第7号 平成20年4月4日(金曜日)
平成二十年四月四日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 萩生田光一君
理事 村田 吉隆君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 宣彦君
大塚 拓君 加藤 勝信君
木原 誠二君 高市 早苗君
戸井田とおる君 土井 亨君
中森ふくよ君 西村 明宏君
藤井 勇治君 御法川信英君
市村浩一郎君 岩國 哲人君
逢坂 誠二君 岡本 充功君
川内 博史君 吉良 州司君
楠田 大蔵君 佐々木隆博君
鈴木 克昌君 西村智奈美君
馬淵 澄夫君 石井 啓一君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(地方分権改革担当) 増田 寛也君
国務大臣
(内閣官房長官) 町村 信孝君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(食品安全担当) 泉 信也君
国務大臣
(国民生活担当) 岸田 文雄君
国務大臣 渡辺 喜美君
国務大臣
(経済財政政策担当) 大田 弘子君
国務大臣 上川 陽子君
環境副大臣 桜井 郁三君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
経済産業大臣政務官 荻原 健司君
政府参考人
(内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)
(内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長) 河内 隆君
政府参考人
(内閣官房公文書管理検討室長)
(内閣府大臣官房公文書等保存・利用推進室長) 山崎日出男君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 齋藤 敦君
政府参考人
(内閣府大臣官房政府広報室長) 高井 康行君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 西 達男君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 栗本まさ子君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 戸塚 誠君
政府参考人
(内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長) 大脇 広樹君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 米田 壯君
政府参考人
(警察庁警備局長) 池田 克彦君
政府参考人
(外務省北米局長) 西宮 伸一君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 藤崎 清道君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 谷口 隆君
政府参考人
(農林水産省総合食料局次長) 平尾 豊徳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局整備部長) 齋藤 晴美君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局研究総務官) 小栗 邦夫君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 西山 英彦君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官) 佐藤 均君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 長尾 尚人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房総括審議官) 大森 雅夫君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 城野 功君
参考人
(食品安全委員会委員長) 見上 彪君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 鈴木 篤之君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
―――――――――――――
委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
河本 三郎君 御法川信英君
市村浩一郎君 岡本 充功君
吉良 州司君 岩國 哲人君
楠田 大蔵君 川内 博史君
佐々木隆博君 鈴木 克昌君
西村智奈美君 逢坂 誠二君
同日
辞任 補欠選任
御法川信英君 河本 三郎君
岩國 哲人君 吉良 州司君
逢坂 誠二君 西村智奈美君
岡本 充功君 市村浩一郎君
川内 博史君 楠田 大蔵君
鈴木 克昌君 佐々木隆博君
―――――――――――――
四月四日
憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇七一号)
憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇七二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長見上彪君、原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長・内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君、内閣官房公文書管理検討室長・内閣府大臣官房公文書等保存・利用推進室長山崎日出男君、内閣府大臣官房審議官齋藤敦君、大臣官房政府広報室長高井康行君、国民生活局長西達男君、食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、経済社会総合研究所国民経済計算部長大脇広樹君、警察庁刑事局長米田壯君、警備局長池田克彦君、外務省北米局長西宮伸一君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、農林水産省大臣官房審議官谷口隆君、総合食料局次長平尾豊徳君、農村振興局整備部長齋藤晴美君、農林水産技術会議事務局研究総務官小栗邦夫君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、原子力安全・保安院審議官佐藤均君、中小企業庁経営支援部長長尾尚人君、国土交通省大臣官房総括審議官大森雅夫君、海上保安庁警備救難部長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中森ふくよ君。
○中森委員 おはようございます。自由民主党の中森ふくよでございます。
上川大臣、西村政務官初め皆様、よろしくお願いを申し上げます。
本日は、拉致関係、漂流船、また食品の安全と廃棄の問題についてお伺いをいたします。
まず、拉致関係から始めさせていただきます。北朝鮮によります拉致の可能性を排除できない人の調査について御質問いたします。
我が日本の国内で他国により日本国民が拉致されたということは、明らかに我が国の主権を侵害されたものであります。そういった意味から、拉致被害者の方々はいわば国の犠牲者でありますし、それゆえに、小泉総理、安倍総理、そして福田総理と三代にわたって最善を尽くすと約束されたものであり、国民の関心も高いものと理解しております。万景峰号ほか北朝鮮籍の全船が四月十三日まで入港禁止となっております。今後も、日本国として毅然とした対応が講じられなければならない問題でございます。
さて、政府は、現在まで十七名の方を北朝鮮による拉致被害者として認定していらっしゃいます。
ここでお尋ねをいたします。
認定はされてはいないが実際には拉致被害者ではないかと考えられる人は、全国でどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
○河内政府参考人 まず、拉致問題に対する政府の取り組み方針について、私の方から御質問にお答えをさせていただきます。
政府といたしましては、北朝鮮による拉致は我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であると認識しており、このような認識のもと、未曾有の国家的犯罪行為であり、重大な人権侵害でもあります拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はないとの方針、これは歴代内閣の一貫した方針でございますが、この方針に従い、この問題に取り組んでいるところでございます。
福田総理のリーダーシップのもと、すべての拉致被害者の方々の一刻も早い帰国を実現すべく、拉致問題対策本部を中心に、政府が一体となって引き続き最大限の努力を行う所存でございます。
以上でございます。
○中森委員 済みません、拉致被害者ではないかと考えられる人は全国でどのくらいいらっしゃいますかという質問をさせていただきました。
○河内政府参考人 政府といたしましては、これまで拉致被害者と認定している方は十二件十七名なわけでございますが、これ以外にも、いわゆる特定失踪者の方を含めまして、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在している、こういった認識のもとにおります。
ただ、これにつきましては、具体的な何人かという点につきましては、大変申しわけないんですが、私ども、具体的な数字については申し上げる段階に至っておりません。
以上でございます。
○中森委員 わかりました。
実は、私の地元は川口というところを持っていまして、向こうの方の部落があったものですから、大変失踪者が多いので、ちょっと尋ねられておりました。
それでは、進めます。
北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律の第二条、また、拉致問題における今後の対応方針においても「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に関する捜査・調査等を引き続き全力で推進していく。」となっています。
そこで、お尋ねをいたします。
これらの北朝鮮による拉致の可能性を排除できない人、つまり、認定に至っていない方々の調査協力等、政府は今後どのように進展させるおつもりなのか、今後の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
○池田政府参考人 まず、警察の方から、捜査の観点から御説明いたしたいと思います。
北朝鮮による拉致容疑事件につきましては、ほとんど証拠が残されていない中、現時点、先ほど御指摘のとおり日本人の拉致容疑事件が十二件十七名、そして朝鮮籍の姉弟が日本国内から拉致された事案、こちらが一件二名、合わせまして十三件十九名について拉致容疑事案と判断しているわけでございますが、そのほかにも、ただいま御指摘のとおり、数多くのそうではないかというお届けをされたものがございます。それにつきましては、現在、全力を挙げまして、具体的な情報を各方面から入手いたしまして捜査しているところでございます。
なお、要望その他は約九百件ほど警察の方にも寄せられております。これにつきましては、それぞれ具体的に事情をお伺いするなどして捜査を進めているところでございまして、現実に国内で発見されたという例も相当数ございます。
そういうことを踏まえながら、全力で捜査してまいりたいというふうに考えております。
○中森委員 警察の方との連絡がこちらの方からなかなか見えないものですから、外から見ていると進展していないんじゃないかというふうに大変不安でおりました。ありがとうございます。
それでは、北朝鮮による拉致被害者の認定についてお伺いをしたいと思います。
拉致被害者として認定された方や家族については、経済的支援や、身体の安全また心身の健康など、九項目にわたる総合的な支援策が実施されております。けれども、北朝鮮に渡ることもできずに、自費で調査をしなくてはならない認定外の親族の経済的負担、精神的負担は、はかり知れないものがあると思っております。
ところで、今まで拉致被害者として認定された方々は、今、池田さんからお話がありましたように、お二人を除いては、北朝鮮から名前が明らかにされたか、亡命者等によって北朝鮮内での生存が確認された方たちばかりでございます。平成十四年十月に帰国を果たした曽我ひとみさんは、帰ってきて初めて拉致被害者に認定されたといういきさつがございました。川口の田口八重子さんも、大韓航空機爆破事件の金賢姫さん、この方の証言が得られて認定がなされたという状況だったと記憶しております。
民間団体である特定失踪者問題調査会が独自にこの調査を続けておりますけれども、拉致の可能性が高いと判断した方を一千番台と呼んでおります。
ここでお伺いをいたします。
初めに申し上げましたように、拉致被害者はいわば国の犠牲者であります。この一千番台と判断された方々には、一定の支援、一定の情報交換、一定の捜査協力がなされてしかるべきではないかと考えますが、政府の御見解はいかがでしょうか。また、一千番台以外の人についても、警察等からの情報も入手しにくく、また警察で相手にされないのではといった不安の声が聞こえてまいります。そういったことのないように、拉致に関する情報を幅広く収集し捜査を前進すべきと考えますが、政府及び警察の御見解をお伺いいたします。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のように、これまで拉致被害者と認定している十二件十七名の方以外にも、いわゆる特定失踪者の方を含めまして、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているという認識を持っていることにつきましては、先ほど申し上げました。
このような認識のもと、いわゆる特定失踪者の事案を含めて、全力を挙げて国内外からの情報収集や、関連する調査、捜査を進めているところでございます。
議員も御指摘になられましたが、政府といたしましても、いわゆる特定失踪者の御家族がさまざまな心労を抱えておられるということは承知しております。今後とも、この拉致の可能性を排除できない事案の解明に全力で取り組みますとともに、そのような事案の御家族に対しましても、拉致問題対策本部事務局におきましてこれまでにも増して相談に丁寧に応じるなど、きめ細やかな対応をとってまいりたいというふうに考えております。
今後とも、関係省庁、関係機関の緊密な連携を図りつつ、全力を挙げてこの方針を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○中森委員 ありがとうございます。認定ということがちょっと、その次の段階でも、準認定というのもどうも難しいようでございますので、今のお話をいただいて、隅々まできちっとやっていただけますよ、警察に来ていただいても大丈夫ですよというふうに承りましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、船舶の漂着についてお尋ねをいたします。
かつて、新潟への万景峰号の入港についても多くの反対がございました。不審船と海上保安庁の巡視船艇との間で発砲事件もございました。北朝鮮のものとも思われる木造船が、去年の十一月以降相次いで、石川、新潟両県を中心に、日本海側に漂着していると報じられております。
ただ、去年の六月の二日でございますけれども、日本のレーダーに発見されることなく、脱北者四人を乗せた木造船が青森県の深浦町の港に流れ着いたということがございまして、報道されているように、本当にこの複数の漂着船が単に台風で流された無人船だったのという疑問があるわけでございます。
ここでお尋ねをいたします。
漂着船の使用目的等、海上保安庁としての分析、またその根拠も含めてお聞かせいただきたいと思います。また、拉致の問題が明るみになりましたこの六年間で、このような木造船が何隻漂着、発見されているのかもあわせて海上保安庁にお伺いいたします。
○城野政府参考人 お答えいたします。
海上保安庁におきましては、平成十四年から本年の三月末の間に、二百十隻の朝鮮半島からのものと思料されます漂着、漂流船を確認いたしております。
その漂着船等の使用目的でございますけれども、漂着、漂流船の情報を入手しました際は、海上保安官が現場に赴きまして、漂着、漂流船の船体や船内の状況を詳細に調査をしておりまして、これらの漂着、漂流船の多くは乗船者の痕跡もなく、また、船内、船体に藻や海藻が付着するなど長期間漂流していたことが推測されております。工作活動に使用された可能性は低いものと考えております。
なお、漂着、漂流に至った原因については、いまだ特定するには至っていないというところでございます。
以上でございます。
○中森委員 ありがとうございました。大変ちょっと数が多いのでびっくりしておりますが、ぜひ、小さな証拠も逃さないように、拉致に結びつくものをきちっと調査いただきたいというふうに切望いたします。
次に、食品の安全と食品の破棄について御質問をさせていただきます。
この四月に入りまして、小麦粉を初め生活品の値上げが相次いでおります。何とかこれを回避しないと、相当な値上げでございますので、市民の生活を圧迫しないよう、食という問題についてもう少し見直すことがあるのではないかということを含めて、御質問をさせていただきたいと思います。
それでは初めに、食品を捨てない教育を食育という形でどのように扱っていくのか、上川大臣にお尋ねをいたします。
日本は、食料の七割、年間約五千八百万トンを輸入し、その三分の一の二千万トン弱を廃棄、要するに捨てております。これは開発途上国の五千万人に相当する一年間の食料だそうです。飢餓で毎年千五百万人近くが亡くなり、そのうちの七割は幼い子供たちです。私たちが知らず知らずに残し、そして廃棄している食料が有効に活用されれば、飢餓に苦しむ人たちは生まれない計算になります。
二〇〇四年にノーベル平和賞を受賞いたしましたワンガリ・マータイさんが、MOTTAINAIキャンペーンを展開しているそうで、日本人は物を大切にするということを美徳とし、もったいないの精神は日本人の文化でありました。
上川大臣にお伺いを申し上げます。
食育推進基本計画の中では、さまざまな体験活動等を通じて国民の食に対する感謝の念や理解が深まっていくよう配慮した政策を講じることと記述されています。子供たちを取り巻くこの環境の中でどのように食育をなさるのか、お伺いいたします。
○上川国務大臣 食育基本法が制定されまして以降、食の大切さを広く深く理解していくということに政府としても精力的に取り組んでいるところでございます。
とりわけ、もったいないにかかわる食品の廃棄ということに関して、食育基本法の第三条で、「国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならない。」、また同法第二十三条では、「創意工夫を生かした食品廃棄物の発生の抑制及び再生利用等必要な施策を講ずるものとする。」と明記されているところでございます。
中森委員からも御指摘がございました食育推進基本計画の中でも、この基本的な方針にのっとりまして、「我が国では、日常生活において食料が豊富に存在することを当たり前のように受け止め、食べ残しや食品の廃棄を大量に発生させており、世界に通じる「もったいない」という物を大切にする精神が薄れがちである。」ということが指摘されているところでございます。
こうした観点にのっとりまして、具体的な国民運動として、無駄や廃棄を少なくするための買い過ぎやつくり過ぎへの注意でありますとか、賞味期限や消費期限の正しい理解をするということ、また、御家庭の冷蔵庫の中身や、あるいは家庭の中の食材を定期的に点検していただく、あるいは食事の支度や後片づけへの積極的な参画等を、具体的な政策を実現すべく、国民運動の具体的な行動として取り組んでいただきたいということで盛り込ませていただいているところでございます。
内閣府におきましては、この食育基本法、基本計画、さらに、国民運動としての具体的な行動ということを実践していらっしゃる先進的な事例、あるいは地域の中で取り組まれているさまざまな工夫等につきまして、例えば食育の白書などに盛り込ませていただき、こうした公表を通じて、より相乗効果が上がるように、国民運動としての展開ができるようにということで全力を傾注しているところでございます。
しかし、先ほどの御指摘がありましたとおり、まだまだ廃棄をしている実態はさらに改善をしていかなければいけないということでございますし、また、環境問題ということにつきましても、三Rの一つでありますリデュース、廃棄物はできるだけ少なくするという、こうした取り組みの中で、食品廃棄に対しても減量努力ということをさらにしていただかなければいけないということでございますので、家庭や学校や地域挙げて、このもったいない運動ということについてはさらに力を入れてまいりたいというふうに思っております。
○中森委員 ありがとうございます。
家庭、地域を挙げてもったいない運動をしていただけるというお話をいただきまして、本当にうれしく思います。子供たちのために、これからもよろしくお願いを申し上げます。
次に、消費者政策の中に食品廃棄の削減を盛り込む件について御質問させていただきたいと思います。
消費者の保護を図るために、さまざまな施策が実行されてきました。平成十六年には消費者基本法が制定され、現在、その基本計画の中で、環境の保全への配慮という項目の中にごみの抑制も記述されています。我が国は、食料を輸入しながら、先ほど申し上げましたように二千万トンという膨大な食料をごみとして廃棄する事態が長年続いています。
お尋ねをいたします。
政府は、今後、現在のこのような事態についてどのように対応していくおつもりなのか、まずお聞かせください。
○平尾政府参考人 お答えいたします。
生産された農産物を有効に使う方策についてのお尋ねでございます。
農産物につきましては、実はいろいろな規格がございまして、それで流通するというふうなことが基本になっております。ただ、つくられた農産物をできるだけ有効に使っていくというふうな観点、あるいは、用途に応じて形状にこだわらなくて規格外も使っていくというふうなニーズも非常に高くなっております。
そういう意味から、こういうものを有効に使おうというふうな流通も実は出ておりまして、選別をしないままスーパーに売っていただくとか、あるいは全量を農家から買い取って、それで流通段階で区分けして使っていただくとか、あるいはその地域の農業者が学校給食の中でいろいろな規格のものをお使いいただくとか、そういうふうな取り組みが既になされております。
こういった新しい多様な流通というのを私どもは今後推進していこうと思っておりまして、地域の農林水産業と地域の商店街の小売業者等が一緒になって新しい取り組みをしていただくとか、あるいは農家がつくられたものをできるだけたくさん売っていただくような産直の直売所を支援するとかというふうなことを進めておりまして、今後とも、こういうふうな施策を通じまして多様な流通システムを育成していきたいと思っております。
○中森委員 ありがとうございます。
ちょっと次の質問であったのですが、先に大分言っていただいて、ありがたいと思っています。
食品安全というところを、赤福を初め、実は去年から、食品の日付、日切れなど、大きく取り上げてまいりました。中国製のギョーザも絡みまして、消費者は食品の安全に非常に敏感になっているというふうに感じております。もちろん食品の安全を守ることは行政の大事な務めでございます。しかし一方で、必要以上の安全対策が別の新たな問題を引き起こしてはいないか。これは政府ということじゃなくて、国民全体がそういうところまで行っているのではないかと考えて心配をしております。
幾つか例を挙げてみたいと思います。
袋入りの、例えばヤマザキパンといたしますと、その袋入りのパンは四日ほど消費期限がございます。しかし、店でパンを焼いて販売している、例えばアンデルセンとかポンパドウルといったお店は、当日売れ残った場合は、すべて社内規定で廃棄を決めておりまして、ごみ箱に直通しております。マクドナルドやフライドチキン店などでも、例えば数時間の後にハンバーガーは破棄され、コンビニでも、数時間の販売が一秒でも経過しますと、レジが自動的に受け入れないのですね。ですから、当然、そのままごみ箱に行ってしまうということが設定されています。
つまり、仕入れたお弁当やハンバーガーは、時間内に売れなければ破棄される仕組みになっているわけでございます。破棄されるコンビニ弁当だけで年間三百万食に上ると言われております。食品においては、日本はまだまだ大量生産、大量消費、そしてその結果として大量の食品破棄を生んでいる現状がございます。
ところで、前述の焼きたてパン屋さんは、例えば破棄せずに、翌朝、前日のパンですとして売ることをやぶさかではないと言っています。ただ、国の方でいろいろ声がけをしていただいて、パン屋さん同士が足並みそろえるような状況になればいつでもやらせていただきますというようなお返事もいただきましたけれども、廃棄することが常態化している、自分のところだけ残り物を次の日に売るのは企業イメージが悪くなるという判断のようでございます。
国で、捨てるのをやめましょう、今、上川大臣から地域全体でもったいない運動をやっていくというお話をいただきましたけれども、そういった声がけをどんどんしていただくことによって、生産者も消費者も相応に呼応してくれるものと考えます。
お尋ねをいたします。
国は、消費者や生産者の協力を得るため、今申し上げたような国民的な呼びかけについて考えておられるかどうか、お答えください。
○谷口政府参考人 お答えを申し上げます。
議員の御指摘のように、近年、食料が豊富に存在するというふうなことを当たり前に受けとめまして、もったいないというような物を大切にする心が薄れがちになってくるという中で、御指摘のような食べ残しというか食品の廃棄というのが発生しておるというように私どもも認識をいたしております。
ただいま御指摘のございました、業界といいましょうか、そういった食品業界の中での廃棄という問題につきましても、私どもといたしまして、国民全体の運動の中で、業界の方々の御理解も得て、そういった無駄をしないような取り組みをぜひ進めてまいりたい、かように考えておりますので、いろいろこれまでも対策をとってまいりましたけれども、御指摘を踏まえまして今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。
○中森委員 ありがとうございます。ぜひ呼びかけていただいて、こたえが返ってきたらいいな、こんなふうに考えております。
時間がありませんので、ちょっと先に進みます。
食品の中に規格外品というものがございます。曲がったキュウリや、例えばサンマなどですと二十八センチ以下は規格外品でございます。市場が求めている形あるいは長さが足りないので、市場が仕入れたがらない食品でございます。一部加工品として利用されるようでございますけれども、ほとんどは動物のえさや破棄されているものでございます。当然ですが、これらは安全性や味に関しては全く問題ございません。したがいまして、市場外で取り扱う販売店の確保さえあれば、商品として売れるわけでございます。規格外品が売れれば生産者の収入にもなり、値上げに悩む消費者も低価格で手に入ります。
そこで、今、農林省からお答えをちょっといただきましたけれども、規格外品も含めた販路の拡大でございますね。産地直送等、実現性のある企画、またそれを実行している組織に対して無担保融資や補助金を支給して拡大を図っていただきたい。また、シャッター商店街等で販売場所を確保できる場合には、商店街に対して助成措置を行う、また地産地消として学校などにも規格外品の取り扱いを依頼する等々考えられます。例えばこのように、破棄をしないことが基本のいろいろなアイデアをいただいて、支援し、奨励すべきと考えますけれども、農林省、経済産業省の見解をお聞かせください。
○平尾政府参考人 お答えさせていただきます。
