第26号 平成19年6月6日(水曜日)
平成十九年六月六日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 河本 三郎君
理事 木村 勉君 理事 後藤田正純君
理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君
理事 平井たくや君 理事 泉 健太君
理事 松原 仁君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 武彦君
遠藤 宣彦君 小此木八郎君
岡下 信子君 嘉数 知賢君
木原 誠二君 近藤 基彦君
平 将明君 谷本 龍哉君
寺田 稔君 土井 亨君
中森ふくよ君 丹羽 秀樹君
林田 彪君 福田 良彦君
松浪 健太君 村上誠一郎君
山本ともひろ君 若宮 健嗣君
市村浩一郎君 岩國 哲人君
小川 淳也君 川内 博史君
佐々木隆博君 武正 公一君
寺田 学君 長妻 昭君
細野 豪志君 馬淵 澄夫君
渡辺 周君 石井 啓一君
吉井 英勝君
…………………………………
議員 馬淵 澄夫君
議員 武正 公一君
議員 泉 健太君
議員 鷲尾英一郎君
議員 寺田 学君
国務大臣
(内閣官房長官) 塩崎 恭久君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 溝手 顕正君
国務大臣
(経済財政政策担当) 大田 弘子君
国務大臣 渡辺 喜美君
内閣府副大臣 林 芳正君
総務副大臣 大野 松茂君
法務副大臣 水野 賢一君
内閣府大臣政務官 岡下 信子君
内閣府大臣政務官 谷本 龍哉君
内閣府大臣政務官 田村耕太郎君
会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官 真島 審一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 河 幹夫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 史郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 株丹 達也君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 雅彦君
政府参考人
(人事院事務総局職員福祉局長) 吉田 耕三君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 戸塚 誠君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房総括審議官) 舟橋 和幸君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 松山 隆英君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 片桐 裕君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 門山 泰明君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 藤井 昭夫君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 桜井 俊君
政府参考人
(法務省民事局長) 寺田 逸郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 藤木 完治君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 宮島 俊彦君
政府参考人
(社会保険庁総務部長) 清水美智夫君
政府参考人
(社会保険庁社会保険業務センター所長) 皆川 尚史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 竹歳 誠君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
―――――――――――――
委員の異動
六月六日
辞任 補欠選任
遠藤 武彦君 小此木八郎君
嘉数 知賢君 福田 良彦君
木原 誠二君 山本ともひろ君
谷本 龍哉君 近藤 基彦君
中森ふくよ君 平 将明君
村上誠一郎君 丹羽 秀樹君
市村浩一郎君 寺田 学君
小川 淳也君 川内 博史君
佐々木隆博君 武正 公一君
馬淵 澄夫君 岩國 哲人君
渡辺 周君 長妻 昭君
同日
辞任 補欠選任
小此木八郎君 遠藤 武彦君
近藤 基彦君 谷本 龍哉君
平 将明君 中森ふくよ君
丹羽 秀樹君 村上誠一郎君
福田 良彦君 嘉数 知賢君
山本ともひろ君 若宮 健嗣君
岩國 哲人君 馬淵 澄夫君
川内 博史君 小川 淳也君
武正 公一君 佐々木隆博君
寺田 学君 市村浩一郎君
長妻 昭君 渡辺 周君
同日
辞任 補欠選任
若宮 健嗣君 木原 誠二君
―――――――――――――
六月五日
道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
六月六日
刑法及び道路交通法の一部を改正する法律案(細川律夫君外二名提出、第百六十五回国会衆法第五号)
は委員会の許可を得て撤回された。
同月五日
戦時性的強制被害者問題解決促進法の制定を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第一二五九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一二六〇号)
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一二六一号)
ともに生きる社会のための公共サービス憲章の制定を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一二六二号)
同(近藤昭一君紹介)(第一二六三号)
同(田名部匡代君紹介)(第一二六四号)
同(高山智司君紹介)(第一二六五号)
同(長浜博行君紹介)(第一二六六号)
同(長安豊君紹介)(第一二六七号)
同(鳩山由紀夫君紹介)(第一二六八号)
同(松本龍君紹介)(第一二六九号)
同(村井宗明君紹介)(第一二七〇号)
同(山岡賢次君紹介)(第一二七一号)
同(太田和美君紹介)(第一三一六号)
同(菅直人君紹介)(第一三一七号)
同(神風英男君紹介)(第一三一八号)
同(園田康博君紹介)(第一三一九号)
同(筒井信隆君紹介)(第一三二〇号)
同(仲野博子君紹介)(第一三二一号)
同(松本大輔君紹介)(第一三二二号)
同(武正公一君紹介)(第一三二九号)
同(小宮山洋子君紹介)(第一三五二号)
同(小川淳也君紹介)(第一三六一号)
同(黄川田徹君紹介)(第一三六二号)
同(篠原孝君紹介)(第一三六三号)
同(中井洽君紹介)(第一三六四号)
同(岩國哲人君紹介)(第一三九一号)
憲法改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三四三号)
同(石井郁子君紹介)(第一三四四号)
同(笠井亮君紹介)(第一三四五号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三四六号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一三四七号)
同(志位和夫君紹介)(第一三四八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三四九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三五〇号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三五一号)
憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一三五九号)
憲法九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一三六〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)
特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)
独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)
刑法及び道路交通法の一部を改正する法律案(細川律夫君外二名提出、第百六十五回国会衆法第五号)の撤回許可に関する件
道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○河本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官舟橋和幸君、文部科学省大臣官房長玉井日出夫君、大臣官房審議官藤木完治君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮島俊彦君及び国土交通省大臣官房長竹歳誠君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官真島審一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。
○寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。
三十分間ほど質疑に立たせていただきます。よろしくお願いします。
約四十時間にわたる質疑の議事録をすべて読ませていただきましたが、有識者会議の形であるとか、相当不透明な部分、いまだ決定していない部分がありまして、きょう、午後採決、これが終わったら採決ということですが、正直、採決の段階にはないんじゃないかなと思うような御答弁も多々見受けられました。
いずれにしましても、きょうが最後ということでもございますので、基本的なところから一つ一つ確認した上で、政府案に関して質問させていただきたいと思います。
まず、本当に一番の基本部分ですが、大臣にお伺いしたいんですが、なぜ天下りをなくさないとと思っているのか、端的に御答弁いただけますか。
○渡辺国務大臣 天下りというのは大変国民の不信を買っているのは御案内のとおりであります。
天下りという言葉は、御案内のように、法律用語ではございません。私がこの委員会の質疑で御説明してきたのは、各省が人事の一環として、予算、権限背景に押しつけ的に行われる再就職のあっせん、あっせんによる再就職が天下り、こういうことであります。
人事の一環でありますから、受け皿は、言ってみれば子会社とか関連会社的存在になります。官製談合事件で明らかなように、OBが肩身の狭い思いをしないようにとの配慮から税金の無駄遣いが行われている、こういう現実がございます。したがって、これはやはり根本的に、天下りを行っていくシステムと慣行を変えていくべきである、そう考えました。
まず一つには肩たたきがございます。年功序列人事のもとで、法律に書いていない慣行として、こういった人事制度がございました。これを、能力・実績主義を導入することによって根本的に年功序列を打破しようということでございます。もう一つは各省縄張り主義、各省が予算と権限を背景に天下りあっせんをしているわけでありますから、これを全面禁止する。こういうことによって天下りの慣行自体をなくしていこうということでございます。
能力・実績主義の導入は再就職の際にも適用されていくということでありますから、今までの予算、権限背景の天下りとは全く異なるシステムに大転換をしていくということでございます。
○寺田(学)委員 大臣、長々とお話しされるんですが、三十分しかありませんので、できるだけコンパクトに御答弁いただければと思います。
大臣が今一番最初に、国民の不信を買うという御答弁をされましたけれども、具体的にどのような不信を買われると御懸念されているんですか。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、こういった天下りシステムの中で官製談合などが行われている、こういったことが典型例ではないでしょうか。
○寺田(学)委員 官製談合が行われる危険性があるということの御答弁だと思います。
そういう意味でいうと、では、緑資源とか防衛施設庁の談合等、いろいろな事件はこの天下りというものが密接に関係しているという御判断でよろしいですか。
○渡辺国務大臣 そのとおりでございます。
○寺田(学)委員 では、少し視点を変えまして、公益法人が所管の官庁から退職公務員を受け入れるメリットは何であると大臣自身はお考えになられていますか。
○渡辺国務大臣 公益法人や独法が所管の省庁から退職公務員を受け入れることのメリットとしては、一般的には、公務で培った能力や経験その他のさまざまなものが評価をされるということもあるでしょう。一方、役所に対する影響力を期待して受け入れるという場合もあるでしょう。
今回の法案においては、各府省によるあっせんを全面禁止いたしております。また、働きかけの規制も導入をいたします。外部監視体制の構築も行います。随契の見直し、公益法人制度の改革も行っております。
したがって、こうしたことを考えれば、今までのようなOBを受け入れるメリットというものは相当減殺をされていくはずでございます。
○寺田(学)委員 大臣の御答弁を一個一個拾った上でお話をしていきたいんですが、受け入れ側としてのメリットは、公務員時代に培われた経験であろう、役所に対しての働きかけや影響力をも期待する部分はあるだろうけれども、今回の法案ではなくなると。ですので、公務員時代の経験だというお話だと思います。
大臣が、我が党の松野委員との質疑の間で、あっせんを全面的に禁止するということは、受け皿の方にとっても人をもらうメリットがなくなるということが言えるわけであってという御答弁をされています。
では、あっせんをなくすということが公務員の経験にどのように影響を与えるのか。あっせん自体がどういうものであるかは後ほど議論しますけれども、この発言だけ見てみると、公務員の経験を大事にするのであれば、あっせんで来られようが何をしようが、私は別に、大臣のお考えの中においては、あっせんを全面禁止するということは受け皿にとってメリットがなくなるというまでは言い切れないと思うんですよね。
端的にお伺いしますけれども、あっせんによって人をもらうメリットがなくなるというのは、どういうメカニズムのもとにこういうふうに導き出されているんですか。
○渡辺国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、あっせんによるメリットというのは、各府省が予算と権限を背景に行っている天下りあっせんなんですね。ですから、こうしたことは、今回、各府省のあっせんそのものを全面禁止をしてしまうわけでありますから、まさしく予算、権限背景のバックグラウンドを断ち切ってしまうということでございます。
したがって、受け皿の方から考えれば、中立的機関からのあっせんというのは、予算、権限、何もないわけでございますから、メリットはなくなるということを申し上げているわけでございます。
○寺田(学)委員 予算や権限を背景にという言葉がありました。具体的にはこれはどういうことかということを一つ一つ詰めたいと思うんです。
その人に備わっている経験であるとか人脈とか、そういうものが、あっせんをなくすことによって果たしてなくなるのかどうか。私は、素直に考えると、道路局長をやられた方であるならば、国土交通省からあっせんを受けようとも受けまいとも、その人の持っている、何かしら予算や権限というものを背景には持っていると思うんです、今までずっとやってきているわけですから。あっせんをなくせばその予算や権限の背景がなくなるというのは、どうしても理解できないんですよ。
そういう意味において、また質問は同じになるかもしれませんけれども御答弁を変えていただきたいんですが、あっせんをなくすと、何で予算や権限を背景にしているのがなくなるんでしょうか。いかがですか。
○渡辺国務大臣 再三申し上げますように、各府省が今あっせんを行っております。当然、そういう中では、御本人の能力や経験が正当に評価されるというよりは、役所の人事の一環としてあっせんが行われているわけでありますから、まさしくこれは予算、権限背景の押しつけ的天下り、国民の方から見ればそういうぐあいに見えてしまうんですね。ですから、受ける方も、まさしくそういったことを期待して受け取る、こういうことになりがちでございます。
したがって、我々は、この構造にメスを入れる。すなわち、予算や権限を背景にはしない中立的な機関が、まさしく本人の能力、実績、こういったものが正当に評価されるべく再就職支援を行うという体制に転換をするものであります。
○寺田(学)委員 では、逆から聞きますけれども、今行われているあっせんによる天下りというものは、その人の能力や今までの背景等を無視した上で行われているということでよろしいんですか。今の天下りというのは適材適所に行われていないという御判断でよろしいんですか。
○渡辺国務大臣 今行われている各省人事当局によるあっせんというのは、それぞれの役所において、個人の情報をもって微に入り細にわたって総合的な判断を行っているものと思います。
しかし、国民の側から見れば、これは予算、権限背景でありますから、どうしても押しつけのように見えがちなのでございます。そういうところから国民の不信が芽生え、そして、官製談合事件のようなシンボリックなことが起こるたびにその不信が増幅をされていくということでありますから、やはりこの構造の根本を変えていくということが必要であって、各省のあっせんを全面禁止するという判断をしたわけであります。
○寺田(学)委員 私がお伺いしたいのは、今行われているあっせんによるいわゆる天下りが適材適所で行われているかどうかということを聞きたいんです。適材適所ですか。国民の側から押しつけに見えるどうこうではなくて、実態として適材適所として行われているという御判断でよろしいですかと聞いているんです。
○渡辺国務大臣 これは、見る人によって違うんでしょうね。人事当局にしてみれば適材適所だというぐあいに言えるだろうし、受け取る方も、お土産つきでもあればこれは適材適所だと言うであろうし、しかし一方、外側から見ると、これは固定的な天下り人事そのものじゃないですかというふうに見える場合もあるでしょうし、それは見方によっていろいろあるんじゃないんでしょうか。
○寺田(学)委員 ですから、大臣として、見方として、適材適所に行われているかどうかということを聞いているんです。大臣として、見方としていかがですか。
○渡辺国務大臣 我々政治家はいろいろな角度から物事を見ていかなければなりません。単眼的な思考ではなくて複眼的な思考によって世の中を見ていくことが大事なことであって、まさにそういった多角的な視点から、我々はこの問題を考え、そして今回お示ししているような法案を提出したところでございます。
○寺田(学)委員 答えていないじゃないですか。
だから、多角的にいろいろごらんになられて結構ですので、多角的にいろいろごらんになられて、大臣として、今の天下りあっせんに関しては適材適所に行われていると思っているのか。もちろん思っていないとは思われますけれども、どうなんですか。
○渡辺国務大臣 ですから、今行われている天下りあっせんというのは、人事当局から見れば適材適所です、そう言うに決まっているんですよ。しかし、これはまさしく予算、権限を背景とした押しつけ的なあっせんである、国民の側から見ればそう見えてしまうわけであって、だからそこに不信感が芽生える素地があるわけでありますから、我々としては、複眼的思考、多面的な視点から考えて、こういうものは全面禁止をするのが妥当だ、そういう判断をしたところであります。
○寺田(学)委員 全面禁止が妥当かどうかじゃなくて、その前の認識として、今のあっせんが適材適所に行われているかどうか、大臣としてどう思っているかということを聞いているんです。それだけ答えてください。
○渡辺国務大臣 ですから、我々が目指すところは、我々があるべき姿として目指す方向は、本人の能力、実績、そういったものが正当に評価をされ、予算や権限を背景にしなくとも再就職ができる、そういう仕組みを目指すべきだということを言っているわけでございます。
○寺田(学)委員 堂々と全然違うことを答えられる大臣は、ある意味一つの才能かなとも思いますけれども。
だとすれば、御想像してほしいんです、この法案が通った後に天下りバンクだか何だかができるんですけれども、そのときに、そこのバンクであっせんするわけでしょうけれども、僕は、純粋にその人の能力やら何やらを考えると、総務省の人間が、今までずっと地方自治なのか情報通信なのか歩まれてきたわけですから、結果的に、もし公益法人に行くとしたら、総務省管轄のところに行かれるのが、その人の能力どうこうということだけに着目していうと正しいと思うんです。
大臣が御想像されるには、今後、天下りバンクによって仲介されるときにおいて、今行われているような省庁から省庁管轄の公益法人というものは劇的になくなって、総務省の人間が国交省の方に行くとか、全然違う民間のところばかりに行くとかいうことになるのか。やはり能力を勘案していうと総務省のところに行ってしまうということがやむを得ないかなと思っているのか。どっちですか、御判断。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、国家公務員法の改正というのは行政改革の中の一つのテーマなのでございます。つまり、独法改革あるいは公益法人改革、入札制度改革等々といったこともあわせて、ワンパッケージとして行っていく必要があるんです。
我々は、まさに今、独法改革や公益法人改革を行ってまいりました。こういったものが、将来世代へのツケ回しになりかねないような税金の無駄遣いが行われているとしたら、まさしくこの無駄をゼロにしていかなければなりません。そういう意味で、その一環として、人、そしてお金、この両面から問題を解決していくことが必要なのであって、この天下り根絶法案だけで問題が解決するわけではございません。
したがって、さらに入札制度や行政委託型公益法人の改革、あるいは独法の見直しということも同時に行っていく必要がございます。そういうことをやることによって、今の天下りシステムというものが根絶をされていくわけであります。
○寺田(学)委員 堂々と最後に、でありますとかと終わるのはいいですけれども、全然質問に答えられていない。人材バンク、天下りバンクを通してマッチングされる意味においては、総務省の役人、国交省の役人というのは、人材能力を考えれば、結局のところ、国交省やら総務省の公益団体のところにマッチされることが今までどおり同じように起こると考えているのか、その人の能力を考えれば、ほかのところに行くということが往々にあって、その部分が多くなるんだというふうにお考えになられているのかどうかだけを聞いているんです。
○渡辺国務大臣 再三申し上げますように、今行われている天下りシステムが、我々のトータルな改革によって、その受け皿、受け取る方もうまみがなくなっていくわけですよ。また、人の点から、人を出す人事のシステムも変わっていくわけでありますから。
今のシステムを前提に御質問されているからピントがずれてしまうんですね。私の方の話とすれ違ってしまうんですよ。ですから……(発言する者あり)よく聞いてください、私はちゃんと答えているんですから。
ですから、要するに、今のシステムと根本的に変えようということを私は申し上げているわけであって、今のシステムの延長線が続くのであろうという前提での御質問だから、私の答えがよくわからない、こういうことになるわけでございます。
○寺田(学)委員 では、前の質問に戻りますけれども、適材適所に今の天下りは行われていると思いますか、思っておりませんか、どちらでしょうか。イエス・オア・ノーです。それ以外は結構です。
○渡辺国務大臣 ですから、これは見る人によって全然違う評価だと言っているんです。だから、我々はトータルに見ているとさっきから言っているじゃありませんか。トータルに見たら、一方において役所サイドから見れば適材適所だと言うだろうし、国民サイドから見ればこれは押しつけだろうということになるだろうし、我々はトータルに、複眼的にこういう問題を見て解決していかなければいけないのであって、この天下りが適材適所かどうかという個別の判断を我々がしているわけではないんですよ。
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 予算や権限を有する各府省が再就職のあっせんを行う結果、受け入れ側の企業等の側から見れば不要な人材を押しつけられたというケースもあり、必ずしもすべての再就職が適材適所とは言えなかったものと考えております。
○寺田(学)委員 大臣自身の言葉で言われるのはいいですけれども。
では、天下りをやめさせる意味においては、今の天下りが適材適所に行われていないから、これから天下りを廃止するんです、あっせんを廃止するんですと。役所のあっせんというのは適材適所じゃない部分もあるというようなことでよろしいですね。
○渡辺国務大臣 企業等が役所への影響力を期待して再就職を受け入れさせたケースもあったかと思います。このような場合、企業等のニーズは満たされているものの、社会全体から見たら非効率や害悪となっていることは明らかであります。
○寺田(学)委員 それだけでもうほとんど僕は時間がなくなっているんですけれども。
まさしく問いたいのは、大臣が言われていますけれども、予算や権限を背景にというもの、この予算やら権限の背景というのは、だれに宿るのか、どう宿って、何によってどう影響するのかということ。私自身としては、我が党としては、あっせんをするしないとかそういうレベルじゃなくて、その人の生きざまそのもの、キャリアパスそのものによってでき上がっているものだと思っているんです。だからこそ、それを、関係団体に行かないようにすることが癒着の温床を断ち切ることだということです。けれども、大臣は、あっせんをなくすことによってその人の権限や予算の背景というのはなくなるんだと言われていますけれども、どう考えても、なくなるとは思えないんですよ。
もちろん、行為規制によって口きき等を規制すると言いますけれども、具体的な口きき以外において、今までの議事録を見たらあうんの呼吸という言葉を使われていますけれども、今まで道路局長をやられている方が、そこから予算をもらっている公益法人に天下ったとしたら、何かしらの口ききをしなくとも特別な関係ができ上がる可能性があると思われるのか、一切そういう可能性はないと思われているのか。どっちでしょうか。
○林副大臣 委員長の御指名をいただきましたので。
今の御質問は大事なところだと思いますが、委員が特別な関係というふうに質疑の中でおっしゃられましたので、それはどういうような関係を指しておっしゃっておられるのか。それが、例えば口きき規制、また在職時の求職活動の規制にかかわるようなことであるとすれば、きちっと端緒としてそこから調査をする、こういう規制の体系になっておるわけでございます。
○寺田(学)委員 違う角度からしますけれども、では、予算や権限を背景にしているかどうかという基準はどのように考えられていて、どのようにして見きわめられるおつもりなのか。大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 各府省等が行うあっせんは、国民の目から見れば、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんであると受けとめられかねないことから、今般の改革においては、全面的に禁止をし、官民人材交流センターに一元化することといたしております。
○寺田(学)委員 もう少し端的に、そういう背景があるのかないのかというのはどのようにして見きわめられるんですか、何かしらの基準を考えられているんですかというところを聞いているんです。いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 再三申し上げますように、予算や権限を背景に行うあっせんというのは、国民の方から見ると、これは人事の一環として行われるわけでありますから、どうしても押しつけ的なものに見えてしまうわけでございます。そういうところに国民の天下りに対する不信が芽生えていくわけでありますから、まさにこの根本的なところを根絶するということが大事なことであって、我々は、まさに各府省のあっせんを全面禁止したところでございます。
○寺田(学)委員 何度も同じ質問をするのも嫌なんですけれども、全面禁止をする次第でありますどうこうと聞きたいんじゃなくて、予算や権限を背景にしているようなものがいけないんだと言われているので、予算や権限を背景にしているかどうかというのを何をもって判断されるんですか、こいつはこういう背景を持っている、こいつは持っていないというのをどのようにして判断されるんですかということを何度もお伺いしています。
○渡辺国務大臣 再三申し上げますように、人事の一環として行われるわけですね。ですから、本人の希望とかいうことよりは、人事の一環ではめ込んでいくわけでありますから、こういうことが国民から見て不信の芽生えになるのではないかということを申し上げているわけでございます。
○寺田(学)委員 大臣は、ある程度明確に一回言われているんですよ。補助金を交付していた業務をやっている人がその補助金交付先に再就職するなんという話は、やはり常識的に難しいと、一つの基準を出されているわけですよね。
そういう意味でいうと、ここで言うと業務をやっている人なんですけれども、その部署にいたとか、その省庁にいたとか、いろいろな基準というのが生まれてくると思うんですよ。具体的に一つ出されていますけれども、それ以外に基準というのはないんですか。
○渡辺国務大臣 ですから、例えば、金融検査をやっている方がその検査先の金融機関に再就職するなんというのはいかがなものかということは、常識でわかるわけですね。ですから、そういった基準については、まさしく官民人材交流センターのあっせんがどこからどこまで許されるか、この詳細な制度設計を決めていく中でルールづくりが行われるわけであります。
○寺田(学)委員 実際、有識者会議でつくられるのは結構なんですけれども、大臣自身として、その有識者会議に諮る上での御自身の考え方を述べられているわけですよね。
人というのは、業務をやっていた人はやはりいけないだろう、役所と役所の管轄の公益法人のことに限定して聞きますけれども。だとしたら、やっていた人じゃなくて、その部署にいた方、管轄の部局というのがありますから、その部局の方は、やはりいかがなものかなと思われているのか、それはいいんじゃないかなと思われているのか、いかがですか。
○渡辺国務大臣 いずれにしても、個人の求職活動については、今回、事前の規制をかけております。また、あっせんについても、各省によるあっせんは全面禁止をしているわけでありまして、その法の精神にのっとった基準づくりが行われていくものと考えております。
○寺田(学)委員 ほとんどの質問に対して具体的にお答えになられないのは非常に残念なんですが、いずれにせよ、大臣が今つくられて提案されている法律というものがほとんど意味をなさないんだろうなということは、薄々国民の方々も気づいていると思います。大臣が言われる権限と予算を背景にということも、あっせん禁止ごときではなくならないと思っております。そういうことも十分吟味された上で、以後の質問に御答弁されることをお願いいたします。
終わります。
○河本委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 おはようございます。川内でございます。
十五分しかございませんので、早速質問を始めさせていただきます。
今、同僚の寺田議員からの質問に対して渡辺大臣は、各省によるあっせんは全面的に禁止をされるというふうにおっしゃいました。しかし、行革推進本部事務局が調査をされた、二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果、平成十九年四月十三日に出されておりますが、これでは、二回目以降の再就職のあっせんがあったとされている件数は全省庁で十六件しかない。大臣は、ほかにもあるんじゃないかとおっしゃっていますが、各役所があっせんしたと言っておるものは十六件しかないわけで、十六件をなくすのだというふうに威張られても、ちょっとどうしようもないというふうに私は思います。
私は、まず、役所にあっせんをしたという事実を認めさせることが大事ではないかということで、何回か質疑に立たせていただいております。
先週の最後の質疑で、委員長からも御指示がございました。社会保険庁のシステムを受注していらっしゃるNTTデータ並びにNTTデータ関連に再就職をしていらっしゃった方が、その後、平成十八年に厚生労働省の所管法人に再び再就職をしているという事実があるわけでございますが、この件に関して、再就職のあっせんがあったのか、なかったのか。厚生労働省は、なかったというふうに報告をしているわけですが、御当人に直接聞いてくれというふうに申し上げました。委員長から、直接聞いて委員会に報告するようにという御指示があったわけでございますが、その調査結果について、厚生労働省の方からまずお答えをいただきたいと思います。
○宮島政府参考人 お答えいたします。
NTTデータの方は、その後、全国社会保険協会連合会に移っておりまして、その本人に、この連合会への再就職の経緯についてお尋ねしましたら、現在の理事長から手伝ってくれないかと頼まれたということでございます。それで、さらにこの件について理事長の方に聞いたところ、その人のことは昔からよく知っていた、共通の知人もいたので、そういうことで、NTTデータをやめるということを知ったので、退職するならば手伝ってもらおうと考えたというように聞いております。
○川内委員 もう一人の人は。社会保険診療報酬支払基金。
○宮島政府参考人 もう一人の方というのは、NTTデータシステムサービスというところでございますが、この方は、支払基金監事ということで再就職しています。これも、理事長から監事をやってくれないかと頼まれたと。理事長の方に確認したところ、その人間は厚生労働省の一つ下の後輩でよく知っていた、それで、NTTデータシステムサービスを退職して以降、特に勤めていなかったので監事をお願いした、そういうことでございました。
○川内委員 大臣、こういうのは大臣の法律では規制できないんですよ、あっせんしていないと言っているわけだから。規制できないんですよ。友達同士の間で声をかけ合って就職の面倒を見ました、そういう答弁ですよ。こんなことを許しておいたのではだめなんですよ。
では、そこをどうやって規制するのかということですが、社会保険診療報酬支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法という法律にのっとって運営をされている法人であります。その法の十一条に、「役員の選任及び解任は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」というふうに書いてある。ということは、役員に就任するときに厚生労働大臣が認可をしている、そういうことでしょう。どうですか。
○宮島政府参考人 それは、そのとおりでございます。
○川内委員 さらに、社会保険診療報酬支払基金定款の中にも、「役員の選任については、厚生労働大臣の認可を受けなければその効力を生じない。」とこの法人の定款に書いてある。ということは、事前に相談をしていたということじゃないですか。さらには、厚生労働大臣が認可をするという法的行為によって、関与しているじゃないですか。これを関与と言わずに何を関与と言うんですか。関与しているでしょう。関与していたと言いなさいよ。
○宮島政府参考人 それは支払基金の方の申請に基づいて大臣の方で認可をしている、そういうことでございます。
○川内委員 だから、行政改革推進本部のペーパー、この「二回目以降の再就職のあっせんに関する調査結果について」というところのあっせんという言葉の定義は、「何らかの関与をすること」と書いてありますよ。何らかの関与をすることがあっせんなんですよ。であるならば、厚生労働大臣の認可という行為は関与じゃないんですか。どうなんですか、関与じゃないんですか。知っていたということでしょう。
○宮島政府参考人 ですから、それは、法人の方から申請があった段階で適切かどうかを判断して認可するということでございますので、認可があっせんなのかという議論ではないかというふうに思います。
○川内委員 私は、あっせんかどうかを聞いているんじゃなくて、関与しているでしょうということを聞いているんです。役所というのは、何かを認可するときに、出されたものを、はあ、そうですかというところなんですか。事前協議とかさまざまなことがあって、それで認可に至るんじゃないですか。公益法人についてもそうでしょう。関与しているじゃないですか。関与していることを否定するんですかと言っているんです。関与していないというんですかと言っているんです。
○宮島政府参考人 認可するというその法的行為の中では関与しております、もちろん。
○川内委員 だから、関与しているんじゃないですか。何か今、与党の理事の先生方は、認可と関与は違うとか、これは言ってしまうと、結局こういう再就職のあっせんを認めてしまうことになるんですよ、新しい法律ができても。幾らでも抜け道をつくってやるということですよ。
だから、ここで政府の見解として、例えば、こういう特別の法律によって設立をされている法人の役員を所管大臣が認可するというのは、関与することなんだ、関与なんだということを政府見解として正式に認めなければ、幾らでもこういうことはできてしまうということですよ。友達同士で、昔からよく知っていたので、仕事もよくできるやつだから声をかけて来てもらったと、幾らでも言いわけをつくってやるということですよ。大臣、これは関与でしょう。関与ですよね。
○宮島政府参考人 二回目以降の再就職のあっせんに関する調査というもの、十九年四月の、今、川内委員から冒頭にありました十六人という調査でございますが、この調査では、再就職のあっせんとは、企業、団体等からの要請に基づき職員に当該企業、団体等を再就職先として紹介すること等各府省がその職員の再就職について何らかの関与をすることと言っておるわけですが、認可というのが、ここの、再就職先として紹介することには当たらないということを考えて、私どもは、認可というものについて、法人の役員認可についてはこの十六名の中には計上しなかった、そこはそういうことでございます。
○川内委員 ごまかしちゃだめですよ。「企業、団体等からの要請に基づき職員に当該企業、団体等を再就職先として紹介すること等」と書いてあるじゃないですか。「等」なんだよ。だから、その後が大事なんです。その後が「その職員の再就職について何らかの関与をすること」、再就職のあっせんとは、その職員の再就職について何らかの関与をすることがあっせんなんですよ。認可をするという法的行為そのものは関与でしょう。関与じゃないんですか。関与だって認めたでしょう、さっき。だったらば、この報告を訂正してください。
○株丹政府参考人 今、再就職のあっせんについての定義で御質問ございまして、私ども、行革推進本部事務局で調査をいたしました。その中で、御指摘ございましたけれども、いわゆる認可につきましては、団体の側がこれこれこういうことであるというふうにお決めになって、それを認めるかどうかということでございまして、法律上の行為でございます。
そういう意味で、職員の再就職についての関与というものではないというふうに私どもは考えてございます。
○川内委員 では、友達同士で、職をOB同士でたらい回しすることはこれからも自由ですと、大臣、役所はそういうことを言っているんですよ。大臣、いいんですか、こういうことで。ちゃんと報告を訂正させるべきではないですか。少なくとも、関与という意味においては、関与しているわけですから。それを今後また、友達同士でやるのはまあしようがないやと政府として御判断されるのは、それは政府の御判断だから勝手だけれども、少なくとも、国民に真実を知らせるという意味においては、関与という意味において、関与があったんだということで報告を訂正させるというのが私は大臣としてのお仕事ではないかというふうに思いますが、どうですか。
○渡辺国務大臣 各省が所管する先の役員ポストに固定的に各省からOBが行っている、こういうケースでは、通常、各省があっせんを行っていると考えるのが普通だと思います。
したがって、これは、もしそういう疑いがある場合には、新法においては、外部監視機関が動くことになります。
○川内委員 認可という法的行為によって関与をしているということはお認めになられたわけですよね。今、大臣も御答弁で、所管官庁のOBがずらずらっといるのはあっせん臭いというふうにおっしゃったわけですよ。社会保険診療報酬支払基金の役員は、元社会保険庁長官、元東京社会保険事務局長、元厚生労働省健康局長、前社会保険診療報酬支払基金審議役、さらには元九州地方医務局長、厚生労働省の人ばかりです、常勤の役員は。こういう状況の中で、いや、友達同士でよく知っていたから声をかけて来てもらいました、それを役所は関知していません、ただ認可しただけですというのをただ許しておくだけでいいんですかということを聞いているわけですよ。
関与したという意味において、きちんと訂正して報告をさせる。こういうことをやっているのは、国民の目から見てどういう状況であるのかということをまず把握すると大臣もおっしゃっていらっしゃるわけですから、それは報告を訂正させるというふうに大臣としてお答えにならなければいけないのではないですかということを申し上げているわけです。どうですか。
○渡辺国務大臣 ちょっと今の個別のことについて詳しく研究したわけではございませんので、一般論として申し上げますけれども、先ほども申し上げたように、各府省が所管する法人の役員ポストにOBが固定的に天下っているという実態がある場合には、何らかの形で各省があっせんをしていると考えるのが普通だと申し上げているわけでございます。
○川内委員 だから、考えるのが普通だというふうにおっしゃるのであれば、今回の件もあっせんしているというふうに推定されるし、しかも、認可という行為をするに当たっては事前に相談を受けるに決まっているじゃないですか、大臣。だから、こういう事例についてきちんと報告をさせる、まず立法事実を確認する、それを役所に全部出させることが今後の法律に命を与えることにつながるのではないですかと、私は前向きな提言をしているつもりですよ。
