衆議院

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第2号 平成20年3月19日(水曜日)

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平成二十年三月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中野  清君

   理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 萩生田光一君

   理事 村田 吉隆君 理事 大畠 章宏君

   理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君

      大塚  拓君    加藤 勝信君

      木原 誠二君    河本 三郎君

      清水清一朗君    高市 早苗君

      戸井田とおる君    土井  亨君

      中森ふくよ君    西村 明宏君

      西本 勝子君    市村浩一郎君

      川内 博史君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      石井 啓一君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   総務副大臣        佐藤  勉君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)  河内  隆君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   丸山 剛司君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 河内 正孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中村 明雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      川原田信市君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 順一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       石塚 正敏君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  平岡 秀夫君     馬淵 澄夫君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  藤井 勇治君     清水清一朗君

  市村浩一郎君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     西本 勝子君

  川内 博史君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     藤井 勇治君

同日

 理事平岡秀夫君同月三日委員辞任につき、その補欠として泉健太君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

二月二十六日

 憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第一四三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五二号)

 韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第二二三号)

 憲法の改悪反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五一号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二五三号)

三月十七日

 日本国憲法第九条を守り、日本と世界の平和に生かすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四一号)

 同(石井郁子君紹介)(第四四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第四四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四四八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四四九号)

 憲法を守る意思をあらわすことに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四六五号)

 公務・公共サービス拡充、公務職場の働くルールの確立に関する請願(吉井英勝君紹介)(第四九三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 国家公務員の再就職状況に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に泉健太君を指名いたします。

     ――――◇―――――

中野委員長 この際、御報告いたします。

 昨年十一月二十二日、調査局長に命じました国家公務員の再就職状況に関する予備的調査につきまして、昨十八日、報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。

     ――――◇―――――

中野委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長河内隆君、内閣府政策統括官丸山剛司君、国民生活局長西達男君、食品安全委員会事務局長齊藤登君、警察庁刑事局長米田壯君、交通局長末井誠史君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、大臣官房審議官河内正孝君、外務省大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君、大臣官房審議官草賀純男君、財務省理財局次長中村明雄君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、科学技術・学術政策局次長川原田信市君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、労働基準局労災補償部長石井淳子君、環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君、白石順一君、大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、総合環境政策局環境保健部長石塚正敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内でございます。

 委員長並びに与野党の理事の先生方にお許しをいただきまして、本委員会において発言の機会をいただきました。心から感謝を申し上げます。

 国政の重要課題が山積をしておりますが、私は、きょうは、その重要課題の中の最重要課題であると思われる豆腐のにがりの製造の規制強化について質問をさせていただきたい。食文化を守る、あるいは食の安心、安全という観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先生方のお手元には、三月十四日付の朝日新聞の記事をお配りさせていただいております。これは、にがりというのは行政用語でいうと粗製海水塩化マグネシウムというそうでありますけれども、豆乳を固めるために使う凝固剤、食品添加物としてずっと伝統的に使われてきた、塩をつくる際の副生成物であるということでございます。

 この朝日新聞の記事の中には、私と大田大臣の地元であります、そしてまた泉先生は鹿児島に大変縁が深くていらっしゃるわけでございますけれども、鹿児島県の十島村の宝島というところの小さな島で、ずっと伝統的製法によって日本最高のにがりをつくっていらっしゃった方のことが取り上げられています。この極上の食文化が、厚生労働省の食品衛生法に関連する規制の強化というか規制の改正によって、四月一日からそのにがりの製造ができなくなってしまうという危機に陥っている。

 これは、この記事の中では十島村の岩下さんの例が取り上げられているわけでありますが、美しい海の海水から塩をつくり、その副生成物としてにがりをつくってきたというのは、これは日本全国どこの離島でもある事例で、多分、本委員会の先生方の事務所にも、そういう零細なにがりの製造業者さんから、何とかしてほしいという声が寄せられているのではないかなというふうに思うところであります。

 この記事の中では、何とかなりそうだということが書いてあるんですが、実は全然何ともならないという実態があるということでございまして、政府は、食のジャパン・ブランド化に取り組むということで政府を挙げて取り組まれていらっしゃるわけでありまして、そういう意味では、日本古来の伝統的な豆腐の製造に欠かせないにがりをしっかり守っていくというのは、政府にとって大変重要なことではないかという観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、食品安全委員会御担当の泉大臣にお聞かせをいただきたいと思いますが、厚生労働省の行政用語では、先ほども申し上げたとおり、にがりは粗製海水塩化マグネシウムというそうでありますが、一昨年、平成十八年十月三十一日付で、厚生労働省から食品安全委員会に対して、この粗製海水塩化マグネシウムを含むさまざまな食品添加物についての食品健康影響評価を求められております。この食品健康影響評価について、泉大臣の方から簡単にその結果等について御説明をいただきたいと思います。

泉国務大臣 委員御指摘のように、十八年の十月三十一日付で、いわゆるにがりについて、食品安全委員会に食品健康影響評価の依頼がございました。調査審議をいたしました結果、いわゆるにがりにつきましては、既に使用が認められている添加物であり、新たに成分規格を設定する場合、設定の前と比較して、添加物の品質がより確保されることから、人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないと考えられるとの評価結果を十八年の十二月に通知させていただいたところでございます。

川内委員 にがりは既に使用が認められている添加物であり、添加物の品質が設定の前と比較して変わるわけではないので、人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないということが食品健康影響評価の結果であったということでございます。

 そこで、このときに、食品健康影響評価はパブリックコメントを求めるのが通例になっているわけでありますが、粗製海水塩化マグネシウム、にがりについてパブリックコメントでどのようなコメントが寄せられ、また、それに対してどのように食品安全委員会として御回答をされたのかということについて御説明をいただきたいと思います。

泉国務大臣 パブリックコメントを求めましたところ、この粗製海水塩化マグネシウムの規格基準の含量と純度、ナトリウムのパーセントの値を以下のように変更していただきたいという御要望がございました。

 その結果を踏まえまして、この内容が規制値にかかわることでございましたので、リスク管理機関である厚生労働省の方にお伝えをするということでお答えをさせていただいたところでございます。御要望については厚生労働省の方にお伝えをするということで御理解をいただいたところでございます。

川内委員 今回の食品衛生法上の規格基準の設定ということに関して、にがりを生成物として製造している日本塩工業会の方から食品安全委員会にパブリックコメントが寄せられた。厚生労働省が設けようとしている規格基準は、粗製海水塩化マグネシウム、にがりの主成分である塩化マグネシウムの含有量が一二%から三〇%を規格基準とするということが案として示されていたわけでありますが、塩工業会、実際ににがりをつくっている人たちは、規格基準は七%から三〇%にしてほしいという要望を寄せた。それを厚生労働省に伝えたということだろうというふうに思います。

 実際ににがりをつくっている人たちが、七%から三〇%が塩化マグネシウムの含有量だということにしてほしいんだ、自分たちはそれでやっているんだということだろうと思うんですが、ところが厚生労働省の案では一二から三〇ということで、規格から外れるにがりが出てくることになってしまうわけでございます。ここがまず一番目の問題としてあるわけでございます。

 本年四月一日以降、奄美のトカラ列島の岩下さんのところのにがりも、管轄の保健所に聞いたら、塩化マグネシウムの含有量は大体七から八%だということで、規格基準から外れるんですね。規格基準から外れるということは、食品衛生法上はこれをもう製造も販売も輸入もしてはならない、一切扱っちゃならない。食品衛生法に違反すると、懲役二年、罰金二百万ということで、今まで合法に製造できたものが、ある日突然、今まで何の問題があったわけではないですよ、そのにがりを使った豆腐で健康に被害があったという報告もないのに、四月一日以降はそれを製造すると懲役二年だ、罰金二百万円だということになってしまう。これはいかにも問題だろうというふうに思うんです。

 そこで、厚生労働省にちょっと確認なんですけれども、塩化マグネシウムが一二%未満、要するに今回厚生労働省が規格として設定される一二%から三〇%に外れる、一二%より下の含有量の塩化マグネシウムのにがりにおいて、過去に何か健康に被害があった、それを添加物として使用して健康に被害があったという報告があるんでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 特段そのような事案は承知いたしておりません。

川内委員 塩化マグネシウムの含有量が一二%を下回るものであっても、今回の規格基準から外れるものであっても、過去に健康被害の報告はない。あるわけないですよね。だって、ずっとそうやって伝統的につくられてきたにがりであり、それをもとにつくられている豆腐なわけですから、あるわけないわけでございます。

 では、なぜ今回の規格基準として一二%から三〇%という基準を設けられたのかということを、根拠を御説明いただきたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のとおり、平成七年の食品衛生法改正によりまして、指定添加物の範囲が、従来の化学合成品のみであったものから天然物にも拡大をされたわけでございます。法改正当時には、しかしながら既に広く使用されていたものにつきましては、既存添加物名簿に収載した上で、経過措置としてその販売を認めるということにしてまいりました。しかしながら、安全性を確保するという観点から、順次その評価を、規格の整備を行っていくということを行ってまいりまして、その資料が整備できたものにつきまして、先ほど先生御質問されましたように、内閣府の食品安全委員会において健康影響評価の審査をお願いしてきたということでございます。

 その評価に基づきまして、私どもの薬事・食品衛生審議会での審議を経て、規格を設定するという段取りになるわけでございますが、この粗製海水塩化マグネシウムにつきましては、既存添加物として流通をしておりました時点、平成七年の法改正でそれがなったわけですが、その当時の流通実態を把握いたしまして、どのぐらいの濃度のものが流通しているか、そういうような基礎的なデータをもとに、どのような基準を設けるかということを検討してまいったわけでございます。そういう実態が一つでございます。

 それからもう一つは、この定義を「海水から塩化カリウム及び塩化ナトリウムを析出分離して得られた、塩化マグネシウムを主成分とする」というふうにしましたので、そういう意味で、主成分というものは他成分よりも多いんだろうということなどを加味しつつ、一二%から三〇%ということで設定がされたわけでございます。この過程におきましては、専門家の先生方に十分に御議論をいただいて設定をしたということでございます。

川内委員 今の御説明に反論したい部分もあるんです。実態を調査したのだという御説明なのですが、じゃ、平成七年当時、にがりを製造している業者、ちっちゃな業者さんを含めて、どのような製造の仕方あるいは業者さんの分布があったのかとか、業界の実態については恐らく把握をしていらっしゃらなかったのではないかというふうに思われる節もあるんです。その辺の議論はきょうはもう時間がないので細かくできませんが。

 とにかく、私が申し上げたいのは、厚生労働省としても、安全性に問題はない今まで使われているにがりが、厚生労働省の作成する規格基準に合わないからといって、そのにがりはもう使っちゃだめよとか、つくっちゃだめよとか、もうあなたたち商売やめなさいよという意図がおありになるわけでは決してないだろうというふうに思うんですね。

 特に、零細な業者さんが伝統的製法でつくるにがりこそが本物のにがりであって、おいしい豆腐の凝固剤になっているわけです。それがつくれなくなっちゃうわけですよ、四月一日から。そういうことを厚生労働省が、いや、それはもう仕方ありません、しようがないですねとはとても言わないというふうに私は思うわけでございますが、そんなことは決してございませんということをちょっと言っていただきたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この設定の経緯につきましてはただいま御説明申し上げたとおりでございますが、先生の御指摘がございますように、この規格の見直しを求めるという要望が確かに多くございます。

 私ども、平成七年当時の流通実態ということを申し上げましたが、その後のさまざまな製造法の変化等もございますでしょうし、また、先生おっしゃるようなさまざまな実態があると思いますので、そういう意味で、関連業界の協力を得まして、そのようなデータ等も収集しつつ、所定の手続を経ながら規格の見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。

川内委員 規格基準の見直しを進めてまいりたいという御答弁でございましたが、言葉が一つ抜けておりまして、これは四月一日から本物のにがり、最高級のにがりが製造できなくなるという、もうあと二週間ですから、暫定税率も二週間ですが、このにがりも二週間ですから、大変なことでございますから、平成二十年現在、現時点において既に製造されている粗製海水塩化マグネシウム、にがりについて、その実態を早急に調査し、規格基準を早急に見直す、早急にという言葉を答弁の中におつけいただきたいと思いますが、いかがですか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この見直しにつきましては、先ほど所定の手続というふうに申し上げましたが、やはり法に基づく手順がございまして、これはどうしても踏まなければならないということはぜひ御理解願いたいと思いますが、私の気持ちとしては、早急に調べて、可能な限り早くこの見直しができるように頑張っていきたいというふうに考えております。

川内委員 さらにもう一つ実は問題がございまして、平成十九年三月三十日付の厚生労働省告示によって、にがりの製造事業者は、新たに食品添加物の製造業の許可を受けて、食品衛生管理者を置かなければならない。要するに、規格基準に合うものをつくっても、今度は、食品衛生法上、規格基準を見直してもらって規格基準に合うものにして、さらに添加物製造業の許可をもらって、食品衛生管理者を置いて製造しなければならないということに法律上なっているわけでございます。

 この食品衛生管理者の資格要件は、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、あるいは大学で医学、薬学、歯学、獣医学、畜産学などを勉強した、あるいは業務に三年以上従事して、厚生労働大臣の登録を受けた講習会の課程を修了した者というふうになっているわけでございまして、普通の製造事業者、零細な事業者は講習会を受けなければならないということになるわけです。

 講習会がこれまた大変なんですよ。全部で一カ月半ぐらい、東京に呼び集められまして、三十五万円講習料を払って、しかも、食品衛生協会というところがこの講習会をやるんですが、厚生労働省の天下り団体ですけれども、そこまではきょうは言いません、何人天下っていますかとか、役員の給料は幾らですかとか、そこまできょうは言いませんよ。だけれども、今まで普通に製造できた人たちを食の安心、安全という観点から規制をするのは、きちんと規格基準を決めましょうねということは、見直すということもあるし、それはいいです。しかし、講習を受けるのに、零細な事業者に、父ちゃんと母ちゃん、二人でやっている人に、東京まで来い、一カ月半、宿泊費も自分で負担しろ、それで資格を取って帰りなさいよ、そうしたらやっていいよというのでは、余りに私は配慮が足りなさ過ぎるのではないのかなというふうに思うわけでございます。

 これに対して、厚生労働省が、この講習をどうするのか、今後講習を受けやすい形にします、あるいは食品衛生管理者の置き方にしても、運用で食品衛生管理者を置きやすいようにしますよとか、何らかの対策をお示しいただく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 食品衛生管理者の設置でございますけれども、これは先生御指摘のように、食品衛生の確保の観点から特に必要がある一定の営業において義務づけておるところでございます。その業務には専門的知識と経験が必要であるため、講習会の内容につきましては、添加物製造業の場合、公衆衛生概論等の一般共通科目と添加物分析法概論等の専門科目の計百八十九時間に及ぶ課程が定められているところでございます。

