衆議院

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第3号 平成18年4月14日(金曜日)

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平成十八年四月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 剛男君

   理事 木村  勉君 理事 戸井田とおる君

   理事 西村 康稔君 理事 林田  彪君

   理事 山本  拓君 理事 泉  健太君

   理事 大島  敦君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君

      小野 次郎君    小渕 優子君

      大野 松茂君    木原 誠二君

      後藤田正純君    鈴木 馨祐君

      土屋 品子君    土井  亨君

      中森ふくよ君    平井たくや君

      松本 洋平君    村上誠一郎君

      村田 吉隆君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    川内 博史君

      小宮山洋子君    鉢呂 吉雄君

      太田 昭宏君    吉井 英勝君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           菊田真紀子君

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君

   国務大臣

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   法務副大臣        河野 太郎君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (内閣官房皇室典範改正準備室長)         柴田 雅人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉良 裕臣君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            名取はにわ君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田 康敬君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  武市 一幸君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 秀司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   参考人

   (食品安全委員会委員)  見上  彪君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     松本 洋平君

  石井 郁子君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     鈴木 馨祐君

  吉井 英勝君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

四月十三日

 消費者契約法の一部を改正する法律案(菊田真紀子君外三名提出、衆法第一九号)

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

三月二日

 憲法九条改悪反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第五一四号)

 日本国憲法第九条を守り、日本と世界の平和に生かすことに関する請願(辻元清美君紹介)(第五一五号)

 憲法改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第五三七号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五三八号)

 スパイ防止法制定に関する請願(西村真悟君紹介)(第六二六号)

同月十三日

 憲法の改悪に反対し、憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六八三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六八四号)

 憲法九条改悪反対に関する請願(穀田恵二君紹介)(第六八五号)

同月二十九日

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八八一号)

 同(石井郁子君紹介)(第八八二号)

 同(笠井亮君紹介)(第八八三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八八四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八八五号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八八九号)

 憲法の改悪に反対し、憲法九条を守ることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第八九〇号)

 憲法九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇一二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇一三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇一五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇一六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇一九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇二〇号)

 憲法改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇二一号)

四月四日

 日本軍慰安婦問題解決のための法制定に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五八号)

 憲法九条を守ることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一九四号)

 憲法改悪反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一九五号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一一九六号)

同月十一日

 憲法改悪に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第一四二八号)

 同(郡和子君紹介)(第一四二九号)

 同(重野安正君紹介)(第一四三〇号)

 同(辻元清美君紹介)(第一四三一号)

 同(日森文尋君紹介)(第一四三二号)

 憲法九条を守り、世界の平和に生かすことに関する請願(志位和夫君紹介)(第一四三三号)

 憲法改悪に反対することに関する請願(辻元清美君紹介)(第一四三四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一四三五号)

 憲法の改悪に反対し、憲法九条を守ることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一四三六号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一四三七号)

 同(重野安正君紹介)(第一四三八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一四三九号)

 同(日森文尋君紹介)(第一四四〇号)

は本委員会に付託された。

三月二十三日

 非営利法人の健全な発展等に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第二二八号)

 同(奥村展三君紹介)(第三五八号)

は行政改革に関する特別委員会に付託替えされた。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

 消費者契約法の一部を改正する法律案(菊田真紀子君外三名提出、衆法第一九号)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君及び食品安全委員会委員見上彪君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房皇室典範改正準備室長柴田雅人君、内閣審議官大藤俊行君、吉良裕臣君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、政策統括官榊正剛君、林幹雄君、男女共同参画局長名取はにわ君、食品安全委員会事務局長齊藤登君、警察庁長官官房長安藤隆春君、総括審議官片桐裕君、審議官和田康敬君、刑事局長縄田修君、交通局長矢代隆義君、情報通信局長武市一幸君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、吉田秀司君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、農林水産省消費・安全局長中川坦君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野次郎君。

小野(次)委員 おはようございます。

 官房長官初め閣僚の方々にはまた朝早くから御出席を賜りまして本当にありがとうございます。聞くところによりますと、本委員会に合わせて閣議の方を早めていただいたというお話を聞きまして、トップバッターとして感激いたしております。

 この委員会では、私、初めての質問でございますし、御存じのとおり一年生議員でもございますので、きょうは胸をかりるつもりで質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、官房長官にお伺いいたします。

 小泉総理は、就任前から、就任後もですけれども、首相のポストというのは国民から直接の支持と信任を得るということが前提となるんだという、いわゆる首相公選制を持説としておられます。

 現在憲法改正の議論も活発に行われておりますけれども、この改正の議論にも関連するわけですが、官房長官は、指導者として将来を嘱望される政治家のお一人でもあるわけでございますけれども、この首相公選制というものについてどのような認識をお持ちか、お伺いいたします。

安倍国務大臣 首相公選制につきましては、今小野委員が御指摘になられましたように、当時、私が官房副長官、委員が総理秘書官であったころ、平成十四年八月に、総理の諮問を受けた首相公選制を考える懇談会におきまして、憲法改正を前提とした改革案のほか、現行憲法の枠内における改革案も提示をした報告書がまとめられたわけでございます。

 政府としては、この報告書を契機といたしまして、国会はもとより、国民各層において、国民と首相との関係のあり方、ひいては我が国の政治の仕組みのあり方について活発な議論が展開をされることを期待いたしているわけでございますが、自民党におきましては、憲法改正の草案を取りまとめられたというふうに聞いております。

 首相公選制につきましては、この報告書がまとめられたわけでありますが、その後、活発な議論は余り行われていないような印象を受けております。

 その理由をいろいろ考えますと、これは、現小泉総理が、それまでの自由民主党の総裁・総理と違うと言ってはなんですが、ある意味では首相公選風に総理の座に着いたということもあるのではないか。また、小選挙区比例代表並立制が導入されまして、選挙の際に、それぞれの党首を、国民がどちらを次の首相として選ぶかという観点から投票を行っているということもあり、かなり趣旨は今体現されている状況になっているのかもしれない、こんな感じを持っております。

小野(次)委員 大変そつのない御答弁をいただいたと思っておりますが、首相というポストというのは国民からの支持と信任が前提となるというのは、制度論以前にやはり大切なことだろうと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、皇室典範に関して若干お伺いいたします。

 これにつきましては、去年の十一月に有識者会議の報告書が提出され、その後、秋篠宮妃殿下の御懐妊というおめでたい出来事があり、現在、この御慶事も踏まえて、自民党内でも勉強会が行われているわけでございますが、国民の一人として、このたびの御慶事を心からお喜び申し上げるとともに、秋にはお元気なお子様がお生まれになることをお祈り申し上げておるわけでございます。

 しかし、そもそも総理が有識者会議に検討を依頼したのは、現在の皇室の構成を考えたときに、将来にわたって皇位継承を安定的に維持するためには皇位継承制度について見直しが必要という問題意識に立たれたものと認識しております。

 この御懐妊という慶事によって、そのときとは、皇位継承をめぐる状況、具体的に申し上げれば、将来の皇位継承の安定性というものが、状況が変わったと考えておられるのか、政府の認識をお伺いいたします。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、小野先生がおっしゃいましたように、多少重複するところをお許しいただきまして、答弁申し上げたいと思います。

 初めに、総理が有識者会議に検討を依頼した当時の認識ということでございますけれども、現行の皇室典範では皇位継承資格を有するのは男系男子の皇族に限られておりまして、現在のところ六方いらっしゃるということでございます。その中で皇太子殿下よりも若い男系男子の皇族は秋篠宮殿下お一人でございますから、将来的に皇位継承資格者が不在となるおそれがあるというのが一番目の問題意識でございます。

 そして、この皇位継承問題というのは、やはり国家の基本にかかわる事項だということでございまして、天皇が国家の象徴として、内閣総理大臣の任命とか国会の召集とか法律の公布とか、大変重要な機能を担っておられる以上、どのような事態が生じても安定的に皇位が継承されることが必要だということでございます。

 こういう認識に立って、将来にわたって皇位継承を安定的に維持するという観点から皇位継承制度のあり方について検討していただくように、一昨年の十二月に有識者会議を開くこととしたわけでございます。

 そして、このたびの慶事に関してのお尋ねでございますけれども、まず、私どもとしては、このたびの御慶事は大変喜ばしいことだということで、お健やかな御誕生を心から願うものであります。

 その上で、皇位継承という点から考えますと、現行制度においては、仮に男子がお生まれになった場合には、皇太子殿下、秋篠宮殿下に次ぐ皇位継承順位をお持ちになる、三番目の順位をお持ちになるということになります。

 ただ、その場合でも、皇太子殿下や秋篠宮殿下の次の世代の皇位継承資格者はそのお子様お一方ということになりますから、将来の皇位の安定的な継承の維持という観点からは、やはり何らかの制度の見直しが必要なのではないかなというふうに認識をしております。

小野(次)委員 検討は党内でも行われていますし、またこれからも議論されると思いますので、私は、きょうはあと一問だけ、この関係でお伺いしておきたいと思います。

 有識者会議の報告の中には、男女にかかわらず長子優先という原則が提言されております。きょうだいがおられるときに、男のお子さんよりも女のお子さんの方が年長だった場合にはその方の方を優先するということが提言されております。

 この点についてお伺いしますが、今、柴田室長からも御答弁いただきましたけれども、皇位継承資格を持つ男子が不在という事態を心配して、懸念してこの検討が始まったというわけでございますから、この長子優先という点だけは、問題検討の経緯から見て、少し異質の配慮、考慮を加えているように思われるわけでございます。

 国民の中にも、世論調査をしてみても、天皇のお子様の中に男子がいらっしゃる場合には、まず男、今までどおり男子を優先するという考え方を支持する声が高いわけでございます。

 この点について、官房長官の御認識をお伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 皇位継承順位につきましては、有識者会議におきましてもいろいろな議論があったというふうに承知をしております。

 最終的には、親から子に、世代から世代へと伝わる直系継承が皇位継承のあり方としてはふさわしく、また出生順に順位が決まるという制度のわかりやすさや、国民の期待や、御養育の方針が早期に定まるという安定性を重視して、いわゆる長子優先が適当であると、この有識者会議においては判断されたものというふうに認識をしています。

 いずれにいたしましても、ただいま委員が御指摘されたような観点を踏まえまして、まず何といっても皇位の安定的な継承を図らなければならない、と同時にまた、皇室は他に比類なき長い伝統と、また文化をも体現しているわけでございまして、そうしたことを踏まえながら、そしてまた当然このたびの御慶事も念頭に置き、また踏まえながら、ただいま与党におきまして御議論をいただいているところでありますが、慎重にかつ冷静に、国民各層の賛同が得られるように取り組んでいきたい、こう思っております。

小野(次)委員 引き続き慎重な御検討をお願いしたいと思います。

 それでは、松田大臣の担当でございます食品安全の方について御質問させていただきます。

 食品安全委員会のプリオン専門調査会の専門委員の改選が四月一日に行われて、プリオン専門調査会では、委員の半数が交代になったそうでございます。このことについて、一部の報道では、米国産牛肉などの輸入再開に対して従来慎重派と言われた専門委員が集団で辞任したんじゃないかという報道が見られます。

 そこで、改めて、今回の改選の経緯を御説明いただきたいと思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のプリオン専門調査会の専門委員の改選につきましては、専門委員にも任期を設けるという内閣府の統一した方針に従いまして、二年の任期を付すために行われたものであります。十二名全員の辞任願を提出していただいた後、四月一日付で、再任及び新任の専門委員も含めて任命が行われたところでございます。

 改選に当たりましては、専門委員本人の意向とともに、年齢やリスク管理機関との兼職状況を考慮した結果、十二名中六名の専門委員の交代となりましたが、プリオンのリスク評価を行うのにふさわしい学識経験を有する人物が任命されております。したがいまして、今後のプリオン専門調査会の調査審議におきましても、中立公正な立場から科学的な議論を尽くしていただけるもの、このように考えております。

小野(次)委員 報道だけを取り上げて質問しているわけではないんですけれども、やはり食の安全というのは国民の信頼、安心というのが基本になるので、そういう報道等にも注意せざるを得ないと思うわけです。

 今回の改選に関連しては、辞任した一部の専門委員から、米国産牛肉等のリスク評価、これが結論ありきで始まったというようなこととか、あるいは科学的でなかった、議論が科学的でなかったという意味だと思いますが、そういう趣旨のコメントまで報道されています。

 米国産牛肉などのリスク評価の結果が科学的議論を尽くして取りまとめられたものと私も承知しておりますけれども、今回の改選でこの評価結果は変わるものではないと考えてよろしいかという問いでございます。

 また、今回の改選が、今後のプリオン専門調査会の客観的かつ中立公正であるべき審議に、政府の側から影響を与えたり及ぼすようなものじゃないんだという点についても、食品安全行政に対する国民の信頼を確保するためにも、ぜひ松田大臣の方からしっかりと国民向けのお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

松田国務大臣 お答え申し上げます。

 一月に発生いたしました米国産牛肉の脊柱混入事案につきましては、リスク評価の前提といたしました日本向け輸出プログラムが遵守されなかったというリスク管理上の問題であります。したがいまして、プリオン専門調査会が行いましたリスク評価結果の見直しが必要な状況にはないと認識しております。

 したがいまして、この評価結果は、今回の改選によって変わるものではありません。

 また、今回の改選におきましては、プリオンのリスク評価を行うのにふさわしい学識経験者が任命されたものと承知しておりまして、プリオン専門調査会におきましては、これまで同様、中立公正な立場から科学的な知見に基づく調査審議が行われるものと認識しております。

小野(次)委員 次に、少子化対策と男女共同参画の施策についてお伺いいたします。

 私としては、両方とも重要な施策であって、この二つの施策がお互いに、対立ということはないんでしょうけれども、足を引っ張り合うような関係になるんじゃなくて、車の両輪として進めていくことが大切だと思っています。

 例えば、男女共同参画サイドからは、かつて私も直接聞いたことがあるんですが、専門家の方でも、統計上は、女性の労働力率がふえると出生率も上がる、つまり、仕事についている女性が多い場合の方が出生率が高くなるというような解説がなされることがあります。しかし、一般論として考えれば、女性が家庭から仕事に出れば、子育てにかける時間はどうしても減る、子供を生み育てる率も下がるんじゃないかと思うのが常識でございます。

 この女性の労働力率と出生率の関係をわかりやすく御説明いただければと思います。

猪口国務大臣 小野先生にお答え申し上げます。

 女性の労働力率と出生率の関係でございますけれども、これにつきまして、男女共同参画会議のもとに設置されました少子化と男女共同参画に関する専門調査会の報告によりますと、国民一人当たりGDP一万ドル以上のOECD二十四カ国につきましては、つまり先進国の水準で考えてみますと、一九七〇年時点では、女性の労働力率の高い国ほど出生率が低いという傾向がありましたが、二〇〇〇年時点では、女性の労働力率が高い国ほど出生率が高いという傾向が見られているわけです。

 この二十年間ほどの時間を見てみますと、女性労働力率を上昇させながら出生率を回復してきている国が多いわけでありまして、そういう国々におきましては、社会環境につきまして、男性を含めた働き方の見直しや保育所の整備などの両立支援、それから固定的性別役割分担の見直しなど、男性の家事、育児参加、あるいは雇用機会の均等法などが進んでいるという特徴がございます。

 したがいまして、両立支援等で社会環境を整えることが実際には女性の労働力率の上昇にもつながり、また、これが同時に出生率のことにつきましてもプラスの影響を与えているということが調査からは明らかになっているということが言えると思います。

 このように、仕事と家庭の両立支援、働き方の見直しなどの施策、これは男女共同参画の観点からも、今お伝えしましたような因果関係との関係では、少子化対策の観点からも重要であると考えておりますので、我が国といたしましては、今後ともそのような両立支援を積極的に推進してまいりたいと考えております。

小野(次)委員 今の御説明で大変よくわかりました。要するに、社会環境なり、両性、男女ともに、そういう観念の変化とともに、そういう環境が整えば、女性労働力、つまり女性の社会参加も上昇するし、出生率も回復する、そういうことなんだろうと思います。だから、どっちが上がればどっちが上がるという議論というのは余り、冒頭申し上げたとおり、車の両輪として考えていくべきだという方が望ましいんじゃないかなと思います。

 子供にとって、私自身も子供の親であるわけですけれども、やはり、幼児期に親が一緒にいて、親から愛情を持って育てられていくということは重要なことじゃないかと思うんです。その意味で、専業主婦というか、家にいて子育てをしている主婦についてちょっと御質問したいわけでございます。

 何か、女性の社会進出のことだけを取り上げるときには、専業主婦の方々が社会に進出することができないから家にいるというような評価をしがちじゃないかなと私は心配しています。みずからの手で子育てしたいと考えて、家で子育てに専念している場合というのは多いと思うんです。介護の問題のときにも、施設介護か在宅介護か、在宅介護をしているお嫁さんの労働力みたいなものあるいは愛情というようなものをどれだけ評価するかというのが議論に上ることがありますけれども、同じことが言えるんじゃないかと思うんです。

 こうした在宅というか専業主婦で、家にいてお子さんの育児に専念というか従事している方について、私はもっと積極的評価をすべきだろうと思うんです。特に、少子化対策の視点から、家で育児をしていることに対してさまざまな支援施策を講じてもいいんじゃないかと僕は思うんですが、猪口大臣の認識をお伺いしたいと思います。

 ちょっと、一つつけ加えさせていただくと、私も長い間警察に勤めさせていただきましたけれども、経験則として言えるのは、初発型の少年非行なんかの事例を取り上げると、大概と言っては失礼かな、一定の割合で、家に親がおられない、特に母性の方だと思いますが、母性がおられないというのが背景にあるという事例がやはり多いんです。それは現場にいる人間みんな知っていることです。

 そういうことを考えると、家で子育てをするということは、やはりもっと積極的評価をすべきじゃないのかなという気がするんですが、質問に戻って、家で育児をする主婦の立場に対してさまざまな支援施策を講じるという考え方について、猪口大臣の認識をお伺いしたいと思います。

猪口国務大臣 小野先生の次の質問にお答え申し上げたいと思います。

 専業主婦の方々、非常に献身的な努力を傾けていらっしゃると私は常に認識しております。まずそのことを申し述べたいと思います。

 そしてまた、先生御指摘のとおり、乳幼児期におきまして、親から、これは男性の親、女性の親、いずれもからですけれども、愛情を持って育てられますことは、子供の発展や成長にとって大変大事なことであるということは言うまでもないことでございます。

 そして、在宅育児のことでございますが、実際に我が国におきましては、ゼロ歳から二歳児までのお子さんにつきまして八五%が在宅で育てられている、在宅育児の中で育てられているという状況にありまして、子育てにおきます家庭内で親が行う育児は大変大きなウエートを占めているという実態がございます。

 また、家庭内の育児活動につきまして、平成十七年版の少子化社会白書を昨年末取りまとめましたけれども、その中において、一定の条件で試算してみますと、年間八・一兆円の規模となりまして、そのうち九割が妻の活動となっているという事実がございます。

 このような実態に対しまして、専業主婦による在宅育児の重要性が指摘される一方で、他方で、夫や外部からの支援が受けられないような場合において、心身両面の負担が非常に重く、専業主婦の方々の中に、やはり孤立感、孤独感、不安感を訴える声が多くあり、そのような声が強く寄せられる時代となりました。

 こういう観点も踏まえまして、私といたしましては、まず、親と子の育ちを地域で支えていく、そして、家庭の中だけの孤独な子育てということをなくしていく、地域の中で、母親が働いているいないにかかわらず、すべての子育て家庭が支援を受けることができる子育て拠点づくり、こういうことを重視していきたい。

 同時に、言うまでもなく、働く女性につきましては、育児休業などを取得することがもっと促進され、みずからの手で初期の育児をきちっとやりたいと考える家庭につきまして、それが可能な育児休業の取得の促進なども重要であろう。

 いずれにしましても、保育所あるいは一時保育の拠点、その双方の拡充を目指し、在宅育児あるいは保育園を活用しての育児、その双方の可能性をさらに広げていく施策を推進してまいりたいと思っております。

小野(次)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、少子化の問題をお伺いします。

 少子化対策ということでさまざまな対策がとられているわけですけれども、いろいろなデータ、資料を見ても、一番少子化の直接の原因として挙げられるのは、非婚化と晩婚化だということが言われています。結婚する年齢が遅くなる、もしくは結婚しないということが、昔と、かなり比率が高くなっているということが指摘されています。

 まず、これに直接対応する施策というのは余り私が見た資料には書いていないんですけれども、そういう施策は行政としてとっておられるのかどうか、そこを確認したいと思います。

猪口国務大臣 まず、少子化の原因につきましてですが、御指摘のように、結婚しない若者がふえている、未婚化の進行という現象は確実に見られます。また、結婚年齢が高くなること、晩婚化の進行もございます。また、夫婦の子供の数の減少傾向、これも実はございます。

 そして、私として申し上げなければならないのは、結婚や出産、これは個人の自由な選択と状況の結果である、それに基づくものである、まず民主主義の基本の立場がございます。国が直接に関与するものではないですけれども、結婚や出産をためらわせる障壁がある場合には、これを極力取り除くことが結婚や子育てをしやすい環境を図ることになり、結果的に未婚化や晩婚化に対する対策となると考えております。

 ですから、子ども・子育て応援プランがございますが、この中におきましては、例えば若者の自立支援、これは、経済的不安感があって結婚の決断を先延ばしにするというような場合が多いので、若者の就労支援なども大きな柱として位置づけておりますし、結婚しても家庭と仕事の両立が難しいんじゃないかなという不安がある人には、仕事や家庭との両立支援を展開することによってその不安感を取り除きたいと考えたりいたしているところでございます。

 そしてまた、若いときに結婚して子供ができた夫婦は、まだ所得水準が低いという問題がございますので、子育て費用の負担について、例えば住宅については、子供が小さいときの公営住宅の入居条件の緩和措置などがあります。また、このほか、どのような支援策が適当か、現在いろいろと少子化対策の観点から検討しているところでございます。

小野(次)委員 大臣、今三つぐらい理由が、非婚化、晩婚化、それから夫婦から生まれるお子さんの数が低下していると。これは結果であって、非婚化、晩婚化、つまり、この問題というのは、法律や憲法上の両性の自由ということと、生物としての出産をし育てられる時期の両方の面があって、非婚化、晩婚化が進むと、実際に子供をつくっている、生物としての残り年数というんですか、これが短くなっているということがもとにあるから、やはり僕は、非婚化、晩婚化があって、その結果として夫婦として子供をつくる数が実際は少なくなるということがむしろ背景としてあるんじゃないかなという気がいたします。

 次に聞こうと思った若い人たちの経済負担についてのお答えも大臣から今いただいてしまったわけでございますけれども、やはり私は、特に住宅スペースの問題というのは、若い夫婦にとって、子供をつくって育てようかという非常に大きな要素だと思うんです。

 若いときは経済負担そのものがやはり重く感じられるわけですけれども、特に、一部屋ないからなというのはありますので、何か、若い世代の住宅ローンを設定しやすくするとか、二十代でも組めるようにできないかとか、そういう若いうちでの結婚とか子づくりを促進するような施策があってもいいんじゃないかと思いますが、大臣の認識をもう一度伺いたいと思います。

猪口国務大臣 先生御指摘のとおり、若い子育て期の方々、いろいろな社会環境の変化によりまして経済的な負担感を強く感じるようになっているという事実がございますので、そのような住宅政策も含めまして、総合的に、どういうふうに若い子育て期の方々への支援を重点化できるか、私としてもよく考えてまいりたいと思っております。

小野(次)委員 時間がなくなってまいりました。あと一問だけ聞かせていただきたいんですが、消費者団体訴訟制度については来週にも詳しい討議をするというふうに聞いていますが、きょうは一問だけ聞かせていただきます。

 今考えられている消費者団体訴訟の仕組みの中で、適格消費者団体というのは、政治的目的のためにこれを利用してはならないという考え方が示されているわけです。

 これについては検討の段階から議論がなされてきたと思いますけれども、大臣にお伺いしたいのは、適格消費者団体というのは、消費者契約法だけじゃなくて、やはり不適正な取引行為、いわゆる独占禁止法の分野の問題であったり、あるいはいわゆる訪問販売にかかわるような特定商取引法の問題など、他の消費者保護に関する法令についても当然関心を持って活動している団体が想定されるわけです。

 そういった関連する消費者保護に関する法令の例えば改正の提言というようなことは、消費者契約法だけじゃなくて、消費者政策について提言や陳情をする、そういう枠組みの中では、これは、さっき申し上げたような政治的目的のためにこれを利用してはならないという規制には、規制されない、容認されているというふうに私は思うのでありますが、そう理解して差し支えないかどうか、お答えいただきたいと思います。

猪口国務大臣 先生の御指摘のとおり、適格消費者団体は、その趣旨を逸脱して政治色を強めたり、あるいは業務の公正性、信頼性を損なうことがあってはならないという強い規定がございます。これは政府案の三十六条で規定してございます。

 そして、今先生が御提案されました内容につきましては、まず適格消費者団体の制度の改善を求める政策提言や陳情を行うこと、これは、これまでは禁止されていないわけですね。

 同時に、この三十六条規定との関係におきまして、今先生が御指摘されましたようなことも含めまして、その提言や陳情を超えて、特定の政党や候補者自体の支援と同視できるような場合にはこの三十六条の規定に該当し得るものと考えられますが、一般的に政策提言や陳情を行うこと、これまで禁止するものではないということでございます。

