第3号 平成18年10月27日(金曜日)
平成十八年十月二十七日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 河本 三郎君
理事 木村 勉君 理事 後藤田正純君
理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君
理事 平井たくや君 理事 泉 健太君
理事 松原 仁君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 上野賢一郎君
遠藤 武彦君 遠藤 宣彦君
小野 晋也君 岡下 信子君
川条 志嘉君 木原 誠二君
柴山 昌彦君 鈴木 淳司君
谷本 龍哉君 寺田 稔君
土井 亨君 中森ふくよ君
西本 勝子君 林田 彪君
牧原 秀樹君 松浪 健太君
村上誠一郎君 市村浩一郎君
小川 淳也君 川内 博史君
小宮山洋子君 福田 昭夫君
横光 克彦君 渡辺 周君
石井 啓一君 吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 塩崎 恭久君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 溝手 顕正君
国務大臣
(科学技術政策担当)
(イノベーション担当)
(少子化・男女共同参画担当)
(食品安全担当) 高市 早苗君
国務大臣 山本 有二君
国務大臣
(経済財政政策担当) 大田 弘子君
内閣府副大臣 林 芳正君
内閣府大臣政務官 岡下 信子君
内閣府大臣政務官 谷本 龍哉君
総務大臣政務官 土屋 正忠君
文部科学大臣政務官 水落 敏栄君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山中 伸一君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 荻野 徹君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 山本信一郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房政府広報室長) 谷口 隆司君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 藤岡 文七君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 丸山 剛司君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 柴田 雅人君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 板東久美子君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 西 達男君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 舟橋 和幸君
政府参考人
(警察庁長官) 漆間 巌君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 竹花 豊君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 縄田 修君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(警察庁警備局長) 米村 敏朗君
政府参考人
(金融庁総務企画局参事官) 山崎 穰一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君
政府参考人
(法務省刑事局長) 小津 博司君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 西 正典君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 本田 悦朗君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君
政府参考人
(外務省国際法局長) 小松 一郎君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君
政府参考人
(財務省主計局次長) 松元 崇君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 布村 幸彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 藤木 完治君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官) 清木 孝悦君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官) 西阪 昇君
政府参考人
(文化庁文化部長) 高塩 至君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森山 寛君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 村木 厚子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 御園慎一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 白石 順一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 小林 裕幸君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 舟木 隆君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官) 青山 伸君
政府参考人
(国土交通省自動車交通局技術安全部長) 松本 和良君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 鈴木 篤之君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
―――――――――――――
委員の異動
十月二十七日
辞任 補欠選任
遠藤 宣彦君 西本 勝子君
嘉数 知賢君 小野 晋也君
木原 誠二君 牧原 秀樹君
土井 亨君 上野賢一郎君
佐々木隆博君 福田 昭夫君
同日
辞任 補欠選任
上野賢一郎君 川条 志嘉君
小野 晋也君 鈴木 淳司君
西本 勝子君 遠藤 宣彦君
牧原 秀樹君 木原 誠二君
福田 昭夫君 川内 博史君
同日
辞任 補欠選任
川条 志嘉君 土井 亨君
鈴木 淳司君 柴山 昌彦君
川内 博史君 佐々木隆博君
同日
辞任 補欠選任
柴山 昌彦君 嘉数 知賢君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○河本委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官山中伸一君、内閣参事官荻野徹君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、大臣官房政府広報室長谷口隆司君、政策統括官藤岡文七君、丸山剛司君、柴田雅人君、男女共同参画局長板東久美子君、国民生活局長西達男君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君、警察庁長官漆間巌君、長官官房長安藤隆春君、生活安全局長竹花豊君、刑事局長縄田修君、交通局長矢代隆義君、警備局長米村敏朗君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、刑事局長小津博司君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、西正典君、本田悦朗君、草賀純男君、大臣官房参事官梅田邦夫君、国際法局長小松一郎君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、古谷一之君、主計局次長松元崇君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、藤木完治君、生涯学習政策局生涯学習総括官清木孝悦君、スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、文化庁文化部長高塩至君、厚生労働省大臣官房審議官森山寛君、村木厚子君、御園慎一郎君、白石順一君、農林水産省大臣官房審議官小林裕幸君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長舟木隆君、原子力安全・保安院審議官青山伸君及び国土交通省自動車交通局技術安全部長松本和良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。
○後藤田委員 まず最初に、国民生活の安定及び向上につきまして質問させていただきたいと思います。
最近、私も個人的に世の中のグレーゾーンという問題に取り組んでおりまして、特には消費者金融の金利のグレーゾーンについて、本当に皆さん方、国会の中、与党の中で議論してまいりました。
ただ、世の中にはそれ以外にもグレーゾーンというのはたくさんあるような気がいたしていまして、一つには、産業廃棄物という問題をこれからどう取り扱っていくかだとか、私も海を持つ選挙区なものですから、漁業補償だとか内水面の問題とか、皆さん是々非々あろうかと思いますが、これもまたいろいろと問題をはらんでいる、私はそう思っています。しかし、非常にクリアにならない部分もあるし、グレーをグレーのままで置いておくべきものも当然あるのかなという分野もあろうかと思います。
また、これは警察の関係にもなるんでしょうけれども、風営法の問題だとか、パチンコ、パチスロ遊技、これにつきましての景品交換につきましての問題、これもグレーといえばグレーだと思いますね。
そういった問題をぜひとも政府の方で、これは政治主導でやるということも当然なんですが、やはり政府も、国の形をつくる、国を憂えて役所に入ってきた方々なんですから、政治主導に任せず、そういったちょっとグレーなところは手をつけたくないという気持ちもわかりますけれども、ぜひしっかりとそういう問題に取り組んでいただきたいと思います。
その中で一つきょう議題にしたいのは、最近、飲酒運転等、交通事故だとか、それに巻き込まれる被害者の問題、これは大変社会問題になりました。
飲酒運転につきましては、お酒を飲んで運転した、そして、それで事故を起こした人間に対して、厳罰化ということで、大体そういったことで時の世論に対応して、またのど元過ぎればという状況になってしまうんですけれども、私は、その厳罰化だけじゃなくて、そもそも今現在の免許の取得時のあり方、そしてまた免許の更新に関して、今までやってきたことに対して問題点または反省点がないのかということを、いま一度、厳罰化以外に、制度論の問題として問題意識を持っていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
現在のこの問題に対する制度でございますが、まず、運転免許を取得した者に対しまして、すぐその後ということになりますが、一年間、初心運転者講習の制度があるわけです。これは、違反を犯しますと一点、二点、三点という点数をつけますけれども、三点に達しますと初心運転者講習を受講しなきゃならない。それで、もし受講しない場合あるいはまた再試験を受験しない場合には、免許を取り消す、こういうことにしておりまして、昨年の実績を見ますと、一年間で二百二十四万余の方が免許を取得されたわけですが、このうち、九万人強の方がこの初心運転者講習を受けております。
それから、その後ということでございますが、違反がありますと、この点数制度によりまして、六点以上ですと停止、それから十五点以上では取り消し、こういうことになるわけです。それで、その取り消した後の欠格期間がございまして、その後しばらくは免許を取れないということで、最長五年でございます。一年、二年、三年、あるいは五年でございます。
これらにつきまして違反点数も累次強化してまいりましたことから、免許の停止あるいは取り消しによりまして危険運転者を排除していくという数は次第にふえてきておるわけでございます。
点数だけのことを言いますと、酒酔い運転を例にとりますれば、昭和四十四年には九点でありましたが、四十五年に十二点、昭和五十三年に十五点、これは一発取り消しでございます。それから、十四年からは二十五点でございます。そうしますと、これだけで二年間は免許は再取得できないということになります。同様に他の無謀な運転につきまして累次点数を強化して、危険運転者の排除を図ってきたわけでございます。
それから、欠格期間につきましても、実は昭和四十四年には一年でございました。これは、四十五年に三年、平成十年にこれを五年にしていただいたわけでございます。
このような措置をずっと講じてきておるわけですが、これによりましても、やはりまだ違反があり、また事故があるということでございます。
それで十分であるかどうかということですが、これは、この制度が十分機能しているかどうか点検していかなきゃならないものと考えております。
もとより、今お話がありました、さらなる制裁の強化、これは、罰則もさることながら、危険運転者の排除という点からも必要でございますし、また、その処分を受けた者に対して私どもさまざまな講習をやっておるわけでございますけれども、飲酒運転で処分を受けた者に対しますと、その飲酒運転関係だけの対象を集めた学級を設けまして講習をしておるわけですが、そういうものの中身が真に感銘力を与えるものとなっているかどうか、このようなものにつきまして、さらに改善をしていく必要があるんだろうと考えておるところでございます。
○後藤田委員 今交通局長から、罰則化、罰則強化につきましてはしっかりやっている、ただ、更新制度につきましてはまた考えるところがある、改めるべきところは改めようというお話をいただきましたので、しっかりその制度改正に向けて、よろしくお願いしたいと思います。
もう一つは、今回、罰則強化だ、そういった話ばかりが紙面またはメディアでも流れるんですが、自動車メーカーへの責任という問題。
なかなかだれも言ってくれないので、ちょっとそこら辺はおかしいんじゃないかなと私は思っていまして、一部何か、あるメーカーさんは、息を吹きかけて飲酒チェックをしないとエンジンがかからないように、そういう車も開発は可能だと言っているわけですよね。
また同時に、僕は、飲酒だけじゃなくてスピード違反についても、これはおかしいなとずっと思っていたのは、日本は最高速度は百キロなんですよ。なのに、何で百八十キロのメーターを国家として許しているのかなと、これはいつも不思議に思っていたんですね。これ、まさにグレーゾーンですよね。同時に、トラックに聞くと、大体百キロぐらいでリミッターで減速されるというんですね、トラックについては。これはすばらしいことだと思いますよ。何で一般車に全部そういった機能をつけないのか。
車のメーカーというのは、これは大変な売り上げをして、国にも社会にも貢献されていて、また役所の方もいろいろな関係があろうかと思います、政治もそうだと思いますが。これはだれもみんな言わないですよ。メディアも言わないですよ。これはどうするんですかね。これはどうやって説明ができるんですか。
確かに、坂を登るとき大変だから二、三十キロやはりちょっと遊びの部分がないとだめなんだ、そういう説明をよく受けるんだけれども、では、百八十キロだとか、輸入車は二百何十キロになっていますよね、メーターが。これを皆さん許して、警察は百キロで取り締まっているわけですよね。これはどう考えたっておかしいじゃないですか。このことについて、自動車メーカー側にしっかりと規制をしない理由を教えてください。
それは、さっき言った、飲酒の、息を吹きかける車をちゃんとつくらせるとか、リミッターをちゃんとすべての車に取りつけさせるとか、また、今すぐできることは、百八十キロのメーターなんというのはおかしいじゃないですか。これは何でだれも言わないんですか、警察の方も。そのことを今まで日本はだれも言ってこなかった。それをちょっと教えてください、理由を。
○松本政府参考人 飲酒を機械的にできないようにするというお話と速度制限のお話と、二つあったと思います。
まず、飲酒の話でございますけれども、アルコールを検出して走行できなくなるような装置、アルコールインターロックと申しておりますが、これが開発され実用化するということは、飲酒運転による事故を減少させる上で有効な方策と考えているところでございます。
このため、私ども国土交通省、九月の二十五日でございますけれども、日本自動車工業会に対しまして、アルコールインターロック装置の実用化に向けた検討への協力を文書にて要請いたしました。今月の十日に、警察庁さん、経済産業省さん、そして私どもと日本自動車工業会、この四者の実務者による技術的課題を検討する勉強会を立ち上げたところでございます。
現状、今までの調査によりまして、アルコールインターロックにつきましては、検出するときの精度、さらには本人確認ができないなどの技術的課題があると認識してございます。
一方、海外でどういう状況かと申しますと、米国におきまして、飲酒運転違反者に対する罰則の一環として、一定期間アルコールインターロックというものを義務づける、装着を義務づけるという制度が四十六の州で導入されている模様でございます。また、スウェーデンでございますけれども、二〇一〇年以降、順次新車にこの装置の装備を義務づける、こういう法案が議会に提出されたけれども、成立が見送られたようでございます。
いずれにいたしましても、これらの国の取り組み状況についてさらに調査を進めたいと思っておりますし、それらも踏まえて、さきに申し上げました勉強会を進めていこうと思っております。
それから、リミッターと簡略に呼ばせていただきますが、リミッターの方でございますけれども、国産車が何で百八十キロまで、パワーのある車が、メーターがついているのかということにつきましては、現状、先生が先ほど御指摘になりましたように、登坂時や向かい風のときでの速度の維持あるいは危険回避のためということで、余裕が必要であるということから、自動車メーカーが自主的に制限したというふうに聞いております。
要点は、大型トラックはやっているのになぜ乗用車、ほかの車もそうでございますけれども、やらないのかということかと思いますが、安全対策の考え方でございますけれども、事故実態というものを集めまして、調査分析いたしまして、この結果、事故件数が多くて死亡事故率の高い、そういうところから重点的に実施しているところでございます。
大型トラックに対してスピードリミッターを入れた経緯でございますけれども、高速道路での大型トラックの事故のうち死亡事故に至る割合が普通トラックあるいは乗用車の二倍以上である、さらに、大型トラックの事故の半数以上が法定制限速度である八十キロメートルを超えた速度で発生している、こういうことを踏まえて、十四年の八月に基準を改正いたしまして、十五年の九月からスピードリミッター装着を義務づけいたしました。そのとき、既に走っている車につきましても装着を義務づけまして、全部終了いたしましたのはこの八月でございます。
先生御指摘の乗用車へのスピードリミッターの義務づけにつきましては、今回トラックに入ったわけですが、その規制の効果ですとか、高速道路における乗用車の事故の発生の態様、状況、こういうものの推移を見ながら、今後検討していきたいと思っています。
○後藤田委員 話を聞きますと、業界の自主規制、そして、そういうふうに聞いているという、非常に性善説に基づいてやっていらっしゃる。幾ら自由主義だとか規制緩和だとかいったって、やはり社会規制だとか安全だとかというものは政府や政治がやらなきゃいかぬのですよ。
それで、トラックの方が事故が多いから規制したんだというんだけれども、乗用車だって事故があるんだったら規制しなきゃいかぬのですよ。これは多分、その答弁を国民が聞いたら、何やという話になると思いますので、そこら辺は早急に案を、きょうはちょっと時間がないので、持ってきていただきたいし、自動車メーカーが百八十キロという理由を、客観的に、科学的に皆さん方はだれに確認をしたのか、そこら辺も後でまた私に教えていただきたいと思います。
それで、ごめんなさい、何人かお呼びしたんですが、時間の関係で申しわけないです。きょう、資料を提出させていただいておりますが、日本の消費者行政についてちょっとお伺いしたいんです。
日本という国は、高度成長をなし遂げている間に、本当はやるべき消費者行政というのが結局おざなりになっていた、何もしてこなかった、私はそういう認識を持っておりまして、その結果が、メーカー重視、企業重視という政治、行政の習慣になってきた。大体、役所も業法というのをつくって、規制法というのはなかなか、後から出てくる。消費者全体を見渡した中での消費者保護行政というのは実はなくて、経産省が自分の割賦販売法が一番消費者にとっていい法律だということを言ってのけるぐらい、実はだれもやっていない。
僕は内閣府にこの前政務官でしばらくおりましたので、調べたら、何と国民生活局というのが内閣府にあるんだけれども、そこでやっていることというのは、幅広く消費者に対しての法律の制度改革だとか制度設計とかというのは余りしていないんですよね。
では、日本の消費者行政というのはだれがやるんですかということをもう一回政府として考えていただきたい。公正取引委員会もそういう役割があろうかと思うんだけれども、この人たちも実際、消費者に対していまいちやられていないんですよね。
アメリカは、実はFTCというのがありまして、米国連邦取引委員会、これは大体千人ぐらいいるんだけれども、そのうちの半分は消費者保護行政をやっているんですよ。日本の公正取引委員会というのは七百人ぐらいいるんだけれども、一割しかいない、消費者保護行政。しかも、局が何か枝葉の枝葉ぐらいにしかなっていないんですよね。だから、こういう問題は多分、これからどの政党も、恐らく自分たちの政党のなりわい、旗印として消費者保護という問題をどうやっていくかということがこれからの、僕は有権者の奪い合いだと思いますよ。
その点私は、与党として先んじてこれを申し上げておきたいんだけれども、政府としてその点について見解があれば聞かせていただきたいし、そのおくれについて、公正取引委員会としてどう考えているのか。この人員で本当にやっていけるんですか、ちゃんと消費者保護行政やっているんですかということを、ちょっと最後に質問させてください。もう時間がないので、答えたら終わります。
○舟橋政府参考人 お答え申し上げます。
アメリカにつきましては、先生御指摘のとおり、連邦取引委員会、フェデラル・トレード・コミッションというところが、いろいろな法律に基づきまして競争政策と消費者保護政策、これが大体半々ぐらいの人数で行われておる。そして、このFTCがアメリカの消費者行政の中心的な機関ということになっておるわけです。
それに対して日本、これも先生御指摘のとおりでございまして、内閣府の方で総合調整機能を担われて、その傘下で、各省、私どもも含めて、それぞれの法律に基づいて消費者行政に取り組む、そういう形で相当違っておりまして、単純な比較はなかなか難しいかなと思います。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、所管の法律、これの厳正な執行と、そしてその中核をなしている内閣府と連携を図る、そういった形できちんとした行政に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
○後藤田委員 時間がないので、終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 次に、戸井田とおる君。
○戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。
きょうは、本来、林副大臣もお忙しい中わざわざ来ていただいたのは、何とか政府側で政治に携わる人に聞いていただきたいと思ったからであります。下村官房副長官にもお願いしたんですけれども、どうも手足を縛られたような感じですので。時間がないので早く進めていきたいと思います。
今お配りしました資料の四を見ていただきたいと思うんです。
これは、ソ連の元帥のヴァシレーフスキーから各方面の司令官にあてた指令書なんですね。ロシア文と両方あります。それから次に、その指令に対して返事を返しているんですね。報告をしているのが、スターリンとブルガーニン、アントーノフ、三人に対してしている報告です。それぞれ三つの書類があるわけですけれども、私、ロシア文は読めません。だから、この訳文と本当に合っているかどうかというのは確認はしていないんですけれども、ただ、経過を見てみると、かなり確証の高いものだというふうに思っております。
そしてその赤く囲った中に、一番最初のあれでいえば、「一九四五年八月十九日から九月一日までの期間に、北海道の半分、すなわち、釧路市から留萌市までを結ぶ線から北半分と、シムシル島までのクリル列島南部を占領すること。」というふうに出ているんですね。
これはやはり、ソビエト側の資料でありますから、当時この資料を見て何を読み取っていくのかということを考えると、ヤルタ協定ではかつての旧ソ連領は全部取り返すことになっているわけであります。だから、わざわざ占領する必要も何もないということを考えれば、ここで武力を使って占領しろということが書かれているということは、ソビエトは当時南クリル、南千島は日本の領土だったと見ていたというふうにもとらえることができるんじゃないか。
ただ、きょうはこれを追っかけるつもりはありません。国立公文書館、または税金で運営されている図書館の正常化についてお話をさせていただきたいと思います。
このように一次資料から調査をするということは、歴史認識を明らかにする上で欠かせないことだし、非常に重いものだと思うわけであります。その一次資料に基づかない歴史認識論争というのは、空想史観そのものでしかないというふうに思います。
現在、国立公文書館に所蔵されているいわゆるA、B、C級戦犯の資料、約数千冊のほとんどが非公開になっているんですね。これは資料の五を見ていただいたらわかるわけですけれども、私はこれをインターネットで検索いたしました。そしたらほとんどが、ずらっと見ていくと、非公開、非公開が多いんですね。
だけれども、一番表にあります黒の点のついている六〇二七の資料、これは「十五年戦争とパール判決書」といって、家永三郎氏の論文であります。このように、だれが見ても個人のイデオロギーに基づく論文が公文書館に所蔵されているということはおかしいんじゃないか。
それ以外の公開になっているものを見ていくと、やはりいろいろな何か意図があるような論文とか対談の記事だとか、そんなものが多いわけですよね。こういうものが公文書なのかということを考えると、どう考えてみても意図的にある歴史観への誘導をするための工作としか思えないんですね。
国民の税金で運営されている公文書館、そしてまたは我々の子供が使っているような公立の図書館、そんなところにいろいろなおかしなものがたくさんあるということを考えると、まず、公文書館のこの状態を、個人の論文、公文書はあれですけれども、それ以外のものは排除する必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、副大臣、どう思いますか。
○林副大臣 戸井田先生から大変大事な問題の御指摘がありました。
私もいろいろ調べてみましたけれども、今御指摘のあった文書については、実は法務省から当館にやってきたということで、ごそっとあった法務省からごそっと全部来たということであります。「公文書その他の記録」というのが二条にありまして、各行政機関が収集した論文等であっても、何かの目的で収集してあったということで、組織的に用いるために保有してあったということで、そこで排除せずに全部持ってこよう、こういう趣旨で入っているということであります。
○戸井田委員 いろいろ理由はあるんだろうと思いますけれども、この公文書館の非公開の書類、これは総理といえども見られないということであります、聞いてみますと。
それで、公開、非公開の基準があるのかということを聞くと、その辺が余りはっきりしていないんですね。
それぞれの出た資料を見ていただいたらわかるんですけれども、どうも雰囲気的には、アメリカの公文書館なんかで公開されているようなものは公開されている、だけれども、日本文のものなんかはほとんど非公開なんですね。もちろん、個人の秘密の大小等、そういう基準があるのはわかっておりますけれども、個人の名誉回復に直結するような、A級個人被告の弁護準備資料、こんなものまで非公開になっているんです。
その公開、非公開を審査するのが、何か五人ほど委員がおられるらしいんですけれども、その委員をだれが選ぶのか。その委員の中に、元NHKのBSの女性アナウンサーだとか、歴史の資料を審査することができるのかなと思えるような人も入っておられるわけであります。どんな基準で選出しているかも不明だ。
安倍総理は、歴史認識は歴史家にゆだねることが適当と答弁されておられます。こんなような状態で、例えば極東軍事裁判のことを歴史家が調べようと思って調べられるのだろうかということを率直に思うんですね。
やはり、こんな状態をなくすためにも、東京裁判からもう六十年ですよ、そういう資料を公開したっていいんじゃないでしょうか。それができなかったら、我々、東京裁判も戦争も本当に全く知らない人間だけの時代になって初めて公開されるということになるんじゃないでしょうか。その辺のところを。
○林副大臣 大変大事な御指摘だと思います。
私もちょっと法律を見てみまして、委員がお配りくださった資料の五の最後に別表の四というのをつけていただいております。
そもそも法律の趣旨は原則公開。制限をする場合には、今おっしゃったように、いろいろな手続でこの基準に基づいて制限をする、こういう仕組みになっておりまして、この別表四のうちの、今委員がおっしゃった八十年以上というのは一番下になる、遺族の利益も考慮するということですが、いろいろな文章を一つずつ当てはめているのかということを私もちょっと内部で検討させてみました。
それで、独法になったのが平成十三年で、何万件もある中で一つずつやるよりも、まず、こういう文書があるんですということを目録で出して、お引きいただいたようなことができるようにまずして、それから、先ほどの裁判記録、これは裁判に提出されていないものでありますけれども、法務省が収集をしたということで、これが千二百ぐらいあるんですが、その目録をつくった後の作業が非常に遅々としてはかどっていない。もし、例えば一番上のカテゴリーに当てはまっている場合は、もう三十年から五十年たっているわけですから制限が外れなければいけないわけですね。そういうことが、限られた人と予算の中で、一点一点のところを一つずつ、遅々としてまだ全部終わっていないという状況でございました。
ですから、委員の御指摘もありましたので、これは官房長官が担当大臣でございますから、大臣とも相談いたしまして、もう少し速く審査をやって、このルールどおりにできないのかということを検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
○戸井田委員 ぜひお願いしたいと思います。美しい国をつくるということは大変難しいことであると思いますけれども、やはり、こういうもとのところを大切にしていかなきゃいけない。
次に、手元の資料の六を見ていただきたいんですけれども、これは、東京都のある区立の図書館に所蔵されている書籍をコピーしたんです。
知る人はよく知った本だと思うんですけれども、この中で、ずっと資料を見ていくと、「集団で輪姦された上、皆殺しにされた現場の写真。」と説明がされて、矢印がついている。その次のページが虐殺された状況の写真ということになっているんです。
全部原本をここに持ってきております、後で、もしだれか見たい人があったら見ていただきたいと思うんですけれども、この写真の、本多勝一さんのこの部分、橋を渡っていくあれですけれども、上のところに今読んだように書かれているんです。隣に、こんな、目を覆いたくなるような写真が載っかっている。この橋の上を歩いた人たちがみんなそういうふうに殺されたというふうに見るしかないわけですね。
だけれども、この橋の上を渡っているその人たちのもともとの出どころは、ここにあるんですよ。
アサヒグラフの中に同じ写真がありまして、「我が兵士に護られて野良仕事より部落へかへる日の丸部落の女子供の群(十月十四日 熊崎特派員撮影)」というふうに書かれているんです。これはちゃんと、写真を撮った人も、日付も、きちっと書かれているんですよ。ところが、前のものはそんなことは一切書かれていないわけです。もともとのこの原本をとって中国側がそれをつくったということなわけであります。
だから、中国側が、日本の朝日の記者が撮影した写真を全く逆の目的で勝手に使用している。それをまた朝日の元記者が悪用しているわけですね、この本多勝一さんという人が。この人は、ことしの九月二十四日に、南京大虐殺記念館から、業績を認められて表彰されているんですよ。
こういう写真、もうだれが見たってわかるものですよ。こういうものを放置しておいていいんだろうか。一週間前ですよ、この本を借りてきたのは。そのまま同じようにして戦後何十年も、これは、本が発行されたのは一九七二年です。そのころからずっとそのままある。後、みんなこうやって、もうぼろぼろになるぐらい読まれているわけですよ。後ろの、借りた人のあれを見たら、一枚も二枚も張ってあるわけですよ。それだけの人が見ている。それを丸々信用しているということを考えたら、恐ろしいことじゃないか。
これに何とか手だてがないだろうかということで考えたんですね。そうしたら、この間、いろいろ話題になっていました富田メモ、あれを見ていてぴんとひらめきました。百聞は一見にしかずですから、こういう、少なくとも事実が完全に確認されているものだけでも同じものをちゃんと、資料七、お配りしていると思うんですけれども、資料七と同じものをつくってもらって、それをインターネット上で文科省でも公開するんですね、ページをつくって。それぞれの図書館がそれを引っ張り出してプリントアウトして、確定されたものの上に張りつける、富田メモのように。富田メモと同じように張りつけるんですよ。そうしたら、下に印刷されている写真と正しいものとが比較できるわけであります。
そうすると、そういうふうに発行された本が、例えばその中に何枚も何枚もこういうことが張られるようになったとしたら、資料として値打ちがなくなってくるのは当たり前だと思うんですね。ぜひそういうことをやっていただきたいというふうに思うんですよ。これは、お金もかからないし、すぐできる。
また、その情報をどうやって集めるんだといったら、今、インターネットの時代です。ネットボランティアというかネチズンというんですかね、最近の。そういった人らは真剣になって探しますよ。それで出てきたものを、本当にそれがそうなのかどうか確認すればいいわけですよ。それをされたものはちゃんとホームページに掲げていく。そうしたら、お金もかからずにすぐに、文化の日からでもできると思うんですよ。ぜひお願いしたいと思います。
○高塩政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘ございました書籍等の出版物につきましては、やはり、著者や編集者がみずからの主義主張に基づきまして写真等の資料を用いて作成するということはあるわけでございますけれども、当然のこととして、それが史実や事実に基づいたものでなければならないということは申し上げるまでもないと思っております。
しかしながら、国が民間の発行した出版物の内容につきまして変更を求めるということにつきましては、憲法で保障されております出版の自由との関係もございまして、慎重に取り扱う必要があるのではないかというふうに考えております。
先生御指摘の件につきましては、やはり、国民の社会常識や公正な判断等が相乗的に働くことによりまして、各出版社がみずからの良識ある判断と責任において適切に処理されるべき問題というふうに考えている次第でございます。
