第10号 平成18年5月26日(金曜日)
平成十八年五月二十六日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 佐藤 剛男君
理事 木村 勉君 理事 戸井田とおる君
理事 西村 康稔君 理事 林田 彪君
理事 山本 拓君 理事 泉 健太君
理事 大島 敦君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 新井 悦二君
飯島 夕雁君 遠藤 宣彦君
小野 次郎君 木原 誠二君
後藤田正純君 鈴木 馨祐君
田中 良生君 平 将明君
土屋 品子君 土井 亨君
中根 一幸君 中森ふくよ君
平井たくや君 村上誠一郎君
村田 吉隆君 安井潤一郎君
市村浩一郎君 川内 博史君
小宮山洋子君 鉢呂 吉雄君
鷲尾英一郎君 吉井 英勝君
糸川 正晃君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君
内閣府大臣政務官 後藤田正純君
内閣府大臣政務官 平井たくや君
内閣府大臣政務官 山谷えり子君
政府参考人
(内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長) 高松 明君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幹雄君
政府参考人
(警察庁長官) 漆間 巌君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 竹花 豊君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 縄田 修君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(警察庁情報通信局長) 武市 一幸君
政府参考人
(法務省刑事局長) 大林 宏君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 中根 猛君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 布村 幸彦君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 素川 富司君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
小野 次郎君 飯島 夕雁君
大野 松茂君 中根 一幸君
木原 誠二君 平 将明君
土屋 品子君 田中 良生君
同日
辞任 補欠選任
飯島 夕雁君 安井潤一郎君
田中 良生君 土屋 品子君
平 将明君 木原 誠二君
中根 一幸君 新井 悦二君
同日
辞任 補欠選任
新井 悦二君 大野 松茂君
安井潤一郎君 鈴木 馨祐君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 馨祐君 小野 次郎君
―――――――――――――
五月二十四日
戦時性的強制被害者問題解決促進法の制定を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第二三一七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
遺失物法案(内閣提出第五五号)
警察に関する件
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○佐藤委員長 これより会議を開きます。
警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長高松明君、政策統括官林幹雄君、警察庁長官漆間巌君、長官官房長安藤隆春君、生活安全局長竹花豊君、刑事局長縄田修君、交通局長矢代隆義君、情報通信局長武市一幸君、法務省刑事局長大林宏君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君及びスポーツ・青少年局長素川富司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田とおる君。
○戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。
今回は、警察の集中審議ということなんですけれども、若干、時期的なこともありまして、お許しをいただいて、半分は遺棄化学兵器のことも質問させていただきたいと思っております。
山谷政務官に来ていただいているので、参議院の本会議があるということで最初にその質問だけをさせていただきますけれども、前回のこの委員会でもって私が質疑した遺棄化学兵器の資料の問題ですが、これは全体像を、その発見した水間政憲さんからいろいろなものを見せてもらうだけは見せていただきました。大変な資料がまじっておりまして、何としてもこれを政府できちっと押さえていただきたい、そういう思いでいっぱいであります。
兵器引き継ぎ書の調査、分析には、国民も第三者的オブザーバーの参加を望んでいるんじゃないかなというふうに、あの資料を見ればだれもがそういうふうに思うと思うのであります。特に、国を憂い、執念とも思えるような気持ちでこの引き継ぎ書を発見された水間政憲氏も、ぜひ参加していただきたいな、そういう意味ですべてのいろいろな知識を持っておられる方なので、そのように私自身は願っております。
山谷政務官、その調査のメンバーの中に水間氏を加えていただくことはできないでしょうか。
○山谷大臣政務官 本事業の実施担当の内閣府といたしましては、この関係資料に対して大きな関心を持っているところでございます。内閣府といたしましては、外務省、防衛庁、そして専門家の皆様ときちんと精査をしていきたいというふうに考えております。近々、資料管理関係者の方ともお会いする予定にしております。
水間さんの件に関しましては、ちょっと個別のことでございますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
○戸井田委員 ぜひお願いしたいと思います。
政務官、どうぞ、これで。ありがとうございました。
それでは、本題の方に戻らせていただきます。
最近、新聞等を見ておりますと、さまざまな事件等が出ておりますけれども、きょうの新聞でも、三面記事の中に四件、子供の事件、事故のニュースが出ておりました。挙げてみるにしても、何が、どこに、どうあったのかと挙げてみても、その件にすべて挙げられるほどじゃない、まだまだたくさん、近々起きた子供に関する事件、事故が多かったと思うんですね。
私自身も、自分の子供が三人おりますけれども、かつて二人ほどが生死を分かつような事故に遭ったことがありました。国会におりまして、毎日姫路とこっちを、夜は姫路に帰って子供の看病をしてという、そんな生活をしたこともありました。自分自身の子供がそうなったときというのを考えたら、今さまざまな事件に遭ったそういう子供の親御さんの気持ちを考えたら、本当に身につまされる思いがあるわけであります。
しかし、そんな中で、犯罪というふうにとらえていったときには、その犯罪の発生件数というのは少なくなっているんだというような話を新聞等でも見たことがありました。今、子供が被害者となる殺人事件の推移、その辺の全体像をちょっとお聞かせいただけたらありがたいなと思っております。生活安全局長、よろしくお願いします。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
十三歳未満の子供を被害者といたします殺人事件につきましては、十年前の平成八年は百件起こっております。このうち、既遂が八十二件を占めております。昨年は百五件、既遂は七十三件という状況にございます。
この十年の間に殺人事件が最も多かったのは、平成十年でございまして百二十一件、これは、うち既遂が百件に上っております。少なかったのは、平成十一年の八十七件、これは既遂が七十二件というふうになっている状況でございます。
○戸井田委員 ありがとうございました。
それとまた、特にそういう子供を対象にした事件、子供が被害者となっている殺人事件の傾向、特徴的な傾向というものはあるんでしょうか。
○竹花政府参考人 御指摘のように、数字の上では横ばいといった状況にはございますけれども、最近の子供を被害者とする事件は、世間に非常に大きな不安を呼び起こしているというふうに考えております。
子供に何の落ち度もないのに身勝手な欲望や理解を超えた特異な動機で命を奪う、そういう事件が相次いでおりまして、だれが、いつ、どこで被害に遭うかわからない不安を呼び起こしているというのが最近の情勢の大きな特徴ではないかというふうに思っております。
少し事件を分析いたしてみますと、例えば奈良の小学生誘拐殺人事件のような、いわゆるロリコンものを背景にいたしましたわいせつ目的の殺人事件もございますれば、池田小学校事件のように、社会への恨みといいますか、そうしたものが子供に向けられた事件というものも多うございます。またさらに、これは長崎の二つの事件のように、子供によるものでありますけれども、子供が命の大切さというものをまだ十分わからないまま、友達などを殺す事件もあるわけでございます。
こういう事件が最近目立っておりますけれども、これらの事件を見ますと、この被疑者にのみ固有の事情があって、もうこれきりだというふうには受けとめられないような、今後も同種の事件が起こり得るというような思いを抱かせるところに現状の特徴的な傾向があるというふうに考えております。
○戸井田委員 今局長が言われたように、もうこの事件はこれで終わり、この後はないだろうと思えない、そういったものが、社会一般に不安感、特に小さな子供を持った親御さんにそういう不安感を抱かせていると思うわけであります。
地域の方々も真剣にとらえられて、いろいろな対策が講じられております。警察の方ではこういう事件に対するどういうふうな対策を考えておられるのか、その辺のところを国家公安委員長にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○沓掛国務大臣 お答えいたします。
最初に、対策の前に、この社会的な背景、子供がこういう事件に巻き込まれる社会的背景を少し考え、それを踏まえて対策を申し上げたいというふうに思います。
子供が殺害されるまことに痛ましい事件が相次いで発生し、国民に大きな不安感を与えているところであります。警察においても、関係省庁及び関係機関と連携しながら、児童の安全を確保し、国民の不安感を払拭するための諸対策を推進し、子供の被害防止に全力を尽くしているところであります。
子供たちが犯罪に巻き込まれる事件が多発する社会的背景としては、さまざまな要因が考えられますが、一つには、核家族化の進行のため、地域社会の子供を守る機能が低下してきたこと。昔はおじいちゃん、おばあちゃん、みんな一緒にいて、子供が学校へ行く場合、手のすいているおじいちゃんやおばあちゃんが見送るとか迎えるとか、家族全体で安心、安全を守っていた時代ですが、時代の流れによって核家族化が進み、本当に、夫婦と子供一人、二人、そういう家庭が多くなってきておりますので、どうしても、家族ぐるみでそれを守っていく、そういう機能が低下してきていることが一つだと思います。
さらに、プライバシー意識の過度の高まりにより、地域社会の公共的機能が薄れたこと。プライバシーを大切にしていくこと、これは当然でございますが、都会へ来ると、隣は何をしている人かというような状態になってまいります。そのことがどんどん進み過ぎますと、本当に町内会ぐるみで、あるいは隣近所ぐるみでそういう防犯対策をとっていく、変な人が近くをうろつけば、どうもあの人はおかしいなというようなことが昔はよくわかったんですけれども、隣の人もよくわからない状態ですと、そういうことがなかなかわかりにくい。やはり、公共的あるいは広域的な、そういう安全、安心を守る機能が低下してきていること。
さらに、物質的に豊かになり、情報のあふれる中で、多様な価値観が生まれて、規範意識が低下してきていること。
また、情報化社会の進展により、児童性愛者が自己の欲望を肥大化することが容易になったり、社会的不満が助長されやすくなってきていること。
さらには、外国人と共生する社会づくりが十分になされていないこと。国際化ということは、欠かせない大事なことでございますが、それに伴って、たくさんの外国人が日本に入ってくる。そういうそれぞれの国の文化また規範的な意識が違う人たちが入ってきているわけでございまして、そういう方々がある程度生活等に困ると、組織的に凶悪な犯罪に走っていくというようなこともございますが、そういうことなどが考えられます。
さて、これらを踏まえて、子供たちを犯罪から守るためには、子供の安全を社会全体で守る、そういう意識を大人が改めて思い直して対処することがまず基本的に大切なことだと思います。
具体的には、警察といたしましては、幼い命を奪った卑劣な犯人を全力を挙げて検挙して、刑罰を科する。検挙にまさる防犯はないと言われますが、今もやはりそういうことが大切だなというふうに思います。
そのほか、子供の教育、家庭あるいは社会のあり方など、さまざまな課題に対し、警察のみならず社会全体で総合的に取り組んでいく必要があるというふうに思います。
まず何といっても、自助、自分で安全を守っていく、防犯ベルなんかは大変効果的で、昨日もその効果があらわれている事例もございました。そういうふうな形で、通学路等についても、危険なところを子供が認識しながら、また、それを学校で教えていく、そういう自助がございますし、さらに、それを助けていくために、いわゆる通学路においては防犯ボランティアなどが、あるいはまた学校で、自分を守るいろいろなことを教えております。
私も先日、そういうところに参加いたしましたけれども、やはり子供は素直にそういうものをよく身につけていきますので、そういう形で自助。そして、隣近所のかわりには、今、防犯ボランティアなどができておりますのでそういうものを、さらに公助として警察やもっと大きな公権力でそれを守っていく、そういうことがぜひ必要だというふうに思っています。
私は、特に昨年一年間で、いわゆる防犯ボランティアが一万から二万できております。全国で小学校区は二万三千ございますから、ほぼ全国の小学校区的なところには防犯ボランティアができているというふうになりつつあります。それが、いろいろな形で、地域の安全、安心を守っていくために大きな力を発揮しつつあるなというふうに思っていますが、何はともあれ、国民みんなで治安、安心、安全を守っていくという心構え、そういう中において、弱い立場にある子供をまず優先的に守っていく、そういうようなことが非常に大切だと思っております。
○戸井田委員 どうもありがとうございました。
確かに、検挙率を上げていくということは安心感につながることであるとは思いますが、しかし、目立ちはしませんけれども、予防というか防止、そこにつながる対策というものが非常に重要だというふうに思っております。
それは、それぞれの子供を持つ親、またはその地域に住んでおられる方々が、おかしいなと思ったことを警察に連絡する、交番に駆け込む、そんなときに、やはり子を持つ親の立場、また不安に思っている子供の立場、その立場にそれぞれ現場の警察官の方々が立っていただいて、それに迅速に、そしてまた親切に対応していただく、そんなこともまた重要なことだと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
また、きょうは、外務省から梅田参事官、そして中根軍縮不拡散・科学部長に来ていただいております。
実は、私も、時期的にどうしても今このときに確認をしておきたいということで質問をさせていただくわけですけれども、化学兵器禁止条約について、基本的なことをお聞きしてみたいと思っております。
まず、定義に、遺棄化学兵器とは、「一九二五年一月一日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器をいう。」とあります。
この定義の中には、遺棄化学兵器がいずれかの国か他の国のものか、所有権に関して、直接的表現は記されていませんが、同意を得ることなく遺棄した化学兵器を遺棄化学兵器と定義されています。
となると、手元にお配りしました引き継ぎ書にあります日本側と中国側の授受者の署名、捺印は、引き継ぎ者側の同意を得ていたことになります。これは引き継ぎ同意書でもあります。六の資料とかほとんどの資料に、中国側と日本側の代表者のサインと印鑑があります。
現在、遺棄化学兵器処理室が中国において発掘して保管している旧日本軍の化学兵器なども、同じように引き継ぎ者側の同意を得ていたのであれば、当然、旧日本軍の化学兵器といえども、所有権は中国側に移行したものと理解しておりますけれども、外務省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
今まさしく先生御指摘があったように、化学兵器禁止条約によりますと、ある国が他の国の領域において当該国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器というものが遺棄化学兵器なんだというふうに定義されておりますけれども、今まさしく先生が指摘いただきました資料そのものが、本当にその条約との関連で、今定義にあるようなものに該当するのかどうかというのは、これはまさしく、そのような視点も含めまして、我々、精査をこれからさせていただきたいと思っておりますので、今この時点で明確なお答えをすることはできない、その点は御容赦をお願いしたいと思います。
○戸井田委員 手元にお配りしました資料の一と四を見ていただきたいんですが、前回取り上げました九四式小発煙筒は、資料四の毒ガス関係資料に記載されている写真解説では一枚目の右側の写真のようにタイプAということになっております。
引き継ぎ書に出ていた九四式小発煙筒は果たしてどうかなということを前回のときに説明したんですけれども、今回新たに水間氏の方から提供していただいた資料一の二枚目には九四式小発煙筒甲というふうになっているものが出てきました。これは明らかに現在遺棄処理の対象の有毒発煙筒と称するものと思われますが、それを確認したいこと。
それから、前回九九式発煙筒を取り上げた際に、それを疑うこともできるということを私は申し上げたんですね。それは、等間隔に書かれているものが前回の分にはそれが詰まって書かれてあった、そんなことも疑おうと思ったら疑えるということでもって言ったんですけれども、そうしたら、やはり水間氏は同じように、九九式発射発煙筒であれば多数引き継ぎ書の中に出てくるということで、今回新しく出してもらいました。それが資料二ですね。資料二の左側の方に九九式発射発煙筒というのが出ております。ですから、あちこちに通常のものとしてこういうふうに出ているんだろうというふうに思うわけであります。
そもそも、旧日本軍関係者は有毒発煙筒などというのは聞いたこともないということをおっしゃっておりますし、発煙筒はあくまでも発煙筒であって、十一年前に我が国が批准した化学兵器禁止条約のことは、六十年前の旧日本軍の方々は当然全く知らないわけでありまして、考えてみますれば、内容が少量の場合には、先ほどごらんいただいた資料一の引き継ぎ書の甲とかそういうことが書いてありますが、大量の場合には、甲乙だとかそういう区別なく、型式表示だけでもって引き継ぎが実施されたというふうに思われるんですね。
資料一を見ていただきたいんですけれども、資料一の二枚目です。これは数量と単位のところを見ていただいたらわかりますが、済みません、資料三ですね。資料三の方を見ていただいたらわかるんですけれども、この資料三の数量のところを見ていただいたら、単位がトンということになっております。
そして、当時、中支那派遣軍の兵器廠があった南京には倉庫が二十棟以上あったというんですね。その倉庫番号の十三号、十四号というのは、この資料三の二ページ目の真ん中にあります十三号、十四号の、その下に九四水上発煙筒八・七トン、それから同じように九四水上発煙筒五トンという形で、非常に量が多くなると、何発とかいうことでなしに、トンという単位でもって引き継がれてあるわけであります。当然ほかにもありますし、水間氏は、武器としてでなく、ドラム缶という表示のものもあったということを言っておられます。
一日も早くこの調査を望みたいと思っております。非常に資料を深く知れば知るほど、大変な内容のものが含まれているというふうに私も感じております。ぜひそれをお願いしたいと思っています。
また、資料の五の一枚目をごらんいただきたいと思います。私がこの間質問したのは五月十二日でありました。当時、大したことないと思っていたのかもしれませんけれども、マスコミ等ではほとんど報じられませんでした。しかし、その後、こうやって「毒ガス演習計画書発見」とか、その二枚目には「米軍、毒ガス海洋投棄」ということで、この中にも日本の記述が出てきております。黒丸と横に線を引いてありますけれども、「日本近海では、主に旧日本軍が製造した嘔吐性ガス弾十一万発などを、計六カ所で四五年から四六年にかけ投棄。」というようなことを書かれております。
こういうものを見ると、きちっとした引き継ぎというのはやはり行われていたんだ、毒ガス兵器であったとしても、それはきちっと引き継ぎをなされている。アメリカ軍にだけはしていなくて、連合軍ということでとらえていたら全部同じようにやっていたんだと思うんですね。ですから、この引き継ぎ書というものをきちっと精査していただくこと。
また、資料六を見ていただいたらわかりますが、これはそれぞれのページに、全部左側に引き継ぎの内容、そして右側の方にはそれぞれ中国側と日本側の代表者のサインと捺印がされております。この二枚目なんか、日本側、陸軍大尉今村大蔵ということで出ているんですね。非常にきれいな字でもって、それこそ、これぐらいきれいな字をよく書けるなと思うぐらいのきれいな字であります。こういうふうにして、一人用の机だとか、一ページ目の平がまとか、軍隊で使うようなものなんだろうと思いますけれども、こんなもの一つ一つまで、その品質まで書かれて引き継ぎをされている。
私は、前回にも申し上げましたけれども、かつての日本軍のこういう担当した人たちを含めて、そんなにいいかげんなことをやっていなかったんじゃないかな、やるべきことはきちっと、自分の果たすべき責任はきちっと果たしてこられたんだ、そういうことを思ったときに、いいかげんな始末の仕方はしてほしくないなというふうに思うんですね。
この資料というのは、日本にとってプラスになる資料ばかりだとは私は思いません。中を精査していったら日本にとってマイナスなこともあるのかもわかりません。だけれども、真実は何だったのかということをきちっと、そのときそのときの個人的な利害関係だけでとらえるのではなくて、日本全体、日本だけじゃなしに、当然中国も関係してくるわけですよ。
中国だってそんないいかげんな国じゃないと私は思います。かつての日中共同声明、あのときの状況、あの流れ、そういうものをすべて把握して見ていったときに、そのとき国家の代表として周恩来首相とそれから田中総理が握手をされました。非常にかたい、テレビを通じても肌身に迫ってくる、いろいろな思いのこもった握手であったと私は思っております。
元来中国の方々とも私は長いおつき合いをさせていただきました。これまで、今のトウカセンさんにしても王毅さんにしても私はよく存じ上げております。父の時代から大変長いつき合いをさせていただきました。そして、私自身も、現実に、昭和二十六年生まれでありながら中国で生まれてきたという経緯があるわけであります。そういうことを含めて考えてみると、自分の立場というものも大切にしていきたい。
しかし、この状況というものは、この資料は、全抑協の斉藤六郎さんという方がいろいろな状況の中にあっても、全国抑留者協会の五万人と言われる会員から五千円という会費を集めて、そういうお金をもとにしてソビエトと何度も行ったり来たりしながら、百回以上往復したということを聞いております。そういう中でもってこの資料をこつこつと集めてこられた。
それは、言ってみれば、シベリアに抑留されていた方々、私は何人かわかりませんけれども、そんな方々がいろいろな思いを込めて、無念の思いを込めて亡くなっていった方もおられるわけであります。
そんな人たちが一言もしゃべれない今の状況の中にあって、前回も申し上げましたけれども、今生きている我々がそれを調査し、そして、その中から読み解いていくことができる我々が、何をやらなきゃならないのかということを考えたら、決して個人の立場だけでもって考えるのでなく、広く、今生きている人間だけの立場でなく、かつて日本をつくり上げてきた、いいことも悪いことも含めて、そういうふうにして今日、日本があるのは、やはり、かつての我々の先輩たちがよきにつけあしきにつけ一生懸命生きてきたその結果だと思うんですね。その事実をどう我々が読み解いて把握していくか、そしてまたそれを次の世代に伝えていくか、そのことが一番大切なことだと私は思っております。
ですから、この資料は、私自身、なかなか水間さんもすべて見せてくれません。だけれども、少なくとも、かいま見る中においては大変な資料が含まれていることは間違いありません。そして、戦後の日本の歴史を書きかえるような資料も中に含まれていると思います。
そういうことをきちっと精査して、決して私利私欲にとらわれることなく、本当に、国益ももちろん考える、国益だけじゃなしに、世界のあの戦争でもって死んでいった方々がどんな思いでいるのか。決して死んでいったことがよかったと思っているわけじゃないと思います。当然、後悔の念もあったでしょう。いろいろな思いがあったんでしょう。そういうことを実現するのは何なのかということは、やはり平和に貢献していくことだというふうに思うわけであります。どうぞ、その辺の気持ちを、魂をそこに入れて活動していっていただきたいと思います。
外務省の方々、なかなか関係の方が出てきてくれません。僕は、いろいろな意味で高松さんにも申し上げたいことがあります。
内閣府の高松さんが中国でもって、二〇〇六年の四月七日に中国メディアにこの遺棄化学兵器のブリーフィングをやっております。そんな中でもって、こういうふうに答えているのがあるんですよ。「これも私の個人的な推測でありますが、化学兵器を保有することは国際法違反であるという意識が強かったため、直ちに地面に埋設したり水中に投棄したケースも少なくなかったと考えられます、これらについては、日本国内で旧日本軍人に対し聞き取り調査を行い部分的には確認している」、こんなふうな答弁をしているんですよね、向こうの中国のマスコミ、メディアに対して。全然逆のことをやっているんですよ。
今私が時間をかけて申し上げてきた、かつての亡くなった人たちのその気持ち、その思いを考えたら、こんないいかげんなそのときだけの答弁、こんなことできるわけないんですよ。私は、これを見たときには印刷間違いかと思いましたよ。
そんなことを、日本がすぐその場でもってなかなか情報が入ってこないからといって、一番それがわかっている外務省がきちっとそういうことをわきまえてやらなきゃいけないんじゃないですか。
前の阿南さんの答弁をずっと聞いていても、平成十年の四月何日かの外務委員会の資料ですよ。あれを読んでいても、どう考えたって、日本の国益に立っているというか、日本人の立場に立った答弁じゃないですよ。
そういうのは、そのときそのときはごまかせたとしても、全体を見ていったときには出てくるんですよ。私はそういうものしか見ていないんですよ。細かいことは一々調べてくるのも大変ですけれども、だけれども、その全体像というのはその中ににじみ出てくるんですよ。そういうことを見ているということを忘れないでいただきたいと思います。
○佐藤委員長 戸井田委員に申し上げます。
質疑持ち時間を終了しておりますので、議事の進行を御理解お願いします。
○戸井田委員 はい、わかりました。
つい力が入ってしまいましたけれども、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
きょうは、昨年三月三十日それから十月二十六日に取り上げました愛媛県警の警乗旅費の問題について質問をしたいと思います。
裏金づくりを告発した仙波巡査部長が、当時所属していた鉄道警察隊で、九九年度と二〇〇〇年度の二年間に八回の長距離列車警乗を行ったんだけれども、一日千七百円の警乗旅費が支給されるべきなのに本人に渡っていなかったという問題。
そもそも、当時、鉄道警察隊では警乗旅費について支給されていること自体を知らなかった、ところが、警察庁からこの二年間に八十九万七千六百円の警乗旅費が十人に支給されていたことになっている。そこで、警乗旅費をだれが受け取っていたのか、警乗旅費が受け取っている人がいないのに出ていったとなると、裏金になっていたという疑惑になってくるという問題でした。
列車警乗のときには旅行命令簿というのがあって、旅行命令が出るわけですね。きょう、ここに二つ持ってきましたが、二〇〇二年度、平成十四年度の分については、本人の氏名とか用務先、それから旅行期間とか御本人の認め印とか精算払い、幾らお金が支払われたかというのは、これはマスキングされておりますが、あとは全部一応資料として公開されているんですね。ところが、九九年度、平成十一年度のものになると、これは真っ黒なんですね。
なぜ、二〇〇二年度は少なくとも、マスキング部分もありますけれども、かなり公開されていたのが、九九年度の旅行命令簿になるとほとんど全面開示しない、こういうことになっているのか。なぜ年度によってこういう差がつくのか、非常にわからない話ですから、理由を説明していただきたいと思います。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の事実関係につきましては、概要を次のとおりとの報告を受けているところであります。
まず、愛媛県警察においては、愛媛県情報公開条例に基づく情報公開請求がなされた場合には、同条例第二条第二項に掲げられました不開示事由に該当する場合を除きまして、請求者に対して文書を開示することとしているところでございます。
具体的には、愛媛県警察本部地域課鉄道警察隊の旅行命令簿につきまして情報公開請求がなされた場合、今委員がお示しになったように、まず、個人情報の関係でありますが、警部補以下の職員の氏名及び印影につきましては、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるおそれがあるため、これは第七条第二項第一号に該当するとして不開示としております。
