第2号 平成18年2月24日(金曜日)
平成十八年二月二十四日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 佐藤 剛男君
理事 木村 勉君 理事 戸井田とおる君
理事 西村 康稔君 理事 林田 彪君
理事 山本 拓君 理事 泉 健太君
理事 大島 敦君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 宣彦君
小野 次郎君 小渕 優子君
大塚 拓君 大野 松茂君
木原 誠二君 後藤田正純君
土屋 品子君 土井 亨君
中森ふくよ君 並木 正芳君
丹羽 秀樹君 平井たくや君
村上誠一郎君 村田 吉隆君
市村浩一郎君 大畠 章宏君
川内 博史君 小宮山洋子君
鉢呂 吉雄君 太田 昭宏君
石井 郁子君 糸川 正晃君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 安倍 晋三君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君
国務大臣
(規制改革担当) 中馬 弘毅君
国務大臣
(科学技術政策担当)
(食品安全担当) 松田 岩夫君
国務大臣
(少子化・男女共同参画担当) 猪口 邦子君
内閣府副大臣 櫻田 義孝君
内閣府副大臣 山口 泰明君
内閣府大臣政務官 後藤田正純君
内閣府大臣政務官 平井たくや君
内閣府大臣政務官 山谷えり子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中藤 泉君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 上田 紘士君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 松井 房樹君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 刀禰 俊哉君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長) 上原美都男君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 山本信一郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長) 高松 明君
政府参考人
(内閣府市場化テスト推進室長) 河 幹夫君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 高橋 進君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幹雄君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 名取はにわ君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 竹花 豊君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 縄田 修君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 米田 壯君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官) 西阪 昇君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡島 敦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 白石 順一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房参事官) 藤井 充君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長) 押田 努君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
―――――――――――――
委員の異動
二月二十四日
辞任 補欠選任
遠藤 宣彦君 大塚 拓君
大野 松茂君 並木 正芳君
木原 誠二君 丹羽 秀樹君
同日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 遠藤 宣彦君
並木 正芳君 大野 松茂君
丹羽 秀樹君 木原 誠二君
―――――――――――――
二月二十一日
非営利法人の健全な発展等に関する請願(奥村展三君紹介)(第三五八号)
憲法九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第四〇九号)
同(志位和夫君紹介)(第四一〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四一一号)
同(志位和夫君紹介)(第四九二号)
憲法の改悪に反対することに関する請願(石井郁子君紹介)(第四一九号)
同(穀田恵二君紹介)(第四二〇号)
同(吉井英勝君紹介)(第四二一号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第四三一号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第四三二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四三三号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第四五六号)
同(石井郁子君紹介)(第四五七号)
同(笠井亮君紹介)(第四五八号)
同(穀田恵二君紹介)(第四五九号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第四六〇号)
同(志位和夫君紹介)(第四六一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四六二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四六三号)
同(吉井英勝君紹介)(第四六四号)
憲法を守る意思をあらわすことに関する請願(志位和夫君紹介)(第四九一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中藤泉君、上田紘士君、松井房樹君、内閣参事官刀禰俊哉君、内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長上原美都男君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、遺棄化学兵器処理担当室長高松明君、市場化テスト推進室長河幹夫君、政策統括官高橋進君、林幹雄君、男女共同参画局長名取はにわ君、警察庁長官官房長安藤隆春君、生活安全局長竹花豊君、刑事局長縄田修君、組織犯罪対策部長米田壯君、交通局長矢代隆義君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、白石順一君、大臣官房参事官藤井充君、農林水産省消費・安全局長中川坦君及び経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長押田努君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。
○木原(誠)委員 自由民主党の木原誠二でございます。
本日は、三十分間お時間をちょうだいしておりますので、内閣の重要政策だと思います行財政改革そして少子化問題につきまして、三十分間御質問をさせていただきたい、このように思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。
この二つの問題、まさにお互いに関連する問題だろう、このように認識をしているわけでございます。少子化が進む中で、今後趨勢的にはますます労働力人口は減っていく、そしてまた、高齢化が進む中で、貯蓄率が少しずつ低下をしてなかなか資本蓄積も進んでいかない、これが今後の我が国の経済の状況だろう、こんなふうに認識をしているわけでございます。
そういう中でも、引き続き日本経済が国際競争力を持ちながら、そしてまた我々日本国民がしっかりと豊かな生活を引き続き享受していくためには、限られた資源をしっかりと有効に活用していく、そしてまた、民間経済の活力を遺憾なく引き出していくということが大変重要なことであろう、こんなふうに考えているわけでございまして、そのためには、総理の言葉をおかりすれば、小さな政府、簡素で効率的な政府というものを実現していくということが大変重要だろう、こんなふうに思っているわけでございます。
他方で、もともとの根本的な問題である少子化対策ということについて、まさに車の両輪として取り組んでいかなければいけない。そういう意味で、そういう観点から、きょうは二つの問題を取り上げさせていただきたい、こんなふうに思っている次第でございます。
まず最初、中馬大臣に、行財政改革について前半お伺いしたい、こんなふうに思っております。
行財政改革、まさに今この時点で手綱を締めなくてはいけない。今回の国会、行革国会だ、このように私は認識をしておりますので、ますますスピードアップしていかなければいけない、このように思っているわけでございます。
特に、先般、中期展望が出されまして、「改革と展望」が出されているわけでございます。その中で、二〇一一年までにプライマリーバランスが黒字化できるだろう。ただ、その大前提として大幅な歳出削減が必要になってしまう。そしてまた、その前提としては、長期金利が少しずつ二〇一一年までかけて三・九%程度に上がっていく、そんなような前提で今まさにこの中期展望は出されているわけでございますが、私はもう少し違う認識を持っておりまして、今のこの経済の状況を見ておりますと、それほどのんびりと長期金利が上がっていくということではなくて、場合によっては長期金利が突然上昇してしまうというようなこともあり得るのかな、こんなふうに思っているわけでございます。
銀行の国債保有ということもこれからなかなか厳しくなってくるでしょうし、貯蓄率もまさに下がっている、そういう状況でございますので、余りのんびりと、二〇一一年まで少しずつ金利が上がっていくということではなくて、万が一上がってしまったときのために早目に行財政改革を進めておく、そういう意味でも手綱を緩めてはいけない、このように思っているわけでございます。
ただ、いろいろ新聞報道などを拝見しておりますと、いざ各論、具体論ということになってまいりますと、さまざまな抵抗があるということが現実問題かな、このように思っております。
まず一つ目の問題として、国家公務員の数の縮減ということが、昨年の重要方針の中でも既に五%縮減ということで出されているわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、新聞報道だけを見ておりますと、やはりさまざまな抵抗があるということだろうと思います。
そこで、大臣に一つお伺いしたいんですが、この五%縮減、大変厳しい戦いだろう、こういうふうに思いますけれども、どのような原理原則あるいは手法あるいは期限、こんなことで進めていこうとされているのか、まず最初にお伺いできればと思います。
○中馬国務大臣 今、委員の方から、改革についての根本的な考え方等も含めた人員の削減、このことの御質問がございました。
今回の改革は、ただ財政が苦しくなったから人減らしということじゃないんです。今までの日本の、この国のあり方を変えていく大きな作業でございまして、今までは、民主主義とはいいながら、GHQに指導された民主主義の姿であるし、それをずっと担ってきたのは官僚主導の民主主義じゃなかったですか。決められた枠の中でしかいろいろな自由もなかった。
しかし、今回ようやくそうした、それまでの形が悪かったというんじゃなくて、貧しかった、あるいは何もなかった、十分に意識も育っていなかった中で、やはり一つの国家社会主義的な方法で、戦後のあの焼け野原から、わっと世界第二の大国に仕上げた、その手法は私は間違っていなかったと思います。
しかし、こうして民意が育ってきた、個人の意識も高まってきた、それぞれの地方も、自分たちの独自性を出していきたいという中で、今までの枠組みの中ではそれはできないわけですから、そしてそれを、本当に今度は自分たちが責任を持った形で、自立した形で本当の民主主義をつくっていこうというのが今回の大きな改革なんですよ。
そうしまして、それの方法としては、もうお役所仕事を民間に移せるところはどんどん移していいじゃないか、中央から地方へ、官から民へというのは、そのことでございます。その結果として、今まで必要であったお役人の数は必要でなくなってくるわけですから、必要でないものをいつまでもやっていますと財政的にも苦しくなりますから、これを地方に移す、あるいはまた民間に移すという中で、当然公務員は減らしていかなければいけない。
しかし、今までの既存の枠組みで、また自分たちの生活のこともあって不安に思っていらっしゃる、あるいは自分たちの権限が失われるという若干組織的な御心配の部署もあるわけでございますから、これが抵抗が、今おっしゃったような形で、ここに総論賛成、各論反対が出ていることも、一部にはあることは御承知のとおりでございます。
それで、私どもが今回目指しております公務員改革はそのような意図でございまして、総人件費改革、これは、現在六十九万人の国家公務員がいますが、まずはこれを五年間で五%以上純減するという一つの目標をつくって、それに対して、これを閣議決定しましたから、各省庁にそのとおりにやっていただかなければなりません。これを法案にして担保していくわけでございます。
ただ、全体といいましても、もう郵政公社は、まだなっていませんが民間になりますから、これはカウントせずに、そうした行政機関だけをまずは考えてみましても三十三万人、これの五%というと一万六千六百人ですか、このぐらいは割合減らせるんじゃないか。
とはいいながらも、やはりそれぞれの部署におろしてみますと、いや、自分のところは今精いっぱいやっているんだから決して減らせないといったような声が出てきていることも事実でございますが、ただ、なるべく定年退職された方は不補充も含めて、それから、仕事を見直して、要らなくなった仕事は外したらいいではないか、使わないような統計をいつまでもやっていることはないじゃないか、そういうこともありましょうし、それからやはり北海道開発庁とか幾つか例を挙げておりました、そのことに関しましては、一つの組織的な形での改編も含めて検討してもらいたい、こういう形で各省庁にそのお願いをしているところでございます。
ですから、自衛官につきましても、あるいはまたそのほか、国や、国会とか裁判所、こういったものは、我々はこれは閣法で出していきますから、政府が命令することはできません。しかし、こういうことも国民的な課題だからお願いしますよという要請はいたしております。
ともかく、そういう形で五年間に五%の公務員の削減を実現しようということで、ひとつ御協力のほどもお願いしておきます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
冒頭、まさに日本の民主主義のあり方を変える、そういう高い理念をお示しいただいた、このように思います。
私も、実は役人時代に機構・定員を三年ほど担当いたしておりまして、いかに定員を削減するというのは難しいか、肌身に感じております。そういう意味では、必要なことは固まりで、あるいは不要になった事業をしっかりと固まりで外に出す、地方に移す、あるいは民間に移す、余り細かい作業ではなくて、そういう大きな作業が必要なのかな、こんなふうに感じているわけでございます。
その中で、今回、市場化テスト法案というものが出されてくる、こういうことでございますけれども、この市場化テストというのは、イギリスあるいはアメリカでも大変に成功をした一つの手法だろう。そういう意味では、直接的には公務員数を削減するということと関連しないかもしれませんけれども、一つの手法として十分活用できるのかな、こんなふうに考えているわけですが、市場化テストを今後どのように活用していく、あるいは運用していこうとされているのか、大臣の御所見を伺えればと思います。
○中馬国務大臣 市場化テストというと、初めは何のことかわからない方もいらっしゃいましたが、最近、少しは定着してきたようでございます。悪い意味で言うとお役所仕事、効率の悪いというお役所仕事を民間と競争して、効率のいい方に、サービスのいい方に渡したらいいじゃないかという、それを可能ならしめるための手段としての市場化テスト、それを法案に今度するわけでございます、御審議いただくことになります。
もう言葉が、話されていますように、イギリス等でかなりやっておりますし、アメリカあたりでも個々の自治体でかなり熱心にやっているところもあります。今までの従来の仕事を、民間の方から手を挙げるところがあったらそこと競争させて、ですから、これは競争するということは、官の方も今度は競争に対抗させられるわけですから、自分のところも、今までは少しのんびりやっておったけれども、では一生懸命やって、民が手を挙げたところとちゃんと競争できるから、やはり官で私たちがやりますよというのならそれでもいいんですよ。ともかく、そうした競争をさせて、結果的に民の方に利があるといえばそちらの方に移したらいいではないか。
その場合に、お役人がどうなるんだということもありましょうけれども、それはお役人もそのまま民の方に、その引き受けた民間企業なりなんなりがこれを引き受けても結構でございますし、そういったことも可能ならしめるように今度はいたしております。ですから、お役人から一度そちらに移られまして、また戻っても、身分が消えてしまうのじゃなくて、退職金が継続されるとか、そういうことまでも可能にして、これが十分にできるように、機能するように私たちも配慮した形の法案を出させていただきます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
十分に柔軟にこの市場化テストを活用していただければな、こんなふうに思うわけでございます。そして、その過程で、やはり中立的な第三者機関にしっかり評価をしてもらうということも非常に重要かなと思いますので、その点もぜひ御配慮いただければと思います。
時間も少しずつ限られておりますので、最後に一つだけ、これは直接大臣の御担当でないかもしれませんけれども、今まで国家公務員の数の縮減ということで質問をさせていただきました。
ただ、国家公務員の数というのは、ここ数年、独法化、いろいろな民営化等々でかなり減ってきているというのもまたこれは実情だろうと思います。他方で、地方公務員について、まだまだ三百万を超える地方公務員の方がいらして、なかなかここのスリム化というのが図られていないんじゃないか、そんな感じを私は受けております。
直接の御担当ではないと思いますけれども、地方公務員のスリム化というんですか縮減ということについて、どのような御所見をお持ちか、最後にお伺いできればと思います。
○中馬国務大臣 担当じゃないことはなくて、これも熱心にやらなきゃいけない、大きな公務員の中の一つでございますからね。
ただ、政府の方は、地方自治ですから、政府が命令することはできませんから、地方についても同様に、五%とは言わずに、今まで平均したら四・六%減らしてきているわけですから、五年間で。ですから、五年間で四・六%を下回らない範囲で地方も努力してください。
その手段としましては、今おっしゃったような、定年を迎えた人をなるべく不補充にするだとか、あるいは市場化テスト、これは全部地方にも、法律ですから、これは地方もどんどん利用していただけるわけでございまして、地方の方々も市場化テスト、お役所仕事を民間に移していく、そして手を挙げていただく。
これはお役所の方で決めてこれを市場化テストに出すというのではなくて、民間から手を挙げていただいて結構なんです。それぞれ地域の一市民であっても、こういうことは市場化テストの対象になるんではないのと言って手を挙げていただいて結構でございます。そして、そのことを、第三者機関としての監理委員会というのをつくりますから、その方々が審査して、ああ、これはそうですねということであれば、これも民間に移すことができる、市場化テストの対象にすることができるわけでございまして、そういったことで地方の方も例外なくやらせていただきます。
○木原(誠)委員 大臣、ありがとうございました。
担当でないと、ちょっと言葉があれだったかもしれませんが、ぜひ、地方も含めてしっかりとこの公務員の縮減、スリム化というものに取り組んでいただければ、こんなふうに思う次第でございます。
時間も半分過ぎてしまいましたので、ここで少子化の話に少し触れさせていただきたい、このように思っております。
私、ことしで三十六になりますが、そういう意味では、第二次ベビーブーマーの最後の方の世代になるのかな、こんなふうに思っていまして、我々この第二次ベビーブーマーもあと四、五年もすると四十代になってしまうということでございますから、少子化対策というのは本当に喫緊の課題だなと。まさに、昨年は人口もついに減少するという現実があるわけでございまして、いろいろな意味で、この少子化対策、ちょっとスピードアップしていかなければいけないのかな、こんなふうに思っているところでございます。
どんな対策があるのかということにつきましては、これまでもうほとんど多く語り尽くされた感もあるわけでございまして、これがまさに実行の段階かなというふうにも感じているわけでございます。
一つは、やはり未婚あるいは晩婚化という問題がある、このように認識しております。ただ、私自身が独身でございますので、このことについては、当事者でもありますから、なかなか質問がしづらいというところもございます。
きょうは、むしろ育児と家庭あるいは仕事の両立というようなことについて御質問させていただきたい。特に大臣は、育児をされながら、まさに仕事を両立させてこられた、こういうことだろうと思いますので、御経験も踏まえながら、いろいろ御質問させていただければ、こんなふうに思っております。
私も、冒頭申し上げましたように、四十代が少しずつ見えてくると、いろいろ同級生、同窓生と話しておりますと、女性の同窓生の中にも、大分キャリアを積んできた、あるいは会社の中でもポジションが上がってきた、あるいは専門的な能力をかなり蓄えてこられた、そういう方が随分ふえております。いろいろお話を聞きますと、なかなか結婚に踏み切れない、あるいは子供を産むということに踏み切れない、そういう女性も多いなということを最近特に実感しております。
一昨日ですか、事務方の方からいろいろ数字のレクチャーを聞かせていただきましたけれども、育児休業取得率はもう七割になっているんだ、こういうふうに言われているわけですけれども、実態を見ると、その前段階で七割の女性がやめていらっしゃる。実際の取得率はもっともっとずっと低いというのが現実だろう、こんなふうに思うわけでございます。
最初に、極めて総論的な言い方で恐縮ですけれども、女性が仕事と育児を両立するという環境はまだまだ整っていないのかな、こんなふうに思うわけでございますけれども、女性の仕事と家庭の両立という今の現状をどんなふうに認識されているか、大臣の所見を伺えればと思います。
○猪口国務大臣 木原先生おっしゃるとおり、実に七割の女性が第一子の出産とともに離職するわけです。そして、近年では、育児休業取得率も高まってきています。実際に、職場に残った方の七割が取得している。男性の場合は〇・五六%と、先進国の中でも非常に低いわけでございます。
ですから、課題といたしましては、やはり育児休業制度を利用できる雰囲気がもっと強くなる、そのようなことについて理解が職場で深まる、離職せずに育児休業をできるような社会をつくっていくということが重要ではないかと思います。
先生御存じのとおり、M字カーブというのがございまして、日本の場合、やはり出産、育児のときに女性が労働市場から退出しますね。戻ってくることができるんですけれども、そのときに二度と同じ身分ではない場合が圧倒的に多い、正規職員の地位になかなか戻れない等の問題があると思います。そういうことを見越しますので、やはり結婚に踏み切れない、未婚、晩婚化ということにつながっているのではないか。
つまり、日本におきましては、仕事か家庭かという非常に過酷な二者択一に迫られる女性が多いのではないか。これを仕事も家庭も両立できる社会をつくっていく。そのための施策としては、今申し上げましたように、育児休業取得の促進、そしてまた復帰後には保育園にお子様を預けるという必要も出てきますので、引き続き育児関係事業の拡充その他、男性も含めた家事、育児への参加をお願いしたいと思っております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
雰囲気づくり、それからそういう取得しやすい環境づくりと、極めて漠然とした御答弁かなという意味は、私はいろいろ考えてみると、やはりこれは企業の取り組みというのは本当に欠かせないんだろうな、こういうふうに思っておりまして、大臣として、どのように企業に育児と仕事の両立を理解してもらって、そしてどのようなインセンティブを企業に持ってもらうのかということについて、もう少し具体的に大臣の御所見をいただければと思います。
○猪口国務大臣 漠然としたことを申し上げるというつもりではないんですけれども、基本的には、このような社会政策の分野におきましては、認識を形成していくということは極めて重要なのであります。また、職場を離職する女性の声を聞いてみますと、やはり、冷たい目、同僚に負担をかけているという負い目、こういうことでつらいんだという声がありますので、こういう問題が重要なのだということは理解してもらう必要があります。
その上で、企業の具体的な取り組みを促進する方法としましては、次世代育成支援法がございます。これは、三百一人以上の企業につきまして、育児休業取得等のことにつきましての行動計画策定義務がございますが、多くの女性が三百人以下のところに就職していますので、そこにおいては努力義務、こういう問題はございますが、認識を強化していくという中で、自発的に中小企業においてもこの問題について理解を深めていただける機運が出てきていると感じておりますので、まずは次世代育成法に基づきましてこの取り組みを強化する。つまり、行動計画を企業はつくり、実施しということを確実にやっていただく。
そしてまた、そのような要件を満たした企業につきましては、これは厚生労働大臣の認定を受けて、次世代認定マークというものがございまして、それを広告商品及び求人広告において使えるというようなことも決めてございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
次世代育成支援法で認定マークを付与しながら、いろいろインセンティブを与えていく、こういう御答弁か、このように思います。
実は私、イギリスに四年ほど行っておりまして、一九九九年から二〇〇一年まで、二回目は二年間イギリスに行っておりまして、イギリスの役所で働いた経験がございます。そして、その当時、私がイギリスで大変おもしろいなと思ったのは、ワーク・アンド・ライフ・バランスというんですか、たしかそんな言葉だったと思いますけれども、そういう要するに仕事と生活、家庭を両立させるプログラムというものをイギリス政府が、私が赴任をする前年ぐらいだったと思います、導入して、これに相当の予算をつぎ込んでいるということがございました。
これは特に中小企業だと思いますけれども、中小企業がそういう家庭と仕事の両立プログラムをつくる際に、政府が公認をしたコンサルタントを入れる、そこのコンサルタントを使うお金として政府の方から公的支援をするといったような仕組みだったというふうに記憶をしているわけでございます。
別に全く同じものを日本でやる必要は全然ないというふうに思いますけれども、今まさに大臣がおっしゃったように、中小企業はまだまだこれは努力義務でございます。では、仮にこれをもう少し強固に進めていこうということになりますと、やはり多少、もう少し政府側の、国側の公的サポートというのが必要になるのかな、こんなふうに思います。
ちょっと御感想をいただければというふうに思います。
○猪口国務大臣 大変興味深い事例を紹介してくださいました。
私たちといたしましては、お互いによい行動計画をつくった場合に、その好事例を参考にしながら、みずからの企業において、自発的に三百人以下の企業におきましてもそのような行動計画をつくってみよう、実施がどこまでできるか試みてみよう、そのような自発的な努力を引き出していくことが重要だと思うんですね。その場合、コンサルタントという考え方もあるかもしれませんが、みずからがベストプラクティス、好事例を実施していると自負しているところは、それをホームページなどにおいて公表していただければ、多くの企業がそれを参考にできる、ぜひその公表を今促進したいと考えているところでございます。
政府といたしまして、やはり財政状況が厳しい中ですから、さまざまな知恵を工夫しながら、そして民間にあります英知、それから努力の成果、あるいは企業の方に財源を求めながら、取り組みをまず強化していただく、次世代育成支援法がございますので、これの着実な推進、それから、やはり経営者、トップの方々あるいは労働組合の方々の理解を加速的に促進したいと考えております。そのための会議形態のもの、これを努力していきたいと思っております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
