第8号 平成19年3月28日(水曜日)
平成十九年三月二十八日(水曜日)午前十時三十分開議
出席委員
委員長 河本 三郎君
理事 木村 勉君 理事 後藤田正純君
理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君
理事 平井たくや君 理事 泉 健太君
理事 松原 仁君 理事 田端 正広君
遠藤 宣彦君 岡下 信子君
嘉数 知賢君 鍵田忠兵衛君
木原 誠二君 谷本 龍哉君
寺田 稔君 土井 亨君
中森ふくよ君 長崎幸太郎君
丹羽 秀樹君 林田 彪君
松浪 健太君 盛山 正仁君
市村浩一郎君 小川 淳也君
川内 博史君 小宮山洋子君
佐々木隆博君 横光 克彦君
渡辺 周君 吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 塩崎 恭久君
国務大臣
(科学技術政策担当) 高市 早苗君
国務大臣
(経済財政政策担当) 大田 弘子君
国務大臣 渡辺 喜美君
内閣府副大臣 大村 秀章君
内閣府副大臣 平沢 勝栄君
内閣府副大臣 林 芳正君
内閣府大臣政務官 岡下 信子君
内閣府大臣政務官 谷本 龍哉君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 戸塚 誠君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 雅彦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 伊奈川秀和君
政府参考人
(内閣官房構造改革特区推進室長)
(内閣官房地域再生推進室長)
(内閣府構造改革特区担当室長)
(内閣府地域再生事業推進室長) 大前 忠君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 齊藤 登君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 片桐 裕君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 綱木 雅敏君
政府参考人
(法務省保護局総務課長) 柿澤 正夫君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 中根 猛君
政府参考人
(外務省国際法局長) 小松 一郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 布村 幸彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮坂 亘君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局次長) 鳥生 隆君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 大谷 泰夫君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 小林 裕幸君
政府参考人
(農林水産省総合食料局次長) 佐藤 和彦君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院長) 広瀬 研吉君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 鈴木 篤之君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
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委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 長崎幸太郎君
村上誠一郎君 丹羽 秀樹君
市村浩一郎君 川内 博史君
同日
辞任 補欠選任
長崎幸太郎君 盛山 正仁君
丹羽 秀樹君 村上誠一郎君
川内 博史君 市村浩一郎君
同日
辞任 補欠選任
盛山 正仁君 鍵田忠兵衛君
同日
辞任 補欠選任
鍵田忠兵衛君 赤澤 亮正君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○河本委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官戸塚誠君、内閣参事官伊奈川秀和君、内閣官房構造改革特区推進室長・地域再生推進室長・内閣府構造改革特区担当室長・地域再生事業推進室長大前忠君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、総務省大臣官房審議官綱木雅敏君、法務省保護局総務課長柿澤正夫君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、梅本和義君、大臣官房参事官伊原純一君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、国際法局長小松一郎君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、職業安定局次長鳥生隆君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、農林水産省大臣官房審議官小林裕幸君、総合食料局次長佐藤和彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君及び環境省大臣官房審議官寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。
○市村委員 おはようございます。
本日、トップバッターで質問させていただきます民主党の市村でございます。一時間賜っております。
きょう、まず冒頭議論いたしたいのは、公益認定等委員会のことのときに実は高市大臣と議論したかったんですが、ちょうどお体のぐあいが悪くなったということであのとき議論できなかったことがありまして、そのことをまず最初に高市大臣を中心に議論させていただけたらと思っております。
また、きょうは渡辺大臣には参議院本会議後の大変慌ただしいときに、しかも何か重要な会議をキャンセルしてまでお越し賜りまして、本当にありがとうございます。
まず高市大臣、今回、去年の通常国会で公益法人等改革は一つの形となったということであります。私は、そのときにも申し上げましたように、民法三十四条という、まさに日本の国家公益独占主義をならしめていたような民法の条文が削除されたこと、これは大変評価に値するということを率直に申し上げました。ただ、削除したはいいけれども、では新しくでき上がる公益法人制度が本当にこれからの私たちの求めている社会にかなう制度なのかどうか、これについてまだ疑問があるということで、去年の公益法人改革、当時は行政改革特別委員会で議論されたわけであります。そのときもいろいろ議論があったんですが、まず、去年の政府の案では、新しい方向にかなうとは僕は残念ながら思えなかった、思えないんですね。そういうことも含めて議論を今続けております。
そういう観点から、きょう、いろいろまた議論をさせていただきたいと思っておりますが、改めて、公益法人というものは、大臣の感覚では、これは民の組織なんでしょうか、それとも官の組織でしょうか。これは渡辺大臣にも、また林副大臣にもお答えいただきたいと思います。
○高市国務大臣 民の組織でございます。
○渡辺国務大臣 民であります。
○林副大臣 民でございますが、せっかくでございますので。
民法三十四条の規定がございまして、そこに公益法人というのが書かれております。そういうことからしても民である、こういうふうに考えておるところでございます。
○市村委員 そうです。まさに民法典に書かれている法人ですから、当然、民であるべきです。ところが、去年の通常国会においては行政改革特別委員会でこれが審議されたわけです。このことについて、なぜ民の組織が行政改革特別委員会で、つまり行革の範囲で議論されるのか、これを私は理解できないから、明確に私の理解できるように教えてほしいということで、何人かの皆さんに、大臣の皆さんにも質問申し上げたんですが、実は残念ながら私はまだ納得いくお答えをいただいておりません。
それで、きょう、またお三人の大臣、副大臣から、なぜ民の組織であるはずの公益法人改革が行革特別委員会で議論されたのか、このことについて明確にちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○林副大臣 私も市村委員が当時の行政改革に関する特別委員会で御議論されておられるところをちょっと拝見いたしましたけれども、まさに公益法人そのものは三十四条に規定されておりますから、これは民の分野ということでございます。
ただ、その仕組みが、冒頭ちょっと市村委員お触れになったように、官、まさに役所が許可をするという仕組みになっておりまして、これは多分、民法を最初につくったころはそれほど今のような状態でつくっておりませんから、非営利イコール公益のような形でこういう仕組みをつくったと思いますが、ここへ来まして、官が許可をしなければ公益法人が設立できないし、設立とそれから税の優遇というのは一体になっている。この仕組みは、今後の、いわゆる公私でいうと公の部分を官だけではなくて民でも担っていこうという大きな流れの中で、やはりこの分野をもう少し改革していく必要があろうということで、民の法人でありますけれども、その民に対して官がどういうふうにかかわるかということを抜本的に変えていこうということで、おっしゃった法律の六十六条にそういう規定をしたわけでございます。
そういった意味で、法律に規定されたことを含めて行革委員会で御審議をいただいた、こういうふうに理解をしておるところでございます。
○渡辺国務大臣 官が許可したものが公益だという発想自体が間違いなんですね。したがって、我々はそういう発想をやめようということで行政改革に位置づけたわけでございます。
○高市国務大臣 もともとは公益は官が担うものという考え方だったんですけれども、今回は民がその公を担うというための環境整備でございますので、これを行政改革に位置づけられたんだろうと思っております。
○市村委員 まだ十分には納得できることではないんです。しかしながら、いわゆる公益法人が、民の組織であるはずのものが官の範疇で動いていた、このことはお三人とも認識され、また、それではいけないという思いの中で、これを変えていくんだということで公益法人改革があったんだという御認識でありますので、そこは私も一致しておりますので、私としてはまだ納得いかないんですけれども、この段階ではこれ以上の議論はしないということにさせていただきたいと思います。
ちょっと冒頭そういうおさらい的なことで始まりましたが、そこで結局、公益法人改革が一つの形を見たのが去年の六月のことであったということであります。それで、そのときに私も議論をしておりましたけれども、きょう特に今から議論したいのは、実はもともと政府も、一般的な非営利法人制度をつくろうというところからこの話は議論をスタートしたんです。ところが、最後に出てきた姿は一般社団・一般財団法という形に変わりました。
私は、一般的な非営利法人制度をつくろうといったときの政府の思いと、またそのときの資料も読ませていただいて、その段階では私も、ああ、こうであればいいなという流れだったので、かなり期待をしておったんです。何度も申し上げているように、こういうものは、どこがやるとかじゃなくて、もう早くやるべきだ。基盤づくりですから、土づくり、土壌づくりですから、こういうものは早くやるべきだ。それからまた十年、二十年とかかるわけでありますから、しっかりとした基盤をつくっていくということであれば、政府の方針は必ずしも最初の段階では私はおかしいとは思っていなかったんです。これはいいことだと。
ただ、一般的非営利法人制度というときに、私はもう一言つけ加えて、一般的かつ包括的な非営利法人制度にすべきだという提言はしておりましたけれども、まあいい方向だなというふうに見ておったんです。ところが、最後に出てきた姿は、一般社団、一般財団。
そして、非営利法人というのは、実は公益法人だけじゃないわけです。公益法人だけでもなく、また中間法人だけでもなく、実は、例えば学校法人も非営利法人。この間、この内閣委員会でも塩崎官房長官とも議論させていただきました。まさに塩崎官房長官が行かれたハーバード大学というのは、アメリカのステータスでいうとNPO、ノンプロフィットオーガニゼーションのステータスなわけですね。だから、日本だって、言えば学校法人、私立学校はNPOなんです。かつ、社会福祉法人とか、これもNPOです。また、例えば労働組合もNPOですし、有名なJC、青年会議所もNPOです。
だから、そうした日本におけるNPOの体系を一回しっかりと整理した上で、それが私の言うところの包括的という意味なんですが、その上で税制をしっかり考えていくような制度をつくるべきではないか。どうも、最初はそういう方向だったように私は思っていたんです。ところが、最後にはいわゆる民法法人、民法三十四条に規定される法人とそれから中間法人だけを対象にする一般社団・一般財団法ができて、そこで、結局ほかの、NPOの範疇に入ってくるはずの、カテゴリーに入ってくるはずの学校法人とか社会福祉法人は除外された。
特に、一番私がきょう高市大臣と議論させていただきたいのは、まさに高市大臣が現在担当であります特定非営利活動法人なんです。なぜこれが除外されたか、なぜこれが入ってこないのか、非常に私は疑問に思っています。
高市大臣、まず、なぜ今回の公益法人改革の中からこの特定非営利活動法人が除外されたのか、もう一度改めてこの場で御説明いただきたいと思います。
○高市国務大臣 特定非営利活動法人制度につきましては、制度発足後八年間で、法人数が約三万となっております。
それで、社会に着実に定着してきていること、そして、今回の制度改革に際しまして有識者会議も開かれておりますが、その中での指摘でございますけれども、これを抜本的に見直すべきとの社会的要請も乏しいこと、また、公益性を判断する新たな制度というのは規律のしっかりした公益性を有する法人による公益的活動の健全な発展を図るものであることなどから、この特定非営利活動法人制度は引き続き存置されるもの、こういった有識者の提言も出ております。
これを受けて、平成十六年十二月二十四日に、「特定非営利活動法人制度については、引き続き存置されるものとする。」と行革の方針として閣議決定をされております。そういった認識から、新たな公益法人制度からは切り離して整理されたものと理解をいたしております。
○市村委員 今の大臣のお話にもありました有識者会議なるもの、この話だけじゃなくて、大体何か議論があると必ず政府から出てくる答弁には、有識者会議でもんでいただいていますとか、有識者会議で御議論いただいています、有識者会議で結果が出てきました、こういう話がありますが、一体どのような有識者がそういうことをやっているのか、私は本当にもう不思議でなりません。
特定非営利活動法人の方から私も相談を受けます。というのも、どうもあなたもかかわっていたんじゃないかということで、いい意味での誤解もありますので、ちゃんと説明を申し上げます。もちろんかかわってはいましたけれども、少なくともこの特定非営利活動法人については私は失政であるというふうに評価をしておりますので、それはちゃんと御説明申し上げ、なぜ私が失政であると思うのか、なぜこうなってしまったのかということは、御説明申し上げると必ず理解をいただけるんですが、今、高市大臣がおっしゃったように、制度ができて八年たちました。やはり、その八年たった結果、私はもうこうなるというふうに見えていましたけれども、実際、私が思ったとおりになっています。
どうなっているか。結局、税金もしくは社会保険料を頼りにするような、財源にするような特定非営利活動法人、これは何とか存続できているんです。むしろ、そういう方向に持っていっています、なっています、今。ところが、本当に市民活動だ、市民社会をつくるんだと志に燃えて、特定非営利活動法人になったら何かお金も出てくるんじゃないかと、それが僕からすれば甘いと申し上げているんですね、いつも。それは違いますよ、現状をよく見てくださいと申し上げているんです。しかしながら、そういう思いで頑張って、よし、やっと法人格を取ったぞ、これからは私たちの世の中だ、これからいい活動をしていこうというふうに法人格を取って意気揚々としていた方たちが、大体一、二年もすると、えっと、一年もたたないうちにえっとなる場合もありますけれども、だんだん心がなえていくんですね。なぜか。資金がないんです。どこを探しても資金がないんです。ないのは当たり前です、ないんですから。
すなわち、アメリカは、例えば個人寄附だけで年間十八兆円から二十兆円以上のお金が、昔は十八兆円ぐらいでした、今は二十兆円を超えているかもしれません、それぐらいのお金が、フローですよ、年間、フローで流れている社会ですね。NPOのために使えるお金が流れています。だから、ファンドレーザーがいて、ファンドレージングもしていくわけですね。そして、NPOの活動を支えていくわけです。何とビル・ゲイツさん、一兆五千億の財団。けたが違うんです、日本とアメリカは。それで支えているんです。
では、日本はどうですか。ちょっと教えていただきたいんですが、特定非営利活動法人になりまして、一体日本は、高市大臣、もし高市大臣が税金や社会保険料に頼らないという方針を持ってNPO、特定非営利活動法人を設立して、さて、どこに資金を求められますか。高市大臣ならどこに資金を求められますか。
○高市国務大臣 やはり寄附を集めるのが中心になるかと思います。
○市村委員 ただ、これは高市大臣も御存じのように、寄附はなかなか集まりません。我々政治資金だって、寄附を求めてもなかなか個人寄附は集まらないという社会現状がある中で、なかなか寄附は集まりません。
林副大臣に御質問したいんですが、アメリカでファンドレージングする場合はどこに行けばよろしいですか、ファンドレージングするためには。もちろん寄附以外にもいろいろあると思いますが、林副大臣は御存じだと思いますが、税金にも頼らない、寄附にも頼らないなら、アメリカならどこに行けばよろしいでしょうか。
○林副大臣 副大臣としてということではなくて、お互いアメリカで一時代を共有いたしましたので。
寄附以外ということになりますと、政府の税金の補助金とかそういうことはあるかと思います。あとは、企業が持っている、持っているというとちょっと言葉が正確ではないかもしれません、いろいろな財団がございますね、そういうところの中で、ちょっと記憶があいまいでございますが、ファンドを持っていろいろな公益活動にお金を、ある意味では分配をするような、そういう財団的なものがあって、そういうところが実際に活動するNPO的なところへいろいろな助成をしていた、こういうふうに記憶をしております。たしか、そういうものがホームページ等で一覧性を持っていろいろな活動をする方のために整備をされておった、また、その活動する方の方のリストも、税制適格を持った方のリストは非常に整備をされておった、こういうふうに記憶をしておるところでございます。
○市村委員 まさに的確にお答えいただいたと思います。
結局、日本は、NPOの制度を整えようという気持ちがあるのは間違いないと思います。これは政府もその方向でやってきたというふうに私は認識しておりますし、それは評価をしております。
ただ、いざNPOを設立したときに、やはりNPOはNPOで、私はNPOだからといって成り立つわけじゃないわけですね。NPOは、ちゃんとした事業をしていくわけです。事業をして、その事業を評価されてNPOの評価になってくるわけですね。ということは、NPOの事業資金はだれが出すのかという、この極めて当たり前の課題が実はこの間ほとんどないまま、制度的な面、法人格とかそういった形のところだけが議論されてきてしまっているんです。
だから、その結果どうなるかというと、資金がないんですから、あるところに行かなくちゃいけないわけです。どこに行くかというと、結局行政に行くわけです。行政に行かざるを得ないんです、だって行政しかないんですから。市役所とか県とか、はたまた国に行って、こういうことをやっておりますからぜひとも調査費とか補助金とか出してくれませんかとなるわけですね。
国や県や市はどうなるか。結局、これは予算獲得のいい口実になりますから、NPO支援だといって予算獲得しておいて、しかし、全体からいえば本当に微々たるものですよ。そして、我々はNPOも支援していますよという口実にまた使われている。こういうことで、ある意味でいえば特定非営利活動法人は細々とやられてきた。
ところが、高市大臣、今どうなってきたか。地方自治体は財政赤字なんです。どうなっているかというと、NPOへの助成が減らされてくるんです。今まである一時期ブームでもありましたから、ある種NPOに支援することが一つのトレンドみたいなこともありましたから、市役所とかも出してきたんですね。ところが最近、この流れがどんどん切られています。むしろ、国の方は結構出している部分もあるような気がしますが、これは現場では切られているんですね。
特に、実はこの特定非営利活動法人ができたときの背景というのは介護保険法との絡みがあったというのも、これは御記憶かと思いますが、あったんですね。介護保険の受け皿として何か新しい法人を必要とした。ところが、社会福祉法人というのは、当時は極めてつくりにくかったわけですね。できるだけ法人設立のしやすい、つまり、介護保険の受け皿となり得るような団体をつくりやすい制度が必要だったんです。
あの当時議論されたのは、では社会福祉法人の二軍みたいなものをつくろうという議論も厚生労働省内部ではあったんです。ところが、その一方で特定非営利活動法人の議論があったものですから、これがいいやということで、これなら一般的でいいということで、一々最初から二軍をつくる制度をつくり上げなくても、これに乗っかろうということの流れもあのときあったんです。それで行ったんです。それで、確かに受け皿となっていたんです。ところが、御存じのとおり介護保険の大きな改革があって、結局、そういう特定非営利活動法人にもなかなかお金が流れにくい状況が今生まれつつあります。
結局、八年たってみてこの制度、これは実はいつも私は政府の方に今実態調査をしてほしいと言っているんですが、ないとおっしゃるんですね。今はまだ制度ができたばかりだという話で、幾ら私が、実態調査をしてください、一体どれだけのものが、つまり、特定非営利活動法人が三万団体できているんですね。では、その三万団体の資金源はどこですかという実態調査をしてくださいと。そうしたら、私が言っているような実態が必ず浮かび上がってきますよ。
すなわち、ほとんどが、まあ税金に頼っているところとか社会保険に頼っているところは何とかやっている。しかも、それも削られている。また、本当に純粋な思いで、よし、みんなで社会をつくるんだ、私たちがやるんだといったところは、寄附が集まらずにほぼ活動が成り立たない状況にだんだん陥ってきている。もちろん、例外もあります。でも、大きなトレンドはそうなっているということなんです。
本当は実態調査をしていただきたいけれども、今はなかなか難しいと。だから、いずれにしても、私がこの流れを見てきて、実態はそうなっているということを改めてここで私は申し上げたいと思います。
だから、さあ、その状況になって、ではこのままでいいのかという話なんですね。そのときに、きょうの話に戻るんです。
すなわち、もともとこの特定非営利活動法人ができるときに、これを求めた人たちは一体何を求めていたかということなんですね。つまり、団体設立をもっと容易にしてほしいということだったんです。そして、税制優遇措置をここに与えてほしい。この二本の柱だったと思います。
