衆議院

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第8号 平成18年5月17日(水曜日)

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平成十八年五月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 剛男君

   理事 木村  勉君 理事 戸井田とおる君

   理事 西村 康稔君 理事 林田  彪君

   理事 山本  拓君 理事 泉  健太君

   理事 大島  敦君 理事 田端 正広君

      阿部 俊子君    赤澤 亮正君

      遠藤 宣彦君    小野 次郎君

      小渕 優子君    大野 松茂君

      木原 誠二君    後藤田正純君

      田中 和徳君    土屋 品子君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      長崎幸太郎君    平井たくや君

      広津 素子君    福岡 資麿君

      村上誠一郎君    村田 吉隆君

      望月 義夫君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    川内 博史君

      小宮山洋子君    寺田  学君

      鉢呂 吉雄君    伊藤  渉君

      太田 昭宏君    吉井 英勝君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 辻   優君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松本隆太郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     谷 みどり君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 春田  謙君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     長崎幸太郎君

  小渕 優子君     福岡 資麿君

  木原 誠二君     阿部 俊子君

  土屋 品子君     田中 和徳君

  大畠 章宏君     寺田  学君

  太田 昭宏君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     広津 素子君

  田中 和徳君     望月 義夫君

  長崎幸太郎君     赤澤 亮正君

  福岡 資麿君     小渕 優子君

  寺田  学君     大畠 章宏君

  伊藤  渉君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     木原 誠二君

  望月 義夫君     土屋 品子君

    ―――――――――――――

五月十七日

 憲法第九条を変えないことに関する請願(保坂展人君紹介)(第一九九九号)

 同(土肥隆一君紹介)(第二〇三一号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二〇八二号)

 平和憲法・九条を守ることに関する請願(日森文尋君紹介)(第二〇〇〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二〇八三号)

 憲法改悪反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二〇七九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一四七号)

 同(石井郁子君紹介)(第二一四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一四九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一五〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二一五一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一五二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一五四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二一五五号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二〇八〇号)

 憲法の改悪反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二〇八一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長竹花豊君、刑事局組織犯罪対策部長米田壯君、交通局長矢代隆義君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、法務省刑事局長大林宏君、外務省大臣官房参事官辻優君、経済産業省大臣官房審議官松本隆太郎君、商務情報政策局消費経済部長谷みどり君及び国土交通省大臣官房長春田謙君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 おはようございます。

 きょうは銃刀法の改正についての質疑でございますが、今回のこの改正は、昨年、私、この内閣委員会でも指摘させていただきましたが、改造エアガンでの事件が頻発しました。それがきっかけになりまして今回の改正になったんだと思っております。

 昨年の夏に、東大阪の高速道路上で追い越しざまに車から改造エアガンを使って窓ガラスに穴をあけたとか、あるいは、同じ大阪市内の阪神高速でやはりドアがへこんだり窓ガラスが割れたりというふうな改造エアガンによる事故といいますか事件がありました。

 そして、ついに大きな事件になったのは、九月の末だったと思いますが、阪和自動車道でクラウンに乗っていた男が相手の乗用車とカーチェイスみたいなことをやった後、エアガンを発射して一つの大きな事件になり、その車がまた十五分後に、今度は和歌山県の日高川町の湯浅御坊道路のトンネルの中で、また後方から猛スピードで接近して相手の車に発砲した、こういう事件が重なったことで大変大きな話題になり、こういう改造エアガンを放置していていいのかという議論が起こったわけでございます。

 今回のこの法改正で、そのような改造エアガンは、殺傷能力のあるこういうものが規制される、規制対象になるということは、それはそれで非常に一歩前進だと思いますが、これらの今申し上げたような事件に使われたエアガンの威力とか性能とか、そしてどういうふうにして入手したのかとか、そういうことは判明していたんでしょうか。

 それから、エアガンの愛好者というのは百数十万人いるとも言われておりますし、そしてまた、こういうエアガンが年間二百万丁も生産されている、こういうことも聞いておりますけれども、そういう状況の中で、今回の法律改正によって改造エアガンのこういうような発砲事件は再発を防ぐことができるのかどうか、それを確認させていただきたいと思います。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事件につきましては、昨年の九月に和歌山県内の高速自動車道におきまして、車に乗った被疑者がけん銃様のものを走行中の他の車両に向けて発射し、車両の窓ガラスが割られるなどの被害が相次いで二件発生をいたしました。大阪府下におきましても同様の発砲事件が連続して発生したものでございます。

 和歌山県警、大阪府警が連携を図りまして捜査をしまして、昨年十月六日に覚せい剤取締法違反で逮捕した二十五歳の男性が本件犯行を敢行した旨を供述したために、十月二十六日に器物損壊罪及び銃刀法違反で再逮捕したものでございます。

 その後の捜査によりまして、被疑者から押収いたしました銃は、準空気銃に該当する威力の強いエアソフトガンをより威力の強い空気銃に改造したものでございまして、この銃につきましては、被疑者がインターネット上の情報を得て購入したということが判明をいたしております。

 今回の法改正によりまして、この威力の強い準空気銃、威力の強いエアソフトガンの所持を規制することによりまして、その流通を抑え込み、そのことを通じて、こうした簡単に改造された空気銃がつくられないという状況をもたらすことができると考えておりまして、その点で、今回の法改正でこの種の事件の防圧がかなりの程度図られるものというふうに考えているところでございます。

田端委員 再発しないようにぜひしっかりと法律を施行していただきたい、こう思います。

 ところで、実は、今日、これだけ犯罪事件がたくさん起こりますと、企業にしても、例えば商店にしても、あるいは個人にしても、それなりに防犯意識が高まりまして、あるいは防犯グッズ等もたくさん販売されています。そういうものを使って、何か起こったときには自分で自分の身の回りを守ろう、こういう風潮といいますか、それは当然あるわけであります。

 その中に、何かあったときに犯人に対してカラーボールをぶつけて、そのカラーボールが割れてその色が被服につく、そして犯人を特定する、こういうものが考えられるわけですが、実は、カラーボールを発射する装置、例えばこういう商品が商品化されているわけです。

 これは三連発までできまして、十五メートルのところの逃げる犯人に命中させる、こういう非常にすぐれものということで、警察関係者の中でも、これはいい防犯グッズだ、こう言われているわけです。ところが、今回のこのエアガンの規制との関係でいった場合に、こういうものが果たしてどうなるのかということがちょっと気になるところであります。

 これは、赤色レーザーで目標に照準を定めて、そして発射レバーを押せばカラーボールが飛んでいって、割れて中のマーキングされたものが被服について、犯人が特定されて、そのまま犯人逮捕、そういう形になるということで、例えば大阪の中では、銀行なんかもこの商品を使っているわけですよね。銀行強盗があったときにはこれを使えということになっているようであります。

 ところが、この商品が、規定からいきますと、改造エアガンの威力との関係で、数字の上で少しひっかかるんではないかという危惧がされているようでありますけれども、こういう防犯用品まで規制されてしまったら、せっかくのいいアイデア商品がどうなるのかということになりますので、こうした防犯グッズが規制されたり罪に問われるということがあってはならないと思っておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

竹花政府参考人 私の方から事務的にまずお答えさせていただきたいと存じますけれども、御指摘のものは、カラーボール発射装置と一般に言われているものでございます。

 私どもが警察庁で把握しておりますところでは、このような防犯器具の中に準空気銃に該当するようなものは把握していないところでございまして、また、そもそもこのような防犯用品が犯人追跡の目印をつけるために使用するものでありますれば、その程度の発射威力を有すれば足りるわけでございまして、人を傷害し得る今回の準空気銃の規制に該当するような威力は必要がないものと考えているところでございます。

 もっとも、たとえ防犯目的であっても、今回の改正法により威力が準空気銃に該当するものであれば所持が禁止されることになるわけでございます。しかし、御指摘のような懸念は、私どもは今のところ掌握をしていないところでございます。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 改正法の施行に当たりましては、その内容について広報啓発を行うことが重要であるというふうに認識いたしておりまして、ホームページ、パンフレット等さまざまな手段を活用することによって、広く国民や事業者等に対して今回の法改正によって準空気銃の所持が違法になることを周知するとともに、今お尋ねのございました防犯グッズの製造販売事業者に対しましては、準空気銃に該当しないものを製造、販売するよう、必要な指導、情報提供等を行っていきたいというふうに考えております。

田端委員 そういう意味では、事前に、そういういい業者といいますか前向きに取り組んでおられるところには、どうぞきちっといい指導をしていただいて、そういう威力が超えないようによろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 我が国の治安というものがほかの先進諸国に比べても高水準に保たれてきたことの理由の一つとしましては、この銃砲刀剣類の規制というものが厳正に行われてきた、こういうことが挙げられるわけでございます。

 そういう意味では、銃刀法というものが果たしてきた意味というのは極めて大きなものがあったのかな。ただ、昨今、凶悪犯罪というものも大変多くなってまいりまして、そこに銃を使われるということがとても多くなってきている。そういうことから、今後また厳しい規制というものが必要になってくるのかなというふうに思います。

 そこでまた、銃刀法の銃刀剣類の利用というもの、目的というものも、これは種々ありますので、中には、例えば社会生活上これは欠くことができない、そういうこともございます。

 そういう制限をこれからしていこうというこの改正につきましては、大変これは慎重に検討する必要はあるのかなというふうに考えますが、今回規制しようとしている威力の高いエアガンのように、人の身体に傷害を及ぼすようなものにつきましては、国民の方々に安全で安心な暮らしを提供する、こういう観点からも厳しく取り締まる必要があるのかなというふうに考えております。

 そこで、まず大臣にお尋ねいたしますけれども、今回のこの法改正の趣旨を十分に踏まえまして法を執行するためには、準空気銃の密輸というものを厳格に取り締まって、我が国への準空気銃の流入というものを阻止する、こういうことが重要でございますが、この準空気銃の輸入に対する取り締まりについて、大臣の決意というものをお聞かせいただきたい。また、特に税関等の関係機関との連携についてもお聞かせいただければと思います。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 改正法施行後におきましては、準空気銃の国内における製造、販売について厳正な取り締まりを行っていくことはもちろんのことですが、お話のございましたように、外国から準空気銃が我が国に流入することを防止するため、一つ、準空気銃の輸入に対する取り締まりについても積極的に行っていくことが不可欠というふうに考えております。

 このためには、水際で準空気銃の流入を阻止することが重要であり、税関等の関係機関と連携を一層強化し、これら機関との情報交換、捜査協力を進めながら、準空気銃の輸入に対する取り締まりに万全を期してまいりたいと考えております。

糸川委員 人体に危害を及ぼす可能性のあるものが特に外国製品なんかは多うございますので、ぜひそういうところの水際対策に取り組んでいただきたい。

 準空気銃に比べて、今度は格段に威力の高いけん銃というものにつきましてですが、近年、国内でのけん銃の押収というものがどのくらいあるのか、それから、押収元というのはどういうところから押収されているのか、また、その中の外国製のけん銃というものはどのぐらいの割合があるのかをお聞かせいただけますでしょうか。

米田政府参考人 お答えをいたします。

 平成十七年におきまして国内で押収をいたしましたけん銃は四百八十九丁でございまして、平成十六年は六百一丁、平成十五年は七百八十五丁でございます。その押収元では、暴力団構成員等からのものが各年おおむね五〇%前後を占めるという状況でございます。

 それから、押収されたけん銃のうち、大半は、模造、改造けん銃ではなくて、真正けん銃でございますが、その真正けん銃のうち、外国製と判明したものの割合は、三年を平均いたしますと約七五%ということになります。

糸川委員 ということは、やはり外国からの製品というものが非常に多いんだということがわかるわけでございます。そこで、国内におけるけん銃の流通というものを防止するために、実際、その水際対策ということに対して重点的に取り組むべきであるというふうに考えておりますが、現在どのような対策を講じて、どのような成果を挙げられているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

米田政府参考人 委員御指摘のとおり、やはり外国から密輸入されたものが大半であるということで、私ども、関係機関等と連携しながら、共同捜査、合同訓練あるいは合同サーチといったもの、水際対策に重点的に取り組んでおるところでございます。

 けん銃等の密輸入事件につきましては、平成十七年中は三件五名を摘発いたしておりまして、本年は既に四名を検挙し、十一丁を押収しております。

 最近の密輸入事犯は非常に手口が巧妙でございますので、国内のみならず国外の関係機関とも情報交換を強力に推進しながら、取り締まりを推進していきたいと考えております。

糸川委員 それでは、今後この銃器対策というものをさらに進めていくということのためには、警察を初めとする捜査機関の銃器犯罪の徹底的な捜査と、それから、先ほどから申しているように水際対策の推進とともに、国民の協力を求めていくことが重要である。今回の準空気銃なんかにもそうなんですが、こういうことに対して大臣の決意というものをお聞かせいただけますでしょうか。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 政府におきましては、厳しい銃器情勢に対処するため、内閣官房長官を長とする銃器対策推進本部を設置いたしまして、関係省庁が連携した銃器対策を推進しているところでございます。

 警察といたしましては、暴力団等の犯罪組織によるけん銃の密輸、密売事犯の取り締まりを推進しているほか、銃器犯罪に対する国民の意識を高め、不審情報の積極的な提供を促すなど、国民の理解と協力の確保のための広報啓発活動に努めているところであります。

 今後も、違法銃器の根絶に向け、銃器犯罪に対する徹底した取り締まり、水際対策、広報啓発活動等の銃器対策を総合的に推進するよう、警察当局を督励してまいりたいと考えております。

糸川委員 今、大臣の御決意というものを伺ったわけですけれども、実際、私もエアライフルの所持をしておりまして、これは正式にちゃんと許可を得ているものですので違法なものではありませんけれども、我が国におきましては、銃刀法による銃器、これに関しましての厳格な規制というものが、先ほどから申しているように、治安維持に大きく貢献しているわけでございます。

 ただ、猟銃につきましては、数日で取得することができます。エアライフルなんかにしましては、この教本一冊で、これでもう正直一日で許可が出るんです。これは、当然準空気銃よりも殺傷能力が非常に高い。最大でどのくらい飛ぶかといいますと、大体三百メーターぐらいは弾が飛ぶ。そういうものが一日で許可で取れちゃう。免許じゃないんです、これは許可で取れるんです。

