衆議院

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第15号 平成19年4月25日(水曜日)

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平成十九年四月二十五日(水曜日)

    午後二時一分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    岡下 信子君

      嘉数 知賢君    木原 誠二君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      林田  彪君    松浪 健太君

      村上誠一郎君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    小宮山洋子君

      佐々木隆博君    横光 克彦君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 溝手 顕正君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           高市 早苗君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 飛田 史和君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        戸塚  誠君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      舟木  隆君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   薦田 康久君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房長山本信一郎君、大臣官房審議官飛田史和君、公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君、交通局長矢代隆義君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、大臣官房参事官森川卓也君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長舟木隆君、原子力安全・保安院審議官薦田康久君及び海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 この内閣委員会、本当に与野党しっかりと審議をさせていただいておりまして、法案、法案の間の一般質疑ということでお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭は、統一地方選挙もあった四月でありますけれども、大変残念な惨事と申しますか、あの長崎の伊藤一長市長が凶弾に倒れる、民主主義を破壊するような、その根幹を揺るがすような大事件が起きました。このことについて、警察の動き、また今後のあり方ということについて質問をさせていただきたいと思います。

 伊藤長崎前市長になるんでしょうか、市長だったわけですが、地元の山口組傘下組織水心会の幹部、城尾容疑者の手によってけん銃を発射され倒れたということでありますが、まずお伺いをしたいわけですけれども、その後の捜査の状況、また事件の概要、改めてお話をいただける範囲でお願いをさせていただきたいと思います。

溝手国務大臣 本件につきましては、現職の地方公共団体の首長を暴力団幹部がけん銃を使用して殺害するという卑劣きわまりない事件であると思っております。市民生活の安全を脅かす、まさに社会に挑戦するような犯罪については決して許されるものではなく、徹底した捜査を推進し、厳正に対処するよう督励してまいりたいと考えております。まだ捜査中でありますので、その件に関しては、また別途、よろしくお願い申し上げます。

泉委員 捜査中、支障があるのかもしれないのですが、この犯罪に使われたけん銃でありますけれども、そういったものの入手ルートの解明、これは進んでいるんでしょうか。

米田政府参考人 使用されたけん銃の入手ルートも含めまして、全容解明に向け捜査中でございます。

泉委員 例えば、けん銃の種類ですとか、そういったことも今現在はお答えできない状況でしょうか。

米田政府参考人 けん銃につきましては、米国製のスミス・アンド・ウェッソンでございます。

泉委員 昨年、警察の皆さんが「薬物・銃器情勢」というものを資料としてつくられておりますが、その中でも私が少し気になりましたのは、全国的には、銃器犯罪また銃器の摘発件数、これが警察の努力のかいもあり減少傾向にはなってきている。しかし、そういう中で西日本の比率が随分と高くなっているということが挙げられておりました。

 この九州という地の特別な事情というものがそこに何らかあったのかということも推測をされるわけですが、その点、警察の現在の御見解というものはございますでしょうか。

米田政府参考人 銃器使用犯罪、特に銃器の発砲事件につきましては、やはり暴力団が行うものが多いわけでございます。暴力団の銃器発砲事件に対しましては、厳正な取り締まり、対立抗争時の事務所使用制限命令、あるいは一般人を傷つけた場合の組長への使用者責任等々で封圧を図っております。

 そういう中にありまして、しかし暴力団の本質は変わらないわけでありますから、その状況、状況の中で凶悪な発砲事件を敢行するということでありまして、昨年については西日本でそういうことが比較的多かったということであろうかと思います。

泉委員 こういうことについて私も専門家ではありませんのでお伺いをしたいのですが、単独犯だと当初言われ、一度、協力者がいたのではないかという報道もあり、しかし基本的には犯行の動機も含め単独犯の線が強いというふうにお話をお伺いしているところではあります。

 今部長がおっしゃられた使用者責任ということがございましたけれども、この水心会という会の会長代行という任というか、そういう役をつけていた容疑者であるわけですが、こういった犯行において、一般論のレベルで結構ですが、すべてその構成員が起こした犯罪について使用者責任が伴うというものなのか、あるいは、その動機、形態によっては使用者責任は問われないということになるのか、一般論の範囲でお答えいただければと思います。

米田政府参考人 京都のいわゆる藤武訴訟におきましては、あれは暴力団の対立抗争に伴いまして、山口組のいわゆる三次団体の組員が犯した殺人につきまして使用者責任を問うたわけであります。つまり、そういう対立抗争のようなものが暴力団という団体の事業である、その事業に関して不法行為が行われた場合はそのトップの民事責任を問う、こういうことでございます。

 平成十六年に暴力団対策法が改正をされまして、対立抗争に関しましては、その法律施行以後に発生しましたものについては使用者責任を自動的に問うという仕組みにいたしました。ただ、藤武訴訟につきましては、最高裁判決で、単に対立抗争だけではなくて、いわゆる資金源活動も射程に入れております。したがいまして、今度の事件がどうなるかというのは個別のことでまだお答えする段階ではございませんけれども、そういった資金源活動ということも含んだ事業性ということが認定されれば、使用者責任ということもあり得るものというふうに考えております。

泉委員 まさに、実はそこが大切なところではないかなと思っておりまして、報道からすると、単独犯、しかも個別の事情による恨みということで一般の市民はとらえがちだと思うんですが、実は一方で、今部長がおっしゃったように資金源としてとらえていたかどうかということで考えてみますれば、それは今後、取り調べ、解釈のしようにもよるかと思うんですが、行政に対して暴力的な圧力を加えて、介入して、そして何らかの権益を得ようとする、こういうことは暴力団一般によくある不法行為というか、手段、事業だという考え方もできるわけです。

 報道の中では、組織の中での存在感を誇示するためにみずからの集金力を高めなければならない、組織の中での命令系統がないにせよ、構成員たるもの、その中で集金力あるいは統率力、そういうものを誇示しようと思えば、一人一人が何らか不当な行為を行うことによって資金なりを獲得していこうという動機が働くわけだと思うんですね。

 そういった意味からは、使用者責任というのは、命令系統の問題だけではなくして、構成員になっているという時点で既にその事業の中に含まれているという考え方もできるのではないかというふうに思いますので、今全国で行政に対する不当な介入ということも話題になっておりますけれども、この件については今後、ぜひ使用者責任ということも十分視野に入れて進めていただきたいということをまず要望として申し上げたいと思います。

 さらにもう一つなんですが、報道によりますと、暴力団水心会、これが解散偽装かということが報道をなされております。山口組がまず水心会という組織と縁を切ったというような報道もなされておりますし、また、水心会自体も解散をしたということになっているようですが、この点については、今どういう御認識をお持ちでしょうか。

米田政府参考人 確かに、事件後、暴力団山口組水心会が解散届を長崎県警の方に持ってまいりました。ただ、それだけで私どもは暴力団としての活動をやめたというように信じるわけではございませんで、やはりそれは、以後の動向というものをよく見きわめた上で判断をいたしたいというふうに思います。

泉委員 その解散届と、もう一つは、山口組が水心会と縁を切ったというか、傘下団体ではなくなったということも報じられておりましたが、そこはどうなっておりますでしょうか。

米田政府参考人 解散届にせよ、山口組の措置が破門であるか単なる除籍であるかということはよく承知をしておりませんが、そういうものは特に法的な裏づけがあるわけではございません。そういった動きがあるということは聞いております。

泉委員 そこでも、実は、いわゆる暴対法における組織の指定ということでいえば、一つ一つの傘下団体が一つ一つ指定を受けるということではなくて、大きな傘の上に立つ山口組というものが今指定を受けられている状況であります。そういう中で、山口組自身がこの組織と断絶をする、水心会と断絶をするということを仮に宣言をしたというか、そういうことが明らかになってきたときに、やはりそこにも使用者責任の問題というのが出てくるのかなというふうに思っておりまして、やはり組織の側の動きだけから判断をしてはならない、あくまで、社会的にどう見られているか、あるいは活動実態がどうなっているかということを見て判断すべきだというふうに考えております。

 そこは、今私が後段で言ったような認識で警察も考えて、この組織、水心会が解散をしたということであっても、山口組との、ある部分の使用者責任というのはまだ消えていないというような御認識でよろしいでしょうか。

米田政府参考人 いずれにいたしましても、実態面というのをよく見て、この事件の背景等もよく解明をした上で、個別具体的な訴訟等も含めて対応してまいりたいというふうに考えております。

泉委員 きょうは、銃器対策ということで、幾つかの関係機関の方に来ていただいておりますが、まず税関。

 きょうは財務省からお越しをいただいておりますが、税関も、荷物、貨物の関係の、海外からの中にそういった銃器が含まれていないようにということで、税関でチェックをしていただいていると思いますけれども、銃器に対する取り組み、この数年間で何か進展なされたことがあればお答えをいただきたいと思います。

森川政府参考人 お答えいたします。

 税関におきます銃器の取り締まりということでございますけれども、税関は、不正薬物等もろもろの取り締まりを行っておりますので、銃器に特化したものというものではございませんけれども、さまざまな水際取り締まりの対策を講じております。

 まず第一といたしましては、貨物検査を中心にやっておりますので、エックス線検査装置をふやして増配備していくということなど、取り締まり機器の増強を図っております。それから第二番目といたしまして、銃器等を取り締まるためには情報の入手がまず第一でございますので、警察、海保等国内の関係機関、それから外国の税関当局との情報交換を進めております。さらに船舶乗組員の取り締まり、さらに犯罪捜査、税関におきましては、捜査機関ではございませんので犯則調査と言っておりますけれども、これにつきましても、警察、海保等と合同取り締まりを行っております。

 それから、関税制度につきましても、水際取り締まりに資する改正というのを今までやってきておりまして、本年度の関税改正におきましては、銃器等の密輸事犯に対する関税法上の罰則を強化いたしまして、五年以下の懲役であったところを七年以下まで引き上げております。さらに、昨年度の関税改正で、我が国に入ってまいります積み荷あるいは旅客情報の事前報告義務というのを課しておりまして、本年二月に実施しております。

 こういった対策を講じてきているところでございます。

 先週の長崎市長の銃撃事件等を受けまして、先週から今週に行われました税関の各部長会議におきまして、銃器について厳重な検査、取り締まりの強化を行うよう指示したところでございますし、さらに、改めて文書でそれを指示したところでございます。

 水際での取り締まりというのは、銃器対策におきましても極めて重要であるというふうに考えておりますので、本日、銃器対策推進本部で決定されました平成十九年度の推進計画等を踏まえまして、水際取り締まりの一層の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

泉委員 続いて、海上保安庁ですけれども、最近の動向、国内では摘発件数が減ってきているという状況でありますが、海上保安庁の認識をいただきたいと思います。

石橋政府参考人 現在、押収される銃器の多くが外国製である実態を踏まえると、水際での摘発は非常に重要な課題であります。

 このため、海上保安庁では、洋上取引の可能性の高い海域などにおける巡視船艇、航空機による監視警戒、外国からの入港船舶に対する立入検査等を実施しているほか、関連情報の収集・分析体制及び機動的な広域捜査体制の強化を図るとともに、警察、税関等の国内関係機関との情報交換、合同捜査等の連携を強化しております。

 また、国際的な取り組みによる効果的な取り締まりを図るため、中国、ロシア、フィリピン等の関係機関との情報交換などを積極的に実施するとともに、アジア各国の取り締まり職員の人材育成、取り締まり能力の向上に協力するため、各種セミナー、研修等を実施しております。

泉委員 ぜひ、特にやはり警察との連携ということで、これからも税関、海上保安庁の皆さんにも頑張っていただきたいというふうに思います。

 公安委員長、今回、長崎市の市長、二代にわたって銃撃をされるという、本当に前代未聞の状況だというふうに思います。我々も、とはいえ、そうそうあることではないから影響はないだろうというように一見軽く考えがちなのかもしれませんが、しかし、やはりもしかしたらということを考えると、一人一人が今、政治家としての主張、発言、こういったものにどこかで抑制的になってしまいかねないような、そこから民主主義というものが崩壊をしていくのではないかというふうに私は思っておりまして、その意味からも、大変重大な事件だというふうにとらえております。

 そういう中で、御存じの数字をあえて改めてそのお言葉でいただきたいと思いまして御質問させていただきたいと思いますが、過去十年間の銃器犯罪による死亡者数、そして、この十年間で国内で押収されたけん銃の数、これを公安委員長、お願いいたします。

溝手国務大臣 済みません、お待たせしました。

 過去五年間におきますけん銃及びけん銃部品に係る検挙の人員の件でございますが、平成十四年に三百九十七件三百八十人、十五年に四百五十三件四百十九人、十六年に三百九十件の三百六十人、十七年、二百八十七件の二百四十五人、十八年に二百六十五件の二百八十九人でございます。