大臣おっしゃるとおり、自発的な努力、これは非常に重要だな、こう思うわけですが、この少子化問題が話題になってからはや十年がたとうとしておりまして、なかなか自発的な努力というのも難しいのかなというところもあるものですから、どうやって政府としてこのインセンティブを与えていくのか、単なる認定だけじゃなくて何か考えられないのかということについてもぜひ今後御検討いただければ、こんなふうに思う次第でございます。
またイギリスの例を挙げて大変恐縮でございますけれども、もう一つ大臣に御所見を伺えればと思いますことは、私も、冒頭申し上げたように、いろいろ自分の同期の女性なんかと話をしていますと、核家族化も進んでいます、地域社会もなかなか疎遠になっている、こういう状況の中で、子育てに大変悩んでいらっしゃる方が非常に多いんだ、なかなかサポートが得られないという方が非常に多いな、こんなふうに思っているわけでございます。
他方で、私が海外に行って非常に思いますことは、学生が随分と育児に参加をしているという印象を受けます。日本の場合は、アルバイトというのはコンビニで働いたりあるいは教師をやったり、こういうことになってしまうわけですけれども、海外の大学に行きますと、大体女生徒のアルバイトの一番はベビーシッターが多いわけですね。
日本も、これだけフリーターだニートだ、こういう時代でございますから、学生さんたち、あるいはそういうフリーター、ニートの方々をこういうベビーシッターみたいな形で少し囲い込む、あるいは政府の方で少しそういう育児の知識を植えた形でプールをしておく、そして派遣ができるようにしておく、そんな取り組みも、まさにこれから子供を産んでいただく学生さんたちだろうと思いますから、いろいろな面で有意義かな、こう思うわけでございます。
これはほんのわずか、ちょっとしたアイデアでございますけれども、どんなふうにお考えか、御所見をいただければと思います。
○猪口国務大臣 非常に重要な御指摘をいただきましたので、私としてぜひ今後参考にしていきたいと思っている点でございます。
今の検討の状況としましては、少子化社会対策推進の専門委員会というのがございまして、そこでもそのような意見が出ております。そこでの議論としましては、日本の場合、学生がまだ子供を預かるということについてどうかなという雰囲気もございますので、とりあえず、養育者のいる家庭に育児支援に行くとか、あるいは学生による家庭支援ボランティアの育成事業、これを推進してはどうかというような議論が強く出ていますので、きょうは議会からそのような意見が強くまた出たということで、ぜひこの専門委員会で議論を深めていきたいと思います。
あと、私が知るところ、日本の大学でも最近は、学生のクラブや同好会などのところでベビーシッター活動をやっているところが、特に地方の大学でかなり出てきていると聞いております。そのようなことも私として勉強しながら、重要な御指摘と考えています。
また、先ほど先生が何度かにわたっておっしゃいましたインセンティブ、中小企業に対するインセンティブが重要だということも強く御指摘されましたので、これも私として持ち帰ります。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
今、本当に家庭のあり方というのは問われているな、こう思うわけでございまして、私などは、例えば二世代住宅、三世代の住宅、こんなものを支援する、促進するような取り組みなんかもあってもいいのかな、このように思っているわけでございますけれども、この場は単にアイデアを羅列するような場ではないと思いますから、そこは控えたいと思います。
もう時間も限られていますので、最後に行き着くところはやはり経済的な支援なのかなというふうに思うわけでございます。私の家族のことを申し上げて大変恐縮ですけれども、兄もようやく二人目が生まれたわけですが、うれしいなという反面、その次に出てくる言葉は、ちょっとあれを控えなきゃいけないなとか、旅行を少し減らそうかなとか、こういうまさに金銭的な話になってしまう。
私は、大臣が就任早々、革命的に、社会保障の中で、高齢者向けの支出と家族向けの支出、変えてみたいんだ、こういうふうにおっしゃっていたのをちょっと記憶しているわけですが、最後に大臣の御決意を、社会保障全体の中でどうやって家族向けにあるいは育児向けに公的支援のあり方を見直していこうとされているのか、一言いただければと思います。
○猪口国務大臣 木原委員御指摘のとおり、社会保障の配分につきましては、高齢者用七割、児童、家庭用三・八%、かなりの偏りがある。
私は、政府としましては、若い世代に、そして若い世代の苦労にやはりしっかりと寄り添っていくという姿勢を打ち出すことは必要であると思っております。私のその決意は全く変わることなく、多くの現場を視察して歩いておりますので、一層強まっております。
育児をするということ、子供を産み育児をするということは、保護者は自動的に多くの負担、自己犠牲、献身をかけることでありますが、社会で共有できる部分につきましては、共有してもよい部分が多いのではないか、このような考え方をやはりこの段階で国民、社会と共有していただけるよう、政府として示してまいりたいと思っております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
これで私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、田端正広君。
○田端委員 公明党の田端でございます。
まず最初に、猪口大臣に少子化対策の問題でお尋ね申し上げたいと思いますが、非常にこれは難しい問題で、なかなか、決め手といいますか、そういったものもないのではないかという思いもいたします。
考え方としては、財政的、経済的なバックアップということが一つは考えられると思います。それから、子供さんを生み育てられるという環境、社会環境をどうつくるか、こういうことも大きな要素だ、こう思っておりますが、いずれにしても、その両面からいろいろな形で積み上げていくということが一番、遠回りのようだけれども一つ一つやっていく、そういうことが大事ではないかな、こんな思いもしているわけでありまして、我が党においても、この問題については、対策本部をつくりまして今一生懸命検討している最中でございます。
例えば、十六年の出生数が百十一万人ということで、過去最低という記録になりました。しかし、その一方で、十六年度における中絶件数というのが三十万幾ばくかあるわけであります。これもまた、表に上がった数字はそんな数字ですが、しかし、もっと実際はその倍ぐらいあるのではないかとも言われるぐらい、これは実態はよくわかっておりません。しかし、相当数に上るのではないかと思います。
けさの新聞に、福島県が今春から中絶希望者に対して里親制度を案内する、こういうことで、福島県における少子化問題に対してみずからそういう努力をしていこう、こういうことが大きく報道されております。これは、そういう意味でも、命の大切さ、生まれてくる子供さんには何の罪もないわけでありまして、むしろ子供は国の宝である、あるいは社会の宝であるという形で支えていく、これは非常に大事な視点ではないか、こう思います。
地方自治体でもそういうことをされるわけですから、ぜひまた、学校教育、社会教育の中でそういう思いをもっといろいろな形で反映させていくことが大事ではないか、こういうふうに思っております。ぜひ、社会として、そういうことを受け入れる、結果として少子化対策に大きくプラスになっていく、こういう形をつくっていくことが必要だ、こういうふうに考えているわけであります。この点についてお伺いしたいのが一点でございます。
もう一点は、そういう中で、一方、お子さんができないという家庭がたくさんあるわけでありまして、そういう不妊治療の問題についてはなかなかこれは、悩んでおられるんですけれども、病院に行くとか、そういうことが非常に憶病になるといいますか、そういう意味で、しっかりとそういう相談できる窓口もつくっていただき、いろいろな意味でもっと風通しよくしていただく。そして、不妊治療に対する助成も、今、年間十万ぐらい出ていると思いますが、もっと積極的にやっていくような仕組みもつくっていくべきではないかな、そんな思いをしております。
そういう一つ一つきめ細かく積み上げていって、そして、少子化問題という大きな社会問題を、やはり国家として、政府として対応していく必要があるのではないかと思っておりますが、大臣の御所見をお願いいたします。
○猪口国務大臣 まず、人工妊娠中絶につきましてでございます。
十六年度におきましては、前年度よりも減少が見られております。にもかかわらず、先生の御指摘のような規模がございます。先生御指摘のとおり、子供は皆、国家の宝、社会の宝、地域の宝と、私、重ねて申しております。
今実施しております子ども・子育て応援プランの中に、命の大切さを伝えていくという非常に重要な柱が入ってございます。その中で、例えば中学生、高校生が乳幼児に触れ合う機会の拡大、命の大切さ、家庭の役割等を学校教育の中で学んでいくというような充実策を盛り込んでおり、また実施しているところでございます。
福島県の事例につきまして、私、先生御存じでいらっしゃるかもしれませんが、県知事などと大臣との対話プロセスというものを展開しておりまして、ブロックごとに私が往訪し、いろいろな意見を伺っているというところでございます。その中でも、先生御指摘のことは何度か提案されたところがございます。
ですから、いろいろな意見が今寄せられています。そのような地域におきます、あるいは地方自治体におきます独自の取り組み事例ということが今活発にさまざまな方面で展開し始めています。そのような独自の取り組みのところと、この福島県のアイデアにつきましてはちょっと詳しくは承知していないんですけれども、そういうものと理解しております。
若い世代、全般的に所得水準が非常に低いということは認識していかなきゃならないんですね。ですから、何らかの形でその世代に経済的な支援の面で寄り添うことができれば、またさまざまな問題の解決にもつながると感じております。また、そのような意見がよく寄せられる意見でございます。
それから、不妊治療につきましては、平成十六年度から特定不妊治療費助成制度、これが創設されていますこと、先生御存じのとおりです。年間十万円を上限として通算二年の助成でございますが、今お願いしております平成十八年度予算案では、通算五年間支給できるようにという拡大措置を盛り込んでいるところでございます。不妊治療にかかる経済負担が大きいという意見は、私が視察したり地方に出向いて意見交換する中で最も頻繁に寄せられる意見として認識しております。
また、子ども・子育て応援プランにおきましても、医学的、専門的な相談や不妊による心の悩み等も相談できる体制整備をする、不妊専門相談センターを全都道府県、政令指定都市、中核都市で整備する、これを二十一年度までに行うということを定めております。
○田端委員 ぜひいろいろな形で積み上げていただきたいと思います。しかし、その中でも、私は、ことしからまた児童手当制度を拡大していただきましたが、さらにまたこれから、この問題については、大きく中学校まで拡大するとか、そういったことをぜひ国民的議論としてやっていただいて、やはり経済的支援というものが一番大きいんだ、そういう中で、児童手当というものは、これはもう少し、今後もまたヨーロッパ並みに引き上げていきたい、そういう思いで今後ともよろしくお願いしたいと思います。
松田大臣、IT担当でございますので、その点についてきょうはちょっとお伺いしたいと思います。
e―Japan戦略が非常にうまくいったといいますか、いい結果をもたらして、今ではインターネットが世界一安くて速いという本当にすばらしい基盤ができました。それをさらに国民生活にどう生かしていくかということ、ここから先が大変大事なテーマではないかと思っております。
それで、日本が手がけて、ユビキタス社会ということで、ITを活用した技術、そしてそれが国民生活に反映するように、こういう流れが今できつつありますが、例えば、視覚障害者とか聴覚障害者の方がICタグを活用することによって移動システムが非常にスムーズにいく、そういう実証実験がいろいろなところで、国土交通省等で行われておりますし、それから、外国人が例えば浅草に来て浅草の町を観光する場合に、そういったICタグを活用することによっていろいろなことがわかる、こういう仕組みも今実験、テストが行われています。
それから、今問題になっている子供の安全ということで、学校との通学の途上、あるいは学校に着きました、学校を出ましたというものも、IT技術を活用することによって家庭にメールで自動的に発信される、そういうことも各地で今行われています。
というふうに、いろいろな形でインターネット、IT技術を活用した、そして社会の中で、生活の中で使える仕組みというものがだんだん広がりつつあると思います。
テレビのデジタル化によって双方向性というシステムができました。それから、携帯電話というものが今いろいろな形で多様化されて、これも携帯電話を用いることによって、もっともっと大きく国民生活に、もう既に買い物ができるようになりつつありますけれども、そういう本当にユビキタスネットワーク社会ができつつあるなということを私は今感じているんですが、ぜひこれをもっと進めていただきたい、こう思います。
そして、例えば文化的にも、例えば尾道とか、そういうところでは、町の博物館ということで、ICタグを活用することによって、この町、この建物、この道がどういう歴史があって、文学の中でどういうふうに出てくるかとか、日比谷の方もそういうものが今できているようでありますし、いろいろな地域のところで、ユビキタス社会という一つの流れの中で、そういう町の博物館としても活用されるようにもなりつつある。
非常にいろいろな意味ですばらしい流れができつつあると思いますが、ぜひこれを、例えば二〇一〇年までに日本社会としてこういう方向を目指すぞ、そういう一つの何か目標を掲げていただいて、夢のある日本というものをIT技術を使って進めていただければ非常にすばらしいのではないかと思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○松田国務大臣 田端委員御指摘のように、e―Japan戦略のもとで、官民挙げてみんなで頑張っていただきまして、おっしゃったとおり、インターネットも世界最速といいますか、しかも値段も世界最低、最も安い値段でということで、本当にすばらしいブロードバンド環境ができてまいりまして、そういった環境をいかにうまく使って、私たちのあらゆる面で、生活の全般、本当の意味ですべての方々が豊かな生活ができるようにしていく。
今いろいろ具体的におっしゃいました、特にICタグを使ってという試み、この分野は、先生御案内のように、まさに日本が非常に得意としている分野でございまして、今度つくりました、今年度から始まります五カ年のIT新改革戦略におきましても、まさにそれを受けまして、いろいろ具体的におっしゃいました障害者の方とか高齢者の方、外国から観光に来られる方々、あるいはまた子供たち、しかも、それがこの方々の移動の円滑のためであったり、あるいは観光の案内であったり、いろいろな役割をこのICタグを使うことによってできるわけでございます。
そういう、まさにどなたでも安心してできる、あるいは快適な生活ができる、豊かな生活ができる、そんな社会をつくり上げていくということがこの改革戦略の大きな重点になっておりまして、それを今おっしゃったように二〇一〇年までに具体的に実現していくという行動プランも今つくりつつございまして、先生おっしゃった点も踏まえて本当にしっかりやっていきたい、IT戦略本部のリーダーシップのもとに一生懸命やっていきたい、こう思っております。また、先生の一層の御指導もひとつ賜りたいと思っております。
○田端委員 ぜひ積極的によろしくお願いしたいと思います。
官房長官がお見えになりましたので、早速ですけれどもお尋ねしたいと思いますが、今、IT技術の明といいますか、明るい部分の話を申し上げました。しかし、これはやはり明と暗、暗い部分もあるのではないかという思いを私はしております。
いろいろな事件が今起こっておりますが、私は、国家として一番大事なのは、サイバーテロ対策というのは大変大事だなと思っておりまして、国の安全保障として、そういう新たな危機に対してどう対応するかということをしっかりと今から、もう既にやっているとは思いますが、しかし本当にこれは大事なことなので、その点についてぜひお願いしたいと思います。
つまり、テロリストとか、そういう悪意を持ったところにこのIT技術を悪用される、そういうふうなことになってきますと、これはもう大変なことになり混乱をもたらす、こう思います。サイバーテロ対策というのは、まさに国家の安全の一番生命線だと今思っておりますが、先日も、きのうですか、おとついですか、海上自衛隊佐世保基地における「あさゆき」の関係者のパソコンがウイルスに感染して、ウィニーのネットワークに極秘の情報が流出して、そして暗号番号、暗号関係の書類やら戦闘訓練の計画表から、「あさゆき」の乗船している人たちの顔写真つき電話番号、住所等も、家族構成までも全部出たということでありまして、IT技術というのは非常にすばらしい、すばらしいけれども、一たん何かあるとこういったとんでもないことになるんだという一つの事例だと私は思います。
この事件は、あってはならないことが起こったんだと私は思いますが、もしこんなことがテロなり悪意を持ったグループに使われたら大変なことになる、こう思いますし、それから、これとは直接関係ないんですが、きのう警察庁で発表したあれによりますと、インターネットを悪用したサイバー犯罪が前年比五一%ということで、過去最多になったということが出ておりました。
例えば、オークションの詐欺も五倍にふえているとか、あるいは警察への相談件数はもう既に八万件になったとか、こういう数字も出ておりましたが、こういうインターネット犯罪になってきますと、県警とかという県の単位では取り締まりできないんじゃないか。県をまたいで、むしろ国をも越えてしまって、国境をも越えているのがインターネットの世界ですから、こういった事案に対して一県警本部がやるとかということ、それはそれで大事なんですが、しかし、国家としてどうしていくかという議論を少しやっていただかないと、もうボーダーレスの世界になってしまっているというだけに、大変これはそら恐ろしい感じがいたします。
そういう中で、ぜひそういうことも踏まえて、今後サイバーテロ対策、犯罪に対して、今内閣の官房の中に情報セキュリティセンターというのがあるようですけれども、この情報セキュリティセンターで果たしてこういう事件を食いとめられるのかどうか、そういう役割のセンターではないのではないか、防止する中心はどこになるんだろうということを私は心配しているわけでございまして、警察庁を中心に、その辺のところ、各関係省庁と連絡をとる、内閣官房の中にそういったものを会議体なりなんなりでしっかりと持っていく必要があるのではないか、こんな思いをしておりますので、官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。
○安倍国務大臣 ただいま委員御指摘のように、約五年少し前、森内閣において、日本を世界最高水準のIT先進国にするという目標を立てて、まさにその目標に到達をした、こう思うわけでありますが、政府あるいはまた社会経済活動、そしてまた国民生活も、情報システムに依存することになってまいりました。その中で、情報セキュリティーの対策の強化は、我が国にとって喫緊の課題であり、国の安全保障、危機管理の上でも極めて重要な課題である、このように認識をしております。
このため、今月二日、私が議長を務める、先ほど委員から御指摘がございました情報セキュリティ政策会議において、我が国の情報セキュリティー対策をより強化すべく、第一次情報セキュリティ基本計画を策定したわけでございます。
同計画においては、政府機関統一基準等により、政府機関の情報セキュリティーを強化するとともに、サイバー攻撃等に対する政府機関における緊急対応能力を強化することとされておりまして、今後とも内閣官房を中心に、関係省庁が一丸となって我が国全体の情報セキュリティー対策を強力に推進していきたい、こう思っています。
また、今先生が御指摘になられました政府機関の情報漏えい防止について、重要情報を許可なく持ち出すことの禁止や許可なく政府機関外で情報処理を行うことの禁止など、各政府機関における政府機関統一基準に基づいた情報セキュリティー対策の実施を再度徹底していきたい、こう思っております。
また、やはり先ほど先生が御指摘になられた、特にファイル交換ソフト、ウィニーを介した私物パソコンによる重要情報の漏えいに対して、緊急の対策を各政府機関が実施するよう指導してまいる所存でございます。
また、ただいまこうした情報が流出をし、軍事やテロ目的に転用されないかという懸念もあるわけでありまして、またこうした犯罪等は簡単に県境も越えますし、国境も越えていく、あるいは各省庁間の縦割りの中ではこれは対応し切れないというのはまさに御指摘のとおりである、このように思います。
我が国及び国際社会にとって重大な脅威であるテロ活動や大量破壊兵器等の拡散に、我が国の製品や技術が使用されることがあってはならないというふうに考えております。
我が国では、外為法等により厳格な規制を行っているところであります。また、懸念貨物や技術の不正輸出を効果的に防止し取り締まるためには、政府部内において、輸出管理当局、外交当局、捜査当局、税関当局が緊密に連携をとり対応することが重要と認識をしており、実際にこの懸念輸出先や懸念貨物その他に関する情報交換等を日常的に行っているわけでありますが、今後とも、技術の不正輸出の防止に向け、私から関係省庁に対し、今まで以上に連絡を密にするように督励をしていきたい、こう思っています。
また、先ほどの、これは情報セキュリティーの方でありますが、一つの県警だけでは対応し切れないのではないかという御指摘でございますが、こうした問題の対応につきましては、情報セキュリティ政策会議を中心に、警察としっかりと連携を密にし対応をしていきたい、こう考えております。
○田端委員 大変御丁寧な回答をいただきまして、ありがとうございます。
しかし、ちょっと具体的に申し上げますが、たくさんの事件が頻発しております。生物兵器の製造に転用可能な凍結乾燥機が一台北朝鮮の方に不正輸出されたということで、先日、外為法違反で西伸商事、明昌洋行という二社が家宅捜査等を受けております。これは台湾経由で北朝鮮に行ったようでありますが、経済産業省の許可も得ていないようでありまして、大量破壊兵器の製造などに転用される危険性があるという意味で非常に大きな問題だと思います。
それから、東芝の関係ですが、東芝ディスクリートテクノロジーという会社の元社員が、在日ロシア通商部代表の人に軍事転用可能な半導体情報を漏えいしたということが判明いたしまして、この人はまた、数回にわたって見返りに幾らかのお金をもらっていたとかという事件も起こっております。
それから、今月、精密機械メーカーのミツトヨという会社が、三次元測定機という核兵器製造に転用可能な機材を無許可で中国とタイに輸出していた。それが、この同じタイプのものが、実は〇三年それから〇四年初めにかけてIAEAがリビアの核兵器研究施設を査察した場合、そこから同じものが出てきたということも言われているわけでありまして、今回の事件との絡み、非常に、やみルートでリビアの方に日本の技術が渡っているという意味で、これは大変大きな問題だと思います。
それから、ヤマハ発動機が軍事転用可能な無人ヘリコプターを不正に中国へ輸出したもののうち、一機が中国の人民解放軍系のポリテク社に渡っていたということがわかりました。これも無許可でやったという意味で、これはGPSを搭載しているすばらしいヘリコプターで、今イラクでも日本が扱っている非常に大事な技術だと思います。
それから、陸上自衛隊の最新地対空ミサイルSAMですけれども、このシステムに関する開発データが朝鮮総連の傘下である科学技術協会、科協と言われておりますが、そこに流出しているということも明らかになっているようであります。
そして、さっきの海上自衛隊の機密情報の流出事件等々、ちょっと調べてみただけでも五つ、六つ、こういう大事な事件が今起こっているわけでございまして、今、官房長官、いろいろとおっしゃっていただきましたが、しかし、現実はそういうことでありますので、ぜひこれは早急に一つのきちっとした体制をやはり組んでいかなきゃならないんじゃないか、こういうふうに思いますが、重ねて御答弁をお願いしたいと思います。
○安倍国務大臣 ただいま委員が御指摘になられた諸々の事案については、これはまさに大量破壊兵器の製造につながるかもしれない機器であったり技術であったり、あるいは我が国の安全について、安全保障について重大な懸念をもたらすことになったかもしれない事案だった、こう考えております。
先ほど、情報の流出に絡みまして、こうした機器についての対応についてもあわせてお答えをしたところでございますが、昨今こうした摘発が行われていることは、ある意味では、警察庁を初め各県警当局が非常に真剣に、今まで以上に真剣にしっかりと取り組んでいる成果でもある、このように思っているわけでございます。
しかし、それと同時に、先ほど答弁を申し上げましたように、懸念貨物や技術の不正輸出を効果的に防止し取り締まるためには、政府部内において、輸出管理当局、外交当局、捜査当局、税関当局が緊密に連携をとり対応することが重要である、こう考えておりますが、そうした連携を緊密にとってきた成果として、こうした摘発がなされているというふうに思います。
そういう意味で、情報交換を現在日常的に行っているわけでありますが、ただいまの委員の御指摘をしっかりと受けとめまして、さらに今まで以上に緊密に連携をして、こうした不正な輸出、我が国の安全保障にとって重大な懸念につながるような輸出、あるいは大量破壊兵器の生産につながるような輸出、あるいはまた、そうしたものがテロリスト等々に渡ることのないように、万全な体制で取り組んでいきたい、こう思っております。
○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 民主党の大島です。
まず、皇室典範について御質問をさせてください。
今回の国会で皇室典範の法案が提出され、内閣委員会で審議が行われるということを聞いたときに、非常に深い思いがございまして、その審議に当たりまして、どのような審議をするのか、あるいは審議になじむのだろうかということについて、あるいは委員会あるいは国会での決議のあり方について、いろいろと私も考えさせられました。
今回、皇室典範に関する有識者会議の最終報告を受けて、法案を作成し提出する、提出するかどうかはわかりませんけれども、総理の施政方針演説の中で提出することが表明された後に、国会あるいは各有識者の間、そして国民の間でさまざまな議論が起きたと思います。
その議論が起きたことにつきまして、安倍官房長官としてはどうお考えなのか。私としては、国民の議論が二つあるいは三つに分かれながら議論することのあり方というのが、天皇制を、象徴天皇を守る、象徴天皇制に対して本当に正しいあり方なのかなということをずっと思ってきた次第なんです。
ですから、今後、皇室典範の議論というのは今国会あるいは今後の国会の審議の中でされるかと思うんですけれども、その国民の合意形成のプロセスのあり方について、どのようなあり方が望ましいのか。先ほどの一点、今回の国内での世論が喚起されたことを踏まえての官房長官の御所見と、今後のプロセスについて、どのようなプロセスが望ましいとお考えなのか、その点につきましてお答えいただければ幸いです。
○安倍国務大臣 皇室典範の改正につきましては、我が国の象徴である天皇の地位に関する問題であり、多くの国民の賛同が得られるよう、慎重にかつまた冷静に取り組んでいくべきものである、こう考えております。
そこで、プロセスも極めて重要でありますが、そこがなかなか難しい点だろう、このように思います。皇位継承の問題について、幅広い観点から大所高所の御議論をいただくべく、これにふさわしい高い見識を有する方々に参集をしていただきまして、有識者会議をつくって構成し、そこで御議論をいただいた、これが適当である、このように政府としては考えたわけでありまして、委員の方々についても、このような点から、ふさわしい方々にお集まりをいただいた、こう思っております。
今後は、国民各層における議論を見守りながら、先ほど申し上げましたように、多くの国民の方々がこういう案であればというふうに賛同していただける形に自然に流れていくというか、自然にその方向に議論が収れんしていくことが最もふさわしいのではないだろうか、このように思っております。
○大島(敦)委員 政治において丁寧な合意形成が必要だと私は考えていまして、例えば、普天間の移設に伴う辺野古の沖合案か沿岸案にするかという今回の案の変更についても、これまで、日米同盟あるいは日米安保というのは、沖縄の県民の理解の上に日米同盟がずっとここ六十年間安定してきたと私は考えているんです。したがいまして、これまでの日本の政府は沖縄に対する配慮を慎重にしてきて、その理解が非常に深かったと思います。
昨年の十二月、稲嶺知事とお会いしたときに、おっしゃった名前が橋本登美三郎さんであったりあるいは山中貞則さんであったり、過去私たちの気持ちを理解していただいたということを考えてのみ込むものはのみ込んできたのが多分沖縄の県民の感情であったと思うんです。それを、今回は、沖合から沿岸に移すときに、断りなく移したことによって、感情としてはのみ込めないものが出てきていると考えるわけなんです。