もう一つは、列車警乗に伴う用務先とか旅行期間、金額の部分につきましては、これは公にしますと、これらを分析することによりまして、鉄道警察隊の活動区域、活動手法とか、活動体制などが明らかとなり、犯罪を企図する者において対抗措置を講じられるおそれがあるなど、将来の列車警乗活動に支障を来すおそれがあるため、これは第七条第二項第四号に該当するとして不開示とするということで対応しているわけであります。
こういうことでやっておるわけでありますが、愛媛県の情報公開条例では、県警の本部長が保有する文書につきましては、平成十四年度以降に作成されたものが対象となっておりますので、これ以前の文書については、条例に基づく開示請求がなされても一切開示がなされないということになっております。これは規定がそうなっておりますので、県警だけじゃなくて、そういうふうに対応しているわけであります。
他方、もう一つ、今お示しがありました平成十一年度ということでありますが、これは、実は、今委員が御指摘のように、仙波巡査部長が平成十七年三月四日に警乗旅費請求訴訟を起こしまして、平成十一年二月から約二年二カ月間において八回警乗に従事したのに警乗旅費が支払われていない、合計一万三千六百円が未払いであるとして、その支給を求める訴訟を提起したわけであります。
その訴訟の中におきまして、この原告であります仙波巡査部長側は、原告以外の鉄道警察隊員の旅行命令簿等につきまして、本年になりまして一月十七日に、松山地方裁判所に、この旅行命令簿ということでありますが、文書提出命令の申し立てを行ったということで、訴訟でその文書提出命令の必要性が争われていたところであります。
その過程におきまして、三月二十四日、原告の方から、平成十二年度の文書は三月末をもって廃棄される可能性が高い、これは県警の会計文書保存期限というものがありますので、これで、平成十二年度は三月末をもって廃棄される可能性が高いということがありますので、同裁判所に対して証拠保全申し立てを行ったわけであります。その申し立てに基づいて裁判所が証拠保全決定を行ったというプロセスがあるわけです。
証拠保全に際しましては、愛媛県警から、必要な箇所についてマスキングを行うことにつきまして裁判所の了承を得た上で実施することとしておりまして、これが四月二十四日にマスキングを施した今委員御指摘の旅行命令簿等、これを提示したということであります。
その際、なぜそういうふうになったかということでございますが、愛媛県警察におきましては、裁判所による当該証拠保全への対応として必要と判断された範囲外についてはマスキングを施すこととしたものでありまして、つまり、証拠保全の対応として必要なだけの情報を開示するということとして、結果として情報公開請求における対応と異なったということでございます。
いずれにしても、これは訴訟のプロセスの中での対応ということで、結果として差異ができるということでございます。
○吉井委員 私は裁判の話なんか一言もしていないんですよ。
それで、今、連続性という話を、連続的にずっと毎年度出したら分析されるとかなんとか言うんですが、二〇〇二年度以降は全部公開なんですよね。さっきの範囲だったら、マスキング部分もあるけれども、この程度は公開しているんですよ。だから、連続性なんというようなことは全く理由にならない。
それから、情報公開法について、これは条例も中身は一緒だけれども、要するに、警察関係については、公共の安全に関する情報についての非公開を定めているだけなんです。それは「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」ということなんですね。
これはもともとこれだけわずかの、わずかといってもかなりマスキングはしていますけれども、マスキングしても公開するのは犯罪捜査その他に全く関係ないからなんですよ。関係ないから公開をしているのに、今度の場合は、これは全くほとんど黒塗りでわからないようにしてしまっているんですね。
しかも、では、わかりやすいところで聞いておきましょう。これは、公開しておられるものの中には、そもそも記載していない部分は記載していない部分でわかるんですね。何にも記載していないものまで、皆さんの方が公開しておられるものを見ると、全部黒塗りなんですね。これと同じなんですよ。片方は記載していないところ、記載していないところまで黒塗りにする理由は全くないんですね。これまで全部黒塗りなんですね。
どうしてここまで、犯罪捜査その他に全く関係のない情報まで、二〇〇二年度以降ちゃんと公開しているのに、公開しない。この理由というのは成り立ちませんね。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、情報公開条例に基づく対応につきましては、先ほど申したような判断基準によってやっておるわけでありますが、御指摘の平成十一年度の文書提出命令というのは、裁判の過程におきまして証拠保全という申し立てが行われたということに対して、その限りにおいて県警が対応するとしている。
すなわち、先ほどと繰り返しになりますが、その証拠保全の理由というのは、平成十二年度の文書は三月末をもって廃棄される可能性が高いということでありますから、その限りにおいての必要な対応をするということでありますので、文書自体が、旅行命令というものが存在するということを示せばよいという県警の訴訟における対応だというふうに思っております。
いずれにしましても、当該文書の開示のあり方につきましては、訴訟中でありますので、その当否についてはもちろんコメントする立場にはありませんが、裁判所で最終的に判断されることだと思っております。
○吉井委員 これは、公共の安全と秩序維持に支障を及ぼすおそれということとか、裁判の話などをされるわけだけれども、最高裁判例でもあるように、そもそも、支障を来すとか、おそれというのは、具体性が必要なんですね。抽象的な話を並べても、それはだめなんですよ。旅行命令簿を提出しない合理的な論拠には全くならないんです。
ここに、私、きょう持ってきておりますが、列車の警乗に関する基本計画というのがありますね。出しておられます。これは警察庁策定のものですが、その列車警乗に関する基本計画の中でも、これは、そもそも列車警乗を実施すべき路線の選定基準というのは、旅客輸送密度が八千人以上とか、在来線、特急列車、急行列車が重点だとか、具体的には事件発生の高い列車だとか、乗車人員の高い、多い列車とか、停車間隔の長い列車、それから在来線だったら片道二百五十キロ以上とか、基本計画ではきちんと示しているわけですね。
それに基づく、こういう旅行計画を立てて、命令を出してやっているわけですから、それは裁判の話とは全然関係なしに、裁判の上でも全部隠すことなく出せばいいわけです。あなたの方がきちんと適正に支出しているんだと言えば、全部出せば証明できるわけだから、裁判の上でも証明をする上で出さなきゃいけないし、それからまた、これまで出さない理由として、それは、さっきおっしゃったように、将来相手の側がどの列車に重点的に警察が乗ってくるからだとか、そういうことを予測して、それで出さないんだとか、出さない理由というのは全く成り立たないんですよ。
だから、これは裁判云々じゃなしに、まず全面的にこの資料を出す。もし裁判で争っているような問題が、みずから証明するんだったら、出せば証明できるわけですよね。裏金じゃありませんということを証明できるんですよ。隠すということは、みずから証明していることになるんですから、これは出すのが当たり前じゃないですか。なぜ出さないんですか。
○竹花政府参考人 お答え申し上げます。
旅行命令簿には、警乗の行き先地、警乗実施日、旅費の金額等、個々具体的な警乗の実施状況が記載されておりまして、マスキングを外しましてその詳細が明らかとなりますと、列車警乗のパターンを分析することなどによりまして警乗体制等を推測することが可能となります。そのため、警乗業務と捜査の重点、警乗の手薄な時期や地域、特定の列車便警乗の有無などが明らかになり、列車内における犯罪予防、鎮圧等に支障を来すおそれが生ずるところでございます。
また、旅行命令簿には、警乗を実施いたしました警察官の氏名などの個人情報が記載されております。マスキングを外しますと、逮捕、取り締まり権限を直接行使する警察官の個人情報が明らかとなりまして、当該警察官等のプライバシーの侵害のおそれ、あるいは攻撃、嫌がらせを受けるおそれがあることも一つの理由でございます。
○吉井委員 今おっしゃったこの旅行命令簿は、マスキングは一部で、二〇〇二年度以降全部出しているんですね。今出しているんだから、あなたの心配は、これからの心配ならまだ話はあるかとしてですよ、それも違うということは、さっき挙げました文書で、警察庁自身が示している文書からして当たらないんですけれども、九九年度というのは過去の話なんですよ。過去の話を幾ら隠してみたって、それも六年も七年も前の話を隠してみても、これからの列車警乗についての話とは全く関係ないんですね。だから、マスキングする理由というのはないんです。
それから、そもそも、これはさっきの列車警乗基本計画についての警察庁文書で示しているものからしても、こういうやり方でやりますということを示しているんですから、あの愛媛県警でいったら、乗るのはJR予讃線しかないわけですから、分析も何も、大体決まっているわけですね。
しかも、これは警察学論集の「鉄道警察の仕組と運営」という中で、鉄道警察隊員というのは、私服で秘密で乗るんじゃないんですね、ちゃんと制服を着て乗りなさいとしているんですね。
だから、堂々と乗っている人についての、しかも固有名詞、個人の名前までは書かずに今も出しているんですから、そのとおりでいいんですね。そのことを求めているんじゃないんですよ。何で全面的に黒く塗りつぶし、しかも全く支出と関係ない、載ってもいない、ただの空欄のところまで黒く塗りつぶしているのかということを問題にしているんです。
私は、国家公安委員長、このお話を聞いただけでお感づきになられたと思いますが、最後のこれだけで終わりますが、これだけひどいやり方では、警察の方がみずから裏金疑惑ないということを、もう六年も七年も前の話を、出せばいいのに出さないで、今公開している水準の公開すらしないというのは、これは疑惑を深めるだけですから、公安委員長の手で公開をさせるようにしていただきたい。
一言でいいですから、言ってください。
○沓掛国務大臣 お答えいたします。
警察というのは、一般の行政をする国家公務員といろいろ違う面がございます。私自身も国家公務員、三十二年勤めてまいりましたけれども、また、この警察というところは、やはり他の人の人権を場合によっては拘束するとか、あるいはプライバシーにいろいろ影響を及ぼすとかという大変強い官庁でございまして、したがって、この行動についてはいろいろな影響力が非常に多いところでもありますので、そういう行為についてのある程度の慎重性というのは必要であるというふうに思っております。
○吉井委員 だから公開しなきゃいけないんです。
時間が参りましたので、続きはまた午後やりたいと思います。終わります。
○佐藤委員長 次に、糸川正晃君。
○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。
我が国の今現在の治安情勢というものは依然として厳しいと考えておりますが、少年非行の防止対策と犯罪の被害の防止対策というものを強力に進めることが我が国全体の治安対策と治安回復ということを進めていく上でも大変重要であるというふうに考えております。
本年の四月、岐阜県中津川市で男子高校生が女子中学生を殺害する、こういう事件が発生するなど、今、少年犯罪というものが大変凶悪化しておりまして、また、検挙された者に占める少年の割合が約三割ぐらいというふうに多くなってきている。
こういう少年非行の情勢というものが厳しい状況にあるというふうに考えますが、少年の非行情勢についての大臣の認識とその背景についての御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○沓掛国務大臣 お答えいたします。
最近の少年非行情勢については、今委員御指摘のとおり、刑法犯、大変厳しいものがございます。具体的に申し上げまして、刑法犯検挙人員の約三割を少年が占めておりますし、人口当たりの検挙人員で見ますと、少年は成人の約六倍と、依然として高い水準にあると承知いたしております。
また、個別の事例で見ますと、今先生おっしゃいました岐阜県の中津川市での事件もございますが、少年による社会の耳目を集める重大な事件は後を絶たず、少年の非行の現状に懸念を有しているところであります。
その背景には、社会全体の規範意識の低下はもとより、過激な性や暴力等の有害情報に子供が容易に接することができる環境の存在、あるいは家庭の教育力の低下など、さまざまな事情が絡み合っているというふうに理解いたしております。
○糸川委員 大臣、少年非行の情勢の背景として挙げられる要因として、今大臣が、性や暴力に関するそういう情報があるというふうなことです。これは、私も利用するんですが、インターネットですとか、それから今ではアニメですとかDVD、こういうものでそういう性や暴力に関する情報がはんらんしているわけでございます。
子供は、これは簡単にアクセスをしたりすることができる環境にありまして、非常に悪影響を受けやすい環境にある。それから、少年の健全育成上問題があるとともに、これらの情報が大人に対しても影響を及ぼして、子供を対象とする性犯罪ですとか暴力が助長されているのではないかな、こういうことも懸念をしているわけでございます。
このようなことに関しまして、政府としての御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○竹花政府参考人 今、少年を取り巻く環境は非常に厳しい状況にある。少年にとって大きな危険といいますか、非行あるいは被害に陥りやすい環境のもとに置かれていて、それはかつてない状況だというふうに思っております。
とりわけ、情報化社会の進展、携帯電話の普及といったものが子供たちに対しまして、例えば、出会い系サイトといったようなものが一つの児童買春、あるいは出会い系サイトを通じての殺人ですとか強姦ですとか強盗ですとか、そうした被害にも結びつくというような状況があるわけでございます。委員御指摘の状況があるものと私どもも危機感を強く持っているところでございます。
警察といたしましては、すべてこういう状況について警察のみで対応できるわけではありませんけれども、こうした少年の置かれた状況を事件の捜査等を通じまして知る立場にございます。
そうした情報をもとに、また、こういうネット社会あるいはバーチャルな世界の問題について識見を持っておられる方々の御意見も得まして、一体こういう状況の中で何が警察としてできるのか、また社会に何を提起していけばいいのか、真剣に検討いたしたいということで、本年の四月に、バーチャル社会が子供にもたらすおそれのあるさまざまな問題について研究する会を設置いたして、幅広く議論をしていただいているところでございます。
○糸川委員 今、インターネット上で違法ですとか有害な情報がはんらんしている中、少年の規範の意識というものの低下も問題となっておるわけでございます。学校教育によって、子供たちの意識をはぐくんで、少年が非行や犯罪に巻き込まれないようにしていくことが重要であるというふうに思います。
先ほど局長が、今はもう携帯電話なんかも持って出会い系サイトなんか見ているとか、そういうふうに言われましたけれども、けさほどの報道なんかですと、携帯電話でうまく犯罪者、犯人のオートバイですか何かのナンバープレートをしっかりと携帯の写真で撮って記録をした、そういうことを的確にしている子供もいるんだな、随分冷静な子供もいるものだなというふうに感じたわけです。
どうも、被害に遭われた子供さんは、犯罪防止の警察の講義か何かを受けた後だったんでしょうかね、だからうまく、適正に処理ができたというようなこともあるようですので、非常にそういうことはいいことなのかな、まあ、携帯の使い方が重要になってくるのかなと思うんですけれども。
私も委員として、現在、教育基本法の改正をさせていただいておりまして、学校教育に対する国民の関心や期待というものも非常に高くなってきておるわけでございます。これまでの非行や被害の防止に関する教育について、文部科学省が教育現場での実施状況を検証して、その結果を踏まえて充実改善を図っていく、こういうことが重要であるというふうに考えますが、どのようにお考えなのか、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○布村政府参考人 お答えいたします。
先ほど先生から子供たちの規範意識の低下の御指摘がございましたけれども、子供たちが非行や犯罪に走ったり巻き込まれたりすることのないようにするため、家庭におけるしつけを土台として、学校教育において、子供たちの規範意識をしっかりとはぐくむということが非常に重要な課題であると認識してございます。
このため、文部科学省といたしましては、これまで、学校教育におきまして、道徳教育を通じまして倫理観や思いやりの心ということの育成に努めております。
また、非行や犯罪の未然防止を目的といたしまして、警察官等の外部講師を活用して、暴力行為等の防止に関する具体的な事項につきまして講演をお願いしたりする非行防止教室を初めとしまして、生徒指導において、善悪の判断等につきまして指導を実施してございます。
この非行防止教室の実施状況についてでございますが、全小中学校の四六・一%という実態にございますので、その促進を図るために、昨年一月には、警察庁と合同で非行防止教室等のプログラム事例集を作成いたしました。また、本年五月には、非行防止教室の実施のための教師用指導資料を公表したところでございます。
今後とも、道徳教育につきましては、心のノートの配付など、子供たちの心に響く道徳教育の推進、また、生徒指導体制の充実に向けましては、今回、規範意識を醸成することを目指しまして、五月に公表した「生徒指導体制の在り方についての調査研究」の報告書につきまして、全国の学校に普及を図ることを通じまして、子供たちの規範意識の育成に一層努めてまいりたいと考えております。
○糸川委員 非行防止対策を進めていく上では、非行防止教育、こういうことによって、未然防止とともに、一度非行を犯した少年がしっかりと更生して立ち直っていくに当たって、それを受け入れ、支援する地域ですとか環境の整備がこれは重要であるわけでございます。
このように、非行少年の再チャレンジを図る上では、ニート対策を初め若者の社会的自立の支援に向けた取り組みが特に重要であるというふうに考えるわけでございます。
これらについては、教育、福祉、就労等の関係機関の連携が不可欠でございまして、内閣府の果たす役割、こういうものが重要であるというふうに考えますが、政府の取り組み状況と今後の取り組みの方向性というものがどういうものなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○林政府参考人 お答えいたします。
非行少年に対するケアというようなことで、政府としてどのように取り組むかということでございますけれども、平成十五年十二月に青少年育成施策大綱を策定してございまして、青少年の育成に係ります政府の基本理念と中長期的な施策の方向を示しておるわけでございます。
その重点課題の中で、規範意識を身につけることは、社会的存在としての人間が備えるべき基本であり、成長の過程でこの基本がおのずと備わるよう、青少年育成施策は配慮されなければならない、そういう前提のもとに、非行等社会的不適応を起こしやすい状況にあるなど、特に困難を抱える青少年に対し、その環境や条件が改善されるよう、特別の支援を行うこととしておるところでございます。
そして、青少年育成推進本部、そういうもののもとに設置されております少年非行対策の課長会議というものがございますが、そこで、個々の少年の問題状況に応じまして、今先生お話がございました教育、福祉を初めといたします関係機関等が、支援のためのチームを形成する取り組みを促進するために、「関係機関等の連携による少年サポート体制の構築について」ということを申し合わせてございまして、地方公共団体に対してそれを周知し、取り組みの一層の推進を図っているところでございます。
また、内閣府といたしましては、毎年七月を青少年の非行問題に取り組む全国強調月間といたしまして、関係省庁、地方公共団体、また関係団体等と相互に協力しながら、国民の非行防止意識の高揚を図るとともに、非行少年やその家族に対して適切な対応を図るための取り組みを推進しているところでございます。
少年非行は、家庭、学校、地域社会のそれぞれが抱えている問題が複雑に絡み合って発生しているという実態を踏まえまして、大綱の基本的な考え方、方針にのっとりまして、今後とも関係省庁間で十分に連携を図りながら少年非行対策を推進してまいりたい、そのように考えております。
○糸川委員 今政策統括官がおっしゃられたように、子供の非行問題ですとか、犯罪の被害の防止ですとか、青少年の社会的自立の支援、こういうさまざまな対策について、教育ですとか、福祉ですとか、就労、治安ですとか、さまざまな分野にわたることとなるわけでございます。これらの対策を総合的に進めていくためには、先ほどおっしゃられたように、まさに政府が一体となって進めていく必要があると考えるわけでございます。
青少年育成施策大綱については、先般同大綱のフォローアップというものが公表されたところでございますが、今度は、これを踏まえて、今後政府としてどのように対策を加速されるのか、もう少し細かくお聞かせいただければと思うんですが、簡潔にお願いいたします。
○林政府参考人 今御指摘のありました件でございますが、少年非行それから子供の犯罪被害、このようなものの防止のためには、そういう青少年の社会的自立の支援も含めまして、さまざまな問題に取り組んでいくという必要がございまして、関係府省庁が密接に連携協力して取り組んでいくことが必要でございまして、この大綱に基づいて施策を推進しているところでございます。
そして、今月十一日には、関係閣僚から成ります青少年育成推進本部の副本部長会議というものを開催いたしまして、今先生お話がございましたけれども、大綱の策定から二年余たってございますので、大綱のフォローアップを行いまして、大綱の期間後半に向けました施策の進め方等について議論を行ったところでございます。
その副本部長会議におきましては、少年非行や子供の犯罪被害の面で依然として厳しい状況が見られることから、関係省庁として事務レベルのプロジェクトチームを立ち上げまして、六月を目途に対策の取りまとめを行うこととなり、現在検討を進めているところでございます。
政府としては、今後とも、大綱に基づきまして、各省庁連携して進めてまいりたいと思っております。
○糸川委員 最後に、大臣にお尋ねしたいんですけれども、犯罪の被害に遭った方々に対して、今ずっと議論を聞いていますと、どうしても加害者側の議論になってしまう。被害に遭った方々に対しての心のケアですとか二次的被害の防止などについて、これをしっかりと支援していくことが重要であるというふうに私は考えているわけで、警察における犯罪被害者の支援の現状とさらなる充実に向けた大臣の御所見を最後にお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
○沓掛国務大臣 お答えいたします。
今御指摘のように、犯罪被害者等は、犯罪による直接的な被害のみならず、精神的、経済的被害等多くの被害を受け、さまざまな支援を必要といたしております。
警察では、各都道府県警察本部に被害者対策担当課等を設置するとともに、各警察署に被害者対策担当係を配置するなどにより、被害者等に対する情報提供や捜査過程における被害者等の精神的負担の軽減のための施策を推進しているところでございます。
心のケアについては、心理学等の専門的知識やカウンセリング技術を有する心理カウンセラーを採用、配置するとともに、部外の精神科医や臨床心理士との連携を図るなど、カウンセリング体制の整備に努め、性犯罪や殺人事件等、大きな精神的被害を受けた被害者等に対しては、初期の段階から専門的なカウンセリングを実施し、その後の立ち直りをサポートしているものと承知しております。
また、被害者等が再度被害に遭うことがないよう再被害防止要綱を制定し、再び危害を加えられるおそれのある被害者等を再被害防止対象者に指定するとともに、防犯指導や所要の警戒措置、緊急通報装置の貸し出し等、さまざまな再度被害防止のための措置を講じているところであります。
今後とも、昨年十二月に閣議決定されました犯罪被害者等基本計画や被害者等の要望を踏まえつつ、警察における被害者支援方策のさらなる充実、関係機関、団体との連携の強化について一層推進を図っていくよう警察を督励してまいりたいと考えております。
○糸川委員 ありがとうございました。終わります。
○佐藤委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 民主党の大島です。
きょうは、沓掛国家公安委員会委員長を初め皆さんに質問をさせていただきます。
平成十二年の八月に、警察改革要綱として「「警察刷新に関する緊急提言」を受けて」ということで、国家公安委員会と警察庁で一つの文書を出しております。
この中で、当時、警察に関連する事件を踏まえて幾つかの提言がございまして、その中で、警察に関して外部監査が必要だという意見に関して、外部監査は必要ないのだ、国家公安委員会が「第三者機関的に監察点検機能を十分に果たし得ることからも、このような結論に達した」ということで、国家公安委員会及び地方の公安委員会は非常に大きな権限を持っていらっしゃいます。これは、沓掛国家公安委員会委員長を初め国家公安委員会は、警察庁長官初め各県警本部長の人事権を持っていらっしゃいまして、非常に大きな権限を持っていらっしゃいます。
それで、大きな権限を持ち、それをどのように行使するかという点に関して、先ほどの平成十二年八月の警察改革要綱の中では、国家公安委員会は、「警察本部長による監察が十分でないと認めるときはこれを是正すべきであり、第三者機関的な監察点検機能を果たすことが重要である。こうした考え方は、市民の代表として警察活動をチェックするという公安委員会の制度趣旨にも合致するものである。」ということで、公安委員会委員の皆さんは市民の代表として警察活動をチェックする。したがいまして、第三者機関に監察点検機能を任せるということは必要ない。国家公安委員会初め都道府県の公安委員会がしっかりと警察の監察点検機能を十分に果たすということで議論がなされております。
そうしますと、沓掛国家公安委員会委員長に伺いたいんですけれども、これまで、ここ何回かの当内閣委員会におきまして、情報流出に関するお話がございました。我が党の鉢呂委員からは、今委員長のところに預かっていただいているんですけれども、流出した情報と思われる資料が委員長の預かりになっております。
国家公安委員会委員長として、これまでの議論を踏まえまして、これは、私たち野党、私たち議員が、警察庁の方に、どういう資料が今ちまたに流布というか流通しているのか、ネット上にどういう資料が流出した資料としてあるのかということを聞いても、それは、大島さん、なかなかお知らせできないんだ、国会議員の人あるいは公にすると、その情報に関して、各第三者あるいはネット上で、その情報を皆さんが見ようとすると、さらにその情報が拡散してしまいますから、なかなか国会議員の方には見せられないというお話を伺いまして、それも一理あるのかなとは思うんですよ。
しかしながら、国家公安委員会及び国家公安委員会委員長は、やはりクローズドな、内に閉ざしたというんですか、非常に権限がある組織ですから、沓掛国家公安委員会委員長として、どのような情報が今ネット上で、警察から流出した情報として流れているのか、その点について警察当局に対して資料を出してくれないかと求めたことはございますでしょうか。
○沓掛国務大臣 今、大島委員から国家公安委員会あるいは都道府県公安委員会の役割、使命についていろいろ御説明がございました。そのとおりでございまして、民主警察をつくっていく、それはまさに市民の警察をつくっていく、そういう根源的なものでございます。
そこで今、では、国家公安委員会として、例えば、お話のありましたように、愛媛等で流出したそういう情報について、それを全部国家公安委員会に出せとか、そういうことを言ったかどうかというお話ですけれども、これはあくまでも、いわゆる愛媛県の例を申し上げれば、愛媛県においても愛媛県の公安委員会がございまして、そのいろいろな指導のもとに愛媛県警察が活動いたしておるわけでございまして、特に、今先生もおっしゃったように、警察関係のいろいろなこういう資料というのは、それが表へ出ることによって、その名前の出た人はまた大きな影響をプライバシーその他で受けるものでもございます。
また、国家公安委員会でいろいろ出していただいている資料については、できるだけこれも公表するようにいたしておりますので、私の方といたしましては、速やかに今回のこの流出事案について愛媛県警察で調査し、それをきちっと報告するようにという指示は出しておりますが、何々の情報について今具体的にこれを出せとか、そういうようなことはいたしておりません。
○大島(敦)委員 そうしますと、今回、この事件、この一連の情報流出を受けて、警察庁及び各都道府県警は公用パソコンの台数をふやすというようなアクションを今されようとしているわけなんです。アクションをするためには、それなりの理由がないとアクションには結びつかないと考えるわけなんです。
それで、私が警察庁の方にどういう情報が流出しているのかと伺ったのは、本当にそれが重大な事件なのかあるいはそれほど大切ではない情報なのか、事件の大きさあるいは問題の大きさというのがわからないものですから、どのような情報が流れているのかということを聞いたことに対して、いや、なかなかそれは伝えられない、それは私は理解できないこともないんです。
ただ、国家公安委員長及び国家公安委員の方は、これは国会の同意人事で、しっかりとされた方が選ばれておりまして、それで、私も国家公安委員会の議事録をずっと目を通させていただきました。そうすると、各委員の方はそれぞれ、マスコミの出身者の方あるいは内閣の法制局の長官を務められた方あるいは大使の方、皆さんすばらしい御見識を持っていらっしゃる方で、国としてしっかりとされた方を国家公安委員会の委員として認められ、そして国会も同意をして、それで、なかなか中身の濃い、見識のある議論がされている。
ですから、国家公安委員会として、このような情報があったということで、具体的に一つ一つの資料を全部出してくれと言って、見るのも必要だと僕は思うんですけれども、どういう資料が出ているのかということについて一覧表でもいいから見ているのか見ていないのか、その点についてもう一度お答えいただきたいんです。