小野(次)委員 大臣、ありがとうございました。大変いい勉強になりました。

 これで私の質問を終わります。

佐藤委員長 次に、太田昭宏君。

太田(昭)委員 公明党の太田でございます。

 初めに、六月から実施される駐車違反の取り締まりの民間委託、かなり不安が広がっているわけです。きちっとここで答弁してもらいたいと思うんです。

 一昨年の六月二日に、私は、この内閣委員会でこの件については質問させていただいて、インセンティブ制にするとかむちゃな取り締まりになるというようなことのないようにということを申し上げました。公平性の確保とか運用の指針をきちんとしろということを強く要望しましたら、そのときに政府からも、地域の実情や地域の方々の意見も踏まえた巡回の重点路線などを定めた指針にのっとって駐車監視員による巡回が行われる、それによって放置車両の確認は公平、的確に行われるというような答弁をいただいたり、あるいは受託法人に対する監督を厳格に行っていくという答弁をもらいました。

 現在ガイドラインが各警察署で策定されており、四月末をめどにでき上がる、このように聞いていますが、公平性の確保、過度の取り締まりにならないということが担保されているかどうか、この点、まず確認したいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のとおり、現在、六月一日の新制度施行を目前に控えまして、取り締まり活動ガイドラインの策定そして公表に向けた作業が鋭意進められているところでございます。

 このガイドラインは、確認事務の民間委託を予定しております警察署ごとにそれぞれ作成するものでございますが、管内の実態と地域住民の意見、要望を踏まえた上で、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯等を定めることとしておりまして、これに沿った駐車監視員の運用が行われることによりまして、事務遂行において公平性が確保され、また、違法駐車により問題が生じている場所に重点を置き、従来以上にめり張りをつけた取り締まりが行われることとなると考えております。

 また、民間委託の受託法人に対する厳正な指導監督や放置車両の確認を行う駐車監視員に対する教育訓練を徹底することによりまして、公平かつ的確な事務が行われるよう努めてまいる所存でございます。

太田(昭)委員 こういうのが警察から配られたりしていまして、かえって厳しくなるかなとかいろいろなことがあって、ガイドラインがきちっと徹底されていないので、現場では大変、これは影響を受ける人は日本国民ほとんどですから、非常に広がっているわけです。

 宅配業者やクリーニング業者でも、これは本当にやっていけるのかなと。短時間でも駐車違反になるよというふうに書いてあるとか、ガイドラインなるものが一体どういうものかよくわからないしという中で、非常に運送業者、あるいはトラックといってもコインパーキングじゃ大型トラックをとめられないわけです。都市部だとエレベーターで上がって下がるまでかなり時間がかかったりというようなこともあるわけですね。そういうことをよく考えた上で、最後の段階で、原則は原則でありましょうけれども、現場の人たちの実情に即した、そういうものをきちっと私はやっていかなくちゃいかぬ、このように思います。

 商売ができないんじゃないかという声を安易に上からずばっと切るんじゃなくて、こうしたところへの配慮というものがどれだけ検討されてどれだけ配慮があるかというその六月一日からの施行にしていただきたい、こう思いますが、再度、この点は非常に大事なことですよ、よろしくお願いします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 この作業を通じましては、さまざまな方面からさまざまな御意見が寄せられておりまして、それを踏まえながら作業してまいりました。また、取り締まりの前提となります駐車禁止規制でございますが、これにつきましても、これまで二年間かけまして、各都道府県警察におきまして地域住民や事業者の方々の意見、要望を聴取しました上で必要な見直しを行ってきたところでございます。

 また、今ほど申し上げましたように、重点的な取り締まりを行う場所、時間帯等につきましても、各方面の意見を踏まえながら、取り締まり活動ガイドラインの策定を進めてきております。

 当然のことながら、地域の方々や事業者の方々にも自主的な努力をお願いする必要があるわけでありまして、既に一部の事業者で行われているような荷さばきのための駐車場借り上げなど、違法駐車が行われないための自主的な取り組みの推進をお願いしているところでございます。

 いずれにしましても、駐車の取り締まりは、実態を踏まえて、実情に即して行う必要がございます。警察といたしましても、今後とも引き続き、新制度の運用方針について十分な周知を図るとともに、駐車場の整備や荷さばき場所の確保を働きかけるなど、駐車環境の整備改善に向けた努力もしてまいる所存でございます。

太田(昭)委員 重点地域とか重点的な時間とかあるでしょう。この商店街は何時から何時まではそうですよ、あるいは、ここのところは一番、幹線道路であるから朝と夕方こうですよというようなことがあるから、そこで大体仕事ができるというようなクリーニング屋さんのような場合と、それから今度は、運送業者がいろいろなところを頭に入れるというのは大変なことですよ。そういうようなことを、本当に、業界やいろいろな地域についてこういうことですよということを丁寧に言ってあげないと大変なことになるということです。再度、その辺をお願いします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに交通の現場は生き物でございまして、さまざまな状況がございます。それを踏まえました駐車の管理、駐車の取り締まりとなるよう努めてまいりたいと考えております。

太田(昭)委員 猪口大臣、私、初めて質問しますが、御苦労さまです。

 我が党は、少子化対策ということで、出産一時金のことであるとか児童手当ということで、我々はもう四十年代からずっとそういうことに力を入れてきましたが、本格的にこういう時代になりまして、男女共同参画型社会にしなければだめなんだ、また、ニートとかフリーターという、教育も含めたそういうことに対応しなくちゃいけないんだ、日本の本当に幅広い全体の問題になってきているというふうに私は認識をしております。

 ワーク・ライフ・バランス、企業における働き方に対する意識を変えること、それから個人の暮らし方自体も変えていく。ワークスタイルとライフスタイルという、ワークとライフのスタイルを変えていく。そのバランスをどうとっていくかということや、あるいは、フリーターやニートが社会問題化して、後からニートについて私申し上げますが、働き方そのものが二極化をしている、あるいは迫られている。

 こういう中で、このワーク・ライフ・バランスというものの考え方、労働環境の整備を図る施策であるとか、税制、社会保障制度に関する施策というような面、あるいは保育施設、サービスの充実などの子育て環境の整備という側面もあるでしょう。あるいは、SOHO事業者など自宅勤務者、事業者に対する施策もあるでありましょう。幅広いことでありますけれども、もう一歩、ここは本当に、日本の働き方、そして暮らしのあり方というワーク・ライフ・バランスということについて本格的に国民の理解を得、企業の理解を得ていくという作業が物すごく大事なことで、それが今大臣の主な仕事ではないかというふうに私は思っております。

 この辺のワーク・ライフ・バランスというものの考え方について、かなり理念的になりますけれども、お話しいただければと思います。

猪口国務大臣 太田先生の御質問に初めて答弁させていただきます。よろしくお願いいたします。

 先生の御指摘のとおり、ワーク・ライフ・バランス、これは仕事と生活の調和と訳しておりますけれども、その取り組みは大変重要でございます。

 このワーク・ライフ・バランスは、もともと、イギリスのブレア政権におきまして、二〇〇〇年から始まったキャンペーンの中で使われた言葉でございます。イギリスでは、ワーク・ライフ・バランスを進めることによりまして、企業にとっては競争力を高めることになる、業績向上につながる、労働者にとっては生活の質の向上につながる、こういう認識のもとに、国民に対する啓発活動、そして、先ほどから議論させていただいておりますとおり、仕事と家庭の両立策の導入などの取り組みが、このような概念のもとに推進されたということでございます。

 ちなみに、イギリスのワーク・ライフ・バランスというキャンペーンは出生率の向上を直接の目的としているのではなかったのですが、働きやすい環境の整備が近年のイギリスの合計特殊出生率の向上を支えています。イギリスは一・七でございます。我が方は一・二九でございます。

 我が国におきましては、よく言われることなんですけれども、男性の育児休業の取得率が〇・五六%、女性の場合は、第一子の出産後、職場に残った方の七割が育児休業を取得している、こういう状況でございます。このような結果から、仕事か家庭かの二者択一が迫られてしまうという状況があると認識しておりまして、子育て期にある例えば男性の育児参加も各国と比べますと非常に少なく、日本では、三十歳代の男性の四人に一人が週六十時間以上の勤務という長時間労働の中にもありますので、実際に、私は、家庭参画するという優しさはあると思うんですけれども、労働環境の実態からしてなかなか難しい。

 そういうことから、ワーク・ライフ・バランスを実態的にはとりにくいものがある。政策としましては、ワーク・ライフ・バランスに似た、仕事と家庭の両立を積極的に我が国において推進していきたいと考えております。

太田(昭)委員 私もそのころちょっとイギリスに視察に行った時期があって、若年雇用とこうした考え方について随分お話を聞いたことがありまして、後からちょっとイギリスのことについて時間があれば質問しますけれども、ぜひともというか、みんなでそういう方向に徐々に向けていくということだと思います。

 日本には日本型の働き方ということで、何も世界に合わせることは私はないというふうに思っていますが、一つの考え方として、ある時期には基本法的なものに仕上げた方がいいのかなというような考えも私は持っているんですが、その点について、またいろいろ御議論をさせていただきたいと思っています。

 事業主の行動計画、次世代育成支援対策法の中でこれが位置づけられています。しかし、公表ということも別に義務づけられていることでもありませんし、行動計画というものを持ちなさいよ、こういうふうに定めることはしなくてはいけないんですが、それがどう扱われるかということについてはよくわからない。そういうことからいきまして、もう少し、公表をするとか、従業員すらもそれを知らないというようなこともあったりする、あるいは、そういうことをしっかりやるということ自体が実は企業価値を高めていくことになるんではないかというふうに私は思っておりまして、そういうことからいくと、公表ということの範囲やいろいろなこともあるでありましょう。しかし、この事業主の行動計画の効果の担保をどうするかということが大事なことだというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。

猪口国務大臣 先生御指摘のとおり、この次世代育成法におきましては、三百人以上の企業に行動計画の策定が義務づけられていますけれども、公表義務はない。実際に、策定届け出が義務づけられている企業はおおむね一〇〇%それをなしているという状況にはありますけれども、その公表につきましては義務となっていないということで、自主的に公表する企業はふえてきてはいますが、実態はそういうことであります。

 策定した行動計画を適切に実施するためには、これは厚生労働省において行われることなのですけれども、平成十九年度より認定を行うものとしている。ですから、認定制度の周知、広報によりまして行動計画がしっかりと実施されていくということが期待される、こういう仕組みになってございます。

 私が全国の地方ブロックを往訪しながら、自治体トップと担当大臣との政策対話を少子化対策について行ってきましたが、その中で最も頻繁に寄せられる意見が、例えば中小企業で、策定を義務づけられてはいないけれども行動計画を考えてみたい、しかし方法論とかよく理解していない、またそれを調べる時間的な余裕もないんだ、もし行動計画が公表されていればそのような好事例を参考に自分の企業でも導入することを考えないわけでもないんだがなという意見が多いということを発見しておりますので、できるだけ自主的な公表をお願いしていきたいと思っております。

 厚生労働省におきましては、自主的に公表できるサイトを本年四月一日より開設してくれましたので、まさに自社の取り組みをPRできることにもなります。また、これから行動計画策定に取り組もうとする企業にとっては非常に参考になる貴重な情報がそのサイトによって入手できるものと考えておりますが、引き続きこの次世代法の行動計画につきまして積極的に取り組んでまいりたいと思います。

太田(昭)委員 小学校に上がってからの子供たちの放課後の時間の使い方と、学校という場についてでございます。

 放課後の子供のあり方についての対策で、一つはいわゆる児童クラブによるもの、厚生省です。もう一つは学校の教室や校庭などを使って遊び場を提供する地域子ども教室推進事業というもの、これは文科省。そろそろここも、幼保の一元化問題とかいろいろなことで厚生省、文科省の連携というのは大事なんですが、このあたりの、学校ということの場を使いながらの放課後の子供の居場所、あるいは周辺地域ということも使いながらの放課後の子供のあり方、居場所対策、統一的な取り組みが必要になっているんではないかというように思いますが、いかがでございましょうか。

猪口国務大臣 先生の御指摘のとおり、放課後児童の居場所、これを確保することは子供の安全のためにも不可欠なことと考えております。

 現在、放課後の子供の居場所対策としましては、御指摘のとおり、厚生労働省では放課後児童クラブの取り組み、文部科学省では地域子ども教室推進事業などの取り組みが行われています。

 それぞれは目的が違いますので、この機会にちょっと説明させていただきますと、放課後児童クラブは、保護者が労働等により昼間家庭にいないおおむね十歳未満の児童に対して適切な遊びまたは生活の場を与える事業でございます。一方、文科省の方の地域子ども教室推進事業は、希望する小学生から中学生までを対象にし、学校等を活用しながらさまざまな体験活動を実施する事業でありますので、やはり目的、事業内容は異なるものと理解しております。

 ただ、子供の健全育成の目的という観点からは共通しているわけで、省庁間の意見交換も非常に活発に行われていると承知しておりまして、例えば、放課後児童クラブの実施に当たっては、学校の余裕教室を活用する、また保健室や体育館の学校側の施設も利用できるようになるというようなこととか、あるいは、下校時刻の変更が生じたときに学校と児童クラブとの間に連絡をしっかりととる、協力をするというような連携が行われ始めていますが、私といたしましては、施策の責任を持つ少子化担当大臣といたしましても、子供の観点から、両省がお互いに連携をとるよう、それを促進できるよう、放課後の子供の居場所、そして安全対策について鋭意議論を進めてまいりたいと思っているところでございます。

太田(昭)委員 大きい問題ばかりで申しわけないですが、私がきょう質問したものは、そうした全体像の、一つ一つの質問、答弁というだけで当然終わるようなものではないので、大事な項目の柱で、ぜひともいろいろな幅広い議論をして対応していただきたいというふうに思います。

 ニートについて。ニート、フリーター、私、これは非常に対策が大事だと思っていますが、けさ八時から会合があって、玄田有史さんたちがしゃべったりして、これはそこから出ている。時代をえぐったなかなかの角度だったと思いますよ。

 しかし最近、「「ニート」って言うな!」という本田由紀さんの本を私は読んで、これまた非常に大事で、ニートというのは、ある意味では、不登校、引きこもりということからの延長線上で、どちらかというとネガティブキャンペーン的な、あるいは病的なものとしてとらえる傾向というものは、角度がついているだけに非常におもしろいんですが、しかし、「「ニート」って言うな!」という本を読めば確かにそのとおりで、景気が悪かった、団塊の世代が五十代で高賃金であるということが多いから若者の雇用というものが極めて不十分になってきた、時代の要請の中から正規とアルバイトとそして派遣社員という雇用形態の変化というものがある、それから、企業が非常に苦しかったということで、そうしたことをやろうとして生き残ろうとする、そして女性雇用の増加、人件費縮減への企業のある意味では悪戦苦闘の結果、依然として、学校を経由して卒業時でどのバスに乗るかということが決まってしまうというような、選択がかなり学校卒業時に限られるという雇用、採用の形態、さまざまなものがあって、ニートというもの、あるいはフリーター、どこで線引きができるかわからないけれどもという指摘は、私は非常に正しい、そう思ったんです。

 だから、ニート、フリーターというのを決して病的な現代若者論に転嫁してはならない。政治家としては、むしろ雇用というような角度で、個人や家庭教育のみに還元しない、むしろ政治でこれを引き取るという角度がなければ、政策論的に展開しなければならない、私はそのように思っておりますが、この点についてのニートに対する現状把握や対策で、一言じゃなかなか言えないんだけれども、また、今はもう学者でもないから、そういう点では意見を言いにくいかもしれませんが、言えるところまで言ってください。

猪口国務大臣 先生の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 私といたしましては、いわゆるニートと呼ばれる若者につきましては、本人の意欲といった問題ではなく、あるいはそれだけではなく、先生御指摘のとおり、景気の後退により企業が新規採用を抑制する、あるいは採用する場合もパート、アルバイト等の非正規雇用を拡大していること、さらに、従来の教育や人材育成、雇用システムが社会や労働市場の変化に十分対応できていないことなど、構造的な問題が背景にあると考えております。つまり、構造的な問題が背景にあって発生している、そういう問題であると考えております。

 ですから、政策的な対応が必要なのでありまして、ニートへの対策も含めまして、若者の自立の問題につきましては、若者自立・挑戦プラン、これが平成十五年にまとめられたものですが、十六年にも若者の自立・挑戦のためのアクションプランが策定されまして、これに基づきまして関係省庁一体となって取り組みを進めているところでございます。

 プランの最終年度であります本年度なんですけれども、ニートの対策を強化して、例えば若者自立塾はさらに拡充していく、それから、本年度からの新規事業といたしましては、これは地域若者サポートステーションと呼んでいるんですけれども、若者の職業的自立を支援する、そこに行けばいろいろなアドバイスも受けることができる、ワンストップのようなところなんですけれども、その設置を進めるということを考えております。

 また、より早い段階からは、例えば中学生のころ、職場体験、職業体験、キャリア・スタート・ウイーク、週、ウイークで五日間だけなんですけれども、全国展開して、学校段階からキャリア教育の強化とその意識の啓発に取り組んでいきたいという事業も行っているところでございまして、しっかりと若い世代を支援していきたいと考えております。

 ちなみに、先ほどブレア政権の中での考え方、ワーク・ライフ・バランスについてお伝えいたしましたが、このことにつきましても、ちょっと調べてみましたところ、やはりブレア政権の中でそういう施策の研究がされていまして、そのときの位置づけがこういう表現になっていました。将来の社会的排除の可能性のある若者を早期から支援すべきという考え方なので、本人に責任を追及するというよりは、社会から何らかの形で排除されては絶対にいけない、だから支援が必要である、こういう視点がそもそもの概念化の中でなされていることをお伝え申し上げます。

太田(昭)委員 時間がなくなってきましたから質問は短くします。

 通告していますが、イギリスで、このニート、フリーター対策ということで国家プロジェクトがあって、ラーンダイレクト、コネクションズという二つがあるんですが、この点については参考になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 それからもう一点だけ。女性の再就職支援について条件整備を推進するというのが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

 以上で私の質問は終わりますが、お答えください。

猪口国務大臣 女性の再就職につきましては、女性再チャレンジプランによりまして着実に推進していきたいと存じます。

 また、先生御指摘のラーンダイレクト、イギリスの取り組みですが、これは、基礎学力のレベルにつきましては、日本におきましては小学校教育の中で非常に着実になされていると理解しておりますが、より上の段階のEラーニングサービスのようなところにおいて参考にしているところでございます。

 また、コネクションズにつきましては、実は、先ほど引用しましたのは、ニートの対策としてコネクションズというプロジェクトの中から出てきていますので、そこにつきましては、どのようにそのような不安感を抱えている若者あるいは本来あるべき機会に恵まれていない若者に対して支援ができるか、イギリスの取り組み事例なども参考にしながら、我々の方の施策も充実させてまいりたいと考えております。

太田(昭)委員 終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 官房長官が十五分からということで、まず最初に、国家公安委員長にお伺いをさせていただきたいと思います。

 最近の報道で社会的に全国をにぎわせているのが、警察による情報の流出の問題であります。

 その中から、一度は、警察の方も改革が進み、過去はいろいろあったけれども、今はもうありませんというところまで行った捜査費の問題も、実はまた、さまざま、その流出の資料の中から、捜査費に関する報告書が出てきて、そしてまた、その報告書を実際に確かめてみると、捜査費が払われていないというケースがまた出てきているということもありまして、これは過去の資料ではありますけれども、まだまだ検証が必要ではないかという状況になっております。

 きょう私が取り扱いますのは、その捜査費の中身についてではなく、そもそもの情報流出ということについて、警察庁がどのような改善を考えられているのかということを改めて問いただしたいという思いがあってのことであります。

 といいますのも、やはり、こういった各省庁による情報流出が出てきた、そういうことに対して国民は、それぞれの大臣に、どういった見解を持たれているのか、どういった改善を考えているのかということを期待をしていたというふうに思います。

 その中で、防衛庁が、全職員にパソコンを整備していく、何とか予算を捻出しよう、そして四十億円のお金を出していくという方針を出された一方で、警察庁の方は、いまだ具体的には各都道府県の県費でパソコンは整備をされているところだから、これは各都道府県に要請をしていくしかないというようなお答えしかいただいていないものと私は存じております。

 公安委員長、改めてお伺いをいたしますが、私は、今警察の中におけるパソコンの使用状況といいますのは、公費パソコンが約十万台を超えているわけです。もう十数万台、十二万台ぐらいになったかもしれませんが、そして私物パソコンがまだ七万台以上あるというふうにお伺いをしているところですけれども、こういった問題について、都道府県に要請をするということ以外に、やはり私は、国として責任を持って予算をつける、何らか整備をすべきだということを改めて考えているわけですが、現在の大臣の御認識をお願いをいたします。

沓掛国務大臣 御指摘のとおり、パソコンは業務に必需品となっているものでもございます。しかし、警察といたしましては、都道府県警察においては、パソコン経費等については都道府県の方で調達していただくような形式になっておりまして、現在もそれが続いているわけでございますが、今委員御指摘のようないろいろな問題が発生いたしておりますので、警察庁といたしましても、平成十九年度までに、各都道府県警察において、業務にパソコンが必要な職員に対して公費パソコンを配備できるよう、国費による整備をも検討するとともに、各都道府県警察に対する指導も継続してまいりたいというふうに考えております。

泉委員 今、国費による整備も検討というふうに言っていただきましたが、それはもう既に現在検討していただいていると考えてよろしいですか。検討が進んでいるということでよろしいですか。

沓掛国務大臣 ただいま検討中でございます。十八年度予算となれば予算要求は八月に出すわけでございますが、現在検討いたしております。

泉委員 私も、ぜひそれは、来年度予算の中で必ずつけていただくようにお願いをしたいと思います。

 先日も、京都府警、私の地元ですけれども、その実態について話を聞いてまいりました。京都府警、現在七千四十一名のうち、これは多少増減はあると思いますが、公費パソコンの整備が千八百六十九台、そして私物パソコンが四千二百六十台ということですから、もう二倍以上私物パソコンが現在使われているという状況であります。

 都道府県によって、今、全台整備を進めているというところもございますので、国費で整備をしていくに当たっても、既に現在整備を進めているところが、まあ、いずれ国費で整備されるんであれば、今私たちがやらなくてもいいだろうということになりかねない状況も私はあると思います。その意味では、各都道府県のばらつきを放置をしている状態というのは、やはり私は絶対に好ましくないというふうに考えておりますので、国費による整備を行うという方針は、ぜひなるべく早い時期に出していただくべきだと私は思いますが、今検討をしていただいているというふうにおっしゃられましたけれども、その整備をしていくという方針、これははっきりと明言をしていただけますか。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣の方から、都道府県の経費による整備、それとか国による整備、これをあわせて実施することによって今回の問題を早期に解決したいということを申し上げました。そのとおりでございまして、今申しましたように、制度的には、都道府県がやるというこの制度は変えようがございませんので、この制度の中で、国でやるべきことは国でやる、都道府県でやるべきことは都道府県にやってもらう、こういう組み合わせの中で十九年度末までに当初の目的を達成するという趣旨でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

泉委員 確認をしたいんですが、十九年度末までにといったときに、いわゆる末端のというか現場の警察官にまで一人一人のパソコンを整備するということを考えられているのか、それとも、完全に整備をするといったときのイメージ、これはどの範囲までのパソコンの整備を考えられているんでしょうか。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 今、十九年度末までにどういう姿ができるのかというお尋ねであろうかと思いますけれども、私どもが今計画をしようとしておりますのは、ともあれ、パソコンを必要とする人、この人たちには間違いなく公費のパソコンが行くようにしようということでございまして、職員一人一人、全員に行くかどうかは、これはその都道府県の仕事のやり方、またその職員の仕事の性格等を勘案しながら対応していきたいと考えております。

泉委員 都道府県によっての仕事のやり方というのはある、そしてまた、今現在も一割ぐらいの整備率という都道府県もあるわけですね。ただし、情報流出ということは、どの都道府県、どの警察官にとっても、これから新しいソフトのものも含めてやはりあり得るということを考えれば、やはりそれは整備をしていかなければならないというふうに思いますので、極力、パソコンを使う範囲をまず決めていただくことと、そしてそこにはしっかりと整備をしていくこと、これをぜひ早急に明確にしていただきたいというふうに思います。

 私は、この問題をちょっと調べていて大変不思議に思うのは、県費での整備だからばらつきがあり、かつ、こちらとしては何もできないんだということが今回散見をされるわけですね。

 しかし、改めてお伺いをしたいんですが、大臣、例えば警察手帳、制服、これは何の費用で整備をされているんでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました警察手帳それから識別章というものもございますけれども、こういったものは各都道府県費で整備をされております。

泉委員 そうしますと、同じようなケースは、なぜそういった警察手帳ですとか制服の場合は起こり得ないのか。制服を変えるというのは、都道府県ごとで決めていいわけではないですね。手帳も、各都道府県でそれぞれ好きな手帳を持っていいということではないと思うんですね。ある部分で通達は必ず全国に伝わって、制服は何月何日からということで全部変わっている。にもかかわらず、なぜパソコンだけ、だけとは言いませんが、今問題になっているのはパソコンですね、なぜ都道府県一斉に整備をすることができないんでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 手帳でありますとか識別章でありますとか、これは全国の斉一を期する観点から法令でもってきちんと整備をするということが決まっておりますので、これはある意味で、都道府県は義務的にこれを整備するという形になってまいりますが、今おっしゃられたパソコンのようなものについては、義務的に整備せよという形になっておりませんので、各都道府県警察が必要に応じて整備をするという形になっているところでございます。

泉委員 まさに、今言っていただいたような問題があると思うんですね。法令で整備をするというふうになっていないということが、私、これはやはり、時代に即して警察が変わり切れていなかったところじゃないのかなというふうに思いますし、実は、皆さんもこれを願っておられるんじゃないのかなというふうに思うわけです。

 そういう意味では、例えばパソコン、あるいはプリンターなんかもそうかもしれません。最近は、裁判で使う資料ではどうしてもカラープリンターの方がいいというふうなことが、裁判所なり検察の方から暗黙の要請があるわけですね。そういう中で、皆さんが整備できるのは白黒のプリンターでしかないという実態もあったりするわけです。

