第6号 平成20年4月2日(水曜日)
平成二十年四月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 萩生田光一君
理事 村田 吉隆君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 伊藤 忠彦君
遠藤 宣彦君 大塚 拓君
加藤 勝信君 木原 誠二君
河本 三郎君 高市 早苗君
戸井田とおる君 土井 亨君
中森ふくよ君 西村 明宏君
西本 勝子君 藤井 勇治君
御法川信英君 市村浩一郎君
吉良 州司君 楠田 大蔵君
郡 和子君 佐々木隆博君
西村智奈美君 馬淵 澄夫君
石井 啓一君 谷口 和史君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣 増田 寛也君
内閣府副大臣 木村 勉君
内閣府副大臣 中川 義雄君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
政府参考人
(内閣官房地域活性化統合事務局長代理)
(内閣府構造改革特区担当室長)
(内閣府地域再生事業推進室長) 上西 康文君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 堀田 繁君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 戸塚 誠君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 片桐 裕君
政府参考人
(総務省行政評価局長) 関 有一君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 森口 泰孝君
政府参考人
(農林水産省農村振興局整備部長) 齋藤 晴美君
政府参考人
(水産庁増殖推進部長) 重 義行君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
遠藤 武彦君 御法川信英君
木原 誠二君 伊藤 忠彦君
中森ふくよ君 西本 勝子君
西村智奈美君 郡 和子君
石井 啓一君 谷口 和史君
同日
辞任 補欠選任
伊藤 忠彦君 木原 誠二君
西本 勝子君 中森ふくよ君
御法川信英君 遠藤 武彦君
郡 和子君 西村智奈美君
谷口 和史君 石井 啓一君
―――――――――――――
四月二日
憲法を守る意思をあらわすことに関する請願(笠井亮君紹介)(第八三六号)
憲法九条を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第八三七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
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○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理・内閣府構造改革特区担当室長・地域再生事業推進室長上西康文君、内閣府大臣官房審議官堀田繁君、公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、警察庁生活安全局長片桐裕君、総務省行政評価局長関有一君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、文部科学省科学技術・学術政策局長森口泰孝君、農林水産省農村振興局整備部長齋藤晴美君、水産庁増殖推進部長重義行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○中野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井亨君。
○土井(亨)委員 おはようございます。自由民主党の土井亨でございます。
十二月にも大臣に、若干特区についてお話をお伺いさせていただきました。今回の地域再生法の一部を改正する法律案、また構造改革特区法の一部を改正する法律案、私自身、両方とも必要だというふうに思っております。
必要というよりも、現状、いろいろな特区認定をしながら地域で頑張っていらっしゃる、そういう方々が、一つは、これではまだ足りないというような壁にぶち当たって、いろいろ酒税法を含めた改正というものも必要だというような形での一部改正法と、地域再生法に当たっては、民間になるから、そのことも踏まえて今改正をしなければいけない。ともに必要なものでありますから、私自身否定をする必要はないというふうに思っておりますし、ぜひ、こういうものをもっともっと活用し、地域の活性化につなげていってほしいというふうな思いもございます。まさに、現実的に合わない規制があれば進んで国が規制緩和を行っていく、こういう積極的な姿勢が求められているのが構造改革特区であり、地域再生法のあるべき姿だというふうに私は思っております。
これによって、大臣が申されている、地方の元気は日本の元気、地方がしっかりと元気がいい姿になれば幸いでありますし、ぜひそう願っているのでありますが、私自身、この特区と地域再生が本当に今地域にとって必要なことなのか、もっと別なものがあるのではないかというような思いもございますので、そういうものを含めて、きょうは質問をさせていただきたいというふうに思っております。
冒頭、第一点、日本の地域経済の現状、これをどういうふうにとらえているのか、大臣のお話を伺いたいと思います。
○増田国務大臣 まず、お答え申し上げます。
地域経済に対する現状認識を今問われたわけでございますが、全国を見ますと、地域といいましても多様でございまして、例えば東海、この地域は、有効求人倍率におきましても、それから域内の鉱工業生産の指数を見ましても、やはり日本の中では大変元気がある地域だろう。そして、先生のお地元の宮城、私も岩手で長く知事をしておりましたけれども、こうした東北は、先般の地域経済動向の判断を見ましても、持ち直しの動きが緩やかということで、一時期の判断よりも下の方に下方修正されました。地域の経済に大変跛行性、地域によってばらつきがある。
しかし、押しなべて、産業構造あるいは人口動向などから見ますと、景気がいいという、その実感を持ち得ない地域が数多くあるのではないか。そしてまた、いろいろなグローバルな問題もございますので、そういう中で、地域間のいわゆる経済格差あるいは所得格差などが今後広がっていくことが大変懸念をされる。こういうふうに認識をしております。
○土井(亨)委員 ありがとうございます。
今、代表的な東海地域と東北というブロックについてお話をいただきました。私自身も、いろいろな意味で、日銀短観やら経産省、いろいろな調査の資料をいただきますと、ブロックごとにその地域の経済動向、状況というものがしっかりと出ているのでありますが、とかく、政府の側から説明を受けますと、全国的にはというような形で、全国の平均をとらえて、今までですと、緩やかな改善方向にあるとか、そういう表現で申されるものですから、ちょっとそれは違うのではないか。
大臣がおっしゃるように、地域が元気が出ることが日本の元気だというのであれば、ブロックごとにせっかくそういう調査、動向が出ているのであれば、そのブロックごとのしっかりとした説明、そして、今そのブロックに、地域経済に何が足りないかというものをしっかりと見据えた地域経済の考え方、これを基本に、視点に持たないと、日本の地域の元気は出ないんだろうというふうに私は思っております。
そういう中で、もう一点だけ。今、東海はよく、製造業を含めた形の中で景気がいいと。東北は製造業がないものですから、大臣が知事をされた岩手県等々、今、自動車産業の誘致ということで、企業誘致に重点を置いているということになります。そういう中で、疲弊する地方対策、私は、これの究極は何なんだろうかな。その点について、大臣の御所見をまずお伺いできればと思います。
○増田国務大臣 やはり地方の元気が日本の力でありますので、地方の元気が出るような施策を国としても責任を持って実施していく、国の立場で国のやるべきことを実施していくということが必要だと思います。
そして、その中では、やはり地域に雇用の場、特に若い人たちの雇用の場をしっかりと開拓していくような産業の基盤をまずつくり上げるということが大変重要なことだろうと思いますし、そのために従来からも国としていろいろ施策を展開してきたとは思います。しかし、先ほど言いましたように、地域によって、あるいはブロックごとによって差がある。ですから、そのためにも、これから、特に産業を地域でさまざま生かしていく上での創意工夫が発揮できるような体制をつくっていく必要があるだろう。
さらに、もう一つ言いますと、それに非常に強みを発揮するような人材育成などをやっていくということが、これから国の役割としても大変大事なのではないか。先ほど自動車産業のお話がございましたが、先生の地元の宮城県は、自動車の新たな組み立ての企業が進出をされる、あるいはエンジンの生産も行われるというふうに聞いておりますし、そのための人材も大変東北は豊かでありますが、しかし、それに対しての今後の人材育成のメニューはブロックとしても用意していかないかぬだろうと思います。
国としてやるべきこと、私はまだ多々あると思いますので、それに的確に答えを出していく責務を国として有している、こういうふうに考えております。
○土井(亨)委員 私は、地方対策の究極は地方分権だというふうに思っております。いわゆる権限移譲、税財源移譲、これが私は、今の、これからの日本の形をつくる、地方の元気を生み出す究極の地方対策だと思っております。
ですから、この構造改革特区と地方再生というのはそれを前提にしたものでなければいけないというふうに私は思ってずっと見てまいりましたが、私自身の結果、見方からすると、本当にそういう規制緩和も含めた権限移譲がこの特区というものに生かされているのか、そういう思いが、国の思いがあって、この法律がしっかりとなされているのか。地域再生もそうでありますが、そうではないんじゃないかな、国が形だけにこだわって、中身の中で後ろ向きなところがあるのではないか、そういう思いがあるものですから、今前段で、大臣の地域経済やら地方対策というお話を聞かせていただいたのであります。
私自身はそういう思いで、究極の地方対策は地方分権だ、それに資する、それに向かっていく特区であり、地方再生法でなければならない、そういう思いを込めておりますので、こう御認識をいただきながら、次に、御質問をさせていただきたいと思います。
今の私の視点から考えまして、それでは、今日までの特区や地方再生は本当に地域の活性化に結びついているのかというような思いがございます。もしかすると、本当はもっと違う観点で地方再生というものを政治、政府は考えていかなければいけなかったのではないか。言葉だけで、特区ということで何とか地域の皆さんを奮い立たせて頑張ってもらおう、そういう思いもあったのかもわかりませんが、中身を見ると、率直に言うと、省庁の抵抗で、そういうものに本当は資する規制緩和であったりしなければいけなかったものが、案外、地域にとってはこんなことが特区なのかと思えるような規制緩和等々で今現在来ているのではないかというような思いもございます。
これまでの特区、地域再生、これは本当に地方が望んでいたようなものに、進んで政治、政府が取り組んで一生懸命汗を流してきたのかという率直な大臣の思いと、いや、それは地方自治体や地方からするとちょっと違う方向にもしかしたら行っていたのではないか、特区や地域再生というものは本当はこういうものであったはずなのにちょっと違うな、本来はこういうものだという思いがあれば、知事経験をされている大臣でありますから、率直にお話をいただきたいというふうに思います。
○増田国務大臣 まず、今先生の方から、やはり究極には地方分権だろうと、私も全くそのとおりだと思いまして、地域でこれから再生のための全能力を自由に発揮できるような体制を目指していくということが国のあり方だろうというふうに思います。
その間に、経済状況が非常に逼迫しておりますので、やはり国としてもそういった分権を進めていくことをにらみながら、きょう、あしたのためにやるべきことはいろいろある。そして、これまで行われてまいりました特区あるいは地域再生の制度も、そういうことで各省が工夫をされた制度だろうというふうにも思います。
ただ、今、率直にという先生のお話ございました。担当大臣としてどこまで言っていいのかという思いはございますけれども、まさしく、省庁の壁なり、中央からの発想という形ではなかなか地域の本当の力を引き出すのには限界がございますので、省庁の縦割りの壁を排する。あるいは、どうしても今、国のお金を渡すときにいろいろと手続が必要でございます。それから、例えば、一たん渡されたお金でつくった施設などは他に転用するときにまたいろいろな手続が面倒だといったようなことを、この特区あるいは地域再生で、より使い勝手のいいお金にしたり手続を簡素化するという仕組みででき上がっているんだろうと思いますが、本来であれば、そういった難しい法律などがなければ一番いいわけでございます。
省庁の方で、確かに、率直に申し上げまして、知事時代に受けておりました印象では、なかなか、地方の考え方と、それから上から、こちらから見ていく考え方にずれがあるのも事実でございます。ただ、何年間か、特区あるいは地域再生のこの法律が施行されて、両者の間の溝が少し埋まってきたという部分もあると思いますし、相変わらず、どうしてもメニューに限定をされております。その中から、地域再生なども、使い勝手を大分よくしたとはいえ、決められたメニューの中から選ぶといったような限界もあります。
今ある制度をよりよい方向に持っていくという視点で常々見直しをすることが大変大事ではないか、率直に申し上げまして、こんなふうに思うところでございます。
○土井(亨)委員 率直にお答えをいただきまして、ありがとうございます。
私も全く同感でございまして、別に、この構造改革特区、地域再生というものを否定するものではありません。どうせ法律としてつくったのであれば、本当に地方側にとって、今地方が何を求めているのか、地方がどういう考えで地域活性化に努めようとしているのか、努力をしようとしているのか、それを背中を押してあげられるような、そういうものでないと、今大臣からお話をいただきましたけれども、六百以上の規制緩和を行った、しかし、地方からすると、その六百以上の規制緩和を行ってもらったけれども、そういうもののパズルを組み合わせて認定してもらおうとか、そういう発想にしかならない。やはりその地域地域で、いや、うちはこれで何とかやりたいんだ、新たな挑戦、新たな試みをしたいんだというときに、まあ、これは出しても認可されないだろうと。そうすると、パズル的な要素で、認可されるもの、今までの規制緩和ができてきたものを組み合わせてどうしても出してしまうということにつながっているのではないかな。
ですから、私の認識ですと、これはすごいな、これを何とかやってみたいなと思うようなものではなくて、全国同じような内容の特区の申請やらまた地域再生の申請というものになっているのではないかな、そういう思いがあるものですから、いろいろな省庁の壁があると思いますが、ぜひ大臣にはその辺を頑張っていただいて、まさに私はそこが構造改革なんだというふうに思っております。
この概要説明でも、経済社会の構造改革を推進するというような文言が入っております、また、地域の活性化の手段とすることにより、構造改革をさらに加速するという文言が入っております。
これもまた率直にお伺いをいたしますけれども、ここに記されている構造改革、経済社会の構造改革を推進する、この経済社会の構造改革とは何なんだろうかな、何をどう改革するのが経済社会の構造改革なんだろうという思いがありますので、その辺、お話しいただければと思います。
○増田国務大臣 経済社会の構造改革、大変大きな仕掛けといいましょうか、大きな枠組みがやはり必要になってくる。ブロックごとに見ましても、例えば、先生の地元も、私もおりましたけれども、ブロック全体で自動車産業を育成していくというようなことについて、やはり都道府県レベルでは産業政策としても限界があるものですから、従来、国に過度に依存していたことについて、ブロックとして強力な産業政策を実施したいということを考えますと、中央省庁との間の役割分担を相当根っこから議論しなければいけない。
ただ、順番として、構造改革特区法それから地域再生法というのは、いろいろ細かな手続を省くとか緩和するといったような一つ一つの部品の組み合わせのようなことも数多くその法律によって行われるようなことではございますけれども、やはりねらいは、今おっしゃったように、そうしたことをパズルのように組み合わせるのではなくて、大きく、枠組みとして、少なくともブロックごとに大きな経済政策が打てるようにしていくということがねらいで、そちらの方に法律の意味もあるのだという、まずそこをきちんと考えていく必要があるんだろうと思います。
ですから、法律自身も、やはり運用する我々あるいは担当する職員にも、常に、そういう大きな経済社会の構造改革をこの法律はねらいとしているんだ、それは非常に抽象的な言い方ではありますけれども、今先生がお話しになったように、経済社会の構造を変えるということは、根っこから今までの仕組みをもう一度点検し直して改めていくということが必要になりますので、そういう思いでこの法律も運用していく。ですから、細かな補助金というようなものはもっともっと地域に本当に役立つものとしてつくりかえていくんだということをこの法律の考えとしては持っているんだということを深く認識する必要があるというふうに思っております。
○土井(亨)委員 ぜひ今大臣がお話しいただいたような形で進んでいただきたいと思いますが、私は、経済社会の構造改革というのは、いわゆる霞が関の構造改革なんだろうというふうに思います。
地域は今、必死になって、知恵を絞って、身を削って頑張っている、それでもなかなか地域が元気が出ない。そういう中で、では、霞が関は今までどおりでいいのか。今までどおり自分たちの既得権益を守りながら、本当に今地方が、規制緩和をしてほしい、いろいろな改革をして地方にしっかりと勇気と意欲を持てるような政策を打ち出してほしい、それが私はもともとはこの特区だったんだろうというふうに思いますし、地域再生法だったんだというふうに思います。しかし、今ずっとお話ししてきたように、省庁の抵抗で、本当に思い切った特区というものをなかなか活用できない状況がずっと続いてきた。
ですから、一生懸命、九百八十四の特区を実現した、全国展開を含めて現在は四百二十の特区を展開している、頑張っているというふうに説明されても、では、その特区ということで、全国のどこが本当に今元気がいいんだ、いろいろな経済のニュースの中で、ここは特区として物すごいことになっているよ、そういう地域が私は本来は一つぐらいあってもいいというふうに思うんですよ。それが全然、今そういう特区というのをまさに報道関係者も忘れて、地域は疲弊している、大変だ大変だというようなことばかり報道されている。これが私は現実だというふうに思います。
ぜひ霞が関の構造改革、自分たちが血を流してでも、自分たちにとっては嫌な規制緩和であっても、それがこれからの日本の地域に必要で、それが地域の活性化にしっかりつながるんだというものであれば、やはりみずから進んで、どんどんそういうものに頑張って仕事をしてほしい、これが私が思う経済社会の構造改革だというふうに思っておりますので、ぜひその点、私の考えでありますが、御理解をいただきたいというふうに思います。
時間も余りなくなってまいりました。一つだけ私疑問に思ったのは、この構造改革特区ができて、十二月の質問でもお話をしたのでありますが、初め特区というのは、地域の知恵を出せ、工夫をしろ、そして規制緩和をして後押しするよというのでありました。しかし、その二年後だったと思いますが、この地域再生法というのがまた出てきた。これは、交付金、いわゆるお金を出しますよと。特区という、金は出さないが、地域の独自性や知恵や創意工夫で地域活性化に頑張りなさいということで取り組んで始めた特区からわずか二年後に、今度は、お金を出しますよ、交付金としてお金も出しますよということであっては、これは地方も戸惑ったのが現実であります。では、どうすればいいんだというのが現実であります。
今回、いろいろ説明を聞きますと、いや、この特区という制度と地域再生法というのを組み合わせて、より効果的な地域活性化に結びつけていくんだ。それはそれで、今現実的には大変すばらしいことでありますから、この特区と地域再生法というものをしっかりと地域が利用して、知恵と創意工夫で考えるもの、そして規制緩和をしてもらうもの、それに今度は国がしっかりと交付金を出して後押しをして、一緒に、地域全体で地域活性化のために頑張っていこう。これは物すごい波及効果といいますか相乗効果にしっかりつながって、いいことだというふうに思いますが、こういう二、三年ぐらいのスパンの中で、いろいろなメニュー、いろいろな法律の中で出てくるという政府の考え方というのは、私は理解ができない部分も当初ございました。
ですから、きっと、特区というもので頑張ってみたけれどもなかなかうまくいかない、やはり金も必要かなというような思いで、今度、地域再生というものをつくられたのではないか、うがった考えで思いますとそういう考え方しかできないのであります。
前段に戻りますけれども、特区法というものをつくって二年後に、地域再生法という、全く金を出さないのから、金を出すということでつくった。これはやはり、特区では少し大変かな、特区では地域の活性化に余り結びつかないかなという思いがあったからこういうことになったのかなというふうな、うがった考えで思うのであります。その辺の考え方、そして今回、同時にこの法改正、一部改正を出された、その意味合いというものもお話しいただければと思います。
○増田国務大臣 今先生お話がございましたとおり、特区法が成立して運用開始されて、その二年後に地域再生法がまた新たに提案されて成立をする。特区の方は、基本的には、規制の特例を認める、規制を緩和していくということによって地域の活性化に結びつける、こういう考え方だったと思います。
当時の立法者のいろいろなお話などを振り返ってみますと、それだけで十分効果を上げるところと、どうも、やはり公共団体の方からも、それだけでは無理ですよといろいろお話もあったんだろうと思いますが、それに、交付金などのようなお金をつける、それから手続の簡素化、施設の転用の簡素化などの特例を入れる、あるいは税制と結びつけるといったような、規制の緩和だけではやはり一定の限界があるということで、地域再生の法律を新たに出されたようでございます。
私は、例えばどぶろく特区などは、岩手の遠野でも第一号でやりましたが、これはかなりお客さんも来まして、地域の皆さん方にも、頑張ればおもしろいことがいろいろできるんだという気持ちを植えつけたという意味で大変効果は大きかったと思うんですが、やはり地域を活性化していく、元気を出していくためには、地域が押しなべて一様では決してない、さまざま特性がございますので、いろいろな手法があっていいだろう。
ただ、一点大事なことは、先ほどから御指摘いただいていますけれども、やはり地域の視点に立つということと、それから、いろいろな組み合わせを、押しつけるようなことではなくて、それも一つのメニューだという、中央省庁も大変謙虚な気持ちで、そして地域の背中を後押ししていくということ。これがもうすべてだというような思いでやれば全国が同じような地域になってしまっていけませんので、そういう謙虚さを持って対応していくということが必要ではないかというふうに思っているところでございます。
○土井(亨)委員 ぜひ地域側に立った、今地域が何を求めているのかというのをしっかり把握していただいて、それに合った特区でなければならない、地域再生でなければならないというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
そういう意味合いを込めて、地方再生戦略の中で、今度はブロックごとに担当参事官を決めまして、そういう大臣の思いを地域の皆さんにしっかりとお知らせして、一緒になって地域の活性化のために頑張ろう、そして、特区や地域再生というものもあるよ、メニューがあるよ、一緒に頑張って考えていこうということで、そういう地方の連絡室のようなものをつくられた。
ただ、私、ここで一点気になるのが、連絡室を置いて、担当参事官がいて、いろいろ飛び回って皆さんにお話をしても、やはりどうしても地方自治体がしっかりと連携をとらないといけない。
そういう意味では、ぜひ、参事官がいろいろな行動をされるんでしょう、またいろいろな相談を受けられるんでしょう、そういうときには、後から地方公共団体に説明をしたりするのではなくて、初めからしっかり公共団体の担当者が同席をしてともに考えていくという、情報の共有というものがこの連絡室の基本になければならないというふうに私は思っております。そのことの御答弁と、最後に、今るる申し上げてきましたけれども、やはり省庁の壁が厚い、その省庁の壁をしっかり打ち破っていくことが、大臣に対しての大変な私の思い、期待でありますので、その辺の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○増田国務大臣 地方の連絡室、ここには都道府県の方から担当者にきちんと入っていただいて、そこで常に一緒になって考えていくような体制を構築していきたいというふうに思います。これは運用の際に十分気をつけたいと思います。
それから、省庁の壁、あるいはそれぞれの一つ一つの省庁の視点ということで見るのでは決してなくて、地方の立場に立って、ともにいい成果を出す、そういう視点に立って後押しをし、成果を出していく、こういう思いで、私も、とにかく地方が元気が出なければこの国はよくなりませんので、そういう思いでこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○土井(亨)委員 ありがとうございました。
○中野委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。
まず、構造改革特区法の改正案でございますけれども、このたび、従来のどぶろく特区に加えて、果実酒、リキュールに関しまして酒税法の特例を設けるという案でございます。
まず、従来のどぶろく特区についての効果を確認したいと思いますが、特区認定されたそれぞれの地域で、このどぶろく特区というのがどの程度地域活性化に効果を上げてきたのか、その検証についてどういうふうにされているのかを確認いたしたいと思います。
また、この際、どぶろく特区については規制緩和の全国展開をする、こういう必要性はなかったのか、この点についても確認させていただきたいと思います。大臣、お願いいたします。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
このどぶろく特区でございますけれども、これは、ことしの三月末時点、おととい時点でございますが、その段階で、全国で八十五の特区が実現をしております。第一号は、岩手の遠野でどぶろくの製造免許を取得したわけでございますけれども、その後、私も少しびっくりしたんですが、八十五まで広がっておりまして、そして、具体的に免許を取得したのは百八の製造場、こういうことになっております。
それから、このどぶろく特区全体で、年間の交流人口が約百五十万人増加をした。これは十八年九月に公表した公共団体に対する調査でございますので、その後に特区の免許を取得したところもございますので、途中段階です、今はもっとふえているとは思いますが、その十八年九月現在でも百五十万人増加した。
私が第一号の遠野をその後ずっと見ておりましたけれども、やはり随分人気になりましたし話題にもなりましたので、全国から大勢のお客さんが来られたということを実感してございます。この関係では大変効果があったんだなというふうに思っております。
それではこれを全国展開するかどうかということでございますけれども、これも公共団体にいろいろとお話をお伺いいたしましたが、特区であるがゆえの宣伝効果で交流人口の増加につながったというような声が大変多くて、岩手でも、その後幾つか他地域でも取りましたが、やはり、場所を限って、そして、あそこへ行けばどぶろくが飲めるということが大変また話題性にも、それから、来るお客さんの満足につながるということがございました。
これは、そういう調査が出てございましたので、当分の間は、私どもは、地域活性化策としてこの特区の意味が大きくて、この特区のままで存続をさせていただきたい。今お話ございました効果を今後またよく見きわめたいというふうに思っておりますが、当分の間は、こうした意味で特区で存続をさせていただきたい、このように考えております。
○石井(啓)委員 それでは続いて、法案の細かい中身について確認をいたしたいと思います。
まず、今回の果実酒、リキュールに関する酒税法の特例について、全国からどれぐらい要望があったのかについて確認をしておきたいと思います。
さらに、今回、果実酒の特区を設けるわけでございますけれども、従来のどぶろく特区にはございませんでしたが、「自己の営業場において飲用に供する場合その他これに準ずる場合として財務省令で定める場合を除き、販売してはならない。」こういう規定が新たに設けられております。この規定を設けた理由について、また、販売を仮に認めた場合どういう問題を想定されているのか、その点について確認をいたしたいと思います。さらに、「準ずる場合として財務省令で定める場合」というのはどういう場合を予定されているのか、この点についてもあわせて確認をいたしたいと思います。
○上西政府参考人 それでは、最初のお尋ねにつきまして、事務方より御説明を申し上げます。
