第8号 平成19年12月5日(水曜日)
平成十九年十二月五日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 村田 吉隆君
理事 大畠 章宏君 理事 平岡 秀夫君
理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 武彦君
遠藤 宣彦君 大塚 拓君
加藤 勝信君 木原 誠二君
河本 三郎君 高市 早苗君
とかしきなおみ君 戸井田とおる君
土井 亨君 中森ふくよ君
西村 明宏君 藤井 勇治君
泉 健太君 市村浩一郎君
吉良 州司君 楠田 大蔵君
佐々木隆博君 西村智奈美君
石井 啓一君 吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(地方分権改革担当) 増田 寛也君
国務大臣 渡辺 喜美君
国務大臣
(経済財政政策担当) 大田 弘子君
総務副大臣 谷口 隆義君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
防衛大臣政務官 寺田 稔君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 青木 一郎君
政府参考人
(内閣官房地域活性化統合事務局長代理) 上西 康文君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 齋藤 潤君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 西 達男君
政府参考人
(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官) 鈴木 英之君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 菊池 洋一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 青山 伸君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
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委員の異動
十二月五日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 とかしきなおみ君
同日
辞任 補欠選任
とかしきなおみ君 大塚 拓君
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十二月四日
平和憲法の改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第六七一号)
憲法改悪に反対し、九条を守り、平和のために生かすことに関する請願(笠井亮君紹介)(第七三七号)
憲法改悪に反対し、第二十五条を守り、生存権の保障を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七三八号)
同(石井郁子君紹介)(第七三九号)
同(笠井亮君紹介)(第七四〇号)
同(穀田恵二君紹介)(第七四一号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第七四二号)
同(志位和夫君紹介)(第七四三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第七四四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第七四五号)
同(吉井英勝君紹介)(第七四六号)
憲法改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第七四七号)
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(泉健太君紹介)(第七八七号)
同(赤松広隆君紹介)(第八〇一号)
同(大島敦君紹介)(第八〇二号)
同(郡和子君紹介)(第八〇三号)
同(近藤昭一君紹介)(第八〇四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官青木一郎君、地域活性化統合事務局長代理上西康文君、内閣府政策統括官齋藤潤君、国民生活局長西達男君、経済社会総合研究所総括政策研究官鈴木英之君、法務省大臣官房司法法制部長菊池洋一君、文部科学省大臣官房審議官青山伸君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。
○木原(誠)委員 おはようございます。自民党の木原誠二でございます。
もう年末の予算編成の時期でございまして、両大臣また政務官には大変お疲れのところだというふうに思います。三十分間お時間をいただきましたので、きょうは、経済全般そしてまたこれからの公務員制度のあり方ということについてお伺いをしていきたい。
実は私は、国会に送っていただいて二年たったわけですけれども、マクロ経済について質問をするというのは初めてでございまして、そういう意味でも、大田大臣、よろしくお願いをいたしたい、このように思います。
この時期になりますと、毎年毎年、成長を重視するのか、あるいは財政再建を重視するのかということが議論になってまいります。我が党の中においても、財革研からペーパーが出たり等々でいろいろな議論が起こっているわけであります。私自身は、これは両方とも必要なものであろう、こう思っているわけですけれども、まずその点について少し大田大臣にお伺いをしていきたい、こう思っております。
その関連で、十月の十七日だったと思いますけれども、経済財政諮問会議から、社会保障制度の給付と負担を通じて、今後の財政の形というか、あるいは債務残高の形といったようなものが試算として示されたわけであります。まず、この試算の持つ意味について簡潔にお答えいただければと思います。
○大田国務大臣 十月十七日に幾つかの試算が提示されましたが、恐らく、先生御指摘の点は、二〇二五年に向けての中長期の試算であろうと思います。
この試算では、医療と介護の負担と給付につきまして、議論の出発点として二つの極端なケースを置きました。一つは、医療と介護の給付を今のまま続けたら負担はどこまでふえるのか、もう一つは、負担を一切ふやさずに今のままでいったら給付はどこまで削減しなくてはならないのかという、この二つのケースです。
御質問の点に関連して申し上げますと、この試算の財政上の前提といたしまして、まず、二〇一一年度にプライマリーバランスを黒字化させる、これを一つ目の前提と置きました。その後、財政上、持続可能な財政の最低限の条件といたしまして、債務残高の対GDP比が二〇一一年度からふえないようにする、債務残高の対GDP比は二〇一一年度からずっと一定のまま、減らしもしないけれどもふえないようにするという前提を置いて計算いたしました。
その試算の結果得られた大きい点が、二つございます。
一つは、やはり日本経済が高齢化を乗り切るためには成長が不可欠であるという点です。成長率が高いケース、低いケースで二〇二五年の負担を見ますと、実質成長率が〇・八%違うだけで、二〇二五年度の負担が十四兆円から十五兆円異なります。つまり、これからの高齢化社会というのは、成長率を高めなければ到底乗り切ることはできない。つまり、財政の持続可能性まで考えたときに到底乗り切ることはできない、これが一つ目の政策上の含意です。
もう一つの重要な点は、二〇一一年度に基礎的財政収支を均衡させるということの重要性です。ここでプライマリーバランスの赤字を維持したままですと、その後のシナリオはさらに厳しくなってまいります。
というわけで、先生御指摘の点については、財政の健全化、財政の持続可能性、それから成長、この二つはいずれにおいても重要であると考えております。
あわせてもう一点申し上げますと、この試算の三番目の政策的含意としては、やはり給付と負担を一体として常に議論しなくてはいけないということで、給付だけどうあればいいかという議論でも持続可能性は保たれませんし、逆に、負担の方だけ議論しても、給付とセットでなければ選ぶことはできないというわけで、この三つが、得られました政策上の含意です。
○木原(誠)委員 大臣、ありがとうございました。
今まさに三点、得られた政策上の含意、こういうことでありました。一点は、成長が非常に大切であるということ。二点目は、二〇一一年のプライマリーバランスを達成する、その前提に立って初めてあの試算の意味もあるということだろうというふうに思います。それと三点目は、とりわけ社会保障に限って言っても、負担と給付ということは非常に重要だ。
私は、あの試算が出て翌日の新聞の各紙の多くの一面は、増税不可避、こういう一面の見出しであったというふうに思っております。非常に残念なことだったな、こう思っておりまして、民間議員のペーパーではありますけれども、恐らく大臣が意図していたことと少しずれていたのかな、こんなふうに思っております。
あそこで示していただいたのは、成長が制約されているシナリオで給付を維持する、あるいは成長シナリオで給付を維持する、それぞれの場合において十四兆から十五兆円程度の大きなギャップが生じる、こういうことであって、やはり名目三%とはいえ成長を維持するということの大切さ、このことをまさに示していただいたんだろう、こんなふうに思っております。
であるとすると、これから労働人口が減っていく、日本も高齢化社会が進んでいく、貯蓄率も減っていくという中にあっては三%という数字もなかなか厳しいという意見もありますが、しかし他方で、若干のこのデフレから脱却することができれば、三%という数字は実はそれほど目標値として高過ぎないという議論もあるわけでありまして、いずれにしても、やはり成長を高めていくということは非常に重要だと思うんです。成長力強化という観点において、大臣として特に今後力を入れていきたい点がもしおありでしたら、二、三点述べていただければというふうに思います。
○大田国務大臣 まず最初、先生がおっしゃってくださった、増税不可避と書かれた点は私も大変残念でした。メッセージとして民間議員も伝えたかった最大の点は、やはり打ち出の小づちはない以上、人口が減るという現実を直視して、その上で知恵を絞っていこうという、その議論の入り口として試算をお示ししたつもりです。先生の御指摘、大変ありがたく受けとめました。
その上で、成長力強化のために何をしていくかということですが、今日本の経済が抱える最大の問題は、生産性が低いということです。これから労働力人口が減る中で、一人当たりが多くの付加価値を生み出せれば、労働力が減ること自体はそれほど脅威ではないわけですけれども、労働生産性が先進国の平均と比べても低いということがございます。特にサービス業の生産性が低い。サービス業はGDPの七割を占めますので、ここの生産性が上がりませんと日本全体の成長力が高まってこないということで、私どもが力を入れている点として三つございます。
一つは、中小企業の生産性を上げるための取り組みです。これは、下請取引の適正化のようなものも含みますけれども、中小企業がより経営革新を行って生産性を上げていくということ、これが一点です。
それから二点目に、ITを本格的に活用するという点です。九〇年代後半に、生産性はアメリカと日本で大きく差が開いてしまいました。その前は日本の方が高かったんですけれども、九〇年代後半に大きく開いてしまいました。その差は、ITの活用、これはIT産業そのものというよりは、ITを使うサービス産業、使う側の、ITユーザーの側の生産性が高まっていないということがございますので、ITを社会全体でもっと活用できるような仕組みにしていくという点、これが二つ目です。
それから三つ目は、人材です。労働力がますます貴重になりますので、一人一人の人材が能力を高めていくということが大変重要です。そのために、特に九〇年代の就職氷河期に社会に出た人たちが職業訓練もなされないまま今三十代を迎えようとしておりますので、その人たちに企業の現場で職業訓練を受けるシステムなどを整えようとしております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
まさにITを活用してサービス産業の分野にぜひ取り組んでいただきたいな、こういうふうに思います。きょうのこの部分は、大臣の御見解だけを伺ってというふうに思っております。
先ほど来、成長ということを申し上げてきましたけれども、成長を重視する立場からしても若干ジレンマがあることは、長期的に見ると、成長を重視する、そしてその中で財政再建を考えるという場合に、どうしても成長率と利子率の関係というものを考えていかないと、最終的に財政の均衡というものあるいは財政再建というものが、成長、成長だけでもなかなか図っていけない。ここら辺に恐らく、成長と財政再建ということのバランスをどう見るかという大きな課題があるんだろうというふうに思います。
実はちゃんと通告をしておりませんので大変恐縮ですけれども、経済学者として、成長率と利子率の関係、どんなふうに見ておられるか、一言いただければと思います。
○大田国務大臣 成長率と利子率の関係は、その時々の経済状況によって異なります。例えば、足元で、アメリカは名目成長率が名目金利を上回っておりますが、日本は、二〇〇〇年から二〇〇六年をとりますと、若干、名目金利の方が名目成長率を上回っておりまして、先進国の中でもまちまちでございます。
ただ、財政を考える上では、やはり、プライマリーバランスが均衡したとしても、名目金利と名目成長率の関係によって、財政の健全化が保たれるか、あるいは債務残高がふえ続けるか、異なってまいりますので、プライマリーバランスが均衡した後、名目成長率が名目金利を上回るという状態が達成されない限り、債務残高の対GDP比は安定的には下がっていかないという状況がございます。
○木原(誠)委員 大臣も何度かあれしたように、その二つというのはなかなか難しいな、こう思っております。私は、成長率と金利の関係でいうと、成長率がずっと金利を上回っていく状況を続けていくというのは、実は長期的にはなかなか難しいのかなと思っております。
というのは、経済の厚生というか効率性を考えると、ことし借りて、それで全部使ってしまって、来年になったら成長率が上がって返せるという状況は物すごくネズミ講的なところがあって、これをずっと続けていくことが社会厚生という観点から見ても必ずしも妥当でないのかな、こういうふうに思っています。もちろん、その時期時期で金利と成長率の関係というのはそれぞれ出てくるわけですけれども、長期的に見ると、やはり成長率と金利の関係というのはどこかでまた逆転をするということがあるのかな、こう思っております。
そういう意味でも、プライマリーバランスの達成だけでは、先ほど、二〇一一年のプライマリーバランスの達成は非常に大切だ、こういう御指摘でありましたけれども、その先に、二〇一一年以降、やはり成長率と金利との関係に左右されないようなしっかりとした目標というものを設定する必要があるというふうに考えておりますけれども、中長期的な財政再建目標、何か具体的にお話しいただければというふうに思います。
○大田国務大臣 御指摘のように、プライマリーバランスが均衡するというのは、財政健全化の一里塚といいますか、最初の不可欠のステップであって、それだけで財政健全化が成立するわけではありません。名目成長率が名目金利を上回るという状況も常に成立するわけではありません。それを考えますと、債務残高の対GDP比をやはり安定的に引き下げていくための措置が必要だと思っております。
特に、金利を考えますと、債務残高がたまっていきますとそのリスクプレミアムも高まってまいりますので、その点も考慮して、名目金利が名目成長率を上回る状態も考慮して財政健全化目標をつくっていかなくてはいけないんだと考えております。
今、財政健全化は三つのステージで考えられておりまして、一つ目のステージが小泉内閣の時代で、国債の増発に歯どめをかける、これが第一ステージです。第二ステージが今取り組んでいることで、二〇一一年度にプライマリーバランスを均衡させるということです。それから、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくという第三ステージに入ります。そのときに、プライマリー黒字をどれぐらい維持すれば安定的に引き下げられるのかというまた新たな目標設定が必要になってまいりますので、二〇一一年度までの期間でその目標のあり方というのは議論していかなくてはならないと考えております。
ちなみに、先ほど御紹介いたしました二〇二五年度までの試算の中では、成長率が高いケース、低いケース、二つ出しておりますが、成長率が高いケースでは名目金利が名目成長率を一・三%上回る、成長率が低いケースでは名目金利が名目成長率を一・六%上回るということで、いずれにおいても名目金利が成長率を上回るという前提で試算を出しております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
二〇一一年以降の目標についてまさにこれから決めていく、こういうことだろうと思いますので、ぜひしっかり議論していただきたい、こう思います。
今まではマクロのことをちょっと申し上げたんですけれども、私は、こういう債務残高GDP比といったようなマクロの目標というのは大変大事だ、こう思っておりますが、同時に、ミクロの目標というものも設けていただく。ミクロというか、財政運営におけるルールというようなものを、これは財務省に任せていてもなかなか出てこないと思いますので、ぜひ諮問会議の方でつくっていただきたいと思っております。
具体的には、今、財政法を見ると、財政運営のルールというのは、四条のルール、建設国債しかだめよと。しかし、これは基本的にはもうずる抜けになっている、こういうことでございますし、あとは、単年度主義そして六十年償還ルール、この程度しかないわけですね。しかし、諸外国を見ますと、長期的な目標とは別に、財政を運営するに当たっての原則なりルールがあって、例えばイギリスのゴールデンルールであるとかあるいはアメリカのペイ・アズ・ユー・ゴーであるとか、これは非常に大切なことだと私は思っております。日本にもやはりそういうものが必要で、日本の財政の最大の失敗は、バブルの時代に、税収が十分六十兆を超える時代に十分に債務の償還をしてこなかったということが非常に傷跡を大きくしているな、私はこう思っております。
この原因を考えると、六十年償還ルールのもとで、国債の償還費というのは、これはシーリングはかかっていませんから、上へのシーリングも下へのシーリングもかかっていませんで、これは計算上一定額が出てきてしまう。そうすると、税収が幾ら上がっても多目に返すということは基本的には行われておりませんで、こちらの裁量費とか経費、義務経費の中でシーリングがかかっているだけで、国債償還費というのは常に計算上もう出てきてしまう。
私は、税収が上がったときはやはりまず債務償還費に回すといったような、それは六十年償還ルールを除いて予算ベースで上げる、決算ベースではもちろん決算剰余金を入れるという方法はあるわけですけれども、予算ベースで何か工夫をするといったような財政運営のルールづくりというのもぜひ諮問会議の方で検討をいただきたいと思いますけれども、何かお考えがあれば、一言でもよろしくお願いします。
○大田国務大臣 先生御指摘のように、財政運営上、マクロのルールとミクロのルール、この二つ、上からと積み上げとでやっていくというのは大変重要なことだというふうに思っております。特に、税収増を安易な歳出に振り向けずに将来の負担軽減に向けていくというのは大変大事な視点だと思っております。
諮問会議としては、まず第一歩としまして、予算の五原則というのをつくりました。その中に、税収増は安易な歳出に振り向けないとか、先生が先ほどおっしゃったペイ・アズ・ユー・ゴー、新しい歳出をつくるときは財源を確保した上で行うといったような五原則を決めて、それを守ろうとしております。これを第一歩だと考えております。
先生御指摘のように税収増を国債償還に充てるというのは、国債管理政策上、選択肢として考えられると思っております。それぞれの年の予算状況を踏まえて検討していく必要があると考えております。
○木原(誠)委員 おっしゃるとおりで、国債管理政策とも十分連動しなきゃいけないことですから、今この場でということではありませんが、私は、財政を財務省に任せていた時代はもう終わって、経済財政諮問会議ができたということは、まさにいろいろなルールづくりとか大枠づくりというのは諮問会議の方でも検討していただく、むしろそのことによって、財政だけに偏った見方ではない、経済と財政が連動した見方を諮問会議でしていただけるんだろう、こう思いますので、ぜひ今後とも大臣には御検討いただきたい、このように思います。
本当は経済状況についても御質問しようと思ったんですけれども、まだ両大臣そして政務官がいらっしゃるものですから、質問を少し残しておりますけれども、大田大臣にはここで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
政務官にお伺いしたいと思っております。
今の経済状況を見ておりますと、この間の月例もそうですけれども、月例は回復軌道にあるということは維持しているというふうに思いますが、恐らく政務官も、政治家として、現場の実感はもう少し厳しいのかなというような認識ではないかというふうに思っております。今出ている数字も基本的には七―九の数字ばかりですから、これから出てくる数字は非常に厳しいものになってくるだろうというふうに思っております。とりわけ中小企業のところがこれから大変厳しくなってくるんじゃないかな。原油高もあります、あるいは建築基準法の改正の問題もあります、大変厳しい状況になっていると思っているんです。
私は、その中で一つ、地元の感覚もそうですし、それからいろいろ経営者の仲間等々と話していて感じることは、足元、中小というよりも零細を含めて小さな会社の倒産がやはり非常にふえている。金額が少ないものですから余り目立ちませんけれども、数は確実にふえている。しかも、何となく突然、こういう言葉は余りよくないかもしれませんが、突然死のような、突然弁護士が入ってきて突然倒産してしまうというようなケースが非常にふえてきておりまして、その一つの要因に、やはり金融が少し逼迫しているのかなと。マクロ的に見ると金融はもちろん緩和をされております、十分かどうかというのはデフレの議論とも関係しますが。しかし、中小企業のところを見ると、この間の日銀短観、DIを見ても、若干足踏み状態というところがあって、少し逼迫しているかなと。
