衆議院

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第24号 平成19年5月30日(水曜日)

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平成十九年五月三十日(水曜日)

    午前九時十一分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    江崎 鐵磨君

      遠藤 宣彦君    近江屋信広君

      大塚  拓君    岡下 信子君

      嘉数 知賢君    木原 誠二君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      広津 素子君    松浪 健太君

      村上誠一郎君    山内 康一君

      山本 明彦君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    川内 博史君

      佐々木隆博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    松野 頼久君

      鷲尾英一郎君    伊藤  渉君

      石井 啓一君    吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           馬淵 澄夫君

   議員           武正 公一君

   議員           泉  健太君

   議員           鷲尾英一郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           川村 卓雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            出合  均君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  清水美智夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 竹歳  誠君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     西銘恒三郎君

  木原 誠二君     大塚  拓君

  松浪 健太君     橋本  岳君

  市村浩一郎君     川内 博史君

  小川 淳也君     鷲尾英一郎君

  渡辺  周君     松野 頼久君

  石井 啓一君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     山内 康一君

  西銘恒三郎君     近江屋信広君

  橋本  岳君     松浪 健太君

  川内 博史君     市村浩一郎君

  松野 頼久君     渡辺  周君

  鷲尾英一郎君     小川 淳也君

  伊藤  渉君     石井 啓一君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     江崎 鐵磨君

  山内 康一君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     山本 明彦君

  広津 素子君     木原 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 明彦君     嘉数 知賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)

 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)

 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、人事院事務総局総括審議官川村卓雄君、職員福祉局長吉田耕三君、人材局長鈴木明裕君、給与局長出合均君、総務省大臣官房長荒木慶司君、人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長石田直裕君、自治行政局公務員部長上田紘士君、財務省大臣官房参事官森川卓也君及び国税庁次長加藤治彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 先週に引き続きまして、公務員制度改革の質疑を続けさせていただこうと思いますが、まず冒頭、一昨日お亡くなりになられました松岡大臣に心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、御家族初め関係者の方々にもお悔やみの言葉を申し上げる次第でございます。

 さて、今回の公務員制度改革でございますが、先週の質疑でも渡辺大臣の方より、能力主義、実績主義が大事であるというふうなお話でありました。そして、今回の改革においても能力・実績主義を取り入れていくというふうな御答弁、お言葉があったわけでございますが、そこで問題となってまいりますのが、いかに能力の適正な評価を行っていくかというふうなことでございます。

 すなわち、実績部分というのは、ある程度これは結果としての実績で出てくるわけでございますが、能力部分というのは、人間だれしもそうでありますが、いろいろな能力、潜在的な能力も含めて持ち合わせているわけでございます。

 例えば、ちょうど今まさに公務員制度改革の法案を出しているわけでありますが、法案を出して、それがこの国会に提出をされる、そしてこの法案が仮に成立をするとしたときに、そのときの担当者は極めて能力が高いと評価され、そうではなく、例えば昨年、一昨年、あるいは、実はこの公務員制度改革というのは、平成十三年以来この能力・実績主義というふうなことは話題になっていたわけでありますが、例えば六年前の担当者、本当に一生懸命下積みをして、当時のいろいろな情勢を調べ、そしてまた当時の状況下で諸外国に行って調査をした、そういう下積みの人、そういう方々も、実は、残念ながらそのときそのときの政治情勢で花は開かないわけでありますが、そういった人の評価と、そして、まさに今たまたまこういう政治状況下で、また渡辺大臣のリーダーシップでもって花が開く、そうしたときの今の担当者、一見今の担当者の方が、成就をさせたという意味では華々しい能力評価となってしまい、例えば二、三年前あるいは六年前に一生懸命調べ物をしていた、あるいは、当時も行革事務局は一生懸命、当時の案ですね、能力・実績主義、あるいはまた、今の職能給を一定の簡素化した俸給表に変えていくというふうな作業も実はしていたわけであります。それで、当時の担当者は残念ながら実現をできなかった。そういった人たちの能力が低く見られてしまうのか。

 そういった能力の評価の仕方について大臣は一体どういうふうにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 まさしく寺田委員御指摘のように、その時々の政治情勢で左右される結果が多々ございます。

 したがって、今回の法案では、人事評価というのは、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び上げた業績を把握した上で行うことにいたしております。さらに、昇進または転任の判断基準を明確にするよう、係員、係長、課長補佐、課長などの職制上の段階の標準的な官職に必要な標準職務遂行能力を明らかにすることにいたしております。

 現在、評価項目、評価基準の検証、そして、人事評価に係る検討課題を実証的に確認をしているところであります。今後の検討の参考資料を得ることを目的として人事評価の第二次試行が実施されているわけであります。

 今後さらに対象範囲を拡大し、試行などを行った上で、試行により得られる実証的知見を踏まえて、実効性ある人事評価制度の構築に取り組んでまいりたいと考えております。

寺田(稔)委員 発揮をした能力を客観的に評価していくというふうなことで、そういったまさに客観性がこれから求められてくるわけですが、例えば、能力のある人材は当然役所においても必要である。先週も大臣が言われたとおり、もうそういう人は大いに能力を発揮してもらって、四十代でも事務次官になっていくというふうなこともこれは決して夢ではないわけでありますね。実は、ロジカルに考えると、そういう優秀な人は民間も当然欲しいというふうになってくる。すなわち、引っ張り合いになってくるわけであります。

 そうなりますと、そういう人材は、今度の新人材バンク、すなわち官民人材交流センターにおいても、いつ登録をするかという時期的な問題はあるわけですけれども、当然、強い引き合いが出てくる。労働市場の需給のマッチングによってそういうふうなことが成約をしていくというふうになりますと、そのような人材は実は早く引き抜かれてしまうのではないか。すなわち、役所にとっても本当に必要な優秀な人材、能力のある人材が、この新人材バンクができることによって、実は引き合いが強く、早く引き抜かれてしまう、とり合いになってしまう、そういうふうなリスクはないんでしょうか。

渡辺国務大臣 早く引き抜かれてしまうじゃないか、こういう御心配であります。

 本人が希望すれば、そういうこともあり得るかもしれません。しかし、公務員になる人、公務員を目指す人たちの非常に多くが、公のために仕事をしたい、やりがいのある仕事をしたい、そういう希望に燃えてこの世界に入ってきているわけであります。そういうことを考えれば、やはり官の世界が魅力ある職場でなければならない。

 今果たして十二分に魅力ある職場になっているかというと、必ずしもそうではないんですね。例えば、毎晩、国会答弁の作成で徹夜に次ぐ徹夜をやって、本当に明け方までかかって答弁書の作成をやっている。こういう慣行が果たして魅力ある職場なのかというと、一生懸命耐えている皆さん方の中には、しんどい職場だな、そういう感想が出るのも仕方ないかなという実態があるわけでございます。

 公務員制度改革だけで魅力ある職場をつくるというのは無理があります。国家公務員の世界というのは、どうしても政治の世界と表裏一体の関係がございます。したがって、国家公務員制度の中だけで魅力ある職場をどうやってつくっていくかということを考えますときに、やはり今の年功主義というのが相当大きな弊害になっているのではないでしょうか。

 とにかく二十代、三十代のときにはへろへろになるまで使われて、四十を超えてやっとこさ課長になる、そこから給料も上がっていく、指定職になればさらに給料も上がる、しかしポストが少なくなるから肩たたきで天下りあっせんを受ける。こういう制度が果たして今の若い人たち、それからこれから公務を目指す学生さんたちにとって魅力があるんだろうかということを考えたときには、やはりこの際、能力・実績主義、実力主義を導入した方がはるかに魅力ある職場になるのではないかと思います。

 高い能力を持った人材に官の世界で十分活躍してもらうことが大事でございまして、我々はそういうことを考えて実力主義の導入ということに踏み切ったわけでございます。

寺田(稔)委員 今まさに、魅力を高めるというふうな点と能力・実績主義の必要性について述べられたわけですが、今回の改革において、いわゆる複線型人事、すなわち、専門職も取り入れていって、単線でない、さまざまな複線の人事をやっていくというふうなことも当然入っているわけでございます。与党案あるいは民主党案問わず、こういった複線型人事の点については言及があるわけでございますが、この複線型人事が仮に取り入れられた場合、やはりこれをきちんと定着させる、根づかせていかなければならないわけであります。

 今の役所の組織は、大臣も御承知のとおり、基本的にはライン制によって成り立っている。すなわち、ライン・スタッフ制ではありません。したがって、例えば、ある課があり、そのある課が自分の所掌事務を持っている、その責任者は課長であるというふうなことであります。その課長の手下として、部下としている企画官、室長、課長補佐あるいは係長、主任といったような方々がそれぞれ事務を分掌して、その中で、いわば専門職あるいはスタッフ職が行うような、例えば一定分野の調査事務、研究事務をこなしているというのが実態でございます。

 当然、役所の外局あるいはまた内局の一部としてそういうシンクタンク的機能を持っている組織を持っている役所は多いわけでありますが、基本的な組織としては、そういうライン制によって成り立っている。ライン・スタッフ制という組織にはなっていない。そのことははっきりと、級別定数によっても、予算上も、予算統制としても、また人事統制としても管理をされているというのが今の役所の組織であります。

 そういったような今の役所の組織に複線型人事を仮に導入した場合、これが本当に根づくんだろうか、定着をするんだろうかというふうなことが当然の疑問として出てくるわけでございます。

 この点については与党側、野党側両方にお伺いをしたいわけですが、これが本当に定着をするというふうにお考えなのか、そのためにはこういうふうなことをしなければならないということがあったら、ぜひとも御説明をいただきたいというふうに思います。

渡辺国務大臣 今の年功序列主義が延々と続くということになると、専門スタッフ職の導入といっても、なかなか難しいものがあるかもしれません。とにかく、岩盤のような年功主義で人事をやっているわけであります。後輩に追い抜かれるなんという慣習がないわけであります。したがって、今の年功主義からいったら、専門スタッフ職になるというのが、一種の、仕方なしにそういうところに集められちゃうなんという雰囲気になりかねません。ですから、年功主義を打破するというのが最大の前提でございます。

 その上で、専門スタッフ職というのは非常に必要な仕事ではないでしょうか。例えば、私、去年、臨時国会のときには金融庁の副大臣をやっておりました。貸金業法等の抜本改正を行ったわけでございますが、よく申し上げるローン残高と金利の体系をとってみると非常にいびつな構造がある、こういうものについて研究論文があるはずだと私は言ったんですけれども、その研究成果がなかなか出てこないんですね。残念ながら、今の金融庁は調査研究部門が非常に手薄であるということがわかったわけでございます。

 こうした調査研究とか、あるいは国際交渉なんというのは、今、外務省だけではございません、農水省においても、WTO交渉などは松岡大臣が政治家として一生懸命やっておられた分野であると同時に、役所の事務方の中で極めて専門的にかつ深く掘り下げてこういった交渉をやってきている人たちがやはり現にいるわけであります。

 また、国税不服審判などにおいては、トップは判事、検事なんでしょうけれども、次席はMOFのキャリアの方ですよね。国税不服審判などは、持ち込めば全部はねられちゃうのかと思ったら、そうではなくて、二割近くは現場の判断がひっくり返るということが現に行われているわけであります。

 したがって、こういう場面においても、やはり、相当高度の専門知識を持ち、なおかつバランス感覚にすぐれた人材があれば、何でもかんでも裁判所に持ち込むんだということではなくて、裁判前の紛争解決処理手続というのが非常にスムーズにいく場面があるのではないでしょうか。人事とか広報とかにおいてもそうだと思います。

 日本のPDCAサイクルの中で非常に手薄なのがC、チェックの場面であります。今、政策評価というのは各省ごとに行っております。しかし、これを、政策評価官という専門スタッフ職を創設し、ほかの役所の政策評価をやってもらう。例えば、財務省で予算を担当していた人が政策評価をほかの役所のものをやるなんというのは、そういう能力は非常にすぐれているわけですよね。そうすると、そういうことが行われるようになると、これはまさしく政策評価が予算に反映できるという仕組みができるようになるのではないでしょうか。

 したがって、専門スタッフ職というのは、考えれば非常にさまざまのものがございます。今それぞれの役所で専門的に進めている行政の中にも、専門スタッフ職というものがあった方がいい場面がたくさんあるのではないでしょうか。したがって、そういうことを考えれば、専門スタッフ職の導入というのが必ず根づいていくはずだと私は思います。

 繰り返しますが、その前提として大事なのは年功序列の打破でありますから、ぜひ今回の実力主義の導入というものをお認めいただきたいと思います。

寺田(稔)委員 それでは、同じ点について、民主党さんお願いします。

馬淵議員 スタッフ制が、複線型の人事が根づくかという御質問であります。

 前にもお答えをさせていただいたんですが、八〇年代に民間では能力・実績主義というものが取り上げられるようになりました。いわゆる年功序列制から能力・実績、目標成果主義と呼ばれるものであります。

 この中で、やはり弊害となってきたのは何かといいますと、安易に目標成果主義、能力・実績主義ということで目標設定を極めて低いレベルに抑えてしまうということが、弊害としてこの二十年間近く起きてきた。

 それであっては、本来ならば、せっかく能力、実績を評価するので、自己申告あるいは三百六十度監査の中から目標設定をしていただいて、その目標に達するかどうかによって最終的に判断をするという成果主義が、低い目標設定をすることによって、民間においてですが、社員あるいは管理職も含めて、それぞれが達成した達成したと、しかし、業績を見れば何ら具体的な成果が上がっていないではないか、こうした弊害が取り上げられるようになりました。

 その中で、専門職の中では、やはりある程度、ラインとは違う、人を管理する仕事ではない、極めて専門的な職域の中では、年数なり経験なりというものも、成果を上げるのは比例的に年数なり経験なりが関連する、これはリニアに関連するという部門もあるのではないかといった議論、これが昨今における人事管理制度の中で能力・実績評価主義という議論ではあるけれども、一方で、目標設定が極めて難しい、あるいはある程度の年数、経験によっての成果の出し方がはっきりと線形関係にあるといった職務については、これは能力・実績主義という名のもとにでありますが、ある程度経験年数というのを重視するといった方法もとられるようになっております。

 こうした現行の社会情勢を見ますと、私どもも、年功序列によって弊害となるような、いわゆる人事の閉塞感であるとか、全く能力もないのに入省年次、入社年次が先であるがゆえにどんどん上に行くというのは問題である。だから、そこは、能力・実績主義というのはしっかり見なきゃならないんだけれども、一方で、単純に年功序列か能力・実績主義かという言葉の中での評価ではないんだということを前提に考えています。

 そう考えますと、今回我々が訴えている能力・実績主義の中で、例えばスタッフ制度、これは当然ながらに、人を扱う、人を管理するという仕事、あるいはプロジェクト全体をマネジメントするという仕事は得意ではないけれども、細かな法文やさまざまな判例、事例を長年の経験によって積み重ねて事細かに御存じである、こういった方々をどう評価していくかというのは極めて慎重にやらねばならないと思っています。

 その上で、ではこうした制度が根づくのかという御質問でありますが、私どもは、先ほど来申し上げたように、結局、人事管理制度というのは、常に組織に対しての刺激なんですね。常に組織に対して、より自己変革を続けられるように、継続させられるようにどのように刺激を与え続けるかということが大前提にあると私は思っていますから、今回、能力・実績主義という中でのスタッフ専門職、中には、申し上げたように経験や知見、年数によって判断しなければならない成果などは、そういったところからの観点で見なければならない部分もあるだろうし、明らかに結果がその方の能力あるいは成果として見えるものもある。

 そこをしっかり見きわめながら、能力・実績主義という中でのスタッフ職というのは十分に根づいていくはずですし、これはまた、二十年来民間で行ってきたさまざまな知見を私どもなんかはずっと民間の世界で見てきたわけでありますが、十分にこれは根づくと思っております。

 また、逆に、委員であられれば、官僚を経験されて、そして今こうして政治の世界におられる。どうしても、今あるピラミッド形の組織、今ある官僚制度、これは大臣は年功序列とおっしゃっていますが、年功序列という言葉でくくって言うのは間違いでして、たった一人しか残さないという仕組みの中の弊害なんですね。

 ですから、私どもは、今申し上げているように、さまざまな刺激を与えていくという制度の中でスタッフ制というものが民間同様に十分に根づいていくであろうと思っておりますし、また、そのことを余りに恐れるというのは、これは逆に官僚組織が何か特別の選ばれた人間であるかのような、そんな議論に聞こえてならないのではないかというふうに思っております。

 私どもは、繰り返しですが、附則の二条に「職員の多様な知識及び経験を長期にわたり活用することが可能となるような人事制度」という規定を盛り込んでおりますので、十分な専門的な知見をもって評価できる仕組みが官僚組織、公務員制度の中に根づくというふうに思っております。

 また、先ほど大臣のお話の中では、これをしっかり規定していくんだということでありますが、公務員制度全体を議論していく中で、これを決定していくのはやはり総務省です。所管は総務省であり、総務大臣の権限にあるわけですから、こうした幅広い議論を、本来ならば、当委員会のみならず総務委員会等も含めて、連合審査等でよりもっと議論を深めなければならないのではないかということは付言させていただきたいというふうに思います。

寺田(稔)委員 今、それぞれ、複線型人事、そしてまたスタッフ専門職についてお答えをいただきました。これは年功序列の問題、そしてまた能力の評価の問題、冒頭お聞きをした評価の問題とも密接に関連をしているわけであります。

 ちょっと大臣に確認的にお伺いしたいのは、そうすると、今の役所のライン制をライン・スタッフ制に変えていく。すなわち、組織のあり方として、民間では現にライン・スタッフ制の会社というのはあるわけです。

 例えば、ある部があって、普通はその部のトップは部長しかいない。しかし、民間会社は、御承知のように部長、部付部長、いろいろ、同じ部長というタイトル、肩書であっても、ラインの人とラインでない人と併存しております。例えば、部付部長さんはある特命事項について調査研究を行い一定のレポーティングをするというふうなことで、肩書きは同じ部長であっても、ラインの部長とそうでない部長というのは現にあるわけですね。そういう組織は民間でもかなりございます。これは部長に限らず、課長についてもそうです。同じ課の中で課長が複数存在するというのは、十分ライン・スタッフ制の組織としてあり得る。それは、今大臣が言われた複線型人事を体現する一つの方策であるわけです。

 こういうライン・スタッフ制に変えていくというふうな理解でよろしいのか、お伺いをいたします。

林副大臣 詳しくは、人事院が今設計をして、多分答申が出てくると思いますが、まさに委員が御指摘になったように、ライン・スタッフ制と呼ぶべきものにしていこうということでございまして、先ほど大臣から御答弁がありましたように、専門的な国際交渉ですとか調査研究をしていく人、この人たちの俸給表というものをどういうふうに形づけていくのか、また、大事なところは、どのぐらいのラインのポストからいわゆる枝分かれをしていくのか、こういったことがポイントになってくると思います。

 我々、大事なことは、今でも、政策分析官とかそういうポストを置いて、ラインの中で非常にスタッフ的なことを既にやっていただいている方はいらっしゃるわけでございますが、今度は、スタッフ職というものを新たに俸給表的に明示をいたしますと、一度そこへ行くとずっとそればかりということでも、組織全体のモラールというものが低下をする懸念もありますので、またいずれラインに戻る道も一方であけておきながら、しかし、そこで、国際的には、むしろ局長や事務次官の方よりも、例えばIWC、鯨の会議に出ていけばこの人の方が立派に交渉ができる、こういう人に逆に継続的にスタッフ職というところにいていただくことによって、全体として、例えば今の例で申し上げれば、我が国の国際交渉力をアップしていく、その方も非常にそこに合った自分の能力を発揮していただく、こういうことになろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。

寺田(稔)委員 ライン・スタッフ制ということでございますが、この点、いかがでしょう、民主党案でもそういう今のライン制の組織をライン・スタッフ制に変えていって、先ほども、十分これは根づくというお答えですけれども、そういう組織変更をもくろんでおられるわけですか。

馬淵議員 詳細に関しては、行政刷新会議と我々が提示しているものでありますが、基本的な考え方としては、スタッフについては、これは当然、専門職でありますから、ライン業務、いわゆる人をつかさどるという部門から、専門的な位置づけというふうに考えております。

 ただし、そこについて今後考えていかねばならないのは、やはり役職定年であったり昇給停止であるとか、これが今までの中では、先ほど副大臣のお話にもありましたが、もう既にスタッフ的な仕事をしていただいている方もおられるということでありますが、しかし、現行号級制度については何ら手を加えられていないわけであります。

 今回の政府案に関して言えば、その根本的な部分を、なぜ号級制度ということを、これは公務員制度の根幹にかかわるわけですね、これについて何ら御提案をされていないんですよ。ぜひ委員には、しっかりとこの政府案に御質問していただかねばならない点ではないかと思われます。与党の議員の方々は、私どもの能力・実績主義についてはなぜ附則かということをお問いになられますが、それこそ、なぜ私どもの案が附則かということよりも、なぜ与党案に、政府案に本則で号級制度の改変ということを加えないのか、これこそ国家公務員制度の根幹にかかわる部分なんですね。

 私ども先ほど来申し上げているように、だからこそ、この所管は申しわけないですけれども渡辺大臣ではないですよと。これは総務大臣の所管であって、国家公務員制度を根本的に見直すという大きな枠組みの中では、当委員会のみならず、総務委員会との連合審査が行われなければなりませんし、当然ながら総務委員会の中での総務大臣、連合審査の中での総務大臣の御発言等々を確認していただくことが、本来ならば政府案を国民の皆さん方の白日のもとにさらす審議ではないのかと思うわけであります。

 先生、これをよくお聞きいただきたいんですが、私どもは、やはり、なぜ民主党案が政府案と違うのかという根本の議論をさせていただきたい。その根本の議論をさせていただく上においては、政府案が、最も重要である号級制度ということをなぜ本則にも盛り込まずに根幹の提案をしないのかということをしっかり皆さん方に審議していただく中で、私も、だからこそ、この問題に関しては、パッケージ論でごまかすのではなくて、あくまで天下りの問題という、緑資源機構で事件にもなるようなこんな大きな課題を今解決しなければならないではないか、国民が望んでいるではないかということのための議論に付すべきだとして我々は対案を出しているわけでありますから、この天下りの議論というものをぜひ真っ正面でとらえていただきたい、先生ならばやっていただける、私などはそのように個人的に思っております。

寺田(稔)委員 委員会運営等のあり方、また議論の持ち方については、委員長、また現場の委員会の理事の先生方にも十分お願いをしたいと思います。

 今、それぞれ、複線型人事に持っていくイメージ、まだこれからの具体の制度設計はそれぞれにしても、大体のイメージというのがほぼ浮かび上がってきたような気がいたしております。こうしたライン・スタッフ制というふうなもとで、政府案においては別の俸給表、俸給体系を当てはめることによって考えていく、そしてまた民主党案では、今も昇給停止の話もありましたが、それぞれどういうふうな仕組みでもってライン・スタッフ制を運営していくかというふうなことについては、またいろいろな考えがあるのも重々に承知をしているわけであります。

 この問題とも絡むわけなんですが、今回の与党案のいわゆる新人材バンクにおいて、これも過去の当委員会でも質問がなされたわけでありますけれども、実際の座布団としての定員という意味ではありませんで、まさに実員配置として必要となってくるわけであります。これを行革、行財政改革、そしてまた定員削減を行っていく中で、定削を行っていく中で実現するというふうなことをこれから当然図っていかなければならないわけですが、この実員の配置について、すなわち、これは座布団のみという意味ではなくて、まさに人間そのものを兼職、兼務職でなくて配置していくことが必要になる。これを一体どうやって具体的に手当てされようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。

林副大臣 お答えする前に、先ほどの民主党の提案者から御説明があった件で、確認だけでございますが、昨年閣議決定をいたしまして、人事院の方にスタッフ職の俸給表の検討をお願いし、さらに今回、同時に閣議決定いたしました公務員制度改革の中で「早期導入を目指す。」というふうに我が方は決定をいたしておりまして、詳しくは人事院の方で検討されていることでございますが、俸給表を三層構造ぐらいにしてやっていこうということの御検討をもう既にされておるというふうに承知をしておるところでございます。人事院の方で俸給表をつくっていただいて、それから総務省の方にやってくる、これが一般的な仕組みであるということはもう委員も皆様も御承知のとおりだろう、こういうふうに思っております。

 そこで、今、職員の実員配置でございますが、具体的に官民人材交流センター、当然、まだ法案も御審議をいただいている途中でございますので決まっていないところでございますが、中央組織と地域ブロック別の拠点、これから成る組織ということになろうか、また、その組織に合った人員体制を整備する必要があろうか、こういうふうに思っておりますし、大事なことは、各府省などからの中立性というのを徹底しなければならない、また実効性がなければならない、こういうことが留意点であろうか、こういうふうに思っておりますが、人員規模やその手当等も含めまして、具体的な制度設計につきましては、官房長官のもとに有識者懇談会を設置して、そこの意見を踏まえて検討していくということになっております。

 一般的には退職者状況というのを精査していくことになろうかと思いますが、一般職の公務員が、退職者が大体約一万人でございますけれども、そのうちで、いわゆる勧奨退職が約四千人というふうに承っておるわけでございまして、このうちあっせんが何人ぐらいいらっしゃるのか、こういうことになろうかと思います。そういったものに加えまして、キャリアコンサルティングとかいうこともやっていく。こういうことを踏まえて、しかしながら効率的にやっていく、こういうことが今後の検討の中身になっていこうかというふうに考えておるところでございます。

寺田(稔)委員 さて、そういう新たな人事制度を組んでいく上で、一つ参考になるのがカナダの仕組みでございます。いろいろ諸外国の事例等の研究も進んでいるわけでありますが、カナダにおいてはいわゆるリーブ制度の活用が図られておりまして、例えば、一定のボランティアを行う、あるいは一定の分野について研究を行う。多くの分野活動において、例えば研究休職を初めとする自己研さんの機会が幅広く与えられているわけであります。

 ライフワークとしての公務、そしてまた、もちろん退職後の人生設計等を考える場合、このようなリーブ制度、カナダではかなりこのリーブ制度を活用していろいろな分野でもって幅広い社会貢献活動を行っている、そのことが広い意味での公務、パブリックサービスとしてまた評価にフィードバックをされるという、非常にいい好循環を生んでいるわけでありますが、こういったような制度、当然、我が国においても導入をし、そしてさらにその活用の幅を広げていくべきであるというふうに思うわけですが、政府側の御所見をお伺いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘のように、国家公務員の自己研さんの機会というものにつきましては、職員の士気を高め、組織の活性化を図る点で大変有意義なものと考えております。

 この問題につきましては、我が国におきましても、職務を離れて自己研さんの機会を提供する、そういうことを目的とする制度といたしまして、職員が自発的に大学等における修学や国際貢献活動に従事するため、無給ではございますが、身分を保有したまま職務に従事しないことを可能とする国家公務員の自己啓発等休業に関する法律が先般、今国会において成立いたしまして、去る五月十六日に公布されたところでございます。

 近時の非常に厳しい状況のもとにおきましては、無給でありましても、公務員がその身分を失うことなくみずからの希望による能力開発を認めるということにつきましては、さまざまな御意見があるところでございます。今回は、職員のニーズも高く、国民の理解を得られる大学等における修学と国際貢献活動に対象を限定いたしまして、新たな制度を導入したところでございます。

 今後は、本制度の施行後の運用状況や職員のニーズというものを注視いたしまして、その対象の拡大等についても必要に応じて検討してまいりたいというふうに考えております。

寺田(稔)委員 今、この五月に公布された新たな法律によって、極めて限定的な分野でありますが、大学修学と国際貢献活動という分野に限って認めたという御説明がありました。

 今、吉田局長答弁されたように、分野をさらに拡大していただいて、例えば、国内のいろいろな福祉関係、あるいはまた環境、あるいは就農、農業体験、現在、これは国家公務員の初期の段階の研修でごくごく短期間行っているにすぎないわけでございまして、こういったような点については、ぜひ本格的なリーブ制度の導入によってその定着を図っていただきたいと思います。

 民主党さん、もしこの点について御意見、補足等ありましたら、どうぞ。

武正議員 今の新たな制度なんですけれども、私、総務委員会でこの法案に当たりましたのでよく承知をしておるんですが、公務員の自己研さんを積む一つの新たな制度ということで評価をし、賛成をしたものでございます。

 また、このときにもう一つ法律があって、いわゆる育児休業について、例えば週三日とかいうような働き方みたいなものもあわせて法律も通りまして、そのときに、たしか定数を二人で一人みたいなカウントをしているので、これも一つのやり方だなというふうにあわせて評価をしているわけであります。

 ただ、今委員が取り上げられた法案では、たしか号級制度は、特に、年齢の方ですから号ですか、二年間海外に行ってもそのまま号は前に前進する、これはまだまだ議論がある点だというふうに思っておりまして、やはりこれは、号級制度そのものをどう考えるかということで、与党、野党を問わず、立法府として課題になっているというふうに考えております。

寺田(稔)委員 それぞれ御見解をいただいたわけでありますが、昨日、参考人意見聴取が行われ、参考人質疑も行われたわけです。その中で、全労連の事務局長さんが参考人で来られておりました。第四十回常任幹事会資料が配付をされ提出をされたわけですが、その中に、いわゆるキャリア特権人事をなくし、すべての公務員が能力を培い、発揮できる公平な機会を保障する民主的な研修、任用制度を確立するというふうなくだりがあるわけでございます。

 これは、いわゆる1種、2種、3種というふうに、今現在、採用段階において区分がなされております。そして、それぞれごとに職種があるわけでございますが、国家公務員試験としていわゆる1種採用をなくして、もちろん職種ごとの分掌は残したまま、試験としては一本化をして、いわゆるキャリア、ノンキャリアの差をなくしていくというふうなことを含意しているというふうに受け取れるわけですが、そういう試験採用区分における一本化、これについて、それぞれ与党側、野党側、御意見をお伺いしたいわけですが、まず渡辺大臣より、こういう試験における一本化についてどういうふうにお考えなのか、御所見をお伺いいたします。

渡辺国務大臣 試験における一本化は、まさしく、総理のもとにつくる有識者懇談会での議論の一つだと考えます。

 今回の政府案においては、法律案の中に明確に示しておることがございます。すなわち、採用試験の種類や年次にとらわれた人事を行ってはいかぬということであります。能力と実績に応じて人事を行うわけでありますから、1種試験合格者だからという理由で、人事評価がよくないにもかかわらず、同期横並びで昇任させるようなそういう人事管理は許されないということになります。

 一方、2種採用だからといって、この人が大変優秀で、政策の企画立案にもすぐれた能力を発揮するという人がいる場合、まさに若いころからそういった企画立案の仕事が与えられるということになるわけでありまして、今回の政府案がお認めいただければ、この試験区分というのは意味をなさなくなるということでございます。

 採用試験のあり方については、総理のもとで検討が行われるわけでございます。

寺田(稔)委員 それでは、時間も少ないですが、同じ点について民主党さん、お願いします。

馬淵議員 お答えいたします。

 私ども、附則の方には、「採用後に幹部職員の候補者を選抜し、育成する制度を導入すること。」と規定しておりまして、現行のキャリア制度というものについては廃止していく。また、1種、2種といった採用区分も、これによって昇進が決まるといったものは見直しを図っていくというふうに考えておりまして、今日ある制度そのもの、これはもう時代おくれと言わざるを得ない、やはりこれをしっかり見直していくということを根底に置いております。

 それは、先ほど来、武正委員からも説明ありましたように、号級制度も含め、あるいはこうしたキャリア制を含め、根本的な、抜本的な見直しが必要なんだ、そして、その前提に立つのは天下りの根絶ということがやはりあるんだ、今国民に望まれているんだということを私どもは主軸に置いて法案の提出をさせていただいております。

 なお、先ほど林副大臣が、政府案の方には本則に号級制の見直しを載せていないじゃないかということをぜひ委員にも御質問をいただくべきではないかと私どもが申し上げたことについて補足がありましたが、閣議決定をされている、あるいは、人事院に指示を出しているというお話でありましたが、やはりそれは、私どもに対しては附則のことを繰り返し御指摘いただいているんですが、政府に対して、本則で、やはり法律でということが大前提ではないかということは、今度改めて私の方からまた付言をさせていただきたいと思います。

寺田(稔)委員 時間も参りましたのでこれで終わりますが、いずれにせよ、真の意味での公務員改革を目指して大いに邁進いたしてまいりたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

河本委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。自由民主党の赤澤でございます。

 昨日も参考人質疑に立たせていただきました。与党そして野党推薦の四人の参考人の方から大変有意義な見解の陳述がありまして、いろいろな案のメリット、デメリット、あるいはバランスといったものについて対比が明確になったかなと思います。引き続き、同じ問題意識で幾つか確認もし、質疑をさせていただきたいというふうに思うところであります。

 私は、この公務員制度改革については、マスコミが天下りといった問題についてだけ、言いかえれば、いわゆる再就職の問題についてだけかなり注目をし、能力あるいは実績に基づいて公務員のやる気を一生懸命出していこうというような取り組みについては、発表しても、なかなかそこについて重きをなしている感じの取り上げ方がないというふうに受けとめるものであります。本当に大事な部分というのは、当然、再就職、天下りの規制の部分もありますけれども、公務員にやる気を出してもらうといったことが大変大事だろうと思っています。

 そこで、お伺いをいたしますけれども、これは渡辺大臣、そして民主党の提出者にもお伺いをする同じ質問になりますけれども、公務員制度改革により実現すべき広い意味での国益といったものは何なんだといったことで、公務の政治的中立性や公平性といったもの、あるいは有為な人材の有効活用といったような点はほとんど異論がないんだと思いますけれども、公務の効率性あるいは生産性向上といったものをどの程度重視していくんだという点について、それぞれお考えを伺いたいと思います。