先ほどちょっと答えさせていただきましたけれども、委員御指摘のとおり、規格外のキュウリとか、いろいろな農産物を既に使った事例もございまして、私ども、そういうものをできるだけ地域の農業者とか小売店が連携してやれるような取り組みを支援しようとモデル事業を考えております。また、産直についても支援していこうということで、そういう施設を整備させていただこうと思っています。
○長尾政府参考人 お答えいたします。
経済産業省中小企業庁といたしましても、商店街がにぎわいを回復するというためにさまざまな支援活動をやっているところでございます。
その一環といたしまして、商店街におきまして、商店街がコミュニティーの中核として価値を高め、集客力の向上に資するという観点から、空き店舗を活用して、地域の農林水産品、そういったものを扱うアンテナショップ等を設置、運営する事業に対しても、改装費とか家賃の支援をするといったことをやっております。
先生御指摘の規格外の農水産品につきましても、こういった観点から、商店街を挙げて空き店舗を活用しようという取り組みがなされた場合には、当該支援措置の活用が考えられるところだというふうに理解しております。
○中森委員 ありがとうございます。食品の安全と並行して、食品の破棄が行われている件につきましては前向きにお話しをいただいたこと、本当に御礼を申し上げます。
最後に、消費期限と賞味期限の啓蒙についてもお願いをして、御質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。
きょうは、内閣委員会で時間をいただきまして、食の安全と政府広報のあり方について少しお尋ねをしたいというふうに思っています。
それに先立ちまして、まず冒頭、きょうは岸田大臣、泉大臣もお越しでありますけれども、両大臣にちょっとお尋ねしたいことがあります。
先月の二十七日でしたか、総理が記者会見で、道路特定財源の平成二十一年度からの一般財源化を進める、これは与野党協議がなくても進めるという御決意を表明されました。これについて両大臣は明確に支持をされるということでよろしいのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 御指摘の二十七日の総理の一般財源化の方針につきましては、総理の並々ならぬ決意が込められている御発言だと認識をしております。これは、政府一丸となってこの実現に向けて取り組まなければいけない課題だと認識しております。
○泉国務大臣 総理の御意向を体して、実現に向かって努力をしていく所存でございます。
○岡本(充)委員 その意向が他の与党議員にもぜひ波及をするといいな、私はそう思っておりますけれども、報道を見ておりますと、必ずしもそうでないような報道もなされているという状況のようであります。報道、広報のあり方というのはいろいろあると思います。この点については後ほどまた触れさせていただくこととして、きょうは、まず食の安全について少し確認をしておきたいことがございます。
先般、三月二十六日の厚生労働委員会においての私の質問で、きょうお越しいただいている食品安全委員会委員長、見上委員長にお越しをいただいていたんですが質問ができませんで、恐縮でございました。きょうは、改めてこの内閣委員会という場で御質問をしたいと思います。
まず、そもそも食の安全の評価機関である食品安全委員会、これまでさまざまな事象に対して評価をしてこられました。その場合、諮問による評価ということが多かったと承知をしています。
これは事務方からの答弁でも結構でございますけれども、これまでの諮問による評価と、みずから行った評価、継続中のものも含め一体何件ずつあるのか、それについてお答えをいただきたいと思います。
○見上参考人 お答え申し上げます。
四月三日現在なんですけれども、リスク管理機関からの要請で来た件数が千六件、それと、みずから評価が三件です。それで、終了した件数なんですけれども、リスク管理機関からの要請が五百五十一件と、みずから評価で終了したものが一件。トータルしますと、千九件の評価案件に対して五百五十二件が終了した、そういう状況でございます。
○岡本(充)委員 委員各位もお聞きいただいたとおり、みずから評価をするということが極めて少ない状況が続いています。
後でお聞きをしようと思っておりますが、例えば今回の輸入食品に関する評価だとか加工食品に関する安全性の確保なども、みずからの評価で評価をしていってもいいのではないか。また、米国産牛肉のときにもお話をさせていただきましたが、米国以外の牛肉のリスク評価はどうなっているんだという話も、やるという話は聞こえてきたものの、遅々として進んでいないように私には見受けられる。
そういう意味でいうと、委員長として、みずから評価をしていくためには何が必要なんでしょう。これ、この件数に満足してみえるとは思わないんです。EUのようにステアリング・コミッティーというか、衆議院や参議院で言うところの議運のようなところがあって、みずからこういうものを評価していこうという主体的な取り組みもぜひ見せていただきたいと私は考えておるわけですけれども、多分それについて異論はないと思います。
こうするためには食品安全委員会には何が必要だと委員長はお考えになられるか、お答えをいただきたいと思います。
○見上参考人 みずから評価の案件の数が少ないということなんですけれども、食品安全委員会では、企画専門調査会において、まず、みずから評価を行うべき対象を定期的に点検、検討し、案件を選んでおります。
それで、先ほど申し上げましたように、これまで三件のみずから評価を実施しているわけなんですけれども、いずれも、非常に広範にわたりまして各種影響があり、かつ審議に時間を要する案件を選定しているところでございます。
また、現在は、もしかしたら既に先生御存じかわからないんですけれども、鉛の食品健康影響評価について、みずから評価の実施の是非をパブコメでとって、もう少したったらスタートすると思います。
それで、今後とも国民の健康にかかわる重要な案件については食品安全委員会の主体的な取り組みとして推進してまいりたいということと、先生がお尋ねの、一体どういうことが必要かということなんですけれども、先ほど申し上げましたように、管理機関から膨大な数の評価要請が来ていまして、特に今非常に大変なのは農薬関係、ポジティブリストで八百近い案件を相当なスピードでやっているんですけれども、何せ、データを集めて、すべてということで、非常に時間のかかるということもぜひ御理解願いたいと思います。
我々のスタッフのできる範囲内で、なおかつ、そうかといって、みずから評価の案件をいろいろなところに手を回してといいますか、そういうところで集めてやっておりますので、忙しい中でもやっとここまでできていると。みずから評価の案件をできればもっとふやしたいんですけれども、例えば、米国、カナダ産以外の牛肉、牛内臓の評価というのは十四カ国やっています。そのうち、質問書に対してお答えいただいたのが十四カ国のうちの九カ国で、まだ五カ国お答えをいただいていないわけです。
ですから、例えばアメリカ、カナダ産の、みずから評価をやったときと同じなんですけれども、すごいことをやって、それを十四カ国やっているというそういう仕事も一つやっていますし、ほかに、食べ物を通じて国民の健康に対して評価するというのは大変な仕事なんですけれども、精いっぱい我々頑張ってやっているので、ぜひ御理解いただきたいな、そのように思っております。
○岡本(充)委員 今の委員長のお話をある程度かいつまんでお話しさせていただくと、やはりマンパワーの限界というのもあるという理解、それからデータの収集も、やはり相手のあることですからなかなか収集が進まない、こういう観点でなかなか調査が進まないという御指摘だったと思います。
私は、何も食品安全委員会が怠けているという思いは全くありません。ただ、今のような状況です。ここはやはり政府、各大臣が、今こういう形で困ってみえる食品安全委員会に対して、情報収集、それから今のマンパワーの問題、こういうところでサポートできないかどうかをぜひ検討していただきたい。
千件以上やっていて、みずから評価するのが三件しかまだできていなくて、農薬の今のポジティブリストの諮問がたくさんやってきて、マンパワーもない。情報も、相手国に頼んでもまだ回答すらもらえない。食品安全委員会からの要請ではなくて、やはり政府として、それはどうなっているんだといって相手国にも事あるごとにきちっと回答していただけるように要請するとか、こういう情報を共有していただきたいと思いますが、どうでしょう。政治家の方からお答えいただけますでしょうか。
○泉国務大臣 先ほど委員長から御答弁申し上げましたように、私自身も、みずから評価をするという体制がとれないかということを就任以来考え、また関係者にも伝えておるわけでございます。しかし実際は、大変膨大なリスク評価を行わなければならない、確かにマンパワーの限界もあります。そして、非常に分析に時間がかかるという、分析の時間を要するものであります。さらに、御指摘のデータを収集するにも時間がかかるということでございますので、一朝一夕にはまいりませんけれども、委員長が申されますように、みずから評価にも手を広げていきたいという思いは一致しておりますので、これからそうした方向で検討をさせていただきたいと思います。
○岡本(充)委員 それをほかの閣僚、特にリスク管理側の農水、厚労の大臣にもぜひお伝えをいただいて、やはり一致して、今国民が抱いている食の安全に対する不安を、先手必勝なんですよ。今からまたお話ししますが、ギョーザの話もそうです。後手に回ると安心感は広がらないんですよね。同じ手でも先にとっていると国民の皆さんの印象も違うし、後から出してくるという話では後手の印象を持たれるという意味もあります。そういう意味で、ぜひ先手を打っていただきたいというふうにお願いをして、ギョーザの話に移りたいと思います。
これは先般の三月二十六日の厚生労働委員会で確認をしましたが、きょうは警察庁にもお越しをいただいておりますが、どうでしょう、中国側の発表で知り得る限りのことでの実験はしたと答弁をいただきました。中国側にいろいろな資料の提供を求めまして、今、逐次来ておりますという答弁もいただきました。浸透するかしないかということでは、これを解明を図ってまいりたいということでありましたけれども、あれからどのように進捗をされたのか。
日本側としての調査として、一枚だけトライをしたということではないでしょうねということをこの前ちょっと聞きそびれましたので、今回改めて確認をしたいんですが、まさか一枚だけ調査をしたわけではなくて、やはり中国と同じように、何十枚、何百枚という調査をして一枚も通らなかったというようなことで三月二十六日の答弁はよろしいのか。この点も含めて、確認をしたいと思います。
○米田政府参考人 浸透実験につきましては、まず、我が国で最初に行いました実験、これについてはもちろん幾つもの枚数でやっております。
それから、中国がマイナス十八度、あと幾つか発表しておりますが、その条件でやって浸透したということに対しまして、こちらとしても、それは直ちに、マイナス十八度なら十八度でやってみました。それは、中国側に本当に通ったのかと、いろいろな資料の提供を求めなければならないので、それが最初からこちらも通るということであれば、それはまたこちらの態度も変えなければいけないんですけれども、そういうわけではないということで、あくまで資料の提供を求めるための前提として、もちろんこれは正式な鑑定というわけではありませんけれども、そのような実験をして、そして通らなかったというものでございます。
○岡本(充)委員 具体的に、何枚実験をされて一枚も通らなかったということでいいんでしょうか。
○米田政府参考人 申しわけございません、ちょっと今資料を持ってございませんので……。
○岡本(充)委員 とめてください、時間。
○中野委員長 では、ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○中野委員長 速記を起こしてください。
岡本君。
○岡本(充)委員 そうしましたら、町村官房長官にお越しをいただきました。ちょっと話をかえて官房長官にお伺いをしたいことがあります。
先般、三月の二十七日に総理が、道路特定財源の一般財源化を平成二十一年度から与野党協議が調わなくても実施をするんだという意気込みというか決意を記者会見で発表されました。これについて町村官房長官は、政治家として、また大臣として、いろいろお考えはあろうかと思いますけれども、明確に御支持をされるということでよろしいんでしょうか。
○町村国務大臣 まことに突然のお尋ねでありまして、戸惑っておりますけれども、総理大臣の方針は、私ども関係閣僚会議をすぐやりまして、これを政府の方針としてしっかり実現していこう、そういう姿勢で取り組み始めているところでございます。
○岡本(充)委員 いや、政府全体の取り組みじゃないです、大臣として、個人として、当然御支持をされているということですねということの確認です。
○町村国務大臣 官房長官として総理の指示をしっかり受けとめて、官房長官として私は仕事をしております。
○岡本(充)委員 非常に微妙な発言ですね。役職として支持をしているという話ではなくて、政治家個人としての信念もあろうかと思います。
○町村国務大臣 個人としてと、私は個人としても賛成しておりますが、個人としての信念をいろいろ聞くというのは、私はいかがなものかと思いますよ。
○岡本(充)委員 いや、大臣のお考えを聞くということは、当然、国会の審議の中でのあるべき議論だと思いますよ。それは大臣としての見解でありますから。
○町村国務大臣 個人としてどうですか、官房長官としてどうですかと、それはお聞きになるのは自由ですけれども、私は、この場に個人として立っているわけではございません。私は官房長官として委員の御質問にお答えしておるわけですから、官房長官としての考えを述べるのが私の務めだ、そういう意味でございます。
○岡本(充)委員 それは官房長官としての務めとしてのお答えもありましょう。しかし、その一方で、政治家たるものとして官房長官の職にあるわけですから、それはお答えをいただいて何ら差し支えはないと思います。
その上で、私は確認をしたいことが幾つかあるわけです。
町村官房長官は記者会見で、これまでもいろいろと記者会見で発表されておりますけれども、とりわけこの四月一日に向けて、各地で混乱が起こるのではないかという旨の話をされていたと思います。実際に、四月に入りましてからは、記者会見で混乱は総じて軽微であったというふうに発言をされておりますが、実際に官房長官として記者会見をする中で、混乱が起こるのではないかという危惧をこれはある意味広めたと私は思っています。
実際のところで、混乱は総じて軽微であったという認識であったと最終的になっているわけですから、これは総理の御意向とはまた別の話でありますけれども、官房長官としての記者会見、国民の皆さんにかえって混乱を起こしているのではないかと私は思っていますし、これまでもさまざま、各種政府の発表として発表をしたり、もしくは政府の見解として御意見を言われる中で、実際にはそうでなかった事案が幾つかあるんじゃないかと思っています。
そういう意味で、今回の混乱、どこでどういうふうに起こったかということは、恐らく今後とも調べられると思いますけれども、ぜひ御発表される前には、余り過度な逆に混乱を起こさないようにお願いをしたいということを申し上げておきたいと思います。
○町村国務大臣 いろいろな想定はありました。実際、混乱は私、なかったとは申し上げませんでした。資源エネルギー庁が各経済産業局の出先を総動員して、どんな状況にあるかということを日々報告を受けております。車の列ができたところはそう多くはなかったけれども、現実にはありました。在庫が一時的にせよ欠乏した、そういうSSもありました。したがって、それはやはり混乱が生じないように、それぞれの消費者の対応もそうであったでしょうし、またSSも、あるいは元売もそうした混乱が起きないような努力を事前にされたがゆえに、混乱があったとしても、それは比較的軽微なものにとどまった、こういうことであって、私は、そこでやはり国民の皆さん方が賢明な対処をされていただいているんだなということをむしろ感謝しているわけでございます。
しかし、そうした目に見える混乱とは別に、むしろ大きな混乱が起きていることも私は会見では申し上げております。それは何かというと、例えば、各地方自治体が予定された税収が入ってこないことによる予算の執行上の問題点、これは今すぐに日々どうこうということは目立ちませんけれども、しかし、これは本当に大きな問題であります。きのうも、各県の県会議員を代表する方々が私のところにお見えになり、るるそのことをおっしゃっておられました。そうしたことも、車の列のように目には見えないけれども、実は大きな混乱が現に生じているということも私はあわせて記者会見で申し上げております。
○岡本(充)委員 その今の話は、まさに、記者会見で混乱を呼び起こすのではないかということの危惧を私は指摘したわけです。それだけでも、内閣のスポークスマンたる町村大臣がお話をされて、それをあたかも国民の、だから、例えばSSの前で大行列ができるとか、パニックが起こるかのようなことは実際にはなかったということを確認していただきたい。そういうイメージで国民の皆さん方がとらえられると、これは私はやはり広報のあり方としてどうなのかという疑問を呈しているわけです。
それで、きょうは、このCabiネットという雑誌についてもお尋ねをしたいと思っています。
このCabiネットという雑誌、発行日が二〇〇七年度は六月一日、六月二十日、七月二十日、八月十日、八月二十五日、九月十日、どんとあいて三月五日、三月十五日、四月一日、こういう非常に不可解な発行をされておるわけですね。九月の十日以降ずっとあいて、三月の五日に発行を始めたと思ったら、三月五日、十五日、四月一日と立て続けにこれを発行しているんです。こういう発行の仕方になった理由を確認したいと思います。
○高井政府参考人 Cabiネットでございますけれども、当初、毎月一冊以上発行していく予定でございましたけれども、総理の交代に伴いまして編集方針を再度確認し、見直したわけでございます。その上で、より政策中心にCabiネットを編集していこうということでございまして、それまで温めておりました食品の安全、住宅の問題、サミットの問題ということを三月に三回出したということでございます。
○岡本(充)委員 これは、そもそも契約はどういうふうになっていたんですか。
○高井政府参考人 十九年度、このCabiネットの製作は一般競争入札、総合評価方式で業者を選定いたしまして、社団法人日本広報協会が落札したということで、年間この製作を請け負っていただいているということでございます。
○岡本(充)委員 年間九回の約束だったんですよね。九回の約束だったのに、当初から、六月一日、六月二十日、七月二十日、八月十日、八月二十五日、九月十日と、このペースでいくと九回の発行では追いつかないという話になってしまうんじゃないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
○高井政府参考人 ちょっと正確には覚えておりませんが、たしか年間二十回の発行を予定しておったと思います。
ただ、先ほど申し上げましたように、総理の交代に伴いまして編集方針を見直して、政策中心にするということで、少し間があいたわけでございますけれども、その上で、見直した上で発行をしたということでございます。
○岡本(充)委員 これは何部発行して、実際何部読まれているんですか。私が見てきたところでは、かなり野積みというか積んだままになっていて、広まっているとは思えない状況でした。
ちなみに、今、落札をされた社団法人日本広報協会、役員名簿というのをいただくと、会長は自治事務次官OB、それから理事長は内閣府大臣官房付、役員、常勤の役員はお一人ですが、これがやはり公務員OBであって、職員も、事務局長は恩給局の元恩給審査課長さんということになっているようです。
仕事の内容も、これは十八年度、十九年度をいただきましたけれども、十八年度は二億三千三百九十六万円余で、随意契約が一億二千六百万弱、それから十九年度も随意契約が六千八百万円ということで、かなりの収入の内訳を占めておりまして、この団体の年間の予算を見ましても、中央省庁と地方公共団体からの委託等を含む事業がその八割を超えるぐらい占めているというような状況ですね。
こういうような団体であるという点も、かねてから民主党が指摘をしておりますような随意契約の見直しのあり方、公務員のOBの再就職のあり方、こういうものとも絡んで、どうしても純粋に広報だけに見えなくなってきてしまうというところもある。組織の問題もあるし、それからこの発行のあり方も含め、先ほど言った冊数と、駅にぼんと野積みで置いてあるというような状況では、皆さんなかなか読んでもらえないんじゃないかというような点も踏まえ、どのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
○高井政府参考人 Cabiネットにつきましては、十九年度から形態を変えまして、それまでは買い取って値段をつけておったのでございますけれども、この時代でございますので、フリーペーパー化しようということで、十九年度、形態を改めました。そして、部数を一回当たり十万弱から十六万八千五百部にふやして積んでおるわけでございますけれども、先生も御指摘のとおり、十九年度から形態を改めておりますので、まだ今その取り上げられ方を十分調査しておりますので、これからいろいろ改善を加えていきたいと思っております。
○岡本(充)委員 何部つくって何部皆さんにお読みいただいているかというのもわからない、積んでとりあえず置いておくというだけで一億円以上のお金を使っているという話では、広報のあり方としてどうかという問題を指摘させていただいているわけです。平成二十年度にもう入りましたけれども、見直していただきたいと思います。
さて、先ほどの質問に戻りますが、ギョーザの袋の検査の件でありますけれども、枚数の方がはっきりしましたようですから、お答えいただきたいと思います。
○米田政府参考人 実は袋は、兵庫と千葉というのは製品が違います。中国が専ら発表したのは兵庫でございますので、兵庫についてお答えをしたいと思いますが、私どもは、兵庫のものにつきましては八枚で実施をしております。うち七枚はそもそも日本で最初に検査をした。あとの一枚は、先ほども申し上げましたように、中国がそういう発表をした、いろいろ問い合わせをするためにとりあえずの実験をした、マイナス十八度で実験をしたというものでございます。
○岡本(充)委員 枚数が、中国に比べてかなり少ない枚数ですね。これは私、きのう質問取りに来られた方にもお話ししたんですけれども、枚数が少なければ、フォールスポジティブ、フォールスネガティブとあるんだ、したがって、ある一定の枚数を調査しないとわからないんじゃないかと。
改めて刑事局長にきょうはお願いをしたいと思うんです。刑事局長が指示できるというわけではないとは承知をしておりますけれども、これは改めてある一定の枚数をしっかり検査して、中国以上に、中国が六十八枚であれば我が方は百枚とか二百枚とか検査をして、本当に通らないんだということをやはり国民の皆さんに発表していただきたい。前回もお話ししたとおりです。
これをやっていただかないと、あれは通ったんだか通らないんだか、袋の問題なんだか違うんだかわからないという状況のままほうっておかれると、このCabiネットでも、原因究明は頑張る、こう表明されているんですね、三月五日号では。原因究明を今後とも進めていくという決意を、この一番最初のところでしたかね、内閣府の国民生活局長さんがお話をされているし、ちなみに、きょうお越しの岸田大臣もここに載ってみえる。
こういうようなことで、食の安全について広報しているわけですから、きちっとそこははっきりさせて、そして国民の皆さんにお知らせをいただきたいということでありますけれども、それはいただけるのかどうかをお答えいただきたいと思います。
○米田政府参考人 私どもの実験というのは、あくまで刑事事件の捜査の過程での鑑定でございまして、刑事事件として立件するときに裁判所等がそれを証拠として受け入れていただけるかどうか、そういう観点からやっております。そういう観点から、果たして八枚で十分なのかどうかということは検討させていただきますけれども、これは中国が何十枚やったから何十枚やるものだというものではなかろうと思います。
いずれにしても、私どもは、この事件捜査に関しましては、なるべく国民の方に情報を開示してまいりたいと思っております。ただ、捜査でございますので当然言えない部分はございますけれども、そのような姿勢で臨みたいと考えております。
○岡本(充)委員 せっかくですから、岸田大臣、ここにも載って、食の安全について決意を語られているわけですから、今のような状況では、国民がまだ原因について納得していない。したがって、いつごろまでには、その原因について日本政府としてもやはりはっきりしてもらいたいというのを、実はこれは三月二十六日の委員会でも私は指摘をしたんです。ところが、当時の西村政務官が、いつまでにはっきりするとは言えないということで、ちょっとやりとりがありました。
しかし、いつまでにこの原因がある程度わかるんだということについて、全くプレスからも発表されない、あのままさたやみという話では、これは国民の皆さんがやはり安心できないという意味で、ぜひ明確に、このころまでにははっきりさせたいというような意気込みも含め、御答弁いただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 今回の事案に対する対応につきましては、被害の拡大防止、そして再発防止策とあわせて原因究明、これは大変重要な点だと認識をしております。
今御指摘の西村大臣政務官への御質問は、我が国から中国に対して要求してきた資料の分析の結果についての御質問だったというふうに聞いておりますが、この資料の分析につきましても、これは早急に進めなければいけないと考えておりまして、四月二日の関係省庁連絡会議におきましても確認を行ったところですが、この資料につきましても、四月前半には分析を終えるようにしっかり働きかけていきたいと思っておりますし、そういったさまざまな部署で努力を続けることによって、国民から見て安心を感じていただけるような、原因究明につながるような結果を出していきたいと考えております。
○岡本(充)委員 ぜひ御期待をしたいと思います。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
四十五分いただきまして、また引き続きといいますか、私は、非営利法人についての議論を岸田大臣ときょうはじっくりさせていただきたいと思っております。
まず、今政府も進めておられる民間の公益を増進するための制度におきまして、なぜ特定非営利活動法人をそこから今は外しているのか、これについて改めて政府の御見解、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、新たな公益法人改革につきましては、御指摘のように、民による公益増進を図るという目的を掲げて、主務官庁による認可制から、民間有識者による第三者委員会が明確な基準に基づいて認可をする、こうした体制を目指す、これは画期的な改革だというふうに思っております。
そして、この改革を進める際に、御指摘いただきました特定非営利活動法人の取り扱いについて議論を行ったわけでありますが、その特定非営利活動法人につきましては、今のこの社会において大変大きな役割を果たしていただいている、そして多くの法人が今存在をしている、こうした現状を踏まえ、そして、その設立の要件等も異なる等、いろいろな条件の違いもあります。さまざまな諸条件がある中で、関係者の御意見もしっかり聞かせていただいた上で、どう取り扱うかという議論が行われ、そして、結果としまして、特定非営利活動法人につきましては現状の形で御活動いただき、そして新たな公益法人改革につきましてはことし十二月スタートをさせていただくという判断に至ったということでございます。
○市村委員 今四つおっしゃっていただいたと思います。
まずは、特定非営利活動法人が社会で大きな役割を果たしているだろう、第二番目に、数が三万三千ということでありますけれども、かなり多いということ、それから三番目に認証という、今回は特定非営利活動法人は認証なんですが、そういう法人格の認め方の問題、それから、関係者の御意見をお聞きになられたという四点で、特定非営利活動法人については今回はこの新しい制度には入れない、こういうふうに今私は理解したわけでありますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
