第25号 平成19年6月1日(金曜日)
平成十九年六月一日(金曜日)午前九時十八分開議
出席委員
委員長 河本 三郎君
理事 木村 勉君 理事 後藤田正純君
理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君
理事 平井たくや君 理事 泉 健太君
理事 松原 仁君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 武彦君
遠藤 宣彦君 小里 泰弘君
岡下 信子君 嘉数 知賢君
木原 誠二君 鈴木 馨祐君
谷本 龍哉君 寺田 稔君
土井 亨君 中森ふくよ君
西本 勝子君 林田 彪君
松浪 健太君 村上誠一郎君
市村浩一郎君 小川 淳也君
岡本 充功君 川内 博史君
佐々木隆博君 田嶋 要君
細野 豪志君 馬淵 澄夫君
渡辺 周君 石井 啓一君
吉井 英勝君
…………………………………
議員 馬淵 澄夫君
議員 武正 公一君
議員 泉 健太君
議員 鷲尾英一郎君
内閣総理大臣 安倍 晋三君
総務大臣 菅 義偉君
国務大臣
(内閣官房長官) 塩崎 恭久君
国務大臣 渡辺 喜美君
内閣府副大臣 林 芳正君
文部科学副大臣 遠藤 利明君
農林水産副大臣 山本 拓君
内閣府大臣政務官 岡下 信子君
内閣府大臣政務官 谷本 龍哉君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 株丹 達也君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君
政府参考人
(総務省行政管理局長) 石田 直裕君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 塩尻孝二郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 杉田 伸樹君
政府参考人
(文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官) 石野 利和君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局次長) 鳥生 隆君
政府参考人
(社会保険庁総務部長) 清水美智夫君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 山田 修路君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 中富 道隆君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 竹歳 誠君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 榊 正剛君
政府参考人
(農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君
参考人
(日本中央競馬会理事長) 高橋 政行君
参考人
(農林中央金庫代表理事理事長) 上野 博史君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
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委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 小里 泰弘君
木原 誠二君 鈴木 馨祐君
村上誠一郎君 西本 勝子君
市村浩一郎君 田嶋 要君
小川 淳也君 岡本 充功君
佐々木隆博君 川内 博史君
同日
辞任 補欠選任
小里 泰弘君 赤澤 亮正君
鈴木 馨祐君 木原 誠二君
西本 勝子君 村上誠一郎君
岡本 充功君 小川 淳也君
川内 博史君 佐々木隆博君
田嶋 要君 市村浩一郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)
特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)
独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)
――――◇―――――
○河本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、文部科学省スポーツ・青少年総括官石野利和君、経済産業省大臣官房審議官中富道隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。
○田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。
まず、質問に入ります前に、きのうの夜、深夜三時過ぎの理事懇ということで、このように職権によって委員会が立てられた、しかもこの朝九時から、九時二十分から、このことに強く抗議したいと思います。おかしいと思います。
それから、もう一点でございますが、この法案の中身を見れば、きょうは菅大臣もお見えでございますが、総務委員会との連合審査が行われてしかるべき、そのように考えます、私自身も総務委員会でございますけれども。まさにそういう内容をきょうは独立行政法人に関しても扱わせていただきますが、その通則法も所管は総務省でございます。
そういうことで、連合審査を行っていただきたいということを検討いただきたいんですが、委員長、いかがでしょうか。
○河本委員長 理事会で協議いたします。
○田嶋(要)委員 連合審査、協議をよろしくお願いいたします。
それではきょうは、天下り関係ということで、特に独立行政法人の関係で質問をさせていただきます。
さきの党首討論の中でも安倍総理がおっしゃっておりました。これは社会保険庁の関係でございますが、親方日の丸の体質を変える、そのために非公務員化をするんだというお話がございました。
渡辺大臣、非公務員化すれば親方日の丸は変わるんでしょうか。どういう御認識であるかということを、まず冒頭お伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 昔、中曽根行革の時代に、国鉄、電電公社の民営化ということを行いました。まさしくこれは劇的な大転換でありました。その結果どうなったか。公務員から民間人になった二つの組織の方々は、どちらも、利用者の立場から見ますと、大変親切になった、あるいはサービスが向上したという評価をいただいたのではないでしょうか。
独法あるいは今回の社保庁の改革というのは、民営化ということではございません。しかし、公務員の身分が、身分保障という制度に守られて、ともすれば親方日の丸的な弊害をもたらすことがあるわけでございます。したがって、そういう体質を変えるのに、非公務員化という道は大いに効果があるのではないでしょうか。
○田嶋(要)委員 今、公務員を民間人にというお話がございましたけれども、大臣、確認ですが、非公務員化というときの非公務員というのは、イコール民間人という意味でしょうか。
○渡辺国務大臣 例えば独法においては、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業であって、国がみずから主体となって直接実施する必要のないもののうち、民間にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを実施する法人という定義がございます。したがって、こういう法人の中で非公務員という身分を持ってこうした独立行政法人の事務事業を行っていくわけでございまして、世上使われている民間人という定義とは若干この点で異なるかと思います。
○田嶋(要)委員 公務員と民間人という定義がある中で、非公務員という第三種をつくりまして、何だか、独立行政法人制度が始まったときは淡い期待もありました。しかし、よく考えてみれば、税金で食っているんですよ。民間人とは違って、非公務員も同じように税金で食っている。私は、そのところが基本的には親方日の丸かどうかということを大きく決定する要因だ、そのように考えておるんです。
したがって、独立行政法人も天下りの問題の一つのテーマでございます。緑資源の問題に象徴されるように、まさにそういう問題が今回出てきたわけでございますし、また、民間議員からの主張として年内に何とかという話もございましたけれども、やはり、税金で食っている組織という問題をしっかりと認識していただきたいというふうにまず私は申し上げたいと思います。
それで、きょう、この文部科学省所管の独立行政法人日本スポーツ振興センターの件に関してお伺いをいたします。
大臣、どの程度事前に研究していただいたかわかりませんけれども、今おつけした資料がございますので、ごらんください。
いろいろなものの切り張りでこういう資料をつくりましたけれども、これは、先ほど申し上げた非公務員、そして天下り、例によって天下りばかりですよ、天下りの理事長以下理事、そういった方々の経営によってどういうことが起きているか。社会保険庁の問題がメガトン級であれば、そこまで大きくはないにしても、私が申し上げたいのは、ちりも積もれば山となる、至るところにこういう世界があって、国民の税金の無駄遣いが果てしなく続いているんだということです。
だから、独立行政法人は、先ほどもおっしゃいました、民に任せておいたらできない部分をやる、もう必要最小限、その厳正なチェックをもう一度ゼロからやっていただかないと、無駄遣いがあるだけじゃなくて、そもそもその法人、団体が本当に必要性があるのかどうか、そのことを厳しく見ていただかないといけません。
一ページ目の表をごらんください。一番上の数字はtotoの事業です。toto、サッカーくじです。一番上は、売り上げじゃございません。一番上は、予定した、当てにした売り上げでございます。二行目が実際の実績、十三年からスタートいたしました。これが、売り上げが五分の一に落ち込んでおるわけでございます。
そして、もっと愕然といたしますのは、そもそもこのtoto事業、もちろん、くじの胴元をやるのが目的ではございません。これは、お金を集めて、スポーツ振興という目的のためにつくられた事業でございますけれども、ごらんいただくとわかるとおり、一番上の表の下から二つ目、国庫納付金の額、当初の額の九十分の一、〇・四億円まで落ち込んでいるわけでございます。
これはどういう構造になっているか。一番下をごらんください。売上金、多くの皆さんがくじを買う、半分は買った本人に戻るわけでございます。そして、いろいろな経費がかかる、その残ったのが収益ということになりまして、それを三等分して、国庫に戻すものと、それからスポーツ振興にそれぞれ充てていく、こういう構造になっています。そして、その結果として、今申し上げた平成十八年の国庫納付金は〇・四億円。これはつまり、収益自体が一億二千万しかないということなんです。収益自体が〇・四億円の三倍、三等分ですから、一億二千万しかない。
まさにこれは、くじを買っている人が当たるも八卦外れるも八卦じゃなくて、経営陣がくじを引くような感覚で、当たるも八卦外れるも八卦のそういう感覚で経営をしてきた、その結果が私はこの数字にあらわれていると思います。いろいろ独立行政法人ありますけれども、百一ございますが、その中でも、このぐらいはっきりととんでもない経営の結果が数字であらわれている例も珍しいと思います。
大臣、一番上の表、これは売り上げ側の話ですが、では、真ん中の表をごらんください。
なぜこういうふうに行き詰まっているか。大きく言えば経費の側でございますが、もともと、りそな銀行と受委託契約を結びました。二番目の表、支出にかかわる第一位が、平成十五年、十六年にりそな銀行に支払いを行い、十五年がおよそ六十億円、そして十六年に七十八億円の支出をした。
ところが、りそなとの契約をやっていたら、もう会社でいえば倒産ですよ。そういう状況の中で、何を思ったか、今度は、また全然違う契約、りそなとは全く関係のない、またゼロからやり直しですよ。大失敗した後でもう一回そういうようなことを始めた。日本ユニシスと契約をしたのが十七年度から支出として出ているわけでございます。わかりますか、大臣。
そして、そのすぐ下に似たような表がございますが、これは未払い金、すなわち払っていないお金でございます。一位は全部りそな銀行、十五年に十九億、十六年には百七十億に膨れ上がり、十七年度はおよそ三百億円に未払い金が膨れ上がっているんです。りそな銀行と始めたtoto事業が大失敗をして、残ったものは借金だけ。それを放置した状況で、さらに新しい商売を、日本ユニシスと全く違うスキームでスタートをした。
私が申し上げたいのは、これが天下り官僚の火遊びだということなんです。民間とは全く違う、厳しさのかけらもない形で、こういう形で数百億のお金を手玉にとって、自分たちの給料、退職金、ボーナスはしっかり確保しながら、こうやってくじを引くような商売をやっていることは信じられないと思います。
大臣、表は大体わかっていただいたでしょうか。
とにかく、目的はそれなりにいいんですよ、スポーツ振興。しかし、実際にはそれはできていない。何をやっているかといったら、くじを売った収入のほとんどは費用で消えているんですよ。確実に費用として立っているのは、経営陣の給料、ボーナス、退職金。売り上げは、販売計画は全く外れました。売り上げが激減、当てにしていたその甘さ、需要予測、そして商品開発、そして一方で、りそな、すなわち費用サイドもむちゃくちゃな契約をして、固定費が上がって、そして行き詰まる。会社でいえば当然倒産です。そして経営陣は首です。そうですよね。
次のページをごらんください。
では、そういう経営を一体だれがやられたか。逸見さんが最初理事長をやられました。この方のもとでりそなの契約が行われた。それを引き継いだのが雨宮現理事長でございます。雨宮さんは、それまではtoto担当の理事でもございました、ずっとその間。両方とももちろん文部天下り官僚でございます。片方が初等中等局長、片方が高等教育局長ですかね。およそ何でこういうところに役割があるのかな、もっと違うところで御見識と実力を発揮してもらいたいと思いますけれども、そういう方々の手によって、やったこともない事業で火遊びをした。そういうことを平気でやらせているのが今の天下りの仕組みなんですよ。
その下の表をごらんください。そういう方々が一体どのぐらいもらっているか。
独立行政法人化されたのは平成十五年の十月でございます。理事長、理事、年俸、そして、それに占めるボーナスの額を見ていただきたいと思います。こういった額をもらって火遊びをして、失敗したけれども何の責任もとっていない。すぐ下に、退職金に関しては個人にかかわることで公表していないというんですけれども、ボーナスも個人にかかわることで、公表はしていただいております。情報開示基準がさっぱりよくわかりませんけれども。
大臣、一番の重要な問題は、totoは最近BIGとかいう商品が出て、一日で六十五億円売れた、そういう話もありますよ。売れないより売れた方がいい。それは結構な話でございますが、今申し上げた数字、大臣はごらんになって、これは一体何をやっているんだ、関係者からも、つぶしてしまえ、寄生虫、そういう言葉も大臣から出ているんですよ、現職の大臣から。
渡辺大臣、これはどこのだれが責任をとっているかが全然わからないんですよ。契約したときの理事長はもういないんです。そして、契約したときのtoto担当理事、今の理事長、ボーナスが二十万円ぐらい減額されたと本人も言っていたんですね、二十万円ぐらい。
もうちょっと下の数字をごらんください。一番下の数字、常勤職員は相当減らしているんですよ。
総務大臣もおいでですけれども、独法は人件費を相当厳しく見るんですよ、総人件費。だから、人件費を減らしていかなきゃいけない。そのために何をするかといったら、自分たちのポストはそのまましっかり残し、そして待遇も変えずに、だけれども職員の頭数を減らす。さらに何をやっているかといったら、常勤をパートタイムに入れかえているんですよ、この表にはないですけれども。パートタイムの方が比率的にふえているんです、新規採用は。そういうことでやりくりしながら、自分たちの天下りポストだけはしっかり守り続けているのが見てとれるんです、数字で。
もう一つ裏わざは、この間、教育特でも私申しました。人件費だけ見ていると、これは落とし穴なんです。自分の組織だったら人件費、しかし、その天下りが隣の財団法人に行ったり、天下りが株式会社をつくって、そこに発注をして天下りに食わせれば、それは人件費じゃなくて物件費なんですよ。業務委託契約を結べば物件費なんです。あたかも人件費は独法改革の指標どおり下がってきている、改革している、そういう評価を、総務省の二次評価、そして所管官庁文部科学省の一次評価もちゃんとしているんです。よくやっている、人件費が下がっている。とんでもない話です。裏わざは幾らでもある。
そうやって物件費でお金がOBのいる世界に流れているのが、きょう時間があればやりたいですけれども、ジェトロの委託業務なんかでもいっぱい出ているんです。動かぬ証拠が幾らでもある。これはどのページを開いても同じ構図なんですよ。どこを見ても一緒、そうですよね。
大臣、これはだれが責任をとっているんですか、こういうとんでもないことになって。普通、何百億も失敗事業をして、売り上げがこういうふうに激減して、当初の目的は何にも果たせないことになって、そして無傷ですよ、理事長以下経営陣。経営責任という言葉が辞書にないんじゃないですか。
これはどこも似たり寄ったり。緑資源の理事長がおっしゃいましたね、まさかうちの組織にこういうことがあるとは思わなかったと。私、そういう話を聞くと目が点になるんですよね。どこでも同じことがありそうだという前提のもとに厳しく見ていかないといけないんですよ。税金の無駄遣い、不正行為、それから不適正な会計処理、そういうことを疑って見ていかないと発見できないですよ。私が少しデータをとって情報を見ていくだけでも、首をかしげたいことは幾らでも出てくる。
しかし問題は、独立行政法人は、昔と違って事前規制を減らして、フリーハンドを与えて、そのかわり事後規制をしっかりやるのが独立行政法人の制度ですよ。私から言わせれば、それは完全に裏目に出ています。フリーハンドを与えて何になったか。自分たちの給料はしっかり守れるような制度ができただけですよ。もう少し言えば、独立行政法人の公務員に対する給与の比率は上がっていますね、高いですね。一一〇%ぐらいですか。独法になると全体としての所得も上がるんです、給料も。
そういう状況の中で、大臣、大体わかっていただいたと思いますけれども、これはどこのだれが事業の失敗の責任をとっていると思いますか。
○渡辺国務大臣 今委員が御指摘されたこと、一〇〇%私は理解していないかもしれませんが、相当すごいことが行われているのかなという印象を受けました。
私は、独法改革について、ついせんだっての経済財政諮問会議において総理から、政府機能見直しの第一弾にふさわしい本格的な独法改革を指示されたところでございます。民間議員から、ゼロベースで百一全法人の見直しを行ってほしいとの御要請もいただきました。したがって、委員が今御指摘された責任の問題も含めて、これらの見直しを行っていきたいと考えております。
○田嶋(要)委員 社会保険庁も、安倍総理もおっしゃっていました歴代の長官の責任問題、私はどういうふうに責任を果たすのか見ものだなと思っておりますけれども、しかし、これはどの組織の長も、天下っている理事長、どこでも同じことが言えるんじゃないですか。
toto独法と呼ばせていただきますけれども、このtoto独法の理事、理事長はどういう責任をとるのかなと。これは逃げ切りですかね。逃げ切りになっちゃうんですか、こういうのは。どうもそれがわからないんです、私は。自主的に退職金を返す、それだけですか。
こういうことがずっと続いていたから、国民の税金は国民のサービスとして返ってこないんですよ、なかなか。至るところで、程度の差こそあれ、先ほど社会保険庁の問題はメガトン級と言いました。こういうのが百も二百も千も五千も積み上がっていけば、やはりこれもメガトン級の税金の無駄遣いなんですよ。そう思いませんか。一個一個時間をかけていかないと、やはり発見できないんですね。本当にこれは怒りますよ。
現そして前理事長の経営責任、しっかりとっていただけますか、大臣。
○渡辺国務大臣 百一独法全部の見直しを私一人でできるわけではございません。当然、政府を挙げてやっていく必要がございます。
これは独法通則法の二十三条でございますが、御案内のように、役員の解任規定がございます。第三項によりますと、主務大臣がそれぞれの任命に係る役員の首を切れる、こういう趣旨のことが書いてございますので、一義的には主務大臣がきちんと監督をして、とんでもないことをやっている法人があったらその役員の首を切るということが妥当ではないでしょうか。
○田嶋(要)委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
先日、私は、文部科学大臣とこのtoto独法を話したときに、toto独法の理事長の指名はだれがしたんですか、任命権者はだれですかと聞いたんですよね。御存じないんですよ。御本人なんですよね。後ろの役人に聞いているんですよ、おい、だれだと。そういう状況ですよ。任命権者が、自分が任命しているのを知らないんですよ。いかにいいかげんかということです。それではおかしくなるのは無理もない。百一、これを一個ずつ見ていけば、ほとんど残らないんじゃないんですか。ほとんど残らない。
このtoto独法も、toto以外にいろいろやっているんですよ。あと四つぐらいやっているんです。どれ一つ見ても、民でもやれるのをわざわざつくって天下りのポストを広げている。しかも、お客様にとってのサービスは悪い、そんなようなことがいろいろあるんですね。
これを一個一個見ていただきまして、目標は独法ゼロですよ、目標は独法ゼロ。しかし、どうしても残さなきゃいけない独法は、そのトップは、民主党が言っているように、公募制にしてもらわなきゃいけない。これは、イギリスのエージェンシー、公募制がスタートしているんですよ。もうずっとやっている。それが原理原則だと思いますよ。
随意契約なんですよ、トップが今は。業務も随意契約、だけれども、トップの決定も随意契約ですよ。何でこういう人になっているのか。初等中等局長が何で胴元をやっているんですか、こういうビジネスを。火遊びですよ、火遊び。官僚に数百億持たせて、自由に遊んでいいよと。ばくちですよ、これは。totoを買っている人のばくちじゃないですよ。経営陣がばくちを打っているんですよ、これは。
大臣、これはお願いしますよ、公募制。これは時間がないので、ちょっと質問はしませんけれども。
それで、このユニシスの前のりそなの契約、これは次のページをごらんください。これは、前理事長のもとでりそなの契約をするときに二つのオファーがあって、どっちにしようかなということをやるときの選定委員会なんですよね。
この方々は、皆さん立派な御経歴の方でございます。しかし、失礼ながら、どの方が正しい契約の判断のできるスキルをお持ちかなと私は思うんです。立派過ぎるんです。会長とか、実務を離れて二十年とか、そういう人ばかりじゃないですか。申しわけないですけれども、別に個人に恨みはございませんけれども、私は、ただ一人弁護士がいるから、この人は契約は大丈夫かなと思ったら、有名な方ですね、この方は。離婚訴訟のプロですよ、テレビにもよく出ている。どうやってこういう人たちを選んだんですかと質問したら、お答えできませんと言われました。
ちなみに、大臣、これは私は一週間前からいろいろな情報提供をお願いしているんですけれども、半分ぐらいしか出てこないんですよ、文部科学省から。上司の決裁がとれないという一言なんですね。これはおかしいですよ、本当に。本当に質問できないんですよ、ちゃんとした情報を得ないと。
このメンバー、これは何でこういう、要するに、これは結局は理事長の責任なんですよ。こういう方々に、どこに発注するのがいいか考えてくれ、こういうことになっていたんですよ。さっき申しました、売り上げが予定を外れて大きく低かった、なぜそういうときに金融的に厳しい状況になったかといえば、固定費を抱えているからですね。つまり、この受委託契約の中身が経営を左右したんですよ、受委託契約の中身が。これは大臣、独法にフリーハンドを与えて、こういうことが起きているんですよ。大臣、御感想をいただけますか。どうですか、このメンバーは。
ちなみに、次のページをごらんください。
ちょっと字が細かいですけれども、一番下の矢印をつけたところですね。第二期の方がユニシスなんですよ。つまり、今回の契約のところに何と書いてあるか。評価委員の三人、大規模システムの専門家、官民共同事業に精通した弁護士、ファイナンスの専門家、こういう人たちじゃないとだめなんですよ。そう思いませんか。会長とかじゃなくていいんですよ、別に。ちゃんと数字のわかる人、細かい分析をしっかりする人が一人いてちゃんとやっていればこういうことにはならなかった。
しかし、これは頼まれた側もお気楽にやったんじゃないんですか。別に経営責任を問われているとか、こういう事業が失敗になって株主から訴えられるということはないわけですから、委員の方々も簡単にお受けをしたでしょう。だから、最終責任はやはり独法のトップにあるんですよ。これは一言いただきたいところですけれども、時間がないものですから飛ばします。ひどいですよ、これは。
それで、では次は契約の話をしたいんですけれども、最初の、今申し上げた一ページ目に戻ってください。資料一ページ目、りそな銀行との契約。御存じですよね、新聞でも出た、りそな銀行にほとんど訴えられそうになったんですね。訴えられそうになった。これは、総額幾ら未払いがたまったということですかね。
○石野政府参考人 お答え申し上げます。
第一期、りそな銀行への未払い委託料でございますけれども、最終的に二百十六億円でございました。
○田嶋(要)委員 細かい資料をいろいろひっくり返して見ていますと、それは、最後、訴えられかかって払ったんですよ。払ったのはいいんですけれども、遅延損害金というのを払っているんですね。幾らだと思いますか。四億六千二百万円遅延損害金を払っているんですよ。
この遅延損害金というのはどういうものですか、こういうものを払っていいんですか、独法。
○石野政府参考人 遅延損害金の御質問でございますけれども、第一期、日本スポーツ振興センターがりそな銀行に業務委託をした委託料の支払いが遅延したことによりまして、延滞日数に応じた遅延損害金が発生し、それを支払ったものでございまして、遅延損害金につきましては、国に準じた契約を締結して支払ったということでございます。
○田嶋(要)委員 これは、民間だったら考えられないですよ。四億六千二百万の遅延損害金を払っているんですよ、本当に。そういう方が、立派に退職されて、退職金をしっかりもらって、公表できない数字の金額をもらって、違うところに渡り鳥をしている。そのときのナンバーツーも、今理事長をやって、特に何のおとがめも受けない。大変な金額だと思いますよ。
そして、さらに話が続くんですが、りそなに二百十六億円を返済するのに、今度は、みずほ銀行、また違う金融機関が出てくるわけですが、みずほ銀行からお金を借りているんですね。その借りているお金が百九十億円なんですね。百九十億円借金したんです。つまり、こんな借金、するはずなかった借金なんですよ。事業計画をしっかりつくり、販売需要予測を保守的に立てて、そしてさっきの、りそなとの契約を常識的な契約でしっかり結んでおけば、そういう目のある経営者が経営をしていれば、こんな百九十億の負債を抱えることはないわけですよ。
百九十億の負債を抱えました。さっき、二百十六億円りそなに払う必要があると。では、一体その差額はどうしたのか。二十六億円のその差額はどうしたのか。これがまた、ウルトラCというか、新しい概念ですけれども、内部融通というふうに言っているんですね。何となく臭いですよね。内部融通ですよ。
これは、totoの勘定とそれ以外の勘定の間でお金を融通し合ったということです。どこから融通されたかというと、基金ですよ。スポーツのためのいろいろな支援をするための基金、そちらからお金を融通されたんですね。
政府委員でも結構ですけれども、長期の、そして金利をつけた内部融通二十六億円、これはどういう根拠で認められるんですか。
○石野政府参考人 内部融通の点についてお答え申し上げます。
日本スポーツ振興センターにおきましては、業務ごとに勘定を設けておりますけれども、勘定間の整理につきましては、日本スポーツ振興センターに関する省令において必要な規定を設けております。
今回の資金融通につきましては、内部資金の有効活用の観点から、センターに関する省令を改正し、その上で一般勘定から投票勘定に関する有利子の貸し付けとして整理したものでございます。
○田嶋(要)委員 今、内部資金の有効活用とおっしゃいましたけれども、その二十六億円は本来、いろいろな債券とかを購入して利回りを求めて、その金利をスポーツ振興に充てている財源ですよ。二%以上で回るんですよ。今回、お隣のtotoの失敗に金を貸して幾らの金利をつけていますか。一%じゃないですか。この間文科大臣も、toto事業に税金は投入していないと言っているんですよ。それは詭弁ですよ。直接は払っていないけれども、お隣から入っているんですよ、低金利で。
これは、本来のルールでいえば、短期で、金利つけないんだったらいいというルールがございませんか。どうなんですか。これは、長期で金利つけて融通し合っていますね。それって、どこに根拠があるんですか。
○石野政府参考人 お答え申し上げます。
独立行政法人の区分経理を行っている場合に、勘定間の融通を行っているという例は他の例にもあるというふうに認識をしておりますけれども、日本スポーツ振興センターにおきましては、先ほど申しましたように、スポーツ振興センターに関する省令の規定をもって内部融通したということでございます。
○田嶋(要)委員 そこがポイントなんですよね。大臣、今政府委員は何とおっしゃいましたか。省令の規定をもってと言ったんですよ。いいですか。ということは、そこにルールがそういうふうに書いてあると普通の人は思いますよね。実際はそうじゃないんですよ。ルールがなかったのに、突然ルールを加えたんですよ。御存じですか。びっくりしますよ、これ。
これはtotoですから、サッカーで言いましょう。試合が始まってから、ハンドもいいよ、オフサイドもなしだよ、キーパーチャージもありだよとルールを変えているわけですよ。ハンドのいいサッカーなんてないですよ。試合が始まってから、そういうルールで、自分たちで変えているんですよ、省令も、会計規則も。やっちゃいけないとはっきり書いてあるのに、例外としてやっていいということにしているんですよ。それでは何だってやり放題じゃないですか。だって、やっちゃいけないんだけれども、大変なことになったら、自分たちの無謬性を維持したいがためにやっていいことに切りかえているんですから、こんな都合のいい経営ないですよ。経営じゃないですよ、これは。
大臣、独立行政法人で自主性を高めたと。こういう自主性が高まっちゃっているんですよ。それで、自分たちの給料、天下りポストは温存されて、厳しくなれば部下を切る。そして、やばくなったらとっとと退職。都合の悪い話は自分たちが、法律じゃない部分は、省令も内規も、何だか知らないそういうものを、全部いろいろな文書をつくって、証拠だけ残して、それを合法化して、自分たちの失敗を隠ぺいしているんですよ。こういうことが次から次へと行われているんです。これは、調べないと表に出てこないんですよ。
では、問題は、今二重に評価制度がありますね。所管省庁の評価と総務大臣のところの評価、だれかそれを指摘しましたか。だれも指摘しない。みんないいかげんなんですよ。みんないいかげん。
大臣、年末までにこういうことを整理していかなきゃいけないんです。不正が至るところにあるかどうかは知りません。しかし、不適正なものがいろいろあるんじゃないですか。全部疑ってかかっていかないと、独法をゼロにするのが本来の目的ですよ。どうしても仕方がない場合は残してください、トップは公募をやってください、そういう形にしていかないと、ひどい話ですよ、これは。
大臣、最後にお伺いしますけれども、こういうきょう説明したような話、大臣提出の天下り法案、これはなくなるんですか、何か変わるんでしょうか。そういうことを大臣、最後に御答弁いただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 今回の国家公務員法改正において、例えば文科省がこういったところにあっせんを行ってやっている天下り、これは全面禁止されます。一方、独法改革においては、先ほども申し上げましたように、百一独法の聖域なき見直しを行ってまいります。つまり、人の面と金の面と両面から独法改革は行っていく必要がある。契約が、例えば随契のようなものがあれば、契約関係からも見直しは当然行われていくわけでございます。したがって、委員が御指摘のようなものは、一般的に根絶をされてまいります。
○田嶋(要)委員 かけ声倒れに終わらないようにしてくださいよ。要するに、いろいろな裏わざがあるんですよ。私もまだ勉強中です。さっき指摘した人件費の物件費へのすりかえ、いろいろ時間をかけていかないと見えない。絶対に自分たちからは情報開示は選択的にしかしないんですよ。都合の悪い情報は出さないんです。質問して質問して質問して、やっと半分ぐらい出てきて、こういうふうなんですよ。怪しいことがいっぱいあるんです。国民の税金や、あるいは税金以外でもこういうことがあっちゃいけない。ぜひ、最後にお願いを申し上げまして、質問を終わりにいたします。
ありがとうございました。
○河本委員長 次に、寺田稔君。
○寺田(稔)委員 自由民主党の寺田でございます。公務員制度改革の議論を続行させていただきます。
これまでも私、当委員会でこの公務員制度改革、既に二回ほど登壇をさせていただきまして、諸問題につき質疑を深めさせていただきました。そうした中で、年功序列の問題、これを能力・実績主義に変えていく、そしてまた、肩たたきをなくして、あっせんによる天下りを根絶していくことの意義についてお伺いをさせていただいたわけですけれども、やはり国民に信頼をされる公務員像を実現するためには、幾つかの重要なポイントを渡辺大臣としても実現をしていただきたい、そしてまた安倍内閣としても取り組んでいただきたいというふうに思います。
まず第一の点といたしまして、能力・実績主義あるいは再就職規制の導入をしていく。その際、優秀な人材の確保策あるいは公務員の能力向上のための育成方針といった人事制度全般について、その実態を踏まえた総合的かつ整合的な検討を十分に行ってその実施を図っていかなければなりません。
また、専門スタッフ職の実現、これも前回大臣と濃密な議論をさせていただきましたが、この専門スタッフ職の実現、そして、今し方も議論がありました公募制の導入、これも極めて重要でございます。そしてまた、官民の人材交流の抜本的な拡大といったような、人事制度全般の総合的な改革をぜひとも推進をしていただきたいと思います。
また、今回のいわゆる新人材バンク、官民人材交流センターの創設に当たりまして、その制度設計、有識者会議でもってこれから議論をされますが、再就職のニーズに十分に対応できるだけの十分な支援体制の確保、これは今自衛隊でも援護体制の強化充実が図られておりまして、大臣も、そういったものも参考にしたいというお答えもいただいております。そういった援護体制の強化を図るとともに、各府省からの中立性を徹底して、業務の透明性を図っていく、そういったような原則をぜひとも確立をしていただきたい。
また、このセンターについては、既にこの法律の附則十七条で見直し規定も設けられておりますが、これは三年後、五年後と言わず、センターのあり方を常時見直すことをお約束いただかなければなりません。
また、再就職に関する規制、そしてまた監視体制の運用に当たっては、いわゆる押しつけ的あっせんの弊害、また強い批判も踏まえて、国家公務員に対する国民の信頼を回復することができるように、厳格かつ適切な運用を図ること、これをまずもってこの場で渡辺大臣よりお約束をいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 委員から前回も大変適切な御指摘をいただいてまいりました。大変我々にとっても目からうろこの話もございました。やはり、公務の御経験がおありになる寺田先生ならではの御指摘だったかと思います。
ただいまの御指摘についても、そのとおりであると思います。
○寺田(稔)委員 ぜひとも実行をしていただきたいと思います。
