで、今全国の警察官は本当に頑張っていただいていますし、国際比較を見ても、日本は一人頭五百二十人、イギリスが三百三十七人、アメリカが三百五十三人、ドイツが三百十二人、非常に人数が少ない中で懸命に地域の治安を守ろうとして頑張っているんですね。しかしながら、相変わらずこういう問題が何かもやもやした形で推移していることに対して、非常に私は憤りを感じているんです。

 きょうは国家公安委員長もおられます、それからいろいろな関係者の皆さんもおられますが、私は全国の警察官の方に申し上げたいんです。もしも皆さんが、今この国会で論議しているような事案が各所であるのであれば、そういうのはもうやめようよと。私も剣道をやっていますからわかりますが、心に曇りがあったのでは面を打ち込めないんです。やはりきちっとして、どこにも一点の曇りがないという形だから切り込めるんですよ。もやもやがあったらどうしてもだめ。

 だから、私は全国の警察官の皆さんにも、また幹部の皆さんにも申し上げたいけれども、もしもそんな事案があるんだったら、一個一個ふたをすることをやめて、ふたをあけて一気に解決しよう。そうじゃないと、後藤田さんも、もう亡くなってしまいましたけれども、警察刷新会議の中で発言されていますね。今警察官一人一人に責任を自覚させなくては組織が滅びてしまうということで、警察庁長官の経験がある後藤田さんがこの刷新会議の最後に締めくくったということなんですよね。

 だから、私は、この際、こうやって論議して、いつもそうなんです、問題ありません、問題ありません、国家公安委員長も、各地の公安委員会がきちっとやっているものと承知しておりますと、そういうことだからなかなか進まない。

 私の出身地の、皆さんも御承知の梶山静六先生も、自治大臣、国家公安委員長をされていましたが、もしも御存命だったらこんな問題を三年間も引っ張りませんよ。きちっとしよう、警察官がきちっとしなかったらだれが国民を守るんだ、そういうことで私は動いたと思うんですね。

 だから、本当は村田国家公安委員長にも引き続いて次の内閣でもやってもらって、この問題に決着をつけるということで臨んでもらいたいと思うんですが、国家公安委員長としてこの問題に対してどう取り組んできて、今どういう感じを持っておるのか。全く問題がない、不正経理もない、地域の公安委員会もしっかりやっているし、警察官もしっかりやっているし、何にも問題ないという認識なのか、それとも何かおかしいなという認識を持っておられるのか。まず冒頭に、国家公安委員長の御所見といいますか、考えをいただきたいと思います。

村田国務大臣 天下の、この国の治安を先頭に立って守らなければいけない警察が、私も就任以来この問題で勉強を何回もし、答弁に立たなければいけないという事態、これは本業と外れていますから、大変情けなく思いながら何回もこの場に立っているわけでございます。

 その意味で、私もとにかく今回限りとしたいという気持ちでいつも答弁に立っているわけでございまして、愛媛県の公安委員長に対しましても、いつまでもぱらぱら出てくるような調査はやってくれるなということを、たしか三月の十日だったと思いますが、申し上げて、きちっとした調査を責任を持ってやってくれということをお願いしたわけでございます。

 また、国家公安委員長としましても、とにかく全国押しなべて、警察庁が先頭に立って調査をしっかりやる、体制も人数も増強して全国の警察のこうした問題についての調査をやるということでやってきたわけでございまして、今もって私もこうした答弁に立つというのは、どうか大畠委員も、本当に情けない気持ちで答弁しているんだということは御理解をいただいて、警察官が使命感あるといいますか、名誉にかけて、後ろ指を指されないような勤務の体制に早く戻したいという気持ちは私も同じでございます。

大畠委員 今お話がありましたが、やはりプライドを持って、国民のため、市民のために正義を守ろうという、その気概ある職場の環境を、警察官一人一人が、本当に先ほどの純粋な気持ちでみんな警察官は入っていますから、その方々が思う存分、心から正義感にあふれる活動ができるようにするのが私は国家公安委員長の仕事だと思うんですが、ここまで引きずってしまったのは非常に残念ですね。

 そこで、今お話がありました愛媛県警の話でありますが、ここに二つの調査報告書というものをいただきました。一つは愛媛県警察本部の調査結果報告書ですね。それからもう一つが六月十日付で警察庁から愛媛県警の、六月三十日付と六月十日付、二つの調査報告書をいただきました。このことについて少し具体的にお尋ねしたいと思います。

 まず、きょうは、委員の皆さんもなかなかこの調査報告書、目を通しておられないと思うんです。先ほども何で民主党ばかりみんなたくさん質問するんだなんという御意見もありましたが、これだけ非常に大事な問題なんですね。ですから、私たちも取り組んでいるわけであります。

 例えば、この愛媛県警察本部の報告によりますと、監査委員から指摘があった。「捜査員三人が、それぞれ別個に作成した支払伝票において、捜査協力者に対し六件のコーヒーセットを交付しているが、捜査員が物品を購入した業者は贈答用コーヒーセットを扱っていないことなどが判明した。」これで事情聴取したんだけれども、理解を得られる答えはなかった。そこで、この警察の内部で調べた結果、不適正な予算執行と認められる。

 二つ目、これも前に申し上げたかもしれませんが、激励慰労費の執行において、清酒十本、ビール五ケースを購入したとする領収書が添付されていたが、購入店舗で確認したところ、購入物品は、缶ビール二箱、清酒三本、ビール券四十枚と判明し、その領収書と異なるということがわかったので、おかしいのではないかということに対しても、警察本部が調べたところ、不適正な予算執行と認められた。

 三点目も、捜査協力者に対する手土産としてウイスキーを購入したとする領収書が添付されていたが、購入店舗で確認したところ、当該領収書は、別の日にウーロン茶二本、缶ビール二箱、ジュース一本を購入し、これを四枚の領収書に分割して受け取っていることの一枚であることが判明した。残りの三枚の領収書の一枚は、実際の購入日に別の捜査員が日本酒を購入し捜査協力者へ交付したとして用い、他の一枚は別の日にさらに別の捜査員が手土産を交付したとしているが、残りの一枚は、確認できなかった。これについても、不適正な予算執行と認められる。

 「早朝の火災現場見分及び深夜の火災現場捜査の二件に関して、それぞれ補食費として捜査諸雑費から昼食代を支出しているものと認められるが、早朝・深夜の補食のみを認めている捜査報償費の制約から逸脱している。」これも、不適正な執行と認められる。

 金券ショップもあるんですね、たくさんですね。いわゆる領収書が出されているんだけれども、実際とは違う、確認できなかったという領収書が随分散見されるということなんですね。

 そこで、私もこれを見てびっくりしたわけですが、この場合には、いわゆるにせ領収書を警察内部で作成したということをこの調査報告書は示しているのかどうか、官房長にお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 今御指摘の報告書につきましては、るる御説明されたとおりでありますが、これは、調査の結果、十三事案につきまして解明をいたしまして、五事案十四件については、捜査報償費として本来執行し得ない使途に執行しており、不適正な予算執行と認められた。

 また、五事案八件につきましては、本来執行し得る使途に執行しておりますけれども、執行実態と異なる内容を記した支払い証拠書が作成されていることが認められた。

 残りの三事案十三件につきましては、調査の結果、適正に執行されていたことが認められたということでございます。

 その御指摘の中で、領収書が不適正に使用されたということで、まことに残念なことだと思っております。

大畠委員 もう一度はっきり聞きますが、警察署内部でにせ領収書をつくったということですね。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 警察の内部でにせ領収書をつくったということではなくて、物品を購入する先から領収書を得ておるわけですが、それが執行実態と異なるということで不適正な指摘がされたということです。

大畠委員 それはおかしいでしょう。だって、捜査協力者に対して六件のコーヒーセットを交付しているが、捜査員が物品を購入した業者は贈答用コーヒーセットを扱っていないんですよ。領収書が添付されているんだけれども、その業者は、その領収書の支払い伝票に入っているコーヒーセットというのは扱っていないというんだから。扱っていない業者の領収書が、何でその表紙にコーヒーセットと入っているんですか。それはすなわち、内部でにせの領収書といいますか、請求書といいますか、それをつくったということでしょう。そうじゃないですか。

安藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、実際これは愛媛県の監査委員が各店舗に確認をしてその指摘をされたということ、これが三月でありましたが、それに基づいて六月に県警の調査結果が出たということであります。店舗で購入した領収書を、もちろん細分化したりそういうことはありますけれども、いずれにしても、それを警察内部で領収書をつくったということじゃなくて、それをもとに警察内部で支払い精算書というものをつくったときに、その執行実態と合わない支払い精算書を作成した、こういうことだと思います。

大畠委員 そうすると、結論から言えば、警察は何にも不正はしていない、この出金関係では。

 でも、私がわからないのは、ここの一番最初に書いてあるものとか、ウイスキーもそうなんだけれども、実際、例えばこの一番前ですよね。贈答用コーヒーセットを扱っていない業者から六件のコーヒーセットを購入したと支払い伝票を書いているんだけれども、事実とは違うということですよね。何でこんなことが警察内部で堂々とまかり通るんですか、支払い請求書かどうかわかりませんけれども。

 私も会社員生活やっていますが、こんなことは、民間企業では到底考えられませんよ、実態と違う形で請求書が出ているんだから。これはよしとしますか。

安藤政府参考人 先ほどから申し上げておりますが、もちろんこれは全く不適正な捜査費用の執行ということで認定をして、報告書に書いてあるわけであります。

 もちろん、報告書に、委員お読みになったと思いますけれども、暴走族対策のため、関係する捜査協力者を警察署に頻繁に呼び出している、その際、これは捜査協力者であるのでそういう費用かなと思いながら、全く不適正なんですが、同じ課員の親睦会費から支出したコーヒーサーバーのコーヒーを提供しておいて、そういう捜査協力者もいるので、ついでに捜査諸雑費を使おうというどんぶりみたいな感じがありますけれども、これは御案内のとおり、もう全く不適正な執行だということで認識しております。

大畠委員 とにかく幾つかこれを見ると、支払い伝票と実際が違うということが各所に見られたというオンパレードですね。私は、愛媛県警本部、よくこれだけ出したなと思うんですが、大体こういうのは氷山の一角といって、一部が出てくるんですが、これがすべてと言うかもしれないけれども、非常にそういうものが蔓延していたという証拠なんだと思うんですね。

 そこでもう一つお伺いしたいんですが、この六月十日付、警察庁の調査結果の中で、私も、これもびっくりしたんですが、会計課で保管していた通帳は、給料の端数額を貯金するための署員の承諾を得て預かっていた通帳であるというんだけれども、こんな個人通帳を警察署で預かっているんですか。このちょうど三ページ目ですね、六月十日の調査結果報告書の愛媛県警本部の資料の三ページ目の一番下。

安藤政府参考人 通帳の保管というのは、これは御案内だと思いますが、平成九年に、国費の旅費につきましては、銀行口座というか、個人の通帳に振り込まれるということで……(発言する者あり)国費の旅費につきましては、個人口座に振り込まれるという制度が始まったわけでありまして、そういう流れの中で、旅費についての適正な経理というのがより一層進んだわけでありますが、ここで指摘をされている八幡浜警察署で、こういう会計課で保管していた通帳というのがあったということは、非常に今我々もびっくりしているわけでありますが、調査の結果、これは給料の端数額を貯金するために署員の承諾を得て預かっていたということが調査結果でございます。

大畠委員 これも一般常識からするとさっぱりわからない。給料ですよ、給料の端数を、預金させるからといって、みんな警察署内部で通帳を預かっておいて、そこに預金しているから。何でこんなことをやる必要があるんですか。三百円とか、二百円か九百円かわかりませんが、端数というのは千円単位かわかりませんが、そういうことをやろうという発想自体が常識から逸脱している。

 というのは、個人のものですよ、個人のものを、あんた、端数を渡してくれと言ったら、署長から言ったら、そうですかとなっちゃうけれども、それは、署員だってみんな、基本的には嫌なはずですよ。これは私の給料です、何でそんなの一々警察署の中で通帳をつくって預金しなきゃならないんですかと。

 こういうところにも、非常に不可解な現象が散見されるんですが、もしも今はないというんだったら、ないと言ってください。全国の警察官に、私は、これ、多分皆さん聞いていると思うので、そういう通帳、警察署内で個人の通帳は一切預かっておりませんということを断言できるのなら、あるいはカード、銀行カードというのは時々集中して預かっているという、個人の銀行カードも、郵便貯金のカードも、それから通帳も、一切署で管理することはありませんということが言えるのかどうか。

安藤政府参考人 まず、八幡浜の件でありますが、これは、当時、平成十年十月まで、給料が口座振り込みじゃなかったわけであります。そういうことでございますので、端数が出るということで、そういうシステムといいますか慣行があったということで、他の警察署でも行われていたと認められるというふうに承知をしております。

 それで、今、後段で委員御指摘のように、預金通帳といいますか、通帳を警察の中で預かっているかということでありますが、これは、先ほど他の委員の方からの指摘にありました、京都府警で旅費を、もちろん個人に支払いした上で、課員が同意のもとに一部共益費として使っていた、これも一切やめた、たしかことしの春ですか、当時、昨年でしたか、やめたということであります。私、全部を調査していませんが、もうそういうのはほとんどないというふうに確信しております。

大畠委員 そんな、ほとんどないなんてだめですよ。一般の民間企業だって、個人の通帳なんか預かっていないよ。それからカードだって預かっていないよ。それは印鑑ぐらいは一般の民間企業でもあるけれども、しかし、少なくたって、預金通帳とか何かをみんな集めておくなんということはありません。だから、そんなあいまいな言葉では困るんです、二十四万の警察官に、皆さんの通帳は、警察庁として、全国の警察本部も一切預かりませんからということを断言してもらわないと。

安藤政府参考人 失礼しました、言葉がちょっと正確じゃなくて。

 ないものと確信しております。また、万が一そういうことはないと思いますが、さらに徹底をしたいと思います。このところ、適正経理についてはより厳格にやっております。

大畠委員 国家公安委員長、この件については公安委員長から通達を出してください。あるいは警察の内部でもいいんですが、個人の通帳、それから個人の預金引き出しのためのカード等は、県警本部も各警察署も一切取り扱わない、そういうことにするということ、公安委員長、それぐらいやってもらわないと、十一月一日までなんということを考えていたら困りますからね。それをちょっと話してください。

村田国務大臣 通達を出すまでもないと思いますが、そういうことは一切ないと思いますし、あったら直ちに是正させたいと思います。

大畠委員 公安委員長、どういう形で調査されますか。一切ないと思います、あったら是正させますと言いましたが、どういう形でそれを徹底させますか。

村田国務大臣 今ここにも官房長おりますから、官房長も今私の答弁を聞いているわけでございますから、そういう意味で、警察庁において適正に処理される、こういうふうに思っております。

