衆議院

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第4号 平成19年3月14日(水曜日)

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平成十九年三月十四日(水曜日)

    午前十時四分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    石原 宏高君

      遠藤 宣彦君    岡下 信子君

      嘉数 知賢君    木原 誠二君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      林田  彪君    松浪 健太君

      村上誠一郎君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    小宮山洋子君

      佐々木隆博君    田村 謙治君

      松木 謙公君    横光 克彦君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   政府参考人

   (内閣官房構造改革特区推進室長)

   (内閣官房地域再生推進室長)

   (内閣府構造改革特区担当室長)

   (内閣府地域再生事業推進室長)          大前  忠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 椎川  忍君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     石原 宏高君

  渡辺  周君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     谷本 龍哉君

  松木 謙公君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  田村 謙治君     渡辺  周君

    ―――――――――――――

三月十四日

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三三号)

 同(石井郁子君紹介)(第三三四号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三四〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三四一号)

 憲法改悪反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第三五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第三五八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三八六号)

 同(石井郁子君紹介)(第三八七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一九号)

 憲法九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第四三四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房構造改革特区推進室長・地域再生推進室長・内閣府構造改革特区担当室長・地域再生事業推進室長大前忠君、総務省大臣官房審議官椎川忍君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君及び大臣官房技術参事官舌津一良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 きょうは、地域再生そして構造改革特区について三十分お時間をいただきましたので、よろしくお願いいたします。

 地域の活性化なくして日本の経済の活性化はないという政府の方針、それはそのとおりだと思いますし、それぞれ地域においていろいろな知恵を絞って地域の活力を生み出していくということは大変大事なことだと思いますし、また、そのために特区制度を設けて、それぞれ地域にいろいろな形で規制緩和をしていくということも、今までの例からいって大変効果的な役割、使命を果たしてきた、こう思っておりますが、平成十四年からでしたか、こういう形でスタートして今日に至るまでの大ざっぱな実績といいますか成果といいますか、そしてそれに対する政府としての評価、その辺について、まずお伺いしたいと思います。

大前政府参考人 まず私の方からは、地域再生と構造改革特区につきまして、これまでの実績について御報告申し上げたいと存じます。

 地域再生制度でございますが、各種の支援措置を活用いたしまして、これまでに八百十件の地域再生計画が誕生しております。また、地域再生計画の認定と連携いたします関係府省庁の支援の取り組みを充実させるために、昨年の二月には地域の知の拠点再生プログラムを、さらにことしの二月には地域活性化を総合的に推進するため地域再生総合プログラムを取りまとめたところでございます。

 一方、特区制度でございますが、地方公共団体や民間事業者、個人などから規制改革の提案を募集いたしまして、これまでに五百八十一件の規制改革を実現してまいりました。特区として実現いたしました二百十一件の特例措置を活用いたしまして、これまでに九百十件の特区計画が誕生しております。また、特区で特段の問題が生じていないと評価されました百二十一件の特例措置につきましては、全国展開を推進してきているところでございます。

 以上でございます。

田端委員 今数字が出たわけですが、もう少し特徴的なことはないですか。例えば、それによってその地域がどういうふうになったとか、それぞれの町がこういうふうに潤っているとか、何かその辺のところを少し説明してもらわないと、数字だけ挙げてこうだと言われても、ちょっと評価にはならないんじゃないかと思いますが、その辺、担当の方からお願いします。

大前政府参考人 構造改革特区につきましても、また地域再生の取り組みにつきましても、それぞれ地域の自主的、自立的な立場から創意工夫を大事にしながら取り組みを進めてきていただいているものでございます。

 それぞれの計画の計数につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、それぞれの規制の特例やあるいは地域再生の支援策などを活用して、それぞれの地域の実情に即した地域の活性化に向けてお役立ていただいているものと考えております。

 例えば、地域再生について申しますと、北海道の倶知安町の例を御紹介できるかと思います。最近、外国人、特にオーストラリアからの観光客にたくさんおいでいただいているということでニュースになっております。当初、外国人の観光客の誘致を目標として掲げて取り組んでおりまして、非常に大きな実績を上げてきているという例を御紹介できようかと思います。

 また、熊本県の荒尾市の例もございます。こちらの方は、特産品を活用した起業の創造などにおきまして、新規雇用の目標を立てて取り組んできておりまして、こちらの方も目標を超える実績を上げている例が御紹介できようかと思います。

 また、特区につきましては、これも有名な例でございますが、岩手県の遠野市の例を御紹介できようかと思います。地域でつくられたお米をどぶろくとして加工し、それを民宿や農家レストランなどで提供することで、それを大きな目玉として観光客の誘致に努めておりまして、日帰り客それから宿泊客ともに大幅な増加を見ているというふうに聞いております。

 以上のようなことでございます。

田端委員 大臣が参議院の方ということなので、副大臣。

 今、具体論を多少言っていただきました。それで、それぞれの一つ一つの中身はそれなりにやはり皆さんに喜んでいただいている結果を得ているんだと思いますし、成果が上がっているんだと思いますが、実際、例えばそういうふうにプラス効果があるんだったら、本当は数字がふえてこなきゃならないんですね。

 ところが、この提案件数そのものが、初年度、二年度あたりはあったかもわかりませんが、その後、横ばいあるいは減ってきている。そこは、行き尽くしたということもあるのかもわかりませんが、まだまだ行き尽くしていないのではないか。そういう意味では、今もお話があった中でも、そういうことが広く国民にPRされていないんじゃないか、あるいは知られていないんじゃないか。本質的に、この特区制度そのものが、どこまでそれぞれの例えば市町村とかという形で受けとめられているのかということは、まさに、そこに意識のある人がいることによってそれはがっと食いついてきているかもわからないけれども、まだまだやはり凹凸といいますか、そういうのがあるのではないかという感じがします。

 そういう意味で、さらにもっとPRといいますか、成果を訴えて、この特区制度がこういう形で地域の活性化をもたらしているんだということをもっとやはり積極的に言った方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

林副大臣 田端委員おっしゃるとおりの認識を我々も共有しておるところでございまして、まだまだ、お出しいただいて特区として実現していかなければならないところ、また、そういう提案自体というものがあるのではないかというふうに思っておるところでございます。

 実は、今回、一件だったという途中報告が来ましたものですから、私も事務方を呼びまして、課長ぐらいまで行ったもので、結局一件という以外のだめだったものについていろいろ説明を聞いてみましたが、いろいろなケースがございました。

 例えば、提案した方が実はもうできることをきちっと確認ができていなくて、出してみたら、もうこれはできることだったというのもございましたし、また、形を変えて、こういう提案ならできるということであったりとか、いろいろなケースがございましたけれども、全体的にはやはりちょっと数が減っているというのは委員御指摘のとおりでございまして、さればこそ、今回御提案しております法律の中にもいろいろなことを盛り込んで、さらにやっていただこうということをしておるわけでございます。提案そのものを法定化する、こういったこともございますし、また、広報、委員御指摘のとおりでございます。

 委員の御地元でありますと、例えば大阪市とか東大阪市とか、特区や再生はあるのでございますが、全国的にもう少し周知をしてまいらなければなりませんし、特区や地域再生自体の知名度というものも上げる必要があると思います。今委員がまさに御指摘になったように、地域で町づくりをやっていこうという人たちに、もっといろいろ集中的に広報といいますかカウンセリングというのをやっていく必要があろう、こういうふうに思っております。

 実は渡辺大臣になりましてから、地域へ出かけていって、こういうことができるんです、ほかの地区ではこういう成功例、失敗例がございますというのをひっ提げて、そこの地区へ出向いていって、政府の関係者と、それから、大事なことは、民間で町づくりをやっていらっしゃる方を伝道師ということで、伝道師という名前になっていただきまして、一緒にそこへ行っていただく。そうすると、自分の町でこういうことをやったときにこういう苦労があったという、ノウハウも含めて説明会でいろいろなディスカッションをやっていただけるということを期待しておるところでございまして、既に二カ所ほどトライアルでこれをやりましたけれども、非常に地元の方も喜んでいただきまして、匿名でアンケートをとりますと、九割ぐらいの方がこのコンサルティングを継続していただきたい、こんなような結果も出ておりました。

 そういう方々に継続的に、内閣府を中心として、民間の伝道師の方と一緒に出かけていって相談をすることによりまして、こういう特区をつくってみたらどうですかとか、ニーズの掘り起こしをしていく。最後は、やはり、そこにいらっしゃる方がどれだけ一生懸命になっていただけるか、やる気を持っていただけるか、そして、そのやる気をどういうふうにこの地域再生や特区の制度に組み込んでいけるか、こういうことが今から大事である、こういうふうに思っておりますので、まさに委員御指摘になったような考え方を持ってさらに掘り起こしをやっていきたい、そのための幾つかの法的な手当てを今回お願いしている、こういうことであろうというふうに考えております。

田端委員 まさにその点が大事でありまして、ぜひ出向いていくということを実践していただきたいと思います。特に、この地域再生推進本部、それから構造改革特区の推進本部、これは兼ねていられるわけですから、一番わかっているわけですね。そして、そのわかっている方々が地域にそれぞれ出向いて、ここではこういうことができますよ、こういう手もありますよということをやはり触発していただくことが大事ではないかな、こう思います。

 それで、発想をもう少し転換していただいて、こういうことはだめですか。例えば、北海道の例でいえば、北海道道州制特区が先般成立しました。そして、北海道としてこれから道州制移行という方向が議論される。それとこの特区制度とミックスしていく。そこに、例えば北海道全体で、北海道の物産についてこういう特区をつくりますよ、こういう特区をつくれば、北海道の経済、農業のためにもこういうふうな展開ができるとかいうことが、北海道と政府の方とでもう少し知恵を出し合った議論をすれば、何らかのことができるのではないか。

 例えば沖縄の場合も、沖縄に対していろいろなことが必要ですから、そういう意味で、沖縄経済というものをどうしていくかということを考えれば、これらの特区制度あるいは地域再生制度というものと絡み合わせる。

 もっと極端な例でいいますと、政令市全体、一つの政令市が、特徴ある政令市として、これからこういうようなことをやったらどうですか、こういうこともできるんじゃないか。例えば京都、京都は大変大きな町でありますが、しかし、京都議定書というものを発信して、世界に地球温暖化対策のためのメッセージを発した京都議定書という冠をかぶせた町であります。その京都議定書を発信した京都には、環境政策上こういうふうにしてやれば、京都市民にまたプラスにもなるし、京都の町にもこういうことができますよ、そういう知恵が出てくるんじゃないかなということを私は感じているんです。

 つまり、小さい個々の特区はいいんです。点から面に展開していくような発想にこれからしていかないと、本当の意味の活性化にはつながらないのではないか。今までのことを否定するわけじゃないんですよ。否定するわけじゃないんですが、それをさらにそういうところへ展開してやっていかないと、数字が減ってきているということは、やはりそれなりに限界というものが来ているんだと思いますから、少し発想を変えた方がいいのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

林副大臣 委員御指摘のように、点から面へというのは大変大事な御指摘だと思っております。

 私、実は、この構造改革特区を最初につくった五年前のときに、自民党の方で委員会をつくりまして、そこの事務局長というのをやっておりまして、まさに今委員が御指摘になったようなことを、最初につくるときに随分議論いたしたことを今思い出しておりました。

 それで、特区や地域再生、まあ地域再生は特区の後に出てまいりましたが、いわゆるメニュー型の施策というんでしょうか、一律にこういう補助金とか決めずに選んでいただくというのは特区がはしりになって始まったわけでございますが、そのときに、やはりそれぞれの、今例を挙げていただいた北海道、沖縄、京都というような、もう既に名前を聞けばだれでもわかるような大きないわゆるブランドになった町以外にも、いろいろな町の方が頑張ってやっておられた。

 それで、結局、特区をやってうまくいくのは、そこの町の方がそもそも、自分の町をこうしたい、まさに京都なら環境だというようなことをお持ちになって、町のプランをまずお持ちになっている。そのプランをやっていくために、プランのこの部分は特区が必要です、ではこの部分は地域再生を活用しよう、こういうような、そこが主体的になって、特区がこういうのがあるから特区を持ってくるというだけではなくて、もともとのプランを持っていらっしゃるところというのが先行して特区をやられると、そこがやはりうまくいくというようなことがあったと記憶をしておるわけでございます。

 まさにそういう意味では、特区があるから特区だけをやるというよりも、地域のマスタープラン的なものがあって、それを実現するためにこの部品として特区や地域再生を活用していく、こういうことがやはり基本になければいけないな、こういうふうに思っておりますが、大分長くやってまいりましたので、今委員が御指摘のように、小粒化とか数が少なくなったということも言われているところであります。

 先ほど私が申し上げた民間の専門家の伝道師は二百人ぐらい今登録をしていただいておりますし、それから、政府の関係機関の職員を合わせますと、応援隊、一緒に行っていただく説明員も今六百人を超えるところまで登録ができておりますので、その中で御都合のつく方を各地に派遣してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 今、点から面へという言葉をいただきましたので、さらにこれに加えて、相談窓口を、こちらの方もワンストップ化にして、大臣がよく電話番号等おっしゃっておられますが、ここへ行けば全部わかる、言ってみれば、各省へそれぞれ行くのではなくて、我々のところへ来ていただければ、我々が皆さんにかわって各省といろいろな折衝をしましょう、こういうような仕組みにしていこうということでございます。

 それに加えて、先ほどお話のあった、町でやっている人、この人たちにやはり元気になってもらう、またいろいろとパワーアップしてもらうということも必要になろう、こう思っておりまして、担い手ということで位置づけまして、いろいろな施策を打っていきたい、こう思っております。