また、今現在、公務員志望者が激減をしております。この実態についても十分議論がなされました。そして、人材確保のためには、公務員として公務に携わることの意義そしてまた魅力を明確化していく中で、公務員のキャリアパスが明確であって、そしてまた、ライフワークとしての公務、パブリックサービスという人生設計に十分な意義が持てるように、そういうふうな人事制度を確立することも当然担当大臣としてお約束していただかなければなりません。
また、その際、前回も議論になりました府省間の人事交流の一層の促進、そしてまた能力・実績主義という点も議論をさせていただきました。単に短期的な成果を評価するだけでは足りないわけでございます。
例えば、今まさに法案が出された、このときの担当者のみが高い評価を得て、この前の数年間、一生懸命この制度設計に努力をしていた、もう平成十二年から実はこの公務員制度改革は始まっているわけですね、橋本行革のときからもうスタートしております、そういった準備をしてきた方々にも十分な光を当てていただきたい。そういう公務員としての能力開発に資するものであって、国民に成果が還元されるような制度運用を図っていただきたい。
そしてまた、官民人材交流センターの運営に当たっては、特に若手職員の交流を一層拡大し、相互にバランスよく交流ができるように、官民の人材交流の拡大についても論議をさせていただきましたが、その運用をお約束いただきたいと思います。
大臣、お願いします。
○渡辺国務大臣 やはり官民人材交流センターは、将来において、官から民への一方的な流れだけではなくて、民から官へ、また民から官から民へという人材交流をさらに促進をすることを念頭に設計をしていくわけでございます。
したがって、委員の御指摘はそのとおりであると思いますし、我々もそのことをお約束させていただきます。
○寺田(稔)委員 そしてまた、前々回のとき議論をさせていただきました人件費との関係、すなわち、総人件費の抑制という行財政改革とこの公務員改革、この両者を十分整合的に同時並行で行っていくこと、このことも、既に前々回お約束をいただいておりますが、再度確認をいたしたいですし、そしてまた、職員が培ってきたさまざまなノウハウを十分ライフワークとしての公務にも活用できる、そのために専門スタッフ職を創設する、そして、そのための体制整備も前回議論をさせていただきました。そのための俸給表を早急に整備をしていく。そしてまた、公務部門の新陳代謝が阻害されることのないように、すなわち人員構成が高齢化することのないように、必要な定員、定数の配分については格段の御配慮をお願いしなければなりません。
また、この専門スタッフ職職員については、兼業規制の大幅な緩和も含めて、当然、知識経験を大学等の研究機関あるいは民間企業にも還元できるような体制整備を行っていかないと専門スタッフ職は根づかないわけでございます。この点についても前回議論をさせていただきました。
また、勤務条件あるいは退職後の生活環境について官民のイコールフッティングを図るため、さまざまな諸外国の事例についても前回御紹介をさせていただきましたが、主要先進諸国の国家公務員の状況も参考にしながら、国家公務員の定年を年金支給開始年齢まで引き上げる、このことの検討をお約束いただきたい。
そしてまた、年金の支給額についても、民間企業と同等の水準が維持できるような制度設計、これが重要でございます。すなわち、官民のイコールフッティングを図っていく。そしてさらに、労働基本権の問題、公務員の労使問題については、行政改革推進本部の専門調査会が設置をされております。この専門調査会におきます審議を踏まえて引き続き検討を行っていく、こういうことについてもこの場でお約束をいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 今、たくさんの論点について御指摘をいただきました。
総人件費削減等の今後の行政改革の推進に当たっては、公務員の士気の低下を招くことのないようにしなければなりません。一方、専門スタッフ職の創設に当たって、そのための俸給表を早目に整備していただくことが必要でありますし、公務部門の新陳代謝が阻害されることがあってはなりません。そうしたさまざまな要請にこたえるような仕掛けが必要であろうかと思います。
勤務条件や退職後の生活環境についても、官民のイコールフッティングという観点からも参考にしていかなければならないわけでございますし、国家公務員の定年を年金支給開始年齢まで引き上げることも検討をしていかなければなりません。委員が今御指摘されたことにつきましては、全くそのとおりであると存じます。
○寺田(稔)委員 ありがとうございます。
総理もお忙しい中来られました。総理からも、もし可能であれば一言だけこの公務員制度改革に向けた御決意のほどをお伺いいたしまして、私の質疑を終えたいと思います。よろしくお願いします。
○安倍内閣総理大臣 このたびの公務員制度の改革は、いわば公務員の皆様に誇りや自信を持って、公のために、国のために、また世界のためにという気持ちを持って仕事をしてもらいたいと思うわけであります。そのための能力・実績主義を導入するわけでありますし、また、今まで指摘されてきたような押しつけ的なあっせん、それが談合の温床になっているわけでありますが、それをまさに断ち切るということがこの法案によって私は可能になってくる、このように思うわけでございますので、この改正によって、公務員の皆様が今後生き生きと国民の負託にこたえていく、こういう公務員制度になっていく、こう確信をいたしております。
○寺田(稔)委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○河本委員長 次に、細野豪志君。
○細野委員 おはようございます。
きょうは安倍総理に来ていただいていますので、安倍総理に質問をさせていただきます。必要があれば渡辺大臣にも答弁を求めますが、委員長、安倍総理に聞きますので、そこをぜひ采配を振るっていただきたい、まずそのことを申し上げます。
昨日、社会保険庁の法案が強行採決をされました。それ自体、我々は大変大きな問題だと強く抗議をしたいと思います。ただ、決してこの社会保険庁の議論はここで終わったわけではなくて、きょうここで議論をいたします天下りの問題ともこの問題は非常に深く密接にかかわっている、私はそう思っています。
社会保険庁長官の歴代の天下りを、資料を請求しまして、九〇年以降については出していただきました。そして、九〇年以前の社会保険庁長官についても、一部資料を要求しまして出てまいりましたので、まずそのことから確認をさせていただきたい、質問をさせていただきたいと思います。
一人の社会保険庁元長官の経歴をまず御紹介したいと思います。資料を配っていますので、一枚目をごらんください。この方は、ちょっと迷ったんですが、実名で正木さんという方です。紹介をさせていただきたいと思います。
昭和六十一年に退官をされて、その後、社会保険庁関係、厚生労働省関係の団体をずっとこうして天下っていらっしゃいます。なぜこの方を挙げたかということをまず申し上げると、この方は、昭和六十一年に退官をされておりまして、今消えた年金で問題になっております、年金の手書き台帳の破棄をした昭和六十年九月の当時の社会保険庁長官なんですね。総理も何度か歴代の長官の責任について言及をされていますが、この方は大きな責任を持っている方の一人だというふうに思いますので、実名を挙げて、その後の経歴をこうして御紹介させていただいています。
一つ目に天下っておられるのが、全国社会保険協会連合会。それぞれの都道府県にある社会保険協会の連合体の副理事長に天下っていらっしゃいます。給与については、今の時点での連合会の給与規程から、私の方で、現在の規程に基づくと、この方が幾ら報酬をもらっていて、ボーナスが幾らで、退職金が幾らかということについて計算をいたしました。
ちなみに、過去はこういうさまざまな特殊法人や独立行政法人は給料が高かったですから、今の規程に基づくと実際にもらった金額より低く出ます。ただ、そこは慎重に、最低限これだけはもらっているだろうという金額をここで出しております。
そして二つ目が、社会保険診療報酬支払基金。これも社会保険の支払いをする団体ですから、社会保険庁のもろに関連団体と言うことができます。そこで報酬が一億ちょっと、退職金が八百六十五万円。
次の医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、これは理事長、今は独立行政法人化しておりまして、給料はぐっと下がっています。ただ、下がったものでしか計算できませんから、これに基づいて計算をすると、報酬が六千六百三十万円、そして退職金が五百三十五万円。
最後に社会保険健康事業財団の理事長、これは非常勤なんですが、調べますと、週四日来られていたということで、規定に基づいて計算をすると、報酬が八千五十四万円で、退職金が六百四十六万円ということで出てまいります。
これをすべて足すと、この正木さんという方は、五十五歳で退官をされてから現在の七十六歳に至るまで、支給総額二億九千万円、大臣、そして総理、受け取っていらっしゃいます。
まず総理に伺いたいんですが、これを調べる過程で、実は最後まで資料が出てきていないのがあるんです。これは、社会保険庁の長官のときの退職金が出てこない。それぞれの団体がある程度協力をして、給与の規程や退職金のこと、勤務形態についても教えていただけました。社会保険庁だけは、ずっと私は聞いているのに、退職金が出てこない。これは理由は何か。個人情報だからということなんですね。
総理、これは大きな責任を担っていらして、総理自身も責任について言及をされている方ですよね。社会保険庁の退職金というのはまさに税金で出ています。これを個人情報にしていいんですか。まずこのことを総理にお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 突然の御質問でございますから、今私の持っている認識、知識の中でお答えをさせていただきたい、このように思うわけであります。
しかし、個人情報保護法との関連においては、これは法律との関連でありますから、本来厳密にお答えをしなければならないと思いますので、個人情報保護法との関連において、本人の了解なしに公表できるかどうかということについては、もう一度これは検討させていただきたい、このように思います。
そこで、いわば年金記録の問題と歴代の社会保険庁の責任、また社会保険庁の問題、責任につきましては、これは党首討論のときに申し上げましたように、私どもは、有識者から成る委員会をつくって、どういう責任があったのか、どういう問題があったのか、どういう問題によってこうした結果になってしまったかということについては検証しなければいけない、その検証によって責任の所在も明確にしていく、そのことが私の責任である、こう考えております。
〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕
○細野委員 総理、確認をします。もう一度聞きますが、ほかの団体はそれぞれ給与規程を出して、こういう考え方に基づいて給料を出しています、退職金を出していますというのをそれぞれの団体が答えているんですよ。社会保険庁はそれに協力しないんですよ。これは総理、通告はしていないとおっしゃるが、極めてわかりやすい話です。社会保険庁長官でこれだけ大きな責任を負っている人の退職金、きちっと出さなくていいんですか。そういう答弁ですか。
○安倍内閣総理大臣 私はそういうことを申し上げているのではないんです。前もってこれは言っていただければ、どういう根拠かどうか。それは例えば私がここに立つ三十分前でも結構ですよ。(発言する者あり)
○西村(康)委員長代理 答弁中です。静粛にしてください。
○安倍内閣総理大臣 ほかの方々は、質問通告していただいている方々もおられるわけですから、その中で、法律との関係において、いわば公務員との関係かもしれないし、私は、今ここで直ちにお答えする知識は残念ながら持ち合わせておりません。
これはまさに、法律的な問題がどうあるのか、法律的な問題がないのであれば当然それは開示をさせなければいけない、こう私は認識をしております。
○細野委員 この委員会は委員長の職権で立てられています。なぜかここの委員長はよく代理を使うんですよね。何で総理がいるこの大事な時期に委員長はいないんですか。
○西村(康)委員長代理 今、トイレに行っています。
○細野委員 我々は、職権で立てられたことに対して強く抗議をしております。
総理、最後にもう一回聞きます。
この天下りの問題は、社保庁の問題と大きくかかわります。そして、社保庁改革の法案をきのう強行採決をされました。今の時点で総理は、この社保庁の長官の退職金は出すという政治判断をされない、そういうことですか。
○安倍内閣総理大臣 ですから、私はしないとは申し上げていないじゃないですか。私は正確に総理としてお答えをしたいんです。
公務員にはどういう権利があるのか、個人情報保護法との関係においてはどういう関係になっているかということについて、これはまさに社会保険庁長官の退職金を公開するということについては国がやるわけでありますから、ほかは民間になるわけでありますが、国にどういう義務がかかっているかということ、やはり法律的にどうかということは、これは調べさせていただきたい。これは今調べさせていただければすぐわかる話であろう、このように思います。(発言する者あり)
○西村(康)委員長代理 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○西村(康)委員長代理 速記を起こしてください。
細野豪志君。
〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕
○細野委員 今の総理の御答弁を聞いていると、役所は出さないと言っているんですからね、個人情報を盾にですよ、現実に。だから、それを乗り越えて社会保険庁の改革をして責任を追及するなんということは、到底今の総理の御答弁ではできないというふうに率直に感じました。
では、総理、もう一つ聞きます。
社会保険庁の長官、歴代の天下り、私の手元に九〇年以降全員あります。この方は代表例で、大分前にやめておられますからいろいろなところへ天下っていらっしゃいますが、大体皆さん同じパターンです。社会保険庁の関連の団体に天下って、そこで給料をもらって、退職金をもらって、この方は約三億ですが、退職金を含めると三億五千万か四億かわかりません、それだけ退職してからお金をもらっているわけですよね。
社会保険庁の歴代の天下りについて総理はどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 先ほどの点についてお答えをいたします。
私が答えたのは、これは公開できない、そう答えたわけではなくて、ではなぜ国にそういう義務がかかっているかどうかというのは、これは調べてみなければわからないじゃないですか。ですから、そういう中身のある議論をするためには事前に伝えていただきたい。
ですから、今私は聞きました。聞いた結果、それは、国に対して個人情報保護についての義務がかかっている。ほかのところは民間でありますから、これは国と民間という立場の違いがある。
しかし、この人のは幾らということは言えませんが、計算方法についてはお答えをできるわけであります。計算方法についてお答えをすれば、事実上、何年いたかということが年数がわかるわけでありますから、推測できるということでございますので、これは、どういう計算方法かということについては、一般的な計算方法についてはお答えをさせていただきたい。それであれば、退職金が幾らであるかということはかなり正確に類推できる、私はこのように思うわけでございます。
そして、今御質問がございました、いわゆるわたりあるいは天下りの問題であります。これは今私も確たる証拠はないわけでありますが、今まではいわば各省庁がいわゆるあっせんを行っていたわけであります。各省庁が次のいわば天下り先、そしてその先のあっせんを直接、事実上行っていたわけでありますが、しかし、この法律、今回私どもが出している公務員制度の改革によって、基本的にもうこうしたあっせんは行わない、行ってはならないということが決まっていくわけでございますので、このようないわば天下りができなくなっていくということを申し上げておきたい、このように思います。
○細野委員 では、渡辺大臣に確認をしますが、二年後に社会保険庁は日本年金機構になりますね。そのときも、トップの方も当然いるでしょう、ほかのスタッフの方もいます、役員もいます。日本年金機構からこうした団体へ、これまでやってきたような天下り、これはこの法律で禁止をされているんですか、禁止をされていないんですか、しっかり答えてください。
○渡辺国務大臣 そうしたわたり、天下りが本省のあっせんが絡んでいるということであれば、これは禁止されております。
○細野委員 大臣、本当に大丈夫ですか。日本年金機構は特殊法人ですよ、役人じゃないですよ、官僚じゃないですよ。特殊法人からの天下りを本当に規制していますか。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、そういう渡り鳥が各省のあっせんによって行われている場合には、それはもう全面禁止だと言っているわけです。
○細野委員 ごまかしているんですよね。
例えば、社会保険庁に役人以外の人が来ました、そしてプロパーの社員がいます、これは天下りを規制できますか。
○渡辺国務大臣 プロパーの場合はまた別でございます。
○細野委員 要するに、官僚が社会保険庁に天下って、その後再就職することはあっせんの規制はできるけれども、社会保険庁のプロパーの社員、特殊法人のスタッフということになるのかもしれませんが、その人が天下ることは規制できませんね。
それと、もう一つ大臣に聞きますが、では社会保険庁が特殊法人になって、その特殊法人の判断で、厚生労働省やそのほかの省庁のあっせんではなくて、社会保険庁自身の判断で再就職すべし、この関係なんかは、幾つかの団体は社会保険庁と直結的な関係にある団体であります。そういう団体にみずからの判断で天下った場合は規制できますか。
○渡辺国務大臣 ですから、そういうケースで本省が絡んであっせんをやっていれば、それは全面禁止だということですよ。
○細野委員 本省のあっせんがなかった場合は規制できますかということを聞いています。しっかり答えてください。
○渡辺国務大臣 大体、今までのケースですと、確たる証拠はありませんが、本省が絡んでいないとなかなか難しい人事なんですよ。だから、我々はそういうケースについてあっせんを全面禁止する。民主党も同じ案じゃありませんか、これは。違いますか。同じ案でしょう、全面禁止をするという点においては。
ですから、まさに我々は、そういう問題の本質にスポットライトを当ててこの法案をつくったということですよ。
○細野委員 いいですか、大臣、例えば全国社会保険協会連合会、これは社会保険庁そのものの業務にかかわる団体ですよね。厚生労働省との関係は間接的です。あっせんがなくても社会保険庁自身で天下りをする可能性は十分あります。あっせんがないから天下りがなくなりますというのはまさに机上の空論で、こういう例を全く規制していないんですよ。
確認をしますが、今まではあっせんがなければ天下りできなかっただろうということですが、こういう厚生労働省が直接かかわらずに社会保険庁の判断で再就職をした場合、これは規制できませんね。再度確認させてください。
○渡辺国務大臣 社会保険庁が絡んでいれば、それは規制対象になるということですよ。
○細野委員 社会保険庁がなくなって日本年金機構になりますね、二年後に。厚生労働省のあっせんなしに日本年金機構の判断で再就職をした場合は規制できないんじゃないですかということを聞いているんです。あっせんがない場合です、厚生労働省の。
○渡辺国務大臣 ですから、今までの社会学的実態として、あっせんなしにやっているというのはなかなか想像しにくいと言っているんですよ。ですから、まさしくその問題の社会学的実態に即して我々は規制をかけているんです。
ですから、御指摘のようなケースで、もしあっせんしている疑いがあれば外部監視機関が出ていくんですよ。いいですか、これはもう何度も議論している話じゃありませんか。疑いがあれば、調査の端緒になるんです、本人の事情聴取を行うこともあるんですよ、立入検査もあるんですよ。ですから、そういう規制をかけているわけですから、そう簡単に今までのようなあっせんが続くなんということはあり得なくなるということですよ。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ですから、社会学的実態としてあっせんがあるのが普通だろうということで私は答弁を申し上げているんですが……(発言する者あり)ちょっと最後まで聞いてください、最後まで、答弁中なんですから。
ですから、機構のプロパーの職員でその人がどこかに再就職するという場合には、規制はかかりません。
○細野委員 整理して申し上げると、大臣、いいですか、社会保険庁が日本年金機構になりますね、日本年金機構のプロパーの社員が日本年金機構の判断であっせんをして天下る場合には、政府の法案だと規制の対象になりません。そしてもう一つ、元官僚でも、厚生労働省があっせんをせずに社会保険庁に一回就職をして、一回天下って、そこは規制がかかりますよ。そこで厚生労働省がかかわりなく日本年金機構自身の判断で再就職をした場合には、規制対象にならないんですよ。
要するに、省庁のあっせんがかぎであって、社会保険庁自身の判断、これが日本年金機構になった後は、そこの判断で再就職をするのは規制の対象にならないんですよ。
○渡辺国務大臣 ですから、そういう純粋理念の話でいけばそれはならないと言えようかと思いますが、しかし、実態としては大抵絡んでいるケースが多いんですよ。ですから、疑いがあれば外部監視機関がちゃんと出ていくと何度も申し上げているじゃありませんか。
○細野委員 大臣、それは甘いと思いますよ。なあなあでやってきたんじゃないですか、社会保険庁とこの団体が。(発言する者あり)違いますよ。社会保険庁自身とこれらの団体がなあなあでやってきたんですよ。そこのあっせんを、社会保険庁が日本年金機構になっても、そこ自体の天下り、あっせんは残るじゃないですか。それは自由なんですよ。
では、民主党の提案者に伺いますが、この特殊法人からの天下りですね、民主党の考え方はどうなんでしょうか。
○武正議員 まず細野委員に申し上げますが、日本年金機構法第八条第七項では、今回の政府の提出法案、国家公務員法の「第百六条の二第一項の規定は、適用しない。」すなわち、日本年金機構の職員には、いわゆる政府の提出法案のあっせんの適用除外である、まずこのことを申し上げておきます。つまり、今回の政府案のあっせんの適用除外なんですよ、日本年金機構は。これがまず第一の問題点。
民主党は、いわゆる特殊法人からの天下りについても二年の規制をかけております。対象にしております。関連の深いそうした営利企業への天下りは、当然対象にしております。
また、もう一つつけ加えておきます。担当大臣は根絶、根絶と言いますが、もう一つまた例外は、例えば独立行政法人が百一ありますが、政府の対象はわずか八つです。九十三の非特定、非国家公務員型の独法は対象外であります。
もう一つ例外があります。出向であります。出向、あるいは係長以下、そしてまたセンターが仲介、そして今第三者機関と言いました非常勤五名、大変弱い組織、これらが承認する四項目については、現職の在職中の就職活動はフリーであります。
このように抜け穴だらけであることも申し添えておきます。
○細野委員 では、総理に聞きます。
社会保険庁が二年後日本年金機構に、法案が通れば、参議院で通ればそうなります。日本年金機構になったら、日本年金機構自体には天下りの規制はかかりません。厚生労働省のあっせんがあれば別ですよ。あっせんがない、日本年金機構自身での判断の天下り、再就職は、これは規制がかかりません。総理、これでいいんですか、本当に。
○安倍内閣総理大臣 今の質問は、日本年金機構からその先へのいわば再就職の件についておっしゃっているんだろうと思います。
しかし、日本年金機構からその先への再就職と、今ここで委員がお示しの元社会保険庁長官の方のいわばわたりと言われているこの経路とは、これは全く私は別の世界だということをまず申し上げておきたいと思います。
まず、この社会保険庁長官、もともとこれは本省のキャリアであったわけですね。本省のキャリアでなければ、社会保険庁のプロパーの人が、こんなように理事長、理事長、理事長と行けるわけがないんですね。そして、そもそも、例えば医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、これは全く関係ないじゃないですか、社会保険庁と。これは本省の、例えば薬務局のあっせんがなければ行けるわけがないんですよ。ですから、日本年金機構の方がこのような人生は絶対に送ることはできないということははっきりと申し上げておきたい、このように思います。
ですから、これは全く別の世界であって、そして、日本年金機構は、いわば私たちは今までの親方日の丸型の社会保険庁を変えていく、廃止をして解体をしていく、そういう決意をしたんです。だから、いわば今までのような公務員型ではない特殊法人としたわけでございます。公務員型でない特殊法人になりましたから、今後は、ここに行くについては当然あっせんがいわばできないということになるわけでありますが、その先についてはいわば民間と同じくくりになって、それは民間型、非公務員型のほかの特殊法人と同じになるわけであります。
しかし、そこでもう一度申し上げておきたいのは、こういう人生を歩むことができるのは、まさにこれは本省のキャリアであったからこそ天下っていくことができた、こういうことを申し上げておきたい。それと、今後、いわば日本年金機構のプロパーの方々がこういうような人生を歩むということは当然想定し得ない、私はこのように思います。
○細野委員 では、総理、もう一回聞きますが、日本年金機構が新しく誕生しますね、そこからの再就職というのは、そこ自体に何か規制をする、そういう枠組みというのはあるんですか。要するに、では、この社会保険庁の元長官と同じ人生を歩む人はいないにしても、社会保険庁自身が再就職先を渡っていく、これを規制する法案はあるんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、委員が具体的な例を挙げておられますから、この具体的な例にのっとってお話をさせていただきますと、いわば日本年金機構はこのどこにも権限を持っていないということははっきりしていますね。どこにも権限を持っていませんよ、それは。次に行く、例えば全国社会保険協会連合会は、保険局の保険課ですよ。厚生省の保険局の保険課ですから、厚生省の保険局の保険課が例えばこれをあっせんしなければ、ここには行けないんですよ。それは事実上はっきりしているんだろう、私はこのように思うわけであります。日本年金機構はいわば非公務員型の、これは皆様の年金をお預かりする、今までの社会保険庁のような労働慣行のない新しい仕組みを私たちはつくっていく、このように決意をしたわけでございますから、それは御安心をいただきたい、このように思います。
○細野委員 今、総理の答弁からもわかるように、日本年金機構から自身の判断による天下りは規制がないんです。そこで新しい世界ができて、日本年金機構のもとにさまざまな利権ができて、そこに天下るのは自由なんですよ。
総理、いいですか、これまでの社会保険庁は規制の対象だったんですよ。社会保険庁は規制の対象だったのが、これだけ問題になって、日本年金機構に移行したら、天下りが自由化されるんじゃないですか。その問題を、今みたいにすりかえて、このケースだけで、この人生はないですよなんという答弁はあり得ません。
質問をかえます。もう時間がありませんから、もう一つだけ聞かなきゃならないので、質問をかえます。
わたりの問題について、社会保険庁だけではフェアではないと思いまして、元建設省の事務次官の天下りについても調べました。
こちらの方は個人名は伏せようかと思います。五十八歳で、平成十年に旧建設省を退官されて、顧問を務めた後、住宅・都市整備公団、今の独立行政法人都市再生機構の副総裁に天下られました。そして、副総裁から総裁になって、独立行政法人になって理事長、この間に総額一億二千四百五十万円の報酬を受け取られています。退職金は二千六百五十万円。総理、いいですか、これは、私が最低限、ボーナスも含めて、今の基準で少な目に見積もってこの金額なんです。
そして、その次に、非営利団体に短期間非常勤で勤めて、その後、今は財団法人民間都市開発推進機構の理事長として天下っていらっしゃいます。
今、この方は、平成十七年からですから、二年間やって、まだ理事長にいらっしゃるわけですが、理事長の在任期間が平均七年。あと五年在任をすると、報酬が一億五百万円、退職金が二千八百七十万円、すべて合わせると、この見込みだけで三億五千五百万円です。
この方は今六十七歳、五年と換算しても七十二歳。もう一つ恐らく天下るでしょうね。そうすると、建設省の事務次官は退職してから五億ぐらい受け取るんですよ。とんでもない。
我々が再三再四指摘しているのは、このわたりの実態をきちっと調査してくださいということです。大臣はわかっていらっしゃると思いますが、平成十六年から十七年のわたりの実態について調査をして、十六件と出てきました。この方は、その期間に財団法人民間都市開発推進機構に天下っていらっしゃいます。これは、国土交通省のもとでさまざまな融資をしたりしている、べったりの国土交通省の所管の財団です。これはこの十六件に入っていません。こういうわたりのとんでもない事例がいっぱいあるんですよ。政府はその調査をしていないんです。
総理、いいですか、わたりをしっかり調査してください。社会保険庁だけじゃないです、各省庁やっています。それを調査しなければ、いいですか、総理、これまでもわたりは隠然とやってきたんです。法律が通ったって隠然とやれるんですよ、そんなのは。わたりの実態をきちっと調査してください。
総理に御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 渡辺大臣はこのように答弁したんだろうと思います。今御指摘の十六件、調査をして、役所が認めたのは十六件であります。しかし、十六件ということはないだろう、これはもしかしたら氷山の一角かもしれないというのが渡辺大臣の答弁であったんだろうと思います。私もそのとおりだと思います。それは国民的な、皆さんの感覚。
しかし、今、もう一度調査しろと言っても、恐らく役所には、残念ながら、今までそうした資料を残していないというところに大きな問題があったんですよ。ですから、これは、我々は、これからどうするかということが大切じゃないですか。ですから、これからもう二度とそういうわたりはさせない。だから、二度目以降のあっせんは一切認めていない、それが私たちが今提出をしている法律だということは申し上げておきたいと思います。
○細野委員 いや、全く信用できません。現状のわたりがどうなったかの調査すらまもとにできずになめられている行革事務局のもとで、法律ができたって、わたりのあっせんがやったかやられないか、きちっと本当に調査できるんですか。総理、いいですか、ここに本当にあっせんなしで天下ったと思いますか。そういうことになっていないんですよ。
時間がなくなりましたから、最後に委員長に伺います。
わたりのあっせんについて、理事会できちっと調査をすると委員長おっしゃいましたね。今、資料が出てきていますが、これは委員長の指示です。二回目以降の再就職、事務次官について、一九九〇年以降出していただきました。見たら、これは確認中ばかりじゃないですか。委員長がきちっと調べろとおっしゃって、理事会で調査を、きちっとおっしゃったわけでしょう。これをきちっと、確認中を全部調べて、これだけうまい汁を吸ってきたわたりがあるんです。これをどうするか、これをどう考えるかという判断なしに、この法律を議論する意味はないんです。これまで建前で、実態に即さずに議論をしてきた、これはとんでもないことです。
委員長、再三申し上げていますし、委員長自身もおっしゃいました。事務次官のあっせんの有無については最後まできちっと確認をして、それを採決の前提としてください。御答弁ください。
○河本委員長 さきの理事会でも、資料を求められた結果、精査をする、確認をするという作業がまだ進んでおる、こういう認識であります。さらに進めます。さらに作業を進めてまいります。(発言する者あり)
速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
細野豪志君。
○細野委員 馬淵さんに譲りますが、これは再三申し上げますが、わたりというのは国民が一番怒るんですよ。民間の人は、わかりますか、六十歳で定職をしてから三億、五億なんというお金をもらう人は、これは民間ではあり得ないんですよ。それをきちっと調べて実態がどうなのか、これを調べてください。
それで、委員長はそれを約束したんですから、きちっと最後までやってください。それをやっていただかないと、このわたりの実態が明らかにならない限り、当然この質疑は終わらないし、採決すらあり得ない、そのことを委員長に強く申し上げて、また法案担当の皆さんに申し上げて、私の質問を終わります。
○河本委員長 次に、馬淵澄夫君。(発言する者あり)
静粛にしてください。
○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。
今、細野委員が質問をしたその安倍総理の答弁の中で、再就職情報はないという御答弁がありましたが、これについて、総理、再就職情報を持ち得ていない、今、各省庁、再就職情報はないんだということの御認識でよろしいんですか。
○安倍内閣総理大臣 いや、私が申し上げましたのは、再就職について、いわゆる我々が言っているあっせんによるわたりということを認めたのが十六件以外には出てきていない。ですから我々は、それを調査して正直に出しなさい、このようにもちろん言っているわけであります。しかし、彼らはなかなか出てこないのが事実です。出てこないからといって、それを全面禁止する法律をこれは立法しなくていいんですか。彼らとしては、出さなければそれが立法を妨害するのであれば、なかなか出さないんですよ。
我々は、恐らくあるだろう、もっとあるだろうと。ないんだろうということであって、それを認めるわたりはそもそも行われていないんだから、わたりを禁止する必要はないという法律を出しているんだったら別なんですが、わたりはもっと行われていただろう、だから全面禁止しようという法律を出しているんですよ。
だから、今、調査をもう一度やってみなければこの法律を通さないと民主党が言っているその論拠が私は全くわからない、このように申し上げておきたいと思います。
○馬淵委員 我々は、だから肩たたきを禁止して、そして、離職前五年間の、その影響力を行使し得る関係の法人等あるいは企業に関しては、五年間の再就職のあっせん禁止を明確に打ち出した対案を出しているんですね。
ところが政府は、今総理がおっしゃった、わからない、十六名のわたりしか出ていない、だけれどもそれ以上にあるかもしれないから我々は法案を出したんだとおっしゃっているが、その法案は、一方で天下りバンクという公的なあっせん機関をつくるという法案じゃないですか。そこが問題の本質を解決するような方策に全くなっていない。だから我々は、立法事実を明らかにせよと繰り返し申し上げているわけであります。
この問題について私は違う角度からお尋ねをしていきたい。
いわゆる天下りバンクを今回構想されているようでありますが、既に総務省では試行人材バンクというものがつくられています。これは、平成十二年から今日まで七年間、役所に勤めた方々の再就職、あるいは今後みずからやめていかれる、御自身が新たな道を開かれる、その中であっせんをしていく、情報を提供していくという人材バンク、これは試行という形で行われてきました。
そして、この試行人材バンク、これを調べてみますと、今日まで登録数が、平成十二年、九百十三、あるいはその翌年も九百九十八、千人未満で推移しましたが、余りにも登録数が少ないということで、一方でこの枠組みを広げた。平成十九年の四月一日では二千二百四十九となっていますが、それに対する求人登録件数というのは、これはお手元の資料の1でございますが、この求人件数が合計で百一であります。これを見てみますと、年間でわずか五件あるいは七件といった大変少ない件数で、この人材バンクというのは、実際にはたった一件の成立しかなかったわけであります。
