衆議院

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第22号 平成19年5月25日(金曜日)

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平成十九年五月二十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    新井 悦二君

      石原 宏高君    宇野  治君

      上野賢一郎君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    岡下 信子君

      嘉数 知賢君    木原 誠二君

      杉田 元司君    土井  亨君

      中森ふくよ君    橋本  岳君

      林田  彪君    松浪 健太君

      御法川信英君    村上誠一郎君

      市村浩一郎君    小川 淳也君

      佐々木隆博君    鈴木 克昌君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           馬淵 澄夫君

   議員           武正 公一君

   議員           泉  健太君

   議員           鷲尾英一郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務副大臣        大野 松茂君

   財務副大臣        田中 和徳君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   衆議院調査局長      大西  勉君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (内閣法制局総務主幹)  林   徹君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           川村 卓雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   山本信一郎君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     舟橋 和幸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   池上 政幸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   小手川大助君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 荒井 英夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           鳥生  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 井出 道雄君

   政府参考人

   (林野庁次長)      石島 一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 松永 和夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   小林  光君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     橋本  岳君

  木原 誠二君     新井 悦二君

  谷本 龍哉君     石原 宏高君

  寺田  稔君     小里 泰弘君

  市村浩一郎君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     杉田 元司君

  石原 宏高君     御法川信英君

  小里 泰弘君     宇野  治君

  橋本  岳君     嘉数 知賢君

  鈴木 克昌君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     寺田  稔君

  杉田 元司君     上野賢一郎君

  御法川信英君     谷本 龍哉君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)

 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)

 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、株丹達也君、内閣法制局総務主幹林徹君、人事院事務総局総括審議官川村卓雄君、職員福祉局長吉田耕三君、人材局長鈴木明裕君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、宮内庁次長風岡典之君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官舟橋和幸君、警察庁長官官房長安藤隆春君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、総務省大臣官房長荒木慶司君、人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長石田直裕君、法務省大臣官房長池上政幸君、外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、財務省大臣官房長杉本和行君、大臣官房参事官森川卓也君、理財局次長小手川大助君、国税庁長官官房審議官荒井英夫君、文部科学省大臣官房長玉井日出夫君、厚生労働省大臣官房長太田俊明君、大臣官房総括審議官宮島俊彦君、農林水産省大臣官房長井出道雄君、経済産業省大臣官房長松永和夫君、国土交通省大臣官房長竹歳誠君、都市・地域整備局下水道部長江藤隆君、環境省大臣官房長小林光君及び防衛省大臣官房長西川徹矢君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 本日は、ここ内閣委員会におきまして、一時間という時間をいただいて、政府案それから民主党案、それぞれの国家公務員法等の改正、天下り防止のためのそうした法案について質問をさせていただきます。何分にもここは本務の委員会ではなくて、ちょっと皆様の胸をかりるつもりで頑張っていきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。頑張ります。そう言われると、プレッシャーがどんどんかかっていくわけでありますけれども。

 この法案自体、こうして私が質問に立たせていただくというのは大変感慨深いものがございます。と申しますのは、私の父橋本龍太郎が、閣僚を、特に最後の閣僚を務めさせていただいたのが行革担当の大臣でありました。二〇〇一年のことです。その期間中に、公務員制度改革をするその大枠を決めるということで、信賞必罰という言葉を使って、成績だとか能力による人事評価を導入していくということを表明したわけでありまして、この信賞必罰という言葉、大変私も印象に残っているわけであります。

 それが今回こうして法律で定められて、政府案にしても、民主党案にしても、それぞれ触れていただいております。定められて、審議にかかっている、そこで私もその質問に参加をさせていただくというのは、縁というか、感慨深いものがあるわけでありますし、そういう意味でも、頑張っていきたいなと思うわけであります。

 さて、この両案とも、公務員、特に今いろいろな天下り等の問題が起こっているということが法案提出の大変大きな背景になっているということは共通していることと思います。

 特に、これはきょうの新聞にも出ておりましたけれども、農林水産省の外郭の独立行政法人緑資源機構の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合事件で、東京地検特捜部は、二十四日、談合を主導した機構の理事ら六人を独占禁止法違反容疑で逮捕した云々と。さらに、きょうの読売新聞ですけれども、ほかの事業でもそうした官製談合が繰り返されていた、そうした報道もございました。

 大変残念なことでありますし、今後こういったことがさらに起こっていかないよう天下りを防いでいかなければいけない、そうしたことなんだろうと、そのこと自体は私も大賛成なわけであります。こうしたことが二度と繰り返されるようなことがないように、しっかり取り組んでいかなければいけません。

 ただ、そこで両案が提出をされているわけでありますけれども、本会議の議事録あるいは委員会の議事録の速報、そういったものをだあっと眺めさせていただいたときに、まず、そもそも、ちょっと議論がかみ合っていないというか、すれ違っているところがあるなというのが大変気になっております。何分言葉が、それぞれが使っている言葉が共通していないと、それぞれの議論がすれ違っていくというか、それ以上積み重なっていかないというか、そういうような状態というのがあると、そもそも、こうした質問などにそごを来しますので、まず、そこの確認をさせていただきたいと思っております。

 その言葉というのは、天下りという言葉であります。

 例えば、今資料をお配りしておりますので、ごらんいただければと思いますけれども、その天下りという言葉について、渡辺大臣はこのようにおっしゃっております。再三御説明申し上げておりますように、天下りというのは、各府省等の人事当局が人事の一環として行うあっせんによる再就職を指していることが多いんですねと。この表現はよく見受けられまして、ある意味で、渡辺大臣の天下りという言葉の使い方というのは、ほとんどここで一定しているんだろうというふうに思います。

 片や、民主党提出者の方々のいろいろな答弁など拝見していますと、天下りとはというお話をされているところはちょっと見つけられなかったので、もしあれば補足をいただきたいと思うんですけれども、私の見つけた範囲だと、こういったことになるのかなというところを、ちょっと二つほど抜き出してまいりました。

 まず一つ目は、十五日の本会議の鷲尾議員による趣旨説明のところであります。「民主党が行った予備的調査によれば、公益法人など四千五百七十六法人に二万七千八百八十二人もの国家公務員が天下り、公務員が天下った団体に対して」云々という言葉を使って、天下りという表現を使われました。ここで言うところの予備的調査が何を指しているかというと、国家公務員の再就職者がいる調査対象の法人、細かくはまた申しますけれども、独法だとか公益法人だとか、いろいろな形で国に関係している団体、組織一般でありますけれども、そこに対して国家公務員が再就職をしていることがこの調査の対象になっていますから、それを指して天下りと呼んでおられるのかなと思われるわけであります。

 それからもう一つ、別の発言をとってきますと、これも同じ本会議の鷲尾議員の趣旨説明ですけれども、「天下りを原則禁止とする期間を現行の二年間から五年間に拡大し、」というふうに表現をされておいででありまして、これは民主党さんの提出されている法案の第百三条第二項に関するところだと思いますけれども、「職員は、離職後五年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならない。」というところでございます。

 ということは、今、二つ目に挙げた方の御発言では、天下りというものは、この条文で規制をされているものというのは、国家公務員の方が、要するに、自分が所属している組織などと密接な関係がある別の法人に再就職することを天下りと指しているんだろう、こう推測されるわけでありまして、同じ鷲尾議員の趣旨説明の中なんですけれども、実はここの二つ、微妙な違いがあるわけであります。

 これを具体的に考えてみますと、例えば国土交通省の職員の方がおられたとします、その方が、同じ国土交通省と密接な関係がある、何か受注をしているとか、そういった法人に再就職をする場合というのは、これは両方の発言とも天下りになるわけでありますけれども、例えば、国土交通省の職員の方が厚生労働省と深い関係のある法人というか組織に移られたときは、最初の、調査の対象となった天下りというのにはひっかかるんですけれども、この規制をされている、国家公務員法改正案第百三条第二項で言うところの、これを天下りと呼ぶのであれば、これはひっかからないということになるんだと思います。

 さらに言えば、渡辺大臣がおっしゃる天下りという言葉には、これはひっかかるかどうかわからないんですね。各府省が、人事当局が人事の一環としてそういうあっせんをしたのだということであればひっかかるかもしれない、そうでなければひっかからないという整理になると思いまして、一つの現象を天下りとして呼ぶのか呼ばないのかというのは結構揺れているんだと思いますし、そこに議論がかみ合っていない印象がある原因があるんだと思います。

 ですから、まず、大臣それから民主党提出者の方に、天下りという言葉をできるだけ端的にというか簡潔に定義をしていただきたいと思うんです。それぞれお願いいたします。

渡辺国務大臣 お答えをする前に、私が国会議員になりました十年ほど前、橋本内閣の時代でありました。我々新人議員は、党の行革本部に配属をされ、そこで例えば林副大臣などと一緒に橋本行革を一生懸命議論してまいったわけであります。その後、省庁再編が行われ、公務員制度改革についても橋本行革の中でも議論をされてきたわけでありますが、橋本行革大臣のお立場でこの問題を追及してこられたと思います。そうした長い歴史の中に今回の政府案はあるわけであります。

 御指摘の天下りという言葉は、御案内のように、法律用語ではございません。しかし、国民のサイドから見ますと、まさしくこういった言葉にシンボリックにあらわれている実態が国民の公務員に対する不信につながっているという大変悲しい現実があるわけであります。そこで、私なりの表現で天下りというものを解説してきたのでございます。

 広辞苑によれば、「下の者の意向や都合を考えない、上からの一方的なおしつけ。特に、官庁で退職後の幹部などを民間会社や団体などに受けいれさせること。」をいうという定義が書いてございます。

 私は、これを敷衍いたしまして、各省庁が人事の一環として予算や権限を背景にして行うあっせんによる再就職を天下りというと大体説明をしてきております。つまり、こういったことは、国民の目から見ますと押しつけのように見えてしまうんですね。したがって、このようなことを根絶する、そのためには各省によるあっせんを全面禁止するという政府案の決断につながったわけでございます。

馬淵議員 お答えをさせていただきます。

 委員の御指摘、私どもも、まさにこの天下りという言葉のあいまいさといいますか、それが国家公務員並びに特殊法人等々も含めまして、そうした権限のある方々が関係する営利企業や、あるいはまたさらに法人につかれた場合に、そこで何が起きているかということの事象しか国民は知ることができない。

 今回、緑資源機構の問題が発覚をいたしました。六名の逮捕者が出ました。六名の逮捕者のうち、二人が緑資源機構のプロパーとして仕えた方々、そして残る四人の方々が、この談合の中の受注先であります関係企業であります。その中の二人は、これは天下りといいますか、緑資源機構から行かれた方、残りの二人のうち、一人は農水省から行かれた方、だから、もう一人の方が純粋民間ということであります。

 こうした事象を見ますと、なるほど、農水から行かれた方、緑資源から行かれた方々が官製談合をしている、ここで一体どういうことがあったんだろうか。国民から見れば、国家公務員から移っていく、あるいは法人から移っていくことで何かが起きているのではないかというこの事象を見るわけです。そして、今委員から御指摘がありましたように、こうしたものがどうも温床になっているということが我々としては想定できる。いや、少なくとも事実として、このように事件として起きるんですね。

 大臣の御答弁の中には、それを人事の一環としてという言葉をつけられておりますが、人事の一環としてというとらまえ方をすると、それこそ当委員会でも何度も政府委員の方々からも御答弁がありましたが、人事の一環として把握していなければならない情報すら、再就職、再々就職については確認できていないという言葉が出てくるわけですよ。人事の一環としてといった場合に、極めて限定的になってしまう。

 だから、我々は、そもそもこの天下りという言葉はもともとあいまいである、法律用語ではないけれども、国家公務員や、あるいは権限を背景とする法人から民間の営利企業あるいは法人に再就職、再々就職される場合について、これは厳しく制限をしなければならないと判断したわけであります。

 したがいまして、私どもは、この天下りというものについては、いわゆる公務員や法人等の役職員がその在職していた地位や、あるいはその権限をもって口ききを行ったり、あるいは談合、随意契約、不適切な随意契約などにつながっていくおそれのある再就職ということを天下りとして、そしてそれらを全面禁止するという法案を出したわけであります。

橋本委員 ありがとうございました。

 それこそ、両案の思っていらっしゃることはそれぞれきれいにお答えいただいたのかと思いますが、済みません、馬淵議員に少しお伺いしたいんですけれども、地位、権限をもって談合等につながるおそれのある再就職という表現をされました。

 おそれがあると言われると、少しあいまいに理解されるし、おそれというものはどんなものに対してだって、関係があればそういうおそれになりそうだということは言えるわけでありまして、物すごく広くて、ほとんど公務員の方の再就職一般につながるんじゃないかと思うんですね。

 だから、そこのエッジのところ、どこまでがおそれがあるのか、どこからがないのかというところはきちんとおっしゃっていただきたいなと思うんですけれども、その点、少し補足していただけますでしょうか。

馬淵議員 お答えさせていただきます。

 御指摘のように、おそれがあるということは具体的にどういうことなのかということでありますが、私どもが提出した法案の中では、法文の中でしっかりと、離職前五年間に在籍した地位において、本人が直接契約にかかわっている案件、あるいは許認可や届け出等も含めた権限を行使する立場にある関係先において再就職を規制しているんですね。ですから、離職前五年以上についていたところで、当然ながら、再就職を御本人がみずからの意思で望もうとされる場合については対象外であります。

 離職前五年間ということを厳しく制限する。そしてその後、今申し上げた規制外のところに就職された後も、その後の、就職後の五年後、十年まではきちっと報告をしていただくことによって、何らかの権限行使につながるような行為はないかという事後規制も含めて入れておるわけでありまして、今申し上げたように、公務員ですからありとあらゆる全体の奉仕者としてのさまざまなことが発生するかもしれませんが、それまでをすべて規制するものではないということであります。

橋本委員 わかりました。

 では、ちょっとそこはおいておいて、次のところに参ります。

 資料でいうと次をちょっとめくっていただきたいと思うんですけれども、今の、そういう規制をかけるのだということで、新しい国家公務員法等の改正を提案されました。その提案の趣旨説明に当たって、税金の無駄遣いになるのだということで、具体的な数字を挙げてお話しになっておられます。

 これはさっき読んだところと重なるんですけれども、どういうふうにおっしゃったかと申しますと、「民主党が行った予備的調査によれば、公益法人など四千五百七十六法人に」、四千五百七十六というのは大きな数です、「二万七千八百八十二人もの国家公務員が天下り、公務員が天下った団体に対して平成十八年度の上半期だけで約五兆九千二百億円もの税金が流れています。」五兆円というのは大きな数字ですね、「天下り公務員を受け入れた団体は、当然、中央官庁に対して何らかの見返りを求めており、税金の無駄遣いを引き起こしています。天下りを介して、官製談合が横行してやまず、随意契約がはびこっていると言っても過言ではありません。 このような天下りを背景とする官民のもたれ合い、癒着構造が温存、放置されることこそ、国家の財政を疲弊させている根本原因であります。」ちょっと飛ばしまして、「天下りの根絶こそ、税金の無駄遣いを縮小し、国家財政に寄与させるとともに、公務員に対する国民の信頼を回復せしめ、公務員諸君の意気を向上させるというのが、我々の提出した法案であります。」というふうに、これは本会議の鷲尾議員の趣旨説明であります。

 また、同時に細野議員が質問に立たれまして、そのときにもこの数字を挙げておられます。長くなりますのでちょっと読みませんけれども、天下りを受けた団体が四千五百七十六にも上っているんだ、そこに税金が流れているという表現がされていますけれども、五兆九千二百億円、そういう状態になっているんだということを挙げられて、そして、天下りが税金の無駄遣いにつながっているのだ、したがって、天下りを根絶することが税金の無駄遣いを縮小し、国家財政に寄与させるとともに云々というつながりになっているわけでございます。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、五兆九千二百億円というのは物すごい巨額な金額であります。これが無駄遣いされているのだということであれば、早急に是正されなければなりません。今回の法案、民主党さんが提出をされた法案におきまして、五兆九千二百億円という挙げられた数字というものにどのような無駄遣い削減効果を期待されているのか、具体的に、要するに幾ら減るとか、そういうことで教えていただければ幸いでございます。

鷲尾議員 お答えをいたしたいと思います。

 幾ら減るんだろうというお話でございますが、この五兆九千億円の中で、実際、官製談合や随意契約で、いわゆる民間とは違った形で、どれだけ無駄になっているかというところは、やはり事細かに、それこそ精査しなければいけないというふうに思いますし、実際、具体的な事業を精査していく中で、単純には割り切れない事業というのも当然あるだろう。国益ないし中長期的な観点から見て本当に必要かどうかというところを含めて、当然精査していかなきゃいけないというふうに思います。

 一概に幾らというふうにお答えはできないですけれども、ただ、我々が想定をさせていただいておるのは、例えば長野で田中知事が入札改革をやりましたよという中で、随契から一般競争入札への変更が大部分行われて、その結果、落札率もある程度減少している。落札率が低ければいいんだという議論はまた別として、やはり皆さんのそういう意識が変わることによって税金の無駄遣いが減るということは事実でございまして、例えば、全省庁、全契約、七割以上が随意契約なわけであります、独法の方でも、予備的調査によれば、七割以上が随意契約であるということが明らかなわけですから、この点についてメスを入れるという意味でございます。

橋本委員 そうですね。そういうことなんだろうと思うわけであります。

 一枚、資料の方、三ページ目、めくっていただきまして、では、その五兆九千億というのは一体どんな数字なのかなというのを、私も、調査室の方に伺いまして、ちょっと確認をしてみました。

 「国家公務員の天下りの実態」というのは、民主党さんからいただいた資料で、そういうふうなタイトルで数字が書いてあったものですから、そこをちょっと補ってみましたということですけれども、まず、さっき触れましたように、調査対象の法人であります。

 ここは細かく六項目について挙がっておりますけれども、ざっと読みますと、認可法人、独立行政法人、あるいは特殊法人、特殊会社、いろいろな形で補助金などの交付を百万円以上受けている法人、認可法人等から一千万円以上の出資を受けている法人、それから、国家公務員法第百三条第三項に基づき、再就職に当たって人事院の承認を必要とする営利企業、以上六項目を挙げられておりまして、これは、要するに、国に関係しているいろいろな団体、できるだけ広くというようにとらえていっていいんだろうと思いますけれども、そうした対象を調査されましたということであります。

 いわゆる退職公務員が在籍する法人は四千五百七十六というのは、その中で出てきた数字ですけれども、実は、それが、在籍をしていない、退職公務員がいない法人というのは、ちなみに調査対象の中では三千九百八十四法人ありまして、割合でいうと、在籍する方が確かに少し多い。五三・五%と四六・五%ですから、これが多いか少ないか、まあ少ないとは言えない。

 確かに、そういう受け入れている法人が半分近くあるんだなということは理解できるわけでありますけれども、四千五百だけ聞くと、物すごく、何かほとんど全部の法人にいるんじゃないかぐらいな気持ちがするわけですね。そういう意味では、ちょっと割り引いて見ないといけないのかなと思うわけであります。

 また、約五兆九千億円という金銭の交付について見ましても、その金額が多い上位十法人というのを挙げてくださいということで、そういうお願いをして表をつくっていただきました。どんなすごい団体が来るんだろうと思って、来たのが、例えば一番多かったのが国民生活金融公庫、七千六百五十億円、これは、交付の目的は貸付金、財政投融資資金であるというふうになっております。それから二番、三番と中小企業金融公庫、住宅金融公庫、そういう政策的な金融に対する補助ですか、交付ですかが続いている。それはやはり金額は大きいですよね、こういうものは。国民生活金融公庫が七千六百五十億円、それから中小企業金融公庫、住宅金融公庫は、三千八百億円、三千三百億円。

 続いてどんなのが来るかというと、次、四位が文部科学省関係の独立行政法人日本学生支援機構であります。これは私学の助成金の受け皿になっている法人でありまして、ここに二千四百四十四億円。このお金は、恐らく大部分が私学に対して交付をされるということになるんだと思います。それで、五位、六位、七位と宇宙航空研究開発機構だとか日本原子力研究開発機構だとか新エネルギー・産業技術総合開発機構、これらは研究をする機関ですね。そういったところに対する交付が二千億円だとか千七百億円だとか、そういうふうに並んでいるわけでありまして、結局、金額のうち上位十法人、五兆九千億円のうち上位十法人で二兆七千億円が占められているわけであります。

 そういう意味でいうと、今言ったような法人が天下りによって何か物すごい随意契約でどうこうとかという、していないかしているか、それはわからないですけれども、そういう問題ではなくて、もしそこで何か悪いことがあるんだったら、それは政策金融の改革の問題で取り上げるべき問題でありまして、天下りの問題で取り上げて出てくる数字じゃないだろうと思うんですね。

 こういった法人、今度上位の法人はなくなるわけでありまして、ちょっと仮定の議論はあります、わかりませんけれども、たとえそういったところが国公、退職の公務員の方の引き受けをされなくなったからといって、この金額が減るかとか、そういう問題とはちょっと違ってくるんだろうと思います。

 そういう意味で、この五兆九千億円という数字も一体どのぐらい減るのかというのは、もちろん、さっき鷲尾議員がおっしゃったように、精査が必要だ、それはもうそのとおりでありますけれども、そうはいっても、では激減していくかというと、そんなことはないだろうと思うわけであります。

 逆の言い方をすれば、残り四千五百六十六法人で残りの三兆二千億円ぐらいですかの交付があるということですから、もちろん、そこについてもっと怪しいところをちゃんと見ていく、そういったことも必要だろうと思うわけですが、五兆九千億円というのが無駄遣いなのだというふうに聞こえるような発言というのは、少し言い過ぎなのではないかなと思うわけであります。

 なお言えば、契約について、これは細野議員の方がおっしゃっておられた、さっき読みませんでしたけれども、確かに随意契約が大半であります。金額ベースでいくと九八・三%随契というのは、やはりこれはちょっと見直しが要るのかなと思うところはあります。ありますけれども、私も民間企業におりまして、いろいろ国関係の仕事をさせていただいたところの経験からいうと、例えば、企画コンペというのをやります、企画提案書を出して、それに基づいて審査をしていただいて業者選定をしてもらう、それに基づいて契約をすると随意契約ということになるんですね。

 ですから、それこそ、提出者もしくはそれは私たちも共有していると思いますけれども、問題になる随意契約、ずぶずぶで、あそこにあの人がいるから出す、それはやはり改革しないといけないし、それを防ぐ効果というのは否定しませんが、やはり法案の趣旨説明で冒頭におっしゃったこの数字、五兆九千億円とか四千五百七十六法人というのは物すごいインパクトがあるわけです。これを、その無駄遣いを縮小するのだとおっしゃるのであれば、もちろん、精査が要るとおっしゃったので、それはそうだし、この調査ではそれ以上出てこないというのはわかるんですけれども、逆にちょっと信用性を落としてしまうのかなという意味で、私は残念なことだと思っているのであります。

 なお言えば、この調査は、さっき言いましたように、天下りという表現が当たるのかどうかだって怪しくなっているのです。それはなぜかというと、さっき馬淵議員が、最終的には、改正案の第百三条第二項によって立つところを、これが天下りなのだというふうにおっしゃっておられました。それは要するに、離職前五年間に在職していたところと密接な関係があるものにつくことについて規制をかけているのだというふうにおっしゃっていたわけですけれども、この調査というのは、さっき言ったように密接な関係があるかどうかというのはわかっていませんから、そういう意味で、これが馬淵議員が最終的におっしゃった形での天下り先への交付と言えるのかどうかというのも、実は怪しいんです。先ほどの答弁を私はそのように聞きました。

 そういう意味で、この五兆九千億円という表現あるいは四千五百七十六法人という数字、これは事実でありますし、こういう数字が出てきたということはすごく議論の参考になるので、ありがたいことだと私も感謝したいと思いますけれども、それを冒頭におっしゃって、いかにもそれがすべて税金の無駄遣いであり、この天下りの根絶のように、がっと減っていくんだというような印象を与えるというのは、私は、少し言い過ぎと申しますか、うそとは言いません、もちろんそういったものも含まれているわけでありますから。しかしながら、過大な表現だろうと私は思うわけでありまして、これは何が言いたいかというと、民主党さんがいろいろな提案をされている、主張をされている議論を拝見させていただきましたが、そういったことに対する信用性を著しくそぐものだと私は思わざるを得ません。

 そういった意味で、このところの言葉遣いもしくは表現というのは注意をしていただきたいと思いますし、残念に思うところでもございます。もしよろしければ、何かございますか。

武正議員 やはり立法府の役割が何かということをぜひ委員には改めて御認識いただければと思うんですね。行政府の執行する税の使用状況、これを立法府としてしっかりと精査する、チェックする、これが与野党ともに立法府としての責務ということでありますので、特に民主党はこの点についてこうした形で問題視をし、そしてそれをこの法案の説明でしっかりとまず論拠にしたわけでございます。

 独法を一つ取り上げますと、独立行政法人、幾つかありますが、今回、予備的調査でもやはり随契の比率は七割以上でした。ただ、私、先週ここで、農水省さんの予備的調査の調査票に委託金というのがずらずら並んでいて、これは随契ですよねと言ったら、福井さんが随契ですと。では、もう一回出してくださいよと。それで、理事各位の御協議もあって、きのう出てきました。もう一回調べたら、それまで農水省は四割だったのが八三%ですよ、独立行政法人、農水省の独法の随契率。

 だから、何が言いたいかというと、残念ながら、各省のいろいろ出してくるところに、粉飾と言ったら怒られちゃいますけれども、いろいろなテクニックが加えられて、正直に出していただけない。これは渡辺大臣も言っている、例のわたり十六名と同じなんですね。ここはやはり立法府としてきちっと精査をしていくという趣旨でこれがやられているということを、まず冒頭、私から説明させていただきます。

馬淵議員 委員の御指摘の部分で、民主党が予備的調査で求めたもの、これを天下りの実態と称している、そして、先ほど私が申し上げた我々が提出した法案の中での定義と違うではないか、こういう御指摘だというふうに理解をさせていただきますが、私どもは、まず、法律用語でない天下りと称される国家公務員の再就職、これについての実態を確認したわけです。そして、こうした実態があるからこそ我々は、影響力を行使する、在職中五年間、離職前の五年間の間にかかわる企業あるいは法人への再就職を厳しく制限するという事前規制を強化しているわけですね。

 一方、政府提出法案は、天下りという法律用語ではないその定義については、人事の一環としてということでおっしゃられている。人事の一環とすると、これは当然各省庁の官房において行政文書なり管理がなされているという前提になりますが、これを把握できていないんですよ。我々は、こうした漏れが起きるからこそ離職前五年間という形で明確に事前規制をしている。

 ですから、御指摘のように、我々が天下りという言葉を使って殊さらに過大な表現をして国民の不安をあおっているのではなくて、事実、緑資源機構を初めこうした事件が起きて、国民は注視している。その中で、我々が襟を正すのであれば、明確に離職前五年間の権限行使ということを掲げているわけでありまして、人事制度の一環などと言ってしまえば大きく漏れてしまうという今の政府案というものが問題である、我々はこのようにお伝えをさせていただいているわけでありまして、御指摘の部分は全く当たらないと考えております。

橋本委員 今お答えいただいた中で、まず武正議員に、立法府の役割ということでこうした調査をされたということでありますし、これは、私は本当にこの調査をしていただいたこと自体は高く評価をしているものであります。そうでないと、こうした議論はそもそもできませんから。その上で、さらに農水省の回答もちょっと怪しいものがあった、そういった追及はどんどんしていただきたいと思いますし、それは我々もすべきところなんだろうと思うんですね。

 とともに、馬淵議員がおっしゃりたかったこともわかります。余り狭く狭く見過ぎると実態がちょっと遠のくんじゃないのとか、漏れ落ちがあるんじゃないのと。恐らく、そこの考え方の違いで政府側と民主党側の法案の違いになってくるのかなと思うんですけれども、ただ、論拠とするにはやはり弱いと私は思います。そこはもうこれ以上議論しませんけれども、同じ数字を挙げられるにしても補足をしていただくとか、数字の使い方の表現上やはり注意というのは要ると思いますので、そこのところはお願いをしたいと私は思います。

 要するに、漏れ落ちがないようにする余りオーバーになり過ぎてもそれはいかぬだろうという話であります、気持ちはわかりますけれども。(発言する者あり)だから、多分そこの間のどこかにあるんだと思いますけれども。

 さて、そういうことで次の話に行きたいと思います。

 最初に信賞必罰というお話をいたしましたけれども、能力・成果主義の人事評価制度についてであります。

 こちらの方、既に政府の方で試行がされております。試しにテストで導入というのをやられておりますので、これは総務省さん、今試行されている新たな人事評価について、その概要でありますとか、例えばもし何か課題だとかそういうものが見えているようでありましたらば、それについて教えていただけますでしょうか。

戸谷政府参考人 新たな人事評価システムの構築ということで評価の試行をやっております。

 昨年、本府省の課長級及び課長補佐級、各省の御協力をいただきまして、職員を対象に第一次試行を実施し、この一月から対象範囲を本府省の係長級、係員級まで拡大して、約九千人でございますが、これを対象に六月までを評価期間として取り組んでおります。

 今後の課題でございますが、第二次試行に今取り組んでおりますが、ここまで対象にしておりますのが本府省の職員のみにとどまっております。やはり地方機関、専門職種、こういういろいろな方がいらっしゃいますので、これから対象範囲を拡大して試行を行って、それに対応した評価項目、評価基準等の検証、こういうものも行っていかなければならないというふうに考えております。

 また今後、本法案におきましては、これからの人事管理の基礎ということでございますので、いろいろな検証等も通じまして、公務の多様な職場というもので利用して機能していくというふうになりますように、具体的な検討をさらに進めていく、こういうことに取り組まなければならないと考えております。

橋本委員 済みません、局長、ちょっと一点だけ。

 先に伝えていませんけれどもお伺いしたいと思うので、お答えいただければということですけれども、今、対象が課長、課長補佐、係長、係員級ということであります。もっとトップレベルの方、局長さんとか部長さんとか、なお言えば次官とか、最終的にはそこまで広がらなければいけないんだろうと思うし、逆に言うと、例えば係員の方でやっている評価の試行がそのまま局長だとか次官だとかに当てはまるかというと、多分そうじゃないんだろうと思うんです。

 もし可能であれば、そういった方に試行を広げていこうというようなお考えがあるか、そこに対する課題が何かあるか、ちょっと今、現時点でお答えいただける範囲で教えていただければと思います。

戸谷政府参考人 先生おっしゃられるとおり、確かに、そこから上のクラスは相当にまた検討しなきゃいけないということで、現在のところはまだそこを取り組んでおりませんが、これから法案が通った段階では、いろいろな制度設計等ございますので、検討していかなければならない課題というふうに考えております。

橋本委員 ありがとうございます。

 それでは、既に今政府の方でこうした取り組みがされているわけであります。能力・成果主義の人事をするのだといえば、当然ながら、部長さん、局長さん、そういったところまでしていただかなければならないと思うので、そこについてはさらに取り組んでいただくということであります。

 ここで提出法案に戻ってまいりまして、それぞれの法案で、能力・成果主義の人事評価制度を取り入れるのだというお話をしていただいております。

 政府案の方では、もう読み上げませんけれども、第十八条の二で、人事評価というもので、「能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。」ということで書いていただいて、第二十七条の二の方では、人事管理は採用年次及び採用試験の種類にとらわれてはならず、人事評価、人事評価というのは今言った能力主義、業績主義ということですけれども、その「人事評価に基づいて適切に行われなければならない。」こうきちっとうたっていただいているわけであります。一方、民主党案の方でも、附則の方で、「能力及び実績に応じた処遇の徹底を可能とする人事管理制度の導入等を行うものとする。」という形で触れていただいております。

 それぞれ、政府それから衆法提出者の方にお伺いしたいんですけれども、今総務省の方からお話があった試行というのは、成立をした暁にはぜひ生かしていっていただきたいと思うんですけれども、どう結びつけていかれるおつもりか、教えていただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 今回の政府案においては、評価が給料とポストに結びつくということを規定いたしております。したがって、現在、評価項目、評価基準の検証など、人事評価に係る検討課題を実証的に確認しているところであります。今後の検討の参考資料を得ることなどを目的として、人事評価の第二次試行が実施されております。

 今後、さらに対象範囲を拡大し試行等を行い、試行により得られる実証的知見を踏まえ、実効性ある人事評価制度を構築することにしております。これをもとに、能力・実績主義の人事管理を徹底してまいります。

鷲尾議員 お答えをいたします。

 民主党案では、政府が平成二十年中に公務員制度改革実施計画を策定するということを盛り込ませていただいておりますので、その中で、能力・実績主義、これに基づいた人事評価制度をしっかりと導入していただくということで規定させていただいておるところです。(橋本委員「今の試行との関係」と呼ぶ)

 試行でございますけれども、この試行の状況というのは、今は全然できていないというのが我々の認識でございまして、人事評価の試行が甘いというふうに我々としては思っておる。甘いからこそ、これをしっかりと抜本的に変えて、処遇に反映させていかなきゃいけないというふうに思っておるところでありますが、民主党案としては、今議論させていただいている天下りを原則禁止するという中で、逆に人事評価、能力・実績主義の導入のインセンティブを高める、そして平成二十年の公務員改革実施計画を盛り込むというところで対応させていただきたいと思うところです。

橋本委員 甘いと言われれば、確かにそうなんだろうとは思います。もちろん、さっき言ったようにクラスも限られていますし、もっと拡大をしていかなければならないというのは、もちろんそう思うとおりですけれども、せっかくしていることですから、そうむげに取り扱わなくてもいいんじゃないかなと思う次第であります。大臣の方は、実証的な方法で検証して云々というお話がありました。まさに実証しているわけですから、そこは、いいところはぜひ取り入れていっていただきたいなと思うところであります。

 では、ここは一度出た議論を蒸し返すようで申しわけないんですが、能力・成績主義の人事評価制度について、民主党さんの案の方では附則の方に書いてあるではないかという御議論が水曜日のこの委員会であったと思います。その議論のところからちょっと抜き書きをまた用意させていただいております。

 鷲尾議員の御答弁でありますけれども、附則に置いてあるのはどうかというお話をいただいておりますが、本則と附則の区別は、そもそも論としてはないというふうに認識をしております、効力は一緒である、技術論的な話になりますけれども、本則は恒久措置であり、附則は暫定措置を書いたものである、技術論的にはそういう認識でよかろうと思いますけれども、我々は能力主義についても数年間でしっかり導入していきたい。これはさっきおっしゃったことなんだろうと思いますけれども、期限を区切ってやるんだということを逆に附則であらわしている、決意のあらわれであるという格好で認識をしていただければ云々というふうに御答弁をいただいております。