 そういうことで、そもそも猟銃等の許可につきましては、現行より厳しい手続にして、本来持たせるべき者以外には所持許可というものを与えないようにした方が、今回の準空気銃で規制を受ける人たちというのは、どちらかというと銃に非常に興味を持たれている方だと思いますので、そういうものが規制されると、では今度はエアライフルに行こうかとか、エアライフルの方がいい、いろいろ改造もできたりとかというふうに考えてしまう人もいるかもしれませんので、今後厳しくしていく必要があると思うんですけれども、その辺についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

竹花政府参考人 議員御指摘のとおり、銃刀法によって銃器に対して厳格な規制がなされることは、治安の基盤にかかわる問題だというふうに私どもも認識をいたしております。

 したがいまして、銃刀法におきまして、欠格事由、これは、薬物中毒者あるいはさまざまな犯歴等を有する者につきましても欠格事由を厳格に定めておりますし、また、猟銃等を適正に取り扱うため必要な知識などを習得した者に対してのみ、その用途を限定した上で所持許可を与えることとしているところでございます。

 現在とっておりますこういう手続に特段不都合な事態が現在のところ生じていないという状況がございますので、私どもといたしましては、今後、不適切な者が猟銃等を所持することがないように、現行の許可制度のさらに厳格な運用に努力してまいりたいというふうに考えております。

糸川委員 今、現行不都合が生じていない。ということは、不都合が生じてから改正しようということになってしまうと、やはり後手後手になってしまうのかな。

 ですから、私も講習に行った際、女性が、私もライフルをやりたいんだと言っていらっしゃる方がいました。こういうすそ野を広げていくことというのは非常にいいことなのかなというふうに考える反面、その方の話を伺っていると、どうも、ライフル、実包が発砲できる方を持ちたい、散弾銃を持ちたいんだというような話でございました。正直、今まで撃ったことがあるのかなということで尋ねてみますと、撃ったことはない、全くやったことはありません。それでも、そういう散弾銃などという殺傷能力のあるものが簡単に取れてしまう。ですから、そういうところは今後しっかりと規制をしていかなければいけないのかなということを一言申し添えさせていただきたいと思います。

 そうしますと、実際、ここにも書いてあるんですけれども、欠格事由になるような人たちがおるわけでございまして、特に、暴力団関係者という方々に例えば猟銃等の許可を与えてしまうと、これは非常に危険な使い方をする可能性もございますので、こういうことに関しましては慎重に行っていただきたいなと考えておりますが、実際、暴力団関係者であっても所持が許可されるということがあり得るのか、また、そのような例が過去にあったのか、お聞かせいただけますでしょうか。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 猟銃等の所持許可の申請をした者が銃砲刀剣類を使用して凶悪犯罪を犯し一定期間を経過していない場合、あるいは集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある者に該当する場合等におきましては、許可をしてはならないこととされております。警察では、許可申請者がこれらの者に該当していないかどうかを厳格に審査をしているところでございます。このため、暴力団関係者に猟銃等の所持許可を与えることはまずないものと考えております。

 過去にそういう事態があるかどうかについては、すべて詳細把握することはできませんけれども、少なくとも、この集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある者ということが欠格要件として加わった平成三年以降は、まずそのような事態はなかったものと承知をいたしております。

糸川委員 ありがとうございます。私もそのように一応講習のときも聞きまして、そういうふうに認識をしております。

 ただ、今後、本当にどういうルートからそういう猟銃というのが渡るかというのはわかりませんので、しっかりとそういうものは調査をしていっていただきたい。例えば私のエアライフルなんかのときにも、確かに警察の方が自宅の周辺で聞き込みをされて、糸川というのはどういう人物かということを聞いて回られた。そういうしっかりとしたことをされているというのも、自分が実際体験したことでございます。

 ただ、ライフルの中でおかしいなと思うところも幾つかありまして、例えば、覆いがあれば、ライフルを運んでいる最中、ふろしきに包んでいてもいいんですね、今の現行法では。例えば、ライフルをふろしきに包んで持ち歩いていて、周りの人が実際どう思うのか。それで法律上は問題がない。これは私はちょっと問題があるんじゃないか、やはりライフルのしっかりとしたケースの中に入れて運ぶとかそういうふうにしていかなければ、実際、今のこの世の中には余り即していないのかな、そういう気もいたしております。

 狩猟ですとか有害鳥獣等の駆除ですとか標的射撃ですとか、そういうことでの猟銃等を所持することが必要な者には所持許可というものをまた今後どんどんしていかなければならないわけですけれども、現在、猟銃等の許可状況というものが実際どうなっているのか、お聞かせいただけますか。

竹花政府参考人 平成十六年十二月末現在で、猟銃または空気銃の許可を受けております者は十八万六千三百四十人、許可対象の猟銃等は三十六万一千三百七十二丁となっております。

糸川委員 例えば猟銃及び空気銃の所持につきましては、銃刀法の第四条の第一項第四号で、国際的な規模で開催される政令で定められる運動競技会のけん銃射撃競技または空気けん銃競技、こういうもののための所持というものが規定されておりますが、これはどのような競技をいうのか、お聞かせいただけますでしょうか。

竹花政府参考人 現在、政令で定められております競技会は、オリンピック競技会、アジア競技大会、近代五種競技世界選手権大会、世界射撃選手権大会及びアジア射撃選手権大会でございます。

糸川委員 例えば、日本でのエアライフルの所持許可というのは、これは十四歳ですか、十四歳から一応許可が出るということになって、私も、高校のとき射撃部だったものですから、そういうことでお世話にはなったんですけれども、正直、世界での日本のライフル競技というのは非常に強くはない、弱いと言ってしまった方がいいんでしょうか、入賞程度ということを考えると、今後、今おっしゃられたような競技会に関しまして、例えば、特段の問題が生じるとも考えにくい。

 例えば、本当に管理をされている学生、そういうことを考えると、オリンピック等への出場とかアジア大会への出場ですとか、そういうことの競技振興のために所持可能年齢というものを引き下げる方向を考えてもいいのかな。ただし、そこにはもちろん、安全ですとか保管の状況とかそういうものはしっかりとした上で、所持可能年齢の引き下げというものを図っていくべきではないのかなというふうに考えますが、国家公安委員長、どのように御見解をお持ちなのかお聞かせいただけますでしょうか。

沓掛国務大臣 糸川委員、大変こういう関係にお詳しいということでございますが、今、オリンピック等へ出場する場合の銃の所持許可年齢について、それを下げてはどうかということですが、既に、日本体育協会の推薦があった場合にはかなり年齢を下げて所持できるようになっております。

 例えば、けん銃、空気銃につきましては、一般人は所持できないとされておりますが、この場合、オリンピック等へ出場するため必要な場合には十八歳以上であれば認められるとか、あるいは散弾銃については、一般的には二十歳とされているところが十八歳まで下げられておりますし、ライフル銃についても、一般的には三十歳とされているところが十八歳、また空気銃については、今お話しになりましたように、十八歳とされているところが十四歳に特例を認めているところと承知いたしております。このように、競技振興のため特別の配慮をしているところであります。

 所持許可年齢をさらに引き下げるかどうかにつきましては、先生のように大変経験の深い方々の御意見もお聞きしながら、慎重に判断していく必要があるというふうに考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 もちろん、大会というところでは、国際大会で日本がその存在を示せるように、活躍できるように、所持許可年齢を引き下げていく方向であってもいいのかな。ただ、そこには、例えば今回、準空気銃なんかの規制は非常にいいことだと思うんですけれども、銃の取り扱いに関しましては、安全を確保するということが第一でございますので、ぜひしっかりとそこには取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 ありがとうございました。終わります。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 改造ソフトエアガンによる事件が続いておりますから、準空気銃の所持禁止などの法改正というのは、これは、私は国民の安全を守る立場から当然のことであり、必要なものだというふうに考えております。

 そこで、最初に警察庁の方に、政府参考人に伺っておきますが、法改正後、準空気銃の所持は禁止されますが、例外の規定もありますね。

 一つは、法令に基づき職務のために所持する場合、これは、取り締まりをするために警察官が例外になるのは当たり前の話だと思いますが、そのほかに自衛隊員も含まれるというふうに説明を聞いております。自衛隊の場合は、改造エアソフトガン、この準空気銃について例外となるのは、これはどうしてなのかということを説明を伺っておきたいと思うんです。

竹花政府参考人 自衛官が法令に基づき職務のために準空気銃を所持することを認めることといたしますのは、訓練を行うに際しまして、小銃等ではなく準空気銃を使用する場合が想定されることから、こうした訓練等のための準空気銃の所持については認める必要があるからでございます。

吉井委員 それで、防衛庁は全国の陸上自衛隊普通科部隊を対象に、訓練で使用している自動小銃をモデルにしたエアガン六百丁を配備したということが報道されておりますが、射程距離は二十五メートル、エネルギーは〇・八ジュールで、出血を生じさせることはなく、準空気銃には該当しないということですが、これは間違いないのかということ。

 それから、取り締まりのために警察官を所持禁止の例外にするのは当然理解できるんですが、自衛隊が含まれる場合、将来は〇・八ジュールよりもエネルギーを高めて準空気銃かそれ以上の威力を持つものも考えているのではないかということがありますが、準空気銃の威力アップというものはないのかどうか、これも伺っておきたいと思うんです。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の八九式小銃型訓練用の電動エアガンでございますが、先生御指摘のとおりの性能でございまして、現在、その電動エアガンについて性能向上というのは考えておりません。

吉井委員 それで、これは、警察庁の方に先にちょっと伺っておきましたように、射程二十五メートル、エネルギー〇・八ジュールというものであれば準空気銃にはまだ該当しないものということで考えておいていいですね。

竹花政府参考人 お答えをいたします。

 どういう威力、運動エネルギーがあれば準空気銃に該当するか、これから内閣府令を定めてまいるところでございますけれども、その測定の方法についてもまた検討してまいりますので、今防衛庁の方から答弁がありましたものが準空気銃に該当するかどうかについては、この場ではお答えをすることが難しゅうございます。

吉井委員 六百丁のエアガンの話は報道された先ほどの話ですが、これは、曽根訓練場とか東富士、饗庭野などに設けられた都市型訓練施設、ここで、占拠された建物の奪回訓練とか近接戦闘用交戦訓練を行っていますけれども、ハワイ、グアムなどで米軍と一緒になって市街戦闘の能力向上を行ってもいます。

 エアガンを都市型訓練施設や米軍と一体となった海外での訓練に使うということなのか、この点を確認しておきたいと思います。

山崎政府参考人 先生御指摘の電動エアガンでございますが、これは主として建物の中におきます閉所戦闘訓練等のために使うということを目的としておりますが、海外においてこの小銃を訓練のために使用するということは考えておりません。

吉井委員 次に、私、警察庁の職務用のエアガンの購入などに当たっても、談合とか天下りにかかわるようなことがあってはならないというふうに思っておりますから、これまで問題になっております交通信号機の工事に当たっての談合とか天下りとか、これはこの間の行革特でも天下り、談合問題というのは取り上げましたけれども、このことについて伺っておきたいと思うんです。

 二〇〇三年二月二十日に公取の方は、遅くとも九九年以降、警視庁が指名競争入札により発注した交通信号機設置工事で四件の入札談合があったということで、信号工事企業十七社に排除勧告をやりました。

 その前年の二〇〇二年七月十五日にも、公取は、警視庁が指名競争入札により発注した道路標識設置工事など三件の入札談合が行われていたとして、合計五十六社の排除勧告をやっています。

 もちろん、その前にも北海道警本部とか釧路方面本部とか、談合がありますが、九九年五月二十八日にはやはり公取がそれらについて排除勧告をやっていますね。

 この五年間に警視庁が発注した信号工事などの入札をめぐって七件の入札談合が行われ、二〇〇三年には愛媛県警職員が交通安全施設などの設計委託の指名競争入札に関連して、業者に設計価格を漏らして賄賂を受け取ったという不祥事も起こっております。

 ですから、警察庁の方は、引き続いて起こっている交通信号機だとか道路標識設置工事の入札談合、それに関連する不祥事の防止のために一体どういう対策を講じているのか、このことを政府参考人に伺います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 交通信号機等の施設の発注をめぐりまして談合などの事案があったということはそのとおりでございまして、そういう場合には、警察庁では、そのような事案の発生防止に向けましていろいろ指導してまいってきておるわけでございますが、特に、平成十五年二月に、ただいま御指摘のように、東京都内におきます信号機工事関係業者十七社が警視庁発注の信号機の新設、改良工事に関し談合を行っていたとして、これは公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除勧告を受けたわけでございます。

 私ども警察庁といたしましては、当該談合事案の発生を受けまして、直ちに「交通安全施設等整備事業に係る予算の執行をめぐる不適正事案の防止に向けた各種取組みの推進について」ということで通達を発出いたしまして、その取り組みを求めるほか、その後の全国会議の場におきまして、発注手続における競争原理の徹底と公正性、透明性を確保するなど、談合事案防止のための環境整備に必要な取り組みを推進するよう指示をしているところでございます。

吉井委員 これまで公取の方が問題にしたリストをずっと見てみますと、一九九九年のころまで、北海道警だとか釧路方面本部その他で問題になったのは大体道路標識工事の談合だったんですね。それで排除勧告を受けた。道路標識がだめだったら今度は信号機の方の談合に移っていく。ですから、その後は、二〇〇二年ごろからは信号機の談合が問題になってきているんですね。何かモグラたたきみたいで、こっちの談合を押さえたらこっちの談合がぽこっと出てくる、こういうことがまかり通っておったんでは本当に話にならないと思うんですね。ですから、排除勧告が何度も何度も出されている。

 今おっしゃった、これは二〇〇三年二月二十日の通達ですね。その中には、例えば一般競争入札の実施に向けた積極的な検討というのがありますが、この通達どおり、信号機工事の入札の場合、指名競争入札がほとんどだったんですが、指名競争入札は談合の温床になりやすいということで、一般競争入札の導入を検討せいとおっしゃったんだけれども、これは検討だけに終わったのか、具体的にどう改善してきたのか、伺います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 談合でございますが、これは結局のところ、業者の間において行われるわけでございまして、発注者側においてそれがないようにするためにどうするかということで、どうしても環境整備ということになるわけでございます。

 そのために、先ほども申し上げましたように、通達では広範なさまざまな事項について注意を喚起しておりまして、例えば工事と機器購入を分離して発注する、これについては平成十四年度では三府県で試みておりましたけれども、昨年十七年度では十七府県に増加しております。