 この講習会が、従来は東京で年に一回ということの開催でございましたが、今般の事案に関しまして特に受けやすい体制をとる必要があるということから、二度にわたりまして、従来は七月から八月なのですが、それに加えまして、昨年の十二月からことしの二月にかけまして一回追加をいたしまして開催をさせていただきました。私どもは、こういうことにつきまして、各都道府県等を通じて周知徹底を図ってまいりましたけれども、改めてこのような講習会の受講につきまして周知を図っていきたいというふうに考えております。

 また、どういうふうに受けやすくするのかという御質問でございますが、これは、やはり講習を受けるというのは大変大事なわけでございますが、なるべく身近なところで受けられると確かに便利でございまして、そういうこともできないか、我々も随分協会の方とも話をしたわけでございますが、どうしても一定数の受講者が集まりませんと講習会の経費の問題等がございまして難しいということで、なかなか、今回それができなかったわけですが、引き続きそのようなことが、講習会参加希望者の実情を把握するなどいたしまして、そのような身近なところで講習会を持つことが可能かどうかということも含めました何らかの工夫ができないかということを検討してまいりたいというふうに考えております。

 なお、講習内容ですとかまたその設置要件ですとか、こういうものは、どうしても私ども、食の安全という観点からは、これを緩和するとかいうことはなかなか困難であるというふうに考えておりますが、そのように、受講される方々がどのように受講できるかということの配慮をどこまでできるかということは引き続き検討させていただきたいというふうに考えております。

川内委員 政府は、ユビキタス社会を目指すんだということで、日本の情報通信インフラの整備やあるいはソフトの充実というものを他方で進めているわけですよね。そういう中で、いや、東京まで来てもらわなきゃ講習はなかなか難しいですわということでは、余りにも、政府がおっしゃられていることと実際に政府の施策としてやっていることの乖離が大き過ぎますよね。

 その講習というのは、別にマンツーマンで受けるわけではなくて、教室の中で何人かで受けるわけですから、であれば、ネットで講師の先生の音声、画像を勉強していただいて、そして試験も受けていただくというような双方向の通信が今幾らでも可能なわけですから、そういう工夫をすることが、天下り団体が、ああ、天下っている団体もなかなか役に立つことがあるねと国民の皆さんから評価を受ける一つの手法であって、そういう工夫をなぜ考えないのかなと私は思うんですね。

 いや、受けやすくする方法はいろいろ考えますけれども、それはなかなか難しいことですわというだけでは、それは鹿児島の離島から東京まで来て、一カ月半ずっと宿泊費も負担して講習も受けたら、百万、百五十万かかるわけですよ。そんな負担をかけるようなことを平然とやられるというのは、私は、行政としてこれが最良の方法なんです、行政としてこれしかあり得ないんですという方法だとはとても思えないですね。

 いろいろ考え抜いた末、これが最良の方法ですというふうに行政としておっしゃるのであれば、講習の方法について、今私が提案したような手法をとっていただくとか、もっと考えていただきたいと思いますが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の今の御提案というのも大変に貴重な御提案だというふうに私も思います。あとは、そういうことをフィージビリティーとして我々も検討させていただきたいと思いますけれども、現実にどれぐらいの時間的なスパンでそういうことが可能かどうか、設備の問題、システムの問題等々あると思いますので、検討はさせていただきたいと思いますが、これをどの程度の時間間隔で可能かどうか、今ここでお約束することは難しいのでございますが、私どもも検討はさせていただきたいというふうに考えております。

川内委員 きょうは、消費者行政の組織の御担当として岸田大臣や、行政改革御担当の渡辺大臣、さらには、鹿児島の出身だということで大田大臣にもちょっと話を聞いていただきたかったので座っていただいているんですけれども、最後、官房長官にまとめて御答弁をいただきたいんです。

 すごく僕はこういうことは大事なことだと思うんです。細かいことだけれども、国民の皆さんに行政としていかにしっかりサービスをしていくのかという観点からしたら、こういうことに政府としてしっかり取り組んでこそ、ああ、日本の政府は信頼できる政府だね、細かいところに行き届きが回っているね、手が行き届いているねという評価につながるんだろうというふうに思うんですね。

 そこで、官房長官、政府としても、食のジャパン・ブランドの確立、そしてまた食文化をしっかり守っていくという最大限の努力をするのだという御決意を最後にいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

町村国務大臣 委員会においていろいろなことを勉強させてもらうなと思いまして、今、川内委員の議論も非常に興味深く聞かせていただきました。

 昨今、本当に食の安全という問題が、大変に国民的にも関心が強い。中国のギョーザのみならず、万般にわたって強い。したがって、どうしてもいろいろな面での検査とか規制がきつくなる方向に向かっております。ある意味ではそれはいいことなんだろうとは思いますが、他方、先ほどの部長の答弁を聞いていると、とことん詰めていくとああいうことになるんですね。だから、やはり物には常識で考えられる限度といいましょうか、何かそういうものがないと、きつければいいというものでもない。厳しく、律儀に全部枠にはめればそれでいいというものでもないんだろうと思うんですね。

 特に、お豆腐のにがりですか、だれもおなかを壊した人もいないし、死んだ人もましていないということであれば、果たして、一二%という下限値が適切かどうか、それは見直すと言っておりますが、四月一日に間に合わなきゃ困る方が出てくるでしょうね。そこは、超法規的と私が軽々に言うのもちょっとまずいんだろうと思いますが、可能な限りそういう困る方が出ないような対応を厚労省の方でやってもらいたい、こう思っております。

 今の講習会も、必ずどこかに集まってやらなきゃいけないものなのか。最後に一回か二回は集まって話を聞かなきゃいけないということはあると思いますけれども、すべて同じ会場に顔を突き合わせて講習を受けなきゃならぬということでもないんじゃないのかなという気はします。通信教育とか、衛星放送だってありますし、放送大学を一挙に使えるかどうかさすがにわかりませんが、そうした工夫をしながら置く必要があるでしょう。また衛生管理者も、これも律儀に、一人や二人、三人の零細企業にまで本当に厳密に置かなきゃいけないのか。この辺も、常識の範囲というものがあるのではないだろうかというふうに思ったりもいたします。

 ただ、全体としては、大変に今、食の安全ということにきつい国民の御要求のあるのも事実でございますから、そこをどう兼ね合わせていくのかな。最後はやはり、何でもそうですが、常識で判断をしていくということではないだろうかと思います。

川内委員 終わらせていただきますけれども、業界の実態をまずよく踏まえて、そしてまた、消費者の欲求あるいは要求が那辺にあるのかということとのバランスをしっかりとっていっていただく行政をお願いしたいというふうに思います。

 日銀の総裁人事や道路特定財源の問題では対立するわけでございますけれども、こういう問題は、本当にみんなでなるほどねというところに持っていける問題だろうというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 終わります。

中野委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 一年ぶりに内閣委員会にまた戻ってまいりました。ちょうど昨年は、国家公務員法等の一部を改正する法律案、この内閣委員会でも審議をさせていただきました。また、渡辺大臣とは、それこそ大変長時間にわたっての議論をさせていただいたということで、国家公務員法の改正、今度は公務員制度の抜本的な改革ということで、基本法案がこの国会でも提出されるとされております。この議論、またこの委員会で私もしっかりとさせていただきたいというふうに思っております。

 さて、この基本法案に先立ちまして、政府では内閣人事庁構想について現在検討中であるということが再三再四報道に上がっております。そこで、この内閣人事庁の創設につきまして、この委員会の場で質疑させていただきたいというふうに思います。

 まず、官房長官の方にお尋ねをしたいんですが、官房長官が去る十日の午前の記者会見で説明をされました。福田総理が七日に渡辺行革大臣に指示し、みずからも了解したということで、三点の確認をなされました。端的に官房長官の方から、十日の午前に記者会見で発表された三点、みずからも了解したとされる三点についてお述べいただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 委員今御指摘のように、政府の方では、この国会、できれば今月中と思っておりますが、政府として案をつくってお出しをできればということで、今、渡辺大臣を中心に精力的に関係大臣、関係省庁、あるいは党の方とも調整をしている最中でございまして、まだこの時点で確定をしたという状況には至っておりませんということをまず前提として御理解をいただきたいと存じます。

 私の記者会見のことでのお尋ねがございました。公務員制度改革、この点は福田総理も大変関心をお持ちでございまして、渡辺大臣とも何度かお話し合いをされておられるということで、三つの点を福田総理と渡辺大臣との間で共通の理解に達したということを、私は総理から実はメモでいただいたものでございました。

 それの御披露をしたわけでございますが、一つは、人事庁の担当大臣は官房長官とすること、二点目は、指定職を初め人事原案は各省大臣が作成し、人事庁は縦割り行政の弊害が生じないよう情報提供、助言等の支援をすること、三点目は、労働基本権につきましては、方向性を含めて調査会の結論に沿って引き続き検討すること、こういう三点について福田総理と渡辺大臣の意見が一致をした点であると。

 こういうお話を受けた、聞いたものですから、私もかねてより福田総理あるいは渡辺大臣ともいろいろな意見交換をしてまいりましたが、あるどこかの時点での区切りをつけなければいけないという意味で、今申し上げた三点を中心に、ほかにもまだ幾つか論点はあろうと思いますが、閣内で調整をしている最中という段階でございます。

馬淵委員 もちろん途中の段階であるということは重々承知しております。

 三点、今、官房長官から御説明をいただきました。一点目は、内閣人事庁の担当は官房長官である。二点目は、各省の幹部人事原案は各省の閣僚が作成して、人事庁は助言する。三点目が、労働基本権の拡大は引き続き検討して、方向性は明示しない。この三点について総理と渡辺大臣で議論されてきたということでありますが、官房長官は、総理から渡辺大臣への指示があったとの発言をその十日の午前の記者会見ではなされておりました。総理は、指示じゃない、お互い了解したんですと発言をされております。

 これについて、今官房長官のお話にありましたように、総理と渡辺大臣との議論の中でお互いに了解をしたんだ、そういう理解だということだと思いますが、総理と渡辺大臣とのこの合意を受けて、官房長官御自身も了解をしたということでよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 もとより、そうでございます。

馬淵委員 官房長官はこの内閣人事庁の担当大臣となられるわけでありますから、当然御自身の中で、構想は行革推進担当ということで今、渡辺大臣が進めておられるかもしれませんが、その長となられる官房長官が了解をしたということで、今御答弁をいただきました。

 さて、渡辺大臣の方は、三月十日に渡辺大臣は、これは真の議院内閣制に変えるために内閣人事庁を創設する合意がなされている、このように説明をされております。これは、翌日の記者会見もあるんですが、大臣の方に確認でございます。このような合意を総理とされたということでよろしゅうございますか。

渡辺国務大臣 先ほど官房長官が述べられました三つの点については、総理とイメージ合わせをした記憶がございます。そのイメージに沿って、今、政府内で法案の協議をしているところであります。

馬淵委員 イメージ合わせという言葉、イメージですから、言葉が宙に浮いていろいろなことをイメージされるんでしょうけれども、少なくとも官房長官は、メモにして総理から渡されたものを読み上げられた、十日の時点でございますが。合意をされたということの答弁をいただいたと思います。

 そこで、明けて十一日、渡辺大臣は記者会見でまた同じことを繰り返しておられるんですが、真の議院内閣制への転換のために人事の一元管理の実現という太い柱は覆されることのないように政府案の策定に努めている、このように発言をされておられます。

 真の議院内閣制転換のために人事の一元管理、これは絶対やらなければならないという強い決意を発されたということだと私は思っておりますが、大臣、これはそういう理解でよろしゅうございますか。

渡辺国務大臣 総理のもとに置かれました有識者懇談会におきまして、真の議院内閣制を実現するという観点が非常にクローズアップされたわけでございます。そのためのいろいろな提言が行われました。

 例えば政と官の接触の集中管理であるとか、あるいは各省割拠主義と言われる体制から内閣主導型体制、まさに真の議院内閣制の実現という観点から、大臣の威令が行われるべく大臣の人事権を強化する、そういう観点で、内閣人事庁の創設、そして内閣人事庁が大臣の人事権をサポートする、そういう提言が行われたと理解をいたしております。

馬淵委員 そこでもう少し具体的なところを確認していきたいんですが、担当大臣は官房長官ということの合意もよろしいと。

 そして、先ほどの二点目なんですね、幹部人事の原案は各省の閣僚が作成し人事庁は助言するということでありますが、三月の十一日時点、もちろんずっと動いているわけですから、今日、今現在においてもさらに検討が進んでいるということであろうかと思いますが、十一日の時点で渡辺大臣は、この各省の閣僚が作成し人事庁は助言するという合意を了とされていたということでしょうか。渡辺大臣、お答えください。

渡辺国務大臣 十一日というのはいつごろだったか、ちょっと今……(馬淵委員「きょうは十九日ですよ」と呼ぶ)きょうは十九日ですか。そうすると、一週間ちょっと前ということですね。

 人事庁構想につきましては、先ほど申し上げましたように、今、政府の内部でどういうことを法案に書くかということを検討中でございます。したがって、その十一日当時どういう状況だったかはちょっと今定かに覚えておりませんけれども、基本は、例えば幹部職員につきましては、各省事務方のたたき台、そして人事庁のたたき台、両方出せる、そしてその両方を見て大臣が最終的に原案をつくる、こういうイメージであったと当時の議論は記憶をいたしております。

馬淵委員 大臣、一週間ちょっと前のことですが、お忘れになってはいないと思いますね。きちっと記者会見でお話しされているんです。

 先ほど町村官房長官が示された二点目のその合意、総理も了解し渡辺大臣も了解されているという二点目の合意、幹部人事の原案は各省閣僚が作成し人事庁は助言するということに対して、渡辺大臣はこのようにおっしゃっている。懇談会の答申をもとに策定中のプランでは、指定職以上については人事庁がたたき台を提示できるということにしてありますと。つまり、各省レベルでやるということよりも、人事庁が一元管理ですから、真の議院内閣制とおっしゃっているわけですから、一元管理するんだから、少なくとも幹部職以上の人事については人事庁がまずたたき台をつくっていくということができるようにしている、このように明確におっしゃっている。

 そして、逆にそれができないような方向になってしまうのは、これは各省事務方の人事権を守るという発想こそが官僚内閣制と言われることにつながっていくのではないでしょうかと、はっきりとおっしゃっているんですね。