 また、死者数ですが、平成十四年に二十八人、平成十五年に三十五人、平成十六年に十七人、平成十七年に十人、平成十八年に二人、こういう数字になっております。

泉委員 公安委員長、これは実は警察の方がかなりいろいろな場で皆さんに啓発をされている一つの数字でありまして、私もあの長崎の市長の銃撃の事件以降、この数字を何回も自分の中で繰り返し、覚えてしまったものですから、公安委員長にも、その認識をぜひ改めてお持ちいただきたいと思うわけですが、過去十年間で、銃器犯罪で二百三十四人の方の命が失われております。二百三十四人の方が亡くなられております。そして、国内で押収されたけん銃の数というのは九千丁という莫大な数です。

 もう少し細かい数字を言いますと、この二百三十四人のうち、暴力団関係で被害者になったりあるいは加害者になったりというケースが百四十七、三分の二ぐらいが暴力団絡みなんですね。残り八十七名、命を落とされたのが、犯罪による被害者ですとか個人間のトラブルですとか、そういったものであるわけです。

 いずれにせよ、銃がない社会であるはずのこの日本において、これだけの方々が毎年毎年亡くなられているというその事実、これはぜひ私たちは改めて受けとめなければ、黙っていても、海外ではいわゆる銃器犯罪というものが多発をしている状況です。日本は島国ですから何とかそれを守れているという状況ですので、この銃器対策、ぜひこれからも懸命にお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 このことをお願い申し上げまして、また、伊藤一長長崎市長の御冥福をお祈りいたしまして、この件については質問を終えさせていただきますが、再三私も、もう三度目になりますが、こうして質問に立たせていただいてお願いをさせていただいているように、この暴力団対策というのは、ぜひとも行動計画ということの数値目標をしっかりと立てるべきだというふうに私はかねてから言ってまいりました。そのことも、ぜひやはり検討していただきたい。いつまでも、組織人員の調査をして、そして準構成員という方がふえました、全体ではふえてしまいました、そんな統計の結果のような報告ではなくて、私たちは暴力団をこれだけ減らします、そういうぐらいの数値目標を警察、日本の国家治安機関が掲げていただくことがやはり国民の安心につながるというふうに私は思いますので、この点についても、公安委員長、よろしくお願いをいたします。

 次の質問に入らせていただきます。

 昨年の六月一日から、道交法の中での駐車違反、この民間委託がスタートをいたしました。今四月の後半ですから、約一年たとうとしております。公安委員長、この一年間、累計で二百三十万件、この四月の段階までぐらいだそうですけれども、昨年六月からこの四月まで、駐車違反の摘発件数、いわゆる駐車違反の証書を取りつけた件数ですね、これが約二百三十一万件ぐらいあるわけですが、約一年たってこの民間委託がどうだったかということをまずお伺いしたいと思います。

溝手国務大臣 一年経過しようとしているところでございます。

 新たな駐車対策法制については、民間委託による放置車両確認事務も順調かつ円滑に実施されており、警察力の限界がある中で、違法駐車抑止のために必要な体制が確保され、適切かつ効果的に機能しているのではないかと考えております。これにより、違法駐車台数の減少、交通渋滞の減少、駐車車両による交通事故の減少など、交通の安全と円滑を確保する上での相当の効果が発揮されるとともに、地域の住民からも好意的な評価を受けているものと考えております。

泉委員 いろいろなメリット、私も警察の皆さんから資料をいただきまして、全国各地で渋滞解消、あるいは、駐車車両に対して例えば車がぶつかっての交通事故、こういったものも当然減少をされているということで、大変すばらしいデータだなというふうに思っております。

 逆に、何か問題点として御認識のあるものはございますか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 問題点と申しますと、これは制度を始めますといろいろ課題が出てくるわけですが、一つには、地域の要望にもよりますが、委託地域の拡大をどうしていくかということがございます。

 それから、委託した場合でも、時間帯でございますが、早朝ですとか夜間ですとか、そういうところの時間帯について、民間委託をどのようにしていくかという運用方法についても工夫していく必要がある、こういう認識でございます。

 それから、あと、取り締まりの前提となります駐車規制自体でございますけれども、これにつきましても、やっていく中で、特に物流事業者等の関係方面からの要望も出てきております。したがいまして、そのような要望を踏まえながら、必要な見直しも行いながら、これを進めていかなきゃならない、そういうような認識でおります。

泉委員 そこでお伺いをしたいわけですけれども、重点取り締まり地区が当初指定をされました。やはり最初から住宅地、本当に生活道路として使われていて、もっと言えばとめても余り支障がないところも含めて、そういうところまで指定をしていくと、四角四面の運用をしていけば当然住民からも反発が来るということで、主に中心の市街地というか繁華街、そういったところを取り締まられてきたと思うんですが、今後、当初予定をされていたような形での重点取り締まり地区の拡大、これは当初予定のまま進めていかれる御予定でしょうか。

矢代政府参考人 今の御指摘の問題は二つの局面がございまして、一つには、現在警察署が委託をしている場合に、ガイドラインの地域で重点地区を設定しておりますが、それを若干見直していく、そういう意味での拡大がございます。それからもう一つは、委託をしていない署において新たに委託をする、この二つがございます。

 それで、一点目の方につきましては、既に少しずつ修正しながら、改善したところとそうでないところがありますので、少しずつ修正しているわけでございます。それから、新たに委託地域を広げるということになりますと、十八年度は、全国の警察署、当時千二百十九署でございましたが、そのうち二百七十署において委託しておりました。十九年度は、これは確定的ではありませんが見込みといたしまして、全国であと四十署ほど新たに委託することになりますので、この部分が委託地域として広がっていくということでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 さらに確認をしたいんですが、今やはり一方で問題になっておりますのが駐車許可車標章というものでして、先ほどお話があった物流関係の方ですとか、あるいは福祉関係の車両ですとか医療関係の車両、そういったものについて許可車標章を交付して利用していただくということになっておりますけれども、この交付件数というのは現在どれぐらいあるんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 駐車許可、これは警察署長が許可をいたしますが、この件数は、平成十八年の十一月末まで、つまり施行六カ月間の数字だけを私ども把握しておりますが、全部で二十三万一千三十七件ということでございまして、一日平均にしますと千二百六十件でございました。その前の年と一日当たりを比べますと、一・九倍の許可件数ということになっております。

泉委員 ありがとうございます。

 それで、ちょっと確認をしたいんですが、これは今警察署長の許可というお話がありましたが、今発行されているのは警察署のみでしょうか、それとも、交番ですとか駐在所みたいなところでもこれは発行、交付が可能なんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 これは警察署長の権限ですので基本的には警察署でございますが、全国すべてというわけではないのですが、六つほどの県でございますが、交番で扱っているところもございます。これは、駐車許可の中でも非常に単発的に、その日限り、その場のみという引っ越しのようなものでございますが、こういうものは交番で受け付けまして、それで本署に連絡するなどしてその手続をしてしまう、そういうことをやっております。

泉委員 これはもうそれぞれの都道府県警の裁量の範囲なのかもしれないんですが、今お話しいただいた六県では、交番でもこういった短期の駐車許可車標章を発行しているということがございます。そういった意味からも、できましたらより利便性を考えていただきまして、この六県の範囲をぜひとも拡大していただきたいというふうに思うわけですが、公安委員長、うなずいていただいておりますので、よろしければ、ぜひやりますというお言葉をいただきたいと思います。

溝手国務大臣 今後において、各都道府県の警察の組織や予算に応じて対応がいろいろ変わってくると思いますから、弾力的に申請者の利便性を念頭に置いて考えていくのは結構なことだと思っております。

泉委員 一応確認ですが、発行拒否をしたケース、そういうものがもしあれば、件数ですとか事例を教えていただければと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 大変申しわけないのですが、私ども、報告を求めておりましたのは許可件数だけでございまして、拒否の方は集計しておりませんでした。

泉委員 実は、故障車、今お話がありました引っ越しをする車、冠婚葬祭の車、あるいはホームヘルパーさんですとか訪問介護の車、そして、病院に通院をしていくんだけれども、病院の駐車場がいっぱいで、どうしても病院の前に車をとめなければならないというケースの通院の車、その他相当の理由がある車、これについてはこういった標章を出すということになっているわけです。

 私も地元の福祉関係の方々からお話を聞いておりますし、実は私自身も当選する前にはデイサービスという形で福祉のスタッフをしていたことがありまして、朝と晩、お年寄りの方を迎えに行って施設に連れて行き、施設で活動してまた夕方帰っていただく。しかしながら、こういうデイサービスの送り迎えなんかも、玄関から入って家の中にその高齢者を連れて行くまで結構時間がかかるケースがある。そして、職員二人でその方を抱いて家の中まで連れて行って、帰ってきたら違反の標章が張られていた、これは大変悲しい事態だと思うんですね。

 そういった意味からも、実は今、私がさっき例示で述べた車の中にはデイサービスの送迎車というものが明示をされておりません。これはもしかしたらもう運用レベルでは一部解決をされていると思うんですが、もう明示されているのであれば問題ないんですが、もし明示されていないのであれば、できましたらぜひ明示をしていただきたいなということ。

 もう一つは、やはり同様な形態でいうと介護タクシーの問題かと思います。これもやはり同じように、運転手さんがお年寄りの方を善意で家の中までお連れして、戻ってきたらもう駐車違反をとられていた。これは本当に悲しいものだと思いますので、この二点について、介護タクシーとデイサービスの送迎車、これを明確に標章を出す車に位置づけをしていただきたい。実は、私の地元で今お話をいただいている方なんかは、警察署に行くんだけれども、かなり渋々出されるというお話をいただいておりまして、何とかならないものかなと思っておりますが、いかがでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、デイサービスの送迎車の方ですが、これは多分基本的に解決しておるだろうと思います。それで、乗降自体ですと実は駐車になりませんので、したがって乗降している限りでは問題ないわけですが、御指摘のように、家まで入ってしまうということで車を置いていくわけですが、このような場合には、大体もう経路と場所がわかっておりますので、事前にやむを得ない場合には駐車許可の手当てをできますので、したがってそのようにしていると思います。

 実は、駐車許可は用務で決まるわけではありませんで、こういうものだからというのではなくて、本当にやむを得ない、そしてその場所はとめてもある程度やむを得ない、どうしてもとめちゃいかぬ場所もあるわけですけれども、そういう相対的なことで決まってまいります。したがって、実は用務で例示で決めるわけではありませんので、これは相場感で、ずっと積み重ねでそれが決まっていきますので、これは御安心いただきたいと思います。

 それから、介護タクシーの方ですが、これは実は制度が別でございます。今申し上げましたのは一回一回許可でございますが、介護タクシーなど、どこに行くかわからないようなものにつきましては、実は、車に対しまして、規制対象から除外するということで丸ごと抜いておるわけでございます。この中にも福祉タクシーと言われているものがございまして、これは専用の設備を持っておりまして、身体障害者の方々の乗り入れがスムーズにできるようなものが搭載されております。こういうものについては、実はタクシーの車に除外標章を発行しております。

 それでもう一つ、そういう設備を持っていない、普通のタクシーなんだけれども身体障害者の方々を乗せるという場合ですが、これはどなたを乗せるかわかりませんので、車に除外標章を出すというわけにはまいらないわけです。そこで、今度六月からやろうとしていますのは、身体障害者の方本人に着目して除外標章を出しますので、したがって、介護タクシーであってもその方を乗せた場合には、身体障害者の方の除外標章を掲出しておけばいい、こういうふうに今修正をしておるところでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 それで、もう一つなんですが、今お話がありました、駐車許可車標章ではなくて駐車禁止除外指定車標章、大変大切な制度でありながら、一方では大変問題も全国各地で指摘をされて、米田部長のおられた京都なんかでも、祇園にある場外馬券場に、偽造のものも含めてそういった標章をつけた車が大量に並んでいて、実際に一つ一つを調べてみたらかなりの逮捕者が出たというようなこともございまして、今回、たしかことしの二月ですか、警察も通達を出しておられると思うんですが、除外指定車標章、この標章について何か変化があったか、このことを説明いただければと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 除外標章でございますと、車自体にそういう福祉関係で四十六万件ほど出しております。それから、そのほかにも、お医者さんですとか緊急的な用務で出しておるわけでございます。

 それで、今回新たに、特に身障者の方には人に対して出そうということでございますので、これを機に、もう一回、不正使用についての取り締まりをきちんとやるようにということもあわせて実は通達しております。平成十八年中だけ見ますと、目的外使用で百七十一件ほど検挙しておりまして、お医者さんが盛り場で飲んでおったというようなことでありますとか、あるいは、身障者の方の車なんですけれども目的外だったというような場合でございます。

 それから、そのほかに、除外は公安委員会が規制した駐車禁止区間だけでございまして、法定の交差点ですとかそういう場所は除外にならないわけですが、そういうところにとめている場合もありますので、これは千百八十九件検挙しております。

 そんなことでございますので、今回、制度を少し改正するに当たりまして、標章を交付するときの指導でございますが、これをきちんとやるようにということで、あわせて指示しているところでございます。