○岸田国務大臣 今申し上げたのは、大きくその四点かと存じます。それを中心に幅広く御議論をいただいた結果だというふうに思っております。
○市村委員 では、まず大きな役割というところから私は議論をさせていただきたいと思います。
この委員会でも、私は再三、現状を申し上げさせていただいていると思います。もちろん特定非営利活動法人が意味がないということを言っているつもりはありませんが、もう制度も十年たってきまして、現状を見ると、例えば、調査報告とかも出ていますけれども、平成十七年度における市民活動団体基本調査ということで、特定非営利活動法人の運営上の課題ということで、やはり一番大きな悩みは、活動資金が不足している、実に七割を超える団体がそういうふうに言っているわけですね。それから、スタッフ数が不足している、五二・四%。こういうことで、結局お金と人がいない。これは組織にとって致命的な問題であるわけでありまして、これが三年前の調査ということでありますが、既に三年前でこういう状況である。
では、それがこの三年間、好転しているかというと、好転どころか逆にもっと悪化しているというふうに私は認識を持っております。というのも、例えば、介護保険に基づいて介護活動をやっている団体というのが特定非営利活動法人にはかなり多いわけでありますけれども、この三年間を見ますと、介護保険に対する大きな改革もありました。そうなると、もう撤退せざるを得ない、もう活動できない、こうした悲鳴を上げていらっしゃる団体も大変多いわけであります。だから私は、この三年間、恐らく状況は悪化しているだろうと思っています。
ですから、大きな役割を果たしているという部分が、どの団体がどう大きな役割を果たしているのかということが、実はまだ漠とした議論だろうと思うんですね。次の数の問題にもかかわってくるんですが、三万三千もあるからそれは大きな役割を果たしているんだろう、そういうふうにもちろん想像できなくもありません。三万三千もあれば、いろいろな団体があって、それは活躍してくれているんだろうと。
それはもちろん、この制度を利用して、かなり制度的には不十分ながら一生懸命頑張っている団体もあるわけです。しかしこれは、特定非営利活動法人制度があるから頑張れているんじゃなくて、そもそもどういう制度状況であろうと、志高い人が、ない中で何とかいろいろな知恵を絞りながらやっているというのが現状なんですね。これは実は特定非営利活動法人制度が導入される前も同じような状況だったんです。
しかし、それではいけないと。そうやって社会のために一生懸命やってくださっている方たちがいて、組織的にやっている。一、二年ぐらいはみんながお金を出し合って、よし、やろうよとやっていても、だんだんだんだん疲弊していくわけですね。だから、こういう状況をもっと支えるような基盤となる制度をつくらなくちゃいけないというのが、このNPOの議論なんですね。それで一定の形として特定非営利活動法人というものができたんですけれども、やはりさっきから申し上げているように、大きな役割を果たしているということについては私は疑問だと。
もちろんそういうお志を持ってやっていらっしゃる方も多いと私は思いますが、客観的に見た場合、なかなか、これもこの委員会で申し上げましたが、立ち枯れ状態になっているんじゃないかな、こう思わざるを得ないんですね。
二番目の数の問題についても、数が三万三千あるからこれはなかなか変えられないのだという話かもしれませんが、例えば公益法人も、今は二万六千ぐらいなんでしょうか、かつては二万七千、八千ありましたが、これだけの数があっても今回は変えられるわけですね。つまり、数が問題じゃないわけです。数が大きかろうが、とにかく今の制度に問題があるからしっかり改めていこうということで、公益法人、民法法人の改革もしているわけですね。だから、数が多いから変えられないんだという話ではないと私は思うんです。
だから、大きな役割を果たしているからという点についても疑問でありますし、数が多いからといって変えられないのであれば、公益法人も二万七千もあったら変えられないというロジックになっていなくちゃいけなかったんですけれども、今回、私は大変評価していますが、変えるわけです、民法三十四条を削除するわけです。大変、大改革をしているわけです。そこまで踏み切ったのであれば、今この特定非営利活動法人の現状を見た場合、これでいいのかということを、これはやはり客観的にしっかりと見直していくべきだと私は思います。
それから、今度の、一般社団、一般財団は登記だ、特定非営利活動法人は認証だということで、またこれも違うから特定非営利活動法人は存置すべきだというような御意見かもしれません。しかし、前にも何回もこの場でも申し上げておりますが、そもそも特定非営利活動法人を入れるときの議論、その前提となる議論においては、まさに今回政府でお進めされているような、一般社団、一般財団のように、準則主義的に登記で法人格を取得する道を開きたいというのがみんなの要望だったんですね。これはぜひとも見てください、皆さんの要望はそうだったんです。だから今回、政府はそこまで踏み切っているわけです。ということは、特定非営利活動法人の皆さんにとってみれば、認証よりもこっちの方がいいと思うに決まっているんですね。あのときの議論はそうだったんです。
この間も申し上げたように、制度のことはほとんどみんな知りません。別に制度があるからやっているわけじゃなくて、何かやろうとしたときに、どの制度がいいかということで、たまたまこの特定非営利活動法人という制度があったから利用しているという話であって、別に、制度があるから、それがとうといからという話ではないんですね。
今の言い方はちょっとわかりにくかったかもしれませんが、すなわち、例えば株式会社を起こす人が、株式会社の法律を見て、ああ、こんな美しい法律があるから私は株式会社をつくりましょうなんということは思わないわけです。特定非営利活動法人制度は、どこかそういう、今申し上げたようなところがあるんです。法律があるね、いいね、だからつくろうか、本来そういうのはおかしいわけです。株式会社の法律が美しいからといって、それで株式会社をつくりましょうとは思わないんです。もっと違う、まずいいサービスを消費者に提供して、喜んでもらって、もうけさせてもらって、株主にもそれを配当しましょうということでやっているわけでありまして、法律が美しいから、法律がいいから株式会社になりましょうという話じゃないんですね。特定非営利活動法人については、実はそういうところがあるということなんです。
だから、何か制度論で、例えば認証だからいいとかなんとかというのはどうでもいい議論だと私は思っています。それよりも大切なのは、まさに政府もおっしゃっているように、大臣もおっしゃっているように、民間の公益活動をどうやってこの日本という国に花開かせるのかということが大きな目的だろうと思います。
それから、関係者の意見ということですが、これが私、不思議なんですね。私が聞いている関係者の意見は、少なくとも政府がおっしゃっている関係者の意見とは全く違うと私は思っているんですね。一体どなたが何をおっしゃっているのかわからない。
私が特定非営利活動法人の何人かの方に、実はこういう制度があってということで、今私がここで議論していることをお話しするわけです。そうすると、それはそうであってほしいとおっしゃるわけですね。しかしと私が申し上げるわけです。どうも皆さんの代表とか称する人たちがこれを外してくれと言っているそうなんですが、知っていますかと言ったら、そんなこと全然知りません、だれがそんなことを言っているんですかと、話がこうなるんですね。一体だれの意見をとって関係者の意見としているのか、私はこれもよくわからないんです。少なくとも私がお聞きしている御意見とは違うんです、これは。
だから、かつて小泉さんが人生いろいろとかおっしゃいましたけれども、いろいろ意見はあるんでしょう。しかし、いろいろ意見があったとしても、政治家というのは、いろいろ違う意見がありますが、それをしっかりと踏まえてこういう国会で議論して、しっかりと調整しながら一つの制度をつくり上げていくべきものだと私は思っています、霞が関の皆さんと協力しながら。
だから、もちろん意見を聞くことは大切なんですが、しかしそんな、三万三千団体全部の意見は聞けません。しかも、三万三千掛けるスタッフ数がいて、そうしたら何十万人という関係者が特定非営利活動法人にはいるわけですね。これは全員に聞いていくわけにいきません。だから、いろいろな方にある程度の意見をお聞きして、集約して考えてみると、やはり、ああ、皆さんが求めているのはそうなんだなということに落ちつかざるを得ないんですね。
かつ、私の場合は、この特定非営利活動法人を入れるときの制度に、ある種、中心的にかかわった一人だと思っていますので、あのときの議論から考えると、先ほどから申し上げているように、まさに今回政府が進めようとしているような制度というものを、あのときに私たちは求めたんですね。だから、異存ないはずなんです。今、特定非営利活動法人になっていらっしゃる方たちも、そういういい制度があるならそっちに入りたいと思うはずなんですね、素直に考えれば。だから、何でそれを、いや、関係者の意見があるからというふうに排除されるのかわからないというところでありますが、岸田大臣、御見解をいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 市村委員からいろいろと御指摘をいただきました。
幾つかの御指摘の中で、まず、活躍の部分ですが、今、特定非営利活動法人が現状どれだけ活躍しているのかというところですが、例えば、内閣府においては事業報告書等の提出、これは対象法人に対して提出をお願いしているわけですが、こうした書類の提出につきましても、督促書を発送しても提出がなかった割合というのは六・三%程度だという資料があります。また、三年連続して事業未実施と記載された法人、これも全体の四・二%という資料があります。これは、裏返して言いますと、それ以外の多くの法人は実際に活動をしておられるというふうに認識しております。
また、こうした特定非営利活動法人に対する支援ということにつきましては、認定非営利活動法人制度という制度を設けて寄附を促進していく、こうした制度を設けているわけですが、平成二十年度の税制改正においても、こうした内容を改正して充実させることによって、しっかりとした支援体制を充実させていくことに努めているわけであります。そして、寄附だけではなくして、人材あるいは情報、こういった面でも支援するということで、特定非営利活動法人制度をしっかりと支えていかなければいけないということで努力をしているところであります。
こういったことから、先ほどの数字に加えて、こうした努力によって、現在、この日本の社会において、こうした関係者の皆様方に大変大きな役割を果たしていただいているというふうに認識をしております。
そして、二つ目の御指摘で、数が多いから新しい制度に合流することはできないんではないかと言っていたけれども、やはり数が多くても新しい制度はスタートするんではないか、この辺はどうかというような話がありましたが、これにつきましては、やはりこの二つの制度は、認可なのか認証なのか等も含めて、要件が異なるということもありますし、そして、こうした要件を備えて、その制度をスタートさせた後の、寄附ですとかさまざまな優遇制度等も違いがあるわけでありますし、やはり選択の幅を持つということは大変重要ではないかなというふうに思っています。民による公益の増進を果たすために、こうした制度において、選択の幅をしっかりと確保するということは大切なことではないかなと思っております。
準則主義についても御指摘をいただきました。この制度を議論する際に、有識者会議の中でも準則主義について御議論があったということ、私も資料を拝見したことを記憶しております。こういったさまざまな議論の中で、とりあえず、選択の幅を持たせた上でこの制度をスタートするという結論になったというふうに認識をしております。
そして、関係者の意見についても御指摘をいただきましたが、この制度を議論する際に、そして構築していく際にさまざまな御議論をいただいたということで、その点について、市村委員と私が把握している意見と、ちょっと食い違いがあるという御指摘であります。
この辺につきましても、一度検証もしたいとは思いますが、こうした民による公益の増進をめぐる環境というのは、やはり刻々と変化をしていると思います。日本の社会もどんどんと変化をしていると思います。この変化の中で、引き続き関係者の皆様方の意見をしっかりと聞かせていただくことは重要だと思っておりますので、今、十二月から新しい制度がスタートするわけでありますが、この制度のスタートは混乱なくスタートさせたいと考えております。そして、そういったスタートが切られた後も、関係者の皆さんの御意見はしっかりと聞かせていただき、将来に向けてさらに検討する余地がないか、さらにこの制度の改善の余地がないか、こういったことにつきましては、しっかりと考えていきたいと考えております。
〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕
○市村委員 本当にずっとこの議論をさせていただいていて、今、大臣がおっしゃったことも、わからぬでもないといったら終わってしまいますけれども、でも、例えば選択の幅を広げるといっても、さっきから申し上げているように、選択というのは質的に違うものがあった場合に選択になるんですが、これはもともと質的に同じなんですね。変わらないものを、ただ単に、こっちは認証だから、こっちは準則主義だからと、中身がほとんど同じなものをラベルが違うから選択なんだという話にしているようなものだというふうに私は思うんですね。
世の中には、そういうこともひょっとしたらあるのかもしれません。中身がほとんど同じでも、ラベルが違ったらまた売り方も違うし、消費者が持つ印象も違うからいいんだということなのかもしれませんが、そういうものとこういう基盤となる制度というのは、やはり同じじゃないと思いますね。
だから、こういうまさに民間の公益活動を支える基盤となる制度を今つくろうとしているときに、やはりその基盤というのは一つであった方がいいわけですね。しっかりとした土台を築いてあげた方がいいわけです。その土台の上に乗っかって、いろいろな選択肢があるような世界をつくってあげることが必要だと私は思っているんですね。
だから、私の言っている議論は、その土台づくりを申し上げているわけです。土台づくりのところで、選択の幅というのは、こっちの土台とこっちの土台ということよりも、土台は一つだと。非営利組織というもの、つまりNPOを支える土台は一つであって、その土台の上にいろいろな花を咲かせましょうよ、木を育てましょうよ、こういうための土台づくりの議論をしているつもりなんですね。
そのときに、特定非営利活動法人の制度を入れようとしたときの議論を踏まえて考えると、先ほどから申し上げているように、今まさに政府がやろうとしていることはそれだったわけです。だから、皆さんに、そんな十二月一日を待たないでどんどん議論を集約していただいて、例えば公益法人も、民法三十四条法人も、特例民法法人として五年間存置されるわけですね。それで五年の間にどうするかという選択肢を、それこそ選択すればいいわけです。
であれば、特定非営利活動法人も、五年間存置して、そこに一緒に入れる、取り込む、そして五年の間にどうしますかという議論をしていけばいいと私は思うんですね。急になくせと言っているわけじゃないです。だから、公益法人と同じようにやってあげればいいんじゃないかなと私は思っているんですね。
それで、五年間もありますから、そのうちに、今、岸田大臣がおっしゃったように、世の中の情勢がいろいろ変わるかもしれません。そうしたら、そのときにまたそこで新しい議論が行われるかもしれません。でも、一応入れておくということで、五年間ですから、これは五カ月だったら厳しいかもしれないけれども、五年もあるわけですね。今のこの時代、五年もあると、これははっきり言ってさま変わりするんですね。十年前と今日の日本とを考えたら、本当にさま変わりしているわけですね。
だから、そういうことを考えると、五年という長い期間をいわゆる民法三十四条法人にも与えているのであれば、特定非営利活動法人にも与えて、そしてまさに選択してもらう方が、私はこれまでの、十八年来のこのいろいろな議論を見てきて、それが自然であり、素直なものだというふうに思うんです。
なぜそれをあえて、いや、こっちは認証でこっちは準則主義だからこれは選択が広がるんですとか、要件が違うから選択が広がるとかいう話に、あえてそこに、私は、何か苦しいんですね、お聞きしていると。どうしてそういう苦しい説明をしてまでこの特定非営利活動法人制度を存置しなくちゃいけないのか、残さないかぬのか、本当に私には理解ができないんですけれども、大臣の御意見をいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 この制度の議論につきましては、これまでいろいろな議論が行われ、そして今日もいろいろな意見や議論があるということ、御指摘のとおりだと思います。
そして今、委員のお話を聞いておりまして、今この政府として行おうとしている改革、そして私自身の考えも、基本的には委員の考え方とそんなに方向性や中身に違いはないのではないかと感じております。要は、今、時代がどんどんと変化している、世の中も変化している。走りながらこうした制度も見直していかなければいけない。そういった点では同じスタンスなのではないかなというふうに思っています。
今、委員の方から、とりあえず一緒にした上で、またこの見直しも考えたらどうかというお話がありました。
今、政府としましては、とりあえずこの新しい公益法人制度、これは委員の方からも、八割方、内容に満足しているという評価のお言葉をいただいたのも記憶しておりますが、そういった評価をいただけるような制度をとりあえず十二月、スタートいたします。
しかし、これは最終的な結論ではないと思っています。時代の変化とともにまたしっかりと見直しをし、新たなよりよい制度がないかどうか、こういった検討を続けていくということ、これは当然のことだと思っています。
このように、まずはひとつ、政府としては新しい制度をスタートさせ、そして不断の見直しを行っていく。このスタンスを大切にしながら、また委員等関係者の皆様方の意見もしっかりと聞かせていただきながら、よりよい制度を目指していく、こういったスタンスは大切にしていきたいと考えております。
○市村委員 私は、本当に岸田大臣のおっしゃることも理解できるんです。
ただ、何度もさっきから申し上げているんですが、基盤づくりというのはやはりしっかりとしておく。もちろん、いろいろな時代の変化に応じて、いろいろな制度というものは、このNPOの制度に限らず見直していくのは当たり前の話なんですね。ただ、やはり基盤だけはある程度しっかりとしたものをつくらないと、基盤がずれてしまったら、土台がずれたらだめなんですね。だからこの土台づくりなんです。
それで、私は、政府のものは八割というか、一応八合目までようやく来た、でも、最後の二合、最後の頂点を目指すときが実は一番苦しいし、危ないんだということも申し上げているんですね、やはりそういう状況にあると。いいところまで来たんです。やっと頂上が見えたんですね。二合目、三合目をうろちょろしていて、どこに頂上があるやらと思っていたら、何か突然八合目までぽんと飛んできて、おっ、あれが頂上かというところまで見えているんです。でも、この最後のアプローチは、これが一番厳しい、険しい。しかし、それをやらないとやはりいい土台はできないという流れなんですね。
やはり公益法人の改革、つまり、これは行政改革から始まった改革なんですね。でも、そもそも何で民法法人の改革が行政改革なのかということは、前もずっと御指摘申し上げていることなんですね。しかし、そのように、本来民法の、つまり民の組織であったものが官の組織になってしまったという反省から、民法三十四条も削除し、この公益法人改革があるわけです。やはりもともと民の組織であったものを民に戻しましょうという話で来ているわけですね。
それで、何とあの公益法人が変わるわけです。公益法人制度が変わるわけです。これはすごいことだと私は思っています。まさに本当に大改革だと思っているんですね。そういう大改革に踏み込んだ政府であれば、これまでの特定非営利活動法人の議論も踏まえれば、当然すべてを取り込んで、非営利法人のというか非営利組織の、NPOの基盤をしっかりとつくろうという話でなければならないと私は思っているんですね。
その議論をさせていただいているわけです。私はずっとその議論をしてきた、その基盤づくりの議論をしてきたわけですね。そのときに、これから変わる、もちろんいろいろな状況があって、いろいろな制度が変わって、いろいろな手直しは必要ですけれども、やはり基盤だけはしっかりとしておかないかぬ。そのときに、やはり特定非営利活動法人の生まれ方から考えて、当然、今回の大きな改革の中に一緒に議論をし、一緒にやっていくのが私は当たり前だと思うんですね、今までの議論とか今までの流れから考えて。
しかも、特定非営利活動法人の皆さんが、いやいや、もうこの制度で十分満足して、三万三千団体がそれこそ、いや、だめだ、もういいんです、これでもう十分やっているのに、なぜそんな制度に入れられるんですかと言っていらっしゃるなら別です。そうじゃなくて、どないしようか、お金もない、人も集まらない、一、二年やってきたけれどももう疲れちゃった、こういう話になっているんですね。
だけれども、一応、未実施四・二%、何とか頑張っているんです。多分、年に一回か二回集まって、どないしようかという話をしているのも実施ですよね、これは。報告書ぐらいは何とかつくれますよ、それは実態は。それで一応法人格だけは維持していこう、せっかく認証を受けたんだからと、こういう気持ちだと思いますが、しかし、これからどないしたらいいんかなという話に現在なっているわけじゃないですか。
なぜそうなるかというと、やはり資金なんですよ、人なんですね。もっと言えば、まず資金なんですね。資金があれば人も雇えるんです。しかし、ほとんどボランティアに頼る組織しかつくれないんですね、今の状況は。もしくは、介護保険とかで政府からお金をいただけるというものか、企業の例えば研究会だったものが、ある程度資産を持っていたから、法人格が必要だったから取ろうかとか、そういうところはこれでいいんです。この特定非営利活動法人でも、今度の一般社団でもいいんですね。
でも、そうじゃないはずなんですね。本当に政府も私ももっと促進しなくちゃいけないということは、民間の公益活動をもっと花開かせようという話なわけですよね。そんな、ちょっと資産があったから、代表者は個人名じゃだめだから、だから法人格を取ろうかというような人たちのために利用していただこうと思ってつくった制度じゃないはずなんですよ、特定非営利活動法人も、今回の政府の進めていらっしゃる公益法人大改革も。そうじゃなくて、民間の公益活動を増進しよう、こういう目的のために、ではどういう基盤づくりをすればいいのかという話だと思うんですね。
ですから、そのときになぜこの特定非営利活動法人を入れないかというのは、やはり僕は理解できないんです。だから、やめなさいということではなくて、公益法人も特例民法法人ということで五年間存置するわけですから、そうしたら、特例特定公益法人とか、何かややこしい、舌をかみそうな名前になっちゃいますけれども、そういうふうにしてあげて、五年間もあるんですから、そのうちに、大臣もおっしゃっていただいているようにまた議論を深めて、国会でも議論を深め、またいろいろな、いわゆるNPOの皆さんの御意見も聞きながら、どうすればいいのか、本当に今の制度でいいんでしょうかということも議論していけばいいと私は思うんですね。何も十二月一日まで待つ必要はないと思います。
これは法律事項なのかな、では、特定非営利活動法人を一部改正して、とにかく特例特定非営利活動法人として新しい公益法人改革制度の中に取り込んでやっていくという話は、そんなに難しい話なのかと私は思います。いかがでしょうか、そんなに難しい話じゃないと私は思いますが。
〔江崎(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
○岸田国務大臣 まず、御指摘のように、基盤づくりが大切だということにつきましては私も同感でございます。
ただ、その基盤づくりにつきましても、本当にいろいろな意見がありますし、また状況は刻々と変化しています。この基盤づくりにおいても、一〇〇%頂上までみんなの意見を一致するというのはなかなか大変なことなんだろうなというふうに感じております。
ですから、今、現実問題、八合目までたどり着いたと評価される制度であるならば、ぜひこの制度をまずは混乱なくスタートさせたいというのが私の思いでございます。そして、スタートさせながら、やはり引き続きしっかりとした議論をしていかなければいけない。
そもそも、民による公益増進という大目的を達するために、多くの皆さんがどんな努力をされているのか、どんな苦労をされているのか、こうした刻々と変化する状況の中でしっかりと実態を把握していかなければいけない、これは御指摘のとおりですし、大切なことだと思います。
こうした努力を、まずはこの八合目までたどり着いたと評価される制度をスタートさせながら、さらに八合目から上を目指せるように努力していきたいと考えているのが私の今の思いでございます。
○市村委員 もちろん、何事にもいろいろな意見があるわけです。しかし、今まで、私は十八年ぐらいやってきていますが、いろいろな方、岸田大臣も恐らく大臣になられる前から自民党の中でことごとくこういうものに御見識があったと私は存じておりますが、やはりもう大分議論してきていると私は思います、もういろいろな意見が聞いてあって。
その中で、政府が今進めようとしている流れは、方向性は、極めていい土台づくりをしようという流れだと私は思っています、一応、表面上。もちろん、それをもっと本当によくしていくためにはまだ踏まえなければいけない課題はたくさんありますけれども、しかし形としては、方向性として見えている部分に関しては、私は、やはり八合目まで来たという評価なんです。
ただ、もちろん一たん頂上を目指しても、私の今目指している頂上は富士山かもしれません。でも、ひょっとしたら、ある人にとっては、富士山の頂上に登ったら、次はエベレストへ行きたいと思うかもしれないですね。だから、別に頂上が一つだけじゃないわけでありまして、一つのことを達成したら、次にまた登ろうという話になっていると思います。
今私が申し上げているのは、一つの山の八合目なんですね。しかも、ここまで政府が思い切って踏み込んだんですね。民法三十四条を削除するというのは、私もずっと言い続けてきましたけれども、本当になったのかということで、私はすごく感慨深かったんです、あの日が。これはすごいことだぞ、本当に革命的なことを、大転換を政府はやられたなというふうに思っているんですね。
だから、そこまでやっているのであれば、あとちょっとじゃないですかということなんですね。もうあとちょっと今の制度を手直しすれば、もっといい基盤になるはずなんです。しかし、もちろんそれで終わりじゃありません。基盤に対しても、ちょっとこの基盤もということがあるかもしれません。しかし、一つの結論に達するときに、あと一歩まで来ているということだと私は思っているんです。
だからそれは、例えば、前もここでも申し上げましたが、一般社団、一般財団ではなくて非営利財団、非営利社団というふうな形にいわゆる法人格名を変えて、まさにこれがNPOですよ。一般社団というのは、一般とは何ですかという話にまたなるんです、これははっきり言って。非営利社団、非営利財団に変えて、まさにNPOに法人を与える一般的、包括的制度をつくり上げよう。
そこには、当然、今の公益法人、中間法人だけじゃなくて、特定非営利活動法人もあれば、それから今の学校法人とか社会福祉法人、あと共益法人と思われる例えば農協、生協、それから、これはちょっとまた違う観点からの議論も必要なんですが、あとは同窓会とか、労働組合もそうですけれども、こうしたものも取り込んでいく。