大畠委員 では、官房長、実際に、今国家公安委員長がおっしゃったんですから、ないものと確信していますが、あったら是正させる。もう一回、どうやって通帳とかカードは一切預からないということを徹底させますか、その具体的な手法について。

安藤政府参考人 お答えします。

 私、先ほども申し上げたのは、これまでの私の認識ではそういうふうに確信しておりますということでありますが、今後、委員のそういう御指摘もありますが、私の立場で、具体的な手法については、より有効な方法といいますか、それを考えてきちっとチェックしたいと思います。

大畠委員 そうすると、どういう方法か今思案中だけれども、そういうことがないだろうね、あった場合には対策するようにと。これは国家公安委員長の発言ですからね。万が一あった場合には、それは適切な処理をして解消させますというんですから、それをもう一回官房長として明確に御答弁いただきたいと思います。

安藤政府参考人 先ほど申し上げたとおり、間違いなくそういう措置をとりたい、とって、絶無というものを期したい、こういうふうに思っております。

大畠委員 次に、先ほど、ちょっと冒頭に後藤田先生のお名前をお出しさせていただきましたけれども、警察刷新に関する緊急提言というのがあるんですね。これは平成十二年、私も大変この内容については深く敬意を表します。

 そこで、この内容を見ますと、これはもちろん村田さん御存じのとおり、雪見酒事件があって、警察内部が緩んでいるんじゃないか、初動について、警察の地域のトップが緩んでいるんじゃないかということでスタートしたものでありますし、私も新潟の地震のときに参りましたら、警察官の方が一生懸命頑張っていただいていまして、先生、雪見酒事件で非常に私たちは汚名を着たけれども、一生懸命現場の警官も頑張っていますからということをおっしゃっていましたが、やはり彼らの心の中にもこれはひっかかっているんですね。

 それで、その警察刷新会議というのが始まって、後藤田先生、元警察庁長官が入って、いろいろ論議もしました。

 この中に大体問題点は入っているんですね。いわゆる閉鎖性の危惧、警察というところは、ともすると閉鎖性の中ですから、どうしてもそういうところが起こるということ、それをどうやって正していくかということ、刷新の方向性等が出ているわけですが、その四ページ目のところに、「犯罪捜査等の個別の警察活動に支障を及ぼすおそれがないと認められる旅費及び会議費に関する会計支出文書については、原則として開示する。」こういう文言があるんですね。

 この提言に対して警察庁はどういう措置をとられたか、お伺いしたいと思います。

村田国務大臣 都道府県警察におきまして、例えば監査委員によります監査がある、こういうケースの場合に、今御指摘がありましたように、監査委員に対する警察の説明責任を果たすために、捜査員に対する聞き取りにつきましては特段の支障がない限り応ずる、それから、捜査協力者の氏名等については、特段の支障がない限りすべての内容を提示することとして、捜査に支障が生ずるため特に秘匿を要する場合には対応策を個別に検討する、こういうことでございます。

 そういう意味で、警察の監査委員に対する説明責任をかつてよりも十全に果たしていく、こういう努力をするように指示をしている、こういうことでございますし、領収書を提出するような場合において、捜査協力者が絶対出さないというようなケースもやはりあるわけでございまして、そういう場合には、捜査費を支払ったことをきちっと報告書に書いて上司の判断を仰ぐ、こういうことを徹底しているということでございます。

 ただし、これまでもこの委員会でも御指摘がございましたように、捜査の秘密上、今私も申しましたけれども、捜査の協力者に対しての配慮というものもございまして、十全にいかないというところは、御指摘がございますけれども、これは、今私が申し上げましたような条件がない限り説明責任を果たしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

大畠委員 そこで、先ほどちょっといろいろお話を伺いましたけれども、にせ領収書を書いたわけじゃないんだというんだけれども、いろいろゴム印が見つかったりなんかしていますよね、北海道も。

 私は、これはぜひ全警察官の方にも理解していただくために質問するんですが、警察庁として、にせ領収書、いわゆる実態と違うような領収書をつくるという行為は犯罪に当たるかどうか、警察庁と法務省の方から、両方からお伺いしたいと思います。

縄田政府参考人 個別の事案が特定の犯罪に当たるかどうかというお尋ねであります。

 これにつきましては、従来答弁を差し控えさせていただいておりますが、一般論で申し上げれば、委員御案内のとおり、警察といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

大林政府参考人 犯罪の成否は収集された証拠に基づき判断されるべき事柄であり、法務当局としてはお答えいたしかねることを御理解いただきたいと思います。

 なお、私文書偽造罪について一般論として申し上げれば、私文書偽造罪は、行使の目的で、他人の権利、義務または事実証明に関する文書もしくは図画を偽造した場合に成立するものと承知しております。

大畠委員 もう一回警察庁にお伺いしたいんですが、今お話が出たけれども、にせ領収書を書くという行為、一般通念、社会通念では、にせ領収書を書くなんということはないんです。絶対ないんですよ。

 それをもう一回、特定の事案じゃなくても、警察庁として、ゴム印を使った例、これは犯罪行為に入っているんでしょうけれども、にせ領収書を書くという行為は、全国の二十四万の警察官、だれもやっていないということを言い切れますか。そして、少なくたって、その行為自体は犯罪なんだということを警察庁から発信してもらいたいんだ。それをもう一度。

 それから、法務省の方は、今何か話がありましたが、いわゆる実態に伴わないようなにせの領収書を書くという行為は、法的にはどういう行為なんですか。

 その二つを両者にお伺いしたいと思います。

縄田政府参考人 にせ領収書ということでございますけれども、どのような状況でどのように作成されたか、先ほども申し上げましたけれども、具体的な事実に即して判断すべきものだろうと思います。繰り返しになりますけれども、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処をしてまいるということでございます。

大林政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、犯罪の成否は収集された証拠に基づき判断されるべき事柄であり、法務当局としてはお答えいたしかねることを御理解いただきたいと思います。

大畠委員 何か、何言っているかわかりますか、あなた。私が聞いたことに対して答えてほしいんだけれども、法務当局としては思考を停止しているということですか。

 にせの領収書を書く。日本国民が、一市民でもいいんだけれども、にせの領収書を書くという行動は、法務省は、時にはいいということですか、今の話は。状況によって判断しますということは、そういうことですか。日本の法務省がそんなメッセージを出したんじゃ、日本じゅうでみんなにせ領収書を書き始めますよ。会社の中だってそうだし、見つからなきゃいいと。私は、今の解釈がどうもわからない。

 法務省の大林刑事局長さん、もう一回、自分自身に答えるつもりで言ってみてくださいよ。自分にわかるように、大林さん自身で理解できるように、もう一回答弁してください。

大林政府参考人 私、先ほど私文書偽造罪についてその構成要件的なことを申し上げました。

 委員の御指摘は、外形的なものとしてそういう犯罪の成否の問題になるであろうということは、私もそう思います。ただし、今申し上げていることは、では具体的にそのような罪が成立するかどうかということは、やはり具体的な証拠関係によりますので、私の方で一般的に具体的な問題としてお答えすることはいたしかねる、そういう趣旨でございます。

大畠委員 そうすると、私文書偽造という意味では罪になるということですね。

大林政府参考人 お尋ねの、おっしゃっている領収書、これもいろいろな形の領収書がございます。ですから、これは法的な文書の性質として言われるならば、私文書という形態に入るであろう。

 ただ、それが偽造罪として成立するかどうかという問題については、さまざまなケースが考えられますので、それは一応おっしゃられている意味において偽造罪の問擬される余地はあるだろう、ただし、それは、先ほど申し上げたように、収集された証拠に基づいて判断されることでしょう、そういうことでございます。

大畠委員 もう一回警察庁に聞きますが、実態に伴わないようなにせの領収書は書くなということを指令してくださいよ。こんなのは一般の民間企業では当たり前だ。それも言えないのか。

 状況に応じて判断しますというので、それだとすれば、何か、やっていることを認めているような話なんだけれども、どうなんですか、それは。

縄田政府参考人 必要ないものは当然書くべきではありませんし、そのように対応されておるものだろうと思います。

 先ほどいろいろ御指摘の幾つかの県で、そういうことがございました件につきましては、適切に対処されるものと思っています。

大畠委員 公安委員長、これはこんな内閣委員会で話す話じゃないんだ、本当は。にせの領収書なんて書いちゃいけないことは子供だってわかるんだよ、子供だって。何で大人社会で、こういう愛媛県警で不適正な執行がありましたなんということ、常識を逸脱しているとしか思えない、こんなのは。それで後藤田さんが一生懸命やっているわけですよ。警察は閉鎖性になってしまう、これは捜査上の秘密、捜査上の秘密というと何にもわからなくなっちゃう。

 そこで、時間がなくなってきたんだけれども、私がなぜ重い思いをしてこの四冊のファイルを持ってきたか。これは委員長にも見てもらいたい。

 これは、警察庁から預かった旅費の書類。ちょっと見てみてください。

 実は、これは旅費の書類なんですね。旅費についてはこうしていますよという、これは静岡とか愛媛とか北海道から、警察庁が一生懸命出してくれましたが、真っ黒です。これは旅費ですよ。

 先ほど、警察刷新会議の提案の中で「犯罪捜査等の個別の警察活動に支障を及ぼすおそれがないと認められる旅費及び会議費に関する会計支出文書については、原則として開示する。」原則として公開すると書いてあるけれども、この旅費の出張命令書が全部真っ黒です。あるのは何かというと、先ほどは、国会議員の選挙違反事件についての旅費だけは一行だけ黒く塗られていないでどこかに入っていましたね、愛媛だったかな。

 だけれども、何か私はこれが、要するに、刷新会議で言われる「旅費及び会議費に関する会計支出文書については、原則として開示する。」と書いているのにもかかわらず、こういうことでよしとしていること自体が問題なんです。

 私もいろいろ会社で出張しましたけれども、全部秘密の出張だけというのはおかしいと思うよ、これはどう考えたって。これはキングファイル四冊、厚いのをもらいましたが、ほとんどが黒塗りだ、全部秘密捜査だ。

 私は、もう時間がなくなってきましたが、最後に申し上げたいことは、後藤田さんがおっしゃっているように、このままでは組織が滅びてしまう、だから明らかにするところは明らかにしろというので、この文書、交通費等々、会議費は原則公開にしよう、こういう提案をしたにもかかわらず、相変わらず非公開だ。これは全部秘密です、警察の秘密捜査ですからだめです。

 だけれども、これはおかしいと思いませんか、ページをめくったってめくったってみんな真っ黒なんだから。これは全部秘密よ。後ろを向いて質問してもあれですが、どうもそこら辺がいろいろ、ずっと答弁聞きましたが、私は何かよくわからない。

 そこで、実はイギリスではどういうふうにやっているかというのを最後に御紹介しながら質問を終わりたいと思うんですが、イギリスも同じように警察のいろいろ国民からの信頼がおっこちてしまいました。

 そこで何をやったかというと、警察苦情処理監視庁というのをつくっちゃったんだよ、一つの庁を。それで、理由は、一つは警察が警察に対する苦情を調査する仕組みに対する疑念が払拭できないこと、二つ目には、法律は不必要なまでに開示を制限しているため、秘密主義の疑念を晴らすことが困難であること、こういうことから、現在の警察が警察を調べるというものには限界があるということで、警察の外側に警察苦情処理監視庁というのをつくって、独立機関をつくっちゃったんだよね。独立機関をつくって、この中で始まったので、国民からの警察に対する信頼が上がったというんですよ。

 自民党の皆さんも、与党の皆さんも、これは、もう三年かかっているんですよ。私も内閣委員長をやりましたけれども、ずっとやって三年も引きずっているというのは、何か決定打というのがないんですね。

 大体、問題ありません、みんな、今の機構で問題を解決していきますからと言うんですが、これは委員長、ぜひ理事会の方でも、もう三年越しのこういう問題はやめようと。そして、どうやったらこういう不正がなくなるか、そこら辺を、内閣委員会の理事会としても、委員会で公開の場でやらなくても結構ですから、内部で何かしら手を打たないといけないと思うんですね。

 国家公安委員長は何か十一月の一日ぐらいからは別な任務になるかもしれないという話ですが、これは、大臣、この次もぜひやってくださいよ。

 そして、これは蓄積なんです。いろいろな委員会でいろいろな論議をすると蓄積で、また新しい国家公安委員長になったらまた一から論議しなきゃならない。

 だから、どうぞ、この問題が解決をして、まさに二十四万の警察官が、私たちを信頼してください、一点の曇りもありませんという組織になるように、ぜひ委員長には理事会で御検討いただきたいということをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤委員長 かしこまりました。大畠君の気概は十分存じました。しかるべく理事会において検討いたします。

大畠委員 それでは、これで時間が参りましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

 資料の配付を許します。配ってください。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 先日の愛媛県警調査に基づいて、踏まえて質問をしたいと思います。

 先日も愛媛県警で本部長にも伺ったわけですが、私は最初に列車警乗旅費の問題から質問をいたします。

 それで、お手元に今資料を配ってもらっていますが、実は、まず最初に二枚目の方、グラフを載せてあります。

 警察の方にもけさ既にこれはお渡ししてありますので、見ていただいておると思いますが、列車警乗回数と、その支払い旅費及び受給人員ですね。

 これは、この間も本部長にもこのことで伺いましたが、もともと警察庁の方からいただいている資料ですから、このグラフのように整理したものについて、これは間違いないと確信しておりますが、まず確認しておきます。

竹花政府参考人 お答えをいたします。

 お配りいただいた資料は、私どもの資料に基づいて作成されたものと思います。

吉井委員 次に、一枚目の方の資料ですが、これは要するに、こういう列車警乗をやろうと思ったら、皆さん限られた人員の中でやりますから、ローテーションを組んでいくということになりますので、当時、平成十一年、つまり九九年十月から十一月にかけての、六週間一単位ですから、この一単位の分について、こういう当時のローテーション表であったというふうに、いろいろなところのものを突き合わせて見ておりますが、まずこれを、当時、こういうローテーション表であったのかどうかをまず伺っておきます。

竹花政府参考人 当時の勤務日誌等については現存いたしておりませんので、確認のしようがございません。

吉井委員 いや、当時のものを、これはことしの三月からもうずっとこの問題について私は取り上げてきておりますので、皆さんは、三月に私が質問したときに、当時の伊藤生活安全局長は、要するに、九九年度の四十九万九千八百円の支給額について、仙波部長以外の四人の人間がローテーションで月平均二十四回強、一人当たり週に二回、これは勤務のローテーションから難しくないという答弁なんですね。

 つまり、このローテーション表というものがあって、皆さんは計算されて、難しくないというお答えなんですから、この表のローテーションのとおりなのかどうか、わかっているわけですから、伺っているんです。

竹花政府参考人 警察庁におきまして、愛媛県警から報告を受けておりますところでは、既に先生にも資料を提供しておりますように、鉄警隊員は当時隊長以下八名おりまして、このうちの四名が列車警乗をしておったということでございます。したがいまして、このお示しの資料の四人の隊員だけで列車警乗をしていたという状況とは考えておりません。

