衆議院

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第6号 平成18年11月10日(金曜日)

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平成十八年十一月十日(金曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    飯島 夕雁君

      石崎  岳君    遠藤 武彦君

      越智 隆雄君    近江屋信広君

      岡下 信子君    岡本 芳郎君

      木原 誠二君    佐藤  錬君

      杉田 元司君    薗浦健太郎君

      谷本 龍哉君    土井  亨君

      中野 正志君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    林田  彪君

      藤井 勇治君    松浪 健太君

      松本 洋平君    村上誠一郎君

      市村浩一郎君    小川 淳也君

      太田 和美君    逢坂 誠二君

      小宮山洋子君    佐々木隆博君

      寺田  学君    仲野 博子君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         佐田玄一郎君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務副大臣        大野 松茂君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (内閣府「道州制特区」推進担当室長)       山崎 史郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         山下 一仁君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  石島 一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大辻 義弘君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 品川  守君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   参考人

   (岡山県知事)

   (全国知事会総務常任委員会委員長)

   (全国知事会道州制特別委員会委員長)       石井 正弘君

   参考人

   (北海学園大学法学部教授)            佐藤 克廣君

   参考人

   (社団法人関西経済連合会常任理事)        井上 義國君

   参考人

   (小樽商科大学大学院商学研究科教授)       相内 俊一君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     土井  亨君

  遠藤 宣彦君     飯島 夕雁君

  嘉数 知賢君     岡本 芳郎君

  木原 誠二君     薗浦健太郎君

  寺田  稔君     杉田 元司君

  市村浩一郎君     仲野 博子君

  小宮山洋子君     寺田  学君

  横光 克彦君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     西本 勝子君

  岡本 芳郎君     中野 正志君

  杉田 元司君     松本 洋平君

  薗浦健太郎君     木原 誠二君

  土井  亨君     石崎  岳君

  寺田  学君     小宮山洋子君

  仲野 博子君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  中野 正志君     藤井 勇治君

  西本 勝子君     越智 隆雄君

  松本 洋平君     近江屋信広君

  福田 昭夫君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     遠藤 宣彦君

  近江屋信広君     寺田  稔君

  藤井 勇治君     佐藤  錬君

  太田 和美君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     嘉数 知賢君

    ―――――――――――――

十一月九日

 憲法改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第三三六号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八二号)

 憲法の改悪に反対し、憲法九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第三三九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九〇号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、岡山県知事・全国知事会総務常任委員会委員長・全国知事会道州制特別委員会委員長石井正弘君、北海学園大学法学部教授佐藤克廣君、社団法人関西経済連合会常任理事井上義國君、小樽商科大学大学院商学研究科教授相内俊一君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 石井参考人、佐藤参考人、井上参考人、相内参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、石井参考人にお願いいたします。

石井参考人 おはようございます。私は、岡山県知事の石井正弘と申します。

 全国知事会の中で、総務常任委員会の委員長、以前は地方制度調査委員会と言っておりましたけれども、その委員長を務めております。そして、昨日、道州制特別委員会が開催をされまして、委員の互選によりまして、同特別委員会の委員長に就任をすることになったわけでございます。

 委員の皆様方におかれましては、日ごろから地方自治の発展のために深い御理解を賜っておりまして、また地方分権の推進のためにも格別のお力添えをいただいておりますこと、まずもって厚く御礼申し上げる次第でございます。

 さて、道州制の関係についてでございますが、御案内のとおり、地方制度調査会が第二十七次そして二十八次、私その委員を拝命いたしまして、特に二十八次は道州制の導入につきましての議論でございましたけれども、その審議にかかわってきた者でございます。

 去る二月二十八日に地方制度調査会の答申が出ているところでございまして、その委員を務めておりましたという関係から、まずもって、私、知事会を代表いたしましての意見を述べさせていただきたい、このように存じます。

 まず、道州制に取り組む基本的な考え方でございますけれども、私は、今後我が国を活力あふれる豊かな社会といたしましてその輝きを取り戻すためにも、やはり、現在の硬直化そして肥大化いたしました中央集権システムというものを根本的に見直しまして、地方がみずからの判断とそして責任において政策の選択を行っていくことができるような、いわゆる地方が自立をいたしました地方分権型社会の構築、これが不可欠である、このように考えておりまして、こういった行政システムの転換が行政の簡素化、効率化にも寄与するものと考えている、このことが基本的なスタンスでございます。

 そして、具体的なお話を幾つか申し上げてまいりたいと思いますが、まず、道州制の検討に当たりまして三点ほど、留意点ということで指摘をさせていただきたいと存じます。

 まず第一点は、目指すべきこの国の形というものを、国、地方を通じまして、あわせまして一体的に示していくということ、これが大切であるということであります。

 すなわち、道州制は我が国の統治機構そのものを変革、改革するものでありまして、道州のあり方というものはもとよりでございますけれども、中央政府のあり方も含めました一体的な制度設計の検討が必要であるということであります。

 二点目は、道州制導入の必要性等の提示をぜひお願いいたしたいということであります。

 今後は、道州制の導入が国民にもたらすメリットとかあるいは課題等、こういうことにつきまして十分議論を深めていただきまして、できる限りわかりやすく国民の皆様にお示しをすることが必要である、このように考えております。

 それから三点目は、枠組みを先行させた議論は行わないということであります。

 すなわち、区域を絞り込むなど、枠組みを先行させた議論ということを行うべきではないということでありまして、十分な検討が必要であります。国が一方的に区割りを決めるようなことがあってはならない、こういうことでございます。

 次に、制度設計におきましての留意点ということで、四点ほど申し上げていきたいと思います。

 まず第一点は、道州制を構成する道州を地方公共団体として明確に位置づけていただきたいということであります。

 すなわち、道州制の究極の目的からいたしましても、新たな道州は、国の下部組織として、あるいは国、地方公共団体の中間団体として等々位置づけられるということはあってはならないということでありまして、あくまで地方公共団体でなければならないということであります。

 それから第二点は、国と地方の役割分担を明確化していただきまして、地方の自治立法の範囲を拡大していただきますとともに、地方に対する国の過剰な関与をぜひ排除願いたいということであります。

 すなわち、今後、国の役割は、国家の存立にかかわるようなこととかあるいは制度の大枠を定めることといったようなことに重点化、限定化していただきまして、それ以外の内政にかかわる事務は、企画立案から管理執行まですべて地方が行うということを原則とすべきであると考えております。

 特に、法令面におきましては、政省令ではなくて自治立法によるということを基本原則にしていただきたい。そして、国の制度策定過程への道州の意見反映の仕組みの議論、これも必要であると考えております。

 三点目は、市町村の役割、権限の強化ということ、これをそういう方向で検討されたいということであります。

 四点目は、道州が担う役割にふさわしい税財源、これが必要であるということ、こういったことにつきましても意見を述べさせていただいてきたわけでございます。

 二月二十八日に答申が出たわけでございますが、この内容につきましては、私といたしましては、今後の検討課題とされたものもございますが、知事会が目指しております地方分権の推進という観点におきまして、その方向性が同じであるという点におきましては評価できるもの、このように考えております。

 全国知事会としての道州制の導入議論でありますが、昨年七月に道州制特別委員会が設置をされまして以来、活発に議論を重ねておりまして、本年六月には、「分権型社会における広域自治体のあり方」という形で現時点での考え方を整理いたしまして、引き続き議論を重ねているところでございます。

 知事会といたしましては、なるべく早期に意見を取りまとめたいと考えておりますので、今後の道州制の論議に当たりましては、地方の意見が反映されますように、ぜひそのような取り計らいをお願いさせていただきたいと存じます。

 次に、本委員会で審議されております道州制特区の法律案でございますけれども、全国知事会の道州制特別委員会といたしましても、この北海道における道州制特区の取り組みということは、地方からの提案に基づき、国からの権限及び財源の移譲を先行的に実施するなど、地方分権の一層の推進を図っていくという上で極めて大きな意義を持つものである、このように受けとめておりまして、昨年の十月とことしの六月の二回にわたりまして緊急アピールを採択いたしまして、その取り組みを強く支援してまいったところであります。

 こうした中で、関係者の大変な御尽力によりまして法律案が国会に上程をされたということにつきましては、緊急アピールの趣旨を踏まえた取り組みとして私たちは評価をさせていただいているところであります。

 特にこの中でも、道州制推進の目的といたしまして地方分権の推進ということが明記をされたということ、また、閣議において決定する道州制特別区域基本方針において、特定広域団体が案を添えて変更を提案することができることになっているということ、また、権限移譲によって、北海道が事業主体となり、その財源として、これまで国が直轄事業費として要しておりました経費の額を基本として、地方の自由度が高い交付金として交付することとしたことなどの点につきましては、地方分権をさらに前進させるステップとなるものということで評価できるものであります。

 今後は、この法律案の早期成立を図りますとともに、地方分権の一層の推進を図るという観点から、さらなる権限移譲の推進とかあるいは運用の改善といったことにつきまして検討を行っていく必要があろうと存じます。そして、この道州制特区が地方分権のための道州制の実現に向けましての確かな一歩となるように願っているものでございます。

 以上が、この法律案に対する全国知事会としての考え方でございますが、今後政府、国会、政党で道州制を論議されるに当たりましては、冒頭申し上げましたとおり、真の分権型社会の構築に向けて国民的議論がさらに広く展開されるということを大いに期待しているものでございます。

 なお、当然のことでございますけれども、道州制の導入いかんにかかわらず、地方分権は進めなければならない、このような基本的なスタンスでございまして、この点を改めて強調させていただきまして、私からの意見表明とさせていただく次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

河本委員長 ありがとうございました。

 次に、佐藤参考人にお願いいたします。

佐藤参考人 皆さん、おはようございます。ただいま御指名いただきました北海学園大学法学部の佐藤でございます。専門は、行政学並びに地方自治論ということを行っております。

 本日は、地方分権を推進すべきであるという観点から、現在提案されております、仮に道州制特区法案と申し上げておきますが、この法案について、若干の疑義を感ずる点についてお話を申し上げたいというふうに思います。

 地方分権の推進につきましては、委員の皆様方御承知のとおり、二〇〇〇年からの分権改革以降、一定の推進が図られているところでございますし、また、この法案にも地方分権の推進を目的とするという文言が書かれておりますので、今さらその重要性についてここで申し上げる必要はなかろうかと思います。

 そこで、この地方分権推進の観点から見ました場合に、今回提案されております法案がどのようなものであるかということについて、私の考えの一端を示させていただきたいというふうに思います。

 まず、この法案に書かれてありますこと三点について、それから法案に書かれていないこと二点について申し上げたいというふうに思います。

 まず第一点でございますが、この法案は、事実上北海道を対象とするものであるということに対しまして、いわゆる憲法九十五条の住民投票を避けるため、あえて三以上の都府県の全部をその区域に含む地方を道州制特別区域として加えるという便法をとっているわけでございます。このことは、憲法の地方自治の本旨並びに地方分権の推進という目的にかんがみて、適切性を欠くのではないかというふうに考えております。

 すなわち、北海道という地域に限定して適用されることが明らかであるこの法案につきまして、当該地域の住民の声をきちんと生かしていくという地方自治の本旨を実現していくことが必要であると思われるところ、そのようなことが避けられているのは、必ずしも地方分権の推進にかなわないものではないかというふうに思われます。

 それから第二点目でございますが、推進本部の構成についてでございます。

 推進本部の構成につきましては、法案では、内閣総理大臣を本部長といたしまして、副本部長それから本部員、すべて国務大臣を充てるということになってございます。この推進本部の議を経まして基本方針について閣議決定をいたすというような手順になっているようでございますけれども、言ってみれば、同一のメンバーが片一方は推進本部ということで議を行い、さらに同一のメンバーが閣議決定をする、形式論としてはそのようなことも必要であろうかと思いますが、実質的な問題として、それでよろしいのかどうかという点を御検討いただけるのがよろしいのではないかと思います。

 あえてここで申し上げますと、例えば、推進本部には、関係する特定広域団体の知事あるいは議会の議長さんといったような方をお入れになる、あるいは、この基本方針が将来的には関係する都府県にも影響を及ぼすことから、一定の、例えば全国知事会のようなところの代表の方を含めるといったようなことも検討されてしかるべきではないかというふうに思われます。

 この点につきましては、新聞報道等で伝えられるところによれば、政令で北海道知事を参与とするということが決まっているといったような報道もございますけれども、法案を見る限りそのようなことがございませんので、やや物足りないという印象を受けております。

 法案に書かれていることの第三点目でございますが、これは、法案に盛り込まれています法令の特例措置が極めて限定的に過ぎるのではないかということでございます。

 北海道以外にも適用されるとするものが大くくりで言いますと四項目、北海道のみに適用されるものが四項目ということでございます。地方分権の推進を目的とし、なおかつ行政の効率化に資するという目的にかんがみますと、この項目の少なさというのはいかにも問題があるのではないかというふうに思われます。

 以上の三点が法案に書かれておりますことでございます。

 次に、法案に書かれていないことで問題になりそうな点を申し上げたいと思います。

 全体では第四点目になろうかと思います。第四点目は、将来の地方支分部局の取り扱いについてでございます。

 本法案における法令の特例措置は限定的なものでありますため、この問題については議論にはなりにくいということは承知いたしておりますが、将来において、基本方針の変更等により法令の特例措置が増加した場合、現行の地方支分部局の改組は避けられないものと思われます。地方分権の推進という視点から見ましても、いわゆる巷間言われております二重行政の弊害をなくすためにも、将来の地方支分部局の改革の方向性ということについて何らかの形で示すことが必要であるのではないかというふうに思います。

 最後に五点目でございますが、この道州制特別区域の特定広域団体の組織についてでございます。

 この北海道以外の特定広域団体の組織及び位置づけについて、法案では必ずしも明確ではございません。条文案の中に「特定広域団体の知事」でありますとか「特定広域団体の議会」という文言が出てまいりますので、恐らく現行の都道府県と同様の二元代表制を想定しているものと思われますが、この点について必ずしも明確ではございません。

 また、この特定広域団体は、果たしていわゆる普通地方公共団体、都道府県のような自治体であるのかどうかという点についても明確ではございません。この団体が政令で指定された場合、都道府県は残存するのか否かという点についても、必ずしも明確ではございません。

 これらの点は、先ほど第一点目で申し上げましたように、この法案が北海道を中心として、あるいは北海道のみを対象として考えられたところから出てきている不備ではないかというふうに思われます。であるとするならば、第一点で述べました憲法九十五条の住民投票をいとわず、北海道を対象としたきちんとした法案をつくっていただくべきではないのかというふうに私は考えております。

 この間、この法案をつくるに際しまして、内閣府並びに北海道庁との間で非常にタフな議論があったことは承知いたしております。その点、その労を多としたいと思いますけれども、一方、その過程が道民に見えにくかったということも事実でございます。したがいまして、北海道におきましても、この法案についての議論がなかなか盛り上がることになっていないというのは非常に残念ではないかというふうに思われます。

 やや口幅ったいことを申し上げたかもしれませんが、再度この法案が見直されて、より幅広く透明性の確保された議論がなされることを期待申し上げて、私の意見陳述とさせていただきます。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

河本委員長 次に、井上参考人にお願いいたします。

井上参考人 関西経済連合会常任理事の井上でございます。

 発言の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げます。

 安倍内閣も、小泉内閣の路線を継承して地方分権改革に熱心に取り組んでおられます。地方分権改革推進法案も既に本国会に提出されまして、我々もそれに期待しているところであります。

 我が国の活力が失われたのが中央集権体制にあることは、石井知事が申し述べられたとおりでありまして、特に関西がその最大の被害者ではないかと我々は考えております。経済力、人材に恵まれながら、なかなか思うように発展できないのは中央集権体制のなせるわざではないかと考えております。

 ということで、関西の経済界は古くから地方分権改革について熱心に取り組んでまいりました。その中で第一に挙げておりますのが、補完性の原理をもとにした地方分権であるべきだという考え方であります。

 補完性の原理というのは、御存じのように、個人でやれることは個人でやる、個人でできないことは住民協力でやる、住民協力でもできないことを地方自治体にお願いする、地方自治体にお願いしたらコストがかかるから、それは地方税で払う、地方自治体でできないことを国にお願いする、そのコストを国税で払うという考え方でありまして、地方分権が進んでおりますヨーロッパ、アメリカでは、この考え方は既に住民の間にも徹底しております。

 そういう考え方からいきますと、地方行政の基本というのは身近な基礎自治体にあることは明らかでありまして、我が国も市町村合併が進められまして、約三千あったものが約千八百に減りました。市町村が強化されますと、当然府県の役割というのは変わってくる。その場合考えなければならないのは、基礎自治体の枠を超える広域行政自治体というものをつくらなければならないということになるわけでありまして、その広域行政自治体を道州と呼ぶならば、道州制というものができることによって地方分権というものは進んでいく。

 先ほども触れられましたけれども、地方支分部局が担っている仕事を中心に、国の仕事を地方に移すことが可能になってくるわけであります。これまで中央官庁は、統一性、公平性、広域性ということを主眼にして地方に介入してまいりました。道州制ができれば、この問題は解決できるのではないかと考えております。

 平成十五年七月に、関西では、経済界、地方自治体、学界が一体になりまして、関西のあり方に関する研究会というものを発足させました。その中で、地方自治体に対して、今国がやっている仕事のうち、地方で、地方自治体で担えるものは何かというふうなアンケートを出しました。

 そのアンケートを出しました結果は、今、地方支分部局として関西には十三機関がありますけれども、そのうち八機関に関しては地方でできるのではないかということであります。

 具体的には、社会保険事務局、近畿中国森林局、都道府県労働局、近畿厚生局、近畿地方農政局、近畿地方運輸局、近畿経済産業局、近畿地方整備局であります。これが、広域自治組織、すなわち州政府があれば、さらに地方が担える仕事というものはふえるのではないかということもアンケート結果に示されておりました。

 そういう意味で、分権改革を進める上で、地方自治組織としての道州をつくるということは大変大きな意味があるものだと考えております。

 安倍総理が九月二十九日の所信表明演説で、道州制の本格的な導入に向けた道州制ビジョンを策定することを約束されました。この中身がどうなるのかはまだわかりませんが、これが地方自治組織としての道州制になることを我々は期待しております。

 道州制と一口に言いましても、これまたいろいろな意見があることも確かでございまして、いろいろな人がいろいろなイメージを持っております。そういった意味で、石井知事もおっしゃいましたように、地方自治組織としての道州制の導入というものを我々は望んでいるわけでありまして、その点をはっきりさせたいと考えております。

 今回、広域行政の推進に関する法律案というものが道州制に向けた一つのステップとして働くことは、我々も大いに期待しておりまして、評価するものであります。

 示されております道州特区に対する権限移譲の範囲が少ないといった批判もありますが、法案には、特別措置として、範囲の見直しを含めて、特定広域団体は、内閣総理大臣に対し、基本方針の変更について提案できるという制度も組み込まれておりますので、この制度に期待するところが大でありますし、総理大臣のリーダーシップに期待するところも大きいところがあります。

 今後の検討課題に関してでありますが、法案に関しては基本的に賛成ですが、今後御検討いただきたい課題がございます。

 その一つは、特定広域団体となるのは北海道を頭に置いて今度の法案をつくられておりますが、北海道だけではなくて、ほかの地域においても道州特区が実験できるような、そういう制度を考えていただきたいということであります。関西は、そういった意味で道州特区の実験をやるにはふさわしい地域ではないかとも考えております。

 また、今回の法案では、道州特区になるには三府県以上の合併というのが前提になっておりますが、これは大変厳しい条件だと思います。厳し過ぎる条件ではないかと考えております。

 関西では、ことし七月一日に、先ほど申し上げました関西のあり方に関する研究会から発展いたしまして、関西分権改革推進協議会というものをつくりました。これは、関西の二府七県四政令市の首長さんが集まりまして、今後の分権改革について関西で研究を推進していこうという組織であります。

 その中の一つとして、今地方自治法で認められております広域連合制度を活用すればどうなるのか、道州制ができるのを待たず、地方自治法に基づく関西広域連合をつくることが、関西が物を考え、関西が計画し、関西が実行できる、つまり地方分権体制に一歩でも近づくことになるのではないか、広域連合をつくるべきかどうかという検討をやろうということであります。

 そういった意味で、道州特区になる要件として、府県合併だけではなくて、自治法に基づく広域連合を府県でつくった場合には、その広域連合を道州特区として認める、そういう範囲の拡大をやっていただきたいということであります。

 広域連合そのものは、御存じのように、広域連合をつくっただけで権限、財源が地方に渡されるわけではありません。広域連合は、国に対して、必要な権限、財源の要求をすることができるということでありまして、これは道州特区と全く同じ立場にあるわけでありますから、府県単位の広域連合ができた場合、それを道州特区の条件として認めていただき、分権改革推進に役立てたいと考えておりますので、この点、よろしく御検討いただきたいと思います。

 私の意見は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

河本委員長 ありがとうございました。

 次に、相内参考人にお願いいたします。

相内参考人 おはようございます。

 私は今、紹介ありましたように、小樽商科大学に二年半前にできましたビジネススクール、専門職大学院でパブリックマネジメントを担当しております。行政の効率化、公共サービスのあり方、公共政策のあり方等について講義をしております。

 政府が道州制を取り上げてこれを重要な課題としてきたことについては、私は、評価すべきであるというふうに考えております。

 今回、私は、法案に直接関連する点に限って意見を申し上げたいと思います。

 まず、本法案は、道州制特別区域で広域行政を推進するということを目的としているようでありますけれども、特別区域で広域行政化あるいは広域行政を進めるということを通して、その地域で道州制を実現しようとするものなのかどうか、これが実は必ずしも明確ではありません。

 すなわち、道州制とはいかなるものであるかということについての定義がなされておりませんし、また、国と地方の関係において道州制というものをどのように位置づけるのかということについての将来像が、実は示されていないわけでございます。ですから、この道州制のゴールを明示せずに道州制特区というものをうたっても、この試みは単なる行政の広域化を実践するにとどまるおそれがあるのではないかというふうに思われます。

 このように考えるとというか、この法案を読んでいきますと、この点からいうと、県をまたぐ広域行政といった新しい試みを行う必要のない北海道がいわゆるモデル地区とされる理由が明確ではありません。

 むしろ、もしそういうことを実験的に推進しようというのであれば、新たに三つ以上の県を一緒にした広域的な行政エリアというものを設けて、そこで何が必要かということを検討するということの方が必要かもしれない。そういう意味で、北海道は、既に広域行政というものを実施しているところなわけでございます。

 そうしますと、この法案は、道州制特別区域にある道州制という文言を、既存の三つの県以上の地方公共団体が合併したものを、特定広域団体とこれに名づけ、これに道州制の名をかぶせただけにすぎないというふうに読めるわけでございます。

 しかし、この法案の中にありますようにというか、この法案が目指そうとしているものの中に、特色ある地方の発展と自立化を目指すということでございました。

 この特色ある地方の発展と自立を目指すためには、独自の発展ゴールの設定とそれを実現するためのプログラムについて、その団体自体がそのゴールの策定プロセスから自己決定権を持たなければ十分にそれは策定できないし、また、それを策定し実施するための最善の方法を見つけ出すためにも、その団体が独自の政治システムあるいは決定システムというものを持つ自由が認められていなければならない。これはまさに、そういうことをするために地域が意思決定をする必要があるわけでございまして、これが先ほど来指摘をされております憲法第九十五条の適用になる地域の意思表明、意思決定というものによって推進されるべきことではないかというふうに思うわけです。

 かつて政令指定都市が設置されたときとは違いまして、特定広域団体というのは性格が必ずしも明確でありません。地方自治法が予定している従来型の地方公共団体にとどまらない枠組みというものが設けられなければ、実は、単に現在の都道府県がそのエリアを拡張しただけのことになる。この点、ここでうたわれている特定広域団体というもののあり方について、もう少し深い、あるいは具体的な議論というものが必要になろうかというふうに思います。

 その方向としては、先ほど来申し上げていますように、自己決定権を大幅に行使できる政府、ガバメントとしての位置づけが必要ではないか。

 実は、これまでも、地方分権というのは声高らかに進められてまいりましたけれども、これまでの地方分権というのは行政、もっと具体的に言うと事務の地方分権にのみ目が向けられておりまして、地方の自己決定権のあり方につきましてはきちんとした議論がなされておりません。その点、この道州制という言葉を冠した法案が出されておりますこの機会に、地方における自己決定権のあり方というものについて深い議論がなされ、それがこの法案の中に盛り込まれる必要があるというふうに思います。

 また、少し具体的に申し上げますと、特定広域団体と国との協議システムというものもこの法案の中には必ずしも明確にされていない。これは、国が特定広域団体から何らかの提案あるいは要請を受ければ、国がそれに対してレスポンスするという形を持っておりますけれども、しかし、対等で協力的な関係というものをもし目指しているのであれば、きちんとした協議機関というものを設ける。先ほどは、政府の決定システムの中に特定広域団体の長が参画するというような提案もあったようでございますが、私は、むしろ、対等に協議するようなシステムというものをきちんとつくるということも、一つのあり方として検討されるべきだというふうに思います。

 それから、一つ評価できる点として、これはもし国が実施しているとすれば、移譲される事務に必要な費用を交付金として交付するというふうにされております。これは、ある意味で、地方の自由度というものを確保する点で評価できるのでありますが、しかし、これは算定基準が必ずしも明確ではありません。かなり抽象的であろうと思いますし、これは、現在における算定というものがなされたとしても、将来これがどのようになるのかということについては保証の限りではない。これでは、特定広域団体としては恐らく将来に不安を残すのではないか。

 この点について、もう少し具体的な、条文上に何らかの形できちんとした決定が必要だろうというふうに思います。

 この特定広域団体の今後の財源の問題というのは、大変難しい問題だとは思うのでございますけれども、地方に大幅な自治を与えて、みずから特色ある自立した行政あるいは政治を行うということであれば、私は、全体として、ブロックグラントのような、使途の細かく指定されていないまとまった予算というものをきちんと渡す、しかも、それについてはきちんとした算定方法を明示するというようなやり方で、この広域的な行政を保障していくということが必要だと思っております。

 法律案は、このような点を具体的に検討され、明文の規定として盛り込むべきだというふうに思っておりまして、この点の御審議をぜひ具体的な形で実現できるような法案としていただきたい。現在の段階では、この法案はそういった点が必ずしも十分に審議され、盛り込まれていないという点で私は大いに不満があるということを申し上げたいと思います。

 以上でございます。(拍手)

河本委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

河本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。飯島夕雁君。

飯島委員 自由民主党の北海道選出、飯島夕雁と申します。どうぞよろしくお願いします。

 本日は、さまざまな角度から貴重な御意見をありがとうございました。

 さて、私の地元では、道州制、北海道ですので、地域の潜在的な活力や、それから能力を引き出すことができるという新しい形の地方分権になるであろうという思いで、道民がこの議論については非常に関心を寄せております。そしてまた、道州制特区を北海道の地方分権の改革的なモデル的な、また先駆的な取り組みにすべくということで、地元知事も一生懸命その実現のために尽力してくださっているところでございます。

 そこで、早速なんですけれども、北海道選出議員として、全国知事会の代表である岡山県知事の石井知事にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 冒頭にも知事より、中央集権から、地方みずからの選択ができる真の地方分権が必要という強い御意思のお言葉をいただきました。まさにそのとおりかと思います。

 そういった意味で、最後に、特定広域団体というのがちょっとあやふやというお話もありましたけれども、現段階においては、特定広域団体からの提案を受けて、国が特定広域団体へ権限移譲を進めるという仕組み、こういったものは地方から見ればとても画期的なものだというふうに私は考えるのですけれども、全国知事会としてはいかがお考えでしょうか。

石井参考人 お答えをさせていただきます。

 今回の法案は、先ほど申し上げましたとおり、現在の都道府県制のもとで先行的に取り組みを行っていこうということで、地方分権の推進を図ろうという意味におきまして極めて大きな意義を持っており、我々が進めていこうとしている道州制、その将来方向として一致をしている、このように考えているところでございます。

 我々、北海道以外の都府県におきましても、一定の条件を満たすことによって提案をすることができる、こういうシステムは今までになかったという意味におきまして、大変これは画期的なシステムではないか、私はこのように考えるところでございます。

 ただ、これが画期的なものと言えるかどうかはやはり今後の運用次第でございまして、地方がそういうことを望んだときにしっかりと政府の方でそれを受けとめていただく、総理の強いリーダーシップのもとに行われるということを強く期待させていただきたいと思います。

 以上でございます。

飯島委員 ありがとうございます。

 まさに今までになかったものであるだけに、これをきちんと運用していけるようにしていくことが大切であり、また、さきに御指摘があったように、対等で協力関係がつくれる、協力的な関係づくりになれるような特定広域団体というものの明確な位置づけが必要なのだろうと思います。

 引き続き、お尋ねさせていただきます。

 道州制特区推進本部の議論では、この特定広域団体の知事が参画できるようにするとされております。あわせて、全国知事会の道州制特別委員会でも、全国知事会を代表する知事の参画を求めているというふうに伺いましたけれども、改めて全国知事会としての御意向をお聞かせいただければと思います。

石井参考人 お答えをさせていただきます。

 我々、全国知事会道州制特別委員会におきましては、今回の道州制特区を地方分権に資する取り組みといたしまして推進して、その効果を全国に波及させるためには、さらなる地方分権を推進していくという必要がある、このような立場でございます。

 そういう観点から、北海道知事に加えまして全国知事会を代表する知事を推進本部に参画させるなど、地方の声を反映できるような、そういう組織体制にぜひしていただきたい、このように願っております。

 以上でございます。

飯島委員 ありがとうございます。

 私自身も、この道州制法案、目指すところは真の地方分権でございますので、その真の地方分権を目指す上で、地方の声がしっかり入る形がふさわしいのではないかと思います。ぜひ、この委員会、内閣府においても、こういった声をお酌み取りいただけたらうれしいなと感じております。

 続きまして、時間もないので淡々と進めてで恐縮でございますが、関西経済連合会常任理事の井上様に質問させていただきたいと思います。

 この法案は、地方からの提案を踏まえて、そして国から地方への権限移譲がなされるという仕組みが盛り込まれていますけれども、先ほど、中央集権がハードルやネックになって、なかなか地方では、関西での発展を阻むものがあったというお言葉がございました。

 そういった中で、この法案では、その地方からの提案を踏まえて、国から地方に権限移譲を進めていくという仕組みが盛り込まれていますので、私は、こうした権限移譲の積み重ねというものが結局地域の自立的発展につながっていくのではないかと考えておるんですが、いかがお考えですか。

井上参考人 おっしゃるとおりでございます。

 そのとおりでございますが、北海道以外の道州特区をつくる際に、三府県以上の合併というのが大変ハードルになるのではないかと考えておりまして、我々、第二十八次の地方制度調査会、道州制の設置をやる委員会に対して、場合によっては府県を残した道州制というものも考えられるよと。

 府県といいましても、今の府県ではありません、市町村に対して上下関係にある府県ではありませんで、先ほど申し上げましたように、地方の行政というのは基礎自治体が主体になります。そこからいきなり州政府という格好よりは、地方によっては、その間に、上下関係ではない、基礎自治体を越える広域的課題を取り扱う府県、郡と呼んでもいいわけですけれども、そういうものが存在する方が効率的な地方もあり得る。

 だから、全国一律ではなくて、そういうものを選択する地方があればそういう道州制というものも考えてはどうですか、そういうフレキシブルな道州制という立場で考えていただいたらどうでしょうかということで、第二十八次地方制度調査会の報告書の中にも、余り目立ちませんけれども、一行だけ、そういう考え方もあるということは記載されております。

 そういった意味で、もう少し北海道以外でも道州特区というものが実験できるように、特に関西なんかはそれにふさわしい地域ではないかと思いますが、広域連合を今つくろうとしております。そういった意味で、広域連合を府県単位でつくれば、それも道州特区に扱うというふうな考え方でやっていただければ、地方は大変ありがたいと思っております。

飯島委員 ありがとうございます。

 やはり、道州制というものがある部分で見えにくいという御指摘なんだろうと思います。

 また、北海道というのは県がない一つの単体でございますので、それと三県以上という全く違うものを重ね合わすことの難しさというのがあるように感じます。

 ただ、関西においては、お聞きするところによりますと、こういった広域連合を認めた場合ということでしょうけれども、非常にこの道州制については強い関心と、いろいろな取り組みをされているというふうにも伺っておりますので、ぜひ、この道州制というものを身近に感じるためにも、どんな取り組みをされているか、御参考までにお聞かせいただけないでしょうか。引き続き、井上様にお聞きします。

井上参考人 広域連合をつくるというのは最終的に出た合意でありまして、その前にも、三年前から分権改革推進研究会で一応の提案をし、それをベースにした今度は分権改革推進委員会というものをつくりまして、地方自治体、経済界、学界が一体になって、関西を魅力ある地域にするために、地方分権を進めるために我々は何をすべきかという検討を続けてまいりました。

 その結果が、先ほど申し上げましたように、本年七月一日からの、知事それから四政令市長、つまりトップが集まった協議会をつくりまして、広域連合をつくることが分権改革を進めることにならないか、関西の魅力を高めるために広域連合をつくることが有効な手段ではないかということについて検討をしております。

 まだ広域連合をつくるといって合意したわけではありませんけれども、細かく、広域的課題の中で、国から権限を関西が移譲してもらえれば、移譲してもらいたい権限は何であるのか。

 例えば、関西には、関西空港、伊丹空港、神戸空港と三つの空港がありますが、この三空港の一体管理というものが関西の集客能力を高めることになるのではないか。そういった問題はすべて国が今関与しておりますが、これを関西に任せてもらえればどうなるのかというふうな具体的問題について、六つぐらいの広域的課題について今検討しておりまして、それをベースにして広域連合をつくることが分権改革を進めることにならないか。

 そのためには、広域連合から国に対して権限や財源の移譲を求めていくわけでありますが、それは今提案されております道州特区とほぼ同じような形になるのではないかと考えておりまして、府県合併もさることながら、広域連合をつくれば、そこに道州特区と同じような取り扱いをしていただければ、分権改革が進んでいくのではないかと考えております。

 以上でございます。

飯島委員 ありがとうございます。

 北海道で、どうしても特区ということで先走っていても、なかなか、三県とか、その難しさというもの、合理性が見えないところがありますが、今のようなお話を伺う中で、北海道も空港をたくさん抱えておりまして、何県も入る広さの中に空港がございます。そういう意味で、同じような目的を持って各地域の特色を出していくのが道州制のやはり最終的な目標であろうというふうに思います。

 今回については、まだいろいろ議論すべきというような御意見も参考人の方からいただきましたけれども、最終的には、目指すところは多分皆同じ、真の地方分権かと思います。

 中央集権の限界というものがある中で、これからは地方分権の中でいかに地方の独自性や特色や活力を出していけるのか、引き出していけるのかということがとにかく大切なんだ、それがこれからの日本の姿なんだということをそれぞれのお立場で御発言、御意見くださったのだと思います。

 私自身も、きょうこの席で質問に立たせていただきまして、わずか十五分という質問時間なので、多くのことをお尋ねできないのは大変残念なのですが、こういった場面から、ぜひ道州制、名前がややこしいのでなかなか取っつきにくい。年金とか保険とか医療とか福祉とかというとだれでもわかるんですが、なかなか道州制というと難しく感じられてしまいますけれども、こういう議論の中から、ぜひ地域、まさに地方の、自分たちの地域にどんどん政治が近づいていくんだ、国の施策が近づいていくんだということを展開していけるように、この委員会のますますの議論と、それからきょう参考人においでくださった皆様の御活躍を期待して、質問を終わりにしたいと思います。

 本日はまことにありがとうございました。

河本委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様、本当に御苦労さまでございます。

 先ほど来、それぞれ十分ずつのお話を伺いまして、極めて意義深い四十分間だったなというふうに思いました。今回の法案の持つ意義あるいはまた課題というものがよりつまびらかになったのではないかなというふうに思っております。

 今回の議論の難しさは、実は道州制というもの、いわゆる本来の道州制、これがまだ何かよくわかっていないところがありますが、道州制というもの、それと道州制特別区域、特区というものが一緒に議論をされているところでございまして、しかも、それぞれが帰属されている土地、地域、住所も違っているわけでございますので、それぞれの発言が同じように聞こえていても、実は違うものを指して言っているというようなこと、そのあたりをきちんと分けて考えなければいけないというところに今回の議論の難しさがあるのかなというふうに思っております。

 私のこれからの質疑も、そういったことを踏まえながらお話をさせていただきたいと思います。

 そこで、まず、道州制という、特区ではなくて道州制、本質そのものについてお伺いをしたいわけです。

 これは御感想ということで結構なんですが、実は、今、私自身がさまざまな文献などを見て、道州制というものは一体いかなるものかということをいろいろと調べてみるわけですが、やはり必ずしも定まった定義はないのではないか。

 ある学者によりますと、道州制とは、現行の都道府県の範囲を原則として、今の範囲よりも広い、いわゆる広域的な自治の政府、地方公共団体のことをいうのではないかという学者の方もいらっしゃいますし、あるいはまた、その中身についてはさまざまな議論があって、必ずしも定まっていないというようなことで、道州制については本当に多様だなというふうに思うわけであります。

 そうした中で、私自身は、道州制という言葉でいろいろ大きくくくられてはおりますが、その中身を見ますと、いわゆる中央集権からの分権化ということ、それからもう一つが広域行政を進めるということ、それともう一つが行財政改革に資するというようなこと、これらが実はそのコアなのかなという気もするわけでありますけれども、今までの私の発言を聞いて、道州制ということ、一般論についてどのようなお考えをお持ちか、それぞれ四人の方から簡単にまずお聞かせいただければと思います。

