第14号 平成19年4月24日(火曜日)
平成十九年四月二十四日(火曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 河本 三郎君
理事 木村 勉君 理事 後藤田正純君
理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君
理事 平井たくや君 理事 泉 健太君
理事 松原 仁君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 飯島 夕雁君
上野賢一郎君 遠藤 武彦君
岡下 信子君 木原 誠二君
杉田 元司君 高木 毅君
谷本 龍哉君 寺田 稔君
土井 亨君 中森ふくよ君
林田 彪君 古川 禎久君
松浪 健太君 松本 洋平君
村上誠一郎君 市村浩一郎君
小川 淳也君 小宮山泰子君
小宮山洋子君 佐々木隆博君
古本伸一郎君 横光 克彦君
渡辺 周君 石井 啓一君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣 渡辺 喜美君
内閣府副大臣 林 芳正君
内閣府大臣政務官 岡下 信子君
内閣府大臣政務官 谷本 龍哉君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 大藤 俊行君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 鈴木 正徳君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 榮畑 潤君
政府参考人
(財務省大臣官房参事官) 香川 俊介君
政府参考人
(国税庁課税部長) 岡本 佳郎君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 近藤 賢二君
政府参考人
(国民生活金融公庫総裁) 薄井 信明君
政府参考人
(国民生活金融公庫理事) 山本 繁君
政府参考人
(農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君
政府参考人
(農林漁業金融公庫理事) 村田 泰夫君
政府参考人
(中小企業金融公庫副総裁) 横田 捷宏君
政府参考人
(中小企業金融公庫理事) 塚原 治君
政府参考人
(国際協力銀行総裁) 篠沢 恭助君
政府参考人
(国際協力銀行理事) 森本 学君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
辞任 補欠選任
遠藤 宣彦君 飯島 夕雁君
嘉数 知賢君 高木 毅君
木原 誠二君 上野賢一郎君
寺田 稔君 古川 禎久君
市村浩一郎君 古本伸一郎君
小宮山洋子君 小宮山泰子君
同日
辞任 補欠選任
飯島 夕雁君 松本 洋平君
上野賢一郎君 杉田 元司君
高木 毅君 嘉数 知賢君
古川 禎久君 寺田 稔君
小宮山泰子君 小宮山洋子君
古本伸一郎君 市村浩一郎君
同日
辞任 補欠選任
杉田 元司君 木原 誠二君
松本 洋平君 遠藤 宣彦君
―――――――――――――
四月十九日
憲法第九条を変えないことに関する請願(辻元清美君紹介)(第八五三号)
同(菅野哲雄君紹介)(第八六四号)
同(田島一成君紹介)(第八六五号)
同(照屋寛徳君紹介)(第八六六号)
同(阿部知子君紹介)(第八七三号)
同(重野安正君紹介)(第八七四号)
同(日森文尋君紹介)(第八八六号)
同(保坂展人君紹介)(第八八七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出第四六号)
株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)
――――◇―――――
○河本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、鈴木正徳君、総務省大臣官房審議官榮畑潤君、財務省大臣官房参事官香川俊介君、国税庁課税部長岡本佳郎君、中小企業庁事業環境部長近藤賢二君、国民生活金融公庫総裁薄井信明君、理事山本繁君、農林漁業金融公庫総裁高木勇樹君、理事村田泰夫君、中小企業金融公庫副総裁横田捷宏君、理事塚原治君、国際協力銀行総裁篠沢恭助君及び理事森本学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。
○小川(淳)委員 おはようございます。民主党の小川淳也でございます。先週に引き続きまして、お時間をちょうだいしました。
まず、先週の続きからまいらせていただきたいと思いますが、収支差を補給する形になっているものはこれを見直すという論点についてであります。この点、私は、恐れることなく赤字は補てんしていきますというふうにおっしゃった方が非常にわかりやすい気がいたしますが、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
○林副大臣 現在は、委員が今お話がありましたように、期間全体の収支差額を一括して事後的に補給金で補てんするという、いわゆる収支差補給金ということになっておりますが、これを、あらかじめ必要と考えられる金額についてできる限り明確な基準で見積もっておく方式に改めるという方向で見直すことにしておるところでございます。これは、前回もお答えしたとおりでございますが、そのまま全額について補給金を交付するということになりますと、経営責任に帰すべき赤字を含めて補てんする可能性が出てきてしまうということで、経営責任をあいまいにするおそれが出てくるのではないか、こういうことに対する一つの答えということでございます。
なお、新公庫は政策金融を実施する機関でございますから、的確に政策金融を実施していくために必要な財政支援については、国会の議決をいただいた後、きちんと予算措置がなされるというふうに考えておるところでございます。
○小川(淳)委員 制度設計におきましては、事業ごとに政策コストを把握するという記述がございます。また、今副大臣の御答弁の中に、あらかじめ必要なコストを算定して盛り込んでいくというお話、これは抽象論としてはよくわかるわけでありますが、具体的にこんなことは可能ですか。
○林副大臣 今回、政策金融を見直すに当たって、必要なものはきちっと残す、そして、もう政策金融の役割を終えたものはやめていく、こういう整理をしたときに、それぞれの貸し付けのプログラム別にいろいろ精査をしたわけでございますから、なぜ政策金融として残すのかということが今回の議論を通じてかなり明確になってきたのではないか、こういうふうに思っておるところでございます。
そういう意味では、やはり必要性、事業ごとに政策コストを把握して、必要なものをきちっとつくっていくということを基本的な考え方といたすということにしたところでございまして、その基本原則のもとで、例えば中小企業の金融とか生活衛生、それぞれの分野につきましては、具体的にきちっと関係各省庁で検討を進めていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○小川(淳)委員 おっしゃることは抽象論としてはよくわかるわけであります。ただ、私が懸念をしておりますのは、そもそも公的金融は、税金を突っ込んでしかやれない、あるいは税金を突っ込んででもやる意味があるからやられるわけでありまして、そこが、赤字補てん、もちろん赤字補てんそのものを好ましいと申し上げているわけではありませんが、具体的に、必要なコストだとか政策コストという形で本当にできるのかどうか。
一つお尋ね申し上げますが、もし私が制度設計をする側であると想像した場合に、もしこれがあり得るとすれば、やはり市中金利あるいは金利水準に応じた形で、例えば政策金融コストについては一%でも二%でも市中金利より低く出していく、そのための補給金。あるいは事務所だとか人件費だとか、いろいろなそういうコストというのは固定的なコストとしては当然あると思いますが、そういうことよりも、金利が変動することを前提に、金利変動分の何%分かでも補給金という形で外形的に出していくということが、私がもし制度設計する側であれば唯一の方法かなという気がいたしますが、その点、いかがでしょうか。
○林副大臣 それも一つ重要なポイントだというふうに思っておりますが、前回もちょっとお話をしたかもしれませんけれども、これは、最初に、事前に見積もって例えば金額が出ますね、ではこれぐらいをやりましょうと。例えば、金利がそのときの想定よりも変わったとか、それから、需要者がふえた、同じ政策金融でこういう目的をしようというときに、その政策金融が必要な方が想定よりもふえた場合は、これは掛け算でございますので、最終的には、最初に見積もった金額よりもふえるということは当然あり得るわけでございます。
それを赤字とみなして、収支差補給だからだめだ、こう言っているわけではなくて、それは当然、その前提となった計算式のどちらか、A掛けるBのAかBがふえれば、積であるCというのは当然ふえるわけですから、それをだめだと言っているわけではなくて、こういうことを何にもしないで、とにかくやってみて、最後に赤字が出たらそれは全部埋めましょうという形はやめよう、そういうふうに申し上げているだけでございまして、今委員がおっしゃったようなことも含めて、そういうことを想定を置いて計算した上でやりますけれども、それは、想定を超えて、例えば金利が動いたとか経済状況が動いて政策金融をお使いになる方がふえたという場合は当然後で見ていく、こういう考え方でございます。
○小川(淳)委員 少なくとも、そういう形で制度設計されるということであれば、例えば、その方針については制度設計の中には書き込まれているわけですが、法案の中には記述がない。この方針というのは、例えば、どういう形、政令とか省令とか、法案に条文がないわけですから、この辺は政令にも省令にも落ちてこないんだと思いますが、そういう設計そのものを明確な基準にして文書で残す、あるいは方針を事前に取り決めをしていくということまで、やはり、こうおっしゃった以上、含めて想定をされるべきだと思いますが、その点、いかがですか。
○林副大臣 まさに今委員が御指摘になりましたように、この制度設計というのは、十八年の六月二十七日でございますけれども、政策金融改革推進本部決定また行政改革推進本部決定で政府として決定をしたことでございますから、そういう拘束力を持ってこの決定を原則として決めておりますので、その原則のもとで、先ほど御答弁申し上げましたように、関係省庁で具体的な、詳細な基準はそれぞれの政策金融分野について詰めてもらう、こういうことでございますが、逆に言うと、では、もともと経営責任に係る欠損補てんをしないというのは、これは行革推進法でお認めいただいた四条の三号ということでございますから、そちらの方は、どういうことがいけないのかということがそこに書いてあるわけでございまして、経営責任に帰すべき損失という言葉遣いをしておるわけでございます。
これは、その損失が政策金融の適正な実施に伴うものではなくて、経営陣の業務運営上の理由等によるものを想定している。これはこの法律を御審議いただいたときにもずっと答弁してきたところでございますので、そういうことはだめですよと。しかし、そういうことでない部分について、先ほど申し上げました原則できちっと基準をつくってやっていただきたいという考え方になるかというふうに考えております。
○小川(淳)委員 副大臣、まさにその点をお聞きしたかったわけでありますが、毎年毎年の業務に当たっては赤字は補てんしないんだ、当初の制度設計に基づいた補給金なり外形的な基準に近い形で補給していくんだと。それが、さまざまな事情で多分年度決算というのは変わってくると思いますが、累積、累損という形で仮にたまる可能性もあると。
そこで、これは当然、行革法を審議したときに大いに議論になった点だとは思いますが、まさに今副大臣がおっしゃった、経営責任に係る欠損については補てんしない。これは二つ問題があると思うんですが、経営責任に係る欠損と経営責任に係らない欠損ということが一体どういう基準で区別ができるのかどうか、これが一点。もう一点、万一、明らかに経営責任に係る、明らかにこれは経営上の大きな過失に基づく欠損だということが本当に生じた場合、これはいかように対応されるのか、この二点、お聞かせをいただきたいと思います。
○林副大臣 大変大事なポイントを御指摘いただいたというふうに思っておりますが、行革推進法の四条三号、経営責任に帰すべき損失、先ほど申し上げたところでございますが、具体的には、例えば法令や融資等の基準に経営者が違反するような運営をした、これはもう明らかに経営者、経営責任に帰すべき損失であろうかというふうに考えております。
