衆議院

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第29号 平成19年6月15日(金曜日)

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平成十九年六月十五日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 武彦君

      遠藤 宣彦君    岡下 信子君

      嘉数 知賢君    木原 誠二君

      谷本 龍哉君    土井  亨君

      中森ふくよ君    原田 憲治君

      原田 令嗣君    松浪 健太君

      村上誠一郎君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    河村たかし君

      佐々木隆博君    津村 啓介君

      西村智奈美君    細野 豪志君

      三日月大造君    山田 正彦君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 溝手 顕正君

   国務大臣         高市 早苗君

   国務大臣         大田 弘子君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  雅彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 二郎君

   政府参考人

   (警察庁長官)      漆間  巌君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    米村 敏朗君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  松田 正一君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  清水美智夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        小野 邦久君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  寺田  稔君     原田 令嗣君

  林田  彪君     原田 憲治君

  小川 淳也君     河村たかし君

  佐々木隆博君     山田 正彦君

  馬淵 澄夫君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     林田  彪君

  原田 令嗣君     寺田  稔君

  河村たかし君     小川 淳也君

  三日月大造君     津村 啓介君

  山田 正彦君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

六月十五日

 ともに生きる社会のための公共サービス憲章の制定を求めることに関する請願(末松義規君紹介)(第二〇四〇号)

 同(大串博志君紹介)(第二〇八六号)

 同(平野博文君紹介)(第二一一四号)

 同(河村たかし君紹介)(第二一五三号)

 戦時性的強制被害者問題解決促進法の制定を求めることに関する請願(小宮山洋子君紹介)(第二〇四一号)

 平和憲法の改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇八五号)

 憲法を守る意思をあらわすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一四九号)

 日本国憲法改悪反対に関する請願(土肥隆一君紹介)(第二一五〇号)

 憲法改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第二一五一号)

 憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 総合研究開発機構法を廃止する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件及び警察に関する件(銃器対策)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件及び警察に関する件、特に銃器対策について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事長小野邦久君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官荒木二郎君、警察庁長官漆間巌君、生活安全局長片桐裕君、刑事局長縄田修君、組織犯罪対策部長米田壯君、警備局長米村敏朗君、情報通信局長松田正一君、外務省大臣官房審議官新保雅俊君、社会保険庁総務部長清水美智夫君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君及び国土交通省住宅局長榊正剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 おはようございます。民主党の市村でございます。

 きょうは銃器対策ということでございますけれども、ついおととい、警視庁北沢署で起こりましたウィニーによるまた情報流出、これについてちょっと質問させていただきたいと存じます。

 以前、愛媛県でウィニーによる情報流出がありました。そのときに、その対応した方といいますか、情報を流出させた方に対しましてどういうような処罰が下されたか、そのことをまずもってお聞きしたいと思います。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 その件については、減給の行政処分をしたと思います。

市村委員 また長官にお尋ねしますが、減給というのは、いわゆる警察の処罰の中で重い方でしょうか、それとも軽い方でしょうか。

漆間政府参考人 懲戒処分の場合は、戒告、減給、停職、免職、こうあるわけでありますから、下から二番目ということであります。

 ただ、このウィニーの関係については、もういろいろ指示を出していますので、だんだん重くする、場合によると免職までいくという方向にもう一線にも指示を出してあります。したがって、常に減給になるというわけではありません。

市村委員 またあれだけの報道もされ、そしてまた、皆さんがこれでいいのかというような話だったと思います、あのときの流出は。それが減給で終わったということです。

 警察の情報というのは、幅広い情報が集まり、本当に個人のプライバシーにかかわる問題がたくさん入っています。それが流出して、そして減給で終わるというのは、ちょっと私たちの感覚からするとそれでいいのかなというような思いがあります。

 それで、例えばウィニーのような話、まさか自分ではそんなことが起こるとは思っていなかったということもあって、持ち帰ったけれども、まさかということがあって、一回目はそれで許されたかもしれませんけれども、もし、そのとき厳罰で、例えば懲戒免職というような話になっていれば、私は今回のことは起きなかったというふうに思うんです。私は、やはり甘かったという判断なんですけれども、長官としてはどういう御判断でしょうか。

漆間政府参考人 今委員の御指摘、私もわかるところもございますが、我が組織のことを悪く言うのもなんではありますけれども、今回のケースを見ていると、ウィニーというようなファイル共有ソフトは絶対使うなと誓約書もとって、しかも、現実にその誓約書には、もし入っていた場合にはいかなる処分も甘受しますとなっているわけです。つまり、懲戒処分も受けますということです。にもかかわらず、もう一つ使っていまして、それにウィニーを入れていた。

 だから、それを考えますと、あのときに免職処分をしていればこんなことは起こらなかったかと言われますと、それはまさにそういう組織にならなきゃならないと私自身も思っていますが、残念ながら、やはり二十九万人も職員がおりますと、中にはそういうことは一切関係なしに、あいつは懲戒免職になったけれども、おれは見つからぬだろうと思っている人間もいるわけでありまして、だから、必ずそうなったかどうかということについては、私としてはそこまでは言えないのではないかという感じは持っています。

市村委員 長官、二十九万人でしょうか、警察の皆さん、いらっしゃると思いますけれども、確かにたくさんいるからなかなか目が届かない、だからこういうことも起こり得るんだという思いで今の御発言かもしれませんが、しかし、事は警察の話でございます。

 例えば、防衛省は国家機密ということで、これは犯罪になりますが、では警察の情報というのが漏れた場合は、これはどうなんでしょうか。これは国家機密が漏れたとかいうことじゃないと思いますけれども、しかし、我々の、いわゆる国民の生活のかなりのプライバシーを含んだ情報を警察の方は持たれているということだと思いますが、これに関して、では、たくさんいるから多少漏れるのは仕方ない、こういうことでは私は大変心もとないと思うんですが、長官の御感想を聞かせてください。

漆間政府参考人 たくさんいるから漏れるのはしようがないという趣旨ではなくて、我々は絶対漏らしちゃいけないということをもう徹底的に指示しているんですけれども、やはりそれを聞かない人間がいるということが非常に残念であるということであります。

 ウィニーを通じて出る場合には、これは故意がありませんので、まさに公務員の守秘義務の範疇にも入らなくなります。だから、基本的には、私は、そういう指示をいかに末端まで徹底させる手段を今後どう考えるか、なかなか難しいんですが、これをこれからよく考えながらやっていきたいというふうに思っています。

市村委員 では、まず、今回の情報流出の流れをちょっといろいろお聞きしたいと思います。

 今回は、二十六歳の巡査長の個人用のパソコンに保管されていた情報が漏れたということですけれども、そもそもどのような経過を経て個人用のパソコンに情報が入ったのか、その経緯について、長官からお答えください。

漆間政府参考人 この件は警視庁の方で今調べていますから、具体的な、どういうふうな流れかというのはまだわかりませんが、基本的には、ある人間がつくったものをコピーしたわけです、自分の私物のパソコンに。そのコピーする目的は、実は動画をコピーする予定が、動画の中に警察に関する情報が入っていたということでありまして、それがいつの間にかウィニーがウイルスに感染しておって、ことしになってそれが流出してしまった、今のところそういう経緯だという報告を受けています。

市村委員 そもそも、この情報というのは、個人用のパソコンに入っていたのか、それとも北沢署が提供したパソコンに入っていたのか、どちらでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 警察の公務用のパソコン、もともとの情報はそこに入っていたと思われるんですが、この人間が私物の外づけのハードディスクを持ち歩いていて、公用のパソコンにつないでいたと思われます。その公用のパソコンに無断でつないで、自分の必要な職務の参考資料か、その目的はよくわかりませんが、そこにコピーして持っていた。それを私的に当該巡査長にコピーさせたという経緯だったというふうに聞いております。

河本委員長 局長、何言っているかわからないよ、それじゃ。

松田政府参考人 もともとのデータそのものは、警察署における公務用のパソコンで作成したものだと思われます。そのパソコンに自分の私物の外づけハードディスクを接続してコピーしたと思われます、これはまだはっきりしないんですけれども。この外づけハードディスク、これは私物ですので、自分で勝手に管理して、上司に届けずに家に持ち帰ったというような形だと思われます。その家に持ち帰ったものを、私的に当該漏らした人間のパソコンにコピーさせたというふうに想定されます。詳細は調査中であります。

市村委員 そもそも警察では、外づけハードディスクでも何でもいいんですけれども、それを警察署に持ち込んで、そして公務用のパソコンにつないで情報を落としていいという話になっているんでしょうか。長官、お願いします。

漆間政府参考人 それは、そもそもなっていないんです。ちゃんと公的に承認を受けたものでないと、外部記録媒体は接続してはいけないということになっているわけですから、今情報通信局長が説明したとおりであるとすれば、外づけのハードディスクを公的なパソコンに入れて、そこから情報をとった、これ自体が中の規約に違反しているということになります。

 それから、先ほど愛媛のケースで私は間違った答弁をいたしまして、愛媛の警部は停職三カ月でございました。

市村委員 今、長官は、外づけだろうと何か別の媒体だろうと、そもそも公務用のパソコンから情報を引き出すことはだめだと。これは法律でしょうか、それとも内規でしょうか。どっちでしょうか。

漆間政府参考人 基本的には、各都道府県警察が通達等で内規をつくっておりまして、警視庁の場合もそういうふうになっています。

市村委員 まず、そこから問題なんですね。まず愛媛の件が起きました、あれだけ騒がれました、この内閣委員会でも、本当にとんでもない話だということでかなり議論もしました。そして、今おっしゃった停職三カ月ですよね。減給でも停職三カ月でも、やはり一般的に考えるととんでもない話で、それで停職三カ月で済むのかというのが正直な感想だと思います。

 例えば、懲戒免職が相当だと私は思いますが、あそこでちゃんと対応していれば、愛媛であんなことがあったから自分たちも気をつけないかぬなというふうになると思うんですね。ところが、あんなことをやっても三カ月かというふうになると、警察の皆さんのほぼ九九・数%ぐらいは多分立派な方でありますから、そんなことはしないと私は思いますが、長官がおっしゃったように、中には不届きな考えを持っている者もいるということだと思います。でも、その方ですら、こんなことをやったら首だな、すなわち、外づけハードディスクだろうと何だろうと、とにかく公務用のパソコンから捜査情報を引き出したらだめなんだという意識があれば、そもそも個人用パソコンにデータが入ることはないと思うんですね。

 結局、私は判断が非常に甘いと思いますが、長官は、三カ月、これは適当だったと思われますか。

漆間政府参考人 処分をどの程度にするかというのは、これはなかなか難しい問題でございまして、世間的に見れば、懲戒免職にすべきではないかというものもあるかもしれませんが、場合によると今度は、実際、人事委員会に訴えられて、それはひど過ぎる、そんなものに値するものじゃないというようなことになるかもしれません。ただ、まさに懲戒免職に値する事案であるということについては、私も同感であります。

 ただし、やはり一番問題は、平成十八年にもうそういう方向性を出したわけですね。ところが、今回のケースについて、まだ具体的には報告を受けていませんけれども、内々の報告で聞くと、十六年、十七年のものなんですね。したがって、本来であれば、愛媛の事案が起こって、これはいけなかった、これは消さなきゃいかぬ、消去しなきゃいかぬのだ、こういうふうに思ってくれればいいんですが、そういうふうにはならなかったんだろう。まだすべての検証結果がわかっているわけじゃありませんが、私が今のところ聞いている話ではそうなっているというのが実態です。

市村委員 例えば、社保庁の職員が個人のある特定の方のプライバシーにかかわる情報を自由に見られたということが、それこそ数年前に問題になりました。そういうことから考えると、二、三年前はそういう状況だったという気持ちもあるかもしれません。しかし、そもそも私たちが国及び国の関係機関に求めているものは、まさか自分たちの情報がそんな簡単にあっちからこっちへ流れているとは思わないですね。国であればこそ、また警察であればこそ、しっかりと情報は管理されているだろう。それが信頼です、信用です。それがあって初めて私たちは警察の皆さんの言葉も重く受けとめてやっているわけでありまして、二、三年前の状況を考えたらその気持ちはわからないでもないんですけれども、情報がそんな甘い管理だったのかとなると、では一体何を信じていいのか。

 つまり、私たちは、警察というのは一番そういうのがしっかりしているだろうと信じている機関なんです。それが、二、三年前だったから仕方ない、去年の通達だったし、ことしに入ってからは大丈夫だろうというお考えかもしれませんけれども、信用できないんですね。今でもひょっとしたら、自分の何かハードディスクなりいろいろな媒体を持ち込んでぱっと落として、家に持って帰っているかもしれない、たまたま今回はウィニーにつないでいたというだけでばれてしまいましたけれども。ある意味で、家に持ち帰って仕事をやる、継続するという考えのもとにひょっとしたら行われているかもしれないということも考えられるわけです。

 では、長官としては、今後この情報の扱い方についてはどのような管理をすべきだというふうにお考えでしょうか。

漆間政府参考人 本当に委員の言われるとおりなのでありまして、別に、十八年より前だったからそれはいいんだと言っているわけじゃないんです。ただ、現実の問題として、やはり、そのときにはまだまだ十分な対策の措置がとられているという状況になっていなかった。というのは、やはり外部記録媒体というのはUSBも含めて本当にちっちゃい、今回は外づけのハードディスクですけれども。いずれにしても、基本的にそういうものですから、持ち込むところをきちっとチェックできないとこれはやられてしまうという事態があるわけであります。

 そこで私は、愛媛のケースを受けて、基本的に、これは性善説に立って措置を講じたんではだめだ、性悪説に立ってやるべきだということで、したがって、物理的に不可能な状態をつくらなきゃいけないということなので、情通局の方で開発した暗号化プログラムというのを平成十九年度に、今配分をしているところであります。これはそれぞれの地方で予算化して入れなきゃいけませんので、これが全体に行き渡れば、それから私物のパソコンも十九年度中にはなくなりますので、これができれば、物理的にだれがどこで何をしようとしたかということも含めて全部わかるような仕組みになっていますので、まずそういうような性悪説に立った施策をきちっとやっていくことによって、警察が情報を漏らすというような国民の信頼を損なうような事態を絶対絶滅するという方向に持っていきたいと思います。

市村委員 本当に物理的に情報を落とせないようにする、これはぜひともやっていただきたいと思いますが、そもそも今回の流出した情報というのはどういうものだったのか、具体的に教えていただければと思います。

漆間政府参考人 全体で一万ファイルあるというわけでありまして、これが具体的にどんなものであるかというのは今警視庁の方で精査しているところなので、具体的にどんなものがあるのかというのは私の耳に入っている状態ではございません。

 基本的には、大体のところの検証が済んでから私のところに報告が入ると思いますので、今の時点では、どういうものが入っていたのかということについては、私は存じておりません。

市村委員 ぜひとも、情報が入ったらまた教えていただきたいと存じます。

 実は私、前回の愛媛のときのファイルもある方からいただいて見せていただきました。個人の名前が入った情報とか、あと、実はNシステム、警察の方はそもそもNシステムはないと最初おっしゃっていたんですけれども、やはりあるんだということ。私、委員会の質問でも御答弁いただきましたけれども、結局、Nシステムの情報すら私も得たということでありまして、とんでもないなと本当に思った記憶があります。今回はさらにそれを上回るようなファイルが流出しているということで、恐らく何らかの手段で、もう公になってしまっていますから、私も手に入れようと思ったら手に入るんだろうとは思います。

 私はこの場でも、例えば介護の問題でも、警察の皆さんがいろいろと地域を回っていただいているから、介護の悲劇、介護殺人とか介護心中とか、そういうのを未然に防ぐためにもぜひとも警察の皆さんに御協力いただきたいということ、長官からも、警察がもしそういう役目を持つのであれば、それは前向きに考えたいというお話もいただいておりました。ただ、それは極めてプライバシーにかかわる問題でありまして、警察ならばそんな問題は漏れないだろうということが前提なんですね。それが何か警察に言ったらどんどん外に漏れてしまう、あそこのあの人はこういう状況でというふうになってしまったら、そもそもの信頼にもとるような形になります。

 だから、今後は、例えば情報はどこかのパソコンに全部一元管理して、皆さんが扱えるのは端末で、そういうデータを引き出すことができないような端末をやるというのも一つの手だと思います。だから、そういうこともお考えいただいて、今後は本当にこんなことが二度と起こらないように。

 最後にこの件についてお聞きしたいのは、では、この方についてはどのような処遇を考えていらっしゃるのか、長官からお聞きしたいと思います。

漆間政府参考人 全く委員のおっしゃるとおりでございますので、先ほど申し上げたように、もう絶対に出ないシステムに十九年度中には絶対に構築するということで、国民の信頼を損なわないようにしたいと思っています。

 いずれにしても、今回のケースについては、ともかく愛媛の事案も受け、ほかの事案も受け、ずっとやってきてそれでもやってきたという話ですから、全体を見た上で個人の処分もそれから監督責任も含めて厳しくやりたいと思っています。

市村委員 厳しくお願いします。また停職三カ月というふうなことだったら、私はまだ緩いと思います。もう厳正な対処をしていただきたいと思います。

 それでは、高市大臣、済みません、いよいよ銃器対策の話になりますが、今内閣府に銃器対策推進本部が立ち上がっている、平成七年からでございますけれども、お聞きしたら、この会合は年に一回だけだということでありますが、これをもっとふやしていくというお考えはありますでしょうか。

高市国務大臣 銃器対策の推進本部では、大体年度初めの時期に開きます。ここで何をやるかといったら、前年度の進捗状況、それも各省庁すべての取り組みの進捗状況の報告を受けて、そして新しい年度の計画をつくるというのが目的でございますので、私は、この推進本部自体は、よほど新たな何か追加をするとか年度途中で新たな取り組みをする場合以外は、一度でいいと思います。それでずっと毎年毎年一年分の計画を立てて、かなり各省庁間の連携、合同訓練ですとか合同捜査ですとか情報の共有も進んでおりますし、そしてまた、それをきちっとフォローアップしておりますので、それでいいと思うんです。

 ただ、昨今の状況を受けまして、この推進本部の中で決定される計画というのは、平成七年十二月の銃器対策推進本部が決めました推進要綱の中に実施施策としてあるその柱立てで大体毎年計画をつくっておりますので、ちょっとそれ以外の視点も含めたさらなる取り組みができないかということで、先般、私のもとに銃器対策の更なる施策検討のためのプロジェクトチームというのを立ち上げまして、そして今月中に結論を出します。そこでまた新たな取り組みをする場合は、必要に応じて推進本部の開催も考えられるかと思っております。

市村委員 今大臣におっしゃっていただいたように、昨今の状況を踏まえて、銃器対策推進本部でなくてもいいですけれども、もっと実効が上がる対策をぜひともとっていただきたいと思います。

 それで、国家公安委員長、例えば最近、逮捕につながるような有益な情報を出していただいた方にいわゆる懸賞金を出すという制度ができていますね。

 私は、このけん銃に対しても、今あるとは聞いているんですが、さらなる周知徹底をしていただいて、けん銃の摘発に関する有益な情報を出した方には懸賞金なり何かしらの報奨を与えるというようなことがやはり必要だというふうに思っておりますけれども、国家公安委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

溝手国務大臣 今般実施いたしました懸賞金制度は、銃器というのはその一部には当然想定をしておりますが、これに特化した制度ではないと思います。今後、プロジェクトチームの検討の中でそういう御指摘があれば、前向きに受けとめていかなくてはいけない、こう思っております。

市村委員 水曜日でございますけれども、道交法改正案がこの委員会を通過して、きのう成立しました。その中で、いわゆる自動車飲酒運転に関して厳罰化がさらに徹底されたわけでありますけれども、そもそも自動車運転のことについても、いやほかの量刑との関係があって、自動車だけこんな厳罰をしちゃいけない、こういう意見もあったんですが、しかしながら、やはり国民の声を受けて厳罰化が進んだわけであります。

 銃を持っている、使うのはもうとんでもない話でありますけれども、銃を所持している、しかも弾と一緒に所持している、こうしたことについてもっと厳罰化を図るべきだという考えを私は持っておりますが、長官のお考えをお聞きしたいと思います。

漆間政府参考人 銃刀法の改正については、平成三年、五年、七年とやってきております。かなり上げてきたつもりではおりますが、まだまだその罰則のあり方について検討の余地は十分あると思っておりますので、現在、関係機関とも調整しながら、その方向で進めるように検討を続けているところであります。