その一つの原因が、貸金業、消費者金融の問題で改正をいたしました、二年後には全面施行になっていくわけですけれども、もう既に大手の銀行はノンバンクには貸し出しを控えつつあります。ノンバンクはそれを受けて、さらに、これまで貸していたミドルリスクのところに貸さなくなりつつある。大手は基本的に土地を担保にとって二、三%で貸す、こういう世界ですけれども、ノンバンクの世界がこういった零細あるいは中小といったところに貸さなくなると、実際、今、ミドルリスク、三、四%から一二、三%までをとれる金融がないものですから、結果としてこれらが資金繰りに窮して倒れていくという状況に、今だんだん心配が顕在化してきているかな、私はこんなふうに思っております。
これは、今までは中小企業金融ということで、中小企業庁の世界あるいは経産省の世界で議論されてきたわけですけれども、私は、そろそろ金融庁として、大手それからノンバンクということではなくて、本格的にこのミドルリスクの世界、五%から一五%ぐらいの金利で貸し出せるような世界というものに合う金融機関をつくる、そういう時期に来ているんじゃないかな、金融庁が中心になってつくっていただく、そういう時代に来ているのかなと思っているんですけれども、御見解、そしてまた検討状況が何かございましたらいただければというふうに思います。
○戸井田大臣政務官 戸井田とおるです。
言われるとおりに、地元の状態というのは我々が想像していた以上の部分があるんだろうと思います。
今、金融の円滑化に向けては、金融機関が適切なリスク管理のもとでみずからの責任と判断でリスクをとり、金融仲介機能を適切に発揮していくことが基本となるものと考えております。
多重債務問題の深刻化などを受けて、昨年十二月に、上限金利の引き下げ等を内容とする改正貸金業法が成立したところであります。これは、金融の実勢が、数%の金利帯と二〇%超の金利帯、グレーゾーン金利に二つの山ができている、渡辺大臣命名するところのいわゆるフタコブラクダの状態を適正化させる意義があるものと思っております。
改正法は段階的に施行され、上限金利の引き下げは、本年十二月十九日の本体施行から二年半以内に施行されることとなります。それまでの間、貸金業者において利息制限法以下の金利でのビジネスモデルの構築を図っていくことが求められていることとなります。
こうした貸金業者の取り組みとあわせて、セーフティーネット貸し付けを充実し、借りられない人向けの対策を講じていくことも重要であると思います。本年四月に策定した多重債務問題改善プログラムにおいても、消費者向けの顔の見える融資の充実や、再生プロセスにある事業者等に対する公的融資制度の積極的な活用を促すことが明記されているところであります。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
きょうは渡辺大臣も行革担当大臣としてお越しでありますので、今の議論を聞いていただいて、ぜひ金融庁の中で検討をしていただきたい、このように思います。
大臣に、もう時間が少なくなってしまいましたけれども、お伺いをしておきたいと思います。
前の国会では、まさに公務員制度改革ということで、能力主義、年功序列の打破、そしてまた天下りの是正といった議論をしてまいりました。今、それを受けて政府内で公務員制度改革のあり方について御議論をいただいているというように思いますけれども、新聞なんかを見ておりますと複線型人事といったような言葉が出ておりますけれども、複線型人事のあり方等を含めて、どんな議論が今なされて、そしてどういう決意で取り組んでおられるのかということをひとついただければと思います。
○渡辺国務大臣 いわゆる複線型人事といいますのは、ラインに乗って昇進をしていく、そういう流れと、専門分野に特化をして専門スタッフ職として公務に携わるところと、その二つの線を出入りが可能な状態にしてやっていくというのが一般的なイメージであろうかと思います。
専門スタッフ職につきましては、御案内のように、俸給表を新たに整備いたしました。例えば、調査研究、分析、国際交渉、政策評価、いろいろなレベルの専門スタッフ職があろうかと思います。そういった新たなものを創設いたしまして複線型人事を進めていこうということを今やろうとしているわけでございます。
一方、キャリア制度をどうするか、これも大事な論点でございます。総理のもとに置かれた有識者懇談会におきましては、今の試験区分、1種、2種にかわる制度が必要ではないかという議論が行われております。民間でいきますと、総合職と一般職という分け方が普通であります。では、総合職が幹部職員、一般職が今までのノンキャリというぐあいにしますと、これは単なる看板のかけかえに終わってしまうわけでございますから、幹部公務員の登用というのは試験でやるのか、それとも採用した後でやるのかという議論を今精力的に行っていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、十二月から一月にかけまして、おおよその取りまとめを行いたいと考えております。
○木原(誠)委員 まさにキャリア制度をどうするかという議論、大変重要な議論だというふうに私は思います。ここは、私自身は、やはり何らかの形で採用段階で一たん選別をし、登用段階でさらなる選別をする、そしてそこは交流自由というふうな形をぜひつくっていただきたいな、こんなふうに思っております。
あともう一点だけ。
この公務員制度改革の中で、実は、前防衛次官の話もありますけれども、不祥事を起こした公務員に、退職後、なかなか手が出せないという問題があります。今、総務省の方で御議論いただいているというふうに認識をしておりますけれども、やはり、モラルの高い公務員を育成するという意味においても、これは大臣が標榜されている公務員制度改革の一つの柱でありますから、要するに、問題を起こした公務員に対する措置というものについて大臣のところでも御検討いただいたらどうかな、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。その点をお伺いします。
○渡辺国務大臣 先ほどの有識者懇談会におきまして、公務員が国家と国民に奉仕するにふさわしい職業倫理を確立することがまさに公務員制度改革の理念の大きな柱である、そういう観点から、信賞必罰の徹底などについて議論をやっていただいております。次回会合でもこの点につきまして議論をすることになっております。
公務員制度改革担当の立場からいいますと、国家公務員法の改正がもう既に行われたわけであります。能力・実績主義と天下り規制については既に行われたわけでございまして、防衛省職員は自衛隊法の世界で律せられているわけでありますから、自衛隊法の改正もきちんと行っていただきたいと考えております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。終わります。
○中野委員長 次に、土井亨君。
○土井(亨)委員 おはようございます。自由民主党の土井亨でございます。
きょうは増田大臣に、とりわけ地方分権担当、また地域再生担当大臣ということで御質問させていただきたいと存じます。時には大臣のことを知事と呼んでしまうかもわかりませんが、御容赦をいただきたいと存じます。
私は宮城県仙台の選出でありまして、県議会議員出身でございます。そういう意味で、宮城県にも改革派知事と呼ばれる方もいらっしゃったわけでありますし、また、何人かのそういう改革派知事さん、知事会をリードしながら、本当に国に地方分権を叫びながら、何とか厚い壁を崩そうと一生懸命取り組まれたというのも目の当たりにしております。
また、私は、特に増田大臣に大変今回期待しておりますのは、パフォーマンスやそういうもので改革を叫ばれたのではなくて、岩手県の中でしっかりそれを実践してこられたというのを大変評価いたしております。県から市町村に対する事務の移譲、そしてまた、その事務の移譲をしたことによって市町村がどのような現状に今あるのか、何が足りないのか等々、国から地方に対する権限移譲や税財源移譲ということを訴えると同時に、みずからしっかり実践をしてこられた。私は、ぜひ、この今の中央集権的な国の形から、大臣が本当に実践をされ、また国にいろいろ物を申されてきた地方分権、分権型社会を築くということで頑張っていただきたいということで、大変期待をさせていただいております。
今回、再生戦略ということで取り組まれております。今、都市と地方の格差ということがよく叫ばれておりまして、そのことにしっかり取り組まなければいけないということで頑張っておいでになっておりますが、振り返ってみますと、二〇〇二年には、都市と地方、経済も含めて何とかしなきゃいけない、再生をしなければいけないという議論がありまして、いろいろなメニューが示されました。そのときの代表的なものが構造改革特区だったというふうに私は認識しております。
国は、金は出さないけれども、地方の知恵と工夫で地域の経済活性化に取り組め、そのかわり規制も応分にいろいろ考える、外す、本来そういう形の中で構造改革特区というのが始まったんだろうというふうに私は思っております。そのときに、まだはっきりしない中で、東京はカジノ特区をやろうよとか、宮城県ですとIT特区をやろう、そういう議論がなされた記憶がございます。
大臣も知事のときに、岩手の県庁内に、多分、構造改革特区推進室だったと私は記憶をいたしておりますが、いち早く設置をされて、職員の皆さんの知恵、また、そういう工夫というものの集積をされて、遠野のどぶろく特区というものも申請された。そういう中で、何度となくはね返されながらも、増田当時知事は国にしっかりと物を申しながらどぶろく特区が認められたという記憶を私は持っております。
その点も含めまして、あのときの構造改革特区というのは本当に地方の経済の活性化につながったんだろうか。そしてまた一方では、地域再生ということで今度は交付金を出すよというような形で、そういう地方経済の活性化に対する国の施策というのが筋が通っていなかったのではないかな。ある意味、地方がそれに振り回されたというような感じさえも私は受けております。
そういう中で、なかなか地方の経済の活性化というのが進んでいない。それで現在のような形がある。まして今、燃油の高騰で、地方の経済もまたちょっと悪い兆しが見えている。そういう中での地方再生戦略でありますから、ぜひ、地方にとって本当に使い勝手のいい、また機動的であり柔軟性のある、そういうものにしていただきたいと思っております。
そういうふうに、国が出したものでも、地方が受けとめる、地方がそのことをしっかりやり遂げようと思うと、壁や省庁のいろいろな抵抗で骨抜きにされてきたという現実ということで私はとらえておりますので、今回の地方戦略については、大臣のリーダーシップで、国が本気になって、そういう地方にとって使い勝手のいい、地域再生に取り組めるようなものにしていただきたいというふうに思っております。
私、今、地域再生、構造改革特区等々いろいろ申し上げさせていただきましたが、そういうものを振り返りながら、やはりそういうものをしっかり評価し検証してこの地方再生戦略に生かしていただきたいというふうに思っておりますので、まず初めに、この特区というもの、また地方再生法というものを踏まえながら、これらの今までの施策をどう評価されて、そういうものの評価をこの地域戦略にどう生かされていこうとしているのか、お聞かせいただきたいと存じます。
○増田国務大臣 お答えを申し上げます。
私が知事をしておりました岩手県のちょうどお隣の方で土井先生がいろいろと地域の活性化に先頭に立って取り組んできておられたということは、私も隣県から見ておりました。岩手県庁の行政の取り組みを今御紹介いただきましたが、大変お詳しいわけでございますが、どぶろく特区も全国で一番初めに認定をちょうだいしましたが、認定をいただくまで大変苦労いたしました。数量なども大変多くのものをつくらなければならないといったようなこともございまして、大変苦労したわけでございますが、私も、この構造改革特区について改めて、今までどういう効果があったのかということを事務方の方に整理をさせましたので、ちょっと御紹介をさせていただきます。
構造改革特区制度でございますけれども、今申し上げましたどぶろく特区を初めとして、これまで六百三項目の規制改革が実現してございます。そして、九百八十四件の特区を認定して、さらに百二十の特例の全国展開を決定する。こうしたことで、確かに遠野でも、どぶろく特区をいただきましてから観光客が大分ふえたりといったようなことで、その部分では随分大きな成果があったんだろうというふうに思います。
また、地域再生制度では、今お話がございましたとおり、こちらは交付金などがつけ加わってまいりました。構造改革の方はお金ではなくて規制緩和だということで、お金とは全く別だというお話でございましたが、さすがにそれだとどうもやはり限度があるということで、この地域再生の方は、交付金などの支援措置ということも活用しながら、これまで九百六十二件の地域再生計画が誕生しているということでございます。
ちなみに、こうした特区に認定された地域では、昨年九月にもう一度内閣府の方で公共団体に調査をかけましたところ、例えば設備投資額で約五千三百億円ほどの増加、従業者数で約一万四千人増加、それから観光でございますが、観光客がふえたといったようなことを中心に交流人口で約百五十万人増加といったようなことが数字として公共団体から回答があったということでありまして、こうした部分で地域経済の活性化の効果があった、こういうふうに考えるわけでございます。
ただ、こうした取り組み、地域の活性化というのは、大変息長く、しかもいろいろな方面から取り組んでいかなければならないということでございまして、地方が今元気がないのはもう先生今御指摘のとおりでございますので、地方がもっともっと使いやすい、そして本当に効果があるものを、いろいろな観点で取り組まなければいけない。
こういった制度の検証を踏まえてどういうふうに今後の地域再生に生かすのかというお話でございましたが、今申し上げました構造改革、地域再生のみならず、中心市街地活性化の本部あるいは都市再生の本部、内閣府だけでも四つのこうした関係の本部があって、窓口もそれぞれございましたので、今後の地域再生の中では、こうした四本部を全部一本化して、規制改革の手段が妥当な場合にはそれも入れる、それから交付金等財政出動を重点的にやっていく必要があるものはそういったものを入れて、総合的に問題を展開していく。しかも、それは地域の発想を中心にするといったようなことが大事でございますので、そういう観点で統合本部をつくっていく。
そういったところにこれまでの経験も十分生かした上で、これからの地域の活性化に先頭に立って取り組んでいきたい、このように考えております。
○土井(亨)委員 何度も申し上げますが、ぜひ大臣のリーダーシップに期待をさせていただきたいと存じます。
初めの発想はいいんですね、大臣。いろいろな発想はいいのでありますが、それが進んでいく中で、省庁の抵抗等々があって、初めの趣旨とは違ったところに行ってしまう傾向が、今までの施策を見ているとあるのではないかなというふうに私は感じておりましたものですから、ぜひよろしくお願いをいたしたいと存じます。
これは前にも質問したんですが、私が仙台に新幹線で帰るときに、ちょうど那須駅のあたりに「那須野が原に国会を」という大きい看板が出ております。寂しい思いをするんですね。これも私が県議会のときに、国会移転、首都機能移転、東京一極集中を何とか是正しなきゃいけないということで、国会決議もなされて、さあどこがいいんだという候補地も決定する、あのときは地方はもう誘致合戦でございました。私たち宮城県も、福島県の県境、阿武隈地域、立候補いたしまして、これで東京一極集中がすべて是正されるとは思いませんが、まず、国も本気なんだ、もっともっと地方をしっかりと見据えて、国のあり方、形というものを考えているんだ、そういう思いをいたしまして、各地で立候補をした。
最終的とは私は申し上げませんが、記憶によれば、那須周辺と富士山麓周辺、それからもう一つ候補地になり得るだろうということで三重県でございましたかね、そういう候補地が選定をされました。あの国会移転はどうなったんでしょうかねという思いが、本当に寂しく思っております。
ですから、冒頭で申し上げましたとおり、東京一極集中やら地域経済の活性化を何とかしなければいけないということで、国は何も手をこまねいてきたわけではない。そのときそのときでいろいろな政策誘導をしながら、また国の決断をしながら取り組んできたという実績といいますか、そういう方向性はあるんだろうというふうに私は思っておりますが、それがやはり中途半端な形になってしまっている。ですから、今、国会移転、首都機能移転がどうのこうのという議論さえなされていない。
お聞きをいたしましたら、この国会移転についてはまだいろいろな仕組みが残っておりまして、国会等の移転に関する政党間両院協議会というのが設置されて、平成十六年十二月二十二日に、その座長の取りまとめということで衆参の議院運営委員長に報告がなされております。優先移転などの考えを深めるための調査検討を行うことにしているというような取りまとめがなされているということでございまして、ああ、もしかするとまだ生きているのかな、そんな感じさえいたしますが、こういう現状をどういうふうにとらえていらっしゃるのか。
私なんかは、一生懸命、国会移転の要望にあの当時歩きました。そのときに一番感じたのが、今度は首相官邸が建てかえられるのだと。また、霞が関を歩いておりましても、省庁の建てかえが行われている。国会移転の議論をしているのに、また、国会移転、首都機能移転のいろいろな方向を示されて、それに地方が期待をされているときに、また候補地もある意味数カ所決められているのに、首相官邸は新築されるという話を聞き、霞が関を回れば省庁の建てかえが進んでいる。これで本気になってやる気があるのかなと疑心暗鬼になった記憶もございます。
こういう国の本気度というか、きちっとした決意をもってこういうのに取り組んでいただかないと、地方が右往左往する、余計なことで国がそういうものにお金を費やし、またそういう力も費やす、大変不幸なことだというふうに私は思っておりますが、この国会移転等々の経緯を含めて、大臣の、国の姿勢というものをちょっとお伺いさせていただきたいと存じます。
○増田国務大臣 当時、私も、地方の知事の立場でございましたけれども、東京に余りにも機能が集中をしている、それは、例えば大震災などがあった場合に、非常に国家としての存立を危うくするのではないか、ぜひ、そういった脆弱な国家構造というものをもっと大きく見直しをすべきではないか、そういうふうに思っておりました。また、国会初めいろいろな政府機関も、地方に移転をする、こういう動きがございましたので、そうしたことを通じて、我が国のこうした国家の構造あるいは国土構造というのをいわゆる分権型の国家構造というものに変える、そういう起爆剤というかきっかけにもなるのではないかと、そうした動きに大いに期待もかけたところでございます。
今先生の方からお話がございましたとおり、国会の問題についてはこちらの立法府の方でいろいろお考えをしておられる、そういう状況でもございますし、過去、東京一極集中構造を地方分散あるいは多極分散型国土構造などというふうに言って、いろいろそれを是正する試みが行われてはまいりましたが、いずれもなかなか難しい問題があって、不十分な結果に終わっているものが多うございます。
しかし、やはりさまざまなそうした課題を克服して、いわゆる分権型の構造に切りかえていく、これは今後ともぜひ必要なことでございます。そして、その上で地方の自治体にもっともっと、今大きな構造というのは国が主導してやっていくわけでしょうけれども、地方自治体もそういう分権に向けてみずから自立の精神を養っていく。それを今分権委員会などでもちょうど議論をしている最中でございますので、そういう地方としての覚悟も示しながら、国、地方相まってこうした新たな改革に取り組んでいく。私も、分権担当大臣でもございますし、そうした覚悟でこの問題に真剣に取り組んでいきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○土井(亨)委員 時間が大分迫ってまいっておりますので、ちょっと質問の順番を変えて御質問をさせていただきたいと存じます。
地方分権ということで、税財源移譲ということで、第一期ということで三位一体改革がなされました。今、いろいろな意味で、地方から地方交付税の削減によって大変な状況だというような御批判もいただいております。
そういう中で、これはもう前々から言われてきた、地方制度調査会等々ではもう何十年も前から、まずは国と地方の役割分担をしっかりと明確にすべきだと。今回の地方分権推進委員会の中間取りまとめにも少し事務的なそういうものも入っておりますけれども、基本的に私は、権限移譲があって財源移譲があるんだろうというふうに思っております。税財源移譲ということが先行しますと、これはやはり省庁間の綱引きやら省庁の抵抗に遭って、私は、評価するところもありますが、現実の三位一体の改革をやった結果が今の地方財政の危機に直面しているというふうに思っておりますので、まず国と地方の役割分担、そしてそれにしっかりと伴った税財源移譲でなければ分権は進まないだろうというふうに、私自身はそういう思いでおります。
この辺の、国と地方の役割分担、そしてまたそれに伴う税財源移譲、私は一体として取り進めることが大切だと思いますが、このことについての大臣の御所見をいただきたいと存じます。
○増田国務大臣 今、まず大事なことは国と地方の役割分担を定めることだとお話がございました。私も、こうした物事を進めていく上では、今後の将来に向けての国、地方それぞれの役割分担を十分に考えながら、その役割というのを大胆に見直しをしていくこと、まずそこから始めなければいけないというふうに思っております。
そして、大きく国と地方の役割分担を大胆に見直していく、その結果として、では、その新たに与えられた役割をどのように確実に実行していくのかというときに、きちんとした税財源をそこに裏打ちしていくということが必要でございまして、現在施行されております分権法の順番も、まず役割分担をきちんと定めて、その上で税財政の見直しを行う、こういうことになっているわけでございます。
したがいまして、これからは、そのときの役割分担の考え方としても、やはり国は本当に国家としてしかなし得ないようなことをしっかりやっていただく、一方で、それ以外の、公共団体で十分担えるものは地方が担っていくということを役割分担の基本的な考え方としながら、その上で分権型社会にふさわしい税財政制度を整備するということであれば、また三位一体改革のようなああいった税源移譲も、新たな考え方で進めるということにつながってくるのではないか、このように考えております。
○土井(亨)委員 これも私は、やはり大臣の決意と本気度がなければなかなかなし得ないというふうに思っております。
先ほども申しましたとおり、地方制度調査会も含めて、やはり国と地方の役割分担を明確にするというのは、これは私が県議会議員のときから、もう十何年も前からいろいろなものに書かれたり叫ばれてきた、それが進まないという現実を憂えております。大臣が雑誌か何かにお書きになったところに、大臣は内閣の一員であるから内閣が決定したことをしっかりとなし遂げなければならないというような文章がありまして、その続きに、しかし、大臣になるとやはり省益を考えてしまって何も進まないというような文章をお書きになっていたのを読ませていただいたことがございます。