果実酒、リキュールに関する特例の要望、これは全国から多数いただいておりますけれども、これまでの特区の特例措置の創設に関する提案募集、十二回行っている中で、この酒税法の果実酒、リキュールに関する特例を求めるものは、自治体あるいは個人の方々の、さまざまな主体、二十五の主体から御提案をちょうだいしてまいったところでございます。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
今回の果実酒特区につきましても、特区法の趣旨にのっとりまして、酒税の保全の観点ということを踏まえた上で、基本的には従来のどぶろく特区と同様の制度を構築させていただきたいと考えております。
具体的な御指摘で、どぶろくの場合には、どぶろくというその性質上、保存性とか流通性がそもそも乏しいものですから御指摘のような規定をあえて設けておりませんでしたけれども、今回の果実酒の場合には、そういう意味では、保存性、流通性が高いということでございますので、「自己の営業場において飲用に供する場合」ということに限定をさせていただいておるところでございます。
最低製造数量基準というのを特区の製造の場合には撤廃するということで、酒税法の特例を設けておるわけでございますけれども、小規模の事業者、製造者が特区の中でこれから出てこられますので、つくったものを流通に供しますと、輸送コスト等が発生するとか、そういった面で酒税の的確な執行上問題が出る可能性もあるということで、現時点では、どぶろく特区と同じように、特区内での営業場での飲食の用に供する場合に限定をさせていただいておるという趣旨でございます。
それから、「営業場において飲用に供する場合」「に準ずる場合」でございますけれども、ここにつきましては、営業場と製造場が地理的に異なる場合も想定されますので、財務省令におきまして、特区内に所在する自己の製造場において飲用に供する場合というのを認めることにしてございます。具体的には、工場見学などをされた場合の工場での飲用ということを想定しておるところでございます。
以上でございます。
○石井(啓)委員 まず当面はこういう規定でもやむを得ないかと思いますけれども、これは実際に運用してみて、どういう問題があるのかよくまた検討していただいて、この販売の禁止規定というのは、場合によってはまた将来見直しということも御検討いただきたいと思います。
それから、同じく、今回、どぶろくの材料の米、それから果実酒の材料の果実については、みずから生産した米、果実を原料とするということを原則としておりますけれども、その特例として「財務省令で定める」「準ずるもの」というふうに認めております。それはどういうものなのか、確認をしておきたいと思います。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
今回、地方公共団体からの要望を踏まえまして、みずから生産したものに準ずる場合ということで、財務省令におきまして、冷害等の災害あるいは鳥獣被害によりまして、みずから生産した米や果実を原料として確保できない場合につきましては、みずから生産したもの以外の米や果実を使用できるようにしたいというふうに考えております。
具体的には、特区内での同種の米や果実、あるいは災害が特区全体に及びます場合には、特区外からのそうしたものということを想定しているところでございます。
○石井(啓)委員 続いて、地域再生法の改正案の方に移らせていただきますけれども、今回の改正案では、地域再生に資する事業を行う者等は、地方公共団体に対して、地域再生計画を作成するよう提案できるというふうにされております。一方で、二十年度予算で創設されました地方の元気再生事業、これも一つのセールスポイントになろうかと思いますけれども、これにおきましても、地域活性化に取り組む法人等を応募主体というふうにされております。
それぞれ、地方公共団体以外にも、地域活性化に取り組むさまざまな主体から、いろいろなアイデア、提案を生かそう、こういう趣旨は同じだと思いますけれども、地域再生計画と地方の元気再生事業、この関係がどうなるのか、また、現場のいろいろなアイデアを持っている主体の方はこれをどういうふうに使い分けをしていったらいいのか、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
今先生の方からお話ございました事業は、いずれも地域の自主的な取り組みを支援するという点では共通しているというふうに思っております。
ただ、今年度新たに立ち上げました地方の元気再生事業ですけれども、これは、地方の再生に取り組む上で、やはり一番大きな隘路となっているのはプロジェクトの立ち上がり段階、いろいろな事業主体も、やはり財政的にもそれから人材的にも弱小のところが多いものですから、そのプロジェクトの立ち上がり段階を集中的に支援していこう、そしてそのための資金も十分の十で用意しましょう、こういうことになっているわけでございます。その上で、それをさらに本格的な展開につなげていきたい。ですから、本格的な展開の段階では各省のさまざまな事業につなげていく、こういうふうに考えております。
それから、地域再生の関係でございますけれども、地域再生計画につきましては、具体的な地域再生の事業を地域としてメニューを決めて、これも、メニューも大分改善はされてきているようですが、一定の支援メニューによって支援をしていくということで、小ぶりのものであったりそれからもう少し大きなものであったりさまざまですけれども、こちらは内容的にもかなり具体的なものがあって、それでその事業によって一つ完結するような、そういうものを考えているところでございます。
したがいまして、地元では、いずれにしても、どういうことをやろうかということ、実情に応じてそれぞれを選択していただければいいというふうに思っておりますけれども、ただ、種類がだんだん多くなってまいりますと、どういうものが地域にとって一番効果的なのかということもわかりにくい場合もございますので、私どもの方で、その点についてはいろいろな、地域からの問い合わせですとかそれからお考えにやはり親切に丁寧に、そして決して押しつけることなく、適切な対応をしていきたい、このように考えております。
○石井(啓)委員 地域再生のいろいろなメニューが出てきました、構造改革特区にしろ、地域再生にしろ、今回の地方の元気再生事業にしましても。それをどういうふうに現場で使っていったら効果的なのか、そこら辺のPRも、ぜひ周知徹底、よろしくお願いをいたしたいと思います。
続いて、地域再生計画の作成を提案する場合、地域再生計画の素案の作成と提示というのが義務づけられておりますけれども、この素案というのがどの程度のレベルの内容を求めるのか。余り高度な内容を求めますと、提案しようとする方の意欲をそぐということになりますし、一方、余りに簡単な内容ですと、提案を受ける公共団体の方が恐らくこれをどう扱っていいかお困りになるようなこともあろうかと思います。そのバランスをどういうふうにとろうとされているのか、その点について確認をいたしたいと思います。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
今御指摘ございましたように、今回の改正案では、地域再生計画の作成に係る提案について素案をつくっていただくということをお願いしておりますけれども、これは、その提案を行う方が、行おうとする事業の内容や、あるいはその事業の目的、目標について、そういったことを明らかにしていただくことによって責任のある提案をしていただこうということでございます。
このような観点から、素案には、地域再生計画の目標でありますとかあるいは計画に記載すべき事業やその支援措置などを内容とするということを想定しておりますけれども、どの程度のレベルのものが必要かということにつきましては、提案を受ける地方公共団体において判断されるべきものというふうに考えております。
ただ、私どもといたしましても、この実際の運用に当たりましては、必要に応じまして、地方公共団体やあるいは地域の方々に丁寧に御相談に応じるというようなことをいたしまして、提案者の意欲を失わせることにならないよう、また地方公共団体が適切な判断ができるように情報提供などに努めてまいりたいと考えております。
○石井(啓)委員 この点についても、ぜひ、今も御答弁ありましたけれども、現場の方が困らないように、よく相談また指導等をお願いいたしたいと思います。
続いて、地域再生支援利子補給金制度の創設でございますけれども、利子補給する対象の金融機関の条件の一つとして、地域再生協議会の構成員であるというふうにしておりますけれども、こういう条件を設けた考え方を伺いたいと思います。
仮に、地域再生協議会の構成員である金融機関が一つであった場合、事業者は利子補給を受けて借り入れをしようとすれば、融資申し入れ対象はその構成員である金融機関に限定をされるということになりますけれども、そのことによっていろいろな不都合が生じる可能性もあるのではないかというふうに私は思いまして、その点についてどういうふうにお考えになっているのか確認をしたいということであります。
○上西政府参考人 お答え申し上げます。
金融機関が地域再生に資する事業を行う事業者等に対する貸し付けを適切に行う、このことを確保するためには、地域再生計画にかかわる関係者の方々の意向を十分に把握した上で貸し付けを実施するということが重要でありましょう。さらに、再生事業を推進する上で、金融機関からのノウハウやネットワークを生かしたアドバイス等もその過程で期待ができるということで、地域再生協議会の構成員であるということを金融機関の指定の要件としたところでございます。
この構成員である金融機関につきましては、地域再生に資する事業を行う事業者等に対する貸し付けを効果的、確実に実施できる金融機関をこの組織に当たる地方公共団体が選定するということが考えられますので、仮にこの金融機関が一つであっても、事業を実施する上で不都合は生じないのではないかと期待をしております。
ただ、事業者に対する貸し付けを行う金融機関で、それ以外の金融機関が協議会の構成員となることを希望されるという場合には、今般の、まさにお願いをしております改正法案の規定に基づいて、その旨を地方公共団体に申し出て加わっていただくということも可能でありますので、そういう形でほかの金融機関が参加されるということもあり得るものと考えております。
○石井(啓)委員 地域の金融機関のいろいろなノウハウ、アイデアを地域再生協議会の中で生かしてもらおう、なるべくこの協議会に参加させるインセンティブとして条件につけるという考え方は私も理解できるんですけれども、仮に、ほかの金融機関だったらより有利な融資条件で借り入れられる、金利だとか返済期間だとか、そういった場合はどう考えたらいいのかな。
この利子補給というのは、金融機関を助けるというんじゃない、結局、事業を担おうとする事業者を支援していこうということですから、事業者が最も有利な融資条件を受けられるようにしてあげた方が私はいいんじゃないかなという気もするんですけれども、その点はどうでしょうか。
○上西政府参考人 これは、もちろん事業者御自身で、この利子補給のスキームに参画する金融機関なりあるいはほかの金融機関なり、有利な条件を求めて、そこで事業を進めておられるということになろうと思います。ただ、大きな枠組みとしては、やはり地域再生の計画の中でそういったものをしっかり位置づけるということで、我々としてはこの制度が利用していただけるということを期待しているところでございます。
○石井(啓)委員 いや、そうじゃなくて、利子補給がないとすれば、返済期間は一緒だとすると、片や一方で三%の金利だ、もう一つは二・八%だ、そうしたら、やはり二・八%の金融機関から借りて、なおかつ利子補給を受けた方がそれは有利に決まっていますよね。そういったケースもあり得る。
先ほどの答弁だと、そういう金融機関に再生協議会にあえて入っていただければ、そこから融資を受けることができる、そういうふうには伺いましたけれども、ここら辺は私はもう一工夫あってもいいのかなという感じがしましたので、その点については一応指摘をしておきたいと思います。
以上で終わります。
○中野委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。
構造改革特区と地域再生法、二つの法案について、何度か私質問をさせていただいているものですから、きょうは、この二つの事業がそれぞれ一定の年月を経ておりますので、この二つの事業の政策評価、事業評価についてのみお伺いをさせていただきたいというふうに思ってございます。
最初に、事業評価全体を担っておられるのは総務省でありますので、総務省の方にお伺いをしたいんですが、平成十三年に行政評価に関する法律というのができていて、基本方針というのも同時にできているわけであります。行政、これは企業活動をやっていても同じですけれども、いわゆるプラン・ドゥー・チェックを繰り返しながらやっていくわけですけれども、行政における、政府全体の政策評価の手法、いわゆる事前とか実績とか総合とかいろいろな表現があるわけですが、その手法についてまずお伺いをさせていただきます。
○関政府参考人 お答え申し上げます。
政策評価は、政策評価法などに基づきまして、各府省がその所掌する政策についてみずから評価を実施するということが基本でございます。その中では、プラン、企画立案、それからドゥー、実施、チェック、評価、アクション、企画立案への反映を主要な構成要素とする政策のマネジメントサイクルを有効に機能させる、そうすることによりまして、効率的で質の高い行政を実現し、国民に対する行政の説明責任の徹底を図るというものでございます。
先ほど先生からお話がありましたけれども、政策評価につきましては、政策の決定に先立ちまして、的確な政策の選択や実施の可否の検討に有用な情報を提供する見地から行われます事前評価、それから、政策の決定後におきまして、政策効果を把握し、政策の見直し、改善や、新たな企画立案に反映させるための情報を提供する見地から行う事後評価、こういうものを各省庁において実施しているところでございます。
○佐々木(隆)委員 みずから評価ということを中心にしながら、事前事後、両方やっているということなんでありますけれども、これは毎年点検結果というのを出しておられますけれども、十九年度の点検結果において、一般政策で三十一件、公共事業で十六件について疑問事例というのを結果として公表されているわけであります。
その中には、問題解消のための既存事業の見直し、それから二つ目には、伸び悩んでいるという事業、それから、達成が難しいという事業、それから、強化が必要という事業などに分類をされて、事例を挙げて結果を挙げられているわけでありますが、それぞれちょっと、事例の特徴的なものだけで結構ですから、それを含めて、どういう整理をされているのかということについてお伺いをいたします。
○関政府参考人 総務省では、政策評価の一層の質の向上と、それを通じた評価の実効性の確保を目的といたしまして、政策評価の点検活動を実施しておるところでございます。
十九年度につきましては、先般三月二十八日に、政策評価の点検結果を関係府省に通知し、公表いたしたところでございます。
先生が今おっしゃいました四十七事業でございますけれども、これらにつきまして、一般政策につきましては、設定されております指標が専ら政策の執行面に着目をしておりまして、政策効果に着目した指標の設定になっていないというようなものがございます。それから、設定されております指標が政策全体をカバーしているものではなくて、指標の設定、評価方式のあり方について再検討が必要である、こういうものもございます。
それから、公共事業関係でございますと、便益の算定ということをやるわけですけれども、その際の手法の適用におきまして妥当性に疑問があるというようなものがございます。それから、便益算定の前提になります需要予測、その数字に疑問がある、こういうものがございまして、これらについて、関係府省に見直しをしてくれということで通知をいたしたところでございます。
○佐々木(隆)委員 今、一般事業と公共事業のそれぞれ、挙げていただいたんですが、できれば、本当は事例も少しお伺いをしたかったんですが、それは結構です。
今のお話を伺っても、公共事業の方は、便益性とか予測値に対してどうだとか、割とわかりやすいわけですよね。ところが、一般事業の方については、執行面のみで評価をしている。それは各省庁ごとにやるわけですからそういうことになるんでしょうけれども。あと、全体をカバーしているのかいないのかということになると、少しこっちの方はわかりづらいと思うんですね、一般の人たちにとっては。そんなことの改善はやはり必要なのではないかということ、そのことについて指摘をさせていただきたいというふうに思います。
それで、特区と地域再生事業についてでありますけれども、これの政策評価について今度はお伺いをしたいというふうに思うんです。
これも、二つの事業の基本方針の中で評価の実施ということは言っているわけでありますし、内閣府の政策評価基本計画においても、事後評価の対象の中にリストアップをしているわけであります。
しかし、先ほど来からも少し論議になっておりますように、予算措置を伴わないものもこの二つの事業の中にはあるわけですし、あるいはソフト的な事業であるというようなことを考えたときに、これらの政策評価の手法というのはどういう方法でやっておられるのかということについて、まずお伺いをしたいというふうに思います。
○上西政府参考人 事務方よりお答えを申し上げます。
特区それから地域再生の政策評価の手法ということでございます。
例えば、私ども、特区につきましては、特区の提案をいただきまして、それを各省が所管している規制の特例として実現できるかどうかということについて協議、折衝を行う、そういった、内閣の事務を助ける、いわゆる内閣の補助事務というものがその大きな部分を占めているわけでありまして、こうした内閣の補助事務につきましては、先ほどの御説明ありました政策評価法の政策評価の直接の対象とはされておらないところでございます。
私どもは、それにかわるものといたしまして、十九年度までは、特区法に基づきます、規制の特例措置の適用状況を調査する、あるいは地域再生につきましても、基本方針に基づきます事後調査というものを行ってきたところでございます。
若干詳しく御説明を申し上げますと、特区についての規制の特例措置の適用の状況につきましては、特区が導入されまして一定の期間が経過いたしますと、推進本部に置かれました評価・調査委員会、これは民間の学識経験者あるいは企業の方、公認会計士の先生方に入っていただいておるわけでありますけれども、その評価・調査委員会におきまして評価を行っていただきまして、そこで特段の問題がないとされたものについては全国展開をするということで、これは、評価の一定の反映ということがそういった形であらわれてくるということと存じております。
この評価につきましては、そういった全国展開のほかに、先ほど大臣からも御説明ありましたように、特区の形で存続をするとか、あるいは、場合によってはその是正を行うとか、そういったいろいろな評価基準を置きまして評価をしていただいておるところでございます。
この評価のプロセスでは、規制を持っております各省庁からの、関係の方々からの意見聴取を行ったり、あるいは、特区計画の実施状況について地方公共団体から調査をするといったような手法をとってきたところでございます。
それから、地域再生の方につきましては、地域再生計画を認定いたしました地方公共団体等に対しましてアンケートあるいはヒアリング等を実施いたしまして、これも、地域政策の専門家、大学の先生等第三者から成る事後評価の委員会から意見をちょうだいいたしまして評価を行う、そういった形をとってきたわけでございます。
今年度、二十年度以降も引き続き、私どもとして、こうした評価を実施していきます。
それに加えまして、経済財政運営と構造改革に関する基本方針等を踏まえまして、今年度予算より、政策ごとに予算、決算を結びつけて、予算とその成果を評価できるようにする仕組みに見直されたことから、我々の仕事の中で、特に内閣府の事務として行っております構造改革特区計画そして地域再生計画の認定等につきまして、内閣府としての政策評価を行うということにしておるところでございます。これは先ほど御指摘あったところでございまして、そのやり方、手法につきましては現在検討しておるところでございます。
以上でございます。
○佐々木(隆)委員 大臣にお伺いをいたしますが、今の説明ですと、例えば各省庁からのヒアリングとか、地方公共団体から意見を聞くとか、あるいは地域においては団体アンケートということでありますから、客観的な評価基準みたいなものがあるわけではないわけですよね。
そういう意味において、特区は、平成十四年からですから六年経過して、七百九ぐらいが認定されているんでしょうか。それから、地域再生法では、三年ですからまだ日は浅いわけでありますが、それでも九百五十四件というふうに認定されているわけでありまして、今、平成二十年度から予算と決算にちゃんと結びつくようにというようなお話がございましたけれども、効果がどうあって、それをどう評価して、そして、それが次の年の予算なり事業の展開に反映されて初めてこの評価システムというのは意味があるんだと思うんですね。評価しただけでは何にもならないと言ってはちょっと言葉が悪いですが、次の年の事業に反映されてこそ初めて評価システムというものをつくった意味があるというふうに思うんです。
この二つの事業についての効果及びその評価についてお伺いをいたします。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
今お話ありましたように、評価を次の事業の実施に結びつけなければいけないというのは御指摘のとおりでございます。
それで、特区の方ですけれども、これについて、その効果をどういうふうに評価するかというのは、手法も大変難しい部分が確かにあると思いますけれども、特区で認定された地域での公共団体の回答をもとにすると、これは十八年九月段階の調査でございますが、例えば、設備投資で五千三百億円増加とか、従業者数で一万四千人増加といったような回答が上がってきておりまして、地域の経済を活性化する成果があったというふうに判断をしております。
それから、地域再生の方について、こちらの方は、認定の件数が約一千件ということでございまして、その具体的な効果をどういうふうにはかるのかというところについては、おおむね地方公共団体が設定している計画目標に沿った形で実施の状況も出てきているので、国の支援措置もおおむね順調とされているというふうになっているのですが、こちらは具体的にどういう数字かというのをなかなかはかりかねているのが正直なところでございます。
自治体がみずから設定した目標が達成されるものかどうかというのをやはり一つの評価の手法として考えているわけでございますけれども、この評価の手法については、まさに今お話ございましたように、ソフト的な政策に係る評価の手法ということでございますので、二十年から予算と決算が結びつくような形になりまして、そこでそうした効果の測定がわかりやすい形になってまいりますので、今担当の局長の方からも説明いたしましたように、具体的にそれをどういうふうにするのか今検討中でございます。具体的なアウトカム指標がどのような状況にあるのかといったようなことについて私ども検討して、実際には、二十年の成果については二十一年にそれを反映させていかなければならないんですね。その点については、中でよく、さらに検討を深めていきたい、このように考えております。
○佐々木(隆)委員 今、これから検討ということでありますので、どこまで論議を深められるかということになるんですけれども、実は、これは平成十八年六月ですか、政策評価国際シンポジウムというのが日本で開かれて、これは竹中大臣のころでありますけれども、その中で、イギリスとかアメリカの政策評価の事例なども紹介をされているわけであります。どこの国もそれぞれ少しずつ違っているし、政治と行政の仕組みも少し違いますので、全く同じ手法が適用されているというわけではありませんけれども、一つは、今も大臣ちょっと触れられた中にもありましたけれども、要するに、どう評価するのかということと、それをどう公開をしていくのか。
国民の皆さん方にわかりやすいシステムでなければならないと思うんですね。正直言って、点検結果を見せていただいても、一般の国民の皆さん方がこれを見て、ああ、評価がこうだったんだとわかるような今の表現の仕方だとは思えないわけですね。省庁と省庁の皆さん方でやりとりをすればそれはわかるのかもしれませんけれども、評価というのは、やはり国民に対しても、こうでしたということがわかりやすいものになっていかなければならない。
だから、いわゆるアカウンタビリティー性といいますか公開性、あるいは情報の共有性といいますか、そういった部分と、今ほど大臣からもありましたけれども、フィードバックして、それがどうやって次の年に生かされていくのか、その二つが重要だということについては、この国際シンポジウムの会議の中でもややそういう集約になっているというふうに私は思ったわけであります。
大臣は総務大臣も兼ねておられますので、そういった意味でいいますと、全体を掌握しているのは総務省でありますけれども、総務省が持っている政策評価と内閣府が所管をしているこの二つの事業の評価というものは、ある程度同じでなければ国民に対してわかりやすいとは言えないと思うんですよね。自分たちで評価しましたというだけでは、これは必ずしも前進とは言えないわけであります。
そういった意味でいうと、総務省の評価方式と、内閣府が抱えているこれらの事業の評価方式というものをどうやって整合させていくのか。特にソフト的なものが多い分だけに、ぜひその辺の整合というものを図っていかなきゃならないと思うんですが、大臣のお考えを伺います。
○増田国務大臣 今年度また、我々の方、内閣府の大臣の立場としては、内閣府で行っております地域再生の政策評価を行います。これは、内閣府として、今お話ございましたとおりに、説明責任をしっかりと果たすということから、今までも特区それから地域再生について、先ほど御紹介しましたとおり、第三者から成る委員会を設置して、その皆さん方の知見を活用したり、それからそのプロセスについてもホームページで公開をしてきましたけれども、やはり、その内容について、国民の皆さん方によりわかりやすい形で常々見直しをしていかなければならないと思います。実は、私も公開されているホームページというのは今の時点ではまだ見ておりませんので、私も自分の目できちんと見て、本当にこういった形で国民の皆さん方がわかりやすくなっているのかどうかを一度点検してみたいというふうに思いますし、さらに専門家の皆さん方からもよく意見を聞いて、直すべきところは直したいと思います。
それから、総務省全体との関係でございますが、これは当然、こうした我々の政策評価につきましても、内閣の一員としての内閣府が行っているものでございますので、全体としては、政策評価法に基づく政府全体の政策評価の体系の中で行われることになります。
したがいまして、先ほど、そちらの関係では総務省の方の担当局長から考え方を御説明しましたが、全省庁を通じていろいろなソフト的な事業というものが多々ございますので、それについては、総務省として、常に、きちんとした成果が上がっているかどうかを、これはいろいろやり方は工夫をしなければいけないわけですが、公共事業とはまた別の観点で、そうしたものについて政策評価の実施をしている。
その政府全体の、総務省が中心となって行っております政策評価の中で、やはり内閣府の方としても取り入れるべき点は取り入れる、そして他の省庁と同時に、全体が、整合がとれたようなものになっていなければなりませんので、政策評価法の傘のもとできちんとした政策評価が行われるように、個別の内閣府の評価というものも実効性のあるものにいたしたい、こういうふうに思います。
○佐々木(隆)委員 これは、二十年三月に、十九年度の、ホームページに記載されているものであります。それを私もプリントしてきたんですけれども、何といいますか、多少視覚に訴えるようにはなっているわけでありますけれども、例えば、一般事業の三十一、公共事業の十六についてこういう問題がありましたと。途中から公共事業のところに入っていくんですが、公共事業のところは割とわかりやすいんです。数字がいわゆるアウトプット方式で出てきますから割とわかりやすいんですが、一般事業について見ると、省庁同士がやりとりをするにはこれでもいいのかもしれないんですけれども、これをホームページに載せてありますから一般の国民の皆さんに見ていただいてというには、親切だとはとても思えないと思うんですね。
そういった意味でいうと、今大臣からもおっしゃっていただきましたけれども、政策評価というものについて政策評価法の中でいうと、政策効果というのは、「政策に基づき実施し、又は実施しようとしている行政上の一連の行為が国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼすことが見込まれる」と定義されているわけですが、その後ろの部分、「国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼすことが見込まれる」というのが、いわゆるアウトカムの部分だと思うんです。
実績というのは割と出やすいんですが、ソフト的なものを評価するときに、政策目標に沿ってどうだったのかというのは、これは評価の統一基準をつくるという意味でいうと、事業目的がかなり違う中で、しかし、一つ、ある程度の基準をつくっていかないと、これはなかなか国民に説明責任を果たすという視点からいうと十分でないと思いますので、いわゆる予算というものがインプットされて、出ていくときにアウトカムされるものとアウトプットされるものと、両方をかなりわかりやすい形でどう表現するか。これはヨーロッパなんかは、アメリカも含めて、かなり進んでいるというふうに聞いておりますので、その点についてわかりやすい仕組みというものをぜひつくっていただきたいなと思います。その点は指摘をさせていただきたいというふうに思います。