市村委員 本当に、一般市民が被害に巻き込まれるケースがふえてきているということであります。

 一つは、国内にあるけん銃ですね。何丁あるかわかりません。一説によると五万丁と言う人もいますが、これはなかなかわからない。まず、その国内にあるけん銃を減らしていく努力も必要ですけれども、やはり幾ら国内で減らしても、また新たに入ってきたら結局永遠に終わらないということになります。この間のこの委員会でも水際対策が必要だという議論も闘わせてきましたが、日本という国は、海に囲まれていますから、いろいろな意味で、夜陰に紛れて船で着けて、どんどんけん銃を持ち込める可能性が高い国であります。

 ですから、そういった水際対策についても、もちろんこれは海上保安庁の役目でもありますけれども、警察としてどう取り組んでいかれるか、改めて長官にお聞きしたいと思います。

漆間政府参考人 けん銃のほとんどは海外から入ってくるわけですから、水際対策が成功すれば、けん銃をなかなか国内に入れないということで、いい効果を生むわけですが、実は、物すごく巧妙に入れてくるわけでありまして、全部部品はばらばらにして、しかも普通の監視装置では写らないような、鉛で封印するとか、物すごいやり方をやっておるのであります。

 しかし、それを、関係機関といろいろ協議しながら、我々も得た情報を関係機関に提供する。それから、やはり大事なことは、海外からの情報をとらなきゃいけないんですね。だから、海外の治安機関から、今度こういうやつがこういうのを持っていくぞ、こういう情報をまずとらなきゃいけないと思っていまして、私どもは、その方向を今後強化して、できる限り日本の国内に入るそのところでけん銃を押さえる、あるいは場合によってはそれをクリーン・コントロールドデリバリーにするかどうかして、末端のところまで行かせて、それで一網打尽にするというようなことも含めた、いろいろな捜査手法をも考えていきたいと思っています。

市村委員 高市大臣、本当に銃器対策は大変重要です。今長官がおっしゃったように、関係機関というのは多分警察が大きな役割を担っていると思いますが、例えば海上保安庁、また法務省、いろいろな関係機関があると思います。多分、それだからこそ、内閣府に銃器対策推進本部ができていると思います。これは高市大臣の気持ち一つで全然変わってまいりますので、ぜひとも対策をよろしくお願いします。

 そのことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

河本委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、きょうは、内閣委員会の銃器対策についての集中的な質疑ということで、この問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、今、委員からも指摘がありましたけれども、いわゆる警察の捜査情報とか、あるいは捜査資料、こうしたものが流出をしてネット上に出ることによって、例えば暴力団の関係者であるとか、一般社会において、例えば著名人、知名度のある方が参考の中に出てくるということによって、その方の社会的な信用、社会的な立場、あるいはメディアに出るようなお仕事であれば、こういう方々が、本来なら外に出なくて済んだ話が出たことによって、また、無責任なネットの世界の中で、これは実名で幾らでも報じられてしまうわけですね。それに対して、今回のこの一連の事件、これはさっきの事案のみならずですけれども、改めて確認をしますけれども、このセキュリティーに対してどうするのかということ。

 そして、今後、こういうふうな情報のインプットの仕方も含めまして、もちろん内部資料として必要な情報はあると思いますよ。これからサイバーテロといいましょうか、イタチごっこだと思うんですね、こうした情報を盗み出してきて、またさらに侵入しようとするやからとの。その上において、私は、やはり何らかの形で少し配慮して、そうした捜査情報なり捜査資料をつくっていくべきだと思うんです。つまり、万が一流出しても、そこにいる人がだれと特定されないような。

 長官、この点についてどうお考えでしょうか。

漆間政府参考人 警察の持っている情報は組織が管理するものでありまして、個人が管理するものではありません。したがって、個人が管理するような形になったことについては、大変申しわけないというふうに思っています。

 基本的には、先ほども市村議員にもお答えいたしましたけれども、やはり私どもは性悪説に立たざるを得ないので、したがって、外部の記録媒体も含めて、すべての公的パソコンにつなぐ場合にはちゃんとしたルールがあるということと、それから当然のことながら暗号がかかる、したがって、落としても大丈夫ですし、ほかのところに入れようとしても、暗号がかかっていますから、全然その内容はわからないというような仕組みを、これは平成十九年度中に全部確実にやれるようにしたい、必ずするというふうに考えています。

渡辺(周)委員 こうなってきますと、今のこの社会の中で、実は一番安全なのは最もアナログなやり方で、結局、手書きにしてメモにして、それをどこかに保管しておくのが一番いいんじゃないか。これは本当は変な話ですけれども、これだけ簡単に侵入される、そして流出する、そしてデータがひとり歩きする、あるいはそれをネット上で簡単にだれもが見ることができるようになってしまう社会になると、本当に大事な情報というものは、実は手書きにしておいて、そしてかぎをかけてそれを金庫にでも保管しておくのが一番安全なんじゃないかな、本当にそう思ったりもするわけであります。

 先ほど市村委員も指摘しましたけれども、さまざまな情報提供者もいるでしょうし、また、皆様方が日ごろの職務の中でさまざまな情報を収集した、これが一気に外に出てしまったことによって、まさに警察の信頼は失墜をするわけであります。では、何のために協力をしたのか。それは、逆に情報提供者の身を危うくすることでもありますし、当然、情報提供者の身元がわかれば、もう二度と話はしてくれないわけであります。このことをぜひ重く受けとめていただきたい。

 そして、情報をさまざまストックすることも必要だと思います。その中で、たとえ流出しても、善意の第三者、協力者や、あるいは、そこに名前が出たことによって社会的信用が失墜することが本当にその方の人生にとっても大変な致命傷になるわけでございますので、そうしたことに配慮して、やはり私はそこに最善の注意を払っていただきたい。

 そして、それは何らかの形でイニシャル化するとか、まさに暗号化するとか、何らかのコードを使って、コードというのは、一種の皆さんでしかわからないような暗号化されたものを使って、やはり私たちは持っていていただきたい、また、そうでなければ治安維持のために協力をしている人たちに対して申しわけが立たない、ぜひ今回のことは重く受けとめていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 銃の話に移らせていただきます。

 これは質問通告にはございませんけれども、先般の愛知県の立てこもり事件を見ておりまして、事後にいろいろ言う方はいると思うんです、各マスコミが批判をしました。マスコミが批判をして、不可解な現場での対応だったとか、なぜああしなかった、こうしなかったというたらればはたくさん出ているわけであります。

 ただ、私、一つ言えることは、こうした緊迫した局面において現場の指揮官がどう判断するかというのは、これはやはり日ごろからシミュレーション、イメージトレーニングでいろいろ考えてはいるんでしょうけれども、では、実際あの場にいた場合に何をどう行動できるかというものは非常に難しいと思うんです。見えるものを信じるか、見えないものを信じるかということになった場合に、見えないものを信じて決断をするということは、指揮官にとってはこれは本当に大変な苦悩だと思いますし、では、見えないものを信じて対応を立てよと言われれば、これはなかなか次の一手が打てない。

 ですから、事後にいろいろ言うことは、これは我々を含めて簡単だと思うんです。それは結果を見てから物を言えるわけですから。ただ、そうでないということの前提に立った上で私は申し上げたいと思うんですけれども、あのときの警察官、最初に駆けつけた方が撃たれて、五時間そのままそこに、ある意味では救出されずにいた、それがずっとリアルタイムで報道されていた、なぜあの方を救いに行けなかったのだろうか。そして、そのことが非常に、我々にしてみると、警察の信用というか、本来なら行くべきだろう、なぜ行けないのか。もう一回あそこに銃弾が来たら、多分とどめを刺されていた、言葉を選ばずに言えば。そうすると、助かるはずの人を助けなかったばかりに命を落とすということもあり得たわけでありまして、それは最終的には現場の判断だったのかと思いますけれども、救いに行くだけの装備もなかったのかなと思うわけなんです。

 たとえ銃弾を受けても、救いに行くことができる装備があればあそこに行けたのかどうか、その点についてまず伺いたいと思うんですけれども、いかがなんでしょうか。

漆間政府参考人 今、その件につきましては、愛知県警のみならず警察庁あるいは他の都府県の専門家も入れて検証をして、間もなくその結果は出るだろうと思います。

 実際、あの現場は、テレビで見ますと、銃で撃たれた警察官が倒れていた場所とそれから立てこもっていた場所と、広そうに見えますが非常に狭いんです。したがって、そこに何らかの遮断するものを入れるというのは非常に難しいというのは間違いありません。したがって、本来であればあそこに、普通、SATであれば防弾の車両、そしてしかも小型の車両も持っていますから、それをわあっとその前に持ち込めば幾らけん銃を撃ってきても大丈夫。ところが、それすら入れられないという状況下でいろいろな策が練られたというのが今回の実態であります。

渡辺(周)委員 個別の事案について余り聞いても、これは政治の場で議論をして解決する、真相は明らかにしなきゃいけませんけれども、実際、これは真相を明らかにできない部分、つまびらかにできない部分もあると思うんです。それは、やはり装備品のレベルでありますとか、あるいはオペレーションの内容について余り詳細にわかってしまうと、今度同じ事件が起きたときに警察側の能力というものがある程度わかってしまう。これは、私は、すべてつまびらかにせよと言うつもりはありませんけれども、そうした反省を踏まえて二度とこういう事件で被害者が出ないようにしていただきたい。

 この事件とちょっと話はそれますけれども、昔にさかのぼると、大阪の三菱銀行の北畠支店で、梅川昭美というのが銀行の中に立てこもって本当に鬼畜のような振る舞いをしたというのは、これはまだ二十八年ぐらい前でしょうか、まだ記憶に本当に生々しく残るわけでありますけれども、あのときも最初にたしか犠牲になったのは警察官の方だったんですね。入っていって、もういきなり梅川が、犯人が持っていたライフルで撃たれて亡くなった。

 警察官の方が駆けつけて最初にそういう犠牲になる、これはある意味では本当に職務でありますから、その使命感に燃えて一番最初の危険な中に行くわけですから、当然そういうことも皆さん覚悟の上で警察官という仕事につかれると思うんですけれども。

 そこで、私は一つ伺いたいのは、警官の銃使用についての基準、これはどうなっているのかなということを伺いたいんです。

 警察官の発砲ということについては、これはよく、警官が銃を発砲したということで、いろいろ賛否両論が後に新聞等に書かれます。しかし、凶悪犯による被害の拡大、凶悪犯によってこれ以上の犠牲者を出さないためには、当たり前ですけれども、職務としていわゆる銃を携行しているわけでありますから、私は銃を使うということは当然あり得ると思うんです。

 むやみやたらに銃を出したら、それは非常に逸脱する権限、つまり、警察官が銃を使わなくとも阻止できるような場合に銃を抜いたら、それは行き過ぎだという批判もあるでしょうけれども、実際問題として、相手が人を殺すぞと言っている、あるいは既にもう撃っているという場合に、私は警察官はやはり銃を使うこともあり得ると思うんですけれども、この銃の使用ということについてはどういう基準になっているんでしょうか。それをお答えいただけますでしょうか。

漆間政府参考人 銃の使用については、基本的には警職法七条に基づくものであります。ただ、ある警視庁管内で起こったケースについて、いろいろやられているのに銃を使用しなかったといういろいろなことがありまして、警職法七条に当たるのであれば積極的にもっと銃を使うべきじゃないかということで、今方向転換はしております。

 したがって、撃つべきときには必ず撃つという方向におりますし、当然のことながら、今回も警職法七条の要件には当たっていますから、相手が見えている場合には射殺するということもあの計画の中に入れて具体的な救出活動も行ったということであります。

渡辺(周)委員 できるだけ相手の命を奪わずに身柄を拘束することができれば一番いいんでしょうけれども、そうはいったって、相手はもう何人かの被害者、犠牲者を出している、そしてこのまま放置すれば第二、第三の被害者が出かねないというときに、私は、言葉は乱暴かもしれませんけれども、やはりそのときに、今武器を持って阻止できる、その一番最前線にいる人間がどこかで決断をしなければいけないときもあると思うんです。

 ぜひこれは、行き過ぎた銃の使用ということはやはりあってはなりませんけれども、実際、こういう凶悪犯が目の前にいる場合に、どのような覚悟を持つかということは、ぜひ現場の警察官の方々にやはり指導されるべきだと思いますし、当然、日ごろの技術の向上といいましょうか、そういうことについてもやはり取り組んでいくべきであると思うんですけれども、訓練なんかを含めてどうなっているのか、もう一度お答えいただけますでしょうか。

漆間政府参考人 先ほど申し上げました積極的に銃を使うという方向に転換をしてからは、いわゆるシミュレーターがございまして、相手がどういうふうにどう出てきた、そのときにけん銃をどう撃つということを、これは全部いろいろなところに装備しまして、そこで具体的にやっております。したがって、けん銃を抜くということについては、かなりその考え方、要件に合えばやるんだという訓練のシステムはでき上がっていると思います。

 あとは、まさにその場で、個人であれば警察官が、自分はこれでやはり撃たなければだめだと判断するかどうか、それから、組織的に対応している場合は、組織のトップが、これはきちっと撃つんだ、撃ってでも制圧するんだというようなことを言うかどうか、そこのところの問題でありまして、そこも、今回はそれをまた支援するシステムを含めてきちっと整備しようと考えています。

渡辺(周)委員 ぜひ、もうこうした事件が起きないことを祈るんですけれども、ただ、こうした立てこもり事件あるいは通り魔のような事件もあれば、家族を人質にとった、さまざまな事案があるわけでありまして、そこで犠牲になった方というのは、なぜ自分なんだろうか、なぜこんなことに遭遇してしまったのだろうか、まさに悪い場所に悪い時間、本当に何か人知の及ばざるところでそんなことに出くわしてしまったということで非業の死を遂げた方がいっぱいいるわけですね。

 一つ、これは私の経験なんですが、昔、川俣軍司事件というのがございまして、ちょうど私、実は大学に滑って、高校を卒業して東京へ出てきて初めて、九段の衆議院宿舎に、おやじが当時議員だったものですから一緒におりまして、飯田橋に警察病院がありますけれども、何か騒々しいなと。たしかあのとき、江東区深川ですか、たしか飯田橋の警察病院に最初連れてこられたんじゃなかったかと思いますけれども、何か大変大騒ぎをしていた。あの事件も、たまたまそこを歩いていた親子連れが、そこにさえいなければ普通の幸せな、何気ない日常の人生を暮らしていた人たちが一遍に殺されて命を奪われたわけですね。

 こういう何か理不尽な、何とも言えないことがあちこちにある中で、これから私は、やはり薬物の取り締まりと銃の取り締まりだけは絶対にやっていかなければいかぬということを思うんです。

 私は、地方議員になる前に五年間ほど八王子で読売新聞の記者をやっておりました。そのときに、ちょうど大きな事件がありまして、私は実は、いわゆる宮崎勤事件の取材にずっとかかわっておったんです。あれだって、たまたまそこにいた子供が宮崎勤に連れられて、本当に辱めを受けて命を奪われた。もちろん親御さんの取材はできませんでしたけれども、その子供の通っていた保育園や幼稚園の子供の親のコメントとかとりながら周辺の取材をするわけですけれども、本当に何の因果もなく、たまたまそこにいちゃったというだけで命を奪われるようなことが、本当にこんな理不尽なことがあるのだろうかという思いを常に、自分の経験からもこういう報道に接するたびに私自身は思うわけなんですけれども、それだけに薬物の、特に覚せい剤と並んで、やはり銃の規制は徹底してやらなきゃいけないという思いでございます。

 この中で、銃というのはどこからどうやって入ってくるのか。例えば、東南アジアのフィリピンあたりから実はつくったものが入ってくるんじゃないか。いろいろ資料はありますけれども、実際はこの供給国というのはどこだ、製造されて供給してくるエリアというのはどこなんだということをちょっとお尋ねしたいんです。

漆間政府参考人 けん銃も、いわゆる回転式のものと自動式のものとありますけれども、たくさんつくっているという点でいけば、それはアメリカが一番たくさんつくっていると思います。年間で百万丁はつくっているわけですから、それがいろいろなところに出ていくんだろうと思います。ただ、すぐそこから日本に入ってくるのかというと、それは必ずしもそうではないですね。

 いろいろ今までルートがありまして、アメリカからのルートもありますし、それからフィリピンからのルートもありますし、それからロシアからのルートもありますし、それから南アフリカからのルートもあります。だから、いろいろなルートがあります。ただし、それは今まで解明した分でありまして、そのほかのルートもあるのかもしれません。

 いずれにしても、ともかくけん銃というのは、先ほど申し上げたように、部品に分解してしまえばもうなかなかわかりませんから、いろいろなルートを使って入ってくることは間違いありません。

渡辺(周)委員 部品を、これはパーツ、パーツに分けて持ってきてしまうとわからない。麻生外務大臣も好きな「ゴルゴ13」という漫画がありますけれども、「ゴルゴ13」というのは、商品の見本ですといって、自分の持っている銃を解体して届けさせるわけですね。どこかのホテルの一室で組み立てて、そうすると狙撃用の銃になる。これは漫画の中に出てくるんですけれども、まさにこれもそのとおりだろうと思います。

 パーツ、パーツに分けられて日本に入ってくると、これは全体像をつかむのはなかなか難しいんでしょうが、実際、横浜港でしたか、どこか港にたしかエックス線が装備されていると聞いていますけれども、これは本当に予算のかかることですので、警察庁長官としてお答えするのはなかなか難しいかもしれませんけれども、こういう水際阻止の中で、こうしたエックス線なりの、そうすれば、このパーツというのはどうも銃のパーツだと、大体もうある程度の型は出てくるでしょうから、これは何だということにして、私は、やはりそうした保安の向上を含めてやるべきだと思うんですけれども、現状、この辺についてはどうお考えですか。このエックス線の導入あるいは今後どうするか。そのあたり、もしできれば、本部長か副本部長に伺いたいと思います。

漆間政府参考人 港でどうかというところは、警察というよりは税関とかそういうところで、進んだ税関は確かに、検知できやすいものを持っていると思いますが、すべてそういうものが装備されているわけではないし、それから、もちろん船ではなくて飛行機で持ってくるケースもあるわけですし、国際郵便で送るケースもあるわけですから、それは幾らでも金を出してもいいんだというなら、そういうところにそういうものをつけてチェックするということは可能かもしれませんが、警察がそれをやるということになると、むしろ……(渡辺(周)委員「やるということじゃなくて、例えば警察がやればかなり阻止できる」と呼ぶ)いや、警察も、実は、船で密入国してくるときに銃を持ってくる、それに立ち会った、見つけたというときに、おれは銃を持ってないよというのをそういう装置で見ることができれば、それはまた一つ、大きな武器にはなると思いますが、現実にそういうことができるかどうかは、ちょっと今のところ私としては、可能かなというのはちょっと疑問符がつくところであります。

高市国務大臣 現在、新たな取り組みとしまして、日本に入港前に報告された船舶、航空機の旅客ですとか乗組員情報が事前に入ってくるようになりました。

 これを活用して、要注意貨物ですとか、人物も含めてスクリーニング、絞り込みをいたしまして、そしてまた、今御指摘のあったエックス線検査装置等の装備を活用して、できるだけしっかりと見つけ出していくという取り組みが行われております。税関の方でも行われておりますし、現在、政府の取り組みとしては、海上保安庁、水産庁、もうあらゆる、十一府省の協力のもと、合同訓練、合同捜査なども行われております。

 今後、さらに一歩進めた対策をきっちり構築するということで、現在、私のもとに設置しておりますプロジェクトチームで、その人員や装備も含めて強化する必要の是非、ここもしっかりと洗い出して検討して結論を得てまいります。

渡辺(周)委員 ぜひ、銃器、そして覚せい剤、薬物、こうしたものが何の罪のない人の命を奪うことがないように、これは徹底してやっていただきたいな、もう本当にそれはお願いをする次第であります。

 さっき、ちょっと漆間長官に聞きそびれたんですけれども、SATですね。これは、たしか最初にクローズアップされたのは、函館空港でオウム真理教の信者を名乗った、あれは何かハイジャック事件、立てこもったのがありましたけれども、あのときだったんじゃないのかなと私の記憶では思っているんです。

 このSATの組織の訓練ですね。これは、外国の方が、こうしたテロ対策部隊、テロ急襲部隊がもともとあるわけでございまして、以前から、日本より早く、あれはどこだったでしょうか、GSG9、ドイツの国境警備隊がハイジャック犯に、ソマリアかどこかでたしかハイジャックされたとき、突入したというのがあったと思いますけれども、私はその姿を昔ニュースで見た覚えがあるんです。

