第4号 平成20年3月26日(水曜日)
平成二十年三月二十六日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 萩生田光一君
理事 村田 吉隆君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 大塚 拓君
加藤 勝信君 木原 誠二君
河本 三郎君 高市 早苗君
戸井田とおる君 土井 亨君
中森ふくよ君 西村 明宏君
藤井 勇治君 市村浩一郎君
吉良 州司君 楠田 大蔵君
佐々木隆博君 西村智奈美君
馬淵 澄夫君 石井 啓一君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(地方分権改革担当) 増田 寛也君
国務大臣
(内閣官房長官) 町村 信孝君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(食品安全担当) 泉 信也君
国務大臣
(規制改革担当)
(国民生活担当)
(科学技術政策担当) 岸田 文雄君
国務大臣 渡辺 喜美君
国務大臣
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 上川 陽子君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
政府参考人
(内閣官房公文書管理検討室長)
(内閣府大臣官房公文書等保存・利用推進室長) 山崎日出男君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長) 茂田 忠良君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 丸山 剛司君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 戸塚 誠君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 片桐 裕君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 米田 壯君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 門山 泰明君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 青山 伸君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
―――――――――――――
三月二十五日
犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
同月二十六日
憲法改悪に反対し、第九条を守り、生かすことに関する請願(笠井亮君紹介)(第六〇七号)
憲法改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第六〇八号)
憲法の改悪反対することに関する請願(笠井亮君紹介)(第六〇九号)
平和憲法の改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第六六二号)
同(笠井亮君紹介)(第七四二号)
憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第七一二号)
憲法の改悪に反対することに関する請願(笠井亮君紹介)(第七四一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房公文書管理検討室長・内閣府大臣官房公文書等保存・利用推進室長山崎日出男君、内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長茂田忠良君、内閣府政策統括官丸山剛司君、公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、警察庁生活安全局長片桐裕君、刑事局長米田壯君、総務省大臣官房審議官門山泰明君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、文部科学省大臣官房審議官青山伸君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。
○市村委員 おはようございます。民主党の市村でございます。三十分いただきまして、また本日も引き続き非営利法人、NPOの議論をさせていただきたいと存じます。
まず、今回、公益認定等委員会の事務局からいただきました公益法人制度改革の概要という中で、税制改正案が出ております。案ということでございますが、今国会で審議をしていることでございますけれども、この中で、今後、この公益認定等委員会が認めた場合、ガイドラインがもちろんあるわけですが、後半にそれをお聞きしたいんですが、特増並みの団体をもっとふやしていこう、こういう話でございます。
これにつきまして、まず財務省にお伺いしたいんですが、私が記憶していますところ、私は、もう十五年ぐらい前になりますが、細川政権の、特に日本新党という政党の政策の責任者をさせていただいておりました。そのときから実はこのNPOの問題に私はこの国会の中で取り組んでおるわけでございますが、そのときに、当時の大蔵省の高官の方が私が同席している席でこういうふうにおっしゃったことを覚えています。市村さん、この国は私たちが税金を使って公をなす、そういう国なんです、だから、あなたのような考えはこの国では違うんです、おかしいことなんです、こういうふうに言われたことを今でも覚えています。
しかし、今回のこの税制改正案は極めてそれと百八十度違った姿勢だ。当時は、恐らく国家公益独占主義といったものがあったんだと思います。その根拠法が民法三十四条だったわけでございますけれども、それが削除されたということで大きく変わってきた。この委員会でもそのことは大変評価しているということは申し上げましたが、その民法三十四条が削除されることになりまして、いよいよ本格的な非営利法人制度ができる、その土台ができ上がりつつあると私は思っています。
その中で、私は、今回の税制改正案は大変踏み込んだ内容である。特に十年前の、今特活法人と言われるもの、特定非営利活動促進法ができたときの議論の過程におきましても、特活法人といいますか、そういう新しい非営利法人に公益法人並みの税制を与えようという話はしていましたが、まさか特増までという話は当時はまだありませんでした。
それが、今回特増だということで、私はこれは十五年前のあの国家公益独占主義を言われた大蔵省高官の話からすれば百八十度違うと思っておりますが、これは、そういう方向で今の財務省はもう方向性を転換したというふうに理解していいかどうか。そのことだけお答えください。お願いします。
○古谷政府参考人 御答弁申し上げます。
今般の公益法人制度改革は、民間が担う公益の増進ということを目的としたものでございまして、こうした制度改革の趣旨に対応した税制措置を講ずることが求められてきたというふうに認識をしてございます。
こうした認識のもとで、現在国会で御審議いただいております平成二十年度の税制改正におきましては、寄附税制の見直しを行うこととしてございまして、御指摘のございましたように、公益認定等委員会の関与のもとで公益認定を受けた公益社団、公益財団につきましては、税制上の特段の追加的な要件を付すことなく特定公益増進法人の対象とするという方向で、寄附優遇を受けられる仕組みを導入したいというふうに考えているところでございます。
○市村委員 そのことは当然わかった上で私がお聞きしたかったのは、十五年前いわゆる国家公益独占主義を語られた皆さんの先輩方とは大きく考え方を百八十度変えて、今後は財務省も、いわゆる民間の公益セクター、私は民の公と言っていますが、このセクターについて前向きに考えていくということでいいかということをお聞きしているんです。それだけ、イエスかノーかでお答えください。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
繰り返しになりますが、今回の公益法人制度改革の趣旨に沿いまして、民間が担う公益活動を税制面からも支援するという観点から、今回の措置を講ずることとしてございます。
○市村委員 これはもう百八十度変わったと私は認識をさせていただきます。
それで、今御答弁の中にもありましたが、これから公益認定等委員会の関与をもってというお話がありました。いよいよこの公益認定等委員会がこれからは大きな役割を発揮するべきだというふうになったと思います。
その公益認定等委員会なんですが、岸田大臣にお伺いしたいんですが、制度は、一応方向性としてはそういう民間の公益活動をもっと活発にしていこうというのは今ありましたし、これまでもこの委員会でも議論をしました。しかし、実質的に本当にそれを実行できるかどうかということにかかっているわけです。
そのときに、これまでのように、一応仕組みとしては特増並みにする制度はつくったけれども、やはりそう簡単にはふやせないぞと抑制的に物事を考えて進めていくのか、そういう考えのもとにガイドラインをつくるのか。いやいや違う、せっかくそこまで踏み切ったんだから、民間の公のセクター、NPOセクターですけれども、これをもっと拡大していくと。そのためには、例えばこの特定非営利活動法人につきましても、特活法人は認定特活法人になれるんですが、これは七年間で七十団体です。つまり年間十団体ぐらいしかそういう特増並みになっていないんですね。こういう抑制的な態度で今後もいくのか。
すなわち、一年間十個ぐらいつくりゃみんな納得するだろうという考えでやるのか。いや違うんだ、この公益認定等委員会で年間一万団体ぐらいずつどんどんふやしていく。いや、もっとふやしてもいいというぐらいの、要するに、抑制的なのか、それとも、もっとどんどんふやしていくという方向でこれを特増並みにしていくということに考えるのか、これは全然違うわけです。その違う考え方のもとにつくられたガイドラインもおのずと違ってきます。
どちらの方向なのか、岸田大臣にお答えいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 新たな公益認定制度におきましては、従来の主務官庁の許可制による裁量判断から、明確な基準に基づき第三者委員会において客観的かつ公正に判断していく方式に改めることになっております。そのことによりまして、今委員御指摘になられましたように、民による公益の増進を図っていく、こうした考え方に立っております。
明確な基準になるということですので、法人の組織、事業、財務を必要に応じて見直すことができるわけですし、現行許可制に比べて認定を得やすくなるという面がある、これは十分考えられます。そして、不認定になった法人も、必要に応じて、移行期間内であれば何回でも申請することが可能という制度になっております。こういったことから、現行の特定公益増進法人との関連で申し上げますならば、現行公益法人のうち、特定公益増進法人となっているものが約九百ございます。約二万五千ある現行公益法人のうち、特定公益増進法人になることが想定される新しい公益法人に移行するのは、結果的にはこの九百という数字を上回るものと見込んでおります。これはあくまでも想定でありますが、そういった見込みを持っております。
○市村委員 大臣、ぜひとも僕は大臣のお言葉で語っていただきたいんです。九百を超えるのは、それは当然だと思います。しかし、その九百というのも、実は明治三十一年以来、百年以上かけて九百なんですね。この国では百年以上かかって九百なんです。
つまり、そういったテンポの流れを今後も続けるのか、それとも、民間の公の公益活動をもっと発展させたいという考え方から、例えばガイドライン一つつくることにかんがみても、抑制的な考え方を持って、方向性を持ってガイドラインをつくるのか、もっとふやそうと思ってガイドラインをつくるのかでは、ガイドライン自体が変わってくるんですね。認定基準自体が変わってくるんです。だから、やはりガイドラインをつくる前に、どういう志でガイドラインをつくるのか、これが大きく問われているわけです。
つまり、百年以上かかって九百、認定特活法人だって七年かかって七十、この程度のペースで行くのか、それとも全然違う考え方に立つのかということを大臣のお言葉で聞きたいということでございます。
○岸田国務大臣 このたびの制度改革は、民による公益の増進という大きな哲学の転換を盛り込んだ制度であります。我が国のこうした民による公益の増進、民による公益とのかかわりにつきまして大きな考え方の変化をしっかり受けて制度改革を行っているわけであります。