吉井委員 そのとき以来私は伺っているんですけれども、八名だと言うならば、八名のお名前をきっちり出されたらいいんですね。実のところ、わかっているのは、ここに書いてあります、これは頭文字にしてありますが、T、W、F、Y、仙波隊員、この五人なんです。

 この五人では、三月に答弁されたような、勤務のローテーションから難しくない、こういうことにはならないわけなんです。この表でいきますと、実は年間二百九十四回も警乗できないということになるんです。

 ですから、本来、それは、もしできると言うんだったら、まず隊員のお名前を全部明らかにされて、そして、どういう人がどういうふうに乗ったのかを明確にするべきであります。

 それで、調査によりますと、九九年、二〇〇〇年当時は、勤務体制の方を先に伺っておきますけれども、鉄道警察隊の勤務というのは三交代制の当番勤務、この当番勤務はこれの「ト」と書いてある分ですが、当番勤務と日勤勤務がありました。当番勤務は午前九時から翌日の午前九時まで二十四時間勤務ですね。翌日は非番、翌々日は休み。これはこの表を見てもすぐわかる話であります。日勤勤務というのは午前九時から午後五時四十五分の勤務。

 各隊員は、当番勤務、非番、休みを繰り返して、六週間の中に日勤を二回組み入れる。この六週間が一単位であったというふうに私は警察の関係の方から伺っておりますが、勤務体制そのものはそういう体制であったというふうに理解していいんですね。

竹花政府参考人 お答えをいたします。

 平成十一年度、十二年度当時、愛媛県の鉄道警察隊におきましては、長距離警乗に従事していた者については、三交代勤務の者もいれば日勤制勤務の者もいたというふうに愛媛県警から報告を受けております。

吉井委員 今言ったように、まず二十四時間勤務される当番勤務の方、それから今の日勤勤務の方ですね。そのローテーションはこのローテーション表のとおりなんですが、そこで、要するに、勤務の実態の方はどうだったのかということで、八人だと言うんだったら、あとの方のお名前を出されたらいいわけですが、私の方が現場の方から聞いているのはこの五人の方なんです。

 この隊長含めた五人なんですが、隊長はヘリテレですね。これは、県警本部勤務のために鉄道警察隊には出勤をしていらっしゃらなかった。長距離警乗というのは、これはこの間も本部長が原則二人だと言っていましたが、二人一組ですね。JRとの連絡や駅頭警戒のために、隊員を必ず一人配置しておかなきゃいけません。したがって、長距離警乗ができるのは、三人以上が勤務している勤務日でないとできないわけです。

 三人が二十四時間の当番勤務のために非番と休日を繰り返しておりますから、体調を崩して長距離警乗はできない隊員Yさん、だからこの方は休日以外ずっと日勤勤務ということですが、これでいくと、体調を崩して長距離警乗できない隊員を含めて三人が同じ日に出勤をする、つまり、一人は駅におらなきゃいけませんから、そうでないと二人が列車警乗できないわけなんです。これが、列車警乗をすることのできる絶対条件ということになってきます。

 だから、この点では非常に限定されたものになるんですが、計算すると、一単位とされる六週間のうち六日間ですが、仙波氏は、長距離警乗を命じていないということですから、もう一人、体調を崩して長距離警乗できない隊員を除くと、隊長は本部に行っていますから、結局、長距離警乗を可能とする隊員は二人、これはW隊員、F隊員ということになってきます。そうすると、六週間のうちわずか二日しか実際には列車警乗できない。

 どの日に乗れたかというのはこの表を見ればわかるんですが、上の方の十月八日金曜日、この日がW隊員、F隊員が重なる日で、そして、お体の調子のよくないY隊員が日勤ですから三人そろっていて、この二人は列車警乗ができた日なんです。下の表に行って、十一月一日、これまたW、F、Y隊員三人が勤務された日で、Y隊員が日勤ですから、W、F、お二人が列車警乗ができた、こういうふうになるわけですね。

 ですから、六週間のうちにわずか二日しかこれはできなかったんです。年間は五十二週ですから、二人の同日勤務日は十七・二日にすぎない。これは計算しますと、一回千七百円の警乗旅費掛ける年間実施日十八日掛ける二人で六万一千二百円しかならないんですね。特別な事情で若干ふえたとしても、支給するものが、最初のグラフにありますように、四十九万九千八百円にはとてもなり得ないんですね。

 この計算は、当時の愛媛県警鉄警隊の勤務実態に基づいたものでありますから、三月の伊藤答弁で言っている、勤務のローテーションから難しくないというのが伊藤さんの答弁だったんですが、実際の勤務のローテーション表からは絶対無理ということになると思うんですが、どうなんですか。

竹花政府参考人 お示しになられました勤務表の正しさ云々については別におきまして、一昨日だったですか、警察本部長も委員にお話をしたそうでありますけれども、列車警乗は絶えず二人一組で行われなければならないというわけではございませんで、人員の都合上、配置上も一人で行う場合がある、そのような形で柔軟に対応しているということがございますし、今申し上げましたように、八人の隊員のうち四名の者が順繰りに警乗しているという状況からいたしまして、一カ月に六回程度の、一人六回程度の警乗は十分可能であるというふうに考えております。

吉井委員 これはもともと警察の方が「警察学論集」の中で、鉄道警察の仕組み、運営について述べているんですね、警乗は原則二名を一組として、単位として行うものとすると。例外的にというのは、お二人なんだけれども、一人が急に病気とか、欠けることがそれはあり得るわけですよ。そんなことを言っているんじゃないんです。原則は二人なんです。

 それで、今みたいなことをおっしゃるんだったら、まさにローテーション表をちゃんとお出しになったらいいんですね。それから、八名と言うからには、私はここはとりあえず頭文字にしておきましたけれども、当時のきちんとした隊員としていらっしゃった玉岡隊長、渡辺隊員、藤淵隊員、山内隊員、仙波隊員。では、残る三名はどういう方で、何をしていらっしゃったのか、そこをやはりきちんと言わないと、結局これだけ、ことしの初めから愛媛県警の問題についても解明してきたのに、いまだに、きちんとして国会として解明しようということに対して、警察庁の方がまじめに取り組もうとしていない、こういうことになると思うんです。どうなんですか。きちんとしますか。

竹花政府参考人 お答えいたします。

 警察官個々の氏名を明らかにいたしますことは、警察業務遂行上も、個人のプライバシーの上でも、また、現にこの問題が愛媛県におきまして、争訟、裁判に今なっておるという状況からいたしまして、差し控えるのが適当と考えております。

吉井委員 私、裁判の話は別にここで触れていないんです。

 今までずっと皆さんが言ってきたのは警察の発表ばかりなんですね、愛媛県警の。一方の当事者の話なんです。

 もう一方の当事者にいろいろ御協力いただいて、私たちは警察のような権力を持っていませんから、大変だけれども、いろいろ調べて、資料を出してきて言っているんですよ。それに対して、やはりこれはきちんと答えるべきものなんです。これを出さないということは、皆さんの今までの主張に根拠はないということなんですよ。

 私は、この際、実際の勤務ローテーション表の提出、旅費を受給した隊員の氏名を出すべきだ。これが出せないということは、幾らいろいろな理由をつけてみても、この警乗旅費問題については、愛媛県警の言っていることは証拠なし。法と証拠に基づいてといつもおっしゃるけれども、証拠なし。これはもう県警の方の問題が極めて、裏金をつくる、いろいろなところのつまみ食いで裏金というのはできるものなんですけれども、その一部になっていたことをみずから認めたということにならざるを得ない。

 だから、違うというんだったら、まずお出しになるべきであります。

 最後に、公安委員長に、警察を見ているだけでは何も解明は進まないんです。私は、わずか一例を挙げたこの問題についても徹底的に解明せい、公安委員長がその立場に立ち切らない限りこの問題の解明には全くつながらない、このことを申し上げたいと思います。

 大臣、最後に一言お願いします。

村田国務大臣 訴訟の問題もありますけれども、本件につきましては、私も既に愛媛県公安委員長にも調査を厳正にやるべしということをお伝えしたところでございまして、愛媛県公安委員会の管理のもとに、きちっとした調査がなされたものというふうに考えております。

吉井委員 時間が参りました。

 調査される者が調査してもだめですからね。

佐藤委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 午前中に続いて質問をいたします。

 今度は、これもこの間の愛媛調査を踏まえてですが、大洲警察署のにせ領収書問題を、先日、県警本部長に伺いました。

 昨年九月の発表の県警調査報告、それからことし二月の県監査委員会の特別監査、両方突き合わせてみると、大洲警察署のにせ領収書使用件数について四十一件の差があったんですね。これを問いただしましたが、これは、九九年から二〇〇三年度まで、平成十一年から十五年までの百七件の中で、特別監査六十六件が県費にかかわるもの、四十一件は国費捜査分だということを本部長も明らかにされた。

 少なくともこのにせ領収書にかかわるものについては、私はやはり、国費にかかわる分については警察庁長官としてもきちんと調査をして、そして返還をさせるようにするとか、そういうことはきちんとさせられるのがまず手始めになっていくんじゃないかと思いますが、伺います。

漆間政府参考人 今の御質問の件ですが、国費の分については、これはもう既に愛媛県警の方で調査をしておりまして、もともと県費の方についても、基本的には不適正という、いろいろな範疇はございますけれども、現実の問題として、これを返す、返さないについては、実際のところ、たまたま偽造の領収書を使わざるを得ないような形にさせられたという事態があって、それで実際にはちゃんと捜査に使用していたわけでありますから。ただし、やはり県の監査委員の方からは、それはだめだということを受けたわけであります。

 国費の方については、愛媛の方としては、これはやはり適正に執行しているわけでありますから、別に返す必要がないと愛媛の方からも話は聞いておりますが、いずれにしても、まだ十六年度中には北海道警察と愛媛県警察は警察庁の監査の対象に入っていませんので、この辺については、十七年度中にできることであれば監査をして、しっかり見きわめたいと思っています。

吉井委員 御承知のように、県費にかかわる方は二十七万七百二十円、返還されているんですね。県費は返さなきゃいけないが、国費にかかわるものは返還しなくてもいいという話にはならないわけで、これはきちんと調べて、やはり返還させるようにきちっとやっていく。それは、返還を求めるべきものはきちんと求めるということを貫いていくのが普通の筋だと思うんですが、もう一度伺っておきます。

漆間政府参考人 先ほど申し上げましたように、愛媛県警の見解は、国費の分については、これは適正に執行している分なので、県費の分については、見解の相違で、それは問題を長引かせたくないから返したという話を受けています。

 したがって、私どもの方としては、それが正しいのかどうかを含めてきちっと愛媛県警について今年度中にできれば監査をして、それがそのとおりでいいのかどうか、そこを確かめたいと思っています。

吉井委員 それはまずきちっと監査を進めていくべきだと思います。

 次に、大洲警察署のにせゴム印問題ですね。これも先日、本部長の方は、出入りの飲食店の印鑑を預かってこれを使ったこともあったことを言っておられましたし、このほかにもゴム印があったことを認めておりました。

 ことし一月十一日に、ある喫茶店で愛媛の裏金対策チームの警察官の方が元会計課長と会って、元会計課長が持っていたにせ領収書をつくるためにつくったゴム印を取り上げて持ち帰ったということが言われておりますが、このゴム印というのは本人に返したのか、それとも県警の方でまだ預かっているのか。これは政府参考人の方が答弁しやすいのかもしれませんが、これはどういう扱いになっていますか。

漆間政府参考人 月曜日に現地に行かれて本部長からもお聞きになっていると思いますが、残って返還している分というのは、留置場に弁当を入れるとか、そういうところの業者の関係のゴム印、これが残っていて、それは返還した、ほかのところについては承知していない、どこに行っているかもわからないということでありまして、我々も、今委員から御指摘がありましたけれども、その件については全く承知しておりません。

吉井委員 これは、ことし一月十一日に喫茶店で元会計課長さんが県警の裏金対策チームの警察官の方に会ったときに、にせ領収書をつくるためにつくったゴム印を見せて、取り上げた形といいますか、要するに持って帰られたということなんですが、このゴム印を本人に返したのか、それとも県警にまだ預かっているのかということなどは、私は、このにせゴム印問題などの解明についても、全体の中からすれば、これはその中の一つであるにしても、こうしたこともきちんと調べていく、このことは大事だと思うんですが、どうですか。

漆間政府参考人 先ほど申し上げましたように、今のお話は初めて聞いた話でありまして、愛媛県警からも報告を受けておりません。今委員の御指摘がありましたとおり、実際、愛媛県警の方にそういう事実があったのかどうかも含めて調べてみたいと思います。

吉井委員 これはまず調べていくことを求めておきます。

 それで、私、このにせ領収書問題とか、にせゴム印、印鑑の作成問題とかその使用の問題ということは、実は午前中も議論になっておりましたけれども、今度のことし六月三十日の愛媛県警の報告書の中でも、例えば松山東署でもコーヒーセットが出てくる、それから松山西署でもコーヒーセットが出てくるとか、にせ領収書とかそういうものとかかわって、どうもコーヒーがお好きなのかどうかはともかくとして、簡単に思いついたものを題材にしてにせ領収書が切られていくとかいうのは、本当にこれはゆゆしき事態だと思うんです。

 問題は、私、ここで長官に伺っておきたいのは、この公費の支出にかかわってにせ領収書を書くとか、あるいはにせの印鑑を使用するとか、これは単なる私文書偽造の話にとどまらず、非常に公的な性格を持ってきますね、公費の支出となってきますと。

 私は、こういうことについては、もう公費の支出にかかわってのにせ領収書をつくるなどということはまかりならない、それはきちっと長官として指示をされるということが今度の今取り上げました問題を通じてでも大事な問題だと思うんですが、この点も伺っておきます。

漆間政府参考人 一番最後の方に言われた、公費の支出に関してにせ領収書をつくるということは絶対あってはならないということは、当然もう既に指示しておりますし、必要があればまた指示もいたします。

 ただ、これは、事件になるかとかそういうようなものについてはもっと個別的な判断が必要だと思いますので、そのときの要件等をいろいろ判断しながら、まず愛媛県警の方でそういうふうに判断するかどうか、それは見きわめたいと思っています。

吉井委員 次に、午前中は警乗旅費の問題を取り上げましたけれども、それを本当に明らかにしていくためにも、ローテーション表を出すこととか、それから、実際、私たちがわかっている人は五人なんですが、八人が働いたからうまくローテーションを組めるという話なんですから、そうしたら三人の人をきちっと明らかにするとか、問題があるからには、国民の前に明らかにしていくために、解明するためにも、きちんと出すということがまず必要だというふうに申し上げておきたいと思います。

 これとかかわって、ここで検査院に伺っておきます。

 会計検査院は、警察の捜査費検査の際に領収書を検査すると思うんですが、そのときに、検査中だからといっていわゆる協力者名とか店舗名をマスキングされたり、あるいは領収書を見る上で何か条件をつけられることがあるのかどうか、これを伺っておきます。