政治というのは、今丁寧な政治が私たちの国の中で失われていると私は考えているんです。今回の皇室典範の改正案のプロセス、有識者会議の有識者ということについて、恐らくこの案について違うとおっしゃる方は、その権威を認めていらっしゃらないかと思うんです。何をもって有識者とするのかという定義も非常に難しいわけです。議論のプロセスというのは本当に難しいと思う。
ですから、今後の議論をもしも政府の中でされるとすれば、国民あるいは私たち議会人がのみ込める方の議論というのが、あるいは、有識者あるいは私たちがのみ込める議論というのが本当に必要なのかなと私は考えているんです。
ですから、今後のこの議論については、国民の合意形成あるいは議会での合意形成、非常に議員個々人の琴線に触れる問題なんです。これは理屈でも、なかなか議論しても埋まらないかもしれない。これが当委員会やあるいは本会議の採決になったときに、賛否を問う問題なのかどうかも含めて、ぜひ政府の中で御議論していただきたいんです。
ですから、今回は、ありがたかったのは、今国会で議論をすることがないかなとは思うんですけれども、今後のこのあり方について、もう一度安倍官房長官として考えられるのかどうか、そのプロセスについて検討するつもりかどうかについて、もう一度御所見をいただければ幸いです。
○安倍国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、この有識者会議のメンバーについては、政府としてはこの方々に御議論をいただくのがふさわしい、こう考えたメンバーの方々であります。
しかし、皇室の問題についても、やはりいろいろな意見が国民の中にはあるのも事実なんだろう、こう思います。
しかし、基本的には、なぜ皇室典範を改正するかといえば、安定的な皇位の継承が行われるように、つまり、皇室の仕組み、そして皇室を基本的にしっかりと日本の伝統において肯定的にとらえて詰めていくわけであります。そういう中にあって、その観点からしっかりと議論をされたかどうかということによって、これは信頼性にもつながっていくんだろう、こう思っているわけでございます。
その中で、かなりの時間を費やして御議論をいただいたものが結論として答申されたというふうに思うわけでありますが、しかし、十分に慎重に、またかつ冷静に議論していくということが当然大切だろう、こう思っています。
その中で、現在、この案をどのように法律にしていくかということについての是非も含めて、今与党の中で議論をスタートしたというふうに承知をしているわけでありますが、こうした、まず党においてのしっかりとした議論、勉強を続ける上で法案を作成する、そしてその上で、さらに国会において与野党でしっかりと深い深い議論を行っていくということが大切なのかな、こう考えております。
○大島(敦)委員 いろいろなさまざまなテーマが国会の中ではありまして、皇室典範についての議論は、議論しても埋まるかどうかのテーマ、非常に琴線に触れるところがあって、どれだけ議員の方、国民の方が納得感を得られるかということだと思うんです。議論して埋まるテーマと議論しても埋まらないテーマがあるかもしれない、そのことを留意していただきたいなと考えております。
今回の官房長官の所信の中で、先ほど与党の中でというお言葉がございましたけれども、政府あるいは与党で、どのような考え方がいいか、どうしたら国民が納得できるかの結論を出すのではなくて、国民を含めての議論のプロセスが私は大切だと思っているんです。ですから、そこのところを丁寧にまず御議論していただいて、議論のプロセスが一番大切だと思っていますので、そのことを留意されることをお願いいたします。
それで、質問におきまして、安倍官房長官の所信に対してつくらせていただいておりまして、私の今質問を投げたる点につきましても、御答弁の方は求めませんので、この点については、このような表現があることが、恐らく公平な議論、冷静な議論を国会においてされなくなるおそれがあるなと考えておりますので、ぜひ、皇室典範あるいは象徴天皇の制度に関する発言あるいは所信については、十分留意されることをお願い申し上げます。以上です。
続きまして、今度は中馬さんの方に話はかわりまして、公務員の制度改革なんですけれども、まず、公務員といったときに、最近、公務員の方に関していいイメージを余り持たれていない国民の方が多いと思うんです。非常に残念だと思っています。
公務員の方が、国家公務員の方も地方公務員の方も、一生懸命働いていらっしゃる方も多くて、その一生懸命働いていらっしゃる方に、今回、五年で五%削減する、そして十年でGDP比でおおむね半減させるというような目安について考えていきたいということをおっしゃっているわけなんです。
このことにつきまして、中馬大臣としては、公務員のあり方の、要は五年で五%、十年でGDP比で半減させるということについて、どのような御所見を持っていらっしゃるのか。もうしっかりと公務員を減らしていくのか、あるいは公務員の方の処遇については考えていくのか、その点についてお聞かせください。
○中馬国務大臣 公務員に対しまして、非常に批判的なといいましょうか、そういう声があることは非常に残念に思っております。大方の方は、かなり高い倫理性と同時に、大きな国民に対する奉仕の気持ちを持ちながら公務に携わっていただいていることも承知しておりますが、ごく一部の方とあえて言った方がいいかもしれませんが、その方が、あの談合問題や、あるいはまたいろいろな不祥事を起こされる。
それともう一つは、一番身近なところで国民の目に触れますのは地方公務員ですから、地方公務員の方々はそういう意味で、少し、民間がこれだけリストラしているのにのんびり働いているじゃないかとか、給料が高いんじゃないかといったようなことも含めて、批判があることも承知いたしております。
そういうことはこれから正していかなければいけないと思っておりますが、今お問い合わせがありました今回の総人件費改革でございますが、これはそういうことはちょっと関係ないといいましょうか、先ほど木原委員の質問にも答えて私は申し上げましたが、今回の改革というのは、これは大きな国家的な課題の大転換をしようとしているわけで、これまでの官僚主導の民主主義、あえてそう言わせていただきますが、それを今度は、責任を持った形で、それぞれ個人なり企業なり地域が自立した形での民主主義に変えていこうとする。そして、その方法として、官から民へ、中央から地方へ仕事もどんどんと移していく。それが活性化と効率化につながっていくわけでございますが、そうしますと、財政が苦しいから公務員を減らすというんじゃなくて、必然的に公務員の数は少なくて済むわけでございますから、そういう形で、五年間に五%という一応の目標をつくって、そして、今回この改革に取り組んでいることでございます。
そして、大きくは十年で半減、こういうことまでも言っているわけでございますが、そのことをちょっと御説明いたしますと、これは、今言いましたような形の短期では五年で五%、もう詳しいことは言いません。そして十年で半分というと、これなどはできるのかといったようなお声があることは承知しておりますが、ともかくちょっと基数が違うんですね。
五年で五%というのは、郵政の方はもう民営化することが決まっておりますから、二十七万人、二十六万人ですか、これは除いた形で考えていただいて、それでそのものをこれから五年で五%というんですが、あそこの、この間、重要方針で閣議決定しましたものの一つに、十年で五〇%というのがあります。これは、現在の郵政も入ったところの九十四万人ですか、この方々をこれから十年間で半分にしていく、人件費の面でですね。
そうしますと、これは人数と人件費ということでちょっと違う面もありますが、九十四万人ですか、このうちの郵政が二十七万人ですから約三〇%、もうこれで基数がぽんと外れるわけですね。それから、今言いました五年で五%、そのほかにも、それからどんどんと加速化されますでしょう、そういうことを期待しているわけです。
目標値としましてそのことを示しているわけでございますから、その手法としましては、市場化テストとか、あるいは官から民へのいろいろな手だても講じていくわけですから、それがかなり加速されるであろうという前提。そして、もちろんGNPもふえていく。少し無駄な手当等が地方では行われておりますが、こういったことを含めてそれを正していく。こういったことのもろもろを考えて、目標としまして、取り組むべき一つの目標、目安として、十年間で五〇%ということを掲げているわけでございます。
○大島(敦)委員 公務員の皆さんがどうして、公務員制度改革、あるいはこれまでも天下り等々いろいろな改革を行っても、なかなかこれが実現しなくて抵抗が多いというのは、僕は人事制度にあるかと思うんです。
僕は、公務員の方はかわいそうだと思っている。なぜかというと、民間ですと、会社の中で一たんラインから外れたり、人事考課で最低の成績がつけられたときに、転職ということができるんです。これは、公務員の方には転職というシステムがないんです。一たん役所に入ったら、一たん県庁に入ったら、一たん市役所に入ったら、そこの中で上司の覚えがめでたくなくて一たんバツをつけられると、ずっともう浮かばれないというのが公務員の方なんです。ですから、公務員の方の、人を減らすということに関しては物すごく抵抗がある。なぜかというと、公務員の方が職を失ったとしても、恐らく雇う民間企業はなかなかないはずなんですよ。(発言する者あり)なかなかない。
ですから、公務員、いや、今回、国家公務員法ですか、この法律は極めて革新的な法律でして、戦後GHQがつくった法律で、今の公務員制度とは違う、アメリカの科学的な人事管理制度を日本の中で入れたいという意思に基づいてつくった公務員制度が国家公務員法なんです。
ここの原則に従えば、これは、一たん役所に入ったら一生涯その役所にいるシステムじゃなくて、今の国家公務員法は、一つ一つの仕事を、ジョブディスクリプション、細かく定義して、この仕事については省内からも採るし、内部からも採るし、公から公募しても新規採用もありますよというのが国家公務員法の本来の趣旨なわけです。ですから、この知恵を生かす必要があるんだと自分は考えるんです。
公務員の方が今、五年で五%、十年で半分、三割は、三〇%は郵政ですから、十年で二〇%の国家公務員の方が、要は定員が少なくなって、多分公務員から外れていくとすれば、これはなかなか労働市場がないわけなんです。
この間、東京人材銀行に行きまして、いろいろとお話を伺ってみました。一月で大体五千人を超える方のマッチングをするわけですよ。決まっている方は百六十人ぐらいしかいないんです。四十歳以上の方、五千人就職のあっせんして、決まっている方が百六十人しかいないんです。これは民間同士でもこんなものなんですよ。
ですから、公務員の方がもしも外れたとすれば、なかなか民間の受け皿というものがないかなと私は考えているんです。ですから、公務員のあり方について、もしも五年で五%、十年で二〇%、実質で減らすんだったら、抜本的な公務員制度の改革を行わないと私は難しいと思っているんです。
その点につきまして、国の方針を決めているのは安倍官房長官の内閣官房であり、そして中馬大臣の行革ですから、その点につきましての今後の、公務員制度のあり方のそもそもに立ち返って、国として見直す必要があるかないかについて御所見を伺えれば幸いです。
○中馬国務大臣 今回の私たちが提案いたします大きな行革推進法の中には、公務員制度改革、このこともはっきりとうたわせていただいております。
これはまた別の法律になりますけれども、その基本方針としてのことはここに明確に書いておりまして、人事の評価制度とか、それから、今言いました転勤、これをかなり自由に、逆にやってもらう。今までは、労働協約で極力転勤をさせない、してもらったら困るというのが組合側の意向でございましたけれども、この間、組合の方々と私どもは協議をいたしまして、このことも柔軟に私どもも対応するし、あるいはまたその方も考えてもらいたいと言ったら、非常にそこのところは納得をしていただきました。
そういう時代を迎えたということも、組合の方々も御理解されているようでございますから、今後は、公務員制度改革の方に、転勤のことにつきましても極力配慮していただく。そして、言うところの生首を切らずに、意欲を持って働いてもらう、そのような職場をつくっていくということが今回のこの公務員制度改革の中にもちゃんと理念として入っていくつもりでございます。
○大島(敦)委員 中馬大臣のおっしゃることは、現状を是認しながら、その中で、人事異動を、労働組合の方にも御了解を得ながら、こちらの部署からこちらの部署へ移していくという現状を前提としたお考えだと思うんです。
その中で、要は、人員整理については、まあ、これは多分行わないという御理解だと思うんですけれども、私は、今後のことを考えると、例えば国の今の中央官庁に入っていらっしゃる方たちも徐々に少なくなってきているし、ほかに、民間の会社に行く方も非常に多くなってきている。有為な人材をしっかりと国の中にも確保する必要がまず一点あると思うんです。
もう一つには、伸び伸び働いてもらうということがありまして、私が考えているのは、将来は公務員の仕組みの中で、国家公務員、地方公務員の垣根を外して、その中での自由な人事異動ができないかなということを考えているんです。
例えば、今の国家公務員法の趣旨に基づけば、一つのポジションは、それは公募してもいいということになっているわけですよ。課長職、部長職あるいは局長職だって公募してもいいというのが国家公務員法の本来の趣旨なわけです。
要は、この趣旨に立ち返って、全国の公務員の例えば役職以上でもいいし、いろいろなポストがあいたときには、それは基本的には公募制だというシステムにする。それで、各役所の中で、おれはちょっとこんな役所の中だと余り将来的に恵まれないから、こちらの役所の方とかあるいは県庁の方にもう一回人事異動で求職をする、月に一回の公務員版の求職求人雑誌が出る必要があるのかなと思っているわけなんです。
そこまで改革しないと、なかなか国の中での公務という仕事の中で、非常に特殊な仕事です、公務の仕事は。法律とか条例にのっとってお仕事されるのが公務の仕事ですから、それを民間はなかなか難しいんですよ。公務の中での自由な、要は、労使の協議のもとに配置転換するのではなくて、自由に有為な人が動けるシステムというものが今後我が国は必要だと私は思っているんですけれども、その点について大臣の御所見を伺わせてください。
○中馬国務大臣 委員は、民間企業にもお勤めでございますし、御事業も自分でおやりになった、まさに私どもが考えていますのはそのことでございまして、余り枠にとらわれた公務員ということではなくて、市場化テストでそちらへ移った場合には、民間にも行っていただいて、それが一応の仕事が終わってまた公務員に戻られても退職金がちゃんと継続されるとか、それから、教員につきましても、教員資格のない方々も、民間からも任用できるとか、あるいはもちろん地方自治体と中央との交流が自由にできるような形、それを目指して公務員改革をやっておりますので、民主党さんも今そういうことを御研究いただいているようでございますから、ひとつ両々相まっていい制度にしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
○大島(敦)委員 将来的には、自分も働いた経験で、会社の中で恵まれない時代もありましたから、やはり恵まれた人が考えた制度改革と恵まれない人の立場で考えた制度改革は相当違うわけですよ。
やはり、努力して報われる人がいる、努力しても報われない人がいるのがサラリーマンの社会なものですから、そこのところをしっかり踏まえて、制度改革、例えば国家公務員法とか地方公務員法について、今後抜本的に見直す必要があるかと私は思うんですけれども、その点について、中馬大臣としてのお気持ちでいいんですけれども、伺わせていただければ幸いなんです。
○中馬国務大臣 先ほど申しましたように、今回の公務員制度改革、まだ法案は出しておりませんが、我が党としても大体固まってきております。与党として固めてお出しいたしますが、民主党さんの方もそういうことを御研究されているようでございます。
公務員に限らず、日本の国の働く者が本当に意欲を持って、次の時代、今度は新しい民主主義制度の中でやっていくわけですから、そのことに取り組んでいただける形を、公務員制度、地方公務員、国家公務員も含めた、その公務員法の改正までも含めて頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。
○大島(敦)委員 ちょっと改めてもう一度確認したいんですけれども、先ほどの五年で五%、あるいは十年で半分、郵政を除いて二〇%の中で、公務員の方の総人件費を減らすということは、先ほど言ったとおり解雇が想定されるのかどうか。
恐らく私が考えるに、今の分限免職という規定がありますよね。分限免職という規定は、定員の改廃とかあるいは予算の減少により職がなくなったり人数が多過ぎたときには、職員の意に反して、免職することができるという規定なんですけれども、この分限免職の規定は、恐らく、先ほど申し上げましたとおり、その役所に入ったら一生その役所で面倒を見るという法律の趣旨ではなくて、そのポジションについて公募して、仕事仕事で採用する前提に立っているアメリカ的なシステムのもとでの分限規定かなと私は思っているんです。
ですから、もしも、人事、解雇をするときの国の姿勢として、もう一度確認したいんですけれども、どの程度までの覚悟を持っていらっしゃるのか、最後にお聞かせいただければ幸いでございます。
○中馬国務大臣 分限免職は公務員法にはっきりと書かれているんですけれども、現実問題として、これはほとんど適用されておりません。いろいろな病的な、うつ病だとかあるいはノイローゼで出てこられない、しかし、今まではそれでもやめさせていないんです。よほどの刑事的なことでない限り、少々の談合等の不祥事があったとしても、これは正直言いましてやめさせておりません。やめさせないといったような労働協約にも一応なっているわけでございます。
こういうことだけは、これが一番国民の批判を浴びるところでございますから、これをもう少しオープンにして、私たちの税金でございますから、働かない人たちのために税金で給料を渡すというのは私はおかしいと思いますから、こういったことも含めて、分限免職という規定を、それぞれの地方においても、それぞれのまた役所の部署においても、ちゃんとした長たる者はそれをはっきりと適用していただきたい、そのことも含めてお願いをする次第でございます。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
きょうは、大臣所信に対する質問をさせていただきます。
まず最初に、安倍官房長官にお伺いするわけでありますが、官房長官の大臣所信をお伺いして、その中に、二ページ目ですか、「世界一安全な国日本の復活は、小泉内閣の最重要課題であります。」こういうふうにおっしゃっておられますし、また、「昨年末には、犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめました。」こういうふうなお話もありました。
きょうは何点か質問させていただきますが、実は、昨年の暮れ、今市市で小学生が殺害されましたが、私の茨城県で小学生の殺害の遺体が発見されるということになりました。私も、あの発見された当日、発見された町のところにおりまして、上空をヘリコプターが随分飛び回っていまして、どういうことかなと思ったら、あの山のあたりで遺体が発見されたというような話を聞いて、大変心を痛めました。
同時に、今でも犯人が捕まっていないんですね。私は、テレビを見ているか見ていないかわかりませんけれども、ぜひ犯人は一日も早く出てきてほしい。どうして力もない幼い子供を殺すんだ、私は犯人にぜひとも言いたいわけなんですね。力がない非力な者を刺し殺すなんというのは全く卑劣であるし、またひきょうな行動であります。そういう意味で、この殺害事件というものを契機に、子供たちをどう守るかという動きが地域社会の中でも始まりました。
この問題について、まず官房長官にお伺いしたいわけでありますが、実は、この件について、茨城県内の茨城県PTA連絡協議会の会長、堤千賀子さんという会長さんなんですが、ある会合でこんな話を聞いたんです。
今市市の小学一年生が殺害されるという痛ましい事件が起こりました、私たちは、通学する子供たちを守るためにPTAなど関係者で同行するようにいたしました、私たちが子供のころは、安全な社会環境の中で学校の帰り道に道草をしながら育ちました、今日の社会的不安の増大に対して、どうか安全な社会の回復をお願いしますというあいさつを聞いたわけでありますけれども、私は、どうも、この社会不安の動きというものは小泉改革とも連動しているんじゃないかという感じすらするんですね。
そこで、その話はまた後ほどいたしますが、このときに、関係者の方から、スクールバスというものをぜひ整備してほしいという要請もございました。ことしの一月の十九日にこの内閣委員会が緊急に開かれまして、官房長官は、スクールバスの活用について積極的に進めたい、そういうふうなお話もあったわけであります。
フランスでは、小学生低学年はスクールバスに乗せるか父兄が同行するか、そのどちらかを保護者は選ばなければならない、そういうふうな規則があるそうなんですね。そこまで、日本の国はまだまだ安全だと思っていましたが、大変残念ながらそういう事態に至ってしまいました。
このスクールバスの積極活用という官房長官の御発言のより具体的な、基本的な考え方について、まず最初にお伺いしたいと思います。
○安倍国務大臣 まず、スクールバスにつきましては、スクールバスの導入そのものにつきましては各地方自治体が判断するものである、僻地学校である場合などに国が購入の補助を行っている、こういうことでございます。その中で、小中学校の児童生徒の通学の用に供するためのスクールバスについては、その維持運営費について地方交付税で所要額が措置をされているわけであります。
さらに、昨年十二月に政府が取りまとめました犯罪から子どもを守るための対策において、スクールバスに関する選択肢を広げるべく、緊急対策六項目の一つに「路線バスを活用した通学時の安全確保」を掲げたところでございます。
これを受けて、関係省庁で、実用のための方策について検討を進め、地域の路線バス等をスクールバスとして活用するために地域の関係者による協議会を設置することなど、迅速な対応が可能となる対策について取りまとめを行い、二月十七日付で関係省庁から地方自治体等に対して通知を発出したところであります。
今後とも、各自治体のスクールバスの導入について積極的な取り組みを推進してまいりたい、このように考えております。
○大畠委員 具体的にそういう指示をされたということは、いずれにしても当面する対策としては大事なことだと思います。
ただ、地域の方では、スクールバスを運用しようとしても、田舎の方ではきめ細かなというのはなかなか難しいわけでありまして、これからも、そういう指示を出されたのでありますから、実際にどういうふうにやっているか、それぞれの自治体とも、今ばらばらのところもありますから、ぜひこういう事件が再び起こらないように、官房長官としても目配りをしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
その次に、堤さんというPTA連絡協議会の会長さんからも御指摘ありましたけれども、地域社会全体で子供を守ることが必要である、後ほど個別に話したとき、そんな話をしたんですが、今一生懸命やっているんだけれども、だんだん父兄の方々も疲れてくるんですね。そうすると、だんだんどういうふうにやったらいいかわからないという話にもなってきます。
そういう意味では、モデル的組織といいますか、どうやって子供たちを守っていくか、その子供たちの両親や関係者だけじゃなくて、社会全体としてそういう組織体もつくっていくことが長い目で見れば対策として必要じゃないかと私は思うのでありますけれども、このモデル的組織といいますか、そういうものはどういうふうにやっていったらいいのか、ここら辺についてのお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
○西阪政府参考人 子供たちにとりまして、安全、安心な学校づくりのためには、学校関係者の努力はもちろんでございますが、先生御指摘のように、地域社会の方々に御協力をいただきまして、地域ぐるみで学校安全の取り組みを推進するということが極めて重要であると考えております。
特に、登下校時の安全確保という観点につきましては、地域の方々に学校安全ボランティアとして御協力をいただき、あいさつや声がけをしながら児童生徒の安全な登下校を地域全体で見守る体制をとることが犯罪に対する抑止的効果という面でも大きな役割を果たすものと考えております。
このような観点から、文部科学省では、平成十七年度より、学校安全ボランティアの方々の養成、研修、あるいは各学校を巡回し、学校安全ボランティアの指導や警備のポイント等について指導を行うスクールガードリーダーの巡回指導、評価を推進いたします地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施いたしまして、地域での体制づくりあるいは継続的な活動の支援を行っているところでございます。
十八年度の予算案におきましては、このスクールガードリーダーの全国展開を図るべく、増員のための必要な経費を計上しているところでございます。
今後とも、関係省庁と連携をいたしまして、このような取り組みの充実に努めてまいりたいと考えております。
○大畠委員 私は、一番最初に安倍官房長官にも指摘をさせていただきましたが、犯罪多発の背景には、小泉改革のいわゆる競争社会、何でも競争だ、勝つか負けるか、そしていろいろ勝ち組、負け組、また最近では待ち組なんという話も出てきていますが、何となく社会全体が冷たくなっている感じがするんですね。そういうことが結局はさまざまな犯罪を生んでいるんじゃないか、そういう指摘もあるわけであります。
実は、私の手元に一つの資料があるんですが、正規労働者と非正規労働者というんですか、平成三年のころは、正規労働者が大体三千二百九十万人ぐらい、そして非正規労働者より正規労働者の方が上回っていたわけでありますが、ちょうど二〇〇〇年を契機に、非正規労働者が正規労働者を上回るという現象になってしまいました。こういうものが結局、社会的に犯罪が多発するということになってきてしまうんじゃないかという指摘もあります。
そこで、次期総理候補として名高い官房長官に、そろそろ、小泉改革、小泉改革、皆さん、自由民主党さんの部屋に行くと、改革を促進と書いてあるんですが、光の部分を促進することはいいことかもしれませんが、影の部分に着目をして、そろそろ軌道修正といいますか、小泉改革でもいいものばかりじゃないんですね、悪いものについては是正していく、そういう政治的な一つの転換を図るべきだと私は思うんです。
官房長官として、この現在の世相あるいは犯罪、あるいは今回子供の痛ましい事件が起こったわけでありますが、そういうもろもろを見て、小泉改革の光と影の影の部分の是正問題についてどう考えておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
○安倍国務大臣 委員が御指摘になられました犯罪の発生件数につきましては、この一両年は減少に転じておりますので、小泉改革内閣として取り組んできた世界一安全な日本を復活する、そういう目標に向かって動き始めている、こう考えております。ですから、小泉改革と犯罪とはかかわりがない、要は、検挙率がまだ低い水準にあるのは事実でありますから、いかに検挙率を上げていくかということではないかと思います。
それと、ただいま御指摘になられました小泉改革の光と影の部分ということでありますが、我々が目指している改革というのは、頑張った人が、汗を流した人が、そしてまた知恵を出した人が報われる社会をつくっていこう、そしてフェアな競争が、公平公正な競争が行われるような、そういう社会をつくっていく、その中で勝つ人もいれば負ける人もいるわけであります。しかし、その方たちが負け組、勝ち組として固定化されることのないような社会にしなければいけない、それによって階級社会になることのないような社会をつくっていく、だれにでももう一回、もう二回とチャンスのある社会にしなければならない、このように思います。
一回不幸にして会社を離職しなければならなかった方々も、もう一回頑張って職業訓練を受ければ、またさらに新たに職を求められるような、そしてまた、一回会社をつぶしてしまった経営者も、再チャレンジして再び会社を起こすことができる、起業できる、そういう再チャレンジ可能な社会をつくっていく。あるいはまた、十八歳の段階で不幸にして受験に失敗しても、それが人生を決めるような社会であってはならないわけでありますし、また生まれた家で人生が決まることがあってもならない。だれにでも同じチャンスがあるという社会をつくっていきたい。
しかし、一方、人間は、不幸にして病気になる場合もありますし、どんなに頑張ってもなかなか生活の基盤が立ち行かなくなるということはあるんだろうと思います。そのためのセーフティーネット、社会保障制度、もちろん、先ほど申し上げました、病気になったときには、これはもう収入も失うという危険性もありますから、医療保険制度等々はしっかりと確保していかなければならない、こう思っています。
