衆議院

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第7号 平成19年11月28日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年十一月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中野  清君

   理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 萩生田光一君

   理事 村田 吉隆君 理事 大畠 章宏君

   理事 平岡 秀夫君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚  拓君

      加藤 勝信君    木原 誠二君

      河本 三郎君    高市 早苗君

      戸井田とおる君    土井  亨君

      中森ふくよ君    西村 明宏君

      藤井 勇治君    御法川信英君

      泉  健太君    河村たかし君

      吉良 州司君    楠田 大蔵君

      佐々木隆博君    西村智奈美君

      石井 啓一君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官兼大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長)     西  正典君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 二郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   丸山 剛司君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   米村 敏朗君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           関口 幸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤田 明博君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           谷口  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道上 浩也君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    佐藤 憲雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    長尾 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         林田  博君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      松本 和良君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     近江屋信広君

  市村浩一郎君     河村たかし君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     御法川信英君

  河村たかし君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     河本 三郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告申し上げます。

 去る一日、議長より本委員会に送付されました、議員平岡秀夫君外百十二名からの国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の要請につきましては、理事間の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る二十二日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。

     ――――◇―――――

中野委員長 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官兼遺棄化学兵器処理担当室長西正典君、大臣官房審議官荒木二郎君、政策統括官丸山剛司君、男女共同参画局長板東久美子君、食品安全委員会事務局長齊藤登君、警察庁長官官房長米村敏朗君、生活安全局長片桐裕君、外務省大臣官房参事官廣木重之君、文部科学省大臣官房審議官関口幸一君、前川喜平君、研究開発局長藤田明博君、厚生労働省大臣官房審議官村木厚子君、木倉敬之君、医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、社会・援護局長中村秀一君、農林水産省大臣官房審議官谷口隆君、道上浩也君、水産庁漁政部長佐藤憲雄君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、電力・ガス事業部長西山英彦君、特許庁総務部長長尾正彦君、国土交通省大臣官房審議官菊川滋君、大臣官房技術参事官林田博君、総合政策局次長北村隆志君、自動車交通局技術安全部長松本和良君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、運用企画局長高見澤將林君、経理装備局長長岡憲宗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中森ふくよ君。

中森委員 おはようございます。自由民主党の中森ふくよでございます。きょうは、お時間をちょうだいいたしましてありがとうございます。

 本日は、食の安全について集中的に質問させていただきます。

 まず、遺伝子組み換えの植物が国内各地に自生した件について質問をいたします。

 去る十一月十一日、滋賀県を御訪問された天皇陛下が、全国豊かな海づくり大会において、北アメリカ原産のブルーギルという淡水魚が琵琶湖に繁殖していることに大変心を痛めているという御発言がございました。

 また、荒れ地を手早く緑化したり、この手早く緑化というところがみそなのでございますが、また、崩れやすい土壌を固定する等の理由で、シナダレスズメガヤ、こう呼ばれる、やはり南アフリカ原産の多年草が植えられ続けてきたんです。また、そのことで近年、利根川水系の河川敷でシナダレスズメガヤが野生化し、在来の植物が圧迫されているという事実がございます。

 二〇〇五年六月、特定外来生物被害防止法の施行により外来種対策が講じられましたけれども、既に小笠原諸島では、グリーンアノールというトカゲが、小笠原の固有種である昆虫を捕食いたしまして壊滅的な打撃を与えていると言われております。グリーンアノールは戦後の運搬物資に混入していたとされておりますけれども、世界自然遺産の登録を目指しております小笠原諸島の生態系を直撃いたしまして、一説には、小笠原の固有種の五六%が既に絶滅の危機に直面していると報じられております。

 さて、遺伝子組み換え植物に関しても同様の問題が起こる可能性があると存じます。先日、特定の除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換えの菜種が全国十一府県で自生していると報道されました。お手元の地方紙の新聞で、埼玉新聞でございますけれども、モンサント社の品種が、組み換え遺伝子が発見されたということでございます。港での陸揚げの際や輸送の途中で種がこぼれ落ちて自生してしまったと見られております。三重県内では、国道付近の畑のあぜ道や水田でも確認されていると報じられています。

 この遺伝子組み換えした菜種が在来品種と交雑いたしますと、在来菜種の遺伝子汚染の可能性が高まり、また、生態系や農業への深刻な被害が及ぶと懸念されておりますけれども、このまま自生を野放しにする場合には、かなりのスピードで田畑に遺伝子組み換え植物が侵入することが考えられます。

 そこで、お伺いをいたします。

 予想のできない被害が発生する前に、組み換え植物を根絶し、田畑への侵入を阻止する早急な対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。また、遺伝子組み換え植物については、都道府県に回収を指導するなど何らかの対策を講じられているのかどうか、お伺いをいたします。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 遺伝子組み換え農作物につきましては、カルタヘナ法に基づきまして、我が国の野生動植物等に影響を及ぼすおそれがないことが確認されたもののみ、今御指摘のこぼれ落ち等により野外で生育する可能性というものも含めまして、品種ごとに流通また栽培というものが認められておるところでございます。御指摘の件につきましても、カルタヘナ法に基づきまして確認をされたものが自生をしたというものでございまして、現時点では我が国の生態系に影響を与えることはない、かように考えておるところでございます。

 ただ、農林水産省といたしましても、こうした実態を把握することが重要であると考えておりまして、平成十八年度から、主要な輸入港、幹線道路等におきます菜種類の生育の実態、また生育時点での遺伝子組み換え西洋菜種とその他の菜種類との交雑の有無等の実態、これらを把握するための調査を実施し、また公表をいたしておるところでございます。

 平成十八年度の調査では、鹿島港、千葉港、博多港等の五十二地点でカルタヘナ法に基づき承認をされた遺伝子組み換え西洋菜種を確認いたしましたけれども、カラシナ及び在来菜種といいました近縁種との交雑というものはなかったという結果が得られているところでございます。

 農林水産省といたしましては、引き続き調査を行いまして、遺伝子組み換え西洋菜種の生育域が経年的に拡大するのか否かなどにつきまして検討いたしまして、我が国の生物多様性への影響の有無というものを評価することにいたしておるところでございます。

 以上でございます。

中森委員 ありがとうございます。

 ただ、港の周りは相当な勢いでこの遺伝子組み換えが広がっていると思われるわけでございます。平成十九年の六月、ことしでございますけれども、フランスのカン大学というところで、遺伝子組み換えのトウモロコシからネズミの肝臓に異変が起きて毒素が発見されたという発表もございますので、引き続き、研究という意味では後追いの調査をお願いしたいと思います。

 それでは次に参ります。

 遺伝子組み換え種にまつわる特許権の侵害そして訴訟についてお伺いをいたします。

 アメリカでは、遺伝子組み換え菜種に特許権を与えた結果でございますけれども、主に大農場を持つ農民に対して特許権侵害の告訴が相次いでおります。カナダの穀物商社も一人の農民を裁判所に告訴いたしました。この穀物商社が発明した遺伝子組み換え種を盗み、特許を侵害したという理由でございます。実際のところは、輸送中に同社の種がこぼれ、被告の農場でそれが自生してしまったようでございますけれども、農業は自然とともにあるわけでございまして、風や昆虫、数々の種をそういったものが運びます。また、それが自然界の法則でもあるわけでございます。しかし、そのような場合であっても特許権の侵害に当たるという恐るべき判決になっているわけでございます。つまり、先ほど申し上げた遺伝子組み換え植物が在来種に及ぼす問題のほかに、特許権の侵害という別の懸念が生じるわけでございます。

 そこでお伺いをいたします。

 輸送中にこぼれた遺伝子組み換えの種が日本の国内の農家に一部自生したという悪意なき事情でございましても、日本で特許権侵害の審判提起、つまり裁判が可能なのかどうか、特許庁の方からお伺いしたいと思います。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきまして特許権が侵害されているか否かにつきましては、最終的には司法において総合的に判断されるものと考えておりますけれども、仮に日本におきまして農家が特許権侵害の警告を受けた場合が考えられますが、この農家がとり得る一般的な手段といたしましては、主に、特許無効審判を請求すること、あるいは損害賠償請求権等の不存在確認の訴訟を起こすことが考えられます。

 まず、特許法第百二十三条におきましては、何人も特許無効審判を請求することが可能とされておりまして、例えば新規性あるいは進歩性の要件を満たしていないなどなど、同条に規定しております無効理由に該当しまして当該特許権を無効にすべき旨の審決が確定した場合には、当該特許権は初めから存在しなかったものとみなされることになります。

 また、農家が大企業の特許権を侵害しておらず、差しとめ請求や損害賠償請求等の対象にならないことを確認するためには、民事訴訟におきまして差しとめ請求権及び損害賠償請求権等の不存在確認の訴訟を起こすことが考えられるかと思います。

 以上でございます。

中森委員 ありがとうございます。大変バランスのとれた御回答をいただきまして、ほっといたしております。

 次に参ります。

 日本では、新しい品種に対しまして品種登録制度がございます。種苗法で、新品種の保護と育成を目的としているということが法律に掲げてございますけれども、そこでお伺いをいたします。

 遺伝子組み換え植物が種苗法に基づき仮に品種登録されてしまった場合でございますけれども、例えばその種が風に乗って伝播をいたしまして、一般の農家で自生したり交雑してしまうことも考えられるわけでございます。このような場合、農家が育成権の侵害で訴えられる可能性があるのかどうか、お伺いしたいと思いますが、農林水産省の方からお願いできればと思います。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような件につきましてでございますけれども、最終的には裁判所の判断ということになるわけでございますけれども、遺伝子組み換えの登録品種の種子や花粉が飛来して他の農家の圃場で自生、交雑してできた作物が、当該登録品種と形状、品質、耐病性などの形質が明確に区別されない場合でありましても、当該農家は通常、故意に育成者権を侵害したものではないというふうに考えられますので、種苗法上の刑事罰の対象とはならないというふうに認識しております。

 また、御指摘のようなケースにつきまして、育成者権者から不法行為に基づく損害賠償請求を受けたといたしましても、これもまた最終的には裁判所の判断ということではございますが、通常その利用行為は当該農家の故意または過失によるものではないというふうに考えられますので、その場合には賠償責任を負うものではないというふうに認識してございます。

中森委員 ありがとうございます。少し農家の方も安心できるのかなと思います。去年、私の親戚の米農家は、茨城なんでございますけれども、いろいろな問題があって農業をあきらめることにいたしましたが、こういった心配が尽きないということを常々申しておりまして、きょうは本当にバランスのとれたお返事をいただき、感謝いたします。

 次に申し上げます。

 もう一つ、遺伝子組み換え種の特許権に対する制限についてでございます。

 カナダでは、特許権を持った穀物商社が農家に勝訴いたしました。農家は必ずしも安くない特許料を支払いながら農業を続けざるを得ないという状況が生まれました。日本でも同様の訴訟が起こることを考えておかなければならないと思うわけでございます。このような訴訟が日本で起きた場合、大きいといっても日本の農家は小規模でございます、生計は成り立たず、今以上の離農を促し、結果的には食料自給率の低下を招くことにつながりかねない、こう思うわけでございます。また、遺伝子組み換えの種しか栽培できない状況も起きてまいります。日本の食卓が一部の穀物商社に支配され、遺伝子組み換え食品しか口にできないという深刻な問題をはらんでいるものでもございます。このような訴訟が日本で提起される前に対策を講じておく必要があると思います。

 そこで、お伺いをいたします。

 工業製品と食品での特許の違いがございましても不合理ではないと思いまして、種などの植物、また食品関連につきましては、特許だけが先行することなく、何らかの制限を設けるべきであると考えますが、いかがでございましょうか。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の特許制度につきましてでございますけれども、特許制度そのものが、発明の保護、利用を図ることによりまして、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的としているものでございまして、産業上利用できる発明であれば、技術分野を問わず、横断的に特許を受けることができることとされております。もちろん、食品分野につきましても、他の産業分野と同様に、新商品の開発や、あるいは安全性の確保等の面におきまして技術の活用が重要でございます。食品分野の産業発展には技術の進歩が不可欠であるとも言えるかと思います。

 そうした中で、食品につきまして特許を受けることができないこととすることは、独創的な食品につきまして、かえって開発意欲を喪失させ、食品分野の研究開発活動を萎縮させてしまうおそれもございますので、食品分野の産業発展を阻害することも逆に考えられます。

 加えまして、知的所有権の貿易関連に関する協定、TRIPs協定というのがございますが、それの中では、産業上の利用可能性があれば、いかなる技術分野の発明であっても特許の付与対象としなければならないとの原則も規定されております。これを受けて、主要先進国では食品についての発明を特許の保護対象としております。

 以上、考えますと、食品分野の発明について特別に特許の保護対象から除外する等々、一定の制限を加えることは必ずしも適当ではないのではないか、こういうふうに考えてございます。

中森委員 ありがとうございます。

 ある国では、今まであった品種、アマゾンとかそういったところで発見された品種を登録して、そしてそれを特許申請するという状況が起きております。日本では、今まであるそういった種とかいったものについては登録対象になっていないということでございますが、通告していないんですけれども、ちょっと確認させていただいてよろしいでしょうか。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 種につきましても、特許法の要件の対象になるものでございましたら特許権の付与ということになると思いますので、当然審査対象になろうかと思います。

中森委員 ごめんなさい、ちょっと説明が悪かったんですけれども、新しい品種として、在来、ずっとあったものを、他国では、例えばアマゾンから持ってきて、それを登録して特許権の申請をするということが可能になっておりますけれども、日本の場合は、今まである品種、在来種については特許の対象になっていないというふうにお聞きしておりますけれども、その確認をしたいということを申し上げたのでございますが、ごめんなさい、これは通告していないので、もしあれでしたら。

長尾政府参考人 今委員お尋ねの件につきましては、後ほど確認いたしまして資料を提供したいと思います。

中森委員 ありがとうございます。

 それでは次に参ります。

 食品表示の規制についてお伺いをいたします。

 現在、食品表示を規制する法律は、農林水産省、また厚生労働省、経済産業省、公正取引委員会と、JAS法、食品衛生法、不正競争防止法、景品表示法などなど挙げられるわけでございますが、さて、消費期限と賞味期限、品質保持期限だけでも、違いをはっきり理解している人は国民の中で多いとは言えないと思います。その上、四つの省庁がそれぞれに管轄しておりますので、国民からは大変わかりにくくなっております。

 一方、苫小牧のミートホープ社の内部通報は、およそ一年前に農林省所管の食品一一〇番に連絡が入っていました。牛肉ミンチの偽装、赤福、船場吉兆等、それぞれの事件で状況は異なりますけれども、食の安全を守るための危機管理をもっと徹底すべきと考えます。

 そこで、お伺いをいたします。

 農林水産省所管のJAS法、厚生労働省所管の食品衛生法、経済産業省所管の不正競争防止法、公正取引委員会所管の景品表示法等、四つの省庁の連携強化について、安全を徹底していくという上で今後どのように取り組んでいらっしゃるのか、泉大臣のお考えをお聞かせいただきたく存じます。

泉国務大臣 最近の食品企業によります偽装などの不祥事は、まことに許せない、国民の食に対する不安をあおるわけでございまして、厳重に責任を自覚してほしい、このように思っております。

 現在の食品安全行政は、委員御承知のように、食品安全委員会がリスク評価を行っておりまして、農林水産省、厚生労働省がリスク管理を行うという役目をそれぞれ分担しております。それらのほかに、事業者あるいは消費者の関係の皆さん方と一緒に、相互の幅広い情報交換でありますとか意見の交換を行うリスクコミュニケーションという形で安全行政をつかさどっておるわけでございまして、今般の一連の食品偽装につきましても、厚生労働省、農林水産省のリスク管理機関において、JAS法でありますとかあるいは食品衛生法に基づく適切な対応がなされておるものという理解をいたしております。

 なお、これから、食品安全担当大臣といたしましても、関係大臣やその他皆さん方との連携を強めまして、的確な食品安全行政を実施してまいりたいと考えておるところでございます。

中森委員 ありがとうございます。

 実は、この間、ミートホープ社のミンチがJAS法ではひっかからないで、詐欺容疑ということで逮捕されたと新聞で拝見しましたけれども、この辺の穴埋めといいますか、ミンチでも大丈夫なように法改正をしていただけるんでしょうか。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 牛ミンチの事案など一連の不祥事が起こりまして、消費者の信頼を揺るがすようなことで、大変私どもとしても遺憾であるというふうに考えております。

 農林水産省といたしましては、こうした状況に対応するために、本年八月からでございますが、食品表示一一〇番の対応マニュアルといったようなものの見直しをいたしまして、都道府県の保健所、また都道府県のJAS担当部局、それと農政事務所との定期的な情報交換会の開催等によります連携の強化というのを図っておりますし、また、国民の皆さん方からの情報提供に対しまして迅速かつ適切に対応いたしまして、JAS法に違反する事実が判明した場合には厳正に対応することといたしておるところでございます。

 さらに、十一月に警察庁と食品偽装事案に関する連携協定というのを締結いたしまして、警察が行われます捜査と、それから農林水産省が行う調査がより効果的に進むよう連携の強化を図っているところでございます。

 今議員御指摘のミンチの関係でございますけれども、加工食品の原材料の業者間取引につきまして、これまではそういったところにJAS法の網がかかっておらなかったものですから、御指摘のとおり、ミートホープにつきましてはJAS法での処分ができなかったという事案がございました。したがいまして、ちょっとこの反省も踏まえまして、JAS法の品質表示義務の対象にこれも加えることといたしまして、加工食品の表示についての信頼性を高めていきたいと考えております。来年四月からの施行を目指して、これは告示でございますが、作業を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 今後とも、こうした取り組みによりまして、食品偽装事案に厳正に対処して、消費者の信頼を確保してまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

中森委員 ありがとうございます。大変なお仕事だと思いますけれども、口に入るものであるだけに、よろしくお願いを申し上げます。

 続いて、アメリカ産牛肉の輸入条件緩和についてお伺いいたします。

 福田総理が就任後初の外遊を終えられまして、十一月二十二日、帰国されました。アメリカでは、ブッシュ大統領と牛肉をいただきながら、どうも種は神戸牛のようでございますけれどもテキサス産、日米首脳会議が行われ、安全保障や北朝鮮のテロ国家指定解除の問題などが話し合われたと伺っております。テロ新法や思いやり予算、普天間基地移転問題など、日米間には懸案事項が少なからず存在しています。しかし、毅然とした態度でお互い主張すべきは主張し、日本の食の安全を堅持したいと考えます。

 そこで、お伺いをいたします。

 この会談を受けて今後の輸入牛肉の条件等の見直しの流れなどはどうなるのか、お伺いをしたいと存じます。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 米国産牛肉に関しましては、本年の六月と、それから八月でございましたが、日米間の技術的な会合というものが二回開催をされました。その中で米国側から提供されました飼料規制やBSEに関する調査、監視等のデータにつきまして、現在日米共同で、その評価も含めた報告書の取りまとめ作業を行っているところでございます。

 これを受けまして、今後輸入条件を見直していくかどうかということの検討に入るわけでございますが、今申しました報告書の取りまとめ作業の結果を踏まえて今後対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。

中森委員 そうすると、今のところそのままだけれども、結果を踏まえて変わる可能性もあるということ。とりあえず今のまま。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま申し上げましたとおり、共同作業の結果を踏まえましてどういうふうになるかという判断をしたいと存じますけれども、本件につきましては、基本的に食の安全と、それから消費者の方々の信頼確保ということを大前提に、科学的な知見に基づきまして対応することが重要と考えておりますので、この辺は慎重にも慎重を重ねまして、厚生労働省とも密接な連携をとりまして、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

中森委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたけれども、本当に大変なお仕事をしていただいていると思っておりますので、どうか日本の国民のために食の安全にこれからも邁進していただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、高市早苗君。