 また、予定価格を事前公表する、こういうことも書いておりますが、これは平成十四年度は三十都道府県でございましたが、十七年度には四十一都道府県に増加いたしました。

 また、入札説明会は、既にすべての都道府県で廃止しております。

 お尋ねの一般競争入札の導入ですが、これは各県、入札の規模によってかなり状況が違うようでございますが、平成十四年度では二県で実施しておりましたが、平成十七年度は六県になっております。それ以外の都道府県につきましては、指名競争入札ということでやっております。

 なお、発注時期の分散化なども試みておりまして、これは、発注が集中しますとどうしてもそこで受注調整が行われるということでございますので、これを予定価格でやりますが、定量的に進捗状況を見ることはちょっと難しいわけですが、例えば警視庁では、毎年度、第三・四半期までに発注するようにしよう、そのような試みもしているところでございます。

吉井委員 具体的留意事項として挙げた一般競争入札についてお聞きしたんですが、要するに、二〇〇二年二県だったのが二〇〇五年度で六県に拡大したとはおっしゃるけれども、全国からすればまだ一割ちょっと、あれだけ指摘されたのがほとんど進んでいないというのが現実だと思うんです。

 公取が談合と認めた警視庁発注の工事主体者の東京都で一般競争入札が取り入れられていませんね。だから、真剣に問題を解決しようという取り組みが東京都の方であるのかということが問われてくると思うんですが、これは現在どういうふうに取り組んでいるんですか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、平成十七年度末時点におきまして、警視庁の交通信号機関係工事につきましては一般競争入札はいたしておりませんで、指名競争入札によっております。これは、契約の手続に関します東京都の基準に沿いながら、事業の規模などによりまして指名競争入札という方法をとっておるわけでございます。

 ただ、これは競争性の確保というのが大事でございますので、警視庁におきましては、指名業者選定委員会を設けて、そこで選定し、その審議事項を議事録に残すなどの工夫をしているところでございます。

吉井委員 一番全国的に問題になったのが警視庁だったわけですね。二〇〇二年七月には警視庁の指名競争入札で道路標識設置工事で談合があり、それから同じ七月十五日にもやはり溶着式の道路標示、この談合で問題になったわけですね。その道路標識が問題になってくると今度は信号機の方に談合が移っていくということで、本当に、さっきも言ったようにモグラたたきのように、こっちの談合が摘発されたらこっちの談合へ移るというだけのことで、ですから、ずっと警視庁はそういう問題があって、公取の方からも警視庁にかかわる問題で排除勧告を言われているわけですから、そしてこういう通達を出されたわけですから、私は、やはり一般競争入札を検討しなさい、談合が起こるようなことを排除しなさいと言うからには、それは徹底しなきゃいけないと思うわけです。

 次に、談合によって公正な競争が行われないで高い工事価格になっておると思うんですが、まず、警視庁発注の交通信号機工事の入札の落札率がどれぐらいなのか。談合があった場合はどれぐらい高くて、談合が比較的少なくなってきたと思われるようになると、どれぐらいになってきたか。金額的にはどれぐらい安くなっているのかということはそれで大体わかるわけですが、そういう状況をつかんでいらっしゃいますか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 入札の落札率ということで恐らくその状況を推定するということであろうと思います。警視庁からの報告によりますと、これは平成十二年度から十七年度までを見ておりますが、警視庁が発注いたしました交通信号機関係工事に係る平均の落札率でございますが、平成十二年度から順に申し上げます。

 平成十二年度九七・三〇%、十三年度九六・七八%、十四年度八四・〇三%、十五年度八五・二五%、十六年度七三・一一%、十七年度七四・八二%でございます。

吉井委員 これはどの分野でもそうなんですが、落札率が高いと、談合を指摘されると一度少し下がるんですね。少し手を抜いていると、またもとの九八%、九九%と戻るんです。これは通例ですが、信号機の場合で、今のお話を伺って明らかなように、落札率が大体九六%とか九七%、一〇〇%に近かったのが、談合が実際に相当排除されてくると七三%とか七四%ぐらいになってくるわけですから、少なくとも二〇%以上下がっているんですね。

 契約金額は三十五億円ぐらいですから、そうすると、年間七億円ぐらい高い工事代を払っていた。これは、同じ予算で執行しておればもっとたくさんの信号機が設置できているわけですね。もっと国民の安全を守ることにつながったわけですね。それが、談合によって特定の者たちへの不当利益として消えてしまった。私は、このことをもっと深刻に考えてもらわなきゃいけないと思うんです。何でそういうことがどの分野でも繰り返されるのか、やはりそれを排除しないと根本的な解決にならないと思うんです。

 防衛施設庁の問題が長期にわたって大問題になりましたけれども、自衛隊の基地や米軍基地工事での入札談合というのは、防衛施設庁のOBを天下りとして受け入れた公益法人防衛施設技術協会やゼネコンが、施設庁の現職職員と癒着、結託して行ったから、だから、入札価格は事前にわかるから一〇〇%近い落札率で、そして談合でやっていくということになったわけですね。文部科学省での談合でもそうでしたが、その背景にあるのは、やはり受注企業や関連する公益法人への官僚OBの天下りという問題、このことがあります。

 信号工事での談合も同じで、資料一をごらんいただきたいんですが、二〇〇三年二月に公取が警視庁発注の交通信号機工事談合で排除勧告を行った企業で、過去を含めて警察官僚の天下りがどれだけいるかを調べたものです。

 これは、私たちの調べた範囲ですから限られていますが、判明しただけで十六人ですが、実態は、これをはるかにしのぐ警察官僚OBが天下りしていると思われます。この談合を行って公取から排除勧告を受けた十七社への天下りの全容、これはどういうものであるのか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 排除勧告を受けました、これは十七社でございますが、御質問では、警察庁からの天下りの状況ということでございます。

 私ども、公務員制度改革大綱等に基づきます所属職員の再就職状況を公表いたしております。また、国家公務員法第百三条に基づきまして、営利企業へ再職する際、一定の場合の承認制度がございますが、その手続を通じて把握しているわけでございます。

 その把握している限りにおきましては、御指摘の十七社に再就職している者、該当する者は二名を把握しております。

吉井委員 実際にどういう方が天下りをされたかというのをきちんと調べたら、適当にという表現が適当かどうかはともかくとして、みずからつくった基準なるものにひっかかる人だけが二名という話であって、現実には、警察官僚OBの方、幹部であった方が天下りをしていったというのが、私たちが調べただけでもこのリストに出てくるものです。

 十七社の中では、これは集中制御式交通信号機新設工事の関係でかかわった企業とか、それからプログラム多段式交通信号機設置の談合だとか、交通弱者感応化等工事と、交通弱者対策かと思ったらこれも談合のネタにされていた。信号施設更新等工事とか、全部にかかわっている大手業者などがあるわけですが、この排除勧告を受けた十七社のうち、住友電気、小糸、京三製作所、オムロン、日本信号、松下電器産業、交通システム電機、三工社、常盤電業の九社は、同時に、社団法人新交通管理システム協会という公益法人の会員企業でもあります。

 この新交通管理システム協会には、財団法人道路交通情報通信システムセンターと財団法人日本交通管理技術協会の二つの公益法人も会員として加盟しているわけです。つまり、三つの公益法人と信号機工事企業との間に密接な関係が生まれていることは明白です。

 この新交通管理システム協会、道路交通情報通信システムセンター、日本交通管理技術協会は、交通信号機を初め交通安全施設、交通管理システムの調査開発を行っているということになっていますが、いずれも警察庁所管の公益法人で、警察庁と密接な関係にあります。

 資料二に載せておきましたが、この三つの公益法人に役員として天下りしている警察官僚の方たちであります。

 それで、公益法人の役員に就任する以前は、警察を退官して企業の役員に天下りしていたとか、いわゆる渡り鳥も見られますし、同時に複数の公益法人などの役員を兼業している方もいらっしゃる。関連する公益法人に役員として天下りしている高級官僚というのは、判明しているだけで十六人なんですが、役員以外にまで対象を広げれば、さらに多くのOBの方がかかわっているわけです。全体として何人の警察OBの方が在籍しておられるのか、伺いたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 談合と警察職員の再就職とは関係ないようには思いますが、なお今御指摘の、財団法人日本交通管理技術協会あるいは財団法人道路交通情報通信システムセンター、それから新交通管理システム協会ですが、これも、それぞれ交通管理施設のさまざまな調査研究などをやっておりますが、交通安全施設の調達とは全く、警視庁の談合に係ります調達などとはおよそ関係ないかとは思いますが、その前提で申し上げたいと思います。

 まず日本交通管理技術協会ですが、公益法人の設立許可及び指導監督基準上の所管する官庁の出身に該当する者につきましては、理事十一名中一名でございます。それから役員でございますが、これは監事も含めまして役員十三名中で、警察庁を定年退職または勧奨退職した者で当該公益法人の理事または監事に就任した者の数はどうか、こうなりますと、これは十三名中七名でございます。

 それから財団法人道路交通情報通信システムセンター、これは先ほどの公益法人の設立許可及び指導監督基準の基準でまいりますと、理事二十八名中二名ということになります。ただ、警察庁を定年退職または勧奨退職した者でそこに就職している者、これは役員三十名中三名でございます。

 それから新交通管理システム協会でございますが、これは公益法人の設立許可及び指導監督基準上の所管官庁の出身者に該当する者は、二十一名中五名でございます。なお、警察庁を定年退職または勧奨退職した者で当該公益法人の理事または監事に就任した者の数ということになりますと、二十三名中の八名でございます。

 ただ、繰り返しますが、このことと談合とは直接関係はないものと考えております。

吉井委員 防衛施設庁あるいは防衛施設技術協会、そして談合問題、これらは、最初は全く関係ない、関係ないという話からずっと来ているわけです、そういう人的なつながり、さらに民間企業への天下りの中でこうした入札談合、天下り問題というのが出てきているわけですから。

 私は、最後に、公安委員長として、こういう入札談合そのものの徹底解明とともに、やはり天下り問題、そのことを正さないと、国のあらゆる分野で出てきているわけですから、信頼されるものにはなっていかないと思うんですね。その点について、公安委員長の決意といいますか、こういうものを正していくという立場というものをはっきりお聞きしておきたいと思います。

沓掛国務大臣 最初に事実と、それから最後に私の決意を申し上げたいと思います。

 今いろいろ御指摘のありました警視庁の平成十五年度発注の信号機工事に関しまして、談合事案として事業者が排除勧告を受けたことは、まことに遺憾なことだというふうに考えておりますが、この件に関しましても、昨年、東京都において、当該事業者に対し損害賠償請求をするなど厳正に対処しているものと承知いたしております。

 それからまた、警察庁では既に通達を発し、談合防止のための環境整備に必要な取り組みを講じるよう各都道府県警察を指導しているところでもあり、今後とも、警察庁において引き続き各都道府県警察を指導していくよう督励してまいりたいと思っております。

 天下りと談合については、直接的な関係があるかどうか、いろいろ疑問のあるところでありますけれども、政府全体としても、いわゆる行革の法の中におきましても、天下りの問題ということについて今後どうしていくか、非常にこれは重要な問題でございまして、いろいろな案が出ておりますが、政府全体としてこの問題に的確に対応していくことが欠かせない大事なことだというふうに思っております。

吉井委員 天下りをきちんとやはり禁止する、そして入札談合、こういうものは二度と起こさせない、そのかたい決意を持って取り組んでいただかないと、モグラたたきという話をしましたが、これからもこういうことは幾らでも出てくる、これを正すべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

佐藤委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑を続行いたします。川内博史君。

川内委員 それでは、質問を始めさせていただきます。川内でございます。

 まず、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 本法律案では、空気銃に該当しないエアソフトガンのうち、人に傷害を与えるおそれのあるもの、これは内閣府令で定めるところにより、三・五ジュール・パー・平方センチメートルから二十ジュール・パー・平方センチメートル未満、これがどのくらいのエネルギーなのか私にはよくわからぬのでございますが、の威力のものと規定する予定であるというふうに聞いております。

 今回規制の対象となるエアソフトガンについて、これらのエネルギーで規制をするということの根拠、さらには、これを内閣府令で定めるというふうになっているわけでございますが、そのときパブリックコメントなどを行うことになるのかということについてお伺いをさせていただきます。

竹花政府参考人 規制対象となります準空気銃の定義につきましては、御指摘のとおり、内閣府令を制定することといたしておりますけれども、その際、運動エネルギーとして三・五ジュール・パー・平方センチ以上のものということを考えております。これを、今現在なお検討中でございますけれども、このような方向で決めようというふうに思っておりますのは、科警研におきますいろいろな実験等を踏まえまして、三・五ジュール以上のものが人に傷害を与え得る威力を持つものというふうに考えているからでございます。

 また、この内閣府令を制定するに当たりましては、あらかじめパブリックコメントを行う予定でございまして、国民の皆様から広く御意見を聴取し、その内容を検討してまいることといたしております。

川内委員 さらに、既に合法的に販売をされているエアソフトガンのうち、今回、法改正によって、準空気銃に該当するということで規制の対象となった空気銃については、いかなる取り計らいになるのか。自分の持っているものが準空気銃に該当するものであるかどうかわからない場合もあろうかと思います。このエアソフトガンは運動エネルギーがこれだけだというふうに明示してあるわけでは、私はさわったことも見たこともないので、多分、表示はしていないと思うんですけれども、既に合法的に販売されているものについてどうなるのか。周知徹底の方法やあるいは検査の方法、そしてまた猶予期間などを設ける必要があるのかなどについて御説明をいただきたいというふうに思います。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 警察といたしましては、エアソフトガンの業界団体と連携をいたしまして、準空気銃に該当するエアソフトガンの所持者に対して、今回の法改正によって準空気銃の所持が違法となることを周知し、速やかに準空気銃に該当しないものに変更するか、分解して処分するよう、積極的な広報活動を行うことといたしております。

 また、改正法の附則第三項におきまして、エアソフトガン製造事業者、販売事業者等に対して、準空気銃の所持者が行う準空気銃に該当しないものへの変更に協力するよう求める努力義務規定を設けております。既に、エアソフトガン製造事業者の業界団体におきましては、各事業者が製造、販売した準空気銃については無償で変更に応じる意向を示しているものと承知をいたしております。

 また、準空気銃を所持している者がその処分を希望する場合には、最寄りの警察署または業界団体に持ち込めば、これを分解し、それが再度使用されることのないような形で適切に処分するように、業界団体と協力して必要な体制を構築してまいりたいと考えております。

 いずれ、委員御指摘のとおり、しっかりとした広報活動をする必要もございますし、現に今はおもちゃとして適法なものでありますので、その広報に努めるとともに、また、猶予期間を法律上も施行後六カ月設けておりまして、この間にしっかりとした広報をしてまいりたいと考えております。