これはもともと、日本人というのはしっかりと助け合いをしていく社会を構築しておりましたので、これはもう日本人の人生観、哲学にも合致するのではないか。そういうものはしっかりと守っていかなければいけない、そういうものは決して見失ってはならないだろう、こう思っております。
また、その中で、教育についても、しっかりと子供たちに、損得が至上の価値ではないということもちゃんと教えていくべきではないだろうか、このように思っております。
○大畠委員 幾つか御指摘をいただきました。
冒頭の犯罪件数と小泉内閣の問題でありますが、確かに犯罪件数は減っているかもしれませんが、凶悪犯罪というか、何か不可解な事件というのが非常に目につくんですね。私は、そういう意味では、トータルの犯罪件数は減ってきたという世相の話なんでしょうけれども、どうも奇妙な事件あるいは不可解な事件、そういうものが何か目につき始めてもおりまして、負けたらだれも助けてくれない、そんな社会が広がってきているんじゃないかと思うんです。
そういうことから私は御指摘をさせていただいたんですが、ぜひ官房長官には、次期総理候補と言われているわけでもありますし、影の部分にもしっかりと視点を当てて、その部分については是正していくという柔軟な姿勢が今求められているんじゃないかと私は思いますし、そのことを指摘しておきます。
さてそこで、きょうは委員会に資料を提出させていただきました。日銀短観の二〇〇五年十二月調査、この資料でございます。
実は、きょうは与謝野大臣にお伺いしようと思いましたが、都合で、櫻田副大臣がおいでになっているというので、この件をお伺いしたいと思うんです。
与謝野大臣の所信表明の中には、長期停滞のトンネルを抜け、我が国はいよいよその持てる力を総動員し、直面する歴史的課題に正面から挑戦していく局面に入ったと考えます、いわゆる新たな挑戦の十年が始まった、こういう時代認識だ、こう大上段に掲げてあるんですが、しかし、このきょうお渡しいたしました資料によりますと、どうもそんな兆候が見えないんです。
それはどういうことかといいますと、大企業、中小企業、二つに分かれてありまして、製造業と非製造業、二つの資料になっています。
特に大企業の方は、製造業の大企業も中小企業もそこそこといいますか明るい見通しだというトータルになっていますが、主に突出しているのは鉄鋼、一般機械、自動車、こういうところが二割、三割を超えているんですね。
ところが、中小企業、非製造業の中小企業を見ますと、建設、小売、飲食・宿泊、こういうところが地域の経済を支えている業種なんですね。これを見ると、建設の方では、最近マイナス一八、先行きマイナス二七、小売、マイナス一八、先行きマイナス一二、飲食店・宿泊、これも最近マイナス二二、先行きもマイナス一五、どれもどしゃ降り。
言ってみますと、都会の方は大体晴れ、地方都市ではどしゃ降り、こういうことで、とてもこの長期停滞のトンネルを抜け云々、そして、新たな挑戦の十年が始まったという、そんな状況には全然見えないんですが、最初に、櫻田副大臣から、この状況をどう見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
○櫻田副大臣 お答えさせていただきます。
地域経済の状況は、産業構成や輸出競争力の違いなどを背景といたしまして、ばらつきはあるものの全体としては回復に向かっているという認識を持っております。
なお、中小企業景況調査で中小企業の景況感を見ると、景気が悪化と回答する企業の割合が好転と回答する企業の割合をいまだ上回っており、大企業に比べて厳しいものの、景気の谷と比較して、全地域で改善に向かっているという認識でございます。建設、小売、サービスなど業種別に見ても全地域で同様の動きとなっているところでございます。
こうした認識のもと、政府としても、改革の成果を地域や中小企業にも浸透させるとともに、構造改革の取り組みを加速、拡大し、引き続き民間需要主導の持続的経済成長を図るということでございます。
○大畠委員 データが全く基盤が異なると全く違う意見になってくるので非常に困るんですが、今は、大体よくなってきたよという話ですが、この日銀短観なんかを見れば、とても櫻田副大臣がおっしゃったようなコメントでは困ると思うんですね。
ですから、ぜひ櫻田副大臣には張り切って地域を守ってもらって、晴れのところを探すと確かにあるんです。でも、影のところ、いわゆるどしゃ降りのところを歩かないと本当の代議士あるいは政治家とは言えないんじゃないかと私は思うので、ぜひ副大臣には、晴れのところも行きたいのはわかるんです。でも、雨でどしゃ降りのところに、長靴でも履いてぜひ歩いていただきたいなということを申し上げておきたいと思うんです。
そこで、中小企業の経営者の皆さんから幾つか要望を受けているんですね。
三つほど受けているんですが、一つは、何で連帯保証人制度をいつまでもやっているんだと。これは世界に類がないんです、連帯保証人制度なんて。今どき連帯保証人になってくれる人はいますか。お父さんかお母さんか兄弟しかいないんです。こんな連帯保証人制度を置いておくこと自体がおかしいじゃないかという中小企業の悲鳴。
それから、あともう一つは、金融機関の統合において、商工中金が今度民営化されるというんですが、商工中金の機能、いわゆる団体とか商工組合とか、そういうことに対する融資の機能は維持できるのかどうか。これは金融担当じゃなくて官房長官の方なのかもしれませんが、そういう声が強いんですね。
その二つについてお伺いします。
○櫻田副大臣 質問の趣旨は十分理解しております。
連帯保証契約は、民法上も効力が認められている契約であり、金融機関が融資に対し連帯保証契約を締結するか否かは個々の取引の状況に応じて当事者間の合意で定められるものであるという認識を持っております。
また、連帯保証は債務者の信用を補完し資金調達を容易にするなど、債務者にとってメリットが認められる場合もあります。
これを一律に廃止すれば、かえって円滑な資金調達を妨げるおそれもあると考えられ、したがって、金融庁が監督上、金融機関に対して連帯保証の利用を禁止するなどの制限を行うことはできないということを御理解いただきたいと思っております。
もっとも、金融庁といたしましては、金融機関が顧客と保証契約を締結する際にその契約の内容については適切かつ十分な説明を行うことが極めて重要であると認識しているところであり、金融機関に対し説明責任の的確な履行を求めているところでございます。
金融庁といたしましては、今後とも、金融機関において保証契約の締結に際し顧客の理解を得ることを目的とした説明を行う体制が整備されているか、適切に監督してまいりたいと思っております。
○大畠委員 いつもの櫻田先生とは違ってちょっと歯切れが悪かったような感じがするんですが、やはりこういうものはもうなくした方がいいんですよ、連帯保証人なんて。
皆さん、きょう会場にいますけれども、例えば、連帯保証人、一人連れてこいと言ったら、だれがいますか。今どき連帯保証人なんてなってくれる人はいませんよ。こういう何か江戸時代の遺物みたいなものはいつまでも置いておいて、金融機関を守ろうなんというだけでは困るので、ぜひそれは、今御答弁いただきましたが、再度というか、副大臣には、任期中にこの制度を廃止するということを要望しておきたいと思います。
あと、二つ言いましたが、これも要望でありますから申し上げておきます。
さっき言った商工中金の民営化については、しっかりとその機能を維持するという方針が政府の方から出されていますが、これをぜひしっかりとやってほしいということ。
あと、企業の社員が企業の都合で転勤したときに、例えば、信用組合なんかから融資を受けてうちを建てた、ところが企業の都合で転勤をするというと、県境をまたいでしまうと一たん清算しなきゃならないという話があるというんだよね。だから、例えば一千万借りたら、隣の県に転勤した場合にはその信用組合に一たん一千万返さなきゃいかぬ。要するに、その組合は県の中の組合だから、他県に行った場合には融資できないということで、規定があって非常に困っているという話を中小企業の経営者の方からも聞いていますので、ここら辺、ちょっと調べて、どういうふうに対策するか、また検討していただきたいと思うんです。
そこで、今二点申し上げましたが、実は、公文書館法についてお伺いしたいと思うんです。
実は、公文書館法というのは、私が中学校のときの校長先生、岩上二郎先生が参議院議員になっていわゆる議員立法でつくった法律でありまして、日本においては行政の書類というものが歴史的になかなか残らない。これは、いいことも悪いことも全部、ある程度たったら焼却しちゃえばいいというような話もあるし、どこかの警察も、何か保管しなきゃいかぬというものまで、間違えましたというんだけれども、全部何かみんな同じように出張命令書とか消えちゃったこともあるんですが、公文書館法というのは、歴史的に行政がやったことをきちっと残すという意味では、大変すばらしい法律だと私は思うんです。
そこで、地域の方の話を聞くと、一体どういうものをどうやって残したらいいのか、具体的にないので自治体の方でも困っている。あるいは国の方でも、一体どういうものを公文書として残すのかという区別が、昭和六十二年にできて平成十一年にまた改正されましたが、もうちょっときちっとしてほしいという声があるんです。
官房長官、ここら辺、公文書館法についても官房長官が大臣所信の中で発言されていますね。歴史的公文書を、「国家と社会の歩みを記録する貴重な歴史資料である公文書を将来の世代に確実に伝えるため、」と書いてありますが、ここら辺、官房長官として、そういう実態についてどういう状況にあるのか、それをお伺いしたいと思います。
○安倍国務大臣 国の歴史を後世に伝え、将来の国民への説明責任をしっかりと果たしていく、その観点から、歴史的公文書の保存は国の重要な責務である、このように認識をしております。
政府では、有識者から成る懇談会を設置いたしまして、我が国にふさわしい公文書等の管理、保存及び利用のあり方について検討をしております。
昨年六月には、同懇談会からの報告を踏まえ、各府省から国立公文書館への移管基準の改正を行い、移管すべき公文書等の明確化を図ったところでございます、これは委員が御指摘になったところでありますが。今後とも、新たな基準の運用の徹底等により、歴史的公文書の十全な保存に努めてまいる所存でございます。
また、現在、地方公文書館の設置数は四十八ということになっておりまして、まだまだ少ない段階であります。
ちなみに、私の地元の山口県は一番最初に県として公文書館をつくりましたし、下関市も数少ない市の公文書館を持っているわけでありますが、地方公共団体における歴史的公文書保存の体制の拡充に向けて、今後とも、地方公共団体の関係職員等に対する研修を一層充実させるとともに、地方公文書館の運営に関して適切な指導助言を行ってまいる所存でございます。
○大畠委員 地方の声を聞きますと、どうも、どうやったらいいかよくわからないんだ、特例といいますか、当分の間、地方公共団体が設置する公文書館には、専門職員を置かないことができるなんという附則もついていまして、こういうことからなかなか進まないんですが、ぜひ、今官房長官がおっしゃったような形で進むようにお願いしたいと思います。
時間になりましたか。実は、警察問題について幾つか御指摘をしたいと思ったんですが、時間でございますので、また次の機会にさせていただきますが、地域の方で、私の地元、日立警察署に、かつて機動捜査隊というのがあったんですね。ところが二年ぐらい前から、行ったら空き部屋になっちゃって、どうしたんですかと言ったら、いや、水戸の方に移動してしまいましたと。地域の方からは、どうして移動したのかよくわからないんですね。
それできょうは、問題は、地域の治安が悪化している中で、なぜそういう組織的な移動をして集約してしまったのか、こういうことをお伺いしようと思ったんですが、また別途お伺いしたいと思うんです。
それから、きょうは国家公安委員長がおられないので警察の不正経理問題については一切触れませんでしたけれども、この問題についても、十分な警察庁としての反省や、あるいは対応策というのが示されていないんですね。この問題については改めてまた時間を見て御質問させていただきたいと思います。
以上で終わります。
○佐藤委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
私、きょうは、官製談合をめぐる官と業の癒着問題について質問をいたします。
防衛施設庁の官製談合事件は、空調設備工事の談合から始まり、岩国や佐世保の米軍基地建設をめぐる談合へと捜査が広がっております。官と業の底なしの癒着の実態が明らかになっているわけでございます。
この問題は、司法や防衛庁だけに任せておけばいいという問題ではありません。官製談合をなくすために、内閣を挙げて、実態の徹底解明とともに抜本的な再発防止策をとる必要があると思いますが、最初に、この点について官房長官の御見解を伺いたいと思います。
○安倍国務大臣 公共調達につきましては、近年種々の問題が国会等で指摘をされている状況にありまして、まことに遺憾である、このように思います。公共調達の透明化、適正化を図ることは極めて重要な問題であると考えており、政府を挙げて取り組む必要がある、このように思います。
日本道路公団や成田空港公団の事件では、受注企業へ再就職したOBの関与が指摘をされ、再就職に対する規制等の対策をとった、このように承知をしております。
防衛施設庁の事件においてもOBの関与が疑われているところであり、司法当局に対し、真相解明に努めるとともに、再就職の問題も含め、再発防止策を総合的に検討する必要がある、このように考えております。
○石井(郁)委員 一連のいろいろな事案につきまして総括的な御見解を伺いました。
少し個別にも入っていきたいんですけれども、談合というのは、単に行政をゆがめるというだけではなくて、やはり具体的に被害を国民に与えている、税金の無駄遣いがあるからですね。官製談合で疑いのある市谷庁舎、自衛隊中央病院関係の建設、空調、重電の工事というのは、二十七件の受注総額で約三百六十七億円余りです。岩国、佐世保の米軍基地で四年間の発注工事が約九百五十七億円です。合わせると千三百二十四億円になる。これは、公正取引委員会が推計した入札談合による不当利益率、一八・六%ですか、掛けますと二百四十六億円という無駄遣いになるわけですね。つまり、業界は二百四十六億円の不当利益を得たことになる。しかし、他方国民は、国民の血税約二百四十六億円を無駄遣いされているということになるわけですね。
私は、税金の無駄遣いをなくす、今、こういう一番重要な問題の点からも、この談合問題というのはやはり徹底して究明されなきゃいけませんし、正すべきだというふうに思いますが、この点について再度御見解を聞かせてください。
○安倍国務大臣 ただいま委員が御指摘になられました談合の問題につきましては、昨年の十二月に、総理より、与党に対しまして入札談合等関与行為防止法改革案をまとめるように指示がございました。あわせて私に対しても、入札制度の改善など、政府が行うべきことについて検討の指示を受けたところであります。
昨年末の総理からの御指示を踏まえまして、関係省庁の局長級の連絡会議である公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議、議長は内閣官房副長官補でありますが、この会議におきまして、公共工事の入札契約の改善及び公益法人等の随意契約の適正化について検討を進めてきました。その結果、本日の午前十時半より、その連絡会議において公共調達の適正化に向けた取り組みについての取りまとめを行いました。
今後政府として、取りまとめ内容に沿って、公共工事の入札契約の改善及び随意契約等の適正化について積極的に取り組んでまいります。
○石井(郁)委員 入札をめぐる、いろいろ、改革と申しますか、入札談合を防止するという観点からの政府内の一定の取り組みが動いているとされているということは大変大事なことだというふうには思います。私、きょうは、しかしもう一方の観点で、やはり天下り問題というのもしっかり見なきゃいけないことがあるんですね。
先ほど官房長官も再就職先の問題をちょっと触れられましたけれども、例えば施設庁の談合というのは、その動機となったのが、天下り官僚の再就職先をふやす、こういう目的で行われていたわけですね。天下りの受け入れ実績に応じて工事を配分する、こういうやり方をされていた。技術系トップの技術審議官、建設部長、建設企画課長のラインで、これを業務としてやるということなんですね。これは検察幹部からの話なんですが、伝わっているところでございますけれども、こういう官製談合はもう三十年も前から始まっていた。役所の中で何十年にもわたって業務としていわば犯罪行為が行われている。
だから、こういうのは、私は絵にかいたような癒着構造だと言えると思いますが、こういうやり方の官製談合、この点についてはどのように見ていらっしゃるんでしょう。
○安倍国務大臣 いわゆる天下りと官製談合の問題だというふうに思うわけでありますが、国家公務員の再就職については、在職中に関係のあった営利企業への再就職に一定の制限が設けられるとともに、再就職先の法人の類型に応じた国家公務員の退職管理の適正化に向けて取り組みを進めてきたところであります。
総理は、営利企業への再就職禁止期間を長期化することを述べられたのではなくて、公務員の早期退職慣行の是正や退職管理の適正化を総合的に検討していくことを述べられたものというふうに考えています。
今回の防衛施設庁の談合問題について、いわゆる天下りとの関連が指摘をされ、天下り問題に対する国民の厳しい批判があることは真摯に受けとめなければならない、私もこのように考えております。
このため、QTにおいて総理が答弁されたように、政府としては、現在行っている早期退職慣行の是正を進めるとともに、公務員の退職管理について悪弊をなくすように、ただいま委員が御指摘になったような悪弊をなくすよう、職業選択の自由との関係も考慮しながら、制度面と運用面の両面から総合的な検討を行っていく必要がある、このように考えております。
○石井(郁)委員 かなり防止策の先の方まで御答弁をいただいて、政府として大変一定の取り組みを感じたところでございますけれども、私も、実態として、本当にこれはやはりゆゆしいことがあるなというふうに思いますので、改めて、この天下りが官製談合の温床そのものになっているという点で、ちょっとこれは御紹介、もう御存じの点ではありますけれども、申し上げておきたいというふうに思うんですね。
つまり、構造的な官製癒着というのは施設庁だけじゃない。先ほど来、道路公団の橋梁工事の官製談合事件、成田空港公団の電気設備をめぐる官製談合事件等々があるわけですが、いずれも、やはり天下り先を確保する、こういう目的で談合が行われている。工事の配分表なども、上司の決裁をとるなどして業務として数十年にわたって行われているということなんですね。
これも、成田空港公団の談合裁判での検察の冒頭陳述を見ますと、この犯行に至る経緯というのが本当にリアルにわかるわけです。
もう御存じのとおりなんですけれども、ちょっとこの席で御紹介したいんですが、条件のよい天下り先をより多く確保するために、平成九年ごろからは、前記各重電メーカーにも電気職の職員の天下り受け入れを依頼していた。依頼を受けた重電メーカーも、公団OBを自社に迎え入れることによって公団からの工事受注が増すことを期待して、天下りを受け入れているということですね。
さらに、当時上司であった人物が平成十四年六月に東芝に天下りする予定となっていたことから、同人を受け入れてくれる東芝へのお土産として、東芝を同工事の受注予定業者としようと考えた。また、メーカーへの工事の割り振りについては、指導監督する立場にあった上司に相談しながら各重電メーカーへの工事の割り振りを決定している。
そういうわけで、官房長官からもう御答弁いただいたわけですけれども、天下りというのは談合の動機そのものになっているし、それで官製談合に天下りが関係あるなどというものではなくて、天下りが官製談合の温床そのものであるということだと思うんですね。そういうことで、先ほど来、いろいろ、少し御答弁いただいたところだと思うんですね。
だから、私はまず、もう一度確認をさせていただきますが、このようにして、公団発注工事の受注額が大きい会社ほど役職の高い退職者を割り当てる、天下り基準表みたいなものが作成されているということまで言われています。
そういうことが道路公団などでも行われているということで、ですから、官製談合を防止する上で、やはりこの天下りの規制、このことに本当にきちんとメスを入れるのかどうかという問題なんですね。その点では、再度明白な御答弁をいただければと思います。
○安倍国務大臣 いわゆる天下りと官製談合との関連において、いわゆる天下りが官製談合の背景になっているのではないかという御指摘である、このように思うわけでありますが、先ほど答弁をいたしましたように、この問題については、現在行っている早期退職慣行の是正を進めるとともに、公務員の退職管理について、この退職管理をしっかりとやっていく、退職管理について悪弊をなくすようにしなければならない、このように思っています。
つまり、それまで仕事をしてきた職場と密接にかかわるところに行って、そしてさらにそういう受注活動そのものに加わっていく、こういうこと、これがいわゆる悪弊ということなんだろう、こう思うわけでありますが、しかしながら、職業選択の自由との関係も考慮しなければならないわけでありまして、制度面においてそういうものをいかになくしていくか、あるいはまた、それは運用においても十分に担保できるというところもあるんだろう、このように思うわけでございますので、総合的な検討を行っていく必要がある、こう考えております。
○石井(郁)委員 この天下りと談合につきましては、やはり大変興味深い今調査結果が出ておりまして、これもこの機会にちょっと引用させていただこうと思うんです。
これは、昨年の七月末に全国の企業二万千三百二十社を対象として、天下り・談合に関する企業の意識調査というのがあるんですね。有効回答一万二百三社なんですが、これは帝国データバンクが行ったものです。
これは、当時橋梁談合が明るみに出た直後で、議論が沸き起こった時期なんですが、ここで、「天下りは談合など企業の便益を図る温床になっているか」、「そう思う」と答えた企業が何と八三・三%です。八千四百九十八社なんです。「近い将来、談合はなくなるか」という質問に対して、「なくなる」と答えた企業が五・八%なんですね。「なくならない」という企業が七五・五%なんです。なくならない理由として、官民の利害が一致している、だれも断固とした政策がとれない。
では、談合をなくすための方策で何が大事かというと、公務員の雇用制度改革による天下りの廃止、企業、役員及び個人への厳罰化が必要だという意見があるということで、私驚いたのは、企業も、これは国民の側もそうだと思うんですが、やはり談合はなくならない、こう思っている。これがいわば政治への不信でもあるかというふうに思うんですが、官民の利害が一致しているんだというところは、私は深く考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですね。
そこで、退職の管理の問題や、天下りをする期限をどう定めるかという問題等々いろいろ言われておりますけれども、やはり施設庁の談合では公益法人が天下りのトンネルになっている、この問題があるというふうに思います。
これは、施設庁所管の防衛施設技術協会、防衛施設の周辺整備協会などから、二〇〇三年以降、この二つの法人を経て建設会社などに天下った施設庁のOB、少なくとも二十五人だという、これも新聞報道なんですが、あるんですね。
今国会でも、施設庁の天下りの問題で、額賀防衛庁長官が、防衛施設の技術協会に施設庁から天下った職員の平均在職年数が二年十カ月だという答弁もあるわけです。
だから、公益法人に一たん天下って、その先に、関連の業界に行く、二年間待機したら企業に天下る、こういう構造があるわけですね。だから、離職後二年たったら民間企業にノーチェックで行けるということになっている。そういう点でも、離職後二年間の制限期間というのは、天下りの規制には大変実効がないということがあるわけですね。
そこで、官房長官、かなりいろいろと内閣としての取り組みをされているという御答弁がありましたけれども、こういう天下り官僚がやはり官製談合に深く関与しているという問題があるわけですから、内閣として全省庁に、公益法人に天下った官僚のトンネルの実態があるのかどうか、こういう点での調査はされているんでしょうか、また、されるおつもりはありませんか。
○安倍国務大臣 公益法人における公務員出身者の状況については、これまでも調査を行いまして、毎年、公益法人に関する年次報告において公表し、透明性の確保に努めてきているところであります。
公務員の再就職規制については、職業選択の自由との関係と適正な公務の実施の確保等について総合的に考慮しながら、慎重に検討を行っていく必要がある、こう考えております。
いずれにいたしましても、行政及び公務に対する信頼を確保するため、今後とも、透明性の確保に努め、再就職管理の適正化に努めてまいりたい、このように思います。
○石井(郁)委員 先ほど来、職業選択の自由という話もちらちら伺っておりますけれども、しかし、公務員の場合、肩たたきをされて退職勧奨を受けているというのが実態じゃないんでしょうか。そういうところでは本当に職業選択の自由というのがどれほどあるのかという問題がありますし、伺うところでは、官庁が選んだ再就職先を断ったら、これはもう窓際に置かれるというようなこともある。だから、肩たたきを受けた人に職業選択の自由はないんだと私は思うんですね。そういう点が一つ問題としてあると思います。
いずれにしても、制限期間が離職後二年間というのは非常に今実効性がないという点は見ておかなきゃいけないと思うんですね。天下り規制の制限期限を設けないとか、大幅な期間をやはり延長するということが今当面求められているというふうに思います。
それで、これは先ほども御答弁ありましたけれども、先日の国家基本政策委員会での小泉首相の御答弁でしたけれども、二年間がやはり妥当かどうかとか、あるいは関連の公益法人に対しての天下りをどうするのか、こういう点などの御答弁がございました。
これは政府としては、こういう答弁をもう既に受けてのいろいろな取り組みをされているのかもしれませんけれども、またよく検討していきたいということもありますので、一体どこの機関で、あるいはどの大臣の御担当で、またどういう方法で検討されていくのか、少しその具体をお知らせいただければと思います。
○安倍国務大臣 先ほど少しまとめてお答えをさせていただいたわけでありますが、QTにおいての総理の答弁でございますが、総理は、営利企業への再就職禁止期間を長期化するということを述べられたのではなくて、公務員の早期退職慣行の是正、いわゆる今委員御指摘の肩たたきでありますが、早期退職慣行の是正や退職管理の適正化を総合的に検討していくということを述べられたものであるというふうに考えております。
総理がQTで答弁されたように、政府としては、現在行っている早期退職慣行の是正を進めるとともに、公務員の退職管理について悪弊をなくすよう、先ほど申し上げましたように職業選択の自由もございますので、その関係も考慮しながら、これは制度面と運用面の両面から総合的な検討を行っていかなければならない、こう考えております。
○石井(郁)委員 もう少し具体的にお聞きしたかったんですが、その総合的な検討というのは内閣としておやりになるということですか。どこの担当がおやりになるんでしょうか。
○安倍国務大臣 内閣として行ってまいります。
○石井(郁)委員 私は、QTの総理答弁を見ますと、やはり二年が妥当かどうかというふうにおっしゃっていますので、これは退職慣行や退職管理の問題ではなくて、やはり二年という、離職後二年というのが妥当かどうかという、公益法人への天下りの問題として受けとめたんですけれども、何か違うかのような話で、ちょっとそれは少し残念な気がするんです。
それで、実はもう一つの現行法の問題点があるんですね。つまり、天下りは原則禁止なんですよ、国家公務員においては。しかし、原則禁止といいながら、こうして数十年にもわたって、また悪いと知りながらもこれが続けられている。ここにやはり私は大変重大な問題があるというふうに思うんですが、人事院の審査の対象になるのがほんの一握りというか、一部の天下り官僚しかいないという問題があるんじゃないでしょうか。
これは、政府が毎年発表している本省課長相当以上の再就職状況の公表というのがございますけれども、それによりますと、小泉内閣が発足した二〇〇一年から二〇〇五年までの五年間で再就職者は五千六百八十四人いますが、このうち、自営業とか非営利法人などへの再就職者を除いて、民間企業、公益法人、特殊法人、独立行政法人、認可法人に天下った方々は三千三百五人なんですね。
それで、三千三百五人のうち、天下り規制の対象となる、人事院の審査承認が必要だった方はわずかに三百六十二人です。比率ではわずか一一%です。これは皆さんに配れなくて用意しませんでしたが、円グラフにしますと、約一〇%ですから、営利企業で承認を必要としたというのはこれだけしかない。あと圧倒的に公益法人等々、一連の法人だということです。
ここがまさに天下りのトンネルにもなっているというふうに使われているわけですから、そういう意味では、この天下り官僚と呼ばれる九割が規制の対象の外に置かれている、これが現行法の制度だということをやはり見ておかなきゃいけない。だから、天下り規制というよりは、現行法は天下り容認法になっていると言っても私は過言ではないというふうに思うんですね。