そういう省益等々の抵抗に屈することなく、増田大臣だからこそ、地方分権にとってまずスタートとして今必要な国と地方の役割分担、そしてそれに伴う税財源というものを一体的に、ぜひ断行といいますか強い決意でおやりをいただきたい。
これは、私は、ずっと長く大臣でいてほしいのでありますが、ぜひ増田大臣の手で仕上げていただきたいというふうに強く思っておりますが、ぜひ御決意をもう一度お聞かせいただけたらというふうに思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
こういったいわゆる分権改革ですとか地域の再生ということについては、従来の国の体制が中央集権の形になっておりまして、変えるということに対しては大変実は抵抗感もございますし、我が国におきましては官僚制度というのが非常に強固にでき上がっているということもございます。ただ、そこをやはり大きく変えていかないと、もう税財政も限度がございますので、私も、与えられたこの職務というのを、今まさに先生がお話しいただきましたとおり、先頭に立ってやはり省内を引っ張って、そして変えるところはきちんと変える、こういう決意で臨みたいというふうに思っております。
○土井(亨)委員 国会議員ではない民間の大臣でございますので、私はその点、大臣も少し遠慮があるのかなというふうに、大変気の毒という意味で感じておりますので、別に、国会議員の大臣だからとか民間の大臣だからとか、そんな垣根を取り払って、この日本の国の地方分権、ひいては道州制につながるような力強い歩みをするためにも、増田大臣の強いリーダーシップを、竹中さんのときに言われたサンドバッグ状態、まさにこれはサンドバッグ状態になるんだろうとだれでも予想ができるはずでありますので、そういう意味では、ぜひ、大臣のかける思いをこの大臣という職責の中で果たしていただきたいというふうに思います。
最後で大変恐縮でございます。何点か質問を残しておりますが、時間もありませんので。
今回の三位一体改革で、やはり地方交付税というものが大変地方の財政の危機を起こしているということで、地方自治体から批判をいただいております。当然、税財源移譲のときにこの交付税の問題というのがまた出てくるんだろうというふうに思います。
一方では財源の調整機能を持ち、一方では地域住民の皆さんの一定の行政サービスを確保する。それはナショナルミニマム的な一定の行政サービスだというふうに思いますが、そういう中で、本当に、これからの地方交付税というものをしっかりと見直しながら、そのことをしっかり地方自治体に発信をすることによって、新たな税財源というものの解決になるんだろうというふうに思います。そのことの国と地方の共通認識が必要だと思いますが、その辺の地方交付税に対する今後の考え方を最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○増田国務大臣 地方交付税のお話がございました。実はこれは、三位一体改革のときに、考え方は非常によかったわけですが、結果として交付税が非常に削られた、私は、やはりここは大変重く受けとめなければいけないというふうに思っております。それと同時に、あと交付税については、透明性の確保の問題ですとか、さらには全体の配分の問題等、多々ございます。
したがいまして、これから公共団体が本当に自立していく上で、交付税、この透明性を高めると同時に、やはり必要な額というものをきちんと確保する。公共団体は、特に過疎地域を含め、交付税を一般財源として懸命にサービスを提供しているわけでありますので、この交付税は分権という考え方の中できちんと確保していく、これに全力を挙げていきたい。そして、今先生の方からお話がございましたとおり、本当に真の意味で地方がよくなるような、そういうことに全力投球したい、このように考えております。
○土井(亨)委員 ぜひ、国と地方が思いを同じゅうして、同じ方向性で理解を求めながら分権を進めていっていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。
きょう、増田大臣、大田大臣、それから渡辺大臣に質問をさせていただきたいというふうに思います。今、土井議員からありました話とちょっと重複をいたしますけれども、最初に、増田大臣に二、三点お伺いをしたいというふうに思います。
今もお話ありましたが、前回論議をさせていただいた地方再生戦略プランなるもの、いわゆる増田プランと言われるものが、この前はまだ発表前であって、これからだということだったものですから、引き続きそこのところを論議させていただきたいなというふうに思います。
今回、いわゆる増田プランというものが発表されたわけでありますけれども、そこの中で幾つか特徴的なことが出てきているわけでありますが、まずそこについてお伺いをしたいというふうに思います。
一つ目には、このA3判のポンチ絵をいただいたんですが、地方再生五原則というものをつくられたようでありますけれども、この地方再生五原則というものと、この前もお話をさせていただいたんですが、地域活性化のための四つの本部のそれぞれ基本方針というのがあると思うんですが、これはもう既に走っているものでありますから、この五原則とその基本方針というものがどういう関係になっていくのか、あるいはあるのかということが一つであります。
二つ目には、今度新しく統合本部の中に、いわゆる窓口の一元化ということで、ブロック担当の参事を置くというふうになっているわけでありますけれども、省庁横断的な取り組みをするという中で、この参事と言われる人たちに相当権限がなければこの本部のプロジェクトを進めることはなかなか難しいのではないかというふうに思うんですが、その点についてお伺いをさせていただきます。
三つ目には、地方の元気再生事業、この戦略の中の事業としてはここの部分にある種集約されているわけでありますけれども、今年度分、十九年度分は今までの予算の中でやるということでこの前お話をいただいたんですが、その分も含めて、二十年度について、財源が厳しいという中で、どういうふうにしてこの新たな取り組みの財源というものをつくっていこうとしているのかについて。
四つ目には、地方都市と、それから農山漁村と基礎的条件の厳しい集落、いわゆる限界集落のことだろうというふうに思いますが、これについて分けた理由。
この四つについてまずお伺いをしたいと思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
まず地方再生五原則、補完性から始まりまして、自立、共生、総合性、透明性、こういうことでございますが、この地方再生五原則を、今お話ございました四本部のそれぞれ基本方針がございますけれども、そこと整合をとるということで、この四つの基本方針の中に全部入れ込みます。近々閣議決定をいたしまして、地方再生四本部の基本方針の中に全部この五原則をきちんと入れ込んで、その上でそれぞれの四本部の認定等を行っていきたい、こういうふうに考えております。
それから、ブロック別の担当制というものをしきましたのですが、これは、各地域からそれぞれの四本部の持っておりました従来の施策についていろいろ相談がございますけれども、ブロック別にして、今お話ございましたとおり、担当参事官にきちんと権限を与えて、そして相談の一元的な窓口にしていただく。逆に言えば、そこの窓口の職員に地域のプロになっていただいて、そして、まさに地方の代弁者としてこちらの霞が関の省庁をリードするような、そういう役割を果たしてもらおう、こういうふうに考えております。
次に、今御紹介がございました、今回の考え方の中核になります地方の元気再生事業でございますけれども、これは、国があらかじめ一定のメニューを定めまして、その中から地方に選択をさせる、こういうやり方が従来のやり方でございましたが、そうではなくて、地方の発意、あるいはさまざまな意欲的な取り組みを構想の段階から国が直接支援をしていきたいということでございまして、国が直接支援をする部分については、今、予算を財政当局の方に追加要求をしております。これはソフト的な経費で、地方が本当に使いやすいように、例えば人材養成のような部分などにも自由に使えるような、そういうソフト的な経費を今追加要求してございますので、それをそこに充てて、そして、各県、本当に厳選をしていただいて、一カ所か、せいぜい二カ所以内のところで重点的に地方のプロジェクトを動かしていただくような、そういう仕掛けというものを今考えてございます。
それから、具体的な取り組みを地方都市の三類型に分けてお示しをしているわけですが、これは実は私も、岩手の知事をしておりましたときに県内を歩いた場合も、あるいは大臣になりましてから地方各地域を歩きましても、地方を再生していくための手法というのは、やはり地域が多様でございますので、一つのやり方で決められるものではないということ。
地方の実情が多岐にわたりますが、その中でも地方都市部、企業立地などによって地域経済の牽引や町づくりのための取り組みが行い得るようなところ、そこにはそういったそこ向きの手法があるだろうということで、一つ、地方都市という類型で具体的な事業を展開していく。
それから、もう一つは、これは多くの地域が農山漁村の場合が多うございますので、そうした農山漁村は農山漁村向けのさまざまな事業というものを展開していく。ここはやはり農林水産業の再生といったことが中心になってこようかと思います。
それから、その中でも特に限界集落などといった言葉があるような基礎的条件の厳しい集落、こうしたところは集落の生活機能の維持ですとか国土保全面での機能維持ということが一番中心になってまいりますので、そこでの生活者の足を確保したりといったようなことの施策をお示しして、三つの類型ごとにさまざまな施策をお示しして全体の取り組みをまとめた、こういうことでございます。
○佐々木(隆)委員 十九年度分もという、いや、いいです、資料をいただいておりますので。そこを見ても、ちょっと気になるのは、今年度の場合は今まである予算を使ってということであるので、やむを得ないのかなとは思いつつも、これはほとんど四つの事業にプラスされているのかどうか、少しそれに雇用をくっつけたというようなイメージがどうもぬぐい去れないというところが一つあります。
それと、参事官という職がどの程度の職か僕にはよくわかりませんが、各省庁をまたぐということになれば、やはり相当権限を持たなければならないのではないかということなども少し気になるところであります。
直接的には関係ないんですが、実は、限界集落ということについて、国交省と農水省で少し分類の仕方が違うんですね。これはどこかで整理をしていただかないと、このごろ時折出てくる言葉にはなったんですが、農水省の分類とちょっと違うものですから、こういうのを余り分けて表に出すのがいいかどうかということもありますけれども、いつかぜひきちっとしたものにしていただきたいなと思います。
そこで、私は少し気になっているんですが、今、地方の発想を生かして事業をやっていくと言ったわけでありますけれども、それであれば初めから交付金をふやせばいい話であって、なぜ国がそこまでやらなければいけないのかというところについて、いま一つどうも伝わってきていないということについてもう一度お願いを申し上げたいのと、結局、ここに事業を挙げたことが各省庁の予算獲得のための道具になってしまうことにはならないのかというようなこと。
それと、先ほど土井議員からもお話ありましたが、私は、もう時代的に、税財源の移譲よりは権限の移譲だと思うんですね。まあ両方必要なんですが。税財源だけ行っても権限がなければ、国を超える権限をある程度付与しなければ、本当の意味での地方分権というのはできないというふうに思うんですが、それらについて御見解をお伺いしたいと思います。
○増田国務大臣 お答えを申し上げます。
まず、こうした地方再生の戦略でございますけれども、やはり、その中でも国と地方のそれぞれの役割というものがあるのではないか、こういうふうに私は思います。特に、今地方経済は疲弊して、雇用面で大変深刻な状況が起きている、こういうこともございます。
したがいまして、ひとつ、地方の発想を何か国の規格に当てはめるといったようなことがあっては決していけないので、そこは十分地方の発想を生かす。
そういった意味では、地方の方にいろいろ交付金を渡したり、あるいは交付税などをふやして地方が自由にやっていく部分もいろいろふやさなければいかぬと思いますけれども、一方で、やはり国としてのきちんとした責任を果たしていくという上では、地方の発想を中心にしたが、そこにいかに有効に国の省庁の役割というのを結びつけていくのか、こういうことが大事ではないかということで、今回はそういう発想に立って全体をまとめてございます。
したがいまして、そういった現場でいろいろと動く国の役人、これは参事官になってございますが、その人間の動きというのは大変大事でございますので、できる限りの多くの権限をそこに与えて、そして、省庁を超えた、本当に有効な施策をそこに入れていくようにしていきたい。
それから、あともう一つお尋ねがございましたが、そのときに、各省が今までやっていた施策を何か財源確保のためにここに結びつけるということがあっては決していけませんので、地方の元気再生事業は大体三年ぐらいを今考えてございますが、その途中段階できちんとそうしたことが有効かどうかということの検証を入れるということと、それから、三年の間に各省も本当に、従来の補助金的な事業を実施するということではなくて、地方のための事業にいろいろ組みかえていくための期間と考えていただいて、その間に従来の発想でない地方のための事業をつくっていただく、こんな考え方に立っているところでございます。
○佐々木(隆)委員 同じ地方あるいは地域という中で、ちょっと大田大臣にお伺いをしたいんです。
地方版経済財政諮問会議ということで、高松市で十月二十七日に、青森市で十一月十日に経済財政に関する地方会議というのが開催されたようなんですけれども、その後でしょうか、地方発の地域経済建て直し政策コンペを開催するということが記事に出ていたんですが、ちょっと意味がよくわからないんです。何を目的にどういうことをやろうとされているのか、お伺いをいたします。
○大田国務大臣 今、地方の現場に出かけていって、いろいろな経済の実情を直接伺って政策に反映させようということで地方会議を開いておりますが、さらに進めて、それぞれの地方の実情をよく詳しく知り、なおかつ、政策を考えているシンクタンクから政策のアイデアを募ろうというものがこの政策コンペです。
やはり、大事なことは、今増田大臣の話にもありましたように、国の押しつけではなくて、地方の実情に応じた政策がつくられるということだと考えております。それを、私どもが地方の実情を知るということもありますが、さらに、地方で政策を考えているグループ、これがシンクタンクですけれども、その英知を結集して、独創性のある政策を広く集めるということが重要ではないかと考えまして、この地方発の地域経済建て直し政策コンペというものを開催することといたしました。
今、その提案を募集しておりまして、ちょうどきょう締め切ることになっております。その中からすぐれた政策を六つぐらい選びまして、十二月二十日に、コンペといいますか、セミナー形式で発表していただくことにしております。
それぞれの政策について、有識者からもコメントをし、意見交換する。それによって、国の政策に携わる私どもにも新しい発見があると思いますし、地方間で、それぞれ共通した事例について経験を共有するということもできるのではないかと考えております。
一言追加しますと、その中ですぐれた作品といいますか、すぐれた政策については、私どもも研究支援を行って、これからの政策に結びつけていきたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 実は、やはりよくわからないんです、私が頭悪いのかもしれないんですが。
要するに、そのシンクタンクというのは、地方で政策をつくるお手伝いをしている皆さん方ですよね。だから、地方の政策を競うことになって、要するに、事例としてそういうのがあるということなのか、あるいは、国の政策に対してその人たちが何かを提言するという意味なのかがちょっとまだよくわからなかったわけであります。もし、お考えがあればお聞かせいただきたいんですが、私、余り時間がないので。
なぜそういうことをお二人にお伺いしたかというと、福田政権がスタートしてから二カ月少しになるんですが、地方、地方という言葉がやたらとこのごろ、乱発という表現をしたらちょっと申しわけないのかもしれないんですが、やたらと地方という言葉が使われている。政策的に何と何がどう違うのか、何をどう利用したらいいのかと、むしろ、それこそ地方が迷ってしまうぐらい地方という言葉が乱発をされているものですから、それであえて、今この二つの、地方とか地域とかいう言葉が使われているものについてお伺いをしたわけなんですが、そのことも含めて、もしお考えがあればお伺いします。
○大田国務大臣 それぞれの地方がそれぞれの実情と問題を抱えております。ただ、その中で共通する部分もございまして、例えば町づくりで共通する部分もありますし、産業政策で共通する部分もあるということで、今回の増田プランにおいても、地域を三つの類型に分けて、それぞれ成功事例をつくっていこうとしております。
私どもが考えております政策コンペも、それぞれの地域で実情に応じた政策を出してもらうことによって、共通する問題に何か取り組むきっかけも出てくるのだろうと思っております。したがいまして、それぞれの地方でこれまで政策を考えてこられた方のアイデアを出してもらって、これからの政策立案につなげていきたいということです。
○佐々木(隆)委員 福田政権の中で特徴的なのが、地方ということが随分出てきたということが一つと、もう一つは、そういう表現が適当かどうかわかりませんが、官僚の復権というふうに言われているわけなんです。
そこで、渡辺大臣に何点かお伺いしたいのですが、先に申し上げさせていただきますが、余り時間がありませんので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。増田大臣、もしあれであれば、結構でございます。
一つは、独法の見直しについて、先ほども論議があったわけでありますが、行革を担当されている大臣として、一つは公務員制度の改革と、もう一つは独法という大きなテーマがあるわけであります。今、何かやたらとテレビで毎日拝見をさせていただいておりますが、十二月中に計画案を策定するというふうになっていたようでありますけれども、有識者会議では、百二だと思うんですが、百一から郵政がふえていますから百二ですよね、独法が。百二法人のうち十二について廃止、民営化するというふうに案がまとめられたようなんですが、実際はまだ三つだというふうにも伺っているんですが、その進捗状況についてまずお伺いをさせていただきたい。
それと、基本方針の中で、「真に不可欠なもの以外はすべて廃止」という、この基準がどうも、どういう基準なのか、ある程度基準がなければこういうものは進まないのではないかという思いがありまして、そういうもの。
もう一つ、不断な見直しとして、この独法の改革と同時並行で進めなきゃいけないものに、天下りはもちろんなんですが、各省庁で今問題になっている随意契約の廃止だとか競争入札の積極的な導入ですとか、あるいは独法自身の公開性だとか、あるいはチェック体制がどうなのかとか、そういったことなどの進捗もどうなっているのか、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 まず、有識者会議で検討をいたしました独法の数は百一でございます。委員御指摘のもう一つについては、有識者会議の途中からできたものでございますから、そこまでは検討対象になっておりません。また、八月十日に閣議決定をしました基本方針の中で、本年中に整理合理化計画をつくるとされていますので、今月中にでき上がるように頑張っているところでございます。
有識者会議の方で廃止、民営化の独法の数を決定して出したわけでも何でもございません。有識者会議の検討の中で言及をしてきたものが、多分、一部推測の形でそういう数字が出ているのかと存じます。私の方からは、有識者会議の検討を踏まえて、今、精力的に主務大臣と折衝を続けているところでございます。
真に必要なもの以外は廃止という基準があいまいではないか、こういう御指摘でございましたが、これはかなり具体的に書いてあるかと思います。閣議決定文書を一々読み上げることはいたしませんけれども、いずれにしても、国民生活や社会経済の安定に、これを廃止してしまえば著しい悪影響、問題が生じるということの合理性の証明は主務大臣が行っていただく。要するに、立証責任は主務大臣にありということで、今折衝を進めているところでございます。また、当然のことながら、御指摘のような随契の見直し、保有資産の見直しなど、運営の徹底した効率化を求めているところでございます。
また、独法制度というのは、御案内のように、独立行政法人のある程度の自主性を認めていこう、そのかわり事後チェックは厳しくやるよという制度だったはずでございます。残念ながら、その事後チェックの方が、有識者のチェック、それから総務省政独委のチェック、各省分科会のチェックで監事のチェックと、四段階ぐらいに分かれておりまして、やはりこのチェックの仕方をある程度一元化していくべきではないかという指摘がございまして、今、増田総務大臣とも相談しながら、チェック体制のあり方について、ガバナンス強化、一元化という観点から、見直しを進めているところでございます。
○佐々木(隆)委員 改革を進めるためには、やはりチェックをきちっとする、検証するということが何よりも大切だと思いますので、ぜひ進めていただきたいのです。
よく大臣がゼロベースという言葉を使われておりますが、実は私も地方で議員をやっていたときに、地方は関与団体という言い方をしますが、見直しのプロジェクトを仲間と一緒にやってきたことがあるんです。ゼロベースというのは一体何だということをまず論議したんですが、要するに、なければ何か不都合かというところから始めないと、廃止をするためにとおろしていったのでは、なかなかこれは改革はできない。なかったら何か不都合が起きるんですかというところから始めていく、それがゼロベースだと私は思うんですね。段階的に廃止をしていくというのはゼロベースとは言わないで、徐々に。だから、先ほどの「真に不可欠な」という言葉はちょっとあいまいなのではないかと私が申し上げたのはそういうことであります。
もう一点、お伺いをしたいと思います。