 例としてお挙げになった北海道でございますが、私、この国会の始まる前に、道州制特区法案を成立させていただきましたので、向こうに参りまして、知事やいろいろな方々とお話をする機会をつくっていただきました。

 道州制特区になったということで、おもしろかった質問は、道州制の特区になるとほかの構造改革特区はできなくなるんですかというような御質問がありました。それは全くそういうことはないので、道州制特区に加えて構造改革特区を幾つでもとっていただいて、むしろこれを契機に新しい知恵や提案というのをどんどん出していただいて、道州制特区は御案内のように国から道へ権限をおろしていくということでありますから、こちらへおりてこないもので国に規制が残っていても、その規制の特例を今度は特区でとっていただくというのもあるんですよ、こういうやりとりをやってきたところでございます。

 それぞれ北海道や沖縄また京都といった、そういう地域のブランド、全国的に知名度のあるところの皆様にも、いろいろなものを活用して、さらに地域づくりに頑張っていただけるように我々も支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。

田端委員 その上で、今度、民間の知恵も採用することをぜひ御検討といいますか、今までもされていると思いますが、しかし、直接的には民間からの申請というのはなかなか難しいんだろうと思いますから、そこはもう少し、民間でもいろいろなことをやって頑張っているところはたくさんあるわけで、そういったことも配慮する必要があるのではないか。

 それで、つい数日前に、私、京都へ行ってびっくりしたんですけれども、京都らしいといいますか、花灯路とかいって、京都の町並みの道の両側に小さい灯籠をずっと並べて、夜九時か十時まで町を明るくしている。それで、ちょっとしたキャッチフレーズを掲げて、京都の町並みと花灯路、非常にマッチしているわけですが、こんな寒いときに観光客がいっぱいなんですね。もう驚きましたね。

 それで、両側にずっと、いろいろな京都の工芸品や伝統的なもののお店があいていたり、食べ物屋さんがあったり、これが四キロか五キロずっと続いているんですよ。いやまあ、こんな真冬といいますか、ちょうどここ四、五日寒かったわけですが、人がいっぱいでにぎわいをしていました。

 これは二年ほど前か何かからやっているらしいんですけれども、すごい発想だなと。だれがやったかそれは知りませんが、ちょっとした知恵で、それだけ人がいっぱい、そしてそれなりににぎわっているわけですから、これはもう町としては大変潤っているわけでありまして、だから、やはりそういうことをやればできるわけで、そういうことを考えた人はすごいと思いますが、それを今度また長続きさせなきゃならないんだろうと思います。

 これは民間から出てきた知恵だと思いますけれども、そういった民間も含めた柔軟な対応ということも必要ではないかな。町おこしあるいは地域の活性化には、特区制度を何となく国の上からという発想じゃなくて、下からボトムアップ的に盛り上がってくるやり方、そういう方向への御検討もひとつぜひお願いしたいと思いますが、感想があればお願いします。

林副大臣 まことにおっしゃるとおりであると私も思っております。

 先ほど申し上げました応援隊で、実は、熊本にトライアルで説明会に行ったときも、説明に行った人の中で一番人気のあったブースというのはやはり民間の伝道師の方が行かれたブースであって、やはり役所の方はどうしても、申請が来ると対応するとか、本質的にそういうところがございますが、民間から行った伝道師の方は、自分が住んでいて、これは何とかしなきゃいかぬということで、自分がどうしてそれをやろうと思ったか、そして、そのやろうと思ったことを、どうやって仲間をふやして、どういう形にして実現にこぎつけていったか、そういうお話をしていただけるわけでございまして、相談に来た方もやはりそこを一番聞きたいということがよく説明会でわかりまして、応援隊で行く中で、なるべく民間の伝道師の方の人数をふやしていきたい、こういうふうにも思っておるところでございます。

 それだけにとどまらず、経済団体の方とか町づくりのNPOの方とかいろいろな方、そして、私はさっき担い手の支援と申し上げましたが、ソーシャルキャピタルと言われている概念がございまして、やはり民間の方のきずなが強い地域は町づくりをやっても非常にうまくいくし、また、逆から言うと、犯罪の予防ですとか治安、衛生の部分でも、そういうところは非常にうまくスムーズに、同じ予算をかけると効果がふえるということが指摘をされておりますので、そういう民の力、最近「ご近所の底力」なんという番組も随分人気があるようでございますが、そういう力を地域に持っていただく。

 これはなかなか日本語になりにくいんですが、あえて言えば地域力みたいなことかなと思っておりますけれども、そういうものを持っていただいて、そこが、こういうのをやりたいんだ、やりたいことをどうやったら、最低限でも邪魔をしないし、一歩進んで特区や地域再生のメニューで御支援をしていけるか、こういうのが基本的な姿勢であるというふうに考えておるところでございます。

田端委員 ぜひ前向きに御検討いただきたいもう一つは、ワンストップサービスというのが非常に大事だと思います。結局、省庁をまたいでいろいろな規制緩和あるいは許認可等々、それは申請する側からすると大変手間がかかるわけですから、ぜひそういった意味で広く受けとめていただいて、申請に対してどんと受けて、そして省庁を調整しながらという、そこの点もぜひお願いしておきたいと思いますが、その点、ちょっと確認の御答弁をいただきたいと思います。

林副大臣 今ちょっと電話番号が手元にないものでございますから、後で委員のお部屋にお届けしようと思いますが、まさに相談窓口のワンストップ化ということで、地域活性化総合相談窓口というのを置きました。永田町の合同庁舎の三階と、それから虎ノ門の二十三森ビル六階ということで、電話番号は後でお知らせをいたしますが、そこへ行っていただければ、そこから各省に、かわって折衝したり、御本人が行くと言われれば御紹介をしたりという、ワンストップをそこでやろうということで、既に設置をしております。

 また、お越しいただくのがなかなか御不便な方もいらっしゃいましょうから、インターネット上にサイトを立ち上げまして、地域活性化総合情報サイトということで、こちらに来ていただければ、インターネット、メールのやりとり等でいろいろな御相談に応じることができる。これもやっておるところでございます。

 派遣で、出前で行くのは先ほど申し上げたとおりですが、ここへ来ていただいて、またそれが発展して今度は出前につながるということもあろうと思いますし、こちらの大事な機能は、まさに委員が御指摘のように、ここが来られた方にかわって各省とやっていこう、こういうことでありますので、ぜひ御指摘のとおりにやっていきたいと思っておるところでございます。

田端委員 今回のこの地域再生法の改正の中に、再チャレンジ支援寄附金税制について、直接型と間接型という二つに区割りをして、そして、特に直接型の民民の寄附金に対しての試みは初めてのものだと思いますが、この対象が、障害者、高齢者そして母子家庭のお母さんの積極的な雇用、こういう意味では、ちょっと限定され過ぎているのではないかなという感じがするのが一つと、それから間接型の場合に、地域の公益法人を介して寄附を促すということでありますが、今後、これについてどのような取り組みを想定されているのか。

 この二つの仕組みをどういうふうに使いながらやっていくか、そこを少し明確にしておいていただきたい。そして、そのことがまた皆さんにわかるように訴えていかないと、せっかくの仕組みも活用されないということになると思いますが、この点について、いかがでしょうか。

大前政府参考人 御質問のございました再チャレンジ支援寄附金税制でございますが、直接型と間接型がございます。

 直接型でございますが、今御質問の中で言及していただきましたように、高年齢者の定年を引き上げ、積極的に雇用する会社、障害者を積極的に雇用する会社、そして母子家庭の母を積極的に雇用する会社、これらを対象とするものでございます。

 対象が限られておりますが、これは、民間から民間への寄附に対する税制措置が不適切な所得移転に利用されることのないよう、公的な書類で把握が可能な対象に限定したというものでございます。

 他方、間接型でございますが、今申しましたように、直接型では寄附の対象となります事業が限定されますことから、より幅広く多様な対象への支援を可能とするために設けるものでございます。

 間接型の対象となるものでございますが、直接型において対象となりませんでしたフリーターなどの若者の雇用に関します募集方法の改善など雇用管理の改善、ニートなど若者の職業的自立支援のための総合的な相談や能力開発等の援助、そして次世代育成支援対策を行う会社や特定非営利活動法人などの取り組みを支援していくことを想定しているものでございます。

田端委員 最後に、重ねて一言だけ申し上げますが、この構造改革特区を五年延長ということで、何となく少し減ってきている、小粒化してきている、こういう感じだと思いますので、ここはもう一回ちょっと総点検していただいて、さっきから申し上げているように、もっと大きい視野で見直していただいて、この仕組み、制度が国民に、また地域の皆さんにもっと広く使われるような、そして喜んでいただけるような、そして活力が生み出せるような、そういうふうにさらに前向きに取り組んでいただくようお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

戸井田委員長代理 速記を起こしてください。

 次に、松原仁君。

松原委員 渡辺喜美大臣に質疑をするのは初めてでありますが、こういう大変に不正常な中で冒頭質疑をするというのは大変に不幸でありまして、不正常な中での理事会、委員会開催に強く遺憾の意を表し、抗議をいたしたいと思います。

 さて、今、田端議員から質疑がありました。存外これは私も読んでいてわからない部分なんですね。どういうことかというと、直接型、間接型があると。この直接型、間接型において、では、なぜ高齢者、障害者対策等は公益法人型、間接型では行えないのかということですね。逆に、なぜ若年対策は直接型、民民型で行えないのか。今の田端さんに対する答弁を聞いてもよく納得ができないので、この点をちょっと教えていただきたい。簡単に答弁をお願いしますよ。

渡辺国務大臣 直接型と間接型の寄附税制についてのお尋ねでございました。

 直接型においては、高齢者の雇用あるいは障害者、母子家庭の母を積極的に雇用する企業を支援対象にしております。一方、間接型におきましては、フリーターなどの若者の採用機会の拡大に取り組む企業、若者の職業的自立を支援する特定非営利活動法人、そして次世代育成支援対策、育児等退職者の再雇用に取り組む企業、これらを支援することといたしております。この違いは、まさしく、前回もございましたように、民間の寄附者が直接企業を支援するのが直接型でございます。一方、地域の公益法人を介して公益法人から企業への助成を行うのが間接型でございます。

 したがって、この両方の違いも、いずれも地域再生計画の作成という観点からチェックをしているわけであります。直接型におきましては高齢者、障害者、母子家庭、間接型においては若者という違いになってございますが、この若者、特にフリーターと言われる存在については、なかなか定義が難しい問題がございます。したがって、そういう観点から、このような直接型、間接型というような区分けになったわけでございます。

松原委員 ちょっと確認したいんだけれども、フリーター等は、高齢者、いわゆる直接型ではやらないということですね。これは十二月十九日の再チャレンジ支援寄附金税制の創設という内閣府再チャレンジ担当室から出たデータを見ると書いてあるんだけれども。そして逆に、高齢者の方は間接型ではできないということなのかな。

渡辺国務大臣 端的に申し上げれば、直接型においては、先ほど申し上げましたように、確認が容易にできるものを対象といたしておりますし、間接型においては、先ほど申し上げたフリーターなどちょっと定義がしづらいものを対象にしております。すなわち、直接型でカバーできないものを間接型の税制によって補完をしているという関係にございます。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

松原委員 そうすると、広いエリアでやる、いわゆる公益法人をかませてやる方は、直接型のものも当然入っておかしくないんだけれども、何で入っていないんですか。理由がわからない。

渡辺国務大臣 間接型においても高齢者等は支援対象にいたしております。(松原委員「いるんだね」と呼ぶ)はい、いたしております。したがって、間接型の方で補完と申し上げたのはそういう意味でございます。

 また、繰り返しでございますが、こうした区分けをいたしましたのは、租税回避行為などに安易に利用されることがないようにとの要請から、こうしたものでもございます。

松原委員 租税回避行為が容易に行われるんじゃないかというのは、先般の市村議員の質問でも非常に強く指摘されたところですが、この質問はまだ続けますが、地域の公益法人が間接型の中にかまされるわけですが、どういう公益法人を今念頭に置いているのか、お伺いしたい。

渡辺国務大臣 間接型の対象となる公益法人につきましては、地域再生計画の区域内に事務所を有し、間接型に係る事業を主たる目的として実施をしている公益法人を想定いたしております。具体的な公益法人については、今後、内閣府令で規定をする要件を踏まえ、地方公共団体からの相談に応じてまいりたいと考えております。

松原委員 具体的な公益法人として、例えばシルバー人材派遣センターみたいなものがあるというのをどこかで聞いたんですが、これは事実ですか、想定されていますか。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げましたように、その地域に主たる活動拠点を有している、そういう公益法人を念頭に置いております。

松原委員 したがって、具体的にどういうものがあるのか。今言ったシルバー人材センターみたいなものも入るのかどうかを含めて、今の大臣のイメージでこういうものがある、イメージがないならイメージがないで結構であります、答えてください。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げた要件に合えば、シルバー人材センターのようなものも入ります。

松原委員 例えば、シルバー人材センターが入った場合に、シルバー人材センターというのは高齢者を今までやってきたところであります。それが、今回の趣旨でいきますとフリーター対策と、かなり畑が違うんでありますが、そういうのは、当然該当すればいいよ、フリーターのことをシルバー人材の方々が理解できるかどうかわからないけれども、これも該当する、こういう認識でよろしいんですか。

渡辺国務大臣 シルバー人材センターというのは大体シルバー対象でございますから、ニート、フリーター対策も行うような法人であれば含まれるということでございます。

松原委員 ということは、シルバーは入らないということですね。

渡辺国務大臣 シルバーセンターですからね。フリーターというのは若年層が主でございます。いわゆる就職氷河期に社会に出て、残念ながら正規社員になれずにフリーターになってしまった三十代前半ぐらいの、いわゆる団塊ジュニアの年代が典型例でございますけれども、そういった世代の格差を固定化しないために、今回の再チャレンジ税制を仕組んだものであります。