ですから、天下りの審査対象を営利企業の民間企業だけではなくて、公益法人、特殊法人などに広げて規制を厳しくする、これが今求められているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 人事院による再就職審査の対象を公益法人、特殊法人、独立行政法人にも拡大すべきではないかとの指摘でございますが、国家公務員法に基づく現行の営利企業の再就職規制は、職員が離職後特定の営利企業に就職するために、その地位や職権を利用して職務の公正な執行をゆがめることがないようにすることなどを目的として設けられているものであります。
他方、特殊法人等は、公共の利益を図る事業等を行うことを目的として設立された法人であって、営利企業とは性格が異なっている、このように認識をしております。
したがって、これら営利企業以外の法人への再就職を現行の営利企業に対する再就職規制と同様の規制目的や基準で規制することは難しい、このように考えられます。
公務員が退職後、公益法人、特殊法人、独立行政法人に就職することについては、一昨年十二月に今後の行政改革の方針の中で、現行制度のもとにおける当面の取り組みとして、独立行政法人、特殊法人及び認可法人への公務員の再就職については、これらの法人役員への国家公務員出身者の選任に関する累次の閣議決定を遵守すること、認可法人、公益法人の常勤役員への就任について、事前に内閣官房長官に報告することなどが閣議決定され、昨年四月からこの閣議決定に沿った取り組みが行われております。
政府としては、この取り組みをしっかり実施し、国民の信頼を確保していくことが重要である、こう考えております。
○石井(郁)委員 一定のそういう官房長官の御決意はわかるところではありますけれども、しかし、本当に官製談合、癒着の構造をきちっとメスを入れる、あるいは断ち切る、天下りを禁止するということの実効性が担保されないと、私は国民の期待にこたえることはできないというふうに思うんですね。
今申し上げましたように、先ほど帝国データバンクの調査も御紹介しましたけれども、国民の方からすると、やはり談合はなくならない、それは官民の利害が一致しているからだということがあるわけですね。それは一致する癒着の構造を、公益法人をトンネルにして、そして天下りというものの実態があって、官民がそういう税金の無駄遣いをしているという問題があるわけですね。
だから、これは昨年の七月で、橋梁談合が発覚した後ですから、今回はまさに防衛施設庁のああいう絵にかいたような談合が出てくるわけですから、政府として、談合が起こる癒着の構造、天下り、こういう問題に本当にきちんとメスを入れる、実効性を担保するということが今求められているというふうに思うんですが、大臣は先ほど来の御答弁のような方向でいいのかどうかということでいいますと、天下りの禁止という問題できちんとメスを入れるお考えはないのかどうか、重ねてお伺いさせていただきたいと思います。
○安倍国務大臣 先ほど来、委員から民間の企業の意識調査についての指摘がございました。要は、こうした官製談合をするということは決して割に合わないということにさせなければならないわけでありまして、そういう意味から、厳罰化を含めて、今回、公共調達の適正化に向けた取りまとめを午前十時半に発表させていただいたところでありまして、この取り組みをしっかりと行っていくことによって国民から信頼される公共調達に我々は変えていきたい、このように考えております。
○石井(郁)委員 以上で終わります。
どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後一時三分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 民主党の次の内閣で男女共同参画、子供政策などを担当しております小宮山洋子でございます。
本日は、男女共同参画基本計画がようやくできました、そのことを中心にお話を伺っていきたいと思っています。
年末にようやく閣議決定されました第二次の男女共同参画基本計画、これは、一九九九年に、政府と与野党が力を合わせて、女性も男性も能力を生かして生き生きと生きられる男女共同参画社会をつくるための基本法をつくり上げましたが、それに基づいて、五年間の基本計画第一次が終わりますので、第二次の策定に向けて男女共同参画会議で検討して、報告が出されまして、でき上がったものです。
御承知のように、この基本法の中には、男女共同参画社会の実現が二十一世紀の日本社会にとって最重要課題というほかの法律にはない前文が記されております。
参画会議の報告が出ましてから、与党の中で、ジェンダーの扱いなどをめぐりましてかなりの議論があったと聞いておりますが、猪口大臣に、まず、今回の基本計画の主なねらいと、私たちは重要なキーワードだと認識しておりますジェンダーの位置づけについて伺いたいと思います。
○猪口国務大臣 小宮山先生の御質問にお答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、男女共同参画基本計画、これは男女共同参画社会基本法のさらなる着実な実施を目的としまして策定されるものでございまして、これは各省庁の施策を総合的に定めるものであります。いわば男女共同参画行政の羅針盤とも呼べるものでありまして、一層の基本法の着実な実施がその目的でございます。
今回の内容の中では、後にさらに詳しく説明する機会があるかもしれませんけれども、例えば二〇二〇年までに指導的な地位に占める女性の割合を少なくとも三〇%、二〇二〇・三〇と呼んでおりますけれども、そのような取り組みの方向性でありますとか、あるいは、一たん家庭に入った方が、女性が再び社会にカムバックできるような再チャレンジ支援など、そのような幅広い施策を盛り込んだ基本計画でございます。
お尋ねのジェンダーの概念につきまして、これは、例えば性差別、あるいは性別に基づく固定的な役割分担意識、あるいは偏見など、このようなことの是正、さらに男女の能力発揮につきまして阻害要因となっているもの、そのようなものについての是正を図るため、ジェンダーの視点に立ちまして、ジェンダーの平等を追求していくというための取り組みを進めること、この重要性を基本計画の中では示しております。
ジェンダーという言葉をめぐりまして、さまざまな誤解や混乱がございました。この第二次基本計画におきましては、このジェンダーの概念につきまして、「社会的性別」(ジェンダー)という表現を用いました。このように明確な定義を注として置きまして、さらに、不適切な事例を掲げまして、社会的性別、ジェンダーの正しい理解を推進することとしております。
さらに、その正しい理解を徹底する目的も込めて、私、大臣による男女共同参画研修会を各地で実施しているところでございます。
○小宮山(洋)委員 この計画の中にも、今御説明ありましたように、社会的性別、ジェンダーの定義について、誤解の解消に努め、わかりやすい広報啓発活動を進めるとされておりまして、注に「社会的性別」(ジェンダー)の視点として詳細に書かれております。
生物学的性別との違いということはもちろん必要だと思いますけれども、対象の中に、男女共同参画社会の形成を阻害しないと考えられるものもあり、このようなものまで見直しを行おうとするものではないということとか、当然のことなんですが、人間の中性化を目指すことですとか、行き過ぎた性教育、男女同室着がえ、トイレの男女別、色の表示を同色にすることは趣旨と違うといった、もう当たり前と思われるようなことがるる事細かに書かれております。
基本法に基づく条例の制定が、市や区では二六%、町村ではまだ四・二%しか進んでいない現状の中で、このように、これは違う、あれは違うということを事細かに書くことが条例制定をちゅうちょさせることにならないかという危惧の念を持ちますが、その点はいかがでしょうか。
○猪口国務大臣 社会的性別、ジェンダーにつきましては、今先生が御指摘のとおり、誤解や混乱の解消を図るために明確な定義を置いた、そして、念のため、明確な不適切な事例を具体的に書き込んで混乱がないようにするということでございます。
また、先ほどお伝えしましたように、あわせて、全国各地で大臣による男女共同参画研修会を実施しておりまして、その中で、御質疑などを受ける中で私が感じますことは、この第二次基本計画におきますジェンダーの記述につきまして、かなりわかりやすい、それでいいのではないかというような、おおむね非常に肯定的な意見が多いと感じております。
これを機会に、ジェンダーの正しい理解につきまして浸透が図られることを期待しております。
○小宮山(洋)委員 男女共同参画社会をつくることと、政府も力を入れておられます少子化への対応ということは、根っこは同じことで、男女共同参画局でもそうした調査結果も出されておりまして、前回の国会で私もその視点から質問させていただきました。
担当大臣は猪口大臣ですけれども、これは全省庁挙げて取り組むべき課題だと考えますので、安倍官房長官にもお考えを伺いたいと思います。
安倍官房長官は、ジェンダーという文言の削除の申し入れですとか、性教育が行き過ぎていると指摘している自民党の過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査プロジェクトチームの座長をなさっていました。そして、官房長官になられたので、逢沢一郎幹事長代理に座長がかわられたと承知をしておりますけれども、自民党のホームページでこちらでなさった調査結果のリンクから飛びますと、まだこのプロジェクトチームの当時の座長の安倍さんが手を広げてにこやかにされている図が出てまいります。
先日行われました男女共同参画への取り組みの三十周年の集まり、これは代々審議会の委員をしたりしていた人たちの集まりですけれども、その中でも、次の総裁レースでトップを走っておいでと報道されております安倍官房長官の男女共同参画へのお考えを心配する声が大変多かったんですが、その心配をぜひ払拭していただきたいと思いますので、御答弁をお願いします。
○安倍国務大臣 基本的な考え方につきましてはただいま猪口大臣から答弁したとおりでございまして、男女共同参画社会の実現は、二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題であり、政府を挙げて施策を推進してきたところでありまして、今後ともこの考え方にのっとって政策を推進していきたい、こう考えております。
○小宮山(洋)委員 きょうは、この計画の中にも書かれておりますが、特に性教育についてこの後質疑をしたいと思っております。
基本計画の中では、「適切な性教育の推進」として、人工妊娠中絶や性感染症の増加などが見られるので、性と生殖に関して、発達段階に応じて男女ともに正確な知識を持つことなどが書かれております。
「適切な性教育の内容や進め方等については、国において検討を進め事例集を作成・配布するなどの方法により、各教育委員会に周知を図る。」とされておりますが、ここで、その例示を上げるというのはいいんですけれども、ここに示される方法以外はだめといったような限定列挙にとられるような形にならないようにしていただきたいと思いますが、猪口大臣、いかがでしょうか。
○猪口国務大臣 今、小宮山先生御指摘くださいましたように、第二次基本計画におきましては、発達段階に応じた適切な性教育を実施していくとしております。その進め方について、御指摘のとおり、事例集の作成、そして各教育委員会に周知徹底という文言で書き込んでございます。
私といたしまして、適切な性教育を進めるためには、やはり国として事例集をつくり適切な性教育の内容を示していくということは非常に大切なことと認識しております。事例集の作成、配布以外においても、例えば教育委員会あるいは担当教員向けの研修会の開催、そういうことも予定しているところでございます。
これは学校教育の中のことでございますので、私としても、連携強化を図るという目的で、適切に性教育を推進することの重要性を伝えていくことは行いますが、文科省におかれまして、やはり学校関係者にわかりやすい方法が工夫され周知徹底されることが必要であり、望ましいことと思います。
○小宮山(洋)委員 実際にその事例集をつくるのは文部科学省ですけれども、どのようにしてつくられるんでしょうか。
昨年十二月にまとめられました義務教育諸学校における性教育の実態調査の結果、こちらに分厚いものを私も持っておりますけれども、この結果では、全国の市町村にある二千四百二十の教育委員会、そこに寄せられた性教育の指導などについての保護者からの苦情や問い合わせは、複数回答なので同じところが回答しているところはございますけれども、六十八件となっているんですね。
これはそう多い数ではないと思うんですが、この調査結果、どのように使われるのか、今回、その事例集をつくることにこの結果がどう反映されるのか、そうしたところを文部科学省に伺いたいと思います。
○西阪政府参考人 事例集の作成でございますが、都道府県教育委員会からいい取り組みを行っている学校の事例を集めまして、それを評価、分析いたしまして、真に推奨できる事例をわかりやすくまとめていきたいというふうに考えております。具体的には、有識者によります協力者会議におきまして、事例の収集、選考、執筆など、現在、作成作業を進めているところでございます。
また、御指摘の昨年実施をいたしました私どもの性教育の実態調査でございますが、公立の小中学校に対しまして、平成十六年度、一年間のさまざまな実態の調査を行ったものでございます。保護者からの苦情、問い合わせというものもこの中に御指摘のように入っております。
これらにつきましては、昨年十二月、内容を公表いたしますとともに、都道府県教育委員会に対しまして、不適切な事例につきましては是正をするように、適切な対応をするようにということで指導したところでございます。
今回の事例集の内容そのものには、この調査結果そのものを掲載するというものではございませんが、このような調査結果を踏まえ、教職員や保護者の方々にもわかりやすく理解できるように、そういう工夫を凝らした事例集にしていきたいというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 その六十八件というのは、指導内容や教材が発達段階を踏まえていないというものが二十七件、学習指導要領に示されていない内容を指導しているが五件、一部の教員の考え方に沿った指導が行われているが二件、保護者等に説明もないまま性教育が進められているというのが四件、そのほか問い合わせなどが三十件ということでございますので、これは一部の方々が大変危惧をされていらしたような、学校現場で過激な性教育が行われて困っているというような問題はないという数字なのではないかと思います。
自民党の過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査プロジェクトチームで調査をされまして、全国の学校などから三千五百二十件の事例が寄せられたと報道をされております。
その中から幾つか持ってはきているんですけれども、例えば、札幌市で幼稚園で男女の性器の絵を見せて先生の後に続けて園児に名称を言わせているとか、あと、男女が同室で小学校高学年でも着がえをさせているとか、それから修学旅行で同室に寝かせたとか、いろいろ衆議院、参議院の委員会の中でも、そのことによって、性教育が過激であるという指摘がされたり、男女共同参画の考え方を進めたからこうなったのではなくて、誤っているから、男女共同参画の意識のない先生方がたまたまそれをされたからこういうことになったのではないかと思うんですけれども、どうも違った解釈をされているような点を大変懸念しております。
この三千五百二十件上がったということですが、これはインターネットやらいろいろな方法で回答を寄せられたと聞いておりますけれども、事実関係をきちんと調査されているのか、そしてそのような幼稚園とか学校に指導、改善の措置をとられたのか、これは当時座長をされていた安倍官房長官に伺いたいと思います。
○安倍国務大臣 これは、この調査は、政府としてではなくて、当時私が座長を務めておりましたPTでこうした苦情の受け付けを行ったところ、広く全国から、いろいろな苦情というか御意見も含めて寄せられたわけであります。それが三千五百二十件に上ったということでございます。
それぞれ切実な苦情あるいは実情についての報告があったというふうに承知をしておりますし、実名でしっかりと住所、電話番号、連絡先も書いておられる方々もおられたのは当然のことでございました。
そうした中身についての調査を行っている、私、途中で政府に移りましたので、その後逢沢座長の方で推し進めている、このように思うわけであります。
当時主体的にこの調査を行いました、このPTの事務局長を務めていた山谷さんが今政務官でおられますので、山谷さんの方から詳細にわたって答弁させていただきたいと思います。
○山谷大臣政務官 ここ数年、過激な性教育やジェンダーフリー教育に関する保護者等々の苦情が寄せられていたところでございまして、また、五年前に男女共同参画基本計画の閣議決定された中に、みずから考え判断する意思決定の能力を身につける性教育という一文が入っておりました。
当時は、このみずから考え判断する意思決定の能力を身につける性教育というのがどういうものかよくわからなかったわけでございますけれども、余りにたくさんの苦情が自民党の地方議員や国会議員に届けられ、また地方議会等々でも、具体的な事例が問題になりましたので、自民党としてプロジェクトチームをつくったわけでございます。
例えば、コンビニでエッチな雑誌を買って調べ学習、小学六年生の発表に五時間かけたとか、小学一年生に鏡を持たせて性器を見せる授業、親が抗議すると、不審者がさわる場所がどこか知るためと言われたとか、小学三年生に裸のイラストで性行為を教える、親の抗議に対しては、いじめがあるので生命の大切さを教えたと答える。これ等々は私自身が保護者にお会いして、また資料も見せていただいて確かめたものでございます。(小宮山(洋)委員「もう時間余りないので、短目で結構です。委員長、済みません、そんな詳細な説明要りません。私は官房長官に伺っているんです」と呼ぶ)
○佐藤委員長 ちょっと短目にお願いします。
○山谷大臣政務官 自民党では、寄せられた事案について、その後も引き続き調査を進めていると承知しております。
○小宮山(洋)委員 私は政務官に、政務官あてにどなたかが個人的におっしゃったことを伺っているのではありません。過激な性教育・ジェンダーフリー教育のプロジェクトチームで調査をされた結果として、公党のホームページに三千五百二十例が出ているわけですから、その内容についてきちんと調査をされましたか、それについて指導をされたのですかということを、当時座長であられました、この発表のときには座長でいらして、私もホームページを引きますと、このように、にこやかに安倍当時の座長が手を広げながら出ていらっしゃるものがまだ今でもホームページから引けるようになっております。そのプロジェクトチームとしての取り組み、この三千五百二十例について聞いているので、個人的に山谷さんのところに上げられた例を聞いているのではありません。
もう一度、安倍官房長官からお願いいたします。
○安倍国務大臣 今、山谷政務官からお答えしたのは、個人的に山谷政務官のところに上げられたのではなくて、党にどういうものが上げられたかということのお尋ねでありましたから、それを担当していたのは当時の山谷事務局長であって、山谷事務局長がそれぞれ個別に面会者へ当たった内容について、どういうものであったかということを例示としてここで申し上げたわけであって、当然、そういうことを正確を期するために、こういうものがあって、そしてこういうふうに当たっているという形で、親切に答弁をさせていただいたわけであります。
すべての事例に当たっているかといえば、それは、すべての事例に……(発言する者あり)済みません、静かにしていただけますか、答弁しているんですから。静かにしていただけますか。済みません。(発言する者あり)静かにしていただけますか。静かにしていただけますか、委員長、注意してください、後ろの人、だれか知りませんけれども。
○佐藤委員長 静かにしてください。
○安倍国務大臣 それで、今、山谷政務官からお答えをいたしましたように、党としてしっかりと対応し、そしてそれぞれ個別に当たって、向こう側が、例えば電話で応対できる方、あるいは直接面接できる方は面接をしながら、その事例を上げさせていただいた。そして、その対応については、それぞれの教育委員会また学校に党として指示をしている、それは党の県連を通じて是正を指示している、こういうことでございます。
○小宮山(洋)委員 それで、このプロジェクトチームではシンポジウムなども行われていますけれども、ここにもございますように、養護学校で、養護学校の子供たちというのは本当に弱い立場ですから、性被害に遭わないようにとか、きちんとわかるために、こういうお人形を使ってやったりして、これは私は必要なことだと思うんですが、それをわざと性器の部分をこういうふうにまくり上げて、いかにもこういう卑猥なものだというような形でずらっと並べて、それぞれの養護の先生とかいろいろな立場で工夫をしてなさってきたものを全部過激な性教育だというこの切り捨て方というのは、関係者、ずっとやってきた人たちは、非常に危惧の念を持っております。
それで、もちろん、それは政府ではなくて党としてということなんですが、その座長と、今お答えになりました事務局長が、今、政府の中でしっかり責任を持ってなさる官房長官と内閣の政務官でいらっしゃるので、そのことで伺っているわけですので、ぜひ、そのあたりの心配もないようにしていただきたいというふうに思います。
それで、三千五百二十例の中には、私どもが調べた中でも、ずっと以前には場所がなくて同室でカーテンで区切ったりしてやっていたことがあるけれども、今はしていないということも入っているわけです。ですから、それが全部そのことが正しいように、ホームページ上などでも、本日も検索できるようになっておりますけれども、ずらっと三千五百二十例が挙げられて、あたかも日本全国で過激な性教育が行われているようなことが示されているというのは、私は事実と違うのではないかと思っております。
特に、このアンケート調査の質問の仕方が、余りフェアな聞き方にはなっていない。例えば、質問をしたときに、括弧してあって、ここでこういう例が紹介されていますというようなことが全部質問の中についているんですね。そうすると、あたかもそういうことを拾い出して答えろというような誘導尋問のようにもとれまして、このことが必ずしも、今、その前段で申し上げました文科省が行いました調査でも、二千四百二十の教育委員会に、保護者などから六十八件、これも複数回答でそれしか寄せられていないのにということとの開きがすごくあり過ぎるのではないかというふうに思っております。
あるべき性教育についてはまた伺っていきたいと思いますけれども、文部科学省にちょっと伺いたいんです。
昨年七月、中教審の専門部会では、高校生以下の子供の性行為を容認するべきではないという議論が行われたと聞いておりますが、具体的にはどのような議論で、その後どうなっているかを簡潔にお答えいただきたいと思います。
○西阪政府参考人 現在、中教審の教育課程部会におきまして、各専門部会で、それぞれの今後の学習指導要領の改訂に向けての議論をしているところでございます。
そのうち、健やかな体を育む教育の在り方に関する専門部会におきまして、体育や保健体育でございますが、それとともに、学校教育活動全体で取り組むべき課題として、性教育についても議論が行われているということでございます。
性教育につきましては、今後求められる内容、それぞれの教科等における性教育に関する指導内容、あるいは指導計画の作成に当たっての留意点等について、これまで審議がなされているところでございます。
この中で、学校教育における性教育につきましては、子供たちは社会的責任を十分にはとれない存在であり、また、性感染症等を防ぐという観点からも、子供たちの性行為については、適切ではないという基本的なスタンスに立って指導内容を検討していくべきという意見が出されております。
また、性教育を行う際には、人間関係についての理解やコミュニケーション能力を前提とすべきであり、その理解の上に性教育が行われるべきものである。あるいは、心身の機能の発達に関する理解や性感染症等の予防の知識などの科学的知識を理解させること、理性により行動を制御する力を養うこと、自分や他者の価値を尊重し相手を思いやる心を醸成することなどが重要であるというような意見が出されたところでございます。
今後、これらの意見を踏まえて、さらに審議を進めていくという状況でございます。
○小宮山(洋)委員 年齢に応じました男女の体の違いも踏まえた人間教育としての性教育、これは、それぞれを尊重し合って、持ちたい数の子供を持つといったことのためにも、ぜひ必要だと考えております。
日本では、ずっと性をタブー視し過ぎまして、必要な教育が行われてこない、そのことによりまして教材なども不足をしております。ヨーロッパやアメリカなどでは、絵本ですとか、あるいは中学生、高校生向けの本などが出されておりまして、その中で、雌しべと雄しべから生まれてくるわけではありませんから、男女が愛し合うことによって、こうやって生まれてくるんだ、やはり相手を大事にするというのはどういうことかということがわかるような教育を小さいころからできるような環境が整っています。
私も解説委員のころからいろいろ取材をしておりますけれども、日本でも養護の先生などが中心に、もう十五年、二十年、地道に各地で取り組みが進められておりますが、過激な性教育と指摘されることによりまして、今、学校現場が混乱しているという例もございます。ぜひ必要な性教育ができる環境をつくって支援していっていただきたいと思いますが、猪口大臣、いかがでしょうか。
○猪口国務大臣 性教育におきましては、先生今御指摘くださいましたとおり、まず発達段階に応じて、そして男女ともに性及び生殖に関する正確な知識を持つこと、それから自分自身を大切にすること、それから同時に相手の心身の健康について十分な思いやりを持つこと、こういうことの教育は必要であると考えます。
今後、やはり、保護者や地域の理解を得ながらということも先生御指摘のその調査の中にもあったとのことですので、そこが重要であり、また発達段階を踏まえてということが御指摘の調査の中に一番回答数が多かったということです。実は、そのようなことをすべて踏まえまして、第二次男女共同参画基本計画を策定しました。そのような文言がきちっと書き込まれています。
私として、担当大臣として、現場でそのような混乱や、あるいは今私が申し上げたような意味での性教育が全くなされなくなってしまうというようなことはまた適切じゃありませんので、そのような混乱がないよう、自治体の行政職員、それから多くの地方議会の議員さんが参加してくださいます。毎回伺うところ、何百人という、モニターつきで別の部屋で何百人も聞いてくださるというような、そのような熱心な受講の姿勢が見られまして、私、担当大臣として大変ありがたいことと思っております。
このような、私、自分を歩く大臣と任じておるんですけれども、地方に伺いまして、現場現場での混乱や、あるいは先生が御不安に思っていらっしゃる、これですべて引いてしまうというようなこともまたないよう、適切な、今私が冒頭に申し上げた意味での性教育がきちっと取り組まれますよう努力してまいります。
○小宮山(洋)委員 全国高等学校PTA連合会が昨年秋に行いました調査の結果によると、高校二年生の性体験の比率は、男子が一八・四%、女子が二二・八%で、八割が性行為を構わない、どちらかというと構わないと言っているという調査結果があります。
また、二〇〇四年度の人工妊娠中絶統計では、二十歳未満で三万四千七百四十五件、十五歳未満でも四百五十六件の人工妊娠中絶が行われています。
一部に、性教育をすると寝た子を起こすとか、禁欲教育をすべきといった意見を聞きますけれども、それでは済まない現状がありまして、子供たちはたくさんの情報を持っているわけですね。
禁欲教育よりも性の情報を適切に与えるべきという意見が専門家からございますし、早い時期から適切で科学的な性教育がなされると若者の性行動を慎重にさせるという医師たちの意見もございます。こうした意味でも必要な性教育をやるべきだと思いますが、文部科学省はどのようにお考えですか。
○西阪政府参考人 学校における性教育につきましては、先ほど猪口大臣からも答弁ございましたが、学習指導要領にのっとり、児童生徒の発達段階に沿った時期と内容で実施することが重要であると考えております。また、保護者や地域の理解を得ながら進めること、あるいは個々の教員がそれぞれの判断で進めるのではなく、学校全体で共通理解を図って実施することも重要であるというふうに考えております。
そのような中で、体育科、保健体育あるいは特別活動、道徳などを中心に、学校教育活動全体を通じて指導していくことが必要であるというふうに考えております。
人工妊娠中絶につきましても、現行の学習指導要領におきましては、高等学校の保健体育科においてその心身に与える影響などについて理解させるというふうになっているところでございます。