そうした哲学に基づいてつくられました制度、必ずや結果にも反映されるべきものだというふうに考えております。そして、結果として特定公益増進法人になる新しい公益法人、移行される数は、従来より数がふえるということにつながるものと考えております。
○市村委員 今、哲学の変換と大臣がおっしゃっていただきましたので、それを私は信じてこれから議論を続けたいと思います。
それで、いよいよそういう哲学の変換、いわゆる財務省、当時の大蔵省からは百八十度考え方を変えて、国家公益独占主義からやはり民間の公の機関、民間の公益のセクターをもっと活性化させていこうということに踏み切った。その流れの中で、公益認定等委員会が認めたものにつきましては、しかもガイドラインも、今大臣がおっしゃっていただいたように、哲学の変換、すなわち民間の公益を増進するという哲学に基づいてガイドラインをつくるのであれば、当然、数は圧倒的にふえてくる、激増する、私はそういうふうにならないとおかしい、こう思います。
そこで、大きな議論が出てくるわけです。すなわち、これまでこの委員会でも議論してきましたいわゆる特定非営利活動法人なんです。この存在意義が、そうなるともうないというふうに私は思っています。
特活法人の皆さん、今三万三千団体ありますが、つまり、この存在が意味がないと言っているわけじゃありません。これは、やはり新しい制度、いわゆる一般財団、一般社団の制度に直ちに移行すべきだ、私はこういうふうに思っています。
なぜならば、そもそもこの特活法人が生まれるときの議論を考えますと、今後、いわゆる公益法人改革として行われようとしている流れこそがまさにあのときの議論の流れなんですね。すなわち、法人格を準則主義的に登記で取れるようにする、取得できるようにする、そして、その後、いわゆる寄附優遇も含めた税制優遇措置をとる、こういうふうなことを求めていたわけですよ、当時、十数年前から。その結果、結局、法人格の付与のみというような法律に落ちついたということでございます。
この問題点につきましては、また改めて一時間か二時間いただけたらやりたいと思いますが、きょうは時間がないのではしょりますが、結果として特活法人法ができた。しかし、十年たってみて、この間もここで申し上げましたように、半分以上が休眠状態だと私は思います。お金がないんです。資金がなくて、もう活動を維持することができません、発展させることができません。ほとんど休眠状態に陥っていると考えていいと私は思います。
つまり、そういう状況じゃなくて、今回いよいよ税制改正案も含めた制度ができようとしているのであれば、特活法人につきましても、新制度に移行させるべきだ、皆さん一緒になってやっていくべきだ。そうすると、特活法人は三万三千ありますから、三万三千の例えば一般社団法人が生まれるということになりまして、七十ある認定特活法人につきましては、同時にそのまま新公益法人といいますかに移行させるとすれば、最初から三万三千と七十の団体ができる。かつ、今進めていらっしゃるいわゆる今の民法法人、公益法人につきましても、私はこれは自動的に移行させるべきだという考え方を持っています。
そこで、ちょっと渡辺大臣に私はお聞きしたいんですが、渡辺大臣は行革担当大臣でもあられました。私は当時、民法法人なのになぜ行革委員会でやるんだということを指摘させていただきました。そのときに、いや、民法法人なんだけれども、やはり結局は今渡辺大臣が取り組んでいらっしゃる天下り先等々にこの公益法人が利用されているから、これはもう行革でやるしかないんだという中で、行革委員会でこの民法法人が、民法ですから、民法法人ですと民の法人ですから、これが行革で語られてしまった。
私は、やはり前もこの委員会でも御指摘申し上げましたが、二つの流れがある。過去の清算の流れ、すなわち、例えば天下り先と化してしまった公益法人をきちっと清算する、整理する、こういう過去の清算の流れと、今後、まさに民の公の機関であるNPOセクターを育てるという未来を形づくる考えと二つあって、これは別個のものなんだと。それが今がんじがらめに絡み合っちゃっているから大変問題だ、わかりにくくなっているということもこの委員会で御指摘させていただきました。
それで、私は、この公益認定等委員会から過去の清算の流れ、すなわち、今ある公益法人の、例えば天下り先をどうするかとか、そういう流れは切り離していただいて、公益認定等委員会はもう未来を形づくる仕事に特化していただいて、やはり過去の清算は、例えば内閣府と税務署と警察とか、そういった機関がチームをつくって、そしてその公益法人に乗り込んでいってやる、きちっと清算していくということの方がいいと思います。
これは、ぜひとも岸田大臣からこの仕事は奪っていただいて、渡辺大臣の方で、私、実はさっき改めて渡辺大臣の所信をこの委員会の前に読ませていただいておったんですが、前の国会では、渡辺大臣、何かちょっとトーンダウンしていませんかと大変失礼なことを申し上げましたが、今回は、トーンダウンどころか大変すばらしい所信表明をされているということでありまして、この大臣の意気込みで、公益法人改革のあしき部分、過去の清算の部分は渡辺大臣の方で引き取っていただいて、チームをつくってやっていただきたい、こう思っておりますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 行政委託型の公益法人とか補助金漬け法人とか、御指摘のような天下りの温床となっているようなそういう法人につきまして、私も、新しい制度のもとでどう考えていくべきか、今研究をしているところでございます。
これは増田総務大臣の方の御担当でございますが、三分の一ルールというのがございます。これを、たしか三月四日に、総務大臣から各閣僚に対しまして、所管法人の指導監督の徹底をするようにという御発言があったところでございます。この延長線で、果たして新制度では三分の一という基準が妥当性を持つのか、はたまたこれを強化すべきなのか、今そういったところを研究しているところでございます。
○市村委員 大臣も苦しい立場かもしれませんが、さっきも申し上げたように、過去の清算の流れは、これはもう、増田大臣でもいいんですが、少なくとも公益認定等委員会からは外していただきたいという思いであります。つまり、過去の清算の流れと未来を形づくる流れをやはり一つのところに押しつけてはいけない。だから話が非常にややこしくなるんです。過去の清算は、民法法人なのにもかかわらずせっかく行革でやったんですから、やはり行革の流れでやっていただきたい、公益認定等委員会は未来を形づくるために特化していただきたい、こういう思いでございます。
それで、岸田大臣に戻りますが、この特活法人なんですけれども、さっき私、存在意義がないと申し上げました。結局、この新しい制度がないならば特活法人の意義も多少あったと私も言いたいと思いますが、しかし、もう新しい制度ができて、すなわち、当時求めていた制度が八割方できていると私は思います。
きょうお手元に資料も配付させていただきましたが、もうあと二割なんですね。今ようやく八合目まで来て、頂上が見えてきました。しかし、その最後の二割、八合目から頂上のアプローチが一番危険でありますし、一番命を落としやすいところでありますから、これはもう、たとえ見えているといってもそう安心はできないんですけれども、いよいよ八合目まで、いわゆるNPOセクターを形づくる流れは来ている。それはしかし、一に公益認定等委員会にかかっているわけです。
私は、この公益認定等委員会は、公益委員会にして、三条委員会にして、例えば公取とか会計検査院と同じ立場を与えるぐらいの組織だということはこの委員会でも前に御指摘申し上げましたが、それぐらいの役割を果たすこれからの立場だ、委員会だと僕は思います。きょうはもう時間がないので、その公益認定等委員会の中身まではまだ議論できませんが、少なくとも公益認定等委員会がこれから大きな役割を果たすんだということだけは御指摘申し上げます。
それで、特活法人なんですが、そうなると、特活法人が何のために存在するのかということに私は疑問を持ちますが、この状況の中で特活法人が存在する意味というものを岸田大臣としてはどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 特定非営利活動法人につきましては、委員御指摘になられましたように、この制度発足後約九年で、その法人数は三万三千件を超えております。さまざまな分野で活動が広がっており、行政でも、また企業でもない新たな社会づくりの担い手として活躍していると認識をしております。そして、この制度は、認証という簡易な手続によって法人格の付与と公益性、これが同時に認められる制度であります。
一方、新たな公益法人制度、これからスタートする公益法人制度におきましては、非営利性というのは要件にするものの、設立の目的は問わず、公益性を要件としていない、こういった制度になっています。こういったことで、制度にそもそも違いがあるというふうに認識をしております。
そして、そもそも、この制度を議論する際に、特定非営利活動法人の関係者の皆様方から、一緒にすることについて強い反対があったということ、これについても聞き及んでおります。こうした経緯を踏まえて、ことし十二月から新しい制度をスタートするということでありますので、今、このスタートに向けて各関係者が準備に努めている状況であります。
ぜひ、こうした基本的な制度の違い等も頭に入れて準備が進んでいるわけでありますので、こうした制度を予定どおりスタートさせるということ、混乱を招かないという意味でも大変重要だというふうに認識をしております。
○市村委員 岸田大臣、本当に私は、官僚の言うことを聞かないでほしいと思います。本当に現場の特活法人の皆さんの声を聞いていただきたいと思います。この特活法人の皆さんは、わからないんです、どういう状況になっているか。今みたいな大臣の説明をされたら、ああ、そういうものかとしかみんなとらないと思いますね。
しかし、特活法人の皆さんが求めているのは、まさに、せっかく志を持った活動を始めて、その活動が、やはりしっかり資金が入ってきて、維持できて、しかも発展させたい、このことだけなんですね。そのための制度をつくるのが、我々政治家とか、いわゆる霞が関の仕事だ、官僚の仕事だと思うんです。
そのときに、今大臣おっしゃったんですけれども、今大臣のおっしゃったことは、一部は正しいんですけれども、実はもっと深く、よく聞いていただけると違うんですよ。例えば、公益性があるかないかは今回、税の方にゆだねられた、それは事実なんです。ところが、今から財務省に聞きますが、結局、今回、一般社団だって、今の特活法人と同じような税制ステータスを持てるような仕組みになっているんです。
そうですね。ちょっとそれをお答えください、財務省。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
一般社団、財団の場合には、準則主義によりまして設立が基本的に自由でございまして、多様な態様の法人が出てくることが予想されます。中には、公益認定を受けることを前提に法人格を取得する法人ですとか、同窓会などの共益的な活動を行う、そうしたことを目的とする法人もあろうかと思います。
こうした点を踏まえまして、今般の税制改正案におきましては、一般社団、財団のそれぞれの態様に応じた課税を整備するという観点から、一律に課税するのではなくて、剰余金や残余財産の分配に厳しい制約を設けて、非営利性が徹底されている法人、あるいは、会員から受け入れる会費によって会員に共通する利益を図る活動を主たる目的とする法人、こういったところにつきましては、収益事業課税という形で実態に即した措置を講ずることとしているところでございます。
○市村委員 いろいろおっしゃいましたけれども、要するに、特活法人と同じような税制ステータスの余地は残したんです。いわゆる公益法人にならなくたって、一般社団においても残しているんですね。だから私は、先ほど申し上げたように、移行できると言っているわけです。
すなわち、まさに大臣がおっしゃったように、今認証で法人格を得ている法人であればこそ、今度の一般社団に移行した段階で自動的に、今財務省がおっしゃったような措置として、いわゆる会費収入とか寄附収入とか、それから、いわゆる補助金ですね、税金ですよ。税金を補助金とか研究委託費とかで受けた場合に、それについては、今で言う非課税。今度は原則課税ですから、免税となります。形が変わります。免税をしていくという制度があるんですね。だから、特活法人が一緒になったって、今と同じなんです。