 ぜひ、国際的な、世界でも精鋭が本当に訓練されている、あるいはもう既に歴史のある先進的なところもあるわけですから、こういうところのノウハウというものもやはり取り入れながら、あってはならないんですけれども、万が一こういう凶悪事件があった場合、ある程度凶悪事件も、これは立てこもりとかハイジャックとか、類型化できると思うんです、パターン化。この場合に、どういうふうにやってきたかということについて、多分やっているんだと思いますけれども、こうしたほかの国を参考にしながら、いかに特殊任務を全うするための精鋭をつくり上げるかということで、どんなふうに今取り組んでいらっしゃるのか、最後にそれをお伺いしたいと思います。

 そして、最後に、塩崎官房長官に、こうした議論を今しているわけですけれども、最終的には対策本部長としてどうしていくかということをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

漆間政府参考人 SATという名前で出たのは函館の事件の後でありまして、それまでは特殊部隊として、隠れた存在として、昭和五十二年のダッカ事件以降につくられたものであります。

 基本的に、そのときも含め、SATになってからも、欧米のそういう部隊を持っておるところとは合同の訓練も、あるいは競技大会にも出ております。日本が一位になったことがあります。そういうことで、訓練は十分に積んでおりますので、それなりの能力は持っておるというふうに自負しております。

塩崎国務大臣 私事にわたりますけれども、六〇年代に、私が高校生のときにアメリカに初めて行ったときに、その一年間で、ロバート・ケネディ、それからキング牧師が暗殺をされました。パトカーにはショットガンまである。二軒隣の友達のお父さんはピストル自殺をする。えらい国が違うなというふうに思いました。その後、また大学院で、八〇年代に行ったときは、レーガン大統領が撃たれて助かりましたが、ジョン・レノンが暗殺をされました。

 やはりそのときでも、八〇年代の頭でも、日本というのは安全な国だなとまだ思っていました。一部の、時々暴力団がやるぐらいのことでありましたが、昨今は長崎市長が選挙中に撃たれる、殺される、そういうことになってきているわけでありますので、私が今銃器対策推進本部で本部長を務めておりますけれども、先般十九年度の銃器対策推進計画をまとめて、これを着実に実施しますけれども、今、高市大臣のもとでプロジェクトチームをつくって、銃器議定書、これはいろいろ法務委員会で問題になっている国際組織犯罪防止条約を補足する議定書でありますが、この締結のための国内担保法の整備とか、あるいは銃刀法の罰則強化、法令等の見直し、そして今御指摘をいただいた水際対策、それから学校教育の場において講じ得る教育対策等々、いろいろやって、やはりもともと日本ではそういう銃器による事件などは余りなかったわけでありますから、それをもう一回どうやって回復するのかということに力を注ぎ、今のプロジェクトチームでは、高市大臣を中心に六月末にまとめをしてもらいたい、このように考えているところでございます。

 推進計画あるいはプロジェクトチームでまとめられる対策をしっかりと実施することによって、日本らしい安心、安全の国を取り戻すということに決意も新たにしているところでございます。

渡辺(周)委員 終わります。

河本委員長 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしです。

 まず初めに、銃の摘発について、やらせで摘発して、報奨金が出て、どうもそういうことになっているんじゃないかという疑惑が間違いなくあるということで、その問題について一問。それから、前回やりました続きでございますが、愛知の長久手における立てこもり発砲事件において、察庁と現場の警察、愛知県警の間にどういう連絡があったのかということについて伺いたいと思います。

 まず一つ、けん銃ですけれども、あれはふえておるのか減っておるのか、どっちですか。無論違法なものですけれども、五万個ぐらいあるとかないとか言われていますけれども、その根拠もわからないが、どういう認識ですか。

漆間政府参考人 それがわかれば苦労はないんです。だから、わからないから、けん銃も、なかなか国内に入ってきているけん銃を摘発することはできないわけですね。つまり、そのくらい隠されているんです。したがって、五万丁だとかなんとかというのは、全く根拠のない推測にすぎないと思います。

河村(た)委員 ふえておるとか減っておるとかという認識はないですか。大変正直な答弁をいただいたけれども、ふえておるか減っておるかという認識もないですか。

漆間政府参考人 つまり、けん銃というのは、ある程度時間がたちますと使用できなくなるんですね。そうすると、入ってきた銃も使えない銃になってしまうんです。

 したがって、海外からも入ってきます、しかし、その海外から入ってくる量がわからない。それから、国内にある量がどのぐらいかわからない。国内に入ってきたものも、使えなくなっている銃もある。そうすると、ではふえているのか減っているのかと言われても、それはなかなかお答えしにくいと思います。

河村(た)委員 それでは、暴力団なんかが持っておる古いものを下取りに出して、マニアとか暴走族とかへ行って、暴力団は新しいものを手に入れる、けん銃を持っておる人たちの年齢が下がっている、持っておる人が広がっている、そういう認識は持っておられぬですか。

漆間政府参考人 どういうふうに拡散していっているかということの認識はあります。ただ、数がふえているかどうかというのは、国内にある数がどのぐらいだというのがわからなければ、これは何とも言えない話でありますから、まさに私が先ほどお答えしたとおりであります。

河村(た)委員 では、今言った、そういうけん銃を持っておる人の層がふえていっている、年齢の下の方にずっと拡散している、そういう認識は持っているわけですね。

漆間政府参考人 けん銃だと、押収されるのは暴力団以外の一般人の方が多いわけですから、それはあるとは思いますが、ただ、だからふえているのかと言われたら、それはふえているとは言えないと思いますよ。

河村(た)委員 そういう認識が、きのうは違っておりましたよ。きのうは、それは知らぬと言っていましたよ、打ち合わせで。けん銃を所持しておる人たちが、今新しいものにかえるわけだ、そのかわり、古いものが広がっていっておるということを知っておるかと言ったら、そういうことは知りませんと打ち合わせのときは言っておられたけれども。まあいいです、そういうふうに聞きましたので。

 そうしたら、銃器対策ができてから、一個押収すると県警本部に大体三百万とか五百万とかお金がおりてくるという話をよく聞くんですよ。これはうそですか。

米田政府参考人 そういう制度も事実もございません。

河村(た)委員 ないですか、本当に。絶対ないですね、そのことは。

米田政府参考人 国から都道府県警察にお金がおりてくるというのは、国費による捜査に要する経費であろうと思います。それは、あくまで捜査に要する経費でありますので、一丁押収したから幾らだとか、そういうものではございません。それは、捜査に必要な捜査費、旅費、装備費等が国から支出されるというものでございます。

河村(た)委員 それでは、ある方から、今回一つあったので三百万とか入る、それで、そのお金が現場のお巡りさんに行けばいいんだけれども、偉い様のところばかりに行って、偉い様の飲み食いに使ってしまうという話を聞きましたけれども、これもうそですか。

米田政府参考人 先ほど言いましたように、それは国費の予算でございまして、使う費目が決められておりまして、また、そういう手続でやっております。したがいまして、そういう飲み食いだとかなんとかということはないというふうに考えております。

河村(た)委員 これはいつまでも言っておってもいかぬですけれども。

 それでは、平成十五年ぐらいから、けん銃の摘発件数が徐々に減っていっていますね。おたくの「NO!GUNS」というなかなか格好いいパンフレットでございますが、ここの十四ページを見ますと、十五年度六百四十四丁から次は五百二十七、十七年度四百四十、四百七と減っておりますけれども、十四年から十五年ぐらいのときに、いろいろな報道で、けん銃のやらせ疑惑、八百長摘発が指摘されましたが、その影響で減ったんじゃないんですか。

米田政府参考人 近年のけん銃の押収丁数でございますけれども、最近では、平成十三年に九百二十二丁ということでピークに達しまして、それ以後ずっと減っております。平成十八年は四百五十八丁でございます。

 ただ一方で、その間、銃器の発砲事件も、平成十三年の二百十五件をピークといたしまして、昨年は五十三件、特に暴力団の対立抗争に係るものはゼロということでございます。

 私ども、暴力団の対立抗争あるいは暴力団による銃器発砲事件の抑止につきましては、銃刀法の重罰化、使用者責任訴訟等々で一定の効果を上げてきていると考えておるところでございます。そういったところが要因であろうかというように考えております。

河村(た)委員 抗争がなくなったから摘発も減るんですか。それは関係あるかね。抗争がなくなったのは、その上の人たちから、そういうことを余りやるなというような指示があったんじゃないのか。

 抗争がなくなると摘発が減りますか。

米田政府参考人 抗争をやることの暴力団側のリスク、検挙されるとか組織へのダメージのリスクは高まっていると思います。

 もう一つ、ボディーガードが銃を所持すると組長まで捕まえる、そういう捜査手法も開発をしております。したがって、暴力団の側は、銃を直ちに使えるような状態に置かなくて、どうも隠匿を最優先した隠し方をしている。最近、極めて巧妙な隠し方をしております。

 それともう一つは、銃というのは非常に重罰がかかっておりますので、なおかつ、組長まで行かれてしまうということでありますので、組内で銃の話をするというようなことが今非常に少なくなっております。私どもも協力者をあちこちに配置しておりますけれども、協力者が銃のそういう話を聞きつけるという頻度がやはり明らかに減っております。

 そういうことが、全体の押収丁数の減少につながる一つの原因になっているのではないかと考えておるところでございます。

河村(た)委員 それではもう一つの見方として、十四、五年ごろに報道されたものは、要するに、持ってこい、そうしたら起訴猶予にしてやる、こういう話。ところが、その話がだんだんうまいこといかぬようになってきて、起訴されるなら何で持っていかないかぬのかということです。これは、私は当事者に話を直接聞いておりますので。

 そういう経過で、やらせがうまいこといかぬようになったものだから、それで摘発が減ってきたんじゃないの、これは。

米田政府参考人 確かに、委員御指摘のとおり、過去何件かそういう不適正な事案があったということは事実でございますけれども、それによって全体の押収丁数が減ったというふうには考えてございません。

河村(た)委員 いや、それはおかしいですよ。そうなれば持っていきませんわね。過去のいろいろな関係があるので、言われればどうしても持っていかないかぬという人もおるわけですよ。それで、起訴猶予にしてやると言われて持っていったところが起訴されれば、それは怒りますわな。だから、どうもおかしいと思いますよ。

 そういうふうで減ったと思わぬかね、高市さん、今の話を聞いておって、せっかくだで。

高市国務大臣 私自身が今個人的な見解を申し上げるべき内容ではないと思っております。

河村(た)委員 個人的な見解というか、自分で聞いておって、そういうことがあるかないか、調べてみるか、それなりに言わないかぬけれども。

 ちょっとそこの因果関係の問題、これは実際に事件があったんですよ。そこらをひとつ、その因果関係、絶対ないと言えばそれだけのことでありますけれども。自首減免の話をした人がおりますけれども、自首減免と起訴猶予、それから銃が実際減った因果関係について、ないならないでいいけれども、ちょっと報告書みたいなものを持ってきてくれますか。

米田政府参考人 どのような、報告書といいますか書類のものなのかわかりませんけれども、ちょっと後で御相談させていただきたいと思います。

河村(た)委員 これはしょっちゅう交通違反でも出ることですけれども、こういうものに数値目標、ノルマというのはないんですか、銃の摘発に。

米田政府参考人 警察庁といたしましては、各都道府県警察にそういう数値目標といいますかノルマのようなものを課しているということはございません。

河村(た)委員 私はいつも思うんですけれども、何でそう否定するんですかね。だれでもうそだと言っていますよ、そんなこと。交通違反でもそうだけれども。

 別に、ノルマをつくったって、ノルマだろうが、名前を数値目標に変えようが、何でうそを言うんですか。それは、数値目標をつくってもらって市民の安全を守ってもらった方がいいじゃないですか。本当のことを言ったらどうですか、もうそろそろ。

米田政府参考人 確かに、委員おっしゃるとおり、ノルマというのはいい面もあり、またうまく使わないと弊害もあろうかと思います。

 今申し上げました、警察庁から都道府県警察に対してそういうノルマといいますか数値目標を出していないということは事実でございます。

河村(た)委員 今の言い方だったら、察庁から出しておらぬという言い方に聞こえたので、では単独で、都道府県警察内において数値目標はやはりないと言い切るのか。

米田政府参考人 最初から私、警察庁から都道府県警察にそういう数値目標のようなものは出していないというようにお答えをしております。

 都道府県警察の中で、例えば各署ごととかそういうことになりますと、銃器というのはもともと数はそれほど多くありませんのでそういう目標というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、仕事をする上で何らかのそういう数値を設けているところもあるのではないかというふうに思います。

河村(た)委員 これでも結構進歩ですよ。ああいうものはないと言われておるんですよ、大体。そういうことです。

 それでは次は、長久手の話に移りたいと思います。

 まず、縄田さんに。更迭だというようなことを言われたというんですが、これはどうなんですか。

縄田政府参考人 前回の委員会で、私ども警察庁と愛知県警察の間でさまざまな情報の交換等々があったことは申し上げましたし、また、その内容につきましても申し上げられないということを申しました。

 それで、今、更迭云々ということでございますけれども、まさに愛知県本部長の指揮下で、あのような状態の中で今いかに早く負傷した警察官を救出しようかというさなかに、更迭であるとか、それから先般もございましたけれども、そういうたぐいのことが思いをよぎることもあり得ませんし、私はそういう立場でもございませんし、そのようなことを申し上げた記憶は全くございません。

河村(た)委員 今、まだ警察官救出の間の五時間内にはというふうに正確によく聞くと聞こえましたので、その後の本当に事件解決までの間にそういうことを言われたことはないですか。

縄田政府参考人 その後におきましても、いかに早く解決するかということに私どもも腐心をしていたところでございまして、そのような記憶はございません。

河村(た)委員 なかなか微妙なんです、記憶がないというふうに言っていますので。

 では次に、警備局長さんですけれども、警備局長さんが狙撃隊の引き揚げの指示をしたと言われておるんですが、これは事実ですか。

米村政府参考人 先回も御答弁をさせていただきましたけれども、狙撃隊も含め、SATに撤収の指示をしたことはございません。

河村(た)委員 そうすると、中日新聞の記事はうそなんですかね。「指揮本部L1は警察庁警備局からの電話にうなっていた。「SATの狙撃隊を引き揚げよ」との指示。」これはうそですね。うそだったら、中日新聞に抗議されたかどうか。

米村政府参考人 何度も申し上げますけれども、そのような指示はしておりません。

河村(た)委員 では、抗議されましたか。

米村政府参考人 抗議はしておりません。

河村(た)委員 なぜしないんですか、抗議。

米村政府参考人 私どもとしては、間違いなくそのような指示はしていないということでありまして、報道の一々について抗議をするつもりはございません。

河村(た)委員 ちょっとここも、委員長、やはり銃器のこういう事件が起きたときに、いいんですよ、非常に緊急性の高いというか非常に難しい局面ですからいろいろな間違いが起きたり、今回は不幸な事態が起きたものだからたまたまこう言われるんですけれども、察庁が一定の指示をしたり、してもらわな反対にいかぬじゃないですか、プロが出てきて。

 だから、こう言いましたけれどもうまくいかなかった、それはこういうところがまずかったんだと正確に知ることがやはり必要ですよ、国民にとって。こういうことが起きたときにどういう警察の連絡過程で事件が解決されていくのかということは、一遍きちっと求めてください、理事会協議になってそのままになっておるようだけれども、委員長。

河本委員長 理事会で協議いたします。

河村(た)委員 それでは次は、漆間長官に。大変懐かしいお顔でございますけれども、六月四日に全国警察本部長会議というのがあったと思いますけれども、ここで長官がどういうことを言われたかということについて。

漆間政府参考人 六月四日の本部長会議で全国の本部長に指示した正確な言葉は、やむを得ないさまざまな要因があったとはいえ、結果として、殉職に加え、重傷を負った警察官を長時間救出できなかったことにより、警察の対処能力に対して国民に疑問を抱かせるに至ったことを警察全体として重く受けとめる必要があり、本部長各位には、この種事案への対処いかんにより警察としてかなえの軽重が問われるということに思いをいたし、また、この種事案の対処に当たる特殊犯捜査係、SAT等の任務の性格と意義を改めて認識し、部隊の指揮運用、装備資機材の整備、指導、教養の実施等について、みずからの責任においてその現状を確認した上で、関係部門間相互に連携した訓練を実施するなどして、対処能力の向上と殉職、受傷事故防止対策の徹底を図られたいという趣旨の指示をしております。

河村(た)委員 趣旨のということで、読み上げられたかどうか知りませんけれども、その中で現場の愛知県警の対応を厳しく御批判をされたとか、そういうことはないんですか。

漆間政府参考人 全国警察本部長への指示というのは私の最初に行われる訓示でありますので、先ほどのは訓示の内容であります。

河村(た)委員 それは訓示の内容でしょうけれども、多分訓示だったと思いますよ。そのほかにいろいろなことを、最高責任者ですから、やはりこういう不幸なことが起きてしまったということで、テレビにまた映りましたので、愛知県警の対応について何らか言われたということはどうなんですか。

漆間政府参考人 本部長会議で具体的に出る部分は、大臣のあいさつもありますが、私の訓示、そこまでです。あとは外には出しておりません。

 ただ、私は、当然、本部長会議の中で私の考え方というのはこういうものであるということは述べたことはあります。

河村(た)委員 考え方というのは、それはどういうことですか、そこをお伺いしたい。

漆間政府参考人 私も愛知県には三度勤務しておりますから、私が本部長だったらどうだろうかということも頭に入れながら、本部長というのはどういうふうなことをこういう場合には心がけたらいいんだろうかという私の私見を述べたということはあります。

河村(た)委員 そこで割と現場の対応について厳しく、これではいかぬのではなかったかということですね。

 結果の批評、これは二つ説があります。よくありますように、ああいうことになってしまった、早く突入すべきだという意見の人もあるけれども、しかし、現場の人に聞きますと、これはやはり人質もいる、現にお巡りさんが倒れている、突入したら撃つぞと言われている、だから、そういうぎりぎりの状況の中で、非常に不幸なことが起こったことは事実だけれども、やむを得なかった部分も非常に多いのではないかと。

 それと、ほかの立てこもり事件の状況を見ておっても、時間を見せていただいたけれども、金嬉老さんの八十八時間とか、今回二十三時間ですけれども、それからプリンス乗っ取り事件ですか、十七時間、連合赤軍は二百十九時間、それから三菱銀行は四十二時間とか、短いのだと、永福一丁目ですか、五時間半、高速バスが十五時間半。それを見ますと、確かにああいう状況で、倒れておられますので非常に長く感じましたけれども、時間だけ見ると今回のはそれほど、非常にまずかったのではないのではないかとも思えるんですね。

 わかりませんが、かつて長官が本部長をやられておったところで育てられた部下の皆さんが大変多くおみえになると思いますので、御自分の感想の中で言われるのはいろいろなことがあったと思いますけれども、では、自分の御意見として、そのときにどういうふうに思われたか。やはり対応はまずかったのか、やむを得なかったのか。それはどう言われたんですか。

漆間政府参考人 私は、だから、私見を述べたというところまでしか言いません。基本的に、あそこの中でどんな議論が行われたかということは部外には公表しておりませんから。

河村(た)委員 私見というのは、別に言われてもいいんですよ。私はいつも言っていますけれども、私も選挙に二回落ちておりますし、人生というのは、言ったことが間違うこともありますので、はっきり言いまして。こう言ったけれども実は違っていたとか、それはそれで私はいいと思うんですよ。私はこう思ったんだけれども、やはりそうだったのかということで。

 どうしても言っていただけぬですか。

漆間政府参考人 これは、全国の警察本部長に対して私の考え方を述べたわけでありまして、この場で言う話ではございません。

河村(た)委員 これもちょっと考えておいてくださいね、理事会で結構ですから。

河本委員長 理事会で協議します。

河村(た)委員 ということなので。

 結局、やはり察庁としては御不満だったんですかね。何が不満だったんですかね、全体の対応で。いろいろ今言いまして、指示はないとか、記事が間違っているのに抗議をしていないという話がありまして、僕が聞いてくるのと違うんですよ、現場の方と。だから、何か不満があったんじゃないのか。何が不満だったんですか。

漆間政府参考人 不満とかそういう問題ではなくて、今回のを将来の教訓にするために検証するということで検証を今やっているわけでありまして、間もなくその結果が出るだろうと思います。

河村(た)委員 では、刑事局長に、現場ですから。

 いや、それは不満があったとしか思えないですよ、感じを見ておって、いろいろな状況を見ておって。だから、やはり何か不満だったんでしょう。

縄田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案、大変困難な状況下で、本部長あるいは刑事部長あるいは現場の捜査員、断腸の思いで知恵を出しながら捜査をしておった、でき得る限りの努力はされたものと私どもは思っております。そういった中でありましても、一人の警察官が殉職し、またかなり長期の時間も要したということであります。