そのときに、今回の一般社団、一般財団は、設立が準則主義なんです。登記によってそれはできるということになっております。当時、この特定非営利活動法人を求めた人たちも、準則主義的に登記でやりたいと言っていたんですね。ところが、今の特定非営利活動は認証なんです。私は、当時の皆さんの素直な思いにこたえるとすれば、この一般社団、一般財団で十分だ、これでいいんだと思っているわけです。だって、これが皆さんが求めていたことですから。
なぜこれが外れていくのか。高市大臣、どうして外れたんでしょうか。皆さんが求めていたはずのものを、一般社団、一般財団はこれを出したわけです。なぜこれが外れる方向に、有識者会議なるものがそういう結論を出すのか。おおよそ有識者と私は思えないです、はっきり言って。大体、だれなのかと私は言いたいですね。だって、これが求めたものなんですよ。当然この中に入っていって、そしてその中で、今度は次の段階で税制優遇措置を法案に求めるような制度づくりにもっと声を上げていく、これが私は有識者の出すべき結論だったと思いますが、高市大臣はいかがお考えでしょうか。
○高市国務大臣 内閣府といたしましては、この特定非営利活動法人を所管いたしておりますので、認定特定非営利活動法人制度、これを拡充する。つまり、国税庁長官の認定を受けて、税制上の優遇措置が与えられる制度でございますが、これを拡充する要望を行いまして、これまでも累次の拡充がなされてまいりました。寄附税制全般のあり方につきましては、やはり税を検討する場で十分な議論がなされるべきだと私は考えております。
○市村委員 もちろん、寄附税制は税の方で十分な議論をということだと私も思っています。本当は、税が先に来なくちゃいけない。税というよりも資金源ですね、NPOのための活動資金、事業資金をストック、フローともにどう増大させていくかということが大切な論点だと私は思うんです、本当はこの話は。
ある意味では、法人格などというのは、あってもなくてもいいわけです。実際にアメリカは、税制優遇措置をとるために法人格が別になくてもいいんです。法人格があろうがなかろうが、とにかく実態が社会のためになっている組織活動であれば税制優遇措置を与えるという考え方なんです。これはイギリスもそうです。関係ないんです、法人格は。つまり、ちゃんと実態上、社会に対して有益な活動をしているということが認められれば、これは税制優遇措置を与えていいじゃないかとなっているんですね。
ただ、なぜアメリカも、法人格というよりはまず法的実体になろうとするかというと、それが一番早道だからなんです。まず州政府で法的実体になって、それから連邦政府に行って連邦税のいろいろ免除を受け、その連邦税の免除を受けたら今度は州政府の免除も受けられる、こういう仕組みなんですね。だから、早道としてそれがあるから法人格を取ろう、法人格というか法的実体になろうとするんですね。しかしながら、原則的には別に法人格があろうがなかろうが関係ないんですね。
だから、もとに戻りますと、税制の議論はいいとして、残念ながら、まず法人格の部分を最初に議論せざるを得ないのが今の日本の状況ですから、僕は、それは違う、そういうことも申し上げているんですが、とにかく法人格の議論になっているんですね。
それで、その法人格の議論の際にも、先ほど申し上げたように、あのときの議論は、準則主義的に法人格を取れるようにしてほしいという話だったんです。今回、一般社団、一般財団はそうなっているんですね。
渡辺大臣、この点でちょっと渡辺大臣の御見解をいただきたいんですが、まさに一般財団、一般社団の制度は準則主義的に法人格を取れるとなりましたね、これは大臣の担当でございます。なぜ、これは特定非営利活動法人を含めないんでしょうか。皆さん求めていたんです。
○渡辺国務大臣 御指摘のように、今回の改正でもって、社団、財団については主務官庁の許可権限というのを取り上げてしまっております。届け出で設立が可能になるということでございます。何でそれがNPOに適用されないんだということでございますが、先ほど高市大臣も答弁されましたように、これは制度がスタートをして発展途上中の段階なんだと思うんですね。
一方、学校法人とか社会福祉法人とかいうのは、それぞれの縦割り、タコつぼがございまして、例えば会計基準一つとっても違うんですね。同じような公益の活動をしておりながら、これは縦割り行政の弊害だと思いますけれども、学校法人会計なんというのはやたら難しいですよ、よくわからないですね。社会福祉法人も会計基準が違うんですね。ですから、こういう縦割り行政のもとで学校法人があり、社会福祉法人がある、それでNPOは発展途上の段階だということでございますから、今回の改正に当たっては、NPOは、残念だけれども、おいておいての仕切りにしてあるわけでございます。
○林副大臣 今大臣がお答えになったとおりでございますが、少し補足させていただきますと、当時、副大臣としてではなく与党の政策の一端におりましてこの公益法人の設計をしているときに、ここにいろいろ、さっきも御指摘のあったような文書がありますが、NPO法人や中間法人も含めて整理をするということになっておりました。そこで、設立を認証から登記によって行う今の制度になるということと、税制がどういうふうになっていくのかということが議論の途中でありました。
そういうことから、NPO法人の皆様とも多分与党として意見交換をした、こういう記憶をしておりますが、当時はこういう制度ができるというのがまだ全部明らかになっておりませんでしたので、NPO法人制度をなくす、そしてこちらに強制的に入ってもらうということについて、NPO法人の皆様の中にも、こちらに強制的に入れられた上で税制の優遇が本当についてくるんだろうかという御懸念も若干あったようでございまして、そういうことであれば、我々が先にこういう制度をつくって、見ていただいて、そしてよければ入ってきていただければいいんではないか、与党の政策をやる中で実はそういうやりとりがございましたことを記憶しております。
ですから、この法律が施行になりましてから、今の段階でNPO法人の方々がこの法律に基づいてつくられるというのは当然可能でございますし、将来的にそういうことがたくさん起きてきて、NPO法人制度というものが、何といいますか、だんだん空になってくるということがあれば、またその時点で検討をできるのではないかというのが、当時の与党側のいろいろな検討の中身であったというふうに記憶をしておるところでございます。
○市村委員 ありがとうございます。
何度も申し上げているんですが、NPO法人じゃなくて特定非営利活動法人ということで、済みません、お願いいたします。
それで、この議論を始めれば幾らでもできるんですが、僕はこの話、きちっとした体系立てた話としてではなくて、ある意味で非常に政治的な話としてこれがある種、切り分けられているような気がしてならないんですね。だから、有識者会議というものは、本当はそういう政治的な圧力から放たれて、もっと純理論的に議論がなされて、本当はこうあるべきだというのが有識者会議だと。そのために学者の皆さんとか、まさに有識者が集まって議論をされるべきところではないかというふうに私は認識しているんですが、どうもそこまでが極めて政治的な、ここは除外してほしい、あそこはしてほしいというような、だから、純理論的じゃなくて非常に何かそういう思いによって曲げられてしまっているような気がしてならないんです、総体的に言ってしまえば。
もっと細かい議論は、今、大臣、副大臣の御答弁に対してもいろいろ突っ込みたいところはたくさんあるんです。しかし、それは言っても多分いろいろ水かけ論になってしまいましょう。だから、一言で言えば残念なんですね、有識者会議というのが何でそんなふうになっちゃっているのかなと。有識者会議は有識者会議、いわば純理論的にこうだと。しかしながら、この政治の場で、現実的にはやはりまあ、そうはいってもなというのならまだわかるんですけれども、有識者会議までがそういう結論を出すこと自体が、私は、この話だけじゃなくて、何か最近、有識者会議というのが多用されているような気がしてならないので、また話がそれましたが、ちょっとこのことは申し上げたいと思います。
いずれにしましても、この特定非営利活動法人というものを含め、あと学校法人や社会福祉法人等、また共益法人と言われる、例えば同窓会であったり労働組合もそうでしょう、そうしたことも含めて、最初申し上げたように、一般的、包括的な非営利法人制度をつくっていく、やはりここを我々は希求しなければならない、私はこう思っているんです。
これは、先ほどから申し上げている土づくりなんです。決して、何か私が勝手に、こんな花を植えて、こんな木を植えて、こんな世の中にしたいと言っているわけじゃないんです。すなわち、この国にはあるべきものがないんです。まず土がなければ、どんな花を咲かせたいと思っても無理なんです。どんな立派な木を育てたいと思っても無理なんです。まず土、土壌をつくらないと、基盤をつくらないとどうにもならないですね。私は私なりに、植えたい木があって、育てたい花があるんです。それは、私は私なりにやります、NPOと私で。皆さんも、ああ、そんないい土ができたのなら私はこういう種を植えてみたい、こういう木の苗を植えてみたい、皆さんめいめいが自分の思うところに従ってやればいいわけです。
しかし、それを育てていくためには、やはり努力が要るわけです。ただ種を植えた、苗を植えた、それでほったらかして育つものじゃないです。一生懸命育てなくちゃいけないわけです。肥料も上げないかぬ、水も上げないかぬ、太陽が当たるかどうか、伐採もしなくちゃいけない、枝切りもしようとか、こういうことでやらないかぬわけです。それが資金集めとか、活動のいわゆる更新。しかも、いろいろな同じような木が植えられたら、これは競争が始まるわけですよ。生物の世界もそうですね。こっちが勝ったら、こっちの木は枯れていくわけですね。そうすると、育つためには、やはり競争にもさらされながら頑張らないかぬわけですね。NPOもそうなんです、そういうことで一生懸命努力しなくちゃいけない。
ところが、その土がない、あと肥料がないわけです。土をつくっても、今度はお金がない、肥料がないわけですね。というのが今の日本の現状なんです。NPOを取り巻く現状は、土がない、肥料がないという現状なんです。だから、ここに幾ら、ほら、見てみなさい、特定非営利活動法人というこんな立派な木をつくりましたよといったって、どんと持ってきたって、それはしばらくは何とか耐えるでしょう、肥料がなくても貧弱な土地でも。しかし、七年も八年もたつと、結局は、やはり貧弱な土地ですからだんだん枝枯れし、今度は幹まで腐ってきている状況になっているという認識を、僕はぜひとも高市大臣には、現担当大臣にはそういう認識を持っていただきたいんです。
だから、実はもう発展途上じゃないんです。ちゃんとした土壌に植えていないがために、もう発展途上じゃなくなっちゃっているんですよ、渡辺大臣がおっしゃるのとは違って。残念ながら、もっとちゃんとした手当てをしないと、せっかくつくったこの特定非営利活動法人制度すらももたないということになってくるんです。もうなってきているんです。その現状認識を持っていただいた上で、この公益法人改革というのは実はなされなくちゃいけない、NPO改革というのがなされなくちゃいけないんです。
つまり、政府がもともと言っていたように、一般的な非営利法人制度をどうつくるかという、政府もまさに最初に持っていらっしゃった原点にここは戻らなければいかぬ時期にもう来ている。去年通ったばかりだけれども、実はそういう時期にもう至っているということ。特に、この特定非営利活動法人だけを見ても、そう言わざるを得ない状況に今なっているという認識に立っていただきたいと私は思うわけでございますが、これについて二人の大臣と、林副大臣からもちょっと御見解をいただきたいと思います。
○林副大臣 まず、ちょっと先ほど私が与党のときの記憶で申し上げましたが、確認でございますけれども、いろいろな特定非営利法人、今の方々とお話をして、そういう御不安もあるというのは、平成十五年六月二十七日の、今委員がお引きになった基本方針に向けての議論でございました。
それで、有識者会議の方の名誉のために若干確認させていただきますと、有識者会議は、これを受けて、この基本方針に基づいて具体的な検討をするために有識者を集めて御検討いただいたということでございますので、有識者会議の議論が与党や何かのお話とリンクしたということを申し上げたつもりではなかったわけでございまして、この閣議決定に、委員が先ほどから御指摘のように、とりあえず公益法人のところをやろうという方向性が出ておるわけで、それに基づいて有識者がやった、こういうことであろうかと思います。
今のお話で、一般的な非営利法人制度の創設というのが六月二十七日の閣議決定の中に出てくるわけでございますが、中身をよく読みますと、公益法人の明治以来の制度を変えていこうということをまず書いておりまして、「そのガバナンスについては、準則主義を採る現行の中間法人や」当時は中間法人がございましたから、「営利法人を参考にしつつ、法制上の在り方を検討する。なお、非営利法人制度の設計に当たっては、現行の公益法人制度の問題点を踏まえた検討を行い、現行の中間法人制度・NPO法人制度との法制上の関係を整理することとする。」こういう書きぶりになっておりますので、当時から中身はそういう整理をしてやっていたというのがこの閣議決定の立場でございます。
しからば、今、現状を踏まえてどうするかということでございましたけれども、我々といたしましては、公益法人制度の所管でございますので、大臣から先ほど御答弁があったように、この制度をきちっと定着させていくということはまず一つだろうと思っておりますし、そのためには、この法律を成立させていただきましたので、これにどういう税制の措置が具体的についてくるのかというのが今からの大きな一つの課題になってくるわけでございます。
そこをきちっとやっていくことによりまして、先ほど来市村委員から、肥料になりますか、土がない、肥料の部分もないではないかということでありますが、御案内のように、なかなか寄附文化というのがアメリカと比べますと日本は広くないということでございますけれども、そういうこともあって、今回の公益法人制度には、今までは特増と言っていた、いわゆる三階と称していた部分が、公益が認定されますと事業の優遇とともに同時についてくる、こういう仕組みにもしたわけでございまして、そういうことを着実に進めていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○渡辺国務大臣 土づくりというのは、まさに基本だと思うんですね。
例えば、酸性土壌の土で農業生産ができない。その場合には石灰を入れるわけですね。そして、pHを例えば五・六ぐらいにしてから、大豆を植えます。大豆を植えて、空中の窒素分を土の中に固定する。そんなことから、次に、では例えばトウモロコシを植えるとか、ブラジルみたいなところだとコーヒーを植えるとか、いろいろな農業生産をやっていくことになるわけですね。
日本の土というのは、先ほど林副大臣が言ったように、官製土壌なんですね。ですから、この官製土壌の岩盤というのはなかなかかたいものがありまして、これをどうやって突き崩すかというところで大変今苦労をしているところでございます。
したがって、その苦労の一端はぜひおわかりをいただきたいと思うのでございますが、基本認識が市村委員と我々と全く異なっているということではないと思いますので、ぜひいろいろな面で応援をよろしくお願いいたします。
○高市国務大臣 すべての非営利法人制度を一本化するというのはかなり大きなことでございますので、相当議論が必要なんじゃないかと思います。
市村委員が非営利活動法人の方々からいろいろ話を聞かれたということで、きょうお話しいただいた点は十分に私も頭に入れて帰ります。
ただ、寄附金にかかわる税制等の応援に関しましては、認定非営利法人制度、これを拡充するという形の要請で内閣府としては応援をさせていただいているところでございます。
また、この特定非営利活動法人の皆様にも、今非常に数が多くなってきておりまして、各地域でいろいろ公益に資する活動をしていただいているかとは思うんですけれども、ぜひとも公のニーズに基づいたいい活動を展開していただいて、そしてまた地方行政も、そういった活動を十分に市民サービスの向上に活用し、助成金もあります、いろいろと目配りをしていただく。やはり全体的な空気、努力というのが必要なんじゃないかなと思います。
ちなみに、私どもの方では、残念ながらNPOと言われるところの中に、社会的に問題のある活動をしてしまわれて、違法行為をされてしまって認定を取り消すというような、認証を取り消すというような事態もしょっちゅう起きておりますので、全体的に、やはり目的に従って質を上げていく、それを社会全体で応援していく、こういった土壌づくりが必要なんじゃないかと考えております。
○市村委員 まず、最後の大臣の御認識、全くその辺は、NPOの方もマネジメント、ガバナンス、コンプライアンス、これは当然のことですが、ある意味でいえば制度を悪用する人というものが必ずいてしまうということでありまして、だから、これはもちろんしっかりとやっていかなくちゃいけない。ただ、それだからといって、NPOだけが悪いというわけじゃないですね。営利法人だってもっと悪いことをしているところはたくさんありまして、だから、営利法人も非営利法人も含めて、やはりきちっとしたガバナンス、コンプライアンスというのは当たり前の話だということだと私は思っています。
それから、特定非営利活動法人の話なんですが、僕は、社会もそうですけれども、サイレントマジョリティーという言葉がありますけれども、やはり一部の人の話だけじゃなくて、本当に耳を澄ませていただくと、これはもう特定非営利活動法人だけの話じゃなくて今の一般国民の皆さんのお声に言えることなんですが、実は言われていることとは違うことの方が大きな背景を持っているぞということは結構あるんですね。一般的にこう動いているものとは違う背景の方が、しかし、言い出しづらい、言っても、実は言っているんだけれども大きな声にならない、そういうことが多々あるわけでありまして、この特定非営利活動法人についても、やはり僕は、サイレントマジョリティーの声を十分に聞いていただきたい、本当に苦労されている人たちの声を受けていただきたい、このように思います。ぜひとも、そのことをもう本当に心からお願いいたします。
ぜひとも大臣、いろいろな団体に、大臣として行くと多分構えてしまいますから、本当に地元のそれこそNPOにふっと行っていただいて、どうですかといったら、驚かれるでしょうけれども、やはり正直に話してくれると思いますよ、多分。いや本当にもうお金がなくて困っています、人がいませんとか、いや法人格を取ったらもっと何かなると思っていたのに何でこうなんでしょうかとか、私はそういう相談をたくさん受けていますから。そういう声を、本当の苦労されている声を僕は大臣に聞いていただきたいというふうに思うわけであります。
ちょっと、この話をもっと続けたいんですけれども、きょうは渡辺大臣もせっかく来ていただいていますので、これからは渡辺大臣を中心に議論をさせていただくことになります。
公益認定等委員会ということで、この間もここで議論させていただきまして、結局、同意人事はこの間了承されたわけですけれども、私は、実はあのときの本会議場を退席させていただきました。判断がつかないんです。いいとも悪いとも言えない。すなわち、そもそもこの公益認定等委員会をつくるということの、いわゆる公益法人改革案に対して私は実は反対をいたしましたので、これについて判断がつかない。つまり、公益認定委員会の名前が挙がった人たちにイエス、ノーをつけたんじゃなくて、公益認定委員会そのものに対して私は疑問を持っているがゆえに退席させていただいて、まだこの判断をつけておりません。
前もここで議論させていただいたと思いますが、やはり私は、もし会計検査院とか公正取引委員会のような独立委員会として今度の公益認定等委員会ができるのであれば、百歩譲って、まだなるほどと思って納得できるところがあるんですが、一省庁の一委員会で公益を認定するというのは、私は極めて不適切な対応だというふうに思っております。
なぜならば、公益というものは何なのかということを、これは実は非常に深い議論をしなければならない話でありますし、それを認定できるのかということですよね。つまり、認め定めるわけですから、そもそも認め定められるようなもの、公益というのはそういうものなのかという根本的な問いかけをここはしておかないと、日本は特に今、そういうきちっとした考えに基づかないまま、何かふわふわしたまま物事が進んでいるような気がしてならないんですね。だから、やはりきちっと議論すべきところは押さえておく。
先ほど、有識者委員会の方たちにも、私ちょっと申しわけないことを言ったかもしれませんが、つまり、本当は有識者というのはそういうものを議論する人たちじゃないかと私は思うんですね。深い議論をしていただいて、いや、それは、政府の皆さんとか政治家の皆さん、あなたたちはそういうふうに現実にとらまえられてちょっと浅いところしか見ていないかもしれないけれども、実はこれは深いところがあるんですよというのを、本当ならば、幾ら政府が言ってこようが、政治家が言ってこようが、いや、違うんだと、頑として、まずこれは原理原則こうなんだというようなところが私は実は有識者委員会じゃないかというふうに思っているわけです。
そういった意味で、私は、どうもこの公益認定等委員会というのが本当にいいのかどうか非常に疑問を呈するところがありますし、委員になられた方に別に個人的な何か恨みを持つということも全くありません。そうじゃなくて、本当にこの公益認定委員会はこのままでいいのかということについて、もう一度、まず大臣の御見解から伺いたいと思います。
○林副大臣 今、公益認定等委員会のことについてお尋ねがございましたが、委員御指摘のように内閣府に置かれることになっておりますが、国会の同意を得る、今、委員は退席なさったということですが、同意をいただいたところでございます。条文にも、「人格が高潔であって、委員会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律、会計又は公益法人に係る活動に関して優れた識見を有する者」という条文がございまして、我々としては、これにきちっと合う方を自信を持ってお選びした、こういうふうに考えておるところでございます。
また、委員会の権能を的確に発揮できるように、サポート体制というのも大事になってくると考えておりまして、専門委員というような方を任命したり、下に部会をつくったりということもしなければならないかなと考えておるところでございまして、こういうような体制できちっと公益の認定をしていただきたいと考えておるところでございます。
○渡辺国務大臣 先ほど来議論がございますように、日本の土壌が非常にきつい官製土壌なものですから、これをどうやって変えていくのかということに我々相当心を砕いてきているわけであります。したがって、一気に市村委員が理想とするようなイギリスのチャリティー委員会みたいなものができるかといったら、なかなか一気にはいかないわけでございます。したがって、日本の今の官製土壌の中であるべき姿を目指していくには、やはりこういう手段、方法からいくのかなと考えまして、公益認定委員会をつくったところでございます。
○市村委員 まさに、大臣がおっしゃったように、あのチャリティーコミッションみたいなものが一朝一夕にできるはずがないわけですね。
それこそ、御批判を受けておりますがマグナカルタなどというものを私どもの党が言っているようでございますが、まさにそのころからの伝統があってこそ、あのチャリティー委員会というのはあるわけであって、それこそ公益という言葉ではないわけですが、英語で多分いろいろな表現をこの何百年間されてきていると思いますが、いずれにしても、現実に即して、特にイギリスは、いわゆる非常に機能的な国だと言われていますから、現実に即して、その時代その時代に即して多分判断してきたと思うんです。これは確かにこの時代においては公益に資する、もしくは社会のためになることだな、だからみんなで支えていこう、こういうことを多分大議論していきながらやってきたはずなんですね。もちろん、そのベースにはコモンローがあって、常識というものがあって、しかし、コモンローがありながらも大議論をして、今日を迎えながら、積み上げてきているわけです。それに一気に日本がなれといったって、それは無理な話であります。