むしろ、認証よりも、今度は登記なんですね。当時は、準則主義的に登記で法人格を取得できるような道を開こうという議論をしていたんです、まさに十数年前。その結果として、当時、民法三十四条がありましたから、それはなかなか、許可制度のもとの特別法人ということで、特別法としてつくらないかぬという限定がありましたから、いわゆる特定非営利などというややこしい話になっちゃったんですね。しかし今、もう民法三十四条は削除すると、国会の意思ですよ、私はこれはすごく革命的なことだと思っていますが、そういうことをやったんです、国会は、この国は。
そして、いよいよ税制についても、あの大蔵省がと私は言いたいんですけれども、百八十度転換したんですから、もうこの期に及んで、もはや流れは変えているわけです。まさに、岸田大臣は哲学が変わったんだとおっしゃっているわけですから、そうであれば、ここはもう、あるべき姿にあとは邁進するだけなんです。そういった意味では、今、渡辺大臣がやろうとされている流れと一になっているんですね。この流れは一なんです。だから、もうここまで踏み込んだら、これは特活法人も含めてやりたい。
私は、きょうお手元に資料をお届けしていますが、要するに、今、一般社団、一般財団法ですけれども、これをやはりもう少し広く考えて、NPOというのは、今お手元にありますように、実は、学校法人とか社会福祉法人等、あとは共済組合も含めたことを、世界的にはNPOと呼んでいるわけです。そういった意味で、本当はそういうのを含めて、いわゆる非営利法人として整理する。
今の一般社団、一般財団法を一部改正するだけです。条文は九五%同じです。五%変えるだけで、一部改正するだけで今お手元にあるような法律になります。実は、もうつくっています。そういう法律にして、NPOというものは何なのかということをもう一回この国で、しっかりと私たちは認識していく作業が必要だと思います。その上で税制優遇をしっかり与えていく。
その流れは、先ほどからあるように、流れとしては、方向性というのは一なんです。そのときに、たまたまそこに国税庁長官と書いていますが、今回、公益認定等委員会があるのであれば、先ほど申し上げたように、これをもっと強化して、三条委員会にして、公益委員会にして、そして、ここが強い権限を持って、民間の公のセクターをつくっていくんだ、未来の志に向けてやってほしい、こういう思いなんです。岸田大臣、ぜひとも。
それから最後に、町村官房長官、きょうはお時間をいただきましたけれども、この間の委員会のときは、去年ですけれども、大変前向きなお話をいただいたと私は思っています。きょうの議論を聞いていただいて、また改めて町村官房長官の思いを、お志をぜひとも聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○岸田国務大臣 いろいろ御指摘いただきまして、ありがとうございました。
まず最初の、税制につきましてちょっと整理させていただきますと、確かに、一般社団、一般財団法人制度、新しい制度、非営利性が徹底された場合は特定非営利活動法人と同じく収益事業についてのみ課税されるということになるわけですが、ただ一方で、認定特定非営利法人制度、寄附に関する制度があります。これにつきましては、税制改正等によって、より認定要件が緩和される等、改善措置が盛り込まれた、こうした優遇の度合いが高まったという状況にあります。
一方、その寄附につきましても、一般社団、一般財団が公益認定を受けなければいけないという仕掛けになっていますので、現状、もう八割方なったという御指摘をいただきましたが、現状においてもこれはかなり大切な選択を要するというのが今の制度であります。その辺はぜひ御理解いただきたいと存じます。
○町村国務大臣 私、前回、市村委員からお尋ねがあったとき、そんなにエンカレッジングなお答えをしたかどうか余り定かではございませんけれども、今岸田大臣言われたように、十二月一日から新しい制度が始まる、まさにこれは大改革だと私も思っております。
そういう中で、今委員のおっしゃる意味もわからないではないんですが、こちらでなければならないということに今慌ててする必要は私はないんだろうと思うんですよ。どちらの法人制度を選択するかは法人の自主性に任せる。そして、ほとんど、圧倒的なものが全部乗り移るのであれば、その時点で今ある特定非営利活動法人制度というのをやめればいいのであって、私は、さあ全部こっちに乗り移りなさいと強制するほどのことはないんじゃないのかなと。まず十二月一日の法律を施行してみて、その中で混乱なく皆さんが移るようであれば、そこでまた改めて制度を変えることも、それはあるのかもしれない。
あるいは、先ほど岸田大臣は、NPOの中にもいろいろな御意見があるようですねと言われた。私の聞いている限りでもそういう意見があるという話も聞いておりますから、余りどっちかに法律で決めつけてしまい過ぎない方が、かえってこの移行時期はいいのではないのかな、こう思っております。
○市村委員 別に、強制をするということを私は申し上げているわけじゃありません。ただ、ほとんどの方は制度がわかりません。とにかく自分の志を実現したいという思いでやっていらっしゃる方が多いということであります。制度的にはこちらの方が圧倒的にいいわけです。ですから、それはやはりそっちの方に向かわせてあげる方が私は親切だと思います。
最後にしますが、結局、特活法人はプロトタイプなんです。プロトタイプをどうぞ使ってくださいと言いました。しかし、プロトタイプでしたから、使っているうちにいろいろな問題点も出てきました。いろいろな問題点も出てきたんですけれども、何とかいいもの、何とか将来よくなるんだろうなと思いながら、一生懸命自分なりに直しながら、または工夫しながら使ってきたわけです、プロトタイプを。
ところが、今回、新しい新製品が出てきたんです。新製品が出てきて、まさにこの新製品こそが、みんなが求めていた新製品に近いわけです。そうしたら、この新製品を、一生懸命プロトタイプで御努力いただいた方に今また買ってくださいというのは、これは極めて失礼な話であって、だから、よくぞ今までプロトタイプを信じてやっていただきました、新製品が出ましたので、皆さん御努力いただいたので無料で交換させていただきますということだと私は思っています。それで、これまでプロトタイプに飛びつかなかった方は、新製品をちゃんとお金を払って買ってください、これはいいものですからという話になると思います。
だから、そういう意味で、どちらかというと、ある種、法人格だけとかいうことでこれまで御努力された皆さんに対して本当にいいものをお渡しするということだと私は思っていますので、またこれは議論させてください。
きょうはありがとうございました。
○中野委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
昨年十二月の五日の当委員会で、私、宇宙の平和利用という国会決議に関連して質問しました。きょうは、改めて平和利用決議について伺っておきたいと思うんです。
この平和利用決議によって宇宙の軍事利用はできないという立場なのか、それとも、国会の平和利用決議があっても宇宙の軍事利用はできるという立場なのか、政府の考え方というものを最初に官房長官に伺います。
○町村国務大臣 昭和四十四年五月の衆議院の決議につきましては、「平和の目的に限り」という表現があるわけでございまして、今政府が宇宙に関するいろいろな施策を行っておりますが、御指摘の国会決議の趣旨を尊重して行われているというふうに考えております。
この決議につきましては、これまでも、その解釈につきましていろいろ国会においても議論がされているわけでございまして、国会の決議でございますので、まずもって国会で十分御議論をいただきたい、そういうふうに私どもは受けとめているわけでございます。
○吉井委員 今のお答えで大体尽きているかなと思うんですが、改めて、軍事のための宇宙開発はしないというのが政府の考え方ということで理解しておいていいですね。重ねて伺っておきます。
○町村国務大臣 これは昭和六十年の衆議院予算委員会で加藤防衛庁長官が答弁をしておられますが、「この「平和の目的に限り」ということにつきましては、これまで国会で非軍事を意味する等との御議論がなされてきたところでありますので、政府といたしましても、これらの御議論を踏まえ、慎重に対処しなければならないと考えてきたところであります。」このような防衛庁長官の答弁がございますので、私どももそのように考えているわけであります。
○吉井委員 十二月五日の当委員会で、寺田政務官の答弁によっていろいろなことがお聞かせいただけたんですが、自民党には日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会という勉強会があって、山崎拓議員、河村建夫議員が顧問、座長は、現在空席ですが、かつて石破茂防衛大臣、そして、額賀福志郎財務大臣、元防衛庁長官も顧問であったということが明らかにされております。また、産業界からは、日本航空宇宙工業会からは、同工業会常務理事、日本電気、三菱重工業、三菱商事、三菱電機、IHI、川崎重工業、IHIエアロスペース、東芝、日立製作所の幹部が専門委員として入っていることも明らかにされました。さらに、委員の中には防衛省幹部もおられて、防衛政策局長、技術監、防衛政策企画官がメンバーであるということも明らかになりました。寺田政務官は、安全保障の観点から宇宙の利用開発の検討を行っていることも明確に答弁されました。
つまりこれは、国防族の国会議員と防衛省、それに軍需産業である航空宇宙工業会傘下の企業の、政軍財三者一体となって現実に宇宙の軍事利用を検討しているということがわかったものです。
内閣官房が偵察衛星を情報収集衛星という名前で今やっておりますが、この性能を高めるための実証衛星も打ち上げ、現実には、宇宙の平和利用決議に反する、そういう姿もあります。
ところで、文部科学省に伺っておきたいんですが、文部科学省も宇宙の軍事利用について研究しているのではないかと思われることがあるので、伺います。
日本電気が昨年十一月十六日に、防衛省の共済組合直営施設のグランドヒル市ケ谷においてNEC宇宙防衛フォーラム二〇〇七を開催しました。ここには二人の講師が来られて、元アメリカ空軍大将ラルフ・エド・エバハート氏を講師とする国土防衛における宇宙利用、二人目の方はアメリカ戦略国際問題研究所のディレクターで、ジェームズ・ルイス上級研究員を講師として、宇宙と国家安全保障という、この二つの講演が持たれましたが、日本電気の宇宙防衛フォーラムの資料を見たんですが、内容は宇宙開発というより軍事が中心のものです。
当日のフォーラムには、文部科学省からも、宇宙開発委員会の松尾委員長、青江委員、池上委員、同行者として片岡研究開発局参事官の合計四人の方が参加していたというふうに思うんですが、まずこの四人の参加を確認しておきます。
○青山政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま委員御指摘のように、宇宙開発委員会委員、委員長及び当局の参事官が参加しております。
○吉井委員 私、文部科学省では国会決議などもう吹き飛んでしまっていて、感覚が麻痺しているんじゃないか、違和感すら持つことなく参加していたのは少し異常じゃないかというふうに感じました。
私の質問主意書への昨年七月十日の政府答弁書においては、日本の宇宙開発は平和利用決議の趣旨を尊重して行われていると答えてもらっていますが、そこで官房長官、現実に防衛関係の政軍財三者一体となって宇宙の軍事利用を検討しているということ、そこに防衛省も参加してなんですが、これは政府答弁とは異なる事態が現実には進んでいるということではありませんか。
○町村国務大臣 いろいろな方がいろいろなお立場でいろいろな議論をしているということはあるんでしょうけれども、私は、今委員が言われたような勉強会ですか研究会ですかがどういう活動をしているのかちょっと詳細に存じ上げませんので、ちょっとこれ以上のお答えはしかねるところであります。
○吉井委員 これは政治家がどこかで勉強会をしているという話じゃなくて、そこへ防衛省の現職の幹部が入って、防衛省の方がそれを研究しているというのは、口では平和利用の国会決議尊重だと言っているわけですけれども、しかし一方では宇宙の軍事利用の検討を行っているというのが、まず事実ではないかと思われます。
防衛省に伺っておきますが、自民党の日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会に参加した人は、これは防衛省からの資料によりますと、防衛省の中枢が単なるオブザーバーじゃなくて委員として関与しているんですね。相談役には守屋事務次官、昨年九月からは増田事務次官、委員としては金澤防衛政策局長が現在も、佐々木技術監も現在もですね。事務次官というのは防衛省事務方のトップ、技術監は防衛省の技術に関する重要事項について総括整理するポストですね。