石井参考人 お答えをいたします。

 道州制というものに対する考え方ということでございますが、基本的な知事会としてのスタンス、今、議論の方向性は先ほど意見陳述で述べさせていただきましたが、私は、今逢坂議員の方から御指摘ございました、幾つかのコアの部分があるという御指摘に対しまして、まず、知事会の方から強く主張させていただきたいのは、地方分権というものがまず第一義的な課題であるということでございます。

 中央集権の長い間の弊害というものを打破していこう、そして、地方分権が第一義であって、それを進めていく一番最後の究極的な姿というものが道州制として位置づけられるべきだ、こういうふうに位置づけておりまして、その中で、当然のことでございますが、今、地域における広域的な行政課題にも対応できますし、そして、国と地方を通じました行政改革、こういう大きな改革の効果も出てくる、行政の効率化にもつながる、こういうことが副次的に効果としてもたらされるのではないか。このような大きな流れというものをどういう見方で見ていくかということで道州制の議論をぜひしていただきたい、このように願っております。

 以上でございます。

佐藤参考人 私は、形式的には、道州制というのは、既に第四次地方制度調査会などでも議論がございましたように、都道府県合併とは異なるものと考えた方がよろしいのではないかというふうに考えております。

 都道府県合併をして、そこにさらに権限を移譲するという考え方もあろうかと思いますが、道州制という名前をつけるからには、それだけではなくて、やはり国が現在実施しておりますさまざまな各地域での行政活動、これを合体する。具体的に申し上げますと、地方支分部局を道州に合体をして、そして、その地域の事柄について、それぞれの地域がみずから判断し決定できる仕組みをつくっていくというのが道州制ということの本質ではなかろうかというふうに思ってございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

井上参考人 道州制については、まさにさまざまな議論がありまして、必ずしも今や地方分権の代名詞ではなくなってきているという状況ではないかと思いますけれども、あくまで、地方自治としての道州制、分権体制としての道州制というものを実現すべきではないかと考えております。

 二十八次の地方制度調査会の報告が出ました後、そこには区割り案も出ましたけれども、その結果何が起こったかといいますと、道州制の中身そのものよりは、区割りの議論が先走ってみたり、あるいは州都がどこに行くのかということの議論が出てきたりするわけで、これは道州制とは余り関係がないわけであります。

 ですから、州政府ができても、それは、先ほど言いましたように、補完性の原理でいけば、州政府は基礎自治体あるいは府県を越える広域的な課題のみを取り扱う役割分担を持っておるわけでありまして、それが上下関係になるわけでもなければ、そこに地方分権の結果の権限や財源が集中するということではないような道州制である必要があると考えております。

 という意味で、役割分担としての広域的課題を扱う州政府が道州制の州であるという形に道州制の設計がしていかれれば、日本に真の地方分権が実現するのではないかと考えております。

 以上でございます。

相内参考人 逢坂議員御指摘のとおり、道州制、非常に幅広い、定まった定義は確定しておりませんけれども、先ほど井上参考人が指摘しておられたとおり、補完性原理に基づく政治システムということをまず基本原理にする。そして、地域における意思決定の保障、すなわち自己決定権というものを確保する、そういう政治単位であるべきである。

 したがって、これは、行政単位ではなくて政治的な単位として位置づけるということが必要になるのではないか。だからこそ、単なる複数県の合併というものではなくて、道とか州とかという名を冠して設けることである。

 この道州制が設けられた後の道や州と基礎自治体との関係については、二通りの考え方があろうかと思います。

 基礎自治体の自治というものを尊重し、基礎自治体に自己決定権を大幅に与える、保障するという考え方と、むしろ、道や州がそのエリアにおいてはやや中央集権的な立場を持って、基礎自治体に対しては、むしろそこから上がってくる要望について直接こたえるというようなシステムも考えられる。そういう点では、二通りの考え方が残るだろうというふうに思います。

 以上です。

逢坂委員 四名の方からそれぞれ、いわゆる道州制というものについての、お考えというよりもイメージのようなものを伺ったわけですが、この道州制そのものに対しては、やはり多くの方がある種の期待というものを持っているのかなというふうに思います。

 私自身も、分権のある種の究極的な形として、道州制というのは十分に検討に値すべき制度であるかなというふうに思っている次第であります。

 ところが、きょうの四人のそれぞれのお話を聞いていますと、道州制そのものについては是とするようなイメージが非常に強い、あるいは検討の対象として十分に値するんだというような印象を受けるわけでありますけれども、その一方で、この道州制特区法案ということになりますと、さまざまな課題の指摘があったのかなというふうに感じたところであります。

 まず、今回、この法案の中身は、大きく二段階というか二つのエリアに分けられるわけですが、政令でとりあえずは北海道に限定した対象になっているけれども、三つ以上の県が合併すればそちらも対象になるということでございます。

 まず、北海道以外の方お二人にお伺いしたいんですが、一つは、井上参考人は先ほどの冒頭のスピーチの中で述べられておりましたので、あれ以上の意見がなければもうよろしいんですが、まず石井参考人に、岡山県を中心とするエリアがこの法律の趣旨に沿って県の合併を三県以上でやるというようなことを想定した場合に、現状でそれはどのぐらいのスケジュールで進むのか、あるいはそれは可能なのか、もし実際にやるとすれば、個人の見解で構わないんですけれども、どんな時間が想定されるのか、隘路はあるのかないのかといったようなあたりについてお聞かせを願いたいと思います。

 それから、井上参考人には先ほどこの点お話しいただきましたので、もしあれ以上の意見がなければ結構でございます。

 よろしくお願いいたします。

石井参考人 お答えいたします。

 私は、岡山県知事といたしまして、相当以前から、二十一世紀の地方自治のあり方ということで道州制を検討していこうという、これが課題になってくるという意見を述べてまいりましたので、比較的道州制の論議が活発に展開されている地域の一つではないか、このように承知をしております。

 ただ、それでも、先般、地方紙でアンケートの結果が数日前出たということで、これを見ておりましても、まだまだ道州制に対する県民の認識はいわゆる浸透し切っていない、聞いたことがあるぐらいの方々もかなりおられます。よく知っていらっしゃる方は、これを推進すべきだという方がたしか十数%いらっしゃったと思うんですが、まだまだそういったことで、中間的な、聞いたことがあるけれどもよくわからない、こういうような方が大部分を占めるような状況でございます。

 こういう状況の中で、今回、特区法の対象となります三県以上ということになって提案するような、そういう特定広域団体ができるかというお尋ねでございますが、正直言って、現時点では、すぐにこれがそういう議論が高まってくるというような状況にはない。この法案が成立した後、徐々に意識が高まっていって、我々もこれに乗っていこうということで、行政もまた議会もそういう認識が深まっていって、また隣の県と連携をしていく、こういうふうな手順ということを考えますと、やはりこれは相当の年数が必要となってくるのではないか。特区ということの限界もあろうかと思いまして、そのような認識がしないわけではございません。

 ただ、これは取り組み姿勢、首長と議会の皆さんとがどのように取り組んでいくかという姿勢にもかかっておって、関係者が連携して懸命に前向きに取り組んでいければ、必要とする年数も縮小されてくるということも考えられるかと思いますが、同時に、私は、道州制本体の方の議論をもっともっと、引き続きこれに並行して加速をさせていただければ、こう願っております。

 以上でございます。

井上参考人 特につけ加えるということではありませんが、もう少し説明いたしますと、今、広域連合をつくるに当たって、関西の魅力を高めるための広域的課題というのは何だ、国から権限を求めるような広域的課題とは何だと。

 今、候補として二十三挙がっております。その二十三の課題を見ますと、関西はもともと二府四県ですけれども、二府四県全部の関心のある課題というのは少ないわけです。その中のA、B、Cが関心があるプロジェクト、B、C、Dが関心のあるプロジェクトというぐあいに分かれます。分かれまして、その府県が広域連合に参加するにしても、すべてがその課題に取り組むわけではなくて、その地域の発展のために最もふさわしいテーマについてその府県が取り組むというふうな課題でありますから、三府県合併というのは極めて教条的でありまして、もう少しフレキシブルな制度でないと道州制の実験はできないのではないかと考えております。

 以上でございます。

逢坂委員 まさに、今回の法律の対象の地域になるには三県合併しなければいけないという二つの地域からお越しの石井参考人、井上参考人から、大変貴重な話を聞かせていただきました。ありがとうございます。

 次に、北海道のことについて若干お話をさせていただきたいと思うんです。

 今、北海道では、例えば全国的に進んだ市町村合併というのは、必ずしも北海道の地域の特性、さまざまな背景によって進んでいないというようなことがあったり、あるいは、財政的に見ますと、北海道庁の財政がもう危機的状況になっているとか、あるいは北海道の中で市と言われるようなところ、具体的にちょっと名前を挙げて恐縮ですが、江別市ですとか根室市ですとか紋別市というようなところから、ある診療科目のお医者さんがいなくなってしまうとか、あるいは地域の経済にも北海道一円の中では相当濃淡があるとか、あるいは高齢化や少子化によって集落が消滅する、そういう危機感というのが今の北海道にいろいろあるわけであります。

 そういうときに、今この道州制特区ということによって権限の移譲ということも、これもいろいろな問題を解決する一つの手法なのだというふうには思うのですが、でも、私は、権限の移譲などというよりも、もっと北海道として別に取り組むべき課題、優先順位の高い課題というのは実はあるのではないか。それは、北海道内の基礎自治体の行政体制のあり方をどうするのかということをもっと突っ込んで考えることでありますとか、市町村の財政と道庁の財政の今の危機的状況をどう乗り越えていくのか、そういう側面を個別具体的に取り組んでいくことがやはり肝要ではないかというふうに私自身は考えているんですね。

 その観点からしますと、今回のこの道州制特区法案で北海道がいろいろなことをやっても、今の北海道喫緊の課題には余り影響がないのではないかという印象を私は持つのですが、佐藤参考人と相内参考人、この点いかがでしょうか。

佐藤参考人 ただいま逢坂委員の御指摘がございました点につきまして、私も認識は同じでございます。

 確かに、この特区法案だけで北海道の問題が解決できるとは到底思えませんし、また、今逢坂委員が述べられましたような、福祉や実際に人の命にかかわる問題についていろいろな課題があるということでございまして、その点については、私も、そちらの方の優先順位というものが高いのではないかという点については、そのとおりだというふうに思います。

 ただ、私、研究者として地方分権ということを研究してまいりました立場で申し上げますと、やはりこうした枠組みの議論、あるいはきちんとした政府体制をつくり上げるといった議論についても、どこかでしておかなければならないのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

相内参考人 大変難しい質問で、簡単にお答えできないと思いますけれども、私は、道州制の議論というのは絶対に必要で、しかも、これは北海道にとって極めて大切なものだというふうに認識しております。

 ただ、ここでいう道州制特区というものは、しかしこれは道州制ではありませんし、しかも、この法案の中に道州制が何であるかということについても何ら触れられておりませんから、これは別物だというふうに理解しております。

 実際に北海道で何が大変かというと、基礎自治体は基礎自治体として、少ない予算の中で大変な課題を抱えている。しかも、職員の能力ということからいっても大変だ。しかし、基礎自治体には国から直接地方交付税が来る。そして、道は、中間にあって、国からいろいろな補助金を持ってきては、それを地方にいろいろとばらまいているというか、あっせんしている。

 そういう中で、北海道という行政単位が本当に本来あるべき力を発揮しているのか、発揮しなければならない力を発揮しているのか。これは北海道議会の議員の資質の問題もあるのでございますけれども、同時に、そこの出身の方がいらしたら大変申しわけありませんが、そういうことも含めて、制度設計のあり方については絶対に議論が必要だ。

 しかし、ここでいう道州制特区というものでは恐らく全然問題は解決しない。もっと具体的にやらなきゃいけない問題があるが、同時に、この特区の問題について議論するよりは、道州制の議論をもっとまじめに議論していただかなければいけないのではないかというのが私の見解です。

逢坂委員 先ほど、相内参考人から極めて興味深い発言がございました。それは、今回の道州制特区というのは単なる行政の広域化ではないかというような話がありました。もし広域行政ということを考えるのであるならば、既に北海道は広域行政をされているではないか。

 具体的に言いますと、例えば河川にしても、同じ道という中で上流から下流まで管理されているわけですね。ほかの府県のように県をまたがって流れるという川はないわけでありますから、既に北海道はもう広域行政がされているんだ。もし、今回の道州制特区の一つの目的が広域行政ということも眼目にあるのであるならば、それは北海道以外の府県でこそモデル的に広域事業をやることの方が意味があるのではないかというような御発言があったかと思うんですが、この点について、簡単に、井上参考人それから石井参考人の方から御意見をお聞かせ願えればと思います。

井上参考人 先ほども申し上げましたが、北海道が道州特区のモデルにふさわしいとはどうも思えない、おっしゃるとおりでございまして、そうなると、関西というのを挙げるのは関西から出た人間として多少おこがましいところがありますけれども、関西地区なんかは道州特区として大変ふさわしい地域なのではなかろうか。

 関西に限りませんで、九州もあるでしょうし、そういう、合併を前提としない、もう少し緩やかな条件で道州特区の実験をしたいという地域、志のある地域があれば、それは道州特区になるような制度にしていただきたいと思います。

 以上でございます。

石井参考人 お答えいたしたいと思います。

 私ども全国知事会で議論をしていく中で、やはり北海道だけではなくて、北海道以外の都府県におきましても、一定の条件を満たすところに今回の特区の制度をぜひ適用していただきたい、こういうようなことで我々も議論いたしまして、そして、特別委員会のアピールという形で採択をしたという経緯もございます。

 方向としてはそういう方向で、特区というものを北海道以外でも実験的に行っていくということは、私は、地方分権を進めていくという観点、そして道州制全体の議論を力強く進めていくという観点からも大変意義深い、こう思っているわけでございますが、ただ、先ほど来お話が出ておりますとおり、今回の三以上の合併ということになりますと、なかなか、いわゆるハードルが高うございまして、今すぐにどこが手を挙げるかということにつきましては、残念ながら、現時点ではそういった動きはないのではないか。

 ただ、一歩ずつ前進していく、一歩ずつステップを上がっていくんだという見地に立ちますと、今回の提案されております法案というものは大変意義深いものがあろう、私はこのように理解をしているものでございます。

 以上でございます。

逢坂委員 先ほど石井参考人から、道州制を考えるときには、国民に、必要性の提示でありますとか、メリットだとか課題というものをわかりやすく示すことが大事だという発言があったかと思います。私もまさに同感でございます。

 ところが、今、道州制特区推進法案、この法案に限ってでございますけれども、これはまさに今の議論から、どうも北海道だけに限定的に適用される法案のようなにおいをどんどん感じてくるわけです。

 北海道の地域において、百八十の市町村長にことし民主党がアンケートをいたしましたところ、道州制特別地域における、今回のこの法律案に対して、市町村や道民の意向が反映されていると思いますかと聞いたところ、「思う」と答えたのは四人の首長さんだけなんですね。回答数は百三十九市町村長で、だから、全体の二・九%の首長しか、この法律案には道民の意見が反映されているとは思っていないという話をしているわけですね。それから、この法案が北海道の自立的発展に向けた道州制の実現に寄与すると思いますかと聞いたところが、これが何と、「思わない」と「どちらとも言えない」と答えた方が百七首長さんおりまして、これで合わせて、パーセントでいいますと七七・五%の首長がそう思わないというふうに答えているわけですね。

 ですから、先ほど石井参考人から、きちんと説明して、メリットやデメリットをわかってもらって進めることが大事だよという指摘があったことは私も同感なんですが、北海道の現実は、今私が言ったようなところではないかなという気がするわけであります。

 加えて、個別の意見も聴取しておりますが、その中で、これも首長さんたちの意見なんですが、現状は思いつきのように考えられるとか、道民の理解や意見が全く反映されていないとか、道庁、支庁制度のあり方が十分に議論された後のことではないか。あるいは、法案の権限移譲事項の内容は中央集権の構図そのままであり、道民生活に寄与するものとなっていないとか、それから、北海道のためと言っても過言ではない法案が道民レベルで十分に議論されておらず、特区での取り組みが地域主権型社会を北海道で実現できる端緒になるとは考えづらい、こんな声が実は私どものアンケートで上がってきているわけです。

 そこで、北海道からお越しのお二人の参考人、佐藤参考人と相内参考人に、北海道でのその熟度といいましょうか、浸透度合いといいましょうか、これに対する感想、感覚的なもので構わないんですが、お知らせいただければと思います。

佐藤参考人 ただいま御指摘のように、アンケートについてはつまびらかに承知いたしておりませんが、一般的に、私が道内の各地を回ったり、あるいはさまざまな方からお話を伺う範囲でいいますと、この特区法案についての認知度というのは、少なくとも道民レベルでそんなに高いというふうには思われません。

 もちろん、市町村長さんたち、あるいは議員さんたちはよく存じている方がおられるようでありますけれども、そういった方々につきましても、今アンケートで示されましたような方向とほぼ似たような傾向があるのではないかというふうに私も感じております。

 その原因がどこにあるかはよくわからないのですが、先ほども意見陳述で申し上げましたけれども、やはり道庁と内閣府との間での議論が中心であって、道民にその過程がどうもつまびらかになっていない、明らかになっていないということがあるのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

相内参考人 私は北海道民でありますけれども、私は一度も意思を聞かれたこともないし、道民に対して、道が、道州制はどうあるべきかというようなことを呼びかけたり問いかけたりした経緯というものはないというふうに承知しております。

 知事が大変熱心にやっていることは道民もよくわかっておりますが、多分、一般の道民というか私も含めてわかっていることは、国から仕事が回ってきて、それに見合った金がきっとついてくる、それだけだというふうな認識ではないかというふうに思います。

 しかも、道州制特区ということ、そういう言葉自体もそんなに一般的に知られていないと思いますし、まして、その道州制のあり方の本質的な議論というものもない。

 ということで、実は非常に関心が低いのではないかというのが私の感想でございます。

逢坂委員 先ほどの冒頭の相内参考人からの話で、いわゆる特色ある地域というものをつくるときには、その内容について、策定のプロセスの自己決定権というようなものを自分たちがやはり手にすることが大事なんだ、だから独自の政治システム、決定システムを持つ必要がある。その決意を持つためには、やはり憲法九十五条による住民投票というものが必要なのではないかというお話がございました。

 この点については、佐藤参考人の方からもそういったような、別の角度からの九十五条に対する言及もあったわけでございますが、ずばり、やはり今回この法案というのは、まさに北海道に限定的なものというふうに考えられるわけですね。

 と申しますのは、事実上、法に規定されている三県の合併というのは、物理的にはやれる可能性はありますけれども、現実問題としてはなかなか厳しいのではないかという話が石井参考人からもあり、井上参考人からはもっと踏み込んで、そうじゃないんだ、実験をちゃんとやるためには、合併などよりももっと、合併しないででもできるやり方の方が有効なんだという話でありますから、事実上、この法律は北海道限定的だというふうに思わざるを得ないわけです。

 そういったさまざまな観点から、憲法九十五条における住民投票の必要性について、それぞれの参考人から簡単にお話しいただければ、ずばり、必要かどうかというところです。特に佐藤参考人、相内参考人は必要だという前提でお話をされましたので、もしこれ以上御意見がなければ発言されなくても結構です。

石井参考人 お答えいたします。

 憲法九十五条の関係ということになりますと、これはまさに国会の方で政府としっかり御議論いただくべきテーマかなと。大変重要なテーマでございますが、私ども知事会の方からこれについて具体的な意見を申し上げる立場にはないかと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

佐藤参考人 私は、先ほど申し上げましたように、この法案につきましては、北海道を対象としているということでございますので、この法案に関する限り、やはり住民投票は必要であろうというふうに思っております。また、そういった方向でこの法案がきちんとした形になるのがよろしいのではないかというふうに思っています。

 また、一般に、憲法九十五条の規定がございますが、ほとんど使われておらないという現実がございますけれども、これにつきましても、仮に国会の方で、ある地域にだけ適用されるような法律をつくるという場合にはぜひ活用していただけるのが、地方分権の本旨という点からは望ましいのではないかというふうに思われます。

 以上でございます。

井上参考人 九十五条については余り考えたことがありませんので、的確には答えられませんが、先ほどから、道州制なるものについて住民の理解が足らない、確かにそのとおりでございますが、住民の方は、分権改革、つまり自分のことは自分で決めるんだ、その自分のやったことに関して税金を払うか払わないかも自分で決めるんだ、そういう考え方については非常によくわかっておりまして、今さら説明することもないほどわかっている。

 ですから、道州制ということだけで住民の理解を求めるのではなくて、分権改革を進めるということで理解を求めていけばもっと早いのではないかと考えております。

相内参考人 多くつけ加えることはございませんけれども、北海道だけという限定でなくても、北海道がそういう他の都府県と異なる立場に置かれるということであれば、そこでは当然住民の意思が聞かれるべきだというふうに思いますし、また、その際には、その先にどのような道というものが設計されるかということがあわせて示されるのでなければ、単にこの法案に賛成か反対か、そういう住民投票は不十分だという考えでございます。

逢坂委員 単にこの法案に賛成か反対かということであれば不十分だという相内参考人の御意見がございましたけれども、とはいうものの、基本的には、住民投票というものがいろいろな意味で必要な側面も多いのだというような御意見かと思います。

 実は、私は、この道州制というものを進めるときに、基本的には地域にメリットだというふうに言われているような部分も多いようには感ずるんですが、例えば、道州という新たな仕組みができたときに、現行の政令市との関係ということなどはほとんど整理がされていないわけですね。

 したがいまして、北海道でいいますと、新しい道州という政府になるかどうか、まだそれもはっきりしていないわけですが、そういうものができたときに、札幌市の権能というものに相対的に影響を及ぼす可能性は相当にあるわけですね。

 だから、そういったものを今の段階では明示をされていないわけでありますから、この道州制の法案がいいですか悪いですかと言われても、関心も高まらなければ判断のしようもないというのが実は多くの方の印象なのかなという気もするわけですね。

 したがいまして、きょうの全体の議論を通じて感じますのは、分権改革のある種の究極の姿の一つである道州制をもっと議論しなきゃいけない、あるいは、これは検討に値するものであろうというような認識は多くの人が持っている、だけれども、今回の特区法案については、乗り越えなければならない課題はまだまだ相当あるんだ、このままの形では必ずしも十分とは言えないのではないかなという印象を私は参考人それぞれの皆さんから持たせていただいたところであります。

 四人の方から、それぞれお立場を変えて、どちらかといえばこの法案に賛成の立場、どちらかといえばこの法案にいろいろと疑念のあるというような立場からお話を伺ったんですが、どうも聞いている限りは、皆さん、その賛成、反対を取り除くと、言っていることはほぼ似ているなという気もしないでもございませんでした。

 いずれにいたしましても、大変貴重な御意見をいただきました。心から感謝を申し上げて、私の持ち時間が終わりましたので、これで終わりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

河本委員長 次に、田端正広君。

田端委員 きょうは、四人の参考人の皆さん、大変に朝早くから御苦労さまでございます。

 今までの議論を聞いていまして、非常に話が複雑になっているなという思いがいたしますので、少し整理をさせていただきながら質問させていただきたいと思います。

 それで、基本的には、皆さんの御意見を伺っていて、道州制そのものはやはり議論を深めて、地方分権推進という大きな改革を目指したそういう流れというものは、住民生活に直接影響するんだから大変大事なんだという、その視点では共通の認識があるのかな、こう思っております。

 そこで、石井参考人は、当初からずっとこの議論に参加されてこられましたし、また直接、道州制のこの議論の、二十八次地方制度調査会のメンバーでもあったというお話が先ほどございましたが、そういう議論の中で、やはりイメージが非常に大事だというお話がありました。

 そのイメージがはっきりしていないために、なかなか議論がはっきりしていないのではないか。ところが、一方では、そのイメージを余り固定してしまうとよくないし、枠組みを決めてしまうと、それはまたそれでなかなか留意しなければならない、非常にこれは大事なポイントなんだ、こういうお話でもありました。

 だから、国民としては、道州制というものはどういうふうになるのかというそのイメージがわいてこないから関心も低いんだろう、こう思うわけでありまして、石井参考人におかれましては、そういう現場の議論の中で、道州制の将来、これは、五年先か十年先か二十年先かわかりませんが、どういうイメージの日本としての道州制ということを今現場においては議論されてきたんでしょうか。その辺の経過をお願いしたいと思います。

    〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

石井参考人 お答えいたします。

 道州制のイメージということにつきまして知事会の方でどのような議論をしてきたかということでございますが、今まで昨日の第八回という回数を重ねて真剣に議論をしてまいりまして、道州制について、御案内のとおり、特別委員会としては、全体としてはこれは必要であるという意見が多かったということから、そういう趣旨でのまとめを行いました。しかし、なお、時期尚早であるという意見も幾つかございましたので、これを付記意見ということでつけてまとめ、そして全国知事会で議論しましたところ、幾つかのまた問題点も浮き上がりまして、引き続き特別委員会で検討しているということでございます。

 やはりその中でも出ておりますのは、主要論点がまさにイメージということで、これが十分まだ国民の皆さんに理解がされていないということだろうと思います。

 私はたびたび申し上げておりますとおり、今までの長い間の中央集権システム、これが地方においてもう限界に来ておる。地方より元気に活性化させていく、そのことで日本全体が大きな発展、日本国全体の発展につながっていくんだ、こういう思いで地方分権というものをやっていかなきゃいけない。その姿として、究極の姿としての道州制、分権改革を進めていくと最後は道州制というところに行き着いていく。こういうことで、地方分権改革を今一生懸命政府の方あるいは国会の方にお願いさせていただいておりますけれども、これとあわせまして、この道州制の議論というものを究極の姿として大いに論じていただきたいと思っております。

 あくまでも、これは、地方分権を進めていくというところから、この議論はそこに一番の主眼があるということを忘れずに議論をしていただきたい、このように願っているものでございます。

田端委員 まさに私たちの認識もそこにあるわけでございますが、そういう意味では、地方分権を推進する、そして権限が移譲される、そして地方における自由度がより増していく、それが住民生活に大きく影響していく、そういうことを市民、国民の側とすれば望むだろう、こう思うわけであります。

 今回のこの法律は、そういう意味で、大きな道州制という議論が前提といいますかベースとしてはあるんですが、しかし、その流れの中で、一つの特区という形での具体的な問題になっているわけでありまして、そういう意味では、一つのモデルとしてのこれは一歩具体化した問題提起だ、こう思います。

 それで、石井参考人は、今もおっしゃった、イメージ的には、いかに分権を進めるか、それが地方の権限の大きな自由度を増していくという流れ、そういう意味でおっしゃられた知事会での議論あるいは地方制度調査会での議論等を踏まえて、今回の特区はやはり一歩それを具体化した前進である、こういうふうに私は認識しておりますが、石井参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

石井参考人 今回の法案を拝見させていただきますと、冒頭の陳述で申し上げましたとおり、幾つかの点、地方分権の推進がはっきりと明記されておるとか、あるいは特定広域団体からの変更の提案というものを政府の方で受けていただけるというようなこととか、あるいは北海道で権限と財源が移譲される、こういう分権に向けての大きな前進になっておる。こういう意味におきまして、ステップとして前に進んでいるということから、この法案は我々知事会としては評価をさせていただいております。

 ただ、これですべてということではございませんで、なお、この法案の制定を受けまして、権限の移譲をさらに進めていただきたいということ、さらには、運用の改善をしながら我々地方の声を真剣に受けとめていただくような、そういう御配慮をぜひお願いさせていただきたい、そういうことによって道州制の実現に向けての確かな第一歩を踏み出したと言えるような、そういう法律であってほしい、このように願っております。

田端委員 一般的に、道州制ということになれば、より広域な枠組みといいますか、そういうものをイメージとして行います。

 それで、井上参考人にお伺いいたしますが、関西は、そういう意味では、先ほども御説明がありましたように、関西としての一つの広域行政といいますか、そういう方向、広域連合という形で議論を今進めている。それは、広域連合ということは、将来的には道州制という流れを踏まえているんだなという感じを受けました。

 私も関西の人間で、そういう意味で、具体的にちょっとお伺いしますけれども、関西といっても、大阪、京都、兵庫というのは、ある程度軸といいますか、人口もまた歴史的にも非常に共通するものがあるかもわかりません。しかし、奈良とか和歌山とかというのは非常に森林、山間部が多くて、そしてまた、北の方の京都の北部とか福井に至る滋賀県の北部とか、この辺はまた日本海に面しているわけでありますから、なかなか、関西といえども、これはどうなんだろう。そして、では三重県は、教科書では三重県は近畿になっていると思うんですけれども、しかし福井の方がむしろ関西的エリアに今は近いのかなとか、いろいろな思いがいたします。

 そうすると、広域連合というものをどういう発想で、どういうふうに模索されているかわかりませんが、しかし、例えば関西で道州ということになれば、どういうくくりで、どういうふうなことをイメージされているのか。その点を井上参考人にお伺いしたいと思います。

井上参考人 七年前に関西広域連携協議会というものができまして、これは、地方自治体と経済界とでつくったものですが、この中に、普通、近畿地方というのは二府四県なんですけれども、それに福井、三重、徳島が参加しているわけです。

 その福井、三重、徳島というのが、将来、関西州ができたときにどうなるのかというのは、それは我々の知ったことではないと言ったら言い過ぎですけれども、むしろ徳島県の住民が、明石海峡大橋がかかったことによって、我々は四国州よりは関西州に入った方がええべという、それこそ住民投票をやって選べるようなフレキシブルな制度も必要ではないかと考えております。

 先ほど申しましたように、奈良、和歌山と京阪神とは違うのかな、それは、そういう問題もあります。ただ、先ほど申しましたように、今絞り込んできた二十三の、関西の魅力を高めるための広域的課題というのが絞り込まれました。それは、二府七県全部が関係するわけではないわけでありまして、その中の、これは大阪と兵庫だけね、これは大阪、兵庫、京都が絡むよ、これは大阪と和歌山の問題ね、そういういろいろなテーマがありまして、それはそれで、大阪と和歌山の問題だけだったら大阪と和歌山とが手を組んで広域連合の中で仕事をしていく、そういう格好になってくるんだろうと思うんです。

 広域連合というのは、御存じのようにお金を持っていませんから、課税権持っていませんから、分賦金というのを各府県が分担して仕事をやるときに出していきます。だから、二府七県が全部出せ、平等に人口と面積だけで出せというのではなくて、そのプロジェクトにどれだけ参加したかによってその分賦金を負担していくという方法もあるよね、そういう問題も検討しております。

 ですから、州ができて、広域的課題がその中の全員に関係があるというのはむしろ少なくて、部分的に関心がある広域的課題というのが、今の県を単位にしまして、あるいは基礎自治体を単位にしたらもっと多いですけれども、そういうものを取り込んでいく体制をつくっていこうというのが我々の考え方でありまして、それが道州制につながっていくのかというと、まだ道州制には反対の知事もおられまして、道州制を前提にした広域連合なら、わしは反対やと言われるので、道州制とは違いますよという話はしていますけれども、広域的課題を関西らしく処理できる広域行政組織というのが今の広域連合の位置づけでございます。それが地方自治組織、分権を進めるための道州制なら、それは道州制だと思います。

 以上です。

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

田端委員 これもそういう意味では、道州制という言葉は簡単ですけれども、非常に個々の思いというものがあるわけで、なかなか難しいということはよくわかりました。

 しかし、地方分権ということを進める上においては、道州制という発想によってまた地方分権も進めていくということが必要だ、こういう議論でもあろうかと思うわけであります。

 そこで、佐藤参考人にお伺いいたしますが、例えば北海道のような大変広いところは、いろいろな意味で自由度を増すことが非常に大事だと思うんですね。

 例えば、さっきおっしゃっていた医療の問題。非常に遠隔医療が大事になってくる。お医者さんが少ない。そういう意味では、今デジタル化が進んでいて、これからはユビキタス社会、こう言われている。そういう中で、例えばこのデジタル化によって双方向性で通信ができるから、お医者さんが足らなくても、看護師を派遣することによって、デジタルの画面を見ながらお医者さんが看護師に連携しながら、そして搬送する場合も、救急車がなければ、例えば道において白タクとかそういうことも認定して、あるいはNPOの車はもう認定されているんだと思いますが、そういう運輸面といいますか、それと医療行政といいますか、そういうものを合体させることによってより広範な、遠隔地における医療の充実というものが成るんだと思うんです。

 そういったことを、例えばそういう具体例ですけれども、より住民の福祉に資するようなことを考えていく場合に、将来、この道州制がより議論され、そしてまた分権が進み、より自由度が増して、そういうことが実現していくということが可能ではないかなと私は考えているんですが、御意見をお伺いしたいと思います。

佐藤参考人 私、医療の問題につきましては全く素人でございましてよくわかりませんので、御質問にうまく答えられるかどうかわかりませんが、確かに、北海道のさまざまな問題について自由度を増していって、道民が判断できるという仕組みをつくるということについては、今委員のおっしゃるとおりだというふうに思います。

 ただ、医療の問題についても、北海道は大変広うございまして、搬送についても、自動車でいいのか、あるいはもっと違う手段がいいのか、いろいろな議論があるのではないかと思われます。

 ただ、詳しいことについてはわかりませんので、残念ながらお答えできないということにしたいと思います。

田端委員 以上で終わりますが、きょうは本当にお忙しいところ、どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところ、ありがとうございます。

 私、北海道に少し集中して質問をしたいというふうに思っておりますので、主に佐藤、相内両参考人の方にお伺いしたいというふうに思います。

 それで、これはもともと、この話が出てくる中で、二〇〇三年の経済財政諮問会議で、北海道の高橋知事が「道の行政区域と多くの国の出先機関の所管区域が一致しているので、この地方支分部局との事務事業の一元化をモデル的・段階的に実施をしたい」という発言があり、このとき小泉総理の方も、国の出先機関と北海道庁の統合、とりわけ北海道開発局を道庁と統合するというところにあるんだということで、道州制の特区についても、具体的な北海道に関しての出発はこういうところの議論からあったように思うんです。

 そこで、佐藤、相内両参考人にお考えを伺っておきたいんですけれども、今回の法案は国の出先の統合を想定しているものではないか、そういうふうに思っているんですが、お考えを伺っておきたいと思います。

佐藤参考人 ただいまの御質問でございますが、この法案を見ます限り、国の出先機関の統合を想定しているようには私には思えないということでございます。

相内参考人 この法案自体はそのようなことは全く具体的には書いておりませんけれども、北海道における国の出先機関と北海道の二重行政の存在というのは以前から指摘をされていて、これを一元化する、しかもそれは道が責任を持って実施するということについては、かねてから議論がありました。

 ただ、これがいわゆる道州制特区あるいは道州制と本質的にかかわる問題かどうかということについては全く別でありまして、ある意味で、特区の導入というものをうまく使ってそれを主張したという政治的経緯があるのではないかというふうに理解しております。

吉井委員 法文とは直接リンクしないということであっても、経過の中ではいろいろな議論が背景にあって出てきたことは、これは事実だと思うんです。

 次に、その中で、開発局を北海道に統合した場合、開発予算が細分化された形で交付されると国のコントロールが強まるという見方とか、あるいは、開発局を初め十ほどの国の出先を移管すると、道州制の北海道になって国よりコントロールされることにならないのか、こういう疑問等、これはたしか日経などで書いていたように思いますが、地方住民の自治の拡充につながるというような、そういう北海道になるのかどうか。

 つまり、道州制特区で国の権限を地方に移すということになりますと、本来は地方自治の拡充ということにつながらないとおかしいわけですけれども、そこのところは、出先の統合を想定して、文言上は直ちには出てこないにしても、そういうことが出てくると、これは住民自治の拡充という点で懸念されるという問題があるわけですが、引き続いて、佐藤、相内両参考人に伺いたいと思います。

佐藤参考人 ただいまの件でございますけれども、今提案されております法案につきましては、そこで出ております法令の特例措置といったようなものについては、私は構造改革特別区域法などでも十分措置できるような内容であると思われますので、必ずしもそれを道州制特別区域といいますか、そういったようなものにしていく必要があるのかどうか、そこについては若干の疑問を持っております。

 ただ、将来的な道州制の議論ということになりますと、今委員おっしゃいますように、地方支分部局の統合も絡めた議論というのは当然必要になってくるというふうに考えております。

相内参考人 二重行政の解消を目指すさまざまな施策が地方の独自性をそぐことになるのではないかという議論は、これは、例えば先ほど委員御指摘の交付金の問題でいえば、これは客観的な交付基準というものがきちんと示されていればそういうことはないわけでありますけれども、交付金そのものが恣意的に増減されるという中では、非常に政治的なコントロールのもとに置かれるということになる。

 ですから、この議論は、実は、霞が関が自分たちの権限を移譲したくないというところではそういうふうな主張に便乗しますし、また、公務員削減という問題を抱えた労働組合の側からは、直接言わなくても、それに横で拍手を送るというようなことも行われるわけでございますから、極めて政治的な問題であって、客観的に必ずしも十分な根拠があるというふうには思えないと思います。

吉井委員 次に、要するに、道州にしたときに、新たな行政主体としての道州というものでいくのか、それとも、やんわりしたといいますか、やんわりした道州で、それぞれの都道府県が従来どおり行政主体としてやっていくようなものになるのかということが、道州制ということには問題になってくると思うんです。