高市委員 おはようございます。自由民主党の高市早苗でございます。

 それではまず、上川大臣にお伺いをしたいと思います。

 上川大臣には、少子化対策そして男女共同参画施策について特に強い関心を持って精力的にお取り組みと伺っております。まず、心から敬意を表したいと思います。

 私の方から上川大臣に引き継がせていただきました施策ですが、私の在任期間中に既に報告書等の形で仕上げておりますキャリア教育等推進プラン、食育推進国民運動の重点事項、女性の再チャレンジ支援プラン改定版、それから、内閣改造時にまだ作業継続中でございました子どもと家族を応援する日本重点戦略の策定、有害情報から子どもを守るための検討会中間取りまとめ、ワーク・ライフ・バランス憲章及び行動指針の策定、配偶者暴力防止法に基づく基本方針の策定であったと承知いたしております。

 以上、私の在任中に進めておりました施策について、方針を変更されたもの、または今後方針変更を予定されているものはございますでしょうか。

上川国務大臣 私が高市前大臣からお引き継ぎをさせていただきました四つの政策分野につきましては、いずれも子供たちの心と体の健康な発達と成長につながる大変重要な政策課題ということで認識しておりまして、いずれも着実な推進に努めているところでございます。

 ただいま変更点ということでございますが、若干簡単に、四つの御指摘いただいたことにつきましての取り組みの状況について御報告をさせていただきます。

 まず、子どもと家族を応援する日本重点戦略の策定ということでございますが、我が国における少子化の急速な進行の背景として、就労と結婚、出産、子育ての二者択一構造の存在があるという認識に立ちまして、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現、そして、多様な働き方に対応した保育サービス等の子育て支援の社会的基盤の充実、これを車の両輪として進めていくことが重要であるということで、年内の策定に向けての検討を進めているところでございます。(高市委員「変更点のみ」と呼ぶ)変更点。流れとしては、受け継いだところでの流れで進めているところでございます。簡単に進捗状況を御報告ということでさせていただきました。

 それから、有害情報から子供を守るための方策の検討ということでございますが……

中野委員長 質問して、もう一回聞いてください。

 では、高市君、どうぞ。

高市委員 丁寧に御答弁いただいているところ恐縮なんですが、もし変更点があればということで、それに限って御答弁をお願いいたします。

上川国務大臣 失礼いたしました。

 変更点はなく、流れの中で継続して検討をしているところでございます。

高市委員 最初から少しわけのわからない質問であったかと思うんですけれども、ただ、幹部に対しまして上川大臣の方から、前大臣がやっていたからそのまま引き続きやるというのは認めないといった旨の御発言、御指摘もあったと聞いておりますので。

 既にもう施策として決定して広く公表したものについては、今後大きな変更をされる場合、行政の継続性の点からやはり問題が出てくると思います。しかし、今ちょうど検討中で、上川大臣のもとで結論を得るような施策に関しましては、これは大いに上川カラーを出していただいて、伸び伸びと取り組んでいただきたいと思います。内閣府の長は内閣総理大臣でございます。安倍総理から福田総理にかわっておりますし、担当大臣もかわっておりますので、これはまた新たな内閣の中でしっかりとカラーを出していただけたらと思っております。エールでございます。

 私自身も前任大臣からいろいろ引き継ぎを受けましたときに、特に、大臣が担当される共生分野というのは個人の価値観というものが非常にさまざま、多様な分野だと思うんですね。ですから、私自身も前任大臣と少し価値観や考え方が違うかなと思った部分も正直、一部あったんですけれども、ただ、しっかり施策として時間をかけて取りまとめられたものについては継続性を大事にして大いに尊重し、その後、新規の施策として自分自身のカラーを出す努力をいたしましたので、精いっぱい御活躍をいただきたいと思っております。

 それで、今おおむね引き継いでいただいているという御答弁でございましたので、青少年有害情報対策について伺います。

 私の在任中から、この衆議院内閣委員会では、与野党議員より、青少年を有害情報から守るための法制度整備を求める声を多くいただいておりました。前総理のお許しをいただきまして、内閣府に、有害情報から子どもを守るための検討会を設置いたしまして、総務省、警察庁、文部科学省など、関係省庁担当者に集まっていただいて、年内を目途に中間取りまとめをする予定となっておりました。検討会に当時私が指示いたしました内容は、残忍な殺りくシーン等を含んだDVDやゲーム等への対応、それから、出会い系サイト、自殺サイト、家出サイト、わいせつサイト、ネット上のいじめ等への対策といったことでございました。

 上川大臣は、このネット上の違法有害情報、それから、過度に残虐な内容を含むDVDやゲームなどから青少年を保護するための法制度整備の必要性というものは感じておいででしょうか。

上川国務大臣 今、高市委員の方から御指摘がございましたさまざまな有害情報ということで、それの内容につきましても、大変残酷な殺りくシーンがあったりと、私も見ましたけれども、子供の健全な成長にとりましては大変厳しい有害情報がやはりまだまだはんらんしているということについては、ゆゆしいことであるというふうに思っております。

 そして、この間、青少年の育成施策大綱等におきましても、具体的な施策を中心に関係府省の連携という形での取り組みも進めているということでありますが、御指摘のような状況も踏まえまして、大臣のときに、有害情報から子どもを守るための検討会を新たに立ち上げて、そして取り組みについての施策を検討していくという方針が出されたところでございます。

 その中には、法制度ということにつきましても視座に入れるということでございますので、私としても、あくまで子供の視点ということを大切にこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 この間、世論調査の実施を内閣府はいたしまして、有害情報に関する特別世論調査ということで、新たな実態が浮き彫りになってまいりました。この中には、例えば携帯電話のフィルタリングの認知度でありますとか、そして、インターネット上の有害情報の規制に関しての世論ということになりますと、規制すべきである、あるいはどちらかといえば規制すべきであるというお答えが九割を占めているというような状況でございまして、一般的な要望も大変強いということでございますので、そうした御意見も十分に踏まえながら、あくまで子供の視点ということで、この法規制の問題も含めて検討をすべきであるというふうに私自身考えております。

高市委員 世論を受けてということでございます。

 この検討会、年内を目途に一度取りまとめをするように予定されていたんですけれども、それでは、具体的に法制度整備に至るレベルまで議論は進捗いたしておりますか。

上川国務大臣 年内を目途に中間的な取りまとめを進めていくということにつきましては当初の方針どおりということでございまして、この中には、申し上げましたとおり、法的規制を含めてどのような施策をとることができるかということについて幅広い見地から検討を進めているところでございます。

高市委員 現在、報道でも、有害情報による被害者、日々発生いたしております。政府でもしも法制度改正という形で成案が得られなかったという場合に備えて、与党内でも議員立法による対応、これも視野に入れて準備をしているところでございます。

 今、まだ政府側のタイムスケジュールというものはおっしゃれない状況でございましょうか。

上川国務大臣 年内を目途にということでの中間取りまとめについては鋭意検討を進めているということでございますが、いつということについては今申し上げることができないということでございます。

高市委員 もう一度確認させていただきたいんですが、法制度整備というところにまで最終的に踏み込まなければいけない、大臣はそうお考えでしょうか。先ほど、世論調査で規制を求める声があるということで、それを尊重される旨、お伺いしたかと思うんですが。

上川国務大臣 全般的な世論の動向も踏まえて、実態の部分も拝見させていただきながら、私としては、あくまで子供の視点という立場に立った取り組みの中には規制の問題も入ってきてほしいというふうに、個人的にというか立場的に思っております。

 政府の全体の取りまとめということは、この検討会で十分な議論を踏まえた上で、いろいろな形でのメリット、デメリットもあろうかと思いますので、いろいろな角度から検討していただいて、総合的な判断を専門家の皆様にも仰いで、そしてその上で、関係の省庁、また関係の大臣ともよく相談をしながら適切な対応をとっていくように努力をしていきたいと思っております。

高市委員 仮に、上川大臣も個人的にお考えいただいているように、法制度整備を含めた検討をするということになったときに、法律にするということになりますと、有害情報というものは何か、これをカテゴリーで分類した上で、それを法律に明示した上で、個別情報の違法性ですとか有害性ですとか、そういったものを審査するような機関が必要になると思うんですね。その場合は、恐らく国レベルの有害情報審査会といったものの設置が必要でありましょうし、公平性や公正性、それから権限というものを担保するためには、やはりこれは独立行政委員会といった位置づけが好ましいんだろうと私は考えております。

 また、削除の方ですけれども、現在は財団法人のインターネット・ホットラインセンターが事業者側に有害情報の削除依頼をいたしておりますけれども、これに応じない事業者もいるということで、もしも今後削除命令という形でこの業務をオーソライズするということになると、これも財団法人ではなく行政機関が行うべき仕事になるのではないかと思います。

 前半で申し上げましたような独立行政委員会といったようなものを仮に設置するといたしましたら、今行革が進んでいる中で、新たにこのような組織の設置というものは許容されるとお考えでしょうか。

上川国務大臣 今、高市委員から、与党の方で、自民党の方で議論していただいている状況につきましてお話をいただきましたけれども、そういったいろいろな課題がございますので、そういうこともあわせて検討会の方で議論していただきながら、先ほど申しましたように、関係の省庁、そして大臣ともよく相談をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

高市委員 上川大臣には以上でございます。御多用かと思いますので、どうぞ御退席ください。

 それでは、岸田大臣にお伺いをいたします。

 岸田大臣に引き継がせていただきました施策ですが、まず報告書等の形に仕上がっておりますイノベーション25、自殺総合対策大綱、国民生活における安全・安心の確保策について、消費者教育の体系的推進について、IT新改革戦略政策パッケージ、テレワーク人口倍増アクションプランなど、これは十七の報告書類がございました。

 それから、まだ作業継続中でございました犯罪被害者等支援に関する三つの検討会取りまとめ、障害者基本計画に基づく新たな重点施策実施五カ年計画の策定、高齢社会対策大綱の見直しに向けた検討、常習飲酒運転者対策の検討、個人情報保護過剰反応対策などでございます。

 非常にたくさんの引き継ぎをしてしまいまして日々お忙しいかと思いますが、以上の作業継続中であったようなものにつきましては、その後も検討、進捗されておりますでしょうか。

岸田国務大臣 今並べていただきましたように、大変多くの引き継ぎをさせていただきました。高市前大臣の敷かれましたレールをしっかりと引き継ぎまして、検討、議論は続けている現状でございます。引き続きまして努力をしたいと考えております。

高市委員 ありがとうございます。

 それでは、その中で、継続中のものなんですが、私の在任中に高齢社会対策大綱の見直しをするように指示いたしまして、七月二十四日から検討に入りました。現在の高齢社会対策大綱で対応し切れていない施策を充実させる必要を痛感したことが見直しを指示した理由でございます。

 例えば、老老介護疲れ、それから生活苦などによります無理心中、自殺といった問題、孤独死、それから災害弱者であります高齢者の保護体制が不十分なのではないかといった点、それから高齢者をねらった詐欺事件の多発、こういったものへの対応の視点も盛り込んでいただくようにお願いをしております。

 年内を目途に検討していただいているはずなんですが、進捗状況はどうでしょうか。今申し上げたような視点に対して明確な対応策というものが盛り込まれつつありましょうか。

岸田国務大臣 御指摘の高齢社会対策ですが、平成十三年十二月に閣議決定されました高齢社会対策大綱、これが策定後五年を経過したということで、経済社会情勢の変化等を踏まえまして中長期的な対策の見直しを行う、こういったことで、御指摘のような検討、見直しを行うことになったということでございます。

 これはもう高市前大臣在任中のことでございますので御案内のとおりでございますが、その検討の中で、御指摘がありました点、特に高齢者の意欲、能力の活用、そして高齢者の地域における孤立を防止するための家族や地域の支える力の強化、この点は特に前大臣が強調された点だというふうに引き継いでおります。この点を特に中心に据えながら議論を進めており、御指摘のように、年内に取りまとめるということでございます。

 御指摘の点も踏まえまして今議論を進めているということでありまして、できるだけ高齢者を初めとする生活者の視点を反映できるような内容に取りまとめていきたいと私自身考えておりまして、この議論の行方を見守っているところでございます。

高市委員 ぜひともしっかりお願いいたします。もう余り時間がございませんが、年内にいいものを提案されますことを楽しみにお待ちいたしております。

 次に、個人情報保護法による過剰反応対策。

 先ほど引き継ぎ事項として例に挙げさせていただきましたが、これは、個人情報保護法の内容が正確に理解されていないことに起因するさまざまな不都合が生じているんじゃないかということで、例えば、食中毒が発生したときに学校のクラス内の連絡網が不備で保護者への連絡がおくれたケース、それから高齢者や障害者の情報を消防団も把握していなくて災害時の救出がおくれたようなケースといったようなことによって、時には生命にかかわる問題も発生するんじゃないかというのが問題意識でございました。

 六月二十九日に関係省庁連絡会議を開催いたしまして、主に総務省の方から地方自治体に、地方自治体を通じまして関係者に、個人情報保護法の正しい内容、それから、つくっても差し支えない名簿類について周知を徹底していただくということになったと記憶いたしております。

 この周知徹底ですが、対象は自治会長であったり消防関係者であったり、民生児童委員であったり教員であったりというようなことで期待をしていたんですが、この周知徹底というのはもう終了いたしましたでしょうか。

岸田国務大臣 政府におきましては、御指摘の関係省庁連絡会議を六月に開催いたしまして、さまざまな対策を実施しているところですが、その中で、内閣府におきましては、自治体や民生委員、自主防災組織関係者等、個人情報の活用や保護に関心が高い方々を対象とした説明会、相談会を実施しているところであります。

 そして、十一月二十二日現在ですが、三十三都道府県におきまして、こうした説明会、相談会の開催を済ませておりまして、約九千人の皆様方に御参加をいただいております。こうした説明会、相談会、十二月中に完了することを目指して、今引き続きまして努力を続けています。

高市委員 先週末、私は奈良県の方に戻りまして、何名か、自治会長さん、それも連合自治会長さんですとか、それからまた消防団の方ともお話をしたんですが、そういった説明はまだ来ていないということで、これはかなり幅広く多くの人を対象に周知していただかないと効果の上がらないことかと思うんですけれども、対応は細かく十二月までにやっていただけるんでしょうか。

岸田国務大臣 十二月まで努力は引き続き続けたいというふうに思っておりますし、また、現在、三十三都道府県、九千人の皆様方に御参加いただいているというふうに申し上げました。要は、すべての関係者の皆さんに参加いただくというのは物理的に難しい面もございます。ぜひ、さまざまな分野、自治体や、民生委員等々、それぞれの分野において中心的になられる皆様方にまずはしっかりと御参加をいただき、そこからこうした問題意識を広めていただく、やはりこうした努力も続けていただかなければならない、そのように考えております。

高市委員 まさに、話を直接聞いていただいた方からその関係者に広めていただく、そこのところのお願いをぜひとも徹底していただきたいと思います。もしも、周知をしてもなかなか効果が上がらなかったというときには、この委員会でもいろいろ御指摘が出ていますように、場合によっては個人情報保護法を改正して、明確にこういう場合はいい悪いという判断がつくような条文にしていくというようなことも必要になってくるかと思いますので、まずは周知徹底を十分にお願いしたいと思います。

 それでは次に、私自身が非常に心配していることについて一つ伺いたいと思います。

 大臣は、ことし四月にエストニア共和国で発生いたしましたサイバーテロの件は御存じでございましょうか。

岸田国務大臣 概要につきましては、お伺いしております。

高市委員 エストニア共和国はIT立国を国策に掲げておりまして、電子政府の推進もいたしておりますし、ICチップ入りの国民IDカード、この普及など国全体の電子化を進めておりましたが、ことし四月に国外からのサイバー攻撃を受けまして、携帯電話網ですとか救急ネットワークですとか、国民生活基盤が大打撃をこうむるという事態が発生したと承知いたしております。

 平成二十三年度に政府が導入を予定しております社会保障カードなんですけれども、これもICチップ入りの国民が携帯するカードということで、エストニア共和国の国民が携帯している国民IDカードに類似したものになるんじゃないかと考えるんですね。

 同じような被害が日本で発生しては大変でございますので、私、ITを担当する大臣でもありましたので、ことし八月八日に安倍前総理に対しまして、まず、カードの制度設計については、厚生労働省だけではなくて、内閣官房情報セキュリティセンターなどの専門家も加えて一元的に責任を有する組織体制で行っていただくこと、それから、大学、研究機関の専門家から成る外部評価組織を設けて、設計、開発などの段階ごとに厳しいチェック機能を働かせていただくこと、そして、現実的かつ詳細な研究開発計画を至急策定すること、そして、導入までに十分な実証実験を実施すること、最後に、平成二十年度から本格的な予算措置、人員措置をすること、以上をお願いいたしました。

 組織体制につきましては、その後すぐに安倍総理の方で御対応いただき、今はかなり幅広く専門家も入れた検討体制になっているように承知いたしておりますけれども、そのほかの事項につきまして、現在どうなっておりますでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の社会保障カード導入に当たりまして、セキュリティー対策を適切に講じることはまず大変重要な点だというふうに認識をしております。

 平成二十三年度導入に向けて取り組み体制を構築していかなければいけないということで、御指摘のように、八月には内閣官房に暮らしの電子情報サービス推進室を立ち上げたところでございます。この推進室の中に内閣官房の情報セキュリティ補佐官を含め、情報セキュリティセンターの職員も室員として参加させる等々、人員につきましても工夫をしているところであります。あわせて、厚労省におきましても検討会を設置し、年内に基本構想を取りまとめる、こうした動きも進めております。

 こうしたさまざまな仕掛けの中で、まずは計画的な実施を図っていく、この点が大変重要だというふうに思っております。平成二十三年度の導入に向けて、こうした体制と、そして計画性を持って、利用者にとって安全なシステム、十分に留意したシステム、こういったものの構築に向けて努力していきたい、そのように考えております。

高市委員 ぜひとも、カード導入、平成二十三年度というと、もうあっという間に来てしまうと思いますので、十分に国民の皆さんが安心していただけるような形のものに、IT政策を担当される大臣としても十分に目を光らせていただいて、フォローアップをお願いしたいと思います。

 それからもう一つ、テレワーク人口倍増アクションプランというものをことし取りまとめております。これは、テレワーク、自宅からパソコンを通じて仕事をしていただけるような方をふやしていくということで、子育て中の女性の方ですとか、それから障害者団体からかなり大きな期待の声が上がっております。

 具体的な推進状況、特に来年度、どのような形になっておりますでしょうか。

岸田国務大臣 テレワークの推進ですが、本年五月に策定されましたテレワーク人口倍増アクションプランに基づきまして施策を推進しているところであります。

 具体的には、まず、テレワーク試行・体験プロジェクトということで、簡易なテレワークシステムを中小企業等に利用してもらい、テレワークの効果を体験してもらう事業ですが、十一月から一月にかけて実施をしております。参加企業約百社ということでこのプロジェクトを進めております。また、テレワーク環境整備税制の創設ですが、テレワーク関係設備の導入を行う者に対して、設備取得後五年度分について固定資産税の課税標準を三分の二とする、これにつきましては本年度より実施をしているということでございます。

 テレワーク人口倍増アクションプランに基づきまして、そのように具体的な施策を今進めているところでございます。

高市委員 岸田大臣の大きな御活躍を期待申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 先回の内閣委員会におきまして、私は、官房長官に対して人身取引の問題について質問をさせていただきました。その後、大変自分の不勉強を恥じるようなんですけれども、きちんとした人身取引に対する研究報告を国が行っていたということを知りまして、改めてきょうはその点について上川大臣にお伺いをしたいと存じます。

 先週お伺いしたときにも申し上げたんですけれども、日本という国は、人身取引においては大変な受け入れ国として、世界から、特に国連の委員会の方からも警告を受けておりますし、また、アメリカの国務省が毎年発表しております人身取引報告書において、そこで世界で人身取引を行っているとしている国を三つにランク分けされて、今現在はその真ん中の二等級なんですけれども、かつて二等級と三等級の間にある監視対象国ということにもランクをされていたり、非常に人身取引の面では人権を軽視しているということで警告を受け続けてまいりました。