川内委員 ぜひ、しっかりとした御対応方をいただきたいというふうに思います。

 きょうは、銃刀法、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の審議であるわけでございますが、警察行政全般にかかわりまして広くお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 まず、沓掛大臣、実は私の息子が地元の小学校に通っておりまして、その小学校のおやじの会というのがあって、近くの県警にお勤めの警察官の官舎がありまして、警察官の方々もそのおやじの会に入っていらっしゃる。時々、夜一緒に飯を食うことがあるんですけれども、警察、各県警などにおいて、防弾チョッキはあるけれども、防刃チョッキ、刃物を防護するチョッキが不足をしているということを私は聞いております。

 実態が果たして本当にそうなのかということに関しては、正確に統計をいただいたわけでもないですし、数値をいただいたわけでもないのですが、現場の警察官の方が、いや、防刃チョッキがなくて、夜、見回りをするときなど、防弾チョッキより実は防刃チョッキの方がありがたいんだというようなことをおっしゃっていらっしゃった。

 これは質問ではなく、ぜひ沓掛大臣の方でも、防弾チョッキだけではなく、現場の警察官の方々はやはり防刃チョッキも必要とされていらっしゃるんだということをきょう認識としてお持ちいただきたいというふうに、まず冒頭にお願いを申し上げさせていただきたいと思います。これはもう全く、答弁も何も結構でございます。

 次に、公共工事をめぐる暴力団対策及び建設業からの暴力団排除についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、国土交通省にお伺いをさせていただきますが、昨年、平成十七年の六月二日に、国土交通省大臣官房会計課長、地方課長、両名のお名前で、地方整備局総務部長、総括調整官あてということで通知が出されております。「地方整備局発注工事等からの暴力団関係業者の排除について」という通知でございますが、この通知の内容そしてまた成果についてお伺いをさせていただきます。

春田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今のお尋ねの件でございますけれども、特に、公共工事の関係で暴力団関係者の排除というのは重要な課題であるというように認識をしておりまして、従来から、私ども、暴力団員が実質的に経営を支配する建設業者またはこれらに準ずる建設業者につきましては、入札参加者としては指名をしない、こういうことにしてきたところでございます。しかしながら、そういった事業者の範囲でありますとか排除の手続が明確でないということもございまして、今御指摘がございました昨年六月の通知の文書を発出させていただいたわけでございます。

 その前提といたしまして、警察庁とも協議をさせていただきまして、排除事業者の明確化を図る必要があるということで、各県警と各地方整備局の間で、いわゆる警察当局からの排除要請に関する相互の手続を定めまして、これを合意書面という形でお互いに取り交わすという形で相互の連携強化を図る体制をとったところでございます。

 六月二日の文書は、まさにその手続の関係を、それぞれ、だれとだれの間できちんと連絡をとり合うかというようなことを明確にしたものでございます。

 これを受けまして、各県警と各地方整備局の間では、この合意書面の取り交わしはすべて終了してございます。

 これを受けての排除を実際に行った件数は一件出てございますが、このほか幾つかの県警の方から、現在、暴力団関係事業者である旨の情報提供あるいは排除要請が寄せられているところでございまして、その事業者の排除に向けまして、各県警とも相談をして手続中というところでございます。

川内委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 続けて、警察庁にもお伺いをさせていただきますが、昭和六十一年十二月には、警察庁からの要請に基づいて、当時の建設省から、「建設業からの暴力団排除の徹底について」、これは、今のは地方整備局発注工事からの暴力団排除でございましたが、この昭和六十一年の十二月は、広く「建設業からの暴力団排除の徹底について」というタイトルの通達が出たと聞いておりますが、この六十一年通達の経緯そして成果について御説明をいただきたいと存じます。

米田政府参考人 お尋ねの通達は、昭和六十一年十二月、警察庁が都道府県警察に指示をいたしました「建設業からの暴力団排除対策の強化について」と題するものであろうかと思います。この通達に基づきまして、都道府県警察は、地方自治体の公共工事入札業者の指名停止基準等に暴力団排除に関する規定を整備するというようなことを自治体に働きかけるとともに、暴力団関係企業を排除するための必要な情報提供を行ってきたところでございます。

 また、先ほど御質問になられました昨年の六月二日、国交省と国の工事に関する暴力団排除について合意をし通達をしたわけでございますが、その際、警察庁といたしましては、あわせて都道府県警察に対しまして、地方公共団体等との連携を一層緊密にして、公共工事の指名停止基準等をより充実したものにするように指示をしたところでございます。

 昨年十二月末現在で、全地方自治体の八六%がこのような暴力団排除に関する規定を整備しておりまして、相当数の暴力団関係企業を公共工事から排除しているものと承知をしております。

 警察といたしましては、今後とも、関係行政機関との連携を強化し、公共工事からの暴力団排除対策を推進してまいりたいと思っております。

川内委員 平成十七年の六月二日の通知に基づく成果は一件であると国土交通省からの御報告がございましたし、警察庁からのただいまの報告でも、相当数の排除ができているのではないかという御報告でございました。

 しかし、このような通知あるいは要請などが出るということは、いわゆる国民の皆様の税金を使う公共工事に暴力団が関与をしているという認識のもとにこのようなことが行われているわけで、その認識に基づけば、例えば、平成十七年の六月二日の通知に基づく排除ができた事例が一件、さらに今手続を進めているものが数件というのは、私は不十分ではないかというふうに思います。

 そして、それはなぜだろうかということを考えるときに、この平成十七年六月二日の通知の文書の内容に係るわけですけれども、これには、従来の排除の対象としては、「暴力団員が実質的に経営を支配する建設業者又はこれに準ずるもの」とされております。

 そして、この「準ずるもの」の扱いについては、「有資格業者である個人又は有資格業者の役員等が、自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって暴力団員を利用するなどしているとき」、さらに2として「暴力団員に対して資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与しているとき」「3暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しているとき」「4暴力団員であることを知りながら、これを不当に利用するなどしているとき」、この四つの類型を「暴力団員が実質的に経営を支配する建設業者に準ずるもの」という扱いをしているわけでございます。

 今私が読み上げたこの文書には、暴力団員という言葉が五回出てまいります。ここに書かれた暴力団員という言葉には暴力団の準構成員も含むのか。また、我が国の暴力団の構成員と準構成員はそれぞれ何人になるのか。警察庁にお尋ねをいたします。

米田政府参考人 暴力団員ということになりますと、これはいわゆる暴力団対策法の規制を受けます、暴力団対策法によって認定をされました暴力団員ということでございまして、準構成員は含みません。

 それで、突然のお尋ねですので正確な数字は持ち合わせておりませんが、暴力団員、暴力団準構成員を合わせまして、現在、大体八万数千人でございます。ほぼ半々ぐらいの割合ではなかろうかと思います。

川内委員 そうすると、最近は暴力団の行動も非常に巧妙になってきておるんだと思うんですね。暴力団員が直接関与せずに、いわゆるフロント企業と呼ばれるような企業体をつくっているケースもあると聞いております。

 「公共工事をめぐる暴力団対策及び建設業からの暴力団排除について」というこの文書でございますけれども、ここで言う暴力団員には準構成員は含まないという今の御答弁でございました。しかし、他方、各県警あるいは警察庁においては準構成員までをも把握していらっしゃるということでございます。

 であるならば、この通知の中の文章に出てくる暴力団員という言葉を、暴力団員等と、等をつけて準構成員も含むという形にして、さらに一層、暴力団関係企業の公共工事からの排除というものについて取り組むべきであるというふうに私は考えます。

 暴力団員という言葉に等をつける、そして、等は準構成員である、これは今後の検討課題であるというふうに思いますが、警察庁そして国土交通省、それぞれに御見解を承りたいというふうに思います。

米田政府参考人 これは、排除対象を特定いたしますのに法律上の概念であります暴力団員というものを使いまして、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している業者とか、暴力団員に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなど、暴力団の維持、運営に協力等をしている業者、こういうふうに現在のところは国土交通省と合意をいたして運営しておるわけでございます。

 もともと、私どもの趣旨も、こういう公共工事から暴力団員、準構成員、さらに準構成員にも該当しない周辺者、こういった者を排除したいということでございまして、ただ、今申しました基準で今後運営していきますと、準構成員についても、実際上はある程度はカバーできるのではないかとは思っております。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、公共工事から暴力団排除を推進するというのは大変重要なことでございまして、私どもといたしましても、今後、暴力団員等の介入実態をよく踏まえた上で、この排除すべき対象につきまして国土交通省と議論を重ねてまいりたいと考えております。

春田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま警察庁の方からもお話がございましたけれども、私どもも、基本的な考え方といたしましては、ちょうど排除体制も昨年の通知によりまして整ったところでございますので、まずは排除の事例を積み重ねていくということが肝要であろうと思いますが、その上で、今後、暴力団排除の運用に当たって、いわゆる御指摘の周辺事例、こういった実態にも留意しながら、警察当局と情報連絡を密にするということが必要であるというふうに考えております。

川内委員 今、警察庁の御答弁は検討していくというニュアンスがあったかと思うんですが、国土交通省の御答弁は、情報交換をしていくというだけで、検討するというニュアンスがなかったように思いますが、もう一度きちんと答えていただきたいと思います。

春田政府参考人 恐れ入ります。

 趣旨は、まさに情報の連絡を密にしながら、そういう周辺事態の問題についても積極的に私どもも検討してまいりたいというふうに考えております。

川内委員 最近は、コンプライアンス、コンプライアンスということで大変に法令遵守が叫ばれておるわけでございまして、そういう意味では、暴力団の皆さんも、暴力団であればこそ、法令を遵守しながらお金を稼ぐという例が間々あるわけでございます。

 そういう方たちを、少なくとも税金を使う公共工事からは排除していかなければならないということを考えれば、ここで言う暴力団員というものは、準構成員そしてその周辺の方々まで含められるのかどうかはしっかり検討していただいて、文言についての書きぶりを一刻も早く改めていただいて、国民の皆さんの税金が食い物にされないようにしていただきたいというふうに思います。

 さらに、もう一点御指摘を申し上げておきたいと思います。

 これは御答弁は必要ないんですが、というのは、質問通告をしていないから答弁しなくていいですというだけの話なんですが、「発注工事等において指名を行わない業者の対象を明確化」というふうに書いてございます、「指名を行わない」と。

 しかし、暴力団関係企業というのは、指名業者に入らずに下請で入るという例が間々見受けられる、そういうことによって国民の皆さんの税金を食い物にするということが往々にしてあるわけで、ここの「指名を行わない」という文言も、私は実は検討する必要があるのではないか。要するに、発注工事にかかわらないというような書き方で、下請からも排除していくというような厳しい態度をとっていくべきではないのかということを、これは指摘だけにとどめさせていただきますし、また今後、引き続きこの内閣委員会での議論のテーマにさせていただきたいというふうに思います。

 沓掛大臣、最後に総括的に、この暴力団と公共工事の関係について決意を聞かせていただきたいわけでございますが、先ほどから繰り返し申し上げているとおり、最近の暴力団の皆さんの行動というのは非常に巧妙になってきているんだというふうに思います。

 警察行政を所管される沓掛大臣としても、さらに積極的に暴力団対策を進めていかなければならないという観点での御決意、そしてまた先ほどの私の提案、暴力団員ではなく暴力団員等にして、準構成員なども排除をしていくべきである、さらには、指名を行わないだけではなく、公共工事にかかわらない、かかわらせないというような言い方で下請からも排除をしていくという私の提案について、大臣自身の御見解もあわせて承りたいというふうに思います。

沓掛国務大臣 先ほど、いわゆる防弾チョッキと防刃チョッキのお話がございました。

 実は、昨年、警察官が逮捕しようとした際に、防刃チョッキを着ていたんですけれども、わき腹を突かれて亡くなられた方がおられましたので、警察庁として、やはりわき腹も防げるようなものをいろいろ幹部全部で検討いたしまして、わき腹のところもある程度防げるような、そういうものを今、これからつくろうといたしております。

 もう少し完璧なものをつくろうとすると、動作がうまく動かない、いわゆる車から飛びおりていろいろするについて、やはりある程度余裕があいた動けるものでないと実務上にならないというようなものがあったり、また、少し厚くすると重くて、着てみるとかなり重いものです。

 ですから、そういうものも含めて、この間、いろいろ幹部で相談して、いろいろなところの方の知恵もいただいて、ある程度、かなり横、わき腹のところも防げるようなものをいろいろ考え、つくって、これからそういうものを普及していこうということでいろいろやってはおりますので、御理解いただきたいというふうに思います。

 それからまた、公共工事における暴力団の問題ですけれども、公共工事に暴力団が入るというのはもう歴史的に長い昔からのものがあるし、特に、混乱した時代にはかなり入ってきて、戦後においてもそういう問題はいろいろあったので、それを、みんなの知恵を絞りながら、ある程度の秩序を維持しながら今きたところなんですけれども、最近におけるいろいろな面での経済的な問題あるいは事業的に苦しいこともございまして、また、暴力団は、いろいろな分野で、警察が懸命になって取り締まりをいたしましたので、非常に経済的にも苦しいので、いろいろなところへ出ようとする行為を今やっているというのは事実だと思っています。

 そういう中の一つとして、また建設業、そういう方が向いているというのもまた事実だというふうに思います。それをなくするために、国土交通省だけが公共事業をやっているわけではありませんけれども、一番の大手ですから、警察としても、連携をとりながら、そういう問題の解決に今全力を挙げているわけでございます。

 いわゆる等というような問題についてですけれども、やはりそれは、目的を達成するのは、暴力団を排除して国民の税金を適正に使っていこうということですから、その辺はまた、各省連携をとりながらしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

 また、それと、今おっしゃられたような下請の問題ですけれども、いわゆる指名されるようなしっかりした上場企業であるとか、そういうものだとある程度把握できるんですけれども、下請へ入っているというのは、そういうふうな上場企業でないところも大変多いわけですから、そういうものでなかなか把握しにくい面もいろいろあるんです。それも、今、みんなで知恵を出しながら、どうしたら、みんなから信頼される、そして透明度の高い建設事業になるか、そういうことを一生懸命、国土交通省、もちろん警察、そういうものが一体となってこれからしっかりやっていきたいというふうに思っております。

川内委員 沓掛大臣、ありがとうございます。

 いつも沓掛大臣は答弁書をお読みになるだけである姿を拝見しておりましたので、きょうのように何も見ずに御答弁をされて、心温まる気持ちがいたしました。ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。