それを踏まえて、大臣として厚生労働省に対して、しっかりとした報告をせよ、認可という行為は何らかの関与に当たる、それを報告せよと。それを今後どういうふうに扱っていくかはまた今後の議論だと思いますよ。しかし、報告はしっかりとさせるんだということを、たった十六件ですよ、十六件しかないわけです、二回目以降のあっせんというのが。それを訂正させるのかということをお聞きしているんです。
今回のこの法案の質疑の中で、訂正報告を上げる役所もあると聞いていますよ。厚生労働省は相変わらずゼロだと言い張っているわけですからね。それを、厚生労働省に対してちゃんと訂正の報告を上げろというふうに大臣としておっしゃるのかどうかということを申し上げているんです。いや、大臣ですよ。
○林副大臣 ちょっと後で大臣からも確認をいただきたいと思いますが、この調査は、まさに委員が今おっしゃったように、認可とかそういう自衛隊のものとか公的に決まっているもの以外に、各省があっせんをしているものがあるかという調査をいたしたわけでございまして、まさに今委員がおっしゃっているようなことは、認可しているわけですから、もうだれが見てもその認可という行為はあるわけです。
ですから、そういう法律で決まっていないところにどういうものがあるのかというのをあえて調査したわけでございまして、当然、そういうことの全体の中で、大臣が先ほどから御答弁しているように、あっせんは全面禁止をしようという御提案になっているわけでございまして、自衛隊の例がそこに書いてございますけれども、「自衛官の再就職を支援するため無料職業紹介事業を行う法人に対し求職情報を取り次ぐこと等を除く。」要するに、法律できちっと書いてあること以外に事実上の行為としてこういうあっせんをやっているのかどうかということをこれは調査しております。
ですから、認可というのは法律を探せば出てくるわけでございますから、それはもうわかっていることでございまして、わかっていること以外にどういう実態があるのかということをこの規制をかけるための前提として調査した、そういう整理であろうというふうに思っております。
○川内委員 いや、わかっていることといったって、国民はわかりませんよ。何を言っているんですか、林副大臣。今のは林副大臣とも思えない答弁ですよ。
国民の目から見てどのような実態があるのかということを明らかにしたかったんじゃないですか、趣旨としては。それを、別に当然のことだからそれは数に含めませんというのでは、国民に対して実態が明らかにならないじゃないですか。国民の目から見てどういうわたりが行われているのか、どういう実態なのかということをまず明らかにしていくことが、政府が提案されている天下り根絶法案の命になっていくんじゃないですか。そこを私は言っているんですよ。それを、何か役所の言うことを聞いて、いや、これは別に最初からわかっていることだからいいんだ、数に入れないんだ、国民には教えなくていいんだという議論をされれば、一体何のために法律の議論をしているんですかということになると思いますよ。
大臣、もう一回最後に答弁してくださいよ。認可という行為は事前に相談を受けているに決まっているわけですから。そんなもの、出されてきたものをいきなり、はあ、そうですか、ぼんなんてするわけないじゃないですか、仕事として。相談を受けて認可しているわけですから、これは実態として関与しているんですよ。大臣もそうおっしゃっているじゃないですか。だったらば、そういうものもしっかり報告をさせる、その上で国民の判断を仰ぐというのが私は正しいやり方だというふうに思いますよ。
しっかり訂正の報告をさせるというふうにおっしゃっていただきたいと思います。どうですか。
○渡辺国務大臣 認可という行為があっせんとどう結びつくかという実態について、ここで私が解説をせよと言われてもなかなか難しいものがございますが、しかし、先ほどから申し上げているように、所管する先の役員ポストに固定的に天下っている、こういう実態は、まあ各省が絡んでいるよなと疑われてもそれは仕方がないんじゃないんでしょうか。
ですから我々は、そういうことは、今回の新法において各省あっせんは全面禁止をいたしますし、もし疑いが生ずるようなことがあれば外部監視機関が動く、そういう規制をかけているわけであります。
○川内委員 各省があっせんしているものは根絶すると。だけれども、各省があっせんしているものは二回目以降は十六件しかないんですよ、友達同士で決めているわけですから。そんなことを許しておくんですかと言っているんですよ、大臣。
では、認可が関与なのかあっせんなのかということは議論があるでしょうから、認可したものも含めて、この調査報告をもう一回出し直させる。認可という言葉についてはさまざま議論があるでしょうから、認可したものも含めて調査を出し直させるというふうに御答弁いただけますか。
○渡辺国務大臣 この前の行革本部で行いました調査は、対象者が何万人というオーダーに上るものであります。そこで、一人一人ヒアリング調査をやっているというぐあいにはいかなかったんだろうと思うんですね。したがって、例えば紙に残された資料があったというような形でその十六件という数字が出てきたものと思われます。
これは各府省において行ったものでございますから、もし新たにあっせんがあったということが判明をした場合には、きちんとしかるべき報告をしていただきます。
○川内委員 何か全然答えていただけないんですけれども、「その職員の再就職について何らかの関与をすること」と書いてありますよ、この行革推進本部事務局のペーパーには。その職員の再就職について何らかの関与をすること、認可は何らかの関与でしょう。それは認可という意味において関与をしましたと事務方も答えているわけですから、何らかの関与じゃないですか。それを、言を左右にして、訂正させない、再報告させない、何かわけのわからない答弁を繰り返されるというのは、私は渡辺大臣らしくないと思いますよ。
根絶するとおっしゃっていらっしゃるわけですから、実態を明らかにするというのはまず前提ですよ、大前提。その何らかの関与という言葉の中には、認可も当然含みますよ。だから、もう一回ちゃんと報告させてくださいよ。もう事務方はいいよ。あなたはどうせ再就職が心配だろうから、ちゃんと答えるわけないじゃないですか。大臣、ちゃんと答えてくださいよ。
○林副大臣 先ほど申し上げましたように、きちっと法律上また規則上決まっていることを除いて、それ以外にもやっていることがないだろうかということでこれはやらせていただきましたので、まさに委員が御指摘のように、実態としては、ここにありますね、自衛隊の再就職のようなものが、きちっとルールが決まっているものがあるわけでございます。
ですから、当然、今後詳細な検討をしていく場合には、そういうものも含めて、今委員が御指摘になったようなことで、法律に明定される手続の中にもそういう固定的なものがないか、今大臣が御答弁されておりますので、当然含めて検討していくわけですが、この調査は、そういう法律で今根拠があることでない事実上のことをやっているのかということでございますから、今委員がまさに御指摘になったような認可していることというのは、行政情報として当然あるわけでございます。
ですから、外側のこれと今委員が御指摘になったような認可や自衛隊の再就職、すべて全体的な対象としてまないたの上にのせた上で、今後有識者のところで検討するときにはきちっと運用を決めていかなければならないということで、この調査はそういう性格で、そういう法律で明定された基準以外の実質上やっていることを調査した、こういう位置づけでございます。
○川内委員 もう終わりますけれども、認可するのは別に再就職の人だけじゃないですから、理事とか監事とか役員全員を、民間人も含めて厚生労働大臣なりは認可するわけで、私が申し上げているのは、役所の再就職も認可しているのだから、その部分についてはしっかり数を出すべきなのではないか、そういうことを報告させるべきなのではないか、しかも、それがわたりに使われているわけですから、ということを申し上げているんですよ。それを、いや、それはもうわかっていることだからいいんだというのは、結局この法律は一体何をやろうとしているのか私には全くわからない、説明責任を果たしていないと言わざるを得ないというふうに申し上げて、大臣からしっかり御答弁いただけなかったことは返す返すも残念ですが、終わらせていただきたいと思います。
○河本委員長 次に、武正公一君。
○武正委員 民主党の武正でございます。
ちょっと順番を変えまして、人事院さんは来ておられますかね。今副大臣、大臣からも認可認可ということで、一体何の認可があるのかなということも明らかにしたいと思いますが、少なくとも、人事院の再就職の承認あるいは各省大臣による再就職の承認とその人事院への報告、この二年規制というのは現存しております。
そこで、まず人事院に、人事院規則の監査で、この五年間、再就職規制の人事院承認、各省大臣承認が是正されたものはそれぞれ何件あるのか、お答えいただきたいと思います。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
人事院では、再就職について承認権限を委任している各府省等に対しまして、定期的に営利企業への就職に関する事務の実施状況の監査を行っております。
平成十四年から十八年度までの五年間、延べ五十四府省等に対して監査を実施いたしました。十四年度から十七年度までの四年間、指摘した件数はございませんでしたが、十八年度は就職承認漏れを六件指摘いたしております。平成十八年度に指摘いたしました六件は、省庁別に申しますと、財務省一、農水省一、独立行政法人国立病院機構四でございますが、いずれも軽微な手続違反であったため、そのうち離職後二年を経過していない四件につきましては、必要な手続をとりまして、将来に向かって再就職を承認しております。その内訳は、人事院承認分三件、財務省一、独立行政法人病院機構二、各府省承認分、農水省でございますが、一件となっております。また、これらの省庁に対しましては、厳正な手続を保持するよう指導をいたしているところでございます。
○武正委員 過日、これは財務省でしたかね、再就職違反があったということも明らかになっておりますし、人事院への承認あるいは各省大臣の承認の報告、これも是正措置がとられている例があるということが今明らかになったわけでございます。
そこで、今回のこの法案で、提出者からは、天下りあっせん根絶、こういうふうに豪語されておりますが、まず、抜け道があるのではないのかということで、政府案百六条の三、在職中の求職活動の規制除外四規定、これがございます。そのうちの一つ、まず現役出向。これは、各省庁のあっせんによって出向先を決め、その出向先で求職活動ができるとすると、全面的に禁止するという各省庁によるあっせんの抜け穴になるのではないかと考えますが、渡辺大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 現役出向が法の抜け穴になるのではないか、そういった問題認識をかねて武正委員からいただいております。
まず、今回の法案では、各省によるあっせんを全面禁止いたします。百六条の二第一項によるあっせん規制においては、役職員であった者を営利企業等の地位につかせることを目的として行う情報提供や地位につかせることの要求を禁止いたしております。各省職員は、現役出向している職員についてもあっせんすることはできません。
百六条の三第一項による在職中の求職規制については、現役出向者は非公務員となっておりますので、御指摘のように適用はされません。しかし、求職活動をさせるために国の職員を出向させるということはあり得ないことでございます。制度本来の趣旨にそれは全くそぐわないと言わざるを得ません。
また、意図せずして現役出向者が求職活動をしてしまった、こういうことが続いたとすれば、人事当局の脱法的な意図ないし人選の適切性、こういうものが疑われることにはなろうかと思います。
○武正委員 現役出向で求職活動をするについては対象外であることを今大臣がお認めになっておりますので、私は、この委員会で要求をさせていただきまして、平成十八年四月一日現在、中央省庁からの現役出向が四千三百八十三人、うち係長以下が千五百四十二人、三五%という数字もいただきましたので、やはりこの後の四類型での係長以下も対象外、センターの承認があれば対象外、監視委員会の承認があれば以上四類型は在職中であっても求職活動ができる、対象外である、法の規制はかからないという中で、今の根絶根絶と言っている各省庁によるあっせんがここで抜け穴として使われるということを改めて指摘させていただきたいと思います。
そこで、除外四規定の係長以下もお聞きしたかったんですが、時間も押しておりますので、先ほど来の、わたり十六名以外の再調査を求めるということで、官房長官もお見えいただきました。既に渡辺大臣からは、残念ながら強制力はないというようなことも答弁がありますので、私は、過日の委員会で、やはり官房長官においでいただきたいと委員長に求めておりましたので、きょうもおいでいただきました。ありがとうございます。
先ほども話がありましたし、六月一日の当委員会でも、総理が、もしかしたら氷山の一角ではないかという渡辺大臣の答弁、私もそのとおりだと思います、もう一度調査しろと言っても、恐らく役所には、残念ながら、今までそうした資料を残していないところに大きな問題があったんですよと総理はお答えになっていますが、私は違うというふうに思っております。各省庁に記録はある、それを隠しているだけ、ないと言っているだけで、必ずあるというふうに思っております。
私は、内閣のかなめとして、官房長官、先ほど来民主党の委員が求めておりますが、十六名じゃなくて、今だってこの二名については友達が紹介というようなことを省庁が言っております。わたり十六名は到底あり得ないということを総理も認めているんですから、私は再調査が必要だと思いますが、内閣のかなめとして、その再調査をお求めになっていただきたい。官房長官、お答えをいただきたいと思います。
〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 今回、法案を提出させていただいておりますが、これはまさに仕組み自体を変えようということでございます。立法事実の議論が先般来皆様方から出されているわけでございますけれども、今までの調査の結果として十六名という数字がとりあえず出てきているわけでありまして、実際は存在するかもしれない、確認されていないものを含めて、これからシステムを変えるという意味で、予算や権限を背景とするあるいはするかもわからない、各省庁による押しつけ的なあっせんが根絶されるように制度設計をしたということでございます。
したがって、その点については十分根拠があり、また、そもそもそういうものが一つでもあるということでこのシステムを変えようというわけでありますから、この時点でこの立法をすることの意味というのは十分あるわけであって、現時点で再度調査を行うということは考えていないということでございます。
○武正委員 先ほど渡辺大臣がお認めのように、現役出向はこの法案の対象外ですよ。現役出向で、出向先で就職活動できるんですよ。現役出向は各省庁があっせんできるんですよ。各省庁があっせんして、各省庁がいろいろな形で関与して、これはあっせんできるんですよ。百六条の二の2の二で、退職手当職員等は対象外ですよね。百六条の二の2の二ですよ。これは対象外ですよ。
それで、今、再調査をやる気はないという官房長官のお話でしたが、六月一日、この委員会で文部科学省の官房長が、事前に質問していただければ人事記録に当たれたんだというふうに答えておられます。きょう、官房長がおいででありますので、では、文部科学省の人事記録には、例えば離職後の営利企業の再就職情報は掲載されているんじゃないですか。あるいは、この人事記録というのは一体何ですか。お答えいただきたいと思います。
○玉井政府参考人 お答えいたします。
先般は、文部科学省の元職員がどういう身分の者であったか、つまり、そのときの具体的な御質問は文部技官であったのかどうか、こういう御質問でございましたので、それにお答えしたものでございます。すなわち、そのとき申し上げました人事記録というのは、国家公務員法第十九条におきまして、採用から退職まで、人事に関して作成するものがございます。それは、氏名とか生年月日、学歴に関する事項、試験及び資格に関する事項、それから勤務記録に関する事項、本籍、性別、研修の名称、期間、職務に関して受けた表彰に関する事項、公務災害に関する事項、こういうものでございまして、御指摘の離職後のことについて記載されるものではございません。
○武正委員 人事記録があるということであります。今、離職後のことは記載されていないというお話でしたが、これから、離職後の情報も必ず記載されているというやりとりをさせていただきたいと思います。
そこで、先ほどの十六件ですけれども、官房長官、これは件数だけでなくて、やはり氏名とかどういう団体に行ったのかということも明らかにすべきだと思うんですね。十六件以上の再調査はしないということは我々は承服できませんが、少なくとも名前とか団体とか、公表する気はありますか、官房長官。どうでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 今回の十六名の名前が出てきた調査においては、その具体的な再就職先については報告を求めていないということで行革事務局において行われたというふうに聞いております。ただし、十六名の再就職先及び再々就職先の名称については、江田代議士提出の天下りの禁止と府省の人材確保、新人材バンク等に関する質問に対する答弁書というのがあって、そこにおいて、各府省等に確認の上、答弁しているわけでございます。
しかし、そうはいいながら、離職後の元職員というのはあくまでも民間人になっているわけで、個々の氏名の公表については、元職員のプライバシー保護等の観点から慎重な取り扱いが必要だというふうに目下のところ考えているところでございます。
○武正委員 名前についてはどうですか。同じ答弁ということですか。
○塩崎国務大臣 まさにそのことを申し上げているところでございます。
○武正委員 過日、五月二十二日でしょうか、「国の行政機関における幹部公務員の略歴の公表の在り方について」、総務省行政管理局から各省に、通達というか通知が行われたことは御承知のとおりでございます。国民に対して、現職官僚、課長職以上でしょうか、これについてはやはり、氏名、生年月日、出身地、最終学歴、採用試験の種類及び区分、職歴などを公表しようと。こういった意味は、私はやはり、政府の説明責任ということで評価をするわけでございます。
そういった内閣にあって、退職公務員については今のように名前は出せない、あるいはもう把握する立場にあらず、歴代大臣もよく言っておりますが、こういったことが果たして許されるんだろうかということなんですね。
私は、各省庁が退職後の公務員の記録を保管しているのではないかというふうに思っておりますが、官房長官、これはないというふうに言明をされるんでしょうか。退職後の公務員のわたりの記録というか、あるいは再就職の記録、これは各省庁は把握をしていない、保管をしていないということでよろしいですか。官房長官からお答えをいただきたいと思います。
〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎国務大臣 委員御指摘の退職後の人事についての記録の問題でございますけれども、それがどういうものを意味しているのかでございますけれども、国家公務員法上、各府省は採用から退職までの職員の人事に関する一切の事項については、人事記録を当然作成して保管するということになっています。問題は、退職後については記録を作成することには目下のところ法的にはなっていないというふうに承知をしているところでございます。
○武正委員 人事院にお聞きしたいんですが、退職後二年、今再就職規制がかかっていますよね、これをどうやってチェックしているんでしょうか。今の官房長官のように、各省、退職後の記録は一切ないと。でも、現法では退職後二年の営利企業への再就職規制がかかっているんですよ。人事院はどうやってこれをチェックしているんですか。各省からの申告だけでやっているんですか。あるいは、チェックできない、例えばさっき監査に行くと言いましたよね、監査に行ったときに、退職後二年の人たちがどういう営利企業へ行っているか行っていないかとか、それを監査しているんじゃないですか。しているとすれば、各省庁がデータを持っているはずでしょう。今官房長官はないと言ったけれども、では、人事院はチェックできないじゃないですか。どうやって監査しているんですか。人事院、お答えください。
○吉田政府参考人 退職公務員が現在どこに就職しているか、二年間につきまして、人事院が仮に監査に行ったときには各省庁がそれを把握しているかどうか、そういう御質問ですが、実際には、各省庁において、そういう職員が二年の間に再就職をしようという場合には、それぞれについて申告をする。申告をするというのは、職員が各省庁に申し出をする。それで、各省庁において必要があれば人事院に承認申請をする。こういう形になっておりますので、そういうものについて、それが適切に行われているかどうかというのを私どもは見ております。
○武正委員 つまり、人事院が各省に監査に行ったときには、各省庁が二年以内の再就職営利企業等については報告することになっているんですよ。あるいは、それを監査できることになっているんですよ。今の官房長官は、退職後の記録はない、把握する立場にないと言ったのと違うじゃないですか。もう一度お答えください。
○塩崎国務大臣 今人事院が答えたように、クーリングオフの場合、これは百三条の二項に当たるわけで、こういった場合に基づいて、営利企業への就職に際して、人事院等の承認を得る必要がある場合などには、事務に必要な範囲で退職後の公務員に係る行政文書を作成し保管することはあるということでございますので、つけ足しておかなければいけないということで、おわび申し上げたいと思います。
○武正委員 つけ足しというか、訂正というふうに理解をいたしましたが。
さて、今回の政府案、退職職員の働きかけ規制というのがあるんですよ。離職後に営利企業などの地位についている退職職員が、一定の国の機関の現職職員に、在職中にみずからが決定した契約または処分であって当該営利企業などが関係するものに関して働きかけを行うことを際限の定めなく規制する、百六条の四の4。
つまり、退職職員が在職中にみずからが決定した契約、処分、これは離職後もその退職職員を縛る、こういう法律であります。ということは、退職職員の管理をこの後も各省か、あるいはいわゆる天下りバンクがきちっとしない限り、この法案の担保ができないんじゃないでしょうか。退職後働きかけしないように、こういう法律をお出しになっておりますが、退職後のことは知らぬ、各省は今二年に限ってはそういう自己申告があれば知る限りであると。でも、これ、退職後も働きかけをしちゃいけないんですよ、現職職員に。ということは、退職後のOBもきちっと把握していなかったらこの法律は担保できないんじゃないんですか。いかがですか、官房長官。
今やりとりしていたんですから。記録がないって言っているんだから。二年間しか記録がない。記録があればできるんですよ。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
林副大臣。
○林副大臣 法律の問題でございますので、今委員が御指摘になった、契約をした場合は永久にといいますか、規制がかかるわけでございまして、これはケースによっては刑罰ということもあるわけでございますので、こういう構成要件を法律に定めておりますから、通常の刑法の手続によってもしそういうことが立証されれば罪になるということでございます。
なお、先ほどから議論のある人事記録については、契約をしたというのは在職中のことでございますので、これは当然ながらその出身で、そこに勤めておられた役所の方には人事記録は残っている。ですから、そういう規制違反の調査なり捜査があった場合は、当然そういうものが証拠としては援用されるようになってくる、こういうふうに考えておるところでございます。
○武正委員 罰則もあると。人事記録が残っていると。でも、五十五歳とか五十八歳で退職して、亡くなられるまでずっとこれは縛りがかかるんですよ。それで、全然ノーケアで人事記録はいじっていない、退職後はあずかり知らずと。そうしたら、連絡もできないじゃないですか、どこに住んでいるかもわからないじゃないですか。これは各省必ず追跡しているはずなんですよ。どこに住んでいるとか、どこに再就職したとか、各省庁に人事記録はあるんですよ。そうじゃなきゃこの法律は成り立たないじゃないですか。
人事記録はあるんでしょう。なかったら追っかけられないじゃないですか。在職中の記録をもとに現職職員に働きかけをしちゃいけないんですよ。その契約とか処分にかかわるものは一生縛るんですよ。
これは、言っておきますけれども、国家公務員法の百条一項で離職後も守秘義務があるという、これに続く二番目の離職後の縛りなんですよ。政府の法案で、離職後の縛りは、国家公務員法の百条一項の離職後の守秘義務に続く二回目の縛りなんですよ。非常に重いんですよ。この法律が担保されなかったら、政府案は欠陥じゃないですか。どうですか。
○林副大臣 先ほども申し上げましたように、これは刑罰でございますので、当然、捜査当局がいろいろな証拠を収集して罪刑法定主義に基づいてやるわけでございますので、委員の今御質問をちょっと聞いておりますと、あたかも、もともとおられた役所の方が何か取り締まりをするような前提でお尋ねになっているようでございますが、例えば殺人罪の場合に捜査当局が入っていって調査するのと同じように、刑罰で、今委員がまさに御指摘になったように重い刑罰でございますので、あらゆる証拠を捜査当局の方で調べられまして、この構成要件に該当する場合はそういう手続に入っていく、こういうような重い規制になっているわけでございます。
○武正委員 全然そんなのは納得できませんね。政府は、事前規制から事後規制ということで、いわば規制緩和をされているわけですよ、天下りあっせんの規制緩和を。一本化するとかいろいろ言っていますけれども。この規制緩和をしておきながら、今みたく、刑罰だからこれは刑事当局だということは通用しませんよ。このルールをつくったのはだれですか。
事前規制から事後規制、三つの条件がありますよ。厳しいルールとしっかりとした第三者機関、チェック機関。政府の案なんか、非常勤五名で甘いですよ。そして、罰則は厳しくと。この三つがなければ事前規制から事後規制のこの制度は担保できないのに、今みたいなことで、各省庁はちゃんと追っかけているはずですよ。追っかけていなかったらこの条文は担保できないですよ。官房長官、どうぞ、ちょっと最後に答弁をお願いします。
○塩崎国務大臣 国家公務員には、例えば守秘義務というのがあります。これは当該役所の記録か何かをもって、あんた、守秘義務違反をやったねと追っかけるわけじゃなくて、捜査当局が取っ捕まえてぱくるわけですよね。それと同じことですから、全然それは違うんですね。
ですから、一々人事の情報を管理しなきゃいけないんじゃなくて、これは捜査当局が、この法律に違反をしたということで刑事罰がかかる犯罪として動く、こういうことでありますから、全くそのことは、今御指摘の点は当たらないというふうに思います。
○武正委員 これだけが捜査当局なんですか、違うでしょう。ほかの条文と全部横並びじゃないですか。では、今まで答弁してきたのは全部捜査当局、捜査当局なんですか。(塩崎国務大臣「刑事罰はそうですよ」と呼ぶ)私は、やはりこれは納得できません。
先ほど、官房長官は二年については認められました。官房長も人事記録があると言っておりますので、私は、やはりこの人事記録に基づいて十六件のわたり、これについては氏名の公表も含めて再調査を改めて申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
本日は、質問の機会を賜りまして、まことにありがとうございます。端的に御答弁をいただければと思います。
まず、政府の天下りバンク案では全く取り締まれない、新しい四つの天下りの問題を申し上げた上で、大臣に見解をお尋ねしたいと思います。
まず、配付資料の九ページでございますけれども、これは新手の天下り破りというか、天下り規制破りの問題でございます。国土交通省のこのAさん、最終官職は四国地方整備局でございました。この方は、株式会社アクアテルス、これは人事院の二年間利害関係企業に天下っちゃいけないというのに係る企業でございますけれども、そこにこの規制の例外として、平成十八年五月一日に天下った。しかし、その日と同じ日に日本道路興運株式会社に出向した、二年の出向契約。こういうようなことでございます。そして、今回、これがばれそうになると急遽出向をやめてもとのアクアテルスに戻った、こういうような案件でございます。
このAさんというのは、事務所副所長も経験して、管理職でもございました。そのときには株式会社アクアテルスとの契約業務にはかかわったことがなかったものの、この同日に出向をした日本道路興運株式会社とは契約業務にかかわったことがあるということで、これはうがった見方をすると、いきなり日本道路興運株式会社に行くというと人事院が認めてくれないから、アクアテルスという会社に行って同日付で出向する、こういうしり抜けのようなことをしているんではないのかと思うんですが、国交省、これは問題ありか、問題ないか、どうですか。
○竹歳政府参考人 お答えします。
事実関係については今調査中でございますが、ほぼ今御指摘のような内容でございます。本件のように、国家公務員法に抵触するのではないかとの疑念を持たれるような事実が生じておりますことはまことに遺憾なことでございまして、今後、調査結果も踏まえながら、再就職に関する法令措置等についてさらなる徹底を図っていきたいと思います。
○長妻委員 これはぜひ、全国交省職員について、同日付で出向するようなしり抜けがないのかどうか徹底調査していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○竹歳政府参考人 このようなケースはこれに限られているのではないかと思いますが、改めてその旨を周知徹底していきたいと思います。(長妻委員「ちょっと待って、調査しますか」と呼ぶ)はい、その中で調査します。(長妻委員「その中ってどういうこと」と呼ぶ)周知徹底をまずしたいと思います、こういうことがありましたので。こういうことがないようにと周知徹底します。その中で、あわせて、ないかどうかを調べます。
○長妻委員 そして、この十ページ目には、日本道路興運株式会社取締役副社長には天下りのOB、そして、株式会社アクアテルスには一人の国交省OBも天下っているということでございまして、この二年の営利企業への規制、これもざるにもかかわらず、今度はこれを撤廃する、ゼロにすると。これは何を考えているのか政府はと、私は思うわけでございます。
次の例に参ります。
今問題になっております緑資源機構、ここに、四ページ目でございますけれども、私、びっくりしました。この緑資源機構は会計検査院の検査対象団体でございます。その検査対象団体に会計検査院のOBが平成十五年十月一日から現在まで天下っておられる。にらみをきかせているんじゃないでしょうか。この件とは別の件で、私はかつて、会計検査院の検査対象に検査院のOBが天下って、そしてその不正をもみ消している可能性があるという内部文書を入手して、国会で質疑をいたしました。これも、今回いろいろ問題が出てきたのは、会計検査院のOBがにらみをきかせて、こういうのを人質型天下りと言うそうです。会計検査院の人質を天下らせておけば手心を加えられるんじゃないか、こういうようなとんでもないことを会計検査院はしている。
しかも、私に対して虚偽の説明をしておりました。五ページ目、昨年の六月六日に「検査対象への再就職状況について」ということで、会計検査院の人事課から私に資料をいただきました。検査対象への天下りリストを出してくださいと。ここに緑資源、抜けているじゃないですか。何で隠すんですか。
こういう裏口型問題天下りというのは、これは人材バンク、いわゆる天下りバンクを通せば会計検査院の検査対象への天下りも今度は大手を振ってできる、こういうことですか、渡辺大臣。
○渡辺国務大臣 新法においては、会計検査院OBも天下り規制の対象になります。当然、会計検査院があっせんを行っていたということになれば懲戒処分になりますし、不正な口ききをやった場合には、これは……(長妻委員「ですから、検査対象に天下ることが人材バンクを通したらできるのかということを聞いているんです」と呼ぶ)ちょっと待ってください。答弁中ですからちょっと待ってください。(長妻委員「質問に答えてくださいよ、時間ないんですから」と呼ぶ)ちゃんと答弁をしているんですから、ちょっと、やじを飛ばさないでください、答弁中でございますから。
この口きき規制も当然、これはかかってくるわけでございます。(発言する者あり)ちょっと、答弁をしているんですから待ってくださいよ。答弁をしているじゃないですか。黙って聞きなさいよ、黙って。
いいですか。会計検査院のあっせんを全面禁止にするわけでありますから、当然これは、一元化後は、あっせん、再就職の支援を求める場合には官民人材交流センターに行くことになります。それで、交流センターのあっせん先については、どこからどこまであっせんができるかということは、有識者懇談会で決めることになります。
○長妻委員 大臣、何考えているんですか。じゃ、検査対象への天下りもできる可能性もあるということですか、天下りバンクを通せば。
○渡辺国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、補助金交付業務をやっている人が補助金対象先に天下るとか、金融検査をやっている人が金融検査をやっている、金融検査対象の金融機関に天下るとか……(長妻委員「委員長、速記をとめてください、時間がもったいない。委員長、質疑妨害だ」と呼ぶ)
○河本委員長 ちょっと待ってください。答弁中です。
○渡辺国務大臣 このケースでいけば……(発言する者あり)ちょっと、答弁中ですから待ってください。
いいですか。会計検査院の職員が検査対象に天下るとか、そういった好ましくないものについては、有識者懇談会できちんと詳細設計をやって、どこからどこまで可能かということを、ルールを決めると申し上げているわけであります。
○長妻委員 しかし、全部先送りじゃないですか、大臣。国会で政治家が明言しなければ、有識者会議なんて官僚の骨抜きになりますよ。何を言っているんだ。
それでは、次に行きます。
次の案件では、創業型天下りというのも今問題になっております。六ページをごらんください。これも新手の天下りでございます。これもまた事例は国土交通省でございますけれども、国土交通省は全国八つの地方出先機関、整備局、そこに対になるように弘済会などの天下り団体がございますけれども、そこに出向者を送り込んでいる、そういう出向企業を集中して調べました。
そうしましたところ、この出向企業のうち、トップ、つまり会長あるいは社長が国交省OBの企業、これが八社ございました。そのうち、会社設立にOBがかかわって、かつ国交省から受注のある企業が四社ございました。その中で最も国交省との受注の随意契約比率の高いのは、北陸建設サービス株式会社というのがございます。これは、設立したのも国交省のOB、現在も社長が国交省OB。
そして、この七ページ目にございますけれども、この北陸建設サービス株式会社といいますのは、平成十七年度には、国交省が発注しているのが五億四千二百万円、そのうち三億四千百万円が随意契約。平成十六年は、国交省発注五億四千百万円のうち三億八千五百万円が随意契約。平成十五年度は、国交省発注五億七千三百万円のうち四億七百万円が随意契約ということで、非常に随意契約の比率が高い。
私は、国土交通省のOB、お役人のOBが手を携えて本当に真っ当なベンチャー企業をつくる、これはもちろん否定しません。これはいいことです、どんどん民間活力ということで。ただし、非常に受注が約束されているような疑いを持たれるような数字なんですよ。こういう随意契約に関しても、今回の政府案では全く取り締まり対象にならない。創業型天下りというのはこれからの天下りの新しいトレンドだそうです、お役人に言わせると。こういう全く監視の目をすり抜けるような新手の天下りがどんどん出ているんですよ。
これは国交省にお尋ねしますが、この北陸建設サービスの随意契約、これは全く問題ないのか、あるのか、御答弁願います。
○竹歳政府参考人 今御指摘の会社の中には昭和三十九年に設立されたものもありまして、その設立経緯等の詳細はわかりません。
それから、今先生が御指摘になりましたように、政府全体ですが、定員が削減される中で仕事がどんどんアウトソーシングされる、そこにビジネスチャンスがあるということで、民間もそこに着目するわけです。ただ、今先生御指摘のように、顔のつながりで随契という形でとる、それを期待して会社をつくるというようなことがあるということは、国民の理解が得られないということになります。
この問題は、いずれにしろ、随意契約を見直すということで、御指摘の会社についてもすべて一般競争にしていますから、そういう競争方式を改革していくということで解決する問題だと思います。
○長妻委員 私は、ことしの二月十四日の予算委員会で、国土交通省所管の関係の天下り団体のOBが株式会社をつくった、しかし、その株式会社設立前に五年間の受注の約束がなされていた文書を示して、国土交通省を追及いたしましたけれども、今申し上げたようなケースもそれに当たる可能性があるということをお認めになったということですか、あるいは調査をされるということですか。
○竹歳政府参考人 先日、先生が委員会で御指摘された件とこれとは、若干ケースが違うのではないかと思います。(長妻委員「どこが」と呼ぶ)先ほど申し上げましたように、もう昭和三十九年からありますから……(長妻委員「平成五年じゃないですか、北陸建設サービス」と呼ぶ)はい。
いずれにしろ、この契約については、政府の随意契約の見直し方針に基づき一般競争になっているということですから、改革は進んでいるんです。(発言する者あり)それは、港湾局のケースと同じかどうかということだと思いますけれども、これは私は違うと思います。
○長妻委員 これはまた時間稼ぎで終わっちゃうんですよ、こういうような答弁をされておられると。
これは全部調査してください。創業型天下り、国交省以外全省庁。渡辺大臣、どうですか。創業型天下り、会社設立前に受注が約束されている、そういう会社がありましたから、全省庁を調査すると、一言お願いします。
○渡辺国務大臣 創業型であろうが人質型であろうが、厳格な刑事罰を伴った行為規制がかかるわけでございます。したがって、この法の精神をきっちりわかってもらう必要がございます。
ですから、これは、それぞれの府省庁において、不適切なことがあるのかないのか、それぞれの判断で調査をするところもあれば、不適切なところはないと判断をするところもあると考えます。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ですから、各省の責任において、調べるべきであるならば、調べることは必要だということでございます。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 私の方から指示をする権限は、残念ながらございません。必要があれば依頼をすることはできます。
○長妻委員 これはだめですわ。渡辺大臣、これはやめてくださいよ。指示をする権限がない。じゃ、総理に進言して、あるいは官房長官に進言して、幾らでもやりようはあるじゃないですか。
次に、土木学会の会費の件を申し上げます。
社団法人土木学会、これは国交省のOBは何人天下っていますか。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
社団法人土木学会の理事、合計三十人おられます。その中に、国家公務員を退職した者は五人おられます。いずれも、国土交通省ないし旧建設省、旧国土庁の御出身でございます。
以上です。
○長妻委員 社団法人土木学会の天下り役人の五人の理事、全員が国交省のOBだと。
そして八ページ。平成十七年度、土木学会への会費支出額というのを調べてみまして、ちょっとこの数字が大きいので驚きました。国土交通省全省で、この土木学会へ会費を一年間に二千四百九十三万八千円も税金で払っている。これは、OBが五人、役所のOB全員天下り、そして、こんな二千五百万円も税金で会費を払っている。
これは全く問題ないのか、あるのか、どちらですか。
○竹歳政府参考人 五人のうち一人が常勤でございます。
なぜこのように多数の費用が支出されているかという御質問でございますが、御案内のとおり、今、総合評価方式とか、やはり国土交通省は発注者として技術力を高める必要がある。この土木学会に入りますと、土木学会雑誌年十二冊、論文集の配付でございますとか、土木学会の講習会、講演会等に会員割引による参加の特典が得られるということで、このような法人としてメンバーになり、そういう雑誌等も購入しているわけです。
ただ、財政の大変厳しいときでもございますので、法人会員の入会方法を含め、さらに工夫ができないか、検討したいと思います。
○長妻委員 問題があるかどうか、ぜひ精査をしていただきたいというふうに思います。
それでは、今度は政府案の具体的な中身について申し上げます。
基本的に、今申し上げた四つの類型は全く政府案ではケアできないということを申し上げた上で、渡辺大臣に申し上げます。
まず、私の素朴な疑問として、一般の方は就職情報誌とかあるいはハローワークで再就職先を探されるわけでありますけれども、何で官僚の方は、就職情報誌とかあるいはハローワークに行って仕事を探す、この際あっせん仲介を全面的にやめて、そういうことを、なぜハローワークに行って探されないんですか、仕事を。
○渡辺国務大臣 これは何度もこの委員会で答弁をしてきたことでございますが、まず、今回の法案においては各省による天下りあっせんを全面的に禁止いたします。したがって、今行われている極めて特権的な天下りあっせんができなくなるということでございます。また、在職中の求職活動についても制限をいたします。罰則もついております。(長妻委員「何でハローワークに」と呼ぶ)ですから、その前段の話を今申し上げているわけです。(長妻委員「何度も聞きましたよ」と呼ぶ)ですから、このような制約の中で、身分保障のある公務員について一切再就職の支援もしないという場合には、定年前にやめる場合でありますが、なかなかやめない、身分保障を盾に役所にしがみつく、こういうことになりかねない、これは我々の目指す行政の減量化の妨げになりかねないということがあるわけでございます。