やはり一つの非営利法人の、NPOの体系をしっかり形づくって、それに対して、今回政府もお進めされているような税制優遇を与える道をつくっていく。それも整理が要ります。公益法人だけじゃありません、やはり共益法人にもある程度の税制優遇の道を開くことも必要なんですね。だから、その共益法人の議論も今回抜け落ちているんですね、今の話からすると。きょうはしません、共益法人の話は。
しかし、まずは、ほぼ同じ思いでつくろうとしていた特定非営利活動法人ぐらいは、学校法人、社会福祉法人を入れるという議論は、それこそまた政府からすれば、大問題だ、これはまた大きな議論が必要だという話になるんでしょうけれども、せめて特定非営利活動法人は、前も申し上げましたけれども、入れてあげるというか、皆さんに、ほとんどの方は制度を知りませんから、申しわけございませんでした、本当にプロトタイプで申し上げました、ある種、試験機みたいなものをこれまで利用していただきました、一号機を利用していただきました、この一号機はなかなか使い勝手も悪かったですね、でも、皆さん、いろいろな工夫をしながらこの一号機を使っていただきました、ありがとうございますということですよね。しかし、ようやく皆さんが求めていたすばらしい製品ができ上がったんですから、今まで御努力いただいた皆さんには、十年間御努力ありがとうございました、では差しかえさせていただきます、交換させていただきますということが、私はやはりあるべき姿だと思っています。
まだ一号機で一生懸命努力されている、政府がこれはいいんですよと出した一号機で大事に大事に一生懸命やっていらっしゃる方もいるんですね。やっていたら、そのうちに、向こうで何かみんなわいわい騒いでいるぞ、行ってみたら、あれ、何だ、あれが我々は欲しかったんじゃないかと。そうしたら、これ、いいでしょう、では買ってくださいと言ったら、これは怒りますよね。今まで苦労した我々は何だったんだとなりますよ、これははっきり言えば。
だから、今回こういういい商品ができ上がりました、皆さんがまさに求めていたものに近い、ようやく八割まで近づきましたから、どうぞ皆さん、今まで一号機で、プロトタイプで本当に御苦労いただいた皆さんには、交換させていただきますという意味で、やはり今回この新しい制度に、お待たせしました、こういう皆さんが求めていた制度ができましたから、どうぞ入ってくださいと。
もちろん、これはいろいろまだ考えていくこともあります。公益認定等委員会のガイドラインの問題というのはこれから大きな問題になってくると思います。やはりハードルを下げていく、そして皆さんが求めていた税制優遇までなるべくハードルを低くしてたどり着けるような道をつくりますから、どうぞ入ってくださいということの方が私は親切だと思います。みんなそれを求めています。
そう言えば、恐らく、制度を知らないけれども、ありがたい話だ、道理で、これはなかなか使い勝手が悪いなと思っていたら、そういうことだったのかと。でも、政府はよく私たちのことをわかってくれている、これで苦労した私たちに、新しい制度ができたからどうぞと言ってくれているんだ、ありがたいことだと。
よくよく聞くと、まず同じような状況になって、非営利社団になるのかな、非営利社団という名前なのか、特定非営利活動法人から非営利社団法人と、非営利法人になるんだな、ようやく特定が取れるな、よかったよかった、一般だ、特定というのは何かよくわからなかったな、一般にやっとなってくれたんだな、非営利法人だ、まず私たちはNPOですと。
その中から、ハードルを低くしたガイドラインによって、いわゆる特増並みになっていく、そして寄附を求めやすい制度をつくる。もちろん、寄附だけでは成り立ちません、収益事業も必要です。しかし、今までは努力のしがいがなかったわけですね。つまり、お金をもらいたい、どこかに寄附してくれと言っても、今までは寄附してくれる人がいなかったわけです。
だから、まず、新しい制度においては、NPOにお金が回るような制度、例えば国税の税額控除十万ぐらいを入れて、そうすると税金が、国に十万行く分がこっちのNPOに十万入るわけですね。そうしたら、多分、最低でも何千億円規模の、NPOに行くお金のプールができると思います。そのプールができた段階で初めてファンドレージングになるんですね。お金をぜひとも私たちに出してください、寄附してくださいという努力が生まれてくるわけですよ。今ファンドレージングしようとしても、レーズするファンドがないわけです、日本には。だから、これで幾らNPO頑張ってくれといったって、頑張れないんですね。
だから、そういうふうにしていろいろな制度を入れながら、そしてNPOに回るお金をつくって、そして今回の中に入ってもらって、寄附優遇までたどり着いていただいて、そして寄附を求めに行く。しかし、ちゃんとした活動をしなかったら寄附も集まりません。だから、これからは本当にNPOの努力が問われてくるわけです、個々のNPOの努力が問われてくるわけですね。そういう制度にしてあげなくちゃならないわけです。だから、そのために、今の政府がやろうとしている制度は、僕は、表面上はなかなか、八割ぐらいまでいっているなという思いです。
しかし、前も申し上げましたように、今の公益認定等委員会というのは、過去の清算もさせようとしているわけですね。要するに、天下り先になってしまった公益法人を何とかしなくちゃいけないという過去の清算までさせようとしているわけです。しかし、それは公益認定等委員会の役割じゃないと僕は思っているんですね。まさに今ここで議論させていただいているような、これからどうするんだ、民間の公益をどうこれから日本に花開かせていくのか、こういう前向きな、未来に向けた議論をすべきなのが公益認定等委員会だと私は思っています。だから、そういうものとして、もう一回議論を組み直していっていただきたいと僕は思っているんです。そうしたら、おのずとその結果は、特定非営利活動法人もやはり一緒にやるべきだなというふうになるはずですから、僕はそういうふうに思います。
せっかくいい方向になっているわけですから、もう一度議論をしっかりと組み直すこともしていただきながら、特定非営利活動法人も十二月一日までに一緒に入れるということでぜひとも御検討いただきたいと思いますが、最後に岸田大臣の御見解をいただいて、終わります。
○岸田国務大臣 きょうも市村委員から大変貴重な御指摘を数々いただきまして、大変参考にさせていただきました。
その中で、おっしゃった中で、要は、エベレストを目指すのか、富士山を目指すのか、目指す頂上は一つではないという御指摘、そのとおりだというふうに思います。だからこそ、一つの山の八合目までたどり着いたと言われているこの制度を、ぜひ混乱なくしっかりとスタートさせていただきたいというふうに願っております。そしてまた、八合目までたどり着いたと評価されたこの制度を混乱なくスタートさせることによって、次はどの頂上を目指すのか、ぜひ市村委員ともしっかり御議論させていただきながら、しっかりと目指す方向を検討していきたいというふうに考えております。
○市村委員 どうもありがとうございました。
○中野委員長 次に、岩國哲人君。
○岩國委員 おはようございます。民主党の岩國哲人でございます。
本日は、大田大臣に参議院とかけ持ちで大変お忙しい御日程の中を御調整いただきまして、心より感謝いたします。
まず、大田大臣に、日本の経済、その中で株式市場を中心に、それからまた内閣府としての、いろいろな統計を発表されたり世論調査もされます、そういう広報体制の幾つかの問題点について質問したいと思います。
まず最初に、株式市場に関しまして、我が国の株式市場は、よその国も不振なマーケットもたくさんございますけれども、その中でもとりわけ下落率が高い。まず、この株式市場というところについて、私もそういう世界に長年おりましたけれども、株式市場というのは、その国の活力を大きくし、そして産業を支える資本を形成する場であるということ、これは大変重要な存在であります。また、資本主義社会の中では、お金そのものが生き生きと働いていく、お金そのものの雇用の場でもあります。人にとっても雇用の場が大切であると同じように、お金も働きたい、お金も働く場所が欲しい、それを提供するのはやはり政治の大切な役割だろうと私は思います。そして、三番目、最後というよりも一番大切なことですけれども、国家財政に貴重な税収をもたらす大きな財源であります。
こういう財源という観点から、そして、国民の暮らしにも資産の形成、資産の増加をもたらす、安心できる暮らしをもたらす支えにもなるわけです。国の財政再建ということを口にする福田内閣として、税収の貴重な財源であるという取り組みが、私は、非常に気迫において欠けていると思うんです。そういう株式市場という大きな財源、それが遠くにあるのではなくて、この国会からわずか五キロメートルぐらいのところにそういう大きな資金源がある。霞が関の埋蔵金だとか、年金会計では埋没金だとかいろいろ言われますけれども、そういう税収源、資金源がすぐ見えるような近くにあるところに対して、もっともっと真剣に取り組むべきだ。諸外国の例を見ましても、そのように思います。
そういう視点から、まず、我が国の株式市場、経済のバブルと言われた、バブル絶頂期のときから株式資産はどれぐらい減っているのか。一年前のピークのときから、わずか一年の間にどれぐらい減っているのか。三番目、最後ですけれども、福田内閣になってから株式資産は幾らふえたのか、減ったのか。この三つをお答えください。
○大田国務大臣 先生御指摘の株式資産につきまして、東証一部の株式時価総額ということでお答えいたします。
バブルのときの最高値は五百九十・九兆円でした。それから、昨年の最高値は五百八十一・三兆円でした。福田内閣発足時は五百三・七兆円でございます。一番近いところ、直近、ことしの四月三日で四百十七・九兆円でございます。したがいまして、バブルのときとの差は百七十三兆円、昨年の最高値との差は百六十三・四兆円、福田内閣発足時との差は八十五・八兆円でございます。
○岩國委員 大切な道路をつくろうというのが十年間五十九兆円。国会の中でも、この五十九という数字は皆さんの頭の中にも焼きついていらっしゃると思います。このわずか一年なり福田内閣になってから、しっかりと株式市場に取り組んでいれば、内閣だけでできることはありませんけれども、もう十年分の道路はでき上がっているわけです。八十五兆円ですか。五十九兆円のあの大騒ぎなし、そして国民は安心、借金もふえない、便利はふえる、国民の活力につながる。そういった単純な話ではありませんけれども、それぐらいに大きな金額なんです、八十五兆円というのは。十年間に五十九兆円をはるかに上回る、十年分の道路をつくって、もう一回道路をつくろうかというぐらいの勢いがこういう財源の中には隠されているということ。
そういう観点から、福田内閣としては、こういう眠っている財源の場、税収の場をどのように活性化させようとお考えになっているのか、何を考えておられるのか。もはや日本は経済一流ではないということを国会でお話しになりましたけれども、日本の経済が一流でなくなったのはことしからですか。そういうことを今ごろおっしゃるということは、去年までは一流と思っていらっしゃったのかどうか、一流でなかったと気がつかれたのはいつごろだったのか、それをまずお答えいただけませんか。
○大田国務大臣 これは急に起こったという話ではございません。製造業は、今回の景気回復過程で再びよみがえって、一流の物づくりになっておりますけれども、実は、サービス産業は、九〇年代の低迷から今に至ってもまだ生産性が低く、低迷しているというような状況がございます。
それから、今先生が御質問くださっている金融資本市場、あるいは空港といったような外との窓口になる点、経済のインフラと申しましょうか、こういう点の国際競争力も、バブル崩壊後じわじわと落ちてきております。
したがいまして、九〇年代、バブル崩壊後の中からじわじわと日本の弱さというものが出てきたように感じております。
○岩國委員 もっとはっきり言うと、もう十年前から一流からは滑り落ちている。十年前、ゼロ金利政策をとるという瞬間から、もう一流国の地位をみずから放棄せざるを得なかったわけなんです。
物づくりでは一流というのは、経済という総合的な通信簿の中で、科目別にはいろいろとまだ一流のものは残っている。それが我々にとっても一つの再建への手がかりになるわけですけれども、しかし、物づくりのインフラ、それからお金のインフラ等々を見ましても、日本はとても一流と言える存在ではなくなったことは、もう十年前から明々白々なんです。
よその国は、銀行を公営から、官営から、国営から、民営化する。十年前に日本は、その逆方向で、民間銀行を国営化する、公営化する。この辺から、日本はもう一流の経済大国ではなくなったと思います。
預かったお金に利子を払う、銀行で働いたお金がきちんと給料ももらう。人間が働けば給料をもらう、お金は銀行で給料をもらう。そのお金が給料をもらえなくなった。無配、遅配、欠配。この辺から、もう既にお金の面から見ても日本は経済の一流国ではなくなったと思います。そして、それを一番わかりやすく象徴しているのが株式市場の現状ではないでしょうか。
この株式市場というところは、産業に対しても、財政に対しても一つの大きな心臓になる。どういう方策を持っていらっしゃいますか。たくさんいろいろなお考えはおありだと思いますけれども、とりあえず三つぐらいをお答えください。
○大田国務大臣 まず、足元の株安についてでございますけれども、これは基本的に、サブプライムローン問題に伴うアメリカの信用収縮懸念、景気後退懸念に端を発しておりますので、第一には、世界全体の金融システムを安定させていかなくてはいけない。これにつきましては、国際的に引き続き緊密な連携をとることが必要だと感じております。
しかしながら、先生が冒頭におっしゃいましたように、日本はやや下落率が大きいという、日本の株式市場の脆弱性があらわれてきているのも事実です。これにつきましては、お金に働かせると先生がおっしゃいましたけれども、日本の金融資本市場をより厚みのある、活力あるものにしていかなくてはいけません。そのために、昨年十二月に、金融・資本市場競争力強化プランというのを取りまとめました。これを早期に実施していくことが必要だと考えております。
それから第三に、家計の厚みのある金融資産、千五百兆円を超える金融資産がしっかりと株式市場の厚みにもつながり、家計と経済成長の好循環をつくっていくことが必要ですので、例えば、確定拠出年金の拡充を行うといったような形で、家計の老後の資産形成に株式市場の厚みが役に立つというような循環をつくっていくことが必要だと考えております。
○岩國委員 そういった中で、最近、民営化をされた空港あるいは道路公団、郵政公社、こういったところが次々と上場を計画し、あるいは上場を前提に民営化の議論が行われてきております。
最近問題になっております成田空港の、上場された場合の外資に対する規制。この外資に対する規制を行うべきか行わざるべきか。こうした国益あるいは国の安全にかなり近い、あるいは直結しているような存在について、外資規制を行うべきか行わざるべきか、大臣の御意見をここで改めてお伺いしたいと思います。
○大田国務大臣 空港インフラにつきましては、まず安全保障を確保しなくてはならない、一方で公正かつオープンな投資環境をつくらなくてはいけないという、この二つの両立が極めて重要だと考えております。これは二つとも重要です。今後、開かれた国づくりと安全保障をいかに両立させていくかというのは、さまざまな局面で真剣に議論していかなくてはいけません。この空港インフラというのは、その試金石といいますか、日本にとって大変重要な選択肢だと考えております。
したがいまして、まず安全保障については、外資のみならず内資も含めて、内資、外資あわせて議論をしなくてはいけません。それから規制につきましては、行為規制や資本規制のあり方を議論しなくてはいけません。したがいまして、こういう観点から、少し時間をかけて、日本にとってどういう形が望ましいのかというのを検討していくことが必要だと考えます。
○岩國委員 電力とか鉄道とか、かつて、今から三十年前、四十年前は銀行にも、あるいは鉄道にもいろいろな外資の規制がありました。これは一般企業と明確に区分しておったんです。当時としては、私はベストの方針だったと思います。私は、今のようなグローバリゼーションあるいは国際化と言われる中でも、そういう国益を守るという観点を忘れてはいけないと思うんです。
お金は来ればいい、投資家が喜べばいい、それが活性化だというのは、余りにも単純過ぎると思うんです。そういう国は信用されない。自分の国を守ろうとする、そういう強い意思を持った政治家がいてこそ、外国の投資家はその国に投資するんです。いいかげんな政治家ばかりがいるような、そして、外資に対してはドアさえあければいい、それが一番新しい物の考え方だというのは、それは一番危険な考え方。
そういうところへ入ってくる外資というのは、私はそういう世界でお金の気持ちも読むのが仕事でしたけれども、一時的には入ってくるんです。そして、危なくなる前に、危ないリスクは人にパスして、損もリスクもパスして先に出ていく、それが一番スマートな外資なんです。よく言えばスマート。そういう良質でない外資を受け入れたところで、日本の国がよくなるはずがありません。日本に対する尊敬が世界の資本市場の中で上がるわけでもありません。
一部の人間は、何でもそういうことに対して批判は言います。日本はおかしい、おかしいと。そういうことは、あえて無視するだけの勇気と識見を持つ。それが兜町や取引所の人にできないんだったら、この国会がそれをやるべきだと私は思うんです。
私は国土交通委員会でも石原大臣とも、そして小泉総理にも来ていただいて議論いたしました。こういう会社を上場するという考え方そのものがおかしいのではないかと。それは、内資というものは入っていただきたいという気持ちはありながらも、上場するということを前提にしたときから、この問題を既に見ていなきゃいけない。上場が迫ってきてからおたおたしているというのは、いかに先見性がないかということをみずから暴露しているだけの話です。
民営化議論をやるときから、いずれ郵政も出てくるでしょう、道路公団も出てくるでしょう、そういうものを上場しては外資に規制をかける、これが一番悪いこと。上場したら規制をかけない、これが二番目にいいこと。一番いいことは、もともと上場しないことなんです。こういうことは、もともと国営で、公営でしっかりとやるべきことなんです。国が責任を小さくする、国が民間に任せる、それが世界の潮流、そういう浅はかな考え方で、私は、こういう大事な施設や、大事な企業や、大事な仕事を民間に任せる、あるいは外資規制も外していかなきゃならないような上場をやるべきではないと思います。
もう一度、大臣の御意見を聞かせてください。
○大田国務大臣 国益が大事であるというのは、もう先生と同じ考えでございます。上場というものを決めた段階で、ではどうあればいいのかというのをこれから真剣に考えていかなくてはいけないんだと思います。国益が大事ですし、一定の施設については安全保障が大変重要であるという点、これは全く同じ意見でございます。
○岩國委員 ありがとうございました。
今からでも遅くはない、上場はしないという方向を明確に福田内閣は打ち出すべきではないかと私は思います。
日本にも、それから日本の政府にも、政府は借金も多いんですけれども、その程度のお金がないわけじゃないんです。それを、あえて上場し、そして外国からあれこれ言われるようなことをやるよりは、きれいさっぱりと、こういう会社は上場いたしません、もともと民営化したのが間違いでございました、もう一回国営にいたしますという方向を私は望みます。
次に、最近、国家ファンドというのが、シンガポールとかサウジアラビアとか、そういう政府によっていろいろな国に投資が行われています。日本にも既にそういったものの一部投資が行われ、それは、その国にとっても日本にとってもいい関係をつくる上でこの投資というのは認めるべきだとは思いますけれども、一方、それでは世界の経済大国として日本もやはりそういう国家ファンド、政府ファンドというのをやるべきだという意見が一部にあります。
これについては大臣はどういう評価をしておられますか。
○大田国務大臣 政府ファンドを持っている国というのは、産油国でそういう収入があったり、あるいは財政余剰があるという国でございますので、これは日本とは全然状況が異なります。日本は外貨準備高はありますけれども、これは一方で負債の方に、為券、外国為替資金証券を発行して調達しているものです。それから公的年金につきましても、これはいずれ年金として支払う原資でございますので、収益が上がればいいということではないと考えております。
したがいまして、この問題は、やはり収益だけではなくて、では損失が出たらどうするのかということも含めて、資金の性格も含めて慎重に検討しなければならないと考えております。
○岩國委員 私も、そうした議論を見ながら、随分間違ったことを言う人が多いなと。それは、大臣がおっしゃったように、石油から余るだけのサープラス、資産の余剰金ができて、この運用をしなきゃならないという立場、しかも国内への投資が非常に限定されておる、国内への投資がなかなか難しい、したがって海外投資。お金は余っている、投資は海外でしなければならない、この二つの条件を持った国がやるのが政府ファンドだ、そのように私は思います。
そういう常識から考えれば、日本が政府ファンドをやろうかということが一部で議論されておりますけれども、日本は世界で一番の借金大国。お金が余っているというのは、全くそれとは反対のところにあるんです。お金は足りなくて、世界一の借金国。
二番目に、投資対象は国内にたくさんあるはずです。だからこそ、海外からの投資をもっともっとふやそうということを福田内閣としてもおっしゃるわけですから、投資対象は国内にあるはず。それを、投資対象は国内にないかのごとく、政府ファンドまでつくって、しかも、お金が余っているかと思ったら、それは借金ファンドであったり、将来の年金に向ける年金ファンドであったり、そういう偽装された余剰金というものを使って、わざわざ日本の中には投資対象が乏しゅうございますと宣伝するかのごとく外国に投資する。私は、こういう間違った議論は直ちにやめるべきだと思います。
決して福田総理はそういうことに賛成されないことを私は希望して、この問題の質問を終わります。
次に、国民の暮らし、それが政治の第一と我々民主党は叫んで昨年の参議院選挙も戦い、次の衆議院選挙も戦うわけですけれども、国民の暮らし第一という観点から見ますと、今の企業収益が一時よりはかなり伸びてきた、これは大変いいことだと思いますけれども、しかし、伸びた収益、失われた給与、これが起きているんじゃないかと思うんです。
大体、家計という財布の中に入ってくるものは、給与所得のほかに利子所得というのもあります。この利子所得について、ちょっと資料をお配りいただけますか。
この利子所得というのは、どこの国でも大切な存在。そして、日本と一番よく似た経済の仕組みを持っている、そして個人金融資産も非常に大きいという存在のアメリカと比較してみますと、お手元の資料にありますように、過去においては、財布の中に入ってくる家計所得の一割は、暦年の左を見てください、一一・二とか一一・六とか、日本も大体一〇%ぐらいは、奥さんの財布の中に入ってくるお金の一割は銀行の利子で入っておったんですね。銀行だけじゃありませんけれども、いろいろな形の利子で。
ところが、右側を見てください。アメリカは、当時は一三%、一二%、一一%、いろいろありました。今でも一〇%なんです。アメリカの奥さんの財布の中にはちゃんと利子が一割入っている。日本の奥さんはかわいそうに、もうスズメの涙、わずか一%ぐらいしか、ほとんど入ってこない状態に今入っているわけです。
こういう日米の比較を見ただけでも、家計という観点から見た場合に、給与以外の収入から見ますと日本はアメリカの十分の一の存在になってしまった。私は、これは大変なことだと思うんです。
ゼロ金利政策がもたらしたのは、いろいろなプラスの面もありますけれども、一番のマイナスを受けたのは、こういう年金生活者、高齢者の人、資産で生活していらっしゃる人。あるいはサラリーマンの中でも、家計、その中でなけなしのお金を貯金したり債券を買ったりされた方。債券を買っても利子が入らない、銀行へ預けてもお金がそこでただ働きをさせられる。お金がもう銀行へ行くの嫌だと、たんすの中で寝たきりでしょう。寝たきりおばあさんと寝たきりマネーがどんどんふえる。寝たきり高齢者の方もお気の毒。これはまた別の問題。
寝たきりマネーがどんどんふえて、どうしても給料が欲しいというお金はどうするか。国境を越えてアメリカへ出稼ぎに行って、向こうで四倍の給料をもらって、帰ってこない。出たきりマネーと寝たきりマネー。出たきりと寝たきりで、日本のお金が日本の中で動かない。これがまた株式市場の不振を招き、もう一つは、経済の活性化にも大きなブレーキをかけているんです。お金が動かないから土地が動かない、サービスが動かない、そして物が動かない、仕事が動かない。ゼロ金利政策は、すべての日本の経済を寝たきり経済、動かない経済にしている大きな原因だと思います。
まず、この家計収入という点で、アメリカの財布に比べてなぜ日本の一般の人の財布は利子がこれだけ減ってしまったのか、それをどうやって取り返す、どういうふうに補償されるのか、国民はそれを待っていると思います。お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
○大田国務大臣 バブル崩壊後のデフレの中で、何とかそれを立て直していくために超低金利という政策がとられたものと考えています。今もデフレから完全に脱却したとは言えない状態にありますので、日銀においても、金融緩和のもとで政策を講じているということだと考えております。
やはり、これをなるべく持続的に民間需要主導の経済を続けていって、そして、いずれ金利もしっかりと上げていけるような力強い経済にしていくということが必要だと考えています。
○岩國委員 私は、ゼロ金利政策が始まってから、日銀総裁に予算委員会にも来ていただいていろいろな数字を尋ねました。最初は百五十四兆円でした。それから二百兆円を超えました。三百兆円近くなった。この三百兆円というお金は、単純に計算して、十年間で五十九兆円という道路を五回つくることができるんです。道路を五回つくる必要はありません。しかし、考えてみれば、十年分の道路を五回つくることになる、それだけのお金が財布の中から奪われてしまった。奪われた利子はどうなるのか。
消えた年金、奪われた利子、この現状はいつ、どういう方法で家計に対して還元されるのか。株式市場が二〇%下がっているときにアメリカは十六兆円の減税をやりました。還元されるどころか、日本は、二〇%下がったときに、これからもガソリンの税金を四月の終わりに、今月の終わりにもう一回上げようという。アメリカは減税、日本は増税。しかも、アメリカの財布にはしっかり利子も入っている上に、今度は減税という措置がとられます。日本は、三百兆円の利子が失われた上に、今度は株式市場が下がっているときにアメリカは減税、日本は増税、おかしいじゃありませんか。
経済を担当される大臣として、アメリカと日本と、財布の中身から見ても、株式市場が下落したときの対応の仕方が、アメリカは減税のボタンを押して、日本は増税のボタンを押す。何をやっているのか。全くあべこべじゃありませんか。あべこべの安倍内閣は終わったと国民はやっと安心したんです。しかし、福田内閣になっても、やることは相変わらずあべこべというのはどういうわけですか。お答えください。
○大田国務大臣 まず、今回の問題は、アメリカのサブプライムローン問題に端を発しております。アメリカが震源地です。まず震源地において、いまだ信用不安がおさまらない、そして景気減速懸念が強まっております。
したがいまして、アメリカでまず金融政策、財政政策が総動員されている。日本においては、この効果をしっかり見きわめながら、日本経済にどの程度の影響が及んでくるのかを見きわめ、処方せんを描いていくことが必要だと考えております。
○岩國委員 アメリカに責任がある、日本は被害を受けたという考え方が新聞にも結構多く出ますけれども、遠くからアメリカのサブプライムローンの引き金を引いたのは日本のゼロ金利政策にあるんですよ。そういう反省が日銀にも日本の内閣にもなさ過ぎるんじゃないですか。