 ここは、後段で言われていますので、確認の意味でお伺いをさせていただきたいんですけれども、暫定措置という言葉、これは、能力主義の人事評価制度そのものが暫定的なんだと言いたいんじゃなくて、それまでの間に導入するんだと言いたいんだということだとこの後段からも理解できるので、一応その点、まず御確認をいただきましょう。その暫定措置というところの意味が、人事評価制度が暫定的なんだと言いたいわけじゃないんですよねという確認です。

鷲尾議員 まさしくそうでございまして、公務員制度改革の実行計画の計画期間自身は三年というふうに区切っておりますので、そういう三年として区切って、しっかりとその制度を導入する、こういうことであります。

橋本委員 もう一つ確認なんですけれども、水曜日のこの委員会での市村議員からの、これは御質問の方ですけれども、「だから私は民主党案の方にも、何か附則に入っているという議論をされていましたけれども、本則に入れればいいと思いますよ。別に修正したらいいと思います、そんなものは。」そんなものはと言われちゃうと私としてはちょっと悲しい……(発言する者あり)いやいや、能力・成果主義の人事評価制度というのは大変本質的な話なんだと僕は思うんです。

 それはそれといたしまして、民主党案提出者の方に、今の市村議員の質問というかお話に対してどうかということを教えてください。

鷲尾議員 市村委員からの質疑の中での発言は、ここだけ切り取るとそういう橋本先生の御指摘になるのかもしれませんけれども、市村委員の質問の趣旨の文脈がまたあるわけで、一概に、切り出して、そんなものは修正したらいいというふうに言ったのではないということを我々としては認識しておるところでございまして、何度も申し上げますけれども、やはり本則と附則について効果に差異はないんだ。

 逆に申し上げますと、我々としては号級制度の検討も含めてやっていこうという認識ではありますけれども、政府案としてこの号級制度見直し等は特に盛り込まれてもいないわけですし、プログラム法を含めたら次期通常国会で提出するという話になっておるわけですから、そういう意味においても、より我が党案の方が積極的に取り組むという決意はあらわれておると認識しております。

橋本委員 そうすると、やはり話はもとに戻って、積極的に取り組むんだったら、ぜひきちっと書けるところは本則で書いていただきたいなと思うところは僕は払拭できなかったなというのが今の議論の思いであります。せっかくですから、ぜひそうしていただきたい。積極的に取り組むんだという御答弁ですから、それで了といたしますけれども、ちょっとやはりその点、少しどうかなと思うところは残っているということは申し上げたいと思います。

 続きまして、今度は政府案の方について大臣にお伺いをしたいと思いますが、資料の最後のページであります。

 官民人材交流センターというものが、今度この法律によりまして設置をされるということになっております。ここが、この議論を見ておりますと、さっきの天下りという言葉の使い方の違いで、天下り推進センターだと言われたり、天下り根絶センターだと言われたり、いろいろな表現をされているわけでありますけれども、それはそれといたしまして、正式名称は官民人材交流センターなわけであります。まずその点を御確認いただいた上で、だから、今、いずれにしても、どっちのとり方をしても、天下りを解決するというか根絶する、それはそれぞれの取り組み方ですけれども、その中で、退職される公務員の方の再就職を支援するのだというところが大変重きを置いて見られているように思うんですね。だからこそ、天下り何とかセンターという表現になってしまうんだろうと思うんです。

 ただしかし、これは、大臣答弁がここに書いてあります、読み上げませんけれども、政府の案の方でも、退職勧奨はだんだんなくしていくのだ、年齢も上げていくのだということです。そういった中で、官民人材交流センターというものの役目というか仕事というのはだんだん変化をしていくんだろうと思うんですね。だから、最初、やはり、まだ退職勧奨が続いている間は、そこで出た方にどう再就職を、変な関係がない方法でしていただくかということがメーンになるんだとは思いますけれども、いずれは、その字義どおり人材交流センターになるように変化をしていくんだろうと思うわけであります。

 そして、ちょっと時間がないのでつなげますけれども、この五ページ目の下の方、「公務員人事の研究」という本があります。山中俊之さんという公務員人事コンサルタントの方が書かれた本でありまして、大変おもしろいので、ぜひ皆さん、ごらんになっていただきたいと思いますが、そこで、霞が関の人事について提案ということで、かなり斬新な提案がある。

 というのは、公務員の流動化というのが必要である。新しい人材が入って、従来からいる職員も刺激を受けるのだ、あるいは、純粋にその役所でずっと育ってきているというのは視野が狭くなっていってしまうのだ、そういう意味で流動化というのが要る。これは、大臣の方で、もしくは、もちろん民主党案の方でもおっしゃっています、人材交流というのは大事だということなんだと思いますが、ではどうやって実現するのというところで、一つの提案は、新卒採用をやめるべきだということをおっしゃっておられます。

 これは、同時に、要するに、今の1種だとか2種だとかというようなキャリア制度というものは、この本の表現によると、化石時代の遺物だ、そこまで言い切っておられて、新卒じゃなくて中途で、幹部の人にしても、若手あるいは中堅の人についても、ぜひ、民間である程度経験を積んだ人が来る、そうやって来るということは、もちろん、出られる方もどんどん出ていかれるというような形で、人材交流というのがどんどん進んでいくべきであるという主張をされております。

 新卒採用をいきなりやめると言われると衝撃的ですけれども、理由は三つ挙げてありまして、視野を広げて省庁縦割り、縄張り争いから脱却、同期との横並び意識や年功序列的意識をなくす、優秀な人材を中途採用できる、こう挙がっていると、なるほどそうかと思うんですね。そういう意味で、これも一つの提案なんだろうと思います。

 だから、逆に言うと、もしこういうのが実現をする、まあ、やめるとまでいかなくても、大部分、大半、多くの方々が中途採用という形で役所に入ってこられる、もちろん、出ていかれるというか退職をされて次の職場に移られるという方も当然そういった中でふえてくると思いますけれども、そういった公務員制度が実現をするために官民人材交流センターというのがうまく将来的に機能していってくれるといいなと私は思うわけでありますけれども、今申し上げたような中で、官民人材交流センターの将来というのをどうお考えになっているか、教えていただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 まさしく橋本委員御指摘のように、将来においては、官から民への流れのみならず、民から官へのゲートウエーになってほしいという思いを込めてこうした名前をつけたわけであります。

 官民の垣根が余りにも高過ぎますと、それぞれのパラダイムが固定化をしてしまう、この国の進むべき方向性についての共通の認識が持てないというのは大変不幸なことではないでしょうか。学者は学者、マスコミはマスコミ、経済界は経済界、役人は役人というのでは余りにもお寒い状況でございまして、我々はまさしく、官民の人材が大々的に交流する、そういう方向性を目指しているところでございます。

馬淵議員 官民交流でございますが、私どもも、官民交流、人材の交流というのは非常に大事だと思っております。

 ただし、視点として大きく違うのは、民においてはさまざま市場の競争があるんですね。民においては、その意味で常に刺激が与えられて、人材の流動化が図られています。だから、本当に必要だとされる人材交流は官においてなんですよ。官は民との交流を必要とします。しかし、民から官においては、これは実は、本当に必要かと問われれば、多くの民間企業の方々がそうだと答えることはないと私は思っています。

 ですから、今回、我々は、官民交流の名のもとに官が民に出していくということをするがためにそこが殊さらに取り上げられるというのは問題であるというふうに考えておりまして、官が民間の知恵をいかに取り入れるかということで、この仕組みそのものは必要だと思っておりますが、今渡辺大臣のお話にあるように、民にとっても必要だということを掲げて、ゲートウエーなどという言葉を使って、何となく実態をごまかそうとするものではないかという気がしてなりません。

橋本委員 今馬淵議員から補足をいただきましたけれども、私は少し考え方が違っています。

 民間の方が官公庁に移る魅力というのは余りないだろうというお話がありました。それは、権限だとか予算だとか、そういうしがらみを抜きにしてということだと思いますけれども、そういうふうな公務員制度とか役所だといけないんだと思うんですね。逆に言うと、民間の人も、自分のキャリアを実現していく上で、一度は役所のキャリアというのも経験しておくと、例えば、視野が広がるとか、これまで得られなかった経験が得られるとか、本当はそういった役所を目指すべきだと思うし、その方向へ向けて公務員制度改革というのはされるべきだと思うのであります。

 もう時間がないのでここまでにさせていただきますけれども、ぜひそういう方向で、みんなが来たいと思うような公務員制度改革を目指していただきたいな。ここはそんなに異論があるところではないと思いますけれども、御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、遠藤宣彦君。

遠藤(宣)委員 おはようございます。自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 今回、国家の根幹にかかわる公務員の改革の法案の質問に立たせていただく機会をいただきましたことをまず感謝申し上げたいと思います。そしてまた、立派な対案を出されています民主党の方々にも敬意を表したいと思います。

 私自身は役所の出身でありまして、一九八八年、昭和六十三年に、郵政省という役所に入りました。この委員会にも官庁出身の方々が多くいらっしゃいますけれども、せっかく機会をいただきましたので、今回の質問のスタンスとして、私自身が役所の中で見たこと、あるいは感じたことも踏まえながら、ある意味、基本的な改革の方向性そして理念、そういったものを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 また、ちなみに、役所をやめた後三回国政選挙に落ちましたけれども、そのたびに公務員は何とかしなきゃいけないということを言ってまいりました。その意味で、ようやくこの改革もここまで来たのかな、ようやく本丸まで来たのかな、そういった思いがありまして、極めて感慨深いものがあります。

 今申し上げましたように、郵政省という役所は、昭和六十三年、NTTが民営化された後、それから、私がやめた二〇〇〇年、省庁再編の直前まで、極めて変動の大きい時期にありまして、そういった意味で、役所の極めて大きな問題点が凝縮されている時期にいろいろな経験をさせていただきました。

 公務員というものがそもそも何だったのか、本来どうあるべきなのか、こういった国家百年の計にかかわる法案の審議でありますので、まず、その原点から確認をしていきたいと思います。

 そもそも、日本の官僚制度、明治維新を経て近代国家に変貌していく過程で、国家建設の原動力としてその機構が整えられていきました。最終責任は政治家が負うという形の中で、恐らく、間違いなく、ある時期までは確実に国家社会の建設のために、戦前も戦後もいわば滅私奉公で働いてきた。天皇の官吏から国民の公僕へと位置づけが変わったにせよ、資源も食料もない東洋のちっぽけな島国を、この日本をいかに発展させるか、力を持たせるか、そういったことで、官僚、公務員というものは一生懸命やってきた。そしてまた、社会の仕組み、制度も、それをどうやって働かせるか、このような形で機構がつくられてきたと認識しております。

 そのために、公務員、官僚をいかに働かせるか、その担保のために、まず一つは、現行制度においては身分保障、つまり安心して職務に専念ができる、そういった保障をする。そしてまた、職務専念義務、公務をやりながら自分のことを考えていたらなかなか公の実現ができない、自分のためでなく公の仕事に専念する義務というものを課しています。また、最近は余り聞かれませんけれども、いわゆる公僕、公のために働いているしもべだ、こういった社会での位置づけが公務員に自信を与え、そしてまた社会の尊敬を集める。そして、後で申し上げますけれども、給料は安いけれども仕事にやりがいがある。

 こういった中で、今までやってきたものが今揺らいできている。どうも、公務員はうさん臭いことをやっているんじゃないか、自分のためにやっているんじゃないか、本当に公のためにやっているんだろうか、そういった疑問が出てきた。

 こういった中で、今回のこの改革の法案が出てきたわけでありますけれども、公務員あるいは官僚制度が揺らぐ、原点に戻らずにおかしな方向に行ってしまうということは、極端な言い方をすれば、国家社会が揺らぎかねないという危機感を持たざるを得ません。

 そこで、今回のこの法案に際して、まず、公務員というものの原点を考える恐らくいいきっかけになると私は思います。いかに本質に戻すか。本当に資源も食料も本来乏しい、人というものが最大の資源であるこの日本という国家において、公務員にいかに効率的に働いてもらうか。そして、それを無駄なく、公のためにそのエネルギーをどうやって向かわせるか。そして、そのために、硬直化した今の制度を見直して、社会経済の変化に適応させて、もちろん難しい試験を通ってきた方々ですから、一定の能力はあるとみなされるこの優秀な人材を社会にどうやって再配置するか、再分配するか。そして、大臣、副大臣がおっしゃっているように、民間においてもさまざまな分野でスペシャリストが出てきている、その活力をいかに官の側でも活用するか、そういった極めて重要な改革だと私は認識しております。

 そこで、まず第一問目でありますけれども、今回のこの改革の法案の位置づけ、それについて、改めて大臣あるいは副大臣の所見を伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 当たり前のことを当たり前に行うというのは、実は非常に難しいことであります。委員がみずからの御経験も踏まえ、また、その中でいろいろな疑問を感じ、みずからリスクをとって官の世界を飛び出し政治の世界に来られた思いは、私は非常によくわかる気がいたします。

 今回の改正案の位置づけでございますが、公務員制度改革は、公務の世界に国益を真に追求する優秀な人材が集まることが大事であります。公務員が誇りを持って仕事に邁進し、かつ、責任を果たせる仕組みをつくることが必要です。公務員の能力を多様に生かせる仕組みをつくるのが、今回の改正案であります。

 二十一世紀にふさわしい行政システムの突破口として、能力・実績主義の貫徹、すなわち、今法律に書いていない慣行として行われている年功序列の打破をいたします。と同時に、人事の一環として行われている天下りあっせん、これを根絶いたします。こうした改正を実現することによって、公務員の士気を高め、なおかつ、国民の信頼を回復するというのが今回の改正案の位置づけであります。

遠藤(宣)委員 今おっしゃられたように、本来公務員の持っている能力、そして制度のいい部分を最大限に伸ばす。それと同時に、重要なことは、何がこのゆがみをもたらしたのか、何が今公務員の士気を下げているのか、そこについていま一度検証する必要があると思います。

 今回の法案は、巷間言われておりますように、公務員の弊害をできる限り除去していく、その能力を社会全体に生かせるようにやっていく、そのための改革の法案だと私は認識しております。

 冒頭申し上げましたように、十二年目で退官をした。私が入った昭和六十三年というのは、バブルの最盛期であります。民間に行った友達が、ボーナスが何百万も出た、こんなことを言っておりました。そういったものを横目で見ながら、しかしながら、給料が安くても、これから大きな変動のある、冷戦構造が崩れつつあった、世界が大きな変動期にありましたから、公の場所で一生懸命やってみたい、そんな思いで飛び込んだわけであります。しかしながら、この役所も世界も大きな変動の中にあった十二年間で、いろいろなことを発見したといいますか、感じました。その中で、幾つかそれを指摘していきたいと思います。

 まず、今私がやっかみ半分で申し上げましたけれども、公務員というのは、駆け出しのときは給料が本当に安い。昭和六十三年の当時、私は、たしか手取りが十三万か十五万、残業はほとんどない。当時いろいろな事件があって、国会担当でしたから、毎日朝まで。質問が来るのが大体夜の十一時ぐらいで、徹夜をして局長のところに届けていく。毎日、もう夕方になったら必ずお弁当を買いに行って、とにかく朝帰って、そのまま役所に行く。役所に洗面道具を置いておくのは当たり前。多分、きょういらっしゃる役所の方々もそういう経験をいっぱいされていると思います。ほぼ徹夜。

 そしてまた、これもまた悔しさ半分で言いますけれども、当時、民間に行った友達にゴルフに誘われる、バブルの最盛期ですから、土日に行けば五万円ぐらいかかる、給料は十三万、行けない、そうすると、今でもゴルフをやる機会がないままにここまで来てしまって、非常に不便な思いをしている。本当に、景気のいい民間に行った人間を横目で見ていたものですから、いまだに屈折したものを胸に秘めながらやっております。

 また、幸いなことに私は自宅から通っていたものですからよかったんですけれども、官舎に入っていた人間、これがなかったらどうするのかなと。そしてまた、これは概してですけれども、給料が安いですから、今は別の分野で問題になっていますように、どっちかというと晩婚。生活のめどがつくまで結婚になかなか踏み切れないというのが、ほかの期はどうかわかりませんけれども、少なくとも私たちの時代は、ぱっぱぱっぱ楽しくやっている人間がいっぱいいる中で、狭い官舎から、夜中まで働いている人間はなかなかそういう思いができない。

 そうすると、何が起きるか。ここが極めて重要なところなんですけれども、例えば、大学を出て二十二歳で役所に入る。今もそうだと思いますけれども、二十五年たたないと年金が出ません。単純にいいますと、四十七歳で肩をたたかれる。四十七歳で、では子供が大きくなっているか。今申し上げたように、一律には言えないにしても、例えば結婚が遅かった、そうすると、子供が大体高校生か中学生。公務員といえども家庭を持っている人間ですから、この先どうするかなという不安がだんだん膨らんでいく。

 中には、月謝の高い私立に行かせたある先輩の官僚なんかは、うちは月謝が大変なんだよ、まだまだ役所で面倒を見てもらって稼がなきゃいけないんだよというようなことを本音で言っていた。またある先輩は、遠藤君は十二年目でやめられて、思い切りがあっていいね、僕はまだ二十年目だから、あと五年我慢しなきゃいけないんだよ。これが役所に勤めている方の、今はどうかわかりませんけれども、少なくとも私がいたときの本音だった。

 とすれば、公務員の本音というものは、給料が初めは安かった、今は安いけれども、ある程度後で何とかしてくれるだろうという安心感が一つの担保になって職務に専念できる、そういった部分もあります。しかしながら、その公というものが、社会全体に対しての公の使命感なのか、その所属する省庁それ自体に対してだけの使命感なのか、ここが一番大きなところでありまして、今回の法案について一番核心に触れるところだと思います。

 そこで、お尋ねをしたいと思います。

 家庭を持っている公務員個人に安心を与えながら、そのエネルギーを国家社会という公に向かわせるきっかけに今回の法案というものはなるというふうに私は思っておりますけれども、そこの点について、大臣あるいは副大臣の御所見を賜りたいと思います。

渡辺国務大臣 まさしく委員御指摘のように、役所に入ってくるときには非常に高い志と気概を持ってこられる人ばかりだと思います。中には、国会答弁作成、徹夜の連続、こういった仕事に嫌気が差しながらも、若手官僚諸君が本当に身を粉にして働いている姿は、大変感動的なものがあります。それがいつしかだんだん年をとってくると、先ほど御指摘のような現実に直面をしていくこと、これも大いにあり得ることだと思います。

 これまで各府省が退職後まで人事の一環として職員の面倒を見てきたこと、これがまさしく各省縦割り主義につながっているのは間違いのない事実だと思います。やはり、各省のために働くのではなくて、国家と国民のために働くのが公務員としての原点であります。

 今回の政府案においては、各府省等によるあっせんを全面的に禁止いたします。しかし、一方において、公務員には、みずから求職活動をやってはいけないという規制をかけますので、再就職のあっせんは官民人材交流センターに一元化をいたします。これは、まさしく人事の一環としての天下りを根絶するものであり、なおかつ、各省縦割り主義を打破するものであります。まさしく二十一世紀にふさわしい行政システムを構築する突破口になるとともに、公務員のエネルギーが公に向かうきっかけになるものと考えます。

 安心して働けるということも大変大事なことであります。年功序列というのは、いわばプラグマティックなルールとして行われてきたものであります。時代にそぐわないという現実が出てきているわけでありますから、今回は、法律によって新たな規範を打ち立てる、試験区分にとらわれない人事が行われていくようになるわけでありまして、民間でも通用する専門性、企画立案能力を高めていただけるものと考えます。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 私は、最終的には公務員は一括で採用してやった方が本当にいいと思っているんです。

 つくづく感じていたのは、大臣がおっしゃったように、志がだんだん低くなっていく。私が目の当たりにしたのは、大学とかそういったところで、例えばゼミとか仲間の中ではまず世界を語るんですね。官庁訪問をし始めると日本を語る。省が決まると役所を語る。局が決まると局益を語るんですね。課が決まると、うちの課はとなる。最後は、ラインが決まってくると、多分役所の方々は笑っていると思いますが、国会から質問が来る、よかった、うちのラインじゃなくてという形で、消極的権限争議をやる。そういった実態があるわけですね。だんだん狭くなっていってしまう。こういった省庁の内部での縦割りもありますけれども、何よりもやはり、省庁再編があったとはいえ、まだまだ縦割りというものがあります。

 私が所属しておりました郵政省というのは、当時、電電公社の民営化以降、通産省と激しく対立する。私は電気通信局とか通信政策局とか官房とかそちらの方にいたものですから、通産省が何かやる、そうすると、うちも同じような公益法人をつくろう、うちも同じような法案を出そう、こういった本当に無駄なエネルギーを費やしてきました。一番迷惑をしているのはどこだったか、民間企業であります。どちらの顔も立てなきゃいけない。そういった無駄なエネルギーが日本全体の中で物すごくいっぱいある。恐らく、私がいたその役所だけではなく、さまざまな役所でそういったことがある。

 その派生したものとして、特殊法人あるいは公益法人、こういったものの重複が物すごく多いと思うんですね。これは、どこまで見たらいいのかというぐらい、すごいことになっている。

 先ほどの質問が公務員個人のエネルギーを公に向かわせてパワーアップするという質問でありましたけれども、もう一つ、組織それ自体のエネルギーが公に向かうために、この無駄な重複を避ける、そういった方向に向かわせるというこの視点が極めて重要だと思いますけれども、今回の法案との関係について、大臣あるいは副大臣にお尋ねしたいと思います。

林副大臣 大変大事なお話で、かつ、委員御自身の本当の本音の部分をきちっとお話しいただいて、私も党で長らく行革をやっておりましたので、同じ認識を共有できているなと大変うれしく拝聴しておりました。まさに、世界を語り国を語りと、だんだんこうなってくる。

 たしかこれは郵政省ではなかったと思いますが、今大変評判の悪い、年金のお金をいろいろな形で施設をつくることに使った。これはかなりの手当てをして見直していく、廃止をしていくという方向になっておりますが、実は、この議論をしたときに、いろいろなるほどなと思ったお話がございます。

 それは、つくったときはまだ年金制度が始まったころで、年金に対する国民の皆様の御理解が非常にまだないころで、掛金をまず払っていただくというところから始まるわけですから、加入者に対するインセンティブをつくっていくという意味で、当時、まだ民間ではほとんどなかったスポーツの施設ですとか宿泊の施設というのはそれなりに理由があって、かつ、多くの地方自治体からは地元にぜひつくっていただきたいとのお話があった、こういう議論をお聞きして、なるほど、そういうことがあったのかなと。我々が生まれるころの話でございますが。

 しかし、世の中が変わってまいりまして、民間にも同等の施設がたくさん整備をされてきた。実は、そのときに、もしくはその少し前に、一番いい価格で民間に出せるときに出していかなければならなかったのではないかというのがそのときの議論でございまして、では、なぜそれができなかったのか。

 まさに、今委員が御指摘になったように、もうそこに自分のラインの上の方の方が実際に行っていらっしゃる、自分の上司もそこに行くかもしれない、こういう感覚の中で、自分たちから一番いい値段のときにやるというよりも、外から御指摘が来るまでは待っている、こういう対応になったのではないかという議論がありまして、私もなるほどなと思ってそれを聞かせていただいたことを今思い出しておりました。

 まさに、国益全体を考えれば、昔つくってそれなりの役割を果たしたものを一番国庫にたくさん価値をもたらす段階でやるというのが一番いい判断であるわけでございますが、それができない仕組みになってしまっていた、こういうことでございます。

 まさに、今委員が御指摘のように、今回の改革では、大臣が先ほど御答弁しましたように、各省によるあっせんを全面禁止する、政府全体としてこれを一元化していくということで、公務員の皆様がお入りになったときの志をそのまま持って国全体のために働いていけるような仕組みにした、こういうふうにやったところでございます。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 そもそもの本質論の話でありますけれども、最終的に、公務員といいますか税金を使っている人間の監督というものは、国民の信託を得て、選挙を通じて当選してきた国会が、政治がやらなきゃいけない。そしてまた、仕方のないことかもしれませんけれども、やはり自分のお金じゃないと痛みを感じないんですね。そういった意味で、最終的に政治がコントロールしないと、志が高いであろうと思われていた役所、官僚でさえそういったことになる可能性がある、こういったものに立たなければならないと思います。

 そして、先ほど大臣がおっしゃられたような年功序列、キャリア制度というものが、どのような弊害といいますか、本来の公務員の志とあれを奪っているか、そこについてちょっと述べたいと思います。

 私は、役所の方から外国に一年ばかり行く機会を得まして、一九九〇年から九一年、まさに冷戦構造が大きく変わって崩壊をして、そして九一年の夏に、通信政策局の政策課の政策係長という、政策が三つもつくような、ある部分の中枢のセクションに戻ってきました。そのときに、ゴルバチョフが軟禁されて、ソ連の崩壊が秒読みかな、これは世界が変わるな、あるいは、今まで東側がやっていたところに日本がグローバルな視点で通信事業も展開できるんじゃないか、冷戦がもたらした最大の恩恵というのは情報通信と宇宙開発ですから、それが開放されてくる、大きな変動期にあるというふうに私は思って、意気軒高に戻ってきた。

 しかし、その当時どういうことがあったか。そんな、ソ連が崩壊するとか、余り周りが関心を持たないんですね。そんなことより、この通産省の出してきた法案をどうやってつぶすか考えろとか、あそこの役所がこんな動きをしているから、そこに対しての対案を出しておけ。例えば、質問を出すときに私が、何々省さんの、これはいい法案ですねと言ったら、ばかやろうと。質問を十問ぐらいつくったら、最低で百問つくれ、こういうような世界なんですね。おかげで私は三日ぐらい徹夜をしまして、楽しみにしていた夏休みも飛んだので、十何年たってもいまだに恨みを忘れませんけれども、そのときのせりふが生涯忘れられない。

 上司に対して、それは今違いますよ、日本だけじゃなくて世界が大きな変動期にあって、しかも、情報という大事なものを持っているうちの役所が今どうやるかということは国益に関係することですよと。そんなことは関係ないと。そして、その上司がたまたま七年違いだったんですね。役所の方々はみんなわかると思いますけれども、その上司は何と言ったか。おまえはキャリア制度のもとでは絶対におれを追い抜けないんだぞ、おまえが係長のときにはおれは課長補佐、おまえが課長補佐になったらおれは課長、おまえが課長になったらおれは局長だ、七年差というのは上司と部下の関係が極めて当たりやすいところなんだ、そのことをよく覚えておけ、まあそういうようなことを言われたんですね。これはちょっとどうするかな、こう思いまして、今のところまで来てしまったんですけれども。すべてのキャリアの方がそうとは思いません、すばらしい方もいっぱいいます。しかし、そういう人間がまじったときに、どうしようもないんですね。

 一方、郵政省というのは、郵便局員も含めて三十万人抱えている。全国から優秀な人間が本省に集めてこられます。上司は尊敬をさしてしていませんでしたけれども、私は断言します、部下はみんな尊敬していました。極めて優秀な方々が多かった。ですから、本当に一律にペーパーテストを通って、官庁訪問をうまくやってキャリアになった、私自身がそうですけれども、そんなものは、私自身が今の立場にいて何の自信の根幹にもならない。そこらのゲーム、ファミコンで高い点数を出せるのとそんなに本質的に変わらないんですね。こういった中で、それだけで評価がずっと続くというのには、やはり私はすごく疑問がある。

 もう一つ、ついでに申し上げさせていただきますと、キャリアの中でも当たり年と外れ年があるんですね。民間が物すごく景気がいいとき、何年とは言いませんけれども、すごく景気がよくて民間に優秀な人がばっと行ったとき、あるいは民間が悪いときに公務員志望が多かったときで、あの年次は当たり年で、あれは外れ年だみたいなところがありまして、そうすると、キャリアの中で同じ年次で来れば、次官は一人しか出られませんから、極めて質の高い中で競争する人と質の低い中で競争する人、こういったことがあるわけですね。いや、これは本当に現実なんですよ。

 そしてまた、官庁全体でいっても、時の人気官庁があるんですね。自治省が人気があったり、通産省が人気があったり、大蔵省が人気があったり、郵政省が人気があったり、いろいろなところがある。そのときに人材がそこにわっと行く。一たん入ったら抜けられませんから。そうすると、社会変動に合わせてもう一回人材の再配置ができるということがなくなってしまう。

 ですから、今回の法案の本質の一つ、人材を官民あわせて、少なくとも役所の中でも適正に配置するための柔軟な再配置、再配分をしていく、これが極めて重要な視点だと思います。

 そういった意味で、この優秀な人材の再配置という観点から、大臣おっしゃるように、キャリア制度、ノンキャリア制度の弊害の除去、そして年功序列の打破という視点を強く打ち出すべきと思いますけれども、御所見を伺います。

渡辺国務大臣 遠藤委員のお話は大変おもしろいですね。やはり生々しい御経験に裏打ちされて、それを政治家の言葉で、お笑い霞が関リアル物語という語り口でお話しされるのは、この世界を余りよく知らない方々にとっては、驚きと同時にある種の、ああそうだったのかという、目からうろこの話に聞こえるのではないでしょうか。

 キャリア制度の、今の法律に書いていない弊害についていろいろ御指摘をされました。私も共感いたします。と同時に、優秀な人たちが試験区分にかかわらず存在しているのも事実であります。こうした埋もれた人材がそのまま死蔵されかねないことだけは、何とか回避をしなければならないと思います。

 今回の御質問に当たって、私は人事院に調べていただきました。一体どれぐらい、いわゆるノンキャリの人たちが出世しているんですか、例えば本省局長になったノンキャリ組の方々はどれくらいいるんですかと言ったところ、本省局長という分類がないんですね。指定職ポストに登用されたケースとして、これは平成十七年度でありますが、例えば法務省が八名、公安調査庁二名、財務省二名等々、こういった数字が出てきております。本省局長にノンキャリ組がなったってちっともおかしくないんだと思うんですね。

 私の知っている限り、一名存じ上げています。それは、昭和五十年代半ばに聖徳太子のにせ札が横行し、改刷の必要が出てきたときであります。当時の大蔵大臣が、これは、印刷局の現場は労働過重になるわけだから、人心収らんのできる局長が必要だというわけで、ノンキャリ組から石井直一さんという方を大抜てきいたしました。この人事は大変成功したんですね。こういうことがあったっていいんですよ。ですから、今回は、もうまさしく能力・実績主義、キャリア、ノンキャリにかかわらずに能力と実績で人事評価を行い、それを給料とポストに結びつけるという画期的な改正案を提出しております。

 優秀な人材が若いころから政策の企画立案にかかわれるようになれば、例えば、ロースクールを出て民間に行った、しかし、三十ぐらいになって公のために働きたいと公務員になってくる。そういう人が、例えばいきなり課長補佐になって、そして幾つか仕事を経験し、こいつはすごい能力があるなというぐあいに評価をされて、三十代で局長になっちゃう、幾つかまたポストを経験し、四十代そこそこで事務次官になるなどということがあったっていいじゃありませんか。ぜひ、そういう活気あふれる公務員制度を目指していきたいと考えます。

遠藤(宣)委員 大臣は遠慮してお名前を挙げませんでしたけれども、たしか私は切り抜きが家のどこかにあると思いますけれども、お父様が大蔵大臣のときににせ札が横行して、昭和六十年の秋に今の新札ができた。それに絡んで、石井さんという方を印刷局長にした。これはすごいことだということで、私は当時まだ学生でありましたけれども、非常に感銘を受けて、もともとそのとき公務員志望でしたから、こういうふうにやはりやっていかなきゃいけないんだろうなと思いながら、その記事を見た覚えがございます。

 しかしながら、役所の中で、今のノンキャリアとキャリアの制度のもたらす重要な弊害というのがあります、年功序列に絡んで。そこから何が派生するか。まず、大体、主流派というものが形成されます。成績がよかった人間、仕事ができた人間ということで、競争があって、主流派が形成される。そこに対して、絶対追い越せないものですから、縦の序列がついてくる。ほかの役所はどうかはわかりませんけれども。そうすると、お世話になった先輩は追い越せません。何としてもその先輩は、最終的に再就職のお世話をしなきゃいけないというプレッシャーをぐっと持たなきゃいけない。ですから、現職のうちに権限の及ぼせる業界をなるべく広げようという本能に結びつく。

 そして、もう一つ派生するのは、総務庁とかに人員の定員要求をするんですけれども、なるべく人を減らさないように、仕事と見える無駄な仕事を探す。役所の課も、これは絶対必要なんですよと夜中に説明しに行くんですね。公益法人も、こういうのが必要なんですよと。必要性の説明に多分、役人の人生というのは何十%か割かれるんです。

 あわせて、予算が減らされないように一生懸命確保して、しかも、自分のお金じゃないですから、使い切ることに全力を挙げ、再就職先を想定して、必ずしも必要でないお金を先回りして関係団体にまく、こうやって予算と人員は膨張の一途をたどって、国家社会は危機に直面していく。本来の公務員の志はどこに行ったんだろう、おれは一体何をやっているんだろう、そんな悩みを持っている人が霞が関にいっぱいいます。

 そして、OBというものがこれまた厄介なんですね。役所においてはOB会とか何とかというのが必ずあって、何々君元気かい、君が入ったときはね、こういうふうに言われるんですね。日本はまだまだ縦社会ですから、OBというと、ああ、どうも御苦労さんですと。私なんかも、国会に来ても必ず頭を下げています。どっちが上司で部下かとか、本当に昔はお世話になりました、こういう形ですから、一生ついて回るんですね。そうすると、OBに対して遠慮があるんですね。

 私は最後のポストにいたときに、郵便局に配信する衛星の仕事をやっていました。これは四チャンネルもあるんですね。郵便局なんかで四チャンネルも見ている暇はないでしょう、二チャンネル減らしたら何十億も削減できますよとある上司に言った。返ってきた言葉は何か。でも、あそこにはOBがいるからな、こういうことなんですね。これは本当に、その人が悪いというんじゃなくて、実際にそういうような文化で育ってきちゃう。

 そのために、現職の間には、ポストをある部分えさにといいますか、ちゃんとおれに忠誠を尽くしたら、次は、七月の人事ではいいところに行けるかなという期待を持たせながら、そういったものなんですね。これは、最後の方になってくると、一年延びるか延びないかで退職金の額も変わってきますから。こういった生々しい世界が、公務員ではあるけれども人間である、霞が関に実際にあります。