我々は簡素で効率的な政府を目指しております。スタッフ職のように一方において定年まで勤められる、こういう道もつくるわけでございますが、公務員の定員の純減という目標を掲げているわけでございますから、まさしくそういった行政の減量化を考える場合には、こうした各省あっせんにかわる仕組みが必要だと考えております。
○長妻委員 そうすると、渡辺大臣の今おっしゃられたことというのは、ハローワークよりも人材バンクの方が仕事が見つかりやすい、こういうことでございますか。
○渡辺国務大臣 民間人の場合は、転職するときには同業他社などの関係業界に再就職するのがよくあるケースであります。しかし、公務員の場合には、公務の中立性という観点から、関係業界への求職活動とか転職後の口きき規制、刑事罰を伴った制約がございます。したがって、一定の再就職支援を行う合理性がこの点でもあるわけでございます。
民間企業でも、リストラ解雇などの場合には雇用主として再就職支援を行うことが広くなされているのは御案内のとおりであります。また、高齢者雇用安定法においては、中小企業も含めて、再就職とか定年延長とか、そういった義務づけを課しているわけであります。したがって、政府が今後役所のスリム化のために解雇や勧奨退職を行うという場合には、雇用主の姿勢として一定の再就職支援を行うというのは当然のことでございます。
また、民主党推薦の……(長妻委員「そうしましたら、これ、質疑妨害ですから座ってください。申しわけない、座ってください」と呼ぶ)ちょっと今答弁中ですから。委員長、答弁中……(長妻委員「質疑妨害ですから座ってください。時間がもうあと十二分しかないんですから座ってください」と呼ぶ)答弁中ですよ。(長妻委員「委員長」と呼ぶ)
○河本委員長 長妻君。
○長妻委員 ですから、ハローワークより人材バンクの方が仕事が見つかりやすい、こういう御理解ですか。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ですから、我々は、最初から公務員はハローワークに行けという制度にはしていないんですね。先ほども申し上げたように、行為規制もかけます。(長妻委員「どちらが見つかりやすい」と呼ぶ)ちょっと聞いてくださいよ。結論を言うんだから、それまでの理屈を聞いてくださいよ。
ハローワークにいきなり行けという制度は我々は考えていないんです。なぜならば、求職活動の制限をやっているんですよ。それはなぜ求職活動を制限しているかといったら……(長妻委員「そんなこと聞いていませんよ」と呼ぶ)ちょっと聞いてくださいよ、説明しているんだから。いいですか。(長妻委員「委員長、ちょっと時計をとめてくださいよ」と呼ぶ)いや、ちゃんと説明をしているんだから聞きなさいよ。
求職活動を制限する理由は何か、それは簡単なことですよ。公務の公正さとか中立性とか、そういうことが担保されなければいけないからなんです。
ですから、要するに、再就職を相当制限しながら、民主党案のように全面的に制限しながらハローワークに行きなさいという制度と我々のように官民人材交流センターの比較をした場合には、それは官民人材交流センターの方が再就職先が見つかりやすいのは当然だと考えております。
○長妻委員 例えば、公務員は何か特別な職業だと言われましたけれども、私、地元ではこういうことを言われましたよ、支援者の方から。そうしたらば、自分は流通業に勤めているから、流通業も特別な職業といえば特殊な職業だから、流通業あっせん人材バンクを税金でつくってくれ、スペシャル版をと言われましたよ。運輸業の方にも言われましたよ。運輸業だって特別なんだから、公務員も特別かもしれないけれども、そうしたら自分たちも税金で、もっとハローワークより就職が見つかりやすい運輸業専用あっせん人材バンクをつくってくれと。何で公務員だけつくるんですか。制限があるといっても、ハローワークに行ってきちっと事後チェックするんでしょう。ハローワークに行った公務員を追跡調査して事後チェックすればいいじゃないですか。ハローワークを改革してくださいよ、この際。
私、渡辺大臣の根底に流れているのは官尊民卑の発想だと思いますよ。私の議員会館に官僚の方を呼んでこの天下りバンクの説明を聞いたときに、官僚の方に私、聞いたんです、何でハローワークに行かないんですかと。いや、長妻さん、ハローワークじゃ仕事が見つからないんですと。では見つかるようにしてくださいよ、ハローワークを。厚生労働省の管轄でしょう。厚生労働省の役人もハローワークに行かないでスペシャル版の天下りバンクに行くわけでしょう、自分たちだけが。それはおかしいじゃないですか。いろいろ理屈はあるでしょう、公務員が、守秘義務が、何だこうだ。それ全部、ハローワークでも個々の公務員を追跡調査すれば、かけることができるんですよ。
この際、ハローワーク改革の絶好のチャンスだと私は思います。人材バンクをやめて、天下りバンクをやめれば、ハローワークに公務員がいっぱいお客さんとして来る、それをきっかけにハローワークを、きちっと仕事が見つかるさらにいい場所に変えましょうよ、お互い、与野党を超えて。
○渡辺国務大臣 ハローワーク改革というのは、またこれは別の観点でございます。例えば、大田大臣が所管してやっておられる改革の一つは、ハローワークの市場化テストを行っていこうということでございます。我々が考えております官民交流人材センターは、確かにハローワークの再就職支援のような機能も持っておりますので、これは、こうしたノウハウについては大いに取り入れていきたいと考えております。
この官民交流人材センターというのは、中立的な機関なんです。厚生労働省の所管のハローワークとは違うんです、その点において。ですから、内閣のもとに置く官民交流人材センターというのは、内閣府からも独立をした存在として設計をするわけでございます。
一方、厚生労働省の天下り問題というのも先ほど来あるわけですね。ですから、我々は、まさにそういったところから超越をした、中立的な機関をつくる、そういうことを考えているんですよ。ですから、まさに……(発言する者あり)ばかになんかしていませんよ。だから、ハローワークのノウハウを取り入れると言っているじゃありませんか。(発言する者あり)冗談じゃないですよ。
○河本委員長 質疑、答弁中です。静粛に願います。
○渡辺国務大臣 ハローワークのノウハウを、例えばキャリアコンサルティングとか、そういったノウハウは大いに取り入れて再就職支援をやっていくということを申し上げているわけでございます。
○長妻委員 ハローワークは中立的じゃないと。では、民間の方は中立的じゃないハローワークで……(渡辺国務大臣「労働省の所管だと言っただけです」と呼ぶ)何で民間の方はハローワーク、そして官僚の方は、ハローワークはいろいろな理屈がありますけれども、説得力ある理屈はありませんよ。ハローワークでいいじゃないですか。私はハローワークに聞きました。そうしましたら、公務員のOBの方も利用もありますと言っていましたよ、ハローワークの方は。ハローワークを利用できるんですよ、公務員も。
そして、もう一つ、私は完全に官尊民卑だと思います、大臣の発想の根底にあるのは。ハローワークをよくしてください。そんな天下りバンクのようなことに税金を使う金があったら、ハローワークにその金を注ぎ込んでくださいよ。民間の方は見捨てるんですか。とんでもない話だ。
そして、一ページ目をごらんいただきますと、これをつくっていただきました。(発言する者あり)
○河本委員長 来ておらぬ。
質問を続けてください。
○長妻委員 あなたはだれですか。平井さん。時間は来ていないですよ。何を言っているんですか。隣から時間が来たという誤解を与えるようなやじは、平井さん、やめてください。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こしてください。
長妻君。
○長妻委員 これは一ページ目に、お役所につくっていただいた再就職のあっせんに関する調査結果、平成十六年から十八年までの三年間、あっせんした方々は千九百六十八人、そのうち、企業、団体等からの要請によるものは千九百六十八人、全員、役所側からの要請はゼロ人だ、こういうふうに言っております。
そして、三ページ目、これは人材バンクの閣議決定でございますけれども、ここに書いてございますのは、人材バンクは「積極的な求人開拓営業」をする。「営業」という言葉で閣議決定の文書に書いてある。ちょっと私はびっくりいたしました。
つまり、今現在でさえ、役所側からの要請による天下りあっせんはゼロ人、公式文書ですよ。にもかかわらず、今度は、天下りを晴れて公認業務とすると同時に、天下りバンクから積極的な求人開拓営業ということで働きかけていく、天下りを受け入れてくださいと。こういうことをするというのはとんでもない話だと思います。
つまり、これは、渡辺大臣、私は国が……(発言する者あり)いや、木村さん、聞いてください。国が、天下りを受け入れてくれませんか、そういう求人開拓営業をしたときに、本当に企業やあるいは財団法人、社団法人は断り切れるのかということも大きな論点なんですよ。国から言われて、天下りはどうですか、受け入れませんか、そういうふうに言われたときに、きちっと断れるのかどうか。押しつけ天下りも公然と認めるということじゃないですか。渡辺大臣、これは一般常識の感覚の話です。
つまり、国から財団法人とか社団法人が補助金をもらっているところもありましょう、国から仕事を受けている企業もありましょう。そういうところが国から、天下りを受け入れてくれませんか、こういうふうに頼まれたら、きちっとした考えですっきり断り切れる、そういうふうに思われているんですか。
○渡辺国務大臣 要するに、我々は今行われている天下りを根絶しようと思っているんですよ。(発言する者あり)いいですか、聞いてくださいよ。
今行われている天下りの実態は御存じでしょう。要するに、予算と権限を背景に、押しつけ的に人事の一環としてはめ込んでいるんですよ、今の天下りというのは。ですから、そういうことを全部やめさせるんですよ。やめさせた上で、では、公務員は一切就職するなと……(発言する者あり)そんなことは民主党も言っていないんだったら、いいですか、再就職の支援はきちっとやったらいいじゃありませんか。
だから、ハローワークのノウハウも活用しながら、それぞれの職員の再就職の支援をやる。能力と実績に応じて正当に評価されて再就職ができれば、それは天下りとは全然違うことになるじゃありませんか。だから、我々は、そういう正しい再就職を目指して、この人材センターを仕組んでいるんですよ。
○長妻委員 正しい天下りというのがあるとは私は思えませんけれども、これは与党の方にもちょっと本当にお伺いしたいところなんです、委員会の皆さんに。
つまり、例えば補助金を受けている財団法人がありますよね。あるいは、企業でも、国から仕事をもらっている企業がありますよね。そういうところに対して天下りバンクが、ちょっとおたくにうちの職員、こういう優秀なのがいるから受け入れてくれませんか、こういうふうにお願いしたときに、本当に断り切れるのかどうかという常識感覚を聞いているんです。どうですか。(発言する者あり)させないというのは、させないというか、頼むと書いてあるじゃないですか、閣議決定に。求人開拓営業と書いてあるじゃないですか。求人開拓営業、こっちから売り込むというのを書いてあるじゃないですか。ですから、断り切れると与党の皆さんは本当に思っているんですか。(発言する者あり)当たり前だと今言われましたけれども、そういう国という権限があるところから頼まれたらどういう気持ちになるか、その気持ちが本当におわかりになっているのかどうか、私はずれているというふうに思わざるを得ません。
そして、時間も迫ってまいりましたので、最後の質問にならざるを得ませんけれども、押しつけ的なあっせんの定義を出してくださいと申し上げましたら、二ページ目に、定義を行革事務局からいただきました。定義がここに書いてあります。
それで、安倍総理、あるいは渡辺大臣もよく覚えておられると思いますけれども、押しつけ的なあっせんは過去何件あったんですかと、かつて私は何度も、再三再四、安倍総理、渡辺大臣に聞いておりまして、これは当然調査をしますと総理も予算委員会で答弁をされておられる、渡辺大臣も答弁をされておられる。
そうしましたら、もう法案審議の終盤だと聞いておりますけれども、では、押しつけ的なあっせんは今まで何件あったのか、この件数と中身の概要をここでぜひ教えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○渡辺国務大臣 平成十六年から平成十八年までの三年間に、各府省において職員の再就職につきあっせんを行ったことが確認されたものの人数は千九百六十八人となっております。
○長妻委員 そうしますと、押しつけ的なあっせんというのはこれまで千九百六十八人あった、こういうことで確認をしてよろしいんですね。
○渡辺国務大臣 これは平成十九年四月六日に総務省から公表をされたものでございます。
押しつけ的あっせんというのは、先ほどもお話がありましたように、予算や権限を背景として押しつけ的に行うあっせんでありますが、国民の目から見て押しつけ的なものも含まれていると考えております。
各府省が行うあっせんは、国民の目から見れば予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんであると受けとめられかねない代物でございますから、今回はそれを全面的に禁止をするというのが我々の発想でございます。そういう発想に基づいてこの総務省の調査を行ったところ、三年間で千九百六十八名ということが確認されたということでございます。
○長妻委員 非常に何かちょっと誤解を与えるような答弁ですね。
私、事務局の方に聞きましたら、千九百六十八人というのは押しつけ的なあっせんの人数ではありませんというふうに明言されておられましたよ、議員会館にお呼びした担当者は。
そうすると、大臣、今何か修飾語をいろいろつけて不明確でありましたが、もう一回確認します。二ページ目の資料。千九百六十八人が押しつけ的なあっせんの人数、こういうことでよろしいんですね。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、押しつけ的なあっせんというのは、国民の目から見れば予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんであると受けとめられかねないものも含むと答えているじゃありませんか。
ですから、そういう発想に基づいて総務省に調査をお願いしたところ、平成十六年から十八年の三年間の間に、各府省において職員の再就職につきあっせんを行ったことが確認されたものの人数は千九百六十八名確認されたと。何度答えさせるんですか。
○河本委員長 長妻君、申し合わせの時間はとうに過ぎております。簡潔にお願いします。
○長妻委員 ちょっと待ってください、大臣。ごまかしはやめてください、ごまかしは。
押しつけ的あっせんという言葉を初めに出したのは政府ですよ。政府が定義を決めて、ここに定義が書いてあるじゃないですか。ですから、押しつけ的あっせん、この人数が千九百六十八人、こういうことでいいんですかと聞いているんです。違うんなら違う、いいならいいと言ってください。あなたこそごまかしているじゃないですか。大変重要なことです、これは。
○渡辺国務大臣 ですから、先ほど来申し上げているように、国民の目から見れば押しつけのように見えるあっせんもあるんですよ。ですから、そういうものは各省が人事の一環としてやっているからそういうぐあいに見えちゃうんです。
ですから、各府省において職員の再就職につきあっせんを行ったことが確認されたものの人数は三年間で千九百六十八名だと答えているじゃありませんか。(長妻委員「違いますよ。速記をとめてください、委員長」と呼ぶ)
○河本委員長 速記をとめるも何もないんだ、もうとうに過ぎたから。(発言する者あり)
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ですから、先ほど来申し上げておりますように、国民の目から見て押しつけのように見えてしまうのはなぜか。それは、各省が人事の延長線で、予算、権限を背景にあっせんをやっているからなんですよ。ですから、そういうものが確認されたものが三年間で千九百六十八人だと言っているじゃありませんか。(発言する者あり)いや、質問にちゃんと答えているじゃないですか。(発言する者あり)
○河本委員長 渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ですから、先ほども申し上げていますように、国民の目から見れば……(発言する者あり)いや、ちょっと黙って聞いてくださいよ。国民の目から見れば押しつけのように見えてしまうものがある、それは各省が人事の一環として行っているものである。ですから、そういうものは確認されたものが三年間で千九百六十八人あると正確に答えているじゃないですか。
何度も御答弁申し上げますように、国民の目から見て押しつけ的なものも含まれるのが押しつけ的あっせんなんですよ。いいですか。ですから、各府省等が行うあっせんは、国民の目から見れば予算、権限を背景とした押しつけ的あっせんであると受けとめられかねないから、全面禁止をするんです。そういう方向性で総務省に調査をやってもらったところ、三年間で千九百六十八名確認されたと何度も答えているじゃありませんか。(発言する者あり)
○河本委員長 申し合わせの時間は終了いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十四分休憩
――――◇―――――
午後零時七分開議
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 繰り返し答弁申し上げますが、私としては、いわゆる押しつけ的あっせんの件数は、確認された限りで千九百六十八人と受けとめております。
○河本委員長 長妻君。(発言する者あり)
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 私は、行政改革、公務員制度改革の担当大臣でございます。私としては、いわゆる押しつけ的あっせんの件数は、確認された限りで千九百六十八人、三年間でございますが、と受けとめております。
○河本委員長 質疑を続行いたします。
○長妻委員 ちょっと待ってください。
質問じゃありませんけれども、最後の締めくくりの言葉であります。
今、千九百六十八人というふうに言われました。大臣として、政府見解だと思いますけれども、押しつけ的あっせんの人数でございます。
今回の法律の政府案の根幹は押しつけ的あっせんの根絶ということでありますので、我々としては、これからもこの千九百六十八人のようなパターンがあれば、根絶されていない、天下りバンクを通したとしても、これらのようなパターンがあればこれは根絶されていないというふうに、厳しく監視をしていきたいと思います。
以上です。
○河本委員長 次に、赤澤亮正君。
○赤澤委員 自由民主党の赤澤亮正でございます。
きょうは、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。時間が短縮されましたので、通告をしていた予定の問いを若干省略させていただきまして、民主党の提出者にもちょっと御迷惑をおかけするかもしれませんが、御了解をいただきたいと思います。
私自身は、きょう質疑を伺っておりまして、この公務員制度改革について議論が、天下りあるいは再就職規制中心といいますか、ほぼもうそれのみに集中していることを若干残念に思うものでございます。
過去、私は参考人質疑に一度立たせていただきましたし、それ以外にも質疑に立たせていただきました。その参考人質疑、参考人の方のお話などからも明らかになったと思うのは、公務員制度改革については、ポイントは、決していわゆる天下りあるいは再就職規制だけではないということでございます。
当然のことながら、この改革で国民の皆様の声や求めにこたえていく必要がある。その中の大きな一つは、私としては、失われた十年間、民間の皆様は大変な努力、血のにじむような努力で、自分たちの会社の社員やあるいは会社、家族といったものを守ってこられた。その十年間に、では公務員はどれだけの生産性の向上あるいは効率といったものを実現してきたのか。そういった点、やはり公務の世界というのはまだまだぬるま湯じゃないか、もっと生産性を上げろ、もっと効率を上げろ、こういう声が国民の間に根強くある。今回の公務員制度改革はそういったものにもきちっとこたえていく必要があるのではないか。繰り返しになりますけれども、本日の議論が決して天下りの問題だけで終わるべきではないと私は思うところでございます。
したがいまして、私の言葉に直せば、今回の公務員制度改革の大きなポイントは二つということでありまして、能力・実績主義を貫徹できるのか、それによって生産性向上あるいは公務の効率といったものを国民の求めに応じて実現していけるのか、この点が非常に大きい。それとあわせて、再就職規制の実効性の有無といったものも問題になってくるというふうに思うところであります。
私は、民主党案について私の評価を申し上げれば、やはり天下りの方に中心的な問題意識というのがあって、能力・実績主義の貫徹が十分でない。そしてまた、今から申し上げる退職勧奨の問題、これを全部禁止するということで、年功序列を温存して、結果的には、天下り禁止の名のもとに、効果としては今いる役人がやめさせられないような仕組みになってしまうんではないかということを危惧するものであります。
今役所における人事の最大の問題は、これは共通認識があると思いますけれども、能力・実績主義を除けば年功序列人事ではなかろうかというふうに思います。そして、それとあわせて、世の中には二種類の退職勧奨が存在しているのではないかと思うところであります。一つは、根絶すべき天下りにつながるいわば悪い退職勧奨であります。そしてもう一つは、簡素で効率的な政府の実現につながる、ある意味でリストラ的な色彩を持ったよい退職勧奨といったものがあるのではないかと私は思います。
その点で、民主党案の方は、これは天下りをなくすために退職勧奨をすべてやめさせるという案でありますので、公務の生産性向上を求める国民の声に十分こたえられないのではないかと私は思うところであります。
政府案は、根絶すべき天下りにつながる悪い退職勧奨をなくし、かつ簡素で効率的な政府の実現につながるよい退職勧奨を最大限有効に活用することで、天下りの弊害の除去と公務の生産性向上の両立を目指すものであると考えますけれども、政府の見解はいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 赤澤委員御指摘のとおりだと思います。
我々も、今回の制度改革は能力・実績主義を導入することが第一の視点であります。現職の時代も能力・実績主義での人事が行われ、再就職する際も能力・実績主義によって正当な評価を受け再就職をしていく、そういう方向性を持った改革でございます。このような改革によって、委員御指摘のような簡素で効率的な政府が実現でき、なおかつ公務の生産性が向上するという点は、まさにそのとおりでございます。
一方において、人間も、減量せずに努力を怠っていますとメタボリックシンドロームに陥るようなことがございます。やはり公務の世界においてもきちんと減量化に努めていくということが大事であり、その点においてリストラ型の勧奨退職というものまで否定されるものではないと考えております。
○赤澤委員 問題はやはり年功序列人事ということで、これは共通認識だと思うんですが、それが岩盤のようにあるというのが大臣の繰り返しおっしゃっていることであります。そして、それがあるからこそ、天下りの肩たたきといいますか、私の言葉で言う悪い退職勧奨が生じて、さらに人事の一環として押しつけ的なあっせんが生じてくるということだろうと思います。
しかしながら、私は、よい退職勧奨、簡素で効率的な政府につながるような退職勧奨、これをやめてしまおうとした場合には、役所はリストラ的な取り組みができずに、ある意味で高齢者が多い組織になっていく。新人の採用を控えたりして、そういうことを実現していけばそうなるわけでありますし、そういう意味で、能力・実績主義の貫徹といったことは非常に重要なのかなと思います。
民主党の能力・実績主義についても、これはいろいろと主張はされていることは私も承知をしております。しかしながら、前回の国会に提出され否決された行政改革の基本的な法律、この能力・実績主義に関する規定を今回附則に移されただけというふうに私には見受けられるところであります。また、この能力・実績主義については、まだそんなに検討が進んでいないのではないかというのが実感であります。
内容も、附則の中で、能力・実績主義を可能とする人事制度の導入ということに触れられておりますけれども、今でも能力・実績主義は、要は可能なんですね。今でも可能なのに完璧なまでの年功序列が存在しているところが問題なのであって、この民主党の附則の文言では、全く、そういう意味で禅問答といいますか、今から何がよくなるのかというのは明らかではない。本当にこれからだ、先送りだという感じがするところであります。そういう意味では、かけ声といったことになってしまうんではないかと私は評価をしております。下手すると年功序列を維持して役人天国になってしまうんではないか、そのおそれが残っていると言われても仕方がないのではなかろうかと思うところであります。
そこで、政府にまたお伺いをいたしますけれども、簡素で効率的な政府の実現につながるよい退職勧奨もなくすとともに、能力・実績主義についてもこれから検討するという民主党案と比べて、政府の案ではどのように取り組んでいかれるのか、その点についての見解をお伺いいたします。
○渡辺国務大臣 政府の提案は首尾一貫しております。能力・実績主義を導入することによって年功序列を打破する、その年功序列の延長線で行われている勧奨退職が自然消滅をする、いずれ従来型の早期勧奨退職慣行はなくなるわけであります。
一方において、定員や人件費の制約のもとでリストラも進めていかなければなりません。早期勧奨退職を全面的に廃止してしまいますと、本来勧奨により退職すべき職員が引き続き公務にとどまっていくということになるわけでございます。したがって、能力・実績主義が非常に不明確な案においては年功序列が打破されるかどうかもわからないという難点があるわけでございます。
我々は総人件費改革に基づいて定員の縮減等の作業を行っておるわけでございますから、民主党の案が、残念ながら、そういう具体的な人件費削減の取り組み等が非常に不明確であるということは申し上げておきたいと思います。
○赤澤委員 我が国の競争力を強化していくためには、過去、失われた十年、非常に民間はスリム化をして競争力をつけてきた、これはもう衆目の一致するところでありまして、公務の世界の競争力を強化するということが非常に必要とされている状態であります。いろいろな意味で、優秀な人間に役所に入ってきてもらうといったことが重要になってくるのかなと思うわけでございます。
そういった観点から官民交流について申し上げれば、民主党案が実現した場合、確かに役人の再就職は極めて少なくなって、結果的に天下りも少なくなるだろう、その点は認めるところでありますけれども、官と民の垣根が今よりも高くなるわけでありまして、官の世界が民の常識からさらにかけ離れてタコつぼ化するといった危険が大きいように思います。
官民交流は公務の生産性向上のために決定的に重要なツールであるというふうに思うところでありますけれども、民主党案のように官民交流促進のための具体的な手だてなしでは、優秀な人材を民間から募ることも、公務員が民間でさまざまな知見を得ることもままならないと考えますけれども、この点についての政府の見解を伺います。
○渡辺国務大臣 まさにグローバル化の中で、時代の変化に迅速にかつ的確に対応した効率的な行政を進めていくことが必要であります。そのために、我々は、官民人材の交流を進める大方針を打ち出しているわけでございます。
この人材交流が、民主党案のように垣根が非常に高くなって阻害されるということになれば、委員御指摘のように、優秀な人材も、公のために尽くしたい、こういう人が入ってきにくくなるのはそのとおりだと我々も考えます。やはり、官民交流を促進し、同時に官民癒着の防止措置を講ずることが大事であろうと考えます。
○赤澤委員 それでは、一つ、民主党の能力・実績主義あるいは公務の生産性の向上といったことに試金石になる部分というのは、民主党がマニフェストなどで発表されている公務員の人件費を三年で二割削減というところであると思いますけれども、私は、これはなかなか現実的ではあり得ないと思っているところですが、この点についてはどのように具体的に実現するのか、お答えいただきたいと思います。
○馬淵議員 まず、赤澤委員、いろいろと私どもの対案に対して御意見おありのようですが、冒頭におっしゃった、いい肩たたき、いい退職勧奨と悪い退職勧奨がある、そもそもそんなものはないんですね。
いい退職勧奨、悪い退職勧奨、我々が言っているのは、肩たたきによって組織が停滞、沈滞化するというのは、これはマネジメントの放棄なんですよ。今日までそのような状況を放置してきた政府の責任は全く問わずに、いい肩たたき、悪い肩たたきがある、そもそもそうした議論をおっしゃっていることが私はおかしいと思うわけであります。
特に、政府は、今までの中でも、この肩たたきが非常に問題だというのは何度も何度もおっしゃっているんですね。私も答弁で前にも答えさせていただきましたが、公明党神崎武法代表の代表質問、平成十五年の二月三日の質問に対しては、当時の小泉総理がこれをはっきりと、「原因の一つと指摘されている早期退職慣行については、昨年末に、政府として是正の基本方針を取りまとめたところであります。」と、基本的にこれは是正しなければならないという視点に立っておられるわけであります。また、こうした中で、我々も、直嶋委員が参議院の決算委員会で質問をした場面でも、これも答弁としては、この肩たたき、早期退職勧奨、これはもっとおくらせたらどうか、これは小泉総理がおっしゃっておられます。「早期退職慣行制度をどのように定年近くまで、あるいは定年まで働いてもらうようにするかという点も含めてよく協議すべき問題だと考えております。」と、これは内閣総理大臣がおっしゃっているんですね。
内閣総理大臣がこういう御答弁をされて、そして、安倍総理になって、改革の継承だと言われながらも、今度は全く、いい肩たたき、悪い肩たたきがあると。そもそもその継承である政府の方針が大きく変わったとこれは言わざるを得ないわけであります。
こうした状況の中で、我々は、肩たたきは全面禁止で、そして組織の活性化、まさにマネジメントの力である、こう申し上げてまいりましたし、また、この三年二割のお話、今ございましたが、そもそも政府は、現時点において、その人員を削減するというのは、これは非公務員化する形で、今回の年金機構法案でもそうですが、人員を削るということを前提にされている。我々は人件費そのものを申し上げているわけであります。
この委員会の中でも繰り返しお話をしておりますが、きちっとその業務の分析を行って、そして事務事業を全国レベルで我々はこれを見直すんだ、その上で、人件費、この部分について明確に、三年二割という目標を達成させるための努力を図る、このように申し上げているわけでありまして、御指摘の部分は全く当たらない。肩たたきの禁止が組織の停滞化を招く、あるいは我々が申し上げているこうした人件費の削減に全く具体性がないという御指摘については、私はむしろ政府の方が、定数の部分でおっしゃっている部分、これがむしろごまかしにつながっている、このように感じております。
○赤澤委員 さすが馬淵先生、非常にベテランの国会議員でありまして、うまく、三年で二割削減する具体的方法を教えてくれと聞いたところ、お答えになりませんでした。そういうところが問題だろうと私は思うわけであります。
退職勧奨について申し上げさせていただけば、全国労働組合総連合の小田川参考人、これは野党推薦で来られた方でありますけれども、彼も、退職勧奨は公務員制度上の問題ではなく、組織の新陳代謝、活性化を図るための運用の問題であって、退職勧奨を公務員法で禁止することは疑問であるとはっきりおっしゃっている点もあわせて申し述べておきたいと思います。
それから、ちょっと時間の関係で次に移らせていただきたいと思います。
先ほどハローワークの議論があったわけでありますけれども、民間でも、転職のほとんどは、みずからの経験を生かして関係する業界に転職するのが一般的なわけであります。それを念頭に置いてハローワークに行っているわけですけれども、これは、民主党案によれば、再就職については、一定期間関係業界への再就職を原則禁止ということで非常に厳しい制約を課して、なおかつ、政府としての再就職支援を全く行わずハローワークに行けばいいというのは、やはり非現実的だと私は思います。
現在のハローワークでは不十分という認識は共有されていると思うし、さらに言えば、厚労省OBの再就職を厚労省所管のハローワークが続けることが、今後ともそれでいいのかという問題もあるように思います。各省から切り離された官民人材交流センターという仕組み、これはもう十分に合理性があると私は思うところでありますけれども、そしてこの点は民主党推薦の北沢栄参考人も指摘したところだと思います。この点について政府のお考えを伺います。
○渡辺国務大臣 委員御指摘のとおりだと考えます。
今回の法案では、厳しい行為規制を事前から事後にわたってかけております。求職活動も制限をいたしますし、OBになった後の口きき規制もかけるわけでございます。各省のあっせんを全面禁止するかわりに、能力と実績が正当に評価されて再就職が行われる、その支援を行うことは合理的であると考えます。
この点については、参考人質疑においてジャーナリストの北沢栄氏も、内閣のもとではありませんが、あっせんを行わせるという点において我々と同じ発想をお持ちでございます。やはり民間においては、高齢者雇用安定法によって、中小企業も含めて、再就職やあるいは定年延長の努力義務が課されているわけでありますから、この法律が国家公務員には適用がないといっても、その法の精神は政府においても受けとめていくべきであろうと考えます。
したがって、そういう観点からも、官民交流人材センターは必要であるというのが我々の考えであります。
○赤澤委員 最後になりますけれども、私は、年金記録の社会保険庁の問題も、やはり公務の生産性向上、効率の問題といったようなものが横たわっている、これはもう全省庁で手をつけなければならない、一刻の猶予もない、そういう解決しなければならない問題だと思います。公務員制度改革は、ぜひ今国会で社会保険庁改革とあわせて実現を図るべきだというふうに私は思いますけれども、その辺について大臣の御見解、御決意を伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 公務員制度改革と社保庁改革は、まさしく、能力・実績主義の観点に立って業務の生産性向上を図る点において共通のものがございます。私が安倍総理から指示を受けた使命、すなわち、後世代にツケ回しをしないよう徹底した合理化と効率化を図っていくという点においても、この二つの改革は共通するものでございます。
今回、この法案が成立いたしませんと、延々と今の天下り天国が続いていってしまうということになるわけでございますから、ぜひともこの法案を今国会において成立させていただきたいと強く訴えるものであります。
○赤澤委員 終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
能力・実績主義のお話とかいろいろありますが、何といっても、公務労働というものは、これは全体の奉仕者としての役割を果たさなきゃいけない、企業利益や採算第一ではやっていけない分野を受け持っているわけでありますし、そして、中立公正という立場をどう貫いていくかということが大事なところでありますが、私は、きょうは天下り問題について質問をしていきたいと思います。
それで、最初、人事院の方に伺っておきますが、現行法による本省局長以上の再就職について、例えば、国交省の局長が退職後ゼネコンに再就職するという申請が来た場合、これを承認できるのかどうか。もう一つの例としては、金融庁の局長が銀行や証券会社に再就職するという申請が来た場合、これは承認できるのかどうか。現行法上の問題として、まず人事院に伺います。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
国家公務員法百三条は、職員は、人事院の承認を得た場合を除き、離職後二年間は、その離職前五年間に在職していた国の機関等と密接な関係にある営利企業へ就職してはならない旨規定しております。したがって、職員が密接な関係にある営利企業へ就職しようとする場合には、人事院の承認が必要になるということでございます。
今先生御指摘の二例でございますが、具体的なケースについて今ここで確たることは申し上げられませんが、一般的に言いますと、各省庁とそういうゼネコンであるとか金融機関であるとかが、非常に密接な、特定の行政権限を挟むような関係であれば、局長以上については、自分の局がそれを所管していなくても該当するという運用をしております。
○吉井委員 ですから、現行法上は、再就職の申請が今のような例の場合はできない、承認しないということは明白です。
渡辺大臣に伺いますが、同じように、この点で、法十八条の七で設置する官民人材交流センターに、国交省の局長がゼネコンに行きたいと言ってきた場合、あるいは金融庁の局長が銀行や証券会社に行きたいと申請してくる場合、この場合、法案の上では再就職の申請を認めるということになると思うんですが、この点はどうですか。
○渡辺国務大臣 この点は、何度も申し上げておりますように、好ましからざるあっせん先というものについて、法の精神を踏まえて、官民人材交流センターのルールにおいてその範囲が決められていくことになるわけでございます。
○吉井委員 省庁の押しつけ的あっせんじゃないわけですから、センターの方に本人からそういう要望が出されてくる、このときは、マッチングすれば翌日からでも再就職は可能ということになると思うんです。法文上、何か再就職の申請をこういう場合は認めないというふうな規定はないと思うんですが、これは大臣に確認しておきたいと思うんです。
○渡辺国務大臣 法文上の規定はございませんが、法の精神はございますので、我々は、その精神にのっとってこれからの詳細な制度設計を行っていく必要があろうかと考えます。
○吉井委員 法治国家ですから、気持ちだ、精神だ、理念だということだけで動くわけじゃないですね。やはり、法文上きちっと書いてあることに基づいて公務員の方は仕事をしているわけですね。
それで、具体的な事例で聞きたいと思うんですが、四月に、インフルエンザ治療薬タミフルをめぐって、厚労省の対応が後手に回ったという事件がありました。タミフルの異常行動を調査する研究者に中外製薬から寄附が出ていたこととか、元厚労省の新薬の承認申請を担当してきた審査管理課長が、タミフルの輸入販売元の中外製薬の役員に天下っていたことなどから、これは政官業の癒着ということが大きな問題になり、批判が生まれたところです。
中外製薬に天下った安倍氏は、厚労省を退職後、二年間公益法人を迂回して中外製薬に天下ったわけですが、政府案は二年間の迂回も要らないんですね。退職したその日からでも、本人が希望し、うまくマッチングすれば、いきなり製薬会社にも天下ることができる。今度の法案というのはこういうことを可能にしていると思うんですが、つまり、こういうことをどんどん進めますよ、そういう性格を持った法案ではありませんか。
○林副大臣 大臣から御答弁がありましたように、条文上、そういう申請を今の現行の人事院の規制のように却下するということにはしてございませんが、一方で、まさに大臣から御答弁があったような検討を今後詳細なルールとしていくことに加えまして、働きかけ規制の導入、監視体制の構築というのを法案でうたっております。
また、それに加えて行革全般として、既に着手をしておりますが、随意契約の見直し、また公共調達の適正化、さらには民法三十四条に規定いたしております公益法人制度改革全体の推進、こういうものを総合的にやっていくことによりまして、先ほど来御議論がありますように、優秀な人材を官で死蔵することなく外で活用していきたい。
しかし、その方が働きかけをする、今委員が御指摘になったようなことをすることによって、官の公正性、中立性、こういうものが失われていく、このことがあってはならない。これを保護法益にして今回の行為規制体系を構築させていただいた、こういうことでございます。
○吉井委員 渡辺大臣にまた伺っておきますけれども、現行国公法の百三条で、これは、離職後二年間は営利企業への就職規制と人事院の承認が必要となっていますね。しかし今度は、この百三条を削除、廃止して、再就職の申請を認めるわけですね。再就職監視のお話もあったんですけれども、さっき挙げたような、国交省なりあるいは金融庁の幹部が再就職していく、そういう場合に、再就職を認めないということは法律では、再就職監視委員会だとか再就職監視といっても、それは書いていないんですね。
国公法百三条にある規制を取り払う、削除する、そうすると、天下りは厳しくなるんだとか根絶だとかいろいろ言ってきはったわけだけれども、これはそうはならないということがはっきりしてくるんじゃないですか。
○渡辺国務大臣 官民人材交流センターにあっせん機能が一元化されるまでの間は、国公法百三条のクーリングオフ規制は残るわけでございます。その間も、既に行為規制は一元化前からスタートするわけでございまして、こちらの行為規制は大変に厳しい刑事罰を伴った中身となっておりますのは御案内のとおりでございます。今のクーリングオフ規制よりはるかに厳しいものになるわけでありますから、こういう措置によって官民癒着の防止は図られるものと考えます。
○吉井委員 一元化の前も、どうなっているかは、先ほど長妻さんの議論の中でもあったように、押しつけ的あっせんが千九百六十八人とか、これまでの実績はそうで、一元化すれば再就職は即可能というものになるわけです。
ですから、そこが問題なんですが、人事院に改めて伺っておきますが、わかりやすくするためにあえて単純な聞き方をしてきたわけですが、大臣はいろいろ言うてはるわけやけれども、こうした事例の場合、押しつけであろうとなかろうと、現行法では、退職後すぐには天下れないわけですよ。
なぜ天下れないかといったら、それは、局長以上は、府省庁と就職先企業との関係において、営業許可とか免許、その取り消しなどの許認可権がある場合には、天下る本人が職務上の権限を直接持っていようが持っていまいが天下れない、こういうことになっているのがこれまでの決まりだと思うんですが、人事院の方に改めて伺っておきます。
○吉田政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、本省の局長級以上の者については、所管の特定行政権限以外の他局の所管部分についてもそういう規制が及ぶという基準を持っております。