また、日本航空宇宙工業会の常務理事二人のポストがありますが、この二人について私も伺いました。そうすると、田中俊二さんという常務理事は元防衛庁技術研究本部技術開発官ですね。宮部俊一さんは元防衛庁航空自衛隊航空安全管理隊司令。つまり、常務理事のポスト二つとも防衛省からの天下りが占めているというのが現実です。
防衛省は表立っては宇宙の軍拡はやっていないと説明するわけですが、実際には、政軍財一体となって宇宙を軍事利用しようと積極的に活動しているのは明らかではないかと思うんですが、防衛省、どうなんですか。
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
今先生の御指摘になりました日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会というのは確かに存在いたしますが、この会議は、安全保障分野で宇宙技術をどのように活用できるかということを政官財学の有志が集まって考える会、勉強会だというふうに私ども承知しております。
先生御指摘になりましたように、我が省からも何人かが参加しているという実績がございますが、これはあくまで、宇宙利用に関します防衛政策を企画立案、遂行する上で情報収集あるいは意見交換を目的として当勉強会に参加しているものでございまして、御指摘のような、防衛省あるいは政治家あるいは産業界が一体となって宇宙の軍事利用の促進を目的として、そういった趣旨で参加しているわけではございません。
○吉井委員 既に報道もありますように、日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会の座長だった石破防衛大臣は、自民党政調の中にある宇宙開発特別委員会で、わが国の防衛宇宙ビジョンという題名をつけた提言を発表していますね。当然、防衛省の委員の方も参加してまとめた提言です。
この中で、なぜ宇宙が必要なのかということを問いかけて、その一で、ミサイル防衛における宇宙利用の必要性という部分で、射程千三百キロ級から二千五百キロ級のミサイルの発射と追尾について、地上や海上の対空レーダーが検出不可能なブラインド領域は早期警戒衛星と宇宙追尾監視衛星だけが可能である、つまり、ミサイル発射直後は宇宙空間軌道上にある衛星だけが検出可能な範囲であると強調しているんですね。そして、「ミサイル発射点が遠距離になればなるほど、自律的宇宙インフラを利用しなければ、ミサイルの発射探知時間の短縮・追尾監視が困難になる」と結論づけていますね。これは防衛省も委員として参加しての提言なんですよ。
防衛省は、日米共同で開発中のBMDシステムは、宇宙開発の成果を軍事にも利用しなければそのシステムは十分なものにならない、つまり、BMDシステム開発にとって早期警戒衛星と宇宙追尾監視衛星が必要になるという提言をしていらっしゃるんですが、この考えなのかどうか伺います。
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
まず最初、報告書の内容について御指摘ございましたが、報告書の内容については、必ずしも防衛省の考え方を反映させたものではございません。それをまず一点お断りさせていただきたいというふうに思います。
それから、BMDシステムについての御質問があったわけでございますが、先生のおっしゃっている宇宙技術開発の成果を利用しなければと、そこら辺の意味合いというのが必ずしも私ども明らかではないと思いますが、仮におっしゃっている意味合いが、衛星を利用した通信とか情報収集が我が国のBMDシステムを運用する上で不可欠かという意味合いでのお尋ねでございますれば、我が国の整備するBMDシステムにつきましては、我が国が独自で整備いたしますレーダー網等によって、我が国に飛来する弾道ミサイルの探知でありますとか追尾を行うことが可能でございますので、衛星を利用した情報収集等がなければ運用できないというわけではございません。
ただ、先ほど先生からも御指摘がありましたように、一般的に、例えば画像情報で得られる情報というのは、弾道ミサイル活動を含みます軍事活動を把握する上で非常に有用でもございますし、それから米国からの早期警戒衛星により得られました情報についても、弾道ミサイルの発射の早期探知、こういうのが可能になりますので、そういう意味合いでは、弾道ミサイル防衛に万全を期する等の観点からは有益であり重要であるというふうに考えております。
○吉井委員 今のお話を伺っておりまして、つまり、国会決議について政府としていわゆる一般化理論という解釈を下しておりますが、その一般化理論の範囲では、やはりこれは十分万全を期すことはできない。早期警戒衛星と宇宙追尾監視衛星が必要になっている。しかし、これは一般化理論ではできないから、だから、宇宙の平和利用国会決議が妨げになっている、宇宙基本法が必要だというのがこの考え方の根底にあるものだというふうに今のお話を伺っておって理解をいたしました。
わが国の防衛宇宙ビジョンのその二という部分では、情報収集における高分解能偵察衛星の必要性を説いて、「偵察目的の情報収集においては、商用観測、これは一般化理論の範囲でいけるものですが、それ以上の高分解能が要求されるため、独自に高分解能偵察衛星を開発すること、並びに運用上複数機による偵察体制確立が必要」と述べて、偵察目的での要求レベルでは、衛星の分解能は最低でもレベル六の四十センチから七十五センチ以下であると言われておりますが、現在の情報収集衛星は分解能が大体一メートルと言われておりますが、昨年二月に打ち上げた情報収集衛星レーダー二号機と、一緒に打ち上げた情報収集衛星光学三号機の実証衛星は分解能を何センチまでにしようとするものなのか。
これは担当しているのは内閣官房ですから、伺っておきたいと思います。
○茂田政府参考人 お答え申し上げます。
情報収集衛星光学三号機の実証衛星の分解能の具体的な数値につきましては、情報収集衛星の性能等にかかわる事項でございまして、今後の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えを差し控えさせていただきます。
○吉井委員 実はこれは、レベル五までだったら一般化理論の範囲でいけるという話ですね。だから、そのレベルが、今答えを控えたいとおっしゃるんだけれども、四十センチ以下のもので実証をやっているとなると、これは、今の国会決議をなきものにしないことにはやれない話になりますね。結局、そこをあいまいにするということは、情報収集衛星で津波の観測その他精緻に観測するんだったら、公開すればいいわけですから、何ら支障がないものだということを言っておかなきゃならぬと思うんです。
わが国の防衛宇宙ビジョンのその三、その四の部分では、自衛隊のイラク派遣時に、インド洋派遣時の通信機器を引き合いに出して、即時利用ができたのは民間の通信衛星のインマルサットで、これは音声通信の低速回線であったことや、大容量確保のための商用衛星の専用利用には数カ月、作戦系などの秘匿系の通信構築には一年以上を要したことが書かれております。さらに、「今後重要となる自衛隊の国際活動に際しては、即時利用開始可能でセキュリティー等にすぐれた大容量通信が必須であり、これを実現するためには防衛専用通信衛星の保有が不可欠」と述べております。
そこで、町村官房長官に伺っておきたいんですけれども、一般化理論に立つ場合は、防衛専用通信回線を保有することはできるという政府の立場なのか、それとも、一般化理論を、やはりこの考え方をなくさないことには防衛専用通信衛星を保有することはできないという考えなのか、これは大臣に伺っておきます。
○町村国務大臣 今委員が言われました軍事通信衛星というものがどういうものなのかというものが明確でないといかぬのでしょうけれども、政府としては、自衛隊の通信衛星の利用に関して、一般論として申し上げれば、その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星についてその利用が認められるものである、このように考えます。
そして、今委員はBMDの話をされたわけでございますが、これは、平成十年十二月に内閣官房長官談話がBMDに関する日米共同技術研究に関して出されております。
これによりますと、「BMDシステムが、我が国国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段であることを踏まえれば、BMDシステムに関して我が国が主体的に取り組んでいくことは、本件国会決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念にも沿ったものであり、国民各位の御理解をいただけるものと考えている。」というふうに述べておりまして、BMDというのは、純粋に防御的なものであり、日本の平和と安全を保つためにこういうものが必要であるということであれば、平和利用というその決議の趣旨は大切でございますけれども、また、そのことによって日本の国民の安全の確保というものがやはり担保されなければならない、そのこともあわせやはり考える必要があるんだろうと私は思います。
○吉井委員 防衛専用通信衛星とか警戒衛星、宇宙追尾監視衛星とかになると、それから分解能が四十センチ以下とかになってくると、これは現在の国会決議、一般化理論の解釈ではやっていけないというので、そこに宇宙基本法を考えていこうとしている動きがあるということ、それで、そこを政府としても非常にあいまいにしておられる、私、今BMDそのものについて聞いているわけじゃないんですけれども、そこをあいまいにしておられるということが今の答弁でもわかったわけです。
宇宙基本法をつくって宇宙安保に進出するということは、アメリカや中国の衛星破壊実験などの動きを見ても、これは世界の平和と地球環境破壊につながってくる危険な企てと言わざるを得ませんから、平和利用の国会決議は、今になって世界の大局から見ればグローバルスタンダードになる非常に先駆的なものだと深く銘すべきであるということを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。
○中野委員長 次に、楠田大蔵君。
○楠田委員 民主党の楠田大蔵です。
本日は、国家公安委員会の関係と、そして科学技術関係について質疑を行いたいと思います。
先日、朝日新聞の政治・社会意識基本調査というのがありましてなかなかおもしろい統計が出ておりまして、社会の中でどういうものを信用し、信頼するかというのを問うているものです。ここにありますが、二十一日の朝刊に載っておりました。
信用度のトップというのは家族でございまして、これを信用している、ある程度信用している、合わせて九七%。医者というのが八三%。意外に高かったんですが、怒られますが、裁判が七二%でした。警察は、大臣、どれぐらいと思われますか。答えなくてもいいんですが、信頼しているが九%、ある程度が五四%で、合わせて六三%という数字でございました。高いというべきか低いというべきか。といっても、かくいう政治家や後方におられる官僚の方々は一八%ということで、それに比べれば大分高いんじゃないかな、そういう数字も出ていました。
そもそも警察というのは、警察法二条一項にもあるように、個人の生命、身体及び財産の保護に当たるために特別に強い執行力が与えられている、その分、一般の職業に比べても高いモラル、また過度の期待がかけられている、同時に権限の濫用には厳格でなければならない、そういうことが求められていると思っています。そうしたところから信頼度につながっていくんじゃないかと思っておりますが、もう一度そうした原点に立ち返って、自省する中から、そうした観点から質疑を行ってまいりたいと思います。
まず、土浦で起きました八人殺傷事件についてお聞きをいたします。
命を落とされた山上さんの御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々の一日も早い御回復をお祈りさせていただきます。また、特に警察官の方も負傷をされておられまして、危険きわまる職業をあえて選んで日々努力をされておる全国の警察官の方々にも改めて心から敬意を表させていただきたいと思いますが、そうした中で、しかし、十九日の殺人事件がまずあって、その後、指名手配がなされていながら、また挑発の電話というものも愉快犯の兆候として出てあった。そうした中で、二次被害が起きてしまったことに対して、まず大臣の思いというものをお聞かせ願います。
○泉国務大臣 警察官が国民の生命を守るために、高い意識のもと、モラルのもとに身を挺してでも活動しなければならないという思いであるべきである、私もそのように思っておりますし、警察官自身もそういう覚悟で奉職をしてくれておるものと信じております。また、ただいまは、先生から警察官に対しましても温かいお言葉をいただきましたことに感謝を申し上げるところでございます。