○戸井田委員 何言っているんですか、これなんかだって間違いない事実じゃないですか。載せられているキャプションから何から、全然違うことに使われているものを、それを訂正する。それも、消すわけじゃないですよ、焚書するわけじゃないじゃないですか。その上に正しいものを張りつけるだけでしょう。下も見られるようにしておいたらいいじゃないですか。それが、金もかからずにできる、みんな勉強する人がそれを見て正しいことを理解できる、子供たちがそういうものを見られる、それを何ですぐできないんですか。
正しいことですよ。正しいことを確認されて、一方の写真はいつだれがどこで撮ったかもわからない、だけれども、訂正された分はちゃんといつどこでだれがどういうふうにして撮ったというのが全部あるわけですよ。それができないなんということはないじゃないか。今すぐやりますと言ってくださいよ。
○高塩政府参考人 繰り返しの答弁になりますけれども……(戸井田委員「もういい、それだったらいいよ」と呼ぶ)史実等については、やはり民間の研究者において研究がなされまして……(戸井田委員「では、民間の人は勝手に」と呼ぶ)
○河本委員長 戸井田さん、発言中ですから、ちょっと待ってください。
○高塩政府参考人 研究がなされまして、そういった結果を研究者同士あるいは出版社の方に申し入れることによって、適切に出版社の方で処理をする、そういうことが適切であるというふうに考えております。
○戸井田委員 今、図書館の問題を言っているんですよ。もう発行されて、そこにおさめられたものですよ。それが何十年もこうしてあるんですよ。それ以外にも、有名な信用のある出版社がそれを使っているんですよ。何でそれが、正しいことを正しいとすることが、誤りを改むることにはばかることなかれというものじゃないですか。文科省でも教えているでしょう、それを。何でそれができないんですか。子供から見たら、それをどう思いますか。できないんだったら、それこそ議員立法でもつくって、やれますよ、こんなもの。
正しいことなんですよ、事実ですよ。そうしたら、正しいかどうかは別として、事実ですよ。事実を事実として使っていないこと自体がおかしいんじゃないですか。これから六十年でもって著作権が切れて、そんなものがぼんぼこ利用されるようになってきたとき、どうするんですか、ほかの資料でも何でも。そうしたら、世の中にある情報、全部うそか本当かわからないということになるんですよ。せめてそれくらいのことをやるのが文科省の責任でしょう。
次に行きます。
大臣、もう結構です。済みません、ありがとうございました。
ことしの五月、本委員会で私も取り上げました遺棄化学兵器処理の問題について質問します。
国会閉会中に、月刊誌の「正論」と週刊新潮、そして産経新聞などで検証が行われ、さまざまな問題点が表に出てきております。遺棄化学兵器条約では、兵器を遺棄する場合、当事国の同意が必要となっていることはわかっているんですけれども、旧日本軍が中国で化学兵器を遺棄したと仮定した場合、我が国がポツダム宣言を受諾して武装解除に応じた対象国の軍隊は旧ソ連軍と国民党政府軍と認識しているのですけれども、間違いありませんか。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
昭和二十年八月に連合軍最高司令官一般命令第一号というのが出ておりますけれども、その中で、まさしく今先生から御質問のあった、旧日本軍が兵器、装備を引き渡すべき相手としまして、満州を除く当時のシナ、台湾及び北緯十六度以北の仏領インドシナにおける日本軍は蒋介石総帥、それから、当時の満州、北緯三十八度以北の朝鮮、樺太及び千島列島にある旧日本軍はソビエト極東軍最高司令官に渡すということが指定をされております。
○戸井田委員 そうだとしたら、現在日中間で問題になっている遺棄化学兵器処理の入り口の問題が否定されることになると思うんですね。どういうことかというと、今の中華人民共和国は一九四九年に成立したんですね。終戦当時は中華人民共和国はなかったわけです。だとしたら、今中華人民共和国が言う、同意をしていないと回答していることは、当然のことであり、当たり前のことだと思うんですね。だから、そのことを根拠に我が国に遺棄化学処理の責任があると答弁していたこと、これはおかしいんじゃないかというふうに思うわけです。
ポツダム宣言を受諾後、昭和二十年八月二十一日に国民党軍と武装解除の会談の席で交付された忘備録に従って、シナ派遣軍所管の陸海空軍及び附駐部隊の弾薬など一切を引き渡すことに同意した文書の存在も明らかにされています。シナ派遣軍には台湾軍も含まれて武装解除が実行されていた。
そこで問題なのは、「正論」にも出ていましたけれども、遺棄処理の対象になっている赤筒百発、これは資料一を見て上から十行目ぐらいの右側に、赤筒百、小赤筒二千五百発などと記載されたこのリストが出てきたんです。これは平成十六年に政府に報告されていたとのことですが、外務省は御存じですか。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
今まさしく先生から御指摘のあった「正論」に掲載されている資料、外務省も当時、平成十六年になろうかと思いますが、承知しております。
○戸井田委員 そうしたら、本年二月に本委員会で、多分民主党の泉健太議員の質問だったのかもわかりませんけれども、正式に中国やソ連に化学兵器が引き渡されたという文書が発見されれば、基本的な枠組みが変わってくるというふうに答弁していましたけれども、それはどんなあれでしょうか。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
今先生から御指摘のありました資料は、台湾の関係する資料でございます。これは、当時の日中双方の責任者の署名、印章がございますけれども、一つには、台湾における兵器の引き渡し、その中に赤筒とかが含まれているのも事実でございます。それが条約上の適用範囲に当たるのかどうかという問題はあろうかと思います。
普通に考えればというのは変ですけれども、台湾のことは、この条約の適用の範囲に入らないのではないかなというふうにも考えられます。
○戸井田委員 台湾軍の総括リストが、前に言いましたシベリア史料館の中に存在するそうであります。それを含めて、トータルに全部を見ていったら、どういう形で武装解除が行われたというのがある程度わかってくると思うんですね。ぜひそれをきちっと捜してほしいと思います。
余りどなってばかりもおれませんから、冷静に言いますけれども、あの史料館にあるのは、総目録、リストは見ました、かなりのものがあると思うんですね。前回、今の総理が官房長官のときに、これは調査しますということをはっきり言いました。当時の山谷政務官が、私も行って、やりますということを言いました。行ってきちっとやったのかどうなのか。向こうから逆に情報を聞くと、向こうの人は、水間さんあたりは真剣になって真剣な目つきで捜していたけれども、役所の人は何か本気で捜しているのかどうかわからないというような言い方をしていましたよ。人は感じるんですよ、そういうものを。
だから一生懸命やっていないとは私は言いません、だけれども、非常に奇異な経過をたどって残った資料でありますから、本当にそれを解決していきたい、日本の国益を考えたいということを思ったら、もう飛んでいって、だれか専任で調べたっていいと思っているんです。ぜひそれをやっていただきたいと思います。
当時、ハーグ条約で、化学兵器というのは、開発も製造も保有も認められていた。先制攻撃以外は全部オーケーだったんですね。だから、別に隠す必要もない兵器だった。兵器としても、普通の爆弾と同じような形をしているわけでしょう。そうしたら、その中に全部まとまって、通常兵器と同じように武装解除して手渡しているわけですよ。だから、そんなもの残っているわけがない。日本には当時そういう資料がなかったんですよ、現実に、引き渡しのときの資料はソビエトにあったわけですから。
そうしたら、そんなことを考えてみれば、中国は、本当に日本にそういう資料があるのかどうか、じっと見ていたんだと思うんですよ。逆に言えば、本来、そういうふうにして処理しろと言うんだったら、この遺棄したものは全部間違いなしに旧日本軍のものですという挙証責任は、逆に向こうにあるんじゃないですか。私はそういうふうに思いますよ。
いろいろ言っていてもあれですけれども、次に行きます。
遺棄化学処理の対象になっている化学兵器の中に化学兵器禁止条約で規定されたもの以外の化学兵器まで実は入っているんですね、日中覚書の中で。それは、外務省は、赤剤とか緑剤、白剤、ピクリン酸、これが化学兵器禁止条約で規定されていない薬剤であることは認めますか。
○西(正)政府参考人 お答え申し上げます。
赤剤、緑剤は、その化学的性質などにかんがみて、化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当するというふうに考えられます。
また、白剤は発煙に使われる化学剤の一種でございます。化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当する青剤と混合して、青白弾として製造されておりました。この青白弾は化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当すると思いますが、白剤のみのものというのはいまだ発見されておりません。
また、ピクリン酸自体、これも火薬でございますので、それ自体は該当いたしませんが、これが他の化学兵器と一緒に使用されて、爆薬として使われております。しかるがゆえに、それ全体が化学兵器禁止条約上の化学兵器に該当する、このように考えさせていただいております。
○戸井田委員 非常に親切なんですね。だけれども、これは笑い話みたいな話ですけれども、先日、産経新聞に出ていました。今月二十日の、中国広東省シンセン市で、十七日、路上での乱闘を鎮圧するために出動した警察隊が催涙ガスを使用したといってニュースに出ているんですよね。緑剤というのは催涙ガスでしょう。今でも向こうでもって、中国で実際に使っているようなものを、仮に前の計算でいったら一発三千万ということで処理されているんだとしたら、こんないいかげんなやり方はないんじゃないの、ねえ、と言ったってしようがない。
私は、今、この処理がどれくらいかかるのかわからないけれども、十九年度の概算要求でも二百九十七億か何かという数字を見ましたよ。それで、現実にトータルで一兆円を超えるという話もあります。場合によったら、二百万発と言っていたものが期限ぎりぎりのところでもって出てきて、日本が処理できないんだったら我々が処理するからと、一発三千万で二百万発、六十兆円出してくれと言われたらどうするんですか。
今の日本の状況を考えたら、財政赤字の中でもってみんながきゅうきゅう言いながらやっているわけですよ。徹底した歳出削減を言いながら、みんな、国民もつめに火をともすような生活をしながら税金を納めているわけじゃないですか。その税金を、そんな解釈でもって中国に持っていく。
それは、日中の友好というのは大事ですよ。私だって、中国で生まれて、中国にはそれなりの思いはありますよ。今までいろいろな人脈もあった、人間関係もあった。そういうものを全部捨てるつもりでこの質問をしたんですよ。だけれども、まともな中国の人だったら、そんないいかげんな相手よりも、きちっと悪いことは悪い、正しいことは正しいで主張する人間をまともな相手として選ぶんじゃないですか。そういうことを外務省は真剣に考えてほしいですよ。
自分たちが、外務省が名誉をなくすことはいいですよ、勝手ですよ、そんなのは、自分たちのやったことだから。だけれども、そのあれでもって、日本の名誉がなくなるようなことになったらどうするんですか。こんなことをやっていて何か日本の国益になるものがあるんですか。過去にそういうことを判断したのも日本の政治家でしょう。政治に携わる人間が、自分たちと同類の人間に対して言うことかもわかりませんけれども、ここらでもう少しそういうものをやはり見直す必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
だから、一番の原因になりましたああいう日中覚書、それをもう一度見直す気持ちはありますか。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
まさしく条約といいますか、処理の基本にかかわるものでございますけれども、本当にそれを見直すべき証拠が我々の方にあるのか否か。先ほど戸井田先生も言われましたけれども、いろいろな文書が散発的に出てきているのも事実でございますし、それから、鶴岡の史料館にある資料、今もう我々調査に入らせております。
まだすべてはできておりませんけれども、そういう資料をやはり一つ一つ丁寧に見させていただいて、それを積み上げた上でできるのかできないのかという判断をさせていただくしかないと思っております。
○戸井田委員 鶴岡の史料館の人が言っているわけですから。本当に、さっき言った水間政憲さんというのは、やはり全部知っているんですよ。それを持っている人がどこに何を隠しているかということも、長い間に行ったりして話をしながら、心を許してくれない、そんな中でもって人間関係をつくっていって、わずかの瞬間をねらってと言ったらあれだけれども、そこでもって資料をコピーさせてもらって、帰ってきているんですよ。そういう中で出ている資料ですから。
それと、こっちが全部、当時のもの全部あるかといったら、戦争で負けたんですよ、ないことをわかって言っているのと一緒じゃないですか。だったら、申しわけありませんと頭を下げてやるんじゃなくて、じゃ、中国だって、それが旧日本軍が武装解除で渡していないということをちゃんと立証してみろということを言ったらいいじゃないですか。両方ともそういうあれがないわけでしょう。だったら、そこまで日本が譲る必要はないんじゃないですか。
非常に納得できませんけれども……(発言する者あり)大臣が来てくれないんですね。ちょうど記者会見であります。
では、次にいきます。
今、中国も、ずっといろいろな資料を調べていくと、かつて自衛隊の元第九師団長の三岡健次郎陸将がトウショウヘイ元副主席と対談をして、そのときにもトウショウヘイさんは、皆さんだけを責めるのは不公平だと思うというような言い方もしているんですね。その資料はあるんですよ。それから、毛沢東も社会党の佐々木更三委員長に対して、皆さん皇軍の力なしには我々は権利を奪うことは不可能だったというようなことも言ったりしているわけですよ。そんな資料をずっと集めてみると、最終的に、こういうものを見ると、中国の共産党は、中国の政権をとった後、一方的に侵略史観を毛沢東にしてもトウショウヘイにしても持っていなかったということがあるんじゃないか。
平和条約を結んで、平和条約が結ばれたら、それまでのことはもう水に流しましょうということでしょう。それがまた、政権がかわったらそのことを蒸し返されてということになったら、その辺のところ、平和条約というのはそういうものと違うんですか。
○小松政府参考人 一般論でございますが、平和条約と申しますのは、戦争の後に戦争状態を終結する、領土問題の確定をする、賠償請求権の処理をするということを主に定める条約というふうにされておりますけれども、この平和条約を締結されたら戦争をめぐる歴史的な認識の問題についてはもう蒸し返さないのかということを申しますと、一般論としてそういうことが言えるかということについては、なかなかちゅうちょするところもあるわけでございます。
過去のヨーロッパ等の歴史を見ましても、平和条約締結以降にいろいろそういうような議論があったということは事実であると言わざるを得ないと存じております。
○戸井田委員 もう時間がないので、何か最後に取ってつけたようなものが一つありますけれども、河野談話のことも聞きたかったんですね。石原信雄官房副長官の発言、文芸春秋の平成九年四月号で「密約外交の代償」、この中にやはり書かれているんですね。そういうこともぜひ言いたい。
だけれども、最後に、日本というのは、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで東京裁判を受け入れたということであります。しかし、それが裁判なのか多数派判決なのかということになりますけれども、たしか、資料三を見ていただきたいと思います。
これは、朝日新聞が最近の社説なんかでも、我が国はサンフランシスコ講和条約で、東京裁判で裁判を受け入れたとの論説を書いていますけれども、朝日新聞が昭和三十七年に発行した資料本の「東京裁判」、三巻あるんですね、その上中下の下巻の一番最後のところなんです。
そのコピーしてきました六行目を見てください。「かくて、米英ソ三国を中軸とする旧連合国の、旧日本帝国に、対する広い意味の懲罰作業は終った。この多数派判決は、サンフランシスコ平和条約において、新日本国政府代表吉田茂氏によって受諾された。」これは朝日が発行した本ですよ。その最後にそういうふうに書かれているんですね。朝日も東京裁判を皮肉って、多数派判決を受け入れたというふうに書いているわけであります。
そういういろいろな資料というのは、私は最初に申し上げてきましたけれども、一次資料を大切にしていく。そのことが間違っていれば、きちっと、資料はあれとしても、図書館なんかにあるような、間違いが山ほどあるようなああいう本は、ぜひ富田メモのように張りつけて、正しいものと間違って使ったものとをはっきりさせていく。これを私はオセロ作戦というんですけれども、今までそういうふうにして出してきたものを全部ひっくり返していく。ひっくり返されたものがちゃんと形の上で残っていくわけですよ。そうすると、本気で歴史をやったりそういうことをやろうとする人がいいかげんなことを書けないということなんですよ。それを文科省はやらないと言ったんですから、私は議員立法でもやれたらやりたいなというふうに思っております。
決して間違っているとは思わないし、このことを私自身も、すべてを考えてやっていけば、これだけ大勢の方々がみんな日本のことを真剣に考えているんだということを思えば思うほど、そういう間違いを正していくこの作業をきちっきちっとやっていくこと、それが一番大切なことなんじゃないかな、その時間の積み重ねの中にあってそのことが訂正されていくんだというふうに思っております。
まだ時間は五分ぐらいあるんですね。
○河本委員長 終わりました。
○戸井田委員 終わりましたか。それでは終わります。
ありがとうございました。
○河本委員長 次に、田端正広君。
○田端委員 公明党の田端です。
私は、きょうは、子供の安全等に関して、今社会問題でいろいろなことが大きな話題になっておりますので、漆間警察庁長官もきょうはお見えでございますので、その点について議論をさせていただきたいと思います。
まず、児童虐待の問題についてお伺いしたいと思いますが、先般、京都の長岡京市で非常に悲劇的な、三歳の子供さんが虐待による死亡、そういう事件がありました。また、一年前ですか二年前でしたか、大阪の岸和田市においてもそういった事件も発生しておりまして、この虐待問題というのが非常に残念な事件でありますが、しかし、いろいろな報道を見てみますと、その前後には必ずそういうサインが送られていたわけでありまして、そこをうまくキャッチできていなかったという意味では非常に残念だと思います。
厚生労働省と警察庁、それから都道府県の福祉部門の部局と県警察、あるいは児童相談所というのがあるわけですから、児童相談所と現場の警察署、こういう関連機関の連係プレーが人命を救うことになるのではないかと思っているわけでありまして、例えば、協議会とか対策チームとかそういうものも設置する必要があるのではないかと思いますが、まず長官の御見解をお伺いしたいと思います。
○漆間政府参考人 お答えいたします。
まさに先生御指摘のとおりのことでありまして、児童虐待はこのところずっとふえ続けております。やはりそれに我々も危機感を感じまして、ことしの九月に、厚生労働省とも連携をとりながら通達を発出しております。
それはどういうことかといいますと、児童の虐待が行われているということをいろいろなところが情報を入手するわけですけれども、その情報入手が共有されないんですね。
それで、我々としては、例えば警察署と児童相談所、この間だけでやっていてもだめだ。警察署がいろいろ児童相談所のところから連絡が来たとかあるいは警察署独自でそういう情報をつかんだという場合には、本部に上げる。本部は本部で、これに対してすぐ対応しなきゃならないという場合にはすぐ対応する。例えば警視庁なんかは、もう対策隊をつくっております。
それから同時に、児童相談所も含めて県の方の担当部局がありますから、今度は県の方の担当部局との間も県警本部、本部同士で話し合いができる、こういう仕組みをつくって、とにかくどこかで情報を入手すれば、あとはお互いに協力しながら、どうやったらこれを救えるのかということを工夫できる。やはりこういうシステムを構築しなきゃいかぬということでこの通達を出しております。
確かに、通達を出した後、京都で起こっておりますけれども、あの件に関しては、署の方で最初にお姉さんの方を保護いたしました。それで児童相談所に通告いたしました。これは児童相談所として基本的には別のところに保護する。その段階で警察署の方は、基本的には、確かに軽傷はあったとしても、つまり児童虐待の事案ではないという判断をしておりましたから、したがって、その後捜査をするというような形にはなっておりませんでした。その後、弟さんの方の案件については一切警察署の方には何の連絡もありませんでしたし、本来、児童相談所からそういう話があれば、警察署の方にもそれは来るべきだったと思いますが、それは一切ありませんでした。
そういうこともありますから、やはりこの連携がいかにうまくいくかというのが、今後児童虐待を防止するに大きな役割を果たすものだと私は思っております。
○田端委員 今おっしゃられたように、日本の行政はやはり縦割りになっているところに、今はもう縦割りでは解決できないような状況になってきている。これはすべてに大きくかかわっている問題だと思いますので、ぜひ、そういう視点でこれから連係プレーというものをやっていただきたいと思います。
例えば、次にいじめの問題を伺いますが、福岡県の筑前町における中学二年生の男子生徒の自殺の問題ですけれども、これも大変悲劇的なことでもあり、また、北海道の滝川市でも小学校六年生の女の子の自殺ということもございました。
こういうことについて、やはり子供の命を守るというのは、これは国の責任、責務だと思いますから、そこで、こういう事件をどうしていくかというのは、これはもう大変多角的に検討しなきゃならない問題だろう、こう思います。一昨日ですか、教育再生会議でもこの問題が大きなテーマになって、分科会、三つに分けて立ち上げて、そしてこの問題もしていこうということのようでございます。
ヨーロッパでは、例えば教師が、先生が非常に注意をして即対応する、そういう流れができているようでありますね。どうも日本はそういうところを見落としているといいますか、見過ごしてしまっているのではないか。だから、先生だけの責任にするつもりはございませんが、しかし、関係者、父兄も含めてそういったところすべてが連携をとっていくということが子供の安全ということにつながるんだと思いますし、こういういじめは、やはりある種そういう意味では犯罪事件にもなるわけですから、これは警察の責任も大きいと思います。
それで、私は二つ問題があるんだろうと思うんです。
一つは、先生、教員の意識の向上。教員を中心に、免許制度とかいろいろなことは今言われていますが、しかし、実際の現場の中で子供と接するそのあり方というものをどう改革していくかというのが一番の大きなテーマではないかというのが一つです。つまり、子供の命、人生を先生が預かっているんだという自覚、あるいは使命、あるいは責任感、こういったことに対する啓発ということが非常に大事ではないか。もう一度ここはしっかり問い直さなきゃならない。
もう一つは、起こった場合に第三者がどういうサポートをしていくかというその仕組みといいますか体制、ここが今できていないんだろう、こういう思いがします。例えば少年少女サポートチームみたいなものもつくるということも検討していいんだろうし、いろいろな方がそういう相談にかかわっていくということも必要なんだろう、声かけ運動とかそういうことが大事なんだろう、こう思うわけであります。
こういう二つの側面で、ぜひ、被害に遭った子供が再出発できることまで含めてやっていかなきゃならないと思いますが、警察庁長官として、まず、このいじめの問題についてどういうお考えなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、平井委員長代理着席〕
○漆間政府参考人 いじめの関係については、警察としては、いじめに起因して事件として検挙したとかあるいは補導したというようなものについて統計数値をとっております。それで、いじめに起因する事件は、平成十五年からやはりこれは非常にふえてきております。それから、いじめに起因する事件の検挙、補導人員も、これも十五年からふえてきているというのが現状であります。
それで、いじめに起因する事件に関連した被害者、その被害少年ですけれども、それが一体どういうふうにこのいじめが起こったときにどういう人に相談しているかということについて、一応聞いております。もちろん、これは複数回答がオーケーだということになっていますが、一番多いのは、保護者に相談したというのが四一・九%、これは平成十七年の段階であります。教師に相談したというのは三一・五%であります。相談しなかったのが三五・五%、こういうことであります。
そうなりますと、ここから考えますと、やはり、まず保護者なり教師に相談した段階でその情報をどういうふうに取り扱うかということで、いかに早く関係機関と連携がとれるかということだと思うんですね。
今先生もおっしゃったように、教師に対しても三一・五%といいますから、それだけ相談はしているわけでありますが、残念ながら、相談しているけれども、これはいじめとしての事件になってしまった、こういうことなんですね。だから、事件になる前にその兆候をつかんだ教師がそれを関係のところに連絡して、そしてこれを未然に防止するということも必要だと思いますし、それから、保護者にも当然相談をしていますから、教師以上に相談していますので、保護者の方からもやはりそういう話が上がってこなきゃいけないと思うんですね。
そういう意味では、我々として、警察に相談が来るというのは余り多くないんですが、少年相談などもありますし、そういうところでやはり、自分はいじめに遭っているんだという話があればすぐ対応がとれる仕組みにしたいと思っていまして、今現実に構築しておりますし、また、少年サポートチームというのもできておりますから、そういうものの被害に遭った被害少年の立ち直りのための施策も講じていますので、これをうまくどうやって連携させるかということと、それから、やはりそういうような兆候をつかんだときにいろいろな関係の機関が早くどこかに話をする、これが大事だと思います。
まだなかなかそのところが十分に機能していないという点に問題があるんだろうと思いますので、ここは、警察は警察としてやるべきことはやりますが、他の官庁でやらなきゃならないことについては警察としても問題提起はしていきたいというふうに思っています。
○田端委員 内閣官房の方から、これに対する御意見、回答はありますか。
○山中政府参考人 お答え申し上げます。
いじめによる自殺という本当に痛ましい事件が起きております。いじめ問題への対応は、教育再生会議におきましても、公教育の再生あるいは家庭、地域の教育力の向上ということを考える上で重要な検討課題の一つと考えているところでございます。
一昨日開催されました第二回の教育再生会議におきましても、委員の方々から、いじめ問題に対して対応が必要だという意見が出されたところでございます。
また、教育の現場あるいは子供たちを取り巻く社会の現場に委員が直接出かけて現場の生の声を聞く再生会議委員の現場派遣、その一環として、一昨日、義家委員それから山谷総理補佐官が、小渕文部科学大臣政務官とともに、いじめによる自殺が問題になっております福岡県の筑前町に参りまして、関係者からお話を伺ったところでございます。このお話、これも今後の審議に生かされるものと考えております。
教育再生会議では、今後、分科会を設けて審議を進めるということとされておるところでございますけれども、先生御指摘の教員の意識の問題、あるいは、起こった場合にどうサポートするか、その対応の問題、こういうことについても本会議の場におきまして真剣に議論されるものというふうに考えております。
〔平井委員長代理退席、委員長着席〕
○田端委員 大変深刻な事件であるだけに、議論ばかりじゃなく、早く対応できる体制、仕組みというものをお願いしたい、こう思います。
この子供の安全の問題は、子供さん自身が巻き込まれる事件、登下校中の事件、あるいは学校内における事件等々いろいろな要素があって、しかもそういった事件がここ数年ずっと多発しているという意味では、非常に残念な状況にあると思います。
例えば、全国の小中学校における、まず子供さんに対しての、防犯、予防するための教室を開いていただいて、何かあったときにはこうするんだというふうなことをしていくことも大事ではないかと思います。
きょうは土屋政務官にも来ていただきました。土屋政務官は武蔵野市長を長い間やっていただいて大変現場にはお詳しいと思いますし、それから政務官のお考えも、市町村の仕事の位置づけということについて大変いろいろなことをお考えされているようでありまして、先般、質疑の中でも、防犯問題というのは市町村の仕事として地域の総合力をもって体制を整えるべきだ、こういう御意見のようでありまして、まさに私の思いと一緒であります。
それで、私は、一言で言えば地域力、地域力をどう高めるかということによってそれぞれの地域で犯罪を防いでいくという、警察が一番の中心ですけれども、しかし、地域における皆さんの力、ボランティアの力、これが大事だろう、こういうふうに思っているわけであります。
ちょっとその先に、全国で今、学校安全ボランティア組織、大変活発にふえていると思いますが、現状はどのぐらいできたんでしょうか。ちょっと御報告いただけますか。
○西阪政府参考人 お答えいたします。
各学校で地域の方々が子供の学校安全のためにさまざまな形で御協力をいただいているところでございますが、私ども、すべての小学校をカバーできるようにということで、スクールガードリーダーの方を二千四百名配置したいということで、今年度、予算も倍増したところでございます。
具体的には、各都道府県の方から二千九百名の方々の登録がございまして、そのような方々が各学校を巡回していただいているところでございます。
○田端委員 いや、スクールガードリーダーの数は大体わかっているんですが、そうじゃなくて、それをもとに、そこに参加するボランティア組織が今たくさんできているということで、これは警察庁になるんですか。
○漆間政府参考人 少年に限定している、それから登下校の関係にのみ限定してボランティア活動をしているというのは、ちょっと私の手元にはないんです。一応、ことしの六月末時点で、そういういわゆる地域で犯罪が起こらないようにする、もちろんこの中には当然、子供の登下校時に一緒についていって犯罪を防止するというようなものも含まれていますが、基本的に全国で今二万六千団体を把握しているということです。
あと、子供に特化されている部分がどのぐらいあるかというようなことについては、後でわかりましたらまた御連絡させていただきます。
○田端委員 今、二万六千、ボランティア組織ができている、これは子供に特化しているかどうかわからないけれどもという前提ですが、しかし、これは大変大事なことだと思います。それは、全国の小学校の数というのは二万三千幾らだというふうに聞いております。ということは、大体、一小学校区に一つのそういうボランティア組織が今できつつあるんだ。これはここ一、二年急激にできたんだろうと思いますし、特に、去年でしたか、大阪の寝屋川中央小学校での悲惨な事件がありまして、そこから、ボランティアということで地域住民、父兄の方が参画してくださる流れができ上がったと思います。
つまり、二万六千の組織がある、この組織というのは物すごく大事だろうという意味で、この組織を軸に警察も協力していただく。もう一つは市町村の窓口がきちっと設置されて、そこと連携をとれれば物すごく力を発揮するのではないかと思うんですが、土屋政務官の御所見をお伺いしたいと思います。
○土屋大臣政務官 お答え申し上げます。
今御指摘がありましたように、市町村の持つ総合力といったようなものを活用していくという方向は田端議員のお説のとおりであろう、このように考えております。
総務省といたしましても、モデル事業として地域安心安全ステーションモデル事業などをやっておるわけでございますが、まだモデル事業の域を出ておりません。したがいまして、今後ともそういった事業を拡充していくことも大事でありますが、首長の経験者として申し上げますれば、やはり、首長の問題意識、市町村長の問題意識、こういうことが非常に大事かと存じます。
例えば、今漆間長官から答弁をいたしましたが、いじめの問題などについても、いじめが発見される一番多いケースは保育園などであります。保育園は衣服を脱がせますから、体に傷があるといったようなことについてもよくわかるわけであります。ところが、その保育園側の情報がどこまで上がってきて、どのように例えば警察やあるいは関係保護者など地域の皆さんとその情報を共有して対策ができるかどうかというのは、やはり市町村長の仕事ではなかろうかと存じます。
同じようなことが教育の現場でも言えるわけでありまして、学校教育の現場で、そういった情報が上がったときにそれをどう全体として調整していくか、これが一つの大きなポイントになるだろうと存じます。先進的な市町村では、市長、首長をキャップにいたしまして、地域に呼びかけてそういった協議会を立ち上げているところが多いわけであります。
私ども、自分のところの例を引いて恐縮ですが、武蔵野市の場合には生活安全条例というのをつくりまして、そこに地元の警察にも御協力いただいて、警察署長、保健所長、消防署長、消防団長、それに市長が加わりまして連絡会議をやると同時に、その下に協議会をつくってネットワークを張っているところであります。このような経験が全国へ広がっていくということによって地域の安心、安全のネットワークがきめ細かくできていくんだろう、このように考えております。
予算も伴うことでありますが、同時に、首長のやる気ということが非常に大きいわけでありますので、総務省といたしましては、全国市長会や全国町村会などとも連携をとりましてこういう事例を全国に発信していくように努力していきたい、かように考えているところでございます。
○田端委員 大変経験に基づいた、本当に現場をわかった上での御答弁、ありがとうございます。
もうまさに私もその思いでありまして、簡単に申し上げますが、小学校が全国二万四千ある、二万四千の小学校に今二万六千ぐらいのボランティア組織ができつつある、そして、さっきスクールガードリーダーが二千九百人とおっしゃいましたが、一人が十校を担当するということですから、二万九千校担当できるわけですから、これも二万四千の全小学校を網羅できる。こういう仕組みは今できつつあります。
だから、あと、今土屋政務官がおっしゃったように、市町村の長の意識が大事だ、こういうお話でございますから、武蔵野市でつくられているという生活安全条例ですか、これの国版の、国としての生活安全基本法みたいなものをつくった方がいいんじゃないか、私は、きょうこういう御提案をさせていただきたいのです。
それは、今申し上げた流れが今できつつあって体制ができつつあるわけですから、そして市町村にはそういう条例を持っている市町村もたくさんできつつありますけれども、しかし、それなら、もう国として基本法をつくって、そこに基本的なことをきちっと網羅して、そしてそれを各都道府県、市町村でやっていただく、こういうことが大事ではないかなと思います。
警察庁は、治安再生の重点政策のトップに、安全・安心なまちづくり、子供を守る地域安全安心ステーション推進事業、こういうことを掲げているわけです。この地域安全安心ステーションというものは、私の調べたところでは、警察庁の方で既に三百幾つあって来年は百ふやす、消防庁の方では二百三十ほど既にできています。それを、この地域安全安心ステーションがボランティア組織と一体になって、そしてやっていくことが大事ではないかな、こう思うわけです。