 したがいまして、私どもといたしましては、先ほど長官からも話がございましたけれども、さらに他の方法はなかったのかとか、どういうことがあり得たんだろうかとか、こういったことは将来の全国警察のためにも十分検討結果を出してもらって、私どもも共有してやっていきたい、こういうふうに思っております。

 結果論で、こういった捜査につきまして、よかったとか悪かったとか、軽々に申し上げるようなものではないんだろうと私どもは思っております。

河村(た)委員 それは、今後のことはいいんだけれども、聞きたいのは、本当にそのときは正直言って不満ではなかったのか。非常に口出しが多かったと聞いておるんです。

縄田政府参考人 不満かどうかということでありますけれども、河村委員も私も、恐らく長官も本部長も全国民も、いろいろな思いがあったと思います。できるだけ早く救出したいという思いが非常にあったんだろうと思います。まさに私どもも形相が変わるほどの物言いでやりとりをしたこともございますし、そういった意味合いで言えば、それをもって不満だとおっしゃられれば、そういう意味では不満でございました。

 しかし、愛知県警察におきましては、先ほども申し上げましたけれども、私も現場に参りましたけれども、大変な場所でございます、本当にあれだけの時間で頑張っていただいたと私どもは思っております。さはさりながら、さらにいい方法はないかということにつきましては今検証しておる、こういうことでございます。

河村(た)委員 では最後ですけれども、防弾チョッキのことで、不幸にも事故が起きたんですけれども、改善等につきましてはもう行動を起こされたかどうか。

米村政府参考人 今回のSATの隊員の殉職につきまして、その一因が防弾チョッキ、SAT専用の防弾チョッキを着装していたにもかかわらず、一部間隙のような部分があってそこから被弾をして亡くなったということで、まさしく断腸の思いであります。直ちに改善に、対弾性能を向上させるべく着手をいたしました。さりとて、現有の防弾チョッキにつきましても、着装の方法その他につきまして、こうした形での被弾がないように細かく今指示をしているというところでございます。

河村(た)委員 終わります。

河本委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 きょうは銃砲等の所持についての集中審議なんですが、私の方で実はパチンコの問題をお聞きしたい、そう思っております。

 皆様方にお配りしました資料がございます。見ていただければと思いますが、今パチンコ業界は大変な状況でございまして、資料一、「東北最大チェーンのダイエーが民事再生法申請」とあります。これは業界で六番目とか聞いておりますが、かつて売上高が二千二百二十一億七千七百万円、そういう会社が倒産したわけなんです。四十二、三店舗あったということですが、従業員にしてざっと千二百人ぐらいの人が恐らくこれから路頭に迷うかもしれない。

 それだけじゃないんですね。私の方で用意しました資料二というのを見ていただければわかるんですが、去年一年間でいわゆる遊技場数、四百九十一店、約五百店舗が倒産しているわけです。かつて一万八千まであった遊技店が今一万四千五百店舗ぐらいになっている。恐らく一万店を切るんじゃないかと言われているぐらいです。

 ところが、私が示しました資料二の下段の方を見ていただきたい。ことしに入って、一月から三月までの間に三百九店が既に倒産いたしました。このままでいくと千店舗近い数のホールがことし倒産するであろう。そうなったら約四万から五万人の人がいわゆるリストラ、退職する。これは大変なことなんです。

 このように急激にここに来てパチンコホールの倒産が起こってきたのは何が原因であると大臣は思われるか、所管大臣にお伺いしたい。

溝手国務大臣 お答え申し上げます。

 パチンコ営業者が倒産する理由については、各営業者の経営方針や営業状況、資金調達の状況等、個別の事情により異なると思いますので、一律に答えられるものではなかろうと思っております。

 その上で、あえて申し上げるとすれば、警察庁による調査によりますと、全国のパチンコ営業所数は近年減少傾向にある一方、売り上げについてはほぼ横ばいで推移しており、パチンコ営業について、店舗の寡占化、大型化の傾向が見られる。また、パチンコの遊技人口については近年大きく減少しており、全体として他店との競争が激しくなってきたということが推察されるのではないかと思っております。こうした傾向に加え、最近では、金融機関における融資の審査の厳格化の事情もあるようであり、それにより資金調達が困難になる例もあると仄聞しております。こうしたいろいろな要因が相まって、倒産する営業者が出てきているのではないかと思っております。

山田委員 それは全く違うのではないですか。何でことしになってこれだけの件数が急激にふえたのか。これは、私の資料一を見ていただきたい。いいですか、後半です。パチスロ五号機の先行導入に伴い借入金が増加、さらに、ことし六月末までの五号機入れかえを控えて、取引金融機関、リース会社、ノンバンクなどの対応は消極的になった。

 いわゆる五号機の入れかえというのはどういうことかというと、警察庁が、警察庁がとは言いません、国家公安委員会と言っていいんでしょう、パチンコ営業店の、いわゆる風営法を受けた施行規則、十九年六月までの間に四号機をすべて総入れかえすると。前代未聞のこと。

 この総入れかえというのは、数でいきますと、いいですか、国家公安委員長、大臣は、全くわからない答弁を繰り返しましたが、よく聞いてください、回胴式遊技機は、百八十八万七千二百三十九台、これを総入れかえなんです。金額にして七千五百四十八億。今パチンコ店が一万四千五百ありますけれども、一店舗当たり五千二百万円の投資をこの六月までにやらなきゃいけなくなった、ただでさえ苦しいところに。

 何でこのようなこと、総入れかえをさせなければいけなくなったのか、行政裁量の中で国家公安委員会は、あるいは警察庁と言っていいかもしれない。それを明確にお答えいただきたい。

溝手国務大臣 平成十六年の風営法施行規則等の改正に伴う経過措置期間の満了する期日は遊技機ごとに異なり、おおむね本年九月末までに順次到来することになると承知いたしております。

 具体的には、五月十五日現在、全国に百十四万台の旧規則機が設置されており、六月末までに約三十三万台、七月末までに四十七万台、八月末までに十三万台、九月末までに二十一万台を撤去することが必要になると聞いております。

 全国の遊技機設置台数が約四百九十四万台である中、年間の新台販売台数が過去三年の平均で五百六十九万台に達していることからすれば、平均すると、各営業所に設置されている遊技機は年一回かえられていることになり、毎月約四十七万台近くの遊技機が入れかえられることになっている、こういうように承知しております。

 そもそも、平成十六年に規則が改正されてから、三年以上の十分な経過措置期間が設けられてきたことであるが、業界における遊技機の通常の入れかえ状況を踏まえれば、現時点で営業所に設置されている遊技機の入れかえについても、営業者に過度の負担を課すとは必ずしも言えないと認識をいたしております。

山田委員 何のために施行規則を変えたのか、端的に答えていただきたい。

溝手国務大臣 パチンコ営業については、著しく客の射幸心をそそるおそれのある遊技機が出回っていることや、遊技機の射幸性を高めようとする不正改造事犯が後を絶たないことなど、その健全化を阻害する要因が根強く存在していると認識をいたしております。また、パチンコ遊技に熱中する余り、多額の借金を抱え、犯罪を犯してしまう例や、子供を車内に放置したまま親が遊技をして子供を死なせてしまう事案が後を絶たないなど、客がパチンコ遊技に過度にのめり込んでしまうことに対する弊害が依然として発生している。

 国家公安委員会としては、こういう状況に的確に対処するため、平成十六年一月、風営法施行規則等を改正し、同年七月からこれを実施しているところでございます。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

山田委員 大臣、私の質問に端的に答えていただきたい、時間がないので。原稿を読み上げないで、大臣の思うところを答えていただきたい、レクは受けているはずだから。

 それで、私が聞きたいのは、今言った、射幸心をそそるおそれがあるから、ここで、風営法を受けた施行規則を公安委員会で変えたというのは、今まで認めておったいわゆる二百万台の機械には射幸心をそそるおそれがあったから変えた、いわゆる違法機であったということを公安委員会は放置しておったということにならないんですか。わからなかったら、もうそれは答えられなくても結構。

溝手国務大臣 我々はそういう受けとめ方をしておりません。平成十四年、十五年ごろの短期間に極めて大量のメダルを獲得できる回胴式遊技機が出回るなど、その健全性を阻害する要因がいろいろあらわれてきた、このように認識しております。

山田委員 大臣、施行規則を読まれたと思うけれども、施行規則の中には、出玉を例えば一分間に何発とか、そういう細かい規則がある。そういう細かい規則の中で、今までパチスロ機にしても認められてきておった。いわゆる公安委員会がそれを認可してきた、認めてきておった。それが、違法、著しく射幸心をそそるおそれがあったから、ここに来てすべてを取りかえる。

 ところが、これまではそうではなかった。私が調べてみると、今までの施行規則が大幅な改正になったのは平成二年、それから十四年から十六年、そのままかなり細かい規則の中でやってきておったものが、ここに来て、今になって、射幸心をそそるから入れかえる。

 いいですか、大臣、聞いていますか。それまでは、三年に一回、保通協において、車の車検と同じように、いわゆる再認定という形でパチンコの入れかえをやってきておった。違法機であったというんだったら、もっと事前にそれについて、当然のことながら、いわば改めなければいけなかった。それを改めなかった責任、これは国家公安委員会にあると思わないですか、大臣。

溝手国務大臣 御指摘の中身については、国家公安委員会としましては、そういった形で型式試験、検定の手続をやってまいったわけでございます。それをまとめた形で、平成十六年に射幸性の抑制を内容とする規則の改正を行ったわけで、それは、法律とか規則というのは絶えず目こぼしがあるということを理由に法律の不当性を訴えられたとしても、これは我々としてそうだと言うわけにはいかないと思います。あらゆる法律というのは、やはり善意に遵守していこうということが前提であります。そういったさまざまな世論を含めて、世の中の情勢を判断したあげくの十六年の改正であったと私は考えております。

山田委員 パチンコの問題というのは、十六年に限らず、もう十年、それ以上も前から、いわゆる熱中してサラ金に走ったり、破産したり、それはいろいろな問題があって、私も弁護士をやっているから、それによって倒産、破産した者の弁護をしたこともある。そういった中で、急にここに来て、今までは保通協の再認定だけで終わったものがこうなるのはおかしい。

 国家公安委員会の施行規則というのは、警察庁だと思うんですが、警察庁の事務局で準備して、射幸性があるかないか、それに基づいて公安委員会が規則を定めるというふうに、私が調べましたら警察庁でも答えられた。警察庁は、まさにさっき大臣が言った、取り締まりに目こぼしがあったとしたらとか、まさに射幸心をそそるおそれがあるとか、あった機械とかという、いわゆる許認可を警察庁、公安委員会が与えながら、実際の違反かどうかの取り締まりも警察庁がやっている。これはおかしいんじゃないのか。

 法制局長官、きょう来ていただいておりますが、法制局は、いわゆる憲法解釈から法解釈はすべてやるわけですが、許認可を与えるところと取り締まるところが一緒というのは、これは、法律的に違法だとか不当だとか適切じゃなくて、おかしい、不適切だ、そう思われませんか。

宮崎政府特別補佐人 風営法におきましては、遊技機の基準等につきまして何にゆだねておるかといえば、国家公安委員会規則だと思います。国家公安委員会は、各都道府県の警察を直接ではなくて間接的に管理をしているということは言えましても、直接の取り締まりに当たっているのは警察でありまして、国家公安委員会ではないというふうに思いますので、直接、御指摘は当たらないのではないかというふうに思います。

山田委員 法制局長官としては歯切れの悪い答弁ですが、直接には当たらない、間接には当たる、そうとっていいのではないか。

 いずれにしても、不適切であるということは、だれしもが法律家であったら考えることで、いや、法律家でなくたって考えることなので、ここは本来ならば、パチンコ行政については経済産業省が所管をやるべきだ、三十兆円産業ですから。そう私は考えておりますが、これは、きょう私の質問時間も限られていますので。

 問題は、いわゆる保通協、保安電子通信技術協会、ここの理事長をきょう参考人で呼んであったんですが、来なかった。いつか河村先生にひとつ徹底して調べていただきたいと思っている。きょうは来ていただけなかった。

 それで、この私の資料三、これを見ていただきたいが、これは、フリー百科事典という、パソコンの中で調べたものです。この中に、線を引いたところ、「役員に警察出身者が多く見られること(いわゆる天下り)、競合する機関がなく」、競合する機関がない。保通協は何をやっているか。この資料を見ていただければわかりますとおり、パチンコの機械が国家公安委員会の施行規則に沿って適正であるか何かの認証、検定をしている。結構高い検定料をとっていると言われておりますが、「競合する機関がなく非常に高コスト体質であること、検査の時間が異常にかかる」、「型式試験の手数料は都道府県警察関係手数料条例で定められており、一機種につきパチンコでは約百五十二万円、パチスロでは約百八十一万円(いずれも内税)である。」と。

 いわゆるメーカー、パチスロだけで五十社ぐらいあるようですが、その五十社ぐらいの中で何種類も型式の認定を出されるわけですが、今回、二百万台の入れかえで、実際に保通協そのものがこの検査でパンク状態になっていて、受け付けをくじ引きでしている。機械が間に合わない。業者によっては、機械を買いたいけれども、保通協の検査が通らないから、保通協が、少人数というか、五、六十人らしいんですが、しかもくじ引きで検査を受けている、そこでこういう問題が起こってきて業界は非常に混乱し、倒産に拍車をかけている。単にこれを保通協一社だけにしているというのは、これはけしからぬのじゃないか。

 特に、この資料三を見ていただければいいんですが、この中にこういうことまで書いている。「特に型式試験試験員と製造メーカーとの癒着問題疑惑まで発展している。」。私の調べたところでは、独禁法違反、いわゆる優越的地位の濫用からいろいろな問題が生じていると思われます。

 きょうはもっと詳しいことも質問事項にありましたが、時間がないので、ひとつ、高市大臣、この保通協の問題そのものについて、このような形ではおかしいんじゃないのか、大臣としての見解をお聞きできればと思います。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

溝手国務大臣 まず、私から答えたいと思います。

 今御指摘の、保通協以外に認めないのか、認めるのかという問題が一点あったと思います。これは、もちろん、そういう条件を満たせば、そうした団体を指定することは当然あり得るわけでございます。試験事務の公正中立性を確保するため、公益法人であることを要件にしておるわけで、そういう機会があれば、それは認めていくことにはなると思います。

 それからもう一点の、今、天下りとかなんとかということがありました。これはまた別の種類の問題でございます。今回の十六年の規則改正とは別次元の話であろうと思います。それはそれなりにしっかり調査をして、正すべきところは正していかないといけないだろう、このように考えております。

山田委員 法制局長官にお聞きしたい。

 こういう従来の施行規則そのものに射幸心をそそるものがあったから、施行規則を変えた。そうすると、従来の施行規則は、いわゆる違法とまで言わなくても適正ではなかった。これによって、多くの者が倒産その他の大変な損害を受けた。

 ということになると、国家賠償法の第一条、国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体がこれを賠償する責任がある、そういう規定があるわけですが、その中で、大臣、国がそういうことをしなかったことのいわゆる不作為によってそういう違法行為がなされた、早く施行規則を変えなきゃならないときに変えなかったからそうなったという場合には、当然、このような規定の適用があると思うのだけれども、解釈としてどう思われますか。

宮崎政府特別補佐人 まず、一般論として、不作為の違法というものが国家賠償法一条一項の対象になるかという問題につきましては、そこは昨年、判例も出ておりまして、国家賠償法一条一項の規定は、行政機関の不作為の違法による損害を国による損害賠償の適用対象から排除しているものではないということは間違いございません。

 他方、御指摘の規則の改正をしなかったことについてどうかという問題につきましては、具体的な状況、内容等について法制局が審査する立場でございませんので、基本的にはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、風営法が全部法律で書き切れるわけではなくて、施行規則等にゆだねておりますのは、やはり専門的、技術的な細目につきましては、機動性を重んじる立場から、国家公安委員会の判断にゆだねるということを国会が御判断になって、そういう委任をしているものだと思いますので、その機動性の観点から、必要な改正というものは当然予想されているものではないか、かように考えております。

山田委員 いずれにしても、きょう大臣の方で、これまで落ちこぼしもあったとか、これまでの機械が射幸心をそそる問題があったとかということであったら、当然、これから国賠法の問題に移ってくるんじゃないかと思われます。

 時間がなくなってまいりましたが、もっと大事な、いわゆるパチンコ、風営店の三店方式の問題、これをちょっとお聞きしたいと思っています。

 配られた資料の中身を皆さん見ていただければわかると思うんですが、三店方式の資料を配っております。いわゆる景品買いがどうやって行われているかということなんですが、少なくとも、風営法二十三条に言う、営業している者がパチンコの景品を買い取りする行為には当たらない、そう思うのですが、どうでしょう、担当大臣。その三店方式の問題です。

 では、担当大臣じゃなくて、法制局長官、どう思われますか。

宮崎政府特別補佐人 風俗営業法二十三条一項の規定は、いわゆるパチンコ営業者が客に提供した賞品を買い取ることを禁止しているわけですけれども、規範としてはそういうことでございますが、御指摘の三店方式がこの条文に照らしてどう当てはめられ、解されるべきかにつきましては、当局としては、その三店方式なるものの実態を必ずしも承知しているわけではございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

山田委員 きのう法制局から見えた方に、三店方式というのをるる説明いたしました。資料も渡しました。その上で、十分、一日の余裕もあるわけだから、憲法解釈から法の解釈をやるのは法制局の立場ですから、法制局として、風営法二十三条に言う景品の買い取りに今の三店方式は当たるのか当たらないのか、まず事実を聞いているのです。

 だれが見たって、私は、パチンコをやって、景品をもらって、その場で、ホールで景品を買い取ってもらったことはないです。そうなれば、この二十三条の景品買い取りには当たらないのでしょうと聞いている。事実について聞いているだけなんですよ。

 長官、いかがですか。

宮崎政府特別補佐人 重ねてのお尋ねでございますが、昨日のレクのときも、具体的な事実関係によりますというふうに、お答えはなかなか難しいということを申し上げたというふうに聞いております。

 二十三条の一項の一号は、現金または有価証券を賞品として提供することは営業者としては禁じられている、二号で、他方、客に提供した賞品を買い取ることを禁止されているということでありますので、規範としてはそういうことで明確だと思いますけれども、具体的に、複雑な仕掛けをつくった事実関係がこれに当たるかということにつきましては、法制局は各個の法律の解釈、運用につきまして責任を持つという任にはございませんので、そこのところは、その事実の直接の把握とそれに対する運用の責任を持っております省庁のところで御判断をいただきたいと思いますし、また、そちらの方にお問い合わせをいただきたいと存ずる次第でございます。

山田委員 きょうはちょっと質問時間がないので、端的に、最後に私からお話をするにとどめたいと思いますが、資料六を見ていただきたいと思います。

 現在、いわゆる景品取引が、ああいう三店方式という、景品を買ってそれを現金にかえていくというような複雑な仕組みであるがために、強盗の犯罪件数はパチンコ店と金融機関の件数は一緒。これはひとつ行政として、国家公安委員長、担当大臣もしっかり考えていただきたい。金融機関とパチンコ店の強盗件数は一緒なんです。ここは、今の三店方式をそのまま認めるなら認める、あるいは、これはおかしいというのなら法律の改正をする、新しい法律をつくる、これがもう十年、二十年、三十年と必要とされてきながら、放置されてきている。

 私もいろいろ調べてみました、違法であるか、違法でないか。法制局長官も聞いていただきたい。刑法第三十五条は、法令または正当な業務による行為は罰されない、仮に形式的にいろいろなものがあっても罰されない、そうなっております。いわゆる正当な業務行為は罰されない。正当な業務行為とは何かというと、社会的に確立した業務行為を刑法上、正当業務行為とみなすということ。法制局長官はもうよく御存じなんですが、社会的に確立した今の業法、いわゆる三店方式なり、あるいはパチンコの景品をホール内でやれると一番犯罪は防げる、そういったものが認められるとしたら、正当な業務行為として違法性が阻却される、違法状態ではない。

 パチンコ業界は、今非常に苦しくて、上場もできない。そんな中で、ひとつどうかこういった問題を、さらに大臣、それぞれお聞きになって、警察庁長官もきょうはよくお聞きになっているかと思いますが、長官としても、ぜひこういったものの改正、今後の行政について、最後にどう考えられるか、一言お聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

漆間政府参考人 今までの質疑の様子は聞いておりましたが、これで風営法を変えるかどうかというのは、またこれはいろいろ検討しなきゃならない事項がたくさんあると思いますので、今の質疑の様子を、私も私なりに踏まえまして、今後どうするか検討していきたいと考えております。