 先進国の中でこのように二等級になっている国はほかにはありませんで、ぜひこの点を改善していかなければならないと思っておりますし、民主党の方からも被害者保護ということに着目をして法案を提出いたしておりますけれども、この人身取引の問題にかかわる国際社会のスタンスというのは、やはり基本的には被害者の保護と免責ということが中心になっております。

 供給側の、いわゆる末端で働かされている女性たちを取り締まるというよりは、まずは保護の対象としてきちんと調査などを行い、その結果として人身取引を低減させていく、なくしていくということが言われておるわけでありますが、日本でも人身取引対策行動計画を策定して取り組みを進められておりますけれども、やはり私はもう少し被害者保護の視点を強化すべきではないかというふうに考えております。そのことを改めて主張し、この点について上川大臣の所見を伺いたいと思います。

上川国務大臣 人身取引についての被害者保護の視点の強化という御質問ということでございますが、御指摘のとおり、人身取引は重大な人権侵害である、また国際的な組織犯罪であり、政府を挙げて対策を講じる必要があるというふうに認識しております。

 政府といたしましては、平成十六年の四月に人身取引に関する関係省庁の連絡会議を組織いたしまして、十六年の十二月には、御指摘がございました人身取引の防止、撲滅と、そして被害者の保護を含む総合的、包括的な対策として、人身取引の対策行動計画を策定しているところでございます。

 御質問の被害者保護の点についてでございますが、人身取引被害者への在留特別許可の付与、そして国際移住機関、IOMを通じた被害者の帰国支援など、また本年十月からは、人身取引事犯等を対象とした匿名の通報ダイヤルの運用を開始するというような形で、その強化に努めているというふうに思っております。

 こうした被害者保護の視点を含め、引き続き人身取引対策の推進を総合的に図っていくことが重要であるというふうに思っております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 やはり国際社会とアメリカなどのスタンスは、被害者の保護と免責、それと同時に、加害者側への禁止と処罰ということだと思います。ぜひ両面あわせて日本でも取り組みが進められていくように期待をしたいと思います。

 その一助となる研究報告書について伺いたいんですが、これは独立行政法人国立女性教育会館が科研費の補助を受けて行った研究成果報告書でありまして、「アジア太平洋地域の人身取引問題と日本の国際貢献」、こういうタイトルで、非常に中身の濃い、学術的にも独創的な調査研究、しかもいわゆるアクションオリエンテッドであるということで、非常に貴重な研究をしていただいたと思っているんですけれども、大臣もこの研究報告、ごらんになったと思います。

 実は、この研究の中で国会議員へのアンケート調査も行われておりまして、後ろの方にその内容も出ておりました。先ほどの被害者保護の点で言いますと、被害者保護を進めるべきだと回答していた国会議員は、男性議員よりも女性議員の方が多かった、比率としては非常に高かったというようなことも示されておりました。

 大臣、この報告書をごらんになったと思いますけれども、大臣は、これまで人身取引の問題、非常に高い関心を持って取り組んでこられたことと思います。どのような御感想をお持ちでしょうか。

上川国務大臣 ただいま御指摘がございました独立行政法人国立女性教育会館が実施した「アジア太平洋地域の人身取引問題と日本の国際貢献」のこの三カ年のプロジェクトについては、人身取引の需要と供給という構造の分析から始まり、現地のさまざまな調査も含め、また、ただいまのような議員へのアンケート調査という形で、体系的に科研費を使って取り組まれた大変密度の濃い報告書だというふうに私も思っておるところでございます。

 また、昨年、十八年の二月でございますが、外務省とこの独立行政法人国立女性教育会館、また国際移住機関、IOMの共同の主催によりまして、国連大学の方でこの件に関しての国際的なシンポジウムもとり行っているところでございまして、私もそれに参加をいたしたところでございます。

 こうした実態に対しての十分な調査をしっかりと踏まえた形で、先ほどの、総合的な施策の立案、またその実施に向けてのさらなる充実への大きなバックアップになる資料というふうに私自身思っておりまして、こうした視点の取り組みについてはさらに努力をしていただきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 この国立女性教育会館、ちょっと名前が長いので略称でヌエックというふうに呼ばせていただきますけれども、ヌエックは、そもそも、例えばこういう人身取引に関する国際的な調査研究を行っているのみならず、国内の生涯学習にも資する事業を行っている、そして国内の男女共同参画政策の推進に資する事業も数多く実施していると承知をしております。

 そこで、調べてみましたら、第二次男女共同参画基本計画、これは平成十七年の年末に閣議決定をされておりますけれども、この中で、四カ所にわたってヌエックの果たすべき役割ということが記載をされております。ヌエックは、女性教育会館と名前がついておりますこともあって直接の所管省庁は文部科学省ということになっておりますけれども、男女共同参画基本計画を推進する上で、その担当大臣である上川大臣がヌエックの役割に期待するところも大きいのではないかというふうに考えております。

 今後、男女共同参画基本計画を推進していくに当たって、どのような活動をこのヌエックが行うことを大臣は期待されておられますか。

上川国務大臣 男女共同参画基本計画の第二次、平成十七年の十二月に閣議決定されたこの内容について、この中で、ヌエックの役割については、大変充実した形でこれからも展開してほしいということでの施策の方向性をしっかりと明示しているところでございます。

 この国立女性教育会館、ヌエックは、国内外の女性の皆さんの教育のナショナルセンターとしての役割を果たしていると同時に、基幹的な女性教育の指導者の育成あるいは女性のチャレンジ支援のための情報提供あるいはDV問題教育プログラムの開発など、現下の大変厳しいさまざまな課題についても対応をしているということでございますし、また、アジア太平洋地域等の女性の皆さんのエンパワーメントの支援もしている、そういう意味ではアジアの中でのリージョナルセンターの役割も担ってきつつあるということでございます。

 また、女性の過去のさまざまな活動をアーカイブセンターという形で機能充実を図るなどの施策を展開しておりまして、そういう意味で男女共同参画社会の形成に資するための大変大きな拠点というふうに位置づけ、そしてその役割を果たしていただきたいと大変期待をしているところでございます。

西村(智)委員 大臣のその御感想を裏づけることになるんだと思うんですけれども、それぞれの独立行政法人についてはいろいろなところが評価を行っております。もちろん所管省庁の中にあります評価委員会も評価を行っていて、そちらの方を繰ってみましたら、このヌエックに対する評価はやはりよろしいんですね。AだけではなくてSもついていたりいたします。

 それで、これは総務省が設置している政策評価・独立行政法人評価委員会の評価年報なんですけれども、この中で、ヌエックの業務実績に関する評価で、私はこういう書き方というのは初めて見たんですけれども、非常に高い評価がされておりまして、「研修等の参加者から高い評価を得ており、全国の女性関連施設や団体及びアジア・太平洋地域等諸国からの支持や期待は高い。」こういうふうに書かれております。

 評価委員会の方から、例えばこういう活動を行うことを期待するですとか、こういう活動を行うように検討されたいというような記載はかなりあるんですけれども、いわゆる外部ですとか研修に参加した人たちからの支持や期待が高いというふうに特筆されているのは、私はちょっとほかのページも見てみたんですけれども、ヌエックだけだったように思うんですね。

 先ほど大臣は、アジア太平洋地域の中核としての機能を持つようにというふうにも御発言をされておりますけれども、ヌエックの国際社会における位置づけについて大臣はどのようにお考えになっているか、個人的な感想でも結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。

上川国務大臣 国立女性教育会館は、三十年の歴史のある、女性のさまざまな社会活動の拠点としての大変重要な役割をこの間果たしてきたと思いますが、同時に、アジア太平洋における女性のエンパワーメントの支援という観点からも大変力を入れて、その成果を上げていらっしゃるというふうに私自身感じております。

 先ほどの高い評価ということは、ヌエック自身が中期目標をしっかりと掲げて、そしてその目標に従って、今国際的な評価ということでありますが、アジア太平洋の女性のリーダーの方たちを研修したり、そしてシンポジウムをやったりというような活動をこの間積み上げてこられた、そうしたことが利用者から評価をいただいてきているということで、この努力に対して高い評価がなされたというふうに思っております。

 とりわけ利用者の評価が高いということについては、これは利用されなければ施設としての意味がないわけでありますので、そういう意味では大変前向きな評価が得られたというふうに、私自身は大変、これからもそうした視点を伸ばしていっていただきたいなというふうに思っております。

西村(智)委員 このヌエックですけれども、国内に向けての研修事業などだけではなくて、いろいろ国際的に大変大きな貢献をしている。例えば、JICAの指導者研修や情報能力向上のための研修、それからアフガニスタンの女性のエンパワーメントのための行政官研修などを通じて、国連で合意されておりますミレニアム開発目標の実現に大いに貢献をしておりますし、先ほど大臣おっしゃったアーカイブ、国際的な情報交流、情報発信、共同作業なども非常に積極的に行っている。

 つまり、ナショナルセンターとしてのヌエックがこれほどまでに国際的な活動をしているということは、とりもなおさず、日本が男女共同参画政策に極めて真剣に取り組んでいるということの証左にもなる。逆に言いますと、これが仮に国がやったものでないということになると、国際社会からは、日本の男女共同参画政策がいわば実質的には後退したことになるのではないかというふうに見られる、私はそういうことを考えているところなんです。

 そこで、昨今、独立行政法人の見直しが同じ内閣府の中の行政減量・効率化有識者会議というところで検討されているということで、昨日、その有識者会議が指摘事項をまとめられました。この中で、幾つかの独立行政法人が廃止をされるとか、あるいは統合が検討されているというようなことであります。

 指摘事項で幾つかの論点が挙がっているほかは、具体的な独法がどこがどうなるかというようなことというのはまだ公表もされておりませんし、年内に整理合理化計画ですか、これがまとめられる方向だというふうには聞いているんですけれども、三年前、平成十六年にこの独法の見直しがあったときにも話があったんですが、漏れ聞こえるところと、それからその三年前のことを勘案して考えますと、やはりこのヌエックが、もう一度いわゆる青少年関連の施設などとの統合、そして機能縮小ということがどうも検討されているのではないかというふうに聞くわけなんです。

 そこで、果たしてそんなことができるものだろうかと思って、この有識者会議の指摘事項というところを見てみたんですが、整理合理化計画の四つのポイントというのが挙がっておりまして、一つ目が事務・事業の見直し等、二つ目が法人の廃止、民営化、三番目が統合、他機関・地方への移管、四番目が非公務員化ということで、例えば、仮に統合ということになりますと、この項目の三つ目の統合というところに当たるわけなんですけれども、類似業務を行っている法人、これが統合の対象になると申しますか、「類似業務を行っている法人、融合効果の見込める研究開発法人、小規模な法人については、他法人との統合や他機関・地方への移管を行うべき」、こういうふうに記載をされているわけなんです。

 そこで、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、このヌエックといわゆる青少年機構ですか、そちらの方が類似している業務を行っているのかどうか。これは所管であります文科の方から参考人にお越しいただいていると思いますので、その点をまず一点確認したいと思います。

関口政府参考人 お答えを申し上げます。

 国立女性教育会館につきましては、平成十六年に中期目標期間の終了に伴う見直しが行われまして、今委員御指摘のとおり、独立行政法人に関する有識者会議、現在の行政減量・効率化有識者会議に当たる組織でございますけれども、ここから、青少年教育三法人、現在の青少年教育振興機構でございますけれども、それとこの会館の業務が類似しているということで指摘を受けまして、四法人を統合すべきであるという指摘をいただいたところでございます。

 これに対しまして、文部科学省といたしましては、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会等に対しまして、男女共同参画社会の実現が二十一世紀の我が国の重要課題でありまして、そのための女性教育の振興を図ることが不可欠であるということで、我が国の女性教育のナショナルセンターとしての国立女性教育会館の果たすべき役割にかんがみて、独立した法人として存続させるべきであるということを御説明申し上げまして、最終的に、一部事業の重点化などを骨子とした見直し案が了解されたというふうに承知をしております。

 現在、国立女性教育会館につきましては、単独法人として第二期の中期目標期間の二年次に入っておるというところでございます。

西村(智)委員 類似業務を行っていないということですよね、そうしますと今の御答弁は。それでよろしいですか。

関口政府参考人 済みません。確かに外観上、研修等、似た業務はございますけれども、趣旨、目的等は異なっておるということでございます。

西村(智)委員 趣旨、目的等が異なっている、これは事業内容は両者大いに性格を異にするものだと私は理解をいたします。

 そうしますと、ではなぜ今回またこの青少年教育振興機構とヌエックとの統合の話が浮上してくるのかということなんですけれども、私はやはりここに、何といいますか、男女共同参画社会とは相入れない考え方を見るわけなんです。つまり、女性と子供を一くくりにするという発想。業務内容というところでいいますと、研修や研究をやっている機関はほかにもたくさんあると思います。例えば、労働について研究をしているところもありますし、いわゆる研修と名のついている機関もいろいろあるわけなんですけれども、なぜそこではなくて女性と子供なのかということで考えますと、これは言ってみれば家父長的なにおいが少しする発想ではないかなというふうにも考えるんです。

 大臣、今、ヌエックと青少年教育振興機構が一つのものとして統合されるという提案が出されるやに伺っているこの現段階で、非常に微妙な時期だとは思うんですけれども、これは男女共同参画社会の理念と相入れないものではないかと私は考えておるんですが、大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。

上川国務大臣 独立行政法人の整理合理化ということで、十九年の八月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計画の策定に関する基本方針にのっとって各所管省庁において責任を持ってその整理合理化案が策定されて、現在、それらの計画に基づいて行政改革推進本部において検討が行われている、そうした段階であるというふうに思っております。

 そこで、国立女性教育会館についてでございますが、先ほど私からも申し上げましたが、第二次の男女共同参画基本計画にその事業の充実という形でしっかりと明記されているということでございますし、また、この間、申し上げたように、我が国唯一の女性教育のナショナルセンターとして、また同時に海外からもこれからのリージョナルセンターとしての機能の期待ということも大変大きなものであるというふうに思っておりますので、男女共同参画の推進にかかわる大変重要な拠点であるというふうに認識しているところでございます。

 行政改革推進本部においても、男女共同参画の推進におけるこのヌエックの果たす役割あるいは意義ということについて、また、国民の皆さんのさまざまな意見ということも十分に踏まえた上で、慎重な検討を行っていただきたいというふうに私自身考えております。

西村(智)委員 このヌエックは、国内社会における男女共同参画政策の推進に大きな貢献をしているのと同時に、やはり国際的な場における日本の名声といいますか、そういったものにも非常に強くアピールをしている組織だと思うんですね。

 韓国では、日本でいいますとこのヌエックのような機関が二つの機関に分かれていて、それぞれ、研究開発と、それから教育研修などを行っている機関に分かれているわけでありますけれども、ヌエックはここときちんと連携をして、いろいろな交流事業も行っている。それから、アジア太平洋地域にもいろいろな、アフガニスタン、中国、タイ、カンボジア、インドネシア、フィリピン、フィジー、本当に多くの国の政府機関とこのヌエックが連携をいたして、そしてまた同時に、国内の関連施設や地方、大学、JICAとも連携をして活動を進めているということで、国内的にも国際的にも本当に大きな働きをしていただいているセンターだなと私は思っております。

 仮にこれが統合されてしまった場合に、やはり、こうしたこれまでの取り組み姿勢が弱まったのではないか、後退したというふうに受け取られかねない、このようにも私は懸念をしているんですけれども、大臣はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。

上川国務大臣 ただいま委員から御指摘がございました、アジア太平洋諸国のさまざまな機関と連携をしながら交流事業をしていくという形で大変大きな役割を果たしていることの評価というのは非常に高いものがあるというふうに思っておりまして、それが男女共同参画社会推進の一つのシンボリックな役割も担っているというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、行政改革の推進本部におきまして、男女共同参画の推進におけるヌエックの果たす役割また意義ということについてぜひ議論していただき、また、今御指摘がございましたが、仮にそうした他の施設と統合した場合には我が国の男女共同参画の推進が後退するのではないかというような懸念の声も承知しているところでございますので、そうした国民の皆様の声も十分に踏まえていただいて、そして慎重に検討を行っていただきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長大野恒太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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中野委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、遺棄化学兵器の問題を中心にやろうと思っておりますけれども、その前に、ちょっと昨今の話題で取り上げておきたい話がありますので、法務省の刑事局長に来ていただいておりますので質問させていただきたいと思います。

 昨年のライブドア事件に関連して、東京地検が昨年の二月の十六日に、例のにせメールと言われているものですけれども、この問題に関連してコメントを出しました。メールの存在及び指摘された事実関係について当庁では全く把握していないというコメントを出したわけですね。この問題について、私も、昨年の二月二十四日、三月十日の法務委員会でいろいろと、経緯あるいはどういう判断のもとにコメントを出したのかというようなことも問いただしたところでございますけれども、ちょっと似たようなことが今起こっているというふうにも言われております。

 そこでお聞きいたしますけれども、今回、今逮捕されている山田洋行の宮崎元専務、宮崎容疑者の事件に関して、宮崎容疑者と額賀福志郎衆議院議員とが会席や会合に同席した事実というのは、検察当局は把握しているんでしょうか。

大野政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました会席、会合同席の事実でございますけれども、お尋ねは捜査機関の活動にかかわる事柄でございます。したがいまして、本席でお答えすることは差し控えさせていただきたいというように思います。

平岡委員 それでは、もっと具体的に聞きます。

 今問題になっている、昨年十二月四日の濱田家での会合での同席というのはあるんでしょうか、どうでしょうか。

大野政府参考人 ただいま御指摘の会合の事実の存否につきましても、これもまた捜査機関の具体的な活動にかかわる事柄でございます。まことに恐縮ですけれども、同様にお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 ライブドアのときにも聞きましたけれども、それでは、なぜあのときに、先ほど私が冒頭に申し上げたようなコメントを東京地検は発表したんですか。それも捜査にかかわる情報じゃないんですか。あのときは発表できて今回はコメントが発表できないというのは、一体どういう基準なんですか。

大野政府参考人 まず、ちょっと一般論を申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、捜査機関の具体的な活動内容を明らかにするということにつきましては、他人の名誉やプライバシーの保護の観点から問題があり得ます。また、捜査に関しましても、いわゆる罪証隠滅、証拠隠滅活動を招いたり、裁判所に予断を与える、あるいは関係者の協力を得る上で支障になるというようなことで、捜査、公判に対する悪影響も懸念されるということから、通常、公判に至るまでは捜査の状況等についての中身を明らかにするということは差し控えさせていただいているわけであります。

 ただ、捜査に関する情報でありましても、捜査機関において明らかにすることが公益上必要があり、しかも、関係者の名誉、プライバシーへの影響、あるいは捜査、公判への影響の有無、程度等を総合的に見まして、これが公判前であっても明らかにするのが相当だと認める場合には、その範囲内で一定の事項を明らかにすることがあり得るわけでございます。

 今委員御指摘のライブドアの事件の際には、そうした例外的な場合に当たるというような判断を検察当局においていたしまして、そうした判断に基づいてその事実を明らかにしたものというように承知しているわけでございます。

平岡委員 今、刑事局長は、ライブドアの事件のあのメールの問題については例外的な場合に当たるというふうに言われました。どういう場合がその例外的な場合なのかということも言われましたけれども、その中の一つに、ライブドアのときですけれども、指摘されている事項を把握していないとの事実を明らかにすることにより、捜査、公判への支障がもたらされるおそれも特段ない、つまり、そういうことを発表しても捜査とか公判への支障がもたらされるおそれが特段ないんだという話ですね。