このような実態がある中で、今回政府はいわゆる天下りバンクをつくろうとしていますが、まず、この人材バンクが実績を上げていない理由についてどのように考えているかということを、この委員会の中でもたびたび質疑に上がりました。
わかりやすいのは、これは質問主意書で江田憲司議員が質問をされております。これは平成十九年の四月十二日、質問主意書を出されていますが、そこでこの人材バンクの成果が十分に上がっていない理由として三点挙げられています。求人登録件数が伸び悩んでいる。あるいは、求人が各府省等に直接行われる例が多い。これが現行のいわゆる早期退職勧奨制度での天下りのあっせんであります。そしてもう一つ、職員と求人者との間での求人内容の条件面での不一致が生じた例が多い。これが挙げられています。
これはどういうことか。つまり、五十歳以上の方々が登録をしている、そして、それに対しての求人がたった一けた。三十年近く公務労働、公務員として働いてこられた方々が民間の企業にすぐさまマッチングするというのはなかなか難しいと考えられる。
そして、ここにもあるように、今申し上げたように、「求人内容の条件面での不一致が生じた例が多い」と書いてありますが、これはつまりどういうことか。五十歳代、あるいはそれ以上の方々、現行の俸給制度でいえば一千万円を超えるような年収となる。三十年近く民間ではないところで専門的に仕事をされた方々が、果たしてこれだけの報酬を得るということにすぐさまマッチングできるのかというと、これはなかなか難しいのがこの試行人材バンクの結果なんです。つまり、こうした数値を見ても、公務員の方々を一般、民間さまざまなところに広く紹介をしていくというのは非常に難しい。
このことについて、まず渡辺大臣、いや、総理にお聞きしましょう。総理、いわゆる民間の市場原理の中ではそういった方々を受け入れるという環境がなかなか整っていない。とりわけ、この条件の不一致が指摘されているわけでもあります。これは内閣が質問主意書にお答えをされています。この市場原理では非常に難しいんだ、だから、これをあえて就職させようとすると何か具体的な付加価値が必要となる、つまり押しつけ的になってしまう、政府がこうした公的あっせんを行おうというのは構造的には無理なのではないか、こういう認識を私は持つわけでありますが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 今回、官民人材交流センターをつくるに当たりまして、例えば政府・与党で最大の議論になりましたのは、いわば本省のあっせんをどうするか、これが一番大きなポイントであった、私はこのように思うわけであります。
今おっしゃったように、今までのこのいわば試行的な人材バンクがなぜ機能しなかったかといえば、これは各省庁がみんなあっせんしているからなんですよ。各省庁があっせんしていれば、みんなそのあっせんに乗って就職をしていくんです。そして、そういう人材をよく知っている人たちは、むしろそのルートで受け入れた方がいいだろうということでありました。残念ながら、これはまさに官製談合の温床になっていた。この温床を私たちはたたき壊すという決意をして、各省のあっせんをすべて禁止にした。それが今度の新しい官民人材交流センターであります。
今までのように、あっせんによる就職は一切行われない。そして、それと同時に、これからはいわば新しい公務員の世界ができていく。いわばこれは、実力主義、実績主義、能力主義になっていくんです。そして官民が交流をし、また、国際的な人材であれば、官民だけではなくて世界とも行ったり来たりする。こういう人材が新たな人生を歩んでいく。自分で能力を切り開き、公のために尽くしていく。そういう人生を可能にする仕組みをつくっていくことがこの法案によってできる、私はこのように確信をいたしておるところでございます。
○馬淵委員 結局、公的なあっせん機関を設ける、いわゆる官民のイコールフッティングには全く目を向けない。民間では、これはハローワークを利用したり、あるいはさまざまな人材ヘッドハンティング会社を使ったりしますよ。こうしたことには目を向けずに、あくまで官僚というのは優秀だという、まるで、あたかも選民意識のようなものを持って物事を見ておられるというのが根底に流れていると、国民の方は感じるんじゃないんでしょうか。
総理、ではお尋ねしますが、ハローワークではなぜできないとお考えなんですか。総理、お答えください。
○安倍内閣総理大臣 いわゆる民間の方々と公務員、いわば、公務員の方々は公務員法によって身分を保障されているわけでございます。その中において、我々、これから能力主義の人事を行っていくわけでありますが、最後まで皆さんが本省に残っていたいということになっていけば、これはいわば効率的な人事も行っていくことができないわけでありまして、その中において、これはやはり、新たな道を進んでいくという方々については、その道に進んでいけるような、そういう仕組みをつくっていくことが大切である。
これはポイントは、やはり各省の押しつけ的なあっせんがあった、しかし、私たちはその押しつけ的なあっせんをすべてやめていくということにしたわけであります。かつては予算や権限を背景としたあっせんということに限っていたわけでありますが、国民の目から見て、あっせん、これもやはりだめだろう、こういう結論に至ったわけでありまして、各省によるあっせんをすべてやめさせる、これがこの法律でございます。
○馬淵委員 今の御答弁は、総理、国民の方々は全くわからないと思いますよ。なぜ公務員は、官は、税金で再就職があっせんされる機関でその後の人生を開かれるのか、これについては全く理解できないですよ。今既にハローワークという機関があるのに、組織があるのに、これを使わない。公務員は身分が保障されている云々の話ではありません。
さてそこで、今つくられようとしている天下りバンクですが、いわゆる天下りバンク、これについてお尋ねをしていきたいんですが……(発言する者あり)いわゆる天下りバンクと私は思っております。
さて、渡辺大臣、このいわゆる天下りバンクの中で、ここには民間を使うお考えはありますか。民間のいわゆるあっせん会社も含めて、これをそこに組み込んで使われるというお考えはありますか。
○渡辺国務大臣 この法案の企画立案をやっている最中において、私は、民間を使うつもりはないということを申し上げました。
その後、制度の詳細設計は有識者懇談会で行うということになりましたので、詳細はこちらの懇談会で決まるものと思います。
○馬淵委員 大臣は記者会見ではかつて、民間を使うつもりはありませんと言明をしておられました。そして、バンクはどういうものをイメージされているのかということについては、例えば防衛省の援護事業、これをイメージしているというふうにおっしゃっておられます。この委員会でも同じようにこの防衛省の援護事業をイメージされているとおっしゃっております。
さて、お尋ねします。渡辺大臣、よろしいですか。
援護事業をイメージされているということでありますが、この新人材バンク、我々は天下りバンクと称していますが、今、このバンクで民間を使うつもりはないと言ったのは以前だけれども、現行は有識者懇で決めるとおっしゃった。何一つ今決まっていないということであるかと思います。
このバンクには、公務員の方々があっせんを希望すればどなたでも受け入れるということでしょうか。
○渡辺国務大臣 一般職の国家公務員であれば、キャリアとかノンキャリアとかにかかわらず、これは利用できます。
○馬淵委員 先ほど申し上げたように、大臣が、これは防衛省の再就職あっせんのイメージということで、自衛隊の場合に、若年退職制度がある、その再就職の援護事業、これが参考になろうかと思いますというふうにおっしゃっておられます。
そして、この援護事業というものはどういうものか、これを少しお伝えしますと、全国の自衛官、若年定年制自衛官、この方々は、五十代の前半から肩たたきの年齢と同じような形で退職をされていきます。この方々の再就職をしっかり援護しなければならないということで、防衛省はこの援護事業ということを局をつくり行っておられます。
この防衛省の援護事業にかかわっているのは全部で七百七十名、これはお手元の資料の三番にございますが、七百七十名の方々が隊員数としてかかわってこられている。さらに、こうした方々が全国で、求職、求人、これにマッチングさせるため、さまざまな事業会社に訪ねていって求人の情報を集めてきているわけです。これは、駐屯地あるいは地方協力本部等々を合わせますと二百二十一カ所、大変な数であります。
全国にこうした形で展開をしている七百七十名の隊員の方々と、さらには、あっせん事業そのものは、これはできない、紹介事業は省としてはできないわけでありまして、これを財団法人の自衛隊援護協会にゆだねています。こちらの人員が五十名。つまり、八百二十名の組織で、全国二百二十一カ所あるいは財団の七支所、これらを使って隊員の方々の再就職のあっせんをされています。
大臣は先ほど、さまざまな、キャリア、ノンキャリア問わずにこのバンクは利用ができるんだとおっしゃいました。退職をされる方々のあっせんをするバンクの規模というのは、この援護事業の規模と同等、あるいはそれ以上となるとお考えでしょうか。いかがですか。
○渡辺国務大臣 規模等については、詳細設計は有識者懇で行いますが、このお示しいただいた資料はちょっと数が少ないんじゃないんでしょうか。これはどこからどの範囲で出しておられるのか知りませんけれども、私がヒアリングをしましたときには、たしか一万四千名ぐらいの退職者がいて、そのうち七千名ぐらいを援護対象として扱っているという理解でございました。
その中には、二十二、三歳ぐらいで民間に出ていく若い人たちもいるんですね。中には三十回ぐらいお見合いをやったけれどもなかなかうまくいかないなんというケースもあるらしくて、やたら手間暇がかかるということでございますから、要するに、これを全部そっくりそのまままねする必要は全くないわけでございまして、もしコストパフォーマンスが悪いのであれば、どうやったらコストパフォーマンスをよくするか、そういうことを学べばいいじゃありませんか。
○馬淵委員 全くお答えいただいていないようでありますが、数字のことについて説明しますと、確かに退職者は一万四千名。しかし、それに対しての援護希望者がおられる中で、任期制の自衛官、これは二十代でやめていかれます。こうした方々は、これは今回、私は、天下りバンクの設計を、大臣が防衛省の援護事業のイメージと明確におっしゃっているから、これに今重ねてお聞きをしているわけです。
その中で見ますと、援護希望者が四千四百七十九名、これは平成十七年度です。このお示しの資料と若干数字が違うんですが、恐らく大臣は、私がもう一方で持っている数字をごらんになったんでしょう。今御提示したのは防衛省の数字ですから、これを見ますと、援護希望者が四千四百五十一、そして就職決定者が四千三百三十、ほぼ一〇〇%に近い形で就職されるわけですね。
この規模でほぼ一〇〇%就職させるには、つまり、八百名そして全国に二百数十カ所といった大きなネットワークを張らないと、これはなかなか実現しない。試行人材バンクでは、明らかにミスマッチが起きて、条件の不一致があって、また求人数が集まらない。現行の試行人材バンクで十分そのことはわかっていた。つまり、構造的に無理があるんだと。そして、その構造を解決するためには、自衛隊のこの援護事業のような形でやっていくということがそもそもイメージとしてあると大臣はおっしゃっているわけです。
さて、お尋ねします。大臣は、この委員会の質疑の中でも繰り返し、この人材バンク、いわゆる天下りバンクの規模については有識者懇とおっしゃいましたが、その中でも数字は若干述べておられます。そして、その再就職あっせんの規模については、約一万人の退職者の中で、四千人、これらが勧奨退職である、そのうち半分の二千人ぐらいが恐らく勧奨退職の中でさらにはあっせんをすることになるだろう、このようにおっしゃっていました。
お配りをした資料の2をごらんください。お渡ししておりますのは、これは人事院の方の、平成十七年度における一般職の国家公務員の任用状況調査報告というものであります。
この2の資料は、人事院がいわゆる給与法によって把握しているものでありますから、大臣がお話しになられた数字とは大きく異なっています。しかしながら、この数字を今ごらんいただいている表の中で見ますと、辞職と呼ばれる方々、二万五千七百九十四名いらっしゃいますが、ここから、例えば郵政公社あるいは独立行政法人や検察官等々、こうした方々を除くと、非現業の職員として一万六百八十、約一万七百名近い方々になります。この一万七百名というのが、恐らく大臣がおっしゃっている退職者の数、一万人という数字だと私は推定をしております。これはまた、この委員会の中での田端委員の質問の中にも同じ数字が出ておりました。平成十七年度で一万一千人、そしてそのうち三千六百人という数字が出ておりました。
この一万七百何がしという数字が離職者数、いわゆる定年退職ではない、また、これは自己都合も含めてということになるんですが。この一万七百人何がし、これらの方々のうち、今申し上げたように、一万七百人のうち約半分近く、勧奨退職が大体五十歳以上の人のところから始まると推定いたしますと、この2の表で、五十歳以上の方々の人数、これは人事院の把握している人数ですから、ほぼ五十歳以上の方々がいわゆる肩たたきでやめていかれるであろうと推計をすると、勧奨退職の数は約三千七百人ほどになります。一万七百人のうち勧奨退職数は約三千七百人、これも田端委員が御指摘をした数字と同じであります。
三千七百人の勧奨退職の方々、そこに加えて、大臣は、希望すればあっせんをするとおっしゃいました。つまり、このバンクの中では、五十よりも手前のさらに若年の方までも含めて、希望すればあっせんをしていく形になる。また、退職後の方々もあっせんをしていく形になる。このバンクの抱える、対象とする人数はどうなるんですか。少なくとも、現行ある数値から推計しても、三千数百名以上の方々を、年間に全国でこれらの方々を再就職させるという事業を行うんですよ。大臣はこの委員会の中では、例えば二千人で、一人当たり百人やれば二十人、そんな数字をおっしゃいました。とんでもない。もっともっと大きな組織が必要になる。
援護事業で、先ほどお示しをした四千三百、四千四百といった方々を再就職させるために八百二十名ほどの組織を抱えて、そしてこれは予算は十八億ほどかかっていますが、この組織が、就職させていくのに、求人の件数は一万二千三百件、そして二万六千七百人の求人数を集めてきているんですよ。四千人の方々を再就職させるのに二万数千人の求人数を集めねばならない。それには千名近い陣容が必要になるんですね。
大臣、まさに税金で天下りをさせていく組織をつくるということじゃないですか。大臣、あなたは今まで規模も有識者懇、有識者懇とおっしゃっていましたが、これを見れば明らかに推計できる。あなたははっきりと、イメージしているとおっしゃった。その中で、数千名をあっせんするとなれば、再就職させるとすれば、これは千名規模になるんですよ。今、援護事業だけでも十八億の予算がかかっている。つまり、税金を使って天下りをさせていくということをこれから公然とやっていくという仕組みじゃないですか。いかがですか。
○渡辺国務大臣 何か馬淵議員はちょっと勘違いをなされておられるんじゃないんでしょうか。今回、国家公務員法改正において、かなり厳しい行為規制をかけるんですよ。自分で職探しをすることは禁止をするんですよ。そういう厳しい行為規制をかけた上で、国家公務員には身分保障というものがある、では、どのような形で、本人の能力、実績が正しく評価をされて再就職ができるか、今みたいに予算や権限を背景にしない中立的な機関をつくるかということに心を砕いてきているんです。
ですから、自衛隊の援護システムを我々は勉強しました。しかし、もしコストパフォーマンスが余りにも悪いというんだったら、なぜそういうパフォーマンスが悪いのか、それを研究すればいいじゃありませんか。もっとコストパフォーマンスをよくするためにはどういう仕掛けが必要なのか、それを考えればいいじゃありませんか。
ですから、まさに今までの天下りではなくて、では聞きますが、若い自衛官が再就職するとき、天下りと言うんですか。違うじゃありませんか、再就職支援じゃありませんか。まさに本人の能力と実績が正しく評価をされて再就職していくことが、なぜいけないのでありますか。公務員だって、再就職する、職業選択の自由があるじゃありませんか。ですから我々は、コストパフォーマンスをよくする、それを詳細設計は有識者懇でやると言っているわけであります。
○河本委員長 馬淵澄夫君、申し合わせの時間が来ておりますので、端的にお願いします。
○馬淵委員 大臣、私は、だから何度も申し上げている。この援護事業をイメージされていくのであれば、援護事業は明確にこれだけ人がかかるというこれは証拠なんですよ、証左なんですよ。そして、かつての試行人材バンクは、全く求人数が集まらないという構造的な問題があるということを示しているんですよ。だから、新たなバンクをつくる場合には、千名規模の大きな大きな組織になってしまうんじゃないですかということをお尋ねしているんですよ。そのことをなぜあなたは隠すんですか。あなたはなぜそのことをはっきりと言わないんですか。
○渡辺国務大臣 大きな組織をつくろうなんて言っていませんよ。自衛隊の援護システムのいいところはいただく、まずいところは捨て去る、そういう設計をしましょうと言っているだけじゃありませんか。(馬淵委員「規模を聞いているんです」と呼ぶ)
○河本委員長 渡辺国務大臣、端的に御答弁願います。
○渡辺国務大臣 もう一度申し上げます。
自衛隊の援護体制、再就職支援体制をそっくりそのまままねしようとは言っておりません。要するに、政府の閣議決定の文章でいきますと、「実効性のある効率的な組織・運営とする。」ということを決めているんですよ。その上で、必要最小限度の体制を構築すると言っているわけでありますから、ですから、先ほどいみじくも数字を申し上げたように、大体、一万人退職をする、そうすると、四千人ぐらいは肩たたきだ、あっせんしているのは二千人だ、そういうことを申し上げたわけでしょう。そのことを今馬淵委員が御指摘をされたんじゃありませんか。
○河本委員長 馬淵君の申し合わせの時間は経過しました。
次に、吉井英勝君。吉井英勝君。(発言する者あり)
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 とにかく、実効性のある効率的な組織にするんですよ。だから、自衛隊のように一人で十人という規模でいいのかどうかは大いに検討しなければいけないんであって、必要最小限の設計にしましょうということを言っているわけなんです。だから、私は、この前お答えしたように、一人で二十人の場合だってあるじゃありませんか、うまくすれば一人で三十人、四十人だってあっせんできるじゃありませんか、そういうことを言っているんですよ。(発言する者あり)
○河本委員長 馬淵君、簡潔にお願いします。
○馬淵委員 いいですか、大臣、大臣は、この委員会の中で、例えば二千人を百人ほどのあっせんができれば二十人だ、このようにおっしゃった。大臣は、大変これは私は国民をだます答弁をされているんですよ。
これは、いいですか、大臣、私はなぜ規模のことをお尋ねしたかというと、先ほどの自衛隊の援護事業もそうです、あれは一人当たり五・五人から五・七人なんですよ。そして、さらに言えば、民間のあっせん事業をされている方々の五人から六人、七人ぐらいがこれは限界なんですよ。あなたがやろうとしていることをすれば、これは千人規模の大きな大きな組織になるんですよ。なぜあなたはそれをごまかして言うんですか。しっかりと規模を答弁してください。
○渡辺国務大臣 一人で五人とか、そういうことを決めないでいただきたいと思いますね。いいですか、自衛隊の援護システムだって大体七千人ですよ、このあっせんによって。若い人も入れればですよ、退職者も入れればですよ。中には一人で三十人ぐらいお見合いするケースもある。ですから、要するに、その分だけ人数は膨らんでいる。でも、民間だったら、例えば一人で二十五人とか三十人とかやっている実績のあるところだってあるんですよ。
だから、詳細の制度設計は有識者懇でやると言ったじゃありませんか。ですから、一人で五人しかできないとか一人で十人しかできないとか、決めてかかる必要はないじゃありませんか。基本原則として、人数は必要最小限の人数でやりますよということを申し上げているんです。
○河本委員長 馬淵君の申し合わせの時間は終了いたしました。
○馬淵委員 いいですか、委員長。いいですか、大臣。大臣、いいですか。大臣はこの委員会の中で、先ほど申し上げたように大変大きな数字を言っておられるんですよ。しかし、民間では、人材あっせん事業では五人から七名ぐらい。しかも、先ほど申し上げたように、試行人材バンクでは、条件面が合わない、非常にマッチングが難しいという事実が、試行人材バンクの七年間の実績の中でわかっているんです。これほど難しい事業をやろうとするのに、あなたは、一人で百人ぐらいやれば二十人で済む、ミスリードしているじゃないですか。あなたはそうやって、人材バンクという名前を使いながらも天下りあっせんを公的にさせることを進める、そんな法案の提出者になっているんですよ。
我々民主党は、だからこそ、天下りを完全に根絶するには、肩たたきをやめ、そして五年間の再就職は、関係するところは禁止、あっせん禁止と明確な方針を出している。なぜそれを大臣は、ミスリードしながら、あなたは規模を語らないんですか。お答えください。
○河本委員長 馬淵君、吉井君に席を譲ってください。馬淵君、席を譲りなさい。申し合わせの時間は終了しました。(発言する者あり)再三申し上げますが、馬淵君の申し合わせの時間は終了いたしました。吉井君に席を譲ってください。馬淵君、吉井君に席を譲りなさい。(発言する者あり)
馬淵君。
○馬淵委員 いいですか、あなたがミスリードして、このいわゆる天下りバンクを、国民には筋肉質の政府をつくると言いながらも、大きな公的あっせん機関をつくろうとしている。それを国民が納得できるんですか。安倍総理も、ハローワークがあるのにと私が言ったのには答えをされない。こんな法案を通すなんということを国民が納得できると思っていますか。
断固として採決には応じられないことを申し上げて、私の質疑を終わります。
○河本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
今のやりとりでも、審議はまだ途中、とても審議は尽くされていないということが明らかになったと思うんです。
実は、けさの午前三時に、非常に異常な事態ですよね。夜中の午前三時に理事懇を持つというのは異常なんですが、そこで本日の日程案が示され、それから、総務大臣も出席を求められれば出て答弁するというお話ですが、私は、総務大臣の質問については、内閣委員会と総務委員会との連合審査をもともと武正さんと総務委員会の理事会で求めているわけですが、内閣委員会でも松原さんなどと求めておりますが、総務大臣質問というのは内閣委員会と総務委員会の連合審査のときに、引き続いて開かれるでありましょうから、そのときにきちんと質問をしたいと思っておりますので、きょうは安倍総理にだけ質問をしたいというふうに思います。
それで、さきの本会議で私は、天下り規制を強化するためには、規制対象を営利企業だけじゃなしに公益法人や特殊法人に拡大するということと、それから、規制期間を二年から五年に延長するなど、まず国公法百三条の抜本的強化が必要だ、このことを求めました。これに対して、総理は私の質問に、官と民の垣根を低くすることが望ましい、官民の人材の闊達な交流を損なうこととなるから賛同できないというのがあなたのお答えでした。
総理に伺っておきたいのは、国公法百三条二項で天下り規制を強化すると、なぜ官民人材交流が阻害されるということにつながってくるのか。これを総理にまず伺いたいと思うんです。
○安倍内閣総理大臣 私どもが目指している社会というのは、複線化した社会でなければならない、いろいろな節目節目で自分がいろいろな人生を選択していくことができる社会でなければならない、このように思っています。二十二歳、大学を卒業して官の世界に入って、しかし、公を担うのは官だけではない。民間の会社、あるいはNGO、NPOもあるでしょう、そういうところで経験を積んで、また戻ってきたい、そう思っておられる方もおられるんだろうなと思います。
ですから、今、吉井委員がおっしゃったような規制をかけますと、行ったり来たりができなくなってくるという問題があるわけであります。つまり、ダイナミックにいわば人材が交流していく中で、いろいろなキャリアを経てきた人材が官の中でも公を担っていく、こういう、いわば公務員が育っていくことによって、より行政は今新しい時代に即したものに、また国民の期待に沿うものになっていく、このように思っております。
○吉井委員 総理、そもそも国公法というのは、これは私企業からの隔離ということ、その趣旨としては、公務員の全体の奉仕者としての公務専念と、それから公務の公正中立の維持というところにあるわけですね。総理は、天下り規制を強化すると官民の人材の闊達な交流を損なうと、この間の会議録を読み返しておりましても言うてはるわけですが、官民交流というのは、基本的には官民人事交流法が根拠になっているんですね。
この官民人事交流法の二十一条を読みますと、交流採用職員が離職後交流元企業の地位につく場合には、国公法百三条第二項の規定は適用しない、つまり、天下り規制を除外しているわけです。適用除外にしているんですね。だから、国公法百三条二項を強化しても、官民人事交流にもともとリンクしないんです。つまり、官民人事交流に影響しないという仕組みというものはちゃんとあるんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど私が答弁した趣旨にのっとって、この官民交流法における官民の交流をさらに我々は拡大をしていきたい、このように考えております。それは今後でございますが。
○吉井委員 だから、官民交流法で国公法百三条の二項の規定というのは適用除外となっているんですよ。だから、天下り規制のために国公法の百三条を抜本強化しても、これは何もかかわりはないわけですから、国公法百三条を抜本強化すれば何かこれが官民の自由闊達な交流を妨げるという論は、そもそもおかしいんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 我々は、先ほど申し上げましたように、今後、官民の交流を現役もOBも含めて拡充していきたい、このように考えているわけでございますので、その観点から、それが阻害されてはならない、このように思っております。
他方、今まで天下りが官製談合の温床となっていた、そういう天下りのあっせんは一切やめていくということになっているということは申し上げておきたいと思います。
○吉井委員 総理がこれまで言われてきた天下りという言葉を、今、官民人材交流と言いかえているように思うんですが、それにすぎないと思うんですが、天下りの原則禁止という垣根を全部取り払って、結局、天下りも天上がりも自由にできるようにする、天下り原則自由に百八十度変えておいて、それで各府省のあっせんやOBの働きかけを禁止するからといっても、私はこれは説得力がないと思うんですよ。実際、ヤフーの世論調査を見れば、九割の人がこの法案では官製談合はなくならないと、これは世論なんです。
それから、緑資源機構の官製談合など、次々に発覚してきている官製談合事件というのは、要するに、これは官製談合が天下りと密接不可分の関係にあるということを示しているわけです。だから、あなたのやり方では、原則天下り禁止というのを取っ払って天下りも天上がりも自由へと百八十度変えるということになってしまったら、それは、官業癒着の防止を後景に追いやって、逆に、官民交流という名で、官業癒着とかあるいは官製談合の土壌をつくってしまうということになってくるんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃったのは、我々のこの法律によって官製談合がなくならない、このようにおっしゃったわけであります。
では、なぜ官製談合があったか、こういうことでございます。それは、いわば役所が予算や権限を背景としてあっせんを行ってきた、あっせんを行ってきて、OB、現職を受け入れることによって、いわばその借りを返すために官製談合を行って、それを認めてきた、それによって国民の税金がいわば無駄遣いされてきたということでございます。国民の税金が無駄遣いされてはならない。この官製談合をなくしていくためには、今私が申し上げましたように、こうした、いわば省庁の予算や権限を背景としたあっせんだけではなくて、直接あっせんすることはもうすべてやめていくというのがこの法律でございます。
一方、もちろん公務員の方々も高い能力を持っています。そして、その能力を背景に、職業選択の自由があるわけであります。ですから、その中で第二の人生が歩んでいける、それは当然だろう、このように思うわけでございまして、今、吉井委員がおっしゃっているように、もう全くこれはいわば公務員だけで人生を終えなければいけないということではないだろう、私はこう思うわけでございます。
要は、公務員という職を利用して、そういう影響力を行使してはならない。また、行った会社において、今までのキャリアを利用して、何かそういう不正なことはしてはいけない。ですから、厳しい行為規制が今後はかかっていく。吉井さんが今おっしゃったようなことは絶対に起こしてはならない、そのための法律が今回の法律だということは重ねて強調しておきたい、このように思います。
〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕
○吉井委員 要するに、各府省のあっせんを禁止するというお話なんですが、官民人材交流センターには、しかし、これは十八条の七の五項のことで、これまでからこの委員会でもやりとりしてきた話ですが、ここでは関係省庁が関与できる仕組みがつくられていますね。
もともと、この官民人材交流センターは、「官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために」ということで、関係省庁から情報をもらったり、いろいろすることになっているんです。この「所掌事務を遂行する」というのは、まさに、マッチングがうまくいくように関係省庁から情報をもらいましょう、対象職員の情報を各府省の人事当局からとりましょう、これが今度の法案なんですね。ですから、それではそもそも、関係省庁のあっせんをやめるとかいいながら、全く断ち切ることができない、これははっきりしていると私は思うんですよ。
センターによる再就職の手続というのを見ていきますと、これは、離職対象者本人が再就職の要望をセンターに申請書を提出することから始まるんですね。この申請書に必要な人的情報を記入する様式を作成して、本人がいろいろ書くわけですね。必要なら求職に必要な書類を添付させるなど、これは、申請方式をつくれば、必要な情報は全部入ってくるようになっているんですよ。こうした申請の書式は、どこの役所でも一般に国民に義務づけていたりするわけです。だから、そうすれば、別に各府省の人事当局と関与ということで連絡をとらなくても、やっていけるんですよ。
総理の答弁で、政府は、各府省のあっせんを禁止するとか、各府省からの出向者に同一府省の再就職の事務を取り扱わせないなどということをずっと強調してきているわけですが、わざわざ各府省が関与できる仕組みをつくっているのが十八条の七の五項ですから、これは各府省を関与させないという安倍さんの言っておられた方針に逆行することになるんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 今までは各省の人事当局が直接企業とかかわってきた、こういうあっせんはもう今後は一切やめていこうというのがこの法律でございます。
そして、今度の人材交流センターは、いわばこの人材交流センターの職員がいわゆるあっせんを行うわけでございます、就職の支援を行うわけでございます。
そのためには、就職の支援を行う対象者のための情報が必要であります。例えば、この人物はこういう法律の改正にかかわってきて、こういう法律については十分詳しい能力や知見を持っている、あるいはこういう語学も非常に堪能であるということを知っておく必要があるわけであります。そういう情報を得るために、センターの職員が各省庁の人事当局に情報の提供を求めるのは当然ではないか、こう考えております。
もちろん、このセンターがいわば各省庁のあっせんのトンネルになってはならないわけでございますので、センターの職員は出身官庁の職員のあっせんは行わないことになっているということも申し添えておきたいと思います。
○吉井委員 今のお話にありましたように、要するに、これまでは各省庁の幹部が直接働きかけて就職あっせんをやっておったわけですね。しかし、それはやらないといいながら、センター長が各省庁から情報を得る。今おっしゃった英会話だ何だという話は、全部本人が申請書に書けば済む話なんですよ。本人が情報を全面的に提供するということで済むのに、わざわざセンター長が関係省庁に連絡をとる、関与をするということは、そこから情報を得て、センター長が直接今度はその企業に働きかけていけば、省庁の幹部がセンター長にかわるだけで、何ら変わらないじゃないですか。私は、それが最大の問題だと思うんですよ。
そのことを、何かあたかも天下りが禁止できるなどとか、あるいは各省庁の関与が排除できるだとか、それは全然違う話であって、そのことを正さない限り、私は、この天下り規制とかあるいは官製談合、癒着などというものはなくならないと思いますね。どうですか。
○安倍内閣総理大臣 この官民人材交流センターを機能させるためにも、いわば民間の企業にしても信頼あるものにしていかなければならないわけでありまして、この交流センターが出す情報が間違っていないというものでなければならないわけであります。
もちろん、御本人の申請、ほとんどの方々はまじめな申請をされるかもしれない。しかし、中には、自分の評価を、非常に自己評価が高い方がおられるという可能性だってないわけではないんですよ。ですから、それは客観情報をやはり得るという努力もした上において、こういう人物ですよと自信を持ってその企業に紹介できるということにしなければならない、このように思います。
そもそも、このセンターは、民間会社に対しては予算や権限も全くないセンターでございますから、吉井委員がおっしゃっていたような御懸念は全く当たらない、このように思います。
○吉井委員 ハローワークでも、それは全部個人が、ここへ就職したいということで自分の情報をちゃんと申請するわけですね。それに基づいてきちんとやっているわけなんです。
天下りを禁止するということであれば、それは、その情報を得るという、個人の情報だけじゃなしに、結局、民間企業の情報などを得て、それで、今までは関係省庁の幹部がかけていた圧力的なものが、センター長が圧力的にかけていくとなれば、これは何ら変わらないんですね。
私は、やはりこのことをきちんと解明していかないことには、渡辺さんは今手を振っているけれども、これが問題なので、こういうことを徹底的に解明する審議というものを続けていかないことには、とてもじゃないが、この法案を簡単に進めるということはできるものじゃない、そのことはきょうの午前中の質疑を通じても明らかになってきた、このことを申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
○後藤田委員長代理 次に、田端正広君。
○田端委員 公明党の田端でございます。
いよいよ議論も相当煮詰まってきたなということを感じておりますが、公務員の改革については、野党の皆さんもまた国民の皆さんも、これはぜひやろうということ、それはもう大きな一つの流れだと思います。特に、天下りあるいはわたりについては、これはもう徹底的にやろうというのは、与党も野党もなく、また国民の期待しているところでもあるわけだと思います。
きょうは総理にお出ましいただきましたので、総理にお尋ねしたいと思いますが、つまり、早期退職勧奨等、そういう仕組みもまた大きな問題だと思いますし、それから、官民人材交流センター、官民交流というものの今後のあり方とか、こういったこともいろいろ大事なこともあるし、それからまた今後スタッフ職をどうするかとか、そういったこともいろいろ議論にはなっていくんだと思います。