松原委員 なかなか難しい答弁というか、納得できない答弁なんだけれども。

 一つ確認しましょう。そうすると、いわゆる我々が持っている内閣府のチャレンジ担当室から出てきたものだと、間接型は高齢者が入っていないんですよ、全然。一番、二番、三番と、直接型が高齢者、障害、母子家庭、間接型の方にフリーター、次世代、若者。今の答弁で、直接型の高齢者、障害、母子も間接型に入るという答弁を大臣はしましたけれども、これは間違いないですね。確認します。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、直接型は、高齢者、障害者、母子家庭の母というぐあいに限定をいたしております。間接型におきましては、フリーターなど若者の採用機会の拡大などに取り組む企業、それから特定非営利活動法人、次世代育成支援対策に取り組む企業等としておりまして、これは例示でございますから、高齢者なども含まれる。先ほどから、間接型の方は直接型の補完であるということを申し上げているわけであります。

松原委員 そうしたら、それはそういうことでしょう。わかりやすく書いていただいた方がいいと思います、内閣から出ているペーパーだと一切そういうふうに読み取れませんから。これは注意していただきたい。

 それで、そのときに、いわゆるフリーター等は直接型でやらない、このフリーターは直接型でやらないというのは、そこに、フリーター等は何かインチキが行われる可能性がある、いわゆる減免措置を悪用される可能性がある、こういうことでという答弁がありましたが、これはそういうことですかね。確認します。

渡辺国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、直接型というのはなぜ限定をしておるかといいますと、例えば高齢者、障害者、母子家庭の母、いずれも確認が容易にできる方々を支援対象にしているわけでございます。一方、フリーターと言われて、フリーター手帳を持っているわけじゃないんですね、この人たちは。ですから、これはなかなか確認が難しい、こういう問題なんですよ。

 したがって、先ほど来申し上げているように、こういう制度が、苦肉の策でつくった直接型ではありますけれども、これが租税回避のような形で使われるのは好ましくないということから、このような限定を加え、なおかつ、間接型においては、それを補完する形でいろいろな、フリーターも入れば高齢者も入るというぐあいに、例示的に申し上げているわけでございます。

松原委員 この間の質疑でも明らかになったのは、直接型というのはかなり怪しいという議論もあるんですよ。それは、今の話で、こういった税の減免が同時に行われるからこれはおかしいかもしれぬ、何かあるかもしれぬというので。フリーターなんかに関しては特にわからないからということもあってこうしているけれども、直接型というのは、基本的なことなのですぐ答弁してもらいたいんだけれども、これは日本だけじゃないですか、こんなのがあるの。ちょっと教えてほしい。

渡辺国務大臣 前回の議論でも出た話ではございますが、なかなかこういう苦心の策の税制を持っている国は見当たらないということでございます。

松原委員 では、ちょっと確認しますが、こういうことをやったときに問題が発生する可能性もある。当然、インチキをやる企業間が出てくる可能性がある。罰則規定というのは、どういう罰則規定があるんですか。

渡辺国務大臣 これは、先ほどの要件の中で申し上げましたように、地方公共団体による確認がまずございます。そして、対象とする範囲を地方公共団体が確認できるものに限定いたしております。寄附を受ける民間会社に対する地方公共団体の検査監督権限を法定化いたします。そして、違反行為等がある場合には罰則を適用するという中身になっております。

松原委員 罰則の中身を教えてほしい。これは極めて重要な問題だ。

渡辺国務大臣 第三十三条におきまして、「次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。」と規定がございます。これを読み上げてもいいのでございますが、三十三条で三十万円以下の罰金を規定いたしております。

松原委員 間接型についての罰則規定はどういうものがありますか。

渡辺国務大臣 間接型についてはございません。

松原委員 間接型は何で罰則がないんですか。

渡辺国務大臣 間接型に対する制裁措置としては、こうした公益法人が指定の取り消しを受ける、つまり消滅してしまう、こういうことでございます。

松原委員 間接型は指定の取り消しがある、こういうことですね。これはちょっと時間があれば、またこの件は質問したいと思います。

 今回、こういう新しい地域再生法の一部を改正する法律案がつくられるということでありまして、当然これは従来の地域再生法のさまざまな課題について十分に検証をし、また、十分にその実績等を見て今回の地域再生法案をつくったというふうに私は想像し、確信をしておりますが、そういうことでよろしいですね。

渡辺国務大臣 安倍内閣においては、なぜ再チャレンジ支援を重要課題としておるか。それは、格差が固定化をするようなことがあってはならないということから、このような再チャレンジ支援策を立案し、このような税制を提案したところでございます。

松原委員 従来の地域再生法をきちっと検証した上で今回のができたということだと思います。大臣がうなずいていますから。

 そこで、また地域再生法、新しい今回の法案に戻りますが、その前に、旧来の地域再生法についての検証はどのように行われたのかをまず確認したい。

 質問として、具体的なことをお伺いしたいわけでありますが、地域再生税制の趣旨及び実績、それから、地域再生計画というのは大体三本柱からできていると言われていて、交付金と再生税制といわゆる転用承認、この三つですよ、大臣御案内のように。私ですら知っているんだから大臣は知っているでしょう。この三つだ。この三つに関して、地域再生計画は全国で何件できたのか。具体的に地域再生税制の趣旨及び実績はどうなっているのか。そして、この補助対象施設の転用承認の趣旨、実績、実例、こういったものがどのようになっているか。

 ですから、同時に、交付金の部分では地域再生基盤強化交付金と、今言った地域再生税制と、いわゆる転用承認のこの三本柱。それぞれの趣旨と現状の実績、これは基本的なことでありますから、明確に答えていただきたい。この答弁をまずいただきたい。

渡辺国務大臣 まず、地域再生計画の認定状況でございますが、第一回目、四百五十三件、これは平成十七年六月と七月であります。第二回目は百十件の認定件数であります。平成十七年の十一月であります。第三回目は平成十八年の三月認定でありますが、百四十件ございます。第四回目は平成十八年の七月認定でありますが、七十七件ございます。第五回目は平成十八年の十一月認定で、三十件ございます。合わせて八百十件の認定をいたしております。

 また、税制の方でございますが、個人投資家が地域再生のための出資をいたします。これは特定地域再生事業会社に出資をするわけでございますが、この特定地域再生事業会社について、地方公共団体が地域再生計画をつくり、その中で株式会社が行う地域再生事業が記載をされておる計画であるということであります。その中で、内閣総理大臣が地域再生計画の認定を行い、また、認定地域再生計画の指定を行うということになっております。

 何件あるかとのお尋ねでございますが、これは事務方より答弁をさせていただきたいと思います。

松原委員 今私は、基本的に三本柱があると言ったんですよ。三本柱を答えていないんですよ。三本柱の趣旨と実績を教えてくれと言ったんです。これをきっちり検証しないで次には行けませんねという話をした後、こういう導入の質問をしているのです。

 一つは補助対象施設の転用承認の趣旨、実績、実例、それから地域再生税制の趣旨と実績、これは言っていない、今。それから、地域再生基盤強化交付金の趣旨と実績、これも十分に言っていない。どうなっているのか。これを聞いて、その実績についてこちらはまた質疑をしたいと思うので、これを答弁してもらわないといかぬ。ちゃんとデータがあるんだったら答えてほしいし、データがないんだったらそれを待たなければいけないので、それをはっきりしてください。

渡辺国務大臣 まず税制でありますが、先ほど申し上げた特定地域再生事業会社の計画認定は三件であります。会社の指定は今のところございません。

 また、地域再生基盤強化交付金でありますが、これは六百件ほど実績がございます。道路整備交付金が二百十三件、汚水処理施設整備交付金が三百五十二件、港整備交付金が四十四件となっております。これは平成十八年十一月時点での認定計画数でございます。この中で、複数の交付金を活用する地域再生計画が九件ほどございます。

 また、第三点目の転用でございますが、計画は三十件ほどございます。

松原委員 さらにちょっと、これは三件しか会社のそれがないという、非常に少ないんですよ。まず、その三件の中身を教えてほしい。そして、何で三件しかないのか。他に、これに関して三件以外に出されて却下された事例があるのかないのか。これをはっきりしないと、今回の民民も間接型も同じですよ、議論として。なぜ三件なのか、その検証は済んでいるのか、三件は何か、三件以外にどういうものが言われてだめだったのか、それを教えていただきたい。それを今きっちり議論したい。

 それからもう一点、では、それを先に行きましょうかね。その三件を教えてください、中身を具体的に。

渡辺国務大臣 この三件以外に却下された事例はございません。なぜ三件なのか。これは要件が厳し過ぎるからでございまして、今回の改正案の中で要件を緩和するお願いをいたしております。

松原委員 つまり、前回の地域再生法の三本柱のうちのいわゆる税の減免に関しての部分では、今言ったような、でも、逆に厳しくて当たり前なんだ、これは。厳しくて当たり前なんだ。

 ちょっと時間の都合もあってやるけれども、今のほかの質問に対しての答弁も今してもらってもいいんだけれども、その前に、税の減免は課税の公平の観点から慎重にしなければいけない、当然ですね。三件しかないというのは、ハードルを上げて慎重にするからそうなるんだ。逆に我々は、直接型というのは怪しいぞ、親子の中でやったりするんじゃないか、いわゆる特定の情の中で。これは問題だということを指摘しているわけです、市村君も。

 それで、私が言いたいのは、そうしたら、この税の減免は課税の公平の観点から慎重にしなきゃいけないと。所得税、法人税法上、他のどんな場合に寄附金控除が認められるか、実例をちょっと言ってください。そんなのが具体的にどれほどあるのか。

渡辺国務大臣 寄附金控除というのは実にさまざまなシチュエーションがございます。例えば、松原議員の政治資金団体に寄附をする。寄附金控除の限度額というのがございますね。そういうものもこれは対象になるわけでございます。別に政治家への寄附だけではございません。いろいろなレベルでの寄附金控除が認められているのは御案内のとおりであります。

松原委員 法人税法上の寄附金控除はどういうときにやるのか、お伺いしたい。

渡辺国務大臣 例えば、認定NPO法人に対する寄附金というのもございます。それから、特定公益増進法人に対する寄附金というのもございます。これらは再チャレンジ支援寄附税制とは限定されないものであります。

 それから、指定寄附金というのもございます。例えば、国宝の修復、それから赤い羽根募金、私立学校の教育研究等に対する寄附金であります。それから、国や地方公共団体に対する寄附金がございます。公立高校に寄附をするとか公立図書館に寄附をする。こういったものは、法人税は国、地方に対しては全額損金算入、指定寄附金についても全額損金算入となります。

 また、特定公益増進法人に対する寄附、それから認定NPO法人に対する寄附については、一般の寄附金とは別に、例えば所得金額の二・五%プラス資本金等の額の〇・二五%に二分の一を掛けたものが損金算入となるわけでございます。

 ついでながら、再チャレンジ支援民間会社に対する寄附税制もこのような一般の寄附金の損金算入の式を踏襲いたしております。

松原委員 そこで、そうしたら国税たる所得税の減免対象を地方団体の指定にゆだねる制度というのは、ほかにどういうものがあるのか。

渡辺国務大臣 所得税についてのお尋ねでございます。

 所得税については、先ほど申し上げました、国、地方公共団体に対する指定寄附金、特定公益増進法人に対する寄附金、認定NPO法人に対する寄附金、いずれも寄附金マイナス五千円を所得から控除するということにいたしておりまして、総所得の三〇%相当額を限度といたしております。

 再チャレンジ支援税制についても同じでございます。

松原委員 いや、私が質問しているのは、現状において、国税たる所得税の減免対象を地方自治体の指定にゆだねる制度はありますかと聞いているの。これは極めて重要だから答えてください。

渡辺国務大臣 再チャレンジ支援税制においては、地域再生計画の作成を内閣総理大臣が認定いたしております。したがって、これに基づいて対象となる地域の公益法人の指定を行うことといたしておりまして、この点でチェックがかかるということであります。

松原委員 いやいや、だから、今あるのかと聞いているんだよ。今あるのかというのを聞いているので、ちょっと、きちっと答弁してください。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げました特定公益増進法人に対する寄附金と構造的には今回同じものでございます。

松原委員 それは、地方公共団体がそれを指定する、こういう認識でいいんですね。そういう質問ですから。そういう趣旨でいいんですね。

渡辺国務大臣 いずれも都道府県が認定をいたします。

松原委員 そして、さっきの質問で時間を十分与えましたから答弁ができていると思うので、答弁漏れなので聞きます。

 いわゆる転用承認の実績、実例。さっき質問して、木村筆頭も、質問してすぐはあれだというから、十分ぐらい今間をとったんだから、ここで実績とかそういうのをきっちり答弁してください。それが答弁できなきゃ、これはちょっと待たなきゃいかぬので、お願いします。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げましたように、実績としては三十件ございます。

 例えば、これは東京豊島区の例でございますが、文化芸術創造都市の形成、としまアートキャンバス計画と銘打ってございます。NPO活動支援として低利融資などの支援を行っているものであります。区民、NPO、企業、自治体等の協働により、地域住民等を対象としたアート関連イベントやシンポジウムなどを開催し、文化芸術活動を地域に定着させ、文化芸術を基軸とした地域コミュニティーの再生を図り、文化芸術創造都市を目指すものでございます。

 このアートプログラムの実施によって、年間三千人の延べ参加者人数が目標であります。また、文化芸術創造活動の推進、年間延べ一万八千人の利用を目標といたしております。平成十九年度開設予定の東池袋交流施設、これは仮称でございますが、この運営サポーターの育成も目標といたしております。