それにかかわって、これは内閣府の方にお伺いしたいんですが、そのようなソフト的な施策に係る評価手法というものについて、要するに行政サービスの成果ということをこのごろ言われるわけですが、成果というのは、今言ったように両面あると思うんですね。ソフト的な場合の成果というのはどういうものなのか。ハード的なものは割と成果というのは表現しやすいんですが、ソフト的なものの成果というものの表現というのは非常に難しい。しかしそれは、税金を使ってやっている以上、何らかの形できちっと成果というものを評価していかなければならないというふうに思うんですが、その辺の手法というものについての考えがあればまず伺いたいと思います。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
既に大臣から御説明をいただいているところと重なるところでございますけれども、私どもの特区、地域再生につきましては、これらの法律の目的というのが、あくまで地方公共団体の自発性、自主性、自立性、それを尊重して地域を活性化するということでございますので、その評価に当たりましても、地方公共団体自身が、それぞれの計画においてみずから設定した目標が達成されるものであるか、そういったことを主に検討する必要があるんだろうと考えております。
したがいまして、国が行います支援あるいは特例措置などにつきましても、それぞれの計画の目標達成にどのように寄与しているのかといった観点から評価されるべきもの、そういった考え方に従来から立ってきたところでございます。
評価の手法といたしましては、計画の認定を受けました地方公共団体に対して、その成果を示すアウトカムの指標がどのような状況にあるか、あるいは国の特例措置、支援措置がどの程度効果があったかというようなことを調査するということ、そういったことが中心になるというふうに考えておるところでございます。
○佐々木(隆)委員 総務省、まだおられますか。済みません。
それでは、先ほどちょっとお伺いいたしましたが、少しダブりますけれども、いわゆる疑問事例というのがありましたよね。その疑問事例というものが、特にソフト的なものも含めて、さっき四つぐらいな分類にされているというふうに、私はそう思っているんですが、例えば見直し、あるいは伸び悩んでいる、達成が難しい、強化が必要と。幾つかでいいですから、一つずつでも結構ですし、どういう表現で評価をされているのかということについて少しお伺いをしておきたいというふうに思うんですが、お願いをいたします。
○関政府参考人 具体的な事例ということでございますが、先ほど私の方から、政策の執行の状況だけをとらえているような例があるというふうに申し上げました。
例えば日韓スポーツ交流事業というのがございまして、この事業におきましては、年間千六百人の交流をするということを目標として設定しておるわけでございますけれども、当該目標を達成していない年度があるということでございます。
それで、本事業によりまして得られた効果については、平成十五年度から十八年度までに計六千二百五十八人について派遣、受け入れを行ったことによりまして、スポーツを通じた日韓両国の友好親善の推進が図られたということで評価をしておるわけでございますけれども、これは、予算額をもとに設定された目標、年間交流人員に基づいて、その予算の積算どおりに執行できたということで評価をしていただいているわけです。
やはり本来の趣旨というのは、本事業の参加者がどのようにこの交流事業というものを受けとめたか、どういうことでプラスになったかというところを把握することが本来の効果を把握する趣旨であろうということで、この点について、文部科学省の方に、少し評価が単純過ぎるのではないかというふうに申し上げたところでございます。
○佐々木(隆)委員 大臣も今お聞きいただいたというふうに思うんですが、かつて、もう十五年以上も前になると思うんですが、経済対策と称して公共事業がどんどん打たれた時期がありました。それは、公共事業を発注することが地域の経済を助けることになるということで、いわゆる手段が目的化してしまって、本来は、その公共事業で、今言うようにどういう成果が上がって、地域振興のためにどういうふうに役立ったのかということが必要なんですが、そのことではなくて、お金を地方に、公共事業を発注する、そのこと自体がもう目的化してしまったという時代があったわけですよね。
今言ったように、本来の目的というのは、予算額がちゃんと執行されているからいいという評価ではなくて、そのことによる成果、効果というものがどういうふうに出てきたかということが本来事業というものの目的でなければならないというふうに思うんです。
そういった意味での、これからの、とりわけソフト的な事業についてのやはりしっかりとした指標というものをつくっていただかないと、各省庁ごとに、今の総務省のこの法律でもみずから評価が中心になっておりますので、みずから評価は、日本の場合には省庁が多いですから、それはそれでしようがないとしても、何らかの基準というものがなければ、それはやはり国民にとっては非常にわかりづらいものになるのではないかというふうに思います。
なぜ私はこのことの評価をきょう取り上げさせていただいたかというと、この前も少し触れさせていただきましたが、平成十三年以降ですが、というのは小泉改革が始まって以降という意味なんですが、再生とついた事業だとか地方とついた事業、地域と名のついた事業がどんどんと出てまいりまして、十本以上あるんですが、特に平成十九年には、改正も含めると、この年だけで十本ぐらいあるんですね。これはちょうど格差が言われたころなわけで、格差の裏返しとしてひょっとしたら地方とか再生とかいうものを言われたのではないか。それはもう冠だけになってしまって、今言った評価をちゃんとしているのかということにつながっていく心配があるわけでありまして、そういったことも含めて、ぜひ大臣に、いわゆるアウトプット、アウトカムの指標についてのお考え、決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど総務省の局長の方から申し上げました具体的な事例、確かに、予算の執行だけがその評価の指標になっていたように思います。
したがいまして、今お話ございました、地方の、あるいは地域の再生のためのどういった効果が出たのかという、その指標に対しての達成度をやはり客観的にきちんと判断できるようにしなければいけないというふうに私も思いますし、自己評価の段階でまずそれがきちんとなされることが大事でありますので、内閣府として、その点については今どういう手法にするのかいろいろ検討中でございますが、そこの点を十分踏まえると同時に、総務省の評価局でそのノウハウを随分持っておりますので、そのノウハウも十分取り入れていきたい。
そして、大事なことは、まず、どういう成果が出るのかというのを公共団体がいろいろ判断して、それでその目標というのを掲げておりますから、そうしたものも十分に踏まえる、尊重するようなことも一方で必要になろうと思います。
今委員から御指摘いただきましたような点、よく考えて、そして、総務省の全体として持っているノウハウも十分生かしながら、まず内閣府での自己評価がきちんと行われるように努力していきたい。もちろん総務省としても、全省横断的な、こういう特にソフト的な事業についての評価を、日々やはり研さんに励んで適正に行われるようにはしていきたいというふうに思います。
○佐々木(隆)委員 行政サービスもこのごろは、企業は当然でありますが、行政サービスも、いわゆる成果というものを、何を目的にして、どう地域のためにこれが役立って、それがどういうふうに結果として出ているのかということがきちっとやはり検証されなければいけないというふうに思います。とりわけ構造改革とか地域再生というのは地域を元気よくすることを目的につくられている事業ですから、その成果をどうやって生み出していくのかというためには、評価の方法がきちっとしていないと次へ進む道筋が組めないというふうに思いますので、ぜひその点を、しっかりとした制度をつくり上げていただくように申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○中野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時三十二分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。吉良州司君。
○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
本日は、地域再生法の一部を改正する法律案、この一本について質問をさせていただきます。かなり各論に入った部分と、それから地域再生というものに対しての哲学、この二本立てでやらせていただきたいと思っています。
まず最初に、今回の改正点の重要ポイントであります、地域再生に資する事業を行おうとする者が、地域再生計画を作成するように提案することができるということと、地域再生協議会を組織するよう要請することができる、この点について各論としてお伺いをしたいと思っています。
まず、例えば、ある自治体の中で、提案をしたいと思う、民間、NPOを含めていろいろな提案者がいると思うんですけれども、その提案の数に基づいた分だけ計画が作成され、また協議会がつくられるというふうに理解をしてよろしいんでしょうか、それとも一本という了解なんでしょうか。お願いいたします。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
協議会が作成されますと、そこの場で地域再生計画について議論が行われるということで、当面はその目的において協議会が活用されるわけでございますけれども、その協議会について、引き続き、例えば地域再生の計画を発展的にしていきたいというようなこともその場において話し合われていくことは十分あり得ることだと考えております。
○吉良委員 ちょっともう一度、必ずしも正確な答弁じゃないと思っているんですが、同じ自治体の中で、全く種類の異なる同じく地域再生に資すると思われる提案が例えば十個出てきた、そういう場合には、今言いました計画、それから協議会は幾つできるんでしょうか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
原則としては、一つの自治体において一つの協議会が組織をされまして、そこで話し合いが行われるということを想定しておりますけれども、ただ、場合によっては複数できるというのを排除する、そういうものではございません。
○吉良委員 私が冒頭なぜこういうような質問をさせてもらうかということは、計画をつくるのが目的でもなければ、協議会をつくるのが目的でもなくて、最終的には当然地域再生そのものが目的でありますが、その際に、計画をつくること自体が目的化してきたり、先ほど同僚の佐々木議員からありましたけれども、また地域再生協議会をつくることが目的になってしまうようなことがあり得る、事業の推進者、機関車、そして責任者は一体どこにあるのかというようなことをちょっと聞きたいからであります。
今申し上げた、例えば私の大分市なら大分市で十個、全く種類の違う地域再生に資する提案が出てきた、そうしたときには、十個の再生計画ができる、そして十個の協議会ができる、繰り返しお聞きしますが、その了解でよろしいわけですね。もちろん、その中で、これとこれが非常に似通っているから一本にできないかというような場合があるかもしれませんが。もう一度お願いします。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、協議会というものはまずは自治体が組織をするものでございますので、原則的には一つの自治体に一つの協議会が組織され、そこで地域再生の計画が話し合われる。今までも例としてたくさんございますけれども、地域再生というのは、いろいろな支援の措置が加わって膨らんでいくというようなこともございますし、基本的には、その場で話し合いが行われるものだというふうに思っております。
ただ、先ほども申し上げましたが、複数できるということを制度的に排除するものではございませんけれども、繰り返しになりますが、基本的には一つの協議会でやっていただくのかなというふうに思っております。
○吉良委員 まず、ちょっと最初から納得できないのでありますが、この法の趣旨は、先ほど言いましたように、地域再生に資する、広く、特にその地域が元気になるという事業を提案するときに、提案者単独ではなくて、その地域の関係者を味方に引き入れて、地域全体として面的にその事業を推進して、結果的に地域再生に役立てようということであります。
もともとの事業の目的が違うものであれば、計画は、それが一つの計画になったり、とことん広げていけば、大分市なら大分市の地域再生計画ということで、その中には教育もあれば、それから産業振興もあれば、交流もあればと、広げればいろいろできると思いますが、協議会については、その参加者の中に提案者が重要な役割を持って入るというか、逆に提案者が入らないとこれは意味がないわけですよね。ということであれば、その理屈からいくと、事業の目的に応じて複数の協議会ができておかしくないのではないでしょうか。もう一度お聞きします。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
若干繰り返しになりますけれども、最終的には、地域の活性化あるいは地域の再生ということでつくられるものでございますけれども、そこに至る手段において、あるいは少し目的が相異なった計画がつくられるということであれば、場合によっては二つ以上の協議会が組織されるということを排除するものではございません。
○吉良委員 そうしましたら、次のような例を挙げたいと思いますが、この中、ちょっと別の次元で出ておりましたけれども、北海道で観光振興のためにオーストラリア等からの客を呼び込むための事業というのがあって、これはたしか第一回で認定をされていたと思うんです。では、そういう事業が九州大分で行われるとしますが、そうした場合に、当然、提案者が中に入る、そしてその協議会ができる、これが一つあるとします。一方で、地場の産物を使った物づくりというような事業が出てきたとします。この場合、今言った、オーストラリアから観光客を呼び込んで地域活性化をしようというプロジェクトと、地場の産品を使って物づくりをやっていこうという事業とでは、全く性格も異なるわけですね。この場合には協議会が二つできるという理解でよろしいんでしょうか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
協議会を組織する主体は自治体であるというのがこの法律の仕組みでございます。したがって、例えば幾つ協議会をつくるかということにつきましても、最終的にはその自治体の判断であり、そこに参画される方々の合意形成が一番やりやすい形で自治体がつくっていくということではないかと思います。
したがいまして、複数の計画があって、しかし地域再生の目標が同一ということであれば、事業内容が少し違ったものであっても、一つの協議会でやるということもあり得るのではないかというふうに思います。
○吉良委員 そうしましたら、今言った個別の事業にかかわって計画がつくられ、かつ協議会ができた場合の遂行責任者はだれになるんでしょうか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
これは、地域再生計画を作成いたします地方自治体がその遂行責任者ということに相なります。
○吉良委員 それは地域再生計画の責任者。
ただ、今言いました、個別のあるプロジェクトを提案する人がもともと、計画を認定してくれと、作成するように提案をするということと、かつ、そのプロジェクトの当事者、推進者が協議会に入るということ、その場合でも、プロジェクトの責任者は自治体ということですか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
個別のプロジェクトについては、もちろん、事業主体となられる方がそのプロジェクト推進の責任を持たれるということであります。ただ、そのプロジェクトが地域再生計画の中に位置づけられているということでございますので、その場合、地域再生計画の責任者というのは、これは作成者でありますところの自治体ということに相なるということでございます。
○吉良委員 民間企業が、多角化に乗り出す、または、自分の領域であるけれども、例えば海外の企業と提携をしようとか合弁をつくろうだとか、そういう際に、ある意味で、経済活動でありながら政治的な妥協という意味で、例えば資本比率を五〇対五〇にすることがたまにあるんですけれども、本格的にそのプロジェクトを遂行しようとする企業は、五〇対五〇というのを最も嫌うわけですね。当たり前のことですけれども、責任所在がはっきりしないからです。五一%とる。とにかく最後まで全部責任をとるのであれば、六六・七%を持っていく。または、その前段階として、連結対象とする二〇に持っていくのか、一九・八でおさめるのか。そういうことを勘案して、最終的に、やる、やらない、やるとすれば自分がどこまでやるんだということを決めていくわけですね。
私が、この地域再生という最終目標自体はまるっきり反対するものではないんですけれども、最も心配しておりますのが、こうやって、ある事業、あるプロジェクトをやろうとした人が提案をする、それに対して自治体が出てくる、地域の関係者ということで、金融機関は出てくるわ商工会は出てくるわ、いろいろな人が出てきて、そういう商工会だなんというのは、地域全体を盛り上げようということでできた組織でありますから、地域再生のためにだ、これだ、あれだといろいろな要求を出してきます。そうすると、結局、だれが責任者なのか、だれがそのプロジェクトに対して責任を持つのかということが非常にあいまいになるということを心配しておるわけであります。
そういう意味で、この協議会というのは、個別のプロジェクトを遂行するに当たってはどういう位置づけになるんでしょうか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
協議会は文字どおりの協議会でございますので、そこで関係者の方々が集まられて計画をつくり、その中で個別の事業が位置づけられていくということになりますと、この個別の事業につきましては、事業それぞれを遂行される方が責任を持って進めていかれる、そういうことであろうと思います。
○吉良委員 そうしますと、またちょっと細かな話を聞きますが、この協議会参加者の、想定参加者の一員として金融機関が入っておりますが、これは地元の地銀なり信金なりという理解でよろしいのかというのが一点と、もう一点は、この協議会に入ってくる金融機関が政策投資銀行にかわって融資を行い利子補給を受ける対象という理解でよろしいのか、その二点についてお伺いします。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
協議会の中に、参加者として地元の金融機関というものが想定されております。ただ、これは制度的には、特に地元のということではなく、御指摘ございましたように、例えば政策投資銀行がここに入るということもあり得るわけであります。場合によっては、従来から政策投資銀行と地元の金融機関が共同してやるというようなこともございますので、複数入ってくるというようなこともあるんだろうと思います。
そういったことで、金融機関の持っているさまざまな地域づくりのためのノウハウといったものがこの協議会の中で活用されて、有効な地域再生の計画がつくられていくということを我々としては期待しているところでございます。
午前中にも御説明申し上げたところでございますけれども、今回御提案をしております利子補給の仕組みにつきましては、こういった協議会の仕組みに参画をしていただいた金融機関ということを一つの条件として実施をしたいと思っているところでございます。
○吉良委員 プロジェクト投融資、プロジェクトに対して投融資をする際の一つの言葉として、コンフリクト・オブ・インタレストという言葉は御存じでしょうか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
利益の相反という趣旨であると存じ上げます。
○吉良委員 地域、特に地方のこういう地域再生というプロジェクトにおいては、掲げるにしきの御旗が間違っていないので、個々の参加企業なりの、エゴと言うとなんですけれども、主張を前面に出すというのはなかなか難しくなってくるということがあるのですが、今、回答いただいたように、通常、エクイティーホルダーというか投資者と融資者というのは全く利害が相反するわけですね。これはもう釈迦に説法になりますけれども、出資者からしてみれば、できるだけ低い金利でお金を借りたい、いい条件で、担保もなしで、いい金利で借りたい。一方、金融機関は、できるだけ高い金利で出したい、担保は余計とりたい。それは、事業主体と貸付者、レンダーでは全く利害が異なるわけであります。
先ほど私が、協議会というのは一体どういう位置づけになるんだということをお聞きしたのは、協議会が協議をし、また個別のプロジェクトに対してアドバイスをしていくことが、プロジェクト遂行上どの程度考慮をされ、影響を与えていくのか。協議会が、ある意味では、経営に対する、事業を遂行する経営者に対してのいわば外部からの取締役会みたいな位置づけになるとすれば、その中に、今言いました、当該事業にお金を貸し付けて、かつ利子補給を受けるというところが入っていること自体が、実はコンフリクト・オブ・インタレストなんですね。
その点については、制度設計をされたときに、その辺の議論がどう行われ、どういうふうに分析され、それでもいいや、これでやるという判断をされたんでしょうか。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
この協議会につきましては、特に、先ほどから御説明を申し上げましたように、地域再生計画を策定する段階におきまして、計画や実施に対して必要な事項その他の地域再生の総合的、効果的な推進に関し必要な事項について協議をするということでございますので、一たん、その地域再生計画が走り出しまして、個別の企業が動き出すという段階になれば、そこは個々の事業の方が責任を持って遂行されるということであって、協議会の役割というのは、先ほど申し述べたようなところになるのではないかというふうに思っております。
そして、協議会の組織自体については、これは地方自治体が主体であるわけでありますので、それぞれの自治体によって最適な形というものを考えていただくということではないかと思っております。
○吉良委員 先ほど来、私自身が懸念をしていますことは、責任の所在があいまいになってしまうということなんです、すべて。そこの一点でもろもろ質問させてもらっているんです。
増田大臣は、もちろん知事御経験なので、その辺の実情もよく御存じだと思うんですが、どうしても地方は、市が関与してくる、県が関与してくるとなると、例えばの話、出資比率が二〇%であっても、頼るのは八〇%頼ってしまうとか、こういう協議会ができる、またプロジェクトの遂行者は地域再生計画を作成するように提案することができるとはなっているんですが、実際、再生計画をつくってそれを認定してもらうかどうかという権限を県とか市とか地方自治体が持っているということになれば、やはりあらゆる、ここにある協議会、関係者すべてが、最後は市だとか県に頼っていってしまうのが地方の実情だというふうに思っているんですね。
その辺のところが、先ほど言いましたにしきの御旗ということ自体は反対するものではないんですけれども、結局は、責任所在があいまいになって、個別のプロジェクトも失敗してしまう可能性が非常に高いんじゃないかと懸念しておるということをちょっと申し上げて、次に、増田大臣の方に移らせていただきたいと思います。
非常に聞きづらい、余りにも根源的な、初歩的な質問ではあるんですけれども、お聞きしたいと思います。地域再生の目的は何なのか、そして、今なぜ地域再生なのか、この辺について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
これは、それぞれのとりようによっても大分考え方が違う部分もあるかもしれませんが、少なくとも私は、全国で地域の状況を見ますと、個々の県単位あるいはもう少し大きくブロック単位で見ましても、その地域地域の経済力に大分差があるのではないか。そして、所得などについても、やはりブロックごとにも大きな開きがある。
これからの国土構造のあり方としても、少なくとも、特に若い人たちなどが余り東京などに集中することなく、地域、それは生まれたところにずっとそのままいられれば一番いいわけですが、あるいは近隣のところ、都会になるかもしれませんけれども、余りそういった東京だけではなくて、そういうブロックの中で適切に雇用の場などを見つけることができて、そして県あるいはブロック単位で、先生の地元であれば九州は九州で、経済活動が活発で成長力も高いようなそういう地域になれば、これはやはり国全体の姿としても大変好ましいのではないか。
今現在見ますと、午前中も申し上げたんですが、東海地域はかなり、いろいろな意味で我が国をリードするような地域になっておりますけれども、問題は、九州もそうですし、私がおりました東北などもそうなのですが、大分、今、景気の状況が悪いものですから、地域間に非常にそこの差が出てきている。そして、所得格差もある。今後の人口動向を見ますと、東京圏は大分横ばいが続くようですけれども、それ以外のところはこれから人口減少社会に入っていきますので、その中で高い成長性を維持するというのは大変容易なことではない。
そういう地域、大きな差がある中で、何としても基盤となる経済を強化して、そこにこれからどんどん若い人たちが職場を求めて、そして地域を守るといったようなことになれば、それぞれ中山間も国土の中で非常に重要な役割を果たしておりますから、そういうところも維持されることにつながるのではないか。
いろいろと地域再生の目的などについてはとらえ方がさまざまあるかもしれませんけれども、少なくとも私は、今申し上げましたような考え方に立って、経済力を中心にして、本当の地域の力をつけるような取り組みが今緊急に求められているのではないか、こういうふうに理解をしているところでございます。
○吉良委員 ありがとうございます。
今、大臣の答弁の中で、経済力等々に大きな差が出てきている、元気なところとそうでないところがあるというお話でありましたが、その元気がないところに足りないものは何だと大臣はお考えでしょうか。
○増田国務大臣 これは、私が知事をしておりました岩手などを見ておりまして、そこで感じたことでありますけれども、一つは、やはりなかなか若い人がいないということと、それからあと、発想とかそれから創意工夫とかいったようなことを地域でいろいろ取りまとめるような人がなかなか、適切な人材を得ることが難しい場合が多うございました。
それから、そういったところは、先ほどの議論にもかかわってくるかもしれませんが、やはり官、村役場であったり町役場にいる人たちが中心になって、それでも何とかしようということをいろいろと工夫されるわけですけれども、そういった自主的な工夫を動かしていくようなお金がなかなか、今自治体は疲弊しておりまして、そういう財政的な余裕もない。
それから、ほかの先進事例を調査して、それを何か地元でやろうとしているので、こう言うと大変失礼ですが、どうしてもほかのまねごとになってしまって、余り地域の特色を出せるようなものになかなかつながっていかないといったようなことが間々見られまして、そのあたりについて、何か官の発想を乗り越えたような、本当は地域に根差した自主的な取り組みなんですが、それをうまく後押しできるようなことになればいいのではないかなと。むしろ、今申し上げましたようなことがなかなか起こり得ないというか、足りない状況にある。
そんなことを感じたところでございまして、これは岩手におりました私の経験でございますが、全国でも似たようなことがあちこちで起きているのではないか、こういうふうに感じているところでございます。
○吉良委員 ありがとうございます。
いろいろ足りない、または十分でないということ、幾つか事例を出していただきましたけれども、大臣、私は、今大臣が言った、創意工夫をする、独創的な発想をするという潜在的な人材は全国津々浦々にいる、またいてほしいというふうに思っているんです。
では、大臣、何が足りないか、または目的は何でしょうかと私がお聞きしたのは、私自身は、地方に、地域に一番足りないものはやはり自立心だというふうに思っているんです。この国を再生するキーワードは、依存から自立へ。
日本がなぜあの戦後の廃墟からここまで豊かになったのかというのは、本当に、あの廃墟の中で、一人一人がだれにも頼ることができなかった、一人一人が持てる力を一〇〇%、一二〇%出すことによって今の日本ができてきたというふうに私は思っているんです。それが高度成長を経て、国全体が、また企業に属していれば企業全体がどんどん伸びていくという状況の中で、いつの間にか、まあだれかがやってくれるわという依存というのがこの国にはびこって、そこから停滞が始まっているというふうに思っています。
特に、私も地方出身であり、地方選出の議員であり、言いづらいし非常に苦しいですけれども、やはり地方は、東京が何かしてくれる、国が何かしてくれる、いつでも国がラストリゾートになって、とにかく国に頼ればいい、こういう依存心が地方を疲弊させている、それ以外の何物でもないというふうに私は思っています。そういう意味で、地域再生のために何をしなければいけないのか。これは、とにかく自立をしてもらうということだと思っています。