 あるいは、これまでは、一一〇番をされて警察が現場に向かう、いろいろなケースの中では、基本的には無線を使うということでありましたけれども、携帯電話を使うケースも非常に多くなっております。私も先日、雇用の関係で春闘のデモに同行させていただきましたら、地元の警察の方々は、携帯電話を使ってデモの交通整理の警察官同士のやりとりなんかをしているケースもあるわけです。決して捜査のためだけに携帯電話を使っているのではなく、広く実は現場では携帯電話というのも使われているケースがあるわけですね。

 そういった意味では、どこからどこまでの範囲、基本的には公費でしっかりと見るのかということについて、パソコン、携帯電話、あるいはこれからさらに開発をされる新しい機器についても法令で整備をしていく必要があるんじゃないのかなというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 今、国と地方の事務分担という問題もございまして、どこまで地方にそれを義務としてお願いするかということはなかなか難しい問題もあって、余り広くそれをやることについては、他方でまた問題も生じるであろうというふうに思います。

 ただ、委員おっしゃったように、公務で使うものは公費で整備せよということはごもっともでございますので、パソコンを含めて、また携帯も含めて、可能な限り整備が進むように努力してまいりたいと考えております。

泉委員 公費パソコンがあること自体、もう既に公務の中にパソコンの使用というのは位置づけられているわけだというふうに思います。そしてまた、捜査資料、いろいろ提出をする資料についても、これはもうパソコンでつくらざるを得ない状況というのは完全に今、各都道府県警にできているわけでして、その意味では、やはり早急に法令での整備、実際に台数の整備ということも一方でやっていただきながら、法令の整備の検討についても、私はぜひ早急にこの検討を行うというふうにしていただきたいと思うわけですが、今後、こういったことについて早急に検討していただくということをお約束いただけますでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、国と地方の事務分担という問題、費用負担の問題もございまして、地方にその義務を課するという意味での地方へのお願いはやはり最小限度にとどめるべきであろうという観点もございますので、なかなか法令で義務づけをすることは難しかろうというふうに思われますが、ただ、今申し上げましたように、公務に使用するものは公費で負担をするということが原則でございますから、そういった原則に合うように、各都道府県警察がきちんと対応するように指導してまいりたいと考えております。

泉委員 最近は、例えば携帯電話、警視庁なんかでいうと、Pモード、ポリスモードというものを導入して、これは公費でやられているものですけれども、携帯電話で、お互いにメールで、例えば現場の写真を写して送信をする、あるいは捜査員が捜査員同士でメールのやりとりをする。電話で話をすれば声が漏れてしまうけれども、メールでやれば声も聞こえないから、捜査には非常に有効だということが、もう警視庁の方ではこれはしっかりとシステムとして始まっているわけですし、石川県警の方でも、全国でこれはやっているでしょうけれども、例えば重大事件などの情報を一般の市民にも流すと同時に警察官同士も共有をするという意味では、こういった携帯の利用も今どんどん警察の中では行われている実態があります。

 しかし、そういう中で、いろいろ都道府県を調べていますと、一通話数百円の手数料というか手当を払ってあげたりですとか、あるいは全く手当を払っていないケースとか、いろいろなこれまたばらつきがあって、幾ら警察官が公務員ですから生活的には安定をしていたとしても、そこからパソコンも借り、携帯電話も借り、実際にはそれが警察活動において使われているという実態については、私は、やはりこれは違和感を感じます。

 そういった意味では、ぜひ公費で賄う分が、今ほど審議官は最小限というふうにおっしゃられましたけれども、それはやはり税金を使用するという観点からすばらしい認識だというふうには思いますけれども、ぜひ一度整理をしていただいて、どこまでを公費で認めるべきか、これはぜひ早急に答えを出していただきたいというふうに思っております。

 また、情報通信部というのが各警察、中央にも都道府県の方にもあるわけですけれども、そこでの無線の使用についても、これからは携帯電話の導入に伴って、役割の分担というものが必要になってくるかというふうに私は感じております。そういった意味で、この無線の整備もこれからどんどん進めていくし、携帯電話の整備にもお金をかけていくしということであれば、情報手段というのは幾つもあった方がそれはいいですけれども、この情報通信部の中で、例えばパソコンの整備というのは、国レベルからどんどん体制を整備することもできるかもしれませんし、そういったこともぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。きょうは、そういった指摘をまずさせていただくことで終わらせていただきたいと思います。

 次に、皇室典範のことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。公安委員長、ありがとうございました。

 官房長官、まず、今国会の所信の表明において、皇室典範については有識者会議の報告をいただき、「皇室典範の改正については、このたびの御慶事も踏まえ、与党を初め国民各層における議論を見守りながら取り組んでまいります。」という御発言をされました。

 実は、これは後に理事会でも多少取り上げられたということはもう御認識をいただいているかと思いますが、「与党を初め」という表現について、前回も我々大島理事から指摘があったかというふうに思います。私も、この皇室典範の議論については、非常に慎重を期して、また、私の認識かもしれませんが、仮にも対決をする、対立をするというような性質のものではないということを考えております。

 もちろん、国民の皆さんの中にはいろいろな御意見があるという中で、当然その中では議論というのも行われていくことになると思うんですが、この官房長官の御認識でいきますと、与党を初め国民各層における議論を見守る、そしてまた、前回の大島理事からの質疑における答弁では、まず与党で議論をして、そこから国民各層へまた議論をしていただくんだというようなことも述べていただいております。

 そういうことでいうと、今後の手順なんですけれども、各党が議論をするというふうに小泉総理の方はおっしゃられているんですね。各党で議論をしていただいて、そしてさらに国民的にも議論をしていただければいいという中で、官房長官はどうも、この与党を初めというところを随分強調されているんじゃないのかなというふうに私たちは受け取るわけですけれども、これは、与党の中での議論を最優先されるということなのか、あるいは各党の議論、これをやはり中立公平に見ていこうということなのか、御認識をいただきたいというふうに思います。

安倍国務大臣 政府が法案を提出する際には、まず、政府案の場合は、それを党において、部会において御協議をいただくわけでございます。そして、その手続を経て、さらに与党で協議をした上で国会に提出をする、こういう手続の側面について、所信において私、御説明を申し上げたわけでありますが、それと同時に、皇室典範の改正は広く国民にも御理解をいただきながら進めるべきという物事の性格の側面、両面から端的に表明をしたものであります。これはもう極めて重要な問題でありますし、また、国民の関心が高い問題でありますから、それぞれ党において御議論をいただいているというふうに思うわけであります。

 まだ法案自体ができていない中にあって、有識者のその結論について、従来よりもこれはやや慎重な形で、まず与党手続においても、この有識者の結論についてまず御検討、勉強会等を今重ねていただいているわけでありますが、そこで議論した後、そうした議論を受けて、政府として改正案をどうするかという検討に入っていくわけであります。しかし、もちろん成案を得れば、当然この委員会におきましても、また国会においても、与野党で深い御議論をいただくことになるだろうというふうに承知をいたしております。

泉委員 そうしますと、過去のというか、通例の、通常の法案と変わらない過程を官房長官はイメージなされているというふうに私は受け取るわけですけれども、果たして本当にそれでよいのだろうかということを今もう一度考えたいというふうに思います。

 例えば、憲法調査会であれば、国会法を改正して、それぞれ集まって慎重にこれまた議論を続けているという例もございますし、あるいは、私は、詳しく制度上、もしかしたら足らないところがあるかもしれませんが、皇室会議の中でこういったことについてお話し合いをしていただくことも考えられないのだろうかということも考えますし、官房長官のイメージの中で、今私が言ったようなことが選択肢の中に入っておられるのか、まずこれをお伺いして、そしてさらに、与党の中で勉強会がスタートをして、与党が法案を作成する、私はこれすらも本当にそれでよいのだろうかというふうに実は思っておりますけれども、もう一度そこの点、確認をさせていただきたいと思います。

安倍国務大臣 法案につきましては、これは閣法で提出をいたしますので、与党というよりも政府として法案を作成いたしていく、こういうことでございます。

 今、その前段階において有識者会議の提言が出されましたので、この提言についていろいろと御議論をいただいている、こういうことでございまして、基本的には従来の政府提出法案と同じように、手続としては、その後政府として改正案を作成していく、そういう段取りになっていくと思っております。

泉委員 それは、官房長官の御意思か、あるいは政府の見解なのか、少し詰めてまたそれもお答えをいただきたいと思うのですが、今言ったような、例えば国会法を改正して調査会をつくるというようなやり方、方法、あるいは皇室会議で御議論をいただくということは検討されているんでしょうか。

柴田政府参考人 まず、私から制度の骨格について申し上げたいと思います。

 国会法の話につきましては、これは国会で議論していただく話でございますから、なかなか政府の立場としては申し上げにくいなというふうに思っております。

 それから、皇室会議で議論をしたらいかがかということでございますけれども、今の皇室典範上は、皇室会議というのは、制度の骨格はもう皇室典範ですべて決まっておりまして、その骨格を維持しながら、皇位継承順位の変更とか、天皇、皇族男子の婚姻あるいは皇籍離脱、摂政の設置など、国会で議決された典範に規定された制度、これの具体的な運用について審議をする。それから、皇室会議の審議事項というのは、もうこの事項に限られているというふうに典範では規定をされております。

 今先生御指摘のお話について考えてみますと、憲法では天皇は国政に関する権能を有しないというふうにされておりますし、天皇が国政に対して影響を及ぼしたと見られることがないように政府としても十分慎重な配慮をすることが政府の責任だというふうに考えております。

 また、皇族につきましても、皇位継承資格を持つ方及びその御家族であるという地位にあることから、憲法の天皇に関する規定と同じように考えるべきだというのがまず基本的なところでございます。

 皇位継承制度は、その法律である典範に定められたものでございまして、国の基本にかかわる重要な問題でありますが、これはまさに国政にかかわる事項だというふうに考えております。そういうことを踏まえれば、皇位継承制度のあり方に関して、皇族が国政に対して影響を及ぼしたのではないかと疑いが生ずることのないように政府は十分配慮すべきだというふうに考えております。

 ちょっと説明が、順序が逆になりますけれども、皇室会議には今二名の皇族の方が入っておられますので、そういうことを踏まえてのお話でございまして、政府としては、典範の改正については、皇室会議を係らしめる制度に改めることは差し控えるべきではないかなというふうに考えております。

泉委員 ということは、調査会については国会の中で決めていただくことだというような御認識だということで、それはある意味国会の方にまた責任はあるんだというふうに思います。

 私は、やはり与党が法案を政府とつくって、それを国会の中で与野党が、賛成だ、反対だと議論するということでは、これは皇室典範の議論になじまないのではないのかなという認識を持っておりまして、その意味では、官房長官の意向というのはやはり与党にも大変大きな影響を持っておるわけですので、与党でまず議論を行っていただくんだ、それをもとに法案をつくるんだという方針については、私はこれは改めていただく必要があるんではないのかなというふうに思っております。

 ぜひこれは、ある意味、超党派でやっていただく課題、それぞれの政党に多くの支持者がまた後ろにおるわけですから、そういった、すべての国民に配慮をした形の議論を進めていくということでいえば、国会で与野党の議論を行うということをすべてとするということでは、私はこの問題を乗り切ることはできないんじゃないのかなというふうに思っております。

 最後に、官房長官、そういった意味での、国会に提出する以前においての与野党の議論、こういったものをこれからもう少し重視していくことも考えられるというようなことをぜひ改めて言っていただくことができればと思うわけですが、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 それでは、少し整理をしながら答弁したいというふうに思います。

 まず、有識者会議の報告が出てきたわけでございまして、現在、この報告をもとに、自民党におきまして議論を、また与党におきまして御議論をいただいているところでございます。

 政府といたしましては、基本的には、その後、この御議論を踏まえまして、慎重にまた国民の御意見に耳を傾けながら、冷静にこの法案の作成に向けて検討をしていくわけでございますが、他方、これはやはり提出をする前に党で話す、そういう考え方につきましては、これはぜひ政党間でお話しいただきたい、このように思うわけであります。

 また、国会での、どういう形で審議をしていくかということにつきましては、先ほど柴田準備室長が答えましたように、院でお決めをいただきたい、このように思います。

泉委員 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 三十分間、質問させていただきます。きょうは、大きくは四問ほど御質問させていただきたいと存じますが、まず、簡単に終わりそうな件からやっていきたいと思います。

 この内閣委員会で、私も、本当に初当選以来もう二年半以上にわたりまして、速度規制についていろいろ質問、議論をさせていただいておりますが、その議論のその後の経過といいますか、今警察が、私がこの内閣委員会で議論させていただいたことについてどのような対応をされているのかを簡潔にお答えいただきたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 速度規制の状況とその見直しにつきましては、これは不断に各県警でやっておるわけでございますが、警察庁といたしましても、今年度からおおむね三年間をめどにこの規制速度の決定のあり方に関する調査研究を行うことにいたしておりまして、それを踏まえまして、さらなる合理的なあるいは適正な規制速度のあり方について検討をしていきたいと考えております。

市村委員 三年と言わずになるべく早く検討をいただいて、不合理な速度規制がありますので、いつも申し上げておりますが、やはり納得いく取り締まりや規制というのがなければならないと思いますので、国民の皆さんが納得いく、恐らく、警察という立場を離れれば皆さんも一人の国民でありますから、こんなのでいいのかなということを思っていらっしゃるはずですので、ぜひとも、本当はスピード規制だけではなくてその他全般的にも言えることなんですが、やはり納得がいく、そういった規制ということを考えていただきたいと思います。

 もうきょうは、これについてはこれで終わります。

 その次に、代用監獄の問題について、これは主に法務委員会の方で御議論がされているとは存じますが、考えてみますと、代用監獄としてあるのは、警察の留置場があるわけでありまして、では、警察としてはどのようにこの代用監獄の問題を考えていらっしゃるのかということについて、ちょっとだけ議論させていただきたいと存じます。もう主に法務委員会でやっていらっしゃいますので、ここでは警察の考え方をお聞きしたいということでございます。

 特に懸念されますのは、今回の法改正で代用監獄が恒久化されてしまうのではないかということが懸念されております。

 まず、代用監獄について、もともと、未決の方の身柄の勾留に対して、本来ではどうあるべきなのかについて、ごく簡単に警察の方から御説明いただきたいと思います。

片桐政府参考人 代用監獄のあり方についてどのように考えるかというお尋ねでございますけれども、我が国の司法制度のもとでは、逮捕、身柄を拘束してから起訴するまでの間が二十三日間、最大二十三日間という極めて短い期間の間に起訴するか否かを判断しなければいけないという、ある意味、国際的には特異な性格を持った司法制度であります。それから、立証の仕方についても極めて精緻な立証が求められる、これは精密司法と言われていますけれども、そういった問題があります。あと、警察が第一次的捜査権を持っているという国もほかにはなかなか例を見ない。

 そういった中で、こういった極めて短期間のうちに警察が適正迅速に捜査を遂げるためには、やはり効率的に捜査を進める必要がある。そのためには、捜査機関と身柄拘禁場所が近接した場所にあって時間的ロスも少ないというか、そういった形になっていなければいけないという意味で、そういった条件を満たす今の仕組みとしては代用監獄制度しかないのではないかというふうに考えて、警察留置場でございますけれども、そういった施設しかないというふうに考えておりますので、我が国の司法制度を前提とすれば、警察留置場を代用刑事施設として使うことはこれは必要であろうというふうに考えております。

市村委員 ちょっと、私が質問したことには実は答えていただいていないわけです。その後に、実は議論を深めた後にそういうことをお聞きしたかったわけですけれども。

 警察の方がどなたかを逮捕し身柄を拘束したとした場合、本来ならばどういう手続をとらなくちゃいけないかということをまずお尋ねしたかったんですが、いかがでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 一つには、刑事訴訟法上、身柄を拘束した場合の勾留場所は監獄という形になっております。それで、今の、旧監獄法でございますけれども、によれば、これは現在も規定は生きておりますけれども、警察留置場を監獄に代用することができるという規定になっています。

 したがって、拘置所に収容する場合と警察留置場に収容する場合が両方あるわけでございますが、どちらに収容するかはこれは裁判官の裁量によって決まるということでございますので、どっちが原則、またはどっちが例外ということはないというふうに考えております。

市村委員 であれば、私が聞いている話では、警察官が犯罪被疑者を逮捕し、引き続き身柄拘束の必要があるとしたときは、四十八時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致する手続をとらなければならない、これが本来の姿というふうに聞いておりますが、では、これは本来の姿ではなくて、今おっしゃったことの方が本来の姿というふうに、もう私の認識を変えた方がいいということでしょうか。

片桐政府参考人 ちょっと説明が不十分でございましたが、逮捕されてから四十八時間以内に検察官のもとに送致しなければいけないということはおっしゃるとおりでございます。検察官は、警察から送致を受けたときから二十四時間以内に勾留するか否かを決定しなければいけない。

 私が今申し上げたのは、この勾留された後のことをちょっと申し上げたのでございますけれども、その前の七十二時間の範囲内は、これは捜査機関が身柄を拘束するということでございますので、留置場に身柄を収容することが原則でございます。

市村委員 ですので、留置場に身柄を拘束することは原則で、結局、ということは、代用監獄については、これは裁判所が決めることだから、特に今、さっき冒頭で御説明されたように、短期間で起訴するか否かを決めなくちゃいけないから、警察としては、これはいい、問題なしと考えているというふうにとらえてよろしいでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 分けて考える必要があると思いまして、逮捕から七十二時間の範囲は、これは警察でございます。捜査機関が身柄を拘束するわけでございますから、警察の留置場に収容する。

 今御指摘の代用監獄問題というのは、勾留された後の身柄をどこに拘束するかという問題で、これが、先ほどちょっと申し上げましたように、刑事訴訟法上は監獄という形になっていますが、他方で、警察留置場が監獄に代用できるという仕組みになっています。

 では、どっちが原則なのかということでございますけれども、これは裁判官の裁量で決まりますものですから、別に裁判官としては、どっちが原則ということは考えていないというふうに思います。

 捜査機関としましては、今申し上げましたように、極めて短期間のうちに起訴するか否かを決定する必要がございますので、我々としては、代用刑事施設制度は必要であるということで考えております。

市村委員 もう法務委員会でこのことは大分議論されていますので、きょうは警察の考え方をお聞きしたいということでございました。

 必要だということはまず認識をしましたが、しかし、今、法務委員会でも大分議論されていますけれども、やはり身柄の拘束については、本来であれば全然違うんですね。留置場はまさに警察の管轄下にあるわけでありまして、今度は拘置所、私も去年大分回りましたけれども、拘置所は法務省の管轄下にあって、やはり未決の方の身柄拘束に当たっては、これはかなり慎重でなければならないと私は思います。

 特に、もう議論されていますからここであえて長くは繰り返しませんが、やはり冤罪とかが生まれやすい環境もあるんじゃないかという指摘もされているわけです、代用監獄、警察にとめ置くことにおきまして。そうやってぎゅうぎゅうやることによって、結局、自白の強要につながって、そして冤罪がつくられているんじゃないかという指摘もあるわけですから、そこについては、やはり未決の容疑者、被疑者といいますかの身柄拘束についてはもっと慎重に。

 早く起訴しなくちゃいけない、短期間に起訴しなくちゃいけないという一方で、人権とかそういうことにも配慮して、やはり問題なしとするのではなくて、警察側の方も、代用監獄というのは基本的には問題だろう、だからもっと大きな流れの中でこの問題を考えていくというような考えの中で、そして今はそうだけれども、未決の方の身柄拘束については考え直して、その中でも代用監獄というのを見直していこうという機運を、やはり気持ちは常に持っていていただきたいと思いますが、それについてはいかがですか。

 それと、これについては国家公安委員長からも御答弁願いたいと思います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、代用監獄が冤罪の温床であるという御指摘があることは我々も十分承知をしております。

 私どもとしても、代用監獄制度が何らの改善も必要ないとは考えておりませんで、例えば、昭和五十五年以降、運用の改善を相当しまして、身柄を拘束する捜査部門とは全く関係のない、捜査を担当しない総務部門、警務部門がこの留置場の業務を扱う、捜査員は全くこの留置業務には携われないとかいうことをやってまいりましたし、施設も相当程度改善をして、現在は拘置所に劣らない、むしろすぐれた部分もあると思いますけれども、施設の改善も進めているという状況でございます。

 さらに加えて、今回の受刑者処遇法の改正によりまして、例えば留置施設視察委員会という外部の方が施設を視察し、また場合によっては被留置人と面接するなどのことによってその運営の透明化を図るとか、また被留置者からの苦情とかそれから不服申し立て制度をつくるとかいった形で透明化を図りながら、さらなる改善を図ってまいりたいということで考えております。

沓掛国務大臣 今政府委員から説明したとおりでございますが、私の方からも説明させていただきたいと思います。

 我が国の現在の刑事司法制度のもとにおいては、迅速かつ適正な捜査を遂行するため、被勾留者を留置施設に代替収容する制度が必要であるというふうに考えております。

 ただ、今委員おっしゃったようないろいろな問題もございますから、この留置施設においても、今の説明のように、留置する人と捜査する人をきちっと部署等を区分して、そしてその留置する方についてもきちっと、いわゆる勾留された人の、そこから出た場合、入った場合などなど、そういう時間的なものもきちっと整理し、就寝時間、起床、そういうものもきちっと規則で決めてやっていくなど、そういう点についてはできる限りのことをいたしております。

 そこで、今委員御指摘のように、今回の出されている法案、またこの代替留置施設、監獄としての留置場について、それが恒久なのか暫定なのかというお話ですが、あくまでもこれは現時点においていろいろこういう決められたものであって、これが将来においてどういうふうになるかということについて、やはりその時点においていろいろ検討していただくということだというふうに理解しております。

市村委員 ここに、未決拘禁者の処遇等に関する提言というのがあります。平成十八年二月二日、ことしの二月二日でございますけれども、有識者会議からの提言でございますが、この中にもやはり、「代用刑事施設制度は将来的には廃止すべきとする強い意見もあること」ということも踏まえた上で、「刑事手続全体との関連の中で、検討を怠ってはならない」とされていますので、この有識者会議の出している趣旨を踏まえて、ぜひともこの代用監獄制度につきましては引き続きの検討を進めていただきたいというふうに思います。

 委員長から、これについて一言だけお願いします。

沓掛国務大臣 今委員言われたとおり、有識者からの提言におきましては、「代用刑事施設制度は将来的には廃止すべきとする強い意見もあることや、刑事司法制度全体が大きな変革の時代を迎えていることなどを考えると、」そして「代用刑事施設制度の在り方についても、刑事手続全体との関連の中で、検討を怠ってはならない」としているところではありますが、その時々の情勢によって、必要に応じ所要の検討がなされるべきものであって、今この現状を踏まえて、直ちに、そういう恒久的であるとか暫定的であるとかという意見は、私の立場としては申し上げられません。

 やはり将来のその時点において、全体を踏まえて、制度も踏まえながら、また新しい時点で考えていただきたいというふうに思っております。

市村委員 では、この件についてはこれで終わります。

 それで、引き続きまして、実は今、行革の推進特別委員会の方で公益法人改革が議論されています。本来であれば、この内閣委員会で議論されるべき課題だ、法案だと私は思っておりますが、残念ながら行革特に行っているということで、私も行革特の方に出張いたしまして、向こうで大分議論をしております。

 その中で、今回、民法三十四条から以降がごっそりと削られて民法の大改正が行われるということで、こんな大改正にもかかわらず、ほとんど国民の皆さんは知らないという中で議論が進んでいます。

 何がこの改正の大きな目的かといいますと、これまで民法三十四条には何が書かれていたかといいますと、この国で法人格を取って公益活動をしたいならば、お上の許可を得なさいと書いてあったわけです。それを百年以上ぶりに今回改正をするということ、これ自体は、ここの内閣委員会の場でも何度も申し上げているように、評価をしています。

 ただ、その改正後の姿が民法三十三条二項になっておるわけでございますけれども、これについて、私としては、せっかく大改正をするのであれば、やはり本来のあるべき姿を反映したような条文であってほしい、このように思っているわけであります。

 三十三条二項はどうなっているかといいますと、「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。」こう書いてあります。

 ここで出てくるのは、例示ということなんですが、公益法人と営利事業を営むことを目的とする法人が出てきます。しかし、本来であれば、営利事業を営むことを目的とする法人の対になるのは、公益法人ではなくて、実は非営利事業を営む法人なんです、でなければならないんです。

 では、この公益法人は何かというと、先ほど申し上げたように例示なんですが、では、あえてその例示を残すということであれば、私はぜひともこの修正というものを考えておりまして、しなければならないと提言をしておりまして、どう修正すればいいかといいますと、「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人を含め、非営利事業又は営利事業を営むことを目的とする法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。」

 こうした方が、やはり、せっかく法人についての大改正をするわけですから、営利事業の対は非営利事業であって、しかも公益事業に関しましては営利にも非営利にもかかわりますから、これを含めて、公益を含めて非営利事業を営む法人、営利事業を営む法人ということにした方が民法としての格も十分上がりますし、非営利、営利という中で一般法も考えていくと概念的にも非常にすっきりと整理されて、今回の財団、社団を含めたいわゆる非営利法人一般に関する今後のいろいろな議論も、きちっとした、民法というものがしっかりとすることによって一般法の議論もしっかり進んでいくんだ、私はこのように思っています。

 きょうは、法務副大臣もお見えいただいていますので、副大臣の御意見、お聞かせいただきたいと思います。

河野副大臣 この件に関しましては、杉浦大臣が行革の特別委員会で何度か答弁をさせていただいていると思います。

 改正案の民法第三十三条第二項、今御指摘いただいた規定でございますけれども、法人にはさまざまな種類のものが存在をする、どのような法人においてもその設立の事項は法律事項であるという原則を宣明したいということでございます。