○吉井委員 それで、政府案は、天下り規制自体を撤廃するというところに一つあるんですね。ここは最大の問題だと思うんです。
天下り自由化法案と言われるのはそこにあるわけですが、離職後二年間の行為規制をさっきも大臣は強調したわけですけれども、天下りの事前承認を撤廃したかわりにはこれはならないんですよ。離職後の二年間の行為規制を幾ら言ってみても、事前承認制を撤廃するというそのかわりにはならないということをまずはっきりさせておかなきゃいかぬと思うんです。
例えば、天下りと不可分の関係にある官製談合の実態はどうなっているかという点で、これは防衛施設庁の問題にしても、橋梁談合にしても、緑資源機構にしても、要するに、天下りの受け入れ人数に応じた受注額というのが官製談合の特徴なんです。こうしたやり方というのは、天下った個人が個々に働きかけてできるような話じゃないんですよ。これは組織ぐるみでやらないとできないんです。緑資源機構の談合では、監督官庁のキャリア官僚に危ない仕事をさせないという暗黙のルールがあったとも言われておりますが、生え抜きの幹部が汚れ役になるという構図なんですね。
こうした官製談合に個人の働きかけ禁止という行為規制を幾らかけてみても、大臣、効果というものは生まれてこないんじゃないですか。
○渡辺国務大臣 官製談合の防止のためには、まさに入札制度の改革や予算面での改革、すなわち委託費、交付金、補助金等々の面からの改革を同時に進めていく必要がございます。
一方において、天下り問題が官製談合と全く無関係ではないわけでありますから、まさしく我々が目指すものは、天下りという人の問題と、入札制度や委託費、交付金、補助金といったお金の面、両面からの改革を進めていくことが必要だと考えます。
○吉井委員 要するに、今も言いましたように、天下りの受け入れ人数と受注額、これはかかわりがあるんですね。だから、天下りをした個々の人の行為規制だ何だということを幾ら言ってみたって、官製談合というのはなくなってこないんです。だから、個々人の行為規制の条文を幾ら設けてみたって、そのことによってはこれは解決しないというのが根本問題の一つだと思うんです。
本人に二年間、天下り規制をしているのでなくて、天下ってから、離職前の五年間の職務に属するものに関して離職後二年間、職務上の行為をするように、またはしないように要求し、または依頼してはならないというのがこの規定ですから、本人の直接禁止期間というのは離職後二年間だけ、それ以降は解禁となりますし、しかも、禁止期間に働きかけをしてもわずか十万円以下の過料だけ。本人が直接働きかけをしなくても、ほかの社員にノウハウを教えて、その人が働きかけることは禁止されていない。大臣、これはそういうふうになっているでしょう。
○林副大臣 今委員が御指摘のように、先ほど人事院から答弁があった現在のものも、過去五年につきまして二年間の再就職を規制する、我々の方も、今委員が御指摘になったように、過去五年間いたところに二年間、いわゆる口ききを規制する、こういうことになっているわけでございまして、二年たった後の規制はない。
ただ、先ほど来御議論があるように、現職のときにかかわりました契約等につきましては、これは永久に規制をかける、こういう仕組みになっておるところでございます。
○吉井委員 今までだったら、本人は二年間天下り規制があったんですね。人事院の承認なしにはできなかったんです。今度は、極端な話、翌日からでも再就職はできるんだけれども、二年間、自分が官に職を置いておった時代のそこに属する分野について働きかけをするとかそういうことをやっちゃいけませんよという規制、行為規制だけです。だから、自分がやらなくても、同僚なりなんなりにノウハウを教えてやってもらうようにするとか、そういう形で影響力を行使するということはできるものなんです。そういう仕組みに法律はなっております。だから、天下り規制はほとんど期待できないもので、これで全体の奉仕者としての公務サービス、行政の公正中立は維持できないじゃないかというところが私は大事なポイントだと思っているんです。
そこで、官房長官に伺っておきますが、これでは、幾ら行為規制だ何だといっても、天下り禁止、そして官業癒着とか、そういうものをきちっとやっていく上で、現行の人事院の承認制度を撤廃したことにかわる役割などはとても期待できるものじゃないと思うんですが、官房長官、どうですか。
○塩崎国務大臣 先ほど来、クーリングオフの撤廃がどういう影響があるのかというお話がございましたが、罰則つき行為規制というのは今までやったことがないわけであります。ここをどう法執行するのかというのは極めて重要であって、当然のことながら、これをしっかり執行していくということが大前提で、我々は、こういうクーリングオフを延ばすという皆さんのお考えではなくて、有能な人材はやはり社会に還元をしていくべきだということでありますが、不正があってはならないということで、行為規制を罰則つきで初めて導入しようということであります。
アメリカなどでは接触規制まで、電話の一本もできない、そして意図的にやれば罰則も、もともと刑法で定めておりますが、さらに故意の場合には厳しくなるということですから、意図を持ってという今回の、今御提案申し上げている法律の中でのこの行為規制はそれに近いような考え方でやっているわけであります。
今、官製談合のお話もございましたが、政策目標というのは幾つかあって、それにどういう政策を割り当てていくのかということは冷静に考えていかなければいけないことであって、官製談合を公務員制度改革のみで解決しようというのは、それは少し無理がある。
しかしながら、公務員制度の中に官製談合を助長するような制度的な実態があるとするならば、それは直さなきゃいけないということで、今、官製談合を根絶するためにも、それから官と民の癒着を断ち切るためにも、公務員制度における直すべきところは直そうということで御提案申し上げ、一方で、官製談合を根絶するためには、それは独禁法の問題もあり、それから官製談合防止法の強化も可能性としてはあるのかわかりませんが、そういった政策を複数当てはめていくというのが常識的な政策のあり方ではないかというふうに考えております。
ひとえに、この罰則つきの行為規制というものをしっかりと執行していく、これがなければいけないことだと思っているわけです。今先生の御指摘は、それが執行されないのではないかのごとき前提でお話をされているので、そこのところは、全く新しいものを導入するということであって、言ってみれば、我々の連座制みたいなもので、全く新しいものを導入することでどれだけ物事が変わるのかというのは、皆さん方、やはり今まで経験した中で、初めは大したことないと思ったら物すごくきくというものもあるわけです。我々は今回は、これは執行をきちっとすれば必ず不正なことは起きないようになるはずだということでこれを組み立てているということであります。
かなりの哲学的な転換をするということは御指摘のとおりでありますが、それは、国民経済的に人材をどう有効活用しながら活力ある日本社会をつくっていくかということの考え方に基づくものではないかなというふうに思います。
○吉井委員 官製談合の話は、公務員制度改革だけで終わるものじゃないのは当然の話で、何といったって、企業利益第一主義で、談合であれ何であれ、とにかくもうかりさえすれば何でもあり、そういうところにきちっとメスを入れ、それを許さない仕組みをつくらないと、公務員制度改革だけでそんなのができるなどと言えば、それはもう当然の話です。
私が言っているのは、罰則といっても十万円以下の過料だけ、こういうものであって、現行の人事院承認から百八十度、原則天下り禁止から自由化への転換だ、そこが問題だということを言っているんです。
次に、具体の例で一つ、公取に来てもらっているので伺っておきます。
最近あった事例で、ハチみつへの人工甘味料混入についての景表法違反の事件がありましたが、その概要と、公正取引委員会から全国はちみつ公正取引協議会を初めとする公取協議会への天下りの実態がどうなっているのか、これを伺っておきます。
○舟橋政府参考人 お答え申し上げます。
先生、二つ御質問をされておりますけれども、最初の方は、景品表示法関係の事件ということでございませんで、自主規制団体として公正取引協議会というのがございますが、そこの運営について少し適正さを欠く問題があったということでございます。
それから、職員の関連でございますけれども、公正取引委員会の職員であった者で、現在、はちみつ公正取引協議会の職員となっている者が一名行っております。専務理事という形で勤務いたしておるところでございます。
○吉井委員 公取委員会の事務局で働く職員の能力という点でいえば、景表法を取り扱うというのは公取の所掌事務でもあり、ですから、そういう点では、全国はちみつ公正取引協議会というところは、ある意味では力を発揮という点でいうならばいい場所なんでしょうが、しかし、現実に起こってきた問題というのは、これは景表法違反を摘発したり指導する能力を生かす場所なのに、なぜ景表法違反を犯すような事態がこの協議会で起こってしまったのか、こういうところにあると思うんですね。天下り先の公正取引協議会の費用というのは業界の会員業者で賄われていて、給料を出してもらっている会社をこの協議会の者が厳しく取り調べられないという関係にもある。
それで、渡辺大臣、企業側はそこを意図して受け入れをしているということなんですね。企業に天下れば、その企業のために専門能力を使おうと考えるのは当然ですが、そのことが事件の隠ぺいなどにつながるということは、これはこのハチみつの話だけじゃないんですね。ちなみに、この事例というのは、元在籍していた課や局に何かを要求したり依頼したりということではなくても公務の公正な運営をゆがめるという事例として、私は挙げたわけです。
大臣、法案百六条の四にかかわる働きかけ禁止措置というのは、こうした事例に対しては、ハチみつの話では何かいきなり大きな談合から小さいところへいくみたいな感じですが、この働きかけ禁止措置というのは、こうした事例に対しては力が及ばないといいますか、無力だと私は思うんですが、大臣、どうですか。
○渡辺国務大臣 具体的な事案はたくさんあろうかと思いますが、例えば薬務行政に携わっていた者が製薬会社に再就職をして、自社製品の認可を早くしてほしいというような口ききをした場合、今回の法案ではアウトになるわけでございます。刑事罰を伴った罰則もついておりますので、かなり厳しい行為規制がかかるわけでありますから、抑止効果というものは絶大なものがあろうかと思います。
現在、こういう行為規制が全く行われていない、そういった法の担保がないということでございますから、我々は、これらの行為規制において官民癒着の防止は図られるものと考えております。
○吉井委員 さっき私はタミフルの例を挙げたけれども、これまでだったら人事院の承認なしには二年間行けなかったけれども、これは、法律上再就職を認めないというものがないわけですから、退職したその日からでもいきなり行くことはできる。ただし、おっしゃったように行為規制というお話はあるんだけれども、これは罰則も十万円以下の過料という軽いものだし、自分がやらなくても、他の同僚にノウハウを教えてやらせるということもできるわけで、やはり一番大事な問題は、天下りを原則禁止から原則自由化へと持っていくというところが一番の問題なんですよ。
そういう中で、私は、規制対象を公益法人に拡大することとか職員を定年まで働けるようにする、こういうことを本来きっちりやらなきゃいけないのに、政府案ではそういうことがないわけですね、防止できない。
働きかけ禁止がなくても天下り効果はあるという事例は数は多いわけで、例えば、大手消費者金融五社に旧大蔵、財務官僚二十三人、役員や顧問に天下っていたという報道がありましたが、天下りの効果について幹部は、銀行向けの看板の威力は大きかった、銀行の融資がふえ、資金不足が消えたと。
だから、直接かかわりがあるないにかかわらず、やはり天下りという問題はこういう問題があるんです。天下り承認制を撤廃するかわりに個人の働きかけ禁止をしているから公務の公正中立の担保となるというふうなことにはならない、これは幾つもの事実から見て明らかだと思うんです。
最後に官房長官に伺いますが、官と業の人的な癒着を断ち、そして全体の奉仕者としての公務の公正中立の立場を貫いていくためには、やはり現行法百三条二項の規制を抜本的に強化する、天下り禁止を真剣に実現していくということが私は今最も大事なことだと思うんです。それをあべこべの方向へ持っていくというのは、とんでもない話だと思うんです。官房長官に伺います。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の再就職に関する規制については、かなり大きな哲学的な転換をしようということでございます。
当然のことながら、不正があってはならないということはもう間違いないわけでありますが、一方において、先ほど申し上げたとおり、国民経済的に官民の人材交流が行われることのプラス面というものも考えなければいけない。そのことを考えてみれば、不正が起きないようにして、そして官の知恵、民の知恵、それが相互に行き来することによって日本の社会が活性化するということが大事ではないかということで、厳しい働きかけ規制、あっせん規制等を設けて、クーリングオフの規制を、考え方をかえて今回提案しているような形にする。
しかし、先ほど申し上げたとおり、大前提は、罰則がきちっと法執行されるということが大事であり、他の国においてもそのような中で人材が有効活用されているということでなかろうかというふうに考えているところでございます。
○吉井委員 私、時間が参りましたのでこれで終わりますが、いろいろな調査も審議もまだまだ途上、途中という状況ですから、引き続いて、委員長におかれましても、理事会でよく協議もいただきながら、どうして資料をもっと充実させるか、どうして審議を尽くしていくかということをよく御検討いただくようにお願いをいたしまして、本日の質問を終わります。
○河本委員長 理事の協議に基づき、発言を許します。泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
官房長官はこの時間で退席をされるようですが、大変残念なことでもあります。
本当にこの質疑が終局を迎えそうだという状況の中で、大分大詰めを迎えてきましたが、残念ながら、つい先ほど、行革本部事務局から資料が出されました。
これまで、既に三十九時間三十分させていただいているこの質疑ですが、その初日から我々が取り上げてきたいわゆるわたりの調査について、政府は一貫して十六件ということをこの場で言ってまいりました。我々が、こんなはずはないだろうと何度も追及をさせていただきましたが、大臣の姿勢は一貫として、再調査をしない、その趣旨はすべて法律の中に含めているんだからということでありましたが、本日の外務委員会の質疑で、次官経験者の再就職のあっせんとして、まず四件が認められたようであります。さらに、各省の事務次官経験者については、委員会の指示に基づく調査により新たに九件が確認をされた。それが出てきたのが、この日付を見てください、きょうですよ。きょうようやく出てきたんですよ、この資料が。こんなおかしいものがありますか。
いいですか。再三再四、我々は、ちゃんとした立法事実に基づいてこの法案の審議をやっていかなきゃならないということを言ってまいりました。けれども、大臣は再調査をしないとさんざん言ってきて、そして、我々が要求してやっと今、その氷山の一角のまた一部が出てきたということです。これは、再調査が必要だということを明確に示している資料ですよ、大臣。
大臣、改めて再調査の要求をしたいと思いますが、いかがお考えですか。この資料がきょう出てきたんです。
○渡辺国務大臣 我々は、必要があれば再調査は例えば有識者懇談会において行われることはあり得る、再調査をしないとは言っていないわけでございます。
また、行革本部が行いました調査については、対象者が非常に多いわけであります。何万人というオーダーでの調査でございますから、その中でわたりあっせんが確認されたものは十六人であるということだったわけであります。
今回の調査は、事務次官経験者という非常に限定された範囲で行われたわけであります。したがって、その事務次官経験者の中で新たにあっせんが確認をされたものが今お示しになられた資料として出てきたということでございますから、これは確認の精度を高めたことによるものであるということであります。
○泉委員 大臣、私は本当に一貫してこの法案質疑を通じて思いますよ、答弁が長過ぎます。しかも、野党の質問に対する答弁が長過ぎる。これは、大臣が本気だというんだったら、本当の質疑をしてくださいよ。これじゃだめですよ、本当に。
大臣、改めて言いますが、きょうこの資料が出てきた、しかも、ほかの委員会で扱われていることが出てきたんです。本当は、大臣が主導をして、再調査をして出せと各省庁に言うべきものですよ、これは。それをせずに、我々が追及した結果ほかの委員会からたまたま出てきたような話では、これは話になりませんよ。今までの質疑は何だったんだと言わざるを得ないわけですよ。
大臣、それで、再調査をやらないとは言っていない、何でそんな回りくどい言い方をするんですか。再調査をやらないとは言っていないなんて話じゃなくて、やると言ったらいいじゃないですか。本気ですよね、大臣。この法案にかける思いや公務員制度改革をしたいという思いが本気だったら、調査をやりましょうよ。こんな、ごろごろ出てくるのも格好悪過ぎますし。
大臣、調査対象が広いからという話をしましたが、そもそも、事務次官経験者ですとかこういうところに隠されているものがあるというのは、もう見え見えじゃないですか。わかっていたはずですよ、そんなものは。調査対象が広いから、広く薄くの調査になってしまいました、そうじゃないでしょう。事務次官経験者ですとか、各省庁の、ある大体の役職の上の方々を特に調べれば、こういう実態はより深く調査できたはずですよ。なぜそれをやらなかったんですか。
それで、やらなかった話ではなくて、大臣が本気であれば、調査しないとは言っていませんじゃなくて、調査をするということを明確に答弁していただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 民主党においても、各省のあっせんを全面禁止するというのは政府案と同じじゃありませんか。では、民主党案はどういう立法事実に基づいて行われたんですか。
我々は、この十六件がすべてだなどと思っていませんよ。それは、十六件というものが確認をされたと言っているだけであって、十六件がすべてだなどと言ったことは一言もないわけであります。
したがって、まさしく、このような各省のあっせんを全面禁止する、ここに問題の本質があるということで、今回の法案を提出させていただいたところであります。(発言する者あり)
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 各省庁によるあっせんを全面的に禁止する規定を盛り込んだわけでございますから、この点においては民主党と同じ認識でやっているということを言っているわけです。(発言する者あり)ちょっと聞いてください。この法案を成立後、施行して、天下りを根絶する上で、実態をより一層把握するために必要であれば調査はいたします。
○泉委員 これは、もう必要なことは明らかじゃないですか。総務省次官、農水省次官、旧建設省次官、旧自治省次官、旧国土庁次官、これだけ広範にわたっているんですよ。これが、もし我々が要求しなければ、こんな実態すら明らかにならないじゃないですか、大臣。(発言する者あり)ちょっと大臣、根絶をすると、何の事実も知らないのに何で根絶するなんて言えるんですか。ちょっと、質疑できませんよ、こんなにやじが来ていたら。今どうなっているんですか、この質疑は。ちょっと聞ける状態にありませんから、やめます。
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 我々は、天下り根絶を目指しております。その根絶のために必要な調査はいたします。
○泉委員 今のは調査確約だというふうに私は認識をいたします。
これまで、我が党の川内議員の質問あるいは長妻委員の質問、さまざまな個別の問題を取り上げさせていただきました。そのほとんどを大臣は、知らない、個別のことは私は研究はしていないとおっしゃった。それは、大臣が天下りの実態を知らないということですよ。そういうもとで、ただ表に出てくる数字だけで立法事実をすべてそれで認識して、法律に盛り込んだ。甘いですよ。間違いなく今の政府案では抜け道だらけのものになってしまいます。
例えば、人材バンク、あっせんの有無についても我々は委員会で資料を要求いたしました。ほとんどが米印がついて、あっせんの有無について明確にありと書かずに調査結果が出てきております。その中には、本人に確認できなかったものがたくさんありますし、そして、各省庁の任命する役職だからということで、あっせんの有無の欄についてはありと書かないという状況がありました。
先ほどの我々の指摘についてもそうですが、例えば、こういう各省庁が任命する役職、これにしても人事の一環じゃないですか。今までこの質疑の中で、我々はそういうことを学んできたんじゃないですか。こういった委員会で要求した資料も、答えが実際出てきていない状況ですよ。
この委員会の資料のあっせんの有無について、シャープだのバーだの、すべて注釈をつけて、ありと認めない。これも、やはりこの資料をもう一回再調査すべきだと思います。この資料の再調査も御答弁をいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、我々は、天下りの根絶を目指しております。その根絶のために必要な調査は行います。
○泉委員 固定的なポストへの天下りは規制をするとか、人事と権限、予算を背景にしたその天下りは根絶しますとか、大臣は常に限定をずっと狭く狭くしてきたわけですよ。結果的には、そういったことで、あっせんの有無がわからないこの天下りについては、ルートが温存されるということになってしまうわけです。これが問題なんですよ。
皆さんが思っているような形式的な天下りなんというのはほとんどありません。それは、我が党の長妻委員が先ほど話をしたように、それぞれあっせんということを聞いてみたら、約二千人近くのあっせんがあったけれども、それは全部相手側からの申し入れによってのあっせんであって、こちらからの押しつけはないということを政府が言っているじゃないですか。こんないいかげんな調査、そしてそれを押しつけ的なあっせんとみなすということで、それも含まれる、それぐらいの感覚であるから、実際には天下りが防げなくなるんです。
我々は、この人材バンクというものはおかしい、天下りバンクはおかしいということを常に言ってまいりました。それは、民間と官がもし本当の意味での能力をぶつけ合う官民交流であれば、我々はぜひ認めたい。そして、そういった公務員制度改革をやってほしいと思うからこそですよ。残念ながら、今政府がやろうとしているのは、公務員だけの特別な天下りルートをつくる、再就職ルートをつくるということをやろうとしているわけじゃないですか。これはおかしいですよ。どうあったっておかしいですよ。本当の意味での官民交流というんであれば、なぜ公務員と民間人を同じ土俵に立たせないんですか。同じ土俵に立ってできるんですよ、それは。
我々は、この法案について、全くもって納得をしておりませんし、この委員会運営についても、資料の請求をして、初日から我々は資料を求めてまいりました。にもかかわらず、本日、この事務次官のわたりのあっせんについての資料が出てきたということは、これは信頼にもとる行為だということを厳重に抗議をいたしております。
その抗議をさせていただいて、この質問時間を終わらせていただきますが、まだまだ質疑が足りない、そういった怒りを持って私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○河本委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○河本委員長 これより各案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。平井たくや君。
○平井委員 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、内閣提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案について賛成の立場から、民主党提出の国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案等三法案について反対の立場から討論を行うものであります。
これまで公務員は、戦後レジームの中で、国家運営の担い手として、国民と国家の繁栄のために積極的な役割を果たしてきました。しかしながら、今日、本来優秀な人材が集まっているにもかかわらず、年功序列や縦割りなどの弊害により、志の低下や、その能力が十分に生かされていない状況があります。今こそ、経済社会の変化に迅速に対応し、政策企画能力を高める必要があります。
一方、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんや緑資源機構を初めとした相次ぐ官製談合のあきれた実態、また、あれだけの大問題を引き起こしておきながら歴代長官がわたりを繰り返す社会保険庁の問題など、国民の怒りが頂点に達する状況が生じております。このような状況を抜本的に改善するために、公務員制度改革を進めることがまさに急務であります。そして、その大改革を断行するのが我々政治家の責務であります。
まず、内閣提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案については、人事評価制度の導入等により能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図るとともに、各省による再就職のあっせんを禁止し、離職後の就職に関する規制の導入、再就職等監視委員会の設置等により退職管理の適正化を図るほか、官民人材交流センターの設置により官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行うことを内容とするものであります。これにより、採用試験の種類や年次にとらわれず、硬直的な年功序列を打破するだけでなく、官民交流を円滑に実施するとともに、公務の公正性を確保し、国民の信頼を回復することが可能になることから、賛成をいたします。
他方、民主党提出の国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案三法案については、一言で言えば、役人天国、大きな政府、公務員一生塩漬け法案であります。
職員の退職勧奨を原則禁止、天下りの禁止期間を五年間に、働きかけ規制の期間を離職後十年間にわたって規制するなど、一度官の世界に入った者を官の世界に閉じ込めるだけでなく、民の世界で活躍している人が官の世界に入って民間で得た知識経験を行政に生かすこともできなくなるなど弊害だらけの法案であります。このような法案が実現してしまうと、人件費が莫大にふえ、人員削減も全くできず、国家財政を破綻に導くおそれがあることは明白であり、それらに対する対策も全く具体性に欠けていると言わざるを得ません。
まさにこれは、組合という既得権益に縛られた、古い公務員体質から脱却できないものであります。およそ国民が求めている制度改革とはかけ離れたものであることから、反対いたします。
なお、内閣提出の法案に賛成いたしますが、行政組織の職員の採用、能力開発、昇進、退職等の相互に関連した人事管理制度全体をパッケージとして改革を進めていくことが重要であることから、引き続き公務員制度の総合的な改革を推進されることを期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○河本委員長 次に、小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出案に反対、民主党提出三案に賛成の立場から討論を行います。
このたびの公務員制度改革は、現役官僚とOBが関与する官製談合、天下り、これらに対する国民の強い批判、そして行政の信頼回復への期待を受けてのものであり、同時に、公務員の能力と士気を高めながら簡素で効率的な行政機構をつくるものと理解をいたしております。
しかるに、政府提出の国家公務員法等改正案は、天下りを初めとする官民癒着の構造をむしろ温存し、税金の無駄遣いを放置するものであり、断じて容認することはできません。緑資源機構の官製談合事件に見られたこの構造は言語道断、この根絶が喫緊の課題であります。しかし、政府案が成立して、一体全体この構造がなくなるのでしょうか。最後まで具体的な手だては示されませんでした。
まず、政府案は、天下りの原因となっている早期退職勧奨を温存するとともに、内閣府のもとに天下りバンクを創設することとしています。現在各省庁が行っている天下りは、創業型、人質型、さまざまな手法と名目で巧妙に行われているのであります。内閣府のもとに置く天下りバンクであっせんを一元化したとしても、各省庁のあっせんを具体的に証明できなければ、規制をすることは不可能であります。新たな天下りルートをつくるにすぎません。
また、そもそも民間の方々は、ハローワーク、就職情報誌で必死の求職活動を展開しているわけであります。なぜ公務員だけ利用できる再就職支援機関を税金をもって創設せねばならないのか、その具体的な説明は全く私どもを納得させるものではありませんでした。政府案の根底には官尊民卑の思想があるのではありませんか。強く指摘をさせていただきます。
また、天下りバンクの具体的な制度設計について、そのほとんどが有識者懇談会の会議に丸投げをされるのだそうです。この点、大臣から具体的な姿勢、新機関の職員数、支所数、予算にあっせん対象、またあっせん方法など具体的な内容のなかった答弁、到底納得をできるものではありません。
さらに、政府案は、離職後二年間、密接な関係にある営利企業への天下りを禁止する従来の事前規制を撤廃することとしています。陰で行われている不正行為を事後的な行為規制のみによってすべて摘発することは困難であり、離職後二年間の事前規制を撤廃して行為規制に頼る政府案では、官民の癒着が一層深刻になることを懸念するものであります。
さらに、保険料の無駄遣いや納付率の偽装、消えた年金問題で責任を負うべき歴代社会保険庁長官は、責任をとるどころか、わたりを繰り返しているという実態が明らかになりました。私たちは審議を通じて、行政改革推進本部事務局が公表した十六名以外のわたりの実態調査についても再三明らかにするよう求めてまいりましたが、本日、この質疑の最終段階に当たってその訂正がなされるなど、立法事実の根拠となるべき調査結果、その資料のずさんさには目に余るものがあります。この点に関する再調査は、審議のせめてもの最低限の前提ではありませんか。強く抗議を申し上げます。
一方の民主党案でございます。真に天下りの根絶につながるものであり、高く評価をしたいと思っております。
中央官庁が行っている早期退職勧奨と再就職のあっせんをそもそも禁止をし、天下りそのものがなくなることが期待をできます。
また、天下りを原則禁止とする期間を現行の二年から五年に拡大するとともに、規制対象となる天下り先を独法法人や公益法人等に拡大しており、現行の天下り規制を大幅に強化するものと言えます。その結果、随意契約や官製談合など、現在天下り問題の温床となっている構造そのものの根絶が期待をされるものと考えます。
以上、天下りバンクによって天下りをむしろ温存する政府案には断固反対、天下りの規制そのものにより、この問題を根絶する、官民癒着を断ち切る、税金の無駄遣いをなくする民主党案に賛成であることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)
○河本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員法等一部改正案について反対討論を行います。
法案は、国民の厳しい批判を浴びている天下り問題、国民全体の奉仕者としての行政サービスと公務員の権利にかかわる基本法案であり、慎重な審議が必要です。こうした法案の採決を強行することは、国民の不信を深めるだけであり、強く抗議するものであります。
法案に反対する第一の理由は、国民が最も強く批判する天下りを、原則禁止から原則自由に百八十度変えるものだからであります。
官民人材交流センターを通れば、公共事業や建設業に大きな監督権限を持つ国土交通省の局長が、退職の翌日からゼネコンの役職につけることになります。銀行の不正を検査し摘発する金融庁の検査局長も、退職した次の日から、検査される側の銀行の役職につけます。まさに天下り自由化そのものであり、官業癒着を深めるものです。
この背景にあるのは、政府、財界が一体で進める、官民の垣根を取り払って、天下りも天上がりも促進する官民人材流動化策です。
官民人材交流センターは、各府省のあっせんを排除し、一元的にあっせんするためといいながら、府省が関与できる仕組みを巧妙につくっています。天下りロンダリングとでもいうべき天下り推進センターになることは明らかです。
実効性ある天下り規制は、規制対象を民間企業だけでなく、公益法人や特殊法人などに拡大し、離職後二年間の規制期間を五年に延長するなど、現行法の抜本強化を図り、官業の癒着を断つことです。
第二の理由は、既に民間企業で破綻した成果主義、能力・実績主義の導入です。
能力、実績による人事評価は、採算や効率だけでははかれない公務の仕事にノルマを設けて、職員同士の競争をあおるものです。諸外国と比較しても少ない公務員を毎年五%削減した上に、競争をあおれば、国民一人一人を大事にした行政サービスはできません。このことは、目標を掲げ、ノルマをあおった社会保険庁の保険料不正免除事件でも明らかです。
また、客観的な評価基準の設定を初め実際の評価も困難であり、恣意的な人事管理が横行するおそれがあります。
第三の理由は、公務員制度改革といいながら、公務員労働者の労働基本権回復については何ら言及していないことです。
労働基本権は、憲法で保障された権利であり、公務員制度の民主的改革のかなめです。ILOからも国際労働基準に合わせるよう繰り返し勧告が行われています。専門調査会に任せるのでなく、公務員労働者への労働基本権回復を速やかに行うべきであります。
なお、民主党案については、天下り規制強化には賛成しますが、能力・実績主義の導入等には、さきに述べた理由から同意できません。
政府提出法案は、国民の行政に対する不信を一層拡大するものであり、廃案しかないことを改めて強く指摘して、討論を終わります。
○河本委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○河本委員長 これより採決に入ります。
まず、馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、馬淵澄夫君外四名提出、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、馬淵澄夫君外四名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案に対し、木村勉君外二名から、自由民主党及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西村康稔君。
○西村(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は国民に信頼される公務員制度を実現するため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一、本案に基づく能力・実績主義や再就職規制の導入のみではなく、優秀な人材の確保策や公務員の能力向上のための育成方針等、採用から研修育成、昇任、昇格等処遇、定年制度等に至るまでの人事制度全般について、実態を踏まえた総合的かつ整合的な検討を十分に行い、その実施を図ること。
一、公務員制度改革について、専門スタッフ職の実現、公募制の導入、官民人材交流の抜本的拡大を含めた採用から退職までの公務員の人事制度全般の総合的な改革案を早急に提示し推進すること。
一、「官民人材交流センター」の創設に当たり、制度設計の検討については、再就職ニーズに十分対応できる再就職支援機能の重点的強化を図るとともに、各府省からの中立性を徹底し、業務の透明性等を確保すること等の原則に従うこと。また、同センターの機能や在り方を常時、見直すことに努めること。
一、国家公務員の再就職に係る規制及び監視体制の運用に当たっては、押し付け的あっせんや官製談合に対する強い国民の批判を踏まえ、国家公務員に対する国民の信頼を回復することができるよう、厳格かつ適切な運用を図ること。
一、近年の公務員志望者の減少化の中で、優秀な人材を確保するためには、公務員としての公務の使命や携わることの魅力を十分に明確にする必要がある。このため、公務員のキャリアパスを明確にし、人生設計に希望が持てるような人事制度となるよう、十分配慮すること。
また、各府省庁間の人事交流を、なお一層促進すること。
一、「能力・実績主義」の運用に当たっては、単に短期的かつ形式的な成果によって昇進や昇給に反映させるのではなく、公務員としての育成、能力開発に資するものであって、国民に成果が還元されるよう制度運用について十分な検討を行うこと。
一、「官民人材交流センター」等の運用に当たっては、今般の改革の目的の一つが官と民との人材の相互交流の拡大にあることから、若手職員の交流を一層拡大し、相互に、バランス良く交流ができるように、その運用を検討し、実施すること。
一、総人件費削減等の今後の行財政改革の推進に当たっては、国家公務員の士気の低下を招くことのないよう、各府省庁の実態を踏まえた上で、全体の公務員制度改革との整合性を十分に検証し、その実施を図ること。
一、国家公務員が培った高度な専門知識や経験を長期間公務に活用できるようにするため、専門スタッフ職を創設し、そのための俸給表を早急に整備するとともに、公務部門の新陳代謝が阻害されることのないよう、また人員構成が高齢化しないよう、必要な定員・定数の配分について特段の配慮を払うこと。専門スタッフ職の職員については、兼業規制の大幅な緩和を行うこと等により、知識、経験を大学等の研究機関や民間企業にも還元できるようにすること。
一、勤務条件や退職後の生活環境について、官民のイコールフッティングを図るため、主要先進諸国の国家公務員制度の状況をも参考にしつつ、国家公務員の定年を年金支給開始年齢まで引き上げることも含めて検討するとともに、年金の支給額についても民間企業と同等の水準を維持できるよう制度設計を進めること。
一、労働基本権を含む公務員の労使問題については、行政改革推進本部専門調査会における審議を踏まえ、引き続き検討を行うこと。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○河本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと思います。
―――――――――――――
○河本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○河本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時三十七分休憩
――――◇―――――
午後二時二十三分開議
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河幹夫君、山崎史郎君、原雅彦君、内閣府公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、警察庁長官官房長安藤隆春君、生活安全局長片桐裕君、交通局長矢代隆義君、総務省大臣官房審議官門山泰明君、人事・恩給局長戸谷好秀君、自治行政局長藤井昭夫君、総合通信基盤局電気通信事業部長桜井俊君、法務省民事局長寺田逸郎君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮島俊彦君及び社会保険庁総務部長清水美智夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健太君。
○松浪(健太)委員 自由民主党の松浪健太であります。
昨日、理事の皆様からの特別なお取り計らいで、前回、五月十一日にも道州制一本で質問をさせていただいたわけでありますけれども、もう一度やれということで、本日はお言葉に甘えさせていただきます。
前回、大臣から道州制の伝道師というありがたいニックネームをいただきまして、私も鋭意活動しているところでありますけれども、前回以降、二十三日には、私も予算委員会におきまして、総理にもこの道州制について質問をさせていただきました。総理は非常に御熱心であられまして、答弁書など一切横に置いたまま、手ぶらで出てきていただいて、随分しっかりとした答弁をいただいたわけであります。その中でも、総理は特に、この道州制につきましては、二十一世紀にふさわしい行政機構を考える上において、そのグランドデザインを考えていく上において、私は、道州制というのは大きな柱になっていく、このように思うわけでありますと、本当に二十一世紀の我が国の柱と位置づけていただいたわけであります。
そして前回は、大臣におかれましては、私も、ほとんどこの道州制についての大きな論点というものは網羅をしたのではないかと思います。
ちなみに前回は、道州という新しい経済圏をつくることによる経済のメリット、また、条例制定権というものをいかに拡大していくのかといった点、あるべき基礎自治体の規模、地方支分部局の移管ということにつきましては、大臣には、これが肝であるというようなしっかりとした御答弁もいただきました。
さらには、公務員制度、今も人材バンクのお話がずっとありましたけれども、将来この道州制を導入するというときにおいては、国家公務員も地方公務員化するし、さらに私は、やはり民間との三角形がうまく回るような、公務員の皆さんにも本当にやりがいのある、そうした新しい公務員像を提示していかなければならないということを申し上げた次第であります。
そして、大臣の担当におかれましては、地方分権改革については、本年四月に政府の地方分権推進委員会が発足をし、いよいよ新たなステージに向けた議論が始まったところであります。
道州制担当大臣として、道州制の導入ということについては、特に総務大臣との連携というものが非常にこれから重要になってくるんであろうと思っております。この総務大臣との連携について、大臣はどのようにお考えになっているのか、伺います。