公務員制度についてでありますが、これも本年秋をめどに報告をまとめるということになっていたようでありますが、一月に延びそうだというふうにも聞いております。公務員は信頼される人物で、一層の企画立案能力、管理能力を持って、深い専門的知識を持つ公務員と改革の目的のところに書いてあるんです。スペシャリストにもなれ、ゼネラリストにもなれというかなり難しい注文がまずあって、その後に職務に専念できる仕組みづくり、こうなっているんですが、まずこれの進捗状況、基本法提出の予定もあるというふうに聞いているんですが、これが一つ。
もう一つは、この改革というのはいわゆる人事管理を含めたパッケージ改革というふうに言われているわけでありますが、労働基本権について今どのように論議をされているのか。いわゆる団結権とか協約締結権、争議権までいくのかどうかわかりませんが、現行制約を緩和する余地があるというふうにも中間報告で出ているわけでありますが、その点について。これは、第三者機関の勧告制度と非常に密接な関係があると思うんですね。そのところについての検討状況などを含めてお伺いをしたいと思います。
○渡辺国務大臣 公務員制度改革につきましては、総理のもとに置かれました有識者懇談会において、精力的に議論を進めているところでございます。
この中で議論をされておりますことは、例えば、キャリア制度をどう変えていくか、今の1種、2種といった試験区分にかわって総合職、一般職という採用の仕方をしてはどうか、また、採用時点で試験によって幹部候補を登用すべきか否か、採用した後で幹部を登用する制度をつくってはどうかとか、また、公募制を導入すること、官民交流の抜本的な拡大を行うこと等々にわたって議論を進めているところでございます。今月から来月にかけて出口に至るものと思います。
また、基本権につきましては、御案内のように、佐々木座長のもとで専門調査会を開催していただきまして、これにつきましては十月十九日に報告が出されたところでございます。
協約締結権の付与につきまして、この専門調査会は一定の方向を出していただいたわけでございますが、そういたしますと、当然のことながら、人事院制度をどうするかという問題になってまいります。報告では、一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与するとともに、第三者機関、つまり人事院等でございますが、第三者機関の勧告制度を廃止すべきとしております。人事院のあり方の見直しについても御提言をいただいたということでございます。
○佐々木(隆)委員 済みません、もう一問だけやらせていただきたいというふうに思います。
今のお話で、第三者機関との関係でいいますと、片方で労働基本権を一定程度認めることと、第三者機関の権限をどうするかということ、ここがバランスが崩れると、今働いている皆さん方にとっては非常に戸惑いの原因になると思うんですね。一部移ったものは移ったけれども、移ってしまって、ほかのものの権限までなくなってしまったというようなことになってしまうと、団結権の話がきちっと整理されることと一体でなければいけないというふうに思いますので、そこのところは、徐々に移行していくことはわかるとしても、アンバランスが起きないように、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。
最後に一点だけお伺いしたいんですが、石油のことについてであります。
今、毎日のように、とりわけ私は北海道でありますし、旭川周辺は内陸でとりわけ寒いところでありまして、けさの地方の新聞でも、灯油が調査を始めて以来最高高値の九十七・七一円になった、ほぼ百円台に入るというふうに言われておりますし、ガソリンの方はガソリンの方で百五十円台というような状況が生まれてきています。
それは回って日用品の方にも大きく影響しているわけでありますが、油は、ある意味ですべての物価に影響を与えていく。物流についてもそうですし、製造についてもそうですが、そういうものでありますだけに、今回のこの石油の高騰というものについて、政府も何か対策を講じるというようなことが報じられておりましたけれども、まさに緊急事態と言ってもいいと思うんですね。こういう、何かの拍子で瞬間的に上がったのとはちょっと状況が違うということも含めて、その辺のことについてどう把握されているのかということと、対策を本当にこれはきちっと講じなければならないというふうに思います。
一つには、ガソリンや軽油のように暫定税率をどうするかという問題もあるんですが、もう一つは、それと直接関係ない灯油とか何かの税金の余りないもの、この対策と、二つ考えなきゃいけないんです。とりわけ北海道の場合は福祉灯油、生活灯油といいますか、そういう制度があって、昨年で道内で三十市町村ぐらい実施をしておりまして、ことしは、これから希望を出しているところを含めると五十ぐらいになるのではないかというふうに言われているんですが、こういったことに例えば国が交付税などの措置も考えるとか、それから、タックス・オン・タックスと言われているところ、消費税などについて還付するとか、何らかやはり対策を講じていかなければならないのではないかというふうに思います。
それともう一つは、脱石油の取り組みなどについてもぜひ検討していただきたいのと、これは少し長期的な話になりますが、アメリカのカトリーナでしたか、台風のときに国家備蓄を放出しているのに、何でこういうときに国家備蓄を放出しないんだといって怒っておられた業者の方もおられまして、そんなことも含めてどう対策をされていこうとされているのか、最後にお伺いをしたいと思います。
○大田国務大臣 原油価格の高騰に対しまして、昨日の閣僚懇談会で福田総理から、原油価格高騰により深刻な影響を受ける国民や中小企業など幅広い視野から、関係閣僚で協力して早急にきめ細かな対策のパッケージを取りまとめるようにという御指示がありました。今、至急、各省庁と対策パッケージの検討を進めております。
対策の中身は今検討中ということでございますが、例えば中小企業の下請取引の問題もございますし、農業、漁業、運送業といった、特に原油価格、ガソリン価格高騰の影響を受ける業種ごとにきめ細かく考えるということもございますし、北海道で今例を出してくださいました福祉灯油のように、消費者の立場に立った政策といったものを幅広く検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 終わりますが、民主党も今、このことについては近々まとめるということで検討させていただいております。
価格に転嫁できない中小企業の皆さん方もおられる、価格に転嫁すると今度は消費者の方に回っていくということで、そういう意味では、石油というのはすべてのもとになっていますので、ぜひ政府の方でのしっかりした対応をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
○中野委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。
まず、独立行政法人改革について伺いたいと思っております。
先月の二十七日に、いわゆる有識者会議の指摘事項というのが取りまとめられまして、独法の整理合理化計画を年内にも策定というふうに聞いているんですけれども、報道などを通じまして、大臣がこの間大変御苦労されているということを仄聞いたしております。独立法人改革というのは、私たち民主党も必要なことだと思っておりますし、そのことについて取り組んでおられるということには敬意を表します。
大臣、これは通告はしていないんですけれども、独立行政法人改革に向けていろいろ取り組んでおられる中で、省庁によってはなかなか消極的な発言が続いているということなんですけれども、率直な今のお気持ちといいますか、どんな御感想を今この独法の問題に取り組んでいるに当たって持っておられるのか、そこをちょっとお聞かせいただければと思うんです。
○渡辺国務大臣 私がこのミッションを仰せつかった背景には、独法制度が六年たちまして、やはり根本から見直しをする必要があるのではないかということがあったかと思います。
独法制度は、行政の効率化を目指して、ある程度経営の自由度を高め、民間的手法も導入しながら行っていく趣旨であったかと思います。残念ながら、各独法とも、それぞれの主務官庁の関係が非常に強いといいますか、事業管理のみならず人事管理も事後評価もすべて各省のグリップがきいているという状況にございます。したがって、こういうことではなかなか独立行政法人、イギリス流に言うとエージェンシーでございますが、こういうもののよさを生かすことはできないのではないかという思いがございました。そこで、ガバナンスをより強化し、これを一元化していくことも必要ではないかと考えるようになったのでございます。
つまり、事業管理は各省に任せるとしても、人事管理や事後評価については各省に任せておくだけではうまくいかないではないか、特に大事なことは、事後評価の仕組みが余りにも複雑で、結果として各省に置かれた評価委員会のお手盛り評価がまかり通っているではないか、そういうことから、この独法制度の抜本見直しに着手をしたところでございます。
各省にしてみれば、当然これは、それぞれの役所のいわば権益が脅かされることになるわけでありますから、反対が多いのは当然だろう。反対については想定内のことであろうかと思っております。しかし、私のミッションを果たしていく上には、何としてでもこの反対は乗り越えていかなければならない、改めてそういう強い思いを持つものでございます。
○西村(智)委員 今ほど大臣から、独法の改革に向けて、基本的なスタンスを示していただいたと思っております。
人事管理ですとか、それから事後評価のグリップが余りにきつ過ぎるというようなことはまさに御指摘のとおりだなというふうに思いますし、また、エージェンシーのよさを生かしていく必要があるという点についても全くそのとおりであるというふうに考えております。
実は、私は、先週この内閣委員会で、国立女性教育会館のことについて上川大臣と議論をさせていただきました。国立女性教育会館は、今埼玉県にあるんですけれども、ここがやはり非常にいい活動をされていて、国内的な評価のみならず国際的にも高い評価を得ております。この国立女性教育会館の改革案については、有識者会議の中で、青少年教育振興機構との統合、そして機能縮小ということが提案されているやに、これも報道なんですけれども、聞いていますが、実際にそういった議論が既にあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 有識者会議において結論が出されたわけではございませんけれども、国立女性教育会館と国立青少年教育振興機構との統合につきましては前向きに議論をいただいたところでございます。
これは、男女共同参画社会の形成ということに後ろ向きということでは全くございません。重要なのは、いかに充実した女性教育を行えるか、また、このことが男女共同参画社会の形成を増進していくか、そういう観点からの議論であったと聞いております。
○西村(智)委員 随分先回りして答えていただいた項目もあるんですけれども。
どういう内容で議論されているのかということについても、これはまだ実は明らかになっておりません。ですけれども、この独法の改革が議論されているということでパブコメが行われたと思いますけれども、そのパブコメに対して、この国立女性教育会館に関連しての意見が上がってきているんではないかと思うんですね。
つまり、恐らくパブコメの意見を寄せてくださった方々の多くは、ここでの研修制度に参加した方々からだったのではないかと思います。ここで行われている活動は、大きく言えば、教育研修、それから研究、それから広報などの情報発信、それと国際的な役割を担っていく、大体こんなことなんだろうと思うんですけれども、まだ内容が明らかになっていない時点ではあるんです。また、パブコメは本来、有識者会議の議論されていた中身が出てきて、あるいは整理合理化計画案というのが出てきて、そこから行われるべきであるというふうに思っていますけれども、まずその前段階として行われたパブコメでどんな意見があったのか、それを伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 パブコメを実施いたしましたところ、国立女性教育会館に関する意見は十月十二日から十二月三日の間に百四十二件寄せられております。いただいた意見の内容は専ら、男女共同参画の中心施設として国立女性教育会館の単独での存続を要望するものであったと把握をいたしております。
ただ、私がこれらのメールを見て非常に残念に思いましたのは、同じ中身の内容のメールがあったということでございます。
○西村(智)委員 同じ中身のメールがあったということは、それだけ同じ思いを持っている人がたくさんいらっしゃったということの証左だと私は申し上げておきます。
そこで、先ほど、男女共同参画政策推進のための中核拠点である、そういう意見もパブコメの中にあったということなんですけれども、実際そうなんですね。
実は、各国に既にこういった国立女性教育会館のような同類の施設が、このアジア太平洋地域に広く存在をしておりまして、お隣の韓国などは、もともとあったそういう一つの機関を、わざわざ最近、研修と研究を行う二つの機関に分けて、この日本の、ヌエックというふうに言わせていただきますが、国立女性教育会館の略称です、ヌエックはそれぞれと連携をして交流なども行っている。実は、これは、国内の男女共同参画推進の拠点であるだけではなくて、国際的にもアジア太平洋地域の拠点として本当に役割が大きく期待されているものであります。
特に、このヌエックというのは、所管が文部科学省にあるんですけれども、実際には外務省とも非常に密接な仕事も担っております。
例えば、JICAで活動する人たちの人材研修ですとか、アフガニスタンの女性のエンパワーメントのための行政官研修ですとか、そういったことを通じて、国連でミレニアム開発目標が設定されておりますけれども、その実現に向けても大いに貢献しているということで、つまり、国内的にも非常に評価の高い機関であると同時に、国際的にも非常に評価されている機関なわけなんです。
仮にこれが子供の施設と一緒になるということになりますと、これは、実際にそうは思っていないけれども、統合した、いわゆる主体の見方と、それから、そういう事情が説明されたとしても、やはり外から見た見方というのは異なりますからね。やはり日本というのは、そのように子供の政策と女性の政策を一緒にやるということで、後退したのではないかというふうに見られることを懸念しておりますし、先週、上川大臣と議論をいたしましたときも、大臣からそのような答弁がありました。この点について渡辺大臣はどういうふうにお考えでしょうか、直接の御担当ではないんですけれども。
日本は今、世界的に非常に男女共同参画がおくれている国だと言われております。GEMといいまして、各国の女性の参画度合いをはかる指標があるんですけれども、かなり下位の方でずっと低迷をしているんです。政府が取り組んでいるにもかかわらず、なかなかこの順位というのも上がっていきません。
どうでしょうか。やはり国際的な日本に対する評価を維持する、そしてまた高めていくというためにも、私はこれは単独で存続というのが適当ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○渡辺国務大臣 男女共同参画社会の形成といったミッションをさらに進めていくことは私も大賛成でございます。重要なことは、いかに充実した女性教育を行っていけるかということではなかろうかと思います。
例えば、先ほど来お話がございますように、仮に二つの独法、女性教育会館それから青少年教育振興機構を統合した場合、指導者への研修や教育に関する研修施設の運営、調査研究などのノウハウの共有を図ることが可能になるのではないでしょうか。また、バックオフィスを含めた組織運営の効率化を図っていくことができるのではないでしょうか。国立青少年教育振興機構が保有する研修施設において女性教育のための研修など、全国展開が可能になるといったメリットがあるのではないでしょうか。
こういった観点から有識者会議では議論が行われたものと思います。男女共同参画社会をより進めるためにも意義があるものという観点からの議論であったかと承知いたしております。
○西村(智)委員 大臣が今、百一の独立行政法人の見直しに取り組んで、現時点で廃止ということでほぼ確定に近くなっているのが三つだということ。小さいところからでも成果を上げなければならないというお家の事情は理解をいたします。
ですが、先ほど大臣おっしゃいました、ノウハウを共有することができるのではないかということですけれども、果たして、このノウハウの共有というのが二つの機関で必要とされているのかどうか。私は、このヌエックの研修に参加した人たちの満足度が非常に高いということからして、ノウハウの共有によって新たにヌエックが得るべき中身というのはそれほど大きくないのではないかと考えております。
また、効率化という点についてでありますけれども、有識者会議の中で四つのポイントが示されておりまして、一、二、三、四とあった最後のところの、統合、民営化の考え方のところでは、小さいところを統合の対象とするというようなこともあって、私はこれを見たときに、あれっと思ったんですね。
真に必要なものは残す、真に必要でないものはやめる、こういった基本的な考え方もありますけれども、ヌエックは効率化は随分進んできているのではないかと思うんです。人件費はここのところずっと減らしてきている、減らすことに成功しているということでありますし、今大臣がおっしゃったことは、もう既に現時点の国立女性教育会館で取り組まれて成果が上がっていることでありますので、そのあたりもぜひ踏まえていただいて今後の検討を進めていただければ、つまり、単独での存続に向けての検討を進めていただきたいと思うのですけれども、もう一度答弁をお願いいたします。
〔委員長退席、岡下委員長代理着席〕
○渡辺国務大臣 そういった御指摘は、私のもとにもたくさん寄せられております。
私ども、行革の観点からいろいろな御提言をさせていただいておりますが、我々の指摘に対しまして文部科学大臣の方から、それを打ち破る立証が果たされるかどうかというところがポイントであろうかと思います。
○西村(智)委員 先ほども申し上げましたが、これは、所管の文部科学省以外に、直接男女共同参画政策を推進する内閣府、そしてまたJICAなどの活動、そして各国政府や研究機関と連携をしていることから外務省、幅広い省庁とのつながりがあるわけでございますので、ぜひそちらも検討対象に加えていただきたいということを強く要望いたします。ぜひ、全国の女性たちをがっかりさせないでいただきたいと強くお願いをいたします。
続きまして、ちょっと時間も少なくなってまいりましたが、増田大臣に、地方分権の推進について伺いたいと思っております。
私は実は長く総務委員会におりまして、地方分権推進委員会のことを質問しようといたしますと、それは内閣府で聞いてくださいということで、ここは非常に縦割りの強い壁に阻まれて、なかなか伺えなかったんです。きょうは内閣委員会でありますのでお伺いしたいと思うんですけれども、地方分権改革推進委員会で中間報告が取りまとめられました。先月十六日のことでありますけれども、ここで大変踏み込んだ内容で書かれていて、私は、ああ、これは期待が持てるかなと思っております。
つまり、これまで第一次改革、第二次改革と進んできた中でどうしても踏み込めなかったことについて記載をされている。例えば、第二次改革で、いわゆる事務事業の移管ということで、なかなか盛り込めなかったことも提案として入っているということで期待をしておりますけれども、ちょっと、もう既に懸念材料が出てきております。
この中間報告が取りまとめられた後、地方分権推進対策本部ですか、これは閣僚の皆さんがメンバーになって構成されているということで、先月末にそれが開催されたということなんですけれども、福田総理大臣が、この中間報告を受けて、全閣僚に対して、政治のリーダーシップを発揮して取り組んでほしいというふうに発言をされた。発言をされたし、恐らく増田大臣も同じ御意向なんだと思うんですけれども、それにもかかわらず、抵抗されるような発言の閣僚もおられたということで、これは本当に、うまく進めていくためには、相当のやはり政治力と申しますかリーダーシップが必要になってくるんだろうと思っているんです。
大臣に、ここはどう突破していこう、突破といいますか、そういった各省庁からのいわゆる抵抗をどう排除していこうとお考えになっているのか、その点についてぜひ伺いたいと思っています。
これまで、例えば前回の分権のときですと、小泉さんが途中まで一生懸命後ろ盾をしていたんですけれども、なかなか最後のところまで力が続かなかったというようなこともありました。大臣、どうここを突破していくおつもりでしょうか。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
先般、今先生お話しの、政府の改革推進本部というものを開催いたしました。そして、丹羽委員長から中間報告をしたんですが、その際に何人かの閣僚の皆さん方から確かに、お話がございましたとおり、御発言がございました。その中間報告で取りまとめられていることに対して、慎重に今後検討していきたいというお話がございまして、役人の言葉ですと慎重に検討というのは否定的な場合が結構多いわけでございまして、そうしたことから今先生の御懸念のことにつながっていったのではないかというふうに思うんですが、各大臣の御発言でございますので、本当によく検討するという文字どおりの意味ではないかというふうに私は思うわけでありますが、その発言をいただきました後に、推進本部として、いずれにしても次の三点を確認いたしました。
中間的な取りまとめを最大限尊重するということが一つ。それから、政府が一体となってスピード感を持って取り組んでいく、そのことが二つ目。それから三点目は、分権委員会の活動を政府として積極的に支援していく。かいつまんで言いますと、この三つのことは最後に本部として確認をした事項であります。
総理も、政治的リーダーシップを発揮しろということを各閣僚に指示もされたところでありますので、こうした確認事項はきちんと残っておりますので、これを各省も受けて今後取り組まなければいけないというふうに思います。
このことについては、今ちょうど渡辺大臣も独法の改革についていろいろ奮闘しておられる中で、基本的な原則を定めて、それに反する挙証責任は各省が持つ、こういうやり方で進めているわけでございます。私も、分権を進めていくに当たって、なぜこの事務に対して国が義務づけをしなければいけないのかという共通のメルクマールが分権委員会で示されていますので、それに従えないという理由は各省が示していかなければいけない、こういうことではないかと思っています。そうした原則を踏まえて、今後、今の確認事項もございますので、それを受けて、強力に、分権の中間取りまとめの方向に沿って政府全体としての取りまとめをしていきたい。