 過去、失われた十数年ということで、民間の皆様は本当に血のにじむような努力をしてこられた。職員を守ったり自分の会社を守ったりといったことで、大変なリストラなりそういった努力をして、今見事に日本経済は立ち直ってきているわけでありますけれども、その努力に比して、公務員の世界というのはなかなかそういった努力が足りていないんじゃないか。国際競争力を我が国が発揮していくという意味でいうと、よくサービス業の生産性向上ということを言われますけれども、あわせて、公務の世界の効率性あるいは生産性向上といったものについては国民の非常に強く望むところであると私自身は理解をしております。その辺がかなりマスコミの報道ぶり等であいまいになっている、ぼけているという感じが私自身いたしますけれども、まず、渡辺大臣にその点をお伺いいたします。

 公務の効率性、生産性向上、こういったものをどの程度重視して今回の公務員制度改革に臨んでおられるのか、よろしくお願いをいたします。

渡辺国務大臣 今回の制度改革によって、我々が打破をしようとしているプラグマティックルールがございます。それは、再三申し上げるように、年功序列主義のもとで行われている人事制度、そして、各省縄張りのもとで行われている再就職あっせん、こういったことが大変な岩盤になっております。そして、この岩盤がさまざまな改革の阻害要因になっているという現実を直視していただきたいのであります。

 一九九〇年代の半ばに世界が一体化をいたしました。IT革命やグローバル化のもとでエマージングカントリーが大変目覚ましい成長を遂げてまいりました。こういった世界の荒波の中で、日本の民間企業は大変な努力をし、リストラを断行してまいりました。一方、官の世界が果たしてこうした世界の新しい流れの中で十分な対応ができたのかということを考えますと、非常に危惧すべきものがあるのではないでしょうか。

 まさしく我々は、こうした現実にかんがみて、やはり抜本的な改革を施行できる体制をつくっていくべきである、そういう考えのもとに今回の公務員制度改革を立案したところでございます。

 安倍内閣においては、簡素で効率的な政府を目指します。筋肉質の政府が必要であります。これを支える国家公務員は、高い気概と使命感、倫理観、すぐれた企画立案能力や管理能力を持った者でなければなりません。今回の改正によって実力主義が導入をされます。天下りが根絶をされます。そういたしますと、まさしく公務の効率性、生産性の向上という委員御指摘の問題の解決につながっていくものと考えます。

赤澤委員 それでは、同じ観点からの質問を、民主党の提出者にもお願いをいたします。

馬淵議員 委員御指摘の公務員の生産性の向上あるいは公平性といったものをしっかりと担保していかねばならない、天下りばかりが取りざたされるのはいかがなものかということについて、マスコミがそう取り上げている嫌いがあるという御指摘、これは私も現象としてはよく理解はできるんですが、一方で、国民がやはりそれほど、公務員の公平性あるいは公務の正当性というものを評価する以前に、現行の天下りの実態があるがゆえに、そこに目を向ける以前に問題を正せというこの国民の声があるがゆえに、私は、マスコミがそのような取り上げ方をしているのだというふうに理解をしています。

 事実、さまざまなところから寄せられる声は、国家公務員が高い能力を持って国民のために働いているというその前提は十分理解し得るが、しかし、こうした問題が出てくることを今もって正すことができない、これはやはり何か大きな問題があるのではないかという声が今もたくさん寄せられるんですね。

 その意味で、私ども民主党提案の案の中では、第一義的に、この口きき、談合の温床となる天下り、まずこれを根絶する、天下りを前提としてしまうような早期退職勧奨制度を廃止するといった第一義的な目的を我々は掲げています。

 しかし、今回の政府案というのは、いわゆる天下りバンクを創設して公的あっせんをするということであれば、国民の皆さんから見れば、幾ら人材の宝庫だ、あるいは能力・実績主義においてさまざまな能力を発揮していただく、組織を活性化するんだと政府案で述べられても、国民の多くの方々は理解ができないのではないかと思うわけであります。やはり問題の根本を正すことが今求められている、私はそのように考えておりまして、今回御指摘の部分で、まさに、国益とは何かといえば、全体の奉仕者として国民のために働いていただく、活力を持って働いていただくことが当然なわけでありますが、その前提には、問題を、課題をしっかり解決することが求められていると思っております。

赤澤委員 今、非常に微妙といえば微妙な違いでありますけれども、与党そして野党民主党の提出者のお考えの違いというのは若干明らかになったのかなと私としては思うところであります。

 ただ、いずれにしても、私は、少なくとも短期的な課題として、天下りの問題について国民のきちっと正せという指摘にこたえていく、そしてまた、ある意味中長期的に見て、公務員のやる気、そして生産性、効率といったものを上げていくという点については、どちらの案についてもきちっと視野に入れて対応しているんだ、必ずしもマスコミの論調にあるような天下りの問題一色というような感じではないというふうに理解をさせていただきます。

 私自身、公務の効率性、生産性向上について、どういった手段があるかなといったことで、当然のことながら、能力あるいは実績主義といった観点もあるわけですけれども、自分が国家公務員であった経験からすれば、官民交流といったことは非常に意義が大きいかなと思います。

 かつては、本当に、終身雇用というのが働いている間は、幾らかけ声をかけても、これからはそういう交流時代になると言っても、なかなか物は動かなかっただろうと思うんですけれども、今非常に流動性が高まってきているというのは衆目の一致するところだろうと思います。

 そういった中で、今こそ、まさにこの官民交流を促進していくということを国としても明確に打ち出していけば、この点は、やはり公務員の世界だけで、狭い世界で見聞を広めて、そこだけしか経験できないというものに比べれば、公務員のやる気、生産性向上といったものにも非常につながってくるかなというふうに思うところであります。

 そこで、政府参考人に官民交流の現状についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いをいたします。

株丹政府参考人 まず、官民交流の中で、官から民へ、民から官へ、いわば双方向の動きを対象としておりますものとして、官民人事交流法、これによる官民人事交流というのがございます。

 数を申し上げますと、平成十八年で、官から民へということになるんですけれども、交流派遣というのが十六人、それから民から官へという流れでございますが、交流採用というのが七十二人でございます。前の年、十七年の数字がそれぞれ十二人と四十九人でございます。さらにその前の年とも比べますと、全体としてはやや増加という方向のように承知をしております。

 また、官民人事交流法につきましては、民間企業における雇用関係を継続したままで交流採用というのができるように、十八年に法改正をするなどの取り組みもしてございます。

 ただ、官民交流ということになりますと、必ずしもこの官民人事交流法に限定されるということではなくて、公務部門と民間の間の人の行き来を広くとらえて議論をするということになろうかと思います。

 そういう意味では、民間から国に対しましての採用ということになりますと、任期付の職員法あるいは任期付研究員法、さらにその他の制度もございます。総務省のまとめで数字を見ていきますと、直近十八年の八月十五日現在で、民から国の方へのこういった制度を活用しての交流採用というのが二千三百九十三人という状況でございます。

赤澤委員 私は、今の御説明を伺って、その数字を念頭に置いて、官民交流についていえばまだまだだな、これから大いに促進する余地があるなというふうに考えるところでございますけれども、この官民交流、今後さらに促進すべきか否かについての評価を政府参考人に伺いたいと思います。

株丹政府参考人 官民交流につきましては、これまでも幾たびか閣議決定などでその意義というのが述べられているところだと思っております。

 例えば、少し古くなりますけれども、平成十二年の行革大綱の中で、この点については、「公務員が行政組織で培った専門的能力を民間で活かせるようにするとともに、民間の多様な人材を行政に受け入れることにより、行政の総合力を高める。」あるいは、最近といっても十六年でございますけれども、基本方針二〇〇四の中で、「広い視野に立った人材の養成の観点から、官民の人事交流を強化」していく、こういうものが入ってございまして、そういう趣旨に沿ってこれまで官民交流が図られてきたというふうに思ってございます。

 現時点におきましても、時代の変化に迅速的確に対応して、効率的な行政を進めていくというためには、官と民、お互いの知識経験を生かせるように官民の人材交流というのはさらに進めていく必要があるというふうに存じております。

赤澤委員 同じ質問を、民主党の提出者にもお願いをいたします。

馬淵議員 私どもも、この官民の人材交流というのは重要であるという認識であります。

 ただし、その人材交流の中で、先ほどの実績にもありましたが、官から民へは直近で十六名ですか、民から官には七十二名ということで、私どもが考えるには、やはり民間というのは、ある意味市場での競争が大変厳しい中におりますので、必要な人材というものを常にとっていかなければ競争に勝ち得ないんですね。だから、この人材交流という点で考えれば、私は必要なのはむしろ官の側であるというふうに思っております。

 その意味では、官がさまざまな市場の変化、社会情勢の変化というものを十分に、敏感に感じ取るためには、民のさまざまな知見というものを得なければならない。それは、単に権限の中でおつき合いするのではなく、実際に中で職をともにするということが非常に重要なことだと思います。

 しかし、だからといって、この人材交流という名のもとに、影響力を行使し得る立場の官の方々が民に天下りをしてしまうということについては問題である、このように私どもは述べておりまして、いわゆる官民交流と天下りというのは違うわけであります。私どもは、その点をしっかりと正さなければならないとして、影響力を行使し得る立場のところには五年間の再就職は禁止すると明確に示しているわけでありまして、私どもが官民交流あるいは人材交流を不当に縛るものだという御指摘は全く当たりません。これは繰り返しの議論の中で指摘をされてきたわけですが、それは全く当たらないというふうに考えております。

 その詳細なルールというのは当然ながら今後詰めていかねばなりませんが、現行において、いわゆる天下りバンクという形で、官民の人材交流をする場所だという名のもとに、今申し上げているような影響力を行使し得る立場の方々が、再就職という名のもとに、今まで指摘されてきたような天下りを行ってしまうことの方がむしろ大問題でありまして、今国会では、やはり与党の委員の方々も政府案に対しては、これはどうなんだろうという疑念をお持ちで質問されているのは私もこちら側に座ってよく感じますので、それはしっかり正していかねばならないな、このように思っております。

 今、現状において十分か不十分かというのは、これはもう不十分と言わざるを得ないと思っております。これも、先日、総務省の人材バンクに尋ねましたが、民において官の人材が必要だとされるならば、七年間にたった一人しか人材バンクに登録をしてあっせんができなかったというこんな現状にはならないはずなんですね。

 やはりここは、本当に官民交流ということを大前提に考えるならば、まずは襟を正す。天下りをとめて、そしてその上で、官が必要とする民が入ってきやすいように、今交流法もありますけれども、そこに目を向けるべきではないのかな、このように考えております。

赤澤委員 最後のところで、官民交流は今十分か不十分かといえば不十分と言わざるを得ないと馬淵先生にも明言をしていただいて、私の質問に対する答えが出てきたので、大変ありがたく思います。

 先生のこの法案に対する思い入れが非常にあらわれておりまして、私が聞いた範囲以外のところも大変熱弁を振るっていただいて、後で聞こうとしたようなところもちょっとお答えが先に出たりなんかしたのでありますけれども、先生の熱意のあらわれということで、好ましく受けとめさせていただきます。

 官民交流について今後さらに促進していかなきゃいけないという点については、関係者の認識は大いに一致をしておるというところであります。今、馬淵先生からも、既存の人材バンクは一人しか実績がないのは大問題というところですが、ここについては、当然のことながら与党案においても、役所のあっせんというのが並行して存置されたからという問題意識、そして明確な原因の認識というのがあって、やはりそこは手を打っていこうということでありますので、ここについての状況はきちっと改善をされていくものだと私は認識をしているところであります。その点も、一応、言及がありましたのでコメントをさせていただきます。

 それでは、官民人材交流センター、これは官民交流の支援をしていくということも明確に盛り込まれていたと思いますけれども、具体的には今どのように促進をしていくお考えなのか、政府参考人に伺いたいと思います。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

株丹政府参考人 ただいまの御質問に対する御答弁の前に、先ほどの官民交流をさらに促進すべきか否かということに関連しまして補足をさせていただきますと、先般の閣議決定におきまして、公務員の人事制度全般の課題について総合的、整合的な検討を進めるために、総理のもとに有識者から成る検討の場を設けることとしてございます。その課題の一つとして官民交流の抜本的な拡大というものが挙げられてございまして、その拡大につきましても、今後その場で検討を進めていくということとなってございます。

 今ちょうだいいたしました官民人材交流センターでございますが、これにつきましては、もちろん、職員の再就職の援助をする、職員の離職に際しての就職の援助というものが法律にも規定をされてございますけれども、もう一つ、官民の人材交流の円滑な実施のための支援という役割を担っておるところでございます。

 具体的には、まだこれから検討をしていかなきゃいけないわけでございますけれども、今想定しておりますのは、例えば、センターで各府省における民間からの人材の募集の情報を取りまとめて、それを民間に対しまして広く情報提供を行っていくというようなことをしていく、いわば官民人材交流に当たっての窓口的な役割、こういうものを果たしていくということなどを想定してございます。

 センターの具体的な制度設計につきましては、この官民交流の部分も含めまして、今後、官房長官のもとに設置をされます有識者懇談会の意見を踏まえて検討していくということになってございます。

赤澤委員 今のお答えの中にも含まれていると思いますけれども、やはりマッチングというのが非常に課題になってくるかなと私自身は思います。

 若干話は違うかもしれませんけれども、工業製品なんかでは、日本のすぐれた工業製品をインターネットにオープンにして、きちっと英語で解説をつけて置いておくと、世界じゅうから引き合いが来たり、思わぬところからということがあるわけで、人材についても、これは思わぬ会社に思わぬ職能あるいはコンピテンシーについてのニーズがあるということはあり得るわけでありますから、今おっしゃったように、情報を集積した上でマッチングの機能というのを高めていくというのがポイントになるのかなと私自身も思っております。

 これは制度の大改革でありますから、現時点ですべて見通して詳細までつくっておくということは、どんな法案の提案者にとってもなかなか難しいところでありますけれども、そういった点を念頭に置いて、しっかりした仕組みづくりをしていっていただきたいなというふうに思うところであります。

 ほぼ同様の質問でありますけれども、民主党の提出者に、官民交流、いかなる手段で促進をしていくのか。これはハローワークで十分というようなことをおっしゃる論者もおられますけれども、その点の考え方についてお伺いをしたいと思います。

馬淵議員 これは、ハローワークで十分ということではなくて、さまざまな方法を考えなければなりません。委員が御指摘のように、まさにマッチングであり、官が民のアイデアや、あるいは人、さまざまな情報をどのように取り入れることができるのかということをやはり真剣に考えていかねばならない。単に人の交流だからいいんだという話ではないと思います。

 そのためには、冒頭に委員の御質問にありました、では、官のあるべき姿はどういうものなのか、国益、公益とはどういうものなのかというところに立ち返って、各省庁が、自分たちがなすべき仕事は何なのか、その目的達成のために、今行われている業務というのは果たして最適なのか、ベストプラクティスと呼ばれるような最適手段なのかということを考えていかねばならない。そして、そのベストプラクティスと呼ばれるような最適手段に近づけるために必要なアイデアや人材はどこにいるのか。私は、そこから考えていかねばならないというふうに思っております。

 現行、先ほどの数字で私は十分ではないというふうに申し上げましたが、ではこの数値を上げろという話ではないんですね。そこに目を向けてしまうと、単純に、では何人受け入れましたという競争になってしまいがちです。そうではなくて、本当に必要な人やアイデアをどう取り入れていくのか、今求められている職域はどういう職種か、職業の中での求められる能力というのはどういうものなのか、情報はどういうものなのか、これをしっかりと見きわめていく作業が必要だと思っております。

 その意味で、もちろん詳細については十分検討していかねばなりませんが、我々が提示している行政刷新会議を含め、単純に今あるハローワークを使えという話ではありませんし、さまざまな民間の知恵はそこでは利用していかねばならないというふうに思っております。

赤澤委員 ありがとうございました。

 私なりの言葉で言えば、事務事業の見直しをきっちりとやっていって、民で求めるニーズ、あるいは官の方で必要な情報といったものは一体何かということをしっかり洗い出していく。御指摘のとおり、官民交流も、量だけではかってはいけないということで、どんな情報が必要か、質の面もきちっと念頭に置いて考えていかなきゃいけないという御指摘については、私もそのとおりかなというふうに思うところであります。

 それで、冒頭のやりとりで、微妙ではあるけれども若干違いが明確になったかなと思うのは、私は、与党の案というのは、国民が短期に正せという天下りの問題にも正面からこたえているし、能力あるいは実績主義といったやる気の部分、そして官民交流も含めてですけれども、両方に正面から取り組んでいるというふうに感じますけれども、私自身は、当然のことながら、バランス感覚の問題として、民主党の提出された法案について言うと、まず天下りとおっしゃったことにあらわれていますように、本当に天下りの部分を若干重視し過ぎて、公務の生産性向上あるいは効率といったものの点は弱いのかなと思います。

 その証左ということになるかどうかはともかくでありますけれども、私は必ずしも附則に書いてあるかどうかということをさほど重視はしない立場でありますが、実際、民主党案について言えば、今の能力主義、実績主義といったようなことでありますとか官民交流とかいったようなことについては、附則の公務員制度改革の基本方針や公務員制度改革実行計画の中に、極めてシンプルにさらっと書いてあるという感じがいたします。能力及び実績に応じた処遇の徹底を可能とする人事管理制度を導入することということで、文言という意味でいえば、公務員制度改革の基本方針のところも公務員制度改革実行計画のところも同じ文言、それだけで済ませているといったようなところがあります。

 私自身は、ここの、こういった公務の生産性向上あるいは効率といった観点を高めていくための基本的な考え方は、少なくとも法案の中ででき得る限り盛り込んでおくべきものではないかというふうに思うのですが、その点で、民主党案の方、対案は、与党案と比べると、与党案の方に若干分があるのではないかと考えますけれども、民主党提出者のお考えを伺いたいと思います。

馬淵議員 これも再三こちらの場で御答弁させていただいているんですが、パッケージ論自体は私自身は理解はしますが、繰り返し申し上げますが、今、国民の目はどこに向いているのか。そして、まさにその改革、今求められている改革に我々はフォーカスをしてこの提案をさせていただいたわけでありまして、決して、能力・実績主義や、あるいは官民交流といったさまざまな組織の活性化を否定するものではありません。これは、御指摘のように、考え方の違いであるのかもしれません。

 ただ、そこで指摘をさせていただきたいのは、それこそ、御党におかれましては、前総理は改革の本丸として郵政民営化を掲げられた。全体の、すべての行財政改革の中で郵政民営化という一点を掲げられ、そして改革をとめるなと叫ばれておられた。私は、同じ発想でいえば、まさにこの改革の中で、公務員制度の改革の中では、さまざまあるけれども、今最も問題となっている部分を正すべきではないかということは、これはある意味一点に集中して、選択と集中で、今何を正すべきかということの方法論においては同じではないかなという気がいたします。

 その意味で、パッケージ論と叫ばれれば叫ばれるほど、これはむしろ改革に対して後ろ向きの姿勢に移られたのかな、このように国民の目から映るのではないかという気がいたしますし、繰り返し申し上げますが、マスコミ等がなぜ能力・実績評価を取り上げないのかといえば、これは、マスコミ等からしてみれば、やはりこの問題が国民の最大の関心事である。天下りによる談合や、あるいは政官業の癒着、こうした温床となっている天下りを正すということに、どれほどまでに襟を正して明確な姿勢を示すのかということが問われているのだということを私は感じております。

 以上です。

赤澤委員 考えの違いがかなり明確になったというふうに思います。

 私は、今馬淵先生がおっしゃったことからすると、民主党の提出者は、国民の世論、国民の考えというのはマスコミそのものだと言っているのにかなり近いなという感じがいたします。マスコミが能力主義の部分というのを余り取り上げないというのは国民がそう考えているからなんだ、こういう御指摘なんですが、私が地元でいろいろと、特に経済界の方たちなどとお話をしていますと、非常に強く感じるのは、やはり、自分たちは血のにじむような努力をしてきたのに公務員の世界は非効率が多いじゃないかということであって、決して天下りの問題だけではないんだと思うんですね。

 そういう意味では、ここはもう、民主党の提出者、馬淵先生と、それから私どもの考え方の若干違う部分かな、国民がどこを問題と考えているかについてのバランスというのが、どうもこれは明確に違うようだというふうに感じたということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次のテーマに移らせていただきますけれども、根絶すべき天下りとは何かということであります。

 私は、本人のコンピテンシー、英語で言えばそういうことなんですが、有能さとか得意分野といったことで考えておりますけれども、その本人のコンピテンシーにかかわりなく、所管分野の法人に対して、我が省が頼むのだから雇ってくれというような再就職は完全に問題でありまして、根絶しなければならないというのは当然のことでありますけれども、そのコンピテンシーに応じて再就職すること自体については、私はさほど問題がないのではないかというふうに思うところであります。

 この点自体も伺おうかと思ったんですが、時間の関係で、あわせて次の質問と一緒にさせていただきます。

 そういう観点からすれば、官から民への公務員の再就職を一定期間とはいえすべて禁止するのは若干バランスを失していないか。憲法で認められた公務員の職業選択の自由といったものにも重点を置いて、そのバランスの中で制度を構築していくという観点、さらに言えば、官民における有為な人材の有効活用、官民交流の促進の観点からもこれは過剰規制ではなかろうかというふうに思いますが、コンピテンシーに応じて再就職すること自体が悪かという点も含めて、民主党提出者のお考えを伺いたいと思います。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

馬淵議員 私どもの案では、これは、離職前五年間に直接的に契約やあるいは許認可権限を行使し得る立場にある側、関係するところに五年間は制限をするということでありまして、コンピテンシー、いわゆる能力あるいは競争力を持ってさらに民やさまざまな世界に飛び出していこうというものを制限するものでは全くないわけです。私どもは、その意味において、まさに能力を生かしていただくということを否定するものではないと考えております。

 またさらに、憲法に定められたものの制限になるのではないか、これは職業選択の自由であったりあるいは勤労の権利であったりということにかかわってくるのではないかということでありますが、一方で公務員は全体の奉仕者でありまして、その適正な服務の確保を図る必要があります。また、昨今の天下りに起因すると考えられる諸問題に対する国民の疑念、これも大変強いものがあります。

 これらを勘案しまして、現行制度が今二年の制限を加えているわけですが、私どもはこれを五年に延ばした。しかしそれは、先ほど申し上げているように、再就職そのものを制限するものではありませんから、これは決して憲法の規定に違反するものではないと考えておりまして、また、さらに付言すれば、我々の制度の中でも、人事院の承認等をしっかり得ればこれも制限をするものではありません。その意味で、再就職そのものをさせない、あるいは縛るといった御指摘は全く当たりませんし、我々としても、能力を生かしていただくということについては否定するものではありません。

 また、先ほどの私の答弁に対して、マスコミの声は国民の声だという御指摘、これも全く当たりません。私どもも、これは同様にこの法案の中では能力・実績主義というのを掲げておりますし、昨年の行革法案の中でも明確にそれを主軸に掲げておりますので、私どももトータルの中ではこのことを考えている。

 ただ、繰り返し申し上げるように、根絶すべき天下りとは何かということであれば、これは、影響力を行使し得る立場の者が行使される側にその背景をもって再就職することであって、やはりこれは制限をしなければならないということを法の主軸に掲げているということを改めてお伝えさせていただきます。

赤澤委員 いろいろと時間の関係がありますのであれですが、私も言いたいことは幾つかあるんです。例えば一つ言うと、権限について、あるところだけとおっしゃったわけですけれども、例えば局長クラスとかになってしまえば省全体にこれは当然なってしまうわけでありまして、その権限というのは物すごく広い範囲になってしまうので、私自身はやはりその辺はバランス感覚で、もう少し自由に官民における人材交流が促進できるような方向に持っていった方がどうかなと感じるものでございます。

 時間があれですので、幾つか通告していたものを若干はしょりはしょり行きますけれども、働きかけ規制の期間について離職後十年間というのも、これは、不正なものに限らず、退職職員の現役職員に対する働きかけを形式的に禁止している極めて厳しい規制という感じが私はいたします。これも、退職職員の職業選択の自由を十年間規制するというのが社会的な通念として重過ぎないかなというふうに感じますし、間違いなく官民交流の阻害要因にならぬかなというふうに思うところであります。

 さらに今気になるのは、本省管理職以上の職員は、離職後十年間、人事院への再就職状況報告を義務づけているということで、民間人になってから十年間も、自分のある意味プライバシーにわたる、どこで働いてどうしているなんという話をずっと届け続けるというのも、本当にここまでやらないといけないかという感じが私は強いです。ここも質問しようと思ったんですけれども、ちょっと時間の関係で次に行かせていただきたいと思います。

 本人の有能さ、得意分野、コンピテンシーといったものにかかわりなく、所管分野の法人に対し、我が省が頼むんだから雇ってくれというような天下りは当然根絶をしなければなりません。

 先ほど、馬淵先生の方から天下りバンクという御指摘が冒頭にあって、どこでお答えしようかと思っていたんですけれども、私は公務員出身であります。当時の先輩、同僚、後輩といろいろなときに情報交換できますけれども、今回のこの公務員制度改革について言えば、本当に厳しいものと受けとめています。

 これについては、定員の純減でありますとか総人件費の抑制といったものも置いた中で、しかも、定年を延長しスタッフ制まで入れてきながら、そしてこの規制がかかってくる、人材バンクといったものも入ってくる。それがどれぐらいのタイミングでどれだけうまく機能するのかといったことも見ていかなきゃいけない。本当に厳しい。制度の運用次第では、公務員の世界に、ある意味で手足を縛って水にほうり込んで泳げと言われているような気がするという意見までございます。そういう意見がかなりある。

 実態を見れば、本当に馬淵先生がおっしゃっているような天下りバンクというようなものを我々がつくろうとしているのであればそんな声が出てくるわけはないのでありまして、その辺は全くかけ声だけというか、認識が違っておられるのか、意図的に実態と違うことを言っておられるのか、私は全くわかりませんけれども、公務員の世界では天下りバンクなどという受けとめは全くしておりません。大変厳しいものであるというふうに一様に認識しているということを私の認識として申し上げさせていただきたいと思います。

 そこで渡辺大臣にお伺いをいたしますけれども、我が省が頼むんだから雇ってくれといったような、本人のコンピテンシーに関係ない天下り、これは当然根絶しなければならないと思いますけれども、政府案によりこれを根絶することは可能と考えるのか、お考えを伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 根絶されます。

 今やっておる天下りあっせんというのは、本人の能力とか経験に関係なく、予算、権限を背景として行われるものでございます。政府案においては、各府省が人事の一環として再就職あっせんを行うことを全面的に禁止いたします。したがって、赤澤委員御指摘のように、今のやり方になじんだ人たちからは、大変厳しい案である、こういう反応が出てくるわけでございます。

 また、法人等に再就職した職員の働きかけについても規制をいたします。罰則を含めた行為規制でございます。外部監視機関による厳格な監視体制も構築をいたします。

 したがって、こうした観点から、予算や権限を背景として行われる天下りは根絶されるということでございます。

赤澤委員 ありがとうございます。私もそのように認識をしております。

 それで、先ほどちょっと言葉足らずだったので追加をいたしますと、馬淵先生の御指摘に対するお答えのたぐいなんですけれども、コンピテンシーを生かした就職はいいんだ、促進したいんだというふうにおっしゃったけれども、その一方で、さっきのを補足しますと、局長クラスになれば、省全体の権限に係る部分には天下りが非常に厳しく規制をされる、五年間難しい。そうすると、五年間たったときに自分が培ったコンピテンシーがきちっと維持できているか、これはなかなか難しいと思います。しかも、一つの役所全体の権限にかかわる部分は、これは天下りが五年間例えばできない。これも、本当にコンピテンシーが生かせるような部分がほかに残っているかという点も、やはりかなり検討の余地があると思う。私としては、かなり厳しい規制であることは間違いないなというふうに思うところでございます。

 それから、あと幾つか伺いたいことがありますけれども、これは民主党の提出者に伺いたいんですが、行為規制の違反行為を国家公務員倫理審査会が十分に監視することというのは本当に可能でしょうか。政府案では、再就職等監視委員会といったものを置いて違反行為をきちっと監視していくことになっていますけれども、この点、国家公務員倫理審査会では私は現実的ではないのではないかと思っておりますが、その点、いかがでしょうか。

馬淵議員 政府案ではこれを内閣府に置くということでありますので、むしろ逆に過剰な内閣府の肥大化ということが招かれるのではないかと思っておりますし、倫理審査会、これは第三者機関、そういう意味では、人事院にありますので独立した機関となります。我々は、事務局等の強化を含めてそこで十分に図られるものと考えております。

 また、先ほど来委員の御指摘があるように、大変厳しいんだという今回の政府案についてのお話がありましたが、それで手足を縛られて水の中にほうり投げられるようなものだという御意見がありましたが、私は、むしろそういった御認識そのものが国民とのずれがあるのではないかという気がいたします。

 民間の中では、みずからがみずからの人生を判断して切り開いていくんですね。まさに、それこそ肩たたきが残っているから、確かにほうり出されてどうするんだという議論が出るわけでありまして、肩たたきは禁止する、その上でみずからが判断をしていただくわけですから、それは民から見れば当たり前のことを皆さん方、公務員の方々に望んでいるわけでして、それを大変厳しいと言われてしまうと、多くの方々は、やはりちょっと違うなとお感じになるのではないかということをつけ加えさせていただきます。

赤澤委員 質問時間は終わっていますので、一言だけ今のにコメントしますけれども、やはり今の御発言はちょっとおかしいと思います。というのは、民主党案では、みずから切り開くことをバランスを失して厳しく禁じ過ぎているということであるからこそ、これは開きようがないということであります。我々は、人材バンクを通じてそういったことを切り開いていけるようにしていこうとしているわけで、職業選択の自由ときちっとバランスをとった案になっているというふうに理解をしていることを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 先週に続きまして、再び質問に立たせていただくことになりました。

 実際のところ、月曜日に、多分ここにいる人皆がショックを受けたことがあった、ショックを受けられたんじゃないかと思っております。私も本当に大きなショックでございました。何とも言いようがないんですけれども、実際のところ、松岡大臣がどういったことで月曜日のような行動をとられたのかということはいまだ明らかになっておりませんし、それについて憶測をするべきではないと思います。

 ただ、いろいろな、もしくはその次の日にあった、緑資源機構の前身であった団体の役員の方が同じような行動をとられたということもありまして、どちらも悲劇的な事態であることに違いはなく、もし天下りだとかそういった今審議の対象になっているようなものがその行動の原因の一つになっているのであれば、今回のこの委員会での審議が今後そうした選択をされる人が出ないことにぜひつながっていただきたい、つなげていただきたいということを思って、この場に立つものであります。

 お亡くなりになった方々の御冥福を心からお祈り申し上げたいというふうに思っております。

 さて、話が湿っぽくなりましたけれども、先日の質疑で幾つか質問させていただいた中で、私としてもまだもう少し質問をさせていただきたいなと思うところがあったので、そこについて幾つか質問させていただきたいと思っております。

 まず、本題というか、やはりこの間の質問のとき、私は五兆九千億円という数字についていろいろお話をさせていただきました。何でそんな話をするのさということもあるのかなと思うわけですけれども、やはり法律を一つつくるというのは、一つじゃないんですけれども、それなりに大きなことでありますし、そのために前提となる根拠もしくは立法事実というのはきちんと確認をされなければならないだろうと思うからであります。

 それは、資料をお配りさせていただいていると思いますけれども、一枚目の一番上のところで、これは細野議員が御質問の中で、法律をつくるときに何を考えるかというと、必ず立法事実を確認するのだ、それが大事なのだというお話をされておりまして、そして、こういった前提に立って、細野議員それから泉議員も政府のわたりの調査について個別にチェックをされたということなんだろうと思っておりますし、武正委員からは、この間、立法府の役割についてお話をいただきまして、それをまさに実践されているんだろうなという思いで議事録の速記を拝見させていただいたわけであります。なのであれば、それはやはり、民主党さんが今回法案を提出された、そのことについて同じようにされるべきだろうと思うわけであります。

 せっかく法案を提出されたわけですから、もしかしたら私たちも、いや、やはり民主党さんの案の方がいいなと思って賛成に回るというようなこともあるかもしれないわけでありまして、やはり最終的に採決の場において起立させていただくか座ったままにするのか、それはそのときの判断でございますけれども、やはり自信を持って座っているなり立ち上がるなりという行動をとりたいという思いを持って、こうしていろいろな御確認をさせていただいているということで、もうしばらくおつき合いをいただきたいなと思う次第でございます。

 さて、五兆九千億円という数字であります。もう細かいことは、この間たくさん説明をさせていただきましたので、申し上げませんし、鷲尾議員からも、五兆九千億円というのが今回の天下り防止によって幾ら減るのかという質問をさせていただいて、精査をしなければいけない、もしくは、ちょっと中略の中に入っておりますけれども、一概にはお答えできないというようなことでありまして、もちろん、随契とかがたくさんあって、そこにチェックをして無駄遣いとして排除されるべき数字というのは含まれているだろうし、それを言いたいのだ、そこにメスを入れたいのだという意味でこの数字を挙げたというお話をいただきました。これはやはりそうなんだろうと思うわけであります。

 ただ、だから、立法事実として、要するに、調査をされました、そして退職された国家公務員の方がおられる法人、いろいろな団体に対して、これだけの補助金なりなんなり、いろいろな形でお金が流れているのだ、そういう実態をつかまれたことは、そのときにも申しましたとおり、心から敬意を表する次第でありますし、そうしたことは大事なんだろうと思うわけでありますけれども、では、これをそのまま立法事実にしていいのかどうかということをきょうはもう少しお伺いしたいなと思っているわけであります。