 また、熊本県、山都町におきましては、潤い、文楽、そよ風でつづるまちづくりと称しまして、地元特産の矢部茶の茶畑あるいはコミュニティー施設での交流などを企画いたしております。

 取り組みの概要でございますが、廃校の校舎をコミュニティー施設といたします。そして、そこにおいて、地域の農林産物加工施設や小規模多機能型居宅介護事業所等に転用をし、行政と地域住民とが連携しつつ活用する内容となっております。道路整備交付金の活用も行っております。町道と林道を一体的に整備し、こうした施設とのアクセスの改善を図ることによって、農林業の振興、都市農村交流の促進及び地域介護の拠点施設の整備を進める内容でございます。

松原委員 先ほど、地方団体の指定にゆだねる制度はあるかといって、あると答弁されましたが、今確認をいたしますと、これは公益法人等の認定であって寄附の認定ではないということなので、答弁は間違いじゃないですか。答弁を撤回していただけますか。確認をします。

渡辺国務大臣 これは、構図が同じであると先ほど申し上げたつもりでございます。

松原委員 では、私の質問と違うことを答えておったわけですね。そういうのをはぐらかしというんですよ。私が言っているのは、国税たる所得税の減免対象を地方団体の指定にゆだねる制度はあるかといったら、構図が似ているというので、寄附の認定はしないけれども公益法人に認定はするなんて、そういう答弁をしたら困っちゃうんですよ。大臣だって困っちゃうでしょう。困った顔をしているけれども、困っちゃうでしょう。

 では、もう一回確認しますが、その制度はほかにありますか。すぐ調べてください。

渡辺国務大臣 同じものは承知いたしておりません。

松原委員 渡辺大臣のパーソナリティーで大分得しているんじゃないかなというふうなところがあって、そんなことを私が言っちゃいかぬのですが。しかし、これはもうちょっときちっと、やはり後ろのお役人さんの話を聞きながらじゃないと答弁ができないという、その認識では、まあ大臣は突然ピンチヒッターで出てきたからそういうのもあるかもしれぬけれども。

 とにかく、やはりこういうふうな不正常な中でやるときは、大臣、もうちょっと気合いを入れて勉強してもらわないと。一つ一つ、構造はそうですが実際は違いますなんてそういう答弁をされたら、困ってしまうんです。

 まあ時間が来ましたから、以上で終わります。

河本委員長 次に、小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 まず、やはり与党の皆様にぜひお願いをしたいのは、こういう不正常な形で行うことは、法案の質疑にとっても私たちそれぞれにとっても不幸なことです。これは委員長も理事の皆さんも委員も、一刻も早く正常化をしたいということは願っているわけですから。

 そもそも、予算の強行な採決を十分な審議をせずに行った与党に責任があるわけです。そして、この衆議院では七割を与党が占めているわけですから、そういうところではやはり度量というものも必要です。(発言する者あり)どのように対応したら正常化をするのか。これは野党のせいだ野党のせいだと先ほど後ろから聞こえてきますけれども、もともと予算の審議時間は圧倒的に少ないわけです。総務委員会や財金委員会でもしていないわけです。その回復をすることなど私どもはしっかりと条件を提示していますので、もっと真摯にその対応を責任与党としてやっていただくことをまずもってしっかりお願いしたいと思います。

 その上で、構造改革特区改正案について伺います。

 まず、基本的な知識といたしまして、全国展開をするのか特区のまま続けるのか、それは評価委員会で評価をするということですが、これは何を基準に評価をされるんでしょうか。

渡辺国務大臣 全国展開に当たり評価委員会にかけるものと、各省の判断によって全国展開を行っているものがございます。特区の特例につきまして、評価委員会が評価をする場合も、それぞれの規制所管省庁がみずから判断をする場合も、どちらも問題がなければ全国展開を推進するという考えに違いはございません。

 特例につきましては、評価委員会は特区での適用から一年後に評価を行うことにいたしております。この間、規制所管省庁が法改正のスケジュールなどの関係から、評価委員会の評価に至る前にみずから判断して全国展開、オール・ジャパン展開をするというケースがございます。このこと自体は何ら問題はなかろうと考えております。ただし、この場合においても、評価委員会の方は規制省庁から全国展開の内容について報告を受けます。そして、特区での要件が強化されていないか、そのあたりはきちんとチェックをいたしております。

小宮山(洋)委員 要件が強化されていないかと、ちょっとよくわからなかったんですけれども。

 先ほど、まだこれから伺おうと思っておりました、省庁が決めるのと評価委員会が決めるのとの違いということまでお答えいただいたんですが、どうしてそこが、同じなのにこういう二つの手法があるのかよくわかりませんし、私が伺ったのは、何を基準に全国展開を決めているのですかという基準を伺ったんです。もう一度、お願いします。

渡辺国務大臣 評価の具体的基準でございますが、まず、地域を限定することなく全国において実施をするという基準がございます。この場合、弊害が生じないと認められる場合。第二に、弊害が生じても、規制の特例措置の要件、手続を見直すことで弊害の予防などの措置が確保され、かつ、見直された予防等の措置について特区における検証を要さないと認められる場合でございます。第三に、弊害が生じていても比較的軽微であり、規制の特例措置を全国展開した場合の効果と比較しまして効果が著しく大きいと認められる場合、地域を限定することなく全国において実施ということに相なります。

 続きまして、当該地域特性を有する地域に限定して適用する場合がございます。この場合は、弊害が生じていても、規制の特例措置の要件、手続を見直すことで弊害の予防等の措置が確保されること、そして、是正または追加された予防等の措置について特区における検証を要すると認められる場合がこの場合であります。

 その次に、規制の特例措置の廃止の場合がございます。これは、弊害が生じており、かつ、規制の特例措置の要件、手続を見直すことで予防等の措置を確保することが困難と認められる場合には、規制の特例措置の廃止ということになるわけでございます。

小宮山(洋)委員 次々全部読み上げていただきましたが、今読み上げていただいて、言っていらっしゃる御本人がよくわかりましたか。その程度の基準で全国展開をしては困る例があるのではないかと思っておりまして、これから具体的にちょっと。

 今回の大きい項目の一つで、学校教育法の特例、満三歳に達する年度の当初から幼稚園に入園することができる特例を削除することについて、すなわち二歳で幼稚園に入れるという特例を全国展開するということですが、これは、今おっしゃった、弊害が生じない、あるいは生じても予防ができる、比較的弊害が軽微で効果が著しく大きい、今メモをとったらそういうことだと思うんですけれども、そういうことだとみなされたんでしょうか。何を基準にこれを全国展開と決定をされたのか。

 それと、この評価委員会、どういうメンバーがいらして決定されたのかもあわせてお答えください。

渡辺国務大臣 まず、認定こども園でございますが、御案内のように、幼稚園で二歳児のお子さんの受け入れを認めることは、三歳未満のお子さんの受け入れ体制が複雑化して現場が混乱するのではないか、こういった御指摘があるわけでございます。

 認定こども園や保育園、幼稚園のあり方につきましては、まず、就学前のお子さんに関する多様な教育とか保育のニーズに適切に対応し、よりよい仕組みとしていくことが求められるわけでございます。このために、国が一元化をしいて一律の対応を求めるのではなくて、地域や家庭の実情に応じて三歳未満のお子さんの受け入れ形態を選択することができるようにする方が適切ではないかと考えたわけでございます。

 現場が混乱するのではないかという御批判はよく承知はいたしておりますけれども、地域やそれぞれの施設においていろいろな取り組み、いろいろな工夫が行われることは、決して悪いことではないと思うんですね。したがって、こうした発想で、関係省庁におきましてこういう制度の周知に努められているものと考えております。

小宮山(洋)委員 多様なニーズにこたえるのはもちろんいいんです。ただ、そのときに、子供にとって一番いい状態であるかどうかが問題で、幼稚園で二歳児を受け入れるということが、本当にそれが一番子供にとってよい、最善の状態かというのに疑問があると思っています。

 大臣、そこの専門の大臣でいらっしゃらないから余り伺ってはお気の毒かと思ったんですが、今、冒頭、大臣御自身が認定こども園ということをおっしゃいました。これは、昨年政府が鳴り物入りでつくったものですが、認定こども園とはどういう仕組みなのかおわかりで今おっしゃったんですよね。認定こども園と今回の幼稚園の二歳児受け入れとの関係はどうなるんでしょうか。

渡辺国務大臣 認定こども園につきましては、釈迦に説法でございますが、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供に関する法律に基づいております。

 認定の要件としては、第一に、就学前の保育に欠ける子供も欠けない子供も受け入れ、幼児教育、保育を一体的に提供すること、第二に、地域の需要に応じた子育て支援事業を提供すること、第三に、認定こども園の施設及び運営に関する国の指針をしんしゃくして都道府県が条例で定める認定基準に適合することを要件といたしております。

小宮山(洋)委員 これは昨年の十月から施行をされて、私たちはその質疑でも文部科学委員会で、かなりこれは現場に戸惑いと混乱が出るのではないか、モデルケースを一年しかやらなかったわけですから。モデルを実施したところからもそういう声があるということを申し上げました。

 それで、十月に鳴り物入りで始めて、では今、こども園の方はどれぐらいあるか御存じですか。そのことと、そこが徹底していないのに新しくまたつくることの混乱ということを心配します。

渡辺国務大臣 これは手元に資料がございますので、申し上げさせていただきます。

 認定こども園の認定数は、平成十九年三月一日、今月一日現在でございますが、十三件であります。十八年度内の申請見込み数は約百十件であります。十九年度、来年度以降の申請見込み数は約七百五十件でございます。

小宮山(洋)委員 よく勉強していらっしゃるようですので重ねて伺いますけれども、こども園の仕組み、認定こども園、物すごく複雑なんですよね。四つタイプがあって、その中の幼稚園型の申請しかないんです、これは。それはどういうことだと思われますか。せっかく地域でやれるようにとかいろいろなことをやりましたのに、この四つの複雑な仕組みを文科省と厚労省が両方でやって、幼稚園型しか誕生していないということは、幼稚園にとってしか都合がよくないということじゃないですか。

渡辺国務大臣 二歳児を受け入れる幼稚園と認定こども園と保育所と、それから今御指摘のようなものがございますが、まず、二歳児を受け入れる幼稚園は、幼稚園の接続として受け入れているということであります。認定こども園においては、就学前の教育と保育を一体的に提供するということで受け入れております。

 また、御参考の話でございますが、保育所においては、福祉的な観点から保育を提供するということで受け入れております。また、保育に欠ける子供を対象としたものではないというのが幼稚園でございます。保育に欠ける子供も保育に欠けない子供も受け入れるのが認定こども園でございます。保育所は当然のことながら保育に欠ける子供を受け入れております。

小宮山(洋)委員 聞いている質問と違います。

渡辺国務大臣 認定こども園の認定数、三月一日現在でございますが、これは、岩手県、宮城県、秋田県、茨城県、千葉県、長野県、大分県、宮崎県の八県であります。幼保連携型が八件、幼稚園型が五件、合計十三件となっております。

 また、ついででございますが、認定こども園の認定申請見込み数でありますが、大体、三十二都道府県の調査を実施いたしております。平成十九年一月十五日現在の数字でありますが、平成十八年度内の申請見込み数は約百十件、先ほど申し上げたとおりでございます。平成十九年度中の申請見込み数は三百二十件、平成二十年度以降の申請見込み数は約四百三十件、合わせて申請見込み件数は八百六十件となっております。

小宮山(洋)委員 私が何で詳しくこのことを言っているかというと、去年こういう新しい仕組みを導入したんですよ。そのことですら現場は混乱をするんです。それは半年の間に十三件しかない。

 さっき私が申し上げたのは、今出しているのは幼稚園型と、あとは幼保一体ということで最初からつくったもので、保育園型や地域が自主的にできるものができないのはなぜか。今つくったものに欠陥があるのに、また新たなことをしようとするのは何事だということを申し上げたいんです。

 なぜ、ほかのものができないで幼稚園、これは幼稚園主体の仕組みだったんじゃないんですか。幼稚園の預かり保育に補助金をつけたいからだという説もあったぐらいなんです。

 そういうようないろいろな、幼稚園、保育所それぞれのサイド、あるいは役所の権益といいましょうか、少子化の中でやっていくのは大変なわけですよ、保育所も幼稚園も。その中で出てきて、子供が真ん中にいないんじゃないですかということを申し上げているんですが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げたことでございますが、それぞれの地域でいろいろなニーズがございます。また、施設やそれぞれの御家庭でのニーズも多種多様でございます。したがって、こうした多様なニーズにこたえるためにこうした制度をつくったところでございます。

小宮山(洋)委員 いや、何で保育所の方にメリットがないような形なのかということ。それから、先ほどから地域地域とおっしゃいますけれども、地域が自主的にやれるものは一つも手が挙がってないんですよ。

渡辺国務大臣 そうした御指摘、御意見を踏まえて、これから関係省庁と協議をしてまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 先ほど、今回学校教育法の特例を全国展開するに当たっては、ちゃんと聞いてください、大丈夫ですか。(渡辺国務大臣「はい」と呼ぶ)幼稚園の接続としてやるとおっしゃいましたね。そうすると、二歳児も幼稚園の教諭が見るわけですね。

渡辺国務大臣 今後、保育所型、地域裁量型も申請の見込みはございます。

 いずれにいたしましても、今後もいろいろな御意見を踏まえた協議を行ってまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 それはさっきの私の質問への答弁で、今、私がした質問をお聞きでしたか。