 続いて、きょうは法務省に来ていただいておりますので、暴力団対策にも絡むわけでございますが、共謀罪、今、法務省で、金曜日にも強行採決ではないかというようなことが言われておるわけでございますが、関連について伺わせていただきたいというふうに思います。

 まず外務省に、五月十二日の内閣委員会、本委員会で、私への答弁をいただいた共謀罪の対象犯罪の数についてのアメリカ、イギリス、カナダへの照会文書三点、さらに、アメリカ、イギリスからの回答文書二点、合計五点の文書を五月十二日の午後に資料請求いたしましたが、省内手続ということで、いまだに私の手元には届いておりません。これは、いつ文書を見せていただけるのかということを含めて御回答いただきたいというふうに思います。

辻政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘のございました文書につきましては、アメリカ、イギリスから文書で回答を得て、カナダはまだちょっと時間がかかります、こういう状況でございます。文書でお出しするということで、今、最終的に、一応、相手国政府の文書でございますので了解をとっておりますが、あしたにはお出しできるものだと思っております。

 以上です。

川内委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 国際的組織犯罪防止条約は、一九九九年、平成十一年の一月に、いわゆるリヨン・グループと言われる方々が審議を開始し、二〇〇〇年の平成十二年七月に条約の案文についての合意が成立したというふうに承っております。

 この中で、組織的な犯罪集団の関与という文言については、日本の主張が実現をしたというふうに聞いております。これは、具体的には第何条のどの部分なのか、そして、日本としてそれを主張した理由は何なのかについて、外務省から御説明をいただきたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員のおっしゃられたいわゆる組織犯罪、組織的な犯罪集団の関与というところは、現在の五条でございますが、当時は三条という形で議論がされておりまして、当時、いわゆる現在の五条に当たります規定につきまして、どういう形で犯罪化を規定するかという議論がございまして、いわゆる共謀罪を設けようという議論と、それから参加罪という形で規定をしよう、そういう議論がございまして、それぞれに各国が、自国の国内法制上どういう形が実施しやすいか、また、かつ条約の趣旨、目的でございます組織犯罪取り締まりのためにはどういう形が一番不可欠で重要であるか、そういう観点で議論をされたというふうに理解しております。

川内委員 今ちょっと御答弁が不明確だったと思うんですが、組織性の要件については、現在の国際連合条約の第五条の共謀罪、参加罪のうち共謀罪の規定のところに日本側の主張として盛り込まれたという理解でよろしいですね。

辻政府参考人 済みません、もし明確でなければ、申しわけございません。

 我が国が、いわゆる組織的な犯罪の関与ということを言いましたのは、それぞれにございまして、まず一つは、共謀罪の方につきまして、重大な犯罪の範囲をある意味で限定するために組織犯罪集団の関与という形を入れました。

 同時に、参加の方につきましても、いわゆる参加という形で組織に参加することを即処罰するという形であればこれはとても実施できないということで、我が国としましては、何らかの形で、参加することとその集団が犯罪を行うこととの何かの密接な関係を規定すべきだということは申し上げました。

 ただ、それは最終的な案文には通っておりませんので、そういう意味では、組織的な犯罪集団の関与というのは二点議論されましたけれども、最終的な案文に残りましたのは共謀罪の方でございます。

川内委員 そうすると、日本の主張としては、共謀罪、参加罪、両方とも何らかの主張をされたということですか。

辻政府参考人 そういう意味では、おっしゃるとおりでございます。

川内委員 それでは、法務省に伺わせていただきます。

 二〇〇〇年の平成十二年十二月に、日本は条約に署名をいたしました。そして、二〇〇二年、平成十四年の九月十八日に、法制審議会刑事法特別部会に共謀罪についての法律案要綱が諮問をされております。

 条約第五条では、締約国は、共謀罪と参加罪、いずれか一方または両方を犯罪とするための立法措置をとることを義務づけられておるわけでございますが、日本が参加罪を選択せずに共謀罪を選択することを、いつ、だれが決めたのか、また、参加罪を選択することの検討はしたのかということについてお答えをいただきたいと存じます。

大林政府参考人 まず、今おっしゃられた法制審の諮問が、平成十四年九月三日でございます。(川内委員「諮問は三日です、ごめんなさい」と呼ぶ)

 それから、今お尋ねの件でございますが、国際組織犯罪防止条約第五条は、組織的な犯罪に効果的に対処するため、重大な犯罪を行うことを合意すること、共謀罪、または、組織的な犯罪集団の活動に参加すること、これが参加罪と呼ばれるものですが、の一方または双方を犯罪とすることを締約国に義務づけております。

 そこで、まず、条約の参加罪についてでございますけれども、この参加罪は、組織的な犯罪集団の犯罪活動に参加することに加え、犯罪活動以外の活動に参加する行為も犯罪とすることを義務づけており、参加する行為と特定の犯罪行為との結びつきまでは要件とされていません。しかしながら、このような特定の犯罪行為と必ずしも結びつかない行為を犯罪とすることは我が国の法制にはないものでございますので、このような行為を犯罪とすることについては、慎重な検討が必要であると考えられます。

 これに対して、特定の犯罪を行うことの合意を内容とする共謀罪につきましては、我が国では、例えば内乱陰謀や爆発物使用の共謀など既に一定の犯罪について、実行の着手前の共謀あるいは陰謀が犯罪とされています。したがって、このような共謀を犯罪とすることについては、我が国の現行の法制度との親和性も認められると考えられることなどから、重大な犯罪の共謀を犯罪とすることを選択することとしたものでございます。

 これの署名とかその後の法制化の方針等につきましては、法務省は、外務省等とも御相談して、このような方針を決めたものでございます。

川内委員 今の御説明は、御説明としては理解をするのでございますけれども、条約は、共謀罪と参加罪の選択肢を設定しているわけでございます。そして、他方、法務省が法制審議会刑事法特別部会に諮問をしたのは、共謀罪を諮問されていらっしゃる。参加罪でもよかった、あるいは共謀罪でもよかった、そのどちらをとるのかということ自体をまず法制審議会で議論すべきではなかったのかということを私は思うんです。

 両案のメリット、デメリット、そしてまた、両案をどこまで限定的に法律の中に書くのかということについて、それこそ法制審議会で議論をして、どちらをとるのかということを決定した上で、さらにそれを法制化していくという手続が必要だったのではないかというふうに考えるんですけれども、その手続を省略されて、いきなり共謀罪を諮問されているということについて若干の疑問を持っているところでございます。

 そこで、共謀罪をとるということを、先ほどもお聞きしましたけれども、いつ、だれが、どの場で決めたのかということが明らかではないと思うんですね。それをちょっともう一度御説明いただきたいと思います。

大林政府参考人 今の法制審の話もいたしますけれども、先ほど外務省からもちょっと触れられた、委員御指摘の、組織的犯罪集団の関与するものという要件の付加について、その前にちょっとお話ししておいた方がよろしいかと思います。

 条約交渉の初期の段階におきましては、現在の条約第五条に相当する規定が犯罪化を義務づけていたのは、共謀罪については、重大な犯罪、これは四年以上の拘禁を伴うものでございますが、重大な犯罪を行うことを合意することというものであり、その時点ではこの四年というのも決まっていませんでした。また、参加罪については、組織的な犯罪集団の犯罪活動またはその他の活動に参加する行為というものでございました。

 このように、その当時はいまだ共謀罪の対象となる重大な犯罪の範囲が定まっておらず、また、共謀罪について、現在のように、組織的な犯罪集団の関与するものという要件を付することも認められていませんでした。

 そこで、我が国は、その当時の条約の規定は受け入れられない旨の意見を述べるとともに、まず共謀罪については、その対象となる犯罪に組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加えるべきであることを提案するとともに、あわせて参加罪については、特定の犯罪行為と参加する行為の結びつきを要件とした、それまでの参加罪とは別の類型の参加罪の規定を設けることなどを提案しております。

 このような我が国の提案のうち、別の類型の参加罪の規定を設けるという点については各国に受け入れられませんでした。

 これは委員御案内のとおり、英米はもう共謀罪という形で広く認めています。それから、大陸法の例えばフランス、ドイツの場合には、結社罪的な、要するに参加すること自体に罪を認めるということで、割合と法制がはっきりしております。

 ところが、日本の場合は、先ほど申し上げたとおり、共謀罪は極めてわずかな範囲しかない、それから、今のように、団体に加わるだけ、例えば暴力団という犯罪組織に加わったらもうそこで犯罪だという構成を今とっておりませんで、あくまでも、ある一定の犯罪に対してどういう加わり方をしたのかというのが今の日本の法制でございます。

 ですから、日本としては、今の二つのはざまにありまして、そのままでは加われないということで、第三の類型、その両方をとったような類型も提案してみたわけですが、もう両制度が一応確定しているものですから、結局はそれは受け入れられない。

 そこで、日本の場合には組織的犯罪処罰法というのがありまして、そういう例えば暴力団等の構成員が殺人等の組織犯罪を実行した場合には、それを重く処罰するという法律がございます。ですから、もう既にそういう定義等がありますので、国内法上求められるときは、組織的な犯罪集団が関与する、要するにそういう性質の犯罪だという条件を付さないと、日本の場合には余りにも広がってしまう。そういうことで、結局、関係国との調整の結果、国内法上求められるときは、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付することはできる旨の規定とすることが各国に受け入れられました。

 ですから、この今の条約の交渉の段階で、最初の段階では、我が国が共謀罪につき、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加える旨の提案をしたときには、あわせて参加罪についても、それまでの参加罪とは別の類型の参加罪の規定を設けることを提案していたものでございまして、この時点では、既に共謀罪を選択するという方針を決定したということではありません。

 ただ、今のような、組織的な犯罪集団が関与するものというものをつけていいということが認められ、また、条約に規定されました。ですから、我が国としては、それを踏まえて、そういう条件のついた共謀罪でいくしか、いくしかないというのはおかしいんですけれども、そういう方向で検討が進められていたものでございます。

 そこで、今の法制審議会の御質問がございました。

 法務省としては、法制審議会に対し、平成十四年九月三日、組織的な犯罪の共謀罪を設けること等を内容とする要綱案の諮問を行いましたが、その際には、外務省等の関係機関とも十分協議の上、諮問すべき要綱の内容について検討した結果、先ほど御説明した理由から、条約が定める共謀罪と参加罪のうち、共謀罪を選択することが適当であると考えたものでございます。

 この諮問につきましては、法制審議会の刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会で審議されることとなりましたが、その際、法務当局より、国際組織犯罪防止条約においては、共謀罪あるいは参加罪の一方または双方の犯罪化が必要とされていることを御説明するとともに、共謀罪を選択した理由についても御説明をした上、部会の御審議を求めたわけでございますが、部会の議論におきましては、この点に関する異論は特になかった、参加罪にしろというふうな御意見はなかった、こういうふうに承知しております。

川内委員 わかりました。この件に関しては、きょうの御答弁を精査させていただいた上で、疑問の点がございましたら、またお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 次に、きょうは経済産業省から来ていただいておりますが、警察庁も関与をしております電気用品安全法、PSE法について質問をさせていただきます。

 これは、警察庁がなぜ関与をしているのかというと、中古の電気用品を扱う皆さんというのは、古物商の届け出を出されていらっしゃる方々でございます。そういう意味で警察行政もかかわるということでございます。

 まず警察庁にお伺いをさせていただきますが、ことしの二月十五日付で、経済産業省の消費経済部製品安全課長の名前で警察庁の生活安全企画課長あてに、「電気用品安全法における旧法表示製品の販売猶予期間について」という文書が発出をされました。この文書の最後のところには、「貴庁が所掌する」、貴庁というのは警察庁ですね、警察庁が「所掌する質屋・古物商の団体に周知の協力を依頼していただきますようお願い申し上げます。」と書いてございます。

 今私が読み上げたこの文書に間違いがないかどうか、事実確認をお願いいたします。

竹花政府参考人 御指摘のものは、本年の二月十五日付で、経済産業省の商務情報政策局から当庁の生活安全局生活安全企画課長あてにもたらされた「電気用品安全法における旧法表示製品の販売猶予期間について」という文書であるものと思われますが、それでよろしゅうございますでしょうか。

川内委員 そして、その文書の最後の部分に「貴庁が所掌する質屋・古物商の団体に周知の協力を依頼していただきますようお願い申し上げます。」と書いてありますということを、そのとおり書いてある、そのとおりだと言っていただけますか。

竹花政府参考人 当該文書には、委員御指摘のとおりの「お願い申し上げます。」という言葉が書いてございます。

川内委員 ところが、四月十四日の決算行政監視委員会で、私が、警察庁が古物商を所管していらっしゃるから古物商の団体はあるんですと申し上げても、経済産業省の消費経済部長さんは、再三にわたって、古物商の全国団体はございませんと御答弁をされていらっしゃいます。

 私は、二千二百六十一業者が加盟した全国質屋組合連合会、あるいは三万七千六百十四の業者が加盟した全国古物商組合防犯協力会連合会などの古物業の全国団体はあると聞いておりますが、警察庁さん、私の認識でよろしいでしょうか。

竹花政府参考人 盗品等の売買の防止あるいは速やかな発見等を図る観点で、警察において古物業界に対し指導や情報提供を行っておりますが、そのうち、複数の都道府県の古物商やその団体から成る団体、もちろんこの中には全都道府県にまたがるものもございますけれども、全国質屋組合連合会、全国古物商組合防犯協力会連合会、日本中古自動車販売協会連合会など、十数のものを私ども把握いたしております。

川内委員 きょうは、消費経済部長、経済産業省からも来ていただいております。

 今、警察庁さんから、全国にまたがる団体を把握しているというふうに御答弁があったわけでございますが、それでも経済産業省としては、古物業の全国団体はないと認識をされるのかということについてお尋ねをさせていただきます。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 質屋と古物商につきまして、私は、古物商と伺いましたときに、質屋まで含めてということで必ずしも認識はしておりませんでした。

 質屋以外の古物商につきまして、先日の御質問の趣旨は、全国にいろいろな古物商がいらっしゃる、この方々が電気用品安全法の改正について御存じなく、その背景には確かに私どもの周知が行き届かなかったこともある、それで、これを周知するための団体、そういう背景で御質問があったと認識しております。

 今の御答弁でもございましたように、複数の都道府県にまたがる古物商の団体はあると認識しておりますが、この団体にお知らせすれば全国の古物商にあまねく情報が渡るというような業界団体につきましては、私どもの方ですと、例えば電気事業連合会にお話をすれば全国の電気事業者に情報が行き渡るというふうな、そういった意味での全国的な業界団体はないというふうに私どもは認識をしておりました。