泉委員 これも、不正使用の取り締まりをしていただくことは当然なわけですが、一方で、やはり障害者の方々が大変弱い立場にあるということをよくよく認識していただかなきゃならないと思います。不正使用の事例なんかでよく出てくるのは、弱い立場の障害者から無理やり標章を使わせろという形で不正利用をしているケースが多々ある。それで、障害者の標章までもがもし取り消されることがあれば、これは障害者にとって不利益になるということだと思いますので、そういったことからも、この点については、障害者本人がどういう状況に置かれていたのかということもよく加味をしながら、しかし適正に、公平、公正に配慮をしていただきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、次に行かせていただきますが、放置車両の確認機関ということについてでございます。

 昨年の六月一日から民間委託の制度が始まりました。そして、大体、多くのところがことしの六月の三十日まで、各警察署との一年契約という形でこの事業の委託を受けておられると思うんですが、これまででしたら、一年間の実績があれば再委託という形で継続的にその事業を進めていくということが通例だったと思うんです。

 一方で、平成十八年の十二月に官製談合の防止法、これができたこともありまして、では、今後すべて、毎度毎度、一般競争入札かということになってくるわけですが、一方で、駐車監視員そのものは、雇用されていたと思ったら、そこの会社が入札に負けたということになると、仕事先を失うという大変不安定な立場にも置かれておりまして、この点について、今後入札の制度がどうなっていくのか、あるいは契約期間を延長されるということは検討されていないのか、お答えいただきたいと思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 初年度で複数年契約をやりましたのは福岡県一県でございました。ことしは、これは計画でございますけれども、奈良県など六県では二年契約、それから栃木では三年契約を考えております。あと、二十七都道府県はまたさらに単年度契約でございます。そのほか十二県は不明なんですが、これは、複数年契約が許されるかどうかという各県でのそういうものが実はあるようでございまして、したがって、私どもは問題意識を持っておりますが、その制度の中でどこまでできるかということでございます。

 なお、入札方式は、二十九の都道府県では総合評価方式をとっていますので、したがって、評価としまして、前年度で実績があったところについては入札の際に若干の加点が可能なようになっておるわけです、マイナスの評価ももちろんあるんですが。したがいまして、そういうものも含めまして、継続的になされることもある程度あるのではないか、こう思っておるわけでございます。

泉委員 ありがとうございました。終わります。

河本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。四十五分いただきまして、議論させていただきたいと存じます。

 まず、きょうはどういう日かといいますと、四月二十五日、ちょうど二年前にJR福知山線のあの大事故が起きた日であります。地元では宝塚線、こう言っております。きょうは尼崎で追悼慰霊式もありまして、私も出てまいりました。犠牲になられた方の御冥福を改めてお祈りしますとともに、おけがされた方の一日も早い回復、そしてまた、その皆様に対する、また御遺族の方に対する心のケアというものが必要だというふうに思います。

 ただ、きょうはこの話ではありません。機会をかりて、いつかまた議論をさせていただきたいと思いますが、事故調査委員会の最終報告が実はまだ出ていません、そういう状況です。そして、JR西日本の方もみずから調査しないということで、結局は、何が起こってどうなったのかということがまだ全くはっきりとしていないという状況の中でもあります。また、社長さんも、ようやく最近になってマスコミのインタビューに応じたり、また事故現場にも行かれているという状況でありまして、まさにこれからというところであると思います。

 きょうの追悼式の空気も、残念ながら冷たい空気と言わざるを得ません。当たり前だと思いますけれども。JRの社長さん、会長さん初め、立たれていましたけれども、冷たいなと。空気ですよ、社長さんたちは一生懸命謝っていらっしゃると思いますが、まだ御遺族の皆さん、また、おけがされた皆さんの中にそれを許すという空気は全くないと私には見受けられました。

 そういうことも、JR初め、また国土交通省含めて、しっかりと私たちもこの場でも、はっきりと事故原因、また再発防止に努めていかなくちゃいけない、このように思っておる次第であります。

 まず、きょうは、規制改革担当ということで渡辺大臣には来ていただいております。きょうまた冒頭で議論したかったのは、いつもやらせていただいています民の公のセクターをどうつくるかということでございます。

 先日の再チャレンジ支援の税制の中で、大臣が苦心の作だということでおっしゃられた、あの例の営利企業から営利企業への寄附に対して、目的がしっかりしていれば税制優遇も与えるということを今回、制度としてつくられたわけであります。また、日本は世界にない企業の一般寄附金枠がある、いわゆる法人の一般寄附金枠があるということと重ね合わせて、なぜそれが一般に非営利法人には適用されないんだろうかということがやはり疑問に出てくるわけであります。

 NPOの議論が最近盛んにされているわけでありますけれども、本質はどこにあるかというと、民の公を担うセクターを構成するNPOが事業を行う際に、しっかりと資金をそこで得られるということが大切なわけでありまして、その資金をどこに求めるかというところで、日本の場合、用意をしていない、準備をしていないがために結局は税金に群がらざるを得ない。群がるという表現は失礼かもしれませんが、そこに行かざるを得ないんですね、税金もしくは社会保険料に。

 だから、そこに問題があることを私は十八年ぐらいにわたって指摘して申し上げておりまして、結局、その資金源をどうつくっていくかというのが大切なんです。そこで、やはり税制というのが大変重要なわけでありまして、その税制の中でも特に寄附税制が大変重要だと。

 今回、営利企業から営利企業への寄附も、ある意味で踏み切っていただいた。これは、こうあっては積極的評価をしていきたいと私は思っておりまして、そこまで踏み切るのであれば、これは非営利も当然だろう、こういう思い。

 今、緊急事態だというふうに大臣は御認識を前回の議論でも述べられました。私は、やはりこれからの日本社会をもっと豊かにしていくために、多様な価値観を尊重する社会でなくちゃいけないと思いますし、それが単に、いや、尊重すべきである、尊重すべきだと言葉だけではなくて、そうしたものを担う組織というものがどこであって、それがどういう事業をするのか、そのためにどういうサポートができるのかということをしっかり考えていかなくちゃいけないことだと思います。

 それで、二十世紀的には恐らく、行政というものがそういうものを担えればいいのかな、そして、揺りかごから墓場まで何でも行政がやれば何とかできるのかなという実験が行われた時代もあったかもしれません。日本も高度経済成長期に、この間も申し上げたように、税収が伸びた時代に、いや、行政というのはいいものだな、個人でできないことをみんなで税金を出し合って社会のための諸政策を打っていける、それも一ついい仕組みだなという時代があったかもしれません。貧困の対策もあり、公害対策もあり、まさに格差対策、今よりもっとひどかったわけですから、そういうこともありということで、それに行政がすごく有効だったふうに思えた時代もあったかもしれない。

 しかし、だから、やはり二十世紀的な実験の中で、どうも市場も難しいけれども行政も難しいなという中で、結局はもう一回原点に戻って考え直さないかぬ時期になってきていると私は思いますし、もうなっていると思っています。

 その中で、NPOの役割、民の公を担うNPOの役割というのは、これはもう何回申し上げても足りないぐらい重要だと私は思っておりまして、その際に、やはり資金源。それでようやくこの間踏み切っていただいたということで、これから大臣の大変重要な時期を迎えます。非営利組織についてどういうステータスを与え、どういう税制優遇を与えていくかというのは、大変重要な議論が出てきます。大臣の御認識を、ぜひともまた改めて今お伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 委員御指摘のように、日本では、残念ながら、まだ非営利法人に対する税優遇措置が十分とはとても言えない状況でございます。官あるいは国が税を集めてそれを再分配するというやり方では行き届かないような公の分野がたくさんあると思うんですね。したがって、そういう公、公益を担う民がもっと育ってほしいというのは私も同じ思いであります。

 今回、苦心の作として再チャレンジ税制をお認めいただきました。この税制、ここまでやるんだったらもっと真っ当な路線でやれよというのが委員の御指摘かと存じます。ことしの秋には税制の抜本改革の議論がいよいよ始まります。そういう中で、税制要望というのは各省が主税局に要望を出すという相変わらずの仕切りでやっているわけでございますが、私も公益法人の担当として、こうした公を担う民の優遇税制がもっと拡大できるように、そういうつもりでやってまいりたいと考えております。

市村委員 大変力強いお言葉をいただいたと私は大変うれしく思いますし、これは与党、野党関係なく、日本社会にとって本当に重要なことだと思います。

 眼目とするところは何かというと、先ほどから申し上げているように、やはり活動資金なんですね。NPOがNPOで成り立つことはないわけでありまして、行政も行政で成り立たない。行政がどういう事業をやったかが評価されて、ああ、いいことをやっているんだとなるわけでありますし、営利企業だって、私は営利企業です、株式会社ですといって、だれも評価しないわけです。やはりいいサービスを提供して、株式会社ではもうけていただくんですけれども、株式にも配当を出す。どういういいサービスを出すかをみんなが評価して、ああ、いい携帯電話ですねといってみんなが買うわけですね。それを評価して買うし、また、それが全体的に会社も評価されるということなわけです。

 どうも日本の場合は、まだNPOだというだけで、NPOだからというだけで何か評価されたり、何か一個どこかが犯罪を犯すとNPOだからというだけで、ほら見ろ、NPOなんて、あんなのだめじゃないかとか、こういう現象自体がまだNPOが未成熟であることの証拠でありまして、これじゃだめなんです。やはり、NPOという言葉も忘れられるぐらいにいろいろな団体が出てきて、その団体がどういう事業をやるかが勝負。それによって、ああ、いいことやっていますね、だから、では寄附をしたいねということにならないと。寄附して、その寄附を集めたものでみんながいわゆる事業を行っていく、それで事業が評価される、こうならなくちゃいけない。

 きょう官房長官はお見えじゃないですけれども、この間も官房長官とこの場で議論させていただいて、官房長官が出られたハーバード大学というのはまさにNPOなんです、アメリカで。なぜあのハーバード大学はあそこまでなったかというと、やはりいい授業、いい教育サービスを提供した、みんながそれを評価して集まってきた、寄附もたくさん集めているということで評価されていくわけですね。そうならないかぬ。

 だから、NPOだからと言われて、官房長官も、ああ、そうだったのかという感じでしたけれども、つまり、それだけNPOというものを意識しなくてもNPOなんですね。そのぐらいに、空気のようにNPOの制度がある。私たちはそういう社会を目指さなくちゃいけない、こう思っております。

 そのためにも、この秋の税制の議論ももちろん大切だと思いますし、また、私としてはもっと前倒しでやってほしいなという思いもあります。ぜひとも閣内でもここは渡辺大臣にそういう御認識をもっと広げていただきたいなと思っておりますし、それが必ず今行われているいろいろな行革にも資する、僕はこのように思います。

 大臣、それで、そのときに、税制はそれで流れとして御努力いただける、お力をいただけるという話だったんですが、やはり日本の場合、まだいわゆるNPOの体系というのはしっかりしていないわけですね。先日、この間もお礼を申し上げたように、公益法人を含む非営利法人という概念、その概念がようやくメディアに躍るようになってきた。大変すばらしいと私は思います。そういう公益法人を含む非営利法人という概念をもっと広めていただきたい。

 そのときに、公益法人だけじゃなくて、学校法人であったり、社会福祉法人であったり、特定非営利活動法人であったり、やはり日本は縦割りになっている。こうした縦割りになってしまったものについても包括していただいて、非営利法人、いわゆるNPOとはこういうものだというものをまず打ち立てていただくことによって、その非営利法人一般に対して税制優遇をどうしていくのかという議論に持っていかないと、結局また縦割りで、社会福祉法人は社会福祉法人、学校法人は学校法人と。

 広い意味でいえば、我々政党も、実は宗教法人も非営利法人なわけでありますが、ちょっとこれはなかなか各国とも、宗教法人、政党についてはいろいろ微妙な問題もあります。やはり信教の自由とか結社の自由、政党、政治というのはいろいろそう簡単には議論できない部分もありますから、それは除いたとしても、一般的に非営利法人と思われるものについては、まず、しっかり一つの概念としてとらえる流れをつくっていただいた上で、では、その非営利法人に対して、NPOに対してどのような税制優遇を与えるべきか、こういう議論にぜひとも持っていっていただきたいな、私はこう思っているわけですけれども、大臣、その辺の御認識をちょっといただけますでしょうか。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

渡辺国務大臣 委員は、従来、活動資金の調達において税の優遇措置が大事である、これは税当局が判断すればいいではないか、こういう御主張かと存じます。

 今回、私ども、公益法人を洗いざらいチェックいたします。その中で、公益認定委員会を今月立ち上げました。この公益認定委員会がまさに公益性のチェックをやります。それはちょっとお門違いではないかという御指摘もたびたび承ってまいりました。

 しかし、日本の伝統の中で、明治時代に民法典をつくって以来、公益というのは各省大臣が許可を与えて決めるものである、こういう発想を大転換するわけであります。各省主務大臣の許可権限というものを剥奪してしまうわけでございます。そして、民間人主体の公益認定委員会が、まさにスタッフも使いながら、大変数の多い公益法人を洗いざらいチェックしていくというのは、今までのやり方からいえば、やはり大転換と言っていいのではないかと思うのでございます。