 それで、法人の例示として、「公益を目的とする法人」と「営利事業を営むことを目的とする法人」というのを掲げております。委員が作成されたという対案を拝見いたしましたが、この案は、法人には非営利事業を営むことを目的とする法人と営利事業を営むことを目的とする法人がある、これは例示というよりは分類ではないかと私は思うんですね。AとAにあらざるものというと、それはすべてというわけでありまして、例示というなら、AがあってBがあってその他がありますというふうに言わないと、これはなかなか例示とは言えないのではないかと思います。

 民法は、私法の基本法でありまして、規定の内容をできる限り国民一般にわかりやすく表現をすべきものであります。このような観点から、現に我が国の社会において重要な地位を占めている株式会社に代表される営利事業を営むことを目的とする法人と、学校法人やNPO法人に代表される公益を目的とする法人の例示として掲げるのが適切だというふうに考えたわけであります。

 先週の行政改革特別委員会の審議で、非営利事業を目的とするさまざまな法人すなわちNPO法人、学校法人、社会福祉法人等を非営利法人制度として統合すべきであるというお考えを前提として、今回のこの修正案を作成されたというふうに思っておりますが、そういう考え方は、理論上はあるんだと思いますが、今の政府の考え方とは異なるわけであります。

 拝見をしました修正案について少し意見を申し上げますと、営利事業という言葉は法令用語として一般的になっておりますが、非営利事業という言葉そのものはまだ法令用語として余り成熟していないのではないかということがあります。

 それから、若干、ちょっと細かい話ですが、営利というのは利を営む事業であります。それに対して非営利というのは、要するに利を営むものにあらずという事業を営むものというのは、何となく日本語としてややこしいのかなという気もいたします。

 それからもう一つは、条文の表現ぶりが、「非営利事業又は営利事業を営むことを目的とする」ということでありますと、非営利事業と営利事業を目的とする法人以外の、何かさらに別の法人があるかのような印象を与えかねない。つまり、改正案の民法三十三条第二項はすべての法人に対して適用されるわけでありますが、A、B、その他といえばそれはわかりやすいんだと思いますが、「非営利事業又は営利事業を営むことを目的とする法人」とだけ書いてありますと、何かそのほかにあるのかなという印象があってもいかぬのだろうというふうに思います。

 ですから、委員の御提案の修正案は、我々といたしましては余りよろしくないのではないか。我々としては、どのような条文表現が適切であるかということは、我々の方がいいのではないかなと。まあ、これは見解の相違と言われてしまうかもわかりませんが、我々としてはそう考えております。

市村委員 いや、大議論をしなくちゃいけないとこれは思います。そういう認識で政府が立たれているということであれば、今回の公益法人改革については大変大きな問題をはらんでいると言わざるを得ません。

 なぜならば、もともと非営利事業という言葉が、なじむかなじまないかは議論があるところだと思いますが、そもそもが民法三十四条で、営利事業と、非営利事業という言葉がなじむかなじまないかは別として、営利と非営利もしくは営利を目的としないとかいろいろ表現はあったと思います。本来であれば、それが併置されていなくちゃならなかったのです、百数十年前に、明治二十九年のときに。ところが、当時の状況から考えて、ああいう国家主義的な国の状況から考えて、恐らくそういう発想には立たなかったのでしょう。だから、公益活動についても許可主義に係らせてやってきたということがあった。

 この間から御指摘申し上げているように、なぜ行革なのか。もともと公益法人というのは民間の組織なんですね。民間の組織がなぜ行革の流れの中で議論されなくちゃならなくなっているのか、そもそもここに大きな問題があったわけでありまして、じゃ、今回大改正するということであれば、当然、あるべき姿を模索して、そしてそのあるべき姿をどうつくっていくかという観点から民法の改正も行われ、かつまた一般法の改正も行われるべきだ。

 そういう立場に立たない限り、本来の意味で、小泉内閣というとまさに構造改革なくしてということをおっしゃっているわけです。構造改革すなわちシステムの改革ですよね。システムの改革をするとうたっている政府が、そういう根本的なシステム改革に思いいたさず、何か場当たり的といってはいけませんけれども対症療法的な、そんな改革に終わらせようとするのであれば、公益法人改革というのはこれは大改革ですよね、というのでは、今の政府がおっしゃっていることの意をなしていないというか、意を体現していないというふうにとらざるを得ないと私は思います。

 ですから、言葉の問題は別として、やはり営利事業と来たら非営利事業と来るのが素直な考えでありますから、当然条文にも、特に民法ですから、そういうものを反映しておかなくちゃいけないと思います。

 そして、例示と私が申し上げたのは、修正前、いわゆる今の三十三条二項の法案が例示だというから、この例示、私は取った方がいいと思っているんです。これは例示を取った方が実はすっきりするんです。民法の格としてはすっきりするんですが、どうしてもこの例示は残したい、これまでの経緯もあって、いろいろな方の要望もあって残したいというのであれば、じゃ、この例示を残しながら、かつ本来あるべき姿により近づけるためにはどうすればいいかということで、私もこの修正案というのをつくらせていただいておるわけでありまして、決して例示という意味で使っているわけじゃないです。分類と言ってもいいと思います。分類という意味でも、おっしゃっていただいてもいいと思います。分類だろうが例示だろうがどっちでもいいんです。

 とにかく、せっかくの大改正をするのであれば、本来あるべき姿に近づけるような条文になってほしい、与党の方でもそういう御議論をしていただきたいという思いで、私は、行革推進特別委員会でも、今ここでも議論させていただいておるんです。だから、ちょっとこれは大きな、きょうは副大臣は初めてこのことを私と議論させていただくと思いますが、これは時間があったら、本当になるほどなとわかっていただけると思うんです。

 だって、私は、これ、別に与野党とかその対立で言っているわけじゃないんです。本当に今の政権の中でやっていただきたい。特に今、小泉政権は、そうやって大きな構造改革を掲げる、新しい社会の仕組みをつくろうという志を持った政権だと私は一人の国民として信じていますから。なれば、それを素直にとらえていただいて、ぜひとも、大改革ですから、もう一度御検討いただきたいというふうに思っているんです。

 今の、副大臣が言われたのは、多分官僚の方がつくられた文だと思いますけれども、これは私からすれば議論のためにしているような反論でした。今の議論は残念ながら余り相手にしたくない議論です。だから、本当に、これは政治家同士の国を思う気持ちで聞いていただければ、なるほどなというふうに思っていただけるはずなんです。

 どうぞ、副大臣、いかがでしょうか。本当に、時間ないのできょうはできませんけれども、これは極めて重要なんです。極めて重要。せっかく変えるならば今変えておく方がいいということになるんですが、副大臣、いかがでしょうか。

河野副大臣 民法を、今度は民法からあれかもしれませんが、要するに、今まであった公益法人というのを、今度は、別にお上が認める認めないでなくて、どんどん民で一生懸命頑張ってつくっていこうという改革であります。おっしゃるように大改革でありますので、これは政府としてはしっかりやっていきたいと思っておりますし、そういう改革にむしろ委員は賛成をしていただいていると私は思っております。

 そういう意味で、何が問題になっているのかちょっとよくわからないんですが、民法というのは六法の中の一つの重要なものでもありますから、それは読んでみてわかりやすい方がいいんだろうというふうに思うんですね。だから、それはやはり、こういうものもああいうものもあって、それ以外のものもありますよと、とにかく、すべからくみんな法律に準拠して法人はやっていきましょうということを書いてあるわけです。

 現行のあれは、前からの民法も踏襲をし、さらに、法人というと一番代表的なのは株式会社でしょうから営利事業というのを並べて書いてあって、要するに、その書きぶりがどうかというよりは、今までお上がやれと言ってやっていた、あるいはお上がやっていいと言ってやっていたことを、今度は別にお上関係ありませんよと言ってやるようになるというその改革が問題なわけであって、私はいい方向へ行っているんだと思います。

 もちろん、その後、税制の問題をどうするかとか、そうしたことも考えていかなきゃいけないでしょうし、今回はその対象のほかになりました、ではNPO法人と今度の新しい法人とでどういう関係になるのか、あるいは将来的にそれをどうしていくのかみたいな議論は残るのかもわかりませんが、大改革と言うにふさわしい改革を政府も一生懸命やっているんだろうというふうに思っています。やっているんだろうというか、やっているわけでありますから、そこはぜひ委員にも御支持をいただいて、なぜこれが行革の特別委員会かという御指摘は、何となく聞いてみて、それは官の改革というよりは民のルールを変えましょうという話ですから、それは行革じゃなくて内閣委員会でも、法務委員会はいろいろ立て込んでおりますから、内閣委員会でやってもらってもいいのかなと思いますが、それは国会の中でお決めになることでございますので政府側がとやかく言うことではございませんが、とにもかくにも、この改革をしっかりやっていきたいというふうに思っております。

市村委員 時間になりますので終わりますが、まさに今副大臣が御指摘されたように、民法というのは大変重要な法律ですから、民法にふさわしい品格を持った条文になってほしいという思いでございますので、もう一度御検討いただけたらありがたいと思います。

 そのことをお願い申し上げて、ウィニーの件で、警察の方、済みません、ちょっと質問時間がなくなりましたので、また改めて質問させてください。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 沓掛国家公安委員長には初めて質問をさせていただきますので、きょうは午後に分かれて一時間十五分、ぜひ国家公安委員長としての御答弁をいただきたい。国会の改革で、私は大臣にしかこの間ずっと質問しておりませんので、国家公安委員長としての明快な御答弁をお願いいたしたい、こういうふうに思っております。

 私、北海道でありまして、この数年北海道では、北海道警察の裏金、不正経理問題、これが大きな課題になって、道民も、警察に対する不信、こういったものを引きずっておるところでありまして、これらの問題を中心として、きょうお尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思います。

 ある面では、警察権力自己増殖といいますか、権力を持っているだけに、これをきちんとチェックする、国民の立場からチェックをするのが国家公安委員会の役割、こういうふうに法律的にはなっております。そういった意味で、今何よりもこの裏金、不正経理問題等については、都道府県にも公安委員会がございますが、いわゆる都道府県警と警察庁の関係といったところからいけば、国家公安委員会の警察に対するチェック、管理監督、こういったものも極めて大事だということであります。過般、警察刷新会議ということで、警察のさまざまな問題についてきちんと管理監督をしていこうということも、法律改正が警察法の改正で行われたところでありまして、そういった意味できょうは大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 資料に基づいて質問をさせていただきたいと思いますが、沓掛国家公安委員長に、この間の岡山県警、愛媛県警の、ウィニーに伴うさまざまな警察内部の情報流出問題について、必ずしも国家公安委員長のこれに対する御見解、国民に対するきちんとしたメッセージが出ておらないと私は思いますので、まず冒頭、この問題についてどのようにお考えになるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 警察におきましては、従前より情報セキュリティー対策につきましては繰り返し指導してきたにもかかわらず、捜査資料等の情報の流出が起きておりますことについては、極めて遺憾というふうに考えております。

 今回の事態を受けまして、緊急対策として、警察庁におきましては、三月七日付で、職場に存在するすべてのパソコン及び外部記録媒体について緊急点検を実施すること、さらに、職務上使用する私物パソコンはもとより、専ら私用として使用するパソコンについてもウィニーのようなファイル共有ソフトを削除させ、これを確認する措置をとること、すべての職員について、ウィニーを入れているパソコンを使用しないこと等、情報管理対策の徹底につき自筆の確認書の提出を求めることなどを定める通達を発出いたしております。

 全国警察職員の一人一人が情報流出の危険性を認識し、情報管理対策を徹底することが情報管理対策上何より肝要であると考えており、警察庁において、今回の緊急対策を徹底し、同種事案の再発防止に万全を期すよう督励してまいりたいと考えております。

鉢呂委員 今大臣からそういう話があったんですが、必ずしも国民に対してこういった情報の流出で多くの被害を与えたことについての大臣の御見解がなかったというふうに私は今お聞きをしたところであります。

 それでは、資料に基づいて大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。

 資料は三ページ、二枚めくって、右下の方にページを打ってありますが、三ページを見ていただきたいと思います。

 これは愛媛県警の捜査関係の流出ということであります。個人のプライバシーにかかわるところは黒で塗っておるところでありまして、平成十四年の六月、愛媛県警の捜査第一課長に対して部下が捜査報告書というものを出しております。これは、平成元年八月に新居浜市で発生した美容師殺人事件にかかわる形で、情報を得たので情報謝礼を交付した状況という報告書でございます。

 この中身は一々お話をしませんが、十四年たっているにもかかわらず、かなりの聞き込みがあったかのような表現を使って、この美容室で隣に、カットに来たんだけれども、その近くにいた人がどうも犯人らしいというようなことを子細に書いてあるところでありまして、次のページの四ページを見ていただきたいんですが、四ページの最後に、私の、この線を打ってあるところであります。最後の三段でありますが、「今後も情報を得るための重要な協力者になると思われ、情報提供謝礼を交付して今後の協力依頼をするとともに、定期的に訪問して協力体制を確立していく事とする。」というような報告書であるわけでございます。

 このような謝礼交付に係る捜査報告書について、国家公安委員長として、これを確認しておりますね。

沓掛国務大臣 愛媛県警察におきまして、現在、流出したと見られる資料等の詳細を調査しているところでありますが、いずれにしても、流出した資料の具体的な内容を前提とした御質問にお答えすることは、ネットに流出した個人情報等が少なくとも警察から流出したものとの確認につながり、また、資料の検索を容易にして情報の拡散を招くおそれがあり、関係者の名誉やプライバシーを保護するという観点から答弁は差し控えたいと思います。

 また、提供謝礼その他の捜査費の個々の執行状況に関する情報につきましては、情報提供者保護の観点から答弁を差し控えたいと思います。

鉢呂委員 今、情報提供者のプライバシー保護の観点のようなお話を大臣はされましたけれども、あるいはこのネットに流出をしておる今の段階で、もう一カ月以上たっておる状況です。私もこれは、こういうふうに、この種の情報提供者の捜査報告書は十五人にわたっておりまして、これはインターネットで私も見させていただいております。十五人です。

 もうこのような段階で、単にプライバシー保護ですとか、そういうことを認めるのはどうだとかという段階を超えておる状況だと思うんですね。愛媛県警でもそういった、何か個人のプライバシーにかかわるからあるともないとも言えないというような県警幹部の発言が新聞紙上で見られますが、そういった状況じゃない。

 この人に限ってみれば、大臣、この美容師殺人事件に限って、この情報提供者に接触をしました。この情報が流出をして世にあらわれる直前に愛媛県警の警察官が来て、あなたに迷惑がかかることがあるかもわからないというようなあいまいな表現で帰っていったということなんですね。ですから、警察もこのような報告書が流出をするということをきちんと受けとめてこの情報提供者に接触をしておるという状況であります。

 私は、この内部についてどうこうということでなくて、やはり情報提供者も大変な被害に遭っている。このようなものが出たら、犯人と思われる者からおどしをかけられるのではないか。これは犯人がきちっと明記されておりませんが、ほかの十五人を見ますとこの人が犯人と思われるというような個人名が明記をされている報告書も随分今あります。これを、このままの状態で、あるかないかわからないという表現で、警察がこのような状態をそのままにしておくというのはやはり問題がある、こういうふうに思いますから、国家公安委員長として、警察の建前ではなしに、こういったものについてどういった対応をするのか、明確に御答弁をお願いいたしたい。

 いや、私はそんなに難しいことは言っておりませんから、後ろからのペーパーがどんどん来ても、きちんと、どういった対応をするのか、大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 現在、愛媛県警察本部を中心にしてこの問題についての調査を実施しているところでございますが、非常にたくさんの量でもあり、その一つ一つについていろいろ検討するというには相当の時間も要しておるのでございまして、そういう前提をひとつ御理解いただきたいというふうに思います。

 今のお尋ねでございますけれども、インターネットに流出した情報の具体的な内容につきましては、当事者の方々の名誉やプライバシーを保護する観点からお答えを差し控えたいが、両県警におきましては、流出した情報の当事者の方々に対して、個々具体的な事情を勘案した上で必要な説明を行い謝罪することとし、一部の方には謝罪したという報告を受けております。その際に、情報の流出により二次的な被害に遭われることのないよう、各種の事案を想定しまして、必要な助言、支援をしていく方針であるとの報告を受けております。

 なお、現在までのところ、情報が流出したことにより当事者の方が新たな被害を受けたという報告は受けておりません。

鉢呂委員 今、この情報提供者と接触をして謝罪もしておるということですが、では、この今の美容師殺人事件に係る情報提供者に謝礼は渡っていたのか、渡っていなかったのか、これは確認していますね。

沓掛国務大臣 今の質問はいただいていなかったので、突然のお尋ねであることから、事実関係を承知しておりませんのでお答えすることは差し控えたいと思いますが、なお、一般論として申し上げれば、情報提供謝礼その他の捜査費の個々の執行状況に関する情報につきましては、情報提供者保護等の観点から公にすることは差し控えるべきものというふうに考えております。

鉢呂委員 この情報提供者はもう皆さんの手で明らかになっておるわけであります。しかも、この提供者は、そんな謝礼は全然もらっていないと。この十五人にも接触いたしました。三人ぐらいはまだ接触できておりませんが、山本次郎さんというような方は、皆さんのところのその中には実名はありません、私の調査では。そういった中で、謝礼を交付されたというような書きぶりをしております。

 あるいは、問題なのは、今、一番最後のところで、定期的に訪問して協力体制を確立していくことが必要であるというような言い方で、この報告書で毎月謝礼を与えるかのような形を求めた形になっておる。これは警察内部の人から聞くと、これによってお墨つきを得て毎月謝礼、金銭を払えるような形になると。しかし、だれを見ても謝礼をもらったという方はいません。そして、今大臣が言われたようにプライバシー保護に、もうなっていないんです。皆さんの過失で、なっていないんです。

 ですから、私は、今大臣は調査を愛媛県警でしておるかのような話をされました。一番問題なのは、この間、裏金があったにもかかわらず、一貫して、警察庁の会計課あるいは警察庁の長官も、こういった裏金の組織的なものはない、あるいは十三年以降は、警察刷新会議で、こういった経理処理はもうとらなくなったというような表現をしておりますが、この十五人は平成十四年から十五年にかけてであります。二、三年前の話です。謝礼をもらっている方はいないんです。これは何らかの裏金をしておるというふうに思わざるを得ないわけであります。

 やはり国家公安委員長として、きちっと、警察庁として、この愛媛県警の、裏金化されておったのかどうか、謝礼が実際に払われておったのかどうか。これは国費なんです。捜査費で、大型の殺人事件等は国費から出るから、警察の内部の話を聞きますと、こういった大型事件が出るとどんどん国費から捜査費が出てくるから逆にいろいろな点で潤うというような声も漏れてくるわけでありますから、ぜひこれは警察庁としてきちんと監査をする、チェックをする、国費捜査費としてチェックをするという観点に立っていただきたいと思いますが、大臣の御答弁、お願い申し上げます。

沓掛国務大臣 まず、その提供者がお金をもらったか、もらわないかという点について最初にお答えしたいと思います。

 情報提供謝礼その他の捜査費の個々の執行状況に関する情報につきましては、これを公にすることにより、協力関係を秘匿することを前提としている協力者の氏名等が明らかになること、また、警察職員と協力者の接触状況等が明らかとなり、その結果として当該協力者等に対し危害が加えられるなどのおそれがあるというふうに考えます。

 また、仮に協力者の中にみずからが協力したことを明らかにしても構わないという方がおられたとしても、警察が協力者の氏名等を明らかにすれば、他の協力者の方々に、みずからが協力したことも明らかにされるのではないかといった懸念や不安を抱かせることとなり、今後の協力者からの情報収集活動の遂行に支障を来すことが考えられるところであります。

 また、今の裏金等については、これは県警本部できちっと調査し、さらに県の監査委員会においてもその結果を適正であったというふうに認定いたしているところであります。

鉢呂委員 大臣、今、秘密はもう既に皆さんの手で明らかにされておるわけですから、秘密保持にはならないんです。この調査をする、あるいは国会できちっと答弁するということについて――後ろから言わないでください。後ろから言わないでください。ちゃんとこれが、大臣の答弁、最初の答弁は全部破綻をしておるんですから、そこを言われても何の説得性もないわけでございます。

 同時に、愛媛県警で調査をしたというふうに言われましたが、このような裏金には至っておりません。あるいは平成十四年、十五年にはなっておりません。単にお茶を、ジュースを買った、そういった費目違いだということで、二百八十万程度の項目違いのもので、返還すべきものであるというような形なんです。

 ですから、私は、先ほど言ったように、これは愛媛県警の問題ではなくて、国費が行っているんです、国費が。都道府県費が使われておるだけではないんです。国費が行っておるだけに、国家公安委員長としてあるいは警察庁として、都道府県、愛媛県警をきちんと指導する、監査、監督をするという条文も、先ほど言ったように、前回の法律改正で強化をされたんですから、これをきちんと実施する、これが大切だと思いますが、もう一度御答弁をいただきます。

沓掛国務大臣 警察庁におきましては、平成十六年度以降、国家公安委員会規則に基づきまして、全国警察を対象とする監査を実施しているところでございまして、これからも厳正な監査を実施していくように指示、指令していきたいというふうに思っております。

 また、愛媛県警察の方が先なんですが、愛媛県警察が平成十年度から十六年度の捜査費執行について調査を実施した結果、一部、不適正な執行、これはいろいろ処理上、手続上の問題でございますけれども、があった。私的に使ったとか、あるいは組織ぐるみの捜査費の不適正使用というようなことは認められなかったという結果が出されて、報告されております。

鉢呂委員 ですから、今、新たな観点でこういう疑惑が出たわけであります。県警の警務部長も、新たな不正疑惑が発覚した場合にはどうするかという質問に対して、具体性のあるものが出たらしっかり再調査をやらなければならない、こういうふうに言っておるわけですから。

 会計検査院、来ていますか。こういった事態に対して、会計検査院としてどういった検査をするのか。会計検査院もことしの会計検査院の報告でこのように言っております。検査所見として、会計経理の基本原則が長年にわたり軽視されてきたことは極めて遺憾な事態である、これは警察の会計についてです。今後新たな同種の事態が発生した場合は、徹底的な調査及び速やかな対処を行うべきだ、こういうふうに言っておるわけでありますから、きちんと、この愛媛県警のいわゆる裏金疑惑、これについて会計検査院として検査をやりますか。

諸澤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 愛媛県警に対する検査についてのお尋ねでございます。

 愛媛県警察では、警察当局の内部調査において、一部の所属に係る十三年度の捜査費等の執行に当たって、領収書の作成に不適正な事態があったとの報告が十六年九月になされました。そして、十七年二月には、県の監査委員会の監査結果においても、執行の事実に疑義があるとされた事案について調査したところ、一部に不適正な執行が認められたというような事態がございまして、当局では、十年度から十六年度におけるすべての所属に係る捜査費等についての調査が行われ、その調査結果が十八年二月までに報告されました。そして、その後、今回先生御指摘がございますような情報の流出に関する調査が引き続き行われているというふうに私ども承知しております。

 私ども会計検査院といたしましては、これらの状況を注視しながら、最終的な調査の結果を踏まえた上で、その内容を検証する検査を実施したいと考えております。

鉢呂委員 大臣、五ページを飛ばして六ページを見ていただきたいんです、私の提出した資料ですが。この六ページ、これも愛媛県警の流出した資料でありまして、事件打ち上げ会費用明細というところまでしか私にはわかっておりません。

 この資料、流出したそのものです。料理六万七千八百三十円、一人前三千八百円というような書き方で、この中で、私が左に打っているのは1というふうに打ってあるんですが、新居浜刑事課あるいは中井管理官、富田課長から寸志ということで、それぞれ一万円。そして、残った各人の負担金額というような形で、枠外に、参加者、東予署六名と新居浜署十一名、十七名で割り返して一人頭二千五百二十二円の負担だと。

 大臣、答弁書見なくても大丈夫です、私そんな細かいこと聞きませんから。これは大臣も確認はしておらないと思います。私も、前回、私の予告したもので、警察がリークしたんだと思うんですが、直前にマスメディアに発表されて、きょうはちょっと質問の予告を抽象的なものにしておりますから、ちょっと大臣には御不便をかけておると思いますが。

 そういう形で、この中身を見ていただきたいんですが、事件打ち上げ会費ということで、これも北海道警察でさまざま問題になりました。こういう形で、表向きはこういう明細を打っておるんですが、どうも今回も、愛媛県警の内部の方に聞いても、いやいや、こんな負担をした覚えはないと。どうもこれは、何か表向きつくるための明細書類のような感じで私は受けとめておるわけであります。

 これも、きょうはこのものについての答弁はできないと思いますが、こういった非常に中身が不明朗な支出のものも多数入っておるということでありますから、これを含めて調査をするべきだというふうに思いますが、大臣の見解をお伺いします。

沓掛国務大臣 現在、愛媛県警察におきまして、流出した情報内容の詳細等について調査を進めているところでありますが、その過程で、捜査費にかかわるもの等があれば、当然これも視野に入れて調査していくことになるというふうに考えております。

鉢呂委員 それでは、資料に基づきまして、その前の五ページを見ていただきたいんです。五ページは、ある警察署長から運転免許管理課長に運転免許に係る写真資料の提供依頼方の文書であります。いや、大臣、答弁は別に答弁資料を見なくてもいいですから、私のこれを見てほしいんですが。

 我々も、こういう形で、警察が運転免許の写真を捜査用務に必要だということで求めて、写真がそちらに行っておるということは、正直言って知りませんでした。ここにありますように、これは黒で引っ張ってありますが、例えば名前が書いてありまして、免許番号も打ってあって、交付の年月日も書いて求めておるわけであります。

 免許証の写真をこういった形で警察が利用するというのはかなり広く行われておるのかどうか、あるいは、それはどういった法的な根拠でなされておるのか。これは事前に質問通告をしておりますから、答えていただきたいと思います。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 運転免許写真を含め、運転免許情報の収集は、運転免許制度の適正な運用を図るという運転免許行政目的遂行のために行われているものと承知しております。