 これは石井参考人の方に、知事会などでいろいろ議論しておられる段階では、将来の道州制を見据えたときに、これは合併が必要、合併して行政主体そのものが新しい道州に移っていくべきだ、そういうお考えなのか、やんわりした道州で、それぞれ都道府県は都道府県として行政主体として独立して存在するというものをお考えなのか、これを伺いたいと思います。

石井参考人 お答えをさせていただきます。

 先ほど冒頭の意見陳述でも述べさせていただきましたが、我々は、あくまでも道州は地方公共団体として明確に位置づけられたいということでございまして、現在の国と地方公共団体の中間的団体のような、別の性格のようなものといったようなことを想定しているものではございません。

 そういうようなものではなくて、幾つかの都道府県が一つになった、合併というような手続を踏むかどうかは別にして、それらを対象とした新たな広域自治体としての地方公共団体として明確に位置づけられたい。これは、いろいろ知事会の中でも議論がありますけれども、少なくともこの点は、ほぼ我々知事会の中では一致をした前提として議論させていただいております。

 以上でございます。

吉井委員 道州制にあわせて、自治体そのものの広域化、それぞれの基礎自治体の広域化、そういうことが議論にもなってくるわけです。

 つまり、要するにこの問題は、地方自治の拡充ということからいたしますと、住民から遠いところになればなるほど住民自治の上に立つ団体自治としての自治は弱くなるわけですね。そのときに、今井上参考人の方で議論していらっしゃる考え方、そこのところを聞きたいんですけれども、道州制の推進ということにあわせて、基礎自治体の方の合併も、これを進めていくという考え方なのか。基礎自治体は住民に身近で本当にみずからコミュニティーとしてやっていって、そしてそういう上に立つ従来の都道府県のやんわりとした道州、要するに、住民自治をどれぐらい重視したものにしていくのかという、その点についてのお考えを伺いたいと思うんです。

石井参考人 お答えいたします。

 我々が考えております分権型社会は、住民に最も身近な自治体でございます市町村、基礎的な自治体であります市町村が分権型社会のまず第一義的な行政の担い手となるべきであって、そのために必要な行政組織あるいは自治能力の向上といったことがこれからも取り組んでいかれるべきものだ、このように考えております。

 具体的に申し上げれば、外交、防衛等国家の基本的なあり方に国においては専念されまして、その余の内政的な事務は新しい道州へ、そして、今現在都道府県が持っているような事務は、できるだけ基礎自治体であります市町村へ移譲していく。こういう形での社会、これが真の分権型社会ではないか、このような前提で議論をいたしております。

 以上でございます。

吉井委員 次に、また佐藤、相内両参考人に伺いたいと思いますが、今、地方間の格差の問題とか、そういう格差問題というのが随分地域的にある時代です。この地方格差をなくす方向にやはり持っていくべきときだと思っているんですが、北海道の人たちから見て、先ほどの国の出先の統廃合とか、それから北海道特例の廃止など、将来的にこういうものが出てきたときに、北海道経済にとってどういう影響が出てくるのか、この辺についてどう見ていらっしゃるかを伺いたいと思います。

佐藤参考人 ただいまの北海道の問題でございますけれども、確かに地域格差は広がっております。

 ただ、これは北海道のみで語られる問題ではなくて、恐らく全国的な中央と地方の関係、ないしは、最近、どこの知事かちょっと忘れてしまいましたけれども、知事さんがお書きになっているように、子供をたくさん育てても全部東京に吸い取られていって、先行投資が出ないといったようなお話がございましたけれども、そういった点から考えて、国の中で国民として生きていくためのナショナルミニマムを整えていくということについては、北海道に限らず、全国的に必要な課題ではなかろうかと思います。

 また、北海道特例に関しましても、いつまでもその特例に頼るということではよくないのではないか。今すぐ、二、三年の間にこれをなくすという話については私も反対ではございますけれども、しかし、長期的に見ますと、これはやはり北海道民がきちんと決定できるような形にできるようにする、そのためのきちんとしたステップを踏んだ議論が必要であるというふうに考えております。

相内参考人 地域間格差の問題でございますけれども、これは当然なくすべきという考え方と、地域間には本来格差があるのだという考え方と、両方ございます。しかし、私は、その根拠なき平等化ということについては賛成できません。

 要するに、どこにも同じような基準で交付金を配付するというようなことではなくて、北海道でいえば北海道の日本全体に対する貢献度、あるいは、北海道で産業を行ったり住民が生活するというそのことの日本全体に対する貢献ということを考えて、それに対するきちんとした資源の配分、富の配分ということが考えられるべきでありまして、これを北海道特例とかなんとかいう、そういうちまちました個別の問題で議論を始めると、特例は廃止するべきだという議論になるんですけれども、そうではなくて、先ほど私が述べましたように、ブロックグラントと言われるような、本来、全体として北海道が自治を行い、そこで人が暮らし、産業を興していくために必要な額というものをきちんと保障して交付していく、そういうシステムが必要だというふうに思っております。

吉井委員 時間が来たというメモが来ましたので、井上参考人には、せっかく来ていただきながら大変申しわけないんですが、私は、自由都市堺のそういう自治の考え方というものを関西州なり近畿州なりの中でどうお考えかを伺いたかったんですが、時間が来てしまったので、また機会があれば伺いたいと思います。

 どうもありがとうございました。

河本委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府「道州制特区」推進担当室長山崎史郎君、総務省自治行政局長藤井昭夫君、公務員部長上田紘士君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、村木厚子君、御園慎一郎君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、農林水産省農村振興局整備部長山下一仁君、林野庁森林整備部長石島一郎君、経済産業省大臣官房審議官大辻義弘君、国土交通省北海道局長品川守君及び環境省自然環境局長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 この際、佐田国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐田国務大臣。

佐田国務大臣 一昨日の本委員会において、私から調べさせていただくと申し上げた点につきまして、冒頭お答えをさせていただきます。

 第一点の平成十五年八月に小泉前総理から高橋北海道知事に北海道における道州制の先行的取り組みを要請されてから道州制特区の取り組みが始まったのではないかとの御質問についてですが、新聞報道等によると、平成十五年八月二十六日に小泉前総理と高橋知事が面談し、その際、北海道において道州制に向けたモデル的な取り組みについて話題となったとのことであります。

 平成十五年十二月十九日の経済財政諮問会議において、小泉前総理が、北海道はやってみたらどうかと私が言い出したと発言しており、小泉前総理から高橋知事に道州制特区の話があったのかもしれませんが、その面談の具体的なやりとりは承知しておりません。

 いずれにしても、道州制特区の具体的な検討が始まったのは、平成十五年十二月十九日の経済財政諮問会議において高橋知事が道州制を展望した北海道からの提案を説明していただいたことからであると考えております。

 第二点の憲法第九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法」を、特定の地方公共団体の組織、運営、または権能についてのほかの地方公共団体とは異なる定めをするものと解釈する根拠は何かとの御質問について、御説明申し上げます。

 ある法律が憲法第九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法」に該当するか否かは、これを議決した国会の判断によるべきものと考えておりますが、政府としての考え方をあえて申し上げると、憲法第九十五条の規定の文言は、「一の地方公共団体のみに適用される」とあり、領域概念である地域や地方ではなく、地方自治を担う主体としての地方公共団体について想定しており、学説上も特定の地方公共団体の組織、運営、または権能に関する特別法と解するのが有力でございます。

 憲法第九十五条の住民投票については、その要否をめぐる過去の国会における御議論の国会の御判断に基づく運用の実例の積み重ねがあり、このような事例を検討整理しても、このような解釈によって理解することができるところでございます。

 憲法第九十五条は、憲法第四十一条の国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会の立法権を制約する特別の例外規定であることから、その適用範囲は、憲法第九十二条に規定する地方自治の本旨の観点から、合理性及び必要性が認められるものに限られると理解すべきものであると考えられ、このような解釈には十分な合理性が認められると考えております。

 また、本法案は、特定広域団体が道である場合における交付金の交付について規定しており、当該規定は憲法第九十五条に該当するものではないかとの御質問について御説明申し上げます。

 先ほど述べたとおり、憲法第九十五条の地方特別法は、特定の地方公共団体の組織、運営、または権能についてほかの地方公共団体とは異なる定めをするものと解されているところであります。

 本法律案においては、特定広域団体が道である地方公共団体である場合において、一定の工事または事業を実施するときは国が交付金を交付することができる旨を規定しているところであります。

 このような国の財政上の特別の援助を定める規定は、地方公共団体の組織、運営、または権能に関するものには該当しないと解されることから、道に対する交付金の規定をもって本法律案が憲法第九十五条の地方特別法に該当するということはないものと考えております。

 そして第三点の道州制タウンミーティングにおいて質問項目案を作成した事実はあるかとの御質問についてでありますが、現在、これまで開催されたタウンミーティングすべてについて再点検を行っているところでありますが、平成十八年に福岡市、大阪市、稚内市で開催された道州制タウンミーティングについては、内閣府から事前に発言内容を提供した事実はございません。

 以上です。

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田学と申します。

 佐田大臣におかれましては、以前は議運で、そしてその前は総務の方で大変お世話になっております。きょうは九十分という大変重厚な時間をいただきましたので、御丁寧に御教授いただければと思います。

 まず、本当に、今総務委員会をやっているんですが、この道州制ということにかかわる法案に関して総務委員会の方で議論できなかったのを非常に残念に思っております。

 そういう意味を含めて、今回この質問の機会をいただいて道州制の法案をいろいろ勉強させていただきましたが、本当は何をされたいのか、いまいちよくわからない法律でもあります。

 そしてまた、道州制という言葉を冠につけられていることもあって、やや混同する部分が、頭の中でこんがらがってくるような部分がありますので、御丁寧に御答弁いただければと思います。

 九十分ありますので、基本的なところから一個一個大臣の発言を確認させていただきたいと思います。

 まず、なぜに道州制を導入しなきゃいけないと大臣自身は思われているのか、いかがですか。

佐田国務大臣 道州制につきましては、市町村合併の進展や都道府県を越える広域行政課題の増加といった社会経済情勢の変化を踏まえれば、その導入の検討は重要な課題であるということであります。

 道州制は、国と基礎自治体の間に位置する広域自治体のあり方を見直すことによって国や地方の双方の政府を再構築しようとするものでありまして、その導入は、地方分権を加速させ、国家としての機能を強化して、国と地方を通じた力強く効率的な政府を実現するために有効な方策という可能性を有しているものでありまして、今回、今御議論いただいております道州制特区推進法を通していただけるならば、これを機縁にビジョンをつくり、そして道州制を見据えて政策を進めていきたい、こういうふうに思っています。

寺田(学)委員 今発言のあった中から質問させていただきたいのですが、市町村合併の進展というお言葉がありました。

 道州制を進める上で、基礎自治体がどれぐらいの規模であるかということは非常に重要な話だと思っております。大臣自身、今、市町村合併の進展と言われましたので、今の市町村規模、市町村数で道州制の導入には十分なタイミングであるとお考えになられていますか、いかがですか。

佐田国務大臣 これはやはり、今回の法案もそうでありますけれども、道州制と今回の道州制特区推進法の違いというのは、基本的に、現在の都道府県を基本としているかいないかという問題があります。

 それともう一点、今委員が言われたように、市町村合併がかなり進んでまいりました。そういう中において、私は、当初、この市町村合併というのは、いろいろな利害があって進まないのじゃないかと思っていたのですけれども、私の県なんかでも、もう郡がなくなるほどに進んでおります。それはどうして進んだかというと、財政的な面もありますけれども、やはり町村の、基礎的自治体の、住んでいる方々の要望が非常に強くなってきた、そういうふうな形で自然に行われた。

 こういうことを考えたときに、道州制も、この今回の法案につきましても、やはり、特定広域団体というふうに規定していますけれども、その地域、当該の地域の方々の意見をしっかりと踏まえて、そしてそれが、今の規模が適当かどうかということを判断していきたい、こういうふうに思っています。

寺田(学)委員 直接質問に答えていただいていないのですが、市町村合併が進展してきたからこそ道州制の導入というものが検討に値するようになったんだと、大臣が、なぜ道州制が必要なのか、導入するのかという話のときにお話しされたので、その点に対してお伺いしているわけです。

 繰り返しになりますが、今の自治体、市町村です、基礎自治体の数やら規模やら、今の状態というのは道州制にはふさわしい規模であるかどうか、どのようにお考えになられているのか、お答えいただければと思います。

林副大臣 道州制に至る上で基礎自治体の規模、能力はどの程度が適当だというふうに考えているのかというお尋ねでございますが、まず、補完性の原理というのが大変大事になってくる、こういうふうに思っておりまして、国や広域自治体と基礎自治体などの役割分担を体系的に見直して、都道府県から市町村へ、また国から道州への大幅な権限移譲を行うことが重要である。

 その場合に、広域自治体である都道府県が基礎自治体のいわば補完をするということになるわけでございますが、その場合に、基礎自治体を補完するという場合の基礎自治体がある程度の規模、能力がなければ補完ができない、こういうことでのお尋ね、こういうふうに思いますので、この基礎自治体の規模、能力については、さらに充実をしていく、また、行財政基盤の一層の強化を図っていかなければならないというふうに思っております。

 政府といたしまして、与党の行財政改革推進協議会で、これは平成十六年の十二月二十四日の今後の行政改革の方針の閣議決定につながっていくわけでございますが、「市町村合併後の自治体数を千を目標とする」という、これは与党の方針をいただいておりますけれども、この目標を踏まえて、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進していって、行財政基盤を強化していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

寺田(学)委員 今、自民党の答申のことを引用されてお話しされていましたけれども、そこを踏まえてと。千という自治体をという具体的な数字を出されて、踏まえてというお言葉を使われました。

 とすれば、今道州制を議論されている御担当の方にとってみると、千というのがある程度の、道州制を導入する際の基礎自治体の数として適当な一案だというふうに思われているのですか、いかがですか。

林副大臣 まさに委員御指摘のように、踏まえてということでございますから、千にならないと困るというところまでは、この踏まえてというところは踏み込んでおらないわけでございますが、目標の方向性としては、この与党で出された千の方向に向けて推進をするということで、三千三百あった自治体が、委員御承知のように、もう二千を切るところまで来ておりまして、かなり進んでいるというふうに思っております。

 ただ、御存じのように、地域でかなりばらつきがございますので、数で定量的に、ここまでいけばそれでいいというものではなくて、それぞれの自治体が望ましい規模になっていくということで補完性の原理が満たされていく、こういうふうに考えておるところでございます。

寺田(学)委員 私自身、数を一度も言ったことはなくて、副大臣が言われた、千という具体的な数字が出たので数の話をしました。

 現在、今、自治体の数ですけれども、二千弱ぐらいと伺っております。ですので、千を踏まえてということであれば、今の二千弱というのは多い。一千じゃなければ道州制は導入できない、そういうきちきちとした考えではなくて、やはり今の自治体数は多いと考えられているのですか。

林副大臣 申し上げましたように、目標はかなり高い目標をいただいておるというふうに考えておりますが、数が必ずしも幾つになればいいというような目標という、単純な数の目標ということでなくて、今まさに委員がおっしゃられましたように、それぞれの自治体がやはりきちっとした規模を持っていただくということが大事だというふうに考えておるところでございます。

寺田(学)委員 今、目標は高いところをいただいておりますというお話でしたけれども、その目標というのは千ということですか。

林副大臣 今、高い目標をいただいていると私が申し上げましたのは、この与党の千という数字のことでございます。

寺田(学)委員 了解しました。

 大体、その与党が言われている、自民党さんが言われている千という数字を目標に、その数字を踏まえた上で、道州制を導入する際には、まだ二千弱なわけですから、合併を進めていくという方向性でよろしいのですよね。

林副大臣 冒頭申し上げましたように、まさに今委員が御指摘のように、その方針を、与党の方針を踏まえて、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進して、行財政基盤を強化していかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

寺田(学)委員 土屋政務官も、総務省の立場として、それでよろしいですか。

土屋大臣政務官 総務省として幾つということを決めたことではございませんけれども、ただ、政府・与党一体という議院内閣制の原則がありますから、与党とともに、引き続き研究していきたいと思っております。

寺田(学)委員 いや、矛盾されることを言っているのですけれども、総務省としては決めていないけれども、政府・与党としては一体にやらなきゃいけないということは、論理的に考えると、総務省だって一千だということを考えなきゃいけないと思うのです。今政務官がお話しされたことについてお聞きしたいので、政務官、どうですか。

土屋大臣政務官 答弁いたします。

 別に矛盾はいたしておりません。総務省として決定した場合には、必ず一定の手続を経て、総務省内部の公文書になるわけでございますけれども、今のところ、そういうことは意思決定していない、このように考えております。

 ただ、先ほど申しましたように、これから決定する目標値や何かはいつも流動的で目標にしていくわけで、その論議のきっかけとしては、政府・与党一体という原則と、一方では与党が先行して議論していく、こういうことであります。

寺田(学)委員 ここに余りこだわる気はなかったのですけれども、いろいろ話が出てくるので。

 道州制を担当されている方では、与党側から出された一千というものを高い目標として、そういう千というものを踏まえた上で基礎自治体の数というものを考えていくという話をされていて、まさしく市町村合併を担当されているのは、変な話ですが、この部分だけは総務省が担当されていますので、総務省としても、道州制を導入するというのは、まさしく安倍総理が言っている、政府一体として進めようとしています。

 ですので、そういうことでいうと、土屋政務官の方も、一千というのを高い目標としていただいて努力されるということだと私は思うのですけれども、一千というのは目標にはしないのですか。目標としてはとらえないのですか。道州制の方はとらえると言っていますけれども、そちらはとらえないのですか。

土屋大臣政務官 政府といたしましては、与党行財政改革推進協議会、これの「市町村合併後の自治体数を千を目標とする」という方針でありますけれども、それを踏まえて引き続き検討する、こういうことになっております。

寺田(学)委員 僕は余り国語の語彙能力がないので、踏まえてという言葉が何を指すのか、いまいちよくわからないんですけれども、それは目標とするということではないんですか、目標とするということなんですか。踏まえるというのは、何かの一つの基準にするということなのか。その千というものはどうとらえているんですか。踏まえるという言葉の具体的なニュアンスを教えていただきたいんです。政務官、いかがですか。

土屋大臣政務官 お答えいたします。

 総務省といたしましては、従来から市町村合併を進めてきたところでありますが、いわゆる特別法が、合併特例債などを発行する根拠法が切れましたので、これからは新しい体系の中で合併を進めていくわけでございますが、その目標値としては、先ほども申しましたように与党協議会の目標があるわけでございますけれども、これは自主的な方向性ですから、何年までに、いつどうやるという強制を伴うような性格のものではない。

 ただ、知事に一定の計画を、秋田県もそうでございますけれども、知事に計画を立てることをお願いしておりますので、こういうことを見ながらやっていくことが地方自治の本旨だろう、このように考えております。

寺田(学)委員 やり方について再度御説明いただいたのは、私も総務委員会で去年それを審議しましたので、わかります。

 僕が単純に疑問に思うのは、道州制を担当される方々は、やはり基礎自治体というものは副大臣みずから千という言葉を出されて、一つの高い目標をいただいているという話をされていて、政府一体として取り組むんだという話は土屋政務官もされている。

 では、市町村合併に関してはどこが担当なのかといえば、それは総務省なんです。政府一体でやるんだったら、担当である総務省の方が、市町村合併に関しては道州制を進めていく上では一つの目標として千、そこを踏まえて、目標とすると言われているんですから、総務省としてもそのように動くのがまさしく政府一体だと思います。

 僕自身が千を出したわけじゃないんです。千という言葉を出されたので、総務省として、その千というものを踏まえるという言葉は、どのようにして踏まえる、目標とするのか何なのか、そこを御答弁いただきたいんです。合併の仕方とかはどうでもいいです。

土屋大臣政務官 これは単なる法の執行だけではなく、単なる行政の一分野における法の執行と違って、地方自治体の合併ですから、これは命令したり強制したりするような性格のものではないわけです。

 したがって、千という目標は、与党の協議会の中で出された目標値ですから、そういう方向に対して努力はしますけれども、どういうふうな法体系で、いわゆるあめとむちでがんがんやるのかという議論になると、そういうふうなことにはなっておりませんということを申し上げておるわけでございます。

寺田(学)委員 九十分もいただくといろいろな質問ができて大変楽しいんですけれども、言われていることが違うんですよね、ニュアンスが。

 道州制を担当されている政府の方々は、先ほど言ったとおり、千という言葉をみずから出されて、それを高い目標としていただいておりますと言っていて、道州制を導入することは安倍総理の一つの悲願なわけですから、それを政府一体で取り組んでいく。

 では、その市町村合併はどこが担当しているかといったら、総務省だ。総務省を代表されている土屋政務官に、道州制を担当されている方から千というものを一つの高い目標としていただいていると言われているんだけれども、それに対してどうされるんですかと言えば、今土屋政務官が言われたことは、それは自治体の方が自主的に判断するものだから、そんなもの強制はできないという話をされました。

 とすれば、こっちは目標として掲げていて、一千にしてもらわないとやはり道州制の導入、一千にならなくても一千に近い、目標として進めていく中で、一千近くにならないと道州制は導入できないという話をされていて、総務省の方では、それは別に一千というのは何も聞いておらぬという話は、私は少し矛盾されていると思うんですね。

 そこら辺は、本当に道州制を今回担当大臣まで置かれてやるわけですから、総務省から切り離してやっているわけですから、それこそ政府一体で、道州制を導入する、意思は決まりました。その際に、市町村規模、自治体数はどれぐらいがいいか。道州制担当の方は一千という高い目標をいただいて、それに対して、踏まえて頑張っていくんだと言われているのであれば、総務省の方もそれに合わせて施策を打たれるのが私は政府一体だと思うんです。

 もう一回、土屋政務官、いかがですか。(林副大臣「ちょっとその前にいいですか」と呼ぶ)では、林副大臣に。

林副大臣 ちょっと私、発言が滑ったかもしれませんが、先ほど申し上げたのは十六年十二月二十四日の閣議決定でございます。

 閣議決定をちょっと文書で見ていただくと一番わかりやすいんですが、「市町村合併後の自治体数を千を目標とする」というところに括弧がついておりまして、そこはまさに与党行財政改革推進協議会の文をそのまま引用しているわけですね。それで、括弧閉じで、「という方針を踏まえて、以下のとおり、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する。」

 これが閣議決定でございますから、まさにこの説明をいたしているわけでございまして、ちょっと私、いただいてというところがちょっと滑ったとすればおわびを申し上げたいと思いますけれども、この千という目標は、今の千八百とか二千を切った状況に比べるとまだまださらにいかなければいけないなということで申し上げただけでございますので、そこはおわびして訂正させていただきたいと思います。

土屋大臣政務官 もう少し先ほどの御質問にお答え申し上げますが、今まで時限立法で一定の、合併特例債などをやったりしながら誘導してまいりました。これはあくまでも、強制ではなくて誘導であります。それは地方自治の本旨に照らして、中央政府である総務省が、ああしなければならないとか、ああせねばならないというような命令をするような性格ではないからであります。

 しかし、それは時限立法ですから、当然、時限が来ましてそういう効力を失ったわけであります。しからば、千という目標はあったとしても、寺田議員の御質問のつまるところは、では、どういうふうな仕組みで千の目標を達成するのかという質問ではなかろうかと存じます。

 そういうことの立場に立って今の枠組みを申し上げますれば、各県の知事が、一定のこういう合併が望ましいだろうという線引きをして勧告をする、そういう枠組みしか現在、法の枠組みがないわけでございますので、法の枠組みを超えて、何か総務省が独自の判断でああせい、こうせいというわけにはなかなかまいらないわけでございます。

 これは、法の支配の原則と地方自治の原則に照らし合わせて、現段階ではそのようにお答え申し上げておきます。

寺田(学)委員 私も、ここは余り詰めるつもりはなかったんですけれども、御訂正されましたけれども、一千という具体的な数字が出て、それを高い目標にという話を一時されましたので、その点に関してはちょっと政府の一体性を確認させていただきました。

 法案についていろいろ議論したいんですが、まず、そもそもの道州制というものと今回の道州制特別区域における云々の法律案、それがどういう関係にあるのか、まずは大臣に、基本的なことですけれども。

佐田国務大臣 先ほどちょっと話をさせていただきましたけれども、いわゆる道州制は、今もお話がありましたように、これは地方自治体の区割りではなくてあくまでも道州制でありますけれども、今回の道州制特区推進法につきましては、要するに地方自治体を基本として、今回は北海道でありますけれども、それとともに三県以上の県が一緒になる場合には特定広域団体としてこれを政令で定めてやっていくということであります。ですから、あくまでも地方の意見を聞きながら、その中で歴史、文化、伝統、そういうものを踏まえていわゆる特定広域団体ができてくるのではないかと思っています。

 今回の法律の一番の大事なところというのは、あくまでも自立的に、そしてまたなおかつ、その特定広域団体にお住まいの方々の意見をできるだけ吸収して、税源、財源、そして権限を移譲していく、こういうところにあろうかと思っております。

寺田(学)委員 質問の仕方を少し変えて、今回のこの特区法案というものが道州制の論議そのものにどのような影響を与えられるかという意味で質問しましたので、その点に関して。

佐田国務大臣 したがって、この法律は、最初に、政令で定めた北海道があるわけですけれども、これに要するに基本方針をやりまして、北海道の道民の方々にいろいろ御議論いただき、最終的に議決するわけです。それをまた閣議決定していく。そしてまた、一年ごとに何度も何度もやりながら、税源、財源、そしていろいろな形で権限も移譲していく。そういう中においてイメージができてくるわけですね。

 だから、そのイメージの中でビジョンをつくっていくわけです。北海道の場合はこうであった、例えば九州で手を挙げられるなら九州はこういうふうな形になってきた、そういう中においてビジョンを進めることによって、将来、道州制という形に移行するような考えを持っているわけであります。

寺田(学)委員 この特区法案を議論することによって道州制のイメージがわくというとらえ方でよろしいですか。(佐田国務大臣「そうです」と呼ぶ)そういうことですか。

 では、特区法案の中に、今回、道州制という言葉をつけていますけれども、そういう意味においては、イメージをわかせるから道州制という言葉をつけるなら、この道州制という名前を法案の中に入れた理由はどこにあるんですか、確認ですけれども。

佐田国務大臣 ですから、今申し上げましたように、あくまでもこれは、国の方でこうやりなさい、ああやりなさいということじゃなくて、要するに、道州制を進めることは、北海道には北海道のいろいろな権限、財源、そしてまた税源をこういう形でやっていった方がいい、規制緩和はこういうふうにやっていった方がいいという形で北海道はできてくるわけです。

 例えば、違うところで、三県以上のところ、もしくはいろいろそういう地域において、例えば政令によって特定広域団体に指定されたところは、またそれは風土も違いますし、歴史、文化も違うわけですから、そういうところでいろいろな税財源、そして権限の移譲、規制緩和、こういうことも含めてやっていきますから、その中で自然に道州制のビジョンができてくる。そして、要するに将来を見据えて、道州制に将来的には移行していきたい。ですからこの法律には道州制と名前がついている、そういうことです。

寺田(学)委員 確認の意味ですけれども、では、この特区法案を議論することは、広い意味においては道州制を議論しているということでもよろしいんですよね。

佐田国務大臣 ですから、これは一つの発端でもありますから、それは、将来に向けて道州制を目指して考えておるということは確かであります。

寺田(学)委員 では、この特区法案を議論するときには、道州制、まさしく冠についているとおり道州制を議論しているんだということでよろしいんですね。

 では、法律の具体的な中身にある特定広域団体というのは道州をイメージされて、道州制の道州をイメージされてああいう特定広域団体というのを設定されたんだ、それでよろしいんですよね。

佐田国務大臣 将来にわたりまして、例えば三県以上ですからそれ以上でもいいわけでありまして、例えば九州だったら九州全体だって一つの区域になるわけですね。ですから、ある意味においては道州を意識はしておりますけれども、今のところ、基本的に道州制は単位が都道府県ではありませんけれども、この法律においてはとりあえず単位は都道府県になっている、こういう違いがあるわけであります。

寺田(学)委員 もう一回、簡潔に聞きます。

 特定広域団体というのは、いわゆる道州制論議そのものにおける道州をイメージして設定された、それでよろしいですよね。

佐田国務大臣 ですから、イメージ的には、違うところは要するに今言った都道府県の関係の単位でやっているわけですけれども、将来はそういうふうな形で考えているということであります。

寺田(学)委員 単位を都道府県にしているどうこうというのはありつつも、いわゆる道州制における道州というものそのものと、今回まさしく道州制特区法案という形で出てきた、その中においては道州とは言われていない特定広域団体、この二つの概念があるわけですよね。これはまさしく有機的につながっているわけですよね。よろしいですか、大臣。

佐田国務大臣 有機的という言葉がどういう意味かわかりませんけれども、将来の道州制導入に対する国民的議論の深まりや、その検討に資するために、北海道地方、または、今言いましたように、自然、経済、社会、文化等において密接な地域の区域をその区域に含む都道府県を特定広域団体と位置づけて、その区域において広域行政を推進するものでありまして、現在、都道府県制を前提としておるわけでありますけれども、特定広域団体は道州制の道州とは、ですから、そういうイメージはしておりますけれども、道州ではないということであります。

寺田(学)委員 私の有機的というのは難しかったかもしれませんけれども、イメージどうこうというのも僕は非常に難しいと思うんです。

 大臣が、以前の市村浩一郎委員の議事録の中で、北海道のことの道ですけれども、道自体が非常に道州に該当するぐらいの面積があるんだと、恐らく、何で北海道にしたんだという質問の後にこう答えられていますね、議事録をひっぺ返してみるとわかりますけれども。

 道自体が非常に道州に該当するぐらいの面積があるということは、かなり、いわゆる今回の特定広域団体には北海道と三県の何とかという要件があるわけですから、まさしく北海道はこの法案が通れば特定広域団体になるわけですよね、そういう意図で書かれているわけですから。その広域団体である北海道自体が非常に道州に該当するぐらいの面積があると、重ねられた発言をされているんですよ。これはもうリンクしていると考えてよろしいんですよね、いや、大臣が発言されたんですけれども。大臣がお答えされた方が一番いいと思います。

佐田国務大臣 多分、それは私じゃなくて副大臣だと思うんですけれども、まあいいです。

 要するに、北海道がその広さからいって道州制の州に当たるぐらいの大きさを持っているんじゃないかということですか。

 それは、今も申し上げましたように、道州制と今度の道州制特区推進法は、だからその辺で、この法律においては都道府県を単位とするものであって、道州の区域ではないということでありまして、私の言っているのは、これを進めることによっていろいろな特定広域団体ができてきます、そして最終的にそのイメージができて道州制に移行していく、そういうことであります。

寺田(学)委員 大臣の御記憶が正しいです。私、訂正します。これは副大臣が発言されていますね。申しわけございません。

 副大臣自身、道自体が非常に道州に該当するぐらいの規模があると言われましたけれども、ということは、今北海道という現実的な自治体の面積規模と、副大臣が頭の中で考えられているいわゆる道州というものを比べた上で、非常にこの場合は該当するぐらいの規模だと考えられているということは、では、頭の中で考えられている道州の規模的イメージというのは具体的にどれぐらいの大きさのことを言われているんですか。

林副大臣 私の方が、市村先生だったと思いますが、そのときに、北海道が先行モデルとしていい理由という委員の御指摘がありまして、私もなるほどなと思って聞いておりましたが、実は、北海道には既に、委員がおっしゃるように、道自体が非常に道州に該当するぐらいの規模があるということで、委員の御指摘がそういうことがあったことを引いて、そういうことを申し上げております。

 そのことの意味は、北海道地方は国土の五分の一を占める、これもどこかで御答弁を申し上げたと思いますけれども、そういう広域の地方であるということと、もう一つは、私はそこで申し上げたかったことは、今そこに現在、道庁というお役所が既に存在をしている、ほかの広域ではそういうところがない、そういう趣旨もあります。

 ですから、大臣が先ほどから御答弁していますように、道州制というのは今から検討するわけで、今その道州制がここにあって、そういう規模があるというわけではありませんので、五分の一とか、今あるということが、この道州制特区の検討に資するのではないかという趣旨で申し上げたということでございます。

寺田(学)委員 かなり広範にお答えになられたんですけれども、私がお伺いしたいのは、市村委員からの引用という形で引っ張ってきていますけれども、おっしゃるとおり、道自体が非常に道州に該当するぐらいの規模があると言われているので、正式には決まっていませんけれども、副大臣の頭の中で、まさしく道州のイメージが面積的なものがある程度でき上がっていると思うんですよね。その面積的な規模というのはどれぐらいのことをお考えになられているのかをお伺いしたい。

林副大臣 私の個人のといいますよりも、地制調で二十七次、二十八次ということで出ておりまして、それに幾つか案が出ておりまして、いずれの案でも、今の北海道が一つの規模になるのではないかというようなことが案として出ておりますので、そういうようなことで申し上げたということでございます。

寺田(学)委員 今のお答えでいくと、どちらかというと、お話をされた規模というものは御自身の考えではなくて、もちろん地制調の一つのアイデアを引っ張ってきて、それをいわゆる道州と北海道を比べる一つのサンプルにしたということで、御自身のお考えではないということなんですね。(林副大臣「そうです」と呼ぶ)わかりました。

 特定広域団体というのは、法案を読んでいくと、本当に、道州という冠がついている法案にもかかわらず、発言を今拾っていくと、大臣が森本委員の中で、特定広域団体は道州制の道州とは異なるものでありますということも言われている。先ほどは、道州と特定広域団体は非常にイメージするようなつながりなんだという話をされていて、わからないんですよ。

 もちろん、まだ道州制は施行されていませんから、それは特定広域団体が道州であるとは思っていません。ただ、今回、道州制という名前をつけて法案を審議して、先ほど言われたとおり、まさしく道州制を議論している中で、その一つのモデルとして出てきた特定広域団体を私たちは疑似的に道州と考えながら、いろいろイメージしながら議論していっているわけなんですけれども、とはいえ、特定広域団体と道州は違うんだよと言われると、これは何の議論をしているのかわからないんですよね。

 確認のため聞きますけれども、特定広域団体といわゆる道州制の道州というのは違うんですか。

佐田国務大臣 では、結論から申し上げますけれども、道州制の道州と今回の特定広域団体は、これは違うものであります。特定広域団体は都道府県になるわけでありまして、それが要するに三県以上が合併して特定広域団体となっていくわけであります。

 それと、もう一つ申し上げたいのは、先ほどイメージというふうなことを、ちょっとあいまいな言葉を言って申しわけなかったんですけれども、この法律は、あくまでも三県以上の地域が独自に、その地域で合併するなりして特定広域団体になっていくわけでありますけれども、いろいろな権限移譲も、先ほども申し上げましたけれども、随分違うものができてくると思うんです。

 そういうイメージを、我々としても、将来に向けてやはり、例えば三県以上となれば地域的にもかなり大きくなるわけですから、そういうことを考えると、将来はそれが、どんどん特定広域団体ができてくれば、最終的には道州制のような形に移行していくのではないか、こういうふうに申し上げているんです。

寺田(学)委員 今、最後の部分だけひっかかるんですが、特定広域団体がどんどんできていけば、最終的には道州制のようになると思いますというならば、今の特定広域団体は道州じゃないですか。今大臣が最後に、特定広域団体がこれからいろいろでき上がっていくと、それは最終的に道州になるんだと思いますと言われているとしたら、それの一つの構成員の今の特定広域団体は道州に当たると思いますけれども、訂正されますか。

佐田国務大臣 ですから、この法案においては、都道府県を単位としているから道州の道州ではないんですということを申し上げているんです。道州制の道と州は、これは、今現在の都道府県を単位としているわけじゃありません。ですから、今議論していただいているこの法律については、都道府県を単位として特定広域団体をつくっていただく法律の内容になっているんです。

 ただ、それがどんどん進んでいく形になって、道州制をどういうふうに定義するかということはありますけれども、道州制の方は、これは都道府県を単位としていませんけれども、形としてはそういう形になっていくのではないかと申し上げているんです、イメージ的に。

寺田(学)委員 最後の部分だけもう一回質問しますけれども、特定広域団体がいっぱいできてくれば、それは道州制の形になるんだということは違うんですか、大臣が言われたとおりの言葉ですけれども。

佐田国務大臣 イメージ的にそういうふうな形になってくるので、ただ、この法律では、繰り返し言いますけれども、この法律においては、特定広域団体は道州制の道と州ではないということです。これは理解していただきたい。

寺田(学)委員 頑張って理解します。

 私は議事録を全部読ませていただきました。その中で、発言されている中で、質問者の方も、いわゆる道州制論議の中の道州と今回の特定広域団体が非常にクロスしながらしゃべっているんです。御答弁もそれがクロスしているんですよ。なので、一体なのかなと思うと、それを端的に聞いた質問に関しては、いや、道州制と特定広域団体は違うんだと言われて、最後にまた大臣が、特定広域団体が集まると、それはまさしく道州のようになるんだと言われると、特定広域団体とは何だろうという話になります、そこは後々、時間があったらもう一回やりたいんですけれども。

 今度は、法案の中に広域行政という言葉が入っています。広域行政と一言で言っても、いろいろな考え方があるんだと思います。この広域行政というのは、大臣自身、何を考えられているんですか。参考人でいいです、ではどうぞ。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の広域行政というのは、この法案でいきますと第二条の第二項に実は定義がございまして、あくまでもこの広域行政というのはこの法案における言葉の使い方でございますが、「この法律において「広域行政」とは、特定広域団体により実施されることが適当と認められる広域にわたる施策に関する行政をいう。」ということでございます。