また、経営者の裁量に当然ゆだねられている事項があるわけでございますが、これについての重大な判断の誤りがあった、こういうことが具体的には想定されると思いますが、こういうケース等、経営責任に帰すべきことが明白な場合に当たるかという基準で、個別の事例ごとに実際には客観的かつ慎重に判断をされなくてはいけない、こういうふうに思っております。
もしそういうことがあった場合にどうするのか、こういうことでございますが、行革推進法に書いてございますから、こういう経営責任に帰すべき損失を補てんするための財政上の措置は行うことはできない、こういうことであります。
今委員お尋ねがありましたので、仮に、そうはいっても、新公庫の円滑な業務の遂行を図るためやむを得ない事情というものがある場合で、どうしてもこれは何らかの形で措置をしなければならない、こういうケースが生じた場合は、これは法律上手当てをして、要するに、国会でお認めいただいて法律上の手当てをした上で措置をしなければいけない、こういうふうになっておるところでございます。
○小川(淳)委員 おっしゃるとおりなんでしょうね。要するに、これは立法行為を伴う形でやはり埋めなきゃいかぬ。つまり、そこはやはり結論は、出発点は、税金を使ってでもやらなきゃいかぬことだからやります。後始末は、税金を使ってでも後始末をしなきゃいかぬ。いずれにしてもです。やはりそれがこういう政策金融、公的金融のそもそもの存在意義でありまして、その部分については長らく批判がありました。特会だとか特殊法人、それから公的金融含めて。郵政なんかもそうだと思いますが、いろいろな世の中の批判にさらされる余りに、本当に必要な部分まで、いやいや、もうそういうところには手を出しませんとか、あるいは赤字を出さないようにしますとか、出しても埋めませんとか。
言葉は余りよくないのをお許しいただきたいんですが、最近の、最近でもないんですか、政府のいろいろな政策、私は二つあると思うんですけれども、一つは、やったふりですね。地域再生法、それから特区法案で御指摘申し上げました。もう一つ、このたぐいのものというのは、ええ格好しいというんですか、いい格好しい。やはりそこは私は、本当に、むしろ本質、これはもう税金使ってでもやらなきゃいかぬからやっています、最後は、申しわけないけれども、税金使ってでもこれは埋めていきますという迫力があった方が、前回も御指摘申し上げましたが、おかしなことはできない、わきを締めてきちんとやっていますということにむしろつながるんじゃないかな、こういうええ格好しいはやはりだめなんじゃないかなという気が私はします。
ですから、行革法のときも議論したんですが、もちろんやってはいけないことは当然やらない、無駄もないようにする。しかし、本当にやらなきゃいけないところはいかなる批判にさらされようともやりますという迫力がこの法案から見てとれないこと。その点についてはやはり、確かにいい格好はしているんですけれども、これでは事は進まないという気が私は依然しております。その点、改めて御指摘を申し上げたいと思います。
私は、先週の質疑の中で、とにかくそこは変わってはならない部分だと思いました。そういう意味で指摘を申し上げたわけですが、もう一つ心配事、ここも変えてはいただきたくないなというところなんですが、大臣にお伺いしたいと思います。
公的金融が実は地域間で、例えば首都圏等々の大都市部と、それから私自身四国でありまして、また、大臣の地元もどうかわかりませんが、地方、地域との間で、公的金融に対する依存度、頼りにしている割合、これは非常に大きく異なるということも一部資料からは見てとれるんですけれども、その点に対する御認識。大臣、これは統合して合理化、合理化ということを盛んに一つのテーマにされているわけですが、地域間によっては相当なばらつきがありますよという点に対する大臣の御認識、お伺いしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 地域間のばらつきがどんなものであるかは後ほど政府委員の方からお答えをさせていただきますが、一般的に、政策金融というのは地域間の偏りは少ないものであるべきではないでしょうか。
地域間のばらつきがなぜ起きているのかについては、政府委員から答弁をさせていただきます。
○小川(淳)委員 それでは、ちなみに国民生活金融公庫さんの関連でお伺いしたいと思いますが、この地域間の格差、ばらつきについて、事実関係、お教えいただきたいと思います。
○香川政府参考人 国民生活金融公庫についてお答え申し上げます。
国民公庫では、全国百五十二の支店を通じまして、地域や業種を幅広くカバーして、きめ細かな融資を行っているところでございます。全国に約三百八十万社の小企業がございますが、その三分の一に当たる百三十万社の企業に融資をしているところであります。
地域別に見ますと、都銀、地銀、第二地銀等の国内銀行、それと国民公庫の融資残高の構成比を見てみますと、国内銀行の融資残高のうち五割超が関東地方でございますが、一方、国民公庫は関東地方では三割以下ということになっておりまして、国内銀行の融資が比較的大都市圏に集中していることと比べて、国民公庫の融資は関東以外、九州、四国、その他そういうところに厚いものとなっております。
○小川(淳)委員 今大臣お聞きのとおりでございまして、いただいた資料をもとにやや補足いたしますが、関東地方では公的金融は民間金融の半分以下の水準であります。これは九州や東北に行きますとその割合が逆転いたしまして、市中、民間銀行の貸出残高の倍近い、あるいは倍以上の公的金融の融資残高がある。これは九州とか東北。それから、四国とか中国地方ですと大体一・五倍ですね。
大臣、今御答弁の中で、全国、基本的には同じ水準であるべきとおっしゃいましたが、この大臣の御認識、本当にそれでよろしいんですか。
○渡辺国務大臣 私は一般論を述べたわけでございますが、今の答弁を聞きますと、政策金融のニーズのある地域で高くなっている、こういう結果が出ているのかと思います。したがって、政策金融というのはあくまでも民業補完に徹するという立場からいきますと、ニーズのあるところで比率が高いというのはそれなりに合理性があるかなと思います。
○小川(淳)委員 もちろん民業補完、あるいは逆に、こんな倍も公的金融があるということは、公的金融の方がむしろリードしているというようなケースもあり得ると思うわけですが、当然の帰結だと思います。やはり税金を使ってでも、中小それから本当に零細事業、あるいは国民生活の基盤、教育資金それから一次産業、こういうところに対して金融を補っていくんだという腹なわけですから、当然、大都市部に比べれば地域、地方に対して手厚い措置がとられてしかるべきだと私は思います。制度的な当然の帰結だと思います。
そこで、大臣、御答弁いただきたいんですが、一般論とか全国同じとかいうよりも、むしろ今回の統合は、合理化とか効率化というのが非常に大きなテーマだと思いますが、もちろんそれはそれで大事だと思いますが、統合後の合理化に当たっては、地域間のバランス、地域間の格差に対する配慮、政策金融がそもそも置かれている趣旨から考えて、私は地方に対して手厚くあるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○林副大臣 今、国民金融公庫のデータを私も見ておりまして、委員がおっしゃられたように、割合からすると大変国金の率が、国金と国内銀行の率が逆転するわけですが、逆に言うと、今まさに委員が御指摘になったように、国金の方は全国一律の基準でかなり偏りなくやっていただいているというのもこのグラフから見るとわかるわけでございまして、一律の、今まさにおっしゃった補完という機能を果たしていただいているなというのがこの数値からも見えるわけでございます。
今後も、地域間の格差の是正というのが政策金融の目的そのものではないわけでございます。ですから、そういう政策目的ではなくて、政策金融が必要なところ、例えば生活衛生貸し付けとか、今委員がおっしゃったような零細のところの貸し付けというものをきちっとやっていくということがこの政策金融機関の目的であるというのは、もうここで何度も御答弁申し上げたところでございまして、その結果として、まさにこのグラフにあらわれているように、足りないところ、地域に率としてはこういう形であらわれてくる、これが望ましいことではないかというふうに考えておるところでございます。
○小川(淳)委員 さすがに物は言いようといいますか、これが当然の帰結だというふうにとらえるか、あるいはうまく機能した結果だというふうにとられるか、そこはまさに、お互いこうして対峙していることの結果だと思いますが、やはり合理化とかあるいは効率化だとかいう価値観の対極にあるのが、この公的金融あるいは公的セクターのそもそもの役割だと私は思いますので、合理化を進められるに当たっては、ぜひその点、御留意をいただいた対応をこの場でお願い申し上げたいと思います。
あわせて、今度は、本当に変わらなければならない部分の最たるものだと思いますが、これは大変いい規定を盛り込んでいただいたんだと思います。特定の公職、公務員の経歴にある者を役員に継続的に就任させない、あるいはそうならないように配慮するという規定でありますが、今まさに渡辺大臣が大変苦悶をしておられる、四苦八苦しておられるテーマと直結するわけでありますが、大臣、配慮するという規定でありますけれども、それこそこれは機能する規定ですか。どう機能させられるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 どこそこの事務次官だから自動的に総裁になる、あるいは理事長になるということは今後はあり得なくなるわけでございます。行革推進法の審議の際に小泉総理が言ったことでありますが、固定的に、事務次官だからトップになる、そういう時代ではないんだ、官民のいかんを問わず、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で経営責任者を選任していく、こうおっしゃっているんですね。まさにそのとおりだと思います。
○小川(淳)委員 財務省にお尋ねしますが、国民金融公庫の総裁、歴代は自動的に固定的に次官を登用されていたんですか、お伺いします。
○香川政府参考人 私、任命権者ではございませんので何とも申し上げられませんが、今大臣が申されたように、適材適所で、必要な識見、能力を有する人が当時の任命権者から任命されたものと思います。
○小川(淳)委員 大臣、どうごらんになりますか、今までは適材適所ではなかったんですか。
○渡辺国務大臣 まあ見る人から見れば適材適所でありましょうが、別の角度から見ると固定的に事務次官ポストになっている、そういうことがあったんだろうと思うんですね。したがって、我々としてはぜひ、国民サイドから見て、どうもこれは固定的ポストで天下りの受け皿になっているのではないか、そういうことは極力避けていくべきだと考えております。
したがって、今回の規定で、先ほど小川委員御指摘になられましたように、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることはないようにしようということでございます。
○小川(淳)委員 さっきの話とも通ずるんですが、抽象的にはそのとおりでありまして、恐らくこれまでも、また物は言いようという世界に戻るんですかね、大臣まさにおっしゃいました、片っ方から見れば適材適所、また逆から見ると固定的ということなんでありましょうが、今、現実に、総裁は大蔵省OB、副総裁は厚生省と大蔵省、五名の理事のうち三人は大蔵省、通産省、厚生省、監事の一人が警察庁ですか。これは、私も両面思うんですが、片方から見ると、さっきの最初の話に戻るんですが、この人たちに本当に経営判断が期待されていたんだろうか。
この点、合理化とか効率化とか、あるいは物によっては民営化という中で、ここはどうなっていくんだろうというのが一つ。もう一つは、それと対立する価値観ですが、効率化とか合理化とかいうものの対極にある価値観で、まさに行政的な判断、公益的な判断で融資を行っていただかなければならない組織だという、ここのバランスを本当にどうとっていくんだろうというのがこの人事にあらわれてくる話なんだろうと思います。
そこで、大臣には、今回、本当に大変産みの苦しみといいますか、人材バンクについては非常に産みの苦しみなんだと思いますが、私は、この公庫の問題に限らず、私自身が役所の中におりましたこともございます関係で、ぜひ大臣に御認識をお願い申し上げたいわけでありますが、この天下り問題、再就職問題がどこから起きてきているか、どこから起きてきているからこそ難しい問題かという点について、最後に大臣の御認識をお聞きして、質疑を終わらせていただきたいと思います。どこにこの問題があるのか。