○渡辺国務大臣 道州制伝道師である松浪委員には釈迦に説法でございますが、まず、地方分権改革が先行して行われるものと考えます。道州制は、繰り返し申し上げますように、地方分権改革の総仕上げと位置づけております。
したがって、道州制担当大臣としては、中央省庁改革につながる行政全体の新たなグランドデザインに向けた国家ビジョンをつくりたいと考えております。その導入に向けた施策を各府省横断的、統一的、一体的に進める観点から、新たに私のような担当が置かれたと理解をしております。
地方分権改革担当大臣は、地方自治制度を所管する総務大臣が御担当であります。菅大臣とも十分な連携を図りながら、道州制導入に向けてのリーダーシップを発揮してまいりたいと考えます。
○松浪(健太)委員 まさに今おっしゃいましたように、菅大臣とも、地方分権改革の総仕上げはこの道州制であるというコンセンサスをしっかりととっていただきたいと思うわけであります。また、今大臣がおっしゃいました、中央省庁改革につなげるということも非常に大事であろうと思っております。
私ども自民党道州制調査会では、今鋭意、第二次中間まとめというものを取りまとめているところでありますけれども、その中でも、私どもも、どのように国と道州、そして基礎自治体が役割分担をしていくのかという表をつくりました。そのときに、やはり我々が心がけましたのは、今までの省庁の縦割りの概念に沿ってはならない、その縦割りの概念を除いた上でいかにこれを分類していくのかというのが非常に重要なことであろうと私は思っております。
また、昨日、自民党の第二十一回の参議院選挙の公約案というものも示されたわけでありますけれども、これには「道州制導入を推進する」という項目が付されたわけであります。これは今まで、我々の公約では、検討が推進になった、私はこれは大きく前進をしたものであると思っております。その中では、特に、「道州制を国家戦略と位置づけ、人口減少、少子高齢化、国際競争の激化に対応する究極の構造改革として推進する。」とあります。私は、まさにそのとおりであろうと思うわけであります。
また、一方におきまして、政府におかれましても、道州制ビジョン懇談会が設置をされ、精力的に作業を進めておられるというのは私も傍聴させていただくなどしてよくわかっているところでありますが、一年後に中間報告、そして三年後に道州制ビジョンをまとめるということであります。
いろいろな周りの方々、道州制にかかわる方とお話をしていますと、大臣はよくベースキャンプのお話をされるというお話を伺ったことがあります。まさに、この道州制ビジョンの策定は、将来の本格的な道州制の導入までどのような段階にあるのか。山でいうと、道州制導入に向けて、この道州制ビジョンをつくるということは何合目に当たるのかというような、大臣の感覚的なことでよろしいので、これを伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 ベースキャンプというのは大体何合目ぐらいにつくるんでしょうかね。ちょっと私もそのあたりの具体的なイメージがわからないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、分権改革の総仕上げという位置づけをしております。中央省庁再編にも当然つながるグランドデザインを持った国家ビジョンづくりでもございます。その実現に当たっては、当然でありますが国民の十分な理解と合意形成が必要になります。そのために、国民の皆様にわかりやすい明確なイメージをお示しする必要がございます。道州制ビジョンというのはまさにそういうものでございまして、ここがベースキャンプになると申し上げているわけであります。
自民党では、推進法をつくって、七年でしょうか、道州制の実現を図るとお聞きをいたしておりますが、とにかく、道州制ビジョンの前段階としての中間取りまとめを今年度中につくりたいと考えております。そして三年を目途にビジョンをつくり、国民的議論を一層喚起してまいりたいと考えております。
○松浪(健太)委員 ありがとうございました。
自民党の案ではまだ何年ということは明確になっておりませんけれども、例えば経団連の案等では二〇一五年とか、そういった時間軸が示されているわけであります。我々も今後の流れを見ながら、道州制ビジョンをまとめるに当たってはタイムスケジュールというものをしっかりとつくり上げていく、示していくということが非常に大事であろうと私は思うわけであります。
また、この道州制ビジョンの策定に当たっては、やはり道州制を導入した場合のイメージをわかりやすく示すことが大事であろうと思います。前回はちょっと大きなお話をいたしました。特に道州の経済圏が大きくなることによって文化はどうなるのか、経済はどうなるのか、そういったお話をしたわけでありますけれども、特に、中央省庁を含め、地方行政、地方自治の現場も非常に変わってくると思います。
私どもは、特に、国と道州そして基礎自治体の役割分担の表を仮に調査会でつくってみたわけであります。先ほど大臣は中央省庁のお話を言われましたけれども、これを中間まとめのその前の段階で取りまとめるに当たっても、非常に官僚の皆さんはナーバスになられるということが非常によくわかりました。
私どものところにも、この文言は違うんだと。私たちは、これはあくまでイメージなんだ、考え方を示すだけなんだということなんですが、やはり皆さんにとっては文言が、こっちにこれがあってこっちにないというようなことが、特に国交省を中心に非常にナーバスである。一つの省庁で一日に三回も皆さんが押しかけてきたとかそういうこともしょっちゅうでして、私はそのたびに、これはあくまでイメージなんだから、将来は国は戦略をしっかりと示すべきであると。
そして、特に遠藤小委という委員会がありまして、国と地方の役割分担を協議する場でありますけれども、そこにおいては、我々は大きく三つの指針を示して、国が基本と基準をつくるものであっても実施は道州にするとか、地方支分部局は移管する、また補助金は基本的になくしていくというような考え方に沿っているわけであります。
まだ漠としたイメージで、政府部内でもなかなか詰め切れるものではないとは思うわけでありますけれども、現時点で、大臣はどのような道州の事務というものをイメージなさっているのか、伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 松浪委員の御苦労が目に浮かぶようでございます。やはり、国と地方のあり方の根本的なフルモデルチェンジを目指すとなると、大変な摩擦も抵抗も出てくるでありましょう。
道州制を導入するに当たっては、補完性の原理に基づいて、国、広域自治体及び基礎自治体の間で役割分担を体系的に見直す必要がございます。都道府県から市町村へ、また、国が実施している事務は、本来国が果たすべき役割を除いて、できる限り道州に移譲することが重要であります。
イメージということでございますが、第二十八次地方制度調査会の言っていることでございますが、例えば、圏域を単位とする主要な社会資本形成の計画及び実施、広域的な見地から行うべき環境の保全及び管理、人や企業の活動圏や経済圏に応じた地域経済政策及び雇用政策などの広域事務を地方制度調査会においては挙げておりますけれども、ちょっと抽象的ではありますが、これも一つのイメージかと存じます。
○松浪(健太)委員 ありがとうございました。
今まさにおっしゃいましたように、圏域というものは、道州制を語る上で今後非常に我々の目安になってくるものかなと思います。実際、今策定をされました国土形成計画等もこうした圏域を基礎にしているわけでありますから、政府におかれましては、さまざまな計画というものも都道府県の枠を超えて今後次々に打ち出していただきたい。まさに、雇用そしてこうした公共事業、何から何まで、道州というユニットでくくるということが、今後の日本には経済効率からいっても非常に重要なことであると私は思うわけであります。
まさに経済の話が出たわけでありますけれども、九州や関西などブロック単位で、経済団体において、積極的に道州制を導入してくれという提言がさまざま出されているところであります。こうした地域における道州制の論議の火をさらに燃やしていくということが今後重要であろうかと思います。道州制論議が先行している地域と連携をしつつ、道州制に向けての国民的な理解を深めていくことが重要であろうかと思います。
地域の経済団体による道州制協議会などの活用を初めとして、政府としてどのように取り組んでいかれるのか、政府参考人にお伺いをいたします。
○河政府参考人 先生御指摘のとおり、道州制の導入のためには、国民生活に大きな影響を及ぼすことも考えられますので、幅広い国民的論議が必要不可欠であると思っております。
それとともに、人や企業の活動圏あるいは経済圏の広域化の中でこのような議論も進められるわけでございますので、経済団体の御提言、御意見等も十分に大切にしていくというのが必要なことだと思っておりまして、道州制ビジョン懇談会、渡辺大臣のもとでつくられております懇談会の中にあわせてつくらせていただきました道州制協議会のメンバーの方、あるいは地元の経済団体の方々等にも、ぜひ道州制ビジョン懇談会としてシンポジウムをやっていただけないかということをお願いさせていただいておりまして、五月二十六日に、いわば第一回といたしまして北海道で、この懇談会がもとになってシンポジウムを開いていただきました。渡辺大臣あるいは江口道州制ビジョン懇談会の座長等も御出席、御参画されまして、かなり活気のあるシンポジウムを開いていただいたところでございます。
御指摘のように、これからいろいろなところで、東北あるいは中国、九州、それぞれ経済界を中心にいろいろな議論をいただいているところでございますので、それらのところでブロックでのシンポジウムというものを御開催いただけないかということで、昨日も開かれました道州制ビジョン懇談会の中で座長からそのような御提案もいただいているところでございますので、いろいろなところで幅広く国民的な論議ができるようなことのために事務局としても努力していきたい、あるいは政府としてもそのためのお手伝いをさせていただきたいというふうに思っております。
それ以外にも、幅広く国民的論議を起こすためのホームページの作成、政府広報等々は、当然のこととしてこれからも努力していきたいというふうに考えております。
○松浪(健太)委員 広報の話が出ましたけれども、私もかつては新聞社で見出しをつける整理部という部門におったこともあるんですが、やはり言葉の力というのは、それを抽出して伝えるというのは非常に大事なことであろうかと思います。いわゆるセンスが要るわけでありますけれども、私は、この点においては、今の内閣では渡辺大臣にまさる方はいらっしゃらないと思っておりますので、また大臣のセンスを生かしていただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
また、この道州制の導入について、先ほど国と道州の関係についてお話をさせていただきましたけれども、まさに大臣おっしゃいますように、補完性の原理に基づくということは、やはり基礎自治体に我々は軸足をどんどんと移していかなければいけない。また、これは地方分権における哲学であろうかと思うわけであります。その場合の基礎自治体のあり方というものも、これからどんどんと議論のあるところであろうと思います。
平成の大合併というのは、一万人以下の市町村をなくしていこうということで行われました。実際問題、統計によりますと、一万人以下の市町村におきまして、例えば建築技師は八割のところでいない。栄養士も半分以上のところでいない。司書、学芸員も八割のところでいない。そして一万人規模の場所であれば、土木技師もまだ六割近くがいない。まさに専門性という面において小さな自治体というのは非常なハンディを背負うということも、こうした統計から明らかであります。また、権限につきましても非常に小さなものになってくるということは避けられないと思います。
あるとき、私も調査会で、ある町長さんがおっしゃったんですが、いや、そんな一万人や五万人と言っていちゃだめだよ、十万、二十万、三十万じゃないと、こんなの、地方分権で今言っているような基礎自治体の役割など果たせるわけがないじゃないかというような、結構、町村会から来ていらっしゃるような方がそのような思い切った発言をされるということに私も驚いたわけでありますけれども、こうした現状があるかと思います。
そこで、大臣に、道州制下の基礎自治体のあり方というのは、これは一方では道州と基礎自治体で決めればいいじゃないかという考えもあるかもしれませんけれども、今の合併を見ますように、ある程度のインセンティブというものも与えた方がいいのかなというふうにも私も思うわけであります。そこで、大臣に、道州制下の基礎自治体のあり方、規模も含めて、そうした権限等について伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 基礎自治体のあり方は、まさしく平成の大合併によってダイナミックに動いている途上だと考えます。
道州制を導入する場合には、先ほども申し上げましたように、補完性の原理に基づいて、国、広域自治体、そして基礎自治体間の役割分担を体系的に見直すことが大事です。都道府県から市町村へ、国から道州へという権限移譲であります。基礎自治体の規模、能力を現在よりもさらに拡充して、住民に身近な行政については基礎自治体が総合的に担うことができるような行財政基盤を整備することが必要であると考えます。
政府としては、道州制の導入も視野に入れつつ、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する考えであります。
○松浪(健太)委員 ありがとうございました。
まさに、おっしゃるように、行財政基盤の拡充というものも非常に重要なことであろうと思います。また、道州制のもとで、おっしゃるように、基礎自治体である市町村優先の権限の配分などを踏まえて、基礎自治体が中心となる地方自治制度の確立ということが急務であろうかと思います。我が党の道州制調査会におきましても、この方向性についてはコンセンサスが得られているわけであります。
しかし、現実には、横浜市の人口は三百五十八万人で、その予算規模は既に神奈川県を超えてしまっているというような逆転現象も起きております。一方で、東京都の青ケ島などは人口は二百人ちょっとですから、人口規模で既に一万七千倍の違いがあるというような、これが同じ基礎自治体と比べるのもなかなか苦しいような現状もあるわけであります。
先ほどから一万人の問題が何度かちょっと俎上に上がりましたけれども、一万人以下の市町村というのは約三分の一になりましたけれども、まだ我が国には五百近くあるわけであります。そこで、特に道州制特区が認定されている北海道というのは、たしか数が百十四と非常に多いわけですね。一万人未満の団体数が二十を超えるというようなのは、平成二十年の一月段階ではもう北海道と福島と長野しかないと。道州制特区の認定を受けておりますけれども、私は北海道にももう少し頑張っていただきたいなと思うわけであります。
こうしたところはいろいろ組合の問題なんかもあって、組合が強いところの方が結構進んでいないなというのは一目瞭然な気もするんですけれども、やはり、公務員にもそのうちスト権も持たせて、そのかわりにリストラもしていくというようなことをしていかないと日本の国の質というのは変わらないのかな。まさに、お役所仕事というのが一生懸命仕事をするというふうに世間一般に受け取られるような、そんな状況をつくっていかなければいけないと思います。
こうした点で合併推進は不可欠だと思いますけれども、政府としての取り組みの方針など、総務省に伺います。
〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○門山政府参考人 市町村合併につきましてのお尋ねでございます。
市町村合併につきましては、平成十一年の三月に三千二百三十二ございました市町村が、現在の時点では千八百四ということで、また来年一月には千七百九十九となる予定でございますなど、関係の方々の大変な御尽力によりまして相当程度進展したわけでございます。
しかしながら、今お話にございましたように、進捗状況は地域ごとに差異がございますし、人口一万人未満の市町村も全国で五百程度存在する、こういう状況でございます。
今後の一層の地方分権改革の進展などを考えますと、市町村におきましては、合併新法の期限でございます平成二十二年の三月というのも見据えていただいて十分御議論していただいて、合併を推進していただくことが必要であろうというふうに考えております。
合併新法におきましては、例えば指定都市ですとか中核市などを目指します市町村、あるいはおおむね人口一万人未満を目安といたします小規模な市町村などを対象といたしまして、都道府県が市町村の合併の推進に関する構想を作成していただきますとともに、合併協議会の設置を勧告できるようにするなど、都道府県の役割というものに期待しているところが大でございます。国、都道府県が協力しつつ、自主的な市町村合併を積極的に推進しているという状態でございます。
また、政府といたしましては、合併の新しい法律のもとにおきますさらなる合併推進のために、新市町村合併支援プランを策定しておりますほか、昨年十月には合併サポーター制度といったようなものも発足させまして、合併を経験した市町村長のOBの方など、いろいろノウハウをお持ちの方のノウハウを提供していく、こういったことで助言にも努めていきたいと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、合併新法に基づきまして都道府県とも十分協力いたしまして、こういった支援措置の活用によりまして市町村合併を積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
○松浪(健太)委員 先ほどから私も、合併は国の大きな流れの中でどんどんと進めていくべきだと、そうでないとこれからの苦しい財政の中で国がもたないということはコンセンサスがあろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたような離島、また我々も、調査会の中の議論の中で、山間部等でどうしても合併にはそぐわないという地域があるのも事実であります。
こうした地理的な問題でどうしても合併になじまない地域があるわけでありますから、今後の地方自治制度を考える上で、こうした合併困難な小規模市町村のあり方について、私どももまだ抜本的な、また、道州制を導入したときには、さまざまな考え方があろうかと思います。道州が直接やるとか補完性の原理に基づいて返上させるとか、いろいろあると思うんですけれども、総務省に今の考え方を伺います。
○門山政府参考人 御指摘にございましたように、外海離島ですとかあるいは山間部など、地理的な条件によりまして最終的に合併に至るということが非常に困難だ、こういった市町村が想定されるわけでございます。これにつきましては、第二十七次の地方制度調査会、平成十五年十一月の答申におきましても、検討課題というふうにされたところでございます。
具体的に御紹介申し上げますと、この二十七次地方制度調査会答申におきましては、合併新法のもとにおいても合併することが客観的に困難な市町村について、一つには、都道府県による補完として、市町村が小規模で事務を担えない、こういった場合に、その事務権限を都道府県が担うこととする、いわゆる事務配分方式の特例、こういったものの検討を進める必要があるということが一つ。二つ目には、市町村間の連携といたしまして、合併の進捗状況ですとか市町村の具体的なニーズを踏まえて、現在ございます広域連合の制度、こういったものを充実させるなどによりまして、広域連携の方策によって対応する、こういったことについても検討する必要があるというふうに御指摘を受けたところでございます。
いずれにいたしましても、特に規模の小さな市町村、この基礎自治体としての市町村のあり方、道州制のもとにおきましても大きな課題でございます。引き続き、さまざまな観点から十分検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○松浪(健太)委員 ありがとうございました。
今後、道州制におきましては、やはり自民党、与党も、政府も非常に議論が深まってきているわけでありますから、あとは国民の議論をどんどんと高めていただいて、後の世から大臣が道州制の神様であったと呼ばれるようになっていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○戸井田委員長代理 次に、田端正広君。
○田端委員 公明党の田端でございます。
私は、きょうは、治安の問題といいますか、犯罪についてお尋ねしたいと思いますが、日本の治安を再生させるということがもう喫緊の課題でありながら、しかし、なかなか現実は進んでいっていないんじゃないかと思います。
内閣府の世論調査でも、平成十二年は、国民意識として、治安問題が不安であるという人は六位であった。十四年は五位であって、十六年は三位に上がって、十七年、十八年は第一位になっています。ことし十九年は第二位となっていますが、しかし、依然として不安感を持っている人がいかに多いかということがはっきりしているわけでありまして、世界一安全な日本ということを掲げている安倍内閣として、ぜひこれはいろいろな意味でも頑張っていただくことが大事だ、こう思います。
それで、きょうは、犯罪の中でも新しい犯罪といいますか、インターネットの技術を悪用した、あるいは通信機器を悪用したといいますか、そういった新しい傾向が今出てきているわけでありますので、今の間にここに手を打っていただかないと、もっともっといろいろな事件につながっていくのではないかという心配を持っているわけでございまして、その点から少し質疑をさせていただきたいと思います。
まず、電子マネーといいますか、おサイフケータイといいますか、タッチするだけで簡単にお金を払ったことになる、そういう非常に便利なプリペイド型の電子マネーが今たくさん出回っているわけであります。Edyという電子マネーですけれども、チャージしていけば幾らでもこれは使い続けられる、こういう仕組みになっております。
このEdyカード、またおサイフケータイあるいはEdy機能がついている時計とか、いろいろなものがあるようでありますが、その中でも一番ポピュラーなのは、乗車券を買う際に使う乗車券の電子マネー。例えば、SuicaというのはJR東日本ですが、西日本はICOCAというのがありますし、それから首都圏の私鉄が共有しているPASMOというのがあります。こういったものが、今ほとんどもうだれでも使うような、本当に普及が広がっているわけであります。
しかし、これは磁気でこれらのことを記録するわけでありますから、そういう意味では、読み取りが簡単であるがゆえに、逆に言うと偽造がしやすい、こういうことにもなりかねません。したがって、例えば電子マネーカードで、Edyを不正使用した事件も、この前大阪で母と娘三人が逮捕されていますが、四十九枚Edyカードを不正に作成したという事件がありました。
例えばオレンジカードやテレホンカード、ハイウェイカードなども、高額のカードで今は発売が停止になっていると思います。それから、郵政公社が発行しているふみカードというのがあると思いますけれども、これも去年ぐらいから廃止になったんだと思います。
結局、便利になって、いろいろな形では進んでいるんですが、しかし犯罪も伴ってくる。だから、そこはいかにセキュリティーをしっかりしていくかということが大事だと思いますので、こういうカード、電子マネーの偽造防止、そしてその安全を担保する、こういう予防策について、まず警察庁に、どういうふうにチェックしているのか、その点をお伺いして、続いて金融庁の方には、これは事業者に対してやはりきちっとした指導ということが一番大事だと思いますが、金融庁の方とあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
○溝手国務大臣 お答え申し上げます。
クレジットカード、キャッシュカード及びプリペイドカード等の偽造対策に関しましては、警察庁の方から金融機関団体に対しまして、まず、カードのIC化、ATMにおける取引の額の制限等、偽造防止対策の推進を働きかけておりますほか、都道府県ごとに、警察と関係行政機関あるいは金融機関とが金融機関防犯連絡協議会などを設置し、所要の情報交換を行っているなど、的確に対応していると承知をいたしております。また、カードの利用者の防犯意識を高めるため、金融機関等とも連携した広報啓発活動も推進されていると承知いたしております。
なお、電子マネーの偽造については、現段階では事件の発生を把握していないと報告を受けております。関係団体に対しましても特段の要請を行ってはいないところでありますが、今後具体的な事件があれば、その都度、内容を分析の上、必要に応じて関係機関と連携しつつ対応してまいりたい、このように考えております。
○田村大臣政務官 今先生がおっしゃられましたとおり、電子的な支払いサービス制度、電子マネーを含めて非常に広がってきておりますので、昨年、金融庁の方でも金融審議会のワーキンググループをつくりまして、この問題、しっかり議論してまいりました。その中で、今の前払式証票の規制等に関する法律では、セキュリティー確保を義務づけていないんですが、これを義務づけることも含めまして、今後しっかり検討してまいりたいと思います。
以上です。
○田端委員 これは、警察庁の方、大臣、ぜひ督促していただいて、まだ把握していないというんじゃなくて、やはりこれはこれから必ず起こってくるだろうということで、今まだ表ざたになっている事件は少ないかもわかりませんが、もちろんこういうことはすぐ犯罪につながっていくと思いますので、ぜひ前向きな対応策をよろしくお願いしたいと思います。
もう一つ、新しい犯罪として、プリペイド通信カードというのがあります。これは、どこでも簡単にインターネットにつなげられる、そういうカードを発売しているんです。ところが、本人の身元確認をせずにこのカードを販売しているものですから、そういう意味では、不正アクセスを行う一つの道具に使われてしまっている。利用者が特定できないという意味では、悪用できる一つの今新しい傾向になっている点が見られます。
例えば、これは二〇〇五年九月、茨城県警が摘発した事件でありますが、住所不定の男女が、車で移動しながら通信カードを使って架空の商品をネットオークションに出品して、そして三百四十人から代金約八千万円をだまし取っていた、こういう事件がありました。
これは、被害が届けられてから逮捕するまでに一年四カ月かかっているわけであります。つまり、本人の登録がないために非常に特定するのが困難でありましたが、しかし、PHSの電波の発信場所を捜査している間にそこに出入りしている不審な車両を見つけまして、それを追いかけて、東京、埼玉、ずっと追跡した結果、二人を逮捕するきっかけになった、こういうことのようであります。だから、非常に時間がかかるという意味では、これは犯罪を摘発するのが非常に難しい一つの事件に今なっている、こう思います。
もう一つは、二〇〇六年六月に長野それから石川両県警が摘発した不正アクセス事件でありますが、男二人が、地方銀行のインターネットバンキング口座に不正アクセスして、そしてその男の口座に送金していた、このときも偽名を使って購入してやっていたんですが、連絡先にはその人の携帯電話の番号が入っていたために、そこから摘発、容疑者特定ということにつながったわけであります。
こういう事件が今後いろいろな形で起こりかねないということで、この問題についてはぜひ重要視していただきたいと思います。特に、日本通信が発売しているbモバイルという名称の、パソコンに差し込んでPHS電波でネットに接続できるカード、このカードは百五十時間分で約三万円ぐらいだそうでありますけれども、既に五万六千個も出荷した、こう言われているわけであります。
これらが、そういうふうに不正アクセスされて犯罪につながっていくことになれば非常に残念なことになりますが、今警察庁の方で、これらの不正アクセスに使われているbモバイルを中心にしたこういう事件、どのぐらいの認知件数、検挙件数があるのかということをお答えいただきたいと思いますし、このプリペイド式データ通信カードは、本人確認を徹底するように、業者に対する義務づけのようなことも早急に検討しなければならないときに来ているんではないか、こう思います。
これは総務省になるかもわかりませんが、警察庁と総務省からお答えをお願いしたいと思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
プリペイド式データ通信カードにつきましては、御指摘のあったように、販売時に本人確認が行われていないということで、不正アクセス等の犯罪に現に悪用されているという実態がございますし、また、その捜査につきましては、今御指摘があったように、大変な時間と手間が必要だというふうな問題があるわけでございます。
具体的に数字を申し上げますと、これは平成十七年中のものを特別に調べてみたのでありますけれども、十七年中に警察が認知しました不正アクセスの行為は合計五百九十二件あったのでございますけれども、このうち、匿名性が障害となって捜査に進展が見られなかったものが二百十二件ございます。このうち、プリペイド式データ通信カードが使われたものが三十一件ということになっておりまして、現に不正アクセスの手段として相当広く使われているという実態がございます。
こうしたことから、我々は前から問題意識を持っておりまして、業者の方に対して本人確認を行うようにという要請をずっとしてまいりましたけれども、本年五月に至りまして業者の側から、本人確認のための措置を講じますという旨の御回答をいただいております。
したがって、我々としては、その業者の方の御努力を当面見守ってまいりたいと考えております。
〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○桜井政府参考人 お答えいたします。
プリペイド式データ通信カードは、どこでも手軽にインターネットを利用できるということで、大変利便性が高い反面、先生御指摘のとおり、一部の事業者におきまして利用者確認がなされていないデータ通信カードというものが不正アクセス等の犯罪に悪用されている例もあるというふうに承知しております。
このような状況を踏まえまして、今御答弁がございましたけれども、事業者としても、犯罪利用防止の観点から、本年七月を目途に、一定の本人確認を行うシステム、これは携帯電話が本人確認を厳格にやっておりますので、利用者の携帯電話番号とこのデータ通信間をひもづけするというシステムでございますけれども、そういったシステムを導入する予定であるというふうに承知しております。
総務省といたしましては、まずはこのような事業者による適切な犯罪利用防止策が推進されるために適切な対応をしてまいりたいというふうに思っております。
○田端委員 本年七月から事業者の方で本人確認の措置をとる、こういうことであります。それは非常によかったと思いますし、また、これはほかの業者もあろうかと思いますから、ぜひ足並みをそろえていただいて、そういった本人確認をきちっとしていただくということを明確に位置づけていただいて、こういう不正アクセス事件にならないような措置を今後ともよろしくお願いしたいと思います。
これは、既に三十一件使われているということをつかんでいるわけでありますから、そういう意味では、警察庁の方においても、今後ともしっかりと、こういった事件に対しては注意をして、そしてまた国民に対しても意識の喚起をお願いしたい、こう思います。
もう一つ。これは直接お金の問題とは関係ないのでありますが、学校裏サイトといいますか、インターネット等の事件の中で、つまり、インターネット、携帯電話を使った掲示板への書き込み、そしてまたメールなどで中傷誹謗あるいはデマ、そういったことをすることによって、新しいといいますか、もちろん名誉毀損ということにもかかわるわけでありますが、いじめの問題として、こういった事件が非常に子供たちの間にも広がっているということがいろいろなところでも報じられているところであります。
こういうITを使ったいじめの問題というのは、これは言論の自由ということとの問題でなかなか難しい点はありますが、しかし、被害を受けた人にとっては、大変なショックといいますか打撃といいますか、そういうことになるわけでありますので、この点について、いろいろな事件があったろうと思いますが、警察の方ではどこまでこの問題については掌握し、またどういう対応をされているのか、お答えいただきたいと思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
我々、いろいろ相談をお受けするわけなんですけれども、いろいろ集計しておりますが、今、いじめという形ではとっていないんですけれども、ただ、サイバー犯罪に関する相談のうち誹謗中傷、名誉毀損という範疇でとっております。
平成十八年中の数字を申し上げますと、サイバー犯罪に関する相談で六万一千四百六十七件の御相談をいただいていますが、このうち誹謗中傷、名誉毀損等に関する相談は八千三十七件でございまして、全体の約一三%を占めるということでございます。これを五年間の推移で見てみますと、年々ふえる傾向にありまして、平成十四年が二千五百六十六件でありましたので、昨年はその三・一倍ということになっております。
こういったネット上の掲示板、メール等による誹謗中傷、それから名誉毀損のほかに、プライバシーの侵害とか、いろいろな嫌がらせとかがあるわけでございまして、なおかつ、これが原因で少年が自殺したと思われる事案も発生をしているところでございます。
したがって、警察としましては、こういった被害の相談に対して、当該書き込みの削除とか、また発信者情報の開示に向けたプロバイダー等への働きかけの方法を教示する、また、それでもなおかつだめな場合には警察みずからプロバイダーに削除の要請をするということもやっております。また、事案によって、その書き込み者がわかった場合には書き込み者に直接に我々の方から警告を発する、また、それが学生である場合には学校側に連絡をとって指導をしてもらうというふうなこともやっているところであります。こういった形でなるべく早期の鎮静化を図るということが大事でございますけれども、このほか、悪質なものについては事件検挙によって対処したというものもございます。
それから、これ以外に、広報啓発活動でございますけれども、児童生徒を対象とする非行防止教室とか、あとサイバーセキュリティーに関する講習会といったものを我々開いておりますので、こういった中でネット利用に関するモラル向上のための広報啓発活動等の取り組みを行っているという状況でございます。
○田端委員 今も御報告があったとおり、これは今大変な数でどんどんふえていっているということがはっきりするわけでございまして、既に六万一千件あって、そのうち八千件相談があったということでありますから、これはもう本当に深刻な問題ではないか、私はこう思います。
これは、最初はそんな悪気はないかもわかりませんが、しかし、立ち上げたときに、そこにいろいろな書き込みが始まって、そのうちに拡大していったりとか、そんなことになるんだろう、こう思います。そこで、悪意を持ってすれば、そこには非常にいかがわしいといいますか、わいせつ画像を発信したり受けたりとか、あるいはそれを悪用してまたというふうな、悪くなればなるほどそういうふうにいくわけでありますし、そして、子供たちにすればちょっとしたいたずらのつもりが、またそれに尾ひれがついてというふうになっていくのかもわかりません。
しかし、こういう被害に遭った人、特に子供が今直接情報を発信したり受けたりということになっているわけでありまして、したがって、この学校裏サイトというのは、まあ規制までいかなくてもぜひ注意喚起を促す、そして、特に家族あるいは学校の先生方、そういったところに対してもしっかりとした指導をやっていただかないと、非常に事件が煩雑、複雑になっていくのではないか、こういう心配をしております。
先月だったと思いますが、大阪で起こった事件で、女子中学生に対する実名の中傷書き込みを削除せずに放置していたということで、この掲示板を開設した、管理していた会社役員が名誉毀損幇助罪ということで書類送検をされていますし、もう一つは、書き込んだ別の少女が名誉毀損の非行事実で児童相談所に通告されています。
こういう事件がほかにもたくさん考えられると思いますが、特にひどいのは、何とかは死んでしまえとか、何とかはブスであるとか、そういう非常に嫌がらせ的にといいますか、相手に対して強烈なショックを与えるような表現で書き込みがされているわけでありまして、そしてまた、それが一たんうわさになって学校の中に広がったりすると、もう学校へ行くのは嫌だとか、登校拒否とか、こういう社会問題にもつながっていくわけでありますので、特に学校の子供たちに対しての意識、注意喚起、そして父兄、学校の関係者、そういった方々に対してやはりそれなりにきちっとした対応をしていくべきだと思います。
総務省の方で今、e―ネットキャラバンとかでいろいろと活動されているという話も聞いておりますけれども、まず総務省はどういうふうに今手を打っていただいているのか、そして警察庁の方で、さっきは実態について御答弁がありましたが、これに対してどうお考えになっているのか、続いてお願いしたいと思います。
○桜井政府参考人 インターネット上の誹謗中傷等、他人の権利を侵害する情報に関しましては、まずインターネットプロバイダーが適切な削除等の措置をとることが大変大事だということだと思っております。
プロバイダー責任制限法を平成十三年に成立させていただいておるわけでございますけれども、これに基づきまして削除等の対応をインターネットプロバイダーが行った際の責任の明確化を図るということで、プロバイダー等による自主的な対応を促しているのが一つでございます。
それから、刑事上違法な情報あるいはいわゆる有害情報につきましては、私どもで専門家の研究会を設けまして、今、二つの措置を事業者においてとるようにしてございます。
一つが、違法情報への対策といたしまして、どのようなものが違法情報に当たるのか、違法情報の例示あるいは判断基準というものを明確にして、警察等の専門的知見を有する機関から削除依頼があった場合に、プロバイダー等がどういった対応手順で対応するのかということが参照できる違法情報への対応ガイドラインを策定しております。
また、公序良俗に反する有害情報への対応といたしましては、モデル約款等をつくりまして、電気通信事業者団体等においてこういったモデル約款を示すということもやっているところでございます。
こういったことを通じまして、プロバイダーが迅速的確に情報削除等の措置がとれるという対応を促しているところでございます。
それから、先生御指摘のとおり、学校現場あるいは保護者において、いわゆるITといいますか、インターネットの利用についてきちんとした正しい知識を持っていただくということが大変重要だと思っておりまして、先生御指摘のとおり、e―ネットキャラバンということで、これは児童生徒を保護、教育する立場にございます保護者あるいは教職員の方々を対象に、インターネットの安心、安全利用に向けた啓発のための講座のキャラバン、これをe―ネットキャラバンと称しているわけでございますけれども、これを平成十八年四月から全国で実施しているところでございます。
昨年度、十八年度は四百五十三件の講座を開設いたしておりまして、今年度は昨年度の二倍以上のペースの申し込みがあるという状況でございます。
このe―ネットキャラバンは、電気通信事業者等が主体的に参画をして、講師になっていただくということで取り組んでいるところでございますけれども、引き続き、通信事業者と協力しながらこういった取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
情報への対応としては、二通りあると思います。一つは、個別の情報に対してどう対応していくのか。もう一つは、今先生御指摘のように、情報の集合体としてのサイトに対してどう対応するのかという問題があると思います。
我々が今やっておりますのは、個別の情報について、被害を受けた方から御相談を受けて、それに対して、情報の削除とか警告とか、また場合によっては事件化とかいうことを図っているということでございます。
他方で、では集合体としてのサイトに対する規制はどうかということでありますけれども、これは有害サイトというものをどうとらえるかという大変難しい問題がありまして、サイト全体をとらえての規制とかいうことは非常に難しい問題があるなということで考えております。
我々としては、当面、今申し上げましたように、個別具体の情報について、個別具体の事案に応じて御相談に応じ、そしてまた、警告をするとか、削除の要請をするとか、事件化を図るといった対応をしてまいりたい。
他方で、サイバーパトロールを我々はやっておりますので、この有害サイトの実態がどうなっているかということは、また注意深く見守ってまいりたいと考えております。
○田端委員 つまり、ITとかこういう技術は非常に便利なんだけれども、一歩間違えば、それがまた非常に大きな社会問題にもなっていく、そういう裏表、非常に微妙なところがあるんだろう、こう思います。
例えば、携帯電話一つとってみても、子供の治安対策に、携帯電話を子供に持たせる。持たせることによって、お母さんにいつもメールが入って、学校に着きました、塾に行きましたと全部自動的にできるようなシステムも今開発されていると思うんです。だけれども、お母さんからすると、子供に携帯を持たせることが、変なサイトに子供がつながってしまって非行に走るのではないか、そういう不安の一面もまたあるわけであります。
したがって、世の中、非常に科学が進んで、技術が進めば進むほど、便利で使い勝手はよくなるんですが、しかし反面、そういった懸念も出てくるということであります。今、子供の治安対策、大変大事な大きな問題ですけれども、その大きな対策として携帯電話が有効であるということはわかっているんですけれども、しかし、小学校の二年や三年生の子供に携帯を持たせることがいいか悪いかということも、これは一方では大きな問題になっているわけであります。
私は、そういう意味では、今後、この携帯電話一つとってみても、この問題に対してどう対応していくかということについては、例えば、総務省と警察庁がもっと連携をとって議論をしていただいて、どうするかということをやっていただくことが一つは大事ではないかと思います。そして、携帯電話事業者に対しての、フィルタリングをどうするかとか、携帯を買うときにどういう選択肢を備えて、そして、お母さん方が、自分の子供に対してはここまでは許すけれどもここは認めないとかという、そこをどういうふうにするかとか、いろいろな工夫があるのではないかと思います。