 今回は、同席しているということについての事実関係、しているかしていないかを明らかにするということは、ある意味では捜査に何らかの影響を与える、すなわち、額賀大臣がそこに同席しておって、何らかの、今皆さん方が捜査している大きな防衛利権の問題についての捜査に発展する可能性があるので、それは明らかにできないという判断で今言われたというふうに理解していいんですか。

大野政府参考人 一般論につきまして、公判前に捜査状況を例外的に明らかにする場合があり得るということは、先ほど申し上げたとおりであります。

 ただ、今回、それでは何ゆえに例外的な場合に当たらないのかという点につきましては、その理由を明らかにすることも、これまた現在進行中の捜査機関の活動にかかわる事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいというように思うわけでございます。

平岡委員 昨年の法務委員会のときにも指摘させていただいたのでありますけれども、検察当局が、ある意味では、捜査そのものが政治家に及ぶとかあるいは汚職事件に及ぶということについて私は否定するものではありませんけれども、そういう捜査に関する情報が、適当に検察当局の判断でコメントが発表されたり発表されなかったりというようなことで大変大きな政治的影響をもたらしているということに対して、私は非常に検察当局を心配しているんですね。

 同じようなことは、例の松岡大臣のときにもありましたよね。安倍総理が変なコメントを出して、検察当局からこういうことを聞いているんだと。それはまあ検察当局の言葉をかりて松岡大臣への疑惑を否定しようとしたということだったんだろうと思いますけれども、検察当局が余りにも政治的な行動をし過ぎるというところに私は非常に、もともと疑問を感じているということであります。

 今回、額賀衆議院議員と宮崎容疑者との同席の問題については、大きな政治的な争点になっているという点もありますから、私もこれ以上答えてもらえるとは思いませんけれども、ぜひ検察当局はそうした節度を持って行動していただきたいというふうに思います。

 それでは、本題の方に移っていきたいと思います。

 遺棄化学兵器の問題なのでありますけれども、この委員会でもいろいろと議論がされておりました。

 刑事局長、いいですよ、もうそろそろ逮捕があったりとか、いろいろあるのかもしれませんし。

 遺棄化学兵器の問題については、PCIなんかの問題で、中国の遺棄化学兵器の問題がいろいろな視点で取り上げられているというふうに思いますけれども、私いろいろ勉強してみると、中国の遺棄化学兵器だけじゃなくて、国内にも遺棄化学兵器というものがあるというようなことで、これは両方とも総合的に対応を考えていかなければいけない問題ではないか。かなり高額の税金も使われているということでありまして、効果的、効率的に遺棄化学兵器の処理をしていくためにも、やはり総合的に見ていかなければいけない。そういう総合的な面が何か欠けているんじゃないかというふうに私は非常に強く感じました。そういう意味で、中国の問題、国内の問題を通じて少し質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、中国の方の問題として、いわゆる国問研と言われているものですね。財団法人日本国際問題研究所がこの遺棄化学兵器の問題についてはいろいろな調査を国から委託されているということが起こっていたようですけれども、これについては、国問研へ委託した経緯というのは、どういう経緯でそういうことになったんでしょうか。

中山大臣政務官 お答えを申し上げます。

 平成八年に、我が国の軍縮、不拡散政策に必要な技術、知見を集約すべく、軍縮・不拡散促進センターが財団法人日本国際問題研究所に附置されたことを受けまして、外務省といたしましては、中国の遺棄化学兵器処理事業に関する調査研究等を同研究所に委託し、廃棄処理に向けた技術的、専門的検討を進めることといたしました。

 これを受けまして、同センターにおいては、設立当初から平成十五年度まで、外務省及び内閣府からの委託事業として、中国遺棄化学兵器の状況に関する現地調査、廃棄処理技術に関する調査研究、欧米施設の視察等を実施いたしておりましたが、処理事業の本格化に伴い、同センターにおける委託事業は平成十五年度末に終了をいたしております。

平岡委員 今、終了したということでお話がありましたけれども、いろいろと国問研に対して調査委託をしていることに関連して、国問研からさらに再委託というのが行われているんですね。その中を見ますと、ちょっと差があり過ぎるんじゃないかというものもありますけれども、逆に、見ていると、何か丸投げになっているんじゃないかというように思うものもたくさんあるんですね。

 一体、国問研というものは、この遺棄化学兵器の調査についてはどういう役割を果たしていたんですか。

中山大臣政務官 国問研といいますのは、先生も御承知のとおり、国際問題研究で、軍縮、不拡散促進に関しての、特に特殊な化学兵器、今で言うバイオテロ、当時のそういったものに対する武器に対する知見を非常に深く有しているということであります。そしてまた、特に専門性を有されるということで、陸上自衛隊のいわゆる化学職のOB等が二十四名、専門家が所属していたということ、そういった部分で、知見を有している方々のいわゆるタスクフォースのような感覚で、そういったところに、その専門性を信じて、私どもとしてはお仕事をお願いしておったということでございます。

平岡委員 それで、十五年度末に終わったというんですけれども、その委託調査した結果というのは、どういうふうにして集約され、そしてそれが我が国全体の遺棄化学兵器の問題、あるいは、中国だけなのかもしれませんけれども、中国における遺棄化学兵器の処理の問題について生かされているということになるんですか。委託した成果というのはどういう形で残っているんですか。

中山大臣政務官 冒頭、平岡先生も御心配になっておられましたように、国内と海外におけるこの遺棄化学兵器の問題に関して、総合的な観点から行われていないという趣旨の御懸念を表しておられたと思います。正直私どもも、これは与野党を超えて国民のために資する結果を出さなければいけないということを、非常に深く今の先生の冒頭の御発言で認識をいたした次第でございます。

 成果といたしましては、実際、過去にも、もう先生も御承知のとおり、遺棄化学兵器の処理という形で結果を出していっておりますので、ここで詳細、もしこれ以上とおっしゃるならば事務方から答えさせていただきたいと思いますけれども、結果として実際に処理をしてきているということが成果であると言えると思います。

平岡委員 いや、実際処理をやっているから成果が上がっているというんじゃなくて、調査したわけですから、その調査の結果というのがどういうふうにまとめられ、そして、それがいろいろな関係者に利用され得るような状態になっているのかというのが私は大事だと思うんですね。

 これは事前通告した質問じゃないので事務方でも結構ですから、どういうふうにその成果についてはまとめられているのか、この点について御答弁いただきたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども内閣府の遺棄化学兵器担当室の方で、そうした知見に関して、国際問題研究所の方に大変お世話になっております。

 これは、事業が始まりました当初、化学兵器の処理に関しましては、化学的な処理を行うのか、物理的な処理を行うのか、つまり、中和でやったらいいのか、爆破処理によって衝撃によって剤を破壊したらいいのか、そこら辺の手法が国際的に確定いたしておりませんでした。その関係で、私ども、知見のある国際問題研究所を通じまして、世界じゅう、いろいろな手法について学ばせていただきますとともに、合理的な手法に関しまして相当程度絞り込みまして、その一々について国際問題研究所を通じて試験をさせていただいた、このような経緯がございます。

 以上でございます。

平岡委員 だから、そういうふうに調査して実験もしたというのはわかったんですけれども、その調査し実験をした成果というのはどういうふうにしてまとめられているんですかと。我々がその調査結果はどういう結果だったんですかと思ったら、どうやってわかるんですか。ちゃんと答えてくださいよ。

西政府参考人 ただいま申し上げましたような形で調査した結果、私ども、中国側と、遺棄化学兵器に関する処理に関しては燃焼法によるものが至当であろうということで合意に達しております。また、その間の技術的な絞り込みに関しましては、包括的な報告書、三度にわたる、たしか三度だったと思います、ちょっと後ほど確認いたしますが、取りまとめをした経緯がございます。

 以上でございます。

平岡委員 では確認ですけれども、国問研に対して調査委託をした結果というのは、報告書にまとめられているということでいいんですね。

西政府参考人 先生お尋ねの、手法に関しまして私どもが実験を繰り返しました、その成果に関しましては、これを報告書の形で取りまとめさせていただいております。

平岡委員 それで、平成十五年度末までが国問研で、そこから国問研はこの遺棄化学兵器の問題については行っていないということであったようでありますけれども、聞くところによると、この遺棄化学兵器の問題について携わっていた方々は、職員はPCIへ移籍をしていき、さらには、その後またアトックスというところに今移籍していったというような話も聞くんですけれども、これは、どうして国問研をやめ、国問研にいたそうした職員の人たちは別のところに移っていったんですか。この経緯はどういうことでしょうか。

西政府参考人 国際問題研究所におきます業務というものは、これは調査研究というふうになっております。他方、逐次私ども、中国との関係で、各地で発見される化学兵器の発掘の作業が必要になってまいりました。こういった発掘作業、こういった実務に関しましては、これは国際問題研究所の所掌範囲を超えるということがございます。

 よって私ども、こうした小規模発掘に関しての知見を有する者を募りましたところ、やはりこれは、陸上自衛隊において化学それから不発弾、こういったことに関しての特殊技能を持った者、これが一番有効なわけでございまして、たまたまそうした方々が国際問題研究所に在籍していらっしゃいましたが、その方々が、そういった実務も同時に行える、ただし、国際問題研究所の傘下で行うということはその所掌上できないということがありまして、別途会社に移られた、このような経緯がございます。

平岡委員 今の経緯を踏まえて、今度は国内の問題にちょっと話を移していきたいと思います。

 国内の問題としては、屈斜路湖とかあるいは苅田港とか、これはちょっと私もよくわからないんですけれども、神奈川県の寒川地区の危険物質調査というのも何かあるようであります。

 こういったものがあるようでありますけれども、これはどっちから先に言ったらいいですかね、神奈川県寒川地区の危険物質調査というのは、これはいつ、どこに、どのように発注されたのかということについてお答えいただきたいと思います。

松島副大臣 国土交通関係では、寒川と、先ほどおっしゃいました苅田の問題がございますが、まず寒川の方でお答えいたします。

 これは平成十四年九月に、神奈川県高座郡寒川町の、圏央道の一部に当たるんですが、一般国道四百六十八号、さがみ縦貫道路と言っておりますところの工事現場でマスタードガスなどが発見されました。この有害物質について最終処理方法をどうするかということが問題になりまして、海外における情報収集を行うことにしたものです。

 と申しますのは、これは、市街地におきまして大量の毒ガスが発見されるという前例のない状況でございまして、安全性を確保しながら早急に処理を行うことが必要だったわけですが、国土交通省では専門的な知識を持ち合わせておりませんでした。初めての経験でございます。それで、神奈川県、神奈川県警、防衛庁、外務省などに相談いたしましたが、最終処理方法について具体的かつ有用な情報が得られない状況でございました。

 こういう困った状況におりましたところ、平成十四年十一月に日米安全保障フォーラム二〇〇二が開催されまして、このフォーラム事務局は、社団法人日米文化振興会安全保障研究所、現在の日米平和・文化交流協会なんですが、このフォーラムが開催されまして、アメリカの国防省から化学兵器の専門家が来日するという情報が得られました。そこで、この人に接触していろいろな情報を知ろうとしたわけでございます。

 このアメリカ国防省の化学・生物防衛プログラムの専門家でありますステファン・リーブス准将に、国土交通省の担当している幹部の職員が面談する機会を得られました。その際、ステファン・リーブス准将から、アメリカにも類似の事例や経験がある、アメリカの現場を訪問すれば、先ほども言いました社団法人日米文化振興会安全保障研究所、この法人を通じて現場を訪問すれば、これに詳しいアメリカの関係者から直接具体的な処理方法について知見の提供を行うことも可能だということを我々国土交通省職員が聞いたわけでございます。

 このような経過を踏まえまして、日米文化振興会安全保障研究所を通じて、毒ガスの最終処理に関してアメリカ国防省の化学兵器関係者らと情報交換の機会をつくり、処理方法や作業手順などについて早急にかつ有用な知見を収集することができるということで、業務委託をこの法人と行いました。

 調査検討業務につきましては、平成十四年、十五年、十六年、三年度行っておりますけれども、これは、訪問先としてアメリカの生物化学兵士司令部隊や化学処理性能試験場施設などに始まりまして、よりどんどん詳しく、後処理をどうするか、中和処理だとか焼却処理だとか、それぞれの具体的な手順や留意事項などについても勉強するために、訪問先もアメリカだけでなく、イギリスの陸軍防衛科学技術研究所やオランダの化学兵器禁止機関といったところまで参っていろいろ調査をしたということでございます。

 それによって、処理をすること、及び処理の後に除染、広がらない、解体といったことに対する知見も得られたわけでございます。

 以上です。

平岡委員 今の説明の中で、現在の日米平和・文化交流協会に頼んだという話だったんですけれども、これはいつ、幾らで、どういう方法で発注したんですか。

松島副大臣 これは三年度にわたってやっております。平成十四年度が千二百六十一万円、平成十五年度が二千二百七十万円、次の平成十六年度が二千三百三万円、およそですが、合計しまして五千八百三十六万円余りを三年間で支払っております。

平岡委員 先ほどの国問研、ちょっと私、具体的な数字はあれとして、一説によると百五十七億の調査の中で、そのあるところを請け負っているのかもしれませんけれども、それだけ費やして遺棄化学兵器の処理はどうしていったらいいのかというような調査をやっていて、先ほどの答弁の中でも報告書が出されているというのが片やあるにもかかわらず、国土交通省はそれとは全く関係のないルートでどうしたらいいかというようなことを相談しているというのは、私は非常に何か奇妙な感じがするんですよ。

 なぜ国問研の調査というものを利用するということにならなかったんですか。

松島副大臣 我々のところは平成十四年九月に見つかって、早急にということで開始いたしました。国問研のその調査書はまだ出ていないんじゃないかと思いますが。

平岡委員 中国の遺棄化学兵器というのは平成八年からいろいろと調査が始まっているということで、確かに平成十四年度にそういう調査の発注が行われているということで、そういう動きがもう既に進んでいるわけですよね。そういう状況の中で、そっちの方の動きとは全く関係なしに国土交通省がこの日米平和・文化交流協会に随契で発注をしているというのは、私は大変不自然だと思いますね。

 それで、聞きますけれども、そのときにこの日米平和・文化交流協会は、どういう体制で、国土交通省の発注に対してこたえられるような体制がとられていたんですか。

松島副大臣 先ほど申し上げましたように、これは非常に込み合っている市街地でございます。早急に解決しようという気持ちがあったのも一つでございます。

 それで、体制の方でございますけれども、契約に先立ちまして業務方針について打ち合わせを行っておりまして、この法人から研究員五人が出席しているところでございます。また、平成十四年度業務報告書によれば、この業務について七人の担当者が配置されております。それで、平成十四年度業務について所期の成果が得られたことを踏まえ、翌十五年度、十六年度にも契約を継続しているところでございます。

平岡委員 それでは、ひとまず寒川地区の話はおいておいて、今度は苅田港の話に移っていきたいと思います。

 苅田港の方でも、この日米平和・文化交流協会の安保研というのが登場してくるわけでございます。それで、この交流協会とか、あるいは安全保障議員協議会というのが非常に密接な関係であるというのはいろいろなところで指摘されているわけでありますけれども、メンバーを見ましたら、江渡防衛副大臣は入っておられないようなんですけれども、そんなことでいいんですか。

 見ますと、日本の重立った防衛関係の方々はこういうところの、例えば額賀財務大臣は安全保障議員協議会副会長であったり、久間元長官もそうであったりとか、日米平和・文化交流協会の方も、久間さんは理事であったり、額賀さんは前理事、これなどは大臣になったからやめたのかもしれません。そういうような形になっているんですけれども、副大臣はどういうお立場でここに所属しておられますか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 所属はしておりません。

平岡委員 前も私が額賀大臣に別の委員会で質問したときに、この組織は大変大事な組織で、日本の安全保障を一生懸命考えてやっているところなんですよということで、これに所属していない人は何か安全保障を考えていないかのような御答弁もあって、私も非常に変な組織だなというふうにも思ったんですけれども、副大臣が所属しておられないのなら所属しておられないということを前提にまた御質問させていただきたいというふうに思います。

 例の苅田港の話について言えば、この苅田港の遺棄化学兵器の処理については、どういうふうにしたらいいかということの調査委託が行われておって、結果的に、先ほどちょっと出ている、安保研というのが出ているんですよね。

 安保研というのは、先ほど松島副大臣が、安保研という形じゃなくて日米平和・文化交流協会で研究員が五人だ、それから七人の担当者がというふうに言われましたけれども、ある訴訟で認定されている話としては、安保研というか、この日米平和・文化交流協会の方には専従職員がいなかったというふうに裁判所の判決の中でも認定をされているということなんですよね。

 それで、先ほどの話はともかくとして、この安保研に対して契約をするに当たって、防衛省の方では、安保研はどういう体制が整っているというふうに判断して発注をされたんでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 どういう体制が整っているかというような今御質問でしたけれども、あくまでも我々が発注する際においては、委員も御承知のとおり、これは一般に、一般競争入札をするという段階において、そして入札基準等々においては、総務省の方の段階で取りまとめられている企業があるわけでございますけれども、その段階で、一応しっかりとした団体であるというふうな思いにおいて、我々は、広くこの知見を有するところという形で一般競争入札をさせていただいたわけでございます。その結果、落札したのは社団法人日米文化振興会安全保障研究所であったというふうに認識しております。

平岡委員 殊さら、入札基準はいわゆるD基準、D等級以上に格付されていればいいというふうに説明をされるんですよね。D等級以上ということは、具体的に言うと、どんな人なら参加できないということなんですか。参加できないケースというのはどういうケースなのか、参加できない者はどういう者なのか、このことについてちょっと答弁願います。

長岡政府参考人 予算決算及び会計令等によりますと、一般競争に参加できない者でございますけれども……(平岡委員「参加じゃない、D等級以上という格付が必要だというふうに言われている場合に、どういう人なら参加できないのかを聞いているんです」と呼ぶ)それは格付云々ではなくて、参加できない者は、契約の履行に当たり故意に工事もしくは製造を粗雑にし、または物件の品質もしくは数量に関して不正の行為をした者等々、人間でいいますと、準禁治産者、禁治産者に当たるような者はできないよということでございまして、別に、ランクでDはできない、Aはできないというような規定ではございません。

平岡委員 答弁が全く趣旨に合っていないので私がちょっとかわりに言いますと、要するに、D基準というのは、悪いことをしていない人ならだれでも、入札の説明会か何かに来れば、それで参加できる、そういう方式なんですよね。

 それで、何かこれは、発注の契約金額は九百八万円なんですよ。少額であるからD基準でいい、D等級以上ならいいというやり方をしているんですよ。つまり、そこに、先ほど来からありますように、中国の問題については非常に多額の金をかけて処理方法について調査をし、そしてさっきの寒川地区の話についてだって、あれがいいかどうかというのは私は知りませんけれども、五千数百万円もかけて調査をするということをしておきながら、これはD基準ということで、D等級以上ということで、少額だからということで発注したということですよね。これは私は何か非常に不自然な感じがしますね。

 なぜこのときに、先ほど来から出ている国問研、あるいは国問研から移っていったと言われているPCI、そういったところに対して調査を委託するということは考えられなかったんですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員の方からもお話がありましたとおり、当時、この入札の予定価格、我々は約九百万円ということで設定していまして、そして、こういう老朽化学兵器の特殊性ということを考えた場合においては、広く一般に知見を有する者の参加というものが必要であろう、そして競争の原理を働かせる方がいいだろうということにおいて、一般競争入札をさせていただいたわけでございます。その段階において、今委員がそれなりの企業名を出されましたけれども、そこと随意契約というわけにはやはりいかなかったわけでございまして、一般競争の入札をさせていただいて、その結果落札したところがこの団体であったというところでございます。

平岡委員 今、知見を有する者というふうに言われたんですね。(江渡副大臣「広く」と呼ぶ)広く知見を有する者からということを言われたんですよね。ということは、やはり最後に決める際には知見を有する者に決めたということですね。