 したがって、ぜひこの新しい体制がうまく機能するように頑張ってまいりたいと考えます。

市村委員 今大臣がおっしゃった部分については、私も、この委員会を通じて再三すばらしいと高く評価をさせていただいております。

 なぜ私が税務当局でいいと言っているかというと、別に余りこだわっていません。いわゆる第三者機関と言われるものでも構わないと思っています。その辺、余り重要だとは私は思っておりません。ただ、なぜ税務当局でいいのか。民主党の場合は、今度歳入庁構想を出していますから、社会保険庁も合併して歳入庁をつくるべきだという考え方で、将来的には歳入庁でいいんじゃないかという考え方ですけれども。

 この話になってくると、私、いわゆる今の政府の審議会そのものに対する大変不信感がありまして、有識者会議なるものが余り信じられないというのが私の根本的な考え方であります。特に常任委員ですか、大変な高給をもらわれてやられるということもあって、本当に必要なのかなという観点から、私も疑問を持っているというところであります。ちょっと議論が違いますので、きょうはこの議論は申し上げません。

 ですので、大臣がおっしゃったように民法三十四条が削除されるということ、これは大評価をしております。ですから、こういういい流れをもっとよくしていくためにも、やはり正しい概念を打ち立てていかないかぬ。議論をするときにも、この話をするとどこかで話が変に政治的になるんですね。純理論的に話が進められなくなってしまうところがどこかで出てきまして、私は別に何でもかんでも理屈で物を言えばいいという考え方ではないんですが、やはりまずは理屈を通す、理論があるべきだ。その上で、最後に、そうはいってもというところが出てくるんだろうから、そこにおいて政治的判断はあるのかもしれないと私は思いますが、とことんまで理屈を突き詰める途中で政治的判断が出てこられるから、ややこしくなるんです、この話。

 ですから、ぜひともそこは、やはり議論というのは純理論的に議論していただく。あとは、そうはいってもちょっと今の段階ではというところは、そういうところで考えていくというところがないといけないな、こう思っています。

 これからも、この辺、いろいろ議論をやっていかなくちゃいけないと私は思いますし、渡辺大臣はその辺、非常に議論ができる、志をともにできる方なんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひとも閣内でもこうした意見をもっと出していただいて、とにかく、この間おっしゃっていただいた官製土壌ですから、これをいかに変えていくか。土壌改良をぜひともやっていただきたい、こういう思いでございます。

 きょうは大臣への質問はこれで終わりますので、最後に一言お願いします。

渡辺国務大臣 この前、土壌改良の話をさせていただきました。明治以来、官が担ってきた役割というのはうまくいった時期もございました。特に戦後においては、言ってみれば、護送船団方式とか官のコントロールする資本主義が、あるときまでは非常にうまくいったと思うんですね。高度成長を牽引してくることもできました。

 しかし、こうした成功体験は、残念ながらもろくも崩れているというのが今の現実ではないでしょうか。八九年のベルリンの壁崩壊以来、世界は大激動の中に巻き込まれました。九〇年代半ばには世界経済が一体化をしてしまいました。IT革命がグローバリゼーションをさらに加速させております。そういう中で、やはり、官の主導する資本主義というのが相当行き詰まりを迎え、大転換を図らなければならない。安倍内閣においては戦後レジームの大転換ということを掲げております。

 そういう観点から、私も職責を果たしてまいりたいと考えますので、応援よろしくお願い申し上げます。

市村委員 ありがとうございました。

 それでは、きょう本当は最初にやりたかったんですが、警察のことでございます。きょうは国家公安委員長にもお出ましいただいております。ありがとうございます。

 まず、銃規制のことについてやりたかったんですが、先ほどもう泉委員の方でかなり議論されましたので、これは、きょうは私の方からはもう省かせていただきます、同じような議論になりますので。

 ただ、きょう質問通告はしていなかったのでお答えになられなかったらそれで構いませんが、この辺の議論を考えていくと、日本には暴力団対策法というのがあるわけでありまして、私、これは本当に素直に考えて不思議だなと思うんですね、暴力団を届け出たり解散したりするのがなぜあるのかというようなこと。

 我々、いわゆる教科書レベルでは、暴力団は反社会的集団である、こう習ってきまして、なぜ、その反社会的集団が届け出があるのか、また解散があるのか。しかも、それが警察に解散届が出る。私、このこと自体が、素直に考えて、どう考えてもこれはようわからないんです、はっきり言って。大体、あってはならない存在なんだから、届け出も何もないはずなんですよ。あってはならない、反社会的集団があってはならない、それが届け出て、しかも解散まで届け出たという。それを何となくみんな疑問に思わずに、ああそうか、解散したのかといって思っているこの日本社会自体がどうも異常だなと私は思わざるを得ないので、これについてちょっとお答えいただければ。どうぞ、お願いします。

米田政府参考人 先ほどちょっと泉委員にもお答えを申し上げましたけれども、この解散だとか届け出だとかというのは別に法律上のものでも何でもございませんで、あるいは、すべての暴力団がそのようなことを例えば警察に対してしてくるかどうかといえば、ちょっとそこはよくわかりません。

 私どもとしては、暴力団というのは、その組の暴力、威力を組員に利用させて、そしてその組員の資金の獲得のためにそういう暴力、威力を利用させ、あるいは利用することを容認している存在ということで、反社会的勢力の代表的なものであるというように考えております。

市村委員 この件についてはこれで終わります。

 きょうは、速度取り締まりについてちょっといろいろ議論をさせていただきたいと思います。

 かねがね、私はこの場では、納得いく取り締まりということがなされなければならないということを主張してまいりました。その流れで、スピード規制について、とても六十キロで走れないところを六十キロ規制しておいて、それ以上で走ると六十キロから何キロオーバーだということで取り締まりが行われる、これはいかなることだろうかということでも大分申し上げて、実際に今、警察の方では全国的な速度規制のあり方について見直しを進めていただいているということでありますから、その御努力については多としたいと思いますし、できるだけ早くそれについてちゃんと結論を出していただきたい、こう思っております。

 実は、私個人の意見、思いが少しあったことと、どうしようかな、この場でも質問したいなと思っていましたが、まあまあいいかという部分もあったところに、一つ、この間、読売新聞の地元大阪の方の記事で、大変に、これは看過できないなという記事をちょっと見たものですから、それをもとにいろいろ議論をさせていただきたいと思います。

 見出しは「ドライバーの油断着目」、ドライバーの油断に着目するということで、何かというと、速度違反自動取り締まり装置、いわゆるオービスですね、オービスを通過した途端に加速するドライバーをその先にこっそり設けた移動式オービスで捕捉する新しい摘発作戦に大阪府警が今月、この四月から本格的に乗り出した、こういう話でありまして、作戦と、こういうことなんです。

 警察はまさかそこまで言っていないとは思います。記事がそう書いているんだと思いますが、結局、オービスがあるとみんなそこで減速して、オービスを過ぎるとまた加速するというところに着目をしたということでありまして、非常に、我々一般に運転している者からすると、やはりそうだなということなんですよね。やはり減速してという。

 もちろん、取り締まりというのは事故防止のためにやられるわけですから、しかも警察の皆さんが大変御苦労されているということもよくわかりますけれども、しかし、これはちょっといかがかなと。やはりこの記事の中でも、「「そんな世知辛いことまでするか」とのぼやきも聞こえてくる。」ということでもありますし、また、「兵庫県警や京都府警の担当者は「そこまでやるのは聞いたことがない」と驚く」、こういうことで、記事にはそう出ているわけですね。

 私は、これがやはり普通の感覚だな、こう思いまして、ある意味で、減速して加速するというのはみんなが常識的にわかることですよね。しかし、それをもってして、そこで捕まえて、はい、それが作戦です、油断に着目しました、すごい知恵でしょうとか、どうも、これはやはり違うぞという気がしてならないんですね。そこまでやってくると、ここまで世知辛くなると、これを取り締まる方向に、じゃ、あんた、非番のときに、六十キロだけれども六十一キロで走っていてもいいのかということで、お互いが本当にがちがちの世の中になってきて、もうとても、一キロたりとも速度違反したやつは許さないぞ、こういう話になってくることにもなる。

 何かというと、結局、取り締まることが目的じゃないはずなんですよね。取り締まること自体が目的じゃなくて、取り締まりを通じてドライバーに自覚を促して、交通ルールを守りましょう、ちゃんと安全に運転しないと、事故を起こしたらあなたも大変だし、万が一、人を巻き込んだら、その方も大変になりますよ、御家族まで大変な思いをしますよ、ここがちゃんとドライバー、車を運転する者にしっかりとその気持ちが行き渡ることが大切なんです。

 では、こうして、それは取り締まりはふえるかもしれないけれども、この結果、ドライバーが本当にそういう気持ちになってくれるかというと、ならないと僕は思いますね。こんなことまでするのか、このやろう、こういう話になって、その場では言わなくても警察に対する不信感がまたここで増幅されて、ドライバーが自分みずからを反省するよりも、警察に対する恨み節の方が広がっていくということで、結局、何が目的なのか。先ほど申し上げたようなことが目的なのに、その結果としては、結局、警察に対する恨み節がふえていくということになりやしないかということですね。

 だから、こういうことが現場の判断では極めて必要なんですが、これを作戦と称して、もちろん、大変危険な運転をしていたら、それはどんどん摘発してもらわなくちゃいけませんが、取り締まりしてもらわなくちゃいけませんが、みんなどうせここで減速して加速するから、そこで捕まえてやれというのは、やはり幾ら何でもこれは、この記事にもありますが、世知辛いなと。世の中がただでさえ世知辛くなってきているのに、ますますその世知辛さがきわまるな、こう思わざるを得ないんですが、国家公安委員長、これについていかがでございますか。

 では、まず局長から。

矢代政府参考人 評価はまたさまざまと思いますが、私、大阪府警の方に聞いてみました。大阪府警の方で、実は、ことしに入りまして交通死亡事故がぱっとふえまして、五割増しなんですね、特に国道を中心に。そういうことで、取り締まりを飲酒運転と速度超過と信号無視ということでかなり強めておる、こういうことでございます。

 その中で、今の御指摘のオービスでございますが、これは著しい速度超過が見られる路線に設置するのが通常でございますが、場所がずっと固定しますので、委員御指摘のように、設置後、時の経過とともに、オービスの設置地点だけ減速して走行するという悪質な速度違反が見られるという実態もある。それで、大阪府警では、このような状況を打開する試みとして、記事にありましたように、オービス設置場所を通過した地点の、その先のしかるべき場所でさらに速度取り締まりをやる、こういうことをやったんです、こういうことでございます。

 取り締まりの大筋の考え方は、今委員の認識と私ども全く一緒だと思うわけでございますが、いろいろやっていく中で、例えば覆面パトもそうなんですが、白黒パトで取り締まりながら時々覆面パトも入れる、こういうようなことをやりながら取り締まりをやっておりますので、大阪府警も、そのような中で試みとしてやったものでございます。評価はまたいろいろあると思いますが。

市村委員 そのオービスそのものについてもちょっと私、前から質問したかったんですけれども、オービスがどこまで信用できるかというのもあるんですね。ちょっときょうの本筋と離れていくのであれなんですが。

 結局、機械というものに頼っているということで、もちろん機械に頼らざるを得ないという部分もわからないではないんですよ。ただ、大切なのは、警察が常に流れを見ていただいて、速度超過というよりも、私は、流れを乱すような危険な運転をしている車についてやはりしっかりと取り締まって、私も車を運転していたり乗っていたりしていても、本当に猛スピードですり抜けていくような危険な運転をしている車もありますし、ああいうのを捕まえてほしいなといつも思うんですけれども、ああいうのはえてして捕まらないで、本当にある意味でちゃんとしているところがかえって捕まってしまう、この不公平感というのはいろいろ思いはあるわけですね。

 それで、オービスなんですが、これは、いろいろ聞いてみますと、例えば、実速度百キロで走っていた場合は、九十五キロと測定しても百五キロと測定することはない。つまり、誤差が出るとしてもマイナスの誤差が出るようになっているということらしいんですが、ただ、これについて、結局誤差が出るということはあるんですね。

 でも、機械というのは、やはり絶対はないはずなんですね。つまり、マイナスの誤差を想定されているということはプラスの誤差も想定されなければならない。しかし、裁判をやっているらしいんですけれども、裁判の過程では、プラスの誤差は起こらないとメーカーがおっしゃっているわけですね。

 では、なぜ起こらないのか。マイナスの誤差は起こってもなぜプラスの誤差は起こらないのか、それをちゃんと原理的に説明してくれというと、それは説明しない、できないんですよね。どうも裁判の過程では説明は後はないらしいです。では何でマイナスの誤差が出てプラスの誤差が出ないと言えるのかといったら、いや、それはそうなっているからだ、その一点張りということらしいんですね。