そういう問題意識の中で、本法案は、先ほど言いましたにしきの御旗については反論のしようがないんですけれども、「地域再生は、地域の知恵を生かした自主的・自立的な取組を国が支援することにより、我が国の活力の源泉である地域の活力を再生しようとするものであります。」と。私は、地域の自主的、自立的な取り組みというのと、それを国が支援するということは両立しないと思っているんですよ。その辺について大臣はいかがお考えでしょうか。
○増田国務大臣 今の先生の御指摘、大変共感する部分がございます。やはり自立の心を持っていないとどの地域もよくならない、常にそういう目標と気概を持って、気概と言った方がいいかもしれませんけれども、それで常に地域をいい方向に自分たちの力で引っ張っていくんだということを実践していかないといけない、そこは私も大変共感をいたします。
それから、見ておりますと、それにしても、最後は県が何とかしてくれる、あるいは国が何とかしてくれるといったような行政依存の気持ちがやはりどこかにあるのではないかと思うことも多々ございました。
考え方として、やはりそういうふうに持ちたいなと常々思ったところも大変多かったわけでございますが、現実に地域を歩いておりまして目の当たりにしますと、先ほど先生も、そうあってほしいということをいみじくもおっしゃっておりましたが、そうあってほしいと私も思いながら地域を歩いていますと、もう本当に、しかしその間に高齢化がうんと進んでしまって、そして、今そういう気持ちを持ってくださいよと言っても、訴えかける相手もなかなか適切にいないような、そういう地域も現実にはふえてきている。
これは、やはり何かそこに根源的な問題があるわけです。しかし、岩手県でも、限界集落と言われているようなものが大変ふえておりまして、そして高齢化率がもう四〇%を超えるようなところもある。では一体ここをどうしたらいいのかなというふうに考えますと、何かそこに手当てをしなければいけないなという思いもあって、そして、それをまた緊急の課題として実施をしていかなければならないという強い責務のようなものを感じるものでございます。
ですから、私は、先生は大変すぱっと、相反する部分もあるのではないかというふうに今おっしゃいました。あるいは、何だかんだ言いましても、国が今までやってきたことは、ほとんど地方対策のいろいろなあらわれ方だと思います。地方でいろいろな事業を実施してきた。それが逆に、余りにもかゆいところに手が届き過ぎて、自立心をいささか損なうようなところもあったのかもしれません。常に自立心を向上させるような取り組みをしていかなければいけないんですが、一方で、ここ最近の地域地域の疲弊ということを感じますと、将来の自立に向けた、しかし、今の対策というものを何か工夫できないかなと。そして、今ある仕組み、地域再生法なり今回の構造改革特区もそうですけれども、それも、今までの仕組みがあるわけですから、それを何とか、少しでも改善する方向で活用して、そうした地域の疲弊を救うことにつなげ、結びつけていけないのか、そういう思いを大変強くしているところでございます。
○吉良委員 基本的な方向性は同じだということで理解させてもらいまして、ありがとうございます。
私、五年前に、前もちょっと申し上げましたけれども、知事にはなれませんでしたが、大分県知事選に立候補したことがあって、その際に、ケネディ大統領のあの有名な就任演説をもじって、英語でマイ・フェロー・大分シチズンということで言って、まあそれはちょっとここでは英語では言いませんけれども。そのときに訴えかけたのが、大分県の皆さん、国や県が何をしてくれるかという受け身の時代、行政に対してただただ要求するだけの時代は終わりました、二十一世紀のこれからは県民の皆さん一人一人が主役の時代です、積極的に政治に参加し、私たちが暮らす国や県、そしてかけがえのない子孫のために今我々は何をすべきかともに考え、真に豊かな社会、元気にあふれ、世界から尊敬される大分を一緒につくりませんかという呼びかけをさせていただきました。
要は、そのときにとにかく言い続けたことは、とかく政治批判というのは、何をしてくれない、何をしてくれないということなんですね。それを、とにかく、それは自分たちの責任だし、自分たちがまず行政に対して、地域に対して働きかけてほしいということを訴え続けておりました。それさえ成れば、その感覚が地域、地方に充満すれば、必ず地域は再生できるというふうに私は思っているんです。
したがって、はっきり言えば、大変失礼なんですけれども、国がもう余計な関与をしない方がいいということが私の信念なんです。だから、今まで政治は、何か助けてくれと言うとそれに手を差し伸べることが政治だ、また愛情だというふうできましたけれども、親が子供をどんなことがあっても一人で生きていくように厳しく育てるのは、やはり自立することが、だから、愛のむちと言われることが、今国が地方に対してやる最大の愛情じゃないかというふうに私は思っているんですね。
そういう意味で、ちょっと話は飛びますけれども、道路特定財源も一般財源化して、それは、道路がいいのか、病院がいいのか、それとも学校建設が大事なのか地域で考えろと言ったら、大変厳しい、苦しいことでありますけれども、それでも地域の人に判断をしてもらわなきゃいけない。国がこれに使いなさい、あれに使いなさいなんて言う時代はもうとうの昔に終わってしかるべきと我々は思っているところであります。
それで、この法案に対しても、正直言って、さっき言ったにしきの御旗は反対のしようがないんですけれども、稟議書でいえば、判こを横にして、やむなし「賛」の世界なんですね。
なぜそういうようなことを言うかというと、やはりこの仕組み、制度、特に地域再生法に基づく具体的な事例を見ていますと、参考資料でお配りしたこれを見ていただければわかるんですが、一番使われている事業、補助事業というのは、道路整備であり、汚水処理であり、港の整備なんですね。これは、地域再生というだれも逆らえないにしきの御旗を掲げることによって、結局は補助金を引き出すためのツールになっている、補助金呼び水制度になっているという問題意識があるからなんです。
私は地元で、私は時代背景に伴って私の有権者にいつも説明していますので、日本が発展途上国の時代、焼け野原から一刻も早く豊かになりたい時代の補助金等を通した地域活性、地域への再配分というのは私は功を奏したというふうには思っているんですけれども、ある時期からは、人々が持つ欲求、欲望、それも自分だけは割り勘勝ちしたい、そういう、地域のあしき欲望の火つけ役になっているのが補助金じゃないかと思っているんです。
私は、よくこういう例を出します。
大きな、六十インチの薄型テレビが欲しいと思っている、電気屋さんに行きましたら六十万円した、ボーナスが来て、自由になるお金は二十万円だ。そのときに、二十万円を見て、六十万円と比べて、ことしは買えないなと。普通であれば、六十インチをあきらめて三十二インチを買う、または、一年たって次の二十万円が入ったら、一年たてば価格競争で安くなっているから四十万円で買えるかもしれない、それが普通の一般の家計だ。
けれども、この国は、補助金というあしきささやきが政治家によってもたらされてしまう。あなた、六十インチの薄型テレビが欲しいのか、二十万円を出す気はあるのか。あります。であるならば、このメーカーかこのメーカーの薄型テレビを買うのであれば、四十万円はこっちがただでやるから、あなた、二十万円だけ出して六十インチの、六十万円のテレビが買えますよと。
これを、全国、かつては三千三百、今も一千八百市町村、自治体にずっとやってきた結果、これだけの無駄遣い大国、借金大国になってしまった、私自身はこのように思っております。
もし、この事業、本当に地域再生のためということであるならば、私は、私どもが道路特定財源のときに一般財源化を主張しておりますように、もうひもつき補助金とかをやめて、個別のプロジェクトといいますか、ここでいいますならば、地域再生計画というのが出てきたときに、それを地域地域にお配りして、そこの自主判断でやらせるようにして、もう国がああだこうだ関与する必要はないのではないか、このように思っておるわけですけれども、その辺について、今私の申し上げたこと、そして、今最後に申し上げたことについての大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○増田国務大臣 今先生がるるお話しになったのをこうやってまた改めて今頭の中で考えているんですが、知事なりリーダーというのは、地域の皆さん方にきちんと向き合って自立の心を説いていく、私もそういうつもりで行ってきたつもりですが、理解をしていただくのはやはり大変難しくて、それは逃げているんではないかとかいろいろ言われたりしたこともございましたんですが、やはり、今こういう時代だからこそ、まさに自立の心を説いて、そして皆さんの気持ちを本当に奮い立たせるようなことが必要ではないかなというふうに思います。
それから、この再生計画、確かに、今、公共事業に結びついているものが大変多うございますし、それから補助制度もいろいろ使途が限定されております。時代の大きな流れとすれば、やはりこうした計画を、補助金をもらう一つの便法といいましょうかやり方として使っている、あるいはこちらサイドもそういうものとして考えるということであっては決していけないわけです。それから、補助金も、きちんとした国、地方の役割分担を議論した上で、今後はそれこそ、個々人に地域での自立心を説くと同時に、自治体にも、地域で自立していただくために責任を持って、そういうところに財源としてお渡しをしていくということがこれからの方向だと私も思うわけであります。
そういう大きな考え方を持ちつつ、今ある制度としてこの地域再生の枠組みがあって、そしてこの中で省庁がやはりいろいろな役割をそれぞれ果たしているんですが、少なくとも、こういう地域再生の計画を使って、できるだけ地元にとって使いやすいような制度にしていくということは、今のこの置かれている状況の中で何らかの形で地域のアイデアを結びつけていくという上では、やはりこういう制度を一つの手段として用意しておく意味があるのではないか。
ただ、これが未来永劫といいましょうか、そこまで申し上げなくても、長い間、この枠組みが大変いいものであるからこれを使えば必ず地域が再生するといったようなことではなくて、地域がいろいろ考え方を出して選択していく上での使い勝手のいい手段として常にこちらも見直しをする、それから、分権化で、本当に地域が力を出すような方向に向けてさまざまな改革を進めていく、そういう大きな方向性を見失わずにこの制度を運用していくことがやはり必要である、こういうふうに、今お聞きをいたしまして改めて思ったところでございます。
○吉良委員 ありがとうございます。
もう時間が来ましたので、最後に申し上げますけれども、仮にこの仕組み、仮にといいますか、この仕組みで実行される場合に要望しておきたいことが、先ほど言いましたように、依存から自立へというのが、この国、我が国のキーワードであると同時に、特に地方にとって大事なキーワードだというふうに思っています。そういう意味で、人間再生、人材再生こそが地域再生だということで、所管される大臣として、とにかく人材育成にかかわる事業を重点的に取り上げる、こうやって、道路に変わる、箱物に変わるということは極力認定をせず、我々はコンクリートから人へという言い方もしていますけれども、人材再生こそが地域再生という中で、人材再生に対する支援を明確にしていただきたいということ。それも、成功事例、成功かどうかしれぬが、中で、山梨県のワインづくりについて、ワイン科学士とかそういうのが出ていますけれども。
先ほど同僚の佐々木議員が申し上げましたように、政策執行したことがどうかというのではなくて、その効果が、政策自体の成果がどうかということ、ぜひそこに重点を置いていただきたい。
同じ補助を出すにしても、例えば人材育成、いい例かどうかわかりませんけれども、例えば、税理士の資格を取ろうというような人たちをたくさん育てていく、そういう講座を地域が開催します、その開催について一定の補助を出すのはいいとしても、そこから先は、本当に資格を取った人に対して、その数に応じて支給していくというような、やはり成果、途中経過とか計画に対してお金を出すのではなくて成果に対してお金を出していく、そういう使い方をぜひしていただきたいなということをお願いして終わろうと思いますが、もしコメントがあれば。
○増田国務大臣 今のお話の中で、未来を担う人への投資というのは私も大変賛同するところでありますし、それからあと、効果を、本当の意味での効果、実質的な効果を測定する、これはやり方をよく工夫して、また次の事業の実施に生かしていかなければなりませんので、その点については中でまたよく検討させていただきたいというふうに思っております。
○吉良委員 前向きな答弁をありがとうございます。とにかく人材再生が地域再生ということで、人材投資をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
以上です。
○中野委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
きょうは二法一括審議ということで、地域再生法に取り組む仲間たちも多いんですが、私は、具体的な構造改革特区、今回のリキュール、果実酒、そしてまたさきの特区の中で認められたどぶろく特区、この辺について、より詳しくお伺いをしたいというふうに思います。
とはいえ、大臣に最初にお伺いをしたいのは、この特区という制度の役割が果たして現在どういう状況になっているんだろうか。
これは、大体大まかな状況を大臣は御存じかというふうに思いますが、第六次の提案からは、ずっと提案実現数が一けたの状態でございます。もちろんそれを批判するということではなくて、当初、第一次は九十三件、そこから、第五次は十二件、徐々に減っていくような形、そして先ほど言ったように、第六次からは一けた台がずっと続いて、第十次、第十一次では一件ずつ、そして今回二件ということでございます。
確かに提案数はそれなりにカウントはありますが、過去からの繰り返しの提案、こういったものも含めて、では、果たして特区制度の新鮮さというか、そもそもの役割、この辺についてどうなのだろうかという声もございます。まず、その点について御認識をお願いします。
○増田国務大臣 私も、知事をしておりました時代にこの特区制度が新たに設けられまして、いろいろ縛られておりました規制を緩和するんだ、ここで穴をあけてブレークスルーをしていくんだ、当初大変インパクトがありましたし、それから、地元の自治体、いろいろ活動している皆さん方もいろいろな提案を練って、そしてこれにチャレンジしてみよう、こういう動きがわっと広がったのを目の当たりにいたしました。
今個々に数字は、時間の関係がございますのであえて申し上げませんけれども、確かに最近は提案が減っている。事務当局からもいろいろ説明を聞きましたけれども、全国展開がなされるということであえて特区制度を使わなくてもいいですとか、それから、かなりいい提案をもう実施してきたとか、いろいろな理由があるようでございます。
正直なところ、最初の新鮮さというか、そういうことが大分薄れてきた部分もあるのかもしれません。ただ、どぶろく特区などは大変成功例でございましたけれども、まだまだ地域にいろいろな資源もございますし、それから現実には規制も随分まだ残っているわけですね。ハードルの高いものが逆に残っているという部分もありますけれども、常にこういう制度で、各省に、あるいは各法律をお持ちになっている所管課にボールをぶつけていって、また提案者の視点に立ってその内容を見直していただくということもやはりこの時代に意味のあることではないか、そして、提案するサイドもその一方で提案の内容をよく煮詰めるといったようなことも地域の力につながってくるんではないかというふうに思います。
確かに、件数だけ見ますと、大分件数は少なくなってきております。これも一つの時代の流れだとは思っておりますが、むしろ、この制度を生かしてより大きな改革につながる、そういうものにこの制度をうまく活用してつなげていければなというのが今の正直な思いでございます。
○泉委員 これは事務方にお伺いをしたいんですけれども、これまで、特区制度の広報宣伝ということに果たしてどれぐらい予算を使ってこられたのか、この三年ぐらいの数字でも結構ですが、教えていただければと思います。
○上西政府参考人 お答えを申し上げます。
広報宣伝の手段、さまざまなものがあるわけでございます。
ちょっと恐縮でございますが、余り手元に数字はございませんけれども、例えば、私ども、全国各地に応援隊というものを派遣いたしまして、これは、特区制度のみならず、さまざまな地域活性化の手段について広報するというようなこと、あるいは、特区制度の募集の時期に全国に出向いて説明会を行うというようなことをやっております。そのための旅費などは計上しているわけでございまして、今この数字だけ手元にございますけれども、二十年度につきましても六百五十万円の旅費をそのために計上しておるところでございます。
もちろんこれのみに限りませんで、例えば、特区や地域再生計画につきましてパンフレットを作成して、それを配布、あるいはさまざまな説明の機会に利用するとか、あるいは、重要なものといたしまして、特区を含む地域活性化政策の全般につきましてポータルサイトを最近リニューアルいたしたところでございまして、そういったものも活用しながら、この制度の告知、広報というものには努めてまいりたいと思っております。
○泉委員 今回、第十二次、二百六件の提案があるわけですが、提案主体の中で私が特にちょっと目を引いたのは、NPO法人、これが本当に年々減っております。
NPO、私もかかわっていたこともありますので、大臣も想像していただくと何となくイメージがつくと思うんですが、本当に市民の、民の力で自主的に集まられた方々がNPO団体を設立された、そこで特区申請をしてきたんだけれども、やはりなかなかハードルが高いということで、どんどんどんどん希望を失いつつあって、とうとう第十二次では三件しかNPO団体からの特区申請がございません。
同じように、より小さい自治体であります市町村単独申請についても、そしてまた都道府県単独申請についても、過去最低という状態であります。
民間については、元気のあるところが多少これまでと同じ数字を提案してきている部分はあるんですが、私は、この数年間で、NPO法人あるいは市町村ということが、この国の特区制度を見詰めたときに、やはり通るもの、通らないものの整理を一定されてきたのかなというような感じがいたします。
その意味で、今具体的に年数はないのかもしれませんが、いつまでこの制度をお続けになられるのか、そういったことは、やはり今後、制度全体の見直しというか、もうそろそろこの制度の役割は終えましたという時期があってもいいのではないかなというふうに思いますが、改めて、いかがお考えでしょうか。
○増田国務大臣 この制度ですけれども、何かブレークスルー、穴をあけてそこを突破口にして全国展開を図っていくということですから、制度全体を真っ正面から議論して一から変えていくというよりも、少しゲリラ的なところをねらっている、そういう制度で、しかしそうでないとなかなか今のかたい制度というのは動かないだろう、こういう認識でつくられたんではないかなというふうに思うんですね。
やがてこの制度が、全国展開されたものも多くなってまいりましたし、一定の効果を上げてきたということもありますので、残っているもの、大変ハードルの高いものですが、それは今のこの制度を使ってうまく動かせるのかな、やはりそこは制度の根本を議論しなければいけないなと一方で思うんです。
ただ、当面こうしたものは、例えば迅速に区域を限って認めるとか分野を限って認めるということについてはまだもう少し需要もあるだろうし、それから、そういうやり方というのはかなり大きなものを変えていくときに有効な手段である、こういうこともあります。確かに、真っ正面から物事を変えていく、そういうアプローチでないアプローチだということは御指摘のとおりなんですけれども、まだ、これをいつまでとかいうことを実は視野に入れているものではなくて、有効に使える限り使い切ろうという思いで、しかし残っているものは大変ハードルが高いものですから、むしろそこに何とか突破口をあけたいというところに当面集中していきたい。
それで、今私も心配しているのは、NPOとか小さなところが少し提案の元気さをなくしているというのは、実は一方で私も肌で感じているところでございます。それが決してあきらめになってはいけないな、もうこれはとても、幾ら国に言っても無理だということではなくて、何かそういうものについてもこの制度を使って成果が出せればな、そういう思いで、昨年これを担当することになりましたけれども、運用に当たっているところでございます。
○泉委員 本当に各省庁のかたい岩盤に対して、私は、この特区の関係者は非常に頑張られていると思います。なかなか穴があかなくても、常に滴を落とし続けていっていることそのものが各省庁の意識改革にもつながるんだろうな、そういう意味でのこの役割もあると思いますが、何せ、本当に各省庁ハードルが高いなというか、ここは大臣にも頑張っていただかなければなというふうに思っております。
そういう中で、大臣、今までの議論の中でも何度か出てきておりましたが、まさに、どぶろく特区の第一号は大臣の地元でございました。この地元で、果たして申請にどれぐらいの期間がかかり、どれぐらいの書類の枚数が必要だったか御存じでしょうか。
○増田国務大臣 数量でいいますとちょっとあれなんですが、もう準備に大変でございまして、枚数も多くて、申請されたあの民宿の方は、江川さんという方なんですが、大変四苦八苦していたのをわきで目の当たりにして、県でも大分協力をしたんですけれども、県の職員も四苦八苦をしておりました。
○泉委員 大臣に意地悪をするつもりもありませんし、官僚の皆さんも怒らないでいただきたいと思うんですが、まさに思いはおっしゃったとおりでして、当時の新聞報道を見ますと、それでも何とか五カ月がかり。当時は五カ月といっても長い印象があったわけですが、ほかにも長いケースがいっぱいあって、富山県のある方なんかは二年半かかったという新聞報道もありました。五カ月がかりで、酒税法上の免許取得のために八十枚以上の書類を整えて、旅館業法、建築基準法、食品衛生法などもクリアしなければならなかった、その結果手にした規制緩和の中身は酒税法上の最低製造量の撤廃だけだった、そんな当時の新聞記事もございます。
これ一つとっても、大変手間がかかる。そういう意味で、この特区制度というものが、せっかくいい提案が地域から出された、お金をかけずに地域を振興させていこう、そういう熱い思いに燃えた人たちがたくさんいたんだけれども、途中であきらめた人も非常に多い。この現実をぜひ知っていただきたい。
これは、ことしの三月二十四日、東京読売新聞の朝刊の記事でありますが、これも富山県の事例が載っておりまして、先ほどの富山県の氷見市が特区の申請をしたのが二年半前、そのときに応募をしたそうですね。だけれども、免許取得までは、想像以上に厳しい、険しい道のりだったということで、提出した書類は百枚を超えたと。
せっかく、二〇〇四年から二〇〇八年、四年間たって少し緩和をされたのかなと思ったら、なおのこと提出枚数がふえているというような現状でございます。それでも、一生懸命地域で頑張って、このどぶろく特区が三十ほどの地域にまで膨れているということでありますけれども、それぞれ地域の方々が大変苦労をしているということをぜひこの機会に御承知いただいて、さらにさまざまな条件の緩和というものに力を入れていただきたいというふうに思うわけですが、今回のリキュール、そして果実酒にもかかわってまいります。
ちょっと具体的な細かい話になりますが、特定農業者というものの要件がございます。これは既に特区推進本部の評価・調査委員会の中でも話し合いがなされているところでありますが、これが、農家民宿等を「併せ営む農業者」から「営む農業者」に変わったということでありますけれども、これについては、夫婦あるいは兄弟、息子など、生計を同一にする世帯員、これについてまで認められているものなのかどうか、もう一度確認をしたいというふうに思います。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
御指摘がございましたように、現行の特定農業者は、農家民宿等を「併せ営む農業者」ということでございまして、みずからの名義で農業を営んでおられない農業者は対象となりません。
今回、地方公共団体からの要望を踏まえまして、定義を改めまして、「併せ」を削除いたしまして、農家民宿等を「営む農業者」というふうにさせていただいたわけでございます。この改正によりまして、農業経営者と同居をしておられる親族や配偶者ですとか農業生産法人の社員等で、果実や米の生産に従事する人が農家民宿等を営む場合についても、本特例の適用対象に含まれることになります。
あくまで定義が農業者でございますので、農家に単に生計を同一にしておられる世帯員ということでは対象になりませんが、一緒に農業に従事しておられる同居親族や配偶者ということであれば、対象として広がるということでございます。
○泉委員 もう少し詳しく聞きますが、その農業者というものの定義はどうなるんでしょうか。どこまでが農業者ということになるんでしょうか。
○古谷政府参考人 農業者ということでございますので、農業経営を行っておられて、果実や米の生産に従事しておられる方を指すものと考えております。
○泉委員 これは、私もその部分に詳しいわけではないんですが、兼業というものも含めてということであるでしょうし、例えば農業者が世帯員を形上雇用するということであれば、それは営む農業者ということの中に含まれるような形になっていくんでしょうか。
○古谷政府参考人 個別具体的には実態判断ということになろうかと思いますが、一緒に農業に従事しておられる場合には、今回、営む農業者ということで対応ができると考えております。
○泉委員 現実的な対応をぜひお願いしたいというふうに思います。
そして、さらに細かい点でありますけれども、ある自治体、これも同じく岩手県でございますけれども、軽米町から、濁酒、どぶろくですね、この定義で定める原料について、その原料の範囲の緩和をしてほしいという声が上がってきております。アマランサスという穀物であったり、あるいはダッタンソバ、これでぜひどぶろくをつくりたいと。非常におもしろい提案ですね。こういった提案をぜひやっていただきたいというふうに思うんですが、財務省の方、いかがでしょうか。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
これまで、どぶろく、濁酒につきましては、米の代用原料といたしまして、アワとかヒエ等について限定的に副原料としてお認めしておるところでございます。
このどぶろく、濁酒の定義を拡充することにつきまして、今濁酒をつくっておられる方々のコンセンサスが得られるかどうかということも踏まえまして、十分な検討が必要であろうかと考えております。いろいろな要望が出てきておりますので、今後、濁酒にいろいろな風味をつけたいというような御議論もございますので、実際の今後の御要望も踏まえまして検討させていただければと考えております。
○泉委員 今までに比べれば少し前向きのような気もいたします。
さらに、雫石町からは、ワサビやトマトでどぶろくをつくりたいと。そういう要望も、これは決していいかげんにわざわざ要望してくるわけはないわけで、つくれるからやっているわけですね。つくれるから要望、申請をしてくるわけですが、財務省、これについてはいかがですか。
○古谷政府参考人 繰り返しになりますけれども、濁酒の定義については、これまで酒造関係者の間で一定のコンセンサスがございます。それを変える議論にもなりますので、幅広い検討が必要であろうかと思います。
さらに、御指摘のようなものを添加いたしまして風味をつけるということであれば、製造段階でつけるものか、消費段階で風味をつけることも可能であるというようなことも私どもからは指摘をさせていただいておりますが、いずれにしましても、御要望を具体的にお伺いして、今後検討させていただきたいと思います。
○泉委員 大臣、これは、昭和三十七年以前に濁酒の副原料として定められているのがアワ、ヒエ、もちろん米、ここで定義が定まっている。しかし、この特区法案でせっかく申請をされてきたものが昭和三十七年の法律でいまだに縛られているというか、しかもそれを全く動かそうというような状況になってこなかったということそのものが、まさに象徴的な例だと私は思うんですね。
今、少し、こうして、今後現場の中での、既にどぶろくをつくっておられる方のコンセンサスを得ながらと、私は初めてそういった前向きなお話もいただいて大変うれしく思うわけですが、そのコンセンサスは、早速その作業に当たっていただけますね。
○古谷政府参考人 具体的な御提案を踏まえまして、内閣府当局の方ともよく調整をさせていただきたいと思っております。
○泉委員 今の答弁が決して逃げの答弁ではなくて、しっかりと進めていっていただけるというものだと、大臣の地元も入っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。
さらには、酒税の問題なんですが、この酒税について、今はこういったどぶろく特区の事業者が毎月申告をするというような形になっているかと思いますが、財務省、いかがでしょうか。