問題は、人材交流センター、これが一番のポイントになると思いますが、まず、このイメージですね。私は、やはり透明性というのが一番大事だろう、そして、そこでどういう責任において再就職支援をなしていくか、責任と、そして透明性を担保する、この二つが一番大きなポイントではないかと思いますが、ここのイメージをまず確定していただくことが大事だと思いますので、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 このセンターについては、まずは、再就職支援のセンターとして十分に機能していくものでなければならない、こう思うわけでありまして、公務員の方々が第二の人生を切り開いていく、また官民の交流を盛んにしていくことによって、ある意味では、新しい時代においてより質の高い公務員を得ることができるという結果に結びついていかなければならない、こう思っているわけでありますが、と同時に、今までいろいろな指摘がなされてきました、いわゆる天下りの問題、そして、この天下りがいわば官製談合の温床になっていたという問題がございます。その観点から、まさに今委員がおっしゃったように、透明性そして中立性が極めて重要である、こう考えています。
制度改革の進行とともに、各府省等の人事の一環としての再就職あっせんからセンターによる再就職支援に重点をまず移していく、その透明性また中立性のために移していくということであります。センターを内閣府に置き、そして、各府省等からの中立性を徹底していかなければなりません。そして、センター職員は出身府省職員の再就職あっせんを行わないということにいたします。府省等の人事当局と企業等の直接交渉も禁止をしていきます。今まではこれが行われ、そしてあっせんが行われてきたわけでありますが、それを全面的に禁止をするということであります。そして、あっせんによる就職実績の公表も含め、業務の透明性を確保するとともに、外部監視機関による厳格な事後チェックもさらに行っていくということでございまして、こうしたことを原則といたしております。
こうした今申し上げました原則に従って制度をつくっていけば、透明性そして中立性は必ず担保できる、確保できる、私はこう確信をいたしております。
○田端委員 そのお言葉どおり実行されることが本当に大事な点だと思います。
もう一つは、この問題については、今の公務員の方々が賛成するといいますか、気持ちの上で、ああ、いい改革だと感じるような、そういうものでなければならないのが、なおいろいろな議論があるということは、まだすとんと落ちていないんだなということを感じます。
それからもう一つは、若い人で公務員を志望する人が減ってきた、こういうことがあります。もう一つは、何か公務員というのは性悪説みたいな感じで、公務員は悪いんだみたいな、それは事件を起こしたりいろいろなことは悪いと思いますよ。だけれども、まじめに働いている公務員はいっぱいいるわけですから、そこのところが何か話がごちゃごちゃになってきているんだな、こう私は思います。
だから言いたいことは、新しい、若い人に公務員に手を挙げていただく、今働いている公務員の方が本当に活力に満ちて頑張っていける、そういう雰囲気をつくるためには、私は、公務員改革の、パッケージ改革と言われているところの全体像をもう少しきちっと提示されて、そして、基本法は来年の通常国会というお話でございますけれども、できるだけそこのところをもう少し先出ししないと、これだけが先行して全体像がおくれているということになると、現場の中でそういういろいろな違和感が出てくるのではないか、こう思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃったように、公務員の皆様が国民の声にこたえてその能力を生かして仕事ができる、そういう公務員の仕組みをつくっていく必要がある、このように思います。いたずらに公務員たたきをすることは、むしろこれは、いわば国にとっても損失につながっていく、こう思うわけでございます。むしろ、公務員の方々が、自分たちの能力を生かして地域や国、世界のために貢献できる、よりよい世界をつくっていくために自分の今持っている力が生かせる、そういう制度にしていく必要があるだろう、こう思うわけでございます。
と同時に、やはり公務員の方々の規律を保っていくためにも、そういう観点からも、公務員がある意味において制度の中で身分が保障されているということも、それは大切なんだろう、私はこのように思うわけでございます。その中で、この今回の改革は人事管理制度全体に変革をもたらしていくものであって、パッケージとして改革を進めていく必要がある、このように思います。
このため、公務員制度の総合的な改革を推進するための基本方針を盛り込んだ法案を次期通常国会に提出する考えであります。また、この立案に向けまして、私のもとに有識者から成る検討の場を設けて、採用から退職までの公務員の人事制度全般の課題について総合的、整合的な検討を進めていく考えでございます。
〔後藤田委員長代理退席、委員長着席〕
○田端委員 そういう意味でこの公務員改革は、国の中核に当たる部分の改革であり、行政改革の最後の、一番今までできなかったテーマだ、こう思います。総理が大きな勇気と決断を持ってこれをやろうという、これはもうすごいことだと思います。
そういう意味では、今まではいろいろな議論がありました。議論はあった、しかし、公務員改革はぜひやってくれというのは、もう国民の皆さんも言っているし、与野党も挙げて、いろいろな意見があるにしても、これはやる必要がある、やらなきゃならないという思いでは一緒でありますから、ここからはもう、一歩踏み込む、実践をしていくという段階に、議論を超えてそういうところに今来ているのではないか、私はこう思っておりますが、総理の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今まで、数々の公務員制度に絡む問題が起こってきたわけであります。予算や権限を背景としたあっせん、そしてそれが官製談合の温床になっていた。そして国民の大切な税金が無駄遣いされていた。私たちは、それを断ち切ろう、こういう決断をいたしました。
それと同時に、公務員の皆さんが自信と誇りを持って能力を生かしていくことができる、そういう仕組みをつくっていく、まさに六十年ぶりの大改革を行う、これが大きな第一歩となる法案である、私はこのように確信をいたしておる次第でございます。
○田端委員 ありがとうございました。
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
次に、木原誠二君。
○木原(誠)委員 自由民主党の木原誠二でございます。
一連のこの公務員制度改革にかかわる議論をずっと聞いておりまして、人を得る、人材を得るということは大変重要なことだな、こんなふうに思うところでございます。
総理は、美しい国づくり、これもまた人材、教育再生ということに取り組んでいただいております。公務の世界もまた、これから伸びていくためには、やはり人を得ていかなければいけない。そのための公務員制度改革だろう、このように思っております。そういう意味では、器の改革から公務員制度の改革というものに取り組んでいただいた、その決意に心から感謝と感銘を受けたことを申し上げたい、このように思っております。
ただ、実際には、若い人たちは公務の世界から離れていっているという現実がございます。国家公務員の採用試験応募者数も減ってきておりますし、二十代、三十代、四十代の離職者というものもまたふえてきているわけでございます。その背景は一体何かなと考えたとき、私は、やはり国民の信頼が薄れてきているということにあるのかな、こんなふうに思っております。残念ながら、給与も低いというふうに思っている方もいらっしゃる。しかし私は、この部分が一番大きなところではなくて、やはり国民の信頼をかち得ていない、その自信の揺らぎが大変大きいのかな、こんなふうに思っております。
では、なぜ国民から信頼を失っているのか。私は、天下りの問題、これは非常に大きな要因であろう、このように思っております。先ほど来この委員会でも審議がございましたけれども、実力もない、能力もない、にもかかわらず天下りをしているという実態は確かにある。省庁のあっせんを受けて天下りをする、あるいはわたりをする、やはり私は、この部分をしっかりと根絶しなければいけない、ぜひそのことをやらなければいけない、このように思っております。
公務員は、大半の人はしっかり働いていただいている、しかし、すべての公務員があたかも悪いかのように、あるいは公務員だけではなくて、特殊法人や独立行政法人まで含めて、何か公的なものにかかわる人間は悪いことをするかのような、そういう問題設定はやはり間違っている、私はこのように思っております。そういう方を公的世界の中に閉じ込めていくだけでは問題は解決をしない。
そういう意味では、天下りのあっせん、この根絶に向けてぜひしっかりと取り組んでいただきたい、このように思いますけれども、簡潔に総理から決意のほどをお伺いできればというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま木原委員の御指摘の中で、最近、公務員を志望する方々の人数が減っている、私もそのように承知をしています。これは、ある意味では時代の大きな変わり目なんだろう、私はこのように思います。
かつては、いわば公務員というのが、ある意味においてはピラミッドの頂点的な、そういうイメージがあったわけでありますが、今は、公のために仕事をしようという思いのある方々にとっても、公務員だけが選択肢ではなくて、NGOやNPOもあるし、あるいは民間において公を担うことも十分に可能である。また、そういう世界に行った後、また公務員の世界において公を担っていこうと思っている方々もいるんだろう、このように思います。そういう方々のいわばニーズを受けとめられるような仕組みに変えていく必要もある、このように思うわけであります。
と同時に、公務員を志望される方々の多くは、いわば、例えば民間に行った方が将来に得ることができる報酬はもっと大きいけれども、自分はやはり地域や国のために仕事をしたい、人生をかけたいという思いで、多くは皆さん、二十二歳のときに、あるいは十八歳のときに、大志を抱いて公務員になられるんだろう、私はこう思うわけでございます。
ですから、そういう方々が能力を本当に発揮できる仕組みをつくっていくことも必要でしょうし、また、皆さんが国民から信頼され尊敬される、そういう公務員制度であって初めてそういう方々がもっと応募してくるのではないか。そのためにも、いわば押しつけ的なあっせんによって人生が保障されているという制度をもうやめる、断ち切る、そのための法案を提出したところでございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
まさに今回の法案は、そういう意味では、最大の問題点である省庁によるあっせん、そして天下り、わたり、そしてさらに言えば、予算や権限を背景としてまさに押しつけていく、この部分をしっかり根絶していくというところにあるんだろう、こんなふうに思っております。そして、この法案が成立をすれば、そういったものをしっかりと第三者機関を通じてチェックしていく、その仕組みもつくっていくということであろうかというふうに思っております。
一方で、既に天下りをしてしまった方々、先ほども社会保険庁長官の天下りの事例が出ておりました。私どもも、やはりこれは怒りを禁じ得ないところがございます。この法案のもとで今後こういった事例はなくなる、それは大変ありがたいことであるけれども、既に問題を起こしてしまった、あるいは問題がある、こういうわたりについては、我々、やはり責任の所在というものをしっかり、はっきりさせていくということも大変重要ではないか、このように思います。
この社会保険庁長官OB、わたりを繰り返す皆さんについて、今回の社会保険庁の問題と関連して、責任のとり方あるいは責任の所在の明らかな仕方、総理はどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今回の年金の記録の問題、これは本当に国民の皆様にとって大変な御心配また不安であろう、このように思うわけでございます。
基礎年金番号をいわば制度としてスタートさせた、また、その制度をつくるに際してシステムをつくった、例えば平成八年以降の歴代の社会保険庁の長官も含めて、やはりこれはどこに責任があったのか、そしてどういう理由でこういう結果になってしまったかということをきっちりと検証していかなければならないわけでありまして、これは役所がやるということではなくて、やはり第三者、有識者による検証の委員会をつくって、ここできっちりと責任の所在また原因を明らかにしていかなければならない、こう考えている次第であります。
私は、現在の政府の長としてもちろん大きな責任がありますし、こういう状況になっていることについて、国民の皆様に本当に申しわけない、この思いであります。その責任を果たしていくためにも、今申し上げましたように、政治がしっかりと責任を持って、この責任とそして原因を究明してまいります。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。第三者による、有識者による検証をしっかりしていく、こういうことでございました。
同時に、今総理からもまさにお話をいただきましたけれども、政治の責任で最後はしっかり判断をしていくということもお話をいただいたわけでございます。ぜひ、第三者の有識者に任せるだけではなくて最後の政治的な決断をとっていただきたい、このことをお願いしておきたいというふうに思います。
天下りについて、もう一点、お話を伺わせていただきたいというふうに思っております。
○河本委員長 木原君、申し合わせの時間が経過しております。端的にお願いします。
○木原(誠)委員 わかりました。あともう一点だけお伺いをしたい、このように思っております。
今、天下りの根絶について……(発言する者あり)済みません、私、今質問させていただいておりますので、よろしくお願いをいたします。最後の一点、御質問をさせていただきたい、このように思いますので、どうぞ……(発言する者あり)委員長、一点。
○河本委員長 続けてください。
○木原(誠)委員 はい。
今、天下りの根絶をしなければいけない、そしてわたりも根絶をしなければいけない、今政府が法案を提出して、そして取り組んでいこう、このように思っております。他方で、民主党の皆さんからも法案が提出をされております。この民主党の提出された法案、私も冒頭で申し上げましたけれども、すべての公務員を早期退職勧奨をやめさせて、そして最後まで勤め上げさせる、あるいは公務員の世界の中に閉じ込める、こういう考えでございます。私自身は、この考えにどうも納得がいかない、このように思いますけれども、一つだけ大きな問題は、やはり人件費がかさんでくる、このことはこの委員会の中でもずっと議論されたことでございます。最後まで明確な答弁がなかったというふうに思います。
この民主党の案によって、大きな政府が実現してしまう可能性があるというふうに私は思います。この点について、最後に渡辺大臣にお答えをいただきたいと思いますけれども、政府の案は、あくまでも小さな政府を実現する中で公務員制度改革をしっかり両立していくんだ、そういう理念であるということだけを確認して、私の質問にさせていただきたいと思います。
○河本委員長 渡辺国務大臣、端的に御答弁願います。
○渡辺国務大臣 安倍内閣は、簡素で効率的な政府を目指しております。したがって、公務員が仕事もできないのに公務にあり続ける、そういうことはございません。仕事がなくなれば公務員はやめていただくというのは当然のことでありまして、まさしく能力・実績主義を導入し、再就職をするときも能力と実績が正当に評価されて再就職ができる、そういう路線を目指しておるところでございます。
○木原(誠)委員 終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時九分休憩
――――◇―――――
午後二時十二分開議
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局次長鳥生隆君、国土交通省住宅局長榊正剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑を続行いたします。細野豪志君。
○細野委員 午前中に引き続き、質問させていただきたいと思います。
朝と打って変わりまして随分人も少なくなりまして、まあいろいろありましたけれども、こうした落ちついた環境で質疑ができるのは大変いいことではないかと思っておりまして、私もちょっと、午後は穏やかに、かつ建設的な議論をしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
午前中、ちょっと一つ質問を積み残しましたので、その質問から入りたいと思います。せっかくパネルをお金をかけてつくりましたので、使います。
大臣、これは午前中に私が提示をした建設省の事務次官の天下りなんですが、私が九〇年以降でいろいろな方の天下りを見た中でいうと、これはかなりチャンピオンに近いクラスでございまして、相当恵まれた老後を送っていらっしゃる方の一人。実は、この方が一番長くいらしたのが今の独立行政法人都市再生機構でございまして、いわゆるURというものなんですが、この機構の状況を見ている中でこの方が浮かび上がってきたというのが背景でございます。
大臣、一枚ちょっとめくっていただきたいんですが、このURがどういう取引状況にあるかということを、少し国土交通省とのやりとりをしながら問題を指摘していきたいと思います。
この都市再生機構には、実は、まず前提として、国土交通省から年間九百八十億円の交付金と補助金が出ています。九百八十億円というのはかなり大きな数字でございまして、それとあわせて国土交通省から都市再生機構に役員の方が八人、役員以外で九人天下りをされています。
それで、その都市再生機構のもとに、下に書いてあるような、左からURサポート、URコムシステム、日本総合住生活、URリンケージ、財団法人住宅管理協会、こういういわゆるファミリー財団、ファミリー企業のようなものがございまして、ここが仕事をここに書いてある金額でそれぞれ受けています。
ちなみに、大臣、一番右側の財団法人住宅管理協会というのが、これが一番大きな金額を受けている財団なんですが、百九十五億円は全部随意契約です。百九十五億円、全部随意契約です。ナンバーツーのURリンケージの百六十九億円も、これも全部随契です。ほかに幾つか競争入札を受けているところはありますが、落札率が平均で九九%であったり、私も、個別の取引にかかわっているわけでは、見ているわけではありませんが、極めて談合の疑いの濃い、そういう取引だと言えると思います。
大臣、私がまず指摘をしたいのは、国土交通省と独立行政法人都市再生機構とこの会社の関係というのは、緑資源機構に極めてよく似ている。農水省、林野庁がここにあって、緑資源機構があって、その下に林野弘済会とかいろいろ逮捕者を出したような公益法人がたくさんあって、そこにお金が落ちているという構図は、これは随意契約でやっていますが向こうは談合でやっていたという違いがあるだけで、構図はほぼ同じなんですね。
こういう独立行政法人というのは我々が調べただけでも相当ありまして、これはその中でもかなりきわめつけの例の一つなんですが、こういう問題があるということをまず御認識いただきたいと思います。
その上で、まず国土交通省に聞きたいんですが、政府参考人の方、来られていますでしょうか。
URも内部規約を持っていまして、随意契約はだめですよ、一般競争入札ということになっていて、契約の性質または目的が競争を許さないときには随意契約でもいいですよというふうに、会計法と大体同じような規定になっているんですが、これは平成十七年で、足元は若干変わっているという話も聞いていますが、何でこんなに随契が多いのか。契約の大きな金額では、このベストファイブが群を抜いています。この次になってくると、それこそけたが一つ違うぐらいこの五つがたくさん受けています、ほとんど随契で。
こういう状況について国土交通省はどういうふうに認識をされているのか、まずお伺いしたいと思います。
○榊政府参考人 都市再生機構の全体の契約額が、平成十七年度決算ベースで見ますと三千百四十二億円ということで、随契が千二百五十八億円、機構の関係法人の契約が六百二十八億円ということですので、ちょうど半分ぐらいという形になっております。
この関係の業務契約ですけれども、従来、関係法人が実施しておりました賃貸住宅の大中規模の補修工事、これはもう平成十五年に競争入札で出す、それから実施設計、測量等につきまして機構発足時にやめる、現地窓口案内につきましても段階的に撤退するといったようなことでやってきております。
ただ、住民サービスの提供ということで、例えば、賃貸住宅の管理をやっておりますので、水道が壊れたということになりますと、緊急事故対応というのが出てまいります。それから、権利者と公共団体の折衝業務、企画判断を伴います、民間業者には委託できない機構業務の代行、補完的な役割の業務を実施しておりまして、そういった結果、関係法人との契約は原則随意契約というような形でやっております。
しかし、今後これらの業務につきましても、本体業務との関連性、一体性を考慮しながら、可能なものにつきましては、現在の居住者サービスの質を下げないということを前提といたしまして、競争性の導入を検討したいというふうに思っております。
それから、その他の民間法人の随契についても、工事について、当初工事に引き続いて施工される追加工事ですとかコンサルタント業務につきましては、基本設計との業務の継続性があるような実施設計というのがありまして、これらにつきましては、会計規程等の内規に基づいて厳正に適用している。こういったような感じの随契が多いというのは、そういった理由でございます。
競争性のない随意契約につきましては、真にやむを得ない場合を除きまして、一般競争入札等への移行を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○細野委員 恐らく、国土交通省はほとんど実態を把握していないんじゃないですか。私、URの物件を随分見に行っていまして、この間、地元のURの物件を見に行ったんですよ。そうしたら、普通のいわゆる都営住宅に近いようなマンションで、その敷地の中にある駐車場をこの日本総合住生活というところが管理をしています。全国のURの物件はほとんどここがやっているんですが、住民からも話を聞きましたが、それこそ、近くの不動産屋にやってもらうか、直接ビル管理をやってしまった方がはるかに楽ですよと言っていましたよ。何で敷地の中にある駐車場をここが管理するのか、住民は首をかしげていました。
もう一つ言うと、私、何個か見ていまして、例えば、最近であれば汐留とかお台場とか、ああいうところにも新しいのを建てていますよね。東京都内にも相当あります。URの物件を見ていると、今までUR本体で管理をしていたのを、今度、住宅管理協会というところに丸投げをします。そういう案内が住民に回っていますよ。これなんか、URが経費節減の名をかりて天下り先に金を流しているだけと、見ればすぐわかるんですよ。
国土交通省、そういう実態を本当に把握していますか。さっきべらべらといろいろと御答弁されましたが、本当にURの随契の状況を国土交通省は監督して見ていますか。
○榊政府参考人 駐車場の管理とか住宅の管理というのは、本来、そのもの自体が、例えば民間のマンションというようなことを想定しますと、民間のマンション管理組合が実施するとか、賃貸住宅であれば大家さんがやるということになっているわけですね。だから、そもそも大家さんとしてやっているような業務をアウトソーシングするというような形でやっているのが実態でございます。
それで、例えば駐車場に関して言えば、UR自体が駐車場をわざわざつくってやるのはどうかという議論があって、したがって、土地をお貸しして、そちらの方で駐車場をつくっていただいて、その駐車場を管理運営するというような形でお任せをしてある、こんな実態になっているわけでございます。
○細野委員 これを調べていて、どうも天下りと補助金の流れの関係が怪しいなと思ったものですから、ちょっとグラフをつくってみたんですが、大臣、一枚めくっていただけますか。
これは上位五つの団体ですが、まず、一番大きい住宅管理協会ですね、金額百九十五億円、一般職と役員を合わせると百四十六人天下っています。二番目がURリンケージ、これは百六十九億円に対して、合わせると百二十六人ですか。それで次が日本総合住生活、これは百四十三億に対して七十一人。これは独法からの天下りオンリーですよ。独法から落ちている金と天下っている人の数は、明らかにこれはリンクしているじゃないですか。
これは累積なんですけれども、何年間か合わせて、平成八年から十七年で累計して天下っている人と、平成十七年度、一番近々で契約額がきちっととれる十七年度を比較しているんですが、国土交通省、よくこれを見てくださいよ。見事にリンクしていますよ。一人頭、計算すると一億円ちょっとです。こういうのを持参金つき天下りというんじゃないですか。こういう状況を本当に把握していますか。
○榊政府参考人 過去十年間に、住宅管理協会、URリンケージ、日本総合住生活、URサポート、URコムシステムに再就職した人数でございますけれども、各法人に調査依頼したところ、約四百五十人というふうに聞いております。
ただ、この数字は十年間の累計でございまして、既に再就職先を退職している方が含まれておりますので、十八年度末の時点で申し上げますと、在職者数は二百三十七名というふうな形になっております。
それから、先ほど、その前のページ、九百八十億円というのが出てまいりますが、ちょっと私どもこの数字はわかりかねておりまして、実は補助金は四百数十億でございまして、予算の執行上、下半期に交付するということはなくて、大体上半期に執行しているものですから、ちょっと九百八十億円という数字が私どもとしてわかりかねる数字になっております。
○細野委員 わかりました。これは一応交付金と補助金を合わせた金額で書いたつもりなんですが、私も数字はチェックします。ただ、天下りの数は直接国土交通省から聞いた数ですから、これは、この期間であれば間違いないですね。
いろいろおっしゃいましたけれども、要するに、子会社をつくってそこに天下って、もともと税金で来ているお金がURから流れているという構図は、この図を見れば、これはわざわざ加工してつくったんじゃないですからね、何かおかしいなと思ってぱっとつくったらこういうグラフになったということですから、これは確実にリンクしていますよ。
ここから大臣に伺いたいんですが、これは午前中の日本年金機構と同じなんですけれども、このURの天下り、これは全員プロパーなんです。国土交通省から天下っているんじゃないんです。国土交通省からURに行って、URから天下っているんでもないんです。独立行政法人プロパーの人がこれだけ天下って、そこに税金が流れて、随意契約でいっているんです。
大臣、これは規制できますか、今度の法律で。
○渡辺国務大臣 ですから、この場合の問題は、今回の国家公務員法改正で扱っている天下りとは別個に考えていくべき問題だと思います。
○細野委員 穏やかにと言いましたからきょうは穏やかにやりますけれども、天下りの根絶とおっしゃったんですね。天下りを根絶して税金の無駄遣いをなくしますと何度も何度も大臣は力を込めて議論されたんです。これは天下りであり、厳密に言えば役所じゃないから天下りじゃないとおっしゃるのかもしれませんが、我々の理解では天下りです。独立行政法人というのは、外から見れば、極めて官の色彩の強い、そして親方日の丸の組織ですから。そして、税金の無駄遣いでいえば、独法の方が、直接出ているものよりはるかにえげつないのがありますよ。天下りの根絶で税金の無駄遣いをなくすというのであれば、これを落としては、正直言ってお題目だけですねという話ですよ。
これが落ちているのは、私は政府提出法案の大きな問題点だと思います。いかがお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 今回の改正案は、本省が絡んだあっせんによる天下り、恐らくこれが司令塔のような形になっているんだろうと思います。そして、今御指摘のようなプロパーの再就職、これが本省の天下りと共鳴し合って似たような構図をつくっていっているという構図はあるのかもしれません。したがって我々は、まず司令塔の方の問題を根源的に断ち切るということを考えたわけでございます。
そして同時に、独法改革については、人、つまり天下りという人の問題だけではなくて、お金のルートを改革していくということを私は提言しているわけであります。
独法には、先ほどお示しになられた都市再生機構のような資産保有型の独法もあれば、研究型の独法もあれば、緑のような予算配分型の独法もあれば、いろいろあるわけでありますから、それぞれの独法ごとの処方せんをつくって、お金のルートをどう改革していくかということが、総理の指示を受けて今始まったところでございます。
したがって、こういった独法が本来の姿になるのであれば、独法の職員までひっくるめて天下り規制ということをかけるのとは別のやり方で、きちんと問題は解決をしていくものと思います。
○細野委員 大臣、私も当初は、一番深刻なのは役所からの天下りだと思っていたんですね。そうやって独立行政法人に天下っている役所の人が何人いるかなとか、その下の、いろいろな独立行政法人から仕事を受けているところに何人の役所の人が天下っているかなというふうに調べたんですが、実は、それよりもはるかに数として、そして現実的に税金の無駄遣いをしている、具体的にかかわっていると思われる、そういう人としては、独法からの天下りの方が深刻なんです。
緑資源機構で六人逮捕されていますが、そのうち二人は緑資源機構のプロパーの人が子会社に行って談合をあっせんしていたんです。そして、林野庁の人というのは談合に手をかさずに、きれいなところにいて逮捕を免れているんです。独法の人がやっているんですよ。本当はそこが一番深刻なんじゃないかということは、このURの例を見ても、これは余り国土交通省から天下っていませんからね、緑資源機構を見ても、私はこれは明らかだと思うんですよ。そこは、ぜひちょっと認識を改めていただきたい。共鳴じゃなくて、こっちの方がひどいです。こっちがいかにひどいかということを頭に入れて、これからの、法案が通るか通らないか、まだこれはわかりませんが、それはしっかり御認識をいただきたいと思います。
そこで、民主党の提案者に聞きますが、この独立行政法人からの天下りをどう規制するのかというのは非常に難しい問題ではありますが、それに取り組んだのが民主党だというふうに私は承知をしています。どういう考え方をしているのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
○馬淵議員 お答えいたします。
今、まさに委員が御指摘のように、この独立行政法人等、こうした公益法人等は、実は天下りの根絶の中で見過ごしてはならない部分であると私どもは考えておりまして、そのために、今回の規制の中では、こうした法人と公益法人等に対しても同様に厳しい制限を設けました。特に、現行では、民間の営利企業よりもむしろ八割、九割、まあ九割以上という数字で出ておりますが、その天下りの実態というのはこうした公益法人等に流れておりますので、我々は、官からまず当然ながら関係する営利企業並びにこうした公益法人等、独立行政法人等も含めて、離職前五年間の関係するところには、これは再就職は制限をする、また、当然ながら、あっせんもこれは制限するということをしっかり枠組みとして載せております。
○細野委員 大臣、ここはかなり考え方が違うんです。要するに、国家公務員法の改正ということで、本体の天下りのみに焦点を絞っているのと、そもそも天下りそのものを根絶して税金の無駄遣いをなくす、そういう問題から出ている民主党案と、相当開きがあるんですね。いろいろ、それこそリストラにならないじゃないかという議論はありましたが、ここの部分に限って言うと、独法をきちっと視野に入れている民主党案の方が私はすぐれていると思いますよ。大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、独法の問題というのは国家公務員法の天下り規制とはまた別の種類の話だと思います。
ただ、今回の改正によって、相当大きな改革へのインパクトは出てくると思います。なぜならば、まず第一に、国家公務員法において能力・実績主義を導入いたします。そういたしますと、仮に、今まで似たような人事制度をやっていた独法があるとすれば、恐らくそちらの方も国家公務員法改正に伴って実力主義を導入していくことになるんだろうと思います。年功序列でやっているがゆえに、独法のプロパー職員も、一定年齢に達すると肩たたきに遭って、似たような構図でその再就職をしていくということがあるとすれば、まさしくその縮図的な構造が改革を迫られるということになるのではないでしょうか。
一方において、我々は、国家公務員法改正と同時に独法改革というものにも取り組んでおります。独法というものがなぜつくられたか、その原点に立ち返って、人の面、お金の面、両面から改革を進めていくということでございますから、天下り規制を独法にかけることによって問題が全部解決するというのとは、我々は別のパラダイムで、別の切り口でこれらの問題に取り組んでいるということを御理解いただきたいと思います。
○細野委員 私の方で勝手にまとめさせていただくと、ここでは官僚の天下りをやって、独法改革はこれからやりましょう、そういう話に聞こえるんですが、それでは緑資源機構の問題も解決をしないし、今私が説明をさせていただいたURの税金の無駄遣いも解決をしないんですね。この問題のやはり緊急性がこの法案には盛り込まれていないということについては、再三言って恐縮ですが、私は、第三者側から見ても民主党に軍配を上げたいし、これはもう平等な判断だと思います。
ここでこの問題ばかり議論していても仕方がありませんので、そのことを申し上げてこの問題は終わりにしたいと思うんです。政府参考人の方、結構です。
もう一つどうしても議論をしておきたいのは、午前中もちょっと馬淵委員の方からあったんですが、ハローワークと天下りバンクが、どう違ってどっちが優劣かということなんですね。実は、再三大臣は答弁をされて、私もすべて読んでいるんですが、聞いてはいるんですが、いまだに私は合点がいかないんですよ。大臣、なぜハローワークではだめなのか、官僚の場合は。もう一度整理をして、まず御説明いただけますでしょうか。通告していないんですけれども、これは何度も言っていただいている質問ですので、よろしいですね。
○渡辺国務大臣 今現在、各省による天下りのあっせんが行われているという、岩盤のような慣行があるわけですね。我々はこの慣行を全面的に禁止してしまうわけであります。そういたしますと、いきなり年功序列がなくなって実力主義が導入される、来年から、あるいは二年後からというぐあいには残念ながらいかないわけでございます。そういたしますと、できるだけ短い時間でやるべきだと考えておりますが、今の慣行を変える過程にあって、続いていく肩たたきがいずれなくなるにしても、これがある間、まずどうやってこの人たちの再就職を図っていくかということを考えなければなりません。
今回の法案では、繰り返し申し上げますように、自分で職探しをするというのは、ある一定のポスト以上の人たちについては禁じているわけでございます。在職中、なぜそういうことをやるかといえば、これは公務の公正さとか中立性に対する国民の不信を買わないようにするということが大きな眼目であります。そういう規制をかけた上での話でありますから、まさしく公務員の身分保障という問題を考えれば、この人たちが公務から民間に移っていく過程にあって、公務にとにかくしがみついて離れないということになりますと、これは行政の減量、効率化の観点からいっても問題が生じるわけでございます。
したがって、今の現実からいかにスムーズに新しいシステムに移行するか、そういう過程にあって、やはりいきなりハローワークへ行けというのでは、なかなかこれはうまく機能しないという現実があるわけでございますから、そういう観点から、我々は官民交流人材センターというものをつくるわけでございます。