 やはり機械の誤差というのは、人間が幾ら完璧だといっても、機械は絶対完璧だと言えないということも言えるとまず思いますので、オービスに頼るあり方というのもどうかなと。我々が大切なのは、やはり目視というか、目で見て、流れがちゃんと流れていれば、多少スピードが、例えば六十キロ規制のところで八十キロの流れがあったとしても、流れがちゃんとできていれば安全なんですよね。

 ところが、そこに一台でも抜いていくものがいると危ないんですよ、突然割り込まれたりとかすると。こういうものをやはり警察はよく見て、あいつがいかぬというふうにやってもらいたいわけでありますね。

 そのときに、やはり機械というのをどこまで信じていいかという部分もあるということで、このオービスというのはどうなんですか。警察としては、絶対これは間違いない、一〇〇%、八十キロなら八十キロ、百キロなら百キロだ、こういうふうにとらえていらっしゃる機械なんでしょうか。ちょっとそれだけ聞かせてください。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 オービスの機械ですが、これは機械ですので必ず誤差があるわけですね。原理的にこれは出てくるんです。

 したがって、原理的にどこまでの誤差が出るかということで、それで、その誤差の、プラスに出たりマイナスに出たりするわけでございますけれども、それの一番上の方を見ながら、誤差のために実速よりも高い数値が出ないように切り下げているわけです。したがって、原理的にはこれは誤差は出ないわけです。

 それで、先ほどお話がありました、実はいろいろな裁判で、途中過程で出るものですから誤解を生ずるのでございますが、昨年三月十四日に、仙台高裁の秋田支部で、実はオービスの誤差があったはずだということで無罪がありました。これは、ことし四月二十三日の最高裁の上告審において原判決が破棄されております。

 高裁への差し戻しですが、それの理由は、審理を尽くさず事実を誤認した疑いがあるとして裁判所に破棄差し戻しということです。高裁におきまして誤差がどのように処理されているのかということを全く審理せずに判断してしまったということで差し戻しになったものでございます。

 したがいまして、これまで何回かオービスあるいは機械をめぐる訴訟というのは繰り返されておりますけれども、いずれも信頼性につきましては揺るぎのないものでございます。

市村委員 最初はよかったんですが、だんだんわからなくなってきましたが、要するに、オービスには誤差があるということを最初におっしゃったんですね。上もあるということを僕は局長がおっしゃったような気がしたんですけれども、それでよろしいですね。

 裁判では、マイナスの誤差はあってもプラスの誤差はないというふうに言われているらしいんです。でも、結局機械というのは、マイナスの誤差があったら絶対プラスの誤差もあるはずなんですよ。絶対あり得ない、それこそ、機械が誤差がないと言い切るなら、それはそれで一つですけれども、それも僕はあり得ないと思いますが、しかし、マイナスの誤差があるのにプラスの誤差がないというのは、これは絶対どう考えても常識的におかしいんですね。だから、やはりプラスの誤差もあるだろうと。機械とはかくあるものじゃないでしょうかということ。

 だから、そもそも私が申し上げたいのは、機械に頼ることも大切だけれども、機械に一〇〇%頼ることもできないですよということを申し上げたいんですね。

 ちょっと、その一点だけ、誤差があるかないかだけ一言お答えください。

矢代政府参考人 大変失礼しました。

 誤差というのは、つまり、実際の速度と測定したものとの間の誤差の問題と、それから最終的に確定した数値との問題でございます。

 私、最初に申し上げましたのは、機械ですから必ずプラス、マイナスの誤差が出るわけです。したがって、それは原理的にどこまで出るかというのがわかってくるわけです。それの上で、したがってこれはこの分の誤差があり得るので、それを見込んで切り下げた数値をもって数値を算出するわけです。したがって、算出された数値との関係では、上の方に数値がぶれることはない、こういうことでございます。

市村委員 済みません、私は頭が悪いのでよくわからない、ちょっとはっきりわからなかったんですが。

 いずれにしても、私が一番知りたかったのは、機械はとにかく誤差があるということは局長も今おっしゃったし、プラスの誤差もあるということもおっしゃったので、それは極めて重要なことなので、それでここは事足れりとしたいと思います。

 いずれにしても、さっきから何回も申し上げておりますように、やはり大切なのは、目で見ることだと思うんですよね。危険な運転というのは何かというと、速度を守らないことじゃないと私は思います。流れに乗って走っていけば、ある程度速度超過を全体的にしていてもそれは安全だと思うんですよね、流れがあるわけですから。

 ただ、その流れを乱すような割り込みとか追い抜きとか、それが危ないわけでありますから、そこをしっかりとやるべきではないか。それはやはり納得いく。そういうことをやっている人が取り締まられることについては、もうみんな見ていて、あんなやつは危ないなと見ていますから、当然みんな納得して、やはり警察はよくやってくれているな、こう思うわけであります。

 でも、そうじゃなくて、流れに乗って走っていて取り締まるというようなことについてあった場合、それが、例えば六十キロのときに八十キロで走っていて、けれども、一々メーターを見ていないわけですよね。それで、捕まえられて、何が起こったんですかと言ったら、いや、あなた、二十キロオーバーですと。みんな走っていないじゃないかと言っても、いや、それは六十キロなんだからあなたが悪いんだ、こういうことがあったら、これは結局納得いかないですよということを申し上げたいのです。

 ぜひとも、大阪府警の皆さんにも、特に、作戦というか、みんなわかっていてもやらないだけの話ですよね、こんな世知辛いことはやらないだけの話なんですよ。みんなわかっていますよ、オービスの前は減速して加速するぐらいのことは。

 だから、中には、めちゃくちゃ物すごい猛スピードでやってきて、そこだけスピードを落として、また猛スピードで走っていく人も見たことがありますから、ああいうのはどんどん取り締まっていただいていいんですけれども、普通の流れで走っていて、オービスがあるからちょっと落とそうかな、それでまた上げようかな、流れがちゃんとできていれば、それはそれで別に、余りそこで無理してやることの方が私はかえって危険だと思いますし、余りこういう世知辛いことは本当にやらない方がいいと私は思います。

 だから、本当にちゃんと取り締まるべきは取り締まってほしい、納得いく取り締まりをしていただきたいというのが私の趣旨でありますので、よろしくお願いします。

 それで、きょう実はもう一個大切な問題があったんです。この間、この委員会でも漆間長官にも質問して、いろいろ地域に、例えば、児童虐待の問題とか、介護が必要な方たちに介護がちゃんと行き届いていないとかいう問題があって、そうした情報をきちっと取りまとめて、しかるべきところに情報が伝わって、未然防止がちゃんとされるようにしなくちゃいけないということを申し上げたら、漆間長官の方も、警察がそういう役割が必要ならばやるべきだということをおっしゃったんです。

 それについて、あれからどうなったのかについて最後に少し議論を、あと数分しかありませんけれども、これは国家公安委員長の方から、よろしいでしょうか。

溝手国務大臣 お答え申し上げます。

 漆間長官から回答があったことを再度、私もチェックをさせていただきました。彼が申し上げたのは、警察がその中心になれというのであればという仮定をつけておりまして、その方向で都道府県警察を指導する、こういう答弁をしております。当然、長官としてはそのとおりです。

 今の状況から申し上げますと、あのとき私からも申し上げたと思うんですが、要介護の問題とか、私は防災も担当しておりますから防災のことも含めて、地域の皆さんが安全、安心を確保するために、やはり基本的には地方自治体を中心とした各省庁の連携あるいはネットワークが必要だろうと考えております。その中で、警察頑張れという激励ととらえて、警察は最善を尽くしましょうと、こういうように御理解をいただいたら、このように思っております。

市村委員 もう時間になりましたので終わりますが、とにかく今地域にいろいろな問題があります。そのことを、例えば宅配業者の方も含めて、そういう地域の情報を日ごろからいろいろと知る立場にある方がいらっしゃるわけですね。こうした人たちが持っている情報が、そこで終わってしまってはもったいないというか、そういうものがきちっとしかるべきところに行くと、大変重要な情報としてとらえられる。そして、例えば、介護殺人や介護心中、児童虐待とかの行き過ぎたものについて未然に防止できるという可能性があるにもかかわらず、みんな事件が起こってから、そういえばあそこでそういうことがあったな、言われてみればそうだったなということであったら、大変悲しいなと思いますので、その中で警察が一つの中心的役割を果たしてもらいたい。

 これは、警察については、ある種信用をなくすようなこともいろいろありますけれども、そうはいっても、安心、安全の部分で警察に私たちが期待をすることは大きいわけでありまして、ぜひとも警察の皆さんに頑張っていただきたい、こういう思いでありますので、また、国家公安委員長も、この間、警察庁を督励してまいりたいということもおっしゃっていただいていますので、ぜひとも督励していただきまして、よりよい社会につなげるように御努力、御尽力を賜りたい、このことをお願いしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初に、せんだって三月十四日の内閣委員会と、その前に二月二十八日の予算委員会で取り上げているんですが、高知県東洋町の問題について伺います。

 東洋町長がNUMOの高レベル放射性廃棄物最終処分施設建設の文献調査に応募した問題を予算委員会で取り上げましたけれども、地元町議会も反対、周辺自治体もすべて首長も議会も反対、高知、徳島両県の知事も反対、議会も反対、こういう状況の中で、町長一人が文献調査に応募したわけですね。そういう形で、資源エネルギー庁が、NUMOの方が仮に申請を出してきても、認可するのはおかしい、認可するべきじゃないとそのときに私は予算委員会で質疑したわけですが、エネ庁は認めたわけですよ。その結果、大きな混乱があって、町長選挙があり、町長が変わったわけです。

 そのときも、私は、新しい町長が文献調査の応募取り下げをしたならば調査はなくなりますねと質問したら、舟木政府参考人の方から、「市町村長から応募の取り下げの申し出があれば、これを尊重する」という答弁でした。

 町長がかわって、昨日、正式に応募取り下げの書類が届いたというふうにエネ庁からは聞いておりますが、そうすると、この認可の取り消しというのはもう済ませたのかどうか、これをまず最初に伺います。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 東洋町から、四月二十三日付で、文献調査の応募の取り下げの申し出がNUMOに対してございました。具体的には、郵送なものですから昨日の二十四日にNUMOに届きまして、受理をしたと承知しております。

 NUMOで検討し、NUMOから事業計画の変更認可申請という形で私どもの方に文献調査の取りやめに係る申請が出てきました場合は、地元の意向を尊重して私どもも判断していきたいと考えております。まだNUMOからは、私が庁舎を出発する段階では、変更認可の申請があったという話は聞いておりませんが、近々あるのではないかと考えております。

吉井委員 だから、あれだけ私は言っておいたのに、強行して地元を混乱させたわけですよ。既に新しい町長になって応募を取り下げたいという正式文書もNUMOに届いたという今のお話ですから、手続書類の扱いに時間を要しているという今の段階のようですが、NUMOから、応募取り下げの話が来たので認可してもらったけれども取り下げたいと書類が来たら、きちっと速やかにこの認可取り下げを決定する、こういうことで確認しておいていいんですね。

舟木政府参考人 認可でございますので、そこは形式的にも書類等の審査を行う必要がありますので、その点は御理解いただきたいと思います。

吉井委員 ややこしいことを言うから話がややこしくなる。要するに、形式的にその書類の審査を行うにしても、答弁では、そのときはちゃんと、応募取り消しがあれば尊重して取り消すということですから、そのときは、NUMOから出てきたら、審査の形式的な手続はとっても取り消すんですね。そのことを確認しているんです。

舟木政府参考人 地元の意向を尊重するという趣旨は、今先生がおっしゃったような趣旨でございます。

吉井委員 次に、私は、原発のデータ改ざん、隠ぺい問題について伺います。

 これも、せんだってこの委員会で質問しましたが、臨界事故とか、それからECCSが作動するような事故、圧力逃がし弁がぼんと開くような事故、そういう異常事態が発生したときには、普通でいったら、これは原発にとっては深刻な話ですから、私は、当然、電力会社で社長にまで報告が行って当たり前のものだと思いますし、そんなことを社長にも報告しないようではとんでもない話だと思うんです。

 まず、こういう臨界事故等があった場合には、どの電力会社でも社長までは報告が行くようになっているんですね。伺います。

薦田政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸電力志賀原子力発電所におきます臨界事故に関しまして、当時の保安規定におきましては、異常を発見した者は直ちに当直長に報告をし、当直長は、報告を受けた場合、異常の状況等の把握に努め、必要な応急措置を講じて発電課長に報告をする。そして発電課長は、原子炉施設の保安上必要な措置を講ずるとともに、所長と主任技術者に報告をする。そして所長は、保安上特に重要な事態が発生した場合、本店の原子力部長に報告をするというふうになっていたわけでございます。したがいまして、明示的に社長に上げるというふうにはなっておりませんけれども、当然、本店の原子力部長に報告をするということは、そのようになるというふうに理解しております。