来年、分権委員会から勧告が出てきて、それからが本格的な始まりということになりますので、まずは分権委員会に、きちんとした勧告を政府にしていただきたい、このように考えております。
〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕
○西村(智)委員 来年分権委員会から勧告が出るということですと、来年の政治状況はどうなっているかなと、今、実は答弁を伺いながら思ったところなんですけれども、いずれにいたしましても、では、その勧告をまずはしっかりと出していただくということが先になろうかと思います。
それと同時に、増田大臣の方から、分権推進一括新法を半年前倒しして、〇九年の秋の臨時国会で提出したいということなんですけれども、ここは、いわゆる地方税財源の問題、交付税の課題、そしてまた補助金、こことあわせて非常に微妙な一年間にもなってくるのではないかと思います。ぜひ強力に進めていただけるように、強く要請をいたします。
最後に、大田大臣に、実は先週質問する予定だったんですけれども、それから多少質問の内容も変えさせていただきました。
実は、ことしの年次報告、非常に興味深く私は読ませていただきました。去年までの年次報告はどちらかというと、経済成長すれば格差が縮小する、いわば拡大路線にどっぷりと乗っかっているという感じがいたしたんですけれども、ことしの年次報告は多少その色合いが変わって、いわゆる正規雇用と非正規雇用の間の格差の問題や、パートやアルバイトなどそういった非正規の賃金が全体的な雇用の格差につながっている、そういったお話があったり、また、先進国では、経済成長をしているけれども逆に格差が拡大してきている、そういう研究報告がなされているということも紹介されたりしまして、つまり、今までの右肩上がりだけでは格差が解消できないんだということを示している大変貴重な年次報告だったなというふうに思っているんです。
きのうですか、閣議決定をされた平成二十年度の予算編成の基本方針も、そういった目線で見ますとやはり軌を一にしていて、特に、だれもが安心して働ける環境づくりという項目があったかと思いますけれども、そういうところなどは年次報告の内容をやはり色濃く引っ張ってきている、興味深い内容だったなと思います。
そこまで書かれているのであれば、私はもう一歩進めて、いわゆる派遣労働のことについてもぜひ、基本方針を取りまとめられた大田大臣の所見を伺いたいと思っております。
派遣労働あるいは請負といった形態についてはここのところ大変大きな問題になっておりまして、いわゆる所得の格差のみならず、やはりその労働者の労働条件、安全衛生という面でも大変深刻な問題を発生しておりますけれども、この労働者派遣法が来年ちょうど見直しの時期を迎えることになっております。ここでぜひ言及が欲しかったというのが私の本音なんですけれども、大臣自身は、この点、いわゆる非正規雇用全体を含めても結構なんですけれども、どんなお考えでこの基本方針を取りまとめておられるのか、その点を伺いたいと思います。
○大田国務大臣 派遣労働者を含めた非正規雇用につきましては、やはり雇用の安定それから福祉の増進ということに対して十分な配慮がなされなくてはならないと考えております。
現状、幾つかの論点がありまして、例えば、登録型派遣や日雇い派遣をどう取り扱うのか、あるいは受け入れ期間の制限をどうするのか、あるいは一定期間受け入れた後の派遣先事業主による派遣労働者への直接雇用契約の申し込み義務、こういったことをしっかり議論していかなくてはいけないと考えております。
これについては、現在、先生も御指摘のように、厚生労働省の公労使で構成される審議会で検討が進められておりますので、その審議の経過を見たいと考えております。
予算編成の基本方針の中でも、派遣労働者を含めた非正規労働者と正規労働者との間の処遇の均衡、それから非正規雇用の正規雇用への転換等を図る施策の推進ということはしっかり言及させていただきました。
あわせて、やはり非正規雇用から正規雇用に移れるような職業訓練も必要だと考えておりますので、予算編成の基本方針の中にはフリーターの常用雇用化やニート等の若者の職業的自立への支援ということも言及しております。
引き続き、こういう非正規労働を含めて、あらゆる立場で働く人の働き方の問題というのは検討を進めていきたいと考えております。
○西村(智)委員 労政審の方に議論をゆだねるということをお伺いいたしました。
いっとき経済財政諮問会議の方が、非正規雇用あるいは日雇い労働が雇用の調整弁であるという方向で議論が流れかけた経過がありますので、今の大臣のお話を伺うと、最近の経済財政諮問会議はそうではないというふうな御答弁だったというふうに認識をいたしますし、そのことは経済財政諮問会議の方で余り踏み込んだ議論がされないように、大臣のお立場からもぜひ配慮をしていただければなというふうに思っております。
時間ですので、質問を終わります。ありがとうございました。
○中野委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党、市村でございます。議論をさせていただきたいと思います。
まず冒頭、増田大臣、ちょうど増田大臣が御就任直後に私は増田大臣に対して、今度の再チャレンジ支援税制について、目的は限定されていますが、ある個人から私企業に対して寄附をした場合、それに対して税制優遇を与えるというのは、これは聞いたことがないということでお話をしておりました。その後の検討はいかがなっていますでしょうか。
○増田国務大臣 前回、先生の方から今お話しのような趣旨でいろいろ御説明がございました。その後、私どもの方で、内部でいろいろそういった御指摘の趣旨なども含め慎重に検討いたしまして、そうした税制要望については落とす、こういうことで取り扱わせていただいております。
○市村委員 本当に良識を発揮していただいたと私は思いますが、ただ、その前の段階で、実は、私企業から私企業への寄附についてはまだ税制優遇ということになっておるんですね。これはもう制度が施行されているんでしょうか。それで、今現在、実際にそういう寄附の例があったかどうか、もしあったら教えていただきたいと思います。
○増田国務大臣 制度自体は既に施行されてございますけれども、現実に寄附された例はございません。
○市村委員 この制度自体、やはりこれもあり得ない、私はこう思っておりまして、NPOであればわかりますけれども、相手方がいわゆる私企業に対して寄附したもの、これに税制優遇を与えるというのは、渡辺大臣きょういらっしゃいますけれども、渡辺大臣と議論した上でこうなっておるんですけれども、やはりこれはあり得ないと私は思うんですね。
だから、これについても、後からまた渡辺大臣と議論させていただきますが、やはりNPOというものの土壌をしっかりと確立していくことが大切だ。そこに対して、NPOの中で頑張ってもらうものに対していわゆる寄附をしていく、そして税制優遇を与えていくというのが本筋でありますので、再チャレンジ支援というのはよくわかるんですけれども、やはりそういう制度を入れることによって後からいろいろな問題が生じてくると私は思います。
ぜひとも、たとえ目的限定であっても、私企業から私企業への寄附について税制優遇を与える、例えば高齢者の方を雇うとか障害者の方を雇うとか母子家庭のお母さんを雇うとか、確かにその政策目的は、私は別にこれに反対しているわけではありません。そういう方々をもっと雇用する、もっと雇用を促進しようということは、これはもう政策目的としては正しいんですが、その手段として私企業から私企業への寄附に対して税制優遇を与えるということはやはりおかしいと私は思いますので、またさらなる検討を加えていただきたいと思いますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○増田国務大臣 今、いろいろ議論した上で制度がございまして、まだ公共団体の方の周知等も十分でないようでございますので、公共団体の皆さん方がその中で一定の役割を果たす、こういう仕組みになってございますので、そういった皆さん方がどう受けとめられているのかといったようなことも含めて、よく実態を踏まえて考えていきたいと思います。
○市村委員 再チャレンジ支援税制にはもう一個ありまして、いわゆる公益法人をかませるやり方があります。あれは私はあると思います。だから、そういうあるべき姿での寄附が促進されることを願っているということでございます。
それで、渡辺大臣、ぜひともきょうは独法の国民生活センターの議論をさせていただきたいと思いますが、渡辺大臣は、この独立行政法人国民生活センターをどうすべきだというふうに思われていますか。
○渡辺国務大臣 御案内のように、福田内閣においては、消費者重視の行政への転換は最重要課題でございます。国民が安心して、また安全に暮らせるよう、国民生活センターがその機能を適切に発揮していくことは重要であると考えております。
では、例えば食品安全や製品事故の防止といった分野における対策はどうなっているかというと、これは、御案内のように国民生活センターではなくて、ほかの独法がやっているわけですね。農林水産消費安全技術センター、FAMICと称しております。また、製品評価技術基盤機構、NITE、あるいは、厚生労働大臣の所管でございますが、国立健康・栄養研究所の消費者行政関連部門、こういったところも担っているわけでございまして、こうしたところがばらばらにやるのがいいのか、それとも統合してパワーアップを図るのがいいのかというところを今議論しているところでございます。
○市村委員 大臣、ちょっとそもそも論に戻りますが、独立行政法人は、大臣の中では官ですか民ですか、どっちですか。
○渡辺国務大臣 特殊法人を独法にしたもの、あるいは行政本体から切り出しをしたもの、二通りございます。いずれも、民間にお任せしてしまうとやっていただけないものを担っているということでございますから、広い意味での非営利法人という位置づけができるかと思います。
○市村委員 まさにそうなんです。非営利法人、NPOなんですね、これ。
実は、以前竹中大臣とここで議論したことがありまして、そのときも、小泉政権の民営化というのに私は決して反対するものではありませんでした。それはいいんです。ただ、小泉政権においては、民営化イコール株式会社というような流れになってしまったんですね。そのときに私は、いや、民営化には株式会社という流れと同時にNPOというのがあるんだという話をしました、民の公ですけれども。
そのときに、竹中大臣も、さまざまな要因を考えて、私が申し上げますような民の公、さまざまな形態を含めた議論をしなければならないということで、きょう、先ほども佐々木委員からありましたが、百二番目の独立行政法人ができております。結局、この独立法人については、要するに何でもかんでも株式会社じゃないんだということで、まさにその民の公をも重視したということの例として、百二番目になっております独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構だという話です。竹中さんも、要するに民の公、今大臣がおっしゃっていただいたような非営利法人、広い意味で言えばそうなんだとおっしゃっていただいたんですね。
それで、実際に独立行政法人の中身を見ていきますと、研究所とか研究機構とかが極めて多いんですね。これは今、シンクタンクなんです。これは、例えばアメリカではNPOなんですね。行政でもなければ、いわゆる営利企業でもないものとしての存在をしているわけです、こういう研究所というのは。
だから、以前から大臣とここの場でも議論させていただいておりますように、まさに官製土壌を改めて、やはり民製の土壌をつくっていく、まずここがないと、この議論も大変浅薄なものになってしまって、大臣が幾ら努力されても、結局落とすべきところがないわけですね。官から引っぺがして、ではこれをどこに持っていくんだという話です。また株式会社にするんですかという話になって、それも今大臣がおっしゃったように、株式会社はちょっとやってくれないだろうなと。では、官のままでいいんですか、いや、それもどうなんだ、困ったなということで、今のところ独立行政法人で落ちついているんでしょうけれども。しかし、今大臣もおっしゃったように、これは非営利、広い意味でいえばNPOである。
結局、やはりNPOの土壌をつくっていくということがないといけない。私が再三申し上げていることなんですが、大臣、改めて大臣の感想を聞かせていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 さんざん議論をしてきたテーマでございますが、やはり今の独立行政法人は余りにも各省のくびきが強過ぎるのではないか、委員の言葉で言えば、官製土壌に過ぎるのではないかという思いがいたしております。
こういった官製土壌はどういうところから出てくるのかということを考えてみますと、事業管理も各省、人事管理も各省、また事後評価も各省のお手盛りが横行しておる、やはりこういうところから、官製土壌からの脱却ができない理由があるわけでございます。
したがって、これを抜本的に変えていこうではないかというのが、今回の独法改革の例年と違う点であります。我々は、まさにこういう新しい、原則に立ち戻った抜本見直しをしていくことによって、真に不可欠なもの以外は廃止をする、民間にできるものは民営化をしていく、そういう方針で臨んでいるところであります。
○市村委員 大臣は話をはぐらかす方じゃないと思っていますので、真っ向勝負の方だと思っていますが、ちょっと大臣、私の今の質問には答えていただいていないんですね。
私は、まさに民営化するときの落としどころとして、着地点としては、株式会社と同時にNPOもある。ところが、NPOの土壌がなかなかこの国には育っていないんじゃないかということで、私はずっとこの内閣委員会を通じて議論をしているんですね。やはりこの土壌づくりをしっかり進めていかにゃいかぬ。これは公益法人改革にもつながるわけです。
ここの部分をしっかりとしていくということで、私もいろいろ提案していることもありますが、また改めて大臣の御意見をお聞きしたいということでございますので、ぜひとも大臣の率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 まさしく、非営利法人の世界が各省のくびきが余りにも強過ぎたという歴史的な背景があろうかと思います。しかし、御案内のように、公益法人改革において、主務大臣の許可権限というものを剥奪してしまったわけでございます。近々、新しい制度が本格的にスタートをするわけでございます。
一方、今回の独法改革が我々の思いどおりに実現をするとするならば、独法制度は抜本的に変わっていくはずでございます。各省のがちがちのくびきからある程度解き放たれて、人事管理や事後評価において、国民の立場に立った、ガバナンスのきく体制ができるわけでございます。一方、独法経営においては、より自由度が確保され、より効率的、合理的な経営が行われていくようになるわけでございます。
ぜひ、そういう観点からこの改革を遂行したいと思いますので、応援をよろしくお願い申し上げます。
○市村委員 もちろん、私は前から再三申し上げておりますように、渡辺大臣のこの思い、厚い岩盤を打ち破ろうという思いは極めて応援しているということでございますが、ただ、私が懸念しているのは、結局、渡辺さんみたいな方が大臣としているならいいんですけれども、渡辺さんがずっと大臣を続けていただけるのなら私も安心していられるんですが、そういうわけにもいかないだろう。我が党も政権をとらせていただきたい、こう思っているわけでありまして。そうなってくると、それは我が党は我が党でやっていくと思いますが、ただ、やはり属人的であってはならないと思うんですね。たとえ渡辺大臣がその場を離れても回る仕組みづくりというのをしておかないと、渡辺さんが去ったらしめしめということになってしまうと、結局、安倍さんが去って、福田さんになって、ああ、これは官僚の皆さんもちょっと一息かな、こういうことでは困るわけですね。
だから、やはりやるべきことは、別に官僚の方がだめだと言っているわけじゃないんです。ただ、やはり官製土壌なんですね。これは、いわゆる個々の官僚の方があらがえないものなんですね。個々の官僚の方もおかしいとは思っても、これはもうそういう仕組みになっちゃっているわけですね、仕組みとして。だから、個々の官僚の方がこれはおかしいと思っても、仕組みを変えてあげない限り、それは政治の役割なんですが、やはりどうにもならないということで、まさに今こういう議論もしているわけであります。この議論はそうそうかみ合わないところになりますので、またぜひとも時間をください。
せっかくきょうは谷口副大臣がお見えですが、事後チェックのことを今渡辺大臣がおっしゃっていました。総務省は、いわゆるこうした独立行政法人評価年報なんというのをつくって、事後チェックをまさにやっていらっしゃるんですね。これがなかなか、私が見たところA評価が多くて、何か極めて甘いような気がして、さっきの大臣の言葉をおかりしますとお手盛り、お手盛り評価じゃないか、私もそう思うんです。こういうのもやはり改めていかないと、結局、何をやったって、いやいや、まあまあとお手盛りでA、A、Aとやっちゃったら、これはもうそのままですよね。ですから、これについて副大臣、この見直し。
例えば、我が党の田嶋要委員がことしの四月十日の総務委員会で質問したときに、当時の菅大臣が「これからは厳しく業務にも切り込んでいきたい」、こういう表現で総務大臣がおっしゃっているんですね。どうでしょうか、その後、これから業務に踏み込んできちっと事後評価をされるんでしょうか。その辺の意気込みも含めてお聞かせください。
○谷口副大臣 市村先生がおっしゃるとおりだと思います。ざっと見ますと、やはり各府省の評価がA評価が非常に多いというような状況があるんだろうと思います。
それで、総務省では二次評価をいたしておりまして、各府省のいわばお手盛り評価ということは避けていかなければなりませんので、まず、各府省にお手盛り評価というようなものを避けていただくように、本年七月に当面の取り組み方針というものを取りまとめて、「各府省の独立行政法人評価委員会においては、」「従来の評価の客観性・厳格性について検証した上で、評価の質の更なる向上のため研さんを積むことが求められている。」というように指摘したところでございます。
二次評価を取りまとめて各府省の方へ行くわけでありますけれども、その二次評価の取りまとめも、若干、総務省の中で各府省に遠慮をしているところもあるんだろうと思います。ですから、国民の皆様にもそのようなこともよくわかるような形で取りまとめるように指示したところでございますけれども、今後、独立行政法人の評価で先生のおっしゃるようなことのないように頑張っていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
○市村委員 総務省、きょうは増田大臣は総務大臣としてここにお見えじゃないんですけれども、結局、総務省がある種こういう政策評価とかをやっていらっしゃいます。かつまた、統計についてもある程度まとめたものを持っているのが総務省なんです。私は、こうした政策評価とかデータの収集、その分析、解析というのは極めて重要なことだと思っていまして、前に、増田大臣就任直後に私この場で、いわゆる国家統計局のようなものが必要であるというふうなお話をさせていただいたことを、覚えていらっしゃらないかもしれませんが、思うんですね。
やはりデータの収集というのは極めて重要なんです。なぜかといいますと、データを収集して初めてインフォメーションが生まれてきますし、インフォメーションがあって初めてインテリジェンスが生まれてくるんですね。ところが、この国はデータの収集をないがしろにしているがために、いわゆるインフォメーションがうまく形成されない。だからこそインテリジェンスも生まれてきようがないんですね。だから、この国でインテリジェンスの議論をしたって、もともとデータ収集すらできていないのに何なんだという話に、根本にかかわるところでおかしいというふうに私は思うんですね。
だから、やはり国家統計局のようなものをつくるべきだ、こう私は思っておりますが、これはいわゆる総務大臣というよりも、とりあえず、その部分も管轄していらっしゃる一大臣として、また知事の御経験も踏まえて、そうしたいわゆる国家統計局みたいなものをどう構築していくかということについての御意見をいただきたいと思います。
○増田国務大臣 今先生から統計の重要性を御指摘いただいて、まさに発想とかいろいろなインテリジェンスのところにもかかわってくる、私も地方で首長で行政をして全く同じ思いがございました。県内の統計がやはりきちんと集まっている、それをベースにして初めて、構想力を駆使して政策を組み上げていくわけでございますので、こうしたものがずっと歴史的にも積み重なってくる過程で、全部網羅的に積み重なってくることの必要性、重要性を感じておりました。この関係でございますけれども、やはり国においては、より重要性は高いだろうというふうに思っております。
大臣になりましていろいろ調べてみますと、統計のあり方について、各国ごとに、分散型でやっている国と、今お話にございましたように、国がきちんと中央でやっているところと、いろいろやり方はあるようでございます。
私は、今先生がお話しになったような統計の重要性をきちんと踏まえるということと、御案内のように、ちょうど統計法が全面改正されて、これは実は六十年ぶりということを私も初めて知ったんですが、六十年ぶりに改正して、今お話しになったような観点で、この統計法の中で、基本計画をつくって統計の全体的、体系的な整備を図っていく。これは、発想の原点に今先生がお話しになったようなことがあって、それを今の我が国の分散型統計の中でいかに生かしていくかということで、六十年ずっと変えなかったものを初めて大がかりに全面改正したんだろうと思います。
ですから、法はまだ、一部施行されて、全面施行は二十一年の春ということになって少し先になりますけれども、その間にきちんと準備して、そういった国としての統計をきちんと取りそろえていく、これをまずやっていくべきではないかというふうに思っているんですが、先生がお話しになった国家統計局のような発想を原点にという言葉をきちんと大事にして、この法律の運用を図っていきたいと思っております。
○市村委員 本当に、政策科学の発展のためには、やはりデータをしっかり集めておくというのは最低限の条件だと思います。
特にこれから、先ほど大田大臣も何かシンクタンクの議論をうちの佐々木議員とされていましたが、シンクタンクが、例えばこれがNPOとして育ってきた場合、結局、分析していくときには、データがないと分析できないんです。