 他方、刑事訴訟法百九十七条は、強制の処分を除いて、捜査は、その目的を達するために必要な捜査活動一般を行うことができる旨定めております。任意の捜査ができるということであります。

 運転免許情報を運転免許行政目的以外で捜査に利用することは、刑事訴訟法第百九十七条といった法令の規定及び都道府県の条例により許容されていると考えております。

鉢呂委員 今、大臣が御答弁になったわけでありますが、免許証の更新のときに、突合するために写真を保管しておるということは間々あるそうです、県警によっては。しかし、これが捜査に使われるということは、ほとんどの国民の皆さんは想定しておらないのではないかな、こういうふうに思うわけでありまして、やはり、いわゆるプライバシーの保護からいって、これが広く行われるということになりますと大変なことになる、私はそういうふうに思うわけであります。

 それでは、大臣、次の七ページを見ていただきたいわけです。

 これはちょくちょく言われるのでありますが、これはいわゆるNシステムと言われるものでありまして、車のナンバーを検索する、自動読み取りをするというシステムでありまして、これも愛媛県警の形で、申請年月日にこういう形で、何月何日から何日までということで申請がなされて行われておる。八ページには、その残りの書類。そして、九ページ等を見ていただければ、こういった形でナンバーを提示して、これは流出をしてしまっておるわけですが、かなり広く、私のこの調査では七日間で約一万台の車のナンバー検索がなされておるということでございます。なぜこれが、こういった一警官のパソコンに保管をされておったのか。

 大臣、いいです、後ろからそんなのをもらったって、今どきそんなのは頭に入りませんから、私の説明を聞いてください。

 次のページ、十ページから、自動車ナンバー自動読取照合業務実施要領というのが警察庁にありまして、私も警察からこの要領について聞かせていただきました。十一ページの一番最後のところから十二ページにかけて見ていただきたいんですが、私の字で1というふうに左に書いてありますが、通過車両データを保管したり消去するにも、警察としてはきちんとした規定を設けております。通過車両データを保管できるのは、運用担当課長や捜査担当課長、次の十二ページに行くんですが、通信指令担当課長という者に限定をして、期間保管だ、一定の期間を経過した後は速やかにこれを消去するというような形をとっておるわけであります。

 いいですか、資料を見ていますか。

 そして、私の字で2というふうに左側に打ってあるところを見れば、第八、安全管理ということで、複写も禁止をされています。これは原則禁止なわけでありますが、コピーは禁止をされておるんです。そして、担当課長は、記録が不要になったものは速やかに消却をする、確実な処分に努めて部外へは漏れないように、漏えいしないように特段の配慮が必要だというふうに明記をされておるわけでありまして、そういった観点からいっても、今回の漏えいは極めてゆゆしき問題である。

 大臣、どのように考えますか。いや、大臣の個人的な考えでいいです。後ろから警察の官僚がどんどん言ったものをただ棒読みは、国民感覚で、国家公安委員会は警察全般を見るわけですから、ぜひ大臣の生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。後ろ、余りいろいろ、一々やらないでください。

沓掛国務大臣 今言われました、いろいろなきちっとした対応に対して、そういうものが流出したということは極めて遺憾なことだというふうに思っておりますが、現在インターネット上にNシステムに関する資料として流出しているものはどうなのかということについて申し上げれば、愛媛県警察において現在、流出したと見られる資料等の詳細は調査しているところでありますが、いずれにしても、流出した資料の具体的内容を明らかにすることは、ネットに流出した個人情報等が少なくとも警察から流出したものとの確認につながり、また、資料の検索を容易にし、情報の拡散を招くおそれがありますので、関係者のプライバシーを保護するという観点からも、この問題についての答弁は差し控えたいというふうに考えます。

鉢呂委員 答弁をしないということは、どんどん国民の皆さんに不信感を持たせます。それは、お役所は、警察庁はそれでいいかもわかりません。しかし、やはり大臣として国民の皆さんにきちんとしたメッセージを発するという観点で、私の方を聞いておいてください、別にそんな難しい話をしておるわけではありませんから。

 このNシステムについては、平成十年の五月二十二日の建設委員会で自民党さんの赤城徳彦さんも質問をしておりまして、これは非常に便利なものではあるけれども、また警察の捜査には有効なものであるけれども、やはり一般の道路の利用者にとってはプライバシーを侵害されるとか、そういった面で心配がある、十分限定的に、配慮した使い方をしていただきたい、こういうふうに質問をして、当時の岡田さんという警察庁刑事企画課長は、大臣、いいです、それを見ないでもいいですから、そんな難しい話はしませんから。警察の企画課長は答弁をしていまして、一定期間保存しても、その期間中、犯罪捜査に必要な場合以外はデータを使用しないようにしておりますし、アクセスできる者は限定をしておりますし、また、消去もきちっとするという答弁をしているんです。

 しかし、こういうふうに安易に、先ほどこれは一九九九年と書いていましたよ、七年前のことが、このウィニーを使った警察官は、愛媛県警でもノンキャリアでは一番の出世頭、四十歳ちょっとで、今は本部にいるというふうに聞いておりますが、パソコンオタクだというふうなことも言われております。しかし、最も優秀な警察官だというふうに私は聞いておりますが、こういった形で、複写されたまま長い間持っておる。さっき言った実施要領の厳格な規定、これにも反しておりますし、どだい、皆さんがこういった一般利用者にもかかわりあるようなことをきちっとした管理をなしに行われておる、ここに大変大きな問題があると私は思うんですね。

 大臣、これはどういうふうに考えますか。

沓掛国務大臣 この問題については、愛媛県警が今の流出した事案等について厳正な調査を今行っておりますので、その調査報告を受け、その上でいろいろ対応していきたいというふうに考えておりますが、先ほども申し上げましたように、警察庁といたしましては、いわゆる全国の県警本部等に対するそういう監査を強力にこれからも実施して、そういう問題の発生しないように全力を尽くしていきたいと考えております。

鉢呂委員 今後の問題ではなくて、先ほど、警察庁刑事局の刑事企画課長がこの検索許可番号を打つことになっていますから、警察庁もかかわっておるんです、これは公益だということもありますから。

 そこで、やはり大臣、今のこの実施要領ではきちんとした機密漏えい、プライバシーの保護になっておらない、漏えいになってしまっておるわけですから、これの管理をきちんと行うということをもう一度警察庁内部できちっとせぬことには、警察はもう本当に頼るのは危なくてしようがないという警察不信にもなるんじゃないですか。

 今そんな、愛媛県に、調査することはいいです。いつまでも調査、調査と言う。私でさえ個人の力でこれだけ集めているのに、何ですか、警察庁は、まだ調査している、調査していると。あなた方は、逃げの答弁でそういうことを言っているだけでしょう。どういった対策をしていくかについて、大臣がきちんと指示をするということについて御答弁をいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 具体的な問題については、先ほど来申し上げたようなことで答弁を差し控えさせていただきますが、やはり一般論として、データの安全管理についてはきちっとした対応を次のように行っているというふうに思っております。(鉢呂委員「いやいや、今やっていても流出したのに、問題があるかどうかのちゃんとした対策をきちっとやりなさいと言っているんですよ、私は。今、一般的にやっても流出しているわけですから。そこは今答弁求めておりません」と呼ぶ)さらに、それを厳正に進めていくということであります。

鉢呂委員 大臣、今やっているから大丈夫だというような答弁では済まなくなっているんです。ですから、今後、こういった流出をさせないためのきちんとした管理体制をとるということについて、検討をきちんとしていくということについての答弁をいただきたいと思うんですが、どうですか。

沓掛国務大臣 岡山県や愛媛県からの流出事案については大変遺憾なことだというふうに思っておりますので、そういうことが起こらないように、警察当局としても、これから全力を挙げて県警本部等を指導してまいりたいと考えております。

鉢呂委員 いや、県警に対する指導だけで済まないんじゃないですか。どうですか。この仕組み自体、いわゆる管理する実施要領自体に問題があるんじゃないですか。どうですか。そんな何度も答弁を求めたくないんですが。

沓掛国務大臣 流出したそのことについての答弁は差し控えさせていただいておりますが、一般的に今何をしているかということについては申し上げていきたいというふうに思います。

 これをさらに強力に進めるとともに、今そういう事案も起きておりますので、それがなぜそうなのか、そういうことを検討する。そのためにも、現在愛媛県で、なぜ流出したのか、どういうことなのか、そういうことを調査しておりますので、そういう調査の報告を受けて、適切に、厳正に対応していきたいというふうに思っています。

鉢呂委員 大臣、きちっと今の事態を見て、大臣として、国家公安委員長としてなすべきことを把握して、指示していただければと思います。

 今回のウィニー流出で愛媛県警は、全職員、全警察官に対して、私物パソコン等の使用禁止にかかわる誓約書を求めております。この中で、これに違反した場合は処分を行うということも明記された誓約書を徴しておるわけであります。それは見なくていいです、大臣、私はうそは言っていませんから。求めておるんですが、愛媛県警内部で一番不満が高じておるのは、今重大な、こういった形をした警察官に対して何ら処分もされておらない。もう一カ月たつんですよ。これはどういうことなんだと。こういう重大なことをやっているのに、誓約書の処分は、皆さん判こを押して出したと思うんですが、なぜ流出させた当該警察官に対する処分はないのか。

 どうも伝えられているところによると、警察の裏金不正経理問題について私は知っていることをすべてばらすぞというようなことも含めて、愛媛県警できちっとした対応ができない、こういうふうに伝えられているんですよ。

 どうですか、大臣、このことについて、当該職員に対する処分、あるいはこの問題についてどういった形になっているのか、明快に答えていただきたい。

沓掛国務大臣 流出させた職員に対してでありますが、現在、愛媛県警察が詳細をこの事案について調査中でもあり、関係者の処分につきましては、同県警察において当該調査をできるだけ速やかに終え、動機、結果、職員の職責あるいは社会に与える影響等を総合的にしんしゃくし、調査の結果、明らかになった事実関係に即して厳正に対処されるものというふうに考えております。

鉢呂委員 まだまだ質問はあります。

 例えば、先ほどのNシステムも、流出した資料に基づけば、過去に犯罪を犯した前科者といいますか、前科者だということだけで、このNシステムで当該する方の車のナンバーを入れ込むというような申請もしておりまして、このNシステムですとか、先ほど言った車の免許証写真ですとか、かなり国民の人権とかプライバシーとかそういうものを侵すようなおそれのある、警察としてその警察権力を、秘密だということで、なかなか外には漏れない、検証されない、チェックされないという中で、そういったことも聞かされておるところであります。

 この問題、さまざまな、三千ページ以上の書類を、これは多くの皆さんがもう見ておるわけでありまして、私はまだまだ指摘することはありますが、大臣として、きょうはほとんど、答弁できないとかあるいは調査中だとか、そういったことが多いんですが、まだまだこの後内閣委員会もありますから、捜査の秘密だとか、その中身がプライバシーにかかわることだといっても、既にこの分については流出をしておるわけですから、明快にこの中身を国家公安委員長として把握をして、そして体制の改革といいますかそれに取り組んでいただきたい、こういうふうに思いますが、答弁をいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 今回の流出事案というのは大変重大な事案というふうに認識いたしておりまして、こういうものがこれ以降起きないためのことをこれからしっかりとやっていきたい。そのためにも、やはり、なぜそういうことが出てきたのかというようなこと等についての愛媛県警本部等の調査、そういうものをしっかりと検討した上で、今後こういうものが起きないための対応、対策を検討してまいりたいと考えております。

鉢呂委員 次は、十三ページを見ていただきたいんですが、私の資料です、最後の方です。

 これは、昨年の十一月十七日、北海道警察にかかわる関係で、いわゆる北海道警察の広報課長さんと北海道新聞の記者さんとのやりとりが北海道新聞の記者さんの手で書かれたものでございまして、ちょっと私がこの中身を言いますので、お聞き取りをいただきたいと思います。私は左の方にマジックで1とか書いておりますので、そこを見ながら大臣もお聞き取りをいただきたいんですが、これは、昨年の十一月十七日と次のページは十八日なんですが、道警の広報課長と記者さんが一対一で面談をしたという内容でございます。

 「お宅の広告局の問題で、」というのは、昨年の春から夏にかけて、北海道新聞の東京の広告関係で五百万の幹部職員の使い込みがあったということを指し示しておると思われるわけでございますが、この問題で「事情を聴く可能性が出てきた。」というふうにこの課長さんは述べまして、2に書いてありますように、この関係で、部長クラスというのは道警の「部長クラスで明日、会議を開いて、お宅」というのは北海道新聞「の案件についての対応を決める流れになっている。」こういうようなお話をされております。

 そして、3に書いてあることでありますが、「道新内部もそうらしいが、うちの内部でも「手打ちした」なんて話がまことしやかに」、この問題です、五百万の広告使い込み事件についての、まことしやかに手打ちをしたというようなことが流れておるが、4に書いてあるように、「捜査することになると、関係先にガサを入れることにはなる。役員室だとかも当然対象になる。」というような表現をして、4の矢印の下の方ですが、うちにもアンチ道新、アンチ北海道新聞が道警の内部にもたくさんいるというような表現をしておるわけであります。

 そして、次の日の、次のページなんですが、十四ページの上の方に、十一月十八日の午後にまた一対一でお会いしたようでありまして、「昨日の例の話、北海道新聞のしかるべく人に事情を聴くことが決まった。」というような表現であるところであります。

 私は、この問題については、既に警察庁に事前にお尋ねをしておりますが、こういった二人の協議があったのかどうか、これについて、国家公安委員長としてどのように聞いているか、お答えをいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 北海道警察におきまして、一方の当事者である当時の広報課長に今の委員の御指摘の点について確認したところ、どの記者に対しても、その記事にあるようなやりとりはしておらず、圧力をかけることや、捜査情報の漏えいに当たるようなことは行っていないとの報告を受けております。

鉢呂委員 警察庁からのお話はそうではなくて、この十一月十七日、十八日に会ったかどうか記憶にないという御答弁だと思いますが、いかがですか。

沓掛国務大臣 二つに分かれておりまして、最後のところを申し上げたんですが、その前段におきまして、御指摘の当時の広報課長は日常的に多くの記者と接しており、いつ、どの記者に会ったのかについては記憶していないとのことであります。

 さらに、一般的に当たってはこうだということを先ほど申し上げたところであります。

鉢呂委員 会ったかどうかわからないというような記憶の中で、このやりとりはなかったと断定する、これはどういうことなんでしょうか。一般的な話じゃないんですよ。

沓掛国務大臣 たくさんの人と会っておりますから、皆さん方も、いろいろな方とお会いして、あの人がどうだったか、どうとかいうはっきりした記憶はないことはいろいろあるというふうに思います。

 この方としては、日ごろから、自分としては、そういう人に圧力をかけるようなことや、捜査の情報の漏えいをするようなことは一切していないので、当然、そういう方に会ってはいるかどうかわかりませんけれども、そういうことをするはずがないという回答だというふうに理解しております。

鉢呂委員 いつもそうだから、会ったことがないかどうかわからぬけれども、そういうことはないと。これは余りにも説得性のない話でありますよね。

 大臣、ちょっと中身をもう一回見てほしいんですが、例えば、先ほど言ったように、1の、これはさっき読みませんでしたが、二段目といいますか、道警内外から、なぜあの案件をさわらないのか、あの案件というのは道新の使い込み。あの案件をさわらないのかという声が出てきておるというような話。2のところに、「お宅の案件についての対応を決める流れになっている。」そして、3の少し上の方ですが、線を引いていないんですが、「当然、うちと道新との間にはこの問題以外の問題もあるから、政治的な判断もある。」こういう言い方をしているんですね。先ほど言ったように、北海道警察の中には「アンチ道新がたくさんいるから。」これは、警察が何か不当な圧力をかけたというような表現にしか見えないんですが、大臣、いかがでしょうか。

沓掛国務大臣 御指摘のような取材メモにつきましては、北海道警察は承知していない旨の報告を受けております。

 なお、北海道警察においては、一方の当事者である当時の広報課長に確認したところ、今、先ほど申し上げたように、どの記者に対しても、その記事にあるようなやりとりはしておらず、圧力をかけることや、捜査情報の漏えいに当たるようなことは行っていない旨、報告を受けております。

鉢呂委員 大臣、報告を受けておるという形でありますが、今、大臣も初めて見られたと思います、この文書は。事前に見ましたか、どうですか。

沓掛国務大臣 今ここで初めて見ました。

鉢呂委員 私は、きょう、北海道警察と北海道新聞に、公開質問状という形で内容証明の申し入れをさせていただきたいと思っていますが、やはり、マスメディア、マスコミという公の立場に対して、大臣は、まだこれを、北海道警察はこういうことはやっていないという報告だけですが、非常に個別具体的であります。

 大臣は御承知かどうかわかりませんが、北海道警察は、一昨年来、組織的、慣行的に、大がかりな、長年にわたって裏金経理をしていたということで、これを認めて、返還をするというような形で、また、マスメディアもこれを一斉に長期間報道したという経過がございます。そういう流れの中で、これはもっと中身は具体的に書いていまして、○○さんに具体的に伝えてほしいという形であります。

 これは、警察庁としても、マスコミと警察、都道府県警との関係ですから、国家公安委員長として、こういうことはあってはならないというふうに私は思うんですが、きちんと調査をするということはやっていただきたい。単に都道府県警のことをうのみにするということであってはならない。

 後ろから聞かなくてもいいですが、国家公安委員長は、警察庁とはまた一線を画した、国民の立場からのチェック機関であります。ですから、こういう問題について、国会で私が具体的にこういうふうな質疑を交わしておるわけですから、これに対して調査をする、国家公安委員長として、きちんと警察庁に正確な調査をするというふうに指示を出すということの御答弁をいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 この事案については、北海道警察、県警本部において適切な措置を講じていくというふうに考えております。

鉢呂委員 適切な措置ということはいいんです。

 しかし、大臣はこの間の経緯はわからないかもわかりませんが、道警は、長年行われていた不正経理については当初は全面否定をこれは公式の場でしておったわけであります。

 国家公安委員長も知っていらっしゃると思いますが、釧路方面本部長もやられた原田宏二さん、これは警視長という警察の中でも最高の幹部の方が、こういった裏金、不正経理が長年行われておったということを告白いたしまして、北海道の監査委員も監査をきちんとしまして、会計検査院もやられたわけでありますが、そして、これが全署員、本部の全課、ほとんどの課で不正経理が行われていた。先ほどの愛媛県警のようないわゆる架空の領収書で謝礼を払っておったと。実際は払わずにそれが内部で使われておったり、あるいは私的流用も大変あるというふうに言われておりまして、まだ札幌地検でこれが捜査をしておるという状況もあるわけでありますが、そういった中で、マスメディアが相当、北海道新聞を含めて、この問題を指摘してまいりました。

 そういった中で、こういったやりとりがあるだろうと。これは大変な重大な問題でありまして、やはり国家公安委員長としても、この問題をきちんと県警に指示して、全容を解明するように指導性を発揮していただきたいと思います。

沓掛国務大臣 今委員言われたようなことについて、いろいろ本人等に確認した上で、圧力や捜査情報の漏えいはなかったと報告を受けております。北海道で調査すべきもの、道警で調査すべきものというふうに考えております。

鉢呂委員 この今の捜査情報の機密漏えい、この問題も、もう一度今のこの資料を見ていただきたい、メモを見ていただきたいんですが、先ほど言ったように、警察本部の部長クラスがあした会議を開くとか、2に、私が打ってある番号のところで、先ほどの繰り返しになりますが、「部長クラスで明日、会議を開いて、お宅の案件についての対応を決める」とか、役員室も含めてガサ入れをするとか、さまざまな具体的な捜査に触れる情報を、一方の被疑者になるんでしょうか、その関係に漏らしておるというような形が見えるわけでありまして、国家公安委員長は断定的に、いや、捜査情報は漏らしていないと。ただ、向こうがそう言っているだけで、こういったふうに具体的なメモがあるんですよ。どういうふうに考えますか。

沓掛国務大臣 私の方といたしましては、本人に確認した上で、先ほど申し上げたような、圧力や捜査情報の漏えいはなかったという報告を受けておりますし、当然、これは北海道警として調査すべきものでございますので、北海道警で調査してこれを進めてもらう。また、それについて、全国的に、先ほど申しましたように、警察庁として、いろいろな監査は全都道府県の県警本部等についてこれを実施しておりますので、そういうものを強化しながらこの問題に対応していきたいというふうに考えております。

鉢呂委員 国家公安委員会の使命は不当なそういった捜査とかそういうものをチェックするということで、いわゆる民主的な警察を構築するという意味合いのところでこの国家公安委員会ができたわけでありまして、その意味合いをもっと発揮しなかったらだめだというのが、警察刷新会議を経て、この内閣委員会でも論議になった警察法の国家公安委員会での強化。

 私ども民主党は、やはり単独の事務局をつくらなきゃだめだと。全部手足が警察庁から派遣されたのではきちっとした独自の形はとれない。しかし、法律的には、警察法の十一条でしたか、きちんと国家公安委員会が監察の指示を警察庁やその関係に出せるように条文上はなっておるわけであります。あの警察の不祥事がさまざまあった中でこういった強化をしているわけであります。

 ですから、沓掛国家公安委員長を先頭にしてやはりその実を発揮しなければ、いつまでもこういった問題が起きてくるというふうに思うわけであります。そっちは見なくてもいいです、もう時間がありませんから。

 大臣、何が問題かといいますと、大臣、読まなくてもいいです、警察というのは、大臣もおわかりのとおり、正義をきちっと正すということですよね、大臣。正義を正すのが警察です。不正をきちっと捜査して、そして全容解明する。ですから、国民の皆さんの協力も得なければなりません。先ほど言ったような協力者というのもある面では必要です。

 しかし、長年、しかも、組織的にこういった裏金をつくっておったと。これはぼんぼん出てきますよ。先ほど愛媛県警も、何もないというのが二百八十万、ちょっと経理がおかしかったというようなことでの内部調査の報告があります。しかし、高知県警では約三割近くが不正経理だった、返還しなきゃならない、こういう事例も出てきています。今回は追加的に愛媛県警、いやいや、あの調査はずさんでなかったか、こういうふうに我々は受けとめざるを得ない状況でありますから、大臣として、この北海道新聞の、警察の不当な圧力のような形の問題について、国家公安委員会委員長としても、厳正に調査をして私ども国会の場に提示するということが必要だと思いますので、また午後に質問を回しますが、よろしくお願い申し上げます。

 終わります。

佐藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十四分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 午前中に引き続きまして、国家公安委員長に御質問をいたしたいと思います。

 午前中の国家公安委員長の御答弁は、私にとっては非常に不満でございます。

 内閣委員長のお許しを得て、午前中、私、一件のこの情報提供者の捜査報告書しか、それも名前を消してプライバシーを守る形で提示をさせていただきましたが、ここにその十五名の情報提供者の全員の報告書がございますので、国家公安委員長にこれをきょう差し上げますので、ぜひ、今お聞きいたしましたら、警察庁の警察官僚の皆さんから全部この資料が来ておると。先ほど私も言いましたけれども、国家公安委員会は、いわゆる警察権力といいますか、そこに対して国民の視点からきちんとチェックをする、法的にも監察、監督をするという重大な使命があるわけでありまして、きょう、この十五人の提供者、これは捜査資料がきちっと、被疑者についても個人名が明記をされております。

 先ほど私言いましたように、七番目の山本次郎さんという方は、番地からいきますとまさに被疑者の隣の番地でございまして、ということはすぐ近接の方でありますが、全く実在をしておりません。したがって、私は先ほどお名前を言ったわけでありますが、これを国家公安委員長にきょう御提示しますので、ぜひ国家公安委員長の権限で、大臣、読まなくてもいいですから、御答弁は要りませんから。国家公安委員長の権限で警察庁を指揮していただいて、そして愛媛県警に対してもきちんと指導して、まだ内閣委員会で警察庁所管の法案もありますから、また私の質問もあると思いますので、その際に、この調査の結果も大臣から直接お聞きをいたしたい、こういうふうに思います。

 これはマル秘でございますから、他に漏えいされないようにぜひ調査を断行していただきたいと思いますので、委員長、よろしいでしょうか。

佐藤委員長 内容をまだ私は見ていませんので……(鉢呂委員「いや、委員長にも見せられませんが」と呼ぶ)

 ですから、後ほど理事会等にかけまして、検討させます。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を起こしてください。

 今申し上げましたように、今提出されました資料は、今の今ですから、これにつきましては理事会で取り扱い等を検討させていただきます。

鉢呂委員 それでは、時間が経過いたしますので、資料に基づいて質問をいたします。

 私の先ほど提出した資料の一、一ページ、二ページをごらんいただきたいと思います。

 これは、北海道警察の内部調査で情報公開されておるところでございまして、いわゆる平成十年から平成十五年まで、北海道警察にかかわる捜査費、捜査報償費、旅費等について、八百署、トータルでありますが、ほとんどのところでいわゆる不正経理があったという中から、典型的な、ほぼどれも同じなんですけれども、平成十一年度の倶知安警察署、それを御提示させていただきました。

 この一ページの左端の方に1と書いてあるところ、「捜査活動に要した経費」というのが左上の方に、四段目ぐらいにあります。金額で、合計1プラス2で六十万という数字が出ておると思います。

 これは、大臣、この六十万というのは、北海道警察は不正経理を認めて返還をする金額があったのでありますが、この「捜査活動に要した経費」の欄は、返還をしないという形で終わったところでございます。

 その答弁書は、大臣、ちょっと別にして、大丈夫です、そんな難しいこと聞きませんから。

 資料の二ページ目をちょっと見ていただきたいんです。この二ページ目に、今の六十万の内訳が書いてありまして、中ほどのところに私のマジックの字で2、3、4と書いてあると思います。

 2は、警察の署長が、運営費というのはいわゆる裏金化をしてさまざまな費用に使うということで、これは捜査費、捜査報償費から運営費を捻出していたという署長の供述といいますか、説明であります。そして、非常に字が小さいんですが、これは警察庁からいただいた分析表なんですが、この2に、次長、この場合、川崎さんという次長は、この捜査費、捜査報償費から一〇から二〇%控除して、運営費として充てたというふうに書いてあります。