 したがいまして、まさしく今回の法案における特定広域団体が行う、まさにそれに関する行政、こういう趣旨でございます。

寺田(学)委員 法案に書いていることは僕も読んでいますけれども、それがわからなかったのでお伺いしたいんです、済みません、物わかりが悪くて。

 では、もっと限定していくと、この広域という概念というのはどういう考え方なのか。安直な発想でいくと、面積がぼんと広いという意味において広域なんだというのと、いやいや、面積の大小ではない、いろいろな自治体が協力して、まさしく広くやるから広域なんだという考え方もあると思うんです。これはいずれに立っているんですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたとおり、この広域行政というのは、第二条の第二項に実は定義されてございます。そして、このポイントは、まさに「「広域行政」とは、特定広域団体により実施される」、ここの部分でございまして、では、その特定広域団体とは何かということは第二条の一項に実は定義されているわけでございます。すなわち、「北海道地方又は自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方(三以上の都府県の区域の全部をその区域に含むものに限る。)のいずれかの地方の区域」、この部分でございます。

 したがいまして、この部分をまさに指した概念であるというふうに理解していただきたいと思います。

寺田(学)委員 面積の大小のことは考えられているんですか。広域という考え方に面積の大小という概念は入っているんですか、どうですか。二条の説明はもういいです。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 まず一つは、北海道地方は大変広いという地域でございますが、北海道地方以外につきましても、実は三以上の都府県の区域の全部を含むもの、こう書いているわけでございます。

 したがいまして、この三以上というのは、再三御答弁申し上げておりますけれども、例えば国のブロック機関、地方支分部局といいましょうか、その最低単位が実は三つでございまして、ある程度そういった地域的な広がりも当然必要ではないかということで三以上という形にしているわけでございます。

 したがいまして、そういう点でいきますと、三以上ということで、面積的な要素も当然入ってくるわけでございます。

寺田(学)委員 それでは、複数自治体がある程度、もう少し一層上の概念によって、広域という意味は、面積の大小ということは今お認めになられましたよね、もう一つ広域の方で、いろいろな自治体を包括してやる意味をもって広域と考える、自治体の数みたいな話、そういうこともこの広域行政ということを推進する上では御考慮されているんですか。今度は自治体の数の話です。いかがですか。

山崎政府参考人 ちょっと御質問の趣旨があれですけれども、今申し上げましたとおり、三以上の都府県を含むものということで、面積といいましょうか、三以上ということでございますので、その要素を今回条件にしてございます。

 したがいまして、その中で、自治体といいましょうか、結果として自治体の数も当然、いろいろな個別ケースですけれども、出てくるということでございます。

 何か、最初にまず自治体の数があってというんじゃございませんで、この法律案におきましては、まず三以上の都府県という形で今回整理させていただいている、こういうものでございます。

寺田(学)委員 まず自治体の数が先にあるというわけじゃなくて、今回は三以上の話をというと、それは自治体の数を前提にされて話されていますよね。いわば、三つ以上の都道府県と言われている以上、三ということ、それは複数なわけですよ。ということは、広域の考え方として、複数ある自治体の上に立つような行政をやるのが広域行政だと考えられている判断でよろしいんですね。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 自治体というのが、普通、地方公共団体といいましょうか、都道府県という意味でいけば、これは三以上になるわけでございまして、先生御質問が市町村の数かと私は思ったんですけれども、むしろ都道府県という意味では三ということになります。

 加えまして、今御質問で、三つの都府県以上と言っておりますが、この特定広域団体は別に三つの都府県が上にあるわけでございませんで、むしろそれが一緒になった地域という意味でございます。したがいまして、それを統括するという意味じゃなくて、まさしく、例えば合併等ございますけれども、そういう区域、三つ以上の区域を持ったまさに団体といいましょうか、そういう趣旨でございます。

寺田(学)委員 後で、なぜ合併が必要となるかの質疑はさせていただきたいと思うんですけれども、いずれにしろ、三つ以上のものが一つに、一つの都道府県、都道府県という言葉はよくないですね、一つのいわゆる今の県でいう自治体になった場合には政令で何とかという話になるということは、ある種一体化した上でそれこそ広域にやっていくんだ。基礎となる自治体数がどうであるということは僕は関係ないと思うけれども、このことは、今度は、では何で三つなんだという話につながってくるんです。

 ちょっと、九十分ということで余裕を見ていたら結構時間がなくなってきたので進めますけれども、面積という話は認められました、面積の大小がある。では、その面積の大小に関して、それは最後に認められましたよね、そういう意味においては面積の大小ですという話をされたので、面積の大小ということであれば、どれぐらいの面積がいわゆる広域と考えられるのかどうか、そこら辺の基準を教えてください。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 面積といって、私はある一定規模以上の面積ということをお答えした趣旨ではございません。三つという意味において、当然一つではございませんので、広がりはあるという意味でございます。

 したがいまして、何度も申し上げますが、法案上は三つ以上という言葉以上ございません。何度も申し上げますけれども、それが当然一つではございませんから、そういった面で、地理的な面積という面では関係するかもしれませんが、では、どれぐらいの基準かという具体的な面積的基準を今回考えている次第ではございません。

寺田(学)委員 三つ以上ということ、合わさる以上、ある程度の規模があるからどうこうというお話をされているんですよね。ということは、こちらとしては、ある程度の規模というのはどれぐらいなんだろうという疑問がわいてくるんですよ。

 先に進めますけれども、今お話をされている部分だけでいうと、広域行政というものが面積で考えられているのか、はたまた複数自治体の上を包括的にやることを広域行政と考えられているのか、いまいちはっきりわからないんです。

 具体的な例を出していろいろ考えたいんですが、私は秋田県出身で、うちのおやじがそこの知事をやっているんですけれども、物すごい道州制推進論者です。最初のうちは北東北という話で、青森と岩手と秋田で、三県で合併したらどうだろうという話もありましたけれども、最近ちょっとその議論というのは以前よりはごぶさたになっているような感じがあります。

 そこには、何かしらの政治的な理由があるのか、はたまた文化的な垣根が見え始めたのかわかりませんけれども、秋田と岩手だけでいわば道州を組む、道州を組むというとおかしいですね、特定広域団体に指定をしてほしいなという希望を持っていたとしたら、この法律上はだめなんですよね。いかがですか。確認します。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 何度も答弁しておりますが、三以上の都府県の全部をその区域に含むものに限るということでございますので、二県であればそれは対象になりません。

寺田(学)委員 何で三つなんですか。合理的な根拠を教えてください。

林副大臣 これは前の委員会でもあるいは御答弁したかもしれませんけれども、なぜ三以上の都府県が合併しないと対象にならないのか、なぜ二つでは、秋田と岩手でございましたでしょうか、だめなのかというお尋ねでございますが、まず、北海道に準ずる地方として考えるために、全国を見渡してみますと、北海道は非常に広いわけで、全国の五分の一でございますから、先ほどちょっとやりとりさせていただいたようなことでございましょうけれども、一つまたは二つの都府県の区域程度の広さでは適当ではなく、ある一定規模以上の広域ということ。それからもう一つは、県を越えた広域的な行政を担うブロック機関というものがございます。地方支分部局といったものでございますが、これがほぼ最小単位が三県で広域の管轄をしているということを御答弁させていただいているところでございます。

寺田(学)委員 今発言された部分でいうと、北海道に準ずる面積云々という話をされました。ということは、面積要件というのはある程度御想像されているわけですよね。その後、国の主なブロック機関の行政体の大抵の最小単位が三県になっているという話を附帯要件で出されました。

 後段は後でやるとして、まず一個目の、まさしく北海道に準ずる面積という話をされていたので、では面積というのはどれぐらいなんだろうと考えるわけです。

 「今がわかる時代がわかる日本地図」というのを持ってきて、各県の面積を調べてみるんですよね。岩手県が都道府県の中では道を除くと一番大きくて、一万五千二百七十九キロ平米ということになっています。一県でこれぐらいの大きさです。では、千葉と埼玉と東京と神奈川を足すとどうなるかというと、岩手より全然小さいんですよ。

 面積要件で考えたら、岩手県だって、まさしく四都道府県、都道府県とは言えないですけれども、四つの関東のいわば都とか県が合併したよりも面積的には岩手の方が大きいんですよ。福島だってそれに拮抗していますよ。秋田と岩手を足したら、もう比にならないですよ。面積要件という意味でいうと二県でも全然足りるんですよね。そういう意味でいうと、何で二県がだめなんですか。

林副大臣 やはり、数を定めようというのがまずあって、それで、定めるときになぜ二ではなくて三だというときに、全国的に面積を足し上げていって、二と三の間で線を引こうということでは必ずしもなくて、今二つ申し上げましたけれども、そういうことを総合的に勘案して一つの条件にしようということでありますから、一つずつ足していって、こことここは足したら確かに幾つになる、どれぐらいの面積になるという御議論は今委員の御指摘のとおりだと思いますけれども、今のそういう面積の広さのこととそれからブロック機関等のことを総合的に勘案して三つということが決まっている、こういうことだろうと思います。

寺田(学)委員 要件が二つあって、北海道に準ずるような面積という一つの面積概念があって、副大臣の以前の答弁の中で、これも森本議員ですね、先ほども答えられましたけれども、県を越えた広域的な行政を行う国の主なブロック機関は、これがほぼ大体最小単位が三県になっている。

 国として行政を行う上で三県を任意的に決めるのはいいんですけれども、まさしく地方分権の中で、いや、秋田と岩手でいいんだ、十分だ、国が三県でやっているから道州も三県でやれというのは、正直言うと国の発想の押しつけに近いわけですよね。都道府県の中で、いや、二県でやりたいんだ、言われるとおり北海道に準ずるような面積もとれるということであれば、別段、国の主なブロック機関の基準を置かなくとも構わないと思うんですね。

 それをなぜに国のブロック機関をわざわざ押しつけてくる、ブロック機関の大体最小単位が三県になっているというこの基準を、まさしく地方分権の一つの大きな形であるこの道州制の特定広域区域をつくる要件に挙げてくるのか、私はわからないんです。何で国の主なブロック機関の最小単位というものをこれに当てはめてくるんですか。では、副大臣。

林副大臣 基本的な考え方でございますが、国の基準で押しつけるということではなくて、今、広域の行政というのは、都道府県の上の広域の自治体がございませんから、国の出先というところがその広域の調整等をやっておりまして、実は、国の出先の地方支分部局と、それから今の広域に当たるような地区のところが、効率的に行われているのかという視点が一つあるわけでございまして、それは今までの委員会の御議論でもいただいていたところでございます。

 そういった意味で、それぐらいの規模で、国が広域としてやっている部分と同じぐらいの規模を持っていただきますと、今まさに北海道庁というのは、道庁というのと国の広域行政が一致しているということで、すぐにもやろうということでございますが、そういう効果も出てくるということでございますので、決して国がやっているからこの基準でということでは必ずしもないということを御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 では、二県の方で、両県が合意をして、道州制のための一つのステップである特定広域区域に指定してほしいという願いに関しては、三つでなきゃだめだから、法律で決めているからだめですという理由は、何ら説明責任を果たしていないんですよ。何で三つなのかという話でいうと、今るるいろいろお話しされた中で余り建設的な理屈がないわけですよね。特段、二つでいいと思うんですよ。何でですか。

林副大臣 今申し上げましたように、例えば、道州制特区の法案の一つの中身であります、国から特定広域団体、この場合は最初は道でございますけれども、北海道に権限を移譲するということになっておりますので、広域行政でやっている権能をおろす場合に、今の管轄区域でやっているところということでおろさせていただければ、そこがスムーズに進んでいくということが一つあろうか、こういうふうに思います。

 それと、今の三つなら三つのところを比べていただきますと範囲が合う、合うのならちゃんと権限を移譲することを検討してもらえるのではないか、こういうような考え方であります。

寺田(学)委員 国の出先が持っている権限を当該自治体におろすときに、要は、今国でやっている、考えている効率的な範囲というものを勘案しておろすから結局三つなんだという話なんですよ、今お話しされたことでいうと。

 それは、さっき土屋政務官が、今眠そうにされていますけれども、市町村合併の話をしたときに、市町村合併は国から押しつけるものじゃない、その基礎自治体、自治体が独自に判断をして合併するんだ、それに対して権限をおろすんだという話をされていたんです。

 けれども、いざ道州制の話になったら、三つ以上じゃなきゃいけない、その三つ以上である理由が、国の出先が今まで三つでやっていたから。そういう発想というのはまさしく地方分権にはふさわしくないと思うんですけれども、ちょっと答弁、私、間違えていますか。

林副大臣 間違えておられるというわけではなくて、合併自体はぜひ自主的に推進していただきたいと思うんですが、この道州制特区法案の一つの中身で、地方分権ということで推進するために、今現在国がやっている仕事を特定広域団体へ移譲していこうというのが一つあるわけでございます。

 その権能や事務というのは、要するに広域で調整をするということがございますので、今委員がおっしゃるように、国の方の今の仕事は三県でやっている、例えばそのうちの二県だけが特定広域団体になられたとして、今は法律上は三になっておりますが、例えばの話で申し上げますと、今度はその二と残りの一つについてまた調整の事務が出てくる、こういうことでございますので、国で今やっている調整の事務は残ってしまう。こういうこともあるわけでございますので、なるべくこの規模が合っていた方がいいだろうというような理解をしておるところでございます。

寺田(学)委員 今道州制の本当の議論の中で結構核心的なことを話されているんですけれども、区割りに関して言うと、今まで国がやってきた権限をおろすことをかなり重要ととらえた上で、区割りに関しても、一個が外れたらだめだから、そこを調整しなきゃいけないというような、ある種かなり国主導で区割りを決めていく発想に今副大臣はお立ちになられた発言をされていると思うんですよ。

 今後、今は法案の質疑をしていますけれども、一たん道州制そのものの議論に戻りますけれども、区割りに関して言うと、それは、一県があふれたらいけないとか、そういう理由で国がかなり調整に乗り出してやる、そういうようなことを考えられているんですか。

林副大臣 今の私が申し上げた御説明は、道州制そのものではなくて、この法案における特定広域団体がなぜこの数なのかというお尋ねがあったので申し上げただけでございまして、先ほど来大臣が重ねてお話を申し上げているように、道州制そのものについての議論を申し上げているわけではないということは御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 なぜに合併させるか、レクをいただいたときに、三県以上、三都道府県以上、それはなぜ三なのかというのは、今副大臣がお話しされたとおり、国の出先が持っている権限をおろすときにあふれたところがないように、あふれたところは、またそこはそこだけで独自に調整をしなきゃいけなくなるので、そういうことがないように三県以上でやる。今副大臣が言われた発言の中で、最小単位が三だからということなんですよね。

 とすれば、恐らく説明に来ていただいたときは、北陸がどうこうという話をされていました。北陸の方は何か三つぐらい最小でやっているんです、だからそれが三なんですという話もされました、それはお役所の方が言われたので、政治家の方が話されたのとは違うんですが。

 では、最小で三ということは、東北でいうなら六個あるわけですよ、いわゆる東北六県といいますから。それは二と二と二にも分かれるわけですよ。二つだけやって、残りを四つ今までどおりやるということも可能なわけですよね。三と三もあるわけですよ。三が、北東北だけが一体となって一つの県を構成しました、そこが特定何とか区域になりました、けれども残り三つはばらばらだった場合は、結局、東北の調整機能というのは必要になってくるわけですよ。

 そういう理屈から考えていくと、別に二つでやったって同じことなんですよね。今副大臣が言われた発言にのっとって考えれば、今国の出先機関でやっている、北陸は三つなのかもしれませんけれども、国の出先機関が管轄している県数じゃないと国はやれないということになるわけですよ。国は移譲できない、特定広域と認められない、なぜなら、あふれた人が出てくるからだ。

 そうしたら、三つ以上じゃなくて、ここに明文するのは、今回権限を移譲するであろう出先機関、国が今持っている出先機関が担当する、いわゆる東北地方なのか関東なのか、関西等いろいろあると思う、そのブロックで固まってくれないとだめだというふうにしか聞こえないんですよ。いかがですか。

林副大臣 冒頭申し上げたように、この基準をつくるときの基本的な考え方はどういうことなのかということでお尋ねがありましたので、例えばということで御答弁を申し上げておりまして、それぞれ個別に当てはめていくと、例えば、では沖縄はどうなのかというと、沖縄は一つでございますが、地理的な非常に遠いところにあるということもあって、国の出先もそういう取り扱いをしているところもあるわけでございますから、あくまでこの三つという基準を考えたときの基本的な考え方としては、今申し上げたような二つのことがあるのではないだろうかということで御理解いただいたらと思います。

寺田(学)委員 であるならば、別に三つというのを規定しなくてもいいと思うんですよ、今まさしく御説明されたとおりでいくと。三つと書く必要がないんですよ。

 時間もないので合併の話を進めますが、合併をして一つになったらいいという話をされているわけですよね。やや僕は疑問に思うのは、北海道というのはもともと一個ですよね。今度、特定広域区域でしたか、ちょっと間違えちゃうんですけれども、特別区域に指定される場合は、三つ以上のところが合併して一個にならなきゃいけない。

 結局、一個一個なんですよ。北海道も一、もともと何個かに分かれていたんでしょうけれども、北海道も一つの道として、北東北三つが合併したとしたら、そこも一つの北東北県としてやるということで完全に一体とした上でやるので、そこでも、では何で三つ必要なのかという話も出てくると思うんですよね。

 合併せずとも一部事務組合みたいな形で権限を付与されることに関して、合併する前に北東北三県が、権限移譲されることに関して協調し合ってその事務を担当しましょうという組織をつくっても、権限移譲は十分に受けとめられるわけですよね。それをなぜ合併にしなきゃいけないのかというのはいまいちわからないので、大臣に。

佐田国務大臣 何で三県なのかということを言われるわけでありますけれども、それとまた、なぜ合併しなくてはいけないのか。これはやはり、基本的な考え方は、できるだけ行政を簡素化して、そしてまた行財政改革を行うということが基本的な考え方でありまして、それともう一点は、先ほどお話がありましたように、やはり道と、北海道は一つですから、それと、広さだけではありませんけれども、あらゆる要素をいろいろ加味した場合には大体三県ぐらい以上だな、こういうことで三県というふうに法律には記させていただいております。

 それともう一点は、例えば三県以上といっても、あくまでも、これは合併するときに、その県同士が、自然だとか文化だとか歴史、こういうものをお互いに理解して、ちゃんと広域団体になるところの方々、県民の人たちが同意して三県になるということを、無理やり国がこうしなさい、ああしなさいと言うんじゃないということ、ぜひそれは御理解をいただきたい、こういうふうに思っております。

寺田(学)委員 そういう意味でいうと、北海道だっていろいろな文化がありますから、アイヌ文化もあるでしょうし、いろいろな文化がありますよ。それが一体であるかどうかというのは、行政体としては道として一体ですけれども、その部分のすり合わせはできていないですよね。それはなぜ住民投票でもかけてやらないんでしょうか。何でそこは一体であると大臣自身が言い切れるのか、そこら辺がよくわからないです。

 今、三県合併の話でいうと、三県が独自にその部分に関して、自然、文化、経済が一体化しているかどうかを議論して、その人たちが決めるからいいんだと言っているんですが、北海道はもともと一個で、けれども、ちゃんと調べていけば、文化だっていろいろ多彩なわけですよね。それが一体であるということは、まだ言える状態にないと思うんです。何で言えるんですか。

佐田国務大臣 先生、一体じゃないといえば一体じゃないということを言われる。例えば県の中だって、市が、例えばうちの群馬県の前橋市と高崎市、一体じゃないかといったら一体じゃないけれども、同じ県であるということは、やはりそれは一体です。県民性といえば県民性で一体です。しかしながら、前橋と高崎というのは歴史が違うわけですから、それは一体性と言えないといえば言えないわけであります。

 だから、そういう理屈を言い始めたらこれは切りがないのであって、そういう意味におきましては、ぜひ御理解いただきたいのは、やはり北海道というのは明治維新から歴史が一緒に来ているわけですから、明治十九年に札幌、函館、根室が合併して以来ずっと一緒に来ておるわけであります。

 その中で、もう一つ、今委員が、住民投票をすべきだ、こういうふうなお話がちょっと出ました。それは憲法九十五条にかかわることでありますけれども、そういう中におきましても、先般の委員会でも議論をさせていただきましたけれども、本当に我々はできる限りのことはやらせていただいております。

 四百回以上にわたる説明会であるとか、タウンミーティングは北海道で一回でありますけれども、地方で、九州と関西でもやっておる、そういうことでありますので、できるだけ御理解をいただくという方向で全力で努力をさせていただいているということは御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 何か、ありし日の麻生総務大臣を思わせるような広範な御答弁で、僕が何を聞いていたかわからなくなるんですけれども、私自身は一体であるかどうかは一度住民に諮られた方がいいと思うんですけれどもね。

 それは、いろいろタウンミーティングをしたんだ、でも、道が一体だったらそれは一体なんだ、一つの自治体だったら一体なんだと強弁されるのは、なかなかちょっと政治判断が過ぎるような気もしてならないので、そこら辺は御慎重に考えられた方がいいと思います。

 特定地域の認定のプロセスに関してもお伺いしたいんですが、まさしく北海道はもう無条件で、大臣が言われるとおり、自然やら経済やら文化が一体となっている一つの自治体だということで、無条件になっています。

 では、その残りの後段の方です。三県がということはいまだ僕はひっかかっているんですけれども、それは今回いいとして、三県が「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる」という、非常に主観的で抽象的な話があるんです。

 この相当程度というのは、まずはだれが判断するんですか。

 大臣が手を挙げているので、大臣に。

佐田国務大臣 三県で、先ほど委員も言われたように、例えば秋田と岩手が非常に近い部分も歴史的にあるとか、それがやはり自然、文化、伝統ということで、うちの県で言わせていただくと、新潟県から来ている方が相当います。昔から、江戸時代からですね、非常に群馬県には新潟から来ている方もたくさんいらっしゃる。そしてまた、群馬県は、いろいろな意味で栃木県とも非常につながりがあるわけであります。

 しかしながら、それはいろいろな自然、文化、伝統の問題はありますけれども、いざ合併ということになった場合には、やはり県民の意見をできるだけ聞いて、その中で合併を進めていくというのが自然であり、この法案の趣旨にもかなう、こういうふうに思っております。

寺田(学)委員 では、その自然やら経済やら社会が相当程度一体化しているかどうかは、合併しているかどうかということでよろしいんですね、大臣。

佐田国務大臣 合併しているかどうかではなくて、要するに、財政面でも、いろいろな行政の面においても、歴史からいっても、例えば今いる知事さんやら住民の皆さん方やら行政の方々、財界の人たち、基本的には住民の皆さん方が、あの県とこの県、では、合併しましょうよ、それは申請があれば国会で承認されて合併されるわけですから、そうなれば、その時点で特定広域団体に申請することはできるわけですね。

寺田(学)委員 今、語尾の部分で、申請することができるという言い方をされたんですよね。

 私がお伺いしたかったのは、大臣が言われている言葉を全部引っ張って、北海道の話をされたんですよ、だって、一つの自治体じゃないかと。だから、それはいろいろ言われるけれども、自然やら経済やら社会やら文化が一体なんだ、それはみなせるんだと言っておきながら、では、いわゆる政府の要件にのっとって三県が合併したら、自然やら経済やら社会やら文化が相当程度一体となっていると認められるのは、三段論法でいくと、そのとおりになるんですよ。それでよろしいんですか、大臣。

佐田国務大臣 ですから、要するに、それは自然であるとか歴史であるとか文化であるとか、こういうものが一体であるというところは、主観的な部分もあります。自分の親戚がいたり、いろいろなことがあるわけです。ただ、歴史的に非常につながっている場合もあるんです。自然がつながっている、同じ山が県をまたいで同じあれがある、それで温泉もつながっているとか、そういうこともあるんですよ。

 だから、そういうことを全部加味して、その中で住民の皆さん方に御理解をいただき、県民の皆さん方に御理解をいただいて合併が進んでいく、こういうことです。

寺田(学)委員 聞きたいのは、三県が合併している場合であれば、文化やら何やらを一体とみなしていいんですかというのを大臣にお伺いを、では、参考人でいいです。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 これは法案の内容でございますが、第二条に書いておりますのは、先ほど来申し上げていますが、「北海道地方又は自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方」、その中で、さらにその条件としまして、(三以上の都府県の区域の全部をその区域に含むものに限る。)ということでございます。

 したがいまして、いわば二つ要件が書いてあるわけでございますが、三以上の都府県のまさに合併したものであるとともに、「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方」、この両方にまさに該当するものがこの特定広域団体という形になってくる、このように考えられる次第でございます。

寺田(学)委員 質問に全然答えてもらっていないので、もう本当にお願いしますよ。

 大臣が言われたんですよ。北海道は一つの自治体だから、それは周りから、いや、一体じゃない、何だと言われても一つの自治体なんですよ、自然や文化や何やらが一緒なんですよと。こっちの方から住民投票をやれよという話を出しても、それを諮れと言っても、だって一体なんだものと。一つの自治体なんだから一体なんですよという話をさっきされたんですよ。

 ということは、その後半にある、三つの都道府県が合併をしたことは、いわば一つの自治体になるわけですから、自然やら経済やら社会や文化が相当程度一体となっているとみなされるんですよねというのを聞いているんです。

佐田国務大臣 合併して一つの行政機関になってくる、そうなってくれば、経済でも自然もつながっているわけですから、自然もそうだし、歴史も近い部分がありますから、そういうことは言えると思います。

寺田(学)委員 今度はちょっとややニュアンスを変えられて、合併したら、それは経済やら何やらが一体化するんだと、後づけ的な発想をされる……(佐田国務大臣「合併したら一緒だと言ったじゃない」と呼ぶ)いや、合併したら一緒だと言うから、それは文化も一緒なんですかというのを聞いているんです。

 では、逆の方向から聞きますけれども、三県が合併したときに、いわゆるこの法案で言う自然やら経済やら社会やら文化が相当程度一体とは認められないようなケースも出てくるんですか。大臣、いかがですか。

佐田国務大臣 ですから、三県が合併すれば著しく違うということはないと思いますよ。そうでなかったら、やはり県民の皆さん方も、三県が合併するという機運が起きませんから、そういう意味におきましては、自然に考えるならば、当然やはりそれは一体性がある、こういうことです。

寺田(学)委員 今度は、合併したら一体性があるということですよね。

 繰り返し聞きますけれども、合併した際に、一体じゃないケースがあり得るというふうに思われているのか、いや、合併したのであれば、今まで言われたとおり一体だと言われるのか、大臣いかがですか。

佐田国務大臣 ですから、それは、合併して三県が一体になれば、例えば経済であるとか文化であるとか、こういうことの一体性が深まることは事実です。

寺田(学)委員 いや、合併すれば一体となることでありますと言われるので、どうなんでしょう、三県が合併をしました、うちらをこの法律にのっとって特定広域団体に認めてくださいと手を挙げました。その場合に、だめだ、あなたのところは認めないよということはあり得るんですか、あり得ないんですか。大臣に聞いているんです。

佐田国務大臣 別にそれは、手を挙げて、三県以上ということであるならば、これは認めるということですね。特定広域団体となるということです。

寺田(学)委員 ということは、北海道以外のところが特定広域団体になるためには、法文を読むと、自然やら何やらが相当程度一体である、その上で合併をして政令で定められるんですよ。その三番目の政令で定めることに関しては、ほとんど事務的な手続だ、合併しているんだもの、それは一体なんだというふうに大臣がお認めになられて、事務的に政令で認定するという判断でよろしいんですか。大臣に。

山崎政府参考人 済みません、事務的な内容でございますので。

 今申し上げましたとおり、これは法案でございますから、第二条におきまして、北海道地方以外としましては、「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域」、これがまず一番の前提でございます。その上で、「三以上の都府県の区域」ということでございます。

 先ほど来申し上げておりますのは、当然、合併の中でそういう一体性を持った合併というのはあるわけでございますが、合併の中でも、これは例外かもしれませんけれども、密接な関係が相当程度認められるかどうかにつきまして、私どもが今回置きます道州制特区の推進本部等におきまして検討いたしまして、その上で、これでまさに政令指定等、当然この場合は、当該団体からの要望等を踏まえたということになりますけれども、検討の上、政令指定が必要であれば政令指定する、こういう形になるわけでございます。

寺田(学)委員 ちょっと、大臣の言っていることと役所が言っていることが違いますよ。大臣は、もう一体であるから認めるんだとさっき言われたじゃないですか。それを、今度は推進本部の方で検討させていただくと留保したじゃないですか。これは全然違いますよ。(佐田国務大臣「事務的にはまだ言っていないです」と呼ぶ)事務的には言っていないって、大臣が今……(発言する者あり)

佐田国務大臣 ですから、私、言ったでしょう、別に。ただ、事務的な問題のところまでは言及していませんよ。特定広域団体とは認めますけれども、その時点でやはり検討して政令で定めていくわけですから。そうでしょう、事務的に検討をして政令で定めていくわけですから。

寺田(学)委員 いや、ちょっと待ってください。

 特定広域団体を政令で定めるんじゃないんですか。事務方の方、どうですか。特定広域団体を政令で定めるんですよね。

山崎政府参考人 委員の御質問は、どういう形で定めるかという手続を御質問ありましたので、申し上げました。大臣の御答弁は、そもそもこれについてどう考えるかという、考え方でございます。

 事務的な手続で申し上げますと、例えば、三以上の都府県が合併いたしまして、そこが、法文にありますように、「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方」、これに当たるかどうかについて、推進本部等において当然これを検討いたしまして、当たるということであれば政令においてこれを指定する、こういうことでございます。

寺田(学)委員 だから、聞きますよ。では、推進本部の方で、合併しているにもかかわらず、一体感がないねということで特定団体と認めないことはあるんですよね。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 具体的には、そういう合併ケースがありました、まさに個別ケースにおいて、個別具体的に検討する形になるわけでございます。合併というのは、どういう形で進むか、いわば、さまざまな、実際あり得る可能性はどうかわかりませんが、例えば飛び地で合併したり、そういったことも決して想定できないわけではございません。

 したがいまして、何度も申し上げますが、この法文にありますように、「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方」、これに当たるかどうかについて、当然そこで検討いたしまして政令で指定する、こういう形でございます。

寺田(学)委員 答弁を一本化してほしいんですけれども、大臣は、合併したら相当程度一体となっていると言っているんですよ。それで、今、今度は事務方の方で、合併して、それを認定してくれと上げてきたときに、さまざまなケースを考えて、一体となっているかどうかに関して考えた上で留保して判断するかどうかと言っているんですよ。

 では、はっきり言って、合併したら地方は特定団体と認められるんだと思って合併するところだってあるわけですよ、一生懸命すり合わせて。それで、頼みますよと申請した瞬間に、大臣は、合併したのならもう文化は一体化しているんだと言っておきながら、今度は推進本部の方で、いろいろなケースを見て考えなきゃいけませんと言われるなら、自治体の方はどうやってやればいいんですか。何を信じてやればいいんですか。

 法案だって、もう要件書いているじゃないですか。一体となっているかどうかが要件なんでしょう。それで、それが合併していればいいわけでしょう。合併しているんだったら一体化していると大臣が言っているんですよ。それを、今度は推進本部で何を判断するんですか。判断するんだったら法律に書いてくださいよ。

山崎政府参考人 正確に申し上げます。

 この法案の第二条というのは、先ほど来申し上げますが、「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方」、その中に括弧がございまして、(三以上の都府県の区域の全部をその区域に含むものに限る。)こういう形でございます。つまり、いわば、これは両方の部分が要件でございます。

 そして、大臣が申し上げましたのは、基本的に合併といったものをする場合においては、さまざまな御議論があるわけでございますので、いろいろな中でいきますと、そこで一体性が当然確保されている地域、もしくはそういうものが合併というのは普通に考えることができるんじゃないかということでございますが、私は、法案の解釈としまして、そういう可能性はないかもしれませんが、例えば非常に離れた地域が、あり得ないかもしれませんけれども、そういうケースも一応法案上は想定する必要がございますので、合併においても、今申し上げましたように、相当程度の密接な関係性、これについては、やはり当然それを見て政令指定を行っていく、こういう形になると申し上げている次第でございます。まさに、ウエートのつけ方の違いでございます。

寺田(学)委員 相当程度、国の方が要件を縛りつけているような気がするんですよね。何で二つじゃなくて三つなんだということに関しても、先ほど副大臣の方が言われているように、国の出先機関がどうこうで、一個あふれたらよくないからそれを調整するだ何なんだという要件をつけて、では、三つで合併します、そういう理屈を飛び越えて三つでやりますよと言えば、今度は、それはそれで推進本部の方でちゃんと一体化しているかどうかを判断させてもらいましょうといったら、何というんですかね、さっき大臣とか政務官が言われている言葉は、田舎のことは、地元のことは一番地元がわかるんですと。まさしく、文化なのか自然なのか経済なのかが一体化しているかどうかは、霞が関にいたってわかるわけないでしょう。絶対地元の方がわかっていますよ。だから合併するんですもの、そう大臣は言っているんですもの。

 だとしたら、今度は何を政府の方で判断するのか、判断基準は何なのかという話なんですよ。飛び地だったらよくないというような話もされましたけれども、では、飛び地だったら、けると書いてくださいよ。全然法律として明確性がないんですよ。

 大臣にちょっと確認します。

 先ほどの政府の方からの答弁にいくと、大臣は、自然やら経済やら社会、文化というのは、合併している以上は一体化だという話をしているけれども、言い方によっては、この法文に書かれている自然、経済、社会、文化とは何かやや違った意味で、地元は地元で考えてやっている意味で、自然と経済と社会と文化は一体化するんですよと。それと、この法案に書かれているこの四つの、文化とかの四要件とは違うんだというようなニュアンスを言っているんです、そこら辺はもう端的に言ってほしいんですけれども。

佐田国務大臣 その前に、寺田委員、決して縛ってなんかいると私は思いませんよ、全然。(寺田(学)委員「では、三つというのはやめてくださいよ」と呼ぶ)三つといったって、先ほども申し上げましたように、林副大臣の方からもありましたように、基本的に、最初は北海道、北海道が一つ。そうしたら北海道だって一体じゃないよ、こう言われましたけれども、北海道というものを考えた場合に、例えば東京とか神奈川なんかは狭いじゃないのというふうに先ほど言われましたけれども、やはりいろいろなことを勘案して、いろいろな、人口も含めて勘案してやっているわけでありまして、それともう一点は、今、合併をしたら経済、文化、そういうものが一体であるということを私は発言させていただきました。

 それは、そうじゃなかったら、実質的に考えて、全く関係のないところと合併するわけないわけです。ですから、要するに、経済、文化、社会、伝統も入ると思いますよ、昔からの歴史もある、そういうものがやはり一体に近い。それで、先ほども言ったけれども、山を越えたら次は隣の県であったとか、そういうものの一体性だとか昔からの一体性、そういうものの中で合併をすれば、当然これは一体性が出てくるんじゃないかということを申し上げているんです。

寺田(学)委員 何度もお伺いするとおり、合併したら特定広域団体に認められていいんですよね。それは、政府の方は留保させてくれ、それはそれでまた判断させてくれと言っているんです。どっちなんでしょうか。

 自治体としても、本当にこの法案ができたことによって、北海道限定じゃないとさんざん言われていますから、北東北三県が、よし、これのために頑張るぞというふうにやり始めていくわけですよ。そのときに、政府が相当程度というよくわからない抽象的なことだけでもって政令で指定するかどうかを裁量権を持たれたら、そんなもの、不明確きわまりないですよ。

 だから、大臣に聞いたら、大臣は、合併しているなら一体だと。だとすれば、合併したら政令で認定されるんですよね。いいんですよね。それはいいですよね。それだけ確認させてください。大臣、大臣に確認させてください。

佐田国務大臣 だから、要するに、相当程度一体かどうかということではなくて、政令で定めるということは閣議決定するわけですから、その前にある程度それは検討するのはやはり当然のことでしょう。地域地域、どこどこと合併して、ちゃんと事務的な問題も含めて、それは当然のことだと思いますよ。

寺田(学)委員 いや、検討するんですよという話をされて、何を検討されるんですか。どういう項目、どういう基準でそれを検討されるんですか。自然、何とかじゃないんですか。

佐田国務大臣 いや、ですから、基本的には、一体性はあるかもしれませんけれども、どういうケースが生まれるかまだ実質的にわからないわけですから、そういう意味においては、では絶対ですよというふうに言うわけにいかない。だから、政令で閣議決定をするわけですよ。これから現実的にはどういう組み合わせが出てくるかわからないわけですから、それは御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 もちろん、現実的には、青森と三重が合併するということは現実にはまずないわけですけれども、一応仕組みとしては、もう一県ぐらいどこかくっつけて、三重と、では今度は鳥取だ、その三県でやりましょうということは、制度としては可能でしょうけれども、現実的にはないと思うんですよ。

 もちろん、留保したいのはわかるんですけれども、法律を書く上ではやはり明確じゃないといけないというのは、それは法律という意味においては絶対だと思うんですよ。その明確性がないわけですよ、相当程度という言葉を出しているわけですから。

 文化が一体としているかどうかに関しては、先ほどから大臣は、地元が一番わかっていて、その地元が合併したのであればほとんど、ほとんどということなんですけれども、それは一体化しているんだと、北海道の例を出して言われているわけですから。