今後の性教育のあり方ということにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、中教審での議論を踏まえて、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 厚生労働省にも伺いたいと思いますけれども、厚生労働科学研究班、これは母子保健課が依頼をして行っているものですけれども、そこが二〇〇四年度に行った男女の生活と意識に関する調査でも、性教育は、学校や地域で、コンドームの使い方など生きる上で必要な性情報を義務教育終了までの間にきちんと学ぶべきだということを六割から七割の国民が望んでおります。これは項目によっていろいろあるんですけれども、多くの性の情報をきちんと義務教育終了までに教えてほしいということを国民が望んでいるというデータが出ております。
先ほど申し上げたように、高等学校PTA連合会の調査でも、二割前後の男女が高校生になるともう既に性交渉をしてしまう。私が持っている別の栃木県の高校三年生のデータでは、男子四六%、女子の四二%が高校三年生で既に性体験をしている。そうなりますと、やはり義務教育終了までにすることを国民の側も望んでいるというデータが出ております。
そして、自治医大の高村教授という方などが中心になって、地域の思春期の若者を支援する人たち、これは医療機関の人なども含まれていますが、それからピアカウンセラーという、仲間同士でカウンセリングをする、それを養成する教育機関、大学などが連携をして、思春期の若者、特に高校生を対象に、彼らの性を支えるために、仲間、ピアを活用した健康教育、性教育を長年、もう十五年ぐらい行っておられます。
厚生労働省が策定した健やか親子21の柱の一つの中に、思春期の健康と性の問題のアプローチに質的な転換を図ることが必須であり、その中に、同世代の仲間による取り組みの有効性と推進ということが明記されておりますけれども、厚生労働省としては、性教育についてはどのように考えているでしょうか。
○白石政府参考人 厚生労働省といたしましては、思春期の保健対策というものは、健康支援という観点から重要な施策だと考えております。
今御紹介いただきました二十一世紀の母子保健分野の国民運動計画で、健やか親子21におきましても、思春期の保健対策の強化と健康教育の推進というのが一つの柱でございまして、具体的には、十代の人工妊娠中絶あるいは性感染症罹患率の減少ということを具体的な目標として掲げておりまして、今おっしゃられましたようないろいろな望まない妊娠、人工妊娠中絶を防止するための効果的な避妊教育プログラムの開発に関する研究、あるいは思春期相談のクリニックのモデル実施、あるいはピアカウンセリングのモデル事業をやっております自治体への助成等々、実施しております。
今後とも、文部科学省と連携いたしまして、こうした取り組みを進めて、思春期の保健対策という観点から協力してまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 猪口大臣に、今お聞きになっていて、文部科学省そして厚生労働省に尋ねましたが、実際に、もう高校生になると性交渉をしている人がかなりの割合でいる、だから義務教育終了までにぜひしてほしいという国民の声がある。そして、適切な科学的な性教育が早い時期からなされると、かえって、若者の性行動を駆り立てるのとは全く逆に、慎重にさせるというようなデータもございますが、そういうことも踏まえて、やはりきちんとした性教育を積極的にしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○猪口国務大臣 先生御指摘のとおり、やはり若年層の例えば人工妊娠中絶あるいは性感染症の予防、そのためにどういう教育が最も適切か、私は、このことは非常に難しく、かつ重要なことであると思います。これにつきまして、やはり関係者が知恵を出し合っていくということが非常に重要です。よく考えて、よく知恵を出し合っていただきたいと思います。
今、文科省の方からございましたとおり、中教審で議論を深めておられるのではないかと思いますので、そこでしっかりと議論していただき、また先生重ねて御指摘の、やはり発達段階を踏まえた、また保護者などの理解も取りつけながらというようなことを重視して、この対応につきまして知恵を出していくということが重要であると感じております。
○小宮山(洋)委員 今私がぜひ積極的にと猪口大臣にお尋ねをしたところ、官房長官の方から慎重にというお声がございましたので、御発言なさりたいようですから、どうぞ。
○安倍国務大臣 先ほど来政府側で答弁しておりますように、性教育については、発達段階をよく見ながら、また、地域の方々あるいは御両親の御理解を得ながら進めていくことが大切であって、確かに高校生以上の方が、ティーンエージャーの妊娠するという比率が上がっているのは事実でありますが、しかし、では、それならば中学生から避妊教育をするのがいいのか、あるいは中学生がそういう比率が高まって妊娠する可能性が高まっていけば、小学校の段階からやっていくのがいいのか、こういうことであって、果たしてその現状を追認することがいいのかどうかということも含めて、これは考えていかなければいけない問題ではないかというふうに考えています。
○小宮山(洋)委員 いや、追認するというのではなくて、現状がそうでありますから、私は、その発達段階に応じて、先ほど申し上げたように、小学校に上がる前、絵本から、やはりそこのところはお互いに大事にするという意味の人間教育をしていく必要があると思っています。小学校でも必要です。中学校でも必要です。そのように思っておりますけれども、官房長官は、中学生、義務教育まではなるべくしない方がいいというお考えですか。
○安倍国務大臣 発達段階を見ながら、学習指導要領にあるように、そこは、性教育というのはもちろん必要なんでしょうけれども、しかし、どんどんそこで例えば避妊の教育をスタートするのを早めていくというのが果たして本当にいいのかどうかということについていえば、それは疑問ではないかというふうに思うわけであります。
○小宮山(洋)委員 別に避妊の教育だけをしろと言っているのではなくて、やはりいろいろな情報が今子供たちだってインターネットなどから入ってくるわけですから、年齢に応じたということを私は申し上げているんですけれども、それは子供のころから必要だと思っております。
ちょっと視点を変えますが、相次ぐ子供が犠牲になる事件に対して、政府は十二月に六項目の緊急対策を取りまとめられまして、全体の責任者は、内閣官房でやっておりますので、官房長官だと思います。
小学生の女子が犠牲になる事件は性犯罪者の手によるものが多いわけですけれども、この対策の中にも、性犯罪の被害の防止、再犯防止策が掲げられております。
性犯罪者の処遇プログラムも挙げられておりますが、先日、青少年問題特別委員会で子供の安全についての参考人質疑をした際に、長年性犯罪などから子供を守る運動をされている方が、再犯防止の効果というのは残念ながら諸外国を見てもペシミスティック、悲観的だ、一番大事なのはティーンエージャーのころの性教育だと言われて、そこに参加していたメンバーは、いろいろ詳細なお話がございましたので、なるほどと思ったわけですけれども、この指摘についてはどうお考えですか、官房長官。
○安倍国務大臣 性犯罪の防止のためにさまざまな対策をとるというのは当然政府としての大きな責務である、こう思っています。今御指摘の義務教育段階から、またあるいは幼少期からの性教育が性犯罪の抑止に果たして有効かどうかというのは、これはいろいろな意見があるわけであって、まだ確定した学説はないんだろう、こう思っております。
○小宮山(洋)委員 多分性教育という言葉のイメージが官房長官と私が描いているものがちょっと違うのかなという感じはいたします。
その参考人の方の意見では、例えばCAPのプログラムで、中学生や高校生に、デートをするといったロールプレーを使いながら、一方がセックスが嫌なのに一方が強制する、そのときにどうしたらいいかというようなことを話し合っていく、そうした中でよい関係を築いていくとか、またチャイルドラインへの電話で一番多いのはティーンエージャーの男の子からの性に関する質問だそうです。性的なことに関心を持ったらその関心をどうしたらいいのか、ポルノ雑誌を見てはいけないのか、そういった悩みに答えていかれるようなプログラムを集中的にしていくことが大きな効果を長期的に発揮していると言われております。
ぜひ、私は、政府としてもこうしたことも取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 いわゆる思春期における教育は、思春期にある青少年に対して大変大きな影響を与えるわけであって、今御指摘のロールプレーについてはまだこれは確たる、ロールプレーが有効であるという学問的に確立されたものではないというふうに認識をしておりますので、いずれにいたしましても、先ほど委員の御指摘があった性犯罪を防止するために何をやるべきかという点については、政府全体でしっかりと検討をして、また対策を打っていかなければいけない、こう考えております。
○小宮山(洋)委員 学問的にとおっしゃいましたけれども、学問的に確立してからではちょっと間に合わないというところもあるかと思いますので、それぞれの現場で有効な取り組みがされていたら、そこに耳を傾けていただいて、先ほど文部科学省もよい事例集ということがございましたので、いろいろ効果が上がっているというお医者さんたちからのデータもございますから、ぜひ、いい形のものを事例集で取り上げて進めていくようにしていただきたいと思います。
知人がインターネットに、中学生には性教育で避妊方法を教えないというようなことが養護教諭の間で言われているという情報がある、それについて皆さんどう思いますかと子供たちに聞いたところ、子供たちからいっぱいメールが寄せられました。
私は高二ですけれども、小学生でも赤ちゃんができる時代になっているのに教えないなんて間違っているとか、高三です、学校の先生って今の子の現状を全く理解していません、セックスを認めたくないというのはわかるけれども、自分の体や子供の命を守るという教育をしないで一体何の教育をするわけとか、正しい知識と万が一の対処法は教えていくべきだと思います、学校で教えなくてもみんな無知ではないと思いますが、間違った知識を持っている人も多いと思います、学生はセックスをしてはいけないという考えは、もちろん学校としてはそういう意見があるだろうけれども、実際、男女のつき合いがある以上は、学生だろうが何だろうが発生する行為だと私は思っています、学校で教えない限り、知識をつけるすべは余りないと思います、性病をほっておいたら将来不妊症になる場合もあるんですよね、少子化が進む中、教育方法が間違っていて大丈夫なんでしょうかといったような、教えてほしいという意見がいろいろ寄せられております。
今、私の質疑時間、あと一分半になりましたけれども、猪口大臣、ジェンダーということについては大変御理解を持たれていろいろ進めていらっしゃると思いますが、性教育の部分も、少子化の担当として、また男女共同参画の担当としてぜひ力を入れて進めていただきたい。これは別に党派でけんかをする、対立するということではございませんから、本当に日本の将来、子供たちのよい発育にとりましても重要な問題だと思いますので、あと一分ほどですが、御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○猪口国務大臣 先生の今の御議論を伺っていまして、私、この問題につきまして非常に重要なのは、まず、人を性的にのみ見るのではないという根本教育をしていく必要があると思うんですね。先ほど申し上げたように、自分自身を大事にする、そして相手の心身の健康を大事にする。私は同時に、ちょっと文脈が違うかもしれませんが、食育担当大臣でもあるんですね。それはまた健康について、身体をやはり大事にしていくというような考え方につながることでもあります。
私は、少子化・男女共同参画担当大臣として、もしこの国の困っている女性あるいは若い家族がいるとすれば、まずそういう方々に、本当にその方々が助かるような施策を推進してまいりたいという決意でございます。また、子供の観点から子供の幸せのために働きたいと決意しております。特命担当大臣ですので、各省庁と連携を深めながらしっかりと対応していきたいと思っています。
また、もしお許しいただければ一言加えたいと思うんですけれども、冒頭に先生がおっしゃいました三十周年のレセプションでという発言の中で、官房長官についての懸念の発言があったという御指摘でございますけれども、男女共同参画基本計画の改定におきまして官房長官は大変に力を尽くしてくださいました。
○佐藤委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
きょうはまず、前回にも扱わせていただきました中国の遺棄化学兵器の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、このプロジェクトというのは、化学兵器禁止条約を中国が批准したということをもって日本と中国の間でお互いに覚書を交わし、事業が進められているわけですが、当初のいろいろな報道では一兆円規模の事業にもなるんじゃないのかというような話もありました。
政府はそこまでにはならないということを否定もされましたし、また、さきの私の質問で、今一番大規模にこの遺棄化学兵器があるだろうとされている中国東北部のハルバ嶺、こちらの方は政府の最新の調査で、恐らく埋蔵発数、弾薬の数が三十万から四十万だろうということに下方修正がなされたところであります。
そういった意味からも、この費用については、まだもっともっと詳細に検討していけば実際には少なくなっていくものではないのかなというふうに思っておりますが、実際、十八年度予算の方でも既に百七十七億円という予算が組まれておりまして、これは内閣府における他の予算と比べてみても本当に非常に大きなお金を使っておる事業であります。
そういったものでございますから、これは与党、野党共通をして、そしてまた、日本の国内からなかなか見えにくい事業だということもありまして、私たち国会議員は非常に注目をしてこの事業の進捗、進展を見ているところでございます。
そういった中で、まず官房長官に、私は前回御質問したときはまだ細田官房長官だったものですから、改めて御認識をお伺いしたいというふうに思います。
といいますのは、まずこの事業が、そもそも化学兵器禁止条約に基づいてということが大前提になっておるわけです。
その化学兵器禁止条約の中で、定義、最も根本的なものですが、「「遺棄化学兵器」とは、」という定義がございます。これは、「千九百二十五年一月一日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器をいう。」ということが書いてあります。要は、日本が中国の大陸に同意を得ることなく遺棄したもの、これが遺棄化学兵器だ、具体例に当てはめるとこういうことになるわけです。
その場合に、一方で、これは今その事業主体となっていますPMCという、プロジェクト・マネジメント・コンサルタントという形で事業を進めているところが、内閣府から委託を受けて事業をやっているわけですが、基本計画書というのがございます。
この基本計画書の中にどう書いてあるかというと、「旧日本軍が製造した化学兵器のうち、どのくらいの化学兵器が砲弾あるいは投下爆弾の形で中国に輸送され、どこにどれだけの化学兵器が遺棄されたのかについては記録が見つかっておらず不明である。」確かにそうですね。「従って、中国政府が日本国政府に提供する情報をもとに、日本国政府が実施する鑑定作業により、旧日本軍の化学兵器であると日中両政府が認定したものを遺棄化学兵器として廃棄処理の対象としている。」ということでございます。
ここでお伺いをしたいのは、日本と中国の政府が合意をして、これが日本製だということであれば、それがすべて遺棄化学兵器だという認識なのか、それとも、化学兵器禁止条約においての定義のとおり、相手国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器、日本のつくった化学兵器であっても、例えば武装解除や降伏の中で引き渡しをしたもの、この扱いがどうなるかということは、実際今これは見解が分かれたことになっていると思うんですね。
まず官房長官、この認識についてお伺いをしたいと思います。
○高松政府参考人 お答え申し上げます。
現在、どういう形で遺棄化学兵器として認定されるかということでございますが、これは、中国政府が中国国内各地で大部分が土中もしくは水中にございます化学兵器らしきものを見つける。中国の専門家の方がそれを見て、どうも日本の化学兵器ではないかという推測が成り立つ場合には、日本政府にこれを連絡してまいります。
その際に、日本政府、具体的には外務省でございますが、外務省の専門家が現地に赴きまして、これが旧軍の化学兵器かどうかを慎重に鑑定する。それで、化学兵器だと判断ができた場合には私どもの処理事業の対象としている、こういう状況でございます。
○安倍国務大臣 ただいま室長から答弁をしたとおりでございまして、委員の御指摘は恐らく、日本製であったとしても、その前のいきさつがどうなんだということなんだろう、このように思います。
一説には、多くの遺棄化学兵器についていえば、当時、例えば降伏した対象であるソ連軍であったりあるいは国民党軍だったり、そこからその後の、それは自分たちで活用したいからこちらに武装解除しろと言われたものもあるという説もあるわけでありますが、しかし、今となってはなかなか、そのとき果たしてどうだったかということを確証するのは困難であるということから、基本的に今室長が答弁した形で対応しているということではないかと思います。
○泉委員 やはりこれは大きな事業でございますので、では、例えば一番多くの遺棄化学兵器があるとされているハルバ嶺、これは、以前ある雑誌に論文として載せられた中にあるわけですが、中国の方の調査で、一九五一年から一九六三年にかけて、現地政府が大量の人員を投入し、ハルバ嶺にある小高い山腹の一角に埋めたものだということがあるわけです。
こうなりますと、戦後大分たってから埋め直しをしたというところでして、また、そこからさらにさかのぼると、今官房長官がおっしゃられたように、まさにその管理をだれがしていたのかということは、これは検証されるべき問題なんだというふうに私は認識しているわけですが、これは既に検証されて、かつそれが検証不能だということが検証結果だったから、今こういった形の姿勢、態度をとっておられるのか、それとも、まだ検証されていないのか、それはどうでしょうか。
○高松政府参考人 お答え申し上げます。
本来、今委員御指摘の点は外務省から答弁されるべきものと考えますが、私どもの承知している限り、ポツダム宣言で、我が国はそれを受け入れることにより降伏したわけでございますが、ポツダム宣言の第九条では、旧日本軍が完全に武装解除されるべき旨を規定しております。これによって我が国のすべての兵器は連合国の管理下に置かれたことになるわけでございます。
しかしながら、旧日本軍の兵器を最終的に連合軍が所有するか否かは連合国の意思によるものでございまして、委員御想定かと思いますが、ポツダム宣言の受諾のみをもって旧日本軍の化学兵器の所有権が当然に中国あるいはその他の国に移ったものとは断言できないと思われます。
いずれにいたしましても、化学兵器禁止条約は、締約国が他の締約国の領域内に遺棄いたしました化学兵器を廃棄すべき旨を明確に定めているところでございまして、かかる義務は当該締約国が化学兵器の所有権を有しているか否かに直接関係はないと考えられます。
したがいまして、現在中国で発見され、あるいは今後発見される化学兵器が旧日本軍の所有していたものであることが確認できれば、これらの化学兵器を旧日本軍が残置することにより、中国側が同意していたことを示す明らかな証拠がないということであれば、我が国はこのような化学兵器について遺棄締約国として廃棄する義務を負うものと考えております。
○泉委員 官房長官も同意見ですか。
○安倍国務大臣 これは、ただいま室長が申し上げたのが政府としての考え方であります。
○泉委員 そうしましたら、ポツダム宣言九条、連合国の意思によるということで、その意思は確認はされたことがあるんでしょうか。
○安倍国務大臣 今の御質問、質問通告がなかったものでございますから、その点については後ほど確かめておきたい、このように思います。
○泉委員 そういうことだと思うんですね。連合国の意思によるということをもし根拠でおっしゃられるのであれば、それはあったのかなかったのか、もう一回ちゃんと確認をする必要があるんじゃないのかなというふうに思います。
それで、今のところ対象を広くされているというのはいいですが、しかし、化学兵器禁止条約というのは、あくまで相手の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器というものを指すということが、その条約の中身以前に、一番最初の定義でこう書いてあるわけですから、それはやはり私ははっきりすべきだ。
もちろん、過去失われた資料もたくさんあるでしょう。また、どちらか側に全部非があるものでもないというふうに私は思っておりますし、両方にもなかなか明かし切れない事情もあるでしょう。しかし、こういったことについての調査ということについてだれが責任を持って行うことになるのか。
先ほどちょっと外務省のお話も出ましたけれども、例えば、こういったことに関する当時の武器の引き渡し目録ですとか、そういったものを含めた戦史の調査からこの遺棄化学兵器の管理責任を調査するようなことは、この担当室のお仕事になるんでしょうか。
○高松政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、現段階では、旧日本軍の化学兵器が、例えば中国あるいはソ連に対して、そういった国々の同意のもとに旧軍あるいは旧日本政府、戦前の日本政府からこれらの国に引き渡されたということを確実に裏づける証拠あるいは資料があるとは承知しておりません。したがいまして、中国やソ連がこうした同意をしていたことを示す明らかな証拠がない限り、現在中国に残されております旧日本軍の化学兵器は、化学兵器禁止条約上、我が国が廃棄する義務を負う遺棄化学兵器に該当すると考えます。
ただ、私が今申し上げましたことは、あくまで外務省が化学兵器禁止条約の解釈をする立場にございますので、あくまで私の承知している限りの知識でございます。
○泉委員 それは次善の策として、例えば化学兵器を、そのまま出てきたものをほったらかしにするわけにもいきませんから、それは処理しなきゃならないということは私もよくわかります。
そういった中で、枠組みとしてはこの条約に基づいた日中の合意しかないということであれば、それも仕方がないかもしれません。
では、仮にその後に資料が出てきたというケースの場合には、これは請求が中国やソ連、現在のロシアに及ぶこともあるという認識でよろしいですか。
○高松政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、仮に委員御指摘のとおり、そういった正式に、中国もしくはソ連、どういう国かわかりませんが、そういったところに化学兵器が引き渡されたという文言上の文書が例えば発見された、見つかったということであれば、当然、それは基本的な枠組みが変わってくるということと認識しております。
○泉委員 改めての確認ですが、日本は以前、中国の大陸の方で見つかった毒ガス兵器、それで中国住民が被害を受けたケースがあったわけですが、それについては化学兵器の容器は旧ソ連製である疑いが高いという証拠を出されたこともあるわけですね、ケースによっては。
そういったことを考えると、これは改めて確認なんですが、旧ソ連、これはいわゆる毒ガス兵器を有していたかいなかったのか、これをまず確認させていただきたいのと、中国の国民党軍なり共産党軍というのはこれまた化学兵器を有していたという事実があるのかどうか、これもお伺いをしたいと思います。
○高松政府参考人 私どもの承知する限り、旧ソ連はそういった化学兵器を有していたのではないかという専門家の見解があるようでございます。また、中国につきましては、戦時中のことでございますと、国民党、あるいはそれと、いろいろな国内の紛争、紛争といいますか、軍事状態を現出しておりましたいろいろな機関がどういったそういう兵器を持っていたかどうか、そこは我が国の専門家も正確には承知していない、私個人としてはそういうふうに承知しております。
○泉委員 まだこういう不確定なところが多い。
私は先ほどから申し上げていますし、きょうは、まさにその担当である山谷さんもおられますけれども、やはりこの事業を進める一方で、そういったしっかりと史実に基づく調査というか、そういったものを絶対やるべきではないのかなというふうに私は思っております。
今の担当室の人員からすれば、それはとにかく処理と調査、これがいっぱいいっぱいだということはよくわかっておりますけれども、また、室長の御努力もよくよく私は理解をしておりますが、ぜひその調査については、これからも、より、官房長官も恐らく同意見かというふうに私は思っております。この国の私たちの血税は一円たりとも無駄遣いできない、そういったことは大変重要なことだと思いますので、ぜひこの調査について何らかの体制を築いていただくことを私はお願いしたいと思います。
調査についての何らかの体制を築くということについて、政務官、よろしければ御答弁、御見解をお願いしたいと思います。
○山谷大臣政務官 基本的にはこれは外務省がやる仕事ではございますが、内閣府の遺棄化学兵器処理担当室としても、委員の指摘を受けとめて考えていきたいと考えております。
○泉委員 それで、この事業はいろいろと新聞でも報道がなされ、そして、担当室のホームページではそれを一生懸命否定するということが繰り返し続いております。
私は、これもやはり根本の問題は情報公開をもっとちゃんとすればいいのになということを思うわけです。何せ、来年度予算だけで百七十七億のお金を出している事業なわけですから、もっと真剣に、活発に国民の皆さんに納得いただけるような情報公開をやはりしていただくべきだというふうに思うんですね。
そういった意味では、今、実は、まさに小規模遺棄化学兵器の中国側の実務者というか、担当者の御一行様が日本に来て、視察というか、いろいろと行っておるということを私もお伺いいたしました。
しかし、まず、この情報についてほとんど外部に話が伝わってこない。これも大変問題じゃないのかなというふうに私は思っております。
そしてまた、それを政府の方にお伺いしますと、小規模だという理由から、事前の記者発表はしていないと。しかし、視察は小規模であっても事業は大規模なわけです。視察の規模で見られちゃったら、これは何でも公開しなくていいということになるわけでして、やはり視察というものは、裏にどんな、裏というか背景にどんな事業があるのかということが非常に大切なわけです。
遺棄化学兵器処理に関する中国事務者代表団の訪日についてということできのう資料をいただいたわけですけれども、二十二日から二十七日までこの国内に十三名の人たちが来られています。特にことしは、中国の各軍区から佐官クラスあるいはトップでは将官クラスが来日をしているということでありまして、今回初めて自衛隊の化学学校も視察をするというような日程になっております。
そこで、お伺いしたいんですが、二十二日、二十三日は内閣府表敬、そして室長表敬ということがございました。
まず、室長、その表敬の懇談の中身、簡単に説明をいただけますか。
○高松政府参考人 お答え申し上げます。
今回の訪日団は、今委員御指摘のとおり、中国各地の、いわゆる発掘回収事業で、直接中国側の協力者でございますいろいろな軍関係の関係者の指揮官クラスの方がお見えになられています。
そういった方々に対して、いろいろな私どもの事業の概要を説明し、また、日本側の関係者と意見交換をし、あるいは、化学学校、さらには広島県の大久野島の視察等、関係のところを見て、日本政府の考え方及び日本人の考え方、こういったものを知ってもらうということでございます。
私との話し合いにつきましては、これは、一般的なそういった意見交換に加えまして、現在、ハルバ嶺でこれから取り進めようとしております施設建設の中核になります事業主体がどういう形のものになるかということについて意見交換をしておりますが、ただ、これが主目的ではございませんので、基本的には、今回は、中国側の専門家の方々にまず我が国の体制を知ってもらうということに目的がございました。
○泉委員 山谷政務官も、その次の日表敬を受けています。その中身と、特に、ちょっともう時間がなくなりかけていますから具体的に言いますと、新聞報道では、日中連合機構という共同事業体をつくるということが合意に至ったと。多分、きっと御本人はわかっていると思いますから、説明はいいと思いますよ。そして、処理期間が二〇〇七年までに一度の期限を迎えるわけですが、恐らくそれではもう間に合わないということの現実的な判断から、化学兵器禁止条約の中の五年間延長、期間の延長ということも合意をしたということもありますけれども、その結果ということでよろしいかどうかも含めて、会談の中身をお話しいただきたいと思います。
○山谷大臣政務官 まず、泉委員御指摘の日中連合機構の設立、あるいはまた五年延長というようなことに対しての合意があったという事実は、二点ともございません。
昨二十三日、私は中国側代表団の表敬を受けました。先方より、内閣府の訪日の招きに対して感謝する、本事業について、また日本についての理解を深めたい旨の御発言がございまして、私の方から、代表団の訪日を歓迎する、本事業に関し中国側関係者の皆様に平素お世話になっており、我が国の遺棄化学兵器処理事業の取り組み、日本の実像に対する理解を深めていただきたいというようなやりとりをいたしました。