三月十九日の事件発生の後、茨城県警察におきましては、捜査本部を設置いたしまして、被疑者を特定し、全国に指名手配をする、公開捜査を行う、必要な捜査員を投入して所在の確認捜査を行っていたところでございます。当日も、県内の各駅を中心にいたしまして、捜査員を配置して捜査に当たっていたところでございます。
荒川沖駅において被疑者を発見することができなかった、御承知のように八名の警察官を配置しておきながら被疑者を発見できなかった、そのことが八人の方々の死傷を招く事態に至った、このことは大変残念なことであり、心を痛めているところでございます。
私としましては、今回の事件を重く受けとめまして、警察庁に対し、茨城県警察において当時の捜査の体制、方法を検証するようにという指示を出したところでございます。茨城県警察の捜査の基本的な考え方、最初の百七十人を動員して体制をつくって事に当たっていたところは、私は、十分配慮した、考えた事柄であったと思いますが、出札口を出るところで被疑者を見分けることができなかった、このことが大きな事態を招いたということを反省もし、こういうことをどうやって防いでいくかということがこれからの検証の一つの対象になるのではないかと思っております。
○楠田委員 捜査体制のあり方についても少し答弁があったところでありますが、まず、百七十人体制で、荒川沖駅、被疑者の自宅に一番近い駅ということでありますが、そこに八人置かれたというのは全体の体制としていたし方ないとしましても、公開捜査に踏み切りながらその徹底が不十分でなかったのかという指摘がございます。また、秘密裏に検挙しようという思いが強過ぎる余り、私服警官のみの構成になったということや、無線機を携帯していなかったという選択につながったとも考えられていますが、そうした捜査体制に問題はなかったでしょうか。お答えください。
○米田政府参考人 捜査体制は、先ほど大臣からお答えをしたとおりでございます。
これは、三月十九日に、まず土浦市内の七十二歳の男性が殺害されるという事件が起こりまして、その二日後に容疑者を特定いたしまして、そしてメディアと県警ホームページに公開をいたしまして、公開捜査に踏み切っております。確かに今委員御指摘のように、その公開の仕方、もちろんメディア等には公開をしておるわけではありますけれども、さらに、例えばビラを配るとか立て看板を立てるとか、あるいは自治会と協力するとか、そういった公開の徹底ということをすべきではなかったかというのは検証の一つの論点であろうと思います。
それから、確かに私服の捜査員でございます。これはまた結果論からなる論評になってはいけないんですけれども、私服で秘匿してなるべく早く捕まえようというのも、これもまた危害防止の一つの方法でございますので、ここを軽々に申し上げることはできないと思いますけれども、制服によるむしろ威嚇効果というのを使うことはできなかったかということも、これからよく検証しなければいけない問題であろうと思っております。
なお、この百七十名は県内の約二十の駅に配置をしておりまして、それは、被疑者が車も持っておらぬ、それから運転免許も持っていないということで、公共交通機関を利用する可能性が高い、それから、途中で電話をかけてきているという電話の発信源からしましても、どこに来るかは必ずしもわからないというようなことから、さまざまなところに配置をしておった、また列車の中にも乗せておったということでございまして、そういう中で、荒川沖駅の八人というのが適切であったかどうかということもまた検証しなければいけないと思いますけれども、現時点では、可能性のあるところにずっと配置してそういう数になっているということでございます。
いずれにいたしましても、警察庁といたしましては、二十四日に茨城県警に検証を指示しておりまして、茨城県警におきましても、検証チームを立ち上げて、捜査と並行しながら検証を進めている段階でございます。
○楠田委員 ビラや立て看板の話もありましたが、指名手配されていながら最寄り駅にすらポスターもなかったという話もありますし、また、住民を巻き込んで再犯防止にまず努めるという姿勢が足りなかったということは感じざるを得ないと思っております。
るるありましたように、既に茨城県警に検証を指示し、凶悪犯罪の指名手配、被疑者に対する捜査上の留意事項というものをいただきましたが、これも文書で指示をしたということであります。中身を見てみますと、まさにこれがすべて守られていればということも感じます。また、先ほど無線機の話はなかったですが、そうしたものを持っていれば、途中でとめる、もしくは交番までの逃亡は許さなかった。場合によっては三次被害までつながった可能性もあるわけですから。
こうした教訓を生かして、少なくともこうした二次被害というのが二度とないよう努められるように強く要望したいと思います。
そうした今回の事件も含めまして、やはり検挙率を上げるといいますか、逮捕する、確保するという命題を非常に使命として感じておられるのは理解はできますが、しかし、それ以前に、犯罪抑止を図るということが本筋ではないかと思っております。
要は、分母の部分、認知件数というのが下がってくれば、犯罪の数というのが下がってくれば、検挙数が同じでも、マンパワーが同じでも検挙率は自然に上がってくるわけでありまして、そうした観点は所信にも述べられておりまして、犯罪抑止のための総合対策の推進ということをうたっておられました。しかし、中身を見ますと、パトロールなどをふやすとしか書いておりませんでしたので、より踏み込んだ具体策というものを大臣、お聞かせいただきたいと思います。
○泉国務大臣 お尋ねの前に、茨城の大変大きな事件につきましては、委員からもお話ございましたように、十二分に反省をしなければならない点があると思っております。お亡くなりになりました方の御冥福を祈り、また負傷されました方々に一日も早い御回復を申し上げる、そのためにも、こうした事件が再発しないように、警察庁といたしましても、今回の事件を反省して、対策を一層十二分に立ててまいるつもりでございます。
そこで、犯罪抑止のための対策ということで、所信の中でも述べさせていただきました。認知件数が五年連続で減って、十九年は二百万件を下回ったという数値は一つの成果だとは思いますけれども、それだけで事案の内容がよくなっておるということではなくて、大変厳しい治安の情勢は続いておる、委員御指摘のとおりでございます。
このために、治安回復を求める国民の強い要望にこたえるべく、警察官によるパトロールあるいは街頭活動を強化するということをやっておるわけでありまして、その他、防犯ボランティア団体に対するパトロール用品の貸与あるいは活動への支援、メール等を活用した地域住民や自治体等に対する犯罪情報等の提供、あるいは道路、公園等の公共施設における明るさ、照度や見通しの確保など、自治体等との連携を図って、犯罪被害に遭いにくい町づくり、町づくりそのものにそうした犯罪防止の視点からお取り組みをいただく、こうしたこともお願いをしておるところでございます。
そこで、こうした犯罪抑止対策に取り組むに当たりまして、警察庁では、街頭犯罪等抑止総合対策室というものを設置しておりまして、今申し上げましたようなもろもろの施策を総合的に展開しておるところでございます。
一方、各都道府県警察におきましても、各部門が有機的に連携して総合的な体制を確立できるように、そして犯罪の発生状況等犯罪の抑止に必要な情報の分析、共有が可能になるように対策を推進しているところでございます。
○楠田委員 その推進が進んでいれば、先ほどの件ももう少し違っていたのかもしれませんし、重要性を一つ認めるところでありますが、例えば、現場で活躍されている司法書士の方なんかに話を聞きますと、これまた所信で、やみ金に対して特に力を入れる、こう言っておりましたが、そうした業者に対して警察から一つ警戒の電話をかけてもらう等々、これだけでも相当な抑止効果になるという話も聞いております。事件が起こってからというだけではなくて、今規制が厳しくなって逆にやみ金がはびこっているという現実もあるようですので、未然に防止するという観点というのは非常に大切ではないかと思っております。
また、犯罪を考える上において、今、特に銃刀法の改正の件なんかで勉強会を重ねておりますが、犯罪原因論と犯罪機会論という役割分担というのが考え方としてあるようでありまして、要は、先ほど明るさアップという話もありましたが、犯罪原因論というのは犯罪者自体に注目をする話で、事後の矯正、更生の分野では有効であるということでありますが、やはり事前に防止する、防犯の分野ということでは、この犯罪機会論というのをとるのが重要だと言われております。
イギリスなどは、労働党政権時代に、まさしくそうした観点から犯罪及び秩序違反法というのを政権発足当初につくられて、まさに公園の設計からすべて見直して、非常にやはり外側から見えにくいとか、暗さであるとか、そういうところで犯罪が起こっている傾向があるということで、これをすべてつくり直しを全国的に行ったという話を聞いております。これは当然予算は大分かかるとは思いますが、所信の中で、まさに世界一安全な国日本というのを標榜されて、また、真の治安再生に向けて取り組みを強力に推進するという大臣所信もありますので、この点、そういう強い姿勢で取り組んでいただくように要望したいと思います。
また、近年、いわゆる冤罪事件というものが多く起こっています。富山事件や志布志事件等は総括も一月の時点で出されておりますが、やはり警察の正義というものがどこにあるかということを考えなければならないと思っております。この点でも、検挙を第一にするという強い弊害も出ているんじゃないか。
そうした反省を踏まえて、警察捜査における取調べ適正化指針というものも一月に出されております。これを読みますと、細部にわたり相当捜査手法への心構えが指摘をされていると感じましたが、こうした姿勢を徹底させる、担保する上でも、取り調べ段階での可視化というのがやはり必要ではないかと考えておりますが、この方針は大臣として検討されていますでしょうか。
○泉国務大臣 昨年の十一月の国家公安委員会の決定を受けまして、警察庁においては、いわゆる捜査部門以外の部門による取り調べの監督制度を導入することを眼目とする、警察捜査における取調べ適正化指針を作成したところでございます。
これによりまして、警察組織内部におけるチェック機能を発揮させる、そのことによって取り調べの一層の適正化を図り、国民の警察捜査に対する信頼性を確かなものにすることができるというふうに考えておるところでございます。
御指摘の取り調べの全過程の録音、録画につきましては、取り調べの機能が大きく阻害されることになる、また事案の真相解明を困難にする、さらに犯罪の検挙活動自体に支障を来す、こうした観点から、国民の安全確保に大きな影響を及ぼすおそれがあると考えておるところでございます。したがって、その義務づけにつきましては、慎重にも慎重に、なお検討が必要であると考えておるわけであります。
なお、裁判員裁判の導入を控えて、自白の任意性の効率的な立証が求められているところでありますが、その方策もさまざまなものがあって、必ずしも録音、録画に限定されているわけではないと考えております。
いずれにいたしましても、警察といたしましては、裁判員裁判における立証のあり方についての論議の帰趨も見きわめつつ対応していき、警察への信頼を一層高めてまいりたいと思っております。
○楠田委員 内部のチェックという話もありましたが、やはり既にそうしたいわゆる冤罪事件も起こっているわけでありますし、また、先ほどのように、指示を出しても徹底するということは、やはりそれはもう一つ次の段階としてなかなか難しいということもあるでしょう。この点に関してはこれからも議論する機会があると思いますので、慎重に考えられる、熟慮されるということでありましたから、そうした観点から考慮いただきたいと要望させていただきます。
それでは、国家公安関係につきましては以上にさせていただきまして、大臣、もし御予定あられればどうぞ。どうもありがとうございます。
次に、科学技術関係について聞かせていただきたいと思います。
ちなみに、また先ほどの朝日新聞の調査、別に朝日新聞が好きとか嫌いとかじゃないんですが、科学技術の信頼度というのがどれぐらいか、おわかりにならないとは思いますが、信用するが二一%、ある程度が六五%ということで合わせて八六%と、大変日本の中で高い水準であったようです。日本のような資源がない国にとっては、まさに生命線と言える部分でもあるだろう。