幸い、溝手大臣は国家公安委員長と防災担当大臣とをなさっておりますから、この子供の安心、安全、地域の治安ということを軸にして、そして、自然災害、地震や台風といういざというときにも、ボランティアの主たるメンバーは重なっていると思うわけでありますから、地域の地域力を高めるために、子供の安心、安全という町づくりと、それを表に立てながら防災と一体になってこれをやっていく、こういうことをできないだろうか、こう思っているんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○溝手国務大臣 お答え申し上げます。
今、土屋政務官の方からお話がございましたように、私も地方で首長をしておりまして、地方の安全、安心を中心とした防犯、安全力を高めていくというのは極めて重要なことだと思っております。
そのためには、さまざまな方策があろうかと思いますが、いわゆるソフトの面での方策、ハードの面での方策、例えば、自治会や町内会の集会所を利用する制度をつくるとか公民館を利用する制度をつくるとか、いろいろございます。活動拠点を与える、我々の警察庁で行っている活動も機材等の提供を行うというハードの一部を受け持っているわけでございますが、こういう防犯活動や防災活動の恒常的な拠点を設置するためには地方自治体の協力が不可欠であろうと思っております。このために、市町村と連携しながら政策を進めていく必要があろうかと思います。
御指摘の安全安心基本法の問題につきましても、さらに議論を深めていかなくてはいけない、このように受けとめているところでございます。
○田端委員 これも大変大事なことであります。改めてまた議論をさせていただきたいと思いますが、ぜひ地域の安全、安心というその考え方を、地域力を高めるためにどうあるべきかということをお互いに知恵を出し合いたい、こう思います。
大田大臣に、きょうはお忙しい中を来ていただきましたので、ちょっと一言質問させていただきます。
この前、大臣所信の表明の中で、国民生活と関連する問題として、若年層を中心にした経済格差の拡大の懸念や、地域間の経済活動のばらつきに対処するため、人材育成の強化や再チャレンジ支援に取り組んで推進していくという御決意を御披露いただきましたが、これは大変大事な視点だと私は思っておりまして、日本経済が持続可能な成長を続けていくためにも、この若い世代をいかに落ちこぼれのないようにしていくかということが大事だろうと思うんです。
ところが、フリーターとかニートとか、いろいろなことが問題になっています。フリーターになってしまえば、生涯賃金でいけば正規社員の三分の一ぐらいになると思うわけでありまして、そうすると、社会保障のいろいろな、年金とか健康保険とかそういったこととのかかわりにおいて大変大きな差が出てくるんだろう、こう思います。
そういう意味で、今二百万人以上いると言われているフリーター、そしてまた六十万人以上いるというニート等も含めて、こういった方々に対して本当に、山本担当大臣もいますが、厚生労働省もありますけれども、日本経済を引っ張る立場として、大臣として、こういった若年層の雇用の問題ということについての御所見、日本の将来の持続可能な発展のためにどうあるべきかということを、特にまた企業側に対してどうこれからやっていくかということについてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○大田国務大臣 再チャレンジ支援策は、経済財政諮問会議でも大変重要な柱と位置づけられております。先日の諮問会議でも、七大重点項目の一つとして、この再チャレンジ支援を含む労働市場の改革が掲げられました。具体的な施策は、今先生の御指摘の点を踏まえて、これから検討していきたいと思います。
これまでも、三月に、厚生労働副大臣が日本経団連や商工会議所に応募の機会を拡大するように要請しております。また、再チャレンジ推進会議の中間取りまとめでも、例えばフリーター等を国家公務員の雇用として拡大できないかという提案もいただいております。
このような点を含めまして、これから山本大臣と連携して有効な策を精力的に検討してまいりたいと思っております。御指導よろしくお願いします。
○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党、市村でございます。
本日は一時間という時間をいただきまして、質問また議論をさせていただきたいと存じます。
きょうは、漆間警察庁長官お見えでいらっしゃいますので、ぜひとも、なかなか日ごろ長官とは議論できませんので、特に長官を中心に議論をさせていただきたいと存じます。
ただ、これまで私も、こういう議会に来させていただいて三年弱たちますが、内閣委員会に所属し、特に警察問題に、いろいろと皆さんの御指導をいただきながら取り組んでまいりました。
その中で、国家公安委員長の立場というか役割というのが、実はなかなか、思ったほど力がない、下世話な言葉で言えばそうだということがわかってまいりました。警察機構改革というのも今後やらなくちゃいけないと思いますが、きょうはそこの議論はせずに、もっと、今まで議論してきましたことにつきまして、また新たに国家公安委員長もかわられましたので、議論をさせていただきたいと存じております。
国家公安委員長に一度お尋ねしたいんですが、これまで過去、警察の不正会計疑惑、我々は裏金づくりをしているということで追及してきたわけでございますけれども、これにつきましては、前の前の前の小野国家公安委員長、前の前の村田国家公安委員長、また、前の沓掛国家公安委員長とも、所信の中できちっと、この問題についてちゃんとやっていくということを述べられていたんです。だんだんと行数も少なくなってきましたが、沓掛国家公安委員長も、「引き続き、警察改革の一層の推進及び会計経理の適正化を図ってまいります。」と、警察改革の一層の推進とまでおっしゃって、この問題について積極的に取り組もう、こういう思いが出ていました。
実際に、いろいろな当委員会のこういったやりとりの中でも、沓掛国家公安委員長としては何かしたいと、その前の村田委員長もそうでしたけれども、そういう意思は感じ取れたんですね。
ところが、今回の国家公安委員長の所信表明の中には一言もこのことに触れていなかったということでありまして、これは大変残念な思いをしておりますが、なぜ今回の所信の中には、今までのこの問題、お触れになっていないんでしょうか。
○溝手国務大臣 お答え申し上げます。
一連の不適正経理の事案を踏まえまして、適正な予算執行の確保は今後とも持続的に断行すべき警察改革の重要な推進項目の一つであると認識をいたしており、本委員会においても、私は、警察改革の一層の推進を図るということで申し上げたところでございます。
国家公安委員会といたしましては、会計経理の一層の適正化は国民の信頼回復に不可欠であると認識をいたしており、引き続き、厳重な監査の実施を初めとする所要の対応をして、適切になりますよう督励をしてまいりたいと考えております。
○市村委員 言ってきたとおっしゃっていますけれども、今初めておっしゃっていただいたので、これは別に悪いことではありません。今おっしゃっていただいたことはありがたいと思いますし、ありがたいというかあるべきだと思いますし、この内閣委員会を通して、また溝手国家公安委員長には、ぜひともこの件については、特段の御理解と、さらに、いろいろな指揮監督はできますので、警察庁に対して、今の警察に対する国家公安委員長の権能の中でできる限りのことはしていただきたい、このことをお願いしたいと思います。
さて、漆間長官、これまで私たちはいろいろ議論させていただきました。漆間長官は、いや、それは問題があれば言ってほしい、そうしたら適切に対応する、こういうことでありましたけれども、我々の立場は、我々の意見は、決してこれは、これまで出た北海道とか愛媛とか、そうした特定の地域の問題ではなくて、これは実は前の総理大臣の小泉さんもおっしゃっていたように、どうも全国的な問題であるということでとらえていただいた上で、この警察の不正経理問題、また、我々の言葉で言えば裏金問題をきちっと解決していただきたい、こういうことでやってまいりましたが、その後の警察庁における取り組みについて長官の方からお願いいたします。
○漆間政府参考人 今の御質問にお答えする前に、国家公安委員会の委員長は、所信的あいさつの中で「警察改革の一層の推進」は述べていますので、この場で初めて述べたということではございませんので、その辺のところはちょっと、私どもとしては御認識を改めていただきたいと思っています。
それから、これまで何度も、いろいろ議論をしてまいりました。いわゆる北海道とか福岡とか、それから静岡とか、起こっていますけれども、これは全国的に起こっている問題だというのであれば、全国でそれはいろいろな形で、具体的にこういう問題がありますよというのが出てきて初めてそれを認識する問題でありまして、したがって、私たちといたしましては、これは全国的な問題ではない。やはり当該都道府県警察のそれぞれが会計経理については独自のやり方をしておりますので、そこで、特定のところで起こったものであるという認識は、これは今でも変わっておりません。したがって、ここの点については、先生とは平行線のままだろうと思います。
ただ、平成十六年に、国家公安委員会規則で会計監査に関する規則ができました。これをもって、ずっと、全国警察に関して、原則として全部その年度中に監査を行うということでやってきておりまして、特定な、書類のつくり方について多少問題があったというケースはありましたけれども、裏金をつくっているとか、そういうような状況が出てきたことは、今まで、平成十六年以降の会計監査、警察庁で行う会計監査でも出てきておりませんし、それから、その後都道府県の監査委員の監査もありましたし、それから会計検査院の監査もありますが、特に特段の指摘を受けたこともございません。
したがって、我々としては、今後ともこういう事案が起こらないように、今打っている施策で足りなければまた新たな施策も打って、絶対に今後二度と起こらないように、万が一起こった場合には、いつも申し上げていますように、正すべきものは正す、返すべきものは返す、それから処分すべき者は処分するという、この方針で厳正に対応したい、こういうふうに考えています。
○市村委員 今の長官の中で、私の発言に対して、「警察改革の一層の推進」という言葉が入ったということでありましたが、これで今までの会計処理のいろいろな不適切なことについて読めということだったと思いますが、なかなか読めない。なぜならば、沓掛前国家公安委員長は「及び」ということで分けてあるわけです。ということは、こっちの、会計経理の適正化を図るということについては、これは今回あえて省いたという意識だと思いますので、読めないんですね。
だから、さっき冒頭で申し上げましたように、警察機構の改革とかを含めた警察改革の一層の推進というのは当然あるべきだというふうに思っています。ただ、私たちが今指摘している問題は、そうした大きな問題も、もちろん、これからといいますか、これまでもやってこなくちゃいけなかったんですが、いわゆる裏金問題と言われるものについて、しっかりとやはり警察は正しい認識を持っていただいて、そして国民に対してきちっと説明をしていただくことが必要だということを申し上げているんです。
それで、平成十六年度以降はないと、これまでこれだけ議論して、それでまだやっているというのは、それは当然ないと信じておりますけれども、私たちとしては、今の問題だけじゃなくて過去の問題にさかのぼって、やはりきちっと警察というものは、これまでのあり方をしっかりと反省し、その反省の上に立って、本来警察が立つべき国民の生活の安定と安全、安心というものに努めていただきたい、こういうふうな主張をさせていただいているわけであります。
その中で、今まで議論してきたんですが、過去のことについて、なかったと。いや、見つかったところだけは何かやったけれども、あとはないはずだというのでは、これは通らないと思います。というのも、警察を退職された方々がいろいろ本を出していらっしゃいます。また、いろいろな告発もあります。
その中で、私も素直に見ているんですよ。まさか、ないと思っておりましたけれども、素直に聞いていると、やはりあったんだなと。全国どこでも、いわゆる領収書を書かされて、そしてそれが裏金化していく。そして、捜査費という名目だけれども、ほとんど捜査員には渡らないということ。また、よく警乗費の問題もここで議論されています。実際はただで乗れる、ただで乗れるというか、ちゃんと届け出すれば電車にはただで乗れるのに、それを別に旅費を請求している。しかも、その旅費が本人に渡っていれば別ですけれども、本人には渡っていなくて、裏金化されている。いろいろな事例がここで出てきて、そして、これではだめだということを申し上げてきたわけです。しかし、それにもかかわらず、いや、それは一部のところの問題だというのでは、やはりこれは通らないと私は思います。
実は、これはもっと申し上げると、警察だけの問題じゃないと思うんですね。この間の岐阜県庁で起こった問題。やはり僕は、これは公務員といいますか、そうした税金を預かる部署でどうも広範に起こっている問題ではないか、起こってきた問題ではないかというふうに思うわけであります。
ですから、こうした観点から、まず警察が、前も申し上げましたけれども、警察が一番我々としては信頼したいところなんですね、こういう部分でいえば。なぜならば、不正を正していただく場所なんですから。それにもかかわらず、不正を正すべき場所だと私たちが信頼している場所が、そういう、私たちからすればそれはないだろうということをされていたとすれば、これは残念なことなんです。
だから、まずは警察がみずから襟を正していただいて、過去には確かに慣例としてこういうことがあったよということをやはりこれはお認めいただいて、その上で、しかしこれは広範に、警察だけの問題ではなかったということでありまして、実は税金を預かる部署でいろいろな問題が起こっていた。だから、それについてはこれは真摯に、税金を預かる部署が、役所ですけれども、行政ですけれども、官の世界ですけれども、これが真摯に反省した上で、もう二度とこういうことはしない、させちゃいけないという意味で、警察がまず率先してこのことについて反省をしていただき、かつ、事実を述べていただいて、そして、国民の前にしっかりと謝罪した上で、本来あるべき業務にしっかりと邁進していただく、こうすべきだと私は思うんです。
だから、私はその意味でも警察に期待をしているんですが、長官、いかがでしょうか。やはりこれは個別の、ある特定の地域の問題だと長官は御認識されるんでしょうか。
○漆間政府参考人 私どもは、先ほど申し上げた平成十六年からやっている会計監査についても、これは別に十六年を見ているわけじゃなくて、その前の分まで見ているわけです。
それから、前に起こったことについても、それは確かに、ここでも何回か申し上げたと思いますが、具体的にこういうことがあるから、それで不正じゃないかと言われれば、それはきちっと対応しますよと言っているわけです。
ただ、それが例えば物を言う人が、警察が聞こうとするとその人は全然、警察に対して調書を拒否するというような形になっていまして、そうすると、一体何を材料にして我々に対してそういうことを言っているのか、その辺のところがわからないわけですね。したがって、我々は、昔こういうことをやっていました、それが本当に裏づけがあってそうであるということが出てくるのであれば、先ほども申し上げたとおり、それは当然のことながら、その部分については正すべきものは正すという先ほどの原則に従ってやるわけであります。
したがって、そこのところは、何にもない、単なるうわさ、あるいは自分が昔こういうことを経験した、その程度の話だけですべて不正経理が蔓延していたんだというふうなところまで類推されるのは私はいかがかと思っていまして、したがって、前々から申し上げていますように、具体的な事実を指摘してくださいと。
だから、岐阜のケースについても、確かに、岐阜県のみならず警察もやっているんじゃないかというお話はありました。したがって、それについて、では岐阜県警の方でそういうことをやっているのかということを調べていますけれども、当然、今具体的にそういうものが出てきているという情勢でもありません。
それから、この前、警察をやめたある職員が、平成何年か、古い時代ですけれども、自分で領収書を書かされた、こう言っているわけですけれども、これについてもちゃんと対応するということを県警としてはしているんですが、相手は全然応じてくれない。一体、何を持っていて、どういうことがあるから私はこういうことをやらされたんだ、その辺のところをしっかり説明していただければ、私らとしては、それは自浄作用を発揮してきちっと対応したいというふうに思っています。
○市村委員 では、具体的に、愛媛県警における仙波さんの件をここで議論をいろいろしてきましたけれども、今の長官の発言の中で、うわさとか、過去に自分がこういう経験をしたからということではだめだとおっしゃいました。
うわさを信じてどうのこうのというのはだめだと私は思いますけれども、しかし、過去に自分が現職のときにこういう経験をしたということを持ってきて言うのは、まさに告発でありまして、これをもってしてだめだというのはちょっと違う。うわさと同列に、過去の自分の経験の中でこれだということは違うと私は思います。
具体的には、仙波さんという方がいろいろな自分の経験から、しかも現職警官です、現在まだ愛媛県警にいらっしゃいます。では、この方については一体どういう話をこれまで聞いてきたんでしょうか。この仙波さんの扱いについては、いろいろ疑問がわくような扱いをされていると私は思います。
また、チームについても、警察内部のチーム構成ではだめだと思うんですね。やはり外部の方を入れた上でしっかりやらなくちゃいけない。外部の方という意味では監査委員がいるわけですね。監査役がいるわけです。監査役が入った場合は、結構、警察の不正追及についてはきちっと暴露されているんです。公に出てきているんですね。だから、内部調査チームではだめだと思うんです。警察はちゃんとみずからを正しているんだ、こういうことを国民がしっかりと認識するためには、やはり外部のしっかりとした第三者を入れた上で調査しなきゃならない、このように思っています。
また、よく言われるように、警察というのは、警察家族といいますか一家と言われるように、非常に結束のかたい組織体をされているということもこの三年間で私が学ばせていただいたことの一つであります。ここは、自分たちの退職後の生活等々も警察が面倒を見てくれるということもあるものですから、本人もそうだし、家族も、父さん、あなた、そんなことを言ったらだめだということもあるということも聞いています。
だから、こうしたことも事実として皆さんにもっと知っていただく。そして、警察がみずから率先してそれを情報公開する。そして、これまで過去にこういうことがあったけれども、これからはないと。
警察というのは国民の安心、安全を守る大切な部署なんだから、そういった意味では、三年間で一万人、これだけ公務員を減らそうとしているのに、警察はふやすんですよ。こうしたことも含めて警察の大切さはみんな思っているわけですから、しかしそのためには、その前には前提として、まず警察に対する信頼回復を図る。その意味で、今まであったことを、いや、だれかが、前に勤めていたのが何か経験したことをちょっとぽつぽつ言った、そんなことで類推されたら困るとか、そういう態度ではなくて、もう少し、これだけいろいろな声が上がっているのであれば、やはり何かこれは、一地域の北海道や静岡や福岡とか愛媛の問題じゃない、どうも全国的な問題じゃないかというセンスを持つことが大切じゃないですか。
そういった意味では、前の小泉総理大臣はセンスを持っていたんです。どうもこれは全国的な問題じゃないかと前の総理はおっしゃっていたんです。
官房長官、済みません、きょうは通告していませんが、せっかく座っていただいていますので、今の議論を聞いていただいていかがですか。これは全国的な問題だと前の総理はおっしゃっているんです。
○塩崎国務大臣 先ほど来先生から御指摘の、警察の続く不祥事についてでございますけれども、これは、警察庁を管理するのは国家公安委員会ということでありますので、ここでしっかりと適正に対応してもらわなければならない、このように考えているところでございます。
○市村委員 溝手国家公安委員長がそれは当然担当だということでありますが、内閣官房、総理を実質上補佐する官房長官として、この警察の問題、これは国民生活という観点からきょうは内閣委員会でも質問させていただいていますから、単に警察の問題だけじゃないんですね。国民の安心、安全を守る部署であるだけに、一番深刻な問題だという思いでこれは議論しているんです。
一言、ぜひとも官房長官からも、これについてどう考えるかということは、何回も申し上げます、前の小泉さんは、小泉さん本人が、これはどうも全国的な問題ではないかという、断定じゃないですけれども、そういうセンスを持って言われていたということでありますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 国民生活にとって安心、安全の一番身近なところが警察だと思います。我々、子供のころから、お巡りさんといえば、いつもどこかに回ってくれていて我々を見守ってくれる、何かあれば駆け込めるという交番があった。
最近は駆け込んでもだれもいない交番ということで空き交番がたくさんあって、これについての対策は順次打ってきているわけでありますけれども、やはり今先生御指摘のように、国民生活に対する安心、安全の提供の責任を負っている政府としては、警察に対する信頼感というものをもう一回取り直さなきゃいけないということで、いろいろなところで起きている不祥事については、この信頼感を崩す原因になっていると私も感じております。
構造的に問題があればそれもしっかり直し、そういったところについては、政府としても責任を持って、今申し上げたように、国家公安委員会も適正にきちっとした対応をするように私たちも見守っていきたい、このように考えております。
○市村委員 この問題については後ほどまた泉健太委員からもあると思いますし、時間も限られていますので、これについてはここで終わりにします。ただ、引き続き内閣委員会を通じてこの問題はやっていかなくちゃいけないと思っています。
それでは次に、この内閣委員会でも、いわゆる飲酒運転におけるひき逃げに対する逃げ得があるということをこの場でも私は言ってまいりました。
ようやく夏の福岡のあの事件から政府もやっとこさ重い腰を上げて、ちゃんとしなくちゃいけないと。ただしかしながら、これは来年の通常国会ということなんですね。ということは、普通は一般法については予算を上げてからということになりますから、これから半年以上あると思います。つまり、これだけ国民が逃げ得があるということを認識した上で、半年間以上がこれから経過することになるわけです。
漆間長官、この半年間の間に万が一また飲酒運転によるひき逃げ事件が起こった場合、これは一体だれの責任になるんでしょうか。
○漆間政府参考人 飲酒運転の問題に関して、ひき逃げというのがあります。当然、逃げ得を許さないということで、これに関しては、例えば飲酒ひき逃げをした場合についても、必ずしもその時点での検知が低くても、その前のときの段階ではどうであったか、どのくらいの飲み方をしていたかということになれば、その前の部分までちゃんと推測する数式が一応ございますから、それを適用して、それで危険運転致死傷罪を立件するという形で取り組んでいるわけであります。
それで、この問題について、法律ができない間に大きな事件が起こったらどうするかと言われますけれども、法律ができない間は、今の現在ある法令を使って、我々として最大限の取り締まりをする以外はないわけでありまして、そういう意味で、我々として最大限の取り締まりをするのが我々の責任である、こういうふうに考えているわけであります。
それに見合って、早目に国会で、絶対これを新たな法律としてつくるんだという意思決定がなされて、それでそういう法律ができるのであれば、我々は法を執行する機関でありますから、またそれはそれで対応することになると思います。
○市村委員 今、警察庁の判断では来年の通常国会ということであったので長官にお聞きしたんですが、長官の方から、国会がそういった意思を示せばいいんだということでありますので、この内閣委員の与党の先輩方、同僚の皆様も含めて、ぜひともまず、民主党が今回これについては法律を用意していますが、別に民主党案ということでなくても構いませんので、これは早目にしっかり対応するということでやるべきだと思います。これについてはこの辺にしておきます。
だから、ぜひともこれはこの国会中にでもやるべきだということでありますが、国家公安委員長、この件について一言御意見、お考えをお聞かせください。
○溝手国務大臣 今、警察庁が検討を開始して、一生懸命検討を続けているということは事実でございます。国会の意思が固まれば、いつでも対応するという準備もできていると伺っております。
○市村委員 長官がおっしゃらないので、私があえて言うことはないかもしれないんですが、実は、警察庁はこの四月から、何か検討委員会なのか検討する会議なのかを設けて、このことについて検討を始めていたということもお聞きしています。ですから、四月からですからもう既に大分時間がたっているということでありまして、ぜひとも、警察庁の考え方としても、また国家公安委員長の考え方としても、次の通常国会ではなくてこの国会でやる、こういう御決意で臨んでいただきたいなというふうに思います。
それで、いい例はちょうど、銀行のキャッシュカードが偽造されて引き出されるというのがありました。あれはすごく対応が早かったですね。前の通常国会ですぐやっちゃったんですね、数カ月で。やはり必要なことはやる。善は急げということもあります。やはり正しいことはすぐやるということだと思います。
先ほど長官はまともにお答えにはなりませんでしたけれども、やはりこれから通常国会までの間に、半年以上あれば、この間起きたらどうするんだということをなるべく早く、なるべくじゃない、絶対早目にやらなくちゃいけないという気持ちを持つか持たないかで全然違いますので、ぜひともそういう方向でこの件についてはやるべきだというふうに思います。
それから次は、駐車違反の取り締まりについてちょっと私は話をさせていただきたいと思います。
これもこの内閣委員会の場で、私は、駐車違反取り締まりをいわゆる株式会社に任せるのはいかがなものかということは言ってきたつもりであります。民営化ということ、また民間に委託するということについては決して反対じゃありませんが、株式会社でいいのかということはこの場で議論してきました。
今回、実際にどこに委託されたかという例を見ますと、何と駐車場の管理会社が駐車違反取り締まりの委託を受けているんですね。これはどう考えてもおかしいと私は思います。
なぜならば、取り締まりを強化すればするほど駐車場は使ってもらえるという、だれが考えても明確な関係がここにはあるんです。自分たちが利益を上げられる構造になるようなところが駐車違反の取り締まりを請け負っている、こういうのは、そもそも株式会社が請け負うのがおかしいという問題意識を持っていますが、それを百歩譲って、千歩譲って、仕方ないと思うにしても、利害が絡むところに任せるというのは、このセンスはやはりいただけないと私は思いますが、長官、この件についてはいかがでございますか。長官の方にお願いします。
○漆間政府参考人 放置駐車の確認義務については民間に委託するということになりまして、始めているわけでありますが、基本的には、特別な欠格事由があるとかいうような者でない限りは、競争入札によってどこがやるかということでありまして、その中で、そういう駐車場を管理しているところが落札した。それが何でおかしいんだという話になると、では、どこにそれが抵触するのかということだろうと思いますね。そして、抵触することで問題があるのであれば、それは契約の解除の原因にもなりますし、それから、当然のことながら、それは道路交通法の規定によって登録の取り消しの事由にもなります。だから、そういうことがあるのかどうか。
つまり、基本的には、いろいろなところに広く、ともかく競争入札で、入札に参加していただきましょう。どこが落札するかどうかというのはこちらが決めるわけにいきませんから、一定の欠格事由がなければそこには参加できるわけですから、その参加できるところが落札したといって、直ちにそれはおかしいじゃないかというと、ではそこは本当にそれでいいのかという話になります。
ただし、そこが本当におかしなことをやっているというのであれば、これは、欠格事由というよりも、むしろ契約条件に違反しますから、契約の解除になるだろうと思います。
だから、そういうようなことが起こっているのかどうかということだと私は思います。
○市村委員 では、欠格事由を決めたのは一体だれなんでしょうか。これはもう本当に何かむなしくなりますけれども、結局、自分たちで欠格事由を決めておいて、それにそぐわないからこれでいいんだというので、これで納得できるというのはおかしい話ですね。とても納得できる話じゃないと思います。
しかし、これ以上はむなしいから申し上げませんが、欠格事由を決めるときに、もっと欠格事由を決める以前の前提として、常識として、やはりこういうことは、利害が絡むようなところはやめておくべきだというのは常識だと私は思います。常識が働いていないとなると、もはや何も言うことはありませんけれども、こういうことがあるのであれば、情けないということです。
それで、そもそも私は、この場で申し上げましたが、もともとこれはどういう議論かというと、結局、駐車違反取り締まりは刑事罰ではなくて行政罰にしようという発想がこの駐車違反の民間監視員への委託ということにあったと思います、前提に。
行政罰にするということであれば、私は、一切警察は関係なくして、前も申し上げたんですが、自治体に任せた方がいいと思うんですね。そして、いわゆる迷惑料なんだと。自治体が町づくりを推進する、町の良好な環境を維持するためにここに車をとめてもらっては困るというような感じで、あと危険だし、また景観上も悪いしということで、自治体がやる。自治体が違反金というか迷惑料をもらう、迷惑料をもらってそれをまた町づくりに生かす。こういうふうにしたら、警察から一切なくなるんですね、この業務が。
実際に民間委託したからといって、実は警察の業務は減っていないんです。なぜならば、標章を張るところまでは民間委託ですけれども、あとの手続は依然として警察に残っているわけですから。ということは、警察のいわゆる人事配置の合理化といったものは全然行われていないんです。
では何のためにやったのかとなるわけですね。そうすると、やはり世間で言われるように、これは警察の天下り先かとなっちゃうんです、私はそれを信じたくないんですけれども。やはり普通に考えたらそういうふうになるんです、帰結として。
結局、二〇〇七年もある、これから十年で四割の警察官が交代されるんです、やめられて。十年に四割ですよ。十万人の警察官が交代されるんです。ということは、やめられる十万人の方のための、さっき申し上げました、警察一家として何とかして就職先を探さにゃいかぬ、そういう中での一環かというふうにみんな思っているんですね。そうとられかねないというか、とっているんです。
だから、そうじゃないんだ、警察は、やはり本来やるべき国民の安心、安全を守るために、OBの力もこういう形で活用させていただきたい。例えば、今もやっていらっしゃいます空き交番の解消というようなことにもOBの力をかしていただきたいとか、生活相談もそうだというような形でやるためには、またさらに、今の現職警察官の合理化を図るためには、これは、行政罰とせっかくおっしゃったんだから、あのとき誇っていらっしゃいましたよね、こんな行政罰の考え方をやるのは初めてだみたいなことを警察の方がおっしゃっていたのを私は覚えています。であれば、私は、もうこれは自治体に全部任せる、そっちの方がすっきりしていい。そして、合理化された人員については、今一万人ふやしていますけれども、さらにここで出てくる合理化された人員については、まさに警察の本来業務である安心、安全の維持、確保に回っていただきたい、こう思うわけですが、長官、いかがでございましょうか。
○漆間政府参考人 放置違反金の導入をしたのは、つまり、駐車違反をした場合に、運転者が実は自分ではないと言って、運転者の逃げ得を許すということがあるから、したがって、その逃げ得を許さないということで、使用者にも責任を問いますよと。ただしその場合も、運転者の責任、刑事責任というのが全くなくなったわけではなくて、運転者が自分でやりましたということになれば、これは運転者の刑事責任を問うことになるわけです。
駐車違反というのは、他のほかの違反と同じでありまして、駐車していることによって他の車の妨害にもなりますし、それがまたほかの事故を引き起こすということになるわけです。そうすると、他の違反については刑事罰で担保していて、駐車違反だけ刑事罰で担保しないというのはおかしな話でありまして、したがって、それはやはり両方とも刑事罰で担保するという前提のもとで、ただし、運転者については逃げ得を許さない、こういうことを考えて、放置違反金については使用者に対してかけていこうということであります。
だから、基本的な概念として、両方を刑事罰から外すんだ、すべてを。つまり、道路交通法違反はすべて刑事罰から外すということであればこれはまた一つの考え方だとは思いますが、駐車違反だけを何で外すのか。駐車違反が道路交通の妨げになっていないのか、それによって実際に死亡事故も起こっているわけですね。そういうときに、果たしてそれを刑事罰から外すのがいいのかということであります。
○市村委員 何といったらいいのか、そもそも、これは警察の皆さんの方が、行政罰的、的という言葉を使われていましたけれども、私が説明を受けたときは、最初は、漆間長官がおっしゃったことだけじゃなくて、そもそもの考え方として、誇られていたのは、行政罰的考え方を入れますということだった。あとは、警察業務の合理化、それで人員はほかのところに回せるということもおっしゃっていたんですよ。これは私が言ったことじゃないんです、警察の皆さんが私に説明されたことなんですよ。
だから、それを受けて、ではそういう思いがある、そこまで現実を見詰めながらやっていらっしゃるのであれば、僕は、駐車違反は行政罰とすればいいじゃないですかと。道路交通法全部をやるというなら、それはそれで議論だと思います。それならそれで議論しましょう。ただ、多分議論しても、では、スピード違反は、これを自治体にやれというと、恐らく普通、多くの国民の皆さんは、それはやはり警察でやってもらった方がいいんじゃないですかということになると私は思いますね。
だから、かなり、ああ言えばこう言うじゃないですけれども、極端な話をされていますけれども、道路交通法全部を改正するということじゃなくて、駐車違反の取り締まりについては、これは警察の皆さんもおっしゃっていたんだから、行政罰的なと言って的をつけていましたけれども、しかし、私の思いとしては、行政罰にすればいいじゃないか、こういうことがあっております。
これもまた引き続き議論をすべきだと思いますが、いずれにしても、この話についてはまた議論しなくちゃいけないということでありますから、特に、利害が絡むようなところに駐車違反の取り締まりを認めるということについては、ちゃんとやはり、おかしいという観点から見直しをしていただきたいと思います。
それから次に、スピード制限について、このことについてもこの場で私も議論をしてまいりました。
阪神高速北神戸線というところを例にとって言ってまいりましたが、この間、よそ見、わき見運転をして児童の列に突っ込んで、そして四人の本当に幼い子供の命が失われた事件がありました。あの道路は、私も確認しましたけれども、スピード規制は、いわゆる法定規制ということで六十キロ規制なんですね。それで、私がずっと問題にしてきた、一台も六十キロで走っていないと言った北神戸線も六十キロ規制なんです。これも、どう考えても常識に照らしておかしいだろうという思いがあります。
お聞きしましたら、警察としてもスピード規制の見直しについて今御検討いただいているということでありますので、やはりこうしたおかしいスピード規制についてしっかりと考え直していただきたい。
さっき後藤田委員から、今度はスピード規制の問題というよりも、車そのものを百キロ以上出さないようにすべきだというお考えもありました。それも含めて、車はある意味では凶器になり得る、命を失う、運転者だけでなくて人の命を奪う凶器になり得るという観点から、スピード規制についてもしっかりと全国的な見直しを進めていただきたいと思います。