ただ一方で、日本の歴史を考えていただいても、実は江戸時代を見ていただいたら、非常にNPO社会なんですね、あそこは。消防も警察も教育も、NPOがやってきた社会なんです、日本は。決して日本にNPOの伝統がないというわけじゃない、いやいや、あるんです。つまり、日本だって知恵としては実は残っていると私は思っています。
ただ、先ほど申し上げたように、特に戦後の高度経済成長期に、何でもかんでも、まさにここが大臣がおっしゃる官製土壌ができてしまったきっかけなんですけれども、一つの大きな流れになっているわけですが、すなわち、高度経済成長期にはどんどん税収が伸びた、一方で公害問題のような社会問題がどんどん発生してきた。住民の方も、これは役所が何とかしなさいと国や県や市にわっと言ったわけですね。そのときはそのときで、それで正しかった、税収もあったから。ところが、その結果どうなったか。何でも行政に言えば何とかなるというような、ある意味でいえば、住民の方も国民の方も甘えの構造ができたと私は思います。
行政の方も、それを受けて何か、最初は、こんなことをうちに言ってこられてたまらぬなと思ったけれども、結局税収が伸びたし、どんどん言ってこられることを考えたら、予算がとりやすいな、理屈が立つなとなってくると、行政の方もそれになれっこになっちゃったんですね。そうなると、それがだんだん慣性の法則で、改められないまま今日を迎えた。結果、残ったのは何か。膨大な赤字、無駄ですよ。
結局、実はNPOのことを私が申し上げているときは、単にボランティア団体をどうかしようという話だけじゃないんです。まさに、社会の仕組みを大きく変える突破口を開くのがこのNPOの議論なんです。すなわち、民の公、この間大臣もその言葉を使っていただきました。民の公を考えることこそが、実は、今の社会のあり方を大きく考えてとらえ直す、そして、日本の記憶を呼び覚ます、過去の記憶を呼び覚ます、日本の伝統文化にもっと注目をさらに向けていく、こういうきっかけになるんです、NPOのことを考えることは。
そういう観点から実は私はNPOという言葉をずっとこの二十年近く使い続けているわけでありまして、そういった意味では、まさに今大臣が取り組もうとされている、厚い岩盤を破ろうとするこの取り組みについて、私は大賛同するわけであります。
ただ、そのためには、やはり手段が必要なんです。単に思いだけじゃだめなんです。だから、そのときに、このNPOというものをきちっと考えていくことが実は大臣の大きな後押しになるということを私はここで強く強調させていただきたいんです。この議論、つまり、民の公をどうするかという議論をすることが、官とは何か、そして営利企業とは何かということに実はつながっていくんです。
また、日本の司法はどうか。この前ここで議論しましたけれども、つまり、行政的手法で解決してきた手法ではなくて、これから司法じゃないかとか、そういうことまで突き詰めて考えていかないといけないような話にこれはなってくるんです。
または、税制上でも、きょうはここは税の話じゃありませんが、日本の税の取り方は、収益事業に関しては三十三項目の列挙主義というのを挙げています。これは世界で極めて珍しいというか、ない、日本だけの制度です。これで本当にいいのか。このNPOの議論をすると、実はこういうところまで考え直さなくちゃいけない話になってくるんです。
この間もちょっと議論しましたけれども、法人の一般寄附金枠というのも、実はこれは日本だけのものなんですね。これも、しかしNPOの議論をするからこういうことが、へえ、そうだったのかということになってくるわけです。
というふうに、このNPOの議論をしていただくこと、つまり、民の公のセクターをどうつくっていくか、その主体となるNPOをどう育てていくかという議論をすることが、すなわち、日本の今の制度の不可思議さ、おかしさ、問題点を明るみに出すことになるんです。だから、私ここで、これだけ熱を持って言っているわけなんです。
単に、ボランティア団体を、市民社会をどうかという話だけじゃないんです。まさに日本のあり方、日本の仕組み、形をどう考えていくかということにつながっていくからこそ、これだけ何度もこの内閣委員会の貴重なお時間をおかりして議論をしているんです。
だから、そういう立場に立って、ぜひとも高市大臣、渡辺大臣、そして林副大臣も、これは極めて重要なんです。単に、もう八年たって、少し大きくなってきているからまだいいんじゃないのとか、まだ発展途上じゃないのとかいう認識で済ませてもらっては実はこれは困るんです。これは、まさに我々の時代をどうしていくか、それから、我々の子供たち、孫たちの時代をどうしていくかという根幹にかかわる議論なものですから。
しかも、土壌をつくったって、いい木はそうは育たないんです。それはやはり何十年もかかるんです、木が育つには。花だって、いい花をつくろうと思ったら、それはそんな簡単に育ちません。ほったらかしで育つようなものじゃないです。
というふうに、やはりまず土壌をつくるということから始めなくちゃいけない、そのための議論だということでありますし、ぜひともその観点から、公益認定等委員会も、本当に公益認定というものを、大臣の思いはわからぬでもないし、一応わかるところがあるんです、現実に即してみたらこうだろうというお気持ちもわかるんですが、しかし、将来にもっと大きな花を咲かせるためには、やはり土壌のところ、基盤のところ、基礎のところで曲がると、幾らいい家を建てても、土台がおかしかったら家は倒れてしまうんですね。
だから、まず土台のところで、ぜひとも民の公をどうつくるかというところから議論をもう一度スタートしていただいて、そうしていただければ、いわゆる特定非営利活動法人について私が申し上げていることも、ああ、なるほどなと多分僕は納得していただけると思うんです。それから、なぜ僕がここまで公益認定等委員会についてかみつくかというのも、これも納得していただけると思います。
あと一分ですが、最後、一言だけいただきたいんですが、結局、そういう観点からいくと、この間の、私企業から私企業への寄附に税制優遇措置を与えるというのがいかにおかしなことかということを、苦心の策ということはもう重々受けとめた上で、僕は、この議論の流れからすると、いかにやはりこれはおかしかったかなと。苦心の策だということかもしれませんが、僕はやはり問題があると思います。
そのことについて最後に御指摘申し上げ、大臣から一言いただいて、私の質問を終わらせていただきます。
○渡辺国務大臣 直接型の再チャレンジ寄附税制が苦心の策であるということを申し上げました。やはり、この直接型の構造の寄附の相手先が、民間企業というよりは民で公を担う主体に移っていくのがあるべき姿であろうかと思います。
いずれにしても、我々、今の官製土壌の中で民の公を広げていく、そういう不断の努力だけは怠らないようにしたいと考えております。
○市村委員 どうもありがとうございました。終わります。
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
定足数に足りましたので、質問に入っていきたいと思います。
私、せんだっての能登半島沖地震で記録された加速度を幾つか見ていますと、それをまず最初に政府参考人に聞きたいと思うんですけれども、最大値が何ガルであったのか、平均値は二百二十六ガルと言われているんですが、志賀原発のサイト内の最大値が何ガルであったのか、一号機、二号機の緊急停止の基準は幾らなのか、このことを最初に伺いたいと思います。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
志賀原子力発電所では、原子炉建屋地下二階から屋根までの各階に多くの地震計が設置をされておりまして、一号機原子炉建屋地下二階の基礎盤上には、速報用としての計測震度計が設置をされております。この地震計で観測された水平加速度の最大値は、二百二十ガルでございました。また、原子炉建屋地下二階の基礎盤上の別の地震計では、一号機では水平加速度の最大値は二百四十ガル、二号機では水平加速度二百六十四ガルでございました。また、緊急停止の基準値、すなわちスクラム設定値でございますが、一号機が百九十ガルであり、二号機が百八十五ガルとなっております。
なお、観測されましたほかのデータにつきましては、現在、北陸電力において整理中でございます。
○吉井委員 今お話がありましたように、一号機で二百四十ガル、二号機で二百六十四ガル。ですから、平均値の方は二百二十六ガルとか伝えられていたんですけれども、随分大きな最大値が記録されているということと、それから、これは、実際に運転中であれば停止するという基準値をはるかに超えていたということは、まず事実の問題としてあったと思います。
そこで、志賀原発訴訟の判決の中では、御承知のように、マグニチュード七・六の地震が起こり得る邑知潟断層帯による地震を想定していないということを指摘しておりますが、一方、今回のマグニチュード六・九の能登沖地震では、沿岸の海底活断層で発生した可能性が高いということが指摘されております。つまり、陸地の活断層だけじゃなくて海底活断層ですね。いずれにしても大きな問題があるわけですが、東大地震研の島崎教授は、沿岸域の海底活断層は大きな被害を及ぼすおそれがあり、調査を進める必要があるということを指摘しておられます。
邑知潟断層帯は約四十四キロメートルで、マグニチュード七・六ということで言われておりますが、能登沖地震の最大値というのは、防災科学研究所のデータでは九百四十五ガルですね。ですから、非常に高い値も観測されている。もちろん場所の問題が当然あるんですが。
一方、北陸電力が調査して最大の想定地震動の根拠とした活断層というのは、これからすると必ずしも十分なものではないと思われるんですが、沿岸域の海底活断層は十分に調べ尽くされたものとして出てきたものなのかどうかを伺います。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
志賀原子力発電所では、敷地周辺の海域について海上音波探査を実施し、活断層の調査を行ってございます。その結果、今回の能登半島地震の震源付近の海域において複数の活断層が確認をされております。
しかし、先生御指摘の、能登半島地震の震源となりました活断層につきましてはまだ確定をされていない段階でございまして、今後、専門的な研究機関において詳細な調査検討が行われるものと承知をいたしております。
○吉井委員 ですから、要するに、今度の地震、それから実際に海底活断層がどれぐらい調査されてきたかということを見たときに、当初の、北陸電力の志賀原発の設工認につけて出されてきた活断層調査については極めて不十分な段階であるということが、今の御答弁ではっきりしたと思うんです。
次に、鈴木安全委員長にお伺いしたいと思いますが、格納容器とか原発建屋などのコンクリートですね。これは、コンクリート構造物の耐震性ということももちろん問題になりますけれども、そのこととともに、コンクリート構造物などを貫通したり、あるいはアングルを組んで固定している配管類、こういうものの安全性というものが、次にこうした大規模な地震のとき問題になってくるんです。地震学の石橋教授がコメントを出しておられますが、原子炉の圧力容器や建屋にひびが入るようなことはないはずだが、配管や機器などに損傷が生じて重大事故につながるおそれはある、もっと原発に近い場所で起こることも考えられ、今回の地震の事象は警鐘とすべきであるということを、今回の能登半島沖地震の中で語っておられます。
そこで伺っておきたいのは、そもそもこの配管に、最初の安全審査というのは真っさらな状態でやるわけですが、御承知のように、配管にひび割れが生じていたりとか、ピンホールがあいていたりとか、あるいは配管の中に随分減肉が起こっているという問題、これは国会でも繰り返し取り上げてきましたが、配管減肉で安全基準をはるかに下回る肉厚になっているものも定期検査をやったときに見つかったというのがありますけれども、定期検査前、運転中は減肉しているわけですから、そういうものは大規模地震のときに配管破断の危険というものが生じてくる。このことについては重大な関心を持って臨まなきゃいけないと思うんですが、安全委員長のお考えを伺いたいと思います。
○鈴木参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のとおり、日本においても、原子力発電所の原子炉が、運転を開始してから大分年数のたっているものがふえてきております。したがいまして、御指摘のように、配管も含めまして機器類が年とともに変質してくることについては十分にこれを監視しながら、安全を最優先で、事業者及び規制当局がその安全を確認するようにしてほしいというふうに、安全委員会として、折に触れてお願いしているところでございます。
今御指摘の点につきましては、最近、管理が不十分だったために減肉が進み過ぎていたという例が散見されております。こういうことにつきましては、こういうことができるだけないように、さらに気を引き締めて、事業者及び規制行政庁において安全管理に取り組んでほしい、こう思っております。
ありがとうございました。
○吉井委員 中部電力浜岡一号で、これは一九七八年ですが、制御棒駆動水圧系配管に多数の損傷が見つかりました。それから、東京電力福島第一原発の二号、三号、五号、六号機でも多数の損傷が発生して、私自身が二〇〇二年の八月三十日に調査に入って発表しましたが、福島第一原発の三号機の制御棒駆動水圧系配管の減肉、ひび割れの場合は本当にひどいもので、委員長も御承知のように、配管の八五%にひびが入っていた、それから、この三本は貫通していたという問題があります。
そうすると、配管破断により駆動水圧系が働かなくなるという事態があり得る、こういう問題になってくると思うんです。つまり、あのときは定期検査でとめるまで大規模な地震がなかったからよかったんですが、大規模な地震に遭遇する、配管破断となったときには、これはそもそも、頼りとする駆動水圧系が働かないという事態が起こり得るということもまた見なきゃいけないと思うんですが、委員長に伺っておきたいと思います。
○鈴木参考人 お答えを申し上げます。
まず基本的に、機器類でございますので、これはある意味では必ず故障を起こしたり壊れたりするものだ、そういう前提で安全に取り組むことが大事だ、こう思っております。
ただいま御指摘の点につきましては、非常に大きな事故に発展する可能性について、これを常に念頭に置いておくことが重要であると考えておりまして、原子力安全委員会の立場としては、安全審査の段階で想定した事故との関係が特に重要だ、こう思っておりまして、安全審査の段階で想定する事故は非常に安全を重視した仮定のもとに行っておりますので、そういう仮定を覆すようなことがあってはならない、そういうような考え方で安全に取り組んでいるところでございます。
ありがとうございました。
○吉井委員 実際に配管破断となってしまうと、そのときには駆動水圧系というのは働かないということが起こり得るということ、これはこのとおりでいいんですね。
○鈴木参考人 極端な場合にはそういう事態も考えられますが、水源が確保できない場合には、別途水源が確保できるようなことを要求しておるところでございます。
○吉井委員 二〇〇二年八月に、この問題について、東京電力福島第一原子力発電所で「制御棒駆動水圧系配管の不具合について」というのを出しましたけれども、安全性についてというところで、万一配管が破断されても、制御棒はその場にとどまるか挿入されて、安全側に動作しますというお話なんです。安全上問題ないという話なんですが、しかし、今回の制御棒の問題というのは、安全側に働いて中に入る話じゃなくて、もともと入っているものが落ちてしまったという話なんですね。
それで、北陸志賀、東京電力福島第一、東北の女川、中部の浜岡で制御棒駆動系での事故が次々と見つかってきておりますが、実際に臨界状態が発生していたというのは中性子束のデータなどでうかがわれるわけです。データ隠しも問題なんですが、定期点検中でなければ、緊急事態発生でスクラムがかかったときに、普通だったら全制御棒が直ちに入らなきゃいけないんですね。
しかし、大規模地震等に遭遇して、そもそも水圧系が破壊されてしまったとき、そのときにはこれは逆に入らないわけですから、ほかのが何本か入ったとしても、今回の場合、北陸電力志賀一号では三本入らないという状態があり得るわけですし、福島第一の三号だったら五本が落ちてしまったんですから、この五本が入らないということになるわけですから、そういう場合には臨界状態の原子炉をとめなきゃいけないんですけれども、そもそも、制御棒が三本入らない、五本入らないというときにどういう事態に発展すると考えられるのか、これを伺っておきたいと思います。
○鈴木参考人 最初に、いろいろ報告されている件につきましては、安全委員会としても、十分に大いなる関心を持って調査を見守っているところでございますが、私の理解しているところで、いずれも停止中に、制御棒のいろいろな意味での機能を検査するに当たって、弁等を開いたり閉じたりという、その操作をしている過程において起きたというふうに理解しておりまして、これは先生のお尋ねのような通常運転時において想定される状況ではない、こういうふうに思っています。
しかしながら、先生御心配のように、大きな地震等が発生した場合に制御棒が入らなくなるようなことについてはどう思っているのかというお尋ねでございますが、この点につきましては、これは非常に重要なことということで、特にBWRのような炉心につきましては、制御棒が入るかどうかについて、実証試験も含めまして十分に耐震性を確保するように設計し、そのように施工されている、こういうふうに理解しております。
ありがとうございました。
○吉井委員 これは臨界状態の発生どころか、臨界状態を停止しなきゃいけないのに、これがとまらないという事態が起こってくるんですね、きっちり入らなかったら。
そういうときに、先ほども少しお話がありましたが、多重防護の機能が働くという話なんですが、しかし、そもそも、これは一九九九年の五月二十五日に日本原電が発表した東海第二原発の沸騰水型、ここでの事故の場合は、緊急時に炉心冷却装置が働かなきゃいけないわけですけれども、その冷却系の低圧注入系のバルブが弁棒折損だったという問題があったわけですね。つまり、弁棒が折損しておれば論外としても、折損に近い事態になっていたときには、緊急炉心冷却装置が働かなきゃいけないんですけれども、それ自身が、地震で弁棒が折損してしまうと、そもそもそれは開かない、開かないということは働かない、こういう事態になるということがあるわけです。
それで、多重防護という問題について、かなり深刻な検討がやはり今必要になってきていると思うんですね。大規模地震時に制御棒駆動水圧系配管の破断というのは今言いました例ですけれども、それから、制御棒をとめるつめが今度機能しなかったという問題がありますが、これは、上がっておったものが落ちないようにするのがつめです。それから、日本原電で発生した、制御棒駆動時のガイドローラーの破損という問題もありました。そういう制御棒の案内管のトラブル等があったときに、原子炉運転中に強い地震動によって破損が拡大して、今回問題になっているのは、この制御機構がきちんと働かない事態になるということは、これは考えた上できちっとチェックしなきゃいけないと思うんですね。
そういう点では、例えば今言いました水圧系の配管の破断、制御棒をとめるピンが破損している場合とか、さらに、ガイドローラーそのものが傷んでいてうまく挿入できない問題とか、そういうトラブルが重複した場合、地震というのは頑丈なコンクリートの話だけじゃありませんから、そういう問題についての安全審査というものを具体的に今進めておられるのかどうか、伺っておきます。
○鈴木参考人 安全審査におきましては、先生御案内のように、先ほども冒頭先生から詳細設計の段階のお話がございましたが、詳細設計の段階の前でございまして、したがって、基本的な設計及びその考え方について審査しております。
そういう段階における審査といたしましては、今先生から御質問いただきましたような点につきましては、耐震性の要求、例えば重要度分類の中で最高位の分類にしてもらうとか、いろいろな実証データが整っている範囲の設計であるかどうかとか、いろいろな角度から審査をしているところでございます。
○吉井委員 審査されるにしても、実証が伴わなきゃいけないんです。
以前委員長ともお話ししましたように、兵庫県のE―ディフェンスは、まだ原子炉の中で使っていない新品の、放射線管理をしなくてもいいものの振動台としては使えるんです。しかし、現実に老朽化してきた弁の折損がどうなるかとか、一定のプラントを組んで、それで実験をやるには、今までだったら多度津の振動台は非常にいい役割を果たすことができたんですね。新品用がE―ディフェンスだったら、老朽化した原発の大規模地震時の健全性の試験といいますか、安全を確認する試験としてはいいものになり得たと思うんですが、多度津の振動台をつぶしてしまったということは、現在、老朽化したものの大規模地震に遭遇したときの安全性を実験的に確認する、実証するということは極めて難しい問題が出てきていると思うんですが、この点についての鈴木委員長のお考えを伺っておきたいと思います。
○鈴木参考人 すべての機器等についてこれを実証するということは大変難しいことだと思っております。したがいまして、工学的考え方から、安全係数等を見込んだ上で、適切な規模の適切な条件の試験をするというのが第一。
それから、新品ではなくて古くなった機器等についての耐震性はどうなのかということにつきましては、これは審査の段階で、例えばいろいろな疲労の進展の想定、予測をある程度いたしまして、そういう想定のもとでの耐震性を当然要求しているところでございます。
ありがとうございました。
○吉井委員 そういう想定をしてやってきて、次々と事故が相次いでいる。想定外のことばかりが続いて、大規模な事故が相次いでいるというのが現実だということをまず見なきゃいけないと思うんです。
次に、参考人に伺いますが、臨界事故は北陸電力社内のどの水準まで報告されているかという問題なんですね。
それで、これは原子炉中性子束モニターの記録というのを見れば、これ自身は、明らかに中性子が急増して臨界状態に達していたという可能性がうかがわれるわけですし、これは原発にとっては非常に大変な問題なんですね。かつての東海村の臨界事故は別としても、これは深刻な問題であるわけです。
そのときに、現場での制御系の点検マニュアルに沿って作業したのは北陸電力と日立だったと言われていますが、事故のときに館内放送で、もちろん現場の日立の人たちも知っていたということを北陸電力の東京支社長から私は伺いました。そのときに、どの段階まで報告するんですかと聞いたら、臨界事故ですから、社長までは報告は行きますと言っておられました。
ということは、北陸電力のデータ改ざんとか臨界事故の事実の隠ぺいという問題は、これは北陸電力の社長も知っていた。つまり、どの水準まで報告が行っているかといったら、社長が言っているわけですから、社長も知っていた。それから、原子炉規制法で責任が義務づけられている原子炉主任技術者も当然知っていたということになると思うんですが、この点はどうですか。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
北陸電力の臨界事故につきましては、三月十五日に北陸電力より概要についての報告を受け取っておりますが、この報告の中には、事故時の体制等についてはまだ触れられておりません。私ども、こうした事実関係や根本的な原因につきまして、三月三十日までに、今週の金曜日でございますが、報告をするように北陸電力に指示をいたしておりまして、その報告の中において説明があるものと考えております。