○渡辺国務大臣 昔は、公務員というのは死ぬまで公務員だったわけですね。恩給制度というのがございました。これが廃止をされまして、結局、生涯賃金が民間並みになるようにという一種の配慮みたいなメカニズムが働いて、こういうネットワークができ上がったのかもしれません。
いずれにしても、組織論としては、年功序列と各省縄張り主義が天下りの温床であり、かつ、これを助長してきたということでございますから、今回、この二つを能力実績主義と天下り規制によって根絶していこうと考えております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
大変難しい課題に取り組んでおられると思います。年功と縄張りとおっしゃいましたが、縄張り主義も年功と終身雇用からきています。国家公務員の年功序列と終身雇用、ここから縄張りがきている。ここから天下りを初めとしたファミリー企業の問題がある。
ですから、根本は年功と終身雇用であります。これを公募とかなんとか、いろいろな形で本質的に解消していく以外に、こうしたうみを出していく方法はないことを御指摘申し上げて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○河本委員長 次に、古本伸一郎君。
○古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。
先週に続きまして内閣委員会で質問させていただく機会をいただきましたことに、関係の委員の皆様に感謝を申し上げます。
それでは、理事の皆様にも御尽力をいただいて、前回の当委員会で資料要求をいたしましたところ、幾つかちょうだいをいたしておりますので、その部分に沿いながら少しお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず、三つの公庫と国際協力銀行が一緒になることについての理由がいまだ明らかになっていないという立場でありますので、そこを中心にお尋ねしたいと思います。
海外に進出をする者に融資をしている実態はどうかとお尋ねしたところ、いただいた資料によりますと、国金庫は、融資先のうち海外に進出している事業者は数事例確認している、ただし進出状況に関するデータはないと。農林公庫は、大臣が米を輸出したい、されていると言われた部分でありますが、農業者について、輸出に取り組んでいる者は数事例確認している、数事例。これまた統計的データはないということであります。中小公庫は、先日副総裁がおっしゃっておられたように、約八%、四千社近くが海外に拠点を有しておられる。したがって、国協銀とのシナジーはあるんだろう、こういう論旨の前提になっておられるんだと思います。
したがって、ここでまず大臣に確認したいんですが、三公庫と国協銀が一緒になるというカップリングについて、国協銀とのシナジーが得られるのは中小公庫機能だけに関してである、こういうふうに訂正をしていただけますか。
○渡辺国務大臣 今現在、海外拠点を有する融資先がないじゃないかと。国金や農林公庫ですね。数事例は確認されているということでございます。中小公庫の場合には四千社近く、全体の八%が海外拠点を持っているということでございますが、では、今ないからといってこれからもなくていいのかということも考えないといけないんですね。
御案内のように、大体十年ぐらい前から世界経済が一体化をしてしまいました。その結果、世界経済は、今絶好調に近い状態にあると思います。国内経済を見てみますと、世界経済とつながっている地域はいいんですね。例えば愛知県がそうですよ。しかし、世界経済とつながっていない地域は、残念ながら大変にしんどい状況にあるわけであります。世界経済とつながっている企業は、中小企業であっても結構もうかっているんですね。そういうことを考えますと、世界経済とつながってビジネスを展開していくというのは、まさに、中小企業や農林漁業、零細企業にとっても一つの活路になるのではないでしょうか。
なぜ世界経済が一体化したのかという背景の大きな要因は、IT革命なんですね。これによってグローバリゼーションが加速をしてきたということなのでございます。したがって、零細企業だから世界経済とつながっちゃいかぬ、農林漁業だからそれはできないんだということにはならないのではないでしょうか。
○古本委員 いや、議論をすりかえないでください。決して、中小零細あるいは農林漁業者が海外とのシナジーを求めることを否定しているわけじゃないんです。そういう方々が国内での業をさらに拡大して海外に出ていくということについて、なぜ、公金が、年間八百億円を超える補給金が入っておられる公的金融機関の機能としてやらなきゃいけないんですかとお尋ねしているんです。
改めて、国金と中小、農林の、それぞれ根拠法の目的のところを少し精査してみました。それぞれ主語は、国金については「国民大衆が必要とするものを供給」すると。中小は「中小企業者の行う事業の振興」、こう書いてある。農林は「農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進」云々、こう書いてある。国協銀は「我が国の」と、国が主語に変わるんです。「我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序」云々と始まります。主語が違うんです。この主語の違う三つ、どっちかといえばそれぞれのミクロの事業者にスポットを当てた三つの公庫と、主語が「我が国」はと言っておられる国協銀、これを一緒にすると言っておられます。
きょうは国税にも来ていただきました。この中小公庫、百歩譲って、この八%、国際シナジーを今後広げていく、それに対し、公的資金も注入し補給金を受けているこの公庫がさぞかし事業を支えていくんでしょう。では、この八%になんなんとする約四千社の会社は、海外に進出したことによる現地で発生した利益を、国内に年間どの程度還元していますか、国税。
○岡本政府参考人 古本委員の御質問にお答えいたします。
現行の法人税法上、海外に進出した内国法人が海外で稼得した所得について、国内外の所得を分けて所得金額を計算することとはされておりませんことから、委員御指摘のようなデータは、当局においては把握しておりません。
○古本委員 ないんですよ。現地法人なのか本社の支店なのかの扱いによっても、現地で発生した益金の扱いあるいは投資したお金の回収の仕方、これは千差万別だと思います。ですから、ここで一刀両断になかなか切ることはできかねますよ。これは私も承知しています。
しかしながら、中小零細の方を少なくとも国内で雇用の機会を提供し、そして国内で付加価値を生み出すことによって日本にも、国内で納税していただければ当然これは国庫に貢献しますし、まさに国民の血税を、年間八百億円以上ですか、補給金をしてきて、方々が使われる言葉で言えば卒業して、やがてOBとなったときに、まさに国を挙げて支えたかいがあったな、親孝行だな、こういう解釈もあるんでしょう。ところが、海外に進出していった企業を、卒業じゃないんですよ、今現在支えてもらっている会社を今後ともやっていくんだ、しかも、そのシナジーは農林公庫も、そして国金庫にも広げていくんだと。それが、中小零細、そして生活関連が多いですよね、散髪屋さんや飲食店、そういう方が中心ですよ、国金庫は。それから、農林も、専ら国内で農業を営んでおられる方のいろいろな事業資金を融通していると承知していますが、その人々が、国協銀と一緒になることによって海外とのシナジーが得られるんだと。
得られたシナジーの効果としてリターンが日本にもあるんだ、こう言うのならまだわかります。それをはかる物差しもないんです。何を根拠にそのシナジーを今後求めてこういう公的金融機関がやっていかなきゃいけないのかということについて、いまだ合点がいきません。
そこで、立場を申し上げた上で、もう少し数字を確認したいんですが、累積欠損金もいただきました。大臣のお手元にも行っておるんだろうと思いますが、これも理事の皆様に御尽力いただいて資料が出てまいりまして、ありがとうございました。
三公庫の累積の欠損金ということで、これは一兆四千九百三十七億円。ただ、これは累積の欠損金ということでありますが、要は利益剰余金でありますので、それが結果としてマイナスになったということで、欠損金という言い方だと思いますね。他方、国際協力銀は六千六百億円になる益金が出ている、剰余金が出ている、こういう認識でありますが、これでよろしいですか。
○鈴木政府参考人 ただいま委員から御指摘ございましたように、これは十七年度の民間企業仮定貸借対照表の試算でございますけれども、三公庫、十七年度末の累積欠損金が一兆四千九百三十七億、それから国際協力銀行の国際金融勘定、今回統合を予定しているものでございますけれども、利益剰余金といたしまして六千六百七億でございます。
○古本委員 では、これは統合した後には、貸借対照表上、この四公庫はどういう形に表現されますか。四公庫の累積欠損金という表現になりますか、それとも三公庫プラスワンという形になりますか。
○鈴木政府参考人 統合しました後でございますけれども、それぞれの勘定ごとにまず出すことになります。したがいまして、国民生活金融公庫ですと、累積欠損金が四千七百六十五億、それから中小企業金融公庫ですが、これはまた融資と信用保険と違いますので、勘定ごとに出しまして、また、国際協力銀行も六千六百七億を出しまして、その後に、統合しました一本のBS、貸借対照表をお示しすることになろうかと思います。
○古本委員 要するに、一本でまとめて出しますかと聞いているんです。一本でまとめて出せば、マイナスになるじゃないですか。
○鈴木政府参考人 一本でまとめることもいたしますけれども、それぞれの勘定ごとにも出しますので、すべてそれは公表させていただくことになります。単純にこの十七年度末のを合計いたしますと、先生がおっしゃるように……(古本委員「八千億になるでしょう」と呼ぶ)マイナスになります。
○古本委員 貸借対照表は、その会社のまさに通信簿といいますか、現状をあらわす客観的、外形的、わかりやすい数字です。というか、逆に、これしかないです。その数字が、副大臣、四つをそれぞれまさに事業部のごとく残しますと。だけれども、私が一本で出すんですかと聞いたら、いや、そういう数字も出しますと。
これは、なぞなぞしているつもりはないんです。これははっきり言って、「シナジー」だと大臣がおっしゃったんです。国協銀と一緒になることによって、それぞれの、国際協力銀行と、国金も、中小も、農林も、米一俵売って、輸出して、農林とのシナジーがあるんだと言ったんです。
そうすると、やはり輸出はリスクが伴いますよ。海外で現法をこしらえていくということはなかなか大変なことです。そういうリスクをしょいながらも海外に進出していくということは、まさに企業家としてすばらしいことです。チャレンジングなことだと思います。私はこれは支持しますよ。
ただし、他方でリスクをとらなきゃいけない。これは、貸し主は、公的資金が入っているわけでありますから、国ですよ。国が、そういう貸出先に対し、シナジーがあるんだと言うことは、合わせわざ一本でこの会社の体質を今後見ていかなきゃいけないんじゃないんですか。事業はシナジーなのに貸借対照表は別に出すというのは、これは極めて論理矛盾だと思いますが、大臣いかがですか。
○林副大臣 まさに委員御指摘のところは非常に理解できるところでございますが、今、最後にと言いましたが、当然、一機関になりますから、財務諸表は一本つくるわけでございますね。まさに勘定を区分するということでございますから、一本の財務諸表がありますけれども、その内訳はそれぞれこういう勘定ですというのが正しい言い方だろうなというふうに今聞いておりました。
○古本委員 ここは大事ですよ。国際協力銀行とのカップリングが水と油だという指摘を冒頭したんです。いや、水と油じゃない、シナジーがあるんだとおっしゃったんです。では、そのシナジーの部分の事業の成績がよかったのか悪かったのかということの分析は、最終的にそれぞれの事業を一本にした形での決算なり貸借対照表なりを出してこないと、これははかれませんね。シナジー効果がわからない。
ですから、旧農林公庫事業部とでも便宜上言いましょう、そこの事業部は相変わらずの赤ですよ。だって、収支差補給をしてほしいと総裁はおっしゃったし、すべきだと私も思います。これは先ほどの小川委員と同じ立場です。しかしながら、その農林が、国際シナジーを、国際協力銀と一緒になることによって得て、結果的にこの会社の財務の体質としてどう変わったかは、これは合算しなければわかりませんよ。
したがって、区分経理を引き続き四つ行うということについては、大臣の言われたシナジーと極めて相矛盾しますが、いかがでしょうか。大臣です。