日本が低い金利で世界じゅうにじゃぶじゃぶとお金を流して、流れ過ぎた洪水を受けとめる方法は、壁をつくるか、グローバリゼーションのときに流れ過ぎている低金利のお金をどういうふうに使うか、ヨーロッパの銀行もアメリカの銀行も考えることは一つです。それだけのたくさんのお金が来るんだったら、今まではローリスク・ローリターンでまじめにやった金融機関も、ハイリスク・ハイリターンを求めるんです。ローリスクからハイリスクへのギアチェンジをさせたのは、日本のゼロ金利政策という大きな洪水のようなお金が世界じゅうに流れ出さなかったならば、どこの国もそんなに余った金はなかったんです。
本当の主犯は日本かもしれない。少なくとも、アメリカとは共犯の地位にあるんです。その共犯の地位をつくったのはこのゼロ金利政策だということ。それがあるからサブプライムローンがはね返ってきたんです。それを、我が責任を棚に上げて、アメリカの政策が悪い。アメリカはゼロ金利政策を日本より先にやりましたか。アメリカは金融緩和をいつやりましたか。それもやっていない。ゼロ金利やらず、金融緩和やらず。まじめに経済成長を上げることに努めてきたアメリカに対して、太平洋を越えて大量のお金を、円という借金をして、そしてドルで使わせる。それを十年間提供してきたのは日本だという反省も、私はこのときは必要だと思うんです。アメリカの責任を追及している限り、日本の賢明な経済政策を引き出すことはできないと思います。
そうした利子所得が奪われ、同時に、資料の二でわかりますように労働者の給与も、景気は回復した、緩やかに回復しつつあるといいながら、十年前から、あるいは十五年前から、労働者の給与は緩やかに失われつつあるんです。役員給与だけは目立ってふえております。配当金は激増しております。支払い利息は激減しています。
支払い利息は減った、従業員給与は伸びない。支払い利息はほとんどゼロに近くなってきた、アメリカに比べて。従業員給与は、企業収益が伸びてもほとんど伸びない。家計をというところに目線を置いて経済を見た場合に、緩やかに回復しつつどころの話ではないんですね。緩やかに失われつつあるんです、家計から収入が。
こうした点について、福田総理も働く人への給料を引き上げるべきだという御意見をおっしゃったということは非常にいいことだと思いますけれども、意見をおっしゃっても聞く耳を持たない経済界。あるいは、意見をおっしゃっても強制力を伴わなかったら、単なる言いわけにしか過ぎなくなってくるんです。いや、私もその問題は知っていますよ、だからそういうことを言いましたよ、それでは政治にはならないんです。与党であり、政府の責任者であれば、そういう意見をおっしゃったのならばどういう実効性を伴った政策を打ち出そうとされるのか。お答えいただけませんか。
○大田国務大臣 企業から家計への循環というのは全く失われているわけではありませんで、やはり今回の景気回復の過程で、失業率は確かに下がってまいりましたし、雇用者もふえてきております。ただ、先生おっしゃるように、昨年の夏以来、特に賃金の伸び悩みが大きくなってきております。この数字でお示しのとおりでございます。
これに対してどういう政策ができるのか。企業が賃金を上げてくれるようにということは総理も言われました。しかし、なかなか労働分配率に政府として介入するということはできません。政府としてできることをやはりやらなくてはいけませんので、一つには、最低賃金を引き上げるという取り組みをしております。それから、職業訓練を本格的にこの四月からスタートさせます。それから、例えば非正規労働を正規労働になるべく転換するのを支援するといったことをやっております。
そういう形で、政府にできる限りのことはいろいろと今後もやっていかなくてはいけないと考えています。
○岩國委員 ぜひそういう方向で、具体性のある、実効性のある、即効性のある政策を次々と、政府の財政が悪化しても国が破産することはありません。しかし、中小企業の経営者、そして家計を担当している奥さんたち、みんな大変な思いで、いつになったら温かい風が吹いてくるのか、内閣が何回変わっても全然温かみのある政策に切りかわってこない、そういう思いで見ておられます。
私の選挙区は、横浜市の青葉区、緑区ですけれども、青葉区というところは、私もそこで選挙をやるまでははっきり言って知りませんでした。日本で一番男性が長生きする地区は、私は島根県か長野県か沖縄だと思っていました。もう時代は変わって、横浜市の青葉区。日本で一番。今そういう大都市の真ん中に、男性が長生き、私は大変いいことだと思います。
女性は隣の緑区。長生きしたい男性は青葉区に住んで、長生きしたい女性は隣の緑区に住む、両方長生きしたい人は真ん中の青葉台か十日市場に住む、そんなことを私は街頭演説でいつも言っておりますけれども、その割にはまだ引っ越しされる方は少ないと思います。しかし、青葉区に住むということは、年金を一番長く受け取れる、そういうメリットはあります。
その青葉区にも、実は悩ましい問題があるんです。後期高齢者、この新しい制度ができて、大変いろいろな質問がやってきます。これはガソリン以上に、二倍ぐらい反響が強いんですね。ここは厚生労働委員会ではありませんので、後期高齢者医療制度の中身について大臣にお伺いするつもりはありません。しかし、政府の広報体制というのがもっとしっかりしていれば、これほどの一方的な批判というものもなかったかもしれない。しかし、しっかりとされれば、あるいは逆にふえたかもしれない。中身を知れば知るほど、そういう懸念を私は持っております。
特に、この後期高齢者という言葉について。
福田総理が、年をとってよかったなと思われるような仕組みをつくりたいと。年をとってよかったなというのであれば、戦中戦後、一番御苦労されたのが我々のちょっと上のこの年代ですよ。そういう人に、本当に御苦労さん、幸せをつかんでくださいというのであれば、後期の後は幸福の幸でなくちゃいけなかったんです。それを、前期の次は後期、後期の次は、末期(まっき)ですか末期(まつご)ですか、そういうふうな思いをさせるような、もうあなたはそろそろ要らない時代ですよと。
ある新聞で「年寄りは消えてゆきます国のため」、おっしゃっていることが正しいんです。このお年寄りがおっしゃっていることは切実です。こういうことをお年寄りに思わせるようなことはいけないことなんです。なぜお年寄りが国のために消えていかなきゃならないのか。今、戦争をやっているわけではありません。一番幸せをたくさん味わっていただかなきゃいけない人たちが、お国のためには自分たちはいない方がいいんだという結論を出していらっしゃる。
確かに、数字の上ではそうかもしれません。しかし、そういう思いをさせる政治というのは世界最低の政治だと私は思います。だからこそ、幸福の幸を使って幸期高齢者と言うべきです。また、内容もそれにふさわしいものにしなきゃいかぬ。
ところが、今度は政府は、閣議で決定されたのか、舛添大臣の案なのか、福田総理の案なのか、長寿医療制度。この長寿というのも、これは後期よりは少しはいいという思いでしょうけれども、日本で長寿の長というのは、一般的に言って、おめでたいこと、お祝いしたい気持ちのときに長というんですね、いろいろなものにたけているということもある。
ですから、その長寿ということで、日本では確かに、七十歳になれば古希とか、七十七歳になれば喜寿、八十歳が傘寿、八十八歳が米寿、そして九十歳になれば卒寿、九十九歳が白寿、もう次々と、七十歳を過ぎると二年か三年か五年置きに、皆さんの御家庭でもそうでしょう、お祝いされるんです。そして、白寿の次は、出雲では茶寿といって、お茶の茶を書きます。これは百八歳。後で計算してみてください、百八。そして、茶寿が終わると、今度は百十一歳になると皇寿。これは一般庶民には許されないお祝いですけれども、天皇の、皇帝の皇を書いて、百十一歳ではそれをお祝いする。少なくとも、一般国民としては、百八歳の茶寿までは次々とお祝い、お祝い。
そして、お祝いというのは、祝われる人に物を差し上げるんです。祝われる人から取り立てようというお祝いは、少なくとも出雲ではやらないんです。しかし、今度の長寿制度というのは、お祝いに何か差し上げるんじゃなくて取り立てる方じゃないですか。
だから、私は、今度も政府は字を間違えられたと思うんです。内閣広報の担当者、徴収する徴、徴寿ですよ。中身を正確にあらわすのが広報であるとすれば、自民党の中の一部の方も反対していらっしゃるのは、中身を偽装しているから、長寿というのは使うのは嫌だという意見も新聞には出ております。そのとおりだと思います。政府は偽装してはいけない。法案の名前を偽装するような政府、これも最低の政府じゃありませんか。
内閣広報のあり方は、正直に国民に伝える、そして中身を的確にあらわす字を使うこと。日本は、文字の国、そして言葉の文化の国です。文字の国であるならば、文字の選び方にも、政府の心がしっかりと伝わるように、誠意が伝わるような字を使っていただきたい。取り立てる、徴収する徴寿か。あるいは、もうお年寄りになったことがいけないとおっしゃるんだったら、懲罰の懲か。徴寿か懲寿か。その方がこの中身からいえば正しいんじゃありませんか。広報の責任者として、どういうふうにお考えになりますか。
○大田国務大臣 私は広報の責任者ではございませんが、やはり広報は充実させなくてはいけないと考えております。
後期高齢者医療制度については、これはもちろん厚生労働省の管轄ですけれども、私の受けとめ方では、七十五歳以上のところに公費を重点的に投入するという制度であるというふうに認識しております。
○岩國委員 七十五歳を過ぎたらたくさんいただけるんだ、ありがたい制度だというふうなことを徹底的にやるべきじゃありませんか、皆さんはそういう理解をしておられませんから。七十五歳を過ぎたら余計負担がふえる、余計お金を取られる、取られるのに、こういう何かお祝いでもしていただけるような法案の名前というのはおかしいんじゃないか、余計違和感を感じておられるんです。
内閣広報の担当者はどなたですか。私は予告してありますから、どうぞお答えください。
○高井政府参考人 内閣府の政府広報室でございますけれども、政府の重要施策につきまして国民に周知を図るということで、三月にこのような新聞折り込みをしたところでございます。
先生の今の御指摘の点でいきますと、この後期高齢者医療制度につきまして、高齢者の心身の特性に応じた医療を提供し、医療費を国民全体で支える仕組みをつくるということをお伝えする、そのほか細かい点をお伝えしようということでつくっております。
それから、先ほど先生言われました長寿という言葉でございますけれども、これは厚生労働省の方で、身近で親しみやすい通称として長寿医療制度という言葉を使おうというように決めたというふうに聞いております。
以上でございます。
○岩國委員 身近で親しみやすい、本当に今度の制度をそういう身近で親しみやすいと受け取っておられる人がこのネーミングでふえると思っておられるんですか、この長いという字を使えば。私は、その辺がちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。中身は全然変わっていないんですから。だから、中身は変えないで名前だけ喜ぶような名前にする、これは偽装じゃないですかと。偽装建築とかいろいろな偽装がありましたけれども、いよいよこの立法府でも偽装が始まったのかと、私はその一員として疑問に思います。
その後期の後という字についても、後という字が使われていますけれども、私はさっき大臣に私の意見を申し上げました。その後期は幸いという字を使うべきじゃないかと私は思いますし、また、その中身は字にふさわしいことをやらなければならないというふうに思います。
どうしてもこの長という、親しまれている方だから長寿長寿でいきたいんだったら、その長の字も、やはり取り立てる方の徴収の徴にするのか、その方がよく中身を伝えていると私は思うんです。あるいは、年をとったから、もう国にとって大変負担の大きい存在になったんですよあなた方は、という懲罰するという意味だったら、懲罰委員長の懲の字を使うか。どっちのチョウが中身を的確にあらわしているとあなたは思われますか。
○高井政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府の政府広報室の立場といたしましては、先生の御指摘のように、制度を正確に国民にお伝えするということがやはり一番ではないかというふうに思っております。そういうことで、今、政府部内で調整をした上でその法律の名称、あるいは親しみやすい名称ということも出てきておりますので、そういうのを踏まえて広報していく必要があるかなというふうに思っております。
○岩國委員 質問を終了いたします。ありがとうございました。
○中野委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 民主党の川内でございます。
今与党の筆頭からは、あなた、委員だったっけと聞かれたんですが、委員長や与党の理事の先生方にお許しをいただきまして、発言の機会をいただきました。ありがとうございます。
また先日は、豆腐の凝固剤である伝統的なにがりについて質疑をさせていただき、官房長官そしてまた泉大臣から貴重な御答弁をいただいて、解決の方向に向かっていることに、まず冒頭、心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。官房長官の超法規的措置という言葉が非常に決め手になりまして、本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げます。
きょうは、幾つか論点があるんですが、まず、官房長官が外務大臣だった時代、沖縄に関係をいたしますけれども、米軍ヘリ墜落事故、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落をした事故というものがありました。平成十六年八月でございます。我が方は、航空危険行為等処罰法第六条の業務上過失墜落罪で氏名不詳の米軍整備士四名を平成十九年八月一日に書類送検し、平成十九年八月十日に第一次裁判権なしということで不起訴処分ということにこの墜落事故はなっているわけでございます。
日米地位協定の十七条一項では、裁判権の行使について、裁判権は刑事の裁判権と懲戒の裁判権とあるというふうに書いてございます。米軍の第一次裁判権の行使の結果は、職務怠慢ということで、整備士二名が減給及び譴責、他の二名が降格処分ということになったそうでございます。
一昨日の外務委員会で、米軍の裁判権は、日米地位協定十七条一項(a)に書いてある「刑事及び懲戒の裁判権」のうち懲戒の裁判権ですかというふうに私が質問したところ、外務省は、わからないということでございましたので、米側に確認をしていただきたいと申し上げました。
外務省、まず確認の結果を短くお願いいたします。
○西宮政府参考人 ただいまお尋ねの点につきましては、米側に照会いたしました。
平成十六年の沖縄での米軍ヘリ事故を受けて米軍は事故調査を行い、その結果に基づき、責任ある者について懲戒及び行政処分を行ったということでございます。したがいまして、本件については米側が懲戒の裁判権を行使したものと考えておりますが、本件につきましては、米側として、事実関係いかんにより刑事及び懲戒の双方の裁判権を行使し得るという前提で所要の事故調査を行ったわけでございまして、米側として第一次裁判権を適切に行使したものと考えております。また、そのように回答を得ております。
○川内委員 今、私の質問は、刑事及び懲戒の裁判権が裁判権の中にありますが、米側が行使したのは懲戒の裁判権ですかと聞いたんですけれども、もう一回、懲戒の裁判権を米側は行使したということですね。
○西宮政府参考人 もう一度、繰り返しになるかもしれませんが申し上げますと、事実関係いかんにより刑事及び懲戒双方の裁判権を行使し得るとの前提で事故調査を行った、それで、第一次裁判権を適切に行使し、懲戒及び行政処分を行ったというのが米側の回答でございます。
○川内委員 いや、裁判権には刑事及び懲戒の裁判権があると日米地位協定に書いてあるので、裁判権は刑事と懲戒と二つあるんですよ。あると書いてあるじゃないですか。そのどちらを行使したんですかということを聞いているときに、わけのわからぬことを言わぬでください。
委員長、どっちかを答えさせてくださいよ。
○西宮政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、米側に照会いたしまして、先ほどお答え申し上げたような回答を得た次第でございます。
○川内委員 いや、局長、適当なことを言ってはだめですよ。
先日、外務委員会で私がお聞きしたところ、局長のまず最初の御答弁は、日米地位協定十七条の八の、被告人が日本国の当局または合衆国の軍当局のいずれかにより裁判を受けた場合、「他方の国の当局は、日本国の領域内において同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならない。」ということを御説明されて、したがって日本には裁判権がないのだということをお答えになられたわけですね。
私が聞きたいのは、この四名というのは職務怠慢ということで懲戒の処分を受けているわけですね。そうすると、同一の犯罪で裁判にはかかることはないんだというふうに局長は御説明になられていらっしゃるが、職務怠慢というのは犯罪ですかということになるわけですよ。職務怠慢というのは犯罪ということになるんですか。それはどうですか。
○西宮政府参考人 ここで言う「犯罪」、これは、英語ではオフェンスと書いておりますが、職務怠慢を含む米統一軍法典の違反が含まれるということでございます。
○川内委員 ちょっと、わかりやすく答えてください。
では、職務怠慢は犯罪ですか。日米地位協定上で、十七条八項で書かれている「犯罪」とは、職務怠慢も犯罪ですか。
○西宮政府参考人 地位協定上に書かれております「犯罪」に該当いたします。
○川内委員 官房長官、沖縄担当の岸田大臣、職務怠慢が犯罪だというのは、これは官房長官、この前、常識で考えてということをおっしゃっていただいているわけでございますが、普通、国家公務員法の職務専念義務違反などは、これは懲戒の対象であって、犯罪では決してないわけですね。そんな、職務怠慢が犯罪だったら、この辺にいる人はみんな犯罪人ですよ。職務怠慢が犯罪だということになれば。
これは、外務省はそもそもこの地位協定上の訳を間違えたんですよ。オフェンスという言葉を犯罪というふうに訳しているわけですけれども、オフェンスという言葉は、クライムという犯罪、罪と、シン、規律違反という二つの意味を含んでいるわけですから、私は、この地位協定上の、裁判権を刑事及び懲戒というふうに書いてある部分、さらには、オフェンスという言葉を日本政府として犯罪というふうに訳しているわけですが、それは、やはりもう十七条の一項の「懲戒」という言葉を外す改定をしなければこの矛盾というのは解消できないのではないかというふうに常識的に考えて思うわけですが、これは沖縄担当の岸田大臣に、御感想を聞かせてください。感想でいいです。
○岸田国務大臣 日米地位協定につきましては所管外でありますので、直接触れることは避けたいと存じますが、さまざまな御疑念にしっかりとこたえていかなければいけないと思っております。
○川内委員 感想でいいと言っているんですから、もうちょっと思い切ったことを言ってくれるかなと思ったんですけれども。
私は、職務怠慢が犯罪に当たるという今の外務省の局長の御答弁は、いかにもやはりちょっと無理があるなと。それはどう理屈をつけようと、もうちょっと筋道の通った、国民の皆さんに説明するときに、ああ、なるほどねとおっしゃっていただけるような説明でなければならないというふうに思いますし、そういう意味では、そもそも、地位協定について、もうちょっとよく考えていただく時期が来ているのではないかなということを最後に私の個人的意見として申し上げておきたいというふうに思います。
それでは次に、きょうの読売新聞の一面に「クローン牛 解禁を諮問」というふうな大きな記事が出ております。
私、最近の行政のあり方に大変疑問を持っていまして、官房長官、にがりについては規制を強化しなくてもいいのにわざわざ規制を強化して大変な混乱を引き起こして、本来規制をしなければならないはずのものを規制せずにずるずるといくみたいなところがあるのではないかというふうにこの記事を見て思いました。
最近は大変科学技術が進歩していますから、食品安全担当の泉大臣、泉大臣のクローンもできるそうですよ。それは世界的に、しかしそんなものはやめましょうねということで、つくらないということになっているわけですけれども、本当に、泉大臣のクローンも出現をさせようと思ったら技術的にできるんだそうです。
では、人間が食べるもの、食品として、クローン牛とかクローン豚とかいうものをこれから食用にしていくのかどうかということは、私は、めちゃめちゃ大きな問題であるというふうに思います。
まず、牛のことについてちょっと特化してお聞きしますが、クローン牛というのは二種類あるんだそうです。受精卵クローン牛と体細胞クローン牛と二種類ある。今回食品安全委員会に諮問されたのは体細胞クローン牛だということでございますが、今後、この諮問を受け取って、食品安全委員会としてどのようにお取り組みになるのか、担当大臣としての御所見をまず伺いたいと思います。
○泉国務大臣 御指摘の体細胞クローン動物由来食品の安全性につきましては、米国では既に、少し前に、従来の繁殖方法で産出された家畜に由来する食品と安全性において同等であるということを結論づけておりますし、EUでも、今、最後のパブリックコメントを求めて、同じように、安全性に関してはいかなる差異も存在しないであろうというレポートを五月を目途に提出すると承知をしております。また、日本の関係省庁におきましても、国内外の関係情報の収集がなされていると承知をしております。
そういう中で、四月一日に厚生労働省から食品安全委員会にこの件に対する諮問がなされたわけでありまして、食品安全委員会におきましては、国民の健康保護が最も重要なものであるという認識、これは食品安全委員会の使命でありますが、最新の科学的知見に基づき、客観的、中立的な評価を行うこととしておるわけでございます。
具体的な評価の手法につきましては専門調査会において議論されることとなるわけでありますが、いずれにしましても、科学的に十分な審議が尽くされることが重要であると考えております。
○川内委員 その専門調査会は、何という専門調査会で議論をされることになるんでしょうか。
○泉国務大臣 食品安全委員会の新開発食品専門調査会、この調査会で審議を行う予定と承知しております。
なお、メンバーには、従来のメンバーに加えまして、核移植などの専門知識を持った専門家の参画も検討されているところでございます。
○川内委員 では、現在の専門調査会には、クローン技術、核移植の専門家はこの新開発食品専門調査会にはメンバーとして入っていないという理解でよろしいでしょうか。
○泉国務大臣 現在のメンバーにいらっしゃらないということではなくて、より強化をするという観点でメンバーを拡充するというふうに私は承知をいたしております。
○川内委員 慎重の上にも慎重を期していただきたいというふうに思います。
クローンというのは、全く同じもの、コピーですが、私は似て非なるものだというふうに思いますね。特に体細胞クローンなどでは、死産が多いとか、すぐ病気になるとか、あるいは成長しても老化が早いとか、さまざまなことがあるようです。なぜ死産が多いのかというようなことについては、全くその原因は解明されていないというふうに聞いております。
要するに、牛とか豚とか、自然界に存在するものに人間が電気的な力を加えたり、あるいはさまざまに人工的なものを加えてコピーをつくるわけですよね。だから、それは全く違う食品である、違うものだというふうにして安全性を評価しなければならないと私は思います。
しかし、先ほど申し上げた、体細胞クローンと受精卵クローンと二種類ある、受精卵クローンについては既にもう市場に出回っているというふうにも聞いておりますが、間違いございませんか。
○泉国務大臣 私が承知をいたしております限りでは、体細胞クローン牛に由来する食品については、平成十一年に農林水産省通達により出荷を自粛しているということは承知をいたしております。
○川内委員 では、事務当局からお答えいただきたい。体細胞クローンについては自粛をしているということですが、受精卵クローンについてはどうなっているんですか。全く規制していないということですか。
○小栗政府参考人 受精卵クローン牛の流通についてでございますけれども、受精卵クローン牛につきましては、試験研究機関等が受精卵クローン牛またはCビーフという表示、任意の表示でございますが、これをつけた上で一部食肉等に出荷をしているわけでございます。
○川内委員 受精卵クローン牛あるいはCビーフとして、任意の表示だがと、言葉がよくわからないんですけれども、要するに委員長、何にも規制していないんですよ、表示も任意だから。
別に確認されたわけじゃないでしょう。市場に、受精卵ビーフです、受精卵クローンビーフだといってスーパーマーケットに売っているのを私は見たことがないですけれども、受精卵クローンは市場に流通をしている実態が既にあるということをもう一度、わかりやすく御確認いただけますか。
○小栗政府参考人 クローン牛の取り扱いにつきましては、研究機関等にどのような頭数が出頭され、どのような処理がなされているかということを常に調査をしておりまして、半年ごとに報告を受け、それにつきまして公表もしているところでございます。
最新の、昨年十月末の段階での報告でございますけれども、受精卵クローン牛につきましては、過去に出生数が七百十六頭でございますが、このうち、売却がなされたもののうち、食肉として処理されたことが確認された頭数が三百十四頭ということで公表をしているところでございます。
○川内委員 農水省としては公表しているつもりかもしれませんが、これは、三百十四頭が受精卵クローン牛ですよ、クローン牛が三百十四頭食肉処理されて出回っている、表示の義務はないということを、ここにいる人で知っていたのは多分あなただけですよ。ほかの人は、多分だれも知らなかった。
公表をしているが、だれも知らない事実というのは、世の中にいっぱいあるわけでございまして、この受精卵クローン牛だけでも私は大変なことだと思いますし、ここに今度、体細胞クローン牛というものが加わってくるわけでございます。
官房長官、私は、人間が食べるものというのは、何千年という歴史の中で人類が食べてきて、ああ、これは大丈夫だね、安心だねということが確認されたものがみんなに信頼をされる食べ物であって、食品というか食べ物については、科学的に今現在データとして差異があるかないかということとはまたちょっと違う考え方があってしかるべきなのではないか。
その証拠がBSEだったと思うんですね。早く牛を大きくしたい、効率よく生産したい、そういう人間の欲求が、BSEという、共食いが原因だというふうに言われておりますが、そういう病気を生み出した。そして、人間に今、変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病という形で降りかかってきているわけです。
そういう意味では、このクローン牛について、これほど無防備で果たしていいんだろうかと私は思います。せめて、食品安全委員会がきちっと評価するまでは流通を、これは食品安全委員会は体細胞クローン牛だけやるわけです、受精卵クローン牛は評価を諮問されていないんですよ。受精卵クローン牛についてもみずから評価するということが一点。さらに、評価が済むまでは流通はだめよということを、流通はさせないということを農水省、厚労省はおっしゃっていただきたい。
さらに、岸田大臣、消費者行政担当大臣として、表示ですね。私は、クローン牛というのは、それは遺伝子的には、あるいは見た目は牛や豚かもしれないけれども、あくまでも人間の手が加わったコピーですから、それはコピーですよ、これはコピーなんだよという表示はしっかりと義務づけをしていくべきであるというふうに思います。
泉大臣と岸田大臣に御答弁をいただきたいと思います。
○泉国務大臣 今先生の御見解は、私も受けとめさせていただきました。ただ、アメリカでもヨーロッパでも、現在の知見に基づいて、従来の自然に生まれた牛とクローンの牛との差異はないという科学的な根拠に基づく判断をしておるわけでありまして、日本は、これから食品安全委員会できちんとさせていただきます。
したがって、そうした分析の上に安全ということになれば、それに対応した市場への流通等については、また、農水省あるいは厚生労働省で判断をしていただくべきものだと考えております。