○沓掛国務大臣 現在、流出したと見られる資料等の詳細を愛媛県警察においては調査しておりまして、この調査については警察庁により必要な指導がなされているというふうに理解いたしております。
これについては、その後三月七日に警察庁各局長連名でいろいろ指導いたしておりますが、そのおおむねの内容のことは、常時いろいろな面で、これは県警本部長会議その他ございますから、その際にそういうものを指示いたしております。
ただ、今、先生、いろいろ国家公安委員会での審議したものをお読みいただいて大変ありがたいんですが、それぞれの委員から非常にこの問題についてもいろいろな意見が出されております。具体的な個々のものではないけれども、警察の内部におけるいろいろな情報が流出したのではないか、そういう疑惑のもとで、大体、それぞれの委員は日ごろから警察庁から説明を聞いておりますので内部的にどういうものが一般的にあるのかということは了解、理解しておりますので、仮にそういうものが流出したとした場合はどういうことがあるかというような包括的な知識、理解力は判断として持っておりますので、そういうものを積み上げた上でのいろいろな議論をさせていただいております。
愛媛県の流出したもの全体について、これは膨大なものでございますので、これについて、警察庁自体も詳細に個々の問題を聞けるわけでもございません。まず、一義的には、やはり愛媛県において、この流出したものがどういうものなのか、本当に自分たちのものでいろいろ検討したものなのかどうか、かなり本人が自分で作成したようなものもあるようでございますので、その辺もきちっと整理した上でこれは報告していただいて、その上で必要な議論を進め、指導していきたいというふうに考えております。
○大島(敦)委員 沓掛国家公安委員会委員長にお願いをしたいんですけれども、今回の警察改革要綱では、先ほど申し述べた、市民の代表として警察活動をチェックするということでして、これは市民の代表というのは、具体的に、沓掛国家公安委員会委員長がその資料について、大島さん、一通りは目を通してこういうものがあるということは承知しているということで事に当たられているのでしたら、私も、ああ、確かに国家公安委員会の判断は正しいかなとは類推をするんですけれども、しかしながら、その資料については見たことはないんだ、大体推定はできるしそれは各都道府県警の事件であるからそれは都道府県警に任せてあるんだということだと、少し足りないのかなとは思うんですよ。
ですから、ぜひ、国家公安委員会として、資料の原文をすべて積み上げろとまでは言わないんですけれども、どういう資料が出ているのかについてはやはり聞くべきだと思っているんです。
私はこの質問で、要はたまたま、たまたまというか、ウィニーに感染をしていたパソコンを持っていたことを責めているわけではないんです。警察の管理体制としてちょっとそれはおかしいんじゃないのかなと思っていまして、私は、例えば会社の社長だとして、私の従業員が、余り給与をもらっていないので会社のパソコンじゃなくて自分のパソコンを買って私の会社のために仕事をしてくれたとしたら、なかなかその従業員の方を怒れないんですよ。それは、えらい人、権力、ある程度地位のある人、特に給与の高い方は、そのような仕事を発生させないように日ごろからお仕事されるのが私は上に立った人の仕事だと思うんです。
そのところがなかなか、今回の事件を踏まえて新しくパソコンを購入するようになった、これは一つの進歩だとは思うんですけれども、事前に、国家公安委員会の委員長を初めあるいは官房長いらっしゃっていますけれども、やはり、私用のパソコンを使っていたことは知っていたと思うんです。
でしたら、そこで都道府県警、都道府県で予算がないからなかなかパソコンを購入できないという事情はわかるんですけれども、そこをどうにかして制度をつくっていくのが、私は、国家公安委員会委員長の沓掛大臣が指摘をされ、それを受けて官房長が事前に動いていれば、今回のように、巡査ですか、本当に一生懸命仕事をされる方が、たまたま、多分、家族と一緒に使っているパソコンかもしれない、あるいはお子さんのパソコンかもしれない、私はそこまで承知していませんけれども、こういう事件は起きなかったと思うんです。
もしも公用パソコンにウィニーを自分で入れていて事件が起きたんだったら、これは厳重に処罰すべきだと僕は思うんですよ。
だから、そこのところ、こういう事件が起こらないようにするのが私は国家公安委員会のお仕事でもあるし、上に立っていらっしゃる、本来であれば警察庁長官のお仕事であるとともに、警察官房長初め幹部の方の仕事の仕方だと思うんですけれども、その点について、御答弁というんですか、国家公安委員会委員長として、やはりこの情報についてはしっかり、どんなものが出回っているのか。
皆さん、マスコミの人に聞くと持っていると言うんですよ、自分は見たことないんですけれども。ですから、そういう情報は、マスコミの方が持っていて国家公安委員会委員長が見ていないというのもちょっと片手落ちなのかもしれないなと思うので、その点についてもう一度答弁いただければと思います。
○沓掛国務大臣 二つの質問、一つは、そういう出たものについてのある程度報告を受けているかについて、もう少し詳細に申し上げたいと思います。
どういう内容かということについては、包括的に申し上げれば、第一は関係者の供述を記録したものであるということ、もう一つは捜査結果を取りまとめたものであるというふうな、包括的にはそういうことだということでございます。
それから、ある程度、流出したと見られる資料等の現物についても、現物について全体はこれだけありますという全体は見せられましたけれども、全体を見るというのはとても大変なことで、そこで、必要に応じて、それぞれ警察庁の担当官から示されて、部分的には私もそういうものは見ております。ただ、全体としてはとても個々については見ていないということでございます。
それからもう一つ、パソコンでございますが、事前にパソコンをもっと公的なものにすべきだというお話ですが、そこで実は、この流出が出て、最初にあった公安委員会が三月九日だったかと思います。そこで、私からまず第一に、これはいつまでも私的なものを使っていては解決しないから、まずこれを公的なものに全部すべきではないですか、それが今一番優先度の高いことではないですかということで、国家公安委員会また幹部の皆様にそういうふうに指示いたしました。
そのときの反応は、今先生おっしゃられたように、なかなか、これは地方の財源で用意したりするものであるので、国の機関だけならば何とかこれからも検討できるがというようないろいろな議論がございましたけれども、結果的に、十九年度までには全国、地方の県警等も含めて全部これは公的なものにするということで今進んでおります。これについて、同時に他の国家公安委員からもそういう強いいろいろな意見が出まして、結果としては、来年度中に全部が公的なものになります。
先生がおっしゃられるように、もう少し早くしておけばという御指摘ではあるんですけれども、全体としていろいろなことをやらなければならないものですから、そういう優先度もいろいろありまして、しかし、こういう事件が起き、また国家公安委員会としても強い指示を出しましたので、最初はなかなか難しい話でしたけれども、今、結果としてはそういう、申し上げたようになっております。
以上です。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
私は、内閣委員会に去年からメンバーに加えていただいておりまして、今回の質問に当たって思い出す映画のシーンがございまして、「踊る大捜査線」という映画の一番最後の方のシーンだと思うんですよ。
「踊る大捜査線」は、いかりや長介扮する老刑事が、昔は柳葉敏郎が老刑事と一緒に、捜査を教えるわけですよ。柳葉敏郎は多分キャリア官僚なんでしょう。それが、いかりや長介は、老刑事は老刑事のままで、そして柳葉敏郎は管理官になっていくわけです。それを遠くで見るいかりや長介が、おれは彼にはもう話しかけられないんだと言うシーンを僕は痛烈に覚えていまして、警察の幹部の方、漆間長官もそうなんですけれども、部下の方を思う気持ちというのは、本当に部下の方を思っているかどうかをもう一度考えた方がいいと思うんです。
老刑事のその心境まで理解して仕事をしたとすれば、パソコンの話、余計な出費を、余り給料の高くない警察官の皆さんに買わせるということはなかったと思う。仕事の仕方として、部下を思う気持ちというのが、しっかり思っているかどうかというのをよく考えて仕事をしてほしいんです。
そうでないと、多分さまざまな組織の不祥事、これも規律を正さなくてはいけない。ただ一人を処罰したからそれで責任が済むのではなくて、私は必要なのは管理責任だと思っているんです。県警本部長さんの責任かもしれない、あるいは中央の警察庁の幹部の方の責任かもしれない。部下に責任をとらせるのではなくて、責任をとるのは自分たちだ、そういう意識を持っていただいて仕事されると、さらにいい仕事ができるかなと考えております。
この間も、我が泉委員からパソコンの問題を御指摘させていただきました。ぜひ今後とも工夫をして、ほかにもあるかもしれませんので、例えば捜査費の問題ですか、捜査費の問題につきまして、本当に大丈夫なのか、捜査費を不正を行うことなく、十分にできるだけの捜査ができるのかと、私は、レクをしていただいている警察官の、要は役所の方に伺うんですけれども、大丈夫だとは皆さん言うんですよ。でも、本音かどうかは私はわからないわけです。よりよい捜査のために、捜査費が三分の一に減ったということを聞いています、それで大丈夫だとも聞いていますけれども、本当にそれが大丈夫なのかどうか。
本当に今さまざまな事件が、外国人の方も多くなってきたり、あるいは経済犯罪もふえてきたり、捜査対象が違うから捜査費が少なくなったのかもしれないし、さまざまなことがあると思うので、できるだけ皆さんが働きやすい環境を、コンプライアンス、遵法意識に基づいてやってほしいなと思うんです。その点について、少し国家公安委員長の御意見を伺わせてください。
○沓掛国務大臣 よい行政をしていく上においては、今おっしゃったように、上司のそういう管理責任、しかし、同時にまた、その指示を受けて働く方々の熱意、いわゆるモラル、そういうようなものが非常に大事で、そういうものを培っていくということが、やはり幹部職員の非常に重要な役割だというふうに思います。その点は先生おっしゃられるとおりでございます。
今、捜査費のお話も出たところでございますが、そういうものが実際にうまくどういうふうに使われているのかという御指摘でございますので、それについて一言申し上げますと、捜査費の執行については、平成十三年度に捜査諸雑費制度を導入したことによって、捜査員が捜査費を柔軟かつ機動的に執行できるようにしたということでもございます。
また、警察庁及び都道府県警察においては、捜査費の執行に関する解説資料を作成、配付するなどし、職員に予算執行の手続に関する正確な知識を習得させるとともに、適正経理の重要性を認識させる取り組みを進めてきたところでもございます。
さらに、警察庁においては、捜査費執行の手続の合理化に関する第一線の意見を踏まえつつ、引き続き捜査費の執行について検討を進め、効果的な予算執行に努めているところでございます。
本当に、捜査費というのは、ほかの省庁にはない警察特有な、そういうお金の使い方になるものですから、一般的になじみにくい、まして、これを使う第一線の刑事さん等には、なかなか使いにくい関係もあったかなというふうに思います。
そういうものをやはりきちっと整理して、今回、そういうものが適正に使われるようなルールづくりもしっかりやらせていただき、その際には、今委員おっしゃったように、それを使う方の意見も取り入れていろいろやらせていただいて、結果的には、捜査諸雑費制度というものを導入して今やっているところでございます。
○大島(敦)委員 委員長にお願いしたいんですけれども、昨年、当委員会として愛媛県まで派遣を行いまして、調査の上、愛媛県警からも調査の報告をいただいております。
今回は、その調査の報告に対してそごが生じていると推察されることもありますので、当委員会に対して再度調査報告を行うということを理事会で検討していただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
○佐藤委員長 かしこまりました。理事会で協議させていただきます。
○大島(敦)委員 これは、今のは筆頭理事としてのお願いでございます。
次なんですけれども、これから各委員の方から駐車違反のお話があると思います。私、よく我が党として、今、後藤田正晴さんの引用を使う方が多いんですけれども、今から十年以上前ですか、なるほどだなと思いましたのは、交通違反の取り締まりに関して、なぜ新聞発表、事前にここで取り締まるということを発表しているのか、それは、警察権力の行使というのは抑止力としての行使であるという多分後藤田正晴さんの文章を読んだことがありまして、なるほどだなと思いました。
これから、交通違反の取り締まりに関しても、そのような、要は、罰金を多く集めるために交通違反を取り締まるのではなくて、あくまで警察権力は抑止力として使っていかれるのか、その点についての御見解を伺えればと思います。よろしくお願いをいたします。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
御質問のありましたとおり、これは駐車違反に限りませんが、交通違反の取り締まりは、取り締まること自体が目的ではありませんで、交通秩序を維持し、交通の安全と円滑を確保することを目的として行っており、その目的の達成に必要な限りで行われるものでございます。
したがいまして、新制度におきます駐車違反取り締まりも、このような考え方に沿いまして、必要な範囲で行われるものでございまして、特に民間の駐車監視員の運用に当たりましては、あらかじめ地域住民や関係事業者の意見、要望等を踏まえまして、重点的に活動する場所、時間帯等をガイドラインとして策定するとともに、これをホームページ等で広く国民に公表することにより、違法駐車が行われないように努めているところでございます。
私ども、今後とも、ガイドラインの公表を含めた広報啓発活動を積極的に行いまして、国民の十分な理解を得ながら、また、従来以上に悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を志向した、めり張りをつけた取り締まりを推進してまいる所存でございます。
○大島(敦)委員 最後なんですけれども、全然今までのとは違いまして、おととしの暮れに、インドネシアで、JICAが行っているインドネシアの警察に対する取り組みを、取材を見せていただいたことがあります。
インドネシアは、人口が二億五千万で、イスラム教圏では一番大きな国。そこの警察は、前は軍の警察だったんですけれども、数年前に市民警察ということで分離しまして、そこの指導を、交番の指導、どうやって交番をつくって、どうやって警察の捜査をしていくのか、その指導に日本の警察庁の皆さん初め多くの方が携わっていらっしゃいまして、現地の方、本当にすばらしい仕事をされている日本の警察庁及び各県警の方でございました。
そして、インドネシアの警察の方も、毎年毎年何人、何十人の方かが日本に研修に来ていまして、皆さん、日本の研修を受けたことは非常に誇りを持っていらっしゃるんです。
イスラムで一番大きい国の警察機構が日本の警察機構を手本にしてでき上がるということはすばらしいと私は考えていまして、毎年受け入れていらっしゃるインドネシアの方、皆さんプライドを持って、将来インドネシアの警察の幹部になる方ですから、ぜひこれまで以上に配慮をしていただき、いい印象と日本の警察の技術を伝承いただきたいなと思いまして、そのことについて一言、しっかりやっていく、しっかりこれまでどおりやっていくよということを御答弁いただいて、私の質問を終わりにいたします。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のように、インドネシアに対する警察支援というのは大変重要な意義を持っておりまして、しかも、御指摘のように、イスラムで一番大きな国ということでありますので、また、そういうイスラム圏でのいろいろな国の形に対しても、ある意味でいい影響を与えるんではないかな、私はそういうふうに思っております。
この改革支援プログラムというのは、御案内のとおり平成十三年に開始されたわけでありますが、これまで、長期及び短期の専門家、延べ三十四名を派遣しております。現時点でも、長期が七名、短期が一名派遣されておりまして、それぞれ、組織運営とか鑑識活動とか薬物対策など、各分野で指導を行っております。
また、他方、インドネシア側の方から我が国の方に研修に来られるということもやっておりまして、これはインドネシア警察行政セミナー等がございまして、現在まで百三十四名のインドネシアの警察官を受け入れました。
これは、各県で受け入れていただいて、それぞれ、地域警察活動とか鑑識活動等に関する研修を実施して、今御指摘のように、インドネシア側の高い評価を得ているものと承知しておりますし、また、最近、インドネシア側のこの日本での研修生の日本警察あるいは日本の社会に対する感想といいますか、そういうものも大変興味深いものがございまして、やはりこれは非常に重要なプログラムではないかなと思っております。
それで、今委員のお尋ねのように、今後の方向性といいますか、拡大についてということでありますが、もちろん、これは受け入れ先の各県の対応能力とか、JICAの予算、あるいはインドネシア側の具体的ニーズ等を勘案する必要がありますけれども、警察庁としては、関係機関と連携をして、さらにはインドネシア国家警察ともよく協議をしながら、できる限りインドネシア側のニーズにこたえることができるよう、さらなる努力をしてまいりたいと思います。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
○佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
三十分いただきまして、午前中、質問させていただきます。
佐賀県の唐津市で、小学校五年生の家原毅君がひかれて、連れ去られ、放置されるという事件が起きました。この事件について、きょう少し、またこの事件及びこの事件に関連して、私がちょっといろいろ思っていることがありまして、そのことについて議論させていただきたいと存じております。
まず、この事件で、なぜこの逮捕された犯人は、もし逃げたいというのであれば、毅君をその場に放置して、まさにその場に置いて、置き去りにして逃げた方がいいわけですね。ところが、この犯人は、一たん毅君を車に乗せて、ダンプに乗せて、そして連れ去った上で放置をしているんですが、もう逮捕されています、少し供述として、どうして彼は一たん毅君を車に乗せたのか、この辺の経緯について、もしお話しできることがあれば、伺いたいと思います。
○矢代政府参考人 お尋ねの件でございますが、なぜ本人、被害者を車に乗せたのか、それから、なぜそれを途中でおろしたのか、あるいはそれを遺棄したのか、このあたりの状況につきまして、十分な供述を、確かな供述をまだ得ておりませんので、十分な御説明ができない状況でございます。
○市村委員 先ほどから申し上げておりますように、そこが非常に私はひっかかるところであります。まだ多分供述は得られていないと思いますが、この逮捕された坂口容疑者でございますけれども、ダンプを運転する前に、もしくはダンプの中で飲酒をしたというようなことが、供述はまだ、そういった話というのは、疑いというのはないんでしょうか。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
飲酒をしておったという状況があったという報告は、受けておりません。
○市村委員 実は、この事件を私が聞いたときに、ぱっと思い出しましたのは、約一年半前に、実は私は、委員会で質問しませんでしたけれども、警察庁の方と議論したことがございます。それは何かといいますと、どうもこの国では、逃げ得、ひき逃げ得があるのではないかということでございます。
そのときの議論、そのときは、法務省の方と警察の方で一遍検討するというお話でありましたから、たしかあれはおととしの暮れだったと思いますけれども、では年明けにもう一度、一遍その検討結果を聞かせてください、こういう話で終わっていたんですが、ちょうど去年は本当にいろいろなことがありまして、私もこのことについて、頭の中でこの記憶が薄れていたということがありました。そういえばどうなったのかなということも時々は思い出していましたけれども、それを深くもう一度議論するということは行いませんでした。
しかし、今回、あのときの議論を思い出したんですね。もし、このひいた犯人、ひき逃げした犯人が飲酒をしていたと考えたときに、非常にこれは重要な問題をここに提起することになるんです。
ここで、法務省の方にきょう来ていただいていますけれども、いろいろ、ちょっと細かく教えていただきたいと思います。
この犯人は、今回、毅君を車に乗せて連れ去って、しかも放置してしまったわけでございますけれども、もしこの犯人がそこで彼をしっかりと病院に運んだとした場合は、この場合の罪はどういう罪になりますでしょうか。
○大林政府参考人 まず、事故を起こしたということでございますので、通常は業務上過失傷害罪というものが成立すると思います。
それから、今の、病院に連れていった、これがまた、事実関係によりますので一般論で申し上げますけれども、最初から病院に連れていく、こういう趣旨で車に乗せて病院に連れていったということになれば、いわゆるひき逃げとされている不救護の罪は成立しないということになろうかと思います。
○市村委員 ちょっと細かく聞いてまいります。
では、これは、この子を、毅君を現場に放置して、つまりいわゆるひき逃げをした場合はどういう懲役刑に問われる可能性が高い、あるということでしょうか。
○大林政府参考人 まず、業務上過失傷害は、刑法第二百十一条第一項前段により、五年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金と定められております。
それから、今の、いわゆるひき逃げといいますか、その場を助けることなく離れてしまうという不救護、不申告罪の刑は、道路交通法第百十七条により、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金と定められているところでございます。
○市村委員 今の、五年以下ということですが、いわゆるひき逃げ、いわゆる不救護、不申告の場合も五年以下でしたか。一・五倍の七年六カ月じゃないんですか。
○大林政府参考人 今は、その罪自体、いわゆる法定刑というものを御紹介したわけでございます。
それで、今おっしゃられるように、その二つを、仮に裁判で刑を問うということになりますと、さらに、刑法第四十七条というものがありまして、併合罪ということで、その最も重い罪である、この場合は不救護、不申告罪がその罪に当たるわけですが、その刑の長期に二分の一を加えたものが刑の長期ということになりますので、御指摘のとおり、処断刑の範囲は七年六月以下の懲役または百万円以下の罰金、このようになります。
○市村委員 もし、これ、お酒を飲んでいた、酒気帯びをした段階ではねた、そして、その子供なり、はねた方を病院に連れていったといった場合はどうなりますか。
○大林政府参考人 酒気帯び運転罪の罪は、道路交通法第百十七条の四第二号により、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金と定められております。先ほど申し上げた業務上過失傷害罪の両罪が成立する、しかも今のような併合罪の処理をする場合は、先ほど述べたように、普通はその長期の二分の一を加えたものが刑の長期となりますけれども、この場合は、ただし書きの適用によりまして、六年以下の懲役または禁錮もしくは八十万円以下の罰金、このようになります。
○市村委員 さてここで、今、酒気帯びのことまではお尋ねしました。そして、実は危険運転致死傷罪がございますね。この場合だとどうなりますでしょうか。
○大林政府参考人 お尋ねの危険運転致死傷罪は、刑法第二百八条の二に規定がございまして、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。」と定められております。
○市村委員 先ほど酒気帯びのことをお尋ねしました。この酒気帯びという状態と危険運転の状態というのはどういうふうな定義があるんでしょうか。
○大林政府参考人 酒気帯びにつきましては、道路交通法百十七条の四の第二号におきまして、「六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの」ということで、これがまた、道路交通法施行令で、「アルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。」こういう規定がございます。
今のおっしゃられるもので申し上げますと、飲酒してアルコールを体内に保有しているという状態で運転をした場合、その人が直ちに事故を起こすとは限らない。あるいは、仮に先ほどのように業務上過失傷害に問われるような事故を起こした場合に、飲酒のほかに事情がある、ほかの事情によって、過失によって事故を起こす場合もあります。それは、業務上過失傷害と酒気帯び運転罪と両方が問われることになります。
それから、今御指摘のありました危険運転致死傷罪は、正常な運転が困難な状態、これを自分ももちろん認識しながら、その状態で自動車を運転して負傷させた、要するに、アルコールの、正常な運転のできない状態を認識しながら事故を起こす、必然的な関係のあるような、そういう面においては、事故自体は過失犯なんですけれども、その前の自分の認識自体は、もう事故が必然ですよ、そういう状態を客観的に見られるような、そんな状態で運転した場合ということで、この罪が非常に重い形になっております。
○市村委員 まだちょっとわかりにくいんですけれども、よしとすることとします、この議論はそこでこだわることではありませんので。
それで、いまだその状況は、供述は得られないということでありますが、もしこの容疑者が、まさにアルコールを大量に飲んでいて、そして毅君をはねてしまったということであった場合、さて、では、はねた容疑者はどう考えるかですね。
ひょっとしたら、一たんはこの子を病院に連れていこうという思いでダンプに乗せたかもしれない。ところが、ふと考えると、自分は酔っぱらっているということですね。酔っぱらっている。
病院に連れていったら、当然、警察ももちろん来ます、事故ですから。そうすると、あなたは酒飲んでいますね、こういうふうに聞かれた場合、ひょっとすると、危険運転致死傷罪に問われる可能性があると、もしその運転手が、容疑者が判断した場合、これは、一たんは助けよう、救護しようと思ったけれども、しかし、ばれたくないな、これはばれると嫌だなということでそこに放置したとしますね。
大体、アルコールは八時間で抜けるというふうに言われていますから、結局八時間後、アルコールが抜けた後に、今回の場合は、ここで放置してしまったために殺人未遂罪までが適用される可能性も出てきたわけでありますけれども、もし、その現場に毅君を残したまま逃げておいて、酒を飲んでいるということもあって逃げておいて、八時間たって酔いがさめた段階で、ちょっと怖くなって逃げましたというふうに出頭してきた場合は、アルコールを飲んでいたかどうかというのはわからないんですね。
アルコールを飲んでいた段階で、もし連れていったら、ひょっとしたら酒気帯びどころか危険運転致死傷罪に問われる可能性もある。懲役十五年、もしくは、はねた相手が死んだ場合は二十年になります。ところが、アルコールが抜けた後、怖くなって逃げたんですとなると、いわゆる一般的なひき逃げ、いわゆる不救護、不申告になりまして、これは最高で七年六カ月ということになるんですね。
だからこそ、私は、一年半前に、これは逃げ得を許す可能性がありますと。すなわち、とりあえず、酒を飲んで人をひいた場合はまず逃げておこう。そして、酔いがさめて、怖くなって逃げましたと言って出ていこう。そうすると、もし相手が亡くなっちゃった、要するに死亡した場合は二十年、七年六カ月と、これは全然違いがあるわけですね、もともとの懲役の上限が。もちろん、裁判の結果は二十年とか七年六カ月にはなりません。もっと低くなります。実際はもっと低くなるわけですね。だから、ここに逃げ得を許している法的不備があるのではないかということを、実は一年半前に私は議論しておったわけであります。
そして、法務省と警察が一遍話をしますからと言っていたんですが、では、その後、一体どういう検討をなされたのか、ちょっと教えてください。
○大林政府参考人 お答えいたします。
まず、今御指摘の点でございます。
確かに、アルコールの立証の問題について、逃げることによってそこが立証しにくくなる、困難になる場合があるということはそのとおりだと思います。
ただ、今御指摘の危険運転致死傷罪については、非常に最近重大事故も起こしているということでこのような重い刑ができたわけですけれども、基本的に、捜査機関におきましては、この犯罪が適用できる可能性のあるものについては、警察においても検察においても努力しているところでございます。
ですから、例えばアルコールを立証されないために逃げるという場合はありますけれども、通常、捜査機関としては、犯人が特定になった場合に、その前後の被疑者の状況を当然調べますし、飲酒していた先の酒量も調べますし、あるいは現場の状況を見る。
例えば、我々はスリップ痕と言っていますけれども、ブレーキをかけた場合に、急ブレーキをかけますと路上に跡がつくんですね。そうすると、そういうスリップ痕が全くないということは、本人が全然認識できないような状態にあったということになりますし、そのスリップ痕が例えば蛇行みたいな形でついていれば当然酒酔いを推測させるとか、あるいは被疑者が犯行後どういう行動をとったかということなんかを裏づけ捜査することによって、できる限り危険運転致死傷罪が成立するものについては立証に努めているという状況にあります。
ちなみに、統計でございますが、警察から検察庁への事件送致時において、業務上過失致死傷罪、あるいは今おっしゃるひき逃げ、あるいはアルコールのそういう道路交通法違反で送致されたものにつきまして、その後、送致後に警察と検察が協力しまして、これを危険運転致死傷罪で起訴するまで持っていっているという事例も最近非常にふえておりまして、実務上の運用としてはできるだけ努力しているということを御理解いただきたいと思います。