 つまり、この内閣人事庁構想の中で重要なポイントである幹部人事、いわゆる指定職以上の人事については、人事庁でたたき台をつくっていくんだということを渡辺大臣は認識をされている。そのように十一日には記者会見で言われている。しかし町村官房長官は、いや、そうではないと。まさに逆、全く違うことをおっしゃっているようにこれは受けとめられると思うんですね。人事庁は助言するんだ、各省の閣僚が作成すると。

 渡辺大臣は、こうもおっしゃっているんですよ。各省の閣僚が作成するというのは、結局、各省で縦割りで事務方が作成することになる、政治家の手から離れて官僚主導になってしまうじゃないか、それはいけないから人事庁でしっかりと一元管理するんだという趣旨を述べられてきた。だから、ここは非常に渡辺大臣が危機感を持ってこの十一日の会見に臨まれていると私は感じているんですが、これはいかがでしょうか。

 この当時、官房長官のおっしゃったことに対して、渡辺大臣のお考えとこれは違う方向に進んでいるということをお感じだったのではないでしょうか。端的で結構ですから。

渡辺国務大臣 多分、そのときの私の発言は、各省事務方の人事案だけしかつくれない、大臣に上げられないとすれば問題であるが、内閣人事庁が内閣の一員たる大臣に対してたたき台を上げられるということが大事だと申し上げたかと存じます。

 つまり、そのときの私の発言でも、各省事務方の人事案、たたき台ですね、これを否定しているわけではございません。大臣の人事権の強化という観点から考えれば、より広く大臣が選択肢を持ち得る、そういう体制をつくることが大事だという発想に基づいて内閣人事庁の構想は練られているわけでございます。

馬淵委員 大臣が記者会見でおっしゃっている懇談会というのが、これは何のことかといいますと、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会であります。その二〇〇八年二月五日の報告書にも、内閣の一元管理として、内閣人事庁において行うこととして、幹部人事の調整あるいは指定職への任用に際しての適格性審査等、まさにおっしゃっている、幹部人事については内閣人事庁がしっかりとこれは提示していくんだということの提言は、この報告書にも確かになされていますよ。

 もちろん、それが大臣の人事権の強化につながることはわかるんですが、町村官房長官がおっしゃっていたのは、あくまでこれは助言だということをおっしゃっておられた。私は、一部の報道にも、これは食い違っているのではないかということが再三指摘されていましたが、この段階においては、少なくとも、総理、渡辺大臣、そして官房長官、お三方の中での合意がずれていたのではないかなという気がいたします。

 官房長官、いかがですか。もちろん、これは今ゴーイングコンサーンで、オンゴーイングで進んでいますから、解決していく問題で、あるいは解決した問題かもしれませんが、大事な問題なんですね、この内閣人事庁の構想というのは。また、公務員制度の基本法をつくっていく上においては、どのような制度設計をするかということは非常にかなめの部分だと思っております。

 ここで、ある意味、よしとしようという合意、あるいは足して二で割るような、あるいは玉虫色のような、そのような結論をつけてはならないと思っています。明確にこの委員会でも指摘しておかねばならない点だと思いますので、私は、申しわけないですが、この一週間前のことをさかのぼって尋ねさせていただいているわけです。

 官房長官、一週間前のことです。渡辺大臣は余り覚えておられないということでしたが、いかがでしょうか。今の私の指摘に対してどのようなお考えをお持ちかということをお答えいただけますか。

町村国務大臣 これは、本当に公務員制度という、一度変えたらそう簡単に動かすことのできない、永続性のある制度をどうつくるかということでありますから、相当突っ込んだ、また幅広い議論が必要であるテーマであろうと私は思っております。そういう意味で、政府の中でも、今でもいろいろな意見があります。渡辺大臣が、今一生懸命調整をしておられるさなかでございます。そういう意味で、いろいろな面で、まだ政府が完全にすべての意見がそろったと、それは、そろった段階で初めて法案を、与党とも調整してお出しできるわけでございます。

 今の、人事庁の人事の問題であります。私は、渡辺大臣が言っておられる、大臣が幅広く、事務方から上がってきた人事以外のことも、人事庁の的確なるアドバイスというか、人事の案の提示というか、そういうものがあって大臣が最終的に判断をするということはとてもいいことだと思っております。

 外務省改革が叫ばれていた折でございます、たしか当時の川口外務大臣が外務省の経済協力局長に通産省の古田君という、今の岐阜の知事でございますが、彼を連れてきたというか、出向した。正直言って、多分、外務省の歴史の中で他省庁の方、法務省から来た方はいるかな、珍しかったのだろうと思いますが、あれなどは非常に、結果、大好評であった人事だというふうに今言われております。

 そういう形で、それはたまたま、川口大臣が経産省出身で、経産省に古田さんといういい人がいるからという、個人の力量で連れてきた部分も相当あったのだろうと思いますが、それをある意味ではもうちょっとシステマチックに、例えば、この省のこのポストにこういう人を今自分は置きたいんだが、なかなか今、我が省にはそれに適材がいないと大臣が判断をすることもあると思います。そういうときに、人事庁がこういう人もいますよというようなことを、複数の候補者が提示できるとすれば、私は、それはまさに渡辺大臣の言われる大臣の人事権の強化、そしてより適材適所の人事配置ができるようになることにつながるのではないだろうか、こう思っております。

 そこを法文上どう書くかは、今、これから法制局等とも相談をしなきゃならないと思いますが、基本的な考え方において、私は渡辺大臣の言っておられることに理解をしているものでございます。

馬淵委員 法文上の書き方で変わってきたところではないんじゃないかということを私は問題意識として持っております。渡辺大臣が一元管理ということを声高におっしゃっておられたのが、徐々に徐々に後退をしつつあるのではないか。昨年のあのときの御様子とは大分違うように見受けられるわけです。

 私の手元には、これは今、たたき台というものでしょう、国家公務員制度改革基本法案のたたき台というのを入手いたしました。これは、報道では昨日その最終案が明らかになったというのもありますが、その前の段階のものであります。ここでは、内閣人事庁は、幹部職員の候補者名簿を作成するなど、大臣がその任命権を十全に発揮するための措置を講ずるものとすること、こう書いてあります。

 ところが、これは報道でありますが、これについては最新のものでは、必要に応じてという文言が付された。つまり、必要に応じて人事庁がこのような幹部名簿をつくることができるということは、一元管理から各省庁の権限を認めるということで、これは明らかに後退したと言わざるを得ないと思うんです。

 これは報道ですから確認ですけれども、渡辺大臣、この権限のところで、必要に応じてという形に今、現時点なっているということでよろしいですか。そしてそれは、少なくとも、その前の原案の中に必要に応じてという文言は入っておりませんから、これはどう考えても後退だと認めざるを得ないんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。この二点、端的にお答えください。

渡辺国務大臣 いつのバージョンをお持ちかよくわかりませんけれども、各省事務方案というのを否定したバージョンはないと記憶をいたしております。はっきりと書いていないかもしれませんけれども、よくお読みをいただきますと、各省事務方案という存在があった上で、内閣人事庁がその適格性審査をやり、あるいは別のたたき台を出すというスキームでございます。したがって、必要に応じてというのは、それはもうまさしく必要がない場合もあり得るということが想定されるからではないでしょうか。

馬淵委員 私は大変心配しているわけですよ。もちろん、昨年の国家公務員法の一部改正については、これは我々は対案を出していますから問題ありとしているわけですが、しかし、公務員制度改革が後退してしまってはならない、この思いは大臣と私は共通だと思っております。その意味で、しっかりと理念を示されてきたのであれば、ここは頑張っていただかねばならない部分だと思うんですね。

 同じく、食い違っているのではないかなと思われる部分については、先ほどいただいた三点のうちの三点目にも同様のことが見られると思います。

 官房長官は、先ほど三点目について、労働基本権の拡大は引き続き検討、方向性は明示しない、このようにお答えいただきましたが、一方、渡辺大臣はもともと、これは大臣御自身が争議権を付与すべきだとかねて考えていたという踏み込んだ発言もされています、これは御自身の個人的なお考えだとは思いますが。一方で、政府の行政改革推進本部専門調査会の報告、平成十九年十月十九日の報告書を見ますと、ここでははっきりと、一定の非現業公務員に協約締結権を付与しということで、これは団体交渉権の一つを認め、そして、人事院が給与水準を一律勧告する制度を廃止する、このように報告書では提言がなされております。

 つまり、官房長官がおっしゃった、これは引き続き検討で方向性は明示しないとはある意味違う方向ではないかと私は感じるわけであります。渡辺大臣はまた、昨年の行革推進本部専門調査会の会議の場でも労働基本権の拡大を盛り込む方針を示している、このように報道にも上がっております。

 さて、もう時間も余りありませんが、ここで確認でございますが、少なくとも、町村官房長官がおっしゃった、方向性は今、現時点では明示しないんだというお話と、大臣が指示をされ、そして報告書で上がってきたのも、これは明らかに団体交渉権の一つである協約締結権について付与するという方向性を示しているんですね。これが消えてしまったということでしょうか。これも、まさに食い違いなのか、あるいは後退なのか、渡辺大臣、明確にお答えいただけませんでしょうか。

渡辺国務大臣 基本権の拡大について、専門調査会の文言は、一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与するとともに第三者機関、人事院等の勧告制度を廃止して、政府、使用者が主体的に勤務条件を考え、職員の意見を聞いて決定できる機動的かつ柔軟なシステムを確立すべきとしております。一方において、改革に伴うコスト等に十分留意しつつ、慎重に決断をする必要がある。また、改革の全体像を国民に提示して、その理解を得ることが不可欠であるということを書いてございます。

 こうした専門調査会の報告を尊重するとしているのが、総理のもとに置かれた懇談会の答申でございます。したがって、この答申では専門調査会の報告というのを尊重するとしておりまして、その解釈は先ほど申し上げたとおりでございます。

馬淵委員 そのとおりでございますと言われても、要は、もちろんここでは「慎重に」というのが入っておりますが、少なくとも大臣は専門調査会で拡大の方針を示して、そしてこのような報告が上がった中で、しかし方向性を明示しないとなれば、これは後退と言われても仕方ないんじゃないですかと、私はこのように指摘しているわけです。

 いずれにせよ、これは今月内と先ほど官房長官からもお話がありましたが、法案が出てくれば我々はしっかりとこの場で議論をしていきたいというふうに思いますが、このようにずるずると後退してしまっては何もならないんですね。

 済みません、もう時間もありませんが、最後に一点だけお尋ねをしたいと思うんです。

 そのずるずる後退の中で懸念される部分については、昨年私が指摘しました、天下りバンクと言うとおしかりいただくかもしれませんが、官民人材交流センターについては、実は交流センターの設置までの経過措置の中で、これについては経過措置で、いわゆる再就職のあっせんの委員ですか、再就職あっせんのための委員を同意人事で任命するとしておられます。

 ちょうど同意人事の問題は、本日、日銀総裁同意人事の問題として大変注目を浴びておるわけでありますが、これまた、再就職あっせん委員については同意人事であるとすれば、官民人材交流センターができる前に、この同意人事について私どもが、これは同意するかしないかは私の判断ではありませんが、例えばこのことについて同意がなされない場合は、再就職あっせんは一切しなくなるということが起きるという、そのことの確認をさせていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 官民人材交流センターのメンバーが同意人事であるということではございません。再就職等監視委員会の委員人事が国会同意が必要となるということでございます。

 同意がない場合どうなるのかというお尋ねでございますが、そういう想定はしてございませんで、これは国会の同意が得られるように努力をしてまいるということでございます。

馬淵委員 現実の問題を直視していただきたいということを私は申し上げているんです。国会で同意がなされない場合も現実に起こり得るわけですよ。今国会でも今そのことで、きょう大変な大きな山場だと私は見ております。その意味で、大臣は、経過措置の間にこの監視委員をつくるんだということで制度設計されたわけですが、それができない場合には即座に再就職あっせん禁止となるわけですね。できなくなるわけです。そういう理解でよろしいかということを私確認しているんですよ。

 済みません、もう時間がありませんが、お答えいただけませんか。

渡辺国務大臣 各省あっせんはできなくなるということでございます。

馬淵委員 時間となりました。この問題につきましては、当委員会でまた引き続き議論させていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 岸田大臣の場合も、何かいっぱい担当がありますね。もうぐちゃぐちゃの感じやけどね。それで、きょうは、消費者行政の問題と科学技術、二つ担当してはることについて質問をしたいと思います。

 まず、消費者行政の方からですが、改めてこの委員会のあなたの大臣所信も読ませていただきました。それで、食の安全について、ギョーザの毒物混入について取り上げておられるわけですが、これについては、まず私は、早期に真相解明をやり抜くと、強く求めておきたいと思うんです。

 さて、今回の問題でわかってきたことは、日本の大商社などの開発輸入ですね。海外で開発輸入を進めて、生産から国内へ輸入することから、そして、国内のスーパー、コンビニ等への流通部門から外食産業の食材の調達に至るまで、随分かかわっているわけですね。それだけに、開発輸入を進める日本の大商社を初めとする関係業者について、日本の業者自身がきちんと検査をすることを初めとして責任を持つ、企業としての社会的責任を果たすということと、国の側からすれば、やはり検査体制をきちんと輸入のものについては強めるということが、これは大事な政府の側の責任が出てくると思うんです。

 そこで、現在、輸入食品についてどんな検査を何%、どんなは、いっぱい並べてもらったら大変ですから、何%検査をしているのか、こういうところから伺っていきたいと思います。

岸田国務大臣 現在判明している平成十八年の輸入食品監視統計によりますと、食品等の届け出件数百八十五万九千二百八十一件ですが、そのうち一〇・七%に当たる十九万八千九百三十五件について検査が実施されているという数字を把握しております。

吉井委員 行政検査の検査率でいいますと、一九八九年は一八・一%なんですね。九〇年で一七・六%、大体一八%ぐらいだったんですね。少ないけれども大体二割ぐらいやっていたんです。これが今、輸入は急増しているんですが、検査率は、今おっしゃったので一〇・七%、前年で一〇・二%と随分低下しているんですね。

 検査率が大方半分近く減ってきているんですが、こういうことでいいのだろうかということについて、岸田大臣のお考えを伺いたいと思います。

岸田国務大臣 検査につきましては、こうした数字も確かに重要だと認識はしておりますが、検査のありよう、輸入時の検査は厚生労働省が所管しているわけですが、まず、多種多様な輸入食品につきまして、食品衛生上の状況について幅広く監視することを目的として、国が年間計画に基づいてモニタリング検査を実施することになっています。そして、モニタリング検査を実施した上で、特に法違反の可能性が高いと見込まれる食品等について、重点的に、輸入のたびに検査命令を発する等、こうしためり張りをつけた重点的な検査を実施するという方針をとっているようであります。