 だとしたら、もう何を判断するのかわからないわけですよ。もしその判断基準が何かあるんだとしたら、今のうち、答弁ででもいいですから、法律に書くのは難しいとしても、何か政府の方で、県が合併した後に、判断するときに新たな指標が出てくるのであれば言ってほしいし、それはどういうふうに判断されるのか、今のうち言ってくれないと、三県で合併しようとするところだって将来が見えないわけですよ。

 特段新しい指標で考えるわけではないんですよね。まさしく言われるとおり、自然、経済、社会、文化が相当程度一体化しているかどうかを改めて政府で判断する、そういうことでよろしいですか、大臣。

佐田国務大臣 ですから、私が申し上げているのが非常に自然だと思うんですよね。要するに、合併するとき、例えば青森と鹿児島の方が合併するとかそういうことは基本的にはないわけですから、やはりある程度、文化、伝統、社会、そういうものが一体性を持ったところが合併するわけです。ただ、現実に、私が申し上げたような、政令に定めるということは閣議決定をするわけですから、その前に、どういうふうな形で、合併の経緯であるとかそういう事務的なことも含めて検討するのは当然のことだと思います。

寺田(学)委員 では、法律の主語の話をしますけれども、相当程度であるかどうかを判断するのはだれかと聞かれたら、政府だということでよろしいんですね。御答弁ください。

佐田国務大臣 はい、そうです。

寺田(学)委員 地理的な密接性というのは、それに関して、判断する場合において関係するんですか、先ほど例示されていましたけれども。どうですか、大臣。

 例えば、青森と、秋田、岩手を越して、宮城を越して、福島と山形とで合併しました。地理的には乖離しているわけですよ。そういうことに関しても判断されるんですか、政府の方では。大臣、どうですか。

佐田国務大臣 対象となり得る団体が出てきた段階で、地理的な密接性についても勘案した上で、個別具体的に道州制特別区域推進本部等において検討し、当該団体の要請等も踏まえ、内閣において政令で特定広域団体を定める、そういうことです。

寺田(学)委員 地理的な密接性に関しては一言も書いていないんですよ。何で書かなかったんですか。大臣、どうですか。

佐田国務大臣 ですから、いろいろな要素があるから、お聞きになったのでそういうふうに申し上げたんです。だから、地理的な問題も勘案してこういうふうに検討して、政令で定めるということです。

寺田(学)委員 だから、いろいろな要素があるんだったら、書いてくれないと明確じゃないですよ。

 これをしゃんしゃんと通してくれという話があったと思いますけれども、全然、漠として、何をやりたいかわからないわけですよ。どうなったらどうなるかもわからないわけですよ。何で三つなのかも、建設的な話が書かれていないわけですよ。質疑したって何を言っているかわからないわけですよ。

 本当に北海道限定じゃないんだというのであれば、北海道限定じゃない、いわゆる後段の要件に当てはまる人たちがどうなったらちゃんと特定されるのかということは明言しなきゃいけないでしょう。

佐田国務大臣 ですから、寺田先生、合併したけれども広域団体に指定されなかった、私はそういう非現実的なことはないと思いますよ。やはり、非現実的というけれども、要するに、期待をしているならば、その前段階からいろいろと本部とも打ち合わせをしながらきちっとやっているわけですから、これは。そしてまた、一体性も含めて、現実的には、やはり非常に近い県でやるというのが現実的なんだから、それは、物すごく縛っているという言い方は私は当たらないと思います。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

寺田(学)委員 時間が終わりましたので、本部と打ち合わせしながら合併を進めていって、その三県合併が行われたときにはほぼ自動的に認められるんだという解釈で理解したいと思います。

 九十分、おつき合いありがとうございました。

戸井田委員長代理 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 ただいまは我が党の寺田委員から、非常に若々しく、原則論に徹したすばらしい質問でした。

 感想を言わせていただきますと、これは憲法九十五条に基づく住民投票をやりたくなくて三県まで入れた、しかし、青森、秋田、岩手、三県合併してもらっても困る、何か私はそんな感想を持ちまして、非常に変な法律だなと思いながら伺っておりました。

 私の方は、竹中前総務大臣がまとめました地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告書によりますと、さらに地方分権を促進して、十年後には道州制へ移行するというビジョンが描かれているようでございますけれども、この法律、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案で道州制の先導的モデルをつくり得るのか、そういう観点から質問をさせていただきますので、佐田大臣におかれましては、ぜひ簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思います。

 まず、この法律案の目的について、三点お伺いをいたします。

 一つ目は、地方分権の推進に資するという目的でつくられておりますが、具体的にどんな点が地方分権の推進に資するのか、お伺いをしたいと思います。

佐田国務大臣 今、本当に広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみまして、これは合併も進んでいますから、将来の道州制導入の検討に資するために、特定広域団体となり得る北海道において、国の事務事業の移譲等の特別の措置を講ずるものでありまして、言いかえるならば、これは地方分権が進んでいく、要するに、税源、財源、そして権限を移譲していく、こういう最たるものだと思います。

福田(昭)委員 佐田大臣の答弁は非常に簡潔明瞭で、お答えがありましたけれども、全く具体的じゃありませんね。権限の大幅な移譲もありませんし、税財源の移譲についても規定してありませんし、どこでそんなことが実現されるのか、大変、これは全くわからない法律じゃないかなというふうに思っております。

 二つ目でありますが、それでは、行政の効率化に資する点、そこはどこなのか、具体的に教えていただきたいと思います。

佐田国務大臣 広域にわたります行政の重要性というのは先ほども申し上げましたけれども、将来の道州制導入の検討に資するために、特定広域団体となり得る北海道において、国の事務事業の移譲等の特別の措置を講ずるものでありまして、国から特定広域団体への事務事業の移譲が推進されることによりまして、行政手続の窓口が特定広域団体に一本化されますので、さらに国の地方支分部局のスリム化が図られるなどの効果も期待できまして、行政の効率化ということは進んでいく、かように思っております。

福田(昭)委員 これまた抽象的で具体的じゃありませんね。

 道からの提案がありましたけれども、その中で、後で詳しく申し上げますが、国の地方支分部局と道の組織、あるいは事務事業のあり方について、全く検討の対象にほとんど含まれておりません。それから、さらには、道庁の十四の支庁と市町村との組織及び事務事業のあり方についてどう検討していくのか、そこがなければ、行政の効率化には役立たないのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

佐田国務大臣 これは、先生、この法案によって、今は権限、税源、財源の移譲が確かに少ないと思います。しかしながら、これによりまして、基本的には、基本方針が最初でありますから、またこれを、北海道のいろいろな意見そして道議会の議決をいただきながら、かなりの数をふやしていく、税源、財源、権限の移譲をふやしていく。もちろん、そうなってくれば、道にこれを権限移譲するということになれば、その後に、道から基礎的自治体に対して、これをまた権限もおろしていく、そういう方向で進めるつもりでございます。

福田(昭)委員 方向性は間違っていないようでございますが、実際にそうできるかは別問題といたしまして、それでは三つ目は、北海道の自立的発展に寄与する点について具体的にお伺いをしたいと思います。

佐田国務大臣 広域にわたります行政の重要性が増大しているわけでありますけれども、特定広域団体となり得る北海道において、事業の移譲、特別の措置を、先ほど今申し上げましたように、基本方針の中で進めていきたいと思っております。

 新たな提案というか、そういう提案につきましては、関係市町村への意見聴取や議会の議決を経ることから、地域の課題を踏まえてなされることを期待しており、その提案を踏まえて新たに移譲される事業事務を特定広域団体が主体的に実施することにより、北海道などの特定広域団体の自立的発展が図られるもの、言いかえるならば、できる限り北海道の道民の皆さん方、市町村の意見、そして、最終的には特定広域団体の議会の議決をいただいて決定していく、こういうことです。

福田(昭)委員 これまた抽象的ですね。具体的になっておりませんね。

 最初から申し上げておりましたが、地方分権の推進に資する点として、権限の大幅な移譲もない、税財源の移譲もない、また、国の地方支分部局と道の組織との統合とか、あるいは事務事業の統合とか、そんなこともない。それから、十四支庁を含む道と市町村の組織及び事務事業のあり方などについての対応もない。さらに、憲法九十五条に基づく住民投票もない。こんなに手足を縛っておいて、さあ、やれと言っても、北海道は困っているのじゃないでしょうか。とても自立的発展などにつながらない、私はそう思います。

 後ほど、また詳しいお話はさせていただきますが、そんなことをまず最初にお話をさせていただいて、次に、道州制の特別区域についてお伺いをいたしたいと思います。

 五点ほどお伺いをしたいと思いますが、一つは、国と地方の役割分担についてお伺いをいたします。

 地方自治法第一条の二には、国と地方との役割分担の原則などが書いてございますけれども、道州制がもし施行されるということになりますと、国と地方の役割分担というのは変わるのでしょうか、それとも全く同じなんでしょうか。お尋ねをいたします。

佐田国務大臣 今、国と地方の役割分担のお話がありましたけれども、地方自治法において、国において国際社会における国家としての存立にかかわる事務などの、国が本来果たすべき役割を重点的に担いまして、地域における行政、特に、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、適切に行われるべきものとされているところでありまして、道州制を導入する場合には、こうした規定を踏まえて、国、広域自治体及び基礎自治体の間の役割分担を体系的に見直しまして、都道府県から市町村へ、また国から道州への大幅な権限移譲を行うことが重要であるというふうに認識しております。

福田(昭)委員 今の都道府県よりは、道州に対してはもっと権限の移譲、あるいは税財源の移譲が行われる、こういう話でしょうか。

 それでは次に、道州制の定義及び道州制が担う事務について、ぜひお聞かせいただきたいと思いますが、お手元に参考資料をつけてございますので、参考資料の一をごらんいただきたいと思います。

 これは、御案内のとおり、第二十八次の地方制度調査会がまとめた、「道州制の下で道州が担う事務のイメージ」でございます。

 これを見ますと、私も不十分なところがまだまだあるなと思っておりますが、こうしたことを踏まえて、大臣は、これから道州制を進めるに当たって、道州制の定義、そして、道州制はどんな事務をやっていったらいいかというようなことについて、お考えがあればお伺いをしたいと思います。

佐田国務大臣 福田先生はもう行政のプロですからあれなんですけれども、道州制については、先ほどもお話にありましたように、第二十八次地方制度調査会の道州制のあり方に関する答申において、広域自治体として、現在の都道府県にかえて道州を置くものと位置づけているところであります。

 道州が担うこととなる事務については、現在都道府県が実施している事務は大幅に市町村に移譲される。道州は、「圏域を単位とする主要な社会資本形成の計画及び実施」、また、「広域的な見地から行うべき環境の保全及び管理」、そしてまた、「人や企業の活動圏や経済圏に応じた地域経済政策及び雇用政策」などの広域事務をかなり幅広く担うことになってくる、こういうことでございます。

福田(昭)委員 それでは、今お答えいただきましたが、今回のこの道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案でございますが、本法律案をつくるに当たって、この第二十八次地方制度調査会の答申書は参考にされたのでしょうか。いかがでしょうか。

林副大臣 二十八次の地方制度調査会の答申は、委員よく御案内のとおり、道州制そのものについての御議論があって答申を受けたものでございまして、本年二月末に内閣総理大臣に提出されておりますが、ここには、「国と基礎自治体の間に位置する広域自治体のあり方を見直すことによって、国と地方の双方の政府を再構築しようとするものであり、」現在の都道府県にかえて道または州を置くものというふうに記述されて、委員の御案内のとおりでございます。

 これに対しまして、本法案は、ずっと議論の中で出てきておりますように、現行の都道府県制度を前提として、将来の道州制の導入に資するということのために、北海道またはこれに準ずる地方の区域を特別措置を講ずる区域として設定するということでございます。

 この法案を通していただければ、先ほど来大臣からも御答弁いただいているところでございますが、道州制に対する国民的な理解が深まるのではないかというふうに我々は考えておるところでございます。

福田(昭)委員 この地方制度調査会の答申は、十八年の二月二十八日に答申されているんだから、少なくともこれを参考にしてこの法律をつくるという必要があったんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

林副大臣 道州制の特区法案ということでございまして、広域自治体の定義そのものが都道府県を前提にしておると御答弁をさしあげたとおりでございますので、全くこれを見ないで、全く知らずにという趣旨ではございませんが、あくまで、二十八次地方制度調査会の答申というのは、国と基礎自治体の間の広域自治体というのを位置づけて道州制そのものの議論をしようということでございますので、全く無視したということではなかろうかと思いますけれども、一つ違うもので認識をしながら、この法案はこの法案でつくったということだと思います。

福田(昭)委員 事情はよくわかりました。しかし、こうしたことも踏まえないでこの特区法案をつくったために、先ほど寺田委員から指摘されたようなちぐはぐがちょっと起きているんじゃないかなというふうに思っております。

 それはそれとして、実は、この調査会の報告書によりますと、地方自治制度は二層制でやる、もし道州制が施行された場合には道州と市町村の二層制でやる、こういう考え方が出ております。

 我が国で市町村合併がどんどん進められてきましたが、私が非常に心配しておりましたのは、市町村合併を進めるに当たって、我が国の地方自治を二層制でやるという議論なしに実は市町村合併だけどんどん進めさせたんですね。ここがいま一つ、道州制を進める上で非常に問題点が出てきたり、特に、広い北海道をモデルにして道州制をやるということになると、解決すべき課題が非常に大きいのかな、あるのかなというふうに思っております。

 今後、市町村、地方自治のあり方、二層制、三層制、どういうふうにこれから進めていこうとしているのか、その辺もお伺いできればと思います。

佐田国務大臣 あくまでも、この法案によりまして、できる限り、権限、財源、税源を、今回は特定広域団体は北海道ですけれども、北海道に移譲して、北海道から今度は基礎自治体に対して移譲していきたい、そしてできる限りのスリム化を図っていく、こういうことであります。

 また、権限、財源、税源につきましても、今ある提案だけではなくて、これから相当数を北海道の方からお聞きして、北海道の自立性を尊重して進めていきたい、こういうふうに思っています。

福田(昭)委員 ぜひそう願いたいと思いますが、私は、しっかり議論しておけばよかったなというふうに思いますのは、北海道は特に土地が広くて、後でも申し上げますが、市町村合併がなかなか進まない、そういう地域でございます。

 そうしたことを考えると、フランスの場合は土地が広くて、人口も日本の人口の半分ぐらいしかいない。そうした中で、フランスの場合は、実は、州があって、県があって、市町村、コミューンがある。地方自治、三層制でやっております。一方、スウェーデンの場合は、二千五百もあったコミューン、市町村、これを二百七十五のコミューン、市町村に法律に基づいて合併をさせて、少子高齢化社会、いろいろな社会の変化に対応させている、実はこういうことをしっかりと議論した上で市町村合併なり地方自治の充実というのを図ってきたんです。

 残念ながら、我が国では、その議論が行われないままに、市町村合併だけ先に突出して進めたということが、これから我が国で地方自治を進めるにおいて、ここのところをしっかり押さえて道州制を進めていかないと、私はなかなかうまくいかないんじゃないかなと思っておりまして、そこのところを後で、佐田大臣の考える、北海道における理想的な道州制はどういうふうに考えているかというのはお伺いしたいと思いますが、そんなことを指摘しておきたいと思います。

 それでは次に、三点目でありますが、先ほどから随分話がありましたが、道州制と道州制特別区域には違いがあるようでございますが、その違いがどこにあるのか、お伺いをしたいと思います。

林副大臣 先ほど、二十八次の地方制度調査会の答申のところでも申し上げたところでございまして、若干繰り返しになるところもございますが、二十八次の地制調の答申に道州制については詳しく書いておりまして、現在の都道府県にかえまして、新たな広域として道または州を置くということがこの道州制の直近の定義であろう、こういうふうに思っております。

 一方、本法案では、繰り返しになりますが、現行の都道府県制度を前提として、将来の今申し上げました道州制導入の検討に資するために、北海道またはこれに準ずる地方の区域を国の権限移譲等の特別措置を講ずる区域として設定をするということでございまして、そういった違いがあるというふうに理解しておるところでございます。

福田(昭)委員 道州制と特別区域は違うということでございますか。

 それでは次に、権限の移譲についてお伺いをしたいと思いますが、資料の二をごらんいただきたいと思います。これは北海道の提案事項に対して本法律案で措置した事項が書いてございます。

 こちらを見ていただきますと、北海道が提案した事項十三項目のうち、採用されましたのは、一部採用も含めて六項目ですね。それから、他の法律により措置したものが二項目、国土交通大臣の告示で改正措置を予定しているものが一項目、措置が全くなされなかったものが四項目ということになっているわけでありますが、この権限移譲の状況をごらんになって、大臣はどう思われますか、お伺いしたいと思います。

佐田国務大臣 今お話がありましたように、要するに委員は、これは少ないねということだと思うんですけれども、要するに、省令だとか政令で処理できるものは処理して、また法案にせざるを得ないものは法案にする、そういうことでありますけれども、できる限りの権限もまた移譲していかなくちゃいけない。

 ただ、今回これは非常に少ないわけですけれども、これは一回目の基本方針なんですね。一回目の基本方針でこれを本部で決められたわけであります。これを北海道でまた御議論を賜って、これじゃ少ないじゃないかと道民の方々が言われた場合は、これから北海道において、市町村並びに道民の皆さん方の意見を聞きながら、これもまたいろいろな、税財源の移譲やら、そして権限の移譲を提案していただき、それをまた議会で議決していただき、その上でまた検討して、少なくとも一年に一回ぐらいはそういうプロセスを経て、どんどん地方分権を進めていきたい。あくまでもこれは、北海道の方々の御意見をできる限り入れて、そしてそういう地方分権を行っていきたい、かように思っています。

福田(昭)委員 大臣の答えは非常に優等生的な答えなんですけれども、道民と、こういう話でございますが、やはり知事が道民を代表して要望していると思うんですね。知事と道議会の皆さんが代表して要望しているわけでございますが、そうした中で、政府と道の提案との調整などを読んでみますと、例えばでありますが、都市計画決定の機能の権限などが全く認められない、そういう調整になっているんですね。

 これでは、先ほど申し上げましたように、この法律の目的である自立的発展に寄与しないんですよね。都市計画の決定権限、この辺をやはり道にちゃんと与える、農地の転用の許可も道知事に与える、これぐらいのことをやらないと自立的発展につながりませんよ。いかがですか。

佐田国務大臣 先生の御指摘は私も同感です、はっきり言って。

 私は、そういう意味におきましては、こういうことを一つ一つ進めていくこと、都市計画決定であるとか農地の問題やらあらゆることにつきましても、やはり道の方から、もちろん、これは今回本部の方に北海道知事が参与で入っていただきまして、本部と北海道の特定広域団体と常に連絡をとり合いながら、要するに、本部が勝手にこれはだめよ、これはいいよというのではなくて、その参与の方にも、このぐらいやってもらわなくちゃ困りますよ、こういうことをしっかり言ってもらって、それでそういうふうにふやしていきたい、税源移譲も権限移譲もしっかりとふやしていきたい。

 今、先生、私はどういうふうに考えているんだと言われましたけれども、今回はこれだけ少ないんですけれども、これから、もう来年になったら何十、何百と出てくると思うんです。今、構造改革特区も千近くになりました。そういう意味におきましては、かなりの提案が出てくるんじゃないか、こういうふうに期待しております。

福田(昭)委員 今回のこの十三項目も、各省庁の答えは非常に冷たい答えなんですよね、これをずっと読ませていただきますと。ですから、今大臣が言われたように、そんなにたくさん出てきて、すぐ進むようには思えないんですが、大臣は、後ほどお伺いをいたしますが、この調整の状況をお読みになりましたか。

林副大臣 実は、このいただいた表は、なしと書いてある中で、それ以外の法律でできるようになっておるものがございまして、委員も最初におっしゃられましたように、今の都市計画のものは他の法令でできるようになってございます。それから、これでいいますと、過疎地におけるNPO云々というのが四番目にございますが、この四と五、それから新事業創出促進法の創業者確認の権限の移譲というのが十番目になりましょうか、まさに委員冒頭にはおっしゃっていただいたんですが、この資料のうち、他の法令で対応できるものが三項目ほどあるわけでございまして、そういうことも含めて、今大臣が御答弁されましたように、仕組みができますので、その仕組みで、常にこれをふやしていくということを我々は努力してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

福田(昭)委員 副大臣の答えがそのとおりならいいんですけれども、資料によりますと、この都市計画決定等の機能につきましては、北海道から提案がありまして、そのことに対して内閣府の方から一回回答があって、それに対してまた北海道から再度意見があって、それに対するまた内閣府の方から回答があって、すべて「検討する」なんですよね。

 だから、これがしっかりと、本当にどういうふうになされているのか、もし他の法律でしっかりやられているのなら、それをお答えいただきたいと思います。

林副大臣 大変失礼いたしました。

 今のところは、最終的にいろいろやりとりがあって、告示を改正することで対応するということで決着をしておるところでございます。

福田(昭)委員 そうすると、具体的に申し上げますが、例えば農地の転用許可ですね。今、知事の権限は五ヘクタール未満だと思うんですけれども、五ヘクタールを超えるものについても、北海道では知事の権限で転用を許可できるようになったんでしょうか。いかがですか。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

山崎政府参考人 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 北海道からの提案というのは、都市計画の決定に際しての大臣の同意という部分でございまして、これに関しましては、今副大臣の方から申し上げましたが、これに関します告示を廃止いたしまして、都市計画の決定に関しましての同意については今廃止している、こういう状況でございます。

福田(昭)委員 それでは、農地の転用についてはまだなされていない、こういうことですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 今、この表でございますけれども、基本的には、北海道の方から提案いただいた項目に関する対応ということでございまして、農地転用に関しましてはその中には入っていないということでございます。

福田(昭)委員 入っていないことはないと思うんですが、まあいいでしょう。それはなかなか、まだなされていないということですね。

 それでは、五つ目でありますが、税財源の移譲についてお伺いをいたします。

 今回は税財源の移譲については全く触れられていないんですけれども、その理由は何なのか、お聞かせをいただきたいと思います。

林副大臣 今回、交付金ということで事業別にやるということでございますが、さらに税財源の移譲を進めたらどうかという御指摘でございました。

 交付金は補助金と異なりまして、この間から議論がありますように、自由度が増してくるということを申し上げているわけでございますが、さらに、先ほど大臣が申し上げましたように、これを、私の認識ですと、今回はここまででとどまった。残念ながらと申し上げると言い過ぎかもしれませんが、しかし、非常にハードルの高い税財源の移譲につきましても、今後のこの道州制特区の中にサイクルもございます、また委員が最初にいろいろ御議論なさいましたように、道州制全体の中の議論というものもありますものですから、そちらの中で鋭意検討してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 私が想像するに、権限の移譲が余りにも少ないので、これは税財源の移譲ということに行かなかったのかな、そう想像をいたしております。

 しかしながら、その交付金も、種類ごとに交付する、しかも、民有林の直轄事業の一部は平成十九年度から、そのほかの直轄通常砂防事業の一部、開発道路に係る直轄事業、二級河川に係る直轄事業は平成二十二年度から、こういう交付金の出し方はいかがなものでしょうか。

 ぜひ、少なくとも一括交付金にするとか、北海道からの要望では、北海道道州制特区推進交付金として交付してはどうか、こういう要望もございました。そのような修正が今からでも可能だと思いますが、いかがですか。

佐田国務大臣 先生の言われるように、権限も今回ちょっと少ないというふうな御批判もあります、はっきり申し上げまして。

 そしてまた、今回の交付金の問題、これもやはり基本的には一括という意見もありますけれども、年度を越えたり、同じ河川であるとか、または砂防の関係、連続性のある砂防であるとか、そういうものについては使い勝手がよくなるわけでありますから、それだけじゃまだまだ足りないよと先生おっしゃるかもしれませんけれども、平成二十七年にはもう一度しっかりとした交付金の見直しもしていこう、こういうことになっております。

福田(昭)委員 大臣、よく地方分権の改革に際して、今回、国が交付金化の改革というのをやりました。八千億ぐらいですかね。そうすると、国土交通省から農林省から、それこそ文部科学省から総務省から環境省から、いろいろな省庁がまさにその交付金化というのをやりました。

 その使い勝手がよくなったという判断を、私も国会で質問させていただいたら、当時の谷垣財務大臣が、すごく使い勝手がよくなって地方の評判がいいんだ、だからこの交付金化は続けるんだ、こういう答えをいただきましたけれども、これはどこから聞いた話か知りませんが、谷垣大臣は全く裸の王様なんですよ。そんなことを地方は一つも喜んでいないんですよ。

 地方六団体からの三位一体の改革に対する評価を読めば、そして、さらに次の、第二次の三位一体の改革に向けての地方六団体の意見書を読めば、そこには、地方の自由度が高まらない、交付金化は一切やめてくれ、こういうふうに書いてあるんです。

 どこの役人から谷垣大臣にそういう報告が行っているのかわかりませんが、実際に地方の人間は、私も地方で仕事をしてきた一人として、全く国と交渉する手間は同じなんですよ、交付金になっても。ただ、地方で使う場合に少し使い勝手がよくなるというだけの話であって、地方の立場からすれば、国と交渉する手間が省ける、実はこれが最高の歳出の削減につながるんですよ、行政の効率化につながるんですよ。全くそうつながらない交付金化。

 しかも、全くこの交付金化でも、これは一気にどれも十九年度からやれると思いますよ。例えばですけれども、新規事業に限るということでやれば、すべて、これは国土交通省の事業にしても、継続事業は除いて新規事業、十九年度からの、営林署じゃなくて今は森林管理署ですか、そうしたことの事業とか、林野庁の事業ですか、あるいは国土交通省の事業、こうした事業も、新規事業に限るとすれば十九年度から一括交付金で出せるんじゃないですか、これは。そういう工夫が必要だと思いますが、いかがですか。

佐田国務大臣 先生はもうベテランですから、私も確かにそう思います、はっきり言って。しかしながら、今回の法案については、とりあえず、まだ規模も小さいですから、そういう意味におきましては、河川であるとか砂防であるとか、そういうものについて、連続的にやらせていただくものであるとか年度を越えてやるとか、そういうことをやらせていただきたいと思うんです。

 また、先生が今言われました交付金の問題、私も、この交付金というのはどこの町でも、例えばまちづくり交付金とか、いろいろあります。使い勝手がよさそうには見えますけれども、これは先生、いい部分もあると思うんです。ただ、三位一体の中で交付金がなされるというのは、これからしっかりと、やはり地方と本当にこれでいいのかどうかということはよく議論していかなくちゃいけない、こういうふうに思っています。

福田(昭)委員 ぜひ、地方分権の話と道州制の話が今度安倍内閣では分かれちゃっているようですから、その辺をしっかり調整して進めていただきたいと思います。

 それで、さらに具体論に入りたいと思いますが、次に、北海道から提案のありました道州制特区に向けた提案について、これから六点ほどお伺いをしたいと思います。

 まず一つ目は、権限の移譲についてお伺いしたいと思いますが、先ほど私は、権限の移譲は十三項目だ、こういう話をさせていただきましたが、しかし、聞くところによりますと、実は北海道からは三十三項目の提案があって、受け入れられたのは八項目だ、そんな話を伺いましたけれども、これは本当かどうか、お伺いをしたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点でございますが、北海道の方からの提案は平成十六年八月にございました。三十三項目の提案でございました。

 実は、この三十三項目でございますが、いろいろ道と国の方で協議いたしまして、このうちのまず二十項目は法律とか政令等の改正を必要としない項目でございました。例えば、国と北海道で事業を一緒にやりますとか、いろいろな事務の窓口の一元化、こういったものでございまして、まず二十項目については、法令等を改正してございませんが、既にこれについては対応している項目でございます。したがいまして、まず三十三のうちの二十は対応されてございまして、残る十三が法令改正が必要であった、こういう形になるわけでございます。

 そして、先ほど資料がございましたが、この十三のうち、この法律によって対応したもの、そしてそれ以外の法令によって対応したものが九ございまして、そうしますと、最終的には三十三のうち二十プラス九、したがって二十九ほど対応させていただいている、こういう状況でございます。

福田(昭)委員 それでは、内閣府としては真摯に対応した、こういうことでしょうか。

 それでは次に、国の地方支分部局との機能等の統合についてお伺いをいたします。

 まず、北海道から提案のありました、機能等の統合のプロセス、連携・共同事業の考え方、権限等の移譲の考え方について、そして連携・共同事業や権限等の移譲の対象機能の考え方について、四項目ほど提案がありましたが、このことについて大臣はどう思われますか。すばらしい提案だと思われますか、それとも検討に値する提案だとは思われませんか。

林副大臣 今、四項目の御提案があったということで、そのとおり北海道から提案があったわけですが、それぞれすばらしい提案だというふうに我々は受けとめて、そして、機能の統合でございますが、やはり北海道が特定広域団体となり得るわけでございますので、これは事務事業等の移譲等特別の措置を講じていく、こういうことでございますし、今御指摘のありました、北海道から御提案をいただきました、国と道と、そしてその先に市町村がございますので、電子申請窓口の一本化をしてはどうかというような御提案があったと思いますが、こういうようなものの連携・共同事業、まさに今委員の御指摘のあったものでございますけれども、いろいろ調べてみますと法令の改正が不要だということでございました。そういうことでございますので、工程表を作成しまして、各省と北海道が連携をして既に推進をしているという状況になっておるところでございます。

 こういうことも相まって、地方支分部局と北海道庁の事務の重複、無駄をなくしていくということが考えていけるのではないかと思っております。

福田(昭)委員 それでは、その中で特に、権限等の移譲に係る三原則ということで、権限プラス財源の一体移譲の原則、権限だけ移譲して財源を移譲しないことがないようにというのが一点目、それから自由度拡大の原則、そして三点目が組織のスリム化の原則ということで、北海道から三点の権限の移譲に当たっての原則が提案をされておりますけれども、そうしたことについてはどう思われますか。

林副大臣 今、組織のスリム化、三つ目のことにつきましてはちょっと一例を御紹介さしあげて御答弁させていただきましたが、いずれもこの三原則、ごもっともな三原則であろう、こういうふうに思っております。

 いろいろと折衝して今回こういう案になっておりますが、この原則を踏まえて、今後もさらなる改善に努めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 そういうことになりますと、次の質問に入るわけでありますが、国の地方支分部局の統合と道との統合についてお伺いをしたいと思います。

 まず、その答えをいただく質問をする前に、国の支分部局が北海道には何部局あって、その職員が何人いるのか、教えていただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと今、手元の資料限りでございますが、北海道にある国の地方支分部局につきましては、北海道開発局、地方厚生局、経済産業局等の機関がございます。

 職員数でございますが、私の今手元にございますのは一つでございまして、北海道開発局に関しましては定員数として六千二百八十三名、こういう数字を持っている次第でございます。

福田(昭)委員 それでは、そうすると、北海道にあるすべての地方支分部局の職員の数は把握をしていない、こういうふうに受けとめてよろしいですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 今手元にはちょっと数字を持っておりません。北海道開発局に関しまして先ほどの数字ということでございます。

福田(昭)委員 私が尋ねているのは北海道開発局だけじゃなくて、国の地方支分部局すべての人数を言っているわけでありますから、これから北海道を道州制のモデルとしてやっていくということになると、北海道の国の地方支分部局にどれだけの人数がいるのか、そして、そのうち道州に移行できるようなところに勤めている職員がどれぐらいいるのか、そういう全体像を把握しないで、この道州制特区を進めることはできないんじゃないでしょうか。いかがですか。

山崎政府参考人 重ねての答えになりますが、私、今手元の方に数字を持っておりますのが開発局の数字でございます。それ以外にも地方支分部局ございますので、ちょっとこれは少し調べさせていただきたいと思っている次第でございます。

福田(昭)委員 善意に解釈しますと、基本的には大臣も担当も把握していない、こういうことですね。

 ですから、基本的に国の地方支分部局が北海道に幾つあって、そしてそこに職員が何人いて、そのうち、それこそ道州特区ができたときに事務事業の見直しを行って、先ほど申し上げたように、地方支分部局との事務事業、機能等の統合をしながら、北海道庁と国の出先機関との統合を図っていくということを当然検討していくということになりますと、やはりどこに何人職員がいて、どういう仕事をやっているんだということを把握しておかなかったら、これはとても北海道で道州制の特区のモデルなんかつくれないんじゃないでしょうか。

林副大臣 委員の御指摘はごもっともだと今聞いておりましたので、今手元にないということでございますから、どういう地方支分部局が北海道にあって、それぞれ、多分定員の数ということになって、実の職員数というのはなかなか動きがございますので、実職員数まで出るかわかりませんが、委員御承知のように、定員で仕事をやっておられるわけですから、そこはよく踏まえた上で、またいろいろな検討をしてまいりたいと思います。

佐田国務大臣 先生の言われるとおりでありまして、地方支分部局につきましてはこれから調べていきたいと思います。

 また、これから行政のスリム化を図っていく、それは当然のことでありまして、権限を移譲したり税財源を移譲していきますと、例えば今回の交付金化の問題の関係でも、これは人員が少なくなるという可能性も十分考えられます。そういう中におきまして、やはり最も効率のいい行政形態をつくっていく。北海道の場合、ちょっと特殊な部分もありますけれども、そういう形で進めていきたい。そしてまた、先生の言われた出先機関につきましては、しっかりと調べて人数も把握していきたい、かように思っています。

福田(昭)委員 ぜひそうしていただいて、そして、実は北海道から提案がございました。

 北海道としては、北海道の提案では、第一段階として、国の地方支分部局のうち道庁と一緒になれるところ、そういうところについては、まず(仮称)北海道総合行政庁をつくる、そこへ一本化しておく。そして第二段階には、北海道の総合行政庁と道庁でドッキングをして、将来は道州政府をつくる、こういう提案が実はなされているんですね。

 このことについて、そういった意味では全く今回、何とも検討の結果、検討されたのかわかりませんが、どこにも生かされていない。これがなされなかったら、本当に行政の効率化にはつながらない、こう思うんですが、いかがですか。

佐田国務大臣 地方支分部局につきまして、先生の言われるように、スリム化が進む、こういうことでありますけれども、この法案が通って、速やかにそのことが進んでいくというよりも、例えば、これを通していただければ、今は税財源の移譲、まだ少ないですけれども、そして権限の移譲も少ないですけれども、これを進めることによって、三年ぐらいでかなりの権限移譲等が進みます、地方分権が進みます。そういう中においてビジョンをつくり、そのビジョンの中において、最も道民にとってもわかりやすい、そしてスリムな行政組織をつくっていく、こういうことをイメージとして持っているわけであります。

福田(昭)委員 それでは次に、四点目ですが、そうした国の事務と道庁の事務、あるいは組織の統合ということでありますが、それから次は、市町村への事務権限の移譲ということについてお伺いをしたいと思います。

 資料の三をまずごらんいただきたいと思います。

 これは、北海道がつくりました道内の市町村の合併予定の状況でございます。ことしの三月三十一日現在の資料のようでありますが、左の上の方を見ていただきますと、「合併後の市町村数」と書いてございますが、平成十一年の三月三十一日には二百十二の市町村が、ことしの三月三十一日には百八十に合併が進んだということでございます。

 この状況は、全国的な状況と見ますと、非常に合併が実は進んでいない、こう思えるわけでございますが、これは、どうして進んでいないと思われるか、その理由をお聞かせいただければと思います。

林副大臣 ちょっと突然のお尋ねのようでございますし、むしろ総務省の方に御答弁をいただければいいのかもしれませんが、もう帰られたようで、先ほどの委員の方の御質疑だけということだったようでございます。

 今委員御指摘のように、この全体の地図を見ますと、私は山口県でございますが、半分以下にもうなっておりますので、そういうところと単純に数だけ比較しますと、進んでいないなという印象は持つわけでございますが、やはり地理的な状況や面積が広いとか、いろいろなことが考えられるのではないか。その辺は、地方自治にお詳しい委員の方が、いろいろと我々が教えていただけるような御知見をお持ちなんじゃないか、そういうふうに思っておるところでございます。

福田(昭)委員 市町村への事務権限の移譲につきましては、北海道庁はこの提案の中でもよく書いているんですよね。

 道の提案を見てみますと、事務・権限移譲などの進め方、それぞれが担う事務の分類基準、市町村の事務・権限、市町村の規模・能力に応じた事務・権限移譲のあり方の検討、道から市町村への事務・権限の移譲に当たっての留意事項、道から市町村への事務・権限の移譲方針策定など、六点ほど、この提案の中で述べております。

 私は、北海道をよく研究して、市町村への事務権限の移譲についてまとめているな、こう判断をいたしておりますが、そうした中で、やはりどうしても小さな市町村にとっては、財源がない中で権限を移譲すると言われても、それは困るよ、こういうのが実は実態なんですね。

 そんなことを考えますと、北海道の市町村合併がこういう状況の中で道州制をいきなり導入するということは、かなり私は無理があると思うんですね。

 今、きっと北海道では、出先機関が十四支庁あるんだと思うんです、十四支庁ですね。その十四支庁がこの市町村をそれぞれ、今は指導とは言わないんでしょうか、十四支庁が多分市町村と連携をとりながら、道民の福祉の向上といいますか、そういうものに、あるいは道内の活性化に努力をされているんじゃないかなというふうに思いますけれども、そうした中で、いきなり、では北海道は道州としての権限や力を持つ、財源を持つと。