 それで、先ほどから聞いていますが、安保研に当時はどういう職員体制あるいは研究員、調査員というものの体制が整っていたというふうに判断されたんですか。

江渡副大臣 参加するときに、一応、参加資格ということで、説明会等から何からすべてやっておりまして、その段階を経て、その後入札になるわけでございますから、そこにおいてどの企業が入札に参加するかしないかということは、その段階で各企業等々が判断することではないのかなというふうに私は存じ上げております。あくまでも、それなりに入札に参加するという団体あるいは企業というものは、自分のところでやり切れるという自信があったればこそ参加したのではないのかな、私はそのように考えているところでございます。

平岡委員 参加した人がやり切れると思って参加したから、これは認めてもいいというものじゃないと思いますね。

 この後、この安保研が報告書を出した後、実際の処理事業にかかった費用というのは幾らですか。

 答弁がないようですけれども、いろいろと何期にも分けて発注されていますから、二百数十億がこの処理事業に、苅田港について契約されているわけですよね。それだけの規模に上るものについて、自分は能力があると思って応募してきたから、その中でだれでもいいんだというような形でその調査業務を委託するということは、私は極めておかしいと思いますね。極めて不思議な、恣意的な決め方だと私は思いますよ。

 どうして安保研に任せるということに決めたのか、この点を明らかにしてください。本当にこの組織に任せても大丈夫だという認識を防衛省としてどうして持ったのか、この点についても説明してください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどから委員の方にお話しさせていただいているとおり、あくまでもこれは一般競争入札の段階で入札をさせていただいた、そして、そこにおいては、あくまでも今回の調査研究に対しての仕様書というものをしっかりと掲げてあるわけでございます。有識者会議等々においてしっかりとした形の調査研究をするように、そういう形で仕様書を書いておりまして、その仕様書に沿ってできるところが応募して、そして、入札に参加されたというふうに私は考えているところです。結果として、その中において種々の調査を行いまして、そして、報告書が出されてきた、そういう流れになっているわけでございます。

平岡委員 応札したのは、この安保研と、もう一つはケービーエフというところが応募してきたというふうに聞いています。ケービーエフというのは、皆さんが落札者を決めるに当たって、どういうものとして評価をされたのか、この点についてお伺いしたいと思います。

長岡政府参考人 副大臣からもお答え申し上げさせていただいておりますけれども、一般競争入札でございますので、競争の参加有資格者で名簿に登録されている方はどなたでも入札できるわけでございますので、どういう評価をしたかということよりも、むしろ、ケービーエフさんが、そういうことで自分もできるということで名乗りを上げられたというふうに理解をいたしておりました。

平岡委員 だから、ケービーエフが応札したけれども、ケービーエフじゃなくて安保研に決まったということですよね。だから、私は、ケービーエフというのはどういうような能力を持ち、どういうような経験を持っているとかという、防衛省側が評価したものはどんな状態だったのかということを聞いているんです。

長岡政府参考人 その点に関しましては、むしろ会社側で御判断をされることでありまして、仮に落札をしてできなければ、それは契約違反になって違約金とかいろいろ出てくるわけでございますので、そういうことができるという自信がおありになる会社が手を挙げるんだろうと思っておるところでございます。

平岡委員 非常にいいかげんな競争入札ですね。それは、だれになったって、できなければできないでそれで問題になるから、だれを選んでもいいんだ、そういう答弁ですよね。国がそんな契約をするのはおかしいですよ。

 ちょっと聞きますけれども、この入札公告を見ると、一月の二十九日に公告を発表して、それから大体二カ月以内までが納期なんですよね。実際に契約してから、この報告の納期になるのは一カ月もない。こんな短期間の間に調査をして結論を出して、それまでの間、先ほど来から出てきている中国の問題にしても、苅田港の問題にしたって、そんな短期間に調査結果なんか出ていませんよ。

 これは、もう最初に結論ありきみたいなことがあって、一般競争入札という形をつくって、インナーサークルでそれなりに何か相談をして応募する人を決めて、そして、この短期間のうちに報告書を出させる、そういう構図のもとに行われたとしか私には考えられないですね。副大臣もそう思いませんか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、委員がどのようなお考えを持って御質問されているかよくわからないわけでございますけれども、ただ、指名競争入札という形であれば、委員のおっしゃるとおり、その会社の中身、内容等々というのを全部調べて、そして発注するという形になるでしょうけれども、一般競争入札の場合は、あくまでも企業等がみずからやり切れるという、その自信というか、そういうものがあったればこそ入札に参加したのではないのかなというふうに私は考えているところでございます。

 なお、今回の部分で、随分短期間の間に答えが出されたのではないかというようなお話でしたけれども、本調査研究におきましては、地元の方からできるだけ早期の老朽化学兵器の処理というものが要望されておりまして、そして、そのことから、最も適切な処理方法とか、あるいは極めて短期間で結論を得なければいけないという状況下にあったわけでございます。

 特に、予算の観点上、この調査の経費というのはちょうど平成十四年度予算の、総務省の予算の化学処理経費の中で流用させていただいて行ったわけでございまして、あくまでもこの調査研究というのを、予算の観点上、平成十四年度内に終了されるということが求められていた、そういう状況があったればこそ、この短期間でというような形になったわけでございます。

 なお、これらのことに関しては、先ほどもお答えさせていただいたように、しっかりと、各分野における専門家によっての委員会が成立され、そしてまた視察等も行い、あるいは海外等々の調査研究等も踏まえながら報告書が出されたというふうに私どもは考えております。

平岡委員 今、副大臣が競争入札で選ばれたと言われたから、だからさっきから聞いているんですよね。ケービーエフというのが応札しましたね、日米文化振興会も応札しましたね、どうしてその安保研の方に決まったんですかということを聞いているんです。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 入札をトータルで四回行ったわけですけれども、今委員御指摘の会社の方が、ケービーエフさんですか、これは二回目の段階でおりております。そして最終的に、我々防衛省側の予定価格が九百万だったものですから、それ以下にという流れの中で、四回ほど応札が出されて、最終的にこの社団法人さんが入札した、そういう流れがございます。

平岡委員 今、四回応札がなされたというふうに言われたんですけれども、二回目でおりたということは、二、三、四というのはほかにどんな応札企業があったんですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。数字のこともお答えしますので。

 まず、一回目ですけれども、日米文化振興会の方が九百五十一万八千八百六十円、株式会社ケービーエフが一千百九十一万五千三百九十一円。二回目が、ケービーエフさんは辞退をされておりまして、日米文化振興会さんが九百二十九万三千四百六十円。三回目が九百九万七千九百六十円。そして最後、商議を行いまして、四回目になるわけですけれども、八百六十五万で決定したという流れになります。そして、契約の場合はこれに消費税の五%が上乗せされて契約した、そういう状況でございます。

平岡委員 有識者の評価委員会をつくりなさいというのがあるわけですね。この入札の審査をするに当たって、どういう人がそういうメンバーになっているのかということについては、それは審査の上で決定されたんですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この審査というのは、委員の御質問は、あくまでも当時の防衛庁が審査したのかということですか。(平岡委員「はい」と呼ぶ)そのことであれば、当時の防衛庁としては直接審査ということではございませんけれども、あくまでもこの会社におきまして、知見のある方々ということで、委員長としては木村潤一さんという方がなっておりまして、元防衛庁の技術研究本部の第一研究所第一部弾薬第四研究室長さんがなっておりまして……(平岡委員「これは審査のときにそう決まっていたんですか」と呼ぶ)いえ、決まっておりません。

 以上でございます。

平岡委員 入札の審査のときに全くそういうのが決まってもいないで、こういう形で認める、この人を落札にするというのは私はおかしいと思いますよ。どういう人がなっているか、ちゃんと本当に知見のある人がそういうメンバーになっているのかどうかというのを判断した上で普通は決めるんじゃないですか。それが全くわからない状態でこれでいいですというのは、私は全く腑に落ちないですね。それはそれとして、疑問として提示しておきますけれども。

 後でできた評価委員会というのには、先ほど副大臣が言われたように、木村潤一氏というのが防衛庁のOBとしておる、それから委員にも陸上自衛隊の化学学校の学校長さんがいるというようなことで、かなり防衛庁なりあるいは自衛隊の方々がいるということ。それ自体は専門性が必要なのかもしれませんけれども、逆に言うと、こんな人たちが評価委員になるということであるならば、防衛省自身が、防衛庁自身がこういうような処理方法についての評価を行っていく、判断をしていくということが十分にできるんじゃないかと私は思うんですね。

 こんな形で、こんな形というのは、九百万足らずのお金で外注して調査委託をして、これから何百億にもなろうかと思われるような処理事業のあり方を決めていくというのは、私はどうしても腑に落ちないんですね。どうして防衛省自身で、防衛庁自身でそういう処理方法についての調査を行っていくということにしなかったんですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどもお答えしたかと思うわけでございますけれども、あくまでも地元の要求で、できるだけ早期に答えを出さなきゃいけない、そしてまた、予算の執行上、短期間で出さなきゃいけないという流れの中において、やはり老朽化学兵器の処理ということを考えた場合においては、爆薬本体等の処理のみならず、周りの環境に与える影響とかあるいは環境上の問題、そして廃棄をどのような形でしていくか、さまざまな知見というものを有する方々においての調査研究ということが必要であろうというふうに考えられたわけでございます。

 その段階において、当時の防衛庁として、それらすべてのことを網羅した形でやり切れるだけの人材、あるいはそのときにいろいろな方々を知っていたかというと、そういうような状況ではなかった、そういう流れの中において一般競争入札という形をとらせていただいた、そういうふうに私は存じております。

平岡委員 安保研がどんなところか、ケービーエフというのがどういうところかということについても審査しないで、失敗したらそれは後からやり直させればいいんだというような答弁があるようなもとで、私は、今の副大臣の答弁はおかしいと思いますよ。

 そんないいかげんなところに調査委託するぐらいだったら、防衛庁が責任を持って、枢要な部分というのは防衛庁にあるいは自衛隊に人材がいるわけですよ。あとの周辺的な話は、それに最も知見を持っている学者の人を呼んで、あるいは経験者を呼んでやれば、それこそ入札のための時間なんかもかからないで、すぐに取りかかれるじゃないですか。

 そういうことをやらないで、こういう形で調査委託をする。しかも、九百万円というような金額で何を期待しているのか私はわかりませんけれども、そんな短期間でコストをかけないでやるということを考えた場合は、私はやはり、防衛庁がみずからやるべきだったと思いますよ。こんな安保研なんかで、皆さんがどんなところかという審査もしないでできるんだというようなところに発注するのはおかしいと思いますよ。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員がどのような御認識かということで、私も、委員がお考えになるようなことも、そういう考え方もできるのかなと思うわけでございますけれども、しかし、当時の防衛庁におきましては、老朽化学兵器を処理した経験というものはなかったわけでございます。そして、どのような有識者を集めるのが一番いいか、そういう十分な知見も果たしてあったかどうかということになりますと、やはり、最も適切な老朽化学兵器の処理方法とか、あるいは地元から当時要望がありました、陸地でつくって爆破処理したらどうかといった場合において、やはりそれじゃ危険度があるからということで、できれば海沿いでやってほしい、そういうことでメガフロートの使用の可能性ということもあったわけでございます。それらのことをすべて含めて、極めて短期間において結論を得るということが求められていたわけでございます。

 そして、入札を行って契約した社団法人の日米文化振興会は、炸薬、化学剤の処理あるいは環境保全等に知見を有する有識者で構成される評価委員会を設置し、東京または現地で合計六回にわたって評価委員会を開催してきました。また、海上自衛隊佐世保基地で保管中の化学弾の現状確認を実施し、また米国等における処理事例を調査した結果のもとにおいて、苅田港の老朽化化学兵器の処理方法、処理場所等の検討をするなど、こういうことをしっかりと取りまとめていただいて調査報告をいただいたというところでございます。

平岡委員 今の副大臣の答弁は矛盾していますね。だから、さっき言ったでしょう。この評価委員会の化学兵器の専門家というのは、防衛省とか自衛隊の経験者ですね。その人たちは、防衛庁とか自衛隊にいるときにそういうことをいろいろ研究したからこそ、今その権威者としてこの評価委員会でこういう役割を果たし得る状況になっているわけですよ。防衛庁とか自衛隊をやめてから一生懸命勉強したという人たちじゃないんですよ。経験者なんですよ。だから、自衛隊でも防衛庁でも、その職員が、現役の職員がやろうと思えばできるはずだ。

 それからもう一つ、メガフロートの話もありましたけれども、この評価委員会の中にメガフロートの専門家というのはいるんですか。メガフロートの専門家なんかいないんじゃないですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 確かに、第一回目の段階においてはおりませんけれども、その後、第二回目からですけれども、入江功氏という九州大学工学部の教授が名簿に上がっておりまして、そしてこの委員からの発言等々というものも記述が見受けられるところでございます。

 そして、今委員からお話がありましたとおり、確かに化学兵器のこととかいろいろなことにおいての知見は自衛隊のOBの方々はあるかもしれませんけれども、周りの環境問題における状況下とかあるいは今のメガフロートの関係、あるいは遺棄をどのような形で、処理したものの後の遺棄をどうするか、そういう総合的な知見ということを考えていくならば、やはり当時の防衛省としては薄かった部分もあるのではないのかなと私は考えているところでございます。

平岡委員 私がもらった評価委員会のこのメンバーには、入江功さんとかいうのはどこにも書いてないので、またこれはちゃんとチェックをさせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってきたので、この問題は引き続きこの委員会でしっかりと、追及と言うと言葉が悪いですね、ただしていくというのもちょっと悪いかもな、問題を掘り起こしていきたいというふうに思います。

 最後に、ちょっと時間がなくて、泉国家公安委員長に来ていただいて何も質問しないのもおかしいので、岸田さんにも、両大臣をちょっと無視してしまって済みません。

 泉大臣、少年の犯罪の問題について、この前、少年警察活動規則の改正がありましたけれども、その際に、児童相談所とか家庭裁判所との協力をしっかりと行っていくように規則の中にも書いていただいたわけでありますけれども、警察庁として、あるいは国家公安委員会として、少年問題についてそういった関係組織と協力するということについて、御見解をちょっとお述べいただきたいと思います。

泉国務大臣 触法調査あるいは虞犯調査において、児童相談所及び家庭裁判所と連携して適切な役割分担のもとで行うようにということの御指摘は、全く私どもも同じ認識でございます。

 御指摘のように、少年警察活動規則の十三条二項でも、触法調査または虞犯調査を行うに当たっては、特に家庭裁判所及び児童相談所との連携を密にしつつ、これを進めなければならない旨、規定をさせていただいたところでございます。

 また、十月の三十一日に少年警察活動推進上の留意点という通達を出させていただいておりますが、この中でも、例えば、必要に応じて質問時の少年の状態等をできるだけ速やかに児童相談所あるいは家庭裁判所等に連絡をして、連携を一層密にしていくようにという指示をさせていただいたところでございまして、これからもその基本的な考え方にのっとって少年犯罪対策を進めてまいりたいと思います。

平岡委員 済みません、岸田大臣、また次回にしっかりと質問させていただきますので、きょうは御容赦いただいて。今までの議論をよく聞いておいていただいて、やはり中国の遺棄化学兵器の問題だけを見ていたのでは、私は、何かいろいろと見逃している点もあるような気がします。そういう意味では、中国の問題と国内の問題、両方あわせて、しっかりとこの場でいろいろと掘り起こしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で終わります。

中野委員長 次に、大畠章宏君。

    〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 内閣委員会における一般質疑ということでありますが、きょうは、子育て、少子化問題、そして原子力エネルギーの教育に関する件、さらには科学技術対策について、岸田大臣、上川大臣、西川厚生労働副大臣に質問をさせていただきます。

 きょうの質問に当たりまして、少し地域の方のお話をいろいろ伺ってまいりました。私ども民主党は、小沢一郎代表を中心として、政治とは生活である、まさに地域で国民の皆さんがどんなことに疑問を持ち、あるいは問題視しているのかということを掘り起こしながら質問をしたいと思って、そのような声を聞いたわけであります。地域の女性の皆さんの声、また、地元の女性議員を行っている方からもお話をいただきました。さらには、私の知人で産科の医者をやっている友人がいまして、その方にも話を聞いてまいりました。また、大学において今勉学にいそしんでいる学生の声も聞いてまいりました。そういう声を踏まえて、質問をさせていただきます。

 まず、上川大臣の範疇の少子化問題でございますが、どうして今日のような状況に至ってしまったんだろうかということで、集まった女性の皆さんのお話をいろいろ伺いましたが、今、やはり共通する課題は、お医者さんの問題のようなんですね。身ごもって、そして無事に子供を産めるのかと。そのときに聞こえてくるのは、救急車が十件も二十件も電話で産院を尋ねて、なかなか入院する先が見えない、わからないということで、そんな事件、事故の報道もございましたが、どうしてこんなことが起こるんだろうか。ぜひ女性の皆さんに子供を産んでくださいと国が呼びかけているのにもかかわらず、現実としては、そういうお寒い状態が続いている。

 こういう問題については、例えば消防署の中に、どこの産院が今ベッドがあいているかとか、そういうものをコンピューターでデータ管理すれば、消防署の救急隊員が一々電話で今どこがあいていますかということを尋ねなくてもできるんじゃないかという意見もありましたし、受け入れるベッドがありませんという答えが多いわけでありますが、そういう小児科あるいは産科に対して、NICUなどの集中治療をする子供用のベッドというのはいつもあけておかなければならないんじゃないか、こういう端的な御意見等もございました。

 きょうは総務省と厚生労働省にも来ていただいていますので、まず、この件についての御意見をいただきたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の八月、奈良県におきまして、大変残念なことに、妊婦の方が搬送中に死産となられた事例もありました。こういうことを踏まえまして、厚生労働省では、総務省消防庁とともに、産科におきます救急搬送の実態調査を行ったところであります。

 その結果は、第一回、最初の消防からの照会によりまして搬送先の医療機関が決まったというのは、全体の九〇%は超えておりました。しかしながら、照会先において受け入れに至らなかった、こういう事例があるわけですが、この主な理由としましては、設備、スタッフの不足等による処置困難、あるいは手術・患者対応中であるということ、あるいは専門外であることが挙げられております。一回で九〇%を超えたところで決まっておるといいながらも、照会回数が十回以上あったケースがございます。

 これらにつきまして、その理由を確認いたしますと、理由といたしましては、これまでかかりつけのお医者さんがいらっしゃらない、初診であるというふうなことで回数が多くなってしまった、確認できないというようなことがありました。これらの改善を行っていかなきゃいけない、消防との連携ということは、御指摘のとおりだと思います。

 今、救急患者の受け入れが可能な医療機関の検索の仕組みにつきましては、救急医療情報システムということで各県に整備をお願いしておりまして、現在、四十四の都道府県で導入されております。これにつきましては、空き病床のぐあいであるとかいうものが各消防本部の方からも二十四時間三百六十五日検索ができる仕組みとはなっております。

 厚生労働省といたしましては、消防庁とも連携をとりながら、受け入れ可能な医療機関情報の速やかな更新を図っていくこと、システムの充実、更新が図られることに努めてまいりたいと思いますし、まだ三県、未整備の県がございます。この導入の重要性を訴えて整備の促進を図ってまいりたいというふうに思っております。

村木政府参考人 NICUについても御指摘がございましたので、御答弁させていただきます。

 御指摘のとおり、NICUがふさがっているために受け入れができないというケースがかなりあるということが私どもの実態調査でもわかってきております。

 この背景でございますが、やはりNICU自体の病床数の問題、それからお医者さんを初めとする医療従事者の数の問題、それからもう一つは医療機関の経営上の問題等々があるわけでございます。