 ですから、今回の改革がこの思いを断ち切れるということになれば、今申し上げたように、人を減らさないように無駄な仕事を探すとか、予算を減らされないように予算を使い切るとか、再就職先を想定してお金をあらかじめまいてやっておくとか、要らない会社をつくるとか、そういったことがなくなってくる。つまり、今回の改革というものは、行財政改革と表裏一体をなす極めて重要なものだと思います。

 この行政改革との関連について、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 遠藤委員御指摘のように、今回の改革は、行政改革が一気に進んでいくきっかけになる可能性が極めて高いものであります。各省の天下りネットワークの根幹にメスを入れるわけでありますし、各省縄張り主義を打破するものでありますから、まさしくそういうところから出てきていた弊害が一気に解決に向かっていく可能性があるわけでございます。

 私が安倍総理からいただいたミッションは、後世代にツケ回しをしないよう徹底した合理化と効率化を図ってほしいということでございました。まさしくこうしたミッションのもとに、独立行政法人改革、公益法人改革、特殊法人改革に今回の公務員制度改革をつなげてまいりたいと考えております。

遠藤(宣)委員 本当に、これが行革の大きな流れの起爆剤になると、私はもう半ば興奮をしています。

 私自身がいたときに、これは省益というものがどういうふうに定義されるかわかりませんけれども、私は、郵政省にいながら、郵政事業は民営化しないともたない、民営化論者でした。NTTもこれからグローバルな競争をしなきゃいけないから分割は反対だということで、上司と随分けんかをしたために、こんなに使いにくい部下はいないということで、兼務も含めると十二年間で十五個ぐらいポストを回されまして、そのたびにどんどん議論をしていった。しかし、青臭いことを言うようですけれども、やはり国家社会に対して、この日本という国がどうなっていくかということを考えて公務員というのはやっていかなければいけない。

 ところが、最後の質問になりますけれども、公務員の一番悲しいところは匿名性なんですね。何々という課長補佐とか課長とかという肩書が来て、その本人がどういった志でどういった法案に携わったか、あるいはどういった制度をつくろうと尽力したか。今たたかれている厚生労働省も、かつては昭和六十年のあの改革で命を落とした局長だっているんですね。そういったこともやはり思い浮かべていただいて、この人はこれだけここに対して情熱を注ぎ込んだということが、できればなるべく情報として世の中に流布した方が私はいいと思います。

 ちょっと離れた話ですけれども、最高裁の判事でさえ、国民審査のときに、こんな案件を扱ったんだというところで審査がある。憲法十五条に、公務員の選定の権利というのは国民にありますから、公務員でも一定の情報、つまり、在職中にどういった法律や制度を扱ったのか。今回議論になっている、予算と権限を背景にしているから天下りができるというところだけを言うのはちょっと偏っていると私は思います。その人の持っているキャリアと情熱は、公務員という官庁の中においてもできるだけ評価される、そういったものを出していく。つまり、人材の情報公開。どのようなものをやったのか、どういったことで取り組んだのか、どういったあれがあったのか、できるだけ公開していくことによって、人材の再配置、再活用というものが生きてくる。それをやるのが最終的に国民に対して責任を負う政府の責任だと思います。

 そのあたりの考え方について、大臣のお考えを伺えればと思います。

渡辺国務大臣 遠藤委員御指摘のように、今のシステムのままでありますと、せっかく世の中のためになる人材が死蔵されかねないと考えております。やはり、霞が関に集まった有能な人材が、その能力と実績が正当に評価されて第二の人生を歩むことは、世の中全体にとってもプラスになることであると考えます。

 したがって、まさしくそういった、今御指摘のような問題も踏まえた詳細な制度設計を官民人材交流センターの設計に当たっては考えていきたいと思います。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 これからの改革の大きな突破口になる本当に大事な大事な場面に今来ています。るる申し上げましたけれども、今まで、本来能力があって志の高い役所の人間、そしてまた、民間で培った能力を国家社会のために役に立てたい、日本の最大の資源は人材ですから、それを適正に配置していくというこの改革、ぜひともなし遂げていただきたいと思います。

 そしてまた、今改革が進んでいる地方においても、地方自治体においてもこの理念を反映していっていただきたい。そしてまた、公務員の一括採用、こういったものについても走りながら考えていただきたい。

 そして、最後に申し上げたいと思いますけれども、この改革について、我々自民党の仲間はもちろん、国民も期待している。しかし、最大の味方は何か。大きな社会経済の変動の中で、時代が最大の味方だと私は思っております。どうかそういったことを受けとめていただいて、ぜひともこの改革に邁進していただきますよう心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、土井亨君。

土井(亨)委員 自由民主党の土井亨でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。遠藤委員は郵政省出身のばりばりのキャリアでしたので、今この霞が関の現状をつぶさにお話をいただいて、頑張っている皆さんも多い、また、いろいろな意味で人事管理、今までのシステムが若い皆さん方の仕事に対する意欲を失わせている部分もあるんだというような、いろいろなお話をいただきました。

 私は地方議員出身でありますし、私のおやじは地方公務員でもありましたし、兼業農家でもありましたから、こういう霞が関で働く官僚の皆さん方には全く無縁の中で生きてまいりました。そういう中では、一人の国民として率直に質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 私自身は、なぜこういう法律をつくらなければいけないのか、なぜこういうことまでしなければいけないのかということで、大変残念でなりません。もう二十年前ぐらいから、いろいろな天下りやわたり、そういうものがありました。また政府も、閣議決定やらいろいろな形でその対応、早期退職勧奨を含めて何とかしなければいけない、定年の年齢も上げていかなければいけない、そういう取り組みをされてまいりました。

 また一方で、繰り返される口ききや官製談合。いつになったら官僚の皆さん、こういうものに襟を正すんだ、政治家が、政府が法律をつくらなければ襟を正すことができないのか。もっともっとみずからの職というものに信念を持って、また、この国のために国民の皆さん方に奉仕をし、働く、その決意で頑張っていらっしゃるのであれば、法律をつくっていろいろということで制約されるよりも、なぜ、まずみずから自助努力をし、巷間国民の皆さんから非難されているようなことをしっかりと是正しないのか。私は、その悔しさがあります。ですから、私自身は、今回はそういう視点に立って何点か御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、一点目であります。

 今申し上げましたように、国家公務員の使命というのは何なんだ。国家国民に奉仕をし、また、いろいろな進展のために頑張る、だから国家公務員になられたんだというふうに思っております。しかしながら、やはり時代の進展の中で、いろいろな公務員像というのも求められてまいります。ですから、公務員改革というのも必要であります。制度も、その時代時代に合ったものにしていかなければなりませんし、また、頑張っている皆さん方のためにも、待遇も含めて、しっかりと身分保障をしながら整えていかなければならない。それは時代時代に必要だというふうに思っておりますから、公務員制度改革を含めて、私は、それは当たり前のことだというふうに思っております。

 しかし、本来の国家公務員の使命、その使命はいつの時代でも私は変わってはならないというふうに思っております。そこが基本になければ、やはり国民の皆さんから非難されるようないろいろな不祥事を起こすようなことにもなるんだろうというふうに思っておりますので、大臣に、国家公務員の使命、これは今申しましたとおり、時代が変わろうともその本質は変わらないというふうに私は思っておりますので、その辺をまずお聞かせいただきたいと思っております。

渡辺国務大臣 私が子供のころから聞かされてきた言葉がございます。それは、私のおやじが繰り返し言っていたことなのであります。繁栄した国家や文明は数あれど、繁栄し続けたものは一つもない、必ず国家や文明は衰退をしていくのである、しかし、政治家の使命というのは、いかにこの繁栄を長続きさせるかであるということを聞かされてまいりました。

 まさしく、政治家の使命や公務員の使命というのは、基本的に同じことであろうと思っております。国家と国民が持続的に繁栄をし続けていくことに、いかに心を砕くかというミッションを公務員は帯びているわけでございます。国家と国民に奉仕をする、そういう仕事を通じてこの使命を全うしていくことではないでしょうか。

 やる気と情熱と強い意思、気概が国家公務員には必要であります。国のために尽くすことを通じて国民の信頼をかち得る、これがさらにやる気と情熱につながっていく、このような好循環のサイクルが必要であります。そのためには、まさしく持てる能力を最大限に発揮してもらうことが大事であります。こうした思いから、今回の国家公務員法改正案を御提出したところであります。

土井(亨)委員 今お話しいただきましたけれども、官僚、公務員としてその職を全うする、それをいろいろな形で制度改正していくというのは必要なことだというふうに思っておりますが、今お話しいただきましたとおり、私自身は、国家公務員も地方公務員も含めて、やはり公僕と称されるわけでありますから、国民や地域の皆さんのためにしっかり頑張って、よりよい地域社会、国をつくっていくんだ、その使命という本旨を忘れてはならないというふうに思っておりますし、どうも、その使命を忘れて、いろいろ言われておりますけれども、省益とかそういうもの、または自分たちの既得権益を守る、そのことだけに終始しているような気がしてなりませんし、そういうことからいろいろな不祥事が起こっているんだろうというふうに思っております。

 もちろん、まじめに働いて、一生懸命頑張っている官僚の皆さんも多くおります。私は、ほとんどそうだというふうに思っております。一部の幹部官僚の皆さん方の、そういう使命を忘れて国民の皆さんから非難を浴びるような形、それが一つの天下りというものにもなるんだろうというふうに私は思っておりますので、ある意味、本当に一生懸命頑張っている官僚、公務員の皆さんにとっては大変かわいそうなことだというふうに思いますが、そこから襟を正していかなければならないというふうに思っております。

 きょうの朝刊にも緑資源機構の記事が出ておりました。朝日新聞です。「談合 動機は天下り 林野庁「再就職が…」」林野庁の幹部は、「われわれの再就職先はなくなったに等しい。つくづく、えらいことをしてくれた」こんなコメントを出しているようでは、まだまだ官僚の皆さん、特に幹部の官僚の皆さん方、しっかりと意識を変えてもらわなければいけない。

 自分たちは再就職をしなくても、これまで一生懸命頑張ってくれた自分たちの部下には再就職をしっかりさせてあげなきゃな、そのぐらいの思いがあっていいのではないか。その辺、また私自身、辛らつに言わせてもらうと、霞が関の幹部職員の皆さんは狂っている、何かを間違っているというふうに言わざるを得ないと思っております。

 そしてまた、公務員の皆さんには、国家公務員倫理法やら国家公務員倫理規程、また独立行政法人通則法、今問題になっている補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律とか、いろいろな意味で、税金を効果的に、また有効にしっかり使えよというような法律もあるわけであります。身を律する法律もありますが、私からすると、そういう法律さえも守っていないのではないか、そんな強い憤りも感じながらこの朝刊を読ませていただいたところでございます。

 政府も、手をこまねいたわけではないというふうに思っております。いろいろな閣議決定やら閣僚懇談会等々を含めて、この早期退職勧奨については何とかせなならぬということで取り組んできたとも思っておりますし、人事院として、そういう形の中でいろいろな資料をつくりながら、また、幹部公務員の在職期間長期にかかるための次官、外局長官等の定年延長等々について、各省庁に報告というか努力してくれ、このことがまず早期勧奨退職の是正につながるということで取り組んでおられますが、できればその対応についてお聞かせをいただきたいと思いますし、その成果についてもお聞かせいただければというふうに思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 人事院では、早期退職慣行の是正につきまして、これまでも、累次の給与勧告時の報告等におきまして、本格的な高齢化社会を迎える中で、いわゆる天下りに対する国民の厳しい批判にこたえて、公務に対する国民の信頼を保持していくためには、早期退職慣行を是正するとともに、公務内において長期に職員を活用するようにしていくということが肝要だという認識を示してきております。

 早期退職慣行の背景には、1種試験採用者について、各府省の運用上、採用同期の者について一定年齢までほどんど差をつけずに、その後に選抜するといういわゆるキャリアシステムがとられておりまして、このシステムのもとで組織の新陳代謝を図り、活力を維持するという趣旨で、採用年次による昇進管理を行う人事慣行があるという点も指摘をしてきたところでございます。

 この問題につきましては、今委員御指摘のように、政府におきましては、平成十四年の閣僚懇談会申し合わせで、早期退職慣行の是正ということを各省庁に責任を持ってやれということを指示し、実行しているところでございますし、それから人事院におきましても、いわゆる次官の特例定年というものを設けまして、従来は一般の職員と同じ六十歳でありましたけれども、六十二歳に定年を延長するということを行ったほか、在職期間の長期化をしてまいりますと、高齢者がふえて給与がふえる、人件費が多くなるというような議論もございまして、いわゆる年功的給与上昇を抑制するということも重要になってまいりますので、そういう観点も含めまして、在職期間の長期化に対応できるような年功的給与上昇の抑制のための措置というようなことにも取り組んできたところでございます。

 さらに、当面の施策といたしまして、各府省の人事管理の見直しに関する検討にあわせて、複線型人事管理導入に向けた専門スタッフ職俸給表の導入などにつきましても検討を進めているところでございます。

土井(亨)委員 今いろいろ御説明をいただいて、進めている、取り組んでいる、発想はすばらしいのでありますけれども、これをやはり具現化していかなきゃいけない。

 この間いただいた資料では、人事院発表は平成九年、ここにも幹部職員の在職期間の長期化をなぜ図るのか、これは早期退職慣行の見直しを求めているからだと、まさに今この委員会でいろいろな議論がされているその中心的な中身を、人事院としては平成九年に、しっかり是正していかなければいけないということで取り組んでいたということであります。

 そのことが今もってなかなか是正されていないというのは、やはり省庁のやる気、その時々の幹部職員が、本当に是正していかなければいけないんだ、何とか国民の皆さんの信頼をしっかりとかち得ていかなければ私たちの将来はないという危機感さえなかったのではないかということで、私は大変残念でなりません。

 ある意味、人事院では、現行の再就職支援制度ということで、公正な人材活用システム、これは今回の法案とはちょっと違う、省庁スルーのシステムではありますけれども、成果が上がっているのか。その仕組みと、もしそのシステムを活用し再就職をした方がいらっしゃれば、どういう審査のもとに再就職をお認めになったのか、お話をいただければと思います。

吉田政府参考人 現行の国家公務員法百三条では、職員は、人事院の承認を得た場合を除いて、離職後二年間は、その離職前五年間在職していた国の機関等と密接な関係にある営利企業への就職はできないという規定になっております。

 現在の手続では、人事院が行政上の権限あるいは契約関係等にある具体的な承認基準を定めまして、本府省の課長相当職以上の職員については人事院が承認を行う、それ以下の職員につきましては、役員の地位につく場合を除きまして、各府省の長に権限委任を行っているところでございます。

 今先生お尋ねの、公正な人材活用システムは、国家公務員が在職中に培った高度の専門知識あるいは能力等を広く社会で活用していただくという観点から、公正で透明性の高い再就職システムをつくろうということで、平成十年に創設したものでございます。

 このシステムにおきましては、企業からの人材要請は日本経団連を経由して人事院に対して行われまして、人事院では、要請のあるような能力や経験を持った人材を有すると見られる府省に対しましてその要請を伝えて、当該府省において、ふさわしい職員に当たった上でその内諾を得て、当該企業と接触をするという段取りになっております。

 さらに、その就職が現行の百三条の規定に該当する、事前承認が必要だという場合には、各府省が人事院に対して承認を申請するということになってございます。

 現在まで、このシステムによって現実に人事院の承認を得て就職をした件数は、六十五件でございます。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

土井(亨)委員 この人材活用システムというのは、経団連の要請ということは、全くの民間企業からの要請だというふうに思っております。そういう中で、六十五名の皆さんが国家公務員から民間に転出というか新たな道を探して就職をされた。そしてまた、そういう方々は一生懸命頑張っているんだというふうに思っております。

 ですから、私自身は、天下りと再就職というものをしっかり分けて考えていかなければならないというふうに、橋本委員も主張されておりましたが、その点をまずしっかりと分けて議論していかなければならないんだというふうに思っております。

 もう一方で、総務省の方で、国家公務員人材バンクというものを支援制度としてつくっておりますが、こちらの方、前にも質問された方がいらっしゃると思いますが、再度、実績を含めて、いろいろな資料を見せていただくと、十分に結果があらわれていない、それは各府省等に直接行われて、そういう原因があることも一つだというふうな記載のある資料を読ませていただきましたけれども、そういうものも含めて、どう取り組まれているのか、お話しいただきたいと思います。

戸谷政府参考人 人材バンクでございますが、これも試行という形で取り組ませていただいておりますが、件数としては一件ということでございます。

 理由として、やはり人材バンクへの求人登録件数、これが、時期も悪かったか、伸び悩んでおりました。それから、職員と求人をいただいた方との間に求人内容の条件面で不一致が生じたということがございまして、この辺をまず直さなければいけない。それから、先生おっしゃったように、求人が各府省等に直接行われる例が多いのではないかというふうに思います。

 昨年からずっと検討してきたわけでございますが、本年四月から、まず求人開拓でございますが、やはりこれにつきましては民間事業者の活用ということも考えられるのではないかということで、活用可能性の検証作業というのをことしやってみたいというふうに考えております。それから、対象職員につきましても、各省の御協力も得まして、職員の範囲を拡大して、双方の数をふやすということに取り組んでいきたいというふうに考えております。

土井(亨)委員 この資料には、十六年度に大学教授に採用されたもの一件というふうに書いてあります。そして、先ほど申しましたとおり、人材バンクの実績が十分に上がっていない理由は、求人が各府省等に直接行われていることが原因であると考えられているというふうにも記載をいたしております。

 これを直接読んで判断すれば、試行として行われている国家公務員人材バンク、これに省庁が何も協力していないということになります。何もとは言いませんが、省庁が抱え込んで、人材バンクとして試行としてやっているわけだから、そちらにぜひ求人という形でお願いしたいという、それは私は当たり前のことだと思っておりますし、当然だというふうに思っておりますが、そういう省庁の協力体制というものがしっかりと確立されていない。

 試行の段階でこういう形でありますから、大臣、ぜひ、この現実を踏まえて、センターにつきましては、大臣の強い御意思で、しっかりと省庁に対して、もう二度と省庁の天下りにおけるそういうものは起こさせないと、これは通告をしておりませんが、もしその御決意を聞かせていただければというふうに思います。

渡辺国務大臣 現人材バンクが論議されましたのは、私の記憶では小渕内閣のときだったかと思います。そのときに、道路公団の理事の汚職事件やら防衛庁調達実施本部の不祥事件が起こり、やはりこれは天下り問題とセットで考えていかなければいけないという問題認識があったかと思います。

 したがって、そういう認識のもとにつくられた人材バンクが機能していない最大の理由は、土井委員がいみじくも御指摘されたように、各省にあっせんの権限を温存してしまったことこそが最大のポイントであります。

 また、先ほど人事・恩給局長が述べたように、求人開拓が不十分であったとか、条件面でのミスマッチがあったとか、そういったもろもろの反省材料があるわけでありますから、まさしくこの失敗の教訓に基づいて、新しい官民人材交流センターの詳細な制度設計を行っていく必要がございます。

土井(亨)委員 ぜひ大臣の強いリーダーシップを、これは総理大臣も当然でありますけれども、内閣が強いリーダーシップのもとにしっかりとしたものを、これが私は省庁の省益とか今までの縦割りを打破するスタートになるんだというふうに思っておりますので、よろしくお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 一点、時間がもうなくなってまいりますので手短に申し上げます。今までいろいろな議論をしておりますが、最終的に、私自身は、国家公務員の意識改革をどうするんだということだと思います。

 いかに法律をつくっても、その法律をしっかりと守りながら、その法律以上の意識の中で国民の皆さんに信頼されるような形で働いてもらわなければならない。何か、自分だけ働いて、後は天下りして、高い給料をもらって、わたりをやって何度も退職金をもらう、そんなことをいまだに考えている幹部がもしいるとすれば、そんなことはもう許されない時代だというのをしっかり認識してもらわなければなりませんので、一方で、大変なことではありますが、国家公務員の意識改革というものをどのようにとらえていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 天下りを期待して国家公務員になる人はほとんどいないと思います。

 国家公務員採用試験1種に合格して、ことしの春、新たに採用された職員に対し、人事院が実施したアンケートがございます。国家公務員を目指した理由は、仕事にやりがいがある、公共のために仕事ができる、スケールの大きな仕事ができるという回答が大半であります。処遇面のよさを挙げる者は少なかったという現実であります。この調査結果からも明らかなように、やりがいのある仕事を求めて、高い志を持って公務員になるわけであります。

 しかしながら、年功序列人事が存在をし、まさしくこの延長線で肩たたきが行われ、各省による天下りあっせんが行われている。年をとるにつれて、仕事のやりがい、公共のため、国家国民のためという意識が薄れ、各省縦割り、省益、縄張り意識が強くなっているのが現実ではないでしょうか。まさしく今回の国家公務員制度改革は、役所に入ったときの原点にもう一回立ち戻ろう、そういう仕組みの実現のための改革であるということを申し上げます。

土井(亨)委員 ぜひこの改革はそういう趣旨にのっとってやっていただきたいんですが、私の申し上げたいのは、やはり、幹部になれば幹部になるほど誘惑が多くなる、幹部になれば幹部になるほど、OBの皆さんのそういう誘いというようなものも出てくるんだろうというふうに思います。ですから、特に幹部の皆さんの意識改革、本当であれば各省に口きき防止策とか、しっかりと各省がシステム化をしていかないと、この口ききというのはなかなか直らないというふうに私は思っているんですね。

 いろいろな形でこれから、外部検査員とか監視委員とかいろいろな制度がありますけれども、まずはやはり、省庁がみずから、口ききは絶対に受け入れないんだ、そういう強い意思と、それをしっかりシステム化することによってOBからの口ききを排除できる、そういうシステムを各省庁ごとにしっかりつくっておかないと、またいろいろな意味で誘惑、OBからの声がけというものも出てくるかもしれない。それは、黙っていればわからないわけでありますから。ですから、黙っている、もうそういう時代ではないわけでありますので、省庁として、しっかりとしたOBに対する対応策、口ききに対する防御策というものをシステム化していただきたいというふうに思います。

 もう一点だけ、ちょっと簡単に聞かせていただきます。

 公務員の定年は六十歳ですね。原則六十になっております、国家公務員法の中で。お聞きをしたら、昭和六十年に原則六十歳ということで盛り込まれたのだそうであります。

 今までどうだったのかなという思いもあるんですが、しかし、原則六十歳定年ということで国家公務員法に規定をされているのであれば、職場自体も、本来であれば六十歳定年という形の組織でなければならないはずなのであります。それが、いろいろお話を聞いておりますと、ピラミッド形だ、ポストが足りない、出世からおくれたからもう外に出てもらう、こういうことが私はおかしいのだろうというふうに思っております。

 ですから、原則ではありますが、この六十歳定年というのを厳格に、しっかりと省庁が対応できるような組織体制でなければならないというふうに思いますが、大臣、どうお考えですか。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺国務大臣 退職年齢の引き上げについては、小泉内閣のときから取り組んできた課題であります。残念ながら、思ったより年齢引き上げがうまくいっていない現実があるのではないでしょうか。

 こうした現実を見るに当たって、どこに原因があるかといったら、やはり年功序列の人事システム、私がスーパー護送船団方式と申し上げている、法律に書いていない慣行の中にあるのではないでしょうか。同期横並びの人事管理を相変わらず行っているわけであります。年功序列であるがゆえにポストがなくなると肩たたきが行われる、その際、セットで人事の一環として再就職先を見つける、これがまさしく天下りであります。

 これを打破するために、今回、能力・実績主義を徹底することといたしております。同時に、専門スタッフ職の早期導入、定年延長についてもパッケージとして取り組むことを明確にいたしております。まさにこういったことを進めていくならば、早期肩たたきシステムというのはいずれ消滅をすると考えております。

土井(亨)委員 定年年齢が原則六十歳と規定されているわけでありますから、本来であれば入省して六十までいるという形の組織体系でなければ六十歳という定年をしいている意味がないというふうに私は思っておりますので、ぜひそういう形でお願いをしていきたいというふうに思います。

 私自身、先ほど冒頭で申しましたとおり、天下りというのは、一部の幹部、官僚の皆さんが自分の持っている権限や官僚のときの力を温存しながら生き抜いていくためにやられているものでありますから、これは何度も言うように、根絶をしてやめさせなきゃいけない。しかし、ある意味、課長を含めてノンキャリでも、そろそろおれももういいかなと思っているときに、そろそろ再就職に行くかというような話になれば、それはすべて否定するものではないというふうに思っております。

 民主党さんは今回は早期退職勧奨は全面禁止ということでありますが、私の知り合いにも、地方の課長で早目に退職をして再就職されて本当に一生懸命頑張っている方も数人おります。その方は、何も役所から仕事をもらってくるために雇われているとかじゃなくて、自分の持っている技術やいろいろなものをその会社にしっかり伝えるために頑張っていらっしゃったOBの皆さんと私はおつき合いもございます。(発言する者あり)ですから、中にはいろいろ天下りをして二重三重というものもあるんでしょうけれども、そういう方もいらっしゃるということを踏まえて……(発言する者あり)いやいや、関係しているところなんです。はっきり言うと、国交省に関係している民間の会社ですよ。でも、その会社は、いや、そういうことはもうしていない、できないんだ、だからその人の技術力をしっかりうちの会社で吸収しながら、社員に伝えてほしいんだということで再就職された方も私は知っております。そういう方もいらっしゃるわけでありますから、私は全面的に禁止をするというのはどうかなというふうな思いもあります。

 その辺、大臣と民主党の提出者、そこも含めて、すべて悪なのか、全部だめなのか、一〇〇%、天下り、再就職はいけないことなんだということで禁止をされておりますので、よろしくお願いいたします。

渡辺国務大臣 土井委員御指摘のように、予算や権限を背景にした各省人事の一環としての天下りあっせんは根絶をいたします。また、民間に就職した職員の働きかけについても規制はいたします。これは、刑事罰を伴った厳格な行為規制を導入いたしております。また、外部監視機関による監視体制も構築いたします。

 一方において、公務員が能力を積極的に生かせるような再就職の仕組みをつくることは大事であります。職員個人の能力、経験を生かした転職で、この能力、経験が正当に評価されて行われる再就職は、天下りではないと我々は考えております。政府案においては、まさしく公務員本来の能力、経験を生かした再就職を支援する官民人材交流センターを設置してその実現を図ることにいたしております。

馬淵議員 私どもは、公務員の再就職を制限するものではないんですね。先ほど来申し上げているように、離職前五年間に携わった影響力行使ができる権限、これは例えば契約ですとか、あるいは許認可、行政指導もありますよ、そこにかかわる、これを関係営利企業と呼んでいるんですが、営利企業あるいは非営利も含めた法人への再就職については我々は禁止するんだということで、その意味での肩たたき禁止ということを申し上げているわけですね。再就職を制限するものではありません。

 その上で、今お話がありますように、いや、中には関係するところに行って立派に働いている方もそれはいらっしゃるでしょう。しかし、現実にはどうかといえば、けさの新聞にありますように、緑資源機構のように逮捕者が出て、これは国民注視の中ですよ。繰り返しなんですね。きょうも橋本委員がお父様のときから改革をやっているとおっしゃいましたが、しかし、現実には政府の中でどんなに進めてもいまだに出てくる。しかも、ここに政治家の介在まで出ているじゃないですか。政治家の名前が出てくるわけです。我々がみずから襟を正すには、まずその根源となる肩たたきの禁止ということをしっかり定めた上で、その上で、離職後、関係するところには、これは天下りと我々は称していますけれども、これに関しては再就職は禁止なんだ、あっせんも禁止なんだと非常にわかりやすい形で御提示をしているわけであります。

 委員の御指摘のように、それはそこまでやったら厳し過ぎるじゃないかとおっしゃいますが、現実にはこうした問題が社会問題化される状況の中で我々は立法化を図っていこうとしているわけですから、そこから目を背けるのはいかがなものかと思っております。

土井(亨)委員 私も天下りは大反対ですよ。根絶しなきゃいけない。だから、何度も冒頭から申しましたとおり、こんなことをいつまでも続けたら官僚は崩壊しますよ。国民の皆さんが全く信頼しなくなる。この国は動かなくなります。

 ただ、今申しましたとおり、ある意味、早期勧奨退職で、そういう形できちっと二年なら二年、営利企業にも行かないで、しかしその二年後に行ったときにしっかりとした、別に口ききをしたり、そのことによって企業が仕事をもらおうなどということではなくて、本当にその人が培ってきた技術を自分の会社にしっかり入れてくれ、注入してくれという形で行っていらっしゃる方もいらっしゃるわけですから、九九・九%は提出委員のお話のとおりかもしれないけれども、中にはそういう方もいらっしゃるという現実も踏まえれば、一〇〇%、全面禁止ということには私は少し納得できない……(発言する者あり)いや、それは私どもの感覚、意識の違いだと思います。そういうふうに頑張っている方もいらっしゃるということだけは、ぜひ御認識いただきたいというふうに思います。

 もう質問時間もなくなってまいりました。これは通告していませんけれども、法案の中身でありますので、一点だけちょっと確認させてください。

 附則の四条に、「公務員制度改革実行計画は、次に掲げる事項を定めるものとする。」というところがございます。ここの能力どうのこうのというのが何で附則なんだというのはいろいろな先生方がおっしゃっておりましたが、私がお聞きしたいのは、公務員を免職する場合にというこの二、これの趣旨をちょっとお聞かせいただきたいと思います。ちょうど二十五ページ、これは条文ですから、趣旨をお聞かせください。

馬淵議員 今御指摘の部分、「公務員を免職する場合に民間の労働者に準ずる保障」、ここの部分でございましょうか。

 当然ながら、これは分限免職を意図しているわけですが、この分限免職を行っていくという段階において、労働三権も含めて労働基本権については何ら現時点では議論がされておりませんので、そこに対しての配慮も行わねばならないということを前提にしております。

土井(亨)委員 免職となると、分限免職もありますし懲戒免職もありますし、それから、分限免職の中で、七十八条に記載されている一から四、これには、官職に必要な適格性を欠く場合、あなたは適格性を欠くんですとか、勤務実績がもうこれはひどいから分限ですよという形の規定も盛り込まれているわけですよ。今お話しのとおり、これは分限でとおっしゃられても、文章自体を読むと、免職のすべてを含むということになるとちょっと問題だなというふうに思います。

 免職にされた人はすべからく、免職の理由によらず保障を行う仕組みを整備するというのは、私からすると暴論というか、こういうことが許されるのかというような条文になっておりますので、ここは訂正された方がいいというふうに思います。余計なお世話かもしれませんが、済みません。

馬淵議員 今御指摘の部分で、分限免職のみならず、これはさまざまな形の免職も含むということでこの条文には定めたつもりでございます。

土井(亨)委員 そうすると、国家公務員として不適格であって分限免職または懲戒免職をしても、それを保障する仕組みはきちっと構築するということになりますね、免職としか書いていないわけでありますから。

馬淵議員 これらさまざまな免職の規定に対して、制度設計というのは、行政刷新会議も含めて我々はしっかりとつくっていくということでございます。

土井(亨)委員 私、もう質問時間が終わりましたが、ただ一点、やはり法案ですから、免職というものはいろいろな形の免職があるわけですから、すべての免職と読み取れるような条文では、これはまさしくお手盛りとしか言いようがないということだけはお話をさせていただいて、限定した形の免職ということであれば理解もできますが、提出者がお話しいただいたように、免職ということだけでは、これはお手盛りだということをお話しさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 先日、質問させていただきました。そのときは、天下りの問題あるいは基本法との関係等についてお尋ねをさせていただきましたが、きょうはまた、引き続いてそういった視点からお願いしたいと思います。

 それで、まず、きょうの新聞等を見ましても、天下り規制ばかりに議論が集中していてそれでいいのかといったような新聞の論調も出てきているようであります。基本的に公務員はどうあるべきか、公務員の天下りとかそういうことが当然よくないのは当たり前ですが、改革するに際して、やはり公務員が国民から信頼される、そういう公務員、そしてまた働く公務員にやりがいがある、そういう活気に満ちているという公務員、そういう公務員改革でなければならないんだろう、それが本当の改革なんだろう、こう思っているわけでありますが、なかなかその理想には行っていない。しかし、そこへどう持っていくかということだと思います。

 それで政府の方にちょっとお尋ねしますが、現代の若者の世論調査でいきますと、日本では公務員に対する志望が大変減ってきている、アメリカや韓国よりも低い、こういうことが報道されているようです。その点をまず確認したいと思います。

株丹政府参考人 御指摘の調査でございますけれども、これは、一ツ橋文芸教育振興会と財団法人日本青少年研究所が共同で昨年十月から十二月にかけて調査を行い、ことしになりまして発表されたものではないかと存じます。「高校生の意欲に関する調査」ということで、日本だけではなくて、アメリカ、中国、韓国の比較のものだそうでございます。

 これは多くの調査項目がございますけれども、各国の高校生に相当する年齢の若者に調査をしてございまして、その中に、将来つきたい職業というのがある。この将来つきたい職業については、二十ほど分類をされて、例えば医師でありますとか弁護士でありますとか、そういう項目が具体的に挙げられて、その一つに政府機関の公務員という分類がある。

 それについての回答といたしまして、中国の方は二八・六%、韓国で二四・四%、それに対しまして、日本につきましては九・二%、アメリカが八・七%ということでございますので、国際的に見ますと我が国の公務員志向というのは、中国あるいは韓国より相当低くて、アメリカと同程度、こういうことではないかと思います。

 それからもう一点、今回の調査よりも前に、一九九九年に行われておりまして、この際は日本とアメリカ、中国三カ国ということで調査をされたということでございます。前後関係を見ますと、アメリカ、日本は同程度というふうに先ほど申し上げましたけれども、アメリカの場合は、前回の調査と比べまして六ポイントほど増加をしておる、我が国の場合は二二・五ポイントほど減少しておるということでございますので、調査を見ます限りでは、我が国の高校生の公務員志向というのは、時系列的に見るとかなり低下をしているということでございます。

田端委員 これは大変ゆゆしき事態だと思います。つまり、中国、韓国よりも一〇ポイント以上も下回っている。しかも、アメリカは横並びであったとしても、前回調査よりも日本は大変大きく後退した。これは突出して不人気だというふうに感じます。

 したがって、大臣、公務員というのは国の中枢を担っていただくわけでありますから、そこに対する若い人たちの気持ちが来ていないということは、これは、本当に将来の日本にとってゆゆしき状況ではないかと思います。