 幼稚園の接続と言われたので、ではそこは、今回のこの特例の全国展開では幼稚園教諭が二歳児も見るということですねと伺ったんです。

渡辺国務大臣 認定こども園においては資格要件はございません。(小宮山(洋)委員「いや、違う。今回の話を聞いているんです。違います、聞いていることと答えが。今回の特区の全国展開の話をしているんです」と呼ぶ)必要な人員を補充して行っていくということになるわけでございます。

小宮山(洋)委員 必要な人員を補充する、でも、メーンは、先ほど幼稚園の延長だとおっしゃったように、今まで幼稚園の教諭がやることがメーンなんですよね。そうでなければ、今回の特区を全国展開するということと認定こども園との違いもまたわからなくなるし、あんなややこしいのを去年導入したばかりなのに、また何を今度するのかということがまたさっぱりわからなくなります。

渡辺国務大臣 これは幼稚園でございますので、基本的には。したがって、幼稚園教育が主体となるわけでございます。

小宮山(洋)委員 今のお答えだと、認定こども園の質疑のときに政府側からのお答えいただいたこととずれてまいります。というのは、認定こども園は幼稚園と保育所を一緒にした形ですが、ゼロ歳児から二歳児までという、保育所などでも保育士さんの数多くがその子供の生活を見ている部分については、保育士が当たると伺っております。ということは、今回、二歳児を幼稚園の教諭が見るということは新しい試みということですよね。

渡辺国務大臣 幼稚園教育の延長として行っていくわけでございますので、子育て支援としての二歳児受け入れを行うに当たりましては、保育所における二歳児保育の実際を見たり体験したりするなどして二歳児の発達、保育のあり方について研修を行うということは大変有効なことであろうかと思います。

小宮山(洋)委員 何が有効かを聞いているんじゃなくて、事実関係を聞いているんです。今のは全然答えになっていません。

渡辺国務大臣 実際はどうなのかというお尋ねでございます。

 実際は、幼稚園教諭の七割から八割は保育士の資格を持っております。したがって、先ほど私が申し上げましたように、保育所などにおける二歳児保育の実際を見たり体験したり勉強したりして研修を行うことは有効ではありませんかと申し上げたわけでございます。

小宮山(洋)委員 やはり質問していることとちょっと答えが違うと思うんですね。これは決して細かいことではなくて、今度の構造改革特区の幾つかある柱の一つの大きな柱がこれなんですよ。ですから、これはやはり子供にとってどうかということをきちんと責任者の大臣はわかってお答えいただかないと。今の御答弁は全部ずれています。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げましたように、実際はどうか、こういうことですよね。したがって、実際は幼稚園教育の延長として行われるわけでございまして、幼稚園教諭の七割から八割は保育士の資格も持っておる。ですから、この保育士の資格をお持ちの幼稚園教諭の方々が保育所で二歳児の受け入れの実際を見たり体験したり勉強したりして二歳児受け入れに当たるということは大変有効ではないかということを申し上げているわけでございます。

小宮山(洋)委員 私が申し上げているのは、幼稚園教諭にとって有効かじゃなくて、そのときに預けられる子供にとってどうかということを言っているんです。

 御承知だと思いますけれども、保育所というのは、朝から夕方まで、今、延長保育もございます。一日の多くの時間をそこで育てられるんですよ。ですから、教育の……(発言する者あり)かみ合っていません。教育の延長でそこをやられては困るということを言っているんです。

 八割が資格を持っていたとしても、ではそれを一々チェックをされるんですか。持っている人のところだけやるんですか。そんな条件にはなっていません。だから、こういう形で教育の延長として二歳児をやることに問題がある。そこに弊害がないということを評価委員会で判定をされたのなら、そのあたりを詳しく伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 幼稚園というのは、先ほども申し上げましたように、保育に欠ける子供を対象にしたものではないわけでございます。ですから、認定こども園においては、保育に欠ける子供も保育に欠けない子供も受け入れているわけでございます。実際は、お母様が主婦をしておられるような方を大体念頭に置いているわけでございます。

 これは平成十八年の十二月一日の閣議決定によって構造改革特区基本方針を一部変更したものでございますが、二歳児については、幼稚園児として集団的な教育、すなわち幼稚園教育を行うことではなく、幼稚園の人的、物的環境を適切に活用し、親子登園等、個別のかかわりに重点を置いた子育て支援としての受け入れという形態に変更し、全国化を図るとしておるわけでございます。子育て支援としての二歳児の受け入れに係る留意点を通知で発出することによってその普及を促すということも、あわせて申し上げているところでございます。(小宮山(洋)委員「全然答えが違いますよ」と呼ぶ)

 これも先ほど答弁申し上げたことでございますが、認定こども園や保育所がある中で、幼稚園で何で二歳児の受け入れを認めるんだと先ほど来の御指摘でございます。現場が混乱するよ、こういう御批判があるわけでありますが、幼稚園というのは保育に欠ける子供の受け入れを目的としたものでなく、幼稚園教育への円滑な接続を目的とする子育て支援として、二歳児の幼稚園での受け入れも保育に欠ける子供の受け入れを目的としたものではないと先ほどから申し上げているわけでございます。

小宮山(洋)委員 二歳児を幼稚園で幼稚園教諭が主体で見たら一日の生活を見るという保育士的な役割ができない場合に、その子にとっていい状態ではないんじゃないですかということを聞いているのです。

 それとあわせて、それでは、どれぐらいの子供にメリットがあるということで、何人ぐらいのあるいは何万人ぐらいの子供にメリットがあるということで全国展開をなさるのですか。

 あわせて、その全国展開のメリットと、そこの二歳の子供の置かれた、もう幼稚園は何か、保育所は何かはよくわかっています、そうではなくて、新しいものをつくるのであれば、その仕組みの中の子供にとってどうかを聞いているんです。仕組みの説明では、全く今の答弁は違います。私の聞いていることに答えてください。

渡辺国務大臣 地域やお母様方、保護者の方々のニーズにこたえると同時に、お子様たちにとってもよかれと思ってやっているわけでございます。

 今後の数字でございますが、幼稚園の数は、平成十八年の五月現在で一万三千八百三十五園ございます。幼稚園児の数でありますが、百七十二万六千五百二十人、全国でいらっしゃいます。このうち、三歳未満児に係る幼稚園入園事業として特区は三十七自治体、三十八件ございます。幼稚園の数は約六百園であります。在籍園児数は三千二百六十五人となっております。

 ついでながら、全国の保育園の数は約二万三千園ございます。

小宮山(洋)委員 先ほどから申し上げている、二歳の子供の置かれた状況にとって本当にいいのかということと、私は、今どれだけいるかじゃなくて、どれぐらいのニーズがあると考えてやっているのかということを聞いているので、そこについては全くお答えをいただいていません。聞いていることとお答えが違います。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げたことでございますが、こういった改革は、お子様にとってもよかれと思ってやっているわけでございます。

 評価委員会の方の評価の判断の理由でございますが、規制所管省庁によれば、二歳児の幼稚園生活への不適合、園全体の教育環境の悪化、教員の負担増による幼稚園業務の質の低下といった課題については、さらに幼稚園の集団教育との円滑な接続等の観点から、幼稚園に対して国として子育て支援としての二歳児の受け入れに際しての指導上の留意事項等を明示することで解決が可能と考えているということを評価委員会の判断の理由にいたしております。

小宮山(洋)委員 それでは、今、保育所で二歳児何人に対して保育士一人がいてやっているのか御存じですか。そういう水準がちゃんと保てるのかどうか。今のお答えでは、二歳の子供を今回、全国に特区を広げた際に幼稚園で見るということで子供の利益になるとはとても思えませんので、そのお答えをしっかりとしていただかないと私の質問の答弁にはならないと思います。(発言する者あり)

渡辺国務大臣 保育園におきましては、保育士一人で園児が六人となっております。

 幼稚園におきましては、きちんと計画を立ててくださいという要請、指導をしているところでございます。

小宮山(洋)委員 だから、六人に対して一人で見ていたところを、今度、幼稚園の延長だとそうはならないわけですよね。そこのところがやはり、これはあくまで保育所のことを聞いているのではなくて、その基準に合った形でないと、今回、特区を全国展開するということは、私としては子供の立場からこれは納得できないと思いますけれども。

渡辺国務大臣 先ほど来申し上げております三歳未満児に係る幼稚園入園事業の実施状況でございますが、在籍園児数が三千二百六十五名でございます。これに対して施設数は、五百五十六が実際に受け入れている施設となっております。

 いずれにいたしましても、保育園の一対六という水準に近づけるように、それぞれ計画をつくってくださいという指導をしているところでございます。

小宮山(洋)委員 私は今のお答えでは納得できませんので、これはまた後ほど絶対、採決を急ぐということではなくて、きちんとした御答弁をいただける形で確認をさせていただきたいということを申し上げたいと思います。

 とにかく、認定こども園もなっていないわけですよ、去年通して今やっている実態が。そこに加えて今のような御答弁で二歳児を幼稚園で見るということは、先ほど私にとってと言ったら見解の相違だと言われましたけれども、そうじゃなくて、子供たちにとっていいことだとはとても思えません。そういう意味で、構造改革特区の全国展開の審査の仕方も含めまして大変問題が多いと私は思いますので、また機会を改めてぜひ質問をして、しっかりした答弁をいただきたいということを申し上げて、私の質問、きょうは終わります。

河本委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 最初に、私は地域再生と構造改革で初めて質問をさせていただくんですが、委員長にお願いを申し上げたいというふうに思います。委員長のお力でぜひ正常な形でしっかりと質問をさせていただけるように、委員長の御努力をお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 地域再生法についてお伺いをいたします。

 最初に、きのうの参議院の予算委員会の集中審議で、総理が、地域活性化は九つの法案で私たちは頑張ろうと思っているんだという答弁をされていたというふうに思うんですが、その九法案というのはどのようなものなんでしょうか。

渡辺国務大臣 地域活性化関係の九法案でございますが、一つは、構造改革特区法の一部を改正する法律案、これは内閣官房が出しております。

 次に、地域再生法の一部を改正する法律案、これも内閣官房でございますが、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他、地域の活力の再生を推進するため、地域再生協議会の設置及び地域における再チャレンジ支援の促進のための寄附税制、先ほど来議論している話でございますが、これらの措置等について定めるものでございます。

 第三に、雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案で、厚生労働省が出しております。これは、人口減少下において労働者の意欲と能力に応じた就業機会の確保等を図るため、青少年の応募機会の拡大、外国人労働者の適正な雇用管理の推進等のため必要な措置を講ずるとともに、雇用情勢の特に厳しい地域及び雇用創造に向けた市町村等の意欲が高い地域に支援を重点化する等の所要の改正を行うものであります。

 第四に、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案でございます。農林水産省であります。これは、農山漁村における定住及び農山漁村と都市との地域間交流の促進による農山漁村の活性化を図るため、地方公共団体が作成する活性化計画に係る制度を創設するとともに、当該計画の実施のための交付金を交付する措置などを講ずることといたしております。

 第五に、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案であります。経済産業省でございます。中小企業の事業活動の促進、地域経済の活性化を図るため、地域に存在する特産物、観光資源等の地域産業資源を活用して事業活動を行う中小企業を支援するための措置を講じております。

 第六に、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案で、これも経済産業省であります。産業集積の有する機能が地域経済の活性化に果たす役割をかんがみて、地方公共団体が行う産業集積の形成及び活性化に関する計画的な取り組みを効率的かつ効果的に推進するための措置を講ずることによって、地域経済の自立的発展の基盤強化を図ることといたしております。

 第七に、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案で、国交省であります。都市機能の高度化及び居住環境の向上を図るため、国土交通大臣による民間都市再生事業計画の認定を申請することができる期限の延長、それから防災街区整備地区計画の区域内における建築物の容積を配分する制度の創設、市町村による国道または都道府県道の管理の特例措置の拡充等を行うことでございます。

 第八に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案、これも国交省であります。地域公共交通の活性化及び再生を総合的、一体的かつ効率的に推進するため、主務大臣による基本方針の策定、地域の関係者の協議を踏まえた市町村による地域公共交通総合連携計画の作成、地域公共交通特定事業の実施に必要な関係法律の特例のほか、複数の旅客運送事業に該当し、同一の車両または船舶を用いて一貫した運送サービスを提供する新地域旅客運送事業の円滑化を図るため、鉄道事業法に係る事業許可の特例等について定めておるものでございます。

 第九に、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案で、これも国交省であります。広域的地域活性化のための基盤整備を推進するため、国土交通大臣が策定する基本方針について定めるとともに、都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画に基づく民間拠点施設整備事業計画の認定制度及び拠点施設関連基盤施設整備事業等の実施に要する経費に充てるための交付金制度の創設等の措置を講ずるものといたしております。

 以上であります。

佐々木(隆)委員 随分丁寧にお答えをいただいたものですから、私は午前中の持ち時間が余りないので、できれば大臣の明快な、短時間でお答えをいただければよりうれしいというふうに思います。

 このことについてはまたちょっと後で触れたいと思うんですが、今、この事業、再生法を含めて九つあるわけですが、そのほかに、安倍総理の公約といいますか方針といいますか、そういった形で類似の事業が同時に幾つもスタートをしている。先ほども大臣も何かちょっとこんがらがられたときもあったようなのでありますが、この九つのほかにもっと別な事業として、一つには再チャレンジ支援プログラムというのがあって、そのほかにイノベーション25というのがあって、そのほかに頑張る地方応援プログラムというのがあって、これが非常に似通ったところもあったりなんかしているわけであります。これらをどのように整理統合しながら進めようとしているのか。