やはり合理的なスピード規制じゃないと、つまり、一台も六十キロで走っていないのに六十キロ規制されて、だれが守っているか見ていないわけですよ。要するに、この速度規制の看板、六十という看板そのものがもう信頼がないわけです。こういうことでは意味がないわけですね。信頼が置かれない看板がそこに置かれてあるわけですよ、これ。無駄です。こんなもの置くのは無駄です。そんなもの置かない方がいいです。だから、ちゃんと、ここはこれぐらいのスピード以上出すと危ないですよという意味で置いていただきたいと思います。
諸外国を見ますと、同じ道路の流れであっても、ここは例えば百キロ、ここは八十キロ、ここは六十キロと、小まめにちゃんと分かれているところもあります。やはり、私は日本もそういう形にしていくべきだと思いますが、長官、一言お願いいたします。
○漆間政府参考人 この規制速度の問題については、前からもずっといろいろ議論があって、まさに先生がおっしゃるような見直しをした方がいいじゃないかということは当然ありました。それは、国民の声の中でもかなり大きな声だろうと思います。
法定速度、今、平場が六十、それから高速道路が百、こうなっていることについて、果たしてこれでいいのかということについては、確かにいろいろ検討する要素はたくさんあるということでありますので、そこで、今回そういう検討の場を有識者を入れて立ち上げまして、果たしてそれができるかできないか。
特に、法定速度を決める際には、道路の構造の問題だとか、それから設計速度というのがもともとありますから、この設計速度というのをどういうふうに評価するかという、これまた非常に大きな難しい問題があるんです。
そういうものを全部踏まえた上で、果たしてこれで法定の、今決まっている速度を変えていくことができるのかどうか、これは真摯に今後検討していきますので、その結果を待っていただきたいと思います。
○市村委員 ぜひとも早い、一年、二年とかじゃなくて、なるべく早い検討結果を出していただきたいと思いますが、一点だけ、今設計速度のことをおっしゃいましたけれども、長官はひょっとしたら御存じないかもしれませんが、その設計速度についても、この内閣委員会で議論しました。国土交通省さんにも来ていただいて、やりました。
国土交通省の考え方では、あれは規制速度とは全く関係ありません、規制速度は規制速度で、警察さんが実情に応じて決めればいいことであって、これを警察庁さんが、いや、設計速度があるからそれに準拠しているんだという言われ方をしているようですけれども、これについては関係ありませんということをはっきりと国土交通省は言っていましたので、そのことだけ、ぜひとも長官、認識に入れていただきたいと思います。これはこの場でやっています、この場で。
いや、もういいです、ちょっと時間がないので、済みません。時間がないので、済みません、申しわけない。委員長、済みません。
それで、塩崎官房長官いらっしゃっていますけれども、ちょっと一点だけ、緊急ですけれども、今、尖閣諸島に香港の活動家を乗せた船が向かっているということですが、着いたんでしょうか、着いていないのでしょうか。それから、着いたとした場合に、またこれについて、官房長官のお考えを一言お聞かせ願いたいと思います。
○塩崎国務大臣 けさ九時二十一分に、我が国の領土である尖閣の領域内に、領海内に入ってきたということでございます。当然のことながら、我が国固有の領土でありますから、海上保安庁がずっと並走し、また放水もして警告をしてきたわけでありますが、そういったことになってまいりました。
今後どうするかということでありますけれども、先方が上陸をしようとかそういうときには、あるいはもう既に領海に入っているわけでありますから、これは適切に排除をしていくというのが当然のことだと思っております。
○市村委員 ぜひとも、我が国の領土という観点から対応していただきたい、このように思います。
それで、あと残りの十五分をかけてやりたいのは、実は介護殺人のことであります。
きょうは警察庁長官もいらっしゃっています。やはりこれは、殺人事件までに発展してしまうこの家族介護の過酷さについて、ここで議論をさせていただきたい。これは、国民生活の本当に根幹にかかわることに、これから特になってまいります。
と申しますのも、私もいろいろずっと御指導していただいていますが、東京にグリーンホームという有料老人ホームがありますが、社長さんが滝上宗次郎さんとおっしゃいますけれども、この方は橋本内閣のときに経済審議会の医療・福祉作業部会の座長も務められた方なんですが、その方が「やっぱり「終のすみか」は有料老人ホーム」という本を書かれています。
私も個人的に大分御指導いただいてまいりましたが、これはそれまでの考え方をまとめられた本でありまして、この中でも指摘されていますが、本当にこれから介護については家族介護はもう無理だという前提に立ってやらなくちゃならない、そして、結局は、有料老人ホームという言われ方を今していますけれども、ついの住みかについては、民間のそうした施設型の介護にならないとやはり無理であるということが主張なんです。
私も記憶がありますが、以前は、特に医療が発達する前というのは、床に伏せったら大体一週間か二週間で残念ながら命がなくなるというか死亡されるケースが多かった。この間、大変ありがたいことに、医療の進歩によりまして私たちの寿命が延びて、本当に八十、九十、百まで生きられるという状況になってまいりまして、私の祖母も今九十六でまだ健在でございますけれども、そういう状態。今、三万人を超える百歳を超える方が、日本に御高齢者がいらっしゃる、大先輩方がいらっしゃる、これ自体は大変喜ばしいことであります。
ところが、これが裏側として大変深刻な問題を抱えておりまして、やはり介護という問題ということなんです。大体六十五歳から七十五歳になってきますと、二十人に一人が要介護状態になってまいります。七十五歳を超えてきますと、今現在二五%以上が要介護状態になります。七十五歳、いわゆる後期高齢化ですね。そのうちに、介護状態になった方で認知症の発症率というのが、八十歳を超えると十人に一人、八十五歳で五人に一人、九十歳で五人に二人、九十五歳を超えると実に五人に三人になるんです。
認知症の対応については、また改めて別個に、できれば厚生労働委員会でやらせていただきたいと思いますが、これはきょうはやりません。認知症に対する誤解が多いという点も滝上さんがこの本で指摘されていることでありますが、これはやりません。
大切なのは、きょうやりたいのは、こうした状況を家族介護に、家族に負わせようとしている今の現状について我々は深く認識をいたさないかぬ。その結果、こうした介護殺人のような悲劇が起こってくるということなんです。
この問題、私は実はことしも、当選以来、この場では余りやっていませんが、特に分科会を通して社会保障の観点から議論をしてまいりました。ある意味でいえば、起こるべくして起こっている状況なんです。
ここに「介護殺人」という本もありますが、これは二〇〇五年の二月に発行されている本です。ということは、もう既に大分前からこの介護殺人という言葉が実はあるということなんですね。たまたま最近頻発している、それをマスコミが取り上げているということでありますから、我々もそういう認識を始めていますけれども、いよいよ来たということを我々は感じないといけないと思います。
これは先ほど田端委員も御質問されていましたが、実は児童虐待の問題とかと同じことでありまして、我々、社会にいろいろなこういう問題がある、なかなか外に出てこない問題がある、これをやはり早期発見して、悲劇を未然に防ぐという手だてを打つ必要があるんです。だから、そうした手だてをどうするかということで、いろいろ私たちは議論をしなくちゃいけない。
また、この介護殺人及び先ほど議論もあったいわゆる児童虐待の問題に対しては、やはり早期発見、未然防止のために緊急にやるべきことがあると私は思っております。
きょうは厚生労働省からもいらっしゃっていますが、また改めて私がお聞きしたいのは、いわゆる介護保険ができた、そうした家族介護の悲惨さに対応するために介護保険ができたはずなんです。ところが、ことしに入ってその介護保険の現場がどうなっているか。大変大きな変化がもたらされていまして、いわゆる家族介護、家族に大変大きな負担がまたのしかかってくるような状況になっております。
きょう、厚生労働省の審議官がいらっしゃっていると思いますが、平成五年、要介護状態になる方が二百万人いました。厚生労働省の推定では、平成三十七年になってやっと五百二十万人になるということだったんです。ところが、現在、平成十七年現在、今、要介護状態の方が何人いらっしゃるでしょうか。一言お答えください。
○御園政府参考人 現時点で介護認定を受けている方は約四百五十万人おられる、こういう状態です。
○市村委員 今、平成十七年、まあ十八年現在では四百五十万です。けれども、厚生労働省があのときに、介護保険を導入したときに言ったのは、平成三十七年で五百二十万ですよ。もうあと七十万人ですよね。平成三十七年まであと二十年ありますよ。結局、このペースで行くと、もう平成二十年ぐらいには厚生労働省が言っていた五百二十万に達しちゃうんです、二十年、二十一年ごろに。わずか三年、四年ですよ、ここから。
この推定の甘さ、ここをまず厚生労働省はきちっと認識する必要があると思います。つまり、これだけ深刻になるものを、まあ三十七年でいいだろうぐらいに思っていたわけですよね。結局、ここに甘さがあるんですよ。この間、結局、三十七年を目標にしてやっているのと平成二十年を目標にしてやっているのは、対応が全然違いますよね。対応が違う。
実際にどうなったかというと、介護保険料は、平成十二年、導入されたときは三兆六千億だったのが、平成十七年、去年度で六兆八千億ですよ。もう倍増しているんです。これから大体、少なく見積もっても年五千億の、社会保障費という言い方ですけれども、年五千億ずつふえていくという状況なんですね。
だから、結局、おととし、ほとんど議論になりませんでしたけれども、介護保険の大改革のときに、こういうことを議論するべきだと私はずっと言っていたんですね、あのときも。結局、こうしたことは議論されないまま、何か筋肉トレーニングとか何か、要介護から要支援とか、そんなことばかりで、根本的なところを議論されていないんですよ。つまり、介護保険の大改革というのは、まさにこういう認識の甘さをしっかり認めた上でやらなくちゃいけなかったんです。だから、そのときから私は言ってきました、大変深刻になりますよと。もう家族介護、いわゆる在宅介護は無理ですよということは私は指摘してきましたよ。
ところが、この平成十八年の四月から行われていることは、療養病床廃止、いわゆる医療の世界ではもう見ません、社会的入院はしません、だから療養病床を廃止します。その方向性はいいと思います。それはいいんです。
しかし、受け皿となるところが全然ならないままやったおかげでどうなっているか。結局は、療養病床は、六年かけて減らしていくんですけれども、実際にどうなっているかというと、今までは、ある意味で医療の世界でただ同然、ただに近いところでやってきたのに、介護の世界の特養がいわゆるホテルコストを取るようになった、食費を取るようになった、いわゆる住居費を取るようになった。だから、一緒に療養病床も払えということになって、今二十万以上、月負担がふえているんですね。ゼロに近かったのが、今二十万以上ですよ。しかも四人部屋に押し込まれて、今、介護の世界では大体いわゆる個室が普通ですけれども、療養病床の世界では今、四人部屋ですよ。こうなってくる。
しかも、これはまだ軽い人だから入れるのであって、重い人は、もう帰ってくれ、こうなるんですね。家族がいたら、もう帰ってください、できれば週二、三回デイケアに通ってください、あとは、家族がいるならもうやってください、食事介護とかやってください、こうなるんです。
ところが、食事介護をする、まあ洗濯物に関しては、今は全自動洗濯機の発達のおかげで、私も、夜帰って入れておけば全自動でやってくれますから、干せばいいわけですけれども、食事をつくるのはやってください、食べさせるのは介護でやりましょうといったって、つくれないですよ。ということは、だれかがつくらにゃいかぬとなったら、結局は、だれかが仕事をやめるとか、どこかに外注をしておくとか、こういう発想も出てくる、こういうこともやらなくちゃいけない。
結局、家族に介護を任せるといっても、やはり無理があるんです。さっきこの議論の冒頭で申し上げたように、昔は介護期間というのは一週間とか二週間、または数カ月だったんです。今は、医療の発達のおかげで、数年から十年以上にわたって、しかも、一人ならいいですよ。例えば、昔は嫁の介護だったけれども、今は嫁という存在はもうなくなって嫁の介護ということではないわけですけれども、しかし、もし嫁の介護という言葉が残っているとした場合は、もし両方とも両親が健在であって長生きしていただいた場合は、四人の面倒を昔のいわゆる嫁が見るということになるんですね。そうすると、一人は何年かでも、四人合わせたら、ひょっとしたら十年、二十年になるかもしれない。
これをもってして、家族に任せるというのはないと思います。実際に介護保険はそういうことを考えてつくったはずなのに、この平成十八年の四月からは、またその方向に戻すような状況になってしまっていますね。今般、介護殺人の問題がこの夏ぐらいからは報道もふえてまいりました。ヤフーのブログで見ても、すごく関心がふえています。やはり、これは平成十八年の四月から、ことしの四月から行われた介護保険の大きな改革によってもたらされている悲劇の一つだ、私はこう思っています。
だから、ぜひともこれについては、これは単に今のいわゆる大先輩方だけの問題じゃなくて、これから我々だれもが老いを迎えるわけですから、全員の問題として考える必要が出てまいる問題だと私は思います。
ですので、やはり、これだけ介護は深刻なんだということをしっかりともう一度議論すべきだと思います。そして、推定の甘さを認めていただいた上で、もうあと数年後には厚生労働省が言っていた五百万人を超える体制が来るんだということを、しかも、先ほど言った発症率から考えると、今百七十万人と言われる認知症の方が、あと二十年もたつと四百万人にふえるんだ、こういう観点から、やはり私たちはしっかりと考えておく必要があると思います。そして、きちっと受け皿づくりをしていくということだと思います。
いかがでしょうか。
○御園政府参考人 確かに委員御指摘のように、介護保険制度が発足する前に私どもが推計していたものと現在の数字とが違っていることは確かでございますけれども、それはそれで、やはり、国民の皆さん、それから、まさに御指摘があったように家族の介護が限界があるだろう、これを社会全体で負担し合おうということでつくった介護保険が国民の皆さんの中に定着してきた結果だと思います。そのプラスの面も私どもは認めつつ、これからの介護保険制度がきちんと、御指摘のあるような破綻をしないで、円滑に運営できるような仕組みに持っていくことが必要だと思います。
それから、御指摘の、介護に疲れた殺人等の悲惨なことが起こらないようにするために、私どもも、今回、いろいろな制度的な手当てもしております。ただ、その制度だけで済む問題ではなくて、地域全体がそういう老老あるいは孤独でおられるような高齢者の皆さんをしっかりと支えていくという体制をつくっていくということが一番要求されていることだと思います。
○市村委員 もう時間がないので最後に申し上げますが、今、最後に、地域の皆さんとおっしゃいました。それで、地域包括支援センターができています。これは残念ながら、一部の自治体ではうまくいっているところもありますが、多くは働いていません。
私が最後に申し上げたいのは、介護殺人の問題だけじゃなくて、いわゆる児童虐待の問題にしても、また昨今、多重債務者が自殺に追い込まれるケースにしても、こういう人たちがどういう状況に陥っているかということをある意味早期発見して、いわば未然に防止する体制を整えなくちゃいけない。介護については、この地域包括支援センターという一つの理念を厚生労働省さんとしては打ち出されていますけれども、なかなか働いていない。だから、これについて、もうちょっと現実を見詰めた対応をしていただきたい。長々と申し上げません。もうそれは事前レクで申し上げておりますので、そのことでの対応をしていただきたいと思います。
私は、一つの提案として、きょうは警察庁長官がいらっしゃっていますが、やはり地域をよく知っている部署があるんです。警察とか、また、いわゆる民生委員さん、あるいは厚生労働省もそうです。それから、自治体、民間の宅配業者とか、まあ郵便局もそうですけれども、日常的に地域を回っていらっしゃる方がいるんですね。そうした人たちの声をどこかで拾う。
僕は警察がいいと思います。やはり個人のプライバシーの問題もありますから、警察がまとめていただいて、そして関係各部署にこういう状況ですよということを伝えていく仕組みがまず緊急に、将来的にはこういう地域包括センター等々の理念をもっと大きく広げていただいて整備をしていく必要があると思いますが、まずは早急に、今ある既存の組織を使ってやっていくということが必要だと思います。
そして、警察を中心として、そうした情報収集等、いわゆる早期発見、未然防止に努めていくということが必要だと私は思いますが、最後に一言ずつ、警察庁長官と国家公安委員長、それから最後に官房長官の御意見を賜って、私の質問を終わりたいと思います。
○漆間政府参考人 警察も、巡回連絡とかパトロールでいろいろ回りますから、その過程でいろいろ、介護の必要な人がいるとかそういう情報は入ってきますので、その辺については早くそれが関係機関に伝わるようにしたいと思います。
私は、大事なのは、やはり関係のところのネットワークがきちっと構築されることだと思っています。それの中心が警察になるのかというと、これまた、それでいいのかという、私は議論としてはあるとは思いますが、基本的には、やはりそういうネットワークを構築して、警察が中心になれというのであれば、またその方向で都道府県警察を指導していきたいと思っています。
○溝手国務大臣 警察庁長官が申し上げたとおりですが、地域力を強めるために、我々国家公安委員会としても警察庁を督励してまいりたいと考えております。
○塩崎国務大臣 介護保険の問題点についていろいろ御指摘があった点については、対策を練らなきゃいけないことは、もう早急にやらなきゃいけないこと、私も全く同じでありますけれども、先ほど厚労省から話があったように、大きな方向として、では皆さんずっと施設にいていただくのかというと、やはりちょっと違うかなという感じもいたします。ただ、受け入れの体制がないままにやるのはおかしいじゃないかという先生の御指摘もそのとおりだと思います。
いずれにしても、我が国は本来、地域社会の中で、こういった高齢者のケアあるいは子供たち、子育てを含めてのケアをする力があったはずだと私は個人的に思っています。それがいろいろなことの経緯の中で、現在のようにその力が弱ってきたところをどう補完し、どうやってこういう問題が起きないようにしていくのかということが極めて大事だと思います。
今、地域包括支援センター、新たにできたものでございますが、それと児童相談所の話があります。最近は、児童虐待に備えて児童家庭支援センターというのも新たに設けて、二十四時間、三百六十五日体制というのをつくるようにしておりますが、いずれにしても、先ほど来お話が出ているように、また御指摘があるように、ネットワークでさまざまなプレーヤーがこういった問題に対処できる、連携をどうきちっとしていくかということが大事で、その中にあって警察というのも重要な役割を果たさなければならないと私も考えておりまして、そのネットワークを強靱なものにするために、政府としても意を尽くしていかなければならない、こう思っております。
○市村委員 終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太です。
新たな内閣委員会ということで、また大臣各位、そして委員長、よろしくお願いいたします。
まずは、私の地元で起こりましたあの児童虐待死亡事件について少し触れさせていただきたいと思います。
その前に、長官におかれましては、きょうはありがとうございます。
特にこの三年間、刑法犯の認知件数が減少傾向にあるというのは大変すばらしい成果だというふうに思っておりまして、私からは評価の、また感謝の意を述べさせていただきたいと思います。
やはりこの内閣委員会、最近審議をしていて思いますのは、ぜひ各大臣にも聞いていただきたいんですが、内閣で扱う問題が大変多岐にわたってまいりました。主要なものだけでも二十近くありまして、官房長官を入れると六大臣、こういう状況でございますので、一人の質疑にかなりいろいろな問題を詰め込まなきゃならないという事情が今出てきているということも御理解をいただいて、委員各位におかれましては、ぜひ、委員の定数や質疑時間についても含めて、これからともに話し合っていきたいということも少し冒頭に申し上げさせていただきたいと思っております。
もとに戻りますが、この虐待の事件でございます。これは十月の二十一日に死亡が確認をされました、佐々木拓夢君、三歳。
〔委員長退席、平井委員長代理着席〕
公安委員長はアメリカンフットボールをされておられたというふうにお伺いしております。恐らくたくさんの筋肉をつけられて精悍な時代も、今もそうかもしれませんが、あったというふうに思いますし、また、長官も本当に警察の一人間として体も鍛えてこられたかと思います。
この三歳の子供は、見つかった当時、七キロでした。平常の子供が十五キロ。しかし、見つかったとき、半分の体重の七キロ。きのう、私は現地、現場に行ってまいりましてお花を供えてまいりましたけれども、隣のおばちゃんから話を聞いたら、運ばれるときには既にふくらはぎに肉がなかった、白くて細い骨と皮だけで運ばれていったということを話をされていました。本当に痛ましい話でありました。
現地の町内会長さんとも話をさせていただきました。これは町内会長と民生児童委員さん、兼任をされているところでして、また、非常に地域のコミュニティーは活発なところでありました。残念だったのは、たまたまというか、そこの加害者の、両親というか、その二人とその被害児童のお宅は自治会にそのときは加入をしていなかったという状況がありまして、自治会としても手が出しづらい環境にあったという話でもありました。
警察が、九月二十六日に厚生労働省とともに、改めてこの児童虐待を何とかしたいということで通達を出されております。私は、それでもなお起こってしまったということは、これは国会は国会として、政府は政府として、責任を存分に果たそうという気持ちはあるんだけれども、まだやはり現場には届いていないんだろうな、それが悲しいな、つらいなというふうに思っております。ですから、何とかして現場に私たちがつくった法律の隅々までを届けたい。その意味では、通達は非常に私は大切な重みを持っているというふうに思っております。
その中で幾つか指摘をしたいことがございます。まず一つは、ことしの三月二十八日にまず長女が保護をされました。これは夜中に、真っ暗な時間に外に出されていた長女を近所の大学生が見つけて、そして警察に通報したという事例でありました。警察はすぐ現場に駆けつけ、その児童を確保し、確認をし、児童相談所に通告をし、そして対処は大変早くて、二時間後には児童相談所にお届けして保護していただくという対応をとっておりました。これは、警察の従来の対応としては、私はほぼ完璧な対応だというふうに思っております。
ただ一方で、いま一度私たちが再発防止という観点に立てばなんですが、私はこう思います。
この通達にはこう書いてあります。警察と児童相談所、まずこれが連携をとること、そして、都道府県警察本部と都道府県の児童福祉担当部局、また、警察署と都道府県警察本部、この三者がしっかり連携をとることだと書いてあるんですね。
ただ、実は、きのう民生委員の方にお話をお伺いしましたら、三月二十八日、年度がわりの直前です。実は、この保護された子供は、数日後には入学式を迎えていたわけです。そして、地元の方がおっしゃいました。もしあと数日待っていただければ、入学式に家族が来たかもしれない。そして、学校という枠の中で家族の状況をよりつぶさに地域が見ることができたかもしれない。しかし、警察と児童相談所だけでそのやりとりを終えてしまって、地元の、いつも子供たちや家庭を見ていた民生委員、児童委員、そういった方々にこの件についての連絡がなかったということをおっしゃられておりました。
これはあくまで再発防止という観点からですが、私はぜひ地元警察署におかれましては、児童相談所とだけの連携ではない、そういうふうに思っております。もちろん、長岡京市にも児童虐待防止の協議会というものがございました。これはしかし会議体でありまして、実際には機能的、機動的に動くものではありませんでした。
それを考えますと、一つ一つの事例において、警察が現場で児童を保護したら、地元で事情をよく知っている人がいないかどうか、いたら、その方との連携が可能かどうか、これをぜひ署単位で、地域か何かと協調してやっていただきたい。私は、そういう意味での新たな通達を出していただきたいというふうに考えておりますが、長官、いかがでしょうか。
〔平井委員長代理退席、委員長着席〕
○漆間政府参考人 京都の大変残念な事案がございました。
これについて我々が報告を受けている限りでは、当初の長女の方の関係については、保護した時点で確かに傷を負っているというような状況はあったようですけれども、これが虐待というふうな状況になるかどうかについても疑いがあるような事案でありましたし、その後、児童相談所の方で、先ほど先生がおっしゃったように早く措置をしていただきましたから、その時点で、その弟さんの方の関係について、虐待であるという情報は全くなかったわけです。
それで、あとは、問題は、その時点とかそのほかも含めて、では、警察が果たして民生委員だとかそういうところに連絡するのかということになると、これはまた警察も今いろいろなことをやらなきゃならない大変な状態になっておりまして、今、これ自体、通達の中で申し上げていますけれども、警察署と児童相談所との関係だけじゃなくて、ちゃんと警察本部も入れ、全体でよく見ろ、こう言っているわけであります。
だから、その中でやはりこれについては民生委員にもやるんだということであれば、今度はそれをやればいいと思いますし、そういうことで、既に、ネットワーク化するのであればネットワーク化をして、こういう場合にはこういう連絡をするんだということを決めておけばいいんだと思いますので、新たな通達を出さなくても、少なくとも警察本部が関与するという方向で今回の通達は出してありますから、警察本部の方にいろいろな指示をいたしまして、それで具体的にどういうふうなネットワークを構築するのか、その辺のところをいろいろ工夫してもらえばと私は思っています。
○泉委員 長官、ぜひそれは認識を改めていただきたいと思います。
といいますのは、協議会、対策会議、ネットワーク会議、ケース会議、これは、日を改めて、そしてしかるべき方々が集まって行われるものでございます。ということは、まさにその目の前で起こっている事例について対応するものではないということです。検証する機関であるわけです。それはそれで大切なんです。
しかし、私が今話をしましたのは、まさにそういう会議体や、しかるべきところが入ればいいという話ではなくて、警察はふだん地域回りもされておられます。ですから、そういった地域回りの情報も生かして、ぜひ、わざわざ書き込むことではないかもしれませんが、改めて、警察が児童相談所に子供を渡せば役割が終わりなんだということでは決してないということ、そして、児童虐待は犯罪であり、これは前回の児童虐待防止法の改正で既に、虐待のおそれがあったとしても、それが確定的でなくても通報しなさいということが法律の改正で入れられました。ということは、市民の皆さんは今回十二分に機能したわけなんです。しかし、今回は、主には児童相談所の対応に不備があったということになっておりますが、我々は、私も含めてですが、すべての人たちが自分を省みて、そして、何かできることはなかっただろうかということで私は考えていただきたい。
その意味で、地元の警察の皆様そして全国の警察の皆様には、民生委員やあるいは地元のその地域担当の警察官やいろいろな方がおられると思いますけれども、ぜひ、さまざまな形で、その家庭に問題がないのかどうか、あるいは、その児童の扱いについて児童相談所にどうだったのかと問い合わせるぐらいのやはり関心を、犯罪ですから、しっかりそういった関心は持っていただきたいと改めて思うわけです。
そしてもう一つは、これまで、この通達にも書かれているんですが、児童の安全確認、これを最優先と書いてある。これは当たり前のことですね、当然のことなんです。
しかし、実はどうでしょう、皆さん。岸和田のあの虐待死もそうですが、最初は兄弟を児童相談所でマークしていた、しかし、裏を返してみればというか、結果が出てきてみたら、家の中に引き続き残っていたもう一人の兄弟の方が虐待でひどい目に遭っていたということがありました。保護された方、マークをされていた方ではなく、そうじゃない兄弟が結果的には今回も死に至ったわけですね。
それから考えますと、我々は今まで、例えば現場で子供を確認した、先ほど長官がおっしゃったように、その子供のことは児童相談所に送ったけれども、その時点では三歳の弟の認識がなかった、残念ながら、これが今までの我々の対応だったんですね。これを、やはり虐待が起こるということは、その親子関係だけではないと私は思います。その家に何らかの異常性があって、そしてすべての子供にその影響がかかってくる可能性があるんだ、これはきっと皆さん同意していただけると思います。その意味では、虐待が起こった世帯、家庭に対して、我々が、警察が、児童相談所がもう少し手を入れて調査をしていく必要があるんだということの私は提言をさせていただきたいというふうに思います。
ですから、ここに児童の安全確認と書いてありますが、児童その他の兄弟とか、これもまた、できたら新たな通達を出していただきたいというふうに考えております。
これは、長官が先ほど、新たな通達は、そんなに通達というのは軽いものではないこともわかっていますから、そんな簡単にはいかないかもしれませんが、次に公安委員長の方に、こういう指摘を踏まえて、今後何らかの前向きな対応をしていただきたいということを私はお願いするわけですが、いかがでしょうか。
○溝手国務大臣 大変痛ましい事故で、私も胸を痛くしております。
議員のおっしゃるように、地域全体が力をつけるために、警察がどういう働きができるであろう、福祉関係の組織がどういうことができるだろう。地方団体の御協力も必要でございます。民生児童委員というのは市町村が任命しているわけですから、全体が相協力して地域の力がつくれるように、警察もやはり協力していかなくてはいけない、このように思っております。
○泉委員 その意味では、さらに提言をさせていただきたいのは、私は、ある友人の、警察の仲間からもいろいろと意見を聞いておりますけれども、やはり、児童相談所と警察の関係も、連携を強化するということではありますけれども、児童相談所の方にも踏み込むことに不安やためらいがあり、警察の方も基本的には家庭環境については児童相談所だという本質的な割り方があると思っておりまして、その意味では、例えば、少しとっぴかもしれませんが、児童相談所に警察から出向していくというケースがあってもいい時代に今来ているのかもしれません。あるいは、児童相談所の職員が警察学校なりで研修を短期間受ける、そういう必要性も私はあっても、これはあるのではないのかなというふうにも感じておりますので、ぜひそういったことも前向きに今後御検討いただきたいというふうに思っております。
この児童虐待という犯罪は、声なき犯罪です。子供は、親を信じ、親について、ひたすら親を信頼してやはり過ごしてくるわけです。そういう中で受ける被害をぜひとも食いとめていただきたい。そのためには、我々もそうです、皆さんも全力を尽くしていただく、あらゆる選択肢を考えていただくということをぜひお願いさせていただきたいというふうに思います。
それでは、次の問題に行かせていただきます。
長官にお伺いをしたいんですけれども、これから来年に向けて、先ほど言ったように、刑法犯の認知件数が下がっているとはいえ、まだまだ治安は回復をしていないという現状であると思います。
そういう中で、今回、警察が懸賞金制度ということをおっしゃられました。日本にはまだなじみがないということと、そして、では懸賞金が出るまでなかなか、今度は懸賞金目当ての一般の方々がふえてしまって、通報がおろそかになってしまうんじゃないか、そんなような懸念もされているところですが、この懸賞金制度、きょうはもう確認だけということになりますけれども、これに踏み込まれた理由をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
○漆間政府参考人 懸賞金制度については、今まで公的な形でやるということはやっておりませんが、警察OBが募って、お金を出して懸賞金をやるとか、あるいは被害に遭った御家族の方から懸賞金で何とか犯人を捕まえてほしいというようなことがございました。
そういうものをずっと見ていますと、やはり基本的に、その中で、それで捕まるというケースがあるわけです。特に一番有名なのは、時効間近に捕まったというケースもありますし、それから、ある大手の、マブチモーターの関係もこの懸賞金の関係でうまく情報が入手できた。したがって、懸賞金はそれなりに効果はあるんだと思います。ただ、それを公的なものでやるのがどうかというのはあると思います。
ただ、基本的には、やはり今までの私的な懸賞金制度でやってきた中でもいい効果も上がっていますし、それから、先ほどちょっと委員のお話の中で御懸念があったのが、懸賞金をつけるまでの間もいろいろ時間がかかるんだろうから、そうなると、そこにかかるそういうようなものを当てにして捜査の方がちょっと怠るというかおざなりになるとか、そういうこともあるんじゃないかということを言われましたけれども、これは実際の私的な懸賞金のケースを見てもそういう形は出ておりません。
だから、あとはいかに、どういうような犯罪にどういう形で懸賞金をつけるのが一番いいのかというのをよく我々として検討して、それで、この懸賞金制度というのをまずやってみて、これがどういう効果を上げるかということで、ともかく我々としては、来年度予算で通れば初めてやる制度になりますから、これをまずやってみて、その結果を踏まえて改善すべき点があれば改善しますし、また、どんどんやる方がいいというのであれば大いに活用するという方向で考えていきたいと思っています。
○泉委員 警察の名誉のためというか、私は捜査が怠られるという話はしておりませんでして、あくまで情報が、ちゃんと額が決まって懸賞金というものが打ち出されるまで情報が上がってこないんじゃないか、通報が来ないんじゃないかという指摘をさせていただきましたので、警察が捜査に全力を尽くすということは間違いないことだというふうに思っております。
とはいえで、アメリカとかほかの国を見ても懸賞金目当ての人たちが出てくるというケースがあるというふうに聞いておりますので、そういう情報の問題ですとかそういったことにもこれから留意をして、きょうはもう確認だけで終わりますが、ぜひこれから詰めていきたいというふうに思っております。
そして、済みません。先ほどの虐待の問題で厚生労働省からもお越しをいただいていると思うんですが、厚生労働省も同じような通達が出ております。これもぜひ、警察庁とお互いに協議をして、ほかの兄弟ということの問題については検討をよろしくお願いしたいと思います。質問への答弁がないままで申しわけありません。
そして、次の問題です。
これは、この内閣委員会でさきの通常国会では非常に議論になった話題でございますけれども、公安委員会の問題についてです。
国家公安委員会、さきの国会におきましては、与党、野党、共通の認識を持って、現在の治安の悪化、そして警察の数々の不祥事にかんがみということで、ぜひ公安委員からも意見を伺いたいということの提案を理事会として公安委員会の方に要請させていただいたところでございます。そして、政治的中立性また公安委員会の独立性という問題にさまざま配慮をして、答弁、これは委員に対しては求めません、答弁はその委員の代表である公安委員長にのみ行っていただきたいということの提案をさせていただきました。