 こうした数字ももちろん重要だとは認識しておりますが、検査方法も、より効果的な検査方法に努めるということで成果を上げることが重要だと認識をしております。

吉井委員 国内でも偽装がいっぱいある時代ですから、輸入のものについて、特に日本は食料自給率がカロリーベースで三九%と、六割を超えるものが輸入なんですから、やはりまず検査体制を強化しなきゃいけない。

 そういう点では、九〇年前後の検査率一八%ぐらいに、モニタリングとかいろいろ言わはったんやけれども、実際に検査率は上がっていきますかということを聞いておきたいと思うんですが、どうですか。

岸田国務大臣 検査率につきましては、国際的な水準ですとか、あるいは、どれだけの量の食品が輸入されるのか、その現実の状況を見ながら適切に厚生労働省で判断をされるというふうに思いますが、ぜひそういった中で、国民の安心、安全を確保するために必要な検査のありようをしっかりと検討した上で、どの水準まで検査率を上げていくのか、しっかりと判断をしなければいけないと考えています。

吉井委員 輸入食品検疫にかかわる食品衛生監視員、二〇〇八年度で三百四十一人と、絶対数がまず足りないんです。絶対的に不足なんですね。欧米諸国の場合には、食品輸入が日本に比べて余り多いわけじゃないし、逆に輸出している国もあるわけです。日本は極端な食品輸入大国なんですから、それだけに特別、輸入食品検査の体制はやはり必要な国だと思うんです。

 私は、今の一割を、やはりせめて五割、半分ぐらいはきちんと検査がされて、国民には安心なものが入ってくる、安全なものが入ってくるということをするべきだと思うんですが、輸入は急増しているんですね、輸入は急増して、逆に反比例して輸入食品検査率は、さっき言ったように、半分近くに減少しているわけですよ。

 大臣は、消費者行政の推進ということをまず所信で述べておられるんですが、そうすると、消費者行政の推進にはいろいろな項目がありますけれども、やはり食の安全という点では、検査体制の強化と抜本的な検査率引き上げ、それを実現する、衛生監視員などを含めた、特に衛生監視員をふやさぬと検査率は上がりませんけれども、これはどこの大臣の話じゃなくて、やはり消費者行政推進と言うならば、政府を挙げて進めていく、大臣にはその先頭に立って取り組んでもらう必要があると思うんです。伺います。

岸田国務大臣 今般の中国冷凍加工食品の薬物中毒事案につきましては、政府としまして、この事案が発覚しましてから一丸となって対応してきたわけですが、二月の二十二日に、まずは第一次の再発防止策を取りまとめました。その中で、御指摘の食品衛生監視員につきまして、これはまず増員しなければいけない、そしてその検査機器の整備を図らなければいけない、さらには検査技術の研究、向上を図らなければいけない、こういった内容を盛り込んだところであります。

 食品衛生監視員の増員も含めて、こうした体制の強化が大変重要だと考えておりますし、そして今回のこの再発防止策の中にもしっかりと盛り込ませていただいたところでございます。

 消費者行政を進める中で、食の安心、安全というのは国民生活にとって最も基本的な安心、安全だというふうに考えております。ぜひ、政府としてもしっかり責任を果たさなければいけない、また事業者におきましても、製造、流通、販売、各段階においてしっかりと責任を果たしてもらわなければいけない、そして最後は、消費者が表示等でしっかりと選択する権利を確保しなければいけない。こうしたそれぞれの段階でしっかりとした責任を果たすことによって、全体として我が国の消費者行政、食の安全を確保したいと考えています。

吉井委員 衛生監視員を増員するということをおっしゃったので、私はそれをぜひ、抜本的にふやさないと、絶対数が少ないわけですから、やっていただきたいと思います。

 それから、日本は世界じゅう各国に進出して開発輸入をやっています。ですから、よそごとの話じゃなくて、日本の企業としての、やはり検査を含めた責任をきちんと果たさせるようにやってもらいたいと思います。

 次に、消費生活センターなど現場の体制が今非常に弱くなっているということ、私も地方の実態をずっと長くウオッチしてきておりますけれども、本当に深刻な状況になっております。

 大臣として、消費生活相談や商品テストの現状、消費者行政の地方の予算がどないなってんかとか、体制がどないなってんかとか、それを国としてサポートしなきゃいけないんだが、国のサポートはどうなっているんだということについて、どのようにつかんでいらっしゃるか伺います。

岸田国務大臣 苦情相談への対応を初め身近な消費者問題の解決を図る地方消費者行政、地方の窓口というのは、基本的には地方公共団体が処理する自治事務ではありますが、これは消費者行政におきまして大変重要な部分だというふうに認識をしております。しかしながら、私も、いろいろこの状況を把握する中で、近年、特に地方において厳しい財政状況を背景に、消費者行政の予算、人員がどんどんと減少傾向にあるということを認識しております。これは大変大きな問題だというふうに考えております。

 政府としましては、今までも、国民生活センターを通じまして地方の消費生活センターからの経由相談に対応するとか、あるいは消費生活相談員への研修を行うとか、あるいはPIO―NETを通じまして無償で情報提供を行うとか、こうした支援を行ってきたわけですが、ただ、現状の地方の消費者行政のありよう、予算とか人員のありようを見ますと、やはりさらなる活性化が必要だというふうに認識をしております。

 現在、国民生活審議会あるいは消費者行政推進会議、こうした場で消費者行政について議論が行われていますが、この議論の中で、地方の消費者行政のあり方につきましてもしっかりと方策を検討したいと考えております。

吉井委員 まず実態ですけれども、これは社団法人全国消費生活相談員協会の調査を私はこの間見せていただきまして、驚きました。消費生活相談員の方の給与というのは、年収二百万円以下の方が六七・二%、七割なんですね、約七割。二百五十万円以下の方が九割。つまり、消費者行政を支えている、一番大事な仕事をしている人たちでしょう、経験も積んで役割を果たしてもらうということを期待している人たちなんですが、七割が二百万以下ということは、これはワーキングプアの状態ですね。それで、雇いどめもサービス残業の常態化も見られます。

 だから、消費者行政重視というからには、私は、現場力を強化するといいますか、そのことに担当大臣として本当に力を入れていってもらわぬことには、これは、組織をどういじくるかとかそんなことを何ぼ言うたって、肝心の現場の力が弱くなったら力が発揮できないんです。消費者行政推進の上ではまずこのことに力を入れるべきだと思うんですが、お考えを伺います。

岸田国務大臣 地方の消費生活センター、そして消費生活相談員の皆様方のありようにつきましては、私も先日、広島の消費生活センターを視察させていただき、直接いろいろお話を伺ってまいりました。大変厳しい条件の中で頑張っていただいているというふうに認識をしております。

 現状、消費生活相談員の待遇ですが、九〇%以上が非常勤という状況でありまして、大変厳しい状況にあるということ、御指摘のとおりだというふうに思っております。

 今、消費者行政推進会議等を通じまして、消費者行政のシステム、日本の国の消費者行政の組織そのものについて議論が行われていますが、こうした国の行政のありようを考える上でも、地方の消費者行政のありようというのは大変重要だというふうに思っています。情報の一元化ということにおいても、そして国民との接点という意味においても、地方の消費者行政組織のありようというものは大変重要だと考えておりまして、ぜひ、国の組織のありようの議論とあわせて、地方の行政のありようにつきましても議論を深めていきたいと考えております。

吉井委員 この問題については締めくくらせていただきたいと思いますけれども、やはり食品検査体制の強化で消費者の安全を守るということ。それからもう一つは、消費者の方たちの相談に乗る消費者行政の最前線のところで、いわば官製ワーキングプアというふうな状態ですね。こういう状態では本当に消費者行政を強化することになりませんから、消費者行政の一元化、強化にとって、私がきょう挙げました二つのこと、これだけにとどまらないわけですけれども、まずこういうことはきちんと解決していく、強化しなきゃならぬということを申し上げて、次に、科学技術担当大臣の顔にちょっとかわってもらおうと思います。

 環境科学について伺います。

 岸田大臣は、政府として科学技術政策の大事な柱として環境を挙げているわけです。大学や国公立試験研究機関でもいろいろな分野から研究をやっておりますが、環境科学の分野では、やはり現実に起こっている問題、生起している問題の現地での疫学調査などを含む実態把握に始まって、原因の究明と対策や、そして原状回復に向けての学際的な研究や取り組みというものが必要だと思うんですが、そういう点についての大臣の取り組む決意というものをまず伺っておきたいと思います。

岸田国務大臣 科学技術研究においては、やはり現実との接点、大変重要だと認識をしております。特に、国としてこうした研究に取り組む際に、国民生活に成果をどう還元していくのか、どういった成果をもたらすのか、こうしたものもしっかり頭に入れた上で研究を進めていかなければいけない。その際に、現実のいろいろな条件をしっかりと踏まえた研究を進める点が大変重要だと認識をしております。

吉井委員 ここで、地球温暖化問題などはこの間予算委員会でもやりましたので、きょうはアスベストなど、少し個々に出ている問題について伺いたいと思いますので、先に政府参考人の方から伺っていきます。

 大阪の河内長野市に株式会社東洋というのがありますが、ここは二〇〇五年七月段階で、マスコミでも既に三年前に報道されたものの中で、この会社でアスベストで死亡者が一人出ているというのが当時から報道にもありました。周辺三百メートル以内に住んでいる人の中で、肺がんで亡くなった人の割合が異常に高い、それも風下側で顕著にその影響が見られるということが今言われているときです。

 そこで、環境省に伺いたいのは、どのような調査を行って、どういうことがわかってきているのかを伺います。

石塚政府参考人 河内長野市における健康リスク調査についてのお尋ねというふうに認識いたします。

 環境省におきましては、現在、石綿を取り扱っております事業場の周辺の一般環境を経由した石綿暴露による健康被害の可能性があった地域、これは現在、全国六地域で調査しておりますが、ここにおきまして健康リスク調査というものを実施いたしまして、石綿関連疾患の発症リスクに関する実態把握を行っているところでございます。

 このうち、大阪府の調査につきましては、この事業を委託しております大阪府の方からの要望を踏まえまして、大阪府下における健康リスク調査の充実を図る観点から、前年度より実施しております泉南地域五市三町に加えまして、今年度より新たに河内長野市における調査を大阪府に委託し開始したというところでございます。

 河内長野市におきましては、これまで、平成二十年の二月三日及び五日の二日間に延べ百五十五名の住民の方々を対象に、問診、胸部エックス線検査、ヘリカルCT検査を実施しまして、現在、専門の医師による画像フィルムの読影が行われていると承知をいたしております。

吉井委員 それで、そういう調査とともにもう一つ大事なことは、そもそも、もともとこの会社は昔は東洋石綿というのを社名に書いていたぐらいのところですから、石綿の会社ははっきりしておるわけですけれども、そうすると、この会社で年度別に、茶石綿、青石綿、白石綿、この種類別に、どれぐらい使用してきたかというのは当然わかることだと思うんです。企業からそういう報告はちゃんと受けているのかどうか、把握しているかどうかを伺います。

石井政府参考人 厚生労働省の立場としましてちょっと申し上げますと、そもそも株式会社東洋におけるアスベスト使用量ということについては、個別事案ということでございましてお答えを控えさせていただきたいと存じますが、もともと私ども、労災認定においてアスベストの使用量というものは要件に係っておりませんので、把握もいたしていないところでございます。

吉井委員 私、まず数字をいきなり言うてくれと言っているんじゃないんです。

 環境省の方は、大気汚染防止法によって石綿製品製造工場は届け出工場なんですから、使用履歴とかちゃんとつかんでおって当たり前でしょう。ですから報告を受けておられるんですかということを聞いているんですが、把握していないなら把握していないで結構ですよ。

石塚政府参考人 私どもの方のセクションでは患者さんの救済ということを実施しておりまして、部署が違うという関係もありますけれども、私の手元にはその数字は把握しておりません。

吉井委員 昨日のレクのときに、年度別にどんな種類のものをどれだけ使ってきたのか報告を求めるということできのうの朝から言っておったぐらいですから、把握していないというのは、この面で環境省自身が体制をきちんととれていないということを改めて思いました。

 厚労省の方は、労働安全衛生法、その下位にある石綿障害予防規則三十五条などで、もともと石綿を製造し取り扱う事業所は四十年間作業記録を保存しなければならないんですね。ですから、何年にどんな種類のものを幾ら使いましたかと報告を求めたら、全部わかるわけなんです。

 記録を入手しているかどうか、改めて伺います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点においては、記録は入手いたしていないところでございます。

吉井委員 あれだけ問題になったわけですね。この問題については、特に法律をつくる前の年、全国的に問題になって、この工場についてもアスベストで亡くなった方もおられる。そうすると、私は、環境省にしても厚労省にしても、やはり法律に基づいてきちんとまず実態を把握する、当たり前のことだと思うんですよ。それは昔、石綿を使っていなかった工場じゃなくて、会社の名前にまで入っているわけですから。

 そういうところについて調べていないということが、私は、まず、このアスベスト問題の、国として、本当にこの問題の現状を徹底的に明らかにし、そして同時に被害者を救済、補償していくとか、これからも発生しないようにどういう対策をとるかということで一番基礎になるのが、そもそも報道等でも死亡者は出ていると言われているところですが、実は、ここは私もこの間伺って、従業員の方の中でも石綿肺で亡くなった方は一人、石綿肺、じん肺で手帳を取得している人が八人ということを地域の方は言っておられましたけれども、やはりそういうことをきちっとつかんで本当に取り組むということをやらなかったら、法律をつくったときとか、マスコミでわあっとなっているときは、国も何か対応せないかぬなと思ってやったにしても、後はそのままというのでは、私は、これは環境行政としても労働行政としても非常に大きな欠陥ありと言わなきゃならぬと思うんです。

 石綿新法はつくったけれども、現に生まれている被害の実態、あの工場周辺で一般の住民の方の間でも私いろいろ伺ってきましたけれども、加害企業の石綿使用量がきちんとつかまれてもいない、被害の実態はこれからということですが、その人たちの検診や治療などの補償というのは全くまだできていないわけです。特に、良性石綿胸水とか石綿肺、びまん性胸膜肥厚などは最初から対象外ということになっているわけであります。ですから、本当は補償を受ける対象者なのに受けられない人、通院すること自体を自分で負担してやってきたという人はたくさんおられるわけです。