 そして、3に書いてあるのは、運営費以外のところで、黒墨でありますからどういう関係の方かちょっとわからないんですが、この文章からいきますと課長職だというふうに思いますが、課長は次長から月二から四万円を受領したと、小さい字ですが書いてあります。しかし、その課長はこれをさらに捜査費で一万円くらい交付した。そのことを受けとめて、黒墨が多いんですが、受けとめた方は、毎月課長から六、七千円受領し、主任も五千円ぐらい受領した。この中で、二から四とか、六、七千円とか、五千円とか、食い違いがあるんですが、最終的に月々一万円というものを認定して、この受領金額、年額十二万だというはじき方をしておるわけであります。4も同じような形です。非常に、月々の金額、変動がある中で、一万円。一万円というのは、最低一万円という形で見立てたということであります。

 私は、こういう形で、これは一々質問はしません、領収書もない、それから関係の物証、物的な証拠書類もないという形で六十万円が認められて、返還の対象にもなっておらないわけであります。

 これからが質問ですが、国家公安委員長として、このような領収書もない中で、返還しない金額として認められるかどうか、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 今、委員から御説明のありました捜査活動に要した経費、2ですか、六十万円についてのお話でございますけれども、この北海道警察による特別調査の結果、策定されました捜査用報償費等執行分析表でございますけれども、その中の捜査活動に要する経費とは、不適正な予算執行、手続上は確かに不適正ですね、十分でなかったことはあるんですが、その不適正な予算執行のうち、その使途について確証が得られたもので、協力者への情報提供謝礼、あるいは協力者との接触費、張り込み中の夜食代等、捜査活動に使用したものであると承知いたしております。

 どういうふうにして調べたかということについては、北海道警察においては、関係者の説明内容あるいは備忘録あるいはメモ等から、捜査活動に要した経費、そして支出されたものと認めたものでございまして、このことについては、いわゆる北海道警の調査、あるいはまた道の監察委員の調査、監査等においても、このことが了承されているものでございます。

鉢呂委員 今、お手元の答弁書を読んだようでありますが、確証に当たらないと。

 今大臣の言われた返還すべきものは、一ページの中ごろから下段の分は全部返還しておるんです。それは、今大臣言われたように、いわゆる関係者から聞いて、こういう形で出しておると。

 しかし、これは返還したものでありますから、私は、それは非常にあいまいでありますけれども了としても、返還しない、この1というふうに打ちました「捜査活動に要した経費」六十万円、これは今道警で調査した、先ほど言った説明のように、課長は次長から月々二から四万円、幅があるんですね。受けた方も非常に幅がある。しかし、月一万円というふうにこれを確定して、年間ですから、この場合は十二万という形で、これは返還の対象にしておらないという形をとったんですね。これは、どう見ても、今大臣の説明では説得性のあるものにはなっておりません。これは返還しない形なんですよ。

 もう一度、私は普通の感覚で言っているんです、そんな答弁書を見なくても大丈夫です。二から四万円あるいは何千円くらいとかという形の説明が、最終的にその最低額としての金額で確定をして、そしてそれは返還をしないでもいいものになっておるわけであります。

 今大臣が言われたように、協力者に対する協力金として支払ったというようなことも説明はされております。しかし、それも月々何万円くらいを協力者に払ったという大変あいまいなものです。何か、協力者からの領収書、すべてがとれないという御事情も道警、警察庁、言っておりますが、しかし、この確定した中では全然領収書はないわけであります。

 もう一度、私の今の説明に基づいて、大臣としてどういうふうにお答えになるか。

沓掛国務大臣 確かに、領収書等がとれれば、それは一番申し分なかったというふうに思いますが、領収書等のないようなものもきっとあったでしょう。それは、やはり手続上は必ずしも十分ではなかったと思います。

 ただ、いわゆる警察目的のために使用されたという、法令上の使途については問題がないというふうな北海道警のそういう確認、またその他のいろいろなところの確認、そういうものによって確認されたというふうに思っておりますし、先生言われたように、やはり返すものについては、ある程度使途がはっきりしていても非常に厳しく、これは公費で持つべきかどうかという疑問のあるようなものについては全部返還することにいたしました。また、証拠が得られないというものについても、いろいろなことが、その証拠的なものも提供されたりしたけれども、非常に厳格にこれを確認して、そういう疑わしきものはすべて、これは証拠が得られない、あるいは公費で不適切であるという裁量のもとに整理されたというふうに聞いております。

鉢呂委員 今の返還をしない捜査活動に要した経費は、大臣、一枚も、一件も領収書がないんです。たまさか、協力者の命にもかかわる、受領の領収書を切るのも拒否をされたという件はあると思います。それは私ども認めてもいいんですが、六年間にわたって返還をしない、これは全部でトータルで約三億円強になるんですが、この中には領収書は一枚も提示されていないんです。一枚もないんです。今の大臣の御答弁とは違うんです。一枚もないものを、返還をしないでよい、そういったものとして認めるということにはならないわけであります。

 会計法においても、大蔵省令の形でも、私は平成十六年、内閣委員会で質問いたしましたが、領収証書を徴取しなければならないという省令があるわけでありまして、何枚かのうちに一枚か二枚とか、二、三割もないということであってもいいんですが、一枚も領収証書、証拠物件、これがない中で、全体で三億強が返還をしないで認められたものとしてここに計上されておるということは、私はあってはならないと思いますが、大臣、御答弁をいただきます。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 北海道警察における調査結果におきまして執行の確証が得られないとされた額は、今委員御指摘の三億九千万円分ございますが、これについては、返還額を過小に評価することがないよう、捜査員の説明や関係資料等を厳格に評価することとした結果であるというふうに承知いたしております。

 具体的には、確証の得られたものについては、不適正な予算執行が認められた部署における捜査費等の使途に関しまして、捜査員からの聴取、備忘録やメモ等の照合、複数の関係者の説明の突き合わせなどにより、捜査活動に要する経費、交際経費、激励経費等について確証の得られたものを積み上げたものでございまして、全般的に見て、手続的には不適正なものがいろいろあったけれども、その中の使い方について適正であったかどうかを捜査員から聴取したり、あるいは備忘録やメモなど、そういう複数のいろいろな資料を突き合わせて、その上でこういう判断をしていったものであり、それはそれなりに適正であったというふうに思います。

 領収書についていえば、それは確かにそうするのが一つの手続上のものではあったというふうに思いますが、それでなくて、やはり捜査費という特殊事情もあったんだというふうに思いますし、そういうことで、手続上は問題はあるけれども、捜査費としての使途、この予算の使途そのものについて、法令上違反はなかったというふうに理解いたしております。

鉢呂委員 時間が過ぎましたのでこれで終わりますが、今の答弁は的が外れておる、これはもう一目瞭然としておりますから、また次回、先ほどの件も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 終わります。

佐藤委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内博史でございます。

 ちょっと入れかわりに時間がかかるようでございますので、ちょっとここで水をくませていただきます。(発言する者あり)いえいえ、もういきなり質問に入りますので。

 官房長官がおいでになられましたので、では、官房長官にまずお伺いをさせていただきます。

 四月四日の行政改革特別委員会で、私は、小泉総理が、昨年十二月二十四日に閣議決定をされた行政改革の重要方針の中に記述をされております、基本概念でございます「小さくて効率的な政府」という言葉が、ことしの一月二十日の施政方針演説では「簡素で効率的な政府」という言葉に変わったということを申し上げました。

 「小さくて効率的な政府」が「簡素で効率的な政府」という言葉に変わった、この二つの言葉の意味は同じでしょうかということを安倍長官にお尋ねをいたしましたところ、安倍長官は、よりわかりやすくしたわけであるが、意味は当然同じ意味であるというふうに御答弁をいただいたと理解をしております。「小さくて効率的な政府」「簡素で効率的な政府」というのは、よりわかりやすくした、意味が全く同じ言葉であると。

 そうしますと、そこで私が申し上げたことは、小さな政府という言葉、自由民主党の政調会長でいらっしゃる中川先生のホームページにも、小さな政府を目指すということがはっきりと書かれてございまして、そういう意味では、この小さな政府というのはどういうことなんだろうというふうに思いまして調べたところ、用語辞典によれば、この小さな政府というのは、個人の自己責任を重視し、国家による社会政策を最小限にする考え方である、小さな政府の政策においては、格差の拡大は是認されるということを書いてございました。

 小泉総理は非常に正直に、格差の拡大は悪いことではない、それ自体が悪いことではないというふうにおっしゃられていらっしゃったわけでございます。

 そこで、安倍長官にお尋ねをさせていただきますが、安倍長官は再挑戦ができる社会というものを提唱され、みずからそのリーダーシップを発揮されていらっしゃるわけでございますが、この再挑戦ができる社会というのは、今後格差が拡大していくということを前提にしておっしゃられていらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。

安倍国務大臣 格差につきましては、もう既に何回か御議論の中で、総理からも答弁をいたしておりますし、私からも答弁をいたしている次第であります。格差については、政府は、統計学的には、マクロ経済的にはその格差については認められないという立場でありますが、しかしながら、例えば地域間で格差を感じている人たちがいるのも事実でありますし、産業別に見ていくと、格差が出てきた、こう感じている人たちがいるのも事実なんだろう、このように思うわけでございます。

 そこで、格差については、結果の平等を目指しているわけではないわけでありまして、頑張った人が、汗を流した人が、一生懸命知恵を出した人が報われる社会をつくっていく、フェアで公平公正な競争が行われる中で、活力が出て、経済が押し上げられ、そして国の力も上昇していく、そういう社会をつくっていくというのが私たちの目的であります。

 では、この格差についてでありますが、この格差がこれは不等な格差であると感じるような格差はつくってはいけないということであります。そして、この格差についても、大体何となく許容されるものというのがやはりあるんだろうというふうに思うんですね。

 日本人というのはもともと農耕民族で、水を分け合って稲作をしていくという民族ですから、そもそも助け合っていくというのが我々のDNAの中には入っているのではないか、こう私は思っているわけであります。そういう観点において、やはり、助け合いも大切にしていかなくてはなりませんし、格差ということについても我々はそれなりに敏感でなければならない、こう思っているわけであります。

 そこで、最初に申し上げました、頑張った人が報われる社会の中で、時には勝つこともあれば、負けることもあるのであって、要はそれが固定化されないことが大切であって、固定化していくことによって、階層化、階級化していく、あるいはこの社会もダイナミズムを失っていくということにもつながっていくわけでありまして、私がこの再チャレンジの可能な社会をつくっていくということは、だれもが何回も挑戦できる、一度会社をつぶしたからといって、それで終わらない、一巻の終わりではなくて、もう一度チャレンジできる、あるいは、不幸にして会社がつぶれてしまった、職を失った人が頑張って何か職業訓練を受けたりしていけば、もう一度容易に仕事につくことができる、あるいは、十八歳で受験に失敗したことが人生を決めない社会をやはりつくっていくことではないか、そういう観点から申し上げたわけでございます。

川内委員 フェアで公平公正な社会をつくっていくという官房長官の御答弁は私も全く同感でございます。そのフェアで公平公正な社会をつくっていくという大目的に、政府の打ち出す施策が合致しているのか否かということは、今後十分に吟味をしていかなければならないし、しっかりとまた議論をさせていただかなければならないと思います。

 そこで、では、郵政民営化というものが、果たして国民にとってフェアで公平公正な社会をつくっていくことにどのように役に立つのかという観点から、幾つか聞かせていただきたいというふうに思います。

 私が四日の行政改革特別委員会で竹中郵政民営化担当大臣にお尋ねをいたしましたところ、郵政民営化法第二条の基本理念、あるいは第三条において、公社及び公社を継承する組織はこの基本理念を有する、基本理念というのは国民経済の発展に資するという基本理念でありますが、この完全民営化後、郵貯会社、郵保会社の株式が完全処分された後は、郵便貯金銀行、郵便保険会社はこの基本理念を有しないというふうに竹中大臣は御答弁をされました。要するに、国民経済の発展に資する、あるいは地域の経済の発展に資するという基本理念を郵貯銀行、郵保会社は持たなくなるんだというふうにおっしゃられたわけでございます。

 民営化されて完全に株式会社になれば、株主のために活動する会社になってよいということなのだろうと思いますが、果たして、大変な資金量を持つ、そしてまた預かり資産を持つ郵貯銀行、郵保会社がそのような、ただ単に経営の論理、株主の論理だけで動く会社になってしまってもよいものなのかどうか。私は、甚だ、竹中大臣の御答弁を聞いておって、ちょっと違うんじゃないかというふうに感じたんです。

 そこで、官房長官にお尋ねをしたいんですが、政府は、この郵政民営化法の前身として、平成十六年九月十日に、郵政民営化の基本方針というものを閣議決定されてございます。そこの一番という項目に「国民の利便性を最大限に向上させる。」という方針を示されていらっしゃいます。

 この平成十六年九月十日の閣議決定の政府の方針は、やはり竹中大臣の答弁のとおり、郵貯銀行、郵保会社が完全民営化された後には関係ないということになるものなのかどうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

安倍国務大臣 完全民営化後については、郵政民営化法も、郵政民営化の実施に必要となる事項を定めることにより、これを集中的かつ計画的に推進することを目的としており、郵便貯金銀行、郵便保険会社が完全民営化された後には、その目的を達成し、郵便貯金銀行、郵便保険会社に対する郵政民営化法上の規制はなくなり、一般の銀行、保険会社と同様の法規制に服することになる、このように理解をいたしております。

川内委員 私のきのうの質問通告がちょっと不十分だったのかもしれないんですが、民営化法上のことは竹中大臣にせんだって御答弁をいただいておりまして、法律上は、郵便貯金銀行、郵便保険会社は、完全民営化後は民営化法の二条、三条の基本理念を引き継がないということは御答弁いただいているんですが、私は、それに対して疑問に感じておりまして、平成十六年九月の閣議決定、郵政民営化というのはそもそも「国民の利便性を最大限に向上させる。」ということが目標であるという基本方針が示されているわけですけれども、この閣議決定の政府方針も、郵便貯金銀行、郵便保険会社は、完全民営化後はもう全く関係ないということになるんでしょうか。

 そうすると、民営化は国民の利便性の最大限の向上をするんだということだったんですが、それとはもう全く関係ないということになれば、貯金銀行、保険会社は、どんどんもうかるところだけをやればいい、株主のために、あるいは経営者のためにやればいいということになってしまうわけでございまして、それでは、安倍官房長官が先ほどおっしゃられた、フェアで公平公正な社会をつくっていくという大変すばらしい理念に若干そぐわないのではないかというふうに考えるんですが、いかがでございましょうか。

安倍国務大臣 その閣議決定につきましては、突然の御質問でございまして、私ども、閣議決定をちょっと今確認いたしております。

 それで、この件については、今、閣議決定がこちらの手元にないものでございますから、閣議決定をもう一度精査させていただきまして、改めて答弁を整理させていただきたいというふうに思います。

川内委員 どうも済みません。よろしくお願いをいたします。

 それでは、もう一問、実務的なことをお尋ねさせていただきます。

 竹中大臣の御答弁では、郵便貯金銀行と郵便保険会社が、それぞれ自社株を保有することは処分に該当するという御答弁をいただきました。

 それでは、郵便貯金銀行が郵便保険会社の株を所有すること、また、郵便保険会社が郵便貯金銀行の株式を保有することは、日本郵政株式会社にとって処分に該当するかどうかということを御答弁いただきたいと思います。

吉良政府参考人 答弁申し上げます。

 郵便貯金銀行それから郵便保険会社の株式の処分は、その規模が極めて大きいということになりますもので、市場で売却することが基本になりますけれども、処分というのは、市場で売却するということに限らず、郵便貯金銀行それから郵便保険会社に対する国の信用、関与を断ち切るために、国の出資する日本郵政株式会社が、両者の支配権、すなわち議決権ですけれども、これを保有しないという状況にすることでございます。

 したがいまして、今御指摘の、郵便貯金銀行株式や郵便保険会社株式を郵便貯金銀行、郵便保険会社に売却することにつきましては、両者により株式が所有され、持ち株会社の議決権がなくなるということになれば、処分に該当するものでございます。

安倍国務大臣 先ほどの閣議決定との関係につきまして、吉良審議官の方でちょっと用意いたしましたので、答弁させていただきたいと思います。

吉良政府参考人 基本方針も、これも法律とともに適用がなくなるということになりますが、基本理念につきましては、これは法律上になくても、むしろ当然のことのように思っていまして、法律上それから基本方針というのは、完全民営化後はもうこれは適用がなくなるというのが基本でございます。

川内委員 残念な答弁だと思うんです。法律上はなくなるということは、それは法律のことですから、それはそうだと思うんですが、少なくとも、閣議決定という政府方針は法律ではないわけですから、郵政民営化の方針である、何のために民営化するのかという基本方針、「国民の利便性を最大限に向上させる。」という政府の方針は、たとえどうなろうと政府方針として維持されると言っていただきたかったんですけれども、それさえももうなくなってしまうんだと言われると、結局、郵政公社を継承する組織で、しかも政府のコントロールを離れる貯金銀行、保険会社は、それは実質としては自由な経済活動になるわけですが、少なくとも、政府の方針としては「国民の利便性を最大限に向上させる。」という基本方針は維持されるんだと言っていただきたかったんですけれども、もう一回答弁していただけますか。

吉良政府参考人 郵政民営化の基本方針は、規定を読みますと、「二〇〇七年に日本郵政公社を民営化し、移行期を経て、最終的な民営化を実現する。」というふうに規定されておりまして、最終的な民営化時点における各事業会社のあり方として、郵便貯金会社や郵便保険会社については、民間金融機関、民間生命保険会社と同様に、銀行法、保険業法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行うというふうに規定しておりますので、これらの規定が実現した完全民営化後は、郵便貯金銀行、郵便保険会社については、その目的を達成して役割を終えておるというふうな解釈でございます。

川内委員 わかりました。ちょっとその辺は、公共性あるいはフェアで公平公正な社会をつくっていくことにどう資していくのかということに関しては、今後また議論をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、小泉総理が昨年八月の国会答弁で、郵便貯金銀行、郵便保険会社について、自分は外資歓迎論だ、貯金銀行、保険会社の株を外資が買いたいというぐらいになってくれた方がいいというふうにおっしゃられていらっしゃいます。安倍官房長官も全く同様のお考えでしょうか。

安倍国務大臣 小泉総理は、総理に就任をいたしましてから、海外からの日本への投資は先進国の中でも非常に比率が低い、これを、海外からの投資を倍にするという目標を立てまして、この目標には到達可能なところまで来ている、このように思うわけであります。つまり、外国からの投資を歓迎していく、門戸を開く中において、日本の企業がそれぞれ投資対象として魅力的な企業になるように努力をしなければいけないのではないかという考え方を持っておられ、それを実行しております。

 私も、そのとおりだ、このように思っておりますが、その中で、いわゆるこの郵貯また簡保また郵便事業等々につきましては、それは乗っ取られたらいいということではなくて、つまり、そういう投資先として魅力的なものにならなければいけないという趣旨で総理はおっしゃったんだろう、こういうふうに思います。そうしたことが日本経済に刺激を与え、活性化をもたらすということで、重要ではないかというふうに私は理解をしているわけであります。

川内委員 小泉総理は、私は若干誤解をしていらっしゃるように思うんですが、日本の大手の銀行あるいは大手の生命保険会社、今、日本のと申し上げましたが、しかし実態としては、日本の金融機関、銀行は四割がもう既に外国資本が株を持っていると言われておりますし、生命保険会社に至っては六割、七割外国資本が入っているのではないか。これは確認したわけではないんです、私が厳密に数字を調べたわけではないですから、例えば、いろいろな雑誌等で書いてあることをそのまま申し上げているわけでございます。

 他方、では、日本の銀行や生命保険会社、既にもう外資が大分投資をしている銀行、保険に比べて、郵貯銀行、郵保会社がどうなのか。魅力的にならなければならないというふうに小泉総理はおっしゃられたわけですが、しかし、日本の都市銀行と郵便貯金銀行を比べた場合に、自己資本比率は郵貯銀行の方が圧倒的にいいわけですよね。もう都市銀行より郵貯銀行の方が物すごい魅力的だ。さらに、保険会社でいえば、ソルベンシーマージンというのが経営の健全性を示す指標としてあるそうでございますが、これなども、郵保会社のソルベンシーマージンは一般の保険会社のソルベンシーマージンを圧倒しているぐらいに優良な保険会社であるというふうに言われております。

 そういう意味では、外国資本にとっては、郵貯銀行、郵保会社というのは、もう本当にのどから手が出るほど投資したい、今でもそうなんですね。だから、それがただ単に外資歓迎だと言っていると、あっという間にどんどん買われていくということになると思うんです。

 私は、そこで、NTTなどは情報通信に携わる会社ですから、三分の一外資規制とか、しっかりと法律にその条項が盛り込まれているというふうにも聞いておりますし、郵貯銀行、郵保会社を国民のための郵貯銀行、郵保会社にこれから育てていくためにも、何らかの手段というのはしっかり使うべきだというふうに思っております。

 そのためには、もちろん民営化する過程の中で、日本郵政株式会社というのが親会社で、郵貯銀行、郵保会社の株を売っていくわけですけれども、日本郵政は政府が株を持っているわけですから、大株主なわけですから、そういう意味では、日本郵政をコントロールすることによって、あるいは政府部内にある田中直毅先生が委員長を務められる民営化委員会をしっかりと監督することによって、郵貯銀行、郵保会社を国民のための郵貯銀行、郵保会社にすべきであるというふうに考えるんですが、官房長官の、今の私の考え方を踏まえた上で、何か先ほどの答弁につけ加えていただけることがあればつけ加えていただきたいと思います。

安倍国務大臣 先ほど、小泉総理が外資歓迎というふうにおっしゃった真意について御説明を申し上げたわけでありますが、現在の株式市場におきましても、外国投資家による投資によって活況を呈しているわけでございます。また、この郵貯銀行、簡保の会社についても、株を公開する際に、外資も、外国人投資家も投資をすることによって、これはある意味では株価が上昇するということにもなるわけでしょうし、売却に際しての国の収入も上がっていくわけであります。

 しかし、そこで今委員の御懸念は、特定の投資家が経営権も含めて支配をしようとする可能性もあるのではないかという御懸念だろうというふうに思うわけでありますが、郵便貯金銀行また郵便保険会社の株式の取得については、銀行法、保険業法や独占禁止法の一般的な規定が適用されるものでありまして、特に両社の株式取得に関し、外資に対する規制は設けてはいないわけであります。

 郵便貯金銀行、郵便保険会社に対する敵対的な買収については、会社法の一般的な規定を活用して防衛策を講じることといたしております。これは、民営化の趣旨にかんがみ、郵政民営化法において特定の措置を講ずるのではなく、一般の民間企業と同様に、会社法の規定を活用した防衛策を講じるべきであるとの考えに基づいているものでございます。したがって、具体的にどのような防衛策を講ずるかについては、新会社が、経営判断のもと、最も有効かつ適切と考えられる方策を講ずることとなるものというふうに考えております。

 しかしなお、郵便貯金銀行、郵便保険会社については、移行期当初から銀行法、保険業法の適用を受けるので、外国資本を含め両社の二〇%以上の株式を取得する場合には監督当局である内閣総理大臣、これは実際には金融庁長官、の許可が必要となり、金融庁において、健全かつ適正な業務運営の確保の観点から株主の適正化についてしっかりチェックされることになる、このように承知をいたしております。

川内委員 それでは、本日の本題でございますBSE、米国産牛肉の問題に移らせていただきたいと思います。

 まず、せんだって、食品安全委員会のプリオン専門調査会の委員の入れかえというか辞任、大量の、約半数の専門委員の先生方が辞任をされたわけでございます。

 この食品安全委員会プリオン専門調査会のあり方あるいは政府の諮問の方法について、辞任をされた先生方がその後コメントを発表していらっしゃるわけでございますけれども、私自身も食品安全委員会のあり方というものに関して懸念あるいは疑問というものを大変強く持ってきたものでございます。

 この六名の先生方の辞任を受けて、松田大臣、どのように思われるか、食品安全委員会のあり方、プリオン専門調査会のあり方に反省はないのかということをまず御答弁いただきたいと思います。

松田国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の委員御指摘のプリオン専門調査会の専門委員の改選でございますが、専門委員にも任期を設けるという内閣府の方針に従いまして、二年の任期を付すために行われたところでございます。具体的に申しますと、十二名全員の辞任願を提出していただきまして、年齢や本人の意向を踏まえ、四月一日付で、再任及び新任の専門委員も含めて任命が行われたところでございます。

 委員の御主張の中には、個々の委員の方が、かつての委員の方がいろいろおっしゃっておられたというお話もございましたが、私としては、個々の委員のことについてこの場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 いずれにしても、しかし、食品安全委員会におきましては、これまで、BSE問題に関する審議に当たりまして、中立公正な立場から科学的な議論に徹する、当然のことでございますが、適正な運営に努めてきておられる。今後とも、独立したリスク評価機関として食品安全委員会の役割が本当に適切に発揮される。そして、国民の健康保護を最も重視した食品安全行政が推進されるよう努めていくことが私の最大の責任だと思っております。

川内委員 適切な運営に努めてきている、反省はないということなんだろうというふうに思いますが、それでは、若干聞かせていただきたいんです。

 内閣府の中にさまざまな審議会あるいは調査会がございますが、食品安全委員会専門委員というのは、食品安全基本法で「内閣総理大臣が任命する。」と書いてございまして、調査審議が終わったら解任をされるというふうに書いてございます。その他の審議会、調査会の専門委員は、私も自分が調べられる範囲で調べさせていただいたのでございますが、ほとんどが政令で定められております。