 いずれにしても、このような背景のもとで、私どもは、警察庁のみならず、さまざまな自治体ですとかいろいろなメディアその他を通じまして、全国に法律の改正、制度について周知徹底するよう努力をしてきたところでございます。

川内委員 どんなことでも過ちを決して認めないというのは、ある意味で御尊敬を申し上げます。大したものだなと思います。しかし、私は、経済産業省は今回の電気用品安全法について数々の重大な過ちをされていらっしゃったというふうに思います。

 まず、法制定時に、中古電気用品の存在に気づかず、審議会などでも全く意見を聞かず、中古電気用品のことを考えずに法律をつくってしまったこと。そのことに法成立後六年以上気づかず、本格施行直前になって、中古電気用品販売事業者からの問い合わせによって気づき、施行四十九日前のことしの二月十日になって初めて、法規制の対象に中古品も含まれるということを公表したこと。

 さらには、その過ちを糊塗するために、常識では考えられないことでありますが、中古販売事業者に製造事業者の届け出をさせた上で、さらに絶縁耐力検査という専門的な検査をさせる。千ボルト一分、これはちょっと専門用語で、よくわからない方もいらっしゃるかもしれないんですが、具体的に申し上げますと、千ボルト一分の絶縁耐力検査は製造メーカーもやっておりません。これらのことを中古販売事業者に強制的にやらせようとしていること。

 まだまだたくさんあるわけでございますが、私は、これはある意味、ひどい行政だと思うんですね。警察庁に対しても、二月十五日になってから周知方の依頼をする。沓掛大臣も、警察庁が所管する善良な中古販売事業者の皆さんが経済産業省によってまことに理不尽な不利益を与えられているということに御関心を持っていただいて、ぜひ、閣議の場などでも厳重な抗議を、あるいは改善方を御主張いただきたいというふうに思っております。

 もちろん、警察庁が古物業を所管するのは盗難防止という観点からではありますが、しかし、業全体の健全な発展を指導していくということが盗難防止という大きな目標にもつながるわけでございまして、そういう意味では、今、業全体が不利益をこうむろうとしている、あるいはこうむっているという状況に対しては、警察庁としてもしかるべき発言を閣議の中でしていただきたい。

 これは答弁は求めません、質問通告をしておりませんので。私の意見として聞いていただきたいというふうに思います。

 そこで、本日はもう一点、絶縁耐力検査というものについて、警察の方にも、沓掛大臣にも御理解をいただきたいので、質問をさせていただきます。

 経済産業省にお答えいただきますが、絶縁耐力試験というのは、漏電を検査するんですね。千ボルト一分と言いましたが、これは製造メーカーではほとんど行われておりませんで、大体千二百ボルト一秒という形で製造ラインで行われております。

 私は、実際にテレビのメーカーを視察してきたんですね、テレビの工場を。そのテレビの工場の方がおっしゃるには、この千二百ボルト一秒の漏電検査は、あるいは絶縁耐力検査は、ずうっと前からやっていたとおっしゃいました。なぜかならば、JIS規格、日本工業規格というものがあって、その日本工業規格に基づいてやってきましたというふうにお答えになられていらっしゃいました。

 他方、経済産業省は、電気用品取締法と電気用品安全法の違いは何ですかという質問に対して、絶縁耐力検査をすべての製品、全数においてするかどうかであるというふうに答弁しています。旧法と新法の違いは絶縁耐力検査をするかしないかなんだ、全数でするかしないかなんだというふうにおっしゃった。しかし、工場の現場では、法律が全数を検査しろとか決めるより以前にもう全数検査をしているという実態があるわけでございます。

 すなわち、経済産業省が主張する、どんな製品であっても少なくとも一回は絶縁耐力検査をしていなければならないという、あるいは絶縁耐力検査がされていないという立法事実そのものがない、すべて検査されているわけですから。すべて検査されている状況なんです、と思われるんです。

 私はテレビの工場を見ただけですから、電気用品はほかに何百品目とありますから、ほかの工場がどうなっているかということに関してはもう一度確認をしなければならないと思いますが、しかし、私が一人ですべての工場を調べに行くわけにもいきませんので、そこで、この問題は経済産業省がしっかりと調べなければならないと思います。

 なぜかならば、経済産業省が主張するのは、すべての製品で一回は絶縁耐力検査をしなければならないから電気用品安全法をつくったんだという御主張をされていらっしゃるわけですから、みずからのよって立つところをしっかりと調査していただきたい。

 すなわち、電気用品安全法あるいは電気用品取締法が対象とする電気製品について絶縁耐力検査がいつから全数において行われてきたのかということについて、すべての品目について調査をすべきであるというふうに思いますが、谷部長の御答弁を求めます。

谷政府参考人 川内先生がごらんになったのは、恐らく大変御立派な大企業、名の知れたメーカーではないかと思います。JISは任意規格でございますし、また、そのJISの中で絶縁耐力試験のやり方について定めたものはございますけれども、それは、例えば千ボルト一分と書いてあるだけでございまして、全数調査するのかサンプリングなのか、どれほどの頻度で行うか等は規定してございません。また、テレビのJISというものはございませんので、このテレビにはJISマークがついているということの確認もできません。

 このような状況のもとで、例えばすべてのメーカー、家電、電気を使うものは非常にたくさんございます、これを全国すべて、しかも過去にさかのぼって、いつ、だれが、どのように、しかも全数であるかどうかということを、しかも、JISは検査記録の保存義務もございませんので、そういった中で当省が調査をすることは極めて困難ではないかと考えております。

川内委員 いや、困難ではないかと考えているということでありますが、経済産業省が主張をする立法事実にかかわる問題ですよ。経済産業省が主張する立法事実にかかわる問題です。そこを、今議論の焦点になっているときに、わかりませんとか困難だから調べられませんというのは、答弁になっていないですよ。調べますとおっしゃってください。

谷政府参考人 旧法の時代は全数検査を義務づけておりません。その中で、どの事業者が本当に検査をしたのかどうかということを知り得る手段がありません。このような状況のもとで、しかも、大企業すべての、大企業だけではない、中小企業も含めてすべてが検査をしているということを証明することはできません。

 その中で、私どもは、今回の法律では、すべての電気用品、対象となっている製品については、少なくとも一回、漏電しないという検査をすることを義務づけることによって、しかも、それを検査したということを明らかな形で消費者の目に触れるようにマークをつけることによって、国民の安心、安全を保てる、これは重要な立法の根拠であると考えております。

川内委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、立法の根拠を聞いているわけではなくて、立法の根拠となる立法事実が今大きな疑問の対象になっているので調べるべきではないのかということを申し上げているわけで、また次の機会に対決をさせていただきたいというふうに思いますが、私は、経済産業省がおやりになっていらっしゃる今の大変なこれは古物商の皆さんに対する不当な行政ですから、絶対に改めさせますから、これだけ申し上げて終わります。

佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 委員長、初めにお願い申し上げますが、定足数を欠くような今の委員十名程度という状況でありますので、きちんと定足数を確保していただきたい、このようにまず最初に申し上げておきます。

 きょうは、国家公安委員長の沓掛大臣のみにお尋ねを申し上げたいと思います。

 まず、法案の方から入らせていただきます。

 今回のエアガンについては、約八十万丁程度が準空気銃ということでありまして、その所持を禁止するということでございます。いわゆるエアガンは、おもちゃ、玩具という扱いだと思いますが、このような個人の趣味、嗜好への規制、これは、例えば包丁を戸外で持ち歩いても、これは危険なものということで規制はございます。あるいは建築現場のびょう打ち銃というものについても、届け出許可というような規制がある、こういう形であります。

 しかし同時に、私もよくわかりませんが、ボウガンというようなおもちゃ、あるいはスリングショットというようなものもあるわけで、実際これも、危害を加えられた事実が直近でもあるようでありますが、こういったおもちゃで、なぜ今回このものだけが一律所持が禁止になるのか、この点について大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 従来、銃刀法においては、圧縮した気体の圧力を使用して弾丸を発射する機能を有するもののうち、人の生命に危険を及ぼし得る威力を有する空気銃のみを規制対象としておりました。ところが、昨年九月に改造空気銃を使用した事件が発生したことを契機として、警察におきまして過去に発生した事件等を調査したところ、エアソフトガンの中でも威力が強く人を傷害し得るものが使用された事件が多数発生しており、また、空気銃への改造の土台となっていることが認められたことから、威力が強く人を傷害し得るエアソフトガンを準空気銃と位置づけ、法令に基づき職務のため所持する場合等を除き、その所持を一律に禁止することとしたものでございます。

 この準空気銃の威力、私も撃ってみたんですけれども、一メートル先ですと、いわゆるビールの空き缶を完全に貫いていくというものですから、これが人体に当たれば相当のいろいろな傷害が出てくるというふうに思います。

 今おっしゃった、現場でびょう打ちとかいろいろな話ですけれども、びょう打ちの機械はそこでやはりぜひ必要なものですから、許可制とかいろいろなことで持ち得るわけですが、この準空気銃については、必ずしも実際に用いる必要の非常に少ない、狩猟するのであれば本当の空気銃が必要でしょうし、準空気銃というのは全く使わないわけではなくて、いろいろな公務で使う場合は例外的にあるわけですけれども、一般的には、準空気銃の使用というのはそれほど社会的に必要ではないわけですから、そういうことで、今回禁止することにしたわけです。

 ボウガンのようにいわゆる弓のような形でやるものなどもありますけれども、これらについては、今後いろいろなことがあれば、そういうものについても禁止するなり、いろいろな手続をとっていくことが必要であるというふうに思っております。

鉢呂委員 さらに、今回は所持の禁止ということでございますが、実際は、圧力といいますか、そういうものを定めておるわけでありまして、むしろ改造というものが大変危険視をされるわけであります。改造の禁止の強化、これについてどのようにお考えになっておるのか。

 そしてまた、改造に使われる部品の売買の規制というものについては、事前に警察庁に聞いておりますが、汎用的な部品が多いのでなかなか規制の対象になりにくいというような、これは全部質問通告していますから大丈夫です、これは二番目に私質問通告してやるものですから、大臣、見てしゃべっていただいても結構です。そういうことで、部品の売買の規制についてもどのように考えるのか、大臣の考えをお聞きいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 エアソフトガンの発射威力を高める改造方法としては、今おっしゃられたような、ばね等の部品を強度が強いものに交換するとか、いろいろな部品を直していろいろするというようなことがあるわけですけれども、所持を禁止するということによって、新しく今度は、それを製造すればすぐ所持につながりますし、改造すればまたそれは、そういう準空気銃的なものとなればすぐ所持をするわけですから、所持を禁止するということによって、そういう部品が動いたり、また新しくそういうものがつくられていく、そういうことも全体として禁止されていくことになるので、所持の禁止によって、そういうものもおのずから使われなくなるというように考えております。

鉢呂委員 今回は所持を禁止する。しかし、業界によっては、輸出産業ということでアメリカ等に輸出をしておるということで、輸出の規制はならない、禁止されておりません。これは国家公安委員会でも、ある委員からそういう意見が出たというふうに議事録で読ませていただきました。

 そういう中で、また逆輸入される可能性はないのかどうか。そういうこともありますので、いわゆる職務のために所持することはできる、警察官あるいはまた海上保安官等があるというふうにお聞きをいたしておりますが、こういった使用するガイドラインというのは今ないというふうに聞いております。これは四番目です、一つ飛ばしましたので四番目の使用する際のガイドラインというものについて、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

沓掛国務大臣 今回の改正におきましては、準空気銃の所持を禁止することといたしましたが、国または地方公共団体の職員については、例えば警察官が暴走族の取り締まりのため使用する場合や、あるいは自衛官が訓練の際に小銃等のかわりとして使用する場合など、職務上、準空気銃を使用する必要性が想定されることから、公務員が法令に基づき職務のため所持する場合に関して、所持禁止の除外事由を設けることとしております。

 しかしながら、準空気銃は人の身体に傷害を与える危険性を有するものであることから、準空気銃の使用については、職務の目的を達成し得る必要最小限度の範囲内での使用を義務づけるとともに、事故のないよう十分注意して取り扱うこととする旨の運用基準等を作成することを検討してまいるように考えております。

 警察は警察の通達で、また、もし防衛庁等が使うとすれば防衛庁の通達、それぞれの使用目的等も異なりますので、またそんなに多くのところで使うわけではございませんので、それぞれのところでの通達等でこれの運用についての安全その他のことを確保していくことで、一般的なガイドラインというようなものを今つくるということは想定いたしておりません。

鉢呂委員 次に、違法売買の防止ということで、最近、インターネットを使ってさまざまなオークションといいますか、そういうことがなされております。先日も、テレビを見ましたら、北海道の機関車のミニチュアのようなものをかけたら八百万まで出たというようなことで、かなり国民の皆さんに浸透しておるというふうに受けとめられたんですが、改造エアガン等の違法のおそれのあるものについて、こういったインターネットを使っての出品、これについてなかなか規制がないんだ。これは大臣、事前に私聞いておりますから、うそは言っておりません。ただ、ヤフー等に、こういった売買を制限する、削除するような要請というところにとどまっておる。

 あるいは、そういった違法な改造をするための情報提供に対する規制措置、これも、法的なものは、これは警察だけではないかもわかりませんが、無許可製造を助長するようなものについてはなかなか困難だというような御答弁はいただいておるんですが、事前のレクはあるんですが、これは非常に大きな課題だと思います。大臣として、これは六番目ですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 改造エアガンがインターネットを通じて売買されることを防止するためには、インターネット上でのこの種の売買に関する情報をいち早く察知することが必要であると思います。このため、警察によるサイバーパトロールを強化することとあわせ、多くの国民から情報の提供を得られる仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。

 本年六月には、広く国民からインターネット上の違法、有害コンテンツに関する通報を受け付けるホットラインがインターネット協会に設置される予定であり、このホットラインに対して広く国民から寄せられた情報が警察やプロバイダーなどにももたらされることにより、インターネットを通じた改造エアガン、ソフトガンの売買の防止にも大きな効果があるものと期待いたしております。

 このホットラインを設けまして、インターネット協会がこれを運用していくわけで、なかなかこれは専門的に難しいことですから、一般の人がそこでどう判断し、どこへどうするというのはなかなか難しいので、インターネット協会にホットラインが結ばれますので、協会に連絡すれば、そこで協会は、これはそういう違法的なものであるから警察にということで警察に連絡したり、あるいは、そういうものはプロバイダーに連絡して回収してやめていくとか、そういうようなことをインターネット協会がホットラインで結ばれることによって、そういう対応をも含めて、これから全般的にこの趣旨が徹底するようにしていきたいというふうに考えております。