 ただ、今回の総点検の結果を踏まえまして、さらなる安全確保の向上を図るため、当方といたしましては、原子力事業者に対しまして、国に対する報告を行うべき事象等が発生した場合には、経営責任者に対する適切な報告がなされる体制を構築するということを含めまして、経営責任者による安全確保に対する関与を強めるということで、こういうことを各電力事業者に求めることとしたということでございます。

吉井委員 報告の上がり方は、今言わはったように、いきなり現場の人が社長まで言うかは別として、臨界事故という重大事故の場合、とにもかくにも社長まで行く、これは当たり前の話だというふうに思うんです。そうでなきゃ、そうでない会社自体が異常だと思うんです。

 そこで、この間、二〇〇七年四月二十日に北陸電力志賀原発一号機に関する報告書、調査報告を保安院の方で出しておられますが、私は、これを見ておりまして、九九年六月十八日の午前二時十七分に三本の制御棒が引き抜ける事故が発生し、その直後の午前四時に、四時というのはきのうレクチャーをいただいたんですが、志賀原発の所長、次長である同原子炉主任技術者、そういう原発の方と、本店原子力部長、東京支社幹部、石川支社幹部の四者が、四つの場所、離れているわけですけれども、四者が要するに緊急のテレビ会談をやっているんですね。保安院の調査では、制御棒の位置不明の表示が出たということと炉内中性子束モニターに信号が入ったという情報に基づいて、四者の緊急テレビ会議をやっているわけですね。

 つまり、この情報を聞いたら、少なくとも発電所以外の人でも、残る三者の人たちは、普通でいったら、制御棒異常と中性子束異常の信号が出たという話であれば、まず臨界反応が起こったんじゃないかということと、それはやはり技術者であれば確認しなきゃいけませんから、想像じゃだめですから、すぐにチャート紙をテレビに映しなさい、中性子束の異常な急増があるかどうかとか、冷却水温度が上昇していないかとか、放射線モニターの線量の増加傾向が見られないかということを直ちにテレビ会議の場で発言して、出しなさいと。私は、普通でいったらそれが当たり前のことじゃないかと思うんですけれども、そういう発言をした人は、三者の中で、発電所以外の人ですよ、だれもいなかったということですか、皆さんの調査では。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの件でございますけれども、北陸電力の報告書によりますと、この事故があった際に、まず当直長は、事故に係る初期対応を終えた後、発電課長に連絡をいたしまして、さらに発電課長が所長以下関係者に連絡をし……(吉井委員「いや、それは書いてある話ですね」と呼ぶ)はい。こういう中で、同会合、集まった中で、発電所におきましては、所長が、本事故については社外に報告をしないということを決断されたわけでございます。

 したがいまして、この後、発電所、本店原子力部、それから東京支社、テレビ会議が行われておりますけれども、発電所からは、こういう基本方針に従った発言、すなわち、発電所から本件は誤信号であったとの結論が報告されているわけでございまして、そういう点で、このテレビ会議に出席していた方々からは、それに対して疑問の発言がなかったというふうに伺っているところでございます。

吉井委員 今の話はみんな、この報告書を読んだんですけれども、私が非常に不思議に思いますのは、二時十七分ですね、真夜中ですよ。午前二時十七分に事故が発生して、一時間四十分後には緊急にテレビ会議をやっているんですよ。テレビ会議をやって、こういう場合は、要するにその報告の中でも制御棒異常だということと中性子束異常の信号が出たという話が出ているんですから、直ちにまずチャート紙をよこしなさいと。チャート紙を見ればすぐわかるわけです。そういうことも、技術者なら、現場のデータをまず確認して、現場の者が勝手なことを言ったって、事実を確認して判断するというのが当たり前ですから、この緊急のテレビ会談でなぜそういう話にならなかったのかが不思議なんです。

 残る三者の方というのは、原子力の素人ばかりが集まっているんですか、このテレビ会議では。

薦田政府参考人 今の点にお答えいたします。

 本店におきましては、原子力の担当の副部長が参加をされておるということでございまして、必ずしも素人が集まったものではございません。専門家であると考えております。

吉井委員 だから不思議なんです。つまり、現場の所長らが何と言おうと、制御棒が抜ける事故があって、中性子束の異常信号が出たとなれば、現場はどう言っておろうと、まずテレビの画面にチャート紙を映しなさいと。あのチャート紙を映せば、中性子束がぐんとふえて何けたも中性子の量がふえているのがわかるわけですから、即発臨界の問題なんか、技術屋さん、皆すぐわかるわけです。なぜそれを言って確認しようとしなかったのか。よほどの素人の集まりのテレビ会議でない限り、私はちょっと考えられないことがまずあったと思うんです。

 私は、一応この報告書ではそういう説明になっているけれども、四者はみんなわかっていたと思うんですよ、臨界事故だということは。現場がどう言おうと。

 保安院の報告書によりますと、臨界事故発生時に、「日立製作所の現場の試験関係者は、中央制御室からの指示により、臨界状態を収束させるため、全閉した挿入元弁及び引抜元弁を開に戻す作業を行った。」と書いてありますね。臨界を収束させる作業を行った日立の社員というのは、当然、日立本社に作業報告しますから、メーカーも知っていたわけです。

 それから、日立の検査指揮者は、制御棒駆動機構の設計者に制御棒引き抜けを問い合わせしたというわけですから、状況によっては臨界事故になっている可能性は知り得ていたわけです。

 さらに、報告書に載っているところでは、「北陸電力の炉心担当者からの電話での依頼を受けて、日立製作所の炉心設計者は、」「炉心解析等を実施し、北陸電力の炉心担当者へ回答した」と書いてあるわけですね。つまり、事故直後のテレビ会議と、その後のユーザーとメーカーのやりとりの中で、双方とも臨界事故発生を知っていたと考えないと、この報告書を読む限り、どうにもつじつまが合ってこないんですよ。

 大体、臨界事故を知っていたということは明らかじゃないかと思うんです。臨界事故と知れば、さっきもおっしゃったように、社長まで行く話なんでしょう。これは北陸電力にしても日立製作所にしても、社長にまで報告する内容になっているわけですが、社長にまで報告が行っていたということをあいまいにするには、つまり、あいまいにして社長責任を回避するために、ユーザー、メーカー、業界ぐるみで一体で、何も北陸電力の現場だけじゃなしに、ユーザー、メーカー一体、業界ぐるみで隠ぺいに走ったということが随分感じられるものになっております。

 そこで、私、改めて伺うんですが、ユーザーもメーカーも、要するに、この問題については、こういう原子力分野の業界一体で、関係者一体で隠ぺいを図ったという可能性は、報告書を読むと随分うかがわれるんですが、きちんと解明をしたのか、し尽くしたのかどうかを伺います。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 日立から当方に対して提出されております報告書によりますと、まず、日立の現場の作業の方につきましては、制御棒の引き抜けと、それから自動停止が発生したことにつきましては現場の定検所長まで連絡をとられている、あるいは設計部門の人間にも上がっているということでございます。しかしながら、データが十分に日立の職員には届いていなかったということで、日立の現場の職員の方は臨界については認識をしていなかったというふうに日立から報告されているところでございます。

 ただ、他方、先ほど先生おっしゃいましたように、この工場の炉心設計課に対しましては、これは別途、北陸電力の方から炉心解析を依頼しておりますので、その段階で、炉心の臨界の可能性をこの当該の者は把握していたと思われますけれども、北陸電力より、今回の事象については上長へも他言無用ということを指示されたことから、情報はこの当該課どまりであったというふうにされているところでございます。

 これらにつきまして、当院が実施いたしました特別な保安検査によって、あらゆる資料を確認いたしましたけれども、当方といたしましては、日立と北陸電力が共同して事実を隠ぺいしていたという事実は確認できなかったというところでございます。

吉井委員 私、ですから冒頭に伺ったように、臨界事故というのは、これは原発についてはユーザーにとってもメーカーにとっても大問題なんですよ。だから社長にまで行く話なんですよ。あなたもおっしゃったように、社長にまで報告が行くというようになっているんですね。社長にまで通じていくルートは途中いろいろな人を経由するにしても、行く話なんですよ。そして、現場で作業した人も、現場の主任であった人にしても、検査指揮者にしても、それから本社の制御棒に関する人にしても、あるいは炉心設計の人にしても、問い合わせを受けたり報告を受けたりしてわかっているわけなんですから。別に私、これは犯罪捜査的な意味で言っているんじゃないんですよ。こういうことがきちっと解明されないと、原子炉についての信頼なんて得られないと思うんですよ。それが何か、社長に上がるという話でありながら、しかし、このときはたまたま上がっていませんでしたみたいな話では、やはりだれが考えてもおかしいんですよ。

 私は、この点では、これはきょうはここまでにとどめておきたいと思いますけれども、ユーザーもメーカーも、どの段階まできちっと行ったのか、どの段階で報告が隠されてしまったのかとか、そういうことをきちっと解明しないと、私は、感じとしては、これは本当は上まで行っていたのに、知っていたとなると両方とも最高クラスの責任が問われてきますから、どこかでとめてしまっているという可能性が随分強いと思うのです。改めてこれは徹底究明を求めておきたいと思います。

 次に、警察庁の方に伺います。

 先日、長崎の伊藤一長市長が暴力団幹部の凶弾に倒れられたというこの問題、これは、自由と民主主義に対する凶暴なテロであり、絶対許すことのできないものであります。また、市民生活を脅かす銃犯罪の事件が続発しておりますけれども、この点では、二月に六本木の方で暴力団幹部の射殺もありましたし、最近では、町田市の暴力団員が同じ組員を射殺して、都営住宅に十五時間立てこもって、パトカーなどに向けて何発もけん銃を発砲するという事件も起こりました。ですから、今、国民の皆さんの間で本当に銃に対する不安が広がっております。暴力団の銃器の徹底した取り締まりが今必要だと思うんです。

 そこで、深刻な暴力団と銃の事件が起こっている中で、警察庁の二〇〇六年の「暴力団情勢」というのを見ますと、対立抗争事件数が初めてゼロになった、暴力団等による銃器発砲事件数も最少になったとしているんですが、警察庁統計で、昨年の銃器発砲件数は五十三件、この二十年間で最も少ないということになっておりますが、にもかかわらず、ことしになって凶悪事件が立て続けに起こっているわけですね。この関係をどう見ているのか、これは政府参考人に最初に伺います。

米田政府参考人 委員御指摘のとおり、昨年、統計上、対立抗争に該当するものはありませんで、また、銃器発砲事件も、統計をとり始めて以来最少ということになったわけでございます。

 これは、銃の厳しい取り締まり、あるいは銃刀法の重罰化、それから抗争抑止策といったものがかなりの効果を上げてきたものと思いますけれども、しかしながら、暴力団の本質というものは変わっておらないわけでございまして、例えば、今委員御指摘の、ことしの二月に六本木で起こりました組幹部射殺事件及びそれに続く抗争のように、山口組の東京進出ということが言われている中で、やはり力でその権益を拡大していくということがあるわけでございます。

 私どもといたしましては、銃及び暴力団に対する取り締まりを徹底して、市民生活の安全を確保してまいりたいと考えております。

吉井委員 我が国は銃社会のアメリカとは違うわけですよね。銃器の所持が厳しく規制されているんですが、それなのに、暴力団は一人一丁以上の非合法銃器を持っているというふうに言われております。この事態をやはり直視する必要があると思うんです。先ほど申しました「暴力団情勢」ですね、これを見ておりましても、「暴力団が大量のけん銃等を組織的に調達、管理している実態がみられる。」としているわけですね。

 ところが、けん銃の押収件数の方は年々減少してきていて、一九九七年の押収件数が千二百二十五丁に対して、二〇〇〇年が九百三丁、二〇〇六年、昨年は四百五十八丁と、三分の一に減ってきてしまっているんですね。一人一丁だ、けん銃はたくさん入ってきていると言われているのに、押収件数が減ってきている。この原因はどこにあるというふうに見ておられるんですか。

米田政府参考人 暴力団の場合、大変隠匿が巧妙でございます。そもそも銃というのは、多くは海外から、海外製のものが多いわけで海外から入ってくるわけでございますが、まずそこで非常に巧妙に、例えばばらばらに分解して、別々に我が国に持ち込むというようなことも行われておりまして、持ち込まれた銃につきましては、非常に巧妙に隠匿をしております。最近、発砲事件、対立抗争事件が少し少なくなっているという中で、彼らが銃を直ちに使うような状況ではなくて、いわば深く潜らせて隠匿をするということも可能になっているということも背景にあるかと思います。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、取り締まりを徹底してまいりたいと考えております。

吉井委員 けん銃の押収について問題になったのは、この委員会でもかつて紹介もされましたけれども、いわゆる首なしけん銃の摘発問題がありますね。あのときは、裏金とも関係ある、匿名通報による銃器の押収、いわゆる首なしけん銃の摘発という問題がありましたけれども、この首なしけん銃の摘発の件数というのは、これまでどれぐらいありますか。