一方、将来においては、まさしくこの名のごとく、民から官へのゲートウエーの役割も果たしてもらおうということを考えて仕組んだわけでございます。
○細野委員 長く話をされたんですが、かいつまんでいくと二つおっしゃいましたね。一つは、公務の中立性、公正性が確保されるためにという話をされましたね。
では伺いますが、ハローワークに行くと公務の中立性や公正性はなぜ損なわれるんでしょうか。
○渡辺国務大臣 ですから、過渡期のやり方として、今の各省によるあっせんが全面禁止をされる、この各省によるあっせんが大変な弊害を生んできたわけでありますから、その弊害を取り除くやり方で再就職の支援を行うということでございます。
要するに、一方において、仕事がなくなれば、それは新法においては分限処分ということが明確に行われることになっていくでありましょう。しかし、過渡期にあって、いきなり各省あっせんをやめて、あなたはハローワークへ行って職探しをするんだよということが果たして現実的なのかどうかということもあわせて考えていただきたいのであります。
○細野委員 大臣、ここはちゃんと議論したいので丁寧に聞いてくださいね。各省庁がやっているのは中立性を担保できない、公正性が担保できない、だから人材バンクでという説明はわかりました。私が聞いたのは、では、人材バンクでは公正中立が保てて、ハローワークでは保てないんですかということを聞いたんです。そこは全く同じじゃないですか。ハローワークというのは、公正中立に人の職業のあっせんをする組織ですね。今おっしゃったような公務の公正性や中立性と対立するんですか。そこを聞いているんです。
○渡辺国務大臣 ですから、ハローワークが今までこういった国家公務員の勧奨退職に伴う再就職あっせんを任務としてきたかどうかということなんですね。要するに、今までそういった任務を帯びていないわけでございまして、いきなりそういう重い仕事をハローワークに、あなたのところでやってくれよというぐあいにして、それがうまく機能するのであればそれはいいかもしれませんけれども、要するに、そういうことをやった経験がないということは、余り現実的なやり方ではないのではないですかと申し上げているわけです。
○細野委員 大臣、では整理しますね。経験がないので現実的ではないという話をされました。
事務方の方、これはわかりやすい質問をしていますから、ちょっと紙は、もう何度も議論していることなので、余り余分なことを言わないでください。
大臣、いいですか。では、逆に言うと、公務の中立性、公正性とハローワークは矛盾しませんね。それは理由じゃないですね。
○渡辺国務大臣 そういう議論というよりは、今やっている各省あっせんに伴う弊害をどうやって除いていくかという発想から考えるべきだと思うんですね。
例えば、民主党がお呼びになられた北沢栄さんが何とおっしゃっていたかというと、必ずしもあっせんを否定しておられないと思いますよ。いや、ちょっと聞いてくださいよ。例えば、北沢さんが言っているのは、人件費抑制の観点から、人事院が民間企業や教育研究機関に再就職あっせんするオープンな仕組みづくりが重要だと。我々は人事院でなくて内閣と言っておりますけれども、北沢栄参考人は人事院がと言っておられるんですね。ですから、この質問は北沢参考人にされたかどうか知りませんけれども、要するに、観点がちょっと違うのではないでしょうか。
○細野委員 大臣がおっしゃっているのは、こういうことですね。各省庁でやると公正でも中立でもないので、できるだけ早く大量のあっせんをするためにはハローワークではだめだから、ハローワークに公正中立性がきちっとないということではなくて、さっさとあっせんできるように人材バンクできちっとやりましょう、それが現実的ですね、そういうことをおっしゃっているんですね、大臣。
○渡辺国務大臣 要するに、みずからの求職活動というのを制限しているわけですよ。なぜ制限をするかというと、それは先ほど来申し上げているように、公務の中立性が疑われる、公正さが疑われるということになっては困るから申し上げているわけでございます。
したがって、ハローワークに行けというのは、まさしくみずから求職活動を行って、いいですか、よく聞いてください。ハローワークに行けというのは、みずから求職活動を行う、すなわち、そのことが公務の中立性とか公正さに対する不適切な誤解を招くんじゃないんですかということを申し上げているんですよ。
○細野委員 では、大臣、ちょっとそこは確認したいんですが、人材バンク、我々は天下りバンクとずっと呼んできていますが、きょうはそこで水かけ論をしてもしようがないので、人材バンクと呼びましょう。人材バンクに行く人も、あっせんしてくださいなと行くわけでしょう、職を求めて。違うんですか。(渡辺国務大臣「そうです」と呼ぶ)そうでしょう。一緒じゃないですか。ハローワークに行くのも人材バンクに行くのも一緒なんですよ。中立性も一緒なんですよ。何か違うんですか。スピードであるとか現実性に違いがあるとおっしゃるのは、これは、まだできていないものと既にあるものを比較するのは、比較対象にはならないので議論しようがないですが、中立性と、そして今おっしゃったあっせんを求めるというのは全く同じでしょう。どうですか。
○渡辺国務大臣 あっせんを求める、再就職を求める、この点では一致していますよ。しかしながら、先ほども申し上げているように、みずからの求職活動は禁ずる、なぜならば、みずから求職活動を行うということは、公務の公正さとか中立性に疑いを惹起する可能性があるからだということを言っているんです。ハローワークに行きなさいということは、まさにみずから職を探せと言っていることと同じじゃありませんか。
ですから、そういうやり方が、要するに、これは、恐らく細野委員も想定しておられるのは、職にとどまっている間、ハローワークに行きなさいということなんでしょう。ですから、職にとどまっている間、ハローワークに行って職探しをするということになると、あの人、公務員なのに一体何をやっているのかねと言われかねないような、そういう問題を惹起するんじゃないんですかということを申し上げているんですよ。
○細野委員 ちょっと時間をいただけそうなので、大事なところなので確認をしたいんですけれども、新人材バンクに行くときも、あっせんをしてくださいと職を求めて行くんじゃないんですか。そこは、要するに、職を求めるけれども、それは認めましょうということになっているだけで、あっせんを求めて職を探す人が新人材バンクに行くんじゃないですか。
○渡辺国務大臣 ですから、人材センターは、まさしくいろいろなコンプライアンスの上に成り立つ機関ですよ。(発言する者あり)いや、ですから、何時間やっているんですか、この質疑を。よく聞いてくださいよ。いいですか。これは、要するに、一般のハローワークという観点からも見ることはできるかもしれません、構造は。しかし、公務員が職探しをやってはいけないという行為規制をかけられた上で再就職の支援をやる機関なんです。ですから、当然、新法の精神というものを踏まえたあっせんでなければいけないんですよ。
ですから、各省のトンネル機関になったり、あるいは、天下りの弊害である予算、権限を背景としたあっせんであってはいけない。そういうことを考えれば、どこからどこまでこの人にはあっせんをすべきかということも、これも人材センターの自主ルールとしては決めていただく必要があるわけですね。
ですから、そういうことをハローワークに言って、今までこういう国家公務員の再就職を大量に支援したことのないハローワークでこういうことをいきなりやれよと言ったって、それは無理じゃないかということを言っているんですよ。
○細野委員 同じ職探しをするんですよね。それで、人材バンクは例外にしましょうと。では、ハローワークも例外にすればいいだけなんですよ、そこは。職探しが禁止をされている、規制をされているという意味では。
コンプライアンスがハローワークは十分でないとおっしゃるなら、それは大臣、民間をやはりばかにした話ですよ。コンプライアンスは、では、官僚の場合こういう規制であっせんしなさいねとハローワークにきちっと指示を出せばいいだけでしょう。法律を理解させてやらせればいいだけじゃないですか。公正性も同じ、職探しも同じ。では、どっちが現実的にあり得るか。まだ見ぬ人材バンクか、ハローワークの改革か。この優劣を議論するのは難しいですよ。ハローワークをきちっと変えて役所の人もできるように、法律的にもしっかり守らせてコンプライアンスもしっかりして、ハローワークは例外ですよというふうにすれば、へんてこな支所を全国につくらなくても、全国にハローワークの窓口があるじゃないですか。大臣、どうですか。
○渡辺国務大臣 要するに、何度も申し上げますように、今回は天下りあっせんを全面的に禁止するわけです。いわばその代替措置として、内閣による一元的なあっせんの再就職支援を行う。この支援体制は、まるっきり今までのやり方とは異なるわけでございます。
したがって、みずから求職活動をやってはいけないという大前提でこの一元化機関をつくるわけでございますから、それを今のハローワークに全面的に担わせるというのは現実的ではないのではないですかと言っているんですよ。
○細野委員 どういうふうに議論すればいいのか、ちょっと迷いながらやっているんですけれども、大臣、実は私はハローワークで職探ししたことがあるんですよ、仕事をやめて落下傘で選挙に出たときに。働いて金をもうけたかったし。行くと、みんな並んでいるところで細野豪志さんとか呼ばれるわけですね。自分のポスターも張ってあるし、名前もある中で呼ばれるのは恥ずかしいですよ。毎回担当者もかわりますよ。行くたびに何か違う職業を紹介されて、いや、本当にこれでおれは仕事が見つかるのかなと不安もありますよ。今のハローワークに、例えば役所の局長さんとか、ましてや事務次官の人が行って横に並ぶ、そんなことは考えられないですよ。
実は、大臣、私が申し上げたいのは何かというと、コンプライアンスとか情報公開とか職探しの話とかいろいろ御託は並べるんだけれども、結局、今のハローワークに行くのは恥ずかしい、そんなところに行けるか、これが実際の声ですよ。私もわかります。違いますか。
○渡辺国務大臣 ハローワークも、最近ヤングジョブカフェとかありまして、これはそんな恥ずかしいという感じではないんだと思うんですね。ヤングジョブカフェ、私が見てきたのは船橋のケースでございますが、これは、いわゆる年長フリーターと言われる人たちが、正社員をゲットしたいというニーズで行く人が非常に多いんですね。最初は、自分の能力とか希望がどういうところにあるかということがよくわからない人が多いそうです。ですから、コンサルティングを何度か繰り返していくうちに、ああ、自分はこんな能力があったんだ、こんな希望があるんだなということがわかってくるんですね。そうすると、そういう人たちをグルーピングして、必勝クラブというのをつくるんだそうですよ。そうすると、ここの必勝クラブに入った人たちは大体八割が正社員をゲットできるという、これはなかなかすぐれものだなと思ったこともございました。
一方、公務員の場合にはどういう文化があるかというと、要するに、現役の時代は国会議員にへいこらへいこらしながらやっているんですね、面従腹背というケースもございますけれども。そういたしますと、肩たたきに遭いますと、本人も嫌々ながらのケースも中にはあると聞いていますよ。再就職した先では、できるだけ頭を下げなくていいカルチャーがあるんですよなどと解説をする人もいらっしゃるわけでございます。
したがって、そういうカルチャーはよくないんじゃないのかということを我々は言っているわけであって、だから何を導入するかというと、まず能力・実績主義を導入しましょうと……(発言する者あり)聞いてくださいよ、ちゃんと説明しているんだから。途中で言論を封じないでください。聞いてくださいよ。
ですから、こういう能力・実績主義を導入すれば、まさしく後輩に追い抜かれることもあるんだ、そういうカルチャーになっていくんですよ。要するに、現役時代は国会議員にへいこらしていても、天下り先では頭を下げなくていいんだ、こういうカルチャーはもう大転換されていくということなんですよ。
ですから、とりあえず、こういうとんでもないカルチャーがあるわけでございますから、現実的なやり方として、各省あっせんを禁止する、その代替措置としては、こういう中立的な機関が行う、内閣一元化のあっせん機関というのが妥当ではないかということを申し上げているわけでございます。
○細野委員 大臣、今の答弁は、委員長も含めて納得した人はいないと思いますよ。役所の文化とハローワークを使えないというのは全く違う話です。
大臣、余りハローワークのことをご存じないみたいですね。若い人の仕事はあるんですよ。でも、例えば五十代とか、四十代の上ぐらいですか、そういう人にとっては、ハローワークで月収三十万円以上の仕事を探すのは至難のわざですよ。そういう仕事をハローワークでは紹介されないんです。
それなら、大臣、本当にこれを機能させて、ハローワークを変えればいいじゃないですか。何でもいいですよ。ジョブカフェがあるなら、エグゼクティブコースなのか官僚コースなのか。自尊心を官僚の方が持っていらっしゃるなら、私はそういうのはおかしいと思うけれども、五十万、六十万、まあ五億円はもらえないと思いますけれども、そういうコースをつくってもいいじゃないですか。
今回、大分議論して私、わかりました。いろいろ議論して、いろいろ理由をおっしゃったけれども、法律的な問題、そして具体的な問題として、そこで職探しが現実的にできないという問題を除けば、今のハローワークがだめだという問題を除けば、全く問題がないということがよくわかりました。それを変えよう、ハローワークを変えようという発想になぜ立たないのか。なぜ、官僚の皆さんがハローワークに行って、胸を張って、ちゃんとエグゼクティブコースでいい仕事を見つけられるようなことを考えないのか。エグゼクティブコースはよくないですか、官僚コース。なぜそういう発想に立たずに、新しいのをつくろうという発想に立つのか。ずっと大臣に聞いているので、最後、大臣に伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 要するに、民間の場合には、公務員の場合に比べて、リストラが行われてきた現実がございます。一方、民間の場合には、高年齢者雇用安定法、こういう法律がございまして、雇用する高年齢者が解雇などによって離職する場合に、再就職を希望する場合には、雇用主たる企業に対して、求人の開拓等再就職のサポートに必要な措置を講ずるよう努力義務が課せられているんです。これは民間の話なんですね。
ですから、イコールフッティングというのであれば、公務に携わる人たちにはこの高年齢者雇用安定法は適用されないわけですが、この精神は及ぼしていってもいいのではないかというのも、実は、今回の官民人材交流センターの制度設計の背景の一つの議論としてはございました。
また、民間同様、リストラ、解雇をこれからばんばん行っていくという場合には、雇用主として何ら再就職支援を行わないということでは、これはなかなか、政府が率先垂範して大量失業者を出すというぐあいにはならないのではないでしょうか。
例えば、思い返していただきたいんですが、国鉄民営化をやりましたときに大量の失業者をいきなり出したかといったら、出していないんですよ。つまり、国鉄清算事業団が再就職のあっせんをもう必死の思いでやってきたんですね。ですから、そういうことがこれから起こり得ないのかといったら、それはいろいろなリストラをやっていくことが求められるわけでありますから、そういう人たちの再就職支援を全くやらないで、おい、おまえら、ハローワークだよ、こういうのでは、なかなか政府の任務は果たせないのではないでしょうか。
○細野委員 私も、おやじは民間企業に勤めていましたし、早期退職勧告でやめましたよ。それも含めて、民間はもっと厳しいんですよね。ほうり出せとは言いませんよ。ほうり出せとは言わないけれども、今ある組織をもう一回使って、そこを生かして、きちっと再就職するようにすべきですよ。
新しい組織をつくって、官僚だけがどれぐらいリストラされるかといったら、民間の方がはるかに激烈にやりますからね。再就職支援をしてもらえるなんというのは、この間、大臣、民間と同じようなことをやっているみたいな答弁がありましたけれども、とんでもないことで、大企業のほんの一部の役員の人は再就職支援してもらえるかもしれないけれども、ほとんどの人は、せいぜい割り増しした退職金をもらって、自分で探すんですよ。それが普通なんです。それは別に悲劇でも何でもなくて、民間では当たり前なんです。
なぜ官僚だけわざわざ新しい組織をつくって、そして全国に支所までつくって、ハローワークがあるのに、それを使わずに別の組織を地方につくってやるんですか。せめて支所ぐらいハローワークを使えばいいじゃないですか。それも使わずに、いや、ハローワークと自分たちは別ですよ、官僚は別ですよ、これを官尊民卑というんですよ。
ちょっとこれ以上やってもこの点は水かけ論になると思いますので、最後に民主党提出者に、ハローワークの有効活用については民主党はいろいろお考えになっていると思いますが、そのことについて御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○馬淵議員 これは、細野委員の御指摘の前に、赤澤委員からも同様の御指摘を前回にもいただいたんですが、ハローワークは今のままでいいのかということについて、まさに細野委員の御指摘の部分と重なるわけですが、現行のままではいろいろ問題がある。しかし、そこを、さまざまな方法、知見をもってこれを活用していくということは当然考えねばならないということを我々もその案の中に盛り込んでおります。行政刷新会議での見直しの中には、当然そうしたものも含まれるわけです。
先ほど来、大臣の答弁をお聞きしていますと、やはり就職を探す行動は規制するんだと。それは、もうとにかくいわゆる天下りバンクをつくるがための制度をつくっているというふうにしか聞こえないというふうに感じるものであります。
○細野委員 ちょっと厚生労働省、済みません、来ていただいたのに聞けませんでしたが、何か一つ、ハローワークとこの問題についてお考えになっていることが大体わかったような気がします。ここは一つ民主党の考え方がありますので、これから再度また議論する機会が、私じゃなくても議員がいると思いますので、少し深めていきたいというふうに思います。
きょうはどうもありがとうございました。
―――――――――――――
○河本委員長 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長玉井日出夫君及び国土交通省大臣官房長竹歳誠君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太です。
私の時間は少し短い時間ですが、答弁の方も簡潔によろしくお願いいたします。
まず第一点ですけれども、今のハローワークの問題。今の答弁、やりとりを聞いていまして、大臣も後半からは、それはそうだなというふうにうなずき始めているところもありましたけれども、ハローワークが一気に公務員のあっせんを大量にできないからだというお答えがありまして、それは私は理由にならないんじゃないのかなという気がやはりいたします。
それは、やはりハローワークというのは、常にたくさんの方々の就職のあっせんを行っている場であり、もし公務員の、中には元公務員の方の退職をされた後の再就職のハローワークへの申し入れというか申し込みがあれば、そのあっせんはやはり行っているわけでして、何も特別、公務員だから何かが違うということはないんじゃないのかなと。
そしてまた、景気もようやく回復してきているそうですし、ハローワークが本当に激務だった一時期の不景気から比べれば、相当ハローワークに来られている方々は減っているという状況が今ございます。
そういう意味では、体制も全く不備はないというふうに思いますし、先ほどのコンプライアンスの話あるいは公務の中立性というところからいっても、まさにハローワークという公的な人材あっせん機関が存在をしていればこそ、そこはもうコンプライアンスということについては間違いのない仕組みを持っているということからいけば、本当にこれは何も申し分ないものであるというふうに言わざるを得ないと思いますが、改めて、何がいけないのか、教えてください。
○渡辺国務大臣 再三申し上げておりますように、今回の法改正に当たっては、みずからの求職活動というものを規制しておるわけでございます。
一方、各省の天下りあっせんは全面禁止をするわけであります。いきなり年功序列システムがなくなるわけではないという現実を考えるならば、今の各省天下りあっせんにかわる再就職支援をどう仕組んでいくかということが現実的な課題になるわけであります。したがって、そういう課題を考える場合に、やはり国会の御意見も踏まえながら制度の詳細設計は行ってまいります。
ですから、こういうハローワークに行け論というのは、一見わかりやすく聞こえるわけでございますが、先ほど来申し上げるように、今の天下りあっせんというものの代替措置としてはかなり非現実的なことではないのかということが言えるわけですよ。
ですから、そういうことを考えれば、今後、将来の官民の人材交流も踏まえた、そういう制度設計をこの際行っていくことが大事であろう。そして、実力主義の導入によって、肩たたき型再就職というのはいずれ消滅をしていくということもあわせて考えているわけでございます。
○泉委員 今、理由がなかったですよね。なぜ非現実的なのか、その理由の説明がなかった。
そして、大臣がまさにおっしゃっているように、いきなり各省あっせんはなくならない、そういう中でということでありますけれども、だからこそ、今あるハローワークがそれを担当することでより対応できるんじゃないのかなというふうに思うわけです。
今から新しい組織をつくって、そして、残念ながら試行人材バンクというのはほとんど機能しなかったわけですね。そのノウハウを生かして新しい組織をつくったとしたら、もっともっとこれは時間がかかる、あるいはノウハウの蓄積もおくれるわけですね。人材あっせんのプロは、既にハローワークにたくさんいる。そっちの方がいいじゃないですか。何で今から新しい組織をつくって、そこに一生懸命ノウハウを学ばせようとしなければならないのか。
しかも、公務員の再就職という特定のあっせんをするノウハウを、一生懸命今から別個の組織をつくって、もしかしたら、どこかの地方のブロックにおいてはハローワークの隣にそういう組織ができるかもしれないですよ。ハローワークの隣に置きはしないでしょうけれども、ハローワークがある横に人材バンクの支所ができるかもしれない。そんな笑い事みたいなことができますか。これは、やはりもうハローワークでやっていただいたらいいじゃないですか。
○渡辺国務大臣 再三申し上げますように、民間企業に勤める方々の場合に、再就職というと、まず思い浮かぶのは同業他社。自分の経験とか実力を生かしたいというケースで、こういう同業他社への再就職というのが行われるわけでございます。
一方、公務員の場合には、同業他社というのが一体どういう位置づけになるのかなと考えてみると、密接関連企業とか、先ほど来出ておりますような、非営利法人で、予算、権限の及ぶところ、こういうことになっていくんだろうと思います。
しかし、こういうところが天下りの大問題としてあるわけですから、まさしく天下り問題に切り込む、天下り根絶センターとして我々が考えたものは、中立的な機関であり、かつ本人の能力と実績が正当に評価される、なおかつ法の精神をきちっと理解し、各省あっせんの代替措置として機能できる、そういうあっせん機関をつくる方がより現実的にいくであろう、そう考えて、我々はこのセンターを構築しようとしているわけであります。(発言する者あり)
○泉委員 筆頭がおっしゃるとおりで、中立かつ公正なということを言えば言うほど、ハローワークはそうじゃないということを大臣がまさに言っているようなお話ですよ。一般の国民、市民が利用しているハローワークをそこまで役に立たない機関だ、信用を置けない機関だと、なぜそんなことをおっしゃられるのか、全く意味がわからない。
そして、各省あっせんの代替措置だというふうにおっしゃられましたが、今、各省あっせんがまさに問題なわけですね。では、とりあえず各省のあっせんはやめるけれども、代替措置として大体同じところに就職させるということをやはり目標とされているということになっちゃうんですよ、これは。
そうすると、これは細野委員の資料ですけれども、さっきの社保庁の天下り人生というものがあります。そして、建設省の先ほどの事務次官の天下りの半生というものがありました。ちょっとこの資料を改めて、これは先ほど資料でお願いをしていますので、見ていただきたいと思うんですが、この「ある事務次官の天下り半生」。ここでちょっとやはり政府に確認をしておかなきゃならないのは、天下りというのをどう見ているかなんですね。
大臣、改めてお伺いをします。官房長官にもお伺いをします。
この「ある事務次官の天下り半生」の中で、建設省の事務次官を退官されて、建設省の顧問になりました。これは、いわゆる天下りですか、天下りではありませんか。どちらですか。
○渡辺国務大臣 ちょっと質問の意味がよくわからなかったんですが、顧問というのは天下りという範疇ではないのではないでしょうか。
○泉委員 まさにこれまで、天下りの定義については、与野党を超えて何度も質問をさせていただいております。
では、官房長官、もう一回同じ質問をします。
事務次官を退官されて建設省顧問になった、これは天下りですか。
○塩崎国務大臣 天下りというのをどういうふうに定義するかというのを与野党一緒に議論してもいいのかわからないなと思うぐらいですが、少なくとも、顧問というのは公務員の身分は変わらないということですから、まだ公務員……(泉委員「まだ天下りじゃない、要は」と呼ぶ)定義にもよりますけれども、少なくとも公務員ですよね。
○泉委員 定義にもよりますとぼかしていますが、政府は一貫して、人事当局のあっせん、人事の延長線上、予算と権限を背景にする天下りを今回は全面的に禁止しますというふうに大臣は一生懸命おっしゃっておりますね。我々からすれば、それは、天下りという一般的に使われている用語の猫の額ほどのかなり限定された部分を、全面的に、全面的にと一生懸命おっしゃっているわけですね。
では、改めてもう一度聞きます。大臣、官房長官。
建設省顧問から住都整備公団副総裁、そして都市基盤整備公団副総裁そして総裁、都市再生機構理事長、都市計画協会会長、最後は民都開発機構の理事長、これをもう一度、政府の見解によるところの天下りに当たるかどうか、一つ一つ教えてください。
○渡辺国務大臣 天下りの定義というのは、法律用語ではございません。何度も申し上げることですが、広辞苑によりますと、官庁で退職後の幹部などを民間企業や団体などに受け入れさせること、下の者の意向や都合を考えない、上からの一方的な押しつけ、こういうことが書いてございます。
これまで、天下りというのは何を意味するのかと聞かれて、私が説明をしてきた言葉で申し上げますと、各省が、人事の一環として、退職した職員の再就職あっせんをやっているわけですね。ですから、これが予算、権限背景のあっせんということで、押しつけではないということを役所の側は言うわけでございますが、国民の方から見れば、これは押しつけのように見えちゃうよなということがあるわけですね。
したがって、各省のあっせんを全面禁止するということでございますから、その流儀でいきますと、こうした公団、機構、協会等々へ本省が人事の一環としてはめ込んでいたということになれば、これは天下りということが言えようかと思います。
○泉委員 今一つ一つ、副総裁から総裁になられたというところがありますので、実際には建設省から住都公団、今の都市再生機構、そして都市計画協会、それで民都機構というふうになっているわけですが、先ほども言いましたように、政府はこれまで、天下りというのは、さまざまな定義をつけて言ってきたわけですね。それを全面的に禁止しますと言ってきているわけですね。でも、今ちょっと大臣はぼかされたわけですね、一般的に言えばこれは天下りみたいなところもあると。だけれども……(渡辺国務大臣「ぼかしていないですよ」と呼ぶ)
では、もう一回確認しますね。都市再生機構の理事長から都市計画協会の会長になること、これは天下りですか。
○渡辺国務大臣 ですから、先ほどの説明で申し上げれば、もともとの役所のあっせんがあって渡っているということになれば、これは天下りということになるわけです。
○泉委員 官房長官にも同じ質問ですけれども、これは都市再生機構から都市計画協会会長へ異動しているわけですね。これは天下りか否か、もう余り時間がありませんので、答えを教えてください。
○塩崎国務大臣 天下りの定義によると先ほど申し上げたわけで、天下りですかと聞かれても、天下りの定義を共有していなければそうなりませんから。(泉委員「いや、持たれている定義で結構です」と呼ぶ)
私は特に持っておりません。
○泉委員 官房長官は天下りの定義を持たれていないんですか。それだと、議論のしようがないんですけれども。政府は再三、今まで天下りの定義を言ってこられたと思うんです、今回規制される天下り、何が天下りで何が天下りじゃないのか。それは政府なりに、天下りで今回規制するものはこれですと言ってこられたんじゃないですか。
○塩崎国務大臣 いやいや、一般論の天下り、俗に言う天下りというもので片づけられても困ると言っているので、今回の法律で禁じられている行為に当たりますか当たりませんか、そういう御質問だったらわかるような感じがしますね。
○泉委員 いや、ですから、一般の国民が見れば、これはすべて天下りであり、わたりでありという認識なんですよ、一般の国民は。それがもし政府が違うということであれば、それはかなり限定して天下りというものをとらえられていると思いますよ。(発言する者あり)そう。まさに、わからないからなんですよ。実は、政府に随分と調べてもらった、我が委員会からずっと調査をお願いしているところのあっせんの有無、これはわからないことがほとんどなんですね。わからないばかりなんですよ、言ってみたら。わからないばかりですよね。
わからないばかりのものを、これから政府は人材バンクをつくって渡り廊下をつくります、官から民へという渡り廊下をつくるというふうなことをおっしゃられている。その渡り廊下をつくったときに、裏でどんな工作が行われていようとも、それはわからないですよ。わからないんですよ。疑わしければ調査をしますということですが、疑わしくなかったらもちろん調査はしませんね。
では、何をもって疑わしいというふうに見るのか。これは全然、実はどこにも書かれていないわけです。わからないわけですよ。だって、中央省庁の方に聞いたって、いや、それは我々は関与していませんと言ってしまえば、どうしようもないじゃないですか。毎回同じルートに人が流れていても、人事やあるいは権限が背景にないというふうになれば、これは天下りとみなされないわけですね。
もっと言えば、こうやって各省庁の調査をしてみると、これはどうやら、たすきがけの天下りじゃないかと思うようなものも、多分、広義の天下りでいえば、皆さん、そういうものもあるかもしれないなというふうに思われると思いますよ。各省庁をまたいで、あっちの省からこっちの省へ、かわりにこっちの省からこっちの省へ。確かに、権限も背景も全然関係ないですよね。だけれども、間違いなく、官僚の皆さんがある一定のレベルの給料がもらえるところに就職をされているという実態だけがあるんです。
では、その実態はどうやってこの人材バンクで防げますかといったら、別に防げる規定がないわけですよ、見た目、何の違法もないわけですから。違法行為というか、何もないわけですから。だけれども、それでは、実際のいわゆる一般の市民、一般の国民が抱く広い意味での天下りというのは変わらないわけなんです。そこがやはり問題だということなんですよ。
今回の人材バンク、きょう、資料もお配りをさせていただきましたけれども、国家公務員の試行の、総務省のバンクですね。こういう形で、これまで残念ながら一件しか決まってこなかった。
私が不思議なのは、センター長になられる官房長官にもぜひお伺いをしたいところなんですが、こうした形で人材バンクという新しい渡り廊下ができて、しかしながら、センター職員は出身省庁の職員のあっせんはできない、たしかそんな形になっていたというふうに思いますが、これはどこまでのことを指されるんでしょうか。
例えば、新しい天下りバンクの職員さんがいろいろな業務をされる。職業開拓もされれば、あるいは何か記録簿みたいなものをつくる方もいるでしょう、面接をする方もいるでしょう。センターの職員が出身省庁の職員のあっせんができないというのは、どこからどこまでの業務に携わることができないことになるんでしょうか。センター長になられる官房長官、わかれば官房長官でもいいんですけれども。
○渡辺国務大臣 ですから、詳細なガイドライン等々については、有識者懇で決めると申し上げているわけでございます。
○泉委員 詳細なガイドラインでも結構です、それは詳細、決めてください。
ただ、私が聞いているのは、おっしゃった答弁の中で、中立公正ということを期すためにもセンター職員は出身省庁の職員のあっせんをしないということをおっしゃられたわけですね。だけれども、一言ではなかなかそれはすべて語れないところがありまして、さっきも言いましたように、職業開拓、求人開拓をする営業マン的なセンター職員もおられるわけですね。一方では、各省庁の情報を集めて管理をしたりする職員の方もおられますね。キャリアコンサルティングの研修をされる方もいるかもしれません。
どこに携わってはいけない、このセンターの中のどの業務に出身省庁の方は携わってはいけないということなのか、それを教えていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 センター職員は出身府省職員の再就職あっせんは行わないという原則がございます。具体的には、このことをセンターのルールとして定めることを考えております。違反をした場合には、職務命令違反となって懲戒処分の対象となります。センターの中立性を徹底するためには、センター職員が出身府省職員の再就職あっせんを行わないことを貫徹させることが大事です。
こうした実効性のある組織運営とすることについての詳細な制度設計を、国会の議論も踏まえて行ってまいりたいと思いますので、具体的な御提言があったらお教えいただきたいと思います。
○泉委員 我々は、そもそもこの人材バンクそのものが必要ではないという考え方なものですから、具体的な提言と言われても、逆に言うと、できるんですかねということですね。
このルールを貫徹されるとおっしゃった。貫徹されるということは、それは例えば、この「国家公務員人材バンク」という図がありますね、現在のシステムですね、一件しか決まっていませんが。恐らく、システム的にはこういうものを援用されるんでしょうというふうに思いますが、人材情報の管理、求人情報の管理、退職職員の人材登録、あるいは求人の開拓ですか、そういったところに、いろいろな求人が投げ込まれる、そしていろいろな人材が登録される。一つ一つわざわざ見つけ出して、この人はこの省庁だから、あなたは携わっちゃだめよ、だめよ、だめよと、そんなことを一々センターの中でやれるのかと。これは非常に現実的ではない話ではないのかなと思うんですね。
ルールを貫徹されるというふうにおっしゃいましたけれども、実際には、国土交通省から出向されているセンターの職員さんが、もしかしたら、いろいろな職業開拓をしていく中で、たまたま、また国土交通省の方のあっせんをしなきゃならないかもしれないけれども、そのときだけ、では業務から外れるという話になるのか。でも、もしかしたらグループとかチームで、班をつくって求人開拓をしたりしているかもしれないから、実際に同じチームには入っているけれども、ではそれは許されるのか。そういうことを考えると、なかなか、現実的にはおかしいなと思うことがたくさんあります。
次にまた移らせていただきますが、きょうは、国土交通省と文部科学省に来ていただいておりますが、我々委員から資料の要求をさせていただきました。
その中で、先ほどの天下りの定義に入るのかもしれませんけれども、最初、五月の二十三日に文部科学省から来た資料には、事務次官の小野さんという方ですけれども、あっせんの有無のところには、ありと書いてあったんですね。それが、六月一日に来た資料の中ではシャープの印になっていて、「独立行政法人の長等、主務大臣が任命する役職に該当するものについては、あっせんの有無の欄に#を記入。」という形になっております。最初は、あっせん、ありと書いてあったんですね。だけれども、このあっせんというのは、実は主務大臣が任命する役職に該当するものだからシャープにしましたということなんですね。