○泉委員 今のやりとりですと、政務官も本当にお忙しい方でしょうから、恐らく三十分以内で終わるんじゃないのかなという印象を受けます。
しかし、私が担当室からいただいた日程でいいますと、主な日程というのが毎日書いてありまして、一日目が内閣府遺棄化学兵器処理担当室室長表敬及び遺棄化学兵器処理事業の概要説明、そして二日目が内閣府表敬、まさに山谷政務官と江利川事務次官、一日のうちの多分これは一時間ぐらいの話しか載っていないわけですね。ほかの時間に何をやっていたかというのは、全く実は中身を明かしていただいておりません。
そういった意味でも、別に疑ってかかっているわけじゃないんですけれども、先ほど私が言いたかったのは、やはりもっと広報をちゃんとしてほしいということを言っているわけです。
そしてまた、マスコミの関係も、これは官房長官、ぜひ聞いていただきたいんですが、室長が悪いわけじゃないんです。室長が悪いわけじゃありませんが、どうやら記者会見なり取材をする機会もなかなかいただけないというようなお話もいただいているわけでして、やはりこの事業が不透明感的なものを持ってもらいたくないというふうに私は思っておりますから、その意味でも、いろいろと記者団と会話をする時間、これは間違いなくあるはずですから、ぜひそういった意味でも、もっとオープンな運営を行っていただきたいということも私はお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
そしてまた、この事業の中で、昨年の秋でしたか、被害者の方々が来日をいたしたことがあります。当時の逢沢外務副大臣がその被害者の方と会われて、これはチチハルにおける、毒ガスを掘り起こしてしまって、そのドラム缶からガスに被害を受けてしまったという人たちが来日をしてきたわけですが、日本政府としてはそれに対して、医療データの収集ということも含めて、三億円のお金を中国側に、政府にお渡しをして、その事件の解決ということを見たわけです。
そういった意味からも、まだまだ被害者のデータがとられていないし、そしてハルバ嶺においては、今後さまざまな不測の事態があったときにはやはりこういった医療データというのは大変重要になるというふうに私は思っておりますので、ぜひ現在の被害者の方々の医療データをとる作業をより強化していただきたいということもお願いをさせていただきたいというふうに思います。
そしてまた、改めてなんですけれども、官房長官にお伺いをしたいのは、これは日本のプロジェクトなのか、それとも日中共同プロジェクトなのかということも、実は私はお伺いをしたいというふうに思っています。
といいますのは、これだけの多くの税金を使っているわけですが、一方で日中交流のよい機会だ、共同事業だということで政府が非常に喜ばれる思いもわかるんです。しかし、実は、先ほど言いました視察も含めて、全部これは日本側の負担でございます。すべて日本側が負担をして、視察にも来ていただいて、そしてさまざまな施設もつくり、向こうで雇用をする方々の賃金ももちろん払っていくわけですね。施設整備のお金も全部日本です。
そういう中で、一つ懸念がありますのは、作業員に中国の現地の方々が当たられるということになるわけです。そうしますと、私はこれは、もしその作業員に万一のことがあった場合に、また大きな外交問題になるのではないのかなということを指摘をしたいわけです。
日本人だからいいというふうには言いませんが、しかし、やはり今の時代、外交問題に発展をするということが、一つ一つの毒ガスの事故を見てもそうなんですけれども、その都度、中国では、百万筆以上のインターネット署名が集まったりということが行われてしまうわけですね。
そういうことを考えますと、もしハルバ嶺のこの事業の中で雇用されていた中国人がまた被害に遭うということになれば、これは幾ら現地で雇う方の費用が安くても、結局は、将来的にずっと、何か我々がまた被害を与えたということを歴史に残してしまうことになるんじゃないのかな。日本の税金を使っているプロジェクトであれば、これはやはり日本側が責任を持って現地で作業を行うべきじゃないのかというふうに私は思いますけれども、官房長官、いかがでしょうか。
○高松政府参考人 まず、委員御指摘のこの事業の形でございますが、遺棄国である我が国が、すべての費用、技術、人員、専門家の供給をもって、これを責任を持って行うということが条約に規定されております。また、領域国であります中国は、これに対して適切な協力をするという形になっております。
そういった基本的な形のもとに、実態上は日中共同でこの事業を行っていかなければいけない、しかも中国でこれを行うという非常に難しい事業の形があるということを御理解いただければと思います。
○泉委員 先ほどの視察の件の資料は、視察にもう来られているという状況も考えまして、いろいろと出てこなかった理由もあるのかなというふうに思いますので、二〇〇一年からされているということですので、ぜひ後ほど資料の提出をお願いしたいというふうに私は思います。
そして最後に、本当は沓掛大臣に御質問もしたかったんですが、そのことを最後に質問させていただきたいと思います。
といいますのは、先日の私の国会入りする前の質問で、一月十九日だったと思いますが、警察官の救急救命のことについて質問をさせていただきました。
そうしましたら、早速、警察庁の方から全国都道府県警に連絡をしていただきまして、今、実態調査、これが始まっているところでございます。政府の素早い対応に私は心から感謝を申し上げたいと思いますし、何よりこれは、被害者の方というか、今後事故に遭われる方も含めて、安心感を与えるものだというふうに思っております。
きょうは一点だけ、その調査の結果を踏まえて、今後どういった形になるかということでの私からの提案とお願い、あるいは答弁があればと思うんですが、今は大半が警察の中で研修を受けられております。しかし、そういった中で、一方で現場では、消防との連携であったり、あるいは一般市民との連携であったりという場が大変多うございます。
そういった意味からは、警察署内でのあるいは警察学校内での研修ということではなく、可能な限り、赤十字、そして消防、こういった外部の機関の救急救命講習を受けていただき、資格を取得していただく。内部研修ではなく資格を取得していただく、これが何より自信につながり、かつ実務の能力の向上につながると私は思っておりますので、そのことの御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○沓掛国務大臣 この前、先生からそういう御指摘がございまして、調査をさせていただきましたが、そのことについてはもう今説明する時間がないので、先生の言われました、今警察官になるためには、ちゃんと警察学校で四十時間のいわゆる医療関係の救急活動を勉強するんですが、それだけでは、さらにもっとレベルの高い能力を得るためにはいろいろなところでやるべきだという御指摘だと思います。
警察ではこれまでも、救急法指導者専科への日赤等外部講師の招聘や、救急法指導担当者の日赤等外部研修への派遣などにも取り組んできているところでございまして、このような取り組みを通じて、救急法指導者の水準の確保は警察官全体の救急法に関する知識及び技能の維持向上にとって大変重要というふうに判断いたしております。
現在、警察庁において、警察官全体の救急法に関する知識及び技能の維持向上を図るための総合的な方策を検討しているところでございますが、こうした検討の中で、御指摘の趣旨も踏まえて、日赤等外部団体との連携によるさらなる内容の充実を図るよう督励してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
○泉委員 ぜひお願いいたします。どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
では、早速ですが、質問を始めさせていただきます。
まず、警察の方に質問があります。
ライブドア事件に関しまして、野口さんという方が沖縄で死を遂げられてしまったということでありまして、その死のあり方についての疑問が予算委員会でも議論があったわけでございますが、その予算委員会の議論の後になりまして、警察がその捜査を打ち切った、もうこれ以上しないという報道がありましたが、その捜査打ち切り、それでよろしいんでしょうか。簡潔にお願いします。
○沓掛国務大臣 お尋ねの事案につきましては、平成十八年一月十八日に那覇市内のホテルにおきまして、会社役員である男性が腹部等より出血した状態で発見され、病院に搬送された後、死亡したものでございます。
沖縄県警察におきましては、遺体それから現場の状況、さらに関係者からのいろいろな事情聴取など、さまざまな角度から慎重に検討して、この死亡は犯罪によるものでないということの判断をいたしました。
しかしながら、いろいろこういう事案の出ている方でもございますので、さらに慎重を期して行政解剖をいたしましたが、この行政解剖においては、この方は幾つかの傷を負っておりますし、睡眠薬などもいろいろ飲んでおりますので、どれが死因になるのかということ等も解明させていただきましたが、いずれにしろ、これは犯罪によるものではないということが出てまいりましたので、そこでそれ以上のことはいたしておりません。犯罪によらないものだというふうに結論を出しております。
○市村委員 普通の自殺というのは、故人の名誉の問題またはプライバシーの問題もありますので、そういう自殺のことをこの場で議論するものではないということは重々承知しながら、しかし、この方というのは非常にライブドア事件の核心中の核心と思われる人物でありましただけに、その死については、国民の疑念がある以上、やはりそう簡単に結論づけることなく、別に急がなくていいわけです、ですから、もし何か新たな事実が出てきた場合は、また再捜査等も含めて御検討いただきたいと思いますが、国家公安委員長、いかがでしょうか。
○沓掛国務大臣 仮定の御質問でございますので、それにお答えしかねるんですが、お尋ねの事案につきましては、沖縄県警察において慎重にも慎重を重ねて真相究明に当たった結果、犯罪に起因するものではないという判断をしているというふうに報告を受けております。
○市村委員 この件に関してはまた改めて、警察のいろいろな問題があるときに議論させていただきたいと思います。
それで、きょうは、私がずっと取り組んでおります公益法人改革、というよりも非営利法人の制度をきちっと、非営利法人だけじゃない、非営利団体といいますか非営利組織の制度について、今度政府から、三月になりますと、そういう改革案といいますか、公益法人の改革案が出てくると聞いておりますので、ちょっとそのことについて、これから残りの時間、それと関連のことについても質問させていただきたいと思います。
まず、安倍官房長官、私は、この公益法人改革を含む、いわゆる非営利法人についての改革というのは、まさに日本の国の形を大きく変えていく、よりよい方向に持っていく大変重要な課題だと思っております。
今回、公益法人改革の担当は官房だということでありまして、まず、官房長官がこれについてどれだけの重要度を置いていらっしゃるか、これについて簡潔にお願いします。
○安倍国務大臣 小泉改革におきましては、官から民へ大きな流れをつくっていくということがまず柱でございます。官から民への流れの中で、民間非営利部門は、行政や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを柔軟に提供することが可能であります。
今後の我が国社会経済システムの中で果たすべき役割はますます重要であるというふうに認識をしておりますし、米国におきまして、この官から民への大きな流れをつくった中におきまして、こうした民間非営利部門が重要な役割を担うようになったことはもう委員御承知のとおりだ、このように思っております。
しかしながら、その代表的な担い手である公益法人については、明治二十九年の民法制定以来、制度の抜本的な見直しは行われず、主務官庁の許可主義のもと、法人設立が簡便でなく、公益性の判断基準が不明確であるなど、さまざまな批判もございます。
このような観点から、今般の改革は重要なものと認識をしておりまして、政府としては、その実現に向けて取り組んでいきたい、こう考えております。
○市村委員 今読んでいただいた部分は、大変私もありがたい、私の年来の主張をおっしゃっていただいたということでありますが、ちょっとここで官房長官と中馬大臣にお聞きしたいんです。
この公益法人、これは官ですか、民ですか。一言ずつお答えいただけますか。この公益法人というのは官でしょうか、民でしょうか。
○中馬国務大臣 これは民です。
○安倍国務大臣 私も同じ考えでいます。
○市村委員 これは、さきの村上大臣や竹中大臣にもお聞きしております。また改めて聞くのかとおっしゃられるかもしれませんが、なぜ民の公益法人の改革が行政改革の重点八ポイントの中の一つなのか、これ自体が非常に矛盾に満ちたことだというふうに私は思っているんです。それをやはりここで合理的説明をもう一回していただけますでしょうか。簡潔にお願いします。
○中馬国務大臣 今回の改革は、今までの官主導の民主主義ではなくて、民が主体的に自由に活動する、そういう本当の民主主義といいましょうか、責任を持った民主主義、これに変えていくわけでございます。
今までの公益法人にしましても、それぞれ官庁の許可を得て、そしてその枠の中でまた活動するといったような形でございましたけれども、今度は各官庁に許可を得るんじゃなくて、まとめまして、そして、ただ公益性があるかないかだけを第三者といいましょうか有識者、委員会で決めて、そして後はもう自由に活動してもらう、こういう形になるわけでございますから、今言いましたように、今回の大きな行政改革の一分野だ、このように認識いたしております。
○市村委員 先ほどからお答えいただいている部分に関しては、全く、大変私も賛同といいますか、ぜひともその考えでやっていただきたい。
まさに、冒頭でお聞きしたときに官房長官もおっしゃっていただきました。官から民への流れのときの民というと、これはどうしても、小泉内閣の民というのは株式会社ばかりの発想でしかないんですね。しかし、民間の非営利の世界というのが、実は民の非常に重要なポイントなんです。ここの意識が欠けている議論をしてきたから、何かおかしくなってきているんですね。
特に、郵政民営化は実はそうなんです。医療改革も実はそうなんです。実は民間の非営利ということで考えていくべきところの分野を、いかにも株式会社、株式会社といってしまったことが、どうも今度は一方での行き過ぎた議論になってしまっているということがあります。
ですから、ぜひとも、公益法人を含むNPO、NPOというのは公益法人を含む概念です。決して特定非営利活動法人のことばかりをいうわけじゃありません。NPOというのは、公益法人もしくは学校法人、社会福祉法人、生協、労働組合、広くは宗教法人または政党等も含む概念がNPOなんです。そういう大きな非営利法人の体系というものを考えたときは、それが世界の常識です。そういう世界の常識に沿って議論しなければならないと私は思っています。
その意味で、この大きな議論については最後に両大臣にお聞きしたいんですけれども、今回の公益法人改革の中にいわゆる特定非営利活動法人を含めないとなっているのはなぜか、官房長官、中馬大臣、お答えいただけますでしょうか。お願いします。
○安倍国務大臣 平成十年の制度発足以来、特定非営利活動法人の数は大幅な増加傾向にあるというふうに認識をしております。このような状況を踏まえ、特定非営利活動法人制度については、今後の行政改革の方針、平成十六年十二月閣議決定でありますが、この方針において引き続き存置することとされたものでございます。
○中馬国務大臣 もちろん、広い意味では、文字どおり非営利法人というのはNPOでございますから、すべてを含むという概念の規定は、私は間違っていないと思います。
しかし、今回の法改正等は、今までの出てきたいきさつ等があります。明治の二十何年からかできて、やったのがこの改革と、それから平成十年に制定されて、今国際的にも活躍しているNPOと、それぞれ、若干制度的なものも違いますから、今回やりますのは公益法人、いわゆる従来の社団法人、財団法人の改革をまずはやるわけでございまして、それも宗教法人とかあるいはそのほかの医療法人等の一部のところは対象を外しておる、それと同じような意味で、NPO法人につきましても今回の改正の対象には入れておりません。
○市村委員 いや、もしそうであれば、今回の公益法人改革の大きな目玉は、一般的な非営利法人制度をつくろうという大きな志があったはずなんです。
ところが、今、中馬大臣からお話があったように、まずは、では民法三十四条法人が財団、社団だけだということであるのならば、そもそも一般的な非営利法人制度をつくろうという大きな志と違うんですから、これはやはり、それならそれで、そういうものだというふうに言っていただかないと、今度、私が中心になって、民主党の方では、一般的、包括的な、先ほど申し上げておりますように、それこそさまざまな非営利法人、いわゆるNPOを対象とした法人制度をきちっとつくっていく必要がある、それについての税制、制度などを整えていく必要がある、それこそがまさにこの国の形をつくっていく構造改革なんだ、こういう本格的議論をしているわけですから、ぜひとも、そういうことを私は堂々と議論させていただきたいという思いであります。
また三月に入って何回もやれると思いますので、この件については、前の村上大臣から聞いていただければ、私はしつこくやっておりますので、またかということになるかもしれませんが、よろしくお願いを申し上げます。
それで、きょう、実は極めて公益法人のことで、今議論しておりますが、いかに公益法人が悪用されているかということで、天下りという言葉はよく議論されます。しかし、食い物にしているという例も多々あります。つまり、天下りはいないけれども、公益法人を食い物にして、そしてマネーロンダリング、脱税とか不正流用、それから名称の信用をつけてそれを不正利用しているとか、その例が一個私のところにあります。
実は、社団法人日本WHO協会というのが、京都に本部があるんですが、この社団法人日本WHO協会といわゆる世界保健機関というのは関係あるんでしょうか、まずお答えください。
○岡島政府参考人 社団法人日本WHO協会は、WHOの精神を普及徹底し、その事業の目的達成に協力し、我が国及び海外諸国の国民の健康増進に寄与することを目的として設立されたという意味では、関係があると思います。
○市村委員 では、関係あると言いますけれども、例えばこれは、WHOの方は、関係があるというふうに私がもし聞いたとしたら、関係あるとおっしゃっていただける団体でしょうか。
○岡島政府参考人 委員の御質問が、例えばWHOというロゴを使っていいかというような……(市村委員「つまり、そういうことです」と呼ぶ)そういうような意味で、わかりました。
事業の目的につきましては、WHOの理念を普及、定着するためにあるという意味では関係していると思いますけれども、世界保健機構がこの法人につきまして何らかの関与をしているかということにつきましては、関与はございません。
○市村委員 一般的には、そういうのは関係ないということだと思いますが、では、日本WHO協会のWHOというこの名称は、このWHOはあのWHOと同じと考えてよろしいでしょうか。このWHOはどうでしょうか。
○岡島政府参考人 ただいま申し上げましたように、この団体の目的がWHOの理念を普及するためにある、そういう意味でWHOという名前を名乗っているということでございます。
○市村委員 そういうのはやはり一般的には片思いということでありまして、関係がないわけであります。向こうからすれば、私は関係ありません、ただ一方的に思われているということでありますね。
ところが、先ほどロゴとおっしゃいましたが、何とこの団体が、今は使っていませんけれども、WHOのロゴを使っていたんですね。これは可能なんでしょうか。
○岡島政府参考人 WHOのロゴの使用につきましては、国際機関でありますWHOの承諾を得る必要がございまして、この団体は承諾を得ておりませんでした。
○市村委員 そうですね。まず、この団体が、実はWHOの承諾も得ずにロゴを使っているだけではなくて、私が聞いたところによりますと、何と、この支部とか会員に対して、自分の会員になったらこのロゴを使っていいよと言って、まあ、この本部じゃないらしいんですけれども、一支部が、うちの会員になったらこのロゴを使っていいと言っていたというふうに聞いていますが、これは事実でしょうか。
○岡島政府参考人 まず、この点につきましては、昨年十二月に法人の会長から聴取したところ、過去におきまして、法人支部が事業を実施する中で、支部主催の行事の際に会場で健康食品を展示、販売するというような形で、会員が展示、販売するというような形で利用していたという事実は聞いているところでございます。
○市村委員 私も、たまたまある薬局のホームページを見ましたら、やはりロゴを使っていらっしゃいました、今はさすがに削除をされておりますけれども。
では、またもうちょっと聞きます。
まず、今はロゴの不正使用ということがまず一個あるわけでございまして、では、こういうケースはどうでしょうか。この社団法人日本WHO協会は特増であったことがありますか。特定公益増進法人です。
○岡島政府参考人 過去におきまして、特定公益増進法人になっておりました。十七年三月以降、更新はしておりません。
○市村委員 その特増の制度を利用して、例えば、今私たち政治家も、企業・団体献金は禁止されていますが、個人献金の場合は、寄附してもらったら所得から控除できるという制度があります。私が聞いているところでは、この日本WHO協会は、寄附をしていただいたら、五%はいただきますが、九五%はお返しをしますということで、研究助成としてお返しをしますということで、明確にそう言って寄附を集めていたということを聞いておりますが、これは事実でしょうか。
○岡島政府参考人 そうした点につきましては、現在調査中でございます。
○市村委員 今までもこうしたいわゆる税制の控除を悪用して、政治家がそれこそ逮捕され、議員の議席を失った例は多々あります。
まさにこの団体、結局、今調査中ということですけれども、実は倫理委員会というのがこの団体で設けられて、この倫理委員会の報告書に明確にその疑いありということが書かれているんですね。私が勝手にそういうふうに思っているわけじゃなくて、何とこの内部で倫理委員会がちゃんとあって、平成十七年十二月三日、去年の十二月三日に答申が出て、この中にその疑いありということで、かなり明確に、脱税のケース、不正利用のケース、ロゴ不正使用のケースと書かれているんですね。
今調査中ということですけれども、いつまでにその調査結果が出てくるんでしょうか。
○岡島政府参考人 少し詳しく御説明をさせていただきたいと思います。
まず、当該法人につきましては、平成十六年三月に通常の法人検査、これは三年に大体一回程度、公益法人に立ち入りまして検査をするというものでございます。その段階で、ロゴの使用等につきましての問題点を把握いたしました。その時点で、そして九月の段階で厚生労働省から改善勧告書というものを出しまして、改善を命じたところでございます。
それにつきましては、十六年十一月二十九日の段階、そしてその後、十七年五月三十一日の段階で法人から改善報告書が提出されまして、ロゴにつきましては、その時点ではWHOに承認申請をしている、承認を得るまでは使わないようにということを決定し、また支部にも通知をしたという旨の報告を得ているところでございます。
その後、WHOからはロゴの使用についての承諾を得られなかったということで、使用をしないようにということで支部にも通知をしたという旨の報告を受けているところでございます。
また、昨年十一月の段階で法人から私どもに対しまして、不明朗な会計の疑いがあるという連絡を受けておりまして、その時点では倫理委員会を設置して内部調査を開始していると。私どもとしましては、その調査結果を報告するように指示したところでございます。
その後、十二月三日、倫理委員会の答申が会長あてに出されたということは承知しております。ただ、その内容を踏まえまして会長が、あるいは法人としてのさらに事実関係の把握等を努め、厚生労働省に報告するようにということを指示しておりますけれども、現時点までございません。ただし、その後も数回にわたりまして会長等を呼びまして、状況を聴取しております。
また、私どもといたしましても、二月の二十一日から、今週でございますけれども、臨時の立入検査を実施しているところでございます。
○市村委員 今お話があったように、厚生労働省は、実はこのことはもう大分前から把握をし、いろいろと改善命令も出されてきたということでありますが、今日に至って、実はまだ解明されていない事実も多々あるということでありまして、この協会は今現在どうなっていますか。
○岡島政府参考人 現時点でといいますか、一月十六日の時点で、本部から各支部に対しまして、当分の間、支部活動の停止を指示しております。また、本部としましても、活動を予定しておりました会等を取りやめるという旨をホームページにも掲載して、私どもにもその旨を報告しているところでございます。
○市村委員 この協会についての話はまた大変大きな問題だと思いますので、公益法人改革で、恐らく、先ほど防衛施設庁の議論もされておりましたけれども、公益法人ですね、やはりこの公益法人が本当に天下りや食い物にされているということ。
なぜこうなったかということは、先ほどちょっと、これからまた議論しますが、これがやはり民法三十四条の世界なんです。官がオーケーならば法人をつくっていいよという世界が民法三十四条だったんですね。これがまさに今日のこの状況をもたらしめているんですよ、天下りだけじゃなくて。だから、それを今回変えていこうという政府の方針は、大賛成なんです。
私は、これ、十二年前、日本新党時代に、職員のときに、本会議の演説に入れた項目でありまして、十二年かかってようやく政府がこれで動いてくれた、このことは大変評価をしています。これを変えるだけでも大分変わってくると思います。これは評価をします。
しかしながら、どうもこのままいくと、今と余り実態は変わらないような雰囲気もありますので、そこは極めて議論しますが、両大臣、ぜひとも強い関心をこのことに寄せていただいて、これは極めて重要なんです。まさに小泉内閣が、別に野党の私が言うことじゃないんですけれども、官から民、大賛成なんです、私も。ただ、民のときは株式会社だけじゃだめなんです。やはり民間非営利の世界、これが極めて重要なんです。だから、この官から民への流れをきちっとしていくためには、この民間非営利の世界が極めて重要で、しかも、この公益法人改革というのは、その中でも極めて重要なんです。
その認識で、ぜひとも両大臣にはこの法律には、世間ではどうも余り関係ないような、余り重要法案になっていませんけれども、極めて重要だと私は思いますので、お二人にはぜひとも関心を持っていただきたいと思いますし、こうした、今、きょう、日本WHO協会の例をこうやって挙げていますけれども、本当にけしからぬと思われますよね。いかがでしょうか、今のWHO協会のことを聞かれてちょっと感想を、両大臣、お願いします。
○安倍国務大臣 私も初めてこの話を今聞いたわけでありますが、こういうことを許してはならない、このように思っております。
○中馬国務大臣 この件はもちろん初めて聞きましたが、そういう事例が本当にたくさんあることは私もかねてから承知いたしておりました。明治二十九年にできてから、ほとんど名前だけで、活動していないけれども法人として残っているとか、あるいは脱税のあれに使われているとか、そういうことはもう民間では見聞きしているところはたくさんあるわけです。
そうしたことが今回、今委員から御評価いただきましたけれども、これを大幅に変えて、今全部洗い直すわけでございます。そして、五年間の期間を置きますけれども、その間にひとつ登録していただいて、今度は有識者委員会をつくって、それの認定をちゃんと受けた者だけがこうした民間として公益の形で活動していただくわけでございますから、そういう意味で、本当にこの改革の理念を御理解いただきまして、ありがとうございました。
○市村委員 理解はしていますけれども、ただ、法律が出てくるとまた議論は別でございますので、徹底的にやらせていただきますが、本当にいいものをつくろうということであります。
それで、最後に厚生労働省さん、実は公益法人といっても、問題があるのはここだけじゃありません。たくさんあります。けれども、極めてこれは典型的なケースだと私は思います、この公益法人を食い物にしているというケースでは。
これは徹底的に、主務官庁の責任というのは、実はこれからの世界は主務官庁が責任をとるんじゃなくて、その法人自体がガバナンスをしっかり高める、コンプライアンスをしっかりしていくという世界にしていかなくちゃいけない。いつまでも官庁が事前チェックをして、絶対問題を起こさないようにというのではだめだと思っていますから、その法人格を取った、または税制優遇措置を受けた団体がしっかりガバナンスをするという方向に、コンプライアンスをするという方向に向けていかなくてはならないんですけれども、今現在この協会は、厚生労働省さんが、民法三十四条に基づいて主務官庁が許可をした団体でありますから、これは許可した者として徹底的にこの事実解明に当たっていただきたい。そして、一刻も早くこの状況について、また改めてこの委員会でもお聞きしますので、徹底的な事実解明の究明に当たっていただきたいと思いますが、最後に、その決意だけお願いします。
○岡島政府参考人 私ども、ただいま調査をしているところでございますが、その事実解明を踏まえまして、適切な指導監督等をしていきたいというふうに思っております。