しかしながら、大変残念なことに、公安委員会の中での協議の結果、この提案は断られてしまったということで、さきの国会では、内閣委員長の名前において遺憾の意が表明をされたところであります。
しかし、やはり、遺憾の意が表明をされてこの問題がすべて終わったわけではございません。引き続き、その遺憾の意に至った、また、欠席の回答ということに至ったその理由を詳細にこれから議論していかなくてはなりません。その意味では、きょうだけでは時間は短いというふうに思っておりますが、ぜひ、公安委員長、長官、それぞれの御見解もお伺いをしたいというふうに思っております。
まず、この経過の中で、公安委員会が持たれて、そして内閣委員会の理事からのこの要請について協議をされたということでございますけれども、その内容についてお聞かせをいただきたいと思います。公安委員長、お願いいたします。
○溝手国務大臣 さきの国会において、沓掛国家公安委員長時代にそういう要請を受けて協議をされたというように伺っております。詳細については私は存じておりませんが、公安委員長の方から所見を委員長の方にお述べになった、文書でお届けしたということは承知いたしておりますので、それが議論の中身だと承知しております。
○泉委員 これは、この国会でも恐らく議論が続いていきまして、お互いに勉強していかなければならない論点だと思いますので、公安委員長におかれましては、ぜひこのことについてよくよくこれから勉強をしていただきたいというふうに思うわけです。
文書が確かに届きました、内閣委員長に対して。それには、政治的中立性の確保、これがまず第一点である、そして、そこに疑念があるということでした。そしてもう一つは、やはり公安委員の代表者は国家公安委員長であるからして、その国家公安委員長以外に意思を表明するような機会は基本的にはないというような理由があったかと思います。そしてもう一つは、前例がないということでございました。
実は、国家公安委員会の中で協議をされた時間は約四十分ほどでありました。確かに、内閣委員会の側から大変急な要請というような受けとめられ方を公安委員会の中ではされたようでして、もう少し慎重に議論をしたいということで回答にも書いてございます。
そのもう少し慎重に議論をしたいという中では、この四十分の公安委員会の協議の中で欠席の結論を出されたということ自体も、私はこれは本当の結論ではないというふうに判断をしておりまして、当面、とりあえず待ってほしい、このことについては今は出席という回答は出せないけれども、しかし、今後協議をしていくというふうに私は受け取っておりますが、公安委員長、そういう認識でよろしいでしょうか。
○溝手国務大臣 議論を続けることにはやぶさかではございません。お互いに理解し合う必要があろうかと思っております。
○泉委員 当時の佐藤内閣委員長に届いた沓掛国家公安委員長からの文書にはこんなことが書いてあります。
国家公安委員、これが「国務大臣たる当職が委員長に充てられている趣旨は、政府の治安責任を明らかにするとともに、当職が内閣や国会に対して警察行政の現状や国家公安委員会の警察庁に対する管理の実態等を説明し、及び内閣や国会からの警察行政に係る意見、要望等を国家公安委員会に伝える責任があることにあるものであります。」というふうに書いております。
確かに、本来であれば、委員長がその役割を果たす、国会、内閣からの意見を公安委員に伝え、また逆もしかりということなんですが、だれが国家公安委員長だからということではなしに、委員の中で共通していましたのは、やはり、同意人事である国家公安委員一人一人の存在が非常に国民からは見えにくくなっているという実態がまずあるということです。
確かに、議事録の公開等は進んでまいりました。しかし、一人一人が治安に対してどういう認識をされているのか、また、現状、この数年間の警察不祥事に対してどういう認識をされているのか、ぜひ内閣委員会として聞きましょうという与野党一致した段階に至るまで、実は、公安委員長がただ窓口になって、内閣と国会、そして公安委員の間をつなぐというその役割を担い切れていなかった現状があったんじゃないのか。それは公安委員長だけのせいではないと思いますが、公安委員会がやっていることの国会に対する説明、そして、国会の日々行われている警察問題に対してのこの議論の公安委員に対する説明、我々の気持ちが本当に伝わっているのかなという現状がやはりあったわけですね。
その意味では、現在、公安委員会の中では国会の議論というのはどういうふうに伝えられているんでしょうか。委員長、もしおわかりでなければ別な方でも結構ですが、お答えください。
○漆間政府参考人 前回のときも、私その経緯を存じ上げておりますけれども、基本的には、理事会からこういうことでどうだという話でありまして、したがって、国家公安委員会というのは合議制で意思決定をするわけでありますから、そういう状況の中で個々の委員がどういうことを言ったというようなことは、これは国家公安委員会での意思決定では余り影響はない話なんですね。
そういうことから考えますと、委員が国会の場に出ていって、そこでしゃべらないにしても、やはりこれは、ちょっと全体として政治的中立性の問題だとかそういうものに疑念が残る部分があるから、したがって、これは直接いわゆる一般の参考人として出てくれという趣旨であったとすれば、別に、国家公安委員会として任意でこれは受けられませんということになれば、それはそのとおりになるはずですから、そういう経緯から考えて、国家公安委員会としては、当面そういうことについては適当ではないという国家公安委員会としてのともかく意思決定はされたんです、そのとき。その意思決定された内容が伝えられたということでありまして、今後これをどうするかということについては、またこれはいろいろ議論をする場は今後出てくると思います。
ただ基本的には、国家公安委員会というのは、やはり合議制でともかく考え方をまとめるところでありまして、それを、個々の委員がどんなことを言ったんだということを国会でいろいろ聞かれるというような仕組みでやられるのであれば、そうすると、まさに委員が国家公安委員会の中で自由闊達に議論をしよう、そういう中に、こんなことを言うと今度は国会でいろいろなことを質問されちゃうのかということになれば、それは自由闊達な議論ができなくなるということもあります。そういうことを踏まえて、一応基本的には、やはり国家公安委員会の委員長が委員会で決定されたことについて、まず国会の場でもお話しするし、それから国会自体でどんなことが起こったかについては、これは、今でもちゃんと、国家公安委員会の中で、こういう議論がございましたということはお伝えしています。
これは、ホームページに載っかっている議事録でどの程度出ているかちょっと私も確認はしていませんが、少なくとも私がいる場で、今回は内閣委員会の理事との間でこういう話がありました、こういうことについてどうお考えになりましょうかということについても含めて全部お話ししているんです。
実際のところ、ふたをあけてみたら、国対の方からいろいろありまして、こういう結果になりましたということも含めて全部一応国家公安委員会の委員には克明に説明をしております。したがいまして、国会でどんな論議が行われている、国会で国家公安委員会が本当に機能しているのかどうかなんということも言われているということも含めて、ちゃんとこれをお伝えしております。
したがって、そういうことも踏まえながら、今後、国家公安委員会の委員を果たしてここにお呼びになることがいいのかどうか、それはよく御検討いただきたいと思っています。
○泉委員 そんな不合理な、そんな理不尽なというふうに思われるかもしれませんが、その克明に説明をされておりますというものが、やはり、これは委員共通の思いかもしれませんけれども、我々からすると、その姿が見えないというのが実際のところであります。
例えば、では、議事録を読んでくださっているんだろうか、インターネットのこの審議を見てくださっていたんだろうか、これまでの審議の経過、その熱を感じてくださっていたんだろうかというと、説明は恐らく官僚の、警察の職員の方か、そういった方になるのかもしれません、次長なのかもしれませんが、そういう形での理路整然としたというか無味な説明で、無意味じゃないですよ、無味なですよ、説明でなされたものが、では本当に今の市民や国会の状況を伝えたことになっているんだろうかということを改めて考えたときに、私は、実は、前回の国会で提案をしているのは、それぞれの公安委員を名指しして、あなたこう言ったでしょう、だからああしなさい、あなたの前歴はこうですね、これはどういう意味ですか、そういうものを聞く場ではないということも理事懇の中で確認をした上で提案をさせていただいております。
ですから、治安そして警察改革、この二点において、公安委員会に、本音を言えばですよ、本音、これを言えば、公安委員の皆さんに国会の委員会の議論を見ていただきたい、こういう我々の大きな思いがあったということなんです。それを踏まえて、今後どういう議論をしていくのかということであるということをぜひ、公安委員長そして警察庁長官、これは御認識をいただきたいというふうに思っております。
先ほどもちらっと国対というお話が出たようですけれども、ぜひ、恐らく多くの見識のある委員そして庁内の皆様が何らかの形で、それは理事との意見交換かもしれません、あるいは、先ほど言ったような、委員会に来ていただきます、それは参考人として、任意かもしれませんが、そこに座っていただくだけでもという形の形式はあるかもしれませんが、引き続き、これは我々重要な問題というふうに考えております。
月給百万円を超える、この国の治安全体を管理監督する立場である公安委員の方々でございますので、やはり、国民の代表である国会議員の議論を何らかの形で直接聞いていただく機会を私は設けていただきたい。そして、それは決して政治的中立性に反するものではない形がつくれるはずだというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
それでいいますと、政治的中立性という言葉ですね。よく使われるんですが、長官、この場合において政治的中立性に疑念を生じるからということの理由が書かれていたわけですが、これをどう解釈していいのかなと思っておりまして、一つは、本来のこの国家公安委員会の法律では、公安委員のうち三名が同じ政党に属してはならない、あるいは積極的政治活動をしてはならないということをもってして、それを守ることが政治的中立性だ、あるいは、内閣からの独立性を確保する、そういう意味を持っての政治的中立性だというふうに解釈しているんですが、この委員会の中で、例えばその委員会の質疑を参考人として聞く側に回る、そういったことも政治的中立性に反するということになるんでしょうか。
○漆間政府参考人 基本的には、この政治的中立性の意味は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、つまり、もともと、昔のいわゆる内務省制度からいけば、選挙のときに大変な大きな介入をするとかいうこともあったから、新たな警察制度のもとでは、この政治的中立性と、それから警察の民主的管理ということで国家公安委員会はできているわけですね。
そこで言う政治的中立性というのとちょっと違いまして、つまり、国家公安委員会の委員が基本的にこういうようなことについてはどう考えるかということを国家公安委員会の場で議論して決めるわけですよね。その議論して決める場にいる国家公安委員が、実はこのことをしゃべると今度は国会で何か言われるのではないかとか、あるいは国会で何か言われることによって、今度はそういうことで議論している内容が果たして本当にこれは本人の意思に沿ってきちっと言われている、自由意思に沿って言われているのかどうか、そういうことについての疑念を持たれるとか、疑念を持たれる可能性がある、そういうことを含めて政治的中立性というのに疑いがある、こう言っているわけでありまして、その辺のところはいろいろ御了解いただいて、また今後御検討いただければと思います。
○泉委員 これは、ぜひ議論を続けていきたいと思います。
長官への質問はこれで終わりますので、どうぞあれしてください。
公安委員長に対して、この問題について、私は、この政治的中立性ということを考えましたときに、それを持ち出されてすべてだめだと言ってしまうと、やはりこれは我々国会として役割を果たすことはできないというふうに感じております。
その意味では、ぜひ国家公安委員会として、これからこの件については、定例日にさまざまな報告の中で、さらに協議時間というのはあるかもしれませんが、そういう中の一つとしてぐらいでは私はこの問題というのはとても結論が出せるものではない、あるいはもっと重要な問題だというふうに認識をしております。高い月給が払われている公安委員会でございますので、毎日議論をしたっていいぐらいに私は感じておりますので、ぜひ別な日にこの件については議論をしていただきたいというふうに思っております。
そして、政治的中立性でいえば、改めて我々が主張していることでありますけれども、私は、どの組織体、どの機関だって、全く無色透明ということは、それはあり得ないというふうに思っておりまして、その政治的中立性を余りにも追求すると話は進まなくなってしまうんですが、逆に言うと、国家公安委員会そのものも、やはり警察からの独立性、中立性というものがもう少しあってしかるべきなのかなと。
私が言いますのは、それは事務局の件であります。この事務局を長官官房の皆さんが庶務として行っているということについては、これはやはり見直しをしていただく。公安委員会として情報を警察から滞りなく得るということは大変重要だとは思いますけれども、それでもやはり、公安委員会事務局というのを独立で持っていただくということが大変重要な観点だというふうに思っております。その上で、警察としっかりとした意思疎通を図っていただくのが本来の独立かと思いますが、いかがでしょうか。
○溝手国務大臣 事務局の件でございますが、国家公安委員会に独立の事務局を設けることについては、我々としましては、警察庁との間に二段構造ができてしまうということで、屋上屋を架すことになると思っているところでございます。事務局と警察庁が併存すれば、事務の重複により余分な人員も必要になると思われますが、そういった非効率は余りよろしくないんじゃないかというのが現在の我々の見解でございます。
警察との間において、我々が警察を管理する立場にあるわけでございますから、十分自覚をしてこれからもやってまいりたい、このように思っているところです。
○泉委員 我々が管理をするということであれば、まさにその力をもう少し発揮していただきたいと思うんです。それが屋上屋と言われたら、では、本当に一体なのかと逆に疑ってしまうわけですよ。事務局を独立させると屋上屋になってしまう、二重行政になってしまう、そうなると、今の状態というのは、まさに一体ということを委員長みずからおっしゃられているような話でありまして、それはお考えを改めていただかなくてはならないというふうに思います。
みずから力を発揮していただくのであれば、やはり事務局、自分たちの配下、部下、プロパーの人間たちがいなくて、全部警察から来ている方々が自分たちの職務を日ごろ担当している、補佐しているということであれば、これは果たしてどこまで独立性があるんだろうかということを疑わざるを得ない状況にあるというふうに思いますので、ぜひこれからもその件についてもよくよく検討を続けていただきたいというふうに思います。
時間がございません。次、三つ目の問題に移らせていただきたいと思います。
高市大臣にはずっと最初から座っていただいて済みません。ありがとうございます。本当は後からお越しくださいということを話をしていたんですが、御配慮いただきましてありがとうございます。
まず、順番でいいますと、大変申しわけないんですが、山本大臣の方に先にさせていただきます。お許しください。申しわけございません。
では、高市さん、先にいきましょうか。では、済みません、高市大臣、先にいかせていただきます。
三大臣がされていたことをいろいろと五つも担当されているということで、大変お忙しいことになるかと思うんですが、きょうはそれとは別なことをお伺いさせていただきます。
というのは、歴史認識の話であります。やはりこの内閣において、早速、歴史認識についてさまざまな不一致があるのではないかということが言われているわけです。そういう中で、まず伺わなければならないのが最近の情勢でありまして、自民党の中川政調会長あるいは麻生大臣の核議論は構わないという発言がございました。
この核議論が構わないということについて、高市大臣の御見解をお願いいたします。
○高市国務大臣 私が閣僚としてお答えさせていただきますが、私は、核保有論につきましては否定をいたします。これは、日本は非核三原則ということを堅持いたしておりますし、実際の法律でも、私に関係するところでは原子力基本法、これによって我が国の原子力活動は平和目的に厳しく限定をされておりますので、NPTの非核兵器国としての義務もございますから、私自身は核保有論にはくみをしたくないと思います。
また、議論の是非についてでございますけれども、私は、政党の中ですとか広く国民の中で自由な議論が行われることは結構かと思います、もちろん国会の場でも。ただ、もしも閣僚である立場の者がこの場で答弁をできるとしたら、それは、政府としての方針を国民の代表が集まっておられる国会に責任を持って申し上げるということに尽きると思っております。
○泉委員 そういう中で、麻生大臣が核議論は構わないというようなことをおっしゃられたというふうに私は認識をしているわけですが、おっしゃるように、これが他国の核に対する国内での対応をどうするのかということであれば、それはあり得る話だというふうに思います。しかし、その場合においても、日本が核武装をするというオプションをそこに含めるかといえば、それは含めるべきではないというのが政府の立場であってしかるべきなのかなというふうに私は思います、あくまで非核三原則を守るということでしょうから。
その中で、やはり影響力のある中川政調会長ですとか麻生大臣が核議論も構わないという言い方で国民に伝えてしまいますと、いや、議論はいいじゃないかということで、何でもかんでもいいじゃないか、いいじゃないかというような流れをつくることになってしまうのではないかと大変懸念をしております。
その意味では、ぜひ、政府が言うぎりぎりのところというのは、核に対して国としてそれを防御するために、他国の核に対しての防御の中での議論というものは、防衛の議論としてはあり得るけれども、それは核を我が国がオプションとする意味ではない、我が国自身が核を持つ議論ではないということは改めて明確にしていただきたいというふうに思っております。
さらにお伺いをいたしますけれども、いわゆる村山談話、そして靖国神社についてです。
高市大臣は、村山談話についていかがお考えでしょうか。
○高市国務大臣 村山談話は、戦後五十年の首相の談話として既に閣議決定されたものでございます。先般の予算委員会での安倍総理の答弁でもございましたが、現在の政府はこれを引き継いでいるという考え方でございます。
○泉委員 公安委員長、これで質問の方は終わりましたので、どうも済みません、御退席ください。
済みません、もう一度御答弁いただけますか。大変恐縮なんですが、もう一度高市大臣、御答弁を。
○高市国務大臣 村山談話に関しましては、戦後五十年の時点で村山首相が発表された談話ということで閣議決定をされ、内外に周知されております。先般、衆議院予算委員会での安倍総理の答弁にもございましたとおり、現在の政府はこの考え方を受け継いでいる、こう理解いたしております。
○泉委員 大臣御自身のお考えとしてはいかがですか。
○高市国務大臣 先ほども申し上げましたが、私は、国会の本会議であれ委員会であれ、ここで閣僚として申し上げられるのは、やはり、国民の代表が集まる国会に対して、政府として責任を持てるお答えであると思います。
仮にこの委員会で私が個人的にこう思いますがというふうに申し上げた場合には、それは必ず、私が自分の所掌事項についてこう改善したいとか検討したい、改善するぞと思っていることの予告ということになります。ですから、個人的な、高市早苗個人の見解をここで国民の代表の皆様にお伝えするのがふさわしいことだとは思いませんので、済みません。
○泉委員 ああ、大分変わられましたね。
御存じかと思いますが、「正論」平成十七年三月号、「教科書から「従軍慰安婦」「強制連行」という用語が減ってなぜ悪いのか 近畿大学教授 高市早苗」、ここにこんなことが書いてございます。
中山大臣が発言をしたことに対して、閣僚就任を理由に政治家としての信念を曲げることが正当化されるならば、政治のリーダーシップ強化を期して平成十一年に成立した国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律の趣旨は生かされないし、小泉首相が言った適材適所の組閣人事方針もむなしいものとなる、何より、中山大臣のすばらしい教育論に敬服して一緒に行動してきた仲間はたまったものではないと、なぜ大臣になったからといって信念を曲げるんだということが書かれております。
そうしたら、恐らく高市大臣は、私は信念を曲げていないから、ただ、大臣として答えていないだけなんだとおっしゃられるかもしれません。
なので、もう一つ発言をここで申し述べさせていただきますと、いつか自分や同志が大臣ポストを獲得したら、政府内で大なたを振るって抜本改革ができるとの思いが若手議員たちの支えでもあったと。
大臣になられて、今どうお考えですか。
○高市国務大臣 私は、政治家としての信念は曲げておりません。これは申し上げておきます。
私がもしも、それは教育に関する話でございますから、私が例えば文部科学大臣でありましたら、このような方向で改善できないだろうかと、当然総理にもお話をしまして、改善のための努力をするかと思いますし、また、私が仮に内閣総理大臣でありましたら、もしかしたら、私の信念に従いました形で新たな歴史見解を発表するかもしれません。
ただ、今私に与えられた仕事は、先般の所信表明でお話を申し上げました範囲に限られます。あくまでも、安倍内閣の一員として、政府として国会議員の先生方に責任を持てる範囲でしかお話ができないということです。
信念は変わっておりません。
○泉委員 ということは、大臣に公と私の区別があるかというところがまたあるわけですが、特に、公と私というか、一議員としての発言と大臣としての発言、これは両方存在をし、その使い分けは本人にゆだねられるというふうにお考えですか。
○高市国務大臣 一議員として、私が今の内閣府で担当させていただいている内容について、こうなればいいな、ああなればいいなと思っていたことに関しましては、今内閣府の中で新たなプロジェクトも幾つか立ち上げまして、一生懸命進めております。そういう意味では、政治家が閣僚というポストを得たときに、当然内閣全体で一致して御理解をいただかなきゃいけませんが、できることはすべてやっていく、自分の範囲内でできることはすべてやっていくということだと思います。
ただ、思想、信条にかかわること、心の問題にかかわることで、一〇〇%すべての閣僚が同じことを考えているということは内閣としてあり得ないんじゃないでしょうか。それは、それぞれ思想、信条の自由というものはあると思っております。
○泉委員 そうしますと、お気持ちは、見解は変わられていないけれども、例えばこの「正論」の中には、中国、韓国は明らかに日本の主権侵害行為をしているということも書いておりまして、そういったことも含めて、個人としては変わっていないけれども、大臣である以上はその内閣の意向に従って、閣議の中でこういったことを主張されたりもしないということで考えてよろしいですか。
○高市国務大臣 今のくだりが、例えば靖国神社問題に係る部分であったのか、歴史見解に係る部分であったのか、ちょっとその論文が手元にありませんので、すべて覚えていないです。長い文章でございます。
ただ、例えば靖国問題でございましたら、これは私は、御英霊を、また公務死された方々の霊をどのようにお祭りし、追悼するかというのは内政問題だと主張してまいりました。政治家のときに、こう主張してまいりました。ところが、現実問題、やはりこれは外交問題であるという国際社会の流れ、世論というのも現実に国内にもございます。
そのときに、総合的に判断をした場合に、今は私は、とにかく北朝鮮に拉致されている方々が無事に帰ってこられること、そして日本の国民が安全な状態であること、国民の命を守るのは、私の個人の考え方、心の問題以上に、私にとっては大切なことでございますから、国益を考えて、国民益を考えて判断しております。
あくまでも、内閣として一体になった方向性を国会の場では御説明したいと思います。
○泉委員 きょうは時間がないので、最後の質問にさせていただきます。そしてまた、見解を聞くだけの質問になってしまったことをお許しいただきたいと思います。
北朝鮮が経済制裁を受けて、それを宣戦布告とみなすということを今発表しております。これについては、ちょうど我々が、戦争当時というか戦争の初期、開戦当時の状況で、やはり経済制裁を受けて、自衛の戦争だということで開戦に踏み切ったという経緯もあるわけですが、大臣は、北朝鮮が今これを宣戦布告とみなすということについては正当性があるというふうに感じておられますか。
○高市国務大臣 何をもって戦争行為だとするかというのは、非常に、国際法上、難しいと思います。例えば、経済制裁をもって、これを戦争行為、戦争をしかけた行為とするかどうかというのは、私の知識にある限りは、パリで締結された不戦条約の中に、ウオー・オブ・アグレッション、つまり侵攻戦争を禁じる内容がありますが、しかし、これが戦争行為か、自分でしかけていった侵攻戦争か自衛戦争かという解釈は自己決定権にゆだねられておりますので、これは国際法的に考えるというと非常に難しいんじゃないかと思います。ここまでしか申し上げられません。
○泉委員 高市先生、ありがとうございました。
本当に、山本大臣、済みません、もうあと少しになりました。先ほども言ったんですが、内閣委員会は非常に分野が広くて、質問時間が大変短い状況ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
山本大臣に質問させていただきます。
これもまたほとんど入り口の質問になってしまう話で大変恐縮なんですが、再チャレンジということでいよいよスタートをいたしました。しかし、何が、どれが、この再チャレンジのまさに山本大臣のお仕事なのかということでいうと、各省庁からたくさんの再チャレンジと銘打った政策が集められてきているだけなんじゃないのかなというふうに、私はこの中間取りまとめを読ませていただいて、感じる次第です。
刑務所から出所した方の再チャレンジ、高齢者の再チャレンジ、一度事業を失敗した方の再チャレンジ。でも、これはすべてほかの省庁で既にやられていることですし、地元の商工会議所とかに再チャレンジの方の窓口を全国に設置するなんと書いてあるわけですが、いや、別に再チャレンジの方と新規チャレンジの方の窓口を分ける必要もないだろうし、もう既存のもので十分あるだろうということで考えると、改めて、再チャレンジのこの大臣は、他の省庁ではない独自のものとして何をやるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
○山本国務大臣 従来、再チャレンジという、役所の中での位置づけというのは、内閣官房の内閣官房副長官補室の業務の一環でございました。いわば、当時、中間報告の時代では、安倍官房長官が独自でお考えになり、取りまとめた施策の集大成という位置づけであります。
今度、私が大臣に就任することによりまして、十月十一日から再チャレンジ担当室が設置されました。そこに十三人の有能な職員を集めまして、これから、独自の考え方に基づきまして、さらにそれを敷衍していくということでございます。
ただ、こんなことを言っていますと余りにも抽象的な話ばかりでございますが、時代的に申し上げれば、近代市民革命以降、自由と平等という概念が二通りございます。
改革というものを自由というように位置づけますと、次に来る概念というのは、対立ではなくて、さらにそれを慫慂しようとする概念として平等ということがあろうと思います。特に、規制緩和のサッチャリズムに吹き荒れたイギリスがブレアで新しい貧困政策を取り入れていったということは、まさにそういう時代的認識のもとにこういう施策が繰り広げられた。それでいえば、ちょうど我々は、貧困政策や時代の閉塞感に対して何らか答えを出していくべき時期が来たということであろうというように思っております。
○泉委員 具体的にはこれからだということがよくわかりました。
その中で、新聞の方には、長期休暇制度が再チャレンジの中の具体的構想として出てきているなんという話がありまして、いや、ちょっとこじつけのような気もしないでもないなという気がしておりまして、本当に何をするんだろうということが不思議でならない状況です。
本当に時間がありませんので、大臣の再チャレンジの経験があればお聞かせいただきたいと思います。
○山本国務大臣 私は、大学へ入るのに浪人しておりますし、司法試験を合格するまで四回受けまして、悲惨な学生、受験生活を送った経験がございます。また、弁護士としても、一流でなくて三流ぐらいでありました。県会議員に通るのも国会議員に通るのもチャレンジ、ひたすらチャレンジであったというように思っております。
以上です。
○泉委員 ありがとうございます。
最後に、先ほどの警察不祥事の件ですけれども、警察改革の件ですけれども、この件については、我々としては、組織的に警察の中で行われるような不祥事が今後発覚した場合というのは、やはり公安委員の方々に意見を聞く必要があろう、あるいは国家公安委員会の方々と何らかの形で国会が接する機会をつくる必要があろうというふうに考えておりますので、それはぜひ今後理事会で協議していただきたいということを最後に述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○河本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
――――◇―――――
午後二時二十二分開議
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私、最初に、核開発といいますか、核兵器にかかわる問題から伺っていきたいと思います。
日本の分裂性プルトニウムの保有量、これは文部科学省関係の分で別に四・二トンあるわけですけれども、これを除いて、今の原子力発電所から出てきている分で、ことし一月六日現在で、返還プルトニウムと国内再処理分合わせますと、日本の持っている分裂性プルトニウムの量は二十六・二トンだというふうに資源エネルギー庁から説明を受けておりますが、この量が変わっているのかどうか、これを最初に伺っておきます。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、ことしの九月に原子力委員会へ内閣府、文部科学省、経済産業省の連名で報告をいたしました「我が国のプルトニウム管理状況」では、原子炉施設に保管されています分離プルトニウムは、実用発電炉分が四百十五キログラムでございます。また、海外に保管中の分離プルトニウムは三万七千八百五十二キログラムとなっております。
○吉井委員 何か違う数字を言うてはるの違うかと思うんですが、ことし、ちゃんと電事連の方でまとめた数字でいただいておるんですね。同じ数字を持っておりますので、私、それで確認したんです。
昨日も伝えてありますが、分裂性プルトニウムで海外二十五・六トン、東海の方で〇・六トン、合わせて二十六・二トン、分裂性プルトニウムを持っているということですが、この確認だけなんですよ。
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。
私が先ほどお答え申し上げましたのは分離プルトニウム全体の量でございまして、分裂性プルトニウムに限って申し上げれば、先生御指摘のとおりでございます。
○吉井委員 分裂性も非分裂性も合わせた数字でももちろんそれはいいわけなんですけれども、伺ったのはそっちだったんです。
では次に、分裂性プルトニウムの臨界量、これは幾らになりますか。
○青山政府参考人 プルトニウムのいろいろな形状によっても異なるかと思われますので、ただいまちょっと正確な数字を手元に持っておりませんので、大変申しわけございません。数キログラムのオーダーであろうかと思いますけれども、正確なところを今申し上げられません。
○吉井委員 きのうこれ質問するとちゃんと言っておきましたので。ひょっとしたら、原子力安全委員長、私の方がそんなこと知っているからというお顔をしていらっしゃるので聞かせていただいてもいいんですが、これは、原子爆弾の研究というのは、リチャード・ローズという人が、かなり分厚いものですが、アメリカでの開発の歴史を含めてありますが、分裂性プルトニウムの臨界質量というのは、最初の実験のころで五キログラムなんですね、リフレクターの問題とかいろいろ態様がありますが。だから、もちろん、非分裂性も含めた総プルトニウムでいきますと、長崎型であれば七キログラムとかそれぐらいになってくると思うんですが、原子力安全委員長にお聞きした方がいいんだったら、どうぞ答えていただいたら。
○鈴木参考人 先生がおっしゃるとおりが大体正しいところではないかと思いますが、正確には、いろいろな前提を立てて評価しなきゃいけませんのでなかなか難しいところですが、私が理解しておりますのは、先生お尋ねの、核不拡散上といいますか、核兵器との関連では、私の理解しているところでは通常八キログラムを一つの判断の目安にし、その約二分の一、四キログラムぐらいだと、ひょっとするとそれでも十分かもしれない、そういう議論になっているんじゃないかと思います。
ありがとうございました。
○吉井委員 それで、アメリカの開発史について述べたものの中では、最初に実験したのは、リフレクターその他のプルトニウムの密度もかかわってきますから簡単には言えませんが、五キログラムでやったということですね。
つまり、日本の現在持っている分裂性プルトニウム、これは原発から出てくる分だけですが、今持っている分で二十六・二トンですから、これは大体、長崎型原爆に直せば、計算はいろいろありますけれども、五千三百発分ぐらいといいますか、かなりのものになってこようかと思いますが、これは単純計算の話ですから、確認しておきます。いずれでも結構です。
○鈴木参考人 計算上はそういうことになろうかと思います。
○吉井委員 それで、現在そういう状況なんですが、原子炉の中と貯蔵プール、六ケ所中間貯蔵施設にある使用済み核燃料に含まれている分裂性のプルトニウムというのが、これも既に電事連データでいただいておりますが、七十九・九トンですね。ですから、これだけでも単純計算すれば一万六千発のプルトニウム原爆の量に相当してくる。ですから、再処理を済ませたプルトニウムの保有量と合わせますと、日本には、長崎型原爆にすれば二万一千発分を超えるぐらいのプルトニウムを持っている、非常にたくさんのプルトニウムを持っているというのが日本の現実だということをまず見ておく必要があると思います。
日本にはこれだけの核兵器開発の材料であるプルトニウムの保有量があって、六ケ所再処理工場でプルトニウムの大量生産能力が今現実に稼働を始めようとしております。それから、核を扱う高い技術力があります。多くの核技術者も日本には存在しているのが現実です。
そこで、外務省の方に伺っておきたいんですが、一九六九年九月二十五日、「わが国の外交政策大綱」というのを外交政策企画委員会の方でまとめた報告書があり、これは先日届けていただいております。この中で、「当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する掣肘をうけないよう配慮する。」これが外務省が当時出しておられた日本の核政策についての考え方だと思うんですが、まず、外務省の検討文書であることは間違いないですね。
○長嶺政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘になりました文書でございますけれども、これは、外交政策企画立案機能の強化ということを目的として、自由な見地から総合的に重要外交課題に関する審議を行うために設置されました当時の外交政策企画委員会が、昭和四十四年、一九六九年五月から九月まで行った検討作業を取りまとめたもの、「わが国の外交政策大綱」、こういう文書であるというふうに承知しております。