○古谷政府参考人 どぶろく特区につきましては、酒税法の特例ということで措置しておるわけでございます。酒税の適切な保全のためには一定の採算がとれる規模で製造しておられるということで、酒税法本体には最低製造数量基準というものがございまして、この特区法ではその基準を適用しないということではございますけれども、その他の酒税の規定、免許をいただくとか申告や納付をしていただくというのは、通常の酒の製造者と同じように義務を履行していただく前提でこの特区法はでき上がっておりますので、御指摘のように、通常の酒税の納税者と同じように一月ごとに納付をしていただくという仕組みになってございます。
○泉委員 確かに、財務省さん、最低製造数量基準の緩和はいいが、それ以外の扱いは他の製造者と一緒にすべきという創設時の経緯があるというようなお答えを以前されていたこともございます。
ただ、これは創設時の経緯であって、大臣、まさに、どぶろく特区が、本来、衆議院で附帯決議をつけてまで、これが特定地域の既得権益にならないようにというような、当時この特区法案ができたときに附帯決議がなされている、そういうものを乗り越えてまで、今、単なる全国展開はやめよう、物によっては地域限定にしていこうと、やはり創設時と違う発想が生まれてきているわけですね。
そういう意味では、創設時の経緯があるからほかの製造者とすべて一緒にすべきというような考え方、これそのものは私はやはり改めるべきではないのかなと。どうしてかというと、こういったどぶろく特区、製造者は非常に少ない数量をつくっているわけです。まさにそこは緩和されたわけですから、少ない数量をつくっている。ということは、では、果たして、数キロリットルつくってどれぐらいの納税が毎月毎月必要なのかということでいうと、この額というのも、ほかの一般の酒造関係に比べると大変少ない量になるのではないかなというふうに思うわけです。
現在、消費税ですら、これも財務省の方では恐らく預かり金的な性格を持つ税金というふうに判断をされていると思いますが、消費税においても、課税の年税額というものでいろいろと仕分けがあって、年四回あるいは年二回、年一回申告をするというような簡素化が図られている人たちもございます。どうしてこの酒税についてはこういった回数をもう少し簡素化するという発想にならないのかなというふうに私は思うわけですが、大臣、いかがでしょう。
ここはぜひ、毎月少量のどぶろくや果実酒やリキュールを売る方々が、しかも、自分の持ち場だけで、自分のレストランや民宿で売るだけの方が毎月毎月納税の申告に行かなければならない。これはちょっと余計な苦労を強いているんじゃないのかなと私は思いますが、いかがですか。
○増田国務大臣 先ほどから先生の方で、岩手の軽米町あるいは雫石の例をお引きになったり、それから今の毎月毎月の申告の手続、いろいろ風味をつけたり、それから手続面でもまだまだ、地元の立場に立てば、あるいはそれを後押しする我々の立場に立ちますと、国税庁さんあるいは広く財務省さんにもいろいろとお考えいただきたいなと思うところは多々ございます。そして、そのことを地域振興ということにぜひ結びつけていただく、こういう立場で御判断いただければなというふうに思うわけでございます。
どぶろく、濁酒の関係については、当初、手続が大変でございましたし、今もいろいろ、また地元では御苦労もあるんだろうと思うんですが、しかし、先ほどの財務省の審議官の方の御答弁を聞いておりまして、財務省はなかなか、これは相場観として厳格な答弁をされるんですが、精いっぱい今お答えいただいたなと。
それで、先生お話しになったとおり、大変前向きに、いろいろ実態も調べておられますし、それから検討しなければいけないということでおっしゃっていただきました。地元の熱意にこたえて、それを代弁していろいろと、財務省も判断しやすいように物事を持っていくのは私ども内閣府の役割でございますので、私どもも、きちんとした理論構成をして、それでどういうふうにしていったらいいのかというのをよく財務省の方に御説明をして、何とかそういう地元の思いを実現していきたい。
審議官の方も随分中でいろいろと頑張っていただいているというふうに思っておりますので、なおその検討を、きちんと私どもも誠実におこたえして、何とか地元の期待にこたえていきたいというふうに思います。
○泉委員 さらに、このどぶろくについては、現在、民宿あるいは農家レストラン、こういったところで提供するものについては特区に限り基準の適用なしということでございますけれども、特区内で生産された特産物を使用して製造するというような方向に持っていくこともできないかなというふうに私は考えております。みずから生産をするということに限らなくてもよいのではないかというふうに思いますが、その点、財務省の御見解はいかがでしょうか。
○古谷政府参考人 お答えいたします。
今回、地方公共団体からの要望を踏まえまして、どぶろく特区について、みずから生産したものに準ずる場合はお認めをするということで、具体的には、災害等により、みずから生産した米や果実を確保できないという場合につきましては、それ以外の原料でつくるということまで広げることとしたところでございます。
○泉委員 それは大変ありがたいことなんですが、もう一つ、みずからの名義で農業を営まない農業者が農家民宿等を営む場合にも特例の適用対象とできないだろうか、こういう声も寄せられているわけですね。実はこれも、大臣、ほとんどが評価・調査委員会の地域活性化部会の中で話し合いがなされていることなんですが、それに対しては、実際農業をだれがやっているのか、あるいはやめたことを証明してくれるスキームがあるのかどうかを把握しないとこの制度にはのせられない、これまたそういう御回答でありますが、その後何か進展は、あるいは今後の可能性についてはいかがでしょうか。
○古谷政府参考人 先ほどのお答えとやや重複をするかもしれませんが、今回、みずからの名義で農業を営まない場合でありましても、農業経営者の同居親族、配偶者、あるいは農業生産法人の社員等で農業に従事しておられれば、そこまでは拡大をするということでございます。
○泉委員 私がいいと思うのは、この調査委員会の中では非常にこういった議論が活発に行われているということ、そしてまた、私もこの質問に当たってその議事録を随分と拝見させていただきました。そういったことまでオープンになっていることそのものは非常にすばらしいことだなというふうに思いますし、今まさに、政府にはいろいろな調査会ですとか審議会があると思いますが、私は、ここはしっかり機能しているなという実感を得ました。そういった中で、財務省も今さまざま意識をまた新たにされているところもあるというふうに思いますし、内閣府もそれは同様かなというふうに思いますので、ぜひこの後も頑張っていただきたいというふうに思います。
そのことを皆さんに最後にお伝えして、私からの質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○中野委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
本日は一時間もいただきましたので、じっくりと議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
まず、この地域再生法でございますが、思い起こしてみますと、この話は多分小泉総理になってからだと思います。恐らく最初の発想は、やはり縦割りじゃだめだ、省庁が、国で何でも決めてやるのではなくて、地域の力を生かそう、そのために地域から、トップダウンじゃなくてボトムアップの方向でやっていこう、こういう発想でそもそも地域再生本部が内閣に設置されたということだろうと思います。
私が当選させていただいて、この内閣委員会で、平成十七年になって地域再生法が成立するということだったと思っています。私も議論に参加させていただいておりましたので覚えております。
そのとき、我が党民主党は反対をいたしました。なぜ反対だったか。地域再生法という、大変志はよしだったと思いますが、中身を見てみますと、それまで省庁でばらばらになっていた補助のあり方とか助成のあり方とかそういうものを、とにかくこれじゃいけない、ここはいいんです、この思いはいいんですね。ところが、いけないといって、では各省庁にとにかく一本化しようという話をしていったら、結局出てきたのは三つだけですよね。下水道の何たらとかいう話だけでして、実際は省庁の抵抗があってそれがなかなかうまくいっていないんじゃないか、こういう話もあって、その思いはよし、志はよしだったんですが、実際のスキームは本当に地域再生法と呼べるだけのしっかりとしたスキームがあるのか、こういう話であのとき議論をして、結局民主党は反対をしたのだというふうに記憶をしています。
そのときに私が議論の中で申し上げておったのは、これは県とか市町村、いわゆる地方自治体が単位だったんですね、これではやはり実際は動かないだろう、もっと市民の声を生かすような、そういう仕組みにしなくちゃだめですかねという話を実はそのときもしていまして、今回はまさにそういうスキームがちょっと見えるようなスキームとして出てきたということで、私も少しはよくなったのかなという思いで、今回は我が党も賛成の方向だ、こういうことであります。
しかしながら、よくよく議論していきますと、やはり実態はそう変わっていないんじゃないかなと思われる部分も多々ありますので、その辺のところをきょうは一時間かけてゆっくりとはっきりとさせていって、せっかく、思いやよし、志やよしなんですから、これをよりよい制度にしていくということのために議論をさせていただきたい、こう思う次第でございます。
まず、大臣の方に、地域再生本部ができたのが平成十五年の十月二十四日、法律ができたのが平成十七年の三月三十一日で、翌四月一日から施行されている。これから三年たっておりますが、今の政府から見たこの地域再生法に対する評価というのをまずお聞かせいただきたいと思います。
○増田国務大臣 これは、今お話がございましたとおり、構造改革特区に次いで、大体二年後ですけれども、先生初め関係の皆さん方、いろいろ御議論いただいた上で成立をさせていただいたわけでございますが、全国でこの地域再生計画、約一千カ所認定をされている。そして、スキームとしては、規制の特例以外のもの、確かに、お金に結びつくもの、税に結びつくもの、あるいは施設をつくった、それの転用の手続を簡素化したりとか手続に結びつくもの、内容はさまざまでございますが、地域で今まで各省にいろいろ走り回って、大変手間もかけて苦労していたものについて、この計画をつくって認定をいたしますと、大分そのあたりが簡素化されたり、従来に比べれば使いやすいようなお金が出てくるといったことで、これは各地域でいろいろ内容の創意工夫をしておられるわけでございますが、一千カ所の認定によって、かなり地域の創意工夫がそれぞれの地域で生かされるようになってきた。
御指摘いただかなければいけない点、あるいは私どもも気をつけなければいけない点も多々あると一方で思っておりますけれども、この地域再生計画をつくるということに、随分自治体の方も自主性をその中に織り込むようになってきたというふうに思っていますので、その意味で、この法律が地域地域で浸透してきている、こういうふうに判断しているところでございます。
○市村委員 まず政府としての立場でお話しいただきました。
今度は、増田大臣はもともと知事でいらっしゃったということで、そちらの側からもこの地域再生本部もしくは地域再生法を見ていられたと思います。それで、知事だったときの立場として、これが本当にいいものと評価されていたのか、そういうところも含めてちょっと御評価をいただきたいと思います。これは率直にお話をいただきたいと思います。
○増田国務大臣 例えばこの中で、先ほども先生のお話がございましたとおり、従来、個々の省庁ごとに交付されていました補助金でございますが、それを、地域再生計画をつくると一体的にそのあたりを認定して、そして交付に結びつけるというお話でございましたが、内容的に見ますと、道路、それから汚水処理、港湾という三つでございました。
実は、これは何も金をいただくということが決して地域に、うまくそれが再生につながるかどうかの議論は一方でありますけれども、少なくとも、随分前宣伝は大きかったんですが、実際に出てきたのは、これは多分省庁で随分いろいろな話し合いがあって、これは勘弁してくれとかそういうこともあったんだろうと思いますが、その三分野だけということでございました。
当時、知事をしておりまして、少し内容としては物足りないなと思ったのも事実でございますし、再生計画をつくるのと、それから、施設をつくったものの補助金の使途目的を変えて転用する場合の手続なども、実際には、転用をもっと柔軟に認めてくれれば、わざわざこちらの再生法のスキームを使わなくてもいい場合も多うございまして、文科省も、文教施設などについては、そういったことも含めて大分手続をまた緩和されているようでございます。
そういう本体の方をいろいろと緩和すれば済む部分もございましたので、出てきたとき、私は決して否定的ではございませんでして、こういう手段を幾つか用意していただくというのは大変重要だと思いましたが、中身をうんと充実していただければありがたいなと思ったのと、それから、この地域再生の関係と今回も御提案をしております構造改革特区、そのほかに都市再生とか中心市街地とか、大変似たような効果に結びつく仕組みというのが当時幾つか出てまいりましたので、全体を横並びで統一して理解する、そして、どこの本部に行けばどういう制度が、どういう手続の簡便さ、あるいはお金をいただけるのかという全体像を理解するのも、少し工夫をして整理していただくと実は助かるなと思ったのも正直なところでございます。
○市村委員 本当に今率直にお話しいただいたと思います。まさに今増田大臣が御指摘されたような議論が前回この委員会でもあったと私は記憶をしております。だからこそ、先ほど申し上げたんですが、志というか思いはいいんだけれども、これでいいのかという思いで前回は反対だったわけでございます。
もうちょっと今の話で少し具体的にお聞きしたいこともあったんですが、もう一つだけ大きな話を聞かせていただきます。
今率直に問題意識もお語りいただいたんですけれども、今回のこの法律はまさにそういうところを、増田大臣は、担当大臣となられて、恐らくそういう御経験からもこの法律をもっとよいものにしていこう、こういう思いで今回の改正案を出されてきていると思いますが、ではこの改正案は、今語っていただいた問題点をどう直していこうとされているのかということについてまたお話しいただきたいと思います。
○増田国務大臣 今回、地域再生法の場合には大きく二つの点で改正の内容を提案してございますが、一つは、地元の皆さん方からの提案、そして、公共団体が計画をつくったり協議会をいろいろ設けたりするということに対して、地元のいろいろな皆さん方の思い、それから考えというのをより積極的に制度的にもこの法律の中に反映させていきたい、それがやはり地域の再生に有効である、こういう判断をしまして、そういう仕組みを一つ入れた。
それから、一方で、日本政策投資銀行が今回改組されますので、その関係で支援スキームにやはり不足があっては困るので、そこをかわり得るものを今回入れたということです。
ある程度限られた時間の中で今回の御提案をさせていただきました。もちろん、今回提案させていただきましたものについては、緊急にやらなければいけないわけでございます、ぜひ御理解いただきたいということと、それから、そういう意味でお認めいただきましたら万全にこの制度を運営していきたいというふうに思っておりますが、地域再生ということは、大変、地域は一様でないものですからさまざまなやり方があるということでございます。またそして、支援のメニューなどもやはり一定程度限定をされているということもございます。
ですから、前回でのここでの議論、あるいは今回の、きょうまさに真摯な議論が行われていますが、そうしたところでの議論というものを踏まえて、常にこの法律をどういうふうにしていったらいいかということはまた今後に向けても考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
○市村委員 いよいよこれから具体的に議論に入っていくわけですが、その前に、先ほどまさに大臣からも、地域、中心市街地活性化本部とか都市再生本部とか構造改革特別区域推進本部とか、いろいろあってもう少しこれをまとめた方がいいんじゃないかというお気持ちもあったということもお述べいただいたわけでありますけれども、昨年の十月に、これらの会議が合同で開催されて、地域活性化統合本部会合と称することができたというふうにお聞きしております。そして、その事務局も地域活性化統合事務局となったということですが、これは、先ほど御指摘された問題点については、いろいろややこしいので一つになった、これからはこの地域活性化統合本部会合がメーンになって、かつ事務局も地域活性化統合事務局に一本化されたというふうに認識してよろしいでしょうか。
○増田国務大臣 今お話のあったように御認識いただいて結構だと思います。
我々も、実は四本部ございました、根拠法が四つありますので、細かなことを形式的に言えば、やはり法律それぞれを運用していかなければならないんですが、常に本部を開くときは一本で、全部をまとめて開く。ですから、自治体の皆さん方も、その統合本部に来ていただければそれぞれの用事が全部足りるようにする。実は、場所も本部ごとにこの近辺で違うビルに入っていたんですけれども、永田町の合同庁舎一本にまとめました。
ですから、名実ともにそういう統合本部ということで運用していく、こういうことでございます。
○市村委員 ちょっと細かいようですけれども、統合本部会合というのと統合本部というのは、統合本部が正式名称でよろしいですか。会合とつくのはどういう意味なんでしょうか。
○増田国務大臣 統合本部事務局というのがございまして、そこが実際には、きょうは局長は来ていなくて今局長代理でございますが、そこに職員がいっぱいおりまして、そこで事務は全部扱っております。
それで、統合本部といいますのは、これは総理が本部長の統合本部というのがございます、私が副本部長でございまして、その会合を今までに二回か三回、ちょっと回数は忘れましたけれども、昨年の十月の発足のときに一回やりまして、それから何回か全閣僚を集めてやっております。それが本部の実際に開かれた会合という意味で、統合本部会合、こういうふうに称しております。
〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕
○市村委員 では、これからは、中心市街地活性化も都市再生も構造改革特区も、また地域再生もすべてこの統合本部でやる、一本化されたという認識でありますし、統合本部会合というものも全閣僚の参加によってやられているという認識でよろしいと。わかりました。ありがとうございます。
では、そういうふうにして、私も何かわかりにくいなと思っておりましたので、大変わかりやすくなったと思いますし、また今御指摘いただいたように、地方自治体の皆さんも、どこに行ったらいいんだろう、同じようなことばかりじゃないかというのも、わかりやすくなったと思います。
それで、そういうふうに整理をしていただいた上で、今大臣からもありましたように、地域の担い手の皆さんのいろいろな意見もお考えももっとどんどん反映するような制度にしていこう、こういう話だと思います。そこで、今回、協議会というものが組織されるということですね、それを要請できるということです。しかし、要請する先は地方公共団体なわけですね。この地方公共団体が地域再生協議会をどこまでアクセプトしていただけるのか。
すなわち、ここがまたかなりのハードルになって、あなたみたいな人の協議会は受け入れられませんとか、あなたみたいな団体は無理ですよとか、そういうふうに門戸を狭めるようなスキームなのか。
それとも、基本的にはウエルカムで、この資料を読みますと、個人という話も出てくるんですね、個人からの提案もいいんじゃないかという話も書いてあるんですけれども、では本当に、例えば私が、私の住んでいるのは宝塚市でありますけれども、宝塚市に、私はこう考えているから、国会議員じゃなくて一人の市民として協議会をやってくれというふうにちゃんとした申請書を持っていけば、一応申請を受理していただいて、ちゃんと御議論をいただけるのか。いやいや、そこまでしていたら大変だから、それはちょっと、そこまではないですよというのか、その辺のところの具体的なあり方についてちょっと教えていただきたいと思います。
○増田国務大臣 この協議会でございますけれども、これは自治体の方で判断をしていただくわけですが、要は、そうした協議会というのは、やはり自治体の参加も得、それから金融機関も入ったり商工会が入ったりといったようなものはプロジェクトを動かしていく上で大変必要なものだろうと。もちろん、中で利益相反のようなこともありますし、ばらばらになってはいけないわけですが、やはりうまくいくものはそういったものがスクラムを組んで前に進んでいくものですから、ぜひそういう協議会がうまく回っていけばいいなと。
そのときに、そういう協議会をいろいろな志を持った方がつくりたいといっても、自治体が今まさに御心配されたようにそっぽを向いたり、その提案をされた方とうまい関係でないということも現実にはいろいろ考えられるわけですが、それを、住民の皆さん方がわからないところで提案を握りつぶされたり、やみに葬られたりしたら困るわけです。
今回は、制度としてきちんと法律に書いて、そして提案制度を置いたわけでありますので、それにのっとって提案をすれば、自治体の方も、もし要請を断った場合には議会はもとより住民の皆さん方にちゃんと説明をしなければいけない。その提案をされた方が、僕はこういう手続にのっとってこういう提案をしたんだよということを言えば、当然それに対して誠実なものをお返ししなければいけない。そこで、市民の皆さん方は、宝塚の皆さん方は、市の方の対応についていろいろ御判断をされるということだと思います。
ですから、いい提案であればもちろん積極的に取り入れると思いますし、余りにも資金的な面において不安があるようなものであれば、それは場合によっては拒否する場合もあると思いますが、いずれにしても、そういった理由をきちんと説明されることによって、また新たな提案につながったり、あるいは市の方の対応を是正するような動きにつながったりするということだと思います。
そういうことで、いい提案はやはりそういう仕組みを通じて協議会の設置ということに結びついていくのではないか。これはある種期待の部分でございますけれども、今回、新たにそういう期待に結びつくような制度を設けさせていただいたということでございます。
○市村委員 まさに今おっしゃっていただいたことは重要でして、これまでは、例えばある一人の市民が、またはその地域のNPOがおかしいぞと思ってこういうのをどこに持っていったかというと、市議会議員とか市役所に持っていくんですけれども、大体聞きおくぐらいの感じで、なかなか動かないことが多々あったかなと私も思います。
今回、そういったことでいえば、法律事項として受けないかぬということで、一点だけちょっと細かいことを聞きますが、拒否する場合は口頭でそう言うのか。例えば特活法人の認証なんというのは、拒否する場合は書面にて認証できない理由を出さなくちゃいけないとなっています。例えばこれを申請します、でもだめな場合、これは口頭で出すのか、それとも書面で出すというふうに義務づけるのか、どっちでしょうか。まずそこをお聞かせください。
○上西政府参考人 お答え申し上げます。
これは、私ども、今回、自治体、公共団体に応答するという責任を求めておるわけでございます。その様式については、特に書面でというような限りはございません。透明性を持ったやり方できちんと応対していただくということが重要であろうと思います。
○市村委員 書面じゃないということでありますけれども、本当は書面で提出するように義務づけた方がいいかなと私は思いますね。そうしないとまたうやむやになる場合もあって、例えばここで議論しているような私たちはある程度わかって議論もできますけれども、結局、なかなか皆さんわからないんですね。恐る恐る行くんですね。何かこんなのがあると言われたから来てみましたと。恐る恐る行ってみたら、結局、いや、それはちょっと無理ですねと言われると、恐らくほとんどの人は、ああ、やはり無理なんだなとそのまま素直に帰っていかれると思うんですね。その中に本当はすごくいい提案があったのかもしれないけれども、役所からすれば、ある種、そういうことは面倒くさいな、こう思ったときに、担当官とかの思いで、ちょっとそれはだめなんですよねと言われたら、ああ、そうですかとなると思います。
そうなると、せっかくのいい提案が生かされないということになりかねませんので、そういうことを考えると、やはり書面にて、あなたの提案はこうこうこういう理由で今は難しい、でも大変貴重な提案でありましたから、また例えば市の中で議論をするとか、議会の方にその提案があったことを出しますとか、何かそういうレスポンスがそこであると、提案した方も、ああ、そうか、こういうことを言っても受け入れてくれるんだな、それはすぐできなくても、しかしきちっと議論をする流れにのっけてくれるんだなと。
これだけでも、提案した方も大変やりがいがあるというか、言ったかいもありますし、またかつ、そこですぐできなくても、それが時間をかけてもできればいいし、また別の提案をもっと持っていきやすいな、ああ、こういうふうにウエルカムしてくれるんだな、ウエルカムなんだなと思えばいいと思いますので、ぜひともその辺は工夫をしていただきたいと思います。
それで、まずそこでウエルカムしていただきたいんですが、今度はその協議会ですね。これを事前にいろいろお聞きしていますと、例えば少人数でもいいみたいな話でもあります。しかも、そもそもこの協議会というのは、地域再生の大戦略を考える、地域再生協議会が一つでき上がって、そこに市なり町なり村のいろいろな方がお集まりになられて、これまでのスキームではだめだ、過去の延長線上に未来はないぞ、新しい、これからの我が町のあり方を考えていこう、こういうスキームかなと私は思っていたら、どうも違って、それぞれの分野の、インタレストグループじゃないですけれども、それぞれの思いを一致する人たちが集まって、例えばアート、芸術の分野からこう変えていこうとか、観光の分野からこう変えていこうとか、そういうもので幾つも協議会ができ上がっていくという話に伺っています。
そのときに、では、その協議会のガバナンスといいますか、私もNPOの方でずっとやっていますけれども、どこまでちゃんとガバナンスがあるのかどうか。例えば今度利子補給もされます。となると、どうせやろうと思っていた、例えばホテルの改修をやろうと思っていた、よく聞いたら利子補給していただける、ならば、観光に結びつけて、ホテルの改修をやるから、銀行とも話をして、〇・七%は金利を国が払ってくれるから一緒にやりませんかという話ですね。
これも私は悪くないと思っています。ないと思っていますが、何となく、お金ありきといいますか、何か金利が安くなるからいいんじゃないかという話ありきで協議会がたくさんできてそれを利用していくという流れは、本来この地域再生法が持っている志じゃない、こう私は思うんですね。
これから地方分権の時代に、なるのかどうかは今議論中ですけれども、なったときに、地域のことは地域で考え、地域のことは地域でやっていくという流れの中で、この法律はその後押しをするというか基盤となる法律ではないかと思っていますが、何かそれとは違う方向で、何となく、利子補給もしていただけるし、さっき大臣もお話しされていましたけれども、補助金も出るからいいんじゃないのということで、そういう何か矮小化された思いでこれを使われては困るなと思いますが、それについては、大臣、どうお考えでしょうか。
○増田国務大臣 やはり、この地域再生の計画をつくったり認定するというときに、今お話ございました、支援措置、利子補給金なりそれからさまざまな交付金を得るための便法としてこれを使っていくというのは本意でありませんし、それは恐らく法律の考え方にも反するであろうと。
地域再生の手法は多様でございますので、先ほど事務局長代理も言いましたように、地域で協議会が複数成立することも実際にはあり得るかもしれませんが、やはり望むらくは、先生が今お話しなさいましたとおり、地域の再生というのはその市あるいは地域にとって命をかけた本当に大変な大事業でありますから、考えられるさまざまなアイデアをいろいろ持ち込んで、そして関係者もそういういいアイデアを持っている人たちをできるだけ引き込んで、そしてお互いにしっかりと共通の意識を持って同じ目標に進んでいく、そういう議論の場としてこの再生協議会もあるんだろうというふうに思います。
ですから、単に非常に小さな目的と手段としてこれを使っていくということは、こちらもいろいろ御相談を受けたとき、地元の御意見は大変尊重はしますけれども、やはりそのことについてはこちらも真剣な意見も言っていいだろうと思いますし、それから、この制度に対しては、午前中も御議論ございましたが、評価をしっかりと一件一件していく、そこには第三者も入ってやっていくということでございますから、余り細かなことのために使われるものについては多分いい評価はそこで得られないだろう。やはりそういう評価にもしていかなければいかぬと思いますので、今後この制度を、今回また改正して地域提案をせっかく中に入れていきますので、そういうときには、地域のいろいろな思いを持っておられる方が仮にそれぞれおられましたら、もっと前向きにいろいろ議論していただいて、できるだけそこを引っ張り込むような運用というかやり方を考えていきたい。
これは、我々の中で議論してもいろいろできることではないかなというふうに思います。それで、中をオープンにしていけば、ほかの方々も、いろいろと志を持っていれば寄ってくるものではないかというふうに思いますので、今言ったようなことは十分留意をしていきたいというふうに思います。
○市村委員 ありがとうございます。