それから次に、法律の問題でございます。
道路交通法につきましては、御案内のとおり、警察の所管する法律でございます。また、そのことについては所管庁にお聞きいただきたいなと。ただ、うちの方としては業務上過失のいわゆる一般刑法の方を持っていますので、それについて私どもも、委員がおっしゃるように、今、危険運転致死傷と業務上過失との差が非常に大きいものですから、これでいいのかどうかという問題意識は持っております。
今後さらに警察と検討して、今のように、逃げ得を許さない形にする必要があるんじゃないかという問題意識から、さらにこれは検討させていただきたい、このように考えております。
○市村委員 今、警察の現場の御苦労も法務省さんの方からお話をいただきました。ですけれども、私がここで問題にしているのは、警察が現場で怠慢をしているということではありません。
だから、実は一番問題は、そういうことがもしドライバーの心の中に、ここは逃げた方がいいかなという心があった場合、ひょっとしたら今回も、まだわかりませんよ、今回の事件はたまたま私は一つの例として使っているだけであって、一般論的に考えたときに、一遍逃げておこうかなというような意識をもしドライバーが持っていたとすると、ひょっとしたら今回のケースで、冒頭に申し上げましたが、一たんは、まずい、助けてあげようとダンプに乗せたかもしれないですね、病院に運ぼうと。
ところが、よく考えてみるとこれはやはり自分のためにならないなと思って放置したとしたら、これは法律の不備によって一人の子供の命が、ひょっとしたら今回、今は意識がまだ不明といいますか、まだ意識が戻らない状態だということでありますから予断を許さないわけでございますけれども、これは大変重大なことになるわけですね。
ある意味で、そこにほっておいてくれた方がよかったんです、今回の場合は。ところが、一たんは助けようと思ったかもしれない、だから、それが私には心にひっかかっていることなんですね。ひょっとしたら一たんは助けようと思ったかもしれないんですよ。もし逃げたかったら、多分そのまま逃げたと思います。ひょっとしたら一たん助けようと思った上で、しかしということがあったとしたら、これは大きな問題だということなんですね。そこを問題にしているんです。
だから、現場の警察官の対応とかいうことを問題にしているわけじゃないんですね。そうした意識をひょっとしてドライバーにつくってしまったとすれば大きな問題だ。
結局、逃げ得というものが、一般に、いわゆる下世話な言葉で言えば逃げ得なんです、逃げ得。逃げた方が得やということがあるとすれば大変問題だというふうに思っていますが、国家公安委員長、いかがでしょうか、今このような議論をお聞きになられて、国家公安委員長として。
やはり今、業務上過失致死傷罪と危険運転致死傷罪の間に大変開きがあるわけです。この開きが、まさに酒を飲んでいるか飲んでいないかということ、酒気帯びと危険運転についての線引きというのは非常に難しいんですね。結局、酒を飲んでいるか飲んでいないかなんですね。
酒を飲んでいるか飲んでいないかで非常に大きな開きになっているという場合、しかも酒は八時間でさめてしまう、八時間で。では、まず八時間逃げれば、後は、例えば仲間で飲んでいたとか店で飲んでいた場合は確かに後から足がつく場合もありますけれども、そうじゃなくて、例えばダンプの中で一人で飲んでいた、缶チューハイかカップ酒を飲んでいた、空はそのまま捨てちゃった、それで運転していたという場合は、後から証明しようがないんですよ。後から、おまえ、飲んでいただろうと言われても、本人が、いや、飲んでいませんと言われたら、これは多分証明は不可能だと思います。
その不可能な段階で、一方は最高二十年、一方は七年六カ月、やはりこれはひょっとしたら逃げた方が得かな、酒を飲んでいた場合はとりあえず逃げておいた方が得かなと思わせる、そういう気持ちにさせるということになっていると私は思っております。
国家公安委員長の御見解をいただけますでしょうか。
○沓掛国務大臣 大変重要な御指摘だというふうに思います。
ひき逃げは、みずから事故を起こしたにもかかわらずその被害者の救護を行わないという、もちろん極めて悪質な犯罪であるわけですが、先生おっしゃるように、飲酒運転による交通事故については、さらにいわゆる逃げ得を許さないよう、今のような、酒気を帯びたのか、あるいは危険運転状況にあるのか、なかなかこれは判断が先ほど来の説明を見てもいろいろ難しい問題もございますけれども、いわゆる逃げ得を許さないよう、常に危険運転致死傷罪での立件を視野に入れて、そして飲酒状況の裏づけ捜査等を徹底するよう警察庁を督励しているわけでございます。今の説明にもありましたように、まず、そういう状態では危険運転致死傷害罪が適用できないのかどうか、そしてさらに、そうでない場合には通常の場合に戻るというようなことですが、しかし、そういう刑の重さから見て、その辺をどう加害者が判断するかといういろいろ難しい問題もあるというふうに思います。
しかし、先生おっしゃるように、こちらのどれをどういうふうに調整したらそういう問題が起きないのか、それを、これから罰則の引き上げ等についても、警察庁において、どのような対応が可能かを検討されているものというふうに思っておりますが、こちらを立てればこちらが立たないとか、いろいろな場合もあるので、全体として、今委員の指示されたことが国民のそういう意見と合致した形で刑罰の重さを決めていけるか、こういうものについて今検討いたしておりますので、これからもそういう趣旨を生かしていきたいというふうに思っております。
○市村委員 今の国家公安委員長のお言葉は、基本的には本当にありがたいと思いますが、ただ一つだけ、こちらを立てればこちらが立たないという言葉がありました。やはり私たちは国民の立場に立つわけでありまして、どちらかの立場に立ってやるわけじゃありません。だから、国民の立場に立ってやるということだと思います。
それで、私は、やはりひき逃げそのものが大変重い罪だというふうに思います。酒を飲んでいようが飲んでいまいが、やはり自分がひいた、もしくは事故に巻き込んだ相手をその場に放置してその場を立ち去るというのは許しがたき行為でありまして、私は、ひき逃げそのものをいわゆる一・五倍とかいうことでなくて、危険運転致死傷罪というものがあるのであれば、それに合わせるということが必要ではないか、懲役の上限を合わせるべきじゃないかというふうに思っています。
もしくは、これはちょっと私は難しいかと思いますが、たとえ酒を飲んでいても、酒を飲んでひいてしまった場合、もし、病院に連れていって発覚を恐れることが心理的な負担となって、そのひいた相手をその場に放置したり、今回のように、一たん乗せたものの、どこかでまた放置するようなことを起こさないためにも、そうやって救護活動をしたということがあったら、たとえ酒を飲んでいてもそれについては罪を減ずるとか、そういうルール、いずれにしても逃げ得を許さないというような工夫をしていかない限り、やはり私はこうしたことが起こる余地はあると思っています。
今回、たまたまひいた容疑者が子供を連れ去ったために、昨今、全国でいろいろ子供が連れ去られる事件が起きていて、世間の関心も集めています。私もちっちゃい子供が三人いますから、すごく心を痛めていますけれども、今回、たまたま連れ去ったから大きなことになりましたけれども、もし、これが単なる、単なるといってはなんですけれども、あれがたまたま、本当にひき逃げ、要するに連れ去られずにその場に放置して逃げたというだけだったら、恐らくマスコミもここまで騒ぐ事件になっていないと思います。
そして、結局それが、もし酒を飲んでいた場合は、いやいや、ちょっと私は怖くて逃げましたということで、恐らく世間はほとんど知らないまま、毅君は、その場でもっと早く発見されていれば、もっと早く意識が戻る可能性があると思います、今回は命が助かってほしいと思いますけれども、ただ、そうしたことを考えますと、やはりしっかりと、逃げ得を許している今のこの法の状況をきちっと改善するべきだと私は思います。
ですので、これは立法府ですから、国会の役目かもしれませんけれども、ぜひとも官の世界におかれましても、法務省そして警察の方々、話をしていただいて、一年半前に私がそう申し上げたら、一遍検討しますとおっしゃったわけですから、ぜひとももう一度検討していただいて、国家公安委員長の方からも、警察としても検討しているという言葉もありましたから、それを私は信じておりますので、ぜひとも早い段階で、逃げ得を許さないような状況に改善していただきたい、このことをお願いして、最後に国家公安委員長の方からその決意をいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○沓掛国務大臣 何としても交通事故をなくしていくということは、これは国として大変大切なことだし、またそれに向けて今全力を挙げて対応しているところでございます。
そういう中で、確かに、酒を飲んだらもう運転しないというのは、これは鉄則、原則なんですけれども、しかし、そういう犯罪を起こす人がなかなかゼロにはならない現状において、そういう刑罰、犯罪、またいろいろな交通犯罪、またその被害者に影響を及ぼすということのないようにはどうしたらいいのか、そういう研究、勉強は必要だというふうに思っております。
○市村委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
○佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。
国家公安委員長に、三十分でありますが質問をさせていただきたいと思います。
今、市村委員から逃げ得というような話が盛んに言われました。私は、先般も大臣にお話ししておりますが、いわゆる警察の裏金不正経理問題、北海道や、これまでも延べ十四都道府県警がいわゆる不正流用があったということで、国費あるいは都道府県費を返還しておるわけでありまして、この中にいわゆる私的流用をしたのではないかというようなさまざまな指摘が警察の内部から出ておるわけであります。
この間、後から警察庁長官も来られますが、証拠を持ってこいという漆間長官の強気の発言が私にも浴びせられたわけでありますが、なかなか警察内部は秘密性が高いわけであります。
そして、一貫して、大臣、この間、警察の内部からこのような情報が流出をしておるわけでありまして、いわゆる逃げ得を許してはならない、私はそういった観点で、先般もお話ししましたが、北海道民も愛媛県民も、ほぼ八割の方がこの問題は終わっておらない、私的流用のおそれが高いというような世論調査も出ておるわけであります。
私は、そういった観点で今回も質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
今、資料がお手元に行っているかと思います。先般も、私が愛媛県警のいわゆるウィニー流出に伴う捜査報告書、これを委員長経由で大臣のお手元に配付をしたいと思いましたが、なかなかそのようにまいりません。
今回は、委員会、理事会の議決がありまして、この参考資料、そのまま、生でございます、被疑者あるいは情報提供者の実名入りの捜査報告書、私のウィニーからとったものでは十五名、こういった捜査報告書があるのでありますが、その一人の方について、これに基づいて質問をさせていただきたいと思います。
私は、今回、さらに、愛媛県に参りまして、この方に、情報提供者にも直接お会いをしてきたところでありまして、その方の思いも含めて、国家公安委員長の決断をお願いいたしたい、こういうふうに思います。
資料一、二、三とありますのが、今回の捜査報告書でございます。
大臣、ちょっと見ていただきたいんですが、この捜査報告書は、私は余り様式はわかりませんが、「情報提供謝礼を交付したのでその状況について報告する。」という様式になっていまして、北海道警察の場合も、相手、情報協力費を払った協力者に聞かなくても、こういった捜査報告書で支払ったんだということを確認したんだということを盛んに言われた、まさにその捜査報告書だろうというふうに思っておるわけであります。
被害者、これは殺人事件という形でございました。そして、捜査対象者、大臣、次の二ページ目を見ていただきたいんですが、情報提供者のお名前も記載し、これはお魚屋、鮮魚商を営んで、本当にその地域で堅実なお店を構えておりました。私はこの方と奥さんとそして息子さん、三名に直接お聞きをいたしたところでございます。
まず、事情聴取状況ということが書かれておりますが、これは、協力を依頼していたところ、情報提供者から連絡があって面接をしたというような書きぶりになっていますが、こちら側から、情報提供者からこういった連絡をした、そういったことは全くない、こういうふうに明言をしておりました。
そして、次のところに、私の二重線を引いてありますが、この被疑者と宇和島市内のスナックで酒を飲んでいたところというような書きぶりをしておりますが、彼自身は、こういった飲食店に行ったことはない、しかも、このスナックに行って捜査対象者に会ったこともない、こういうふうに明確に言っておりました。
その後に、被疑者に対してこういったことを聞いた、大分警察に引っ張られて絞られているらしいな、殺しはおまえがやったんやろうが、殺した後死体をどこに隠しとったのぞ、こういった直接話法で書いております。そしてこの被疑者は、別に怒る風もなく、山に隠しとったわ、そう言ったというふうになっています。
次の三ページをごらんいただきたいんですが、私の線を引いてあるんですが、そしてこの情報提供者は、自分には○○が犯人としか思えません、また、犯人でなくてはあのような返事はできません、こういうことをこの警察官に申し立てたものということになっておるわけであります。
そして、この情報提供者は、いつでも警察に協力するというような申し立てをした、こういうふうに書いておりますが、私が状況を本人から直接聞いた中では、今私が言ったことは、一切こういったお話はしていません、また、彼が山に隠しとったぞというようなことを言ったということをこの警察官に言ったことは私は全くない、こうふうに明確に言っておるわけであります。
まず大臣に、この情報提供者が私に述べたこととこの捜査報告書の食い違いについてどのように感じられるか、感想でもよろしいですから、お聞かせをいただきたいと思います。
○沓掛国務大臣 この資料は今ここで初めて見せていただいたわけでございまして、この資料がその流出資料であるかどうか、またその内容がどうかということについては、私自身、今言われたことは理解しておりますけれども、それが事実とどうであるかということについては、私も今わかりませんので、これについてどうということはお答えできません。
ただ、一般的に申し上げれば、やはりこういうものが出て、いろいろな面で社会的にも非常に御迷惑をかけている方々も多いわけでございますので、こういうことについても、先日来申し上げているように、これらも含めて愛媛県警で現在調査中でございます。捜査、調査しておりますので、その調査結果を待って、しっかりと判断して対応していきたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 そして、この発覚後、三月の十九日には、警察庁もウィニーに流出している全貌を把握したというふうに私どもの部門会議でも報告をしておりますが、週刊朝日が取材に来たその夜十時ごろ、鮮魚商ですから本当は朝が早いんですが、その日の夜の十時ごろ、どういう情報をつかんだのか、警察官、小林さんという方が見えられて、申しわけないという謝罪をしてきた。そして、週刊朝日はどんなことを取材したのかというような形でありまして、この間、三回ほど情報提供者の方に来ておるということでございます。
この情報提供者は、私はこんなことは言っていない、ぜひその当時の情報をとりに来た警察官に会わせてほしい、なぜこんな私が言ってもいないことを断定的に事細かに全く捏造したような形で書かれるのか、きちんとこの警察官を連れてきてほしいと言ったことに対して、次回、二回目ですが、コンピューター関係に詳しい警察官、全くその当時の捜査に来た者ではなくて、名前も聞かせていただきましたが、その方と来て、下書きとごちゃごちゃになったというような話で弁解をしていったということでございます。
しかし、皆さん、私が言ったように、直接話法で書いております。直接話法でこの提供者が言ったかのような書きぶりでありまして、御本人は、どうして下書きとごちゃごちゃになったのか、とても理解ができないと。私がお聞かせをいただいたこの方は、非常に普通の市民でありました。下書きとごちゃごちゃになるような書きぶりではないのではないか、きちんと説明してほしい、下書きがあるのであればそれも見せてほしい、こういうふうに言っておるんですが、当時の捜査に携わった本人も来ないし、ただ謝りに来るだけであるということでございました。
情報提供は、先ほど言ったように、こんな断定的なものではない。鮮魚商でありますから、被疑者と目される方と市場で顔見知り程度で、こんなスナックで話したこともなければ、全くそんなことはない、こういったことも全く私はそういう発言をしていないということでありまして、警察官、愛媛県警にぜひ真実を話してほしい、なぜ事実と異なるようなこういった報告書になっておるのか、これを話してほしいというふうに私にも懇請しておりました。
それは小さい町でありますから、やはりこういう話が広がって、被疑者と言われている人も近くにいるんだそうであります。非常に、やはりおそれというか心配というか、こういった形ではない、本当に抽象的な話で、知っている程度の話しかしていないにもかかわらず、こんな断定的な話になっておるということでございました。
大臣、どのようにお思いですか、私の今しゃべったことに対して。
○沓掛国務大臣 今いろいろ委員からお話がございました。それは、委員としていろいろ現地調査等を通じて把握されたことであるというふうに思いますが、私の方から申し上げれば、愛媛県警察において、現在、流出したと見られる資料等の詳細を調査しているところでもあり、調査の過程においては、捜査費にかかわるものも視野に入れておるというふうに認識しております。
当該調査の過程で、個々の具体的な状況を勘案した上で、個人情報が流出した方々に対し、誠意を持って説明し、謝罪等をしているところでありますが、具体的にだれに謝罪したのかや謝罪の内容等については、流出した情報の特定にもつながり、また関係者のプライバシーの観点からも、答弁を差し控えたい。
先生も今おっしゃったように、いろいろこの流出の中に出てきた人たちにとっても、今申し上げたように、これが表に出て警察官がどうということは、それが真実であるかどうかも踏まえて、非常に影響の及ぼすことでもありますので、そういう個々の関係者のことについては答弁を差し控えさせていただきます。
○鉢呂委員 それは大臣、違うんです。こういう具体的なものが流出していない場合はそういうふうに答弁されてもいいかもわかりません。しかし、もう実名入りで、先ほど言いましたように、御本人は非常な不安感を持っております。
御本人が言うのは、この際、先ほど大臣は誠意を持って謝罪云々と言いました、先ほどのこの情報提供者が求めるその中身はどうであったのか。ごちゃごちゃになって混同して、これは間違いであったかのように警察は言っておるようですが、なぜこういう間違いになったのか、これをきちっと責任ある対応をしておらない。
これは、大臣、プライバシーの侵害になるとかという、もう既にこういうふうに流れているんですよ。当委員会でも実名入りで私も出させていただく、こういった実態になっておるんですよ。
むしろ、プライバシーの侵害を超えて、二次被害というか、本人は、県警の責任者、本部長が、この中身については全くの間違いであった、こういうふうに公表してもらわなければ、相手にも伝わらなければ、本人に違いであるかのような一般的な話では、本人は本当に納得できないというふうに明確に言っておったわけであります。大臣、そうではありませんか。
相手の被疑者は、被疑者にどういうふうに警察が接触をしているのかわかりません。しかし、最低限、この情報提供者は表向きこういうことを言ったというふうに思われておるだろう、この本人の心労ということは大変なものがある。鉢呂さん、この委員会で大臣に、県警に対してきちっと、この事案についてはこうであって、ここは間違いであるということを明確に指導していただくように言ってほしいと私は懇請されました。この御本人の思いは間違っておるでしょうか。
大臣、これは、単にここで認めればこれを認めることになるというような問題では、もう違うのではないですか。いかがですか。
○沓掛国務大臣 委員の言われるような形でしっかりする上においても、まずは事実がどうであるのかを確認することが何よりも必要でございます。
その上で、的確な対応、判断をしていくことが必要であり、現在愛媛県警におきまして鋭意この調査を進めておるところでございますので、速やかに、その調査を待って、それを踏まえた上でいろいろ判断していきたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 私はもうこれで三週間、三回目であります。流出をしてからもう二カ月を超えています、大臣。本当の誠意があれば、大臣が、一部捜査報告書を見たというふうに先ほど大島筆頭理事の質問に対して御答弁があったと思います。私は、これはやはり速やかにやるべきことである。万が一、二次事件のようなものが起きたらどうするんですか。
小さい町です。この捜査報告書についてのみでも、一般の市民の名前が出て、このことによって、いや、事実ならまだいいですよ、問題はありますけれどもね。御本人が言っているのは、私は間違いないと思いますよ。そうであれば、速やかな対応をするのが本当じゃないですか。どうですか。
まあ、大臣は私の誠意は何回もしゃべっているうちに御理解してくれるから、また来週もありますから、しっかりやりますけれども。
そして、問題は、この捜査報告書は謝礼の交付になっているんです。このとき一回しか来ていない。そのときに本当に、私は知っているよぐらいの話しか、この方を知っているよというぐらいにしか話していない。そして、次の日にお礼のお菓子を持ってきた、これはどのぐらいか知りません、大体適当なお金だと思います。しかし、金銭、いわゆる協力費、いわゆる謝礼の交付というようなことは全くありません、こういうふうに言っています。
私は、この資料には提示していませんけれども、もう一方にもお会いしました。もう一方は、この情報提供者の住所、生年月日を部分的に改ざんしている、番地とか若干違うという方でありまして、御本人から指摘をされましたが、どういう意図があるのか。旭川中央署のものも、見れば、架空であるような実名であるような、そういった捜査協力費の領収書が多かったんですが、しかし、彼は、この方は、当時警察官と接触はしてきたが、一切情報提供謝礼は金品含めてもらっていないと私に明言をされました。名前も言ってもいいですが、私はここで言いません。
この前も、前回も言いましたけれども、山本次郎名義の架空の名前も言いました、被疑者の隣の番地。向こうに行って聞きましたら、山本次郎さんという方は警察の署長、今は現役を退いたようですが、署長だった方の名前かなというふうに言っておりましたよ。
この前も言いましたけれども、架空名義の人、あるいはお菓子程度以外は全然金銭をもらっていない、全くもらっていない、こういった名前が出てきているわけです。今と同じような形で、その被疑者の具体的な私がやったというようなことを書いてある、大臣も見られたということですからおわかりですけれども、非常に具体的、今でも逮捕できそうな情報提供になっておるわけです。
しかし、どうもこれは謝礼交付を受けるための、いかにも値のある情報提供のような、そういった捜査報告書になっておるのではないか、こういうふうに先ほどの方も言っておったわけであります。
大臣、謝礼の提供のことについては、私は何回もここでやっています。大臣は、愛媛県警に任せておる、その結果を見てということばかりでありますが、当委員会でも昨年から、この愛媛県警は特に現地調査もしたぐらいのところであります。そして、二月には、こういった裏金不正経理は全くない、プールする裏金はないという結論が愛媛県警の調査で出ている事案であります。
そうであれば、大臣、きちっと積極的に大臣が監査指示をするという立場にあるのではないですか。私はこのように思いますが、大臣の御答弁、お願いします。
○沓掛国務大臣 今いろいろ言われました中で一つ、物を持っていったのがどうとかというお話がございますけれども、それは決して公的な資金は使っているはずがないので、もしそういうことがあったとすれば、個人的に社会的儀礼の範囲内で、初めての人のところに行くときはやはり何かちょっとそこら辺のものをということはあったのかなというふうに思いますが、決して公的資金を使うとか、あるいは組織的にこうするとかいうことではございません。そういうことは厳に慎むよう指示いたしております。
それから、先生いろいろ言われますが、基本的には、やはり事実がどうなのか、真実はどうなのか、そういうことをまず知らなければ、いろいろ、今おっしゃったように住所が違ったりなんなりということ自体も委員おっしゃられております。私は、そこまでは、そういうことはわかりません。
ですから、そういうことをきちっと、やはり愛媛県警で調査し、その結果をもっていろいろやっていきたい、その調査の促進は、速やかにやるようにということで、愛媛県警の方には指示しております。
○鉢呂委員 ですから、私も事実をきちっと調査してほしいということをまさに言っておるわけであります。そのための国家公安委員会の指導性も法的にも担保されて、指示権等で前回の不祥事、警察法の改正にもつながってあるわけでありますから、私は単に是沢という流出をされた警部ではなくて、この捜査に来た人はそれぞれ違っております。したがって、かなり組織性が高いとも思われます。したがって、単に愛媛県警に任せておけばいいというものでもないのではないか。
同時に、この前も大臣にお話ししました。決算委員会や内閣委員会で、これは参議院の決算委員会は大変重視しておりますから警告ということで、具体的に愛媛県警という固有名詞も挙げてきちんと、速やかな捜査を行うべし、調査を行うべし、こういうふうに国会が指摘をしておるんです。北海道警察、愛媛県警、こういうふうに言って、国家公安委員会は、管理・指示権を適切に行使して事案の徹底解明を行って、国民の信頼回復をするよう最大限の努力を払うこと、こういうふうに決議を上げておるわけであります。
ここからいけば、大臣、私は、この十五件、直接捜査協力費にかかわるだけに、単に待ちの姿勢で、三千ページ、これを全部調査しなければできないというものでは全くありません。そして、こういった情報提供者を含めて大変な被害に思っていらっしゃる方が多いんですよ。もっと違う事象では、これは全く犯罪の被疑者でもないのに、いわゆる性交渉の克明な描写さえ一般の国民の実名で漏えいしているんですよ。
こういったものに対して、相手があるわけですから、当事者だけに何かきちんとした謝り方もできないでおって、しかも、ちゃんと警察の責任者がこれらに対して適切な対処、対応を全くとらないで来ておる。何か、マスコミ対応なり、あるいは、いわゆる損害賠償請求、告発でもやらないかどうかというようなおそれで警察が接してきておるのではないかという不信感さえ持っております。
大臣、私が行ったときに、警察は私の裏をつけていたのかどうかわかりませんが、ちょうど小林さんという刑事がお店に入ってきたんですよ。菓子折りを持っていました。今回、謝りに来て、菓子折りは三回のうち二回ほど持ってきたそうですが、今回も、私がちょうどもう話を終えるとき、あっ、警察の人がちょうど来たと息子さんが言って、ですから私も対応させていただきました。菓子折りを持っていたんですが、大臣、公のところから出る出ないとかと先ほど言いましたが、そういった問題でもない。
いずれにしても、大臣、これは既に情報が流出をしておるわけです。大臣のそのようなプライバシーの保護ということを一貫して前回まで言ってきて、明らかにできないというような言い方でありましたが、その論理はもう超えておる、破綻しておると私は思います。
速やかな対応を重要案件ごとに、特に、実名で出た国民の皆さんがきちんと安心できるような公の発言をするように愛媛県警に指導する、このぐらいは明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○沓掛国務大臣 この愛媛県の流出したものについては、部分的に取り上げて、ここをやる、やらないというのではなくて、全体としてどういうことなのか、内容的に一部わかっているものもございますが、そういうものの、出てきた資料の真偽がどうなのかも含め、さらには、当該資料の作成の経緯、そういうようなものもきちっと整理した上でこの流出した資料についての判断をなしていくことが必要であり、そのことを速やかにやるように警察当局に今督励しているところであります。
私たちとしても、事の重大性を十分認識し、できる限りのことを尽くしているつもりであります。
○鉢呂委員 大臣、それでは、いつまでにこれを解明して公表できるんですか。明確に言わなければ、これは逃げの姿勢と見られてしまいますよ。そんな後ろからのを見なくても、大臣としての責任で、いつまでにこれを明らかにするのか、もう三カ月余になろうとしておるんですから、明言をしてください。
○沓掛国務大臣 これはなかなか膨大な資料もあり、その真偽、経緯等もいろいろしているわけですから、速やかにやるということで、何月何日までにこれができるというものではなかなかないというふうに思いますが、できる限り速やかにやるように今後とも督励してまいります。
○鉢呂委員 この前もお話ししましたが、今回もお聞かせをいただいたら、県警は金銭の謝礼の交付について、情報提供者に全然聞かないというんですね。なぜですか。本当に速やかに解明に向かっておるんですか。答えてください。
○沓掛国務大臣 ちょっと質問がよくわかりにくい点があったんですが、要するに、捜査協力者に対してお金を渡したかどうか、そういうことをきちっと確認しろという、当局でやれということでしょうか。
○鉢呂委員 私がおととい聞いた段階で、その情報提供者は、警察官が今回三度来ているけれども、協力費の謝礼交付について何も聞かないと。これで、大臣、この捜査報告書、流出したんですが、これについての全容解明にきちんと発しておる、やっておる、こういうふうに言えないじゃありませんか。御答弁願います。