 資料の一枚目の下の方、大きな枠になっております。これは先日の私が質問させていただいたことに対して馬淵議員が御答弁をいただいたことを速記録から抜かせていただきました。馬淵議員の御答弁というのは、僕は速記録を読んでいつも感心をするんです。それは、質問をとても的確に要約されるんですね。私がだらだらだらだらといろいろなことを言って、ちょっとあいまいな形で、どうですかみたいな質問をすると、御指摘のように、我々が天下りという言葉を使って殊さらに過大な表現をして国民の不安をあおっているのではなくてと。いや、僕、国民の不安をあおってなんて言っていないんですけれども、そう言いたかったろうというところをよく察して、こうして答弁していただいたなと思う。そうした的確な要約というのはとても感心をするところであります。

 なお、おまけに申し上げますと、いつも馬淵議員は髪型がとてもきちっと整っていらっしゃって、これもやはり、私、ずぼらなものですから、すごい偉いなといつも思っているところであります。そんなことはどうでもいいんですけれども。

 しかしながら、要するに、私としては、過大な表現をしているのではないかということを、まさにおっしゃるとおり指摘させていただいたわけであります。前段、要するに、国家公務員の再就職、これについての実態を確認したと。その結果としての数字というのは、僕はこれはそうなんだと思います。素直に受け取ります。

 ただ、ここの前段の答弁についても、三行目の後の方から読みますと、私どもは、まず、法律用語でない天下りと称される国家公務員の再就職、これについての実態を確認したというふうに御答弁をされました。しかしながら、私は、この質問をする前に、天下りという言葉の定義について御質問させていただいております。そのときに、繰り返し質問をさせていただいたところで、馬淵議員は、法律の規制に基づくところを引っ張ってこられて、これが天下りというべきものであると。その前は、疑いのある再就職について天下りであるというふうにおっしゃって、いや、もうちょっと厳密に言っていただくとどうですかと言ったら、法律のところを引っ張ってこられたわけです。

 であるならば、要するに、ただの国家公務員の再就職の結果としてこの五兆九千億と言われるんだったらわかる。そうではなくて、天下りと称される国家公務員の再就職、この実態を確認したと言っているのが五兆九千億というのは、筋が通らないと思うんですね。そういう意味で、やはり天下りという言葉の使い方は揺れていると思いますし、そして、揺れている天下りという言葉をうまく使って、本当に問題とすべき無駄だとかそういったものを過大に表現されているのではないかということが先日の質疑で私は晴れなかったのであります。

 改めて、天下りの実態を表現する数字としてこの五兆九千億、まあ、あと四千何百の法人という話もありましたけれども、その数字を取り上げるのは過大な表現に当たるのではないかと思いますけれども、その点についてどうお考えか、教えていただけますでしょうか。

馬淵議員 橋本委員には二度目の質疑に立っていただきまして、また、前回は非常に丁寧な質問をされて、私も、一期だけ先輩と言うにはおこがましいですが、国会に少しだけ長くいさせてもらった者としては、すばらしい質問をされるな、いつも場内で大きな声の不規則発言よりも、むしろ質疑者として発言席に座られる方が本当に向いておられるな、私は、お父様が取り組んでこられた行革、そのことに対する思いがおありなんだなと大変感心をして聞かせていただきました。

 御指摘の部分もまさに丁寧な御質問をしていただいたわけでありますが、五兆九千億の予備的調査については、我々が法案を提出する前に、いわゆる天下りということについては法律用語としては明確ではありませんでした。公務員の再就職そのものを天下りと呼んでいる部分があったり、あるいは、それこそ権限によって再就職された方も含まれて、この辺はあいまいだった部分があるかもしれません。しかし、今回法案を提出することによって、政府は、具体的に、これは縦割り省庁の中での人事管理の一環としてという言葉を使っておられる。私どもは、離職前五年間に影響力を行使し得る立場にある者がという形で明確にそこは定義をした。その意味においては、天下り、五兆九千億とつなげられれば、現行における我々の規定からは幾分違ったものと受けとめられるのは仕方がないと思います。

 しかし、重要な点は、この実態がさらにやはり明らかではないということなんですね、中身について。こうした五兆九千億ものお金が法人に流れてどういうふうに使われているかということ、これは事細かに我々がつかむことができない。むしろ政府自体もそれを十分把握できていないのではないか。

 何よりも、今回の法案を提出させていただく前段階においては、現行の規制では法人は何ら規制されていないんですね。今、現行規制下における法人に、これは渡辺大臣もいろいろなところでおっしゃっていますが、九割近くはこうした法人に再就職をされている。だから、ここに対して明確に我々は、規制をするのかしないのか、どういった規制をすべきなのかということを調べねばならぬという前段で、この予備的調査を行ったわけでありまして、御指摘のような、その言葉、天下りと五兆九千億というのを足して、そのまますべてが無駄だというふうに言われているのではないかということについては、今時点においては、私どもはそういう意図を持って言っているのではない。だからこそ明確にしていかねばならないのではないか。立法事実については、渡り鳥の話もありましたが、単に十六人が確認できただけという話ではいけない、より具体的にそこをただして審議をしていかねばならないのではないですかと。これは、私が細野議員の趣旨というものを十分理解しているかわかりませんが、私なりにそんたくすればそういった指摘ではなかったかというふうに思います。

 今回、この五兆九千億の数字の意味において、過大ではないかということでありますが、今我々が申し上げている法律、我々の出した法律にのっとった定義における天下りの五兆九千億ではないということは明確にお認めをいたしますが、前段においては、政府の中でも、そこは十分に実態を把握しないまま、問題であるという認識を放置されてきたということにおいて、予備的調査を図って、これだけの規模のお金が流れているんだということが明らかになったことについては意味があるのではないか、このように思っております。

橋本委員 なかなか質問席に立たせていただいたり答弁席に座らせていただくことはなくて、思ったことはやはりちょっと、いろいろ大きな声でひとり言が出てしまうものですから、済みません、いろいろ御迷惑をおかけしていると思います。まあ、そんな話はどうでもいいです。

 今の答弁は、大変率直な御答弁をいただいたと思います。要するに、今の法律で言うところの天下りということと五兆九千億が必ずしも一致をするものではないということをしっかりお認めいただいた、そういう意味では本当に率直な答弁だったと思います。なのであれば、以後、天下りの実態が五兆九千億円、もしくはそう思わせるに足る表現というのはお控えをいただいた方がいいんだろうな、これは要請をさせていただきたい。もちろん、全体として、退職をされた公務員の人がいる法人に対するお金、税金の流れという表現であれば、僕はそれは何ら異議を唱えるものではない、調査の結果をそのままおっしゃったんだなというふうに理解するところであります。

 そして、要は、何でこれについてくちゃくちゃと言っているかというと、馬淵議員がおっしゃっていただいたように、国民の不安をあおっているのではないか、これは私が思っていた理由の一つでもありますけれども、もう一つ、逆に言うと、そういうオーバーなとらまえ方をして法律をつくられているのであるとすれば、その結果として規制がオーバーになっているんじゃないかなという思いを持たずにはいられないと思うんですね。例えばどこがオーバーかという話をすると時間がなくなるので、私がなぜ五兆九千億がオーバーだと思っているかというのは前回の議事録をごらんいただきたいと思うわけであります。

 今回、政府案とそれから民主党さんの提出された案、個別に見ると大きな違いがいろいろありますけれども、端的に言ってしまえば、民主党さんの案の方が制限、規制が大変厳格になっているというふうな言い方ができるんじゃないかと思います。あと、人材交流センターの有無だとかそういうものもありますけれども。

 では、何で厳格さの違いがあるのか。もちろん、それは、規制しているものの種類も違いますから、当然ながら、同じ行為を規制するのも二年になったり十年になったりという違いが出てくるというのは、それはそれであるわけでありますけれども、その議論をするに当たって、もしかして、前提とされている事実の把握があいまいなのではないかというのは、これは重要な論点として私は考えなければいけないと思うわけであります。

 いずれの規制をするにしても、前提として、まず職業選択は基本的に自由である、その上で、しかしながら、例えば談合だとかそういった無駄遣いにつながるようなことがあっては国益を損なう、国民の皆さんの福祉にかなわないということで、公務員の方々について、政府案それから民主党さん案それぞれ、そういった行為について規制をかけるというようなことなんだと思うんですけれども、そもそも、そういう公の力によって、法律の力によって、いろいろな人たちの権力を規制するということは限定的にあらなければならないのではないかと思うわけであります。

 それは、例えば事実の認定ということで考えていくと、渡辺大臣の方は、わたり十六件というのに基づいてお話をされている。少ないような印象もあるけれども、十六件は十六件なんだ、その前提でお話をされている。これは、調査ができているかできていないか、そこのところはいろいろチェックをされているところですけれども、少なくとも、確認された事実というものに基づいて物を言わなければいけないという厳密さというか、それはなぜ厳密でないといけないかというのは、そうした規制というものに対する慎み、公権力の行使というのは慎まなければいけないという背景に立って、要するに過大に事実を認定することは避けなければいけない。

 それは、この間馬淵議員がおっしゃったように、漏れている事象というのがその十六件以外にいっぱいあるのかもしれないんだけれども、確実なことから話を進めていく方が、物事を規制していくという公権力を行使する前提としてはそうでなければならないのではないかと思うわけでありますし、逆に、疑われるといったことで、だから厳しくしなければいけないのだという論理に立つと、それは、ほかのいろいろな法律だとか刑事罰のかかるようないろいろなものについてそのような形で運用されると大変なことでありまして、そうじゃなくて、やはりできるだけ確実に、これはどう見ても悪いよね、どう見てもこれは許されざるものだよねというのをまずきちんと規制していくという態度の方が、立法する人の姿勢としては望ましいのではないかと思うのであります。

 そういう意味で、例えば、疑わしきは罰せずという言葉があるわけでありまして、いや、疑わしいからどんどん規制をしましょうと言われるのは、その心とは全く逆の話であります。

 よく、民主党さんというか馬淵議員は、国民の声だからということをおっしゃりますけれども、法律をつくって規制をするというのは、国民一般の方々の立場に立って考えるだけではなくて、そうした公権力を行使するのだという立場に立たれてのことという意識を持っていただかないといけないだろうと私は思いますし、そうした意味で、今回の民主党さんの提出されている規制というのは、先ほどの数字のとらまえ方から考えるに、やはりオーバーなのではないかという疑いを晴らすことが今のところできておりません。

 そうした意味で、疑わしきは罰せずという言葉もありますけれども、そういった言葉の精神とあわせて、民主党さんの案の規制というのがどうなのかということを教えていただきたいと思っております。

馬淵議員 まず、御指摘の部分で、規制というものあるいは権限というものは抑制的に考えねばならないという、その大前提は私も同意するものであります。

 ただ、疑わしきは罰せずという言葉もあるという御指摘の部分に関しては、まさに疑わしきは罰せずというのは法格言でございまして、疑わしきは被告人の利益にという法格言にあらわされる近代の刑事訴訟における原則なわけでありまして、無罪推定の原則とも言われるこのことについて、いわゆる無駄遣いを我々は何としてでも根絶していこうということでありますから、行政のあり方を論じるときに、果たしてこうした法格言をもとに議論をするのが適切なのかどうかというのは、私はいかがなものかというふうに思っております。

 今日、御指摘があるように、明確なものが見えないというのはそのとおりでありまして、法人においてどのような形で具体的に談合の温床となっているかとか、これは出てくればそれこそ公取やあるいは捜査の対象になってくるでしょう。ただ、はっきり申し上げられるのは、二年間の現行の規制において、法人が対象外となっていた、そして、今事件となっている緑資源機構のような問題がやはり目の前にある。これは、私は決して、殊さらに問題を我々があげつらっているのではなくて、むしろ現実に起きている問題をしっかりと直視しているのだというふうに思っております。

 また、このような形で我々が、厳しい規制だというふうにおっしゃいましたが、これは先ほど赤澤委員にも私が答弁申し上げた中での反論として御指摘された部分でありますが、これはちょっと訂正をさせていただきたいんですが、我々は、厳しい規制ではなくて、五年間の再就職の規制というのは、離職前の五年間におけるその地位、立場ということを明確にしておりまして、例えば、局長であれば全省庁的な代表なんだと言われても、離職前五年間の地位における影響力の行使ということで限定をしておりますから、その以前に勤められていた局におけるさまざまな関係があったであろうところには、影響力の行使ではもはやないだろう。二年である現行の規制を五年に延ばしたのは、今ある目の前の事件等々を勘案して、考量の上、これぐらいの時間はとらねばならないだろうと決めたわけでありますし、今申し上げているように、すべてにおいて縛っているわけでも決してない。その上で、我々が出したものについては、現行の規制を十分に勘案した上での五年という規制であり、あるいは十年の行為規制でありますから、特別に何らかの権利あるいは権限を制限するものではないというふうに思っております。

橋本委員 厳しいかどうかという議論は確かにあるだろうと思いますし、そこのところは比較的、ほかの法律との整合としてどうかとか、そういうことでしか、絶対的に厳しいのかどうかという議論はあり得ないので、そこはどのぐらいが望ましいのかということは、多分、議論しても結論は出ないだろうと思うのです。

 ただ、法格言であるので行政に適用するのはどうかということでありますけれども、司法というのは、要するに行政、政治とか、そのほかもですけれども、その役目をチェックする立場の方々はそういうふうな目で見られているのだということであるので、行政はそうじゃなくてもいいじゃないかというのは、余り私は当たらないのではないか。むしろ別の法律で、えっ、こんなことをしただけでも罪になるのみたいな批判のされ方をしているものがあったりするのを見ると、それは要するに、同じような考え方によって批判をされているわけであって、なのであれば、公権力の行使というのは控え目に行うべきというのは原則としては当たるのだろう、適用されるのだろうと私は思っています。

 では、次に参ります。

 能力・成果主義の評価についてということであります。既にいろいろ議論も出ておりますけれども、閣法、衆法、それぞれこういうふうな扱いですということは資料の方に書かせていただきました。その二ページ目の一番下のところ、これは鷲尾議員の答弁でありますけれども、今総務省が試行している新しい人事評価について、全然できていないというのが我々の認識である、あるいは、人事評価の試行が甘いというふうに思っているというふうな御認識を示されました。

 こちらについて、そこまでおっしゃるのであれば、その認識というのは、一体、どの辺ができていない、どの辺が甘いというのが多分具体的にあってのことだと思うので、そこのところの根拠を教えていただけますでしょうか。

馬淵議員 この試行について、全然できていないというのが我々の認識でございまして、人事評価の試行が甘いというふうに我々としては思っておる、鷲尾委員がこういう答弁をさせていただいたわけでありますが、この甘いのではないかという指摘は、政府が試行した人事評価制度の評価者数、これは昨年に行われた第一次評価で約二千人なんですね。ことし実施中の第二次評価でこれが約九千四百名と極めて限定的なものである。こうした限定的な中で試行をしている、試しているわけですから、これはある意味サンプル調査みたいなものなのかもしれませんが、これで十分やっているんだ、これでもうそろそろ見えてきたんだというにはまだまだ達していないのではないか、その含意で鷲尾委員が答弁したものだというふうに私は理解をしております。

 また、実際に、評価結果を昇給とかあるいは昇進等に反映させられるといったレベルにまでは達していない、このように思っておりますので、これが十分に評価されるものだというにはまだまだ甘いのではないかというのも、私は十分理解できるところであります。

 このように、今やっておられるというところで、どうしても、一般に聞けば、もう既にやっているんだ、指示しているんだ、こういった御答弁を政府の方はされますが、これこそまさに、現実を見れば、いや、まだまだ足りないんじゃないかといったことを当委員会の中でやはり議論をしていかねばならないというふうに思いますし、私どもの認識としては、これでは十分な実態把握、あるいはそれによっての制度設計には資さないのではないかというふうに思っております。

橋本委員 要するに、人数も少ないし、あるいは、これはこの間私の方が指摘をさせていただいたことですけれども、クラスも限られているし、まだいろいろ余地があるなということで、それは確かにそうなんだと思うんです、本格実施に向けて、だからこそ試行ということでやっているんだと思うし。

 そしてなお言えば、要するに、これまで明確にこうした形の人事評価制度をしてこなかったところに、新たにそういうものを導入しようということをトライされていたわけでありまして、そのときに、いきなり何かある方式をがすっと入れるというのは現実的ではないんですね。要するに、ちょっとずつちょっとずつやっていきながら即したものに、そして、その組織がきちんといい方向に変わっていくように、そうした評価制度というものは設計をしていかなければいけない。そうしたプロセスの中で、だんだんニーズをふやしていくとか、だんだんクラスをふやしていくとか、そういうプロセスの中に今いる。そして、その結果をきちんと生かして、この間の大臣の答弁では政府案の方ではやっていきたいというふうなお話があったんだと思うんです。

 逆に言うと、まだまだ足りないのだというふうな、もちろん足りないから試行なんです。その認識は合っていますけれども、しかし、まだそういった形で、足りない、甘いという非難をされるのであれば、では逆に民主党さんは、附則であれ本則であれ、将来、やはりそういう人材評価制度を入れるんだということを書いていただいている、そのプロセスというのをどのように考えていらっしゃるか。もしくは、人事評価制度の目的というのは一体どの辺にあって、どういうふうに示されているのかというのを、今わかる範囲で結構でございます、教えていただければと思います。

馬淵議員 これも先ほど私は答弁させていただきましたが、やはり事務事業の全体的な見直しということがまず大前提にあります。

 これは、単に現行の霞が関の仕事だけではなくて、地方支分部局も含めた事務事業の徹底的な見直しを図っていく。本当に公務員として今求められている目的を達成するために必要な事業、事務をやっているのかということ、そこから職務分析を行った上での評価というものがなされなければなりません。

 これに関しては、私どもは行政刷新会議においてこれを詳細に制度設計をしていくということでありますが、現行の政府であれば、政府案は、今ある中での人事管理制度を見直すために試行を行っていって、それを積み重ねていって、能力と実績、そしてそれを給料に反映させるあるいはポストに反映させるということをやるんだということでしかないとは思いますが、我々は事務事業全体を見直すんだという前提に立っておりますので、それは、私どもの案として、行政刷新会議の中で十分な評価をしていくんだということであります。

橋本委員 いや、事務事業の見直しを図る、そのこと自体は悪いことではないのかもしれない、いいことかもしれませんけれども、それをやっているとさらに導入というのは遠のきませんか。すごく大変なことをされようというお話なんではないかと思うんですけれども。

 暫定的というのは三年以内にやるのだという気持ちだというお話だと思うんですけれども、ちょっと現実的ではないんじゃないかなと思うんですけれども、その点、ちょっと補足していただけますか。

馬淵議員 これも繰り返しになるんですが、やはり、皆さん方、現行の政府の中におられて、現行の政府の制度の中で政権運営ということをお考えになるからどうしても視野が狭くなってしまうのじゃないかな、私はそう感じるわけです。

 これは、やはり、経営者がかわって新たに刷新をしていこうというときには、全くゼロベースから見直しというものが図れます。そのときにはとてもできないんじゃないかということを実現していくのが民間の中での大改革でありまして、我々は、全く同じ感覚でいえば、その意味でいえば、行政刷新会議という我々が考え得る組織、機関において事務事業の全面的な見直し並びに人件費も含め行財政改革を進めるということですから、これは無理なんじゃないか、今までの、少なくとも戦後の長い流れの中で政府がやってこられた延長上ではとても無理だと感じるのは仕方がないかなと思うんですが、我々は、政権をゆだねていただければ十分にできる、このように考えておりまして、現行の中で見えないのは無理はありません。

 大体、つぶれる会社というのは、もううちは改革できないんだというのが社長の言葉なんですね。大体、二世の息子さんが役員か何かに入っておられて、何とか食いつぶせればいいやぐらいのところで大抵だめになっていくんですよ。私もさまざまな事業会社を、立て直しも含めて行ってきましたが、いや、これはもう根本的に見直すんだというところから見たときに変わり得るんですね。そこには優秀な社員の方がいらっしゃったり、あるいは優良な取引先がいらっしゃって、ああ、やっとそこに気がついたのか、これで大きく変わるなと。まさに企業の刷新というのは、そういった自己変革が遂げられないときには中で煮詰まってしまっている状態だということなんですよ。

 今の政府あるいは行政の仕組みというのはそうなんだと我々は指摘をしているわけでして、委員が、いや、今のやり方の延長の中で考えるととても無理じゃないかという御指摘はよくわかります。中におられるからわかりにくいんだろうなと思いますが、私どもから、外から客観的に見れば、こうしたやり方では到底無理だけれども、我々が言っている方法、我々が考えている方法であれば十分可能だということをいつも申し上げているつもりであります。

橋本委員 政権がかわったらという前提に立ち至られると、そこのところはちょっと……(発言する者あり)いやいや、そんなことを今この場で頼まれても、何とも。まあ、それはいいや。

 少なくとも、政権交代すればという前提に立ったお話をされると、もうそこは認識がどうしようもないので、一致しようがないので何とも言いようがございません。そうならないように私たちは努力をするし、その中できちんとした公務員制度改革をしていくのだという話であります。

 時間が切れてしまいましたけれども、最後に一点だけお伺いさせてください。

 三ページ目ですけれども、これも馬淵議員の私の質疑での最後の答弁になりますけれども、要するに、官民交流のお話をさせていただいたときに、民から官においては、本当に必要かといえば多くの民間企業の方々がそうだと答えることはない、すなわち、民間から官の方にキャリアアップのために行く人などいないのだというふうに私は受け取ったんですけれども、そういった御趣旨の御答弁をされました。

 馬淵議員が前提とされている公務員制度というか官庁というか役所が、民間の人にとってキャリアアップのために行く価値のないような役所なのだという前提に立ってお話をされているのかなというふうに思ったわけでありますし、天下り防止を含めて、そんな前提に立った公務員制度改革というのは一体何を目指しているんだろうというのが私はよくわからないなと思うんです。

 要するに、魅力的な役所にならないといけないわけだし、働く人にとっても魅力的。だから逆に、民間の人も、給料がいいとかそういう問題じゃなくて、いい、やりがいのある仕事ができる役所で、だから交流をしてみよう、行ってみよう、また次のステップにつなげよう、そういったことを目指すのが私は大事なのではないかと思いますし、この馬淵議員の御答弁というのはそれに反している。そういった思いが全然なくて、むしろ、もう役所なんかに行っても仕方ないんだみたいなところが大変に強くあって、ではどういうふうな改革をされたいのかな、どう公務員の方の士気向上につなげたいのかなというのがわからなかったわけでありますので、ちょっとその点、教えていただきたいと思います。

馬淵議員 これも先ほども申し上げたんですが、民は本当に市場において競争にさらされています。必要な人材があれば積極的にどんどんとりに行く、あるいはさまざまな情報をとりに行くわけですね。だから、民は、ある意味、官民交流という状況がなくても必要な人材はどんどん探していくわけです。ところが、官の方はというと、旧態依然のままよどんでしまいかねない。だから、官においては民の力というのが交流の中で極めて重要な位置づけになると私は理解しているという意味で申し上げたわけです。

 今回、この官民交流という名のもとに官から民へ行き民から官に行くという、双方向だという名のもとに我々が言うところの天下りが今後行われていくようであれば問題だということを申し上げたかったわけでありまして、官が魅力的になることは、当然ながら我々も求めているわけであります。

 ただ、繰り返しになりますが、民間はさまざまな形で人材を求めていますから、その仕組みを超えてでもさまざまな情報をとっていく。だから、やはり、官が民の力を得ることによってさまざま、情報、知見を持ってより活性化できるということにおいては、非常に意味があるんだと思っております。

 以上です。

橋本委員 官民交流というのは中でおっしゃっていて、それは意味のあることなんだというふうにおっしゃっておられました。なのであれば、官民人材交流センターというのがうまく機能するというのはいいことなのではないかなと思ったということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、中森ふくよ君。

中森委員 自由民主党の中森ふくよでございます。

 きょうは、渡辺行革大臣、林副大臣、そして民主党の提案者の議員の皆様に、基本的なところから御質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、早期の勧奨退職について、まず民主党さんからお尋ねをさせていただきたいと思います。

 民主党さんにおかれましては、早期の勧奨退職を制度として禁止する、こう言われておりますけれども、現実の問題といたしまして、長年携わってきたそれぞれの公務員の方々の経験があるわけでございますね。当然のことでございますけれども、各民間企業が一定のこういった経験を持った定年に達しない公務員を募集する場合があってもおかしくないわけでございますし、きのう、経団連の方もそういった趣旨のことを一部述べていらっしゃいました。

 今回、民主党案のように、現時点で禁止、こう明記した場合、私は、公務員の意欲の低下ということがかなり招かれるのではないかという懸念が一つございます。また、優秀な人材、これは国の損失にもつながるわけでございますので、どうしても優秀な人材を確保すべきところ、それが二の次になるのではないかというふうに懸念いたしますけれども、この点について御見解を伺いたいと思います。

武正議員 中森委員にお答えいたします。

 早期勧奨退職が問題だというのは、もう民主党が再三ここで述べておりますように、同期横並び人事で、そして一人の人を事務次官にするために五十代にならないうちに肩たたきをして、しかも、その天下り先を用意するのが事務次官になるためには必須なんだ、こういったおかしな慣行を是正しようというところであります。

 それぞれの個人の方が、職業選択の自由で、よし、民間に行って働こうといって途中で退職をされることを規制はしておりません。民主党の考えは、ただそこに、やめる前五年間関係したところと密接なつながりがあるところに再就職しちゃだめですよという意味の規制であります。

 あわせて、先ほど馬淵委員が言ったように、もともとは、民間で官の人材が欲しいというよりも、どっちかというと官こそ民間の人とか知恵が必要なんだろう、官民人材交流というけれどもニーズは官の方にあるんだというのがやはり問題意識の前提にあります。

 以上です。

中森委員 それでは、次に進みたいと思います。時間が迫っておりますので、ちょっとはしょります。

 早期の勧奨退職を制度として禁止した上で、民主党さんの場合は、三年間で総人件費を二割削減と何度も答弁されていらっしゃいます。その二割削減の根拠が私はいまだわからないでおりまして、そこの点を御答弁いただければと思います。

武正議員 三年二割の総人件費の削減をどうするかということで、既に民主党委員からは採用の新規抑制についても触れておりますが、もともと二〇〇三年に私どもは国家公務員総人件費一割削減をマニフェストでうたい、そして、二〇〇五年衆議院選挙で二割削減をうたいました。

 それは、やはり総人件費としているところがみそで、政府・与党案は総人件費の削減はうたっていない、また、うたっていても対GDP比ということで非常に数字として確定できない、そういったことになっておりますので、やはり大枠でしっかりと総人件費ということでまず外を埋めてしまう、その中で二割削減なんだといったところは、特に官と民の人件費が、昔は公務員の方の方が安いという話だったのが、昨今、もう逆転をしている、統計によると、やはり二割、三割高いというようなことも一つの参考になっているというところでございます。

中森委員 済みません、私は今、二割削減の根拠を聞いたので、二割削減の目標を聞いたわけじゃないんです。私としては、その二割削減の根拠がいまだわからないでいるので、具体的な根拠を明確にしていただきたいというふうにお願いしたわけでございます。

武正議員 最後に触れたように、官民のそうした給与の格差というものが、今は官の方が例えば二割高いとか三割高いとか、いろいろなそういう指標があるんですよ。それは一つの参考になっているということをお伝えさせていただきます。

 ただ、これは目標ですから、党の政策として、官の、公務員の総人件費を二割削減しようと。これは、まずは一割だったのが今度二割になっているのは、それは何といっても、やはり今の国家の財政状況、これがまず大前提であります。そのためには官も努力をしなきゃいけない。二〇〇三年よりも二〇〇五年の方がその必要度は高まっているといったところでございます。

中森委員 済みません、内訳が欲しかったわけでございますが。二〇〇三年に一割で今二割という削減目標はお聞きいたしましたけれども、ちょっと時間がありませんので、私としては、具体的な根拠が示されなかったという理解をさせていただくことになるかと思います。

 それから、民間でも天下りに相当するものが実はあるんですね。つまり、親会社から子会社への移籍等でございます。組織の円滑化には官民それぞれが工夫しているわけでございますけれども、私は、本来、民間企業に国家公務員が行くことも、また来ることも大変歓迎しております。これは渡辺行革大臣がおっしゃっていただいているとおりでございますが、ただ、国家公務員が定年までおのおのの力を発揮して、本来定年退職することが望ましいと思っているわけでございます。

 しかし、今申し上げたように、人事の面では一朝一夕にはいかないということがございます。そこで、民主党提案者と大臣にここはお聞きをしたいのでございますが、勧奨退職という現在の慣行制度を即刻禁止すると、いろいろな意味でこれは、四十三分までということで細かいことが言えなくなってしまいましたけれども、いろいろな無理が生じてまいります。

 例えば、今回のこの公務員改革法が決定して十年を経過したときに勧奨退職の原則禁止、このようなことをする段階を踏んだような案は民主党さんの場合は考えられていらっしゃいますでしょうか。

武正議員 馬淵委員が再三答えているように、やはり勧奨退職が、さっきの同期横並び、そして天下り、そしてそこに対するあっせん、口きき、すべてセット、随契、官製談合ということでありますので、やはりこの勧奨退職は速やかに是正をということが民主党の柱であります。

 当然、検討事項ということで、号級制度の見直しが要検討ということも申し上げているとおりでございます。

中森委員 ということは、即刻禁止の継続という、十年を置いて例えばそういった段階を踏んだような案ということについては今お答えいただけなかったんですけれども、そちらはないというお考えですか。

武正議員 段階は踏まずにやるということでございます。

中森委員 わかりました。

 ただ、ここで大臣にお聞きしたいのでございますけれども、現在、年功序列を前提とした昇進と理解しております。当然のことながら全員は昇進できませんから、現在の早期勧奨と天下りのセットとしてそれが慣行となっているというところに今のこの公務員改革の問題が大きくあると思うのですが、その点を一つお伺いしたいのと、もう一つ、今お聞きしましたけれども、この公務員改革法が決定して十年を経過した後には勧奨による早期退職が行われてはならないという附則的なものをこの法案に考えておられるかどうか、あわせてお尋ねしたいと思います。

渡辺国務大臣 期間について何年とは申し上げられませんが、政府案でいきますと、実力主義が導入されて年功序列が打破されます。したがって、今やっているような肩たたきシステムは消滅をいたします。

 ただ、年功序列が打破された後において、公務以外の世界に移った方がいいのではないかという人も中にはいるわけですね。ですから、そういう人に対して退職を勧奨するということはあり得るわけであります。

中森委員 では、ちょっとそこはその程度にしておきたいと思います。

 それと、基本的なところで大臣にもう一つお伺いします。

 局長、部長といったラインのほか、総括的な取りまとめを行っていただいている審議官といった制度がございますけれども、では、その専門スタッフとは一体どんな制度を考えていらっしゃるのか、具体的にお話しいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 専門スタッフ職として考えられますのは、例えば調査分析、国際交渉、政策評価、人事、広報、行政不服手続等々、多様な場面があろうかと思います。

 安倍内閣としては、昨年の十月に閣議決定をし、俸給表の新設に関して人事院に要請をいたしております。

中森委員 ありがとうございます。

 それでは、林副大臣にお聞きをしたいと思います。

 能力評価制度についてお尋ねいたしますが、能力評価を行い、行革大臣の言われる、ノンキャリアでも優秀な人は登用していくということは、活性化の意味でも大変望ましいと思っております。しかし一方で、勉学優秀なキャリアでも、必ずしも仕事の上では優秀ではない人もいるわけでございます。

 現在、新聞、雑誌などで、例えば五人のキャリアが同時に入省すると、課長までは五人とも肩を並べるというような解説がされております。ノンキャリアが一人課長に抜てきされたらどうなるんでしょうか。五人のポストですから、もしキャリアの一人が課長になれないとしたら、国家公務員の上級試験制度が形骸化することに片っ方ではならないか。そこら辺のところをお聞かせ願いたい。

林副大臣 大変大事なポイントであると思いますけれども、今、中森先生がおっしゃったように、国家公務員採用1種試験合格者だからという理由だけで、役所に入っていただいた後、人事評価がよくないにもかかわらず、同期横並びで、今の週刊誌の例でしょうか、五人課長までなるというようなのが、まさに大臣がおっしゃったような年功序列ということでございまして、今度の法案を通していただければ、こういう人事管理というのは許されないということになるわけでございます。

 他方、優秀な人材については、今まさにお話がありましたように、キャリア、ノンキャリアを問わず、採用試験の種類を問わず、若いころから政策の企画立案等を担う機会を与えよう、こういうことをうたっておるわけでございまして、そういう意味では、その区分がなくなってくるのであろう、こういうふうに思っております。

 同時に、閣議決定いたしました中に、採用のところについても全般として検討していくというのはまさにそういうところでございまして、せっかく勉学優秀で、勉学優秀というのは、しかし、公務に入ってきたときに、ポテンシャルがあるだろうということでやっているわけでございまして、単に学者ということの意味ではないわけでございますから、結局、そういうことがたくさん事例として出てきた場合には、採用試験そのものが実は本当にいいんだろうか、こういうことも起きてくるのではないかというふうに思っております。

 能力・実績主義を導入した後は、そういうことをやってみて、キャリアと言われる1種の試験の人でも、きちっと評価をするとどうもそうでないらしいということが余り多いようですと、今度は採用の方をきちっと見直していく、こういうことに全般的な改革としてはつながっていくのではないか、こういうふうに思っておるところでございます。

 まさに委員がおっしゃられたところは、今度は総理のもとに有識者を置いて、全体のパッケージとしてしっかりと議論をしていく中核の部分の一つであるというふうに考えておるところでございます。

中森委員 もう一つ、これに関連して、ちょっとよくわかりにくいので、国民にわかってもらう意味で申し上げたいと思います。

 今のキャリア制度が、今の副大臣のお話ですと、見直す機会もあるだろうというふうな御答弁でございますが、ノンキャリアが今一人ふえたとします、五人キャリアで来たけれども、ノンキャリアからもう一人課長候補が来たとした場合、六人になっちゃうわけですね。移行期間ということもありますけれども、そのノンキャリアの成績優秀者を登用するとますますポスト不足ということにならないかという点もあわせて、ちょっと副大臣にお答えいただきたい。