 しかし、今回、そういう意味では、官民人材交流センターというものをきちっとつくって、そして積極的に官から民、民から官、こういうことも含めてやっていこう、こういうお話でございます。だから、この交流センターの存在というものが大変大事なことになると思うんです。まして、先ほども遠藤先生の方からもお話がございましたが、つまり、官と民とを比べて給料なんかもやはり民の方がはるかにいいということではありました。だから私は、官から民というのはあり得るかもわかりませんが、民から官というのはあるのかということも非常に疑問に感じるわけであります。

 そういった意味で、この人材交流センターの役割、そして民から官への交流、そういったことを踏まえた本当の意味の交流センターの機能が発揮されるというそこにやはりかなめがあるんだろうと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほどの御議論の中で、長期トレンドとして公務員志望者が減っているという話がありました。田端委員御指摘のように、日本が官から民へという改革を行ってきているのは御案内のとおりであります。

 かつて、例えば金融の世界において、護送船団金融行政などというものが行われていた時代もありました。官僚統制資本主義などとやゆされた時代もございました。そういう時代には、官の力、影響力というのが非常に強い時代だったろうと思います。また、優秀な人材がそういう権力構造の中で官僚を目指すという流れもあったかと思います。しかし、一連の構造改革の中で官から民へという長期トレンドをつくってきたことも事実でありまして、優秀な人材が民間に流れるということ自体は否定すべきものではなかろうと思います。

 一方において、国家経営に当たる国家公務員に優秀な人材が集まらないというのでも困りますので、我々としては、今回、優秀な人材がやる気と情熱を持って仕事ができるように、能力・実績主義を導入するわけでございます。と同時に、御指摘の官民人材交流センターを通じ、民から官へのゲートウエーとして将来は機能させるようにしたいという思いも込めてございます。

 この次のプログラム法の課題として、採用から退職に至る一連の残ったパッケージについて御議論をいただきます。採用についても、新たな採用の枠組みをつくっていただけるならば、まさしくこの官民人材交流センターが民から官へのゲートウエーとして大いに機能していくものと考えます。

田端委員 やはり、人気がないということは、それだけいい人が来ないということにつながっていくんだろうと私は思います。そこを危惧しているわけでありまして、例えば、東京大学の人たちの国家公務員志望者が減ってきているということも現実でありまして、そういった意味では、先ほどの若い人たちのアンケート調査のその延長線上には、具体的にそういう形があらわれているんだろうと思います。

 東大の人ばかりでもそれは困るわけですけれども、しかし、やはりいい人が集まっていて、そしてそこで競争し合って頑張っていく、そこに活力が出てきて、国家としての中枢機能というものがちゃんと安定するんだろう、こう思うわけでありまして、そういういい意味の伝統というものをやはりしっかりと持っていかないと、また、そこをもう少しよみがえらせないといけないのではないかということを感じるわけであります。

 つまり、能力・実績主義はそれはそれで大変大事なことなんですが、ベースをしっかり高めていく、引き上げるということが大事だろう、こういうことを感じます。

 つまり、採用の段階で優秀な人がどれだけ集まってくるか、応募してくれるか、そこが一番大事なことなんだろうと思いますが、その点、大臣のお考えをお伺いします。

渡辺国務大臣 恐らく、我々の目の前にある世の中の移り変わりの中にあって、役人になったら一生役人だ、民間人になったら一生民間人だという仕切りは相当程度崩れていくものと考えます。

 したがって、今、例えばロースクールを出て国家公務員になった人はたしか二人か三人だったと記憶をしておりますけれども、こういうロースクールを出た人材が、言ってみれば中途採用といいますか、例えば三十ぐらいになってから国家公務員を目指すということがあってもいいのではないでしょうか。ロースクールから国家公務員の1種に応募された人、申込者が百六十二名、合格者が二十六名、そのうち採用にまで至った人がたったの三名しかいないという現実でございます。

 したがって、この採用のあり方というのも、先ほど申し上げましたように、来年予定のプログラム法の中で大いに議論をいただくことであり、これは、今まで行われてきた大卒、二十二か三ぐらいのときだけを考えるのではなくて、例えば規制改革会議が提言しております2種、3種の再チャレンジ、試験採用はもっと年齢を引き上げるべきだというような提案もしておりますし、また、ロースクール卒業者がこれからどんどんふえてくることも考えれば、三十過ぎてから国家公務員を目指すという人たちがいてもちっともおかしくない、そういうカルチャーをつくるべきだと私は考えております。

田端委員 それは確かにおっしゃるとおりなんですが、しかし、若い人ですらなかなか志望者が減ってきているという現実は、やはりこれは重視しなきゃならない。そこは公務員に対する魅力というものがやはり落ちてきているんだろう、こう思います。

 それは今回の改革の中でもいろいろ言っていただいておりますが、しかし、公務員の全体像というものをどうするかという基本法との絡みも大きいんだろう、こう考えています。まず、再就職の問題で何か公務員が何となく皆悪いような感じのイメージばかりが余り先行しますと、やはりそれは志望する人が減ってくるわけでありますから、ここは非常に微妙な問題だろうと思います。

 それで、例えば人間というのは、私自身もそういう感じを持ちましたが、例えば現在公務員でいらっしゃる方が五十を過ぎますと、自分の身の振りというのは、おれはどうしようかとそれはそれなりに考えます。公務員の皆さんも、そろそろ肩たたきされるなとか、されたらどうしようかとか、あるいは、される前にでは自分はどうしようかとか、そういうことを考えるのは、生身の人間ですからこれは当たり前のことだと思うんです。だからこそ、官民人材交流センターの存在というものが大変大事になるんだろうと思うんです。

 いい仕組みをつくっていただくとして、官民人材交流センターが機能するということを前提にしてでも、私は、例えばいろいろな悪知恵が出るだろうということを心配するんです。制度、仕組みができても、人間というのはやはりそこをまた先に考えるんだろう。

 例えば、自分が関係していた企業に二年間禁止ということになっていますけれども、AならAという企業に行きたい、また、内々話もつけている、だけれども、一たん全然関係ないBというところに行って時間稼ぎをして、後にしばらくたってからAというところに行く、こういう迂回作戦みたいなことだって考える。だから、厳しくすればするほど人間というのは、やはりそこの網目をくぐってそういうことを考えていくのが人間の社会だろうと私は思っています。

 したがって、迂回そのものは禁止だということ、そういうことを議論することも大事でしょうけれども、それよりも、いかにして公務員一人一人の本来の能力を発揮させるようなそういう仕組み、そういう意味で、そこに力点を置いた発想での公務員改革でなければならないんじゃないか。それは、人材交流センターそのものの役割、ここがもう一つはっきり見えていないから、ここのところをもう少ししっかりと見据えたものにしていただかないと、今頑張っておられる公務員の方も内心やはり不安感を持っているのではないかと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 かつて禁酒法の時代に、酒づくりを全面禁止した結果、密造がふえたという故事がございます。

 我々は、今回、各省のあっせんというものを全面禁止いたしますが、公務員の正当な再就職まで抑制をするものでは全くございません。したがって、職員の能力、実績、経験が正しく評価をされて再就職していくことは大いに支援をしていかなければならないわけでございまして、今回の法案の背景にもそのような思想は盛り込んだつもりでございます。官民の闊達な交流によって、公務員が再就職のさまざまな機会に能力を積極的に生かせる仕組みをつくることが重要であります。

 まさしく、そのような観点から、人事の一環としての天下りから再就職支援へという大転換を行うわけでございまして、再就職に当たってのさまざまな仕掛けを、これからまさに機能すべく、つくる予定になっているわけでございます。

田端委員 大臣のその決意といいますか抱負はよくわかるんです。しかし、現実問題、私も何人かの現場で今頑張っておられる皆さんと議論をしても、やはり皆さんもそこのところがもう一つすとんと気持ちの中に落ちていないところを私は危惧しているわけです。

 この公務員改革は、国家国民のために大事なことではあります。しかし、そこで働く公務員自身の一人一人にとっても大変大事なことであると思うわけです。だからこそ、やはり、いい人が集まって、この国の中枢を担っていただいて、やりがいを持って、また意識を高めていただいて、そして頑張っていただく、そういうものにならなければ本当の意味の公務員改革にはならないのではないかという意味で、個々に働いている皆さんが納得しているのかどうか、やはりそこが一番のポイントではないかなと私は思っています。

 やはり人を大事にした組織にしないと、いい人は集まりません。だから、そういういい人が集まるような仕組みというものを、また、やる気とか気概、士気を高めるとか、そういうものを引っ張り出せるような改革でなければならないんだろうと思うんですが、そこが今私が一番危惧しているところです。

 実は、私もいろいろな方々と接してきて、ここ十数年ずっと見てきまして、今の公務員制度というのは、それはそれなりに大変いい面もたくさんあると私は思っています。例えば、省庁間の交流とか、民間との交流とか、地方あるいは在外公館との交流とか、先ほどもお話があったように、海外へ勉強に出かけるとか、いろいろなものが非常にうまく組み合わさっていて、そういう意味では、一つ一つを見るというよりも、いろいろな形で総合すると、これは大変長い伝統の中から公務員のあり方というのが知恵を絞り出されてあるんだなということを、そういった面ではいろいろな点で感じる点はあるんですけれども、しかし、例えば残業が多いとか給料が低いとか、いろいろな現実問題も絡んでいることも事実であります。

 だから、そういう意味で、今後、若い人たちが公務員に手を挙げていただくためのあり方というものこそが大事になっていく。私は、日本の公務員の人は、そういう意味では、先ほどからお話があるようないろいろな事件はありますけれども、しかし、この本質的なものは、非常にまじめだし、勤勉だし、そのやろうという気持ちは潔白なものがあって、基本的には、そこまで大変崩れているわけではない、すべてが悪いわけではないという意味で評価する点はたくさんある、こう思っているわけであります。

 しかし、改革するなら、そういうものが国民の皆さんにもわかると同時に、公務員の皆さんにもすとんと胸に落ちる、そういう公務員像というものをやはり提示する必要があるのではないかということをすごく感じているわけで、先日も申し上げましたが、国民にも理解され、公務員の皆さんからも納得していただけるような魅力ある改革、そして、それは基本法との絡みでなるんだろうと思いますから、基本法の公務員像というものをもう少しいろいろな形で提示していかないと、ここだけではなかなか理解というものが進まないのではないかということをもう一度確認させていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 やはり、公務員が高い気概を持ってやる気と情熱を発揮できる、そういう仕組みをつくることが大事であると考えます。このことは、同時に国民の信頼を回復するということにもつながっていくものと思います。

 残念ながら、今までの年功序列型人事や各省縄張り主義がさまざまな弊害をもたらし、国民の信頼も失ってきたということを考えれば、まさしく今回の改正案にあるような仕掛け、すなわち、能力・実績主義の導入、各省人事の一環として行われる天下りあっせんの根絶に取り組むことによって、岩盤のように横たわる、役所の課題を打破することができるものと考えます。

 公務員制度は今回で終わるわけでは全くありません。御指摘のように、二十一世紀の行政システムを支えるにふさわしい公務員像を実現するための、採用から退職に至るまでの人事制度全般についてのパッケージ改革が必要であります。そのための総合的、整合的な検討を進め、次期通常国会には、そうした基本方針を盛り込んだプログラム法案を提出させていただきたいと考えております。

田端委員 ぜひお願いしたいと思いますが、私は、基本的に公務員性悪説に立って考えてはいけないということは大事な点だろうと思いますので、その点を申し上げておきたいと思います。

 それで、パッケージとして考えて通常国会に出すというこの中には、専門スタッフ職の問題、公募制の問題、官民交流の抜本的な拡大、そして定年延長の問題があると思います。ここは非常に大事な点だと私は思っておりまして、さっき申し上げました公務員自身のライフサイクルをどうするかということは、現実にやはり人間だれしも年とともに考えることになるわけですから、そこを皆さんが安心できるような仕組みをしっかりと早い時点で提示していただくことが大事であり、そしてまた定年の問題も、今、早期退職勧奨ということになっていますが、これを早く是正しないとここのところはいけないんだろう、こう思います。

 したがって、まず六十歳まで、そこを五年で平均三歳引き上げるというお話で来ていると思いますが、これは今どうなっているか。もう早く決着をつけてすべきだ、こういうふうに思いますが、まずは六十歳まで、そこをきちっと担保するような仕組み。そして、その後の六十五歳までの、つまり年金とのつながりをどうするかということ、これはまた次のステップになろうかと思いますが、その六十歳までどうするか、そして六十五歳までの、ここが今度はまた大きな大問題になると思いますけれども、その点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 既に、民間においては再雇用や定年延長といった取り組みが行われているわけであります。公務員の世界においてもやはりこうした定年延長の検討は非常に重要だと考えております。

 いわゆる肩たたきでありますが、これはまさしく、年功序列人事慣行のもとで後輩に追い抜かれることをよしとしない、そういうカルチャーから生まれてきているのは紛れもない事実であります。今回、能力・実績主義を導入し、これが貫徹されるようになりますと、後輩に追い抜かれる人は当然出てくるでありましょうし、また、いわゆるラインではないけれども専門スタッフ職として働く道も同時につくるわけでありますから、そういうところで公務を引き続き行っていくということも可能になるわけでございます。

 いずれにいたしましても、そういった今回の改革に引き続く改革をさらに進めていくわけでございまして、総理のもとに、こういったことを総合的、整合的に検討する懇談会をつくる予定になっております。

田端委員 つまり、私の言いたいのは、公務員改革が、一時的な人気取りといいますか、あるいは政治的な駆け引きといいますか、そういうことに終わってしまうようなことであってはならない、国民のため、また公務員自身のための本質的な改革、そういったことの大義をしっかりと踏まえてぜひお願いしたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として林野庁次長石島一郎君及び厚生労働省職業安定局次長鳥生隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑を続行いたします。鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。

 久々というか、この委員会に出させていただくことができました。この機会に少しお時間をいただいて、日ごろ考えておりますこと等を御質問させていただきたいと思います。

 今まさに、国のありようも含めて、とりわけ国家公務員等の規範が国民に大変厳しくさらされておりますし、また、いろいろな形での不祥事というようなものが出ております。これはやはり戦後続けてきた体制が、ある意味では制度疲労を起こしておる、いろいろなところで矛盾が出てきておるということじゃないかなと思います。私はこの機会に、とりわけ私どもが党として出させていただきました独立行政法人の組織等に関する予備的調査、この結果、これだけ、これは一冊なんですけれども、この中から、少し私が常日ごろ考えていることも含めて御質問をしてまいりたい、このように思うわけでございます。

 まず、十七年十二月の二十四日に政府は行政改革の重要方針を閣議で決定されました。そして、昨年、行革推進法を制定されたわけでありますが、これによって、いわゆる独法の整理統合を含めて見直しをしていく、こういう作業が進められておるというふうに理解をいたしております。独法は、平成十三年に初めて誕生して七年を経過しておるわけですが、場合によっては、早い独法は五年の第一期を踏まえておるということであります。二期目に入っておる独法もあるということであります。

 ここで私は、一度この独法に関して整理をしてみたいと思うんですが、大臣、独法化のいわゆるメリット、そしてデメリット、この部分をぜひ一度お尋ねしてみたいというふうに思います。最初、まずここから入らせていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 独立行政法人問題を深く御研究されておられる鈴木先生には釈迦に説法でございますが、独法制度というのは、まず業務の効率性と質の向上を目指しております。第二に自律的な業務運営の確保、第三に業務の透明性の確保を目的として設立されます。中期的な目標管理と第三者による厳格な事後評価によって業務、組織を見直し、業務運営の効率性、適正性を担保するいわゆるPDCAサイクルがビルトインされているところが特徴であります。

 このような制度を導入し、八万三千人に相当する規模の業務を国から切り出し、独法化することによって、行政組織の大幅なスリム化を達成いたしました。三十九の特殊法人等の独法化によって、責任の所在が不明確といった問題のあった特殊法人の改革もあわせて実現をいたしました。

 また、独法運営としても、第一に特殊法人等から移行した独法の役員数が削減されております。運営コストの大幅な削減、財政支出の縮小などの業務の効率性の向上も図られております。第二に、法人の長の裁量による効果的な運営や自己収入の増大などの自律的な業務運営の確保が行われます。第三に、財務諸表の公表、企業会計原則の適用などの業務運営の透明性の確保が図られます。

 こうしたことを実現したほか、平成十五年度以降の中期目標終了時の見直しによって、法人の統廃合による十四法人の削減を見ました。一万四千人弱の役職員の非公務員化も行いました。百以上の事務事業の廃止縮小、重点化等の成果も上げたところであります。

 ただ、現状の独法を見ますと、廃止、民営化なども含め、より抜本的な改革を進めるべきという意見もございます。五月九日の経済財政諮問会議におきまして、民間議員から、ゼロベースで百一法人全部を対象に見直しを行っていただきたいとの要請が私に向けてございました。安倍総理からは、政府機能の見直しの第一弾にふさわしい本格的な改革をよろしくお願いしたいとの指示をいただいております。大変重い課題でありますが、全力を尽くしてやってまいりたいと考えます。

鈴木(克)委員 今御丁寧に御説明をいただいたわけでありますが、効率もよくなった、質も向上した、透明性も上がったということでありますし、大変そういう意味でスリムになった、こういうふうな評価をなさったわけでありますが、私は、もちろんそれをすべて否定するつもりはありません。しかし、その中でもまだまだ幾多の問題が包含されておる、このように思っております。

 とりわけ、独法化になったがゆえに、ある意味では国会と独法の接点というのは逆に非常に少なくなってしまった。それは自律をするんだからいいんだという御説明になるのかもしれませんけれども、しかし、国会がきちっとチェックをする機能を果たしていくというのは国民が期待をするところだと私は思っております。

 今申し上げた独立行政法人の通則法を見ると、第六十条に特定独法の職員の数を国会に報告する義務を定めた、実は国会との接点はこれだけなんですね。これで本当に内容がきちっとチェックできるのかどうかということであります。しかし、そういうふうに申し上げると恐らく、大臣の答弁をとってしまってはいけないわけですけれども、評価委員会の報告書を出しておりますよとか、それから独立行政法人総覧を出していますとか、いろいろとおっしゃるというふうに思うんですね。

 ところが、実際にそれを見ていきますと、百一ある法人、今おっしゃいましたよね、その中で、財政法第二十八条による参考書類の中には、百一ある法人の中で四十四載っておるだけなんですよね。私は、これは全くそういう意味でオープンになっておるというふうではないと思っております。

 とりわけ、四十四の独立法人しか掲載がされていないということと同時に、いわゆる国の財政、予算と密接な関係にある独法の審議は、予算時にやっていくのが一番タイムリーだというふうに思っておるんですが、これが結局決算しか載っていないわけですよね。だから、ある意味では国の関与をなるべくさせないというような流れになっておるというふうに私は思うわけでありますが、この点について、第二十八条による参考書類においてきちっと掲載をして、国会審議の便に供するべきだというふうに思うわけであります。

 このことについて、官房長官、内閣全体の話でありますので、官房長官はどのようにお考えになっておるのか。そして渡辺大臣は、独法の改革をしっかりやっていけと安倍さんから言われておるということでありますから、その辺をどんなふうにお考えになっておるのか。御答弁をいただきたいというふうに思います。

田中副大臣 鈴木委員の御質問に、まず財務省として答弁をさせていただきたいと思っております。

 もう御存じのとおりなんでございますけれども、国会における予算審議の参考とするため、財政法第二十八条第七号に基づいて、国が出資している主要な法人の決算及び予定財務諸表を予算の参考資料として国会に提出している。国が出資している主要な法人の範囲については、法令上、具体的な基準が定められていないけれども、予算を通じて行われる国の出資状況から、昭和四十八年三月一日の衆議院予算委員会理事懇談会で具体的な基準が申し合わされておりまして、政府としては、それに沿って登載し、国会に提出をしておるところでございます。

 具体的には、独立行政法人については、十三年四月に国の機関から独立行政法人に移行したもの、先行独法でございます。続いて、二として、特殊法人から独立行政法人に移行した法人、移行独法に大別されるが、このうち、先行独法については、国から土地建物などの財産が移管されておりまして、現金出資が原則行われていないため、衆議院の予算委員会理事懇の申し合わせの国が出資している主要な法人の基準に該当しない、こういうことから掲載をしておりません。また、移行独法のうちの、特殊法人の際に二十八条参考書類に掲載されていた独法については、その重要性にかんがみ、引き続き二十八条参考書類に掲載をいたしておるものでございます。

 なお、運営費交付金の交付を受けている独立行政法人については、各省庁が作成する予算の各目明細書において、当該年度の年度計画見積もりを掲載しておるところでございます。

 いずれにしましても、独立行政法人等の財務状況について透明性を高めることは大変重要なことでありますし、今後とも適切な情報開示に努めてまいりたい、このように思っております。

渡辺国務大臣 予算については、今財務副大臣の答弁のとおりでございます。

 私の方からは、独立行政法人という形態をとりましたときに、予算もさることながら、決算も非常に大事ではないかと思うんですね。そこで、各独法の決算ベースの財務諸表については、企業会計原則に準拠した独法会計基準を既につくってございます。これに基づいて連結ベースも含めて作成し、公表しておるところであります。

 独法の財務状況について一覧性を有する形で把握ができ、相互に比較可能となったら、なお一層これは独法の見直しには資するわけでございまして、そういった透明性を高めることについて今後検討してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 先ほど副大臣がおっしゃいましたよね。私もこれを持ってきました。財政法第二十八条七号の国が出資する主要な法人の基準についてということで持ってまいりましたが、まさにおっしゃったとおり、四十八年なんですよ、これ。しかも、予算の理事懇での申し合わせなんですね。これをいつまでも後生大事に、これが根拠ですよと言うというのは、私は、もう本当に時代はどんどん変わっていっておるわけですよ。もちろん、このときの決定を軽んずるわけでも何でもありません。しかし、世の中はどんどん変わっていっておるのに、いつまでこれを続けるんですか。昭和四十八年の要するに申し合わせによりということを何年、いつまでこんなことを答弁されるのか。

 私は、やはりこれは現実に合わせて見直していくべきだというふうに思うんです。官房長官、いかがですか。四十八年の予算の理事懇の申し合わせ事項が後生大事に今根拠になっておるというのは、これはやはり私は見直していただく必要があるというふうに思うんですが、どんなものでしょうか。

塩崎国務大臣 先生今御指摘された昭和四十八年というと、まだ独法がないころでございます。

 御案内のように、独法は、橋本行革の中で、特殊法人などの見直しをやる中で、私も自民党の行革推進本部の事務局長をやっておりましたが、イギリスのネクスト・ステップ・エージェンシーというのを一つの参考に切り分けをしていったらどうだろうかという中で、透明性を含めた国の機関あるいは関連機関としてのあり方を検討し、制度化をしていったものでございます。

 今回、今ある独法制度を含めて、五月九日の経済財政諮問会議で、総理から、百一の独法についてゼロベースでもう一回見直せ、こういうことであります。したがって、これから渡辺大臣のもとで、菅総務大臣も協力しながら、この百一の独法については検討を加えていくということでございますし、今先生が御指摘になっている財務状況、この財務状況についても、今後どういうふうなディスクロージャーがなされるべきなのかということは当然議論をされることになってくると思いますので、国権の最高機関たる国会の中で決められた定めに従って今までやってきているわけでありますが、そういった御指示については、やはり立法府として御指示をいただけるものだというふうに思いますけれども、政府は政府でこの独法の見直し、財務状況のディスクロージャーのあり方も含めて、渡辺大臣のもとでしっかりと見直しをしてまいりたい、このように思っております。

鈴木(克)委員 ありがとうございました。

 ぜひ私は、やはりこの際、この根拠をきちっと見直していくべきだ、このことを強く主張させていただきたいと思います。

 さて、三番目でありますが、冒頭、予備的調査に基づいていろいろと御質問させていただきたいということを申し上げました。私は所属しているのは財金なものですから、財務省が所管する独法を詳しく精査をさせていただいたわけでありますが、言うまでもありませんが、酒類総合研究所、そして造幣局、国立印刷局、通関情報処理センター、日本万国博覧会記念機構、この五つが財務省に所属しておる独法ということであります。

 このうち、酒類総合研究所は、先ほどもお話がありましたが、先行独法ということで、平成十三年の四月から発足をして今日まで来た。したがって、五年間の第一期を終えて、中期目標を終えて、今、二期目といいますかに入っておるというのは御案内のとおりであります。造幣局以下四つの独法は、十九年度でいわゆる中期目標を終えるということであります。

 そこで、お伺いをしていきたいんですが、予備的調査が行われました資料を拝見しまして、それぞれの五つの独法がやっておる一般競争入札の落札率を見ますと、いずれも一〇〇%というふうにあるんですね。この一般競争入札で一〇〇%の落札というのは、一体全体どういうことなんだろうか。これは私はちょっと理解できないということで、詳しく出していただきました。

 そうしましたら、酒類総合研究所は、例えば十八年なんですけれども、あるガス、水道の取りかえ工事で四千九百十万、もう一つの照明の工事で四百十七万九千円。これ、千円単位までというか、円単位までぴたっと合って落札率一〇〇%になるというのは、これはどういうことなんですかね。これは、だれかが値段を出して、おい、これだからこれでやれよと言っておる以外考えられないんですけれども。論理的な説明がもしどなたかできたら、ぜひ私、納得させていただきたいんですよ。

 造幣局でも、例えば厚生施設の工事で千四百九十九万一千円、ぴたっと一〇〇%ですよ。これはどういうマジックなんですかね。私は、ぜひ一遍、副大臣か政務官かわかりませんけれども、納得のいく説明をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

小手川政府参考人 まさに今先生がおっしゃった点につきまして、私どもも先方にいろいろと聞いたんですが、具体的な回答は残念ながらございませんが、私どもの方で内容を考えますに、代表的なものとしては二つ考えられると思っております。

 一つは、これは特に印刷局について言えるんですが、いわゆる偽造防止等のために非常に特定の材料とか技術を使うものがございまして、これは当然ながら、そのような技術を持っている業者から年度内でも何度か注文することがございます。そうすると、当然、同じもので、しかも何度もということでそういうふうになってしまうというのが一つの代表例ではないか。

 それからもう一つは、いわゆる市販されている物品につきまして、恐らく独法の方で市販商品についてのカタログを参考にしまして、それで内々に上限価格を定めておる。そうしますと、当然そのような価格は一般に知れ渡っていますので、結果的に、入札した結果がそういうふうになるというのが一つの代表例ではないかというふうに考えております。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

鈴木(克)委員 全く説明になっていませんね。

 工事の名前と内容を私は言ってもいいですよ。今は確かにそうおっしゃいました。そういうケースもそれはあるでしょう。だけれども、私が今申し上げておるのは、酒類総合研究所は、ガス及び水道計量装置の取りかえ工事ですよ。もう一つは照明制御装置の更新工事ですよ。これが一〇〇パーなんですよ。もう一つ言いましょう。造幣局は、厚生施設新築工事ですよ。これが一〇〇パーなんですよ。全然説明になっていないですよ。

 委員長、これはおかしいですよ。全然違うんだから、私のお尋ねしておることと。いかがですか。

田中副大臣 委員が御指摘のとおり、私もちょっと調べてみまして、実は、平成十七年度で、酒類総合研究所で十件中二件、造幣局で百七十四件中二件、国立印刷局で四百七十二件の中で二十九件、通関情報処理センターで二十三件の中で一件、日本万国博覧会記念機構の中で六十七件のうち四件、そういう一〇〇%のものがあります。

 私も、確かに、繰り返して入札するもので価格に変化がないとか、そういうことで前のものを参考にしてというか、そういうことはある可能性もあるわけでございますが、一〇〇%というのはなかなか大変な数字でございまして、九九・何%とまた意味が違うわけでございまして、私も本当のことを言って、内心、よくぞこんなことができるものだ、このようにも思うわけでございます。

 これは御指摘の点を十分踏まえて、厳正に公正に入札等が行われるように私どもも厳しく対応をしていかなきゃいけない、指導もしていかなきゃいけない、このように思っております。

鈴木(克)委員 一般競争入札というのは、私は、我々が考えておるのと、そういう特殊な皆さん方のお考えになっておるものと、正直言って言葉が二つあるのかな、意味が二つあるのかなというふうに思ったんですよ。どう考えても、一〇〇%というのはさっきも言ったように一円も違わないということですから、これは本当に考えられない。それは何百件中何件かということじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、私は、これは定義の問題だと思うんですよ。一般競争入札とは何だということだと思うんですよ。

 副大臣、あなたもおかしいと思ったとおっしゃるけれども、それはおかしいだけじゃ済まないですよ。国民の目から見れば、一体全体何をやっているんだと。

 これはどうですか、委員長。一般競争入札で、工事で一円も違わない。落札率一〇〇%ですよ。これで全く問題ありませんと。それで、御担当の方も、ちょっと納得いきませんね、理解できませんねと。私は、これでこの場を進めていくというわけにはいかないんですよ。いかがでしょうか。

田中副大臣 確かに全体の入札件数に比べてのパーセンテージというのは幾らかあるのでございますけれども、それの数字が大きいか少ないかは別にしても、確かに委員がおっしゃるように、一〇〇%で落としたというのは、物によっては、精査してみると妥当性のあるものもあるのかもしれないけれども、国民の目から見たときに、これは大変不可思議な話でございますし、当然、私の立場からも、先ほど御答弁をしたように、やはりきちっともう一度十分確認をしながら、こんなことが起きてはならないこともあるのかもしれませんから、私も正確に把握して、厳正に行われるように今後とも指導してまいりたい、このように思います。

鈴木(克)委員 委員長、私はぜひお願いをしたいんですが、もう一度、委員会できちっとこの案件について、本当になぜ、どういう状況の中でこういうことになったのかということをやはりきちっとデータとして出していただきたい、こういうふうに思いますが、委員長、いかがですか。

戸井田委員長代理 理事会で協議します。

鈴木(克)委員 では、ぜひそういうことで、私は、国民が納得する回答を出していただきたいということを委員長初め皆さん方にお願い申し上げておきたいと思います。

 さて次でありますが、せっかく官房長官がお見えなものですから、今の一〇〇%の問題を含めて、また、ちょっと話は違うんですが、緑資源機構の官製談合が今大きく言われていますね。そういう中で、財務省の五つの独法のすべてで、先ほどから私が言っているように最高落札率一〇〇%が存在しておる。これは緑資源と無理やりひっつけるとちょっと御無礼かもしれませんが、私は、今聞いておられて、官房長官としてどんなふうにお感じになったか、ぜひ感想を聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。緑資源も含めて、そして今の落札率一〇〇%という現象をどのようにお考えになるか。

塩崎国務大臣 今の一〇〇%落札の問題でありますが、今田中副大臣から御説明申し上げたように、田中副大臣自身も、いまいちどうかね、こういうお話もあったようでありますから、これはもう厳正に対処するということなので、厳正に対処していただくしかないんだろうなというふうに思うわけであります。

 緑資源の問題については、この一〇〇%落札とは趣の少し違う問題であって、むしろ今焦点が当たっているのは官製談合の問題であり、そしてまた、公務員の天下りが、その先の、談合を行っている方にいたということが今大変問題になっている。これが事実だとすれば言語道断であり、また、こういうそしりを受けること自体も言語道断と言わざるを得ないということでありますから、農水省において今第三者委員会をつくって検討を始めていますけれども、まさに組織の存続を問われているような、そういう重大な問題が起きていると私は思っています。

 したがって、松岡大臣においてこの第三者委員会を指名したわけでありますから、ここで徹底的にやはり問題点の洗い出しをしてもらって、今後どうするのかということを含めてやっていくというか、組織のあり方自体も見直していかなければならないし、まさに今ここで御審議をいただいている公務員の天下り、独法の場合には、現職出向で役員が林野庁から出ているはずでありますから、そういう関係をしている独法がこういう問題を起こしていることをどう考えるのかということを、やはり我々は徹底的に見ていかなければいけないんじゃないかと思っております。

鈴木(克)委員 ありがとうございました。

 私も、もうちょっと具体的にお話をしていくわけであります。

 渡辺大臣が最初、効率は上がった、質も向上した、透明性も上がった、こうおっしゃるものですから、ちょっとへそが曲がっているもので、そうじゃないですよというようなことをちくちくと順番に出させていただこうというふうに思っておるんです。

 通関情報処理センターが五つの中にあるわけですけれども、平成十七年九月に株式会社日本通運、これは名前を出しても資料に載っておったあれですからいいと思うんですが、財務省出身者が再就職をされておるということでありますが、まず、これは間違いないかどうか確認をしたいと思います。

田中副大臣 非公務員型の独立行政法人の通関情報処理センターによれば、同センターの理事の職にあった者が、平成十七年六月に同センターを退職し、同年九月に日本通運株式会社へ再就職をしているということでございまして、事実でございます。

鈴木(克)委員 私は、このことをとやかくということではなくて、問題は今からなんです。

 結局、十七年の九月に日本通運に再就職をされました。そうすると、翌十八年度に通関情報処理センターと株式会社日本通運との間で運送契約、これは随契なんですけれども、一千四十四万円が結ばれておるんですね。

 これは、いや偶然そうなんですね、十七年九月に行って、十八年にちょうど、日通さんが一生懸命おやりになったんですね、こういうことなのかというふうに、思えば思えないこともないかもしれません。しかし、私はそうは思わないんですよね。だれが考えても、前の年に天下ってというか就職をして、翌年、新たにその仕事がぽっと出るというのは、明らかに疑問に思われても仕方がない、こういうふうに私は思うんですが、この辺について経緯を御説明いただきたいと思います。

田中副大臣 鈴木委員、これは随契ではなくて、百万円を超える役務契約先の選定でございまして、一般競争入札ということでございます。

 御指摘の契約については、通関情報処理センターと同センター事務所間における統計資料の運送等の契約でありまして、平成十八年の三月に一般競争入札によって当該企業が落札をいたしております。

 内容についても、ちょっと今メモを見ますと、お話の視点もあわせていいますと、十八年の三月に一般競争入札を実施した結果、たまたま日本通運株式会社が落札をして、御指摘の再就職と運送契約の間には、私も確認をしましたけれども、何ら関係がない、このように説明をしておりました。

 落札率は九二%。一〇〇%ではございません、九二%でございますけれども、そういう状況にございます。

鈴木(克)委員 随契と申し上げて大変申しわけありません。私の間違いで、訂正をさせていただきます。

 いずれにしても、努力をなさったということでしょう。しかも、九二%であったということですから、妥当なんだ、こうおっしゃるかもしれません。しかし、何か、ちょうどそういう表を見ると、こちらから行かれた、行かれたらすぐ新たに受注をされた、こういう現象を見ると、その裏に何かあるのではないかなというふうに、私を含めて考える者がおっても仕方がないことではないのかな、このように思うわけであります。