米田政府参考人 委員のおっしゃるいわゆる首なしというのは、被疑者が不詳である、わからない、ただ、けん銃は押収したもの、このように理解をさせていただきますけれども、過去十年、全国の警察が押収いたしましたけん銃、そのうちの被疑者不詳のまま押収をしたものというのは、十年間見てみますと、平成九年が百二十五丁、平成十年八十一丁、十一年八十二丁、平成十二年八十三丁、十三年百三丁、十四年五十三丁、十五年五十九丁、十六年四十七丁、十七年三十二丁、十八年二十八丁でございます。

吉井委員 それで、この銃器捜査関係署の警察官の逮捕及び処分件数というのはどれぐらいあるのか、これも伺っておきます。

米田政府参考人 警察官のあらゆる事案に関する処分というのは、ちょっと把握は、銃器取り締まりの警察官について把握はしてございません。

 銃の押収に絡みまして処分を受けたというものは、この十年間で四件でございます。

吉井委員 その四件というのは、北海道警、大阪府警、愛知県警、奈良県警の方で処分があったということですが、首なしけん銃の摘発は、捜査員が協力者の暴力団のけん銃を差し出させて、そのかわり身柄はとらないというやらせ摘発のことですが、このことは、実は福岡県警、長崎県警などでも実際にそれをやったという警察官の告発があったりしています。表に出てきたのは氷山の一角で、ですから、この点では、よく見てみますと、さっきの押収件数でも、九七年と二〇〇一年、押収けん銃の丁数が多い年と、そのときにこのやらせで処分を受けた警官との関係などを見ますと、やはりやらせの関連も否定できないということが出てくると思います。

 こうした捜査のやり方がけん銃押収の減少につながっていないかという、この点は大変疑問ですが、この点での反省がもっと必要だと思うんですね。「暴力団が大量のけん銃等を組織的に調達、管理している実態がみられる。」と警察自身が言っているわけですから、暴力団の武器庫を徹底して攻め立てて押収するとか、けん銃の流通ルートを押さえるなど、こうしたことに今全力を挙げる必要があると思うんです。

 そこで、国家公安委員長の方に伺っておきますが、暴力団と銃器の徹底した取り締まりに具体的にどのような方針と決意を持って対応していかれるか、これは国家公安委員長に伺います。

溝手国務大臣 先ほど首なしの御指摘もございましたが、今我々は、この銃器犯罪の背後の原因というのももう少し公平に、広い立場から考えていかなくてはいけないだろうというように思っております。

 その中で、特に暴力団の人数というか活動というか、これを徹底的に絞り込むというのが一番基本的な考え方だろうと思います。とにかく、シノギを減らす、資金源を減らしていくということによって暴力団の縮小を図っていくということであろうと思っております。

 そんな基本的な考え方のもとに、先日の事件の直後でございますが、警察庁の組織犯罪対策部長が、答弁をしておりますが、全国の警察本部長に向けまして、暴力団等の犯罪組織の幹部に対する情報の収集強化、犯罪組織が管理、隠匿する銃器及び武器庫の摘発の徹底、あるいは暴力団の構成員が関係する違法事案の掘り起こしと突き上げ捜査の徹底、また、暴力団排除活動に取り組む関係機関、団体との積極的な連携、また保護対策の一層の充実を内容とした緊急通達を出したところでございます。

 今後とも、警察庁に対しましては、違法銃と暴力団に対する取り締まりを徹底するとともに、暴力団によるけん銃発砲事案の再発防止に一層努めるよう督励をしてまいりたい、このように考えております。

吉井委員 政治テロなどはもう絶対許さない断固とした決意で取り組んでいかなきゃいけないと思いますが、銃器対策とあわせて、今おっしゃった暴力団対策、強力に取り締まらなきゃいけない課題だと思うんです。特に、公共事業への介入、行政対象暴力とか企業対象暴力も増加しておりますから、資金源を断つためにも、こうした面で徹底的な取り締まりをやってもらいたい、このことを求めまして、質問を終わります。

河本委員長 次に、戸井田とおる君。

戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。

 今、米国議会でもって慰安婦問題の決議がされようとしておりますけれども、何とか阻止できる資料はないかと一次資料を探す過程で、国立公文書館の情けない現状に大変驚きました。お手元の資料の六を見ていただきたいんですけれども、その資料の六は、一九三〇年代の朝鮮の新聞で、東亜日報の一部なんですね。その記事の裏づけとして警察の調書などを請求したところ、国内の警察資料を含め、明治十四年以降の刑事事件関係資料は公文書館に移管されていないとのことでした。

 朝鮮人が誘拐した事件の記事と警察の調書があれば、慰安婦を日本軍が強制連行したなどはうそであるということを簡単に証明できる、私はそう思っております。

 そこで質問なんですけれども、刑事事件関係資料も情報公開法に基づいて公文書館に移管して公開するべきだと思うけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 各省庁から歴史的な文書を移管をいただくということで、今鋭意進めておるところでございます。できるだけ客観的な基準でやらないと、各省庁が、散逸してしまう、あるいはなかなか持ち込んでこないということもございまして、例えば作成してから三十年たったら渡してくださいといったような基準も設けて鋭意やっておるところでございます。

 それから、今先生の御質問がありました昭和二十年以前の文書も、全部移管してくださいということでいろいろ要請をしておるところでございますけれども、散逸したものがあったり、なかなか十分な成果が上がっていない現状もございます。鋭意努力してまいります。

戸井田委員 ぜひちゃんとやってほしいと思います。

 次に、昨年、公文書館に極東軍事裁判関係資料の六千冊の公開を求めたところ、現在作業をしていただいているようなんですけれども、専門担当官はたった一人で対応しているということであります。あとはパートということなんです。一生懸命やっていただいていることには非常に感謝しておりますけれども、こんな現状でもって戦略的外交ができるのか、私はそういうふうに思うんですね。

 GDP世界第二位の、巨額のODA拠出国の我が国と、例えば、米国、フィリピン、マレーシアなどの国立公文書館の予算、人員、会館数とか、そういうものをちょっと比較してみたいなと思ったんですけれども、そういう資料はありますでしょうか。

山本政府参考人 諸外国との比較でございます。

 まず、職員数でございますけれども、我が国が四十二人でございます。非常勤職員でございますとかそういった方々も入れますと、全部で百二十人程度の人間の数でございます。アメリカ合衆国の場合は二千五百人、マレーシア約四百四十人、フィリピンが約二百人といったような職員数となっております。

 それから、予算等につきましては、データを公表しておりますアメリカとの比較をいたしますと、予算額は我が国が約十八億円、これに対しまして米国では予算額約四百五十億円。それから所蔵資料数、これは私ども百十万冊でございます。冊数ではちょっと比較が、うまい数字が出ませんので、書庫面積で比較いたしますと、我が国が約一・四万平米、米国の場合は書庫面積が約十三・五万平米といったような数字になっておるところでございます。

戸井田委員 こんな違いがあるのかなと。歴史は日本の方が古いと思うんです。そういうことを考えてみたら、いかに公文書館に対する考え方というか、歴史認識というけれどもだれも歴史認識なんかないじゃないかと言いたくなるような現状であります。こんな状態で歴史問題の外交戦を戦えるのかなということを思うと、せめて、人口割にしたって米国の半分とか、それから、最低でもフィリピンとかマレーシア並みの状態というものをつくっていく必要があるんじゃないかなと思うんですけれども、林副大臣、どうでしょうか。

林副大臣 何カ月か前にこの場で戸井田委員から戦争の裁判の御指摘をいただきまして、我が方で検討させていただいた結果は今官房長から御答弁があったとおりでございますが、大変大事な問題でございます。

 歴史はあるという御指摘でございましたけれども、確かに、国立公文書館は昭和四十六年に設立をされておるわけでございますから、その後、議員立法で公文書館法、昭和六十二年、国立公文書館法、平成十一年、そして、一般的な行革によりまして独法化が十三年に成ってということでございます。

 先ほど委員の御質問に官房長が答えたとおりの国際比較をすると、非常にちっちゃいということでございます。実は、与党の公文書館推進議員懇談会というのがあるようでございまして、そこでも、国立公文書館の体制、機能の充実といったことや歴史的公文書の適切な保存の推進ということについて精力的に御議論いただいているというふうに承知をしております。

 政府でも、福田官房長官のころに、公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会を開催しまして、平成十六年六月及び十八年六月に、二次にわたって提言を既に受けておるところでございます。これらの提言を受けまして、今御指摘があったような、各府省から公文書等の移管基準を、どうやって移管してもらうのかというのを明確化し、また、特定の重要事項をあらかじめ指定しておいて、今まさに各府省がお使いになっている段階から関係文書が散逸するということがないように、取り組みに努めて進めているところでございます。

 そういったことを含めて、いろいろな国会での御議論を踏まえてきちっと対応してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

戸井田委員 公文書館のこういう資料がないと、やはり、確かに外国と戦おうと思っても、たった一枚の資料でもって逆転することもあり得るわけですよね。そういうことを考えると、資料をきちっと整えておくことの大事さというものを改めて理解いただけると思うんですけれども、こういった資料を戦略的に収集していくというようなこと、そういう考え方というものがやはり必要なんじゃないかなと思うんです。

 下村官房長官、どうですか。官邸にいてなかなか思ったことを言えないようですけれども、どうぞ。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 戸井田委員が事あるごとに公文書館の話をしていただいて、大変ありがたいことだと思います。

 ただ、御指摘のように、我が国でも昭和四十六年、国立公文書館ができたということで、それ以降については戦略的な取り組みができると思いますが、残念ながらそれ以前のことについては、公文書館の中で、今、林副大臣からも御指摘がございましたが、各省庁の関係の資料については集められる可能性が十二分にあると思いますが、それ以前の民間の、先ほど御指摘があったような例えば新聞とかということについては、今の公文書館の機能では集められないという部分がまだたくさんありますので、さらにこれから戦略的に取り組んでいく必要があると思います。

 また、先ほど御指摘がありましたけれども、当時、福田内閣官房長官のもとで有識者懇談会の提言を受けておりますが、これに沿って、特定の重要事項をあらかじめ指定して、そしてきちっと対応するということがさらに必要だというふうに認識しております。

戸井田委員 そういう状況の中で、我々、こういうのを探っていくと当たるんですね。やる気があるかないかというところが一番重要なところだと思います。

 それで、ぜひ副長官にお願いしたいんですけれども、一九七〇年以前の、尖閣列島と日本名で表記してある中国が発行した地図帳が収集の対象になっていないんですね。これにはちゃんと、中国が発行したにもかかわらず尖閣列島という日本名で書いてあるんですよ。それ以降の地図というのは、釣魚島というのに全部変わっているんですよ。中国の留学生が日本の古本屋を走り回って、そういう地図を全部買いあさってしまったという話があるんです。古本屋さんに聞くとそういうあれなんですね。だから、戦略的にというのはやはりそういうところもあるのかなという感じがするんですね。

 それと、一九八〇年ごろには、南京攻略戦当時のニューヨーク・タイムズとロンドン・タイムズが所蔵されていたんです、新聞の記事。ところが、あったにもかかわらず、現在所蔵されていないということなんです。これはどういうことなのか、やはりきちっと調査していただきたい。

 あの当時、ニューヨーク・タイムズに虐殺があったという記事、十二月十八日だけあるんです。だけれども、同じ日を、ロンドン・タイムズが何を書いているかというと、虐殺じゃなくて、略奪、捕虜の処刑というような雰囲気の記事になっているんです。そういうものを比較していくということも大事なので、ぜひこれをお願いしたい。

林副大臣 今御指摘のあったようなこと、また、朝鮮日報か東亜日報か忘れましたけれども先ほど御指摘のあったこと。公文書館と、それから国会図書館というのがございます。私の記憶でも、アメリカの国会図書館にいろいろなものがあって、そこといわゆる公文書館、これは政府の中にあった文書をきちっと保管しておく、ここのすみ分けとまさに連携というものが非常に大事になってくるというふうに思っております。

 一時的に、新聞記事やほかの資料であっても、政府が何らかの目的でそれを収集して公文書になっておれば、先ほど副長官からお話がありましたように公文書館の流れになるわけでございますが、全くそういうものがないとすると、それは公文書館というよりも、国立国会図書館なりいろいろなところでやっていただく。そして、我々としては、そういうものをきちっと保存しておくことによりまして、まさに今委員が御指摘になったように、やる気のある方がきちっと戦略的にいろいろな調査をしていただくというときにすぐにお役に立てるようにする、こういうのが大事なことであろうかと考えております。

戸井田委員 公文書館についてはそういうことで、ぜひその重要性を認識していただいて、しっかり充実していただきたい。財務大臣は、総理から言われないと予算はつけないとこの間言っていました。総理にひとつよろしくお願いします。

 次に、男女共同参画基本法に関連した質問をさせていただきます。

 この法律の問題点は、高市大臣並びに政府委員の方々も十分承知していると思いますが、時間がありませんので、要点だけ質問させていただきます。

 まず、男女共同参画会議に関係する民間議員並びに各界有識者の審議委員などの選出基準と、だれが選ぶのかをお尋ねしたいと思います。民間議員の中には、社会的背任行為を起こした大企業の社長等が選出されているようですけれども、高市大臣、どんな状態でしょうか。