石野会計検査院当局者 お答えいたします。

 お尋ねは捜査費に関する会計処理のことだと思いますが、会計実地検査の際などには、その提出を受けまして確認を行っております。そして、関係職員から説明を求めるなどして検査をしておりますが、その際、提出された会計書類にいわゆるマスキングということがされていることはないものと承知しております。

吉井委員 ですから、国の会計検査の場合は、マスキングはしないで、警察の皆さんも全部出されるわけですね。

 先日、愛媛県警の方で本部長に伺いますと、要するにしているわけなんですよね。愛媛県の出している特別監査報告にも、九割方がマスキングをしているということですから、事実上問題の究明そのものを妨げる、協力しない。

 国会の方で、さっきも言いましたように、ローテーション表とか、八人のうちの五人はわかっているんだから、もし本当に八人の方がいるというんだったら八人のお名前を出すようにとか言っても出さないわけですから、実際上、国会の調査についてもマスキングしているのと同じことなんですね。

 私は、検査院にはマスキングしないわけですから、少なくとも県の監査委員会にもマスキングしないできちんと特別監査などを受けるように、これは警察庁長官として、各県警の方に県の監査委員会の監査には協力をすべきだ、しなさいということを指示するのが普通だと思うんですが、どうですか。

漆間政府参考人 会計検査院の検査についても、それから県の監査委員の監査につきましても、基本的に特別な事情がなければマスキングしないで出すということについてはもう既に指示はしてあります。

 ただ、両方とも守秘義務がかかっているわけでありますけれども、国の機関と違って、都道府県の場合、地域で協力者等が有名人だとか、あるいは名が知れた人だ、一見してわかるというような場合に、それは出してしまうとどうしてもその協力者との関係がおかしくなるとかいろいろな問題がございます。

 したがって、会計検査院の場合にはいわゆる地縁、血縁とかそういう点でいくと非常に薄い関係にありますので、その辺からいくと、県の監査委員がやる場合と国の会計検査院が検査する場合とで、多少マスキングの仕方が変わるということはあり得ると思いますが、原則として特殊な事情がない限りはマスキングしないで出すということについてはもう既に指示しておるところであります。

吉井委員 この間、本部長の方は、捜査にかかわるものに関しては断ることもあると言ったんですね。九割方マスキングですからね。どう考えても、九割方全部捜査中ということはまずないわけですね。

 ですから、特別の事情がある場合を除いてとかそういう表現で例外を残しているのは、例外が全体になるんですね。だから、やはりマスキングそのものをやめるべきだ、きちんと監査に応じるべきだということをあなたが指示しない限り全然徹底しないんです。

 それで、北海道警から愛媛県警に至るまで、大体億単位から数十万まで金額はばらばらなんですけれども、こうした警乗手当だとか捜査報酬費のにせ領収書づくりなど、細かいものをつまみ食いするようにして集めて裏金というのはつくられてきたというのがこの間の問題なんです。しかも、警察庁の会計担当者が県警に行って裏金隠ぺいのために指導して回ったということが問題になってきたりとかいうことがあるときですから、私は、県警のにせ領収書問題その他は単なる地方県警の問題にとどまらないで、警察庁自身が本当にみずからの問題としてきちんと取り上げないと、これはとても解明がいかない。

 最後に、長官として、裏金問題の徹底解明、そしてその根絶にどう取り組もうとお考えかを伺っておきます。

漆間政府参考人 基本的には、やはり、今の警察制度は、警察の執行務についてはすべてについて都道府県単位で行っているということになりますと、それぞれの会計経理の方もそういうことになります。そういう前提に立ちますと、まず都道府県警察の方でどう判断するかということが非常に大きな要素であります。

 ただ、一般的な考え方としては、それは先ほども申し上げましたように、基本的には、マスキングとかそういう形でやるということ自体が、やはり国民あるいは県民にとっても、何か隠しているのではないかということから考えますと、それは説明責任を十分果たしていないことになりますから、どうしてマスキングをするんだということについても、ここはなかなか非常に難しいんですが、説明責任を果たすという方向で今後対応する、今も対応しているところは対応しているはずでありますから、そうなると思います。

 したがって、先ほども申し上げたように、基本的には会計検査院の検査に対しても、県の監査に対しても、これは特別な支障がない限りはマスキングしないで出すということに方針を決めています。あとは県の方が、これはこういう事情がありますのでと言われれば、これは私らの方で判断するというよりも、やはりその県の考え方がありますので、そこは尊重すべきものは尊重しなきゃいかぬと思います。

 一般原則はもう既に示していますので、そういう方向で、ともかく説明責任が果たせる形で、不正経理問題があったのかなかったのかをきちっと県民に訴えられるというような形にしていきたいというふうに思っています。

吉井委員 終わります。

佐藤委員長 次に、山本拓君。

山本(拓)委員 山本拓でございます。

 先日、愛媛に行ってまいりまして、以前は北海道にも行かせていただきました。

 それで、不正経理の問題については、これはよく新聞記者とも言うんですが、新聞記者でさえ取材活動をしていく上で必ず経費の問題が出てくる。そして政治家も政治活動の中で経費の問題が出てくる。政治の場合はあらかじめわかっていましたり、届け出になりますが、取材とか捜査とかそういう突発的な問題に対しての経費の経理は非常に難しい。そんな中で、かつて県議会とかいろいろな地方においても、警察以外にも、そういう空出張とかいろいろな問題で、ずっと共通しているんですね。大分直ってきたんですよ。

 それで、漆間長官は、かつて奈良県警の本部長をやられておられて、そのころの部下に私の奥さんのお母さんがいたようでありまして、女刑事だった人ですけれども、非常に厳格に、立派にやられていた人だという証言もあります。

 私が申し上げたかったのは、現場の人が速やかにやる上で、今回の一連のものを反省として、そういう疑惑を持たれ、事実関係は今後明らかになるんでしょうけれども、しっかりそれを再発防止という点では、仕組み的に問題ありや。いつも、かわいそうなのは国家公安委員長なんですよ。何の権限もないのにいじめられて、長官はなかなか出てきませんから、そんな立場じゃないから。

 だから、そんな中で、しっかりと国家公安委員長に、地方の国家公安委員会が権限が発揮できるように、ここでチェックできるような仕組みも変えなきゃしようがないじゃないかという議論もいずれ出てくるんだろうと思うんですね。だから、そういう中で、それが問われていますから、今回の事案で委員会で行きましたので、信頼回復のためにしっかり結果を出していただきたいなというふうにも考えております。

 何せ十分ですから、民主党さんに大サービスして時間を差し上げておりますから、そんな中で、まとめてお聞きしますけれども、今回の不正経理の問題について、まず、長官としてどのように受けとめられ、そしてどのように具体的に指示をし、また今後どのようなことを対応されるのか。

 そして、治安の回復というか、要は、会社でも、売り上げが上がっているときは多少経費がかかってもみんな納得するんですよね。売り上げが落ちて赤字をこいているときに経費がかかっているとみんな文句を言うでしょう。治安も、検挙率も非常に高まって、低ければ、しようがないかという人もいるかもしらぬけれども、検挙率が下がって犯罪率が上がってきて、経費の問題がうわさが出るともっと怒るんですよ。だから、しっかり結果を出してもらわなきゃいかぬ。

 さらには、行政改革で縮小する中で警察官だけ確保して補充していこうというわけですから、なおさら、公務員の質または運用の意味でも、今後の治安回復に向けた対応、漆間長官の長年の手腕が求められるところでありますから、しっかり答えてください。

 そして、質問をあと一個追加しておきますが、愛媛へ行きましたら、愛媛県の公安委員会の委員長さんは女性でした。男女共同参加型社会の会長さんが珍しく県の公安委員長になられているんですね。

 いろいろ私も、そういう関係で、この委員会は女性参加型の問題もやっていますから、そういう立場からいたしますと、女性警察官の採用枠をふやしてくれということでございます。犯罪者も女性がふえていますから、その割合に応じてふやすべきじゃないかなということも考え、今後、自民党も女性をふやすことによって模様、景色が変わりましたので、警察も女性をふやすことによって模様が変わるんじゃないかなという応援にもなるのではないかなと思いますので、その点の長官の見解もあわせてお答えください。

漆間政府参考人 最初の質問にお答えいたします。

 私は、昨年の八月に警察庁長官を拝命した際に、現下の警察の大きな課題の一つが治安と信頼の回復であるということを申し上げました。

 信頼の回復という言葉を入れましたのは、まだその時期には北海道警察を初めとして不正経理問題が片がついていない、そういう状況の中で、警察というのは国民の協力のもとで仕事をしていくわけですから、その国民の協力を得るためには、やはり国民の警察に対する信頼が基盤になければいかぬということがありましたので、そういうふうに私は職員に対して着任のあいさつをしたわけであります。

 その後も、私は、基本的には、この不適正な予算執行の問題に関しては、これは、きちっとした事実が出るのであれば、正すものは正す、それから返すものは返す、そして刑事処分も含めて処分すべきものは処分するというふうに厳しく対応すべきだというふうに思っています。

 と同時に、他方、やはり捜査活動を含めまして警察活動に必要な予算というのはきちっと確保されなきゃいけないし、またそれを効率的に、しかも積極的に使うということも必要だというふうに感じておりまして、したがって、今までどちらかというと捜査費を使う部門が捜査費をどうやって使っていいかわからないというようなところもございましたので、それについての教養の徹底とかいうこともやってきておりますし、それから、会計の監査の体制も警察庁としてはかなり増強いたしました。

 そういう意味で、ともかくこの不正経理問題に早くけりをつけて、国民の信頼を得た形で治安の回復を図りたいと思っています。

 治安の回復については、ちょっと長くなりますけれども、二つあると思っています。

 一つは、私がいつも全国会議で申し上げていますけれども、統計数値で出てくるような指数の治安、この部分については十五年、十六年と下がっていますし、ことしも九月末現在で一一・七%刑法犯の認知件数が減っています。

 そういう意味では、指数治安ではかなりよくなっているわけですが、体感治安といいますか、この体感治安というのは非常に主観的な要素がありますから、マスコミがどういう報道をするかとか、非常に大きな事件が起こったとか、あるいは政治、経済、社会状態が悪ければ体感治安も悪くなるとか、いろいろな要素があります。内閣府の世論調査なんかを見ても、やはりどうもまだ治安対策が不十分だというようなところがうかがえるわけでありまして、そういう意味で、いわゆる指数治安それから体感治安、あわせて治安が回復するようにしていきたいというふうに考えています。

 これについては、私は、これから非常に大事なことは、地域社会の犯罪抑止能力を高めて、そしていかに地域住民と警察とが連帯して犯罪の総量抑制につなげるかということが一番大事ではないかというふうに思っています。

 それから二番目の御質問でございますが、これについては、これは毎年のように女性警察官の採用はふえております。

 ことしの四月一日現在で都道府県警察に勤務する女性警察官の総数は約一万一千六百人、全警察官の四・七%でありまして、平成元年の約二・八倍であります。

 職域もいろいろ広がっておりますし、現在、ストーカー事案だとか配偶者からの暴力の問題だとか性犯罪の被害者の対策の問題とか、つまり、女性でなければ細かな配慮ができないという分野がたくさんございます。そういう意味で、今後も女性警察官の採用というのはふえていく、そういうことになるだろうと思っています。

山本(拓)委員 ちょうど時間が終わりました。終わります。

佐藤委員長 次に、田端正広君。

田端委員 私も一昨日、愛媛県の方に行かせていただきました。

 先ほど長官もおっしゃっておりましたが、警察に対する国民、県民の信頼回復、これなくして治安対策というのはあり得ないだろうと私は思います。

 したがって、この経理問題については、これはやはり何かいろいろなことがあったんでしょう。しかしこれは、おっしゃるように、早く決着をつけて、本気で県警の体制を立て直す、そういう決意がなければなかなか前に進まない、こう思います。そういう小細工なんかやめて、要るものは要る、それはもうはっきりときちっとされた方がいい、こういうふうに思います。

 それで、今回の愛媛県警の問題については、大洲署の問題、これは十六年五月三十一日ですね。それから仙波巡査部長の告発された問題は十七年一月二十日、それから県の監査委員による特別監査は十六年十月七日ということで、いずれも時間的には相当たっています。したがって、できるだけ早くといいながら、こういうことで時間が来ているわけであります。

 一昨日も伺ったところ、対象が三万件あるとか、あるいは人数が七百八十人でしたか、そういう数をつぶしていっているとか、そういうお話もございました。だから時間もかかっているということはわかりますが、しかし、県民の信頼回復を第一義に考えれば、これはやはり本気になってお取り組みをいただくことが大事だろう、こう思います。

 そこで、県警本部長に、例えば仙波部長、いろいろたくさんのことを言っておりますが、こういったことで具体的な物的な証拠といいますか、そういうきちっとした確認はとれているんですかと言ったら、そういうものはありませんという答えがありました。そうすると、こちらの、もう一つの平成十三年分の十三事案三十五件ですか、ここの問題について、ここが相当な時間がかかっているんだろう、こういうふうに感じます。

 そういう流れの中で、やはり、公安委員長もおっしゃっておりましたが、県民と警察との信頼関係をいかに回復するかだ、そういう立場で公安委員会の方もいろいろと努力されているということでございますので、警察庁長官として、早くこの事態収拾に向けていくという決意を明確にしていただいて、そして愛媛県警の立て直しといいますか、新しい信頼回復を取り戻す、そういうことにぜひお力添えをしていただきたい、こう思うわけでありますが、長官の決意をお願いしたいと思います。

漆間政府参考人 愛媛の事案に関しましては、県の特別監査で、平成十三年度についての十三事案について、これはもう既に報告書も出しております。そこでやはり不適正なものが見つかったものですから、今一番大事なのは、十三年度の国費それから県費の捜査費、捜査報償費全部をチェックしようということでやっております。

 これは、先ほども委員御指摘がありましたように、いろいろ対象がたくさんあるもので、まだいまだに結論が出ないということで大変申しわけなく思っていますが、まさにこの問題は早く解決しないといつまでも引きずりますので、私の方も愛媛県警の方に十分指導をしまして、早く全貌を明らかにして、これを県民あるいは国民の皆さんに訴えて、そして説明責任を果たせということについて、しっかり指導をしていきたいというふうに思っています。

 できる限り、その方向でもしやっていくことが可能であれば、年内には何とかそういう形でもおさめることができればと私は希望しておりますが、その旨、愛媛県警の方にも伝えたいと思っています。

田端委員 その点について、国家公安委員長、この愛媛のほかにも、ずっと北海道とか福岡とか宮城とか、いろいろマスコミ的にも問題視されている、そういった問題があります。

 そういう意味で、やはり警察の今のあり方ということを考えなきゃならない一つの問題提起でもあろう、そういう警鐘でもある、こういうふうにも感じるわけでありますが、公安委員長として、警察機能をより高めるということを管理する立場で、この問題を一つのきっかけにして今後どうあるべきかという点について、大臣のお考えをお願いしたいと思います。