 この事業についても、余り午前中の時間がありませんので、できるだけ御協力をいただきながらお願いを申し上げます。

渡辺国務大臣 御指摘の頑張る地方応援プログラムも、実は地域活性化政策体系の中に位置づけてございます。

 この政策体系におきましては、五つの視点、まず、知恵において、頑張る地方応援プログラムや広域的地域の自立、活性化、地域の強みを生かした企業立地の支援、地域雇用の再生支援、地域公共交通の活性化、再生などを挙げております。また、その五つの視点のうち資源というところにおきまして、地域のイノベーションの強化を掲げております。この資源という点では、地域資源によるバイオマス利活用の促進なども含まれておりますし、先ほど申し上げました中小企業による地域資源を活用した取り組み支援なども掲げておるところでございます。

 したがって、こうした総合的な政策体系を今回取りまとめたところでございまして、何が何だかよくわからないじゃないか、こういう御指摘もございますので、それぞれの地域からお呼びがかかれば、地域活性化応援隊という大デリゲーションをつくって、それぞれの地域に出かけていくということをもう既に始めております。先月でございますが、一月、二月にかけまして、熊本県それから宮城県に出かけております。この地域活性化応援隊の中にはカリスマ的な方々もいらっしゃいまして、そういう方に対しましては、私が地域活性化伝道師の認定を行いまして、オール・ジャパンで御活躍をいただこうということにいたしております。

 それだけではございませんで、ワンストップ相談窓口というものをつくり、もう既に仕事を始めておりますが、一つは永田町合同庁舎の三階、それから虎ノ門第二十三森ビルの六階にそれぞれ相談窓口を置いて、地域からの相談に応じているという状況にございます。

佐々木(隆)委員 午前中の時間がなくなってまいりましたが、応援隊や伝道師の話は後ほどちょっとまたお伺いしたいというふうに思うんですが、例えば千八百の市町村に大臣がお一人で行くわけではないでしょうけれども、三百日で割ると一日六件ずつ回らなきゃいけないということになりますので、そういうのもどうやって広めていくのかというのも後ほどちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 午前中の時間がなくなってまいりましたが、こうしたものを進めることの中で、私は、内閣府が担当する中でとりわけ地方分権というのは安倍内閣にとっても大変重要なテーマだったというふうに思うんですが、今申し上げたような事業の中で、地方の団体とどのように協議してこのそれぞれの計画がつくられたのか、また、要望としてはどんなものがあって、どういうふうに取り入れられたのかについてお伺いをしたいと思います。

渡辺国務大臣 地域活性化でありますから、当然地方との意見交換は重要でございますし、そうした意見交換をして今回の政策体系を取りまとめたところでございます。そしてこれから、先ほど申し上げましたように、地方公共団体に対しまして今度は情報提供を実施し始めたところでございます。今回、御審議いただいております構造改革特区法の改正案それから地域再生法の改正案につきましても、地方六団体への情報提供や意見交換を実施したところでございます。

佐々木(隆)委員 午前中の時間がなくなりましたので、あとは午後にさせていただきたいというふうに思います。

河本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十四分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 午前中に続き、質疑をさせていただきます。

 先ほど地方との協議についてお伺いをしたところで午前中終わっているわけですが、私は、地域再生法という名前がついているぐらいですから、地方分権に役立つものでなければならないというふうに思っております。

 それで、地方分権を推進するのは内閣府と総務省だというふうに思うんですね。そういった視点で、とりわけ地方分権を進める上で大切なのは、一つには交付金のあり方と、もう一つは、市町村というか地域の人たちがどれだけそのことを理解して参加するかということだというふうに思うんです。

 そこで、その前に一つお伺いしたいのは、この地域再生法の、先ほど大臣が八百十件、今、市町村の統合があって八百二件だというふうに伺っておりますけれども、その認定件数が都道府県によって相当ばらつきがあるんですね。これは同じでなければいけないというものではないんですけれども。

 例えば東京とか香川というのは四件しかないんですね、認定されているのが。大都市であれば地域再生する必要がないというのでそれなりに少ないのかなというと、そうでもないんですね、大阪なんかはかなり高かったり。香川の出身の人がいたらしかられますが、私も北海道の田舎ですけれども、香川というところでも四件ぐらいしかない。このことについて検証はされましたか。

渡辺国務大臣 東京が御指摘のように四件、香川県は三件でございます。ちなみに、私の栃木県は二十四件ございまして、副大臣の地元山口県は十件となっております。沖縄が六件でございまして、一けたのところを探しますと、ほかには、奈良県が八件、富山県が九件となっております。一番数が多いのは、ざっと見てまいりますと、三十七件出している長野県かと思います。

 どうしてこんなばらつきがあるのか、こういう御質問でございますが、認定件数が二十件以上あるもの、十五件以上あるもの、十件以上あるものを地図にしてかいた日本地図がこういうパンフレットにかかれておりますけれども、これを見ますと、必ずしも西高東低というような分布にはなっていないような気もいたします。どちらかといえば、中国、四国が比較的認定計画が少ない、岐阜、滋賀、京都なども認定件数が少ない、南関東も認定件数が少ないという状況になっておりまして、まだこれらの分布についての統一した分析はないという状況でございます。

佐々木(隆)委員 パンフレットは私も持っておりますので。

 結果はまだ検証されていないということだと思うんですね。せっかくこの法律を一部改正して新しく進めようということでありますので、いずれにしても、しっかりとした検証が必要だというふうに思います。

 先ほど大臣が、自分自身も含めて出向いて説明するという話がありましたが、どう理解されているかということも、後でちょっと質問しますが、私はそんなこともあるのではないかというふうに思います。

 これは、分権推進に関する地方六団体の要請というのがありますが、六つほど要請があります。

 一つは、国庫補助金や地方交付税の見直しと税財源の配分の見直しということであります。二つ目には、名称の変更、交付税ではなくて共有税にしろという要請であります。三つ目には、政策立案に参画をさせろということであります。そのほかにも、分権ですから、分権推進委員会に地方からの委員の枠だとか、それから推進体制の本部をつくるとか、あるいは白書を出せというのもあるんですね。これは検証という意味だと思うんですね。

 こういったことを地方六団体から言われているわけで、これは地方分権推進に関する要請でありますけれども、一連の、先ほど午前中にお伺いしました、九つの法案をある種束ねておられる大臣の手元、あるいは内閣府が所管をしている類似の事業などなどは、これらにすべて当てはまると思うんですね、この要請に。そういうことについて検討されたかどうかについてお伺いをいたします。

渡辺国務大臣 分権改革は、御案内のように、菅大臣の方で三年を目途に取りまとめの作業がこれからスタートをするわけでございます。私の方は、分権改革の総仕上げという位置づけで、道州制の方の担当も仰せつかっているわけでございます。

 一方、地域活性化体系は、今までのいわゆる金太郎あめ型発展モデルと私が称するものから、それぞれの地域の埋もれた宝物を掘り起こそうという、個性ある発展モデルに転換をしていこうという発想でスタートをいたしております。したがって、それぞれの地域のやる気を喚起していくという作業が大事になるわけであります。

 地域、地方の中では、交付税の削減あるいは公共事業関係予算の削減などによって、相当疲弊をしてしまったところがございます。そういうところは、やる気を出せと言われてもなかなかそんなぐあいにいきませんよ、頑張れと言われても頑張り過ぎてへろへろになってしまうのは勘弁してほしい、そういった声も聞かれるわけであります。

 したがって、地域活性化策といたしましては、頑張り過ぎてへろへろにならないように、いかに上手に頑張っていただくかという観点から地域活性化応援隊などを企画したわけでございます。それぞれの地域の埋もれた資源や担い手ネットワークをいかに上手に活用していくか、そのための知恵をどうやって引き出していくかということに心を砕いてやっていくつもりでございます。

 もう既に、熊本、宮城では、こうした地域活性化応援隊の大デリゲーションが参りまして、地方公共団体あるいはNPO等々の関係者からの相談に応じているわけでございます。そうした活動を通じて、こうした疲弊をしてしまった地域も含めて、活性化策をともに考えていく、地域のやる気を引き出す、喚起をするという方向でやってまいりたいと考えておるところでございます。

佐々木(隆)委員 当然のことなんでありますが、もし私の質問時間中に、先ほどの認定件数のばらつきのことを事務方の方で調べられるのであれば、大臣の方に調べて報告をいただきたいというふうに思います。

 それと、このパンフレットの時期がいつなのかわからないんですが、これは数字が少し古いような気もするので、ちょっと数字の違いなんかがあったんですが、それはこっちの方が古いというふうに解釈をすればいいんですね。

 それで、今あった応援プログラムの話などを含めて、地域再生については地域再生基盤交付金というお話が先ほどありました。それから、先ほど九つの法案の中で、大臣のお答えの中で、都市の再生のところでの交付金措置というのも答弁の中でございました。これらはいずれも交付金措置なんですね。

 地域再生の基本方針の中で、〇六年の二月の閣議での決定でありますが、知恵と工夫を競い合うアイデア合戦である、あるいは地域戦略メガコンペだという表現が使われているんですが、私は、交付金の性格というのは本来そういうものではないというふうに思うのと、結局、いずれもいわゆる補助金と変わらない。こういう事業をやったらという一定の条件がしかもついて、いわゆるひもつき交付金と俗に言われていますが、補助金と変わらないような交付金になっているのではないかというふうに思うんですが、その点についての御見解を伺います。

渡辺国務大臣 御指摘の、交付金が委員のお考えになっているイメージからは遠いのではないか、こういう御批判だったかと思います。

 地方分権改革を進めていく中で、今の補助金にかわる財源の移譲については、いろいろな角度から我々も研究をしてきたつもりであります。何年か前に創設をいたしました地域活性化に関する交付金につきまして、実質的に補助金と同じではないのか、こういう御批判もあるわけであります。

 地域再生基盤強化交付金というのは、地方からの具体的な要望に基づいて、道路、汚水処理施設、港、この三分野において、省庁の所管を超えて類似の補助金を整理統合し、創設をしたものでございます。言ってみれば、縦割り行政の打破、地方の自主性、地方の裁量性、こういうところに焦点を当てた、従来の補助金よりははるかにましな制度ではないか、そう考えているところでございます。

 具体的に申し上げますと、地域、地方が計画の申請を行います。予算の要望の一元化ということであります。汚水処理施設の整備に当たっては、既存の計画にとらわれないで、市町村が策定する計画に基づいて自由な施設配置が可能となっております。国への特段の事務手続なしに、事業の進捗などに応じた事業間での予算の融通、それから年度間での事業量の変更が可能となっております。この点は、従来の補助金よりは、はるかに融通無碍な、画期的なものであると私ども自負をいたしておるところであります。

 地方公共団体にとっての使い勝手は格段に向上しておるのではないかと考えておりますし、当然、地方の自主性、裁量性の向上が図られておると考えています。

 また、各省において創設をされました交付金、例えばまちづくり交付金、これは私が自民党の国土交通部会長をやっておりましたときに創設をしたものでございますが、これなども大変地方の自主性、裁量性を尊重するためのものになっていると考えております。また、農林水産省の村づくり交付金それから環境省の循環型社会形成推進交付金などもこのようなものになっておるかと存じます。

 いずれにいたしましても、地域再生基盤強化交付金というのが、先ほど申し上げましたように、予算を一括計上する、ワンストップ窓口で手続が一本化されているという点も従来型の補助金にはないメリットではないかと思います。交付申請の決定に当たりましても、地域再生計画とセットで、使い勝手は格段によくなっておると思います。

 いずれにしても、こういった交付金を、地域、地方の御意見、御要望なども承りながら、さらにバージョンアップを図っていくこともあわせて検討課題であると考えております。

佐々木(隆)委員 ありがとうございました。

 今の大臣のお答えは、いわゆる整理統合がされたということと手挙げ方式なんだというところに主にその違いを説明しておられたわけでありますが、一括計上方式というのは、私は実は北海道ですから、北海道開発局は、国土交通省の中ですけれども、これは公共事業に限ってですけれども一括計上方式をとっておりまして、しかし問題は、やはり事業ごとにしか組まれないんですよね。

 それは、三つまとめたからといえば、確かに一つよりは、大臣の今の言葉をかりれば、よりましではあるんですけれども、理想形とは決して言えないわけでありまして、それと、もっと言えば、交付金というのは、本来、地方固有の財源というふうにちゃんとうたわれているわけですよね。その固有の財源について、交付金の事業というのがどんどんふえてきているような気がするんですね。この地方再生もそうですし地方応援プログラムもそうですし、先ほどの国交省の広域活性化基盤整備もそうなんですが、本来、交付金というのは地方固有の財源であるにもかかわらず、国が国の裁量でつけたりつけなかったりするという部分のところが交付金が使われている。

 これは本来の地方交付金という制度からすると、私はやはり少し違うのではないかなという気がするんですね。その点についてのお考えを伺います。

渡辺国務大臣 こうした地域再生基盤強化交付金は、もう既に、地域再生計画のもとで、六百件に及ぶ認定計画がございます。道路整備交付金が二百十三件、汚水処理施設整備交付金が三百五十二件、港整備交付金が四十四件となっております。

 例えば、長崎県の佐世保市の例でございますが、汚水処理施設整備交付金を使いまして、既存の計画、すなわち、これは長崎県がつくった構想にとらわれずに、下水道整備区域の一部を合併浄化槽の区域に変更したりいたしまして、何と約百五十億円の建設コストの削減ができたということでございます。これは佐世保の光武市長さんが大変努力をされて、こうした結果になっているものと思われます。

 いずれにしても、まず、公共下水道というのは一番川下の処理施設からつくっていくわけですね。そこから川上に上っていく。しかし、この地域再生基盤強化交付金の汚水処理施設整備交付金を使いますと、上の方から整備が可能になってくるわけですね。下からつくっていきますと、膨大な時間とお金がかかってしまう。でも、この地域は合併浄化槽でいいじゃないかという地域が中にはあったりするわけでありますから、そうすると、これはもうまさしく、そういった整備を行って、最終的に全体の汚水処理が完成をしていくということになるわけでございまして、そういったことから考えても、相当使い勝手はよくなってきているわけでございまして、さらに、我々の立場といたしましては、縦割り行政の打破、そして地方分権に資する、そういった検討を行っているところでございます。