林副大臣 まさに、人事の管理を評価に基づいてやっていくようになりますと、そういうことは当然あり得るということでございますが、一度五つなら五つのポストについた皆さんが、永遠にその五つのポストにいるわけでは当然ないわけでございます。

 先ほど申し上げましたように、例えば私の同期ですと多分昭和五十九年入省だと思いますけれども、この人たちをノンキャリの人とかそれより若い人たちが全く追い越さないという今の硬直的な横並びを改めていこうということでございますので、当然、その方が全く何年たってもだめだということではなくて、発奮して頑張られれば、次の年、またその次の年に、同期と少しおくれてもどこかの課長のポストについていく、こういうことであろう。

 全体のポストと全体の人員というのは定数管理で数字が合っているわけでございますので、そういうふうな運営になっていこうか、こういうふうに思っておるところでございます。

中森委員 ありがとうございます。

 ということは、上級試験の制度にもこだわらないで、これからはいろいろな改革を進めていくという理解でよろしいんでしょうね。

 それでは、続きまして、省庁間の人事異動とポストについてお尋ねをしたいと思います。

 民間では、時代変化とともに、不必要なポストをなくしたり縮小していくことが行われています。これは当然、採算が合わなくなりますから、やっていられないというのも現実でございます。つまり、不必要な部署から人不足の部署へ異動するわけでございますが、国でも現在環境問題が騒がれておりますけれども、時代的には強化が必要と思っております。

 官民人材交流センターでの省庁間の異動の取り扱いについてお考えになられるおつもりがあるかどうか、お考えをお聞きしたいと思います。

渡辺国務大臣 官から官への異動は、もう既に行われております。課長以上の幹部職員の一割について既に目標を達成したところでございまして、さらにこれを進める必要があると我々も考えております。

 よく柳澤厚生労働大臣がおっしゃることでございますが、ドイツでは、社会保障制度の抜本改革を行う際に、厚生省以外から事務次官を連れてきたということがあったようでございます。やはり思い切った改革のためには、その省の中だけで年功序列で上がってきた人よりも、全く外部から登用した方が問題の本質がよく見えたりすることがあり得るわけであります。したがって、そういうことは大いに進めていくべきであると考えます。

 また、別の観点でございますが、総人件費抑制として国家公務員の配置転換ということも行っております。もう既に平成十九年から二十二年までの四年間で約二千九百名を要員不足の部門等に配置転換することになっております。

 私も、この四月に府中刑務所に行ってまいりました。そこで、農水省の東京農政事務所から刑務官に転じた方ともお会いをして、話なども聞いてきたことがございます。

中森委員 ありがとうございます。

 大臣のお父様も、人事の面では大変な大抜てきをされてやったというふうに国民の側もいろいろと理解をしておりまして、ぜひ、硬直化を避ける意味でも、より活発な省庁間の人事異動をお願いしたいと思います。

 それでは、総務省の政府参考人にお尋ねをいたします。

 地方公務員制度の問題についてお尋ねをいたしますけれども、国において、天下りという点でも種々制度を改革しても、片や今、地方分権化が進みまして、地方の力、つまり、権限と予算が地方においてますます大きくなりつつあります。地方の権限の増大につれてこういった公益法人が地方においても拡大し続けるということになりますと、国全体としての効率化を図れないと思うんですね。

 そういう意味で、地方公共団体の天下りという点についてもどうすべきか、今回の法改正と同時に打ち出されなければならないと思うわけでございますけれども、この方向について、またどう現在対処しようとしているのか、お考えがあればあわせて御答弁いただきたい。

上田政府参考人 今先生御指摘いただきました、地方におけるいわゆる天下りの問題、これもやはり、国家公務員からの天下りと同様に、問題状況は、地域によってかなり国とは濃淡はあると思いますけれども、あるところにはあると思います。

 したがいまして、我々としては、地方公務員法の中に、必要な新たな法律の措置を設けたいと考えておりまして、実は、昨日、ちょうど政府で閣議決定をいたしまして、きのうの夕方、国会に御提出をしたところでございます。

 基本的には国家公務員法改正案と同じで、能力・実績主義の人事管理を徹底するということと同時に、再就職管理については、例えばOBが古巣に働きかけるのを規制するとか、あるいは、あっせん行為についてはしかるべき必要な措置をそれぞれしっかり講じていただくとか、そういうことをしてもらうような規定を設けさせていただきたいと考えているところでございます。

中森委員 ありがとうございます。

 そうすると、国の方の今回の法改正に準じるような形でやっていただけるということでよろしいわけでございますね。

 それでは、大臣にお伺いをさせていただきます。

 総量規制という角度からお伺いをしたいんですけれども、ここにおつけいたしましたこの資料の中に、その前に、各省庁間の話をもうちょっとしたいと思います。

 総量規制という角度からお伺いするときに、民間ですと一つふやせば一つ減らすような努力をするんですけれども、いろいろと次から次に公益法人ができるということにやはり歯どめをかけなければいけないと思うんですね。公益法人の数を見直す努力も急がねばいけないというふうに思うわけでございます。そして、片やふえていく場合には、この数量の面で、一つふえれば一つ減らすとか、そういった意味の総量での規制ということについて大臣がどうお考えになっているのか。

 ここに、今申し上げようと思いました、十九年二月二十三日の総務省発の公益法人役員への就任に係る報告状況というのもございます。これは公益法人に行かれた役員だけの状況の報告でございますけれども、ざっと計算しますと八百三十九人。八百三十九人、全く大ざっぱで申しわけありませんが千人として計算しまして、役員ですから年間二千万円としますと、簡単に考えますと、国民の視点から見れば、年間二千万円の人件費を払える見返りがあるのではと考えられても、ある意味で当然の数字ではないか、こういうふうに思うわけです。

 ですから、この人件費五%の削減が片やあるわけでございますけれども、天下りによる経費削減とこれもセットでぜひ考えていただいて、定年まで勤務された方が逆に安い場合もあるのではないか、そういう意味での二つの総量規制について、御見解をいただければありがたいと思います。

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 林副大臣。

林副大臣 総量規制というお尋ねでございましたけれども、その言葉どおりかどうかは別としまして、今度の我々の法案によりまして、各府省が人事の一環として行ういわゆる押しつけ的な天下りを根絶するということでございます。

 実は、私も党で長い間、この特殊法人、公益法人等の改革というのを、特に行政委託型の公益法人の改革というのを閣議決定までやりましたし、その後それに基づいて、いわゆる許可によって設立をするという、公益法人制度そのものも見直したわけでございます。

 その改革を通じて、やはりどうしても各府省の人事の一環ということになりますと、まさに委員がおっしゃるように総量が必要になってくるわけでございますが、今度こういうことになっていきますと、そもそもそういう、言葉が適当かどうかわかりませんけれども、押し出し圧力というものがなくなってくれば、本来必要な仕事を必要なところだけやってもらうという意味での特殊法人、今、独立行政法人になったものがほとんどでございますけれども、また行政委託型の公益法人というのは当然進んでくる、こういうふうに考えております。

 前々回でありましょうか、年金のいろいろな施設のお話もさせていただきましたけれども、もともと必要なものであっても必要性がなくなってくればその段階ですぐにそういう事後の検討を考える、こういうことになっていこうかというふうに思いますので、まさに今回の改革が、委員がおっしゃったような、トータルでこれぐらい確保しておかなきゃいけないという考え方を大転換する、こういうふうに御理解をいただければというふうに思います。

中森委員 御答弁いただきまして本当にありがとうございました。

 最後になりましたけれども、公益法人の数の紙が一枚ついてございます。今、全国で二万五千二百六十三、出口の方で待ち受けている形にならないように、ぜひ大臣そして副大臣のさらなる御改革を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 今日まで何回か質問もさせていただきまして、主に公務員改革の全体像、パッケージ改革等としてどうあるべきかということで議論をさせていただきました。そして、きのうも参考人の皆さんから、今日に至るまでの経緯、そしてまた、公務員改革というのが構造改革の一番の大事な部分、しかしそれがなかなか大変なことで、今回こういう議論になったことに対する評価、そういったこともいただきました。

 そういう中で、私は、結局結論として言えることは、官民人材交流センター、この改革が成功するか否か、そこにすべてがかかっているのではないかということを今日までの議論の中から今感じているわけでございます。そういうことで、この新人材バンクのあり方について再度しっかりと確認させていただきたいと思います。

 四月二十四日の閣議決定においても、パッケージ改革としての公務員制度についてということで閣議決定されているわけですが、その中で、制度設計は、官房長官のもとで有識者懇談会を開いて、そこで方向を見出す、こういうことになっているわけでありますけれども、それはそれでいいと思うんですが、しかし、今の時点でどうあるかということは、ここはしっかりとしておかなきゃならないんだろうと思います。何でもかんでもその有識者懇談会に行くんだ、それだとなかなかわからない。だから、ここで議論を詰めて、どこまで詰まるかということが今日の法案の審議のやはり大きな点だ、こういう認識で質問をさせていただきます。

 それで、この人材交流センターの機能ですけれども、本当に機能するかどうか、ここが大問題だ、こう思います。官民人材交流センターが行うあっせんであれば押しつけ的とはならないということを大臣は一貫して御答弁なさっていただいていますが、つまり、それは各省から独立したというか中立になっているからだということであり、それは天下りにはならないという趣旨でおっしゃっているんだと思います。きのうの参考人の方の御意見でも、個別の各省からではなくて内閣が一括してやるというところに意味があるんだという趣旨のお話がございました。

 そういうことも踏まえて、もう一度、押しつけ的にはならない理由を明確にお示しいただければと思います。

渡辺国務大臣 御案内のように、官民人材交流センターにおいては、各省が予算、権限を背景に人事の一環として行っておりますあっせんを禁止した上で、中立的なあっせんを行うわけであります。したがって、これは、各省にとっては、今やっているあっせんが全面禁止されるわけでありますから、当然、組織の老朽化を回避しようと思えば、こちらの人材交流センターの機能に協力するしかなくなるわけでございます。その点で、我々は、機能するとまず申し上げたいと思います。

 その上で、人材交流センターが行います仕事というのは、職員の再就職ニーズに十分対応できる積極的な求人開拓を行います。当該職員に対するキャリアコンサルティングも実施をいたします。したがって、今やっているような予算、権限を背景の天下りあっせんとはまるで違った世界がそこに広がるわけでございます。今、嫌々ながら受け皿に行く、これも人事の一環ですからやむを得ない、そういうことがなくなるわけでありますから、これはもうまさしく、天下りとはまるで違うものになるわけでございます。

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 田端先生、お待たせしました。

田端委員 今の大臣のお話だと、この新人材バンクは、今までのような役所の人事の一環ではなくて、再就職を支援する、そういう一環としての位置づけだ、こういうお話でございました。

 それは本当に、そういう意味では非常にいいことだと思いますが、そういうふうにいけば、逆に言いますと、公務員の方がそれぞれその年になれば、では私もお願いしよう、登録しようということで、たくさんの方が手を挙げてくるのではないか、こういうことも予想されます。

 つまり、どのぐらいの方が対象で、どういうふうにされるのかというところがもう一つ見えていないところにまだ不安感があるんだと思いますので、現在の公務員の方が安心できるような、こういう仕組みにするんだというところをもうちょっと踏み込んで御説明いただければと思います。

林副大臣 大事な設計の大枠のお尋ねでございます。

 現在、常勤の一般職の国家公務員、特定独法職員と日本郵政公社職員、また検察官を除いた数字でございますが、退職者数が、十五年度で二万五千余、それから十六年度が一万一千余、十七年度が一万一千でございますが、そのうちいわゆる勧奨が、十五年度が五千六百余、それから十六年度が三千五百余、十七年度が三千六百というふうになっておりますので、この詳細についてはこれから官房長官の有識者懇談会で詳細設計をいたしていきますが、この数字が一つの目安になるのであろうと思っておるところでございます。

 さらに、この中で、これは実際に数字を確認したわけではございませんが、各省であっせん等をやっているのは半数程度ではないかということが言われておりますので、今委員が御指摘になったように、今あっせんでない方が、こういうものができれば少し利用してみようかなということになれば、その間の数字ということは出てくるかもしれませんが、一般には、こういう数字をめどに詳細設計をしていこう、こういうことになろうかというふうに思っておるところでございます。

田端委員 いずれにしても、今、三千幾らとか五千幾らとか、こういう数字でありますが、それが全員ということとは限らないと思いますが、しかし、大変な数であることは間違いないと思いますね。

 したがって、このセンターの体制、人員をどうするのか、センターを設置する予算をどうするのか、こういったことがもう具体的に必要だと思いますが、今どういうふうな想定をされているんでしょうか。

林副大臣 ちょっと、まことに恐縮なんでございますが、先ほど中森委員の質問で答弁漏れがございましたので、もしよろしければ、よろしゅうございましょうか。

 私、いろいろ申し上げましたけれども、さらに、最終的に閣議決定を法案とともにいたして公務員制度改革というものをやっておりますので、ここで、パッケージの改革として、中森委員の御指摘になった専門スタッフ職の実現を初め、官民交流の抜本的拡大や定年延長というような、採用から退職まで全般についてやっていって、またそれは私が申し上げました総理の有識者でやっていく、こういうことになっておることを改めてここで申し上げておきたいというふうに思っております。

 大変失礼いたしました。

 今の田端委員の御質問でございますけれども、官民人材交流センターは内閣府に置きまして、中央組織と、それから地域ブロック別に拠点を置いていくということでございまして、組織・人員体制を整備するということと、各府省等からの中立性を徹底する、それから実効性を求める、こういう原則を立てておるところでございます。

 こういう原則に従いまして、繰り返しになりますが、官房長官のもとに置かれます有識者懇談会の意見を踏まえつつ、平成二十年度予算編成に向けて、具体的な人数等の体制を検討してまいりたいと思っております。そのときに、先ほど御答弁申し上げました対象となる人数というのが前提となってくる、こういうことでございます。

田端委員 それはそれでよくわかりましたが、しかし、これは二十年度中に立ち上げるということになっているわけですから、そうすると、平成二十年度予算で予算をとっておかなければできないということになると思うんですね。そうすると、そろそろ骨太の議論がこれから詰まっていくんだと思いますし、夏の概算要求、そして年末、こういう流れになっていきますから、この夏、予算、定員、こういったことをやはり具体化せざるを得ないんじゃないか、現実の問題として、この法律が通るということを前提に考えていけば。そして、少なくとも予算も年末までにきちっとしたものを詰めなければならないだろうということになりますと、非常に時間的に今詰まってきているんじゃないかな、そういう思いがいたしますが、これは副大臣ですか、お願いします。

林副大臣 委員ももう御承知のとおりでございまして、予算のいわゆる一連の手続、最近は最初に骨太なんというものもございますが、その後概算要求がありまして、各省で折衝していただいて、年末に政府案ということのサイクルがあるわけでございますから、このサイクルを考えますと、大変な、急いで検討してというのが当然想定をされるわけでありますので、早急に法案を成立させていただけますれば、有識者懇談会の意見を踏まえてこれを検討していきまして骨格を決めていきたい、こういうふうに思っております。

 概算要求の時点までに詳細に全部詰め切るところまでいけるのかという御不安もあろうかと思いますけれども、概算要求、その名のとおりでございますので、ある程度の骨格時点で概算的な要求をしていこう、こういうこともあるいはあり得るのではないかなというふうに考えておるところでございます。

田端委員 これは、やはり公務員の皆さんが一番関心を持っているところですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、公務員のOBを企業の人が欲しい、求めるということについては、さまざまな要因といいますか動機があるんだろうと思います。その人の能力、個人的なすぐれたものということ、これは当然評価するということにもなると思いますが、私は、もうちょっと、ざっとした感覚で申し上げますと、その人の持っている人的な財産といいますか、ネットワークというんですか、俗な言葉で言えば、あの人は顔が広い、うちの会社に来てもらった方が後々いろいろな意味でいいだろう、これが率直な思いだと思うんですね。

 それを否定するということはなかなか難しいのではないかと私は思いますが、新人材バンクは何に基づいて再就職のあっせんをやっていくのか。その適材適所というところ、個人の個別の能力はあると思いますが、しかし、今言ったような要素、人的な広がり、ネットワークを持っているかどうかということは大変大きな要素ではないか、こう私は思っておりますが、その点、いかがですか。

林副大臣 今回の改正案で、「官民人材交流センター長は、」官房長官になっていただくということでございますが、「官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。」こういう規定ぶりにしているところでございます。センターは、あっせんというのはその方の人生の大きなステージでございますので、必要なキャリアや人的情報の把握をきちっとやらなければならない、そのために必要な限度でそういうことをやる、こういう規定にしたわけでございまして、そういったいろいろな情報を三百六十度把握することによりまして本人の評価を適切に行う、これがあっせんの前提になる、こういうふうに考えておるところでございます。

 そういった意味では、まさに今委員から御指摘のありました人的なネットワークというものも能力、経験の一部である、こういうふうに理解をしておるところでございます。

 問題になりますのは、人的なネットワークというものが、顔が広いというところまではいいんだと思いますけれども、顔がきくというところになってきますと、若干、問題的な色彩がある、こういうことも懸念をされるという御議論がありまして、そこをきちっと行為規制のような一連のパッケージで正して、あくまでも個人の能力や経験というものが評価をされるということにした経緯があることも補足させていただきたいと思います。

田端委員 私はむしろ、企業が求める場合、企業の魂胆というのはなかなか見えにくいところがあると思いますが、しかし、企業の中には、そういう不純な思惑を持って、顔が広いのではなくて、きく方に期待する、そういう魂胆のある企業も出てくるのではないか、こう思います。

 したがって、ここはなかなか難しい点でありますが、今までと同じような事件をまた起こさないために、そこにどう歯どめをしながらやっていくかというルールづくり、これをしっかりとやっていただかないと、形は違ったけれどもまた同じ事件が起こるというのでは何にもならないと思いますが、その点についてはいかがですか。

林副大臣 まさに大事なポイントでございまして、どういうルールをつくるかというのは、いろいろなケース、またいろいろなお役所における働き方というものも踏まえながら、詳細に、また実効性のあるものをつくっていかなければならない、こういうふうに考えまして、官房長官のところで有識者懇談会というものを立ち上げて、そこできちっともんでいただいた上で最終的に決めていこう、こういうことにしたわけでございます。

 もう釈迦に説法でございますけれども、既に閣議決定をさせていただきました公務員制度改革では、原則ということで、各府省等の人事の一環としての再就職あっせんからセンターによる再就職支援に重点を移していく、また、センターは各府省からの中立性を徹底するため内閣府に置く、また、センターの職員は出身府省職員の再就職あっせんを行わない、また、府省等の人事当局と企業等の直接交渉も禁止をする、また、あっせんによる就職実績の公表も含めまして業務の透明性を確保する、さらに、外部監視機関による再就職等の厳格な事後チェックを行う、このことを原則として既に閣議決定させていただいているところでございます。

田端委員 大臣、今副大臣といろいろ具体的なこともやりとりさせていただきましたが、官民人材交流センターの機能、これが働くか働かないかが今回の改革の最大のポイントだと私は考えています。したがって、ここのところが大事なんですが、これについては、何といっても、透明性をきちっと担保しないことには、やはりまた昔と同じということになってしまいますから、いかに透明性を確保していくか、そしてセンターの責任体制をどう全うしていくか、ここがうまくかみ合うかどうかだ、こう私は考えております。

 大臣、まとめて、このセンター、新人材バンクのあり方、そして、これについて公務員の皆さんが一番関心を持っているわけですから、皆さん方の気持ちにすとんと落ちるように、もう一度確認させていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 現在の天下りあっせんというのは、言ってみれば、裏玄関からこそこそやるような手法だと思うんですね。ある意味で、本人も望まない場合があったりいたします。受ける方も、仕方ないなと思いながら受けるということもあるのかもしれません。そういったカルチャーから我々は全面的に転換をしようということを申し上げているわけであります。せっかく能力と経験を積みながら、それが再就職にあっては生かせないというのでは、人材の活用という点からは非常に無駄があるわけでございます。やはり霞が関はある意味で人材の宝庫ではないかと思います。その人材を死蔵しかねないシステムがまさに今の天下りシステムなのではないでしょうか。

 ですから、我々は、まさしく霞が関の潜在的な、埋もれた人材活用を大々的にやっていこう、そういう発想でこの人材交流センターを考えたわけでございます。予算や権限を背景にせずに、本人の能力や経験を正当に評価してもらい、正面玄関から正々堂々と再就職ができる、こういう方が今の国家公務員の皆さんにとってもはるかにいい制度なのではないでしょうか。

 したがって、そういうことを考えた上で、まさしく三原則、つまり、人事の一環から再就職支援へ、各省縦割りから内閣一元化へ、そして透明性と規制をきちんと確保する、そういう原則を打ち立てたところでございます。

田端委員 まさにやる気を起こさせるということが大変大事だ、こう思います。

 そういう意味では、制度、仕組みをしっかりすることと、そしてまた、能力主義、実力主義というものをいかに定着させるかということにもつながっていきますが、この能力・実力主義について、やはり、若い人が集まるということと中にいる若い人がやる気になる、この二点、非常に大きな問題だと思います、大事な点だと思いますが、もう一度この点についてお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 今回の能力・実績主義が徹底をされますと、採用区分、試験区分にかかわりない人材登用のシステムができ上がります。キャリアとかノンキャリアとかいう区分けが過去のものになってまいります。

 また、やる気があって能力のある公務員にとっては、年次にこだわらない登用システムになるわけでありますから、まさしく三十代で局長になったり、四十そこそこで事務次官になったり、そういう人が出てきてもちっともおかしくないわけであります。したがって、今、残念ながら魅力に乏しいと思われつつある国家公務員の世界が、がらっと一変していくことが我々の望むところでございます。

 民間から官に入ってくる、こういう人もいずれ将来大いに出てくるでありましょう。ロースクールを出て民間の弁護士になった、しかし、三十ぐらいから、やはり公のために尽くしたい、そういう人材が例えば課長補佐で入ってくる、なかなかいい提案をするな、企画立案能力がすぐれておるということが認められて三十半ばで局長になる、幾つかセクションをこなした後で、では、四十そこそこだけれども事務次官になってもらおう、そういう場合があり得るんですね。

 したがって、まさしく、今までの年功序列と各省縄張り主義の世界とは全く違う新しい国家公務員の世界が広がるというのが我々の発想であります。

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 田端君。

田端委員 最後に、大臣に、労働基本権の付与の問題についてお尋ねしたいと思います。

 これは、大変大事な骨格的な点に入り、また、基本法の問題との絡みにもなるんだろうと思いますが、大臣は、一定の範囲内でという前提はついているんだと思いますが、協約締結権、争議権、これについても前向きに検討するという趣旨のことを新聞なんかでもおっしゃっているようであります。これは非常に大事な点で、しかも、公務員のあり方ということとも重なって大きな問題だと思います。

 私は、この大臣の前向きな考え方、ぜひ頑張っていただきたいと思います。しかし、世論の賛同を得るにはまだまだいろいろな問題点、乗り越える点がたくさんあるんだと思いますが、この点について御所見をお尋ねしたいと思います。

渡辺国務大臣 私は、行政改革推進本部専門調査会において、協約締結権、争議権を一定の範囲で付与する方向で検討してくださいということを再三お願いいたしております。秋ごろ、十月ぐらいを目途に最終的な結論を出していただきたいということもあわせてお願いをしてございます。

 いずれにしても、この問題は、佐々木座長のもとで精力的な議論が行われております。総理のもとに有識者から成る公務員制度全般の懇談会もできるわけでございますが、労働基本権については佐々木調査会の方で鋭意議論をしていただきたいと考えております。

田端委員 ありがとうございます。

 きのうも参考人の方から、長い間議論してきた公務員改革、議論よりも第一歩を踏み出すことが大事だという趣旨の御発言もありました。私は、まさにそのとおりだと思いまして、この法案が早く成立して、そして第一歩を具体的に進めることが大事だ、こう思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

河本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 私の方から、今までの議論を踏まえまして、五十分間質問をさせていただこうというふうに思っております。

 まず、天下りバンクと我が党の議員は言わせていただいているところでございますが、この天下りバンクについて重点的にお聞きをしながら、さらには、幾つか事例を挙げまして、経済産業省の関連の外郭団体に対する質問をさせていただこうというふうに思っております。

 まず天下りバンクでございますが、インターネットのヤフーの意識調査では、「官製談合といった天下りの弊害はなくなると思いますか?」という問いに対しまして、八九%の方がなくならないというお答えである。そしてまた、帝国データバンクの方の調査でございますと、官製談合の抑制につながらないというお答えが全体の五四・三%にも上っておるというところであります。

 これについて官房長官はどのようにお考えなのかということを、まず御感想をお聞かせ願いたいと思います。官房長官、いいですか。

渡辺国務大臣 後ほど官房長官からお答えいただくとして、私の方からまず申し上げますと、今御指摘になられた調査は、恐らく、お答えになられた方々の多くが、私どもの考えている官民人材交流センターがどういう意義があって、どういうパラダイムの変換になっているのかということについて余り御存じないのではなかろうかと思います。

 御指摘の帝国データバンクの意識調査でありますが、今委員がおっしゃられました、二万七百七十社、有効回答企業が九千六百五十社、回答率四六・五%というものは、天下りを受け入れたことがないようなところの中小企業まで含んである数字でございます。

 一方、同じ帝国データバンクの、天下りを受け入れているようなところの調査を見ますと、非常にこの問題に対して実感を持って考えているところでは、余りメリットがないというところが最多の六三・六%、こういう調査結果も出ておりまして、やはりきちんと我々の本意について御説明を申し上げ、御理解をいただければ、随分天下り問題というのは変わるんだな、根絶されるんだなということがおわかりいただけると思います。

塩崎国務大臣 まず、今回の交流センター、天下りバンクではなくて官民人材交流センターという名前でありますので、そういう名前で呼んでいただきたいと思います。

 我々、いろいろ国家公務員制度を考えるときに、もちろん、押しつけ的な天下り、いわゆる押しつけではなくても、天から下るという発想自体がよくないねと。官は民のためにあるんですから、どっちが上なのかといったら、本当は民が上でなきゃいけないぐらい、そういうことだと思うんですね。

 ただ、一方で、官に優秀な人がいてくれた方が、あるいはやる気満々の人がいてくれた方が、民にとっても国民経済的にプラスになる、そういうことだろうと思うので、私はむしろ、横滑りというか、官から民、民から官、そういう動きがあって初めてダイナミックな経済社会がつくられるのではないかというふうに思っております。

 今回のセンターは、これをつくる最大の目的の一つは、ある役所の人の再就職のときに当該役所がダイレクトに再就職先と接触をしない、それをやることによって、予算とか権限をバックに無言の言ってみれば押しつけを行うことによって欲しくもない人を抱いてもらう、これはやはりいかぬわねということで、このセンターで、透明で、そして再就職を支援する、そういう形でやるのがこのセンターの一番の眼目であります。ですから、どこかの役所の権限や予算をバックにしているわけでは決してないというところで押しつけ的な再就職あっせんはしない、こういうことだろうと思います。

 官製談合の問題ですが、いわゆる天下りが官製談合の遠因になっている、あるいは原因になっている、それは十分あり得ることだと思います。ただ、官製談合の防止とか、そういうための政策というのはまた別にあって、恐らく、いわゆる天下りがあってもなくても官製談合というのはあり得るんだろうと思います。よりやりやすいかもわからないという意味であって、官製じゃなくても、天下りがあって、接触規制をしていないがために情報がツーツーになってそれで談合が行われるということは、今まで、かつて何度もあったことでありますから、今回、このセンターとはまた別に、罰則つきの行為規制を設けて、談合につながるようなことがあり得ないように、契約や補助金などについてしっかりとルールを持って律していこう、こういうことが大きな眼目だと思っております。

鷲尾委員 今、アンケートの結果についての感想ということで御質問をさせていただきましたので、恐らく、アンケートをとった際にはなかなか政府側の真意が伝わらなかった、そのことについてちょっと説明をいただいたというふうに私自身は認識しました。

 官房長官のお言葉の中で、官と民というのはどっちが上ということではない、あくまでも横滑りのようにとらえていただいて結構だという話をしていただきました。この点に関して言いますと、やはり思いますのは、民主党案では天下りを規制して原則禁止、一方で、政府案の方では天下りバンクをつくるという話なんですけれども、これがあるのとないのとでは、横滑りかどうか、その官房長官の思想からすると、これは天下りバンクも当然ないという方が、官房長官の姿勢といいますかお考えがより忠実に反映するのではないかなというふうに私自身は思います。

 そこで、官房長官に質問をさせていただきたいというふうに思いますが、以前、我が党の渡辺議員の方から、要するに官僚だけが再就職先をあっせんしてもらう、だけがという言い方は変ですけれども、天下りバンクということで特別なあっせんを公的にしてもらうということについて国民の理解が得られるかどうかということに対しまして、官房長官に、どういうふうに説明するんだというような質問をしたところ、官房長官の方の説明では、官の人はずっとどこにも行っちゃいけませんという閉じ込めるような話では全くない、これには、ちょっと中略しますけれども、ルールが必要だというふうに御答弁されております。

 我々が法案として提出しておりますし言っておりますのが、官僚の再就職に際しまして、それこそやはり自己責任でやっていくべきじゃないかというふうに思っておるわけでありまして、至極当然であるというふうに思っています。民間の一般の会社員と同様、普通に再就職をしていく。ただ、当然、国家に携わる仕事でありますから、高級官僚であればあるほど、予算と権限を背景に、当然そこにいた、携わっていたわけですから、民間に対しまして、その人が本当に力を持っているかどうかに限らず、やはり民間の側からするとある程度の力があるのではないかというふうに認識するでしょうし、そして、まさにそれを民間の方も利用する形で官民もたれ合って、今までの例えば官製談合等々、事件化しておるわけであります。

 だからこそ、そういう特殊な事情があるからこそ、高級官僚の皆さん、国の予算なり権限なりの中枢にいた方々に対して、高くやはりみずからを律しながら再就職をしてもらうということが私自身は重要である、そういう意味におきまして、その反映として今のその民主党の規制がなされているというふうに考えておるわけであります。

 官房長官がそのときにおっしゃっていました、天下りバンクがなければ官の人が閉じ込められるというのは、やはりいささか説得力に欠けるんじゃないかなというふうに思いますし、今もって、行為規制をつけるという話をされておりましたが、政府案を見ましても、独法から関係営利企業に対する規制、これについてはないわけでございますし、何よりも事前規制がなくなるというわけでありますので、そういう意味においても、ルールが必要と言っておきながらルールが逆に緩まっているんじゃないかなというふうに私自身は思うわけでありますが、この点についての官房長官の説得力のある御答弁をお願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 交流センターができたら公務員を閉じ込めないことになるんだということを言っているわけではなくて、皆さんの、民主党の案は天下り五年間禁止で、なおかつ口きき行為十年かな、いずれにしても、天下り五年間禁止というふうになっているのが閉じ込めることになるんじゃないんですかと言っているので、センターとは特に関係がない話だろうと思いますね。

 こちらは、センターを利用しようとしまいと、それは再就職はルールを持って行けるようにしよう、罰則つきの行為規制を設けることによって行けるようにしようじゃないかと。かつて中馬プランと呼ばれていたものを今回法制化しているということでありますので、必ずしもこのバンクとの一対一対応ではないというふうに思っております。

鷲尾委員 民主党案がそういう規制だから閉じ込めることになるということについては、改めて私の方から申し上げませんけれども、そんなことはないという話をさせていただきます。

 質問の趣旨といたしまして、先ほど申し上げたかったのは、特別に官僚だけに公的なあっせんをする、特別にあっせんするということが、なぜなんだというふうにやはり一般的には思うわけでありまして、この点について、なぜその天下りバンクが必要なのか、どうもこの疑問が晴れないわけですね。

 なぜ必要なのかというところを説得力を持ってお答えいただきたいと思うんですが、なぜ官僚だけが、特別に公的にあっせんする、そういう機関をつくらなければならないのか。非常にシンプルで根本的だと思うんですけれども、ぜひ明快に、説得力のある御答弁をお願いしたいと思います。

渡辺国務大臣 今現在、官僚の天下りあっせんが行われているわけであります。各省が人事の一環として行っているこのあっせんを、今回の政府案においては全面的に禁止をするわけであります。一方、今回の法案の中で、現職職員の求職活動についても規制をかけるわけでございます。

 したがって、民主党案のように、求職活動に何ら制限をかけていない、なぜかといえば公務員は再就職する必要がないからだ、こういうお立場でそういったことをお考えになっておられるのかもしれません。間違っていたら反論をしていただきたいと思いますが、いずれにしても、政府案においては、今やっている各省のあっせんを全面禁止し、求職活動の規制も行うわけでございます。

 したがって、身分保障のある公務員について、おまえはハローワークに行って職を探せ、もう公務の世界では必要ない、こういうことを申し渡したときにどういうことになるのかは一目瞭然ですよ。つまり、職にしがみつくということなんですよ。職にしがみついて離れないということは、大きな政府を目指す民主党案だったらそれはいいかもしらぬけれども、小さな政府、簡素で効率的な政府を目指す我々の立場からは、そういう考えはとり得ないということであります。

鷲尾委員 全然説得力がないというふうに私自身は思うわけです。民主党案について、再就職しなくていいとか、そういうことは民主党としても別に何も言っているわけではございませんで、先ほども私自身申し上げましたけれども、民主党としては、やはりそういう再就職についても自己責任でやろうよ、何か特別なものをつくるのではない、それこそ、官と民どちらが上だとか下だとかそういう話ではなくて、同じように再就職していこうよという話なわけでありまして、大臣、その点については答弁をぜひとも撤回していただきたいというふうに思いますし、大臣の御答弁の話で、いろいろと声を荒げておっしゃっていましたけれども、要するに大臣が思っておられるのは、天下りバンクがないと、今度、職にしがみついた人は排除できない、そういう理解でよろしいでしょうか。