○吉井委員 この出てきたチャートとシークエンスを照らし合わせながら、どういう事象がどう発展していったのかというのは、私は一番聞きたいところですから、保安院にもそれから北陸電力にも聞いておりますが、その詳細等は、おっしゃるように、さらに何か北陸電力でなくなっている資料もあるというから、とりあえずのものを三十日にお出しになるにしても、少なくとも中性子束がこれだけ出てしまって臨界状態になっていた、原子炉で臨界状態が発生したということについては、どの段階まで報告するかというのははっきりしているわけで、これは社長も知らないという、そんなばかなことは絶対ないわけで、社長も知っていた。
原子炉に関しては、これは当然、主任技術者が知らないままということは絶対ないわけですから、私が聞いたような話については、三十日の報告じゃなしに、まずどこまできちんと報告したんですかということを聞けばいいだけの話で、それは当然聞いているわけなんですよ、皆さんの方は。聞いていらっしゃるから、私は確認しておるんです。
少なくとも、その範囲の方はみんな知っているわけですね。ちっちゃいボルトが一本落ちたという話じゃないんですからね。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
本件の臨界事故の当時、どのような体制でどのようなところまで報告がなされたかにつきましては、北陸電力で現在、詳細に確認をしておるところだと承知をいたしております。
私ども、北陸電力に対しましては、原子炉等規制法と電気事業法に基づく報告徴収をかけておりますので、法律に基づく正確な報告が今週の金曜日、三月三十日までにあるものと考えておりまして、その報告を受けて適切に対応していきたいと考えております。
○吉井委員 法律に基づくお話も結構なんだけれども、原子炉の中で臨界事故が起こっているということ、それを社長にも報告しない、そんなばかなことは絶対ないんですよ。これは北陸電力の東京支社長さんからちゃんとお聞きしていますから、当然聞いているわけですよ。
それから、当日は日立の方と一緒に作業しているんですね。日立製作所の人も、臨界事故が発生して、異常事態があって、通知を受けているわけですから、わかっているわけですよ、何があったか。日立は臨界事故を、自分のところはメーカーですから、自分のところのプラントであれば、当然トップにまで報告するのは当たり前の話なんですね。これも、ボルト一個が落ちておった話じゃないんですから。
そうすると、日立製作所についてもきちんと本社に報告が行っている。これについてもきちんと調査しているということなんですか。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
北陸電力からの法律に基づく報告をまず受けまして、その上で、必要に応じ、その当時のメーカーとして対応いたしました日立製作所に対しましても報告を求めることがあり得ると考えております。
○吉井委員 東京電力にしても、五本落下したという話がありましたけれども、ああいうのはチャート紙を見ればわかるわけですよ。その分、中性子束がびゅっとふえるわけですから。異常反応が起こっているんです。原子炉の中で異常反応が起こった場合には、通常の事故じゃないですから、こういうものがトップまで行くのは当たり前で、北陸電力にしても東北電力にしても、みんな社長まで知っていたということをきちんと考えなきゃいけない。
そして、メーカーも、東京電力関係は東芝ですが、北陸だけは日立でしたけれども、この事態はメーカーの社長を含めた幹部は知っているわけですから、だから私は、関係した電力とメーカー、日立も東芝もデータ改ざん、隠ぺいというものを、それこそ社長ぐるみ、会社ぐるみの隠ぺいというだけじゃなしに、関係する業界ぐるみの隠ぺいになっていたということをきちんと解明しないと、とてもじゃないけれども日本の原子力行政に対する信頼は取り戻せないと思うんです。
やりますか。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
平成十四年に東京電力におきます自主点検の不正問題がありました後、法律を改正していただきまして、私どもの規制、検査の体制を大幅に強化していただきました。また、その前のジェー・シー・オー事故も踏まえて、私どもの規制体制を強化していただいております。
この中で、原子力事業者からの報告徴収を受けまして、必要ならば、その上で、関連する保守の事業者にも報告徴収をかけることができるという法律の仕組みにしていただいておりますので、この新しい強化をされた法律の仕組みを踏まえまして、保守事業者、すなわちメーカーに対して、必要ならば報告を求めていきたいというふうに考えております。
○吉井委員 これは何とも頼りない話ですね。問題を起こした電力はもとより、メーカーについても、要するに会社ぐるみ、あるいはその関連する電力とメーカーの業界ぐるみの組織的隠ぺいとかデータ改ざんという問題を考えていかなきゃいけないという深刻な問題なんだということをきちんととらえていただかないと、私は今のお話ではとても国民の皆さんの信頼を取り戻すことにならないと思うんですよ。
最後に大臣、一言で結構ですから、やはり原子力推進官庁の中に原子力安全・保安院という、規制官庁だと思うんですけれども、それが置かれている。そして、原子力安全委員会には、人がちゃんと委員長のもとに配置されていて、委員長のサポートもするとか、そういう体制にないわけですから、国際条約では規制と推進とは分離することになっているわけですから、その立場に立って、国際条約どおりやはりきちっと分離して、完全に原子力の安全に責任を持つという体制を構築していくべきだと思うんです。この点は大臣に伺っておきます。
○高市国務大臣 確かに原子力安全・保安院も、それから立地を促進する立場の部署も甘利大臣の所管元にありますけれども、しかし一方で、私どもは原子力安全委員会でしっかりと安全・保安院から説明を受けながら、見解をその都度発表し、そしてまた必要な措置を、安全措置を求めていっているわけでございます。
今回、いろいろ隠ぺいなどが出てきたのも、昨年十一月に甘利大臣が、三月までに、こういうことは報告すべきじゃないなんということを一切考えずに、何もかも洗いざらい報告しろという大号令をかけてくだすったからこそ問題が出てきました。過去の問題がこれだけ出てくると国民の皆さんも不安かと思いますけれども、この際、徹底的にうみを出し切って、どこに問題があるのか、きっちりチェックして再発防止策を講じて、このうみを出し切った段階で日本が世界一安全な原子力平和利用国家になれるように、ともに頑張っていきたいと私は考えております。
○吉井委員 終わります。
○河本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時四分開議
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原雅彦君及び警察庁生活安全局長片桐裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑を続行いたします。戸井田とおる君。
○戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。
このたび、急に時間をいただきまして、理事の皆さん方からもいろいろ御協力をいただいて、ここに立つことができました。この部屋は初めてなんですけれども、この二十五年の記念の絵を見ていますと、大先輩からにらみつけられているような気がするんですけれども、ここにおられる方はほとんど、戦後の日本の立ち上がりの時期にいろいろ尽力された、我々の先輩であります。
ここに来るまでにいろいろ資料も集めてまいりましたけれども、私もどういうわけか戦前戦後、その時代のことに何か非常に縁が深くて、そういうことをどうしても調べなきゃならないような、そういう成り行きにだんだんなってくるということで、前回も、官房長官に同じように質問をさせていただきました。そのときに、最後にお渡しした資料がありましたでしょう。それは読んでいただけましたでしょうか。
○塩崎国務大臣 今拝見しました。
○戸井田委員 いろいろな歴史問題を検証していくのに、私も党の中で南京問題小委員会の委員長をやらせていただいて、戦後生まれの私がそういうものを検証していくときに、伝聞証拠じゃなしに、やはり当時のいろいろな一次資料に当たって、それで、真っさらでもないんですけれども、自分の頭の中にいろいろなものを入れていったら、また見えてくるものが違うんだと思ったんですね。それでしつこく、今までコピー代が随分かかりましたけれども、質問するたびに山ほど資料を持ってお渡ししていった。しかし、残念ながら、多分だれも読んでいただいていないんだろうなと思うんですね。
従軍慰安婦の問題、慰安婦問題でも、あの当時、全部そういう調査をしたわけですよね。調査をして、そしてその資料もマスコミには発表したということを言われておりました。だけれども、結局、返ってくる反応はそういうことではなしに、そのときの現場にいた、当時の慰安婦とされる人たちの文言が非常に影響力を及ぼしてきた。そしてその当時、聞くところによりますと、これで認めてくれたら、その後一切慰安婦問題を問題にしないからということを言われたように聞いております。
その辺のところは、官房長官、御存じですか。
○塩崎国務大臣 例の官房長官談話に至る間にさまざまな調査をしたということは聞いておりますが、今お話のあったような、つぶさな、細かなところまでは聞いておりません。
○戸井田委員 というと、やはりなかなか、役所の方々の、いろいろな資料を持ってきていただく、答弁のときの答弁書が出てくる、それが一番安全なんだろうとは思うんです。だけれども、こういう歴史問題というものをとらえていくときに、本人がその問題に対してどういう思いがあるかということがやはり非常に重要な部分があると思うんですね、特に政治家の場合には。
実はきのう、こういった資料でどういう質問をしようかと思って考えているときに、テレビがたまたまついていたんですけれども、宮崎駿監督のをやっていたんですね。思わずそっちに引き込まれていって、そうしたら、宮崎さんは一言、自分が映画をつくるときは、この映画一本で世の中を変えるんだという思いでつくるということを言っていましたね。なるほどなと思って、それを見ていて、その言葉だけが印象に残っていたわけですけれども。
やはり政治家もそういう意味では一緒だろうと思うんですね。政治に携わる人間はたくさんおりますけれども、自分たちの行動で変えていくという思いがやはり必要なんだろう。そうすると、役所の方からもらう資料だけでもってそういう気持ちがわき上がってくるだろうかということを思うと、やはり自分でこういうのを調べていくというのは非常に重要なことだなというふうに思ったんですね。
その資料をお渡ししたときに、官房長官は多分忙しくて読むことはできないだろうと思ったんですけれども、あえて、ちょっと、一ページでも二ページでも見てくれたら、またそこでもって、戦後の日本の社会の中で何が行われていた、どんなことが起きていたのか、我々戦後生まれの人間からすると、その当時のことを記憶にないわけで、記憶にというか、そもそもそのことがわからないわけですから。そうすると、そういう資料を当たっていくということ、そのことによって得るものというのは実はたくさんあって、その後にいろいろ耳目から入ってくるものとまた違ったものがあると思うんですね。そういう意味で、この一次資料というものを非常に大事にしていきたい、そんなふうに思っております。
そして、従軍慰安婦問題、我々は慰安婦問題ということを言っておりますけれども、その慰安婦問題で、アメリカだけでなしに、どうも最近はヨーロッパの方でもそういう騒ぎになっている。その内容を見ていると、どうもその辺のことを、内容すべてをわかってもらっていないな、一次資料を見てもらっていないなという思いがあるんですね。それだとしたら、やはり日本政府としてそういうものをきちっと発信していかなきゃならない。だけれども、一方で、河野談話という一つの縛りがあるということなんですね。だけれども、そういう中でもって、そういうものを突き崩していくのは、やはりそういう一次資料なんだろうというふうに思います。
同時に、外国との交渉ということを考えてみますと、必ずしも真実だけが評価されて、そしてそれが社会の中で認められていくとは限らないというふうに思うんですよ。そういうことから考えてみますと、日本もやはり、ある意味で、自分たちも同じように戦後やられていたわけですね。やられていたと言うとあれですけれども。
前回のときに、昭和二十八年の社会党の藤原道子議員の議事録を読ませていただきましたけれども、独立後、八カ月間において千八百七十八件、暴行事件が米兵によって起きているということがあるんですね。こういう事実というのは、我々にしてみたら、全然知らなかった。しかし、議事録を見てはっきりそういうものに気がついて、また、議事録を頼りにずっとしてくると、米軍のしてきた実態というのが見えてくる。
一緒にその資料を調べていっていたら、今資料としてお配りしていますけれども、昭和二十年八月三十一日の「進駐軍ノ不法行為」というのがあるんですね。これは、昔、日本に憲兵隊、特高警察というのがありましたけれども、この特高警察というのは一九四五年の十月四日に解散させられているんですね。終戦後、その解散させられるまでの間、特高警察は何をやっていたのかというと、米軍の素行調査をやっていたわけなんですね。そういう記録がやはり残っている。八月三十日にマッカーサーが入ってきて、そして同じように進駐軍が入ってきた。入ってきたその日にもう既に暴行事件が起きている。そんなことが、こういう資料を見ていくに従ってどんどんそれが出てくる。
資料の三ページ目なんですけれども、ここに「米兵ノ不法行為第一報」ということで「強姦事件」「八月三十日午後六時頃」「横須賀市」あとは墨で塗りつぶされております。非常に読みにくいんですけれども、「右一人ニテ留守中突然米兵二名侵入シ来リ一名見張リ一名ハ二階四丈半ニテ」これは人の名前だと思うんですけれども、「ヲ強姦セリ」「手口ハ予メ検索ト称シ家内ニ侵入シ一度外ニ出テ再ビ入リ女一人ト確認シテ前記犯行セリ」ということなんですね。
こういうふうにして一つ一つの米兵の犯罪行為を特高警察が調べていて、それが記録に残されていた。それが一度アメリカに持ち帰られたんだけれども、アメリカの偉いというかすごいなと思うところは、それをまた日本に返してきた。気がつかなかったのかどうかわかりませんけれども、返ってきた資料がその官房長官の手元にある資料なんですね。それ以外にも、ファイルとして、三百七十七ページにわたってそういったものがある。
そういうことをやはり調べていく。そしてそういうことを頭に入れておく。日本が戦前にやった行為というのはどういうことか。我々の世代は、自分たちがその時代に生きていたわけじゃないからわからないけれども、やはり、こういった資料を当たっていって、両方のこともきちっと頭に入れておいて初めていろいろな交渉ができるんじゃないかなというふうに思うんですね。
官房長官、その辺、どう思われますか。
○塩崎国務大臣 一般的に、歴史は史実に基づいて検証されなければならない、こう思っております。一次資料が大事だということも事実でありますが、歴史の評価というのは、これは何度もいろいろな方が言っておられますけれども、歴史家が評価するものでありますが、我々としては、もちろんできる限りの資料に基づいて判断をしていくべきことだろうと思います。
○戸井田委員 そういうことで、確かに歴史問題は歴史家に任せるという総理の言葉どおりだろうというふうに思うんですね。
だけれども、例えば、慰安婦問題でもって、我々が日本人として考えなきゃならないことというのは何なのかなということを考えると、やはり当時と今とは時代が随分違う。公娼制度というものがあった。そして、その公娼制度がなぜそういうふうにでき上がってきたのか。そして、我々が伝え聞く話にしても、東北地方でもって、朝星夜星をいただきながら泥まみれになって働きながらも、それでも飯が食っていけなかった。そして、口減らしにということでもって働きに出すということがあった。働きに出すだけじゃ残った人間も食べられないから、そういう公娼制度の中に入っていって、隠れながらも禄を稼いできて家に送る。最初にそれを金で、その肩がわりに働かされたということもあるわけであります。しかし、そういうのは、言ってみれば昔の「おしん」の時代そのままなんだろうなというふうに思うわけですね。
そのときに、本来、男として、稼ぎ手が、自分が働いて稼げない。それで自分の嫁さんを、また自分の娘をそういうふうにして送り出さなければならない。わかったようなわからないような状況の中でもって、じっと我慢しながらそれを送り出す男の立場もあった。出ていく女性の立場もあった。どちらも苦しい問題だと思うんですね。
決してそれが、そういうことをやりたいと思ってやったわけでもなかったということを考えていけば、そういうことに対する反省、また一方で、そういう仕組みがあったからこそ逆に生き長らえることができたということも、その時代にはあったんだろうと思うんですね。やはり、そういうことをしっかりと考えていく必要があるなということを、私は正直言って、この慰安婦問題を考えたときにそういうことを思いました。
外国がどういう状態かわからないけれども、朝鮮にしても中国にしても、当時の日本とどっちが経済的には上だったのか、そういうことを考えてみると、類推はしていけるんだろう。外国の類推はする必要ないかもわかりませんけれども、やはり、そういうことを考えていくのが、今我々本来の、本当の慰安婦問題に対する意味はそこにあるんじゃないかなというふうに思うんですね。
もう一つ、南京問題も最近出てきております。先日、産経新聞に出ておりましたけれども、中国の歴史学者が二人来て、これまで言っていた三十万という数字を、それはちょっと確認できないような言い方をされているわけですね。
「一九三七年末の南京事件を研究している中国人研究者二人が三十日、都内で講演し、「現在の資料によって、南京事件で日本軍によって殺害された中国人の数を確定することはできない」と強調し、中国などで流布している三十万から四十万人の虐殺説に疑問を呈した。」この人らは、学者としてずっと、そういうことを訂正して、本当に純粋に、学術的にこれを検証していく必要があるんじゃないかということを言っているわけです。
その一人の程氏は、「中国内での反日感情の高まりを挙げて、「中国の学者にとって、確かに難しい面がある」と述べて、中国人研究者への当局からの圧力を示唆した。」という新聞の記事も出ているんですね。
そして、「最後に、「中国人研究者による南京事件の研究態度について、変化が出ており、日中双方で学術的で、客観的な立場で議論をすることは重要だ」と強調。このうえで、両氏は欧米の研究者など第三者も交えて議論を深めていく可能性にも言及し、異口同音に、日本あるいは中国の立場という枠組みを取り払って、人類史という観点から研究を行う必要性を強調した。」というふうにこの記事には出ているわけですね。
私が気になったのは、この人類史という言葉なんですね。中国は、どちらかというと今まで、虐殺ということで、アウシュビッツのホロコーストと同じ次元でもってこの南京問題をとらえよう、とらえようとしてきた経緯がある。
そういうことを考えてみると、三十万は引っ込めてきたけれども、では、ほかのところでいろいろな数字がある。東京裁判で、松井石根大将の判決のあれが十万だ。そしてそれ以外にも、全部含めて二十万という数字も出てきている。前回の質問で私が言いました、顧維鈞代表が国際連盟での演説の中で言っていたのは、ニューヨーク・タイムズの記事を引用したような形でもって二万という数字が出てきている。しかし、この二万とか三十万とかにこだわらずに、ただそういう虐殺があったんだということを認めようとしている経緯があるんじゃないかな、私にはそういうふうに思えてくるんですね。
もしこれが、かつての慰安婦問題と同じように、情にほだされるというか、日本人のあいまいさでもって簡単にそれを、まあ数は少ないけれどもあったんだみたいなことを認めたときに、どういう手だてが出てくるかということを考えると、そこらのところはきちっとした対応をしていかないことには、それこそ、日本人も虐殺民族なんだということを言われかねない可能性があるというふうに思うんですね。
今、日中の歴史問題を専門家でやっていますけれども、そういうことに対して官房長官はそういう視点というのはあるのかどうか、お聞きしたいなと思います。どうでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど、一次資料が歴史の検証には重要だということを申し上げました。ただし、歴史の一次資料というのもさまざまな一次資料があって、どの一次資料で判断をするのかというのはいろいろあろうかと思います。だからこそ歴史家にその判断をゆだねるという部分があるわけでありまして、この日中の歴史共同研究を、昨年の十二月ですか、十月の安倍総理の日中首脳会談で年内に立ち上げるということで、昨年末にその第一回の会合を北京でやって、今月の十九、二十とまた東京で第二回をやられます。
したがって、これら共同研究に携わる両サイドの歴史家がそれぞれの資料を持ち寄って議論を闘わせて、一つに収れんするということは恐らくないんだろうと思いますが、それぞれ思いのたけを述べ合って歴史をお互いに共同研究していく中で、これは相互の理解を深めていくために、過去のためではなくて未来のために歴史を研究する、こういうことだろうと思います。
今、ホロコーストの話等々がございましたけれども、いずれにしても、南京事件の問題もこの共同研究の中で取り上げられて、それこそ先生のおっしゃる一次資料をお互いが持ち寄って大いに研究をする、そして議論するということになろうかと思います。その中からどういう合意されるものが出てきて共有できるのか、できる限りそれは共有できた方がいいわけでありますので、我々としてもこの共同研究に期待をしているところでございます。
○戸井田委員 そういうことで歴史学者が共同研究をする。日本は自由と民主主義を基本理念とした国家であります。中国は若干違うと私は思うんですね。さっきの産経新聞の記事にもありましたように、当局の圧力を示唆したというのが出ておりましたけれども、そういうことを含めて考えてみると、やはり最後は政治的な問題になってくるんじゃないかな、そんな気がするんです。
官房長官は、お伺いしたいんですけれども、中国という国には言論の自由があると思いますか。
○塩崎国務大臣 他国のことでありますから、自由があるかどうかという判断は、政府としては申し述べるべきようなことではないのではないかというふうに思います。
○戸井田委員 そうやって答えられるだろうなと思っていたんですね。だけれども、顔を見れば、何となく心に描いていることはよくわかる。
韓国はどうですか。やはり言論の自由があると思いますか。
○塩崎国務大臣 いずれにしても、他国のことでありますから、政府としてのコメントは差し控えたい、こう思っています。
○戸井田委員 その資料の後ろにつけてありますけれども、ちょっと一言発したことでもって職を離れなきゃならない、そういうようなことが韓国にも現実にあるわけですよ。我々が見てもかなり激しいなと思うような動きが多い。
そういう国を相手にして慰安婦問題もやらなきゃならない、また南京問題もやらなきゃならないということになると、やはり自分たちの腹構えというか、腹の中をきちっと固めておかなければならない、それが私は一番重要だと思うんですね。だから、宮崎駿監督のあれじゃないけれども、自分たちがその交渉をするときには、これで日本が変えられたらかなわない、絶対に変えさせないぞという思いでもってやる必要があるのかなと。