そうした問題意識の中で、さきの臨時国会のころより、我が党内で先端科学研究会という勉強会、私が事務局長としてさせていただいておりますが、この講師で、慶応大学の岡野教授、再生医療をやられている方、この方にお話を九月ごろお伺いした直後に、山中教授のiPS細胞の実験成功のニュースが飛び込んでまいりまして、まさに日進月歩の分野であるなというふうに感じております。
所信の中で、他国の追随を許さない革新的な科学技術を生み出す研究開発などを重点的に推進すると、かなり大きく出ておられましたけれども、このiPS細胞研究については、まさしくこの日本で、世界で最も早く成功したわけでありますから、政府全体の取り組みというのは非常に重要になってくると思っておりますが、この点についてはどのような計画がされていますでしょうか。
○岸田国務大臣 御指摘のiPS細胞の研究体制につきましては、政府一丸となってこの体制整備、環境整備に努めなければいけない、このように考えております。
まず、予算につきましても、このiPS細胞の直接支援の予算だけでも、平成十九年度は六億程度でありましたが、平成二十年度は三十一億計上させていただいておりますし、ES細胞研究を初め関連の再生医療研究につきましても予算を大幅に増額し、この研究の加速に努めているところであります。
そして、総合科学技術会議におきましても、iPS細胞研究ワーキンググループというワーキンググループを設置しまして、一月十日から検討を始め、四回の検討の末、二月二十六日に中間取りまとめを取りまとめております。
この中で、当面の措置としましては、京都大学山中教授を中心とした共同研究の体制を整備するということを盛り込んでおりますが、これからの構想としまして、まずは、平成二十一年度のなるべく早い時期に包括的な研究組織を立ち上げ、そしてライセンスの一括管理等の知的財産権を戦略的に管理する体制を整備する、あるいは臨床研究に向けた指針とか基準等の整備を行う、こういった体制を中間取りまとめに盛り込んでおります。そして、この六月ごろをめどに全体的な方針を取りまとめるということで、今、その研究や体制の強化に努めているところであります。
いずれにしましても、この問題につきましては、文部科学省、厚生労働省、あるいは経済産業省等、さまざまな省庁にまたがる課題でありますし、さまざまな分野に係る課題だというふうに考えております。オール・ジャパンで体制を組んでいかなければいけない、こういった認識のもとにしっかりとした体制をつくっていきたいと考えております。
○楠田委員 この点に関しては、既に、山中教授の成功の後にアメリカ等で成功しているという事例がどんどん出てきております。わずかの時間差でそうしたキャッチアップがなされていく分野でありますので、六月をめどということでありますが、この点、報告が出されましたらすぐさま実現に動かれるように、そうした観点を要望させていただきます。
また、我が母校の久留米附設高校というのがあるんですが、ここの同級生に、理化学研究所の上田君という最年少で教授職についたという人間がおるんですが、この彼も講師に先日招きまして、彼は、体内時計の研究というので最近クローズアップされていますが、ふとその話の中で、基礎研究と実際の現場治療、臨床の面でのつながりが弱いなと。例えば、この体内時計の研究であれば、将来的には、うつ病の治療なんかに有効になってくるという話でありましたけれども、その間のつなぎをいかにするかという問題意識を現場としては持っているようであります。
この点、所信でこれまた、社会、国民にその成果を還元とうたっておられましたけれども、この基礎研究を現場治療につなげる試みというのは具体的にどのように進めていくつもりか、お聞かせいただけますか。
○岸田国務大臣 御指摘のように、ライフサイエンス分野における基礎研究の成果を医療等の現場につなげていく、いわゆる橋渡しとしての臨床研究、これは大変重要な課題だと認識をしております。第三期科学技術計画の中のライフサイエンス分野推進戦略、この中においても、こうした橋渡しとしての臨床研究の重要性は重視をしているところであります。
こういったことから、平成二十年度の予算編成におきましても、この部分に政府全体で六十七億の予算を計上しているところでありますし、また、総合科学技術会議としましても、こうした分野、まず研究の拠点の整備ですとか人材の確保、育成ですとか、あるいは保険診療と先進的な医療技術を用いた診療が併用可能な保険制度を確立するとか、あるいは審査期間の短縮等を目指して審査体制を充実するとか、こういった点を関係大臣に意見具申をしているところであります。
今後とも、激化する国際競争の中で、ぜひこうした分野にしっかり力を入れて、国民に成果を還元できるような研究を進めていきたいと考えております。
○楠田委員 所信にこうした点もしっかりと述べられておりますが、まさにかけ声だけにならないように、具体的に進めていかれるように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。
きょうは、大臣所信に関する一般質疑ということで、増田大臣と上川大臣にお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
まず一点、増田大臣の方に伺いたいと思います。
地方の元気再生事業についてですけれども、先日、佐々木委員からもこの点について質問があったかと思います。新年度の予算の目玉事業であるというふうに大臣おっしゃっておられました。
こうした地方とか地域とか、あるいは再生とか活性化とか、こういうふうに名前のついた事業が今まで数多く行われてまいりましたよね。そのことについては大臣も御承知のとおりです。今まで例えば、都市再生、構造改革特区、地域再生や中心市街地活性化、大体この四つに分けて行ってきたし、昨年度はまたモデル事業として、特に雇用の分野に限っての事業を行ってきたということだったんですけれども、私は、これらの事業、決して意味がなかったというふうには申しませんが、しかし、政府がそれなりの政策意図を持って税金を行使してきた割には依然として地域間格差が解消していないということは、これはやはり現状としてきちんと踏まえなければいけないことなのではないかなと思います。
もちろん、本当の意味での地方の格差というのは、やはり交付税などとの関係での地方行財政改革、それと国が行ういろいろな施策、今はこういう二本立てになっているわけなんですけれども、古くから日本で地方政策とか地域再生といいますと、やはりあのふるさと創生の発想の域をなかなか出ていないのではないかという気がするんですね。
いろいろこういうふうにやってはきているんだけれども、全体としてこういった施策、政策が成功しているとは言えないのではないかということを踏まえて、大臣、今までやってきた事業を総体的にどういうふうに評価しておられるのか。これまでの事業の反省の上に立って新しい事業が行われるべきだと思いますが、この点について大臣はどういうふうに総括し、そして前に進もうとしていくのか、お答え願います。
○増田国務大臣 先生の御質問にお答え申し上げます。
確かに先生お話しのとおり、地方あるいは活性化とか再生とかの名前のついた事業が今まで随分あったような思いがございます。
そうしたものの中で、成功したものもあったし、それから、どうも思うとおりの効果が上がらなかったもの、いろいろあるわけでございます。例えば、私が知事をしておりました岩手でどぶろく特区を一番初めにやりました。あれなどはかなり効果があったように思っているんですが、やはり、うまくいかなかったものを並べてその共通項をえぐり出してみますと、どうも国があらかじめメニューを決めて、その中で、自治体の選択肢が非常に狭い、地域のことを一番よく知っているのは地域の皆様方ですが、その創意工夫というものを余り生かされないような、そういう枠組みをしっかりと、かちっと決めてしまっているようなもの。
あるいは、省庁の縦割りの壁というのが大変厚いわけでございますが、どうも縦系列で物事が発想されていて、それを地域という横で全体をつなぎ合わせるようなことが行われていなかったり、さらに言えば、省庁がばらばらの施策を用意していたりといったようなことがあったのではないかというふうに分析をしたわけであります。
そこで、今回は今申し上げましたような点を克服して、できる限り地域の発想、創意工夫を生かす、それから、省庁の縦割りにならないような、そういう横断的な、横でのつなぎ合わせというものを生かしていく。四つの本部を統合したということもその一つのあらわれですが、その上で、今回の地域の元気再生事業も、今申し上げましたような、これまでの限界といったようなものを可能な限り取り除くような、そういう内容に仕立て上げたところでございます。
○西村(智)委員 今回の地方の元気再生事業は、総額で二十五億円、お伺いしましたら、一件当たり数千万円の事業を想定しているというようなお話でした。国があらかじめメニューを決めない、あるいは省庁の縦割りということも解消すべきだ、そういった大臣の認識が示された上での事業ということですので、私は、これは少し前に進んだなというふうに思います。
だけれども、これで本当にうまくいくのかというのは私はまだ疑問なんですね。それは、体制として省庁の縦割りを解消しましょう、そしてまた、国があらかじめメニューを決めるのではなく地域の発想を生かしましょうというのは、それは大変結構なことだと思います。ですけれども、本当に地域の活性化とか地域の再生ということを目指すのであれば、もっと何がしか突破していかなければいけないことというのはあるんだろうと思うんですね。
二番目のお伺いですけれども、この事業はその効果を約一、二年で評価するというふうに伺っております。こんな短期間で果たして評価が可能なのでしょうか。
○増田国務大臣 考え方として、今回は、もちろん予算等にも限度がありますし、それから、地域の持続的な取り組みというのがやはり最後の決め手になるものですから、今回の事業の対象としておりますものは、そうした地域の創意工夫を生かすソフト事業を中心とする。それから、いわゆる立ち上がり支援ということで、どうしても、すぐれた人材の知恵をかりたいといったときに、従来はそうしたものに対してのしっかりとした経費がございませんでしたので、そうしたものを対象とした、いわゆる立ち上がり支援としての経費を計上させていただきました。
それを、その後、各省の持っている施策、実はそれがもう今ほとんどなわけでございますが、そこにいかに効果的につなげていくか。そして、各省の施策もできるだけ地域の発想に沿った形に誘導していく上での、そういう橋渡しをするためのお金、こういうふうに考えておりますので、その各省のお金の方は本当に継続してつなげていっていいのかどうかという判断を、やはり一年、二年。
もちろん、今先生がお話しのとおり、これは短期的に結果を出すあるいは評価するということであっては決していけないわけでございますが、地域を再生する、活性化するというのは長期的なレンジに立って評価をしていかなければならないというふうに思いますが、その立ち上がり支援をさらに各省の方にうまくつなげていっていいのかどうかの判断は、いずれにしてもその時点で行っていかなければならないものですから、一年、二年、特に二年ぐらいの間に、各地域のそういう発想などがうまく生かされているかどうかの評価。
これは、役人が霞が関の観点でやるというのはやはり過つ原因にもなりますので、民間の有識者の皆さん方のチームの中で十分に意見をいただいて、そして何がしかの判断をしていただく。それで、悪いところは修正したりいろいろ柔軟に考えながら、一定の評価をさせていただいた上で、その次に進めていくべきものはしっかりと各省の方につなげていったらどうか。
あくまでも、特に民間のさまざまな経験をお持ちの人たちの意見を主体にして、そこでの評価をまとめていただきたい、このように考えたものでございます。
○西村(智)委員 とお答えいただきますと、私の理解では、この地方の元気再生事業というのは、言ってみれば、その事業で本当にこれから先も進めていっていいですよということを内閣府が判断をし、そしてその先に、省庁のそれぞれの事業につなげるような橋渡しをする、こういう事業だということでよろしいんですね。それはよろしいですね。
それでは、確認をさせていただいた上で、そうしますと、この事業の到達点というのをどこに据えていらっしゃるのか。
これは、事業の名前は地方の元気再生事業ですよね。ですけれども、今私が大臣の説明を伺ったところで考えると、これは地方の元気再生事業ではなくて、地方の元気再生のための予備的な調査ではないかというふうに考えるんです。実際に予算書の概要の方には「調査」という文言が入っていました。ここの事業名は元気再生事業という、何か本当にこれをやると地方の元気があたかも再生するような、そういうイメージで事業名がついているわけなんですけれども、まず一つ、大臣、事業の到達点というのをどこにこれは据えていらっしゃるんですか。