先ほど先生がおっしゃいました、早死とかあるいは死産というふうなお話も、きっとこれからの安全委員会の中であるいは議論をされることかもしれません。そうした国民の御疑問にも安全委員会として役割を果たせるのであれば、そうした務めを果たさせていただきたいと思います。
○岸田国務大臣 表示につきまして御質問をいただきました。
消費者行政推進担当大臣は消費者行政組織を検討する大臣でありますので、国民生活担当大臣としてお答えさせていただきたいと存じますが、まず、クローン牛につきましては、科学的な見地からの安全性の確認を食品安全委員会を中心にまずしっかりやっていただかなければいけないと思っております。
そして、その確認をしていただいた上での話ですが、国民の食に対する感覚というのは国によってさまざまだというふうに思っています。ですから、やはり国民生活担当大臣としては、国民、消費者の立場から選択の幅、選択の権利というものは確保されなければいけないと考えております。
ですから、この問題につきましても、まずは科学的な見地から安全性をしっかり確認していただく、これはまず大変重要だというふうに思っておりますが、その上で、国民生活担当大臣としましては、国民の選択の幅、選択の権利を確保するという意味から、科学的な安全性を確認した上で、また食の表示の部分についてはしっかりと検討しなければいけない課題だというふうに認識をしています。
○川内委員 質疑の時間が参りましたので、最後、官房長官に一言いただきたいのでございます。
日本は、食の安心、安全、そしてまたジャパン・ブランドというものをしっかりつくっていこうねということを政府として取り組んでいらっしゃるわけでございますよね。その中で、クローンという技術、あるいはクローン牛とかクローン豚というのは、ビジネス上の要請で出てきているものであろうというふうに思うんです。そういう中で、世界じゅうで、これは安心な食べ物だね、安全に食べられるねというものを日本がつくっていくことが、これからの世界戦略の中で、日本の食料戦略の中で、物すごく大事だと思うんですね。
だから、日本は、そういうクローン技術は持っているが、そんなものとは無縁の物すごい自然のものでおいしいものがあるんだよというのが日本にとってこれからの生き抜いていく道だと、だって、その方がめちゃめちゃ高く売れるわけですから、そういう道を目指すべきであるというふうに思っているんです。
それで、このクローン牛とかクローン豚は、まだ政府の方針として推進するということにはなっていないんですよ。農水省の技術研究所が研究基本計画の中で技術開発するよということを今言っているだけの段階で、政府として取り組むということに関しては、私は、慎重であるべきだ、少なくともめちゃめちゃ慎重に取り組むべきだというふうに思っているんですが、官房長官、最後に御所見をいただきたいというふうに思います。
○町村国務大臣 これは、結構前から政府は研究はしているんですね。
平成十一年度の厚生労働科学研究費補助金で、これは十二年から十四年の研究だそうでありますけれども、体細胞クローン牛については、従来の技術により産出された牛にはない特有の要因によって食品の安全性が損なわれることは考えがたいと結論……(川内委員「ただし書きがあるんですよ、そこには」と呼ぶ)まあ、そうかもしれませんが。それから農水省の方も、平成十一年、十三年度、生物学的有意の差は認められない、平成十六年、二十年の農林水産高度化事業、これでも、生物学的な差異は認められない等々、我が国においても、そういうかなり前からの研究結果がある。また、アメリカ、ヨーロッパも、先ほど泉大臣からの御答弁のような、差がないというようなことが出ております。
しかし、さはさりながら、やはり食の安全ということもあるので、今回、食品安全委員会に諮問をした。念のために、やはりこれは新しい技術でもあるし、諸外国でもそういった評価も行われていることであるしということであって、慎重を期して評価を依頼することになったんだ、こういうふうに理解をいたしております。
したがって、世の中に一〇〇%完全なものというのはそれはないのかもしれませんが、科学的知見でやはり安全であろうと思われるものは、これは私は食に供してもいいのではないだろうか。あとは、それを消費者が選択するかしないかという、そこの一点さえ確保されていれば、私は、食べるものというのはそれでいいんだろう、こう思っております。
ジャパン・ブランドという大変スケールの大きなお話がありまして、それはそれでまた大切にして、日本で食べるものはことごとく安全であるぞ、某国の某食品のようなこととは大分違うんだぞというようなことは私は大切なことだ、こう思っております。
○川内委員 最後、選択という言葉が出ましたので、大変ありがとうございました。また議論させていただきたいと思います。恐れ入ります。
終わります。
○中野委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
――――◇―――――
午後一時四十五分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。逢坂誠二君。
○逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。
きょうは、大きく二つのことについてお伺いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、一つ目でございますけれども、地上デジタル放送、テレビの地上デジタル化についてお伺いをしたいと思うのですが、二〇一一年の七月に向かって、今我が国では地上デジタルに向けてさまざま準備が進んでいるわけでございます。そして、二〇一一年の七月には、今のアナログ電波がとまるということになっているわけです。
まず最初に、官房長官にお伺いしたいのですけれども、この地上デジタルの現在の整備、準備状況、これは順調だというふうに見ているのか、あるいはちょっとまだ遅いなというふうに見ているのか、そのあたり、大体、準備状況全般に関してどのように官房長官はごらんになっているか、御所見をお伺いいたします。
○町村国務大臣 詳しいお尋ねがあれば、別途、担当の総務大臣にお尋ねいただければと思います。
二〇〇三年の十二月に開始されました地上デジタル放送は、昨年の十二月末の時点で、全世帯の九二%を電波でカバーできる状態になったと聞いております。また、昨年三月に総務省が行った調査によりますと、一千四百万世帯、これは、世帯数大体五千万ぐらいということでありましょうから、約三割ほどがデジタル受信機を持つようになった。さらに、ことしの二月末時点で、出荷台数ベースで見ると約三千二百四十三万台となっている。これは、大体、テレビの受信機が全国に約一億台ぐらいあるということのようでございますから、三割前後ということになりましょうか、そういう状態であるということでございます。
当初、この普及世帯なり普及台数について、五千万世帯あるいは一億台というのでカーブを描いているわけでございますが、おおむね順調に、その普及すべきラインとでもいいましょうか、想定されるラインに大体乗っているのではないかという認識をしているところでございます。
○逢坂委員 詳しくは担当大臣にもまた聞いていただければということでありましたけれども、実は、私がきょうあえて官房長官にこの問題をお伺いするのは、確かにこれは担当大臣、所管大臣がいるわけですが、もう少し大きな、国家的な取り組みというものがこの地上デジタル化には必要なのではないかというふうに思うものですから、あえて、お忙しい中、無理を言っておいでをいただいたわけであります。
二〇一一年の地上デジタル放送への完全移行に向けまして、現時点でこれからまだまだやらなきゃいけないなと思われているようなことを幾つか私から話をさせていただきますと、まず一つは、そもそもの放送局の整備というものが必要になります。それからもう一つは、デジタルの中継局の整備、これが全国で相当数まだ必要になる。地域によっては、工事が集中して、物理的に工事がさばけないんじゃないかなんというところも、そんなこともあるんじゃないかということも指摘をされております。
それから、受信者側の対策として、共聴施設、共同で受信している施設をデジタル化する。共同で受信している施設も幾つかございまして、辺地だとか山間部、海岸部の共聴施設、こういうものをやらなきゃいけない。あるいは、都市においても、ビル陰になって受信がそもそも難しいというようなところの共聴施設もやらなければいけない。あるいは、集合住宅なんかも相当共同で受信をしておりますので、こういうもののデジタル化もしなければいけないということですね。
それからもう一つは、アナログのときは受信できていたけれども、デジタルになったことによって実は新しい難視聴地域が出るのではないかということも懸念されているわけでございまして、この調査と対策もしなければいけない。それから、アナログのときは混信しなかったけれども、デジタルになって混信をするというようなことも技術的に予想されておりまして、こういうところへの対策も必要だということですね。
それから、財政基盤が弱い、いわゆるローカル局に対する財政をどうするかというようなことも、大切な問題であろうかと思います。それから、当然、今回のことに関しましては、自治体のある程度の負担というものを国の方も予定しているようですが、そういう自治体に対する財政にどう影響を与え、それにどう対応していくかということもやらなければいけません。
それから、国民の皆様、二〇一一年で今のアナログ放送が切れてデジタルに移るということを必ずしも多くの人が承知をしているわけではございませんので、国民への周知、広報あるいは受信相談などということもやらなければいけないわけですね。
それから、アナログテレビをお持ちの皆様に対して、それを二〇一一年以降も使い続けるという方も国民の中にはきっといらっしゃるでしょう。そういう方に対しては、安価で簡易なデジタルチューナーというようなものを開発し提供するというようなこともしていかなければいけません。
それから、経済弱者の方、いらっしゃいます。あるいは、高齢者の方で、もう新しいテレビなんて買いかえることは不可能だよなんという方もいらっしゃるかもしれません。いわゆる経済弱者対策というようなものも必要になるわけですね。
さらにまた、公共施設にもさまざまテレビ受信機がございますので、そこのデジタル化も検討しなければいけない。
それから、今使っているアナログテレビが二〇一一年までで使えなくなるわけでございますので、これはあくまでも予想でございますけれども、五千万台から六千万台ほどのアナログテレビの廃棄、この対策をどうするかということも考えなければいけないわけですね。
さらにまた、こういう物の切りかえのときには、世の中には、余り言いたくないことでありますけれども、悪質商法みたいなことをする人が出てくるかもしれない、それへの対策も必要だ。
そしてまたさらに、放送衛星を用いたセーフティーネット、どうしても受信が不可能なところには衛星でやらなきゃいけないなんということも必要になるわけですね。
私が今ざっと列挙しただけでも、二〇一一年に向かってこれぐらいの課題が指摘をされ、これを解決していく必要があるわけであります。そしてまた、今後さらに、私が今話さなかった以外のことも出てくる可能性も否定できないわけですね。このように、地上デジタル化にはさまざまな課題が多くて、これから大幅に予算を確保するなどのことも必要になるわけであります。
しかしながら、この国家の一大プロジェクトとも言えるようなことを、総務省と財務省のある種の予算、総務省が予算を要求して財務省が認めるとか認めないとかというような範疇をもう超えているのではないか。国家的に取り組まなければならない、国家的に取り組んで必要な予算はしっかりとつけるという、いわゆる省庁間の予算の分捕りみたいな範疇のレベルではないのではないかという気がするわけでございます。
そういった意味において、現在、関係省庁間の連絡会議というものは設けられているというふうには伺っておりますけれども、私は、それでは少し力が弱いのではないかと。今回のこの地上デジタル化、相当な、国家としての大変な事業でありますので、官房長官にぜひお考えいただきたいんですけれども、例えば、総理を本部長とする対策本部のようなものをつくって強力にこれを進めていくというようなことがなければ、私は、これはうまく成就しないのではないかなと。
アメリカにおいても韓国においても、一時予定されていたデジタル化の期限というものを延長しております。そういった海外の例を見ても、単に目標を定めて担当省庁に任せておけばよいというものではないのではないか。国家的に、総理を本部長として強力に推進していくというような体制をつくる、そういうことが必要ではないかというふうに思うわけですが、官房長官、御見解はいかがでしょうか。
○町村国務大臣 委員御指摘のように、この地上デジタル放送への完全移行、これはもとより総務省だけの問題ではございません。政府を挙げて取り組むべき課題である、こういう認識は持っております。
このため、既に昨年の七月に、内閣総理大臣を本部長とし全閣僚をメンバーといたしますIT戦略本部の重点計画二〇〇七において、総務省のみならず内閣官房、関係省庁、ほぼすべての省庁をカバーしておりますけれども、地上デジタル放送への完全移行の推進が盛り込まれたこの二〇〇七を決めたところであります。
この決定を踏まえまして、昨年の九月に、内閣官房にデジタル放送への移行完了のための関係省庁連絡会議というものを設置して、ことしの六月を目途にアクションプランを策定するということになっております。既に、この九月二十六日以来、十一月、十二月、二月、四月というふうに会議を開き、関係者からのヒアリング等々も進めておりますし、どういう課題があるかということにつきまして、その二〇〇七の中にも既に触れてある点が多々ございまして、これは今委員が御指摘をいただいた内容とほぼ同一のものかな、こう考えているところでございまして、総務省だけに任せて済むという問題ではないということは十分認識をしております。
いずれにいたしましても、今後、政府全体で、二〇一一年のアナログ放送の終了を確実に実施できますように体制を整えつつ、地上デジタル放送への完全移行に向けて万全な取り組みを行ってまいりたい。難視聴地域であるとか弱者対策であるとか、これによって大きな被害というか、影響といいましょうか、デメリットといいましょうか、こういうものを受ける方がないように、しっかりと政府を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○逢坂委員 ぜひ、官房長官、そして総理を中心に、必要な予算をしっかり確保して、これに万全を期していただきたい、そうしなければ大きな問題になるというふうに思っております。
そこで、あえてでございますけれども、もう一つだけ質問させていただきたいんですが、官房長官は御存じかどうかわかりませんけれども、飛行機が離陸をするときに、離陸決心速度というのがございます。それは、滑走路を飛行機が滑走していまして、ある一定の地点に来たときにある一定のスピードが出ていることが離陸の条件になるわけですね。ある一定の地点である一定のスピードが出ていれば離陸をしてよい。だから、逆に言うと、もしその時点で飛行機にトラブルがあったときは、仮に飛行機にトラブルがあったとしても、そこを超えていればもう絶対離陸をしなければならないという速度、ポイントなわけですね。離陸決心速度です。そこで離陸をやめちゃうと飛行機が滑走路の範囲内でとまれないということであります。裏返して言いますと、滑走路のある一定の地点である一定のスピードが出ていなければ、絶対にそこで離陸をしてはいけない、離陸をやめなければいけないということなんですね。これを専門用語ではV1というふうに呼んでいるそうですが、離陸決心速度です。
私は、今回のこの地上デジタル化にも似たような考えが必要なのではないかと思うわけですね。すなわち、今官房長官がたくさん申されて、政府を挙げてしっかりやるんだということ、それはもちろん当然のことであります。飛行機も、滑走路に入るときは、必ず離陸をするんだという決心で離陸操作に入っていくわけですね。今回のデジタル化もまさにそういう姿勢で臨むことは、私は大事なことだとは思うのですが、二〇一一年の七月以前のある時点で、本当に二〇一一年の七月にアナログ波をとめてよいかどうかを、しっかりとそれまでの準備状況を見て、決心をする地点というものを持っておく必要があるのではないか。
とにかく二〇一一年の七月にデジタル化してアナログ放送をとめるんだということでばく進をして、そこの七月を迎えた時点でやはりだめでしたということになれば、これは国民生活にとっても大変なことでありますし、これほどテレビ受信機が全世帯、多くの世帯だけではないいろいろなところに普及しているこの国でありますから、それが受信できないところが出るとなれば、これは大騒ぎなわけですね。
さらに、もし、そういう条件があるから今までのアナログ放送も二〇一一年の七月以降もどうしても継続しなきゃならないということになると、放送事業者にとっても、サイマル期間、要するに両方電波を出す期間が長くなって、コストも増大するわけでございますね。
したがいまして、私が今言ったような考え方、二〇一一年の七月以前に、きっちりと諸条件をチェックして、本当にアナログ電波をとめてよいかどうか、こういうものを決断するという仕組みをぜひ政府の方で盛り込んでおく必要があるのではないかなと思うのですが、官房長官、いかがでしょうか。
〔委員長退席、櫻田委員長代理着席〕
○町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、準備としては今一応、おおむね順調に進んでいるのかな、こう思っております。
たまたま先日、我が家のテレビが大変古くなったものですから、有楽町の電器屋さんに行って、今どんな受信機等が売られているのかと見てまいりました。昔と比べると数段きれいですし、かつ大きいし、かつ驚いたのは、値段が大変安くなっているといいましょうかね、びっくりいたしました。こんなに立派なテレビがこんなに安くていいんだろうかと。もっとも、私の持っているテレビの値段のイメージが古過ぎるのかもしれませんけれども。そして、いろいろな宣伝が、二〇一一年から地上デジタルとか、もうすぐ北京オリンピックですとか、いろいろなことでもう大混雑をしておりました。
そんな意味で、国民の認知度もかなり高まっているのかなと。昨年の三月時点では、約六割の国民の方々がアナログ放送終了時期というものを知っているというような調査結果もあるし、受信機の価格もだんだん下がってきている、さらに売れれば、またさらに普及し、価格も下がる、こういうことではなかろうかと思います。
したがって、現時点では、今の委員のお言葉をかりれば、まだばく進をしなければいけない時期なのかな、こう思っておりまして、二〇一一年七月に完全移行できるように全力を挙げて取り組んでいくのが今の時期だろうと思います。
逆に、今の時期から、この時点に見直しますよとか、できない場合にはどうしますよと言うこと自体がそれぞれの取り組みをかえっておくらせることにもつながりかねない、こう思います。
ただ、これは別に大本営発表ですべて決める話でもなかろうと思います。離陸決心速度ですか、という貴重な御指摘もございました。それは、いずれかの時点で、もし必要あらばそういう判断をせざるを得ない状況があらわれるかもしれませんが、政府としては、今とにかく二〇一一年七月に向けてばく進をしていくことが一番現時点では求められているのではなかろうか、このように考えております。
○逢坂委員 私自身も、今の政府の取り組みとしては、しっかりそれに向かって全速力で進んでいくということは当然のことだと思いますが、こういうものには必ず危機管理というものがつきまとうわけでございまして、クライシスコントロールの観点からも、今のような考えを持っておくということは、何も手綱を緩めるということではないというふうに私は思っております。
何か似たような話を年金問題のときも聞いたような気がするんですが、今余りやると国民に年金の不安をあおるからやらない方がいいよと言っていたのが、いろいろ議論していくと、結果として何か放置しておいたことで不安が大きくなったというような、年金と若干似てはいなくないかなという気もするわけですが、まあ、それはちょっとおいておきます。
デジタル化の話はこれぐらいにして、次に、公文書の関係にちょっと移りたいと思うんですが、御案内のとおり、総理が一月の施政方針演説で、行政文書のあり方を見直し、法制化を検討するとともに、国立公文書館制度の拡充を含め、公文書保存体制を整備することを内容とした施政方針演説を行っているわけであります。それを受けまして、この三月に有識者会議というのが設置をされて、もう既に会議が二度行われているというふうに伺っています。
まず、政府参考人にお伺いしたいんですけれども、この有識者会議の位置づけ、これはどういったものなのか。大臣の諮問機関なのかとか、そういうような位置づけをお話しいただけますでしょうか。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
いわゆる有識者会議の位置づけでございますが、これは、いわゆる懇談会等の行政運営上の会合という位置づけでございます。
○逢坂委員 懇談会ということで、その議論を参考にするということになるわけでしょうか。わかりました。
それで、次に、担当大臣にお伺いしたいんですけれども、今回のこの有識者会議の議論を含め、政府として、今回、文書管理に関して、どの程度の範囲まで、どういった点を対象としてこの議論をする予定、お考えでいるのか。もちろんそれは、有識者会議のさまざまな議論によって今と射程が変わってくることもあるかもしれませんけれども、現時点で政府としてどのようにお考えなのか、その点、お伺いいたします。
○上川国務大臣 今回、公文書担当ということで任命をいただきましたテーマは、文書の作成から保存、管理に至る行政文書のプロセスをしっかりと見据えて、また利用に供するということも十分に踏まえた上でこの文書管理に対する法整備をしていくということ、そして同時に、移管された後の公文書につきましての保存のあり方ということについて、体制的には国立公文書館というところが今中心に行っているわけでありますが、そうしたところについての幅広い議論をしていくということでございます。
今、有識者会議の場面の中でも、私も毎回参加をいたしておりまして、公開の場で議論を積み上げているところでございまして、論点につきましても一回目、初回に出させていただいているところでございますので、幅広い観点からの議論ということで精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
○逢坂委員 そこで、お手元に資料を用意させていただきました。これは国立国会図書館にお願いをして調べていただいたんですが、「諸外国における公文書館の制度と現状」ということで、一番上に日本が載っていまして、その下にアメリカ、イギリスと続いて、整理をしていただいた資料でございます。
日本の欄を見ますと、職員が四十二名で書架の延長が四十九キロ。アメリカを見ますと、職員が二千五百名で書架の延長が九百三十キロ。これは大幅に違っているわけですね。
それから、アメリカの欄を見ますと、現用記録管理についても公文書館の館長が責任を負い、指導を行っている。現用というのは、今まさに各省庁で作成中の文書ということですね。それからフランスにおいても、公文書館から派遣される文書管理官が各省庁に常駐し、文書の管理に対し指導助言を行う。あるいは、カナダでは、公文書館長の許可なくして政府機関の記録の廃棄や処分を行うことはできないとか、オーストラリアにおいては、公文書館は各省庁の管理下にあるすべての記録に対してアクセスする権利があるとか、随分各国のこの状況というのは違っているわけです。
それで、官房長官とそれから上川大臣、お二人にそろってお伺いしたいんですが、日本の今の文書管理の実態に対する認識というのは、どう思われているでしょうか。文書があるとかないとか、いろいろなことが言われているわけですが、簡潔にこの点についてお二人からお伺いをしたいと思います。
○町村国務大臣 委員のこのおつくりをいただいた資料を拝見しても、確かに相当けた違いの体制で諸外国は文書管理等々に取り組んでいるという実態がわかるわけでございます。
この点について、昨今いろいろな、「とわだ」の航泊日誌を誤って破棄したことであるとか、あるいは、C型肝炎の関連資料について、ファイルがあるのないのといったような、大変メディアをにぎわすようなこともあったわけでございますが、やはり、基本的な取り組みとして、こうした政府の活動の記録あるいは歴史の事実というものを国民の前に明らかにしていくというのが民主主義の原点である、そういう考え方で、今回、上川大臣を担当大臣ということで取り組むことにしたわけでございます。
これは、御承知のように、福田総理が官房長官時代から大変熱意を持ち、この不十分さを認識した上で、いわば福田総理みずからこの改革に取り組もうということで上川大臣を任命されたというようなこともございます。
したがいまして、こうした権限であるとか、体制であるとか、予算であるとか、人員であるとか、こういったものを今幅広く御議論いただいている、こう思っておりますので、こうしたものを受けて、今後、必要な法改正を含め、あるいは人員、予算等々を含めて適切な御議論をいただき、それを受けて、政府の方としても、それをいかに具体化していくのかということを考え、また実行していかなければいけない、このように受けとめているわけでございます。
○上川国務大臣 政府の活動あるいは歴史的事実の正確な記録は国民の貴重な共有の財産である。その記録を公文書として十全に管理、保存し、そして広く国民の利用に供することは、国の大変大事な責務であるというふうに思っております。
しかしながら、昨今、文書保存期間満了前の文書の誤廃棄の問題、また、文書の倉庫への放置などの事例が明らかになっておりまして、不適切な文書管理の是正が現状におきましても大変重要な課題であるというふうに思っております。
国民の皆様に対しましての説明責任を果たすためにも、先ほど申しましたとおり、文書の作成から移管、保存までの一連の文書のライフサイクルということにつきまして、しっかりとした文書管理の仕組みをつくっていくということが大変大事であると考えておりまして、そういう意味で、担当大臣として全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○逢坂委員 今、官房長官からも、あるいは上川大臣からも話がありました。官房長官からは、諸外国と比べて差があるという話がございました。そして、お二人からはいずれも、航泊日誌が捨てられていたとか、あるいは文書があるとかないとかといったような現在の課題も指摘をされたわけでありますけれども、諸外国と比べても本当にけた違いにおくれているこの日本の文書管理をぜひしっかりさせるということが私は重要だというふうに思っておりますので、政府の総力を挙げてこれはやっていかなければいけないし、私もこのことのために力を注いでまいりたいと思っております。
それで、今、答弁の中で上川大臣からこういう言葉がございました。政府が持っている情報、文書というのは国民の共有の財産だという話があったわけです。大臣にお伺いしたいんですけれども、共有の財産だという言葉は、よくまくら言葉で出るんですよ。でも、共有の財産だということは、具体的にそれはどういうことなんでしょうか。共有の財産だ、共有の財産だとまくら言葉のようにはおっしゃるんですが、ではそれは具体的にどういうことが共有の財産たる条件だというふうにお考えでしょうか。
○上川国務大臣 共有の財産という御質問でございますが、私は、国民の皆さんが記録を、しっかりと保存したものを利用することができる状況をつくっていくということが大変大事であるというふうに思っております。
先ほど来申し上げましたとおり、文書は作成をしてから一連のライフサイクルを持って保存をされるわけでありますが、保存されただけではこの情報は意味が半減してしまうということでありまして、これを広く国民の皆様に共有の財産として御利用いただくというところまで一連の流れの中で取り組むべきことだというふうに思っております。
○逢坂委員 まさに私も同感であります。