 いずれにしても、このことにつきましてはわかりました。

 さて、それでは少し続けてやらせていただきます。

 国立印刷局の仕事を出しておる先に株式会社朝陽会というのがございます。これは、一覧表で資料を拝見いたしておるわけでありますが、その朝陽会に国立印刷局から再就職をした人がいるかどうか、まず、とりあえずお尋ねしたいと思います。

田中副大臣 国家公務員法等に基づいて、財務省及び公務員型の独立行政法人である国立印刷局職員は、離職後二年以内に、離職前五年間に在職していた国の機関、特定独立行政法人と密接な関係を有する営利企業に再就職する場合には、人事院の承認を得ることとされております。

 財務省及び国立印刷局において、それぞれの行政文書の保存期間である三年、平成十六年以降ということになります、及び五年、平成十四年以降でございますが、この範囲内で、この営利企業への再就職承認の手続に関する行政文書を精査いたしましたけれども、株式会社朝陽会に再就職した者は確認できておりません。

鈴木(克)委員 ところが、どういうことなんでしょうか、これはこの中に、お手元に資料がないのであれかもしれませんけれども、四百十九ページに実は朝陽会というのがずっと載っておるわけです。ここにアルファというマークが入っているんですね。各法人及び移行前の組織からの再就職者が在籍する法人である場合はアルファ、こういうふうに実は記載をされておるわけであります。

 したがって、今のお話で、もしそれがそういうことだとなると、例えばこのアルファのマークが間違っておるのか、それとも私のこの資料の読み方が違っておるのか、調査局長がこれは何か間違った記載をされたのか。その辺をちょっとただしたいんです。

田中副大臣 今申し上げたとおり、営利企業への再就職承認の手続を経て、株式会社朝陽会に再就職した者は確認できておりませんでして、国立印刷局を退職して民間人となった者の再就職の状況であります。そして、基本的には財務省は、その状況を関知し、これを把握する立場にはないわけでございます。

 ただし、国立印刷局に確認をいたしましたところ、平成十五年の公益法人改革時において、財団法人印刷朝陽会の業務の見直しを行い、非公益事業について、平成十五年七月に当該財団法人から現在の株式会社朝陽会に事業と職員を移譲した際に、当該職員の中に元印刷局職員が含まれていたことから、再就職者がいる旨回答したもの、このように伺っておるところでございます。

 以上でございます。

大西調査局長 調査局といたしましては、予備的調査に係る報告書の内容となる調査協力要請につきましては、行ったところの官公署から、調査データにつきまして、それがありました場合は、誤字脱字等の確認の修正あるいはレイアウトの修正等の形式的な修正のみを行っておりまして、出されたものをそのまま掲載しているところでございます。

鈴木(克)委員 わかりました。調査局が間違ったとか、調査局がつくった資料が違っておったということではないということは確認できましたので、では、局長さん、後は結構です。

 それで、私がちょっと気になるのは、この財団法人朝陽会、株式会社朝陽会、この辺のところの使い分けが何かいまいち釈然としないわけでして、私も同じような形で資料を請求したんですが、結果的には私のところへそれが来なかったということでありまして、このことにつきましては、今副大臣がおっしゃった資料、あれをもう一度私自身入手して、よく確認をしてみたいというふうに思っております。

 では、もう少し先に進めさせていただきます。

 この株式会社朝陽会に対して、十七年度中に随意契約で封筒詰め等作業四億八千万というのが実は載っておるわけであります。この表に載っていますね。この作業内容と、なぜ随意契約をしなきゃならなかったのかというところを御説明いただきたいと思います。

田中副大臣 この契約については、国立印刷局に確認をいたしましたところ、平成十七年の四月に株式会社朝陽会と締結した十六件の契約をまとめて表記したものであります。

 例示として記載されている封筒詰めの作業については、国立印刷局の発注先、代金の請求先に対する納入告知書の封筒詰めの作業でございまして、顧客情報、請求内容の秘密保持等の観点から、実績があり、信頼のおける同社と随意契約を行い、支払い額は約百三十万円であったと伺っております。

 また、このほかの四億八千万円の随意契約については、そのほとんどである四億三千万の契約は、年間を通じての官報資料版の編集作業でございまして、当該作業は決められた体裁に短期間で正確に編集する熟練技術が必要でありまして、こうした技術を持つ同社と随意契約を行った、このように聞いております。

 現在、国における公共調達の適正化を踏まえ、独立行政法人においても、総務省の要請によりまして、一般競争入札の導入、範囲拡大や契約の見直しを行うこととされておりまして、財務省としても、この趣旨を踏まえ、国立印刷局に対しても随意契約の見直しについて適切に指導してまいりたい、このように思っております。

鈴木(克)委員 随契の理由をお伺いすれば、今御答弁があったような形になると思います。私も小さな町の市長をしていまして、随契を出すときには、議会に言われると、大体今御答弁をいただいたようなそういうことを申し上げてきたような経緯もございます、余分な話でありますけれども。

 しかし、本当に随契の中身であるのかどうかということは、やはり常にきちっとチェックをされていかなきゃならないというふうに思います。そういう目線で、今最後におっしゃいましたけれども、やはり関係諸機関が随契を出すときには、相当慎重に、公平であり、公正であり、そして問題がないということを本当に確認してやられるように、ぜひ御指導をしていっていただきたいなというふうに思います。

 官房長官、お忙しいところ来ていただいていますが、今私が申し上げました情報処理センターと国立印刷局の問題があったわけですが、何か再就職をした後に支出が出る、それから五億に近い随契が出るというふうな話を聞いておられて、国民はやはり、何かあるんじゃないのかなというふうに普通は思ってしまうと思うんですよ。こういうことをきちっと、もっとオープンにしていくような、そういう政府になっていかなきゃならないというふうに私は思うんです。その辺を踏まえて、何か御感想というか御所見があれば聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これは昨年、防衛施設庁で天下りと事後の発注のフォーミュラみたいなものが出てきて、愕然とするような話でございました。

 ですから、これは公共調達と人事政策が一体化している、こういう問題としかとりようがないわけでありますから、今回の公務員制度改革で法律の審議をお願いしておりますけれども、まさにそういったことが起きないように、公益法人等を含めて、独法を含めて各省が直接的に再就職のあっせんをすることはまかりならない、こういう仕組みを考え、新しくつくられる、現在いう人材バンク、官民の人材交流センターというところにまとめて、透明性を持ってやっていこうということになっているわけでございます。

 今お話しの件は、独法からさらに民間企業に移った後の発注ということでございますので、先ほど申し上げた防衛施設庁とは少し違うわけでございますけれども、少なくとも、もともとの親元の役所との間であっせんなどというものがあれば、これはもう明らかに一たん民間に行った者といえどもあっせんは許されないという法律にしているわけでございますので、今起きている問題の多くに今回の法律改正によって対応ができていくんではないか、このように我々としても考えているところでございます。

鈴木(克)委員 では、次に参ります。

 酒類総合研究所についてお伺いをしたいんですが、総務副大臣もお見えですので、少し質問のペースを上げて、何とか御答弁いただくところまで行きたいというふうに思っています。

 この酒類総合研究所は、財務省が所管する独法の中で唯一、国から運営費交付金が渡し切り費という形で渡されておるというところでございます。これが、結論から申し上げると、毎年渡されておるお金の最後に、五年間で締めて納付がありましたよね。五年間の運営費交付金は総額幾らだったか、そして納付金額は幾らだったか、納付率は幾らだったか、これをまずお伺いしたいと思います。

田中副大臣 お答えをいたします。

 酒類総合研究所が平成十三年度から十七年度までの五年間に交付を受けた運営費交付金の総額は約六十三億四千万円でございます。また、平成十八年度の国庫納付額は約六億八千万円でございまして、これの第一期中期目標期間の運営費交付金の総額に対する割合は一〇・八%でございます。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 スピードアップをしますが、私は、やはりこの一〇・八%といういわゆる納付率はちょっと高いというふうに思うんですが、なぜこれだけ高い納付率になったのか。私は、ほかのいろいろな、例えば物質・材料研究機構や国立美術館、情報通信研究機構、農業食品産業機構等、渡し切りの予算が行っておるところをずっと調べてみまして、平均のいわゆる戻し率を調べますと、納付率は一・五%から多くても五%ぐらいなんですね。それなのに、なぜこの酒類研究所が一〇%を超える納付率になっておるのかということで、何かそこに意味があるのか、なぜこんな状況になっておるのか、御答弁いただきたいと思います。

田中副大臣 これも私も確認をさせていただきましたけれども、終了時の国庫納付金の額が六億八千二百六十五万円になっております。これは、独立行政法人移行時に国から出資を受けた課税資産に関連して還付を受けた消費税分が約二億八千万あったということですね。それから、退職者が見込みを下回ったことによる人件費の節減分が約二億三千万ございます。それからもう一つ、一般管理費や、研究等事務費についての効率化に努力をしたことによるものが約一億四千万ございまして、これらについて独法の通則法等に基づいて国庫に納付をしたということでございます。全部ではありませんけれども、前段の二つはこの独法への移行時のやはり特殊なものである、このようにも私はちょっと思ったのでございます。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 なぜこんなことを質問するかというのは十分おわかりだと思うんですが、国の財政が非常に厳しい厳しいと一方で言いながら、無駄とは言いませんけれども、そういうふうな形で後で戻すからいいじゃないかというものの、やはりその間、税が無駄に使われておるということになるわけですから、そういう意味で、私はやはり厳しくチェックをしていっていただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、利益剰余金のことを聞いておきたいというふうに思うんですが、造幣局、そして国立印刷局など独法を所管しておる以外に、ごめんなさい、それは自前で運営をしておるわけですが、利益が出ていますよね。五年たつと、中期目標が済むと精算をする、精算をするという言い方が合っているかどうかわかりませんが、だけれども、その前に、相当膨大な金額を持っているところがあるというふうに思うんです。その辺の状況をお示しいただけませんか。

田中副大臣 御指摘のとおり、造幣局及び国立印刷局は、平成十五年四月の独法化によって、運営費の交付金等の受領を前提としない独立採算を基本として業務運営を行っておりまして、両法人の利益については、今後の設備等の維持管理、更新、損失を含め、将来のリスク対応などの業務運営上の観点から積立金を積み上げております。

 造幣局及び国立印刷局の第一期中期目標期間は平成十五年度から十九年度まででございまして、十八年度については現在決算の整理中でございますけれども、現時点における積立金の状況は、平成十七年度決算において、造幣局が九十二億円、国立印刷局は百九十五億円、こういうことで計上されております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、国立印刷局は十五年度から始まって三年間で約二百億の積立金が存在しておる。もちろん、十八年、十九年が今後どんなふうになってくるのかわかりませんが、しかし、少なくとも二百億というお金は膨大な金額でございます。私は、やはり五年間を待たずに中間的に、暫定国庫納付というようなことを考えてもいいんじゃないのかなというふうに思うんです。

 今、この財務省関係の五独法を言っておるわけでありますけれども、これ以外にもずっとやっていけば、かなり大きな金額が出てくるんではないのかな。だから、かたくなに五年間の中間見直しを待つということではなくて、もう少し柔軟にお金の使い方というものを考えていったらどうだ、このように思うんです。このことは渡辺大臣と総務副大臣、両方から御答弁をいただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 独法については、一定の目標に従って業務の運営に自律性、自発性を発揮していただいているわけであります。一定の期間、具体的には三年以上五年以下の中期的な目標を設定した上で、業務実績を第三者により厳格に事後評価しております。財務関係についても、中期目標期間を一つの区切りとしております。運営交付金の精算についても中期目標の単位で行うことにしており、次期中期目標期間への繰り越しを認められた額を除き、残余額を国庫に納付させております。

 したがって、中期目標の途中に国庫納付を求めることは、独法の自律性、自発性確保の観点から、慎重に検討すべき問題かと思います。

大野副大臣 独立行政法人につきましては、一定の目標に従って業務運営の自律性や自発性を発揮するという観点が強うございます。一定の期間、具体的には三年以上五年以下の中期的な目標を設定した上で、業務実績を第三者によって厳格に事後評価されるということになっております。財務関係につきましても、中期目標期間を一つの区切りとしているところでございまして、渡辺大臣の御答弁にもございました。このため、運営費交付金の精算につきましても中期目標期間の単位で行うこととしておりまして、次期の中期目標期間への繰り越しを認められた額を除き、その残余額を国庫に納付させることとしているものでもございます。

 中期目標期間の途中に国庫納付を求めるということでありますけれども、独立行政法人における自律的かつ自発的な業務運営の発揮を確保する、このような観点から、慎重に検討すべき問題ではないかと考えております。

鈴木(克)委員 このことを少し議論したいんですが、あと時間も限られておりますので、少し先に進めさせていただきます。

 印刷局に病院がありますね。このことをちょっとお尋ねしたいんですが、平成十五年、十六年、十七年の三年間で、東京にある印刷局病院、小田原にある病院がいずれも十一億から十二億の赤字を出しているんですね。この状態をどのように改善していくのか、そして何か抜本策があればお示しをいただきたいというふうに思います。

田中副大臣 御指摘のとおり、両病院ともに赤字が生じております。その主な理由は、大学病院からの派遣医師の後補充ができず、入院患者等を制限せざるを得なくなったというようなこともございまして、外来患者の減少もございまして、そのようになったんだろう、こう思っておるところでございます。

 今後の改善方策としては、国立印刷局において、小田原健康管理センターと今言っております、十六年の四月に小田原病院からそういうふうな形にしたわけでございますが、今後収支の改善が見込めないことから、また、民間経営の公募もいたしましたけれども、公募に応じていただくところがなかったものですから、十九年度末で廃止をする、こういうことになります。

 また、東京病院の方については、大学病院との連携強化や診療体制の見直しによりまして、十八年度から三年間で大幅な収支改善を図ることを目的としましたアクションプランに基づいて収支改善に努め、これにあわせて、引き続き病院のあり方等、抜本的な検討を進めていくこととしております。

 財務省としても、引き続き国立印刷局のこれらの取り組みに対して適切に指導してまいりたい、このように思っております。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 あっという間の一時間で、また機会をいただいてぜひ続きを議論したいというふうに思いますが、冒頭、渡辺大臣がおっしゃいましたが、本当にこの独法については、効率、質の向上、透明性、そしてスリム化等々、課題はたくさんあるんです。それを何としてもやっていくんだ、こういうことでございました。私はまだいろいろと御質問申し上げたいこと、本当にこれは氷山の一角であって、いろいろな視点から見ていけばまだまだ問題はたくさんあるというふうに思っています。

 そういう意味で、ぜひひとつきちっとした、まさに透明な、そして公平な組織に変えていただくべく最大限の努力をお願いしたい、このことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

戸井田委員長代理 次に、細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。

 先週の金曜日に引き続きまして、法案について審議をさせていただきたい、質問させていただきたいというふうに思っています。

 きょうは官房長官も来ていただいていますので、林副大臣には恐縮でございますが、官房長官及び大臣に御質問させていただいて、私がお願いしたときには政府委員の皆さんにも御答弁をいただくという形をとりたいと思いますので、委員長の方もよろしくお願いいたします。

 先週質問させていただいたときに民主党の方から幾つか資料の請求をさせていただきまして、質の問題はさておき、中身については後ほど議論しますが、作業は一週間でしていただいた、これはいろいろと作業としては大変だった部分もあると思いますので、そのことについては感謝を申し上げたいというふうに思います。

 せっかく出していただいた資料でありますし、非常に参考になる資料でもありますので、その一部をきょうまとめて配らせていただきました。

 まず一枚目。これは渡辺大臣にごらんいただきたいんですが、民主党の泉理事から質問させていただいたところでございますが、いわゆる公営ギャンブルというのがございまして、それからいろいろな補助金が出ています。もちろん、利用者に還元をするところもあるわけでありますが、公益にかかわるところについての補助金が出ているということでございます。

 上から、競輪、これは経済産業省ですね、競艇が国交省、オートレースが経産省、競馬が農水省、サッカーくじが文科省ということになるわけであります。公益に使っていただくのは、公的に認められているわけですからこれはよいわけでありますが、そういう補助金が出されている先に非常に多くの皆さんが天下りをされているということが、このグラフで言うところでございます。

 ちなみに、ここで調べていただいたのは、あくまで補助金を受け取っている上位三十団体に限定をされます。しかも役員に限定をされています。競輪については私もう少し調べたことがございまして、上位三十に限定せずにもう少し幅を広げれば、百数十人、百五十人以上の方が天下っているという結果も出ています。下のサッカーくじなどは、これができたのは最近ですから、できてからこれだけ文科省の方が天下っているというこれは数ですね。

 大臣、御所見を伺いたいんですが、これを我々は、長妻議員が名づけたんですが、いわゆる持参金つき天下りと。天下りに要するにギャンブルの補助金という持参金をつけて、こうやって皆さん天下っているんです。これは我々が調べて初めて数字が出てきているんだと思うんですが、政府としてどうお考えになるのか。これはおかしいと思うのであれば私は改めるべきだと思いますが、まず大臣に御所見をお伺いします。

渡辺国務大臣 この公営ギャンブル補助金交付先への天下りについて、私も深くは研究してまいりませんでしたので素人的な思いつきでございますが、確かに数は結構いますね。

 これらの法人への再就職については、今回の政府案でいきますと、各府省の再就職あっせんは全面的に禁止されます。したがって、これからこういったところに各省あっせんによって天下るというのは、人材交流センターへの一元化後は全面禁止でありますから、その点で、人事の一環としての天下りが根絶をされるということになろうかと思います。

 また、これらの法人に再就職をした職員OBでございますが、例えば、もっと補助金をよこせ、こういう口ききをやった場合には、これは厳しい行為規制の対象になります。不正なものに限らず、外形的な規制もかけております。また、行為規制違反については、何度も申し上げますように、外部監視機関による厳格な監視体制を受けることになります。

 したがって、これらの措置によりまして、いわゆるこのような従来型の天下りは根絶をされると考えます。

細野委員 口ききの話も出ましたが、現状においても、恐らく、そんな大臣がおっしゃるような露骨なことはやっていないと思いますよ。大体、補助金は毎年受けていますから。要するに、天下ったことをおもんぱかって、持参金を持って天下るわけですよ。それを受け入れている限り、きちっと毎年補助金を出しているというのがこの実態ですよね。

 大臣、ちなみに一つだけ申し上げると、競輪の問題で数年前に裏金が出てきたのを覚えていらっしゃいますか。競輪のお金を使って、補助金で裏金があって問題になったことがあるんです、もしかしたら忘れていらっしゃるかもしれませんが。そのときも、こういう補助金に天下りがついてきているのはおかしいんじゃないかと私が指摘をして、きちっとやりますと言っていたんですが、あけてみたら天下りはふえていました。そういうことが行われるんですね。

 せっかくそういう力強い御答弁をいただいたので、ではもう一つお伺いしますが、仮に、今政府がやっていらっしゃる天下りバンクがしっかり創設をされたら、この数は減りますか。

渡辺国務大臣 天下りバンクではございません。官民人材交流センターは天下り根絶センターであります。ここを通して再就職をする場合には、予算や権限を背景としない、純粋に、当該職員の能力と経験が正当に評価をされて再就職をするわけでございます。

 何度も申し上げますように、その人材センターのあっせん先、どこからどこまでやるかということについては、有識者懇談会で検討をしていただくことになっております。

細野委員 では我々は、通称天下りバンクとこれから呼びたいと思います。

 いいですか、大臣。予算と権限に基づいた天下りをやらないとおっしゃるわけですよね。これはまさに権限に基づいて天下りをしているのは、数から見ても明らかです。これを減らすことができるとここで断言できないんですか。そんなものなら、やめた方がいいですよ。

渡辺国務大臣 当然、天下りを根絶すると申し上げているわけであります。したがって、正当な再就職であれば話は別でございますが、従来型の天下りのようなものをこの人材交流センターが認めるというわけではございません。

細野委員 いや、ここで減らすと断言できない大臣のお立場というのは、相当苦しいんだろうなと。こんな露骨なのはないですよ。これを減らすとここで御答弁できないとは驚きました。

 この問題をいつまでやっても先に行きませんのでこれぐらいにして、わたりの問題についてお伺いをしたいと思います。

 わたりの調査は、平成十六年から十八年の三年間分についての調査結果が出て、これが十六件ということで、大変信じがたい数字だということで大分これはもう議論になっております。

 加えて、先週、私の方から、歴代の事務次官のわたりの状況、一九九〇年以降を出してくれということを申し上げましたら、先ほどから手元にばんばん入ってきまして、一時間ぐらい前からめくって見ております。ぎりぎりに出していただいたのは、ここに間に合わせていただいたのか、ぎりぎりにわざわざ出したのかわかりませんが、出てまいりました。見ますと、これは、各官房長に来ていただいているので後ほど質問をしますが、事務次官のあっせんの有無についてはわかりませんというのがほとんどです。これはちょっと後ほど各省庁に聞きます。

 では、このわたりの問題、まず大臣に確認をしたいんですが、先週も私は何度かこのやりとりをさせていただいていますし、それぞれの委員が何度も質問させていただいておりますが、出てきている十六件は氷山の一角であると。ただ、その一方で、今までなかったと言っていたものが出てきただけ進歩じゃないか、そんな趣旨の答弁をされています。

 まず、この認識は今になっても変わらないのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 今の御指摘は、あくまでも、件数についての私の個人的な感想を申し上げたものであります。確認できたものとして報告がなされたものが十六件という調査の結果であることには変わりはございません。

細野委員 私が聞いたのは、この十六件、わずかなものが出てきた、これでもうしようがないというふうにお考えになっているのかという、過去の答弁が認識としてお変わりないかどうかを聞いています。

渡辺国務大臣 あくまでも、個人的な感想を申し上げたところでございます。

細野委員 大臣、大臣が調査したんでしょう。行革事務局がやったというのは、大臣が指示してやったんでしょう。個人的な感想なんという答弁は、これはとんでもないですよ。撤回されるならすぐ撤回してくださいよ。そんなことはあり得ないでしょう。

渡辺国務大臣 十六件というのが、御指摘のように少ないという感想もあるでしょう。また、今までわたりあっせんということそのものを認めてこなかったという歴史からすると、十六件明らかに確認できたものがあったということもあわせて認めたわけでございます。これだけは、今まで認めていなかったものを認めたという大転換が行われたものと思います。

細野委員 この間と同じ答弁に戻りましたので、御認識は変わらないということが確認をできました。

 今度は官房長官にお伺いをしたいんです。

 官房長官、私も、余り威張れた勉強はしませんでしたが一応法学部を出ておりまして、要するに、法律をつくるときにまず何を考えるかというところからすると、どこの教科書を見ても、必ず立法事実を確認すると書いてあるんですね。

 要するに、一体どういうことが行われていて、それが処罰するに値するのかどうか。特に刑法犯に当たるようなケースというのは、まず事実があって、その事実がおかしいということであれば、それをやめるために法律をつくるわけですね。それで、その法律を適用する際には、当然事実があって、それを認定するかどうか、判決事実ということになるわけですが、判決としてそれは事実ですよということで認定をされれば、初めて立法事実と比較をして、これは可罰性がありますねということで裁判で有罪が出るというのが、これは当たり前の法律のイロハなんですね。

 伺いますが、わたりというのは、これは現状どう行われているものかというのは、処罰対象にするわけだから、立法事実そのものですよね。わたりは処罰対象にするんだから。全部禁止するんでしょう。

 では、先に大臣に聞きます。わたりそのものは、処罰対象にするんだから、これはこの法律における立法事実ですね。御答弁ください。

渡辺国務大臣 今回の政府案では、二回目、三回目以上のいわゆるわたりあっせんのみならず、一回目の天下りあっせんについても全面禁止をしているわけでございます。したがって、一回目が禁止されるわけでありますから、二回目、三回目の各省によるあっせんは禁止というのは当然ではないでしょうか。

細野委員 では確認をしますが、違反をすれば一回目のも処罰する、二回目も処罰するということは、一回目のも二回目のものも、これはあっせんという意味では立法事実そのものですね。

渡辺国務大臣 各省のあっせんそのものを禁止するということであります。

細野委員 確認できました。

 では官房長官、これは立法事実ですね。法務委員長までやられて、法律の専門家である官房長官として、いや、手を振っておられますが、それは御専門ですよ。この立法事実の重要性についてどう考えるのか。きっちりその事実確認をすべきというのは、これはもう当たり前の法律のイロハです。現状がどうあって、それを変えるために法律をつくるんですから。その立法事実が確定しないということは、それが具体的に適用されるときに、例えば、事実認定があって、その事実認定に基づいて裁判で具体的に裁判長が、ではこれは判決事実だと特定したときに、これを比較するのが法律のやり方ですよね。官房長官、どうですか。

塩崎国務大臣 先ほど来、渡辺大臣から申し上げているように、今回禁止するのはわたりではなくて、各省によるあっせんを禁止するということでありますから、立法事実ということであれば、あっせんというのがその立法事実になるわけですね。

細野委員 官房長官、いいですか、初めの一回目の天下りも処罰するけれども、わたり、これも処罰するわけですよね、二回目のものも。そうでしょう。では、もう一回答えてください。

塩崎国務大臣 何度も申し上げているように、あっせんをしてはいけないと言っているので、わたりをやってはいけないと言っているわけではないし、我々は公務員も同じ人間だと思っていますから、再就職はだれでもすることはあるわけですね。しなきゃおかしいわけだし、退職してそのままゆっくりできる余裕がある人は結構だとしても。

 それで、二度目とおっしゃっているのは、一たん民間に出た人が今度またどこかに行く際に出身元の役所があっせんをする、OBでもう民間人となった元公務員の人が再就職でどこかにまた渡るときに、それはあっせんはだめですよということを定めているのが今回の法律だということでございます。

細野委員 わかっていてそういう話をされているんだと思うんですが、私もそれはわかっています。わたりをあっせんする行為は立法事実ですねということを盛んに聞いているんです。当然、一回目の再就職、我々は天下りと呼びますが、これも立法事実、そして、わたりが行われてきて、それのあっせんをしているということも立法事実として、それに基づいて法律をつくっているんでしょう。官房長官、どうですか。

塩崎国務大臣 何度も申し上げますけれども、あっせんをした場合にはだめだということでありますから、そういう事実をもとに我々はやっているということであります。

細野委員 今、官房長官がおっしゃったとおり、そういう事実をもとにやっている事実がどうなんですか、把握できているんですかということを聞いているんです。把握できていますか、官房長官。

塩崎国務大臣 少なくとも、きょうお出ししたもので、十六件はわたりのあっせんをしている、こういうことですね。

細野委員 大臣が何度も少な過ぎると答弁をされているんですよ。把握できているんですか、官房長官。

塩崎国務大臣 いや、それは多い少ないの問題ではなくて、少なくともこういうものがあるということがちゃんとした事実として出てきているということが大事なんじゃないですか。

細野委員 いや、多い少ないがということではなくて、全く現状が把握できていないわけですよ。十六件なんということはあり得ないんだから。

 ここで法律論を水かけ論していても前に進みませんので、では、それぞれの省庁の官房長の方に来ていただいていますので、どういう調査をされたのかということについてちょっとお伺いをしたいと思います。

 資料が一気に出てきましたので全部見ることはできていませんが、特にまずお伺いしたいのは、厚生労働省。官房長、来られているでしょうか。

 歴代の事務次官の九〇年以降の天下り、そしてその後の再就職も含め、ずっとリストを出していただきましたが、厚生労働省は、今の厚生労働省も、その前の労働省も厚生省も含めて、すべてあっせんの有無は確認できなかったというふうに回答しています。足元の去年、おととしに再就職した人のものも確認できなかったというふうに答えています。そして、この十六件で出てきている調査も、これも厚生労働省はゼロ件となっています。これも恐らく確認できなかったということだと思いますが、官房長、これはどういう調査をしたんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、事務次官経験者について調査要請を受けまして、再就職先等につきまして行革事務局へ報告したところでございます。

 私どもの保有している記録、人事院の承認を必要とする営利法人に関する記録がございますが、そういう記録を調べたところ、その記録の中であっせんの有無については確認されなかったということでございます。

細野委員 一番足元では戸苅さんという方でしょうか、これは、事務次官をやられていた方が去年の九月の二十五日に退職をして、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に再就職されています、天下っておられますが、これは去年の九月ですよね。まだ一年たっていません。これのあっせんがあったかなかったか、どうやって確認したんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、人事院の承認を要する営利法人について、再就職する場合についての記録がございますので、その記録等を確認したところ、あっせんの有無について確認を記録上はできなかったということでございまして、確認できなかったということを御報告申し上げたところでございます。

細野委員 では、もう一点官房長に聞きますが、三年間に関して十六件と出ている中で厚生労働省はゼロですね。これは、ないということなのか、確認できなかったのか。確認できなかったということだというふうに私は思いますが、これも同じような調査をされたんですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 四月十三日の調査、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果というものも、これも先ほど申し上げました記録等を見て、結果、その記録にないということで、再就職のあっせんを通例として行っていることは確認できなかったということで御報告を申し上げたものでございます。

細野委員 調べる気がないんでしょうね、これだけ全部確認できなかったとおっしゃるんですから。

 では、もう一方で外務省にお伺いしたいと思います。

 これは前、私は外務委員会で一回質問しておりまして、そこで、これは確認できなかったということなのか、それともないということなのか、どっちですかというふうに聞きましたら、官房長はここにいらっしゃいますか、官房長の方からは、外務省についてはありませんという御答弁がありました。

 これは先日の委員会の質疑の中で、それこそ、調査で虚偽の回答をした場合には責任をとってもらう、そういう答弁が渡辺大臣からもありましたが、外務省としてないということなのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 四月十三日に公表されました調査結果でございますけれども、これにつきまして、我が方として二回目以降の再就職についてあっせんを行った事例が見当たらなかったということで、ないということでお答え申し上げております。当省として、把握している職員の就職先等についての事実関係をいろいろ確認作業をさせていただいたわけですけれども、その結果、確認できなかったということで報告させていただいたということでございます。

細野委員 官房長、今の答弁はおかしいですよ。前、私は委員会で聞いたときに、調査中でわからないということなのか、ゼロなのかと聞いたんです。外務省にはなかったと答弁したじゃないですか。あれはうそですか。

塩尻政府参考人 お答えいたします。

 調査報告には、ないということで報告が載っております。そのことをこの間、答弁申し上げましたけれども、先ほどお話ししましたように、我が方で持っている事実関係に関するもの、これを確認した結果、そういうものはなかったということで、そういう報告をさせていただいたということでございます。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

細野委員 ここでは外務省の官房長とやり合う気はありませんが、この間のは、もうグレーでいえば相当黒い虚偽答弁ですよ、私はそうやって聞いたんですから。調査中なのか、それともゼロと言い切れるのかと聞いたら、なかったと答弁したじゃないですか。これ自体とんでもないと思いますよ。まあ、ここはいいです。

 では確認をしますが、それぞれ各省庁から官房長に来ていただいていますので、これはどちらかで答弁してください。

 確認をしたところ、何件という今回出てきている調査結果だということなのか、この調査結果がすべてなのか、順番に御答弁をいただきたいと思います。資料で政府から出していただいたものを出していますので、上の会計検査院から委員長に指名をしていただいて、それぞれ、再度申し上げますが、確認をしたところ、今回出てきている調査結果なのか、今回出ている調査結果がすべてなのか、どちらかできちっと答弁をしてください。お願いします。

石野会計検査院当局者 会計検査院でございます。

 お示しの御報告いたしました資料につきましては、本院で把握している範囲での職員の再就職状況ということを確認いたしまして、本院では二回目以降の再就職のあっせんというのは通例行っておりません。そして、二回目以降の再就職のあっせんを行うかどうかということについては、確認されなかったというものでございます。

西川政府参考人 お答えいたします。防衛省でございます。

 当方では、平成二年以降の事務次官で辞職した者、八名ございましたが、これらの者の再就職について当省で把握している記録等の資料を見まして、そのあっせんを行ったというものは確認できなかった、こういうことでございます。

小林政府参考人 環境省でございます。

 御指摘のとおりでございますが、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査におきましては、国家公務員法に基づく承認手続なんかの手続を確認いたしましたけれども、あっせんによってそういった就職を行ったということではないというふうに私ども考えております。

竹歳政府参考人 国土交通省が保有しているデータで確認できた数字が三件だったということでございます。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 二回目以降の再就職のあっせんに関する当省の調査でございますけれども、当省として確認されたものについて件数をお答えしたものでございます。

井出政府参考人 農林水産省でございます。

 農林水産省の資料で確認できる範囲で調査した結果、二件という数字が出ております。

太田政府参考人 先ほどお答えしたとおりでございますけれども、私どもも、記録を確認したところ、再就職のあっせんを通例として行っていることは確認できなかったということでございます。

玉井政府参考人 文部科学省の出身職員の二回目以降の再就職についてでございますけれども、私ども、実態を確認できなかったという意味でお答えをしたわけでございます。

杉本政府参考人 お答えいたします。

 財務省でございますが、財務省といたしまして、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査の依頼を受けまして、職員の再就職状況を確認できる文書等を精査いたしまして、三名について確認できたものとしてお答えしたものでございます。

塩尻政府参考人 外務省として調査、確認いたした結果、そのようなあっせんの事例がなかったということでございます。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省におきまして、その保有している資料等を精査いたすなどの調査を行ったところ、二回目以降の再就職のあっせんを行った事実は把握されておりません。

荒木政府参考人 総務省でございます。

 総務省といたしまして調査したところ、そのような事実を資料によって確認できた事案が一件であったものでございます。

中江政府参考人 今回の調査におきまして、金融庁といたしまして、あっせんの有無を確認できる記録がなかったことから、あっせんが確認されたものはなかった旨の回答を行ったところでございます。

安藤政府参考人 警察庁の所有します既存の資料に基づき調査を行った結果、あっせんによる二回目以降の再就職につきましては確認することができなかったということでございます。

舟橋政府参考人 公正取引委員会といたしまして調査をいたしましたところ、二回目以降の再就職等のあっせんがあったということで確認できたのが二件ということでございます。

風岡政府参考人 宮内庁におきましては、すべて調査しました結果、ありませんでしたので、その旨御報告をさせていただきました。

山本政府参考人 お答えいたします。

 内閣府で、記録によって確認できたのは一件でございまして、その他につきましては、ありなし、わからなかったということでございます。

川村政府参考人 人事院でございます。

 二回目の再就職をあっせんしたものにつきまして調査いたしまして、確認しました二名につきまして御報告を申し上げたところでございます。

林政府参考人 内閣法制局からお答え申し上げます。

 再就職のあっせんに関する調査でございますけれども、当方の資料で確認できる範囲内で行革事務局に報告したものでございます。

 具体的には、二回目以降の再就職のあっせんは、内閣法制局においては確認できなかったところでございます。

細野委員 おおむねすべての省庁が、若干濁した省庁もありましたが、確認できた範囲でという話ですね。

 官房長官、確認できた範囲でということは、逆に、これはほかにもありますということですね、答弁としては。ほとんど書面のみでの調査ですから。実態は、もう本当に大臣が御答弁をされたのが象徴的でして、氷山の一角なんですよね。要するに、わたりはもう全部あっせんしてやってきたんだから、今まで。