○市村委員 では、これで質問を終わります。
○佐藤委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
BSE問題、特に米国産牛肉の輸入再開問題についてお伺いをさせていただきます。
まず、松田食品安全担当大臣にお運びをいただいておりますので、伺わせていただきます。
平成十六年九月、食品安全委員会が、日本におけるBSE対策について中間とりまとめという食品健康影響評価を発表していらっしゃいます。
この中間とりまとめは、食品安全委員会がみずから行う食品健康影響評価という位置づけの文書でございます。さらに、この食品安全委員会が行う食品健康影響評価というものは、平成十六年一月十六日に閣議決定をされた文書によって、原則としてパブリックコメントを行わなければならないということになっております。
しかし、昨年六月、農林水産委員会だったと思いますが、私が食品安全委員会の寺田委員長に、この中間とりまとめという食品健康影響評価はパブリックコメントをされましたかとお聞きいたしましたら、パブリックコメントは行わなかった、パブリックコメントの必要性について事務局から説明を受けていなかったからである、しかし、パブリックコメントは行うべきであったと考えているというふうに答弁をされていらっしゃいます。
この点に関して、せんだっての参議院の予算委員会で、同僚であります櫻井議員が松田大臣に対して質問をさせていただき、松田大臣は、この中間とりまとめをパブリックコメントに付さなかったことに関して、「事務方に再度確認いたしましたところ、説明していなかったということであります。事務方に手落ちがあったと私も思います。」というふうに御答弁をされていらっしゃいます。
そこで、松田大臣にお伺いをさせていただきますが、この中間とりまとめについて、原則としてパブリックコメントに付さなければならないという閣議決定があるにもかかわらず、パブリックコメントを行わないということを、いつ、だれが決めたのかということに関してお答えをいただきたいと思います。
○松田国務大臣 食品安全委員会におきましては、委員御案内のとおり、リスク評価を取りまとめるに当たりましては、原則として、事前に国民からの意見聴取を行っていただくことになっておりまして、まさにそのように通例行われておるわけでございます。
中間とりまとめに際しましては、事務局において、私からも御答弁申し上げたことがありますが、審議の段階で二回の意見交換会を開催することによりまして国民からの意見の募集を行ったところでございまして、その場でいただいた意見も踏まえてさらに審議を重ねた、そういったことから閣議決定の趣旨に沿ったものだという考え方は、私、申し上げました。恐らく、そういう考え方のもとで、委員長に助言を行わなかったのではないか、そういうふうに聞いております。
いずれにいたしましても、中間とりまとめ案が提出された第六十一回食品安全委員会におきましては、その案が了承されておりまして、この手続については各委員も了承しておられるわけでございます。
そういうことでございますので、いつ、どうこうというわけで、ちょっと今わかりませんけれども、ただ、今お話しの櫻井議員からも御質疑をいただきまして、正直、あの委員会の終了後、直ちに事務局長を呼びまして、今後は、リスク評価結果に係る国民からの意見募集について、委員長に対してより丁寧にちゃんと説明をするようにということは指示したところでございます。
○川内委員 私がお聞きをしたのは、「事務方に手落ちがあったと私も思います。」というふうに参議院予算委員会の中で御答弁をされていらっしゃるわけでございます。
原則として意見募集、パブリックコメントに付すべきであるということが閣議決定文書の中に出ている。だから私は、原則ですから、必ずパブリックコメントに付せとはこの閣議決定文書に書いていないので、閣議決定違反だという気持ちは全然ないですよ。ただし、原則としてパブリックコメントに付すべきであると書いてあるものを、寺田委員長は、聞いていたらパブリックコメントを行うべきであったかなと考えていると私の質問に対して答えていらっしゃるんです。やった方がよかったと言っている。
では、パブリックコメントをしなくてもいいんだということを判断したのはだれですかということをお尋ねしているんです。だれですかということをお尋ねしているんです。聞いていることにお答えいただけますか。
○松田国務大臣 パブリックコメントに付さなくてもいいと助言をしたのがだれかと……(川内委員「いや、助言じゃなくて、判断したのは。助言はしていないんですから、だれも」と呼ぶ)判断したのはだれかと。
ちょっと、私、存じておりませんが。存じておりません。
○川内委員 理事、いいですか。私は質問通告をきのうきちんとしたわけです。いつ、だれが判断したんですか、あした答えてくださいねということを申し上げているんですよ。それに対して、私はわかりませんとはどういう答えですか、これ。委員長、ちょっと。
○松田国務大臣 先ほど実は答弁したんですけれどもね。委員長、委員会でお決めになっておられるわけです。まさに第六十一回食品委員会で中間とりまとめを出されて、そして……(川内委員「ちょっととめてちゃんとさせた方がいいですよ。めちゃくちゃなことを言わせちゃだめですよ」と呼ぶ)いやいや、ちょっと聞いてくださいよ。私、答弁している最中です。聞いてください。
各委員も了承して、その手続がとられておるわけでございます、いいですか、委員会がお決めになることですから。
明確に御答弁申し上げますが、委員会がお決めになることでございますので、まさに委員会がこの中間とりまとめ案を了承されて、そして、まさにそこでお決めになったところによってなさっているわけでございます。別に、だれかがどうこうということではございませんので、その点は御理解いただけると思います。
○佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○佐藤委員長 速記を起こしてください。
松田大臣。
○松田国務大臣 先ほども答弁いたしましたが、また繰り返します。
委員長に、パブリックコメントといいますか、意見募集をしたらどうですかというような助言を丁寧にいたさなかったという点については手落ちだということを私は認め、したがって、あれは櫻井議員だったと思いますが、終わった後、帰りまして、事務局長を呼びまして、先ほど答弁したことをいたしたわけでございます。
○川内委員 では、助言しないことを決めたのはだれですか。パブリックコメントに付すべきであると、付さなければならない、寺田委員長は、パブリックコメントをした方がいいと私の質問に対して答えたんですよ、昨年の農水委員会で。した方がよかったかなと考えている、知らなかったと言ったんですから。知らないことはやりようがないですよ。そうでしょう、大臣。
それに対して、本来はパブリックコメントをすべきだと閣議決定文書に書いてあるものを、助言しないと。リスク評価について指揮をとるのは食品安全委員長です。リスク評価について指揮をとるのは食品安全委員長ですが、その指揮をとるべき食品安全委員長に対して、本来はこれはパブリックコメントに付すべきである、こういう文書がありますということを、まあ、言わなくていいやと決めたのはだれですか。
○松田国務大臣 事務局長が御助言をなさらなかった、なさらなかったというか事務局長が助言しなかったということでおわかりいただけると思うんですが。
○川内委員 では、助言しなかったのは事務局長ということでいいですね。
○松田国務大臣 そうです。ですから、先ほど申しましたように、帰ってから、なぜもっと丁寧に君は説明しなかったのかと注意をしたと、実に明快に私は答弁をしているつもりなんですが、よろしくひとつ。
○川内委員 事務局長が、本来閣議決定文書に、原則としてパブリックコメントに付すべきであると書いてあることに関して、助言しないということを判断した。これは大臣、リスク評価について、いいですか、私、先ほど言いましたでしょう、リスク評価について指揮をとるのは食品安全委員長なんです。したがって、パブリックコメントをするか否かということの判断をするのは食品安全委員長です。
その方に対して、こういう文書があります、本来は原則としてパブリックコメントをすべきでありますということを助言しないと判断した事務局長は、私は、これは手続に重大な瑕疵があるというふうに思いますが、いかがですか。
○松田国務大臣 そのこと自身、よくお考えいただきたいと思うのでございますが、基本的事項で決めているわけでございます。基本的事項は、委員会でお決め願っているわけでございます。
だれの責任とかいうこと、ですから私は、親切であるべきだという意味で、事務局長を呼んで、今言ったとおり注意をいたしました。
委員長を含めて委員会で自分の手続を御審議なさってお決めになり、かつ、委員会で中間とりまとめをされて、そして、その意見募集をする点についても含めてどういうふうになさるかをお決めになって対応されておられるわけでございます。
そういうこともよくお考えいただいたらいかがかと思います。
○川内委員 全く答弁になっていないと思いますが、それでは、観点を変えてお尋ねをいたします。
齊藤事務局長が寺田委員長に報告を怠った、怠ったというより報告をしなかった。それは何らかの意思がそこに存在をするであろうというふうに思うわけですね。報告する、本来はこれはパブリックコメントに付すべきものですよと、これは閣議決定文書に原則として付すべきだと書いてあるんですからね。それをしないというのは、ある何らかの意思が存在をしたからに相違ないわけであります。
では、なぜ寺田委員長に助言をしなかったのかということに関して御答弁をいただきたいと思います。
○松田国務大臣 先ほど来から何遍も申しておりますけれども、委員会としては、審議の段階で二回、意見交換会が開かれて御意見を聞いてやっておられるわけでございまして、ですから、事務局長がもっと親切に、ちゃんと説明をすべきであったという点は、おっしゃるように手落ちであった。したがって、注意をちゃんといたしました。(川内委員「大臣がみずから言ったんですよ、手落ちと。手落ちという言葉を使っちゃいけないんですから、本当は。不手際ですとか不適切」と呼ぶ)いや、ごめんなさい。不手際があったということは、何度もお話ししました。
それで、御注意を申し上げたということですべてはよくおわかりいただけると思いますがね。何がお聞きになりたいのか、もう少しはっきりおっしゃっていただければありがたいんですが、何でこんなことをあれしているのか、ちょっと、では、もう一度おっしゃってください。
○川内委員 私こそ、大臣、何を言いたいのかはっきりおっしゃってくださいという感じですが、いいですか、意見交換会と意見募集というのは、この閣議決定された、食品安全基本法第二十一条第一項に規定する基本的事項という平成十六年一月十六日の閣議決定文書の中では、明確に分けられています。全然別物なんです。意見交換会と意見募集は別物です。いいですか。
委員会みずから食品健康影響評価を行う場合、委員会は意見の交換を行うよう努めるということが三の(1)の2に書いてある。そして、最終的に、食品健康影響評価の実施時に何をするかというところに、「委員会は、食品健康影響評価に関する専門調査会における結論については、原則として国民からの意見募集を行うとともに、出された意見及びそれへの対応を公表する。」ということが書いてある。意見交換会と意見募集は全く別物なんです。違うんです。二つやらなきゃいけないんです。
それで、やらなくていいんだと、原則としてやらなきゃいけないというものをやらなくていい、寺田委員長に報告しなくていいと判断したのは齊藤事務局長。では、なぜやらなくていいと判断したんですかと。
本来は、リスク評価に関する指揮は寺田委員長がとるんです。食品安全委員会委員長が指揮をとるんです。その指揮を仰がずして、事務局が勝手に判断をし、勝手に解釈をしたということでよろしいですか。
○松田国務大臣 事務局長は補佐役でございまして、当然のことでございますが、寺田委員長は立派な方でございます。ですから、寺田委員長に対して、もっと丁寧に御助言を申し上げておくべきだったなということは先ほど申しました。しかし、判断は寺田委員長ですから、わかりますね、寺田委員長が判断されて……(川内委員「だから、知らなかったと言っているじゃないですか。めちゃめちゃですよ、本当に」と呼ぶ)めちゃくちゃではありません、よく聞いてくださいよ。
あくまでも事務局長は助言者です。御判断は寺田委員長です。委員会がどうするかをお決めになるんです。そうですね、わかりますか、そこ。(川内委員「だから、助言しなかったと自分で言っているじゃないですか」と呼ぶ)ですから、助言しなかったんですけれども、決めるのは、助言を受けて、では、もっと申しましょうか、まあいいや、そこまでは言うのをやめますけれども……
○佐藤委員長 静粛に聞いてください。
○松田国務大臣 助言者は助言者、あくまでも御決定になるのは委員会であり、その責任者が委員長であります。委員長がこの中間とりまとめをお決めになると同時に、そのやり方も含めてお決めになっておられるわけです。ですから、私はこれでもうお答えは十分できていると思いますけれども、助言者は助言者でございます。助言をしなかった点はいけなかったね、その点は先ほど申しました。したがって、注意も与えました。これからはそういうことのないようにねと言っておりますので、御理解を賜りたい。
○川内委員 委員長、寺田食品安全委員会委員長は、私の別な委員会での質疑で、事務局から説明を受けていなかった、そういう文書があるなんて知らなかった、知っていたらパブリックコメントを行うべきであったかなというふうにお答えになられているわけですね。知っていたらやるわけですよ。
ところが、助言しなかった、助言しなかったことは悪かった、事務局が悪かった、しかし、決めたのは寺田委員長だという今の松田大臣の答弁は、委員長、これはちょっと納得できないですよ。おかしいと思いませんか、委員長。ちょっと議論を整理していただけますか。(松田国務大臣「いやいや、議論していないし、もう一度整理させてください、委員長」と呼ぶ)
○佐藤委員長 ちょっと混線しないでください。これでいいですか。
では、松田国務大臣。
○松田国務大臣 何遍も申し上げて恐縮ですけれども、今の寺田参考人の御発言ですね、先生。ここに、もう一度読まさせていただきます。
前の方もありますが、川内委員から「これは、私は、原則としてパブリックコメントをやるという閣議決定に違反しているというふうに思われますが、それに対してはどのように御説明をいただけますか。」と言ったら、寺田参考人、「厳格に言うとそうなるかもわかりませんが、」「そういうことで、意見交換会ということで十分にやったと思いますが、しかし、先生が言われますように、十分広く国民の理解を得るという観点からすれば、中間とりまとめの際に意見、情報の募集を行うべきであったかなというふうに考えておりますし、今後は、みずからだけじゃなくて、緊急の場合が四件ほどございまして意見の募集をやっていないのがございますけれども、できるだけルールどおりにやっていきたいと思っております。」こう答弁されている。ちゃんと意識しておられるわけですよ。
ですから、自分で、委員長としてですよ、いいですか、中間とりまとめの段階に、委員会として御判断なさっているわけでございます。そのときに、助言者たる事務局長がなぜもっと丁寧に助言しなかったの、その点は、君、よくなかったねということは、先ほど来から答弁申し上げておりますように、助言者としてもっとしっかりしなさいよということは申し上げておりますので、これでよく御理解いただけると思います。
○川内委員 いや、もう先ほどから何回も言っているじゃないですか。意見交換会と意見募集は全く別な手続なんですよ、閣議決定文書の中では。いいですか、意見交換会をやった上で、意見募集を原則としてやるということがこの閣議決定文書の中で決められているんです。それで、寺田委員長はそれを知らなかったと言っているんですよ、知らなかったと。
それで、事務局から説明を受けて、まあ、いろいろ意見も聞いたからいいのかなということを、今松田大臣がおっしゃられたようなことをおっしゃられたが、しかし、本来はやるべきであったかなと思うというふうにお答えになられているわけです。
なぜ閣議決定どおりに、パブリックコメントをやることが必要ですよということを助言しなかったのかと私は聞いているんです、なぜ助言しなかったのかと。
委員会としての判断を聞いているんじゃない。では、もっと端的に言いましょう、齊藤事務局長は、なぜ寺田委員長に、この中間とりまとめはパブリックコメントが必要ですということを助言しなかったのかと。
○松田国務大臣 先ほど来から何回も答弁させていただくんですけれども、意見交換会と意見募集とは違うとか、わかった上でもちろん申し上げているわけでございます。
ですから、その意見交換会を踏まえて、十分意見を聞いたと事務局長としては判断して、判断してですよ、その判断が間違っているとか正しいということはこっちへ置いておきますよ、今の御質問に答えるとすれば。そしてまた、委員会も、まさにまとめをすると同時に、そういう手続をとらないで、とるということをお決めならないで終わっておられるわけです、いいですか。
委員会ですよ。彼は事務局長、助言者ですよ。助言が足りなかった、それは謝る、今後気をつけろ、大臣が厳命しました。(川内委員「何もそんなくだらない答弁いいよ、もう」と呼ぶ)くだらなくも何でもない。何度も同じことを聞かれるから、私はあえてこうして述べている。(川内委員「いや、違う。聞きたいことに答えていないじゃないですか」と呼ぶ)あなたが答えじゃないと言っている。私は答弁しているんですよ。答弁をしっかり聞いてください。
○川内委員 私がお聞きしているのは、齊藤事務局長がそう判断をされた、その理由は何ですかということをお聞きしているんです。
○松田国務大臣 ですから、先ほど来から言っていますように、意見を十分聞いたと彼は判断したんです。(川内委員「なるほど、わかった」と呼ぶ)わかりますか。(川内委員「はい」と呼ぶ)何遍言ったら、こんなこと。
○川内委員 齊藤事務局長が意見を十分に聞いたと判断をし、本来助言をすべきパブリックコメントに付すということを寺田委員長に助言をしなくてもいいということも判断したということですね。そういうことになりますね。ここ、確認させてください、そうですということに。
○松田国務大臣 私が答弁したとおりであります。
○川内委員 そうすると、リスク評価の指揮をとるのは寺田委員長である、食品安全委員会委員長である寺田委員長であると。しかし、松田大臣がみずからおっしゃられた、助言者であるところの齊藤事務局長が、これはパブリックコメントをする必要はないということを判断したということになりますね。これは大変な問題です。どうですか。
○松田国務大臣 お決めになるのは委員長であり、委員会であります。(川内委員「本当に何言っているんですか」と呼ぶ)
○佐藤委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕
○佐藤委員長 速記を起こしてください。
もう時間が限られつつありますから、少し能率的にやりましょう。
それで、川内君、問題をもう一度確認しながら質問してください。
○川内委員 委員長、御配慮ありがとうございます。
それでは、問題点を整理させていただきます。
本来、中間とりまとめは、閣議決定文書によれば、原則としてパブリックコメントに付すべきであった。しかし、それを付さないという判断を齊藤事務局長がされた。さらには、本来パブリックコメントに付すべきであるということを寺田委員長に報告すべきであったが、報告をしないということを重ねて判断したということですね、齊藤事務局長が。二つの判断をしているわけですね。
では、問題を整理してお尋ねをさせていただきますが、閣議決定文書にこうしなければならないということが記載されていることを、齊藤事務局長が判断していいんでしょうか。
○松田国務大臣 端的に、今の御質問でいいんですか、ちょっと繰り返しになっていいですか、それでは、丁寧に御答弁を申し上げます。
この取りまとめに当たって、意見募集を原則としてしなさいということを決めてある基本的事項、閣議決定、これを決めるときは、まさに寺田先生を委員長とする食品安全委員会の意見を聞いて決められているわけであります。いいですか。したがって、その瞬間忘れておられたかどうかはともかく、委員長として当然知っておられることでございます。いいですね。
その上で、いい補佐役なら、どんな立派な人でも忘れることがある、だから、念には念を入れて、意見募集を求めなくてもよろしいですかと丁寧な御助言をすべきではなかったのかなということを申し上げた。その助言は残念ながら今回しなかった、これがてんまつですね。
どこにも矛盾はなく、ただ、もっと丁寧にしなさいよということを、私は、せっかくの御指摘でございましたから、川内議員なりあるいは櫻井議員なり、そのとおりだと思いましたので、帰ってからわざわざ事務局長を呼んで、これからはもっと丁寧にお仕えするのですよということを申し上げたということでございます。
御理解をいただきたいと思います。
○川内委員 それでは、よくわかりました。今後、今回齊藤事務局長のおとりになった行動が公務員の服務規程に関してどのような問題があるのかということに関しては、きょうはちょっと資料をまだ私も整えておりませんので、さらにしっかりと詰めさせていただきたいというふうに思います。
これは、なぜ私が取り上げるかというと、委員長、ちょっと何で唐突にこんなことをやるのかというふうに多分委員会の皆さんもお思いになられるかもしれませんが、米国産牛肉の輸入再開決定、そしてまた脊柱入りの牛肉が混入してきた、そして停止されたという一連の経緯の中で、政府は、小泉総理、中川農水大臣は、日本の政府にミスは全然なかったということをおっしゃられていらっしゃるわけでございます。
しかし、私は、幾つかの点において拙速を指摘される部分があったのではないか、あるいは、あるのではないかという問題意識を持っておりまして、そういう意味で、もともとの米国産牛肉の輸入再開に向かうこの二年ぐらいの議論の出発点が中間とりまとめなんですね。中間とりまとめがあり、そして昨年五月の答申があり、そして十二月の米国産、カナダ産の牛肉の答申があった、この三段階なんです。
その一番最初の段階で、本来パブリックコメントに付すべき文書を、付していない。しかも、これはただ一件ですからね。一件だけですよ、パブリックコメントに付さなかったのは。みずから評価の中でただし書きをつける。
そういう重要な問題点が隠されておりますから、パブリックコメントに付さなくていいと判断をしたのも齊藤事務局長であるという食品安全担当大臣の御答弁もありましたので、今後さらにしっかりと勉強をさせていただきたいというふうに思います。
そこで、次の問題に進ませてください。
政府の答弁は間違っちゃいけませんけれども、私の質問は、あの質問のおまえのあそこは違っていたぞと、またやりとり、今後もずっとしますから、そこで御指摘をいただきたいというふうに思います。
そこで、十一月十八日付の閣議決定による政府答弁書の問題に移らせていただきたい。
余り時間もないので、安倍官房長官には大変お待たせをして申しわけなく思っておりますが、幾つかのことを確認させていただきたいというふうに思います。
この政府統一見解を作成されるに当たり、そしてまた作成した後、十一月十八日のあの政府の答弁書がなぜこんな書きぶりになったんだということが、農水省、厚労省の中で調査チームができて、今調査をされていらっしゃるということを石原農水事務次官の会見の中で拝見をいたしましたけれども、これは、調査チームができたと聞いているんですけれども、その調査が終了したのかどうか、そしてまた、その報告は国会あるいは国民にも明らかにされるものなのかということを農水省からお答えをいただきます。
○佐藤委員長 この機会で申し上げますが、速記をとめた分、四分間を延ばさせていただきまして、十五時三十九分で終わりますから、その間で御答弁をお願いいたします。
農林水産省中川消費・安全局長。
○中川政府参考人 お答えを申し上げます。
この件につきましては、農林水産省の中で、むしろ私どもの消費・安全局は、いわばその事柄についていろいろと調査を受ける側でございますから、私の承知している限りで申し上げますけれども、現在まだそういった調査を続行中というふうに承知をいたしております。
○川内委員 その調査が終わった後は、御報告を国会にもいただけるということでよろしいでしょうか。
○中川政府参考人 そういったこの報告書の取り扱いにつきましては、私の立場からきちっとお答えする状況にはございません。そこはしかるべく調査を行っている側からお答えするのが筋かというふうに思います。
○川内委員 官房長官、この政府統一見解の中では、院に対する説明を怠ったことについてはまことに遺憾でありますというふうに官房長官御自身が予算委員会で御発言をされたわけでございます。
したがって、今消費・安全局長は、それを国会に報告するか否かは自分は答える立場にないというふうにおっしゃられたわけでありますが、しかし、院に対する説明という意味においては、十一月十八日のあの答弁書がどのような経緯で、どのようにして作成をされたのかという調査報告というのは当然国会に付されるべきものというふうに考えますが、官房長官の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤委員長 ちょっと確認しますけれども、中川消費・安全局長は、出さないと言ったのではなくて、違うからということなんでしょう。所掌が違うからという話ですね。そこを御理解ください。
それでは、安倍官房長官。
○安倍国務大臣 答弁書のいきさつ等を含めまして、予算委員会で、予算委員長の方で、それについては、院への報告等については理事会で検討するということになったというふうに私は承知をしております。
○川内委員 それでは、次の質問をさせていただきます。
この政府統一見解の文言でございますけれども、まず、十一月十八日の答弁書の中に、「輸入再開以前に、」とございます。「輸入再開以前に、」という言葉の意味するところ、中川農水大臣は、参議院予算委員会で、輸入することとなった場合というのは決定した場合、そして輸入再開以前というのは実際に物が入ってくる場合というふうに解釈するしかないと。
ちょっと、解釈として余りよくわからない答弁をされているものですから、この「輸入再開以前に、」というのは、輸入再開決定以前なのか、それとも輸入再開決定後、実際に物が入ってくるまでなのか、あるいはその両方を含むのかということを明確に、政府の立場として、それはこういう意味だということを明らかにしていただきたいというふうに存じます。
○安倍国務大臣 輸入再開以前とは、輸入再開の決定以前にという意味であるというふうに理解をしております。(川内委員「いや、もう一回。もう一回済みません」と呼ぶ)ここは大事なところなんですが、「輸入再開以前に、」とは、輸入再開の決定以前にという意味であるというふうに理解をしております。
○川内委員 ありがとうございます。
それでは次に、この政府統一見解の文章そのものでございますが、「川内議員への答弁書では」云々、中略「といたしました。」と。「これは厚労省及び農水省の当時の認識・考え方を内閣として是としたものであり、」というふうに記述がございます。
私の質問主意書では「政府の見解を求める。」政府の見解をお聞かせくださいという文章になっておりますが、したがって、輸入再開以前に現地調査を実施することが必要と考えているのは農水省、厚労省だけではなく、ここでは「内閣として是とした」という書き方を政府統一見解ではしているわけですが、しかし、政府の認識、考え方、政府全体の認識、考え方ということでよろしいでしょうか。
○安倍国務大臣 もちろん、これは分担管理をしてまいりますので、この問題については、厚生労働省と農林水産省において、答弁書を、法制局も入れて起案をするわけでありまして、それを、起案したこの答弁書について、政府として是としたということであります。当然それは、政府全体として是とした、こういうことでございます。
○川内委員 そうすると、済みません、しつこいようですが、あと一分ぐらいしかないので、もう一問だけ質問させていただきます。
そして、「その後、実際には、」という文言があって、「日本向けの牛肉輸出プログラムについて、米国が行う施設認定を日本側も調査できること」と、「日本側も調査できること」というふうに記述がございます。
この「米国が行う施設認定」という文言の意味について、施設認定には、申請から書類審査、現地監査、承認というかなり長いプロセスがあるわけでございますけれども、そのプロセスすべてを日本側も調査できるということでよろしいんでしょうか。
○中川政府参考人 ここで現地調査を行うということで考えておりましたのは、まず、書面での審査とか、そういう予備的なところではなくて、現実に、現場の屠畜場などに行きまして、そこで、いわゆるオンサイトオーディットと言っておりますが、そこのところについて日本側も同じことを確認できる、調査できる、そういう意味でございます。
○川内委員 委員長の御配慮によって延長していただいた時間が参りましたので、これで、ちょっとまだ質問をたくさん余してしまったんですが、これから資料についての質問をしようと思っていたんですけれども、もしお手元にある資料がお役に立てるならお使いをいただきたいというふうに思います。
また次回に譲らせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十九分散会