○吉井委員 私、核兵器について、この「当面」という言葉がなかなか意味を持っているのかなと。つまり、当面は核兵器は保有しない政策をとる、しかし将来的には保有するかもしれないという含みがあったのかなと思うんです。
実は先ほどの麻生大臣の本会議答弁を私聞いていまして、我が国が核兵器を直ちに保有することはしないと、外務大臣は、直ちにという言葉をつけているんですね。日本が永久に核兵器を保有しないということじゃなくて、直ちにと。当時から外務省の方で検討していたのは、当面核兵器は保有しない政策をとる、当面というふうに非常に限定的なんですね。
外務省が言っている「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持する」とした政策、これは、日本が核兵器をつくろうとするのではないかなどと国際的不信を招かない保証は、これは原子力基本法第二条「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り」とし、そこで法律で核兵器開発を否定している。そして、二条の後段で民主、自主、公開の三原則を定めて、原子力の研究開発については国民的監視ができるようにすることで、核兵器開発を秘密裏に行えないようにしているということが法律で明確に核兵器開発を禁止していることだと私は思うんですが、この点は官房長官にちょっと伺っておきたいと思います。
○塩崎国務大臣 今御指摘の原子力基本法でございますけれども、我が国の原子力活動というのは平和目的に限定しているということでありますので、今御指摘の点は正しいというふうに思います。
○吉井委員 だから、法律上、日本は核兵器開発しないということをきちっと決めているわけですね。しかし一方、外務省の文書では、当時、当面核兵器は保有しない政策をとっていく、当面のことですから限定的にですね。将来はわからない。先ほどの麻生大臣の答弁というのは、我が国は核兵器を直ちに保有することはない、直ちにと。だから、当面とか直ちにという限定をつけているんですね。
そこで、大臣、確認しておきたいんですけれども、法律によって日本は核兵器開発を禁止しているわけですから、これは限定つきのものじゃないというのが政府のあるいは日本としての明確な立場ですね。
○塩崎国務大臣 日本は法治国家でありますから、法律にのっとって国家は回っていくということだと思います。
○吉井委員 ここは外務委員会じゃありませんから、外務大臣がいないところでこれ以上外務大臣の発言についてはおいておきますけれども、しかし、外務省はそういう文書を出し、外務大臣は先ほどの答弁でも直ちにと限定つきであるということは、私は、これは日本の核開発の問題について、非常に国民の皆さんからも、場合によっては国際的にもこれは不信を招くことになってしまうということは言わなきゃならぬと思います。
それで、この点では、専守防衛のためであれ、自衛権の行使であれ、侵略のためであれ、小型であれ、戦術核兵器であれ、核兵器開発そのものを日本は禁止しているということは明確だと思うんですが、官房長官、それはもう明確ですね。
○塩崎国務大臣 原子力基本法で核兵器を保有しないということを唱えているということですね。それはそのとおりでございます。
○吉井委員 次に、核防条約第二条により、非核保有国として一切の核兵器は持ってはいけない、したがいまして、もし日本が小型であれ大型であれ核兵器を持てば条約違反になることになって、ひいては憲法九十八条第二項違反になる、これは一九七八年の真田秀夫内閣法制局長官の答弁ですが、非核三原則というのが、政府の方針ということだけじゃなしに、今お答えになられたように、法律と批准した国際条約によってもはっきりしているものだ、こういうことでいいですね。官房長官に確認します。
○塩崎国務大臣 御指摘のとおり、我が国の原子力政策というのは、非核三原則というのは政策としてしっかりあるわけで、これは不変のものだということは安倍総理も何度も確認をしているところでございますが、今御指摘の原子力基本法、これによって平和目的に限定した原子力活動しかできないということがまず書いてあって、法律的に拘束力を持っているわけであります。そして、NPT、核兵器不拡散条約、これは批准をされているわけでありますから、このもとで非核兵器国として核兵器の製造や取得等は行わない義務を負っているということはバインディングであることは明らかでございます。
先ほど外務省の古い文書のお話がありましたけれども、我が国は国会で成立をいたしました法律あるいは批准された条約に拘束をされるということでありますので、外務省の文書でどう表現されようともそれはそのときのことであって、法律と条約が意味がある、こういうことでございます。
○吉井委員 ところが、中川昭一政調会長や麻生外務大臣らが、憲法でも核保有については禁止されていませんとか核保有の議論は結構だなどという発言がどんどん繰り返されるわけですね。それから官房副長官時代の安倍総理自身も、二〇〇二年五月十三日の早稲田大学での講演では、憲法上は原子爆弾だって問題はないですからね、憲法上は、小型であればですねと発言しているわけですね。だから、一貫して政治家の核開発発言が繰り返されているわけですが、なぜこういう、いわばはっきりしているはずのことが繰り返されるのか。
その背景には、核兵器開発は法律で禁止している、国際条約上も禁止しているんです、日本も批准したわけですが、政府見解で、「自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によっても禁止されておらず、したがって、右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは同項の禁ずるところではない」という、これまた一九七八年三月十一日ですが、真田秀夫内閣法制局長官答弁を初めとして、これは五八年ごろでしたか、岸総理の当時の答弁にも類似のものが出てまいりますが、やはり、九条の二項によっても持ち得るんだ、こういうことを言い続けてきたことが繰り返し繰り返しこういう議論が出ている根底にあると思うんですよ。
専守防衛のためであれ、自衛権の行使であれ、侵略のためであれ、小型であれ、戦術核であれ、核兵器開発そのものは日本は法律で禁止しているんだ、そこははっきりしているわけですから、九条二項で言っている、「自衛のための必要最小限度を超えない実力」とする政府見解ですけれども、その実力の中には核兵器は含まれないんだということを政府として明確にしておれば、そもそもこういう議論というのは出てこないと思うんですが、官房長官、これはどうなんですか。
○塩崎国務大臣 先ほど来、憲法九条二項に基づいても、小型であれば持ち得るかどうかという議論が提起されているわけでありますけれども、純粋法理論的にいけばそういうこともあり得るということを一般的に言っているわけであって、繰り返し申し上げますけれども、安倍総理は、非核三原則は守り、そして、政府としてこの核開発の問題については議論はしないということを明確にし、また、党でも正式な場での議論はしないということを言っているわけでございます。
したがって、政府としては、そういう方針を堅持するということを申し上げるのみでありまして、それ以上でも以下でもないということであります。
○吉井委員 私は、なぜこういう議論が出てくるのか、全く政治家でないだれかが言うような話じゃないんですね。
それで、そういう議論が出てくる根底には、法律上も、批准した条約上もそうだし、政府の非核三原則によっても核兵器を禁止しているわけですね。法律上禁止している。そして、憲法九条二項の方で真田さんのような解釈をしたにしても、法律上禁じられているものについては明確に、それは遊びの話じゃなくて、日本の政府の見解としては、その実力の中には核兵器は含まれないんだ、このことをきちんとすれば、大体、政治家の間からこういう議論が繰り返し繰り返し、憲法上は原子爆弾だって問題でないという安倍さんのかつての発言だって出てくるはずがないんですね。
これは、このところをやはり、政府見解、法制局長官答弁、政府答弁のこの部分を、実力の中には核兵器も持っていいかのような部分ですね、そこはきちんとしておくということが私は必要だと思うんです。官房長官にもう一度伺います。
○塩崎国務大臣 安倍内閣として安倍総理が、憲法九条二項による、いわゆる必要最小限度を超えない実力を保有することを認めている条文からどういうことが読み取れるのかということを特に敷衍しているわけではないと思います。
大事なことは、今、我が国が核兵器を持たないという政策と法律とそして条約について、これは堅持するということを内閣総理大臣が言っているわけでありますので、他のいろいろな政治家としての発言は、いろいろなところで聞こえてくることではありますけれども、我が国の政府としてそういうことはやらないということは明確であると思います。
今、憲法九条二項によっても禁止されないものの中に何が入るのかというようなことを政府が今ここで定義をつぶさにするということも、余り意味があることではないと思っております。
それは、いろいろな議論があって、そして今までの解釈からいけば、通常兵器であろうとも核兵器であろうとも、技術的な進歩によって必要最低限ということはあり得るかもわからないけれども、しかし、それよりも大事なのは、我が国の政府として、どういう政策を持ち、どういう法律を持ち、どういう条約を批准しているのかということが大事なんだろうというふうに思っております。
○吉井委員 これは、日本が、長崎型原爆にすれば五千発を超える、現に持っている、まだ未処理分を含めたら二万発分を超えるぐらいの原爆製造能力といいますか、プルトニウムの蓄積をしているわけですね。そういう国が国際的にも不信を招くこともなく、そして進んでいくためには、それは、こういう議論が政治家の間から次々と飛び出すということ自体が大きな問題だったんです。
なぜそういう議論が出てくるかといったら、これは、二〇〇二年のあの早稲田大学での、安倍さんも官房副長官の時代だから、本当は立場としては内閣を代表するはずですが、彼は憲法上は原子爆弾だって問題でないと、そこにあるのは、憲法九条二項の真田さんの解釈とかそういうものの上に立っているわけですよ。今、総理大臣になったから、ちょっとランクアップしたから非核三原則だ、そういう話じゃないと思うんですね。
やはり、そういうことをきちっとやっていくには、私は、きょうあなたがここで約束できないというのであれば、あなたの責任において、この九条二項の必要最小限度の実力には、日本の場合には他の法律その他でもきっちり禁止しているわけですから、核兵器は含まれないんだということを明確にするということを、これは政府としてよく検討した上で、改めてお答えを求めたいというふうに思います。
○塩崎国務大臣 今の憲法第九条第二項を解釈したときに、核兵器が入る、入らないの話は、真田さんの解釈とかいうことではなくて、内閣法制局が長年にわたってとってきたスタンスとして、それは理論的にはあり得るということを言っているだけのことであります。
我が国は、国権の最高機関は国会であって、そこで法律も、そして条約も批准もされ、成立をしているわけでありますから、もし万が一政策を変えるということになれば、法律を変え、条約を破棄しというプロセスを経なきゃいけないわけであって、そのようなことはしないということを明確に安倍内閣総理大臣は言っているわけでありますから、そこのところはもうそれ以上でも以下でもないというふうに思っております。
○吉井委員 つくらないということは、もう政策的に方針がきっちりしていると言いながら、しかし、直ちに保有することはしないということは、言外には、直ちにという一定期間が過ぎたらあり得るわけですから、そういう発言が繰り返し繰り返し出てくるということ自体は、やはり発言者に対してきちんとした対処を求めるということは当然のことだと思います。
しかし、その根底にある、これまで続いてきた法制局長官の答弁とか、あるいは岸さん以来の閣僚の答弁の中に流れているその考え方をきちんと整理しないと、私はこれは続いていくだろうと思います。
そこをまず正すということを、これは、きょうはもうこれ以上答弁を求めませんが、あなたの方で責任を持って、政府としてきちんとした対応をするように議論をしてもらいたいと改めて伺うようにします。
時間が大分迫ってまいりましたので、私、政府参考人に聞く予定をしておった話は、確認する質問は先においておいて、原子力安全委員長の方に直接いきます。
例えば志賀一号で、地すべりで高圧送電線の鉄塔が倒壊した、外部電源の負荷がなくなったから原発がとまったというのがありますね。原発がとまっても機器冷却系が働かなきゃいけませんが、外部電源からとれればそれからも行けるんですが、それも大規模地震のときはとれないわけですね。
では、内部電源の方はどうなっているかというと、こちらの方は、実際には九九年の志賀一号だとか、八八年の志賀二号とか、九九年二月や九八年十一月の敦賀の事故とか、実際に、バックアップ電源であるディーゼル発電機自身が事故をやって働かなくなった、あるいは、危ないところで見つけはしたけれども、もし大規模地震と遭遇しておれば働かなかったというふうに、配管の切断とか軸がだめになっていたものとかあるわけです。そういう中で、スウェーデンのフォルスマルク原発一号では、バックアップ電源が四系列あるんだけれども、同時に二系列だめになった、こういう事故があったことは御存じのとおりです。
それで、日本の原発の約六割は、バックアップ電源は三系列、四系列じゃなくて二系列なんですね、六割は。そうすると、大規模地震等によって原発事故が起こったときに、本体が何とかもったとしても機器冷却系に、津波の方は何とかクリアできて、津波の話はことしの春やりましたけれどもクリアできたとしても、送電鉄塔の倒壊、あるいは外部電源が得られない中で内部電源も、海外で見られるように、事故に遭遇した場合、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷却系などが働かなくなるという問題が出てきますね。このときに原子炉はどういうことになっていくのか、この点についての原子力安全委員長の予測というものをお聞きしておきたいと思うんです。
それが一点と、もう一点は、機器冷却系が働かないと当然、崩壊熱の除去ができませんから、崩壊熱除去ができないことになったときに、核燃料棒のバーンアウトの問題、これは海外でそういう例もありますけれども、こちらの方はどうなっていくのかという原子炉の安全にかかわる問題について、この場合、どのように想定して、そして審査を進めておられるか、これを伺います。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
最初の点でございますが、いろいろな事態がもちろんあり得ると思っていまして、ただ、そういう事態になったとしてもできるだけ、先生が御心配のように、炉心が深刻な事態にならないようにというのが我々がとっている方針でありまして、そういう意味では、例えば非常用ディーゼルが万一動かなくなったという場合には、さらに直流のバッテリーを用意するとか……(吉井委員「いや、フォルスの方はそれもだめでしたからね、二系列」と呼ぶ)フォルスマルクの場合は四系列の二系列がさらにだめになったということですね。(吉井委員「バッテリーもだめでしたから」と呼ぶ)はい、二系列ですね。
したがって、同じバックアップを多重に持つということと、多様に持つ、つまり、ディーゼルだけじゃなくて直流も持つとか、それからそれぞれを複数持つとか、そういう考え方をまず審査の段階で、設計の段階で確認しております。
地震等においてさらにそういうものが使えなくなるという事態に対しては、もう一つは、私どもとしては、アクシデントマネジメント、非常事態における管理ということで、日本の場合は同じサイトに複数のプラントがあることが多いので、ほかのプラントと融通するとか、そういうような非常に多角的な対応を今事業者に求めているところでございます。
それで、先生お尋ねの、そういう事態になったときにバーンアウト等で燃料が破損する、放射能が外部に放出されるというような事態に対してどう考えているかというお話でございますが、これにつきましては、まず、そういう事態になったときに大きな事故に至らないかどうかを設計の段階、最初の基本設計段階で安全評価をして、安全評価の結果、そういう事態に至らないようにまず確認するというのが一番の基本でございます。
と同時に、しかし、さらに非常に、通常はあり得なくても理論的にはあり得るという事態に対してどう考えるかでございますが、これについては私ども、最近、耐震安全に係る指針を改定いたしました。そういうことで、さらに耐震設計を基本的には厳しくしていきたい、こう考えておりますが、そういう中でも、さらに、残余のリスクと称しておりますけれども、そういうような基準をさらに超えるような大変大きな地震が来たときには、では、どうなのかということも、これは事業者に、そういうことも評価してください、評価した結果、そういうことがまず起こらないことを数字で確認するか何らかの方法で確認してください、そういう方針で今考えております。
ありがとうございました。
○吉井委員 時間になりましたから終わりますけれども、私が言いましたのは、要するに、フォルスマルク原発の場合も、ディーゼルとそれからバッテリーと両方一系列なんですよ。これは四系列あるうちの二系列がだめになったんです。外部電源もだめですから、ほかのところから引っ張ってくるというのも、もともとだめなんです。ですから、そういう場合にどういうふうに事故は発展していくものかということをやはり想定したことを考えておかないと、それは想定していらっしゃらないということが今のお話ではわかりましたので。
あわせて、バーンアウトという問題は非常に深刻です、燃料棒自体が溶けてしまうわけですから。これについては海外でチェルノブイリその他にも例があるわけですから、バーンアウトというのは深刻な問題だということで、原子力安全審査というのはまだ発展途上といいますか、この例を言ったら、事務方の方はそれはまだ想定していませんというお話でしたから、きちんとこういうことを想定したものをやらない限り、原子力の安全というのは大丈夫とは言えないものだ、それが現実だということを指摘して、時間が参りましたので、また次の機会に質問したいと思います。
終わります。
○河本委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 民主党の川内博史でございます。
官房長官、そして高市大臣、大田大臣、きょうはよろしくお願いを申し上げます。
特に大田大臣、私も鹿児島でございまして、あともう一つ、実は私もボールルームダンスを踊るものですから、大田大臣はスタンダードなんですかね、僕はラテンダンサーなんですけれども。
ラテンですか。では今度一度ぜひリードさせていただきたいというふうに思いますし、きょうも議論もリードさせていただきますので、私のリードに従って御答弁をいただきたいというふうに思いますが、ちょっとお休みいただいていて、その前に、官房長官と高市大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
その前に、先ほどの泉健太同僚議員の質疑の中で、最後に、今後警察内において組織的不祥事があれば国家公安委員を内閣委員会に招致することについて理事会で協議をいただきたいという旨の発言をさせていただきました。
これに対して、委員長から、通常の場合は、理事会で協議しますというふうにお引き取りをいただけるのですが、特に御発言がなかったので、再度確認をさせていただきたいというふうに思います。
○河本委員長 理事会で協議します。
○川内委員 大変ありがとうございます。
それでは質問に入らせていただきたいと存じます。
官房長官、ちょっと質問通告していないのですが、今の共産党の吉井先生との御議論の中で、核兵器について、法理論上は持てるという政府の解釈がある、さらに、さまざまな法律や条約の中で持たないという方針を示しているということでございました。
しかし、麻生外務大臣は、解釈と方針の間の部分を埋めるために研究をする、あるいは勉強をするという言葉を閣僚としてお使いになられています。中川昭一政調会長が政府の外でどのような発言をされようとも私は自由であるというふうに思います。しかし、閣僚が勉強するあるいは研究すると言えば、どの場で研究するのか、だれが研究するのか、いつ研究するのかということについて、方針を明らかにしなければならないと思います。
しかし、政府としては、研究するつもりもない、あるいは勉強する予定もないという理解でよろしいのかということを御答弁いただきたいと存じます。
○塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますが、安倍総理大臣は、政府として非核三原則を堅持すると言い、そして、政府としてこの問題について議論をするつもりはないということを明確に言ってまいりました。
麻生大臣の発言、昨日参議院の委員会で席を同じゅうして聞いておりましたが、結論は、要は国民の中での議論を封殺するようなことは我が自由民主党は言わないと言っているわけで、御本人も、国民の中での議論を封殺するつもりはないということを繰り返し言っておられました。
したがって、閣僚として議論をしようというようなことを言ったわけではないというふうに、きのう私も隣でつぶさに聞きましたが、そのように私は解釈をいたしました。
○川内委員 ありがとうございます。
それでは次に、高市大臣にお伺いをするわけでございますが、お伺いする前に、さまざま、ちょっと大臣に聞いておいていただかなければならないことを事務方とやりとりをさせていただきたいというふうに思います。
それは何かというと、BSE、食の安心、安全の問題でございます。
米国産の牛肉の輸入再開問題に関して、私は、本委員会を初め農林水産委員会、予算委員会あるいは質問主意書なども含めて、政府に対して繰り返し繰り返し質問をしてまいりました。
私は、当初から一貫して、我が国のBSE対策の四本柱である実質的な全頭検査、厳格な飼料規制、SRM、特定危険部位の除去、そしてトレーサビリティーの確立、この四本柱が一〇〇%の安全性を保証するものではないというわけでありますが、しかし、BSEのリスクを限りなくゼロに近づけていくためには、この四本柱を総合的な対策としてやっていく必要がある。そういう意味では、日本は世界で最高水準のBSE対策を講じているというふうに言えると思います。
しかし、他方、日本と比べてアメリカはどうなのかということを考えますと、全頭検査どころか、全体の屠畜頭数の一%程度のサーベイランスさえも、さらにこの八月の末から十分の一に縮小をする。一%の十分の一ですから、〇・一%しか検査をしないということになります。さらに、九九・四%の異常プリオンが蓄積をすると言われているSRMが利用されている肉骨粉がいまだに家畜の飼料として使われている。この底抜けの飼料規制ですね。さらには、トレーサビリティーも不完全である。このアメリカのBSE対策は、日本とは比較にならないほど不十分であると私はずっと申し上げてまいりました。
私は、日本の国民の皆さんの食の安心、安全のためだけではなくて、アメリカの消費者の安心、安全、さらには世界じゅうの人々の公衆衛生の観点、これは、BSEというのは牛から牛にはあっという間に感染しますし、牛から人にはなかなか感染しないが、一たび感染をすれば、これは血液を媒介にして感染するのではないかという学者の論文などもあり、公衆衛生の観点からもしっかりと対策をとっていくべきであるというふうに考えます。
昨年十二月に我が国の政府の食品安全委員会の最終答申が出され、その中の「結論への付帯事項」、先生方のお手元に資料をお配りしておりますが、この「結論への付帯事項」というところに、二番として、健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が米国内においては必要である。さらには、三番として、米国及びカナダでのBSEの暴露、増幅をとめるには、BSEプリオンの感染性の九九・四%を占めるSRMの利用の禁止が必須である、牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要があるということを食品安全委員会は言っています。
しかし、アメリカはなかなかそうはしない。このサーベイランスの維持拡大と飼料規制の強化については、日本政府としてアメリカ政府に強く申し入れるよう、私はことしの通常国会で当時の中川農水大臣に申し上げました。中川大臣は、アメリカのジョハンズ農務長官に電話あるいは面会時に口頭で申し入れたとされました。しかし、アメリカは全く対応していただけない。
そこで私は、ことしの六月六日の農林水産委員会で中川大臣に、日本政府からアメリカ政府に対して提出する年次改革要望書、これは、年次改革要望書は悪名高いですが、アメリカから日本に来る分だけではなく、日本からアメリカに提出する年次改革要望書もあるでしょう、その中にサーベイランスの維持拡大と飼料規制の強化、この二点をしっかりと記載すべきであるというふうに申し上げました。
そうしたところ、中川大臣は、「私が言ったことは政府の公式見解ですから、当然、そういうふうに文書においても今後きちっとやっていかなければいけないというふうに思っております。」というふうに御答弁になられ、私が、それは年次改革要望書に記載をするということですねと念を押しましたら、「そうします。」と力強く御答弁をされました。
その後、私もしつこい性格なので、六月十五日に質問主意書でさらにそれを確認させていただいたところ、六月二十二日に閣議決定された答弁書で、政府はこの件について、農林水産省においては、評価書における「結論への付帯事項」に記載されている米国における飼料規制の強化や十分なサーベイランスの維持拡大に関するお尋ねの点については、「米国政府の検討状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えている。」というふうに、米国の状況を注視しつつということがちょっと新たな条件として加わりました。
そこでまず、農水省にお運びいただいておりますので、私が申し上げている飼料規制の強化、サーベイランスの維持拡大を年次改革要望書に記載することについて、農水省として今現在どのようにお取り組みをされているのかということについて教えていただきたいと存じます。
○小林政府参考人 今お尋ねいただきましたのは、先生の言われます要望書に農林水産省としてどのような対応をするかということでございますが、答弁でも、今御質問の中でも御紹介いただきましたように、米国側の対応に変化が見られないというふうなことで必要があると判断した場合には、米国に対する要望書において要望してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○川内委員 外務省の見解を教えてください。
○草賀政府参考人 お答えいたします。
中川前農林水産大臣の御答弁にもありますとおり、アメリカ側の対応に変化が見られないなど必要があると判断した場合には、米国に対する要望書においても飼料規制の強化及びサーベイランスの維持拡大について要望してまいりたいと考えております。
○川内委員 それでは、米国政府の検討状況について今現在どうなっているのかということについてお伺いしますが、サーベイランスの拡大、継続の状況については、現在、米国内の状況がどうなっているのかということを御答弁ください。
○小林政府参考人 米国内におきますBSEのサーベイランスについてでございますけれども、これまで行われておりました強化サーベイランスは、本年の八月末から新たなBSEサーベイランスに移行したというふうに承知しております。
○川内委員 新たなBSEサーベイランスとは何ですか。
○小林政府参考人 先生が先ほどお話しいただきましたように、過去のサーベイランスに比べまして、頭数的にはかなり少ない頭数になったサーベイランスだというふうに承知しております。
○川内委員 先生が先ほどおっしゃられたとおりかなり少ないサーベイランス、かなり少ないというのは、私が言ったのではなく政府の見解として、かなり少ないというのはどのくらい少ないのかということをお答えいただきます。
○小林政府参考人 お答えいたします。
米国におきましては、平成十六年の六月からBSE強化サーベイランスを開始いたしまして、本年の八月二十日までの約二年間で七十八万五千頭以上の検査を行っております。本年の八月から実施されておりますサーベイランスにおきましては、高リスク牛といいまして、歩行困難牛だとかあるいは死亡牛、こういった牛を対象にして年間四万頭程度を検査するという体制に移行したというふうに承知しております。
○川内委員 私が先ほど言った数字は間違いでしたね。七十八万頭から四万頭、約二十分の一、サーベイランスは二十分の一程度に縮小をされているということでよろしいですね。
○小林政府参考人 今申し上げましたとおり、二年間で七十八万頭ということでございますので、一年当たりだと、平均しますと四十万頭という形になると思います。
○川内委員 それでは、サーベイランスは十分の一に縮小をされた、私の先ほど申し上げた全体の〇・一%しか検査をしないという理解でよろしいですね。
○小林政府参考人 一年平均四十万頭から四万頭ということでございますので、頭数で見ますれば十分の一ということになる点については、そのとおりだと思います。
○川内委員 それではもう一点、飼料規制の強化について、現在の米国内の状況を教えてください。
○小林政府参考人 米国内の飼料規制についてでございます。
米国内の飼料規制につきましては、米国の内部におきまして、改正案をまず作成して、それについてパブリックコメントを募集いたしました。募集の締め切りが昨年の十二月ということになります。現在、FDAにおきましては、寄せられたパブリックコメントを踏まえまして、規制案について再検討を行っているということでございます。現時点では、改正案の最終決定がなされたというふうには聞いておりません。
○川内委員 再検討を今しているということでありますが、その再検討の結果がいつごろ出るというふうに見ていらっしゃいますか。
○小林政府参考人 現在再検討中であるとは聞いておりますが、いつ出るかということについては承知しておりません。
○川内委員 それでは、現状のところでは、日本政府としては、米国の飼料規制が強化をされるという見通しについては、確たる見通しは持っていないということでよろしいですか。
○小林政府参考人 現在のところについては、最終決定がなされていないということでございます。基本的に、アメリカ側がどういうふうなことをいつのタイミングでやるかということについては、詳細がわかりませんので、明確なことは、将来にわたっては言えませんが、現時点では、アメリカ側の動きは、改正案についてまとまっていないということについては、間違いないと思います。
○川内委員 今高市大臣お聞きをいただいたとおり、食品の安全については高市大臣が責任をお持ちになられていらっしゃるわけでございます。さらに、食品安全委員会の「結論への付帯事項」の中に書かれている二つの項目について、日本からアメリカへの年次改革要望書に記載をすべきであるということに関して、サーベイランスは十分の一に縮小された、飼料規制は確たる見通しが立っていないという状況であります。
すなわち、先ほど私が申し上げました閣議決定された答弁書で「米国政府の検討状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたい」。現状では、恐らく十一月の末か十二月の頭に日米首脳会談が開かれ、その場で年次改革要望書が交換をされるということになろうかと思いますが、この一カ月程度で状況が好転をするとは思えないわけでございます。
高市大臣として、前任の松田大臣は、私が何を聞いても、見守る、見守ると言って、見守るというのは何もしないということなんですけれども、そうではなくて、食品安全担当大臣として、こういう年次改革要望書への記載について、これは本当に日本の国内の食の安心と安全を守るために大変重要な事柄でありますから、記載に向けて高市大臣としても積極的にコミットをしていく、農水省や外務省だけに任せるのではなく、その年次改革要望書の書きぶりなども、食品安全委員会のこの「結論への付帯事項」に忠実に書いていただけるように積極的にコミットをしていただくべきであるというふうに思いますが、大臣の御所見を聞かせていただきたいと存じます。
○高市国務大臣 ちょうど、作業としては、既に農水省の方が、要望書の中には、米国における飼料規制の強化、それから十分なBSEサーベイランスの実施という、私どもの出した結論に沿った形で書きたいというような方向性で、私どもの食品安全委員会の方で、この内容でいいと思いますというようなお返事も返しております。
現在、ちょうど外務省と農水省で詰めていただいているところでございますけれども、きちっと書き込まれたものでないとなると、私としても物を言わせていただくことになるかと思います。現在は、リスク管理機関と外務省の間でどういった書きぶりになるか、こういったところを見守っておりますが、見守るのみでなく、きちっと物は言わせていただきます。
○川内委員 ありがとうございます。しっかりと御対応いただいているという御答弁をいただいたものと思います。
それでは、大田大臣にお尋ねをさせていただきたいと存じます。
経済財政諮問会議についての質問でございます。
官房長官、何時までいらっしゃるんでしたか。四十五分までいらっしゃるんですね。はい。
実は私が通常国会の終わりの内閣委員会で、経済財政諮問会議の議事要旨は会議開催後三日目にホームページにアップをされる、議事録については四年後に公開をされるということについて、おかしいというふうに申し上げたんですね。
それはなぜかならば、経済財政諮問会議は重要政策会議であり、特に改革のエンジンとして国民の皆さんの大変に注目、関心を集める会議体である。そこでどのような議論が行われているのかということについて、その詳細についてしっかりと明らかにすべきであるということを私は申し上げたんです。
そうしましたら、前任の与謝野大臣は、「総理に、このような質疑があったということは報告をさせていただきます。」と答弁をされました。
そこで、これは大田大臣は多分、与謝野大臣がどうしたかということは御存じないでしょうから、事務方にお尋ねをいたしますが、与謝野大臣は総理に報告をされたのか、その報告の結果はどうだったのかということを教えていただきたいと存じます。
○藤岡政府参考人 お尋ねの本年五月十二日に当内閣委員会におきまして、委員の方から与謝野前大臣あてに諮問会議の議事録を速やかに公表すべきではないかという御指摘があった件でございますが、その後、与謝野前大臣の方から小泉前総理の方に御相談を申し上げ、結論といたしまして、引き続き従来の方法により公表していくということで御了承をいただいているところでございます。
○川内委員 つれない答弁で、何かちょっと心寂しいものを感じるわけでございます。
大田大臣、大田大臣は、御就任のときの会見で、政策決定のプロセスの透明性の重要性について述べられ、経済財政諮問会議の議論を国民から見えるようにするというふうにおっしゃられていらっしゃるわけです。
私は、議事要旨と議事録をどのくらい違うんだろうと比べてみたんです。そうすると、議事要旨は、議事録の半分ですね、半分ぐらい削ってあるんです。削るのは多分事務方が削っているんだろうと思うんですが、しかし、実は議事録の方が、いろいろな本音がぶつけられていて、大変に勉強になるなと。しかし、これだけ改革のスピードが速いときに、四年前の議事録を読んでも、おもしろいけれども、それを国民の皆さんに何か有効に使っていただくということには余りつながらない。
すなわち、私が申し上げたいのは、議事要旨は議事録の半分の分量である、半分削ってある。しかも、重要な発言とかが削ってあるんですね。そうすると、国民から見えるようにとおっしゃられていらっしゃるわけですが、見えない部分があるわけですよね。見えない部分もあるわけでございます。そこを見えるようにするためには議事録の速やかな公開というものが必要であるというふうに私は思いますし、それが非常に注目を集める経済財政諮問会議のそもそもの役割なのではないかというふうに思うんですが、大臣の御所見をいただきたいと存じます。