林副大臣 御指名をいただきましたのでお答えさせていただきますが、職にしがみつくというのは、委員も御存じのように、国家公務員は身分保障というのがございますので、いわゆる分限ということや懲戒、いろいろな事由がない限りはやめなくてよい、こういうことをするとともに、その中で安んじて国家国民のために働いていただく、こういう仕組みになっておるわけでございます。

 この人材交流センターがなくて、御自分で開拓しろといって、委員が先ほど来御指摘なさっているように自分で開拓していく方というのは、当然おられて結構だと思いますし、私が拝見いたしますと、今の人事院の規制と同じような、職務に密接に関連のある方は天下りを禁止する、しかし、そうでない方は自分で開拓してくれということでございますから、そういう方はおられると我々も思いますけれども、しかし、それだけで、スリムな政府を目指していくという今の方向の中で一体どれぐらいの人が出てきてくれるのか、そういうことを申し上げておるわけでございます。

 一方で、今みたいに、我々の方の提案させていただいているものも、在職中に再就職のための活動を行うことを規制しております。また、退職後の行為規制をかけておりますし、あっせんの規制をかけておりますし、さらに、暫定として、今人事院がやっておりますものを内閣に持ってきまして事前規制もかける、こういう制約は民間にはないわけでございます。

 そういった意味で、専門能力やその人の能力を生かすということになりますと、その人が経験を培った分野で能力が生かせるということがやはり一番望ましいわけでございますので、そういうことも考えましてこの官民人材交流センターを設けることにいたしたということでございます。

鷲尾委員 委員長、ちょっと渡辺大臣に御答弁の修正を求めたところでもございますし、ぜひとも渡辺大臣の御答弁もいただきたいのでありますが、追加して質問させていただきたいのは、天下りバンクがなければ、なぜ職にしがみつくのか。そこで林副大臣の方から、それは分限なり懲戒なりのものがないとどうしてもそういう構造になっているんだというお話だったと認識しますけれども、思いますのは、それこそ天下りバンクではなくて、むしろ組織内の人事評価なりなんなりをしっかりと改変していけば、政府の言うところのスリムな政府というのもでき上がるのではないかというふうに容易に想像できるわけでありまして、私はそういう意味で政府が能力・実績主義の導入を行っているというふうに信じておるわけであります。

 渡辺大臣にお聞きしたいんですけれども、能力・実績主義を導入するに当たりまして、組織というのは、やはりそれを動かすためのインセンティブが必要になるというふうに思います。そう考えますと、天下りバンクを一方で設けながら能力・実績主義を導入すると言っているのは、私からいたしますれば、能力・実績主義の導入に対するインセンティブがうまく働かないのではないかなというふうに思います。

 と申しますのは、天下りバンクについては、閣議決定の方で、再就職ニーズに十分対応した積極的な求職活動をしっかりと行えるように再就職支援機能の重点的強化を図る、そういうふうに基本的な方針を出されているわけですけれども、要するに、このニーズというのは何かというのは一つ問題ですけれども、再就職支援機能をこれからどんどんと高めていこうというふうに大臣も今までの議論で御答弁されているわけでありまして、そうしますと、では、組織として本気で能力・実績主義を導入しようとするのか。

 天下りバンクに登録するときに、ある意味自分の評価が思わしくないと当然引き取り手もいなくなるだろうし、そうなってしまったら、それこそ、その人のいわゆる公務部門のみならず民間での道もある程度閉ざされてしまう、そういうふうになってしまうと思うんですけれども、そうなれば、個人ではなくて組織として、能力・実績主義導入と言っているけれども、なるべく天下りバンクに登録する際には評価をよくしようよとか、そういう経緯にならざるを得ないのではないかなというふうに私自身は思います。

 そういうふうに考えますと、天下りバンクを設けながら、一方で能力・実績主義を導入すると声高に言うのは、私はどうしてもちょっと議論としておかしいのではないかなというふうに思わざるを得ませんが、渡辺大臣、どのように思われますか。

 先ほどの民主党案の答弁の修正も含めましてお答え願えたらというふうに思います。

渡辺国務大臣 民主党の主張は民主党で御主張していただきたいと思いますが、能力・実績主義と官民人材交流センターは全く矛盾いたしません。能力・実績主義を導入し、できるだけ早い機会に年功序列が打破される。そういうときには、いわゆる肩たたき、従来型システムもなくなるわけでございます。

 一方、官と民との垣根をできるだけ低くし、官民交流を進めよう、これには官民癒着の防止もワンセットで行うわけであります。こういうことを想定する場合に、官から民へという人材の流れを、ゲートウエーをあけておくことは大事なことであります。

 今の天下りシステムのもとでは、まさしくこうしたゲートウエーとは全く違う、人事の一環として、いわば押しつけ的に天下りあっせんが行われているわけであります。官民人材交流センターにおいては、まさしく能力・実績主義の延長線において当該職員の能力と経験が正当に評価されて民間企業等へ再就職をするということでありますから、これは首尾一貫しているシステムであるということが言えようかと思います。

鷲尾委員 大臣、私が申し上げているのは、お互い矛盾するとか首尾一貫していないとか、そういう話ではございません。

 お互いの制度を創設することによって、能力・実績主義を導入します、そして一方で天下りバンクを創設します、そういうことを言うことによって、本当に重要な、今民主党案でも言っていますけれども、能力・実績主義の導入に対して、組織が導入するインセンティブが大変弱くなってしまうんじゃないかなと思う、そういう疑問を私は持っているわけであります。その点についての御答弁をお願いいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 官民人材交流センターを導入することによって能力・実績主義のインセンティブが低くなることはあり得ません。

 能力・実績主義は、まさしく当該職員の実力が正当に評価されることを目指すわけであります。評価が給料とポストに直結をする、こういうことであります。

 一方、官民人材交流センターはいずれ民から官へのゲートウエーにもなるわけでありますが、官から民へのゲートウエーという点を考えた場合であっても、今、霞が関は人材の宝庫であると私は考えております。しかし、この人材の宝庫の人材が死蔵されかねないのが今の天下りシステムではないのでしょうか。

 したがって、そういうシステムから脱却をしていく、官と民との人材相互交流を進めていく点において官民人材交流センターの果たす役割があるわけでありますから、能力・実績主義の導入と何ら矛盾するものではございません。

鷲尾委員 大臣、矛盾しているかどうかというのは私自身も聞いてはおりませんで、先ほどの御答弁でもありましたけれども、能力・実績主義の導入のインセンティブが薄れるんじゃないかなということに対しては、そんなことあり得ないというふうに言っているだけですよ、今の答弁ですと。そんなことあり得ませんと言われて、はい、そうですかと納得してしまったら、これは立法府としてもちょっと力弱いというか、それこそ、最近の兆候にもあるように、政府に従属するような格好になっているんじゃないかなと思いますので、さらに問いをさせていただきます。

 もう一度説明しますけれども、天下りバンクがあることによって、天下りバンクに登録するときの評価を含めて、やはりみんなよくなった方がそれこそ民間への再就職も簡単だろう、個人じゃないですよ、組織としてそういうインセンティブが働きがちじゃないですか。それは、別に何か条文に書いてあるということじゃないです。働きがちじゃないかということなんですよ。そうなった場合に、能力・実績主義を導入します、これから実力を評価します、いろいろ基準を設けてやりますと言ったとしても、それが本当に実行されるかどうかということに対しては、大変疑問があるわけです。

 天下りバンクがないとなった場合には、それこそ、総人件費を含めてコストダウンするということを民主党が言っているわけですから、逆に能力・実績主義を導入するインセンティブは非常にあるんじゃないかと私自身は思うわけでありまして、その点についての大臣のお考えをお聞かせください。もう一度お聞きしたいと思います。

渡辺国務大臣 何度も申し上げますように、能力・実績主義が導入をされますと、今までやっていますような年功序列型のシステムは打破されていくわけでございます。したがって、実力主義が導入されるということになれば、委員御指摘のようなまがいものの人事がやりにくくなっていくわけです。

 一方において、官民の垣根を低くする。このゲートウエーをつくるに当たっては、本人の能力と経験が正当に評価される。埋もれた能力があるかもしれません。したがって、キャリアコンサルティングも行われます。そういった再就職支援に特化をした中立的な交流センターであるわけですから、まさしく能力・実績主義の延長線上にこの官民人材交流センターはあるのだということを御理解いただきたいと思います。

鷲尾委員 延長線上にあるのは理解できますけれども、そもそも、ですから何度も言いますけれども、いや、実現したらいいことなんですよ、能力・実績主義を導入するということは。組織として、それができたらいいわけですよね。今もできる仕組みはあるわけですよ、運用の仕方によっては。でも、実際できていないわけじゃないですか。だから、能力・実績主義を導入するに当たっては、本当にいろいろな仕掛けが必要だと思います。その仕掛けの一つとして天下りバンクがあるというのは、実はうまく機能させないための一つの仕掛けになり得ませんかという疑問を私は表させていただいておるわけであります。

 いつまでもこの話をしていますとどうしようもないので、この点、ここら辺でやめさせていただきますけれども、疑問は全く解決していないということを申し述べさせていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいというふうに思います。

 経済産業省さんが所管している外郭団体ですけれども、財団法人経済産業調査会というのがあります。ここの主な業務というのは出版、広報活動なわけですけれども、予備的調査を拝見しますと、経産省大臣官房情報システム厚生課とこの財団の間で、議員の先生方の議員室にも常に届けられております経済産業ジャーナルの随意契約が行われている。この金額、小さいんですけれども、一千六百万だという話です。経産省の大臣官房広報室と当該財団法人との共同編集になっている。

 ちなみに、経産省からこの財団法人への天下りが、平成十六年四月一日から現在まで八人いる。具体的には元通産事務次官初めいらっしゃるわけですけれども。

 この本の趣旨が、今経済産業省で何が議論されているか、政策立案過程における議論状況を克明にレポートするということで、いろいろ記事があるわけです。要するに、何が言いたいかというと、これは経産省の広報誌的な位置づけだというふうに私なんかは思います。それなら、これは何で財団法人にするのというふうに思うわけです。財団法人にするということで天下りが発生している。どのように役立っているか。これは、結局やっていることが経産省の広報誌なわけですから、天下り先として利用しているというふうに見えてもおかしくない。

 そこで、大臣に、この件についての感想をお聞かせ願いたいわけですけれども、いかがですか。

渡辺国務大臣 この質問通告は先ほどいただいたもので、よく調べておりませんので、何ともコメントのしようがございません。

鷲尾委員 いやいや、質問通告がなくても、私自身、説明させていただきましたが、大臣、要は、経済産業ジャーナルは経済産業省の広報誌であると。これを所管している財団法人について、私自身は、この財団法人が天下り先に利用されているんではないかというふうに思うわけです。この件について、大臣はどう思われますかということであります。いかがですか。

渡辺国務大臣 衆議院の予備的調査の分で出てくるんですか。(鷲尾委員「はい、そうです」と呼ぶ)詳細については、よくわかりません。

鷲尾委員 私が期待いたしますのは、天下り先に利用されていると言われるものについては、国民の世論がこれだけそれに対して厳しい視線を送っているわけですから、やはりそれこそ小さいところも含めて見直さなきゃいけないということを申したいわけでありまして、ぜひ、では大臣、そこは調査の上、また後日、どう御認識されているのか、これから例えば天下りバンクが通った後でどのようにするおつもりなのかということについてもお聞かせ願いたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 これも、我が党の鈴木克昌議員が、ことしの二月二十八日の予算委員会の第七分科会で取り上げているわけでありますが、いわゆる葬祭互助会の件でございます。

 この互助会をめぐるさまざまな問題、最近報道等にも出ておりますが、例えば直近の資料で、平成十七年度の社団法人全日本冠婚葬祭互助協会へ寄せられた苦情件数というのが、平成十七年度で千百九十四件であります。また、相談件数が千八百六十七件、合計で三千六十一件です。かなり多くの苦情相談が寄せられておるというところは認識いただけると思います。

 この互助会の件で、全日本冠婚葬祭互助協会という団体に天下りがあるということを経産省の政府参考人の方がおっしゃっています。この社団法人全日本冠婚葬祭互助協会には、経済産業省OBが専務理事と常務理事に就任しているということなんです。それで、天下りのポストとして代々経産省さんから天下っているということなんです。

 この全日本冠婚葬祭互助協会というのは割賦販売法で許可されて営業しているわけですけれども、このお金を引き受けている大きな別の機関がありまして、互助会保証株式会社というものと日本割賦保証株式会社というのがございます。これにも経産省からの天下りがあるわけです。

 私、思いますのは、この全日本冠婚葬祭互助協会、そして互助会保証株式会社、日本割賦保証株式会社にはそれぞれ経産省のOBが天下っているということなんですけれども、この経産省の息のかかった、ある意味所管している団体ですから、団体に天下りをしてこの団体間で金銭の授受がある、こういうこと自体大臣はどういうふうに思われるのかについてまずお聞かせ願いたいというふうに思います。

渡辺国務大臣 何分にも先ほどいただいた質問ですから、全く調べておりません。

 今の御説明ですと、割賦販売法との御関係を御指摘だと理解いたしました。社団法人の冠婚葬祭互助協会が割賦販売法で許可され、営業している業界団体ということでしょうか、割賦販売法の指定を受けた指定受託機関であるということでございます。したがって、こういうところに、新法によって、一元化後の話でございますが、各府省、この場合には経産省があっせんをして天下りを画策するというようなことがありますと、それは規制対象になるということでございます。

鷲尾委員 では、これは例えば経産省があっせんしなければ、天下り人材バンクであれば、場合によってはそのポストに人材が再就職するということもあり得るという認識でよろしいでしょうか。

渡辺国務大臣 再三申し上げますように、政府案においては口きき規制というものを設けております。したがって、この新法の精神に反するようなものまで全くノーチェックで再就職を認めるということには多分ならないのだろうと思います。

 いずれにいたしましても、官民人材交流センターのあっせん先がどこからどこまでできるかということは、有識者懇談会で決めていくことになるわけでございます。

鷲尾委員 実際にあっせんというか再就職されるかどうかはわからないというお答えだったというふうに思います。

 今、この互助会の問題を申し上げさせていただいたのは、こういう新聞報道もあったわけです。ちょっと古い例で言えば、一九九八年の三月二十四日には、これは解約に応じないというトラブルがあったと。最近でも、互助会の会社の勧誘で金券を購入させられて、その解約を申し出たが応じてくれなかった、入るときにも事前説明がなかった、こういう事例もあったという話ですね。それで、実際、その社団法人全日本冠婚葬祭互助協会に加盟している業者と互助会の加入者の間で、不要な心づけを支払わされたということで裁判ざたになったケースもあったと。

 今こういうふうに個々の事例を申し上げているのは、こういう互助協会に天下るといった場合、我々が、例えば、それはどうしてそういうふうに天下っているんですかというふうに質問させていただきます。そうすると、省庁の側が言うのは、当然、当該法人の就職につきましては、OB個人が有している知識、経験、能力などを踏まえて適材適所の観点から実現しているということを説明するわけですね。説明するんですけれども、でも実際、例えば、そういう業界に関する消費者のトラブル、これは十年前から全然変わっていない。件数も減っていない。要するに、官僚OBが要職についてもトラブル解決につながっていない、こういう事案も私はかなりあると思うんです。

 例えば、これは互助会の話であればかなり如実に出ていると思うんですけれども、互助協会に天下った、それは、個人的な知識、経験、能力などを踏まえて適材適所というんですから、業界全体、消費者側、業者側、いろいろな利害を調整しながら、やはり双方に利益があるように、業界全体を発展するんだと、業界側としてはそういう願いを込めて当然再就職の依頼をするでしょうし、消費者側としても、そういう互助協会の役職員に求められる力というのは、やはり業界の慣行の改善であるとか今までの実態、不正を暴き出すとか、そういうことだと思います。

 だとするならば、過去十年来こういう事件が減ってきておらないというのは、残念ながら、いかに省庁側が個人の知識、経験、能力などを踏まえて適材適所に人材を配置していますというふうに言おうとも、やはり、結果として見て、明らかにそれは能力的には問題じゃないかというふうに言わざるを得ない事案というのは、私自身、かなりあるんじゃないかなというふうに思います。

 この点についてぜひ大臣に、質問は直前に見られたようなので、私の今の話の中での感想をお聞きしたいというふうに思います。能力とか知識、経験というものについて、やはりこれは本当に厳正に審査といいましょうか、結果を求めなきゃいけないと思いますが、大臣はどういうふうに思いますか。

渡辺国務大臣 一般的に、役所の行政の中で、業界の振興をするという側面とコンプライアンスを徹底させる、ガバナンスをきかせる、そういった側面とがあろうかと思います。

 この場合どうなっているのかはちょっと今の説明ではよくわかりませんけれども、いずれにしても、新法において我々が目指すところは、官民交流であると同時に官民癒着の防止もあるわけです。したがって、そういう法の精神から考えれば、委員が御指摘になられたようなものを、一般化して考えますと、そういうものは根絶をされていくと考えます。

鷲尾委員 最後に、一つ紹介させていただきたいんですけれども、日本経団連が、平成十七年の四月十九日に、「さらなる行政改革の推進に向けて」ということにおきまして、肩たたきの廃止と専門スタッフ職の導入を提言しておるわけです。

 これは、私自身、経団連は自民党の最大の支持団体じゃないかなと思っているわけですけれども、その経団連が肩たたき廃止、そして専門スタッフ職導入ということを言っているわけですから、やはりそれは民間企業として、業界といいましょうか民間企業の連合体ということで、経団連がそういうことを主張しているということを重く見なきゃいけないというふうに思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

渡辺国務大臣 昨日も、経団連の立花専務理事が参考人として意見陳述をされたかと思います。経団連においては、我々の官民人材交流センターのコンセプトは基本的に賛成をしていただいていると思います。

 私が再三答弁で申し上げておりますように、今の年功序列の延長線で行われている肩たたきシステムは、能力・実績主義の導入によって自然消滅をしていく。すなわち、専門スタッフ職制の導入などと相まって、いずれ消えてなくなるということを申し上げているわけであって、経団連の言っていることと我々の言い分との相違はなかろうと思います。

鷲尾委員 質問を終わります。ありがとうございました。

河本委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。きょうは、各党の理事の皆さんにお時間をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 私は、最近ちょっと違和感を覚えることがございまして、何でもかんでも内閣府という傾向がここ近年強まってきているのではないかというふうに思っています。今回のこの国家公務員法の一部を改正する法律案、こうして内閣委員会で審議をされ、内閣府が今後その法案を持つということであるんですけれども、要は、議院内閣制のもとにおける強い内閣府というのと少しイメージが違うのではないかというふうに私は思っているんですね。議院内閣制という一つのやり方と大統領制とは少し違うわけですから、やはり国家行政組織法に基づいた各省があるわけです。確かに、それが縦割りだという弊害の声が強くてこういう形に最近なってきているのではないかと思うんですけれども、少し行政の姿がいびつになってきているのではないかというふうに思っております。

 まず、大臣にお伺いをいたしますけれども、大臣が今大臣でいらっしゃる根拠法は何でしょうか。

渡辺国務大臣 私も、希望して今の職についたわけではございませんけれども、内閣法において私の位置づけが行われていると承知いたしております。

松野(頼)委員 正確に申し上げると、内閣法の三条の二項、行政事務を分担管理しない大臣を置くことを妨げない、非常にあいまいな、いわゆる無任所大臣というものなんです、大臣。行政事務を分担管理しない大臣を置くことを妨げない、これが正式な条文の言葉でありまして、ほとんど何にもないんですよね。

 閣議請議では、大臣は総理からどういうふうに任命をされていますでしょうか。

渡辺国務大臣 閣議請議を求める権限は、私の場合には内閣総理大臣の方にあると理解しております。

松野(頼)委員 多分そうだと思います。

 それで、大臣、総務省設置法を見ていただくと、総務省設置法の四条の一号、「国家公務員に関する制度の企画及び立案に関すること。」まさにこの公務員法の一部を改正する法律案はど真ん中なんです。国家公務員法の一部を改正する法律案というのは、今まで総務省が行ってきた案件なんです。

 「国家公務員に関する制度の企画及び立案に関すること。」ど真ん中の所掌事務が総務省設置法に書かれているんですけれども、今回のこの国家公務員法の一部を改正する法律案を当内閣委員会で行って、そして今、渡辺担当大臣がこの法案の説明を行っている、ここを少し整理していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 御指摘のように、総務大臣が国家公務員法の所管大臣であるというのは、そのとおりであろうと思います。一方、今回の国家公務員法の改正については、内閣官房が企画立案をいたしております。そして、公務員制度改革担当の私が内閣を代表して担当させていただいているということであります。

松野(頼)委員 今、内閣官房がとおっしゃいましたけれども、内閣府設置法にその条文はあるんでしょうか。

渡辺国務大臣 内閣法第十二条二項において、「内閣官房は、次に掲げる事務をつかさどる。」と書いてございます。この条文が根拠であろうかと存じます。

松野(頼)委員 ちょっとその条文を読んでいただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 内閣法第十二条第二項三号において、「閣議に係る重要事項に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務」と規定してございます。

松野(頼)委員 非常にあいまいなんですよね。

 要は、国家公務員法の一部を改正する法律案、これは何度も改正をされて、総務省、総務委員会で行っているわけですよ。なぜ、今回内閣委員会で行って、内閣府がその法案を持つのか。多分渡辺大臣は、いつかの国会で、ある意味では渡辺大臣の立場というのはいなくなるんです。例えば、おととし、郵政民営化担当大臣の竹中大臣が、同じように、内閣法三条の二項に基づく無任所大臣ということで郵政民営化を行いました。もう今いらっしゃいませんよね。郵政民営化担当大臣は総務大臣が兼ねている。今回も、いつの時点かわかりませんけれども、法案が上がった時点かもしれませんが、今度はこの法案は塩崎官房長官がお持ちになるというふうに私は聞いているわけであります。

 そこの部分が、今こうやって渡辺大臣が答弁をされていますけれども、非常にあいまいではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。それと、総務省設置法における条文、四条の一号の条文との整合性が私はないというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 国家公務員法改正の企画立案につきましては、内閣の重要な事務であることは御理解いただけると思います。先ほど申し上げました内閣法十二条第二項三号において規定されておりますとおり、担当大臣、すなわち公務員制度改革担当の私が担当大臣として内閣総理大臣から申しつかっているわけでございます。したがって、国家公務員制度改革についての企画立案及び行政各部の所掌する事務の調整を担当することを命じたものだと理解しております。

松野(頼)委員 少しそこのところが私はあいまいだというふうに思いますし、その後内閣官房長官がこの法案をお持ちになるということでありますけれども、やはりそこは総務大臣との切り分けというのが当然のことながら必要だと思うんですよ。ちょっとそこを、官房長官、答弁していただけますか。

塩崎国務大臣 公務員法は、やはり総務省の所管というふうに認識しております。

松野(頼)委員 ちょっと今の答弁はよくわからないんですが、もう一回御答弁いただけますでしょうか。

塩崎国務大臣 国家公務員法は、今回の改正は渡辺大臣が担当しておりますけれども、今改正をやることについての担当をしておりまして、所管は総務大臣の所管でございます。官房長官の所管というわけではございません。

松野(頼)委員 でも、官房長官、この法律ができた後、天下りバンクのセンター長はあなたなんです。もう一回御答弁ください。

塩崎国務大臣 それについてはおっしゃるとおりでございます。

松野(頼)委員 そうすると、この法律に書かれている二つの、総務省の部分と、天下りバンクのセンター長は官房長官であるという文言と、これは少し違うんじゃないですか。きちんと切り分けられていないんじゃないですか、ここが。もう一回御答弁いただけますか。

塩崎国務大臣 法律の所管は総務大臣でございます。これはもう、終始一貫変わりがございません。センター長をだれにするかというのは、いろいろ可能性はあり得たわけでありますけれども、今回の提出して御審議をいただいている法律の中では、官房長官がセンター長になると書いてあるということでございます。

松野(頼)委員 では、法律は、終わったら総務省が持つんですか。国家公務員法の一部を改正する法律案、天下りバンクを含んだ部分も総務省が持つんですか。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、法律自体の所管は総務大臣でございます。総務省が所管ということでございます。センター長は、いろいろな可能性がありましたけれども、今回、議論の末に、官房長官がセンター長になるというふうに定めたものでございます。

松野(頼)委員 では、この法案の行政事務を分担管理するのは総務大臣なんですか。

林副大臣 法案の所管というのは法案の所管で、委員が御指摘になったとおりでございます。

 例えば総務省の設置法に、今委員がお引きになられました四条の二号に、「国家公務員法第二章に規定する中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐すること。」こういう規定がございますから、法律の所管は総務大臣でございますが、その法律にいろいろな行政の事務を規定する場合がございまして、この今読み上げた規定については例えば内閣総理大臣がやる、今回御提案をさせていただいている法案につきましては、人材交流センターは、その長が官房長官になるということでございますので、法案の所管と、それから実際にその法律に基づきまして行政をしていく場合のそれぞれの部分についての所管については、その法の定めるところによるもの、こういうふうに整理をさせていただいたらというふうに思います。

松野(頼)委員 違うんです。言っている意味がちょっと違うんですけれども。総務省設置法に、国家公務員に関する制度の企画立案、この法律は総務大臣の所掌であるということですよね。この法律の中に、この法律にかかわる行政事務というのがあるんですよ。例えば、バンクの運営も行政事務の一つなわけですね。その行政事務の一つをなぜ官房長官が行うのかということなんですよ。

林副大臣 まさに委員が御指摘のように、一般的には、国家公務員法に定めるところの行政を所管すると書いておりますが、それはここに、まさに先ほど私が読ませていただきましたように、別途定める場合があるわけでございまして、四条二号に内閣総理大臣がやると書いてあったりするわけでございますから、この原則に対して例外をつくる場合は原則的には法律の手当てが要る。まさにそういう意味で我々が今御提案をさせていただいている法律の中に明記をして、人材交流センターについては官房長官がそのセンター長になる、こういう御提案をしている、こういう整理であろうかと思います。

松野(頼)委員 そうしたら、総務省設置法の中から、人材交流センター、要は職員の再就職の部分に関しては切り取らなきゃいけないんじゃないですか。

林副大臣 人材交流センターの長が国家公務員の退職制度に関することをすべてやるということには当然ならないわけでございますから、提案させていただいておりますこの法案に定めたところが官房長官のセンターの長ということになりますけれども、それ以外の退職に関すること、例えば退職手当とかいろいろなことがあるわけでございますから、そこは、もとに返って所掌はそういう整理になる、こういう理解であるというふうに考えております。(発言する者あり)

松野(頼)委員 今やじが出たように、職員の再就職に関しては天下りバンクが一元化をするんですということで再三渡辺大臣も御答弁されているんじゃないですか。

林副大臣 委員は、総務省設置法の第四条のどこを指していらっしゃるか……(松野(頼)委員「第一号」と呼ぶ)

 一号では、「国家公務員に関する制度の企画及び立案に関すること。」となっておりますから、原則総務省がこの四条に従ってやるんですが、まさに先ほど来繰り返しの御答弁になりますけれども、この原則でない別のことをするという場合に、別途法律で定める必要があることからこの法案を御提案させていただいている、こういう整理になろうかというふうに思います。

松野(頼)委員 であれば、総務省設置法の部分から、職員の再就職の部分に関しては別だということで切り取る必要があるんじゃないですかということを申し上げているんですよ。

林副大臣 繰り返しになりますけれども、ど真ん中という原則はここに書いてあるとおりでございまして、この原則に例外があるわけでございます。

 その例外は、まさに委員が御指摘になった総務省の設置法にも、例えばその次の二号に、先ほども申し上げましたように、「中央人事行政機関たる内閣総理大臣」というのが出てくるわけでございまして、こういうことがそもそも総務省設置法にもあるわけでございますから、当然、原則をここに書いた上で、例外的に別途所掌する場合には法律の定めが必要になる、こういうことであろうかというふうに思います。

松野(頼)委員 今副大臣がおっしゃっている部分に関して、総務省設置法では、「中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐する」と。総務大臣が内閣総理大臣を補佐するんですよ。ちょっと違うんじゃないですか、センター長が官房長官になることと。御答弁ください。

林副大臣 例が、ど真ん中の適当な例かわかりませんけれども、私が申し上げたかったのは、ここに書いてあることは、総務省の設置法ですから、原則総務省の所管が書いてあるわけでございまして、それの例外をつくる場合には別途の法律の規定が必要になってくる。

 ですから、ここには総務大臣の所管として補佐するという書きぶりになっておりますけれども、そもそも、補佐するべき内閣総理大臣が中央の人事行政機関になっているわけでございまして、これは国家公務員法にそういう規定があるから、国家公務員法のことでございますけれども、内閣総理大臣が中央の人事機関として立場があるということを別途法律で決めておるわけでございます。

 そういう例として、別途法律で定めて、このセンターについては官房長官が所掌する、こういう整理になるという例で申し上げたわけでございまして、そういうことをきちっと法律にそれぞれ定めていくというのが原則であろうかというふうに思っておるところでございます。

松野(頼)委員 この議論は郵政民営化のときに竹中大臣とも行ったのですけれども、本当にそこの切り取りが非常に不明快なんですね。要は、林副大臣は渡辺担当大臣の副大臣ではないんです。ですから、お二人で答弁をしている姿も変な話ですね。

 副大臣の項というのは、これは国家行政組織法に「各省に副大臣を置く。」と書いてあるんですよ。ですから、渡辺大臣と林副大臣は、渡辺大臣の副大臣が林副大臣じゃないんですよ。渡辺大臣の横に渡辺大臣としての副大臣を置くことはできないんですね、無任所大臣には省がありませんから。ですから、そこの関係も非常に緩いんですよ。どうぞ。

林副大臣 大変大事なところでございまして、私も、最初にここに参りましたときは、大層複雑な仕組みになっておるな、こういうふうに思ったのでございます。

 先ほど来委員が御指摘の、内閣府設置法の三条一項と三項に、「内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務」としており、「内閣官房を助ける」、こういうことになっておるわけでございます。内閣府の副大臣は、同法の十三条三項によりまして、「職務の範囲については、内閣総理大臣の定めるところによる。」こういうふうになっておるわけでございます。

 私は、総理から、内閣官房が行う国家公務員制度改革に関する企画立案を助けるように命じられておるわけでございまして、総理からいただいた辞令のようなものがあるわけでございますけれども、その中に、拉致問題、国・地方行政改革、公務員制度改革、地域活性化及び道州制をそれぞれ担当する大臣を補佐していただきたいというふうに書いてありますので、この総理からの指示に基づいて、公務員制度改革を担当する渡辺大臣を補佐しておるというのが今の私の立場でございます。

松野(頼)委員 渡辺大臣を補佐するのではなくて、総理を補佐するんです。内閣府の長は総理ですから。

林副大臣 今申し上げましたように、総理の指示がそれぞれ担当する大臣を補佐していただきたいという指示でございますので、結果的にはそうなっているということでございます。

松野(頼)委員 少し整理をさせていただくと、渡辺大臣、塩崎官房長官、林副大臣、これはそれぞれ横のつながりはないんですね。総理を通じてのつながりなわけです。

 ですから、今この議論をどれだけ続けていてもしようがありませんので、ぜひ頭を整理していただきたいのと、国家行政組織法と内閣法、内閣府設置法という中で、議院内閣制のもとにおける強い内閣というイメージは結構ですよ、イメージは結構ですけれども、ただ、実際の運営上では非常に複雑でありグレーゾーンもたくさんあるというのが現実であります。

 ぜひそこのところは、以前から私は指摘をさせていただいて、少し整理をされるべきではないですかということを再三申し上げているので、それは内閣府内で、内閣法の改正、また、きょうはお話をしませんけれども、補佐官の問題も同じでありまして、これにまた補佐官がくっつき、官房副長官がくっつき、副大臣がくっつきという、ある意味ではめちゃくちゃな状態になっている。補佐官においては、総理に対して意見具申をするだけだというのが内閣法上の規定であって、これだけの条文しかないわけですよ。にもかかわらず、会議に出たり政策を述べたり外国にまで行ったりというのは、これは少し補佐官の職務の幅を乗り越え過ぎているというふうなことも以前から指摘をさせていただいておるんですが、これは内閣府内で一回整理をしてもらいたい。別にそれがいかぬと言っているわけではなくて、法的に整理をされて明快な形で、内閣法及び内閣府設置法、及び各省設置法との切り分けをしっかりしていただきたいということをお願いする次第でございます。

 また、ちょっと基本的なことを申し上げます。渡辺大臣にお伺いしますが、今回この法案をなぜ出してきたんですか、天下りバンク法案を。

渡辺国務大臣 御案内のように、公務員制度改革はかなり長い間議論をしてきたテーマであります。橋本内閣の時代から、私の国会議員としての記憶は始まっております。小渕内閣のときに、道路公団汚職事件や防衛庁の調達実施本部の不祥事がございまして、今ある人材バンクがそのときの議論によって七年前につくられたのは御案内のとおりでございます。また、小泉内閣においても、能力・実績主義の導入を初めとした公務員制度改革の議論が行われましたが、残念ながら閣議決定にまで至らずに終わったわけでございます。

 小泉内閣の最後に、先ほど官房長官が言及された、いわゆる中馬プランという官民の垣根を低くすることをメーンとした改革案が提唱されたわけであります。しかし、この中馬プランが天下り促進ではないかとの批判を受け、安倍内閣においては、従来から議論をしてきておりました能力・実績主義の導入とあわせて、官民の交流促進と同時に官民癒着防止を行うということで、再就職規制を盛り込んだところでございます。