余り肩ひじ張る必要はないのかもわかりませんけれども、しかし、そういうふうにして今までこの慰安婦問題を振り返ってみたときに、河野談話というものを出した、そのものに対してのじくじたる思いというのはやはり政府側にはあると私は思うんですよ。そういったことをやはり反省の材料として、これから日中歴史問題に対してきちっと対処していっていただきたい。
そのためには、長官みずからもそういう歴史の資料に暇のあるときには当たっていただいて、やはり少しずつそういうことを、本当にえっと思うようなのがありますから、そして、その資料というのは、日本側の資料を使うんじゃなくて、外国の資料を当たっていくということが非常に大事だと思うんですね。そういうものを闘うときに、闘うと言ったらあれですけれども、議論するときに、相手の資料を使ってそのことをついていくというのは非常に重要な意味があると思っております。我々、検証した資料というのはほとんど外国の資料なり国連の資料であったりそういうものばかりで、ほかのものを一切、これまで巷間議論されてきたような、そういう出所のわからない写真で議論するようなことをせずに、やはりきちっとわかったものでもって議論していく、それがやはり相手に対して説得力を高めていく一つの方法なんじゃないかなという気がするんですね。
ですから、そういう意味で、一次資料、一次資料と口癖みたいにして言いましたけれども、ぜひそのことを頭の隅に置いていただいたらありがたいなと。時間はまだ大丈夫ですか。
それで最後に、結局、そういう歴史認識を今度次の世代にどう伝えていくかということになるんですね。文科省の方から教科書の検定のことでもってきのう事務所に来ました。それで、それを聞いていると、やはり南京の問題、そこには虐殺と書いてあるわけですけれども、南京の問題のことが書かれていて、また慰安婦の問題のことも書かれている。高校二年生を対象にしたものですから、どこまでそれを記述したらいいのかということで非常に難しい部分もあるんだろうと思うんです。
しかし、教科書検定というのが四年に一遍あるわけですね。そうすると、新しい資料が出てきたとかいうようなことになったときに、四年間同じ教科書でもって多感な世代の子供がそれを勉強していくということになれば、これはやはり、四年に一度じゃなきゃいけないのか、毎年やったっていいんじゃないかというふうに思うんですね、そういうところは。
だから、個別の一つ一つは言いませんけれども、一つは、南京虐殺三十万ということが数字で検定後もやはり出ているわけですよ、中国の言い方。だけれども、さっき申し上げたように、中国サイドでは、もうその三十万というのを引っ込めようという学者の意見がある。どこで確認するかということではあるんですけれども、しかし、そういったところを含めて考えていけば、やはり教科書検定というのは、四年に一度ということでなしに、もっと毎年、全部でないにしても、変わったところだけでもチェックしていくということが必要なんじゃないかな。
図書館の資料とまた違うわけですから、子供の教科書なんだから、そのときに先生が、この記述はこういうふうにしてくださいと教えることも可能なわけですし、ぜひ、教科書検定に関しては、四年に一度ということでなしに、もっと詰めた形でもって、まどろっこしいかもわかりませんけれども、一年に一度、きちっとそういうものを精査していくということをやってほしいなと思います。
○布村政府参考人 お答えいたします。
教科書の検定については、小学校の教科書であれば、四年に一度大きな改訂をするというサイクルになっておりまして、民間会社における著作の編集で一年かかって、検定で一年かかり、次の年は教科書の採択、印刷、供給という流れで、四年目に使用になる、そういうサイクルでやっているところでございます。
ただし、先生御指摘のとおり、学説が変更されたり統計資料が更新された場合には速やかに改訂する必要がありまして、それは毎年、いつの時点でも、教科書会社の方が教科書の記述を訂正するという手続は可能になっておりますので、そういった面で、子供たちが新しい状況が把握できるように、教科書が古くならないように気をつけているところでございます。
○戸井田委員 やはり三十分という時間は本当に短いな、もう少し余裕を持ってやりたいとは思うんですけれども。
最後に官房長官にお願いしておきたいことは、この日中問題、日韓問題というのは非常に大事な問題だと思います。だけれども、先ほども申し上げましたように、やはり日本というのは、自由と民主主義というのを基本理念、基本の価値観に置いている国家であります。アメリカも私はそうだと思うんですね。アメリカから教えてもらったというか、そういうことでありますし、世界じゅうで、自由と民主主義というのは非常に大きな価値観として認めている国が多いわけです。ほとんどがそういう国だろうと思うわけですね。そういう中でもって、日本が名誉ある地位を占めたいと思うのであれば、その観点というのはやはり常に外したらまずいと思うわけであります。
特に、先ほどの、重ねて言うことになるのかもわかりませんけれども、中国との問題を考えていくと、中国は日本とアメリカの間にくさびを打ち込もうとしてこういう問題を使ってきているんじゃないかなという思いがあるんですね。
同時に、もう一度そこの、自由と民主主義ということの原点に立ち返っていったときに、そういうものでもってこの歴史問題を政治的に答えを出してしまうのでなくて、こういうものなんだ、見てほしいということで理解を求めていって、判断はそちらに任せるという態度が重要なんじゃないかなという感じがするんですね。そのことによって、それぞれが傷つかずに、歴史問題は歴史問題として残っても、双方がそれなりの引き方ができるんじゃないかなという気がするわけであります。
そういう中にあって、自由と民主主義を捨ててしまって、そういう一つのプロパガンダに振り回されてしまうのでなくて、やはり自分たちがよって立つところを忘れずに、そのことを意識して判断していくことが重要なんだというふうに思っております。
最後にそのことを申し上げまして、私の質問時間が終わりましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○河本委員長 次に、松原仁君。
○松原委員 民主党の松原仁であります。
先般、六カ国の協議が終了いたしました。北朝鮮が途中で帰ってしまって、この六カ国が未完成で終わったのか完成したのかよくわかりませんが、まず、評価を官房長官にお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、平井委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 先般、六者会合が行われました。五つの作業部会が今回でき上がったわけでありますけれども、この進捗状況の報告というのがまずあって、それから二番目に、初期段階の措置の実施のための具体的な措置の議論というのが行われました。それから、その初期段階の措置の次の段階の措置についての初歩的な検討、この三つが議題として設定をされておりました。
しかしながら、初日、十九日でございますが、首席代表者会合では、まず、各作業部会からの報告が行われたところでありますけれども、北朝鮮が、マカオのバンコ・デルタ・アジアに凍結をされている北朝鮮関連口座の資金が実際に移転されることが確認できない限りは非核化に向けた具体的な議論に入ることはできないという立場に固執をいたしました。こうしたことから、アメリカそれから中国が、BDAの北朝鮮関連口座の資金を送金すべく調整を行いましたけれども、結局、送金を行うために必要な技術的あるいは手続的な問題の処理に少し時間がかかりそうだ、こういうことで、今次会合は二十二日に休会に入ったということでございます。最後に議長のステートメントというのが出ましたが、短いものでございました。
北朝鮮が、BDAの資金送金、これに非常にこだわった、その結果、この会合では初期段階の措置やその次の段階に関する非核化に向けた本格的な議論に入れなかったということは、我々にとっても非常に遺憾なことであったわけでございます。
一方で、今次会合の議長声明においても、先ほど申し上げた短いものでありますが、六者会合共同声明、これはおととしの九月でありますけれども、その共同声明及びことし二月の成果文書における約束を誠実に実施することが再確認されておりまして、我が国としては、引き続いて、アメリカや中国とも連携をしながら、北朝鮮が非核化に向けた具体的行動に正面からちゃんと取り組むように、そして実際の行動をとってもらうように、強く求めていきたい、このように考えているところでございます。
○松原委員 バンコ・デルタ・アジアのこの資金に関して、アメリカは解除に応じたという報道がなされております。この流れというのは日本政府としては事前に察知をしていたのかどうか、お伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 つぶさなやりとりについては申し上げるわけにいきませんが、アメリカとはいつも緊密な連絡をとっております。そして、こういったことについても我々は意思疎通をきちっとやっているところでございます。
○松原委員 ということは、今回、日本政府としては、アメリカとの緊密な連携の中で事前に、バンコ・デルタ・アジアにおけるこの凍結を解除するというようなものを、アメリカの説明に対して了解ということをシグナルとして出したんですか。
○塩崎国務大臣 今申し上げたのは、了解を求められたとかなんとかいうことではなくて、また、そういうふうに具体的な細かなことを私どもとしてこの場で申し上げるつもりはありませんが、どういうことを考えているのかということをお互いに事前にも、また同時並行的にも、協議とともに連絡をとり合っているということであります。
○松原委員 実は、先般、この前の六カ国協議があったときに、さまざまな評価がありました。その評価はそのとき議論を、例えば我が同僚の渡辺周議員からも話があったと思いますが、そのときの話というのは、日本に一つの見通しがあると。日本の、例えば北朝鮮に対するさまざまな援助は拉致が解決しない限りやらないということを、ほかの参加国は、参加している国は基本的に了解している、これが一つあった。同時に、北朝鮮、もうあと一歩だ、かなり金融制裁がきいてきている、したがってアメリカは簡単にはこのたがを外さないという前提でありました。
今回のアメリカの動きを見て、日米の連携というものが、私は少なくとも、アメリカがこういうことを行う前に連絡が全然なかったというのでは、これはもう話にならないと思う。あったとしたならば、日本政府は、その金融制裁の解除に対しては反対ですと意見表明を当然しなければいけないと思うのだけれども、それはなさいましたか。
○塩崎国務大臣 そもそもこのBDAの問題は、金融制裁という言葉はアメリカは使っていないと思います。これは法執行の問題だということを言っており、六者会合の非核化等々の話とは別の話として淡々とやっていた、そういう話であります。したがって、そういうものとして私たちは話を聞いているわけでありまして、了解をするとかしないとかいうレベルの話ではないと私は思っております。
○松原委員 さはさりながら、その話があったときに、それは、たぐいは、アメリカにとってみれば、北朝鮮がにせ札をつくっている、それに対して自国のお金を守るための、防衛の、たくさんありますよ、愛国者法もあるけれども、その中での話だと。それはいいんですよ、それはそれで。しかし、我が国としては、アメリカのバンコ・デルタ・アジアに対するこれと日本との連動というものが、極めて友好であるということを認識するならば、アメリカ側はそれをちょっと方向転換しますよというときに、ちょっと待ってくれというのは私は当然だろうというふうに申し上げております。これは、答弁がなかなかしづらいのかもしれません。
米国は北朝鮮をテロ支援国家として認定している。その理由として、拉致を解決させない限りテロ支援国家である、これをアメリカは言ってきているはずであります。しかし、今のバンコ・デルタ・アジアに対するアメリカの態度の変化等を見ると、私は、果たしてアメリカが北朝鮮をテロ支援国家として認定し続けるのか。
北朝鮮が、アメリカの足元を見ながら核の問題の、一時的にとめる、一時的廃棄というか、その辺は北朝鮮はいろいろな表現を使うでしょう、そのための条件としてテロ支援国家の枠も外せと言ってきたときに、よもやアメリカは、日米の信義の中において、テロ支援国家の認定の理由の中に拉致を入れている以上、外さないと思うけれども、外す可能性もあると思うんです。
これに関しては、仮に、外すといったときに、日本は絶対外させないということができますか。
○塩崎国務大臣 今回、二月の六者会合で合意文書、成果文書ができたわけでありますが、その中の文章を読んでいただくとおわかりのように、アメリカがテロ支援国家指定を解除する作業を開始する、作業を開始するということになっているわけで、指定の解除をするということで合意したわけでは決してないということを、まず第一点、確認をしておかなければいけないことだと思っています。
したがって、作業を開始するには、作業が終了するにはすべての条件を満たさないといけない、こういうことになるわけでありまして、一義的には米国の判断に基づいて行われることでありますけれども、テロ支援国家の指定を解除するに当たって、今御指摘の拉致の問題の解決というものが重要な要素の一つであるということを、私どもは日米の話し合いの中で絶えずそれを言ってきているわけでありまして、この重要な拉致問題についての日米間での連携については、私どもはいつも話をしておるところでございます。
○松原委員 塩崎官房長官は拉致担当大臣でもありますから、私はここで決意を聞かせてほしいと思うんです。決意が伝われば、拉致が解決しない限りアメリカもやすやすとテロ支援国家の認定を下げないと思うんです。
つまり、日本の国の拉致担当大臣として、政治生命をかけて、拉致問題が解決しない限りアメリカのテロ支援国家指定を外させないということを、きょうここではっきりと表明していただきたい。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、指定を解除するかしないかは、日本の判断で決めるわけではなくてアメリカが決める、当然のことでありまして、一義的にはアメリカの判断であります。
しかし、私どもは、安倍総理を先頭に、アメリカに対して解除することの意味合いというものはしっかりと言い続けてきておるわけであって、我々にとっては拉致問題が解決しなければ国交正常化なしということでやってきていることはもう何度もわかっているはずですし、また、さまざまな会合で、この問題について、北朝鮮側に対しても米国はきっちり日本の立場ということを伝えているわけであります。
したがって、この問題が解決しないままに、何にも動きがないままに解除されるというようなことはあってはならないと私たちは思っています。
○松原委員 私が聞きたかったのは、日本の国の拉致担当大臣としての、それはアメリカが決めることであっても、日米のまさに連携の中で拉致ということをテロ支援国家認定の要件にした。これが崩れたらそこにおける信頼も何もなくなってしまうわけでありますから、担当大臣として、自分の立場として、それは守るための全力での政治的な取り組み、政治生命をかけるということは、やはりこの場で言っていただいた方がいいと私は思うんです。
○塩崎国務大臣 それは米国に対して私は拉致担当大臣として絶えず言い続けておりますし、また、これからもそれこそ目いっぱいの力を出してこれをやり続けていかなきゃいけないと思っております。
○松原委員 今回の六カ国協議で幾つかの議論がまた出てきました。ただ、前回のときに外務省からの話は、アメリカと日本はきっちりした連携の中で臨んでいると。しかし、今回のこの結論を見て、関係者の中には、これは大丈夫かな、今言ったテロ支援国家認定すら崩れ去るんじゃないかという大変な危機感が出ている。アメリカは、北朝鮮問題に割くエネルギーが中間選挙もあって失われてしまって、もう完全にこの部分では妥協に妥協を重ねるのではないか、ヒルさんとライスさんによって北に対する妥協がどんどん図られるのではないかというふうな、言葉をかえて言えば、もしかしたら裏切られるんじゃないかというぐらいの気持ちが関係者の中にもあるわけであります。
私は、そういった意味で、北朝鮮が今回、時間稼ぎをしながら、結果として高笑いをして帰っていったんじゃないかと思うにつけ、やはり少なくともアメリカがこの問題に対して日本と連携をとるということは、私はバンコ・デルタ・アジアの今回の措置にしても極めて残念でありますけれども、それ以上に、次なるところで北朝鮮が、では核を放棄しましょう、放棄といったってどういう表現でやるかわからないけれども、そのためにアメリカさん、テロ支援国家の認定を外してくれといって、アメリカが、アジアにおける後顧の憂いを絶つべく、わかりましたと言わないとは限らない。私は、そのときは官房長官は政治生命をかけてそれを阻止してほしいということを申し上げているわけであります。
次の質問に入ります。
そのアメリカでありますが、最近いろいろな動きがあるわけであります。先ほど戸井田さんが従軍慰安婦の問題についてお話をしました。従軍慰安婦と単なる慰安婦では全く意味が違うということは、御案内のとおりであります。既に先ほど質問がありましたから、屋上屋を架しては言いません。アメリカの下院の外交委員会で、最近、こういう話が少なからずあるような気がする。
例えば、トルコに対しての決議が上げられようとしている。トルコが、しかも今のトルコではなくてオスマン・トルコが、今から九十年ぐらい前、今の新しいトルコになる前、その段階でアルメニア人を虐殺した、そのことに対して謝罪をするべきだという決議が今論議をされているというふうに言われております。ちょっとこれは通告外なんで、担当している人がいるかどうかわかりませんが、外務省でこのことをわかる人がいたら答弁してもらいたい。
要するに、これに対してトルコの反応はどういう反応だったか。ちょうど、たぐいとしては、日本における従軍慰安婦の決議と極めて類似をしたものが、トルコに対してアメリカの外交委員会で上げられようとしている。これは産経にその記事が載っていたはずであります。
これに対してトルコは、まず一つは、今のトルコじゃない、オスマン・トルコ時代の問題であります。しかもトルコは、その虐殺はアメリカの下院の委員会で議論されているのとは実態が違うということで強く反発し、そんな決議が上げられるならば、トルコ国内における基地使用をアメリカにさせないことも検討するぞということをアメリカに対して通告している、こういうふうに聞いております。
私は、自国の名誉というものに関してはそれぐらいのことがあって当然だろうというふうに思っておりますが、この従軍慰安婦という、まさに、少なくとも慰安婦は存在したけれども従軍慰安婦と俗に言われるものは存在していなかったという現実を踏まえたときに、アメリカにおいてその決議が上がったときに、トルコのような毅然とした態度を日本政府はとる決意があるのかどうか、塩崎官房長官にお伺いしたい。
○塩崎国務大臣 今トルコの例を挙げられましたけれども、今のトルコの例と今回の我が国の問題の取り上げ方と全くパラレルというわけでは決してないわけであって、それぞれの問題の経緯、立場等々、いろいろあろうかと思います。
我が国の名誉を重んじるということはもう当然のことであって、我々は、国益を考えながら対外的な関係というものを絶えず考えて行動していかなければいけない、このように考えております。
○松原委員 パラレルではないというけれども、かなり類似しているんですよ。これはぜひ外務省の方で一回チェックをしていただいて、官房長官の方にも、また安倍総理の方にもしっかりと伝えてほしいわけであります。
大体、トルコが謝罪する云々といって、オスマン・トルコの時代の話ですから、何かちょっとよくわからない話なんですよ。それで、謝罪しろと。その謝罪しろと言っているアメリカは、謝罪をしない国家であります。ベトナムで枯れ葉剤を使っても謝罪しない国家であります。
そこで、官報を読みながら議論を進めていきたいと思います。
昭和二十七年の六月十二日の官報、このときにいわゆる決議が上げられたわけであります。決議というのは何かというと、戦争犯罪者の釈放等に関する決議というのが上げられた。その決議というのは、
講和条約が発効し、独立の日を迎えた今日、衆議院は、国民大多数の感情と家族縁者の切実な念願に副い、フイリピンにおいて死刑の言渡を受けた者の助命、同国及びオーストラリア等外地に拘禁されている者の内地送還について関係諸国の諒解を求めるため、又内地に拘禁されている者については平和条約第十一条による赦免、減刑及び仮出獄の実現を図るため、政府の速やかな措置を要望する。
これが決議されたわけであります。
このときに、益谷さんという、何人か出ています、社会党の女性議員も発言をしている。益谷さんが発言の途中に、既にして、調印された日華条約において、中国ですね、日華条約においては、戦犯者に対する条項は、国民政府においてこれを放棄し、これが批准の暁には、関係戦犯者は即日釈放せられる。また日印条約においても、インド政府が進んでこの条項を放棄せられた。こういうことが書いてあります。
さらに、このときの議論の中で、これは、改進党というのがそのときあったんですね、その後、合流しているわけですが、改進党の中村又一さんという方の表現の中で、さらに一言いたしますならば、戦犯者に対する裁判は、国内犯の場合と異なって、いわゆる控訴、上告等の審級制度による利益も全く受けておらず、一審即判決確定となって服役したものであって、気の毒の至りでございます。しかも、裁判官は戦争に勝てる国がこれに当たり、戦勝者が戦敗者を裁き去ったのでありますから、経過とともにその裁判は再検討せられ、その刑の執行については、これを赦免することこそ、世界情勢の変化とともに適当とするに至るべきことは、この種国際裁判の特性であると言わざるを得ない。こう書いてあります。
堤ツルヨさん、これは社会党の女性議員であります。私は、ただいま上程になった戦争犯罪者の釈放等に対して賛成の意を表すると、これも言っているわけであります。
その後、これは、その年の、昭和二十七年の十二月の九日、同じような決議がまた出されているわけでありますが、その中で、田子一民さんという方が、自由党、改進党、社会党共同提案に対しての趣旨弁明をしながら、彼の発言の中でこういうふうな文言が書いてある。
およそ戦争犯罪の処罰については、極東国際軍事裁判所インド代表、有名なパール判事ですね、パール判事によりまして有力な反対がなされ、また東京裁判の弁護人全員の名においてマッカーサー元帥に対し提出いたしました覚書を見れば、裁判は不公正である。国会の議論でありますが、不公正であると。本会議の発言ですね。その裁判は証拠に基づかない、有罪は容疑の余地があるという以上には立証されなかったとありますと。
今の戸井田さんの話ではないですが、立証されないけれども怪しいからということで、どんどんこういった話が進んでいった。
裁判手続において十分な弁護権を行使し得なかった関係もあり、また戦争当初と事件審判との間には幾多の時を費やし、あるいは人違い、あるいは本人の全然関知しなかった事件もある。英国のハンキー卿は、その著書において、この釈放につき一言触れております。その中に、英米両国は大赦の日を協定し、一切の戦争犯罪者を赦免すべきである、かくして戦争裁判の失敗は永久にぬぐい去られるとき、ここに初めて平和に向かって決定的な一歩となるであろう。こういうふうなせりふがある。
私は、やはり、東京裁判を最終的にはもう一回検証するということは、これは絶対に日本の政府が、内閣がやらなければいけないことだと思っております。
この文章をさらに読みます。かくして、戦争犯罪者の赦免は、ひとり全国民大多数の要望であるばかりではなく、世界の良識の命ずるところである。これは当たり前であります。
その後、これは改進党を代表しての山下春江さんの発言。