村田国務大臣 まさに、国家公安委員会の管理機能を強化する、こういう意味で、昨年の四月に会計経理の面につきましては規則を定めて、その規則にのっとって、これまでも、全国の都道府県そのものを含みます六十三部署に対しまして会計の調査を行わせているところでございますし、その報告も受けている。

 十七年度につきましても、引き続きしっかりとした、厳正な会計の調査をやっていく、こういう態勢でおりまして、かつまた、警察全般に対しまして、会計処理の適正化、これが本当に大切なんだということを知らしめていく、そういうことをやらなければいけないというふうに考えているわけであります。

田端委員 私は、大阪の人間でありますが、漆間長官も大阪府警本部長を経験されているということで、大阪のことは詳しいと思います。

 私は、西成区に住んでおりますが、国会議員になって最初に質問で取り上げたのは、覚せい剤の問題を取り上げました。それから十数年たっていますが、では、その覚せい剤関係の問題が減ってきたかといったら、全然減っていないような感じがしますし、西成の町を見ていても目に余る実態があるわけであります。そういう意味で、私は、治安問題というのは、かつての日本の治安が世界一と言われた、そういうことから、だんだん何となくおかしくなってきているんじゃないかという思いを強くしているわけであります。

 この覚せい剤の問題については、過去にもいろいろな芸能人が出たり有名人が出たりして問題になっていますが、残念ながら、民主党の前議員の中からも今回出たというようなことで、この間も話題になったばかりでありますし、それから、JRの貨物の運転手がどうだとか、自衛隊の中にもそういう人がいたとか、いろいろなところで最近話題といいますか、覚せい剤所持の問題で逮捕された人が相次いでいるわけであります。

 こういう問題一つをとってみても、これは広域的な、あるいは組織的な、そういう根っこにある事件でありますから、そういうところにメスを入れていくためにも、早くそういった不正経理問題のようなことは乗り越えていただいて、本気になって対処しないと、こういう大きな事案には取りかかれないんじゃないかという思いをしておりますが、長官の御決意をお伺いしたいと思います。

漆間政府参考人 確かに、覚せい剤の問題は大変蔓延しているという状況でありますから、末端ばかりやっているばかりで、上の方とか、あるいは、これは当然日本では入ってきませんから、ほかの国から入ってきますので、そこを押さえることができないとか、いろいろあります。

 そういうことに対応するために、昨年、警察法を改正していただきまして、刑事局に組織犯罪対策部という部をつくりまして、暴力団というような犯罪組織、来日外国人の犯罪組織、それから銃器、薬物というものを一緒に持ってやるという形で組織をつくりまして、そこでいろいろ分析しながら具体的な戦略を立てて、覚せい剤をいかに日本国内に入らせないようにするかとか、そういうことをやっているわけであります。

 とりあえず、まず、それがどういうふうに今後機能していくのかというのを見据えた上で、警察法の改正というのはそうしょっちゅうやれるものではございませんから、田端先生が言われるような、今後、例えば警察庁として何らかの形で執行部隊を持つというようなことが可能なのかどうか、こういうことについては今いろいろな検討もしていきたいとは思っていますが、とりあえずは、まず、昨年の警察法改正でそういう新しく部をつくって対応しているところでございますので、それがどの程度の効果を上げるかということをしっかり検証してからいろいろ考えてみたいと思っています。

田端委員 犯罪の凶悪ぶりといいますか、非常に知的な、悪質なといいますか、そういう意味では、単に警察庁だけというんじゃなくて、国を挙げてみたいな感じの横の連携、入管とも連携をとらなきゃならない、海上保安庁あるいは厚労省、麻薬取締官とか、いろいろな意味で総合力を発揮して、覚せい剤一つをとっても、薬物一つに対しても、そういった本当のキャンペーン活動から始めて、そういうことは必要だろう、こういう思いを強くしているわけであります。

 だから、警察庁だけにどうだこうだということでもありませんが、そういう意味でも、ひとつすっきりとして対応をお願いしたい、こう思うわけであります。

 実は、大阪の問題をもう一つ申し上げますが、私は非常に残念に思うし、非常に恥ずかしいと思うのは、ことしで二十九年連続ひったくりワーストワンである。二十九年ということは、ことしもまたワーストワンらしいんですが、そうすると三十年間ワーストワンである。これはもう何と言っていいかわからない。大阪府民にとって、本当にこれはどういうことなんだろうと思うわけであります。つまり、それだけ街頭犯罪が多いんだということの一つのあかしだと思いますね。

 そうすると、例えば中央省庁があって、地方自治体がある。自治体で何かあったときには、関連の中央省庁と自治体が一体になって対応すると思うんですが、これは警察庁と大阪府警本部あるいは大阪府と一体になって対応しても、なおかつそれが解決できていないで、三十年間続いているということは、やはり私は、中央省庁に余り権限はないかもわかりませんが、しかしこれは大変な大きな問題だと思います。ぜひこういうことは、つまり、治安が悪いという典型的な形が出ているわけでありますから、どうぞしっかりとお考えいただきたい。

 つまり、今の刑事犯、刑法犯の検挙率が二六%という、これはもう四分の一の確率でありますから、大変に低下しているわけであります。そういうところを本気になって再建していかないと、日本の治安は世界一と言われる、その思いをもう一回再建しようという小泉さんのお考えにはほど遠いというふうに思うわけでありますが、長官は、そういう意味では、大阪の責任者も務められたので、その辺のところで、感想があれば、お考えをお願いしたいと思います。

漆間政府参考人 私も大阪府警の本部長をしておりまして、ともかくワーストワンが多いなと思っていまして、その中でもひったくりは、まさに先生言われるとおり、もう二十九年になるんだなと思います。その点では私の力も足りなかったということは重々反省しておりますけれども、全体としてはずっと減ってきているんです。

 この前、大阪府知事にもお会いしましたけれども、何とかこのワーストワンを返上したい、大阪府としても一生懸命やりたいと言っておられました。

 私はそのときに、それは阪神が優勝するよりもワーストワンを返上した方がもっとすごいことになりますと言って激励をしておきましたけれども、いずれにしても、大阪の治安にとって一番の問題は、やはりワーストワンがひったくりのみならずほかもありますので、何とかワーストワンを一つでも減らす方向で、警察庁としても、できることがあれば支援をしていきたいと思っています。

田端委員 これは、ぜひこれから、不正経理事件を一つのきっかけにして、今後の警察のあり方ということの議論の突破口にしていただきたい、私はこう思うわけであります。

 組織犯罪あるいは国際化犯罪といいますか、非常に複雑、巧妙になって、しかも今度はテロの問題が起こってくる。こういったことを考えて、今後の治安といいますか、日本の国民、財産を守るという意味においては、非常に、これからはもっともっと機動的に、しかもいろいろな省庁、例えば防衛庁なんかとも連携をとりながらやらなきゃならないこともたくさん起こってくるんじゃないか、こういうふうに思います。

 例えば、この前、アルカイダの関係者が、新潟ですか、三カ月ほど日本に滞在していて、ドイツで捕まったということが、ドイツから情報が入ってきた。日本には、入ってきたときも出るときも素通りであった。こういうことが今既に起こっているわけでありますから、そういう意味では、本当に、テロを含めた大きな組織化された犯罪、国際的な事件、こういうものに対処していくためには、この今回の事件をもっと乗り越えて、警察制度そのものまで、機構改革までいかないと、こういったことは対応し切れないんじゃないかという思いがします。

 例えば、言葉の問題一つにしても大事であろうし、専門的な知識とか技術ということも非常に大事だと思います。例えば、この間の、イギリス、ロンドンのテロ事件を見ても、大変たくさんな監視カメラを、何十万台とかと言っておりましたが、設置して、そして、非常にそれで素早い分析をやって、犯人をとっ捕まえるきっかけをつくっているわけでありますが、では、そういった体制が日本にできているかというと、自治体警察である以上、全国的なそういうことにはなかなか今及んでいないんじゃないか。

 そういう意味では、警察庁の役割というのは、これはもう本当に大きな役割にこれからなっていくんではないかと思っておりますが、この点について、長官の御意見をお伺いしたいと思います。

漆間政府参考人 先ほど、組織犯罪対策の関係については申し上げましたけれども、国際テロ対策の関係につきましても、昨年の四月から、警備局に外事情報部というのをつくりまして、ともかく、国際テロ対策の一番大きな要諦は、イスラム過激派について、やはり日本警察としては知見が非常に少ないわけであります。

 したがって、これは外国の警察といろいろな形で情報交換をして情報をとらなきゃいけないし、それから、既にテロが起こったところについては、どういうやり方でテロが行われていたのか。その反省、教訓を踏まえて、では日本警察はどうするかということをやっていかなきゃいかぬということもありまして、今、外事情報部長は、全世界を飛び歩きながらいろいろ情報をとっているところであります。

 そういうことも含めまして、政府としても、この間、未然防止に関する行動計画をつくっておりますし、そういうものを着実に実行しつつ、日本国内でテロが起きるその関係につきましては、ともかくいち早く情報を入手するという形で、まず、とりあえず対応していきたい。

 あと、機構的にどうするかという問題については、また、先ほど申し上げたような、国の機関を置くことが必要であるのかどうか、これは今後の組織犯罪対策部あるいは外事情報部の実際の成果等を検証しつつ、考えていきたいと思っています。

田端委員 警察機構の今後のあり方といいますか、その辺のこと、今後ますます大事になっていくと思いますので、きょうは問題提起ということで、そういったことで話させていただきました。

 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 まず最初に、私の方に投書が寄せられた件について、長官に聞きたいと思います。

 北海道警察の倶知安署に関する形で、私のところに、平成十四年度、会計担当の不正使用があったのではないか、こういうふうに投書があったんですが、その事実はあったんでしょうか。

漆間政府参考人 今お尋ねの件につきましては、倶知安署の元係長が公金を横領していたという事案をことしの四月に認知しております。現在、処分等も含めました捜査等をしているところであります。

鉢呂委員 今七月というようなお話がございました。

 私は、この質問通告を、きちんと誠意ある回答が欲しかったわけですから、きのうの朝しました。ところが、きょうのNHKの昼の十二時のニュースの北海道版で、この会計担当五十五歳が、日額旅費の横領、それから業者水増し請求を行った疑いで取り調べ中である、平成十四年以前についてもあるということで、その額は少なくとも数百万に上る、こういう報道がなされたわけでございます。

 長官、私は、私が質問通告をしたからNHKにそういうふうなリークをする、こういう形で、警察の隠ぺい体質は一切変わっていない。七月からいって、きょうNHKにこういったリークをすると……(発言する者あり)四月ですか。四月からもう何カ月、六カ月たっているじゃないですか。

 なぜこういった問題が、警察がきちっと捜査をして、ちゃんと国民の皆さんに明らかにする、あるいは拘束をして取り調べをする。これは十四年、あるいはその以前の問題です。不正経理と密接に絡んでおるかもわかりません。こういった隠ぺい体質が、まさに警察庁の改革につながっておらない、こういうふうに思うんですが、いかがですか。

漆間政府参考人 ただいま委員の方から、いかにも警察の方からリークしたような話がありましたが、これは、果たして私らの方がリークしたのか、ほかから出たのか、これは全くわかりません。私らの警察庁の方からリークしたなんということは全くございません。

 それから、NHKでそういう放送が流れているということについても私は知っておりません。

 それからもう一つですが、これは、先ほど申し上げましたように、捜査をしておりますので、具体的に、今言われたようなNHKの報道があったとすれば、それが正しいか否かについてもお答えすることはできませんが、北見の方面本部の警備課長の事案も立件するまでに時間がかかっているのと同様に、やはり一定の事件というのは、これは一定の捜査期間を要します。したがって、ことしの四月にできたものが今すぐできるというわけにはいきません。

 だから、その辺については、今まで何していたんだ、きょう質問があるからこれは警察がリークしたんだというのは、それは一方的な言い分ではないかと私は思っています。

 私どもとしては、これは粛々と捜査をしておりますので、ある時期が来たときに、お答えできるものはお答えできる、また発表するものは発表する、それが全体的な不正経理と関連があるかどうかについても、きちっと明らかにしていきたいと思っています。

鉢呂委員 私は昨日、政府の国会対応に、警察庁の国会対応に言っただけであります。そういう中で、この中身、NHKが報道した、そこまでのことは投書は全く書いてありませんでした。

 ですから警察庁長官が警察のリークでないというふうに断言しても、そこはわからないわけでありまして、長官もみずからこの中身についてきちっと、警察がみずから、私は普通は警察内部の、これまでさまざまな不正経理がありましたが、全部内部情報です。私のところにも、そういう投書も来ておりますけれども、外部からそういった形は本当にないのであります。

 今回も、こういう事件について、リークでない。では、ちゃんと、報道機関にどういったたぐいであったか、後でこの委員会に報告してくれますね。

漆間政府参考人 基本的には、では、そのリークである根拠を示していただきたいと思います。それから、先生のところに来た投書は一体どんな内容であったのか、開披していただけますか。

鉢呂委員 私ども、捜査機関に捜査をするという権限は今のところありません。しかし、きょうNHKで報道されたんですから、それがどういった形で報道されたのか、これはきちっと皆さんが調べる必要がある、こういうふうに思います。いいですか。

 そして、資料提出をしてください。

佐藤委員長 許しました。

鉢呂委員 皆さんのところのお手元に行っている資料は、まさに今の形の倶知安署における警察の内部調査、これは北海道警察が全部、これは八百枚になるんですが、捜査用報償費、もちろん国費の捜査費も入っておりますが、この倶知安署の形であります。

 国家公安委員長も見てほしいんですが、これは一年間トータルして平成十一年度、執行額としてこの合計の欄、一ページの真ん中、1+2と書いてあります百六十五万六千五百二十円。そして捜査活動に要した経費、これは六十万、年間です。この右側は、非常に小さいんですが、月額二万円あるいは三万円、報償費、捜査費、これは定額、刑事、生活安全課、交通課、これをまとめて二万円ずつ、この捜査活動費で支給した経費であります。

 そして、その下は、公費で執行可能と認められる経費はゼロであります。これは、その他まだ私は持っております。八百枚ありますから持っていますが、公費で執行可能と認められる経費はゼロなのであります。

 そして、その下は、公費で執行できないと認められる経費、ですから、公費で執行できないというのが合わせて七十一万六千円です。

 そして、一番下は、確証が得られない額として三十四万五百二十円です。

 この中で、見ていただければわかるんですが、備考欄、公費で執行できないと認められた備考欄に、「次長からの聴取の際に、説明、メモ等に基づき確認した。」下の方も全部同じです。

 この中身を見ますと、懇親会費、例えば署長本部招致検討会懇親会費、五月、二段目に一万円、五千円掛ける二人。こういうものが定額で五千円ということはあるんでしょう。しかし、真ん中辺にあります激励経費、これも全部端数なしの三万、六万、三万円、こういう形であります。