○林副大臣 区分経理をすることと、トータルで最終的に数字が出ることと、それから、先ほど来御議論のあったシナジーとは、それぞれやっていけばいいのではないかと思っております。
委員が御指摘のように、シナジーというのは、例えば農業の勘定の中に入っている政策金融の方で、先ほど大臣が御答弁あったように数例あるということで、出ていく人にどういうノウハウを提供できるのかということでございまして、当然、それは農業者に対する融資であれば、農業の今やっているような政策金融をやるということでございますが、そこに国際協力銀行で培ったノウハウや支店網から来る情報等を提供することによって、さらに活力に満ちた展開ができていくということを目指していく、こういうことであろうかというふうに考えております。
○古本委員 それではお尋ねします。
今現在、財投に依存しておる資金調達の状況でありますが、これは今後、財投機関債を初め、財投から少し卒業していこう、依存度を少し削っていこうと。いきなりは無理です。それをいつまでにかという数字も求めましたが、これは今現在出せないという答弁をいただいていますが、この際、この場では多としましょう。多とした上で、財投機関債を初め、他の市中からの資金調達に借りかえていくという大きな流れ、そういう理解でよろしいですか、大臣。
○林副大臣 全体の財投改革はもうずいぶん前からやっておりまして、委員も御承知のとおりでございますが、実はその中で、全体の財投改革で百三十兆円を超える圧縮を目指しております。その中で、百十兆円については、今委員が御指摘のあったような機関債等いろいろ活用して、何とか達成されると。残りの二十兆円につきまして、まさに今我々がここで御提案しております政策金融改革などを適切に対応するとか、既往の貸付金の証券化、政府保証の一段の活用という追加努力で残りの二十兆円はやっていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○古本委員 今後努力していくということと承りましたが、そのときに、もう一度事務局で結構ですよ、合算で一本で出した貸借対照表、利益剰余金、仮に、便宜上、今この四公庫を合わせたら幾らになりますか。
○林副大臣 利益剰余金、今、国民公庫がマイナスの四七六五、それから中小公庫がマイナスの九七九五、農林漁業金融公庫がマイナス三七七、それからJBICが、先ほど委員が御指摘になったようにプラスの六六〇七、いずれも億円でございますので、大体マイナス八千ぐらいでしょうか、そういう数字でございます。
○古本委員 統合後は、財投機関債は、それぞれの事業部門単独で出されますか。それとも、株式会社日本政策金融公庫債として一本で出しますか。
○林副大臣 これは、先ほどから委員も御指摘のあるように一つの機関になりますから、当然一つの機関として出していく、こういうことになろうかと思います。
○古本委員 これまでのJBICの、起債をする際の格付は下がりませんか。
○林副大臣 今、市中では、JBIC、それから農林公庫、それぞれ格付をいただいて、いろいろな金利の情勢によってそれぞれグラフがあるわけでございます。機関債というのも社債になりますから、当然、社債を発行するときは目論見書的なものを出していくことになろうか、こういうふうに思います。
そうしますと、今回出すこの機関債、全体の株式会社日本政策金融公庫債というふうになるんでしょうか、これは、今回これだけの額を調達させていただくのはこういう目的に使いたいということをその目論見書に書いていく場合が出てくる、こういうふうに思いまして、その場合に、例えば、今回これだけの金額を調達させていただくロットは国際金融勘定の仕事のために使っていきます、こういうことを書く場合もあるわけでございます。そういうことを市中で御判断をいただいて、それぞれの条件が決まっていく、こういうことになろうかと考えております。
○古本委員 ということは、日本政策金融公庫債として出すんだけれども、個々の資金調達の中身によって、資金利用の中身ごとに起債すると。したがって、旧JBIC機能の部分については恐らく評価が高いだろうから、機関債は高い評価で資金調達ができるんじゃなかろうか、こういうことを言われていますか。
○林副大臣 マーケットのことでございますので、そういうことを希望として持っていることまで否定はいたしませんけれども、ただ、委員もよく御案内のように、これは社債になりますと、最終的にマーケットは、デフォルトしたときのリスクやいろいろなことを考えてマーケットで行動するわけでございますので、機関全体として発行ということの大前提がございますので、当然機関全体として見ていこうということになろうかと思います。
その場合に、最終的に、よく世上で言われているように、トップダウンかボトムアップかと。政府との関係の近さを、いろいろな条文やいろいろな閣議決定等々から読み込んで、これは政府とどのぐらいの距離にあるのでこういう格付になるというのがトップダウンでございますが、そういうふうな見方を市場でされますと、これは目論見書にどの事業ということを書く意味合いというのがボトムアップでやられるときよりも多少薄れてくるのかな、こういうふうに思っておりますが、それはまさに、今後、この新しい経営陣できちっと御検討して、一番いい資金調達をやっていただこう、こういうふうに考えておるところでございます。
〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○古本委員 いや、これはもうきれいごとじゃなくて、私は強く指摘して、それでもう終えますが、少なくとも国金と中小と農林は、やはり非常に生活の融資を求めておられる方を中心に、あるいは農林事業者の皆様が、低利で、まさにきょうあすのお金を借りたいと、駆け込み寺的に機能を担ってきたわけですよ。結果、中小公庫ですと、協調融資等々、中小公庫の、ある意味での政府保証がつけば、貸してやっていいよという民間もおって、そういう中で資金繰りしているんだと思います。これは想像にかたくないし、事実そうだと思います。
そういう彼らと国協銀が一緒になるその理由をお尋ねしたところ、これはシナジーだということを言われたから、これまでずっと詰めてきているんです。そして最後のシナジーの結果は、まさに通信簿として、その会社の決算である貸借対照表に出るわけですよ。これをなぜ一本にしないんですかというと、いや、一本にしますと。一本にしたらどうなりますかというと、赤になりますと。一天にわかに、四行一緒になった途端に八千億の欠損金ですよ。
そうなると、せっかく財投の出口改革だとおっしゃる、財投依存の体質から脱却したいんだと。その資金繰りの先に財投機関債があるんだ、あるいは場合によっては市中からも借りたいんだ、そういう場合に、赤字になったところにこれまでの条件で貸してくれるのだろうかという懸念からお尋ねしたところ、個々の事業でそれは判断するのである、こういう答弁をいただきましたが、これまでJBICが低利で調達できていただろう部分が、この三つの公庫と一緒になることによって条件が変わるようでは、これは本末転倒ですよ。改革を称しながら、実は改革がバックギアに入っちゃった、こういう感じですよね。これは、きょう現在、今現在、まだこの問題はクリアになっていないということを指摘して、最後に、国金の教育ローンの問題なんです。
片や財投の出口改革で、この数字を、どのくらい財投からの調達部分を絞っていくのか、その計画を出してほしいと言ったところ、そんなものは出せません、ありませんと。随時の、逐次の国会で議論をいただくんだと、こういう話なんですね。
ところが、この教育ローンに関しては、例の行革推進法並びに今回の法律を受けて、貸し付けの対象の範囲を縮小というふうに書いていますね。これを受けて、今回の法の第十一条の別表の一に「その所得の水準その他の政令で定める要件を満たすもの」と。結局、国会での議論ではなくて、今後、役所の中のふにゃふにゃっとした議論の中で年収幾らかというゾーンを決めていくということになるんですよね。
ずばり、今、年収幾らの人にキャップをかけるという数字はありますか。長くなくていいんです。数字はありますか。あるなら言ってください。なければないで結構です。
○林副大臣 むにゃむにゃ決めるわけではなくて、政令は閣議決定いたしますが、今まさに委員が御指摘になったように、今から決めるわけでございますから、今、金額はないということです。
○古本委員 これは年間、一体何人借りているんですか。これを頼りにして学校に通わせた親御さんが一体どれだけおるんですか。その大事な話を決める数字もないんですよ。
閣議決定とおっしゃる、それは閣議を御信頼申し上げますけれども、少なくともここで、賛否を問われるこの場で、年収幾らの人が今度借りられなくなるか、その影響度合いはどのくらいなんですか。という議論もない中、賛否なんかこれは判断できないです、これはミクロをとっても。マクロの、財投の出口改革に当たるのか、そのカップリングとして国際協力銀と一緒になることが本当にいいのかとお尋ねしたところ、これもふにゃふにゃされておられる。
ミドルの、真ん中ぐらいの話も、もう一つ付言しますと、随契の問題は大きいですよ。これは、前回、数字をお配りしましたが、各行を平均すると約九割ぐらいの随契率ですね。その随契の先を教えてほしい、これもずっとお願いしていましたが、やっときょうになって出てきたのが契約書ですよ、こういう契約書を結んでいますということで。随契先の名前を公表できない理由を教えてください。なぜ出せないんですか。
○林副大臣 機関別に所管が参っておりますので、御指名いただければ、それぞれ答えられると思います。
○古本委員 いや、もう終了の時間になりましたので、最後に、私が役所の皆さんが来てくだすって説明を受けたものをそのまま代弁しますと、契約書上、出せないことになっているんだと言われて、その契約書をいただきました。その契約をさっき受け取りましたので、これを見ますと、甲乙となっているんですけれども、甲というのが国金さんとか中小公庫さんという、要は政府側ですよね、乙というのが業者さんの方です。その業者さんの乙は、甲の了解なくして甲の秘密を明かしちゃいけない、そういう守秘義務になっているんです。これは逆じゃないですか。だって、発注主ですよ。発注主が契約した相手方の名前をなぜ言えないかという、それさえ、大臣、もう今日に至っているんです。こんな話をしてからもう随分たっているんです、実は。
したがいまして、この法案、天下りの問題もあります。そして、今後、縦割りの色が色濃く残る事業部制の会計が残ります。そこに、今いらっしゃるこの方々が、属ポスト的ではなくて、属人的にいい人であれば行ってもらえばいいという、その可能性も残していますよね。事務次官だからといってこうだという、天下りだというのはやめますとはおっしゃっていますけれども、いい人であればいいわけでしょう。
したがって、天下りの可能性も残している。そして、こういう随契の話も明らかにしていただいていない。こういう真ん中からミクロぐらいの小さな話を言ったってこんな程度ですよ。財投の出口の改革に当たらないことは、もう累次にわたって指摘したとおりであります。
疑問が深まるばかりでありまして、おおよそ、さらなる質疑が必要だということを強く強く主張して、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○戸井田委員長代理 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
政府行政改革推進本部事務局資料の中で、今度の法案に関連して、民間補完に徹しながら不断に見直していくということは、要するに民間補完ということをうたってやっているんですが、よく民業補完というふうに言うてはりますが、民間が何をしているかということによって、これは意味が随分変わってくると思うんです。
最初、中小企業公庫の問題について伺いますが、一般貸し付け廃止ということについて、政府は量的支援はもはや必要ないというわけですが、それでは、一般貸し付けを受けていた企業、あるいはこれから受けていこうとする企業、こういう企業は、政府系金融機関の一般貸し付けを廃止した後、融資の審査、評価の面でも、金利の面でも、民間金融機関から同じ条件で融資を受けていくことができるのかどうか、これを政府参考人に伺います。
○近藤政府参考人 お答えを申し上げます。
今御指摘の中小企業金融公庫の一般貸し付けでございますけれども、一昨年の十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針の中で、ちょっと読み上げますけれども、「一般貸付は量的補完であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、資金余剰になっているので、中小企業といえども、量的補完は国が行う必要はなくなっており、撤退する。」というように決まっておるところでございます。