インドのパール博士は、去る十一月十一日に、巣鴨の拘置所において、戦犯に対して、あくまでも正義を主張してやまない人間の真実の叫びとして、おおよそ左のようなあいさつをした。すべて、裁判官の真諦は、人間の心の中に法の公正に対する信頼感をもたらすことにある。その意味で、今次戦争最大の損失、最大の災害は、法的正義に対する信頼感の破壊であった。法律家の中に、連合国のつくった法は、敗者である皆さんのみを対象にしたものであって、彼ら自身もしくは一般人類に適用されないものであるということを告白している。それが事実ならば、そこに生まれたものは法律ではなく、そこに成り立つものは正義ではない。ここにおられる皆さんは可能なる最悪な不公正の犠牲者である。英国において上層部の間に論争が行われている。こういうふうな文章が書いてある。
そして、さらに書いてある。
勝った者が負けた者を裁くという一方的な裁判として行われた。戦犯裁判の従来の国際法の諸原則に反して、しかも、フランス革命以来人権保障の根本的要件であり、現在文明諸国の基本的刑法原理である罪刑法定主義を無視して、犯罪を事後において規定し、その上、勝者が敗者に対して一方的にこれを裁判したということは、たとえそれが公正なる裁判だったとしても、それは文明の逆転であり、法律の権威の失墜である、ぬぐうべからざる文明の汚辱である。こういうふうな文章が書いてあります。
もう一つある。これは、さらにそういったものを受けて、昭和三十年にこの辺の、当時、だから昭和二十年から三十年、敗戦してから十年間ぐらいは日本人もまだ気骨がありましたから、東京裁判はおかしいということの議論が行われているわけであります。
あと、この中に書いてあるのは、例えば、社会党を代表して古屋さんという人の意見。
世界の残虐な歴史の中に、最も忘れることのできない歴史の一ページを創造したものは、すなわち広島における、あるいは長崎における、あの残虐な行為であって、我々はこれを忘れることはできません。これ、拍手が生まれていますね、本会議で。この世界人類の中で最も残虐であった広島、長崎の残虐行為をよそにして、これに比較するならば問題にならぬような理由をもって戦犯を処分することは、断じて我が日本国民の承服しないところであります。これは社会党が言っているんです。
そこで、私は聞きたいんですが、とんでもない話であります、東京裁判は。時間も余りないので、米軍による原子爆弾投下についてどれぐらいの被害があったか、簡単に教えてほしい。
○宮坂政府参考人 昭和五十一年に、国際連合に対する要請に際しまして、広島市、長崎市がそれぞれ資料を提出しておりまして、それによりますと、広島市の被爆による死亡者数は約十四万人、長崎市は約七万人とされております。
以上であります。
○松原委員 この中にある今の社会党の方の発言、日本がやったこんなものよりも、はるかに広島、長崎の原爆の方が問題である、これは昭和二十七年の十二月の発言です。
この発言に対して、官房長官、同意できますよね。お伺いしたい。
発言の中身を言いましょうか。発言の中身はこういうことです。
世界の残虐な歴史の中で最も忘れることのできない歴史の一ページを創造したのは、すなわち広島における、あるいは長崎における、あの残虐な行為である、この世界人類の最も残虐であった広島、長崎の残虐をよそにして、これに比較するならば問題にならぬような理由をもって戦犯を処分することは、断じて我が日本国民が承服することのできないところだと社会党の人が言っている、昭和二十七年に。これに対して所見を。
○塩崎国務大臣 比較をすることはなかなか難しいと思いますけれども、原爆、これについては、今数字をあらわされたように、この被害の広さ、深さを考えてみれば、人道上極めて遺憾な事態であって、これは政府として、原爆の悲惨さとこれを二度と繰り返してはならないという、我が国の言ってみれば国是とも言えるような政策で、これを平和実現のためにやっていかなきゃいけない、こういうことだと思います。
○松原委員 アメリカはこの点に関して日本に謝罪をしましたか。
○塩崎国務大臣 謝罪があったということは承知をしておりません。
○松原委員 謝罪をしないことは、それは、官房長官から見て謝罪をするべきだと思いませんか。
○塩崎国務大臣 戦争という異常事態の中でのことでありますから、それは終わり方というのは終わり方としてもう既に済んでいることであろうと思いますので、その点は、私どもとしてはコメントいたしたと思います。
○松原委員 内閣でまだ議論していないんでしょうけれども、このとき、昭和二十七年に社会党の方が言っている、これは正論ですよ。
東京大空襲でたくさんの人が死んだと思います。その数字はいいです。これに関してアメリカは日本に謝罪をしましたか。
○塩崎国務大臣 謝罪をしたというふうには承知をしておりません。
○松原委員 謝罪をしないことは、それは別段構わない、こう思いますか。
○塩崎国務大臣 戦争というのは裁き方というのはいろいろあって、今回の戦争についての裁きは裁きとしてあったというふうに思っておりますし、我が国は平和条約を受け入れているというふうに認識をしております。
○松原委員 アメリカは、原爆について謝罪をせず、東京大空襲で一般の人を、無辜の人間を、命を殺しまくったにもかかわらず謝罪せず、しかし、慰安婦に対して謝罪しろと言う。矛盾していると思いませんか。
○塩崎国務大臣 議会が決めることでありますので、我が国の議会もいろいろなことを決めることがあるわけであって、他の国の議会のことを政府として他の国から言うのは余りふさわしくないと思っております。
○松原委員 大変に残念であります。官房長官もそこまでしか言えないということであるならば、これは今の日本がいかに自己主張ができない国かという証拠になろうというふうに思います。
この原子爆弾の問題、そして、これは事実あったわけですから、東京大空襲は事実あった。事実あったかなかったかわからないというか、実際はなかったんですけれども、その従軍慰安婦の問題や、それから南京大虐殺という、実際なかった、なかったことはこれからもどんどん証明されてくるでしょう、そのことで謝罪をし、あったことに対しても謝罪をさせないし、求めない。これが日本の外交の指針であるというならば、これはもうしようがないですが、私としては、昭和二十七年の社会党のこの議員の発言は、本当は国民の留飲が下がる話だろうと思っております。
ぜひともその辺を大いに検討していただきたいということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○平井委員長代理 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
本日は、子供の安全、そして社会全体の安全ということについて質問をさせていただきたいと思います。
まず、石川県能登半島地震においては、たくさんの被害が出ております。亡くなられた方、そして多くの被害に遭われた方に、私もお見舞いを申し上げたいというふうに思います。そのことについても後ほど少し触れたいと思いますが、まず、警察庁にお伺いをしたいと思います。
最新の一年間のデータで結構ですが、略取誘拐、これの件数がわかれば教えてください。――わからない。言っていただこうと思ったんですが、平成十七年で二百五件、略取誘拐という事件が発生をいたしております。もう一方で、この二百五件のうち百四件が、十三歳未満の子供がそういった被害に遭っている。ですから、約半分が子供の被害ということになっておりまして、そういった意味では、この事件が大変子供にかかわっている事件であるということがわかるというふうに思います。
こういった略取誘拐ということについて、官房長官、もし御存じであればなんですが、アメリカにアンバー・アラートという名前のシステムがあるのを御存じでしょうか。
○塩崎国務大臣 存じ上げません。
○泉委員 まず、この制度というかシステムについて少し御説明をさせていただきたいと思います。
このアンバー・アラートというのは、一九九六年にアメリカの方ででき上がったシステムなんですが、アンバーちゃんという女の子が誘拐をされまして、そこで殺害をされた。その事件を契機に、こういった事件が二度と起こらないようにということで、アメリカでは一九九六年から、ラジオやテレビあるいは高速道路の電光掲示板等に誘拐者の情報を即座に乗せる。災害発生時と同じように、一気にテレビ、ラジオあるいはそういった高速道路の電光掲示板に、例えば犯人の車の車種とか年式、そういったものを乗せるというような取り組みを進めております。
もちろん、これには発令の条件、必須条件というのがございまして、それは、警察サイドが十八歳未満の子供が誘拐されたという事実を明確に確認すること、これが一つです。そしてもう一つが、誘拐された子供が緊急性を要す状態で危険な状態にあるということ。そして三つ目が、情報を公開することによって子供の命を救えると考えられること。もちろん、これは日本の国民性、アメリカの国民性、また略取誘拐の背景の違いというものもいろいろありますので、一概にすぐにそのままアメリカの制度を日本にということではないんですが、アメリカでは誘拐された子供の七四%が三時間以内に何と殺害をされているというようなデータもあるようでして、そういった意味では時間との闘いという側面が強いということから、こういうアンバー・アラートというようなシステムができ上がっているそうです。
私は、今後、日本の中にもこういった略取誘拐、一時期は、つい数年前なんかは若者を拉致るという言葉で、車に無理やり連れ込んで監禁をするというようなことも世の中の社会問題として随分と取り上げられました。こういうアンバー・アラートというアメリカのシステムをいずれこの日本でも検討していかなくてはならないのではないかというふうに思っておりまして、きょうはそういったことについても詳しく、ほかのこれまでの日本のとってきた犯罪情報あるいは不審者情報の活用ということと重ね合わせながら、私は質問させていただきたいと思います。
このアンバー・アラートというもの、まだ聞いたばかりで余り深くは考えられないかもしれませんが、官房長官の率直な印象というか、日本の中でこういうものをやっていけそうかというのを、御感想があればお聞かせいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 全く初めて今お聞きをいたしたので、何とも判断のしようもないわけでありますけれども、アメリカでは、特に性犯罪者の情報についてはホームページなどで公開をして、また、家にもそれがわかるようにしているというようなことで、社会を犯罪から守っていこうという試みが数々なされているということはよく聞いております。
日本でも、いろいろな形で犯罪を未然に防ぐ、あるいは救出をする、犯罪によって自由を奪われた子供や女性、そういった方々にプラスになることで、なおかつ社会防衛になる、なおかつ基本的な人権等々にかかわらなければ、いろいろな工夫は、今どきのことでありますからいろいろな通信手段等々ありますので、何かいい知恵があれば、やっていけばいいことの一つの参考になるものではないのかなということを今お話を聞いて直感的に感じたところでございます。
○泉委員 警察庁では、このアンバー・アラートということについての認知、認識、あるいはこれまで何か研究、検討されたことはございますでしょうか。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
今のアンバー・アラートのお話でありますけれども、私は今初めて伺いまして、ちょっと内容も詳細承知しておりません。
ただ、誘拐ということで申し上げますと、身の代金誘拐というケースもありまして、直ちに公表することがいいのかどうか、ためらうケースが結構あると思います。ですから、事案の概要にもよって、また情勢にもよって提供できるもの、できないものがあるのかなというふうに考えます。
○泉委員 確かに、子供の命が一番優先されるということが大前提でありますので、そういった人命を大前提としながらも、このアンバー・アラートというものが日本の中で根づいていけば、逆に言うと、誘拐あるいは略取というものがもう成立しないという抑止効果にもつながるのではないのかなと。誘拐をすれば即座にその情報というのはすべて表に公開をされる、そして周囲が監視をしているという状況になるんだということを犯人が知ることによって、そういった犯罪を成立させることはできないというふうに意識を持っていくこともできるのではないのかなというふうに私は思っております。
そういったことも含めて、ぜひ警察庁にはこのアンバー・アラートというものの調査をまずしていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
○片桐政府参考人 今初めて伺いましたので、私どもでも調べてみたいと思っております。
○泉委員 ありがとうございます。
それで、全国各地で今、略取誘拐という話もしましたが、街頭犯罪、ひったくりや痴漢、あるいはわいせつ行為、暴行、いろいろな犯罪が問題になっております。それが体感治安の悪さにもつながっているということなんですが、そういうものに対応すべく国の方でもさまざまな対策をとっておられますけれども、今、全国の都道府県警で、犯罪情報、事件情報をインターネットあるいは携帯メールで配信されている都道府県警の数、これはどれぐらいありますでしょうか。
○片桐政府参考人 今お話がありましたように、子供の犯罪を初め犯罪を防ぐためには、各個人が自分の身は自分で守るという観点から御注意いただく、警戒いただくということは大変大事なことだと思っておりまして、そのためには、私どもが持っている犯罪に関する情報をなるべく広く国民の皆様にも御提供すべきだということで、現在、犯罪情報の発信ということを、各都道府県警察に対してそういうことをやるようにということを指示しているところでございます。
そこで、今お話があった実際の提供状況でございますけれども、インターネットを使った情報提供は全都道府県で現在やられております。それから、メールを使ったものでございますけれども、現在、三十七の都道府県警察が、警察みずから行っているということでございます。それ以外に、警察が情報を提供して自治体とか教育委員会が独自にそれを公表するというところが八の県警察でございまして、これを合わせると全国で四十五の都道府県においてこういった情報発信活動が行われているという状況でございます。
○泉委員 事件についてお伺いします。それは不審者情報も含めてのお話でしょうか。
○片桐政府参考人 今申し上げました三十七の都道府県のうち、不審者情報と犯罪情報、両方やっている県が三十五でございます。
○泉委員 ありがとうございます。
このメール配信の中身、例えば、どの程度までが許される、どの程度までは許されない、あるいはこういうものを配信すべき、そういうことについては、警察庁から全国へ、何か指針、方針というものは送られているんでしょうか。
○片桐政府参考人 具体的な内容につきましては、事件にもよりますし、これは各都道府県警察に任せているということでございますが、ある県の例を申し上げますと、何月何日何時ごろ、どこそこ付近の路上ではさみを持った男が徘回をしていた、この男が道路で車の妨害をしていたとか、こんなような情報を流しているというふうに聞いております。
○泉委員 今言っていただいたような犯罪情報、今随分と多く配信がなされるようになりました。
今、途中から平沢副大臣が来られましたので、担当ではないんですが元職の関係もあって、アンバー・アラートということの質疑をちょっとさせていただいたんですが、その言葉は御存じでしょうか。
○平沢副大臣 私は知りませんでした。
○泉委員 どうも済みません。
改めてなんですが、これは、アメリカでアンバーちゃんという小さい子供が誘拐をされて殺害された事件を契機に、誘拐事件があった場合に、テレビ、ラジオ、携帯メール、あるいは高速道路の電光掲示板等々に一気に情報を配信して、犯人の検挙あるいは誘拐事件の解決につなげていくという、例えば車の年式ですとか車種、色、そういったものも流すとか、そういったシステムがアメリカではありまして、先ほど言い忘れましたが、百七十名ほどの子供たちの命がそれで救われたという実績もあるようでして、そういったことをぜひ今後日本でも検討していくべきではないかということを実は前段で申し上げました。担当の分野ではありませんが、大変申しわけございません。
それで、日本でも、今こうして不審者情報や犯罪情報が携帯あるいはインターネットで配信をされるようになりました。きょうお配りをした紙、これはその一例であります。京都府、京都府警が行っておりますメール配信イメージというものです。
これは、たしか安倍官房長官のときにも子供の安全対策、安心対策ということで、その中にも盛り込まれていた内容の一つかと思いますが、要は、犯罪情報があれば、全国いろいろな形があるんですが、これを一般人から集めるケース、あるいは警察が認識したものを情報として載せるケースがございます。そして、教育機関や全国の学校に配信をして、そこからまたPTA会長やさまざまな保護者へというパターンもあります。
最近、やはり携帯のメールが随分普及していますから、直接個人がサーバーに登録をして、そしてその登録をしたところから、この京都府・京都府警サーバーというところに「配信情報の種類」というのが書いてあります。「一 犯人が逃走中の強盗事件など二次被害の危険性がある緊急情報」「二 痴漢や不審者情報などのローカル情報」「三 災害時の避難勧告や避難指示」ということになっておりまして、横から「京都市消防局」という矢印も引っ張ってありますけれども、この場合は、災害が起こった場合の避難勧告や避難指示ということになっております。こういった形で、京都府においては安心安全情報ということで、犯罪、災害という二つについて配信をしているということになります。
その京都市消防局というふうな四角の囲みの右側に、角のない四角い囲みがありますけれども、そこをよく読んでいただきたいんです。「一、安全情報は、全ての情報が配信されるものではなく、京都府警が必要と判断した情報のみ配信される。」「二、京都府警の判断により配信が教育機関止まりになる場合がある。」「三、警察による捜査(事実確認)のため、事件発生から配信まで時間を要する場合がある。また、情報の流れは公的機関からの一方通行であり、配信された情報に対する返信や問い合わせはできない。」こういう条件がついているわけなんです。
こういった条件については、全国各地の警察また自治体によってかなりばらつきがあるということを、私は、簡単な調査ですがさせていただいて、気づいているわけです。
例えば、今ここにお配りした紙の京都府警においては、すべての情報が配信されるものではなく、京都府警が必要と判断した情報だということですね。
一方では、東京の近郊というか東京都内の各都市でもこういった同様の取り組みがなされています。
例えば東大和市などでは、子供がいろいろなところで不審者に遭う、そうすると学校の先生にまず言うんですね。まあその前に保護者がいるでしょう。保護者あるいは学校の先生に話が行って、そして保護者や学校の先生から教育委員会に上げられて、そこから市役所に話が行って、市役所が情報を配信するという形をとっております。
実は、そこには警察は入らない。警察が確認した情報じゃなくても、子供たちが確認をして保護者や学校を通過した情報で市役所が受け付ければ、その情報は市民に配信をされるというような方法をとっているところもございます。
そして、例えば埼玉県の川越市の場合であれば、情報の中でも、基本的には犯罪情報のみであって、災害情報は皆さんには配信をしていないという事例もあったりします。
そういうふうに、それぞればらばらというような状況がありまして、私は、こういった事例が随分ふえてきておりますので、子供の犯罪に限って情報を渡すというところもある、一方では、どこどこで車が盗まれました、皆さん気をつけてください、こういう大人の情報というか社会一般の犯罪、この情報を流すところもあるということで、かなりばらつきがあるので、そろそろ、こういった取り組みを総合的に事例を集めて研究をして、どんな情報が市民にとって役立つのか、あるいは最低限どの情報は配信すべきなのかということについて研究をしていただく時期が来ているのではないのかなというふうに思っております。
その点で、災害担当の平沢副大臣、そして政府の方で子供の安全対策ということで取り組まれている塩崎官房長官、御答弁をいただきたいと思います。
○平沢副大臣 子供の安全対策では、私が警察に在職中のときも、例えば無線が通じるタクシーの方々、それから、そのほか、ふだん地域を回っておられる例えば消防団の方々とか、そういった方々にいろいろと防犯の関係のお願いをしたということはよくあったわけでございます。
今委員御指摘のとおり、やはり犯罪の抑止といいますか防止のためには国民の皆さんの御支援、御協力が不可欠なわけでございまして、そのためには、警察官だけではこれはとても防げませんので、ふだんから地域を回っておられる方というのは、例えば郵便配達の方もおられますし、あるいは新聞配達の方もおられますし、あるいは犬の散歩をしておられる方もおられるわけで、そういったすべての方々に、何らかの形で情報を伝達して、そしていろいろと情報提供、あるいは何らかの犯罪の抑止のためのいわば御協力をお願いする、こういったことがこれから不可欠になってくるんではないか。要するに、地域ぐるみの犯罪抑止ということを考えていかないと、私は、例えば子供たちの安全ということも守れないのではないかなと思っております。
○塩崎国務大臣 基本的には、今平沢副大臣がおっしゃった考え方、私も共感するわけでありますが、平成十八年六月に犯罪対策閣僚会議・青少年育成推進本部合同会議というのがありまして、そこで、子ども安全・安心加速化プランにおいて不審者情報等の積極的な提供を促進するというようなことなどを掲げているわけでございます。
今先生御指摘のように、いろいろなインターネット、メール、昨今のことでありますから、逆に、今平沢副大臣が言った、地域をよく回っていらっしゃる方々から画像を送ってもらうとか、いろいろな形のものが確かにあり得るなということを今お伺いをして感じたところでございまして、既に県警などで行っている、今京都の例を出していただきましたけれども、こういうようなケースを含めて、いろいろなニーズに備えたいろいろな不審者情報あるいは犯罪情報を流す、そのことによって失われなくてもいい命を救うということにつながるならば、あらゆることを考えていくべきではないか。
もちろん、プライバシーの問題等々気をつけなきゃいけないことはたくさんあると思いますし、一番大事なのは被害者の命を守るという、先ほど先生御指摘のとおりでありますから、そういうようなことで、時代の流れで技術進歩に応じて、どんどんいろいろなアイデアを出して、犯罪のない社会を目指して頑張っていかなきゃいけないなというふうに思います。
○泉委員 平成十七年の十二月二十日に「犯罪から子どもを守るための対策」、これは関係省庁連絡会議、そこでも同様の取りまとめがなされておりまして、調査研究を平成十八年度から推進するということになっておりました。
警察庁、この点について、その調査研究というのは現在どのような状況になっておりますでしょうか。
○片桐政府参考人 それは政府全体の計画でございまして、私どもとしては、現在、子供に焦点を当てた調査研究というのはやってはおりません。
ただ、今お話があった、インターネットの情報を、有益な情報はこういうものだよということを教えるために、今全国でどんな情報を流しているか調べていまして、まとまったらそれを各県に一覧表として流して、こういう形にした方がよろしいんじゃないかという推奨はいたしたいと思っています。
○泉委員 済みません。関係省庁連絡会議ということであれば、警察庁というより官房長官にお伺いをするべきなのかもしれませんが、この調査研究については何か御存じですか。
○塩崎国務大臣 今、急な御指摘でちょっと調べておりませんので、調べて御報告いたしたいと思います。
○泉委員 どうぞよろしくお願いいたします。
それで、時間も余りありませんので、私が見る中で大変すばらしいと思うものが幾つかございました。