鉢呂委員 先ほどの職務で所持する場合の関連ですが、暴走族等にこれら準空気銃を使う場合があるということでありました。

 これに関連して、昨今、警察官が、いわゆるけん銃が多いんですが、みずから命を落とすためにけん銃を使うとか、あるいは最近の事例でも、ことしの一月十七日ですか、長崎県警で、取り調べの関係者に対して自分が持っているけん銃をおどしに使うというか、けん銃を差し向けて、こういう形で懲戒免職になったようでありますが、そういう事例。また、三月十日には埼玉県警で、これはいろいろな見方があるんでしょうが、無灯火で走っている男に対して、職務質問上、非常に双方興奮し合う中で、けん銃を発砲してしまうというようなことが国家公安委員会でも問題になって、委員長も御記憶のあることかと思います。

 これは質問事項はとっておりませんが、いわゆる警察官だけが使うこういったものについて、やはり使う場合の相当慎重な、また、保管をして、そういった自殺行為に使うことがあってはならないわけでありまして、これらについて、所管の国家公安委員長、大臣としてどのように考えるか、お答えをいただければと思います。

沓掛国務大臣 警察官が所持しておりますけん銃の使用についてでございますけれども、これは非常に難しい問題をたくさん抱えているというふうに思います。

 今、委員がおっしゃいましたように、本人みずからが命を絶つ、あるいはまた、それほど必要でないのにそういうものを発砲するというような、いろいろな面もあると思います。しかしまた一方で、いわゆる警察官自身が非常に危険を感ずるような状態になって、そういうものを使うことによって犯人の逮捕、あるいは自分自身の緊急避難が図られるという両面がございます。

 けん銃の使用については、もちろん警察学校に入って研修を受けられ、定期的に実際に銃を撃たれたりして、皆さん、ある程度そういうものについて十分の理解をお持ちしているつもりではあるんですけれども、なお今委員のおっしゃったようなことがいろいろ社会的に問題にもなっておりますので、さらにそういうけん銃の使用について、これは慎重というよりも、そういう面での理解を深めていくということが非常に大切だなというふうに思っています。

鉢呂委員 そこで大臣、国家公安委員会のさまざまな報告、あるいは新聞紙上でも警察官の不祥事といいますか、一般的な刑法犯と同じような事件といいますか事案が毎日のように今新聞でも報道されております。なかなかここで言うには恥ずかしいぐらいの事例でありまして、ひき逃げをしたとか、あるいは職務中にお母さんの何か盗撮をしたとか、一般凶悪犯罪と変わらないような事案が、もう毎月のように国家公安委員会の中でも出ておるわけであります。

 国家公安委員長として、こういったことについて、何が原因で、どこに問題点があってこういう形が出ておるのか。大臣の率直な感想でいいですから、どういったことで、何かどこかに欠陥があるのではないか。それは、もちろん個人警察官のモラルの低下なのかもわかりませんが、新聞には必ず出ますから、また懲戒免職というのは必至なわけだというふうに思うんですが、後を絶たないということについて、最高責任者としてどのように考え、どう対応していこうと思っているのか、これについてもお聞かせをいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 委員おっしゃられるように、警察官のいろいろな犯罪的、それに近いそういう行為がしばしば行われ、そしてそれがマスメディア等に載っているということ自身について、私自身も、また国家公安委員、また警察庁幹部も、大変心を痛めているところであります。

 私自身思っておりますが、それに対する処分は非常に厳しいです。私も警察庁へ入ったのは初めてですけれども、そういうことに対する処分は、普通一般官庁に比べて大変厳格で厳しいというふうに思っております。

 しかし、これらをどういうふうにしてなくしていくかというのは最大の課題でございまして、この問題については、何といっても、そういうものが起きないように未然防止に重点を置いて、そういう形の教育指導をしていく、また、そのための監察、そういうものをしっかりとやっていくことが何よりも大切だと思います。

 同時に、やはり個々の職員の倫理意識を高めるということも大変大切でございまして、このことについては、警察の場合は、一般の公務員に比べて研修を受ける機会が大変多いです。各県警には警察学校等も設けられておりますので、そういうところにおいて倫理的な学科もふやして、そういう倫理観をしっかり植えつけていくことが大変大切だなと思っております。

 また、業務上においてのいろいろな非違事案防止を図るための幹部による指揮監督や業務管理の徹底、そういうようなことを通じて警察官によるそういう違法的な行為を皆無にしたいとは思いますが、二十四万いるわけで、なかなかそういうわけにはいかないんですけれども。

 しかし、これは国家公安委員会として、それぞれ警察庁等、あるいは全般的な話として申し上げるんですが、さらに地方については、それぞれ各県にいわゆる公安委員がおりますから、各公安委員会でそれぞれの県警等における職員に対する、今申し上げたような事案が発生しないように、また、倫理観念をしっかりと植えつけていくような、そういうことも非常に重要だというふうに思っております。全国の公安委員会というのもございますので、私は、そういうところでも今申し上げたようなことを強く申し上げているところでございます。

 何はともあれ、やはり国民の信頼を得なくては治安を守っていくということはできないわけで、その第一歩が、自分自身が正しく倫理観に満ちた行動をとることだというふうに思っております。

鉢呂委員 私は、もうあと一時間足らずでありますが、前回、前々回と同じ関係について、いわゆる警察の不正経理問題についても質問させていただきます。

 大臣、警察全体にモラルハザード、端的に言えば、この間ずっと、組織的に裏金はやっていたというところまでは認めたわけでありますが、いろいろな情報がありながら、裏金を使って私的流用は一貫して認められなかったということに初めから結論をつけたような形で来ておる。

 警察というのは大変、階級制そして秘密性の高いところですから、きちっといっていれば、また倫理性が高ければ、本来私どものところにこういう内部情報なんか来るはずがないぐらいです。しかし、どうも聞いてみますと、上の者がそういった裏金を使って私的流用をしておる、これははっきりしているんですね。ですから、そういう感じで、警察一体としてきちんとした倫理性に基づいた職務の遂行になっておらないのではないか。

 先般私が大臣に指摘をさせていただきました倶知安警察署、これは北海道ですが、同じ時期に函館中央署、この二人とも会計担当の係長クラスの方なわけです。そして、この公金着服をしていた時期を見ますと、例えば倶知安は平成十四年の四月から去年の十七年の三月までです。

 大臣も御承知のとおり、警察の不祥事が頻発をして、警察刷新会議ということで、今は亡き後藤田先生が会長になって、いろいろ有識者の会議をやって、法も改正をして、十二年まではそういう不正経理の経理状態もあったかもわからぬけれども、もうこれは一切平成十三年度からはないという形で来ておるものであります。大臣、いいです、いいです、聞いていただければ。

 北海道のこの内部調査においても、十年から十二年までは各警察署ごとに不正経理が出されております。しかし、十三年からはそういう強力な警察内部の形があるということで、ほとんど調査もおざなりのような形でやられておったのではないかというふうに私は見ておるんです。

 私どもが指摘した以外はほとんど不正はないというような形で来ています。私が指摘したのは、北見方面本部の会計検査にかかわる警備課長が架空の伝票を偽造したというような本当に微々たるものになっておるんです。

 ただし、今言ったように、会計担当の係長はこのように、十四年から去年の十七年の一月ですよ、北海道の警察であの裏金問題はもう毎日のように大騒動だったんですよ。

 警察の人は、これは大変な事態になったと、大臣、聞いてください、これは上から下までそう思っておると思ったにもかかわらず、それは幾ら惰性に流れてやっておったのかもわかりませんが、まさにその渦中で、去年の三月に見つかるまで、異動して後任者が見つけ発覚をしたんでしょうが、これも私が去年の十月に言わなかったらどうなったかわからないんですよ、道警は。私が質問したときに初めて、あったという形を社会的には公表した。それまでは内偵だ、去年の四月から内偵しておったというようなことなんです、これも捜査の一環かもわかりませんが。

 ですから、私は、かなりこの問題はまだ解決はしておらない、こういうふうに思いますが、大臣の率直なお考え、感想でもよろしいですが、私の今言ったことに対しての警察全体としての組織的な決着、この問題について、最高幹部も含めて、私的流用について、みずからきちんとした真実、全容解明についてきちんとした総括をしておらないから、後ろからそんなにやる必要はないようですよ、あなた方も含めて私は言っているんですから、双方からやったらどっちがどっちかわからなくなるんだから。そのことについて、大臣の率直なお考えをお聞きいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 委員の今御指摘になったのは二つあって、まず一つはいわゆる慣行的、継続的に、ある程度捜査費などいろいろ使途について問題があったという問題と、もう一つは横領事件という二つに大きく分かれるというふうに思います。

 その第一点の方についても、例えば、委員よく言われますので、倶知安の捜査用報償費等の執行分析表、十二年度、これを見ていただくとわかりますように、このときのいわゆる執行額というのは全体で百四十八万です。

 このうち、いわゆる証拠等があったものと、そして、そういうものがなかなか何も確証の得られないものとに分かれるわけですが、確証が得られないというものが三十九万です。残りの方は九十八万ですけれども、この九十八万の中でも、こういうふうに細かく使ったことのわかっているものが五十九万あるわけです。

 ですから、五十九万、しかし、これは公的にはある程度みんなでいろいろ必要な経費として使ったけれども、捜査費としては適当でないという判断で、証拠があるけれども五十九万は返還すべきということで、この確証のある中でも特別なものの五十万だけはそのまま返さないでいいということで、残り九十八万はこれをみんなで返しているわけです。

 私、内容をずっと見てみて、これまで返さなくてもいいんじゃないかと言うんですが、いや、捜査費としてはだめだからということで、私は非常に厳正な措置をとっているというふうに思います。

 これは鉢呂先生にいろいろ言われるから申し上げるんだけれども、この返す金は全職員またOBの一部の方々で返しているわけで、階級的によっても少しずつ階があるんでしょうけれども、多い方は一人で二百五十万のお金をこうして返還しているわけです。

 決してこれは公的に使えなかった形のものではない。例えば、警察官友の会総会、懇親会のところに一万円出したとか、防犯協会総会、懇親会に一万五千円出したとか、そういうようなお金をずっと積み上げてあるわけですけれども、そういうものはやはり捜査費として適切でないから、おまえたち現金で返せという形になっているもので、この辺の問題はいろいろある。しかし、それはやはり厳正な形で処理すべきで、今この問題を取り扱ってきたわけです。

 もう一つの倶知安の中でのいわゆる横領問題というのは、これは許しがたき行為ですから、これについては、もう断固、既に昨年四月に発覚し、今いろいろおっしゃいましたけれども、これは十月ですか、起訴する。逮捕して起訴して今公判中という形で、この問題とは、これは確実に分けて考えていただかなければならないというふうに思っています。

 もちろん前半の方も、手続やいろいろな面でそういう厳密さが欠けていたということは決して許されないことですから、現にそういうものは全部自分たちで返させたという非常に厳格な手続をやっているというふうに私は思っております。

 しかし、これでもう絶対何も起きないのかと言われれば、これは何といってもたくさんの人が、いろいろな人がいるものですから、そういうものがまた起きる可能性はゼロではありませんけれども、それをゼロにできるだけ近くするように、これからもみんなで、北海道の問題であれば、北海道の公安委員会それから北海道警、そこがまず第一線としてやっていただく。それを受けながら、警察庁または国家公安委員会としてもそれを支援しながら、全体としてこの問題の解決をしっかりやっていきたいというふうに考えております。

鉢呂委員 大臣、返せばいいというそういった論理は非常に甘過ぎるわけです。そして、私が聞いたことについても、例えば、二署の会計の担当係長が犯した、これはもう完全な刑事事件です。全道で八十かそこらしかない警察署で、二つの警察署の会計担当がこういう形で、しかもあのような大きな問題になったその渦中で、去年までやっておる。この重大性は、個別の個人の警察官の不祥事だけでは済まされない。彼らが公判でも言っているように、私だけじゃなくて、現場では架空の請求書で私のいたところは全部やっていると。

 そして、私は質問主意書でも聞きました。これは署内でどういった決裁をしておったのですかというふうに聞きましたら、これは先ほど言ったように平成十四年からの係長の警察署の関係ですが、署長、次長が決裁をしておりましたという内閣の主意書の御答弁でありました。

 しかし、実際は、前回も言ったと思いますが、この会計担当係長のお話では、私がここに着任した平成十四年には、既に署長の印鑑は私の、会計担当の机の中にありました。そして、その後二回ほど署長がかわったけれども、三本、新しい署長の印鑑をつくったり、印影で印鑑をつくったり、みずから措置をして、署長、次長の自筆の決裁はなかったかの発言をしておるんです。この三年間です、去年の三月まで。

 何も変わっておらないじゃないですか。ここを私は問題にしているんです。どうですか。

沓掛国務大臣 今、倶知安あるいは函館で逮捕された二人の方についてのお話ですが、この二人の行動はまことに許しがたき行動です、であればこそ、今起訴、逮捕もされて、処分を受けるわけですけれども。

 だから、みんなこれと同じような考えでやっていたというのは、これは行き過ぎであって、それぞれの立場において、それなりにしっかり厳正な対応をやっていたというふうに私は思っておりますし、現にそのことについては、道警での一昨年の十六年十一月の報告、また警察庁においての昨年十一月の、道警の検査を受けた内容についての確認という形での検査でありますが、警察庁としても、関係者等から話を聞きながら、そういう形でまとめ上げられているものですから、この二人についての例外的な措置ですべてというふうに考えないで、もう少し全体的に、一生懸命みんなやっておられるんですから、それについても耳をかしていただきたいというふうに思います。

鉢呂委員 それは国家公安委員長の発言ではありません。

 先週もお話ししましたが、四月二十七日の警察庁の会計監査実施結果報告書、例えばその前年の報告書では、北海道警察等は内部調査をしておるので今回の監査の報告の対象にしておりません、こういうふうにきちっと書いてあります。しかし、今回の十七年度、実は監査対象の署にも、後ろからちょっとやらないでください、あなた、だめだ、聞かないで違う答弁されても困りますから。

 今回の警察庁の監査には、この二つの公金刑事事件の署も対象にして監査をやっておるんです。対象でなかったわけではありません。倶知安警察署と函館中央署は、その後いただいた資料に基づきますと、北海道警察に対する監査対象所属の中に、メールに入っておるわけです。