 そこで、岸田大臣、石綿新法は不十分なものだということは、つくるときから私たちはそれを指摘してきたんですが、二〇一一年三月までが一応見直しの五年ということになるんですけれども、別に二〇一一年の三月を待たなくてもいいわけなんです。法の見直し期間にこだわらないで、五年以内いつ見直してもいいわけですから、早く見直しをして、やはり被害者の救済、補償というものがきちんと行われるようにするということ。

 そして、やはり除去した後の石綿が、除去するときもまた新たに出てきて被害を拡大しているということもありますから、そして除去したものを埋立処分だけじゃ解決しないわけですから、この石綿の無害化処理の研究。

 アスベスト問題については、やはり実態調査から被害者の補償、救済から、そして新たな被害を生じないためにも除去したものの無害化の化学的な処理についての研究開発、そしてそれを実際に進めていくということでは、私は、科学技術担当大臣として、やはりこれは環境省の話だというようなよそごとの話じゃなくて、本当に政府としてどう取り組んでいくのかということが一番問われているわけで、とりわけ科学技術の分野からも、解明したりあるいは無害化の技術開発など、やっていかなきゃいけない課題がありますから、これを最後に岸田大臣に伺っておきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の点につきましては、国民生活の安心、安全にかかわる重大な課題だというふうに思っておりますので、国民生活担当大臣としましても関係省庁にしっかりと対応をしていただきたいと考えております。

 その上で、科学技術政策担当大臣として申し上げるならば、このアスベストの健康障害対策としましては、平成十七年度の科学技術振興調整費による緊急研究としまして、アスベストによる健康障害対策に関する緊急調査研究というのを行いまして、室内のアスベスト濃度の測定技術について研究を行い、そしてこの測定技術につきましては一定の成果が上がっております。

 そして、平成十八年度から、これは五カ年計画で毎年二億円の予算を計上しておりますが、アスベスト関連疾患への総括的取り組みを実施しておりまして、アスベスト関連疾患の治癒率の向上及び治療、予防標的の解明に努めているところであります。

 こうしたアスベスト関連の研究をそれぞれ進めているわけですが、引き続きまして、御指摘の点につきましても、科学技術の点から何かできることがないか、関係者の皆様方の話も聞かせていただかなければというふうに考えております。

吉井委員 石綿新法、別に五年待たなきゃ見直しできないという話ではありませんから、やはりきちんと被害者の救済、補償に見合うものに政府として全面的に取り組んでいただくこと、このことを重ねて申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

中野委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 泉大臣、岸田大臣、参議院の方もあるということなので、先にさせていただきます。

 まず、岸田大臣、消費者行政の一元化ということで、総理も大変な思いを込めておられて、そして、強い権限を持った新しい組織ということで今、有識者懇談会も始まって三回目ですか、議論をされているということでございます。

 それで、この問題は、我が党でも、本来、大変な大きな問題という認識でずっと今までも議論してきておりますし、また、思いも大変な強いものを持っていたわけでありますが、そういう意味では、今政府がされようとしていることと表裏一体で今いろいろ検討はさせていただいています。

 その中で、いろいろな形、パターンは考えられますが、やはり国民、消費者には、ワンストップサービスみたいな形が一番わかりやすい。そういうわかりやすい形の行政の一元化ということになれば、それは、公取の拡充とかいろいろなこともありますが、国民生活センターとか消費者センターを一括している内閣府の中でどうあるべきかという議論にやはり絞られていくかなという思いがいたします。

 そこで、まず大臣、これは、いつごろまでに、どういう形で、どういう方向でいかれるのか、これはもう担当大臣としてぜひ国民にしっかりとしたメッセージを送っていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、委員がこの問題につきまして従来から大変熱心に取り組んでおられますことに心から敬意を表し申し上げます。

 そして、御質問ですが、消費者行政の一元化、この見直しの議論につきましては、やはりしっかりとわかりやすい議論をしなければいけないというふうに考えておりますが、総理の指示としましては、四月、五月ぐらいをめどに一応の結論を出してほしいという指示をいただいております。ですから、五月までには結論を出したいというふうに考えております。

 その中で、わかりやすさということを考えますと、国民から見て、自分たちの寄せた苦情や相談がどのように扱われたか、この情報の一元化というのはやはり大変重要なポイントだと思いますし、そして、その情報をどのように受けとめるのか、その対応する組織をどのような形にするのか、そしてその組織にどんな権限を与えるのか、このあたりが重要なポイントになるというふうに思っております。

 こういった点を通じて、今議論をお願いしているところですが、五月をめどに、ぜひしっかりとした結論を出したいと考えております。

田端委員 こういう議論が始まったところに冷凍ギョーザの事件が起こりました。そういう意味では、国民もこれは今、大変高い関心、あるいはまた敏感にこの問題にいろいろな反応を寄せていられる、こう思います。

 私たち、党としても、先日も大手スーパーを視察させていただきましたが、この大手スーパーでも、中国原料の食材、例えば食料品に関しては、もう大体三割から四割は中国原産ということになるだろう、こういうことを明確に言っておりました。

 つまり、食の安全ということに関しては、中国と日本はもう運命共同体といいますか、そういう流れに今なっているんだなと。だから、中国がしっかりしてくれなかったら、日本もこの食の安全というのは大変なことになる、こういう流れが今あるわけでありまして、そういう意味では、この再発防止に関しては、これは両大臣にしっかりと取り組んでいただきたい、こう思っております。

 一方、中国の農産物の輸入が滞るということになれば、ほかの国から対応するということになりますと、物価高に影響が出てくる気配に今なっています等々、そういう意味では、この問題は大変影響の大きい問題だ、こう思っております。この食の安全をどう確保するか、どう担保するか、これはまず岸田大臣に御決意をしっかりと言っていただいて、そして、国民の皆さんに安心していただけるような状況をどうつくっていくかということをお示しいただきたいな、こう思います。

岸田国務大臣 今回の中国冷凍加工食品の薬物中毒事案は、国民生活において最も基本的な安心、安全であります食の安全において国民に広く大きな不安をもたらしたということで、大変深刻な事案だと認識をしております。

 政府としましては、この事案を把握しました一月三十日以降、まずはこの被害の拡大防止に努めなければいけない、そして原因の究明を行わなければいけない、そして再発防止に努めなければいけない、この三本柱で政府一丸となって対応してきたところであります。

 まず、そうした対応によって健康被害の拡大は食いとめることができたと考えておりますし、そして原因の究明につきましては、日中双方の関係者が今努力をしている最中であります。そして、再発防止についても、原因究明はまだ果たされていないわけですが、とりあえず、現状できることはやらなければいけないということで、二月二十二日に、第一次の再発防止策を取りまとめて発表したところであります。

 そして、こうした事案の影響につきましては、引き続きまして関係省庁連絡会議を通じましてしっかりとした実態把握に努めなければいけないと思っておりますし、必要に応じて第二次、第三次の再発防止策も積み重ねていかなければいけない、このように思っております。

 こうした態勢で、ぜひ、国民の中に広がっている食の安全に対する不安払拭に全力で取り組んでいきたいと考えております。

田端委員 ぜひ全力を挙げていただきたいと思います。

 そして、泉大臣、国家公安委員長として、また食品安全委員会の担当の大臣として、大臣にもやはりこれはもう全力を挙げていただきたいな、こう思っております。

 ついては、私も先週、横浜の検疫所も視察させていただきました。本当に一生懸命やっていただいているわけでありますが、しかし、話を聞いてみますと、なかなか抜き取りということは余りきちっとできていないのかな、こういう思いもいたしました。

 しかし、今回、日中双方で担当者同士で相互乗り入れして調査をやっていられる、こういうことで、今、中国側の主張に対しては、私は、本当にそうなのかなという思いも個人的にはいたしますが、これは、しっかりと原因究明をまず徹底してやっていただく、もうこれに尽きる、こう思っております。

 国家公安委員長として、国民の皆さんにこの問題に対してのしっかりとしたメッセージ、今後の方針をお伝えいただきたい、こう思います。

泉国務大臣 委員御指摘のように、原因究明がこの問題の最大の解決につながることだと思っておりまして、これまでも警察庁の方では、ギョーザの流通経路でありますとか、あるいは関係者からの事情聴取等を行って、日本でできる調査の山はほぼ越えたのではないかという認識を持っております。しかし、まだ終わっていない部分もございますので、いわゆる同一製造日のギョーザ等の鑑定を継続して、国内において残された捜査事項につきましては早急に捜査をやりたい。

 また一方では、日中捜査当局間の協力は不可欠であるということでございまして、これまでも情報交換等をやってまいりましたが、一層緊密な対応をしてまいりたいと考えております。

 なお、食の安全担当といたしましても、この問題は今、岸田大臣のところで内閣挙げて取り組んでいただいておりますが、私どもも、食品安全委員会という立場を持っておりますので、そうした力をかりながら、より安全な食の提供に努めていくつもりでございます。

田端委員 話題はかわりまして、地球温暖化問題についてお尋ねしたいと思います。担当大臣がいないのでちょっと寂しい思いが私はいたしますが、環境省、外務省等、関係省でよろしくお願いしたいと思います。

 ことしの七月七日からの北海道洞爺湖サミットは、もう大変大事な、日本の大きなテーマであると同時に、今後の地球問題がどうなるかという大変大きな重要な会議になる、こう認識しております。(発言する者あり)政府総じてにお訴えしたいと思います。

 そういう意味では、議長国である日本がどういうメッセージを世界に発するかということが一番問われるんだと思いますが、各省いろいろな思惑はあったとしても、省の思惑を乗り越えて政府として集約していただいて、福田総理が議長国としてのきちっとしたメッセージを世界に発していくことが大事ではないかな、こういうふうに思います。

 この七月七日に向かって、この間、三月十五、十六日は、千葉でG20、気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級会議が行われました。五月の二十四―二十六日にかけては、G8環境大臣会議が神戸で行われるということであります。そういう意味では、この流れは、洞爺湖サミットに向けて国際会議がずっと大きく盛り上がっていくんだな、こう認識しておりますし、今回の千葉での会合においても、セクター別アプローチによって国別の総量目標を定めていく、そういうことも日本が情報発信をされて、それに対する評価も出ているところであります。

 そこで、まず、これは環境省になるのか経産省になるのか、京都議定書の約束期間が今年度から始まるわけでありますが、本当に六%削減というのはどこまでできるのかということが最大の日本政府としてのテーマだと思いますが、既にもう六・四ふえているんですかね、だから、一二・四%削減しなきゃならないという大変大きな数値になっているわけであります。

 この問題について、京都議定書以降の国際的枠組みを新たにつくる、そのホスト国として、まず日本が、こういうことをやって、だから次のステップとして新しい国際的枠組みをつくりましょう、こう言わなきゃならないんですが、肝心の京都議定書がきちっとできるのかどうか、そこのところが大きなテーマだと思いますが、これは環境省でしょうか、御答弁いただきたいと思います。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が世界の先例となるような低炭素社会への転換を進めて国際社会をリードしていくというためには、まずみずからが率先して京都議定書に掲げる六%削減目標を確実に達成することが不可欠でございます。

 そのために、総理が本部長、全閣僚がメンバーとなっております地球温暖化対策推進本部におきまして、京都議定書目標達成計画の見直しを進めているところでございます。先ごろ目標達成計画の改定案をまとめ、年度末までに改めて閣議決定をする予定でございます。

 その中で、あらゆる分野において各主体が、これまでの既存の対策の着実な実施だけでなく、法制度の拡充なども通じた対策を強化いたしまして、必要な追加対策に全力で取り組むことで六%削減目標の達成を確実なものにしようというふうに考えているわけでございます。

 さらに、総理がみずからの御発案によりまして、専門的かつ高い見識を有する方々に御参集いただきまして低炭素社会に向けたさまざまな課題について御検討いただくために、地球温暖化問題に関する懇談会が先般設置をされまして、今月の五日に第一回の会合が開催されたと承知しております。

 ことし開催される北海道洞爺湖サミットなどの場を通じて我が国が国際的にリーダーシップを発揮するためにも、政府一丸となって取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。

田端委員 政府一丸となって低炭素社会に向けての取り組みを進める、こういうことであり、また六%を達成させたい、こういう決意でございます。

 そういう中で、私は、例えば排出権取引なんということを、日本版の新しいそういうものを、やはりこれは国として、政府としてきちっと方向を出すべきだと思っておりますが、その懇談会でもそこのところが議論になるんだと思いますけれども、しかし、これがまだどうなるものかもはっきりしていない。あるいは、経済産業省と環境省とでは、何となくこの問題については水と油のような感じもいたします。

 そういう意味で、果たして本気でそういうことができるのかなという懸念がずっとつきまとうわけでありますから、そういうリーダーシップを発揮するということならば、具体的に一つ一つ事実を積み重ねていただきたいなということを要望しておきたいと思います。

 それで、きょうは外務省にも来ていただいているかと思いますが、この七月のサミットをどういうイメージでつくられているのかというのがちょっとよくわからないのでお尋ねしたいんです。

 G8は、G8ですから日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシアと八カ国、それにEUがプラスされるんだと思いますけれども、これはサミット参加国ということでありますが、これに、常連の招待国といいますか、中国、インド、メキシコ、ブラジル、南アフリカの五カ国を招待されるようであります。これに今度はさらに、韓国、インドネシア、オーストラリアという三カ国もプラスして招待されるというふうにも聞いていますけれども、そういう考え方でいいのかどうか。

 そしてもう一つは、アフリカ開発会議、TICADが五月の二十八日、地球温暖化問題と同時並行してこの大きなアフリカ会議も行われる。そして、このアフリカ会議のメンバー、TICADのメンバーのナイジェリア、アルジェリア、タンザニア、セネガル、ガーナ、エチオピア、エジプト、それに南アフリカはさっきのところにも入っていますが、そういった国々を含めてサミットが行われる、そういうふうな流れになっているのかなと思います。

 これでいきますと合計二十三カ国になるのかと思いますが、この辺のところの国際会議のあり方に対して、どういうスタンスでどういうふうに持っていこうとされているのか教えていただきたい、こう思います。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の気候変動問題ということでは、その解決のためには、アメリカ、中国、インドといった主要な排出国すべてが参加する、まさに実効性のある枠組みを構築するということが大事だと思ってございまして、主要な議題となります洞爺湖サミットでは、まさにG8プラスそれ以外の国々の首脳をいかに招待して行うかというアウトリーチの会合を行います。これは二日間に分けて行う予定でございます。