いろいろな都道府県の携帯サイト、これを見比べさせていただきました。そうしますと、例えば山形県警などは非常にすばらしいなと思いましたのは、盗難車のナンバーを公開しているんですね。何の何々、何々何々という番号を全部基本的に公開をされていまして、そうすると、犯罪に使われたときにすぐ携帯などに配信をされるのでわかりやすいということで、非常にすばらしいなと。
そして、各都道府県警のインターネットサイトでも、例えばオウムの平田容疑者ですとか菊地容疑者、そういった重要な指名手配犯の場合は公開をしているケースが非常に多いんですが、それのみならず、ひき逃げ情報や強盗の情報、こういったものも公開をして、捜査に協力をしてくださいというような呼びかけをしている。これも山形県警、大変すばらしいな、そういうふうに思いました。
そして、もう一つ言いますと、兵庫県警や三重県警などは、ほかにもやっているところはあると思うんですが、メール一一〇番というのをされているんですね。携帯サイトで警察相談窓口というふうに書いてあるサイトは幾つかあったんですが、耳の聞こえない人も含めて携帯電話から一一〇番できるようにしましょうということで、携帯電話に実際に画像を載っけて、ここでメールを送ればそれは一一〇番扱いになりますよということをされていたわけですね。これは、私は三重県警、兵庫県警、すばらしいやり方をとっておられるんではないのかなということを感じました。
それで、こういった形で、かなりさまざまな犯罪情報の配信、防犯情報の配信というのがされているわけですが、例えば市役所から配信をされている幾つかの自治体を見ると、基本的に情報が配信されるのは市役所があいている時間内だけですというふうになっておりまして、かなりこれまたタイムラグが、金曜日の夜に事件が起こったら月曜日に届く、下手をすると月曜日の午後ぐらいになってしまうということを現場の担当者の方はおっしゃられていました。
そういった意味では、情報にタイムラグが生じるということもありますし、逆に言うと、捜査中の犯罪ほど市民の皆さんには情報が届かないという現状がありまして、それは、今は防災あるいは防犯意識の向上という役割でメール配信をしているのみだと思うんですね、基本的には。それを、捜査の協力というところまでメール配信の目的というか役割を広げていくかどうかというところが、今、この犯罪情報の配信については大きな境目というか分かれ道が出てきているのではないのかなというふうに思っておりまして、今後は、そういった捜査への協力という観点からも、ぜひこのメール配信というものを積極的に行っていただきたいというふうに私は要望をさせていただきたいと思います。
警察白書を見ると、最近は国民が余り捜査に協力をしてくれなくなったと書かれておりますけれども、私は決してそんなことはないと思っておりますので、ぜひ、国民の皆さんがたくさん持つようになった携帯というものを使いながら、犯罪を防いでいく、あるいは犯罪者の検挙につなげていくということをやっていただきたいと思います。
それで、平沢副大臣、防災ということでちょっとお伺いをしたいんですが、今回の能登半島地震ということで石川県警も調べさせていただきました。石川県の県警、そして、石川県の例えば輪島市や七尾市のホームページも見させていただいたんですが、ボランティア募集情報やあるいは給水車がどこどこにある、こういうことはしっかり携帯サイトに載っておりまして、市役所の方はそういった情報提供の機能は随分とよくなってきているなという感じがいたしました。
私はあの新潟の地震のときにも救援物資を届けて長岡に入っていったのですが、そのときに、高速道路をおりたところで警察のパトカーが配備をされているわけですね。なぜかといいますと、こういった最近の災害においては、空き巣に入ってくる人間が非常に多い。避難所に逃げたその避難者をねらって、空き巣、強盗、強盗というかそういった犯罪に外部から侵入してくる者が非常に多くなってきております。
そういった意味で、警察は、災害用の態勢というか取り組みを、災害対策の中に災害時における犯罪対策ということも、よりこれからは考えていかなくてはならないのではないかと思っておりまして、その意味では、例えば避難所に警察官がこういうふうに回るようになっておりますとか、避難所には警察官をこのように派遣をいたします、あるいは、こういった状況に応じて、皆さん、それぞれの御自宅、倒壊の危険性はあるけれども貴重品は必ず持ち出すようにしましょうとか、こういったこともメールでの情報配信は可能ではないのかなというふうに思っておりまして、自治体だけが今やっている状況ですから、そこはぜひ県警にもその観点を持っていただきたいというふうに私は思っております。
平沢副大臣、いかがでしょうか。
○平沢副大臣 まず、先ほどの捜査協力についての情報提供、国民への呼びかけですけれども、従来、これについては、私の在職時の経験でいいますと、どうしてもポスター等に頼りがちだったんですけれども、今は時代が変わっていますので、例えばメディアをもっと活用するとか、今委員御指摘のようにメールを活用する、これは当然のことではないかなと思っております。
それから、災害時の取り組みでございますけれども、まさにおっしゃるように、犯罪というのは、諸外国の例を見てみますと、こういった災害時に非常に犯罪が多いわけで、日本ではまだ余りそこまで報告はないようですけれども、これからは十分起こり得ることでございますし、もっと具体的なケースで言いますと、例えば、御不幸があったときの御自宅がねらわれるとか、そういったことはよくあるわけでございまして、そういったことに関しての注意喚起といいますか呼びかけ、これはもっと警察としてしっかり取り組んでいかなきゃならないわけです。
そういったことに関しましていろいろな方法でやはり呼びかけはしなければならないわけで、その中の一つとして、今御指摘のありましたメールというのは極めて有効な伝達手段ではないかなと思っております。
○泉委員 終わります。
○平井委員長代理 次に、川内博史君。
○川内委員 民主党の川内でございます。早速、質問を始めさせていただきます。
朝、テレビを見ておりましたら、今、政府側では公務員制度改革が大変な山場を迎えていらっしゃるということで数々の報道がされておりましたが、その中で、いわゆる天下りの人数について、テレビ局の報道では、二万二千人の方々が天下っているというふうに報道をされておりました。
その中で、その二万二千人の数字の下に、括弧書きで衆議院調査局調べというふうに出ておりまして、これは、我が党が予備的調査で衆議院に調査をしていただいたときの数字であろうというふうに思いますが、公務員制度改革を担当される大臣として、天下りの人数について今現在どのように把握をされていらっしゃるのかということを、まず数字をお尋ねさせていただきます。
○渡辺国務大臣 私も実態が非常に大事だと思いまして、菅総務大臣にお願いをし、実態調査をしていただいているところでございます。できるだけ早く出していただきたいという要請をいたしておりますので、そう遠からぬうちにこの実態の数字は出てくるかと思います。
今、委員が御指摘になられました二万二千人という数字は、私、不勉強にして存じ上げませんけれども、民主党さんの方で衆議院の調査局にお調べになりなさいということでやった数字であれば、それはそれで大いに参考になる数字ではなかろうかと思います。
○川内委員 昨日決定をされた質問主意書に対する答弁書の中では、押しつけ的な、ごめんなさい、正確に政府の言葉遣いを申し上げます。予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんがあったであろうと推測していると政府として正式に答弁をしていらっしゃるわけでございます。
それでは、今現在調べていらっしゃる天下りの総数の中のどのぐらいの割合が押しつけ的なあっせんによる天下りであるというふうにお考えになっていらっしゃるのか。大体の割合がこのくらいなんじゃないかというようなことがもし大臣として御所見があれば、お答えいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 押しつけ的あっせんによる再就職というのは、別にこれは法律の用語ではないんですね。政治的な言葉遣いが多分にある話でございまして、これの定義がどうかというような議論は余り有意義なものとも思われません。
しかし、総理が繰り返し、予算と権限を背景に、押しつけ的あっせんによる再就職は根絶する、こうおっしゃっているわけでありますから、どういうものまで含むのかと考えまして、霞が関の内側から見れば、これは押しつけなんてやっていませんよ、みんな向こうから要請されて情報を出しているだけです、こういう話になろうかと思うんですね。しかし一方、各省が人事の延長線としてやっている天下りあっせんというのは、これはもう予算と権限を背景にして、国民の方から見ると押しつけのように見えてしまう、そういうものもかなりあるんじゃないのかということで、総理がそのような表現ぶりをされたわけでございます。
したがって、御指摘の、昨日閣議決定をいたしました質問主意書の中でもそういった表現を使っておるわけでございますが、それが一体何割になるのかと言われましても、まだ実態が明らかになっていないわけでございますから、割合を言えと言われてもなかなか難しいものがございます。
○川内委員 実態がわからない中で法律だけがつくられようとしているとしたら、それは大変、問題の解決につながらないことを危惧いたします。(渡辺国務大臣「と抵抗勢力は言うんです」と呼ぶ)いや、抵抗勢力ではなく、大臣、問題があり、そこになぜそのような問題が発生するのかという原因があるからこそ解決策が提示できるのであって、実態が何もわからないというのに、実態がわからない中で解決策なんかあり得ないじゃないかということに対して、それは抵抗勢力の発言だなんというのは失礼な発言ですよ。一体何を言っているんですか。謝罪してくださいよ。
○渡辺国務大臣 私が言っているのは、実態は大事だと申し上げているんです。(川内委員「では答えろよ、数字を」と呼ぶ)実態が大事だから調べていると申し上げているんですよ。いいですか。(川内委員「実態もわからないで、解決策がどうやって出るんだと聞いているんです」と呼ぶ)実態が大事だから、今総務大臣の方で調べてくださいということを申し上げているんです。
○川内委員 実態がわからないのであれば、解決策などは出てきようがないということを言っているんですよ。だから、実態がわかるまでは解決策は出ないんですね。
○渡辺国務大臣 数字が出てこないという側面、でも、大体大まかな数字は、先ほど委員が御指摘されたように、ストックベースではあるわけですね、二万二千人ですか。それから、大体一万人ぐらい毎年退職をされる。そのうち、いわゆる早期勧奨退職者が四千人という説もありますね、説ですよ。そのうち、あっせんによって就職している人が二千人ぐらいだという説もございます。これはきちんとしたクレジットのついた数字ではありませんが、そのようなことを言う方もいらっしゃいます。
ですから、そういうことを今総務大臣の方で調べて、できるだけ早くこういった数字を出していただくということになっているわけでございまして、一人、二人のレベルまで全部今出せと言われても、そういう数字はまだ残念ながらありませんということを申し上げているんです。
○川内委員 一体何をおやりになっていらっしゃるのか、私には理解しがたい部分があります。
予算や権限を背景とする押しつけ的なあっせんとは具体的にどのようにして行われるのか、それは各役所のどのようなセクションで行われるのかというような実態、それに基づいて何人ぐらい天下りをしている、それと関係のない本来の再就職が実態としてどのくらいある、したがって、このくらいの部分については根絶をするためにこうするのだというのが正しい解決のあり方であって、今渡辺大臣がおやりになっていらっしゃることは、若干空回りをしているのではないかということを御指摘を申し上げておきたいというふうに思います。(渡辺国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、もう答弁は求めません、意味がないですから。もう、どうぞお引き取りいただいて結構です。これで質問は終わります。
いや、私は国民の代表として政府に指摘する立場ですから、その指摘は甘んじて受けて、帰らなきゃいけないんですよ。
大臣、退席で結構です。いや、これは事務方から言われていたんですから、質問が終わったら大臣を帰してくださいねと。だから、帰っていただいて結構だと言っているんですから。
それでは、児童扶養手当のことについてお尋ねをいたします。
二十年の四月から児童扶養手当の一部支給停止が始まるわけでありますが、これに関しては、一部支給停止、二分の一を上限としてということが法律に書いてあり、その具体的な手続については政令で定めるというふうになっておりますが、この政令を定めるに当たってのスケジュール、そしてどのように定めていくのかということについてお答えいただきたいと思います。
○大谷政府参考人 お答え申し上げます。
児童扶養手当でございますが、平成十四年の改正におきまして、離婚等による生活の激変を緩和するための給付へと、その位置づけを見直しました。受給期間が五年を経過した場合には、その一部を支給停止する仕組みを導入したところでございまして、今御指摘のありましたように、平成二十年四月から実施に移すということになっております。
今後の運びでありますけれども、一つは、一部支給停止の対象外となるものの範囲あるいは支給停止する額について検討を進めることとしておりますけれども、具体的に、夏ごろにまとまります全国母子世帯等調査の結果などを踏まえる、それから二つとして、法律改正時にいただきました附帯決議、この附帯決議を踏まえまして、改正法の施行の状況なども勘案しながら、今後、年末の予算編成に向けて結論を得ていきたいという現在のスケジュールでございます。
○川内委員 平沢副大臣は少子化担当の副大臣でいらっしゃいます。最近、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむというところが出した「母子家庭の仕事とくらし」というアンケート調査の結果の冊子がございます。これをぜひお取り寄せいただいてお読みいただきたいというふうに思いますが、母子家庭のお母さん方の大変厳しい状況が赤裸々につづられております。児童扶養手当を一部支給停止されるというのは、これはもう本当に彼女たちにとっては、ただでさえ厳しい状況がますます厳しい状況に追い込まれるということになるわけであります。
少子化対策の基本法では、子供を生み育てやすい環境を整備することが政府の役割だということになっています。子供を生み育てやすい環境を整備すること。では、児童扶養手当の一部支給停止をすることが子供を生み育てやすい環境、もっと言えば子供を育てやすい環境を整備することにつながるのか。私はつながらないと思いますよ。子供を育てやすい環境を整備することが政府の役目であるというときに、児童扶養手当を削られたら今よりもっと厳しい状況になるというお母さんたちの叫びに、私は政府として真摯に耳を傾けていかなければならないというふうに思います。
そこで、まず少子化担当副大臣から御答弁をいただく前に、厚生労働省から御答弁をいただきたいと思います。
平成九年の中央児童福祉審議会の報告書、答申の中に、児童扶養手当の削減に向けての文書が書かれているということでございますが、この中に、二分の一を上限としてとか、あるいは削減をするとかいう言葉が出ていたのかどうかということをお答えいただきたいと思います。
○大谷政府参考人 前回のこの改正につながる議論といたしまして、省庁再編で審議会の統廃合になる前、平成九年、当時の中央児童福祉審議会児童扶養手当部会におきまして、今後の基本方向について議論され、報告書がまとめられたところでございます。
その中で、母子家庭が就労等により自立できるようにすることを明確に目指した総合的支援制度に再編を図っていくことが必要だというのが一点。それから、児童扶養手当については、自立を総合的に支援する制度の一環として位置づけ、母子家庭等に対する自立支援手当的性格とし、必要度の高い者に給付を重点化、効率化、有期化することなどが課題として挙げられておるところでありますが、二分の一といったような具体的な中身が平成九年にあったわけではございません。
○川内委員 中央児童福祉審議会の児童扶養手当部会の中では、総合的に検討をしていくという旨の記述はされているが、二分の一を上限として削るとか、そういうことは書いていないんですよ、この答申には。
したがって、国会の附帯決議の中でも、児童扶養手当の一部支給停止に係る政令を定めるに当たっては、調査をきちんとしなさいとか、あるいは母子福祉団体、先ほど申し上げたしんぐるまざあず・ふぉーらむなどのような母子福祉団体からよく意見を聞いて、それで政令を定めるべきだという附帯決議が衆参の両院でついています。
平沢副大臣には、児童扶養手当を削られるお母さん方の意見をよく、聞くんじゃない、踏まえて政令を定める、政令の改正に着手をするということを、これは厚労省が一義的にはやることですが、少子化担当の副大臣としてもしっかりとそこに意見を言っていくということはおっしゃっていただかなければならないし、シングルマザーのお母さん方の意見を平沢副大臣にもしっかり聞いていただいて、それを政令に反映させていかなければならないというふうに私は思いますが、副大臣としての御所見を賜りたいと存じます。
○平沢副大臣 今委員から御指摘のあったとおりだろうと思います。
母子家庭、もちろんいろいろなケースがあるわけでしょう。ですから、中には、就労支援で自立できる方もおられるでしょうけれども、たとえ五年たってもお困りの方もいろいろおられるわけでございまして、そういう方々にも安心して子育てができるような形でやらなきゃならないわけでございます。
調査の結果が夏ごろ出るわけでございまして、それに向けて予算編成も行われるわけでございますけれども、いずれにしましても、シングルマザーの方々が困ることのないように、今委員が御指摘のように、そうした方々の御意見もしっかり聞かせていただきながら取り組んでいきたいと思います。
○川内委員 いや、意見を聞かせていただいてじゃなくて、聞かせてという言葉を使うと、聞いたらいいんだということになってしまいます。踏まえてと言っていただけませんか、意見を踏まえてと。
○平沢副大臣 まずは意見をお聞きしまして、その上で、その御意見をしっかり踏まえさせていただいて取り組んでいきたいと思います。
○川内委員 ありがとうございます。
それでは、次の論点に移らせていただきたいと思います。
予算委員会でも話題になりましたが、偽装請負の件で伺わせていただきます。
平成十七年の四月から平成十八年の十二月までに厚生労働省が監督をした、偽装請負に係る監督された一部上場企業は何社ありますか。
○鳥生政府参考人 平成十七年度から平成十八年十二月までに請負発注者に対する監督の対象となった東証一部上場企業は、百五十社でございます。
○川内委員 ちょっと今よく聞こえなかった。(鳥生政府参考人「百五十社でございます」と呼ぶ)偽装請負で監督された企業数が百五十社。
同じ時期において、平成十七年四月から平成十八年十二月までに複数回監督された一部上場企業は何社ですか。
○鳥生政府参考人 同じ時期に監督の対象に複数回なった企業数でございますが、三十九社でございます。
○川内委員 それでは、同時期における文書による指導を受けた一部上場企業の数は何社ですか。
○鳥生政府参考人 請負発注者に対する文書指導の対象になった東証一部上場企業は、百二社でございます。
○川内委員 同じく、同じ期間で複数回文書指導を受けた一部上場企業は何社ですか。
○鳥生政府参考人 複数回文書指導の対象となった企業は、二十社でございます。
○川内委員 予算委員会で公述人として来ていただいた、キヤノンで働いていらっしゃる、いわゆる偽装請負の実態について公述していただいた公述人もいたわけでございますが、キヤノンは今私が申し上げた四つの質問すべてに該当をする会社ですか。
○鳥生政府参考人 御質問の点につきましては、個別の企業に係る監督の状況に関することでございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げれば、いわゆる偽装請負等の労働者派遣法違反に関しまして、違反する派遣先に対しましては、各労働局においてまず是正指導を行い、違法状態の解消を図っているところでございます。
○川内委員 大村副大臣は、テレビ番組に出演されて、偽装請負は言語道断であるという御発言をされていらっしゃいます。
まず、その発言について確認をさせてください。
○大村副大臣 ことしの二月半ばぐらいにフジテレビの報道二〇〇一という番組に出たことがございます。ちょっと前でございますので、私自身記憶が不鮮明でございましたから、川内委員から御質問をいただきましたので、早速ちょっとビデオとかをチェックいたしました。そのとき、民主党の枝野さんとかと一緒に出ました。そのときに、偽装請負の話になりまして、それを思い起こし、またチェックしましたところ、法律に触れるようなことをやるような会社は、言語道断というか、論外という言い方をいたしております。
ただ、これは、一般論として企業が法令を遵守することは当然であるということを申し上げたつもりでございます。
以上です。
○川内委員 予算委員会で公述人の方が、国権の最高機関の正式な会議の場で、自分は偽装請負の対象であり、会社は監督を受けた、あるいは受けているという趣旨の発言をしているわけであります。
これは政府として、今私が聞いていることに関して、では、公述人の方の公述がうそである、公述人の発言は間違っているというふうにおっしゃるのか、それとも、キヤノンという特定の会社ではありますが、予算委員会の場で当事者が発言をしたことでありますから、そのことについては正しい、間違っていないということをおっしゃるのか、どちらかであろうというふうに思います。
これは、大臣、副大臣、三人並んでいらっしゃいますが、直接の御担当がいらっしゃらないので、厚生労働省から答えていただくしかないわけであります。論外と答えた大村副大臣に答えていただいてもいいんですけれども、まず厚生労働省から。
○鳥生政府参考人 私どもは、個別の企業に係る監督の状況についてお答えを差し控えさせていただいているということでございまして、公述人のお話について、それが異なっているといったようなことを申し上げているわけではございません。
○川内委員 余りこれで時間をとりたくはないのですが、大田大臣、政府は、イノベーションにより経済成長を実現していく、さらにはその前提として公正な競争がなければならないということをおっしゃっていらっしゃいます。公正な競争を担保するものは、ただ単にコンプライアンスということだけではなくて、経済同友会や経団連が企業の社会的責任を果たすということをおっしゃっていらっしゃる。それをそのままやはりしっかりと守っていただかなければ、それはとてもとても公正な競争にはならないというふうに思うんですね。
偽装請負について、先ほど四つの数字を厚生労働省から答えていただきました。一部上場企業ですよ、一部上場企業が百五十社監督を受けている。複数回監督を受けた企業が三十九社である、文書で受けた社が百二社、複数回文書で指導を受けた社が二十社ある。私は、これでは公正な競争の状態であるということはとても言えないのではないかというふうに考えます。
そこで、キヤノンについては、私どもの立場は、偽装請負で監督を受けているであろうというふうに確信をしています。なぜかならば、信頼する公述人の方がそう発言をしているから。その前提で大田大臣に申し上げます。