○大田国務大臣 経済財政諮問会議におきましては、マクロ経済政策を初めとしまして、経済財政政策を幅広く議論いたします。そうしますと、マーケットに何らかの影響を及ぼす可能性もございます。そこで、議事録は四年後の公開ということになっています。なぜ四年後かといいますと、有識者議員の任期が二年ですので、再任の可能性を考えて四年と設定されております。
ちなみに、日銀の金融政策決定会合、こちらもマーケットに影響を与える可能性がある会合ですけれども、これは十年後に議事録公開となっております。この十年は、審議委員の任期が五年になっておりますので、十年というふうに承知しております。
先生おっしゃいましたように、議事要旨が数日後、三日以内に公表されるということになっております。この議事要旨ですけれども、設立当初はポイントをまとめる形で出ていた時期があるというふうに聞いておりますが、最近はかなり詳細に出るようになりました。したがいまして、透明性という観点からも、なるべく詳細な議事要旨を三日以内に公表し、議事録は四年後ということで、適切な対応だというふうに私は考えております。
○川内委員 詳細な議事要旨の公開に努めるというふうに御答弁をいただきました。
これも質問通告はしてあるんですが、議事録の中から議事要旨をおつくりになられるのは事務方だと思うんですが、その責任者はだれかということをちょっとお答えいただきたいんですけれども。
○藤岡政府参考人 議事要旨を事務方として責任を持って作成いたしておりますのは私のところでございます。
○川内委員 それでは、詳細な議事要旨の作成、公開に努めていくという今の大田大臣の答弁をしっかり受けとめていただいて、余りはしょることのないようにお願いをしたいというふうに思います。
というのは、かつて、閣僚の方で、経済財政諮問会議の臨時議員としてその会議に出席をし、自分としては、その方としては大変重要な発言をしたんだけれども、議事要旨の中にはそれが削られていた、載っていなかったというようなことを雑談の中でありますが聞いたことがあるものですから、いろいろな方のいろいろな発言というものがなるべく詳細に伝わることが必要であるというふうに思いますし、もちろん、マーケットに影響を与えるものについてはなかなか公開することはできない、それは私も理解をいたしますので、詳細な議事要旨を作成するということで理解をしたいというふうに思います。
それでは、次の論点に移らせていただきますが、骨太方針の二〇〇六、この中の税制改革の部分の二十ページの文章なんですが、「以上を踏まえた税制改革については、「基本方針二〇〇五」において、「重点強化期間内を目途に結論を得る」とし、また、与党税制改正大綱において、「平成十九年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」としており、今後、この考え方に沿って鋭意作業を進めていくこととする。」というふうに書いてございます。
しかし、尾身大臣あるいは安倍総理も、税制改正の議論は来年の秋以降だということを国会の答弁でおっしゃっていらっしゃいます。しかし、この閣議決定された骨太方針には、重点強化期間、平成十七年、十八年度内に結論を得る、そして平成十九年度内を目途に改革を実現する、結論を得て実現するというふうに書いてございます。
したがって、この閣議決定文書が新たな閣議決定文書で上書きされているのであれば、尾身大臣や安倍総理の御答弁というのは理解できるわけですが、しかし、この閣議決定文書、政府の方針が生きている中で、来年の秋以降に議論をするとおっしゃるのは、みずからこの閣議決定文書に反するということをおっしゃられているに等しいわけでございまして、この部分についてどのように整理をされるのかということについて大田大臣にお尋ねをいたします。
○大田国務大臣 基本方針の中では、翌年度予算編成に向けての課題とあわせて中期的な取り組みについても書かれております。この場合は、中期的な課題について基本的な考え方を明確に述べまして、その方向に沿って議論するということになります。
税制改正につきましては、今先生がおっしゃいましたように書かれております。この中で、「「重点強化期間内を目途に結論を得る」とし、また、与党税制改正大綱において、「平成十九年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」としており、今後、この考え方に沿って鋭意作業を進めていくこととする。」と書かれております。まさに、この考え方に沿って今作業が進められております。
目途という言葉が使われておりますが、目途というのは一定の幅を持って実行するという場合に使われている言葉ですので、新たな閣議決定文書で上書きされているということはございません。
○川内委員 目途という言葉は一定の幅を持っている言葉であるということでございますが、閣議決定文書の中の目途という言葉の定義、意味あるいは解釈を官房長官にちょっと教えていただきたいんですけれども。
○塩崎国務大臣 閣議決定に限った使い方として目途という言葉があるわけではないと思うんですね。したがって、目途というのを広辞苑で引っ張ってみました。何て書いてあるかというと、「めあて。見込み。めど。」こんなふうに書いてあります。
先ほど来出ております「重点強化期間内を目途に」とか、あるいは「十九年度を目途に」と書いてありますけれども、今大田大臣からお話がありましたように、これはある程度の幅を持っているんだろうなというふうに思います。
ただ、閣議決定というのは重たいわけでありますから、書いてあることについて最大限の努力を払うということは当然のことであるわけでありますが、一方で、閣議決定後に生じるいろいろな状況変化などもあるわけでありますから、骨太二〇〇五と骨太二〇〇六の間に状況の変化があってこういうような表現になった。しかし、両方を踏まえて、閣議決定をしたということは両方とも国民に対して約束をしていることでありますから、それを精いっぱい、最大限の努力をしてこれの実現に向けて努力をする、こういうことが求められているんだろうというふうに考えております。
○川内委員 今の官房長官の御答弁ですと、この閣議決定文書の書きぶりに従って精いっぱい努力をするんだということでございますが、財務大臣は、来年の秋以降に議論を始めると明確に御答弁の中でおっしゃっていらっしゃいます。
そうすると、平成十八年度内に結論を得る、重点強化期間内に結論を得るということをみずから放棄されていらっしゃるわけです。これは政府の方針に反する答弁だとお思いになられないですか。
○塩崎国務大臣 今、川内先生が引用されました尾身大臣の発言というのは、私はちょっと今手元に持っておりませんが、少なくとも安倍総理は、本格的な議論は来年の秋以降と言っているわけで、当然のことながら、議論はそれまでの間にたくさん出てくるに決まっていると私は思っております。
ですから、本格的に詰めていく議論は秋以降だろうけれども、それまでに議論をしないということは一言も言っていないわけで、なおかつ、この閣議決定された骨太二〇〇六は、事実として、「重点強化期間内を目途に結論を得る」という骨太二〇〇五があって、それプラス、与党の税制改正大綱では、十九年度を目途に抜本的改革を実現するという事実があって、そして、「今後、この考え方に沿って鋭意作業を進めていくこととする。」ということになっているので、二つの事実があって、それを相合わせて、これからこの考え方に沿っていきましょう、鋭意作業を進めていきましょう、その作業の中で、消費税については、本格的な作業は来年の秋だろうな、こういうことを言っているにすぎないので、そこまで全然議論をしませんというような話では、安倍総理は少なくとも言っていないと思っております。
○川内委員 そうすると、本格的な議論は来年の秋以降だが、議論をしないとは言っていないので、この閣議決定文書に従い、平成十八年度内を目途として、消費税を含む税制の抜本的、一体的改革についてある種の結論を得る、本格的な結論ではないが、ある種の結論を得るという理解でよろしいんですか。
○塩崎国務大臣 結論ということを私は申し上げているわけではなくて、本格的な議論は秋以降になるだろうということを総理は言っているということでございます。
○川内委員 しつこくて済みません、本格的な議論は来年の秋以降、しかし議論はする。では、その議論する対象の中に消費税も含まれるという理解でよろしいですか。
○塩崎国務大臣 例えば年金の問題あるいは医療の問題、そしてまたその他、生活保護を含めた社会保障の問題、さまざまな問題を議論すると思います。
そういう中で、財源をどうするんだ、保険料でいくのか、それとも窓口負担でいくのか、あるいは税でいくのか。では、税で仮にいくとしたら、何の税でいくのか。いろいろな可能性があるわけでありますから、その中に消費税という話も、当然それはいろいろな場での議論には出てくると思いますが、先ほど来申し上げているように、この税制改革の抜本的な改革について、来年の秋以降本格的に議論をしようということを言っているということだと思います。
○川内委員 私の理解が浅いのか、ちょっとよくわからないんですが、本格的な議論は来年の秋以降にするというのはいいんです。わかりました。それはわかりました。
本格的な議論は来年の秋以降だが、さまざまな議論について、この閣議決定文書では、平成十八年度を目途として結論を得ると書いてあるわけですから、結論を得る、その結論の中には当然に、消費税のあり方について、あるいは所得税のあり方について、あるいは法人税のあり方について、その抜本的、一体的結論というか、ある種の結論、しかし本格的な議論は来年の秋以降だ、しかし何らかの結論は平成十八年度内に結論を得るというのがこの閣議決定文書の読み方になるのではないかというふうに思いますが、大田大臣、そうですよね。
○大田国務大臣 「重点強化期間内を目途に結論を得る」、この目途は一定の幅を持つということは申し上げました。これとあわせて、与党税制改正大綱で、平成十九年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現するとなっております。この考え方に沿って鋭意作業を進めるということでございますので、骨太方針に書かれたことの考え方に沿って今後作業を進めていくということになります。
○川内委員 目途というのは一定の幅を持つ、その一定の幅を持つというのは、平成十八年度内でなくてもいいという御趣旨ですか。
○大田国務大臣 何年までという、その仕切りではありませんで、そこに幅を持っているということですので、重点強化期間を、重点強化期間は十八年度までですが、それを過ぎるということはあり得ます。
○川内委員 目途という言葉が、過ぎるということはあり得ると今おっしゃられた。
それでは、目途という言葉を閣議決定文書の中で使って、それが後ろに倒れた例があるのか、先例があるのかということを、官房長官から教えていただきたいと思います。
○藤岡政府参考人 毎年作成されておりますいわゆる骨太の方針におきましては、できるだけ期間を明示するようにということで、各般の施策が実行されております。その中には、何年までに、また、何年を目途に、あるいは、期間がどうしても明示できない場合はその内容等を具体的に記すようにという指示が実はおりてございます。
その中にありまして、目途にという言葉は、かなりたくさん、過去、骨太の方針の中で使われておりまして、その中に、私はちょっと今、事務的には、詳細は幾つと私も存じ上げないのですが、例えば、目途の中でもなかなか、その内容に応じまして、その内容の中の、では実現できたか、できていないかといったところを必ず例えばフォローアップをしながら、その実現の程度をはかっておるところでございます。
そういう事情でございますので、目途にと申し上げますのは、骨太の中にも数限りなく使われておりまして、その中で、内容はさまざまあるという実態がございます。
○川内委員 いや、私が聞いているのは、内容はさまざまだということを聞いているのではなくて、目途という言葉を使ったときに、そのときまでに何らかの結論なり施策なりということをやるわけであって、それをやらずに後ろに倒れた例がありますかということを聞いているんです。
○藤岡政府参考人 お尋ねの、例えばあるかないかということに限定いたしますと、私の記憶する限りは、ある、あるのではないかというふうに思っております。考えてございます。
ただ、今後、それにつきましては私どもでちょっとチェックをいたしませんと、詳細、具体的にはわかっておりません。
○川内委員 いや、これは私、きのう質問通告で申し上げているんですよ。それで御答弁が、あるのではないかと思いますとか、後で調べますとかいうのでは、ちょっと議論になりませんよね、委員長。
あるとおっしゃるのであれば、これですというものをお見せいただきたいというふうに思いますし、私は、政府が、いやしくも日本国政府が「目途に結論を得る。」と書いているものを、いや、まあ別に目途だから後ろに倒れていいんだ、これはやりませんでしたという先例があるとはとてもちょっとにわかには信じがたいので、また、可及的速やかに御教示をいただきたいというふうに思います。
ちょっと議論が生煮えで恐縮なんですけれども、大田大臣、私は、この二〇〇六の閣議決定された、十八年度内に結論を得る、十九年度内にその改革を実現する、結論を得て十九年度に実現するというこの流れというのは政府の方針なわけですから、来年の三月に向けて、税制の抜本的、一体的改革に関する何らかの政府としての意思表明というのは、これは、なければこの閣議決定に違反するということになります。なると思うんですよね。
そこで目途という言葉にこだわっているわけでございまして、きょうは、過去に政府が目途という言葉を使って、それに反した例があるかないかということに関して確たる事例が報告されませんでしたので、またこの次に議論を譲りたいというふうに思います。
だって、閣議決定に違反しているんじゃないかと私が言っても、政府はそんなことは絶対認めないわけですから、それはそれでいいんですが、ファクトに基づいて議論をしたいので、統括官から事例をいただいた上でまた議論をさせていただきたいというふうに思います。
法人税の実効税率についてお尋ねをしたいんです。
大田大臣は、これは新聞のコメントなので正確なコメントであるかどうかというのは定かではありません、私が読んだ新聞の大田大臣のコメントで、日本の法人税の実効税率はヨーロッパやアジアと比べて高いというふうに御発言をされていらっしゃいます。これは、具体的にはヨーロッパのどの国なのか、アジアのどの国なのか、どのくらい高いのかということについて、具体的にお示しをいただきたいというふうに存じます。
○大田国務大臣 政府税制調査会で出されました、ことし六月二日の資料をもとに申し上げました。
今、日本の実効税率は三九・五四%になります。例えば、ドイツは三九・九〇ですので若干高くなっておりますが、イギリスは三〇%、フランスは三三・三三%です。また、中国は、上海ですけれども、三三%になっております。
○川内委員 日本が最も仲のいいアメリカは何%ですか。
○大田国務大臣 先生御存じのように、実効税率は国と地方を合わせますので、地方によって異なります。
アメリカは、ニューヨークで四五・九五%、ロサンゼルスで四〇・七五%となっております。
○川内委員 日本の法人税の実効税率というのは、今大臣がおっしゃられたように、同盟国であるアメリカと比べても、アメリカよりも低い。ドイツなどは税制がちょっと違うらしくて、さまざまな見比べ方があるんだろうというふうに思いますが、私は、法人税の真の実効税率、今大田大臣がおっしゃられたように、法人税の法律上の本則の国税部分と地方税部分の合計だけで政府税調に提出された六月二日の資料というのがつくられているわけでございまして、これだけでは真の実効税率というのはわからないのではないかというふうに思います。
具体的には、さまざまな租税特別措置法があり、法人税の特別減税が行われている。さらには、減価償却による部分もある。さらには、日本は海外税額控除制度なども、米国などに比べれば大変に緩やかで、どんぶり勘定でいいということになっていますから、これも節税をしやすい制度であるというようなこと等を考えると、日本の法人税の実効税率が高いとまではなかなか言い切れない、そういうファクトはなかなか見出せないのではないかというふうに思うんですね。
そこで、今後、税制の抜本的、一体的改革に向けて、法人税をどうしていくのかということを議論するときに、真の実効税率の国際比較というものをすべきであるというふうに思うんですが、大田大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○大田国務大臣 先生御指摘のように、租税特別措置なども含めた真の企業負担ということで議論すべきだという御指摘、そのとおりだと思います。ただ、課税ベースは各国ともかなり複雑な制度になっておりますし、企業の負担は業種によっても異なりますので、なかなかデータをつくることも容易ではないということがございます。
いずれにしましても、企業の税負担が、海外とのイコールフッティングという点で何か不利になっている点はないか、あるいはどうなっているのかは、さまざまな観点から検討し、税全体の中で法人の税負担のあり方を議論していきたいと思います。
○川内委員 真の実効税率を国際比較するのは、さまざまな前提条件あるいは仮定を置かなければならないので非常に難しいということであれば、これは、私は、国民の皆さんに責任を持つ立場の我々としては、日本は実効税率が高いとかあるいは低いとか軽々しく言うべきではなく、日本の国内の法人税のあり方、その税負担の様子、態様についての議論を深めていくべきであるというふうに思うんですね。
きょうは、財務省からもお運びいただいておりますが、大田大臣は、真の実効税率というのはなかなか出しにくいというふうにおっしゃられました。しかし、私は、その出しにくい部分を国際比較し、もちろん企業の国際競争力を強化するということも大事だと思いますよ。しかし、日本の企業がもうかるのは、国民がその企業の財やサービスを利用するからであって、国民が企業をもうけさせているわけですよね。
法人税は特別措置で減税する、一方では消費税は上げる、所得控除は廃止する、大衆増税はしますというのでは、私は、国民は納得しないんじゃないかと思うんです。企業はバブル期をはるかに超える利益を今出している。であれば、もうけさせているのは国民なんだから国民に還元する、私は、そういう視点があってもいいのではないかというふうに思うんですね。
税率を下げたから国際競争力が増すわけではなくて、規制を緩和して企業が活動しやすい方向に持っていくことが企業の国際競争力を増すのであって、法人税の税率については、先ほど大田大臣がいみじくもおっしゃられたように、国際比較はなかなか難しいということでございますから、何が得で何が損かというのは、やはりそれぞれ企業独自の判断というのがあると思うんですね。
しかし、私は、それでも、今後、税制の抜本的、一体的改革を進めるためには、法人税率の国際比較というものを、真の実効税率というものを出していくべきである、本則だけで見比べたのでは、とてもとても、違うだろうというふうに思いますね。
なぜかならば、日本の法人税収、今十三兆幾らですが、租税特別措置で減税分が一兆幾らありますから、それだけでも日本の実効税率というのは五、六%は低いわけですよね。そういうことを考えると、真の実効税率というのを出すべきだというふうに思うんですが、財務省として、その辺について研究をし、取り組み、政府税調あるいはこの国会にそういう資料を出したいというような意欲をお示しいただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
○古谷政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘がございましたように、法人所得課税の負担は、減価償却ですとか租税特別措置等を踏まえましたいわゆる課税ベースと税率を掛け合わせて行うわけでございますので、国際比較を行う場合にも、課税ベースと税率の双方について検討できるというのが本来は望ましいのは御指摘のとおりだろうと思います。
ただ、課税ベースにつきましては、大田大臣からも御答弁がございましたように、企業それぞれの設備投資の態様ですとか雇用の内容によって変動をするといったものでございますので、この課税ベースを国際比較の際にどのように反映するかというのは非常に技術的にも難しいものがございまして、私どもも従来から御指摘のような問題意識を持って勉強を続けてはおるんですけれども、その辺の技術的な問題、困難さもあるという点については御理解をいただければと存じております。
○川内委員 なかなか難しいということであれば、大企業の経営者の皆さんが、日本の法人税の実効税率は高いんだ、高いんだ、だからもっと減税すべきだということに簡単に利用されるような、本則だけを足し合わせた実効税率の国際比較の資料を税調に出したり、あるいは経済財政諮問会議の議論の資料に使ったりというのはアンフェアだというふうに私は思います。
なぜかならば、それは、大企業の経営者の皆さんは、御自分たちの企業活動を自由にしたい、そしてもうけたい、企業価値を高めたいということで、さまざまなところで発言をし、さまざまに活動されるでしょう。僕は、彼らの行動として、それは当然だと思います。しかし、国民は経済財政諮問会議には出られないんですからね。しかも、そんなに、頭のいい人たちが寄ってたかってつくった資料に対して、いや、この資料はどこかごまかしがあるんじゃないかとかいうような知識も情報も持ち合わせていないわけです。
課税の公平性という点からいえば、なかなかそれは国際比較は難しいとおっしゃるのであれば、国際比較するのをやめていただきたいと私は思うんですね。見かけ上の実効税率だけで、日本の法人税は高いんだ、だから減税するんだ、減税するんだ、一方で大衆増税はするというのでは、国民の皆さんがかわいそうだと私は思うんですね、私を含めて。
格差が物すごい勢いで拡大をしているわけじゃないですか。政府は公式には、格差は拡大していない、それほど顕著には認識していないという見解かもしれませんが、しかし、地方経済というのは非常に、業種によってばらつきはありますが、大変にまだ厳しい状況が続いているわけでございますし、大企業が国民の皆さんからもうけさせていただいた部分を地方に還元する、あるいは国民に還元する、そういう意味の法人税のあり方というものを議論するときに、恣意的に資料を使われるようなことがないようにしていただきたいというふうに私はお願いをしたいと思います。
最後、大臣の、もし実効税率を国際比較するのであればきちんとしたものをつくらせる、そうでなければ国際比較などはできっこないんだからしないというふうに御決意を、御決意というか見解をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○大田国務大臣 私は、実効税率がどうかというふうに聞かれてお答えいたしました。それについてこれからどうすべきだと、税負担を上げるべき、下げるべきということは全く申し上げておりませんで、税負担のあり方について税全体の中で検討すべきだというふうに申し上げておりますので、新聞に書かれたものに私自身も違和感を持っております。これから、税全体の中で、なるべく多面的に制度のあり方を検討していきたいと考えております。
○川内委員 ありがとうございます。終わります。
○河本委員長 次に、小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 本日最後の質問者になりましたが、官房長官は会見で御退席中ですので、官房長官に関する質疑に関しましては、戻られてからまとめてさせていただきたいと思っています。
まず初めに、消費者問題について少し伺いたいと思います。
消費者団体訴訟制度、この内閣委員会で、さきの通常国会で、与野党で裁判管轄地などにつきまして修正をいたしまして、成立をさせました。これにつきまして、高市大臣は所信的な発言の中で、円滑な導入に向けて取り組むというふうにおっしゃいましたけれども、来年の施行に向けまして今どのように準備を進めていらっしゃるのか、初めに伺いたいと思います。
○高市国務大臣 現在、内閣府といたしましては、国民生活審議会の報告書ですとか、それからさきの通常国会での御議論を踏まえながら、制度の細目を、内閣府令とガイドライン、これらを策定する形で準備をしております。それも、まだ、きょう初めて大体の時期の目標をここでお答え申し上げるんですが、なるべく早くということで、できましたら年内、遅くとも来年初ということで準備をしております。
それと同時に、やはり我が国で初めての制度ですから、円滑に導入していくということになりますと、消費者と事業者双方にわかりやすい広報をしていかなきゃいけないと思っておりますので、制度をわかりやすく説明しましたパンフレット、啓発資料を作成して配布する、それから、シンポジウムを開催しようと思っております。具体的には十一月下旬に大阪で開催という予定で、そこから制度の説明会をすべての都道府県で行っていくというようなことで、普及啓発に努めようと思っております。
〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕
○小宮山(洋)委員 この法律、今おっしゃったように、初めての仕組みで、消費者が本当に待ち望んでいたものなんですけれども、多くの附帯決議がつけられております。私どもがつけました。より多くの団体が適格消費者団体の認定を受けられるように、基準の明確化や配慮ということを附帯決議で求めております。
この法案の審議の中で、政府側からは、大体全国で九つか十ぐらいの団体が適格消費者団体になるのではないかというような御説明もありましたけれども、やはり私たちはなるべく広く、多くの団体が適格消費者団体になることが消費者にとって必要だと思っておりますので、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○高市国務大臣 明確な基準のもと、透明性を確保しつつ行う必要があると考えています。
それから、御指摘のとおり、より多くの団体が認定を受けられるようにといったこと、これらを両立させようと思いますと、やはり消費者団体の活動実績とか体制、これは多様なものでございますので、何か数値基準なんかで一律で認定の適否を判断するということではなくて、むしろ制度の担い手としてふさわしい団体であるか否かを申請団体ごとに実質的に判断していく必要があると思います。
こういう考え方によって、将来的には多くの団体が認定を受けられるようになると考えております。
現在、内閣府令の方では、適格団体への情報提供支援の手続ですとか、あと認定要件の細目、これを定め、それからガイドラインでは、やはり適格認定の審査基準、それから監督、不利益処分の基準、こういったことを定める準備をいたしているところです。
○小宮山(洋)委員 ぜひ、その際にも、こういう問題に取り組んできました消費者団体や市民の声も聞きながら進めていただきたいというふうに思います。
それともう一点、附帯決議の中で、民主党案には入れてありました損害賠償制度について、速やかに検討していくという趣旨のことも盛り込んでございます。
今回スタートしたのは車の片側の車輪でありまして、やはり、もちろん被害を受けないように予防するのも大切ですが、受けてしまった被害を救済するということが車のもう一つの車輪だというふうに民主党の方では考えておりましたので、この損害賠償制度の導入についての話し合いも早急に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 この損害賠償請求制度の必要性の検討なんですけれども、まず、少額訴訟制度の拡大など、司法的なアクセスの改善手法の展開の状況とともに、我が国において、これも全く新しい制度でございますので、今後、社会への定着の度合い、それから適格消費者団体に対する社会の評価、こういったことを踏まえていく必要が出てくると思いますので、まずは早急に本制度の円滑な導入に全力を注ぎたいと思います。
損害賠償制度につきましては、さきの通常国会でも、ドイツにおける仕組みですとか、いろいろ御指摘をいただいているということで、私も勉強しているんですが、これは海外の最新の動向もしっかり調査しながら、参考にしつつ議論を進めていきたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 民主党の案の中には、アメリカの制度、ドイツの制度をいろいろ参考にいたしまして、日本で導入できると思われるものを提案したつもりでございますので、ぜひ参考にしていただきまして、なるべく早くその検討も進めていただきたいと思っています。
とにかく、多くの被害者がいますけれども、少額なために泣き寝入りしていた、そういう消費者被害についてこの団体訴訟制度ができるということ、これは本当に多くの消費者が待ち望んでいたものですので、円滑な運用等、さらに使いやすい形になりますようにぜひ御努力をいただきたいというふうに思っています。
そして、午前中の質疑の中で、今委員長席にいらっしゃいます後藤田委員もおっしゃいましたけれども、最近、政府の消費者問題への取り組み、これが内閣府の中でどうもよく見えないのではないか。私も、以前NHKの解説委員をしていたころからずっと消費者問題に取り組んでまいりまして、中には、かえって経済企画庁にあったときの方が見えていたという声すらあるわけですね。
今回、内閣府に総合調整機能を持つようにしたのが省庁再編後の形だと思っております。その総合調整機能がどうも発揮されている様子が国民に見えてこない、そうした声もあるんですけれども、高市大臣も本当に多くのテーマをお持ちで大変でいらっしゃるとは思いますが、ぜひ、この地味ではありますがとても大切な消費者問題について、しっかり総合調整機能を生かして取り組んでいくというその姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
○高市国務大臣 消費者が日常的に使用する製品による事故、これは社会的に問題になっておりますし、私自身も大変興味を持って、関心を強めている課題でございます。
これは、消費者の安全、安心の確保に向けた取り組み、既に始まっております、閣議決定を昨年されました消費者基本計画の推進、それから消費者政策会議、これは内閣総理大臣が会長ということで組織されている会議なんですが、この枠組みを通じて、私は、総理を補佐する立場といたしまして、調整機能を発揮していきたいと思います。
それで、就任直後の記者会見などでも申し上げていたんですが、内閣府では国民生活センターがございます。これまでは、このセンターに全国から莫大な情報が寄せられても、各省庁から要求がなければそれを積極的に提供するということにはなっていなかったんですが、本日付で、関係省庁に、これは重篤な事故である、また死亡事故であるということはどんどんこちらから出していこうというようなこと。それから、関係省庁の課長会議、連絡会議があるんですが、これも実質は余り開催されていなかったということで、もっと頻繁に開催していこうというようなことで、私なりにできることを精いっぱい迅速に進めさせていただきます。
○小宮山(洋)委員 今お話にありました消費者基本計画も、これは消費者基本法という、消費者は、保護の対象であったものから、権利の主体だという大きな発想の転換の中でつくられたものでございます。私もこの委員会にずっと所属をしておりますので、また折に触れて消費者問題も伺わせていただきたいと思いますから、ぜひ積極的なお取り組みをお願いいたします。
続きまして、子供の安全対策について伺いたいと思います。
昨年、広島、栃木、京都などで相次いで子供が犠牲になる事件が起きまして、政府は、昨年十二月に緊急対策を出されました。ところが、これは、予算委員会などでも、この委員会でも伺ってまいりましたけれども、補正予算でも今年度予算でも、余り目立った予算づけがされていないのだと思います。
内閣官房が取りまとめていらっしゃるわけですけれども、官房長官にも後ほど、お戻りになりまして、時間がありましたら伺いたいとは思いますが、高市大臣の、少子化への対応という面からも、生まれてきた子供たちの安全というのは大切な視点だと思いますので、大臣としての政府を挙げての取り組みについて伺いたいと思います。
○高市国務大臣 本当に、大人であれ子供であれ、国民の命を守ることは政府にとって一番重要な役割ですし、少子化対策でも、いろいろ御意見を伺いますと、やはり安全な環境が保証されない限り、子供を産むのにも育てるのにも不安だというお声を伺っております。
ことしの六月に、御承知のとおり、子ども安全・安心加速化プランということで、特に急いで取り組んでいかなきゃいけない施策についてのプランが策定されました。ですから、来年度の予算の概算要求に向けましても、重点的な項目というものが明確になってきております。
それから、ことし六月、同じ時期ですが、「新しい少子化対策について」、この取りまとめの中でも、登下校のときの小学生の安全確保など施策が入っておりますので、とにかく、今私にできますことは、これらのプランがきちっと実施されること、文部科学省、厚生労働省などにも、特に本当に本気で取り組んでいただいているかどうかというチェックを行うと同時に、必要額の確保、これを年末は頑張ってまいりたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 先ほど申し上げた幾つかの事件の中で、栃木の事件についてはまだ犯人が捕まっていません。地元では日々不安な状況が続いているわけですけれども、その後どうなっているか、警察庁に伺いたいと思います。
○縄田政府参考人 御指摘の事件につきましては、捜査に当たっております栃木県警察及び茨城県警察においては、栃木県警察本部の刑事部長を長とする合同捜査本部を設置いたしまして、所在不明となった現場及び遺体が発見された現場周辺での聞き込み捜査、鑑識活動等の所要の捜査を推進するとともに、チラシ等の配布、あるいはフリーダイヤルの設置等をいたしまして、広く情報収集に努めておるところでございます。
今現在、捜査といたしましては、聞き込み捜査をやり、さらに再聞き込み捜査、あるいは寄せられた情報等について確認等を鋭意努力いたしておるところでございます。さらに、本年八月一日からは、民間の団体が実施主体となります懸賞金による情報提供の呼びかけも行っておりまして、これにあわせまして、さらにポスターを作成するなど、積極的に情報提供を求めているところでございます。
現在まで、残念ながら被疑者の検挙に至っておりませんけれども、合同捜査本部におきましては、一日も早い解決に向けて、徹底した捜査を推進しているものと承知をいたしております。
○小宮山(洋)委員 この件に関しましては、最初、白い車とか、どうも初動のところで誤ったのではないかというような指摘もございます。やはり、こういう事件、子供を殺害するなどということは、必ずこれは検挙されるのだということを示すことが再犯をまた防ぐことにもなると思いますので、ぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。
この栃木を初め、過疎地では、子供の安全のために、スクールバスへの非常に強い要望が出ていました。それに対して、政府は、緊急対策の中で路線バスの活用ということを挙げていまして、春の予算委員会の時点では、転用可能なものを調査中という、かなりまだるっこしい御答弁しかありませんでした。
スクールバスをそういう地域に入れるということは、それこそ補正予算でも何でも、予算をつければすぐに一台、二台入るものだと思うんですね。その後それがどうなっているのか、導入は、もっとこういうことは速やかにすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○西阪政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたように、路線バスを活用いたしました通学時の安全確保につきまして、緊急対策六項目の一つに挙げられたわけでございます。これを受けまして、警察庁、総務省、国土交通省、そして私ども文部科学省で検討を進めまして、本年二月十七日付で、地域の関係者による協議会を設置するなど現行制度の中で対応できる事柄につきまして、通知を発出したところでございます。
これを受けまして、幾つかの自治体、学校では、路線バスのバス停の位置を子供に応じたように変更するとか、児童の登下校時に合わせて通行時間を変更するとか、あるいはフリーの乗降区間を設置するとかという、いろいろな取り組みが進んでいるところでございます。栃木県の事件が起きました大沢小学校につきましても、この十一月一日から、民間のバスをスクールバスとして運用していくというふうに聞いているところでございます。