我が意を得たりという感じなんですが、今大臣がおっしゃっていただいたようなものとしての地域再生協議会というもの、私は最初はそういうものかと思っていたんですが、いろいろ話を聞くとどうも違うなという思いに駆られたんですが、今の大臣のお話をお聞きすると、できる限りそっちの方向に、私がそもそもそういうものだと思っていた方向にしたいんだという思いをいただきましたので、ぜひとも運用上そうなるようにしていただけたらと思います。
そうであれば、そのときにやはりガバナンスの問題が大切なんです。というのも、メンバーが固定化されてしまうと余りよくない傾向も出てくるんじゃないかなと私は思うんですね。ですから、地域再生協議会に集うメンバーたちが、しょっちゅうかわるというのもどうかなと思いますけれども、余り固定化して、同じ人ばかりが話をして、新しく血が入ろうとすると、それはだめだ、我々がやっているんだからという、ある意味何かインナーというかサークルみたいな形になってしまうと、これはまたこれで弊害が出てくると私は思います。
そういうすばらしい思いを持って地域再生協議会が、複数じゃなくて一つぐらいを大切にやっていこう、そこにいろいろな人を巻き込んでいこうというのであれば、できるだけ人材を固定化させない、そして議論も活性化させていくという方向でこれをやはり考えていただきたいと思います。
大臣、いかがでしょうか。その辺のところの工夫、ガバナンスについてちょっと一言いただきたいと思います。
〔江崎(洋)委員長代理退席、岡下委員長代理着席〕
○増田国務大臣 協議会の運営は、やはり地元でいろいろ工夫をしていただきたいなとは思っておりますけれども、多様な意見がその中に常に反映される、そして、今お話しになったとおり、メンバーが固定化していれば出てくる意見も大変固定されたものになってくると思いますので、そういうことでない運営を考えていかなければならない。
地域でお互いに顔を見知っているだけに、閉鎖的というよりも、また逆にいろいろな運営の知恵はやりようがあるのではないかというふうに思いますので、今お話しになったような、我々、多様な意見を反映させるような仕組みということを法律制定時にいろいろ中で議論して考えております。その気持ちが自治体の皆さん方あるいは地元の関係の皆様方に伝わるような何か周知の仕方をして、運営のところは、地元でのさまざまな運営を工夫していただきたいというふうに思っております。
○市村委員 今私はここの議論をしながら思い出したのは、実は私自身が、アメリカに三年いたときに、ピッツバーグなんですが、アレギニー地域開発協議会というのに一年半ぐらいいさせていただきました。まさにそこの役割というものが、今大臣がお話をされたような役割をまさにしていたところなんですね。ただ、そこはNPOだったんです。
なぜ私がNPOというのを日本で一生懸命やっているかというと、私がいたアレギニー地域開発協議会というのがNPOだったんですね。すなわちNPOが、行政でもない、営利企業でもないものが非常に重要な役割を果たしている。そのときに、アレギニー地域開発協議会はみずからを触媒と呼んでいました。触媒、英語でキャタリストですね。すなわち、触媒はみずから変わりません。みずから変わらないけれども周りに変化を起こさせるのが触媒の役割です。だから、地域協議会はがしっと扇のかなめのようにいて、それこそ行政、企業、NPO、市民、個人、市会議員とかいろいろな人たち、そこにテーブルをつくって、しかも代理出席は認めないという形で、みずから責任を持って発言をする。
そこにもちろん銀行も。当時ピッツバーグにメロン銀行という大きな銀行がありましたから、そのメロン銀行の人が言い出しっぺでつくったのがアレギニー地域開発協議会なんですけれども、だから銀行を構えているわけです。時間があったら後からちょっと議論したいんですけれども、だから、政策投資銀行じゃないんですね。まさに民間銀行ですね。メロン銀行という大きな銀行が地域に根差していましたから、ピッツバーグに。そこがお金も出すぞというわけですね。
メロン財団というのをつくってありましたからね。これもNPOです。NPOを支援する財団があって、ある場合は税金を使いましょう、ある場合はそういう財団が出しましょうとか、ある場合はそれは財団に寄附をしましょうとか、みんなに寄附を求めましょうとか。だから、その都度その都度どうやったらいいかということは違うわけですね。しかし、かなめは地域開発協議会。
そこはそれ一カ所ですね。でも、別に一カ所じゃなくてもいいんです。NPOはたくさんあるんです。しかし、その地域の重立った方がそこを大切に使っているから、そこ一カ所なんですね。だからそうすべきだというふうに、今大臣のお話を聞きながら、考えたら僕がいたところだなというふうに思いながら聞いておったんですが、ただ、それは実はNPOだということなんですね。そこもぜひともまた一つの発想としてお考えいただきたいなと思います。
それで、また後でNPOの議論もしたいんですが、まずその前に、いよいよ、私もこの委員会でも問題にしてきました例の再チャレンジ支援寄附金税制なんですが、今回、間接型というのがなくなるということです。これは、今度の公益法人改革、この委員会でも議論していますが、なるべくいい方向に、私は八割ぐらい、八合目まで来ているなというふうに評価をさせていただいているんですが、そっちの方で取り込んでいけるから廃止だという話なんです。
それはわからぬでもないんですけれども、しかし、ここでも議論しましたが、別にこの間接型は、この十二月一日から始まる新公益制度じゃなくたって、今でも一般系として使おうと思えばできる制度だったんです。ここでも議論しています、この委員会でも。でも、一般系があってもあえてこれをやらなくちゃいけないんだという話をここでたしかしていたんですね。これは我が党は反対しました、おかしいぞと。今さら一般系なんですね。けれども、もともと一般系がありましたから、やろうと思えばできた。でも、一般系があってもあえてこれはやらなくちゃいけないんだという志だったと思います。でも、今回なくなる。
しかも、私はそのとき、間接型の方はまだ理解できるけれども直接型は理解できない、これはあり得ない制度だと言ったけれども、直接型は残るわけです。この辺のところを私はなかなか理解できないんですが、大臣としてはこの辺はどう整理されておられますでしょうか。
○増田国務大臣 今回の寄附金税制の関係でありますけれども、まず、今先生お話ございましたとおり、昨年も随分この場で議論があったようでございますが、その昨年の議論、そして結果としてはチャレンジ税制ができたわけであります。その制定時は公益法人制度改革がちょうど進行中であって、特定公益増進法人、今度新しい制度ですが、この特定公益増進法人への新たな類型の追加はその当時はまだ認められていなくて、そしてそのことによってあえてまた間接型というジャンルをつくって、それで支援税制を新たにつくった。
今般、公益認定を受けた公益社団あるいは財団法人となることによって今の設けられました間接型の寄附税制の特例措置を受けられることになったので、あえてこの間接型ということを置いておく必要がない、これはもうそういうことで削除していいということで今回廃止をしたということでございます。
そうすると、結局、いろいろとまた議論がある直接型が結果として残るということになるわけですが、この直接型は、高齢者、それから障害者、母子家庭の母を積極的に雇用する会社に対する寄附について特例措置を設けるということでございまして、これはこれとして、行政による支援のみならず官民が連携して雇用を促進するということで、社会的な意義はあるということで、これはそのまま置いておくということでございます。
もちろん、現実にこの税制のハードルをクリアするものが出てくるかどうかの問題は、これは今後の運用にかかってくるかもしれませんが、そういうものもあるかもしれませんし、聞いてみますと、公共団体の理解もまだまだ十分でないという点はあると思いますけれども、直接型の方の対象が少し違っておりますので、そういう意味で社会的意義はある、こういうふうに考えているところでございます。
○市村委員 直接型に対する理解がこれからと大臣はおっしゃったんですが、多分理解しない方がいいと思います。多分理解できないです、これは。してはいけないと思います。多分理解できないものを、理解してはいけないものを理解しろと言われるほど人がおかしくなってくることはないと思いますので。大体、そもそも理解できないものを理解できるという方がおかしいんです。だから、この直接型の方は、できるだけ早くこれも間接型同様に廃止すべきだというふうに私は思います。もしこういうスキームを入れるのであれば、まさにNPOをかませたところの間接型はあり得るんです、ただ、一般系としてやればいいわけです。
ただ、今大臣、こういうものを特増に持っていく類型がなかったというふうにお話をされましたが、途端に大臣、原稿を読まれていますけれども、まさに官僚に対してきちっとおっしゃっていただきたいのは、類型をつくるのは大臣なんです、内閣が決めればいいことなんです。別に法律で、類型をつくっちゃいけないなんて、何にもどこにも書いていませんから。だから、まさに内閣がこういうものも類型にすると言っておけば、別に法律なんかつくる必要はないんですね。だから、そこも官僚の皆さんに、違うだろう、これはもともとできるはずだというふうに強くおっしゃっていただきたいな、こういう思いであります。
いよいよ、きょう一つの流れとして、私もいつもやっているNPOの話に持っていきたいと思いますが、今回の地域再生法の担い手として「NPO等」と、ここでNPOを入れていただいておる。昔はNPO法人となっていましたから、おかしいぞと言っていましたけれども、ようやく最近、NPOという形で、やっとまともな方向に用語も整理させていただいていますから大変うれしいわけでありますが、NPOの種類の中で特に特活法人、特定非営利活動法人というものが三万三千ぐらいあって、特にこれが地域での担い手として一つあるんだろう、念頭に置いていらっしゃるんだろうというふうに思います。
ただ、ここの委員会でも議論しておりますし、また、今週の金曜日も一時間ぐらいいただけたら私は一般質疑でやりたいと思っていますが、この特活法人が今制度的に大変難しい状態に陥っているなと僕は思っているわけでありますね。その話はまた改めてしますが、特活法人が頑張ってくれ、こういうことでありますけれども、ほとんど疲弊状態で、立ち枯れ状態になっているものに頑張ってくれと言っても、なかなか厳しいなと思います。ただ、そうはいっても、何かいい手段、いろいろな手段を講じて、これは頑張ってもらわないかぬということです。
実は、さっきの地域再生協議会の話に戻るんですけれども、結局、いろいろな地域再生協議会がつくれるという雰囲気もなきにしもあらずだったんです、事前に官僚の方といろいろお話をしていると。そうしたら、きょう中川副大臣にもお越しいただいておりますが、例えば、私が今いろいろ話を聞いていて、小規模作業所があります。そこで、地域再生という思いで、やはり障害者の皆さんももっと外に出ていっていただけるような、特に自立支援法がなかなか今厳しい状態になっていますから、出てほしいと。そのときに、タコ焼き屋さんをやりたい、地域再生でタコ焼き屋さんをやりたいと。
例えば、五百万円ぐらい初期投資がかかるだろう、こういう話のときに、この地域再生協議会で、これは地域再生ですと話をして、五百万円借りたいと。どこかの銀行と話をして、では、いわゆる利子を〇・七%にしてくださいと。〇・七%は国から補給していただいて、元本の五百万円は例えば十年ぐらいで返していきます、年間五十万ずつ、タコ焼き屋さんをやって返していきますと。こういうことを地域再生という思いでやったとした場合、これはオーケーなのかどうかなんですね。
さっきの大臣の話を聞くと、ちょっとなかなかそうじゃないなと。でも、もともとは私そう思っていましたけれども、いろいろ官僚の皆さんの議論を聞くとこれもオーケーのような雰囲気もあったんですが、中川副大臣は、これはオーケーだ、これはやれるんだ、この地域再生協議会でやれるんだとお考えでいらっしゃいますでしょうか。
〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕
○中川副大臣 委員は何といってもNPOの専門家という立場で、先ほどからいろいろなお話を聞いて非常に参考になっておりまして、その中で今のお話が出てきまして、私もどういう形で答えたらいいのかと本当のことを言うと戸惑っているわけですが、しかし、いいものはなるべく取り上げなければならないと思っていますから、非常に参考になると思って聞かせていただきました。
○市村委員 極めて今話をしたことは具体的ですけれども、こういうことがだんだん起こってくるんですね。こういうときに、例えば、今、特活法人がお金を借りるという発想というのは多分余りないと思うんですね。そもそも、そういうものとしてとらえて特活法人を運営していらっしゃる方は少ないと思うんですね。
一つは、まず行政がつくる特活法人があるんですね。あとは企業がつくる特活法人がある。あとは、介護保険とかを当てにしてつくっている、福祉関係の、介護関係の特活法人があるとか。私がずっとここで申し上げているように、やはり財源がないと幾ら法人格を取って組織をつくっても維持できないんですね。結果としては、私がずっとここで申し上げているように、やはり財源なんですよ。どこに財源を求めるかなんですね。
しかし、その中で自主事業というものがありますから、自主事業でもやはりお金を稼いでいかないかぬというのは当然なんです。NPOの場合でも当然なんです。ただ、その得た利益、もし黒字が出た場合、それを株主等に分配しないというのがNPO、非営利の定義ですから。
だから、例えば、今申し上げたようなタコ焼き屋さんの例も出てくるはずなんですね。いや、実際あるんです。出てくるんじゃなくて、実際あるんですね。これはなかなかお金は貸してくれないんです。おたく何ですか、NPOですか、特活法人ですか、それは何ですか、まずそこから入るわけですね。貸してくれない。でも、そういうところがやはり信用を得てお金も借りられるようになっていくということがないといけないんです。
それで、その信用を、例えば小規模作業所が一つで信用を得られるかというとなかなか難しいから、今回、こういう再生計画の中で例えばNPOが担い手と言っているわけですから、担い手がぜひともこれをやりたいと言ったときに、こういうものを、いや、ちょっと違いますと。協議会としては、これはさっき増田大臣がおっしゃったようなことでいいと思うんですが、しかし、今私が申し上げたような提案もやはりウエルカムでどんどんやってくださいと。
そのとき、では、政府が、保証人にはなれないけれども、利子補給しましょうとか、信用を与えましょうとかという話をしたとしたら、これはまた話が違ってくるかなと。実際、具体的に、この利子補給というのは多分政策投資銀行なんだろう。国金さんですね。今で言う国金さんがこの政策投資銀行になったということで、そういうものも念頭に置いていらっしゃると思いますが、国金のような意識だったら、もっとそういうところにも貸してくれるんだと思います。
だから、そういった意味では、これまでの国金のある種政策金融という流れもここで受け継いでくるんだと思いますが、そういったものにもお金が回る、特活法人にも金が回る、NPOにもお金を貸していけるというような仕組みもやはり何としてもつくっていかないといけない、こう私は思っています。
それと、一つまた具体的に私も思ったんですが、地域再生というのは当然人が重要だというわけですね。人だと。この間も、だれだったか、何かの事件で、大学の進学をあきらめてくれといって、結局、自暴自棄になって人を殺してしまったという事件もつい最近あったと思いますが、私は非常に悲しいですね。
というのも、そのときに、やはり国なり地方自治体が、進学をそんなことであきらめちゃだめだ、相談に来てくれというような、そういう雰囲気というか制度を持って、常に若い人たちに、今は家が大変厳しくても、何かあったら相談に来なさいと。身近なのは地方自治体ですよ。奨学金制度もありますよと。こうだったらそういう子にならないはずなんですね。実は私も奨学金をもらって大学に行かせていただいたので、ありがたいんですね。大変ありがたかったんです。
だから、そういうもので、大丈夫だよ、国とかそういう制度でちゃんとあなたたちは教育を受ける権利があるんだから、それは返してもらうかもしれないけれども、奨学金があるならそれをもっと求めなさいと。育英会があります。でも、かなり大きな規模です。
例えば、この特活法人で、この地域再生計画で、人なんだといって、寄附を募るなり、最初はお金を借りて、奨学金を出します、その利率は〇・七%です、では国が〇・七%補給してくださいと。元本はお借りしていますね。
最初のころは奨学金は戻ってきません、返してくれませんから戻ってきません。だからその分は寄附を受けますという形で、例えば奨学金を出します。それで、地域に戻ってきてほしいと。例えば兵庫県にいて東京の大学に行った。でも、できれば奨学金をもらったらもう一遍兵庫県に、宝塚でもいいです、宝塚生まれだけれども大学で東京に行った、それで、宝塚に戻ってきてくれないか、戻ってきたらもう奨学金は返さなくていいですと。育英会も学校の先生とか公務員になったら返さなくていいという制度だと思いますけれども。そのかわり五年なり地域に帰ってきてください、帰ってこれないんだったら返してもらいますと。これは貸したものとして返してくださいではなくて、帰ってきていただいて、五年なりでも地域のために、地域で働いてくれたら、しかも地域で税金を納めてくれたら、それはもう返さなくていいですとか。
そういうふうにして、やはり人が戻ってくるようなスキームの中に奨学金制度も位置づけて、それを特活法人がやって、地域再生計画で利子補給をやるというようなことがもしあったとしたら、これはこれで地域再生の一環として受け入れられるようなスキームなのかどうか、これもちょっとお聞かせいただきたいと思います。まず副大臣から。
○中川副大臣 特定非営利活動法人につきましては、今言ったように、その財源といいますか、維持するための資金をどうするかというのが非常に大きな問題になっておりまして、今回も、税制改革その他で、寄附税制等についてある程度の優遇を持っていきたい。
しかし、私も個人的に考えておりました、それだけで果たして本当にしっかりとした基盤をつくれるかどうかということについては疑問があると思っています。ですから、私も、今提言をいただいておりますので、そういった方向に持っていけるように積極的に行動していきたいと思っております。
○市村委員 今、二点のちょっと具体的な話をさせていただきましたが、まさにこういった提案を真剣に地方自治体が受けとめてやってくれるかなんですよ。多分、私の今の感覚では、こういうのを今直接市とかに持っていっても、いやあ、そうですかと言って、そういう考え方もあるんですねということで多分終わって、そのまま進みません。だから、まさに地域再生法というのは、先ほど大臣がおっしゃっていただいた、大きな議論も、戦略的議論ももちろんしなくちゃいけませんが、具体的には、今申し上げたような、こういうことの積み重ねだと思うんですね。こういうことをしっかり受けとめて、具体化してやっていけるのかということがまさに問われているはずなんです。
しかも、これまでのスキームじゃなくて、流れじゃなくて、新しいこの時代に合わせていく。特にそのときに、小泉民営化は、いつもここで申し上げているように、イコール株式会社化でしたけれども、そうじゃない、民営化には株式会社化とNPOがあるんだということを何回もここで申し上げておりますが、NPOを担い手としてわざわざ書いていただいているということは、まさに私がずっと主張してきたことを政府も取り入れていただいている、私は本当にうれしい限りなんです。
ただしかし、多種多様なNPOがこれから生まれてきますから、今申し上げたのはただ二つの例だけで、もっといろいろな発想が出てきます、はっきり言っていろいろな発想。それを何か奇異に感じたり、いや、これまでそんなことは聞いたこともないなとか、そんなことできるのかとか、そういうところから入るのじゃなくて、おお、そうか、そういう話でもいいのかなというようなことにもっと胸襟を開いていただいて、やれるのかどうかなんです。地域再生協議会、また地域再生本部といいますか、さっきの統合本部ですね、統合本部なりがやれるのか。
でも、本当はそのときに、国の単位ではもう大き過ぎると思うんですね。増田大臣ももうわかっていらっしゃると思いますけれども、やはりもう国の単位じゃ、それこそ今私が申し上げたようなタコ焼き屋さんの話まで国でやれるのかという話じゃないと思います。やはり、例えば自治体のレベルぐらいで、ああ、そうかと言って、そこにお金がつくように。しかし、今はもう、自治体に持っていったら、一言目とか二言目には、金がありません、そんなことをやる余裕がありません、こればかりです、はっきり言って。もう情けない限りなんですね。お金がありませんと。でも、今回、何かやると利子補給もしていただける。
いろいろな制度は、国があって、多分マッチしていないところもあると思うんですね。だから、本当は、早く地方分権なり地域主権なりの国の形をつくってからこういうことをやる方がいいのではないかと私は思っています。原則として、本来は、この議論をする前に、まず地方分権の姿というか、こういうのがあるべきだというふうに思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○増田国務大臣 やはりこういった制度をうまく動かしていく上では、もっと分権を進めて、地方に、責任も持っていただきますけれども、権限などをいっぱい持っていただいて、自由に地域づくりを主体的に行っていくような形にしていく、これが大前提であろうと思います。
そして、あともう一つ、今お話の中でこういった特活法人の話がございました。これは、NPOというのは、十年、二十年前はほとんど、私も全くそういうことについての概念はわかりませんでしたし、知りませんでしたけれども、この国が官と民とか公と私というふうにきれいに分けられるのではなくて、さまざまな社会の活動を見ておりますと、ヨーロッパとかアメリカは、いろいろな寄附文化とか、これは宗教的な影響もあるでしょうけれども、いろいろな活動がありましたけれども、我が国でも、そういった活動を、公と私とか官と民の間でいろいろな活動を担っていく責任ある主体が最近どんどんふえてきましたね。そして、立派な活動をしていただいている。
ですから、この法律を運営していくときに、協議会の主要なメンバーとしてNPOと書いてありますけれども、運営する人間、特に公共団体の皆さん方にはその考え方というのは十分理解してもらわにゃいけませんから、今お話があったような御提案があったときに戸惑うのではなくて、やはり、地域をよく見ていれば、そういった団体が本当に力を持っているということは必ず何かの形でわかるはずですので、そういう人たちが活動できる、こういう法律なんですよということを、これから自治体からもいろいろ相談があるときに、私たちもきちんとそういうことを申し上げて理解を求めていきたい、こういうふうに思います。
○市村委員 今、二十年前は聞かなかったと。そうなんです、二十年前にはNPOという言葉はありませんでした。十七、八年前から私がNPOという言葉を使ったのが、今、今日になっていますので、ないんです。だから、まさにさっき申し上げた、アメリカに行って、NPOに行って、これはいいと思ったことが日本にNPOという言葉が普及するきっかけでございますので、まさにそのための地域再生法だと思っていますので、ぜひともいい方向にしてください。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。
きょうは、法案審議、私は特に地域再生法の改正案について質問をさせていただきたいと思っております。
午前中からずっと質問がありまして、論点も大体共有できるかというところまで来たんですけれども、私は前回も、増田大臣と地方の元気再生事業についてちょっと議論させていただいたときに、そもそも地域の活性化とか地域再生とは一体何だろうかということについて質問させていただきました。大臣はそのときに御自分の言葉で、例えば雇用の創出であったりとか、コミュニティーが維持できるということであるというふうにお答えくださったんですけれども、そういう視点でこの地域再生法というものを見たときに、この地域再生法が、施行されてもう二年でしょうか、本当に役立っているのだろうかという疑問はなかなか解消できないわけなんです。
きょう審議されておりますのは地域再生法と特区法の改正案ですけれども、特区法の方は特区法の方で、特区の提案自体がだんだん小粒になってきたのではないかという意見が出ていたり、あるいは、地域から提案があってもそれをどう具体化できるのか、そういう相談に中央省庁がなかなか乗ってくれないというようなことが指摘されていたりするわけなんです。地域再生法においても、午前中からの議論を聞いておりましても、これは本当に効果があるのかと、自民党の委員の方からもそういう質問があったと思いますけれども、ここのところは、やはり今回の改正法をきっかけに、一度しっかりチェックをする必要があると思っています。
私がこの地域再生法の改正の中で込めたい思いというのは二つありまして、一つは、やはり分権をこれで進めていきたいということです。増田大臣御自身も、内閣府の中での分権推進担当というお立場でもいらっしゃいますし、やはり本当の意味での構造改革というのは今の日本の国と地方のあり方を変えることだろうと。
もう一つは、地域間格差の是正ということです。これまで都市再生ということに少し偏重してきたのではないかという反省からこの地域再生法が出てきたというふうにもお聞きをしたんですけれども、そういう点でも、この地域間格差の是正ということも今回の改正法の中で見ていきたいというふうに考えています。
まず、一点目の分権の推進というところから伺いたいと思いますけれども、大臣は、地方の自立を高めるとか地方の自主性を高めるというために、あるいは本来の地方分権を進めるために、何が大事だ、何が肝要だというふうにお考えになっているでしょうか。
○増田国務大臣 分権の関係についてお尋ねでございますが、これを進めていく上で、制度的には、やはり国と地方の大きな役割というのをもう一度見直しをして、それに合った形で法制度もつくり直す。国それから地方、地方とまとめて申し上げていますが、それぞれの権限を決めていく、それから財源も地方の方に譲り渡していく。さらには、財源を譲り渡すということは、それをチェックする議会ももっときちんと仕事が果たせるようにその部分の制度の見直しをする。いろいろ細かな点を省きますと、制度的にはやはりそういうことを形として行っていかなければならないと思っています。
ただ、それは必ずやっていかなければならないことですが、今、委員のお話、御質問をされるその中で考えておりましたが、やはり何をしていかなければならないかというふうに思いますと、長らく私も自治体の首長をやっておりまして、地方自治に関係している者として、物事をいろいろな分野で決めていくといういわゆる集権的な発想に地方公共団体というのは長らくなれ親しんできたということがございますので、考えをめぐらす、発想していく、そういう面での自立心ということが本当に十分なのかどうか。
ともすると、最後にはどうしてもやはり国に頼りたがる。先ほど別な委員からの御質問がございましたけれども、そういう発想の面でどうしても他人頼りになっているのではないかというところも危惧されますので、精神的なと言ったらいいのかどうか言葉の正確性はわかりませんが、そういう発想とか精神面でやはりひとり立ちをするという気概を持って、今申し上げました制度的な面での分権を進めていくということが必要ではないかというふうに思います。
○西村(智)委員 ひとり立ちする気概を持つこと、その前提として、国から地方に権限とか財源をきちんと移譲する、またあわせて議会の機能も高めるということなんですけれども、そういう視点で、私もそういう意味では全く大臣と認識は同じです。
そういうことが分権を進めるために必要だといいますか、地域のあり方を変えるためにも必要だという中で、この地域再生法が一体どのくらいそういった分権に貢献できてきたのだろうか、ここのところは私はちょっと疑問でございます。
この法律が制定された当時の村上大臣が、この法律によって縦割り行政を打破し、地方の自主性、裁量性の向上という面で画期的なものであるというふうに答弁をされておられたんですけれども、この二年間で、いわゆる地域の自主性とか地域の自立というのは果たしてどれほど高まってきたんでしょうか。そこのところを伺いたいと思います。
また、今回の改正案で、さらに地方の自主性を高めるためにどういう工夫がされているのか、大臣の言葉で答えていただければと思います。
○増田国務大臣 なかなかつらい質問でございまして、と申し上げますのは、これは、行政の中の縦割りをなくすという意味では、地域再生計画をつくって、そしてそういう部分に穴をあけるようなものは中に盛り込まれていると思うんです。
ただ、それは、中央省庁の中で余りにも自治体から見て使い勝手が悪かったところを直していくといったような内容が盛り込まれているわけですが、中央省庁の中をそういうふうに変えていくということが、この法律全体の中で、分権ということ、あるいは地域の力、再生力を高めていくということに具体的にどれだけ寄与してきたのかということについては、またこれは別の視点で考えていかなければならない問題である。
そういたしますと、この法律そのものが、例えば地方に新たに権限を移譲するとか、そういうことを制度として措置しているものではございませんで、税制の特例とか交付金をこれによって交付することができるといったようなことでございますので、その面では地域に役立っているというふうに思いますけれども、総体として地域の自立心を高めるといったことにどれだけつながっているのかというのは、個々の、本当の具体のプロジェクトをずっと時間をかけて見ていかないとなかなか計測できない部分もあると思います。