 官房長官にこれはぜひお願いをしたいんですが、今回、事務次官のあっせんについて有無を調べていただきましたが、ほとんどわかりません、有無は不明。要するに、あっせんしたかどうかの調査が全部不明になっています。厚生労働省だけではありません。少なくとも、こういうわたりのあっせんそのものを処罰する法律をつくるのであれば、今話を聞いている全省庁やっているわけだから、現実的に全部調べようというのは無理でしょう、こういう調査自体がやはり無理があったんだと思います。せめて、事務次官のわたりをあっせんしてきたのかどうかということについては、有無の不明というのではなくて、きちっと全省庁挙げてこれを調べて、報告するのがこの法律を議論する大前提だと私は思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先生のお気持ちと我々の気持ちも余り変わらないような気がいたしますが、調査をしなければ法律がつくれないかというと、そんなことは必ずしもないわけであって、我々が思っていることを大臣も、渡辺大臣もかつて氷山の一角と言ったようでありますけれども、おっしゃるとおり、きょうの今議論している調査というのは、基本的に、書面でそういうものが残っていたものが確認できたものの件数を言っているということであります。

 しかし、我々は、立法をするに当たって、実態がどういうふうになっているのかというのを当然つぶさに、調べられるものは調べますし、大体、事実関係として有無を、我々としてこうだろうというふうに思っているところは先生方も思っているところであって、それを今回やめさせる。それも、罰則つきというのでは今までなかったわけでありますから、どういうことでこういうものをなくしていくのかという仕組み、知恵の一つとして、罰則、あるいは過料とかそういうものを含めた罰則、刑事罰ももちろんありますけれども、そういうものを導入しながら、こういうものを根絶していこうということであります。

 ただ一方で、もう一つ大事なことを忘れてはならないのは、では、何であっせんをしなければ就職ができないのか、あるいはあっせんをしていくのかということになると、これの方がむしろ我々としては大事だということで、能力・実績主義というのがあって、皆さんは再就職あっせんの問題ばかりを取り上げておりますけれども、我々は、二つの大きな柱はまさにリンクをしているもので、能力・実績主義にするところが、そもそも早期勧奨退職をやめることになり、言ってみれば民間の労働市場と官の労働市場との垣根をどうなくしていくのかということが大事なところであって、その間に、権限を持った公務員が再就職した際の不公正なことが起きないための仕組みとして、今回も行為規制プラス罰則、刑事罰を含めた厳しい罰則を設ける。

 こういう全体の体系であるということもぜひ御理解をいただいた上で、いろいろ御議論を賜るとありがたいなというふうに思うところであります。

細野委員 官房長官はずっと委員会に出られているわけでもないわけですから、我々も今までさんざんわたり以外の質疑もしてきていますから、余りそういういいかげんなことは言わないでいただきたいと思いますね。

 その上で申し上げますが、では、今、実態を把握できる範囲で把握することは必要だという答弁、実態を把握できる範囲で把握することが大事だとおっしゃいましたね。事務次官は各省庁で一九九〇年から七、八人です。この七、八人がどういう再就職をして、わたりをどういう形であっせんしてきたのかというのを調べるのは、十分調べられます。

 官房長官、聞いてください。(塩崎国務大臣「七、八人って何ですか」と呼ぶ)一つの省庁で七、八人です、歴代事務次官は、九〇年以降ですから。それぞれの省庁で、書面である、なしとかそういういいかげんな話じゃなくて、各省庁わずか七、八人なんだから、きちっと対面で調査をして、どういうわたりが、あっせんがあったのかということを調べるのは当然じゃないですか。これならできるでしょう。官房長官、御答弁いただきたいと思います。(発言する者あり)官房長官に、官房長官に聞いています。

渡辺国務大臣 今、細野委員が一人一人官房長をヒアリングして、あのような答えだったわけでございます。恐らく、公式のヒアリングをもう一回やればまた同じような答えになることが予想されるわけであって、それでも制度設計において必要があれば、有識者懇の方でお考えになることだろうと思います。

細野委員 大臣、私は同じ調査をしろと言っているんじゃないんです。大臣が指示をされたのは、全省庁の二回目以降のあっせんを調査されましたね。それが無理だというのは、今の答弁を聞いても我々はわかっているんです。

 そうじゃなくて、各省庁の事務次官経験者、九〇年以降ですから、せいぜい七、八人の皆さんのわたりぐらいは、あっせんの有無も含めてきちっと調査されたらどうですか、その責任ぐらいはあるんじゃないですかということを聞いているんです。当然じゃないですか。これをきちっと調べる、せめてそれぐらいやった上で、全部有識者会議に丸投げするのではなくて、この委員会で審議対象にする、これをお答えくださいよ。

渡辺国務大臣 細野委員の御要求を踏まえて、各省、九〇年以降の事務次官経験者の再就職状況とあっせんの有無というものを調べた紙は、お手元に届いているのではないでしょうか。

細野委員 いやまあ、大臣もさっき見られたところなので、それは無理もないかもしれません。私もさっき見たところなんですよ。

 ただ、私が一番注目したのは、わたりのあっせんがあったのかどうかというのを知りたくてこの調査をお願いしたんです、それで調べていただいたんです。そうしたら、大臣、全部米印になっていて、あっせんの有無は確認できません、わかりませんと書いてあるんです、ほとんどのところは。(発言する者あり)いや、ありも一部あるけれども、厚生労働省は全部なしです、農水省もなしです、総務省もなしです。こんなものは調査じゃないと言っているんです。

渡辺国務大臣 確かに御指摘のように、あっせんの有無、米印で確認できていないという答えが非常に多いようでございますが、中には、あっせんありと正直に答えているところもあるわけでございます。

細野委員 いや、では大臣、要するに、調べればできるんだから、全部の省庁がやるべきだと。そうでしょう、やっているところもあるんだから。全然サボタージュしている省庁があるんですよ。わずか七、八人なんだから、ほかもきちっとやれという指示、出されますね。

渡辺国務大臣 例えば、名前は言いませんけれども、あっせんの有無、一回目はあっせんあり、二回目以降はなしと言っているところもございますね。あとは米印ですから、確認できないということですから、これは要するに客観的な資料が残っていなかった、こういうことなんだろうと思います。

細野委員 大臣、まあ、では、もう全部見る時間はないでしょうから。厚生労働省は、足元も含めて全部、確認できないで答えてきています。農水省もそうです。もう資料は後から確認してください。確かに、幾つか答えている省庁もありますよ。答えていない省庁があるんです。そこはしっかり調査をすべしということを大臣として指示してください。

 大臣、後ろからの紙を見て答弁することじゃないんですよ、これは。そういうことをきちっと調査して、それをなくすという決意をせめてここで大臣が示さないと、わたりの禁止なんて本当にできるんですかということを再三申し上げているんです。やっていない省庁があるんだから、きちっと調べると御答弁ください。

渡辺国務大臣 とにかく、一回目のあっせんは禁止するわけです。二回目以降のあっせんは、当然、これはあっせんでありますから禁止されます。

 一回目のあっせんについては、私どもの行革本部の調査において確認されたものが、三年間で二千件近くでしたでしょうか、ございました。二回目以降のあっせんについて、今まで、どこの役所も全くと言っていいほど認めていなかったのであります。しかし、十六件認めた、確認された、こういうことでございますから、まさしくこれは大転換が行われた。

 我々は、そういった事実を踏まえて、一回目も二回目も三回目も全く同様に禁止対象にする、もしこの禁を破ってあっせんをしたら懲戒処分になる、これは役人にとっては大変に重大なことだと思いますよ。

細野委員 大臣、そんなことは聞いていないんですよ。

 では、もう一回確認をしますが、まじめに調べて有無について幾つか答えている省庁もありますね、確かに。全く有無を確認していない、全部確認できなかったという省庁もあるんです。そういう省庁に対して、きちっと調査をしろと指示をする気はあるんですか、ないんですかと聞いているんです。大臣です、初めに言ったじゃないですか。

林副大臣 御指名いただきましたので。

 先ほど来、法律論として、立法事実というお話がございました。

 委員の御指摘は、全部確認しなければ、要するにあっせんの禁止をやるべきではないとおっしゃっているのであればあれですが、大臣がおっしゃっておられるように、我々は、少なくとも十六件確認をされた事実に基づいて、あっせんの禁止という法案を提案させていただいているわけでございますから、そういう趣旨で御理解をいただければいいのではないかというふうに思っております。

細野委員 では大臣、もう一回聞きます。

 委員長は途中で外されていたのでね。それはないですよ。私、大臣に聞きますからと一番初めに言っているんですから、それは御理解ください。一番初めに私はお願いをしました、代理の方でしたが。

 では、もう一回聞きます。

 要するに、有無を調査している省庁もあります。そして、それが全く調べられていなくて、全部米印にしている省庁が相当数あります。そういう省庁について、きちっと調査をするという指示を大臣として出される気があるか、それともないかを聞いています。

渡辺国務大臣 要するに、米印で出してきているというところは、確認されていないということなんですね。だから、存在したかもしれないけれども確認できていませんでした、こういうこともあり得るわけですよ。ですから、もう一回私がこれを指示したところで、確認できなかったという答えになるのはもう目に見えているわけであります。

 我々は、もうその先を行っているんですよ。つまり、存在したかもしれないが、確認できていませんというものは多分あるだろう、私はそういう観点から申し上げているんですね。ですから、これはもう一回目も二回目も三回目も関係なしに、各省のあっせんそのものを全面禁止する、そういう決断であることを再度申し上げます。

細野委員 大臣、去年とかおととしとか、場合によっては、ことしの四月のことを言っているんですよ。そこの省庁のあっせんがあったかなかったかと、わたりについても一回目の再就職についても。それがわからないようで、それが調べられないようで、どうやって取り締まるんですか。去年のことですよ、ことしのことですよ。それをきちっと調べて報告する、当然だと思いますよ。

 まあ、何度答弁されても同じようなことしかおっしゃらないようですから、私はこの調査報告は納得していません。私はこれは調査依頼をしていますから、委員長に、これはきちっと有無を調査してください。そうじゃないと、これは調査になっていません。当然これを調査すべきだと私は思いますし、委員会としてもそれを調査していただきたいと思います。御答弁ください。

河本委員長 理事会で協議します。

細野委員 わたりの問題は、我々の関心事の一つです。すべてそれも含めて、さっきも有識者会議という話をおっしゃいましたが、それは、我々は法案の審議のやり方としては全く納得をしていません。これは官房長官にも大臣にもはっきり申し上げておきます。理事会できちっと諮っていただいて、そして調査をするまで当然この問題は、それこそ次に行くことができませんから、再度そのことを申し上げておきたいと思います。

 時間も大分押しておりますし、官房長の皆さんにも来ていただいているので、これで結構ですので、皆さん、お仕事に戻ってください。

 大臣、もう一つお伺いしたいことが、この人材バンク、皆さん方がおっしゃっている人材バンク、我々が言っている天下りバンク、そのあり方ですね。

 いろいろなヒアリングを私もさせていただいておりまして、一つ大変驚いたことが、大臣、この天下りバンクでは定年退職をした職員の方も、これも再就職の支援をする、あっせんをするという話を直接伺いまして、大変びっくりいたしました。これは事実でしょうか。

渡辺国務大臣 我々が法案の中で提案している官民人材交流センターのことでしょうか、そのことですね。これについては、詳細の制度設計を今の時点で決めたわけではございません。

 推計でございますが、大体一万人ぐらい、毎年国家公務員一般職が退職をいたします。そのうち、早期勧奨退職が四千人ぐらいと言われていまして、残りは定年と自己都合退職ということになるわけであります。したがって、定年退職の方も相当いらっしゃるわけでございまして、この人たちの数は非常に多いわけでありますから、これを全部センターであっせんするなどという想定はいたしておりません。

細野委員 では、再度確認しますが、定年退職の方々は、ここの人材バンクの方にあっせんをしてくださいというふうに依頼に来られても、これはあっせんをしないということですか。

渡辺国務大臣 法案の中には、そういったことを排除するとか受け入れるとか書いてあるわけではございません。いずれにしても、有識者懇の中で決めていくことになるわけでございます。

 私が言っているのは、余り数が多いとなかなか難しいかなということは申し上げているわけであります。

細野委員 大臣、私どもは、これは一つの象徴的なことだと思うんですよね。大臣は、早期勧奨退職がなくなったらリストラ型になるとまでおっしゃっているわけでしょう。リストラ型になるとまでおっしゃっているのに、リストラするときに、やめさせられる方とか、いろいろな就職をとか、そういうことはあっても、定年退職をした方まであっせんすることをリストラ型とは我々は到底呼べないと思います。

 大臣、ここで、有識者会議に丸投げするんじゃなくて、定年退職の方々は法律の趣旨としてあっせん対象にしないというふうにおっしゃったらどうですか。

渡辺国務大臣 法案では排除はいたしておりませんが、私の感想としては、先ほど申し上げたとおりであります。

 いずれにしても、有識者懇で詳細な基準はつくっていくことになります。

細野委員 大臣、感想じゃだめなんですよ、委員会審議は。答弁は重いんです。再三申し上げていますが、有識者会議の丸投げはこれ以上やめてください。有識者会議で何を議論するかよりも、この国会での質疑の方が重いでしょう。つくった大臣の答弁の方が重いんじゃないんですか。

 法案に書いていないのも私は不備だと思いますが、それはもう出しているんだからこれ以上変えられないとおっしゃるならば、答弁の中で、定年退職の方についてはこの人材バンクではあっせんしませんと答弁してくださいよ。

渡辺国務大臣 いずれにしても、有識者懇は、国会の審議を踏まえて、その中で詳細な制度設計を行っていただくということであります。

細野委員 そういう答弁も大臣はここではできないということですね。ここで大臣としてそういう意思を答弁として表明されるつもりはないということですか。定年退職の方についてはあっせん対象にしないとは答弁できないということですか。

渡辺国務大臣 法律上は排除をしておりませんので、具体的な制度設計は、国会の審議を踏まえて設計をしていただくということであります。

細野委員 法律で書いているのはわかっています。答弁で排除をする気はないんですかということを聞いています。

渡辺国務大臣 私の立場は法案を提出した方の立場でございますので、法の趣旨に従って、これは国会にお出しをし、国会の御意見については聞く耳を持って、有識者懇の方に諮りたいと思っております。

細野委員 大臣、ちょっと論点は違いますけれども、きょう厚生労働委員会で、年金の、社会保険庁の問題が採決されるわけですよね。あっちで何を議論しているかというと、私も、きのう当事者から聞きましたが、年配の方で、年金の保険料を納めたのにもらえなくて苦しんでいる民間の方々の法案を、皆さんは強引に通すんですよね。こっちで天下りの議論をしています。定年退職した官僚の皆さんまで天下りするなんという法案をここで審議しているこのアンバランスさは、どうしようもないと思いますよ。

 大臣、いいですか。これ以上余り言いたくありませんが、公務員には共済年金という恵まれた年金があり、そしてそこで、それぞれが頑張って仕事をされていると思いますよ。ただ、せめて定年退職した方は、自分の力で再就職先は探して老後の設計をしていく、それぐらいの自立心は持ってもらわないと、この国は私はおかしくなると思いますよ。

 再度聞きますが、大臣は政治家として、定年退職した人はこれはあっせんすべきではないとここで答弁できないんですか。御答弁いただきたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほど来申し上げているように、法案では排除はしていないんですね。しかし、国会の審議を踏まえて有識者懇の方にはお諮りをいたします。

 ついでながら、民間の方は高齢者雇用安定法というのがございまして、再雇用とか定年延長とか、それから定年廃止とかいう、いろいろなルートでの高齢者の雇用について、義務づけが行われているところでございます。国家公務員にはこの法律の適用はないということが記されておりますけれども、そこに掲げられた高齢者の雇用安定については、何らかの方向性を持って検討していく必要はあろうかと思います。

細野委員 論点をずらされましたが、残念ですね、本当に。この程度のことを大臣がきちっと政治決断してこの委員会で答えられない。法案審議としては大変残念だと思います。

 有識者会議でということでありますが、では大臣、もう一つ伺いますが、先ほどから何度も答弁されている有識者会議のメンバーというのは、だれなんですか。どういう考え方を持っている方を、どういう基準で、だれをトップに据えるんですか。それぐらい答弁していただかないと、全部有識者会議ですということで、これ以上質疑を続けることは私はできないと思います。メンバーをどういうふうにお考えになっているのか。これも事前に通告してありますから、きちっと答弁いただきたいと思います。

渡辺国務大臣 有識者懇談会のメンバーについては、まさしく先ほど来御議論いただいております詳細制度設計に係る御議論をいただくわけであります。

 四月二十四日に閣議決定をされました「公務員制度改革について」という文書で定められておりますのは、再就職ニーズに十分対応した積極的な求人開拓営業、キャリアコンサルティングを実施すること、各府省等の人事当局と企業等の直接交渉は禁止し、センター職員は出身府省職員の再就職あっせんは行わないこと、各府省等からの中立性を徹底し、実効性のある効率的な組織運営とすること、業務の透明性を確保することといった原則を定めておりますので、こうした原則に従って適切な議論を行うことのできる人物でなければならないと考えております。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 細野君。

細野委員 では、官房長官に答えていただけるそうですが、官房長官、いいですか。ちょっと待ってもらえますか、ちゃんと聞きます。

 先日も、これは資料を出していただいたんですが、どういうところにあっせんをするかも有識者会議で決めます、人員の数も有識者会議で決めます、支所の数も有識者会議で決めます、全部有識者会議に丸投げになっているんですね。では、有識者会議というのはどんな組織でだれがやるんですかと聞いたら、それはこれから決めます、これじゃ国会審議は成り立たないんですよ。

 要するに、我々が国会でこの法律を審議しているのに、全部有識者会議に丸投げをして、そして採決だけするということは許されないということを申し上げているんです。官房長官として、有識者会議のあり方、少なくともここで責任を持って答弁をしていただきたいと思います。どうでしょうか。

塩崎国務大臣 先生は閣議決定をごらんいただいていると思います。そこに、「官民人材交流センターの制度設計については、官房長官の下に置く」私のもとに置く「有識者懇談会の意見を踏まえ、内閣において以下の原則に従い検討することとする。」こうなっているわけです。そのエッセンスを今渡辺大臣が申し上げたわけであって、ここに、どういう原則に従って官民人材交流センターを制度設計していくのかということが書いてあるわけであって、その原則にのっとって議論していただける方々に集まってもらって、有識者会議の中で詳細設計をつくっていこう、こういうふうに申し上げているわけでございますので、個別にだれということを今決めているわけではございませんけれども、この原則に従って議論していただくにふさわしい人たち、そういう人たちに議論をしていただこうということで、このセンターについての考え方は、ここに閣議決定でお示しをしているとおりでございます。(発言する者あり)

細野委員 まあ、時間も我々の中でやりくりしますから、それは御心配いただかなくて結構です。

 では、これは委員会にお願いをします。

 少なくとも、私はどちらかだと思います。有識者会議で決めると丸投げするのではなくて、きちっとここで責任を持って御答弁をいただくか、それがいただけないのであれば、有識者会議がいかなるものかきちっとここで示していただく、どっちかだと思います。どっちを選ぶんですか。どっちもだめというのはないですよ。有識者会議に丸投げをしてここでは答弁しません、ただ、有識者会議は何かわかりません、こんないいかげんな話はないです。

 少なくともどちらかにしていただきたいと思います。これは政府の問題ですから、官房長官に。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、我々としては、この人材交流センターについては、ここにお示しをしている、閣議決定でお示しをしている原則に従ってつくろうとしているわけでありますから、この原則について御議論をいただかなければいけないので、大体のことはここに書いてあるわけでありますので、これを御議論いただいて、丸投げという話ではないです、ここに原則を書いてありますから。

細野委員 では、委員会の方にお願いをします。

 どちらかだと思います。すなわち、有識者会議に丸投げをしていることについて書面できちっと考え方を出していただくか、もしくは、それができないのであれば、有識者会議とはだれがやっていかなるものなのか、きちっと示していただく、どっちかだと思いますから、きちっと委員会への資料提出を要求しますので、お願いします。

河本委員長 理事会で協議します。

細野委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、国会の審議というのは何なのかということなんですよね。我々は、では、天下りをやめようとおっしゃるのであれば、どういう天下りをやめるんですか、どういう仕組みでなくすんですか、どういう基準なんですか、これを確認しているわけじゃないですか。それを、いや、有識者会議に丸投げをします、これは国会の審議をばかにした話だと私は思いますよ。そのことをきちっとこの場所で議論できるような、政府として責任のある対応をしていただきたい、それが審議の最低限の条件だと私は思います。そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。

河本委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。引き続いて質問します。

 今の細野委員の質問に関連して伺うわけでありますけれども、この有識者懇談会の性質としては、当然、官僚のOBあるいは省庁のOBは、省庁にいた、いる人間は入らないということが中立性、公正性からしても必要だと思いますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか、官房長官。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、閣議決定で、何か何もないで丸投げするようなことを細野議員がおっしゃいましたけれども、あれをもう少し議論していただいたらいいなと思っております。あそこの中に、今回のセンターのあり方、組織のイメージに至るまで書いてあるわけであります。

 今、渡辺先生お尋ねの、どういう人がなるのか、こういう中に官僚OBが入るかどうかということでございますが、先ほど申し上げたように、この原則に従って議論するにふさわしい人に入ってきてもらいたい、そういう人たちに議論してもらおう、こう思っておりますので、カテゴリカリーに、カテゴリーとしてどういう人はだめとかいいとかいうようなことは全く考えていなくて、個人個人でやはりそれにふさわしいかどうか見ていかなきゃいけないと思います。

 公務員であるから全員が同じ考えを持っているかというと、それはあり得ないわけでありますから、公務員の経験といったって一年という人も中にはおるでしょうし、だから、そういう形での白黒つける考え方は、少し我々としてはとりづらいなという感じがいたします。

 しかし、公務員であって、その公務員の味方をするだけの、論理のない人はちょっと御遠慮いただかなきゃいかぬということは、当然、多分先生と同じ考えでいるのではないかと思っております。

渡辺(周)委員 これまでも、審議会だとか懇談会あるいは私的勉強会、総理を初め官房長官あるいは各大臣の公的、私的な審議会、懇談会というものはたくさんあったわけですね。それによってある程度、議論の方向性というのは、見れば大体わかったわけであります。

 例えば、中曽根内閣で国鉄の民営化の話をしたときは、当たり前のことですけれども、ある程度民営化にリードをしていくような方々がメンバーとして入って、当然そういう方向に行ったわけでございます。そしてまた、最近でいえば、安倍総理が集団的自衛権の四類型についての懇談会をつくって、あの顔ぶれを見たら、論文なんかを見れば、これまでどういう発言をしたかということで、ほとんど結論は見えている方がやる。

 つまり、これまでも、政府が意思決定をするときに、さまざまな審議会や懇談会というものをつくって、ある程度結論がリードできるようにやってきたということは、これはもう、私も政治家ですし、皆さん方もよくわかっていると思います。

 そこで、突然平場で、全部投げて、さあ一から議論をしてくれ、ゼロから白紙で議論してくれということにはならないというのは私も百も承知でありますけれども、そこに出てくるとすれば、天下りをした人、かつてはどこどこの事務次官をやった、その後いろいろな経験を経て何かになった方もいらっしゃれば、あるいはこれからなっていくだろうという、いわゆる幹部クラスで、途中でやめられて、例えば今はどこかで何か有識者と評価するに値するポジションについている方もいらっしゃるでしょう。しかし、やはり組織の中にいた方にしてみると、自分が来た道あるいは自分の仲間たちがいるところで、やはりそう否定的な見解は言えないというのは、これは常識だ、人情だと私は思うんですよ。

 ですから、公務員の関係者というか、申し上げた、天下りを経験した方、あるいはOBである方、あるいは非常に近いところにいる方、この方々に入っていただくと、私はやはり方向性というのがどうなのかなと思いますので、もう一回答弁として伺いたいのは、やはり中立公正でやるとすれば、官僚OBは入れない、省庁の近いところにいる方は入れない、せめてそこだけは自分たちはそのつもりだ、それはわかっているというような発言はできませんか、官房長官。

塩崎国務大臣 先生のお気持ちはもうよくわかっておりますし、我々も多分それは共有している大事なポイントだと思います。

 我々は、しかし一方で、公務員制度そのものをいじるわけであります。公務員制度について全く知らない人が集まって決められるかどうかというところにも少し、やはり思いをいたさなければいけないわけでありますから、先生にこうやって御意見をちょうだいして、そういった御意見を踏まえて人選を進めていく。

 基本は、先ほど申し上げたとおり、もう既に政府・与党で合意をし、閣議で決定をいたしました先ほどの原則、これに基づいてやってくれる人でなければならないということでございますので、その辺は、先生のお気持ちをちょうだいして、人選の際に大いに参考にさせていただいて、公正なメンバーになるように、またバランスのとれたメンバーになるようにやって、いい結果を出していきたい、このように思っております。

渡辺(周)委員 何をもってして公正というのかちょっとわかりませんけれども、とにかく官僚のOBはやはり入らない。当然なんです。官界出身の方が入っちゃうと、自分の来た道、あるいは自分の行く道、あるいは自分の後輩たちのこれから行く道を決めていく上で、やはりそれはコペルニクス的な大転回はできないんですね。ですから、もし本当に革命的な大転回をするのであれば、当たり前のことでありますけれども、やはりそこは入れるべきでないと私は思うわけでありまして、まず、ぜひその方向で、またこの後も引き続きチャンスがあれば、この問題を議論したいと思います。

 さて、そもそも論、前回、一昨日のときにちょっと聞きそびれました。私は、一つは、どうしてもこれは聞いておきたいんですけれども、そもそも論なんです。同期入省者が事務次官になったら、どうしてほかの者がやめなきゃいけないか、なぜこういう慣行が続いたか、それについてはどうお考えですか。官房長官でも行革担当大臣でも結構です。

渡辺国務大臣 いわゆる肩たたきシステムについては、再三申し上げますように、同期横並びで昇進をしていく年功序列システムがその根幹にあることは疑いを入れないと考えます。やはりこういうシステムがあるがゆえに、課長クラスまでは大体二年か三年ぐらいのタイムラグを伴って一斉に昇進をする、そこから先、指定職になりますとポストが足りなくなるわけでありますから、受け皿を探して、人事の一環としてそちらに天下りあっせんをする、こういうシステムであろうかと思います。

 したがって、問題の根幹は何かといえば、やはりそれは年功序列システムにあるんだということでありますから、我々は、能力・実績主義というものを導入してこの年功序列を打破するということが、肩たたきシステムの消滅につながっていくものと考えます。

渡辺(周)委員 いや、違うんです。私が聞きたいのは、どうして同期入省者が事務次官になったらやめなきゃいけないのか、今までなぜそうしてきたか。

 つまり、その代に事務次官が一人いたら、それ以外の人間は外郭団体の総裁なり理事長なりになって、ある意味では出世レースから、ある程度見えてきたところで見切りをつけるというか、自分自身で見切りをつける人間もいれば、その世界で生きてくれば当然わかるわけでありまして、もうここで自分はという方も、あるいは、言いにくいことですけれども、出世レースに敗北したと。

 なぜそういうことをやってきたのか。一般社会では、これは官の理屈だけなんです。官僚の世界だけなんですよ、こういう理屈は。例えば、我々、同期が一人総理大臣になったら、ほかの人間はもうあきらめて、もうやめろと。あるいは民間の会社では、同期入社の人間が部長になったり専務になったり社長になったりして、同期が社長になったから、おれはもう芽がないんだといって。そんなことはないですよね。

 やはりそこを、当たり前ですけれども、能力能力と言われますけれども、御自身の努力もあるでしょう、あるいは持って生まれた何か運みたいなものもあるのかもしれませんけれども、やはりそこの中に……。理事がいない。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 渡辺周君。

渡辺(周)委員 一つには、なぜ事務次官になったら同期がやめなきゃいけないのか。それはもう、今おっしゃったみたいに、年功序列で同期からは、しかも絶対、事務次官になれない、各入省年次に一人ということもあろうと思います。例えばそれが、逆に言うと、そうでなくなった人の、事務次官になれなかった人の名誉なのか、それとも生涯賃金なのかということを考えたら、いろいろな理由があると思いますけれども、やはりその慣習をなくすために、なくすんだということの御決意をひとつ、官房長官、時間もないようですから、ぜひ伺いたいと思います。

 それで、もう一つ。

 そもそも官僚だけが、この官のルールの中で、出世コースからあぶれた人あるいは出世コースでトップまで行けなかった人たちのために、今までも民間のみならず公益法人あるいは外郭団体、特殊法人等にどんどん天下ってきたわけでありまして、天下りの数がいればいるだけ、どんどん公益法人がふえていった。結果的には、筋肉質の政府とはほど遠い、まさに見えない政府がどんどん肥大化していったわけですね。

 特に、公益法人というのは民法上の組織ですから、これは行政監察の法的根拠あるいは行政のいわゆる監察も届かない中で、しかし、委託を受けて、さまざまな業界の監督指導あるいは技能向上だとか調査だとかと、いろいろなことをやってきた。やはり、筋肉質な政府をつくるんだったらば、あわせてこうした公益法人を整理統合するという決断がないと、あるだけ必ず行きますよ。

 この話は後で行革大臣にしますけれども、もう時間がないですね、官房長官、どうですか。公益法人、つまり天下りの受け皿となってきたところをやはり少なくする、それによって筋肉質、スリムな政府になるということについては同意だと思いますけれども、官房長官、その辺を、天下り先を減らすんだ、今まで天下り先とされてきたところを減らすんだということを決断、ここではっきりと言えませんか。

塩崎国務大臣 先ほど独法の改革の話もありましたが、我々はやはり、独法、そしてまた特に国からの資金の流れがあったりするような公益法人については、絶えず改革をして、見直しをして、税金が無駄に使われないようにしないといけないということをやっていくのは当然で、先生のおっしゃるとおりだと思います。

 先ほど、何で次官が最後に一人だけ残るんだ、こういう話でありました。我々、今回の法律の改正によってかなり大きな発想の転換をしたい、こう思っているんですが、もともとこの官の世界、公務員の世界というのは、国であれば、国民が国会を通じて役所に権限と予算とを与えているわけであります。ですから、あくまでも官というのは民のためにある、国民のためにある、これが基本であります。

 ところが、それがいつの間にか、予算と権限、国民の代表たる国会から与えられたにもかかわらず、それを活用してどうも再就職が行われているのではないのか、こういう問題がずっと指摘されて、今回、二度目のわたりを含めて役所の方も認めるところも出てきた。我々は、それは先生方も皆同じように認識をして、今回、予算、権限を持っているところが役所ですから、それをバックに再就職のあっせんをすることはまかりならないということにしたという大きな転換をした。

 その前提は、では、何でそもそも次官が一人だけ残るのかというと、同期がずっと一緒に上がっていくから。どの組織に行ったって、ピラミッド組織になっているわけですね。社長が二十人、専務が二十人、常務が二十人いますなんという組織はあり得ないので、社長は一人、やはりこんなふうになっているわけですね。ただ、それが同期でいっていると、こうやってだんだんだんだん減らして最後に一人にしていかないとだめだという、今までの硬直的な公務員制度があったからこういうことになってきた。

 今度は、能力と実績によって評価してそれを人事に反映させようということは、だから、例えば局長と次官の年次が逆転をする、あるいは三十歳で課長さん、四十歳で局長さん、四十二歳で次官というぐらいのことが平気で起きるようになって、五十歳の人もいるよ、こういうことが十分能力と実績によって出てくるという世界をつくろうと言っているわけであります。

 ですから、個々の能力・実績主義に、世の中では、民では当たり前にやられていることを初めて今回国家公務員、それが地方公務員にも公立学校の先生にも国立大学の先生にも及ぼしていかれるということを今我々は期待しているわけであります。そういう、能力で人を評価してそれを人事にあらわしていこうということで、今までのように不自然な形で、五十になると早期勧奨退職が始まるというようなことではなくて、やはり御自分が判断して、自分はこの官の世界でどうかな、むしろ官よりは民の方が向いているかもわからないということに早目に気がついた人は、途中から、早くから出るかもわからない。それは、今までのような同期がずっと護送船団で上がっていくようなものだと、なかなかそういうインセンティブがない。今度は能力・実績主義ですから、早くからその評価は人事に出てくる。

 そういうようなことを考えてみれば、今回は、言ってみればかなり大きな日本の文化の転換をするということになるんだろうと私は思うんですね。今回の法律は、対象になるのは大体三十数万ぐらいですけれども、さっき申し上げたような地方公務員や学校の先生やそれから国立大学の先生を入れれば、三百数十万人ぐらいが対象になってくる。そういう大転換を今回やろうということになるわけでありますので、そういうことを考えてみると、やはりここで皆さん方と一緒によく議論をしていただいて、問題点をいろいろとまた御指摘いただくと大変ありがたいなというふうに思っています。

河本委員長 官房長官、よろしいですか。

渡辺(周)委員 いや、もう一つ最後に。

 そうはいえ、官僚だけが公的に再就職先をあっせんされるということについて国民の理解が得られるか。これも何度も皆さん質問していますけれども、何で官だけが官の責任で公費を使って再就職をするだけの便宜が図ってもらえるのか、このことについては国民にどう説明しますか。これは理解されると思いますか。官房長官、それをどうぞお答えください。また機会があったら質問したいと思いますので。

塩崎国務大臣 何度も申し上げているように、予算、権限を背景として、はっきりわかる形とはっきりわからない形、それはあるかもわからない、それを背景として役所が直接、当該職員の再就職先と話をつけていくのが、要するに相手が欲しくないのに押しつけるというのが天下りというわけで、普通に再就職は幾らでも起きるわけであります。官の人はずっとどこにも行っちゃいけませんという閉じ込めるような話では全くないし、官にはいつも、優秀で、元気で、やる気のある人にいてもらう方がいいわけでありますから、民からも来てもらおうが官からまた民に出ていこうと、それはいい、ただ、それはルールがなければめちゃめちゃになっちゃうからだめだと言っているわけで、行為規制も入れて罰則も導入しようと言っているわけであります。