○沓掛国務大臣 その辺の現場での対応がどういうふうであるか、詳細については私は知っておりませんけれども、そういう捜査費の問題も含めて総合的に調査するということをやるよう指示いたしておりますから、そういう形でやっているというものだというふうに思います。
ただ、今、どの件でどういうものかもよくわかりませんので、これは全般的に一日も早く捜査、調査した上できちっと対応いたします。
○鉢呂委員 情報提供者は大変な心労でございます。できればもう忘れ去りたいという方もございました。大変なプライバシーの逆の侵害、大きな侵害になっていること、大臣としてきちっと受けとめて、今のままでは、愛媛県警と警察庁は逃げの一手だ、こういうふうに受け取られますよ。このことを申し上げまして、午後に質問させていただきます。
終わります。
○佐藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十六分休憩
――――◇―――――
午後一時三分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。田端正広君。
○田端委員 公明党の田端正広でございます。
国家公安委員長また警察庁長官には大変御苦労さまでございます。
まず、六月一日から新しい道路交通法の施行によって駐車違反の取り締まりが変わるということでありますが、この問題で、大変マスコミ等でもまたいろいろな国民の方々からの問い合わせ等もありまして、一体どうなるんだろうという不安感といいますか、例えば、ちょっと体調が悪くて公園のところでとめてトイレに行った、その二、三分、五分の間でやられるんじゃないかとか、あるいは、宅配便の方とか商売をなさっている方がお店の前で車をとめて荷物を入れたり出したりという、そのちょっとした時間、また引っ越しとかそういうこともあろうと思いますし、そういう意味では、私は国民の皆さんが心配しているのは確かだと思います。
例えば、これは大阪府議会で、現状、去年二十七万五千件だった交通違反が、交通違反というか切符を切られたのが、ことしは大阪府警本部としては約三倍の八十万件ぐらいにこれからこの一年はなるだろう、こういうことをおっしゃっているようでありまして、つまり、三倍に一気にふえるということで、そういう数字だけがひとり歩きしますから、国民の皆さんは大変にどうなるのかという心配をされている、こう思います。
したがって、警察庁長官としては、違反は違反なんですからしようがないんですが、しかし、一気に変わるとなると大変なことだと思いますから、そこのところをどういうふうに国民に周知徹底するかということが一番大事だと思います。
特に、駐車監視員活動ガイドラインというものを策定し公表する、こうなっているわけですから、この公表のところが今欠けているんではないかと私は危惧しております。
だから、このエリアはどうなるんだということがもっと住民に周知徹底されるようなPR活動、広報活動をぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○漆間政府参考人 ただいま委員から御発言がありましたように、六月一日から本当に新しく導入される制度でございますから、国民の方がいろいろ不安に思われているのではないかという点については私も同じような考えを持っております。
それで、新しい駐車対策法制につきましても、今までかなり準備をずっと進めてきております。これまで各メディアによる取材、報道を通じて相当量の情報発信がなされた形にもなっておりますし、また、警察庁においても、ポスターでいけば広報用ポスターが十二万五千枚それからチラシ百七十万枚というのをつくっておりまして、これはもう既に都道府県に配付しております。そのほか、政府広報を初め各種媒体を活用した広報等を積極的に今まで行ってきたところであります。
ただ、田端委員御指摘のように、本当にそれが周知されているのかという点は御懸念があろうかと思います。
先ほどお話しの中にありましたように、一番ポイントになりますのはガイドラインのことでありまして、各都道府県警察においても、駐車監視員が重点的に活動する場所あるいは時間帯、そういうものを定めたガイドラインというのを、もう四月の二十七日の時点で、今回は六月一日からは二百七十署で始まりますが、ホームページを見ていただければ全部載っているという状況であります。私もこれはチェックしております。
ただ、なかなかパソコンが苦手な方もおられますから、そういう方のためにも、広報誌とかそういうものも出しておりますし、ともかく、どこの地域でどの時間帯に駐車監視員が動いているんだということをまず周知徹底させるということに今努めております。これも遺漏なきを期したいと思っています。
全体としましては、先ほど申し上げましたように、やはりスムーズにこの制度が発足していく形にしませんと、ますます国民の不安感が高まりますので、広報啓発活動をさらに徹底してやっていきたいと考えております。
○田端委員 新しい制度を導入するわけですから、ぜひその辺のところを、国民の皆さんにトラブルが起こらないようによろしくお願いしたいと思います。
それで、先般、二十日の日に内閣府が公表された世論調査、社会意識に関する世論調査、これは大変興味深い数字が出ておりまして、今社会が悪い方向に向かっている分野という項目で治安というものが、昨年、平成十七年のときには四七・九%であったのが、ことしは三八・三%と一〇%ばかり減りました。そういう意味では治安がよくなったということなんだと思います。特に平成十年以降ずっと治安がふえていたんですけれども、初めて減りました。
そしてまた、平成五年以降、日本の誇りである治安、これがずっと減少していたんですけれども、今回の調査でふえました。平成五年のときには治安が日本の誇りと答えた人が五二%いた、しかし、平成十七年には一八%まで減ってしまった。ことし、十八年の調査で一八だったものが二〇に二ポイント回復した、こういうことでありまして、警察関係の皆さんの御努力というものが数字にあらわれているんだと評価したいと思います。
しかし、悪い方向に向かっている分野の第一位であることには変わりない。二位が財政で三三・二%。三位が外交で三一・三%。四位が雇用・労働条件で二八・九%。だから、この治安が三八・三%というのは、やはり圧倒的に、まだ第一位、国民の不安が、大変まだ不安感を持っている人が多いということでありまして、世界一安全な日本を復活させるという小泉内閣の方向、方針にまだまだほど遠い実態ではないかな、こう思うわけであります。
この安全、安心な社会というものは、景気対策とかなんとかということよりも、今一番国民の皆さんから望まれていることでありますので、この治安対策に対して具体的に今後どういうふうにお取り組みになるのか、長官の御決意をお伺いしたいと思います。これは、国家公安委員長にまず先にお伺いします。
○沓掛国務大臣 田端委員の言われたとおりでございまして、それをもう少し詳細に、数字を使って御説明してみたいというふうに思います。
刑法犯の認知件数は、平成十五年以降、三年連続して減少いたしております。特に昨年は、一昨年に比べ一一・五%減少するなど、数値的に見た治安に改善の兆しが見えつつあると考えております。
また、地域住民等による犯罪の防止に向けた自主的な取り組みも全国各地で活発になりつつあるというふうに考えておりますが、今回の調査結果には、このような状況が反映されているものと考えます。
しかし、委員も御指摘のとおり、依然として刑法犯認知件数は、治安がよいと言われていた昭和四十年代の約二倍でもある上、子供が被害者となる凶悪事件の多発や組織犯罪の深刻化などがあり、治安に対する国民の不安を解消するには至っていないというふうに考えております。
今委員御指摘のとおり、現在の日本で悪い方向に向かっている分野の第一位が依然として治安であります。かなりパーセントは下がってきて、三八%と下がってはいるものの、第一位であることには変わりはないわけでございます。そういう状態でございますので、何としてもこの改善が必要でございます。
警察といたしましても、近年、DNA型鑑定の活用等の科学捜査力の強化などによる犯罪の着実な検挙に加え、街頭パトロールの強化、空き交番の解消、防犯情報の提供など、犯罪の発生を抑止するための多角的な取り組みを推進しているところであります。
警察では、こうした取り組みを行うための基盤を整備するため、平成十三年度以降、継続して地方警察官の増員を行っているところであります。また、犯罪をさらに抑止するためには、警察による取り組みだけではなく、地域住民や地方自治体と連携し、地域の犯罪抑止力の再生の取り組みに一層の尽力が必要であると考えております。
今後とも、国民が、今委員御指摘の世界一安全な国日本の復活を真に実感できるよう、関係各方面と連携しつつ、犯罪抑止対策を強力に推進してまいります。
以上です。
○田端委員 大臣の方から詳しく御説明いただいたので、警察庁長官、ちょっと次の質問と一緒にお答えいただければと思います。
私は、国民の安心、安全の確保というのは、これはもう政治の大きな柱だ、こう思っております。それで、実は昨年、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五、これの作成のときに、相当私もしつこくこの骨太の方針の中身について議論させていただいて、当初、たった一行しかなかった「国民の安全・安心の確保」というのを第三章の一つの大きな柱にしていただきまして、そして、世界一安心、安全な国日本を復活させるということを明確にここで訴えていただきました。
もちろんこれは、自然災害、防災ですね、あるいは交通安全とか、そういったこともすべて含んだ安心、安全ということであります。しかし、この中においても、別表の中で具体的なことをずっと書いていただいておりますが、この別表の一番最初のところに、「国民の安全・安心の確保」というのを一番大きいスペースをとっていただいて、この骨太に入れていただいた。
これを、長官、今の治安の問題、世論調査の問題も含めて、ことしも、これは去年だけに終わらせたのでは何にもならないと思いますから、ぜひ引き継いでいただいて、安心、安全、特に治安に対して責任を持って、もっと強力にお進めいただきたい、こういう思いでおりまして、私たちも、また全力を挙げてそういったことも訴えさせていただきますけれども、御決意をお伺いしたいと思います。
○漆間政府参考人 先ほど、内閣府の世論調査の結果について大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、私らは、指数治安というのと体感治安というのを使い分けておりまして、治安という側面には、統計数値で出てくる部分と、それから国民個々人がいろいろ不安を感じる部分と、やはり違うと思うんですね。
その中で一番、体感治安というのがどうなったかというのを見るのに大変重要な材料だと考えているのが、まさにこの社会意識に関する世論調査でございました。
先ほどの結果で、確かに、悪い方向に向かっているのが、治安が一位ではありますけれども、とりあえず減る方向にはなってきたということでありまして、これは一つには、やはり指数治安がよくなってきたということもずっと続いていますから、それがマスコミ等も報道されますので、その影響もあったと思います。
また同時に、いわゆるボランティア活動をする団体が昨年約二万、一昨年に比べて二・四倍になっているというようなこともありまして、身近に自分たちでやってみると、やはり前に比べてよくなったのかなということがその結果にあらわれているのかなという感じはします。
ただ、依然として、悪い方向に向かっているものの一番であることには変わりありませんので、ぜひこれは、さらに一層改善すべくやっていきたいと思います。
そのために、骨太の方針の二〇〇五の際には、田端委員には大変御尽力いただきまして感謝しておりますが、これについては、世界一安全な国日本の復活というのが内閣としての最重要課題の一つでもありますので、これはぜひとも達成しなきゃいかぬというふうに思っております。
警察庁としても、捜査力とか、あるいは治安基盤を整備するとかやっていきますが、それだけではなくて、やはりこの治安の問題は息長く取り組まなきゃいかぬということを各方面に訴えて、何とか、これから新たな骨太の方針ができるということになろうかと思いますので、その中に盛り込まれるように努力を続けていきたいと思っています。
○田端委員 それで、少し具体的なことを伺いますが、今、子供をめぐる犯罪というのが本当に毎日のように大きなニュースになっているわけでありまして、こういう子供の安全一つをとっても、やはり国民の不安感というもの、治安に対する悪い方向の一つの要素の大きな流れがここにあるんだ、こう思うわけです。
例えば、秋田県の藤里小学校の米山豪憲君の事件の場合、非常に残念な事件で、まだ犯人も見つかっていないようでありますけれども、この同じ小学校で四年生の畠山彩香さんが四月に水死体で見つかっているという事件がここでも起こっているわけですね。だから、そういう意味では、二重にこういうことが重なっているだけに、非常に地域の皆さん初め関係者も本当に不安を持っておられる、こう思うわけであります。
それで、きょうは文部省の方にも来ていただいていると思いますが、やはり通学路の安全というのは、これはもう何といっても確保する、安全を確保しなければ子供さんも大変だ、御父兄も大変だ、こう思います。
今、長官の方からボランティアがこういうふうにふえているというお話がございましたが、文部省として今どういうふうにお考えなのか、ちょっとお願いします。簡単で結構です。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
昨年末の広島、栃木の事件などを受けまして、文部科学省におきましては、通学路の安全点検の徹底、要注意箇所の周知徹底とか、また集団登下校などのような児童生徒の登下校時の安全管理の徹底、そしてさらに防犯教室実施などの児童生徒の危険予測、回避能力を身につけさせる安全教育の徹底、また警察との連携、こういったことにつきまして取りまとめ、各教育委員会や学校に通知を発出するとともに、積極的な取り組みを要請しているところでございます。
またさらに、少しお話がありましたけれども、学校安全ボランティアへの住民の参加の呼びかけなども、各種媒体を通じてお願いしているところでございます。
さらに、私ども、ことし一月から三月にかけまして、各種の先進的な防犯関係の取り組み事例集や小学校低学年用の防犯教室用のリーフレットを作成、配付いたしまして、各学校、各地域の施策を支援する取り組みを進めているところでございます。
○田端委員 ことしあたりから、団塊の世代の警察官、退職されたOBの方々、一万人前後ずつずっと続くと思います。だから、ぜひ警察官OBの方にスクールガードリーダーといったところに頑張っていただいて、そして、今お話のあったような学校安全ボランティアのリーダーになっていただいて、全国、今二千四百のリーダーの枠組みを文科省の方でとっていただいていると思いますが、一人が十校ずつ担当すれば、二万四千の小学校全体をできるわけですから、ぜひそういったことも警察庁の方でも指導していただきたい、こう思います。
そこで、ちょっと私、きょう申し上げたいのは、今までの犯罪というのは、犯罪がなぜ起こるかという、そこの原因ばかりに何かいっているんじゃないかと思うんです。そこを少し発想を変えていただいて、犯罪が起こる場所、犯罪が起こる機会というのはどういう機会で起こっているんだろう、こういうことを少し考えていただきたい、こう思います。
例えば、犯罪者が犯罪を起こす場合は、入りやすいところを選ぶ。入りやすいということは、逃げやすいということです。それからもう一つは、外から見えにくい、悪いことをしようと思っているわけですから、見えない、垣根があるとか塀があるとか何か、そういう見えないところを選ぶ。だから、何をやったかわからないということを考えるわけですね。
例えば、この間、川崎でしたか、マンションの十五階から子供を下に落としたという事件がありました。つまり、だれでもあのマンションは入れた。だけれども、十五階の廊下のところというのは、なかなかほかからは見えない。そういう条件が重なっているからああいう事件が起こっている。大体、子供さんをめぐる事件というのは、この二つが重なっていると思います。
だから、ぜひそこのところに注目していただいて、例えば公園をつくるような市町村の計画の場合に、どういう公園がいいのか。垣根で塀をつくってしまって外から見えない公園にしたら、やはり犯罪が起こりやすくなるわけですから、そういったことを通学路の場合もお考えいただきたい、こう思うわけです。
例えば、ニューヨークの犯罪がなぜ減ったか。言われていることは、落書きをなくしたことで減った、こう言われています。つまり、落書きということがあれば、秩序が乱れている町、こういうふうに思うから、犯罪者はそこに寄ってくる。それから、あそこのビルの窓割れというのがあちこちあったわけですが、窓割れがあるということは、きちっと管理されていない。管理されていなければ隠れていられる、潜んでいることができる、こういう犯罪者心理が働いて、それを直したことからニューヨークの犯罪が減った、こう言われているわけであります。
私は、こういったインフラ整備というものに、警察庁のお考えを市町村なんかにも言っていただいて、盛り込んでいくことが大変大事ではないかということを御提言申し上げたいと思いますが、長官の御所見をお伺いしたいと思います。
○漆間政府参考人 私も全く御指摘のとおりだと思っております。
やはり、犯罪が発生しにくい町づくり、これをきちっと考えて、我々としてもいろいろ提言をするというのが大事だと思っています。
そこで、ことし、警察庁におきましては、安全・安心まちづくり推進要綱というのを定めておりまして、都道府県や市区町村の行う都市計画等の策定に対し、犯罪防止に配慮した町づくりの設計や防犯設備の整備等が反映されるよう働きかけを行うよう、都道府県警察に対してこの要綱の中で指示をしているわけであります。
それを受けまして、都道府県警察では、道路における街路灯や防犯灯の設置を促進するとか、ひったくり等車両利用による犯罪を防止するためのガードレール等による歩車道の分離だとか、照明や防犯カメラ、ゲート等を設置した駐車場とか、そういうようないろいろな点で犯罪の起きにくい町づくりに資するようなことについて、自治体、学校等に働きかけをしているというのが現状でございます。
今後とも、国民が安全で安心して暮らせるような社会の実現に向けて、警察といたしましても、関係機関あるいは地域住民の協力も得ながら、諸対策を強力に進めていきたいと思っております。
○田端委員 ぜひ、子供の目線に立って対策をお願いしたいと思います。子供の一メートル三十センチ、二十センチの目線から見ることが大事なんだと私は思いますし、また、そういう目線で地域安全マップのようなものを子供さんと一緒になってつくって、それぞれの地域でボランティアの方に力を得てそういうことをつくっていく、こういうこともぜひお願いしたいと思いますし、今あったように、学校、警察の連係プレーで、もっと風通しのいい中で安全対策というものをお考えいただきたい、こう思います。
私は大阪西成区に住んでおりまして、先般、去年の暮れでしたか、内閣委員会が視察するということで、西成のあいりん地域を視察していただきました。その際に、内閣委員会、つまり国会が委員会として初めてあいりんを視察するというので、大変な反響でございまして、町をだれからともなくきれいにしていただいて、二、三日前から急にきれいになりました。
そして、我々が行った当日もきれいであり、その後もいまだに町はきれいに保たれているので、非常に私も喜んでいて、先ほど申し上げたように、町がきれいになることは犯罪を減らす第一歩になる、こう思っております。
ところが、薬物に関してはそういうところが全然飛んでしまっておりまして、薬物事犯の検挙件数もずっとふえておりますが、特に覚せい剤、暴力団構成員の検挙件数が薬物の約半数以上、こういう数字も出ています。
実は、二十三日に、日テレだったと思いますが、夜九時でしたか十時でしたか一時間番組で、近畿麻薬取締局の取り締まりの実態ドキュメント放送がありました。
これは本当に迫力があった。私は全然知らなくて、テレビを見て、あれ、何か西成の町だなと思っているうちに引き込まれて見てしまったんです。つまり、覚せい剤を密売している人たちを追跡して、ガサ入れする、逮捕する、それをテレビに同行させてやったわけでありますが、非常に中身はあったと思います。
そこで感じたことは、一つの画面の中に、二〇〇四年、町でこういうふうに薬物の取引を行っているというのが流れまして、右側には、二〇〇六年、同じ場所、同じところから撮影して、二〇〇四年より二〇〇六年の方が頻繁に現物とお金との売買というんですか、それが行われている様子が、明らかに薬物売買が、密売がふえているということがわかるような光景がありました、この場所は大体私もわかりますけれども。
そういう意味で、実はこの放送があった夜、翌日と、私のところにいっぱい電話がかかってきまして、何しているんだ、こんなことを全国放送されて西成の恥だ、あるいは、いつまで同じこと、こんなことを続けさせているんだ、こういうような物すごい、こっちに対して市民の皆さんからお怒りの電話がありました。
要するに、わかっていながら放置しているんだろう、こういうことが一番多いわけでありまして、私は非常に残念でありましたが、これは、そこに住んでいる人の気持ちというものをよく酌んでいただきたい、こう思います。
だから、何も西成警察がサボっているということを私は言っているんじゃないんです。一生懸命やっていただいていても、しかし、こういう暴力団を中心にした薬物の密売というものがひたひたと今ふえていっているという実態がはっきりしているわけですから、これはぜひ警察庁長官の決意として、薬物に対しては本気になって取り組むぞと、近麻だけのことじゃなくて、警察庁としても、ぜひ御決意をお述べいただきたい、こう思うわけであります。西成の町をいい町にしたいと私も思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○漆間政府参考人 私も大阪府警本部長をやっておりましたので、あいりん地区の実態はよく知っております。まさに委員おっしゃるように、そんな状態になっているのであれば、これは大阪府警にとってもある意味では非常に恥ずかしいことでありますので、実態をとりあえず、まず調べてまいりました。
確かに検挙件数とか人員とか、西成地区の関係におきますと、昨年、一昨年に比べてふえていることは間違いないんですが、依然として覚せい剤等の路上密売が行われているのが実態だそうであります。
昨年、実は、あいりん地区において覚せい剤密売を取り仕切っていた山口組傘下組織幹部を覚せい剤取締法違反で検挙しまして、この組織が壊滅いたしました。こういうようなことに手を染めている組織を壊滅するというような形で進めていかないと、なかなか根絶は難しいと思います。大阪府警も一生懸命取り組むと言っておりますので、私らの方も督励したいと思います。
問題は、全般的に覚せい剤についてはやはりいろいろ問題がございまして、先般、五月に入ってからでございますけれども、警視庁と鳥取だとかあるいは海上保安庁とも組みまして、合同捜査本部において、北朝鮮ルートで覚せい剤を密輸入していたという事件につきまして、暴力団組長ら合計七名を今検挙しているところであります。
平成十四年まで、北朝鮮が仕出し地である覚せい剤というのがずっと大量に入ってきたわけですが、十五年以降はそれが見られないというのが実情であります。しかし、これはなくなったわけじゃないというふうに思っています。
それから、さらにもう一つ大事なことは、この覚せい剤自体が、今まで我々としては、北朝鮮が仕出し地であるというふうにしか言えなかったんですが、北朝鮮が国家的に覚せい剤製造に関与しているということをこの捜査を通じて言えるような方向に持っていって、こういう形で、覚せい剤というのは、日本でつくられるよりも海外から持ってこられるものですから、外国組織に対しても圧力をかけて、日本に入ってこないようにするというようなことも含めて、しっかり対応していきたいというふうに思っております。
○田端委員 どうもありがとうございました。終わります。
○佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 午前中に引き続き、質問させていただきます。
きょうは、警察庁長官にもお越しいただいていますので、警察庁長官といろいろ十五分議論させていただきたいと思います。
まず、昨今、この内閣委員会でも話題になっておりますが、いわゆる駐車違反の取り締まり強化が六月一日から行われます。
午前中、私は、逃げ得ということで飲酒運転に絡むことを申し上げましたが、ここでも、ある意味でいえば逃げ得が起こるような状況が生まれています。
何かといいますと、結局、申し出なかった、すなわち自分が運転者と申し出なければ点数を引かれない。要するに、放置違反金だけ、お金だけ払えばそれでいいんだということが許されるわけでありますから、恐らく多くの場合は、ステッカーを張られたところを見るともう名乗り出ないでいた方がいい、お金だけ払えばこれで済むんだから。もし名乗り出たら、あなたですか、はい、私ですと言ったら、では点数を引きますよ、こうなるわけですね。
私は、では厳しく取り締まれということではなくて、やはりフェアかどうかということなんですね。ほかの方は点数を引かれないのに自分は引かれる、また、自分は大丈夫だけれども、ほかの人はいいだろう、こういう社会になるのが一番まずいと思いまして、そういった意識を助長するようなことがあってはならない、私はこう考えておりますが、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○漆間政府参考人 今回の新しい駐車法制についてでありますけれども、確かに委員おっしゃるように、今までは運転者個人の責任を問うという形でやってきたわけですが、今回は、運転者の責任を問うといっても、運転者が自分が運転していたとかいうことを実証しないと、なかなかそこのところの責任を問えないということもありますし、全体として、今までチョークで一回やって、もう一回チョークでやる、その間に自分で戻ってきたらぱっと逃げちゃうということでは、やはり駐車秩序に関して、国民が、自分たちが誤っていたんだということの認識が出てこないということもありまして、良好な駐車秩序をきちっと確立しようというのがねらいであります。
ただ、その際に、確かにいわゆる放置違反金の形に乗っかる場合には、これはいわゆる運転免許証上に影響してくる点数というのはつかなくなります。他方、放置違反金を何回か支払いますと、今度は、その車両を運転すること自体ができなくなるという命令がかけられます。これをどちらがいいととらえるのか、これはなかなか、人によって受けとめ方が違うのだろうと思うんですね。
私は、免許証自体を失効させるとか、そういう意味での点数をどんどんやるべきだというのも一つの考え方だろうと思いますし、ただ、実態として、そういう捜査をやっていくこと自体について、かなりの捜査力を食われるということを考えるとすれば、その分を、その車両の使用者に対して責任をとってもらって、何回か放置違反金を払ったという状態になれば、車両そのものも使えなくなってしまうというようにしてしまう、これも一つのやり方だと思っていまして、どちらがいいかというのは、なかなか、それぞれの主観的な判断だと思います。
私としては、今そういう方向でこの制度を進めていきたいということで、まず六月一日から始めたいと思っています。
○市村委員 今長官の方からどちらがいいかという話がありましたけれども、私は、基本的に、今回の考え方として、行政制裁金的な考え方をとったことについては賛成をしています。
私は、今ここであえて提言を申し上げますが、やはり警察が刑事罰としてやることではなくて、この駐車違反というのは地域への迷惑なんだと、迷惑料としての考え方をとって、これは行政制裁金的な考え方を徹底して、結局、刑事罰から外して、そして地方自治体が駐車違反の取り締まりを行う。つまり、町づくりの観点から行う、そこに置いておる場合、迷惑なんですから。
例えば、清掃活動をしている場合、清掃車が来た、ところが駐車違反の車があって邪魔である、結局清掃活動に支障が生ずるわけです。そういった場合に、アメリカなんかはそうですけれども、例えば清掃車を運転している方がステッカーを置いていくとかということなんです。そうすると、みんな納得すると思うんです。
要するに、一方で点数を引かれて、点数を引かれない、結局、刑事罰だからこうなるんですね。だから、もう点数は関係ない。放置車両については、駐車違反については、これは行政制裁金として、迷惑料として課しているという考え方をとる方が、私は一人の国民としても、一人の住民としても納得ができるなという思いがありますが、長官のお考えをお聞かせください。
○漆間政府参考人 今委員の御指摘にありましたように、放置駐車に関してこれを非犯罪化するというのも一つの考え方ですし、現実にそういうことをやっている国もございます。
ただ、今の日本の法制でいきますと、放置駐車をいかになくすかということに関して、このもとになっているのは、やはり放置駐車があるために交通事故が起こったりして、それがほかに影響する、あるいは死者も出しちゃう、そういうことを防止するということでありまして、そうなりますと、例えばスピード違反でもほかでも、みんな同じようなことになるわけです。
では、果たしてこれを非犯罪化するのかということになりますと、これもまた、なかなか、全体の考え方を整理するというのは非常に難しいということがありまして、とりあえず、ともかく放置駐車について、一つ行政制裁金を入れましょう。しかし、実際上、その放置駐車という原因をつくっているのは運転者でありますから、やはり運転者についても責任をとってもらいましょうという両制度を残して、運転者の責任を問うとすれば、他のスピード違反と同じように、やはりこれは罰則できちっと担保するという形をとらざるを得ないという一応整理をいたしました。
今委員から御指摘もありましたので、将来、これを今後どうしていくかということについては、またいろいろ考えてみたいと思いますが、当面そういう整理で、今回この制度を始めたものであります。
○市村委員 今の最後に、整理をしていただけるという話ですので、それをまた期待して、ただ、ぜひとも早い検討をお願いしたいと思います。
スピード違反のことも挙げられましたけれども、私はスピード違反はまた別だと思います。今、私の議論しているのは駐車違反のことでありますから、駐車に関しては、これは地域への迷惑料という形でするのが一番住民意識にも沿うかなと思います。そうしたら、結局点数に関係ありませんから、要するに、迷惑をかけたんだから違反金を払うんだ、これですっきりとすると思います。