特に、子供用の、キッズ携帯と言われる防犯用の携帯、それを警察庁で普及させるという意図ならば、あるいは総務省もそういう考えがあるんだったら、逆にそっち側から犯罪につながらないような、変なサイトにつながらないような、そういうことにして、お母さん方にも安心していただけるような仕組み、制度というものを考えていく必要があるのではないかと思います。
この点については、警察庁ですか、総務省になりますか、どちらかお答えいただきたいと思います。
○桜井政府参考人 出会い系サイトなどの有害サイトから子供たちを守るためには、利用者側、子供たちの側で情報の取捨選択を可能といたしますフィルタリングが大変有効な対策だというふうに認識しております。
携帯電話各社は、一昨年、平成十七年の夏以降、フィルタリングサービスの提供を開始しているところでございますが、認知度を高めるということが大事だということで、携帯電話事業者としては、昨年三月に、「フィルタリング」の普及啓発アクションプランというものを策定して、その周知活動に努めてきているところでございます。
しかしながら、これは昨年の二月の私ども総務省の電気通信サービスモニターアンケートというアンケート調査でございますが、認知度が四〇%程度と大変低い状況にあったということでございまして、そのため、昨年十一月に、総務大臣から携帯電話三社に対しまして、フィルタリングの普及促進に関する取り組みの強化の要請を行っております。
これを受けまして、ことしに入ってから順次、新規契約の際、すべての親権者がフィルタリングサービスを利用しない場合には利用しないというチェックをするという欄を設けるなどの改定を行っております。こういった取り組みによりまして、先ほどの調査のことしの調査では、認知度が六六%ということで、大分上がってきているところでございます。
引き続き、警察庁あるいは文部科学省と協力いたしまして、通達なども出して、いろいろな取り組みをしていただきたいという要請も行っているところでございます。こういったことを通じまして、子供たちが安心してインターネットに接続できる環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
○田端委員 これはまだまだいろいろと対策が大事だと思います。六〇%程度ではまだまだ安心できないと思いますから、さらに検討いただいて、こういう事件が起こらないようによろしくお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○河本委員長 次に、細野豪志君。
○細野委員 官房長官が記者会見でお忙しいということですので、まず、官房長官に対する質問を幾つかさせていただきたいと思います。
まず、「美しい国づくり」プロジェクトでございます。三月三十日に、内閣総理大臣の決裁で、「美しい国づくり」企画会議というのが設置をされておりまして、メンバーを見ますと、平山郁夫氏を初めとして、そうそうたるメンバーが入っておりまして、これは主宰をするのは官房長官ということが書いてあります。
では中身はどんなものなのかなと思って、出ている資料を議事録も含めてできる限り読むようにしたんですが、正直言いまして、これは何をする会議なのかよくわかりません、いろいろな資料は見ているんですが。
まず、官房長官にお伺いしますが、「美しい国づくり」企画会議というのは、何の目的で設置をして、どういう成果をいつごろ出そうとされているのか、主宰をする立場としてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 これは、総理の所信表明演説や施政方針演説でも考え方は示しておるわけでございますけれども、美しい国づくりというのは、総理みずからがことしは美しい国づくり元年だというふうに言ったぐらい、美しい国づくりをやりましょうということでございます。
美しいといっても、一体どういうイメージを持っているんだということを随分お尋ねいただいているわけでありますが、若干時間がたったわけでありますけれども、既に所信表明等々で幾つか考え方を示しております。
日本がそもそも持っているよさ、美しさというのがあると思うんですが、一方で、かつて美しかったけれども最近どうも余り美しくないねというところもたくさんあると思います。あるいは、美しいという前に、やはり新しい時代にふさわしい日本の美しさというものもつくり上げていかなきゃいけないんじゃないだろうかというような考え方もあって、国民一人一人がひとつ足元を見直して、この日本という国を見直して、それで、恐らく千差万別の考え方、美しさというものをそれぞれがお持ちだと思いますけれども、その足元を見詰める中で、これからの「美しい国、日本」というものをつくる作業に取りかかろうじゃないかということで、いろいろ考えた末、今回このような企画会議の有識者会議を立ち上げて、御相談申し上げながら、どういうような運びにしようかなということで今動き始めたところでございます。
美しい日本の粋というのを、まず企画会議で御提言いただいて、約二千の応募があって、自分が思う美しさというのは何だ、あるいは粋というのは何だというようなことで今いただいておりますけれども、それからもう一つ、企画として、現在、写真の募集を通じて、多くの人に身近な視点で自分にとっての日本らしさというのは何だというのを応募してもらおうということで、そういう中から、大事なことは、政策として何をやるのかということをアウトプットとして出していこうということを今考えながら動いているところでございます。
○細野委員 官房長官、恐縮ですが、官房長官の時間もあと十分ぐらいですので、短目に御答弁ください。お願いします。
同趣旨の発言を、この第一回の四月三日の会議でも、冒頭で官房長官おっしゃっていまして、それも拝見をしました。
ただ、見てもよくわからなかったのは、一枚だけ、これが一番コンセプトに近いのかなと思いまして資料を配らせていただいたんですが、手元にありますか。一番最後です。
要するに、この円を見ると、対外発信で自覚が高まったり、自分自身を見詰め直して思ったり、身近なものに参加して気づいたり、磨いたりといろいろ書いてあるわけですが、最後は、今官房長官がおっしゃったとおり、何か政策提言に生かしていかれるわけですね。
となってまいりますと、今、この会議もそうだし、粋の何とかとかいうものもそうなんですけれども、何が美しいと思うかということを、さまざまな方がいろいろな意見を出して、まさに美しさの議論をずっとしていらっしゃるんですが、政策提言でするためには、何を美しいと考えるか、それを推進するわけですから、まずその定義が必要なわけですよね。そんなこと、本当にできるんですか。
そこを私、いろいろ資料も拝見をして、この会議の議事録も全部読みましたが、大いに疑問を持っていまして、官房長官、会議を主宰される立場でありますから、その定義をできるというふうにお考えになっているのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 もちろん、それはできると思ってやっております。
しかし、さっき申し上げたように、美しさというのは、別にこっちから、例えば安倍総理がこれが美しいんだと思うからこれでいってください、そういうたぐいのものでは全くないと思うんです。
今、我々がイメージしているのは、形のあるもの形のないもの、あるいは、かなり洗練された伝統ある文化、芸能、芸術、そういうようなものもあるでしょう、工芸もある、あるいは、例えば高齢者を助けるネットワークのようなもの、そんなようなものも美しいと思うかもわからない。いろいろなものがあると思うので、今まだ始まったばかりで、さまざまなものが実は今の二千ぐらいの中に入っています。
ですから、これは一つの美しいという概念があって、これを何か押しつけるという発想では全くなくて、おおむね皆さんがこんなことかなというものが、きっと幾つかだんだん凝縮されて、そして、それを維持するため、あるいは発展させるため、あるいはもう一回再興するため、そういうものに政策的に何が必要なのか、あるいは、人でなければできないことが人が絶えそうになっているというときには、やはり恒久財として残すべきではないのかということもあるかもわからない。
そういうようなことを幅広く考えて政策につなげていこうということであるわけで、美しさが一つしかないということでは決してないと思います。
○細野委員 定義はするんだけれども、一つではない、いろいろあるということをおっしゃいましたが、ちょっとよくわからないですね、何をされようとしているのか。
もう一つ伺いますが、このプロジェクトを推進するのに、推進室というのをつくっていらして事務局も置いていらっしゃるようですが、そこには何人の職員がいて、そしてどれぐらいの予算がかかっているのか。
もう一つ、ホームページなどを見ておりますと、民間の方にも事務局に入っていただいているというような、そういう記述がありますが、これは出向か何かで民間企業の方が入っているのかどうか。
そのことも含めて、後段の部分、ちょっと細かくて恐縮ですが、お答えをいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 現在、推進室は、専任で九名の体制で、うち民間企業からおいでをいただいている人が四名おられます。
予算は、十九年度予算の中には組み込まれていなかったわけでありますので、内閣官房それから内閣府の既定の予算の中で充当を、適切にできるものについて適切に適用していっているということになっているわけでございます。
○細野委員 官房長官、私、率直な感想を申し上げますと、日本の美しさとは何かとか、いきとは何かとか、見直したいものは何かとかいう、そういう議論をすることは私は嫌いじゃないんですね。私的にそういう議論をいろいろな方とすることは、政治家としても、有益か無益かといえば有益だと思います。いろいろな話をしたり、いろいろな政策を生かしていく上で重要だと思うんですね。
ただ、事務局九人置いて、恐らく一億円を超えるお金がかかるんでしょう、事務局がそれだけかかり、こういう講師の方に来ていただいてやるなら。そこまでお金をかけて政策としてやっていくべきものなのかどうかということについては私は大いに疑問を持っていまして、それは、安倍総理がやられるならば総理として私的に、個人のお金を使っていろいろな蓄積をする、本当は総理になる前にやっていただくのが一番いいんですが、今走りながらやるとおっしゃるのであれば、それはアウトプットも含めて外でやるべきではないかと私は率直に思います。
成果が出ないのであれば、早々に切り上げられるべきだ。逆に、この会議自体、具体的な成果が出ないのであれば早々にけじめをつけるべきだと私は思いますが、官房長官、いつごろまでこれはやるんですか。最後にそれを簡潔に御答弁ください。
○塩崎国務大臣 始まったときから、アウトプットが出ないんじゃないかと言われるのもいささか寂しいものがありますし、これは今始まったばかりで、平山先生を初め皆さん、燃えていただいております。
したがって、大いに議論して、そして政策としての意味のある政策をアウトプットとして出してくる、これはやはり一番大事でありますから、まだ始まったばかりで、これから煮詰めていくことが大事でありますので、我々としても、今の先生の御指摘はよく腹に入れながらやっていきたいと思っております。
時期については、このプロジェクト、今、日本の粋、それから、これから写真を通じてみんなが何を美しいと思っているのかというところを見ながらと思っておりますので、まだ政策提言に結びつくタイミングというのは、具体的には申し上げられないわけでありますけれども、そう時間をかけることなく、秋ごろにはだんだんに形が見えてくるように。
そして、意識を変えるということも実はとても大事な仕事だと思っているわけでありますので、国民の皆様方がみずから、先ほど申し上げたように足元を見詰め直して、もう一回自分の日本という国を見直すチャンスに、機会にしていくということが一つの目的でもありますから、それを喚起しながらやっていく、国民運動的にそういう今のような考え方で、有識者の皆様方の意見を聞きながら進んでいきたいと思っております。
少なくとも、秋ごろには何らかの形でいろいろなお話を発信できるように、政策を発信できるようにしていきたいなというふうに考えております。
○細野委員 写真を見て何を美しいと思うかというようなことは、まさに主観に属するところですよね。押しつけはしないというふうにおっしゃいましたが、教育再生会議の親学も含めて、やはりこういう政治がある価値観に、美しさというような極めて定義しにくいものを定義しようという試みは、私はやるべきではないというふうに思っています。しばらくフォローして見ていきますが、ちょっと安倍政権の、これは親学にしても美しさにしても、一つのそういう性質をあらわしているんじゃないかな、そんな思いもありまして聞かせていただきました。この件は結構です。
続いて、先週質疑の中でさせていただきました、元社会保険庁長官、正木さんという方ですが、この方がどういう天下りをしているかという問題について、少し官房長官がいる間に伺いたいと思います。
この方は、先週も申し上げましたが、手書き台帳の破棄をしたときの社会保険庁の長官ということであえて実名を、少し迷ったんですが、御本人にも責任があるということでデータを出させていただきました。先週、総理に、情報公開を退職金についても求めましたが、お答えをいただけませんでした。
最近の六名の長官の退職金、これを平均しますと五千五百万、これを新たに追加しました。加えて、四つ天下って、五つ目は非常勤でしたので、私はこれは無報酬でやっていらっしゃるのかなと思っていたんですが、もう少し調べてみますと、有給でやっていらっしゃるということでございまして、病院の経営をしている財団ですが、在職が、任期が平成十九年の七月までということになっておりまして、六年在籍をされると、かなり少な目に見積もって、週一日しか来られていないということですので五分の一に削って、ほぼ間違っていないと思うんです。これぐらいもらっていらっしゃる。合計をすると三億六千六百万円、これは退職金を含めてですが、わたり五つでこの方は給料をもらっているということなんですね。その責任については後ほど渡辺大臣に聞きます。
私は、まず官房長官に伺いたいんですが、先週の金曜日の答弁で、私と安倍総理とのやりとりの中で実は大変な事実誤認がありますので、そのことをまず指摘させていただきたいと思います。
後ろから三枚目から二枚目の資料をごらんください。これは官房長官に聞きますので、ちょっとよく読んでいただけますか。最後のところで私は質問をさせていただいていますが、私が、社会保険庁が日本年金機構になったときに、その日本年金機構からの再就職を規制する法案はありますかというふうに聞きました。よろしいですか、官房長官。(塩崎国務大臣「何ページを見ているの」と呼ぶ)十四ページと下に書いた議事録のページを見ています。その最後で私が質問したんですね。
もう一枚めくってください。日本年金機構になってその先、日本年金機構から天下るときには規制がありますかということを聞いたら、安倍総理はこういうふうに答えられているんですね。横棒を引いておきましたが、いわば日本年金機構はこのどこにも、このどこにもというのは天下り先のことを指します。このどこにも権限を持っていないことははっきりしていますね。そして、その先、例えば全国社会保険協会連合会は、保険局の保険課ですよ。要するに、社会保険庁の所管ではないから、社会保険庁の判断、もしくはその後の日本年金機構の判断では天下りを決められないので、関係ないじゃないですかと、相当大きな声で自信満々で答弁をされたんですね、安倍総理は。
それで、確認をしますが、厚生労働省、事実確認だけしますから、そこだけ答えてください。
この天下り先五団体の中で、全国社会保険協会連合会と社会保険健康事業財団は社会保険庁の所管ではないですか。事実関係のみ、その部分だけ答えてください。
○宮島政府参考人 お答えいたします。
全国社会保険協会連合会は、社会保険庁所管の公益法人でございます。また、財団法人社会保険健康事業財団、これも社会保険庁所管の公益法人でございます。
○細野委員 要するに、安倍総理は完全に虚偽答弁をしているんですね。意図的ではないにしたら、完全に事実誤認です。私も、事前に調べていて、これは社会保険庁の担当だよなと思ったんですが、総理はかつて部会長までやられていたので、その方が自信満々ででかい声で答弁をされたので、実は余り詰めなかったんですね。これは社会保険庁の所管じゃないですか。社会保険庁の判断で天下りできるんですよ。
その証拠に、官房長官、ちょっともう少し前をめくっていただきたいんですが、資料の二枚目、これは正木長官の天下り先を厚生労働省に出していただいた資料です。官房長官、よろしいですか。あっせんの有無についても一部回答していただいています。一つ目の全国社会保険協会連合会、右側、あっせんは「(書類上は確認できず)」。四つ目、社会保険健康事業財団、「(書類上は確認できず)」。厚生労働省は確認できていないじゃないですか。まさにこれは社会保険庁が直接やっているから確認できていないんじゃないですか。
これは単なる事実誤認の虚偽答弁ではなくて、社会保険庁を天下って、それが主導的な役割を果たしているということを私が正面から聞いたのに、完全にそれを事実誤認ではぐらかしたという答弁なんですよ。法案は終わっていますが、社会保険庁の問題はまだ終わっていませんから。大事な部分です。
官房長官、この事実誤認はどうしますか。御答弁ください。
○塩崎国務大臣 総理が答弁申し上げたときに、恐らく、社会保険ということで保険局の所管だろうというふうに思ったんだろうと思うんですね。それから、社会保険健康事業財団、これも社会保険庁の所管ということでありながら、これについては触れなかったと思うんですが、いずれにしても、社会保険協会について総理が言ったのは、保険局の所管だと恐らく思ったというふうに私は推測して、ですから、今先生御指摘のように、これは実は社会保険庁の所管の団体だったということでありますから、総理が誤ったことを申し上げたということであろうかというふうに思います。
○細野委員 官房長官はもう時間がないので、もう一つ確認をしますが、いいですか、社会保険庁からのこの正木さんの天下りを、私は確かに例を挙げました。社会保険庁の判断で天下りをどんどんつくれたら、日本年金機構になったら厚生労働省のグリップがきかないんじゃないですかという趣旨のことを言ったんですね。それに対して、単なる事実誤認ではなくて、よく聞いてくださいよ、いわば日本年金機構はこのどこにも権限を持っていないと言ったんですよ。この答弁自体を取り消していただくか、再答弁していただくしかないんですよね。これは社会保険庁の天下りをめぐる重要な問題なんです。正木さんは問題になっているんです。責任の問題は後で大臣に聞きますが、こういうところでこういう事実誤認。私は個別に答えてくれと言っていないんですよ。わざわざ総理が名前を挙げて間違ったんですからね。
官房長官は時間もないでしょうから、最後に、政府として、どういうふうにこの問題について最終的に結論を出そうというふうにお考えになるか、お考えを聞いて、それで、お帰りいただいて結構です。
○塩崎国務大臣 私が事務方から聞いている限りでは、この全国社会保険協会連合会を社会保険報酬支払基金に修正することを議員に申し入れ、議員預かりとなっているというふうに説明を厚労省の方から聞いております。
○細野委員 官房長官、ちょっと、そのまま受け取らないでいただきたいんですよ。日本年金機構はこのどこにも権限を持っていないことははっきりしていますねと。この全国社会保険協会連合会だけじゃなくて、天下り先、そのどこにもと答弁しているんですよ。私が聞いたのは、社会保険庁の判断で天下れるときに天下っていらっしゃるので、そこが問題なんですねと言ったのに、そこの問題を否定される意味で事例を出されたんですからね。
官房長官、お忙しいようですから、この問題については、まさに進行中の問題ですので、私は社会保険庁からの天下りをめぐる重要な問題だと思いますので、総理に再答弁をこの委員会で求めたいと思いますので、委員長、お計らいをお願いします。結構です、答弁は。
○河本委員長 理事会で協議します。
○細野委員 官房長官、結構です。済みません、延長しまして。ありがとうございました。
ここから、正木長官をめぐります問題について少しずつ聞いていきたいと思うんですが、まず大臣、簡潔にお伺いしたいんですが、総理は、この報酬についてはきちっと公開すべきではないかという私の質問については、個人情報を盾に公開を拒否されました。
私は、特にこういう公的な機関に天下った方の給与については、退職金も含めて公開すべきだと思います。特に、社会保険庁については国民の関心がこれだけ高くなっています。その中で、大臣は処分も検討するとまでおっしゃっているわけですから、正木元長官はもちろんですが、ほかの方も含めて情報公開をするというお考えはないかどうか、御答弁いただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 社会保険庁長官の退職金というのは、大体推測がつくんだろうと思います。ですからこちらにも、五千五百万円ですか、こういう記述がつくと思うんですね。ですから、これについては推定ですが、それほど大差のない数字が得られるものと思います。
そのほかの団体については、特殊法人であったり公益法人であったり、いろいろ法人の形態がございますので、ちょっと一概には言えませんけれども、こういう個人情報について本人の同意なしに公表するのはなかなか難しいのではないかと考えます。
○細野委員 大臣、二つ目と三つ目は大臣任命です。三つ目の調査機構は、今独立行政法人になっていますから、ほとんどこれは公務です。一つ目、全国社会保険協会連合会は天下り先、二つ目、三つ目は大臣任命です。大臣、よろしいですか。一つ目と四つ目は、社会保険のさまざまな政策に直接的にかかわる公益法人です。補助金も受け取っています。こういうところの理事長、副理事長というのは、個人情報なんですか。公務をまさにしているわけですよね。私は、そこは個人情報を取り違っていると思いますよ。
私は、きちっとこういう公的な機関、最後の一つはちょっと微妙なんです、財団でも極めて民間色の強い財団ですから。最後の一つまでは、これはそれこそ報酬規程が出ていましたから、それをもとに出しただけで、公表データに基づいて出しているだけなんですが、残りは過去がわからないんですよね。過去、給与規程が違っていたり、団体が変わっていたりしますから。ですから、これは最低限、計算するとこういう金額だということなんですね。まさに公務でしていらっしゃるわけですから、こういうのは公開すべきというふうに御判断いただけないでしょうか。
○渡辺国務大臣 ですから、こういったものは統一的な基準が必要であろうと思うんですね。独法の見直しをやっておりますが、では、独法の中で厚生省関係のものだけ退職金を明らかにせよというのでもバランスを欠くのではないでしょうか。
独法見直しは、私の方にもその任務がおりてきておりますので、その検討の中で研究をしてまいりたいと考えます。
○細野委員 ちょっとはっきりしないですね、答弁が。わかりました。それは考え方ですから、私どもとは考え方が違うということで理解をしました。
続いて、大臣がこの間の参議院の本会議でも答弁をされている処分の問題なんですが、相当声を荒げて、処分も検討するんですということを答弁されているのを私も映像でも見ましたが、どういうことを考えられているのか。
その前提として、総務省に伺いますが、退職した公務員に対する処分、退職金の返還も含めて、どういう制度があるのか。まず、制度としてどういうものがあるのかを御答弁いただきたいと思います。総務省。
○戸谷政府参考人 お答えいたします。
まず、国家公務員法の懲戒処分でございますが、これは、職員が公務員秩序を乱す行為を行った場合ということで、任命権者がいわば使用者としての立場から、公務員関係の秩序維持を図ることを目的として、公務員関係から排除をする免職を限度に課す制裁措置でございまして、この措置につきましては公務員関係の存在が前提となるということでございます。
それから、退職手当でございますが、現行制度上、退職手当が支給された後において、退職者が在職中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたときは、支給した退職手当の返納を命じることができるという規定を設けております。
なお、各省各庁の長が退職者に対し、退職手当支給相当額について、その全部または一部の自主返納について要請するということは可能でございます。
○細野委員 最後、自主返納の話がありましたが、要するに、それ以外はない。社会保険庁の場合は、元長官の場合は、刑事罰にかかわるようなことをした方というのは恐らくいないんでしょうね。いろいろ、グリーンピアを買ったり、ゴルフボールを買ったりとか、そういうのがもしかしたら予算執行法にかかるかもしれない、これは長妻議員の主張ですが。
そういう部分はあり得ても、刑事罰の対象にはなり得ないということですね。総務省、もう一回確認させてください。
○戸谷政府参考人 私どもは、制度として、一般論として、刑事罰の場合には返還を求めるということでございますけれども、それ自体の、社会保険庁で何が起こったかということにつきましては、ちょっと私どもとして判断いたしかねるところでございます。
○細野委員 では、大臣に聞きます。処分について盛んに、退職金の問題も含めて答弁をされていますが、こういう制度の中でどういったことを考えていらっしゃるのでしょうか。
○渡辺国務大臣 私が参議院の本会議で言ったことでお尋ねかと存じますが、私の記憶では、処分という言葉は使ってないんだと思います。
いずれにしても、かつての社会保険庁に見られたような無駄遣い体質、これをやめさせるということが大事でありますし、また、抜本改革の過程で今日のような問題がなぜ起きてきたのか、その責任体制を追及していくことが必要だと考えています。責任体制については、すべての関係者には大きな責任があると考えます。そこで、この問題に関して委員会を設けるというわけでございますから、その委員会において調査、検証は行われていくものと思います。
私が申し上げましたのは例えばの話で、具体的な責任のとり方の一つとして自主的な退職金の返納などについて言及をしたものでございます。
○細野委員 一つのとり方ということですが、大臣がそういう発言をされるのは大変重いですね。
では、確認をしますが、自主的な退職金の返納を政府として検討する、そういうことでよろしいんですか。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、まず、委員会において、なぜこんな大問題が生じたのかの責任体制、原因究明が行われるものと思います。その中で、ではどのような具体的責任のとり方があるかということもあわせて検討されるものと思います。
したがって、そういったもろもろの具体的な責任のとり方の中の一つとして、例えば退職金の自主返納ということはあり得ますよねということを申し上げたわけであります。(発言する者あり)
○細野委員 今ありましたが、重い発言だと思います。
天下りバンクを有識者懇に丸投げするのは我々はとんでもないという話をしました。ただ、こういう退職金の返納のような責任の所在については、これはいきなりどんと決めるわけにいきませんから、ある程度有識者会議で落ちついて議論をしていただくのはこれは結構だと思います。ただ、選択肢としてそれをしっかり大臣として視野に入れたということは、これは重い発言ですから、しかも委員会での発言ですから、我々としてはしっかりとテークノートをしておきたいというふうに思います。
残された時間で、社会保険庁からの天下りの問題をもう一度やりたいと思います。
大臣、先ほど官房長官に確認をさせていただきましたが、この天下り先、一つ目の社会保険協会連合会、そして、四つ目の社会保険健康事業財団は、これは社会保険庁の企画課、社会保険庁の中核たる企画課の所管なんですね。ここへのあっせんは、書類上は確認をできず、これが厚生労働省の答えです。
いいですか、大臣。私がこの間聞きたかったことは、社会保険庁が自分の判断でそこに勤めている官僚のOBを自分の子飼いの財団や公益法人に再就職させること、これができるのではないですか、もしくはプロパー、官僚のOBではなくて社会保険庁プロパーの人を再就職のあっせんをできるのではないですかということを質問したら、本省が絡んでいないとなかなか難しい人事なんですよと渡辺大臣もお答えになったんです。
でも、これは本省人事じゃないじゃないですか。お認めになっています。本省からのあっせんは確認できていないですから、この二つは。社会保険庁の所管だから。ということは、社会保険庁の判断で天下り先を探して、そこの判断で、官僚OBも自主的な判断で、あっせんなく、人材バンクも厚生労働省もかまさずに再就職できるじゃないですか。大臣もここのところはこの間の答弁はおかしいんです。これは規制できますか。
言っていることわかりますよね。(渡辺国務大臣「どこについているの、その答弁」と呼ぶ)大臣の答弁は御自身の答弁ですから持ってきていません。この間、金曜日の答弁です。要するに、本省のあっせんがないとできないんですと答弁されているんです。
○渡辺国務大臣 その速記録を持っていませんので、そのときどういう答弁をしたのか存じませんが、本省というのは本庁なのかもしれませんね。つまり、役所のあっせんというのは、いろいろなセクションごとにやっているんですよ。ですから、例えば、官房秘書課でやっていたり、それぞれの局の何課でやっていたりとか、実にたくさんのセクションで分かれてやっているわけであります。
したがって、社会保険庁においてやっている場合もあるかもしれませんけれども、本庁と言うべきところを本省と言ったのかどうか、もしそういうことであれば訂正をいたします。
○細野委員 もう一回だけ言いますね。ここで答弁整理していただきたいので、とめていただきたいんですが。
大臣、いいですか。社会保険庁が日本年金機構になるんですよね、二年後に。社会保険庁の判断で天下れるようなところがあったら、日本年金機構になったら規制できませんねということを聞いたんです。それを否定するのに本庁のと答弁していたとしたら、この答弁、成り立たないんですよ。整理してください。
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
渡辺国務大臣。
○渡辺国務大臣 要するに、お尋ねの話は、社会保険庁が年金機構になる、そうすると、これは要するに、国家公務員法の天下り規制がかからなくなるではないか、こういう御指摘ですよね。
ですから、それに対しては、厚生労働省のあっせんが行われて日本年金機構に天下るという場合には規制がかかります。一方、日本年金機構の幹部は、そっくりそのまま社会保険庁の幹部が行くとは限りませんね。ですから、これはまさしく法律によって法人格を与えられるものでございますから、国家公務員法そのものの天下り規制はもちろんかかりません。ですから、そのかからないことをもって、これは不備とは言えないのではないでしょうか。
○細野委員 社会保険庁からの天下りがかからない、不備ではないという御答弁だったんですけれども、ちょっと厚生労働省に聞きますが、社会保険庁から、今、例えば、私の知り得るところでは、各種の健康保険組合、IT関係の企業及び年金の運用をしている金融機関へどれぐらい天下っているか、事実を把握していますか。
○清水政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員の退職後におきます再就職の状況は、一般的に政府が把握する立場にはございませんけれども、平成十三年の公務員制度改革大綱に基づきまして、公表のために、本省企画官相当職以上の者であって、社会保険庁を退職して再就職した者の状況は把握しておるわけでございます。
平成十八年十二月十五日公表のもの、すなわち、退職の日が平成十七年八月十六日から平成十八年八月十五日までの間の者を十二月十五日に公表したわけでございますけれども、再就職をした者は十二名でございます。ただ、このうち、健康保険組合が二名でございまして、IT関係、銀行、保険等の金融関係はないものと承知してございます。
○細野委員 今のはひどい答弁ですよ。きょう、もう既にNTTデータへの天下り、NTTデータシステムサービスへの天下りが問題になっていますよね、社会保険庁。厚生労働省できちっと把握していないじゃないですか。
大臣、さっき御答弁があったのは、社会保険庁からの再就職は、必ずしも日本年金機構になってからは問題にならないかもしれないとおっしゃいましたね。答弁されましたね、それ自体は。されました。では、現状を調べてください。社会保険庁からどれぐらい天下っていて、問題がないのかどうか。
あの答弁じゃ話になりません。全部ちゃんと調べてください。二年間で日本年金機構になったときに、それが同じように行われれば、一切そこは手が届かないんです。今調べてください。きちっと答弁していただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 日本年金機構ができるときに、今の社会保険庁の体質が温存をされていては困ります。したがって、社会保険庁の天下り問題については、私の担当する範囲で調べたいと考えます。
○細野委員 もう一度確認をとりますが、大臣が担当している中で天下りについては全部調べるということですね。再就職の状況について全部お調べになる、再々就職も含めて調べる、そういうことですね。確認させてください。
○渡辺国務大臣 私の担当と申し上げましたのは、これから社会保険庁の解体を行っていくに当たって、どこからどこまで民間に仕事を回すか、民間マンパワーを使うか、そして日本年金機構における採用の基準を、基本計画をつくる、そういったことが私の任務として与えられております。
また、そういうことをやっていく中で、この社会保険庁の体質、天下り問題も含めて、体質が残っては困りますので、そういう観点から調べたいということを申し上げているわけであります。
○細野委員 ちょっと答弁が後退していますよ。
参議院の方でも同じことをきちっと厚生労働委員会で我々は求めますが、参議院では採決までに、少なくとも社会保険庁の役員、その再就職の状況、それぐらいは全部調べてください。これは大臣、約束してもらえませんか。参議院でも求めますが、もうその先、これをきちっと議論する機会が余りないんですよ。
参議院の採決までに、きちっと少なくとも役員は全部調べる。お約束いただけませんか。
○渡辺国務大臣 社会保険庁の体質が温存されるようなことは困りますので、そういう観点から調査は進めてまいります。
○細野委員 残念ながら確約はありませんでしたので、委員会としてきちっとそこは調査をする、これを委員長にお取り計らいいただきたいと思います。
○河本委員長 理事会で協議します。
○細野委員 では、時間が短くなりまして、大田大臣にもわざわざ御足労いただいていますので、最後に、何か天下りばかりやっていると思われてもいけないので、ちょっと経済財政諮問会議について。
四日に骨太方針二〇〇七の素案が出ておりまして、私は全部拝見しました。正直言いまして、もう少し具体的に書かれているかなと思っておったものですから、そこは正直がっかりいたしました。特に、消費税の問題、公共事業のカットの問題、なぜそれが入らなかったのか、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
○大田国務大臣 税制改革につきましては、本年秋以降に本格的な議論を行います。平成十九年度を目途に、社会保障給付ですとか少子化対策に要する費用を見通しまして、その見通しを踏まえて、消費税を含む税体系の抜本的改革について議論をいたします。したがいまして、この素案には、それに向けての基本的な考え方を述べてあります。
それから、公共投資に関しましては、骨太二〇〇六にのっとり、最大限の削減を行う、そのための取り組みについて書いてございます。
○細野委員 公共事業について、さらなる重点化、効率化とは書いてあるんですが、削減とは書いていませんね。重点化、効率化というのは、これはもう当たり前の話で、なぜ削減というのがきちっと書いていないのか。
去年の十一月二十四日に、御手洗経団連会長を初め民間の皆さんから、公共事業三%カット、これは具体的に提案が出ています。これがこういう形で落ちている理由をもう少し御説明いただけますでしょうか。
○大田国務大臣 骨太方針の中で、来年度予算の増減率を具体的な数字で何%という形で書いたことはこれまでもございません。
骨太の中では、公共投資だけではなくて、すべての費目について、国、地方を通じ、引き続き基本方針二〇〇六にのっとり、最大限の削減を行うということになっております。したがいまして、基本方針二〇〇六で公共投資はマイナス一からマイナス三%と書かれておりますが、それにのっとるということは明確に書いてございます。
○細野委員 大臣、私、今これを読んでいまして、なかなかおもしろいんですね。「小泉官邸秘録」、飯島秘書官が書かれているんですが、これにこういうふうに書いてあるんですね。「諮問会議の「骨太の方針」は、この「概算要求基準」」これは八月に出るものですね、「に先立って決定される。小泉総理は、この「骨太の方針」に、自らの改革の基本的枠組みを具体的に盛り込み、それに沿った予算編成方針を策定するようにしたのである。つまり、霞が関の予算編成の歳時記を変え、予算編成の基本方針の決定権を事実上財務省から諮問会議に移したのである。」こう書いてあるんですね。
いろいろ小泉改革についての是非の議論はあるけれども、官邸主導で骨太方針ができて、それが財務省を縛って概算要求ができたというのは大きな変革だったこと、これは認めます。その意味からすると、私、非常に今回の骨太方針というのは、骨太と言うにはちょっと余りに細過ぎるなというふうに思っていまして、もう時間が来ましたから、最後に一言、もし御決意があれば伺いますが、ちょっとこれでは本当の意味で財政改革ができるのか、それも含めて、財務省を本当に諮問会議で仕切れるのかどうか疑問に感じておりますが、御感想があれば最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
○大田国務大臣 予算編成の枠組みを大きく変えたという基本線は、全くそのまま踏襲しております。この中にまさに予算編成の基本的枠組みが書かれております。
先ほど申し上げましたように、来年度予算の具体的な増減率を閣議決定するということを骨太方針でやったことはございません。それは年末の予算編成の基本方針になります。骨太方針で基本的な方向を書いた後、今後、予算編成の全体像というのを出します。これが概算要求のベースになるものです。この中では具体的な数字を書き込むことはございます。それに基づいて概算要求基準が策定されるということになります。ことしもそのスケジュールで行います。
○細野委員 またやりたいと思います。
どうもありがとうございました。
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○河本委員長 この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として社会保険庁社会保険業務センター所長皆川尚史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○河本委員長 次に、岩國哲人君。
○岩國委員 岩國哲人でございます。
まず、渡辺大臣にお伺いしたいと思います。
先ほど、細野委員と官房長官あるいは大臣との美しい国をめぐっての議論を私も拝聴しておりました。資料として、この社会保険庁長官、正木長官の美しい人生のお手本がここに示されているわけですけれども、こういう一部の人にだけ美しい人生が保障されるような仕組みというのは、私は美しい国だとは思いませんし、一部の人にだけ美しい人生を保障し、そして多くの国民には汗をかかせる、こういう国を美しい国とは思いません。
ゼロ金利政策で得るべき多くの利子を、大臣も金融にお詳しいから御存じのように、二百兆、三百兆奪われてきた、そういう多くの国民の税金はことしから上がります。ゼロ金利政策の恩恵を受けて、支払うべき利子を大きく節約できた大きな企業の税金は下がります。これはまさにあべこべ、あべこべの安倍内閣の象徴ではないかと思えるような、これは美しい国ではなくて恥ずかしい国ではないかと私は思います。
そうした恥ずかしい国の中にあっても、私は、国を支える大切な柱、官僚機構、公務員制度というものはやはり美しい姿になってほしい、そういう願いを持って、渡辺大臣に、官民人材交流センター、いわゆる天下りバンクについて関連した質問をさせていただきたいと思います。法案そのものは、残念ながら午前中に採決されてしまったようですけれども。
この法案をめぐって、私も一カ月前に質問に立たせていただきました。大臣に何度もお伺いし、いわゆる官僚先進国のいろいろな制度、そこにおける官僚制度の光と影、あるいは弊害というものがあったらどういう弊害があったのか、それを、先進国の故知に学んで、日本が今つくるんだったら、お手本になるような法案というものをつくっていただきたい、そのように私は思います。
一カ月前に要求しました。先進国の天下り、そういう例はあるのかないのか。あるとすれば、それはどういう方法で防いでいるのか、どういう形で社会はそれを受け入れているのか。お答えいただけませんか。
○渡辺国務大臣 一カ月前にも申し上げたかと思いますが、人事院の資料で、諸外国の国家公務員制度の概要、平成十八年十一月十七日というものがございます。その中で、再就職に係る規制という項目がございます。例えばアメリカ、再就職自体を規制する一般的な制度はない、ただし、調達担当職員は、入札企業からの職の提供を拒否しなければならないという規制はあるとか、退職後、国の機関との接触を禁止する規定がある等々、イギリス、ドイツ、フランスなどの再就職規制に言及をいたしております。
ただ、ここにおいて、いわゆる日本の天下りという類型が諸外国においてどんぴしゃりのものがあるのかと言われますと、こういった欧米先進工業国においては見当たらないということなのではないでしょうか。
そこで、私がこの前に申し上げましたように、これは日本の特有の公務員制度における弊害、国民の不信を買っている問題ではないか。ですから、これをどこかの外国の公務員制度をモデルにして直すというよりも、病弊の根源が日本のシステム、慣行の中にあるわけでありますから、これを是正することによって国民の信頼を回復することができるではないですかということを申し上げたのでございます。
○岩國委員 七点お伺いします。
大臣は、私が一カ月前に質問したときに、もうその資料には目を通しておられたんですか、おられなかったんですか。
二番目に、その資料はいつ作成されたものですか。