大体、今何か分析しようと思って省庁にデータをと言うと、ありませんという答えが多いんです、そういう統計はとっておりませんという答えが極めて多いんですね。これだと分析できなくて、では、その政策代替案、いわゆるポリシーオルタナティブですけれども、これを考えようにも考えようがないんですね。極めてこれは、ようこの国はもっているなと思うんですが、それだけに、官の世界に情報を集中させた、ある種、属人的な直観の世界でやってきたわけですね。ある種、直観の方があらゆるデータよりもすぐれている場合も多いものですから。ただ、直観にすぐれた人をリーダーにいただいている間はいいですけれども、直観がすぐれていない人をリーダーにいただくと、とんでもない目に我々国民は遭うわけです。
だから、これからは、先ほど仕組みの議論もさせていただきましたけれども、やはりだれがやってもある程度回せるような、やっていけるような仕組みづくり。そのためにはやはり政策科学を発展させていかなくちゃいけない。そのためには、データというのをきちっととっておくということですね。だから、こういう政策を行った場合、こういう結果になりました、これはよかったんでしょうか、悪かったんでしょうかと。それで、悪かったのならその悪かった部分をフィードバックして、では、また改善しましょう、もしくは、なくしていきましょうとか、この政策そのものがおかしいんだからとかいう話ですね。そういうことも含めてこの議論をしていかなくちゃいけない、そのためにはやはりデータが必要だと思います。
駐車違反の監視員の件でも、一体幾ら反則金がふえたのかといったときに、これはデータがないんです。だから、これじゃ分析できないんですよ、話にならないということですから、ぜひともこうした国家統計局のようなものを検討していく必要があると思います。
それで、ちょっと渡辺大臣に戻ります。
国民生活センターなんですが、これに紛争解決手段としてのいわゆるADRの役割を持たせていこう、こういう話が出ておりますが、きょうは法務省の方に来ていただいていますけれども、まず、ADRとは何かということをごく簡単に御説明ください。
○菊池政府参考人 ADRといいますのは、裁判によらずに紛争を解決する手段、方法を総称するものというふうに言われておりまして、日本語では裁判外紛争解決手続と呼ばれております。
ADRは、裁判と比べますと、当事者間の話し合いで円満に解決するということを目指すことが多いものですから、トラブルの実情に応じた柔軟な解決ができるとか、あるいは、簡易迅速で、しかも安いコストでできるとか、非公開であることが一般でございますので、プライバシーや営業秘密を守ることができるといった特徴があると言われております。
具体例を一、二申し上げますと、裁判所でも調停という手続がございますが、そのほかに、行政機関、民間団体、あるいは弁護士会などが、仲裁、調停あるいはあっせんといった形で、いわゆるADRをやっているというふうに聞いているところでございます。
○市村委員 渡辺大臣、今のこのADR、まさに解決をサポートしていくわけですけれども、これを国民生活センターの機能として法的に位置づけていくということはお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○渡辺国務大臣 この問題は私の担当ではなくて岸田大臣の御担当でございますが、御質問いただきましたので、所見を述べさせていただきます。
私どもの行政減量・効率化有識者会議においても、国民生活センターがADRを行うことの是非について議論をしております。その中では、もし国民生活センターがADRを担うということになりますと、いわば官製土壌の中での独法がさらに大きな仕事をやっていくということになるのではないか、したがって、民間との共同運営、あるいは民間ADRにゆだねるべきではないか、そういった議論もございました。また、これは委員の中からの議論でございますが、悪徳商法や企業不祥事がはびこっている現状にかんがみますと、国民生活センターがきちんと役割を果たしているのかどうか非常に疑問であるという、大変厳しい意見も出されたところでございます。
したがって、行政減量・効率化有識者会議においては、国民生活センターがADR機能を担うということについては、むしろネガティブの意見が多かったというのが私の感想でございます。
○市村委員 まず、そもそも国民生活センターが今まさに役割を担っていないんじゃないかというふうな意見もあったということですけれども、それはやはり発想が逆で、私は基本的に極めて民営化論者だと自分では自任しておるんですけれども、しかし、こうした国民の生活に深くかかわることについては、規制緩和の部分はそれはどんどんやっていかなくちゃいけませんけれども、やはり規制を強化しなくちゃいけない部分もあると思っているんです、食品の安全とか、特に安全面のこととか。
特に、消費者を守っていくというこの国民生活センターの役割というのは、これはやはり私は官でいいと思っているんです、いつも民間民間と言っていますが。むしろ、官の機能でもいいから、とにかくこれを強化していく方がいい、私はこのように思っているんですね。そのときに、このADR、解決をサポートしていくという考え方は極めていい。しかも、これは今、法的根拠もなく相談員の方が一生懸命やっていらっしゃるわけですけれども、これに法的根拠を持たせてやっていくというのは、私はいいことだと思います。
では、何で民間の方がこれに、民間というか、いわゆる財団の方とか財界の方が反対しているのか。私は実は理解できないんですね。だって、こうして安心、安全な社会が形成されれば、もっと安心して消費行動もやるわけですから、このことによって財界、経済界だってもっと潤うはずなんですね。だから、こういったことはいわゆる税金に任せて、あとは自由な経済活動でもうけていくという仕組みの方が私はいいと思っているんですね。だから、実際、財界の方が反対される理由が私はわからないんです。
ですから、ぜひともこの国民生活センターは機能を強化していく、その中でADRという機能もしっかり持たせていく。解決をサポートする際に、やはり相談員の方とか解決のために間に入る方たちがいわゆる法的根拠を持ってやれるように仕組みをつくっていく方が私はいいと思っています。
それで、大臣、あと国民生活センターについては、窓口業務を廃止するんじゃないかという話があります。年間四千件ぐらいあるようでございますけれども、私は、これはやはり、何か問題が起こった場合、どこか聞いてくれるところがあるというのはすごく安心できるんですね。すぐ解決しなくても、どこかで聞いてもらったと。確かに、各自治体にそういう窓口を設けている、そっちでいいじゃないかという議論もあるんですが、やはり国の機関として、私たち国税を払っています、国の機関としてこうした相談窓口があって、そこがしっかりと解決してくれる場所であるということがあれば、やはり安心できるんですね。それで安心して電話もできます、またメールも送れます。
だから、そういう窓口、相談窓口というのはやはり残していくべきじゃないかと私は思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げたことでございますが、食品安全や製品事故の防止といった消費者保護の分野が非常に最近注目を集めているわけでございます。
では、こうした機能は今どこが担っているのかといいますと、国民生活センターではございませんで、食品安全ですと農林水産消費安全技術センター、FAMICが、食品関係事業、大体四百六十五名の人数を擁してやっているわけでございます。また、製品安全の方はNITE、製品評価技術基盤機構の生活安全分野で担っているわけでございます。こちらはいずれも立入検査権がございます。JAS法あるいは消費生活用製品安全法に基づく権限でございまして、こういった立入検査権のようなものは国民生活センターは持ち合わせていないわけでございます。
したがって、消費者の保護機能のバージョンアップを図るという観点から考えますと、むしろこうした機能は集約を図ることが必要ではないかというのが我々の考えでございまして、そういう提案をしているところでございますが、いずれの関係者もネガティブというのが現状でございます。
○市村委員 今大臣から、先ほどからおっしゃっている統合の案、これは私は賛成です。だから、統合した上で窓口は残してほしい、そういう気持ちであるということに受け取っていただきたいと思います。
だから、国民生活センターのような機能、また、今二つか三つの団体をおっしゃっていただきましたが、そういう機能を統合するのはありだと思います。ただ、そのときに、やはり直接相談窓口を残していくのが必要だと思うということと、同時に、先ほどからADRの問題、これもやはり、相談員、いわゆる紛争解決に当たる方をきちっと法的根拠を持ってやるような立場にしてあげた方がいいということであります。
それと、最後の議論になりますが、製品の安全性、食品の安全性をどこが試験をするのか、チェックをしていくのかなんですが、私は、これに関しては、その場所でやらなくていいというふうに思っているんですね。
実は、私はアメリカに住んでいるときに感動したものが幾つかありまして、そのうちの一つがコンシューマーリポートという雑誌であります。たしか年間三十ドル弱だったと思いますけれども、当時で四千円ぐらいでしょうか、四千円ぐらい会費を払うわけです。そうすると、全国何百万人の方が会費を払っていますけれども、すごい巨大な予算を持って一つの大きなNPOが形成されるわけですね。そこが独立した機関として、NPOは独立した機関ですから、独立した機関として、どの企業から、どの関係者からも圧力を受けずに、淡々と製品検査をして、淡々とそれについての評価を立てていくわけです。
例えば、中古車の評価なんかもありました。だから、中古車を買うときなんかに私は極めて参考にさせていただくわけですね。価格帯は大体これぐらいで、この車種はどこどこが弱いとか、こういうものが書いてあるわけですね。
だから、きょうの最初の議論に戻りますが、そういったことをするのは、実は、やはりNPOなんですね。官でもなければ営利企業でもないところが広く薄くお金を集めて、一人四千円、五千円集めて、巨大な組織をつくり上げて、そして、だれからも干渉を受けずに、独立した機関として製品の安全、食品の安全をしっかりとチェックしていく。そして、その結果をちゃんとリポートにまとめて、毎月だったかどうかちょっと記憶にありませんが、定期的にそれを送って、消費者に対して注意を喚起していく、また消費者に情報を提供していくということだったと思います。
だから、私は、製品の安全性のチェックとか食品の安全性のチェックについては、それこそ、外部委託というのが記事によりますと出ていますが、それは賛成なんですが、ただ、今のままだと、NPOがないですから、外部委託も多分どこかの独立行政法人、別の独立行政法人にするというような発想であると思います。私は、これはやはり違う、この部分については違うと思っています。
だから、NPOの土壌をしっかりつくっていくという議論をやはり政府部内でも進めていただきたいんです。そうした上でこういう議論があれば、もっと選択肢の多い議論ができるんですね。では、こういう方向でやりましょうと。今の場合だと、結局ほかの独法に移さないかぬ、こういう選択肢しかない議論しかできない、こうなります。だから、ぜひとも大臣におかれましては、NPOの土壌をつくっていくということについて、さらに強い関心を持っていただいて、政府部内でもそういう議論を進めていただけたらと思います。
これについて、増田大臣、谷口副大臣もせっかくいらっしゃっていますから、一言ずつ御意見を伺いたいと思います。
○増田国務大臣 今先生お話しになったNPOの活動の土壌づくり、これは大変大事なことだと私も思います。そして、その役割、果たしている機能も大変これから大きくなっていくだろうというふうに思うわけでございます。
総務省としては、やはりこういう人たちに対して、活動を支えるのは、皆さん方の寄附なりなんなりでこうした活動を支えていくということでございますので、そうしたいわゆる寄附の文化によってNPOの活動の土壌が支えられる、私としても、そうしたことに内閣府の担当大臣あるいは総務大臣の立場で貢献をしていきたい、このように考えております。
○谷口副大臣 市村先生おっしゃるとおりだと思います。
今増田大臣もおっしゃったように、認定NPOというんですけれども、やはりNPOの税制上のサポートをしていかなければならない。ところが、まだそのような状況になっておらないということがありまして、やはり民間の活動を支えていくというような方向にやっていく必要があるんだろうと思っております。
○渡辺国務大臣 私は、独法の税制要望として、独法ドナー制というのを経済財政諮問会議で提案したことがございました。これは、独法みずからがお金を集める、そのためには税額控除制を導入してはどうかということでございました。これには関係者も、目を丸くしましてというか目が点になったというか、日本の税制の中ではあり得ない、こういう反応が大多数でありました。
そういう状況でございましたので、実際の税制要望はどうしたかといいますと、指定寄附の所得控除を導入すべし、こういうものであったわけでございます。これもまだ、今与党の中で御議論をいただいておりますが、実現できるかどうかは非常に不透明であるということのようでございます。
しかしながら、独法を初めとした非営利法人が真に自立的な経営をやっていくためには、やはりこうした寄附税制というものの拡充強化が絶対に不可欠であるという思いを持っております。引き続き、こうした方向性を持った改革に取り組んでいきたいと考えております。
○市村委員 まさに最後にお聞きしようと思ったことを先に大臣におっしゃっていただいたわけでございますが、本当に私は、チャレンジ支援税制は、これは、申しわけありません、あり得ないと思いましたが、大臣が、独法に対する寄附について税控除を入れよう、これはあり得ると思っています。その前提は、独法もNPOだ、きょう先ほどおっしゃっていただいた非営利法人だということを前提に議論をしていただくということであります。すなわち、独法に入れるのであれば、非営利法人一般に対しても税制優遇措置をしっかりと入れていく、そして、非営利法人、NPOの財政基盤をしっかりとさせていく、これが重要なんです。
ぜひともこの議論を、さっき認定NPOのこともおっしゃっていただきましたが、単にいわゆる特定非営利活動法人だけではなくて、やはり非営利法人一般、公益法人も含め、学校法人、社福も含め、労働組合とか生協とか、そうした非営利法人一般の税制優遇について本当にしっかりと議論をすべきだと思いますので、そのことを最後に改めて申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○中野委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
きょうは、大田大臣と増田大臣に質問をさせていただきたいと思っております。
最初に、当初は大田大臣に、成長か財政再建かという問題をお聞きしようかなと思ったんですが、本委員会の冒頭で自民党の木原委員が最初に触れておられますので、後でまた質問させていただこうとは思うんですが、前回時間切れでゆっくりと議論できなかった増田大臣に、地域の再生、活性化という論点から話をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、各論に入る前に、両大臣はもちろん、ここにいらっしゃる委員の方に釈迦に説法になるんですが、私自身の今の日本の見方というのは、要は、発展途上国の日本と先進国の日本が併存をしている、だからこそ改革もあれば抵抗もある、こういうふうに思っております。
言うまでもなく、今の国の仕組みのある意味では土台になっているのは、戦後復興、そして高度成長、そしてその後の緩やかな成長期、緩やかでありながら世界の中では機関車と言われたような、そういう時代の制度を一方では引きずっていて、改革はされてはいるけれども、例えば、制度が百積み上がっているとすれば、そのうちの四つ、五つをはがして新たに改革をしている。本当の根底からの改革になっていないという認識を持っております。
もちろん、数字だけ見れば先進国になってはいるんだけれども、一番問題なのは、私も地方の議員でありますけれども、発展途上国時代の意識を国民が濃厚に持っているということだというふうに思っています。
その意味で、今後、地方分権、私は地方分権という言葉が好きではありませんで、地方分権というのは中央が主役で地方は出先だというこの概念、哲学が残ったままでありますので、いつも、地域主権、それは、都会の方の地域地域もそれぞれ主役になり得るという意味で地域主権というふうに使わせてもらっていますが、その地域主権時代に向けての工程表をつくっていく必要がある。
私は、実は今、個人的な勉強、研究としても、戦後百年に当たる二〇四五年の国の姿というものをつくっております。そして、現在から二〇四五年までというこの時期を、ある意味で移行期間というふうに位置づけております。この移行期間について言うならば、さっき言いました、発展途上国と先進国が併存していて、特に我々は今このダブった世界にいる。さっき言った制度と意識という意味では、濃厚にダブっている。その意味で、移行期間については、一国二制度、三制度あっても仕方ないのではないか、都市部と地域というか地方によって制度のあり方が変わっても仕方がないのではないか、このように考えておるわけであります。
済みません、先に長々と演説をさせていただきますが、一つの例が、今、例えば農業問題について、私ども民主党は、戸別所得補償ということで、零細農家も含めて農業全般に対しててこ入れというか支援していこう。一方、自民党さん、与党は、四ヘクタール以上という、産業として力強く成り立つ農業という視点で大規模農家に力を入れている。それぞれ、民主案に対して自民は、ばらまきだ、こう言うし、我々民主は、零細農家切り捨てだ、こういう論争をしているわけですけれども、私は、実はどっちも正しいと思っているんです。
それは、今言った移行期間という考え方をした場合に、言うまでもなく、今の農家を支えているのはもう六十五歳以上が半数という中で、最近でこそコンピューターを使って相対取引だ、マーケティングだという農業が実際行われておりますけれども、これを、六十五、七十の高齢の農業従事者の方に、これからはマーケティングの時代だとかいって、やれという、これは正直言って無理だと思っています。
であれば、それらの方々が、若い時分に子供を三人も四人も五人も育て、地元には残らず、どんどん都会に送り出し、そして一方、高度成長期にどんどん食料を供給していった、そういうこれまでの日本の発展の恩に報いる意味で、老後で、かつ農業をやりながら生活を立てておられる方々にはきちっと生活保障していくという考え方はおかしくない。けれども、そのやり方を今二十代、三十代のこれから農業をやろうという人にやれば、これは、悪いけれども、甘えの構造になってしまう。
こういう意味でいけば、世代間の違いによって、さっき言いました、一国二制度、三制度があってもいいんだろうと。これは年金等についても言えると思いますが、きょうはそういう場ではないので割愛させていただきますが、そういう将来の二〇四五年、そしてそれまでの移行期、それぞれについて、まず増田大臣にお聞きしたいと思っているんです。
その第一は、将来の二〇四五年、それに近い時期に一直線に向かっていくという意味での地方議会のあり方、地方議員の選び方という問題であります。
先ほど言いました、地域主権の時代は地域経営の時代というふうに考えますと、今までのように、昔、リヤカーで物を運び、徒歩で歩いていた時代に、小さな自治体のさらにまた小さな地域の代表として出てくる、または、一部の利益団体、圧力団体の代表として出てくる、そういう人たちが地方の議会を構成するという時代は終わらせなければいけない、このように思っておりまして、その一番手っ取り早い方法は、定数を大幅に削減することだというふうに思っています。私は、もう一挙に現在の四分の一、五分の一でいいのではないかと。
これは私は思い切って言うんですが、私の大分一区といいますか、私は大分市が地盤なんですが、地元なんですが、大分市は四十六万人の人口で四十六人の市議会議員がおります。これをもう一挙に七、八人にしてしまえという論であります。
というのは、どの民間企業もそうですけれども、本当に決定をしていくという役員は五、六人から十数人で構成されるようになって、執行側も執行役員というふうになっている。本当に経営をして意思決定をするのはもう何十人もいる時代ではない、このように思っているわけであります。
その意味において、これは地域再生、地域活性化のための地域経営、そのための地方議会のあり方ということですが、多少総務大臣としての増田大臣にもかかわってくるかもしれませんけれども、今私が申し上げました地域経営時代の地方議会、またその議員のあり方ということについての増田大臣のお考え、所見をお伺いできればというふうに思っています。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
総務大臣の立場でのお答えに係る部分が多いかと思いますし、それから、地方議会の問題でございますので、総務省としてもまだきちんとした考えがまとまっていないところもございますが、そういったことを踏まえて申し上げますと、先生は、分権というよりむしろ地域主権というお言葉を使われました。私も知事時代はよくそういった言葉を使っておりまして、これからの地域主権時代の地域経営の中で、地方の自治体の首長のみならず、地方議会がみずから条例等を制定して、そして地域経営の重要な役割を果たしていく、これは大変重要なことであるということでして、そのために、一人一人の議員がどういう選ばれ方をするかも含めて、地方議員がどういう役割を果たすのか、あるいはどういう権限、権能を持つのか、このことは大変重要だというふうに思っております。
そのときに、地方議会の役割自体もこれからもっと拡大をして、いろいろなところに地方議会が関与する道を開くと同時に、これは今地方制度調査会でこの議会のあり方をちょうど議論しているところでございます。地方議会の構成ですとか数も、いろいろ多様性があっていい。
今、先生の方からは、例えば大分の例をとらえて、思い切ってもう七、八人でいいんじゃないか、これも一方で一つの考え方で、これを否定するものでは決してございませんが、これから重要な地方経営の役割を担っていくとなりますと、地方議員が非常に少数の人たちの意見もきちんと踏まえた上でいろいろ活躍をするということで、今の時代に地方の議会費をふやすということはなかなか住民の皆さん方の御理解を得られないと思いますが、思い切って、諸外国の中でも例がございますが、かなりボランティア的に、金は非常に少なく、しかし数を多くして、きめ細かく地域のことを踏まえた活動を展開していく、こういうやり方も、これはこれからの民主主義の中で一方ではあり得るのではないか。