 もう一つは、合併しない小さな市町村だといったときに、これは、それこそ全く、市町村がこれだけ小さい市町村で自立をしていくということはかなり難しい話ですから、この道州と市町村の二層制が成り立たなくなる可能性も出てくるんですね。

 道州制をつくっても、依然として道庁の十四支庁、出先機関としての十四の支庁を存続させないと、なかなか行政がうまく展開しない、私はそういう可能性が高いと思うんです。

 ですから、そうしたことに対して、では、どういう対応をとっていくのかというのは大変大事なポイントだと思うんですね。ですから、そうしたことに対しても、当然、道としっかりと協議をして進めていくことになるんだろうと思いますが、このことは、北海道だけじゃなくて全国レベルでの道州制を進める上で非常に重要だと私は思っております。

 そこが、先ほど私が申し上げた、地方自治を二層制でやっていくのか三層制でやっていくのか、ここの議論が足りなかったところがここへ実は出てくるんだと思っているんですね。このことについてはやはり一工夫必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 私も一度北海道に住んでいたものですから、先生の言われることを考えてみると、なるほどなと、今お聞きしながら、北海道のあの地域のことを思い出しておりました。

 確かに、これを拝見させていただくと、うちの群馬県なんかは、先生のところもそうだと思いますけれども、かなり、郡がなくなるぐらい、合併が物すごい急激に進んでいるんです。うちの選挙区でももう半分ぐらいになりました。

 それに比べて、北海道でこういうふうな形でなかなか進まないというのは、いろいろな原因があろうかと思います。合併するメリットに欠ける部分もあると思いますし、そういう何かインセンティブもないのかなというような気もしますけれども、ただ、今先生が言われた、行政機構の非常に難しい部分もあるんですね、北海道の場合は。

 北海道は非常に広いですし、その中においては、道庁の関係の例えば石狩支庁だとか、支庁における町だとか、それにまた開発局があって、そしてまた開発局と市町村がある、こういう今までの歴史的な関係があるわけでありますから、それで今度道州制が来るということになりますと、やはりかなり慎重にこの組織をやっていかないと、基礎的自治体が大変なことになるんじゃないかという心配は、私も先生と同じで、持っています。

 であるからこそ、やはりそれは、地域のいろいろな事情を加味し、お聞きしながら、税財源また権限の移譲を慎重にやっていくべきじゃないかな、私はこういうふうに思っております。

福田(昭)委員 ぜひここのところは慎重に、一工夫されてやっていただきたいなというふうに思っております。

 次に、五点目でありますが、五点目は、法令面での地域主権の推進についてでございます。

 北海道提案の、法令面での地域主権の考え方、政省令等の適用範囲を縮小して、条例等によって基準等を設定できる範囲の拡大を図ってほしいという考え方、そうした考え方に基づく具体的な推進プランが提案されておりますけれども、これについてはどう思われるか、お聞きをいたしたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点は、北海道の方から、法令面の地域主権ということで、具体的には、条例でいろいろな法令に関します独自基準を定めていく、この権限についてでございます。

 実は、この北海道の提案でございますが、いわゆる条例で無条件かつ一律に独自基準を設定できるということは、いろいろな法律がございますので、必ずしも適当ではない、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう面でいきますと、この法案では、そういう提案も踏まえつつ、実際に、特定広域団体、つまり北海道の方から、この法律についてはこうしてほしい、そういう個別法に関する具体的な提案を受けて検討していくという形で対応している状況でございます。

 具体的に申し上げますと、この法案の中で権限として移譲します内容の中に法令の特例措置というのがございまして、その中には、今申し上げましたように、個別の法令につきまして、例えば条例で基準を定めるといったようなことに関する提案もできるという形で対応させていただいているというところでございます。

福田(昭)委員 今の答えですけれども、既にもう北海道からは具体的な提案が出ているんですよね。例えば、幼稚園と保育所の一体的運営に関する基準の緩和とか、あるいは地域の実情に即した農地転用規制の緩和とか、具体的に十数項目出ているんですね。ですから、改めて出てから検討するというんじゃなくて、もう既に最初の協議の段階でこれは出ているわけですよね。

 特に、北海道の提案の中では、こうした法令面での地域主権の推進が図れれば、北海道独自のローカルルールをつくることが可能になるんだ。例えば、サマータイム制を北海道として独自に導入する。北海道の場合、緯度が高くて、確かに、サマータイムを導入するのには日本の中では一番適切な場所かもしれませんよね。そうしたことが実は北海道で独自にできるんだ。こういう提案がなされているのに、対応が余りにも後ろ向きですよね。ぜひこうしたことをしっかり考えていただくということが大事だというふうに思います。

 時間もありますので、次の方へ行きたいと思いますが、六点目は、モデル事業の対象事業の拡大、補助基準の弾力化についてお伺いしたいと思います。

 この中では、既に試行的に創設された事業区分にとらわれず、地方の自主性、裁量性を最大限に生かした広域的な地域づくりが可能となる道州制北海道モデル事業の対象事業の拡大、補助基準の弾力化をしてほしいということでございますが、このことについてどう思われるか、お伺いしたいと思います。

林副大臣 委員御指摘のように、国土交通省におきまして、北海道のインフラ整備のために、自主性、裁量性を生かした広域的な地域づくりに向けた取り組みということで、道州制北海道モデル事業というのを十六年度から試行的に実施しているところでございます。

 こういうこともあって、この法案では、こっちは交付金でございますけれども、事業の進捗等に応じて、同種施設の箇所間での予算の融通ですとか、年度間の事業量の変更可能というような仕組みを交付金の方でも設けておるわけでございまして、道の裁量が従来よりも高まっていく、自由度が増すということを通じて、特定広域団体になっていただきます北海道の自主性及び自立性が発揮されるということでございます。

 こちら、委員が御指摘になったのは補助事業ですし、法案の中に入っているのは交付金でございますから、法律的な主体は違うわけでございますけれども、同じ方を向いて、特定広域団体である道の自主性、自立性を高めていこう、こういう方向で、両々相まっていい方向に行っていただきたい、そういうふうに思っておるところでございます。

福田(昭)委員 ぜひこれは拡大をしてほしいと思っておりますが、北海道では、今回の提案の中でも、廃止済みごみ焼却施設の撤去とか、あるいは観光案内設備の整備とか、簡易水道集中監視システムの整備とか、橋梁補修事業とか、八項目ほどさらに今副大臣が言われた項目に加えてぜひ拡大してほしい、そういう要望がございます。

 こうしたことをやはりしっかりとやってほしいと思いますし、どうもそれぞれの具体的な仕事が各省庁にまたがっているものですから、内閣府の方からしっかりと働きかけないと進まないと思うんですが、そういう働きかける考えはあるかどうか、お伺いをしたいと思います。

佐田国務大臣 先生が言われたように、いろいろな規制改革も含めて、そして権限移譲、こういうことは各省庁にわたって行われることであって、中には抵抗するところも出てくると思います。

 そういう中におきまして、これは根本に立ち返れば、やはり北海道の自立性、そして地方分権でありますから、政治の場からもしっかりと言うべきことは言わせていただきますし、内閣府としましては、できる限りこれは調整をして、権限が移譲できるように努力していきたいと思っています。

福田(昭)委員 ぜひそれは努力をしてほしいと思います。

 特に、今回、順序が逆になっているような気がしますものですから、これからちょっとその点についてお伺いしたいと思いますが、次に、道州制の先導的モデルについてお伺いをしたいと思います。

 この法案で北海道を道州制の先導的モデルとすることができると大臣は考えているかどうか、お伺いをしたいと思います。

佐田国務大臣 今、道州制のお話がありました。そして、先ほど来の答弁にもありましたように、前にも申し上げましたけれども、今回の法案の一番大事なところというのは、北海道の議会の同意を得たり、そしてまた市町村の意見を聞いたり、そして、そういう意味におきましては、北海道の自立性、これをもって、あらゆる税財源の移譲、そして権限の移譲を、各省庁にかかわることでありますから、全力でこれを進めていく。

 それで、先生、これは一年ごとにやりますから、また来年、全部いろいろ出してくるわけですね。北海道から地方分権の要素をたくさん出してくるわけです。そしてまた、こちらの本部の方で閣議決定をしていく。そして、この法案を通していただければ、三年をめどぐらいに道州制のビジョンをつくって、その間に、北海道は北海道の、要するに特定広域団体といいますけれども、その形をつくっていただく。地方分権の形をつくっていただく。例えば、ほかの地域で特定広域団体ができれば、その特定広域団体もいろいろな地方分権の形を、その地域の地方分権の形をつくっていっていただく。そして、将来的には道州制を見据えた先導的な法案になろうか、かように思っています。

福田(昭)委員 今大臣が、この法案を通してもらえば、二、三年かけて道州制のモデルをつくっていきたい、こういうお話でございますが、報道によりますと、安倍総理大臣の指示でどうも道州制ビジョン懇談会をつくるんだということなんですが、それはそのとおりなんでしょうか。

佐田国務大臣 この法案を通していただければ、各界の、実は先生、この道州制、これは道州制の法律も含めて、道州制に対して非常に関心のある財界の方々、地方自治体の幹部の方々、そして商工会議所の人たち、そういう方々が結構来られていまして、施行に当たっては、そういう日本全国的な御意見を賜っていきたい。これは進捗に並行していろいろな方々に御議論を賜りながら、そうすると、三年もたつといろいろと地方分権が進みますから、その中で、日本に合った、日本の地域に合った、いわゆる道州制のビジョンをつくっていきたい、こういうふうに思っております。

福田(昭)委員 それは考えはよくわかりますが、それでは、今まで、小泉内閣そして竹中前総務大臣がまとめてきた地方分権の二十一世紀ビジョン、それから第二十八次の地方制度調査会で検討してきた事項、これはどういうふうに扱われるんですか。

佐田国務大臣 地方制度調査会の方の答申等、先ほど先生に見せていただきましたし、私もこれは読んでおりますけれども、基本的に方向は同じ方向を向いているんではないか。また、竹中大臣が言っておりました地方分権の考え方、これも方向は同じ方向を向いているんではないか、私はこういうふうに思っております。

福田(昭)委員 大臣が言われることは私もよくわかるんですが、そうしますと、第二十八次の地方制度調査会の委員の名簿を大臣は御存じですか。委員の名前を御存じですか。

佐田国務大臣 学識経験者の方十八名、国会議員の方が六名、地方六団体から六名、そして臨時委員、学識経験者の方三名、そういうふうに承っております。

福田(昭)委員 大臣も今名簿を見ていただいたようですが、これを見ますと、先ほど大臣が言われたように、やはり経済界の人も、また地方の方々も、実はみんなここへ入って検討しているんですね。

 ですから、私から言わせていただければ、今回つくろうという道州制ビジョン懇談会は屋上屋を重ねる話なんじゃないか。今まで、竹中ビジョンで、これからどういうふうに地方分権を進めようかというような議論もまとまっている、地方制度調査会からは道州制についての方向づけも出ている。

 そうなると、安倍総理大臣や佐田大臣、それこそ内閣の人たちが、あるいはスタッフを交えて、道州制をどう持っていくかというのを考えれば、これはできるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

佐田国務大臣 先生、私、よく今財界の方々にも、来られるので、御説明申し上げているんですけれども、例えば九州の知事会の会長さんも来られました。そして、九州は、全体になると、一つになるとオーストラリアと同じGDPだ、こういうこともお聞きしております。それで、かなり積極的です。

 私は、その中において、ですから、この法律をできるだけよく理解していただいて、道州制と道州制特区推進法は、ビジョン的には目指すものは同じなんですけれども、道州制特区推進法を今回通していただければ、これによって、北海道は北海道、これは国が勝手に決めるんじゃなくて、北海道は北海道の地方分権を進めるわけですね。これから二年、三年になれば、先ほど先生が言われたように、これは少な過ぎる、もっといろいろな権限をやりなさいよ、こういうふうになってくると思うんです。それと同時に、組織もスリム化して、そしていろいろな組織が変わってくる。

 それは北海道は北海道のあり方で、要するに、この法律にのっとって、推進法が通ればそういうふうな形になってくるわけです。特定広域団体になってくるわけです。また、もしも、九州であるとか関西であるとか北陸であるとか、手を挙げれば、その中でまた並行して、いろいろな税財源、そしていろいろな移譲が行われてくるわけですね。

 だから、その中で、そのあり方、要するに、地域によっての、結局、こういうふうな地方分権のあり方はこれがいいんだな、こういうものは地方に移譲できるね、こういうものはいいね、これはまずいね、こういうこと一つ一つがだんだんつまびらかになってきますので、そういう意味で先導的なこの法律についての懇談会をつくって検証していきたい。それでまた、ここにおられる地方制度調査会の方々ともこれはもちろん意見を交換しながらやっていきたい、こういうふうに思っています。

福田(昭)委員 総務大臣がかわっちゃったものですからあれですけれども、竹中大臣はどうも、みずからが私的懇談会でつくったビジョンを第二十九次の地方制度調査会に諮って、この道州制も含めて地方分権を進めていきたい、こう考えていたようでございますが、安倍総理の考え方でばらばらになっちゃったわけでございます。これはやはりしっかり政府内で意見を統一してやっていただかなければならないのかなと思っております。

 時間が参りましたので、私の結論を申し上げさせていただきますと、この法律では、どうも、道州制の先導的なモデルに値するような権限の移譲や税財源の移譲もなかなか期待できない。それから、どうも、大幅な行政改革につながるような国の地方支分部局と道庁の事務事業や組織の統合もなかなか期待できない。さらには、北海道の提案については採択率が低い。そして、第二十八次の地方制度調査会の答申も余り生かされていない。

 こんなことを考えて、そうした中で、これから道州制のビジョンをまとめるということであれば、道州制のビジョンをまとめてからでも北海道を特区にするということは遅くはないんじゃないかというふうに思いますが、私は、この法案を見せていただいて、そんな感想を申し上げさせていただいて、私の質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

河本委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 大分質疑を行いまして、もうかなりのいろいろな質疑のやりとりが行われているわけですけれども、ずっと、この法案の審議が始まってから聞いておりまして、質問者の意図となかなか答弁がかみ合わない。この法案をめぐって質疑がかみ合わないというのは、やはり、道州制という言葉と特区という二つがつながっているこの法律自体が混乱を招いているんではないかなというふうに思うわけであります。道州制という定義、制度設計がされないうちに道州制という名前がつけられてしまった。

 現行の都道府県制を前提にして特定広域団体というまた新しい概念も出てきた。その理由については、先日の我が党の枝野委員、あるいはけさ、午前中の参考人からも言われたとおりでありまして、もう何度も議論されております、憲法九十五条に抵触をしないように、正直、つけ足されたものではないかな。つまり、特定広域団体ということも、検討され、議論を積み重ねてできてきた概念でないにもかかわらず、ここで出てきてしまった。

 私自身、言わせていただければ、道州制というのは、地方分権推進が完結した結果の、言うなれば最終形であるというふうに認識をしておるわけでありますし、そのためには中央政府と地方政府の役割分担、事業の仕分けが行われた上でできていなければいけないわけであります。にもかかわらず、それがこれからというときに、道州制の言葉だけが走り出してしまったというふうに私自身は思っているわけでありますが、ぜひ、道州制担当大臣として、このお考え、私の言うことに対する反論がもしありましたら、まず冒頭伺いたいと思います。

佐田国務大臣 決して委員に反対をするつもりはありません。この法律を通して、基本的には地方分権を進めて、そして国、今回は道ですけれども、あと基礎的自治体の役割分担をきちっとしていかなくてはいけない。そのために、道からいろいろな御意見を賜って、税財源の移譲、そして権限の移譲、また規制改革も行っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

 一番重要なことは、道民の意見を聞いて、それから北海道のあるべき特定広域団体を形成していく、こういうところだと思います。

渡辺(周)委員 その先、もうずっと、先ほどの委員とのやりとりの中でも、これで法案を成立させてもらえれば、その後北海道からのいろいろな次なる提案を受けて、これからぜひ、さらなる権限移譲もしていきたいというふうに再三お答えいただいていますけれども、もう既に北海道は道州制特区に向けた提案というのをされているわけですね、御存じのとおり。

 一回目されて、一回国に返ってきて、それに対して反論という形で、北海道はさらにまた北海道としての提案をされまして、またそれに対して国が答えているわけなんですけれども、法案が成立したら、これを一つたたき台にして、ベースにして、これからさらにさらなる提案を北海道がまた出してくるだろう、それを受けて国の方がさらにさらに権限の移譲の具体例を出していきたいというふうにお答えになっているわけでありますけれども、現実問題としてかなり霞が関の抵抗は強いわけですね。これはまた後ほどに申し上げたいと思いますけれども、今回の権限移譲というものの実態を後でちょっと数字を挙げてぜひ申し上げたいと思いますけれども、これはかなり霞が関の強い抵抗があるわけであります。

 その点については、私どもも、行政改革推進法案の民主党案として、三年で二割の国家公務員を削減するんだということを一つ柱にして対案を出しました。私も何度か答弁に立ったんですけれども、これはやはり、先ほども議論されている、地方支分部局と地方自治体の行っている業務の二重行政を一つにまとめるためには統合するしかないんじゃないか、ある意味では、国の出先の機関の方々に地方公務員という身分になっていただく、転籍していただくということも含めて、我々は対案として出したわけであります。

 そのときに随分与党側から、そんなことは無理だ、どうやってやるんだというようないろいろな御批判といいましょうか、御質問もいただいたんですけれども、結果として、この北海道の当初の、北海道に統合庁をつくって、そして北海道庁と一緒にするという形で、やはり同じような提言をされていたわけですね、それがもう全く今回は出てこなくなったわけでありますけれども。

 そこについてもこの後質問しますが、あわせて、もう一つやらなければいけないことは、やはり地方が権限を移譲する、財源、あるいは将来の税源を移譲するということにおいて、地方自体も信頼されなきゃいけない。

 これは、残念ながら、この数カ月だけでも、福島県の知事が任期途中でおやめになった。そして、和歌山県の知事も、あの木村知事は、私ども民主党の改革案に対しても賛同いただきまして、二重行政についての具体例なんかも随分指摘をされ、できの悪い職員に対しては、分限免職も含めた、地方公務員のあり方については厳しい基準を設けているというようなことも我々に大分お話をしてくださいまして、改革派の知事として大変シンパシーを持っていたんですけれども、残念ながら、今回このようなことで辞意をもう表明されております。

 また、岐阜県では裏金問題があり、知事から、副知事から、出納長から、監査委員から、労働組合に至るまで、全部がぐるだった。これで、私たちも九月に岐阜県庁へ行きました。もう県民の信用は失墜をしてしまった。知事が、やはり改革派の知事と言われた方であります、梶原知事。そして、あろうことか労働組合までが、岐阜県の職員組合は監査の目が届かないからということで、労働組合の委員長出身の出納長が知恵をつけて、組合の口座にプールしていたわけなんです。横領で何人かが、私的に使ったということで逮捕された方もいましたけれども、問題は、裏金をつくったことに関しては全然真相が究明されない、それを預かって使った人間は逮捕されていますけれども。

 本来、労働組合だって、納税者の視点から、こういう問題に対して本当は内部から告発しなきゃいけないはずです。それが、一緒になって、いわばぐるになってやっていたということで、我々も、組合の委員長にも会って、この点についてはかなり厳しくヒアリングをいたしました。

 そうしているうちに、今度は長崎県でも実は出てきた。ゴルフコンペの景品なんかに裏金を使ったとか、取引業者にお金を渡して、いわゆる預け金として持っていた。

 もうとにかく、今思いつくだけでも知事の不祥事が二件、裏金の問題だけで今報道されているだけでも二件。さらには、奈良県の市役所の、五年九カ月の間に八日間しか来ないのに給料は満額もらっていたというとんでもない話がある。そうしたところが今度またどこかの市でも、ちょっと忘れましたけれども、ありました。

 地方に対して本当に今権限をゆだねていいのだろうかという声が実は地方に来るとあることも現実なんですね。中央集権と言われていようが、霞が関の官僚機構が温存されていようが、その方がまだ野党やマスコミが監視しているだけましじゃないかという指摘も実はある。

 これは一つ、最近の新聞の例なんですけれども、朝日新聞でちょっとアンケートをとられています。

 十一月四日だったんですけれども、このアンケートの中に、地方自治体の行政に対して満足していますか、していませんかといったら、大いに満足しているという人は一%、ある程度という人が四二%、満足していない人は、余りと全くを合わせて五五%、こういう地方の現状です。

 それからもう一つ。地方分権に賛成ですか、反対ですかだと、地方分権賛成は六六%、反対は一九%。ざっくりした質問ですので、もちろん、新聞社のアンケートも、これは聞き方にもよりますので、これがすべての根拠になるとは申しませんけれども。

 そんな中で、おもしろい、興味深い数字がありまして、地方分権賛成六六%、反対一九%を受けて、市町村長や職員には企画や運営をやっていく力があると思いますかと聞くと、あるという人が二七%、ないという人は五四%なんですね。つまり、地方分権はやってもらいたいけれども、我が町で大丈夫なのかなと。これはまだ、市町村対象ですので、都道府県までは入っていないたしか調査ですけれども、こういう、受け皿としての地方の力量を住民は疑問視しているという興味深い数字が出ておりました。

 ちょっと長々と前段話をし過ぎましたけれども、分権の大前提、地方分権の究極の形である道州制を導入するには、当然のことながら、受け皿たる、主体となる地方の信頼性が何よりも必要なわけでありまして、それが今、裏金、汚職、そして病欠職員、こういうことが当たり前のように連日報道される中で、地方の信頼回復のためにやはりうみを出し切らないといけないと思いますけれども、国としては、この実態というものをどう把握して、これから全国の自治体、どのように調査するのか。

 もう既に総務省が通達を出しているのは承知しております。こんな紙切れ一枚でとにかく綱紀粛正に努めなさいというのじゃなくて、実際、あなたのところの県はどうなんだということまで、やはり総務省としてやるべきじゃないのか。

 十一月七日、総務事務次官の名前で、各都道府県知事と各政令指定都市の市長に対して、こういう「信頼の回復について」という文書を流されたコピーをもらいましたけれども、これで終わりなのか、それとも、やはりこういう勤務実態の把握等も含めてやっているのかどうなのか、あるいはやる意思はあるのか、その点についてまず伺いたいと思います。

大野副大臣 最近のまさに不祥事、御指摘のとおりでありまして、私ども、非常に残念な事態、しかもこうして地方分権が進みます時代に、本当に残念な事態だ、こう思っておるところでございます。最近発生している一連の不祥事は、言うなれば国民の間で地方公共団体への不信感を増大させかねないところがあるわけでございまして、地方行政全体に対するところの信頼感を揺るがすものでありますから、まことに残念な事態、このように思っております。

 このような問題に対しまして、まず、地方公共団体がそれぞれの権能に基づいて、みずから判断し、みずからの責任において対応すべきこと、自己判断、自己責任ということは極めて大事なことでありまして、こうした事件が続く折だけに、その点はさらに私どもは強調していかなければいけない。その上に立って、このたび「地方行政及び地方公務員に対する信頼の回復について」という通知を発出したところでもございます。

 このような不祥事を引き起こす土壌がなかったかどうかにつきましても、地方公共団体が、この際、見直す際の言うなれば留意点としてしっかりとらえることが必要であろうと思っております。今、折に触れて実はこうした調査はいたしているところでございますが、この留意点を参考にいたしまして、まずは地方公共団体において必要な見直しを真剣にやっていただくということが、地方分権が叫ばれる折だけに、私は、自己の責任としてしっかり明らかにしていくことではないか、このように認識しております。

渡辺(周)委員 それは、何らかの裏金であるとか、あるいは勤務の、職員の規約とでもいいましょうか、こういうことで、何年間も出てこないのにそれでも給料が満額もらえるなんという、こんなばかげたことが許されるのか、納得のいかないことが許されるのかということについては、調べていらっしゃるということでいいんですか、今の御答弁ですと。確認なんですけれども。

 すべてにおいて、こういう納得のいかない、地方の納税者、地方の住民からすると、とてもじゃないけれども、信頼できないと思われるような事案について、国としても、これはただ努力を促すだけではなくて、改善を促すだけではなくて、やはり実態を把握しようとしているということをやっているということでよろしいんですか。確認です。

大野副大臣 現実にこうした事態が起きるたびに、実はいろいろな角度から御指摘もあるわけなんですが、改めて調査をするということそのものについてはやっておりませんけれども、しかし、こうした事態を受けて、我々も真剣にこの対処の仕方というものは、講じることが何よりも信頼にこたえることだと思っております。

渡辺(周)委員 ですから、そのために実態を把握しなきゃいけないじゃないですか、こういう問題が起きるたびに必ずこうやって追及されるし。だから、どうするかといったら、やはりこの実態を把握しなきゃいけないわけであります。それをしているんですかと言ったら、それはしていないけれども、とにかく信頼回復に努めなきゃいけないと。そんな、言葉は悪いですけれども、やはりそこは放置しておくべき問題ではない。

 幾つかの裏金問題を私たちもずっと見てくる中で、いや、薄々は知っていた、本当は知っていたんだけれども、今ここで表に出してしまうと職員の士気にかかわる問題だとかいって、結果的に見逃してしまったというふうな、長崎の知事も、やはり自分で表に出しておけばよかったと。あるいは、岐阜の知事も言っていました。副知事さん、どなたとは申しませんけれども、当時の副知事も言っていました。つまり、これをどうするかということで、やはり実態を調べるべきだというふうに私は伺っているわけでありまして、やらないならやらないで結構でありますが、そこはいかがなんですか。

大野副大臣 言うなれば、総務省が持っておりますのは、表現、言葉が悪いですが、別に警察権でも何でもありませんものですから、私たちはそうしたことに対する指導や助言に徹しているわけでございますけれども、現実にこういう事態が起きましたときには、直ちにそれらに対するところの対応を、強力に、調査すべきものについては調査することを命じたり、あるいはその報告を受けたり、さらに、そのことについての、再びそういう事象が起きないような、そういう指導を強く求めていくということが実態でございます。

渡辺(周)委員 これはきょうの質問の中心じゃありませんので、こればかりやるわけにいきませんが、行革担当の佐田国務大臣、行革の方も担当していらっしゃいますけれども、今の現状を見て、大臣、どんなふうにお考えなのか、ぜひ伺いたいと思います。

佐田国務大臣 行革の中に公務員改革もあるんですよ。今、委員が言われたことは私も同感です、はっきり言って。

 これから、少子高齢化に向けて、優秀な官民の交流も図っていかなくてはいけないわけであります。そういう中において、公務員には分限制度があり、そしてまた人事院の規則があり、国家公務員法がある、地方公務員法もあるわけでありますけれども、国民が見て、こんなことけしからぬな、こんなことはやはり私は絶対許されるべきことではないですし、そういう意味におきましては、やはりそれは見直していくべきだと思っておりますし、うちの方としても、今、実態調査はやらせていただいております。

 今言った裏金の問題もそうですし、三年で八日間でしたっけ……(渡辺(周)委員「五年で八日間」と呼ぶ)五年ですか、五年で八日間。もう一件出ましたよね、この間。それとかまた、福岡で、学校の先生が子供と一緒になって子供をいじめるとか。こういうことを、ほとんど、国家公務員、地方公務員もみんな優秀で一生懸命やっていると思いますけれども、しかし、そういう人もいるということを考えたときに、全部イコールフッティングにはなりませんけれども、国家公務員法、地方公務員法、人事院の規則、そして地方では人事委員会がありますけれども、こういうことをしっかりとやはり私は見直していかなくちゃいけない、これがまさに公務員改革の柱になろうか、こういうふうに思っております。

渡辺(周)委員 この議論は、また改めての機会にしたいと思いますけれども、これはよく言われているんです。民主党は、自治労と日教組が応援、支援をしているから、あそこには改革ができないんだ、きょうあたりの新聞でも、参議院選挙の公務員制度改革が一つの争点に、公約にするぞと。

 これは、私どもの党の教職員組合出身の議員さんともこの間話をしました。安倍さんが、だめな教師はやめさせるんだと。当たり前だとその教職員組合出身の議員も言っていました。それ、もっと大きな声で言ってください、何か学校の先生を守っているのが民主党で、子供を守るのが自民党だって、次の選挙、やられますよと。

 我々は決して、支持は受けていますけれども、それによって政策が左右されるわけでもなければ、支持基盤でも支持母体でもないわけであります。友好的な関係を持って、当然、いろいろな形で要望を受け、そのための政治活動はもちろん、政策提言もしていきますけれども、ただ、それはあくまでも、やはり納税者、あるいは子供を持つ親として、納得のいかないこと、こういう方には、当たり前のことですけれども、内部から逆に声を出してくれ、我々民主党の側からだって言おうじゃないかと。

 何か、ここの議論とは違いますけれども、社会保険庁がだめなのは民主党を応援している職員組合が中心になっているからだめだという、あの自民党のパンフレットを読ませていただきました。だけれども、社会保険庁の年金の無駄遣い、年金の流用をとにかく取り上げてきたのは民主党でありまして、全く批判は当たらないというふうに思うわけですが、非常に意図的にそういうことがこれから出てくるんでしょう。当然、我々としても、筋の通らないことに関しては、我々は逆に言うし、我々の側から先に問題提起をするということで、ぜひこの点についても、また建設的な意見交換、議論はさせていただきたいというふうに思っています。

 さて、この道州制特区の話ですけれども、これに関して、私もこのいきさつを随分いろいろ勉強しました。そんな中で、これまでの質問の中で出ていないお話をぜひさせていただきたいと思うんです。

 道州制特区のこの法律で幾つかの権限が移譲されるということでございまして、これは、筋肉質な国家、そして行政の効率性というのであれば、例えばここにございます、北海道に適用される、権限移譲される、直轄通常砂防事業の一部、民有林の直轄治山事業の一部、開発道路に係る直轄事業、二級河川に係る直轄事業、これが北海道に移譲されるということでありますが、これが移譲されますとどれぐらいの事務移譲がされるのかということを、ぜひ伺いたいと思います。北海道開発局の仕事がどれぐらい減るのか。

 もっと言えば、これは権限移譲したら、先ほど、北海道開発局の人間は何人いるかというふうに福田委員の質問があって、お答えになられませんでしたけれども、平成十五年度で北海道開発局にいる職員数は六千五百人でございまして、六千五百十九人。これはどこの数字かといいますと、自民党のある議員さんが調べたというデータがなぜか私の手元にございます。ちなみに、地方支分部局全部合わせると、これは後でもいいんですけれども、ちょうどにしますけれども大体二万人いるわけでございまして、二万人強いらっしゃるわけであります。

 例えば、北海道開発局、平成十五年度末で北海道開発局は六千五百十九人いるんですが、もしかしたら今は多分減っていると思いますけれども、この権限が移譲されると北海道開発局の人員は果たして減るのかどうなのか、その点はどうなんでしょうか。

佐田国務大臣 今回の措置の事務事業の移譲に伴って国から特定広域団体に移る事務量等については、今後、関係省庁と、現時点での特定広域団体になり得る北海道との間で、検討、調整を進める所存であります。

 また、国から特定広域団体に移籍する人員についても、同様に検討、調整を進める予定であり、結果として、国の地方支分部局の人員削減につながることもあるものと理解をしております。

 今先生言われました直轄通常砂防事業については、移譲対象範囲を検討中でありまして、また決まりましたら、はっきりその辺は、しっかりとした形ではありませんけれども、国の行政機関の定員の純減につきましては、開発道路及び二級河川に係る直轄事業、直轄砂防事業の一部の移譲に伴いまして、六十人を純減する旨を考えておるところであります。

渡辺(周)委員 それが、六十人の方が純減されるというのは、業務に関して権限が移譲されれば六十人ぐらいが純減ということですから、要は、定年退職された後の新規の採用はその分野においてしないということで理解してよろしいんでしょうか。

佐田国務大臣 ですから、この六十人の方々は、当然違うところに移っていただくか、または、今も先生言われたように、新規採用を抑えていくとか、いろいろなことを考えて純減をしていきたい、こういうふうに思っています。

渡辺(周)委員 やはりメリットというのは、決して数が何でもかんでもどんどん減っていけばいいというわけではないとはもちろん思いますけれども、当然、権限が移譲されれば、そこにはその仕事についていた方のお仕事がなくなるわけですから、例えばその分がひょっとしたら、事務量がふえる北海道庁が新たにその分野の職員を採用するのか、中途採用をするのか、あるいは新規採用で新しいふえた部分の事務量を対応するために、どうせ対応するということになると思いますけれども、この点というのは私は非常に大きい点だと思うんです。

 やはり、事務量が減ったりふえたりすることによって当然そこにいる定員も変わってくるということになるわけですから、この点についてまたこれから議論をしていく中で、実際どれぐらいスリム化されたのか、あるいは事務がどう効率化されたのかということについては、またぜひ、改めて私も質問を用意したいと思いますが、その点について議論を深めたいと思います。

 さて、これは通告はしていないんですけれども、ちょっとここで大臣に伺います。

 今回、それ以外に権限が移譲されます。今申し上げた森林法であるとかあるいは砂防法以外の分野で、調理師養成施設の指定、国または独立行政法人が開設する医療機関に係る公費負担医療等を行う指定医療機関等の指定、鳥獣保護法に係る危険猟法(麻酔薬の使用)の許可、それから商工会議所に対する監督の一部、この権限が国から移譲されるわけであります。

 まず最初にこれを伺いたいんですが、もし御存じだったら、北海道における調理師の養成指定件数、これは何件あるか御存じですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 手元の数字で申し上げますと、平成十七年度でございますが、北海道における調理師養成施設数が十五でございます。

渡辺(周)委員 いや、それは施設数でありまして、ここで権限移譲される指定件数というのは、十七年度に何件あったか御存じですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 指定というのは新たに指定するという意味でございますか、十七年度におきましては新たな指定はございません。

 実は、この移譲される事務というのは、指定もございますが、指定に伴いましていろいろな監督といいましょうか、その権限も当然移譲されるという形になるわけでございます。

渡辺(周)委員 指定に関する事務ですよね、指定に関する事務。

 これは厚生労働省の健康局生活習慣病対策室というところからいただいたんですが、もう申し上げます。施設数が、北海道における調理師養成施設数、平成十三年度が十五件、十四年度に、十三年度に一件ふえまして十六件になりました。それから、十四年、十五年、十六年、十七年と、四年連続で施設数はふえていないです。つまり、指定件数というのは、平成十三年度、過去五年間さかのぼると、この権限が移譲される指定件数の事務というのは、五年間で一件しかないんですね。

 もう続けて申し上げたいと思いますけれども、ここにあります鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に基づいての権限の移譲なんですけれども、鳥獣保護法に係る危険猟法の許可というデータも環境省からいただきました。この数字も、御存じですか、鳥獣保護法の移譲される権限の件数、北海道で何件あったかというのを御存じでしたら。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 手元にある数字でございますけれども、平成十五年度でございますが、危険猟法と呼んでおりますけれども、麻酔剤を使用する危険猟法の許可という件数について、十五年、北海道五件でございます。

渡辺(周)委員 これは、今回、どのような権限移譲に伴ってどれぐらい国の事務量が減り、そして北海道の事務量がふえるのかなということで、この四つの項目、権限移譲される権限について、実は資料をいただいたんです。その資料に沿って今聞いているわけなんですけれども、これは本当に、正直言ってほとんど、権限移譲しても事務量は、先ほどの調理師の養成施設というのは、十三年度から十七年度までの五年間で、十三年度にただの一件しかないんですね。これが一つ。

 それから、今の危険猟法及び捕獲等の許可の実績というのを北海道だけ見ますと、これはちょっと、手元にいただいたデータ、これは同じものかと思いますけれども、平成十五年度が五件、平成十四年度が四件、平成十三年度が四件、十二年度七件、十一年度五件、五年間で見ても二十五件しかないんですね。実際、全国で見ても、平成十五年度は北海道で五件ですけれども、全国で六十三件しかないんです。ですから、そんなに事務量というのは多いものではない。

 では、改めてあと二つほどせっかくですから申し上げますと、これは厚生労働省の管轄であります、国または独立行政法人が開設する医療機関に係る公費負担医療等を行う指定医療機関等の指定というのがございまして、根拠となる法律は、児童福祉法第二十条、生活保護法第四十九条と五十四条、それから母子保健法第二十条という三つの法律の四つの条文が根拠になるんですけれども、これも厚生労働省からいただきました。

 申し上げますと、児童福祉法第二十条に基づく、法案で言うところの第十一条ですけれども、指定件数が、平成十三年度から十七年度で行った事務はゼロ、施設数は、北海道においては、十三年度、十四年度、十五年度が二件で、十六年度、十七年度が一件なんです。指定件数というのは一つもない。

 それから、生活保護法の四十九条と五十四条による権限の移譲という扱いはどれだけあったかといいますと、最近五年間、これについては、平成十八年度、医療機関等の新規指定、医療機関等の名称等の変更、医療機関の廃止、指定辞退届け出の受理、いずれも十八年度はゼロです。十七年度に医療機関等の名称等の変更が一件ある。そして、平成十六年度に名称変更が九件ある。

 やはり、十四年度から十八年度、ちょっとこれは、統計とったのは、いただいた資料が全部おしりそろっていませんけれども、要は、五年間で医療機関の新規指定は二件、名称変更は十一件、医療機関の廃止は九件、辞退届けの受理が一件、五年間でこれだけなんですね。