松野(頼)委員 そういう意味じゃなくて、少しこの委員会を後ろで聞いておりましたら、天下りを根絶するんだということを大臣がおっしゃっていたのではないかと思います。もっと正確に言うと、予算と権限を背景にした押しつけ的な天下りを根絶するんだということであります。

 この法案を読んでいると、天下りを根絶するというイメージとは全くかけ離れておりまして、再就職を支援するんだという色合いの方が濃いのではないかと思います。天下りを根絶するという御答弁をいただいたその意味を、もう一回御答弁いただけないでしょうか。

渡辺国務大臣 天下りというのは法律用語ではございません。広辞苑などによりますと、上から下へ押しつけのような人事をやるという趣旨の記述がございます。

 私の理解では、いわゆる天下りというのは、各省が予算と権限を背景に押しつけ的あっせんによる再就職をやっている、このことが天下りなんですね。国民のサイドから見ますと、もうまさに人事の一環としてやっているところが押しつけのように見えてしまうということであろうかと思います。

 したがって、今回の法案では、まず各省のあっせんというものを全面的に禁止いたします。そして、各省が当該職員の再就職に当たって営利企業等との直接接触、直取引をやることも規制をいたしております。当該職員は、その職員の能力と実績、実力が正当に評価されて再就職をしていくというシナリオでございまして、これはまさしく、今やっている予算、権限背景の、人事の一環としての天下りあっせんとはまるっきりレベルの違う話であるということが言えようかと思います。その点で、私は天下り根絶であると申し上げているわけです。

松野(頼)委員 ちょっとそこの認識が違って、予算と権限を背景にした押しつけ的な天下りをやめるのか、要は押しつけなければいいのか、それとも予算と権限がなければいいのか、そこのところをちょっと明確に切り分けていただけないでしょうか。

渡辺国務大臣 今回は、予算と権限も背景にしないのがセンターでございます。つまり、官民人材交流センターにおいては、各府省等から独立した機関として設計してございます。

 また、その押しつけ的というのもこれまた法律用語ではございません。これも見る人によっては、例えば各省の人事当局から見れば、自分たちが押しつけのようにやっているなんて、そんなことはありませんよということなんですね。しかし、立場をかえて外側から見ると、国民の方から見ると、どうもこれは広辞苑に書いてある上から下の押しつけみたいなものだよな、こういう反応も一方においてあるんですね。

 したがって、今回の法案では、まさしく各府省等のあっせんは全面禁止をするというとてつもない決断をしたわけでございます。だからこそあれだけ大変な摩擦と抵抗が起こったわけでございまして、これは全部一〇〇%なくなったとは言えない状況にいまだに私はあると思っております。したがって、この法案をきちんと国会において成立させていただくことによって、我々の考える天下りは根絶をされていくということでございます。

松野(頼)委員 ちょっとそこの認識が違うのではないかと思うんです。大臣、多分押しつけというのはないですよ。皆さん、喜んで受けるんですよ、予算がついてくるんですから。逆に、天下りを下さいということが現実にはあるんです。一人受け入れると幾らという、大体予算がついてくるわけですから、押しつけの天下りというのは僕はないと思いますね。予算がなきゃ押しつけかもしれませんけれども、予算があるわけですから、押しつけというのはほとんどないと思いますね。

 ただ、ちょっと一例、具体例でお話をさせていただきます。資料の六をごらんください。六ページ目ですね、資料六と書いてあります。

 一つの例として、財団法人先端建設技術センター、これは国土交通省のもとの特殊法人であります。

 理事長が三谷さんという方、また専務理事が岡原さんという方です。一枚めくると、その人たちの経歴が書いてあるんです。三谷さんは六十三年道路局長、岡原さんは土木研究所企画部先端技術開発研究官なんですね。先端技術センターに、元国土交通省の先端技術開発研究官という人が今副理事長でいらっしゃるんですよ。非常にわかりやすいんですけれども。

 ここは何をやっているかというと、広域幹線道路の施工とか、道路関係ですね。資料七の、だあっと線が引いてある左側のところがここのやっている事業であります。

 きょうはちょっと副大臣に来ていただいているんですけれども、ここに国土交通省の道路局から委託事業はありますか。別に細かい金額は結構です。

渡辺(具)副大臣 お答えいたします。

 先端建設技術センターへの委託業務は、十六億六千百万円ございます。

松野(頼)委員 別に金額は結構ですから、これは道路局予算から入っていますか。

渡辺(具)副大臣 ただいま申し上げました金額は、すべて道路局からの予算であります。

松野(頼)委員 要は、元道路局長がいて、もっとわかりやすいのは、先端技術センターに先端技術開発研究官が副理事長でいらっしゃるんです。名前のとおりです。

 渡辺大臣、バンクができた場合に、こういう例はどうなるんでしょうか。

渡辺国務大臣 官民人材交流センターにおいては、どこからどこまで再就職あっせんをするかという問題について、有識者懇談会において詳細な設計を行う予定になっております。

 法の精神では、官民交流と同時に、官民癒着の防止という点も厳格な行為規制を導入しておるわけでございます。行為規制違反については、外部監視機関のチェックも受けることになります。刑事罰を伴う場合もございます。したがって、こういう規制をかけた上での再就職支援であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

渡辺(具)副大臣 ちょっと答弁を訂正させてください。

 先ほど道路局からだけと申し上げましたが、河川局そのほかにもあるようでございます。

松野(頼)委員 ちょっと渡辺大臣らしくなく、歯切れが悪いですな。

 これは、後藤田先生も非常にここのところを厳しく指摘をされておりまして、後藤田先生の質問に対しては、資料五につけてありますけれども、このセンターが、例えば、補助金を交付していた業務をやっている人がその補助金交付先に再就職をするなんという話は、やはり常識的に難しいなと、これは有識者懇で決めることでございますけれどもというふうに答えているんです。

 もう一回御答弁ください。今の例は今後どうなるんですか。

渡辺国務大臣 今御指摘になられた、補助金交付の仕事をやっている人がその交付先に再就職するというのは、余りにも露骨な話であって、これは私が決めるわけではありませんが、有識者懇談会においてきちんとした自主ルールはつくっていただけるものと思います。

 その上で、行政委託型公益法人の問題というのは、実は、何年か前に補助金漬け、委託費漬けの公益法人について改革を行っていこうということが行われ、ほぼその目標は今達成されております。したがって、次のバージョンアップされた公益法人、要するに行政委託型公益法人の改革を、今、私の方で指示しているところでございます。

松野(頼)委員 いや、そういうことを伺っているんじゃなくて、この先端技術センターに、今渡辺副大臣から御答弁いただいたように、道路局から予算が出ているんです。それで、この理事長の三谷さんというのは道路局長なんです。こういう例は今後行われるのか行われないのか、はっきり答えていただきたい。

渡辺国務大臣 いずれにしても、今回の法の精神においては、官民癒着の防止という点も非常に大事なポイントになっているんです。ですから、行為規制の中でさまざまな口きき規制に対することも盛り込んでいるわけであります。外部監視機関のチェックもきかせるんです。有識者懇談会において、どこからどこまであっせんできるか、そのルールづくりもやっていただくんです。

 したがって、こういうケースが一般的にそっくりそのまま、今まで固定的な事務次官のポストだったからここの理事長などということはあり得なくなるわけでございます。

松野(頼)委員 違うんですよ。これはバンクができたらもうこういうことはなくなるのか、平成二十年にバンクができたらこの三谷さんはいるのかいなくなるのかなんですよ。お答えください。

林副大臣 まさにこのケースがどうなるのかというのはなかなか判断が難しいところだと思いますが、要するに、この三谷さんという方がたまたま能力を請われて、そういう方が欲しいということで行っているということと、まさに我々が今やっておりますような押しつけ的な、予算や権限を背景にした、こういうことをきちっと当てはめていく必要があるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございまして、もしそういうことがなければ、法律の解釈としては規制の対象になるかならないのかというのはケース・バイ・ケースでございますが、委員が御指摘になっていることは我々も問題意識は大変持っておりまして、やはり公共調達のあり方ですとか、特に行政委託型を中心とした公益法人の制度そのものというものもあわせて、そういう御指摘があるような件を全体としてなくしていくというのが行政改革の方向であろうかというふうに考えておるところでございます。

松野(頼)委員 まさに、わかりやすくするために具体例で伺っているんです。

 これは、押しつけかどうかはわかりません。ただ、少なくとも、予算と権限を背景にした再就職であることは間違いないわけですよ。今副大臣に来ていただいたように、道路局の予算が出ているんですよ、この受託費の中に。権限も、道路局ですからもろにあるわけですよ。まして、先端技術センターに先端技術開発研究官がいるわけですから、これはもろにど真ん中なわけですよ。別にこれ一つが突出した例ではなくて、こういうのを探せばたくさんあるんですね。

 その一つの例として伺っているわけで、三谷さん、また岡原さん、この人が能力あるないという議論をここでしているわけではなくて、この人の前職の背景とその局から出ている予算と受託の関係。要は、予算と権限を背景にしていることは事実なんです。このことが今後起こるのか起こらないのかということ、これはこの法案のバンクの最も真髄の部分だと思うんですけれども、二十年以降、三谷さんと岡原さんはこういう就職ができるのかできないのか、今後このセンターに道路局の人間が行けるのか行けないのか、ここをはっきり答えてもらわなければならないと思います。もう一回お願いします。

渡辺国務大臣 予算と権限を背景にした押しつけ的あっせんによる天下りは根絶されます。

松野(頼)委員 そうすると、平成二十年以降、三谷さん、岡原さんはここにはいなくなるわけですね。その後の道路局の人間も、ここには就職はしないわけですね。明確に答えてください。

渡辺国務大臣 平成二十年中に官民交流人材センターを設置いたします。そこから三年以内に、各省あっせんをこの交流センターに一元化するわけでございます。

 したがって、一元化後においては、各省のあっせんというものは全面禁止されるわけでございますから、このようなケースはあり得なくなるということが言えようかと思います。

松野(頼)委員 各省あっせんがなくなるのかなくならないのかじゃなくて、要は、当然ここのセンターはバンクに対して道路局の人を下さいと言いますよ、予算が出ているんですから。各省あっせんをやめるのかやめないのかという議論を今されましたけれども、各省があっせんしようがバンクを通るまいが、道路局や河川局から十六億の補助金を、委託費を取っているわけですから、このセンターは、当然、道路局の人間をうちには下さいなと言うのは当たり前の姿じゃないですか。予算がついているわけですから。予算と権限が背景にあるわけですから。それをバンクを通じようが通じまいが、新しくできるバンクはそこの線を切るのか切らないのかということを聞いているんですよ。

渡辺国務大臣 ですから、私は再三お答えをしているんです。人と金、両面からこういう問題は解決していく必要があるということを申し上げているんです。

 お金の面、つまり、行政委託型の公益法人のようなものの改革についてはさらにバージョンアップして行っていかなければならないということを申し上げているんです。一方において、公益法人の公益認定の作業がいよいよ始まります。各主務大臣の……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。各主務大臣の権限をもう既に取り上げてしまっているんです。ですから、これから公益認定委員会においてこの認定をシビアにやってまいります。

 また、行政委託型の法人にあっては、その委託費の問題とか補助金の問題とか、これをもっと改革を進めていくということをもう既に私は指示を出しているんです。人の面においては、まさしく官民人材交流センターの中でどこからどこまであっせんができるか、そのルールをつくっていただきます。そして、口きき規制も導入をいたします。外部監視機関も設置をいたします。

 繰り返しますが、予算や権限を背景とした押しつけ的あっせんによる天下りは根絶されます。

松野(頼)委員 もう一回聞きますけれども、押しつけか押しつけじゃないかは、それはわかりませんよ。十六億も補助金をもらっているんですから、道路局の人が欲しいと思いますよ、このセンターは。予算が切られるかもわからないわけですから、道路局の人を受け入れてなければ。ですから、押しつけの天下りというのは予算が出ている以上はそんなにないんですよ。

 ですから、その押しつけという文言は外していただいて、予算と権限が背景にあるんです。今、渡辺副大臣に御答弁をいただいたように、道路局の予算も出ている道路局の所管の公益法人である。予算と権限がここにはあるんですね。今はダイレクトに国土交通省とここがあっせんをやっているのかやっていないのかわかりませんけれども、ここにバンクが間に入るか入らないか、入ってもこの道路局の人がこの技術センターに今後行くようであればバンクの意味は全くないんですよ、予算が出ている以上。

 予算を切るかバンクがあっせんをしないか、どっちかなんですよ。もう一回お答えください。この三谷さんが、いられるようになるのかいられないようになるのか。

渡辺国務大臣 ですから、人と金の両面からこういう問題は考えていかなければいけないと再三申し上げているわけでございます。

 要するに、この場合を特定して言っているわけじゃありませんが、一般論として各省が自分のところの子会社みたいな法人をつくってそこを天下り先にしているという事実があるわけですよ。ですから、そういう問題については人と金の両面から天下りを根絶していくんだということを申し上げているじゃありませんか。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 渡辺国務大臣。

渡辺国務大臣 いずれにしても、こういう問題が天下りの典型例であるということは言えようかと思います。

 今恐らく、この問題に特定して言っているわけではありませんが、一般的にこういった行政委託型公益法人の天下りと予算の関係というのは、明らかではありませんけれども、各省のあっせんが行われている可能性が大であります。したがって、このあっせんを全面的に禁止するということは、受け皿の方にとっても、人をもらうメリットもなくなるということが言えるわけであって、こういうケースは自然消滅していく可能性がございます。

 一方、我々の方は、行政委託型公益法人の改革というものをさらに進めていかなければならないということを言っているわけで、こういう問題はいずれ根絶されることになります。

松野(頼)委員 いや、具体的に聞いているのは、平成二十年にバンクができたらば、ここへの道路局からの天下りはなくなるのかなくならないのかを聞いているんですよ。

 センター長、どうですか。予定センター長、どうですか、これは。

塩崎国務大臣 今、渡辺大臣が答えたとおりだと思いますけれども、人と金とが当然のようにセットで行く、そういうものはなくなるということだろうと思います。

松野(頼)委員 では、くどいようですけれども、この先端技術センターに道路局の人間は今後行かなくなるわけですね、バンクを通じても。きちっと答弁してください。そこがこのバンクの一番のポイントなんですよ。

 今まで各省とこういう外郭がやっていたそのあっせんだけ禁じても、バンクをフィルターにして同じことが起こっていたならば、バンクの意味が全くなくなるわけですよ。

 もう一回答弁ください。

渡辺国務大臣 官民人材交流センターは、各省あっせんのトンネル機関にはいたしません。したがって……(発言する者あり)どうやってといったって、それは各省あっせんは全面禁止をするんですよ。(発言する者あり)いやいや、ですから、各省あっせんを全面禁止する、このセンターは中立的な機関にするわけです。各省の当局者がその受け皿との直取引をやることを全面的に禁止するわけでありますから、トンネル機関にはさせないということをはっきり申し上げているんです。

 こういうたぐいの行政委託型公益法人とか独法の問題は、お金の流れというのがありますから、こっちのお金の流れとワンセットで解決をしていかなければいけないと言っているわけであって、一元化後は、予算、権限背景の押しつけ的あっせんによる天下りは根絶されます。

松野(頼)委員 よく答弁がわかりませんけれども、これをいつまでも続けていてもしようがないので、せっかく江崎政務官に来ていただいたので、お伺いをします。

 天下りの各省あっせんの問題も確かに大きな問題ですけれども、この最後の資料を見ていただきたいと思うんです。資料十一です。天下り四千団体に補助金五・五兆円。多分、経済に詳しい、財政に詳しい渡辺大臣は一番おわかりかと思いますけれども、とにかく、こういう財団に毎年五兆円も六兆円もつぎ込まれているわけですよ。

 一方では、ことしの六月の三十日から、国民の皆さんは多分給料袋を見て驚くのではないかと思いますが、定率減税の全廃によって所得税、地方税の税額が上がる。所得にかかわる税が物すごく高くなる。また、これから参議院選挙の後に、消費税を上げる上げないという議論があるかどうかわかりませんけれども、多分上がるんでしょう。

 こうした形で税金を投入して、増税をしても、こういうところに毎年六兆も七兆も、半年で五兆五千ということですから、十兆近いお金が流れ込んでいるというのは、バケツに穴があいているのと同じような状況なんですね。増税をしても財政が一向によくならないのは、こういう一つの天下りを経由した財団だとか外郭団体、そこに補助金の還流のシステム、これが日本の最大の病巣だというふうに私は思っておるんです。

 その中で一つ、本来であればこういうものがなくなれば一番いいんでしょうけれども、なくならないという状況の中で、随意契約による発注というのがございます。

 きょうは江崎政務官に伺いますけれども、資料六をごらんください。先端技術センターの関連で、業務内容で随意契約が十六億。十七億の収入のうちの十六億が随意契約だ。本来であれば個別の案件を少し拾うところだったんですが、時間がなかったのでざっくりと申し上げますけれども、資料十から会計法をつけてございます。会計法によりますと、二十九条の三、競争に付さなければいけないという文言がございます。また、予算決算及び会計令、いわゆる予決令という中でもこれは禁じております。また、国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令、いわゆる特例政令というんですけれども、この特例政令、マラケシュで調印したマラケシュ条約以降、こういう随意契約はいけないということなんです。

 渡辺副大臣、先端技術センターに発注をしましたこの随意契約、なぜ随意契約になったのか、教えていただけますでしょうか。

渡辺(具)副大臣 調査内容に対する技術者の持っている技術的な能力だとかその調査能力が、この先端建設技術センターの持っているものがその調査の内容と一致する技術を持っている人がそこにいるということで、十八年度はおっしゃるとおりに随意契約をしてきたわけでございますが、これらにつきましては御指摘をいただいておりまして、さらに透明性、競争性を増すために、十九年度は純然たる随意契約はやらないようにいたしております。

松野(頼)委員 渡辺大臣、今、渡辺副大臣に御答弁をいただいたように、まさに役所の時代にその仕事をしていた人がいるから随意契約だったんですというふうに渡辺副大臣は答弁されているんですね。まさにその権限、役所のときにそれを監督していた、行政を管理監督していた人がそこに天下っているから随契なんですよ。その天下りとこの随契が密接にかかわっているんじゃないですか。

 もう時間がないですから余り答弁は求めませんけれども、江崎政務官、予決令に照らして、特例政令の十三条に幾つか随意契約によろうとする場合の適用除外要件があるんですね。例えば、いわゆる排他的な権利の保護とよく政府は官報に書くんですけれども、そのものに特許権があるとか、芸術品だとか、要はそれ以外に考えられない条件というのが一つあるんですね。そういう随意契約を行ってもいい唯一の理由の中に、今の渡辺副大臣の御答弁は含まれるんでしょうか。

渡辺(具)副大臣 私が先ほど申し上げた答弁は、行おうとする調査に対する技術ですとかノウハウですとか、そういうものがこの先端建設技術センターにあるというふうに思われたからでありまして、その中には、例えば特許だとか著作権だとか、そういうものも含まれております。

松野(頼)委員 申しわけありませんが、著作権は含まれません。特許権です。この特例政令の十三条一項をごらんください。これは芸術品、特許権。著作権は含まれないんですよ。もう一回答弁ください。

渡辺(具)副大臣 「特許権等」の「等」に著作権に相当するものも含まれると思います。

松野(頼)委員 この先端技術センターがつくっているいろいろなマニュアル、これに特許権はないと思うんですけれどもね。まあいいや、もうあと五分しかありませんので。

 いずれにしても、では一つ例を挙げさせていただきますけれども……

河本委員長 松野先生、ちょっとよろしいですか。三時から党首討論が始まりますので、残余の質疑は党首討論が終わった後に残してよろしいですか。

松野(頼)委員 では、後でやります。

河本委員長 松野頼久君の残余の質疑は保留いたします。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二十九分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、大臣官房審議官杉田伸樹君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮島俊彦君、社会保険庁総務部長清水美智夫君及び国土交通省大臣官房長竹歳誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑を続行いたします。松野頼久君。

松野(頼)委員 済みません、もう残り時間が大変短いんですけれども、渡辺副大臣、さっきの先端技術センターの資料九をごらんください。

 この資料九に、四千三百五万円という随契があるんです。十九年度新技術活用評価業務、これが随契なんですね。この随契の理由を教えてください。

渡辺(具)副大臣 公共事業に関するデータベースのIC化の調査でありまして、こういうものに関して、これまでもこのセンターは、いろいろな技術の評価ですとか、あるいはこれに類するデータベース等の整理についての実績がある、また技術力があるということで随契にしたものであります。

松野(頼)委員 それでは会計法の、特例政令の随契の除外理由には当たらないんですよ。技術力があるということでは当たらないんです。要は、特許権だとかいうこと、芸術品であるとかいうこと以外は随契をしてはいけないと政府調達国際協定の中でも決められているんです。

 江崎政務官、このことをちょっと御答弁いただいて、最後の質問にいたしますので、よろしくお願いいたします。

江崎大臣政務官 お答えいたします。

 今、会計法の御指摘がございましたが、基本的に、特許権を持っているとか、代替不能な特殊性のあるものというものが、会計法の中におきましての排他的権利というところになろうかと思います。

 そういった意味で、個々の契約の中身のどの部分が随意契約に当たるんだということについては、財務省としては個々に関知するわけではございませんで、基本的に予算の執行をします各省庁の責任において判断をしているわけでございます。

松野(頼)委員 時間が参りましたので、終わります。

 きょうはありがとうございました。

河本委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁でございます。

 幾つか質問をさせていただきますが、まず、これはマスメディアにも随分出ましたが、民間の人材派遣大手のパソナが人材バンクの仕事をやるというような報道がありまして、どうも確認いたしますと、今ある、一人しかマッチングしなかったという総務省の方の人材バンクのようでありますが、このパソナの仲介というのは、総務省の人材バンクにおいてはあるけれども、今回の新しく構想される官民人材交流センターにおいてはこれはない、こういうことなんでしょうか。それとも、何らかの関係が残るんでしょうか。

林副大臣 今、総務省でやっております人材バンクにつきましては、今委員が御指摘になったように、一件しか実例がなかった、こういうことでございまして、いろいろな民間の知見も活用して業務の執行をもう少しできないかということから、パソナという民間の知見をお持ちのところに入っていただいて、いろいろな業務の改善を図ろうということを承知しております。詳しくは総務省の方に聞いていただけたらと思います。

 一方、我々が御提案しております官民人材交流センターにつきましては、このセンターが設置をされますと、同じような機能でございますので、今総務省にあります旧人材バンクといえばいいんでしょうか、そちらの方は当然廃止になる、こういうことでございます。

 今委員がお尋ねの人材交流センターにつきましては、いろいろな民間の知見の活用というのも当然考えていかなければならないところでございますが、詳細な設計は官房長官のもとの懇談会で行っていくということになろうかと考えておるところでございます。

松原委員 せっかく官房長官がお越しでありますが、官房長官が長をつかさどるこの新しいセンターにおいて、パソナとのさまざまな共同関係というのは考えられるかどうか。通告はいたしておりませんが、御答弁を賜りたいと思います。

塩崎国務大臣 今、林副大臣からお答え申し上げましたように、今度、この法律が御審議をいただいて、有識者会議というのを私のもとに設けて、このセンターについての中身、詳細設計を、もう既にお示しをしております原則のもとで議論していただいて固めていこう、こういうふうになっているわけであります。したがって、どういうふうにやるのかというのは、また細かなことはこの有識者会議の中でいろいろと詰めていただくものだ、こういうふうに思っております。

松原委員 パソナの人材サービス会社は、そこの特別顧問に竹中平蔵前総務大臣、またアドバイザー組織には石原信雄元官房副長官等を配して、そういった意味で、総務省の人材バンク、とりあえず今の人材バンクですね、これに関してはかなりのてこ入れをまさにせんとしていたわけでありますが、どうも町の方々の多くは、この南部さんのパソナの人材バンクに対する支援というものが、渡辺喜美大臣が各種テレビで人材バンクをやるぞと、そのころにこの報道があったものですから、イメージとして、そこの関係をやるんじゃないか、こういう認識を持っているわけなんです。

 そういったことに対して、現状、やはりパソナが持っている知見というのも活用できるところは非常にあると思うんですよ。そういったことについて、渡辺大臣、御所見をお伺いしたい。

渡辺国務大臣 先ほど官房長官が申し上げたとおりでございます。

松原委員 大変そっけない答弁でありますが、日ごろの渡辺喜美大臣とも思えない答弁でありまして、もうちょっと味のある答弁をこのパソナについてしてもらいたい。

渡辺国務大臣 早い段階では、私の記者会見等で申し上げておりましたことは、今度つくります一元化あっせん機関において民間を使うつもりはございませんということを申し上げてまいりました。その後、官民交流人材センターを創設するということになりまして、官房長官のもとにその詳細設計を行う懇談会をつくるわけでございますから、まさにこの懇談会で詳細はお決めをいただくということで、先ほど官房長官が申し上げたとおりだと申し上げたわけでございます。

松原委員 この有識者会議には南部さんが入ったりする可能性はあるんですか。

渡辺国務大臣 有識者懇談会の人選につきましては、まさしく官房長官の方で行われるものと理解しておりますが、まだ人選が決まったというお話は聞いておりません。

松原委員 有識者会議にこういった人材派遣会社の知見を有する人が入るのが悪いとは私は思いません。しかしながら、入るということになれば、今の総務省の人材バンク、そこのことを、やはり竹中さんとか、石原信雄さんを入れてアドバイザリーグループまでつくっているわけですから、当然そのままそこが一定の形で寄与する可能性もあるというふうに思っておりますが、この段階ではその辺は全く白紙ということですか。それとも、お考えがありますか。お答えいただきたい。

塩崎国務大臣 私が答えるべきことではないのかもわかりませんが、手を挙げちゃったので答えますが、全く白紙でございます。やはり、新しいもの。つまり、今ある人材バンクは、まさに各省のあっせんがあるもとでやっているからこそ一件しか実績がないというわけでありますから、前提条件が全く変わるわけでありますから、さあ、どうするのか、これからよく松原先生の御意見も伺いながら考えていきたい、こう思っております。

松原委員 意見を伺っていただけるというので、恐縮なんですが。

 さて、きょうは、国土交通省官房長はお越しですか。前回出していただいた資料があるんですが、幾つかお伺いしたいんです。

 天下りというか、我々はわたりと称するわけでありますが、本省をやめた後の動きというのがある。あっせんの有無というところがみんな米印になっているわけであります。

 そこで、お伺いをしたいわけでありますが、あっせんの有無、米印ということですが、例えば、牧野徹さんという方は建設省の顧問をやっている。鈴木道雄さんも建設省の顧問、これは零カ月ですね、でも、わずかな間やっている。望月さんという人は建設省の顧問、これもやっている。みんな建設省の顧問をやっている。この段階から、あっせんの有無はわかりません、こう書いてある。同様に、ずっと見ていくと、みんな米印になっているわけでありますが、極めておかしなものがたくさんあるわけでありまして、例えば、戸部さんという方は北海道開発庁の顧問とか、ずばり省庁の顧問をやっている人もそれだけいるわけであります、国土庁の顧問とか。

 中には、私が一番これはどういうことかなと思ったのは、林さんという方がいます、林淳司さんというのが。一回、財団法人港湾近代化促進協議会会長で出て、これはあっせんの有無は不明。その後、運輸省に戻ってきていまして顧問、あっせんの有無不明。省庁そのものに入るので、あっせんの有無もへったくれもあったものじゃないと思うんですが、何でこれが不明なのか。何でこれが不明なんだ、どういう調査をしたのか、答弁をいただきたい。

竹歳政府参考人 確かに御指摘のように、それぞれの役所の顧問になったときに不明ということはないわけでございまして、それを整理し直しました。

 前回のときにはそういう形になっていますけれども、今の整理では、御指摘のような、顧問とか公務員、大使、そういう場合には、これは公務員でございますから、あっせんも何も、人事みたいな話です。それから、独立行政法人の長等は主務大臣が任命いたしますから、これも強烈に関与するわけですから、これは区別するということで、今確認中のものと、公務員と、独立行政法人のように大臣が任命する、認可するというものに分類して資料をつくっているところであります。

松原委員 普通の顔でそういうことをしゃあしゃあと言われても困るんだよ。委員会に対して、どういうつもりでこういう資料を出しているんだ。だれだってわかるようなこんなばかげた資料を出すというのは、どういうつもりなんだ。何でこの米印の資料を出したんだ。答弁してくれ。

竹歳政府参考人 御指摘のとおりでございまして、取り急ぎつくったわけで、そこを精査して、きちっと今資料をつくっているところでございます。

松原委員 渡辺大臣、ちょっと所見を言ってもらえますか。これはどういうことなんだということで、所見を言ってもらえますか。お願いします。

渡辺国務大臣 ちょっと、その資料というものをまだ手元で拝見しておりませんで、何とも、今のお話がよく見えておりません。

松原委員 資料、見れば一瞬でわかるから。見てくださいよ、これを。建設省、顧問、あっせん不明。まず、鈴木道雄、建設省、顧問、あっせん不明。

 これは、資料をつくったのは、だれがつくったの。あなたがつくったの。だれが資料をつくった責任者。答えてください。

竹歳政府参考人 この資料の責任者は私でございます。

松原委員 資料をつくった人間として、どういう責任をとるか教えてほしい。

竹歳政府参考人 これにつきましては、各省、全体の中で作業をさせておりまして、そういう中で、急いでつくったので、そういうことになったわけです。

松原委員 急いで、こんなずさんなものをつくるというのは、どういうことなのか。責任をとる必要がないと思っているのか、あると思っているのか、それを答えてくれ。官房長。

竹歳政府参考人 行革本部の指示の中で作業をしておりましたけれども、正確に今回つくり直しております。

松原委員 最初にこの資料を出したときに、だれが最終チェックをして出したんですか。

竹歳政府参考人 各省においては官房長だと思います。

松原委員 こういう資料を国会の委員会に出して、我々が指摘をしてこういうことになって、責任を感じるのか感じないのか、それを答えてほしいな。

 こういういいかげんな資料が出て、わたり十六人。大臣が、十六人なんて、そんな少ないはずないと思いながら十六人。それはもう、これだったら十六人ですよ、顧問、あっせんなしだから。国土省の顧問、あっせんなし。一回外へ出て戻った運輸省の顧問、黒野さん、あっせん不明。一回外に出ているんだよ。一回外に出て戻ってきて、省庁の顧問やっていて、あっせん不明と、こういう資料をぬけぬけと出してきて。

 では、取りまとめをしたのは。ちょっと答弁してくれ。

株丹政府参考人 私ども、行革事務局におきまして、各省庁にお願いをして資料を取りまとめ、私の方で取りまとめの責任を持って出させていただきました。時間的に大変短い中で各省庁にはお願いをして、私どもの方も取りまとめを十分にできなかった面ございますけれども、再度精査をいたしまして、今のように、確認をした部分、出させていただいたところでございます。(発言する者あり)

松原委員 やじに答える必要はないけれども、これを出したのは、今、出し直したからいいと。そういう言い方をしていいのか。(発言する者あり)余りばかなことを言うからだよ。改善をしてないじゃないか。これを出すのは、全然、こういうふうな資料を、急いでいましたといってこの資料を出して、出しましたと。一回外に出て運輸省に顧問で戻ってきた、あっせんそのものだ。資料を見て、頑張って出してきたなといって見ているうちに、これどういうことなんだろうなと思って、何かおかしいなと思って。

 こういう資料を出すことに対して、公務員の倫理観として、では、とりあえず、責任をとれとは言わないよ、それは後で言うから。これに関して、大変申しわけないことをしたと。はっきり言って、だまそうとしていたのかどうかわからぬけれども、こういう資料を出して、最初に我々に対してこの資料を出して、資料を出しましたと。同じように渡辺大臣に対しても、十六件で資料を出しましたと。十六件の方はこういうチョンボがまだ見えてないから。これに関して、こういう資料を最初に出したということをまずわびてほしい。いや、まず国土交通の官房長、一言わびてくれ。

竹歳政府参考人 急いで作業をしたわけでございますけれども、確かに御指摘の点があったことは申しわけないと思います。

松原委員 もう一人、どうぞ。

株丹政府参考人 各省庁にお願いをして取りまとめをして委員会の方に提出をさせていただきました責任者は私でございます。先ほど申し上げましたように、大変短い時間の中ではありましたが、それぞれの省庁において確認をしていただいたものを取りまとめをしたつもりでございましたけれども、今御指摘のような部分ございまして、再度調整をさせていただいてございます。大変、この間につきましての不十分な点につきましては、私も深く反省をしてございます。(発言する者あり)

松原委員 確かにそのとおりで、これの主務大臣というのはだれになるんだろう。この最終的な資料を出してきた責任者は。渡辺大臣になるのかな、これは。官房長官。渡辺大臣じゃないかな。だから、このことについて、確かにそれはそうだ、役人の二人にだけ陳謝させるんじゃ私も申しわけない。これに関してきちっと政治家の方で、大臣がこのことについて釈明、陳謝してほしい。釈明、陳謝がなければ、委員会は、その後の質疑はできない。

渡辺国務大臣 私も、先ほどこれを見ました。事務方の説明によりますと、行革事務局から各省に流して、各省から回答をもらったものをまとめたということでございます。

 私の手元に先ほど来ましたこの紙を見て、松原先生御指摘の、例えば、それぞれの省庁の顧問になっているところまで、確認できないという、これは米印というんでしょうか、こういう記号がばたばたとついているものを見まして、これは、幾ら何でもそれはないだろうと私も思います。ちょっと余りにもばかにした資料だなと私も思います。

松原委員 一応、責任者からおわびをしてもらいたいんだ。

渡辺国務大臣 これは余りにもばかにした資料でございますから、おわびをして、もっと正しいものをつくらせていただきたいと思います。

松原委員 非常にさわやかなおわびで。

 だから、そこで私が言いたいのは、十六件も同じだということですよ。いいですか、大臣。十六件も同じ。十六件について、この体質で出されたものを、同じところがやっているんだから。いや、同じところがやっているのか、違うところがやっているのか、ちょっと教えてほしい。