三番目に、その資料はこの法案を審議している委員にはちゃんと届けられておりますか。
四番目に、わざわざ私がそれを質問したにもかかわらず、なぜ私の手元に届かないのか。
そして五番目に、答弁したはずとおっしゃった一カ月前の答弁の記録を洗ってみてください。大臣は、その資料を引用して私に答弁はしておられないはずです。
六番目に、日本だけの弊害であると言い切れる根拠は何なのか。
そして、ここが一番大事なところ、七番目に、日本だけの弊害であるというならば、なぜ日本にだけそういう弊害が起きるのか。それをよく踏まえた上での今度の法案改革になっているのかどうか。また同じようなことが起きる、いや、これはまた日本だけの特有の弊害でございます、日本だけ、日本だけで逃げてはいけないと私は思うんです。
同じような法制度、グローバリゼーションの中で、民の世界は完全に外国の雇用体系の中に入っています。なぜ官の世界だけはグローバリゼーションの中で取り残されているのか。それは、改革する気持ちさえあれば、官の世界もしっかりと、フランス、ドイツ、イギリス、そういう官僚先進国と同じように、天下りという弊害のないままで、そういう病気にかからない健康な官僚体制というのはあり得るはずだと私は思うんです。
お答えください。
○渡辺国務大臣 この前私が答弁を申し上げたのは、平成十八年の十一月十七日、行政改革推進本部第四回専門調査会に提出された資料がございます、これは人事院が作成をしたもので、諸外国の国家公務員の任用、評価、身分保障、退職関連、給与等々について、この資料で記述がございますという答弁をさせていただいております。先ほど私が言及いたしましたのは、この資料に基づくものであります。
なぜお届けをしなかったのかについては、多分、委員会の席上での明確な御要請がなかったか、あるいは私が失念したか、どちらかだと思います。
また、幾つも御質問いただきましたので思いつくものから申し上げますと、天下りという弊害がなぜ起きるのか。
これは、言うまでもございませんが、年功序列人事制度というプラグマティックルールによるところが大きいと考えます。すなわち、同期が横並びで昇進をしていって、ポストがあるうちはいいけれども、ポストがなくなってしまう、そうすると、後輩に追い抜かれることをよしとしない、そういうカルチャーの中で肩たたきが起こって、天下り先をつくってそこに天下る、こういうことが行われているわけであります。
これが税金の無駄遣いにならないのであれば何をか言わんやでありますが、官製談合のように明らかに税金の無駄遣いの温床になっているということがあるわけでありますから、今回は、能力・実績主義を導入して、肩たたきシステムの根幹にある年功序列を打破しよう、そして、再就職に当たっても、能力・実績主義によって正当な評価をされて、予算、権限の背景なしの再就職ができるようにしていこうということでございます。
また、この資料を委員の皆様にお配りしなかったのはなぜか。これも、御要請がなかったのか、あるいは御要請があっても私が失念したのか、どちらかだと思います。
そのほかの質問については、ちょっと忘れてしまいましたので、必要があればもう一度お聞きいただければと思います。
〔委員長退席、平井委員長代理着席〕
○岩國委員 そうしたその資料によれば、ぜひその資料は全委員に届けていただきたいと思います。せっかくこれだけの国会議員が、何カ月もこの法案をめぐって、官僚制度を理解し、外国との違いを理解した上でこの法案を採決されたということになっているわけですから、大臣が読んでおられて、大臣が答弁に一部を引用されたというのであれば、なおさらそれは各委員の手元にお届けすべきものじゃないかと私は思います。
そして、その中に肩たたきもなければ年功序列もないということを私の目で確認したいと思います。天下りというのは、肩たたきと年功序列から生まれている、そういう症状であるとするならば、よその国は、肩たたきもない、年功序列もない、だから日本にだけ特有の現象であるということを、私は私を納得させたいと思います。
次の質問に移ります。
平井委員も五月十八日の質問で取り上げておられますけれども、天下り先をめぐって、いろいろな省庁の間での利益の衝突がある。こうした場合に、透明性、公平、この天下りというのは非常にクリーンで、国のためにお役に立つ、そしてこういう省庁の談合というものに結びつかないケースであるということをどうやって担保できるのか、保証できるのか。
私は、官の世界でも民の世界でも人事というものを少しは担当しておりますけれども、こういう人事異動をめぐっては、いろいろな情報を使い、また相談もし、そして本人を納得させるわけです。この人材交流センターの中で、Aという省庁がBという省庁の人事を担当する、そしてAはAの人の交流はお世話しない、そういう形でできるだけ公平性、透明性を高めようとされていることは、気持ちはわかりますけれども、具体的にそれは可能なのかどうなのか。
Aの省庁の人とBの省庁の人がどこかで会ったり、情報交換したり、携帯電話をかけたりEメールで連絡したり、そちらのあの人は私がちゃんと協力するから、こちらのあの人はちゃんとあそこへ行けるようにしてくれよというようなことは、人間の世界、当然あり得ると私は思うんです。それがないということは、どういうふうにして証明できるんでしょうか。あるということの証明はまだできますけれども、ないということの証明は非常に難しいんじゃないかと思うんです。お答えいただけませんか。
○渡辺国務大臣 センターのスタッフをどういうぐあいに集めてセンターを構築するかということについては、これからの話でございます。センターにおいては中立性が求められますので、まさしく、今行われております各省あっせんのトンネル機関にならないように注意をすることが大事でございます。
一方、これは再就職支援でありますから、当該職員についての情報をきちんと把握していなければなりません。そういう観点から、関係行政機関に対して、センターは資料の提出や意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるとなっておるわけでございます。
いずれも、これらはあっせんの対象職員に関する必要なキャリア及び人的情報の把握のために行うものであって、センターが行うあっせんの過程で、各省が企業等と接触を認めるものではございません。あくまでも直取引はだめですよということにしてあるわけでございます。
○岩國委員 私は悲観的過ぎるかもしれませんけれども、人間のやること、こうしたA省庁とB省庁、大きな官の世界の中で、貸し借りの関係の中でやられれば、今と五十歩百歩、縦割り、押しつけ型の天下りというものが結局、透明化されたような幻想を振りまくことによってこれからも継続されるということではないかと思います。そういう偽装された、言葉はきついかもしれませんけれども、人材ロンダリングのためのロンダリングセンターとしてこれが活用される。結果的には、A省庁とB省庁で裏の方で意思の疎通が十分に図られて、そして、国民にはいかにも透明で公平であるかのごとく偽装されて、これからこの制度が温存、継続されるということになるのではないかと思います。
それと、大臣にお伺いしますけれども、人材活用、人材交流、これはあくまでも、官の世界に入る優秀な人たちのそういう素質、能力というのを国全体のためにお役に立てよう、これは大臣も何度もそういうことはおっしゃっていますし、私も一〇〇%、その点においては賛成です。
この法案とは別に、この交流センター、まがいもののこの交流センターとは全く別個に、現行体制の中でもできる人材の育成あるいは活用というものはもっともっとあるんじゃないかと思うんです。行政改革を担当される、公務員制度を担当しておられる大臣として、どういう新しい発想を持っておられるのか。今までの官の世界になかったこういう制度を取り入れる、そういうことが、何も法律も要らない、発想を変えるだけによってできるのではないかと私は思います。
例えば、上級公務員の採用を一括プール化する。これは、時々そういう構想というのは出ておりますけれども、いまだに各省庁ごとの採用というものが行われている。入り口が別々だから、最後まで別々、出ていくときも別々。縦割り、天下りの一つの温床になっているのは、私は、そういう採用の仕方にもあるんじゃないかと思います。まず入り口からきれいに変えていく、そういうことはできるのかできないのか。断行するお考えはあるのかどうか。
二番目に、能力の評価の問題。これは寺田委員が五月三十日の質問でも取り上げておられるし、人材確保については五月二十三日の委員会でも質問しておられますけれども、私は、こういった公務員の能力評価というものは非常に大切であり、評価の仕方によって、人間は伸びることもあれば、伸びないこともある。
ですから、今のような縦割り、そして、個人で、一人で評価する、課長なら課長だけが評価するのではなくて、私が勤務しておった外国の企業では、複数によって評価される。ある課で働いているけれども、その課と密接な関係の別の課長、部長からも評価される。そういう形によって、独断、偏見による評価というのをできるだけなくして、本人を納得させる公平な評価というのをしようとしています。
これが現在の官の世界で行われているかどうか。私は行われているということを聞きませんけれども、行われていないとすれば、そういう複数評価ということを取り入れるお考えはあるのかどうか。
そして三番目。これは出雲市役所の中でも私は実行しましたけれども、人事異動を控えたある時期に、役所の中でスカウトをさせる。外部からスカウトされるんじゃなくて、実際に働いている生の二十代、三十代、四十代のスタッフを、よその課でも、自分の課にあの人を欲しい、自分の部にはこの人を欲しい、そういうのを私のところへ提出させて、そして、複数のところから声がかかる人もあれば、全く声がかからない職員もあります。
しかし、人事異動のときに、どこの課長がどういう点に目をつけて、どういうふうに使おうとしているのか、これを実際に知るということは、人事の責任者にとって非常に大切なことだし、また、働いている人間にとっても恐らく意欲が上がることではないかと思うんです。プロ野球のスカウト制に一面似ているわけですけれども、庁内で、省内でそういったスカウト制というのを人事の中に大胆に取り入れることによって、みんなのやる気を出させる。そして、透明性と公平性を高めるような人事というものが、三十年、四十年の公務員の生活の中に非常にみずみずしい活力を与えるんじゃないかと私は思います。
以上三点、私の提案もありますけれども、大臣として、こういうことをおやりになる気はあるのかどうか。要するに、出口のところだけの改革ではなくて、入り口から改革する。そして、途中の、三十年、四十年の長い公務員生活の中の毎年毎年の評価の体系から、人事異動の体系から、根本から改める。私は、これが本当の公務員制度の改革ではないか、そのように思います。御意見があればおっしゃってください。
○渡辺国務大臣 大変前向きで建設的な御提言だと思います。
順序がばらばらになりますが、例えば、今、幹部ポストの一割については既に人事交流を行っており、この目標は達成をされております。さらに、官の中で人材の流動性を高めるために、他府省あるいは民間を含めた公募による任用を推進していきたいと考えております。
また、官と民の人事交流については官民人事交流法による交流が進められておりますが、本法案では、官民人材交流センターを設置し、官民の垣根を乗り越えるためのゲートウエーとしての役割を担わせることにいたしております。将来、このゲートウエーを使って、民から官へ、あるいは官から民へ、民から官から民へというぐあいに人材交流が活発化していくことを期待しております。
評価につきましては、現在、評価項目、評価基準の検証、そして人事評価の検討課題を実証的に確認しているところであります。今後の参考資料を得るために、人事評価の第二次試行が実施をされております。さらに対象範囲を拡大してまいります。試行により得られる実証的知見を踏まえて、実効性ある人物評価制度を構築することにいたしております。これをもとに、能力・実績主義の人事管理を徹底してまいります。
いずれにしても、採用から退職までの公務員の人事制度全般の課題について総合的、整合的な検討を進めてまいりますので、委員御指摘の採用の一元化等についても、当然検討対象になるわけでございます。
〔平井委員長代理退席、委員長着席〕
○岩國委員 ぜひ早急に、人材交流センターの法案が採決されて終わったから、もうしばらく公務員改革はお休みだということではなくて、私は、本当の公務員制度改革というのは、毎日毎日の日常の勤務体系の中に求めるべきじゃないかと思うのです。何か六十歳が近くなったから、そのときの退職をどうやって透明化するか、国民に納得させるか、そういういいかげんな動機ではなくて、もっと、今現場で働いている若い公務員がやる気を出すような、そして正当に評価されるような、あるべき改革にしっかりと視点を据えてやっていただきたいということを要望しておきます。
もう一つ、官民人材交流センターですけれども、官と民だけではなくて、私は、中央省庁と地方自治体との間の交流ももっと大胆に進めるべきではないかと思います。
私の小さな出雲市の場合にも、こういう官民ではなくて、厚生省の本省と、そして出雲市役所との間の交流は進めてきております。吉田君、斉藤君、長谷川君、みんな、厚生省から来た人たちは一生懸命出雲市のやり方を学び、そして、本省の考えを押しつけるのではなくて、地方の現場の福祉や介護のあり方、苦労、そして実際にそういうサービスを受ける人たちの声に接して、そして本省へ帰っていく。貴重な体験、経験、知識を学んだことだと思うんです。同じように、出雲市役所の職員は、霞が関、厚生省の本省の中で、交流ですから、そこで勤務をし、本省の考え方というものを理解し、そして同僚にも伝えてくれただろうと思います。
こういう形で、本省の方は地方の現場との意識のギャップというものを実際に身をもって体験する、地方の自治体の公務員は本省の考え方というものをよく学んで、本省も地方自治体も一体となってやっていく。だからこそ日本の公務員制度というのは立派なんだ、だからこそ日本の公務員制度は、別にどっちが偉いとかどうとかいうことではなくて、共同で国民に、住民に責任を持っていくんだ、私はそういうことをぜひやっていただきたいと思います。
出雲市は職員が余ってそんなことをやっているのではなくて、よその自治体に比べてわずか七割の職員でやっております。七割の職員で十割の仕事、それに加えて、本省にこういうことを派遣することによって、厚生省の本体が日本全体を見据えながらどういう行政をやろうとしているか、一番最初にそれを知る、一番最初にそれを出雲市は実行するんだ、そういう気概に燃えて職員は学び、そして本省の人も帰っていただいている。
今現在、厚生省の例を挙げれば、どれぐらいの自治体との交流が進んでおりますか。これは予告していなかったから、ちょっと大臣にはお答えいただけないかもしれませんけれども。では、一般論として、数字でなくて結構です、こういう公務員制度改革の中で、地方自治体への派遣あるいは交流というのはどの程度行われていると理解しておられるか、それだけでも答えてください。
○渡辺国務大臣 オール・ジャパンでどれぐらいかという問いに対する答えは持ち合わせておりませんが、今までの流儀でいきますと、例えば栃木県の、保健福祉部長というんでしょうかね、厚生省の医系技官の方が来ているポストであったかと思います。一方、地方から中央へという人材交流は、行われてはいると思います。しかし、その規模は非常に小さいのではないでしょうか。
御指摘のように、中央と地方の人材交流を進めることによって、今までのような中央から地方への固定的なポストの交流ではなくて、もっと大胆な中央、地方の人材交流が行われるという方向性については、私も大賛成でございます。
○岩國委員 地方公務員と中央の公務員を一括採用するということは、これは無理ですから、採用された後、現場同士の人事交流、それを通じてさらに人材の育成に大きな刺激を与えるという意味でも、ぜひ実行に移していただきたいと思います。
次に、社会保険庁にお伺いします。
社会保険庁の、五年間に二十二万件ということが出ておりました。この二十二万件の作業、大変だったと思います、日常業務をやりながら。これは、実際には何人の体制でこの五年間で二十二万件、年間四万件ということになりますね、大ざっぱに言って。一年間に四万件の仕事をするために、日常業務を粛々とこなしながら、増員してそれをこなしたのか、あるいは現体制の中で深夜ひそかに、ひそかにと言うと何か悪いことをしているみたいですけれども、深夜一生懸命それをおやりになったのか。人数と期間と、それを教えてください。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、私ども、例えば十八年度で申し上げますと、老齢年金の裁定だけで約百六十万人の方の新規裁定を行います。新規裁定を行った中で、例えば裁定時に記録が若干不分明な方とか、あるいは裁定後にボーナスがふえたことがわかった方などを再裁定と申しまして、その二十二万人は再裁定の方で、五年間で二十二万人です。それで約四万人ですが、これは私ども社会保険業務センターの中に業務部というところがありまして、再裁定について言えば、大体十五人ぐらいでこの数をこなしております。
○岩國委員 作業の内容にもよりますけれども、十五人の方が一年間かかって四万件とすると、五千万件を片づけるためには何人が一年間延べ人数として必要になりますか。ちょっと割り算して答えていただけませんか。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
五千万人という方は、これから、総理の指示のもとで私ども、お調べをして、今の受給者と突合して、その方の記録があって再裁定をする方、これから人数を確定するわけでございます。そういう意味で、五千万人の中から何人が、あるいは何万人が再裁定に行くか、ちょっと今のところわかりませんので、ちょっと今、現時点ではお答え申しかねるというのが現状でございます。
○岩國委員 五千万件を一年間で、こういう手形を出されました。その手形に対して、ある新聞では、これは約束手形なのかやけくそ手形なのかとやゆされたような表現が出ておりますけれども、五千万件を一年間でやるとすれば、二百五十日間で一日二十万件、そしてそれを十五人の体制でやるとすれば、一分間にどれぐらいこなさなきゃいかぬか。割り算していくと、恐ろしい超人的な才能と努力が必要なんですね。一分間で百件も、そんなスピードでやるからまた間違いが多くなって、間違いが多くなるから五千万件が八千万件にふえてしまったということになりはしないか、そういうことを心配いたします。
この点についてはまた別の機会に、しっかりじっくり、皆さんの体制が、本当にこの五千万件、一年間、裏づけのあることなのか、裏づけのないことを総理はおっしゃっているのか、また質問してみたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○河本委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○河本委員長 速記を起こして。
次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。四十五分いただきまして、質疑をさせていただきたいと存じます。
私も腰痛を持っておりますので、大臣のつらさはよくわかりますので、御無理なさらないでください。
それで、きょうは大きく分けて二点について質問をさせていただきたいと存じておりますが、それと関連もしますので、先ほどこの委員会を通過しました公務員制度改革について、私なりにこの議論を聞いて、本当は質問したかったのですが、そっちの方で質問時間がとれませんでしたので、質問通告は事前にしていませんけれども、別になくてもお答えになれることしか質問しませんので、大臣のお考えを聞かせていただけたらと思う次第でありますが、ちょっとつらそうなので、いざとなった場合、林副大臣の方でお答えいただければと思います。
私が一つちょっと残念に思っていたのは、我が党、民主党がどうやら何か労働組合の影響でこの公務員改革をつぶそうとしているのじゃないか、こういうような発言があったのを私は残念に思って聞いておりました。その後、先週の金曜日でしたか、採決があるんじゃないかと言われたときの後の記者会見か、記者の方に対して安倍総理大臣が、これは廃案になったっていい、廃案になったら、労働組合に言われて民主党がつぶしたんだ、こういうふうに言うんだからいいんだというようなことが、報道ですけれども、そういう御発言を総理大臣がされた、こういうことでありまして、その話を聞いて私は大変残念なんです。
せっかく渡辺大臣が、この厚き岩盤をぶち破るんだという思いでおっしゃっていたわけでありまして、私は、そのことについては大変賛同しますし、ぜひともそうしていただきたい、こういう思いで委員会の質問もさせていただきました。それが何か、あらぬことでそういうようなことがあったとした場合、少なくとも、私は何らそんな圧力を感じたことは一回もありませんし、この委員会のメンバーも、そんなことで組合の方から何か言われて、おまえちょっとつぶしてくれなんて言われたことは全くないわけであります。
だから、何の根拠があってこうなっているのかということについて、私は本当に不思議にずっと聞いておりましたし、安倍総理大臣の発言も、何でそうなるのかなと非常に不思議な気持ちでいるわけでありますが、もし根拠があったら教えていただきたい。もし、うちの党のだれかがそんな圧力をかけられているのなら、うちの党の中でそれは私は徹底的にやりますので、また、そういう圧力がかかったことが本当だったらば、私は組合の方にも、おかしいじゃないかということを申し上げたいと思いますので、具体的な根拠があれば教えていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 職員団体の方がこの法案をつぶしてほしいという話は私も聞いたことはございません。当然のことでございますが、この国家公務員法の改正に当たっては、職員団体の方々ともきちんと話をしております。ですから、この話し合いは、それぞれの団体のホームページなどを通じて公開されているはずでございまして、お互いに意見は言い合っているのは事実でございますが、法案をつぶすために動いているとかいうことは私は承知をしておりません。
ただ、この法案について、だれとは言いませんが、成立してほしくないと思っている人がいるのは事実だと思います。仮にこういう人たちを抵抗勢力と名づけておきますと、そういう抵抗勢力が、もしかしたら法案が成立しないようにいろいろなステルス作戦をやっているかもしれませんので、それはまた別の話だと思います。
○市村委員 当然、いろいろな提案がなされたときに、そのことに賛成の方もいれば反対の方もいると思います。その反対の方が、ひょっとしたら、見えないところで何か行動することはあるかもしれません。ただしかし、だからといって、もう決めつけられて、民主党はどうも労働組合の圧力でそういうことをやっているんじゃないかというような発言があったと思いますので、それはないぞという思いでいるんですね。だから、具体的に、本当にあったら私は徹底的に民主党の中でやるという思いなんです。民主党の中で、何だ、あなたは実はこんな圧力をかけられたのか、冗談じゃないぞということを私はやりたいんです。
つまり、具体的なことはないということを今大臣はおっしゃっていただいたということでありますし、大臣がおっしゃっているのは、一般論としてそういう人がいるかもしれないと。私も、一般論としてなら多分いるだろうと思います。何事も、賛成、反対、両論あるわけですから。つまり、そのレベルの話であれば、私としてはこれ以上もういいんです。
ただ、総理大臣までが、廃案になったら民主党のせいにしてやるというような話、しかも、労働組合に圧力を受けて民主党がつぶしたんだと言うんだというような話をされたとすれば、これはちょっと残念な一言でありますので、これについては、少なくとも渡辺大臣はそんなことは思っていないということでよろしゅうございますでしょうか。少なくとも渡辺大臣は、安倍総理の見解とは違うということでよろしゅうございますか。
○渡辺国務大臣 安倍総理がどういう御発言をされたのかは承知しておりませんが、いずれにしても、我々としては、ここまで来た以上はもう継続審議というのはあり得ないことなのです。つまり、ここから先は、成立か廃案か、もう二者択一なんですよ。ですから、我々は当然成立を目指して頑張っているというわけでございますが、成立されては困ると考える人もいないわけではないですね。ですから、そういう人たちがありとあらゆる手だてを尽くしてステルス作戦をやっているかもしれないということを先ほど申し上げたわけでございます。
○市村委員 わかりました。
そのかもしれないということに関して言えば、いかなることにもかもしれないと言えると思いますので、そのレベルで受けとめておきます。この公務員制度改革だけではなくて、あらゆることについて、だれかがどこかで何か、ひょっとしたら足を引っ張っているかもしれないということは、一般論として言えますので、そのレベルでのことだということに受けとめさせていただきます。
そのことでいって、ではこの公務員制度改革なんですが、私も、フェアにいろいろ議論を聞いて、渡辺大臣の率直な御意見をお聞きしたいのは、本当に渡辺大臣は、今回のいわゆる人材交流センターで天下りを根絶できると思っていらっしゃるのか、このことをもう一遍確認させていただきたいんですね。
というのも、ここでいろいろな議論があったわけです。その中で、大臣はこういう流れをすれば押しつけ的あっせんは根絶できると思われているかもしれませんが、つい直前、またその前の細野さんの討論でもありましたように、結局、一回天下ってから、まあ天下りはなくなるわけですから天下ったというか、あっせんを受けてどこかに行ってから、その後のコースが、ひょっとしたら、私たちから見れば、つまり国民の目から見れば、天下りだ、押しつけ的天下りだと思えることがあるかもしれないけれども、今回のものは、行ってしまったら後は民間のことだからもうそれは知りません、こういうことになってしまっているんですね。
これで本当に、大臣は何度もこの場で強調されていました、国民の目から見てあっせん的な天下りはなくなるんだと。本当になくなるんでしょうか。
○渡辺国務大臣 なくします。
つまり、天下りでも二回目、三回目をわたりあっせんによる天下りと言いますが、これも、各省のあっせんがあって初めてできる話なんですよ、つまり玉突き人事ではめ込んでいくわけでありますから。ですから、そこのところを禁止してしまうわけであって、そういうものをどこかの司令塔があってやっているのを、司令塔にばさっと網をかぶせちゃうわけなのであって、これはもう根絶する。根絶させる、根絶していくということになります。
○市村委員 わかりました。
本当に大臣は岩盤を打ち破る志でやっていらっしゃるということですから、その言葉を私は信じたいと思いますし、もしそうじゃなかったら、国民は見ていますから、まさに国民の目ということをすごく気にされて大臣も御答弁されていますから、国民は見ているわけでありまして、ごまかせない。これはおかしいぞ、やはりもとどおりだとなってしまったら、それは今の志からすれば残念な結果になる。
ただ、この間申し上げましたけれども、官僚の方というのは、私もこの十何年、細川政権のときに私は中枢におりましたので見てきましたけれども、やはり負けたふりして勝つんですね。そういう体質を持っていますから、大臣が幾らそこでこうおっしゃっても、例えばこれができた後三年もたつと、やはりもとのもくあみになっている、同じだということになりかねないということもありますから、その辺のところはぜひともきちっと担保していただけるような制度にしていただきたいというのが、本当に心からの私の願いであるわけであります。
それで、実はここにかかわるんですね。実はこの公務員制度改革を、特に天下りを根絶するのには、確かにまずあっせんの方を、押しつけ的あっせんを禁止するというのも一つあると思いますが、やはり天下り先をなくす、すなわち、不当な天下り先をなくすというのも私は重要だと思います。
その点については、まさに政府で行革の観点で進めていらっしゃる公益法人改革というのは、その一つの流れだと思います。民法三十四条を廃止して、これからは官の思いどおりに公益法人をつくれなくして、天下り先をまずなくしていこうという流れであるのも、私は重々承知しております。これは高く評価をしているところであります。
ただ、この流れがあるんですが、私がいつもここで議論したいと申し上げているのは、行革として、つまり天下りをなくすという観点からの公益法人制度改革、これはだれも反対しませんし私も大賛成でありますが、この流れを公益認定等委員会という名のもとにやられると、いつも申し上げているように、私はやはり困るというか、今後の日本の大きな発展にとって支障があるというふうな思いであります。
まず大臣に、前もお聞きしたかもしれませんが、腰が痛むのに何回も立たせて大変申しわけないんですが、公益とは何ぞやということを、大臣の思いをちょっと聞かせていただけますでしょうか。
○渡辺国務大臣 やはり公益というのは、世の中の不特定かつ多数の人たちにとって利益を増進するということではないでしょうか。
○市村委員 一般的定義というのはそれでいいと思います。ただ、では世の中のための、国民の皆さんの利益を増進するとは一体どういうことかというのは、これもある程度しっかりとした考え方を持っていないとだめだと思うんですね。いいんだから何でもやればいいんだということになってしまってはだめなんですね。
まず、公益ということ自体が実はまだ日本においてしっかりと議論をされていない、されたとしても一部でしか議論されていないという思いが僕はあるんです。この公益の公とは何なのかということも、実はまだしっかりと議論があった上で語られているとは私はとても思えないんですね。
この公益においての公というのは、英語ではパブリックという言葉が多分当たっていると私は思います。日本で公というと、公的支援とかいう場合はやはり政府を思い浮かべるわけなんですね。しかし、そうじゃない。パブリックというのは別に政府じゃないんですね。だから、英語でパブというのはまさにパブリックのことですけれども、ではパブというのは政府が営業している飲み屋かといったら、そうじゃないですね。みんなが集まっているところだということです。結局、パブ、パブリック、この概念をしっかりとしていかなくちゃならない。そこが欠けているから、やはりこの議論はおかしくなるんですね。
私は、行革で公益法人を何とかしたい、天下りのそこをしっかりなくしていきたい、したいというのは、それはぜひともやっていただきたいんです。しかし、それは、例えば公益法人の再検討委員会とかいう名前なら私はわかるんです。そこで本当にこの公益法人が世の中に必要なのかどうか、このことをしっかりと見てもらうんだ、そのために有識者に集まっていただいてやるというなら、それはそれでわかるんです。
しかし、公益を認定する。まず、公益とは何ぞやということの議論がしっかり深まっていない。また、公益を本当に認定できるのかということもまだわからない。かつ、では認定できるとして、一体だれがどうやって認定していくのかということもまだ議論が煮詰まっていない。この段階で公益認定等委員会というものをつくられていくと、結局、単に行革でやるということですが、それはそれでいいんですけれども、やはり公益をどう考えていくかというのは、これから二十一世紀の日本の社会にとって極めて重要なことだ、つまり、NPOをどう定着させていくかということにつながっていくわけであります。
だから、それを公益認定等という名前でやることについて、やはり大きな問題があるということを私は再三ここでも議論させていただいているわけでありまして、これはぜひとも、私はこの名称についてはもう一度考え直していただきたいという思いを持っていますが、これは林副大臣で結構ですので。
○河本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後五時九分休憩
――――◇―――――
午後五時十七分開議
○河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。林副大臣。
○林副大臣 少し間があきましたが、公益のお話をたしかお尋ねだったということでございました。
公益というものの定義というのは、いろいろな方がいろいろな意味でやっておられると思いますが、私は市村委員の今お話を聞いておりまして思い出しましたのは、日本では公というのが大きな家だった、語源的に。それは神道につながるのかもしれませんけれども、神様がおられてその庇護のもとでというような意味で、語源的にもかなりそういうような、お上という言葉がございますし、また、官という言葉のイメージと近いような言葉があった。一方、今委員がおっしゃられたようにイギリスは、パブというのは飲み屋でございますが、そういう意味では、むしろプライベートとパブリックという、私的なものに対して公的、こういうような語源的なものがあって、それがなかなか我が国に根づかないのではないかというような議論は、この公益法人の抜本改革をしたときも議論をした記憶がございました。
ですから、そういうようないろいろな国における、英語で言えばパブリックというものが日本に来たときに、公というのが直接実態的にも合っているのかという議論は、まさに委員が御指摘になったとおりであろうというふうに思います。
一方で、今回の法案といいますか、既にもう法律はできているわけでございますけれども、この法律における定義というのは、先ほど大臣からございましたように、不特定多数の利益の増進、こういうようなことでございまして、それに基づいて別表でかなり多くの項目を具体的に法律に掲げまして、そういう事業を営むものについては公益を認定していこうという法律を可決、成立させていただいて、それに基づいて公益認定委員会ができてきた、こういうことでございます。
この幾つかある別表のものをさらに詳しく公益認定委員会で具体的にどうやっていくのかというものも、今作業を進めております。ちょっと事務方に確認していただければと思いますけれども、いわゆるこれはパブリックコメントという、パブリックというのが使ってありますが、パブコメの作業も今進んでいるのではないかというふうに思いますので、皆様にごらんになっていただいた上で、透明性を持った公益認定委員会での手続というのを経ていただく、こういう仕組みになっているというふうに了解しておるところでございます。
○市村委員 ありがとうございます。
公益がもし認定できるとして、だれがどうやって認定するかということが確定したとして、私は、それがもし必要だというのならば、必要なのかもしれないと思っております。
この公益認定等委員会は、いわゆる第三者機関が公益を認定すべきだというような議論がこの十年来ずっとありますから、その流れの中でできてきたものだというふうに思います。政府の方は否定はしていますが、多分、イギリスのチャリティーコミッションを、ある種、下敷きにして考えられた組織だというふうに私は思っています。
ただ、前もここでも申し上げたと思いますが、チャリティーコミッションは極めて独立性の高い機関なんです。しかも、行革の観点から何かを考えるのではなくて、まさに、その国における、その社会における、その時代における公益というものをしっかりと議論した上で、何が公益に合致するんだと。もちろん、公益とは何かということも考えながら、何が公益に合致するんだということを独立した機関でやっているということなんです。目的は、やはりその国におけるチャリティーなりNPOの発展をどう考えていくかということなんです。特に、そこに対して税制優遇を与えていきますから、国や地方に入る税金が一部NPOへ入っていくわけですから、それはまさに極めて公益性が高い、公のものだということで、そういうものをつくっているわけですね。
だから、そういうものとして第三者機関が必要だ、例えば公取とか会計検査院とかと同じような極めて独立性の高いものとして、並んで公益認定等委員会があるのであれば、私は百歩譲って、これはあるかもしれないと思っているんです。
ただ、今回は行革の観点で、どうもおかしいぞという公益法人、これは大臣もお認めなんですね。おかしいぞ、天下り先になっているんじゃないか、こんなことは根絶しなくちゃいけないというのがまさに渡辺大臣のお志だろうと思います。だから、その観点も必要なんです。その観点も必要なんですが、しかし、それは実は公益認定というものとは違う筋の話であって、似て非なるものなんです。だから本当は全然別個の流れなんですけれども、この別個の流れのものがクロスしちゃっているんですね、絡んじゃったんです、ここで。
だから私は、もし公益認定という考え方があるのであれば、これはこれで、この筋で流してほしい。そして、日本において特異な状況である公益法人が、本来NPOである公益法人がいわゆる天下り先に使われたという流れは流れで、これはこれで解決しなくちゃいけない。これはこの流れがあるから、これはこの流れでやってほしいんです。
私は、その流れでこの公益認定等委員会ができているという認識ですから、ちょっとこれは、公益認定等委員会と名づけるのは適切ではないという考え方なんですね。やはりきちっとしたNPOをこの国に定着させるという流れで公益認定等委員会はあって、しかしそこで、ちゃんと、公とは何か、この現代における公益とは何か、ではこれをどうやって認定していくんだろうかということを真剣に議論されているところだったら、私はこれはあると思っております。
この二つの流れ、どっちとも必要な流れなんです。でも、これがどこかでクロスしてしまった。だから、このクロスしたもの、絡み合ったものを私はぜひ一遍ほどいてほしいと思っているんですね。ほどいた上で、こっちもこっちもやってほしいということを私は心から願っておるわけであります。
だから、名称についてもう一度考え直していただけないかというのが私の思いでありますが、いかがでしょうか。
○林副大臣 確かに、行政改革の中で公益法人の抜本的な見直しということが出てきたのは、委員御指摘のとおりであろうかというふうに思います。
特に、大臣からも御答弁が再々あるわけでございますが、先ほどまで御審議いただきました国家公務員法の改正案の中でも、いわゆる非営利法人の中の公益法人への天下りということがたくさん指摘をされたわけでございまして、政府・与党でも、もう数年前になりますけれども、行政委託型の公益法人の改革というものを、特に検査や検定をやっている法人につきまして、かなり総ざらい的にやって、閣議決定をいたしたわけでございます。
そのときの議論の経過の中で、そもそも、明治以来の民法三十四条が、設立の許可制になっている。欧米、市村委員もお詳しいわけでございますが、設立の許可イコール税制優遇等の優遇措置というものが一緒になって役所の許可に係らしめられているというところが、この行政委託型のいわゆるいろいろな公益法人の問題の根底にあったのではないか。
それがきっかけとなったということは、まさにおっしゃるとおりでございますけれども、公益法人そのものの抜本改革の累次の閣議決定等を見ていただきますと、それは一つのきっかけではあったわけでございますけれども、明治以来のいわゆる公益法人、先ほど公益の御議論もさせていただきましたけれども、そういうものについても、実は、明治にできた古い民法は、学術、技芸、祭祀、こういうことが書いてありまして、それは実は特別法の方にかなり出ていっている。学校法人法、宗教法人法その他でかなり出ていって、残ったところは一体何であろうか、かなり空になっているのではないかという御議論がございました。
一方で、ちょっと言葉の使い方が、市村先生に教えていただいたのを今思い出せませんが、NPOの、特定非営利のところは特別法でできている。今後は、そもそも、そういう特定非営利法人を目指しているようなものがこの公益法人のあるべき姿ではないかという、公益法人本来の議論に立ち返って、抜本的な公益法人制度の改革をやっていこうということになったわけでございます。
それを今から、二つを全部引っぱがすというのは、過去に起こったことでございますからなかなか難しいかもしれませんけれども、まさに委員が御指摘のように、きっかけの一つは行政委託型の公益法人でありましたけれども、民法三十四条の抜本的な公益法人改革の方は、まさに、今後は官でない方が公の部分を担っていかなければいけないという大きな、積極的な目的によってむしろ公益法人改革は推進をされてきたというふうに我々も認識をしておるところでございます。
○市村委員 まさに今、林副大臣がおっしゃっていただいた流れなんです。その流れをどうやって一つの流れにしていくか。
やはり今まで、残念ながら、行革という観点で行われた。実は去年も、行革特別委員会で公益法人改革の議論をされたので、私は、おかしい、この内閣委員会でやるべきだと主張したんですが、残念ながら行革委員会に行ってしまった。だから、私はあえて、では公益法人は民なんですか、官なんですかというふうなことを各大臣に聞かざるを得なくなってしまったんですね。皆さんは口をそろえて民だとおっしゃったということもありまして、ならば、民なら何で行革でやるんだという多少意地悪な質問もせざるを得なくなったわけですね。
私は、そもそも、民のものなんだから、行革ではおかしいじゃないかと。ただ、譲って、まさに議論があったように、確かに公益法人が、まさに今、林副大臣もおっしゃったように、民法三十四条を根拠にどんどんどんどん天下り先をつくっていったんですね。だって、官僚のオールマイティーですから。自分たちの許可ですから。主務官庁の許可は自分たちでつくれるんです。ほかはつくらせないと言っておきながら、自分たちはつくれるわけですから、簡単につくれるわけです。いい例を挙げれば、以前どこかの大使を務めた方の財団は、わずか二カ月でできた。一方で、我々民間、一国民の皆さんが一生懸命人を集め、お金を集めてやったのは、十年ぐらいかかる、財団法人を得るのに。これが如実にあらわしていたんですね、当時。今はそこまでひどいのはないとは思いますが。
いずれにしても、とにかく、自分たちの仲間の分はすぐつくれる。それはそうですよ、主務官庁がオールマイティーなんです、自分たちがいいと言えばいいんですから。それでやってきて、天下り先をどんどん増幅させていって、今日、今議論になっている天下り根絶の方向に、何とかしなくちゃいけないという方向になるわけです。だから、これはこれでやらなくちゃいけないんです。
しかし、今まさに林副大臣もおっしゃったように、渡辺大臣もこれは認識を共有していただいていると思いますが、一方で、民の公、今の林副大臣のお言葉をかりれば、官でない人たちが公を担う。つまり、民の公の部分をどうつくっていくかというのは、実は、これは別個の流れをつくらないと、これはこれで、民法三十四条となってこうなった、これは過去の清算です、民法三十四条の部分は過去の清算をしなくちゃいけない部分なんです。しかし、これから未来に向けてこの日本の社会をどうするかという議論は、この過去の流れの延長線にはならないんですね。改めて、この民の公をどうしていくかという議論をしなくちゃならないはずなんです。