 言ってみれば、霞が関の人事部の中の再就職に関する部分を李下に冠を正さずということでこのセンターに一元化するということだけで、天下りバンクだのいうような勝手な名前を皆さんおつけですけれども、そんなことでは全くないということを言っておきたいと思います。

渡辺(周)委員 お約束ですから、どうぞ。ありがとうございました。

 では、行革大臣、これは私の地元の静岡新聞というところのきのうの夕刊で、緑資源機構の談合のことが社会面のニュースで出ていました。恐らく、地方新聞ですから、書かれたのは共同通信かどこか通信社だと思いますけれども。

 そこの記事の中に、林野庁はこの一連のことを受けて、「林野庁は天下りについて」、これは林政課というところの方が括弧内でインタビューに答えているんですけれども、「こちらから働き掛けはしない。企業から具体的な資格や技術を挙げたり、OBの名前を挙げて要請が来る」というふうに言っているわけですね。「しかし、同庁元幹部は「五十四、五歳になると、肩たたきが始まる。年金支給の年齢まで役所が再就職先をあっせんする。担当者を人繰り専門官と呼んでいた」と打ち明ける。」人を繰っていくんですね。人事を今まで、公益法人の理事ポストなどを順に引き継いでいく人事も切り盛りしていたんだということが書いてあります。そして、「受注側企業の幹部は「OBは入札情報に限らず、新しい事業や予算の情報収集で力を発揮する」と、OBが現役の役人から情報を引き出してくることを認める。」つまり、これを認めている限りは、役所の側からいわゆる働きかけやあっせんをしなくたって、もう企業の方からOBの名前を挙げて要請が来るんだと。

 しかし、こういう場合は、人材センターをつくったところで、おとといの答弁では、これはあっせんでもなくて正式な、罰則もない成約になるわけですね。

 ですから、このセンター自身が、はっきり言って、あっせんがあった、ない云々よりも、結果として天下るというか、やはりちゃんとこういうシステムが残っている限りは、私はこの間も言いました、アイコンタクトというかあうんの呼吸で、もちろんそちらから言わなくてもわかっています、言っちゃうと罰則ついちゃいますからね、わかっていますよ、毎年のようにやればいいんでしょう、いつもどおりやりますよと言われちゃえば、このセンターは素通りできるわけですよ、だれも傷つかずに。

 ですから、やはりここで、どういう理由でどういう方が天下ったかということは公表すべきだと私は思います。たとえそれが民間企業であれ非営利法人であれ、こうしたところへなぜ天下ったかということについては公表せざるを得ないと思うんですけれども、その点についてはどうお考えですか。

渡辺国務大臣 緑資源のような問題は、これは天下り問題が一つございますが、もう一つは独法へのお金の流れ、典型的な予算配分型独法でありますから、こちらの方からの改革も必要であろうと思います。また、入札制度の改革もあわせてさらに進めていく必要があろうかと思います。

 そのような総合的な解決方法をとった上で、今回我々が提案をしております官民交流人材センターでありますが、再就職のあっせんについては透明性を確保するとはっきりうたっております。したがって、今でももう既に、公務員制度改革大綱において、氏名、退職時年齢、退職時官職、退職日、再就職先の名称及び業務、再就職先での役職、再就職日、再就職承認関係は公表されているところでございますが、今回の法案におきましては、内閣において当該職員の情報を収集、一元的に管理しておりますので、内閣総理大臣への届け出、その内容の公表等の規定を設けているところでございます。

渡辺(周)委員 だとすれば、先ほど来わたりの話がありますけれども、その方がその次どこ行ったかということも私はフォローすべきだと思うんですよ。というのは、公のあっせんで、公の機関の中で公の人間がその実態はどうあれ再就職するわけですから。まあ天下りするわけです。その方が今度次へどこへ行ったかということについても、これは、先ほどの細野委員の議論でもその先は全くわからない。私も何度か質問しましたけれども、その先については把握していないというのがほとんどでありました。

 ここに、今申し上げた記事の中に、「林野庁長官OBの主な「わたり」」というところで何人か例があります。緑資源機構の前身であります緑資源公団の理事長、その前が林野庁長官。お名前は塚本さん、高橋さん、伴さん、あと松田さんという方もいらっしゃいますけれども、四名の長官OBについてのことが書いてありました。

 森林開発公団から今度は森公弘済会の理事長、これは問題のところに行った松田さん。塚本さんという方は、林野庁の長官、緑資源公団の理事長から国際緑化推進センターというところに行った。高橋さんという方は、農林漁業信用基金副理事長を経て林野弘済会の会長になった。ちなみに伴さんという方は、緑資源公団の理事長からやはり国際緑化推進センターの理事長になったというふうにあるわけですね。そうしますと、先ほど見えない政府と言いましたけれども、結局、同じこうした公益法人の中にまた戻ってくるわけなんです。

 例えば林野弘済会というところは、林野庁の発注する事業の八割を随意契約で受けているんですよ。ですから、もうほとんどこれは一体です。大体、林野弘済会自体が林野庁と同じところにあるわけですからね。ちなみに、林野弘済会で、おととしの数字ですけれども、二十五億五千万円の随意契約のうち十九億九千万円、約七八%、これを随意契約で受けているんです。中身は何かというと、林野庁の物品の調達でありますとか、あるいは林野庁の持っている施設のメンテナンスだとか、そういうことをやっているんですね。

 ですから、こんなものを調べられないということはあり得ないわけでございまして、ぜひ、わたりの問題について、このことは、センターを通してどこかに行った人がその後またどこかに行くときには当然それはフォローすべきでありますし、当然、届け出義務なり報告義務を義務づけるべきだと思いますけれども、担当大臣、いかがですか。

渡辺国務大臣 今お示しになられた緑資源のような天下りと官製談合の典型的な例は、我々の今回の法案でなくなるわけであります。

 つまりこういうことですよ。予算と権限背景の典型的な天下りですよ。ですから、こういう予算、権限背景の天下りを根絶するわけでありますから、当然、カルチャーががらっと変わってくるわけであります。したがって、各省によるあっせんはもう一回目も二回目も全面禁止をするわけです。交流センターは一回目のあっせんはいたします。これは職員の能力と経験が正当に評価されてやるわけですよ。二回目以降は基本的に行わないと言っているわけでありますから、二回目、三回目の就職先についてセンターが把握をしていなければならないということにはならないんじゃないんでしょうか。

渡辺(周)委員 私がこの話をすると必ずそうやってごまかされるんですけれども、その先どこへ行ったかということだってフォローしなきゃいけないんじゃないですか。だって、ある意味では官の責任でお墨つきを与えて、公の人間が公の機関の中で再就職するわけですから、その方が次に行ったということについてはやはり出すべきじゃないですか。どうなっているんですか、その辺は。

 これを公表して、やはりその不透明な流れを、野党なりあるいはマスコミなりがそれを調べていったらちゃんと不透明なものは解明されるようにすべきだと思いますよ。そうすることによって実態に近づいていくわけでありますから、それをやるべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがですか。そこをしないと同じことがこれは繰り返されますよ。それか、あるいは、官僚のOBのいる会社には入札に参加をさせない。これは民主党の行政改革の法案の中にも入れました。それぐらいのことをしなかったら結果は一緒なんです。その辺についてはどうですか。

 いつも口角泡を飛ばして、とにかくそれはあり得ないんだ、ないんだと言うけれども、絶対にあるんですよ、起きるんですよ。だからそれについて歯どめを幾らでもかけなきゃいけないと私は言っているんですが、どうなんですか。

渡辺国務大臣 今までの慣行ややり方を前提にしておっしゃっておられるから、私の言っていることが理解できないんだと思うんですね。

 我々は、今までの慣行をがらっと変えちゃおうと言っているんですよ。あしき慣習、法律に書いていない慣行まで全部変えよう、こういう発想でやっているわけであって、今までの予算と権限背景の押しつけ的な天下りを根絶するわけでありますから、根絶された後は、まさしく本人の能力と実績が正当に評価された再就職になるわけなんです。そこから先をまたがんじがらめで縛っていこうというのは、これは、元公務員にとったって再就職の自由はあるわけだし、職業選択の自由はあるわけだし、そこまで縛ることはいかがなものかと思います。

渡辺(周)委員 大臣、そうやって官僚の代弁者として、私は、就任されたときは大変な大臣になられたなと思ったんですけれども、今のを聞くと、一生懸命何か官僚の擁護をしているのかな、そう思わざるを得ないんですよ。だって、政治家だったらわかるでしょう。こういうことが繰り返されてきたのは、今回のこの緑資源機構だけが問題じゃないんですよ。これは、たまたまきのうきょうの問題だから私は例に挙げただけであって、過去同じ問題が起きているじゃないですか。そんなことはもう百も承知だと思いますよ。

 それで、なぜ天下りを受け入れるかといったら、肥大化した見えない政府の中で、当然、予算やら情報やらを期待するから受け入れるわけですね。それが民間企業であるか公益法人であるか。公益法人は、委託費をまた受け取るわけです、また補助金をもらうわけです。だからこそこうやってどんどん膨れ上がってきたということはもうわかっていておっしゃっていると思うんです。

 ですから、私たちが申し上げたいのは、なかったらなかったでいい、能力が正当に評価されて受け入れられたんなら、それはそれでよし。ただ、また何かおかしいな、何かお土産つきで行ったな、そこに不透明な部分があるなということが明らかにされるように、私はやはり、どこまで行ったかということは、その次についてはフォローすべきだ。少なくとも公の責任でこういうセンターをつくるわけですから、だとすれば、その方の、将来どこまで行ったのかは別としても、だけれども、次の次何になったか、何の仕事をしているか、そのことぐらいはやはりフォローすべきだと思いますよ。

 どうなんですか。もうそこだけ答えてください、時間がありません。

渡辺国務大臣 我々は人材を流動化させようと言っているわけですよ。民間から官に来る人ももっとたくさん来てくれるような、そういう世界を目指しているんですよ。それを、もうとにかく一度役人になったら延々と職業選択の自由が抑制されかねないような、そういう縛りをかけることはいかがなものかと言っているんですよ。

 私は、今までの延長線の発想でやろうと言っているわけじゃないんです。緑資源のようなものは、天下り問題と同時に独法改革、公益法人改革、そして入札制度の大改革、こういったことをワンパッケージでやっていって、撲滅をしようと言っているんですよ。その上で、官民交流人材センターは二回目のあっせんをしないわけでありますから、当然、そこから先の再就職について官民交流人材センターが把握をするということはありませんと言っているだけですよ。

渡辺(周)委員 把握しないじゃなくて、だって、もう見ればわかるじゃないですか。だから、別にいいんですよ、実家の弁当屋を継いだとかなんとか、そこまでいったらそれはそれでよしと。ところが、やはりそこにあるのは、行政の一部である、委託を受けているようなところに行く、あるいは行政から補助金や仕事をもらっているところにまで行く。つまり、途中に一回クッションを置いて次に行ったら、また同じことが起きるじゃないですか。そこのところまでフォローしますかと聞いているだけなんです。そんな難しいことは言わなくていいんです、イエス、ノーだけなんですよ。

渡辺国務大臣 イエス。百六条の二十四において、内閣総理大臣への届け出義務を課しております。離職後二年間は政令で定める事項を公表するものとするという規定がございます。

渡辺(周)委員 その政令で定めるもの、ちょっと私、今ここで手元に、わからないんですけれども、どういうことなんでしょうか。

 つまり、何度も申し上げますが、二年であろうと何であろうと、その方がどこに行ったかによって、やはり過去の省庁との縁が切れないんですよ。みんな、我々もそうです。人間の世界、切れないんですよ。自分と机を並べていた部下なりが現場の役所にいる、当然のことながら。そんな中で生きていけば、当然そこには何らかの形で口ききもあれば、情報の交換もあるわけなんです。だから、そういうことを考えれば、最後、どこまで行ってもやはり官の責任はついて回ると思いますよ。

 職業選択の自由というのは全く違う理屈であって、公の人間が公の世話で、世話ということもないけれども、公の組織を通して再就職するわけですから、どこまで行ったってその公の責任はつきまとうわけでありますから、それについては、やはり最後までフォローすると。イエスというのはそういう意味でいいんですね。

渡辺国務大臣 離職後二年間はイエスであります。

渡辺(周)委員 いや、それでは。だって、離職二年後はどこに行ったかわからない、結果的にはまたこうやって戻ってくるわけですよ、民間企業なり公益法人なりに。そこのところをやはりしないと、結果としてこのセンターは天下りお墨つき機関でしかないわけであります。

 それから、もう一つ申し上げたいのは、例えば入札をするに当たっても、例えば官僚のOBがいるところは参加できない、それぐらいの決断をすべきだと思いますけれども、いかがですか。

渡辺国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、官製談合に象徴的にあらわれているような問題を解決するには、人とお金と入札制度、こうしたいろいろな角度からのパッケージ型解決が必要であります。我々は今回、天下りあっせんを、各省によるものを全面禁止いたします。したがって、一回目のみならず、二回目、三回目をやったら、これはアウトになります。

 独法、公益法人改革については、先ほど来申し上げておりますように、百一独法、全面見直しを行います。そして、入札制度改革については、もう既に取り組んでおりますが、さらにこれを深化させていくということが必要でございます。

 そういったことから、まさしくシンボリックな官製談合のような問題は根絶をされていくものと考えます。

渡辺(周)委員 時間がもうほとんどなくなりましたけれども、きょうは国土交通省にも来てもらっているんです。

 先ほど公益法人の整理の問題について、官房長官は言及されないで行っちゃいましたけれども、公益法人を整理するということについて、この間、林副大臣、あるいは行革担当大臣も同じような考えだとおっしゃいましたけれども、そうなのかどうか、それを伺いたいと思います。

 それから、一つ国土交通省に。私、昨年の行政改革の委員会の中で建設弘済会の問題を取り上げました。建設弘済会というのはほとんど地方整備局の随意契約を受けている公益法人でありまして、そのときには公益法人との随意契約については見直すんだと言いましたけれども、結果的にいまだに随意契約が続いている。

 それを考えますと、そのときには、とにかく何とかすると言うんです、そのときの答弁では。業務委託のあり方について、とにかく検討委員会をつくったんですね。八割の随意契約があったと。そうしたら、ことしになって変わったのかと思ったら、何のことはない、実は、民間にも声をかけたけれども、ハードルが高過ぎたのか民間からは全然応募がないから、結果的にまた建設弘済会にそのまま業務委託をするということなんですね。

 ですから、大臣、官の世界に対して力んで目をむいて一生懸命おっしゃいますけれども、これは行革担当大臣がいなくなっちゃったら、またいつの間にかもとのさやに戻るんですよ。本当にそれぐらいの覚悟を持った方がいいですよ。

 ということで、まだ大臣にも聞きますし、この話はまた次にやりたいと思いますけれども、ちょっと建設弘済会、結局まだ随意契約が続いているということでよろしいんですか。

竹歳政府参考人 平成十八年六月の随意契約の見直し方針に従ってやめました。そして、件数でいいますと、従来随意契約でやっていましたものの、例えば全国千三百件のうち三分の一は弘済会以外、関東地方ですと約三百件のうち三分の二は弘済会以外です。

 今御指摘の新聞の記事は、一部の部分だけ強調して書いて、そこはハードルが高いということでしたけれども、全体としては見直しておる、こういうことです。

林副大臣 公益法人のお尋ねがありました。

 この間も御議論させていただいて、実は前回も市村委員ともお話をさせていただきましたが、公益法人の行政委託型と我々が申しますのは、一般に公益法人はオーケストラとかそういうものも入っておりますので、まさに今委員が御指摘になった国からお金が流れている委託や検査や検定、ここに着目して、今委員が御指摘になったようなことをきちっと正していく。

 そして、我々としては、公益法人にしろ、きちっと仕事ができる人に一番安く、税金を無駄遣いしてもらわないようにするということが一番大事なことだと思っておりまして、通常的に公としてやらなきゃいけない部分は基本的には国でやってもらうとか、そのために独法をつくったわけでございますので、そういう基準をつくって、委託型の公益法人の改革を続けてまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 先ほどの国土交通省の問題については、もう時間がなくなっちゃったので、出向の問題とか前回やりましたから、また次回、ちょっとどこかでやりたいと思います。

 それで、林副大臣にもう一回伺いますが、おととい資料を出しました、下水道の公益法人だけで十個あったと。八つに天下りがあったと。これを見て、もう同じことは言いません、目的も事業内容もほとんど似たり寄ったりです。公益といえば確かに公益なんですけれども、実は日本の国は公益の定義がなかなかなくて、我々が社会生活を営んで生きていけば、必ず何もかもみんな公益なんですね。こういうところに今まで天下ってきたんですよ。

 これを見た瞬間に、うなずいていらっしゃいましたね。やはりこれは整理してもいいと思います。天下り先を減らす。僕は、ここは政治の責任で、政治のリーダーシップで、公益法人を半減する、全部精査する。公益とは何たるかということはいろいろ判断するべき部分はあるでしょうけれども、事業内容を見れば、もう一つでいいんじゃないか、二つでいいんじゃないかということはあると思うんですよ。それについて、やるお考えがありやなしや。

 そして、こういうところに今まで天下ってきた人は、どういう経過で、どうやって天下っているのか。これについてお答えいただけますでしょうか。

林副大臣 大変大事な御指摘だと思っておりまして、我々、先ほど申し上げましたように、ここにどういうふうに税金が、委託料という形のようなもの、補助金というようなものに流れていくか、ここに注目してずっと改革をしてきたわけでございます。

 実は、前も申し上げたと思うんですが、公益法人というのは民間の法人でありますので、あなたのところの仕事はもう一個のところと似ているから一緒になれとか整理統合しろというのは、実は政府はそういうことを言う権限がないのでございます。ここがきちっと設立された要件に基づいてやっていなければ、設立の許可の取り消しというのはあるかもしれませんけれども。基本的にはここが独立行政法人と一番大きな違いでございますので、そのことを踏まえて、我々はずっと、どういうふうに委託をきちっとやっていくかという観点からやってきたわけでございます。

 それで、この間申し上げましたように、公益法人の認可、所管とここに書いてありますように、それ自体がやはりこういういろいろな行政委託型の問題につながっているのではないかという問題意識から、抜本的に民法三十四条を見直すということで、所管とか設立の許可というのは、この間お通しいただいた公益法人の改革によってなくなって、もう設立は御自由にどうぞと、そして公益性の認定をもらえば税制の優遇がついてきますという、いわばイギリス型の公益法人のシステムに変えたということでございます。

 私どもは、ここが、そういうふうにどこからか収入がないとやっていけないわけですし、そういう役所の出身者が行くということは、その方に給料をお支払いになっているのであれば、何か収入があってやっていらっしゃるわけですから、どういうふうにお金が流れていくのかという視点に着目して今までもやってまいったし、これからもきちっとやってまいらなければいけない。そこは委員と認識を共有しているところだと思います。

江藤政府参考人 今お尋ねの、法人への再就職の経緯でございますけれども、公益法人から必要な知識とか技術を有する人材を求められた場合には、本人の意向を確認しまして、これらの法人に情報提供を行って、それに基づいて当事者間で話し合いが行われているものというふうに認識しております。

渡辺(周)委員 もっとやりたいんですけれども、ちょっと質疑時間も、次の方がいますのでこれで終わりますけれども、ぜひまた次回、委員会に質問に立ちたいと思います。

 この問題についての問題点がだんだん浮き彫りになってきて、実はやはり天下りがある。しかし、天下りをなくすとか根絶すると言っていますけれども、これは官の世界にとってみたら大変な革命的な出来事でございまして、大変な抵抗だと思いますよ。ですから、今一生懸命気張っていらっしゃいますけれども、大臣が大臣でなくなった途端に、いつの間にかもとのもくあみに戻るんだろうと私は思います。

 ぜひこの問題について続けたいと思います。

河本委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太です。

 私も、自分の質問もあるわけですが、その以前に、細野委員から質問させていただく予定でした、まさに今話題になっております緑資源機構のことについて、まず質問をさせていただきたいと思います。

 大臣も、もうこの問題は既にどういう構図かというのは御存じかと思いますけれども、特に今、端的に特徴を言えば、歴代の林野庁長官が、緑資源機構、これはかつての森林開発公団、その理事長に必ず就任をしております。そして、そこからさらに、森公弘済会の理事長にこれまた必ず就任をされております。こういう完全な流れができているということ。もちろん、森林開発公団は途中から名前を変えて、森公弘済会という形になっていますので、森公弘済会自体は、松田理事長、塚本理事長、これはいずれも林野庁長官ということになっております。

 大臣にお伺いをしたいんですが、こういった固定的なポストというのは、先ほど来話がありますように、あうんの呼吸で行われてきたものが大きい。特に事務次官なんかは、早期退職勧奨を行われないで、言ってみたら最後まで残った人間ですね。ですから、人事の一環でどうだこうだという話じゃなくて、最後まで残った人間にも間違いなくこういったポストが用意をされている。

 では、これを次の新しい政府案ではどうやって規制できるのか。結果的に、いやこれは、適正な求人と適正な申し込みがあったから、マッチングの結果また同じものになりました、そういうことを許していいのかどうか、大臣にまずお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

渡辺国務大臣 緑資源機構は、いわゆる非特定独立行政法人であります。政府案では、こうした非特定独法を国家公務員法の天下り規制の対象から外してはおりません。公務員がこのような独法に天下ることは当然規制の対象になりますし、緑資源からさらに別の法人に天下ることも規制の対象にいたしております。

 つまり、役所の人事当局がこうした天下りのあっせんをする、あるいは何らかの形でかかわるということは全面禁止をしております。また、緑資源に再就職した職員も、緑資源からさらに他の企業や法人に再就職した職員も、今回の新たに導入される罰則まで含めた厳しい働きかけ規制の対象になります。あわせて、厳格な監視体制を整備しておりますので、口ききに該当するような働きかけが行われれば、行為規制違反となります。

 したがって、このような抑止策が施されておりますので、緑資源の天下りという側面からの問題は解決されるわけであります。

泉委員 済みません。先ほど、事務次官ではなくて林野庁長官の話でして、大変申しわけございません。

 もう一度お伺いします。聞いたことに答えていただきたいと思っていますので、委員長もよく計らっていただきたいんです。

 聞くと、大体、こういうこととこういうことをやりますということだけ言ってしまうんですね。このことについてはどうですかと言っても、いや、これはやりますと、全然違うことをおっしゃられてしまうので、そうではなくて、聞いたことにお答えいただきたいと思うのです。

 もう一回。固定的なポストの流れがある。それを今後、各省のあっせんという形ではなくて人材交流センター、ここを使ってなんですが、同じ形のものが続いてしまった場合、これは許されることなんでしょうかということをお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 独法のトップが固定的な天下りのポストになるような改革を我々はやるつもりは毛頭ございません。

泉委員 ということは、これまでこういったさまざまな、何というんでしょう、大中小というか上中下というか、役職に応じた固定的な人事の流れというのがあったと思うんですね。それはもう各省庁、私も名前をすべて列挙することはできませんが、だれがどこに行っているかというのは、かなり固定的なものがあったかというふうに思います。

 こういうものは今後、今の大臣のお話でいくと、禁止をされるというか、許されないというか、そういう人事のあっせんは、新しい天下りバンクでも、人材交流センターですか、そこでもやらないということの確認をもう一回お願いします。

渡辺国務大臣 これは、官民交流人材センターの基準もさることながら、独法改革という別の切り口から歯どめをかけていく必要もあろうかと思います。

泉委員 そこは、ぜひ私は明確にしていただきたいと思っております。五月の二十三日、我が党の小川委員の質問に対して、これは東証の例のときでしたけれども、こういうケースはかつて固定的なポストになっていた場合が多いわけですね、つまり、東証理事長とか、そういった営利企業ではないけれども非営利法人への天下りポストというものがあったわけでございます、したがって、疑いを持たれる場合が多いわけでございまして、新法施行後、外部監視委員会が疑いを持つに至った場合にはチェック対象となるということでありますというふうになっております。

 今言ったように、この緑資源の問題でいけば、林野庁長官から緑資源機構の理事長になり、そして森公弘済会にまたトップで行っている、こういう固定的な流れですよね。こういうものを、新しいバンクになったからといって、中央があっせんするから大丈夫なんだという話じゃないですよね。やはりこれは断ち切らなきゃならないですね。

 そういう意味では、私はちょっと資料を要求したいと思うんですが、各省庁、過去二度以上にわたって、同じ役職から外部の同じ団体に就職をしているケース、その一覧表をぜひお出しいただきたい。これはある意味、規制というか自主ルールなのか、これから有識者会議で決めるものかわかりませんが、そういうものの対象になると思うんですね。そういった意味からも、ぜひその資料の要求をしたいと思います。

西村(康)委員長代理 理事会で協議します。

泉委員 大臣、ぜひその姿勢でお願いをしていきたいと思います。こういった人の流れ、これをやはり私たちは中立公正なものに、断ち切っていかなくてはならない、そのように思っております。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 これもまたこれまでの質疑の中にあったわけですが、早期退職勧奨と定年制のことでもう一度大臣に確認をさせていただきたいと思うんですね。

 我が党案も今回出させていただきました。対案を出してすばらしいと最初は与党の委員に褒められるんですが、その後はいろいろな難癖というか質問を受けて、攻撃を受けておりますけれども、ただ、そういった質問の中で、我が党に対していろいろなことが再三言われているわけですが、例えば、退職勧奨を禁止する、そしてまたあっせんを禁止する、あるいは再就職を禁止する、そして公務員については定年まで残る、その分何年かの新規採用を抑制するということが問題だというふうに言ったり、肩たたきでやめていたのが六十までを定年とすると、六、七年そのままいくわけですから人事が停滞するというようなことで、よく民主党案の方が攻撃をされてきました。

 要は、早期退職勧奨をやめると人事が停滞するということをこれまでも指摘されてきたと思うわけですけれども、では、果たして政府が今これから早期退職勧奨をどのようにしていこうというのかというところが、やはりいま一つわからない。

 その前提で、私がもう一回整理をしたいのは、例えば、スタッフ職制ですとかラインの複線化、降格あるいは年功序列の改革、公募制、能力主義、人事評価、民主党案でこれはやらないと言っているものはないというふうに私は認識をしておりまして、民主党も能力主義、人事評価、しっかりやっていくというような考え方だと思っております。ましてや、キャリアの否定、キャリア制の廃止については、これはもう既にマニフェストで書かせていただいているということになっておりまして、いわゆる能力主義という観点ですとか、そういった人事的なところでいえば、ほとんど差異はないではないかというふうに私は思っていますが、大臣、いかがですか。

渡辺国務大臣 差異がないのであれば大変結構なことだと思うんですね。民主党が出された案が政府案と同じであるというのであれば、我々は大いに歓迎をいたします。ぜひ政府案を御検討いただきまして、今国会で成立させていただくよう、心からお願いを申し上げます。

泉委員 そこは間違いなんですね。今言ったのは、こういった人事や能力主義の部分の考え方、これは変わりはないと言った。しかし、政府と民主党の大きな違いは、再就職において再就職の人材バンクをつくる、そしてつくらないというところ、こういうところが明確に違うわけですね。

 そしてまた、そういったさまざまなスタッフだ、ラインだ、そしてキャリア制の廃止だといえば、これをやっていけば当然人件費の削減はできる、筋肉質の公務員改革というのは我が党案でもそれは十分可能だということですよ。そこの部分では何も変わりがないということです。

 ということで早期退職勧奨ですが、大臣は、能力・実績主義を導入すれば退職勧奨をやる理由はなくなっていくというふうにおっしゃられています。

 では、この法律が成立をいたします。そうすると今度は移行期間があるわけですね。大臣は五月十八日の質問の中でこうも言っておられます。平井委員の質問に対して、平井委員、いいことをおっしゃられました。法案が通るまでに駆け込みの天下り的なものが横行しては法案のイメージダウンにつながるとおっしゃられました。それに対して大臣は、移行期間は各省あっせんを残しておりますと。それで、これはやはり問題だというふうに考えられておられるようで、当然その精神は前倒しで実践していくべきだと考えているというふうにおっしゃられているわけですね。

 まず、ちょっと確認したいわけですが、この駆け込み天下りを許さない、これはすぐ禁止していくという考え方でよろしいですか。

渡辺国務大臣 法案が通らないのに、私が一人でそう言ってみてもこれは始まらないことでございます。ぜひ法案を通過させていただいて、そして、こういう法の精神を無視するような露骨な天下りあっせんが横行しているという場合には、やはり今回の改正案の精神を何らかの形で前倒ししていく必要があるではないかということを申し上げたわけであります。

泉委員 今の、露骨なとか横行とかいうところですね。例えば、横行というのは、では一個目はいいけれども二つ目、三つ目は許さないよという話じゃないんじゃないですか。やはりその精神から考えれば、平井委員がせっかく質問をされた、そのときの答えは、その精神を前倒しで実践していく必要があるかと思いますと立派におっしゃられているわけですよ。これはやはり一つの例外もなく前倒しをする、まあ法案が通ればですよ。でも、通ればといえば、例えばこの審議が半年続く、一年続くということでは恐らくないでしょうから、そうなればというのは、もうすぐの話かもしれません。

 そうすれば、この法案が通れば、やはりこの精神は前倒しすべきだというふうに思いますが、改めて、露骨に見えたらとか横行したらという問題ではなくて、これはやはりこの精神に基づいてしっかりと大臣が方針を、あるいは官房長官かもしれませんが、全面的にしっかりと提示していくべきだと私は思いますが、いかがですか。

林副大臣 まさに大臣おっしゃったように、この精神は、せっかくここでこんな御議論をいただいているわけですから、前倒しをしていかなければならない、そういう御答弁があったわけでございまして、この間、政策金融の御審議をいただいたときも、固定的な人事にならないようにというような案も出させていただきましたし、また、現行でも、官房長官に了解をとる、閣議で口頭了解する、現行でき得るいろいろな手段がございますので、今ある手段をちゃんと使いながら、そういう精神を前倒しで実行していかなければならない、こういう趣旨で御理解をいただいたらというふうに思うところでございます。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

泉委員 では、この精神をしっかりと前倒しして実践されるということは、駆け込み天下りをやめるということですね、言ってみれば。では、駆け込み天下りをやめる一方で、早期退職勧奨は、民主党はすぐ禁止というふうに言っているわけですが、大臣もいずれ消えると言っている。では、移行期間における早期退職勧奨というのはどうなっちゃうんですか。退職勧奨はするけれども、駆け込み天下りは禁止するわけですね、前倒しの精神で。駆け込み天下りは禁止して、退職だけしろというふうにおっしゃられていくんですかね、今後は。各省庁どうなりますか。

渡辺国務大臣 我々は、各省による天下りあっせんは全面禁止をいたします。しかし、公務員の再就職を抑制するということではありません。公務員がその能力や経験を正当に評価されて再就職をする道、これは確保すべきであると考えています。したがって、この法案が成立をすれば、官民人材交流センターを平成二十年中、来年中に立ち上げたいということを申し上げているわけでございます。このセンターができれば、当然このセンターを通して、各省のあっせんによらず、つまり、予算と権限、背景の押しつけによらずに正当な再就職ができるようになるわけでございまして、ぜひ、そういうことをできるだけ早く行いたいと思いますので、法案成立には御協力をお願い申し上げます。

泉委員 その部分はいいんですよ。

 まさに私が言っているのは移行期間ですね、副大臣はもう御理解いただいていると思いますが。退職者というのは毎年出るわけですね。移行期間なんですよ。退職勧奨だけしておいて、でも精神は前倒しだから天下りはさせないよ、これ、どうするんですか。彼らはどこに行ってしまうんですか。

林副大臣 大臣と私と同じ理解でおりますが、まさに移行期間は、委員、条文を見ていただくとわかると思うんですけれども、まず、今大臣がおっしゃったように人材センターができるわけですね。あっせんは、三年たった後は全部禁止になりますが、そのあっせん規制の例外だけが移行期間は残るということで、それ以外の行為規制は、この法が施行になりますと規制としてかかっていくわけでございます。例えば、現職の職員が自分の行き先を探すとか、行った方が出元に口ききをするといったことについては行為規制が既にかかる。そしてもう一つは、現在人事院でやっております事前承認。これも暫定的にその三年の期間は合わせておりますが、残る、こういう規制も、今度は内閣でやることになりますけれども、かかっていく。こういうような枠組みの中で人材センターも活用しながらやる。

 だから、その暫定期間というのは、あっせん規制の例外が暫定的に残る、ほかのところはもうフルにそこからスタートしている、こういうふうに御理解をいただければと思います。

泉委員 ちょっとイメージがわかないんですが、各省庁のあっせん規制はするけれども、暫定期間三年間ですね、各省庁のあっせん規制はするけれども実際には、就職活動はさせるというか、再就職支援はすると。

 ちょっともう一回お願いします。

林副大臣 暫定期間が終わった三年後以降はあっせんはできなくなります。そのあっせんの規制と、それから、自分が働きかける、おれはそこへ行きたいんだけれどもというのと、それから、行った人が口ききをする、三つの規制があるわけでございますね。その二つ目と三つ目は最初から、暫定期間の頭からかかります。あっせんの規制のところだけが例外的に、人材センターもあっせんを始めますけれども、各省もその暫定期間の三年間は例外的に、暫定的にあっせんをしていいです、こういう仕組みになっているということでございますが。

泉委員 例えば、直近でいうと、この十九年から二十年にかけて退職を勧奨する方もいると思うんですね。この勧奨した方については、今の大臣の考え方でいうと、駆け込み天下りは前倒しで禁止をするということですよね、大臣さっきおっしゃったのは。

 じゃ、この勧奨された方々というのは、どういうところに、どうやって、どういう手段を使って就職できることになるんでしょう。

林副大臣 まさに勧奨は、各省のあっせんがまだ残っておりますので、その各省……(泉委員「だから、それを禁止すると言ったんでしょう」と呼ぶ)いや、天下りのそういう、何というんですかね、先ほど来ずっと天下りの定義については御議論があるところでございますが、今回の法律の精神に照らして、この三年後にはもうやってはいけないことになるような類型の、押しつけ的な天下りというものを、前倒しの精神で今できることを活用してやっていこう、こういうことを申し上げたわけでございます。

泉委員 だから、もしかしたらやはり天下りの定義があいまいだからになっちゃうかもしれないですけれども、より明確にというか、狭くすると、いわゆるキャリアの方々の退職勧奨ですよね。一般の多くの公務員の方々の退職勧奨の話じゃなくて、キャリアの方々の退職勧奨というふうに言った場合に、これは当然毎年起こってくる話ですよね。しかし、これまで批判されてきたのは、キャリアの方々の退職勧奨による天下りが問題になっていたわけですよね。