山田委員 終わります。

河本委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太です。きょうは銃器対策の集中審議ということで、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、やはり我々、多くの国民が注目をしています愛知県の長久手のけん銃発砲死傷事件、このことについてぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、今もけがをされている木本巡査部長、そして大変残念な若い命を落とされた林警部、巡査部長にはお見舞いを、そして林警部には哀悼の意を申し上げたいというふうに思います。残された御家族の方も本当に、小さな子供さんもあるということで、大変残念な結果となってしまいました。ただ、結果論でああだこうだ言うということではなく、きょうはあえてこのことに触れさせていただきながら、前向きな御提案もちょっとさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、この事件をいろいろと周辺情報で調べさせていただいておりますけれども、やはり私たちとしては、被害者が出てしまったということは大変残念だというふうに思っております。そして、多くの国民が一般論としてやはり考えておられることというのは、なぜけがをされた警察官の方が長時間その場にいなければならない状況になってしまったのか、そしてなぜ被害者が出てしまったのか、この二点かというふうに思います。

 そのことについて、きょうはぜひ警察庁の方からも可能な限りの情報の公開と、そして見解をいただきたいというふうに思います。

 まず、私がこの事件を調べるに当たって思いましたのは、この事件に当たっては愛知県警のいわゆる特殊部隊でありますSAT、そして刑事部の捜査一課にある特殊事件捜査係SIT、そしてまた、機動隊の銃器対策部の部隊が出ていたというふうに認識をしておりますが、長官、その認識でよろしいでしょうか。

漆間政府参考人 出ていった部隊については、そのとおりであります。

泉委員 それで、これまで我々が学んできたそれぞれの部隊の特性というもので考えますと、SATというのは、基本的にはテロ事件、ハイジャック、そして多数の武装集団に対して対処する部隊であるというふうに学んでまいりました。一方で、SITというのは、立てこもり、誘拐人質事件、そういったものに対する刑事事件への対処としてこのSITというものが存在をしているというふうに学んでまいりました。機動隊の銃器対策の部隊については、例えば原子力発電所や重要施設の警備、そして、もし緊急事態が起こった場合には後方支援、SATやSITの後方支援に回るというような認識を持ってきたわけです。

 今回、単独犯ということは事実上明確であった。そして、持っている武器も、いろいろと犯人がほかの武器も持っているということを言っていたとはいえ、大体外形的に判断するに、銃を所持しているということで、人質を一人持っていたという状況かと思うわけです。

 当初は、その性質からいけばSITが対応するものであるのかなというふうに思うわけなんですが、なぜそこに特殊部隊であるSATがいたのか、このことについてお答えをいただきたいというふうに思います。どうしてSATがこの場所におられたんでしょうか。

漆間政府参考人 通例の人質立てこもり事件であれば、今、委員おっしゃるとおりの捜査一課にある特殊班が出動するということになるわけですが、今回の場合は、まず室内に人質がいる、屋外に撃たれた警察官が実質的な人質として、これは動かしたら殺すぞと言っているわけですから、だから実質的には屋内外に一人ずつ人質がいるという大変難しい状態であって、しかもけん銃をもう既に三人に対して撃っているわけであります。

 そういうことで、当時、愛知県警の本部長としては、やはり単なる特殊班だけでやるのではなくて、特に倒れている警察官、これの救出を優先しようという考えもありまして、そこでSATという、いわゆる相手を殺しても、能力も持っているそういう部隊を支援に回すという形でSATを使うという判断をしたんだというふうに思っています。

泉委員 今まさに、長官がおっしゃられた点なんですね。犯人を制圧するという点からもSATを投入したということかと思うんですが、では、SITというのは犯人を制圧する、場合によっては射殺をする、そういう機能を持っていないんだろうかということも、私はこれはもう一回検証しなければならないのではないかというふうに思うんですね。

 このSITも、実際には狙撃班、狙撃をする方もおられますし、サブマシンガンや特殊閃光弾、ライフル、そういったものを持ちながら、一方で、SITの特徴としてはネゴシエーターもいて、交渉も行いながら円満解決を目指していく。一方ではそういう要素、これは私は素晴らしいことだと思います。

 すべての方々が無傷で事件が解決すること、これはすばらしいと思いますが、ただ、先ほど長官がおっしゃられたような要素というのは、もしSITが持っていないとしたらそれはそれで私は大きな問題じゃないのかなというふうに思っておりまして、装備を見れば、十分、犯人に対して時には制圧をするという機能もSIT自身が持っているはずだというふうに私は思いたいんですね。だけれども、今、ともすればSATがあるから、SITは交渉も含めてできる限り円満解決を目指す部隊である、そして強行する場合はSATなんだと、何かそこに役割の変化がもしかしたら出てきているんじゃないのかなという気がしてならないんですね。

 ですから、もう一度お伺いしますが、SIT自身にもそういう能力があり、時にはそういった強硬な制圧もSITというのはとり得るんだということで、もう一度見解をお伺いしたいと思いますが、いかがですか。

縄田政府参考人 当日私も愛知県警とやりとりをいたしておりましたので、私の方から若干申し上げたいと思います。

 SITの部隊は、委員御指摘のように、ネゴを中心にやりながらということだけでは当然ございませんで、銃器も使用し、あるいは制圧をするということも念頭に、突入等々の訓練を日々行っております。

 SATとの関係等々でございますけれども、これは、現場の状況等々があります。制圧するのにどういう方法がいいのか、いろいろな検討がなされました。そういった中で、それぞれ部隊の特性がありますので、それを有効に生かすためにはどうであるか、そういう視点で検討した中で、SITの配置あるいはSATの配置等々が決まってきたと私どもは承知をいたしております。

泉委員 確かに、日々こういうことの研究と訓練を続けられている警察ですから、基本的には私はその判断というものは理由があっての判断だというふうに思っております。

 ただ、多くの国民がやはり不思議に思っている、疑問を感じているというこの事実も受けとめて、国民の声あるいは警察の一部の方がもしかしたらどこかの本音で思っている、その声をきょうはあえて局長や長官に聞いていただく場だというふうにどうか御理解をいただきたいと思いますけれども、その意味で、それは愛知県警本部長の御判断というのはあるでしょう。しかし、ではSITで果たして人数が足りなかったからSATを呼んだのか、SITではできないことがあったからSATを呼んだのか、私はそこは、率直に言って疑問を感じざるを得ません。

 それ以上はなかなか言いづらいところもあるかもしれませんが、本来、この機動隊の銃器対策部隊も、そしてSITもSATも単体で動いても事件に対する対処能力がある、これはもう当たり前のことのはずです。それがなければ逆におかしい話です。もっとそれぞれの組織を拡充しなきゃならないはずです。にもかかわらず、今回、三つの部隊がすべて現地に向かっていた。

 これはあえて言いますが、例えば、こういった多くの国民が注視している事件の中で、本当はほかにも部隊があるのにそれが出動していないのは全力を尽くしていないということじゃないかと言われてしまう、そういったことに対する不安というかためらいであったのかもしれませんし、そして、もっとはっきり言えば、確かにSATというのは非常に出動回数が少ない、これは日本の治安のよさのおかげでもありますが、場数を踏む機会が少ない、率直に言えばそういうこともあると思いますよ。そういう中で、こういった事件に対して、それの支援ということであっても、できる限り現場、現地を、その場数を踏ませたい、こういうモチベーションも働いたのかもしれない。あえて言わせていただきます。

 しかしながら、そういう中で、全くの後方支援の役割しかなかった、実際には突入をすることはほぼないだろうと思われていたSATの隊員が殉職をされた。これはやはり悲しいことじゃないでしょうか。その殉職はたまたまのことというか、偶然に偶然が重なったことだというふうに私は思っております。しかし、多くの報道機関が映像を撮影し、配置や装備を表にさらけ出すような状況の中で、本当に特殊部隊の方々が、あのときにあの事件に関与すべきだったのかどうか、ここは私は、真摯に検証をしていただく必要があるというふうに思います。

 今私が述べた点について、長官、言いにくいこともあるかもしれませんが、改めて御答弁をお願いします。

漆間政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回は、普通の立てこもり事件とは違う要素と、やはり銃で撃たれた警察官を救わなきゃならない、そのときに、つまり捜査一課の特殊班だけでそれができるのか、それから、それぞれやはりいろいろ違った能力を持っていますから、だとすれば、合理的にその能力を持っている者の支援も受けるというふうなことを考えるのも、それは別におかしなことではないだろうと思います。

 別に、今おっしゃられたように、SATが余り出動する機会がないから、そういうことでいろいろそういう場をつくるんだというようなことではなく、SATはそれは出動しない方がいいには違いありませんが、出動しなくても、ともかく訓練は猛烈な訓練を積んでいるわけでありますから、別にこういう現場に必ず出して訓練を積ませるなんということをしなくても実際の訓練をやっているわけです。

 ただ、先ほど申し上げたように、それぞれの能力が発揮できるとすればこういうことがあるだろうということで、SATの支援をかりる部分があると判断したからSATを使ったんだと思います。

泉委員 そこで、もう少し具体的に話をさせていただきたいんですが、二〇〇二年の福岡での立てこもり事件があって、翌年から、これまでそういった人質誘拐関係についてはSITがやってきたんだけれども、各警察本部にSATも積極投入をしていくようにとの指示があったというふうな新聞報道がございますが、これは事実でありますでしょうか。

縄田政府参考人 私どもといたしましては、さまざまな事件を踏まえながら、改善する、あるいはさらによい方向でどういう捜査ができるかということで検討を重ねていっております。

 ちょうど、御案内のような事案も契機にしながら、人質立てこもりチームといいますか、こういったものをつくっていこうということで全国に指示したことは事実でございます。

泉委員 そういった指示もあるわけですね。

 ですから、実は、警察白書等には、例えばそれぞれの隊の役割が書かれているわけですけれども、徐々にこれがもう変質しているというふうに私は認識していいんだと思うんですね。SATも人質立てこもり、そういったものに対応していくし、SITも実は、SATのない地域においてはハイジャック対応の訓練なんかをされているというふうに、読むものを読めば書いてあるということからすると、そこの垣根が今どんどんなくなってきている状況にあるのではないのかなというふうに思うわけです。

 一方では、例えばハイジャック訓練、これは今までSATとSIT合同でなされたことというのはどれぐらいございますでしょうか。

米村政府参考人 お答えいたします。

 SITとSATが合同で現実にオペレーションをするということで、人質立てこもり事件等に関しては訓練をやっているということがございます。

 委員御案内のとおり、そもそもSATは、昭和五十二年のダッカ事件を踏まえて発足をしたものでありまして、ハイジャックというのが最も典型的な例でございます。しかも、そのハイジャックに対する自己完結的な対処能力を持った部隊ということでありまして、この点に関してSITと合同で訓練をしたということは私は記憶しておりません、ないと思います。

泉委員 ただ、さっきも言いましたように、SITはハイジャック対処の訓練をしていますね。

縄田政府参考人 緊急にいろいろ発生した場合には、SATあるいはSIT、こういった特殊な部隊でしっかりと訓練をした者が当たるのがベストであるのは当然でありまして、そういう運用はなされております。

 しかしながら、各都道府県警察の管内で、これはいつ起こるかわかりませんし、直ちに対応しなきゃいかぬという場合もあります。極端に言えば、署長指揮で物事に対応していかなきゃいかぬ、あるいは、先ほど言いました県のSITあるいは特殊班といいますか機動捜査隊等で連携してやらなきゃいかぬ場合もある。そういったことで、各都道府県ではさまざまなことを想定しながら事案に応じた訓練を行っておる、このように承知しています。

泉委員 わからなくて聞いているんですが、例えば愛知県ではSITとSATの合同訓練というのはなされたことはあるんでしょうか。

縄田政府参考人 合同で訓練を何度か実施しておる、このように承知をいたしております。

泉委員 もう時間が余りありませんので、ただ、改めてお話をしたいのは、それぞれ装備についてはほぼ変わりがないという状況まで来ていると思います。先ほどお話がありましたように、ハイジャックでいけば、単独で対処できるようにSATというチームが組まれているわけですね。SITというものも、基本的には単独で人質立てこもり事件に対応できるようにあるべきだというふうに私は思っていまして、SATの協力がなければSITが最善を尽くせないんだということであれば、それはやはり解せないというところがございます。

 ですから、SATの協力があれば確かにプラスアルファでより強化されるのかもしれませんが、しかし、SITだけでも十分な人質立てこもり事件への対処ができるということを、ぜひ今後も強化をお願いしたいと思います。

 そして、一般にはやはり、SITというのはネゴシエーターがあるという現状もありまして、どうも発砲ということにちゅうちょしているというイメージがあるのではないかというふうに思っております。もちろん発砲についてはちゅうちょするのが当たり前ではあるわけなんですが、しかし、もう既に犯人は一度銃を撃って二人にけがをさせていたわけですね。それからこの事件が長時間継続して解決に向かっていったということを考えると、私は、これはもういつ狙撃をしても、それは射殺になるのか、射殺ではなくどちらかの部位を撃って相手を人質から離したり、あるいは銃を手放させたり、そういうねらいを定めたものになるのかわかりませんけれども、そういった狙撃のチャンスというものをずっとうかがっていて、そのチャンスがあれば即座にそういったことをするという状況であってよかったのではないのかというふうに思います。その辺は、恐らく専門家の皆さんの中で検討がなされていると思いますが、結果としては大変残念な結果でありました。

 警察の方からいただいている資料でも、SATについては被疑者を検挙するということが書いてありますが、SITについては特殊事件の捜査に当たることを任務としているという、もしこの書きぶりの中に、そういった検挙と捜査の中に違いがあるのであれば、それはおかしな話ですから、やはり同じ対応をというか、SITにもそういった対応ができるようにというふうに思っております。

 あと、一番最初に現場に到着をされた巡査部長についてなんですが、銃の取り扱い規範の中には、「犯罪、事故等の発生等に際し、警察官をその現場に向かわせる職務を担当する者は、複数の警察官をけん銃の使用が予想される現場に向かわせる場合には、できる限り、」「役割分担が行われるよう、必要な指示をするものとする。」というふうに書いてありまして、その意味では、第一報がけん銃を持って暴れているという一報であったならば、後でおもちゃだったからという第二報があったにせよ、それはやはり、当然防弾チョッキというものをつけていくことの改めて教育の徹底、これもぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 その意味では、私は、厳格に言えば、この規範をやはりちょっと見過ごしてしまった現場の対応があったのではないのかなというふうに言わざるを得ないということを思っております。

 そして、次になりますが、報道規制についてです。

 報道規制についてなんですが、それぞれ協定を結ばれているというふうに思うわけですけれども、今回の事件についても、やはり随分と報道機関がヘリなどを飛ばしました。今回の愛知県の事件については、これはどのような協定の中身だったんでしょうか。

縄田政府参考人 報道の協定ということでお尋ねでございますけれども、警察といたしましては、報道機関との関係につきましては、これは報道の自由を十分配慮するということは当然であります。しかしながら、人命にかかわる事柄については、ケース・バイ・ケースで取材あるいは報道の自粛等を報道機関にお願いすることがございます。今回の場合も、そのようなお願い、依頼等もいたしました。

 今の、委員おっしゃいました報道協定と申しますのは、若干今回のようなケースと違うもの、対象を範疇にいたしております。これは、報道機関が取材とか報道することによって被害者の生命に危険が及ぶ、報道されることによって直ちに危険が及ぶような、誘拐事件とかあるいは恐喝事件とか監禁事件等々でございまして、そういった場合には、警察の方から報道機関に対して報道の自粛等をお願いするといいますか依頼をする。それで、報道機関の方で、ではそれは理由があるなということで報道を自粛する等々の対応をされるものでございまして、今回の事案と直ちに直結するものではないものだと考えております。

 しかしながら、先ほど、冒頭にも申し上げましたけれども、事案によって、推移によっては報道によって人命にかかわる事態が当然生じるわけでございますが、そういった際には報道機関への自粛ということも申し入れていく、こういうことであろうと思っています。

泉委員 もう時間が過ぎましたが、きょう、官房長官にもお越しをいただいております。官房長官には、高市副本部長もおられますが、銃器対策推進本部の中で高市副本部長が、銃刀法で銃器の不法所持の罰則に罰金を加えるという御提案をなされたというふうに私は認識をしているわけですけれども、記事か何かでそれは出ていたと思うんですが、そういったことはされていませんでしたか。

高市国務大臣 罰則強化の検討について指示をしたということで、具体的に罰金をどうとか、そういった形ではございません。

河本委員長 泉君、時間が過ぎております。

泉委員 はい。

 そういった罰則強化ということについて、官房長官、本部長として、私も、これまで発射罪ですとか部品の譲渡ですとか、さまざまな銃器にまつわる罰則の強化というのを行ってきたと思うんですが、まだまだこの銃器犯罪、逆に、一般市民への銃の流出とかの比率がどんどんふえているという現状がありますので、ぜひこの罰則強化はしていただきたいと思っております。そのことについての御方針、今何かございましたら、お願いしたいと思います。

塩崎国務大臣 先生、先ほど事件が起きたときの対応について細かく御指摘をいろいろといただきましたが、先ほど渡辺先生の質問に私から答えたように、アメリカと日本と比べてみたときに、かつては日本はこの銃器犯罪というのはほとんどなかった、ごく限定されたところでしかなかったわけですが、日常生活で起きるようになったときに、やはり抑止効果というか、もともとの安全な社会を取り戻すためには、いろいろな手だてを考えなきゃいけないということで、今、高市大臣を中心に、プロジェクトチームで頑張っていただいております。

 その中で、罰則強化の問題については、警察を中心に前向きに考えてもらいたいというふうに私からも申し上げているところでございます。

泉委員 質問を終わります。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、国家公安委員長とそれから警察庁長官に質問をしたいと思っております。最初にまず、長官の方にお伺いいたします。

 警察庁の二〇〇六年中の銃器情勢、これを読んでおりますと、「銃器発砲事件についてはけん銃発砲事件も含め、発生件数、死傷者数ともいずれも過去最少の水準で推移しており、暴力団等が関与する銃器発砲事件についても減少し、対立抗争事件の発生はなかった。」二つ目に、「けん銃使用事件の認知件数は、減少傾向である。」三つ目に、「けん銃押収丁数は減少傾向であるが、密輸入事件のけん銃押収丁数は増加した。」ということなどを読ませていただいているのですが、この二〇〇六年中の銃器情勢、これを基本にして今年度の取り締まりの方針も立て、取り締まりをしてこられたと思うわけです。

 ところが、凶悪けん銃事件が随分今続発しているわけですね。ですから、この点で、最近の警察庁の見ておられた銃器情勢というものと、それから現実に銃器を使った凶悪事件が発生しているという、それに対する取り締まりの方針上の問題などについて、今どういうお考えでおられるのか、これをまず最初に伺いたいと思います。

漆間政府参考人 今お話がありましたとおり、昨年は確かに少なかったわけでありますが、ことしになりまして、昨年同期と比較して、五月末現在ですが、発砲件数で八件増、死傷者で七名増ということでありますから、これはまさに増加に転じたという形になります。

 今までは、やはり対立抗争とかそういう形でけん銃を使ったりすると、藤武訴訟とか、また暴対法の改正もあったりして、なかなかやりにくいという状況があって、昨年は対立抗争もゼロでしたから、発砲とかそういうのが減ってきているんだろうと思っていたんですが、何でこういうふうに変わったのかということについては、よくその原因をしっかりと確かめなきゃいかぬと思います。

 今のところ、こうなったからこう変わったんだと言えるものを私は持っておりません。ただ、やはりそこはきちっと調べてしっかりした対策を立てないと、また銃器の発砲事件が起こってしまうという可能性がありますので、そこのところは、早急にその原因を調べた上で対策を講じたいと思います。

吉井委員 凶悪なけん銃事件が続いているからということで、これは警察庁の責任だなんというようなことを言っているんじゃないですからね。しかし、市民の安全を守るというのはやはり警察の仕事で、その点はやはり肝に銘じて取り組んでもらいたいと思うんです。

 警察庁の今の二〇〇六年中の銃器情勢の中では、「全体的には、けん銃の潜在化傾向がうかがえる」、こういうことが示されておりますが、具体的にはどういう事態になっているというふうに見ておられるのか、伺います。

漆間政府参考人 潜在化しているというふうに見ているのは、ともかくけん銃を出させるために警察としてはいろいろな手法を使うわけでありますが、なかなかけん銃の押収にまで至らない。そして、押収したケースを見ても、非常に隠匿方法が巧妙になっている。昔みたいに一カ所にたくさん集めているとかいうことはしていないとか、あるいは本当に全くわからない野っ原の中に埋めてあるとか、いろいろなやり方がありますので、そういうことで隠匿化傾向が進んでいるんじゃないか、こういうふうに判断したわけであります。