株丹政府参考人 委員が御指摘になっておられるのは、私ども行革事務局で四月十三日に公表しました、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果というものではないかと存じます。これにつきましては、私どもの方から、これこれこういう内容についてお願いをしたいということで、各府省等から回答をいただきまして、それを取りまとめて公表したものでございます。

 これにつきましては、お時間的には、三月のたしか八日ごろであったかと思いますけれども、お願いをして、一月近く内容的にも精査をして、その上で公表をさせていただいたものでございます。

松原委員 行革事務局というのは本当に当てにならないね、これ。こういうのが一回あると、民間の会社同士だと、もう取引禁止だよ。

 大臣、同じところが出して十六件なんだ。こういう大臣も認めるひどいできばえのものをいけしゃあしゃあと出してきて、こっちの指摘があって、事前に、どういう質問をするんですかというから、こうですよと。今調べて云々かんぬん。これは十六件、行革事務局にもっと気合いを入れさせて、やるのは当然じゃないですか、こんなデータが出てきたら。何回やっても同じだという議論にならないですよ、米印で出てきちゃうんだから。大臣、決意を聞かせてほしい。

渡辺国務大臣 十六件の中に先ほど御指摘の顧問のようなものが入っているかどうかは承知いたしておりませんけれども、いずれにしても、確認されたものが十六件であったということは紛れもない事実でございます。実際は存在するのかもしれないけれども確認されていないものも含めて、我々としては、予算、権限、背景のすべての押しつけ的あっせんが根絶されるよう、制度設計はいたしております。

松原委員 質問にきちっと答えてほしいのでありますが、私は、こういういいかげんな行革事務局が資料をつくって、十六件のわたりだと。立法事実を、まさに後藤田委員なんかが言うように、立法事実をきちっと押さえるというのは、これは最低限の条件で、医者が患者を診るのに、患者を診ないでいきなり胸を引き裂いたりするわけにいかないんだから。

 だから、大臣、十六件が少な過ぎると本人も思っていて、こういういいかげんなことを出してくる行革事務局。大臣、十六件、やはりこれはもう一回指示してくださいよ。それが最低限、国民とこの内閣委員会に対する大臣の良識じゃないですか、こういうことがあった以上。なかったなら言わないよ。あったんだから。答えていただきたい。

渡辺国務大臣 先ほど松野委員の質疑にもありましたように、国家公務員法の所管というのは総務省にあるわけでございます。したがって、そういう観点でいきますと、行革事務局というのは所管がないわけでございまして、言ってみれば、そういった所管関係にないところですから、お願いベースでやらざるを得ない、こういう根拠が弱い点があるわけでございます。したがって、行革事務局の方は一生懸命やっていたのでありますが、残念ながら、各省の方の協力がこの程度であった、確認されたものが十六件であったということでございます。

松原委員 ちょっと、答弁に答えるように委員長から言ってくださいよ。

 私が言っているのは、十六件が多いとか少ないとか、わたりが十六件出てきたからこれだけでもすごいとかという議論じゃなくて、十六件が氷山の一角だと大臣も思っていると、この委員会で何回か答弁していて、そして、こういうものがあった以上は、もう一回調べるというのが良識でしょうと。

 だから、調べるか調べないかだけ言ってくださいよ。今の話だったら、調べないなら調べないと。了解ですよ。調べないのが大臣の姿勢だなということで了解しますよ。調べるなら調べる。一言で言ってください。五秒でお願いします。

渡辺国務大臣 もう、一回調べているわけでございます。それに基づいて今回の法案も出し、制度設計を行っているわけでございますから、もう一回調べる必要があれば、それは有識者懇談会の方でやっていただくということでございます。

松原委員 もうこれは、これだけおかしな話があって、恐らく通告の状況の中で出てきたんだと思うんだ、焦って。こんなチョンボした資料を出しちゃった、手を抜き過ぎたと。同じことを十六人でやっているんだから。それは、庶民の味方をもって任じるなら最低限それぐらいのことをやらなかったら、男渡辺喜美が、がくっときちゃうね、これは。本当に。笑い事じゃないよ。

 しかし、今の話だと、調べる気がないということだね。もう一回調べたから調べる気がないと、そういうふうに言ってもらった方がいいんだよ、はっきりするから。もう一回だけ。もう時間ないから。こんなことばかりやっていたら二十分になっちゃうから。お願いします。

渡辺国務大臣 我々も何度も催促をした上で、行革事務局の方で十六件という数字を各省からいただいたわけでございます。

 したがって、先ほども申し上げたように、その中に顧問のような者が入っているのか入っていないのかは私はわかりませんけれども、いずれにしても、十六件という数字が確認できたということには変わりはございません。これ以上必要があると有識者懇の方で判断すれば、そちらの方で何らかの対応をするかと存じます。

松原委員 有識者懇、有識者懇といって、我が党の細野委員の質問にも、それは有識者懇、それも有識者懇、あれもこれも全部有識者懇と。

 ちょっと大臣に聞きたいんだけれども、国の中において、有識者懇談会というのをつくるのは結構ですよ。内閣委員会と有識者懇談会と、どちらの論議が、新しいそういったものをつくるときにより強いものであるべきか、権威があるのか、御答弁いただきたい。

渡辺国務大臣 有識者懇は、今回、国会の議論も踏まえながら制度設計をやっていただくわけであります。したがって、今我々がこうして国会において議論をしていることが全く無駄になるとか無視されるとかいうことではなかろうと思います。

松原委員 今の発言だと、有識者懇が最終的に決める、有識者懇の方が国会の言うことを無視するわけじゃない、こういうふうに聞こえるんだな。

 はっきりと、それは内閣委員会の論議が有識者懇談会の議論より本来は権威があるものなんですよ。そのことを認めてほしい。もう一回答弁。

渡辺国務大臣 いずれにしても、国会の議論を踏まえて、有識者懇で詳細設計をしていただく手はずになっております。

松原委員 僕は、この有識者懇というのは本当に怪しいなと思って。

 いや、いいんですよ、有識者が集まっているのは。どの程度の回数やるのかわからないけれども、有識者懇談会の皆さんには国会の議論はどのように伝わるんですか。僕は、こうやってじっと見て、あそこに傍聴の方がいらっしゃるけれども、有識者懇の人もまざっているのかなと思って。でも、まだ決まっていないのにまざるはずないなと。わかりますか、言っている意味。冗談で言っているんじゃないんですよ。

 この状況を、活字で書かれた議事録だけ読んでわかるわけじゃない。有識者懇がそこまで内閣委員会のことを知悉して、了解しました、それをベースにして議論しましょうというならば、有識者懇はここに、事前に決めて、有識者懇談会の委員を後で決めるというのは後出しじゃんけんというんだ、これは。決めるなら正々堂々と早く決めろ、有識者懇の方々にここに来てもらって、参考人で議論しようじゃないか、それが筋というものじゃないかと。

 こういうふうに、周りに有識者懇の人が一人もいない状況で委員会審議をずっとやって、では、有識者懇の人は、この今の我々の議論や、言葉や、言葉にならない部分のさまざまな考え方をどうやって理解するんですか。理解させ方を教えてほしい。どういうふうに彼らは理解するんですか。彼らはこの情報を共有できるんですか、この感情を共有できるんですか。

渡辺国務大臣 ビデオテープを撮って、最初から最後まで聞いていただくわけではございません。国会の議論は、いろいろな先生方がいろいろな角度から意見を述べられたり御質問をされたりいたします。そういうものを集約いたしまして、有識者のメンバーの皆様方にはお知らせをいたします。

 いろいろな懇談会がございますが、例えば、今月でしたら政府系金融機関のワーキングチームというのを立ち上げるための行政減量・効率化会議というものを開催いたしますが、そこにおいては、かなり詳細な国会での議論の報告がなされる予定になっております。

 したがって、国会の議論は、そのような形でそのエッセンスのところを抽出しまして、エッセンスといってもかなり大部のものになることもございますけれども、そういう形でお知らせをするわけでございます。

松原委員 議会軽視という言葉は昔から言われているわけでありますが、この有識者懇というのはよくわからないんですな。我々は、この委員会で議論する。それぞれが国民の負託を得て、選挙で戦ってきた人間が議論をする。民主主義というのは確かにそれでいいと思う。有識者懇の選定もどうするのかわからないし、有識者懇がこの委員会における情報を共有しているとは全く思えないし、有識者懇に入る人間は最低限、この委員会の議論のビデオをずっと見る、それは当然の最低限の条件だと僕は思う、なるならば。名誉職でなるなら別だ。

 そういうふうなことをしないで、有識者懇に任せます、エッセンスをとらえてと。だれがそのエッセンスをまとめるんだ。さっき言った、あっせんの有無をみんな星印にしちゃうような人たちがそのエッセンスをとって、伝わりますか。間違った報告をする人間がそのエッセンスを伝えて、伝えられますか。

 私は、渡辺さんには大変期待をしてきょうまで拝察をしてきたけれども、やはり有識者懇に丸投げをするようなことをしてはいけない。

 では、そこで質問だけれども、有識者懇には議員は入るんですか。

渡辺国務大臣 議員というのは国会議員のことでございますか。

 官房長官のもとに置かれますので、少なくとも官房長官はお入りになるわけでございます。

松原委員 座長としてということではなくて一般委員として、私は、これだけ大きな公務員改革をやるのに国会議員が入らないような有識者懇談会ではしようがない。

 いいですか。行革事務局は、各省庁の官房長にお願いして、わたりや天下りをこうやって聞いた。星印で出てきた。やはりそれはそれなりの力がある人間が集まらなきゃいけない。だから、学識経験者が半分いてもいいでしょう、半分は議員が入るとか、そういうふうな有識者懇談会をつくらないと、これはおかしいと思う。

 今、官房長官が有識者懇談会の座長だという話でしたが、官房長官は、これだけすべからく、有識者懇談会にすべてその議論をゆだねると。先ほどの松野氏の議論のあれもそうです。本当はあれをもうちょっとやりたかったんですが、時間が大分なくなってきた。官房長官、有識者懇談会というのは、どのぐらいの人数で、どのぐらいのイメージで、どうやるつもりなのか。

 私は、やはりこの委員会をやっている前に、この段階で有識者懇談会の人選はしておくべきだと思った。なぜ有識者懇談会の人選が今まだなされていないのか。なぜこの問題を委員会に付託される前じゃないのか。なぜ結論が出た後なのか。その理由も御説明いただきたい。

塩崎国務大臣 適切なタイミングで有識者懇談会を立ち上げたいと思っておりますけれども、国会でのこの法案の審議もあって、先生からの御意見を含めて、さまざまな御意見を今ちょうだいしているところでございます。そういうことも踏まえた上で有識者懇談会のあり方を考えていきたいと思っておりますし、総理とも相談をしていこうと思っております。

 まだ、サイズとか、そんなことを特に具体的に決めたわけではございませんので、引き続きよく検討をして、適切なタイミングで立ち上げをしたいというふうに思います。

松原委員 今回の公務員制度改革は、恐らく国家百年の計だと思う、日本にとって。できるできないは別にして、有識者懇には国会議員を入れてもらいたいということを要望として言っておきます。

 やはり、それぐらいの話でなければ、ここでやっている議論は全くもってどうなるんだろうか。本来であれば、我々が一番、国会でその法案を議決して責任を持つ。我々に対しては法案を通したんだから責任を持てという、中身は有識者懇談会でやりますよ、これでは、どの面下げて我々は有権者や国民に責任を持てるんだという話になる。

 だから、そこに、少なくとも責任を持つ国会議員が、もちろん官房長官は入ってもらって、この委員会の中で、あの辺に専門家がいますよ、一人。入ってもらってもいいですよ。こっちの方の専門家もたくさんいますよ。馬淵さんとか細野さんとか。不肖松原仁を入れろとは言いませんから、この二人ぐらいに入ってもらって、その委員会の……(発言する者あり)行革をずっとやってきたんだよ。そういうふうな人が入ってやる、それが本当の国家百年の計であるということを、ぜひ安倍総理にも塩崎官房長官からお伝えをいただきたい。

 続きまして、いろいろな議論があるわけでありますが、人材バンクと昔言っていた。これがなぜ必要なのかというのはどうしても、その前に、では武正議員に対する質問を先にやっておきましょう。時間がなくなるといけませんから。

 武正議員に対する質問は、要するに、いわゆる三五%の係長以下の出向というのが全くもって規制の対象になっていないというのが今回の政府案でありますが、民主党はそれに対して違う案をつくっている。この辺の違いというか、また、武正法案提出者がこのことで危惧する問題、このことをお話しいただきたいと思います。

武正議員 ありがとうございます。

 まず、先ほどのやりとりをちょっと伺って、政府案の一つみそである外部監視機関、再就職等監視委員会、これも非常勤五名ということでありますので、実はそう強いものじゃないなという印象を持っております。いわゆる第三者機関のあり方。ですから、いかに情報を公開して、きちっとチェックをするのかということがやはり大事だというふうに思っています。

 先ほどちょうど党首討論も行われましたが、あのとき安倍総理は、今回の政府案の第三者機関のことを随分言っておりました。民主党は、消えた年金記録被害者救済法案の中で、監視委員会、これは年金個人情報関係調査監視委員会、これについては国会の同意人事である、しかも、厚労省のOBはだめだよ、すべて公開であるという第三者機関をきちっと法律に明記しているんですが、さっき安倍総理はあれだけ言っていましたけれども、法律のどこにも第三者機関というのは明記されていないといったことも改めて申し上げて、この第三者機関というものが制度設計されていないといかに危ないかということを、まず冒頭、申し上げたいというふうに思います。

 今、委員の御質問は、政府案の百六条の三の二項の一から四、すなわち、現職職員の求職活動規制、現職職員がみずからの職務と利害関係を有する一定の営利企業等に対し、求職活動を行うことを規制する。ただ、四つの例外がある。一つが現役出向の場合、一つが一定の官職以下の職員の再就職の場合、すなわち係長以下の場合、そしてセンターから紹介された場合、四番目が再就職等監視委員会の承認を受けた場合。以上四つの例外で、現職職員による当該営利企業等への求職活動を可とする。私は、ここが抜け穴なのではないのかなというふうに思っております。

 今言われた千五百四十二人というのは、私がこの委員会でお願いをして出てきた資料の数であります。すなわち、平成十八年四月一日現在、中央省庁から四千三百八十三人が出向している。そのうち、三五%の千五百四十二人は係長以下である。総務省の例の官民の交流センター、わずか七年で一人しかマッチングしなかった。その理由として、実は課長以上はなかなかマッチングが難しいんですよと総務省が認めております。

 そういう意味では、係長以下の現職職員による営利企業等への求職活動をフリーにしていること、あるいは現役出向、センターから紹介、そして監視委員会がオーケーをすればというようなことで、実は、出向に名をかりて、それぞれの出身省庁と企業との間でいわゆるあっせんが行われるのではないのかな。この点がこの法案の一つ抜け穴になっているということを私は指摘させていただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

松原委員 大事なポイントですので、これもまたウオッチしていきたいと思います。

 国土交通省の官房長さん、どうもお疲れさまでした。

 さて、人材バンクをなぜつくらなきゃいけないか、何でハローワークじゃいけないのか、この議論であります。これは大臣に聞くと答弁が長いですから、事務方のあなた、なぜ必要なのか。

株丹政府参考人 御指摘でございますけれども、今回、政府案におきましては、公務員に対しまして、さまざまな形での規制を加えるというふうにしてございます。既に御議論をちょうだいしてございますけれども、各省庁により天下りが行われないようにあっせんを全面禁止する、在職中に求職活動を行うというようなことに対して罰則を含めた厳しい制約を課すということでございます。

 こういうような制約のもとで、再就職に当たり、何らの支援も行わなくてよろしいのかどうかということで、一つの考え方といたしまして、官民人材交流センターを設けまして、ここが透明な仕組みにより再就職の支援を行うという考え方でございます。

松原委員 これは後日、細野議員からも同じような、もっとえぐい、深くえぐった質問をするかもしれませんが、私が言いたいのは、要するに、民間企業の人に比べて、なぜハローワークを使わずに官僚は優遇されるのか。

 では、そこで一つ聞きたい。

 官僚の中でハローワークに行って就職を見つける人間は当然いると思われますが、どうですか、それは。官僚で中途退職する人間は全部天下りのあっせんをしているわけじゃないですよね。確認します。

株丹政府参考人 繰り返しになりますけれども、国家公務員につきましては、民間の方と違いまして、あっせんについても全面禁止、在職中に求職活動を行うことも罰則を含めて禁止をしておるという点での違いがあろうかと存じております。

 その上で、ハローワークの関係でございますけれども、あっせんにつきましての各省庁が行いますものを禁止してございますけれども、その中の適用除外の規定の中に、いわゆるハローワークの部分を入れてございます。使えるようにさせていただいているということでございます。

松原委員 結局、ハローワークに行くはずがないというような答弁とか、前後はちょっと切って言いますが、そういうふうなことを渡辺大臣は過日言っている。これは要するに、なぜハローワークじゃなくて人材交流センターなんだと。それは、公務員が例えばさまざまな制約条件があるというのが理由になっている。

 では、その制約条件の一つ一つを見ていったらどうなるのか。例えば失業保険がないという場合に、実は退職手当制度というのがある。それからあと、例えば労働組合がない云々というけれども、人事院がきちっとベースアップをさせるとか。本来、公務員であるがゆえに、民間に持たされている権限が失われている、それが持たされていないということに関しては、それにかわるものがほとんどある。だから、今言った、確かに求職云々がどうのこうのというのがあるけれども、実際は自分でハローワークに行って就職する人間もいる。

 結論からいけば、どう考えても、この官民人材交流センターを、特に、肩たたきをやってやめる人たちのための新しい仕組みとしてつくるということ自体が、そのこと自体が、言ってみれば官尊民卑の発想そのものだというふうに言わざるを得ないと私は思っています。

 例えて言えば、片っ方は二等の列車にぎゅうぎゅうに乗っている、官僚の特別な立場にいる人間は、これはグリーン車で行きましょう、それぐらいの差があるのではないかと私は思っております。結論的には、ハローワークで官僚が就職活動をし、またパソナの南部さんのところで就職活動できるような、そういうふうな状況でいいわけであって、あえてそこにそういったシステムをつくるのは私は不必要だというふうに思っています。

 本当は渡辺大臣に答弁を欲しいところでありますが、大体どういうことを言うかわかるから、最近は歯切れが悪いから、この質問はいたしませんけれども、そういうふうなことで、私は、少なくともこの人材バンクに関しては、全くもってそれは官僚の官尊民卑の発想からつくるものであるということをはっきりとこの場で申し上げたい。これは間違いない。

 最後にもう一つ、人事の中においていわゆる評価制度というのがある。何をもって評価するのかというのがよくわからない。私自身の考え方を披瀝しても時間も来るだろうから、終わりにいたしますけれども、そもそも、何がその国家や国民や地域にとってよかったのかという判断というのは、だれがどう判断するかというのに関しての客観的な尺度というのは、選挙で政党が勝つかどうかで判断されるしかないわけであります、現実に。例えば、ある地域で原発の施設をつくる、そのことが正しかったかどうかというのは、全体の中で、最後はそれで選ぶしかない。評価というのは、その中で評価されるのが本来の筋だから。

 何が言いたいかといえば、一つの国の方向性に向かって進むためにはこういったことをするのが正しいという評価があるとするならば、それを評価できるのは国民しかいない。国民が直接評価できないかわりに、それを代議員制であるところの国会が評価する、国会議員が評価する。国会議員が評価するということになれば、本来、アメリカにあるような、政府任用というか政治任用で課長以上を選ぶ。その課長以上の政治任用で選ばれた人間が、自分たちの方向性に対して極めて有能に動いた人間を高く評価する。そして、その全体を国民が投票でチェックする。本当の意味での評価というのは、利益を生む会社をつくるための評価ではありませんから、これしかないと私は思っております。

 そういった意味で、今回の実力主義というのも、それは確かに大事でしょう。しかし、例えば営業マンが車を何台売ったかという話ではないわけであります。結果として、本当の意味での評価制度というのを確立するには、政治任用で課長以上を選ぶような形の中でしか私はあり得ないと思う。このことについて、官房長官、所見をお伺いしたい。

 では、先に渡辺大臣。

渡辺国務大臣 今松原先生御指摘の政治任用も、一つの御見識ではあろうかと思います。我々、日本の公務員制度を改革するわけでありますから、全部アメリカのまねをするということではないわけでございます。

 日本の公務員制度は、いわゆるスポイルズシステムには立っておりません。いわゆるメリットシステムというもので、公務員の身分保障があるわけでございます。政治任用の場合には、御案内のように身分保障はないですね。したがって、どうやって官民の垣根を低くしながら改革を進めていくかということに心を砕いて今回の法案をつくったわけであります。官民の癒着防止も同時に行いながら民間の人材も活用をしていくということで今回の提案をしたわけでございまして、今でもそうでございますが、人事権は大臣にあります。

 この人事権が正しく行使されてきたかといったら、余り行使されてこなかった。例えば、大臣がノンキャリの本省局長をつくろうと決断をしたところが大変な抵抗に遭ったという事例も、私は目の当たりにしてまいりました。そういうことを考えれば、日本型の公務員制度改革のあるべき姿に一歩近づいたのが今回の法案であろうかと思います。

塩崎国務大臣 評価はなかなか難しいというお話をよく聞きますが、今回、正面から能力・実績主義というのを入れようということになっていますけれども、私は余り悲観をしていない人間の一人であります。

 既にいろいろな意味で評価はしているんだろうと思いますが、今の制度のもとではそれが人事につながっていないというところが問題であって、これをどう体系的にやっていくのか。

 先生がおっしゃるように、国民の評価とか国会による評価とか、それを含めて、やはりそれぞれの役所の中での評価というのを決めざるを得ないわけですし、国会や国民と離れたところで評価が行われることで事足れりとするのは、我々としてはこれをよしとするわけではないわけであって、したがって、これからどういうふうに精緻化していくのか。三百六十度評価とかいろいろな形があるわけでありますので、先生のおっしゃっている国民あるいは国会の評価が極めて大事であることはよくわかりますが、やはり組織としてどういう評価制度を持っていくのかというのは、これから中身もさらに精緻化されていくことだろうと思いますし、その中に当然国民と国会の評価というのは入ってくるものだと思います。

 これから、この法案をお通しいただいた後、正式に決まってくる中身を我々もよく精査し、また国会でもよく御議論をいただきたい、このように思います。

松原委員 まだ質問はたくさん残っていますが、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

戸井田委員長代理 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いをいたします。

 今回のこの国家公務員法等改正法案、皮肉を込めて申し上げれば、お役所の皆さんは非常にうまくお考えになられたなというふうに思います。

 それはどういうところかというと、押しつけ的あっせんによる天下りは根絶する、あるいは、予算や権限を背景とした天下りは根絶をすると言いながら、一方で、官民人材交流センターというものを設置し、その制度設計はこれからの具体の議論にゆだねられるようでありますが、今後、アメリカ的な、官民の人材がその官民人材交流センターを媒介として行ったり来たりするという仕組みに変えていこうと。一方で、天下りは根絶しましたという国民に向けたアナウンスもできる。一挙両得をねらっていらっしゃるのかなというふうに思います。

 しかし私は、アメリカ的な風土と日本の風土というのは全く違うというふうに思います。なぜかならば、アメリカのこの間の米国産牛肉の問題などでも政府とさまざまに議論をさせていただきましたが、例えば、米国の農務省の食肉販売の責任者は、米国食肉生産者協議会という民間団体の専務理事をされた方が今米国農務省の牛肉販売の責任者になっていて、だからこそ、日本に牛肉を買え買えと、その業界団体の圧力を背景におっしゃる。さらには、ホワイトハウスは、ゴールドマン・サックスがそのまま移ってきたのではないかと言われるぐらいに、ゴールドマン・サックスからの出身の方々が多いというふうに言われている。

 日本も、そういうことを、官民の人材が自由に行き来するようになれば経済的にも効率が上がるのではないかというようなことをお考えになっていらっしゃるのかもしれないが、しかし、日本的な風土の中では、それは官民の交流ではなく、単なる官民の癒着が進むだけではないのか。

 それが、大変悲しい出来事でありましたけれども、二日前の松岡大臣のみずから命をお絶ちになられた事例や、あるいは緑資源の元理事の方も後を追うようにして命をお絶ちになられたというようなことからも考えると、日本においては、やはり官と民の垣根あるいは壁というものをしっかりとしておかなければならない。それが、さまざまな官製談合、政府の文書の中にも、閣議決定文書の中にも書いてあったと思うんですけれども、私どもが官製談合や押しつけ的あっせんなどを回避していく唯一の方法ではないかというふうに思います。

 そういう視点で、本日は質問を幾つかさせていただきたいというふうに思っておりますが、まず、日本の政府は、毎年海外で大変多額の無償資金協力、ODAなるものを展開しております。国民的には、大変に日本の国の中の経済が厳しいときに、なぜ海外にそんなに援助しなければならないんだという素朴な国民の皆さんの思いも一方ではある。そういう中で、政府としては、ODAを強化していくのだというような閣議決定までしていらっしゃるわけでございますが、そこでお尋ねをいたします。

 平成十六年、十七年、十八年の無償資金協力案件の年度ごとの案件数、さらに、そのうちの落札率が九九%以上の案件数、一社のみが入札に応じた案件数、それぞれ数字をお答えいただきたいと思います。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

杉田政府参考人 一般プロジェクト無償資金協力及び水産無償資金協力に関しまして、入札において落札率が九九%を超えた案件数ということでございます。(川内委員「いや、年度ごとの案件数」と呼ぶ)はい。

 それで、十六年度でございますけれども、十六年度は、十六年度に閣議決定をした案件が百八十五件あります。そのうち九九%を超えた案件数は百九件。平成十七年度については、百二十一件中七十一件。平成十八年度につきましては、これまで契約認証を了したものが七十二件でございまして、そのうち三十件が九九%を超えているということでございます。

 また、一社のみが入札した案件数ということでございますけれども、これにつきましては、平成十六年度が四十三件、平成十七年度が二十五件、平成十八年度が二十一件でございます。

川内委員 平成十六年度の無償資金協力案件の案件数が百八十五件、そのうち落札率が九九%を超えるものが百九件、一社しか入札に応じなかったものが、その約半分、四十三件。平成十七年度が、案件総数が百二十一件、落札率が九九%を超えるものが七十一件、一社入札が二十五件。平成十八年度が、現状わかっているもので、案件数が七十二件、九九%以上が三十件、一社入札が二十一件。

 驚くべき数字であろうというふうに思いますが、年度ごとの無償資金協力案件のトータルの予算をちょっと言ってください。

杉田政府参考人 一般プロジェクト無償資金協力につきましては、平成十六年度が七百八十四億円、平成十七年度が七百五十四億八千万円、平成十八年度が六百七十四億八千九百万円でございます。

川内委員 七百八十億、七百五十億、六百七十億と、それぞれ多額のお金を使っていらっしゃるわけでございます。

 落札率が九九%を超えるというのは、ほとんど談合に近いというか、恐らく談合なわけですけれども、それでは、無償資金協力の主な契約先、主な契約先という言葉を定義しますと、一社入札のうち入札率の高い案件の上位十社に関して、外務省出身者が就職をされていらっしゃいますか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 我が方で把握している限りで、平成十三年四月から平成十九年四月の間に、先生が御指摘の主な契約先の企業において、外務省出身者が五名就職いたしております。

川内委員 この五名については、毎年総務省がお取りまとめになられる再就職の状況調査についてという調査がございますが、この調査に報告をされておりますか。

塩尻政府参考人 私が承知している限りでは、この調査が行われてからは報告させていただいているということでございます。

川内委員 いや、この五人について報告をしていますかということを聞いているんですけれども。

塩尻政府参考人 急なお尋ねで、恐縮でございますけれども、特別の利害のある企業に就職する場合というのは、人事院の承認を認めていただいております。適正な措置をとらせていただいているというふうに承知しております。

川内委員 この五人について、人事院の承認をとっていますか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今この場で御質問いただいたので、手元にある資料でちょっと確認できませんので、これは追って確認させていただきたいと思います。

川内委員 いや、今この場で質問いただいたので答えられないというのは答えではなくて、私は、この五人についてお聞きしますよということを通告させていただいておりますので、この五人が人事院の承認を得て民間企業に天下ったというか、再就職をしたのか否かということについては、これは当然に答えられるべきことですから、答えてください。

河本委員長 川内さん、通告はされておったということですか。

川内委員 はい。要するに、この五人について聞きますよということは言ってありますから。

塩尻政府参考人 いずれにいたしましても、私どもとしまして、先ほどお話ししましたように、人事院への承認も含めまして、適正に対処をさせていただいているということでございます。

川内委員 これは承認を受けていないんですよ。承認を受けていないから、私が、ODAの受注企業上位十社に対して外務省さんはどのくらい再就職をしていますかということをずっと前に聞いたとき、わかりませんと言ったんですから。わかりませんと言ったんですよ、外務省の係の方は。では調べてください、一社一社聞けばわかるんじゃないですか、外務省出身者がいますかと人事の方に聞いてくださいと。そうしたら、調べますと言って出てきたのがこの五人ですよ。三カ月ぐらいかかりました、私が調べてくださいと言ってから。三カ月かかりました。それは、人事院の承認を受けていればすぐわかるはずじゃないですか、そんなもの。承認を受けていないでしょう、この五人は。受けていませんと言わなきゃだめでしょう。

塩尻政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、我々として人事院ともよく協議を行っております。すべての方について申し上げることが今この場でできませんけれども、今私がこの場で確認できるところでは、一部の人についてはそういう承認が必要ないということで人事院と話させていただいております。

川内委員 大臣、こういうごまかしがこの調査にもすべて出ているんですよ。二回目の就職あっせんを受けた人が十六人だと。もうでたらめですからね。こういうふうに答えるわけでしょう。今の答弁を聞いていておかしいと思いませんか。

 では、人事院と相談した結果、一部の人は承認が必要ないという判断に至ったと。それは五人のうち何人ですか。一部の人とか言わずに、何人は承認が必要ない、何人は承認が必要だというふうに判断した、そういうふうに答弁するのが政府の答弁なんじゃないですか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元にある資料に基づきますと、先ほど五人と申し上げましたけれども、そのうちの一名については要らなかったということが判明しておりますけれども、そのほか四人については今この時点でお答えすることはできませんので、御了承いただければというふうに思います。

川内委員 きょうは係の人が来ているわけですから。四名については承認をとってないでしょう。一名はとったんですか。ちょっと、ちゃんと答えてくださいよ。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今し方来から御答弁申し上げているとおり、一名につきましては、これは人事院の承認が必要がないということでございます。それから、残りの四人につきましては、総務省の公表の資料に含めなくてもいいということで対応させていただいているということでございます。

川内委員 委員長、今の説明、わかりましたか。

 一名は人事院の承認が要らないということはわかっている、四名は総務省の公表資料に入れなくてもいいということになっていると。

 私が聞いているのは、民間営利企業に再就職をする場合においては人事院の承認が必要であるはずであります。しかし……(発言する者あり)そうそう、怪しくなければいいんですよ。だから、その辺の、どういう判断をしたのか、そしてどういう手続をとったんですかということをお聞きしているわけですよ。それを委員の先生方にもわかりやすく御説明いただきたい、そういうことですよ。何も無理なことは言っていないですからね。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 手元にある資料で、確実に、人事院と相談して人事院から不必要だというふうに答えをもらったものが一件だということでございます。それで、ほかの四件につきましても、問題がある場合には協議しておりますけれども、ほかの四人についても人事院の承認は必要ないということで対応させていただいたものだというふうに考えております。

川内委員 結局、五人とも人事院の承認を受けていないんですよね。結局、五人とも人事院の承認を受けていないことが今明らかになったわけです。

 では、お聞きします。例えば三菱商事の取締役に再就職していらっしゃる方がいらっしゃいます。この方はなぜ人事院の承認が必要ないのかということについて教えていただきたいと思います。

塩尻政府参考人 国家公務員法百三条に基づいて人事院の承認をもらうということになっております。

 そのときに、再就職できるかどうかということでございますけれども、密接な関係にある営利企業には再就職できないということでございますけれども、そういう密接な関係にある営利企業ではないということであれば問題がないということでございます。

川内委員 無償資金協力案件を落札率九九%以上で、しかも一社入札で落札をしていながら、仕事をしていながら、そういう会社が密接な会社ではないと今外務省は答弁をされたわけであります。

 他方で、渡辺大臣は、国民から見てという言葉を使っていらっしゃいますよね。国民から見て押しつけ的あっせん、あるいは予算や権限を背景とした天下りがあってはならない、根絶するのだというふうにおっしゃっていらっしゃる。

 国民から見て、外務省と三菱商事は密接な関係にあると思いませんか。密接な関係じゃありませんぜとここで堂々とおっしゃられても、私は、はいそうですかと言うわけにはなかなかいかないわけでございますが、その辺は、法律の有権解釈権は外務省が、外務省の省員の天下りについてはお持ちでしょうから、落札率九九%以上の、しかも一社しか入札をしない無償資金協力案件を一番多くとっている三菱商事という会社は外務省にとって密接な会社ではないというふうに私は言いましたから、そうですと言ってください。

杉田政府参考人 お答え申し上げます。

 入札につきましては、無償資金協力の場合には相手国政府ということになっております。ですから、私ども外務省あるいは日本政府が施主ということではないということでございます。

川内委員 役所的にはそういうお答えをされるであろうというふうに思っておりました。しかし、これがお役所の方々の考え方なのであろうというふうに私は思います。

 こういう中で、今私たちが、国会が公務員制度改革の法律を議論しているわけでございますが、さまざまな抜け道、さまざまな言いわけをこれからも一生懸命お役所の方々はお考えになられるのだろうなということを、これまでの議論だけでも十分に予測することができるわけでございます。