では、このあっせんというのは、結果的に、大臣がおっしゃるところの天下りなのか、そうじゃないのか。どうやら、五月の二十三日に出てきた資料を見ると、ありと書いていますから、これは人事の一環でなされたものだと思うんですね。それを、書きかえで、任命する役職だからあっせんはシャープだという表示の仕方をしている。
大臣、いわゆるあっせんが、普通の場合、こういった公務員に任命をする場合、独立行政法人の長等、これはもちろんですけれども、あっせんがありということで認識を持っていただいているということですね。
○株丹政府参考人 今御質問ございましたのが、私ども行政改革推進事務局で調査をいたしましたことの関係でございますので、御説明させていただきたいと思います。
私どもの方では、事務次官の再就職につきまして、調査を各省庁にお願いして一たんまとめたところでございますが、その中で、当委員会におきまして、必ずしも十分な調査ではないんではないかという御指摘がございました。
国の公務員に該当するようなものについて確認できないというような形での回答があったということで、再度私どもの方で、そのあっせんの有無の確認が必要なものかどうかということで分類を追加させていただきまして、国の機関の長ですとかあるいは大使ですとか、そういうものについてはバー、横棒で、それから、独立行政法人の長など主務大臣が任命をいたします役職に該当するものについては、シャープといいますか井げたマークで、特段あっせんの有無の確認について必要ない、それ以外のものについて、有無について可能な限り確認をしてくださいということでお願いをして、再度、現時点でのものをまとめさせていただいたところでございます。
○泉委員 私はもうこれで終わりますけれども、きょう改めて短い時間でお話をしたのは、やはり政府が、渡辺大臣が特に、人事当局のあっせん、そして人事の延長線上、そして予算や権限を背景にする天下りは、今回しっかりと全面的に規制をしますというふうにおっしゃった。人事当局のあっせんということは今後なくなります、表向きは。表向きはなくなりますよ。だけれども、手をかえ品をかえ、いろいろな我々の目に見えないケースをどうやって防いでいくか。これはやはり防ぎようがないわけなんですよ。でも、人材バンクがなければ、民間のハローワークに行かざるを得ないわけですから、これは防げるんです。だから、なぜこの人材バンクというものをつくってしまうのか、そこがやはり我々は納得いかない。
そして、人事の延長線上、予算や権限を背景にするということも、我々の調査の中で明らかになってきましたけれども、いろいろな形で、権限や予算を背景にしないけれども、大体同じぐらいの役職の方が大体同じぐらい給料をもらえるいろいろな団体に再就職をしている。その実態を変えるおつもりがあるのかないのかということですよ。やはり最終的に面倒を見られたいという思い、それを変えるつもりはないのか。そういった待遇も含めて、個々人が、さっき細野議員が言いましたけれども、エグゼクティブクラスでもいいです、いろいろな民間の人材バンクのそういうところも含めて、ハローワークも、今はないけれどもそういうものをつくって、民間にも、いろいろな就職情報誌もあります。ヘッドハンティングもあるかもしれません。みずからそういうところに歩みを進めていくことの方が、よっぽどまともな官民交流になるんじゃないですか。
最後にその答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 今御指摘のようなことがいきなりできるのであれば苦労はないんですよ。とにかく、今やっている天下りあっせんというのは、大変なネットワークを構築し、予算と権限を背景に岩盤のように凝り固まっているわけでございます。
したがって、これをどうやって壊すのかということを我々は心を砕いて考えてきたわけであって、この法案を廃案にしてしまうとか葬り去ってしまうということになりますと、今の天下り問題が全くそっくりそのまま残ってしまって、そこから先に進まないということになるわけであります。民主党案だって、各省のあっせんを全面禁止するという点は同じじゃありませんか。
ですから、この点だけは、ぜひ問題認識を共有した上で我々の案に賛成をいただきたいと思います。
○泉委員 終わります。
―――――――――――――
○河本委員長 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として、外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、国際協力局長別所浩郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 済みません、急遽ちょっと順番が変わりまして、私、川内がまず質疑に立たせていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いを申し上げます。
この前の続きをやろうと思っているのですが、まだ厚生労働省の方がお見えではないようでございますので、今、最後に大臣が御答弁になられた、岩盤のようなこの仕組みを壊さなければならないんだ、そのために知恵を絞ったんだという御答弁でございました。では、この法案で、そのかたいかたい岩盤なるものが果たして崩れるのかということを、ちょっと議論させていただきたいというふうに思います。
各府省から、営利企業への就職の承認に関する年次報告の別表というものが毎年公表されます。まず、文部科学省分についてお尋ねをさせていただきます。
これは平成十六年の分が私の手元にございます。官房長もお持ちになっていらっしゃると思いますが、この平成十六年分で、例えば、整理番号でいうと一番わかりやすいのは、整理番号二十九番の方。この方は、文部省福井大学施設課機械係長の後、福井大学施設課専門員、さらに福井大学財務部環境整備課専門員を経た後、何という会社にどういう業務で再就職をしていらっしゃいますか。
〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○玉井政府参考人 恐縮でございますけれども、御通告いただき、今、とるものもとりあえずやってきたわけでございます。
私も、この個別のものについて、ちょっと手元に今ないままでお答えをせねばならないので、恐縮でございますが、個々具体にというのは非常に、申しわけございません。
一般的に申し上げますと、これは川内委員はよく御存じだと思いますけれども、私どもの省の場合に、こういう人事院の承認なり、あるいは文部科学省の承認を受けている者の多くは実は教員関係が多いわけでございますが、それ以外にも、今御指摘にあった、具体にそのものかどうかはちょっと手元にないので申し上げかねるわけですけれども、そういう職員もいるということは承知をしているわけでございます。
○川内委員 私が申し上げているのは、別に、この再就職が不法であるとか、違法であるとか、不適切であるとかいうことを申し上げているわけではなく、当然、法令にのっとって再就職が行われていることは私も承知をしております。
そういう中で、政府が今回目指していらっしゃるのは、国民の目から見て押しつけ的あっせんによる再就職を根絶する、あるいは予算や権限を背景としているのではないかという再就職を根絶するというのが問題意識でいらっしゃるというふうに思います。
そこで、具体の事例に即して考えていきたいというところで、結局、資料はないんですかね。届きましたか。では、もう一度聞きます。
文部科学省の福井大学の施設の御担当をしていらっしゃった、この文部科学省がお出しになっていらっしゃる営利企業への就職の承認に関する年次報告の別表、整理番号二十九番の方は、文部科学省を退官の後、何という会社のどのようなお仕事につかれていらっしゃるというふうにこの別表の中で説明をされておりますか。
○玉井政府参考人 先ほどは恐縮でございました。
今届いた手元の資料で見ますと、今の御指摘の者は株式会社三木組福井支店工事部工事課顧問で、設備技術の指導及び監理というふうになっております。これは、川内先生これも御案内でしょうけれども、ルールがございまして、このルールに照らしてそれぞれが再就職をしているわけでございます。この場合でしたら、営業ではないということでございます。
○川内委員 それでは、もう一人お聞きします。
整理番号三十八番の方ですね。この方は、文部省大臣官房文教施設部名古屋工事事務所所長補佐の後、東京工業大学施設部長を経て、最後は大臣官房文教施設部広島工事事務所長をおやりになっていらっしゃいます。この方が退官後、どちらに再就職をされて、どのようなお仕事に従事をされていらっしゃいますか。
○玉井政府参考人 ただいまの御指摘の者につきましては、株式会社銭高組建築事業本部顧問、そこで建築事業に関する指導という、いわゆる専門的な知識、技術を生かしたそういう業務に従事しているわけでございまして、このことは、先生、お手元の資料そのものに載っているわけでございます。
○川内委員 それでは、この方は技官ですか。文部科学省採用は、技官としての採用でしょうか。
○玉井政府参考人 かなり前の採用でございますので、記憶に頼っての答弁になりますのをお許しいただきたいわけですけれども、たしか文部技官であったというふうに担当者も記憶しております。
○川内委員 それは確かですか。
○玉井政府参考人 恐縮でございます。突然のお尋ねでございますので、この者がどういう職種で選ばれたかというのは、事前に言っていただければ私ども人事記録を、この者は平成十六年に退官したわけでございますから、これが採用され、要は四十年近く前のことでございますので、その段階のものに当たらない限り正確には申し上げかねるので、今、普通、技術系かなというふうな物の言い方をしてしまったわけでございます。
正確には、申しわけございませんけれども、事前にいただければ、人事記録を調べた上でのお答えになるわけでございます。
○川内委員 それでは、整理番号三十九番から四十五番まで、これは一枚の紙に出ていますね。三十九番から四十五番。四十一番の方は三十歳で再就職をしていらっしゃいますから、この方は御自分で恐らく職をお見つけになられたか、研究者として新しい道に進もうということで普通に転職をしたということでしょう。残りの三十九番、四十番、四十二番、四十三番、四十四番、四十五番の方々は、すべて六十歳で再就職をしていらっしゃいます。この方々のお仕事は、すべて文部科学省の所管する各大学における施設整備を担当される管理職の方々でございます。
この三十九番から四十五番の整理番号の方々、四十一番を抜いて、それぞれどのような会社に再就職されたか、そしてどのようなお仕事に従事をされたかということについて、今度は全部ずらずらっとおっしゃっていただけますか。三十九番から四十五番まで、四十一番を抜いて答えてください。
○玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
まず三十九番でございますが、大栄電気株式会社工事本部理事、仕事内容は技術指導というふうに記載されているはずでございます。次、四十番は、株式会社中電工岡山支店技術顧問で、仕事としては電気設備の品質に関する技術指導となっております。次の者は抜かせということでございますので飛ばさせていただきまして、四十二番でございますが、株式会社精研顧問、仕事は設備工事本部の事業全般に関する指導助言となっております。次に四十三番でございますが、三宝電機株式会社技術開発部顧問、これはクリーンルーム関連機器の研究及び省エネルギー設備の開発というふうになっております。それから四十四番でございますが、長田組土木株式会社技術企画本部顧問として、技術、企画、設計に関する調査及び社員の指導となっております。次の四十五番でございますが、株式会社佐伯建設建築本部建築工事部技術部長、それで、工務、積算、技術に関する指導助言及び技術者の教育、こういう職務内容になっております。
○川内委員 このような形で、大臣、土建屋さんに文部科学省からずらずらっと再就職をしています。
私は、ある意味、文部科学省というのは正直に、こういうふうに別表という形できちんと世の中に公表をしていらっしゃるという意味においては評価するんですよ。ほかの役所は、ほとんどまともにちゃんと公表していないのではないかと思われるところもあるわけでございます。外務省などは律儀ですよね。毎年一人ずつこうやって別表に載せているんですね。毎年一人ずつ、律儀に。だから、ある意味でいえば、僕は文部科学省は正直にやっていらっしゃるんだなと思います。しかし、では、これが押しつけ的あっせんあるいは予算や権限を背景とした天下りではないのかというと、国民から見れば予算や権限を背景とした天下りにほかならないのではないかという評価に私はなると思います。
では、これが、新しい法律ができれば、政府案が成立をすれば、こういうことはなくなりますと果たして言えるんでしょうかということなんですが、なくならないですよね、大臣。
○渡辺国務大臣 予算や権限を背景とした押しつけ的あっせんによる天下りは根絶されます。
○川内委員 大臣、その御答弁は、自衛隊がいるところが非戦闘地域だという答弁と全く同じことで、ほとんど実態として意味をなさない御答弁であるというふうに私は思います。
国民から見てですからね。国民から見てというのは、これは私が言っていることじゃないですよ。閣議決定文書に、国民から見て予算や権限を背景とした天下りが根絶をされなければならない、押しつけ的あっせんが根絶をされなければならないというふうに書いてあるわけです。例えば文部科学省さんはこのように正直に国民の皆さんに公表をされていらっしゃる。今後はこういうものが果たしてなくなるのかどうかということが国民の皆さんにとっては大事なことであろうというふうに思うんですね。
まるで紋切り型のそういう答弁ではなく、もうちょっと実のある、なるほどというような答弁をしていただけますか。
○渡辺国務大臣 現在、人事院の承認を受けて再就職するケースは、民主党の案でも多分残るんでしょう、そうですね。それで、政府案においてはどうなるかということでございます。
まず、各省があっせんをしている場合、これは全部アウトになります。先ほど来言っているとおりです。さらに、再就職したOBの口ききも規制いたします。ですから、例えば文科省時代にそういう箱物事業関係の仕事に携わっておったという人が、我が社に有利になるようにという話をやれば、これもアウトになりますね。また、今回の国家公務員法だけではなくて、もう既に随契の見直しも大々的に始まっております。独法においても、基準がなかったのを基準をつくらせて、随契から競争性のある入札に変更しようということもやっております。談合防止措置もとってきております。
こういったことによって、今まで予算が欲しいからOBを下さいよということを営利法人も非営利法人もやってきていたと思いますが、人事当局がそういうところに役人をはめ込んでいくということがこれからは根絶されていくようになるわけですよ。官民人材交流センターが個人の能力、実績に着目してあっせんを行うようになるわけですから、予算が欲しいからという思いで行われてきたのであれば、これは行われないということになっていくわけでございます。
○川内委員 大臣、今現在でも、予算が欲しいから人を下さいなんて、そんなあからさまなお願いをする人はどこにもいないでしょう。そういう意味でいえば、大臣の今の論法では、今、現行の状況においても、押しつけ的あっせんによる天下りはゼロであるというふうに言わなきゃいけないですよ。今現在でもないですよ。そんなあからさまに、いや、うちは仕事が欲しいので、ぜひお役所様の方から一人いただきたいと思いますというような、そんなわかりやすい話をする組織というのは恐らくないわけで、いろいろなことがあるわけですね。
では、民主党案でこういうことがなくなるのか、なくならないのかということを、ちょっと御答弁いただけますか。
○武正議員 川内委員、御質問ありがとうございます。
先ほど来、渡辺大臣が、民主党案も同じだ、こう言っていますが、全然違います。民主党案は、事前規制をきっちりとチェックを強める。これまで五年、二年の人事院のチェックを、人事院は、公務員倫理審査会など、しっかりチェックを強めてもらう、五年、五年まで。しかも、対象を、営利企業だけじゃなくて公益法人とか独法も含める。さらにその先、公益法人、独法から二年、さらに再就職、営利企業もチェック、事前規制を強める。
事後規制はどうか。さっき、大臣は民主党も同じだと言いましたけれども、OBの口ききについては政府案は二年、民主党は十年チェックですね。それから、管理職員の再就職の届け公表も、政府案はたった二年ですが、民主党は十年事後規制をかけるということで、事前も事後もしっかりとチェックをする。
あわせて、問題は、人の流れとお金の流れなんですよ。お金の流れが手つかずだったら、幾らここで人材バンクなんかつくってもだめなんですよ。お金の流れ、やっていると言いますけれども、やっていません。随意契約だって、ことしの四月からようやく契約の見直しが始まっただけ。官製談合防止法だって、民主党は厳しいのを出しているけれども、政府はやっていない。そういったところが、やはりこの政府案では抜け穴だらけということでございます。
あと一点。さっき、川内委員の質問で文部省の官房長は大変大事な発言をされました。
それは、急な御質問だったので用意していないけれども、事前に言ってくれればわかる、人事記録を見ればわかると。これは大変大事な答弁であります。
なぜならば、これまで各大臣は、個人のプライバシーだからOBがどこに行ったかわからぬ、こう言っていました。また、渡辺大臣は、十六名のわたり、それぞれの省庁に言っても十六名しか出てこない。さっき、総理も同じようなことを言っていました。今、官房長は、調べれば各省に記録があるということをはっきりと明言したことで、私は大変大事な答弁だと思いますので、川内委員の質問に感謝をいたします。
○川内委員 いや、そんな大事な質問をしたとは私は自分で思っては、さすが、やはり武正議員は能力が高うございます。私は全く気づきませんでした。官房長の答弁を思い起こしてみると、ああ、なるほど、そういうふうにおっしゃったなということを改めて感じるわけでございます。
それでは、ちょっと視点を変えまして、厚生労働省、お運びいただいていますね。この前の続きをちょっとやりたいんですが、厚生労働省並びに社会保険庁から、社会保険庁が発注をしている年金に関するシステムの会社、NTT――政府参考人を諮らないといけないんですね。では、まずやってください。
―――――――――――――
○戸井田委員長代理 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官杉田伸樹君、社会保険庁総務部長清水美智夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸井田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○戸井田委員長代理 玉井官房長。
○玉井政府参考人 御指名をいただきましたので、お答えをさせていただきます。
私のあの答弁で、先ほど民主党の方、川内先生、御指摘がございましたが、よく思い起こしていただきますと、要は、この職員の身分が技官だったかどうか、こうおっしゃったものですから、通常はこの施設の関係の者は技官だっただろうと思ってお答えをしたわけですけれども、本当に確かかと言われたので、それは事前に言っていただければ、身分そのものがどうかということぐらいはわかるわけでございますから、そのことを申し上げたまでであります。
○川内委員 要するに、記録はあるということですよね、人事データが。では、それをこれから議論していきますよ。ちょっと待っていてね。
それでは、社会保険庁。平成十八年三月まで、NTTデータあるいはNTTデータシステムサービスという社会保険庁がシステムを発注している会社に、常務取締役として、それぞれ一名ずつ再就職をしていた。その方たちは、NTTデータ、NTTデータシステムサービスに再就職する前は、厚生労働省の所管団体の役員であった。そこから民間会社に移って、そこからまた厚生労働省の所管団体に移ったというこの流れを、もう一度、どこからどこにどう行ったか、この三カ所の職場を。一人ずつ正確に答弁いただけますか。
○清水政府参考人 大変恐縮でございます、手元に資料がございませんので、記憶に基づきまして御説明申し上げることをお許しいただきたいわけでございますけれども、まず、NTTデータの常務執行役員を平成十八年三月に退職した者でございますけれども、退官後、NTTデータに行く前は、年金福祉事業団、それからNTTデータということでございまして、その後、全国社会保険協会連合会ということでございまして、現在に至っているということでございます。
もう一名でございますが、十八年三月にNTTデータシステムサービスを退職した者でございますけれども、この者は、退官後、こども未来財団というところに所属いたした後、NTTデータシステムサービスに移りまして、そこを十八年三月に退職後、現在は社会保険診療報酬支払基金に所属しているというふうに承知してございます。
○川内委員 それでは、もう一つお尋ねいたしますが、このNTTデータの常務執行役員とNTTデータシステムサービスの常務取締役というポストは厚生労働省のポストですか。
○清水政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、人事院の承認を必要とする営利企業に再就職する場合におきましては、承認を得た書面が残っておるわけでございますけれども、それ以外の場合につきましては、みずから就職先を見つけたのか、いわゆるあっせんによるものなのか等の確認ができないところでございますので、今の委員の御指摘については、必ずしも的を射たお答えができかねるところでございます。
ただ、五月の二十三日でございましたか、委員に厚生労働委員会でお答え申し上げたところでございますけれども、今私が申し上げたものと同一名称のポストに別の者がついていたという国会答弁を申し上げたところでございまして、そこまでは把握しておるところでございます。
○川内委員 別な者がついていたというのは、何人ついていたんですか。どのようについていたんですか。そんなことも調べずに国会で答弁したんですか。
私が聞いているのは、厚生労働省なり社会保険庁出身者が連続してそのポストをずっと引き継いでいますかということを聞いているわけで、そんなことぐらい知っているくせに。ここで答えなさいよ。
○清水政府参考人 前回も私の方からお答え申し上げましたように、本件、先ほど言った二名のNTT関連における在籍というものは、御照会がございまして、それに応じまして十八年の二月段階で把握したという一時点のものでございます。その際に、同一ポストにほかの者もいたという情報までは把握したわけでございますけれども、それ以上のことは把握しておらないわけでございますので、お答えは、先ほどのということで御容赦賜れればというふうに考えております。
○川内委員 委員長、こんな答弁は許せないですよ。きょう採決をあきらめたんですから、これはとめてくださいよ。
なぜかならば、委員長、大臣も聞いてくださいよ、年金福祉事業団からNTTデータに行き、NTTデータから全国社会保険協会連合会に行っているわけですよ。これで厚生労働省は何らの関与もなかったというんですか。どうですか、この二人について。
○清水政府参考人 先ほど申し上げたことの繰り返しで大変恐縮でございますけれども、私ども、その二名の再就職あるいはそれ以降の就職に関しまして書面が残っておるわけではございませんので、どういう形のあっせんがあったのかなかったのかということが確認できないというところでございます。
〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○川内委員 いや、書面があるかないかということを聞いているんじゃないんです。関与があったかなかったかということを聞いております。何らの関与もないというふうに言い切るんですかと。
○清水政府参考人 関係の書面がないわけでございますので、私どもの立場としまして、あっせんがあったのかなかったのか等の確認ができないというお答えしか申し上げられないことを御容赦いただければというふうに思います。
○川内委員 いや、はいそうですかというわけにいかないですよね。
なぜかならば、大臣、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果は、わたりがあったのは十六人だというのが今のところ政府の正式な見解ですね。私がつたない手法で、つたない、本当に限られた情報で厚生労働省関係のお二人の方をお聞きしたらば、その方々は、厚生労働省の所管団体、民間のでかい会社、そしてまた厚生労働省の所管団体、こう渡っている、二人ともそうだと。
そうすると、厚生労働省なり社会保険庁がこの方々の再就職に関して何らかの関与をしたということが明らかになれば、この政府の調査の厚生労働省のところはゼロですから、ここに二という数字が書き込まれるわけですよ。そうすると、十六件が十八件になるわけですね。一〇%以上ふえるんですよ。一割以上ふえるんですよ。そういうことでしょう。政府の調査表で一割誤差があるかないか、これは重大な問題ですから。重大でしょう。だから私はしつこく聞いているんですよ。一万件ぐらいあって二件がいや確認とれませんと言っている話じゃないですよ。
これは十六件が十八件になるかならぬかという重大な問題ですから、関与があったのかなかったのか、私はきょうの質問時間が十六時二十四分までですから、あと十五分ありますから、十五分の間に、政府の所管団体ですからね、全国社会保険協会連合会、社会保険診療報酬支払基金、電話して、あなたの再就職、厚生労働省の関与はあったかと今聞いてください、裏で。その間、違う質問をしていますから。
委員長、その指示をしてくださいよ。これは重大な問題だと思いますよ。
○河本委員長 確認してください。
○川内委員 それでは、聞いていただいている間に違う質問をしたいんですが、外務省にお尋ねをいたします。
ODAを背景にした、私が言葉を使うときにはODAを背景にしたという言葉を使わせていただきますが、再就職が行われているわけでございます。しかし、それは外務省はそのようにお認めにはならないのでしょうが。
しかし、私が外務省の人事課の方にお出しをいただいた、正確に申し上げますと、政府開発援助の無償資金協力において、一社入札、一社しか入札に参加した企業がない、そのうち、入札率の高い案件の上位十社について、外務省からも再就職が行われているということでございます。それで、この前お聞きしたときは、これは人事院の承認の要らない再就職なんだという御説明でございました。一名は要らないことは確実だ、あと四名はわからないということでございました。
きょう改めてお伺いいたします。
この五名の方々は、民間企業の取締役なりあるいは顧問というお立場で再就職をされているにもかかわらず、なぜ人事院の承認が要らないというふうに御判断をされたのかということを教えてください。
○塩尻政府参考人 お答え申し上げます。
先日御質問をいただきまして、五人のうち一名について御答弁申し上げたところでございます。残り四名につきましては、先日は御答弁できませんでしたが、その後確認したところ、人事院の承認を求めておりません、得ておりません。
この解釈でございますけれども、人事院の承認というのは、密接な関係にある営利企業への再就職、その際に承認を得るということになっておりますけれども、私どもといたしましては、この一名プラス四名、合計五名の方につきましては、こういう密接な関係にある企業に該当しないということで、承認を求めていないということでございます。
○川内委員 ここでもう一回、文部科学省の玉井官房長にお聞きしたいんですけれども、文部科学省は割と律儀に、建設会社に再就職されるときに、そういう発注業務とは関係のない仕事だけれども承認を求めています、承認を得ましたというふうにさっき御説明されましたよね。わざと営業という言葉を使われたわけですけれども、営業ではありませんという言葉を使われたわけです。
政府の中で、どういう場合に承認を求めるのかということについて、統一された基準というものがないのではないかというふうに思うんですね。
外務省はさっき、人事院の承認を得ていない、別に密接ではないというようなことをおっしゃられたんですが、私はこれは大変密接だと思うんですけれども、なぜ密接でないと、それはどういう基準で密接でないというふうに判断をしたのかということを教えていただけますか。
○杉田政府参考人 無償資金協力でございますけれども、無償資金協力は、この前御説明いたしましたとおり、入札の施主ということでいいますと相手国の政府ということになっているわけでございまして、そういう点から、外務省と密接に関係があるということではない、こういうふうに判断したということでございます。
○川内委員 ちょっと、もう一回言って。私にわかるように言ってください。
○杉田政府参考人 無償資金協力の仕組みでいいますと、無償資金協力は、日本政府が相手国に資金を提供して、それをもって相手国がプロジェクトに対する入札を行うわけでございます。入札を行う主体、すなわち施主、プロジェクトの施主ということになりますけれども、これは相手国政府だということでございます。
○川内委員 いや、その説明はこの間も聞いたけれども、まるでこれは、外務省が裁判で負けたドミニカ移民訴訟に関して、外務省は関係ありませんと言い張っていたときと全く同じような言いわけの仕方ですよね。
無償資金協力というのは、外務省が企画し、その中心的立場にいて、JICAがその実施業務をとり行うということで、外務省が中心的におやりになっていらっしゃる業務じゃないですか。それを、この場で、いや、外務省は関係ありません、相手国がやるんですというのは、それはちょっと余りにも言いわけが過ぎるんじゃないですか。
ちょっとそれは国民から見て理解されないというふうに思いますけれども、林副大臣、どうですか。今の外務省の説明は、そのとおりだなと副大臣としてお思いになられますか。無償資金協力は、具体の事業は相手国がやっていることだ、外務省は関係ありませんと言ったんですよ。それ、副大臣としてどう思いますか。
○林副大臣 久々に当てていただきまして、本当にありがとうございます。
多分、今の委員の御議論を聞いておりまして、密接に関係するものというものをまずだれが一義的に判断して、そして、人事院の規制でございますから、人事院の方でどういう判断をされるのかということになろうか、こういうふうに思います。
今聞いておりまして、今まさに我々が議論しておりますように、予算や権限を背景とした、こういうことになりますと、最終的に、民間の方が仕事を受注するときにだれが本当に権限と予算を持ってやっているのか、こういうことであろうか、こういうふうに思いますので、今のお話のように、無償でしたか、お金を無償で供与された後、向こうが入札をして決めているというのであれば、そういう理屈なのかなと思いますけれども、それは私、所管でないものですから印象として申し上げましたけれども、やはりこのルールがどういうふうに適用されて、まさに委員が御指摘になったように、人事院の方で最終的にはやっておられることでありますので、人事院が最終的にどういう判断をするかということであろうかなというふうに聞いておりました。
○川内委員 いや、人事院も判断するんですが、ある一定の基準に基づいて各府省で承認をするものもあるんですね。
無償資金協力の入札は日本がやるんですよ。無償資金協力の入札のコンサルタントは外務省の外郭団体でしょう。外郭団体がやっているじゃないですか。では、まずそこから答えてくださいよ。
○杉田政府参考人 今の入札でございますけれども、先ほど御説明いたしましたとおり、入札の主体というのは相手国政府でございます。ただ、それに対して、補助業務を日本にいるコンサルが行う、このようなやり方になっております。
○川内委員 入札に関する補助業務を外務省の関係団体がやっている、主体は相手国である。それは、まあ、そもそも交換公文で相手国と供与額を約束して実施する事業ですから、主体は見かけ上はそうなるかもしれませんが、実態は日本の政府が全部やっている。
国民から見てどうなのかということですよ。この再就職の件に関して、そういう何か言い逃れみたいなことばかりずっと役所はおっしゃるわけですね。そういう中で、では、そういうものがそもそも根絶をされるのかということを国民の皆さんは期待して、あるいは注目して見ているわけですが、今の、きょうの外務省の議論を聞いていると、多分国民の皆さんは、ああ、外務省というのはやはりずっとこういうことをやめないんだろうな、ずっとやるんだろうなというふうにお思いになられると思いますよ。
だって、これらのことは、民間企業に、営利企業に再就職しているのだから堂々と、承認をした、人事院から承認を受けたと、何にもやましくなければ、すればいいだけの話ですからね。それをしないで、いや、それは相手国が主体ですからと言い逃れるのは、国民から見て、外務省というのはスマートな役所だと思っていたけれども、そんなせこいことを言う役所なのかなみたいなふうに思われるんじゃないですか。
林副大臣、どうですか。
○林副大臣 思いを大変共有しながら聞かせていただいておりました。
私も実は、ここに来る前に、党で長い間、行革の事務局長というのをやっておりまして、まさに今委員がおっしゃったように、国民の思いというか目線というものと、我々が行革で接する皆さんの、こちら側の説明というのが、どうもなかなかうまくかみ合わない。しかし、それは我々の仕事であろう、まさにここでこういう御議論をいただいて、では、どういうルールをきちっとつくって、どういうふうにきちっと細部まで設計をして、まさに今委員が御指摘になったように、国民の目線と、運用まで含めた今の現行制度が合っていくのかということをしなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
そういった意味で、人事院の今ある事前規制で、今委員が御指摘になるような、国民の目線から見てどうかなということがこれだけあるわけでございますので、そういうことも含めて、大臣からたびたび御答弁がありますように、あっせんそのものにメスを入れてこれを違法化するということでございますから、今たびたび御議論があるように、星印だとか何だとかというのは、今の時点ではあっせんは禁止をされておらないわけですからそういうことになるわけですが、これが規制の対象になるということになれば、きちっとした対応、また、疑わしい場合には、端緒があれば調査に入る、こういう仕組みをまさに今回の法案に入れて、今まさに委員が問題意識として持っておられるような、国民の目線と合わせていこう、こういうふうな法案になっているというふうに考えておるところでございます。
○川内委員 いや、尊敬する林副大臣にお言葉を返すようで大変恐縮でございますけれども、私は、法律をつくって制度を変えても、やはり役所の方々の意識というものが変わらない限り、役所の方々は抜け道を探し出して、必ず今までと同じようにされるのではないかという危惧を持っております。
であるとするならば、堂々と情報公開をし、お金がどう流れているのかということまでしっかりとまず情報公開をした上で国民の批判にさらしていくということの方が、より実効性のある改革、行政改革につながるのではないかというふうに考えております。
そこで、社会保険庁の方が戻っていらっしゃいまして、三カ所を渡り歩いた当事者にお聞きをいただいたものというふうに思いますが、厚生労働省から全く何の再就職に関する関与も受けていないというふうにその方々がお答えになられたか、いや、世話になったよ、だって古巣だから世話になるわなというふうにお答えになられたか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
○清水政府参考人 大変恐縮でございます。今の間に、私の方から本省の人事当局に、該当者と連絡をつけて委員のお尋ねのことを尋ねるようにということを申したわけでございますが、今確認しましたけれども、今努力中であって、本人とはまだ接触できておらないということでございますので、このような経過の報告を申し上げる次第でございます。
○河本委員長 委員長から一つ申し上げます。
清水部長、次回の委員会までに確認できるように努力をしてください。