 特に、NICUに長期に入院をしているお子さんがいて、そこをふさいでしまっているということがございます。今私どもで、都道府県にお願いをして、特に長期入院児の状態などをよく自治体で実態把握していただいて、その上で、今ある医療や福祉の資源を具体的に活用してその問題を解決するということについて検証していただくということを進めているところでございます。

 また、省内の関係各部局におきまして、さらなるいろいろな対応策ができるかどうか検討を行っているところでございます。

大畠委員 上川大臣、今答弁がございましたが、病院の受け入れ体制が十分じゃないので今から整えますというんですが、そういうところからきちっと一つ一つ、地域の方の不安の声があれば、トータル的な少子化対策とか子育ても大切ですが、やはりそういう現場で困っていることに対しては、きちっとまず歯どめをかけていかないと、ピンを打っていかないと、私は、総論だけ言っていてもだめだと思うんですね。

 例えば十件とか二十件、いわゆるたらい回しになる現象について、これは厚生労働省の範疇かもしれませんが、大臣としての職責の一つの環境が崩れているんですよね。大臣としてはこれに対してどういうふうに指示をされているのか、お伺いしたいと思います。

上川国務大臣 八月の末に発生した奈良県の妊婦のたらい回しによる大変悲しい事件がございまして、周産期医療の現場の問題については大変厳しい環境にある、そして、そういう中で、お母さんたちが安心して子供を産んで育てたいという気持ちを実現することができない状況もあるということがクローズアップされたわけでございます。

 少子化担当大臣としても、この問題を大変深刻に受けとめて、厚生労働大臣に対しまして、早急に調査を進め、また、その問題点については的確に対応していただくような形での取り組みをともにやっていこうということでの申し入れもいたしましたし、また、そのフォローもしているところでございます。

 一番喫緊の課題ということで、大変深刻に受けとめておりますし、それに対しての的確な対処ということについては待ったなしでしていくべきことであるというふうに認識しております。

大畠委員 今のお言葉をきちっと実行するのであれば、平成二十年度の予算の中にそのような予算をきちっと組むようなことが必要だと思うんですね。まさに担当大臣ですから、厚生労働省というのは全般をやっていますからいろいろなところがあると思うんですが、現地の病院も経営が非常に大変なんです。ですから、そういう装置についても大変お金がかかりますし、そこを大臣として、平成二十年度の予算編成の中に組み込む努力をしてもらいたいと思うんですが、この件についてもお考えを伺いたいと思います。

上川国務大臣 少子の問題にかかわる予算の中でも、この産科の問題を取り巻く整備ということについては、緊急対策ということで取り組む方針を政府としてもしているところでございますので、少子化の担当大臣としても、予算の獲得に向けて、関係の省庁と連携をしながらしっかりと実現してまいりたいというふうに思っております。

大畠委員 それから、これは女性の皆さんからの声ですが、少子化対策という声が非常に地域でも聞こえてきているけれども、地域の方では、産婦人科の医師が少ない、二十四時間体制の小児科の体制も不十分、一言で言えば、産む場所がない、なかなか安心して子供を育てるような社会環境になっていない、こういう指摘がございます。

 例えば、妊娠してから出産まで、一回の診察で五千円ぐらいかかる。あるいは、血液検査等も受けると一万円かかる。普通分娩では平均四十六万円、出産育児手当は三十五万円。こういう状況の中で、少子化対策で政府の方がいろいろやろうとしているんだけれども、現実問題は非常にまだまだお寒い状況が続いているという指摘があるわけであります。

 私もいろいろお話を聞くと、出産した後、子供に対してはいろいろ保険適用になるんですが、なぜ妊娠段階で診察するものは全部現金で払わなきゃならないのか。ここのところ、最近の事例でも出産にかかわる事故が随分続いているんですけれども、これだけの少子化の中で、妊娠したということがわかったときには、診察段階から、例えば保険適用、あるいは何らかの形で、若い方々にとっては一回五千円というお金がなかなか大変なので、したがって、私は、そういう措置をすべきだと思うのでありますけれども、この件について厚生労働省の御見解を伺いたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今の医療保険制度におきます仕組み、これはまず療養の給付、医療サービスを提供するというものがございますけれども、これにつきましては、今の法律の仕組みは、疾病、負傷等についてのものに給付する、それ以外にも別に、保険の給付につきましては、出産に対します出産育児一時金を給付する、これは両方ございます。

 今の御指摘でございますけれども、まず療養の給付、医療サービスの給付を行うというものにつきましては、疾病、負傷に対して保険の給付を行うという部分でございまして、これにつきましては、妊産婦の方の健診といいますものは、疾病や負傷の治療そのものとは異なるということでございまして、産前か産後かを問わずに療養の給付そのものの対象とはされておりません。

 一方で、お医者さんが母体に異常を認める、合併症等の異常を認めて診療が必要だということになった場合の検査、治療でありますと、これはもう産前産後かを問わず療養の給付の対象として給付がなされるということでございます。

 それから、正常な場合の妊娠、出産につきましても、今申しましたように、疾病や負傷とは異なりますけれども、その直接要する費用につきまして経済的負担の軽減を図るということでの保険給付がございまして、これが今御指摘の出産育児一時金でございます。その出産育児一時金、十八年の十月、昨年、一回の出産につきまして三十万円のところを三十五万円に引き上げたところでもございます。

 また、昨年の九月以降は、事前に保険者の方に、健保組合等に申請をしておいていただきますと、医療機関で、被保険者にかわりまして医療機関の方がその出産育児一時金を受け取るということで、妊産婦の方の窓口での費用負担が軽減できるという受取代理の制度も始めたところでございます。

 また、御指摘の妊産婦健診、妊婦の方の健診の費用でございますけれども、これにつきましては、予算の措置としてやらせていただいておりますけれども、市町村の方で実施をお願いしておりまして、これにつきまして、地方財政上の措置の拡充ということで、回数を多く受診していただけるような仕組みでお願いをしておるところでございます。

大畠委員 地域のこういう声を聞いていると、日本の医療制度というのが、正直言ってお医者さんが少ない、あるいは病院、実は私も病院の数もちょっと教えてもらったんですが、かつては十三ぐらい病院があったんですが、今は産科関係は四つの病院だけになってしまったんですね。したがって、一つは助産婦さんでありますけれども、非常に一つの病院に集中しているという傾向が入っていまして、私は、日本の医療制度というのはどこか崩壊し始めたなという感じがするんだよね。それで、さあ安心して産みなさいと言ったって、ではどこに行って産めばいいのという声が出てきているんですよ。

 最近の、小泉改革以降、自立、自己責任というのを非常に強く強要されていて、それだけのサービスを受けるんだったらお金を払いなさいと。「シッコ」という映画を、民主党の主催で憲政記念館でやったのを私も見たんですが、フランスは無料なんだね。出産も、いわゆる医療行為に対しては無料。イギリスも無料なんですよ。税金の使い方ということで、フランスの女性の方に、出産関係で無料に対してどう思いますかと言ったら、それは当然でしょう、私たちは税金を払っていますから、こういう声が出てきているし、イギリスでもそういう傾向があるんだけれども、日本の国は、できるだけ国が関与するものをどんどん少なくして、市民ができるだけ負担してほしいという傾向にどんどん入っているんです。

 それで、さっき平岡さんが質問したように、何かよくわからないところにお金が使われているんだよね。今回の化学兵器の遺棄問題でも、二百億というお金が投入されながら、実際にやっているところには百億、あと百億は中国に出したとか何かと、よく中身がわからない。そういうところが、今回の防衛庁の問題もそうでありますけれども、何か一、二割高いんじゃないかという話もあるし、それがどこに使われているのか。ゴルフ代に使われているのか。そういう税金の使われ方全般に対して、どうも小泉改革以来、国民に対して負担は非常に強く求めるけれども、政府は一体何を責任持ってやるのかというのがよく見えなくなっている。

 私は、上川大臣、そこら辺は、政府の内部であっても、やはり言うべきものはきちっと言う。一大臣として自分の職責だけやるんじゃなくて、範囲を超えてもいいんですよ、それは国民から選ばれて代議士をやっているんですから。そういう声もぜひ反映していただきたいと思うし、岸田国務大臣も、自分の範疇とは別に、閣議なんというのはいろいろなことを言ったって別に構わないはずですから、もうちょっと、参議院選挙の結果を受けて、政府自体の進路というものを変えよう、もっと国民の生活とか地域の実態に、あるいは政府内部の無駄遣いは徹底してなくそうということを行動しないと、自民党が政権だ、民主党が政権だといったって、地域社会が壊れちゃったらどうしようもないんですから。

 私は、お母さん方の声とかあるいは女性の議員の声を聞いて、ああ、これはおかしな話になっているなという感じがすごくするんです。この医療問題についても、お医者さんも困り、病院の経営も困り、患者も困っているのが実態ですよね。そして、どうも不安感が広がっている。ですから、このことについては、ぜひそれぞれの大臣の範疇を超えて行動していただかなければならない状況に入ってきたなと私は思います。

 それから、休日の医療相談、子供さんが病気になったときにどこに行ったらいいのかわからないという声。病院に行かなくても、ちょっと電話相談、お医者さんと話をすればそれで解決するというような話もありますが、こういう電話相談の体制ですとか、あるいは緊急のときの、特に休日の夜間の対策ですよね。ここら辺が、どうも市民の皆さんは、子供さんを持つお母さん方は大変不安感が強いようでありますから、ここら辺も含めて、日本の医療制度、あるいはこういう休日の国民の医療サービス体制というものを整える必要があると私は思うんですが、この件についてお伺いしたいと思います。

    〔江崎(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

木倉政府参考人 御指摘の休日、夜間等におきます緊急体制、これはもちろん、もともとの休日、夜間の医療機関の体制をしいてもらうとともに、今御指摘のように、どこでどういう治療を受けられるかということの相談がいつでも安心して受けられる体制が必要だと思っております。

 相談の体制につきましては、厚生労働省におきまして、小児救急の電話相談事業というものの推進を図っております。シャープの八〇〇〇番ということで、すぐつながるような仕組みということで普及を図っております。

 これは、夜間や休日におきまして、保護者の方々は、お子さんの急病等、すぐに相談をしたい、専門士さん等にまず相談をしたい、本当に受診すべきかどうかも含めてアドバイスを受けたいという切実な声があるわけでございますけれども、これに対して助言をお願いしておるものでございます。

 全県の普及をお願いしておりますけれども、現在は四十一の都道府県において導入をされておりまして、休日あるいは平日の夜間等の対応で、お医者さんの指導のもとに相談をしていただいている。その結果として、今すぐ行った方がいいですよというアドバイスも、ここが開いていますよというアドバイスもできますが、今は心配ないですけれども、あしたまた改めて行かれて念のため相談をされたらいいですよというようなアドバイス、そういうこともふえてきておって、安心できるという声は伺っておるところでございます。

大畠委員 これは、病院なんかに行って待っていてちょっと話をすれば解決するという問題も、心配だからみんなお母さんも子供を連れていくわけですよね。

 ですから、例えばNTTさんの電話番号案内と同じように、全国にそういうものをきちっと、ある市は一生懸命頑張っているからあるけれども、ここのところはないとかというのもあるんですね。全国的に非常にでこぼこがありますから、これは厚生労働省としても全国的に、全国民がきちっとひとしくそういうサービスを受けられるように体制を強化していただきたいということを私は強く要望しておきたいと思うんです。

 それから、これはお医者さんの話ですが、なぜ小児科、脳外科、産科の医者が少なくなってきたかというと、何か病院でトラブルがあると、患者さんの家族がすぐ警察に訴えて、警官が動くんですね。警官が病院とかお医者さんを調べる、調査に入る、そして問題があれば逮捕するということなんですが、ここのところが医者からすれば非常に精神的に恐怖感といいますか、全力で手術したりなんかするんだけれども、どうしても、人間ですから、いろいろなことがあるわけですよ。それで、失敗したら逮捕されるんじゃないか、失敗したら警官が来て調査されるんじゃないかという恐怖感が非常に強いというんです。だから、小児科とか産科とか脳外科のお医者さんはだんだんいなくなってきて、リスクの少ない分野に、医者はどのところもできるんですから、リスクの少ないところに入ってしまう。

 だから、ぜひ、何かがあって市民の人が警察に駆け込んだ場合でも、第三者機関というものをきちっとつくって、そこで冷静に、医療の専門家とか弁護士さんが入って、市民の話をよく聞いて、そして当該の医者の話も聞きながら、もちろん裁判に入る人は裁判に入っても結構だと思うんですけれども、何か第三者機関をつくって医者の恐怖感を取り除いてもらいたい。これは、お医者さんとしては非常に精神的に今圧迫され始めているというんですね。

 ですから、こういう第三者機関を設立して、ぜひそういう、小児科、脳外科、産科という非常にお医者さんが少なくなった分野にも安心して若い医者が入れるような環境をつくってもらいたいという声があるんですが、これについての厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

西川副大臣 お答えさせていただきます。

 大畠先生がおっしゃるように、今、周産期医療あるいは小児科、脳外科関係において大変お医者様が少なくなっている、いわば周産期医療が崩壊しているのではないかという御指摘をいただいて、私たちも懸命にその実情の把握、そしてその対策に今頑張っているところでございますけれども、今おっしゃった問題、医療事故、それに対してまず警察が出てくる、ここの問題に関して、お医者様に対して大変大きなプレッシャーになっている、これはかなり影響があることは事実だと思うんですね。先般の福島の大野病院のお医者様自身が逮捕される、あれは非常にセンセーショナルな事件で、かなりそういう精神的な影響というのは大きかったと思います。

 そういう中で、厚生労働省としても、まずそれに対して対応しなければいけないということで、まず市民、患者さんあるいは家族の方々は、相談する窓口が必要じゃないだろうかと。それに対して、まず都道府県で、医療法によりまして医療安全支援センターを各県に設置するということを努力義務でお願いしましたが、これが今全部整備されまして、各県に全部設置されております。そこでまず相談をしていただく。

 そういう中で、厚生労働省としても、次に、実際のそういう事態が起きたときに、原因究明その他をしっかり厚生労働省の方で、そういう委員会を立ち上げようということで、死因究明を専門的に行う医療事故調査委員会、今のところ仮称でございますけれども、これを立ち上げることを検討しておりまして、今、厚生労働省として第二次試案をお示ししているところでございます。

 そういう中で、最終的に、さらに今度は、そこの委員会では問題の処理、解決まではいきませんので、要するに原因究明をして、きちんとした結論を出して資料をお示しするというところまででございますので、その後の早期解決に向かっては、やはり裁判ではない、例えばADR、第三者の関与による解決の仕組み、あるいは医療分野において専門に扱う民間の機関なども設立されておりますので、そういう方向でなるべく処理をして、その上でなおかつ、お医者様の、これは刑事事件としてのあれがあると、それはまた判断の外でございますが、そこで解決できる制度を今構築中でございます。

大畠委員 これも非常に医者の仲間では深刻な、もちろん中にはいいかげんな医者もおるでしょう、そういうのはきちっと処罰をするとしても、大方の医者は非常にまじめにやっているんです。まじめにやっているんだけれども、そういうときにすぐ警官が病院に来て担当医者を調べるという話になると、これは一般のところでもそうかもしれませんが、非常に恐怖感になってしまうんですね。

 それで結局萎縮してしまう、やはりそういうリスクがある分野には入りたくないということで、医大を出た学生たちも先輩からの話を聞いていますから、そういうところじゃないところに行きたいなと思うのは心情でしょうね。だから、そういう心情もよくわかるのです。しかし、今のおっしゃったような形のものを早くつくってもらいたいという声がありますので、この件についてはさらに一層力を入れていただきたいという要望をしておきます。

 さて、上川大臣、今のお話をずっと聞いておられて、どうも医療問題だけではなく、子育て、保育所、幼稚園、学童保育、その預かり時間。働く女性の方が非常にふえているわけでありますが、大臣の間に、地域のそういう方々の声をもっとよく聞いて、即効性のあることもやらなきゃならないし、長期的な視点から手を入れなきゃならないのもあると思うんですが、大臣としてのこの問題についての基本的なお考えを伺いたいと思います。

上川国務大臣 ただいま先生から、特に出産にかかわる医療の環境整備については大変喫緊な重要な課題であるということで一連の御質問をいただきまして、今回の予算の中でも、少子化対策関連の予算の重点項目の一つにこれを取り上げて、そして、赤ちゃんが欲しいと思って、しかし周りに産科関係の整備が進んでいないためにためらうなどというようなことがないようにしていくということについては、これは緊急の課題として全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

 そして、夜間あるいは休日の医療の問題も含めて、またお医者さんの問題も含めてということで、これは厚生労働省がさまざまな施策の全体像を描きながら施策の推進に当たっているところでございますので、これも連携をとってしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

 そして、長期的なことも含めて、即効性のあることも含めてということで、少子化全般に対しての考え方という御質問でございましたけれども、これまでも政府としては、今、目下の問題も含めてさまざまな少子化社会の対策についての取り組みを、大綱をつくる、あるいは総合的な少子化対策の考え方を打ち出しながら施策の推進に当たってきたところでございます。

 二〇〇五年の出生数と合計特殊出生率、実は過去最低ということでございまして、そして、昨年末に公表された将来推計人口におきましても、これからの大変厳しい環境の中で進んでいくという社会の将来像も出されているところでございます。

 今、改めて、結婚とあるいは出産そして子育てにかかわる世代の皆さんの希望というのを見てみますと、例えば未婚の方たちの九割以上は結婚したいとお答えになっていらっしゃるし、また、子育て中の方たちも含めて、どのくらいの子供さんが欲しいかというと、二人、一部の県につきましては三人というような御回答もしている。しかし、その現実が、なかなか希望が実現できない現状があるということに対して、この希望と現実のギャップをどう埋めていくのかということに焦点を当てて今取り組みを進め、そして、子どもと家族を応援する日本重点戦略の策定というところの検討をしているところでございます。

 こうした方向性のところの一つの少子化の急速な進行の背景として、就労と結婚、出産、子育ての二者択一構造の存在があるということ。また、先ほどフランスなど欧米の事例も御指摘ございましたけれども、出生率が回復しているこうした欧米の国々の家族政策を見ても、九〇年代以降、家族手当などの経済的な支援から、同時に、育児休業制度とか保育サービスの充実などによって仕事と子育ての両立支援を充実していくというような形での施策の転換が見られ、そうした転換が見られた国については出生率も上がっているというような動きがございます。

 こうした事例も十分に踏まえながら、日本の実情に合わせて、今、仕事と生活の調和の実現、つまり、働き方の見直しを含めた改革、あるいは多様な働き方に応じた子育て支援策ということでの社会的基盤の整備というものについては、車の両輪として進めていこうということで、鋭意その方向性に向かって取り組んでいるところでございます。

大畠委員 今のお話を聞いていて、西川副大臣にちょっとお伺いしたいんだけれども、年齢を数えるときに満と数えとあるよね。出産した以降は保険適用になって出産する前は保険が適用にならないということが、私はどうもわからなくなってきた。妊娠した時点からもう生命がおなかの中にあるわけだよ。生まれたら保険適用で生まれる前の生命に対しては保険適用にならないという、そこがどうもお母さん方は疑問に思っているみたいだね。

 出産したら保険適用だけれども出産前は保険が適用できないから一回につき五千円ずつ払わなきゃならない。若い世代にとっては五千円というのは非常に大きなお金なんです。だから、厚生労働省として、この少子化の中で、フランスとかイギリスみたいに医療行為は全部国でというところまでは私はきょうは言いませんが、せめて妊娠段階から保険適用ということまで踏み切ったらどうでしょうかね、副大臣。

西川副大臣 ありがとうございます。突然の御質問で恐縮でございますけれども……(大畠委員「政治家同士のやりとりだから」と呼ぶ)はい、あうんの呼吸でということで、ありがとうございます。