佐々木(隆)委員 今、大臣の答弁というのはいわゆるコーディネート機能の強化のようなものですよね。結果、事業の裁量を少し広げたり、いろいろ組み合わせたりということはあるんですが、地方分権が目指すものはもっと先にあって、地方にすべてをゆだねるところまでいかなければいけない、そのステップとしてこれがもしあるんだとすれば、どうしてもそこの国の介入、私風に言わせていただければ介入の域を出ないというふうに思うので、必ずしも今のような形で進めることがいいのかどうかということについては、依然、私にとってはすっきり落ちないところはありますが、次の質問に入らせていただきます。

 推進体制について伺いたいというふうに思うんですが、今度、地域再生協議会をつくることにしたわけですね。必ずしも必置ではありませんけれども、つくることにした。八百十といいますか八百二の事業のうちに、過去に協議会的なものでやってきた事業というのは一体どのぐらいあったんでしょうか。だからこういうものができたんだというふうに私は思うんですけれども。

 あと、さらにまた、今まではどのようにしてこの事業を実施する市町村なり地域に説明をしてきたのか、そのことについてぜひお願いを申し上げます。

渡辺国務大臣 八百十件のうち、地域協議会的な仕組みがどれぐらいあったのかとのお尋ねについては、今ちょっと事務方で調べておりますので、ちょっと御容赦をいただきたいと思います。

 地域再生や特区の成功例でございますが、協議会をつくって独自の取り組みを推進している例はたくさんございます。

 例えば、地域提案型雇用創造促進事業を利用している地域ではこの協議会は必置でございますが、大分県の豊後高田市、例の昭和の町づくり、「三丁目の夕日」、昭和三十年代の町づくりを目指して頑張っているところでありますが、こうした協議会を設置し、取り組みを実施しているところもございます。また、せんだってのこの委員会でも話題になりました北海道の倶知安町のニセコスキーリゾート、ここも同様な協議会を設置し、外国人の呼び込みに成功している例でございます。特にオーストラリアのお客様がたくさん来られているというところですね。そして、これは熊本県だったでしょうか、荒尾市などにおいても同様の枠組みがございます。

 また、地域の知の拠点再生プログラムを活用している岐阜県の大垣市や愛媛県の松山市などでは、地元大学や産業界等と協議会を設置し、次世代の技術者育成や地域資源を生かした商品開発の取り組みを実施いたしておりますが、今回の法案の枠組みの中では、こうした知の拠点再生プログラムなどでは協議会は必置とはなっておりません。任意となっているわけでございます。

 お尋ねの地域提案型雇用創造促進事業、これはパッケージ事業でございますが、これを活用した地域再生計画は七十八計画ございます。この八百十の中で、全体として協議会がどうなっているのかという点は、今回の必置といたしました雇用創造促進事業においては七十八計画というのが答えになるわけでございます。

佐々木(隆)委員 大臣、もう一つ、今まで推進してきた今までの事業をどのように説明してきたかということについて答弁していただいていないんです。今までの説明、今までの事業ですよ、地域説明をどのようにやってきたのかということです。

渡辺国務大臣 今までどういう説明をしてきたかということでございますが、都道府県に対するサポート機能をどう強化するかという問題認識のもとで行ってきたところでございます。

 構造改革特区や地域再生計画については、都道府県の担当者を特区エキスパートあるいは私が認定いたします地域再生伝道師と命名してお宝発掘に取り組むとともに、全国各地でキャラバンを実施しまして、市町村や地域の皆様への制度普及啓発を行っているところでございます。

 こうした取り組みに至る経過につきましては、まさしくこういった地域のやる気を掘り起こす、そういうカウンセリング体制が極めて大事であるということに思い至ったからでございます。

佐々木(隆)委員 少し答弁をさらにお伺いしたところなどがあって、本当はもう少し質問したかったんですが、もう一点だけ質問させていただきます。

 今の推進に当たって、一つは、今キャラバンを実施したと言われましたが、どの程度実施されてこられたのかということについて、ぜひ内容と件数を教えていただきたいのと、というのは、地域がどのぐらい理解しているかというのが一番大事だと思うんですね。

 もう一つは、中小都市への情報の周知。これは、実は市はいいんです。ある程度の機能を持っているんです、市というところは。ところが、町村で情報を収集したりあるいは企画をしたりというのは極めて実は大変なことなんですね、町村のスタッフでやるということは。

 それにかかわって言わせていただければ、実はこの協議会というのは直接国と協議できるという仕組みになっている。それはそれで非常にいいことなんですが、実は町村というところは、ふだん都道府県から情報を得たり都道府県に相談しながら物事をやっているわけですね。だから、市というのを念頭に置けば、確かにこの方法は、ショートカットできますから、それはそれで効率的なのかもしれないんですが、市町村合併が余り、進んだところはそれでいいのかもしれませんが、町村がたくさんあるところというのは、都道府県が担っている役割というのは非常に実は大きいんですね。私も市と町村と行ってみて、決定的に違うのはそこなんですね。

 そのときに、今回の計画の中では都道府県はいいんだというような感じに全体がなっているわけなんですが、むしろ地域再生をしなければならないのは大きな市よりも小さな中小都市だと思うんですよ。そのときに、都道府県の役割というのが極めて不明確だというのと、そういう中小都市に対してどうやって周知をしていくのかということについて最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

渡辺国務大臣 確かに、中小の市町村において地域再生の果たす役割は大きいものと思います。ここに関して都道府県がどういう役割を果たしているかということでございますが、小さな自治体になりますと、情報もなかなかうまいぐあいに入ってこないということもあろうかと思います。

 そこで、今回、私どもの地域活性化政策の中では、都道府県に出向いて、都道府県に一種のリエゾンオフィサーをやってもらって、市町村あるいはNPO、あるいはさまざまな地域活動の担い手の皆さんに集まってもらって、そこで地域活性化伝道師あるいはそれぞれ専門の応援隊が相談に応じるという体制をとっているところでございます。したがって、この地域活性化政策体系の中では、都道府県にはリエゾンオフィサーをやってもらうということが一つあろうかと思います。また、冒頭申し上げました九つの法案の中では、都道府県がそれぞれ果たす役割はあろうかと承知をいたしております。

 先ほどの御質問でございますが、キャラバンでありますが、平成十八年度四月、五月のあじさいキャラバンは、全都道府県で四十九回ございました。それから九月、十月のもみじキャラバンは、二十四都道府県で二十六回ございました。それぞれ北海道は三回と二回となっております。あじさいキャラバンの北海道三回の内訳は、札幌市が二回、帯広が一回となっております。

佐々木(隆)委員 今のキャラバンでもそうなんですが、できるだけやはり地域の中にどうこたえるかということであって、先ほど大臣は、伝道師というのはことしから始まる事業だと思いますが、大臣一人で回れる話でもないですし、そのためには理解をした人たちが地域にしっかりつくられなければならない。

 それと、地方からは非常に事業が多過ぎてわかりにくいという話もありますので、そういうことにしっかりとこたえていただきたいことを指摘させていただいて、終わらせていただきます。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、地域再生にかかわって質疑をしたいと思います。

 この間、構造改革それから地方分権、三位一体改革というふうに、国から地方へ権限を移したり財源を移したりという話はあったんですが、国から地方への税源移譲という点では三兆円で、一方、地方交付税と国庫支出金、合わせて十兆円の削減というのが行われました。この結果、地方団体は財政運営に苦しんで、地方再生を図るにもそもそも力がそがれてしまっている、これは今、全国の深刻な実態だということをまず見てかからなきゃいけないと思うんです。

 私、一昨日ですが、高知県の東洋町というところへ、調査と住民の皆さんとの懇談に行ってきました。ここは、高レベル放射性廃棄物の最終処分場、要するに核のごみ捨て場問題、これが問題になっているところです。町長が、核のごみでも毒でも何でもいいから、とにかく金に困って飛びつくというところへ追い込まれていっているという問題が今あります。これは、毒でも何でも飛びつくところまで深刻な事態に追い込まれているというのは全国各地にありますから、ここだけじゃないんですが、そこで私、東洋町の決算状況というのを総務省の決算カードを見てみて驚いたわけです。

 最初に政府参考人の方に伺っておきますが、政府は三位一体改革といって、ことしの一月の政府広報では、一月から所得税は減税になりますが、六月から住民税は増税で、所得税、住民税はとんとんですというお話だったんですが、現実にどうなっているかというと、実際には地域経済の落ち込みの中で、移譲も何も、地方税収そのものが落ち込んでいっている、こういう実態があります。さらに、地方交付税や国庫支出金、補助金を削減して地方の自由度を増すという話だったんですが、財政的に締め上げられると自由度を増すどころの話じゃないというのが実態です。

 では東洋町の財政はどうなっているかというと、ここを政府参考人の方から、二〇〇一年度と、一番新しい決算数字でわかる二〇〇五年度の地方税が幾らから幾らへどうなっているか、地方交付税が幾らから幾らへどうなっているか、国庫支出金について幾らから幾らへどうなっているか、これを最初に伺います。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 高知県安芸郡東洋町の普通会計の決算の状況でございますけれども、十三年度と十七年度、直近の決算が出ております年度でお答えをいたしますと、地方税が一億七千四百万円程度から約一億五千五百万円、一〇・九%の減というふうに承知しております。地方交付税につきましては、十七億四千四百万円程度から十三億五千百万円程度、二二・五%の減。国庫支出金でございますけれども、二億六百万程度から五千百万程度ということで、七五%程度の減という状況になってございます。

吉井委員 今お答えいただいた数字ではっきりしてくるわけですが、要するに、地方税の方は、二〇〇一年と二〇〇五年を見ると、千九百二万七千円減っているわけですね。地方交付税は三億九千二百四十七万五千円減っている。国庫支出金、負担金の方は一億五千五百十八万七千円減っていますから、この三つを合わせると、三位一体と言われている中で、地方税、地方交付税、国庫支出金などが当てはまるわけですが、合計で五億六千六百六十八万九千円、年間にして減っているわけですね、二〇〇一年度と二〇〇五年度とでは。

 だから、国から東洋町への金の流れを決算カードで見ると、二〇〇一年、二〇〇二年、二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年と毎年ずっと減っていっているんですが、二〇〇一年度と二〇〇五年度の減額状況を見ると、今言いましたように、年間五億六千六百六十九万円も減っている。歳入合計で見て、地方財政の一八・九%、約二割減っているということになるかと思うんですが、確認しておきたいと思います。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

椎川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘の数字はそのとおりでございまして、歳入総額で見てまいりましても、十三年度は三十億ほどあったわけでございますけれども、十七年度は二十二億九千万円程度ということに相なっております。

 原因につきましてはいろいろあろうかと思いますけれども、特に投資的経費、普通建設事業のところが大きく減少しておりまして、そのことに伴いまして、事業をやらないことに伴います国庫支出金の減少というのが大変大きく影響しているのではないかというふうに見ているところでございます。

吉井委員 昔は、景気対策で、補助金もつけるから起債も認めてやろう、どんどんやりなさいという話だったんですが、そういう起債のツケなどは後年度において回ってくるんですが、新しい事業をやろうにもそもそも金がないというところへ行っているというのが実態です。

 そこで、大臣に伺っておきたいんですが、地方財政の話ですと総務委員会でやりますけれども、地域再生というんだったら、まず地方の税財源を守った上で、地方が自主的に地域経済の再生に取り組めるように、国としての地域経済、雇用、地域社会が再生できるような財政上の支援方策とか、この裏づけというものをまずやらないことには、地域再生という言葉は美しいんですが、再生というのは簡単にいかないと思うんです。大臣、どうですか。

渡辺国務大臣 今回の地域活性化政策体系の中でさまざまなメニューがございます。そのメニューの中で、例えば地域雇用再生支援、これは先ほどから話題に出ております、地域雇用創造推進事業は百十五億円の国費、予算額になっておりますが、これがまさしく事業規模になっております。大体、国費と事業費は、事業費の半分ぐらいが国費になっているという事業が多い中で、これなどはまさしく一〇〇%国費という事業なわけでございます。

 こうした事業を生かしまして独自の取り組みを既に行っている例がございます。例えば、離島でありますが、島根県海士町では、遊休農地をリースホールドで建設会社が借り上げまして、そこで海士牛の飼育をやっている。普通、草ばかり食べている牛は、グラスフェッドといって草臭いと言われているんですけれども……(吉井委員「財源をきちっと見ていかないと」と呼ぶ)財源は、ですから、これはまさしく地域提案型の雇用創造促進事業などを使いまして、独自の食品加工技術による農水産物の保存、加工を、新産業創出と雇用確保を進めている例でございます。こうしたものはまさしく、国のお金を使いながら定住促進にもつながる、雇用促進にもつながる、そういういい例ではなかろうかと思います。

吉井委員 今力説されたんですけれども、百億余りの金を組んでというお話ですよね。しかし、全国の自治体の数で割れば、それは本当に鼻くそほどと言ったら余りきれいな表現じゃないかもしれぬですけれども、さっき言った三つを合わせて、この東洋町でいえば年間にして五億六千六百六十八万九千円、二〇〇一年に比べたら、二〇〇五年度決算で減っているわけですよ。

 だから、歳入合計で見て、町財政の約二割が減っている中で、これぐらいの、これやります、あれやりますというお話ぐらいではとても、地域再生というのは地域がみずから力を出していろいろできてこそ再生につながるんですね。その力を出そうにも力がそがれてしまっている、ここのところに対してどうするのかということを真剣に考えなかったら、こういうものは生きてくることにならないと私は思うんです。