例えば、私がここに腕時計を持っております。これは私の腕時計です。これは私のものであります。どういうことかというと、これを勝手に捨てるということはほかの人にはできないわけですね、人の財産でありますから。勝手に文書なんか捨てるなどということは、やはり基本的にやっちゃいけないわけですね。あるいは、これに改ざんをする、中身をすりかえるなどということも、これは国民共有の財産であればやってはいけないわけですね。それから、共有の財産でありますから、当然、国民それぞれ、あまねくすべての人が公平にそれを利活用できる。まさに大臣が指摘されたことがそういうことだというふうに思うわけですね。
だから、共有の財産だ、共有の財産だとみんなが口をそろえて言うけれども、それは一体、具体的にどういうことなんだということをぜひしっかりと頭に置いて、この問題に政府を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思うわけですね。
さてそこで、もう一点政府参考人にお伺いをしたいんですけれども、行政文書に関して、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第二条第二項中に「「行政文書」とは、」という項目がございまして、「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」という規定があるわけですが、これは一体、具体的にどういう規定なのか。こういうことが組織的に用いるものとして行政機関が保有しているものだということについて、ちょっと御提示をいただきたいと思います。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
いわゆる行政文書につきましては、御指摘のとおり、情報公開法第二条第二項におきまして規定されておりまして、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」とされているところでございます。
この「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの」と申しますのは、行政機関の職員が公的立場におきまして作成、取得したもので、そして当該行政機関の組織において業務上必要なものとして利用または保存されている状態の文書を意味しております。したがいまして、起案前の職員の検討段階のものとか、こういったようなものは含まれていないところでございます。
○逢坂委員 今の時期はまだ議論の始まりでございますので、きょうは余り深入りをしませんが、職員がまだ起案前の、検討段階のものは行政文書に含まれないというような発言が今ございましたけれども、諸外国の例を見ると、果たしてそれで今回総理が目指そうとしている文書管理の目的が本当に達成されるのかどうか。このあたりについては、これから、より深く議論していかなければいけないなというふうに申し上げておきたいと思います。
実は大臣、私は今、函館市に住んでいるんですが、函館市の福祉の状況について私は大臣と議論したい、大臣、函館の福祉の状態、どうお考えで、どこに問題点ありと思いますか、ちょっといろいろ御教授くださいと私が言ったとしますね。大変失礼ながら、大臣は余り的確にお答えになられないのではないかというふうに私は思うんですね。その理由はまことに簡単でありまして、大臣が函館市の福祉の状況、いや、もしかしたら本当はお詳しいのかもしれませんが、実はつまびらかに、多分御地元でもありませんので知らないということだと思うわけですね。
民主主義の主権者たる国民が世論をきちんと形成していく、自分の考えを持つということのためにも、行政情報というのはやはり適時的確、適切に、しっかり提供されていなければならない、提供というよりも国民が利用しやすい形で常にぶら下がっているものでなければならないというふうに思うわけですが、きょうは最後にこの点だけを聞いて質問を終わりたいと思います。
大臣、いかがですか。
○上川国務大臣 民主主義の一番基本ということで、先ほど質問がございましたところでお答えいたしましたが、やはり利用に供してこそ初めて文書の意味あるいは将来に対しての説明責任が果たし得るというふうに思っております。そういう意味で、今回の有識者会議におきましてもそういった観点を十分に御議論いただいて、より他国に負けないものをつくってまいりたいというふうに思っております。
○逢坂委員 最後に、私も、党の中に文書管理の研究会をつくりまして、この問題に全力を挙げて取り組みたいと思いますので、官房長官、大臣、またよろしくお願いいたします。
以上、終わります。ありがとうございます。
○櫻田委員長代理 以上をもちまして逢坂誠二君の質疑を終了いたします。
次に、鈴木克昌君。
〔櫻田委員長代理退席、委員長着席〕
○鈴木(克)委員 鈴木克昌でございます。
きょうは、渡辺大臣、大田大臣、そして増田大臣と、お三方おそろいいただきました。順番にお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず、渡辺大臣に少しお伺いをしていきたいと思います。金融大臣としては財金でいつも大変お世話になっておるわけですが、きょうは、行革そして公務員制度の御担当ということで、少しお話を伺ってまいりたいというふうに思います。
今最も大事なこと、国民にとって大事なことはたくさんあるわけですけれども、私は、やはり行政改革と公務員改革というのは非常に大きな国民の関心事、また日本の将来にとっても大変重要な問題だというふうに思っています。
さきの敗戦で日本は残念な結果になりましたが、いろいろなことが変わりました。例えば、憲法も変わりましたし、それから天皇のお立場というのも変わったわけですね。ところが、変わらないのは官僚制度なんですね。官僚制度は相も変わらず、明治維新以来、中央集権の形がそのまま続いておるというふうに私は思っています。官僚が中心になって政策をつくっていき、それに政治が乗っておる、そういう構図が結局、政官業の癒着とか今言われておるようないろいろな問題を起こしておる、俗に言う制度疲労を起こしておるというふうに私は思っておるわけであります。
そういう中で、きょう、公務員制度改革大綱ですか、閣議決定を見たということでありまして、そういう意味では少し動いていくのかなというふうに思っておりますが、いずれにしても、内閣人事庁とか、政官接触の制限とか、キャリア制度の問題とか、労働基本権というようなことがその骨子のように伺っております。
きょうは限られた時間なので、ちょっとこれはまた後日きちっと大臣にお伺いをしていくということにさせていただいて、とりあえず私は行革についてお伺いをしていきたいんですが、政府の行革のスピードが落ちておるんじゃないのかな、国民は実はそんな感じを持っておると思います。
例えば、小泉内閣、安倍内閣で道路特定財源を一般財源化するという方針があったにもかかわらず、福田内閣になって、そうじゃないんだと。まあ、ここへ来てまた二十一年からということをおっしゃっておるわけですが、そういう一連の動きを見ておっても、本当に行革というのが進んでいくんだろうかなというふうに思っておるんではないかな、率直に私はそんな感じを抱いております。
特会それから独法改革でちょっと具体的にお伺いしていきたいんですが、特会については、三十一あった特会を二十三年までに十七にするということであります。ところが、独立行政法人についてですけれども、行政改革推進法、それからまた基本方針二〇〇七でいわゆる見直しが規定をされたということなんですけれども、省庁の状況を見ておると、どうも渡辺大臣の動きに十分こたえていないんじゃないのかな、私はそんなような気がいたしています。
そこで、担当大臣として、まず独立行政法人の改革、この現在の状況を大臣としてどんなふうに感じてみえるのか、率直な御意見を伺いたいということから始めます。
○渡辺国務大臣 独法改革につきましては、昨年の暮れに整理合理化計画というものをつくったわけでございます。十二月二十四日に独立行政法人整理合理化計画を閣議決定いたしました。これが、余り世間の評価は芳しくないのかもしれませんが、私としては、かなり思い切った、踏み込んだところにメスを入れたなという感想を持っております。
例えば、今まで、独法が財産を売却したときにはそれを全額簿価から根こそぎ国庫納付するという制度はございませんでした。しかし、今回まさにそういったことも可能にすることを盛り込んだわけでございます。
また、評価につきましては、御案内のように、独法というのは事後評価を徹底してやっていこうということだったんでありますが、これがばらばらに分かれていたりして、各事業を所管している官庁のお手盛り評価なんというのが横行していたのでございますが、これも今回内閣一元化を図ろうということで、次の独法通則法の改正に盛り込むところでございます。
また、数が余り大したことはないじゃないかという御指摘もございますが、事務事業の見直しというのを徹底してやったところでございます。数の削減目標というのも考えてはみたんでありますが、まずは事務事業を徹底して見直すことによって政府における無駄を極力排除していくという方針で昨年の見直しを行ったところでございます。
シンボリックな独法については、かなり踏み込んだ提案をさせていただいております。百一の独法の全事務事業の六割以上で見直しを行っております。また、日本貿易保険、これは指一本触れさせないなどという下馬評があったところでございますが、これも株式会社化で決定を見ております。役割を終えた典型例であった万博記念機構、これも廃止を決めたわけでございます。雇用保険特会の無駄遣いをやっているのではないかとしてかなり有名になりました雇用・能力開発機構についても、一年以内に存廃を含めた組織体制のあり方について結論を出すことにいたしております。
先ほどの財産売却も、簿価で六千億円を超える土地建物等の売却処分もあわせて決めたところでございます。
そういったことを考えますと、次にお諮りをいたします独法通則法では、かなり踏み込んだ中身が盛り込まれる予定になっております。当委員会でも随分昨年御議論をいただきました独法からの天下りという問題についても、通則法できちんとその規制を盛り込む予定になっております。そうしたことを考えれば、必ずしも、余り大したことはないとか改革後退だとかいう御批判は当たらないのではなかろうかと思います。
○鈴木(克)委員 まるっきり進んでいないということを申し上げているわけじゃないんですが、これは昨年の十二月の新聞ですけれども、「独法改革 尻すぼみ」「十六法人削減で決着」とか、今いろいろと改革成ったところはおっしゃったわけですが、例えば都市再生機構だとか、住宅金融支援機構だとか、雇用・能力開発機構とか、先送りになっておる部分もあるわけです。
そういう意味で、私も合理化計画を持ってまいりましたけれども、やはり国民がわかりやすいのは、まず今おっしゃった数ですよね。結局、百一あっても十六しか手は出していないんじゃないかということになるわけでして、私はぜひ一遍お伺いしたいのは、要するに、昨年やられたこの十六の見直しというのはほんの入り口なのか、今から本当に本格的な見直しをやっていかれるということなのか、その辺の決意をお示しいただきたいというふうに思います。
○渡辺国務大臣 独法につきましては、これは先ほど申し上げた独法通則法の改正をお諮りする予定でございます。これが通りますと、かなりしんを食って独法改革は進んでいくことが予想されます。先ほども申し上げましたように、今ばらばらで評価をやっている体制、これが一元化をされてまいります。相当、独法本来の趣旨にのっとった事後評価が可能となってまいります。そういたしますと、今まで役人の天下り機構ではないかと考えられ、あるいはそういう悪口を言われていたところが独法本来のあるべき姿に戻っていくことが十分可能となるわけであります。
先ほど都市再生機構の例も挙げられましたけれども、これは決して先送りではございません。冬柴国交大臣と私との間で、都市再生機構からの天下りについてもかなり突っ込んだ話し合いを昨年やったわけでございますが、これにつきましてもきちんと規制を強化していくという方向で話は進んでいるわけでございます。また、独法から随契の結果ファミリー企業に流れ込んでいった埋蔵金、これも独法に返還をさせるべきである、そういう議論も行ったところでございます。
したがって、こうした行政改革の一環として独法改革が行われる、このことはみじんも後退をさせてはなりませんし、まさに前向きに動き出しているものと考えます。
○鈴木(克)委員 先ほどから申し上げているように、確かに今おっしゃったことは少しずつ進んでおるということでありますが、冒頭申し上げたように、国民の目から見て、本当に進んでおるというふうにはどうしても今評価をもらっていない、これが実情です。
冒頭お伺いしたんですけれども、やはり、役所の抵抗を大臣はまだ率直に今御答弁いただいていないんですけれども、そういうものをお感じになったというようなことはありませんか。役所が自分の仕事について非常に協力的であるというふうに感じてみえるのか、やはり抵抗があるというふうにお感じになっておるのか、そのところを一遍聞かせてください。
○渡辺国務大臣 それはそれは物すごい抵抗でございました。
最初はゼロ回答。各所管省庁において見直して持ってくるというのが、たしか二回ぐらいゼロ回答が続いたのではないでしょうか。いかにこの改革を進めることが困難な仕事であるかということは、そのとき私も痛感をした次第でございます。
結局、なぜこういうゼロ回答が続くのかということを考えてみますときに、やはり、昨年も大激論をいただきました公務員制度とのリンケージの問題が相当色濃くあるなということを痛切に感じたわけでございます。
昨年は、天下り規制、能力・実績主義を御議論いただきました。やはり、天下り問題というのが、これが人事の一環として行われている、独法やその先の公益法人、関連会社というものがまさに天下りネットワークの一環として人事の重要なポストになっている、そういう現実があることを痛感いたした次第であります。
したがって、独法改革というのはいろいろな角度から進めていかなければならない。公務員制度改革もそうでありますし、随契の見直しもそうでありますし、まさにそういった多面的な方向性からの改革を行っていくことが大事だと感じた次第でございます。
○鈴木(克)委員 大臣は、いわゆるそれの担当なんですね。やはり大臣ができないということになれば、これはだれもできないわけですよね。私は、そういう意味で、もっといわゆるトップダウンでやっていただかなければならないし、それをやはり国民が期待しておるというふうに思っております。そして、大臣が大胆にトップダウンで出した、それを総理が後押ししていく、これを国民が期待しておるわけでして、今いろいろとおっしゃいましたけれども、確かに、全く動いていないということは言いませんけれども、決して今のままで十分な状況ではないというふうに私は思っております。
そこで、少し具体的に、時間の関係もありますので進めさせていただきますと、情報公開ということですね。きょう、実は、政府出資主要法人の資産、負債、損益その他に関する調書というのを持ってまいりました。ここで、実は何が申し上げたいかというと、ここに載っておるのは、百一ある法人のうち四十四法人が載っておるだけなんですね。しかもここには、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローというのは載っておるんですが、問題の決算や予算というのは載っていないんですよ。
それで、これを、まず全独法を出してもらう。そして、今言うように、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローに加えて、例えば今でいうと十八年度の決算、十九年度の予算、そして二十年度の予算という形で出していただくということができないと、私はやはり、改革というのは進んでいかないというふうに思います。
その点で、財政法第二十八条による参考書類、これを、やはり早急にすべての独法を記載する、そして予算、決算もつける、こういう形をやっていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 先ほど委員がおっしゃられた四十四法人というのは、掲載基準というのがございまして、百億円以上の出資法人及び百億円未満十億円超で国の出資比率一〇〇%の法人、第二に、国の出資があり、当該年度財投計画対象法人、第三に、その他政策上重要と認められる法人といった基準でございます。こうした法人につきましては、御指摘のように、決算及び予定財務諸表を予算の参考資料として提出をしております。
独法の財務状況について透明性を高めるというのは極めて大事だと私も考えております。独法通則法では、企業会計原則にのっとったBS、PL、キャッシュフロー計算書を含む財務諸表、決算報告書、そして中期計画、年度計画において予算を公表いたしております。
昨年十二月二十四日に閣議決定をした整理合理化計画では、ディスクロにつきまして、二つ決めております。一つは、関連法人への再就職の状況及び関連法人との間の補助、取引等の状況について、一体としての情報開示を実施すること。第二には、財務諸表上のデータについて一覧性のある形で情報を開示するとしたところでございます。
この第二点の、一覧性のある形での情報開示というのは、私も事務方にかなり強い指示を出しまして、何とか実現を見たところでございます。独法の会計基準というのはもう既にでき上がっているわけでございますが、それぞれの独法において一覧性のある形でディスクロが行われますと、なおさら、どういうところに無駄があり、どういうところを改革しなければいけないか、わかってくるわけであります。現在、これらの事項について、各府省とも相談して具体化を進めております。
実現をいたしますと、今後、独法やファミリー法人のお金、それから人の流れをより把握しやすくなってまいります。また、財務諸表上のデータについて各法人ごとに情報を集める必要がなくなるなど、独法に関する情報の収集は容易になるものと考えております。
○鈴木(克)委員 まさに、大臣最後におっしゃったそのとおりなんですよ。やはり、これはすべて出させる、そこから改革が始まる。なぜ出ないかというと、これは役人が隠しているからですよ。だから、そこのところに踏み込んでいかなければ、真の改革は進まないということ。
もうあと五分しかないということで、少し丁寧に答弁をいただいたのか、私の進め方が悪いのかわかりませんけれども。
次に、いわゆる運営費交付金について伺っていきたいんですけれども、独法の運営費交付金は、いわゆる使途に制限のない渡し切りの性格を持っていまして、受け取る独法にとっては非常に使い勝手のいい資金なんですね。
それで、この運営費交付金が独法全体で今幾ら支出されておるのか、そして、一般会計から幾ら支出されておるのか、特別会計から幾ら出されておるのか、そして、特別会計から出されておる運営費交付金のうち、保険特別会計から幾ら出されておるのか、このところを一度ぜひ聞かせていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 運営費交付金の総額は一兆六千二百四十九億円であります。このうち、一般会計からの支出が一兆二千三百六十億円、特別会計からの支出が三千八百八十八億円、また、労働保険特会からの支出は一千八十六億円となっております。
○鈴木(克)委員 そこで、私が伺いたいのはまさにここなんですね。いわゆる保険特会の中で、運営費交付金に出ているんですよ。
時間があれですから端的に申し上げますと、年金基金の積立金を年金の支払い以外に使ってもらいたくない、こういう議論がありましたよね。ところが、ここでやられておるのは、労災の保険金や失業保険、雇用保険の保険金がまさにこの運営費に使われているんですよ。
ここは、年金ばかり今確かに目が行っていますけれども、実際には、いわゆる労災の保険金や失業保険の保険金がこういう形で使われておる。このことについて、大臣はどのように考えてみえるか。
○渡辺国務大臣 実は私もその問題認識を持って、昨年の改革の議論に当たっては、雇用・能力開発機構などにおいて、相当、保険特会からの潤沢な資金が無駄遣いの温床になっているのではないかという指摘をしたところでございます。
平成十七年の閣議決定でございますが、原則として純粋な保険給付事業に限り本特別会計にて経理するものとして、労働福祉事業及び雇用保険三事業については、廃止も含め徹底的な見直しを行うものとすると明記をされたところでございます。昨年の十二月二十四日の閣議決定、整理合理化計画においては、先ほど申し上げた、かねて労働保険料の無駄遣いが指摘されてきました雇用・能力開発機構については、法人の存廃を一年かけて結論を出すという決定を見たところでございます。
当然のことながら、関係する独法の業務を厳しく見直しをしていくことが必要でありますし、現在、減量・効率化有識者会議において、この合理化計画のフォローアップを精力的に進めているところであります。
労働保険料によります運営費交付金の支出のあり方につきましては、こうした行革の流れを十分踏まえていく必要がございます。今後の年金保険料に関する動向等も見きわめつつ、国会の議論、また政府全体において、さらに適切に判断をしていかなければならないと考えます。
○鈴木(克)委員 いずれにしても、大臣、国民が納めた保険料を独法の運営費交付金に使うというのは、年金の例から見ても明らかに不適切なんですよ。これはもう即刻やめて、一般会計から出せばいいんですよ。私は、それをぜひやっていただきたい、このことを申し上げておきます。
増田大臣にお越しいただいていますので、最後に。大田大臣、申しわけありません、ちょっと時間配分を間違えましてあれですが。
私が増田大臣にお伺いしたいのは、まず、三位一体改革で、三兆円の税源移譲がありましたね、ところが、その倍以上、地方はお金が来なくなったという状況ですよね。やはり、このところを直さない限り、本当に地方はどうしようもない。したがって、何が言いたいかということなんですけれども、一般会計、特別会計の補助金十九兆円をすべて地方の財源として切りかえて、そして地方が自由に使えるような形、これは私どもがずっと提唱しておるわけですけれども、こういう形が本当の地方分権だと私は思っておるんです、自分の経験も生かして。
その点について、増田大臣が地方の知事を経験なさってきて、どういうふうにお考えになっているのか、率直に一遍聞かせていただきたい。これを最後にさせていただきたい。
○増田国務大臣 分権を今後進めていかなければならない、その中には、地方の財政的な自立を図るための改革が必要だ、こういうふうに思います。
そして、今お話ございました一般会計そして特別会計、おおよそ十九兆、補助金あるいは負担金という名目でいろいろお金がございます。こうした補助金、負担金は、やはりできるだけ地方が自主的に使えるように一般財源化をしていく、これに向けて改革を進めていかなければならないと思っています。
問題は、十九兆の内訳を見ますと、社会保障が十二・四兆、それから文教・科学技術関係が二・〇兆、そのほか公共事業関係もございますけれども、いわゆる社会保障、それから文教・科学などは義務的な経費がそこの中に大変多く含まれている。したがって、地方六団体、全国知事会なども、三位一体改革の前段のところで、補助金改革、地方の一般財源化ということを言いましたけれども、あのときは、やはりいろいろ中身を精査して、八兆とか九兆ぐらいのものをまず進めていこう、こういうようなお話でございました。
私は、補助金についても、これはできるだけ一般財源化に適するものはその方向に持っていきたいと思っていますが、今あたかも分権委員会の方で、そうした役割分担なり税財政改革を真摯に議論していただいております。全額というのは、今、補助金の性格上なかなか難しいと実は私も思っておりますが、分権委員会の中での御議論を真摯に受けて、そして、地方の財政の自由度を増す、財政の自立を図る分権改革はきちんと進めていきたい、このように考えます。
○鈴木(克)委員 またお時間をいただいて、この議論をしっかりとさせていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○中野委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。
前回、三月十九日に一般質疑の機会をいただきました。引き続き、本日はこの一般質疑で、国家公務員制度改革基本法、本日閣議決定がなされたと聞いております。この法案の審議はまた当該委員会、あるいはまた別の場所かわかりませんが、国会での審議ということになるかと思います。細かな法案審議の内容につきましてはその場に譲りたいと思いますが、私自身は、前回も指摘をさせていただいた、この公務員制度、果たして改革の方向性が揺らいではいないか、あるいは後退をしていないかという問題意識を持ってお尋ねをしたいというふうに思います。
前回、三月十九日の質疑の中で渡辺大臣、町村官房長官にお尋ねをさせていただきましたのは、内閣人事庁での幹部職員の任命等につきまして具体的にお尋ねをさせていただきました。内閣人事庁というものを設置する中で、いわゆる内閣の一元管理の観点から、幹部職員を内閣人事庁にて任用していくというその方向性が変わっていったのではないか、これを指摘させていただいたわけであります。
前回にもお伝えをしましたが、もともとこの制度改正については、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会、この報告書をもとに法令協議を行っているとお聞きをしております。そして、その法令協議の中では、たたき台なるものが、当然これはさまざまな議論がございますから、その時々にこれはバージョンアップなりしていくんだと思いますが、このたたき台の中でまた方向性が一部変わっているように見受けられる。そして最後、きょう閣議決定をされたわけでありますが、その内閣人事庁の位置づけの中での幹部職員の任命について、これがどのように変遷したかということを確認していきたいと思います。
まず、報告書の中では、これも前回申し上げました、幹部職員の任命については、いわゆる縦割り行政の弊害を除去して内閣一元管理システムを導入するということで、具体的には、内閣人事庁において、幹部人事の調整や、あるいは指定職への任用に際しての適格性審査を行うとしてありました。
そして、これらが法令協議に上がってたたき台にのっていく中では、幹部職員の任用というものは、内閣人事庁による適格性の審査を行い、そして、内閣人事庁は幹部職員の候補者名簿を作成するなど、大臣がその任命権を十全に発揮するための措置を講ずるものとするとされておりました。
さて、きょう閣議決定を受けた法案の概要を見ますと、この部分につきましては、「各府省は、幹部職員の候補者名簿の原案を作成し、内閣人事庁は候補者の適格性の審査を行う。」、そして、中略でございますが、「必要に応じ、候補者名簿を作成することができる。」としております。
つまり、当初、報告書でありました、内閣人事庁において一元的にこの幹部職員の任用というものを進めていこう、さらにはたたき台の中でも、府省のかかわりというものは一切記述されていなかったものが、最終的には、この法案となる中で、府省が原案を作成して、候補者名簿については内閣人事庁も必要に応じて、求められればということですよね、作成することができる、このように規定が変わったわけであります。少なくともこの流れを見れば、だれが見ても、これは規定が変わっていったな、つまり、府省のかかわりがそこに生ずるような形に変わったな、こう見受けられるわけであります。
渡辺大臣、改めてお尋ねをします。
この幹部職員の任命について、渡辺大臣は三月十一日の記者会見の中でも、私は前回も指摘をさせていただきましたが、そこでも、各省事務方の人事権を守るという発想こそが官僚内閣制と言われることにつながっていくんだとおっしゃっておられたわけですね。府省のかかわりというもの、これは極めて問題であるという認識を持っておられた。それが今回、法案の中でははっきりと各府省の作成、そして「必要に応じ、」ですから、これはある意味、内閣人事庁が横に置かれた、そう見るべきだと私は思いますが、このような状態、これは明らかに後退ではありませんか。大臣、いかがですか。端的にお答えください。
○渡辺国務大臣 後退とは考えておりません。
最初、馬淵委員がおっしゃられたバージョンがいつのものであるかはちょっと記憶が定かではございませんが、そのバージョンにおいても、文言として明示はされていないものの、各府省の人事案をつくるということまで否定はしていないはずでございます。