したがいまして、こうした議員の数も含めて、議会が本当にこれからどういう役割を果たすのかというのを、今まではどちらかというと、例えば知事ですとか、それから県庁の執行部の方のいろいろな機能などが大きく議論されてきた場合が多いわけでございますが、それも重要でございますが、それとあわせて、議会のあり方についてもっと議論があっていいということと、それから大きさも、横浜のように非常に大きな市議会もございますのと、人口一万人そこそこの市議会というのがあるわけでございますので、幾つか選択肢を用意して、その中で多様性を選択できるような、それは住民が選択していくということになります。そういう議会のあり方もあっていいのではないか。
それが具体的にどういうことかということはこれからもっと詰める必要がございますが、多様性の中でいろいろ地域が選択できるような議会制もあっていいのではないか、このように考えております。
○吉良委員 御自身の御経験も踏まえた詳細な答弁、ありがとうございました。
私自身も、諸外国の例を見て、例えば無報酬のボランティアというようなところもございますし、その辺については是とするところではあるんですけれども、正直言って、地方の議会というのはどうしても、先ほど言いました一部の利益団体、圧力団体の支援さえあれば、百の有権者のうちの五だけ集めれば代表になれるというようなことになって、どうしても見返りを要求される選挙になって無駄遣いが多くなるという観点、それから、先ほど言いました、大きく時代は変わるんだ、これからは地域経営の時代なんだ、その前提は、地域主権のときには、ある一定時点からもう国には一切頼れない、全部自分たちの責任において決めてください、こういうことが前提になると思います。
先ほど言いましたように、大きく時代は変わったということを象徴的にあらわしていく意味で、これからは地域経営、そのときの経営者を選ぶのが基本的には地方議員のあり方なんだということを示していただくということと、全部ぽんと地方に任せたら、恐らく拡大することはあっても縮小することがないのではないかとちょっと今の時点では危惧をしておりまして、そういう意味では、この時点では、まだ中央政府が強い段階でドライブをかけていく必要があるんじゃないかな、このように思っているところであります。
実は私、おもしろい資料といいますか、ことしの九月十八日の地方分権改革推進委員会、増田大臣の元同僚であったと思いますけれども、知事仲間として、当時の片山善博鳥取知事、現慶応大学大学院教授が、そこで地方分権改革推進について話をされております。今大臣がおっしゃられたように、地方議会の改革を進める上で必要なことは、議員の選び方を変える必要があるということと、選び方を複数の選択制にして、一つだけの選び方ではない、単一の選出制度でなくてもいいのではないかというような発言がございます。また、大事なことは、議会に質の高い人が集まって自治の拠点をつくることが必要なんだということも言っておられます。
象徴的な言葉としては、例えば交付税を機械的な算出ルールにして、国のサポートは決められた形だけにして、これをもう所与の条件として、それ以上必要な費用、何かプロジェクトをやろうとする場合は、増税してでも行うべきかどうかを住民に聞いていく。これが今後の地方のあり方じゃないかというふうに思っています。
私は、自分のライフワークとしては、今選挙権を持たない将来世代の代表だというふうな思いで今議員をやっておりますので、そういう意味で、国に頼らない仕組みを各地域地域がつくっていくことこそが、後で大田大臣にもかかわってきますけれども、借金をこれ以上ふやさない、減らしていく、その方法ではないか。そのために質の高い議員を選ぶ。そのことをぜひ地域再生大臣としても、総務大臣としてもお進めいただきたいなと思っています。
参考までに、ちょっと限られた英米系諸国ではありますけれども、お手元に市議会議員の数を書かせていただきました。これは、先ほど増田大臣からもありましたけれども、日本の中でも横浜等々大きなところでは、市議会という意味での議員の数は欧米と遜色はないんですけれども、私が先ほど言いました大分のような地方中核都市あたりはまだまだ多い。それからまた、最近合併したばかりの自治体もまだまだ多い。このように思っておりますので、ぜひ、先ほど申し上げたような観点でリーダーシップを発揮していただければなと思っております。
今申し上げたのは、ストレートに地域主権時代の議会のあり方、そこにまっしぐらに向かっていく提案でございますが、もう一つは、移行期における国の施策として要望したいことは、ある時期から国に頼らなくなるということで、社会インフラという意味において、同じスタートラインに並ぶような施策をお願いしたいということであります。
もうちょっと言えば、日本全体をネットワークで結ぶ、そういう高速道路については、私の大分だとか、どげんかせないかんというあの東国原知事の宮崎あたりもまだ通っておりません。お断りしておきますけれども、私は、選挙用の、選挙の票を得るためにばらまきをするということは大反対でありまして、そういう意味で申し上げているのではなくて、先ほど言いました、将来的には国に頼らない地域をつくっていく。ただ、用意ドンのときに、最初からスタートラインから五十メートルも六十メートルも後ろにいるところがあれば同じ競争になりませんので、そういう意味で、高速道路を早急につくっていただく必要があるというふうに思っています。それも国の責任においてというふうに思っておりますけれども。
増田大臣は、岩手県知事の時代から、それから今の総務大臣、地方を預かる大臣としても、高速道路のネットワークについて、有効利用についていろいろと発言されておりますけれども、高速道路体系がもたらす地域経済活性化、地域を元気にするということについて、増田大臣の御見解を賜りたいと思います。
○増田国務大臣 高速道路、全国をネットワークで結ぶということ、これはやはり大変大事なことだと私は思っております。今、先生御案内の大分あるいは宮崎、東回りのところがまだ整備されていないわけでございます。
私は、今、地方対策ということが私の最大のミッションでございますが、全国歩いておりまして、先般、ちょうど海峡を挟んだ向かい側の今治に行きました。造船で大変世界の競争力のある地域でございましたのですが、そこの有力な造船の社長さんが、実は、愛媛のもっとこっちの過疎の地域にもきちんと本当はつくりたいんだと。よそに行かずに、この今治の地域を拠点にして、そこを中心に愛媛ですとか四国のところにドックをつくって造船業を展開したい、ただ、その部品を運ぶ道路のネットワークがまだ弱くて、もしそこに強力な高速のネットワークでもできればもっともっと地元で頑張っていける、こういう発言がございました。
他の地域に行きましても、過疎の地域でございましたが、地域に進出したいんですが、そこに高速道路がないがゆえになかなか企業の話を聞いていただけないという悲痛なお話も伺っておりました。
したがいまして、各地域が本当に創意工夫を凝らしていく上でも、その基盤となる競争条件をやはり同じにしていくということが地方対策の中でも重要でございますし、その上では高速道路のネットワークをもっと我が国に整備していく必要がある。岩手の時代の経験にかんがみましても、やはりこの点はぜひ全国の国民の皆さん方に御理解をいただきたいというふうに思っております。
○吉良委員 前向きな答弁をありがとうございます。
私は、増田大臣のようには知事選に通らなくて、二〇〇三年の大分県知事選に出馬をして残念ながら敗れてしまったんですけれども、その際に、実はどんな場に出てもどんな集会に出ても聞いたことがありまして、それは、道路が欲しいんですか、それとも道路工事が欲しいんですかということなんですね。
やはり今、地方に行けば、道路工事が欲しいために道路を要求するということがまだいまだにまかり通っておりまして、私は、これについては断固反対、それは将来世代にツケを回すことになってしまう。そのかわり、今も発言がございましたけれども、逆に、本当に必要な道路はどんなことがあってもつくっていく、そういうめり張りが必要だというふうに思っております。
今、増田大臣からありましたけれども、私も、二十三日、今治において、利用料金を下げることにもっと大胆に取り組めという発言をされているということを入手しておりますし、さかのぼって五年前になりますか、平成十四年九月四日に、当時の名立たる知事、岩手の当時の増田知事、岐阜の梶原知事、三重の北川知事、和歌山の木村知事、鳥取の片山知事、高知県の橋本大二郎知事、この方々が集まられて、これからの高速道路を考える地方委員会というのが開催されております。その際に増田大臣は、橋本知事の発言を受けて、最終的には高速道路の無料化を考えていく必要があるというふうに書かれた議事録が残っております。それから、そのとき、これからの高速道路を考える地方委員会のときでも、道路特定財源などの国費を投入することをためらうべきではないというふうに発言がございます。
繰り返しますが、ばらまきのためのではなくて、これから地域主権時代をつくっていくスタートラインを同じくするために本当に必要なインフラ整備という意味で、今高速道路が通っていない地域について、道路特定財源を使ってぜひ無料化をしたい、無料化をしていただきたい。かつて、全国知事の旗手であった増田大臣もそのことを主張されておりますので、今、閣内にあって、ぜひ道路財源を使っての高速道路の無料化ということについてのオピニオンリーダーになっていただきたいと思っておるんですが、いかがでしょうか。
○増田国務大臣 高速道路は、つくるということ、ネットワークで結ぶということと、そして結ばれた後は今度は利用しやすくしていく、やはりこの両面が大事だろうというふうに思うんです。
したがいまして、今、ガソリン代も高くなりましたので、この道路財源のあり方にはいろいろ議論はあるんですが、私は、国民の皆さん方に高速道路の重要性はぜひ御理解いただきたいということと、それからあと、四国へ行きましてもそうですが、やはり本四架橋の値段が高うございましたので先般のような発言を申し上げたわけでございますけれども、でき得れば、そこを少なくとも安くしていくということが必要だろう。
五年前、実は私もああいうふうに申し上げているんですが、あれは当時、まだなかなか、当時は公団でございましたけれども、利用料金を夜間下げるとか、ああいったことをほとんど行わずにというか、全く行わずに画一的にずっと決められていたものですから、もっともっと利用しやすい工夫があっていいのではないかということで申し上げました。その後、最近、社会実験ということで、料金をいろいろと時間帯によって引き下げたりということがございました。
ですから、私は、常にそういった工夫をぜひしていただきたいということと、この間、いろいろ思いもあって、いろいろ関係のところに聞きましたら、今道路財源を無料の方にすると今度は新規のものがつくれなくなるとか、いろいろな問題がやはりあるということは聞いて、重々そこの難しさは知っているんですが、少なくとも、これからいろいろ議論はあると思いますが、きちんと道路財源を守って、そしてその上で、整備に充てたり、それからまた、今、さらに社会実験も広く行われるようでございますが、そういったことを後押しして、国民の皆さん方にその成果をきちんと、地域経済なりなんなりの発展につなげていく、そういうことをこれから私もきちんと物申していきたいというふうに思っております。
○吉良委員 ありがとうございます。
今、立場もおありでしょうけれども、料金を下げるということどまりだったと思うんですけれども、一方で、増田大臣が岩手知事時代の「二十一世紀の岩手づくりへ向けて」、こういう県の発展プランがあるんですけれども、やはりその中でも相当高速交通ネットワーク整備というものについての記述がございまして、そういう拠点拠点に対するアクセスを、県都盛岡に対しては九十分以内、それから、地方、中核―中核については六十分以内でアクセスできるようにしようという計画でございました。
私どもの大分もそうなんですけれども、今の高速道路というのは実はぜいたく品になっているんですよ、地方の所得が低い地域では。実は私ども、大分市から六十キロ離れたところに空港がございまして、そこまで一応高速がつながっているんですけれども、片道千六百円かかるんです。往復三千二百円。一般道を通れば十五分おくれでは着くんです。そうすると、領収書精算ができない人たち、個人としては、ほとんど使う人がいないんです。十五分早く出れば三千二百円浮かせられる。だから、立派な高速道路はあるんだけれども、ほとんど使っていないというのが実情なんですね。
それで、先ほど私が、道路が欲しいんですか、道路工事が欲しいんですかと言いました。結局、今の日本というのは道路工事が中心になっているんですよ。そういう意味で、つくったものは利用させなきゃ意味がない。高速道路といえども国道だ。プール制ができる前は、阪神だって東名だって、できたら無料化ということが法で決まっていたわけですから、それを考えたら、地域の立場からすれば、料金を下げたぐらいでは生活道路にはならない。高速道路を生活道路にすることがやはり地域の活性化につながる。私自身もアメリカにずっと住んでおりましたので、それは生活圏、経済圏が格段に広がるのはもう言うまでもございませんが、生活道路にするというところに意義があると思っております。
本当に、この高速道路無料化の糸口をどこかつかみたいというときに、閣内では増田大臣なんです。ぜひそのことについて閣内のリーダーシップを発揮していただくようにいま一度お願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○増田国務大臣 何しろこの問題は、非常に大きな国民的な議論だろうというふうに私は思っておりまして、冬柴国土交通大臣がいろいろ御検討されているわけですけれども、地方対策をやっていく上で、できるだけ地域が使いやすいようなものにしていく。これは地域でいろいろ声を聞いてございます。地域を歩いた中でも、利用してもっともっと経済圏を広げていって、そしてチャンスをつかんでいきたいということ、その中心にやはり高速道路がある。
ですから私も、工事ということじゃなくて、利用するということは極めて重要という点は全く先生と考え方を一にするものでございますし、その上で現実的にどういうふうにそれを実現していくか、ここはなかなかいろいろ工夫が要るところでございまして、国民的な理解もこの問題についてはかなり要るのではないかと実は正直思っております。一方で、もうでき上がっているところについて、道路財源の問題というのはなかなか理解していただけない部分は岩手知事時代もございました。そういうこともあって、これはやはり総力でいかなければいけないので、冬柴大臣にもよくそういった地域の経営者なり経済を引っ張っていく人たちの声も伝えながら、協力していきたい。
お話の趣旨はよく承りました。その上で私なりに努力していきたいというふうに思っております。
○吉良委員 いろいろ苦しいながら、御理解をいただきながらなかなか思い切った発言ができない立場はよくわかるんですが、ちょっときょうは時間がないので。
私自身は、今、エコノミストといいますかコンサルタントをやっております山崎養世さんという、「日本列島快走論」を主張しておられる方の論に賛成で、住宅ローンを安い金利のローンに借りかえるように、保有・債務返済機構が持つ四十三兆円を今の安い国債金利のうちに借りかえてしまうと、今のままいくと元利を合わせて四十五年で百二十兆円払わなきゃいけないけれども、これを今安い金利のときに借りかえて三十年で返済をすれば、総額六十四兆円の返済額で済むということで、それは毎年幾らずつ払えばいいのか。
仮に、渋滞対策も含めて首都高と阪神だけは料金を取り続ける、ほかは全部無料にするという前提で、一兆六千億から二兆円の間で返済が終わります。正確に言うと、今の試算だと一兆六千億。ということになれば、今の道路財源の上乗せ分の二兆五千億、このうちの一兆六千億を使って無料化にできる。かつ、余った部分のお金で、今新直轄になっていますけれども、まだ完成していない道路をつくることができる。
こういうことでございまして、将来的な債務負担も減るし、今現在の国民の利用料金という負担も減るし、生活道路として地域が活性化するということで、将来世代にとっても現役世代にとってもこれほど有効な手段はないのではないのかな、このように思っておりますので、増田大臣にはぜひ閣内でのリーダーをお願いしたいと思います。
大臣には以上でございます。ありがとうございます。
続いて大田大臣、お待たせして申しわけありませんでした。
冒頭に言いましたが、今、与党内でも、それから経済財政諮問会議の中でも、成長か財政再建かという議論がなされていると思っております。けさほどの木原さんの質問ともかかわってくるんですが、どうあるべきかということについて、大田大臣の所見をいま一度お聞かせいただけますか。
〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕
○大田国務大臣 経済成長と財政再建はともに欠かせないと考えております。
これから人口が減ってまいります。人口が減る社会にあって、成長を高めるということ、それから財政再建するということ、この二つは本当に難しい課題です。どちらも難しい課題ですが、どちらも不可欠のことだと思っております。成長力を高めなければ、日本のようなこの未曾有の高齢化を乗り切ることはできないと思っておりますし、財政の持続可能性を高めていかないと、いずれ成長力も圧迫されてくると考えております。したがって、厳しい道ですけれども、この両立を図っていかなくてはならない。
その意味では、成長力を高めるための取り組みを今から全力を挙げてやっていかなくてはいけませんし、あわせて、なるべく負担の増大を抑えていく、負担の増加を抑えながら必要な歳出を確保しなきゃいけませんので、歳出のめり張りをきかせていくということが重要だと考えております。
○吉良委員 ありがとうございます。
私はというと、やはりどちらも大事だということは、これはもうだれしもが異論を挟もうはずがないんですけれども、それでもあえて言うならば、やはり成長は追求するけれども、けさほど木原委員からもございましたが、決算時に余剰が出たときに返済に回すだけではなくて、今の元利返済分とは別にきちっと返済原資を、もうちょっと言えば、プライマリーバランスを黒字化するということにとどまらず、積み上がった債務を積極的に減らしていかなければいけない。そのための予算措置を必ず毎年していくというような考え方がやはり必要なんだろうと思っています。
なぜそう言うかといいますと、前回も申し上げましたけれども、これまでの我が国の経済戦略、政策というのは、成長自体を目的としているので、どうしても大規模投資をする可能性の高い輸出産業、ここを育てていけばおのずと設備投資はふえる、それから、そこから上がってくる税収があって政府支出がふやしやすくなる、そして純輸出がふえていくと。
だから、いつも言うけれども、海外に行ったら同じ一万円はすごい使い勝手があるんだけれども日本にいたらもうなくなっちゃったのかというのは、とりもなおさず、物価が高い、消費が伸びない、だから、成長はしているけれども人々の暮らしは豊かにならない、こういうことだと思うんですね。そういう意味で、やはり消費主導型の経済に変えていかなければいけない、それが国民の幸せのもとだというふうに思っています。
ただ、さはさりながら、そう簡単に輸出奨励型の政策またそういう産業構造がきょうあした、いきなり変わるわけではない。いろいろやりとりしようかと思ったけれども、ちょっと時間がなくなったのですが、それでいて、それこそ、サブプライムローンの問題で米国ががっと金融緩和をしてしまった、また原油高もある、イラク戦争もある。結果的にドルがどんどん安くなっていっている。そして、気がついたら、それに引きずられて日本円も弱くなっている。
一つ提案ですけれども、NHKに政府として圧力をかけていいのかどうかわかりませんけれども、今NHKあたりで放映される為替レートを今後、対米ドル、ユーロだけじゃなくて、例えば豪ドル、カナダ・ドルとかほかも示さないと、ドルだけだと、何となく円高になって円の価値が上がったみたいに思われているけれども、実は昨今、もう言うまでもないですけれども、相対的に下がっているわけですよね。米ドルと日本円が下がっている。そういう中で、この前も言いましたけれども、日本の相対的な企業の稼ぐ力というか、もう競争力が相対的にどんどん落ちていってしまっている。
私がさっき言いました、まずは返済原資、減らすための予算措置をしてほしいというのは、経済成長というのは、今回の原油高もそうですし、サブプライムローンもそうですけれども、ビヨンドコントロールなんですよね。ビヨンドコントロールの世界の経済情勢が日本の成長に大きく影響を与えるというのが昨今の現状で、幾ら経済成長、経済成長といっても、世界の情勢を見たときに、思いどおりにはならないということなんです。ということになれば、確実に減らしていかなければならない。
それは、確かに高齢者の中で貧しい方、低所得といいますか資産を持たない方もいらっしゃいますけれども、今の高齢者またこれからの高齢者というのは、高度成長時代にかなり資産形成できた方々が数的には多い。この前も言いましたが、経済成長の中では高齢者は取り残されてしまうんですけれども、この方々を豊かにするためには、やはり預金金利をある程度上げていく。そのためには、金利の融通性を取り戻す必要がある。ということになると、それは今の八百兆円、一千兆円を抱えたままではできませんので、やはり一刻も早く減らしていかざるを得ない。
確かにマイナス要素があるのは承知しておりますけれども、確実に減らすという方策を考えないと、今言った、これから高齢者がふえてくる社会においての豊かさ、国全体、国民全体の豊かさが担保できないと私は思っておりますが、いま一度、大田大臣の考えをお聞かせいただきたい。
○江崎(洋)委員長代理 申し合わせの時間が経過してございますので、簡潔にお答えをお願いいたします。
○大田国務大臣 何事も急激な変化はやはり経済には悪影響ですので、まずは二〇一一年度のプライマリーバランス黒字化を確実に達成させたい。その後、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくということで、新たな目標をつくって取り組むことが必要だと考えております。
○吉良委員 まだまだいろいろ食い下がりたいのですが、時間が来ましたので終わります。
ありがとうございました。
○江崎(洋)委員長代理 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
きょうは二つのテーマで行いたいと思いますが、最初に、前回取り上げました防衛庁装備品調達の問題ですね。これは六年間で七兆円という非常な巨額に上っており、一般競争入札をやった形をとって随意契約に化けたというものが、調達件数で七割、金額で九割を超えているということ。また、久間、額賀、石破大臣らの大臣指示で随意契約が行われたものが、六年間で二百四十七件ですから約二百五十件、それから、金額でいいますと、五千八百二十六億円ですから約六千億円。非常に巨大なものであるということを、前回この委員会で明らかにいたしました。