吉井委員 もともとけん銃所持そのものが違法なんですから。ですから、法律違反で、これは重罪となるものですし、そして非合法の世界ですから、そもそもが潜在化しているものということは、これはそういうものだろうと思うんです。

 実は、一九九〇年ごろの警察白書ですと、「けん銃の不法所持事犯及び密輸入事犯は、潜在性が強く、」と、潜在性ということは不法所持、密輸ということで、どういうものがもともと潜在性が強いかということで挙げておられたんです。別に皮肉を言っているわけじゃないんですが、だんだん不法所持のけん銃の押収件数が減ってくるとか、そして密輸についてのけん銃の押収、そこはふえたんだけれども、全体として低下している中で、潜在性といいますと、上についておったものですから、最近はそこが逆に減っているものですから、全体的に潜在化傾向という表現になったのかなと、いささか皮肉っぽく見るとそういう感じがせぬでもないんですが、別にそれはおいておくとして。

 長官は、潜在化しているから取り締まり困難ということは言わないでしょうが、低迷しているけん銃対策をやはり今どういうふうに引き上げていくのかというのは銃器対策の中で最も大事なところだと思うんですが、どういうふうにして引き上げようとお考えか、伺います。

漆間政府参考人 けん銃の大半は外国から密輸される、そういうことから考えますと、国内にけん銃を入れないという水際対策、これは前々からもとっていますが、さらにこれは強力に進めなきゃならないというふうに思います。

 それからもう一つは、やはり、隠匿方法が巧妙になりましたので、なかなか普通の捜索をしても出てこない。これを何とか、そういう形じゃなくて、いかに早く隠匿場所を見つけられるような能力を身につけるか。例えば、一つのアイデアでありますけれども、銃をかぎ分けるような犬を使うとか、そんなような工夫もしながら、国内に隠匿されているものについても、この発見を強力に進めていかなきゃならない。

 両方の対策を進めたいと思いますが、特に密輸の関係については、やはり外国の機関とかなりきちっとした連携をとって、入ってくる前に情報をこちらが事前に入手できる、そこで入ってきたところで銃を大量に押収するとか、そういうことができるようにする。こういうような点は、かなりこれから強力に進めていかなきゃならないだろうというふうに思っています。

吉井委員 そこで、提出しております資料の一をごらんいただきたいんです。

 最もよくけん銃の押収が行われたのは一九九五年ですが、このときの千八百八十丁から二〇〇六年で四百五十八丁、ですから、当時の四分の一に減っているんですね。七五%も減ってしまった。それから、暴力団からの押収にしても、こっちはさらに減り方が大きくて、七分の一なんですね。八五%ほど減ってしまっている。

 銃器は許さないという同じ方針で取り組んでこられて、取り締まりもやってきておられるはずなのに、暴力団からの押収件数は特に異常なまでに落ち込んでしまっている、一体なぜこんなに落差が起きてくるのか、これについても伺いたいと思います。

米田政府参考人 暴力団の場合は、やはり銃を暴力団同士の対立抗争に使う、あるいはいわば組のために何らかの犯罪を犯すということが多いわけでございまして、最近、その抑止策が使用者責任訴訟でありますとか銃刀法の重罰化等々で図られているところでございます。

 そういう中で、暴力団の側の銃の管理というのも大変このごろ厳しくなっておりまして、組内でもなかなか情報も流れないという中で、その摘発に私どももなかなか苦労しているということは事実でございます。

 環境が厳しいからといってそのままにしておくというわけにはまいりませんので、先ほど長官が答弁いたしましたように、積極的に銃の摘発を進めてまいりたいと考えております。

吉井委員 ちょうど一九九三年のときには、私、当時の地方行政委員会で銃刀法改正などの審議に参加しましたけれども、あのときは、銃刀法改正でけん銃を提出させる、自首してくると刑を減免するんだ、これでけん銃回収に相当の効果を上げるんだというのが警察庁の方の答弁でした。

 それで、確かに、このグラフを見てもわかるように、一九九三年から九五年にかけては、けん銃押収で警察庁の方からも大号令がかかったし、それで随分押収けん銃がふえているんですね。それから、特にこのときは暴力団からのけん銃押収がふえて、首なしけん銃の増加というのもあって、これで一九九五年にピークということになったと思うんです。一九九五年はちょうど国松長官が狙撃されたあの事件も発生したときであります。

 ただ、そういう時期なんですが、けん銃取り締まり捜査官の懲戒処分や逮捕事案が多くなっているのも、そのときに実はいろいろ起こっていて、その後ずっとその問題が出ているんですが、これはこのグラフにもメモっておきました。二〇〇一年は首なしけん銃が久しぶりに多くなった時期なんですが、これは少し減っていたのが、若干ですけれども多くなっておりますが、ここでも捜査官の処分や逮捕がふえています。

 ですから、こういう押収件数の増加と懲戒処分が多くなっているということについて、これは長官に伺っておきたいんですが、なぜこういうことが出てくるのか。本来、そういう処分と絡むような事件が起こるのじゃなくてけん銃の押収はどんどん進んでいくというのが普通だと思うんですが、これについては長官はどういうふうに見ておられるか、伺っておきます。

漆間政府参考人 これを見ても確たることが言えるわけではございませんが、確かにいろいろ、けん銃の押収丁数をふやそうとすれば、相手側の中に入っていかなきゃいけませんし、協力者をつくらなきゃならなくなりますし、そこからいろいろ癒着が始まるということもあるだろうと思いますし、そういう部分とこれが連携しているのかどうかは何とも言えません。

 いずれにしても、何かいかにもそうであるようなグラフになっているような感じはしますけれども、具体的にどうであったかということは言えませんが、ただ、先ほど申し上げたように、けん銃をやはり出すということになれば、相手方に協力者をつくる、そうすると、ミイラ取りがミイラになってしまうという事例も起こってきてしまうという、非常に難しい問題を抱えているということは事実であります。

吉井委員 例えば、二〇〇二年四月に、愛知県で警部補らけん銃発見偽装、押収実績上げたかったからとか、ずっとこういう報道というのは結構されているんですが、無理な捜査や強引なノルマの押しつけによるというのがマスコミで報じられたところですが、そういう傾向もあるのではないかということもうかがわれます。

 例えば一九九四年には、堺泉北港でのけん銃六十一丁摘発というのが、兵庫県警の事件として摘発したということがあったんですが、やらせだったということがありました。それから、そのほかにも、群馬、愛媛、長崎県警などで、暴力団幹部らにけん銃を購入させ、これを押収した不正工作が発覚しているという問題もあります。九七年には警視庁蔵前署でも、けん銃やらせ押収事件というのが明るみに出ました。そして、二〇〇二年に発覚した北海道警の稲葉事件。

 ですから、けん銃が多数押収される時期に不正事案が発生しているというこの背景には、本来、けん銃押収はノルマとは別に、そもそもこれが違法なことなんですから、徹底的にこれを捜査し摘発し押収していくということが大事なんですが、ただ、上からのノルマの押しつけとか違法捜査などを強引に進めたのではないかというふうにうかがわれる面があるんです。やはりそういうことについて、もう少しきちっと解明をすることが大事ではないかと思うんですが、長官の方のお考えを改めて重ねて伺っておきます。

漆間政府参考人 基本的に、けん銃については、全国警察、それぞれこのくらい出せとか、そういうようなもので具体的な指示を出したという記憶は私にはございませんが、個々の本部あるいは署、そういうところでそういうふうなノルマを課されたというような事例もあるだろうとは思います。いろいろな事件なんかも取りざたされていますけれども、やはりそういうように何とかけん銃を押収しなきゃならないという使命感に燃えていろいろやってきているうちに、先ほど申し上げたようなことになってしまうというようなこともございます。

 いずれにしても、基本的にそういう形にならないように我々としても気をつけてやっていきたいと思うし、別に、今後もノルマを必ず設定して、どこどこの県警は何丁挙げろというようなことを中央から指示するという考え方は全く持っておりません。

吉井委員 そこで、国家公安委員長に伺うんです。

 私は、九〇年代の押収したけん銃の丁数と今日の押収件数の異常な落差というのは、さっきも申し上げましたし、このグラフを見れば非常に歴然としているわけですが、このグラフに先立って、この基礎数字になる数字もいただいて見て、本当に驚いたんです。これまでの取り締まりについてやはりきちんと検証していく、そしてこれからの取り締まりに生かすということが必要だと思うんです。

 今、警察庁長官としては余りおもしろくないでしょうけれども、しかし、兵庫県警のやらせ押収の問題とかいろいろ挙げましたのも、やはり、何も失敗を起こさないんだ、誤りを犯さないんだという無謬主義じゃなくて、きちんと一つ一つを検証していく必要があるというふうに私は思うんです。そうしてこそ、ノルマややらせの問題じゃなくて、本当にけん銃押収につながっていくと思うんです。

 その点についての、無謬主義じゃなくて、きちんと検証するということについての国家公安委員長のお考えというものを伺いたいと思うんです。

溝手国務大臣 先ほど来より長官の方からお答えをさせていただいているとおりでございますが、とにかく、捜査において不適正な事犯が起こるというのは、これは極めて問題でございまして、警察に対する国民の信頼を大きく損なうものであろう、絶対にあってはならないと考えております。

 いろいろ過去の歴史、事案というのをしっかり踏まえて、警察というのは絶えず関係法令に従った適正捜査を行っていく必要があるというように強く督励をしてまいりたいと思っております。

吉井委員 次に、資料の二をごらんいただきたいと思うんですが、これは警察庁の方からいただいた資料とか、それからマスコミ報道なども整理したものですが、上の方の太枠は暴力団関係、二重枠は警察庁提出のもので、それ以外は、マスコミ等の報道に基づきまとめたものです。

 要するに、警察と暴力団や風俗店などとの癒着と見られても仕方のない問題、これは暴力団や風俗店などへの警官による警察情報提供の事例なんですが、これを見てもわかりますが、提供先は、暴力団、風営関係、興信所などが非常に多いわけですね。

 どこの役所でも不法に情報を流すことがあってはならないわけですが、とりわけ警察情報というのは極めて秘匿性の高い情報ばかりでありますし、それが相当流れている。ウィニー等、コンピューターを通じての流出というのも、これもとんでもない話ですけれども、こういう形での情報が流れていっての癒着等の問題というのは、これは本当にとんでもないことなので、警察庁長官に、こういうことについて厳しい対応が必要だと思いますが、お考えを伺っておきたいと思うんです。

漆間政府参考人 ここにいただきました資料について、それぞれどんな処分を受けたかというのを見てみますと、ほとんどが懲戒免職処分という形になっております。

 いずれにしても、ともかく、捜査情報なりいろいろな情報提供を暴力団なりあるいは風営関係者に出すということは、まさにこれは地方公務員法あるいは国家公務員法も含めた公務員法の守秘義務に反しておるわけでございますし、それから同時に、やはりこういう形で実際にやってしまいますと、それがさらなる贈収賄とかいうようなものにまでつながっていってしまうということがございますので、ここにいろいろなケースが提示されておりますけれども、こういうことの問題点等も踏まえながら、今後こういうことが起こらないようにしっかり対応していきたいと思います。

吉井委員 また、国家公安委員長に伺いますが、この資料二にありますように、山梨県警の生活保安課警部補が元暴力団員に捜査協力の見返りに生活費を供与しておったとか、要するに情報を流しているわけですね。それから、北海道警本部からは暴力団組員名簿が外部に漏えいしたという問題がありますし、京都府警では教養課警部補から知人の女性に暴力団組員の犯歴情報の提供とか、それから神奈川県警の銃器対策課巡査部長からは暴力団組員に捜査情報の提供とか、いろいろなケースがありますが、暴力団に情報が流れれば、暴力団の次に起こる犯罪を抑止することもできなくなる、そういう問題がありますし、それから、警視庁大井署巡査部長が興信所経営者に情報を送った問題とか、神奈川県警の戸塚署生活安全課の巡査部長が情報調査会社に送ったとか、あるいは警視庁の現職警官数人が興信所経営者に、犯歴とか免許証記載の本籍、住所の提供とか。

 これは、興信所の者にとっては、それ自身が、情報を手にすることは大変おいしい話なんでしょうけれども、国民はみんな警察を信頼しているわけですよ。その警察から、非常に秘匿性の高い個人情報が商売でやっている興信所に漏れるとか、暴力団に漏れますと報復を受けるということも出てくるわけでありますし、そういうことがこういうふうに起こっているという問題、私はゆゆしき事態だと思うんです。

 ことし六月に発覚した愛知県警の事案では、組織犯罪対策課の現職警官とOBの警官が組んで、飲食店に捜査情報を流していた、現職警官の口座には、毎月数万円の不明朗な金が振り込まれていたと報道されています。警察情報を売りさばく、警察情報ブローカーがいるとも報道されておりますが、警察情報の扱いがこういう状況にあるということが非常に重大だと思うんです。それを放置しておいたら、公安委員長、私は本当に国民の信頼を失う事態が広がってしまうと思うんです。これについての国家公安委員長の取り組みというものを伺いたいと思います。

溝手国務大臣 御指摘の愛知県警の事案についてもそうでございますが、現時点で、さまざまな情報の漏えい、国民の警察に対する信頼を裏切るような行為が頻々としていることは、非常に遺憾に思っております。ぜひ、これは警察庁に対して、また全都道府県警察に対して、しっかり対応するように督励をしてまいらなければいけない、こう思っているところでございます。

吉井委員 警察庁長官に重ねて伺います。

 やはり、こういったことは、事実をきちんと明らかにするということが必要だと思うんですが、情報提供して処分された警察官の数について、過去十年分の資料をいただきたいとお願いしたら、三年分しか出てこないわけですよ。しかも、処分者は停職、免職以上の処分者しか出せないという話なんです。

 別に、固有名詞を求めているんじゃないんです。個人情報を得たいということでやっているんじゃないんです。全体としてどういう状況にあるかということをきちっと把握したいということで求めているんですが、そういうものについては、やはり国会にきちんと提出して、全体としてこの問題の解明に当たるということが必要だと思うんですが、長官に伺います。

漆間政府参考人 処分関係の資料というのは、保存年限が三年になっているということがございまして、そこで、どういう処分がという部分について、出せる部分が三年ということになったんではないかと私は思うんです。

 いずれにしても、処分について、出せるものはきちっと出して、我々の内情をきちっと知らせるというのは大事だと思いますから、またその考え方に沿って、しっかり対応したいと思います。

吉井委員 数字の方ですと、三年までで、先は捨てたというんじゃなくて、こんなもの、数字は入れてあるデータで、十年分でも二十年分でも、いろいろなデータをみんな出してもらっているわけですから、処分者の数がどういうふうになっていますかということについては三年の話は当たらないので、きっちりやってもらいたいと思います。

 提出しない根拠というのは、懲戒処分発表の指針ということがあるのかと思うんですが、減給または戒告処分で国民との直接的かかわりを有さない内部行為に係るものを除くとしているんですね。ただし、国民の信頼を確保するため発表することが適当であるものは発表するとしています。

 資料を請求しても出さないということは、警官の外部への捜査情報提供などについては国民の信頼を確保するということにもかかわってくるものでありますから、それまで懲戒処分の発表指針にひっかかるだ何だと言って隠してしまうと、これは本当に、そうした問題の解明を進めさせないだけじゃなしに、逆に、内部的に非常に甘いやり方というものが横行してしまいます。

 時間が来たということですから、最後に、私、長官に、やはり国民の信頼確保のためにも、懲戒処分発表の指針ということは一応つくっているんだけれども、こうした問題についてはきちんと公表して全面解明を進めていく、それに一緒に取り組んでいくという立場をお聞かせいただきたいと思います。

漆間政府参考人 懲戒処分公表の指針は、これは指針でありますので、その中にも出てきますけれども、やはり公表すべき重大なものであれば公表しなきゃならないことになっていますから、できる限りそういうことを踏まえながら、出せるものはきちっと出していくという方向で対応したいと思います。

吉井委員 今私も申し上げましたように、この指針はありますけれども、しかし、それを公表すること自体がやはり国民の信頼を回復するし、内部的にも甘いなれ合い的な空気で一層不信を招くということがなくなりますから、これはやっていただきたいと重ねて申し上げまして、質問を終わります。

河本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十三分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原雅彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑を続行いたします。細野豪志君。

細野委員 まず、銃器対策について幾つか質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 午前中は長官がいらしたんですが、午後は御都合がつかないということでございますので、国家公安委員長に。

 午前中も幾つか出ておりましたが、銃器対策を考える上では、我が国の場合は国内で銃をつくるという人はほとんどいないわけでございまして、改造はあり得ても、基本的には外から入ってくるということがございます。午前中も流入件数がよくわからないという話がございましたが、銃というのは、それこそ空から来るのか海から来るのか、海から来る場合も、いわゆる正規の荷物を通じてその中に潜り込んで来るのか、不審船などを通じて来るのか、そのあたりのターゲットが絞れないと、なかなか銃器対策、流入を阻止するというのは難しいと思うんですが、それはどのように認識をされているか、まず国家公安委員長にお伺いしたいと思います。

溝手国務大臣 それでは私の方からお答えをさせていただきます。

 御指摘のとおり、押収されるけん銃の大半は外国製であり、昨年摘発したけん銃の押収丁数が多いのはアメリカ製並びにフィリピン製でございます。これらの銃器は、直接または他国を迂回して我が国に船舶、航空機等で密輸入されているものだと承知しております。

 今までの捜査の結果、米国ルートそれからフィリピンルート、ロシア極東ルート、南アフリカルートなどについてはこれを解明しているところでありますが、その多くに暴力団の犯罪組織が深く関与して、けん銃等違法銃器を国内の暴力団に密売するためにやっていると承知をいたしております。

 私の職業上の経験から申し上げまして、海から入った場合は非常に難しいというのを身をもって経験をしております。空から入ってくるのは比較的容易ではないかと思いますが、海というのは極めて難しい。先ほどの長官の返答というのは、その辺を意識した回答ではないか、そんなふうに思っております。

細野委員 今、海からは難しいという話でしたが、同じ海でも、例えば横浜港にきちっと船として入港してきてそれを検疫できるケースと、不審船でどこからともなくやってきて密入国者とともに入ってくるケースとかいろいろあり得ると思うんですが、前者の方は、これはきちっとやるつもりになればやれる話だと思うんですが、その辺についてどのようにお考えなのか、お願いします。

溝手国務大臣 全く、取引とか輸入とかにかかわる話の場合は、かなりやれるし、やらなくてはいけないんだろうと思います。

 港にもいろいろな種類がありまして、開港、不開港とか、修繕で入ってきたり、漁船で揚げたりするときがありまして、船の入港目的によって、中に何があるかを予断を持って判断するというのは極めて難しい。しかも、数が膨大になるわけで、例えば、マグロ船一つとりましても、これは日本の船がとれば日本製のマグロだし、外国の船がとったのを買ってくれば輸入のマグロになるので、それぞれ取り扱いの規定が違うわけですね。

 それで、私の今までの人生経験から申し上げまして非常に難しいなという気があるので、いわゆる正規のルートについては徹底的にやる必要があると思いますが、そこに余りとらわれ過ぎると、ひょっとしたら失敗するかもしれないなという気はあります。

細野委員 もう一問、国家公安委員長にお伺いしたいんです。

 いわゆる事前旅客情報システム、これは、日本の場合は九・一一のテロがあった後急激にこういう問題に対する関心が高まって、当時こういう議論を私も内閣委員会でさせていただいたことがあるんですが、それこそ犯人に手のうちを明かすわけにいきませんので、どこまで答えていただけるか微妙な問題はあると思うんですが、国内の対策として大枠の話はぜひ教えていただきたいと思うんです。

 基本的には、日本に入ってくるさまざまな船や飛行機の正規のルートについては、すべてこれでカバーされているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

溝手国務大臣 今私どもがお答えできるのは、飛行機の、国内に乗り入れている航空会社の問題だと思いますが、六十社ほどございます。APISの義務化の前は二十社程度に自発的に情報をいただくことができていたということで、現在ではこれが義務化をされておりますので、日本に乗り入れているすべての航空会社から情報が入っているということで、これは犯罪の検挙あるいは防止のために大変大きな効果を果たしているというように考えております。

細野委員 船の方はどうなんでしょうか。

溝手国務大臣 船の場合は、船員のリストというのはそこまでやられていない。これは乗務員ですから、そういうのは基本的にはないと思いますが、例えばだれかを乗せてくる場合にはしかるべきところに行けばあると思うんですけれども、ただ、時間がかかりますので、飛行機のようにあっという間に日本の通関のバリアを越えてしまうということがないので、追跡は非常にやりやすいというように思っております。