 私は、この中身全部は精査しておりませんが、普通は消費税もつきます。こういった警察内部で実費で、例えばどこかにありましたが、選挙違反もあったようですね。あるいは贈収賄事件慰労五万円とか、これはもうほとんど聞き取りで、領収書等の物証のものはない。説明、メモ等で、あるいは捜査にかかわるその説明を聞いて、いかにも、こういうものをやりましたからという形になっておるのであります。

 私は、先ほど言った、NHKが十四年以前にもあると報道したのであれば、これら十年から十四年まで請求したのでありますが、十三、十四年についてはこれが得られておりません。当委員会に、この十四年、十三年の執行分析表も私は提示する必要があると思いますが、長官、いかがですか。

漆間政府参考人 これはきっと、北海道警が特別に全道調査をしたときのまとめたものではないかというふうに思いますけれども、これを、ほかの年度を出すかどうかは、これはまさに委員会でいろいろ決めていただくことになると思いますので、それは委員長の方にまた聞いていただければと思います。

鉢呂委員 そして次のページ、二ページ目も見ていただきたい。これも小さくて恐縮なんですが、これは先ほど言った捜査費、捜査報償費の定額、捜査活動に要した経費、二十四万と三十六万。上の方は、いわゆる都道府県の捜査報償費として二十四万円、下の方が国費の捜査費の四十八万円を書いてあるわけです。

 当時の署長は退職後死亡したということで詳細不明でありますが、この中身を見て、例えば国費、私ども国庫ですから国費、真ん中辺に、係長手持ち、こういうふうに書いて四十八万。

 この右側の欄を読んでいただきたいんですが、係長は次長から毎月初めに捜査費として四万円くらいを受領、協力者に三万円くらいを支払い、残金一万円程度を手持ちとしていたと説明、主任は係長から三千円から五千円を受領していたと説明しているので、その手持ちの一万円から主任に三千円を交付し、残った金額七千円と三万円を係長の手持ちとして、三千円を警備係に計上した、こういう書き方になっておるわけであります。

 先ほど言ったように、捜査費は月々定額のような形で出して、しかも協力者については何か三万円程度毎月出していたような書きぶりで、全く実態とは違うのではないか、こういうふうに推定をされるわけでありまして、監査委員の皆さんが、北海道では二万二千件に上って架空の領収書が、これは五年間でありますが、発行されておった、こういうふうに言っておるのであります。

 そこで、国家公安委員長にお伺いしたいのでありますが、この前の質問のときに、使途不明金というものはなかった、こういうふうに、正確に言いましょう、大臣の先般の十月十二日の答弁で、北海道、監査結果も、私的流用はなかったということでございました、そうした事実はなかったと報告を受けております、そうしたというのは使途不明金、私的流用のことだと思います。

 しかし、この分析表を見ると、まさにこの七十一万についても物的証拠がない形でございます。あるいはまた、確証が得られなかった額、一番下段の三十四万五百二十円というのは全く何の形も示されていない。まさに使途不明金であり、これが私的流用をされたかされないか、これは確認に至らなかったということであります。

 この監査委員の指摘を見ますと、捜査資料といった間接的物証を見せてもらい、供述を総合的に判断して心証を形成した、捜査員の個人メモ、備忘録もないという形で、物証のない実態である、こういうふうに北海道監査委員は指摘をしておるわけであります。

 そして、今回の検証した結果においてという留保づきで、個人的利得を目的とした使用は確認できなかった、個人的な利得を目的とした使用は確認できなかったと言っているんです。

 あなたの、大臣の、そういった私的流用は、事実はなかった、こういうことになるんですか。

 あくまでも、北海道監査委員は、確証するに至らなかった、確認するに至らなかった、こういうふうに言っているんですよ。

 例えば、監査委員の一人、宮間利一さんという方は、捜査協力者などの関係人調査ができておれば、もっと正確な監査ができた、こういうふうに強制力のない監査の限界を述べておるんです。

 これからいけば、次長の説明やメモ程度で、もちろん何か、どこかの大会に出たとか香典だとかというのははしたなしの金額もわかりますが、まさに実費的なものとも思えるようなものについても、こういった形で、捜査がこういうことがあったからという推定で、三千円なら三千円、二千円なら二千円という形で書いた集計があの道警の調査報告ではなかったのか、こういうふうに思うんです。

 ですから、私は、大臣が言った、そういった私的流用という事実はなかったというのはやはり当たらない、こういうふうに思いますが、いかがですか。

村田国務大臣 私は、この資料を今先ほどいただいたばかりなので、これに基づいてコメントをするということは適切ではないというふうに思いますが……(発言する者あり)いや、今渡されたばかりなので、私は見るだけで、コメントまで申し上げる、そういう立場、あるいはそれだけの情報を持っていませんので、とっさにお答えはできないわけでございます。

 前回は、要するに、領収書とかそういうもので確認したわけでもなく、この表で、一番初めのところの表でもございますように、いろいろな経費をヒアリング等によりまして事実を確認して、それで積み上げた結果、かた目に抑えて、ここでもそうでございますが、まさに公費で執行可能と認められるものもここでゼロになっておりますけれども、かた目に見て、この下の方に書いてあります公費で執行できないものを返還する対象額として積み上げた、こういうことではないかと私は理解して、御答弁申し上げたというつもりでございます。

 そういう中で、北海道の監査委員会も言っているように、組織の立場を離れて、個人的な利得を目的として使用したものについては、確認されなかったということでございますので、その事実を私も述べたということでございます。

鉢呂委員 確認できなかったことと、そういった事実、私的流用という事実はなかったということとは全く別で、あなたの今言った事実というのは、監査委員が確認できなかったということを言っているという、そういった意味での事実なら、それは事実とは言わないで、それはそういうことであると言っていればいいことであって、私的流用の事実はここではきちんと出ていないんですよ。

 むしろ、この一番下の三十四万は全く何も出てこないんですよ。出てこないから、私的流用はなかった、そういう事実はなかったと言えるんですか。

 あるいは、かた目に見た、かた目に見た結果でないですよ。かた目に見るというのは、ちゃんと物証がある、領収書がある、そういうものをいうのであって、かた目でも何でもないでしょう。どうですか。そうしたら、この中でかた目の物証があるんですか。

村田国務大臣 この確認監査の結果の文章を見ますと、要するに、先ほど私が申し上げた文章と同じですが、組織の立場を離れ、個人的な利得を目的として使用したものについては、確認されなかったということを私は申し上げた。

鉢呂委員 だから、確認はされなかったということで、そうしたら、あなたの前回の答弁、全部読みますか。私的流用という事実はなかった、こういうふうに言っているんですよ。全く違うでしょう。

村田国務大臣 いや、今、先ほど御答弁したように、そういうことを述べていた、そういう事実を述べたわけでございます。

鉢呂委員 そうであれば、この使途不明金、これは北海道監査委員の代表委員がこういうふうに述べたんです。使途不明金について、その徹底した解明をやる義務が警察にはあるのではないですか。このことを前回も求めたわけであります。

村田国務大臣 その意味で、今年中に、できるだけ早いうちに、私どもの国家公安委員会の規則に基づく警察庁からの調査を北海道警察本部に対して行うということにしているわけでございます。

漆間政府参考人 これは倶知安署部分だけでございますが、つまり、確証が得られない額というのは物証によって裏づけが得られないということでありまして、捜査員によっては、これは捜査に使いましたとかいう供述はあるんです。だけれども、それは物証がないから確認が得られない額になっているのでありまして、そうすると、物証がない以上はこれをどう使われたかと言われても、これはもう調べようがない。現実がそれなんであります。

 それを踏まえて、道の確認監査の関係でも、全体的に見れば、これが私的流用されたということは確認できなかったということになるわけです。

 つまり、供述というのはあるんです、何に使ったか。といったら、ここに書いてありますように、例えば「説明、メモ等に基づき確認した。」とか、ちゃんと物証があって、このときにはこういうことがあったんだ、こういうことを言っているけれども、それじゃそのとおりになるのかということをできたものは、それは確認できているわけなんです。確認が得られない額というのは、使った先については確かにこういうふうに使ったんですと言うんですけれども、何もメモもない、それからそれを裏づけるものもない、そういうものが入っているんです、その辺のところを誤解のないように。

鉢呂委員 それは長官の方が誤解をしているわけです。

 この北海道監査委員でも、供述等総合的に心証を形成した、捜査員の個人メモ、備忘録もないという物証のない実態がある、いわゆる今回の検証した結果においての中では、この個人的利得を目的として使用した確認はできなかった。この三十四万五百二十円というのは今長官の言われるようなものではないんですよ。

漆間政府参考人 つまり、ここの部分は基本的に物的なもので裏づけができなかった。したがって、いろいろなことが出ているわけです。それから、あるいは、全然わかりませんでしたというのもあります。だけれども、それはどこに使われたかと言われても、物的なものがないから確認がとれないというだけの話です。

鉢呂委員 この上の方の説明、メモというのは物的証拠ではありません。これは領収書がなければ、捜査の関係で、供述を含むそういう心証で得たというたぐいのものであって、それは長官、全然違いますよ。(発言する者あり)いや、それはそちらでは確認できたと言っても、物的な証拠ではないということは明確にしておいてもらわぬと。

漆間政府参考人 それは、物的な証拠を何というかというその定義づけの問題で、かなり意見が違うんでしょう。ただ、実際上、捜査員が言った話では実は捜査員のメモに残っていた、そうなれば、やはりそれはそうだろう、ですから、我々からすれば、それは物的証拠だ。

 つまり、これは捜査をしているわけじゃありませんから、それだったら、それが確認ができたものだ。だけれども、私はここに使いましたと言っても何にも残っていない、こういうものは確認できないものだといって、一番下段の方に倶知安署の場合入っている、こういうことです。

 だから、それは物的証拠をどういうふうに定義づけるかにもよりますけれども、まさにこれは見解の相違でありまして、道の監査委員の方もその辺のところは理解の上で、私的な流用については確認できなかったという判断になっているんだと思います。

鉢呂委員 ですから、そこはもう少し詰めていきますが、いわゆる私的流用については確認できなかったと言っているんです。ですから、委員長の言うように、いや、それは事実がなかったというふうに前回は答弁しているんですよ。その上に立ってきちんと解明する必要があるでしょう、私的流用についてきちっと解明する必要はあるでしょうということを述べておるんです。

村田国務大臣 鉢呂委員がそこにおこだわりになるんだったら、私の趣旨は確認監査の結果に基づいて御答弁申し上げているので、そういう事実は確認できなかったというふうに訂正しても、いささかも私は私の前言を翻したことになりませんので、そのように御理解をいただいたら結構だと思います。

鉢呂委員 訂正しましたね、それでは。そういう事実はなかったというところまでは言っていないわけですから。(村田国務大臣「このとおりの趣旨ね」と呼ぶ)そうしたら、あなたの答弁を言いますか、もう一回。(村田国務大臣「はい、だから、いいんですよ」と呼ぶ)

佐藤委員長 許可を得て言ってください。

鉢呂委員 ですから、そういう確証の段階は得られなかった、事実はなかったとは言えない状況で、私的流用もあるのではないか、ほとんどの道民の皆さんがその疑念を払拭できないんですよ。ですから、私は、その私的流用もあるかという確証の得られない部分について、警察当局としても捜査を含んできちんと調査をする必要はあるんじゃないですかと言っているんです。

村田国務大臣 確認監査の結果の該当部分を読みますと、「提出された関係資料及び関係者に対する事情聴取などにより検証した結果においては、組織の立場を離れ、個人的な利得を目的として使用していたものについては、確認されなかった。」ということで、私もそういう趣旨として理解をしております。

鉢呂委員 いや、だから、それはいいんです。そんなことはわかっている話で、それに基づいて、私的流用もあるかもわからないその不明部分については、きちっと調査をする必要があるのではないか、こういうことを言っているんです。

村田国務大臣 先ほど私が御答弁申しましたように、北海道の問題については国家公安規則に基づきまして調査を行う、こういうことにしているわけでございます。

鉢呂委員 私は、先ほどの平成十四年、また以前にもある、こういうふうに、皆さんは捜査をやっておるということですから、その十四年の段階を含んでこの警察の内部調査というのがなされておるわけであります。

 今、委員長は、いやいや、これはもう全部確証が得られているんだと。長官も言いましたね。得られているのに、もちろん日額旅費とそれから、中身は私は聞いておりませんが、NHKの報道によれば、そういった今報道がされておるんですから、まさにこの倶知安署においても、北海道警察全体についても、本当に不正な経理、不正な使い込み、こういったものがないのかどうか、きちっとやはり捜査をすべきだと思いますが、いかがですか。

漆間政府参考人 先ほど申し上げておりますけれども、確たる証拠が出てきて、こういうところに使われましたということがはっきりするのであれば、それは場合によってそれが私的流用というふうになることもあり得ます。

 だけれども、今まで北海道警の方で調べてきたし、それから北海道の監査委員の方でも調べた結果、そこの部分について出てきているものはないんです。そうすると、実際上、本当にこのあれがどこに使われたのかということについては、どうやって調べるのかなということにはなります。

 ただ一応、まだ北海道警については、平成十六年度に愛媛県警とともに警察庁としての監査をしておりませんから、これについては今年度中に監査をするようにしたいと思っています。

鉢呂委員 倶知安署の場合は、警察署が四月からいわゆる捜査をしておるというふうに先ほど聞いたと思うんですが、そういう形では、この十一年から十四年のこの調査分析表というのが本当に真実であるのかどうか、私は、倶知安署に限ってみてもやはり問題がある、こういうふうに思うわけです。

漆間政府参考人 先ほど申し上げましたのは、ことしの四月に認知したと言っているわけです。したがって、捜査を開始しているのはもっと後になります。

 それからもう一つは、倶知安署の場合が今言ったような内容であるかどうかは、それは私らが捜査している、今、現時点で捜査していますから内容についてコメントできません。

 そんなことが報道されたかどうかも、それはNHKの全中だったんですか。要するに、基本的には、私らとしては全中でないとその内容自体がわかりません。ローカルでやられたのであれば、私はどういう報道がされたかもわかりません。

 したがいまして、それは精査した上でまた考えさせていただきますが、先ほど私が申し上げているのは、ことしの四月の段階で我々としては認知したということです。それからいろいろ調査をして、そして捜査が始まるわけですから、したがってそこにはタイムラグは当然ありますということを御理解いただきたいと思います。

鉢呂委員 余り時間が、もっとやらなきゃならないことがあるんですが、先ほども言いましたけれども、NHKの昼の北海道版のニュース報道であります。私は見ていませんが、地元からそういう連絡がきちっと先ほど言ったような形で入っています。

 長官のところには入ってこないというのは、私は、きのうの午前中に質問通告をして、きょう担当者に聞きましたら、いや、捜査中とぐらいしか答えられないようなという話はきょうの午前中に聞いておりましたが、私はきちっと、あなたがそうやって強気で言うほど何も責められるものはないのではないか、こういうふうに思いますよ。