ただ、事務方から、千件ぐらい認定の案件があるんですが、例えば山梨でワインをつくるということについて人材育成などをするための地域再生計画を認定してございますけれども、そうしたものが地域に大変効果があって、そして地域の自主性とか自立、創意工夫をまとめ上げるのにその後もつながっているというような説明を聞いております。
ですから、効果をどういうふうに見るかということでもございますが、地域の自主的な創意工夫をこうやって計画にまとめ上げて国から一定の評価を得ようということでは、地域のさまざまな工夫が出ているのではないか。
しかし、正直なところ、制度ができ上がりましてまだそれほど長い時間がたっているものではございませんので、毎年毎年きちんと評価をしなければいけないというふうに思っておりますけれども、地域全体の効果ということについてはもう少し長い視点で私も考えていかなければならないというふうに思っております。
○西村(智)委員 最初の方はとてもすっきりとしていてわかりやすい答弁だったのですけれども、長くなるにつれて、一体大臣の真意はどこにあるのかなと、だんだんわからなくなってくるような答弁でありました。つまり、定量的に計測ができないから効果がわからないというような御発言だったのかなと思うんですけれども、これは事業評価のことについて関係してくるので、また後でもう一回伺いたいと思います。
そうしましたら、少しこの質問の一区切りをつけるために伺うんですけれども、大臣はこの地域再生法を今後どういうふうに展開していきたいというふうにお考えなのでしょうか。私の今の質問に対して、それは地方分権には余り寄与してこなかったと率直な言葉もいただいたんですけれども、今後の方向性について聞かせてください。
○増田国務大臣 先ほどいろいろなことを申し上げましたが、要は、知事時代にこの法律ができたときに見ておりましたものは、国が最後に認定するということは、今の地域の疲弊の中において一定の効果が出てくるわけですけれども、最後までずっとこういう手段で地域が活性化してくるというものでもないだろうと。
今はやはり待ったなしの状況で対応が迫られていますので、それに対してできるだけ使い勝手をよくする、あるいは地元の発想とか発意というものを中に制度として組み込む必要があると思いますが、これをずっと続けるというよりは、いずれかの段階で、あえて国がこういう認定をして、そしてそれに対してお金を渡していくというよりも、地域の創意工夫が本当にそのままストレートに地域の事業に結びついていくような、そういう制度になっていけばいいなと。
これは、国でどうしてもやらなければいけないいろいろな仕事というのはいっぱいあるわけですけれども、しかし、この地域をよくしていく、活性化をさせていくということはまさに地方の仕事そのものでありますので、こういった法律をずっと未来永劫続けるというより、日々中身は工夫していくにしても、いずれは、国に計画を認定していただいて、そしていろいろな特典が出てくるというよりも、地域がみずからまさに責任を持ってその部分はやっていくという制度に切りかえていかなければいけない、こういうふうに思っております。
○西村(智)委員 大変満足のいく御答弁をいただきました。
私たち民主党は一括交付金というのをずっと提案しておりまして、国が余りひもをつけずに一括して分野ごとに交付金を地方に渡して、そしてそこで自由に地方の裁量で使っていただく。おっしゃっていただいたように、地方の活性化というのは、本来、地域、その地方の責務だと思いますので、ぜひそうした方向で今後省の中でも議論をしていっていただけますようにお願いをいたします。
それで、法案の具体的な中身に入るんですけれども、一つ目のポイントとして、この法案で、地域協議会を地方自治体の発意だけでつくるのではなくて、言ってみれば、民間が地方自治体を突き上げてつくらせることが今回の改正によって可能になるんだろうというふうに承知をいたしたんですけれども、これによって期待される効果ですとか、立法の趣旨は一体何でしょうか。
○増田国務大臣 地域で地域再生に本当につながるようなことをやっていく上では、まだまだ地方公共団体がその中で果たしていく役割は大変大きいわけでありますけれども、なかなか地方公共団体の方でそういったことに腰を上げないという場合もございます。ですから、地域での発意というものをきちんと制度的に今回位置づけまして、そして、その発意を公共団体の方にこの手続によってした場合には、公共団体は必ず何らかの形でそれに対して応答していかなければならないということになるわけでありますので、公共団体も、地域再生についてどういう考え方で臨んでいかなければならないかということを地域に説明していくことになると思うんですね。
したがって、地域の民意というものをできるだけ公共団体に酌み取らせることができると同時に、公共団体も、この地域をどうしていこうとしているのか、すなわち、提案についてイエスという場合には、それは協議会の形になっていくと思いますし、あるいは計画をつくっていくということになると思いますが、提案に対してノーという場合には、やはり公共団体の別の考え方を住民の皆さん方に言わなければいけないというふうに思いますので、そういう意味で、公共団体もいろいろと真剣に考えて努力をしていくんだろう。提案する方はもちろん真剣に考えるでしょうし、こういうことで、きちんとそのあたりは制度的に位置づけをする。
それから、地域にいる皆さん方にもそうしたことがちゃんとよくわかるようにするためには、やはり法律に基づく手続にしておけばいい。先ほど別の委員の方から、公共団体の返事は文書でされるのですかという話がありましたが、私は、これはもう文書できちんとやればいいと思うんですね。そうすれば一番住民にも伝わりますから。
ですから、そういう形で、両面にとって地域づくりを真剣に考えることにもつながっていくというふうに思っております。
○西村(智)委員 地方自治体により一層の責任を持ってもらうための措置だというふうに理解をいたしました。
ポイントの二つ目について伺いたいと思います。
利子補給制度の創設についてなんですけれども、これを創設したその趣旨、そしてまた期待される効果、これについても伺いたいと思います。
○上西政府参考人 利子補給金の制度の創設についての経緯ということでございますけれども、これは、念頭に置いておりますのは、従前、日本政策投資銀行におきまして、この地域再生計画の中で低利融資等というものを支援の手段として用いてきたということがございます。このたび、この日本政策投資銀行がことしの十月から民営化に移行するということになりまして、この民営化に移行した後の形態におきましても何らかの支援措置を絶やさないということのために、形を変えて、利子補給という形での支援措置といいますか、支援の手段を持たせていただきたい、そういう趣旨でございます。
○西村(智)委員 政策投資銀行が民営化されることに伴って、政策投資銀行が行っていた低利融資事業を引き継ぐというような形で今回の利子補給制度がつくられた、こういう理解でよろしいんでしょうか。
そういたしましたら、この利子補給を受ける金融機関が協議会の一員たることが要件となっているわけなんですけれども、この理由についてはお答えいただけますでしょうか。
○上西政府参考人 これにつきましては、この協議会というものが地域再生の計画づくりの中で非常に大きな役割を果たしていくわけでございまして、金融機関がここに入るということによりましてその計画に参画をしていくと、金融機関の持っている例えばノウハウといったものがそこで発揮をされるということで、地方公共団体が組織をいたしますこの協議会におきまして有効な地域再生のための計画がつくり上げられていく、そういったことで、金融機関もこの協議会の一員となることを期待しているところでございます。
○西村(智)委員 改正法の第五条第三項第五号に、地域再生支援貸付事業を行う金融機関を内閣府令で定めるということになっているわけなんですけれども、この内閣府令の検討状況と、それから内閣府令で定める金融機関の範囲などをお答えいただきたいのと、あわせて、第二十二条においての内閣府令の検討状況及び指定金融機関の範囲をそれぞれ答えていただきたいと思います。
つまり、地域再生支援貸付事業を行う金融機関を内閣府令で定めて、さらにその中から内閣府令で指定金融機関を定めて、そこに対して利子補給を行う、こういうことなんでしょうか。
○上西政府参考人 制度的なことでございますけれども、具体的にこの利子補給金の支給対象となります金融機関につきましては、先ほども申し上げましたように、地域再生協議会の構成員であること等一定の要件を満たして制度の適正な運営を確保するということで、そういった要件を求めることとしておりますけれども、この対象となる金融機関の種類につきましては、これは地域の実情に合わせて、地方銀行を初め幅広いものを認めることができるように措置してまいりたいと思っております。
具体的には、政策投資銀行以外にも、地方銀行でありますとか、地元の信用金庫等々の金融機関が入っていただけるような、そういった形で府令を定めていきたいと思っております。
そして、個々の指定要件につきましては、それぞれの金融機関が地域再生に資する事業を行う事業者に貸し付けを行っていくわけでありますので、これが効果的、確実に実施できるように、そういったことを担保するための指定の要件を規定する、そういうことを考えているところでございます。
○西村(智)委員 第五条の金融機関と第二十二条の指定金融機関の範囲の関係について教えていただけますか。
○上西政府参考人 お答え申し上げます。
若干説明が雑駁でございましたけれども、五条五号の方は、これは金融機関の範囲といいますか種類を定めるということで、具体的には、したがって、銀行であるとか信用金庫であるとか、そういったものを列挙して、そういったものを対象とするということをこちらの方で定める。そして、個々の計画におきます指定金融機関につきましては、二十二条一項の方に基づいて指定をしていく、そういうことでございます。
○西村(智)委員 つまり、金融機関の中から指定をする、こういうことでよろしいんですね。
ちょっと時間がありませんので飛ばします。
法案が出てきて、この内閣府令がなかなか見えてこないというのは、ちょっと作業として遅いんじゃないかなと思います。これはもう既に、来年からの予算案に反映されるわけですよね。国会の審議ででも、本来でしたらもうちょっと具体的に聞きたいんですけれども、検討状況ということでお答えいただくのみでありましたけれども、できれば、こうした政省令などは法案と一緒に出していただくのが筋ではないかというふうに思っております。
次の質問に移りますけれども、先ほど市村委員からも質問のありました再チャレンジ支援寄附金税制についてであります。
今回、間接型が廃止されて、直接型は、先ほどの答弁ですと、社会的に意味があることなので残すということだったんですけれども、間接型が廃止される理由、直接的な理由について伺います。
○上西政府参考人 お答え申し上げます。
これは先ほども御議論のあったところでございますけれども、今回の改正の趣旨は、いわゆる間接型につきまして、公益法人制度改革に係ります寄附金税制との整合性を図っていく、そういうものでございます。
具体的には、公益法人制度改革に基づきまして、十二月一日から、公益認定を受けた公益社団、財団法人についてこの寄附金税制の特例措置が受けられることになる。これによって、十二月一日以降は、地域再生法に基づく特定地域雇用等促進法人と申しますけれども、これとならなくても、公益認定を受けて公益社団、財団法人となることによって現行制度と同等の寄附金税制の特例措置を受けることができますので、今回の改正におきまして、現行のいわゆる間接型の課税の特例につきましては、所要の経過措置を設けました上でこれを削除する、そういうことにしております。
○西村(智)委員 この再チャレンジ支援寄附金税制、直接型、間接型合わせてなんですけれども、これらに係る地域再生計画の認定件数はこれまでに何件でしょうか。
○上西政府参考人 お答え申し上げます。
この制度を利用しました地域再生計画につきましては、現在、一件が認定を受けておるところでございます。
○西村(智)委員 一件ですので、率直に申し上げて、これは少ないんだと思うんですね。たしか去年度まではなかったというふうに聞いていますので、ことしの、おとといあたりの認定であったということなのでしょうか、これは想像ですが。
それで、実は私も、いただいた「地域再生のために」というパンフレットで地域再生法のお勉強をさせていただきました。支援策の一覧が二十二ページから二十六ページまで、本当に細かく出ております。
この中で、今回の再チャレンジ支援寄附金税制などのように、使われていない支援策があるのではないか、あるいは、とても使い勝手がよいということでみんなが集中をして、より拡充するべき支援策があるのではないかというふうに考えて、支援策ごとの認定件数とそれからその金額、支援策ごとに一体幾らの事業が実施されてきたのかということを調べたいと思ってお願いをしたんですけれども、驚くべきことに、そういった調査を行っていないという答えが返ってまいりました。
これは、今後の支援策の過不足を知るという上でもやるべき調査、把握すべき実態だと思うんですけれども、やっていないということなんです。これでは漫然と地域再生法の運用が続いていくということになりかねない。
これは、きっちりと全体の評価を個々の支援策ごとに行う必要があるのではないかというふうに考えるのですけれども、大臣に答弁いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○増田国務大臣 今お話ございましたとおり、評価というのは、公共団体の方にアンケートをしたり、ヒアリングして聞いているという段階にとどまっているようであります。それは委員の御指摘のとおりでございます。
支援制度が非常に多岐にわたっておりまして、今、一つの例として、税の関係の支援制度についての提供実績の御質問だったかと思いますが、確かに、使い勝手等の問題があるんだと思いますけれども、認定件数が極めて少ないというか、一件ということにとどまっている。
評価をきちんと行わなければ、その有用性ということもわかりませんし、それから改善点ということにもつながってきませんので、私も、今の委員の御指摘ごもっともだと思いますので、できるだけ細かく、そして支援制度が本当に有効かどうかということがわかるような形で評価をしなければいけないというふうに思います。
今年度、新しい年度になりましたけれども、事務方の方にそのことはきちんと話をして、そして、実施をしているもの、あるいは十九年度に実施をされたものについてもきちんと評価をいたしたいというふうに思います。
○西村(智)委員 私がまだこの委員会の中で発言をしておらず、しかし、昨日の役所の方々へのレクでの話がちゃんと大臣の耳にも入っていたようでちょっと驚いたんですけれども、全くそのとおりだと思います。ぜひそれは、調査、評価、しっかりとやっていただきたいと思います。
あわせて、もう一つお願いなんですけれども、冒頭申し上げましたけれども、私は、地域再生法の中に地域間格差の是正という視点もやはりきちんと持つべきだろうと思っています。そういう意味で、各地の自治体が計画を申請して、それが認定されるというやり方ですので、地域からの発案がなければ何も進まないわけなんですけれども、それにしても、実態として余りにも認定計画のばらつきが地域ごとにあるのではないか。
なぜそれを感じたかといいますと、同じパンフレットの中の支援策一覧の後に続く都道府県別の認定状況というのでございます。この緑色の濃いところが、認定計画の数が多いところなんですね。そうすると、見ると、北海道とか岩手とか長野とか愛知とか、こういったところは多い。
これは、人口の比率と一致していなかったりしますし、その地域の経済状況等、なかなか相関させて見るということもできないものではありますけれども、しかし、国が認定された計画に沿ってそれぞれの支援策が各省庁から実施をされているということなので、考えたくはありませんけれども、この認定計画、認定状況のばらつきによって、もしかしたらさらに地域間の格差が広がってきていることにもなっているかもしれない。それはわからないんです。
だから、それを知るためにもう一つお願いした調査は、粗いんですけれども、都道府県別に認定計画による支援策の全体の金額はどういうふうになっているのかということを知れば、少なくとも、地域間格差に悪影響なのか好影響なのかということは知ることができるんじゃないかということでお願いしたんですけれども、これも把握していないということでした。認定は内閣府でします、だけれども各事業は各省庁にお願いをしていますということで、把握できないとおっしゃったんですね。
こういうやり方も改めるべきではないか、こういうふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。認定計画の総額すらもつかめていないということなんですけれども、ここも、しっかりとした評価を行うために、こういった、やったらやりっ放し、認定したら認定しっ放しというやり方は改めるべきでないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
○増田国務大臣 今の都道府県別のものは、少しお時間をいただいて、どういう形で数値がまとめられるのか、事務方の方に考えさせます。そして、できれば御指摘いただきましたような資料を、つくれればおつくりしてお出ししたい。
要は、認定をしたことが多分いろいろな支援策に結びついていて、支援策が多岐多様でありますので、地域的にそれがうまく使えるものとそうでないものと多分いろいろあるんだろうというふうに思います。ですから、それはとりもなおさず、地域再生を今後考えていく上で有益なところには結びついてくるのであろうというふうに思いますので、私もその地域的なばらつきがどういう原因なのかにわかにはわかりませんけれども、少なくとも、認定をした後どれだけの事業がそれぞれで行われて、そして、でき得れば、それがどういう効果に結びついているのかというのが地域的にわかるようなものがあればより有効な分析ができると思いますので、少しお時間をいただいて、その作業を事務方の方にもやってもらうようにしたいというふうに思います。
○西村(智)委員 よろしくお願いいたします。
次に、先ほど大臣が先回りしておっしゃってくださったことについて私の方から質問させていただきたいと思いますが、事後評価についてです。佐々木委員も指摘をされておられたんですけれども、やはり事後評価がちょっと体制不備であるということです。
午前中の答弁では、事後評価のあり方について、内閣府で今後の方針を検討しますとおっしゃっていました。総務省にもノウハウがあるのでそれも参考にしたいというふうにおっしゃっていました。ただし、ちょっとどういう言い方だったか失念しているんですが、地方自治体としての取り組みも邪魔してはならない、こんなニュアンスだったんじゃないかなと思うんです。
では、内閣府で一体今どういう事後評価を行っているか。届けていただきましたら、全部で九枚、A4のペーパーでいただいたんですけれども、そのうちのほとんどは事業についての説明ですとか基本的な方針が示されていて、事後評価とタイトルを打ったペーパーは九枚のうちたったの一枚でした。
では、そのうちの一枚は何かといいますと、結局、認定をされた地方自治体に対して、申請はうまくいきましたかとか、実際にその進捗状況はどうですかというようなアンケートをとっただけなんですね。それで果たして評価なのか。それで評価だと言っても私はいいんだと思います。つまり、地方自治体にそこはお任せをしたんだから、自治体の方で責任を持って最後の評価まできちんとやってもらうということで大臣がもし答弁されるんだったら、私はそれでもいいと思います。
しかし、そうしますと、では、内閣府の認定とは一体何なのかという新たな問題、今もある問題なんですけれども、それが大きく出てくるわけなんです。この事後評価、大臣は一体どこが責任を持ってされるのが適当だというふうにお考えですか。国か地方自治体か、あるいは第三者委員会など別の機関か。
○増田国務大臣 この地方再生法に則して言いますと、計画を認定しているのは内閣府でございます。その認定をしたことによってさまざまな特典措置があるわけですけれども、その支援策、例えば交付金を自治体の方にお渡しして、そこでいろいろ事業をやっていただく。道路ですとか汚水処理とかございますけれども、そうした事業を実施するのは、今度はそれぞれの省庁の事業になるものですから、そういう意味で、それぞれの省庁のところでいろいろ具体的に評価をということで、内閣府として余りそこのところをフォローしてこなかったと思うんです。ただ、認定をしたということは紛れもない事実でありますから、やはりその計画を認定したということをきちんと評価する必要があるだろう。
二十年度から例の予算と決算が結びつくようになりましたので、内閣府が認定したということの評価をやはりきちんと内閣府としてまずやることは、これは内閣府の責任だろうというふうに私は思います。そして、内閣府が行った評価について、当然総務省としては、その評価がいいのかどうかということをいろいろ点検する。そういう総務省としての評価も、これは全体の政策評価法の枠組みの中で行う評価でありますから、総務省もそこはきちんと見なければいけない。
午前中、ちょっと自治体のことを申し上げましたのは、地域再生で計画をつくって、数値目標というのは自治体がいろいろおつくりになって、自治体の観点でおつくりになっているんですね。ですから、自治体が、こういった目標が達せられたのでこれは大変自治体としては効果があるというふうにお考えになったり、あるいは、国がせっかく支援してくれたけれども、国としてはそれに効果があるというふうに思っているけれども、自治体はどうも余り効果がないと。そこの違いは、それぞれ自治体としても、つくられた計画として多分自治体の御評価があるんであろうというふうに思うんですが、そこは私は若干、それぞれの主体というか立場が違うので、評価の違いがあってもしかるべきではないかということをちょっと午前中申し上げました。ごちょごちょいろいろ申し上げたので、少しわかりにくかったかもしれません。
ただ、いずれにしても、国が認定をしている、それから国がきちんと何らかの形で支援をしているということがありますので、その部分は国の責任できちんと評価をして、それで翌年度の、またこういった制度がきちんと運営されるかどうかにつなげていかなければならない、このように考えております。
○西村(智)委員 では、評価ではなくて、今度はトータルのガバナンスという観点で質問したいと思うんです。
計画を地方がつくる、それを内閣府が認定するということなんですけれども、今お話を伺っていても、内閣府で評価をして、それをまた総務省が行政評価で行ってということですと、やはり何となくすべてに責任が分散されているような感じがいたします。すべてにといいますか、あらゆるアクターに責任が分散されている。
そうすると、それで責任がみんな強化をされるのが望ましいんですけれども、どうもそれぞれのところがみんな最終責任を負わないような格好になってしまうのではないかということを私はやはり一番懸念していまして、せっかく認定をして、例えば基盤強化の交付金などを使ったりして、あるいはいろいろな支援策を使ってお金を投じるわけですから、ガバナンスはやはり最終的にどこがとるのかということは明確に示すべきではないかと思いますけれども、この点について大臣はどうでしょうか。
○増田国務大臣 この法律を運用しているのは内閣府でございますし、担当大臣は私なので、やはり最終的な責任は私のところに帰属をする。
それで、内閣府できちんと認定をしているんだから評価をすると言いましたのは、今仕組みとしては、これは全省庁、それぞれ事業を実施するときにまずそれぞれの省庁が自己評価をするということでございますので、今まで十分な評価がなされておりませんでしたけれども、ちゃんとそこも内閣府として評価をいたします。その上で、自己評価だけですと、ごらんのとおりなかなか甘い評価になって十分でないということで、全省庁がいろいろやることについて、総務省の行政評価局の方がそれぞれの各省の自己評価を点検したりという、これが政策評価法の枠組みになってございますので、その中で総務省も、各省の自己評価、すなわち内閣府の自己評価も改めて別の観点で客観性を持って評価をいたします。
ただ、それは、評価をして、もしその省庁のやったことが不都合があれば、その省庁にいろいろと総務省から意見を言って改善を促すということでありまして、促された上で、ちゃんと適切な措置を各省大臣はとらなければいけない。内閣府として、この地域再生については私がきちんとした措置をとらなければいけないわけでございますので、最終的には私の責任において事業をきちんと行っていく、こういう体系でございます。そこはきちんと明らかにして、適切な運用を図っていきたいというふうに思います。
○西村(智)委員 支援策ごとの事後評価は各省が責任を持ってやっておりますと。実は、私が事後評価のことについて資料を持ってきてくれとお願いしましたら、内閣府の方から返ってきた答えはそういうことでした。そういうことにならないように、ぜひしっかりと大臣の責任で進めていただきたい。強く要望いたします。
先ほど増田大臣の方から、しかしやはり最終的には地方の活性化というのは地域の仕事ではないかというお話がありました。私たち民主党の一括交付金という考え方も、ほんのちょっとですが、紹介をさせていただきました。
本来、地方再生とか地域の活性化というようなことは、大臣、この地域再生法のスキームで本当にいつまでも国がやるべきことなのでしょうか。大臣がおっしゃったように、やはり本当は、権限や財源を地方にきちんとお返しして、その中でやっていっていただくというのが筋ではないか、そのことが地方の自立にもつながるのではないかというふうに考えますけれども、所見を最後に伺います。
○増田国務大臣 やはり、地域を自立の方向に持っていくとかなりのことができますので、そういう意味ではもっともっと地域が元気になってくるだろうというふうに思います。
あと、やはりそれにしても、例えば地域経済も、本当に力を増してくると、今度は海外といろいろな直接の取引をしたりといったようなことがございます。
金融問題、これからグローバル化時代ですから、今の都道府県でも海外と直接いろいろなつながりを持っているところがかなり多くなってきておりますが、例えば地域の大きな企業に対して金融支援をするのかどうかとか、あるいは金融政策がそうした際に影響を及ぼすということも出てきますので、その点についてはやはり国の役割というのもあるというふうに思います。
ただ、かなり極端に中央集権化されている中で、地域をもっと生かすという意味で、やはりもっともっと分権を進めていかなければいけない。
私は、決して国の役割も全くないとも思いませんし、逆に、グローバル化時代ですから、国として適切な形で地域が生きていくように役割を果たしていただきたいなというふうに思いますけれども、大きな流れを見れば、もっともっと地域にいろいろなものを渡していく、そのかわり責任も地域にとっていただくというようなことを行っていくと、もっと地方の人たちもやる気が出てきますし、いい地域づくりにつながるのではないかなと。ですから、目指す方向はやはりそういうところを目指していきたい、このように思っております。
○西村(智)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○中野委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
本日提案されております法案について私は賛成をいたしますが、ただ、地域再生のあり方については、やはり深い吟味をするということが大事だと思うんです。きょうは、その一つの例として、まず最初に諫早湾干拓と有明海地域の再生について伺いたいと思います。
長崎県諫早市で進められている「おいしい農のふるさと・諫早」親水空間再生計画という地域再生事業の中身を見ると、公共下水道、農業集落排水施設、個人設置型浄化槽整備ということで、これ自体は、全国各地いろいろなところで、下水整備など、こういうものを入れた地域再生計画というのがあるのを私もよく知っております。
ところで、きょう最初に文部科学省に伺っておきたいんですが、独立行政法人科学技術振興機構が、科学技術分野の歴史での重要な事故、失敗例というのを失敗百選として選定しておりますが、諫早湾干拓はこの中に選ばれているのかどうか、これを伺います。
○森口政府参考人 お答え申し上げます。
今先生からお話ございました失敗知識データベース、これは独立行政法人の科学技術振興機構が、失敗経験から得られた知識や教訓を、大学、技術者の組織学習、教育訓練などのために広く活用することを目的としているものでございます。
それで、これにつきましては、東大名誉教授の畑村洋太郎先生が委員長として、いろいろなデータを集めまして、その中で失敗百選ということを選んでいるわけでございますが、その一つとして「国営諫早湾干拓事業による漁業被害」と題する事例を掲載しているところでございます。
○吉井委員 ですから、これは失敗百選に入っているんですよね。
それで、「国営諫早湾干拓事業による漁業被害」というタイトルで、その内容を少し見ていきますと、「原因」というところでは、「海砂採取のために掘った穴が、貧酸素水塊の温床となっている。」「潮受け堤防の存在は、潮流を弱くし潮位を上げる原因となっている。」「潮受堤防が締め切られたことにより高い浄化機能を保持していた諫早干潟が減少し、調整池からの排水のため、有機物やリン、窒素などの流れ出す量が増加している。」「赤潮発生の要因となっている。」「大浦港では何も高潮対策をしていないため、潮受け堤防が出来てから、台風の時(高潮、満潮時)の危険が増えた。」