きょうは、この政治、そして政軍財とでもいいますか、あるいは軍産共同体とも見られる、いわゆる軍事利権などと最近マスコミでも言われているものが、防衛省にとどまらないで他の省庁にも広がっているということについて見ていきたいと思います。
最初、文科省の政府参考人に伺っておきますが、防衛省の方で一億九千万円の水増し請求をやった山田洋行、今その部分は捜査対象となっておりますが、実は文科省が管轄しているJAXAの方でも、かつてNECが六千万円の水増し請求をやったということがありました。ですから、このJAXAの方で、防衛省だけじゃなしに山田洋行の水増し請求があったのかどうかとか、こういったことについて今疑問も出てくるわけでありますが、いずれにしても、文科省に伺っておきたいのは、山田洋行がATK社の代理店として日本のロケットとか人工衛星など宇宙分野に参入した例がありますが、しかも、このやり方というのは防衛省と同じように随意契約ですね。
ですから、JAXAの関係で山田洋行との随意契約の件数、全体の金額はどれぐらいになるのかを最初に伺っておきます。
○青山政府参考人 お答えを申し上げます。
宇宙航空研究開発機構によれば、宇宙航空研究開発機構と山田洋行との随意契約はこれまでに六件締結されており、合計約三億七百万円と聞いております。
○吉井委員 しかし、実際には、九九年度の契約の変更分が二〇〇〇年度、二〇〇一年度、二〇〇二年度分にありますから、それらも合わせると、件数もふえますが、四億円を超えますね。私は、契約を始める入り口の金額は、四億だったら、あの企業だったら決して大きくないかと思いますけれども、問題は、H2Aロケット一機で大体百億とか、JAXAの平均的な人工衛星の価格で数百億あるいは六百億とか、大体それぐらい見込まれるわけですから、宇宙開発の分野でも、軍事利権と結びついた軍需産業、商社との取引が広がっていく、そこを目指してさまざまな動きが出てきているということに注目しなきゃいけないと思っているんです。
宇宙関係予算というのは年間二千五百三十二億円ですが、これは、防衛装備品調達からすると少ないにしても、かなりのものになってきます。この調達契約の中の随意契約の割合を調べてみると、件数では八五・二%が随契。ところが実際には、企画競争入札といってまた随契になったという、この間防衛省で扱った問題ですね、これで見ると、随契の件数が九四・九%。金額ベースで見ると七〇・六%なんですが、これも企画競争入札の形をとって随契になったものと競争なしの随契を合わせますと、九二・八%。
防衛省の随意契約以上に非常に高いものになっていると思うんですが、その事実だけ確認しておきたいと思います。
○青山政府参考人 平成十八年度の数字でお答えを申し上げますけれども、契約件数合計五千五百五十二件のうち、企画競争五百三十八件、競争性のない随意契約四千七百三十件でございます。
○吉井委員 私の質問はもらったデータに基づいて言っていますので、だから、割合を聞いたんですね。数字そのものでしたら、きのうもいただいているからわかるので、防衛省以上に、実態として随意契約になっているものの件数でも高いし、金額でもうんと高い、それが実態だということをお聞きしたんです。だから、いただいた資料によって計算すれば私が言ったとおりですから、後ほどまた改めてパーセンテージで持ってきてもらったら結構です。
この随意契約こそが、やはり汚職や疑獄事件を生み出す構造をなしていると思うんです。私は、こういう点では、今度の山田洋行のように、宇宙、防衛関係の開発に入り込もうとする業者は多いわけですから、それが宇宙開発利権に今広がっていこうとしていることをきちんと見ておかなきゃいけないということをまず申し上げたいと思うんです。
そこで、政府参考人に伺っておきますが、私の質問主意書への答弁書の中で、政府は、我が国の宇宙に関する施策は、六九年の衆議院本会議でのわが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議の趣旨を尊重して行われていると答えています。また、答弁書の中で、平和目的に限りとの文言については、国会で非軍事を意味するもの等の議論がなされておりますということなどを明らかにしているんです。
そこで、文科省の方で答弁書をつくられたと思いますので、宇宙開発とその利用は非軍事、つまり軍事に利用しないということを政府としては言ってきたと思うんですが、確認しておきます。
○青山政府参考人 国会決議の「平和の目的」の意味するところでございますけれども、昭和六十年に政府統一見解が示されており、その見解では、「平和の目的に限り」とは、自衛隊が衛星を直接、殺傷力、破壊力として利用することを認めないということは言うまでもないとして、その利用が一般化していない段階における自衛隊による衛星の利用を制約する趣旨のものと考える。したがって、その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星については自衛隊による利用が認められるという旨の解釈がされているという意味でございます。
○吉井委員 そこで、日本の宇宙開発とか研究は、これは以前も申し上げたことがありますが、「はやぶさ」にしても「かぐや」にしても、国際的に、地球物理あるいは宇宙物理の世界で非常に大きな国際貢献をしてきておりますし、日本の宇宙開発というのはなかなかのものであったと私は思うんです。
ところで、防衛省の中央調達での戦車、戦闘機、ミサイルなどの装備品の契約上位を占める三菱重工、川重、三菱電機、NEC、富士通、東芝、石播というのは、人工衛星やロケットの製造にかかわる点でもやはり上位に出るのは、三菱電機、三菱重工、川重、IHIエアロスペースなど、つまり、軍事ビジネスと宇宙ビジネスというのは表裏一体で現実には進んでおります。同じ会社が軍事部門と宇宙部門をあわせ持っている。以前は日本兵器工業会と名乗っていた日本防衛装備工業会の加盟企業は、同時に日本航空宇宙工業会の加盟企業でもあって、これは一体のものなんですが、ところで、経団連とこの社団法人日本航空宇宙工業会は、これまで何回も宇宙開発を軍事に利用できるよう求める意見書や提言を発表してきました。
経団連は、二〇〇四年七月の「今後の防衛力整備のあり方について」という提言では、宇宙の平和利用決議を見直して軍事利用できるように求めておりますし、二〇〇七年七月、ことしの分ですね、「宇宙新時代の幕開けと宇宙産業の国際競争力強化を目指して」という提言で、「宇宙を活用した安全保障確保」、つまり宇宙安保という項目を設けて、宇宙開発利用を非軍事目的に限った六九年の国会決議が制約となっていると。だから最先端の宇宙技術を安保に本格的に活用できないことを述べ、また、ミサイル防衛分野での宇宙利用も必要だ、そして、宇宙の平和利用決議を見直して、宇宙開発を軍事利用できるようにする宇宙基本法案の早期成立を望むということをしております。
そこで、寺田政務官に伺っておきたいんですが、これらの要望書や提言は御存じだろうと思うんですけれども、それは御存じですね。
〔江崎(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
○寺田大臣政務官 お答えいたします。
存じております。すなわち、宇宙について安全保障目的で利用の拡大を図るべきであるというふうな提言が、今委員御指摘の経団連等からなされているところでございます。
○吉井委員 それで、宇宙工業会の方ですが、宇宙の平和利用決議、つまり非軍事利用を、宇宙基本法案をまとめて国会提出されたことで、この国会決議を無力化する方法について、航空宇宙工業会が発信した意見が取り入れられたと、ここの団体は大変大きく評価をしております。
既にインターネットでも流れておりますし、新聞報道などでもなされておりますので、自民党の日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会の、寺田政務官は副委員長さんを、それから同時に、自民党の宇宙開発促進特命委員会事務局長を務めてこられたわけですから伺っておきたいんですが、この会の顧問は、山崎拓、久間、額賀、河村の各衆議院議員、それから、座長は石破茂衆議院議員で、元文科大臣の河村さん以外は防衛庁長官経験者であったと思うんですが、お聞かせいただきたいと思います。
○寺田大臣政務官 お答えいたします。
今先生言われました日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会、こういう勉強会が確かに存在をいたしております。そして、その顧問で山崎拓議員、そしてまた河村議員、そして相談役、そしてさらに、座長は現在空席でございますが、かつて石破大臣が務めておりました。また、額賀顧問につきましては、財務大臣就任により退会をされたところでございます。
○吉井委員 この会の目的ですね。防衛省が自前の宇宙利用政策を行使できる政策環境の整備、それから、日米安保同盟のもとでの日米宇宙協力のあり方と内容の検討、自民党政調の宇宙開発特別委員会との連携というふうになっていますが、会の目的というのは大体こういう目的というふうに理解していいですか。
○寺田大臣政務官 お答えいたします。
この日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会は、文字どおり、安全保障分野で宇宙技術をどのように活用できるかというふうなことを政官財学の有志が集まって考える勉強会であるというふうに承知をいたしております。
○吉井委員 目的は私が先ほど挙げたものだというふうに今のお答えで理解しておきたいと思うんです。
そうすると、このメンバーには専門委員として社団法人航空宇宙工業会加盟の各社の幹部が入っていると思うんですが、それは、三菱重工、三菱電機、川崎重工などの防衛装備品メーカーということですね。
○寺田大臣政務官 お答えいたします。
産業界からも専門委員として御参加をいただいております。この専門委員の構成につきましては、日本航空宇宙工業会常務理事、また、日本電気、三菱重工業、三菱商事、三菱電機、IHI、川崎重工業、IHIエアロスペース、東芝並びに日立製作所、こういったところが専門委員でございます。
○吉井委員 あわせて伺っておきたいんですが、この委員の中には、当時でいいますと防衛庁ですね、防衛省幹部の方も委員として入っていらっしゃるというふうに理解していいんですね。
○寺田大臣政務官 お答えいたします。
委員の中には、防衛省メンバーといたしまして防衛政策局長、技術監、防衛政策企画官、これがこの委員会の委員として参加をいたしております。
○吉井委員 昨年八月三十一日に、自民党政調宇宙開発特別委員会で石破議員の方から、日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会で検討してきた「わが国の防衛宇宙ビジョン」というのを発表しておられるようですが、要するに、宇宙開発の平和利用に関する国会決議を無力化して宇宙安保を入れること、具体的に宇宙をどう軍事利用するかという内容であったというふうに理解しております。これはちょうど、経団連や航空宇宙工業会の、平和利用決議を無力化し宇宙開発を軍事利用もできるようにせよという年来の主張と同じものではないかと思うんですが、これはどのように理解すればいいでしょうか。
○寺田大臣政務官 この宇宙利用を考える会においては、さまざまな見地から、宇宙の利用開発、そしてまた先ほど申し上げましたような、安全保障の観点からの検討を行っております。
現在、昭和四十四年の宇宙の平和利用決議、これは国会決議として存在をしておりますが、先ほど政府参考人から答弁があったとおり、今のところはいわゆる一般化理論といたしまして、防衛省も一般化の範囲内で利用を行っている。その点について研修、勉強を行い、その時点における意見を申し述べさせていただいたということでございます。
○吉井委員 宇宙基本法というのをことしの通常国会でお出しになっておられますが、要するに、国会決議、平和利用決議をなきものにして、そして軍事利用に道を開いていこう、そういうものですが、いわゆる国防族と言われる方とか軍需産業とか防衛省は一体になって考えているという疑念といいますか、そういうところがありますが、今のお答えで大体、疑念じゃなくてそのものずばりだというふうに理解しました。
これまでからキラー衛星の議論があったりもしましたが、ミサイル防衛初め、具体的に防衛省で宇宙の軍事利用が検討されている、そして宇宙産業、軍需産業は宇宙での軍事の拡大で需要をふやそうとしているわけですが、それにかかわって議員が動きということになりますから、私、守屋元防衛次官それから軍事商社、軍需産業や大臣経験者の方の軍事利権をめぐる重大な疑惑等が今解明されていない中で、このような法案を今の時代に進めていくというのは、これはやはり大きな問題だ、大変な問題だと思うんです。
だから、この法案はまず撤回をされて廃案にするべきだということを申し上げまして、大田大臣への質問を予定しておりましたが、大分時間が短くなりましたけれども、その後は大田大臣の方に質問したいと思います。
お手元の方に資料を配らせていただいておりますから、これも見ながら伺っていきたいと思うんですが、この資料は大田大臣の方が監修されたということになりますか、年次経済財政報告からとった分ですから。
そこで、一つは、今、原油高騰で暮らしも経営も大変になっておりますし、景気が悪化するという問題が懸念されております。原油高騰というのはエネルギー問題にとどまらないで、高騰するんだったらということで、バイオエタノールだとかいって、穀物作付面積を減らしてエネルギー作物として転換するとか、そこへ投機的資金が流れてくるとか、今、国際的にも大変な問題が出てきているときですから、穀物、エネルギーは、ヘッジファンドなどの投機的取引をきちんと国際的に規制するということをやらなかったら、自給率の低い日本の場合は国民の暮らしも経済もとんでもない打撃を受けるということを言っておかなきゃいけないと思うんです。
そこで、まず最近の経済状況について伺っていきたいんですが、この資料一の上の方にありますように、バブル崩壊後、九〇年代から見ますと、九三年、九八年、〇一年の谷はありましたけれども、全体として一貫して大企業の経常利益も売上高経常利益率も上昇してきているというふうに読み取っていいと思うんですが、これの評価とか、それはまた後回しにして、まず、事実認識で大臣と私が違うことを考えていたらいけませんから、そこだけ確認したいと思います。
○大田国務大臣 資料にありますように、経常利益は拡大してきております。その内訳で、大・中堅企業と中小企業とで収益力の格差が見られております。その背景としまして、先ほどお話のありました原油価格を初め、素材価格が上がっているというのが小さいところほど厳しくきいている。それと、二〇〇六年度以降、中小企業ほど人件費の伸びが厳しくきいているということがございます。
○吉井委員 次に、下の方を見ればわかりますように、大企業の従業員給与ですね。九五年以降はずっと横ばいなんですね。実はそれも、九〇年代後半、特に二〇〇〇年代以降、どんどん大企業でリストラされて非正規がふえてきて、その非正規に置きかえられた、非正規の方の給料というのはボーナスなしですから、もともと少ない上にボーナスなしで、正社員の半分近いものになってきておる。ですから、労働者の賃金は低下したままの状態がずっと続いているというふうに、これは雇用されている従業員給与もそうですけれども、まずそれはそのように理解していいかと思うんですが、いいですね。
○大田国務大臣 この白書では、大企業の一人当たり従業員給与ですが、横ばいになっております。ここに出ておりませんが、企業規模で見ますと、三十人未満の企業では最近下落しているという状況にございます。
○吉井委員 私も、規模別もちゃんと見た上で、とりあえずこの資料で今確認しているんですが。
何度も景気の山、谷はあったわけですが、これは二ページ目の上の方にもありますように、九〇年代前半のバブル崩壊後の時期までは、大企業の経常利益が伸びるのに伴って労働者賃金も増加したんですね。九二年以降の日本経済の実態は、特に二〇〇〇年以降が深刻なんですが、大企業の経常利益が伸びても労働者の賃金は一〇〇を切って、マイナスになったままで、プラスに転じていない。この状態がずっと続いてきているということを、まずこの政府がお出しになっている資料から理解できようかと思うんですが、これはそれでいいですね。
○大田国務大臣 御指摘のように、バブル景気までは、一人当たりの経常利益が増加すると賃金も上がっておりましたけれども、今回の景気回復局面では、企業収益が回復する中にあっても賃金の増加は見られておりません。
○吉井委員 それから、その下の方を見ると、九〇年のバブル崩壊までの時期は、労働生産性が一%伸びると、大体、おおむねですけれども、実質賃金も一%伸びる、二%伸びれば二%近く伸びる、そういうふうになっておりました。賃金が要するに伸びたわけです。ところが、九一年以降、特に二〇〇〇年代以降ですが、リストラで設備廃棄はやる、在庫一掃はやって、正社員の削減と非正規への置きかえなどをやりましたから、労働生産性は引き上がったんですが、実質賃金が伸びていない、それどころか下がりっ放し、これが実態ではないかと思うんですが、この点も大臣と多分認識は変わらないと思うんですが、伺っておきます。
○大田国務大臣 理論的には、実質賃金というのは労働生産性と等しくなるんですけれども、白書では、九〇年代以降その関係が弱まっているということを分析しております。
○吉井委員 さらに、次のページの方に、雇用者報酬、賃金が抑制された状態ですが、その賃金からさらに税と社会保障負担などを差し引いたものが可処分所得ですね。これが家計最終消費支出になるわけですが、八〇年代、九〇年代と違って、二〇〇二年以降はずっとこれが横ばいのまま。つまり、家計支出が伸びない、物が売れない。大規模なショッピングセンターが郊外に出たためにやられた打撃もありますが、物が売れませんから、商店街とか地域経済が落ち込んできているのは当たり前のことだと思うんです。
ですから、逆の観点から聞きたいんですが、家計消費が伸びない中で、全国の商店街は今、活況を呈しているというふうに見ることができるかどうかですね。私は、地方を回る限り、シャッター通りがふえ、シャッター通りという言葉を使って見ておったのは九〇年代後半だったんですが、ひどいところでは、今や焼け野原と言われる状態ですね。商店が、もうシャッターを閉めただけじゃなくて、取り壊して空き地になってしまっている。本当に戦後の焼け野原を見るような状態になっていると思うんですが、大臣はどのような認識でいらっしゃるか、伺います。
○大田国務大臣 御指摘のように、人口減少、郊外のショッピングセンターというようなこともありまして、私も可能な限り行った先々で商店街を見ますが、シャッター通りというのはかなり共通して見られる悩みだというふうに感じております。
ただ、成功している商店街もございます。例えば、先日、高松に地方会議で参りましたときに、バブル崩壊後、本当にシャッター通りになってしまった商店街とあわせて、丸亀町商店街というところが成功しておりまして、そこもあわせて見てまいりました。一番難しい権利調整というのをかなり苦労しておやりになって、危機感のもとで、消費者ニーズに合った商店街をつくることで伸びているところもございます。
○吉井委員 私もそういうところを見ているんです。ただ、圧倒的に、全国の商店街、中小小売業の実態というのはどうなっているのか、やはりそこを、政策を考えるときには一番の基本にしなきゃいけないと思うんです。
このグラフをずっと見てまいりましたように、これだけで余り論じ過ぎるとあれですけれども、これに見られるように、生産性を上げて、大企業は経常利益が大きく伸びたんです。しかし、中小企業にも労働者にもトリクルダウンというものはないんです。景気回復などは全く実感できないという状態が続いております。
労働生産性という言葉について、政府の方は、社会経済生産性本部の方の購買力平価によるグラフで、日本は生産性が低いみたいなお話もないではありませんけれども、しかし、購買力平価でやる方は、企業利益の還元が弱いから豊かさを実感できないという方の話であって、実際に米ドル換算で世界を比較しますと、労働生産性では、OECD二十四カ国の中で日本は三番目に高いんですね。その高い労働生産性の伸び率を五年間で一・五倍にするというのがことし四月の経済財政諮問会議での決定ですし、骨太方針でも労働生産性加速プログラムというのを挙げているんですが、問題は、労働生産性を上げてもそれだけでは賃金は上がらないということがこれまでのデータに示されているし、賃金が上がらないと家計消費はふえない、まして社会保障負担なんかがふえますと可処分所得は減ってしまう。だから、これじゃ景気波及メカニズムというのは働かないのは当たり前なんですね。
やはり、今考えなきゃいけないのは、大企業の利益を役員報酬のアップなどだけで済ますんじゃなくて、労働者には賃金の引き上げとか、安定雇用はもちろん前提になりますが、税とか社会保障負担の軽減とか、それによる家計消費支出の増加につながるものにしないと、消費購買力は伸びないし、景気回復を実感できるような経済の立ち直りはないということをはっきり見なきゃいけないと思うんです。
ところが、小泉構造改革以来ずっとやってきたことは、逆向きのエンジンを吹かしているんですね。賃上げの議論というのは経済財政諮問会議じゃなくて、庶民増税の話はこの間の委員会でやりましたけれども、三つの基幹税の中で、庶民増税の二つはあるんだけれども、法人税増税だとかあるいは大企業の社会保障負担をふやすという、つまり、力に見合った負担ですね、企業の社会的責任をきちんと果たしてもらう、そういう議論は出てきていません。だから、余りにも異常な議論じゃないか。
やはり、そういう構造改革のやり方で貧困と格差を拡大してしまったんですから、私は、経済財政諮問会議が、財界の皆さんは民間委員だといってやっても、官から民といっても、この民は国民の民じゃなくて民間大企業の民では、官から民というのは本当の国民のためにはなってこないんだから、これまでの構造改革でやってきたことが今のような事態を生み出したんですから、これの抜本的な転換というものを、経済財政担当の大臣としては、やはりそこをよく研究し、提起していかれるということが必要じゃないかと思うんですが、伺います。
○大田国務大臣 人口減少が進み、グローバル化が進む中では、やはり私は成長力の強化ということも欠かせないことだと考えております。
ただ、その一方で、企業から家計への波及がおくれているということも事実です。経済財政諮問会議では、そのために最低賃金の引き上げという議論をしておりますし、税と社会保障をあわせた形で所得再分配というものを見直すという議論もしております。どうしたら豊かさを全体に実感できるかという議論、今後とも深めてまいりたいと思っております。
○吉井委員 時間が参りましたので、この議論はまた改めて続きをやりたいと思います。
終わります。
○中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時七分散会