 そこで、漆間長官は、九六年八月、どこに赴任しておりましたか。

漆間政府参考人 愛知県の警察本部長に赴任していました。

鉢呂委員 漆間長官が愛知県警の本部長に九六年の八月に赴任されたという中で、その直後に、朝日新聞の当時の編集委員の落合さんから裏金の帳簿十冊を愛知県警に持ち込まれたということについては、その当時、聞いておりましたか。

漆間政府参考人 私の記憶では、落合氏からそういうようなものが持ち込まれた事実はございません。少なくとも、私の記憶では、ちょうど会計検査院の検査が始まった当日の朝刊に、大分昔の話だけれどもこういうものがあったという記事が載っかっただけでありまして、そういう裏帳簿等について愛知県警に持ち込まれたという事実はございません。

鉢呂委員 事実は今ないというふうに言われましたが、そうですか。

漆間政府参考人 今、ふと記憶がよみがえりまして、事実はないとわかりました。先ほど記憶にないと言ったんですが、記憶がよみがえりまして、そういう事実はございません。

鉢呂委員 いや、最初は記憶がない、今は事実がないと言われたんですが、私は、この落合氏から、電話でありましたが、いろいろ聞き取りをさせていただきました。

 当時、九六年八月、これは長官が本部長に赴任した直後だということでありますが、愛知県警に十冊、当時の帳簿を持ち込んだ。そして、その日の夕刻に愛知県警の方から、というのは、朝日新聞の名古屋本社の社会部長鈴木氏からこの落合氏にお電話があって、漆間県警本部長がもう一度落合さんに説明をしたい、こういうふうに鈴木社会部長が電話をかけてきて、会ってほしいということで、翌日、東京本社に愛知県警の総務部長、会計課長らがやってきたということですが、そのことについて、事実はなかったということですか。

漆間政府参考人 裏帳簿が持ち込まれたという事実はございません。実際に持ち込まれたのは、愛知県警が会計検査院の受検をするに当たってどういう準備をするか、そういう文書が持ち込まれたんです。

 その文書について、この文書の内容はこういうことですという説明をしたいから、ぜひもう一回会ってほしいといって、金曜日に総務部長が落合氏と会った後、土曜日に東京本社の方に行って、会計検査院の受検の際にどういうことをするのだというこの部分の説明をしたということでありまして、裏帳簿が十冊も持ち込まれて、私のところにそのものが来たということは全然ありませんし、それ自体を説明に行ったという事実も全くありません。それは、落合氏のまさに記憶違いだろうと思います。

鉢呂委員 裏帳簿の問題を持ち込んだときに、非常に高圧的な対応だった。これは、もちろん県警本部長ではありません、対応した人です。しかし、次の日に来て、穏便にしてほしいという話をされて、もちろん落合さんも言っていました、話の後半といいますか、おおむねは、いわゆる会計検査院受検対応、この愛知県警でつくったマニュアル、これについての話であったということでありますが、穏便にしてほしいというような話があったのではないですか。

漆間政府参考人 実は、行って説明してこいと指示をしたのが私でございますから、穏便にしてなんて言うはずありませんし、その当時の総務部長、それからその当時行った会計課長、全部確認しましたが、そんな趣旨の発言は一切していないと言っております。

鉢呂委員 何について指示をされたんですか。

漆間政府参考人 先ほどからるる申し上げていますように、会計検査の検査を受検するに当たってどういうふうにするのだということについての文書が、これは会計課長名で出ていましたので、この文書の内容はこういうことだという説明をしたにすぎません。

鉢呂委員 これは、落合氏も、そのときの対応についてはテープが存在しておるというふうに言っておりますから、どちらが正しいのか私はわかると思いますが、その事実で間違いないんですね。記憶だとか、後から事実はなかったとか、そういうことですか。

漆間政府参考人 私が総務部長と会計課長を行かせて、総務部長と会計課長から報告も受けておりますし、それから、当然のことながら、先ほど申し上げたように、つい、そういう話が、前にも質問がありましたので、もうやめていますけれども、当時の総務部長、会計課長、二人にも確認しています。

鉢呂委員 これは、まだ私もテープを入手しておりませんから、本部長といいますか、長官がそういうふうに言うのであれば、それはそれとしてまた事実を究明していく必要がある。

 ただし、裏帳簿については、私も落合氏からいろいろさまざま入手をさせていただきました。これは、愛知県警のその前の、二十年ぐらい前の裏帳簿だということで、大変綿密に書いてあるというふうに思われたものでございまして、例えば、総務部長、総務部段階の帳簿なんですが、総務部長の経費として、山形県警本部長へのお中元だとか、部長公舎のお節料理ですとか、ゴルフ代、せんべつ、クリーニング代、そういった形、中には、部課長夫人会の昼食代、総務部長の夏季特別手当、これは一定額、夏とか冬に手当が総務部長等に支給されておるという形でございます。

 この中には、漆間長官のお兄さんの名前も出てくるという形で、香典ですとか、漆間さんのお兄さんが警察庁に立ち寄ったときのお土産代というような、非常に詳細な、なかなかこれは架空のものをつくるということはできないような帳簿であるわけでありましたが、その帳簿は、本部長時代に見たり聞いたり、そういったことはありませんでしたか。

漆間政府参考人 先ほど言っていますように、裏帳簿そのものを見たことは全くございません。

 ただ、会計検査院の検査の当日の朝刊に昔の記事が載った。そこに、先ほど話された内容がありましたが、そのときの記事では、私の兄のことについては一言も触れていなかったというふうに私は記憶しております。そのときに、総務部長は、これは余りにも古い話で確認しようがないというコメントを出したと私は記憶しています。

鉢呂委員 そうすると、八月の二十六日に朝日新聞に出された記事は、当時本部長として記憶にあるということですね。

漆間政府参考人 今の段階では、それはすべて明確に記憶しているわけではありませんが、少なくとも、検査院の検査の当日の朝刊に、古い裏帳簿の話が載ったということは間違いないと思います。

 全体的な内容について先ほど申し上げましたが、鉢呂委員の言われるようなことの記憶もありますが、少なくとも、私の兄のことについて何か書かれていたような記憶は全くございません。

鉢呂委員 私は、そこで、昨年十二月の十六日に、この関係の中井洽本部長、きょうもいらっしゃいます大畠章宏議員、そして私と、これは村田委員長にもお会いをし、その後長官にお会いをしたわけであります。

 そこに私ども、経過についてもここにあるわけでありますが、非常に印象として、長官は強気の発言、警察のこういうものを出す者は、警察に何か悪い感情を持っている等のものである、警察を批判する人たちが言っている話にすぎない、こういう言い方をしておったわけであります。

 私はこういう人間ですから、あなたの目を見て、これまで地方にも行ったことがあるだろう、そういう話をしましたら、あなたは、青森県の県警の捜査二課長等の話を、この議事録を見ますと、青森、千葉、警視庁の捜査二課長の経験があるという話をしました。

 私は、こういった裏金について手を染めたりあるいは聞いたり、そういったたぐいの話はありますかというふうに聞いたら、いや、そういうものはない、捜査二課というようなところは裏金の全くないところだ、こういうふうにもお話をされましたね。それはどうですか。

漆間政府参考人 昨年の十二月だったと思いますが、基本的には、私も青森、警視庁、千葉それから愛知と、捜査二課、四回連続やっております。私が知る限りで、不正経理ということについては全く私は関与していないということは、たしか申し上げたと思います。

 それから、その前に私が申し上げたのは、全国の警察でこんなことをやっているのではないかという趣旨のことで言ってこられましたので、そうなれば、それは具体的に、ここでこうなっているんだ、こういうものがあるから、これできちっとやってくれ、そう言われるのであれば、私らとしてはきちっと、それは正すものは正す、処分すべきは処分すると、きちっとやりますよというお答えをしているわけです。

 ただ、その中に出てきたのは、単にうわさでこういう話が出ているとかそういう話だったものですから、私は、正確に何とお答えしたかわかりませんが、先ほどちょっとそういうような話があったとすれば、その趣旨で申し上げただけにすぎません。

鉢呂委員 私ども三人の議員は、えらいこれは強気の発言をする長官だなと。確かにそうでした。そういう証拠を持ってこい、全国一律あるんだと言うのならそういう証拠を持ってこいと。あの中井さんも、なかなかしゃべりは強気の人ですが、すっかりあなたの強気には参ったような感じでありました。

 しかし皆さん、もう十四件以上も内部、全部内部です、その形で警察のこの種のものが出ておるわけですよ。これは全部一律全国でやっているという証拠を持ってこいというのは、なかなかそれは簡単には私どももいきません。それは警察管区の会計課長を集めた段階でそういうようなメモがあっても、これもメモを否定されたらそれまででしたね。だけれども、実際問題は、これだけ同じような形で、しかも警察は、こういって皆さんの警察庁から幹部は出向する。

 いや、ここにも投書、ありますよ。ほとんど我々は旅費ももらわず、飯も食わず、皆さんの公費で食わずにやっていて、その大どころは幹部の皆さんがせんべつで持っていく。こういった実態を野放しにして、第一線の警察官に、国民の皆さんにきちっと胸を張って、捜査をきちっとやれと言ったって、我々のところにそういう投書が来るという、この警察内部のモラルハザードと言っちゃおかしいけれども、このこと自体が問題ではないですか。

 あなたの投書はどこから持ってきたんだ、持ってこいなんて言いますけれども、そんな警察署の中の不正があってやっているなんというのは、一般の人はだれもわかりませんよ。そういう中で、長官が、そういう証拠を持ってこなかったらだめだと。

 そして、あなたはそういった裏金について聞いたり見たり手を染めたことがないかということについて、ないと言ったんですよ、私に。私は道警の本部に行って、芦刈本部長にも、これは大畠さんが言ったんですが、この中に北海道警察の出身の人はいませんかと言ったら、佐々木当時の総務部長が、私ですと。あなたはこういうことを聞いたり見たり、だれかに聞いて、自分はわからないけれども、そういうことはなかったのかと言ったら、いやと、本当に一分も二分も言葉が出なかったですね。そして、いや、マスコミで言われているのを聞いたことがあるという程度の話しかできなかったんです。

 私は、やはりこの問題はもう警察の幹部がきちっと襟を正して、過去のこういった不祥事をきちんと責任をとる。何ですか、芦刈本部長は関東管区の最高トップに栄転ですよ。皆さんもそれを守ったのかもわからぬ。しかし、北海道の第一線の警察はみんな歯ぎしりしているじゃありませんか、あれだけ汗だくだくでうそを言って、結局は認めざるを得なかった、その本部長が栄転とは何事だと。どうですか。

漆間政府参考人 これは幾ら言っても見解の相違ですから、お互いに妥協できるところはまずないんだと思います。

 それは、いろいろな人から声はあるでしょう、それは人事に不満を持つ人もいますから。それは、しかし、言っている内容が本当にそうであるかどうかということについては、私も何回も申し上げていますように、本当にそれがそうなんだというものを持って出てきていただかないと、それは我々としては裏づけのしようもないではありませんか。

 そういうものをいかにも針小棒大に、こんなにいろいろなところからいろいろな声が聞こえているんだ、だから全国でみんなこんなことをやっているんだというのは、それは、まあ私は警察の人間ですから身内はかわいいというところもございますけれども、私の考え方としてはそういうふうには思っておりません。

 ただし、私が何度も申し上げていますけれども、具体的にこういうものがあって、したがって、こういうふうになっているからここを正すということが、きちっとしたものが出てくるのであれば、これは先ほど申し上げた三原則に従ってきちっと対応させていただきます。

鉢呂委員 十四県警でこの種の問題が出てきます。委員長、どうですか。今の長官のこういう認識で、どうなんですか。証拠持ってこいだけでいいんですか。

 警察は、捜査上の秘密に逃れてなかなか、そこはもう伏魔殿のような形ですね。これは捜査上の秘密もよくわかります。しかし、先ほど言ったように、領収書はほとんど架空です。

 さっき言った領収書なんかは、ちゃんと一目瞭然そろえておくのが普通でしょう。裏金化したから、さまざまな署長会議で一万円の会費を払った、そういう領収書はもらわないで終わらせているんですか。次長のメモや説明で終わるんですか。終わらないでしょう、終わらないですよ。それは胸を張って言えるようなものではないですよ。皆さんは千円単位以下はないんですか、これからいけば。どうですか。

村田国務大臣 だからこそ、国家公安委員会としても、警察庁に命じて、全国の警察について会計処理についての調査をしていただいているところであるし、かつまた、都道府県公安委員会でも同じように、この問題についてはしっかりと都道府県警察について管理機能を発揮しているというふうに私は理解しているのでございます。

鉢呂委員 先ほど言ったように、私が投書によって倶知安署のこの事案があると言ったら、長官は、中身は言いませんでしたが、今最中だと。こういったこと自体は、そういう投書がなかったらいつまでも隠し通すような問題なのか。

 いや、それはあなたは何ぼでも言い逃れできるかもわかりません、それは今捜査中なんだというふうに言えるかもわかりません。しかし、私が言ったからそういう答弁をする、またNHKは報道する、そういうことがまさに繰り返されておる。

 それは、リークしたのはだれがしたかわかりません。わかりませんが、多分私がきのう通告したことによってなされた形なんでしょう。そういう後ろ向き対応ばかりで、本当にこの問題が解決つくんでしょうか。

 私どもも、いつまでもこの種の問題をして、しかも道警の第一線の警察官もしっくりきていない、道民のみなさんもしっくりきておらない、こういう状態が続いていることは事実なんです。私どもも、警察権力、なかなかこれは恐ろしいところはありますが、今の状態であれば、きちんと私ども政治の段階で正すより仕方がない。

 そこで、法務省から来ていらっしゃると思いますが、私は、これは政治の場だと思いますが、一月の十四日に七名の道警幹部の皆さんを告発させていただきました。

 そして、その中には、これから若干行いますが、一昨年の会計検査院に指摘された資料を、捏造した資料提出をして、五月に道警が書類送検をした方がいらっしゃいます。この捜査状況はどうなっているのか、書類送検でいいのかどうか。会計検査院も、これは組織的な事案であるというふうに去年の会計検査院の指摘でなされておるわけであります。もう五月から五カ月以上になるわけでありますが、捜査上の秘密はあろうと思いますが、これは道警から書類送検された事案です。

 私は、後から話しますが、この上部、このときは、会計検査院自体は、道警本部の会計課長、警察庁の監査室長、これが同席でチェックを、会計検査を受検した形であります。そういう中で、この種の、北見方面本部ではただ一件だけ指摘をされた指摘事項であったわけであります。

 まず、この関係、法務省はどういった形になっておるのかお答えを願いたい。組織的な犯罪の様相はある、こういうふうな観点を持っておるわけであります。

大林政府参考人 今委員御指摘のとおり、本年一月に告発された事件があります。さらに、本年五月に書類送検一名がなされている事件もあります。これにつきましては、現在札幌地方検察庁において捜査中であるものと承知しております。