 それでは、もうちょっと外務省の五人についてお尋ねをいたしますが、いただいた資料を見ますと、S商事に顧問として天下っていた方が二〇〇六年の三月にその顧問をお引きになると、やはり同じS商事に顧問として二〇〇六年の三月に就職をされている方がおります。M紅という商社に二〇〇二年の十月まで顧問としていらっしゃった方が退職をされると、二〇〇二年の十二月に同社に顧問として再就職をしていらっしゃる方がいる。要するに、S商事とM紅、顧問というポストは、外務省のポストであるというふうにこの資料からは見てとれるわけでございます。

 それでは、S商事あるいはM紅を御退職になられた後どうされたのか、どこに行かれたのかということをお尋ねさせていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの案件、幾つかございましたけれども、そのうちの例えば一つにつきましては、確かに、ある商社会社に勤めておられて、そこを退社しております。ただ、そこを退職した後に別途の再就職をしたということは承知しておりません。その方につきましては、商社に勤めている期間において、その以前から、幾つかの組織で勤務されたということは承知しておりますけれども、退職後に別途就職したということは承知しておりません。

 それから、もう一つの例も挙げられましたけれども、その方についても同様でございます。

川内委員 今、初めてわかりました。退職後にどこかに行かれたわけではなくて、外務省関連のどこかの公益法人の役職を兼ねながら、民間の顧問をしていたということですか。

塩尻政府参考人 最初の例でございますけれども、この方、その商社に平成六年から平成十八年まで勤めておられました。平成六年に退官されて、その後勤めて、平成十八年に退職されておりますけれども、この方は、例えば平成七年からある財団法人に勤めておられたということでございます。

川内委員 その財団法人の名前は別に言っていいんじゃないですか。日本インドネシア協会でしょう。(発言する者あり)もちろんもらっていますよ。もう一人の人は、国際交流サービス協会ですね。

塩尻政府参考人 今御指摘ございましたように、一名は日本インドネシア協会でございます。そこの顧問ということでございます。あと幾つか団体に勤務しておりますけれども、これはいずれも無報酬ということでやっております。(川内委員「今も」と呼ぶ)はい、無報酬ということでやっております。(川内委員「理事、副会長で」と呼ぶ)はい、無報酬ということで承知しております。

 それから、あともう一方の件でございますけれども、一つは国際交流サービス協会に勤務しております。それから、あとフィリピン、日本……(川内委員「この人の報酬は」と呼ぶ)サービス協会については報酬を受けておりますけれども、ほかのものについては無報酬ということでやっております。

川内委員 国際交流サービス協会の報酬はお幾らですか。

塩尻政府参考人 まことに恐縮です、突然のお尋ねなので、今手元に資料を持っておりませんけれども、ほとんど実費に近い形のものだというふうに承知しております。

川内委員 にわかにちょっと信じられないですけれども。衆議院調査局が平成十八年三月に、民主党の議員の予備的調査要求に基づいて調査をされたものなんですが、無報酬で仕事をすることを就職するというんですかね。これは再就職の調査なんですよ。再就職の調査で、無報酬で働いている人のことを就職という言葉でくくるんでしょうか。それこそ役所的に言えば、無報酬だったらば就職ではない、ボランティアであるということで、再就職の人数に入れないはずですけれどもね。

 では、この予備的調査に提出した外務省の資料が間違っていたという理解でよろしいですね。

塩尻政府参考人 まことに恐縮でございますけれども、どういう経緯でそういう資料が出たのかというのは、この場ではちょっとお答えできません。(川内委員「外務省が出したんですよ」と呼ぶ)ただ、もとにどういうものを出したのかということをこの場で申し上げられませんので、申しわけありませんけれども、お答えは控えさせていただきたいと思います。

川内委員 いずれにせよ、国際交流サービス協会は報酬を受けている、日本インドネシア協会の方は、私は再就職というからには報酬があるに決まっていると思うんですけれども、現状、外務省からの御報告では報酬はないというふうにくくっているということでございますので、その辺のそごについてはまた改めてお聞かせをいただきたいというふうに思いますけれども、こういう形で、民間の会社の顧問をしている、一方で、財団法人の会長なりを、この場合は一人ですけれども、受けながら仕事をしている、今もその仕事は続いているということでございます。

 では、平成十九年四月十三日の行政改革推進本部事務局が出している「二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果について」というこの文書の中に、外務省の報告分は、二回目以降の再就職のあっせんはゼロです、ございませんというふうに報告がされています。

 しかし、今、私がODAに関して、無償資金協力のみに関してお聞きしたところでも、最低一人は民間企業の顧問として報酬を得て、さらには、国際交流サービス協会の、多分会長だったと思いますが、会長として報酬を得ているという人がいるわけですね。これは、外務省として、行政改革推進本部事務局のこの取りまとめ調査にきちんと数字を上げるべきではなかったかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

株丹政府参考人 私ども行革事務局が四月十三日に公表しました調査についてのお話だと思いますので、概要を御説明させていただきたいと思います。

 私どもの調査は、平成十六年から平成十八年までの三年間、各府省におきまして二回目以降の再就職のあっせんを行ったことが確認をされたものにつきまして、各府省から回答していただいて、それを取りまとめて公表させていただいたというものでございます。

川内委員 平成十六年から十八年の間に二回目の再就職のあっせんをしたものを調査したということですか、平成十六年から十八年。二〇〇二年は平成十四年、そうすると、これにはかからないということですか。

株丹政府参考人 二〇〇二年は十四年だと思いますので、対象としましたのは、あくまでも十六年から三年の間に再就職のあっせんを行ったかどうかということであります。

川内委員 そうすると、では、外務省としては、このレポートにはかからないけれども、二回目以降の再就職を外務省としてあっせんしている事実が過去にあるということはお認めになられますか。

塩尻政府参考人 お尋ねの件でございます。

 この方は、平成八年から平成十四年まで商社に勤めておりました。平成九年から国際交流サービス協会に勤められているということで、調査の対象となりましたいわゆるわたりには我々としては該当していないというふうに理解いたしております。

川内委員 いやいや、この人のことを聞いているのではなくて、外務省として、一回だけではなく、過去に二回、三回と就職先のあっせんをしているという事実があるということをお認めになられますかということを聞いているんです。この調査は平成十六年から十八年でしょう。

塩尻政府参考人 平成十六年から平成十八年につきまして、いわゆるわたりの就職というのは確認できなかったということでございます。

川内委員 だから、平成十六年から十八年はわかったって。平成十六年から十八年はもういいんですよ。それはわかりました、外務省として確認できなかったということですね。

 しかし、きょう私が質疑の中で明らかにしたとおり、過去に、一回、二回、三回と就職のあっせんをした事実があるということをお認めになりますかということを聞いています。

塩尻政府参考人 いずれにしましても、二回目以降の再就職のあっせんがどういうふうな状況になっているかということでございますけれども、私どもが承知している範囲で、持っておる行政文書の範囲では、そういったあっせんというものは確認されなかったということでございます。

川内委員 では、国際交流サービス協会もM紅も、この人が一人で就職活動をしたんですか。そういう理解なんですか、外務省は。

塩尻政府参考人 今御指摘のございました商社に勤めていた人間でございますけれども、この方は平成九年に国際交流サービス協会に入っておりますけれども、その時点でどういうことがあったのか、申し上げたとおり、我が方が持っている行政文書を調査した限り、あっせんがあったということは確認できていないということを申し上げております。

川内委員 大臣、国際交流サービス協会というのは何をする会社かというと、我々が海外に行くと大使館の方々にさまざまな便宜供与をしていただくわけでございますけれども、派遣員という若い人がいるじゃないですか、この派遣員を派遣する仕事をしているのが国際交流サービス協会ですよ。そこの会長になるのに、外務省として関与したことを確認する文書はございませんでしたと今言ったんですからね。これが外務省並びに霞が関の体質ですよ。

 そういう中で、では、官民癒着、あるいは押しつけ的、あっせん、あるいは官製談合をなくしていくにはどうすればいいのかということをしっかりとやらなきゃいけないときに、まず事実がどうなのかということを正直に言わせなければ、それは問題の改善なんかできっこないですよ。

 ではもう一つ。もうすぐ厚生労働委員会で強行採決をされるかもしれませんが、社会保険庁の問題をちょっと取り上げたいと思います。時間がないので、事実関係をちょっと私の方から言いますから、社会保険庁にそうですと言っていただきたいんです。

 これは何か社名を言ってしまうんですが、社会保険庁の年金のコンピューターシステムを受注している企業の中にNTTデータがある。多分、今まで通算で九千億以上をこのNTTデータにシステムの予算を使っているということでございますが、では、このNTTデータに再就職をしている人がいますか、あるいはいましたかということをちょっと教えていただきたいというふうに思います。

 NTTデータとその関連会社について教えてください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の退職後におきます再就職の状況は、公務を離れた個人に関する情報でございますので、一般に政府が把握する立場にはございません。したがいまして、御質問のNTTグループについての再就職の状況については把握しておらないわけでございますけれども、しかしながら、実は、十八年に御照会がございまして、社会保険庁とシステムに関して委託契約を結んでいる企業への再就職の状況についてということであったわけでございます。したがいまして、十八年のときに、相手先企業の協力を得まして調査したわけでございます。

 その結果でございますが、厚生労働省の職員でございまして本省企画官の相当職以上で退職した者ということでございまして、平成十八年四月一日以降はだれもおらないということでございます。

 しかしながら、その前はどうであったかということでございますが、十八年二月現在ということで把握しておるわけでございますが、株式会社NTTデータに谷口正作という者が在籍しており、株式会社NTTデータシステムサービスに中山和之という者が在籍しておりました。二人とも、平成十八年三月末で退職したということを確認しているところでございます。

川内委員 では、その二人は、NTTデータあるいはNTTデータシステムを退職した後、どのようなお仕事についていらっしゃいますか。ポストも含めて答えてください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、株式会社NTTデータに在籍しておりました者は、現在、全国社会保険協会連合会の常務理事ということでございます。また、株式会社NTTデータシステムサービスに在籍していた者は、社会保険診療報酬支払基金の監事ということでございます。

川内委員 大臣、いいですか。これは完全なわたりでしょう。

 NTTデータとNTTデータシステムサービスは、ずっと厚生労働省のポストなんですよ、二つ。常務取締役。二つともずっとポストで、国会で指摘をされてやめました。その後、社会保険診療報酬支払基金とか全国社会何とかという厚生労働省の関係団体のそれぞれ役員になっていらっしゃるわけです。これは完全なわたりですよね。

 しかし、平成十六年から十八年に調べましたというこの紙には、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果には、厚生労働省はゼロで、全く報告していませんね。これはしかし、平成十八年の三月ということで、報告にしなければならない事例だったんじゃないですか。

清水政府参考人 社会保険庁を含めての厚生労働省でございますけれども、厚生労働省におきましては、人事院の承認を必要とする営利法人のポストに再就職する場合、承認を得た旨の書面は当然残っておるわけでございます。

 しかしながら、それ以外の場合には、みずから就職先を見つけたものなのか、いわゆるあっせんによるものなのか、そういう確認ができないところでございます。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

川内委員 NTTデータとNTTデータシステムに行くときは、これは人事院の承認があったんですね。

清水政府参考人 先ほど申し上げた二名についてでございますが、人事院の承認は受けていないと承知してございます。

川内委員 ということは、この二人はどこに行ってからNTTデータとNTTデータシステムに行ったんですか。そのNTTに行く前のポストを教えてください。もう時間がないので手短に。

清水政府参考人 まず最初の者につきましては、退官後、年金福祉事業団に在籍しておりました。それから二番目の者でございますけれども、退職後、こども未来財団という財団に所属してございました。

川内委員 大臣、今お聞きになられましたでしょう。厚生労働省の所管団体に退官後いました、ある一定の期間経過後、でかい民間企業の常務様になりました、またその後、今度は厚生労働省の所管団体に行きました、だけれども、そんなことは私どもは知るよしもありませんでしたと答えられるわけですよ。これはひどい話じゃないですかね。

 私は、まずこういう法律を議論する前提として、一体こういうことがどのくらい行われているのか、まさしく予算や権限を背景とした押しつけあるいはあっせんそのものではないかというふうに思います、これは全部随契ですからね。先ほど松原仁筆頭からも、再調査をすべきではないかというお話がございましたけれども、もう一度各府省に、正直に全部言いなさいと。この政府の法律では、今後はやりやすいようにできているわけですから。しかし、そういう官民の癒着はだめですよ、押しつけ的あっせんはだめですよ、官製談合につながるようなものはだめですよということで仕切っていくわけでしょう。であるならば、どういうものが押しつけ的あっせんになるのか、官製談合の温床になるのかというようなことを一つ一つ具体に見ていかなければ、判断できないというふうに私は思うんですね。

 大臣の再調査への意気込みを最後にもう一度、御答弁をいただいておきたいというふうに思います。

渡辺国務大臣 川内委員には私の苦労がわかっていただけたものと思います。大変な抵抗に遭いました、正直なところ。

 調べたところが、十六件出てきたということでございます。我々は、この際、もう各省によるあっせんは全面禁止をしようという決断をいたしました。民主党におかれても、我々と同じことを決断されて今回提案をしておられるわけでございますから、民主党における立法事実の調査はどうやったのかは私は存じませんけれども、同じ提案をしているわけでありますから、予算、権限背景の押しつけ的あっせんによる天下りを根絶する点では一致していると思いますので、ぜひ今国会においてこの法案を成立させていただきたいと思います。(発言する者あり)

川内委員 いやいや、後藤田さんがよしと言うと、私も何となくそうかなと。尊敬しているので、そうかなと思ってしまうんですね。しかし、役所のごまかしというか、やはりその辺をしっかり国会の側がまず明らかにさせた上で、では、それをどうしていくのかということを議論するのが順番ではないか。

 また引き続き質疑に立たせていただく機会もあろうかと思います。そのときに、またさらにその辺について議論をさせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

西村(康)委員長代理 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうも、先ほど松野委員からも質問やまた問題の提起がありました。この法律を提案しているのは渡辺大臣なんですけれども、しかし、国公法とか公務員制度というのを所管するのは総務省、総務大臣で、センター長の方は官房長官ということになるというのがこの法律の仕組みですけれども、それだけに、やはり総務大臣に出席をしていただいての質疑が本来的には非常に大事であるというふうに私は考えているんです。

 理事会では松原理事からも総務委員会との連合審査という提起もありましたし、総務委員会におきましても武正理事の方から連合審査ということが提起されているわけですが、やはりこの法律は、ただ提案して終わりだけじゃなしに、提案した後は、所管する大臣はかわってしまうという法律なんですから、私は、そういう点では総務大臣の出席を求めた委員会での質疑というものはきちんとやられなきゃいけないと思いますので、この点については委員長の方に、まずお取り計らいをお願いしたいと思います。

西村(康)委員長代理 今も筆頭間で協議しておられますけれども、理事会で協議をしたいと思います。

吉井委員 それでは、きょうはまず私は、法案の第三章の表題、これを「官職の基準」から「職員に適用される基準」に改正しているわけです。現行法は官職に見合う能力のある職員を官職に充てるという考え方だった。そのために官職の分離基準があったわけですが、今度は職員に適用する基準となったわけですね。これは職員に官職を充てるということになるのか、この改定の趣旨について大臣にまず伺っておきたいと思います。

株丹政府参考人 今お尋ねがございましたように、目次の部分で変更している部分がございます。

 もともと、国家公務員法制は職階制というものを入れた形になってございますけれども、現実にはそれが実施をされないという状況の中で、今回、能力・実績主義を入れるに当たりまして、内容を精査いたしまして、さらに地方公務員法の目次の状況等も勘案をして、今委員御指摘のような形に変えさせていただいたところでございます。

吉井委員 私は大臣に聞いたんですが、何か審議官がいつの間にか大臣になった気分で勝手に答弁してもらったら困るわけで、また大臣にならはったらあなたに聞きますから。

 法案は、第二十七条の二に、「職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれてはならず、」「人事評価に基づいて適切に行われなければならない。」という、これはこの間も触れたところですが、大臣、この規定を設けた理由、これを伺っておきたいと思うんです。

渡辺国務大臣 採用の年次とか試験区分とか、そういうものにとらわれない、能力・実績主義を導入しようという趣旨でございます。まさしくここのところが、法律に書いていない、かたい岩盤になっているわけであります。

 ノンキャリはキャリアに比べて出世のルートも出世のスピードも全然違う、そんなことは法律のどこにも書いていないわけですね。しかし、ノンキャリの中にも大変優秀な人もいる。現場の人心収らんにすぐれた能力を発揮する人もいる。一方、キャリアの中にも、余り仕事ができない人も中にはいたりするというわけでありますから、同期横並びで昇進をする、その法律に書いていないシステムがあるがゆえに、ポストがなくなる年代になると肩たたき、天下りあっせんが行われるという弊害が明らかになっているわけでありますから、まさしくその根幹のところにメスを入れようということで、今回の改正になったわけでございます。

吉井委員 要するに、採用区分にとらわれず人事評価を行う、そういうことですね。

 それで、昨日の参考人質疑でも意見が出ておりましたが、二十七条の二に「採用試験の種類にとらわれてはならず、」としている前提は、採用試験の種類があるということで、この採用試験の種類というのは現行国公法にはない規定です。採用区分は人事院規則で決めていたわけですね、これまでは。法律に採用試験の種類を書き込むことで、採用試験の種類に法的根拠を与えるということになるのではないかという懸念も示されておりますが、この点についての政府の解釈の方を大臣にまた伺っておきます。

林副大臣 今までも、委員が御指摘のように、法律自体の文言としてはなかったということでございますが、大臣から今御答弁がありましたように、実際上はちゃんと人事院の方で1種試験、2種試験、3種試験、こういうふうにやっておりまして、人事院の方できちっとした基準で定めておったわけでございますので、そういったことを踏まえて、今回は明文化をして、そういうことにとらわれないということにしたところでございます。

吉井委員 そうすると、この法案のねらいというのは、1種採用者を最初から特別扱いにして、昇進、昇格等で超スピード出世するようなことはなくすというところにねらいがあるのか、別なところに主眼が置かれているのか、この点はどうなんでしょうか。

林副大臣 大変大事なところであろうかと思いますし、大臣からも御答弁もあるところでございますが、まさに今回の法案で、能力・実績主義の人事管理を徹底するということで、新しい人事評価制度を導入して人事を行うということを定めておるわけでございまして、まさに採用の年次や、今委員が御指摘になった試験区分にとらわれずに、この新しく定めます能力と実績の評価に基づいて人事を行わなければならないということでございます。

 たびたび議論になるところでございますけれども、今委員からも御指摘があったように、1種に受かったから、もう超特急で同じように上がっていく、例えば、きちっと評価をやってみても人事評価がよくないにもかかわらずそういうことが行われるというのは、この法案できちっと、そういうことのないように、能力、実績に基づいた人事管理をやっていこう、こういう考え方であります。

吉井委員 そうすると、少なくとも採用区分の1種、2種は一本化する方向が必要だと思うんですね。昨日も参考人のほぼ全員の方からそういう趣旨がありましたし、今も採用区分にとらわれない人事評価を進めようとしているというお話ですから。

 そうすると、一本化の方向は当然なんですが、なぜ1種、2種の区分をなくさないのかという問題が出てくるんですね。これはどういうことでしょうか。

林副大臣 これは、現行の1種、2種、3種、どのような考え方で、どういう細目でというのは、担当されておられる人事院の方にも聞いていただけたら、こういうふうに思いますけれども、能力・実績主義で、先ほど私が申し上げました、だんだん上がっていく、キャリアがどんどんどんどん一緒に上がっていくということがなくなってまいりますと、まさに今委員が御指摘になりましたように、1種、2種というものは入り口を分ける必要があるのか、そういったことになるかもしれない。

 我々も、議論の過程ではそういうことを考えまして、今回の法案にはまだそこまで盛り込んでおりませんけれども、同時に閣議決定をいたしました全体像の中では、この採用の部分についても聖域なく議論をしていくというふうにしたわけでございまして、総理のもとに置かれる方の有識者会議で、採用から退職に至るまでの全体をパッケージとして議論していこう、こういうことにしたわけでございます。

吉井委員 ここで塩崎官房長官に伺っておきたいんですけれども、今やっておった議論、要するに、1種採用者を最初から特別扱いして、昇進、昇格で超スピード出世する、こういう現状のキャリアシステムについて、どういう基本的な認識を持っておられるか。官房長官の基本認識というものをお聞きしておきたいと思います。

渡辺国務大臣 採用区分にとらわれない、年次にとらわれないというのは、もうまさしく現実が、そういう法律に書いていないところにとらわれた人事が行われているわけでありますから、そういったことを是正しようということでございます。

 言ってみれば、法律に書いていないプラグマティックルールが世の中を動かしている。しかし、それが大変な弊害を生んでいるとするならば、これはきちんと法律に書いて、ノーマティブルールとして、そういうことをやってはいかぬということであろうかと思います。

吉井委員 いや、今初めてわかったんですが、安倍内閣では行革担当大臣が時には官房長官も兼ねるんですね。私は、官房長官の基本認識を聞いたんです。官房長官にキャリアシステムについての基本認識が特になければ、ないと言ってもらったらいいんですけれども、その確認をしようと思って伺ったんです。

塩崎国務大臣 現行の1種、2種、3種、そういうキャリアシステムについてどう考えるのかと、基本認識を問われているということだろうと思います。これまで機能してきた時期もあったかと思いますが、新しい時代に、二十そこそこで1種、2種、3種という言ってみれば路線を分けていくことにどれだけの意味のある時代になったんだろうかということを考えてみると、やはり、そのときそのときの時代のニーズに応じた能力というものを官において民のために発揮していただくということが大事なんだろうなというふうに思います。

 しかし、いずれにしても、我々はいろいろな工夫をしないといけないと思っておりまして、今までのように、1種で入ったらそのまま最後まで、他の2種、3種よりもはるかに先に行っているということが評価なしに行われることはいかがなものかなということを問題意識として持っていて、これからはひとつ評価に基づく人事というものをやっていく、これが今回の大きな変更点であり、能力・実績主義と我々が呼んでいるものであります。

 それに応じてどういう制度にしていくのかというのは、これは総理のもとに、採用から退職まで公務員制度全般を考える有識者会議をつくっていこうということで、今回の、今御審議をお願いしている国家公務員法でカバーする問題だけではなくて、その採用、あるいは今の1種、2種、3種、こういった職制にかかわる問題についても、全体としてパッケージの議論をしていこうじゃないかというふうに考えているわけでございます。どういう制度がいいのかというのは、まだこれからその有識者会議の中で議論をしていかなければならないというふうに思っておりますし、その基本認識は、閣議決定をしている政府・与党合意の中に含まれているものでございます。

吉井委員 ここで、ちょっとキャリアシステムについて人事院の方に伺っておきたいと思うんですが、国公法上の法的根拠はどういうふうになっているか、それから、このキャリアシステムというのはどういう経過でシステム化されてきたのか、このことを人事院に伺います。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今お話に出ておりましたように、キャリアシステムというのは法的に根拠があるわけではございませんで、いわゆるキャリアシステムということで、各府省におきまして人事運用上の慣行として行われているものであります。

吉井委員 このキャリアシステムが、国公法の理念から見て一体妥当なシステムなのかどうかということですね。

 それから、今、このキャリアシステム、組織にとって弊害が生まれてきていると思うんですよね。この弊害を人事院としてはどういうふうに見ているのか、この点を伺います。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 そういう慣行でございますけれども、いわゆる事務系、技術系などによって差は見られるところでございますけれども、一般に、採用時の一回の試験によりまして将来の幹部昇進が約束されてしまうだとか、あるいは、同期がほぼ同時に昇任をしていくために早期退職慣行の原因となっている等の批判があるところでございます。

 他方で、幹部要員を計画的に確保、育成するということは今後とも極めて重要でありまして、そのための仕組みにつきましては、民間企業の例や諸外国の公務員制度を参考にしながら、幅広く検討をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 一方で、当面の問題といたしましても、公務の昇進管理につきましては、人事評価制度の整備の状況等を踏まえながら、年功的なものから、より能力、実績や適性に基づいたものとしていく必要があるところでございまして、このため、1種採用職員につきましては、各府省が採用後の早い段階から、能力や適性を適切に把握し、節目節目において厳正な選抜を行うとともに、意欲と能力のある優秀な2種、3種等の採用職員につきましては、人事院が示しております登用指針等に基づきまして、採用試験の種類にとらわれることなく、職員の能力や適性に応じた幅広い人材登用を進めていくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。

吉井委員 幅広い人材交流というお話もさることながら、まず、人事院として、二〇〇二年の人事院勧告で報告を内閣に提出しておられるので、私、そのポイントだけちょっとメモっておいたんですけれども、要するに、キャリアシステムというのは、戦前の文官高等試験のもとでのシステムが運用としてずっと継続してきた。その中でさまざまな弊害が出ているんですが、そのシステムによって、1種採用職員の中には誤った特権意識を抱く者が出てきたり、優秀な2種、3種採用職員の意欲をそいだりすることとなり、また組織の活力の維持に支障を生ずる弊害が出ていると。

 これは、人事院自身が内閣にそういう報告をきちんと出しているわけですから、そういう認識で、このキャリアシステムには問題ありというのが人事院の見方なんだろうと私は思っていたんですが、これはそういう見方をきちっとしているわけでしょう。弊害ありということですね。どうですか。

鈴木政府参考人 そういう問題があるということを認識として申し上げたところでございます。

吉井委員 それで、塩崎官房長官に伺っておきたいのは、人事院は、このキャリアシステムは国公法の理念に合わないシステムだと内閣に報告も出して言ってきているわけです。だから、このために国家公務員の大多数を占めるいわゆるノンキャリ職員がどういう存在になっているかということを、やはりよく考えなきゃいけないと思うんです。

 キャリアだって、よい者もあれば悪い者、まずい者もあるんですけれども、ノンキャリアの方で非常にすぐれている人もまたたくさんいらっしゃるわけで、人事の扱いを最初から別にするというのは、やはりこれは非常に非民主的な、弊害が多くなってきているやり方です。

 だから、公務員制度改革というんだったら、こうした一部官僚の特権的、非民主的なやり方を廃止するのか、採用区分の見直しをやるなど抜本的な見直しを行うのかということが必要になってくると思うんですが、この点についての官房長官のお考えを伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 先生おっしゃるように、抜本的な公務員制度の見直しというのをやらなきゃいけないという認識は私どもも全く同じで、閣議決定の中にそれを書いてあって、言ってみれば公務員制度の基本法のようなものを私たちとしても来年の通常国会を目指してつくっていこう、こういうふうになっているわけでございます。

 その中に、今御指摘のようなキャリアシステムの見直しというのが当然入ってくるわけであって、さっきも申し上げたとおり、採用のときに、1種で優秀であったというふうに思われていながら、十年、二十年たつうちに、必ずしもそうでもない。一方で、いわゆるノンキャリアと呼ばれている人たちの中で、極めて優秀な人がめきめきと伸びていく、こういうこともあるわけでありますが、今の制度だと、どうやっても線路が違う、隣の線路には行けないというようなことになるわけでありますから、そこはどうだろうかと。

 何度も申し上げますけれども、民のためにある官でありますから、官で優秀な人が十分にその活躍ができないというのではいけないということで、さっき申し上げたように、国会での御審議をにらみながら、総理のもとに、採用から退職に至るまでの公務員制度全般にわたっての議論をする有識者会議を立ち上げて、今先生が御指摘になったような問題意識も持ちながら議論を深めて、基本法をつくっていこうじゃないか、こういうふうになって、今我々もまさにこれから努力をしようと思っているところであります。

 この国会でぜひこの法案を通していただいて、そういった次なるステップに進めさせていただければありがたいなというふうに思っております。

吉井委員 次に、渡辺大臣に伺っておきたいのは、今議論していました二十七条の二の前の、二十七条の方ですね、平等取り扱いの原則です。この規定というのは改定条文ではないわけですが、人事管理の原則の前提となる大事な原則で、人種、信条、性別、社会的身分などで差別してはならないという規定ですね。この規定というのは、人事管理原則の任用、給与その他の人事管理と不可分の関係にあるものです。

 そこで、政府に、平等取り扱いの原則と人事管理の原則との関係について、ここをどういうふうに認識しておられるか、簡潔で結構ですから、まず最初に伺っておきます。

林副大臣 今委員の御指摘にありましたように、国家公務員の人事管理につきましては、先ほど来御議論になっております成績主義というのがございまして、これは三十三条一項でございますが、今委員が御指摘になりましたのが同法第二十七条でございまして、平等取り扱いの原則を定めているところでございます。

 したがいまして、当然のことであろうかと思いますけれども、昇任、昇格については、これらの原則を踏まえて任命権者それぞれのところで職員の勤務実績に基づき適切に判断すべきものであって、当然のことでございますけれども、合理的な理由のない差別はあってはならないというふうに考えておるところでございます。

吉井委員 ここで財務省の方に伺っておきます。

 私も大蔵委員会や財金委員会で何度かこれは取り上げたことがありますが、平等取り扱い原則は人事管理原則の前提ですが、しかし、運用上かなり外れているというのが現実にはあって、時には、労働組合つぶしの目的で、組合員差別や昇任昇格差別とか、そういったことまで出ている事例があります。

 財務省の東京税関で働く職員が組織している全税関の組合員に対して、組合つぶしの目的で税務当局が差別賃金、昇任昇格差別を行った事実があります。組合員は、この組合つぶしに二十八年間にわたって裁判を闘い、最高裁判決では、二〇〇一年十二月十三日に判決を言い渡して、東京税関当局は差別意思に基づく分裂助長など不法な差別を行ったと差別認定した行為を列挙して、一つは、団結権の侵害、憲法十四条、国公法百八条の二の違反、もう一つが、差別禁止、不利益取り扱いを禁止した平等権の侵害、憲法十四条、国公法二十七条、国公法百八条七の違反だということが示されて、税務当局は最高裁の確定判決に従って全税関東京支部に損害賠償金を支払ったと思うんですが、そういう判決が下されたというこの事実だけ確認をしておきます。

森川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる全税関訴訟の最高裁判決におきまして、神戸、大阪事案については全面的に国側の主張が認められている、他方で、東京、横浜事案におきましては、おっしゃいましたとおりに、一部、団結権の侵害の関係で国側の主張が認められなかったというのは事実でございます。

吉井委員 総務省の方に伺っておきますが、これは組合差別だけじゃなくて、男女差別の問題も現実にはひどいものがあって、総務省統計局研修所の事例では、主任は三級の格付で現在四十名いるわけですが、その八割が女性で、それは、男性はほとんど主任を飛び越して上へ上がっていくからなんですね。そういう結果になっているんです。それから、現在、一九六五年以降の3種採用者の格付を見ても、四級以上の女性はわずか二割、男性は五割。余りにもひどい差別の実態というものが見られますが、総務省に、そういう実態があることはこの資料を見ればすぐ出てくるんですが、確認しておきます。

荒木政府参考人 お答えいたします。

 職員の任用につきましては、国家公務員法に定められております平等取り扱いの原則及び成績主義の原則に基づきまして、公平公正に実施しております。

 ただいま統計局についてのお話がございましたが、統計局の人事に当たりましても、職員の上位官職への昇任、昇格に当たりましては、男女を問わず、本人の経験、能力、勤務成績などを総合的に勘案いたしまして公平公正に行っているところでございます。

吉井委員 今の公平公正で、もういいです。わかりました。

 それで、これは官房長にもよく聞いておいてほしいんですけれども、実はもうこれは歴史的には古くて、一九八六年の十一月に我が党の正森議員がこれを大蔵委員会でやったときも、大橋政府委員の方から、人事は公正に、勤務成績、能力、適性云々と、今と同じ答弁を本当にずっと繰り返し繰り返しやってきているんですが、しかし、最高裁判決を今御紹介しましたように、現実に組合員差別だとか男女差別というのがあるわけです。それで、この点では私は、やはりこういう差別は、これは人事は公正にやるというのは言葉だけじゃなしに、実態においても差別があっちゃならない。これは非常に重大な問題だと思うんです。

 かつて、塩崎潤国務大臣からもこの問題について、女性差別の人事なんかあっちゃならないということを伺ったりしているわけですが、最後に塩崎官房長官に、使用者たる政府の代表として、こういう任用実態を放置していては、これからの人事評価を公正にできるという保証というものはやはり生まれてこないと思うんですよ。言葉では差別はだめだと言っても、実態としてあるというんじゃ公正な人事の担保になりませんから、また、恣意的な人事が行われるおそれさえありますから、政府の責任として、職場で起こっている任用問題を、差別的な任用等があればそれはきちっと政府の責任で是正する、そういうことは今後やはり許さないという、憲法の規定に基づいた措置をとられるということが必要だと思うので、これを官房長官に最後に伺っておきます。

塩崎国務大臣 先生が冒頭で御指摘になられたように、国公法第二十七条の平等取り扱いの原則、そして現状の国家公務員法でいきますと任免の根本基準ということで第三十三条、これはもう基本的な条項としてあるわけでございます。ですから、成績主義の原則、平等取り扱いの原則、これに従って、やはり昇任、昇格の原則を踏まえた扱いでなければいけないということであるわけでございまして、各任命権者において、当然のことながら、職員の勤務実績に基づいて適切にやはりここは判断をしなければならない。そして、合理的な理由のない差別はあってはならないということであることには変わりはないというふうに思います。

吉井委員 各省庁ごとにいろいろなことが現実には起こっていますから、実態においても、男女差別も、組合所属のいかんによっての差別とか、そういうことがあっちゃなりませんから、そこはきちっと内閣としてやってもらいたい、このことを申し上げまして、時間になりましたので質問を終わります。

河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十八分散会


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