「知識化」というところで、「国は事業を計画し着手するにあたって、最新の社会経済情勢や環境問題等に機動的に配慮し、公正で適確な情報に基づいている厳正な評価を、透明性のある過程で実施すべきである。」「国はある時期に実施決定した公共事業であっても、社会経済条件の変化について的確に再評価を行うべきである。」
こういうふうに失敗百選の中で指摘しているわけですが、文部科学省としてはこういう評価がされたものというのは承知しておられますね。
○森口政府参考人 先ほどの答弁で申し上げたとおりでございますけれども、この失敗知識データベースは文科省の所管の独立行政法人であります科学技術振興機構が作成したものでございまして、そのホームページ等にも公開されておりますが、そのところにも書いてございますが、データの作成者である研究者の見解を示したものであるということでございます。
そういう意味で、そういう点を踏まえた上で、我々として、そういうものがホームページに載っているということについては承知をしているところでございます。
○吉井委員 だから、この機構というか、今は独法化されておりますが、もともと国立でやってきたところで、研究者も集まっていろいろな議論をして、失敗百選にこういうことを指摘して、根拠なしに失敗だと言っているわけじゃないんです。
私も、一九九七年の潮受け堤防の水門閉め切りのころ、何度も現地に寄せていただきました。それから、九七年、八年にも国会で質問を行っておりますが、九七年の締め切りに反対するとともに、この年、我が党は、諫早湾を締め切って調整池をつくって豊かな干潟をつぶす公共事業を強行したら重大な環境破壊を引き起こして取り返しのつかない大変なことになる、このことを指摘してまいりました。
事態は、指摘のとおりのことが現実になったということ。お手元に配付させていただいておりますが、資料一をごらんいただきたいと思います。
潮受け堤防を締め切ったのは一九九七年からですが、有明海の漁獲量は激減しているということがよくわかります。念のために、その二年前の一九九五年を一〇〇として見ると、これは一としていますが、一〇〇として見ると、二〇〇六年は四七%で五割を切っているんですね、半分以下なんです。全国的には七五%水準、比較的によく似た瀬戸内海で見ても七〇%。ですから、この現実を見ると、有明海では激減しているという認識で間違いないと思うんですが、これは農水省の政府参考人に伺っておきます。
○重政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、有明海の漁獲量につきましては、九州農政局統計部の、平成七年、一九九五年の漁獲量でございますが、四万二千トンでございました。これが、今委員御指摘のとおり、二〇〇六年、直近の平成十八年の概数値では二万トンと、平成七年の約四七%となっております。
○吉井委員 ですから、この事業をやって潮受け堤防を締め切ってから激減した、これは事実の問題としてあるわけです。
諫早湾干拓事業によって漁獲量が急減したのは事実であって、そして、当初、水門をあけると濁りが発生して予期しない漁業被害が発生するなどということを農水省は言ってきたわけですね。それで水門をあけないわけですが。だから、漁業被害が出るから水門をあけないという理由にして、それを干拓事業をやめない理由にしてきたんですが、言ってみれば、これはおどしに近い表現じゃないか、言い分じゃないかというふうに私なんかは感じておりました。
そこで、実は、拡大した写真が先に手に入っておればきょう理事会で諮った上で皆さんに見てもらえるように公開をするところだったんですが、残念ながら大きなパネルにできなかったのであれですけれども、大臣、これは理事会で許可を得ていませんからパネル的に示すことはきょうの時点ではできないんですけれども、別に秘密のものでも何でもなくて、宇宙から見た有明海、JAXAがつくったものなんです。
それで、人工衛星「だいち」が撮影した有明海の写真ですけれども、これを見ると、撮影日は二〇〇六年十一月四日となっておりますが、その十一時四十分の写真なんです、この写真は。気象庁に確認したんですが、この日は大潮の日で、干潮時刻は十四時九分なんです。つまり、これは海がどんどん引いていっているときの写真なんです。その写真によっても、衛星の画像を見ても、猛烈な巻き上げによって有明海が著しく濁っているというのがよくわかります。つまり、いわゆる汚水で汚れているんじゃなくて、日常的に、海の方から巻き上げが起こるから、その状態がよくわかるわけなんです。これは有明海では、干潮、満潮がありますから、普通のことなんです、通常のことなんです。
農水省が、開門すると潟の土が有明海に広がって予期せぬ漁業被害が起きると今まで言ってきたんですが、実は、その図を私も確かめましたけれども、通常有明海で起こっている濁りと同程度なんですね。漁業被害が起きるから開門できないというのは、私はちょっと人を欺く表現じゃないかと思うんですが、これは政府参考人の方に伺っておきます。
○齋藤政府参考人 お答え申し上げます。
諫早湾干拓調整池の排水門を開放する、いわゆる中長期開門調査につきましては、十分な対策を講じたとしても予期せぬ被害が生じる可能性がある、調査に長い年月を必要とし、その成果は明らかでない、それから、平成十六年五月の、農林水産大臣の判断として、中長期開門調査にかえて有明海再生に係る調査、現地実証などを実施することとしております。
農水省としては、今後とも、漁業者の方々とも有明海再生に向けた調査、現地実証に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○吉井委員 漁業被害が起きるから開門できないという言い分でずっと来ているんですけれども、調整池の水質が、こっちの方は今度は悪化したまま一向に改善していませんね。
資料二をお手元にお配りさせてもらっていますが、調整池の水質というのは、干拓事業が完了するときまでに目標値を達成するというのをずっと言い続けてきたわけですね。結局、事業完了の二〇〇七年度までに達成できなかったと思うんですが、これは農水省からいただいた資料を見る限りそうなんですが、どうですか。
○齋藤政府参考人 お答え申し上げます。
調整池の水質につきましては、流域での下水道の整備や、調整池の浅水域で生じる風による底泥の巻き上げの抑制を図るための潜堤の設置等の対策を講じたことによりまして、化学的酸素要求量、いわゆるCODは、平成十六年度の一リットル当たり九・四ミリグラムから、平成十八年度七・九ミリグラムと、近年改善の傾向が認められているということでございます。
○吉井委員 これ、目標値は五ミリグラムでしょう。下の方にグラフを書いておきましたけれども、はるかに高いところにあるんですよね。全然五ミリまでには到達をすることになっていないというのは、まず実態としては認めますね。現実はそうでしょう。
○齋藤政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる水質保全目標値には達していない状況でございまして、調整池に流入する河川等からの有機物、窒素、燐の削減が十分に進んでいないということがあろうかと思います。
○吉井委員 そのとおりだということでございます。
調整池の水質改善ができていない根本原因は何かというと、これは、無駄と環境破壊で悪名高い農水省の諫干事業をやって、要するに、調整池の締め切りをやったわけですよね。そうしたら、文部省の答弁にあったような機構が指摘するとおりになっているんです。三番瀬干潟でも、それから藤前干潟でも、私も行きましたけれども、大きな浄化能力を発揮しているんですね。ここは干潟の浄化能力を殺してしまって、閉鎖水域にして、水質が改善されていない河川水をどんどん流入されたら、腐ったものがますます腐ってしまう、当たり前の話じゃないですか。衛星写真を見たって、これは赤潮、ここではアオコが発生して、とてもじゃないが、ひどい状態です。
諫早湾干拓事業というのは農地をつくるということでやってきたわけですね。農地のかんがい用水はこの池から引っ張るんでしょう。ところが、潮受け堤防をやって淡水化してというお話だったんだけれども、それを理由の一つに挙げておったんだけれども、しかし、赤潮の発生、アオコの発生で、農業用水にするには余りにも悪質な水ですね。こんなものを引っ張ったら、農産物も育たないし、食べられなくなりますよ。
調整池の水質改善というのは、結局、水門を開放して干潟の浄化能力に頼る、それの再生を図るということ以外にはこの事態を解決することはできないんじゃないですか。
○齋藤政府参考人 諫早湾干拓調整池の水質改善につきましては、今後、流域や新たな干拓地における環境保全型農業の実施、それから下水道や農業集落排水等の生活排水対策の推進などによりまして、将来的には水質保全目標を達成できるとの見通しを得ているところであります。
農水省といたしましては、長崎県が本年三月に策定いたしました第二期諫早湾干拓調整池水辺環境の保全と創造のための行動計画に基づきまして、今後とも、県、市等と連携し、調整池の水質保全を着実に進めてまいりたい、このように考えております。
排水門を開門する、いわゆる中長期開門調査につきましては、先ほどもお答えしましたが、十分な対策を講じたとしても予期せぬ被害が生じる可能性がある、調査に長い年月を要し、その成果が明らかでないことから、平成十六年五月の、農林水産大臣の判断として、中長期開門調査にかえて有明海再生のための調査、現地実証などを実施することとしております。
○吉井委員 埋め立て前は物すごくいいところだったんですよ、ここは。今、閉め切ってから、アオコでこれは本当にもう深刻な、緑の、汚れた状態ですよ。これは宇宙から見れば一目歴然なんです。失礼ながら、農水省の方の頭は調整池の水質と同じと違うかと思わざるを得ぬですよ。何か、開門したら危ないことを心配されるみたいなことを言ったけれども、これは開門の方法次第なんですよ。技術的工夫で排水門は壊れないということは専門家も言っているんです。
諫早湾干拓と同じ複式干拓で造成した岡山県児島湖、岡山の話はあなたの方でやってもらわないかぬのやけれども。二十年以上かけて六千億投じられたんですが、それでも改善していないんです。そういう前例があるんですね。
調整池の南北排水門からは、調整池の水位をマイナス一メートルに保つために、折を見て諫早湾に汚れた水が排水されているんです。これは政府参考人に伺っておきますが、この排水によって漁業被害が生じたということはありますか。
○齋藤政府参考人 お答えします。
実態等を調べてみないとちょっと、今手元に持っておりませんので、どのような状況かわかりかねます。
○吉井委員 これは事前にもお話ししてありますけれども、農水省の方はそんなものはないと言っているんですよ。被害はないんです、時々あけて出しているのに。私たち、小長井漁協に属する複数の漁民の方などからお聞きしているんですけれども、短期開門調査をやったわけです、その際には養殖アサリや魚などの漁業被害は全くなかった、むしろ大きなアサリがたくさんとれた、魚もたくさんとれたというんですね。
農水省に説明を求めると、これは、被害補償のために短期開門調査の前後の漁獲量の調査をして、開門調査による排水の影響は明らかになったので六千万円の補償金を出したというんでしょう。それならばその報告書を出せばいいんですよ。報告書を出してくれと言ったら、今度は、補償に影響を与えるのでできないというんですね。そんなばかなことはありませんよ。つかみ金で科学的検証に役立つデータを隠すということはとんでもない話だと思うんです。
先ほども言いましたように、あけても被害はないということがあったわけですから。調整池からの排水では一度も漁業被害は出ていない。それなのに、短期開門調査のときだけ被害が出たというのはどう考えても不可解な話です。我々が聞いたような、例えば、被害を見せかけるために死んだアサリの貝をまいて写真を撮ったという話なんかも聞いているんですよ。
事実上干拓事業がストップする中長期の開門調査を行わせないために、農水省は報告書も出せない、そういうふうな、補償金なるもので漁業被害を偽装したのではないかと疑念を持たれるような、私はそんなことじゃまずいと思うんですね。だから、そうでないと言うんだったら、調査報告書を提出しますとちゃんとここで約束してもらいたいと思うんです。報告書を出しますか。
○齋藤政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる漁業補償につきましては、漁業者の方と基本的に合意に達するということが前提でございますので……(吉井委員「調査書は出すわけ」と呼ぶ)それに関する報告書を出すことは困難でございます。
○吉井委員 これは委員長、ぜひ理事会に諮っていただいて、調査報告書、こんな、国が金をかけてやっておいて、それを出せないというのはとんでもない話ですから、これはぜひ提出させるように計らっていただきたいと思います。
○中野委員長 理事会で協議いたします。
○吉井委員 そこで、増田大臣、国が諫干事業に失敗して多額の税金を使った後始末に、地域再生法を使って地元諫早市に水質改善事業を行わせるということにもしなれば、これは筋違いだと思うんですね。国の誤った公共事業のしりぬぐいのために地域再生法というのはあるんじゃないんです。内閣府は、国の諫早湾干拓によって閉め切られ、水質悪化した調整池の水質改善のための地域再生計画に、何の異議も唱えないで計画を認定したりしちゃだめだということをまず言っておきたいと思うんです。
内閣府の資料では、諫早市の下水道整備などの地域再生計画は来年度で終わることになっているんです。調整池を閉め切ったままでは水質が改善することは到底考えられません。
そこで、大臣、この例のように、地域再生計画を、私は、まず地元から出てくる地元の地域関係者の要望を尊重する、これは大事だと思っているんです。その中には、地元の漁業者や地域関係者の意見をきちっと聞くということが大事だと思うんです。そして、きちんとやはり吟味する。吟味するということが物すごく大事じゃないかと思うんです。
諫早湾干拓の場合でいえば、水門開放しない限り水質改善は望めないんですよ。未来永劫に地元諫早市は、水質改善のための事業だとして毎年三十億円、この地方財政の厳しい中で毎年三十億円の財政負担を強いられていくということになります。地域再生というなら、真っ先になすべきことは、調整池の水門を開放して干潟の浄化機能の回復を図る、そういうことに、これは内閣を挙げてそういう立場で臨んでいく。せっかく地域再生だというからは、やはり本当の意味での地域再生につながっていく、干潟の浄化機能を取り戻していく、そういうことにこそ取り組むべきだと私は思うんです。ここは大臣に伺っておきます。
○増田国務大臣 調整池の水門をあけた方がいいのかどうかの点についての判断は私もにわかにつきませんし、またその判断は農林水産大臣だというふうに思いますけれども、ただ、前段のやりとりをお聞きして、それから先生のお話をお聞きして、いずれにしても、地元でいろいろ出してくる計画でありますが、私どものところでよく吟味をして、それで認定をする、これはお話しのとおりだと思います。その際に、計画をつくった公共団体だけでなくて、もっといろいろな意見を聞くということも場合によっては必要になるだろうというふうに思います。
ですから、今後この点について、また事業自体いろいろな問題を含んでいる事業でございますので、長崎県なり諫早市の方でもいろいろお考えになる部分もあるかと思いますけれども、私ども、この地域再生計画、いろいろ、内容については常々吟味したり、それから前段の評価の話もございましたけれども、そういうものを行って、本当にいい事業なのかどうかということは常に判断していかなければいけない、こういうふうに思っております。
○吉井委員 最初の、例の百選にもありますように、一遍公共事業を決めたら二度と変えない。十年前、二十年前はそういう時代だったんです。今は時代は変わっているんですね。やはりこれは失敗だったと、外国ですと、イタリアにしてもオランダにしても、干潟を一遍締め切ったところをあけて再生したところはいっぱいあるんですよ。やはりそういうことをこの際きちんと考える。そして、いわばエコツーリズムとかを活用して、逆に新たな展開を図るところから地域の再生はまた道が開けるんですね。私は、そういうことを政府としてきちんと解決されるようにやっていただきたい、これを大臣に求めておきます。
次に、地域再生でもう一つ問題になっているのは、私、何度もこの委員会で取り上げておりますが、偽装ビジネスホテル、いわゆる実態ラブホテル、これについて伺いたいと思うんです。
二〇〇五年十月十四日と七年の十一月二日にこの問題を取り上げました。二〇〇五年に私が風俗営業法改正にかかわって取り上げた後、警察庁の方でも、風営法第二条第六項第四号には該当しないが、同号に掲げる営業に類似するラブホテルについて、全国の警察本部に対して「地域において問題になっているラブホテル等への対応について」という文書を発出しています。
ところが、この指示が生きておれば、今問題になっている、例えば大阪市の西区のように、私も現場を見てびっくりしたんですけれども、小学校と六メートル幅の道路を置いて真ん前にラブホテルが建っているんですよ。百メートル以内に三つのラブホテルが建っているんですよ。こういう事態というのはだれが考えてみても異常だと思うんです。
私は、大阪府警察本部が警察庁の指示を軽く扱っていたんじゃないかな、こういう気さえするんですが、これは警察庁の方に伺っておきます。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございましたように、平成十八年十月に通達を出しまして、いわゆる、委員おっしゃる偽装ラブホテルについても、風営法上の要件に合致しないものであっても、建築基準法とか旅館業法等の違反が認められる場合には、関係当局に対して、措置命令を発する等の適切な対応について積極的に申し入れるようにというふうな通達を出しているところでございます。
御指摘の大阪の事例でございますけれども、大阪の方に聞いてみましたところ、確かに、小学校に隣接して、ラブホテルとして営業されるおそれのあるホテルが営業を開始しているということは事実でございます。大阪府警もこの点は承知をいたしておりまして、大阪府警におきましては、三月の営業開始時点にいろいろ調べたのでございますけれども、関係機関からは、風営適正化法上のラブホテルに該当するような設備は設けられていないというふうな連絡を受けているというふうに聞いております。
しかしながら、今後とも、今申し上げましたような旅館業法とか建築基準法に違反するようなこともあり得ますので、その動向については注視してまいりたいと考えております。
○吉井委員 偽装ビジネスホテルですから、ビジネスホテルといったらレストラン等も一応ある形になっているんですね。地域の方数名で行かれて、ちょっと兄ちゃん、コーヒー頼むわと言ったんですね。今そういうものは出せませんと。たちまち、これは文字どおりの偽装ビジネスホテルということはわかっているんですよ。
兵庫県警の調査では、兵庫県内には百九十四のラブホテルがあって、そのうち百五十一店は、ビジネスホテルと偽装申請して、建築を終えたらラブホテル営業をするという、旅館業法違反や風営法違反を当然のように行っているという実態が明らかになりました。
私は、大阪西区の例も、ビジネスホテルで届け出てラブホテル営業、とにかく実態把握しなさいというのがまずこの警察庁の指示文書ですから、大阪府警本部は府警本部管内の実態把握をやっているんじゃないかと思うんですが、その調査を兵庫県警のようにやっているのかどうか。やっているならば数字もわかると思いますので、調査結果を伺いたいと思います。
○片桐政府参考人 類似ラブホテルの実態については、その通達におきましても、各都道府県警察においてきちんと実態を把握するようにという指示はいたしているところでございます。
大阪府警もそれに基づきまして所要の実態把握はしているということでございますけれども、ただ、現在どれぐらいの把握をしているかについてはまだ数字をとっておりませんので、これについても大阪府警の方に今後よく照会をして、どれぐらいの把握をしているか聞いてみたいと考えております。
○吉井委員 これも委員長にお願いしておきたいんですけれども、私、何度か質問してきたのは委員長も御存じいただいているかと思いますが、やはり、全国的に指示文書を出しているんですから、全国の都道府県警本部の方で偽装ラブホテルについて調べた数字、兵庫県警は発表していますから、集約して、ちゃんとこの委員会に出すようにお計らい願いたいと思います。
○中野委員長 理事会で協議いたします。
○吉井委員 ぜひお願いします。
明石の西新町、神戸市東灘区の魚崎、姫路市、大阪市西区など、地域住民や教育団体などが声を上げておりますが、そういう声が上がっても無視して、偽装ラブホテル、警察用語でいいますと類似ラブホテルですが、その建設と営業に走っているのが実態です。法律や条例のすき間をついて建設、営業を図るのが業者の特徴なんですが、それでも、二〇〇五年の私の質問の後、警察庁からこういう文書も出して、徹底しておられたら、小学校の真ん前で営業する、こんなとんでもないことはなかったんじゃないかと思うんです。非常に私も心を痛めているんです。
昨年十一月二日の泉大臣の答弁では、ラブホテルに限りません、偽装してすき間を、法のすき間をつくことがあってはならない、お答えした実態と違う事態が生じておれば、適切に対応させていただきたいというものでありました。
警察庁の指示文書をそういう点では徹底して、特に別紙二の方でも挙げておられますが、これを活用すれば、大体、小学校から六メートルしか離れていないような真ん前に偽装ラブホテルを営業するなんということは絶対やめさせることができると思うんですよ。
そこで、警察庁の方には、もう一遍伺っておきますが、指示文書でも実態把握ということを挙げているわけですし、また、いろいろ把握しておられるので、まず実態をつかむという点では、そして適切に指導を強めるという点では、こういう立場で臨んでいかれるとは思いますが、重ねてそのお考えを伺っておきます。
○片桐政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、風営法上の要件に該当するラブホテルであれば学校周辺に建てることはできないという形になっております。ただ、風営法に該当しない、いわゆる類似ラブホテルについては、風営法上の規制はかかっておりません。
しかしながら、今申し上げた建築基準法令とか旅館業法令で、建設できる地域であるとか、外観であるとか、ホテル内の構造設備等について一定の規制がなされ得るという形になっておりますので、私どもとしては、そういった違反形態があるのであれば、関係当局に対して、きちんと所要の行政命令等の発出を促すようにしてまいりたいと考えております。
○吉井委員 別紙一の方は建築基準法に係る方で、旅館業法は別紙二の方ですけれども、旅館業法に定める許可の欠格事由とか、構造設備の基準とか、基準もなかなか丁寧にいろいろ書いていますね。営業開始後の規制内容についてもいろいろ述べておられるわけです。
ですから、やはり、営業開始後であっても、その規制に示しているように、立入調査とか検査ができるわけですね。それから、報告を求め、是正しなさいという命令も出せるし、言うことを聞かなきゃ、旅館業法に基づく許可取り消しまたは営業停止を行うことができるんですね。警察庁が示しているように、自治体、行政当局の方は、百二十、規制条例をつくっているところもあるというわけですね。
そうすると、私は、警察庁だけやれと言っているんじゃないんですよ、警察庁も都道府県警も行政当局も一緒に力を尽くせば、風営法もあれば旅館業法もありますし、消防法もあるし、建築基準法もあるし、それから自治体独自の条例もあるわけですから、あらゆる法や条例を駆使して警察と関係機関が協力すれば、幾ら何でも、小学校の真ん前にラブホテルを建てる、こんな異常な事態は食いとめることができるんじゃないかと思うんです。
この点では、各関係機関ともっと連携を密にして、情報も交換しながら取り組んでいかれますね。もう一度伺っておきます。
○片桐政府参考人 お答えいたします。
立ち入りにつきましては、風営法の要件に該当するラブホテルであれば警察が立ち入ることができるという形になっております。ただ、それに該当しないものについては、これに立ち入るという権限は規定されておりませんので、業者の同意を得て中に入って確認を行うという行為を行っているところでございます。
他方、旅館業法とかには別途関係当局の立ち入り権限が認められておりますので、私どもとしては、そういった関係当局と連携をしながら、さらに実態把握を深めるように努めてまいりたいと考えております。
○吉井委員 最後に増田大臣に伺っておきたいんです。
要するに、旅館業法があろうが風営法があろうが、あるいは規制条例をつくっても、もちろん地方は、上位法を上回る条例、これはなかなかできる話じゃありませんけれども、しかし、すき間を埋める条例はできるわけですから、百二十の自治体が取り組んでいるんですね。しかし、業者の方は、法律があっても条例があっても、すき間をねらっていろいろやる連中。しかし、よく読めば、法律や条例を本当に執行していこうと思ったら、これは方法はいろいろあるんです。
例えば、消防法は査察ができますね。それから、ホテルだというからには食堂があり厨房があり、調理師さんがいるわけですから、保健所が入っていくこともできるわけですね。いろいろな形でやる、違反があれば警察と連携をとる、こういうことをやればもっと前進するはずなんですね。
そういう点では、私は、地域再生というときに、小学校の前にラブホテルをつくって地域を破壊しておったんじゃ、教育環境がつぶれておったんじゃ、法の目的そのものが達成できないと思うんですね。
ですから、警察庁の指示文書でも、全国約百二十の自治体において規制条例が制定されているとして、ラブホテル等の建築の抑止に効果が見られるところであるので、対応の参考とされたいと警察庁は言っているんですけれども、知らない自治体もあるわけですね。あるいは、地方議員の方にはそういう条例があることを知らない人もいるわけですから、そういう点では、やはり偽装ラブホテルの建築と営業を抑止する条例を全国の自治体に紹介もすれば取り組みを支援するということはできると思うんです。
そして、地域再生とは、一つの法律だけじゃなしに、やはりいろいろな法律、条例等を駆使して連携して取り組んでいく。連携して取り組むということが、あるときは予算化しなきゃいけない、あるときは必ずしも予算がなくても、連携して取り組むことによって地域再生とか地域の環境をよくしていくということはやれるわけですね。
そういう点では、増田大臣、今回二つ目に挙げました例のようなものについては、全国の自治体に紹介もすれば取り組みを支援していくということは、政府としてもやはり地域をよくするために考えていただきたいと思うんですが、この点は、最後に増田大臣に伺いたいと思います。
○増田国務大臣 やはり文教施設、特に学校の前にラブホテルが建てられるなんというのはあってはならないことでありますし、向こう側も法のすき間を縫っていろいろな手だてを講じてくるんでしょうけれども、今、警察庁の方の答弁もありましたけれども、そこで言う関係省庁と連携をとっての相手先としては、我々は当然入っているわけで、これは政府を挙げてそうしたものを追い込んでいかなければならないというふうに思います。
ですから、今、条例のお話ございました。いろいろな自治体でそういったところを防ぐための工夫として条例をつくっておるようでございますので、そうしたもの、先進事例等を我々も地域再生という観点からも紹介をして、そしていろいろ地元で工夫をしていただく、あるいは地元の皆さん方のお力をかりてそういうものを締め出していく、これも立派な地域再生だと思いますので、そういうことを各自治体、皆さん方にもよく御紹介をして、そういうことがないように努力していきたい、このように思います。
○吉井委員 質問を終わります。
○中野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
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○中野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、櫻田義孝君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。
○泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
地域再生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、認定地方公共団体から指定された特定地域雇用会社に対する寄附金に損金算入の特例を与えている、いわゆる直接型の再チャレンジ支援寄附金税制については、導入後の適用件数の実情を踏まえ、継続の是非について検討するべきである。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。増田国務大臣。
○増田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。(拍手)
―――――――――――――
○中野委員長 次に、内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○中野委員長 次回は、来る四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十八分散会