 法律で定められている専門委員と政令で定められている専門委員の法的な立場の違いというものが果たしてあるものなのかどうかという、ごくごく初歩的な疑問をまずちょっと教えていただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、内閣府所管の審議会等は現在十五ございます。このうち、審議会自体が法律で設置されている審議会が十三ございますけれども、今委員お話しのように、専門委員の任命につきまして、専門委員の任命自体を法律で規定しているもの、これが三つございます。それから、政令で規定しているものが五つございます。そういたしまして、今委員御指摘のように、いずれも非常勤の国家公務員ということで、公務員としての取り扱いには特段の違いはないということでございます。

 そして、その法律をつくりますときに、専門事項を専門に調査する必要があるということがあらかじめ想定される場合には法律できっちり設置規定を置き、そうでない場合は政令に委任をしているというのが現状でございます。

川内委員 なるほど。いや、私は、法律で定められているんだからそれだけ立場が強固なのかなというふうに思ったんですが、そうではないということで、今回のプリオン専門調査会の先生方の任期を付するということに関しては問題はないんだということだろうというふうに思います。

 しかし、多くの先生方、六名の先生方が何らかの抗議の意を込めて辞任をされていらっしゃるということに関しては、私は、食品安全委員会としてしっかりと今後に生かすというか、反省をしていただかなければならないこともあるのではないかというふうに考えております。

 その一つとして、六名の先生方の大半が、二〇〇四年の九月に取りまとめられた中間とりまとめ、国内のBSE対策を評価した食品健康影響評価でありますが、この中間とりまとめの取りまとめられ方について大変な疑問を呈していらっしゃるわけでございます。

 きょうは、食品安全委員会の寺田委員長そして見上先生にもお運びをいただいております。本当にありがとうございます。

 そこで、お尋ねをさせていただきますが、中間とりまとめというものが食品健康影響評価であるということは、もう既に、これまでの私と寺田委員長とのやりとりの中で確定をしているわけでございますが、これが始まったのがいつなのかということに関してきょうはお尋ねをさせていただきたいと思います。

 平成十六年の四月十五日、食品安全委員会で、OIE、国際獣疫事務局の小澤名誉顧問が講師として講演をされ、その後、講演が終わった後、見上先生がまず「どうもありがとうございました。」と。それで、寺田委員長が「何かほかにございますか。時間の関係が迫っていますので。」それで、見上先生が「そうしたら、小澤先生への質問でなくて、個人的な意見というか、提案ですけれども、よろしいでしょうか。」ということで、ちょっと長くなりますので中略をさせていただきますが、見上先生が「日本のBSEの状況について、是非プリオン調査会で論議していただいてはどうかなと考えております。意見です。」とおっしゃっていらっしゃいます。

 それで、寺田委員長が「ほかにございますか。」ということをおっしゃられ、中村委員が、やはり見上先生と同じように、検討していくことは賛成だというふうにおっしゃられた。

 それで、寺田委員長が「いかがでしょうか。」ともう一度皆さんに呼びかけをされ、ここで講師としていらっしゃっていた小澤OIE名誉顧問が御意見の開陳をされ、そして、最後に寺田委員長が、プリオン専門調査会に日本のBSEについて議論させようと思うがいかがかということを全体に諮ります。そこで「はい」という声があり、「では、そういうふうにさせていただきます。」ということで食品健康影響評価が始まったということで理解してよろしいでしょうか。

寺田参考人 議員がおっしゃるとおりのプロセスで、四月十五日にリスク評価が始まりました。

川内委員 ところが、寺田委員長は、これが食品健康影響評価であるということを知ったのは八月ごろになってからだというふうに、私の以前の質問に御答弁されていらっしゃるんですよね。

 最初自分たちのやっていることが何なのかということが余りよくわからずに八月まで、中間とりまとめの直前まで来て、そこで、ああ、これは食品安全基本法上の食品健康影響評価であるということに八月以降気づかれたというふうに、もうこれは答弁されていますので、それは違うと言われても困るんですが、過去の委員会でそうだというふうにおっしゃられていらっしゃいます。

 では、見上先生にちょっと来ていただいていますので、この四月十五日の食品安全委員会で、見上先生が、小澤先生の話が終わった後、BSEの問題を調査してはどうかということを全体に御意見を提起されたというのは、どなたかからの、会議の中で小澤先生の話が終わったらこう言ってくださいねというような示唆があったのかどうか。

 というのは、なぜこういうことを聞くかというと、食品安全委員会というのは、私は、寺田委員長、一面では大変評価をしておりまして、すべての情報が公開されていますから、食品安全委員会のことは大体公表資料としてわかるんですけれども、平成十六年四月十五日にどんなことが議題になっているのかということも全部ウエブサイト上にアップされております。

 この中には、国内のBSE対策について食品健康影響評価を始める、そのための話し合いをするということは議題としては上がっていないんです。議題として上がっていないことを突然見上先生が提起され、それを受けて寺田委員長が全体に諮って始まった、しかし、それは食品健康影響評価だとは八月まで知らなかった。

 これは見上先生、事務局にこういうことを言ってくださいねと言われたんでしょう。どうですか。

見上参考人 見上です。

 きょうはお呼びいただいてどうもありがとうございます。私にとってはデビュー戦でございます。今後ともよろしく、お手やわらかにお願いいたします。

 今、先生がお尋ねになった点、一つ説明不足があるような気がします。それは、小澤先生の講演が終わってから直ちに私が提言したわけではございません。いろいろ質問をした後の話です。(川内委員「そうですね、ごめんなさい、そうです」と呼ぶ)それを確認します。

 それで、そのとき、要するに、御質問の内容は、事務局からこういうことを言ってくれと言われたのではないかということですが、それは一切ございません。全くございません。私の性格からしますと、言ってくれと言うと、へそが曲がっていますから、言いませんので。そういう性格です。言ってございません。

 それで、なぜBSE問題がこれまで大きくなったか。食品安全委員会ができた理由の一つとして確かにそれはございます。それで一たんできました。

 僕は、人畜共通感染症とか獣医微生物学の専門で、プリオン自体の専門家ではないですけれども、微生物全体の感染症に非常に興味を持っていまして、いろいろ日本でも全頭検査のデータも集まったし、それから、主としてEUの諸国でいろいろなデータが集まって、それで、そろそろBSE問題に関しては、みんなで勉強会もやっているし、ディスカッションしなきゃいけないんじゃないかということが頭の中にありまして、自分の意思でそういうことを提言しました。

 以上です。よろしいでしょうか。

川内委員 はい、結構です。

 見上先生には大変失礼なことをお聞きいたしましておわびを申し上げます。御自分の意思で発言をされたと。

 それでは、寺田委員長にお尋ねをいたしますが、議題に上がっていなかったことを唐突に全体に諮られていらっしゃる。私は議事録しか読んでいないので、その場の雰囲気とかはわからないので、失礼なことを申し上げるとしたら、それは御容赦をいただきたいというふうに思うんですが、過去に、私も食品安全委員会の議事録は大体目を通しておるんですが、このようなことというのはほとんどないと思うんですよ。

 議題に上がっていないことを全体に諮って、では、そうしましょうということをなぜされたのか。その辺をちょっと、御自分が、寺田委員長が、今自分がやっていることは食品健康影響評価を始めるぞという認識はなかったわけです。なかったが、しかし、とにかくやろうということを諮った。それをわざわざやられたというのはどういうお気持ちであったのかということを教えていただきたいと思います。

寺田参考人 そうしますと、少し長くなりますけれども、前も申し上げましたけれども、委員会ができたのはBSEのためにできたものですから、プリオン専門調査会も、八月、一番最初のプリオン専門調査会ができまして、プリオン専門家の先生方も、ここで一体何をやるべきかというようなことをいろいろ議論されて、やはりBSEのことを勉強していかぬといかぬ、それはずっと頭の中にみんな残っていたと思います、委員も、プリオン専門調査会の先生も。

 それで、四月の十五日にそういう話を聞いて、見上委員からそういう話が出て、もうぼつぼつそういう方向に行かなくちゃいけないなという感じを私自身は持ったんです。

 ですから、食品健康影響評価でないという、それはもう少しちゃんと言いますと、六月の十五日ぐらいに企画専門調査会がございまして、そこで、みずから評価ということを選定するところがありまして、ああ、そうしたら、要するに、これからみずから評価だというふうに認識して、それからやり始めて、でも、まとまってくるかなと思ったのが七月ぐらいですかね、八月ぐらいに、ある一つのまとまりが出てくるなというような感じを持った、そういう経過でございます。

 そのときの気分としましては、議題にはなかったですけれども、ずっと頭の中の黒板には議題として常にありまして、委員の先生みんなそうだったと思います。BSEの問題を何とかしなくちゃいけない、こっちにするとか、あっちにするには、日本の状態が全然わからなかったんですから。

川内委員 それでは、寺田委員長も見上先生も公明正大に進めてきたというお話でございます。

 それであれば、私は、この中間とりまとめについて、プリオン専門調査会の結論について食品安全委員会で決定をする前に、なぜパブリックコメントをしっかりと手続どおりおやりにならなかったのかということが残念なんですね。

 寺田委員長、よく、もめそうなときは、我々政治家サイドは、意見を言うだけ言わせて、しかし、最後は一任を取りつけて、文章をちょっと変えて、これでみんなが合意したんだというふうに大体やることが多いわけですけれども、プリオン専門調査会のこの中間とりまとめの結論も、休みを挟んで、吉川座長に一任を取りつけた上で、さまざまな委員の先生方の御意見があったにもかかわらず、文言の修正に関して不十分なところがあったわけですよ。そのことをおかしいとお思いになられる先生方がいらっしゃって、そのことを今御発言されていらっしゃるわけです。

 そういうことがないようにするためには、とことんしっかりと手続を踏むということが大事なことだろうというふうに思うんですね。

 私などは、ここは一任したら絶対やられると思ったら、絶対一任はしない、絶対それはだめだと言うんですけれども、やはり科学者の先生方というのは、一任するとどういうことになるかというのが、初めての経験で、多分よくおわかりにならなかったんだと思うんですね。そういう中では、やはり中間とりまとめに関してパブリックコメントをしっかりとやるということがどうしても重要だったというふうに思うんです。

 これも繰り返し質疑をさせていただいているんですけれども、松田大臣、これは明確な閣議決定違反なんですよ。

 松田大臣は閣議決定違反ではないというふうに言い張られるけれども、ちゃんと、これは、食品安全基本法第二十一条第一項に規定する基本的事項、閣議決定された文書です。この文書には「食品健康影響評価の実施時」と書いてあって、「委員会は、」、これは「委員会は、」というのは食品安全委員会はですよ、「食品健康影響評価に関する専門調査会における結論については、原則として国民からの意見募集を行うとともに、出された意見及びそれへの対応を公表する。」となっているんですね。

 要するに、プリオン専門調査会で結論が取りまとめられたならば、それをパブリックコメントに付して、出された意見について対応を公表しなさい、食品安全委員会はそうしなければならないということを書いてあるわけですね。

 しかし、中間とりまとめ、食品健康影響評価である中間とりまとめはこの手続を踏んでいませんよね、松田大臣。

松田国務大臣 何回も答弁をさせていただいたような気もいたすのでございますけれども、日本のBSE対策についてということで、中間とりまとめ、専門調査会で本当にいろいろ情報収集していただいたり、あるいは海外の専門家からの意見聴取もしながら調査審議していただいて、十六年の九月六日に取りまとめていただいたわけでございます。

 まさに、その間多くの意見を聴取して、さらに、八月には東京、大阪、大勢の方から来ていただいて意見交換会を実施し、またそこでもいろいろ意見を聞き、そうした意見に対する考え方もきちっと全部公表されておるわけでございまして、こういうとりまとめの前に、このように本当に意見も聴取し公表等も行っておられますので、私は、まさに基本的事項に書いてある、委員はパブリックコメントと表現されますか、パブリックコメントを行えという趣旨に何にも反しているものではない、何度もそのことは申しておるところ、きょうも同じでございます。

川内委員 きょうは時間がまだたっぷりあるのでじっくりと詰めさせていただきますが、この閣議決定文書にある、「原則として国民からの意見募集を行う」というふうに書いてあるんですね。原則としてというのは例外があるということですが、この例外というのは、緊急な場合、意見募集をやるいとまがないときということでございまして、したがって、中間とりまとめについては緊急なものではないのですから意見募集はしなければならないということになります。

 では、意見募集を行うと書いてあるこの食品安全委員会の一連の行動の中で、何が意見募集に当たるのかということをお答えいただけますか。

松田国務大臣 そもそも国民からの意見募集を行う目的というのは、もうあえて申し上げるまでもございませんけれども、リスク評価の審議に国民の意見をまさに反映させることだと思うんですね。

 先ほど来から申しておりますように、取りまとめの段階でも意見交換会を実施し、そこでの意見を踏まえてまさに審議を行っておられるわけでございまして、そういうことからいいまして、意見募集を十分に行っておられるということは間違いないと思うのでございますが。

川内委員 いや、私が聞いているのは、意見募集という言葉は何を指すんですかと。中間とりまとめに関して意見募集をしたとおっしゃるのであれば、何が意見募集に当たるんですかということをお聞きしております。

 それで、なぜここで、この閣議決定文書でパブリックコメントと言わず意見募集という言葉を使っているのかということに関して、多分大臣は御存じないので私が御説明を申し上げますが、平成十一年に、同じく、規制の設定、改廃に係るパブリックコメント手続に関する閣議決定文書というものがあります。

 その中で、規制の設定、改廃に係るもので国民から意見を募るものをパブリックコメントというふうに言うので、食品安全委員会は規制の設定や改廃に係ることを議論するのではなくて、リスク評価をし、規制の設定や改廃についてはリスク管理機関の仕事だから、パブリックコメントという言葉を使わずに意見募集という言葉を使いましょうということが食品安全委員会の議論の中で議論をされ、この閣議決定文書には意見募集と書いてあるんです、国民からより広く意見を聞きましょうということでですね。

 したがって、この中間とりまとめについて意見募集を行ったと御主張になられるのであれば、何が中間とりまとめについての意見募集なんですかということをお尋ねしておりますので、委員長、ぜひしっかりと御答弁をいただくように御指示をお願い申し上げます。

松田国務大臣 今委員おっしゃるように、消費者団体とか関係団体の代表者も皆来ておられましたし、一般国民の方々も皆来ておられて、そういった方々の意見をまさにお聞きしたわけでございます。まさに意見募集そのものですね。わかりますか、私が何遍も申しておりますが。ですから、それを意見募集と申し上げておるわけでございます。そういうことを行っております。

 例えば、今十一年の閣議決定のことを申されました。普通、パブコメといいますと、御案内だと思いますけれども、通常、郵送で、電子メールでいただくわけであります。

 普通のパブコメというのはそういう形で行われているわけでございますが、本件のように、委員もいつもおっしゃいますけれども、ある意味では国民にとっても関心が深いし、ある意味では専門的でもあるしということでございますから、いろいろな形で意見募集、本当に意見を聞いて、そしてそれをこの評価にも取り込んでいくという意味では、今回とっていただいた手続が、まさに今おっしゃるパブコメ、閣議決定いたしましたこの食品安全基本法に基づく閣議決定の意見募集に当たるということを私はるる何度も申し上げているつもりでございます。どうぞひとつ御理解をいただいて、心からお願いしておりますが。

川内委員 いや、どれだけお願いされても、聞いたことにお答えいただかなければ全く理解できないわけでございまして、意見募集を行う、国民からの意見募集を行うというふうに書いてあって、何が意見募集に当たるのですかということをお聞きしているんですね。

 具体の事例をお答えくださいということを申し上げているわけで、例えば、この中間とりまとめは平成十六年に取りまとめられているわけでございますから、平成十六年何月何日のこれが意見募集だ、そこにはこういう人たちが来ていた、こういう意見が出されたというような具体の事例をお答えいただけますか。

松田国務大臣 ですから、何遍も申し上げているんですけれどもね。

 まさに、国民からの意見を反映するために意見の募集を行うことでございます。よく聞いておいてください、よろしいですね。そのやり方、意見募集のやり方、通常行われるパブコメで、私今答えていますからしっかり聞いておいてください、理事の方も委員長もいいですか。私が最高責任者です。よろしいですね。

 やり方はいろいろあります、意見募集のやり方は。ですから、先ほどから申しておりますように、普通、パブコメといいますと、よく御存じでしょう、先生も。いっぱい今行われております、パブコメは。これは郵送なんです。メールなんです。わかりますか。それで、こういう意見があった、こういう意見があったと、ずっとありますね。そういうやり方もあります。

 しかしまた、今回、まさに重要な問題だ、直接意見を聞こうということで、東京、大阪でそれぞれ大勢の方にお集まりをいただき、意見を聞いて、その意見の中で必要なものを反映してということで行われたわけでございます。これはまさに意見募集そのものでございます、先ほどから何遍も申しておりますが。

 これが私の言う意見募集であり、ここで言う意見募集そのものをまさに行っておるので、何か閣議決定違反、閣議決定違反ということをよく言われますが、閣議決定に違反しているわけではない、まさに閣議決定いたしましたあの趣旨を生かした方法で、本件に最も適した方法の一つとして行っておるということを御理解いただきたい。

川内委員 松田大臣、全然聞いたことに答えていないじゃないですか。東京、大阪の意見交換会というのは、同じこの閣議決定文書に、「委員会自ら食品健康影響評価を行う場合」という項目が別にございまして、そこには、委員会は、「関係者相互間における情報及び意見の交換を行うよう努める。」と書いてありまして、意見交換会はここに当たるんですよ。3の(1)の2。意見交換会はこちらに当たるんです、3の(1)の2。

 私が言っているのは3の(2)の3、「食品健康影響評価の実施時」、食品健康影響評価を実施するとき、いわゆる中間とりまとめを取りまとめるに際して、食品安全委員会で決定をするときには、結論について、プリオン専門調査会の結論について意見募集をしなさいよということを書いてあるわけです。

 では、意見募集というのがいろいろな形があるとおっしゃられるのであれば、何が、どの会合なりあるいは集会なりが意見募集に当たるんですかと、具体的に答えてください、何年何月何日のこれが意見募集だということを答えてくださいということをお尋ねしているんですけれども、ちょっと寺田委員長にも聞いてみていただけますか、委員長。

寺田参考人 今言われましたように、東京と大阪で意見交換会を行いましたが、その意見交換を行ったもとですね、何に対してやったのかという質問だと思うんですが、それは、中間とりまとめのたたき台です。それに対して、生の声をいろいろ聞いてまいりました。

松田国務大臣 お言葉、ぜひ実態をよく御理解いただきたいと思うんですけれども、今おっしゃった、関係者相互間における情報及び意見交換に努めること、これはリスクコミュニケーションの促進ということで規定されておるわけでございます。

 今先生おっしゃっているリスク評価の関係は、まさに意見募集と書いてあるわけですね。まさにその意見募集の仕方としていろいろあるということを私先ほど申して、この中間とりまとめのときには、これも何遍も答弁させていただきましたが、いろいろな情報収集、あるいは意見聴取をしながらやってきたと。また、八月には東京と大阪で意見交換会、それは名前は意見交換会という名前ですよ。しかし、実態は……(川内委員「だから、それを言えばよかったんですよ。はい、わかりました」と呼ぶ)わかりますか。

 ですから、まさに先生のおっしゃる意見募集、十分かどうかとか、そういうことになれば、先生いろいろおっしゃるかもしれません。しかし、意見募集をちゃんと行って、その結果を反映してまとめに当たっているわけでございまして、ぜひ……(川内委員「はい、わかりました」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。

川内委員 そんな時間を引き延ばすような答弁をされても困るんですよ。もう時間もなくなってきましたからね。

 東京、大阪で行われた会合が意見募集であるということですね、東京、大阪で行われた会合が意見募集に相当すると。

 私はそれをおかしいとは言っていませんからね。意見募集は何ですか、具体の事例を答えてくださいと。そうしたらば、東京、大阪の会合ですと言うまで、これだけ時間を使ったわけですね。(松田国務大臣「それは前にも話しましたよ、とっくに」と呼ぶ)話していないですよ。

 さらに、東京、大阪での会合に使われたのは、プリオン専門調査会の結論のたたき台であるということを寺田委員長がおっしゃった。

 しかし、この閣議決定文書に書いてあるのは、「結論については、」です。結論を意見募集に付しなさいということを書いてある。そうすると、この閣議決定文書の結論というのは、結論のたたき台という読みかえを食品安全委員会としてはされるということでよろしいでしょうか。

松田国務大臣 意見募集を行いながら、意見を聞きながら、中身が変わるところがあれば変わっていくわけでございます。

 ですから、先生、この段階において、まさに審議の、その取りまとめて御意見を聞く段階で成果として取りまとめられておるものが、正確に言えば、まさに審議結果といいますか、その審議結果、それがここで言う結論に当然なるわけですね。それを聞いているわけでございます。わかりますか。

 ですから、先生が結論とおっしゃる意味が、今、結論ではないじゃないかなんということをおっしゃったから、あえてその段階において、まさに審議結果をお示しして意見を聞いているわけでございまして、ですから、まさにその段階における結論、その段階でできる、結論というのは皆さんの意見を聞きながら変わり、その結果また変わる場合は変わったものを入れたのが結論ですよ。わかりますね。聞いていく段階では、それを、その審議が終わったところのものが、ここで言う結論に当たるわけでございます。ですから……(川内委員「もう同じこと何回繰り返さないでくださいよ」と呼ぶ)いやいや、先生の方こそですよ。お願いしますよ、もう。

佐藤委員長 寺田参考人、御意見ありますか。

寺田参考人 大臣がおっしゃるとおりでございます。

川内委員 いや、私が申し上げているのは、食品安全委員会の結論が、プリオン専門調査会の結論を受けて、意見募集を踏まえて、変わることはあるでしょう、そういうことでしょう。しかし、ここの閣議決定文書に書いてあるのは、委員会は専門調査会における結論について意見募集をしなさいと書いてあるのです。専門調査会の結論について意見募集をしなさいと書いてある。

 だから、私は何も批判もしていないし、非難もしていないじゃないですか。ここの言う食品健康影響評価に関する専門調査会における結論とは、結論のたたき台という読みかえでよろしいんですねということを聞いているわけで、そうだというのであればそうだだし、違うというのであれば違うというふうに、わかりやすくお答えいただきたいと思います。

松田国務大臣 私の言葉で御答弁申し上げます。

 専門調査会の基本的事項にある専門調査会の結論というのは、専門調査会の議論の成果として取りまとめられた専門調査会における審議結果案というものが、この基本的事項に言う専門調査会の結論でございます。

川内委員 プリオン専門調査会における結論とは審議結果案のことであるというふうに、今答弁を確定していただきました。

 閣議決定文書にある結論という言葉が結論案、結果案ということであるというのは、甚だ珍妙な解釈であるというふうに思いますが、きょうは、ちょっと松田大臣の御答弁が長いので、もうこれ以上松田大臣にはお聞きしませんから、また次回、内閣委員会で……(松田国務大臣「いや、もう決着をつけてくださいよ」と呼ぶ)いや、決着をつけるんだったらもっと時間をとらなきゃいけないので、きょうは答弁を一つ一つ確定させていくというのが趣旨でございますから、これ以上中間とりまとめについてはお聞きいたしません。

 それぞれ委員の先生方のところに三枚紙の資料を配らせていただいておりますので、ごらんをいただきたいと思います。

 きょうは、農水省、厚労省からも来ていただいております。まず、資料一、「米国において、EVプログラムで管理した牛肉等を日本に輸出可能と予想される食肉関連施設数(見込み)」と書いてありますけれども、これは食品安全委員会プリオン専門調査会が……

佐藤委員長 これは、ちょっと途中ですけれども、私の許可を得て配ってくださいね。

川内委員 いや、それは委員長、大変失礼しました。両理事の御許可をいただいて、一番大事な委員長の御許可がないということを、私、ちょっと、申しわけなかったです。お許しください。

佐藤委員長 どうぞ、続けてください。

川内委員 それでは、続けさせていただきますが、これはプリオン専門調査会に農水省、厚労省が依頼をし、アメリカのUSDAから回答されたものであります。回答された日付が、書き忘れておりましたが、二〇〇五年の九月でございます。昨年の九月にこの文書がアメリカから返ってきております。

 仮訳のところを見ますと、「二〇〇三年十二月二十三日以前には、日本向けに牛肉製品の輸出を行っていると畜及び/または処理施設は約四十カ所あった。現在、月齢が証明された牛のために提案された牛肉輸出証明プログラムに基づく条件に一致している施設は、二十六カ所ある。その上さらに十一施設が、QSAプログラムを展開し続けている。」と書いてございます。

 これはどういう意味かということを、きょうは中川局長に来ていただいておりますので、御説明をいただきたいというふうに思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年の九月二十二日付で食品安全委員会プリオン専門調査会の方に提出をいたしました資料でございますけれども、これはプリオン専門調査会の方から資料要求があってお出しをしたものでありますが、ここで、アメリカから牛肉の輸入が再開された場合、どれぐらいの施設がそのプログラムに乗っかってくるだろうかというふうな趣旨のお尋ねに対する答えでございました。

 ですから、そういった趣旨をアメリカ側に問い合わせましたところ、一つは、平成十五年の十二月二十四日にとまる以前には、四十施設ぐらいのところから日本向けに輸出をされておったということが最初のところでありますし、また、新たに牛肉の輸入が再開されるその大枠については、EVプログラムにのっとるということが議論されておりましたので、まだその準備の段階でありますけれども、ドラフトの段階として公表されていた、それに適合するとアメリカ側が判断したものが、当時の時点で二十六カ所あります、また準備中のものが十一カ所あります、そういうアメリカ側から提供された情報でございます。