また、私どもといたしましては、路線バスを活用いたしましたスクールバスの導入をより推進していきたいというふうに考えておりまして、来年度の概算要求におきまして、通学路の安全確保のためのスクールバス活用推進事業というのを新たに要求しておりまして、このような取り組みをより促進していきたいというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 せっかく昨年末に緊急対策として出されながら、だって、栃木の事件が起きたのはいつですか。もう一年でしょう。一年たった十一月にやっと民間のバスを入れましたで、どこが緊急対策かと私は言いたいと思いますね。その間、毎日子供は通学をして、保護者は不安な思いをしている。予算の使い方はいろいろあると思いますけれども、子供の安全というのは重要だから緊急対策としたのに、何でこんなに時間がかかるのか、もっときちんとした対応をしてほしいというふうに思います。
それから、あと、子供自身に身を守る方法を身につけさせること、これが必要だと思います。防犯ブザーとかいろいろなことが言われていますけれども、この栃木の事件でも、犠牲になった子供は防犯ブザーを持っていました。けれども、それが使えなかった。だから、こうした器具に頼るのではなくて、子供自身がこういういろいろな事件から身を守る。そのことは、いじめとか虐待などから身を守ることにも通じるんだと思います。
現在行われている教育がとても十分だとは思えず、緊急対策の中でも、小学校低学年の人たちも三年に一度ぐらいしかそれを学ぶチャンスがめぐってこないわけです。それで十分だとお考えなんでしょうか。
〔後藤田委員長代理退席、委員長着席〕
○西阪政府参考人 御指摘のように、子供たちの安全確保というためには、いろいろな環境を整えるということも必要でございますが、子供たちがみずから自分の安全を守るということが大変大事だと考えております。
このため、防犯教室というのを各学校で実施するようにということで進めておりまして、この中では、特に、子供たちに危険の予測能力あるいは危険の回避能力を身につけさせようということで、より実践的な防犯教室を実施していただくようにお願いしているところでございます。
このために、本年二月に、特に小学校の低学年の児童にもわかりやすいような防犯の教材というものをつくっておりまして、例えば、危ないと思ったら大きな声を出すとか、防犯ブザーを鳴らすとか、あるいは知らない車には絶対に乗らないとかという具体的なことを示した教材を作成して配付しているところでございます。
○小宮山(洋)委員 これは内閣委員会でも、それから青少年問題特別委員会でも何回も取り上げておりまして、その特別委員会の方で参考人として来られた、CAPという、御存じだと思いますけれども、そのプログラムを主宰している方からいろいろ話を伺って、さっき申し上げたように、防犯ブザーは取り出して押さなきゃいけないけれども、声は自分で出せるんだから、おなかの底から声を振り絞って出して、それで逃げなさいということで、その声をみんな委員で練習してみたというか、実践してみたようなこともございます。
このCAPのプログラムが実効性があるということは、もともとアメリカですけれども、かなり証明をされている部分で、こうしたものも導入をしていったらいいと思うんですけれども、これは、体育館に全校児童を集めてやるというようなことではなくて、一クラスずつ、子供たちにも保護者にも、それからあと先生方にも協力をしてもらってやるということで、かなり時間がかかる。そうすると、やろうとしても、校長先生や教育委員会、今いろいろ話題になっている教育委員会ですが、そこの理解がないと進められないということがあるんです。こういうことにもっと取り組んだらいいと思いますが、いかがですか。
○西阪政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、防犯教室は、実践的に、できるだけ子供たちに具体的にわかるようにということでお願いしているところでございまして、ロールプレーなどを用いた防犯教室というのは大変有効なことだろうというふうに考えております。
CAPのシステムにつきましては、御指摘いただきましたように、アメリカで開発をされまして、日本でも幾つかの学校で取り組んでいるところがあるというふうに聞いております。ロールプレーなどを用いた大変実践的な内容だというふうに聞いております。
ただ、どのようなそういうプログラム、民間の開発されたプログラムですとかというのを活用していくかというのは、それぞれの学校あるいは教育委員会で判断されることであろうというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 まあ、それぞれの、いつもそういうふうに逃げられてしまうんですけれども、それはやはり、これは国として、子供の安全ということは政府を挙げて取り組むということですから、効果があるプログラムであれば、学校は非常に閉鎖的なんですよ、まだ開かれていない、民間のいい知恵があるのであれば、それに積極的に取り組むように、地方自治だとか、各教育委員会に任せてあるとかいうことだけではなくて、国としてもやはり、こういうものがあるから導入をしていくとこういう効果があるという情報提供をするとか、もっと積極的にやっていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間が押しているので飛ばしまして、また、これは内閣官房として取り組んでいらっしゃる政策ですので、後ほど、塩崎官房長官が戻られて時間があれば伺いますが、今、まだいらっしゃいませんので、高市大臣、先ほど、次の予算も重点項目にしてくださるということがございましたが、今お聞きになっても、かなりまだるっこしい、全部縦割りなんですよね。
ところが、生身の子供は一人の人間なわけです。それの安全を守るためには縦割り行政でやっていてはだめだから、内閣官房で仕組みをつくって緊急対策を出していらっしゃるわけですから、ぜひこちらの方にも、少子化という面からだけではなくて、官房長官を補佐してというか、ペアを、タッグを組んでしっかりお取り組みいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 安心、安全に係ること、例えば食品の安全や製造物の安全や子供さんたちの安全、いろいろな課題があると思うんですけれども、それぞれ執行行政官庁が違っております。ただ、そのほかの法律ですとか制度に係るものもありますので、どうしても縦割りになりがち、そこを何とか、しっかりと目配りをしながら、省庁同士の意見が対立したときの調整ですとか、きちっと予算や制度が執行されているかというのをチェックしながら、場合によっては勧告も行えるというのが内閣府の立場でございますので、しっかりと、まずは予算確保の応援をするとともに、執行についてもチェックをし、必要に応じて大臣にも直接意見を申し上げたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 子供に関して高市大臣からは先日来大変心強い御発言をいただいておりますので、期待をしたいというふうに思います。
次に、これは大変難しい問題なんですが、生命倫理、生殖医療について伺いたいというふうに思っています。
生殖医療の技術が以前には考えられなかったほど今進歩をしているわけですが、法律がそれに全く追いついていません。例えば、人クローン技術の規制法、これが二〇〇一年に施行されまして、まもなく六年になろうとしていますが、法律施行後三年以内に、総合科学技術会議等の検討結果を踏まえて、検討を加え、必要な措置を講ずると法律に書いたわけですが、まず、このクローン禁止法につきまして、その後どうなっているのかということを伺いたいと思います。
○水落大臣政務官 御指摘のクローン技術規制法の附則に基づきまして、総合科学技術会議において検討が行われております。そして、平成十六年七月に「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」についての意見具申がなされたところでございます。
この意見におきましては、人クローン胚の研究目的の作成、利用を、他に治療法のない難病等に関する再生医療の研究に限定して認めることとし、文部科学省に対して、クローン技術規制法に基づくガイドライン、指針の改正により、必要な枠組みの整備を行うことを求めております。
文部科学省におきましては、これを受けまして、平成十六年十月に作業部会を設置いたしまして、これまでに二十二回にわたって審議を重ねるなど、慎重に検討を行っているところでございます。今後、作業部会の検討の結論を待って、十分に議論を尽くしてから、指針の改正など必要な措置を講じてまいりたいと存じます。
○小宮山(洋)委員 このクローン禁止法をつくるときにも、日本にはそのベースとなる、基礎、土台となる生命倫理や生殖医療に関する法律がないということが抜本的な問題だったわけです。それがないのに、クローンのこの技術とこの技術はいけませんというのだけをつくりますと、ではほかはいいのかとか、非常にこれをつくるときにも苦労をいたしました。
それで、諸外国を見ますと、スイスでは憲法に規定があります。それから、イギリスはヒト受精・胚研究法、フランスには生命倫理法、ドイツは胚保護法、カナダには生殖医療法、韓国にも生命倫理安全法など、その基礎になる法律があるんですね。
日本でもこうした法律が必要なのではないかと思いますが、後ほど官房長官にも伺いますが、高市大臣はどのようにお考えですか。
○高市国務大臣 総合科学技術会議の生命倫理専門調査会最終報告、ここに書かれてありますのは、ヒト胚をどのように取り扱うかは、個々人の倫理観や生命観を反映して、国民の意識も多様であり、今すぐ強制力を有する法制度として包括的に整備するのは容易でないという判断から、ヒト受精胚につきましては、今までは日本産婦人科学会の会告といった自主規制だけでしたけれども、ヒト受精胚の作成、利用にかかわる国のガイドラインを策定し、ガイドラインの遵守状況を見守りつつ、法整備に向けて引き続き検討するということになっております。
また、人クローン胚につきましては、クローン技術規制法に基づく特定胚指針などの改正及び必要に応じてガイドラインで補完し、科学的検証を継続的に行うことが必要ということになっております。
ですから、包括的な法的枠組みということにつきましては、そもそも総合科学技術会議が、今すぐ、強制力を持つ法整備というのはちょっとどうなんだろう、容易ではないということで、このような結論を出しているんですけれども、生命科学の発展が社会に与えている影響ですとか、それから国民の倫理観や生命観など、国民の意識もどんどん変わっていっておりますので、やはり今は国民各層の活発な議論が行われる段階かなと思っております。
○小宮山(洋)委員 生命倫理については、自民党さんも民主党でも憲法の改正案の中に入れています。ですから、そういう考え方もあるかと思いますし、その基礎になる法律についても、やはり議論をある程度国民の中でできるような形をとっていく必要があるのではないかと思っています。
基礎になる法律のほかに、あとは、さまざまな事象がありますので、個別の法律が必要になってきているんだと思います。
一つは、今の高市大臣のお話にもありましたけれども、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会が二〇〇四年の七月に、研究目的のヒト胚づくり、これを条件つきで認める最終報告をまとめまして、文部科学省と厚生労働省にガイドラインの具体的な内容を検討するようにと言っています。この検討は今どこまで進んでいるんでしょうか。
○水落大臣政務官 御指摘のとおり、総合科学技術会議の意見を受けまして、文部科学省では、平成十六年十月に設置をいたしました作業部会におきまして、先ほど御報告のとおり、二十二回にわたって議論を重ねております。そして、現在、クローン技術規制法に基づく指針の改正に向けた検討を行っているところでございます。
この作業部会では、認められる研究の範囲や人クローン胚の作成に必要な未受精卵の入手のあり方等について、未受精卵、まさに生命のもとでございますから、これはもう研究者、そして生命倫理の専門家、そして女性有識者等からヒアリングを実施しつつ検討を行って、本年六月に指針の改正に当たっての基本的な考え方を中間取りまとめとして公表したところでございます。
この中間取りまとめにつきましては、今年七月から八月にかけて、パブリックコメントを実施するとともに、関係する団体等、さまざまな立場の方から意見を聞く会を二回開催いたしております。
今後、これらの意見も踏まえつつ、人クローン胚の研究が適切な形で実施されるよう、幅広い観点から議論を尽くすべく、決して拙速にしてはいけない、十分に議論を重ねて、引き続き慎重に指針改正の検討を行ってまいりたい、このように存じます。
○小宮山(洋)委員 総合科学技術会議、これは高市大臣が所管されているところですけれども、ここで議論をされて、文部科学省と厚生労働省にガイドラインづくりを投げた。その後どう議論されているのかを私、一生懸命調べたんですけれども、大変わかりにくいんですね。文部科学省で人クローン胚の研究目的での作成、利用に関する検討が行われていて、厚生労働省ではヒト受精胚の研究目的の作成、利用に関する検討が進められていて、これが、後ほどちょっと伺いますが、結論が出た後、今度は一緒に何かをされているということなんですけれども、これだとなかなか国民にはわかりにくい。
本当にこの生殖医療、生命倫理ということは国民に非常に関係が深いものですので、先ほど高市大臣からも国民的な議論というお話がありましたけれども、議論するには、何がどう進んでいて、どういう情報があるということが提供されなきゃ、議論にもならないのではないかと思うんですね。
各役所に聞きますと、この問題は、今政務官も慎重にとおっしゃいましたけれども、とてもとても国民のコンセンサスがないから、各省庁で法律をつくるなどということはとんでもないみたいな話なんですが、議論している過程が、どこで何しているか全く国民にわからないのに、どうやって国民のコンセンサスを得られるようなことになるんでしょうか。先ほどからの続きで高市大臣、ちょっとお答えいただけますか。
○高市国務大臣 私も内閣府におりまして、こんなにいろいろな施策があるのに、きちっと国民に伝わっていないんじゃないかというようなことを感じたり、何かを決めるときに、当然パブリックコメントを行っているような場合にも、その情報自体がどの程度にまで伝わっているんだろう。これは日々、私も悩んだり、ここで政府広報予算をとれないんだろうか、これは私に実は決定権がないんですけれども、そんな相談を職員にしたりしているところでございます。
この問題、総合科学技術会議におきましては、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」を決定する過程におきましても、国民から意見募集の手続を行い、そしてまた、その際に情報提供も行い、シンポジウムの開催なども行っております。先生がおっしゃいますように、これからも、何か想定される特定胚指針の改正の節目ごとに、やはり、シンポジウムを行うとか情報提供、意見募集を行うとか、こういった手続を怠ってはいけないと思います。
ただ、一つ悩みの種は、そういった手続を行っているということをさらに広く周知する方法はないだろうかということでございますね。今、その他の施策に関しましても、できるだけ内閣府のホームページなどで呼びかけたり内閣府内の記者会見の場などで積極的に口に出して、これを取り上げるか取り上げないかはマスコミの皆様のお考えですけれども、そういう周知の機会は常にあらゆることについて図っているつもりでございます。
○小宮山(洋)委員 官房長官お戻りになりまして、お待ちしておりました。
今、生命倫理と生殖医療の話をさせていただいていたので、なかなか議論にすぐ入っていただくのは難しいかと思うんですけれども、今質疑をさせていただいているのは、生殖医療の技術が本当に考えられないほど進んできましたけれども、生命倫理とか生殖医療に関する、まずその基本的な法律が諸外国にはあるのに日本にはない、それをやはりしっかり議論をしてつくっていく必要があるのではないかということを先ほど高市大臣にも伺ったんですが、官房長官はどのようにお考えですか。
○塩崎国務大臣 少しおくれをとっているものですから十分頭がついていっておりませんけれども、今お話がございましたように、法律的なインフラが日本は十分じゃないんじゃないか、こういうお話がございました。ある意味ではそのとおりな面もあろうかと思っております。
多分、高市大臣からも基本的なところはもう説明があったかと思いますけれども、やはり私も、地元の友人の産婦人科の方で生殖補助医療を専門にされている方のお話を聞いたり、私たちの周りにも、国会議員の中でもそういった面で努力をしておられる方もおられるわけであります。
それで、平成十五年の厚労省でまとめたものが、生殖補助医療制度の整備に関する報告書というのがございましたが、このときに私も議論に参加して、これは大分たくさんやらなきゃいけないことがあるなということを正直言って思いましたし、昨今、向井さんの事件、今度最高裁でまた争われることになるようでありますけれども、こういった問題を提起される中で、生命倫理の問題を含めて、生殖補助医療の問題について私たちは少し前向きに考えなければいけないのかなということを私は個人的に思って、記者会見でも少し申し上げたところであります。
ただ、この問題に関して伴ってくる、倫理、生命に根づく非常に深い問題がたくさんございまして、なかなか整理がつかないということは、前回、平成十五年のときに私もこの議論を何人かの先生方とやらせていただいたときにわかりましたが、しかし、ではほっておいていいのかというと、やはりそうではないんだろう。国民の皆様方にも、一緒に科学的な知見に基づいたデータ、資料の知識を前提とした冷静な議論をして、コンセンサスが得られるところがあれば、そこはやはり前向きに考えていかなければいけないのではないのかなというふうに私は個人的に考えておるところでございます。
これは恐らく、法律として出てくれば、超党派とかあるいは議員立法とかそういう世界になるのかもわかりません。これは臓器移植の法案と同じように非常に根深い問題でありますけれども、しかし、不妊であるがゆえに悩んでいらっしゃる方々がたくさんいることはよくわかっておりますので、私もこれから考えていきたいなと思っているところであります。
○小宮山(洋)委員 その前向きに考えたいという、まあ、個人的にというのはつきましたけれども、前にもその議論をされていた塩崎さんが官房長官でいらっしゃることは大変心強いと思っています。
おっしゃったようにこの問題は、党派が対立してというのではなくて、私たちも、女性議員中心ですけれども、ずっと超党派の勉強を続けてきていまして、今、男性議員も入っていただいて話をしています。
途中から来ていただいて、全体の枠組みの中で申しわけなかったんです、先の話までちょっとお答えいただいたようにも思いますが、ベースになる生命倫理、生殖医療の法律が一つ必要じゃないかということと、あとは、個別に今言っていただいた、生殖補助医療によって、今回は向井さんの代理母の問題が表に出ていますが、そういう問題と、先ほど高市大臣がおっしゃった人クローン胚の利用の問題と、当面、個別の問題としてその二つあるというふうに思うんですね。
今官房長官がせっかく言っていただいたので、ちょっと順番を変えまして、そちらの生殖補助医療の方の話を少ししたいと思います。
一つは、夫の凍結精子による子の誕生というニュースもございました。それから、向井さんの事件で非常にみんな注目をしている代理母による出産の問題、次々に起きてきています。
それで、代理母につきましては、これまでの、出産した女性を母とするという民法上の考え方に対しまして、今官房長官もおっしゃったように、ことし九月に東京高裁が代理出産の依頼者である夫婦と生まれた子を法律上の親子と認めるという決定をして話題になりました。これに対して、私からすると残念ながら品川区が抗告をしているということですが、まだ受理されるかどうかは決まっていないのだと思います。この点につきましても、非常に法整備のおくれが指摘をされています。
今御答弁にもあった、厚生科学審議会の生殖補助医療部会で二〇〇三年に、代理懐胎、代理母、借り腹を禁止するという報告を出して、必要な制度整備を早急に実施すると報告を出しているわけですけれども、その後、法整備が進んでいないのはどうしてなんでしょうか。
○村木政府参考人 先生御指摘のように、平成十五年に審議会から、代理懐胎については、個人の倫理観にかかわり、かつ、身体的危険を伴う問題でもあるので、これを禁止すべきではないかという御報告をいただきました。また、日本産科婦人科学会の会告でも同じような御意見をいただいているというところでございます。
先ほど官房長官のお話にもありましたとおり、これを受けていろいろな議論もございましたが、やはり代理懐胎につきましては、国民の意見が賛否両論に分かれていてなかなかコンセンサスがとれないということ、それから、そもそも法律で規制することがなじむかどうかというような意見もあったりということで、さまざまな意見があってなかなか収れんしていかない中できょうまで法整備に至っていないという状況でございます。
何らかの対応はしていかなければいけないということでございますが、これは、正直申し上げて、少し政府としましても、立法府のお考えも聞いていかないとなかなか難しい問題かなというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 先日、ヒアリングをさせていただきましたけれども、法務省の方からは、生殖補助医療により出生した子の親子関係のあり方について、厚生労働省での検討状況を踏まえ、国民意識の帰趨を勘案しつつ検討を進めていくべきというふうにしていまして、私のとったところでは、国民的なコンセンサスがないと法務省は動きようがない、そういうふうに受け取れるような御発言しかなかったんですけれども、既に向井さんの件など、海外で代理母によって生まれた子供がいるわけですね。ですから、それに対して国民的なコンセンサスがないと全く動けないというのは、ちょっと悠長に過ぎるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○深山政府参考人 御指摘の生殖補助医療によって出生した子の法律上の親子関係につきましては、現に、御指摘のように代理母から生まれた子供がいる以上、直ちに立法的解決を図るべきである、こういった御指摘や御意見があることは重々承知しております。
しかしながら、生殖補助医療によって出生した子の親子関係を法律上どう定めるか、こういう問題は、その前提となる生殖補助医療行為に対する法的規制のあり方の問題と相互に密接に関連していると考えております。
そして、この生殖補助医療行為に対する法規制のあり方に関しましては、今厚生労働省の方から御答弁がありましたとおり、なかなか国民の意見の集約を図れないといったようなことを理由として、報告書は出たものの、なかなか立法措置のめどが立っていないという状況にございます。
こういう状況のもとで、法務省の方が所管している生殖補助医療によって出生した子の法律上の親子関係のあり方、こちらの方についてだけ仮に立法的解決を図るということを考えますと、将来は導入され得る医療行為に対する法規制のあり方と統一性を欠く結果になるのではないかということを私たちは心配しております。
例えば、仮に代理出産の場合に、依頼者である女性を母とするという民法上のルールを設けた場合に、その後に代理出産はやはり医療行為として法律上禁止をするということになりますと、民法のルールがいわば違法な代理出産を容認する、あるいは助長するかのようなことになりかねないことになってしまいまして、一つの国の法律制度としてやや統一性を欠くことになってしまうのではないか、こんな懸念がございます。
逆に、代理出産の場合であっても民法上の母子関係は出産した女性が母である、こういうルールを設けた後に、代理出産が一定の要件のもとで生殖補助医療行為として今度は許されるというような法ルールになりますと、医療行為としては適法要件を満たして代理出産した場合であるのに、法律上の母子関係は実母として認められないというようなことになってしまって、これも、結論としていささか整合性に欠けるのではないかというような感じがいたします。
こんな理由から、法務省としては、代理出産を含む生殖補助医療によって出生した子の法律上の親子関係のあり方の問題につきましては、やはり生殖補助医療行為に対する法規制のあり方とあわせて、先ほど来お話に出ています本年九月の東京高裁決定を契機として各方面で活発化しているさまざまな御議論、それから、この高裁決定そのものに対する上告審の判断内容などを十分に踏まえて対応することが適当であると考えておるところでございます。
○小宮山(洋)委員 昨日も超党派の勉強会で向井亜紀さんに来ていただきまして、ヒアリングをさせていただきました。今の御発言の中で、日本ではまだ、方向性として禁止したいとは言っていますけれども、そういう法律があるわけではないので、違法ではありませんから、そこだけはしっかりわかっておいていただきたいと思います。
それで、やはりこれは生殖補助医療としてどこまで認められるかという範囲、それと、出生した子の法律上の親子関係のあり方、これを両輪として考えていく必要があると思うんですね。
ただ、今言われたような形で、先ほどの話とも通じるんですけれども、どこで何が審議されているかわからないのに、どうやって国民的なコンセンサスをつくるのですかと私は言いたいわけです。ですから、これはやはり超党派で、議員立法でやらなければ、私は無理なのかなとは思っておりますけれども。
やはり、既に生まれた子供がいる。それで、海外ではそれができる。そして、遺伝子上は、依頼者である男性の精子、女性の卵子をとって、遺伝子としてはその子供であるのにそれが認められない。ほかの形で親子が認められているケースがあるわけですよね、ほかのやり方で。そういう中で、やはり納得できない、後から養子縁組というのではなくて、きちんと認めてほしいという意向があって、そういう法整備に向けて一石を投じたいということで、今回、向井さんが勇気を持ってこういう形をとっておられますので、ぜひこれは積極的に取り組んでいかなければいけない問題だと思いますが、高市大臣、官房長官、それぞれどのようにお考えでしょうか。
○高市国務大臣 私自身はこの問題について、国会の場で御質問を受けたのは初めてなんですが、省内の記者会見の場で私の考えを問われたことがございました。
私はあのとき、向井さんのニュースを見ていて、子供が欲しくて欲しくて仕方なくて、でもどうしようもなくてと、私自身もその一人ではございますけれども、なかなか身体的に難しい状況にあるという方たちのことも何とか救いたい。不妊治療等、この代理母の問題とはまた別に、応援するような施策というのは当然進めていきたいんですけれども、ただ、代理母を認めるかどうかということになりましたら、多くの論点はあると思います。
例えば、実際に十カ月以上おなかの中に子供がいるわけですから、いざ生まれた後に引き渡すことを拒否されて大きなトラブルになったような事件もアメリカではありました。それから、やはり親子関係、民法上の問題も当然生じますし、それから子供自身の心がどうなのか、それから、代理母が生活上の不注意などで妊娠中に事故を起こしてしまって結果的に流産してしまったとか、そういった場合に責任関係がどうなっていくのかですとか、あと母体の安全、それと女性の体を生殖のための何か道具に使うようなことにはならないのか、倫理的な問題も含めて、相当私は議論はしなきゃいけないんだろうと思うんです。
ただ、今までは、代理出産はだめですよということで、もうそこで議論がとまっていた感があります。私なんかも、このことが大きく報じられるまで余り考えてもみなかったのが正直なところですので、議論は絶対にタブー視しちゃいけない。厚生労働省でもそれから法務省の方でもお考えいただきたいなという気持ちが強うございます。
○塩崎国務大臣 先ほども申し上げましたように、十五年のときに私も議論に若干参加をし、問題のすそ野の広さと奥行きの深さというものをつくづく感じました。
今回は特に代理出産のことが象徴的に取り上げられていますけれども、それもありますが、それ以外の問題もたくさんあるのはもう御案内のとおりであって、それらのさまざまな問題というのは、単に厚労省だけの問題ではないこともありますし、そしてそれらについて国民がどこまでコンセンサスを持ち得るのかというのは、なかなか、考えたことがないことでもあり、また私も勉強して初めて知ったこともたくさんありました。
したがって、先ほど申し上げましたように、どういうフレームワークでやるかは、政府ベースで仮にやるならば各省庁、関係省庁が集まってということになりましょうし、今お話があったように、臓器移植のときにはそれこそ超党派で、議員立法でやったわけでありますけれども、そういう国会議員の間での議論というものを深めていくということをやっていくことも同時にやはりやっていかなきゃいけないのではないだろうかというふうに思います。
ですから、各役所も、余り受け身にならないようにして、一緒にやはり、それぞれみんな人間ですから、そういう可能性はあるし、自分がなくても自分の子供はそういうこともあるかもわからないし、いろいろなことがあるので、国民の皆さん方にもどういう問題があるのかということを少し整理して御提示して、一緒に考えてもらうということが大事なんじゃないかなというふうに思います。
政府としては、それをまた厚労大臣、高市大臣等々と相談をして、今後のやり方を決めたいと思いますが、本当に諸外国もそれぞれ悩みながらそれぞれの法制をつくって、代理出産はだめだという国もあるわけでありますけれども、いい国もあるということは、そんな簡単な正解というのは、万国共通のものはないということであります。しかし、事の深刻性を考えてみれば、余り時間を置かずに議論を深めた方がいいんじゃないかなというふうに思います。
○小宮山(洋)委員 これまでになく前向きな御答弁をいただいたと思っていますので、今後また話をいろいろさせていただきたいと思います。
大分残り時間が少なくなりましたので、最後の男女共同参画の問題については、残り時間少ない中でちょっと問題を絞りたいと思いますが、一つは、具体的な問題といたしまして選択的夫婦別姓のことを伺いたいと思います。
世論調査をもう五年間もされていないわけなんですが、する予定があるかどうか。実は、昨年十月の法務委員会で、民主党の津村議員の質問に対しまして、当時の南野法務大臣が、十八年度に夫婦別氏の調査を内閣府に希望すると答弁をされているんですけれども、それがどうなっているか。広報室担当ですので、官房長官にお願いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今まで五年に一遍この調査をやってきたということは承知しているところでございますけれども、今お話があったように、選択的夫婦別氏制度などを内容とする家族の法制に関する世論調査について法務省から調査実施の要望がございました。これは十八年の二月であります。
一般的に、内閣府としては、各府省からの要望を踏まえて、社会経済情勢の動向や政府の主要施策との関連等を総合的に勘案して世論調査を実施するというのが常であるわけであります。
この夫婦別氏制度に関する世論調査の重要性は、これは極めて重要だということは私も認識をしておりますが、内閣府の世論調査においては、具体的な調査の時期等は、調査の中立性、これを確保しないといけない、悪用を防止するということも大事だということで、調査の終了まで公表していないというのがこれまでのやり方でございます。
○小宮山(洋)委員 ということは、終了まで公表しないけれども要望が出ているからということだろうというふうに解釈をいたします。
この選択的夫婦別姓の問題というのは、国会の中では、最近、ちょっとなかなか話題にもできないような状況になってしまっていますが、待ち望んでいる人たちはたくさんいます。もちろん同姓でいい人たちは同姓でいいわけなので、いろいろな事情で別姓を望んでいる人には、私はその選択ができるということが豊かな社会の証左ではないかというふうに思っておりまして、私の小宮山もこれは通称でございますし、高市大臣も、高市さんは通称でいらっしゃると思います。
通称と戸籍名が別というのは、印鑑を二つ持たなきゃいけないとか、三百万円以上の買い物は通称ではできないとか、大変不自由なことがございまして、やはり私はこれをできるようにしたいと思っているんですが、高市大臣、塩崎官房長官のお考え、それぞれ伺いたいと思います。
○高市国務大臣 この法改正は法務省の所管になってしまいますので、私が政府の立場で、こう変えるべきとかこういたしますということをここで申し上げることはできません。ただ、内閣府におります男女共同参画担当大臣でもあります私にできますことは、昨年十二月に閣議決定されております第二次男女共同参画基本計画におきまして、選択的夫婦別氏制度について、国民の議論が深まるように引き続き努める、これについてお願いをしていくということになるかと思います。
小宮山先生もそうですし、私も本籍は山本早苗ですから、夫婦同姓、法律上の夫婦同姓を選択し、通称名を使用している、現在の民法のもとでの使用ということになるんですけれども。今後、選択肢として、またこれは私の権限ではなく内閣の方で、官房長官の方で御判断されて世論調査をされるというようなときに、三つほどもう既に選択肢があるのかな。
一つは、現行の民法のまま夫婦同姓、必要な人は通称を使いなさいという方法になるのか。それとも、選択的に夫婦別姓、戸籍も、夫と妻、また子供はどっちかを選択ということで、戸籍上も違う氏ですよ、そういう形になるのか。もしくは、現在の民法を少し拡充するような方法で、これは私が議員だったときに議員立法で党の政調で御審議いただいた内容でもあるんですけれども、戸籍上は親子、夫婦同姓であり、そして通称名を使用するときに今先生がおっしゃったような不便がなくなるように、例えば身分証明でも、免許証でも戸籍名と通称名は併記されている、そして、いろいろな士法、何とか士とつく専門職などでも通称名をさらにオーソライズして使えるというような形の通称名使用をさらに拡充する方法。三つぐらいの選択肢が今世の中にはあるのかなと思います。
そのほかにもすばらしいアイデアをお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、いずれにしましても議論が深まるように努めるということでございますので、法務大臣が既に官房長官の方にお願いされたということでございますから、今後、適時適切に御判断いただけるものと期待をいたしております。
○塩崎国務大臣 高市大臣も大分御意見を言っておられましたけれども、自民党の中でも千差万別というかいろいろな意見があって、やはりこれは、家族とは何かとか、結婚とは何かとか、そういう問題が深くかかわってくる問題で、私も地元でいろいろなミニ集会などをやってみると、てんでんばらばらな意見ばかりなんですね。
どっちかといえば賛成、どっちかといえば反対というふうに分けると、大体それは何となくの雰囲気はわかりますけれども、しかし、これはやはり、今高市大臣がおっしゃったように、第二次男女共同参画基本計画に基づいて国民の声をいろいろ聞いてみようということでもあって、国民の声をバックにどういうふうにこれを結論づけていくのかということを私としても考えていきたいと思っています。
それぞれの党も一様ではないと私は思いますが、この国民の代表である国会の場で決めることが最終的な道でありますので、それに向けて御努力をお願いし、また我々も考えていきたい、こう思っています。
○小宮山(洋)委員 時間が参りましたので終わりますが、選択的夫婦別姓、選択ができないのはついに世界で日本だけになりましたので、そのことだけは心にとめておいていただきたいというふうに思っております。
男女共同参画については、また次の機会に質問をさせていただきたいと思っています。
ありがとうございました。
○河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十七分散会