私は、キヤノンが偽装請負をしていたということを前提にして、御手洗氏が、経団連の会長が自社のそういう偽装請負の実態を知っていたのか、あるいは知っていて黙っていたのか、黙認していたのかということについては、これは大きな問題であるというふうに思います。法令違反はしちゃならぬ、社会的責任を果たすんだと言っている企業経営者、なかんずく経済団体の代表の方が、自社で偽装請負がされているということを知っていて口をぬぐっていたのなら、それはもう大きな問題だというふうに思います。知らなかったんだったら、知らなかった、今後改めるということも言えるでしょう。
だから、知っていたのか知らなかったのかというのは大きな問題だというふうに思いますので、ぜひ経済財政諮問会議の場で御手洗さんに、御手洗氏が偽装請負を知っていたのかいなかったのか大きな問題だというふうに内閣委員会で川内議員というのが発言をしたということを御発言いただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○大田国務大臣 御手洗議員は、あくまで個人のお立場で総理から諮問会議の議員として任命を受けておられます。キヤノン株式会社という一企業の立場で調査審議に加わっておられるわけではございません。したがいまして、経済財政諮問会議の席上で川内先生の御発言をお伝えするのは適切ではないと考えております。
○川内委員 個人の立場といっても、経済財政諮問会議の名簿にはキヤノン株式会社会長と多分書いてあったと思うんですが、以前からそういう、前の奥田さんなんかもトヨタの会長というお立場だったと思うし、何らかの肩書はついていたと思うんです。
個人として任命した、それはそうですよね。個人として任命するわけですから、それは否定しませんが、しかし、その方の属性として、キヤノン株式会社の会長であるということは紛れもない事実であって、そのことを踏まえて、私が内閣委員会で、御手洗氏が知っていたのかいなかったのかはこれは大きな問題であると。大村副大臣は、それが本当だとしたら論外だとおっしゃっていらっしゃるわけでございますから、これは国会のある種の総意としてこういう発言が国会でなされている。
御手洗氏は、記者会見で、松岡農水大臣に対しては説明責任を果たすべきであるという趣旨の発言をされていらっしゃいますよね。人には説明責任を果たせと言って、自分は果たさなくていい、これは企業の社会的責任なのかということにもなると思いますし、私はそういう発言があるということぐらいは発言していただいていいのではないかというふうに思いますが、不適切だ、適切ではないという大臣の御答弁でございますから。本当はこれはやりとりをしたいんですが。
本当に伝えるだけでいいんです。伝えるというか発言するだけでいいんですよ。国会でこういう意見があるということを言うだけでいいんです。だって、経済財政諮問会議は、国の重要政策を調査審議する場ですよね、国の重要政策を調査審議する場。国会は、国権の最高機関として、これも国の大事なことを決める場です。しかし、場が違うので、その場と場の間でどういう意見の相違があるのか、どういうやりとりがされているのかというのは、やはりお互いに知っておく必要がある。我々は、経済財政諮問会議の議事要旨などを拝見して、経済財政諮問会議でどのような議論がされているのかということについて知ります。しかし、御手洗氏は、恐らく私がこんな発言をしても私の議事録までは忙しくて見ていただけないと思いますから、だから言っているんです。
もしあれだったら、この内閣委員会の議事録を御手洗さんに渡すということはどうでしょうね。
○大田国務大臣 御手洗会長が議事録をごらんになる可能性は十分にあると思いますが、経済財政担当大臣である私が御手洗氏にお渡しするのは必要ではないと考えております。
○川内委員 同じ鹿児島なんですけれども、鹿児島同士だから何かいいことを言ってくれるかなと思ってちょっと期待していたのですが、ちょっと残念です。
私は、公正な競争というものを担保していくためには何をしなければならないのかということについて、やはり真摯な議論をしなければならないというふうに思いますし、もしキヤノンで偽装請負が行われていて、それを御手洗氏がもし知っていて黙認をしていたのであれば、それこそ経営者として、あるいは経済人として、他の会社の経営者の方々に、社会的責任が大事だ、コンプライアンスが大事だということをおっしゃっている立場として、何らかの釈明というものをしていただかなければならないというふうに思っているので、こういうことを申し上げたわけでございますが、大田大臣が伝えないということでございますから、では、私は御手洗さんに議事録を郵送でお送りすることにいたします。
それでは、次の論点に移らせていただきます。
最近、築地市場の豊洲移転問題が大きな問題になっております。これは平沢副大臣も大変興味、関心をお持ちのところであろうというふうに思います。
そこで、まず環境省にお伺いいたします。
土壌汚染対策法というのがございまして、「土壌汚染対策法のしくみ」というものが環境省と財団法人日本環境協会というところからパンフレットとして出ておりますが、このパンフレットは環境省としての見解が記述されているという理解でよろしいでしょうか。
○寺田政府参考人 そのパンフレットは、環境省と財団法人日本環境協会が共同で出させていただいているものでございまして、その表紙にも環境省という名前が入っておるわけでございますので、当然その内容は私どもの見解に沿ったものと心得ております。
○川内委員 このパンフレットの三ページに、このように書いてございます。土壌汚染対策法は、「有害物質を取り扱っている工場・事業場が、土壌汚染の有無が不明なまま放置され、例えば、住宅、公園等のような不特定の人が立ち入る土地利用に供せられることによって、人への健康影響が生じてしまうことを防ぐことを目的としています。」と書いてあります。「例えば、住宅、公園等のような」と書いてあります。
それでは、中央卸売市場のように毎日大量のむき出しの生鮮食料品がじかに置かれる、そして大量に集積をするような施設が、この「住宅、公園等のような」の「等」の中に入るのかということをお答えいただきたいと思います。
○寺田政府参考人 まず、「住宅、公園等」でございますけれども、これは不特定の方が立ち入る場所の例示として挙げたものでございまして、そういう意味合いから申し上げますと、卸売市場もその内容としては含み得るというふうに考えております。
ただ、ただいま委員御指摘のように、大量の生鮮食品がその場で野積みと申しますか、むき出しで積み上げられる等々の、極めて個別具体的な土地利用の内容までこの法律において個別具体的に検討の俎上に上げているものではございません。
○川内委員 国民の皆さんも、中央卸売市場が、特に築地がどうなるのかということについては大変に注目をしておりますので、わかりやすく御答弁をいただきたいのですが、「住宅、公園等」の「等」には、中央卸売市場のような、毎日大量の生鮮食料品が集積をし、そこからまた散らばっていくというような利用の仕方をされる施設は入らないということでよろしいですね。
○寺田政府参考人 再度お答え申し上げて恐縮でございますけれども、不特定の方が立ち入るという意味では、概念としては入り得ると思っておりますけれども、中央卸売市場のように大量の生鮮食品がそこでさばかれるという施設まで具体的に念頭に置いてこの法律が制定されたものではないということを申し上げております。
○川内委員 そこに集積をする、野積みをされる生鮮食料品に対する影響までは想定をしていないということでよろしいですね。
○寺田政府参考人 土壌汚染対策法におきましては、一つは、地下水を経由しての土壌汚染の影響が人の健康に与える影響、もう一つは、土壌を直接摂取することによって人の健康に与える影響、この二つの暴露経路と申しますか、それを遮断するという考え方で法律が構成されております。その限りにおいて、いわゆる食の安全と申しましょうか、当該土地の上でさばかれる食品の安全性においても一定の寄与はしているものと考えております。
○川内委員 いや、国民の皆さんが注目しているからわかりやすく答えていただきたいんですけれども、一定の寄与はしていると。一定の寄与とは何ですか、一定の寄与とは。一〇〇%でいうと何%寄与しているんですか。
○寺田政府参考人 一定の寄与と申しますのは、汚染された土壌がむき出しになることにより人が直接摂取するというようなことを防除するという意味合いから、当然のことながら一定の寄与をしていると思っているものでございます。
ただし、では一〇〇%かどうかといいますと、生鮮食料品を大量に扱い、また、その食品が地上に置かれるようなこともあり得るかもしれないという中央卸売市場の特性を完全に踏まえて絶対安全だというところまでこの法律が想定しているわけではないということでございます。
○川内委員 だから、最初からそう言えばいいじゃないですか。中央卸売市場のような施設は土壌汚染対策法がすべてその安全を確保できるようなカバーの仕方をしている法律ではありませんと、最初からそう言えばいいのに、ここまで来るのに十分かかっていますよ。
この土壌汚染対策法では中央卸売市場がそこに移転した場合に安全性をすべてカバーできるわけではない、それでは中央卸売市場の安全性を担保するものは何なのかということを議論させていただきますが、中央卸売市場整備計画というものを国は定めることになっています。これを定めるのはだれですか。
○佐藤政府参考人 中央卸売市場整備計画でございますが、卸売市場法に基づきまして農林水産大臣が定めることとなっております。
○川内委員 それでは、農林水産大臣が中央卸売市場整備計画を定めるということになっているそうでございますが、もうこの中央卸売市場整備計画では築地を豊洲に移転するということが計画として定められているんでしょうか。そして、定められているとすれば、いつそれは定めたんでしょうか。
○佐藤政府参考人 中央卸売市場整備計画でございますけれども、平成十七年三月に豊洲地区に市場を新設するということを内容にいたしました中央卸売市場整備計画が策定されております。
○川内委員 平成十七年三月に築地を豊洲に移す整備計画が農林水産大臣によって定められたということでございますね。
では、この決定をするに当たってどういう場で議論がなされたのかということについて御説明をいただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 卸売市場法に基づきまして大臣が中央卸売市場整備計画を定めるわけでございますが、その定める際には、法律上、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて定めるという形になってございます。
○川内委員 食料・農業・農村政策審議会に諮問して計画を定めるということでございますが、この食料・農業・農村審議会でどのような議論が行われたのか、ちょっと説明していただけますか。もうちょっと詳しく説明していただけますか。
○佐藤政府参考人 平成十七年三月にこの審議会、総合食料分科会でございますが、開かれまして、審議がなされてございます。
この中央卸売市場整備計画は、中央卸売市場の基本方針に基づいて定めるという観点が法律上ございます。特に、この築地市場の移転の問題につきましては、立地、つまり交通事情的に見てどうなのか、東京都の卸売市場は東京都というエリアの中に中央卸売市場を設ける、その設けるときにどういう立地がなされるのが適当であるかというのが非常に重要でございますので、特に立地の観点がどうかという議論がなされたというふうに承知しております。
○川内委員 それでは、その食料・農業・農村政策審議会の総合食料分科会での議論は一回だけということですね。
○佐藤政府参考人 平成十七年三月十七日、一回だけでございます。
○川内委員 今の御説明では、交通のアクセスについて議論がなされたということで、この分科会においては、高濃度に汚染をされている土壌であった土地に卸売市場が立地することによる生鮮食料品への影響について専門的知見を有する専門委員なり審議会の委員という方は、この議論の中に入っていなかったという理解でよろしいですか。
○佐藤政府参考人 その審議会の委員でございますが、国の審議会でございますので、卸売市場法を初めとする関係法律によって審議会の権限に属せられる事項について審議をいただく、そういう観点から、いわゆる有識者を大臣が任命しているという形でございます。
ただいまの御質問の点でございますけれども、直接に土壌汚染に関する専門家は任命されていないというふうに承知しております。
○川内委員 中央卸売市場整備計画の中には、食の安心、安全と。食の安全、安心というものもこの整備計画の大きな目標の一つですよね。
○佐藤政府参考人 中央卸売市場は、国民の食生活のいわば土台となるという意味で、まさに安全である、それについて人が安心できる、そういう安全、安心の観点は極めて重要なところであるというふうに認識しております。
○川内委員 極めて重要な観点である食の安心、安全という分野について、この中央卸売市場整備計画を農水大臣が定めるに際して開かれた審議会の中には、大変に問題のある土壌汚染と食料品との関係について専門的知見を有する委員が入っていなかった、議論に加わっていなかったということが明らかになったわけでございます。
食の安全というか食品安全を担当する平沢副大臣、今議論をお聞きいただいていたとおり、築地を豊洲に移すというのは、いわば法律のエアポケットに入ったわけですよ。土壌汚染対策法では、もともとそんな大量な生鮮食品が集まるような土地を想定はしていない。他方、市場整備計画を定める農水大臣が開いた審議会では、まあ東京都がいいと言うからいいんじゃないの、アクセスも結構いいらしいよみたいな議論で、それで整備計画を定めてしまった。
今後、認可という手続はまだ残っているわけでございますが、しかし、本来なら、土壌汚染は残るわけですから、この残る土壌汚染の一つ一つの物質、シアンとか砒素とか六価クロムとそこに野積みされる例えばマグロとかタイとかの一つ一つの食品との関係を食品安全委員会が議論しなきゃいかぬことになると思いますよ。これは、このままいくとしたら食品健康影響評価の問題になると思いますね、一つ一つの品物について。
私は、築地を豊洲に移すというのは、もともとちょっと、昔の写真を持ってきましたけれども、このコンビナートが見えますか、ここに中央卸売市場を移すというんですよ。これは東京都に任せるのではなくて、もう一度しっかりと議論をしなきゃいかぬ、専門家の英知を集めて議論しなければならない課題であるというふうに思いますし、食品安全担当の副大臣としても、これは環境省と農水省に任せていたらだめだと思うんですよ。
そこに集まる一つ一つの品目について、それと土壌の中にある物質との関係について、一つ一つ食品安全委員会に評価をしてもらわなければ、とてもとても日本の国民は、築地というのは世界のブランドですから、汚染された土地の上に集まってきたようなものを食べるなんということはあり得ないわけでしょう。だから、食の安全、安心というのは、安全というのが科学的に証明されたとしても、安心というのは、国民がみんな安心だ安心だと思わない限り安心にはならないわけですから。
これは平沢副大臣、副大臣として、築地の豊洲移転には反対だとこの場でまずおっしゃっていただいた上で、しっかりと食品健康影響評価という面からコミットしていくということを御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○平沢副大臣 御案内のとおり、築地の市場は大変老朽化して手狭だ、そういうことから、十分なスペースの確保とかあるいは既存の商圏との距離等を勘案しまして、事業主体は東京都ですけれども、平成二十四年度を目途に豊洲に移転しようということで計画していたわけですけれども、今委員が御指摘のように、予定地の土壌が汚染されているということで、今対策がいろいろと検討されているということで承知しているところでございます。
そこで、今御指摘がありましたように、食の安全、安心、これが最も重要である、これは当然のことでございまして、国民の食に対する安全、安心を確保するためにはどうしたらいいか、例えば汚染土壌の除去を含めていろいろな方法があり得るのかどうか、これについては、事業主体は東京都でございますけれども、関係機関においてもいろいろとこれから適切な対応がなされるものと考えておりますし、私たち内閣府としても、この問題に積極的に関心を持って、これから意見を申し上げ、取り組んでいきたいと考えております。
○川内委員 食品安全基本法の第二条「定義」の部分には、「この法律において「食品」とは、すべての飲食物をいう。」と書いてありますね。さらには第十一条に、「食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、人の健康に悪影響を及ぼすおそれがある生物学的、化学的若しくは物理的な要因又は状態であって、食品に含まれ、又は食品が置かれるおそれがあるものが当該食品が摂取されることにより人の健康に及ぼす影響についての評価が施策ごとに行われなければならない。」と書いてあります。
これは、環境省の持っている法律でも農水省の持っている法律でも安全を担保できないわけですよ。ということは、あとは食品安全担当大臣あるいは食品安全委員会が、これはどうなのかということについて科学的な知見を集めて議論をするということになるというふうに思いますし、積極的にかかわっていかれるということを御答弁いただいたので、私も大注目をして、今後の内閣府の動きを注視させていただきたいというふうに思います。
それでは、最後の論点でございますが、またBSEのことについて聞かせていただくわけでございます。
最近は鳥インフルエンザが話題になっておりまして、BSEの方はルール違反の肉が入ってきても大した問題じゃないのだというようなことが何となく思われているのではないかという節があるのですが、実はBSEの方が、鳥インフルエンザも注意しなければならないですが、BSEはさらに注意しなければならない感染症であるということを私は改めてここで申し上げておきたいと思います。
まず、鳥インフルエンザのOECD加盟国における人間の死亡者数について御答弁をいただきたいと思います。
○宮坂政府参考人 御質問の高病原性鳥インフルエンザ、H5N1の患者の発生状況でございますが、世界保健機関、WHOの報告によりますと、ことしの三月二十日現在で、全世界で、発生しております国が十二カ国、患者の方が二百八十一人、このうち死亡なさった方々が百六十九人。このうち委員御指摘のOECD加盟国におきます発生状況はトルコのみでございまして、トルコでは患者数が十二人、死亡者数が四人となっております。
○川内委員 それでは、BSEに由来するとされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のOECD加盟国における死亡者数は何人でしょうか。
○宮坂政府参考人 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生状況でございますが、英国の保健省が公表した情報によりますと、本年二月末でのOECD加盟国におきます変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生数は二百例でございまして、このうち死亡者の方は百九十人となっております。
○川内委員 OECD加盟国における鳥インフルエンザの死亡者数が四名、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は百九十名ということでありまして、BSEは私はまだまだ注意をしなければならない感染症であるというふうに思いますが、米国内における変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の死亡者数は何人ですか。
○宮坂政府参考人 これまでに把握しております情報によりますと、ことし二月までのアメリカにおきます変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の死亡者数は三名と承知をいたしております。
○川内委員 今般、米国が国際獣疫機関、OIEにステータス評価を変えてくれということで申請をして、OIEの科学委員会が、管理されたリスクの国というふうに評価案を策定いたしました。今後、これが、五月あたりだと思いますが、OIEの総会にかけられてステータスが正式に決定をするのであろうというふうに思いますけれども、まず、OIE科学委員会が示したアメリカのBSEステータス評価案について御説明をいただきたいと思います。
○小林政府参考人 今お話しいただきましたように、OIE科学委員会がBSEステータスの評価案を示しております。その中で、アメリカは管理されたリスク国に位置づけられております。また、今お話しいただきましたように、五月のOIEの総会でこの案が各国のコメントを踏まえて決定されるということになります。
農林水産省といたしましては、現在この報告書の内容を精査中でございます。厚生労働省と連携して対応していきたいというように考えております。
○川内委員 いや、私も持っているんですけれども、科学委員会から各国へのコメント、この場合でいうとアメリカへのコメントのところに何と書いてありますかということをお聞きしたんですけれども。
○小林政府参考人 このコメントは科学委員会がアメリカに対してしたコメントということでございますね。その中には、全体として、これもお話ししましたように、管理されたリスク国というふうな位置づけがふさわしいというふうなことのほかに、飼料規制のことだとかいうことに触れてあるということでございます。(川内委員「もうちょっと詳しく言ってくださいよ」と呼ぶ)もう少しですか。
このステータスのコメントというのが実はその紙の中にございまして、その中は大きく三つに分けられております。中身は、ステータス自体、それから毎年報告をしてほしいという事項、それから三つ目に具体的なコメント、三つがございます。
一つ目のステータスのところについては、今後は詳細に記録された飼料規制の適切な実施がかぎとなるというふうなことがここに書いてございます。毎年の報告のところには、飼料規制条件の管理及び査察の状況及びサーベイランス実施に関するデータを提供するということが重要だということが書いてあります。それから、具体的なコメントとしましては、遵守率には一定の改善が見られたものの、改善の余地があるというふうなこと、それから、感染力を持つ可能性がある原料がレンダリングされ、動物用飼料の供給行程で利用され続ける限り交差汚染の可能性は存在する、動物用飼料の供給行程からSRMを除去することによってそのような事態を防止することができるということが書いてあります。
○川内委員 今御説明があったように、OIEの科学委員会も、管理されたリスクの国としての評価案を示しながら、しかし交差汚染の可能性は、米国内において飼料規制あるいはサーベイランスの強化をしなければ、依然として残り続けるであろうというコメントをしているわけであります。
そこで、アメリカのジョハンズ農務長官はまた貿易条件の変更などを日本に言ってくるやに新聞報道等されておりますが、OIEのステータス評価と我が国とアメリカの牛肉の輸入条件については全く関係がない、我が国は我が国として米国産牛肉のリスクを評価し、そして対応をしていくことになるということを農水省並びに食品安全委員会担当副大臣から御答弁いただきたいというふうに思います。
○小林政府参考人 一般に、食肉の輸入条件、特に米国産の輸入条件につきましては、食品安全委員会による米国産牛肉のリスク評価結果を受けて日米間で決めたものでございます。したがいまして、米国のBSEステータスの決定が直ちに米国産牛肉の輸入条件の変更をもたらすというものではございません。
○平沢副大臣 今事務当局から話があったとおりでございまして、私どもがやっている評価とOIEのステータス評価というのは直接全く影響がないものでございます。
○川内委員 終わります。ありがとうございました。
○平井委員長代理 次回は、明二十九日木曜日午後二時十分理事会、午後二時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十七分散会