細野委員 海の方が脅威だという話もされましたので、その辺の人の特定も含めて、海の方も最大限御努力をいただきたいな、これは個人的なお願いでございますが、よろしくお願いいたします。

 銃器対策について、私の質問は以上なんですが、高市大臣、せっかく来ていただいていますので、今のトータルな話も含めて、ちょっと御所見を伺えるようであればお願いします。

高市国務大臣 今のところ、おおむね毎年毎年の推進計画どおりに各省庁の対応は進んでいると思います。

 特にここ数年、海上保安庁、警察、そして情報提供という意味では特に水産庁等、多くの省庁の協力を得て日本の守りというのは固まってきているように感じられるんですが、それでもなおこういった事件、けん銃を使用した事件が多発しておりますので、現在、銃刀法の罰則強化も含む法令等の見直しの必要性、それから今委員から御指摘があった水際対策の一層の強化、今海の話もありましたけれども、特に洋上取引がたびたび行われやすい海上は集中的に海上保安庁の方でやっておりますが、そのほかの小さな港、ここが当然手薄になってくる、そしてまたけん銃の取引が行われやすい離島ですとか、そういったことも含めれば、やはり人員とか装備の増強も必要かもしれません。

 ですから、現状で何が足りないかというところを今各省庁洗い出していただいて、今月末に結論を出して、一歩でも二歩でもこの取り組みを強化させていただきたいと思っております。

細野委員 丁寧に御答弁いただきましてありがとうございました。

 これから少し行政改革の質問に入りますので、それぞれ、高市大臣、溝手委員長ともにお忙しいと思いますので、もし御予定があれでしたらこれで結構でございますので、どうもありがとうございました。

 続いて質問をします。

 きょうは、理事の皆さんにも御許可をいただいて、URの小野理事長に国会まで出てきていただいております。横浜の方からわざわざ御足労いただきまして、お忙しいところどうもありがとうございます。

 まず初めに小野理事長にお伺いをしたいのが、そもそもURの役割というのは一体何なのか、このことについての御所見を伺いたいと思います。

 URというのは旧公団であったわけでありますけれども、独立行政法人になって役割が変わってきている。URの物件というのは不動産屋さんに行っても紹介してもらえたりもするんですが、特に都内には大変物件が多うございまして、このパンフレットもいただいて、ちょっと私も、私有地に入らない範囲で、住民に御迷惑がかからない範囲で物件を見せていただいたりもしたんですが、数えると、東京二十三区だけでURの物件は全部で二百十三、二百を超える賃貸住宅がございまして、非常に幅広く賃貸業務をしているということでございます。

 URのホームページを見たり、いろいろな改革の方向性を見ても、民でやれるものは民でやれ、賃貸住宅については、新規供給は原則禁止ということまでうたわれているわけですが、それにしては物件数が多くないか。個別にいくと、古いいわゆる公団的な住宅もあるんですが、一方で汐留であるとかお台場のように最新のマンションを構えていらっしゃるところもあって、役割も相当分散化してきているようにも思います。

 その辺、URの役割として、こういったものをどの程度これから続けていくおつもりがあるのか。私は、売れるものはきちっと売って借金を返した方がいいと思いますが、そういうお考えはないのかどうか、まず理事長にお伺いします。

小野参考人 お答え申し上げます。

 最初に、私ども、十六年七月一日に独立行政法人になったわけでございますけれども、この役割は大きく分けて四つございます。

 一つは都市再生事業でございまして、市街地における区画整理等々でございます、再開発事業とか。

 もう一つは賃貸住宅の管理でございますが、これは御案内のとおり、私どもの前身は昭和三十年の住宅公団でございまして、これから名前は幾つか変わりましたけれども、十六年七月に都市再生機構になりました。住宅公団時代から建設をし、管理をしてまいりました賃貸住宅をそのまま引き継いでおりまして、これは国民共有の財産だと思うわけでございますが、これを引き続き適切に管理していくこと、これが二番目の柱でございます。

 それから三番目の業務は、これはニュータウンでございますが、多摩ニュータウンとか千葉ニュータウンとか、そういったようなニュータウン事業でございますけれども、これにつきましては、昨今の経済情勢等もございまして、十年で工事を完了して十五年ですべて売却処分する、こういうことになっておりまして、これは経過措置業務と位置づけております。

 それから、業務の四番目は、御案内のとおり、阪神・淡路大震災あるいは地震等でございますけれども、そういうときにおける災害対策業務等をいろいろ政府の御要請等によってやっていく、こういうことでございます。

 特に、今先生御指摘のございました賃貸住宅でございますけれども、これは、新しい土地を購入いたしまして新規に供給するということはやりません。従来の住宅公団から引き継いだものを引き続き管理するということはもちろんやるわけでございますけれども、原則は、新しく土地を買って賃貸住宅を供給するということは民間にお任せをするというふうにいたしておりまして、機構がみずからそれをやるということはないわけでございます。

 ただ、御案内のとおり、今先生が例として挙げられました汐留とかそういう部分でございますが、例えば従来の賃貸住宅を建てかえまして、居住者の方々が、大体六割以上はもとの同じようなところに住みたいとおっしゃるものですから住んでいただくわけでございますが、住みかえをやられるわけでございまして、そういう建てかえ事業が一つ。

 それからもう一つは、再開発事業等で保留床を私どもが要請によって買いまして、それを賃貸住宅にする場合、これがございます。

 それからもう一つは、これは例外的でございますけれども、公団時代からの約束によって業務を既にスタートしているもの、これが機構になってマーケットに出ていくというものもございますけれども、これは大変レアケース、こういうことでございます。

 私どもは、賃貸住宅につきましてはみずからやらずに、例えば敷地に定期借地権を設定いたしまして民間の方々に賃貸住宅を供給していただく、賃貸住宅の供給支援事業と言っておりますけれども、これを大変大きな、主な業務の柱にいたしております。

細野委員 一つ目のいわゆるディベロッパーとしての、地権の難しいところのいろいろなものを統合してそういうものを整理するですとか、あと災害対策で、阪神・淡路大震災、このときに大変活躍をされた、そのあたりは私も認めております。

 ただ、賃貸に関しては、例えば汐留の物件、六本木の物件、これもインターネットなどでも公表されておりますし、現場も近いのでちょっと見に行ったりもしたんですけれども、民間のディベロッパーがやっている部分とURがやっている部分、入り口が違ったりという形で一緒にやっておられるわけですよね。要するに民間でもできるわけですよ。そういうものをもう売却して、民間でやれるところは賃貸も手を放すということはお考えにないのかということを聞いたんです。ごく簡潔に御答弁いただきたいと思います。

小野参考人 私どもは、賃貸住宅、七十七万戸ございますけれども、これをやはり適切に引き続き管理していくということが大事だと思っておりまして、引き継ぎましたものについて民間に売却をするのは、あるいは将来、考え方としてはあり得ると思いますけれども、当面はやはり、機構が引き継ぎましたものを適切に管理していくということが、機構法の目的にもはっきりうたわれておりまして、私どもの義務だというふうに考えております。

細野委員 規制改革会議の中にURについて書いた項目がございまして、この七十七万戸の賃貸住宅についても、適正化に向けた削減目標を明確化しろと書いてあるんですね。

 では、この規制改革会議の考え方にはURとして反対だ、そういうことでいいんですか。

小野参考人 私ども、規制改革会議の方針に反対ということではございません。

 私どもが管理しております団地は千七百八十ございまして、大変数が多いのでございます。大きなものは六千戸から八千戸近くの大団地もございまして、小さなものは百戸の、単身者向けの住宅というものもございますので、千八百近くの団地を、個別にどうするかということをやはり考えていかないと、すべてこれを一律に民間に売却をするとか、あるいは、例えばファンドに出すというようなこともあり得るわけでございましょうけれども、そういうことを今すぐ判断をするということは大変難しいと考えております。

 現在、千八百余りの団地一つ一つにつきまして、例えば地域内における賃貸住宅市場とか、あるいは周りの賃貸市場というか家賃の動向とか、あるいは、どの程度お客様がおられるのか、そういったようなことを個別に団地ごとに精査をいたしまして、団地別整備方針というものをつくろうと思っておりまして、その中では、例えば引き続き管理をするもの、あるいは用途廃止をするもの、あるいはできれば公共団体に引き取っていただくものとかいうものもあろうと思いますけれども、いずれ、そういう団地別の整備方針というものをはっきり私ども作成いたしまして、将来の方向づけをしたいというふうに考えております。

細野委員 ここではこの問題は詰めてはやりませんけれども、民間でやっているんですよね、同じビルを。例えば汐留であれば、住友不動産が持っているわけですよ。上の方のフロアは住友不動産がやっているんですね。なぜ下の方のフロアだけURでやらなきゃならないのか。つくるときに地権を整理して協力したり、そういうときにいろいろかかわるというのは、一部、URの役割かもしれないけれども、賃貸の管理まで、なぜ民間ができることをURがやらなきゃならないのか、正直、今の理事長の御答弁からは、私は理解はできませんでした。これは答弁は結構です、随分長く御答弁をいただいたので。

 もう一つ言いたいのは、適正に管理をするとおっしゃるんだけれども、それが本当に適正にやられているのかどうか、そこをきょうは委員会の中で少し理事長と議論をさせていただきたいと思っているんですね。

 まず理事長に、ちょっと資料をごらんいただきたいんですが、手元にございますか。資料の三枚目です。これはURでつくっておられるホームページからとっております。

 私がお伺いをしたいのは、「平成十七年度予算編成過程において」と書いてある部分ですね。これは公団から独立行政法人になって行われたものですが、財務再構築、この中に、特別勘定に係る財政融資資金三・二兆円を補償金なしで繰り上げ償還をして、利払い負担を軽減されたということが書かれています。いろいろな説明資料はついているんですが、要するに、財投から借りていた三・二兆円を繰り上げ償還をして、本来は払わなければならなかったはずの九千十八億円の利払いの免除を受けたということですね。

 財投というのは、言うまでもなく、年金資金であるとか郵貯の資金がこの時期入っておりましたから、その資金に本当はお返しをしなければならない九千億円を、URが厳しくなったので免除されたということですね。

 これは小野理事長が理事長になられる前でありますが、URとしてはこの問題をどう考えているのか、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

小野参考人 繰り上げ償還でございますけれども、端的に申し上げますと、大変ありがたいことだというふうに私は思っております。

 御案内のとおり、三兆二千億、これは大変長期の三十年で借りているものでございますので、また、金利も高いということもございまして、これを、先ほど申し上げました経過措置業務勘定のニュータウンの部分でございますが、これは、十年で工事を完了して、プラス五年、十五年で売却処分するということにしておりますので、大変、事業期間とのミスマッチもございます、この部分につきまして、私どもは繰り上げ償還を法律改正によって認めていただきました。

 先生御案内のとおり、九千億、そういうメリットを私どもは受けるわけでございますが、単年度では、御案内のとおりもっと少ないのでございますが、これは、そういう意味で、機構に大変大きなメリットを与えていただいたというふうに私は考えております。

細野委員 今、理事長はニュータウンの話をされました。ニュータウンは長くかかるのでそういう資金が必要だった、それが要らなくなったので、そういう御趣旨の答弁だと思うんですが、返せてありがたいという話なんですが、実はこのとき議論になったのは、ニュータウンをやめるから、こういう繰り上げ償還をして九千億をなくそうという話ではなかったはずですよね。

 理事長、もう一枚めくってください。これは、繰り上げ償還の部分も含めて、旧公団、今の独立行政法人都市再生機構の財務状況をずっと平成九年度から追ったものですが、ごらんいただきたいのは、利益剰余金(欠損金)の部分、この金額です。平成九年は八十八億円、ずっとふえてきて、平成十三年度、このあたりから、これは若干地価が上がってきたというようなこともあるんでしょうか、よくなってきてという数字になっておるんですが、平成十六年度に六千六百九十二億円、いきなりプラスからマイナスへ大きく転換をして、欠損金が六千億円、七千億円近くになっているんですね。

 これはなぜかということを見てまいりますと、これはもうURのホームページにも出ていますが、一番下に書いてあります。資産評価委員会により七千二百八十八億円の繰越欠損金が判明をしたということなんですね。民間でいうならば、その前の、この欠損金を出してきている金額というのは、これはそれこそ粉飾に近くて、実は、七千億円以上の繰越欠損金があることは、このとき評価委員会で客観的に見て判明したわけですよね。これが原因で繰り上げ償還になったんじゃないですか。

 この問題をどのようにURとしては考えられているか、御答弁をいただきたいと思います。

小野参考人 お答えいたします。

 この六千六百九十二億円でございますが、これは、公団から機構になりますときに、国土交通大臣のもとにございます資産評価委員会で時価評価をしていただきました。

 これはバブルの後遺症ということでももちろんあるわけでございますけれども、発足時に七千三百億円の繰越欠損金があるということが判明をいたしまして、辛うじて資本金より下ということで、喫水線すれすれということになったわけでございますけれども、発足時のその数字が七千三百億円でございまして、平成十六年に、これは九カ月決算でございますけれども、若干の利益を上げて六千六百九十二億円になった、こういうことでございます。むしろそれが減ったということでございます。

 先生御質問の、民間の企業として、当然、それだけの欠損があるのならば、もっと前に処理をすべきだというお考えもあろうと思いますけれども、私ども、機構になる前は公団でございまして、公団の経理というのは、各特殊法人の経理のやり方によって、恐らく含み損的なものを表に出すということなしにやってまいりました。機構になったときに時価評価をいたしまして、全部資産の洗い直しをいたしました。その結果、七千三百億円あるということでございまして、これを現在、一期、二期、三期の中期計画に基づきまして、何とか三期の末にゼロにしようということで、私どもは、経営あるいは職員、頑張っているところでございます。

細野委員 現理事長として、当時の評価のやり方というのは、これは公団のやり方というふうなことでありますが、不適切であった、そういう判断でよろしいですか。

小野参考人 不適切であったというのではなくて、公団時代には、公団の会計基準と申しますか、経理基準と申しますか、それによって経理をしていたということではないかと思います。

細野委員 何か小野理事長の話を聞いていると、これだけ財投に穴をあけて、九千億穴をあけて、下の方に補助金が幾ら入っているかというのは書いてありますが、それぞれ、千五百億から二千億強の補助金がずっと毎年入っているわけですよね、そういうものに対する何か責任感みたいなものが余り感じられないんですよね。

 もう一回御答弁いただきたいんですが、この七千三百億円の欠損が平成十六年度に顕在化しているわけですね、それはもっとその前からあったものですね、この年に突然出てきたんじゃなくて、再評価をして、現実にはこれだけあったということは、そういう欠損金の部分については評価は間違っていた、これは間違いないですね。現実の数字と違ったということ、これは確認させてください。

小野参考人 現実の数字としてはもちろん違っているわけだと思いますけれども、公団時代の会計処理基準、これは国統一の基準があるわけでございまして、それによって処理をしているということでございます。

 法律改正によって我々が機構に衣がえいたしましたときに、資産再評価をすべてやったときに、バブルの影響等もあって欠損金が出てきた、こういうことでございまして、これは、やはり組織が変わって会計基準も当然変わったわけでございますから、その変わったことによって顕在化したという先生のお話であれば、それはそういうことだと思います。

細野委員 評価の仕方も、これは非常にむちゃくちゃであったし、そもそも公団のあり方自体がやはりここで問われているんですよね。

 そこで、ちょっとこれは国土交通省の方にお伺いしたいんですが、一番初めに戻りまして、小野理事長の前の理事長さん、一応名前を伏せますけれども、この方が、平成十一年に旧公団の副総裁になられてから、名前はその前ですから住都公団ですが、平成十七年十月二十八日まで実質的に同じ組織で理事長をされて、そして退職をされています。退職金が二千六百五十万円入っています。その後、わたりを繰り返して、今まで三億五千五百万円ぐらいはもらわれるだろう、そういうわたりの人生を送っておられるんですね、ちょうどこの独法を通じて。

 退職金というのはどういうふうに計算されるのかということも聞いてみまして、出てまいりましたのが、今度は五枚目、これも恐らくURさんの方でつくった資料だと思います、予備的調査で出てきている資料でございますが、これが二千六百五十万円の退職金の根拠ということですね。

 この方の業績評価がどうなっているかというのを見てまいりますと、この業績評価というのが導入されたのは最近だそうでありますが、三行目の百二十二万六千円というのは月額給与で、係数を掛けて二十一カ月掛ける一・〇。一・〇というのが評価なわけですね。理事長としての評価は、その下の一・〇。

 私の感覚だと、そもそも公団がだめで独法になったわけですから、公団を取りつぶしたわけですよね、そのときに同じ人が社長さんを続けるというのは、感覚としては全く理解できません。これがまず一つあります。

 そしてもう一つ言うと、さっきのいわゆる欠損金と繰り上げ償還の部分ですが、現実的に、この方が理事長をやられているときに、公団になってから、これだけ国から、言うならば財投という公的な資金から免除を受けていて、国民にこれだけの迷惑をかけている中で、なぜ評価が一なのか、私、これは理解できません。

 国土交通省に来ていただいていると思いますので、このわたりの問題とも深くかかわりますが、こういった問題をどういうふうに評価して一と評価されているのか、御答弁をいただきたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人の役員の退職手当につきましての業績勘案率の決定でございますけれども、平成十五年十二月十九日付の閣議決定で、独立行政法人、特殊法人の役員の退職金ということで、〇・〇から二・〇の範囲内で、各府省の独立行政法人評価委員会が決定するということにされております。

 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から平成十六年の七月二十三日に方針が出ておりまして、その方針と、私どもがそれを受けた、十七年三月二十三日のところでございますけれども、役員退職金についての業績勘案率は国家公務員並みとするという基本的な考え方を踏まえまして、一・〇を基本とするということにされているところでございます。

 当該都市再生機構の元理事長の業績勘案率でございますけれども、平成十六年七月の機構設立以降、中期目標、中期計画及び年度計画の達成に向けまして、業務運営の効率化、国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に尽力したものであり、こうした実績を総合的に勘案した結果、総務省の独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、国土交通省独立行政法人評価委員会におきまして一・〇が妥当というふうに判断されたところでございまして、それに基づきまして決めたということでございます。

細野委員 もう一回国土交通省に伺いたいんですが、要するに、公団の経営の失敗がこれだけ明らかになって、独法になったわけですよね、その前の段階から経営者として深く責任を持っていらっしゃる方が前理事長さんですよね、そういうことの評価として、これは一でいいんですか、本当に。そういう評価はしないんですか。

 この方は、要するに、国土交通省として、独法の経営、その前の公団の経営も含めて、これだけ欠損金を出して、公的な資金も入れて、その責任はないということで本当にいいんですか。

榊政府参考人 バブルが崩壊したときに民間のディベロッパーはどうであったかということで申し上げますと、いわゆる棚卸資産の時価が下がって、時価評価をしたときに、相当の赤字を計上してやっております。一方、財投資金は三十年間の長い金利で借りておりまして、平均六・四%、当時の金利の二倍から三倍ぐらいの水準の金利で借りて、それが金利として積み上がっているわけです。それがいわば帳簿価格になっている。それを時価評価すると、その評価がどんと下がる。機構に切りかわるときに、いわば時価主義に切りかえたということでございます。

 したがって、その時価主義になったときに、そこの部分が、いわば土地の値段が本当に下がった部分という形で、会社の経営として見れば、そういったような赤字といいますか累積損といいますか、そちらになっているということだと思っているんです。

細野委員 民間という話がありましたが、民間の経営者はやはり何らか責任をとるんですよね。退職金ももちろんありますし、途中で会長交代、社長交代というのは当然あります。

 この方は、全くそういう意味では責任をとらずにおやめになって、国土交通省のあっせんで次の天下り先に行っているんですよね。そういうやり方は不的確だということでやり方を変えるならまだしも、小野理事長は確かに非常に優秀な方で能力のある方なのかもしれないけれども、次も同じく、国土交通省の中でも旧建設省の事務次官の方がそのまま天下って、独法のそれこそ理事長で来ているんじゃないですか。

 そういう意味で、全く民間とは違いますよ。民間と同じことをやっていますか。もう一度そこを御答弁ください。

榊政府参考人 私が申し上げたのは、民間も、棚卸資産という意味でいえば、昔は金利を掛けてやっていたものを時価主義に切りかえた、それは、いわゆる会計基準が変わって切りかえたときにそういう赤字を出しているということを申し上げたわけでございます。