 昨日、そのアウトリーチ国を発表したところでございますけれども、まず、サミットの初日、七月七日、この日はアフリカ諸国の首脳を招きまして、アフリカ開発に関するアウトリーチということで、先ほどもお名前を出していただいたアルジェリア、エジプト、エチオピア、ガーナ、ナイジェリア、セネガル、南アフリカ、タンザニア、それからアフリカ連合の委員長といった首脳を九名招待しております。

 それから、サミットが七、八、九とあるわけですが、九日の最終日、この日は主として気候変動に関するアウトリーチ会合ということを開催する予定でございまして、こちらの方にオーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、南アフリカ、アフリカから一カ国でございますが、こういう各国の首脳を招待してございます。

 議長国でございますので、このG8の首脳会合をいかに充実したものにするか、特に環境・気候変動問題を中心に重要な成果を上げるべく一生懸命努力していきたいということで、このアウトリーチ諸国との会合というのを大変重視しておるところでございまして、そのための議論の時間もしっかりとってやりたいと思ってございます。

田端委員 途上国に対する経済支援等も含めて大変大きな議論になろうかと思いますが、ぜひしっかりとお詰めいただきたいと思います。

 中でも、まず一番ポイントはアメリカ。米国が京都議定書を離脱しているだけに、今回の新しい枠組みづくりにはぜひアメリカが入るようにしむけていかなきゃならないと思いますので、ここのところは今どういうふうに日本としてお考えになっているのか、まずお尋ねしたいと思います。

鶴岡政府参考人 気候変動問題の解決には、すべての主要排出国が参加する実効的な枠組みの構築が不可欠であることは委員御指摘のとおりでございまして、ただいま、まずアメリカということで御質問いただきました。

 アメリカにつきましては、京都議定書に参加をしていないという点におきまして、他の先進国との間に立場の違いがございます。このアメリカの交渉への参加につきましては、昨年十二月にインドネシアのバリで開催されました第十三回の気候変動枠組み条約締約国会合におきまして、アメリカが今後開催される次期枠組み交渉に参加をするということが確定をいたしました。それが、まず第一歩といたしまして、主要排出国の中でもアメリカの参加を確実にしたところでございます。

 ちなみに、この決定の下地をつくって各国との間の根回しも行ってまいりましたのも我が方政府でございまして、昨年一年間を通じまして、アメリカの参加をまずは実現するということに総理を初め外交的な努力を傾注してきたところでございます。

田端委員 大統領選挙でどちらが勝とうが、排出権取引等に関してはアメリカは積極的に考えておられるようですから、新しい枠組みには間違いなく入ってこられるということで、我々も安心しているところであります。

 CO2の大きな排出国としては、中国が今回ここに入るか入らないかが大変大きな問題だと思います。中国が入ることによって、インドとか、こういう大きな流れができていくんだと思います。

 しかし、中国は、今は地球問題というよりも自分の国の、地元の水とか大気とか、あるいは土壌汚染とかといった、日本が三十年前、公害問題で悩んでいた状況に今、現実問題があるわけでありまして、そういった意味では、中国を地球温暖化問題に引っ張り込むというためには、中国に今起こっているこの公害対策を、日本の技術なり英知なり、あるいは人的資源なりで協力してコベネフィットという形でやっていかないと、とても中国はいきなり地球問題には来れないんじゃないか、こう思っております。それで、今我々は、日中環境基金をつくって、その基金をもとに日本が技術協力、人的協力をすべきだ、こう言っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

鶴岡政府参考人 中国は目覚ましい経済成長を続けておりまして、そのような経済成長を行っている大規模の経済を持っている国としては、中国の積極的な排出の抑制ないし削減の行動なくしては世界全体としての排出削減の実現は困難だと見ております。

 このため、我が国は、中国に対しまして、首脳会談を含む二国間の会談及び気候変動枠組み条約締約国会議や主要経済国会合におきまして、中国を含むすべての主要排出国がより責任ある形で参加する二〇一三年以降の枠組み構築への中国の積極的な参加を累次にわたって求めてきております。

 また、中国の実効的な排出抑制活動促進のために、APP、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップの枠組みのもとでのセクターごとの実務的な協力なども進めてきております。今後とも、あらゆる機会を通じて中国側の最大限の努力を促していく考えでございます。

 ただいま御指摘のコベネフィットとの関係では、我が国は、日中間で戦略的互恵関係の重要な分野といたしまして環境・省エネ分野での協力を特筆しておりまして、これをさらに推進していくこととしております。御承知のとおり、我が国の環境エネルギー技術は世界最高水準にございますので、我が国の有する高い技術、知見、経験を最大限活用して、有効な対中協力の方途を探っていく考えでございます。

 今現在、近年の経済発展著しい中国との間でさらにいかなる協力関係が築けていけるのか、その中で環境対策というものは、中国のみならず世界全体にとっても大きな利益をもたらすものだと考えておりまして、先般、福田総理が中国を訪問されたときに、今後、環境関連情報の共有や人材の育成、技術移転、共同研究などの協力を進めていくことで一致をしたところでございます。

 ただいま委員の御指摘ございました基金につきましては、現在、政府部内におきましてさまざまな角度から検討しておるところでございますが、まだ結論を得るには至っておりません。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後、中国に対して、我が国の有する技術、知見、経験などを最大限利用しつつ、コベネフィットの考え方を踏まえて協力を進めてまいりたいというふうに考えております。

田端委員 ぜひ積極的に、しかも五月には胡錦濤国家主席も来日されるという話もあるわけでありますから、どうぞサミットに向けて大きな流れをつくっていただきたい、こう思います。

 それから、韓国の方ですが、先週、我が方の太田代表が訪韓いたしまして、新しい李明博大統領とも会見いたしました。その席で、もう韓国は実質的に先進国という立場なんだから、ぜひ新しい国際的枠組みに韓国も入るべきではないですかということを申し上げたところ、大統領の方から、参加したい、そしてその方向で今準備を進めている、こういう明確なお答えがあったと聞いております。この韓国に対してもぜひアプローチしていただいて、そして、大統領もまた、四月ですか、お見えになるということですから、そういう流れをぜひつくっていただきたいと思います。この答弁をいただきたいと思います。

鶴岡政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、韓国は、気候変動枠組み条約の制度のもとにおきましては、今の立場といたしましては途上国の側に立っております。これを我々先進国側の一カ国としての対応に変質できるかどうかということは一つの課題だと我々も思っておりまして、先般訪韓された太田代表が大統領に新しく就任されました李明博大統領との間でこのようなお話をされて、大統領からは、韓国政府もポスト京都議定書について前向きに準備しているという発言をされたと承知しております。

 我が国といたしましては、今申し上げた立場を基本といたしまして、随時韓国とも協議を行ってきておりますし、今後さらに、韓国に対しては、より責任ある立場での行動を促していくべく、さまざまな場を通じて協議を進めてまいりたいというふうに考えております。

田端委員 G8サミットに向けて、国内のさまざまな対策、そしてまた国際的な日本のリーダーシップをぜひ明確にしていただいて、日本がホスト国として立派な使命を果たしていただけることを切望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、河本三郎君。

河本委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党の河本三郎でございます。

 大臣は大田大臣だけということであります。冒頭に、大臣の所信に対する質疑を行わせていただきたいと思うのでありますが、大変わかりやすい所信で、恐らく大臣御自身がお書きになったのだ、このように思います。

 人口減少社会の入り口にあって、我々は三つの大きな課題に取り組まなくてはいけない、こういうことを冒頭におっしゃっておられます。第一は、景気回復をできるだけ長いこと持続させないかぬのだ、こういう決意で始まっておりますが、アメリカのサブプライムローンの影響などもあり、加えて原油高、円高、株安、こういう状況の中で、金融資本市場安定のためには何でもするんだ、断固たる決意で取り組むんだ、こういうメッセージをぜひ発信していただきたいという思いがありますので、大臣のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

大田国務大臣 最近の円高、株安、この背景にありますのは、先生御承知のように、アメリカで信用不安がなかなか収束しない、そしてアメリカ経済の減速感が強まっているということがございます。

 原油高につきましても、金融資本市場の変動によって投機資金が流入しているという側面が多分にございます。したがいまして、アメリカで今とられております金融政策、財政政策の効果を見きわめていくということが必要になります。

 ただ、既に日本でも原油高やほかの原材料高によって中小企業の収益圧迫が顕著になっておりますので、景気を持続させていくためには、必要なところに迅速に手を打つということが必要です。

 さらに、足元でアメリカ向けの輸出が既にマイナスになるということで、景気の下振れリスクが高まっておりますので、景気についても、先行きのリスクに対して早目早目に手を打っていく、万全を期していくということが必要になります。

 したがいまして、今、政府としては次のようなことをやっております。

 まず、昨年末の原油高騰対策に続きまして、年度末には中小企業の資金繰りを中心に中小企業対策を講じました。さらに、総理の施政方針演説ですとか、今取りまとめ中の成長戦略の中で、早期にできるものはどんどん実行していくということで、早期実施策を四月早々にも取りまとめることとしております。

 加えて、昨日の経済財政諮問会議で総理から、最近の為替の変動、原油高などが経済に与える影響をしっかり点検して、中小企業に対する政府系金融機関の支援など、必要となる措置を早急に検討せよ、そして財務大臣にも、国際金融システムの安定のためにG7諸国と連携を深めよという指示がございましたので、これも迅速に対応していきたいと思います。

 今、なかなかアメリカの金融資本市場の底打ち感が見えないというところで、非常に私も懸念しております。状況を細心の注意で見ながら、景気持続のために全力を尽くしたいと考えております。

河本委員 大田大臣、成長戦略を練っておられるということでありますが、これには財政出動は伴わないんですか。どうなんでしょうか。

大田国務大臣 成長戦略全体は、これは予算にかかわるものですし、二年目、三年目もございますが、今の先生の御質問は、早期に実施するものの取りまとめのことでしょうか。

 成長戦略全体は、これからの三年、四年を念頭に置いてやっていくものですので、骨太方針に向けて今取りまとめをしております。その中で、早期に実施できるものについては四月早々に取りまとめておりますけれども、これは、基本的には財政出動は伴わないものという総理の指示を受けて、その方向で取りまとめております。

河本委員 それは成長戦略の入り口だと僕は思っております。その入り口で、財政出動なしだ、冒頭からこう言われると、ほんまに成長戦略につながっていくのか、こういう素朴な思いがあるんですね。

 ですから、今申し上げた幾つかの要因の中で、えらい目に日本経済が陥っているということですから、大田大臣の方からも、もう少し知恵を出したらどうかと。財政出動なし、こう断言してしまうとまた萎縮してしまうんじゃないか、こういう思いを持っておられる方が大勢おられると思いますので、何かちょっとおしゃれな発言をしていただければと思います。

大田国務大臣 なかなかおしゃれな発言はできませんけれども、今まさに来年度予算を御審議いただいているところでございます。その来年度予算の中でも、早期に実施できるものをまず実施していく。そして、今現在の日本経済の状況は、アメリカ経済の減速を受けて日本経済にどんな波及が及ぶのかを慎重に見ている段階です。

 今の段階では、やはり財政出動ということよりまず知恵を使って、この状況にどう対応していくのか、リスクに早目早目に対応し、なおかつ必要なところにどういう手を打つかを検討していくということが大事だと考えております。

河本委員 大田大臣は直接の御担当ではないのですが、私のところの兵庫県は、十三年前に阪神・淡路大震災が起こりまして、その復興、復旧、いわば借金の返済が始まっておりまして、加えて、三位一体改革による地方交付税の大幅削減、それから、触れられておりました骨太の方針によって地方公債の厳格化、歳出の抑制、それから、また物差しが変わりました地方財政健全化法の制定等によりまして、三重、四重の苦しみを味わっております。

 地方の元気が国の底力、こういうことだと私は信じておりますので、そういうところにもぜひ今後も目配りをしていただきたいと思います。

 何かコメントがありましたら、一言お願いします。

大田国務大臣 私も、阪神大震災のときに神戸におりましたので、その後の復興の様子も心配しながら見ております。先生がおっしゃった、地域がいろいろ厳しい状態にあるということも認識しております。

 来年度予算の中でも地方再生戦略についてはいろいろな措置が盛り込まれておりますので、まずはこれが、使う側の地方の立場に立って、実効性のある形で使われますように、その点は私も心して、まずそれを心がけたいと存じます。

河本委員 ありがとうございました。

 大臣、もう御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 次に、拉致問題についてお尋ねをするというか、注文をつけたいと思います。

 まず、官房長官の所信でございますが、「拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、許しがたい人権侵害であります。未曾有の国家的犯罪行為であるこの問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はありません。」「すべての」と言われております。さらに、泉国家公安委員長はわずか一行、「北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に全力を尽くします。」こういう文言でありますが、安倍官房長官時代の折は、これは北鮮と名指しをして、それで、徹底的に真相究明、容疑者の引き渡しを強く北朝鮮に求めてまいります、こういう強い決意で臨まれておるわけであります。去年の、毎年この時期に行われております北朝鮮人権侵害問題啓発週間の折も、何ら政府からのメッセージが伝わってこない、ましてや、地方においてはそういう啓蒙啓発運動のポスターすら見当たらないという状況なんですよ。

 山本副大臣、こういう政府の生っちょろい姿勢だとさらになめられますので、こういう文言は僕は少し修正をしていただきたい。北鮮だ、金正日だ、こういうことをもっと明確に表明してほしい、こういう要望であります。

山本副大臣 河本委員の趣旨はよくわかりましたので、検討させていただきたいというふうに思っております。

河本委員 では、もう少し具体なお願い、要求をさせていただきますが、その啓蒙啓発運動に関して、カレンダーに、十二月の十日から十六日まではそういう週間であるとか、それから手帳にも、国会手帳、衆議院手帳も含めてですけれども、そういうことをきちっと明記するような方針も、副大臣じゃなくても結構ですから、そういう覚悟はあるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

山本副大臣 ただいま河本委員から御指摘いただきましたカレンダーの件でありますけれども、カレンダーに載せてもらうためには、まず暦原本というのがございまして、暦原本というのは有識者会議で決めるわけでありますけれども、全国カレンダー出版協同組合連合会が有識者会議にお願いをして、次の次の年の暦にはどんなものがあるのかということを有識者会議で暦原本で決めます。

 したがって、それにまず載せてもらわない限りはカレンダーには載らないわけでありますので、法務省の方からこの連合会に注文をつけまして、何とかそうしたことを検討してほしいということをしました。その結果、このカレンダー出版協同組合連合会の事務局から、この人権侵害問題啓発週間について盛り込むようにということをまず有識者会議に提案するというところまで今至ったところでありますので、もし、ことしの十月にそれが有識者会議で決まれば、二十二年度のカレンダーの暦原本に載るということであります。