さらに、昨年の通常国会で成立いたしました行政改革推進法において、一般貸し付けを廃止する旨の規定がされているところでございまして、今先生御指摘の、一般貸し付けは廃止するというのが既に決まっておるわけでございます。
そこで、中小企業者にとって悪い影響が出ないようにということで、我々も、これまでも、既に、平成七年から平成十七年までのこの十年間の間に、一般貸し付けの割合を四六%から一四%まで引き下げておりまして、実態として、特別貸し付けに重点を置いた政策を講じてきたところでございます。
さらに、平成二十年の十月の新機関への統合時に一般貸し付けがなくなるということは既に周知を図っておるところでございますし、さらに、政策的に新公庫が対応すべき分野については、特別貸し付けをつくりまして適切に貸し付けをしっかりとやっていく、こんなことを今考えているところでございます。
さらに、民間の金融機関からなかなか金が借りられないんじゃないかという御指摘でございますけれども、中小企業の発展のためには、中小企業への資金供給の九割は現在でも民間金融機関でございまして、民間金融機関からの円滑な資金供給というものが不可欠でございます。例えば、金融庁において設置されております金融審議会の中でも、地域密着型金融という報告書を出しておられます。(吉井委員「要するに、これまでどおり受けられるかどうかを聞いているんです」と呼ぶ)はい。民間金融機関の方も、中小企業にしっかりと対応していただくようにお願いをしているところでございます。
〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○吉井委員 縮小し、それを周知を図るという言い方とか、いろいろやっても、要するに一般貸し付けをなくすということなんですから、そうすると、中小企業公庫の一般貸し付けの融資条件と民間金融機関の平均的な中小企業向けの貸し付けの融資条件が同じであって何ら心配ありませんという話なのか、それとも、融資条件が変わってくるものになるのかということが問題なんですよ。変わらないんですね、あなたのお話では。
○近藤政府参考人 民間の融資条件と政府系金融機関の融資条件は、やはりそれは、それぞれの機関での仕組みの違いがございますので、民間の融資機関からの融資条件が政府系金融機関からの融資の条件と同じということにはならないというように理解をしております。
○吉井委員 だから、融資条件がよくなるという保証はないし、維持される保証もないわけですよ。
現在、民間金融機関は、少しでも高い金利を取ろうと躍起になっているわけですよ。例えば、カードローンとかクイックローンに力を入れているのがその証拠ですが、クイックローンによる融資が急速に浸透してきていると言われておりますが、クイックローンの特徴についてちょっと聞かせてください。
○近藤政府参考人 お答えを申し上げます。
クイックローンと申しますのは、財務諸表などのデータを活用いたしまして、融資の可否を定量的かつ短期的に判断する貸し付け手法を示しておるところだと理解をしておるところでございます。実際には、データから統計的に算出した倒産確率等で融資審査を行う、短期間で融資審査を行う、さらに、審査の多くの部分が自動化されているという特色があるわけでございます。
メリットとしては、今申し上げたような条件ですので、借り入れの手続が簡便である、審査期間が短いといったようなメリットがあるようでございますが、一方、過去の実績に基づいて融資をするとか、新しいものに対しては資金ニーズに対して資金供給が困難であるというようなデメリットがあるというように承知をしているところでございます。
○吉井委員 要するに、クイックローンの特徴というのは、リスクに見合った水準の金利を払うということになっているんですよ。
二〇〇六年の中小企業白書を見てみると、リスクに見合った水準の金利を払う無担保無保証借り入れとしてクイックローンが急速に浸透しているということが出ておりますが、その調査の中では、クイックローンというのは、比較的小規模で自己資本比率の低い企業においてより浸透しているとされて、貸付金利は、回答した企業の五二・〇%が通常の民間金融機関からの融資よりも高いと回答していますね。
つまり、中小企業においては、リスクに見合った水準の金利ということで、一般貸し付け廃止の結果、通常の融資よりも、また、通常の民間金融機関からの融資よりもさらに高い金利が課せられてくる、こういう傾向にあるということははっきりしているんじゃないですか。これは一言で結構です。
○近藤政府参考人 政府系金融機関に比べてクイックローンの金利設定が、私どものアンケート調査によりますと、高いという企業が五二・〇、大体同じだとおっしゃったところが三五・八、それから、通常の金利より低いんだといった企業が一二・二というデータであったことは事実でございます。
○吉井委員 だから、要するに金利は高いんです。
白書では、クイックローンを現在利用していない企業のうち九四・七%は、今後もクイックローンを利用するつもりはないとか、できれば利用したくないと回答しているわけですね。なぜですか。なぜそんなに評判が悪いんですか。
○近藤政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げましたように、クイックローンの場合には、メリットもあるわけですが、一方デメリットとして、過去の実績、過去の財務状況の評価といったものでございますとか、そういう機械的な計算、自動的な計算をするということでございますので、中小企業が新しい事業活動を行う際の設備資金ニーズに対応できないとか、創業期の資金ニーズには対応できない、このようなデメリットを考えておられるのと、それから、今御指摘のあった金利の点も含めて御判断をされると、中小企業の方々になかなか難しいという判断をしておられるんだ、このように理解をしておるところでございます。
○吉井委員 要するに、中小企業については、経営の面でも融資の面でも、どういうふうにサポートして、そして中小企業に頑張ってもらって地域経済を発展させるということが、また物づくり分野でも技術開発でも底辺を支えているわけですから、そこが発展してこそ日本の経済全体がうまくいくようになるわけですよ。
だから、創業期にどうするかということについても、長期にわたる経営、これまでの状況もにらんで発展させるにしても、そこに政府系金融の果たしてきた大事な役割があるのであって、それをぽんと捨ててしまって、これからはもうクイックローンなんかにどんどん走っていきなさいと、とんでもない話だというふうに思うんですよ。
それで、中小企業金融の実態というのは、政府系金融機関が低利、固定、長期の融資をしているから、民間金融機関は金利の方も一遍に引き上げることはできない。政府系金融があって、そこが頑張っているものですから、民間がやはり勝手なことはできないということも大事な要素としてあったわけですよ。そういう点では、政府系金融機関の質的、量的補完があるということが、これが市場と中小企業の経営が成立していく上では非常に大事な役割を果たしてきたということを私はきちんとやはり見なきゃいけないと思うんです。
三井住友の金利デリバティブの商品の押しつけ販売もそうなんですが、今銀行というのは、少しでも中小企業から利益を吸い上げよう、吸い上げようと、もう随分やっていますよ。民業圧迫などといって、政策金融をなくして、民間にできることは民間にというのは、結局、中小企業金融については高い金利の融資に置きかえるということになっていくと思うんですね。
だから、こういう法案を出すからには、そういうふうにはならないんですという歯どめをきちっと持っておらなきゃおかしいと思うんですが、何か歯どめはありますか。
○近藤政府参考人 今先生おっしゃいましたように、日本の中小企業、四百三十万の中小企業が日本の産業の競争力の源泉である、日本経済を支える生命線であるということは、全くおっしゃったとおりでございます。
私どもも、今、中小企業金融公庫や国民金融公庫で、金融危機とか災害時における金融のセーフティーネットでございますとか、不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資、さらには事業再生や創業の支援といったことを含めて、民間金融機関では対応することが困難な分野に取り組んでおるわけでございます。我が国中小企業の発展に大きく貢献をしているところだと思っております。
これを、新公庫の法案におきましても、新公庫がしっかりとこういった機能を担っていくということが規定をされておりますし、中小企業の資金調達に支障が生じることがないようにしっかりと対応していきたいと考えているところでございます。
○吉井委員 口ではしっかりなんですけれども、しかし、仕組みの上では、さっきもおっしゃったように一般貸し付けの廃止なんですよ。それにかわるクイックローンその他、民間の方は、同じ条件できちっと中小企業をサポートするということになっていないんですよ。歯どめはないということははっきりしているんです。
中小零細企業というのは今急激に数を減らしていっていますよ。本来、創業、開業はもっともっとふえなきゃいけないんだけれども、これはいろいろな条件がありますが、その中で金融の面でも大変なんですよ。
一方、金融栄えて企業なしの地域が各地に今発生し、広がってきているときです。だから、政府系金融の呼び水効果があって、その中で民間銀行の融資もあって地域経済に貢献してきたというのが日本経済のいいところだったと思うんですが、そこでは政府系金融機関の融資をきちっとやっていかなきゃいけないのに、それを縮小するという必要は全くないということを言っておかなきゃならないと思うんです。
民業補完とか民間補完とおっしゃるんだけれども、そこで言っている民は民間中小企業の民じゃないんですよ。民間大手銀行や大手サラ金の民になってしまっている。私はそういう民間補完というのは本当におかしいと思うんですよ。民間の中小企業を支える、その点では補って全きものにしていくという補完、なぜそういうことをやろうと考えないのか。民間補完といいながら、全く逆立ちしてしまっているということをまず言っておかなきゃならぬと思います。
次に、公的融資が十分にあってこそ金利暴走に歯どめをかけることができる、その最も典型的な例の一つが私は教育ローンだというふうに思うんです。
高等教育を受ける権利が国民ひとしく保障されるためには、法律上の文言だけじゃなしに、やはり経済の実態においても保障されなきゃいけないと思うんですよ。学費等がもっと安くあるべきだと思うんですが、公的奨学金も給付制にして、低所得層の学生も勉学の道に励めるように、それを支援していくというのは非常に大事なことだと思うんですが、そうなっていない根本原因は、諸外国と比較しても飛び抜けて教育予算が低いということはありますけれども、しかし、この法案では、その貧困な教育予算を文字どおり補完するという公的支援を弱めるものになっているという問題があると思うんです。
今回、国民公庫が行っている国の教育ローンを縮小するということがうたわれているわけですが、なぜ縮小をするのか、政府参考人に伺います。
○香川政府参考人 今般の政策金融改革の議論におきましては、現行四機関の業務につきまして、民業補完の観点から見直しを行った、その上で、民間金融機関により対応できると判断されたものについては、業務の廃止、縮減をするということとされたところでございます。
国民公庫の教育資金貸し付けにつきましては、低所得者の資金需要に配慮しながら所得制限を引き下げるということとされておりまして、この旨、行革推進法等に定められているところでございます。
今後、どの程度引き下げるのかということにつきましては、見直しによって民間金融機関からも公庫からも借り入れを受けられない層が生じてしまうことのないよう、十分考慮していくことが重要と考えております。
○吉井委員 大体、民間銀行の補完が本来政策的にやるべきことじゃないんです。教育を受ける権利を保障するために、国民の側が経済的に進学は大変だという人について補い、それを実現できるようにやっていく、制度的に全きものにするというのが本来の補完だと思うんですよ。今のお話は、全く、そもそも出発からして逆立ちしてしまっていると思うんです。
行政改革の重要方針では、「教育資金貸付は、低所得者層の小口の資金需要にかんがみ、所得制限を引き下げ縮減して残し」とあるわけですが、そこで、これは大臣に伺っておきますけれども、この「低所得者層」というのは、年収は大体どれぐらいの層のことですか。
○渡辺国務大臣 これも、見る人から見て、相当違いが出てくるんだろうと思うんですね。例えば、年収五千万円の人から見れば、年収一千万円の人は低所得になるでしょうし、一方、年収五百万の人から年収一千万の人を見たら、低所得とは到底言えないでしょうし、法律用語として定義があるわけではございません。