 小野理事長の前の理事長が総裁からなられたということですけれども、そのときに、ニュータウン業務については撤退をするとか、新しく賃貸住宅はやめるとか、いわば公団から機構に切りかわるときに、どのような再建計画をつくればいいか、どういったような業務が適正かということを真剣に議論されて、こういう方向でいこうというふうに決めて、それについて具体的に二年間、経営改善計画を実行されたということでございますので、私どもはそういう見方はいたしておりません。

細野委員 では、もう一問、国土交通省に聞きますが、独法の評価委員会、ここで、一以外の評価を国土交通省としてしたことがありますか。

榊政府参考人 一・〇を基本とするというふうに言われておりまして、私の聞いているところでは、今のところ一・〇以外のものは聞いておりません。

細野委員 評価が全く形骸化しているんですね。

 林副大臣、独法の改革もやると渡辺大臣は力を入れていらっしゃいましたけれども、こういう評価から、経営評価からやり直さないとだめなんだと思うんですよね。

 各省庁に聞きましたが、独法の理事長の評価で一以外を出しているのが三例か四例。今、一を基本とするとおっしゃいましたが、それは総務省が言っているだけで、行革のそっちが言っているだけで、閣議決定にはこう書いてあるんですね。「各府省の独立行政法人評価委員会が〇・〇から二・〇の範囲内で業績に応じて決定する業績勘案率」、これが閣議決定なんですよ、国家の意思なんですよ。それを総務省がねじ曲げて、一を基本にとかつくって、みんな一に横並びしているだけで、要するに、こういう業績評価が全く入っていないんですよね。

 まず、せっかく副大臣に来ていただいたので、こういう問題について、簡潔に、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

林副大臣 実は、今委員が御指摘になって議論されておられることは、私が党におったときにもかなり同じような視点で随分やり合っておったなということを、今やりとりを聞きながら思い出しておった次第でございます。

 今委員が御指摘になったように、せっかく〇・〇から二・〇というものを決めても、運用で一・〇に並んでしまっては、この業績勘案率というものを入れた意味が全くなくなってしまうというのは、まさに御指摘の趣旨のとおりだろう、こういうふうに思っておりまして、その場合に、そういうことであれば、何を基準にしてやるのか、業績とか数字とか、どういう評価をして、どういうことをきちっとやっていくのかということをやはりもう少しつくっていかなければならないなというふうに、今御指摘を聞いておりまして感じた次第でございます。

 渡辺大臣もかなり張り切って、この百一個の独立行政法人の整理合理化計画なるものを年末に向けてつくっていこう、こういうことでございますので、今委員の御議論なんかも拳々服膺させていただきまして、きちっと、つくった制度が本当にいきめがいくように、我々としてはやってまいりたいと思っておるところでございます。

細野委員 ありがとうございました。

 総務省に聞こうかと思いましたが、総務省の所掌範囲を超えていると思っていますので、ちょっと一つだけ言っておきますと、私は、この総務省が出している基準は閣議決定違反だと思いますよ。〇・〇から二と書いてあるのを全部一を基準にするなんという、こんな閣議決定の趣旨に大幅に反した基準を出したというのはとんでもないことだと私は思います。

 そういうのを変えていくのが政治の決断でしょうから、林副大臣そして渡辺大臣にはぜひそこは期待をしたいと思います。

 時間もなくなってきましたので、次にファミリー企業に話を移したいと思います。

 まず、小野理事長にお伺いしますが、資料の後ろから三枚目、これは、前に国土交通省に聞いたときに出した資料を、若干数字を修正をしたり、いろいろ加筆したりしてつくった資料であります。

 国土交通省から、平成十七年度に、独立行政法人都市再生機構に千五百十二億円の公費が補助金という形で行っています。URはこれだけでやっているわけではもちろんありませんで、それぞれ、賃料収入であるとかディベロッピングでいろいろお金をやりとりしたりして、そこからいろいろな収入も得ているわけであります。

 その独立行政法人都市再生機構が、今回出てきましたこの予備的調査をベースにして契約額の多い上位五つを並べると、上から財団法人住宅管理協会以下五つ、いずれも、役員そして一般職ともに大量の天下りをしているところにお金が流れています。最終的な数がわかりませんでしたので、天下りの数は平成八年度から平成十七年度までの累計にしています。上から百九十五億、百六十九億、それぞれお金が行っておるわけでございますが、こういうファミリー企業と独立行政法人のあり方、あちこちで盛んに指摘をされていますが、私の見る限り、直っていません。

 まず、小野理事長に、こういった関係についてどのようにお考えになっていて、どのように変えようとされているのか、御所見を伺いたいと思います。簡潔に御答弁をお願いします。

小野参考人 私どもに、独立経営体、総合経営体としての独立行政法人都市再生機構に多くの関係法人と申しますか、いわゆる子会社があることは事実でございます。

 先生お示しになりました資料が上位五社でございますので、上位五社というか、財団も含めておりますけれども、平成八年から平成十七年、累積として、一般職あるいは役員としてこれだけの人数が転籍をしたということはほぼ間違いないわけでございます。

 現在、私どもの業務というのは、リストラの最中でございまして、人が大変足りないということもございます。また、従来から、業務はなるべくアウトソーシングで民間にお任せするということを基本にやってきておりまして、私どもの必要最小限のもの以外に、民間でできるものは民間にお任せしようということでやってきております。

 例えば、賃貸住宅、私ども七十七万戸弱を管理しておりますが、これの管理業務のうち、どうしても私どもでやらなきゃいけない制度設計とか基準づくりとか、そういうもの以外は関係法人にやらせるということを基本的な原則、また、そうしないと、現実に私ども、定員をどんどん減らしてきておりまして、できないのでございます。

 そういう点から、いわゆる関係法人に業務を、随意契約で必要最小限のものを出しているわけでございますが、これも、長い間の特殊法人改革の一環等によって、民間でできるものは民間にやらせる、民間にやらせることがなじまないような代行、補完業務をこういう関係法人にやっていただく、こういうことを基本にして運営をしてきております。

 これは、例えば、従来から多くの関係法人もあったわけでございますけれども、やはり十六年七月に機構になりましたときに、思い切って再編合理化をいたしまして、数もぐっと絞りましたし、あるいはその間の契約形態も整理をいたしまして、実施をしてきた。

 ただ、先生御指摘のとおり、随契が大変多い。これは、代行、補完業務でございますので、やはりそれだけのノウハウあるいは実績を持った者が転籍していくわけでございますから、そこにやっていただくことが大変便利だということもあるわけでございます。ただ、片方で、やはり随意契約が多いということは大変多くの批判を受けるということにもなっておりますので、この前の規制改革会議の五月三十日の答申等でも御指摘いただきましたとおり、競争性の確保、あるいは本当に補完、代行として真に必要なものかどうかといったような精査は今後とも十分やってまいりたいというふうに思っております。

細野委員 アウトソーシングということなんですが、もう一つ資料をつけておりますので、理事長、それをごらんください。

 この資料は、URの分譲住宅に住んでいる方が最近受け取った資料です。私は、URに住んでいる方から、知り合いが結構いるものですからいろいろな話を聞きまして、こういうものが入っていて、住人からするとよくわからぬ、これでどうなるのか不安も感じている、そんな話もありました。

 これは何が書いてあるかというと、これまでUR自身が管理をしてきて、それを一部、財団法人住宅管理協会へ委託をしてきたのを、これからは全部業務を委託します、丸投げしますということが書いてあるわけですよね。

 丸投げというのは一体どういうことなのかということで、いろいろURさんに聞いたんですが、この住宅管理協会にはURから、平成十九年、二百六十七人も出向されている。これはURさんから数をいただいた数字ですので、実際のところです。役員は、トップの方はたしか国土交通省からの天下りだったかと思いますが、そのほかはほとんどURから来ている。ほとんど全員ですね。

 こういう中で、財団法人住宅管理協会というのは、URから見るとどういう組織なのか。ちなみに、この財団法人の資料を見ると、住宅管理受託業務もやっているけれども、一方で、調査研究業務で、何か住宅の管理についての研究もやっている。どういう研究をしているのかよくわかりませんが。管理要員の教育訓練もやっている。最後は、保険業務もやっている。

 さっき理事長は民間とおっしゃいましたけれども、財団というのは公益法人ですよね。完全な天下り団体です。ここに仕事を投げるということの適正はどうなんですか。

 要するに、URが実質的にすべて人も派遣をして支配もして、URの仕事を受けて財団がやっていて、そこからさらにどんどんほかの企業にも回っている、ファミリー企業に回っているわけですよね。ここの存在をURとしては変えようという気にはならないのかどうか、まず御答弁をいただきたいと思います。

小野参考人 財団法人住宅管理協会は、もともと私どもが公団時代から賃貸住宅を管理するための公益法人ということで発足をいたしました。それが現在も続いているわけでございます。

 先ほど申し上げましたように、私ども、賃貸住宅部門の計画あるいは管理等も含めまして、恐らくUR全体として九百人ぐらいの管理要員しかおりません。とても七十六万戸の管理をやっていくことはできないわけでございまして、住んでいる方々の居住の安定あるいはサービス水準を下げるということはできませんので、これを維持するために、やはり外部の力をかりて管理をしていただくということでございます。

 私ども機構は、本当に、基準をつくるとか、あるいは滞納者が出たとすれば滞納の督促の基準をつくるとか、あるいはシステムづくり、建てかえ計画といったような最小限、それ以外は外部にアウトソーシングする、その一環の中で、もともと公団時代の賃貸住宅を管理するために発足をいたしましたこの財団法人を利用している、こういうことでございます。

 お手元の赤坂住宅管理センターの件でございますが、先生、いろいろな私どもの賃貸住宅を見ていただいているということで、私ども大変ありがたく思っているわけでございますが、これは赤坂住宅で、百三十戸弱の単身用の、特に女性の単身用の住宅でございます。これは、現在、建てかえを計画いたしておりまして、既にその折衝業務に入っているわけでございますが、その一階と二階に赤坂住宅管理センターというのを置いておりました。

 この赤坂住宅管理センターは私どものあれでございましたけれども、アウトソーシングの一環として、六月一日を期して財団法人の住宅管理協会にお任せをする。その建物は、たまたま建てかえの計画があるわけでございますので、この際、管理協会に委託をするということを機に、この赤坂住宅管理センターがほかに移ったわけでございます。それが、先生御指摘の資料の住宅管理センターの移転先として書いてあるところに移ったということでございまして、業務としては同じものを引き続きやっているということでございます。

細野委員 時間もありませんので、理事長、申しわけないんですが、簡潔に御答弁ください。

 もう一つ伺いたいんですが、住宅管理協会は、契約ベースで百九十五億、実際の金額としては、予備的調査によると百八十九億、年の入り繰りなんかもあるんでしょうが、それで括弧で書いていますね。ある程度これは数が合うんですよね。

 よくわからないのが、三番目の日本総合住生活というものでして、契約ベースでいうと百四十三億なんだけれども、予備的調査によると、URにかかわる仕事ということになると九百八十億。大変膨れ上がるんですよね。URさんからいろいろ聞いているところだと、要するに、こういうファミリー企業間でのやりとりが相当多くて、それがここに行っているのではないかという話もありました。

 まずお伺いしますが、財団法人住宅管理協会は、本当に住宅の管理をやっていますか。私の知るところでは、住宅管理協会がやっていることにはなっているけれども、ここの担当者を見たことがない、違うディベロッパーの会社が、一緒にやっているところの人が管理をやっていますよという話、結構ありますよ。要するに、一回受けているけれども、ファミリー企業や他のところに丸投げしているところが相当あるんじゃないですか。URとしてその辺をどう認識されているか、現状認識を伺います。

小野参考人 財団法人住宅管理協会の業務で、みずから全部住宅管理協会の職員がやるということは、ちょっと現実的ではない。例えば、いろいろな業務があるわけでございますけれども、現場の管理業務、これの中でも、いろいろな、督促状の発送等、民間でできるものは民間に全部お任せをするということで、ただそれは丸投げということではちょっとないと思います。きちっと管理者である住宅管理協会に私ども委託をいたしますが、私どもの了解のもとに、一部の専門的な業務を、管理協会は受けた後、第三者にやらせるということはあるわけでございます。

細野委員 時間もないので、簡潔にと申し上げましたので、お願いします。

 いいですか、いただいた資料だと、この財団法人住宅管理協会から日本総合住生活に対するものだけで八百七十八億円ありますよ。一部とかそういうレベルではなくて、要するに、このビル、このマンションを含めて、もうそのままスルーして出しているところが相当ありますよ、数字から見ると。こういうことを許しているから、ファミリー企業で天下り先にお金を投げているだけじゃないかということになるんじゃないですか。

 時間もないので、理事長に二つお願いをします。

 一つは、ファミリー企業間でどういう取引があるのか、URから出していただいていませんので、きちっと出してください、これが一つ。

 もう一つは、この財団ですね。さっきURと一体として任せているんだという話がありましたが、ほかの民間企業はデータがある程度出てきていますが、この財団だけ、公益法人ということで、財務諸表もいただきましたが、ほとんど何も書いていない財務諸表、何が書いてあるかよくわかりません。どういうお金の動きがあるかさっぱりわかりません。役員の報酬は幾らなのか、内部留保は幾らあるのか、一体経費として何がかかっているのか、全然わかりません。これは財団ですし、大事な、実際に税金が入っている団体ですから、財務諸表の公開、きちっとわかるものを出していただく、このお約束をこの場でいただきたいと思います。

 お願いします。

小野参考人 財団は、確かに、ここにございます四つの関係法人、子会社の財務状況とは違った財務基準で経理をしているわけでございます。

 私どもも公開性の原則を大変大事だというふうに考えておりまして、できるだけ多くのものを公開するというふうにいたしておりますけれども、例えば、一般的に財務諸表として公開すべきもの、PLとかBSとか、キャッシュフロー計算書とか、一般的なそれ以外の利益処分の書類といったようなものについてはもちろん可能性があるわけでございますが、それ以外の、例えば法人税法等に基づく書類等ということになりますと、個人の会社と目的が違うということもございまして、これはなかなかあれでございますけれども、ただ、できるだけ、先生御指摘のような財団法人、あるいは民間企業、関係法人につきましても、情報公開には一層努めていきたいというふうに思います。

細野委員 いいですか、理事長、いただいた財務諸表によると、一年間の収入の二百三十七億のうち、事業費等の事業収入が百九十九億、収入はそれしか書いていないんですよ。支出は、事業費が百六十七億としか書いていないんですよ。何もわからないんですよ、これでは。これだけ天下っていて、理事長も国土交通省から天下っています、役員も全部URの皆さんです、URでお金を流しています、しかも公益法人です。

 出してください。今のではちょっと納得できませんので、きちっと御答弁ください。

小野参考人 住宅管理協会、公益法人についての資料につきましては、できるだけきちっと御理解をいただけるような形で努力をしたいというふうに思います。

細野委員 では、お約束いただいたものとして、国会延長もされるんでしょうか、ちょっとわかりませんが、当内閣委員会は内閣に関する超重要事項である天下りを所管しておりますので、ぜひ出していただいて、さらなる審議をしてまいりたいと思います。

 残り五分になりましたので、やりたいことがたくさんあったんですが、最後に、日本総合住生活について、一つだけ伺いたいと思います。

 この機関については、参議院の方で尾立委員も盛んに審議をさせていただいておりまして、ここは、社長さんが、これも国土交通省から行っていますね。そして、役員の方が、皆さん、これもURから行っておられる。これも、完全な天下り子会社ということになります。

 それで、確認なんですが、この日本総合住生活という会社は、URが持っている駐車場の相当数を管理しているというふうに伺っています。私も幾つか見に行った物件、外から見てもすぐわかります、JSと書いてあるんですね。駐車場はほぼ例外なくここが管理をしていたやに把握をしておりますが、全体のうちのどれぐらいをこのJSが管理しているのか、お答えをいただきたいと思います。

小野参考人 借り上げ公営等の一部を除きまして、駐車場経営はJSがほぼ、九九%行っております。台数で申しますと、三十四万四千七台、このうち、三十三万九千九百台はJSに管理を委託いたしております。

細野委員 この問題は何度か尾立さんの方で質問主意書も出していまして、なぜJSに委託しているんですかということに関しては、安定的な駐車場の供給、効率的かつ機動的な実施により、随意契約ですべてやっています、九九%、そういうふうに書かれているんですね。もう一つ、経費はどうなっていますかということに関しては、経営可能経費でやっています、そういう質問主意書に対する答えが出ている。つまり、できるだけコストを落としてやってくれているので、一番ここが安いんですと。

 経営可能経費、それには駐車場設備の償却費、舗装等の修繕費、清掃、違法駐車、要するに、それをすべて積み上げるとこの値段でやっているので、ここの日本総合住生活というところはもうけがないんですよということを質問主意書で答えていますが、この認識は今も変わりませんか。

小野参考人 私ども、総合住生活に駐車場の経営を委託しているわけでございますけれども、ほとんど利益はないという試算をいたしております。ただ、これは試算でございますので、いろいろな前提がございます。

 例えば、JSの本社経費を駐車場部門にどう割り振るのかということを個別の独立会計としてやってはおりませんので、あくまでも、このぐらいの本社経費のうち、このぐらいの部分は駐車場の管理に充てている、それだけの人件費は使っているだろうという前提でやりましたところ、平成十七年度では、私ども、総合住生活の試算では、大体九千万の赤ということでございます。

細野委員 九九%管理をしているので、赤というお答えなんですけれどもね。

 今回、先ほどの財団法人の方は資料をほとんど出していただけなかったんですが、ここの日本総合住生活については財務諸表を出していただいて、貸借対照表もいただいているんですね。

 それによりますと、この日本総合住生活は、大体年に二十億円ぐらいの利益を上げているんですが、何と利益剰余金として、いわゆる余剰金、内部留保ですね、五百二十億も持っているんですよね。五百二十億、利益の二十五年分ぐらいを内部留保で持っているんですよ。こんな企業はありませんよ。これは何なんですか。もうけていない、もうけていないとおっしゃるけれども、ぼろもうけしているじゃないですか。ため込んでいるじゃないですか。

 いいですか、URがこれだけ赤で、税金を入れて、天下り先に五百二十億もたまっているなんということが、国民から見て認められると思いますか。説明してください。

小野参考人 確かに、資本金五十億で、かなりの剰余金があるわけございますが、これは、過去の長い間の利益の積み上げで、本来、五十億の資本金、過少資本でございますので、公認会計士等も、これを資本金に繰り入れすべきだということで、現在は三百億の資本に対して二百五十億の利益剰余金ということになっております。

 駐車場の管理が過去大変問題になりましたときに、例えば、私どもがJSに貸す土地の代金が安いんじゃないかというような御指摘とか、あるいはもうちょっと効率的にJSが駐車場管理をしたらどうだというようなお話もございまして、思い切って、私どもが貸す土地の賃料、使用料を上げました。また、JS自体にも、もともと団地の経営ということで利益が上がってきたわけでございますから、還元をするような、還元基金をつくりまして、それによって、駐車場のみならず、近隣の団地の生活の向上のための利便施設の充実とかいうようなことに基金として還元をするということにいたしておりまして、現在は、それに基づいてきちっと処理をしているところでございます。

細野委員 今の言いわけは、五百億のうち百五十億基金をつくって、それをできるだけ還元するということなんですけれどもね。

 最後に、理事長に一言だけ申し上げますね。

 URは、事あるごとに利用者、利用者と言うんですよ。入っている方の安定した住環境は大事ですよ。大事ですけれども、もう一つURが忘れているのは、国民が税金を出しているということなんですよ。財投も入っているということなんですよ。そこには、このファミリー企業の状況というのは、到底国民には理解されない現状があると思いますよ。

 最後にそのことを申し上げて、この国会でもう少し私はきちっとこの問題をやりたいと思いますから、再度委員会に来ていただきたい。そのことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

河本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、総合研究開発機構法を廃止する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。大田国務大臣。

    ―――――――――――――

 総合研究開発機構法を廃止する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大田国務大臣 総合研究開発機構法を廃止する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 総合研究開発機構は、現代の経済社会及び国民生活の諸問題の解明に寄与するため、総合的な研究開発の実施及び助成等を行うシンクタンクとして、昭和四十九年に設立された認可法人であります。

 本法律案は、平成十七年十二月に閣議決定された行政改革の重要方針を踏まえ、特殊法人等の改革等の一環として、総合研究開発機構法を廃止し、認可法人である総合研究開発機構を財団法人とするための措置を定めるものであります。

 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。

 第一に、総合研究開発機構法を廃止することとしております。

 第二に、認可法人である総合研究開発機構を平成二十年三月三十一日までに財団法人へと組織変更するとともに、機構に対する政府の出資金を無利子貸付金に振りかえ、八年以内に割賦償還させるために必要な規定等を整備するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

河本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十八分散会


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