 今の、おなかの赤ちゃんから見るとそれはおかしいだろうという御説はなるほどなと、ちょっと同感するところもございます。(大畠委員「検討してください」と呼ぶ)はい。

 ただ、いわゆる出産というのを、医療として、病気として見るかどうかという理念で保険適用外ということになっているわけですね。そこのところをどうクリアするかということだと思いますので、一つの御意見としてちょうだいして、前向きに検討したいと思います。

大畠委員 そこら辺は、医学的にはそうかもしれませんけれども、今の現状を考えると、できるだけそういうお母さん方の負担を軽減することも大事だと思いますので、ぜひ検討をお願いします。

 上川大臣と西川副大臣には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 岸田大臣と経済産業省、文部科学省にお伺いします。原子力、エネルギー関連の質問でございます。

 十一月二十四日に、学生とシニアの対話イン東京という会合が武蔵工業大学の世田谷キャンパスというところで行われました。私も出席させていただきましたが、学生たちから非常に率直な意見が出されています。例えば、原子力に関する仕事をしたいと思っているんだけれども、家族とかあるいは一般社会の理解が十分でなく、こういうところで仕事をしたいんだというのがなかなか言い出せないとか、そんな話も出ました。

 それで、小学校とか中学校とか高等学校のエネルギーあるいは原子力に関する教育はどうなっているんだろうか。あるいは、もっとエネルギーに関する展示館とか博物館等の利用を学校でもやっていただいて、社会一般的な、あるいは子供たちにも原子力やエネルギーに関する知識というものを、正しい知識を持っていただきたいというお話がございましたが、この件について、関係の皆さんからの現状についてのお考えを伺いたいと思います。

岸田国務大臣 原子力の研究開発あるいは利用につきまして、国民の理解ですとか信頼というものが不可欠であるということ、これは大変重要な認識だというふうに思っております。

 我が国の原子力政策の基本方針であります原子力政策大綱におきましても、広報ですとか、あるいは教育ですとか、こうしたものの充実を行っていくこととされているところでございます。

 具体的には、私が所掌しております原子力委員会におきまして、原子力白書を作成しまして、わかりやすい説明を行うとか、あるいは原子力委員会のホームページにおきまして基礎知識を解説するとか、あるいは国民との直接対話ということで、この二年間振り返りましても、市民参加懇談会を三回開催する、あるいはご意見を聴く会という会合ですが、これは三回開催をしております。あるいは、公開フォーラム二回を開催しております。

 このような直接対話も進めているところでありますし、さらには、この原子力委員会におきまして、先般の新潟県中越沖地震におきまして一部情報の提供が不十分であった、こういった経験を踏まえまして、通常時あるいは緊急時を問わない情報の提供を行う、あるいは、事実誤認あるいは見解の相違を含む報道に対しては訂正を求めていくなど迅速な対応を行っていく、こうした方針を図っていく、それをしているところでございます。

 御指摘も踏まえまして、今後とも工夫を続けていきたい、このように考えております。

前川政府参考人 文部科学省としての取り組み状況について御説明申し上げます。

 学校教育におきましては、原子力発電を含みますエネルギーの問題につきまして、児童生徒のそれぞれの発達段階に応じまして、社会科、理科、あるいは総合的な学習の時間を通じまして指導を行っているわけでございます。

 例えば、小学校の社会科ですと、三年生、四年生で、電気、ガスの確保と自分たちの生活とのかかわりといったことについて学習させる。あるいは、中学校の社会科ですと、資源、エネルギーの問題についての課題学習を行う。中学校の理科で、原子力などのエネルギーの有効利用の重要性について教える。また、高等学校に参りますと、理科の時間の中で、原子力などのエネルギー、資源の特性、利用、あるいは放射線の性質といったことについて学ばせる。また、総合的な学習の時間では、小中高等学校を通じまして、原子力などのエネルギーの問題につきまして、調べ学習とか討論、発表などの活動をやっておるところでございます。

 こうしたエネルギーや原子力についての理解を深めるためには、エネルギー関連の展示のある科学館などの施設を子供たちが訪問して学習するということは大変意義のあることだというふうに考えておりまして、私ども文部科学省といたしましても、こうした取り組みを支援するために支援策を講じておるところでございまして、エネルギー関連施設への訪問学習の実施あるいは副教材の作成、教員研修、こういったことを各都道府県で取り組んでおられる場合に、これを支援する交付金事業などを行っているところでございます。

大畠委員 かつては、原子力に関する学校での取り上げというのは、どちらかというと遠回しにやっていたようでありますけれども、今の環境問題等々からいっても、原子力あるいは放射線、あるいは放射能とは何かとか、放射線とは何かとか、そういう基礎的なところはきちっと正しい情報を子供たちにも学んでもらうことが大事なので、さらに力を入れていただきたいと思います。

 それから、スリーマイルアイランドの原子力事故以来、原子力に対する疑問等が非常に呈されまして、大学でも原子力という名のついた学部や研究室が少なくなってしまったんですね。ちょっとお伺いしたいのは、こういう原子力と名をつけて一生懸命頑張っている学部とか大学はどのくらいあるのか。

 さらには、実は私も学生から聞いて初めて知ったんですが、原子力船「むつ」が開発を途中で中断をして、原子炉が解体されたんですが、いまだに原子力船を受け入れるための大学の研究学部というのがあるというんですね。その学生から聞いたんです。実際には原子力船というのが日本では計画がなくなってしまって非常に残念です、しかし、私たちは大学の中で、原子力船というものが建造された場合にはどういう形でそれをサポートするかという勉強をしているんですという話があったんですが、大学における原子力というものに対する研究をやっているところはどういうところがあるのか。

 そして、原子力船「むつ」は計画を途中で中断されましたけれども、私は、あの大変なお金を出して研究をした技術データがたくさん蓄積されていると思うんですが、そんなものをベースに、将来を展望して、そろそろ原子力船というものを日本でも再度研究を開始する、そういうお考えがあるのかどうか、この二つについてお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 原子力の関係の大学の現状について、私の方から御説明をさせていただきます。

 もう委員よく御存じのとおり、我が国が原子力をスタートさせました昭和三十年代から、東京大学でございますとか京都大学を初めといたしまして、多くの大学で原子力に関する学科等が設置をされました。例えば、昭和五十九年の数字ですと、大学レベルで十の大学、それから大学院レベルで九の大学院でもって原子力に関する学科が設置をされていたところでございます。

 その後、委員御指摘のとおり、チェルノブイリの原子力発電所事故が昭和六十一年に起こりましたこと、それからまた、大学教育についても、大ぐくり化、学際化の傾向等がございまして、多くの原子力関係学科はほかの学科と統合等を行って、原子力を専門に学ぶ学科の数が減ってきたという状況がございました。

 しかしながら、特にここ最近、平成十六、七年以降でございますけれども、東京大学、福井大学、福井工業大学が新たに原子力関連の学科、専攻を設置いたしましたし、また、来年度には武蔵工業大学が新たに原子力安全工学科を設置する予定であるということなど、数の面で若干上向きの動向もあるところでございます。その結果、平成十九年度現在で、学科、専攻の名称に原子力という言葉をつけております大学は、学部段階で一校、それから大学院段階で五校というふうな状況になってきているということでございます。

 私ども、これから原子力の研究開発利用を持続的に発展させていくという上で、人材の育成、確保は極めて重要でございますので、平成十九年度、今年度から新たに経済産業省と連携をいたしまして原子力人材育成プログラムを創設いたしまして、初年度でございます今年度は、十四大学、八高等専門学校におきますすぐれた原子力人材育成の取り組みに対して支援措置を開始しております。また、世界的な卓越した教育研究拠点の形成を目指しますグローバルCOEプログラムにおきましても、東京大学の工学系研究科原子力国際専攻の取り組みを採択するといった形での支援も行っているところでございまして、今後とも引き続き原子力分野の人材育成の支援に努めてまいりたいと考えております。

岸田国務大臣 原子力船の研究の話ですが、原子力潜水艦あるいは原子力空母等の艦艇を除く原子力船の研究、これは商船の高速化ですとか長期運航の実現の可能性を探るということで、一九五〇年代ごろから盛んに研究開発を行われたところですが、現在は、ロシアを除きすべて退役をしているというのが実情でございます。

 我が国におきましても、国産技術で建造されました原子力船「むつ」の開発そして運航によりまして研究開発の所要の成果が既に得られたということであり、その当時、実用化を目指すめどが立たないというようなこともありまして、平成十七年十月をもって研究開発を中止したというところでありました。

 御指摘の原子力船の研究開発につきましては、今後、例えば化石燃料の価格がどのように推移していくか等々、社会、環境の変化に伴いまして、経済性や原子力船の持つ特性、こうしたものに対するニーズの見込み等を考え、そうした研究開発に対する環境が整えば議論が再開される可能性はあるとは思っております。ただ、現状は先ほど申し上げましたとおりでございます。

大畠委員 せっかくあれだけ関係者がそろって技術的なものを蓄積しましたので、それをぜひきちっと生かすようなことも検討すべき時代に入ったかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、最後になりますけれども、今、月の周りを「かぐや」が回っていて、この間私も、NHKの三十分番組ですか、あれで見せていただきましたが、非常に感動的な映像でありました。これをぜひ学校の子供たちにも見せたいなという提案をさせていただきましたけれども、これをどういうふうに今実用化しようとしているのかということと、あと、水素自動車というところもエネルギーの関連では非常に大事なものになってきたんじゃないかという御指摘をいただいておりますので、この二つについて現在の考え方を伺って、質問を終わります。

藤田政府参考人 私の方からは、「かぐや」に関します画像の公開についての現状を御説明させていただきます。

 先ほど委員お話しになられましたとおり、去る十一月十四日、NHKの特別番組で、「かぐや」が撮影いたしましたハイビジョン映像などを用いましてわかりやすく解説をした番組が放映されたところでございますが、この視聴率は一〇・四%だということで、野球なんかよりも視聴率が高い、教育番組としては異例の高い視聴率だったというふうにお聞きをしております。これなども、宇宙開発や科学技術に対する国民の理解を深めるという意味で、非常に有益なものであったのではないかと思っております。

 そういう観点もございまして、「かぐや」が撮影した画像などにつきましてはできるだけ速やかに公開をするというふうなことで、既に撮影した画像等については速やかにインターネット上で公開はしてきているところでございますけれども、よりわかりやすい形で公開をするべく、現在、宇宙航空研究開発機構におきまして、「かぐや」が撮影をいたしましたハイビジョン画像など、画像に専門家の解説をわかりやすい形でつけた映像コンテンツを作成中でございまして、うまくいけば来週の後半にはJAXAのホームページにアップロードをして公開ができる予定でございます。

 今後とも、子供たちも含めまして国民にわかりやすい形で、「かぐや」の映像、画像や成果を公開してまいりたいと考えております。

上田政府参考人 資源エネルギー庁の上田でございます。水素の自動車に関しての現状を御報告させていただきたいと思います。

 水素、これは現在のところ、水素そのものを燃やす自動車と、水素を原料といたしまして電気に変えていく燃料電池自動車と、二つのタイプがあるわけでございます。いずれも、将来のエネルギー源として、あるいは地球温暖化対策の観点から、非常に重要なエネルギーであると私どもは認識しております。

 現在、実は実証実験というのを二〇〇二年から行っておりますけれども、日本全国に約六十台の燃料電池自動車あるいは水素自動車というのが実証実験を行っております。また、そのインフラという意味では、水素のインフラ、水素ステーションというものを首都圏を中心といたしまして現在全国に十一カ所建設をしておりまして、これらで実証試験というのを行っているところであります。

 それから、規制の面も重要でありまして、これは内閣官房を中心といたしまして七省庁から成ります燃料電池の実用化に関する関係省庁連絡会議というのがございます。ここで、燃料電池の普及促進の観点から、各省庁の持っています規制の総点検というのを行いまして、六法律二十八項目につきまして、現在、初期段階での燃料電池自動車の走行に問題がないという形であるということを確認ないし規制の緩和をいたしております。

 さらに、水素につきましては、実は基礎的な研究がまた非常に重要でございまして、私ども、例えば産業技術総合研究所の中に研究センターを設置いたしましたり、九州大学と連携させていただきまして、九州大学の中に水素の脆弱性というのを研究する研究開発拠点を設置するなど、この分野での取り組みを強化させていただいておるところでございます。

 いずれにいたしましても、水素自動車というのは私どもにとりまして非常に重要なエネルギーであると認識しておりまして、今後とも一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。

大畠委員 まだ質問の計画があったんですが、次回にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、この内閣委員会でこれまでから、政府広報とかタウンミーティングなどの契約をめぐる随意契約が非常に多い、あるいは一般競争入札の形をとった結局随契という、その問題をずっと取り上げてまいりましたが、きょうは、防衛省と軍需企業との契約の実態について質問をしていこうというふうに思っているんです。

 最初に、泉大臣に伺っておきたいのは、実はこの問題というのはなかなか歴史的に深いものがあって、一九七六年の二月にロッキード疑獄がアメリカの方で最初に発覚をして、しかしそれは、単なるトライスターの導入という民間機の話よりも、一番大きな本筋の問題というのは、実は一九五八年、九年にかけての第一次FX商戦ですね。もともとグラマンのF11Fでほぼ決まっていたものをロッキードF104に逆転させたという、その間にあってのロッキード社と児玉誉士夫らの癒着ということで、これは大問題になったわけであります。

 それはまた、ちょうどこの事件が発覚したころ、P3C疑惑こそが実はこの問題の一番の本筋だったということであるわけですが、ですから、それだけに、当時、検察と警察も協力して取り組まれたのは知っているんですが、この事件、それから、近いところでは九八年の防衛庁調達実施本部の背任事件、それから二〇〇六年、防衛施設庁官製談合事件などありましたけれども、まず、この三件について、検察庁と協力して警察庁を指揮して、どういう基本姿勢で捜査と追及に当たってこられたのか、この基本的なところを冒頭に伺っておきたいと思います。

泉国務大臣 御指摘がございましたロッキード事件等、数々の不祥事があったことは大変残念なことだと思っております。

 一般的なお答えしかこの場では申し上げられないわけでございますけれども、警察はこれまでも、刑事事件として取り扱うべきものにつきましては、いわゆる法と証拠に基づいて厳正に対処してまいりました。ことしも、六月の二十二日でございますけれども、警視庁において、陸上装備部の調達をめぐる贈収賄を検挙したということでございまして、この姿勢はこれからも厳正に貫いてまいりたいと思っておるところでございます。

吉井委員 改めて確認しておきたいと思うんですが、けさのマスコミなどでも、「防衛利権、政界も視野」という検察の動き等も伝えられておりますが、私は、やはり大きな問題の一つに随意契約というものがあったと思います。随意契約が汚職の根源と言っても言い過ぎでない問題としてあると思うんですが、国家公安委員長として、随契にかかわる疑惑があれば、これは法と証拠に基づいて検察庁とはかって徹底捜査を行っていく、解明を行っていくという、その意思をお持ちだろうと思うんですが、この意思だけを改めて確認しておきます。

泉国務大臣 先生御承知のように、随意契約には、それなりの理由があって随意契約を実施しなければならない案件もあることは事実であると私も思っております。しかし、随意契約という形をとって、いわゆる不祥事につながるような事柄がもしあるとすれば、それは警察として対処してまいるつもりでございます。

吉井委員 次に、防衛省の方に、政府参考人に幾つか伺っておきたいと思うんです。

 お手元に七ページの資料を配らせていただいております。これは、防衛省からいただいた資料をきちんと精査した上で整理して出させていただいたものです。ですから、出所元は全部防衛省ということになるんですが、この中で、まず問題は、防衛省予算の中で、武器、航空機、艦船、戦車などの装備品購入が占める割合というのは、これは白書に出ておりますが、毎年、約一八%なんですね。非常に膨大な額の調達が行われております。

 防衛省からいただいた資料、二〇〇一年から二〇〇六年までの分ですが、防衛省中央調達における装備品等に関する契約資料をいただいて、これをもとに調べると、中央調達だけでも装備品は六年間で全体で五万三千件あって、金額にして約七兆七千六百七十三億円という金額に上っております。

 防衛省の契約方法の区分に従って整理したのは、この資料の一です、一ページになるものですが。一般競争入札というのは、これは見れば、件数では一万四千百九十七件で二六・三%、一般競争が四分の一ぐらいに見えるんですね。しかし、金額ベースで見れば千八百七十八億円余りですから、わずか二・四%。それから、あわせて指名競争入札の方を見ておきますと、これは件数で二千五百四件、四・六%、金額は四千四百三十七億五千三百万円で五・七%。随意契約を見ると、件数で一万六千九百三十七件で三一・四%、三割余りは随契なんですが、実は金額ベースで見ると、これはこの表にありますように、六兆三千三百八十五億七千万円、八一・六%なんですね。

 こういうふうに非常に大きな数字になっているということを見ることができると思うんですが、まず、防衛省の方に、この数字、食い違っちゃいけませんので確認をしておきます。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がお示しになった数字、若干、とっている契約の範囲に多少の差はございますけれども、基本的に当省の集計と一致しております。

吉井委員 それで、件数だけ見ると、防衛省の区分では、一般競争と随意契約の件数はそれほど、二六・三%と三一・四%ですから余り変わらないんですね。ところが、金額ベースで見ると、これは圧倒的に随契なんですね。随契というのは、これまでいろいろな談合事件で取り上げられてきたように、官僚の天下りを介在した官製談合、発注者が仕切った受注企業との間の談合の温床になりやすいというものですが、防衛省の契約でやはり見過ごすことができないのは、一般競争や指名競争入札を行った後に、形は入札をやっているんですよ、しかし実際には随意契約にしたものが非常に多い、これが特徴ですね。

 一般競争や指名競争を行った後、随意契約を含めると、結局、随意契約で調達したものはどうなるのか。これは件数ベースでいきますと、三万六千六百八十、六七・九%ですから約七割になり、そして金額ベースでいくと、約七兆六百十億円で九一%。つまり、件数ベースでは一般競争は七割、随契は三割なんですが、金額ベースで見れば一般競争は一割未満の七%、随契は九割ということになっていると思うんです。

 防衛省の中央調達装備品の契約の実態というのは、結局、一般競争というのは名ばかりで、ほとんどすべてがこういう随契になっているんじゃないかと思うんですが、これは確認しておきます。

小川政府参考人 まず、防衛省の防衛装備品の調達の特徴といいますか実情といいますか、ということなんでございますけれども……(吉井委員「いや、それはまた後で聞きますから。数字の方は、今の、整理すれば一割、九割」と呼ぶ)これはお示しになった数字は、先ほど申しましたように、我々の集計と一致しております。

吉井委員 それで、一般競争や指名競争を行った後の随意契約について少し掘り下げて見ておきたいと思うんですが、防衛省の装備品の契約額上位というのは、一位が三菱重工、二番が川重、三番が三菱電機と、この三社の順番で毎年、順位不動なんですね。しかも、けた違いで他の企業を圧倒的に大きく引き離しているというのは、実は昨年の行革特のときに天下りと契約額の相関関係表というのを私は出しましたけれども、それらを見てもはっきりしております。

 それで、防衛省が提出された落札等判定書の二〇〇六年度についてだけ見ていきたいと思うんですが、一般競争を行った後に随意契約になったものはどういうものがあるか。これは、資料の二をごらんいただきたいというふうに思うんです。

 この資料の二を見れば、まず三菱重工について見れば、ここにまとめておきましたが、十一件、約七十五億円、これが入札参加者は三菱重工一社だけというものでした。それから、同じように一般競争の形をとっているんだけれども、川崎重工一社だけの入札参加、これが、この三枚目にありますように、六件、約五十二億円です。それから次に、一般競争なのに入札参加者は三菱電機一社だけ、これは次の四、五、六ページになりますが、合わせますと八十八件、約五百三十八億円。これだけ大きな数に上っているわけです。