○川内委員 私が委員長に申し上げる前に、委員長の方から社会保険庁に対して指示がございましたので、次回の委員会までに、関与があったのかなかったのかということがはっきりする。関与があったとなれば、これは、渡辺大臣、この二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果というものは訂正をされなければならない。さらには、厚生労働省は行革本部事務局に対して、報告に間違いがあったということで再報告をしなければならないことになるということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
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○河本委員長 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長高橋政行君及び農林中央金庫代表理事理事長上野博史君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として農林水産省生産局長山田修路君、農林漁業金融公庫総裁高木勇樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○河本委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。
五月三十日に農林水産委員会で競馬法の改正の審議をさせていただきました。そのとき答弁の時間が十分になかったと思いますので、その補充を含めて、きょうはさせていただきたいと思います。天下りの問題に関して、もうこの委員会でも質問させていただいたわけでありますけれども、時間がなかった関係をしっかり詰めさせていただく場にさせていただきたいと思います。
まず一番最初に、きょうお越しをいただいておりますJRAの理事長、また、農林中央金庫そして農林漁業金融公庫、それぞれのトップにきょうはお越しいただいております。
委員各位に、きょう、資料をお配りはしておりますか。してください。
そのお配りをしていただく間に確認をしたいと思いますが、JRAについては前回委員会で確認をしました。農林中央金庫、農林漁業金融公庫、それぞれの理事長は、何人中何人が農林水産事務次官もしくは旧農林省の事務次官経験者であったのか、これについて御答弁をいただきたいと思います。
○上野参考人 何人中何人というその御質問の内容でございますけれども、どういうことをお答えしたらよろしいんでございましょうか。
○岡本(充)委員 今質問しました。
では、近年、戦後だけでもいいです、湯河さん、楠見さん、片柳さん、森本さん、それから、今の上野理事長の前任の角道さん、この皆さん方は、どなたが次官経験者で、どなたが次官経験者じゃないんでしょうか。
○上野参考人 ただいまおっしゃられた方々の中には、農林省、農林水産省時代を通じまして、事務次官経験者以外の方はいないと思います。
○岡本(充)委員 続きまして、農林金融公庫についても同様にお伺いをしたいと思います。
山添さん、清井さん、大澤さん、武田さん、中野さん、松本さん、後藤さん、鶴岡さん、そしてきょうお越しの高木理事長、この中で次官経験者でない方はどなたですか。
○高木政府参考人 私を含めて、全員が次官経験者だったと思います。
○岡本(充)委員 JRAも前回の委員会で質問をしましたけれども、皆様のお手元に配付をしました三ページ目をごらんいただければおわかりいただけると思います。今、ここにちょっと私の手書きで書きました農林中央金庫、農林漁業金融公庫を含めて、日本中央競馬会歴代理事長も、事務次官経験者がいかに多いか。昭和三十七年以降、これだけ次官経験者が就任をされているわけでございます。
こういう現状を見ると、どういう経緯でこれほどまでに次官だけがこの職に就職をしたのかということが大変気になるわけであります。適材適所というのがそれぞれのお答えなのでありますけれども、例えば……(発言する者あり)まあ、そう言わずに見てください。農林水産事務次官経験なのはわかりますが、では、競馬監督課長の経験があるかということを調べると、競馬監督課長の経験がない人ばかりなんですね。競馬に関してそれだけの知識や経験、そういったものがあったのかということを思わざるを得ないわけであります。
同様に、農林漁業金融公庫、そして農林中央金庫についても、金融課長経験の有無についてお尋ねをしております。
農林漁業金融公庫の昭和五十九年十月六日就任をされました松本総裁は経験がおありだというふうに聞いておりますが、それ以外の方で、わかる範囲で結構です、金融課長経験者の方はいらっしゃるんでしょうか。
○上野参考人 私は、金融課長あるいは金融調整課長の経験はございません。
ただ、水産庁で、何と申しましたか、ちょっと、昔の、申しわけございませんが、水産庁の漁協の関係の信用事業を扱ったことはございます。
○高木政府参考人 今御指摘になった方々のそれぞれの経歴、全部知っているわけではございませんので、今御指摘のあった方は確かに金融課長をおやりになった、そのほかの方についてはちょっとわかりません。(岡本(充)委員「御自身は」と呼ぶ)私は、そういう立場にいたことはございません。
○岡本(充)委員 副大臣、こういうような形の答弁をされているわけですよ。委員会では、適材適所だ、こういうふうに言われますけれども、今の答弁を聞く中で、いわゆる金融関係の現場の責任者をやったことがない。現場の責任者というより、課長はかなり偉いわけでありますけれども。また、競馬監督課長もしたことがなくても、JRAの理事長、こういう職につくということについて、どういう判断で農林水産省はこういった現状を認識して見ているのか、副大臣はどういうふうに理解をされますか。
○山本(拓)副大臣 突然のお呼び出しをいただきまして、帰り支度をしておったんですが。
天下りの一環で御質問をなさっているんだろうと思いますが、御案内のとおり、私どもの理解としては、少なくとも、自民党であれば、例えば何の部会長をやったからこっちにとか、そんなのじゃなしに、全体的に絶えず把握しているわけでありますし、そして、そういう中で、その人の要するに人格、識見、人材というものは、例えば普通の会社でも、人を採用したり張りつける場合に、だれでも最初に経験を積むわけであります。
だから、そういう中で、過去こういう経歴があるからこれというふうに結びつける方がかえっておかしくなると理解いたしておりまして、要は、基本的に、今の御質問の中身が、本音のところがよくわかりませんので、どういうふうにお答えしたらいいかわかりませんが、突然に今聞かれたってまともに答えられるわけではございません。
一言で言うならば、再三申し上げているように、適材適所。そしてまた、それなりに、きょうここに御出席されておられる官僚OBと言われる方々は、やはり立派な人格を有しているということはみんなが認めていることだろうと思っております。
○岡本(充)委員 立派な人格がおありなんだろうということは、私も決してそこを否定しているわけじゃないです。私が副大臣に聞いているのは、歴代全員、事務次官経験者。そして、なおかつ、その担当部署に必ずしも、だれかそれはいればいいですよ、だれかが別に、こういう人も行っているし、こういう人も行っているし、いろいろな経験者がそれはいるでしょうから。ただ、JRAでいえば、だれも競馬監督課長をしたことがない。農林漁業金融公庫、農林中央金庫については調査中であるという話でありますから、ここも早急に資料を出していただきたいと思いますけれども、今調査をしていると聞いておりますので、それは早急に出してください。
その上で、こちらについても、少なくとも現職の方はその御経験がないとお答えになられている。もちろん、農林水産業各般にわたっての知識経験はおありなんだろうということは私も推測するわけでありますけれども、適材適所と言われるそのゆえんが一体何なのかという疑念を持つわけなんです。
せっかくきょうは上野理事長と高木総裁においでいただいておりますから、ちょっとここで確認をしたいと思います。
高木総裁は、農林中金総合研究所理事長を平成十四年一月からお務めになられて、そして、農林漁業金融公庫総裁に平成十五年の十月からおつきでありますけれども、それぞれの職につくに当たって、農林水産省並びにその関連をする方でも結構でありますが、何らかのあっせんがあったのか、もしくは、なかったのであれば、ここでお答えいただける範囲で結構でございますから、どういう事情でこういった職におつきになられたのか、お答えをいただきたいと思います。
○高木政府参考人 私が今御指摘いただきました農林中金総合研究所に行きましたのは、そちらからのお話があり、そして、私も、そこでの、やれるということで参ったというふうに記憶しておりますし、それからもう一つ、農林漁業金融公庫については、これは、御案内のとおり、内閣の承認を得て主務大臣が任命ということでございます。私は、そういう手続の中で私が任命された、こういうふうに理解しております。
○岡本(充)委員 上野理事長については、前職の農林漁業信用基金理事長を平成十年一月からお務めであります。こちらについてもあわせて。
先ほど高木総裁が言われましたけれども、先方から連絡があったというのは、先方から具体的に電話があってそういう話なのか、それとも農林水産省経由でそういう連絡が来るのか、そこについても、高木総裁、後でお答えいただきたい。
○上野参考人 農林中央金庫の役員の決め方でございますけれども、私どもの役員は総代会の決定で決められることになっております。その候補者を決める組織といいますか、そういうものとして、私が最初に農林中央金庫の理事長に任命をされました際には、管理委員会とか管理会とかいう名前のものがございまして、そこで役員候補者を絞り込んで名簿をつくるという作業が行われました。したがいまして、私が推測をいたしますのに、その名簿をつくる立場に多分一番力のあったといいましょうか、責任のあった前任者の角道理事長が最初の案として名簿に載せたんじゃないかなと。私は、角道理事長が事前に私の内意をお聞きになられたということを覚えております。
農林漁業信用基金の方については、どういう経緯で私が就任をしたのか、ちょっと今のところ思い出せません。
○岡本(充)委員 今お答えになられました上野理事長、もう一回ちょっと確認なんですけれども、平成十年の一月のことをもう御記憶にないということなんでしょうか。どういった経緯で就任をされたか、そんな忘れるような話ではないと思いますけれども、お答えをいただきたいと思いますし、高木総裁にも、先ほどの話、電話がかかってきたのか、それとも前任者からの推挙だったのか、ここについてもお答えをいただきたい。
○上野参考人 農林漁業信用基金は、今でもそうだと思いますけれども、農林水産大臣の任命でございます。
したがいまして、どういうあれで私のところに連絡があったかというのは覚えておりませんが、いずれにいたしましても、辞令をいただきました。
○高木政府参考人 連絡がどういう形であったか、今定かに記憶はしておりませんが、ここは社長さんという方がいらっしゃいまして、その方がお決めになるわけでございまして、その方と会って私は了解したといいますか、就任をいたしたというふうに記憶しております。
○岡本(充)委員 それぞれお二人に確認を今させていただきましたけれども、きょう高橋理事長もお越しでありますから、御就任の経緯をもう一度お聞かせください。
○高橋参考人 私の場合は、ちょうど何も仕事がない状態でおりまして、それで平成十一年の八月に突然大臣から呼ばれまして、おまえやってくれというふうに言われました。私としては、それは全く予想もしていなかったことでしたので、びっくりしたという状態でございました。
○岡本(充)委員 それぞれ、やはり農林水産大臣ないしは農林水産省。大臣が個人的に指名をするという状況にあったのかというと、そうとも考えにくい状況が一般論として考えられるわけですね。お三方、それぞれ大臣の任命された時期があるようでありますけれども、あの人にしようと思われるような、そんなに大臣と個人的に、その当時の大臣と親しくされていたというよりは、農林水産省の役所でつくったペーパーに基づいて就任をしたのではないか。つまり、これこそがまさにあっせんなのではないかと私は指摘せざるを得ないわけです。
みずから、それぞれお認めになられたことになるわけでありますけれども、きょうはこの観点で、後刻、同僚議員があっせんの有無についてはまた聞くと思います。今お答えいただきましたことが、まさにその事実を語っているということだと思いますので、きょうは、その中でもとりわけ日本中央競馬会の問題について、少し掘り下げていきたいと思います。
きょうはそういうことで、上野理事長、また高木総裁、次の時期がありましたら、農林水産省の一般質問等で同じことを聞くかもしれませんので、どういうことを私が聞くのかも含めて、少し、もうあと二十分ぐらい、おつき合いをいただければと思います。
日本中央競馬会の今の状況について、私なりにこれも調べました。皆様のお手元の資料の一ページ目をごらんください。農林水産省出身者は必ずしも多くないように見えるかもしれませんが、先ほどお話をしましたように、理事長は歴代農林水産事務次官がその職にあります。また、理事長の本俸は百二十二万六千円ということになっておりますが、これに特別調整手当というのが百七十六万円ぐらいでしたか、つくとホームページには公開をされております。その百七十六万円というのは年額だったと思います。
その上で、先ほどの三ページはちょっと飛ばしてもらって、ここから先は、子会社の資料が四ページから載っているわけであります。
まずは、この給与のことについて少し確認をしたいと思いますけれども、今お話をさせていただきましたJRAの特別調整手当、百七十六万五千円というのはどういう根拠によって出ているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○高橋参考人 我々のJRAというのは特殊法人に位置づけられておりますが、その中でも非常に特異な団体だと思っています。
と申しますのは、やはり自分たちで金を稼いで、それで仕事をやっている、そういう性格でございますから、そういう意味では、それぞれの事業成績といいますか、そういうものも勘案して本来は決めるべきではないかというふうに思っておりますが、役員の場合には、どちらかといいますと、ほかの同種の特殊法人とか独立行政法人とか、そういったような横並びと、それから業績を考えながら決めておる、そういうことでございます。
○岡本(充)委員 いや、JRAのホームページを見ると、ほかの役所とか法人と横並びということは書いてないんですよ、理事長。ちょっと聞いてくださいよ、理事長。レクを受けているのもいいですけれども、ちょっとこっちを向いて聞いてください。
特別調整手当とは、民間における賃金、物価、生計費が特に高い地域に在勤する役員に支給されるものである。役員は皆さん東京だから、これをもらうに決まっている、そういうたぐいのものなんですね。
JRAのホームページを拝見させていただきますと、JRAが、いかに自分たちが特殊かということを書いている。他の法人の多くがおおむね国家公務員に対する人事院勧告に準じて給与改定を行っている中にあって、独立採算で事業運営し、国家財政に寄与している事業体としての独自性であると考えているとか、また、多くの法人と同じ基準での評価がされるとJRAの事業運営等の本旨が見失われるというような趣旨で、理事長みずから、他の法人とは違うと言っている。だから、今の答弁で、他の法人と比べて出しているという話は、これはおかしいわけであります。
こういった中で、役職員の給与、特に、まずは役員の給与が高いのではないかというふうに思うわけなんですが、民間企業と比べていると言います。JRAのホームページを見ますと、職員の給与については、設立時より国家公務員や人事院勧告に準拠するのではなく、勝馬投票券の発売実績その他の実績を勘案するとともに、主要民間企業等における処遇や給与改定の状況を見ているということで、あくまで他の法人とは違うんだと言っている。
であれば、実際、どういう企業と比較をされているのか、ちょっと具体的にお答えいただきたいんですけれども。
○高橋参考人 今、ちょっと手元に資料がございませんから、どれ、どれというふうに単純に申し上げることはできませんけれども、例えて言いますと、我々、いろいろな広報活動もやっておりますから、そういったマスコミといいますか、そういうようなものであるとか、あるいは売り上げでいいますと、三兆近い売り上げを上げているわけですから、そういうものではどういうような状況であるとか、そういった横並び。
それから、やはり採用といいますのは、それぞれの企業同士の一つの競争になりますから、いい人を選ぶのにはどうしたらいいかというようなことも考えて決めておる、そういうことでございます。
○岡本(充)委員 JRAは、この前の競馬法の審議も、もう最後にしますけれども出してくれという資料を、最後、法案審議が終わってから出してきたら、とんでもない数字だったということがあるので、これはしっかり出してもらわないといけないと思うんですね。
ちなみに私、調べました。今、三兆の売り上げと言ったけれども、これは勝馬投票券の販売であって、ここから払戻金を出しているわけで、実質のいわゆる売上高は四千八百五十七億円前後だと今考えられるわけです。そのうち、会社で言う税引き後の利益、いわゆる費用を除いた分が三百二十八億円じゃないかと私は理解しています。
例えば、実名を出して恐縮でございますが、二〇〇六年の会社年鑑で調べました。大体、売上高が四千億円前後。
例えば日揮、四千三百五十一億円の売り上げで、税引き後利益は百十五億円、役員数十九名。これは、役員の賞与については出ています。公開されていますので、これを見ると九千六百万円。
アステラス製薬、四千四百七十億円、税引き後利益三百三十七億円、役員数三十九名、そして賞与が四千四百万円。
公共性の高いものでいえば北陸電力、四千七百九億円、二百五十一億円の税引き後利益で、三十名の役員で九千五百万円の賞与。
では、広報をやっているフジテレビはどうだ。四千七百六十七億円、二百二十八億円の利益を出して、二十三名の役員で九千八百万円の役員賞与だ。
JRAは幾らですか。十三名の役員で七千五百万円の賞与を得ているんじゃないんですか。この基準でいえば、今民間と比べていると言うけれども、明らかに民間より高いじゃないですか。これについてはどのように御答弁をされますか。
○高橋参考人 先ほどちょっと申し上げましたが、我々、特殊法人の中で特殊だということを申し上げました。それでも、今政府の方針では、我々もやはり特殊法人という枠の中に入っておりまして、それでこういった特殊法人の給与につきましては、平成十四年に閣議決定がされまして、その中で、これ以下でなきゃいけない、この中におさめなさいという制限が設けられておりまして、しかも幾ら以内というふうに各理事長初め理事の給与も抑えられておりますから、そういった範囲で、我々、先ほど申しましたそのほかのことも考慮しながら決めておるという状況でございます。
○岡本(充)委員 理事長、その実態について後で必ず説明に来ていただきたいと思うわけであります。
そのときにあわせてお聞かせをいただきたいんですが、職員に対して特別手当というのを出している、本俸以外に。これは「人事評価で特に良好な成績を得た者」というふうになっていますが、一体これはどのぐらいの割合で特に良好な成績を得た者がいるんですか。私はかなりいるんじゃないかとにらんでいるんですけれども、この特別手当の実態についてもあわせて、私はきょうは突然の質問でありましたから準備されていないでしょうから、それについても改めて教えていただきたいと思います。
いわゆる今のJRAの給与の状況というのは、対国家公務員行政職(一)に比べて一五〇・一、これは事務と技術職員ですね。研究職員では、対国家公務員比で一四二・二。言いわけではないんでしょうけれども、管理職や大卒総合職中心の人員構成と全国転勤があるから給与水準が高いんだ、こういうふうにJRAは弁明をされていますが、これを対国家公務員行政職(一)で、なおかつ地域別、学歴別で比較しても一四五・一、そういう水準にある。これは高いんですね。
もっと言えば、その理由として、競馬の運営に関して、「緊張と精神的負担を伴う業務です。」こういうふうに言っている。そんなことをいったら、どんな仕事も緊張と精神的負担を伴う業務に決まっているんですよ。どの仕事の人もみんなそうですよ。委員部もそうですよ。何で自分たちだけが緊張と精神的負担を伴う業務で、国家公務員の給与費と比べて、また今の民間の給与費と比べて高くてもいい、こういう論拠に至るのか。私はそれについても明確な答弁をいただきたいと思います。
○高橋参考人 ほかの企業といいますかほかの団体がそういう緊張感がないとか、そういうことを申し上げておるわけではございませんで、特に競馬の場合には公正性とか中立性とか、そういうものが非常に求められるわけですね。それで、御承知のように、分単位で例えば競馬の施行もやらなきゃいけない、それから分単位あるいは秒単位で、どういうふうに馬券が正確に計算されて、すぐこれはファンの暴動とか騒擾とか、そういうことにつながりやすいですから、我々は常にそういうことを気をつけてやらなきゃいけない、そういう職場であるということを申し上げておるわけです。
○岡本(充)委員 では、地方競馬の職員の皆さんとこれは比較してもいいですか。同じ仕事をしていますよ。地方競馬の職員の人だったら職の内容はほとんど一緒ですよ。ここと比べてどのくらい自分たちが給与水準が高いか、認識をされていますか。
○高橋参考人 現在、ここに資料を持っていませんので、私はちょっとお答え申しかねます。
○岡本(充)委員 教えてあげてもいいですけれども、自分で一回調べて私のところに持ってきていただいたらどうでしょうか。私が持っている資料とすごく違っていたら、それはそれでまた、農林水産委員会の一般質問等できっちり詰めさせていただきたいと思います。
こうやって質問をしていると、上野理事長や高木総裁も、次は自分の組織も、こうやって私なりに、きょうは突貫工事ですからこのくらいしか調べておりませんけれども、とはいいながら、それぞれの組織についてもまた私なりに調べさせていただくということもぜひ御留意をいただきたいと思います。
続いて、四ページ目からの話です。
では、日本中央競馬会の子会社への天下りというか、さらに農林水産省からいわゆるわたりと言うべきかもしれませんが転籍をしている者もおるわけでありますけれども、見ていただいたらわかりますとおり、ずらずらずらっと日本競馬会採用の者が役員になっています。これは子会社を全部調べました。こういう結果です。
皆さん、見ていただいたらわかるとおり、この経歴の部分、本当に空白の人がどれだけ少ないかおわかりいただけると思います、六ページ目まで。こういった会社が並んでいる中で、ちょっと見づらいから、七ページ目に子会社社長の出身を一覧にしました。社長だけです。見ていただいておわかりをいただけると思います。JRAの理事と監事、また部長職の経験者ばかりであります。
ちなみに、これは前回、農林水産委員会でも指摘をしましたが、九ページのJRAとの取引額を見ていただくとおわかりなんですが、理事、監事は売上高の多い会社に、そして、どうやら部長はJRAとの取引額の少ない会社に就任をしているのではないか、こういう相関関係すら見受けられるわけなんです。
ちなみに、例えば、部長が社長になっている会社はその前任も部長である、理事が社長をやっている会社はその前任も理事である、こういうふうに聞いておるわけでありますけれども、前任も部長関係、前任も理事であった、ここについては間違いないですね。そう聞いておりますよ。
○高橋参考人 今先生がおっしゃいました状況でございますけれども、それは最近はそうですけれども、必ずしもずっと前からそうだというわけではございません。今、ちょっと正確なことは申し上げられませんけれども。
○岡本(充)委員 最近はそうだということなんですよね。新しい会社もあるんです、これは。最近設立された会社もあるから、それは古くはないのもある。しかし、部長であった社長のところにはまた部長が社長でやっていく、理事が社長であったところにはまた理事が行く、これが適材適所、また単なる偶然、そういうふうな説明をされるんですか。内部から社長になることがないこういった会社の存在、理事長はどのようにお考えになられますか。
○高橋参考人 我々、会社の方でどういう人材を要求して、そういう人を充てているかということになるわけでございますが、やはりJRAの子会社としてこれは存在しておりますが、その役員につきましては、競馬事業に関する広範な知識経験を有しておるとかいうことで、広く中央競馬全般について通暁していなければならない、また、それぞれの子会社が実施する業務分野に関しましても経験豊富な役員、そういう者が知識経験を買われて役員に就任しているということであると思っております。
したがいまして、それはあくまでも適材適所でございまして、JRAとの随意契約金額によって役員の処遇が決まっていることではないんじゃないかというふうに思っております。
○岡本(充)委員 理事長、随意契約金額とは言っていませんよ、取引額ですよ。そこまで踏み込んでいただいて恐縮ですけれども、取引額ですから、お間違いなく。随意契約金額は、次、突っ込みます。
私は今、JRAとの取引額の話もしましたけれども、その前に、理事長がくしくも広範な知識と経験を有している人がその職につくんだと言った。ところが、理事長みずからは競馬監督課長の経験者ではないというふうに言われているわけでありまして、JRAの理事長はそういう知識と経験のある職責を経てきているわけでなくても、もしかしたら中には今でいう生産局長経験者が見えるのかもしれませんけれども、実際の、一番の先頭に立って政策立案している課長経験ではないという一方で、天下りというか、JRAからさらに出ていくこういう人たちには広範な知識と経験というものを求めておきながら、JRAの一番トップはそうではないというこの現状を今くしくも理事長はお話しになられたわけなんですよ。みずからそういった経験がおありな方の方がいいと言っておきながら、そういう職責ではない人たちがJRAの理事長を歴代やっているということもあわせて、もう一回指摘をしておきます。
それから、随意契約の話です。
皆さん、ごらんをいただくとおわかりだと思いますが、日本トータリゼータ初め各種の会社の取引額、JRAとの取引額のうち、随意契約がほとんどというところばかりです。こんなに随意契約ばかりしていてと言うと、特殊な会社ですと言う。
しかし、世の中には同じようなことをしている会社が幾つもある。そしてまた、この中でも、日本馬匹輸送自動車などについては、随意契約を減らしたんですといって胸を張って役所が言うから、一般競争入札にしたんだというので、ではその結果を持ってこい、それがなければ法案審議できないと言ったのに、結局のところ、今週の金曜日に出しますといって、私がこの質問をすることになりそうだといった後の、きょうの午後一時四十二分になってファクスを送ってきた。
そして、これを見ると、前回の五月三十日の農林水産委員会の答弁では、平成十七年四月から輸送経路別の一般競争入札にしました、これは高橋理事長が言われているんですね。ダウンは幾らぐらいしたかというと、九〇から九九%にダウンしましたと言っていますが、実際の一般競争入札の現状を見てください。どれだけ一〇〇が並んでいるんですか。これは何で、A社、B社、C社、D社、E社、F社、隠して出さないんですか。これはひどい落札率ですよ。これで一般競争入札ですか。これは情報が漏れているんじゃないですか。これだけ一〇〇が並んでいる一般競争入札というのは私は見たことがないんですけれども、これはどうしてこんなに一〇〇が並ぶのか。それについて、コストの計算ができるとか、そういう話じゃないですよ。普通に考えれば、これは絶対こんなに見事に全部一〇〇になるということはあり得ない。
とりわけ、このC社が一体どこなのかも含めて、私は、関西馬匹等、関西の馬を輸送する会社があることも知っていますけれども、それぞれどこに当たるのか公表していただきたいですし、この一〇〇ばかり続くC社はどういう理由で一〇〇ばかり続くのか。もっと言えば、全般的に一〇〇が多いこの実情について、しっかりと答弁をいただきたいと思います。
○高橋参考人 ちょっと長くなるかもわかりませんが、非常に重要なことだと我々も思っておりますし、先生からも御質問がございまして、この表だけではやはり誤解を招くと思いまして、ぜひちょっと御説明をしたいと思っておったところでございます。
それで、まずこの馬匹輸送、馬の輸送を我々は馬匹輸送と言っておるんですが、これは非常に特殊な車両なんです。これは、馬が非常に高価なものですし、それから生きているものですから、これがもし何か事故でも起こりますと、それこそ億単位の話になりますから、まず非常に特殊な輸送だということが一つございます。それから、その車両というのは、容易に皆さん取得していませんので、今の表にございますように、台数がそれぞれの会社で決まっておるんですね。
そういうこともございまして、今までどういうような状況だったかということでございますが、特に、馬匹にかかる運賃は、かつては認可運賃だったんですね。それが今度陸運局の届け出になりましたけれども、全国一律というようなことでやられていまして、どうも価格の弾力性、あるいは、こういうふうに車両の数が決まっていますとシェアもなかなか変わらない。こんなことではいけないんじゃないかということで、平成十七年から、何度も競争を取り入れて、価格の弾力性とシェアの固定化を避けるにはどうしたらいいかということで、実は競争入札ということにしたわけなんです。それで、その競争入札にしたところの結果がこうだということなんですね。
それで、これは今まで随契でやっていたんです。随契でやっていたものを少しでも弾力化しようということで今やり始めたんですね。例えば、ちょっと見ていただきますと、この一ページ目は、これは美浦といいまして、いわゆる関東中心ですね、そちらの方にいる業者が三社なんです。三社で、台数が決まっておりますから、もうこれで運ぶ馬の数というのは決まってきちゃうんですね。
それで、我々はどういう入札方式をやったかといいますと、例えば、美浦から、どこでもいいですけれども、東京なら東京に、これだとことしは一万二千頭を運ぶ、そうすると、それについて皆さんは何頭を幾らで運べますか、そういう入札をしているんです。それで、その中で、例えば東京でいいますと、やはり初めは高い入札価格を入れてきたんですね。それでここに入札回数とありますが、これは二回目で一〇〇%我々が予定価格にしたところに入ってきたということなんです。
それで、次のA社について見ますと、そこまで来るのに四回入札を繰り返してやっとここまで来たんです。B社は一回で合ったということなんです。
特に、こちらの関西の方ですが、これは栗東から運んでいるものです。これは民間会社、今ちょっと名前をと言われたんですが、実は名前については我々も、そういうことを外に言った方がいいのか、できるのかということはちょっと疑問ですので、ちょっとここは伏せてありますが、ここでもC社、D社、E社、F社とありまして、みんな台数が決まっているんですね。それで、これを見てもらったらわかりますように、入札回数がどえらい多いわけです。そこまで来るのに何回も何回もやりながら、やっとそこへ来たということなんですね。だから、何か初めからえらく談合してやったとかそういうことじゃございませんので、ひとつそこは理解を願いたいと思っている。
それで、確かに、今僕はこれがいいとは思っていませんよ、思っていません。これは、こういうことをやることによって、今度はある会社が、おい、これは入札になったから、我々ももう少し車を保有しまして、それでたくさんやろうじゃないか、そして価格は低いものでひとつやってみようじゃないかというふうになって、そこに価格の弾力性とシェアの固定化が避けられるような、そういう世界を今目指したいと思っているんです。
今、初めてやったところですから、これはまだ従来の規模が決まっていますから、そういう意味では従来の路線が踏襲されていたというところはあると思います。だから、我々も、もう少しこれは長い目で見ていただいて、何とか価格の弾力性、シェアの固定化を避けていくということにこれを役立たせたいというふうに思っております。
先生の御指摘の点は、よく御理解いたします。
○岡本(充)委員 A社という縦軸から見た場合はそうなるのはわかります。済みません、後段の渡辺先生にちょっと御理解いただいて、もう少しだけ続けさせてください。
この十一ページ目の、栗東から笠松以下の例えばこの四場については、入札をした横並びみんな一〇〇なんですよ、みんな一〇〇。しかも、それは入札回数が何回かあるというけれども、ぴったり一〇〇になるはずはない、行き過ぎて九九になる可能性があるのに、何で一〇〇で歩どまりできるのかということは、何回やってくださっても結構ですよ、それで結局最後は、一円ずつ下がってくるはずじゃないでしょうから、一〇〇でとまるということがやはりおかしいんです。
最後、何回かやって、それで九八で終わりましたというのならまだ話はわかるけれども、やってみたらみんな一〇〇でとまったというのはおかしいし、先ほどの話じゃないけれども、もう一回戻って恐縮ですが、四ページ目を見ていただいてわかるとおり、日本馬匹輸送の役員はこれだけJRA出身者が、社長、専務、五人の取締役のうち三人がJRA出身者なんですよ。その会社が、これだけの高歩どまりの一般競争入札と称する契約をしている。これは話し合いを持っているんじゃないかと思うのが普通ですよ。
大臣、どう思われますか。ちょっと大臣、これは幾ら何でもひどい数字じゃないですか。
○渡辺国務大臣 大変ユニークな一般競争入札があるものだなという感想を持ちました。
独法の場合は、こうした入札、随契の見直しがもう既に始まっているところであります。今、特殊法人というのは非常に数が少なくなってしまいまして、ともすれば忘れられがちであります。一義的には、特殊法人の場合は、主務大臣がきちんと一般的に監督をしていくということでありますから、主務大臣において、一般的な監督権限を通じてこうしたガバナンスをきかせていただくということが大事であろうかと思います。
いずれにしても、特殊法人も独法も、役員の人事については閣議の口頭了解という手続が必要なわけでありますから、安倍内閣においては、再三申し上げますように、天下りポスト、つまり次官経験者だからこのポストだ、そういった固定的な人事慣行は排除をしてまいりたいと考えます。
○岡本(充)委員 今回のこういった制度を民主党案においてはきちっとやはり防いでいく、そういう決意もおありだと思いますので、民主党の答弁者もおいででありますから、御答弁をいただきたいと思います。
○武正議員 御案内のように、民主党は事前規制を徹底しておりますので、今の日本中央競馬会、農林水産事務次官、皆さんやめられて二年でJRAの理事長になっておられますが、我々は五年間はなってはいけないという規制をまずかけております。
それから、例えば今のJRAと日本馬匹輸送自動車株式会社の例でありますが、特殊法人のJRAから、事前に在職した関係のところ、在職の役職と関係のあるところに二年再就職禁止ということで、しっかりと事前規制がかかっていることを申し述べたいと思います。
○岡本(充)委員 私もちょっと時間を超過しましたので、改めて最後に、理事長、こういった今の入札制度のあり方、随意契約のあり方、そして今の給与体系のあり方も含めて、これは行政改革の重要方針、平成十七年十二月二十四日閣議決定であります。この方針に従ってやっていただかなきゃいけないし、また、もっと言えば、平成十三年の十二月十九日閣議決定の特殊法人等の整理合理化計画の中でも、日本中央競馬会は幾つかの問題点も指摘をされております。「一般競争入札等の範囲を大幅に拡大するとともに、関係会社等に対する委託費等を削減する。」というふうな話も出ています。
これはまだまだ奥がありそうでありますから、今後とも資料要求をしながらお伺いしていくということでありますし、きょうお越しの、三人の事務次官経験者がお並びいただくというのは非常に豪華なメンバーでもございましたけれども、そういった中で、それぞれの担当部署についてしっかり今後とも経費削減、そして、さらに行政におけるスリム化は担当省庁においてそれぞれやっていっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○河本委員長 次に、渡辺周君。
○渡辺(周)委員 まだ答弁席の方が入れかわっていませんので、ちょっとお待ちをしたいと思います。よろしいですか。