したがって、行革推進法で「低所得者の資金需要に配慮しつつ、」とうたっておりますことは、まさに、先ほど政府委員からも答弁がありましたように、民間金融機関からも公庫からも、両方から借り入れを受けられない層が生じてしまうことのないよう十分配慮をして決めていくということにほかならないわけでございます。
○吉井委員 大体、漫談のような答弁をしてもらったら困るんですよ。これは、厚生労働省の方にしても何にしても、低所得層という低所得とは基本的にはどういうものかというのは、一定の考え方というのは政府の方で持っているのに、あなたが答弁の方で漫談みたいなことを言ったら、本当に国会審議というのはでたらめなものになりますよ。けしからぬと思いますよ。
現在の国民金融公庫の国の教育ローンの融資条件について政府参考人に伺いますが、保護者の世帯収入の上限と、その上限額というのはどのように決まっていますか。
○香川政府参考人 国民公庫の教育ローンの現状でございますが、世帯の年間収入が九百九十万円以内、事業所得者の場合には七百七十万円以内である場合に、学生一人につき二百万円以内ということで融資をしております。
○吉井委員 そうすると、この九百九十万とか事業所得者で七百七十万という上限額以下だったら教育ローンについて融資をするということですから、これは政府の判断として、それだけの所得、要するに九百九十万とか七百七十万というのは、これは低所得ということで考えて進めていくということでいいんですね。
○香川政府参考人 九百九十万という上限が高過ぎるのではないかという議論があって、これを下げるという議論になっておるわけです。
その収入のレベルですと民間からも教育ローンが出ているということで、年収だけじゃございませんけれども、そこを下げていくことを今後考えなきゃいかぬということになったわけです。
○吉井委員 教育を支えるということは、この層が低所得でないからもっとこれを引き下げるという今のお話ですけれども、実際それで二人の子供さんが下宿して大学へ行って、どれぐらい負担が必要なのか、それでやっていけるのかどうかということを考えたときに、今の発想は、だから教育ローンはもう縮小していくんだという発想は、私は、これぐらいの層でも高いから、もっと低い層に引き下げるんだということになってしまったら、これは日本の教育を受ける権利の保障ということからして、本当に深刻な問題になってくると思うんですよ。それなのに、そういう方向へ行こうとするわけですか。
○香川政府参考人 民間銀行の教育ローンも出ているような層については、そこを見直そうということでございますが、所得制限引き下げに当たって、今おっしゃいましたように、子供の人数でありますとか、それから、民間ローンの場合には申込人の勤続年数とか負債状況等で拒否するケースがあるというようなことも伺っております。
そのような実情をしっかり把握した上で、先ほどから申し上げていますように、見直しによって民間金融機関からも公庫からも借り入れを受けられない層が生じてしまわないよう考慮していくことが必要だと思っております。
○吉井委員 教育ローンは民間ができるかどうかという問題ですが、諮問会議で、民間でもできるなどと委員や財界代表が言っていたことは知っておりますが、インターネットで教育ローンのサイトを開きますと、大手銀行からプロミスなどサラ金までが、教育費への無担保融資というのをやっております。
民間金融機関が行っている教育ローンについて、うんと高い金利の状態でいいますとどれぐらいですか。
○香川政府参考人 全部を把握しているわけではございませんが、公庫の金利が三・三%という固定金利であるのに対しまして、民間の場合には二%台から六%台までのバラエティーがあるようでございます。
○吉井委員 プロミスのフリーキャッシングなどの教育ローンが紹介されておりますが、高い金利では一七・八〇〇%から二五・五五〇%ですよ。
では、低いと考えられる大手行の教育ローンでは、金利は大体どれぐらいのところですか。
○香川政府参考人 私どもが把握している限りでは、二%台ということでございます。
○吉井委員 三菱東京UFJ銀行の教育ローンは、無担保で、これは金利の低い方なんですけれども、変動型で四・六二五%、固定型で六・六二五%ですよ。民間の教育ローンの金利というのは、大体こういう水準なんですよ。
一方、国民金融公庫の国の教育ローンの金利というのは、先ほど三%ぐらいとおっしゃったんですか。ですから、それに比べると、民間銀行の教育ローンで大体二倍、あるいは二倍以上高い。さらに、紹介されているような、中にはいろいろなのがありますけれども、これは三井住友銀行グループのアットローン、教育ローンのところで紹介されておりますが、一五・〇〇から一八・〇〇〇%とか、本当に、それが実際にはクレジット会社やローン会社が設定している教育ローンの実態だと思うんです。
国民金融公庫の国の教育ローンの金利からすると、これは、所得が高いからもうこっちは縮小だということで貸してもらえないということになると本当に深刻な問題が出てくると私は思うんですが、そういうことは全く検討したことはないんですか。
○香川政府参考人 民業補完の観点から、所得制限は下げますけれども、先ほどから申し上げていますように、資金需要でありますとか民間の教育ローンの提供の状況というものを勘案して所得制限を下げていくということだろうと思います。
○吉井委員 民間大手銀行が、大手の消費者金融、いわゆるサラ金などへ融資している金利は大体二%以下ぐらいなんですよ。これは、ちゃんとここにも金融庁からの資料もあります。一方、教育ローンというのは、安くても保証料などを含めると四、五%なんですよ。だからそれを、国金の方の教育ローンを、これはもう縮小だと、あるいは所得制限をどんどん設けるとなれば、八百万、九百万といったって、子供が二人下宿して大学に行くとなったら、本当にこれは大変なんですよ。そういうことも考えないで、簡単にそういう政策金融を切り捨てていくというのは、私は本当に大変なことをやろうとしていると思うんです。
今、教育格差が問題になっているときに、年収八百万、九百万の所得が高いということになるのかどうかですよ。学生を抱えて暮らしていく上で余裕はありませんよ。それが実態です。無理してその分を支出すれば、今度は老後の生活設計にかかってくるわけですよ。老後の生活が大変になれば、結局、国の支出をふやさないことには国民の老後を保障できなくなる。目先の改革で全体を見失うような国の教育ローンの縮小というのは、こういうことは本当に考えちゃならないと思うんです。
さっきから言っていますように、民間補完とか民業補完と言いますけれども、この民間の民という字は、本来ならば国民の民でなきゃおかしいと思うんですよ。だけれども、これは今、民間大銀行とか民間大手サラ金業者の民になっているじゃないですか。私は、これは全くおかしいと思うんです。
大臣、最後に伺っておきますが、教育資金貸し付けを縮小しても、実は、予算規模全体からすれば、それほど大きなものじゃないんですよ。二〇〇五年度の実績で見れば、十七万二千件で総額二千二百三十七億円の貸し付けですが、一人当たり百三十万円ぐらいなんですよ。公庫の教育ローンを受けている世帯のうち、六百万以上ぐらい、全部で八百四十八億ぐらいの貸し付けということに大体なってきますけれども、米軍のグアム移転に国際協力銀行などが六十億九千億ドル、七千二百億の資金提供を約束する。一方で、なぜこれぐらいの規模の国民の教育ローンの廃止に走ってしまうのか。これは、とてもじゃないけれども、そういう政策そのものがおかしいということを私は言わざるを得ないと思うんです。大臣、そういう政策金融のゆがめ方というのはやめるべきじゃないですか。
○渡辺国務大臣 教育ローンについては、やはり政策金融のあるべき姿として、民業補完の観点は避けがたいと思います。民間金融でも、例えば私の地元の栃木銀行などは、二・七五%から三・七五%の変動金利で教育ローンをやっておるようですね。したがって、こういう民間のローンがございますので、政策金融はあくまでそれを補完するということであろうかと思います。
いずれにいたしましても、民間からも借りられない、そういう層が出てこないように低所得者の範囲については配慮をしてまいりたいと考えます。
○吉井委員 低所得者層への配慮と言うけれども、そもそも低所得者層が何ぼかわからないというのがさっきの答弁ですからね。だから、全く言っていることが、私は余りにもひどい漫談調の答弁だというふうに思うんですよ。
国民の民なのか民間中小企業の民なのか、それとも、民間大手銀行や民間大手サラ金業者の民間なのか。民業補完が今そっちの方に行っているのが、政策金融をゆがめ、おかしいことになっているということを指摘して、質問を終わります。
○河本委員長 次に、後藤田正純君。
○後藤田委員 このたびの新公庫法案の議論で、やはり行革という言葉に皆さんかなり心配され、また誤解もあろうかと思います。おっしゃりたい御意思、民業圧迫をなくすだとか行政改革をしていくんだ、天下りも極力減らしていくんだという姿勢はわかるんですけれども、やはり中小企業団体の方々や零細の生活衛生同業組合の方々を初め、また教育費もなかなか払えないようなそういった弱い立場の方々等々、いろいろな御心配をされております。ただ、それを払拭するのは、当委員会のメンバー、立法府であり、また大臣のきょう最後の三十分の答弁である、私はそう思っております。
大体、行革か政策か、そういう二元論というのは、これはおかしな話であり、行革も当然必要であります。そして同時に、政策金融も必要である、これは当たり前の話である。大臣も、金融危機対応での過去のさまざまな活動、御発言、そしてまた地元に足利銀行を持たれて、いろいろその点についても、政策金融の重要性についてはだれよりも思いが強い、私はそう思っております。
そしてまた、前金融副大臣として、貸金業規制法につきましても、弱者に対する配慮を旨とした法律を成立させたときの副大臣であるということでございまして、弱者に対する金融政策のあり方については見識を持たれているということは、私は一番よくわかっております。
その中で、先ほど来も、またこの長い委員会の質疑の中でも、与野党ともに出ている議論でございますが、合併をする、その連結する効果、シナジー効果、そういうことも当然考えられると思いますけれども、一方で、連結による負の効果ということも当然考えられると思います。
旧五機関のそれぞれの決算が一つにまとまったときに赤字である、一方で資源エネルギーでの大きな海外を中心とする政策金融をやっている、一方で中小企業の政策金融をやっている、全体で赤だったら、では全体を改善していくのかということになると、これは大きな間違いを生むというふうに思っております。そういう意味で、両方とも大切でございます。国際金融も中小企業や弱者に対しての政策金融も、必要だと思います。
その中で、日本における中小企業、零細企業の方々に対して、今回の新公庫法案は、その以前の基本法でございます行革推進法の附帯決議にも書かれている資金需要に質、量とも十分な財政措置等を行うという趣旨と同じく、この推進法に基づくその趣旨をしっかりと踏襲していく、その思いは変わらないかということを、まず冒頭、大臣に御質問させていただきます。
○渡辺国務大臣 後藤田委員御指摘のとおり、行革推進法の附帯決議を踏まえ、政策金融として果たすべき機能を的確に果たしていく必要があると考えております。
新公庫の成立後は、民業補完を旨としつつ、民間金融機関の動向や地域経済の実情を十分把握し、政策金融として必要なところに資金が的確に供給されるよう運営していくことが重要であると考えます。
○後藤田委員 先ほども委員の質疑にもありましたが、やはり中小企業の方々に対する金融は、今までも十分に果たされたとは私は思っておりません。その証拠に、事業者金融をしている大手、中小も含めて、増収増益ですよ。それは非常に高い金利で。それを見て、政策金融をやられているみなし公務員の担当の方やそれを管轄する政府、公務員の皆様、本当にどう思っているのかなと私はいつも悲しく思うんですね。
今、公務員改革だとか政治改革だとかいろいろな議論がありますけれども、また行革もそうであります。本来、そんなことを言われないようにしっかりと公務員の方々が仕事をしていただいていれば、そもそもこんな議論になっていないんですね。
その中で、これからも、これからはですか、民間の事業者ローンや消費者ローンで苦しむ方々、また、市場経済ですからそういう業界の方々をどうするというわけではありませんけれども、そういう業界がもうかって新公庫の貸し出しが縮減するようなことがあったら、本当に公務員は要らなくなりますね。政府も要らなくなる。皆さん方が自分で自分の存在を否定するということになります。大臣に言われるまでもなく、私は、役所の方がそういうふうに行動をしていただきたかったと思います。今回は行革という組織論の話が目立っておりますけれども、新公庫というものをつくったときのその政策的な意義について、改めて現場サイドにこの思いを伝えていただきたいというふうに思います。