 今申し上げましたように、今回、調理師の養成の指定、危険猟法の許可、指定医療機関の指定という業務というのは、もうほとんど、五年間でわずかな数しかないんです。

 それからもう一つ、商工会議所に対する監督の一部というんですが、これは後で申し上げたいと思いますが、商工会議所法というのは、国と都道府県にまたがっておりまして、二重行政の最たるものだというふうに言われているもので、よく取り上げられるものでございまして、そのうちの定款の変更と解散については、国から道に移行する、地方自治体に移行するということなんですが、定款の変更が平成十七年度で四件です。平成十六年度は、商工会議所法の改正があったので、それに伴って定款の変更があって百八件なんですが、平成十五年度においてもゼロ。

 ですから、商工会議所法が十六年度に改正にならなければ、ほとんどここも何も動きがなかったということでございまして、この四項目に権限が移譲されても、国の事務量は、ほとんど何の影響もないということなんです。

 どうして今回これだけが権限の移譲ということになったのか。実際は、まあ譲っても大勢に影響のない、というよりも、ほとんど取り扱いのないものだけを要は権限移譲した。調べてみて、今申し上げた数字のとおりです。実際は、国のスリム化とは余り関係ないんですね。しかも、商工会議所法の二重行政というものはまだ残っている、これは後ほど申し上げたいと思いますけれども。

 この点について、佐田大臣、これでもやはり道州制の先行的取り組みと言えるのかどうか、御感想はいかがでしょうか。

佐田国務大臣 今、渡辺委員の方からるる御指摘がございました。それとまた加うるに、直轄工事の予算の交付金化、そういうこともあるわけであります。委員の言われることもよくわかるんですけれども、今回、これを最初の出だしということで、出だしにしても少ないじゃないかというふうに言われると思うけれども、これは最初の本当の出だしでありまして、弾み車みたいなもので、最初、本部で基本方針をつくって、これを出発点として、北海道の方で、こういうふうな形で規制改革そして税財源の移譲、権限の移譲をしていくんだ。そういうことにおいて計画を立てさせていただく。

 そして、その計画の中で、これではやはり、そんなのじゃ全然足りないじゃないかと、当然先生が言われるように、北海道の方々も市町村も、道の方もそう言ってこようかと思います。そして、その中で基本方針の変更をいただき、議会で議決もしていただき、そして御意見もいただきながら、また再度そういう地方分権にかかわる内容をできるだけ多くつくっていきたい。

 この中では、もうはっきり申し上げまして、確かに各省庁の抵抗もあろうかと思います。あるけれども、やはりこれはやらないというわけにはいきませんから、そういう意味におきましては、最初の出だしということで受け皿をつくらせていただいた、こういうことで御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 もう今さら、当初、北海道からの要望が随分、三十何項目もあった。しかし、削りに削られて、結局、国としては、もうはっきり言ってほとんど事務として取扱件数のないようなものばかり権限移譲したことにしてアリバイをつくったというふうに言わざるを得ないわけなんです。

 これは、北海道の道州制道民臨調小委員会というのがあったり、かなり民間から提言されている中にある案です。多分このとき初めて道州制という言葉が出てきたんだと思いますが、道州制という言葉を冠にして、大変意気込んでいたのかなと思います。

 例えばですけれども、全道フリーゾーンの設定、法人税率、所得税率、消費税率の引き下げ。それから、例えば特定免税品を行うようにしたらどうかとか、あるいはチャリティー認定制度と免税措置とか、税制にかかわるものまで大胆に提言をされました。そして、地域通貨を自由発行しろ、北海道マネー。あるいは外国為替や貿易に関する規制緩和であるとか、農地参入に関する規制緩和とか、過疎地域における通信医療診断、これは画像診断とか治療、つまり遠隔診断や治療ができるようにしたらどうか。

 こういうある意味で一国二制度的な、これぞまさに道州制だということで、北海道の道州制経済モデル、とにかく経済的に自立しなきゃいけないんだということで、今後十五年をめどに、中央依存型の北海道ではなくて、自己完結型で自立できるものをつくろうということで提言されているものがあるんですけれども、こういうある意味では一国二制度的な、大変強い思い入れがあったにもかかわらず、いつの間にか、骨抜きに骨抜きになって、最後は五年間で一件しか取り扱いのないものが権限移譲ですなんという話になって、そういう意味では、北海道の沸き立つようないろいろな民間の思いであります。

 当初、高橋知事にも私お会いをしました。高橋知事にもお会いをして、こういう道州制特区に向けた提案というのを、これは本当に、道州制の先行的なモデルとしてぜひこういうことをやれないか。例えばですけれども、CIQなんかについても、実は、ここで取り組もう、ここまで北海道でもできるんだというようなことも意気込んで言っていたわけでありまして、この辺ははっきり言ってかなりの国家的な分野かなと思うんですけれども、それでもここまでできると。北海道内に現存する地方支分部局と北海道庁にある対応できる部局を、ほとんど類似するところはここでできるんだという形で随分意気込んでいたわけでありますけれども、残念ながら、出てきたものはこんな感じだったのかな。

 ということで、何か、北海道の方々の取り組まれた、多分民間の提言された方々の失望が目に浮かぶわけでありますけれども、実際、霞が関の抵抗の中でこうなってしまったということについて、では、大臣と副大臣にお伺いします。

佐田国務大臣 私も、この間、高橋知事にお会いさせていただきました。高橋知事も、非常に情熱を持って、要するに、今回の地方分権を進めることによって、また道州制の先導役としてのこの法律に対して情熱を持っておられました。

 中身はそういうことでありますけれども、やりたいことは相当にあるようでありまして、今も先生が挙げられた文書の中にもありますように、これから北海道で、税財源の移譲やら権限の移譲とともに、先ほど申し上げました北海道の行政のあり方、例えば石狩支庁とか開発局、そして基礎的自治体、こういうこともしっかりと、できるだけぜい肉を落として、そしてすっきりとした形の行政もつくっていきたいというようなお話がありました。

 そういう中におきまして、ぜひ御理解いただきたいのは、今回の法律を通していただければ、その後には、一年ぐらい後にはなると思いますけれども、北海道の方々のいろいろな意見を、知事も、北海道の一般の方々からも相当公募したい、こういうふうに言っておりましたので、それも含めて、相当な地方分権を広げていきたい、かように思っております。

林副大臣 まずは、二十五年来の御交誼をいただいております渡辺先生に御答弁できることを縁を感じておりますが、せっかく行革で調べていただきまして、また冒頭に、特に地方自治体に対する信頼というのがあってこれはやっていかなきゃいけない、大変そのとおりだろうかと思います。

 各省庁の抵抗があるというのを、私、初日の委員会で申し上げたかと思いますけれども、本音か言いわけかわかりませんけれども、これの一つの理由の中には、まさに渡辺委員の御指摘が最初にあったような、本当に大丈夫だろうかということがやはりあるのではないか。しかし、やはり、決まったことはきちっと実行していかなければなりません。

 それから、今後の検討のためにということで先ほどいろいろ御指摘があったところでございますが、いわゆる児童福祉法、それから生活保護法、調理師法もそうでございますが、指定の件数自体は、今委員の御指摘があったように非常に少ないわけでございますけれども、指定のストックが、指定したものが出てきます。そうすると、そこを、例えば調理師養成施設を指定しますと、指定したところがきちっとやっているかどうかの監督の業務というのが当然出てくるわけでございますし、児童福祉法によって、結核にかかっていらっしゃる子供さんを対象とした病院の指定療育機関というのが児童福祉法にございますけれども、これも、指定しますと、報告を徴収したり立入検査の事務というのが出てくるわけでございまして、それがどれぐらいやっているのかということを、こういうことを議論していく中で明らかにしていくという目的があるというふうに思って、私、わざわざちょっと割り込んで答弁をさせていただいたわけでございます。

 指定の件数が少ないからもうこれは少ないんだといっても、実はそこに定員が張りついている場合があるわけでございまして、そういうところを明らかにしていって、本当の業務は何であるか、その業務に対応してきちっと定数が張りつけられているか、また、委員が最初に御指摘になったように、二重行政があるのかということを、きちっとやはり細かく精査をしていく必要があろうか、こういうふうに思っておりまして、そういう意味で、大変いい御指摘をいただいたというふうに思うとともに、その指定件数の周りにもいろいろ業務があって、このことも検討していかなければならないということを御答弁させていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 大分時間が押してきましたので、ちょっとはしょって質問するんですけれども、霞が関の抵抗という中で、霞が関に限らず、地方支分部局の方々も自負心また誇りを持って仕事をしているわけですので、我々が要らなくなるのかということは、それは当然のことながら、やはりその仕事仕事をされている方々には思いがあるでしょうから、あなた方の役割は終わったということはない、ただ、形は違えども、やはり同じ仕事をしていただくということは、これは政治決断しなきゃいけないときが来るんじゃないかなと思います。

 ここに、「ほっかいどうかいはつグラフ」という北海道開発局広報誌がございまして、二〇〇四年の春なんですけれども、これはコピーなんですが、このときに、実はこれを読んでいましたら、この「かいはつグラフ」の中に、「北海道で実施する公共事業の主な特例措置」という一覧表がございまして、これは御存じのとおり、国庫補助負担率は本州と北海道では違う、いわゆるかさ上げというものが行われているということが一覧で書いてあります。

 特集は道州制と北海道開発というテーマであるんですけれども、ここに書かれているのが、直轄事業について、北海道の特例を廃止する、つまり、北海道開発局がなくなって北海道がやるようなことに、道庁がやるようなことになったら、いろいろ書いてありますが、時間の関係で少しはしょると、北海道庁が補助事業として都府県、いわゆる北海道以外の本土並みの負担・区分で実施した場合、公共事業は三千百億円減少します、この結果、道内の雇用は四万一千人減少し、失業率は一・四%上昇します。

 仮定二として、北海道特例を廃止して、国が別のパターンで直轄事業として補助率のかさ上げを廃止するとどうなるかというと、やはり、道内の雇用は二万四千人減少し、失業率は〇・八%上昇します。

 つまり、北海道開発局がなくなって、北海道がいわゆる主体となって公共事業をやった場合、あるいは、直轄事業だけれどもいわゆるかさ上げの補助がなくなった場合、そのときには失業率が上がるよ、公共事業費が減るよ、こういうことを書いているわけですね。こんなのを書かれたら、当然のことながら、それはちょっと困ったものだ、ちょっと待ってくれ、道州制というのはそういうことなのかということになって、それは急ブレーキを踏まれるわけであります。

 こういう形で、これはどういう根拠で計算されたのか、そこまで調べる時間がありませんでした。ですから、これが本当なのか、どこが出典で出どころなのかわかりませんけれども、こうなるとやはり、本当に地方分権、道州制なんかが進んで大丈夫かというふうに当然住民は不安になるわけでありますけれども、これは一つの、ある意味では霞が関の抵抗というよりも北海道開発局の抵抗の例じゃないかということでひとつ御紹介をしておきたいと思います。

 それから、二重行政について先ほど林副大臣も触れられましたけれども、商工会議所の定款の変更については、権限を国から地方に移すんだというふうにあります。しかし、商工会議所の管轄する仕事というのは二重行政、これは福岡県が出した「「国と地方の二重行政」の弊害の事例」というのがありまして、福岡県の麻生知事が、恐らく地方分権を進める上で五つ、六つほどまとめられてこういうものを配付しているんだと思いますけれども、商工会議所の監督指導については、定款の変更は今まで国と県だったものが国から地方になる、ところがそれ以外のところは、実は、定款の変更と解散の認可以外にいっぱい項目があるんです。ところが、それはやはり国と県と両方がやっているんですね。これなんかもあしき二重行政の例ではないかというふうに言っております。

 また、北海道からも今回の権限移譲の中で例に挙げられていたと思いますけれども、理容師、美容師の養成施設の指定、これも実は福岡県も同じように指摘をしておりまして、理容師、美容師は国家資格ではあるが、理容師、美容師が働いている理容院、美容院に関しては、すべて県または保健所設置市の権限となっていて、現場の実態を把握しながら業務の適正化や公衆衛生の向上のための事務を行っている、これも二重行政だという例が幾つか出ているんです。ですので、養成施設の関係は国と県にまたがっておりまして、理容院や美容院に関しては県がやる。

 例えば、福岡県もそうですけれども、いろいろな形が二重行政の例として今後の権限移譲の中で事例としてかなり挙げられてくると思うんですけれども、今、もしわかるだけでも、地方から要望の強いこういう二重行政の例、あるいは権限移譲をしてくれということについて、北海道のみの意見ではなくて、全国からどういう要望が知事会なりから挙げられているのか、その点について何かございましたら、大臣、副大臣、こういうことが問題ではないかというのがもしありましたら、ぜひお答えいただきたいと思います。

林副大臣 まさに今委員が御指摘のように、北海道のみならず、方々の県からいろいろな御指摘があるということでございまして、せっかく御指摘がありましたので、もう少し網羅的に調べてみたい、こういうふうに思っておりますが、まさに、委員のようにきちっと根拠条文を調べていただいて、委員会でこうやって御議論いただくということが大変大事なことではないかなと今議論を聞いていて思った次第でございます。

 そういった意味では、今回、この商工会議所は事務事業の移譲の中に入っているということですが、一体、具体的にどういう部分がどういうふうになっていくのかということも、この仕組みの中に乗ることによりまして、運営も含めて一層精査をしていけるのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 これ以外にもいろいろあるんです。

 例えば福祉の町づくりでいうと、ハートビル法それから交通バリアフリー法というのが制定されたけれども、条例では既につくってあったときに、条例と法律の整合性がとれないんだとか、職業紹介なんかについてもこれはかなり要望が強いと思います。これは、ハローワークがやっているものもあれば地方がやっているものもあって、結果として、地方の方が集約したら効率的にできるじゃないかというものもあるんですね。

 こういうところも、これはやはり当然、権限の移譲あるいは統合という形によって住民のサービスというのはもっと向上でき、効率的になるのではないのかなというふうに思うわけでありますけれども、うなずいていらっしゃる大臣、もし何か御感想というか決意がございましたら。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

佐田国務大臣 もう今委員が言われたとおりでありまして、これからそういういろいろな、このぐらいのことは地方がやるべきだ、地方がやれるじゃないか、国が関与することではないじゃないか、こういうことは相当な数に上ってあると思いますので、その辺も精査しながら、例えば、次のときの基本方針の中にすべて網羅していくとか、各役所の方にもそれを理解していただき、そして、北海道からも今のところ知事が参与になるわけでありますけれども、本部の方で北海道の意見を重視して決めていきたい、こういうふうに思っております。

 先生、もう言うまでもありませんけれども、やはりそういう意味においては、二重行政、三重行政を省いて、本当に一直線にして行政のぜい肉を省いていく、こういうことが趣旨でありますので、しっかりとそれは行っていきたいと思います。

渡辺(周)委員 なぜこの話を持ってきたかといいますと、これは、この法律が成立をして、その後いろいろな要望をまた受けて、第二弾、第三弾の権限移譲をしていくんだと。それは、待っているんじゃなくて、もう既にたくさん寄せられているはずなんです。これは知事会のみならず、地方六団体であるとかさまざまな経済団体、あるいは業界団体、多分この理容師、美容師のことだって、恐らくそういう団体からも出てきているでしょうし、当然商工会議所の方からもそういう意見が寄せられているわけで、我々のところにも寄せられているわけでありますが、待ちの姿勢じゃなくて、これは問題じゃないかということで、全部それは網羅的に、これはまさに権限の移譲、事務の仕事の仕分けをぜひ早くにやっていただきたいと思います。

 そうしないことには、道州制の議論を幾らしても、結果的には枠組みの話ばかりをして、事業仕分けをどうするか、国と地方、中央政府と地方政府の役割をどうするかということをやって初めて具体化してくるんではないのかなというふうに思います。

 あと数分ありますので。

 なぜこういうことになったかと冒頭申し上げました。なぜこういう質問をしたかといえば、やはりこの道州制というのが、そもそも北海道の方々は、もっと一国二制度的なかなり大きなロマンを持ってダイナミックな改革案を考えていた。そうしたら、何かどんどんやりとりしている間に、小泉総理も後押ししているんだからこれはかなりのことができるだろうと思ってやっていったら、最後は、言っては悪いですけれども、余りにも小さ過ぎて、高橋知事は小さく産んで大きく育てるんだとか言っていますけれども、とてもこの案では、メリットを享受できる、あるいは、三つの地方自治体が一緒になって特定広域団体をつくって、では、おれたちもこの権限移譲は魅力的だからやろうじゃないかということに、とてもじゃないけれどもなるような今の状況じゃない、法律案ではないというふうに言わざるを得ないわけであります。

 その北海道の提案に対して、内閣府の道州制特区推進担当室が関係省庁の回答を北海道にするに当たって表紙につけた言葉がございまして、前段は余り本筋に関係ないから除きますけれども、これは道州制特区推進担当室が北海道に答えられたときに言っていることですけれども、「道州制そのものについては、国家の統治機構につながる根本的な改革でもあり、導入の是非、制度設計等をはじめとして政府の方針決定は行われておらず、そのような状況下において、「道州制特区」を道州制そのものの導入の先行実施として位置付け、取り組むことは困難である。」と書いてあるんですね。そう言って北海道にもう返しているんですよ。

 それで、その翌年のことしの通常国会の小泉総理の所信表明の中では、北海道が特区としての先行的な取り組みになるように支援をすると言っていますけれども、そもそも、この道州制自体が全く制度設計もされていないなど、国家の統治の形をどうするかということが全然進んでいないのにこの道州制特区という言葉だけが出てきたので、この国会の議論も実は質疑がかみ合わないんだろうなというふうに私は結論づけているわけであります。

 そのためには、この統治機構、統治のあり方について国と地方の役割をどうするか、もう時間がありませんので、その点につきまして大臣、副大臣にぜひ最後に決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

佐田国務大臣 先生の言われる意味はよくわかるのでありますけれども、今回の法律において、一番この中で大事なところというのは、地方の意見を聞いていくというところが一番大事なことであって、それによって、要するに地方にできることは地方にやっていただく、そしてまた今回の場合は、国から税財源、権限の移譲を道にし、そして、道からまた基礎的自治体に対してその権限を移譲していく、そういうふうな形をイメージしておるわけであります。

 その中で地方分権が進んでいくということには御異論はないと思いますけれども、今回のガバナンスのあり方というのは、その中において、地方の意見を聞きながら、地方にできるものは地方にやっていただく。国は、抵抗はあるけれども、国は国として、きちっと今回は道の意見を聞きながら地方分権を進めていく、こういうことだと私は思っております。

林副大臣 御指名ありがとうございました。

 今大臣がおっしゃられたことに尽きますが、委員が御指摘になったように、細かいところまで、運用を政省令に至るところまできちっと見て、本当の意味で権限の移譲になっていくのかというモデルでございますので、それをきちっとやることによって、それを見ていただいて、さらに、ではこういうことになるんじゃないかというふうに、いいつながりになるぐあいに努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

渡辺(周)委員 終わります。

西村(康)委員長代理 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 大臣、副大臣におかれましては、大変長時間の御審議、本当にお疲れさまでございます。また、委員の皆様もお疲れかと存じますが、もう一踏ん張り頑張ってまいりたいと思います。

 冒頭、大臣から大変ありがたい御報告がございました。みずから調べて報告をしたいと言ったことについて、三点、御報告いただいたわけでありまして、私、委員会審議でああいうのを初めて拝見しました。委員会に対する、国会に対する姿勢のお示しになられ方として、非常に敬意を表させていただきたいと思います。

 その上でお尋ね申し上げます。

 冒頭、小泉前総理のリーダーシップでこの道州制の議論がそもそも始まったのかどうか、その点、改めて確認させていただいてよろしいですか。

佐田国務大臣 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、これは新聞でありますけれども、新聞報道等によりますと、平成十五年八月二十六日に小泉前総理と高橋知事が面談をし、その際、北海道における道州制に向けたモデル的な取り組みについて話題となったことが道州制特区の一つの契機と認識しておりますけれども、具体的なやりとりは、私は理解はしておりません。

 いずれにいたしましても、その後に具体的な検討が始まったのは、平成十五年十二月十九日の経済財政諮問会議における議論である、こういうふうに考えております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 同趣旨のことを、平成十八年の二月二十八日、総務委員会、竹中前総務大臣が我が党の渡辺周委員の質問に対してこのように答弁されております。「そもそも道州制特区は、道州制を考えるに当たって、北海道に関しては、道州制が将来とられたとしても多分今の形がそのまま道として残る」「いろいろな取り組みを先行的に始めやすいはずだという総理御自身のリーダーシップによって始まったものでございます。」これは竹中前大臣の答弁であります。

 これはこのとおりでよろしいですね。これを否定されるということはありませんね。

佐田国務大臣 否定であるとか肯定というよりも、竹中さんがそう言われたんであるならば、それは多分議事録だと思いますから、そう言われたんだと思います。

小川(淳)委員 私は余り揚げ足をとるようなことを申し上げるのは本当は嫌いなんですが、二つだけ確認させてください。

 大臣は、十一月八日、本内閣委員会における我が党の市村委員とのやりとりの中で、こう答えられました。今回の場合は、北海道の道民のいろいろな意見を聞いて、その中から、別に試験的にやるということではなくて、手を挙げられたわけでありまして、手を挙げられたわけですから始めていくんだという趣旨のことをおっしゃっている。これと、さっき冒頭御報告されたこと、ないしは竹中大臣の御答弁を否定されなかったこと、これは矛盾しませんか。

佐田国務大臣 ですから、私が申し上げているのは、つまり、高橋知事が経済財政諮問会議でそのように申されて、そしてそれが始まったわけでありますから、その中で、特定広域団体を含めた意味合いで今度の法律の中で政令で定める形になってきたんではないかと思っております。

小川(淳)委員 林副大臣に重ねてお尋ねいたします。

 副大臣も、同じく十一月八日、本内閣委員会の会議の最中、我が党の逢坂委員の質疑に対しまして、今お尋ねのありました議論の発端、問題意識、最初におっしゃられましたけれども、まさに北海道がなぜ最初のモデルなのかというところにもかかわってくる、まさに地方発のアイデアだということが端的にあらわれておりますのがこの経過でございますと副大臣は御答弁されております。この点、いかがですか。同じ問いです。

林副大臣 今委員が御指摘のあった答弁をいたしたと思いますが、先ほど委員会の冒頭に大臣から御説明のあった経緯でございます。それで、それにつきましては今大臣から御答弁があったとおりでございまして、そのアイデアをそれ以前から高橋知事もお持ちであったし、道州制についてはいろいろなところで御議論があったというのは、今までの御審議の中でも常々議論があったところでございます。

 そのいろいろなことの中で、最終的に、正式に北海道知事が経済財政諮問会議に来られて、十二月の十九日、この間申し上げたように、そこで正式にやってみたいという御提案があったということの趣旨を申し上げたというふうに御理解いただけたらと思います。

小川(淳)委員 もう余りくどくど申し上げません。私が申し上げたいのは、これはやはり政府として推進していくんだという強い意思があってしかるべきなんですね。そのエンジンがどこにあったか。小泉前総理が北海道からモデル的にやってみたらどうだという発想をされたとしたら、これは私はすばらしい発想だと思いましたよ、当時、報道を見て。

 それは大いに政府として責任をおっかぶるべきですよ。しょっていくべきです。北海道が手を挙げたからやるんだとか、彼らの自発的なあれなんだとか言ったら、北海道の人は困りますよ。政府としてこれはやることです。そのことは決してあいまいにされないように。もちろん、北海道の意見をよく聞いて、彼らの協力を得てから進めることは当然だと思いますが、あくまでこれは政府として、将来の国家像を考えていくに当たってやっていくんだということからは一歩もお逃げにならないようにぜひお願いをしたいと思います。どうぞ。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

林副大臣 委員御指摘のとおりでありまして、発端は地方発で、地方発のことはすばらしいというふうに申し上げたつもりはございますけれども、だからといって我々に責任がないとかそういうことではなくて、まさに内閣府として責任を持って法案を提出させていただいて、取り組みも進めていくということで御理解を賜ればと思います。

小川(淳)委員 その点だけ確認させていただければ満足であります。ありがとうございました。

 そして二つ目。さきの委員会の質疑の中で、四百回ですか、タウンミーティングを行われた。これは、私自身、あるいは我が党我が会派としてのお願い、要請になりますが、具体的に、どこで、いつやられたか、資料の提示をいただく、あるいは御説明いただく、きょうでなくて結構です、これは御検討いただけますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点は、これは北海道庁等の方で、道内の市町村とか道民を対象に意見交換会を行った、これが延べ四百回と聞いてございます。

 これはちょっと資料は道庁の方の資料になりますので細かくはわかりませんけれども、今申し上げました内訳として、例えば、平成十六年度におきましては市町村が主催で七十回、さらに、十七年度は市町村の主催で三十一回、十八年度は九回、こういった数字についてお伺いしている次第でございます。

小川(淳)委員 これは要請になりますが、改めて、既に教育基本法をめぐるタウンミーティング等でああいう遺憾な事態も発生しております。そういう意味でも、十分な御説明ないしは事実関係の確認をしていただきたいと思います。これは、各個別の資料、もちろん北海道庁の協力を得ないといけないんだと思いますが、当委員会に資料を提出していただくことをお願いできますか。あるいは理事会でお諮りいただくようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 それは説明会でありますけれども、四百回の説明会、並びにタウンミーティング、これは九州の方でもやっております。それから、北海道では稚内、こういうこともすべて資料にして出させていただきます。

小川(淳)委員 御協力ありがとうございました。

 それでは三点目、きょう午前中、四名の有識者の方、参考人をお呼びして、いろいろな御意見を承りました。これももちろん院として、内閣委員会として承ったものですが、これは政府にとっても大変参考になる意見が多かったと思います。大臣あるいは副大臣、要点だけでもお聞きになられましたか。それとも、そんなお時間は今のところございませんでしたですか。

佐田国務大臣 すべてではありませんけれども、四人の方の御意見をある程度、全部じゃありませんけれども、聞かせていただきました。

小川(淳)委員 もちろん、積極的に評価される御意見も中にはございましたし、あるいは、大臣、副大臣にとっては非常に耳の痛い御意見もあったことも事実でございます。

 それらを含めてここで議論を進めていくわけでありますが、特に私が非常に心にとどまりましたのは、やはり今回の道州制特区法案、これは道州制を本当に目指しているのかどうか不明であるといった意見、道州制という名前を冠しただけじゃないかという御意見、あるいは道州制という本来の姿に関して本質的な議論が不足しているんじゃないかという御意見がございました。いずれも大変耳の痛い御意見だと思いますが、よくこれは耳を傾けていただいて審議の方に臨んでいただきたいと思います。

 やはり大事なことは、本来の道州制とそれから今回の道州制特区法案、これが別物だということ、既にもうこの間の審議の中で大臣お認めになっておられます。

 もうこの際、それを前提に参りたいと思いますが、この本来の道州制は、大臣、本当に日本に必要ですか。大臣は、御自身として、道州制担当大臣として、近い将来道州制を日本に導入したいと本気で考えておられますか。

佐田国務大臣 まず、その前提として、道州制と今議論している道州制特区推進法は、要するに、将来のビジョンとしては道州制はありますけれども、今現在では違うものであるということは御理解いただきたいと思います。

 それともう一点は、ぜひ御理解いただきたいのは、行政改革、先ほど渡辺委員の方からありましたように、地方分権を進めるということは六割ぐらいの方々がもうこれは同意をしている、そういうお話がありました。これは、今の財政面を考えても、委員はもうベテランですから、役所にもおられてよく御存じのとおり、やはりそういう中において、できる限り行政のぜい肉はそいで、そしてまた本当にしっかりとした行財政改革も行っていかなくてはいけないというのは基本的な考え方であります。

 それと同時に、先般通った行政改革推進法にもありますように、本当にスリム化を具体的に進めていかなくてはいけないという現状もまたあるわけであります。

 その中で今回の法案があるわけでありますけれども、その中において、道州制ということで一番私が考えているのは、先生先ほど言われましたけれども、要するに国がちゃんと責任も持たなくちゃいけませんよ、これは当然のことだと思います。もうやったから私は知りませんよじゃなくて、やはり国と地方との役割分担。

 それともう一つは、地方が、我々はこういう地方分権、つまり税財源の移譲であるとか権限の移譲を望んでいるんですよ、今回の場合は北海道でありますけれども、そういう意見を聞きながら、できる限りのスリム化をしていく。そしてまた、違うところの特定広域団体が出てきた場合には、また同じような形で国もしっかりと一緒になって地方分権を進めていく。そういうことを考えて、将来その道州制のビジョンをつくらせていただき、そしてそうなっていけば、非常に効率のいい、小さな政府を実現できますし、国民のためにも非常に有意義なことである、私はこういうふうに思っております。

小川(淳)委員 道州制議論の本質論をつかまえたいと思っているんですが、今大臣から、ぜい肉とか行革というお言葉が出ました。道州制というのは行革ですか。

佐田国務大臣 道州制は、私は、少なくとも今度の法律については行政改革だと思っております。

小川(淳)委員 済みません、しばらく道州制本体の議論、本当にすべき本質的な議論におつき合いをいただきたいと思いますが、本来の道州制とは大臣にとって何ですか。何を目指しているのが道州制ですか。

佐田国務大臣 それはやはり、今非常に広域行政が必要になっております。その広域行政、いろいろな、例えば地域の産業であるとか、または観光を含めても、一つの例でありますけれども、広域行政が必要になってきておる。そしてまた、委員も御案内のとおり、三千三百あった地方自治体が今千八百くらいになっております。そういう流れの中におきまして、要するに、道州制というのは行政改革に資するものだと私は思っております。

小川(淳)委員 副大臣、何かございますか。

林副大臣 御指名ありがとうございました。

 大臣が今行革、またいろいろなことを御答弁されたわけでございますが、まさに、まだ委員が役所におられたころかもしれませんが、二十七次、二十六次、ずっとこれは議論をしてきておるわけでございまして、国と地方の双方の役割を再定義する、こういうような趣旨のことをずっと御議論していただいているようでございます。

 東海道五十三次というのがございますが、あのころは、もう江戸から大阪に行くまでに物すごい時間がかかっていた。今はもう、私も、北九州空港ができますと日帰りを毎日しても一応物理的には可能なぐらいになっているわけでございまして、それだけ変わってきた。物理的な距離のみならず、いろいろな距離が縮まってきた。

 こういう中で、国と地方の役割を再定義して、さっき二層、三層の議論もございましたけれども、そういうものをグランドデザインとしてきちっと提示する、そのために道州制を議論しようではないか、やはりこういうところに一つの大きな今回の道州制に向けての議論の盛り上がりというのがあるんではないか、そういうふうに認識をしております。

小川(淳)委員 目下のところ、大臣、副大臣のお務めはこの法案を通されることだと思います。しかし、本来の道州制に対して、この国の道州制担当大臣、副大臣ですから、本来の道州制とはいかなるものか、一体この国をどこへ引っ張っていこうとされるのか。そこには、やはりある種の哲学といいますか、本質をとらまえた感覚をぜひお持ちいただきたい、私はそれを本当に願ってやみません。

 そこで、道州制の本質に関してはいろいろな議論、割と地制調の答申というのは非常によくまとまっていますね。幾つか読み上げますので、同感か、あるいは違和感を感じるか、お答えをいただきたいと思います。

 その前に、十八年の二月の六日、中川当時政調会長ですか、現幹事長が予算委員会で竹中大臣に対して質疑をされました。その中で、国土計画研究会の伊藤滋先生の報告書を少し引用されているんですね。

 道州制は、東京一極集中と地方の衰退から日本を救う道だというくだりがございます。道州制の創立によって、新しい州は情報、産業を引き寄せる。州の都となるところは、国政を分担する。労働団体、市民団体、芸術・スポーツ団体、外国機関、さまざまなものが集まり、一大情報拠点となる。州都はまさに日本の複数の中央をつくる。気鋭の士を引きつけるであろう。中央集権のもとで、全国画一体制のもとで力を発揮できなかった人たちのエネルギーが、産業を興し、教育を見直し、豊かな地域をつくる。日本は州都を中心とした多極的な経済構造をつくっていく。

 こういったことを引いておられますが、これは同感ですか、違和感を感じられますか。

佐田国務大臣 私は決して違和感は感じませんけれども、将来的にそういうふうになるんであろうと私も思います。

 しかしながら、私が考えているのは、この法律を通していただければ、道州制のビジョンをつくる場合に、例えば州都なら州都、ここにはこういう権限、税源、財源を移譲するんです、要するに、特定広域団体にはこういうものを移譲するんです、そういうふうな形で、私は北海道は北海道でそういうものができると思うんです。違うところの特定広域団体は特定広域団体で、みんな特徴があると思います。九州だとか、例えばうちの方の関東であるとか東北であるとか。

 そういう中において、その独自性の中において、やはり今言われたような一極集中を防いで、その独自性のところに人も集まりますし、資本も集まってくるわけですから、そういう意味においては、むしろその独自性を大事にしていけば、今言ったような一極集中を防いだ、州都は、いろいろな形で、文化だとか医療も教育も全部集めたような一大拠点になっていくのではないか、こういうように思っています。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 要点をうまく整理して議論を進めていかないといけないんですが、地制調の答申を御紹介します。

 道州制の導入は都道府県制度の見直しにとどまらない。国と地方の双方のあり方の再構築、道府県制度に関する問題への対応にとどまらず、国の形の見直しにかかわるものとして位置づける。圏域相互間、さらには海外の諸地域との競争、連携、一層強まり、東京一極集中の国土構造が是正される。

 つまり、私が申し上げたいのは、本来、道州制の議論とは、やはり国家構造の問題でありまして、今し方、この法案審議の中で出てくるキーワードというのは、やはり行革とか分権とか広域行政、これはどれ一つとっても大事です。もちろん大事です。しかし、これは本来、本質的に道州制の議論というのは国家構造の変革だというところまで突っ込んだ価値判断、価値観を、ぜひ大臣、副大臣にはお持ちをいただきたいんですよね。国家構造の変革です。

 ですから、この法律を私拝見したときに、まあ幾つも不満なところはあるんですが、一番不満なところ、目的規定なんですよね。もちろんこれは道州制とは別物ですというお考えなんだと思いますが、結局、第一条の目的を見ますと、「北海道地方その他の各地方の自立的発展」、地方の発展にとどまっているんですね。やはり本来の道州制というのは、とにかく国家構造、もっと言えば、国家の中に大変凝縮された権限とか財源を持った準国家、国家内国家をつくっていくこと、これが日本の目指すべき本来の道州制の姿、大臣のお言葉をおかりすれば、本来の道州制の姿だと思います。

 そこへ射程を置いていただいた上で、今回の法案がどうなのか、それは一体一合目なのか二合目なのか三合目なのか、どういった評価を置かれているのか、あるいは全く別の路線なのか。これは別の路線だということであってはならないと思いますが、一合目なのか二合目なのか三合目なのか。我々の評価と大臣の評価、ひょっとしたら異なるのかもわかりません。

 いずれにしても、道州制を議論する以上、一体道州制とは何なのかというところに対する相当突っ込んだ価値判断、価値観を持った上で、この国の運営をぜひ図っていただきたい、そう強く願いたいと思います。

 やや各論に入ります。

 この道州制法案、道州制特区は道州制じゃないんだということに関しては、繰り返しになりますがお認めをいただいている。今回のこの道州制特別区域、第二条ですか、定義を置かれているわけでありますが、これは再三議論になっています。なぜ三つ以上の都府県の合併を要するんですか。なぜですか。

佐田国務大臣 先ほども寺田委員の方からお話がありましたけれども、北海道と基本的に、面積ということもありますけれども、それと同時にいろいろな人口の問題も、また経済の大きさの問題等もありますけれども、そういうことをかんがみたときに、三つということではなくて三つ以上のところが特定広域団体の対象になる、こういうことでございます。

小川(淳)委員 人口とか面積ですと、これは四十七都道府県さまざまですから、なかなかぴたっとした理由に当てはまらない、これはもうお認めになられているとおりです。ずっと、例えば北海道が、三つ合併しただとか、国の所管機関が似ているのが大体三つだとか、これは情況証拠的な説明というのが成り立っているんですよね。しかし、そこに理念がないんですよ。なぜ三つなのか、二つじゃだめなのか。私はそれは三つでもいい、すべての都道府県に同じように可能性があるんであれば。

 私はどうしても、これは抜け落ちていて気になってしようがないのが沖縄なんですよね、沖縄県。これは沖縄県にはどうしろというんですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この三以上の都府県の全部を区域に含むものであるという条件は、これはすべてでございますので、仮に沖縄県単独であれば、この特定広域団体にはなり得ません。ただ、沖縄を含めまして、三以上の県が合併する、そういう場合には当然検討対象になり得る、こういうことでございます。

小川(淳)委員 鹿児島か宮崎か大分と一緒になれということですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 別に合併しろとかそういう趣旨ではございません。あくまでも法案でございまして、先ほど申し上げましたように、三以上の都府県、これが一応の目安として今回出しておるわけでございますので、そういう広域性といいましょうか、それを、当然沖縄も含めて、これが全部について適用される、こういうことでございます。

小川(淳)委員 沖縄がどうしても北海道並みになりたいと思ったときは、鹿児島、熊本、宮崎、いずれかと一緒にならざるを得ないと思いますが、いかがですか。大臣、いかがですか。大臣、今の政府の答弁、いかがですか。

佐田国務大臣 ですから、先ほどのお話にもありましたように、いろいろな地理的な要素、またはその歴史、そして文化、こういうものをかんがみた場合に、例えば沖縄に隣接した県と県が三つ以上集まればその対象になってくる、こういうことです。