 ただ、各カレンダー会社が採用するかしないかはそれぞれの自由でありますので、どうなるかわかりませんけれども、その原本に載せるということを今提案しておるということであります。

河本委員 手帳の方も同じ趣旨でよろしいんですか。

河内(隆)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま副大臣から申し上げましたように、カレンダーにつきましては、暦原本に載らないとカレンダーには載らないという形になります。また、暦原本に載ったとしても、どの要素を盛り込むのかというのは各社任せになるわけでございますが、手帳関係につきましても同じように、私どももそういった要請等々を行い、少しでも拉致問題啓発の実を上げるようにさせていただきたいと考えているところでございます。

 それから、一点補足をさせていただきますが、私ども、北朝鮮人権侵害問題啓発週間、昨年十二月十日から十六日までということで、不十分ではございますが、政府主催として国際シンポジウム、そしてまたNHK等々での放映、拉致問題を考えるみんなの集いというような形をしているところではございますが、議員の御指摘を踏まえ、地方におきましても、自治体と連携しながら、拉致問題の重要性等々が浸透するよう努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

河本委員 加えて、公共広告機構がCMをつくってその啓蒙週間の事前に大々的に流すとか、こういうことも考えておいてくださいね。答弁はいいです。答弁しますか。

河内(隆)政府参考人 議員御指摘の社団法人公共広告機構のテレビCMについてでございますが、毎年応募されたテーマにつきまして同機構内で検討され、採択決定されたものが作成され、翌年放映されるということになっております。したがいまして、拉致問題がテーマとして採択されるよう、これから具体的な要請等々、適切な対応をとっていきたいと考えております。

 以上でございます。

河本委員 さらに、「めぐみ―引き裂かれた家族の三十年」というDVDがありますが、これを全学校に配付して教育の材料に使ってもらうということをお願いしたいと思います。

河内(隆)政府参考人 映画の「めぐみ」に関してでございますが、国内配給会社との関係で一定の制約がございますが、現在、上映を希望する学校におきまして順次上映を行っており、引き続きこうした取り組みを展開してまいりたいと考えているところでございます。この映画「めぐみ」につきましては、広報啓発の大変有効なツールであるというふうに認識をしているところでございます。

 ただ、DVD配付については、これは、現在DVDにつきましては市販もされているところでございますので、商業権、商権を侵すことのないようにということの中で、あくまで政府としては上映権の買い取りということをしているところであり、また、日本国内での学校におきまして、拉致問題対策本部との共催によって、生徒、PTA等に対して無償で映画を上映できるように、そういった対応を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上です。

河本委員 教育の原点というのは、差別の撤廃と人権擁護だと僕は信じています。だから、文部科学省の方も、今の全学校に配付するということは無理かもしれないけれども、そういうやはり広報活動をしないと、なかなかこの拉致問題は子供たちにも理解が届かないと思う。

 だから、布村さんの方からも、ぜひ河内さんと連携をして、上手にやってくださいよ。答弁して。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、学校における人権教育につきましては、差別の問題、人権擁護の問題など、各学校がそれぞれ地域性あるいは学校の特殊性に応じて判断をして取り組んでいるところでございます。

 北朝鮮拉致問題につきましても、重要な課題であると認識しているところでございます。これまでも、内閣官房あるいは関係省庁と連携をして、北朝鮮拉致問題に関するポスターの掲示、それから北朝鮮人権侵害問題啓発週間における取り組みについて、各学校を所管する教育委員会などの機関へ周知を図って、協力を要請してきたところでございます。

 なお、社会科の教科書を申し上げますと、中学校の歴史、公民のすべての教科書において、拉致事件に関する事項が取り上げられているというのが現状でございます。

 さらに、人権教育の指導が充実するような指導資料の作成を今、行っておりますけれども、その中でも、北朝鮮拉致問題を含めて個別人権課題への取り組みに関する資料を取りまとめようとしているところでございます。

 御指摘の「めぐみ」という映画につきましても、内閣官房とよく連携をし、各学校において適切に行われるように促すように努力をしてまいりたいと思います。

河本委員 山本副大臣、韓国に新政権が誕生いたしまして、前の大統領はそれほど積極的ではありませんでしたので、その新しい大統領とまた連携をして、拉致問題全面解決に向けて国家として全力を尽くす、国民運動を展開するんだ、こういう思いを強くしていただきたいと思います。

 御答弁は結構です。副大臣、ありがとうございました。

 佐藤副大臣、ありがとうございます。

 もうずばり言います。兵庫県赤穂郡上郡町の地デジ対応なんですが、去年も議会全員が総務省の方にお邪魔をして勉強会をしていただきました。結果は、ケーブルテレビを導入するということが決まりまして、それはそれでいいんですが、何と一戸当たりの負担が十二万超ということになりそうであります。国策で地デジ対応、二〇一一年から始めるんだということに対して、住民の皆さんはえらい不満を持っておるというか違和感を持っておる。何とか特別な支援をお願いしたい。

 お土産を持ってきてくれたんだと思います。答弁をお願いします。

佐藤副大臣 今先生からお話をいただいております上郡町の話でございますけれども、ケーブルテレビ施設の整備でありますけれども、地上デジタル放送だけではなく、ブロードバンド整備という意味でも大変重要なことではないかなというふうに認識をさせていただいております。

 現在、手元にあります、各ケーブルテレビの事業を調査させていただきましたが、御指摘のとおり、本件における住民の負担はかなり大きいというふうに認識せざるを得ないというふうに思っております。

 多くの案件においては、地域情報通信基盤整備推進交付金に加えて、合併特例債の、有利な起債を利用する計画がありますが、ここ上郡町におきましては、その有利な起債が使えないという現状にあります。

 大変住民に大きな負担を求めるような事例は幾つかあるというふうに申し上げましたが、このような案件につきましては、住民が初期に負担をするのではなく、運営事業者が長期にわたって住民から資金回収を行うことも可能ということになります。

 したがいまして、来年度当初からというのは若干困難だとは思いますけれども、補正を含めて、次年度以降、このような場合に運営事業者等に有利な貸し付け等を行えるような制度創設を検討したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

河本委員 佐藤副大臣、ありがとうございます。

 私のふるさとの上郡町というところは、よく政府が使っている限界集落に近いところもたくさんありますし、実際、そういう高齢化が進んでいる町なんですよ。加えて、中山間、森林、原野が町の九割を占めているというようなところで、もともとNHKのラジオ放送なんかも届かないところなんです。高度情報通信社会と言われてもう長いことたつんですけれども、そういう村落に対しても、今のケーブルテレビも含めて、ぜひ手厚く、手を差し伸べていただきたいということをお願いします。

 ありがとうございました。よろしいです。御苦労さまでした。

 宇野政務官、去年の十月にイランで横浜国大の中村君が誘拐をされました。安否については、本人の無事は確認されているんだ、こういう報道、また外務省の方からもお答えをいただいているんですが、最近の直近の御本人の安否、実際どこにおられるのかということをちょっと教えてほしいと思います。

宇野大臣政務官 河本先生には、大変本件について御心配いただいていることを改めて感謝申し上げますが、今御質問いただきました被害者の現状について、少しお話をさせていただきます。

 今、イラン政府の方では、人命を最優先ということで粘り強く対応していただいているわけでありますが、そういう中で、イラン政府の方から私どもがいただいておる情報では、被害者は、イラン、パキスタン、アフガニスタンの国境周辺の地域で拘束されているようだということであります。

 また昨日、イラン政府の方から連絡いただきました状況では、被害者の方は無事であるという連絡をいただいております。

河本委員 無事の確認は何でされているんですか。

宇野大臣政務官 私ども、イラン政府からの情報としか今判断しようがないわけでありますが、イラン政府の方からは、あくまで被害者の無事を最優先するということで、その情報のソース等々の話は一切いただいていない状況でございます。イラン政府の方からは、無事であるということを理解してくれということしか今のところ聞いておりません。

河本委員 政務官、済みません、本人の肉声はお聞きになっていないんですか。

宇野大臣政務官 十月に起こってしばらくしてから本人から電話があったという事実はございました。その後、いろいろと情報があるようではございますけれども、私どもが直接今聞いているという話はございません。

河本委員 宇野政務官、連日御苦労さまでございます。国家の威信をかけて中村君を無事救出するんだという覚悟で今後も交渉に当たっていただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、警察です。

 マナーの悪い駐車違反が横行しております。国の方もビジット・ジャパンという目標を掲げて一千万人の観光客を呼び寄せようとしている。ところが、東京駅の周辺、八重洲、丸の内にはタクシーが二重、三重、あれは駐車と言わないのかどうかわからないけれども、客待ちをしている、鍛冶橋に至ってはえらい混乱になっている、渋滞が生じているということでありますので、ああいうところを外国人観光客が見てどう思うのか、これはもう一目瞭然であります。だから、ああいうタクシーは排除してください。

末井政府参考人 御指摘のとおり、二重、三重の駐車が、八重洲口開発計画に伴いまして、これは平成二十五年度まで続く事業計画でありますが、状態が出てきているということでございます。

 先般、警視庁にこのような状態についての認識ということで、私ども連絡をとりまして、警視庁において、混雑時におきまして警察官を現場配置して違法な停車に対する街頭指導をするということと、タクシー降車場所あるいは乗車場所の正常化につきまして、タクシー協会等に申し入れを行いまして改善に努めている、こういうことでございます。

河本委員 先ほどから議論になっておりました中国の加工食品については、もう時間が来ましたので御答弁は結構ですが、日本の警察のおっしゃっていることと中国側とは全く平行線のままだということであります。加工食品といっても、殺人食品と言っても言い過ぎではないと思います、実際に人が死んでいるようですからね。ですから、徹底した捜査をしていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

中野委員長 次に、櫻田義孝君。

櫻田委員 自由民主党の櫻田義孝でございます。

 久しぶりの質問なものですから、張り切っていきたいと思います。

 まず、拉致問題についてお伺いをしたいと思います。

 拉致問題は大変難しい問題だということは私自身も十分わかっておりますが、しかし、拉致問題を日本人はいつも忘れない、国民として忘れない、国として忘れないということを、やはり日本人だけではなく世界にもメッセージを発する必要があるのではないか、こう思っているところでございます。

 その中で、私は、国家の意思というものを明確にあらわすためにも、やはり外務省の職員が、すべての人がこのブルーリボンのバッジをつけていただきたいな、こんなふうに思うんですね。私は、外務省の全世界にいる外務職員が何人このブルーリボンをつけているのかどうか、非常に疑問だと思っております。

 私が副大臣のとき、パリのOECD閣僚会議に大臣のかわりに代理で行ったわけですけれども、そのとき記者会見をして、日本人の記者ですら私のこのバッジを見て、このバッジは何ですか、こういう質問をするんですね。ましてや外国の人が見たならば、日本人が、日本人の職員がブルーリボンをつけていたら、このバッジは何だろうとみんな質問するのではないかというふうに私は思うんです。

 これは、拉致問題解決に向けたブルーリボン、日本国民の悲願なんですよということを強くアピールする、この姿勢が必要なのではないだろうかなと私は思っております。国内における外務省の職員、そして海外にいる外務省の職員、すべての方につけていただきたい。そうしないと、対北朝鮮問題について、やはり国家の、日本人の、そんなに拉致問題は重要視していない、こういうふうに誤解されるのではないかと思っております。

 国家の意思として、一億二千七百万の人すべてが望んでいるんだという意思をやはり世界に発するには、この一つ一つのリボンをつけるべきだと思いますし、またこれは外務省だけではなく、地方公務員もそうあるべきだと思っております。また、閣僚でつけていない人なんかはやはり一人もいない、国会議員はすべての人がつけている、こういう願いを私は持っているんですが、外務省の見解、そして内閣府の見解をお伺いしたいと思います。

山本副大臣 櫻田先生の大変熱い思いがひしひしと伝わってきた、そんな感じがして今、お伺いをしておりました。櫻田先生がずっとバッジをつけておられるということも承知をしておりますし、やはりそうした気持ちが国民の皆さん方に伝わる、被害者の家族の皆さん方にも伝わる、そんなふうに思っております。

 外務省の職員に全部つけさせたらどうかという御指摘もいただきました。義務づけということはなかなか、大変難しいというふうに思いますけれども、やはりそうした気持ちを持って当然だろうというふうに私は思っておりますので、ぜひそうした意味で、外務省の職員についても、少しでもそうした意識啓発ができるように、機会があれば私どもも申し伝えたいというふうに思っております。

 何人がつけておるかというのはちょっとまだ調査しておりませんのでわかりませんけれども、できるだけ啓発をしていきたい、こう思っております。

櫻田委員 外務省の職員に義務づけは難しいと言われましたけれども、私は、そんなに難しいことではないのではないかと。職務の一つとして、国家の政策として、基本的な政策においてやっていることなので、その中核的役割を示すのが外務省の職員であるので、すべての人につけていただきたい、こう要請するのは、私は難しいことだと思いません。むしろ、それぞれの考え方は違うからといって、強制力じゃないんだ、自主的にやれる人だけという意識が北朝鮮に足元を見られるということで、やはり国家の意思を強くと指導すべきだというふうに私は思っております。

 そしてまた、地方自治体の方には、こちらは命令ではなくて要請という形でやっております。

 そしてまた、海外、国内の外務省の職員のつけているパーセンテージ、それもぜひ調査をして、後日私の方にいただきたいと思いますし、また、それをどの程度アップ、つけている率を上げられるかということも着目したいと思いますので、再度、御返答をお願いいたします。

山本副大臣 今の櫻田委員の思いをぜひ外務省の方にも私からも伝えさせていただきたいというふうに思いますし、どれぐらいつけておるかも、私どもの方からお伺いをさせていただきたいというふうに思います。また後刻、御報告をさせていただきます。

櫻田委員 では、ぜひひとつお願いを申し上げます。

 続いて、道州制についてお伺いをしたいと思います。

 私は、自由民主党の中で道州制推進本部の会長代理ということで、過去に議連の幹事長をやったり、会長代行ということをやったり、道州制に非常に関心の高い議員でありますが、この道州制というものは、マスコミにも盛んに出てくるようになりましたけれども、具体的な形になると、なかなか国民の中で十分とは言えないのではないだろうかなと思っております。そこで、私は、政府は道州制をどのように考えているか、位置づけをぜひ明確な形で国民に発することが大事なんではないだろうかなと思っております。

 明治の初期のときに、江戸時代の、かごかきの時代の行政単位が明治になって県となってあらわれておりますが、そのころ、各自治体、市町村は何万とあったわけでありますが、今、千八百程度まで、合併をしながら効率的な行政単位を組んでおります。にもかかわらず、県の合併というものは一つもありません。効率的な行政を運営するためには、これは必要ではないだろうかなと思っております。