あと、高過ぎると思いますので、なるべく違反金も低くするべきだと思います。なるべくそういうふうにして、単にお金を集めるのが目的だと私は思いませんが、そのようにとられかねないような話になっているというのは、先ほど田端委員の方からも三倍なんじゃないかという話もありましたが、今回のこの制度ができましたら、一時的には違反金の額は伸びると思いますが、ちゃんとやっていれば必ずがくんと下がるはずなんですね。こうならないとおかしいんです。
シートベルトのときも、結局はシートベルトだけで取り締まりはしない、しかし、シートベルトの使用率が五〇%を超えたら、シートベルトだけでも取り締まりをするといって、やって、結局、半年で五〇パーを超えたんですね、シートベルトを導入した途端に五〇%。ということは、半年できいたんです、シートベルトの規制は。
ということは、今回の駐車違反だって、僕はそれぐらいの速度できくはずだと思いますから、半年ぐらいは伸びたとしても、一年のスパンを見ると下がった、普通こうあるべきだと私は思います。ぜひとも、このまま上り続けるような一年間を考えたら、今までと三倍、四倍になりましたなどという報告を来年聞きたくありませんので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それから、きょうはせっかく長官がお出ましされておりますので、あと五分間でございますが、長官、私も、初当選以来、内閣委員会に属させていただいて、もう二年半を過ぎたところであります。
最初、私は警察のことは余り関係なく内閣委員会に行かせてもらいたいと思って入ったんですが、結局、ここは警察の所管だということで、警察の、ある意味でいえば知りたくないようないろいろなものを知らざるを得ないような状況になってしまいました。
特に、裏金問題、鉢呂委員も熱心に細かく調査されてこの場で質疑をされておりますけれども、この問題、本当に何回も申し上げておりますが、もう早く終わりにしなくちゃいけないと思います。
それで、はっきり言って、一つのものが出て、それを調べますなんていっていたら終わるはずがないわけでありまして、こんなのは、見ている方が、もういいかげんにしてくれ、こういう気持ちであります。
ですから、今回のことは、実はこの裏金づくりというか、警察の方は裏金とは言いませんけれども、そういう慣行が、警察だけじゃなくて、恐らくこれまで、いろいろな委員会で質疑をされておりますが、結局、何か裏金化してそれを使うという慣行がどうも官の世界にはびこっていたと考える方が自然なんですね。残念ながら、警察も御多分に漏れずにそうであったということであります。
そういったあしき慣行があった、もうこれは認めていただいて、そして、やはりここで、すべて、きちっと、このことについては、過去についてこういうことがあったけれども、これは認めて反省する、しかし、今後については絶対ないということをこうやって公にするしかないと私は思うんですね。
一々やっていたら、ああ、愛媛県警、また北海道、さてどこどこ、ここここといって、また出てくるに決まっているんです。そのたびごとに、また国家公安委員長が、調査しないとわかりません、事実関係はよくわかりません、調査いたします、もうこんなことを繰り返して、どうにもなりません。我々税金を払っている国民の立場からすると、いいかげんにしてくれという話です。
ですから、ぜひとも、長官、ここはもう長官が、私は、長官もこれまでそうしたものに、長官が裏金を使っていると意識するとしないにかかわらず、何かしら職員の中で飲み食いしたとかあったときに、恐らくそれが使われた可能性が高いんですね。だから、であれば、別に長官がそれを知っていたとは言いませんけれども、知らないうちにそういうこともあったかもしれない。
ここはやはりお考えいただいて、そして、御自分が、漆間さんが長官のときに、これはもう断とう、これぐらいの思いでこのことに当たっていただきたい、このように私は思っておりますが、長官の思いをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○漆間政府参考人 私は、一昨年の八月に警察庁長官になりました折に、私が緊急に解決しなきゃならない課題の一つとして、治安とそれから信頼の回復ということを挙げました。
信頼の回復ということを入れたのは、まさにその不適正な経理というのが北海道等で起こっていた。警察活動というのは、住民あるいは国民の協力なくして実効性のある警察活動をできないわけですから、やはりそういう信頼を取り戻さないと治安の回復にも結びつかないということもありまして、その治安と信頼の回復というのを喫緊の課題の一つとして挙げました。
それで、私としては、委員からいろいろお話がありましたが、つまり、警察組織が裏金に染まっていたというような、そういう実態にあるという、私自身の自分の経験の中でもそういうふうな意識はありません。
それから、確かに北海道、あるいは静岡、福岡、愛媛だ、高知だと起こっているとはいいます。しかし、その後、新たに国家公安委員会規則をつくって全都道府県警察を監査しておりますけれども、そこで新たに、具体的なこういう不適正な経理が行われたというのが出てきたというケースはございませんので、基本的には、私は、やはりそれぞれの都道府県警察でそれなりの慣行というのがあったんだろうと思います、特に北海道なんかの場合には組織的な不適正経理が明らかになってしまったわけですから。
そういう意味で、私は、こういうものに関しては、ともかく正すものは正す、それから返すものは返す、それから刑事処分も含めて処分すべきものは処分する、この姿勢で臨みます。この形で、ともかく早く不適正経理のことについて云々されないような、そういう形に持っていって、本来の意味の治安回復に専念できるようにしたい、こういうふうに考えております。
私がやらなきゃならない責任というのは、まさに、今愛媛だとか高知だとかいろいろ言われておりますけれども、そういうものも含めまして、ともかく不適正経理をこれから指弾されることのないような、そういう組織にしていくというのが私の責任でありますし、また、もし万が一そういうことが起こるのであれば、先ほど申し上げた三原則に従って、きちっと対応するというのが私の責任だと思っております。
○市村委員 もう終わりますが、今教育基本法が国会で審議されておりますけれども、やはり今、日本に足りないのは、当たり前のことが当たり前に行われないということ、つまり道理が通らないんです。あと、フェアじゃないんです。ある人にはよくても、ある人には悪いということになります。
ですから、警察がやはりここは率先して、道理が通るフェアな世の中にしていただきたいんですね。それが教育基本法を改正するよりも何百倍も何千倍も大きな効果を今の日本の子供たち、また日本の社会にもたらすと僕は思いますので、どうぞ長官、その思いを持ってお願いします。
では、質問を終わります。
○佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 午前中に続きまして、質問をいたします。
大臣、昼休みを囲んで時間がたちました。先ほど私は、情報提供者の本当に心からの叫びといいますか、それを実際に聞いてきた、そのことをお話ししたわけでございます。
いわゆる事実と全く違う、人をやったということを言っているかのように捜査報告書に記載させられておるということから、やはり真実をきちんと公表してほしい、これがこの方の、きょうは私の発言では名前は言っておりませんが、この捜査報告書には実名が、被疑者の実名も、これは殺人事件であります、こういった報告書がインターネットで見られることになっておるわけでありますから、大臣として、単に、まだ調査をしておる、速やかなというような言い方ではなくて、この情報提供者を含めて、情報が今回流出した被害に遭った方、この方に対して、事実関係を含めてきちんと謝罪をするということについて、もう一度大臣の真摯な御答弁をお願いいたします。
○沓掛国務大臣 先ほども申し上げましたように、まず、そのためには、今委員が言われたようなことをする前提として、そのことが事実なのかどうか、真偽のほどをしっかり確かめる、そしてまたそうなった経緯も確かめる。この流出した資料について、一応、愛媛県警察においてこれをしっかりと調べた、その上でいろいろ判断していくということであるというふうに考えております。
また、今委員自身もおっしゃられるように、そういう捜査の協力者としての資金をもらった方がもし事実であったりなかったりいろいろするわけでしょうけれども、その人にとっては大変重大なことであって、今ここでその人の名前を出したり、個々の具体的なことを出せば、その人が大きなダメージ、被害、プライバシーその他の侵害を受けるわけですから、その辺についてはやはり総合的、全体的にそういうものを考えながら的確な対応をしていくことが必要であるというふうに考えております。
○鉢呂委員 大臣、事実認識を誤っておる。もう既にそのお名前は実名を含めて出ておるわけです。私もきょう、理事会でお許しを得て実名を出させていただきました。その実名の出た結果、さまざまな被害が出ておるのでありますから、そこに対してのきちんとした対処は、まず裏金の謝礼の交付の問題は別においてもきちんとやるべきだ。きちんとされておらないんですよ。
例えば、皆さんから出させていただいた愛媛県警の国費の捜査費、これはもう十四年度に十五件の捜査報告書で謝礼を交付願いたいのものが出ておるんですが、この十四年度が極端に多いんですよ。国費だけでありますが、八千三百万、次の年は七千万、平成十六年は二千六百万。通常の、十四年度前よりも約一千万多くなっています。
これは推定でありますが、こういった捜査報告書をつくって国費を多く国から出させたという疑いも私は濃厚にあると思いますから、きちんとやはり大臣としての指示、命令をしていただかなければならない、こういうふうに思います。もう一度御答弁お願い申し上げます。
○沓掛国務大臣 捜査費が平成十四年度からだんだん上がっていたという話ですけれども、これについて一言申し上げますと、愛媛県警察において、平成十年度から十六年度の捜査費執行について調査を実施した結果、一部不適正な執行がありましたが、私的に費消した事実や組織ぐるみの捜査費の不適正使用の事実は認められなかったものと報告を受けております。
いずれにせよ、愛媛県警察において、現在、流出したと見られる資料等の詳細な調査を実施しておるところでございますので、まず、それを早く終えることを国家公安委員会として警察を督励してまいりたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 警察庁がつくったメモでは私の質問に答えていない。
今、新たな形で、十四年度に限って、こういう捜査報告書ということで皆さんの方が流出をさせたんですよ。一警察官に責任を寄せるようなことかもわかりませんけれども、きちんと責任の重大さを国家公安委員長として認識していただきたい。このような国民個人に大変な被害を与えておる、こういった形で受けとめておるのかどうか。今の答弁は全く私の質問に答えていませんよ。
十四年度だけを見ればほかの年度よりも多いという形は、先ほど言った流出がばらばら事件や美容院の殺害事件で、大きな事件に対して国費からこれを充てたのではないか、こういったおそれがあるのではないか、これは我々の推定です。こういったものに対して、国家公安委員長としてきちんと毅然たる警察庁に対する指導、指示、これをお願いいたしたいと思います。
きょうは警察庁長官も来ております。昨年の十月以来で、昨年、私の方がえらい怒られるような御答弁をいただいたことを記憶しておるわけでありまして、私としては大変無念でございました。
それからもう六カ月を過ぎたわけでありまして、改めて、私もいろいろ新聞、テレビを見ますけれども、あるいは国家公安委員会での監査報告、監察報告ですか、警察官の不祥事が本当に毎日のように出ています。
警察官という職務柄、やはりどんな小さな犯罪でもこれが新聞に出るという宿命はあるかと思いますが、それにしても余りにも、取り締まる側としては信じられないような事件でございます。言葉で言うのも問題でありますが、車でのひき逃げ、あるいは子供さんが事故を起こしたときにそのお母さんを盗撮していたとか、そういった性犯罪にかかわるようなこと等々が連日報道されておるわけであります。
長官として、警察官の最高の責任者としてこのことをどのように感じられておるのか、まず御答弁いただきたいと思います。
○漆間政府参考人 確かに、不祥事というのは、相変わらず起こっているというのは間違いございません。
実際、懲戒処分の件数で見ますと、昨年は一昨年よりも減っているわけですが、内容を見ますと、やはりかなりひどい事案が起こっている。全体的に多いのはやはり私的な部分で、つまり業務に関連しない部分での非行なんでありますが、それにしても、一応警察官というのはまさに取り締まる立場にある者でありますから、そういう者が犯罪を犯すこと自体が問題であるということはまさに御指摘のとおりであります。
私もまさに、平成十二年に、警察刷新会議の提言を受けまして、警察改革要綱というのができております。この警察改革要綱をもっとこれからさらに続けていかなきゃならないほど不祥事が続いているという実態はやはり大変問題だと思っていますし、私自身の指導不足もあるというふうに思っていますが、ぜひとも、そういう不祥事案を今後さらに一層少なくできるように、二十八万の警察職員がおりますので、その二十八万の警察職員の末端にまでこの考え方が伝わるように、しっかり指導をしていきたいというふうに思っています。
〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
○鉢呂委員 前回、国家公安委員長にも同様の質問をさせていただきました。その際は、やはり心を痛めておる、未然防止という観点でさまざまな研修の機会もあるので、警察大学校を含めて、そういったものの徹底を図っていきたい、個人の倫理性、倫理観によるところも大変大きいのでその点も含めてというお話がございました。
長官にお伺いしますが、昨年、私の十月の質問で、我が北海道の倶知安警察署の事案、これについて私は述べさせていただきました。これも、公金横領事件として起訴され、今結審が、来月、判決がなされるという段階に立ち至っておるわけであります。
時間もありませんから私の方からお話ししますが、あれは去年の三月まで、それも会計担当、これは函館中央署も倶知安署も同様でありました、この会計担当が、しかも去年の三月まで三年余り公金を着服しておったという事案でございます。
長官も御案内のとおり、裏金不正経理で、もう上に下にの大騒動、北海道は特に、これは全国的にもそういう形でやられておった。その中でああいった着服が行われておった。私の質問主意書に対して内閣は、いや、これは書類上体裁が巧妙でわからなかった、こういうふうに回答があったわけですけれども、しかし、公判を見ますと、単なる、金を銀行内の口座を振りかえて自分の口座に入れておるという、言ってみれば単純犯のような形である。会計監査なりあるいはまた道警内あるいは警察庁の監査が適切であれば、これはもう一見にして指摘できるような代物ではないかなと私は思います。
同時に、この被告が述べておるのは、この三年間でも、署長の決裁印が、転勤になって異動になって、その署に入ったときには、もう既に会計庶務係長の机の中に入っておった。あるいは、二代署長がかわっておるんですが、三つ、次の署長はつくった、あるいは次の署長は印影に基づいて印鑑をつくった。私の質問主意書に対する答弁書は、その後の署長、次長で決裁が行われておるという答弁書でございましたが、全く違う法廷での被告の陳述がなされておるわけであります。
まさにこの間の、平成十三年以降と言ってもいいでしょう、この警察の刷新で、経理をきちっと透明性をつくったものにしていくという形になっておらない。これは、大臣に言わせれば、そういう個人の悪質なものもあるというような言い方で、私は切って捨てられないのではないか。
今回の愛媛県警のものも、平成十四年度です。まさに警察刷新会議の強化をした以降の話であります。しかも、今回の愛媛県警の調査では全くそれがひっかかっておらないという事案であります。
私は、かなりこれは根深いものとしてあるのではないか。こういうことを踏まえて、昨年の十月の長官の答弁を踏まえて、この北海道の会計担当のこういった公金着服、まさに私的流用そのものの関係についてどのようにお考えになるのか、御答弁をいただきたいと思います。
○漆間政府参考人 まず、倶知安署の会計担当者の業務上横領事件でありますけれども、確かに、委員御指摘のとおり、北海道警察として不正経理問題で大揺れに揺れている中でこういうことをやっているということは、我々としては信じられないような状態だということは、私も認めます。
ただし、私らが基本的に北海道警察において一番重視していたのは、組織的、慣行的に行われている不正経理、これに関連して、個人の利得というものを得るために、不正にそれを私的に流用していた、こういうものについてあるかどうかということを確認する監査をやってきたわけであります。
そういう意味でいきますと、委員が指摘されるように、具体的に領収書があるとかそういうものではありませんけれども、できる限りの監査をやりまして、基本的に、私的に、つまり組織的なあるいは慣行的に行われたようなそういう不正な会計経理、この中で行われたような私的な流用については事実を確認することはできなかったということであります。
倶知安署の事案というのは、これはまさに個人の犯罪でありまして、それは私的流用をどういうふうに定義するかによると思います。もちろんこれも私的流用だと思いますが、ただし、これは組織的、慣行的に行われたものではありませんで、まさに個人が勝手に、自分の利得を図るために個人犯罪として行ったというものであります。しかも、これについてはかなり巧妙なやり方がされております。
実のところ、確かに実際捜査を遂げてみれば、何だこんなことかとも思われると思いますが、捜査に時間がかかったことでもおわかりのとおり、そこを詰めるまでの時間が非常にかかったということは、やはりそれだけ巧妙なやり方をしていたということであります。
そういう前提に立って、少なくとも、この倶知安あるいは函館で行われている事案についての私的な流用というものと、それから、それまでに解明してきた私的な流用というものとは、これは我々が考えている私的な流用とは違うという認識でおります。
いずれにしても、基本的に、北海道警察として現実に監査もやり、また、この事件が摘発されているさなか、警察庁も確認の監査をやり、その結果として、いわゆる組織的あるいは慣例的に行われているような不適正経理の問題に関して、私的な流用についてはその事実を確認できなかったというのが出ているわけでございますので、その見解については今も変わっておりません。
〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
○鉢呂委員 長官の御答弁は、それはごまかしである。私的流用に組織的も私的もない、私はこういうふうに思います。あの道警等の調査報告書は、それを区分けしておるわけでは全くありません。要するに、私的流用、これがあるかないかどうかをきちっと把握したかどうかを問うておるわけでございます。
長官は、一昨年十二月に我々の調査本部が行ったときに、あなたはこのような不正経理に手を染めたことがあるかどうか、私は質問いたしました。それまで強気の私どもに対するあなたの答弁が、一瞬どころか大分動揺したような御答弁だったことを鮮明に覚えております。出てきた国会議員、四人でありましたが、あれは真っ黒だなと。
先ほど市村さんからお話もありましたように、やはり大臣が正直にこういった不正経理に、あのとき、県警の二課を中心に回ったというふうに聞いておりましたが、あったのかなかったのか、きちっと御答弁願いたい。
○漆間政府参考人 確かに、昨年の国会の答弁の中でお話はいたしました。基本的に、鉢呂委員が、私が裏金のことについてタッチしたことがあるかということについて、私の態度がうろたえたとかなんとかということを言っておられますけれども、全然、私としてはそういう気持ちは全くございません。私は、裏金の処理とかそういうものに手を染めたことも全くございませんから、何もうろたえる必要がありませんので、それは、まさにそういう方向で私を見ておられた、主観的判断が入っているんだろうと私は思っております。
いずれにしても、基本的に、私的に流用されたかどうかという問題に関して申し上げますと、つまり、我々が考えている私的流用というのは、先ほど申し上げたように、組織的な、あるいは慣例的な、そういうような不正な経理が行われた中で、個人の利得を図る目的でそれを私的に流用する、こういう部分については、ないと言っているわけであります。だから、それは警察庁の監査の報告書の中にはその部分は入れてあります。
ただし、倶知安の事案については、これは事件捜査中でありましたので、したがって、この部分については、その当時資料も当然押収されておりますし、監査の対象になっておりません。監査の対象になっていないからといって、ではこれは監査しないのかといいますと、これは当然監査いたします。
それはなぜかといいますと、実際上、刑事で立件した額と、それから、今度は会計経理上幾ら返すのかということについては、これは確実に変わってきます。場合によっては、刑事では立件できなかった部分について、新たな監査をして、新たにその部分については返すべき額がふえるのかもしれません。場合によると、逆に減るのかもしれません。
そういうように、この部分については、何も監査しないと言っているわけじゃなくて、そのときには物理的に監査できる状況でなかった、したがって十七年度の分については載っていませんけれども、当然のことながら、事件が基本的におさまった段階できちっと監査をさせていただきます。その結果は、当然監査の報告書の中に書き込みたいと思っております。
○鉢呂委員 国家公安委員長がお述べになるように、まさに警察の倫理観が問われておる、こういうふうに私は思っております。
長官はあのとき、捜査二課というのは裏金がつくれない部署なんだというようなたぐいの発言を一昨年十二月話しましたけれども、その真意は何ですか。
○漆間政府参考人 捜査二課は裏金をつくれない部署だなんというのは申し上げておりません。つまり、捜査二課は捜査費を使うところでありますから、それを悪用するのであるならば、それは裏金をつくるようなことはできないわけではありません。
ただ、私は捜査二課を四回連続でやってきました。私自身が裏金をつくるということについて関与したこともございませんし、それから、具体的に裏金をつくっているという事実も確認したことはございませんということを言っておるわけでありまして、捜査二課は裏金をつくる部署ではございませんという発言はしておりません。
○鉢呂委員 私どもは、私を入れて四人行っておりますが、そのように受けとめたところであります。そして、北海道警察の中身を見ても、道警本部の捜査二課が一番裏金の額が多かったということで、そういう面から見ても、私はちょっと不信感を持ったところでございます。
いずれにいたしましても、この問題は単に都道府県警の問題ではないことは、長官はわかるとおりであります。キャリア、警察庁から各県警に出向、派遣をされておるわけでありまして、もう延べ十四都道府県警が不正経理を返還しておるわけであります。
長官は、証拠を持ってこいというふうに盛んにお述べになります。私ども、なかなか警察の内部はうかがい知れません。すべて警察の内部から私どもに内部情報が出て初めて、やはりまだあるんだなと、先ほど市村さんの言われるとおりです、こんなもの、いつまでもやりたくないです。きのうも、国会の関係者は、鉢呂さん、警察にそんなやって大丈夫かねと、会計検査院も私に真っ正直に、鉢呂さん、そんな警察に盾突いてとは言わなかったけれども、大丈夫かね、こう言われたのであります。
しかし、これを正すのは、機密性が大変高い警察のこういった不正経理をきちんと正すのは、どこが正すんですか。国家公安委員会にその手を法律的にはゆだねておるわけでありますが、まさに機能不全であります。私ども、国会で、警察に何か後でしっぺ返しをされるからといったようなことで真実の究明をしないということは許されない、私はそういうふうに思って、もう三年にもなりますが、やっておるところでございます。
そこで、これも長官に聞きます。
資料があると思いますが、資料の四ページ、これは財団法人北海道警察職員互助会寄付行為という北海道の警察本部の規則であります。この種の互助会というのは各都道府県警にあるというふうに聞いておるところであります。
時間がありませんから申し上げますが、目的は三条に書いてありまして、警察職員等の福利を増進し、生活の安定を図るということを目的としてさまざまな運営がなされております。
事業は、四条に書いてありますように、調査研究というのは大したことではありませんが、「警察職員等に対する福利厚生に関する事業」「福利施設の経営」「保険に関する事業」この三つが大きなものでございます。
資料はございませんが、次の五ページを見ていただきたいんですが、さまざまな福利厚生事業をやっておるところでございます。これはほんの一部でございまして、一番ポピュラーなのは、出産祝い金ですとか、結婚祝い金、教育助成金等がございます。いろいろな会社でもこういうことがあるんだろうと思います。
この中で大変金額が大きいのが永年勤続祝い金、年度によって違いますが、約一億円前後でございます。退職せんべつ金、この互助会を退職するということで最高二百万を限度として出されることになっておりますし、会員が現職で死亡した弔慰金、これも、警察という性格を示しておるのかわかりませんが、公務死亡の場合は五百万というふうな形になっておるのであります。
さて、そこで、この収支はどうなるかといいますと、会費が警察職員の給与の一・一%、私が割り返してみたんですが、前後はあるんでしょうが、一人平均五万円弱ということで、会員からの会費で総額約五億八千万、それから北海道費の補助が約二億円でございます。ですから、八億程度のところで、約三割は補助が入っておるという形でございます。
そこで、これは自民党さんでも中川政調会長等が言っていまして、この種の地方公務員の互助会で、税金が入っておりながら、先ほど私が言ったような第二の退職金、そういったものに対して税金が一部入ったものから使われることについて、やはり問題ではあるのではないかということが自民党さんでも今問題になっておりまして、あの悪名高い大阪市ですか、あそこはこういった助成金を取りやめるという形になっております。
長官、実は、こういった公金、税金が一部入っておるもので、こういった福利厚生施設、厚生事業、これに使われるというのは、もう、時代としては、やはり廃止をするべき必要があるのではないか。もちろん、これは都道府県の事業でありますから、警察庁長官が言う権限はないということではなくて、一般論でもいいですから、一部、和歌山県警でもこれを廃止する、北海道警察でも、税金の投入、都道府県の補助というものをやめるというところも出てきておるわけであります。
私も全部は見ておりませんが、そういった都道府県ごとの警察職員の互助会に対する補助というのはほとんどの県で残っておるというふうに思いますが、私に対する考え、これに対するお答えをお聞かせいただきたいと思います。
○漆間政府参考人 今、鉢呂委員が財団法人の北海道警察職員互助会に関して言われた関係は、平成十六年度の時点だろうと思います。平成十八年度、今年度は補助金は一切入っておりません。したがいまして、平成十七年度までが補助金は入っておりましたが、この辺についてはだんだん減らされているというのが実情であります。
先ほどお話しになったように、基本的には職員からの会費、これで運営をしているわけであります。そのうち、職員の結婚祝いだとか死亡弔慰金だとか、やはりそういう警察活動を行うに当たって後顧の憂いなく仕事ができるように、それをしっかりみんなの会費でやっていこうというものについて、それは平成十七年度までは補助金が入っていましたから、それがすべて悪いんだと言われれば、それはそういう御見解もあろうと思います。
私は、やはりそういうような互助組織があるといっても別に何にも悪いことはないと思いますし、民間の企業であったってそれはそういうような互助をする機構がございます。私の友達も、まさにそういう大手の会社に入っていますけれども、当然のことながら、我々の互助会と同じようなものを持っております。したがって、当然のことながら、海の家だとかいろいろなものを持っているということになるわけであります。したがって、それだから問題であるというのはやはり言えないと思います。
ただ、確かに、税金をこんなものに使っていいのかということに関してはそれなりに見直しがいろいろ行われているわけでありまして、先ほど申し上げましたように、北海道の場合は道からの補助金は今年度はありません。
○鉢呂委員 長官の答弁のとおりであります。
そして、この五ページを見ていただきたいんですが、税金が入らないで本当に警察職員の会費のみで運営されるとしたならば、この組織活性支援事業、この三番目、私の丸印を書いた三つの部分、士気高揚・意見交換活動助成費、ここに書いてありますように、「会員の士気高揚に要する経費」、もう時間がありませんから私の方で述べますが、「警察行政推進上必要な部外との意見交換会等に出席する経費の一部を助成する。」あるいは、捜査本部等激励助成費というのは、「捜査本部事件等により過重な」ということで、捜査員を激励するために本部長が現地を慰問する際のその経費、これはその下の三番目もそうですが、あるいは、ここには書いておりませんが、警察官募集のためにここから、そのリクルートのための費用も出すことになっています。本来は、これは業務上の扱いであります。
次の六ページを見ていただきたいんですが、この大きな4の(2)のところにこれらの費用が載っておるわけであります。先ほど言った士気高揚・意見交換活動助成費は何と一億円であります。先ほど言いましたように、八億から七億程度の中で一億円。あるいは、会員の供花とかそういうのは別としても、先ほど言った警察職員募集活動助成費ですとか捜査本部等激励助成費を合わせれば、約一億四千万程度がこの費用から出ておるのであります。
大臣、本来は業務上の扱いです。幾ら重労働、過重警察業務と言いながら、会員相互から徴収したもの、これは警察本部長がこの互助会の理事長になっておるようでありますが、会員から四億か五億集めたもので一億四千万も使われる。