 でも、大臣は先ほど、そういったいわゆる幹部クラスの方々の駆け込み天下りは前倒しをして禁止をするというふうにおっしゃられた、それは言っていないわけですか。それは今後も、この移行期間も続けるということですか、各省庁。

林副大臣 ちょっと定義が若干混乱をしているのかもしれませんけれども、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんというものを天下りというふうに、定義論が先ほどあったようでございますが、そういうことでございますので、本人の能力や適性ということをきちっと見た上で、こういう方がいらっしゃるといいんですけどねと言ってきた、各省に今来ておるようなもので、そういうものは三年間の暫定期間は残す、こういうことでございますが、一方で、外部監視機関であります再就職等監視委員会だったと思いますが、それが各省に、監察官だったでしょうか、そういう外部監視機関というのは既に暫定期間の中にも置かれておりますので、委員がどういう定義で天下りを定義されるかは別として、私が申し上げているようなことがもしあれば、その外部監察機関から、きちっとした端緒があれば、いろいろな調査も始まるし、まずそこでチェックをしてもらう、こういうふうに御理解をいただければと思います。

泉委員 済みません、時間が大分なくなってきましたので、さらに次の問題に行きます。

 今回我々が要求した資料で、行革事務局から資料が出てまいりました。それは、各事務次官の退職先、再就職先とあっせんの有無というところでありますけれども、これを少し各省庁に確認をさせていただきたいというふうに思います。

 あっせんの有無、これを、先ほどの答弁の中にも一部ありましたけれども、ありというところもあれば、なしというところもあれば、確認できない、そして空欄、それぞればらばらでありまして、総務省、厚労省、国交省、金融庁、それ以外もちょっとあるんですが、代表的なところで恐縮なんですが、すべて確認できないということになっております。

 これをやはり再調査すべきだと言った趣旨は、確認できない、これは時間的なものなのか。まだ私たちは調査の途中だという認識を持っておりますけれども、最終的に答えが出てくるということで考えてよいのか。例えば、それは本人に確認するという方法があるはずですね。先ほど、資料によるものがありませんでしたから確認できませんでしたと言っているところがありましたが、それは今までも、早期退職勧奨と言われてきたように、これは慣例であったということで、文書には残さないというふうに今まで言われてきたわけですから、ないということについて結論を出すには、これは本人に確認をされたんだろうなと思うわけですが、まだ米印で確認できないというところについては、各省庁、ある程度解釈の違いがあるのかもしれません。

 もう一回、その意味で、総務省、厚労省、国交省、金融庁にお伺いをしたいと思いますが、確認できないというのはどういうことなのか。そして、それは今後確認をしていただけるということで考えていいのか、それをお願いいたします。

荒木政府参考人 お答えいたします。

 総務省におきまして調査をいたしました結果、あっせんの有無が確認できませんでしたのは、そのような事実が確認できる資料が見当たらなかったものでございます。(泉委員「本人確認はしていない」と呼ぶ)本人確認はしてございません。資料が見当たらなかったものでございます。

宮島政府参考人 厚生労働省においては、人事院の承認を必要とする営利企業、営利法人に再職する場合は、承認を得た旨の書面は残っている、記録はあるんです。ただ、それ以外の場合には、みずから就職先を見つけたのか、いわゆるあっせんによるものなのか、記録が残っていないので確認できないということでございます。

竹歳政府参考人 当省として、保有しているデータからは確認できないということでございます。

泉委員 多分同じ答えなので、もういいです。結局は、書面で確認をして、今の段階ではないということだそうです。

 次に、逆にしっかりと、褒められるかもしれませんが、文科省、人事院、検査院は、ありというふうに書いていただいた調査結果が出てきました。これは、書面で残っていたということなのか、本人に確認をしたということなのか、記憶している者がいたということなのか、教えてください。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省関係でございますが、本省課長、企画官相当職以上の再就職ということにつきましては毎年公表することになっておりますので、その公表するための情報があるわけでございますから、これらにより確認したわけでございます。

川村政府参考人 人事院でございます。

 人事院では、当方で所持しております資料ですとか、あるいは当時の関係者に聞くなどいたしまして確認したところでございます。

石野会計検査院当局者 お示しの、平成十三年一月の中央省庁再編以降に退職した者は事務総長二名ございますが、このことは既に公表しているところでございまして、これにより確認したというところでございます。

泉委員 文科省と検査院にもう一回お願いしたいんですが、公表していて、それにより確認できたということですが、そこにあっせんがあったという記録が残っていた、あるいはそういう項目があるということで、うなずいていただければそれでいいんですが。

 では、委員長、その資料の提出を要求させていただきたいと思います。文科省と検査院の公表資料ですか、その中に項目があって、あっせんがあったというようなことが書いてあるということでございますので、その資料の提出をお願いいたします。

石野会計検査院当局者 特にそういう資料が残っているということではございませんが、本院で把握している職員の再就職状況を調査する過程で、情報提供をしているであろうというふうに認められたところから、あっせんありということにしたものでございます。

玉井政府参考人 項目があってという意味ではございません。公表するために情報があるわけでございます。その情報に当たりましたところ、これらの確認ができた、こういうふうに申し上げているわけでございます。

泉委員 次に、環境省、外務省、なしというふうに書いてありますが、これは、確認できないとは違って、明確になしということを書かれた。それは、書面でなかったからなしと書いてしまったのか、今考えてみたら星印にすべきだったのか、教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、離職者は大変少ないわけでございますけれども、一応、私どもの把握方法といたしましては、政府統一の再就職規制にかかる者、これは例えば離職後二年間かかるわけでございます。これについての調査。それから、公益法人等でございますと、役員の届け出というのもございます。また、叙勲というようなことになりますと、叙勲の申請というようなことで、退職後何年まで追えるかということは必ずしも一定はしませんけれども、そうした書類を調べてみたということでございます。

 それから、御指摘いただきました再々就職というのがもし分母でございますと、そういったものに当たる職員は三人しかおりませんので、その三人について言いますと、すべて大学に行きましたので、当方ではあっせんをしておりません。

塩尻政府参考人 外務省でございます。

 当省として把握している情報、事実関係、材料、国家公務員法第百三条に基づく承認手続に係る資料等でございますけれども、こういったものを調査、確認したところ、あっせんを行った事例がなかったということで報告させていただいた次第でございます。

泉委員 ともかく、先ほど細野議員が話をしましたけれども、事務次官というのは、そう数は多くございません。であれば、これはそもそも、書面で確認できるという範囲で調査をしていること自体が、やはり調査のやる気が問われているんだというふうに思います。

 その意味では、我々は、本人に確認をして、そして、あるいは当時の関係者にヒアリングをして、このあるなしという表をつけるべきだというふうに思っておりますので、この調査の継続を、お願いをしなくても、これは当然、調査は継続されているものというふうに理解をしておりますが、改めて、この調査の継続をお願いさせていただきたいと思います。

河本委員長 理事会で協議します。

泉委員 次に、人材バンク、もう余り時間がありませんけれども、一つお伺いをしたいのが、これまでの質問の中で、公務員がハローワークに行けるかというようなことの大臣の答弁がありまして、これは、一般でハローワークを利用している方に対する何という失礼な言葉かという気がしてなりません。

 公務員だって、例えば退職をして失業する期間があって当然です。それは当然ですよね。就職で悩むことがあるかもしれません。そして、もしかしたら在職中に、もちろんいろいろな行為は規制をしておりますが、もしかしたら庁内のインターネットから、どこかの会社のホームページや人材派遣会社のホームページを見ているかもしれません。そこまでの行為規制なんというのはできないわけです。求職活動と言われるものは、やっている部分もあるかもしれません。

 であるならば、そこまで同じであれば、私は何も優遇することはないというふうに思っておりまして、例えば、それは失業保険においても、民間には失業保険がある、しかし公務員にはないんじゃないかというようなことも過日お話の中であったかもしれませんが、実は、これも明確に、国家公務員の失業者の退職手当制度というものがあって、民間と同程度の、差額分の特別の退職手当というものも、短い期間の公務員であればしっかりと出るようになっている。そして、長い期間公務員として勤めた人間であれば、それ以上の退職手当というものがちゃんと出るようになっている。ですから、民間に失業保険があって公務員にはないからそこに大きな格差があるというのは、そもそも当たらない話なんですね。

 であるならば、改めてですが、我々は、公務員の人材、その力はぜひとも民間の中で活用されたらいいというふうに思っておりますが、その中立公正性を示すのであれば、それこそ、まさに、民間にあまたある人材バンクにみずから御登録いただいて、みずから就職活動をしていただくのが一番いいというふうに思うわけです。エグゼクティブ人材バンクなんというのもありますよね。もし、自分に能力がある、そういう方で高い年収を目指したいという方がおられたら、それは当然そうしたらいいわけです。民間にはそういうバンクは幾つもある。どうして公務員のみを、こうして人材バンクで就職のあっせんをしなければならないんですか。これを大臣にお伺いしたい。

渡辺国務大臣 これは、御案内のように、我々は、今ある人材バンクとは別のものを考えているわけであります。将来は民間からの人材も官の中にゲートウエーとして迎えることも考えているわけでありますから、今の御質問の趣旨と我々の考えはちょっと違うわけであります。

 そもそも、公務員というのは身分保障がございます。これはまさに今回の改正案の中でも、身分保障を取り上げるという仕切りにはなってございません。また、今回の改正案の中では、現職職員の求職活動についても規制を加えているわけであります。これは罰則も含めた厳しい制約を課すわけであります。

 したがって、このような制約のもとで、再就職に当たって何の支援もしない、ハローワークに行きなさいと言った場合には、まさしく公務員が身分保障を盾に職にしがみつくことが考えられるんです。そうなりますと、行政の減量化や効率化を妨げる要因になりかねない。だから、我々は、官民人材交流センターを、透明な仕組みによって再就職の支援を行うということにしたのでございます。

泉委員 時間なので、終わります。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 官房長官の日程の方、一番最後を予定していたんですが、若干時間が変わってきましたので組みかえながらやりたいと思います。本来は委員会審議に合わせて大臣に来てもらうのですが、しかし、異例なことですが、きょうは大臣日程に合わせて調整をしていきたいと思います。

 最初に人事院に伺いますが、分限規定の問題についてです。

 今回の法案で一部改定されていますが、その前に、現行国公法に分限規定が置かれている意味について、これをまず人事院の方に聞きたいと思うんです。さらに、人事院は昨年の十月に分限処分の指針について各府省に通知していますが、その目的は何なのか、このことを政府参考人の方に伺っておきます。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の分限制度の趣旨は、成績主義の原則のもと、職員が全体の奉仕者として情実に左右されずに職務を行い、恣意的にその職を奪われることのないよう、免職、降任等の処分を行うことができる事由を法令で明定することにより、公務の中立性、安定性を確保し、その適正かつ能率的な運営を図ろうとするものでございます。

 人事院は、各任命権者が分限制度の趣旨にのっとった対処を行って公務の適正かつ能率的な運営が確保されるように、おっしゃいましたように、昨年の十月、国家公務員法の第七十八条第一号から第三号までに係る裁判例とか人事院の判定例、過去の処分例等に見られる典型的な事例ごとに手続や留意点等の対応措置を指針としてまとめて各府省に通知をしたところでございます。

吉井委員 憲法十五条に規定されているように、公務員が国民全体の奉仕者として、特定の利害や政治的圧力、その他圧力を受けることなく職務が公正中立の立場で行えるようにするための身分保障というのがここにあると思うんですが、指針の内容は、民間の解雇の判例などを踏まえたもので、基本的に民間と同じであるということだったと思います。

 法案の七十八条の一号は、「勤務実績がよくない場合」という言葉の前に「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、」という条文が挿入されておりますが、この内容というのは、人事院規則一一―四第七条に規定されている「勤務評定の結果その他職員の勤務実績を判断するに足ると認められる事実に基き、勤務実績の不良なことが明らかな場合」というのとほぼ同じだと思うんですね。

 ですから、法案の改定内容の程度から見ても、また、降任、免職は職員の雇用にかかわる大きな問題であるということ、その判断には裁判所の判例等があるということなどから見て、その考え方というのは基本的に現行法から変わるとは思えないんですが、この点を確認しておきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 現行の国公法七十八条第一号は、降任、免職の事由の一つとして「勤務実績がよくない場合」と定めておりますけれども、今回の改正案では、先生おっしゃいましたように、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」とされていると承知をしております。

 また、現行法のもとでは、先生がおっしゃいましたように、同号に関する人事院規則におきまして、「勤務評定の結果その他職員の勤務実績を判断するに足ると認められる事実に基き、勤務実績の不良なことが明らかな場合」と規定しているところでございまして、今回の改正案も基本的には同趣旨のものというふうに理解しております。その趣旨が法律上明定されるものというふうに理解をしております。

吉井委員 次に、この分限とも関係する退職勧奨の問題について大臣に伺います。

 これまで渡辺大臣は、退職勧奨は自動的になくなるとか自然になくなるという答弁をされたりしていますね。退職勧奨が自動的になくなる根拠というものをきょうは聞いておきたいと思うんです。

渡辺国務大臣 何度も申し上げますように、今回の法案におきましては能力・実績主義を導入いたします。このことによって年功序列は打破されていくわけです。同期や後輩が上位の官職についていくということが普通に行われていくようになるわけであります。したがって、同期横並び昇進、スーパー護送船団方式によって幹部クラスになるとポストがなくなり肩たたきが起きるということはなくなるわけであります。

 他方、官職に見合った仕事ができていない職員などに対し退職を勧奨するということは、こういったスーパー護送船団方式がなくなった後でもある程度残るのはやむを得ないのではないでしょうか。

 専門スタッフ職俸給表の新設について、既に昨年十月閣議決定をし、人事院に対してその具体化を進めるよう要請しておりますので、こういった面からも、肩たたきはなくなるということは言えようかと思います。

吉井委員 それがなぜ肩たたきがなくなる話と結びつくのかはっきりしないところですが、四月二十四日の閣議決定では、「(1)専門スタッフ職の実現」として、「公務部内で長期間在職可能な専門スタッフ職の早期導入」というのをうたっていますね。職員が定年まで働けるようにするためにと専門スタッフ職の実現を書いているわけですが、退職勧奨をやめるというのは閣議決定には書いていないわけです。退職勧奨が自動的になくなるというのならば、なくす方向ぐらいきちんと書くことができると思うんですが、なぜ退職勧奨をやめると閣議決定できっちりし、法文上もきちっとそれをうたうとか、そういうことをしていないのか、伺います。

渡辺国務大臣 要するに、私が申し上げているのは、年功序列システムによってポストがなくなるところから肩たたきが起きますよ、しかし、そういう従来型の肩たたきシステムというのは、能力・実績主義の導入で後輩に追い抜かれる人がどんどん出てくる、追い抜かれても、スタッフ職制の導入によって定年まで働けるルートは開けるというようなところから、従来型肩たたきシステムはなくなりますよということを申し上げているわけであります。

 一方、官職に見合った仕事ができていない職員などに対して退職を勧奨するということは今後ともある程度は残る、そういうことはやむを得ないのではないかということを言っているまでのことでございまして、こういうことを改めて書くべきことであるとは考えておらないということでございます。

吉井委員 圧倒的な職員の人は、まじめで、定年までちゃんと勤めたいという気持ちで頑張っているわけですね。五十歳そこそこで天下りしていきたいと本当に思っている人なんて、ほとんどいないわけですよ。

 だから、これから大幅な定員削減計画が実行されていったとすると、定員とポストというのは減るばかりなんです。現実に考えても、退職勧奨というのは、なくなる話じゃなくて、より激しくなってくる、ふえてくるということになっていくんじゃありませんか。

渡辺国務大臣 いずれにしても、国家公務員には身分保障というものがついているわけでございます。今回、こうした身分保障について撤廃をするというようなことは全く考えてもいませんし、法案の中でもその部分は残っているわけであります。

 したがって、公務員が何らかの事情で再就職を迫られたときに、本人の能力や経験が正当に評価されて再就職ができるよう、官民人材交流センターというものをつくろうという提案をしているわけであります。

吉井委員 そうすると、勧奨退職というのはこれからも続けるということですね。

渡辺国務大臣 何度も申し上げますように、従来型の肩たたきシステムはなくなると申し上げております。

 つまり、同期横並びのスーパー護送船団方式によって昇進していくわけであって、能力・実績主義が導入をされればまさしく同期横並びが崩れていくわけでありますから、こういう面から、また、スタッフ職制のような定年まで働けるルートができるわけでありますから、従来型の肩たたきシステムはなくなるということを申し上げているわけであります。

吉井委員 何か、従来型の肩たたきはなくなるということを一生懸命言っているんですけれども、要するに、ポストを奪って追い出していくというのが勧奨退職ということの実態でしょう。

 大臣に伺っておきたいのは、では、退職を勧奨する、それを行う法的根拠というのはどこにあるんですか。

林副大臣 委員もよく御存じのように、国家公務員法の七十八条には、「本人の意に反する降任及び免職の場合」ということで、いわゆる分限のことについて四項目定めておりまして、勤務実績がよくない場合、また心身の故障のため、三がその他官職に必要な適格性、そして四がいわゆる過員分限でございますが、こういうことではなくて、退職勧奨していただいた上で、本人が本人の意思として退職をするというのが退職勧奨でございまして、退職勧奨した結果、勧奨退職といったものになるわけでございますから、国家公務員法上の勧奨退職という文言がここの分限のところにあるというわけではないということは御理解いただけると思います。

吉井委員 渡辺さんが言っていたのは、一人の次官が誕生すると同期の人を全部外へ追い出す、そういう悪習としての退職勧奨の方、大体それをイメージしていると思うんですね。それはみんなよく知っているんですよ。

 しかし、これは事実上の退職強要なんですよ。ノンキャリアの一部にも行われている勧奨も結局退職強要ということで、今、林さんがおっしゃったけれども、本人の意思で、しかし、本人はできればずっと続けて頑張っていきたいと思っていても、要するに肩たたきと称して追い込まれていくというのは、ポストのない人には外へ出ていってもらうというこのやり方は、結局、退職勧奨を退職強要に使うということであって、これはやはり明確な国公法違反ということになってくるんじゃないですか。

 だから、林さんがおっしゃったように、国公法七十八条による以外の理由で、本人の意思に反して降格や免職はできないわけですから、それをやってしまったら、退職勧奨という言葉なんだけれども、退職強要というのが実態になってしまいますから、法律を一番きちっと守っていかなきゃいけない政府がみずから法律違反をやるということはやはりやめるべきだと思うんですが、どうですか。

渡辺国務大臣 これは弁護士の加茂善仁先生の言葉でありますが、退職勧奨とは、使用者が労働者に対して自発的な退職意思の形成を慫慂するためになす説得等の行為であり、事実行為であると言われております。本来、退職勧奨行為は、自由にそれをなし得る反面、被勧奨者も何らの拘束なしに自由にその意思を決定することができ、退職勧奨に応ずる義務があるわけではありませんということなんだろうと思います。したがって、このことをもって国家公務員法違反ということにはならないと考えます。

 いずれにいたしましても、官民人材交流センターは、こうした再就職の場面でも支援をするということであります。

吉井委員 ですから、はっきりしたことは、国公法七十八条で、本人の意思でみずからおやめになるのは別だけれども、退職勧奨ということでやっていったら、これは退職の強要になるわけですから、だからできるだけ自分の意思でやめるようにしむけていこうという発想はあるにしても、本人の意思に反することをやっちゃならないということを、法律はやはりきちっと国の方から守っていかなきゃいけない、このことは明確にしておきたいと思うんです。

 ちょっと、組みかえまして、官房長官に来ていただいておりますので。最初の質問は、渡辺大臣に行いますが。

 先日の内閣委員会で、当初提案した官民人材交流センターには各省庁の人事当局との関係はなかったが、閣議決定で、「あっせんの対象職員に関する必要なキャリア及び人的情報の把握のため、センター職員は人事当局等と必要に応じて協力するものとする。」との一文が入って、官民人材センターと各省庁の人事当局との関係がつくられてきたというのが十八条七の五項の話で、この間議論したところです。

 そこで、大臣はマッチングのために情報が必要ということを述べていらっしゃったわけですが、マッチングに必要なキャリア及び人的情報は、当然、本人が人材センターの方に提出しているわけですね。どうして各省庁の人事当局との協力が必要になるのか、この辺のことを伺っておきたいと思うんです。

渡辺国務大臣 今回の法案では、各省が人事の一環として行っていた天下りあっせんを全面禁止いたします。まさに、各省の予算権限と隔絶した官民人材交流センターで一元化した上で、あくまで本人の能力、経験を生かした再就職に対する支援を行うわけでありますから、押しつけ的あっせんは根絶されるということであります。

 センターは、関係行政機関に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求め、または意見を述べることができますが、これらはいずれも、あっせんの対象職員に関する必要なキャリア及び人的情報の把握のために行うものであります。センターが行うあっせんの過程で、各省が、非営利法人も含めて企業と接触をするものではございません。このことは、法案と同時に、閣議決定をいたしました文書にも明記をいたしております。

吉井委員 本人にかかわることを聞くんだということです。

 そこで、塩崎官房長官、この法律の三項で、センター長になると。これは法律が通った場合の話ですから、通らない場合はもちろんそういうことはないわけです。閣議決定では、「あっせんの対象職員に関する必要なキャリア及び人的情報の把握のため、センター職員は人事当局等と必要に応じて協力するものとする。」となっているんですが、この法案では「資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。」とされています。

 そこで、官房長官に伺いたいのは、センター長、一応予定者というふうになってきますから、あなたがセンター長になった場合、何を各省庁に求めていかれるのか、何か考えていらっしゃることがあったら、それを伺っておきたいと思うんです。

塩崎国務大臣 まず第一に、法律はぜひ早急にお通しをいただきたいと思います。

 それで、今先生の御指摘は、どういう情報をとるのか、こういうお話でございました。

 先ほど渡辺大臣から申し上げたとおりでありますけれども、閣議決定の中に、官民人材交流センターの原則というのを四つほど書かせていただいておりますけれども、その中に書いてあるところは、先ほど先生もお読みをいただいたわけでございますし、まさにそれが一番大事なことであります。

 特に、今回の閣議決定の中でも、まず第一に、いろいろな役所から出向で職員が多分このセンターに来ると思いますが、その出身官庁の再就職についてはお世話をしないということになっていますので、当該職員、再就職をするであろう職員のこれまでのキャリアパスがどうであったか、どういうお人柄なのか等々含めて、能力が一番中心かと思いますが、そういったものについての人事情報について、やはり再就職のお手伝いをする際にはそういう情報が要るだろうということで、この法律の中にも、長が資料の提出や意見の開陳、説明その他必要な協力を求めということで、こういうような書きぶりになっているということだと思います。

吉井委員 それで、官房長官への次の質問の前に渡辺大臣にもう一つ聞いておきたいのが、十八日の内閣委員会で、私の質問に対して大臣は、「大体、固定ポストになっているところは、ほとんどあっせんがあると見るのが常識ですよ。」という答弁でした。そこはあなたと私も同じように見ているんですよ、同感といいますか。固定ポストとして天下りしているということは、広く世間的にも知られているんですね。

 大臣が固定ポストとなっていると認識しているところ、見ているところは、どういうところかというのを伺っておきたいと思うんです。

渡辺国務大臣 これは具体的にどこというものを特定して申し上げたというよりは、一般論を申し上げたわけでございます。

吉井委員 先ほど来、立法事実の話もありましたけれども、固定ポストというのは一般的な話だけじゃなしに、これまでから国会で何度も何度も議論してきているわけですよ。

 例えば、金融問題のときであれば金融関係でやってきて、その固定ポストの一例をちょっと見ておくと、例えば大蔵省、財務省の事務次官であった人であれば、これは民間でない方で見ても、国民生活金融公庫の総裁というのは、大体、何代にもわたって固定ポストですね。文部省、文科省の事務次官であれば、放送大学学園の理事長になっていく人とか、あるいは公立学校共済組合の理事長になっていく人とか、人はかわっても、いわゆる固定ポストですね。厚生省、今の厚労省の次官であれば厚生年金基金連合会の理事長であるとか、労働省で、厚労省の事務次官であった人だったら雇用促進事業団の理事長であるとか、人事院の事務次官に相当する人であれば地方公務員災害補償基金の理事長とか、いわゆる固定ポストというものがこういうふうにあるわけですが、これは今のものだけじゃなくて、民間も、何々銀行だとか何々電力だとかあるわけです。

 そこで、塩崎官房長官、あなたがセンター長になるということが、法律が通ったときの話で、私はこの法律は簡単に通していいようなものとは思っていませんが、与党が数は多いからどうされるのかよくわかりませんけれども、その場合、こういう固定ポストと言われたところへは再就職はさせない、そういうきちっとした立場をとっていくのかどうか。法案を提出するときというのは、法案成立後のことも考えて、いろいろ考えるわけですから、民間であれ、あるいは特殊法人等であれ、いわゆる固定ポストと言われているところへは再就職はさせない、そういう立場をきちっととられるのかどうかを伺っておきます。

塩崎国務大臣 重ねて、この法律はぜひ早目に通していただきたいと思います。

 今回のこの官民人材交流センターをつくる理由については、もう繰り返し申し上げたとおり、予算や権限をバックに押しつけ的なあっせん、それが往々にして固定的なポストへの再就職ということがよくあって、まさに天下りと呼ばれてもしようがないようなケースもたくさんあったということでありますが、今回のこのセンターの大事なことは、その役所がダイレクトに再就職先にみずからの職員を押し込むことはない。センターが能力と実績に基づいてその人にふさわしい場を再就職のお世話をしていくということになるわけでございますので、各府省から所管の機関とか、あるいは特定の会社の特定ポストに固定的に再就職が行われることはなくなっていくものだというふうに考えているところでございます。

吉井委員 残念ながらお約束のお時間なので、出てもらいますけれども、これまでから、五年、二年規制があっても、官民の癒着というのは正されることはありませんでした。今回、この規制をなくして、即再就職という名の天下りができて、事後規制も二年間で、その後はやりたい放題ということですから、これはどう見ても、人材センターというのは天下りロンダリングとでもいいますか、あっせんトンネル機関という性格というものを持っているので、こういう内容の法案というものを早々に仕上げてしまうというふうなことは考えない方がよろしい、やはり本当ならば出し直しをされて議論するべきものだというふうに私は思います。

 次に、順番を変えたところで、法案第二十七条の二で、中央人事行政機関の所掌について、任用の一部と人事評価に関する権限を人事院から内閣総理大臣に移管し、職員の任用、給与その他の人事管理は人事評価に基づいて適切に行われなければならないとしているわけです。

 そこで、大臣に伺っておきたいのは、人事評価は任用と給与にどのように反映するものなのか、これを伺います。

渡辺国務大臣 今回の法案では、能力・実績主義の人事管理を貫徹するために、新たな人事評価制度を導入することにしております。この新評価制度は、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎となるものであります。

 まず、職員の執務の状況を的確に把握、記録するツールであること、次に、人事評価の結果の活用については、人事評価制度の中で定められるものではなく、任用、給与、分限等のそれぞれの制度において定められることになるものであることから、人事評価制度は、勤務条件には該当しないものと考えております。

 いずれにせよ、人事評価制度については、先ほど述べたとおり、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎となるものであるため、制度の設計については、職員団体とも十分に話し合ってまいりたいと考えております。

吉井委員 人事院に伺っておきますが、任用、給与は勤務条件ですね。それで、任用、給与は人事評価で決められるものなんですね。

 そうすると、人事評価によって給与が決定されるとすると、人事評価というのは勤務条件そのものであって、給与と密接不可分の関係にある任用もまた勤務条件ということになってくると思うんですが、この点はどうですか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に勤務条件と申しますのは、給与及び勤務時間のような、職員が勤務を提供するについて存する諸条件でございまして、職員が自己の勤務を提供し、またはその提供を継続するかどうかの決心をするに当たりまして、一般に当然考慮の対象となるべき利害関係事項であるものを指すというふうに解されておるところでございます。

 今回新しく導入されます人事評価でございますけれども、人事評価と勤務条件の関係についてでございますが、任用とか給与などにどう具体的に活用されていくかなどを勘案した上で、全体として判断されるものではないかなというふうに思っております。

吉井委員 人事院に重ねて伺います。

 前々任の人事院総裁の中島さんが言っておられますが、二〇〇三年二月十九日の予算委員会では、「能力基準というものに基づいて能力を評価する、そのことによって能力等級が決まる、それが給与と直結している、」それが給与と直結しているということについて、「石原大臣は肯定的な答弁をされました。そういうことなれば、能力基準とか、能力基準を実施する指針とか、そういうものは勤務条件だというふうに考えざるを得ないというふうに思います。」ということで、これは勤務条件だということは明快になっていると思うんですが、この点はそういうふうに理解していいですね。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の能力等級制度でございますけれども、かつて議論したわけでございますが、この能力等級でございますけれども、これは給与の等級となりまして、給与決定と直結しておりますことから、こういう能力等級は勤務条件ではないかということで申し上げたところでございます。

 今回の法案でございますけれども、給与は人事評価に基づいて適切に行わなければならないというふうになっておりますが、その前の、議論されておりました能力等級制度と異なりまして、評価自体が直ちに給与決定となるものではないのではないかというふうに考えております。

吉井委員 次に、大臣に伺っておきます。

 「人事院の意見を聴いて、政令で定める。」としているんですが、これは、人事院から意見を聞けばいい、聞きおくにとどめということじゃなくて、そもそも人事院というのは、労働基本権制約の代償機関としての人事院ですから、その人事院の意見を聞いて、その意見を全面的に取り入れる、あるいはよくそれを反映させる、それが「人事院の意見を聴いて、政令で定める。」という内容だと考えていいかと思うんですが、この点はどうですか。

林副大臣 今委員の御指摘のありました、人事院の意見を聞いたらというのは、恐らく七十条の三の二項、「人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は、人事院の意見を聴いて、政令で定める。」この御指摘だというふうに受けとめさせていただきまして、今委員が御指摘になりましたように、人事院は、おっしゃられたような所掌で、専門家でございますから、人事院の意見をよく聞いた上で政令で定めるということを考えておるところでございます。

吉井委員 全体の奉仕者性とか、適切な職務と公平性とか、それを担保していくものとして、やはり人事院の意見をきちっと受けとめて考えていくということが必要だと思うんです。

 それで大臣、代償機関としての人事院の意見をきちんと聞き入れなかったら、労働基本権を制約するその代償機関という意味がなくなってきます。

 二〇〇二年当時の中島さんは、労働基本権の制約が変わらないのであれば、公務員の勤務条件の設定について、代償機能が適切に発揮される仕組みが維持される必要があります、使用者の立場に立つ内閣が勤務条件に関する事項を政令で定めることは、憲法上の疑念が生じ、公務員の労働基本権のあり方が問題になると考えますと。当時の人事院総裁の、二〇〇二年十一月十一日、参議院行政監視委員会での答弁です。ですから、人事院の意見を聞けばいいというだけのものじゃなくて、内閣が勤務条件を政令で定めれば憲法上の疑念が生じるとしているわけですね。

 今回の場合は、林副大臣がおっしゃったように、人事院の意見はよく聞いて、そこはやるということにしても、人事評価の基準及び方法について、要するに政令で定めるということにしていますが、そういうものではないのではないかというふうに思うんですが、この点について伺っておきたいと思います。

林副大臣 まさに大事なポイントを御指摘いただいておると思いますが、先ほど来、前々総裁時代の御答弁も引かれまして、今、その答弁についても人事院から答弁があったところでございますが、まず勤務条件であるかないかということが大事なポイントであると考えております。

 今回の、政令で定めるとしたところの人事評価の基準及び方法ということにつきましては、先ほど来御議論があるように、勤務条件に当たらない、こういうことでございますので、専門家の意見を聞くという意味で、先ほど御答弁申し上げましたように、人事院の意見は聞きますけれども、政令で定めるということでございます。

 なお、蛇足でございますが、前々総裁がおっしゃられたのは、勤務条件であるから、それを、代償措置を担っておられます人事院ではなくてということになれば憲法の疑義が生ずる可能性があるのではないか、こういう趣旨でおっしゃっておられるのではないかというふうに解しておるところでございます。

吉井委員 現行法の政令は手続と記録であり、基準とは根本的に違うものですね。

 中島総裁は、さっき言ったように、能力基準とか、能力基準を実施する指針とかというのは勤務条件だと明快に言っているわけで、勤務条件というのは労使間交渉で決められるもので、話がまとまらないときは、労使対等の原則、労使対等の立場ですから、使用者側が一方的に条件を押しつけてはならない。ですから、民間の場合は、なかなか話がまとまらないというときには、ストライキなどを含めた労働基本権というのはきちんと確立しているわけですが、しかし、公務員労働者の場合は、スト権など労働基本権が制約を受けているわけですから、その代償措置として人事院が置かれている。ですから、その使用者である内閣は、政令で一方的に勤務条件を決めることはできないということは明確だと思うんです。

 これを重ねて確認しておきたいと思います。

林副大臣 委員がおっしゃるとおりでございまして、勤務条件であれば、これは代償措置ということが絡んでまいりますので、まさに冒頭御議論が人事院ともされましたように、今回の法律で定められております人事の評価の基準というのはその勤務条件に当たらない、こういう整理でこの条文にさせていただいたわけでございます。

 委員も御承知だと思いますけれども、昭和四十年また昭和五十一年の東京高裁判決というところで、古い勤務評定制についてのところでございますけれども、これは教職員のケースでございますが、「勤務評定制度並びにこれに基づいて行われる勤務成績の評定は、いずれもそれ自体としては教職員の待遇に属する事項とは認められないから前記広義の勤務条件に該当しない。」という判例もあるところでございまして、そういう整理で今回の法案を御提案させていただいているというところでございます。

吉井委員 それについての議論は、きょうはもう時間がなくなってきましたからちょっとおいておきますけれども、任用と人事評価に関する権限を使用者である内閣総理大臣に移すというのであれば、これは労働基本権の回復なり、労使対等の労働条件を決定するシステムを確立するということはやはり必要だと思うんです。

 この考えは、実は二〇〇一年、当時の片山総務大臣も、「労働基本権と代償機能はパラレルな話でありますから、代償機能をだんだん弱めていくということなら労働基本権の方にという議論は、私は納得できる議論だ」と言っていたことです。

 やはり私は、勤務条件の問題について、これは政令で一方的に決めるということはできないもので、そういうことをやってしまってはだめだということだけ申し上げて、きょうは時間になりましたので、また改めてこの続きをやりたいと思います。

 終わります。

河本委員長 次回は、来る二十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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