 これ以上の詳細につきましては、捜査機関の具体的活動内容にかかわる事柄であり、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

鉢呂委員 そこで、北見方面本部の事例は、警備課長が、もともと架空の領収書だったのが、警察庁の監査室の指摘で、またこの領収書をかえて、それが会計検査院から、警察署に備えつけの地図帳を持ってきて、その店がこの地図帳にはないということを指摘されて、その確認をしてほしいといった事案でありました。

 道警の発表では、その証拠書類として三点をつくった。一つは、そこのお店、パブコンパドールのお店の経営者の名刺。それから、その観光地図にパブコンパドールという所在を載っけた。三つ目は、そのお店が従業員を求人する、そういう求人紙があるんだそうですけれども、これを改ざんした。この三点をつくって、道警の会計課を通じて警察庁に上げ、そして警察庁から会計検査院に提示をした、示したということでありました。

 この三点をつくったにもかかわらず、警備課長の段階では三点をつくって、北見方面本部の上司に上げた。しかし、道警の会計課では、そのうちの二点だけ。警察庁に行って、一点だけしか警察庁には上がっていない。いわゆる就職求人紙のみ上がったわけです。

 しかし、私が幾ら聞いても、この三点、二点、一点に変わった、どこでどういうふうな責任で変えていったのか、警備課長は三点をつくったまでの責任であります、なぜこれが一点に変わったのか、まさにその真実が全く明らかにされておりません。

 私は、当時の北見方面本部の菅井本部長にも直接お会いをさせていただきました。私のところには、そういう資料を上げると口頭で来ただけでありますということで、私のところで決裁はしておらないという趣旨の調査に対する御発言でありました。

 長官、なぜこれは一点に変わったんでしょうか。

漆間政府参考人 実際につくられたのが、観光マップそれから求人広告と店舗関係者の名刺の三点をつくったという話でございます。

 それで、作成されました資料のうち求人広告のみが会計検査院に提示されたわけでございますが、これについては、何でそうなったということについては、当時の関係者の記憶が明らかでないわけですので、全くその経緯はわかりません。

鉢呂委員 そういう形で、明らかでないと逃れるわけでありますが、この前もお話ししましたように、道警本部の会計課長は、警察庁の課長補佐から行った方で、まさに会計課をずっと歩いて、今、関東管区の会計課長。この種の会計検査には、まさにベテランでありましょう。監査室長も、もちろん室長はベテランだと思います。そういった方が同席をした。

 そして、指摘をされたのは一件であります。皆さんの捜査では、警備課長に任せて、所在する資料をつくればいいと任せきりにしたという形であります。どう考えても、会計検査院というのは、やはり独立権限、皆さんにとっては大変恐ろしいところ。一件だけあった。しかも簡単明瞭です、地図帳になかったんですから。その同席した道警本部の会計課長等は、何をやればこれがどうなるかというのは一目瞭然、頭に入っているベテランの方だと思います。こういうことを全くやれずして会計検査院に捏造した資料を見せてしまう、このことについてどう思われますか。

漆間政府参考人 実際の会計検査院の実地検査の際には、当該パブがもう既に廃業しているというわけですから、そこでその説明を警備課長がしたところ、会計検査院の当時の検査に来られた方から、その実在を示す資料の提出を求められたわけですね。

 だから、そのときに先ほど言った三点をつくったわけですが、その結果として、つまり、基本的には、そのパブが存在したんだというものがわかればいいんだろうということですから、三点全部を出すことがよかったんだろうと思いますが、求人広告でもそのパブの存在が明らかになるなら求人広告で、こういうことになったんだろうと思います。

 ただ、先ほど申し上げましたけれども、これについては記憶が皆さん定かでありませんので、何で三点とも出さずに一点のみ出したのかということについてはわからないというのが実情でございます。それをさらに調べろといっても、これはまた特別な記憶を喚起する何かが出てこないと、ちょっと今の段階で明らかにするのは簡単ではございません。

鉢呂委員 これは長官、刑事事件として捜査をし、書類送検までしているんですよ。あなたの言うように、そんな一般的な、だれか素人の調査で、記憶にないからわからないからというたぐいのものではありません。

 会計検査院も、会計検査院の指摘で、組織的な説明回避の対応があったのではないか、こういうふうに文書で厳しく指摘をしているんですよ。

 記憶がない、あるいは、あいまいでわからないと、あなたが否定するのならいいですよ。警備課長しか知らなかったというふうに言うのならまだいいですけれども、当時のことはわからないと言っているのがいるから、わからないんだということで終わらすような問題ではないわけです。

 会計検査院、来ていますか。

 会計検査院に指摘をさせていただきますけれども、七月の二十五日前後にこれを提示されたわけでありますが、そのときに、警察庁は、会計検査院は了解したものと思われると。しかし、皆さんのお答えは、いや、そのときに示された記憶がない。

 そして、おととしの十二月に、これは外部情報だというふうに警察庁は言っておるわけですが、七月から十二月にかけて指摘をされて、十二月に外部情報で指摘をされて初めてわかって、会計検査院はずっと戦後あるんでしょうが、この警察のにせの領収書というのは、曲がりなりにもこの一件だけしか指摘はしたことがないんです。しかも、それは外部情報で、こんなうその、領収書が違うぞという情況証拠、物的資料を出して、これはうそだよという指摘があって初めて会計検査院はわかったわけです。

 おととし以来も、今日まで会計検査院は営々と続けられておるようですが、架空の領収書は一件も見つかっておりません。これは何も、協力者の切った領収書では全くありませんね。いわゆる接触費です、こういうところでビールを一本飲ませたと。普通のところです。だれでも行くようなところです。

 そういった領収書についてきちんと会計検査院は検査をしておらないわけでありますが、この七月の下旬にこういった提示を受けたことは記憶がないというような言い方をしていますが、その間の経緯についてもう少し詳しくお話をしていただきたいと思います。

石野会計検査院当局者 お答えいたします。

 冒頭、領収書等の提示を受けてそれに対する疑問を抱いたというのは、実地検査の中で我々調査官がそういった点を見つけまして指摘したものでございます。外部情報があったから出てきたものということではございませんので、その点の誤解はないようにしていただきたいと思います。

 それで、そこの実地検査の時点で非常に疑問があったということでございますので、再度それに対する説明をするようにということを求めたものでございます。

 当然、実地検査においてそういう再度説明を求めたわけでございますので、その後、何らかの説明あるいは質問等のやりとりがあったということはございます。

 ただ、お尋ねの件、多くの検査対象の中の、検査の一つの過程の事実関係のことでございますので、特にそれを記録に残すというふうなこともしておりませんし、当然、当時の担当者の記憶によらざるを得ないということになるわけでございますけれども、本院として、この件についてその後まとまった説明を受けてそれを了としたという認識はなくて、引き続き検査を継続していたものと認識しております。

 それで、再度十六年の九月に実地検査に入りまして、関係書類を調査する、あるいは関係者から事情を聴取するなどしまして、先ほど来言われておりますように、本件は、虚偽の情報を提供して組織的に説明の責任を回避しようと図ったものであるという判断に至りまして、こういったことは著しく適正を欠くものであって、「今後警察当局において厳正な対処が求められる。」ということを検査報告に述べたところでございます。

鉢呂委員 一昨年の七月下旬にそういう提示をした、しかし、検査は続行しておったという答弁です。そして、十二月は、そういう外部情報でそういう形になった。

 しかし、検査院は、その年の検査報告というのは多分十一月に今回もなされるんだと思いますが、しかも、記憶の範疇でそういうものを継続する。私も聞いていて、そんなあいまいなことなのか、多分このまま外部情報がなければ、もちろん、指摘したのは検査官の大変な英断だと私は思います。そういった市販の地図帳に載っておらないということを、何も捜査の秘密に触れるわけではありません、一般のパブに、これは協力者に協力を願うために飲んだというたぐいなんですが、全くこれは架空のものでありましたから、そういったことをやったことは非常に評価をします。

 しかし、その後の形は、結局は、警察庁に提示されて、それで了として終わらせておったのではないですか。

石野会計検査院当局者 先ほど申し上げましたように、その後、警察当局からの何らかの説明等はあったのは十分想像できるわけでございますけれども、その辺の具体的な状況というものがなかなか明らかでないということでございまして、検査院の認識としては、それで了としたということではなくて、引き続き検査を続行していたという認識を検査院としては持っているということを申し上げたところでございます。

鉢呂委員 続きまして、私も、愛媛県の裏金問題、正式な内閣委員会の調査には加われませんでしたが、民主党、共産党さんでこの調査を、仙波巡査部長から直接お話を聞かせていただきました。

 その中で、仙波さんが非常に強い口調で言っておりましたのは、犯罪組織に成り下がった警察を一刻も早く本来の正しい警察に戻してほしい、戻ってほしいんだ、そういう形で内部告発をしたんだ、特に、裏金工作は今も続いておるという話をされました。

 そして、具体的に、一月の二十八日に、配置転換、配転を命令されたそのとき、残務処理をしているときにも、愛媛県の中堅の警察署の刑事課長から、これは電話であったようですが、鉄道隊長に、その鉄道隊長というのは自分が当時所属をしていた鉄道隊長に、旅費の裏金化の依頼をされる電話が入っておった。

 そして、その形で捜査員が二名、鉄道隊のところに来ておったということも私どもの調査に述べられたわけでありますが、これも、私、きのう質問通告しておりますが、どういった確認をされたでしょうか。

漆間政府参考人 結論から申し上げますと、確かに、大洲警察署の刑事課長から鉄道警察隊長に電話がされたというのは事実であります。ただ、あとはみんなうそであります。そこで、何でうそであるかということの説明をいたします。

 一月二十八日午前八時ごろ、JR特急の列車内で発生したシンナーの飛散による威力業務妨害事件について、当該車両が停車していた新谷駅を管轄する大洲署の刑事課員二名が鑑識活動に当たったわけであります。

 列車が新谷駅から松山駅まで走行してしまいまして、その間ずっと鑑識活動をやっていたということで、鑑識活動終了時の午前十一時ごろには列車は松山駅に到着していた。刑事課員二名は、JR職員の了承を得た上で、JRを利用して大洲署に帰署しようというふうに考えたわけであります。

 そこで、大洲署の刑事課長に下令しまして、日ごろからJRと連絡を密にしている鉄道警察隊長からJRに一報を入れてもらうように頼んだ。連絡を受けた大洲署の刑事課長は、鉄道警察隊長に電話し、課員二名がJRに乗れるよう手配していただきたいというふうに頼んだそうであります。

 その際に、鉄道警察隊長は、捜査等に従事するために認められる特別な取り扱い、いわゆる業務の証明書による乗車でございますが、このようなケースには認められないという判断をいたしまして、そんなことができるわけがないというふうに断ったそうであります。

 その後、大洲署の刑事課長は部下に命じてJR職員と直接連絡をとりまして、JRの了承が得られたということで、課員二名はJRを利用して帰署した、そういうことであります。

 したがいまして、当然のことながら、課員二名は旅費を全く支給されておりません。したがって、裏金づくりとか、そんなようなことが行われるいわれもないということでございます。

鉢呂委員 後で議事録を精査させていただきます。

 もう一つは、仙波部長は、異動先で牢獄にいるような状態で、仕事が与えられない。朝、一時間程度仕事をして、あとは何の仕事も与えられない。あと、さまざまなところで無視をされていると具体的にお話をしておりましたが、そういう状態であるということでありますが、本当に、これは適切な異動で、そこで十分な業務を遂行させているというふうに言えるのでありましょうか。

漆間政府参考人 仙波部長の言い分ばかりを正しいものとして言われるのであれば、仙波部長はそう言っているんですから、仕事がないということなんでございましょうけれども、愛媛県警の話を聞きますと、仕事は十分にある、場合によってはほかの人間も応援に入れるぐらいの仕事があると言っているわけであります。したがって、仙波部長が本当に仕事がなくて困っているのであれば、自分から求めてもっと仕事をさせてくださいよと言えばどんどん仕事をさせると思います。

 したがって、そういう意味で、今私は、愛媛県警の報告によれば、仙波部長が仕事がなくて困っているという状態にはないというふうに報告を受けておりますので、そのことをお話しいたします。

鉢呂委員 私は、本当に部外者といいますか、そういう形で仙波部長に聞いたわけであります。けれども、長官は今何か皮肉な笑いを浮かべるような形で述べられましたが、職場内のそういった問題についてきちんと、愛媛県警の場合ですが、この職場環境の状況というものを把握して職員を働かせるという責務はやはりあると思うんですね。

 何かもうこの男はという形で、私はわかりません、どちらが正しいかわかりませんよ。だけれども、あなたは何か私が一方的なことを言ったというような形ですが、仙波さんがそういった吐露をして、三年半まだあるんだけれども、本当にこれは生き地獄のような形であるというふうに言っておるだけの話でありまして、しかし、あなたがそういった皮肉まじりの笑いで言うような問題ではない。

 私はこれもきのう通告しておりましたから、きちっと調査をして、そういう形ではないように、また、その人の考え、感じ方がそうなのかもわかりませんが、きちっと仕事をしているのかどうか、そういうことも含めて、警察内部として行うべきことであって、向こうの言っていることが全くうそでというような形で言われておるのかどうか、そこはやはりもう少しきちっと把握をして、業務をきちんと行わせるようにした方がいいと思います。

 時間がもうなくなりましたかな。私に来ている投書でも、これは北海道警察の問題です、使途不明金は何なのか、これが明らかにならなければやはり疑いは晴れない、警察は外部から疑惑を指摘されないと真実が語れないという感じしか持てない、警察みずから認めたものは一件もないのではないか、会計検査院の検査も一件もないのではないか、こういう声でございます。

 私の見ている範囲では、実際は一件あるんですが、そういう感じで、今もお話ししましたが、証拠を持ってこいというような形であっても、私どもはそれは限界があります。

 しかし、次から次と、倶知安の警察の問題だって、あれだけ警察が、専門家が調査をして、そういうものを見つけられないで、今日、四月から捜査をしているのかわかりませんが、そういった問題について、長官、今やはり不健全で不正常な状態と言わなきゃならないんじゃないですか。

 私どもにそんな警察がおもしろおかしく投書をする、それは、警察を快く思っていない、人事でおもしろく思っていないというふうに決めつけられないものがやはりあるんじゃないですか。端的に言えば、ほとんどの方が上層部にだけ金が入ってという言い方なんですよ、言葉は悪いけれども。

 皆さんの警察庁からほとんどはそういう幹部として出向しているはずです。長官もあちこち行っている中で、裏金について全然私は聞いたこともなかったということで過ごせられる問題かどうか。

 何回言っても、隠せると思うから、そのうち忘れるだろうということで今はじっと我慢しているのかもわかりませんが、そうではないということをお伝えして、私の質問にさせていただきます。

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


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