大臣、これは書いてありませんが、北海道警察の捜査報償費は実は平成十七年度で国費と道費を合わせて約二億七千万程度です。これは当時の、十二、三年から比べると少なくなったと思いますが、しかし、二億七千万の国費以外に一億四千万も、警察官の職員から取った、それで激励をしておる。第二の不正経理、裏金のその財布でないか、こういうふうに私のところにも内部情報で来ておるのであります。
なかなかうかがい知れない警察の内部の組織でありますが、他の国家、地方公務員の互助会を見ても、私が調査した限りでは、こういったふうに業務に使われるようなものはありません。そういう面では、私は、時代錯誤である、これもきちんと直すことが必要である。
激励をして打ち上げをした後に、激励費として飲み食いをさせておるようでありますが、飲めない人は全然あずかり知らないわけでありまして、そういうものが必要であればきちんと国費、都道府県費で出す、これが普通の姿ではないでしょうか。そういったところからも警察内部職員の不満といいますか、あるわけであります。
時間が終わりましたから、最後に、国家公安委員長からこの問題についてどのように考えるか、長官でもよろしいですが、御答弁をいただきたいと思います。
○漆間政府参考人 基本的に鉢呂委員の御指摘は私もわかりますが、これは、今度は補助金という税金が入らないのであれば、まさに会員の会費からやるわけでありまして、その会員の会費をどう使うかということに関して、基本的にこういう方向で使いましょうということで理事会でそれが承認されれば、普通、それに従って運用がされるというわけであります。
別に、私は警察の組織にどっぷりつかっている人間でありますから、我々としては、捜査本部をやっているともう大変、ともかく毎日のように眠れないような時間が続くわけでありますから、それを激励するようなものをここから持っていくとか、あるいは、例えば、激励されない、酒が飲めない人間はおかしいじゃないかと言われますけれども、では、結婚できない人間に、結婚の祝い金というのをほかの人間がもらって、自分はもらえない、そんなことはないわけでありまして、それに文句を言う人はだれもいないと思うんですね。
そのように、やはり内部で互助的にやっているわけで、特に補助金がもう十八年度から入らないんですから、そういう意味でいけば、別に会員の会費をどういうふうに運用するかは、まさにそこの中の理事会等で決まったことで、それが運用方針で行われれば、私は、別にそれは何ら指弾されるものではないというふうに思っております。
○鉢呂委員 公務として行うものについて民間から寄附を受けてもいいというようなたぐいのものになるわけでありまして、私は、時代おくれのものになってきておる。これ以上は時間がありませんから、ぜひ再検討でこういうものを廃止するということを警察内部で検討していただきたいと思います。
以上です。
○佐藤委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
午前中に続きまして、私は、警察の裏金不正経理問題について質問をしたいと思います。
この問題が発覚して大体三年近くになりますが、一部不適正な扱いを認めて返金したというものもありますけれども、裏金疑惑というのは結局解消されないままですっきりしないというのが多くの方たちの印象となっております。
昨年の十月二十六日に私が質問したときに、漆間長官の方から、ともかく説明責任が果たせる形で、不正経理問題があったかなかったかをきちんと県民に訴えられるというような形にしていきたい、要するに、説明責任をきちんと果たせるようなものをやっていきたいということでありました。
具体的には、これは国会とか地方議会とか、それから関係諸機関とか、マスコミ、そういういろいろな場面があるわけですけれども、そういうところで、警察幹部の発言とかあるいは警察の対応を通してきちんと説明責任を果たす、これが長官のこのときの意図しておられるところ、趣旨だろうと思うんですが、このことをまず最初に確認しておきたいと思います。
○漆間政府参考人 まさに今、行政の透明性というものがやはり一番重要視されているわけでございますので、警察も行政機関でございますから、透明にしなきゃならない部分はきちんと透明にしなきゃいけませんし、何でここは開示できないとかあるいは透明にできないのかということについてもちゃんとした説明責任を果たすべきだという趣旨で、私は、それを県民、国民が納得する形でやっていかなきゃいかぬということを申し上げたわけでありまして、今もその点は変わっておりません。
○吉井委員 それで、愛媛県警が起こしたウィニーによる情報流出問題については、これは、この情報流出の中に情報提供謝礼があるということで、マスコミ関係者の方も情報謝礼を交付したとされる協力者に当たってみると、謝礼は受け取っていないということが次々と明らかになってきた問題でした。
四月十四日の当委員会で、私、この問題については、捜査報告書としているものがウィニーで流出しているわけですが、捜査記載要領にも例のない情報提供謝礼理由書、そういうものになっているということをお示ししました。
それから、午前中に鉢呂議員の方から明らかにされたように、その情報としている内容についても、とんでもないでたらめなもの、こういうものも明らかになっております。これは、仙波部長が告発したように、やはり裏金になっているのではないかという疑惑が深まってきていると思うんですね。
これについて愛媛県警は、もうウィニー流出問題から二カ月を超えているんですが、いまだ調査中というままなんですね。
この問題は、結局、何が問題で何を調査してきてどう報告しようとしているのかということについて、やはり漆間長官として、国民に納得できるような説明、答弁というものをきちっとやっていただく必要があると思うんですね。伺いたいと思います。
○漆間政府参考人 まさに私も、国民が納得するような形が愛媛県警の調査の中で出てくるかどうかというのを今見守っているわけでありまして、大事なことは、確かに、先ほど鉢呂委員のときに示された捜査報告書というのがございますが、これが果たして、この捜査報告書がまさに会計経理の帳簿の中につづられているようなものであったのかそうでなかったのか、つまり、本来の経理処理をするためにきちっと使うべき捜査報告書だったのか、あるいは、それはそうではなくて、単なる本人の全体的にはどういうふうにつくったらいいかということについて自分なりにいろいろ整理をする、そういうものに使ったものなのかどうか、その辺のところを今きちっと見定めているわけです。
したがって、この捜査報告書が果たして、まさに会計経理に、つまり捜査費用を出す、そのために使われたものなのかどうか、この辺が一番のポイントだと私は思っております。その辺のところを今愛媛県警の方で調査して、それはできる限り早く調査するようにと私どもも督励しておりますので、それがまとまった段階で、どういうふうにつくられたものであるか、これは経理と関連があるのかどうか、その辺についての調査結果が報告されると思います。
○吉井委員 個々の事案そのものについて捜査報告書の内容について調べるということももちろん必要だと思うんです。しかし同時に、要するに、私は四月十四日に、もう一カ月以上前に指摘しておりますが、捜査報告書の形式は、ほとんどすべて同じように情報提供謝礼理由書という体裁になっていますね。これは捜査記載要領を幾ら読んでも出てこないんですね。そういう捜査報告書というのはないわけですよ。
ですから、そういう点でも、ウィニー流出以降も二カ月を超え、私が指摘してからも一カ月以上なんですが、やはりこういうものについて、何だ、警察は、捜査報告書という名前で、それは情報提供者への謝礼金を出すための理由書としてつくっているだけのことなのか。
これでは、とてもじゃないが信頼が得られないということが一つあるし、同時に、受け取ったはずの人がそもそも全然情報を提供していないとか、それなのにお金をもらったことになっている、本人もびっくり、ではその金はどこへ行ったのか。
少なくともそれぐらいのことは、もう二カ月たって、いまだに何も明らかにされないというのは、私は、こういうことでは、国民の皆さんに対する説明責任を果たすと答弁には言っておられるんだけれども、とてもじゃないけれども説明責任を果たしているということにはならないと思うんですよ。
これはきちんと急いで調べて長官として明らかにされますか。
○漆間政府参考人 先ほどの捜査報告書という部分について、その部分も当然ありますが、それ以外も流出したものがあるわけでありまして、そういうものをすべて、一応全部まとめて、その段階で、ともかくこういうものでしたという報告をしたいというふうに考えておりまして、したがって、かなりの時間がかかっているわけであります。
先ほど申し上げましたように、この捜査報告書というのは、本当に、捜査に使ったものではなくて、これはまさに会計経理上のものとして使われたのか、あるいは全くそんなものと関係なしに、本人のいわゆる記憶にとどめるというかあるいはシナリオをつくるというか、そういうもののためにつくったものなのかどうか。そういうものについても、もう調査は進んでいるとは思いますが、いずれにしても、基本的に、それだけじゃなくてそれ以外にもいろいろなものが出ているわけでございますので、したがって、そういうものを全部まとめて、その関係で全体を一括して、できることであれば処分までした上で報告できるという方向に持っていきたいというふうに思っています。
○吉井委員 この捜査報告書に関しては、もしそういう事実がなければ、全くでたらめなものであれば、そもそも謝罪に行かれるということはないわけですよ、謝罪に行ったということも実は四月のこの委員会で警察庁の方は認めておられるわけですから。
ですから、これは全部かあるいは九割方かどうかということは調べられるにしても、謝罪に行ったということは内容として事実があったということですから、私は、やはりこういうことは、ずるずるといくんじゃなしに、速やかに調査し、そしてきちんと説明責任を果たすということをやるべきだと思います。
昨年の十月二十六日の警察の情報開示問題で長官に質問したときに、県の監査委員会に対する資料のマスキング問題について私は取り上げましたが、そのときに長官は今のこと、要するに説明責任を果たすという方向で対応するという答弁でした、原則として特殊な事情がない限りマスキングはしないで出すということについてはもう既に指示しておりますと。
私はこのことについて、実はけさほど、列車警乗の問題について取り上げたんですが、二〇〇二年度については、一部マスキングした部分はありますが、一応こういう形で開示したわけですね。
ところが、その二〇〇二年以降は、ですから、連続的に開示するといつ列車に乗るかあらかじめ犯罪をもくろむ者が予測して臨んではいけないからというお話もありました。連続性という点では二〇〇二年以降はずっと開示ということになるんですが、九九年、六年も七年も前のものは、これからの犯罪をもくろむ者には余り役立たないんです。ところが、それについては、二〇〇二年はこの程度のマスキングなのに、全面マスキングなんですね。何でこんなおかしなことをするのかということを、ますます、説明責任を果たすとかマスキングはしないで出す、既に指示しておるという長官の答弁なんですが、逆に秘密主義がひどくなっている、このことを取り上げたわけであります。
それで、平成十四年、二〇〇二年以降はこの程度のマスキングだったんです。マスキングしてもわずかだったんですが、公共の安全と秩序の維持に支障がないと判断して開示したということで、ほかの分を開示しているんですね。九九年は全面黒塗りなんですが、捜査に支障がないということで提出した情報公開と同じ程度の開示で提出するというのは当然だと思うんですね、九九年度についても。年度がかわれば片方は開示しない、最近のものは開示するというのは筋が通らないわけです。
何でかといったら、午前中も答弁を伺っておると、要するに、ポイントは二つあるわけですよ。
一つは、犯罪予防、捜査の相当の理由がある場合は非開示ということはできるわけですね、情報公開の方でも。ところが、さっきも言った連続性という点では意味がないわけですし、それから、これを開示したところで問題が起こるのかといったら、実はその点では、列車業務基本計画という警察庁の文書にしても、あるいは警察の組織と運営というものにしても、それについては、見る限り、それを読ませていただく限り、何らこれは秘匿にしなきゃいけないような理由は全くないんです。
二つ目の理由というのは、要するに公判維持、裁判係争中だということのようでありますが、これは長官、お詳しいように、刑事裁判で、警察が調べて検察庁送りにして、検察がまさに裁判で争うときに、裁判で明らかにするまで秘匿しておくという意味が、こういう場合もそれはあるかと思うんですよ。
しかし、これは民事で、そして被告になっている場合でしょう。身の潔白を証明するには、逆に、裏金なんというようなものはないんだと、きちんとした列車警乗の計画を持って、こういうふうに支出したんですということは、みずから明らかにして証明する方が本当なのに、逆に真っ黒けの全面非開示ということをやっているわけですね。
私は、やはり、説明責任を果たすというあの長官の昨年の答弁からしても、先ほどのお話からしても、これは全く合わない。むしろ、それでは不信を払拭することはできないわけですから、この問題については、説明責任を果たすというのは、議会であろうと、裁判であろうと、マスコミであろうと同じだと思うんですね。
だから、警乗旅費を支払ったというのなら、その資料を公開してみずから証明していく、裁判にかかわっているものであれ何であれ、はっきり説明責任を果たすということが本来の筋だと思うんです。長官の考えを伺いたいと思います。
○漆間政府参考人 先ほど吉井委員から、真っ黒に近いものが出されたわけでありますが、これは、愛媛県警察が証拠保全に際して行ったマスキングについて、つまり、当該文書の提出義務が争われていたということを踏まえた措置で、マスキングを行うことについては裁判所の了承を得た上で実施したわけです。つまり、そのものがあったかどうかの確認をするということの証拠保全だったわけで、裁判所の了承のもとでそれは全面マスキングをして出した。だから、それとの対比の関係でそうなっているわけであります。
だから、これは今訴訟で争われている話でございますから、それは、その後、今度は訴訟でどういうふうに対応するのか、これはまた訴訟の推移を見ながら考えるということになります。
したがって、ほかと違っているという理由は、その部分については裁判所の了解のもとでマスキングをした部分でございますので、その辺については御理解を願いたいと思います。
○吉井委員 これは、裁判所が了承をした、しないの話じゃ全くないんです、裁判所が出しなさいと言ってもここまでしか出さなかったというだけの話なんですから。この書類があるということを認めただけのことであって、二〇〇二年度以降は全部出しているのに、あくまでもそれ以上出さない、それは説明責任を果たすことにならない。
これからの裁判の中で出すなら出すというのはそうするにしても、しかし、何もこんなことを隠す必要は全くないんですよ。裏金疑惑はないと言っているんだから、では、示したらいいんですよ。
そのことをやらないのでは、これは説明責任を果たすことにはならないということを重ねて申し上げまして、時間が参りましたので、終わります。
○佐藤委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太です。
長官には、きょう、お珍しくというか、この国会、内閣委員会にお越しいただきましてありがとうございます。ちょっと委員会の質問が延びている関係で、少し三時を回るかもしれませんが、御協力のほどよろしくお願いをしたいというふうに思います。
まず、私は、こうしてふだんは沓掛公安委員長の方にいろいろと答弁をしていただいているわけですが、国家公安委員会と警察庁の関係というのは一つ別組織でもありますし、また、警察庁は警察庁として、全国の警察を見ているという意味からも、一つの意思を持つ大きな組織体というふうに考えておりまして、その意味では、やはり警察庁の意思、これを確認する意味でも、私は、長官にお越しをいただいてこういう場で審議をするということは大変重要なことだというふうに考えております。
そしてまた、それぞれ、我々民主党の委員もこうして質問をさせていただいておりますけれども、やはり何より警察行政に関心があり、この内閣委員会において我々は所属をし日々審議させていただいております。評価すべきところは評価をし、そして改めなければならないところは改めるということでの質問をさせていただいていることを理解していただきながら、まず、せっかくですので長官の方に質問をさせていただきたいと思います。
我々内閣委員としては、長官と触れ合うときというのは大変少ない状況にありまして、もっともっと国会の審議にもお越しいただけるように、私はまた与野党で協議もしていきたいなというふうに思っているわけですが、せっかくこうしてお越しいただくものですから、長官のこれまでの年頭のごあいさつですとかあるいは記者会見というものも少しいろいろと勉強させていただきました。
年頭には、警察職員そしてまたその家族に向けた年頭のあいさつというものを例年出されておりますし、こうして資料を読ませていただくと、ほとんど毎週、全国会議のようなものが各部局行われていて、そこでさまざまな方針を伝える、そういった大切なお仕事もされている、訓示もされているということがよくわかりました。
そしてまた、最近ですと、例えば取り調べの可視化の問題ですとか、耐震偽装の問題あるいは拉致問題という問題について、長官みずからが会見の中で述べられたことが記事になるというケースも結構あるというようなところからも、やはり長官の考え、また警察庁の方針ということを我々はもっとよく知らなければならないな、まず知った中で、そこからいろいろと分析をし、また提言もしていかなければならないなということを今感じているところです。
そういった中で、実は、ほとんど、私自身も不勉強なもので、きょうのきょうまで余り知らなかったことなんですが、長官自身は、過去の経歴、御経験からも、毎年特に力を入れている項目というのがあるんだということを私は気づかせていただきました。
例えば昨年ですと、性犯罪者の情報共有ということについて、どうしてもいろいろな訓示や年頭あいさつというのは総花的なものに見えてしまうんですが、特に力を入れておられた。そしてまた、ことしも、例えば拉致という問題については力を入れられるということが一番最初の年頭の記者会見の中でもお話があったというふうにも思います。
そういった意味で、こういった形で年に一つ、長官自身が特に思い入れを込めて取り組んでおられるものがあるのか、あるいは、そういったわけではないが、特に昨年、ことしとこういった発言をされているのか、まずちょっとお伺いをしたいと思います。
○漆間政府参考人 私は、国家公安委員会が終わりますと、国家公安委員会でどういうことが議論されたのかということを含めまして、それを警察庁のクラブに属している方に、基本的にその内容をお伝えすると同時に、その際に、記者の方からいろいろ御質問を受けて、それでお答えをするという形で、新聞記事等では定例会見でと出ていますが、記者会見ということじゃなくて、実は警察庁クラブの皆さんとの懇談の席で話しているわけであります。
特に、年頭のときには、基本的に警察庁としてどう考えるか、今後の警察運営はどうするかということを述べる一番大事なときだと思っていますので、私も、その懇談の場では、かなりいろいろ考えながら物をしゃべっているつもりでおります。
先ほど委員の御指摘にもありましたように、昨年は、性犯罪者に関するいわゆる出所情報の共有ということについて、まさにそれがなされていなかったということもありましたので、こちらとして、やはりそれは必要なことではないかという問題提起をさせていただいた。
それで、ことしは、実は私が申し上げたのは、勝負の年だという表現でマスコミの記事にはなっておりますけれども、やはり私らは、一番大事なのは、私もずっと長い間拉致の問題に携わってきたという経緯もございまして、それで、この拉致の問題を考えるに当たっては、北朝鮮に対して、確かに対話と圧力ということがございますけれども、その圧力を担うのが警察機関であろうというふうに思っておりまして、そういう意味で、拉致の問題に何らかの進展が出るような形で、北朝鮮が関与しているような事案について、これは積極的にやっていこうじゃないかということを警察庁のクラブの皆さんに話すと同時に、これは、記事を見れば、都道府県警察の人間は、ああ、こういう話をしたんだということがわかりますから、都道府県警察の者に向かっても、それは言っているわけであります。
そういうことで、ことしは、今のところずっと北朝鮮に絡む事件というのを非常に多く今摘発して、つい最近では、先ほど申し上げたような覚せい剤の問題もやっているということでありまして、ある意味で、年頭の警察庁記者クラブの皆さんとの懇談の席で申し上げたことが、ことし一番私としてやりたいという部分を申し上げているわけであります。
○泉委員 漆間長官、そういう思いがある中で、しかし、やはり公安委員会の後の懇談の場でそれが話をされて、記者会見で伝わるかどうかは、これはマスコミが取り上げるかどうかというところに今はゆだねられている部分がありまして、その意味では、その思い、あるいは警察庁の方針というものは、もっと我々国会に対しても一般の国民に対しても、ぜひ積極的にしっかりと発信をされてよいのではないのかなというふうに思っております。
時に、発信をされたものについて、我々も指摘をしたいこともありますし、意見交換を求めることもあるというふうには思いますけれども、やはりその方針が警察、捜査機関だけではなく、国民にも伝わるということが私は非常に大切ではないのかなというふうに思っております。
ぜひ、そういった意味で、多くの大切なこともその中では述べられていると思いますので、例えば、先ほど私は警察庁のホームページも改めて見させていただいたんですが、長官のいわゆる懇談というか会見の中身というものは、一切そのページには載っておりません。また、訓示、年頭あいさつというものも載っていないという現状がございますので、そこはぜひ警察庁の中で、やはり長官の何らかのメッセージについては、私は載せていただいていいのではないかなというふうに思っておりますが、長官、いかがでしょうか。
○漆間政府参考人 大変貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございます。
私の年頭の都道府県警察職員に対するあいさつとか、それから、あるいは各種会議での訓示だとか、こういうものは、できれば載せるという方にした方がいいと思っていますから、ぜひこれは前向きに検討したいと思います。
もう一つ、実は、先ほど申し上げましたように、私がやっているのは定例の記者会見ではございませんで、まさに警察庁のクラブの皆さんとの懇談の場で話していることでありまして、記者との信頼関係の中でやりとりをしているという状況がございますので、これについて、この懇談の性格を踏まえながら、やはり私としても、この御提案についてまたいろいろきちっとした検討をして、回答を出したいと思っております。
○泉委員 ありがとうございます。
インターネットで検索をして、警察庁長官、会見というふうに検索をしますと、ほとんど新聞記事では、各社、定例会見という表現をしておりまして、国民の多くは、長官が定例会見をしているというふうに認識をされていると思います。そういった意味で、せっかく認識をしていただいているのですから、なるべく、やはり情報発信を定期的に、正規な場でも行っていただく、それ以外に懇談、記者が囲うような場もあっていいのではないかなと思いますが、そういった意味で、この記者会見もぜひ定例化をしていただきたいなというふうに思います。
それで、中身にも入らなければなりません。
先ほど長官が、特にことし力を入れる、勝負の年だというふうにおっしゃられた拉致の問題についてであります。
たしか、政府、内閣府の方でも、拉致問題特命チームというところがありまして、法執行班と情報収集会議というものを開かれる。その情報収集会議の中には長官にも入っていただいているということで、まさにこの取り組みが進んで、そして、特にことしは、辛光洙に対する逮捕状ですとか、また、関係諸団体への捜索ということも含めて、大きな動きをされていると思います。
その意味で、現段階における進捗の状況を予想からしてどう御判断をされているか、ほぼ半年たったわけですが、現在のところの御見解を伺いたいと思います。
○漆間政府参考人 拉致の問題といいましても、基本的にはこれは事件の捜査に関するものでありますので、余り予断を与えるようなことを申し上げるわけにはいかないと思います。
ただ、やはり私どもは、先ほど申し上げましたように、北朝鮮に圧力をかけるという意味の作業をしていくということが、北朝鮮が何らかの形でそれに対して別の取り組みをしなきゃならないのではないかとか、あるいは、拉致についても何らかの形でやっていかないとこのままでは済まないなと思わせることができる、むしろそういうような方向に持っていくということにしか、私らは貢献できません。
外交関係を持って、我々が直接向こうの警察当局と話をできるというようなものではございませんから、そういう意味でいきますと、かなり今のところは、いろいろな形で北朝鮮に圧力をかけるような事件に着手して、それもまだ捜査が継続しております。今後も、各種事件に大いに取り組むように、都道府県警察を督励していきたいというふうに思っています。
○泉委員 これはお答えいただける範囲で結構なんですが、長官はたしか外事一課長のときに、金賢姫元死刑囚の尋問というか、それにも携わっておられたということをお伺いしていますので、ある意味、長期的にこの北朝鮮に対する監視というか目を持たれていたということも私は承知をしております。
その意味で、ことしに入って、大きく世の中も動いてきた、警察の動きも活発になってきたというところがあるんですが、大半の国民にとっては、これまで動かなかった警察がようやく動いたという認識をともすれば持っているんではないのかなというふうにも思っております。その辺について、逆に長官のお立場から、これまで警察がどういう取り組みをされてきたのか、お伺いできればと思います。
○漆間政府参考人 私が拉致の問題に関与をしましたのは、平成三年に警察庁の外事一課長になってから以降であります。したがいまして、その前からずっと拉致の問題については、警察としては追いかけておりましたし、何とかこれを国民の皆さんに認知していただこうということで、必死な努力をしてきたわけでありますが、残念ながら、いろいろな情勢がございまして、なかなかその辺のところを理解していただけなかったという点はございます。
ただ、やはり一番大きかったのは、平成十四年の九月の十七日に小泉総理が第一回訪朝を果たされた。それによって当時の金正日国防委員長が、文書の形ではありませんけれども、少なくとも拉致に関して、かなり自分の責任を部下に押しつけているなとは思いますが、拉致自身を認めた。これは大変なことでありまして、私は、それによって、随分日本の国民の皆さんも、あるいはマスコミの皆さんも、拉致に対する認識がやはり変わったんだと思います。
そういう状況の中で今仕事をしていますから、私らの先輩が、そういうことについては振り向いてもくれないような時期に大変な苦しい思いをしただろうと思いますが、そういう遺産を我々としても受け継ぎながら、さらに一層、今はそういうものを解明する大変いいチャンスでございますので、大いに力を入れていきたいと思っています。
○泉委員 本当に、その意味で、今は、国民が大きくこの問題に気づき、また今後の行方を見守っているという状況があると思います。好意的に見守っているという状況があると思いますので、ぜひ警察の皆さんには、今後も全面解決に向けて一層の努力を私はお願いしたいと思います。
そしてまた、特に、たしかイタリアから日本に対して捜査員が来られたり、あるいは日本から韓国へ捜査員を派遣したりということでの各国との連携も出てきているというふうに思います。
そういった意味では、これからも、国民に対しての理解を要請することであったり、あるいは他省庁との連携であったり、また他国との連携ということがあると思いますが、現時点で何か、お困りになられている点というとあれかもしれませんが、今後課題として残っている点というのがございますでしょうか。
○漆間政府参考人 国内の関係では、やはり拉致事件を解明するに当たっては、先ほどの拉致問題の特命チームというのもつくられておりますし、大分やりやすくなってきたことは間違いありません。
ただ、拉致の問題というのは、基本的に日本だけで解決できる問題ではありません。したがいまして、やはり他国があるわけでありまして、他国と協調して仕事をしていかなきゃならないという部分もあるわけで、そういう面でいきますと、こちらが思ったとおり、なかなか国際的な連携ができないという部分もあります。そういうところは、相手方もいろいろ説得しながら、我々としても、そういうものを乗り越えて、国際的な協力関係もより強化する方向に持っていきたいと思っています。
○泉委員 拉致の問題はこの程度にしまして、あと三つ四つ、細かい点かもしれませんが、しかし大切な問題を指摘させていただきたいと思います。
まず一つは、実は最近ずっと、この内閣委員会で二、三回議論が続いていることがございまして、それは、各種の問題について、暴力団の関与というところでの、暴力団員とはそもそも何かというところが幾つか出てきております。
どの法律においても、そもそも暴対法の中には構成員というものしか定義がされていない、しかし現実には、その定義によってという理由もあるかもしれませんが、時代の変化によって、準構成員という、警察の中では一応定義づけをしている、しかし暴対法には定義のない、暴力団の周辺人物が大変増加をしてきているという状況がございます。
それで、例えば四月二十八日の組織犯罪担当課長等会議ですとか、五月九日の刑事部長会議なんかでも、暴力団対策ということはお話しになられていると思うんですが、残念ながら、この国会で議論されている準構成員ということについての言及が、もちろん周辺ということで含まれているというふうに思うんですが、直接的な言及はありませんでした。