そうでなければ、公務員改革という流れだけじゃなくて、これからは規制緩和、そして自由主義市場経済、市場化テスト、いろいろな波にもまれて、皆様方はもう意味がないというレッテルを張られますよ。ぜひそのことについては改めて認識をしていただきたいというふうに思います。
そういう意味で、今回、新公庫で重要な点は、直接窓口にいらっしゃる担当の方々、言い古された言葉でありますが、目ききですね、こういった窓口業務が生命線であります。その窓口担当者の教育だとかその配置について万全を期すという思いを、大臣から言質をいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 新公庫で直接担当する窓口業務が生命線であるということはそのとおりだと思います。
人材の確保、養成など、新公庫の具体的な運営のあり方については、会社法上の会社として自主性にゆだねてまいります。ただし、新公庫が政策金融機関として必要な機能をしっかりと担い、政策上必要な業務を的確に実施していくためには、御指摘のように、それぞれの分野のそれぞれの政策や実情に精通した人材の確保、養成が行われ、利用者と直接接する窓口に適切に配置されることが極めて重要であると考えます。行革推進法第五条においても、新公庫の組織について、「専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とするものとする。」と規定されております。きちんとした人材の育成、確保に万全を期してまいります。
○後藤田委員 ありがとうございます。大臣のこの言質は残りますので、丁寧に読んでいただいて結構であります。本当にありがたいと思います。
私も、ことし、新年会で生活衛生同業組合の方に呼ばれてお邪魔をしたときに、貸金業規制法の話になりまして、その話で、金利が行く行く下がり、そして貸し出しのいろいろな行政処分も、なかったものができるようになるというような話をしたら、みんな喜んだんです。しかし私は、喜んだこと自体、問題だと思っているんですよ。いわゆる生活衛生同業組合の方々までもがそういった消費者金融に手を出さざるを得なくなっている、そういう現状を、改めて僕は背筋が寒くなる思いをしました。拍手して喜んでいただいたんですけれども、私は、これは大変なことだな、国金さん、何をやっているのかなという思いがしたんですね。
そういう意味で、中小企業の多くの分野はもちろんでございますが、特に生活衛生関係の会社はほとんどが零細個人経営なんですよ。なおかつ、いろいろな政府の業法によっていろいろな規制がかかって、衛生水準の維持とか向上とか、いろいろなことが一方で求められているわけですね。そういうことを考えたときに、新公庫の運営におきまして、改めて特段の配慮といいますか政策が必要なんではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 生活衛生関係の営業者の皆様は国民にとって大変身近な存在であります。事業者数にして約百万人、従業者数にして約六百万人に及んでおります。国民生活金融公庫の融資がこれらの方々に大変重要な役割を担っておることはよく承知をしております。政府としても、新公庫を創設するに当たり、これらの貸し付けはしっかりと政策金融として承継をいたします。
このため、新公庫法においては、生活衛生関係営業者に対して最大限の法的位置づけを行っております。第一に、目的規定に、行革推進法において用いられている「国民一般」の用語を用いるとともに、これが生活衛生関係営業者を含むものであることを目的規定の次の条文である定義規定において法文上明確にしております。第二に、業務の規定において、生活衛生貸し付けの具体的内容を明記いたしております。第三に、新公庫の資金計画において生活衛生関係の貸付予定額の合計額を明らかにしなければならないこととしております。
政府としても、新公庫の設立により、生活衛生関係営業者の方々が融資や利便性について不安を持たれることのないよう、新公庫の運営に当たって十分配慮する方針でございます。
○後藤田委員 もう一つは、今回、政府におきまして数値目標の議論が随所に出ていたり、今回の委員会の質疑でもそういった懸念等々が披露されたわけでございますが、改革には数値目標を置くというのは効果的であるということは私もある意味同感であります。ただ、これは、もうやめられた方、大臣で数値目標を置いて諮問会議で民間開放といってやられていた方がよく使った手法ですよ。ただ、私は、半減目標達成後の経済動向というのは、極めてこれは読みにくい。
そしてまた、民間金融の円滑化ということをいつも金融庁、年末に大手銀行から地銀から政策金融までみんな呼んで、私も政務官のときに何度も立ち会いましたけれども、ちゃんと金貸してあげてくださいよ、経済産業省と金融庁でそれを言うわけですね。その動向もこれからどうなるかわからないわけですね。予測しにくい。
また、新公庫の本来機能というのは政策金融でありますね。一方で政府は今度は、上げ潮、成長戦略と言っているわけですよ。成長戦略を考えたら、信用収縮をあらかじめうたったような内容を入れると整合性が合わないですね、政府として。
そういうことから、今回、いろいろ心配されております数値目標につきまして、僕は貸し付けの縮減、減らすという目標であっては大問題だと思っています。貸し付けの増加、減少というのは経済状況によるはずだと思います。そういう意味で目標設定はなじまないと思っておりますが、その点について御答弁をお願いします。
○渡辺国務大臣 成長戦略においては、非常に多くのサービス産業が残念ながら低生産性の状態に甘んじているということを改善していく必要があろうかと思います。そうした中で、政策金融の分野において、GDP比半減目標を達成した後、数値目標を設定することについては、中小零細企業などへの資金需要の的確な対応がなされているかどうか、民間金融機関の動向や経済状況を考慮していかなければなりません。また、部分保証や証券化などの新たな民業補完の手法の今後の活用状況等も踏まえてよく検討をさせていただきたいと存じます。
行革担当大臣として私に与えられたミッションとしては、新公庫の貸し付けが、政策金融改革の趣旨を踏まえ、民業補完に徹する観点から適切な貸し付けの規模となっているかどうかを不断にチェックしていくことであると考えております。
そのため、新たな数値目標の検討については、まず行政減量・効率化有識者会議のワーキングチームにおいてよく検討していただき、その意見を聞いた上で、主務大臣とも連携して政府として判断していくこととなります。また、これに当たっては、国会での御審議を十分踏まえ、関係者の意見も聞きながら適切に検討することにしたいと考えております。
○後藤田委員 次に、国際協力銀行につきましてお伺いしたいと思います。
これは国内の中小零細金融とはまた大きく異なる分野でありますが、やはり経済安全保障、よく外交安保という安全保障をおっしゃいますが、やはり資源、水、労働、金融、こういう経済安全保障というのは一九八〇年代に大平内閣のときにしっかりと方針が示されたんですけれども、なかなか政府として踏襲されていないようであります。ただ、各省庁では引き続きその役割を担ってきていただいていると思いますし、これからもその役割は適切に果たしていただきたい。
そういう中でも、中長期的な戦略が必要になると思いますね。二〇〇〇年に一回一緒になって、今度二〇〇七年にまた別れてと、ついたり離れたりしていたら中長期の計画なんかできませんよね。また人材も育たない。担当者がまた数年置きにかわる。これはよくある役所の弊害といいますか、そういったことがないように、目的遂行のための信用の維持というのは、例えば対アラブの方の石油開発にしても当然必要だと思っておりますし、業務の積極的な展開におきましても当然重要なことだと私は思っています。
その中で、イスラム金融という話を私は耳にしまして、これは非常に日本の国際協力銀行はすばらしい、すばらしく発展しているというか、そういうものに目を向けて頑張っていらっしゃる。中東のオイルダラーとのいろいろな取り組みも大変盛んにやられているということです。イギリスは、今のブラウン大蔵大臣、彼がイスラム金融について非常に関心を持って、これは世界各国がその資源というものを政策的にどう獲得していくかとしのぎを削っている中で国際協力銀行も今までやってこられたと思います。
今回の統合によって、今までのそういった政策がより達成されるためにはこの組織再編がどうあるべきかというのを御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○篠沢政府参考人 お答え申し上げます。
私どもの現在のJBICの中での国際金融等業務というものが、今回、日本政策金融公庫の中に統合されるということになっておりますが、現在のその部門が担当しております、資源エネルギーの確保でありますとか、あるいは大きな国際競争を、日本企業の国際競争力をサポートしていく、あるいはいろいろな通貨関係の危機に対する危機対応能力とか、そういったものにつきましては、新公庫におきましても遺漏なく発揮をしていくように努力をしてまいりたいと思います。
イスラム金融についてのお話がございましたが、昨今、原油高でありますとか、あるいは中東地域におきましていろいろ大きなビジネス、大変繁忙をきわめているようでありますが、そういったことを背景としまして、大変大きな金融力を持つようになってきているわけでございます。しかし、それが、通常金融ももちろんあるのでございますが、イスラム教の教義に従って行うイスラム金融という形でも大きく急拡大をしているものでございますから、日本を含むアジア地域の方でもこのイスラム金融に対して関心を高め、これとの接触を持つ必要が出てきているというふうに考えて、私どもの銀行では、現在、イスラム金融に関する情報収集や国内外のネットワーク構築に努めているところでございます。
既に、イスラム法学者を定期的に招いて研究会を開催し、あるいは、日本の法人としては初めてイスラム金融サービス委員会というものにオブザーバー会員として加盟をする、あるいは、このイスラム金融サービス委員会と共催で日本でイスラム金融セミナーを開催する等々の努力をしているところでございます。
現在はそういう形で、主として情報収集等の活動の段階にございますが、日本の金融法制との調和も含めまして、政府とよく御相談しながらそれの具体化に入っていきたいというふうに考えております。
○後藤田委員 ありがとうございます。
今総裁おっしゃったように、イスラム教義に基づくイスラムの金融というのは、これは金利が取れないということなんですよ。金利を取らないんですよ、イスラムというのは。これは日本も学ばなきゃいけないなと思うわけでございますけれども、ただ、そういう中で実物投資、投資信託だとかリースだとかそういう形で皆様方が活動されているということは、本当に余り知られていないので、しっかりと主張していただきたいというふうに思います。
最後でありますけれども、大臣にこの法律に対するメッセージを国民の皆様方に発していただきたい、大事な最後のポイントでございます。
今回、行革の観点から新たに新公庫というものが生まれ変わるわけでありますが、これが単なる行革法案というものではなくて、これからどのような使命を持ってこの新公庫がはぐくまれていき、そして大人になっていくか。そういう点につきまして、大臣の思いを、今までは五つの機関で頑張ってこられた職員の方々、そしてその機関を利用し、活用してこられた国民の皆様方に対して、今回の新公庫法案の趣旨と、改めて最後にメッセージを自分の言葉でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○渡辺国務大臣 政策金融は残すわけでございます。一方、国民のお金をより効率的に運用していくシステムはつくらなければなりません。
一つに統合した場合のメリットはどんなことがあるのか。再三この委員会でも話題になりましたように、コスト縮減は明らかに図られていくはずでございます。大手銀行のように勘定系の問題があるわけではございませんので、メガバンクが統合されたらメカパンクになっちゃったというようなことはないと考えております。
したがって、きちんとこうした統合のメリットを図っていきながら、政策金融としてのノウハウを共通化していく必要があるかと思います。経営コンサルティングやビジネスマッチングなど、従来の垣根を越えた幅広いサービスの提供が行われていくものと考えております。また、すべての金融サービスについてワンストップサービスが図られるようになっていくと考えております。