川内委員 昨年の九月の時点で、二十六カ所プラス十一カ所、三十七カ所の施設が日本向けに準備をしていたということなんです。

 既にもうその名前も、アメリカ側に聞けばわかったんですよ。それは、二枚目の資料をごらんください。

 これは、やはり米国の農務省から提供されていただいた資料でございますが、企業名が一番左に出ておりまして、真ん中、三つ目の升に申請接受日と書いてあります。申請がいつから始まったのかということが書いてあります。ずっと見ますと、一番早いのが二〇〇五年一月です。昨年の一月から申請が始まっている。一番遅いものが二〇〇五年の八月なんです。

 ということは、昨年の九月の時点では、これらの施設は申請の受付は終わっているということなんですよ。ですから、日本側がどのような施設が日本向けの輸出を希望しているんですか、具体名を教えてくださいと言えば、わかったんですね。ということは、実は、事前の調査も十分にできたはずなんです。

 しかし、日本側は、それができなかったというか、やらなかったというわけでございます。これはなぞが深いわけでございますが、そもそも、農水省あるいは厚労省の日米協議を担当される皆さんが、アメリカ側に対して、もう具体名がわかるにもかかわらず聞いていなかったんですからね。これは、私が聞いて初めてわかったんですよ、二〇〇五年の一月から申請が始まっていたということは。

 さらに、米国側に対して事前の調査をさせてくれということを、きちんと交渉の中で交渉されていたかどうかということに関してお尋ねをさせていただきたいと思います。事前調査しなければならないという認識は持っていたけれども、その認識を行動として米国にしっかり伝えたかどうかということをお尋ねさせていただきます。

松本政府参考人 輸入牛肉等の安全性を確保するという観点から、輸入再開以前に、また輸入再開後も、担当官を派遣して、米国における対日輸出食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えている一方で、米国側と調整を行っていたわけでございます。

 現地調査につきましては、昨年の十一月ごろから、米側に対しまして、対日輸出施設への調査ができるよう要請してきたところでございます。

川内委員 質疑の持ち時間が終わりましたので、終わらせていただきます。またこの問題は引き続き取り上げさせていただきます。

 委員長、きょうは、済みません、資料のことで不快な思いをさせてしまいまして、おわび申し上げます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 この一年余り、愛媛県警の裏金問題について内閣委員会ずっと取り組んでまいりましたけれども、あれほど問題があった裏金問題について、ことし二月に、県警の調査報告書が出されました。愛媛県警は、自信を持って調査した結果、最終報告だというわけですね。

 それで、最終報告ですから、それで発表したわけですから、この報告書にはまず間違いはないんでしょうね。これから変更されるということはないんでしょうね。まず、このことを伺います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 愛媛県警察の調査というのは、昨年からことしの二月にかけまして、相当な調査体制をもって、可能な限りの手段を講じまして、平成十年度から十六年度における捜査費の総執行件数につきまして多面的に調査をしたものでございますので、現時点におきまして、それは、可能な限り調査をした結果、こうした結果ということでございますので、そういう調査結果というものを我々としては尊重しております。

吉井委員 二月のこの報告書で、例えば「調査の結果」で、「捜査費として本来執行し得ない使途に執行されているもの」とかあります。しかし、執行し得ないんじゃなくて、そもそも執行していないのに支出したということになっているものがありますね。

 それから、「捜査費の執行手続に問題が認められるもの」という中で、「協力者に対する謝礼としての執行」というのがあるんですが、協力者でも何でもなく、本人が知らないのに、受け取ってもいないのになっていたものがあったとか、それが今、午前中からも問題になっておりましたけれども、そういうものがあるわけです。

 私は、最終報告というからには、本来、調べ尽くして、もうこれから変わらない、それが最終報告というべきものではないかと思うんですが、漆間長官自身が昨年十月二十六日のこの内閣委員会で、愛媛県警を二〇〇六年三月までに監査するというお話であったわけです。警察庁も監査をする、県警もその時点では間違いないものとして出しているというのが本来だと思うんですが、監査はされたんですか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の答弁に際しては、その時点におきまして、愛媛県警察に対しまして平成十七年度中に監査を実施することとしておりましたことから、警察庁長官はその旨を答弁したところであります。

 しかしながら、愛媛県警察におきましては、捜査費に係る調査が平成十八年二月まで継続しました。さらに、これを踏まえた処分等が三月末に行われたところでございます。

 こうした状況を勘案し、同県警察に対します監査を平成十八年三月、すなわち十七年度末までに実施することは、監査の実効性の観点から差し控えることとしたものでございます。

 なお、十八年度におきまして、状況を勘案しつつ、可及的速やかに実施することと考えているところでございます。

吉井委員 ですから、二月に最終報告だ、もうちゃんとやったんだというのが、今その内容が怪しくなってきている。監査をしますと言っていたのが、監査がまだやられていないということがはっきりしたと思うんです。

 次に、愛媛県警捜査一課の警部、当時は警部補ですか、そのパソコンから捜査情報流出問題が起こったということが今出てきておりますが、ウィニーの使用とウイルス汚染によって捜査資料が流出したという、このことを愛媛県警また警察庁の方はいつ把握されましたか。

縄田政府参考人 愛媛県警から通報を受けましたのが三月七日でございました。三月七日の日に確認をいたしまして、同日警察庁の方に通報があった、こういうふうに承知しています。

吉井委員 それで、パソコンから流出した時期の方ですね、つまり、いつごろ、いつからいつまでの分が流出したというふうに確認しておられますか。

縄田政府参考人 平成九年ごろから平成十七年四月ごろまでの間の資料というふうに承知をいたしてございます。

吉井委員 それで、流出した情報の方ですが、捜査報告書、それから行動確認報告書、Nシステム関係などの資料が含まれていたということを把握していらっしゃるのかどうか。また、これ以外にはもうないのかどうか。この点、どうですか。

縄田政府参考人 流出した資料でございますけれども、関係者の供述を記録したものとか、捜査結果を取りまとめたものなどであるというふうに報告を受けております。

 委員、今いろいろ御指摘になられましたけれども、私どもといたしましては、流出したと見られる資料の詳細につきまして今調査しているところでありまして、資料の具体的な内容を明らかにいたしますと、さらに、ネット上に流出した個人情報が少なくとも警察から流出したものであるというようなことの確認にもつながります。そういったことで、資料の検索を容易にし、さらに拡散を招くということも懸念をいたしておりまして、関係者の名誉やプライバシーにもかかわることでありますので、詳細な御説明は差し控えさせていただきたいと思います。

吉井委員 三月七日に流出したという事実は、まず把握されたんですね。そして、マスコミ等でも捜査情報、行動確認報告書、Nシステム関係の資料が出たということは、もうはっきりしているわけですよね。

 これは、何が出て、どういう問題なのかということは、国会がこれをきちんと確認し、チェックしていくというのは、警察行政というものを見ていく上で基本中の基本だと私は思っているんですよ。それをはっきりさせないというのは、はっきりさせないというより、はっきりさせることができない事情が問題だと思うんです。

 そこで、関連して伺っておきますが、二〇〇二年、宇和島で吉田湾殺人死体遺棄事件、それから一九八九年八月の新居浜で発生した美容師殺人事件、この二つの捜査費というのは国費によるものですか、県費によるものですか。

縄田政府参考人 御指摘の事件につきましては、いずれも、その犯罪の捜査に必要な経費は、警察法三十七条二項の規定に基づきまして、愛媛県が支弁しているものと承知をいたしております。

吉井委員 次に、二〇〇二年三月当時、愛媛県警刑事部捜査第一課長であった方は二宮義晴さん、現在は松山東署の署長さんですか、この方ですね。

縄田政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

吉井委員 それで、午前中も出ておりましたけれども、私もここに流出した情報の一部プリントしたものを持っております。二十数件の捜査報告書ですが、この中には、今確認した捜査第一課長、警視二宮義晴殿とあてて、捜査一課警部補のKさんが書いたもの、ですから、これは警察庁は当然把握していらっしゃると思うんですが、これはどういう性格の文書なんですか。

縄田政府参考人 今、委員、流出した資料の関係でお尋ねでございます。

 これにつきまして、私どもとしてこの具体的内容を明らかにすることは、先ほども申し上げましたように、流出した資料の確認にもつながるということで、先ほども申し上げましたような理由から、詳細答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。

 一般的に申し上げれば、捜査報告書というのは、いろいろな捜査をした過程でどういう活動をしたかというのを取りまとめたようなものが一般的であろうかと思います。あくまでも一般論で申し上げれば、そういうことだろうと思います。

吉井委員 今一般論ではおっしゃったんですが、この捜査報告書には、情報提供者の名前、情報提供内容、聞き込み状況等がありますね。それだけじゃなしに、今後の協力依頼もあることから、情報提供謝礼を交付したものであると。これは、同じ要領ですべての書類にこれが書いてあるんですね。ですから、伺っておきたいんですが、捜査報告書というのは、捜査費の支払いの事務の中でどういう意味を持つ文書になるんですか。

縄田政府参考人 一般論で申し上げますと、捜査費の支払いといいますか、情報提供謝礼を支払う場合に、これは、捜査報告書というのは先ほど申し上げましたような性格でございますので、情報提供謝礼を支払う際に必ずしも捜査報告書を作成しなきゃいかぬというものではございません。それぞれ事案に応じての対応だろう、こういうふうに思います。

吉井委員 それで、プリントアウトしたものをちょっと整理してみたんですよ。そうすると、全部整理してみると、今後の協力依頼の意味合いからも謝礼の交付を行ったという文書が出てくるものが九回あるんですね。それから、情報提供謝礼に支払うとともに今後の協力を依頼したものという文書が二回出てくる。それから、今後の捜査協力依頼をした上で情報提供謝礼の交付を行ったものというのが二回。要するに、プリントアウトすると全部が、この合計十三以外のものも同じ言葉が全部に出てくるんですね。

 ですから、私は、見たところは、これは捜査報告書というよりも情報提供謝礼理由書、そういう印象で受けとめたんですが、通常、捜査報告書というのは情報提供謝礼理由書ではないと思うんですけれども、これは、全部こういうやり方に今なっているんですか。

縄田政府参考人 委員、流出した資料ということで今御質問になっておられます。そういった意味合いでは、私どもとしては、先ほども申し上げましたようなことから答弁を差し控えたい、こういうふうに思います。

吉井委員 答弁を差し控えるという意味が私よくわからないんですけれどもね。流出した資料そのものを出せとまたここで言っているわけじゃないんですよ、その流出した資料は、あなたもさっきから言っておられるように持っていらっしゃるわけだから。

 私も多分同様のものを持っていることになると思うんですが、その文書を見ると、全部同じ文章で、要するに、今後の協力依頼の意味合いからも謝礼の交付を行ったものだ、若干前後して、逆に、今後の捜査協力依頼をした上で情報提供謝礼の交付を行ったものとか、どっちがどっちへ来るかという若干の違いは、前後するのは中にあるにしても、全部同じ文章が一番最後についてくるんですね。だから、これはどう見ても、捜査報告書というより情報提供謝礼理由書ではないかということを聞いているんです。違うんですか。

縄田政府参考人 捜査報告書というのは、あくまでも、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、捜査の経過等を記載したものでございます。

 委員が今手元に資料がおありということで御質問になっておられますけれども、先ほども申し上げましたように、今、愛媛県警で調査中でございますし、私どもとしては、流出された情報につきまして、これを警察から流出されたものと確認するようなことにつきまして申し上げることは、諸般の関係者のプライバシーにもかかわることでありますので差し控えたい、こういうふうに思っております。

吉井委員 いや、書かれた人がプライバシーを侵害されて迷惑しているわけであって、話は逆だと思うんですね。

 それで、皆さんの方がよく御存じの「捜査報告書記載要領」というのがありますね。この捜査実務研究会が編集したものを見ておっても、実は、捜査の端緒に関する捜査報告書例というのが二十六例あります。犯行の特定に関する捜査報告書例が二十五例、捜査の適正に関する報告書例が十一例、捜査の総合判断の経過に関する報告書例が十例、各種裏づけ等の捜査にかかわる捜査例が二十二例で、合計九十四例載っているんですね。

 この九十四例の中で、私も見てみたんですが、謝礼を提供という話は一切ないんですよ。つまり、捜査報告書の中では、情報提供謝礼理由に類するものは、そもそも、通常はないんじゃないですか。

縄田政府参考人 あくまでも一般論で申し上げますと、委員御指摘のとおり、捜査事項報告書というのは、おっしゃったような形でつくられるものであります。それが基本であります。

 先ほども申し上げましたけれども、情報提供謝礼を払う場合に、それでは捜査報告書をつくらなきゃいかぬのかというと、必ずしもそういうことでもない、いろいろなパターンがあろうかなというふうに思っております。

吉井委員 いろいろ例も中にはあるにしても、捜査報告書というのは謝礼提供の理由書じゃないわけですから、そういう例というのはまずないわけです。

 そこで、謝礼を支払ったという話なんですが、マスコミ関係者が、これは愛媛新聞社とか朝日新聞社とか、ずっと、出てくる人たちのところを当たっていっていますね。そうすると、二、三人連絡がとれなくて未確認という方はありますが、二十数名のすべての情報提供者が謝礼をもらっていないと言うんですね。謝礼をもらっていないと御本人たちは言っているんです。

 そして、愛媛県警は、今おっしゃったように調査中ということなんですが、捜査報告書に名前が出た情報提供者のところに菓子折りを持って謝罪に行っているのではありませんか。

縄田政府参考人 愛媛県警察におきましては、現在、流出したと見られる情報内容を精査しておるところであります。当事者の方々に対しましては、個々の具体的な事情を勘案した上で必要な説明や謝罪をすることといたしております。一部の方に説明、謝罪した、こういうふうな報告も受けております。

 しかしながら、具体的にどのような説明をして、どのような方に謝罪をしたか等々につきましては、流出した資料の確認にもつながるということもございますし、プライバシーにもかかわることでありますので、お答えを差し控えさせていただきます。

吉井委員 菓子折り等を持って謝罪に行ったというお話は今おっしゃっているわけですけれども、これは、各マスコミも皆当たって、こういう例をつかんでいるだけじゃなしに、愛媛新聞などを見ておりましても、謝罪に行ったということまで、相手側が来たよという話で出ているわけですから。

 そこで、謝罪に行ったということは、まず県警文書としてこういうものがあったということを今お認めになったということになるわけですが、これは、情報提供者の名前が出て迷惑をおかけしましたということで謝罪をされたのか、それとも、でたらめなことを書いて申しわけなかったということで謝罪をされたのか、何を謝罪したということなんでしょうか。

縄田政府参考人 繰り返しになりますけれども、愛媛県警察においては、現在調査をしている最中でございます。具体的にだれに謝罪したか、どういった内容の謝罪をしたかということにつきまして、私どもとしては、お答えをすることは今現在では適切ではない、こういうふうに考えております。

吉井委員 私も、特定の人、この人というふうに言って、それでその人に謝罪したのかという、それを聞いているんじゃないんですよ。しかし、説明に行ったり謝罪に行かれたことは今お話がありましたから確かなんですから、それは、情報提供者の名前が出て、あなたに迷惑かけましたということでの謝罪なのか、それとも、そもそもでたらめなことを書いて申しわけなかったということでの謝罪なのか、どちらなんですかということを聞いているんです。

縄田政府参考人 あくまでも個々の具体的な事情を勘案した上で必要な説明を行っておるということでございます。

吉井委員 個々の事情を勘案して説明といっても、あなた、知らない間に名前を出しましたという事情を説明したら、大変迷惑かけましたと謝るのが当たり前なんじゃないですか。こういう場合は謝罪しないんですか。

縄田政府参考人 個別具体的に、今、流出した資料の関係で委員が御質問されていると思うものですから、詳細ちょっと申し上げづらいところもございますけれども、今私どもとして謝罪をしているのは、先ほども言いましたようにいろいろな事情がございます。被害者の方もおられれば、個人情報が出られたという方もおられます。それから、捜査の対象となっておられた方もおれば、いろいろな方々がおられます。

 そういったそれぞれの方々の事情も踏まえながら、私どもとしては、誠意を持って説明をし、謝罪をするということ、さらにはその後、諸般のいろいろなトラブルといいますか、御迷惑をおかけするようなことがあってはならぬわけですから、そういった点につきましてもいろいろ教示をしているということで、サポートもさせていただいておる、こういうことでございます。

吉井委員 そこで、公安委員長、最初にお話ししましたように、二月に最終報告が出たわけですね、調べ尽くして間違いないものだと。最終報告ですから、それから後、変更はないものだということで出しておったはずなんですね。ところが、ウィニーの、情報が漏れたということで、ある意味では情報公開みたいなものですから、明らかになって、あの報告書ではもう問題なかったような話は何だったというふうに今なってきているわけですね。

 そこで、あれからわずか一カ月もたたない間に、県警の調査が本当にひどいものだった、不十分だったということがはっきりしてきたわけですから、つまり、これは、警察の調査結果というのは裏金づくりの隠ぺいの役割を果たしてしまったというふうになってしまいますね。最初の意図はともかくとして、結果としては隠ぺいの役割を果たしたというふうになると思うんです。

 国家公安委員長は今度の事態をどう認識しておられるのか、伺います。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 愛媛県警察において、現在、流出したと見られる資料等の詳細を調査しているところであります。いずれにいたしましても、流出した資料の具体的な内容を明らかにすることが、ネットに流出した個人情報とか、少なくとも警察から流出したものとの確認につながり、また、資料の検索を容易にして情報の拡散を招く恐れがあり、関係者の名誉やプライバシーを保護するという観点から、答弁を差し控えたいと思います。

 しかし、なお愛媛県警察においては、会計経理をめぐる各事案について、愛媛県公安委員会の管理のもと、可能な限りの調査を実施したものと承知しております。特に、捜査費の執行については、愛媛県警察予算執行調査委員会を設置して、捜査費の支払い証拠書の精査、あるいは捜査費執行所属の幹部及び執行した捜査員を対象とする聞き取りなど、徹底した調査を実施したものというふうに承知いたしております。

吉井委員 徹底した調査をやったという話なんですが、ところがそうじゃなかったということが今出てきたわけですね。私は、ウィニーにより流出したことよりも、実は、そのことでわかった、勝手に人の名前を使って捜査費を受け取っておった人がいるわけですよね。これが裏金という問題でしょう。それが大事な一番のポイントだと思うんです。

 それで、県の監査委員会の調査に対して、警察は協力者を保護する必要があるからといって、捜査報告書などはマスキングして、肝心なところを見せなかったわけですよ。だから監査できなかったわけです。今回のことで、それは協力者保護じゃなくて、協力者に謝礼が渡っていなかったことを隠すためだったんだ、このことがはっきりしたわけです。これが隠ぺいでなくて何なんでしょうか。

 ですから、これから調査をするのは当然なんですよ。今調査しているとか、公安委員長もされるのは当然だと思うんですが、同じような手法で警察がやるのでは、これは期待できないんです。

 例えば、第三者機関がやるとか、マスキングなしで監査委員会の調査を行うことに協力するとか、捜査協力者とされている人まで確認するとか、抜本的に調査方法を変えないと、国民から警察が信頼を失ってしまう、国民は警察のやる調査というものを信用しないということになってしまうと思うんですね。これは大変深刻なことだと思うんです。

 だから、国家公安委員長はそういうことを考えて、やはりマスキングしないできちっと監査委員の人にも見てもらう、必要ならば本人に当たってもらって本当に金が渡ったのかどうかということを、それを調べるというところに協力させる、その姿勢がないとこの問題は解決しないと私は思うんです。公安委員長、どうですか。

沓掛国務大臣 今愛媛県警で調査をいたしておりますのは、いわゆる流出したと見られる資料等の詳細について調査しているわけでございます。

 今委員言われましたマスキング、検査や監査に関してのマスキングなしで対応すべき、どうかというようなことについて申し上げれば、国家公安委員会としては、会計検査院や監査委員の監査に当たっては、警察の責務を遂行するため、特段の支障のない限り、すべての内容を提示すべきと考えているところであり、なお、捜査協力者の氏名を提示した場合にどのような支障がどの程度生ずるのかを個別具体的に検討した結果、捜査上特段の支障が生ずるため提示できないこととなったケースもあるものというふうに承知しております。その場合であっても、説明責任を果たすため、聞き取り調査など、執行事実を確認できる他の手段はないのかといったことも当該ケースに即して検討し、監査委員会委員等の御理解を得ながら適切に対処すべきものと考えております。

 いずれにせよ、監査委員の監査等に当たり、各都道府県警察がその説明責任を十分に果たすよう、警察庁を督励してまいりたいと考えております。

吉井委員 だれにでもかれにでも公開せいとかいう話じゃないんですよ。捜査上の秘密だということでもって明らかにされない、それが裏金づくりのもとになっていたということが今出てきているんですから、そこについては徹底した解明というものをやはり国家公安委員長はこれは責任を持ってやっていく、それから第三者機関でやっていくということをしないと、私は、これの解明は進まないということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、内閣提出、消費者契約法の一部を改正する法律案及び菊田真紀子君外三名提出、消費者契約法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。猪口国務大臣。

    ―――――――――――――

 消費者契約法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

猪口国務大臣 消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、消費者が契約の取り消しや契約条項の無効を主張できる場合を類型的に定めた消費者契約法が平成十三年から施行されています。これにより、消費者の被害救済が個別的、事後的に図られていますが、同種の消費者被害の発生や拡大を防止するには限界があります。

 このため、消費者契約法の実効性を確保する方策として、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が、事業者等に対し、消費者契約法に規定する不当行為の差しとめを請求することができることとするとともに、この適格消費者団体の認定及び差しとめ請求に係る訴訟手続等について所要の規定を整備することとし、この法律案を提出する次第であります。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、適格消費者団体は、事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法に規定する不当勧誘行為または不当条項を含む消費者契約の締結を現に行いまたは行うおそれがあるときは、当該行為の差しとめ請求をすることができることとしています。

 第二に、内閣総理大臣は、適格性の要件に適合している者を、その申請に基づき、適格消費者団体として認定することができることとしています。適格性の要件は、特定非営利活動法人または公益法人であること、不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることなどとしております。

 第三に、適格消費者団体は、差しとめ請求に係る業務を行うに際しては、不特定かつ多数の消費者の利益のために差しとめ請求権を適切に行使しなければならないこと、所要の事項の情報開示をしなければならないこと等とするとともに、内閣総理大臣は、適格消費者団体に対して必要な監督上の措置を講ずることができることとしています。

 第四に、訴訟手続につき、訴額、管轄、移送・併合等に関する所要の規定を整備することとしています。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

佐藤委員長 次に、提出者菊田真紀子君。

    ―――――――――――――

 消費者契約法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菊田議員 民主党提出の消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表し、その趣旨及び概要を御説明いたします。

 近年、企業の不当な契約や勧誘など消費者契約にかかわるトラブルが増加し、内容も多様化、複雑化しているため、事態が深刻化しています。こうした状況を受け、消費者団体が消費者の利益のために訴えを提起する制度、いわゆる消費者団体訴訟制度の必要性が唱えられてきました。消費者契約に係る被害は、同様の被害が多数の方々に及ぶケースが多いため、被害が広がる前に、事業者による不当な勧誘行為や契約条項の使用を差しとめることが必要です。

 また、これまでは、被害額が少額なこともあり、被害救済を求めて訴えを提起することが困難でした。今回の政府案でも、個々の消費者の被害救済については消極的で不十分な内容だと考えます。そこで、民主党では、被害を受けた消費者の立場に立って、適格消費者団体が損害賠償等団体訴訟を追行できる仕組みを提案いたしました。

 さらに、悪質な事業者の監視や取り締まり、被害を受けた消費者救済のためには、従来のように行政ばかりに頼るのではなく、消費者の立場から、市場の監視者として、被害救済の支援者として、消費者団体の役割をこれまで以上に積極的に評価することも必要です。

 民主党案は、こうした基本的な認識に基づき、真に消費者の権利の保護を図るため、所要の法整備を行おうとするものです。

 以下、本法律案の概要を申し上げます。

 第一に、事業者等の一定の行為による消費者の被害の発生、または拡大を防止するため、適格消費者団体が、事業者等に対し、その差しとめを請求できることとしております。

 政府案にも同様の規定がありますが、差しとめの対象が、消費者契約法に違反する不当な行為に限定されており、消費者の立場からは対象が極めて狭いものになっています。民主党案では、民法における詐欺や強迫に該当する事案、さらには民法九十条の公序良俗違反なども対象にしており、より消費者にかかる被害の未然防止、拡大防止を図る内容としております。

 第二に、適格消費者団体が損害賠償等団体訴訟を追行し、これに係る確定判決等に基づいて支払われた金銭等を配当できることが特徴です。政府案は、こうした制度の導入を見送っており、個々の消費者被害の救済に消極的な姿勢であるのに対し、民主党案では被害の救済の実効性の確保を図る内容としております。

 第三に、適格消費者団体の登録等の制度について所要の規定を整備します。政府案は、適格消費者団体に係る適格性判断の仕組みを、内閣総理大臣による認定制をとっており、団体の範囲を著しく狭めていますが、民主党案では、法令で定める登録拒否事由に該当する場合を除いて、登録制をとることとします。これにより、中間法人や消費生活協同組合も適格消費者団体となり得るなど範囲をより拡大して、制度の積極的な運用が期待できるものとしています。

 加えて、民主党案は、登録基準を明記することにより、行政による裁量を排除する仕組みをとっています。この点、政府案は、抽象的な認定基準であり、行政裁量の余地が残る仕組みだと考えております。

 第四に、適格消費者団体への支援について必要な規定を設けております。

 適格消費者団体は、差しとめ請求権の行使や損害賠償等団体訴訟の追行など、消費者利益のための積極的な活動が期待されます。そこで、民主党案では、適格消費者団体が行う差しとめ請求関係業務や損害賠償等請求関係業務の公益性にかんがみ、国及び地方公共団体はそれら業務のために必要な資金の確保に努める旨の規定を設けております。これまで以上に、自治体も消費者の権利保護のために積極的にかかわることを求めています。

 以上が、本法律案の趣旨及び概要です。

 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

佐藤委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十八分散会


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