そういった意味からも、私はぜひ、一般の人たちの中にある意味紛れ込んでいるこの準構成員、そして、過去の国会の審議の状況を見てみますと、与党のみならず野党も含めて、準構成員の取り締まりをやはりしっかりやっていただきたいということを質問で再三述べられていて、そして、特にその中で注目すべきだというふうに私が思いましたのは、議事録の中で、以前の佐藤長官が「準構成員全体を取り締まってはどうかということでありますけれども、それはもう御指摘のとおりでありまして、」中略いたしますが、「暴力団対策法の適用は現時点では受けないということですので、これを受けられるようにしていただきたいというものでございます。」という形で、はっきりと、組織としてはぜひ、この準構成員は枠組みの中に入れてほしいんだというメッセージをいただいております。
その後、法改正には至っていないわけですが、改めて、現在どのような御認識なのか、お伺いしたいと思います。
○漆間政府参考人 準構成員という概念は、なかなか広い概念でありまして、実は、暴対法の十二条の五に、準暴力的要求行為規定というのがございます。それは、指定暴力団員と特別な関係が存在する者が指定暴力団等の威力を利用して行うと言っていまして、ここのレベルまでいけば、いわゆる暴対法での対応ができるわけですが、実は、その準構成員というのは、もっとさらに広い概念であります。
実は、暴対法自体というのは、つまり暴力団構成員というものに枠をかけて、それで、それに対して行政命令をかけるとか、行政命令に従わなければ罰則をする、そういう形で法律ができ上がっております。
したがって、我々としては、今、原則として、準構成員というのをもう少ししっかり調べた上で、ぜひ、これを暴力団構成員という形に認定ができるように持っていって、あいまいなままでの準構成員という形にしないで、それを暴対法で対応できるようなランクまで我々のいわゆる情報収集によってやっていく、まずそれを先決にしたい。その後どういうふうにするかということについては、またいろいろ検討していきたいと思っています。
○泉委員 国会は準備ができておりますのでと言うと言い過ぎかもしれませんが、この十年ほどで、準構成員まで含めた総数が約七千人ふえ、そして準構成員は約一万人以上増加をしているという状況であります。構成員の方は三千人ほど減ってはおりますけれども、そういった事情をきっともう重々御承知だと思いますので、ぜひお取り組みをいただきたいというふうに思います。
そして、私や、隣におります市村委員なんかは、昨年、民主党の治安・防犯対策のプロジェクトチームというのをつくっておりまして、そこでずっと議論をしていたんですが、その中で一つ明らかになったことがありまして、日本の教育の中での犯罪に対する教育はどうなっているのかというところの論点であります。
実は、いろいろ調べましたら、日本の高等教育においては、大学の学部・学科では一つも、犯罪学部、犯罪学科、あるいは犯罪心理学部、犯罪心理学科というものが存在をしておりません。これも私は大変ゆゆしき事態だなというふうに思っておりまして、専門的に教育を施す場所がない、また人を養成できる場所がないということが、結果的には、治安の悪化ですとか精神的な防犯知識をこれから先に進めていくことができないという状況があるのではないのかなというふうに思っております。
カリフォルニア大学には犯罪学部、フロリダ州立大学には大学院犯罪学部、すべてではありませんが、ストックホルム大学には犯罪学部、シカゴ大学法科大学院には犯罪司法研究センター、ポートランド州立大学犯罪学部、メリーランド大学犯罪学部という感じで、いろいろな形でこういった高等教育機関がございます。
長官が大学を設立できるわけじゃありませんから、そういった意味で私がやりますということではありませんけれども、こういった高等教育機関を、私はぜひ、やはり日本の国内でも整備していっていいんではないのかというふうに考えておりますが、長官の御所見をいただけたらと思います。
○漆間政府参考人 今の御提言は、大変私にとっては力づけられる御提言だと思っています。
確かに、現実に、高等教育機関にそういう学部はございません。今、我々としては、警察大学校の政策研究センターというのがございまして、そこで、大学の中で、社会安全政策論等の講座が設けられている大学がございます。これはいろいろ大学がございますが、そことか、あるいは大学院もございます。そういうところに職員を講師として派遣するという形でやっておりますが、これは大変ニーズが高くて、物すごく希望があります。ということは、将来的に言うと、本当に学部をつくってもいいぐらいじゃないかというふうに考えておられる先生方もおられると思います。
同時に、例えば地元の警察本部長も大学に行って講義するとかいろいろな形でやっておりますし、それから、警察行政の関係については、それぞれの大学の先生方をお招きして、社会の安全だとかそういうものについてどうお考えになるかということについても議論しております。
こういうような形でいろいろな人間関係をつくることによって、高等教育機関について、犯罪に関してちゃんとしたことを研究する部をつくるとか、そういう動きが出てくればと思いまして、今、盛んにそういう意味でのアプローチをしているところでございます。
○泉委員 恐らく、警察組織の中だけで人を養成するということも、予算的な面もあり、大変難しいところもあると思うんですね。
その意味では、各大学で、例えば町づくりの観点から、環境問題と治安の関係とか、いろいろな角度からの視点というのは、やはりこれから民間の側からも私は重要じゃないのかなと思いますし、それこそ、警察組織内での先進的な犯罪に対する理論ですとかを徐々に国民に普及させていかなければならないという中での、中間的な民間の役割というのをこういう方々が果たしてくださるんじゃないのかな。
また、警察の中でもそういった知識を持たれている方々が積極的にいろいろな大学に出かけていって、先ほどおっしゃっていただいたような講義をしたり学術交流を行う、私は非常にすばらしいことではないのかなと思っておりますので、ぜひその準備をしていただければというふうに思います。
長官へは最後になるんですが、一つ気にしていることがございます。それは、いわゆる犯罪の実態と国民の認識、先ほど長官がおっしゃられた体感治安ですとか、そういったものがやはり乖離をしているケースもあるのではないのかなというふうに思っております。
その意味では、象徴的なことを一つ挙げさせていただきたいんですが、やはり少年犯罪、警察の方のさまざまな資料では、三つの波、ピークがあるという形でグラフをとらえる、戦後の犯罪の傾向をとらえるわけです。
それからいいますと、今は必ずしも少年犯罪がふえている時期ではないというようなことがグラフからは読み取りできるわけなんです。しかし、内閣府の世論調査等を見ると、九〇%以上、ほぼ一〇〇%と言ってもいいぐらいの方が、少年犯罪はふえているというような認識を持ってしまっております。
もちろん、これにはマスコミ報道の影響もございますので、警察が何かバイアスをかけているというものではないというふうに思っておりますが、こういった乖離についても、これを是正していかなくては、逆に、警察の組織の勢力の適正配置ということにも支障が出てくることもあるのではないのかなというふうに私は思っておりまして、その意味では、こういったギャップをどう解消していくのかということが大切な課題ではないかというふうに思っておりますが、この点について長官の御意見をいただきたいと思います。
○漆間政府参考人 少年につきまして、少年が犯罪に手を染めているかどうかということについて、つまり認知という意味では、それは区分けができないわけですね。どうしても検挙件数で、あるいは検挙人員でいかざるを得ない。
そうすると、検挙人員は、確かに、刑法犯少年をとりますと、実際、昨年は前年に比べて八・三%減少しているわけであります。ただ、人口当たりの検挙人員で見ると少年は成人の約六倍でありますから、これはやはりかなり高どまりだという、つまり、少年人口も、特に刑法犯少年に当たる人口が減っていますから、それをどうとらえるかということだと思います。
我々としては、少年というのは、いわゆる刑法犯とかそういうものに染まる前から、ある意味では非行とか、その段階からかなりいろいろの補導をするとかやっているわけでありまして、やはりここの部分は力を入れていかないと、場合によると、こういうところにうんと力を入れているから刑法犯少年が減ってきているということもあり得るわけであります。
総合的にいろいろなことを考えながら、確かに、少年の問題は、いわゆる取り締まりとかそんなものじゃなくて、別の方に態勢をシフトしたらいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますけれども、やはり国家の将来を担う少年でございますので、少年については、いわゆる補導の段階から含めて、やはりきちっとした対応を警察としてもやっていかないと、これは将来的にまた少年犯罪が大変ふえてしまうとかいうことになりかねないので、その辺のところは、全体をよく総合的に見渡しながら、どこに力を入れていくかということを判断していきたいと思っています。
○泉委員 全国の警察組織のトップでもある長官にきょうはお越しいただきましたけれども、全国各地で、私の地元でもそうですが、さまざま、公休を使ったり非番の日を使って、地域でボランティア活動をしている大変すばらしい警察官の方々もおられます。
長官、御存じでしょうか。委員の皆さんは御存じないかもしれませんが、「いかのおすし」という警視庁が考えられた子供たちに対する標語でして、知らない人についていかない、車に乗らない、大きな声で叫ぶ、すぐ逃げる、知らせるという文字の頭をとって、「いかのおすし」というような、防犯教室を各地で非番や公休を使って頑張っている警察官もいるわけですね。
そういった全国で頑張っている警察官の方々に、最後に、長官、一言あったらお願いしたいと思います。
○漆間政府参考人 確かに、今、ボランティア活動をするという警察官もかなりふえてきているというふうに思っています。
ただ、残念ながら、どのぐらいやっているのかというのを警察庁としては把握しているという状態にはなっておりません。それから同時に、ボランティア活動をしているということによって何か特典があるのかというと、これもまた、ないという状況であります。
しかし、地道にボランティア活動をすることがそれぞれの地域の安全のために効果があるわけでございますので、やはりそういうことをやっている人間に対しては大いにエールを送りたいと思いますし、将来的にボランティア活動をどう位置づけるか、これもまたいろいろ検討してみたいと考えています。
○泉委員 それでは、長官、これで、どうも済みません、長い間ありがとうございました。
引き続き、委員長に質問をさせていただきたいと思いますけれども、今まさに、防犯ボランティアというか、警察官の地域でのボランティアですね。防犯ボランティアじゃなくて、警察官の地域でのボランティアについて長官から話がありました。最後、答弁でおっしゃられていましたが、実態の把握も今はできていないし、そして、何らかそれに対応してあげることもできていないということを話をされました。
これは、国としてはそういうことなんでしょうけれども、各都道府県においてもそういった状況だということでよろしいでしょうか。
○沓掛国務大臣 防犯ボランティアは、昨年の暮れで、約二万団体できております。(泉委員「防犯ボランティアじゃなくて、警察官のボランティアです」と呼ぶ)ええ、そう。はい、わかる。ですから、そこに、防犯ボランティアにたくさん警察官が入っているんですよ。ですから、非常な勢いで伸びてきておりますし、そういうものに素人だけではなくて、専門家的な人も入っていくというのは大変有益なことだというふうに思います。
また、この間、松原小学校に行きまして、小学生の学生さんを、女性の警察官といわゆるスクールガードをしている元警察官で、うまくコンビを組みながら、誘拐、拉致されないようないろいろなことを指導しておりました。
そういう点で、警察官、現職のボランティアも大切ですし、またOBのボランティアも大変活躍してくれておりますが、今のように、国として特にこれをどうするということについては、今長官が話したとおりでございます。都道府県においてどうかとかということは、実はまだ調査しておりませんので、今後そういうものをいろいろ聞いてみたいというふうに思っています。
しかし、基本的には、公休や非番の日において国民や地域のためにボランティアとして活動する警察職員については、やはり非常に、町の美化活動や、あるいは防犯、防災、そういう面で大変有効に頑張っておられるので、そういう方に何かのことができればという気持ちは強く持っております。
○泉委員 確かに、警察という組織は、ある意味組織力が非常に高いところですので、逆に、ボランティアを調査して位置づけをすると、今度は、それが競争というか、各都道府県競い合いになってもまた本来業務とは離れてしまうものですから、すべて調査をして、またそれを評価して、競いなさいということでは、もちろん、ないというふうに思うんです。
現在の自然な形において、やはりある程度顕著な例がある場合には、表彰されるケースなんかもあるかもしれませんが、最近、特にNPO活動、例えば災害救援ですとか、今言ったような防犯教室ですとか、そういったものに取り組んでいられる方々がおります。
また、中には、地域の方の要請がかなり強くて、本当に厳しい勤務の合間を縫って、その中で、参加せざるを得ないというと表現が悪いかもしれませんが、そういうようなケースもあって、現場の警察官としては、やはりそれは断るよりも、自分が多少疲れてもより多くの方々に防犯知識を普及していきたいという、これまた使命感と信念で活動されている方々もたくさんおられます。
ぜひそういったものを、緩くで結構でありますので、各地それぞれ評価していただけるようなこともお考えをいただきたいというふうに思っております。
次に、先日、我々も提言をさせていただいたんですが、またきょうは大島委員の方からも質問がありましたけれども、公安委員会の議事録の問題についてであります。
これはホームページでずっとお載せいただいていたんですが、やはり、これまでは審議があってから一カ月程度後になってようやくその中身が発表されるという状況でありましたので、これはぜひ、もう少し情報公開を高めていただきたい、迅速化していただきたいということで、議事概要というものは少し早目にお出しをいただけるというふうになりました。
それは大変ありがたかったわけですけれども、この議事概要を出されるようになってから、国民の方から、例えば反論、批判であっても、あるいは褒め言葉でもいいんですが、何かしらの反応というのは公安委員会に寄せられましたでしょうか。
○沓掛国務大臣 これまで、四月六日開催分から五月十八日開催分の計六回分の暫定版を掲載しております。具体的な国民からの反応はないものの、これまでにホームページに掲載したこれらの暫定版の議事概要に対して、少なくとも昨日までに約千三百五十件のアクセスがあったことを確認しております。
国民に対して適時適切に情報提供がなされているものと思っておりますが、委員言われますように、こういうものをどうしたらもっと広く国民にPRし、あるいは理解していただけるか。警察行政というものはやはり国民の信頼があってこそいろいろなことができるわけでございまして、そういう点では、まず情報を提供していく、そういうことについてこれからもさらにいろいろ検討していきたいというふうに思っております。
○泉委員 千三百五十件のアクセスがあったというのは大変すばらしいことだなと思いながらも、一方で反応がないということは、ある意味、まだまだ公安委員会そのものの存在、警察庁のホームページや警視庁のホームページというのは、恐らくもっともっとアクセスもあり、公安委員会よりも件数は絶対多いと私は思うんですね。その意味では、公安委員会という存在そのものをもう少し、ぜひ委員長、主導していただいて、国民の皆さんにも認知をしていただくことによって、また警察行政もより透明性が上がっていくことになるのではないかなというふうに私は思っております。
その意味では、ぜひ今後も、より早く、そしてよりわかりやすく、議事の中身について、また公安委員会そのものについて、こういったホームページですとか各種媒体を使って周知広報をお願いしたいということも要望として私は提案をさせていただきたいというふうに思っております。
そして、次の問題なんですが、先ほど、長官の会見というか、記者との懇談会の話が出ました。委員長も長官が記者と懇談会をされていることはきっと御存じかというふうに思うんですが、特に今の長官は非常に、いろいろとやる気みなぎる方のようでして、いろいろな提言をされておられます。
例えば、それは、先ほど言った耐震偽装の問題で、法令に欠陥もあるんじゃないかということを発言されたり、拉致問題の発言があったり、また防犯カメラの運用について指針をつくるべきではないかという提言がありましたり、これはぜひ今後、私も進めていただきたいというか、議員立法も含めてこれはぜひやっていっていいのではないかというふうに思っているわけですが、その中の一つで、やはり最近話題になったのは、法務省が、検察が取り調べの可視化を提言いたしました。
それに対して、警察庁長官が即座に、警察ではやらないということを明言されまして、これはいろいろとほかにも御意見はあるかと思うんですが、公安委員長の、警察の捜査に関する取り調べの可視化ということについての御見解をいただきたいと思うんです。
○沓掛国務大臣 その点、警察という立場とまた法務省という立場がいろいろあるというふうに思います。
まず、警察は、第一次捜査機関として事案の真相を明らかにすることが重要な責務でありますし、検察の方は、そういう出てきたものについて、公判的な面から、そういうものを維持していくというような面からの見方というものがあると思いますが、そこはまず一番最初の大きな違いだというふうに私は思っております。
被疑者の取り調べもその目的のために行っているわけですが、そこで、警察における取り調べの録音、録画については、一つには、被疑者との信頼関係の構築が阻害されるのではないか、おそれがある。また二番目として、組織犯罪の検挙、情報収集が困難となっていくのではないか。それから第三番目に、第三者のプライバシーが侵害される危険が生じるなど取り調べの機能が大きく阻害されることになるというふうに考えております。
この結果、事案の真相解明が困難となり、犯罪の検挙活動自体にも支障を及ぼすおそれがあるというふうに考えております。
○泉委員 この取り調べの可視化という問題は、長年議論がある問題ですし、また時代の流れでいえば、やはり密室の中での自白の信憑性というものが裁判でも問われるケースが非常にふえている、また裁判員制度も始まるという中での両論の議論があるというふうに思うんですね。
そういった意味では、長官の会見はかなり明言をされたものですから、公安委員長、やはりそこはぜひ慎重に検討をしていただく必要があるのかなというふうに私は思っております。検討の余地もないということでは、これはやはり大切な議論を、国民からの要請にこたえられないのではないのかなというところも感じますので、ぜひそこは御配慮をお願いしたいというふうに思います。
そして、たくさん問題があって恐縮なんですが、次に、地域安心安全ステーションのことについてお伺いをしたいと思います。
数年前から始まって、現在、三百三十一団体ということでよろしいでしょうか、指定をされている団体があると思いますけれども、この団体の活動ですとかさまざまな実態調査、これはもう進んでいるんでしょうか。
○沓掛国務大臣 これはかなり、いろいろ進んでおります。
まず、地域安全安心ステーションは、これはモデル的にあるところを選んで、そしてこの人たちが活動する上において必要ないろいろなものを国の方で貸与してあげる、ジャンパーであるとか防寒具、あるいはいろいろな腕章などなどですし、また、こういう人たち自身が車を用意して、青色回転灯をつけて回っておられるなどなどしております。
このうちの特別なものについては、いわゆる指定をいたしまして、そして、今申し上げたような、国等から、地方公共団体を含めてですが、こういういろいろなものを貸与するという形でございまして、それなりの調査というものは進んでいるというふうに考えております。
○泉委員 済みませんでした。先ほど私、安全安心を多分、安心安全と言ったかもしれません。たしか総務省の方は安心安全ステーションという別な事業があるようでして、非常にややこしい話なんですけれども、警察の方は地域安全安心ステーションですね。はい。どうも済みませんでした。
こういった団体、さまざまな支援の形があると思うんです。今おっしゃられたような、例えば防塵衣ですとかチョッキであったりブザーであったりということの支援がなされていると思うんですが、これは、例えば一団体の所属人員が、平均で結構ですが、大体どれぐらいの規模なのか。またあるいは、一団体に対する支援、これが大体幾らぐらいなのか。お答えいただける範囲で結構ですので、わかる、そういった団体の平均値みたいなものがありましたらお答えいただきたいと思います。
○竹花政府参考人 ちょっと突然のお尋ねだったものですから平均値等はございませんけれども、本年度選定をいたしました百地区の状況を見てみますと、五名ないし十名というのもございますし、それから、もう少し多い三十名程度のもので、三十一人というのもございます。そのような数の構成員となっております。
なお、今お尋ねの、どれぐらいの経費を地域安全安心ステーションモデル事業で一団体当たりに出しているのかということでございますけれども、この百団体については、十八年度、無償で貸与される資機材にかかる経費、約三千万円を措置しておりますので、割り返しますと約三十万円の経費となるものと承知をいたしております。
○泉委員 もう既にこの指定団体というか実施団体から御意見を聞かれたかどうかわからないんですが、そういった団体から、今のところ、いろいろとメニューがあると思うんですが、そのメニューにはない支援の中身で、要望が多い事項というのがございましたら紹介いただけますでしょうか。
○竹花政府参考人 例えば、私が直接聞きましたところでは、パトロールする際に赤色灯がついたり消えたりするようなものをつけ加えていただけないかですとか、実はあわせて、車を使ってパトロールをしているんだけれども、そのガソリン代を何とかしていただけないかといったような声を聞いております。それぞれ一カ所からですけれども、そのような声を聞いております。
○泉委員 ぜひ、やはり実際に活動してみて出てくる要望というのもこれからあると思いますので、なるべくその要望にはおこたえをいただけるように御配慮をお願いしたいというふうに思います。
そしてまた、今防犯ボランティア団体が全国に二万団体ということで、大変本当にありがたいことだと思います。犯罪がふえて治安に対する危機感が国民の中に高まったから防犯ボランティアがふえたんだと思うと、一概に全部を喜べるというものでは確かにないんですが、しかし、今こうして、やはり国民の力で防犯ボランティアがふえているというのは大変喜ばしいことだと思っております。
そういった中では、二万団体の中で現在三百三十一団体の指定ということになっておりますので、私は、ぜひこれは、もちろん団体の性質、活動実績というものをしっかり問わなければならない、支援をするわけですから、そういう側面もありますけれども、今後やはり指定数を伸ばしていただきたいという思いがございます。五百団体なり千団体なり、そういった計画をぜひお願いしたいと思うんですが、現在どういった状況でしょうか。
○竹花政府参考人 現在三百三十一団体をモデル事業として指定いたしておるわけでございますけれども、これは、国としては、あくまでも一つの地域活動を促すモデル事業として実施をいたしておるところでございますが、やはり三百三十一よりも五百の方がそうしたモデル事業としての効果はあるわけでございますので、また、地域からももっとたくさん指定していただきたいという要望もございます。
そういう要望も踏まえますとともに、またあわせて、地方自治体の方でもこうしたボランティア団体に対する支援をいたしているところが格段にふえているものと承知をいたしております。
そういう兼ね合いもございますので、今後のそうした推移を総合的に勘案いたしまして、私どもの実施しておりますモデル事業もできるだけ拡大する方向で努力をしていきたいというふうに考えております。
○泉委員 ありがとうございます。
ぜひ、モデル事業ということを改めて強調されると、数年後にはその支援がなくなるのかもしれないなと今一瞬浮かんだわけですが、確かに支援だけではなく自助努力で活動していくということが本来の姿でしょうから、いずれそういう時期が来るのかもしれませんが、とにかく今、全国各地、多くの団体がそういった形で取り組んでおりますので、これからもそのモデル事業の制度を高めるということからも、どうか指定をふやしていただきたいということは委員長にも私はお願いをしたいというふうに思います。
最後の質問になりますけれども、警察庁長官の会議での発言の中で、ことしの四月一日から始まった公益通報者保護法ということについての言及がございます。
これは、もちろんこの内閣委員会で、たしかおととしだったでしょうか、審議をいたしまして、この公益通報者保護法というものを成立させたわけですけれども、長官が、四月七日、全国首席監察官等会議というところにおいて、この公益通報者保護法の意味合いについて再確認をされております。そして、第三者的立場からのチェックを受けつつ国民の視点に立った厳正な監察業務を行うことは警察改革を推進する上で極めて重要なことでありますということで発言をしております。
この発言と、あと、国家公安委員会の中での議論の中で、この公益通報者保護法を警察組織にどう取り入れていくのかということが話し合われております。たしか三月三十日だったと思います。
その中では、例えば警察庁、外部の弁護士を通報先として導入をするのかどうか、これが検討対象だというふうになっておりますが、今後、委員長、どのようにこの外部の弁護士を導入するかどうか決断をされていくのか、お答えいただきたいと思います。
○沓掛国務大臣 公益通報のこの施行は、ことしの四月一日から施行されたわけでございますが、警察庁の内部通報にかかわる外部の窓口については、警察庁において、通報者の保護等の観点から、当該窓口が担う役割、当該窓口に委託する業務内容、当該窓口の委託先等について、内部通報の制度運用開始後の実態や内部通報をした者の意見、要望等を踏まえて、適切なあり方を検討していきたいというふうに考えております。
○泉委員 他省庁も今こういった外部の弁護士の導入というものを進めておりますし、また、民間企業ではほぼ当然のように、コンプライアンスということで外部に通報先を設けて、その通報の秘密を守るということであったり立場を守るということを前提とされているところが多くございます。
そういった意味からも、今後、外部の弁護士を導入するか否かということについては、ぜひ国民に見える形で決定をしていただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○佐藤委員長 速記を起こしてください。
――――◇―――――
○佐藤委員長 次に、内閣提出、遺失物法案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。沓掛国家公安委員会委員長。
―――――――――――――
遺失物法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○沓掛国務大臣 ただいま議題となりました遺失物法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における遺失物の取り扱いの状況にかんがみ、拾得された物件の返還及び売却のための手続、施設において拾得された物件に係る手続の特例、拾得者等への所有権の帰属に関する規定等を整備するほか、表記を現代用語化することをその内容としております。
以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、拾得された物件の返還及び売却のための手続に関する規定の整備であります。
その一は、警察本部長は、警察署長が公告をした物件が貴重な物件であるときは、他の警察本部長に通報することとするものであります。
その二は、警察本部長は、警察署長が公告をした物件及び他の警察本部長から通報を受けた物件に関する情報をインターネットの利用その他の方法により公表することとするものであります。
その三は、警察署長は、日常生活の用に供され、かつ、広く販売されているもの等については、公告の日から二週間以内にその遺失者が判明しないときは、売却することができることとするものであります。
その四は、警察署長は、提出を受けた物件の遺失者への返還のため必要があるときは、公務所または公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができることとするものであります。
第二は、施設において拾得された物件に係る手続の特例に関する規定の整備であります。
その一は、物件の交付を受けた施設占有者は、拾得者の請求があったときは、書面を交付しなければならないこととするものであります。
その二は、施設占有者のうち、不特定かつ多数の者が利用するものは、その施設を利用する者の見やすい場所に物件に関する事項を掲示しなければならないこととするものであります。
その三は、施設占有者のうち、交付を受けた物件等が多数に上り、かつ、これを適切に保管することができるものは、警察署長に届け出たときは、その物件を警察署長に提出しないことができることとするものであります。
第三は、拾得者等への所有権の帰属に関する規定の整備であります。
個人の身分もしくは地位または個人の一身に専属する権利を証する文書、図画または電磁的記録等については、拾得者等は、所有権を取得することができないこととするものであります。
第四は、その他の規定の整備等であります。
その一は、遺失物法の表記を現代用語化して平易化することとするものであります。
その二は、都道府県公安委員会は、施設占有者に対して報告または資料の提出を求めること、施設占有者がこの法律の規定に違反した場合等には必要な指示をすることができることとするものであります。
その三は、施設占有者が都道府県公安委員会の指示に違反し、またはこの法律の規定に違反した場合等の罰則規定を整備することとするものであります。
その四は、遺失者が判明しないことにより拾得者が物件の所有権を取得する期間を六カ月から三カ月に短縮することとするものであります。
なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る三十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十二分散会