それでは、前回の委員会でちょっと質問時間切れになってしり切れトンボになったところがありましたので、ぜひちょっと質問をさせていただきたいと思います。
国土交通省にお伺いをするわけでございますけれども、いわゆる建設弘済会、各地方整備局の業務を発注しております建設弘済会、この建設弘済会も御多分に漏れず天下りの組織でございまして、これは昨年の行政改革特別委員会で私も何度か質問をいたしました。
その点につきましてぜひ、前回質問したときにちょっと時間が切れたものですから、冒頭にまず伺いたいと思いますけれども、この建設弘済会、何が問題かといいますと、またたくさんの方が天下りをしまして、この天下りの、八つあるんです、国土交通省の地方の出先機関の所在地ごとに八つの天下り団体、要は出先機関と同じところにあるんですね。そして、金額にして八百四十五億円、年間二千六百件の業務を発注しているわけでありまして、これがまた約八割が随意契約。中には道路のパトロールだとか河川の監視だとかという、私自身は、そんなに、さほど専門性がなくてもいいんじゃないかということを昨年の委員会で質問もしましたけれども、こういうことが専門性と経験を盾にして随意契約で行われてきたわけでございます。
この実態というのは今、その後この随意契約、建設弘済会への業務の発注の見直しについてという形で見直しが行われたと思いますが、結果、どのように変わったんでしょうか。
○竹歳政府参考人 お答えいたします。
御指摘のように、従来は随契が多かったわけですが、政府の見直し方針に従いまして、これまで特命随契、最初から建設弘済会というような形で委託してきた業務につきましては競争性のある契約方式に移行することとしたということで、十九年度でございますが、四、五、六のデータがあるわけですけれども、十九年度からはすべて……(渡辺(周)委員「四、五、六というのがわからない」と呼ぶ)四月、五月、六月です、済みません。四月、五月ですね。最初から特命随契というのはやめまして、競争入札、企画競争、公募と、それぞれの業務の種類に応じて、競争性のある契約方式に移行した。
それで、前回お答えした数字でございますけれども、その数字について言いますと、今まで、十九年度ですから限られているわけですけれども、全国千三百件のうち、件数でいうと三分の一が弘済会以外、関東地方は約三百件ですけれども、その三分の二の件数は弘済会以外に行ったということでございます。この前はここまで答弁させていただきました。
〔委員長退席、平井委員長代理着席〕
○渡辺(周)委員 ということは、件数はさておき、例えば業務内容で、どういう分野が民間と競争になったのか。そして、それによってコストダウンは図られたのかどうなのか。できれば金額ベースで、わかる範囲で教えていただきたいんですけれども。
○竹歳政府参考人 金額ベースで……(渡辺(周)委員「例えばどの分野が競争入札になったのか」と呼ぶ)それは、一つは、競争入札にかけたのは、だれでもやりやすいという意味で、厚生福祉業務とか定型的な資料作成等の業務、これは競争入札にしました。それから、少し知恵が要るといいますか、ソフトが多い分野については、広報企画とか工事の監督補助における変更協議資料作成、こういうものは企画競争。それから、専門的技術や経験等一定の能力を必要とする業務の場合は公募を行った、こういうことでございます。
○渡辺(周)委員 それで、金額的にはどれくらいコストダウンになったのか。
○竹歳政府参考人 コストダウンは、それは前年度と比較してというようなことだと、十九年度はまだ非常に限られているので比較できないし、それから、競争になってもう弘済会以外がとっていますから、それが今の一番最低の価格になっているんじゃないかと思います。
○渡辺(周)委員 いや、年間契約ですよね。これまでも、建設弘済会、例えば厚生福祉業務というのはどういう業務でしたっけ、いわゆる賄いのようなことをされるんでしたっけ、あるいは資料の何か作成というのは、たしか新聞の切り抜きとかそういう業務じゃなかったかなと思っているんですけれども、そういうことでしたかね。
というのは、建設弘済会に発注をして、当然年間契約するわけでしょうから、建設弘済会に発注するのと競争で民間にやったらこれぐらい額が違ったというのは、ある程度わかるんじゃないですか。今すぐわかりませんか。
○竹歳政府参考人 十九年度の発注業務で、今おっしゃったような福祉業務とか競争入札にかけたところは金額で十五億一千九百万ですが、これが前年度と比較するベースと合っていないので、ちょっとお答えしにくいと思います。
○渡辺(周)委員 いや、ちょっと待ってください。だって、建設弘済会と十八年度はその業務を結んでいたわけですよね、随意契約ですから。(竹歳政府参考人「件数が違ったりするので、いつも同じものというわけでもないんです」と呼ぶ)そうでしょう。だけれども、それは一件当たり幾らかでやっていたんですか。つまり、競争入札にしたことによって、これまで建設弘済会にこの業務を委託したらこれぐらい払っていた、件数はどうあれ、トータルで年間契約でしているんじゃないですか。ところが、競争にしたらこれぐらい上がったとか下がったとか、上がるということはないでしょうけれども。だって、競争入札にしたわけですよね。だから、安い方に当然落札しているわけですよね。だから……(竹歳政府参考人「全部弘済会以外がとったわけですね、今は、十九年度の分について言えば、競争入札にかけた部分は」と呼ぶ)
○平井委員長代理 委員長の指名を受けてから発言してください。
○渡辺(周)委員 ではどうぞ、答えてください。
○竹歳政府参考人 競争入札にかけた今の厚生福祉業務とか、そういう補助的な業務はすべて弘済会以外が今度は受注しています、十九年度になって。ただ、十九年度と申しましても、四月末現在で一カ月分ですから、年間契約、全部が一発で四月に契約しているかどうかもちょっと今すぐにはお答えできないので、また調べて、よろしいでしょうか。
○渡辺(周)委員 では、それはちょっと調べて、また改めて個別にでも、あるいはこの委員会かもしくはまた別の委員会の一般質疑等で、国土交通委員会なりでやりたいと思います。
といいますのは、これは当時の議論を知らない方も多いかもしれませんけれども、とにかく、地方の出先がこの建設弘済会という公益法人に対して、専門性と経験が必要だ、今言った賄いだとか厚生福祉業務だとか資料作成というのは、ある意味ではそんなに専門性は要らないんですよ。ところがそのときは、特命随意契約だということで、どうしてもここでしかだめだということで、一つ一つ調べていったら新聞の切り抜きだったり、新聞の切り抜きだって、どの記事が重要かどうかということは、ある程度常識的に社会で生きていればわかる話だろうなということまで全部随契で、ある意味ではやらせていた。
つまり、何を申し上げたいかというと、この天下り団体が存在するためには何か仕事を出さなきゃいけない。たとえそれが民間と比較して民間で同等のことができるにしたって、後から理由をつけて、とにかく専門性と経験が必要だからということを盾にしてずっとやってきたわけですね。もうこれは、効率性とか経営感覚なんか全然考えていない。とにかくそうしないと、そこにいる三分の一を占める役員の中にいる天下りの方々を受け入れる意味がなくなっちゃうものですから、これはやらなきゃいけないということでやってきたわけでございます。
これは、その数にして、とにかく日本じゅうの公益法人が数限りなくあるわけでございます。これは、あくまでも国土交通省の地方整備局の関係八法人の職員のうちの出向職員が占める割合というのは六二%なんです。つまり、そうやってそこにはとにかく何らかの形で仕事を発注し続けないと維持できない。だから、ほかで、民間でもできる仕事でも、とにかく維持させるためにやらざるを得ないということが問題なんです。これは去年からずっと指摘してきたことでございます。
それだけにこの天下りの問題というのは、私は前から申し上げていると同時に、これは、民間に天下ることによって民間が、事業の例えば金額ですとか、そういった情報を先に知ることによって不公平、不公正な、アンフェアな競争になり、そしてそこで必ず出てくるのが、当然汚職になる。
そういうことと、もう一つあわせて、こうした公益法人がどんどこどんどこ存在することによって膨らんでいくわけですね、天下りの数がふえればふえるほど。それによって、世間で求められているようなスリムな国家、あるいは筋肉質と最近言いますけれども、こういうことから全く逆の方に行くということをもう何回も指摘してきたわけでございます。
本来なら民間に委託する業務だってあれば、ビジネスチャンスになるわけですよ。地方の仕事をそこへ出してあげたら、地方のさまざまなそういうことができるような人材派遣会社でありますとか、あるいはメンテナンス会社だとか、できることはいっぱいあるんですね。地方で、今大変厳しい経済環境、株価は上がって景気は回復したなどと言いながら、地方じゃなかなか厳しいんです。そこの官が独占している部分を民間が参入できるようにしたらこれは大変大きな経済効果になると思うんですけれども、この天下り組織を守るためにはもうそんなことを言ってはいられない。ようやく、昨年の行革の特別委員会でこういう問題を一つ一つ出したことによって、慌ててこの見直しということになったわけでございます。
この点について、この官民の競争入札、きょうはそちらでもし答えを用意していないのなら、この質問の意図はもうおわかりと思いますので、こうして随意契約を見直したことによってどういう業務を民間がし、つまり、今までは民間ではできないと言っていたことを実は民間がやっているわけです。そして、その事務をやることにどれぐらいの事業費、つまり、金額ベースでどれぐらいのコストダウンになったのかということについてはぜひ明らかにしていただきたいというふうに思うんです。
最後に国土交通省に聞きますけれども、入札監視委員会というのがありますね、どこどこの整備局ごとにも。実は、この入札監視委員会というのがあるんですけれども、こういう随意契約をずっとほったらかしにしてきたんです。なぜ、こういう入札監視委員会というのは機能しなかったんですか。こんな随意契約はおかしいよ、これはさすがに何もここの弘済会でやることではなくて、競争入札でも大丈夫なんじゃないの、そういう意見はなかったんですか。そこのところを教えてください。
○竹歳政府参考人 入札監視委員会は、いろいろな建設工事をめぐる不祥事が生じて、それをきちっと第三者でチェックしなくちゃいけないということで、主として建設工事、こういうソフトな業務の発注というよりは、工事の方をやってきた。それも、工事も直轄の件数が物すごく多いですから、それをサンプリングしながらやってきたということで、ここまで目が届いていなかったのではないかと思います。
○渡辺(周)委員 ちょっと済みません、確認ですけれども、工事の技術的なことを見るわけですか。入札監視委員会ですから、入札に不正があるかないかとか、これは入札に適しているか、随意契約というのは、ある意味では、入札してほかにない場合、あるいは金額が小さい場合、あるいは高度な専門性を有して随意契約以外にはできない場合ということですよね、随意契約というのは。ですから、そこまで当然目が届かない、そのための入札監視委員会ですよね、監視委員会の名前からすれば。今おっしゃったのは、道路工事の何か技術的なことみたいな話をしていますが、それは全然関係ない話じゃないですか。
○竹歳政府参考人 結局、建設工事の発注において談合があるかどうかとか、そういうことをチェックするのが入札監視委員会の一番大きな仕事であったと思います。これは、発注のいろいろな補助業務ですから、工事には関連していますけれども、工事本体とは別の業務ということです。
先ほどの御指摘で、天下りを確保するためにこういう建設弘済会に随意契約を発注していたんじゃないかという御指摘ですけれども、基本的には、本来我々自身がやらなくちゃいけない仕事を、定員が減るという中でアウトソーシングをしてきた。そこは漫然とアウトソーシングしてきて、民間でもできることを自分たちでやっていたんじゃないかという御指摘があったものですから、額を徹底的に見直したということでございます。
○渡辺(周)委員 おっしゃりたいことは多分、理解できるんですよ、何をおっしゃりたいか。
こういう問題が国会で取り上げられたり、あるいはマスコミが調査報道したことによって世に出たことによって、これは大変だということで初めて、そうであったのはもうみんな知っていたんだけれども、これはさすがにちょっと旗色が悪いね、さすがに世論は納得しないよね、納税者の感情からすると逆なでする話だなということに当然思いをいたせば、すぐ手をつけた。だから、この問題がクローズアップされて、昨年、この建設弘済会のあり方についても検討委員会ができたわけでございます。つまり、今までできることをあえて問題にならなかったから放置しておいた、問題になったから慌てふためいてやってきたわけでございまして、それはもう否定のできないところだと思うんです。
それについては資料も含めてまた改めてやりたいと思いますので、きょうのところはいいですけれども、行革大臣、ぜひ、官から民へ、筋肉質な政府だとか筋肉質な国家だという中で、実際はもう民間でできることを、天下り法人を維持するために民間でできる仕事を要は抱え込んできたわけですよ。この問題というのはやはり根本的な問題なんですけれども、この点について、今の質疑を聞いていてどう御感想を持ちましたか、また、今後どうしていくべきだと思いますか。
○渡辺国務大臣 天下りOBを養うために公益法人をつくり、そこに委託費や交付金、補助金等のたぐいの税金を流し込んでいくシステムが大変大きな岩盤のようになっている、その慣行を我々は改革していかなければならないと考えております。
天下り規制だけで、すべての問題が解決するわけではございません。独法や公益法人、あるいは先ほどの特殊法人の改革を通じてやっていくべきこともございます。また、入札制度の見直しにおいて解決していく分野もございます。
例えば、公益法人の随契の適正化については、十七年度の実績が二兆一千七百億円強であったものが、見直し後のベースでは七千百六十億円に減っているわけでございます。この随契がそれでも七千億円強残ってしまった主なものは、ライセンス国産による防衛装備品が六千億円強ということでございますから、公益法人の競争性、透明性を確保する契約の適正化はかなり進んできているということが言えようかと思います。これに手を抜かずに、さらに進めていく必要がございます。
いずれにいたしましても、人の面、天下り規制、お金の面、両面から、また、入札制度を含めると三面から、こういった問題を解決していくパッケージが必要であろうかと思います。
〔平井委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺(周)委員 それでは、国土交通省の官房長にもう一回だけ伺いたいんですが、こういう公益法人へ天下る、つまり整備局長が天下る、こういうプロセスはどういうプロセスで行くんですか。この間、下水道部長に聞いたと思いますけれども、整備局長がこういう公益法人に天下るときというのは、どういうプロセスを経て行くものなんでしょうか。そして、そのときには、例えば職務内容というのは当然その仕事をしていればわかるわけですし、例えば給料なんかも当然加味されるわけですけれども、どういうプロセスを経て行くわけなんですか。そこを簡潔にお答えいただけますか。
○竹歳政府参考人 整備局長は本省の人たちですから……(渡辺(周)委員「地方整備局長ですよ」と呼ぶ)はい、地方整備局長もですね。それで、大体地元の方がおやめになって、勧奨退職していかれるんですけれども、それはやはり法人の方から、こういうポストがあいて、人がいないかということで、地方整備局の、そういう地元の幹部が行くということになっていると思います。
○渡辺(周)委員 それは、地元とその地方の出先同士で話をするわけですか。それで、何年かたったら、次この人があくから、はい次この人というふうに、ある意味ではもうできているわけですよね、レールが。そういうことで理解していいんですよね。
○竹歳政府参考人 最初に行っている人も、ずっといるわけにもいきませんので、やめる、そして、やめたらその後があくので、いい人がいないか、そういうプロセスをとると思います。
○渡辺(周)委員 建前的な議論をしてもしようがないんですけれども、結局、こうやってポストがあいて、そこに行って、そしてそこに仕事を発注してということで、もう皆さん御存じのとおりだと思います。国土交通省の出先一つだけ例を挙げましたけれども、これはどこもそうなんです。
そこで、今度は、そういうことができないようになるんだということで、直近の五年間いたところには二年間は行けない、官民交流センターという名前のものができればそういうことはなくなるんだと大臣はこれまで言いましたけれども。
では、国土交通省、また改めて。きょうはやめます。きょうはもう結構でございます。
ちょっと一つ素朴な質問なんですけれども、大体、官民交流センターという名前なんですが、この名前でいいとお思いですかね。交流センターというと、これはお互い、相互に行き来するわけですよね。この交流センターという言葉に、何となくイメージとしては、我々、ああ、悪いことじゃないんじゃないの、官と民が入れかわる、交流するということは決して悪いことじゃないと。言葉からすると、悪法というのは大体、自立支援法にしてもそうですけれども、大変ポジティブな言葉を使って、法律名、冠になっているんです。ですので、この官民交流センター、交流だと本当にお思いでしょうか、それをひとつ。
○渡辺国務大臣 将来は、民から官への人材の流れも、ここをゲートウエーとして受け入れをしていこうという発想で、この名前がつけられたわけでございます。
○渡辺(周)委員 いや、そんな将来じゃなくて、やるんだったら、もうこんなまやかしの名前じゃなくて、官庁あっせんセンターとかいう名前の方がわかりやすいと思いますよ。いや、その方が、国民的に見て、ああそういうことなのか、何か官民交流センターといって、まあそれは悪いことじゃないよねということで、結局、気がついてみたら、実はこれは天下りのお墨つき団体、機関だった。何で官僚の再就職のためにそこまでしなきゃいけないのかということですね。これは、国民感情として納得しないことをわからないようにするために、交流センターなどという美名にしてあるんだなということを私は申し上げたいと思います。
質疑時間があとわずかになりましたので、ここでちょっと大臣の認識を伺いたいんですけれども、亡くなられました松岡農水大臣に、公益法人であります林野弘済会というところが、これは公益法人です、献金をされていました。私も見ていて、これだけじゃないと思いますけれども、どの政治家にもあり得ることかなと思いますが、こうした公益法人、まして、先ほどから申し上げているような、国の業務を随意契約で受けている。
実は、この林野弘済会もそうですね。前回申し上げましたけれども、この林野弘済会も、やはり八割ぐらいが随意契約で国から仕事を受けているんです。こういうところが実は、そこの影響を持ついわゆる族議員という方、その最も一番発注をしているところの役所のトップである方、あるいはそこに影響力を持つと言われている方に献金をするということは、現在では禁じられておりませんけれども、この公益法人、国と密接な関係にある、多額の受注を受けているところが政治献金をするということに対して、これは果たしてまともなことなんだろうかと私は非常に疑念を持つわけですけれども、大臣の認識としてはどうですか。
つまり、国から多額の随意契約で利益を上げている団体が、そこに影響力を持つ政治家に対して献金をするということ、これについて、ぜひ大臣の御感想を。
○渡辺国務大臣 制度の改変については国会でお決めになることかと思います。一方、政治資金が別の法律の犯罪構成要件に該当するような場合は、その法律で処断されるものと思います。
○渡辺(周)委員 いや、違うんです。
国と密接な関係にある団体が献金をする、つまり、そういうところが、これは民法上の組織とはいえ公益団体として、だからこそ、さっきから議論しているように、国から仕事を受けて、随意契約で受注をして、そして公益ということで存続しているわけなんです、役人、官僚のOBを受け入れながら。そこがその所管庁に影響力を持つとされる、社会常識、通念上わかると思いますけれども、そこに献金をするということ自体がそれでは個人として解せますか。納得いくか、いかないか。これはやはりまずいよね、おかしなことだよな、これはやはり襟を正さぬといかぬのじゃないか、そんな御感想は持ちませんか。それは大臣としての、ぜひちょっと御認識を伺いたいと思うんです。
○渡辺国務大臣 ですから、先ほども申し上げましたように、こういった問題を議論する国会の委員会があるわけでございますし、与野党で、またこの問題というよりは別の問題であろうかと思いますが、議論はされてきているんだろうと思います。
したがって、そういう御議論の中で決めていただく話でございましょうし、また、当該政治献金が犯罪構成要件に該当するのであれば、その当該法律によって処断をされるものと思います。
○渡辺(周)委員 先ほど大臣は、天下りをなくすことだけじゃなくて、例えば事業なら事業の発注というお金の面からもやらなきゃいけないんだ、それが今まで指摘されてきた政官業の問題ですね。ですから、天下りというのは一部分だと思うんです。
なぜ天下りを受け入れるかといえば、そこで情報が手に入るから、あるいは入札金額がわかるから、それによって自分のところの会社が甘い汁を吸えるから、あるいは自分たちの組織が存続できるからということでありまして、その制度を守るためにはやはり政治的な影響力を持っておかなきゃいけない。名前は公益法人という名前だけれども、民法上の組織なので政治献金もできることになっている。
これは私は、国から随意契約を受けているような団体、あるいはそこの責任者は、個人献金でもしちゃいけないと思うんですよ。そうしないとフェアじゃなくなると思うんですね。
ですから、そのことをやはりトータルで考えていかないと、今我々が問題視している部分というのは解決しないわけでありまして、それについて私は聞いたわけで、別にお金を献金したら犯罪の構成要件になるとかならないというのは、それは結果論の話であります。そうじゃなくて、まずそこの部分から正すべきじゃないか、そうしなければ必ずそういう温床になるよということを言っているわけで、お尋ねをしたんですけれども、残念ながら認識が違うところがございますので、これはまた改めてどこかで、もう質問時間も終わりましたので、やりたいと思いますけれども、ぜひまた機会がありましたら質問に立ちたいと思います。
ありがとうございました。
―――――――――――――
○河本委員長 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政管理局長石田直裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 次に、寺田稔君。
○寺田(稔)委員 自由民主党の寺田でございます。午前中に引き続いて質疑を深めてまいりたいと思います。
午前中の質疑で大臣の方からも何点かお約束をいただきました点の中に、官民の交流拡大、特に若手を中心とした一層の交流拡大と、そしてまた相互にバランスよく交流ができるような運用体制の検討というふうなことも言及がなされたわけでございます。
前々回のときに、官から民への、いわゆる民研修の拡大について論議をさせていただきましたが、その逆、すなわち民から官へという流れですね、これが実際いろいろネックもあるわけでございます。
これは政府参考人の方にお伺いをいたしたいのですが、民から官への流れ、この民からの流れの拡大のために、いわゆる任期つき採用、任期つき任用の問題、この枠をもっと拡大すべきと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
○戸谷政府参考人 民から官へという形でございます。例えば中途採用とか官民交流法による交流とか、幾つかの形がございます。各省いろいろな場面で努力しておるというところでございます。
具体的にどういうふうに広げていくかというのはそれぞれの省庁でございますが、それぞれ広げていきたいという心は持っていると思っております。
○寺田(稔)委員 これもしっかりと取り組んでいただかないと、特にこの民から官の場合、給与水準の問題等々でネックがあることが指摘をされているわけで、事務方としても取り組みを強化していただきたいと思います。
次に、これも午前中の質疑で、そしてまた前回、前々回と、いわゆるスタッフ専門職の拡大、これも大臣が言及されました。
そういう複線型人事を用意することが、いわゆるピラミッド構造の人事から脱して、すなわち、一人だけが事務次官で残って、あとは肩たたきの世界から複線型人事へ移行していく。そのためにいろいろ、例えばライン・スタッフ制でありますとか、あるいは俸給表の設定でありますとか、あるいは定員、定数の配分の問題といったような具体的な提案もさせていただきました。
これらも大臣の方からきっちりとやっていくという御答弁は既にいただいておりますが、これも事務方の方、やはり事務方でしっかりとその意向を受けとめて策を検討していただかないといけないわけですけれども、こういう複線型人事の拡大のための諸方策、そしてそれを定着させるための考えについて、事務当局よりお伺いをいたします。
○戸谷政府参考人 専門スタッフ職でございます。
やはり、行政の複雑高度化、これに対応するために専門的能力を大変持った人がどうしても欲しいという議論もございます。いろいろな方面からスタッフとして活躍できる枠組みを整備する必要があるということでございます。
現在、この形で複線型人事管理を導入するということで、まず俸給表の新設につきましては、人事院に検討をお願いしております。
それから、私ども総務省は、それぞれ関係省庁集まりまして、人事を担当する各所、制度がうまく機能できるようにいろいろな方面から手当てすることがあるのではないかということで、今それぞれ集まって検討しておるという状況でございます。
○寺田(稔)委員 今、俸給表について人事院の方に検討を依頼したという説明はありましたが、その他の、例の定員、定数の配分問題あるいはまた組織としてのライン・スタッフ制についても同様に検討を開始していただけますよね。確認ですけれども、お答えください。
○戸谷政府参考人 定員、組織その他につきましては、それぞれ政府の中の決定過程がございます。その中で、それぞれの関係部局にも御協力をいただいて検討していくという体制をとっております。
○寺田(稔)委員 既に大臣の方からもお約束をいただいていることでございます。早急にこの検討を開始していただきたいと思います。
あと、先月二十九日の参考人招致で出ましたいわゆる定員化の問題、国家公務員のいわば外輪部分を形成しております臨時職員とか非常勤職員の問題、これが残された問題としてもちろんあるわけでございますけれども、こういう恒常的な業務に従事をします臨時職員、非常勤職員についての今後の取り扱いについて、政府当局より御見解をお伺いいたします。
○石田政府参考人 先生御指摘の非常勤職員は、常時勤務を要しない臨時的な業務や変動的な業務に対応するため、各府省の任命権者が予算の範囲内で必要な期間雇用するものでございます。
定員化すべきか否かにつきましては、その職を常勤の職員が占めるべき恒常職とすべきか否かの判断の問題でありますけれども、今申し上げましたように、恒常職とすべきでない非常勤の職を定員化することについては問題があるのではないかと考えております。
なお、現在、政府では、行革推進法等に基づきまして、五年、五・七%の純減目標の着実な達成に取り組んでいるところでございまして、いずれにせよ、定員の増加については厳しく抑制する必要があると考えております。
○寺田(稔)委員 いわゆるキャリア、特権、優遇人事の撤廃という中、しかも能力・実績主義の徹底という中で、公平な機会を保障しながら、民主的な研修制度、任用制度を確立するというふうな点、この点についても大臣から既にお答えはいただいております。いわゆる採用区分の問題にも絡むわけですけれども、この点について、現時点での事務方のお考えをお伺いいたします。
○戸谷政府参考人 公務員の採用区分につきましては、人事院の所管で、試験制度としては人事院が行っておりますので、これについては、ちょっと、幾つか論点はあろうかと思いますが、人事院の方のお考えということになろうかと思います。
○寺田(稔)委員 いや、ですから、人事院に対して、その点の検討について、正式に政府の方で、人事を所掌、所管している総務省人事局でこの論議を開始していただけますねということです、人事院の担当ですの答えじゃなくて。もう一回確認します。
○戸谷政府参考人 大きな論点で、これから総理のもとにも懇談会等もできますので、その中の御議論も踏まえながら、私どもとしても検討したいと思っております。
○寺田(稔)委員 ちゃんと通告していますので、しっかりと答えてください。
次に、これも事務方の方にお伺いをするわけでございますが、午前中も大臣にお尋ねをさせていただき、そして確認もさせていただきました、センターのあり方の常時見直しについてでございます。
附則にかかわらず常時見直すというふうなこともお約束をいただいたわけでございますが、やはりこれから始まる制度設計の検討において再就職ニーズを十分に把握して、再就職支援を行っていくというふうなことは、非常にセンターをうまく機能させる上で最重要の課題となってくる。そうした中で、各府省から十分なウオール、隔壁を設けて、中立性、透明性を確保して、そして運営を図っていくというふうなことでございます。こういった原則を確立しながら、このセンターの運営を行っていくために一体何が必要であるか、事務方の現時点でのお考えをお伺いいたします。
○株丹政府参考人 ただいま御指摘をいただきましたように、官民人材交流センターにつきまして非常に重要な問題でございます。
私ども事務方といたしましては、既に四月に閣議決定をされました公務員制度改革についての中で、センターに関する方針が定まってございます。もちろん具体的には官房長官のもとに置かれます有識者懇談会の意見を踏まえて検討するということでございますが、幾つかの原則というものが既に閣議決定をされてございます。
御指摘がございました部分も入ってございますし、また、特に、センターにつきましては、二十年中に設置をして、三年計画であっせん取り扱いを拡大するわけでございますが、設置後に、随時、効率性、実効性の観点から見直しを行い、必要な追加的措置を講ずるというような部分もございます。そして、再就職ニーズに十分対応できる体制、業務の仕組み等を整備する。また、その際に、センターの規模について、再就職のニーズ、実情を十分把握した上での必要最小限度の体制の構築に配慮をするという部分もございます。
既に当委員会におきましても、さまざまな観点からセンターにつきまして御指摘をちょうだいしておりまして、そのような御指摘を踏まえまして、事務方としても、鋭意これから検討させていただきたいというふうに思ってございます。
○寺田(稔)委員 今の点とも絡むわけですけれども、また先ほどのスタッフ専門職とも絡むわけですけれども、いわゆる兼業規制の緩和の問題、これも午前中論議をさせていただきました。この点について、事務方より現時点のお考えをお聞かせください。
○戸谷政府参考人 兼業規制でございますが、公務の適正を保つという大きな目的はございますが、これからの仕事のやっていただき方というようなものがいろいろございますので、そのような面も踏まえながら、我々としても検討していきたいというふうに考えております。
○寺田(稔)委員 この兼業規制の問題、当然、公務の公正性、中立性を確保しながら、かつ、特に例のスタッフ専門職の方、これを根づかせるためにも、一つの方策として御提案をさせていただいたところでございますが、これも十分検討していくというふうなことでお願いをいたしたいと思います。
あと、いわゆる労働基本権の問題、この点についても午前中の論議で言及をさせていただきました。これは行革推進本部の中に設けられております専門調査会での審議を踏まえ、引き続き検討を行っていくんだというふうなことでございましたが、現時点における検討状況について御説明をいただきたいと思います。
○株丹政府参考人 労働基本権につきましては、ただいま御指摘ございましたように、行政改革推進本部に専門調査会が設けられてございます。必ずしも労働基本権に限定をしているわけではございませんが、特に重要な問題として、労働基本権の問題がこの専門調査会の審議の中心でございます。既に四月の段階におきまして、専門調査会としましては、それまでの御議論を、佐々木座長のもとで専門調査会は行われておりますけれども、いわば中間的な取りまとめの位置づけでもって、改革の方向でこれに取り組んでいくということが出されたところでございます。
基本的にこの方向でもって専門調査会では引き続き検討されるということでございますが、担当大臣でございます渡辺大臣からは、専門調査会の場におきまして、ぜひ早急、今秋を目途ということでございますけれども、最終的な結論をお出しいただきたいというお願いもしているところでございます。
○寺田(稔)委員 今、佐々木座長から改革の方向ということでしたけれども、ちょっとこれは確認ですけれども、改革の方向というのは、労働基本権について付与することを言っているんでしょうか。
○株丹政府参考人 専門調査会におきまして、四月に、正確に申し上げますと、議論の整理というものが出されてございます。佐々木座長のお名前で専門調査会に諮って、こういう方向で皆さんの意見が一致をしたということでございます。
全体的には、調査会につきまして、公務員の人事管理制度の骨格についての議論なしには任務を果たし得ないという認識に立ちつつ、改革の必要性、それから改革の方向、それから今後の作業についてまとめられたところでございます。その中で、いろいろ改革の必要性、方向性について触れられた後、「公務員制度について、国民の視点にたって改革すべき点が多々ある。労働基本権を含む公務員の労使関係の問題についても、改革の方向で見直すべきである。」こういうふうに述べられてございます。
さらに、今後の作業の中で、具体的に基本権を付与、拡大をした場合の仕組みなり課題を検討していくというふうに触れられておりまして、団体交渉権、団体協約締結権あるいは争議権について具体的なものをさらに検討していくんだ、こういうことで、御議論がある程度整理をされつつあるという状況でございます。
○寺田(稔)委員 さらにこの専門調査会の議論を深めていただきたいというふうに思うわけですが、特に労使間のこういった重要な問題、いろいろILO等での指摘もあるわけでございます。これとの絡みで、先ほどの能力・実績主義、あるいは信賞必罰といったような点も含めて、トータルに公務員制度の制度設計をすべきである。これも午前中、大臣からお約束をいただいた点ですので、事務方も十分それを受けとめて、御検討をいただきたいと思います。
あと、午前中も議論になりました自衛隊の援護施策でございますが、今現在、防衛省で、地連、地協を中心に若年退職者の援護活動を行っているわけでありますが、これについての事務方の評価をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○株丹政府参考人 自衛隊の援護業務でございますけれども、この委員会でもいろいろ御議論がございました。
今後、私どもが行います公務員の再就職につきまして、十分に参考にさせていただきながら、さらによりよい再就職のあり方というのを検討していきたいというふうに存じております。
○寺田(稔)委員 事務方も眠たいのはわかりますけれども、大臣もお約束をいただいた点なんですからしっかりと受けとめて、せっかく、大臣、副大臣の意向を事務方がきちんと受けとめないと、この改革は進みませんよ。ちゃんとやってください。
もう一度、株丹さん、決意を表明して、質問を終えます。
○株丹政府参考人 決して私、端の方で、たるんだ心でこの委員会の議論を聞いているわけではございません。ただいまの御指摘を踏まえまして、私を含めまして、事務局の方で十分な検討をさせていただきたいということを申し上げて、ぜひとも、この委員会の御議論を踏まえてやってまいりますので、御指導を引き続きお願いいたします。
○寺田(稔)委員 今の言葉を信じまして、質疑を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二分散会