そのときに極めて重要なのが、やはりこの公益というものをどうとらえていくのかということなんです。すなわち、税金の一部が流れていくわけです、ここに。やはり税制優遇をしていくわけですから。つまり、そういうところでこの公益というのをしっかりととらえていかなきゃいかぬ。
だから、その観点で公益認定等委員会があるならば、これは私も理解できるんですが、何回も繰り返して申しわけないんですが、やはり行革の観点で、公益法人をどうかしなくちゃいけないという観点でこの公益認定等委員会があるということは、ちょっと話の筋が違いますよということを私は申し上げている。
やはりこれについては、公益認定等委員会ではなくて、例えば公益法人見直し検討委員会とか、これだったらわかるんですよ。公益法人を見直さないかぬという観点でこの委員会がある、そこで徹底的に二万八千ある公益法人、なかなかそこは一年やそこらでは無理です。それは十年ぐらいかけて、これでいいのか、ああなのかといって、ああだ、こうだの議論をしながらやっていって、まあ何とかやれるかなというところですけれども。
しかし、それを公益認定となると、聞く人が聞くと、おかしいぞというふうにやはり思わざるを得ないんですね。それで、聞いてみると、いや、全然違うことをやっているよと。公益認定というのは、つまりチャリティーコミッションみたいなことをやっているのかなと思って行ってみたら、全然違うことをやっているということになってしまうと、これはやはりその世界の人たち、学界とか、世界の学界がありますから、NPOの学界とか。そういうところの人たちからすれば、日本というのはえらいへんてこな国だなということにまたなってしまうんですね。
だから、やはり私は、NPOの概念をしっかりと世界標準に合わせていって、その上で、それをしっかり考えていく機関として、まさに公取や会計検査院と同格のレベルで公益認定等委員会があるんです、だから、ここでしっかりと、日本はこれから二十一世紀の社会をどうしていくかということを議論していくんですというぐらいのことだったら理解できるということを申し上げているんですね。
だから、名称というのは、実は名は体をあらわすわけでありまして、名称一つ、まあいいじゃないかと言われるかもしれませんけれども、私はこの名称が実は重要なんだということを思っていまして、この公益認定等委員会の名前について、それこそもう一回再検討いただきたいというのが私の切なる願いであります。もう一度その辺、林副大臣の方から、いかがでしょうか。
○林副大臣 実は、大臣の大変な御好意で、あそこの公益認定等委員会の看板は私が、大変まずい筆の運びながら、書かせていただいたものですから、ですから変えられないと言うつもりはございませんけれども。
公益認定等委員会、名前が体をあらわす、まさにそのとおりでございますが、委員が今御議論の中でおっしゃっておられましたように、例えば公益法人見直しということになりますと、私の印象からすると、さらに行革的な印象が強くて、公益を積極的に認定していこう、先ほど来御議論がありますように、今からは官だけではなくて民の方に公を担っていっていただこうという意味では、むしろ積極的にそういうものに公益を認定していこうという名前は、それなりに未来志向ではないのかな、こういうふうに思っていたわけでございます。
なお、今、委員についても、御存じのようなすばらしい皆様に委員にもなっていただいておりまして、パブリックコメントに付すべきいろいろなものを精力的に御審議もいただいておりまして、成立させていただきました公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の三十三条に、委員会の委員は独立してその職権を行うということをきちっと定めております。そのことを担保するために、三十七条で、委員会が認めない限り、在任中はその意に反して罷免されることはないというふうに、いわゆる身分保障もつけておりますので、こういったことをきちっと踏まえて、この委員の皆様方が今から、未来に向けてすばらしいお仕事をしていただけるものというふうに考えておるところでございます。
○市村委員 やはり、結局絡み合っているんですね。だから、もし未来志向のものが公益認定等委員会ならばいいんですが、でも、やはりこれは行革の観点でできてきたという流れがあるのは厳然たる事実であります。
だから、これまでの過去の清算をする役割というのは役割で、これは一つ必要だ、私はそういうものだと思って受けとめておったんですが、今の林副大臣のお話をお聞きすると、いや、そうでもない、未来志向だということになると、ちょっと私も頭がこんがらがるんですね。
だから、やはりそれは、さっき申し上げたようにクロスしている。この二つの流れをやはりもう一度政府の方でも受けとめていただきまして、過去の清算は過去の清算でやらなくちゃいけない、しかし未来志向は未来志向でやらなくちゃいけないという、この二つの筋があるということだけは、ぜひとも私は、改めて強くまた再認識を賜りたい、こういう思いであります。
あともう一点だけ、これに関してちょっと短くやりますが、去年、民法三十四条が削除されるということで、この三十三条二項にまた新たな項目がつけ加わったんです。その中に、実は非営利という言葉がないんですね。あくまでもまだ、公益と営利という言葉しかないんですね。
去年、私は大分、行革特別委員会でも議論させていただいて、やはりこれは三十三条二項にも非営利という言葉を入れていくべきだろうと。やはり、営利の対概念は非営利でありまして、営利の対概念は公益じゃないんですね。もちろん、今回は公益というのが対概念ではなくて例示として入ったということらしいんですが、やはり私は、営利の対概念である非営利をぜひとも位置づけていただきたい。
特に、今回、渡辺大臣の御尽力で、林副大臣もそうですけれども、非営利法人という言葉が社会に行き渡ることになりました。大変私はこれを感謝しております。すばらしいと思います。非営利法人という言葉がこれだけ社会権を得た、認知を得たわけですから、民法に非営利という言葉をぜひとも入れていただきたい。私はそういう思いでおりまして、私としても改正案を出したいと思っておりますので、ぜひともその辺については御理解いただきまして、またその改正のためにお力添えいただけたら、こういう思いであります。
これは大臣、腰が痛いのは重々承知なんですが、ちょっと一回だけ立っていただいて、もうこれでこの話は終わりにしますので、お願いします。
○渡辺国務大臣 今回の国家公務員法改正に当たりまして、再就職規制の対象を営利法人に限るべきだという御意見もございました。しかし、やはり非営利法人を入れませんとその行為規制がしり抜けになるおそれが大でございましたので、我々は、強い反対を押し切って、非営利法人も含めるということにしたわけでございます。
この非営利法人は、言うまでもございませんが、独法、特殊法人、認可法人、そして公益法人等でございます。こうした区分をいたしましたのは、ほかにどういう法制があるかは定かには存じませんけれども、この区分は我々は正確にあらわしているものと考えております。
○市村委員 この議論はまたぜひともさせてください。
本当に、きょうはどうもありがとうございました。もう大臣は結構でございます。林さんもオーケーです。
済みません、両副大臣、お待たせしました。残りの時間をいただきまして、ちょっと別の意味での民法の議論をさせていただきたいと思います。
民法七百七十二条でございます。例の三百日規定の部分でございますが、今回、またある種政府の御尽力もあって、一つの解決策は見たと思います。しかしながら、残念ながら対象は恐らく一割から二割ということでありまして、無戸籍のお子さんたちがまだかなりの数いらっしゃるという流れでありまして、長勢法務大臣も、御自身のホームページで、これは引き続き早急に検討しなくちゃいけないというような趣旨のことをおっしゃっているということもありまして、ではこれから引き続き何をどう検討されようとしているのかということにつきまして、水野副大臣からちょっとお言葉をいただければと思います。
○水野副大臣 先生御指摘の民法七百七十二条の規定、特に、離婚後三百日以内に生まれた子供は前婚の夫の子というふうに推定するという規定に関しては、我々は、法改正ではなくて、先月、通達を出させていただきまして、三百日以内に生まれた場合であっても、懐胎時期が、妊娠した時期というのが離婚後であることが明らかな場合、これは医師の作成した証明書を提出すれば、戸籍窓口においてそういう離婚後の懐胎であるということが定型的に確認できる事案については、七百七十二条の推定、つまり、前婚の夫の子だというふうにはしない、この推定が及ばないというふうにする通達を出したわけでございます。
それでは、救済という言葉は我々は必ずしも使っておりませんけれども、いわゆる救済される範囲が狭いじゃないか、今後何をしていくんだということだと思いますけれども、一つには、我々は現行制度のままでも、例えば、親子関係不存在とか強制認知とか裁判、裁判というふうによく言われますけれども、これは調停前置主義ですから、まずは調停という形になるわけでしょうけれども、こういうような方法によって、あえて救済という言葉を使えば、現行法の中でも救済はできるというふうに考えております。
もっとも一方で、裁判は使い勝手が悪いとか、そういうような声があるということは重々承知しておりますけれども、その点については、与党において政調会長同士の合意というものが、四月の、連休直前だったと思いますけれども、ございますので、特に、婚姻中に懐胎した事案の対応については、この政調会長合意に基づいていろいろと今後検討を行うものというふうに聞いておりまして、そうした与党の動きを注視しながら、法務省においても必要に応じて協力をしていきたいな、そんなふうに考えております。
○市村委員 今の議論を続けたいんですけれども、せっかく大野副大臣にも来ていただいていますから、ちょっと先に。
まずは、子供が行政サービスを受けられない、これが一番まずいんですね。もちろん戸籍があった方がいいに決まっているわけですけれども、まず一番の問題は、戸籍がないことで受けられるべき行政サービスを受けられない、例えば親がちゃんと税金を払っているのに行政サービスを受けられないということがあってはならないということであります。
この点において、総務省として、ちょっと筋が違うんですけれども、例えば無戸籍児に対してちゃんと行政サービス、住民票を交付しなさいというふうな判決も出ておりますので、ぜひとも、戸籍があろうがなかろうが、まずは住民票を交付するなり、とにかく適切な行政サービスが受けられる。お子さんたちに、あなたは戸籍がないんだからだめだということじゃなくて、ちゃんと受けられる、このことがまずしっかりと担保されていないといけないと思いますが、この点について、総務省の見解を一言いただきたいと思います。
○大野副大臣 先般、東京地裁で、民法の嫡出でない子が差別的であるといたしまして、出生届の嫡出であるか否かを記載せずに不受理になったために住民票が作成されなかった事案に関しまして、戸籍のない子に住民票を作成するように世田谷区に対しまして義務づけた判決が出ました。そのことを御指摘だと思います。
当該裁判の中で、確かに、子の住民票の記載がされないことによりまして、例えば、区立幼稚園の入園であるとか、小学校への就学であるとか、あるいはまた私立の幼稚園でもそうですが、入園した場合の補助金の支給であるとか、区営住宅への入居の際に、居住関係を証明するためにその都度手続が必要になるとされるところでもございます。また、もっと言えば、選挙権を行使できないということの問題も生じるところとされるわけであります。
なお、当該判決でございますが、いまだ確定していないものでありますから、現時点では、判決への評価や全国の自治体に対する対応等についても確定的なことを申し上げることは差し控えるべきと思っております。
○市村委員 大変いろいろ議論したいことはありますが、時間がないので、いずれにしても、子供に何の罪もないわけでありますから、子供たちが戸籍がないというだけの理由で不当な扱いを受けるということだけは避けなければならないということだと思います。
もちろん、親の責任というのはあると思いますから、それはそれでまた考えなくちゃいけないことだと思いますが、子供に対しては、やはり罪がないということだと思います。やはりこれは、社会がしっかりと子供というものは育てていくという覚悟、だれの子供であろうと子供というものはちゃんと社会が育てていくということが大切だと思いますので、総務省としては、ぜひとも住民サービスの観点からはそういう区別をしないようにお願いしたいと思うわけであります。
水野副大臣、もちろん裁判ができるんです。これは今でもできるんです、これまでもできたんです、裁判が。いろいろな事情で裁判ができないということは、もう水野副大臣もよく御存じだと思います。
だから、裁判をしたくてもできない、したくないという場合もあるわけですね。暴力を受けて出ていって、なかなか離婚に応じてくれない、そのうち新しい人とまた出会って子供ができるような状況になったとした場合に、では、三百日以内の場合は、前夫のところへ行って、ちょっとあなたの子供じゃないことを認めてよということがまず言えるかというと、これはなかなか、もし自分が女性としてそういう身になったときに、言えないと私は思いますよね。
それを言え、言いに行け、裁判しろというのも酷な話でありまして、だから、そういった裁判もできない状況にあるような方たちに対しても思いをいたし、特に、その親もさることながら、やはりその子に、生まれてきた子供は、何回も申し上げるように罪はないわけですから。この子供たちには責任はないわけです。だから、この子供たちについて社会がしっかりと思いをいたし、手を差し伸べていくということは、当然しなくちゃならないことだと思います。
だから、その観点から、今、与党の方でもいろいろ今後のことを議論されるということをおっしゃいましたけれども、もうちょっと具体的に、今後どういう方向性なのかということについて、もし今決まっていることがあれば教えていただきたいと思います。
○水野副大臣 子供に責任はないというのは、全く先生のおっしゃるとおりだと思いますし、裁判が、これはケース・バイ・ケースでいろいろなケースがあるわけですから、先生おっしゃるような、例えば、よく報道などでもされている、滋賀県で、戸籍がないためにパスポートがとれない、その原因として、DVなどがあるから裁判で前の夫と顔を合わせられない、いろいろなケースがあるということは重々承知をしております。
ただ、やはり原則としては、婚姻中の懐胎などの場合には、例えば、女性の方が窓口などで、これは当時の夫の子供じゃないんだとかと言い立てただけで嫡出推定を外すというのはなかなか難しいのかなというふうにも思っておりまして、しかしながら、いろいろなケースがありますので、まさに与党においては、子の懐胎が離婚前であっても、社会通念上やむを得ないと考えられるものについては、民法の原則に沿い、従来の裁判例を参考にして、前夫を父とする届け出でない戸籍の届け出が認められることとするための方策はないかなどを検討されるというふうに、与党の動きですから、そういうふうに我々としては聞いておるところでございます。
〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕
○市村委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、ぜひとも子供のためにはさまざまな御検討を賜りたい、しかも早急に御検討を賜りたいと思いますので、よろしくお願いします。
これで、質問を終わります。
○西村(康)委員長代理 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、きょうは、警察庁所管公益法人の一般競争入札の問題を中心に聞きたいというふうに思います。
最初に、政府参考人に、警察庁が所管する公益法人に委託して行った調査などの契約について、警察庁の二〇〇二年度から昨年度までの委託契約の案件数は五十一件でしたか、そのうち、一般競争契約の件数と随意契約の件数がそれぞれどれだけになるのか、これを伺います。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
これは、各年度でよろしいですか、全体でございますか。(吉井委員「二〇〇二年から昨年まで」と呼ぶ)平成十四年度から十八年度まで、一般競争契約が七件でございます。それから、随意契約が合計四十四件です。
○吉井委員 それで、お手元に届いております「警察庁による警察庁所管公益法人との委託契約の実態」という資料をごらんいただきたいと思うんですが、この資料によれば、一般競争契約となっているものは七件、今おっしゃった数字ですが、随意契約となっているものも、実は入札が不調になって随意契約になったものがありますし、だから、一般競争契約の件数というのは、配付した資料のとおり、十三件と見ることができると思うんですが、確認をしておきます。
○安藤政府参考人 委員の方でまとめられた資料の枠の中であれば、十三件でございます、一般競争入札。
○吉井委員 それで、一般競争契約にしている根拠というのはどこにありますか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
国の契約につきましては、会計関係法令に基づきまして一般競争契約が原則とされておりますが、契約の性質または目的が競争を許さない場合とか、競争に付しても入札者がいないときなど、法令で定める一定の要件に該当する場合には随意契約によることができるとされております。
○吉井委員 要するに、会計法令の原則に基づいて一般競争契約、こういうふうになるわけですが、警察庁の方から競争入札比較表というのを出していただいたので、一般競争入札の実態というのを調べてみました。それで、会計法令に従っているというんですが、よく見れば、非常に理解しがたいというものがあります。
それで、私のまとめてお出ししました資料の左の端の番号で見ていただくと、一から六までが日本交通管理技術協会、それと別に七と八と九と、十、十一は公共政策調査会、十二、十三は日本交通福祉協会、そういうふうにくくることができますが、そのうちの財団法人日本交通管理技術協会との一般競争による契約というのが六件あります。
そのうちの一つの二〇〇五年度の交通管理技術移転のための調査研究というのは、日本交通管理技術協会と合資会社ビバというところ、この一社が参加したものです。二〇〇五年度の交通安全施設の効果測定というのは、札入れが二回行われましたが、二回目は入札参加者がすべて辞退、こうして結局、日本交通管理技術協会だけの入札となって、同協会が落札したということになっています。
そのほかの四件は、驚くことに、入札に参加したのは日本交通管理技術協会だけしかないんですね。この札入れの調書を見てみると、要するに一回目も二回目も三回目の札入れも、全部日本交通管理技術協会一社だけ。普通、競争入札といえば数社が札入れをやって、これが一般競争入札ですよね。一社しかないんですね。それで、四回目には、一社しかなかったその会社が辞退ということになってきて、それが随意契約になっているのが、ここに書いてある随意契約ということなんです。
なぜこの協会だけしか、あとの四件については入札に参加したのはこの日本交通管理技術協会だけしかないという、さっき言ったとおりなんですが、なぜこの一社だけしか一般競争入札というのに入札に応じなかったと考えているのか、これを伺います。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
日本交通管理技術協会の二〇〇二年から二〇〇五年までの委託契約の状況について今委員の御指摘があったわけでありますが、一般競争契約もありますし、一般競争契約が成り立たないといいますか、入札が成立しない場合には会計法令によりまして随意契約をすることができる、こういう会計法令にのっとってやっているわけであります。
今委員御指摘のように、契約先だけの入札であるのが多いということの御指摘でありますが、これは結論的にそういう形になったということでありまして、警察庁では、一般競争入札に付する場合というのは、これは各役所同じだと思いますが、入札の公告をいたしまして、競争に参加しようとする者に対して、その者の申請により入札説明書を交付し、広く参加者を募っているところでございます。
しかし、入札説明書の交付を一たん受けたものの、やはり会社の事情といいますか、役所側が出します仕様書などを見て、自分の会社の能力なり採算性というようなことを総合的に判断して、結果的に一般競争入札に参加しないということがございます。
ということで、結果として入札参加者が一社ということは当然起こり得ることでありますので、そういう形で推移しているということが実情でございまして、結果的にこういうことになっているのはそういうことでございます。
○吉井委員 何か結果的にそうなって当たり前みたいなお話ですけれども、大体、考えてみてもわかるように、一般競争入札というのは競争するから一般競争入札なんですね。一社だけだったら、こういうものは競争入札と言わないんですよ。
次のくくりの国際交通安全学会との一般競争による契約というのは、二〇〇三年度の安全運転と聴覚との関係に関する調査研究という案件が一件ありますが、この入札は応札者がどこもいなかったんですね。それなのに、ここの学会が随意契約で落札しているんですね。
入札に参加したところがないのに、どうして国際交通安全学会が随意契約で落札できるのか、これまた非常にわからない話ですね。伺います。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
一般的には、一般競争入札をいたしまして、入札が成立しないとすれば、そのとき入札に参加した者の中で一番予定価格に近いといいますか低い者と協議をして、随意契約なりをするということでございます。
今委員御指摘のように、この場合は応札者がないのになぜ随意契約をしたかという御質問でございますが、これは、経緯としましては、応札なく不調に終わったということを受けまして、委託契約の中身で実績のあるこの国際交通安全学会、これは過去においても類似の調査研究の受託実績がある、そういうことで、この学会に対しまして調査研究の概要とか一般競争時の契約条件について説明しましたところ、受託する旨回答があったということから、随意契約によって契約を締結したものということでございます。
○吉井委員 その次のくくりですけれども、左の番号で八になるところですけれども、財団法人日本交通安全教育普及協会との一般競争による契約というのは、二〇〇二年度の中学生に対する交通安全教育リーダー育成事業委託という案件が一件あります。入札に参加したのはこの協会だけ。
これは、一般競争入札といいながら、これも契約先だけの入札という形をとっている。なぜこの協会だけしか入札に応じることができないのか、説明してもらいたいと思います。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
この件についての具体的な入札の状況について、今手元に詳細な資料がございませんが、先ほど申しましたように、警察庁では、一般競争入札に付する場合というのは、当然、入札の公告をして広く参加者を募っておるわけであります。しかし、実際に入札に参加する前に入札説明書の交付を受けるということはありますけれども、結果的に入札に参加しない、そういうことが多々ありますので、そういう形のものではないか。
ちょっと、私、詳細な、具体的な事例について今資料を持っておりませんので正確にはお答えできませんが、そういう形でありまして、いずれにしましても、警察庁としましては、一般競争入札にできるだけ広く参加していただいて、競争入札の目的を達するような入札をこれからも進めてまいりたい、こう考えております。
○吉井委員 何か、みんな結果的なお話なんですけれども。
今度、交通情報提供の高度化に関する調査研究の競争入札比較表というのを見ますと、財団法人日本道路交通情報センターと、さっき出てきた財団法人日本交通管理技術協会の二社で競争しているんです。だから、二社で競争しているなら競争かと思ったら、大変不思議なのは、これは、日本道路交通情報センターが片方の三分の一の八百七十九万で札を入れて一発で決定、こういうことなんですが、日本交通管理技術協会の方は二千四百万という、三倍もの高額の金額だったわけですよね。
競争入札といったら、大体幾ら何でもかなり近いところで競争するというのが普通だと思うんですよ。三倍も差があるということになりますと、これはとてもまともな入札とは思えないんですね。だから、日本交通管理技術協会は、最初から落札しようという考えがなく、とりあえず二社で競争するという形をつけるために参加をしたのかということも考えられてまいります。
それから、この日本交通管理技術協会というのは、上の方の六つが該当するところですが、これだけ仕事をとっているんだからかなり力もあるのかと思うんですが、大体、見積もりをやって入札に参加するわけですね、入札の見積もりがよそよりも三倍も高いというふうな見積金額しか出せないとなると、そういう企業というのは技術的にちゃんとした能力を持っているのかということも不思議になってくるわけです。
いずれにしても、片方八百七十九万で落札したわけですが、三倍もの見積額を社内の計算ではじき出した企業というのは、技術力不足か、あるいは最初から談合で自分のところに落ちないように細工をしたのか、こういうふうに考えざるを得ないと私は思うんですが、この点についてはどういうふうに見ているんですか。
○矢代政府参考人 お答え申し上げます。
実際にどのようなことで仕様に対する金額を入れてきたかとなりますと厳密さを欠きますが、ただ、私どもが理解いたしますのは、私どもが示しました調査研究の仕様に対しまして、どのような進め方で、どのような質のものを上げてくるか、こういうことでそれぞれ検討し、それで所要の積み上げ額で応札してきた結果である、こういうふうに考えております。
○吉井委員 私も、民間企業におりましたとき、技術屋でしたから、見積仕様に基づいてきちっと見積もりもやりましたよ。何社かで競争して、極端に三倍も見積金額が開くなんというようなことは、よほどその会社の技術力が劣っているのか。劣っているとすると、そういう会社が、上の方全部、一から六までとっているんでしょう、何かこんなふうに次から次へと入ってくること自体がおかしい、その技術力では。
逆に、競争入札の形をとるために参加はしたけれども、最初から落札する気がないということで小細工を弄したようなところであれば、これは公正入札を妨げているということになりますから、本当だったら、警察庁の方は、次からはそういうところは外すということを考えて普通だと思うんですよ。なぜそうならないのかが、本当にこれは不思議なんです。
その次の、社団法人公共政策調査会との一般競争入札による契約というのは、二〇〇二年度に海外安全対策の調査研究、二〇〇三年度に東南アジアを拠点とするイスラム過激派に関する調査研究という二件があるんですが、どちらも同調査会だけしか入札に参加していないんですね。なぜこの公益法人だけしか入札に応じなかったのか、これも非常に不思議な話なんですね。これはどういう理由ですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の公共政策調査会の二件の調査研究に対しまして、委託研究でありますが、公共政策調査会だけが入札をしたという理由、先ほど来申し上げているように、数社が参加しようとしたのかもしれませんが、結果的にここになったということであります。
これは、こういう、例えば海外安全対策というものは、随分前から、日本企業の海外進出先の危機管理をどうするかという非常に専門的な、ある意味では、公共政策調査会というのは、日本のこういう団体の中で先進的な取り組みをされてきたということ。さらには、東南アジアを拠点とするイスラム過激派に関する調査研究というのも、そういう民間の社団法人でこうしたセキュリティー、特に過激派に関する調査研究を業とする、そういう団体というのは極めて少ないわけでありますので、そういう非常に専門的な、あるいは先駆的な経験といいますか、そういう知識の集積があるところが、やはり結果的にそういうことになったのではないかなと思います。
○吉井委員 この表の一番下の日本交通福祉協会について伺いたいと思うんです。
こことの一般競争入札による契約というのは、二〇〇二年度に応急救護措置の普及促進のあり方に関する調査研究、二〇〇三年度は同じ案件名ですが、この二件ですね。二〇〇二年度の入札では、これもまたどこも応札者がなく入札が不調、しかし、この協会が随意契約で落札。なぜそうなってくるのか。二〇〇三年度の入札では、これまた同協会だけしか入札に応じなかった。これも非常に不思議なんですね。
何か、よその団体がよその契約をやっているのを、そんなことは警察庁は知らぬよという話だったらまだわかるんだけれども、あなたのところにかかわる話で、なぜこういうことが起こるんですか、聞かせてください。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
日本交通福祉協会が、二〇〇二年と三年で、同じ調査研究で、一方が応札者がなく入札不調、他方は入札が成立をしたということでございます。
これは、もちろん入札でありますから、いわゆる予定価格の範囲にあるかどうかということで、二〇〇三年の場合はそういうことになったわけであります。しかし、二〇〇二年については、応札者がなく入札不調ということでございますが、これについてどういう経緯であったか、確かに今委員御指摘のように、差異があるという点につきましては御指摘のとおりでありますが、ちょっと詳細はわかりません。
○吉井委員 今私が指摘しましたように、落札者だけしか入札に応じなかった、こういう一群がありますね。それから、落札者以外にも入札者がいる形にはなっているけれども、とても競争しているとは思えない札入れ価格であったりとか、こういうものが一つのグループであります。それから、入札に応じるものがどこもなく、特定の公益法人との随意契約になっていたりというふうなグループとか、大体特徴を分けることができるかと思うんですが、警察庁所管の公益法人との委託契約に当たっての一般競争入札というのは、これは名前は一般競争入札であっても、とても私たちが知っているような一般競争というものには当たらない、言いがたいものばかりじゃないですか。
なぜ一般競争契約を取り入れるのかということは、冒頭に御答弁もありましたけれども、一般競争契約の意義というのは、「会計法精解」によれば、納税者である国民にとっての機会均等の思想と、なるべく広い範囲の競争をすることにより、最も公正な処理を図り、かつ、最も有利な価格を見出そうとすることにほかならないと。これが一般競争契約というものですよ。
警察庁はこの解釈を踏みにじっているんじゃないですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
一般競争入札の目的なり意義というのは委員御指摘のとおりでありますし、我々もそれを十分認識してといいますか、かみしめてやってきてまいったわけでございます。
ですから、先ほど言いましたように、広く警察庁の入札に参加していただける業者がふえれば、それは、結果的に我々の調達コストというものが非常に公正な価格で調達できるということでありますから、そういう観点でこれからも進めてまいりたいわけでありますが、今委員御指摘の資料の中で見ますと、結果的にそういう契約先だけの入札になっているということでございまして、公共調達のプロセスは、これは厳正に会計法令にのっとって、適正に行ってきたということでございます。
○吉井委員 何か、一般競争の原理原則について認識はしているというお話ですが、しかし、踏みにじっているのも事実なんですよ、今の実例を見れば。
公正取引委員会に伺っておきますが、今指摘しましたような、表向きは一般競争という看板を掲げながら実態は随意契約、こういう入札の実態ではとても、公正で、国民にとって有利な価格で契約が行われたということにはならないと思うんですね。だから、こういう点では、やはり公取としてはこういうものをきっちり調査する、相手がどこであれ入札についてはきっちり調査をするということが必要だと私は思うんですが、伺います。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、公共調達におきましては、一般競争入札を採用いたしますと、潜在的な競争参加者が多くなりますし、手続の透明性、客観性も保てるという面で、競争性が高まるということで望ましいものであると考えております。したがいまして、一般競争入札により調達することが可能なものにつきましては、できる限り一般競争入札により行われることが望ましいのではないかと考えております。
今の御指摘のところでございますが、公正取引委員会も公共調達に関しての研究会等を平成十五年当時つくっておりまして、そのときの内容で、例えば、制度上の要件に合致するかどうかということも含めまして、形式的に競争入札を実施している例があると。やはり、形式的な競争入札を……(吉井委員「調査の必要があると考えるかどうか、こういうことを聞いていますので、御丁寧な答弁で非常にありがたいんですが」と呼ぶ)はい。
個別具体的な御指摘でございますので、私ども、調査するかしないかについてはちょっとお答えするわけにはまいりませんが、形式的入札に関しましては、そういったものは望ましくないと考えております。
〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕
○吉井委員 望ましくないものは調査をするのが当たり前だと思うんです。これは調査をしてもらいたいと思います。調査しますね。
○松山政府参考人 個別具体的な事例につきましては、私ども、調査するとかしないとかいうことは申し上げられないので、そこは御理解いただきたいと思います。
○吉井委員 そんな頼りないことを言っていたら、公正取引委員会の仕事をすることにならへんやん。
国家公安委員長に、大体時間も終わりに近づいてきたから最後に伺っておきます。
かつてこの委員会で、警視庁が発注した交通信号機工事の談合入札を私は取り上げたことがありますが、その際、談合にかかわった企業や公益法人に警察庁OBがおって、そのときにも、日本交通管理技術協会、この最初に出てくるところですね、六つあるところ、これが談合にかかわっているのではないかと指摘をしたことがあります。警察庁は、警察庁OBと談合のかかわりはないと、このとき繰り返し答弁をしておりました。
しかし、私、警察庁の方から出していただいた資料を見ておりますと、今回指摘した一般競争を装った随意契約にかかわっている六つの公益法人の役員への退職国家公務員の在籍状況はどうか、公益法人の役員の方ですよ、偉いさんの方ね。
そうすると、日本交通管理技術協会は、十四人の役員中六名が退職国家公務員で、警察庁出身者がその中で六人いらっしゃる。仁平さん、元警視総監、関東管区警察局長とかがいらっしゃる。国際交通安全学会は、十五人の役員中五名、警察庁出身者は一人で、大阪府警本部長を務めた方。日本交通安全教育普及協会は、二十三人の役員中八人、警察庁出身者は一人で、これは元警察庁交通局長さん。日本道路交通情報センターは、十五人中五人が元公務員で、警察庁出身者が二人、ここには石川元警視総監、四国管区警察局長がいらっしゃる。それから公共政策調査会には、十二人の役員中四人が退職公務員で、警察庁出身者が二人、ここには山田元警察庁長官もいらっしゃる。日本交通福祉協会は、九人の役員中六人、警察庁出身者が三人で、四国管区警察局長や警察庁交通局長付の方がいらっしゃる。
つまり、合わせますと、公務員は合計三十四人の方がこの六つの団体に役員として天下っているんですが、その中で警察庁出身者が十五人と、大体半分なんです。
発注者が警察庁で、受注者が警察庁OBが大半という公益法人という関係にあることを、私はきょうの質疑でこの具体の例を挙げました。それで、公安委員長、大体、この談合とか公正入札をゆがめるような事態とか、あるいは不正入札を捜査するのが警察でしょう。その警察の入札の実態がこれでいいのかということが今根本的に問われていると思うんです。
そこで、公安委員長、私は天下りと談合は一体だと思いますし、予定価格も、ほかで開示するところは多いんですけれども、警察庁の方は予定価格の開示をしないとか。予定価格の開示を初めやはりすべてのことを明らかにするということを、これは公安委員長を先頭に取り組んでいただいて、それをやらせないとこういう事態は何回やっても解決しないと思うんです。それから、一般競争入札という名前だけじゃなくて、実態として一般競争入札になるように改めていく、このことを国家公安委員長としてきちんと取り組んでいただきたい。大臣に最後に伺います。
○溝手国務大臣 お答え申し上げます。
先生の御指摘、ごもっともな点は多いと思っております。
いろいろな理由がその背後に存在しているということも、いろいろ私も警察庁からの説明で伺っておるんですが、国家公安委員会としては、先生がおっしゃいましたように、警察庁の発注がまさに公正で合理的なものであるということをしっかり監督していかなくてはいけない立場にございます。
ですから、委員会としては、今後さらに契約関係については留意をしてしっかりやってまいりたいと思いますが、現在警察庁におきましても、前回の警察改革の動き以来、皆さん非常にこの問題に対してはナーバスに、真剣に業務を行っている、そんな状況であるというように私は承知しております。御指摘のとおり、しっかり公安委員会としても対応してまいりたいと思いますが、どうぞさらに御指導を賜れば、このように思っているところでございます。
○吉井委員 いずれにしても、談合の捜査とか不正入札の捜査をやるところが、そこが発注元になって、そこの幹部が天下ったところとの、だれが考えてみても不明瞭なこういう入札契約のあり方というものは、これは是正しないと、警察自身が信頼を失ってしまうことになるんです。それでは世の中はうまくいかないのは当たり前なんですよ。
だから、私は、この点では、大臣に、本当に真剣に徹底して取り組んでいただきたい、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
――――◇―――――
○河本委員長 この際、お諮りいたします。
第百六十五回国会、細川律夫君外二名提出、刑法及び道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○河本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。溝手国家公安委員会委員長。
―――――――――――――
道路交通法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○溝手国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢に対応して、交通事故の防止その他交通の安全と円滑を図るため、飲酒運転を行った者等に対する罰則の強化及び運転免許を取り消された場合における運転免許を受けることができない期間の延長、七十五歳以上の運転者に対する認知機能検査制度の導入、後部座席ベルトの装着の義務づけ等を行うことをその内容としております。
以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、悪質、危険運転者対策の推進を図るための規定の整備であります。
その一は、飲酒運転を行った者等に対する罰則を引き上げるほか、酒気を帯びている者で飲酒運転を行うおそれがあるものに対し車両等を提供する行為及び自己の運送の要求等をして飲酒運転が行われている車両等に同乗する行為を禁止するなどするものであります。
その二は、救護義務に違反した一定の者に対する罰則を引き上げるものであります。
その三は、一定の悪質な違反行為をしたこと等を理由として、公安委員会が運転免許を取り消したときにおける運転免許の欠格期間の上限を引き上げるものであります。
その四は、警察官が運転免許証等の提示を求めることができる規定の見直しをするものであります。
第二は、高齢運転者対策等の推進を図るための規定の整備であります。
その一は、七十五歳以上の者は、運転免許証の更新を受けようとする場合等には、認知機能に関する検査を受けなければならないこととし、公安委員会は、当該検査を受けた者が一定の基準に該当するときは、臨時に適性検査を行うこととするものであります。
その二は、七十歳以上の者は、更新期間が満了する日の六月前から高齢者講習を受講することができることとするものであります。
その三は、七十五歳以上の者及び聴覚障害者は、普通自動車を運転する場合においては、一定の標識を表示しなければならないこととするなどするものであります。
第三は、自転車利用者対策の推進を図るための規定の整備であります。
その一は、普通自転車は、その運転者が児童等である場合、車道等の状況に照らして歩道を通行することがやむを得ない場合等には、歩道を通行することができることとするものであります。
その二は、児童等を保護する責任のある者は、児童等を自転車に乗車させるときは、乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないこととするものであります。
第四は、自動車の運転者は、助手席以外についても、座席ベルトを装着しない者を乗車させて自動車を運転してはならないこととするものであります。
第五は、その他の規定の整備であります。
その一は、警察署長は、車両移動保管関係事務を一定の法人に委託することができることとし、指定車両移動保管機関制度を廃止することとするものであります。
その二は、安全運転管理者に関する規定を整備するものであります。
なお、この法律の施行日は、七十五歳以上の者及び聴覚障害者の標識の表示等に関する規定、自転車利用者対策の推進を図るための規定、座席ベルトの装着に関する規定、車両移動保管関係事務の委託に関する規定、安全運転管理者に関する規定については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日、認知機能検査に関する規定、高齢者講習に関する規定、免許の欠格期間の上限引き上げに関する規定については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
○河本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二十七分散会