小川(淳)委員 沖縄に隣接した都道府県というのはどこですか。

佐田国務大臣 隣接ということで今言いましたけれども、ですから、そういういろいろな自然、文化、そして伝統、こういうものが一致したところは、別に沖縄と隣接というか、していなくても、その関係があればそれは対象になるということです。

小川(淳)委員 大臣、百三十万人の沖縄県民を前にして、それ言えますか、本当に。私、やや感情的になって本当に申しわけないんですが、平成六年、自治省に入省しまして、最初の赴任地が沖縄県なんですよね。

 日本には、本土のことを内地と呼ぶ地域が二つあります。一つは北海道、一つは沖縄。大臣、盛んに歴史歴史とおっしゃっている。実は、二条の定義規定の中に、この道州制特区の定義として、自然、経済、文化、社会における密接な関係というのは明確に定義されている。これはすっぽり歴史が抜けているんですよね。

 沖縄は、御存じのように琉球王国の歴史があります。今回の法案が広域行政だけなら、行革だけなら、余り歴史歴史とか言わなくていいのかもわかりません。しかし、これは、分権という発想は避けて通れない、物すごく重要な要素だと思います。分権ということを考えたときに、歴史というのは物すごく大きな精神的な受け皿、素養だと思うんですよね。

 これはぜひ、いや、原則三県でもいいですよ。でも、原則でいいじゃないですか。沖縄が北海道並みにやってみたい、今回の特例使いたいと。しかし、鹿児島や宮崎や熊本と一緒にやるわけにいかないでしょう。今回の法案の趣旨に逆らわないんなら、法案の趣旨からして許せるんなら、これは原則三県でいいじゃないですか。いかがですか。

佐田国務大臣 委員が沖縄に対する思い入れが強いというのはわかりました。

 今私が歴史と言ったのは、自然、経済、社会、文化ということでありますから、文化というのは、やはりこれは歴史も含まれる、そういうことで私の頭に入っておったんだと思います。非常に特殊な歴史等を持っている沖縄でもあります。しかしながら、今度の法律だけで申し上げるならば、これは一応、三県を要するに合併した形で対象になる、こういうことでございます。

小川(淳)委員 大臣、予想していましたよ、文化の中に歴史が入るというお答えは。だけれども、本当にそうですか。

 大臣、十一月八日、我が党の市村委員の質疑に対して、九州と北海道を比較されて、それは、地域、歴史、文化、いろいろ違うと。きょうの質疑、群馬県内の高崎とどちらでしたっけ、歴史が違うんだよ、歴史歴史と盛んにおっしゃっている。

 これは、分権とか地方自治を考えるに当たって、歴史は文化に含まれていますと言うには余りにも底が浅いと思いますよ。やはり歴史って本当に大事ですよ。副大臣、どうぞ。

林副大臣 委員の沖縄に対する強い気持ちを、大変感銘を受けながら聞いておりました。

 三つ以上とさっき大臣がおっしゃられましたので、三つでなくても、三つよりたくさんでもいいわけでございます。

 先ほど、きょうだったか前回だったか忘れましたけれども、私の答弁の中で、九州で特区の推進をされておられるというお話を答弁させていただいたかもしれませんが、例えば、沖縄を含む九州で大きな特別区域というのをつくっていただくということは、この法律の今の枠組みの中でも十分可能なわけでございます。実際に、九州府の御検討をされておられるいろいろな検討の中にもそういう記述も出ておる、こういうふうに承知をいたしておるわけでございまして、この法案の枠組みの中でも先生の熱い思いを生かしていただく道が全くないというわけではないというふうに考えておるところでございます。

小川(淳)委員 副大臣、お言葉ですが、つまり歴史を考えれば考えるほど、九州と沖縄は一緒になれないんですよね。やはり琉球王国と内地なんですよ。琉球王国の歴史を背負った百三十万県民とその他なんですよね。これは、私が申し上げているのは特に沖縄のことをやはりよく知っているからというのはありますけれども、その三つというのは、理念がないのであれば、情況証拠だけなら、そこにこだわって沖縄から可能性を奪う必要はない、そのことだけは強く御指摘を申し上げて、次の論点へ参りたいと思います。

 さて、今回の法案、道州制と道州特区、これは別物だというところをとにかく出発点にしないといけないわけですが、道州制と別物なのに道州制特区と名づけたことに関しては、やはりある種の責任が生じると思うんですよね。私は、この法案をよく読み込めば読み込むほど、都道府県の合併に伴う特例制度だなというのが本質的な姿なんだろうなと思いました。

 これ、法律の名称、道州制特区推進法案、やや気恥ずかしさといいますか遠慮といいますか、そういうのをお感じになられるようなことはございませんか。

林副大臣 私ぐらい厚かましくなってまいりますと、余り気恥ずかしさとかそういう概念から遠くなってしまっておるわけでございますが、この法案の名称の御指摘がございました。将来の道州制の導入の検討に資するというのは、これ自体が道州制そのものではないにしても、将来の道州制導入の検討に資するためにこれを先行的取り組みとしてやっていこうというのがこの法案の趣旨でございます。

 そういった意味で、どういう主観的な感じを得られるかどうかは別といたしまして、こういった趣旨を端的にあらわすためにこういう名称ということで考えておるということでございます。

小川(淳)委員 私は、今回のこの制度を見まして一番に、一番にというか、いろいろなやりとりをしながら思い浮かんだのが、政令指定都市なんですよね。市町村制度があって、特に人口要件、面積要件、面積要件は最近外れたんですかね、政令市、中核市、特例市という特別の市域制度があることは御存じだと思います。これが、ある人口要件、面積要件を満たすと政令で指定される。政令で指定された結果、例えば政令市については、この辺にリストがあるんですが、いろいろな項目の権限移譲が行われるということでございます。

 今回のこの道州制特区、これは、都道府県の政令指定によって特別な権限を与えられる潜在的な可能性がある、都道府県の特例制度だと思います。

 そこでお尋ねしたいんですが、政令指定都市制度は当初五市で始まりました。大阪、名古屋、京都、横浜、もう一つどこかですね。今は十五ですか。今、新潟市が準備しているんですかね。ずっと経過を追ってふえ続けてきています。法律要件は人口五十万人ですが、実際の運用は百万人でやられてきた。これは、人口要件を満たしたところで政令市になりたくないという町は多分ないと思いますね。これは手続が法律上ないんですよ。手続がないままに、ある要件を満たせば政令指定する。これは非常によく似ているんですよね。恐らく、法制化に当たってモデルにされたんだと思います。

 しかしこれ、法制的に確認だけさせていただきますが、合併した都道府県三県がこの特例県になりたくないと言った場合には、ならない自由はありますね、法制的には。

林副大臣 まさに御指摘のように、この法案の仕組みといたしましては、申請という行為が間に入っておりますので、申請をしなければ何も起こらないということでございますから、そこで、三つ以上合併された、特定広域団体になるべき要件を備えた皆さんについてのオプションがある、こういうことだと思います。

小川(淳)委員 北海道についてはいかがですか。

山崎政府参考人 今副大臣からお答えしましたが、政令の指定に当たりましては、内閣の方でこれは当該団体の要請を踏まえまして検討することになっているわけでございまして、私どもとしましては、北海道の方は、これまで一緒にこの作業を進めてございますので、拒否ということはないと思いますけれども、基本的には、当該団体の要請に基づいて、当然それを踏まえた上で検討し指定を行うということになると思っています。

小川(淳)委員 はっきり確認させてください。北海道が嫌なら、この法案が通った後もこの特例県にはならないんですね。北海道が嫌なら、拒否すれば。

山崎政府参考人 今回の法案の条文で申し上げますと、北海道を初め特定広域団体が例えば指定を拒否できる規定とかそういったものはございませんが、しかし、だからといいまして、これは当然内閣の方で決めるわけでございますので、その段階におきまして当該団体における指定の要請をベースにするということで考えておりますので、それを踏まえた上で当然対応してまいるということになるわけでございます。

小川(淳)委員 これは、住民投票の要否とも絡んで、実は意外に法制的には重要なところだと思うんですが、自主的にやっていただく、あるいはぎりぎりのところを拒否できる可能性があるという法制を前提に、これは当然のことですが、やはりよく北海道の意向をお聞きいただかなければなりませんし、北海道の都市というのは、二重、双方向の不安があるんだと私は思うんですよ。

 一つは、切り捨てられるんじゃないかという恐怖ですよね。ただでさえ離れたところにありますから、特例制度といいながら、リストラに遭うんじゃないか、切り捨てられるんじゃないかという恐怖。もう一つは、道州制という名前だけついたものの、実際には中身がないじゃないか、実態が伴っていないじゃないかという不安感。この二つの不安に対して、やはり政府としては、本当に真摯にその気持ち、考えを受けとめながら手続を進めていただきたいな、法案ができたとはいえ、北海道の任意だという前提に立ってお進めをいただきたい。これは強く要請、要望しておきたいと思います。

 実は、細かい特例の内容について確認の意味も込めてお聞きをしたいと思っていたんですが、さきの渡辺委員の質疑の中でほとんど明らかになりました。これは、渡辺委員からこの実態を指摘されるまで、大臣、副大臣、この件数あるいは事務量というのは御存じでしたか。

佐田国務大臣 事務の内容等については承知をしております。件数も大まかなところはわかっておりましたが、きょう改めて、その管理の部分につきましてもあるということを認識させていただきました。

小川(淳)委員 それは思ったより忙しそうだなということですか。

佐田国務大臣 それは考え方でありますけれども、非常に重要なものもあるということでございます。しかしながら、中には少ないと言われる方もいらっしゃいます。ただ、これは、そういう中において積極的にふやしていきたい、こういうふうに思っています。

小川(淳)委員 大臣、既に御答弁の中で、そういう少ないという意見があるだとか、あるいはシャビー、シャビーというのは英語ですか、私よく知らないんですけれども、シャビーだという声もあるとかいうことをおっしゃっているんですが、それは世間にある声ですか、大臣御自身の評価ですか。

佐田国務大臣 世間から聞いた覚えがあるということです。

小川(淳)委員 ということは、大臣としてはどう評価されていますか。

佐田国務大臣 その内容は一つ一つ重要なことであると私は思っております。

小川(淳)委員 どの仕事も重要なことは間違いありません。

 冒頭申し上げた本来の道州制議論、やはりここを常に頭のどこかに置きながらこの法案審議には臨んでいただかなければなりませんね、担当大臣として。それで、申し上げたように、この法案が一体そこに向かって一里塚なのか、二里塚なのか、三里塚なのか、あるいは〇・一なのか。そういう価値判断に立って、評価軸に立って今の質問に大臣にぜひお答えをいただきたいわけですが、いかがですか。

佐田国務大臣 今もお話ししたように、先ほどの項目、八項目ありましたけれども、基本的に、要するに国のものを道の方に移譲するであるとか二重行政になったものを移譲する、こういうことの根本が大事なんだと私は思っています。

 したがって、例えば、本部において知事に参与になっていただき、そしていろいろなものを北海道の方から基本方針の変更が来たときに非常に重要視してそれを閣議決定していく、そういうことが大事なんじゃないか、私はこういうふうに思っています。

小川(淳)委員 大臣、もう一度お尋ね申し上げます。

 将来の本来の道州制、冒頭議論しました。国家内国家、国家内準国家をつくっていくぐらいの国家構造の変革という大目的をにらんで、今回の法案に具体的に盛り込まれた、申し上げますよ、結核児童の療育給付、従来国立病院については道が指定できなかった、道が指定できる病院が、国立病院全部で十五あります。既に国が指定しているのが一、ですから、道としては十四の病院について指定できるようになる。生活保護の医療扶助、国立病院で、既に国が指定済み、十五のうち十三、残り二つ。生活保護の介護施設、国が開設した施設、皆無です。等々、個別に申し上げるのは本当に何かわびしい、寂しい気持ちになってきますが、大臣のお言葉をおかりすれば、これはシャビーですか、それとも十分なものですか。

佐田国務大臣 今も申し上げましたけれども、シャビーとかそういうことではなくて、こういうふうな二重行政を改めて、器をつくっていくということにおいては非常に重要であり、これが通れば七合目ぐらいまで、かなり進んでいくんじゃないか、こういうふうに思っております。と申し上げるのは、これによって、来年また再来年になれば、相当な税財源の移譲、そして権限の移譲が行われるわけであります。

 そういう中において、先ほども申し上げましたけれども、北海道における特定広域団体、これが広域行政の中で非常にいろいろなものを、地方分権の中で、私はスリムな行政ができてくると思います。それと同時に、また、例えばいろいろな、九州にしろ、北陸にしろ、関東にしろ、そういうところがどんどん地域に根差した特定広域団体というものが生まれてくれば、その中においてビジョンもおのずと生まれてきて、そして日本式の、本当に日本が望んでいるような道州制のビジョンができ、道州制移行の大事な今回の法律になってくる、私はこういうふうに思っています。

小川(淳)委員 副大臣、お考えありますか、今の質問。

林副大臣 大臣が今お話しになられましたように、これは余り足し算のように考えますといけないのではないかと私は思っておりまして、こういう例をつくっていくことによって、これは最初の例でございますから、法案を通していただいてこれをやってもらう。そうしますと、やはりできたじゃないか、特区は構造改革特区もそうでございますが、本当に両論ある中で、一部だけ穴をあけてやってみよう。やってみたら、言われていたような副作用は余りなかったね、それでは全国で展開できるではないか、こういうふうにつながっていくわけで、一部の地区でやっていたものが四十七倍になるということもあるわけでございますから、数の多寡でいうと、確かにいろいろな事務のある中で、何百、何千とあるんでしょうが、その中での数でございますけれども、今まで国でしかできないというふうに言われてきたことを実際に特定広域団体でやってみて、できるじゃないか、今大臣がおっしゃったように、そこから大きく大きく広がっていくものだ、こういうふうに認識しております。

小川(淳)委員 大臣、私はボリュームについてお聞きをしたかったわけですが、それは器が大事だ、そのとおりでしょう。であるならばなおさらですが、私は本当は揚げ足をとるのは嫌いなんですけれども、間違っても弾み車だとかいうことをこの場で担当大臣としておっしゃるべきではないと思いますが、いかがですか。

佐田国務大臣 言葉のあやで言って、それを委員がちょっとおかしいんじゃないかと言われれば、私は、これは非常に物の言い方が、ちょっととらえられ方が違うということで、比喩の仕方がまた違っていたのかもしれませんけれども、私の言いたいのは、今回のこの法案を通して、しっかりとした、二年、三年をかけていろいろな地方分権を進め、そして私は、地方分権というものは、すべて国が画一的に主導するということではなくて、やはり北海道には北海道の地方分権があろうかと思いますし、九州には九州の地方分権があると思います。そしてまた、関東には関東のそういうものがある。そういう中において、私は、今回の道州制特区推進法が、通していただければ相当な進歩ではないか、それに近づける要素になるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。

小川(淳)委員 見苦しい水かけ論をしたくありませんので指摘にとどめさせていただきますが、とにかく残された時間、ぜひとももう一つ本質に行き当たっていただきたいんです。

 私は、これはなかなか公式にお認めになるのは難しいと思います。難しいと思いますが、さっき申し上げた将来の大目的たる道州制をにらんだときに、この法案の内容ではまだまだ一合目まで行っていないんだろうなというぐらい、名前はいいですよ、そういうじれったさといいますかジレンマといいますか、担当大臣あるいは副大臣として、これで十分満足をしていただいているようでは私はだめだと思うんですよ。ある種のフラストレーションを抱えてここへ法案を出されて、今に見てろよ、将来見てろよ、この国で本当の道州制を実現してやるぞというふうに思っていただいていて本物だと私は思うんですよね。

 いや満足です、それは言わないといけないでしょう、この場では。しかし、心のどこかに、この内閣においてこの道州制を進めていただく責任者ですから、やはりそういう情熱に裏づけを持ったフラストレーション、ぜひ私は抱えていただきたいと思います。

 そこで、さらに突っ込んで、なぜ本来の道州制に焦点を当てたときにこの議論が進みづらいのか。私は両面あると思いますが、大臣あるいは副大臣、いかがですか。なぜこの議論というのは進みづらいんですか。

佐田国務大臣 小川先生は非常に、これはもっと信念を持ってやるべきだと言われています。それは私も同じです。ただ、要するに、この器をつくっていただければかなり信念を持って進めると思っているんです、はっきり言って。そして、今現在議論のある道州制を阻むものでもない、私はそういうふうに思っております。

 要するに、それはどういうことかといえば、私の中でちょっと不満、小川先生は不満だと思われるかもしれませんけれども、私は、今の法案を進めることというのは、地域地域、繰り返して恐縮ではありますけれども、北海道には北海道の地方分権、九州には九州の地方分権、そういう中において本当の意味の日本の地方分権をやり、真の道州制に近づいていくんじゃないか、こういうふうに思っておりますので、情熱はしっかり持っていきたい、かように思っています。

小川(淳)委員 私の方から大臣にお答えをいただきたかった内容を申し上げます。

 つまり、道州制を進めるに当たって、やはり二つあると思うんですよね。

 一つは、本当に不安なんですよ。本当にどこまでやっていいのか。これは手探りです。リスクをとりながらやっていかなきゃいけない。これは本当に慎重にやるべきところ。

 問題は、もう一つの原動力なんですが、これは、先ほど来議論になっています国家構造を変える話につながりますから、当の国家機構としてはやはり痛しかゆしみたいな話が出てくるわけですね。

 申し上げたいんですが、これは、道州制を進める、地方分権を進めるという点に関して、与党も野党もありません、こんなものは。むしろ与野党共通の方向感を持って議論を進めていくべき話だと思います。しかし、実際に中央官庁あるいは政府に閣僚ないしは副大臣として入られたお二方と、皆さんに実際にお仕えになっておられる方々との間には、ともすれば私は利害衝突が出てくると観察をしていますが、大臣、いかがですか。

佐田国務大臣 それは、行政改革を行い、そして地方分権を進める以上は、やはり各省庁、今度の本部は各大臣がすべて入るわけでありますけれども、そして総理大臣が本部長でありますけれども、先生の言われるとおり、かなりの抵抗は出てこようかと思います。しかし、それを恐れていたらば本当のダイナミックなビジョンはやはりできませんし、そしてまた将来の道州制を見据えた形はできませんから、それは全力で頑張っていきたい、かように思っています。

林副大臣 今大臣がおっしゃったとおりでございまして、今委員が御指摘になったように、御質問を聞いていまして、昔、イギリスで「イエス、ミニスター」という映画かテレビ番組がございました。必ず、我々が入っていきますと、そこの部下の皆さんや、行革全般でいうと霞が関の皆さんは、わかりました、こういうふうにおっしゃっていただく。しかし、その本当のところが、先ほどの渡辺委員の御指摘があったところでございますけれども、きちっと内容が貫徹しているのかというのは、一にかかって、入っていった我々が、眼光紙背に徹して、イエスというそのお返事の中身が本当にイエスなのかという眼力を持ってできるかどうか、ここにかかってくるのではないかと思っております。

小川(淳)委員 そのとおりだと思いますね。本当にそういう目で取り組んでいただきたいと思うわけですが、であるならば、先ほどお尋ねをした、例えば個々の特例に関して本当にどれくらい事務量があるんだろうと、これは、もちろんお忙しいと思いますよ。お忙しいと思いますが、当然出てこなければならない疑問ですし、私、一番にそれはやはり気になりました。実際のところはどうなんだ、本当にどのぐらいの事務量があるんだ。そのほかにも、砂防法を初めとした特例、これは本当のところどんな意味を持っているんだというところには相当の御関心と熱意が大臣ないし副大臣御自身にないと、この話は進みませんよ、ここから先。

 私は、自分自身、中央官庁で九年余り勤めをさせていただきました。もちろん、いろいろな体験、いろいろな勉強になることが多々ありました。ですから、だからこそ申し上げたいんですが、決して悪気があってそうしている人はそうはいません。やはり、中央官庁は中央官庁で、自分たちの生活がかかっていますよ、変な話。自分の人生がかかっていますよ。それは必死ですよ。容易じゃありませんよ。でも、国家構造を変えていかなきゃいけないんですよね。それは我々の務めですし、大臣、副大臣には本当に傷だらけになってでもやっていただかなきゃいけないことだと思います。

 例えば、さっきも議論のありました、北海道から三十三項目ですか、要望が上がった。その幾つかが実際に実現されつつある、あるいは幾つかは共同作業等で、言葉は悪いんですがお茶を濁す、そんなのもあるでしょう。しかし、本当はもっと想像していただきたいのは、本当に北海道の本音の総和が三十三項目にとどまると思われますか。そこをぜひお聞かせいただきたい。

佐田国務大臣 これから、これからというか、北海道の意見はもう相当出てきていると思います。今委員が言われたように、今回の権限の移譲、それでまた直轄工事の問題、やはりこういうことは確かに相当な抵抗はあろうかと思いますし、これからもっといろいろな要素が出てきて、そしてまた、この間知事にお会いしましたら、いろいろな提案が相当にもう既に出てきているそうでありますから、それは真摯に受けとめ、そして、これは確かに、傷だらけになっても全力で理解をし、説得をしていかなくちゃいけない、こういうふうに思っています。

小川(淳)委員 やはりそこに意識を持っていただくと、これは北海道が出してきたのは本当に全部か、水面下で調整した結果抹殺されたみたいなのはないだろうなというところまで、大臣、副大臣、意識を持っていただかないと、この話は生きてきませんよ。

 それからもう一つ。ジェットエンジンだとか金科玉条みたいに言われていますが、基本計画の変更申請ですか、これだってそうですよ。法律ができたからこれでどんどん行きますなんという甘い話じゃありませんよ。これは強烈に、そこがいかに難しいことか、大臣、副大臣、相当な御自覚をお持ちいただいた上で、まだ成立していませんけれども、成立以降も運営に当たっていただきたい、本当にそう思いますよ。これは、そんな簡単なことじゃありませんよ。

 最後に、私はやはりこの法律の名称については不満です。できれば、都道府県特例制度とか、あるいは将来の道州制検討に向けた都道府県の特例制度の創設とかならば、そんなに議論にならないと思います。道州制という言葉には、日本人はやはり夢を持っているんだと思いますね。さっきの中川現幹事長の引用ではありませんけれども、やはり相当な夢とかロマンを持っていて、国の形だとか何だとか、期待感とか高揚感のこもった言葉ですよ、この道州制という言葉は。

 この道州制という言葉をやはり安っぽくは使わないでいただきたい、法案の中とはいえ。これはもうしようがない、つけられた。そうしたら、この名称を冠したことに、法案の名称にこれを冠したことに大きな責任感を感じていただきたい。一方で、この法案を所管される以上、やはり日本人の夢をしょっているわけですから、この道州制という言葉を殺さないでほしい、ぜひ生かしていただきたい。

 そのためには、繰り返しになりますが、いろいろな議論はあるでしょう、いろいろな議論はあるでしょうが、やはり大臣、副大臣が、政治家として、我々はやはり国家の将来を考えていますよ、国家の将来、国民生活の幸福、そこに我々はやはり忠誠心を持つべきだと思います。しかし、国家機構の社員は違いますよ、国家機構の社員は国家機構に対して忠誠心を持っていますから。

 そこをぜひ見間違えないように運営していただくことが、私は、この道州制という言葉に込められた日本人の思いというか、将来に向けての期待感とか高揚感とか夢みたいなものを殺さない。その責任は、もちろん我々も当然ですが、やはり大臣、副大臣に一義的に担っていただかないといけない。これは本当に重いお務めだと思いますが、ぜひとも、お体にお気をつけいただいて、頑張っていただきたいなと思います。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 一昨日の私の質問で、道州制に関するタウンミーティングについて質問しまして、大臣の方から調べるという答弁があり、きょうの冒頭に三点の発言の中のその一つとして、タウンミーティング百七十四回のすべてについては調査中なんだけれども、二〇〇六年度の道州制のタウンミーティング、福岡、大阪、稚内の三カ所については質問を要請した事実はなかった、そういう趣旨の御答弁がありました。

 要請した事実はなかったということなんですが、言葉だけですから、実のところ、資料を見たわけじゃないのでよくわかりませんから、これは百七十四回のタウンミーティングはもとよりですが、道州制にかかわる三回のタウンミーティングの参加者募集の案内、募集要項、開催要項、参加申込書、参加募集のための広報と参加招集のお願いについてなどの通知書というのを出していらっしゃるわけですから、これらの資料を速やかに出していただきたいということをまず佐田大臣に求めたいと思うんですが、大臣どうですか。

佐田国務大臣 きょう冒頭に、平成十八年に行われました福岡市と大阪市、稚内市で開催された道州制タウンミーティングについては事前に発言内容を提供した事実はございません、そういうふうに発言をさせていただきました。

 その上で、委員の方から、開催内容とか、これを開催するための資料、それはよく調べて出させていただきたい、別にそれは隠すものでも何でもありませんから出させていただきたい、かように思います。

吉井委員 なかったという答弁だけでは、要するに私ら、中身はわかりませんので、これは今の答弁どおり出していただきたいと思います。

 次に、一昨日の私の最後の質問で、これは要するに北海道のホームページで、「北海道からの提案は、総理を本部長とし全閣僚で構成する道州制特区推進本部で、北海道知事も参画して論議されます。」というのがありましたから、ここにかかわって伺ったところ、山崎政府参考人からの答弁で、特定広域団体の知事に関しましては本部員という形ではございませんが、本部におきまして参与という形で意見を述べていただく、こういう趣旨の答弁でした。

 そこで、法案の方を見ますと、変更の提案をする場合は「変更の素案を添えなければならない。」とされているわけですが、その変更の素案の説明はできるということになっているわけですね。そこで聞かれたことについては答えるということなんですが、その先の、変更を決定する議論に参加できるのかどうか、それを伺います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の推進本部でございますが、これはこの法案の第二十一条でございますが、その任務としましては、基本方針の案の作成等に関する議論を行うということが任務になっておる次第でございます。

 したがいまして、この本部における議論を踏まえまして作成されます、まさに基本方針の案でございます、これは実は方針の変更案も含むわけでございますが、これにつきましては、法五条に基づきまして閣議の決定を求めることになってございまして、したがいまして、これはまさに閣議という形で決定する形になりますので、参与についてはその決定自体には直接には参加できない、こういうことでございます。

吉井委員 ですから、北海道のホームページでは参画云々があるわけですが、提案説明はできても決定に参画することはできない。つまり、推進本部の構成員にはしないんだ、こういうことで決めているから、したがって、決定に参加することももちろんできない。改めてもう一度確認しておきます。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、手元に今そのホームページの文書を持っていませんので、正確でないかもしれませんが、基本的にはこの本部における、まさにこういう議論といいましょうか、そもそもの方針案に関しますさまざまな検討において参画するということが一つの目的といいましょうか、という形でございます。

 ただ、形式的には、先ほど申し上げましたように、最終的な決定ということ自体は閣議の決定で行うことになりますので、それ自体は直接には参加できませんが、当然、提案の説明だけではなくて、それを踏まえた上での、これは本部員とも一緒になって議論をしていただき、そういう議論等に参画していただくという形で参与として参画していただく、こういうことになろうかと思っておる次第でございます。

吉井委員 これは、まず第一条で、地方分権の推進を法案の目的にしているわけですね。国と地方とは対等、協力の関係になったんだ、こういうことを言われているわけですね。要するに、対等、協力の関係でありながら、推進本部の構成は大臣だけ。本来だったら、特定広域団体の代表を加えたらいいと思われるわけですが、特定広域団体の代表、今回の法案でいえば北海道知事などがなぜ構成員にならないのか、なぜ構成員にしないのか、ここを伺います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどのホームページでございますが、今手元にございまして、その内容は、「北海道からの提案は、総理を本部長とし全閣僚で構成する道州制特区推進本部で、北海道知事も参画して議論されます。」こういうことでございますので、内容においては間違いないと考えている次第でございます。

 加えて、委員の御質問でございますが、この推進本部というのは、まさに内閣総理大臣のリーダーシップのもとで、変更提案の対象となり得ます国の府省に係る事務事業の移譲に係る方針を決定する、こういうことでございまして、そういう観点から、こういう事務事業に係りますすべての国務大臣を本部員という形でしているものでございます。

 なお、これ以外にも、実は内閣総理大臣を本部長として内閣に設置している本部がございます。これにおきましても、通例は国務大臣を本部員という形でしたものであるというふうに認識している次第でございます。

吉井委員 ですから、要するに、国は要望は聞きましょう、最終決定は国でやりますよ、これは従来どおりなんですね。国から移譲される事務も、法案作成の過程で、道が望んだものの多くは拒否され、権限移譲される八項目は枝葉ばかりだという声もありますが、法案の目的に地方分権の推進ということを掲げているんだけれども、実際にはこれは名ばかりじゃないか。私は、目的で地方分権ということを言うからには、やはりそれにふさわしいものを考えていかないと、それは筋がおかしいんじゃないかとまず思います。

 次に、広域行政にかかわった質問に移りたいと思いますが、法案の第二条で、広域的施策は、要するに、具体的にどんな施策を想定されているのか、伺います。

佐田国務大臣 広域的施策とは、「特定広域団体により実施されることが適当と認められる広域にわたる施策」のことでございます。例えば、社会資本整備、環境、産業、福祉等の各分野において、現に国の地方支分部局が実施している施策などが考えられているところでございます。

吉井委員 もう一度、そのことを深める前に、第一条の目的のところへ戻って伺っておきますが、「行政の効率化に資する」ということを挙げられていますね。これは、どの条文を読めば、こういう行政の効率化に資するという目的が導き出されてくるのか、これを伺っておきます。

林副大臣 委員お尋ねのように、第一条の目的の条文に、「行政の効率化に資する」ということが掲げられておりますが、この意味は、特定広域団体になった団体が実施する事務事業と、先ほど来御議論のあります国の地方支分部局が実施する事務事業を、特定広域団体が総合的かつ自分のところで一体的に実施するということに伴いまして行政が効率化されることを主に指しておりますので、そういった意味では、本法案の全体がそれにかかわってくるというふうに考えておるところでございます。

吉井委員 それで、第四条の二項で、「国及び特定広域団体は、広域行政の推進につき、相互に協力するとともに、それらの行政を効率化するよう努めなければならない。」とありますね。この「行政を効率化する」という今の内容が、法案の目的である「行政の効率化に資する」という内容を構成することになってくると思うんです。

 そこで伺いますが、この広域的施策とは産業経済政策とか環境対策その他ですね、先ほども伺ったときにお話がありましたが。法案では、その広域的施策に関する行政を広域的行政というわけですね。この広域的行政を効率化するように努めなければならないと四条二項で書いておるわけですが、七条第二項の三号、四号にも同じような表現がありますし、三号、四号の表現は「広域的施策を」「効率的に実施する」という表現になっています。四条二項の「行政を効率化する」という表現と異なるわけですが、広域的行政を効率化するとはどんな内容を意味する条文なのか、これを伺います。

林副大臣 御指摘のありました四条二項は、国と特定広域団体が、「広域行政の推進につき、相互に協力するとともに、それらの行政を効率化するよう努めなければならない。」というふうに規定をしております。

 まず、国の方でございますが、移譲対象の事務事業を、それまで実施してきた知見を生かしまして、特定広域団体が今度は移された後にそちらでやるときに、広域的施策をきちっと実施できますように適宜必要な助言等を行うということでございます。

 一方、特定広域団体にありましては、国からの助言等を活用しつつ、あとは、こちらの方に移されてまいりました広域的施策を実施すべきことということでございますので、そういうことをきちっと相互に協力してやっていただきたい、こういうことであります。

 それを踏まえまして、先ほど来御議論のあります国と北海道による連携・共同事業にも取り組む、こういう趣旨でございます。

吉井委員 ですから、要するに、この四条二項の条文で「国及び特定広域団体は、」ということですから、国の行政の内容と、それから特定広域団体の行政の内容、これがかなり重なるような行政でないと、違うものであったら、これは行政効率化というわけにいきませんから。

 ですから、これは、「道州制特別区域における広域行政を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならない。」というこの規定を読んでいても、この文章を素直に読んでいくと、この広域行政というのは、要するに、北海道のやっている行政、国のやっている行政、それを効率化していく、こういうふうに読むのが一番素直な読み方かと思うんですが、それはそういうことでいいんですね。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 これは非常に、法文の条文に関する文言にわたるものでございますが、先ほど大臣から申し上げましたように、まずこの広域的施策もしくは広域行政ということでございますが、これはまさしく特定広域団体により実施されることが適当と認められた施策になるわけでございます。具体的には、当初におきましては、先ほど来ございますが、八項目にわたる事業がございますし、さらに、その後は、まさに特定広域団体の変更提案等に基づきまして、そこにおいてその内容が定まっていく、もしくは変更されていく、こういう形のものでございます。

 したがいまして、委員御指摘の広域行政でございますが、決してダブっているという意味ではございませんで、基本的には、要するに、本法案に基づきまして、国から事務事業の移譲等を受けて、特定広域団体になり得ます北海道がまさに新たに担う部分の行政、こういう形に法文上は整理されているわけでございます。

吉井委員 要するに、条文の主語が「国及び特定広域団体」ですね。ですから、国と北海道の双方がやっているものでなければ、それはこういう条文の表現にはなってこないんじゃないですか。要するに、重なる部分なんですね。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の第四条二項でございますが、「国及び特定広域団体は、広域行政の推進につき、相互に協力するとともに、それらの行政を効率化するよう努めなければならない。」例えば、移譲を行った事務でございますけれども、この場合は、国は、それまで行ってきた知見を生かしまして、例えば特定広域団体が行う場合に必要な助言等を行うという国としての立場の務めでございますし、一方で、当然ですけれども、特定広域団体においては、まさにみずからの移譲を受けた事務について十分しっかりやっていく、それぞれの立場として、これはまさに相互に協力し合って努めていく、こういう趣旨でございまして、一つの業務を二つが一緒に行う、こういう趣旨ではございません。

吉井委員 いや、言っていますのは、要するに、国と地方で、もちろん違いがあるわけですよ、国は国のことをやる、地方は地方をやるんですが、しかし、重なるものがあるから、それで協力して行い、効率的にしていくことができる話ですから。

 この法律で言う広域行政というのは、要するに、複数の市町村をまたがる広域的な行政とか、あるいは複数の都道府県をまたがる広域的な行政、そういう一般的な広域行政というのではないわけですよね。

 広域行政というのは広域的施策に関する行政のことで、広域的施策とは、特定広域団体、つまり、北海道により実施されることが適当と認められる広域にわたる施策と規定されているように、限定された施策、限定された広域行政のことで、それを「国及び特定広域団体は、」「相互に協力するとともに、それらの行政を効率化するよう努めなければならない。」というわけですから、これは国と特定広域団体がともにやっている仕事ということを考えるのが普通だと思うんですよね。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 もう一度私の方で説明させていただきますが、この広域行政というのはあくまでもこの法律条文上の広域行政ということで、一般的な意味ではございません。対象となりますのは、例えば八事務事業、そういった、まさしく今回のこの法案によって国から特区の方に、道州制の特定広域団体の方に移譲される事務を意味しているわけでございます。

 したがって、先生おっしゃるように、重なり合うという趣旨を私もちょっと理解できませんが、事務としては一応国から移っていくわけでございますが、国は、では、移った後はもう知らないというんじゃなくて、当然、それまでのいろいろな知見がございますので、いろいろなアドバイスを行うとか、そういった支援といいましょうか、それをちゃんと行う、こういう趣旨を込めて、先ほど申し上げましたように、「相互に協力するとともに、」こういう条文が置かれている、このように解している次第でございます。

吉井委員 ここで言う広域行政というのは、国と北海道がそれぞれやっているか協力してやっているかは別として、やはり双方で行われている行政のことではないかと思うんですよね。

 小泉さんはかつてこう言っていますね。

  かつて、北海道開発庁、この職員は外務省の職員よりも多いと。北海道、それ皆さん信じられないと思ったけれども、

もう時間ですから短くしますが、

 実際そうだったんですよね。何でそんな仕事、要るんだと。北海道開発庁なくなったと。ところがなくなっていないんだ。国土省にちゃんと何とか開発局って残っているんだよね、北海道開発局。やっている仕事はこれ道庁でできる仕事、ほとんどだ。それだったら北海道に任せればいいじゃないかと。そういうのを考えてみたらどうかと。

言ったんだと。

  私に何でもやらせるなと。やれば独裁者、ヒトラーと言われると。丸投げと言われてもいいから、少しは、北海道の知事もいるんだし、知事は、今、通産省じゃなくて経産省出身者、通産局もあるんじゃないのか、北海道に。財務局あるんじゃないのか、北海道の道庁でできる仕事をやっているんじゃないのかと。

  そういうものを含めて、北海道独自に道州特区みたいなのを、案を出してきたらどうかと。良かったら私は受け入れると。だから、重複する仕事はたくさんあるはずだと。そういう整理をして具体案を持ってきてください、そうすれば私はよく検討して、実現できるもの、中央の役所が出張ってやらなくても北海道道庁でやれるんだったら道庁に任せていきたいと、そういう趣旨の発言をしたんです。

というのが、これは二〇〇三年十月二日の参議院の予算委員会での公式発言ですから、そういう点では、開発局の仕事に見られるように、国と道と重なっている部分があるからこれを効率化するんだ、その中で出してきた法案だということになってくるじゃないか。

 私は、時間になりましたので、これは引き続いて、次回にこれを深めるようにしたいと思いますが、そこはこの法案の非常に大事なところではないかというふうに思います。

 きょうはそれで終わります。

河本委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十一分散会


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