高市国務大臣 まず、男女共同参画会議の有識者議員からお答えいたします。

 この議員の選任は、男女共同参画社会基本法の第二十五条に基づいて要件が決まっております。男女共同参画社会の形成に関しすぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命することとされていて、男女のいずれか一方の有識者議員の数は有識者議員総数の十分の四未満であってはならないこととされております。

 それから、男女共同参画推進連携会議、いわゆるえがりてネットワークにつきましては、現在の議員は、平成十七年七月に選任された方々、任期二年ということでございますが、男女共同参画大臣が依頼する各界の有識者をもって構成することとされております。

戸井田委員 本年三月十五日の総理大臣官邸での男女共同参画推進連携第二十二回全体会議の篠塚英子議長は、だれが議長に選出したんですか。

高市国務大臣 えがりてネットワークの議長につきましては、議員により互選されることとなっております。

戸井田委員 篠塚さんは女性が外で仕事をすることを推進する本をたくさん執筆しておられますが、民間の委員も大体同じ考え方の委員がほとんどとなると、一つのイデオロギーに基づく談合と同じだと思うんですね。この流れで法律ができてくると、国会審議は事後承認というような形になってくるんじゃないか、これは非常に国会軽視の雰囲気があるな、私はそういうふうに思います。

 本年四月二十日の第五十一回国連婦人の地位委員会等について聞く会において、そこには私は出られなかったので、事務所の者を出させたんですね。そうしたら、板東久美子男女共同参画局長は、男女共同参画基本法を施行されたころから自殺者が三万人を超えているが関係があるのではないかという質問に、経済的理由からくるうつ病などが原因であって、男女参画基本法と自殺者は全く関係ない、全く関係ないと断言していました。そこに同席されていた飛田審議官もその言葉に驚いて、局長の顔を見ていたということを事務所の者が言っておりました。全くという言葉の意味を御存じなのか、板東局長の言葉には実際に驚きます。

 高市大臣も、全く関係ないということは本当に言えるんだろうか。どうでしょうか。

飛田政府参考人 お答え申し上げます。

 先日のえがりての聞く会におきまして、御質問ございました、男女共同参画基本法の成立によって自殺がふえたのではないかという御質問だったかと思います。

 お答え申しましたのは、自殺の大きな原因は、一般に言われておりますのは、人間関係の悩みですとか長時間労働、あるいは経済的要因、健康問題、こういったものが多いということが言われているわけでございまして、私どもの考えといたしましては、男女共同参画基本法が成立したから自殺がふえたというようなことはないのではないかというふうにお答え申し上げたわけでございます。

戸井田委員 資料の五を見ていただけますか。警察庁が統計した自殺者の推移ですけれども、平成十年以降になると急激にふえ、残念なことに三万人を超えてしまっています。板東久美子局長のおっしゃるように、自殺の原因にうつ病が含まれているとなると、ストレスは大きな要因として考えられます。結婚の十倍の体力と精神力を必要とすると言われている離婚のストレスが自殺の要因となると、大変なことだと思います。

 そこで、資料二は、一九九九年以降を見ると、男女共同参画基本法が施行されてから離婚率が急激に、二%を超えているということは、離婚と自殺に因果関係があれば基本法とも関係があると考えられるんじゃないでしょうか。

 年間四兆円を超える予算ということをよく言われますけれども、国民にわかりやすく、客観的数値を示してこの基本法の成果を簡単に説明していただきたいと思うんですね。

高市国務大臣 ちょっと先に、先ほど、えがりてネットワークですとか、それから男女共同参画会議の人選について委員のお考えをお伺いしましたので、お答えいたします。

 男女共同参画会議の有識者議員の方は、残念ながら私には人選の権限はございませんし、人選にもタッチできない、私の意思を反映することができませんのでちょっと申しわけないんですが、えがりてネットワークに関しましては、男女共同参画大臣が依頼できるということになっております。現在の議員の皆様は平成十七年七月に選任されておりますので、ちょうどことしの夏がまた新しくお願いをするといった時期になりますので、これは十分にバランスをとって考えていきたいと思っております。

 それから、男女共同参画社会基本法制定以来の社会の変化といった御趣旨なんだろうと思います。

 予算も、今、男女共同参画推進関係予算といったことで、これは各省が、例えば障害者対策、バリアフリーですとか子育て支援ですとかそういった形で、いろいろそれぞれの施策のために組んでいる予算の中で、男女共同参画推進の見地から留意すべき事項だとされたこと、つまり、これは第二次の男女共同参画基本計画に書いてあることなんですが、それに対応していると思われる予算を拾って、フォローアップのために集めているということで、これだけで何か新たな予算、別枠で組んでいるわけではないのでございます。

 しかしながら、男女共同参画基本法、平成十一年の六月に公布されておりますけれども、ここに、子の養育ですとか家族の介護ですとか、そういったことをしっかり進めていくという旨が書かれておりまして、それに対応した予算の推移というものを見ておりますと、金額的にも現在は合計四兆七千億円ということになっておりますけれども、実際には、保育所の整備ですとか病児保育の充実ですとか、また町もバリアフリー化が進んでおりますし、また介護保険制度も定着をしてきております。

 そして、何よりも意識というのが変わってきたと思います。私も国会議員でもありますが、初めて選挙に出たころ、初当選が平成五年です。そのころには、例えば地元でも、女性に何ができるんや、女が国会に行って何をするんや、こういうことを平気で言われました。今そういうことをおっしゃる方はほとんどいなくなってきている。また政党の中で公認候補を決める場合にも、女性だからちょっとねというような扱いは昔はありました、女に何ができるんだと正面切って言われたようなときもありましたけれども、そういった意味では、意識が政治の世界でも、また企業でも、女性にげたを履かせるというよりは、持っている能力、そしてその働きを正当に評価する、チャンスの平等をしっかりと保障するという意識というのは浸透しつつあるんじゃないかな、それが一番大きな変化だと私は思っております。

戸井田委員 大体そういう話が今までも多かったなと思いながら聞いておりました。

 だけれども、いろいろなデータを集めてくると、もうびっくりするような数値が出てくるんですね。男女共同参画局が作成した資料は、基本法を推進するために意図的に捏造して作成しているとしか思えないものがあります。

 資料四を見てください。この中の「社会の安全・安心度」というところなんです。この表は、平成十七年九月の、少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書の中にあるものです。この表でおかしいのは、日本がアメリカよりも安全・安心度が低いということです。

 資料四の二ページ目を見てください。人口十万人単位の犯罪率では、アメリカは日本の、殺人で六倍、強姦約二十二倍、強盗約五十倍となっており、三枚目を見ても、アメリカは世界一の犯罪大国ということです。グラフを見ていただいたらわかりますけれども。

 四の一枚目の社会の安全・安心度、日本が一番悪い状況になっているんですよね。だから、こういうのはあえて間違いじゃないかと。見ていただいたらわかることですけれども、そういうことを、別の資料を集めてくると違う答えしか見えてこないようなものがあるわけであります。

 このようにいいかげんな資料を作成した関係者の責任をどのように考えるか。これをもとに、見る者の意識操作をするとしか思えないんですよね。ですから、私は、そういうメンバーを総入れかえする必要があるんじゃないかというふうに思います。短くお願いします。

飛田政府参考人 事実関係を御説明いたします。

 少子化と男女共同参画に関する国際比較の数字でございますけれども、社会の安全・安心度につきましては、将来に関する不安が少なくて、幸福感、安心感がある社会は子供を生み育てやすいのではないか、そういう観点から、幸福感の高さ、及び人々が幸福と感じていらっしゃる比率、それから失業率、こういったデータを国際比較で取り上げております。

 なお、犯罪に関するデータについては、国連等のデータも検討したところでございますけれども、国際比較に、約半数ぐらいの国でそれはなかったこともございまして、この調査では採用していないということでございます。

戸井田委員 結局、口で言うのは幾らでも言えるんですけれども、そういう数値のデータを出してくると、やはりそういったものが改めて出てくると思うんですよね。まあその辺はいいですけれども。

 男女共同参画局が理想としている国は、質問をとりに来た人なんかでも、聞いてみると、米国とかオランダ、北欧諸国のような答えが返ってくるんですね。

 資料二と三を見ていただきたいと思います。これは、男女共同参画基本法施行後に離婚率と十代の人工中絶率が急激に高くなっていることを示しています。この客観的数値を見ますと、男女共同参画基本法とは、実のところは少子化、離婚推進法であったという結果が出ているというふうに言わざるを得ないんじゃないか。

 参画局が理想としている米国、オランダ、北欧諸国は、女性が充実した生活を送るためには子供が必要ないと九〇%の人が答えている国なんです。この表でも明らかなように、一番目の表ですね、表一。これは、女性が充実した生活を送るためには子供が必要かということで答えて、こういう割り振りになっております。

 ここでも明らかなように、米国、オランダ、北欧諸国を理想とする男女共同参画基本法とは、国家解体に直結する少子化推進、離婚推進法と言えるんじゃないか。この数字を見たらそれしか見えないんですよ。

 大臣、答えづらいだろうと思うんですけれども、どうですか。

高市国務大臣 質問をとりに行った者が、日本をアメリカやオランダや北欧のようにしたいと言ったかどうかはわからないんですが、少なくとも私はそうしたいとは思っておりません。日本は日本として日本らしく、そしてまたいい国であればいいと思っております。

 例えばアメリカでしたら、これは、統計をとった目的を聞きましたら、日本と比べてどういう特徴を持つかと。過去二十年に女性が労働力を伸ばしながらも合計特殊出生率も上昇している国というものを比較してみて、日本と比べてどのような特徴を持つかを示すために比較したと。別に、これらの国が私たちが目指すべき理想だと言うのが目的ではない、そのように聞いております。

 例えば少子化対策でも、確かにアメリカは日本より出生率が高いですよ。手厚いフランスよりも出生率が高いと言われていますけれども、でも、医療とか保育は自己責任という形で、医療費も高いし、保育所に子供二人も入れたら、日本円にしたら月二十万円近く払わなきゃいけないというし、犯罪率も高いですし、決して住みやすい国じゃないと思います。日本に比べてはるかに住みやすいとかそういうことじゃない。

 ですから、国によって、やはり少子化対策というのはそれぞれの特徴に応じてなされるべきだと私は思います。でも、ではフランスと同じサービスを日本に全部導入したらもっといいだろうなと思うかもしれませんけれども、国民負担率がすごく高いです。どこまでの税負担に私たちが耐えて、どれだけのサービスを選択するかということでございますので、間接税率が一九・六%のフランスと現在消費税率五%の日本を単純比較もできませんし、その辺は十分に理解はしているつもりです。

 理想の国であるともし質問をとりに行った者が言ったとしたら、それはおわびしますが、そのような考え方ではございません。

戸井田委員 フランスは婚外子が半分ということを聞いていますし、それぞれ、国の持ち方だろうと思うんですよね。だから、国連でこういうふうに決まったからとかいって、その国の行き方というものを変える必要はないと思いますし、それぞれの国には文化もあれば宗教もあれば、いろいろな違う形のものがある。イスラムの世界に宗教を無視して男女共同参画を導入しろといったって入るわけじゃないだろうし、そういうことを考えていったら、日本という国はどんな国なんだと。歴史と文化と伝統があって、同時に宗教も宗教観も違う。

 そういう流れの中で考えていったら、国連で、指導的な立場に立つ女性が三〇%、それが悪いとは言わないけれども、だけれども、そういうものが例えば株式会社、企業に導入されるというようなことになるとしたら、やはり資本主義の根本にかかわるような問題にもつながっていく。ただそういうものを目標として言っていたものが、いつの間にか日本の中では、そんな、宗教も考えない、文化も歴史も考えない、そういう中でどんどん決められていってしまう。

 それで、その男女共同参画推進の中心になっているのはだれなのか。たった一人、ずっと最初のときから、かわらずいる人がいるわけですよ。その人が全部仕切っている。そういう状況を見たときに、それは調べてもらったら事実としてわかるわけですよ。だから、そういうものが我々のわからないところでもってどんどんどんどん進んでいる現状というものをかいま見るにつけて、こんな状態でいいのかなというふうに思って、あえてここで発言をさせていただきました。

 ですから、そういう意味で、偏った考え方と言われる人もいるかもわからない。だけれども、私自身の考え方からすれば、決して男女共同参画というものを押しつけられる必要はない。今、十分に女性だって、今大臣がおっしゃったように、それなりに自分たちの主張をしながら、家庭のことを考えてみたって、どこを見たって、女性が弱いなんということは今の時代あり得ないし、ただ、出てきた数字の成果というものを見たときに……

河本委員長 戸井田君、申し合わせの時間はとうに過ぎております。

戸井田委員 明らかにそういうふうになっているということだけは知っていただきたいなと思って、資料を提供いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

 終わります。

河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会


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