 いや、今刑事事件になっておるから、これは監査の対象にするとか、一切報告書に書かない。まさに監査結果報告書は、いわゆる北海道警察調査委員会の調査結果と異なる事実は認められなかった、いわゆる個人的な利得を示すものも確認されなかった、こういう監査報告を国家公安委員長に出しているんですよ、国家公安委員会に。これは、他の指示なり指導から見れば、意図的に倶知安警察署、函館中央署の問題について外した、報告書にも記載をしないで、こういった個人的な利得、着服もなかったということを示しておると言わざるを得ません。もう少し厳しさを持って対応していただきたい。

 大臣、どうですか。

沓掛国務大臣 委員にするとそういうお考えでございますけれども、警察庁の平成十七年度の監査におきましては、今回の業務上横領事件にかかわる執行については、当該事件が捜査中であったことなども踏まえて監査の対象としなかったため、同事件については同年度の会計監査結果報告書に記載していないものというふうに了解しております。

 監査したものについての報告でございまして、捜査中のものについてはそれを対象としなかった。また、いろいろ調査するに当たっても、資料等はもう既に捜査当局に、検察庁の方に持っていかれていて、そういうものを調べるすべがなかったという面も当然あるので、したがって、そういう捜査的なものは、それがある程度、司法的にも一件落着して、そして書類も返してもらった上で、それをきちっとしてまた報告すべきものというふうに考えております。

 もちろん、これは司法的な事案として当然逮捕等いたすわけでございまして、そのもとになるデータ、そういうものは警察庁で行ったものに基づいて行っているものであります。

鉢呂委員 先ほども私が言いましたように、他の事例、十六年度を見ても、そういった除いたものについてはきちんと明記をされております。あるいは、個別のこういった事例についても、きちんと監査の中で指示、指導という形で出ておりまして、私は、これは意図的に外したと。

 これは大臣に、国家公安委員会に、規則に基づいて厳正に監査報告をすることになっているんですよ。大臣が警察庁の立場で答弁するような事案ではないんですよ。もっと厳しさがなかったら、こんな警察庁の甘い監査報告を容認するようなことで、どうして国民の期待にこたえられるんですか。

 そして、大臣、先週もお話ししましたが、この問題について、いわゆる物品購入費も含めて水増しをして偽装したということがありますから、会計検査院は、この事案についてもきちっと行う、倶知安警察署の問題についても行う、大臣、聞いていますか、行うということを表明しております。

 そして、大臣、会計検査院の報告でも、何回も繰り返しませんが、警察庁に対しても、こういった同種の事態が発覚した場合は徹底した調査を警察庁はやるべしということを言っておるわけです。

 大臣として、北海道警察の物品購入費も含めて、こういった事案がまた発覚をしているわけですから、これはきちんとした調査をするということを御答弁いただきたいと思います。

沓掛国務大臣 厳格な検査は、これは北海道だけでなくて全国の都道府県に対して実施しているわけでございまして、問題の発生した北海道、愛媛等についてはさらに厳しい検査、監査をしていくことが必要だというふうに思っております。

 今の二つの横領事件をもって全体を見ないでいただきたいというふうに思っておりますが、もちろん会計検査院等もあるし、また、これは道の監査委員会もございますし、北海道では北海道の公安委員会としての監査もいろいろあるわけですから、警察庁として直接第一線の検査をするわけではなくて、いわゆる北海道警の行った実地検査、そういう概要を踏まえて、そしてその中での実態の調査をしたものについて報告することになっておりますので、そういうことを理解した上で、国家公安委員会あるいは各県の公安委員会が何もしないとか怠慢だとか甘いとかということでは決してないということを申し上げたいと思います。

鉢呂委員 次に、この前も質問いたしました北海道警察の地元の北海道新聞への圧力問題についてであります。

 これは、私も議事録を読み返してみましたら、大臣はこういうふうに答弁されております。一般的には、日ごろから、自分としては人に圧力をかけたり捜査情報の漏えいをするはずがないという回答と理解をしておりますという形の大臣の御答弁でございました。

 一般的というような形でございまして、私は、前回、前々回ですが、資料に基づいて、微に入り細に入り、非常に現実的な具体的なメモというものが出ておるということで質問をさせていただいたわけでございます。

 私は、公開質問状も、北海道警察そして北海道新聞社にも出しておりまして、北海道警察は、大臣が前々回答弁されたような形であります。北海道新聞社は、この問題については取材源の秘匿の観点で答弁を差し控えたい、こういう回答でございました。

 しかし、大臣、私は、これは報道機関としての取材源ではない。これは当事者同士の、いわゆる北海道警察が当事者として北海道新聞社にこういった事情聴取なり捜査を行うということを申し上げておるという文面になっておりますから、まさにこれは取材源でも何でもない。むしろ、北海道新聞は、報道機関であれば、みずからの問題として社会的にこれを明らかにする、こういった圧力があったのかどうかを明らかにする、これが私は必要である、こういうふうに考えております。

 ぜひ、委員長の方にお願いがあるんですが、このメモにかかわった北海道警察の岩田満当時の広報課長、現札幌東警察署長、それから北海道新聞社の菊池育夫社長、そして、このメモにかかわった北海道新聞道警記者クラブ梶山征廣氏の三名を参考人として当委員会に御招致をいただきたいと思います。

佐藤委員長 ただいまの件については、理事会で検討します。

鉢呂委員 それでは、愛媛県警の問題について大臣に御質問をさせていただきます。

 この問題については、大臣、また二週間以上過ぎました。ウィニーの流出以来もう三カ月余になるところでありまして、特に捜査報告書、私が指摘をした十五名、委員長を経由して大臣に直接見ていただこうと思ったわけでありますが、まだその決着はついておらないというふうに思います。

 この十五名の情報提供者、謝礼を交付した、この問題について大臣として確認をしておるかどうか、これをまず最初にお聞きいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 この問題につきましても、まず第一義的には愛媛県警察においていろいろ捜査することであり、現在、流出したと見られる資料等の詳細を愛媛県警察において調査しているところであります。調査の過程においては、捜査費にかかわるものも視野に入れていろいろ検討される、調査されるものというふうに認識しております。

 愛媛県警察において、調査に当たっては、流出したと見られる資料等の中に情報提供謝礼を交付した旨の記載が存在することから、その真偽も含めて調査しているというふうに了知いたしております。

鉢呂委員 前回はこの問題については答弁を差し控えるということでありました。これを一歩超えて、愛媛県警でその真偽も含めて調査をしているということだろうと受けとめました。

 しかし、大臣、国会でも、これらの問題、さまざまこの間論議をしております。

 例えば、大臣の参議院内閣委員会、おととしの三月三十日の決議で、このように決議をされております。北海道警察における不正経理を初めとする一連の警察不祥事は、警察の組織の運営全般にかかわる問題であるとの認識のもと、国家公安委員会は、管理、指示権を適切に行使して事案の徹底解明を行い、国民の信頼回復をするように最大限の努力を払うこと。

 それから、決算委員会、これは去年の、十七年の六月七日でありますが、これは内閣に対して、参議院ですから、相当重みを持って、平成十五年度の決算審議についての決算委員会の委員長より警告という形でなされておりまして、この中で、昨年の北海道警察等に引き続き、本年は愛媛県警察において捜査費等の不正流用疑惑が生じており、まことに遺憾である。政府は、疑惑の徹底全容解明のため、都道府県警における監査の充実強化を一層図るなど、再発防止及び国民の信頼回復のために万全を期すべきである。こういう厳しい警告がなされておるわけであります。

 まさにこれは一県警のことでもありませんし、特に愛媛県警については、当委員会が昨年来、大変大きな形で現地の調査をしたり、大きな役割も担っておるわけであります。

 そこで、大臣、愛媛県警は、この予算の執行について県警の調査結果報告書というものを出されました。議事録を見ますと、大臣も国家公安委員会で報告をしておりますが、平成十年から十六年まで調査したと。平成十三年度は先行的にやっておったわけですが、いずれにしても、七年間の調査をして、二月二十四日にこの報告書を公表しております。

 しかし、この中身を見ますと、予算執行の過程で架空の領収書等の発行があって裏金をプールしたかというと、これは明瞭に、こういうふうに述べておるわけです。これらの問題執行のいずれも、具体的な捜査活動に伴うものであって、「いわゆる「プール金」の運用により組織ぐるみで捜査費を不適正に使用した事実は認められない。」こういうふうに結論づけておるわけです。

 どういった問題執行があったかというと、例えば、捜査員が深夜の捜査にかかわって、それに食事を出す、いわゆる補食は朝七時までしか認められないのを、七時以降に食べたからこれは不適正だとか、あるいは、県費の捜査報償費と国費の捜査費の分類があるようなんですが、その単純な記載ミスだ。あるいは、品名を間違えた、ジュースをお酒と間違えたとか、レシートの金額が領収書と違う。こういった単純な形だけの指摘に終わって、先ほど言ったように、いわゆる組織的なプール金の裏金というものは認められなかったということしの二月の結論なわけであります。

 大臣は、先般の私の質問に対して、いや、愛媛県警ではきちっとそういった調査をしておるので、愛媛県警のウィニー流出に伴うものについてはやらなくてもいいんだと、ずっとやらないやらないで来ました。私は、愛媛県警の部長でさえ、この問題については調査をしなければならないというふうに述べておるということも持ち出したんですが、大臣は一貫してこういう形であったわけであります。

 ところで、大臣、このウィニー流出した方は処分されたんでしょうか。

沓掛国務大臣 今、この流出したいろいろな事案について調査中でございます。その経緯をきちっと調べた上で、この処分を厳正にしていきたいというふうに思っております。

鉢呂委員 私の聞いておる範囲では、もうこうなれば名前も出しましょう、愛媛県警の是沢和洋という警部は、ほとんど愛媛県警のこの調査に、被調査者というか、調査される側としてされておらない、こういうふうに私の情報ではなっておるわけでありまして、三千ページにわたる情報が漏れたわけでございますが、本当に愛媛県警は調査をしているのかどうか。ずっとこの間、調査中だということで、ほとんど我々には答えておらないわけであります。もう全然答えていない。というか、本当に調査をしているのか。

 私は、流出したその中身で処分できないということではないと思います。流出したそのことによって社会的にも大きな被害を巻き起こしたということで、やはり処分する時期というものはきちんとあるのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

沓掛国務大臣 流出した資料がどういう内容のもので、どういう動機があるのかなどということについても、処分をしていく上において関係のないわけではございませんので、また同時に、本人からの事情聴取等も愛媛県警でこれを進めております。そして、そういうものがある程度まとまった段階で厳正な処分をしていくというふうに考えております。

鉢呂委員 先般申し上げました十五人のいわゆる捜査報告書、この捜査協力者、これは個人名、固有名詞で出てくるわけですが、この方々にちゃんとこういった謝礼の交付があったのかどうか、それは確認していますか。

沓掛国務大臣 今の十五人というお話ですが、それはまだこちらの方としては確認しておりませんけれども、愛媛県警察においては、現在、流出したと見られる資料等の詳細を調査いたしております。その調査の過程におきまして、今言われました捜査にかかわるそういう問題も視野に入れてやっているものというふうに考えております。

 いずれにせよ、現在調査中であるということをまず御了解いただき、なお、一般論としては、御指摘の捜査協力者に対する確認について申し上げれば、捜査協力者に関する情報は、警察内部でも慎重の上にも慎重を期して管理しております。それはまた、捜査協力者に事情聴取を行うことが知られることとなっただけでもこれまでの協力関係が損なわれますし、あるいは今後の情報提供を萎縮したりするおそれがあるというふうに思うからであります。

 よって、捜査費の支払い事実の確認等は、証拠書類の精査や捜査員からの聴取によって行っていくべきものと考えております。

 直接その人のところへ警察官が行って、どうだということになれば、これは本人は物すごく萎縮いたしますし、周囲の人からも大変な目で見られるというようなことがあると思いますので、そこで、今申し上げたように、いろいろな証拠書類の精査やあるいは捜査員からの聴取によって、どういうものかということを今いろいろ調査しておるわけでございます。そういうものがある程度きちっと整理できれば、これについてはきちっと発表していきたいというふうに考えております。

鉢呂委員 もう既に捜査協力者の名前まで流出しているのに、萎縮しているから相手側に確認しないんだ、これは本末転倒で、物事の本質は、今、大臣、こういった架空の領収書でプールされておる、そのことになっているのではないかということをきちっと見きわめなければならない。

 私の情報では、愛媛県警は、この十五名の方にこういった謝礼が交付されているかどうかの確認はまだしておらないというふうに聞いていますが、こんなことで、もう既に名前も出ているのに、なぜ確認に行かないんですか。いや、委員長、まだ待ってください、もう時間がありませんから。

 あの十五名の中で、私が聞き及んでいる範囲では、先週も言いました、前回も言いましたが、実在しない方が、山本さんという実在しない人物が一人、全く警察とは接触したことがない、こういうふうに断定している方が二人、三人いるんです。十五人から三人、そして残りの十二人は、菓子折りか食事でと認めた者が二人、あとの十人の人は、情報は提供した、しかし謝礼の交付は一切ないですよと、しかも、情報の提供は、全く言ってもいないことを誇大に、大変立腹をしております。

 もう既に、私がこんなこと言わなくたって、みんな情報をとる人はとっている、こういった状況の中であくまでも捜査協力者のプライバシーの保護だと言ったところで、国政の調査で、本当に裏金というのが架空であるのかないのか。

 北海道の旭川中央署も、道警本部長はこれは全然ないというふうに言ったけれども、あの個人名をきちっとマスコミの皆さんが調査したら、全然もらっていない、亡くなっている人もいる、架空の人もいる、こういった中で、発端はそういうことで明らかになったんです。この場合も、きちんと物の重大性を勘案して、本当に謝礼の交付があったのかなかったのか。

 これは国費が出ているんですよ。殺人事件という重大な事案で継続して謝礼を交付するようなニュアンスの文言も、大臣見られたとおり、私が資料を提供したからおわかりのとおり、あるんです。国費が提供されている、そういった書きぶりになっておるんです。

 先ほど言った愛媛県警内部調査は、全くそんなものはないということで終始をしておるわけですから、これについても、時間がありませんが、ぜひ佐藤委員長、愛媛県警のこのウィニーによって流出をされた是沢さんを参考人として当委員会に招致していただきたいと思います。

佐藤委員長 理事会で検討します。

鉢呂委員 以上で終わります。

佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時八分散会


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