 この間、三月九日付の読売新聞が書いておりましたが、「まちは、今」「放射性廃棄物処分場候補地に名乗り」というので、「夕張 明日は我が身」というので出ておりましたけれども、これは昨年の秋、滋賀県の余呉町で、やはり高レベル放射性廃棄物の処分場を誘致しようという話を町長が言い出したときに、反対運動で、圧倒的な世論で町長は断念し、町長をやめたわけですけれども、ここの前の畑野さんという町長の言葉が出ております。「貧乏な町は、迷惑施設の誘致でしのぐしかない」、つまり、力をそがれてしまったら、自分たちの力で地域再生をやる、それさえ失ってしまって、もう核でも毒でも何でもええ、迷惑施設でいいから、それに飛びつかないとどうしようもないというところへいっているという現状がここに語られていると思うんですね。

 迷惑施設で地域再生ができるとは私は思わないんですが、大臣はどう考えはりますか。

渡辺国務大臣 東洋町の御判断に対して私がどうこう言う立場にはございませんけれども、それぞれの地域の選択というものがあろうかと思います。

 確かに、東洋町の財政状況は、先ほどのお話のように相当厳しくなっているのはよくわかります。似たような状況に置かれている自治体もたくさんあると思うんですね。そういうところが、では全部迷惑施設の誘致に走っているのかというと、必ずしもそうではないどころか、そうでない取り組みを行っている自治体がかなりたくさんあるというのが私どもの認識でございます。

 先ほど申し上げた海士町などは、まさにこれは離島ですよ。離島において人口がふえ始めている、これなどはすごい取り組みではないかと思うんですね。それから、北海道の倶知安町、これも再三申し上げますけれども、まさかオーストラリア人がこんなにたくさん来て、地価が上がっちゃうというところで、そんなことも起こり始めているわけでございます。

 したがって、地域再生の取り組みというのは全国一律、金太郎あめモデルではなくて、まさしく個性ある発展モデルとして我々は位置づけているわけでございまして、地域の選択によるものと思います。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 地域が選択しようにも再生する力がそがれているということが問題だということを私は言っているんです。こういう迷惑施設の誘致で地域再生につながると思いますかという質問をしていますから、ほかの話を余りべらべらやってもらっても全然的外れだということを申し上げます。

 迷惑施設という、これは余呉町の前の町長の話ですけれども、実は、今離島のお話をおっしゃいましたが、長崎県の新上五島町、鹿児島県の旧笠沙町、宇検村、それから熊本県の旧御所浦町、高知県の昨年問題になった津野町や旧佐賀町、福井県の旧和泉村とか、離島であれ、いろいろなところで一度こういう問題が出てきているんですよ。

 つまり、迷惑施設でも食いつかないことには、核でも毒でも何でもいい、そこへいかないと大変だというところへ来ている、そこまで地域の力がそがれてしまっている。そのことにどう力を、本当に応援してやっていくかということを考えないと、幾ら離島のどこやらがどうでした、こうでした、そんな話を何ぼしても、さっき言った百何億かの金を全部の自治体で割ったら本当にもう鼻くそ程度というふうになるわけですから、とてもじゃないけれどもこれは生きてこないんですよ。

 だから私は、まず、迷惑施設の誘致で、これで地域再生はできないでしょう、本当に力を入れるものに力を尽くすように、国として応援しなきゃいけないでしょうということを言っているんです。どうですか。

渡辺国務大臣 迷惑施設と言って言えなくもないかもしれませんが、例えば香川県に直島という島がございます。これは、近くの豊島のまさにごみ処理の中間施設をつくって、まさに地域再生につなげた、大変なすばらしい例だと思うんですね。

 あそこで、私も三回ぐらい工場を見学したことがございますが、もうまさしくこれは、言ってみれば、広義の意味での資本を投下することによって、この資本を上手に活用しながら離島の地域再生を進めてきた。そこに民間投資が加わって、今、直島はすばらしいモデルの島になっているのではないでしょうか。

吉井委員 聞いていることと違う話をべらべらやっても本当に困るんだけれども、豊島の話なんというようなものを、そういう認識でいたら、これは地域の人からしたらとんでもない話ですよ。あそこは公害の島として大問題になって、日弁連の会長を務めた方を初めとして全国から公害、環境問題に取り組む人が集まって、どうして再生するかということでやってきた話であって、何かそれがモデルみたいな話にするというのは、余りにも認識が外れ過ぎているというか、狂い過ぎているというか、ひどいということを言っておかなきゃならぬと思います。

 この東洋町へ国が持ってこようとしているのは高レベル放射性廃棄物の永久処分場なんですが、これを受け入れるための文献調査に乗ったら、ことしから、前の二億一千万が十億に増額ということで十億なんですが、しかし当該町は二分の一ですから五億円交付金をやろうというわけですね。こういう核か毒かという、要するにニンジンをぶら下げようというわけなんですが、しかし、年間、国が地方に出すべき金を削ってきた、これが五億六千六百六十九万円で、これだけ削っておいて、五億円のニンジンを食いなさい、私はこのやり方というのは余りにもこれまたえげつな過ぎると思うんですよ。

 しかし、私が繰り返し言っていますように、それにしても、地域再生をまじめに考えるんだったら、核でも毒でも何でもいいからということでいわばニンジンを前にぶら下げる前に、削減した交付税など税財源の保障をやはりきちっとやって、地域再生に財政の裏づけを持って取り組めるようにしていく、私は、本来内閣として取り組むべきことはそういうことじゃないかと思うんですよ。

 今度の地域再生法に別にけちをつけているわけじゃないんですよ。法律も結構だけれども、幾ら法律をつくってきれいな言葉を並べたって、実際にみずからの力で再生しようとする、その地域の力をそぐようなことをやったんじゃ、これはうまくいかない。だから、そのことにやはりまじめに、真剣に、内閣を挙げて、これは総務大臣の役割だというようなことじゃなくて、これは行革担当大臣であれば、内閣を挙げてそれをやっていく、私はそういう姿勢が必要だということを言っているんです。どうですか。

渡辺国務大臣 ことしの補正予算と来年度の予算の中で、例えば地方交付税が両方足すとどれくらいなのか、ちょっと数字は忘れてしまいましたが、地方団体から交付税の予算についてけしからぬというおしかりはいただいていないと思います。そういう中で、頑張る地方応援プログラムというのは、まさしく交付税を使った、地方のやる気を掘り起こす、こういうプログラムでございまして、これからの地方の個性ある発展モデルとしては大いにやっていくべき方向性がここで示されているのではないかと思います。

吉井委員 地方交付税その他の議論は総務委員会でたっぷりやりますから。今おっしゃったのは、余りにもこれまた認識がひどいと私は思っているんですが、要するに、国から地方への税源移譲は三兆円なんです、この間、三位一体といって。地方交付税と国庫支出金を合わせて十兆円削られているんですよ。だから、全体として力がそがれて、私はきょうは東洋町の具体の例を一つ挙げましたけれども、具体的な例を見ても、実際に年間にして二割近いものが二〇〇一年に比べたら削られてしまっているというのは、決算額で出ているんですよ。

 つまり、再生をするにも地域の力がそがれてしまっている。だから、今度の頑張る交付税だ何だと、それを言い出したら、交付税の性格はそもそもどういうものかというところから始まるわけですから、そんな議論じゃなくて、実際にそこの力をきちんと、それこそ政府としてやっていかないことには、こういう法律を幾らつくっても生きてこないんだ。地域再生というのは人に再生してもらうんじゃないんですよ、みずからの力で再生する、それには自主財源が必要なんですよ。

 ところが、それを削ってしまっていることが問題なんだから、その削ったものをもとへ戻す、そういうことからして政府を挙げて始めるということをやらない限り、それこそ余呉の前の町長のように、迷惑施設でも何でもいいからとにかくそれに飛びつかないとどうにもならぬというところへ追い詰められていく。自治体の首長を、どういう首長であれそういうところへ追い詰めるやり方というのは、私は国の政治としては間違っていると思うんですよ。それを正さなきゃならぬということを言っているわけであります。

 ここについて言いますと、金額はそのとおりなんですが、核のごみ捨て場にする問題で、地域の中では町議会は反対を決議する、昨日も町長辞職勧告決議をしたようですが、住民の六四%の方が反対の請願を出されるとか、こういうやり方で国がどんどん進めれば地域に亀裂が入ってしまう。これは地域の再生どころか地域のぶち壊しになってしまうわけですから、今、そういうことを国が真剣に考えて、これは確かに経済産業大臣の担当の方でしょうけれども、しかし、今、NUMO、原子力発電環境整備機構が文献調査を内閣に認めてくれ、これを認めたらいわば原発麻薬と言われるこの金をやりましょうというやり方ですが、金をやるから毒でも核でも何でものみ込めというやり方、こういうやり方はやめるようにということを政府としてきちんと考えていかれることを私は求めておきたいと思います。

 次に、構造改革にかかわるものですが、文科省の方に最初伺いますが、法案の追加の一つに地方教育行政法の特例措置があります。説明では、地方公共団体の教育委員会が行っている学校施設の管理、整備に関する事務について、一定の場合に地方公共団体の長が行うことができるようにするということになっていますが、このことは、学校施設の管理と整備の権限を教育委員会から都道府県知事、市町村長に移すということと理解していいわけなんですね。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のとおりでございまして、この趣旨でございますけれども……

吉井委員 いや、それだけ答えてもらったらいいんです。

 それで、現行の地方教育行政法が学校施設の管理と整備の権限を知事や市町村長でなく教育委員会に与えている理由があるわけですね。それは何なのかを伺います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 まず、学校施設の整備それから管理に関する権限につきましては、教育内容やあるいは指導方法の変化に応じまして適切に行われるべきものでございまして、本来の教育活動に支障が生じないようなされるべきものというふうにされておるわけでございます。

 こういうようなことから、一般的には、教育に関する事務全般を所掌いたします教育委員会が、学校施設の整備、管理に関する事務も所掌することが適切であるというふうに考えられているところでございます。

吉井委員 これは、中央教育審議会答申とか、逐条解説地方教育行政の組織及び運営に関する法律とか、それから教育行政学などでも示されておりますが、教育委員会制度というのは教育行政における政治的中立性、継続性、安定性の確保、地方における行政執行の多元化などを掲げて、要するに教育行政の独立性、政治的中立性、教育行政における住民自治、こういうところから、学校施設の管理、整備の権限を教育委員会に与えるということでやってきたんじゃないですか。確認しておきます。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、教育委員会というものは、教育の政治的中立性あるいは継続性、安定性を担保するための組織ということになっておるわけでございます。

吉井委員 ですから、文部科学省は、規制改革・民間開放推進会議が主張し、幾つかのところから出ていた教育委員会権限の一部を移すということについて、この提案に最初、二〇〇五年七月二十二日の回答とか二〇〇六年七月二十一日の回答では反対としてきましたね。今回これを認めるということになってきているわけです。

 そこで、大臣に伺っておきますけれども、今回の法改正によって、たとえ一部といっても知事部局、市町村部局に教育の権限を移されるということは、今問題になっております教育内容への介入につながるのではないかという懸念がありますから、それを防ぐための担保となる規定が法律上必要だと思うんですが、この法案のどこにこの担保規定がありますか。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律の改正につきましては、これは先ほども申し上げましたように教育委員会が担うことということになっていたわけでありますけれども、学校施設につきましては……(吉井委員「担保規定はどこですか。法案のどこが担保規定ですか」と呼ぶ)

林副大臣 こちらの方の法案でございますので私の方からお答えさせていただきますが、二十九条というのがございまして、そこに、特例措置の適用については、学校における教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがない場合に限るということや、学校の教育活動と密接な関連をするものについては教育委員会の意見を聞く、このような規定を置いておりまして……(吉井委員「意見を聞くというところですね」と呼ぶ)はい、そういう規定ぶりでございます。

吉井委員 それで、特区認定を受けた首長があらかじめ教育委員会の意見を聞かなければならないとなっているわけですね、今おっしゃったように。しかし、意見を聞きおくにとどめ、尊重しなかったら、何の意味もないわけですよ。

 これは、意見を聞いたものは必ず尊重するというふうな、合意を要するとかそういう規定じゃないわけですね。だから、教育内容への不当な介入という問題を防ぐためにどういう手だてをとるのかということと、実際はこの法案で、この規定では手だてにならないのではないかという問題があると思うんです。これを大臣に伺っておきます。

渡辺国務大臣 今回の改正案では、学校施設の管理、整備の権限を首長に移譲する場合、首長の明確な責任のもとに一体的な利用や総合的な整備の促進が図られるようにすることがふさわしいと認められる地域に限って特例を設けるものでございます。また、特例措置の適用につきましては、学校における教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがない場合に限るとともに、学校の教育活動と密接な関連を有するものについては、教育委員会の意見を聞くこととしております。

 そうしたことから、教育の分野の特性に即した配慮を行っておりまして、問題はないものと考えております。

吉井委員 首長の明確な責任というお話があったんですけれども、逆に、要するに、首長の教育への施設に始まって不当な介入という問題をどう防いでいくか、ここが非常に教育という分野では大事なんです。これが、中教審答申その他でもずっと政治的中立性等を言ってきたわけなんです。そういう点で、ここが実はきちんと担保されていないというのが問題であるというふうに思います。

 いずれにしても、LECのような、この間取り上げましたが、教育の分野にこういう形でじわじわ、市場原理だ、構造改革だ、規制緩和だというのが入っていって、教育そのものが危うくなるようなやり方というものはやるべきじゃないということを申し上げまして、時間が終了いたしましたというカードが回ってきましたので、質問を終わります。

河本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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