 また、行政的な面は二次的な面でありますが、明治時代、中央集権的体制の中でやる分については、私はいろいろ政府が力を持ってやるのはいいと思うんですが、これから二十一世紀の時代は、地方主権という要素を色濃く反映させた運営というものが必要なんではないだろうかなと思っております。自分のことは自分でできるような、自分の身の丈に合ったような能力や活力というものを生かすような形で行政というものが運営された方がいいのではないかと思っております。

 そこで、北海道で道州制特区がなされたわけであります。私も副大臣として担当させていただいたんですが、大変多くの問題があるということは事実でありますが、私は、政府の道州制ビジョン懇談会におきましても、やはり道州制を推進するという意味においては既定路線として認定してもいいのではないだろうかなと思っているところであります。

 しかしながら、道州制を問題にするときは、やはり権限と財源と人、その三点セットが地方に移らなければ真の道州制政府というものは確立できないんではないだろうか、こんなふうに思っているところであります。やはり、道州制本体を議論するときに、国家がどの程度の意思を持ってどのような国をつくるのかということ、国民に対するメッセージというものが必要なんではないかと思っておりますが、道州制について、ぜひ政府の考え方というものをお伺いしたいと思っております。

 特に必要なのは、懇談会にも示されているとおり、やはり内閣がしっかりとしたリーダーシップをとって発することが最も肝心なことだと思っておりますので、明確な意思表示につきまして、ぜひ御見解をいただきたいと思っております。

木村(勉)副大臣 道州制につきましては、市町村合併の進展、都道府県を越える広域的な行政課題の増加の変化等を踏まえて、地方分権を図った上で国の役割を一層重点化し、その導入に向けた検討を行っていくことが必要であろう、こう考えております。

 道州制の導入は国民生活に大きな影響を及ぼすものであることから、まず国民的な合意形成を図るため、道州制ビジョン懇談会を開催しているところであり、道州制ビジョンの策定に向け、今月中に中間報告をまとめることになっております。また、道州制特区推進法については、昨年末の北海道による提案等の趣旨を踏まえ、道州制導入の検討に資するよう、この法律に基づく取り組みを推進してまいりたいと思います。

 これらの取り組みを通じ、国民の皆様にわかりやすい明確なイメージをお示しして、国民的な議論をさらに深めていくというのが今の段階でございます。

櫻田委員 道州制につきまして、ぜひ国の方でリーダーシップをとって、このような道州制を国家が求めている、目指しているんだという設計図を、三月にまた答申がなされるということでありますが、それを踏まえて、いよいよ設計図を作成すべきときではないだろうか。設計図を出さないと、いつになっても観念論で終わってしまって、具体論に入れないんではないだろうかと思っておりますが、設計図作成の意思がどの程度か、時期と可能性についてちょっとお伺いしたいと思います。

木村(勉)副大臣 現在、道州制ビジョン懇談会でまず中間報告を出してもらって、二年後に正式な回答を出してもらう、それに基づいて国の方で新しいビジョンを打ち立てていくということであって、どういうスケジュールが考えられるかということは、まだ国の方としては定かではございませんけれども、ビジョン懇としては、十年後をめどに導入していこうという議論が詰まっているという状況でございます。

櫻田委員 自由民主党の道州制推進本部の方でも、十年以内にはぜひ実現したいという強い意思で一生懸命やっておりますので、ぜひひとつ党との連携も忘れないで進めていただきたいなというふうに思います。

 それと、やはり早目に設計図を書かないと、議論だけはいつもしている。昔から、何年も何十年も前から道州制の議論がありながら全然進んでいないというのは、必要性においてまだまだ十分な理解がないということと、やはり中央の権限というものを地方に回すわけですから、中央の政府を構成しておるのは現在の省庁でありますので、自分の持っている人、権限を地方に回すということは自分の身を削るような思いでございますので、これはやはり役人とかそういう者に任せられない。政治家がリーダーシップをしなければ絶対に進まない分野、これが道州制でございますので、ぜひひとつお願いをしたいと思っております。

 それと、設計図のスケジュールはまだできていないようですが、これから早急に取り組んで、設計図以外の問題があるんです。道州制をやりますと、いろいろな構想を練って一定の形ができたならば、その形を全国一律的にばんとやるやり方と、北海道で小さいながらもやったように、今度は道州制に熱心な、例えば九州ですとかそういったところに先行的に道州制をやっていただくような法体系、法律をつくる意思があるかないかを聞きたいと思っております。

 私は、いろいろな形を、設計図をつくって道州制の形をつくって何年に一斉に日本国全部でやるとなったら、それぞれの権益を持っている省庁の抵抗やら未知への不安ということで、とてもじゃないけれども実現は難しいんではないかなというふうに思いますので、道州制をやってよかった、やっている人もよかった、自主的にやった人もよかった、そういう制度を導入した人たちもよかった、その住民もよかった、これらの関係するすべての人がよかったと思えるようにそのモデルをつくる必要があるのではないか。こういう財源を渡すんですよ、こういう権限を渡すんですよ、人間はこうやって構成されるんですよというモデルをつくった方が人は動きやすいのではないかな、こんなふうに思っておりますが、いかがでございましょう。

木村(勉)副大臣 櫻田委員は、できるところから先に進めていくべきじゃないかということでございまして、北海道なんかの特区は先行的な形でやっているわけですけれども、あそこが道州制にぴしっとなるかどうかはなかなかまだあれですけれども、今、道州制ビジョン懇談会では、導入できるところからやるんじゃなくて、やるときには全国一律でばさっとやっていくという方法で、議論は進んでおります。

櫻田委員 それで可能ならその方が望ましいとは思うんですけれども、その望ましいワンステップのところまでいくことがかなりハードルが高いんじゃないかという心配を私はしているところでございます。

 北海道とほかのところと、一例を挙げれば九州でありますが、北海道と九州と根本的に違うのは、北海道は自立経済力が非常に弱いもので補助率がほかと違いますので、自分のことは自分でやるという基本に立つと非常に難しい部分がありますので、九州とか、もし先行的にできるところはした方がいいのではないかなというふうに思っております。

 公務員制度改革について、渡辺大臣に質問させていただきます。

 公務員制度改革で人事庁構想というものがあって、それは設置するということが内定をしたようでございますので、私は非常に喜んでいるところであります。これは、渡辺大臣の強いリーダーシップが大きく働いたのではないかと思って、これからも支援をしていきたいなというふうに思っているところでございます。

 なぜ人事庁の構想がいいのかというと、この国には、行政の職員でありながら、国家公務員でありながら、内閣総理大臣の命令に対して異議を唱えることなく従わない職員がいるという現実を私は冷静に見ているからであります。総選挙で自由民主党の公約に掲げ、そして、内閣総理大臣が衆議院の本会議で道州制を進めるということで北海道のことをやっても、俄然とその方針に反対をする官僚がいるということも現実であります。

 なぜそんなことが起きるのか。それは、それぞれの省庁が省益を代表するような発言や省益にとらわれている、縦割り行政の弊害がここに端的に出ているという観点からであります。

 私は、縦割り行政をなくして、国、日本全体のことを考えるには、やはり省益、縦割りではなくて、全体の人事をやる省庁があってもいいのではないかなというふうに思っております。その点、内閣人事庁というものはすばらしい案だと思いますし、必ず実現をしていただきたいなというふうに思っております。

 そこで、いろいろ新聞各紙等によりますと、やはり指定職の任命権ですね。それを各省の人たちが推薦したりするというのは、私はそれは一概に否定するものではありません。適材適所の人間を探し出す人事ということについてはその省庁の中にいる方が一番詳しいということであって、それは私は否定するものではありませんが、やはりそれだけでは従来の形と同じになってしまいますので、国家的な、省益、縦割り行政を取っ払った形で国家国民の利益となると、やはり省益代表の人事がすばらしいということは必ずしも断定はできないのではないだろうかなと思っております。

 そこで、内閣人事庁の中でも人事について提案をできるということも検討されているというふうに聞いておりますので、この線だけは絶対に死守していただきたいなというふうに思いますし、省庁を代表する人間と内閣人事庁の構想と、やはり相談をした上で内閣総理大臣が任命をするという形にいけば私は好ましいと思いますし、それらについて邁進をしていただきたいなというふうに思っております。そうしないと、この国は、いつになっても省益あって国家なしということになってしまいますし、国家の中の省であってほしい、こんな基本的なことについて、やはりしっかりと制度として確立しなくちゃいけないというふうに思っているわけであります。

 先ほども町村官房長官が外務省の人事のことを言いました。そして、この前の郵政選挙のときは、またいろいろな形で人事異動があったやに聞いておりますが、やはり、国家のトップリーダーが部下を人事で采配できないということになると、国家の行政機能が麻痺してしまいます。政治家がやらなければだれもやりません。そんなことで、ぜひこれを進めていきたいというふうに思います。

 そこで、内閣の人事庁の中で、今取り組んでいる課題について、大臣にぜひお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 今、政府内部で協議をやっている途上にございます。

 櫻田先生御指摘のように、内閣の方針にきちんと各省が服していただくことが大事であります。そのためには、内閣の一員たる大臣の威令が行われる必要がございます。今までは、ともすると、各省仲間内人事を大臣の人事権と称してやってきた傾向があったのではないでしょうか。したがって、今回の案では、大臣の威令を行うために、大臣の人事権を強化するために、少なくとも幹部職員については、各省がたたき台をつくるにしても、内閣人事庁がその適格性審査を行う。場合によっては、内閣人事庁案という別のたたき台をつくる。そういたしますと、大臣の選択の範囲は広がっていくわけでございます。

 当然のことながら、大臣の威令が行われ、内閣主導型の体制が遂行されるわけでございまして、そういう方向性で我々も具体案を今検討している最中でございます。

櫻田委員 政治主導型内閣の確立へ向けて、渡辺大臣のエネルギッシュな行動を期待しておりますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 そこで、国家戦略スタッフとしての片道切符ですべきではないかと思っておりますが、内閣府は、ややもすると、内閣人事庁をやるとき、各省庁から人が出向のような形で出ますと、いずれ、二、三年たったら、またもとのそれぞれの省に帰りたい、帰れる、こういうことをやっているならば、やはり省益の弊害は取っ払えないのではないか。一たん各省から内閣人事庁に人間が来たら、もう帰れませんよ、ずっと内閣人事庁で国家国民の人事構想に携わってくださいよ、こういうことをしっかりと言えるような、そういうシステムにすべきではないかと思います。

 そうしないと、二、三年たったら、いや、うちの省からはだれだれが出ていますから、情報はそこから、こうです、ああです、こうやってしまって、それでそれぞれがいろいろな面で政治家に根回しをして、本来なら総理の意思と違うような方向に行くこともあり得ることですので、ぜひ片道切符としていただきたいが、その点、どうでしょう。

渡辺国務大臣 総理のもとに置かれた懇談会では、国家戦略スタッフについて、各省のゼッケンを外して片道切符にすべきではないかという御意見もございました。官邸主導の機動的な政策立案を行っていくためにはどうしても欠かせない裏方として、国家戦略スタッフは不可欠であると考えております。

 懇談会の答申の中では、内閣官房において、各省の立場を超えて、内閣の国家的重要政策の企画立案を機動的に行う職員として国家戦略スタッフを位置づけ、内閣総理大臣の判断で公務の内外から登用すること、また、公務内外の能力ある人材が国家戦略スタッフとして有効に活用されるよう登用のルールや退任後の扱いを整理することが提言をされております。

櫻田委員 その言葉を聞いて安心しました。

 ただ、それは提言がされていますというところの御答弁でございます。提言を実現化する、これが大臣の仕事でございます。私とその提言書の考え方が一致しておりますので、ぜひ実現化に邁進していただきたいな、そんなふうに思っているところでございます。

 それと、やはり最近、公務員と政治家の接触の制限といいますか、いろいろありますが、禁止しているわけじゃなく、そのルールづくりをしようということでございますので、必要以上の心配を私はする必要はないのかもしれませんが、我々は、政治家は、公務員から情報をとらなければ裸になってしまいますので、政策はかなり制限を受けると思いますので、これはやはり、公務員と我々の接触を制限するような形でなく、より多くの情報が得られるような形にしておいていただきたいなというふうに思います。また、政治家が公務員から情報をとるのは当然だと思いますし、それは大幅に規制してはならないということでございます。

 政治家が求めないのに官僚の意思で政治家をコントロールしようというその行動だけは厳しく取り締まるようにしていただきたい、取り締まるというか、制度としてあってはならない、こういうふうに思っているものですから、その辺もぜひ忘れないでいただきたいと思っております。

 そして、官僚の行政能力が若干最近は落ちているのかな、こう心配をしているところであります。例えば、厚生労働省の自立支援法におきましても、つくったにもかかわらず、つくったと思いましたら大騒ぎの、非常に国民に不評で、あっという間に変更する、変更しても異論が出てまた直すということで、そんなに短い間に法律を直さなければならないほどやはり政策能力が落ちてしまったのではないかということを私は非常に心配しております。その辺においては、能力が発揮できるような体制をひとつ人事庁のところでできるようにしたいというふうに思っておりますので、公務員の政策能力向上に対する心構えを聞かせていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 政策の企画立案というのは官僚の本来業務でございます。この本来業務がどうも衰えてきているのではないか、こういう指摘がございます。一つには、本来業務でない政官接触が忙し過ぎて、一週間のうちに何十人も国会議員に会う、もうそれが本来業務になってしまっている、そういう場合もあろうかと思います。

 そういたしますと、内閣の方針に従って複数の政策立案をしなければいけない点がおろそかになってきてしまう。だれそれ先生がこう言っていましたから、あるいは場合によっては、大臣の意見はさておき我が省の方針はこうなのでございますなどと、先ほど櫻田先生御指摘のようなとんでもない政官接触の実態もあるわけでございますから、こういったことはきちんと、大臣の威令が行われる、そういう仕切りのもとに、原則とルールのもとに接触は行ってもらう、そして、公務員の皆さんには政策の企画立案能力を高めてもらうということが大事でございます。

 そのためには、やはり懇談会の報告書で提案されておりますけれども、幅広い視野、高い専門性やマネジメント能力、こういった能力を養う機会を一定期間において計画的かつ集中的に付与することを目的として、幹部候補育成課程、仮称でございますが、こういうプロセスを導入することが提言をされています。また、官民交流の拡大、あるいは民間からの高い能力と専門性を備えた人材の登用なども提言をされているところでございます。

櫻田委員 終わります。

 どうもありがとうございました。

中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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