いずれにいたしましても、行政改革の効果と同時に、政策金融の必要最小限の業務は残していくわけでございます。
○後藤田委員 政策金融は経済における血液であります。同時に、政策医療というのも我々政治家が当然担う仕事でございます。
私の父は二十年以上人工透析をしておりまして、それは、糖尿病を患い、そして自分の腎臓では生きられない。週三回血を抜く、人工的にろ過をする。それで今、命を維持している人間が二十五万人おりますね。透析の患者、家族も含めたらそれぐらいになるんですね。しかし、イギリスでは七十歳以上は透析ができない。これは財源の問題だ。でも、そういう国に絶対に日本はなってはならないと思っておりますし、これはやはり経済における血液は金融であるという本分を新公庫の職員、皆様方に改めて御認識をいただき、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○河本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○河本委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。
○西村(康)委員 自由民主党の西村康稔でございます。
私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、内閣提出の株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、賛成の立場から討論を行います。
昨年五月に成立した簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法では、資金の流れを官から民へ改革し、これにより国民の大切な資産が民間部門で活用され、我が国経済の活性化に寄与するという観点から、現行の八つの政策金融機関の組織及び機能を再編成し、政策金融の機能を、新たに一つ設立する政策金融機関に担わせるという政策金融改革の基本方針が規定されました。
本法案は、こうした基本方針に忠実にのっとり、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の四つの機関を統合し、新たな政策金融機関として株式会社日本政策金融公庫を設立し、その目的、業務の範囲等に関する事項を適切に定めるものであると評価いたします。
具体的には、第一に、現行四機関の統合と業務の限定により、株式会社日本政策金融公庫が、民業補完に徹しつつ、中小零細企業への融資を初めとする政策金融として必要な業務を的確かつ効率的に実施していくための体制が整備されるものと期待するものであります。
第二に、株式会社日本政策金融公庫は、その予算について国会の議決を要し、決算については会計検査院の検査を経て国会に提出されることに加え、会社法に基づき、企業会計原則、会計監査人の監査等の対象になることから、強固なガバナンスが確保されるとともに、効率的で透明性の高い事業運営が図られるものと評価をいたします。
本法案が早期に成立し、政策金融改革の基本方針が具体化されることにより、政府が今後とも政策金融改革の着実な実行に取り組むとともに、株式会社日本政策金融公庫が、現行四機関の業務等を円滑に承継し、政策金融機関としての使命達成に向けて、今後期待される公務員制度改革とも相まって、この機能を適切に発揮していくことを期待いたしまして、私の討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○河本委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、反対の立場から討論いたします。
反対の第一の理由は、新公庫において省庁の縦割りと天下りが温存されるおそれがあることであります。
本法では、新公庫の業務に関する事項ごとに、主務大臣を財務、厚生労働、農林水産、経済産業大臣と、複数大臣の監督のもとに置いておりますが、統合される五機関の所管省庁の権益が新公庫においてもそのまま持ち込まれ、内部において縦割り体制が温存されるおそれがあります。また、天下り問題についても、「代表取締役又は代表執行役のうち経営責任を担うべき者」について、「特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮する」と規定されているものの、その他役員には明確な規定がなく、天下りの解消につながるものではありません。また、関係省庁が恣意的に関与する構造に変化が見られるものでもありません。
反対の第二の理由は、政策金融機関の統合によってどれだけメリットが生じるのか、その統合効果が必ずしも明らかでないことであります。
政府は、統合により支店の統廃合や人件費の圧縮が進むと説明しておりますが、その具体的なコスト縮減効果は明らかではありません。あまつさえ、平成十九年度予算においては、支店統合に伴う増改築費や利用者の利便性向上のためと称して三十五億円が計上されております。焼け太りのおそれがあるとは申しませんが、本当にコスト縮減に向かうのか、その方向性が必ずしも定かなものとはなっておりません。
反対の第三の理由は、地域経済に対する悪影響が生じる可能性のあることであります。
国民生活金融公庫、中小企業金融公庫の民間銀行を仮定した場合の自己資本比率は低いレベルにあり、統合された新公庫が、今後融資切り捨て、貸し渋り、貸しはがしに走る可能性は捨て切れません。地域経済の活力の土台となるべき中小企業者の間からは、新公庫統合による業務の整理合理化と相まって、融資がカットされるのではないかという不安の声が多数上げられています。政策金融が本来担うべきこれら中小企業などに対する融資業務は、民間金融機関の代替可能性が少なく、地域経済に悪影響を及ぼす可能性があります。中小企業者のこれらの不安の声に対して、本法案は明確に対応したものとはなっておりません。
本法案は、昨年に成立した行政改革推進法に示された政策金融の改革方針に基づいたものでありますが、これら対象となる複数の金融機関を単にホチキスどめしたものにすぎません。そしてまた、委員会質疑において、その将来像、具体像は明らかになされませんでした。
以上、本法案に反対の理由を申し述べて、私の討論を終わります。(拍手)
○河本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、株式会社日本政策金融公庫法案並びに株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対して、反対討論を行います。
反対の第一の理由は、政策金融機関を、国民が必要とする資金を長期、低利、固定で供給する機関から、大銀行を補完する範囲内で資金を支援する機関に変質させるものだからであります。
現行の国民金融公庫法を初め、中小企業、農林漁業の三公庫法の目的には、一般の金融機関からその融通を受けることを困難とする国民、中小零細企業、農林漁業者が必要とするものを供給すると規定しています。新公庫の目的は、一般金融機関が行う金融を補完することを旨としつつとした上で、国民、中小企業、農林漁業者の資金調達を支援すると規定しています。これでは国民が求める資金を十分供給できなくなり、政策金融機関としての役割が発揮できなくなります。
第二の理由は、公庫の業務や貸付業務の縮小、廃止が促進されることになるからです。
法案は、教育資金貸付対象者の縮小、中小企業の一般貸し付けの廃止を規定しています。さらに政府に、新公庫が一般金融機関の補完機関であるという視点から、公庫業務の縮小、廃止の方向での見直しを義務づけています。その上、新公庫の業務をいわゆる市場化テスト法の対象にしています。これでは貸付業務を初めとする新公庫全体の業務の縮小、廃止、民間化に拍車がかけられます。その結果、国民、中小零細企業などが必要な資金の供給を困難にするだけでなく、公庫への利便性を阻害し、公庫で働く労働者の労働条件の悪化や雇用不安を招きます。
第三の理由は、今回の法案が、大銀行の利益を最優先した財界戦略に沿った政府系金融機関の改革の一環だからです。
今回の法案は、住宅金融公庫の廃止、郵政民営化に続くものですが、財界、大銀行が主張する民業圧迫論を口実に、大銀行が中小企業市場などへの進出を初めとする新たなもうけ口獲得のために、その障害である政策金融を縮小しようとするものであります。
このように国民向け貸し付けを縮小、廃止する一方で、国際協力銀行のように、米軍再編のためには、銀行の目的に反した上に、事業主体も決まらず、融資の返還見通しさえつかないにもかかわらず、莫大な融資や出資を決めています。国民、中小企業より大企業、大銀行やアメリカを最優先する姿勢は、到底理解することはできません。
また、国民の強い天下り批判についても、規制を強化するどころか野放し状態に置こうとしていることを厳しく批判し、反対討論を終わります。(拍手)
○河本委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○河本委員長 これより採決に入ります。
まず、内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、後藤田正純君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。後藤田正純君。
○後藤田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、両法律の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すこと。
一 株式会社日本政策金融公庫(新公庫)の組織運営に当たっては、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金需要に質量ともに的確に応えるものとし、そのために必要かつ十分な財政措置等を講ずること。
一 新公庫の組織設計・運営に当たっては、業務の態様に応じた区分を明確にして内部組織を編成し、専門能力を有する職員の窓口配置・育成を適切に行うなど、利用者の利便性の維持・向上に努めること。特に、国民一般のうち生活衛生関係営業者については、個人営業者等零細な事業者が多いこと、また、公衆衛生の向上に資することが求められることから、引き続き、融資目的や業務の態様を踏まえた、きめ細かい対応を図ることにより、生活衛生関係営業者が融資や利便性について不安をもつことのないよう、新公庫の運営に当たって十分配慮すること。
一 中小企業金融公庫の一般貸付の廃止に際しては、その時々の経済金融情勢及び政策ニーズを踏まえ、必要に応じ特別貸付制度の創設及び拡充を図るなど、中小企業者の資金需要に機動的に対応するよう努めること。
一 新公庫が国民生活金融公庫から承継する教育資金貸付けの貸付対象範囲の見直しに当たっては、民間金融機関からも新公庫からも貸付けを受けられない層が生じてしまうことのないよう、十分慎重に検討すること。
一 新公庫において、国際協力銀行が果たしてきた資源・エネルギー確保や国際競争力確保等の機能を、引き続き適切に果たすため、目的遂行のために信用の維持と業務の積極的展開が一貫した体制として可能となるよう体制を整備すること。また、新公庫は、我が国の国際競争力の強化に資する環境・省エネルギー対策についても積極的に取り組むこと。
一 危機対応体制については、新公庫における機動的な対応及び完全民営化機関をはじめとする民間の指定金融機関の機能やノウハウの積極的な活用により、これまで商工組合中央金庫、日本政策投資銀行等の政策金融機関が行ってきた危機対応と同水準の条件及び範囲の危機対応が確保され、危機時に必要な所に資金が円滑に供給されるよう必要かつ十分な財政措置等を講ずること等制度の運用に万全を尽くすこと。
一 新公庫の貸付残高にかかる数値目標の要否についての議論を行うに当たっては、予め機械的な目標を設定することは避け、中小企業等の資金需要、民間金融機関の動向、経済金融情勢の変化等を十分踏まえ、政策金融改革の影響を見極めつつ、慎重に行うこと。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○河本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○河本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○河本委員長 次回は、明二十五日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十八分散会