 それで、これは間違えてはあきませんから、この点も防衛省にまず確認をしておきたいと思います。

小川政府参考人 恐縮でございますが、こういう表になったものを今見せていただきましたので一々をちょっと確認できませんけれども、我々からお出しした資料から先生の方でおつくりになったものということであれば、我々の資料に基づいたものではないかというふうに考えております。

吉井委員 出していただいた数字が間違いなければ、このとおりになるわけです。

 それで、防衛省が資料を出さないので二〇〇六年度だけの結果しかまだわからないんですが、一般競争入札でありながら、応札したのが契約相手の一社だけだったという入札が、公告を行って機会の均等、公正性の保持、予算の効率的使用を目的とした一般競争入札と言えるのかという問題があると思うんです。

 これは制限つき一般競争入札ではないんですが、防衛省の側から何らかの働きかけをした結果として、事実上一社だけのいわば偽装一般競争入札で、実質随意契約となったものではないのかと思われますが、どうですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 若干、背景として装備品調達の特徴を申し上げたいわけですけれども、防衛省・自衛隊における装備品調達でございますけれども、装備品ということの特殊性から、一般の市場で売買されるものではない。また、複雑な仕様で、製造、修理に当たって、多額の初期投資また特殊な設備、高度の技術が要求される。また、場合によって航空機製造事業法や武器等製造法の許可、認可が必要である。それから、外国のライセンスの取得が必要な場合がある。加えて、武器輸出三原則もございますけれども、国内市場に市場が限られておるわけでございますけれども、予算の漸減傾向で調達量も減少傾向ということで市場は縮小ということで、そういった背景から、それぞれの装備品で、製造能力を持った会社が一社だけに限定されるという実態が相当程度あるということは背景にあるわけでございます。

 それで、御質問の趣旨でございますけれども、我々が一般競争入札を行う場合は、当然、いろいろな会社が広く参加できるように特段の条件を設けないで、また、先生御指摘のような、あらかじめといった、そういったことは全くなしに競争入札をやっておるところでございます。

吉井委員 余り特殊性ということを言い出すとそれは極端なことになるという一面がありますが、しかし、特殊性という言葉を使っていて、後で少し伺おうと思ったんですけれども、例えば具体的な例で見れば、バケットローダー、これは川崎重工だけが入札して落札しているわけですね。

 しかし、バケットローダーというのは工事現場でよく見るわけで、例えば、さっき質問された大畠さんの日立も日立建機がつくっているわけですよ。それから、小松製作所もつくればキャタピラー三菱もつくっているわけですよ。何でこれが特殊だといって川重一社になってしまうのか。これは説明がつかない。だから、特殊性ということを理由にしてこういうふうなことが起こっては本当にとんでもない話だということを、まずはっきり言っておかなきゃならぬと思うのです。

 会計検査院がことし十月に発表した「各府省等が締結している随意契約に関する会計検査の結果について」の中で、「随意契約より競争性の高い契約方式である競争契約の利点が発揮されるためには、なるべく多数の業者が入札に参加し適切な競争が行われることが重要である。」「競争契約であっても一者応札の場合には実質的な競争の利益を享受しにくい状況が示されている。」これは会計検査院が指摘しているんですね。

 防衛省によれば、随意契約になった理由というのは、予定価格以下の者がいなかったか、再び入札を行っても落札者がいなかったからとしているんですが、実際には入札といって一社しかないんですから、もともと随意契約と同じですよ。だから、これは偽装一般競争入札というふうに言って差し支えないと思うんです。

 防衛省の一社による一般競争入札は、三菱重工、川重、三菱電機の三社もしくはそれ以外の会社が事前に談合して、契約者となる特定の一社しか札を入れないという入札談合が行われた結果なのではないか、こういうふうに見られて仕方がない形になっているんじゃないか。これは、冒頭にお示ししたこの表でも、実質的な随意契約は七割、それによる契約率が九一%ぐらい、九割、この異常な事態を見たときにそう考えざるを得ないのではないかと思うんですが、何かありますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員が例としてお挙げになられましたバケットローダー、装輪型でございますが、一型、二型というものでございますけれども、これは御指摘どおり、バケットローダーということでは国内でも数社、提供可能な会社があるわけでございますけれども、陸上自衛隊で使うわけですが、使用目的が、当然有事の場合、災害派遣の場合ということで、離れたところへ他の自衛隊の車両と同行して相当のスピードで迅速に移動することが求められるということで、民間用のバケットローダーは通常そういうことを求められないものですから、非常に具体的に申し上げますと、多くの会社の製品は最高速度が三十キロ台なわけでございますけれども、自衛隊では四十数キロの速度を求めておりまして、それに適合するのが実態として川崎重工のバケットローダーだけということで、純粋に要求する仕様で一般競争入札をやりまして、我々としては、本来は数社参加していただいて、開発をしてでも参加していただくことを望んでおるわけですけれども、結果として、一社が応札をして、随契ではございませんけれども、一般競争入札で落札をして契約をしておるというのが実態でございます。

 ということで、一般論といたしましても、先生おっしゃるような実態はないというふうに我々は認識しております。

吉井委員 バケットローダーですけれども、これは大体、入札のときに設計仕様をきちっと示せば、三十キロ台でふだん走っているというものを四十数キロ台でこたえられるものにできるんですよ。それから、他の車両との連結を考えるならば、連結部分だけの仕様をきちっと示せば、どのメーカーのものだって共有できるんですよ。何でそれを川重一社指定に、一般競争入札なんだけれども、指定はしていないんだけれども、実質的には川重しか応札しなくて、川重だけが落札するのか。毎年毎年ずっとこれは続いているんですからね。これは、だれが考えてもわかるような話じゃないんです。

 それで、資料の五ページ目の一番上をごらんいただきたいと思うんです。

 これは三菱電機との契約ですが、空自作戦用シミュレーションシステム用装置借り上げと航空支援集団指揮システム用端末等借り上げ、この二件は、札入れしたが会社がなかったわけですね。三菱電機との間で随意契約を行っているわけですね。一般競争入札でどうしてこういうことが起こってくるのか。これは、防衛省と三菱電機との談合でもやらないことにはとてもその理由がわかってこないものですね。どう説明するんですか。

小川政府参考人 この空自の作戦用シミュレーションシステム装置借り上げでございますけれども、目的は、総隊司令部でありますとか、その他の指揮、指揮所演習の支援でありますとか、幹部学校の各課程における戦術教育支援ということでございます。

 シミュレーションシステムということで、米国の会社の開発したシミュレーションプログラムをベースに、ライセンス契約を締結して、日本企業、具体的には三菱電機が製造しておるわけでございまして、そういうライセンス契約が複数社に提供されれば、ここで競争状態が発揮されて、我々もそれを望むところなわけでございますけれども、現状で三菱電機一社がライセンス契約を受けているということで、結果的に一社が応札するという結果になっているというふうに認識しております。

吉井委員 それだったら、最初から一般競争入札する意味は全くないんですね。一般競争入札だと言っておいて、札入れする企業もないのに、結局それで随意契約をする、こういうことが余りにも多過ぎるんです。

 官房長官、お忙しい中、終わりの十分間で結構ですと言ったら、ちょっと早目に来ていただきましたけれども、少しお聞きいただいておいてと思うんですが。

 それで、財務大臣の指示により、防衛省は、随意契約見直し計画を昨年六月に発表して、さらにことし一月より改定して、それによれば、二〇〇五年実績で九八・二%あった随意契約を、見直し後、四四・七%を一般競争による契約にする、大体半減するというお話なんですが、しかし、実際には、これは資料二、三、四、四から六にありますように、確かに一般競争にしたという話なんだが、ところが、入札に参加し契約した会社は一社だけで、結局随意契約となっておりますから、ここでも一般競争入札を装った随意契約のままになっているというのが現実の姿であります。

 そこで、中野委員長にここでお願いしておきたいんですが、これは二〇〇六年度の資料をいただいたのを整理したんですけれども、やはりこういう実態がずっと続いておりますから、いわば偽装一般競争入札ですね、入札者が契約相手の一社しかなかった案件というのがこれまでずっと続いておりますから、二〇〇六年度以外についても、契約についてわかるように、解明できるように、これまで何件あったか、契約相手、案件名、金額はどうだったかという資料を提出されるように、委員長においてお計らいいただきたいと思います。

中野委員長 本件につきましては、理事会で協議をいたしたいと思います。

吉井委員 一般競争を行った後に随意契約としたもので、通常の一般競争入札でどうだったのかというのを見ても、これは資料の七枚目、七番目のところに出しておきましたが、これは、二〇〇一年から二〇〇六年の間に、一般競争入札で防衛省装備品を落札したもので、入札参加者が落札者だけだったものです。これも、一般競争を装って随意契約としたと疑われても仕方がないものであります。ですから、本当に次々とこういう実例が出てきているということをまず指摘しておかなきゃならないと思います。

 それで、資料三の方に戻っていただいて、川崎重工の資料ですが、防衛省は、発動発電機JPU―U60の予定価格が契約金額と同額の千七百二十二万円であることをこれでは明らかにしておられます。

 これからわかるように、予定価格を明らかにしたら同額なんですが、ほとんど求めても予定価格は、契約後なんですけれども、契約が済んだ後でも予定価格を教えてもらえないんです。これは、予定価格と落札価格はこの例のように全く同額なのか、ほとんど同じだからではないかと思われますが、違うというなら違うものを明らかにしていただきたいと思います。

小川政府参考人 まず予定価格の公表の点でございますけれども、昨年八月の公共調達適正化の方針もございまして、できる限り契約に係る情報を公表するということでやっております。

 予定価格もしかりでございますけれども、ただ、その政府全体の適正化の方針の中でも、公表したとして、他の契約の予定価格を類推されるおそれがないと認められるものは公表する、もしくは、国の事務事業に支障を生ずるおそれがないと認められるものに限って公表するということになっておるわけでございます。

 防衛省で調達している装備品の中で、継続して長期間繰り返し調達するものも多いわけでございますけれども、そういう場合に、継続している場合に予定価格を公表したとすると、次回以降の契約でそれを知った上での商議ということになりますので、国が不利になるということで公表していないものがあるわけでございます。

 先ほどの、予定価格、具体例でございますけれども、ちょっと今手元にございませんが、それは実例がございますので、お示しすることは可能でございます。

吉井委員 これは全部出してもらったらすぐわかるんです。そうすると、全部がこれと同じように一致しているのか、若干違うぐらいちょっと色をつけてあるか、わかる話なんです。それは、先ほど委員長にお願いしましたように、一連の資料の中でまずそれを出していただきたいと思います。

 次に、ここで私が見ておきたいのは、防衛省が提出した装備品契約に関する資料を見ると、実は、随意契約とした理由の一つに、防衛庁長官からの指示あるいは防衛大臣指示というものがこの六年間で二百四十七件、金額で五千八百二十億円あります。これは、会計法令上、随意契約としていい場合に大臣指示によるというものは普通はないわけですね。

 国家公安委員長に伺っておきますが、国家公安委員長が指示したか、ないしは警察庁長官指示で随意契約にした、そういう契約というのはありますか。

泉国務大臣 装備品の調達に関しまして、私または警察庁長官の指示において随意契約が行われたという例はございません。

吉井委員 他の省庁も、国交省その他、聞いてみました。他の省庁でも、大臣指示で随意契約にしたというのはありません。それはある意味では当たり前だと思うんですが。

 ところが、防衛省にだけは、例えば、九七年一月十四日に久間防衛庁長官が新中距離地対空誘導弾の調達を決定されて、二〇〇一年度に中谷元防衛庁長官が大臣指示で三菱電機と随意契約をやっておりますが、このときは十九億と十三億、合わせて三十二億円なんですが、防衛大臣指示による随意契約というのは随分たくさんあります。

 何十億という単位じゃなくて、一件当たり百億円以上の随意契約を見てみますと、例えば二〇〇一年度には、中谷元防衛庁長官指示で随意契約したのが、多連装ロケットシステム自走発射機百六十二億円とか、F2A、B支援戦闘機八百八十二億円とか、救難飛行艇US1A改造二百二十八億円とか、二〇〇二年、二〇〇三年と引き続いて大臣になられた石破さんのときの大臣指示で随意契約したのが、救難飛行艇US1A改造百二十五億、次期固定翼哨戒機及び次期輸送機三百四十四億円とか、その翌年は七百八十五億円とかですね。

 つまり、六年間で二百四十七件、五千八百二十億円の大臣指示による随意契約というのが行われておりますが、これは事実ですね。確認します。

小川政府参考人 いわゆる長官指示の案件でございますけれども、おっしゃられた数字がそのとおりかどうか、ちょっと手元の集計がございませんけれども、長官指示に基づく契約というのがあるのは事実でございます。

 ただ、長官指示は、十五年八月以降、そういった指示というものは発出しておりません。また、昨年八月に定められた公共調達の適正化に関する政府全体の方針に従いまして、それ以降は、公共調達適正化の方針の中で随意契約によることが真にやむを得ないとされるもの以外については、長官指示が発出されている装備品についても、公募など競争性を確保した競争方式を導入して実施いたしております。

吉井委員 二〇〇五年、だからほんの二年前までですね、大臣指示で随意契約はずっと行われてきたということなんですね。

 それで、防衛庁長官ないし大臣が機種選定で決定するか、大臣指示で、その選定した機種にかかわって業者との随意契約を命じるか、これはいずれにしても、大臣には契約にかかわる大きな職務権限が存在しています。その大臣が業者から接待を受けていたり、あるいは政治資金パーティー券を買ってもらうとか、ばれてから返却しても遅いわけで、そこには汚職の疑惑が生じてくるのは当たり前だと思うんです。

 久間防衛大臣のときには、装備品の調達相手の選定を行ったのが十二件ありました。護衛艦、掃海艇、潜水艦、輸送艦、哨戒ヘリ、観測ヘリなど、これは防衛省からいただいた資料ですが。それから、大臣指示で随意契約させたのでは、例えば額賀防衛庁長官のときに、二〇〇五年度で航空機、武器、通信電子器材など二十件が大臣指示による随意契約で、その総額はざっと目の子勘定で百七十三億円ぐらいになるかと思いますが、そういうことが行われてきているというのが現実の実態なんですね。その数字はいただいたものですから、これを確認しておったんじゃ官房長官にお伺いする時間がなくなりますから、おいておきます。

 そこで、官房長官に伺いたいんです。

 昨年の行革特で私、資料を出して、そのときに当時の官房長官にも質問したんですが、受注額が多いほど天下り、防衛省などのOB受け入れ人数が多い。三菱重工、三菱電機、川重の天下りの受け入れが他の群を抜いているということなどを昨年もやったんです。

 きょう、ずっと議論してまいりましたのは、随意契約をこれまでからもこの委員会でやってきて、前も町村大臣に質問しておりますが、日本の軍需産業がいわばスーパー談合を行って、PXとかCXとか救難飛行艇の製造を分担し合う申し合わせを行ってきたら、大臣がそのスーパー談合の結果に沿った機種選定に関する告示を出し、業者とはその後、大臣指示による随意契約として契約はできると。大臣に大きな職務権限があって、随契が防衛省調達の九割を占めているというこの現実は、これでは随意契約は大っぴらにまかり通るし、国の調達そのものが本当に疑惑を生み出すような構造になってしまっていると私は思うんです。これは、一般競争の形をとった随意契約問題、何度も指摘してきたんですが、是正されないままに来ております。

 そこで、官房長官に、どの省のどの問題ということじゃなしに、随意契約とそこから出てくる疑惑の問題は、この構造を政府として徹底解明していくということ、そしてその構造を打開するということをやはりやっていかないとだめだと思うんですね。官房長官に伺っておきたいと思います。

町村国務大臣 委員の御議論の前提は、随契があると必ずそこには天下りが発生し、構造疑惑が発生し云々という論理なんだろうと思いますが、必ずしも随契が全部そうだとは私は思えない。特に防衛の場合は、日本企業が外国政府や製造元である外国企業からライセンス生産を認められている場合において、当該防衛装備品及び役務の調達等は随契でもいいという、一応そういう一般的な、随契でもいいよというルールがあるようでございます。

 ただし、さはさりながら、やはり公共調達の適正化というのもそれは必要であろうという問題意識は持っているわけでございまして、ことしの一月に関係省庁の連絡会議で随意契約の適正化というものを決めまして、競争性、透明性を高めて随意契約見直しの計画をそれぞれの府省でつくってもらおうということで、今やっている最中でございます。そして、すべての府省にその契約の監視を行うための外部の委員から成る第三者機関を設置することであるとか、あるいは総務省が各府省の取り組みが厳正に行われているかどうかをさらに監視を行うということなどを申し合わせて、今実行に移しているところでございます。

 防衛省の場合は、さっき申し上げましたような、かなり他の省庁とは違う、特殊性もあるのかもしれませんが、いずれにしましても、この防衛省のあり方ということについてはいろいろな議論がございますので、そうしたことを含めて、つい先日、総理大臣の指示で防衛省改革会議というものを内閣の方につくりまして、官房長官である私と防衛大臣、あと民間の有識者の方々で、主として三点議論をすることにしております。

 そのうちの一つが、この調達のあり方ということを一度根っこから考え直してみるべきではないだろうかということは三つの検討課題の一つとして取り上げておりますので、できるだけ早くその会議を立ち上げまして、多分、来週早々になろうかと思いますけれども、そしてできるだけ早い時期までにその答えを出し、国民の皆さんのそうした疑惑といいましょうか心配といいましょうか、そういったものが、防衛省の発注についてそういう疑惑、心配というものを招かないような透明性の高いものにどうやってしていけるだろうかということで、大いに議論をし、答えを出していきたいと考えているところであります。

吉井委員 特殊性という理屈じゃだめだというのは、先ほどもバケットローダーの例なんかで、来られる前にやっておいたんですが。

 いずれにしても、大臣指示で随意契約が行われるという事実が明らかになっているんです。数百億円規模でも大臣指示で随意契約。そうすると、せんだってマスコミにも出ておりました太田さんという仙台防衛施設局長の証言している、額賀さんが九九年四月二十三日と二〇〇〇年三月二日に口ききを行ったという、山形県ですか、そういう地元企業を入札に入れてやれやなんという話は小さい話で、これくらいの口ききや大臣指示というのは防衛省の中では当然のことぐらいになってくる。だからこそ、この構造の徹底解明と打破が必要なんだということを申し上げておきたいと思うんです。

 最後に一点だけ。

 通告して時間がなくなりましたので簡単で結構ですが、原油高騰の異常な動きの中で、関係閣僚レベルの原油高騰問題戦略本部を設置して、国際的にも投機資金規制に取り組んでいくとか、原油が高騰したからバイオエタノールだと、またそっちに投機資金が流れて、穀物の問題、世界的な飢餓の問題、環境破壊とかが続いてきておりますから、やはりこれらについて内閣としてきちんと取り組んでいかれるということが大事だと思うんです。官房長官にそのことを最後に伺って、質問を終わるようにしたいと思います。

中野委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますけれども、では、簡潔な御答弁をお願いいたします。

町村国務大臣 簡潔にお答えいたします。

 私どもも大変心配をしております。きのう、経産省の方から、どういうところに影響が出るだろうかという調査結果も既に出されております。

 また、その対応として、中小企業向けの特別相談窓口の設置やセーフティーネット貸し付けの実施、省エネ設備の導入支援、こうしたきめ細かい対策を既に打ち始めているところでございますが、さらに心配もございます。与党の方でもいろいろ御検討をいただいているやに聞いておりますので、政府と一体となって、必要な対策を政府を挙げて取り組んでいきたいと考えております。(吉井委員「対策本部をつくらはりますね」と呼ぶ)今すぐ対策本部というものをつくるあれはございませんけれども、常設のものとして、局長級で原油問題の関係府省連絡会議というのもございますし……(吉井委員「閣僚レベル」と呼ぶ)閣僚レベルも、適宜、閣僚懇談会等の場でそうしたものは議論をしているところでございます。

吉井委員 終わります。

中野委員長 次回は、来る十二月五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十一分散会


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