○増田国務大臣 事業の到達点としては、やはり地域が本当に活性化をするということをねらっているんです。
そのために、今回、このお金を十分の十で全額国費という形で用意しておりますのは、これは国の立場からいいますと、そういった国の太い、各省の持っている政策につなげていけるのかどうかということを調査するようなことになりますので、そこに十分の十を出す根拠もあると思うんですが、一方で、私は知事をやっておりまして、やはり地域起点でこういったものは考えていかなければならないと。今、地域の財政が本当に疲弊しておりまして、そういうお金すら足りないところに何とか国のお金を引き出したいということで、国の立場で、調査をする、そういうお金がうまくつけられるのではないかと思ってこういうことを仕組んだわけです。
逆に言いますと、地域から見れば、事業のねらっております到達点として言えば、やはりそれは、地域の産業が活性化したり、あるいはそこでいろいろな面で、文化振興、観光などで交流人口が本当にふえていく、そこに住んでいる人たちがそこに根拠、居を置きつつきちんとした生活ができ、文化的な営みができるということに向けて、どういう発想をそこで持てるのか。そういう発想とか自主性とかいうことを最大限引き出す、そのための事業、こういうふうに考えられるのではないかと思っております。
○西村(智)委員 事業の到達点は地域の発想を引き出すものだ、こういうふうに理解をさせていただきましたけれども、本来、これは調査事業でありますよね。調査事業ということでいくと、一つ私が考えますのは、地域の活性化とか地域の再生というのは、今まで漠然と語られてきているんですけれども、一体それは何なのかということの議論は実は余りされてこなかったように思うんですね。
ずばり、大臣、大臣が考える地方の再生とか地域の活性化というのはどういうことですか。ここは次の戦略の問題にかかわってくる質問ですので、ぜひずばりと答えていただきたいと思います。
○増田国務大臣 これはなかなか一義的に定義するというのは難しいところがありますが、今委員の方から、ずばり私の考えでということでお話がございましたので、率直に申し上げたいと思いますが、地域が再生するあるいは元気になるというためには、やはり私は、経済的な基盤、各種の生活の営みのための産業がその地域地域でしっかりと息づいていなければいけないんではないか。これは結局、そのことを通じて地域に雇用の場があったり、若い人たちがそこにきちんと根拠を置いて、みんな都会あるいは東京などに出ていってしまうということを防ぐためにも、一番、やはりそこに基盤を置かなければいけないんではないかというふうに思っております。
ただ、単に経済的な側面だけで地域を見るということではなくて、地域には多様な年齢層、多様な皆さん方がそこにしっかりと生活をしておられる、そのことによってさらに豊かさなどが増していくわけでございますので、場合によっては、そこにいる人たちだけではなくて外部からいろいろな人たちが交流で訪れる、その主因としては文化であったりあるいは観光資源ということになると思いますが、そうしたものが地域にしっかりとあり、あるいは受け継がれていって、そして交流が活発に行われていく、そういうことが本当に、地域のまさに元気さそれから地域再生ということにつながっていくんではないか。
かつて、それぞれが地域地域で自給自足の経済で成り立っている時代もありました。今はもう完全にグローバル化している中にあって、それが本当に経済的に強いところにみんな吸収していってしまうというのは、やはり国土の姿として私は決して好ましいことではない。地域地域、今、各地域がいろいろな形で再生を目指しておりますが、総じて言いますと、私が今申し上げましたように、地域できちんと生活ができ、そして経済的にも成り立ち、一番大事な、人間としてのコミュニティーが維持できるような、そういう地域にまたしていくということではないか。
少し抽象的な部分も含まれて恐縮でございますが、地域によっても多様な違いがあるんですけれども、概して、共通項を取り出せばそういったことではないかというふうに私は思っております。
○西村(智)委員 多様な活力、活性化とか地域力というようなものがあると、大臣は御自分のお言葉で今答えてくださいました。
そこで、地方の元気再生事業に戻るんですけれども、では、そういう目線でこの地方の元気再生事業を見たときに、私はやはり欠けているものがここに一つあると思うんです。
レクに来ていただいて、地方の元気再生事業として行われる取り組みの目指すべき方向性、これが実際に事業を採択するときの基準になるのだという説明を受けました。ここで見ますと、みんな、それぞれ書かれていることはもう至極当たり前のことなんですね。複合的な取り組みが必要だ、モデル性のある取り組みが必要だ、持続性があること、相乗効果があること、主体的な取り組み、計画性。
これは、今までもみんなが事業を行いながら必要だと思っていた中で重要視してきた要素であるにもかかわらず、今までの事業が成果を得てこられなかったというのは、言ってみれば、最終的な地方の活性化という戦略ではなくて、それぞれの単発のメニュー、その戦術の詰め合わせ、お菓子の詰め合わせみたいなもので、例えば、よそで食べておいしかったからこれはうちで食べてもおいしいはずだとか、向こうの地域でやっていたからこれはうちの地域でやってみようとか、そういうことの積み重ねでなかなかうまくいってこなかった側面はかなりあると思っているんです。
それで、今回の地方の元気再生事業、せっかく行う事業ですので、ここにやはり基礎的な調査も含めていただきたいと思うんです。
自分のところの地域の実力といいますか、人口とか面積とかいう本当に基礎的な調査から始まって、これは地方の都市との連携ということも恐らく視野に入れてのことでしょうから、例えばほかの地域と一緒にこういったことをやったときにどうなるのか、こういう基礎的な調査というのは自治体が独自でやろうとしてもなかなか限界のあることだと思います。ですので、そういったことをすべて含め合わせた中で、地域の皆さんがそこにまじって、では、うちの地域ではどういうことを選択しましょうというふうに話し合うために、やはりここには新しい機軸として基礎調査はきちんと入れるべきだと思うんですけれども、この点について大臣はどうお考えですか。
○増田国務大臣 今の先生のお話は私も同感であります。基本的な地域の実情を十分に知っておかなければならない、熟知していなければ、やはりいい成果は出ないと思います。
そのために今、幾つか要素をお話しになっておられました。今回の提案の中にも、そうしたことを十分踏まえるとか把握するといったようなことをしてございますが、まだ具体的な事業、新年度になってからということで、今、提案をする際にどういう要素を中に含めればいいのかということをいろいろ中でまだ議論している段階でございますので、今委員がお話しなさったようなそうした要素もこれからその中に含めて、やはり基礎的な状況というのを十分把握して、その上で戦略を練っていただく、あるいは創意工夫をしていただく、こういうことがより実りのある成果につながるのではないかと私も思います。
早速、言葉としてどう書くか、いろいろ事務局に工夫させたいと思いますけれども、今考えておりますことにさらにそうした要素も含めてそれを取りまとめて、よく地域の皆さん方にその趣旨をお話をしていきたい、そういうふうに考えております。
○西村(智)委員 ぜひ科学的な調査をお願いいたします。地域を熟知している人というのは、それは地域の住民の方であればどなたも知っているんですね。ですけれども、そういった方にこそ、それは私も含めてですけれども、よく知っていると思っているがゆえに、これをやったらうまくいくんじゃないか、そういう過ちに落ちていくことが懸念されますので、そこはぜひ基礎調査も採択基準に含めていただく。大臣から非常に前向きな答弁をいただきましたので、次の質問に移りたいと思います。
次は、上川大臣に公文書管理について伺いたいと思います。
先日、閣僚懇談会の中で、大臣が、公文書管理の在り方等に関する有識者会議を開催するというふうに発言をされて、いよいよこれは進むのかなというふうに私は大変期待をしているところなんですけれども、大臣御存じのとおり、今、日本の公文書管理、行政文書と私は言わせていただきたいのですけれども、行政文書の管理は極めてお粗末な状況にあります。
お粗末というのは、主観的に、例えば私たちが質問するときに役所の方々にこういう資料を出してくださいと依頼するんですけれども、それはありませんとか、つくっておりません、出せませんというようなことで、はね返されるということはしばしばありますし、ここ数カ月の記憶をたどってみても、防衛省の航海日誌が捨てられていたとか、年金の記録管理がずさんだったとか、肝炎の患者のリストが、ないと言っていたのがあって、次々とぼろぼろと出てくるとかいうような、本当にずさんなこともありました。
これは、海外との比較で見ても非常に乏しいということは御承知のとおりでありますけれども、この前、増田大臣からも御答弁いただいたんですが、行政文書の保管と管理それから公開というのは、これは民主主義の本当に基礎の基礎でありますから、そこはやはり政府としてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うんです。
私が行政文書の問題に関して大事だなと思っている視点は四つあるんですけれども、一つは、適切な行政文書が管理されているのか、保管されているのかどうかという問題。そして、その適切な行政文書が公文書館にきれいに移管されているのかどうかという問題。三つ目が、そもそもそういう文書が適切に作成されているのかどうかという問題。四つ目に、そういったその一連の作業の最中で政府の恣意性がいかに排除されるかという問題だと思っているんです。それぞれのその視点を私は持ち、ぜひ政府にもその点に留意していただいて、今後の有識者会議などを進めていっていただきたいと思うんです。
まず、総務省の方に来ていただいておりますが、先日私は総務委員会で、増田大臣、行政局長に質問させていただきました。市町村合併に伴って、市町村が大量に文書を廃棄しているのではないか、廃棄するのではないか、そういう懸念があったことで、自治行政局長の方から三度にわたって、そんなむやみやたらに捨てないでください、そういう通知が出されたようなんですけれども、その後の、要するに、市町村の文書の取り扱いを総務省はどういうふうに把握をしておられますか。
○門山政府参考人 お答えいたします。
総務省では、ただいま御指摘ございましたように、これまで、市町村合併に伴いまして旧市町村の公文書などが散逸したり、あるいは安易に廃棄される、こういったことがないようにということで、平成十四年、十七年、それから十八年、三回にわたりまして公文書などの適切な保存について文書により要請をしたところでございます。大部分の合併市町村におきましては、例えば、書庫などの保存スペースを確保する、そして管理するといったような形で、公文書の散逸防止に取り組んでいるというところと認識いたしています。
今後とも、きちっと適切な保存をしていただくということについては徹底していきたいというふうに考えているところでございます。
○西村(智)委員 私は、その後どういうふうに把握をされたのですかと質問をしたのです。
適切に行ってくれているものと思いますでは答弁になりません。捨てたか捨てないかをどうやって確認しているのですか。
○門山政府参考人 公文書の保存、管理につきましては、やはり各市町村におきまして、その公文書の適切な管理というものの重要性をきちっと認識していただきまして、それぞれの責任において適切に対処していただく、こういうことでなされるべき問題だというふうに考えておりまして、総務省としても、さまざまな機会にそういったことを周知していくということを行っているわけでございます。
○西村(智)委員 それでは、上川大臣にお伺いをいたします。
今、行政文書の管理は、行政情報公開法に基づいて、各府省がそれぞれで文書管理のための規則をつくって、それぞれの府省の中に行政文書管理責任者を置いて、その人が責任を持ってやる、そういうことになっております。内閣府の方でそれを統括していくということになるわけですけれども、現実は、はっきり言ってしまえば各府省にお任せというスタイルになっております。
そこで、上川大臣は、三月十一日にこのように発言をされておられます。今後、有識者会議において文書の保存、移管、廃棄のあり方の議論を進めることとしておりますので、当分の間は、保有する行政文書の廃棄を一たん中止していただきますようお願いいたしますというふうに発言をされておられますけれども、廃棄したかしないか、先ほど総務省の方は、市町村に対してお願いをしました、それぞれやってもらっていると思っていますというような答弁でした。あとはもうそれぞれの責任でやってもらっているんだということで、言ってしまえば、通知、要請してしまえばもうそれでおしまいということに今の仕組みではならざるを得ないわけです。
大臣は、この御発言、一たん中止していただきますようお願いいたしますと御発言なさった、その中身をどう担保されるのでしょうか。本当に廃棄したのかしないのかということを確認する方法はそもそもあるんでしょうか。
○上川国務大臣 十一日の閣僚懇談会におきまして、十二日に公文書管理の在り方等に関する有識者会議を開催するということについて御報告をすると同時に、今先生がお読みになりました、当面の間、廃棄を中止していただきたいという旨の発言をいたしたところでございます。
行政文書のあり方につきまして、作成から始まりまして、保存、また廃棄というところの一連のライフサイクルについてのあり方をこれから有識者懇談会において検討していくということでございますので、そうした検討結果が出るまでの間、今ある仕組みの中でやられていることにつきましては、当面の間ということで、中止をしていただくお願いをしたところでございます。
今回、各府省の最終責任者であります各閣僚に対しまして、トップの責任でこの依頼に対して責任を持って取り組んでいただくということを閣僚懇談会の中で発言したものでございますので、そうした趣旨を十分に御理解いただきまして、適切に対応していただけるものというふうに思っております。
また、先生が御指摘になりましたフォロー、担保をどうするかということでございますけれども、責任を持って各府省がやっていただくということでございますが、私といたしましては、今、現場の方にも視察等で行かせていただいているところでございまして、必要に応じて十分なる現場を見させていただきながら、この私のお願いに対しての取り組みについての現場の対応ということも、きめ細かく現状を把握してまいりたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 それは普通の組織として考えれば、トップの責任で大臣が号令をかければ役所の内部がそのとおりにすると善意で考えたいんですけれども、しかし、この国は大臣に資料を隠すような国でございますので、そういった善意だけでは本当にやっていけないのではないかと思っております。
これは何も私は主観的に物を申しているのではなくて、各国の公文書管理というのは、常にやはり行政の無謬性を前提にしていないという世界の中で運用しているわけなんです。しかし、今の日本のやり方はそうじゃない。行政は悪いことをしませんということを前提にして、そこに任せるというやり方でやっていることがそもそもの問題だと思うんですね。大臣はこの点、どんなふうにお考えでしょうか。
つまり、今の公文書管理のあり方、それは作成から移管まで含めて、そしてまた公開も、公文書館に移管された文書が公開されるというところまで含めて、この一連の取り扱いについて今のシステムでよろしいか、十分かどうか、どういうふうに大臣は今のシステムをとらえていらっしゃるんでしょうか。
○上川国務大臣 今回、福田総理からの大変強い御指示がございまして、担当大臣としてこの問題に取り組むようにということで御指示をいただきました。その問題意識は、現状の、作成からまた保管、保存ということで、公文書を国民の皆さんの共有の財産として積極的に国の責任で保存していくということについての一連の取り組みについては、十分ではない、そういう問題意識のもとで、今回改めてこうした担当大臣を任命されたというふうに私は思っているところでございます。
先ほど委員の方からも御指摘がありました。さまざまなずさんな文書管理というお話もございましたし、信頼をして行政をしていただきながら、そしてその意思決定に対してしっかりと説明責任を果たしていくというためにも、作成からの一連のライフサイクルにおいてしっかりと対応していただくための制度づくりということにつきましては、今回大きな論点の一つであるというふうに思っております。
そういう意味で、この懇談会、有識者の皆様の専門的な御視点で、これまでも取り組んでいらっしゃった方ばかりでございますので、最終的な結果が出るように、精力的な議論を積み上げてまいりたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 諸外国では、公文書館が非常に充実をされております。日本では、例えば一例ですけれども、内閣府所管の公文書管理に関する職員が四十二人であるのに対して、例えばアメリカは二千五百人、所蔵の書架も、日本が四十九キロメートルに対してアメリカは九百三十キロメートル。現用記録の管理についても、公文書館長が責任を負って指導を行っていたり、公文書の廃棄に当たっては国立公文書館の長官の承認が必要だと。つまり、これをそっくりそのまま日本に当てはめていえば、文書を捨てるか捨てないかというのは公文書館長が判断する。それは捨ててもいいですよとか、捨てないでというような判断をする。
あるいはほかの国でも、国立公文書館が監督をして各府省が保存すべき公文書の選別を行うというふうに行っていまして、各府省にお任せをしているという国は、先進国の中では、私が見ている範囲では日本だけだと思うんですね。大臣はこの点についてどういうふうにお考えですか。
つまり、なぜ伺うかといいますと、これから有識者会議というのをリードするのは上川大臣であられるわけです。ここは、変な話、各府省を、行革担当大臣ほどでないにしても、一定程度敵に回すというようなことにもなってくるのではないか。そこで、大臣の強い決意もぜひ聞かせていただきたいと思って質問をしているんですけれども、大臣は、今各府省に行政文書の管理が任せられているということ、これをどんなふうに考えていらっしゃいますか。
○上川国務大臣 現行の制度におきましては、先生がおっしゃったとおり、内閣総理大臣が国の機関と合意により移管を受けた歴史的公文書等につきまして国立公文書館に移管する、こういう仕組みになっております。
そのゆえに、さまざまな現場での判断というところの余地が非常に大きいということでございますので、御指摘いただいたような各国の事例等も十分に調査をしているところでございますが、そういうことも踏まえて、専門家の皆さんの議論も深めていただきながら、大切な文書はしっかりと残していくということを担保できるような制度設計というものをつくり上げていくということを、私自身、課題として取り組んでまいりたいと思っております。
○西村(智)委員 今大臣は、それぞれの政府と公文書館との協議でというふうにおっしゃいましたけれども、これは移管についてなんですよね。移管について過去そういうふうにしてきたということですが、文書の作成とか保管については、これはそれぞれの府省でつくっている規則にのっとってその担当責任者がやっているということですから、そもそもそこのところを何とかすべきではありませんか。
○上川国務大臣 今、移管のところということで御指摘がありましたので、今のようなことを申し上げたところでございますが、作成から省内での行政文書の保管、そして移管の手続、さらには廃棄また保存という一連の文書のライフサイクルということについては、これは徹底的に現状を見直しながら、問題点も洗いながら、しっかりと残しておくことができるように、また作成の時点でも、大切な意思決定のさまざまな節目の中で記録がしっかりと残すことができるようにということを十分に考慮した仕組みづくりということで考えているところでございます。
先ほどは移管ということの御質問でしたので、その旨だけお話をいたしましたが、一連の流れということを、全体像を見ながらということで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 最後に一点、大臣、外交文書について、これもぜひ有識者会議の中で前向きな検討をしていただきたいと思います。
自国の外交政策について自国民が知ることができないというのは、これはやはりおかしいと思いますので、この点もしっかり前に進めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○上川国務大臣 外交文書につきましては、平成十三年の閣議決定に基づきまして、ただいまのところ外交史料館に移管されているというところでございます。
このことも含めまして、現状を十分に精査しながら、有識者会議におきましても専門的な視点からの御議論をしっかりとしていただきたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○中野委員長 次に、内閣提出、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。泉国家公安委員会委員長。
―――――――――――――
犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○泉国務大臣 ただいま議題となりました犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
犯罪被害給付制度は、故意の犯罪行為により不慮の死亡または重傷病もしくは障害という重大な被害を受けたにもかかわらず、何ら公的救済も得られない犯罪被害者またはその遺族に対して、国が一定の給付金を支給するものであり、犯罪被害者等の被害の軽減に重要な役割を果たしてきたところであります。
こうした中で、平成十七年四月に施行された犯罪被害者等基本法においては、犯罪被害者等に対する給付金の支給に係る制度の充実等が求められていることから、政府としても、同法に基づく犯罪被害者等基本計画において、犯罪被害者等に対する経済的支援を手厚くするための制度等を検討するための会を設置し、その結論に従った施策を実施することとしたものであります。
この法律案は、犯罪被害給付制度の抜本的な拡充等を内容とする検討会の最終取りまとめがなされたことを踏まえ、その結論に従った施策を実施するため、犯罪被害給付制度の拡充を図るとともに、犯罪被害者等の支援を目的とする民間の団体の自主的な活動の促進等に関する規定の整備を行うものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一は、法律の題名及び目的の改正であります。
その一は、法律の題名を犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律に改めるものであります。
その二は、犯罪被害者等基本法の基本理念等を踏まえ、法律の目的に、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援することを追加するものであります。
第二は、犯罪被害給付制度の拡充に関する規定の整備であります。
その一は、犯罪被害者が犯罪行為により生じた負傷または疾病の療養のため従前その勤労に基づいて通常得ていた収入の全部または一部を得ることができなかった日がある場合における重傷病給付金及び遺族給付金の額については、一定の範囲内で、休業加算基礎額にその日数を乗じて得た額を加算することとするものであります。
その二は、やむを得ない理由により所定の期間内に犯罪被害者等給付金の裁定の申請をすることができなかったときは、その理由がやんだ日から六月以内に限り、申請をすることができることとするものであります。
第三は、犯罪被害者等の支援を目的とする民間の団体の自主的な活動の促進等に関する規定の整備であります。
その一は、都道府県公安委員会は、犯罪被害等を早期に軽減するとともに、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援することを目的とする民間の団体の自主的な活動の促進を図るため、必要な助言、指導その他の措置を講ずるように努めなければならないこととするものであります。
その二は、国家公安委員会は、当該民間の団体が組織する団体に対し、当該民間の団体による犯罪被害者等の支援の適切かつ有効な実施を図るため、必要な助言、指導その他の措置を講ずるように努めなければならないこととするものであります。
その三は、国家公安委員会、都道府県公安委員会及び警察本部長等は、犯罪被害者等の支援に関する広報活動及び啓発活動を行うように努めなければならないこととするものであります。
なお、この法律の施行日は、平成二十年七月一日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
○中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十四分散会