つまり、現在行われている、そういったことから生じる弊害をどのように除去していくかということを考えてみますときに、内閣の一員たる大臣の人事権を強化する、それはまさしく内閣の人事庁がたたき台案を別途作成し大臣に上げる、そういうことで担保されると我々は考えたわけでございます。
したがって、最初の案においても、各府省がたたき台案をつくることを排除していないわけでございますから、改革後退という御批判は当たらないものと考えます。
○馬淵委員 辛うじて、これは必要に応じてということでぎりぎり残ったと言うべきじゃないんでしょうか。大臣ははっきりと、各省事務方の人事権を守るという発想が官僚内閣制と言われることにつながっていくんだと言って、これを明確に否定されておられますよ。これは三月十一日の記者会見です。大臣、しっかり覚えておられると思いますが。ここまで明言しておられたにもかかわらず、今回「できる。」という極めて弱い形で内閣人事庁のかかわりが記載された。これは、だれがどう見ても後退と言わざるを得ない。大臣の任命権を補充するものだということを大臣はおっしゃいますけれども、当初言われていたことと明らかにこれは違っているんです。
さて、この点だけではございません。幾つかございます。同じように、当初の懇談会の報告書と、そしてたたき台と言われるもの、これは幾つかバージョンがあるということでございますが、これを見ていきますと、政務専門官、これも今回の法案の中では極めて大きな役割を示す位置づけだと思います。いわゆる政官の分離ということで、内閣の一元管理のもとに、国家公務員の基本理念として、議院内閣制のもと国家公務員がその役割を適切に果たすことを実現するために政官の接触の制限を定めた政務専門官についてお尋ねをしたいと思います。
この政務専門官も、当初の報告書の中には明記されておりました。イギリスやあるいは諸外国に倣ってということであろうかと思いますが、政務専門官というのは、大臣、副大臣あるいは政務官のほかの、補佐をする立場で、国会議員との接触を中心とする業務であるという位置づけだと思われます。報告書の中では、「政務専門官は、「内閣人事庁」の所属とし、」と明確に書いておりました。この報告書には、内閣人事庁の所属、そして各大臣の要望によってこれは配置するということが定められていたわけであります。
この内閣人事庁の所属、内閣一元管理のもと、国会議員とのかかわりを十分監視するためにはこれは必要なんだ、私もそのように思います。いわゆる口きき政治やあるいは議員に情報漏えい等々、さまざまな問題があるということを制限するために、これをなくすために政務専門官を置いてみようという発想だと思います。
さて、報告でこのように内閣人事庁の所属と明確にされていたものが、一方、たたき台の段階でこれは微妙に変化をしていっています。バージョンどうこうはもう私は申し上げませんが、このたたき台の流れの中では、政務専門官、これらは内閣人事庁の職を占める者をもって充てるという形に変わりました。職を占める者をもって充てるという言い方に変わったというのは、これは理由があります。つまり、内閣人事庁にいない者、別の府省の者を内閣人事庁に置くことができるという形で、職を占める者をもって充てるという形にこれは微妙に変わっていったわけであります。
そして、本日閣議決定された法案の概要にも載っておりますが、この法案概要を見ますと、国家戦略スタッフにつきましては内閣人事庁の職員をもって充てるということと、政務専門官については内閣人事庁に併任する、このように書いております。
そこで、大臣、今申し上げたように、もともとこの政務専門官という役職は、国会議員との接触を制限させて、そしていわゆる口きき等々を抑えるためにつくる。そういう立場の者に関して、これを内閣人事庁に併任する形というのは、これはどういうことを意味しているんでしょうか。端的にお答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 今回の改革プランは、キャッチコピー風に申し上げますと、官僚内閣制から真の議院内閣制への転換ということでございます。本来の議院内閣制、すなわち内閣主導型体制を実現するためには、大臣の指揮、コントロールを無視した官僚の議会ロビーイング活動というのは規制をされなければなりません。そこで、大臣の威令のもとにおいて国会等とのリエゾンオフィサー部隊を置こうというのが政務専門官の発想でございます。
これは、まさしく大臣が内閣の一員である、内閣主導型の体制を置こうと思えば、まさに懇談会の提言の趣旨にのっとって内閣のDNAを埋め込むことが大事でございます。その趣旨にのっとって内閣人事庁に併任としたものと考えます。
○馬淵委員 併任するということで果たして本当に本来の目的に合致するんでしょうか。
併任というのは、人事院規則の中にも定めていますよ、「現に官職に任用されている職員を、その官職を保有させたまま、他の官職に任用することをいう。」と。人事院規則の二十条に併任というのがあります。つまり、各府省の役職である者、そこで任用を受けている者が内閣人事庁でこの政務専門官として任用を受ける。
先ほどおっしゃったですね、官僚主導ではないんだ、内閣一元管理でやるんだと。議院内閣制を主導でやるんだと言いながらも、結局は府省の影響を残すことになっているじゃないですか。
大臣、これはDNAを残すという話じゃありませんよ。DNAを残すのではなく、まさに新たな息吹を吹き込むということが、あなたがやられようとしている、大臣がやられようとしている改革の本来の理念であり趣旨じゃないんですか。今言われているのは全く逆行していると言わざるを得ませんが、大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 全く逆行というのはちょっと酷な表現ではないでしょうか。
所属が併任に変わったのが後退だとおっしゃりたいのかもしれません。併任というのは従たる所属というところでしょうから、そういった位置づけから考えると若干後退のようには見えるかもしれませんが、しかし、大臣の威令のもとに政界、国会等との接触をコントロールしていこう、この精神はきちんと守られているはずでございますから、これが逆行だとは言い切れないのではないでしょうか。
○馬淵委員 私は大臣のお気持ちを代弁したつもりだったんですが、言い過ぎだったでしょうか。
ならば大臣、このような併任の形、これはあるべき姿ですか。大臣はどうお考えですか。これは、ああ、すばらしい案になったんだとお考えでしょうか。あるべき姿だとお考えでしょうか。端的にお願いします。
○渡辺国務大臣 懇談会の答申とは若干異なりますが、その趣旨は十分生かされていると考えます。
○馬淵委員 懇談会の趣旨を受けて記者会見で述べられた事柄、これは趣旨を受けて、若干異なったということでありますから、じくじたる思いが今のお言葉の中ににじみ出ているなと私は感じるわけであります。
本日閣議決定を出されたわけですから、法案として出したところなわけですから、やっと厳しい総務会を経たということでほっとされている中で、蒸し返すような発言をなかなかされないのはよくわかりますが、大臣、我々もこの法案に関しては大変重要な法案だという認識を持っております。対案としてぜひ委員会審議に出していきたい、そう考えております。その中で、本当に骨抜きにされてはならない大事な部分なんですね。ですから、きょうの一般質疑は、法案審議ではありませんけれども、極めて重要ですよ。大臣のお考えを率直に述べていただく場だと私は思っています。
さて、そこで三点目をお尋ねします。同じく、やはりこれも後退ではないかと私は思うわけでありますが、幹部職員の所属についてであります。
幹部職員の所属につきましては、たたき台と呼ばれるものについて記載がございました。お配りはしておりませんが、このたたき台の中に、幹部職員は、内閣人事庁の職を占める者をもって充てるということで書かれておりました。しかし、この内閣人事庁の職を占める者をもって充てるというところから、これはお配りをしております一枚目の資料の5をごらんいただくと、幹部職員の所属のところでございます。先ほど来私が申し上げていた部分については4、6、7ございましたが、当該質問は一枚目の5でございます。「幹部職員は、内閣人事庁及び各府省に所属する。」となっています。これは、当初の考え方は、幹部職員については内閣人事庁において、先ほどの話じゃないですけれども、まさに一元管理ですよね。
政務専門官は併任になりました。幹部職員については、内閣人事庁の職を占める、内閣人事庁に籍を持つ者という位置づけから、これも各府省に所属するとなっているんですね。
大臣、これもお尋ねしますが、内閣人事庁及び各府省に所属する、これはどういう位置づけなんでしょうか。いわゆる人事院規則に基づく併任ではなく、所属する、あえてこのように書かれたこと、これを端的に御説明いただけますでしょうか。
○渡辺国務大臣 これは苦心の作でございまして、具体的な人事管理のあり方については、幹部職員を一元的に管理する観点と各府省大臣の幹部職員に対する十全な指揮監督を担保する観点のバランスを考慮しなければいけない、そして、この基本法が成立した暁に、制度の具体化の中でより具体的に検討していくという趣旨でございます。
○馬淵委員 いや、基本法だから細かいところを決められないんだという今のお話は、ちょっと私は理解しがたいんですが、もう一度お尋ねしますよ。政務専門官については内閣人事庁に併任すると明記されておられますよね。そして、幹部職員については所属。二分割ですか。これはどういうことですか。どういう形で所属することを想定されているんですか。
細かいことが決まっていないのはわかりますよ。しかし、これはまさにあいまいにして骨抜きにされてしまいかねないような法案の設定じゃないですか。このような形で、大臣おっしゃる基本の方針、逆行なんかしていないとおっしゃるけれども、私はこういうところから、ずるずる後退、それこそスタートラインに戻って逆に走りかねないということを危惧しているわけです。
大臣、もう一度聞きますよ。政務専門官は併任する、このように明記していますが、幹部職員については所属するですよ。これはどのように違うんですか。そして、どのようなことを規定しているんですか。
○渡辺国務大臣 まさに具体的な制度設計はこれからでございますが、たしかこの前のバージョンでは、各府省本務、内閣人事庁併任というような記述になっていたのではなかろうかと記憶をいたしております。正確なワーディングは別かもしれませんけれども。
したがって、そういうところから、併任が所属にランクアップした、こういうことも言えるわけでございまして、苦心の作でございます。
○馬淵委員 大臣、これは法案の審議だったら大変なことになりますよ。一般質疑で私もこのプロセスのお話をさせていただいているので、細かなところということでは言いませんが、しかし、これは明らかにこの法案の問題点だと私は思いますよ。そして、このことについて、いや、これから決めるんだでは、大臣がおっしゃるような背骨の部分、内閣一元管理、議院内閣制に基づく新しい国家公務員の制度ということには、これは遠ざかってしまうのではないかということが私は危惧されます。
さて、そこでお尋ねを重ねていきたいんですが、このように、幹部職員の所属というのは、各府省に所属する、これは苦心の作だと言われるということは、私が見る限り、これは明らかに後退というか変化しているのは事実だと思います。
さて、そこで町村官房長官にお尋ねをしますが、町村官房長官は総理とこの点については御相談されましたか。いかがでしょうか。
○町村国務大臣 何度か相談をしております。
○馬淵委員 官房長官、官房長官が内閣人事庁のトップになられるわけですから、当然ながら、そのことについては総理とよく御相談をされているかと思います。
私は、三月十九日の当委員会での質疑の中でも、官房長官と渡辺大臣の発言が食い違っているのではないか、その中でずるずると後退をしていっているのではないかということを指摘させていただきましたが、御本人方の口からはなかなかそうは出ない。もういたし方ないかと思いますが、やっと総務会を通ってほっとされていたところだと思いますが、大丈夫です、官房長官にお聞きをします。
官房長官、この今まさに私が指摘をした幹部職員の所属の部分、これについては、総理と相談をして、内閣人事庁及び各府省に所属する、このように決められたんでしょうか。いかがでしょうか。
○町村国務大臣 二度にわたって、全閣僚の、総理大臣以外ですが、自由懇談といいましょうか、フリーディスカッションといいましょうか、これを開きました。また、渡辺大臣には、非常に数多い回数、各大臣とも話し合いをしていただきました。私も話をいたしました。また、渡辺大臣は、総理大臣とも、よくよく御説明をし、相談をされる。
そういうプロセスの中から、最終的にこうした、今の、「幹部職員は、内閣人事庁及び各府省に所属する。」という文章ができ上がってきたわけでございまして、これは議論の過程、いつでもそうでしょうけれども、ありとあらゆる政策、法律がそうでしょうけれども、いろいろな議論をする中で、こうしたものは当然のことですけれども、変化をしてまいります。その結果が、今お手元にあるような、きょう閣議決定した法案になったわけでございます。
○馬淵委員 お手元の資料の2、3をごらんください。
これは、内閣官房の行政改革推進室から各府省の法令担当官に発された文書であります。「国家公務員制度改革基本法案について(連絡)」ということで、担当の方々の名前が付されております。ここに、「標記」、つまり、この法案について「現在法令協議を行っているところですが、第五条及び第十二条について、先日の閣僚懇談会の結果を踏まえ、官房長官が総理に相談された結果、別添のとおりとなりましたのでご連絡いたします。」。
3をごらんください。ここにその変わった部分が、二重線並びにアンダーラインで引かれております。私は二重丸をつけさせていただきましたが、第五条、「幹部職員は、内閣人事庁及び各府省に所属するものとすること。」。総理の御指示ですか、官房長官、お答えください。
○町村国務大臣 何をもって指示というかは別にいたしまして、総理大臣と御相談をした結果、こういう結論に達しました。
○馬淵委員 渡辺大臣、私は応援をしますよ、改革は応援します。
渡辺大臣、先ほど来、非常に苦渋の決断というか、本当にこれは苦慮した結果だとおっしゃいました。このように、二つの省庁、内閣人事庁と各府省に所属するというような形で、まるでぬえのように、あるいはコウモリのように、一体どこに自分のあるいはその幹部の責任の所在があるのか、あるいは人事権があるのかわからないような形を基本法に盛り込んだ。そして、その盛り込んだという一例として出てくるのが、少なくとも官房長官と総理の相談の結果だと。
官房長官は、総理の指示かどうかは、これは何をもって指示とするかはわからないとおっしゃっていますが、少なくとも、あなたの、渡辺大臣の所管する行革推進室からは、わざわざこれは書いているんですよ、このように決まりましたと。これは、例えば、このように政府部内の検討によって決まりましたじゃないんですよ。わざわざここで、「官房長官が総理に相談された結果、」としてこれは書いているんです。つまり、総理の強い意思があるんだということで、皆さん納得してくださいねということで押し返したというふうに、これは通常見るんじゃないでしょうか。
だとするならば、先ほど三点私は申し上げました。後退しているのではないかと。私はずっとこの法案審議の中でもしっかりと指摘をさせていただきますし、今後もこれはしっかりと監視していきますけれども、だとするならば、現時点においては総理が改革を後退させているということになりかねませんよ。
渡辺大臣とそして町村長官、一言ずつで結構ですから、私の指摘に対してお答えください。端的で結構ですよ。
○渡辺国務大臣 先ほども申し上げたように、この前のバージョンは、各省所属の内閣人事庁併任という記述であったような気がいたします。そこから考えると、逆に、盛り返したということが言えるのではないでしょうか。
○町村国務大臣 いろいろな議論を大臣ベースでもいたしました。率直に言って、今でもいろいろな議論が、内心これでいいんだろうかと思っておられる大臣もいらっしゃいます。それは、各府省の大臣にしてみますと、やはり人事権を持っているからこそ、まさに渡辺大臣の言うところの、議院内閣制の大臣としての指導力が発揮できるということがあるわけですね。
ですから、報告書と変わったことがすべて後退だという定義をされましたが、一つの重要な意見として、参考意見として懇談会の意見もあることはよく承知をしておりますし、あらかたのものが懇談会の意見として今回の法案に反映をされている、こう私は思っておりますけれども、しかし、後退、後退とおっしゃる。それでは、なぜ内閣人事庁所属が前進で、こうした両方に所属するというのが後退であるというふうに委員が定義をなさるのか。
そうであるならば、どういう姿、どういう人事の姿が馬淵委員は最も理想的な姿であるかということをぜひ法案という形でお示しをいただき、その結果、どちらが本当に議院内閣制として意味のある、かつワーカブルなといいましょうか、実効性の上がるといいましょうか、姿であるのか、ここはまた法案審議の際によく御議論を賜りたいと存じます。
○馬淵委員 もう時間も参りました。
今、道路特定財源問題、大変国会内外でも大きな声が上がっております。税金の使い道に対してです。そして、この税金の使い道について、法案を決めていくのは我々国会であり、そして行政です。行政の制度を議院内閣制のもと一元管理をするという本当に強い信念を持ってぜひ進めていただきたいと思いますし、官房長官御指摘の部分については、我々民主党として、対案をお示しして、また法案審議の中でしっかりと議論をしていきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○中野委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
初めに、私、ちょうど一昨日のこの委員会で、農水省に対して、諫早湾干拓の調整池から通常排出される排水によって漁業被害が発生したのかどうかというその事実を伺いました。このときに回答が明確にありませんでしたから、改めて伺います。
○齋藤(晴)政府参考人 お答え申し上げます。
平成元年度から学識経験者の指導のもとに実施している環境モニタリング調査等の結果によれば、諫早湾内の水質、底質及び底生生物の状況につきまして、潮受け堤防の締め切り後、悪化する傾向は見られておりません。
これらのことから、調整池からの排水による有明海の漁業環境への直接的な影響はないものと考えております。
○吉井委員 通常の排水によっては被害がなかったということなんですよね。
それで、諫干事業の短期開門調査のときに事前事後調査というのがありますが、開門調査に伴う事前事後調査委託事業という名で、実は、随意契約で財団法人九州環境管理協会という団体に、当初額は千三百二十八万円ですが、契約変更して最終的に千八百五十万円で発注したものです。この九州環境管理協会というのは、これは諫早干拓のアセスメントを請け負って、有明海に与える影響はほとんどないと結論を出していた団体なんですね。だから、そもそもお手盛りの疑いが非常に強いということが当初からあったものです。
先日指摘いたしました漁業補償という名で六千万円という話など、この漁業被害の偽装という疑いはますますこれは深まってきたと思うんです。だから、改めて事前事後調査報告書の提出を強く求めておいて、きょうは次の原発の問題に移りたいと思います。
農水省の方は、お忙しかったらもう引き揚げていただいて結構であります。
まずは、きょうは原発耐震について伺いますが、新耐震指針が示された後、各電力の方から原発の耐震安全性評価の中間報告というのが出されました。最初、政府参考人に伺っておきますが、敷地内に活断層がある原発というのはどこですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成十八年九月の耐震設計審査指針の改定に伴いまして、原子力安全・保安院は、全国の原子力発電所などの耐震安全性の再評価を指示したところでございます。これを受けまして、本年三月末までに、すべての電気事業者などから中間報告が提出されました。報告によれば、日本原子力発電株式会社敦賀発電所の敷地表面におきまして、耐震設計上考慮すべき活断層が確認されております。(吉井委員「関電は」と呼ぶ)関西電力美浜原子力発電所につきましては、敷地の表面に活断層が確認されているわけではございませんで、施設の地下深くに活断層面が想定されているということでございます。
以上でございます。
○吉井委員 何か余り言いたくない雰囲気なんですけれども、施設の深くというのは要するに直下のことなんですね。直下にある。高浜、大飯は周辺にあり、「もんじゅ」は大体二百メートルぐらいのところでしょう、うなずいておられますが。東京電力の柏崎刈羽、これは今回のとは別にずっとやってきていますが、近傍にあるわけですね。
ですから、そういうふうに、もともと日本は活断層列島みたいなものですから、どこにでもあるといえばあるんですが、そういうところに、特に原発の表面のところにあったり、直下に活断層のあるところが今回の報告で改めて明らかになったということが出ております。
そこで、原子力安全委員長にきょうはお伺いしたいと思うんですが、「もんじゅ」が計画されたとき、申請手続に移行していくころなんですが、一九八〇年十月二十一日の科学技術委員会において、動燃事業団の参考人の方が出席されて、その中の永根さんという方が、敦賀半島には活断層の疑いのあるリニアメント、線状模様のようなものはあるんだと日本活断層分布図資料にはあるんだけれども、自分たちはずっと歩いて回ったんだ、調べたんだ、しかし、建設予定地あるいはその近傍には発電所の建設に問題になるような断層はないと。つまり、リニアメントとしては白木―丹生といったようなものですね、これは敷地に与える影響は小さいものだとしていたわけです。
今回の報告書では、近傍には活断層がある、それから二つのリニアメントのところ、リニアメントどころか十五キロの連続した白木―丹生断層があるということになってきました。それから、日本原電敦賀原発の場合は直下にあるわけですね。ですから、「もんじゅ」も敦賀原発も断層調査を十分やってその上で審査したというものじゃなくて、十分な調査ができていないままの審査で認可を、設工認を通したんだということになっていたのではないかと思いますが、この点を伺っておきたいと思います。
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
いずれの原子力発電所におきましても、設置申請段階でわかっている科学的な知見に照らして、活断層の存在等につきましては十分に調査した上、当該原子炉施設に地震動として影響を及ぼす可能性のあるものについては漏れなく評価をし、審査をしているというふうに理解しております。
ただ、いろいろな活断層に関する調査等につきましては、学問も進歩いたしますし、調査技術、地震の計測計を含めましていろいろな進歩がございますので、その設置審査当時の知見よりさらに進んだ知見がその後得られるということもあり得ると私どもは思っております。そういう意味では、十分安全余裕を見込んで設置審査時の耐震安全性を審査しなきゃいけないというのが安全委員会の立場でございます。
そういうことで、今回、中間報告に盛り込まれている内容につきましても、安全委員会はこの月曜日に原子力安全・保安院から一括して報告を受けました。その内容を私どもは今検討中でございますが、先生がおっしゃるように、幾つかのところで新たに断層、しかもそれが敷地に非常に近いところに存在しているという評価が出ているというふうに聞いております。こういう点につきましては、原子力安全委員会としては厳格にこれを精査してまいりたいと思っております。
ありがとうございました。
○吉井委員 これは国会の会議録にありますけれども、「もんじゅ」を計画し、そして申請が出される時期、動燃の方がどういうふうに言っていたかというと、要するに、活断層については心配ないんだということで、文献調査、あるいは空中写真の判読、あるいは現地を歩いて状況を見てと。柏崎刈羽のように超音波の探査、ああいったことできちっとやるとかそういうことが全くないままに、とにかく歩いてみて、大丈夫だ、大丈夫だということで申請をして、それで実は、いや、鈴木委員長の責任を言っているんじゃないですよ、当時のことですから。当時の原子力安全委員会というのは、そういうもので通してしまっていたということが今明らかになってきたと思うんです。委員長の方もその時代はわからなかったということですから、それが事実の問題としてあると思うんです。
次に、政府参考人の方に伺っておきますが、アメリカの活断層法では、活断層の上に構造物をつくってはならないとしていますね。きょうお昼過ぎに御連絡してありますが、世界の原発の中で活断層の上に建設した原発というのはありますか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
活断層の直上に原発をつくっている例というのは私は承知しておりませんけれども、アメリカにおけますディアブロキャニオン原子力発電所におきましては、約五キロメートル近傍に活断層があるということでございます。また、サンオノフレ原子力発電所については八キロメートルというふうに、これは新聞報道でございますが、承知しておるところでございます。
○吉井委員 だから、今のお話でお認めになったように、美浜や敦賀の原発直下とか、あるいは高浜、大飯のように周辺だとか、「もんじゅ」のように二百メートルほど離れたところとか、柏崎のように近傍にとか、そういうのじゃないんですね。五キロ、八キロ、十キロといったって、もともと世界を探して四基でしょう、活断層のすぐ五キロ、十キロ離れたところに原発というのは。だから、世界じゅう探したって、活断層の上に原発をつくるなんというようなところはないわけなんですよ。アメリカのあの問題のところでも、法律もありますが、離れているわけですね。
今度、敦賀原発三、四号機を建設する計画が出ておりますが、安全委員長、これは真上ですよね。それから、活断層から二百メートルほど離れたところの「もんじゅ」を再開しようというわけですが、安全委員長としてこれは大丈夫だというお考えなのかどうか、伺っておきます。
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
今回の中間報告等で明らかになった断層の存在につきましては、それを前提に、そこで大きな地震が発生した場合に、設置予定、あるいは既に設置されている原子炉に対してどのような影響を及ぼし得るかということについて厳密に精査した上、それが耐震安全上、問題があるのかないのかということを厳正に審査してまいりたいと思います。
ありがとうございました。
○吉井委員 断層法をつくっているカリフォルニア、そこで五キロ離れたところ、八キロ離れたところ二基ずつですから合わせて四基ですね。五キロ離れている、それどころか、とにかく、断層の真上にあるとか、敷地の中に断層が走っているとか、世界にそういうところはないわけですよ、ほかに。
そういう中で、私、原発については、この中でも皆さん考えはいろいろだと思うんです。いや賛成だ、推進せいという方もおられれば、そうではない方もいらっしゃると思うんですけれども、考え方はいろいろあっても、安全審査以前の問題ですよね。いわば世界標準というべき、活断層の上には原発はつくらない、これだけはちゃんとするべきだと思うんですね。
これまでにやってきた地震動の評価を今回改めることになるわけですが、専門家からは以前から、実は、そんな短い長さの断層じゃない、もっと長いとか、途中ぶっちぎって評価しているけれども、そうじゃない、連続したものとして見るべきだとか、いろいろな専門家からたくさんの御意見がありました。私も、専門家の方の御協力を得て調査に行ったこともありますが。
ですから、そういう点では、専門家からは以前から断層評価に対して疑問が出されていたわけですから、改めて、審査済みの案件を含むすべての案件に対して、新たな知見を踏まえた再評価を行っていく。過去に評価したから終わりだというのじゃなくて、再評価をきちっとやる、今それが大事だと思うんですが、安全委員長のお考えを伺います。
○鈴木参考人 先生おっしゃるとおり、安全委員会としては、予断を持つことなく、審査、確認、検討してまいりたいと思います。
先ほど先生がおっしゃった敦賀の三、四号炉につきましては、新設の案件でございますので、これにつきましては、議論されている活断層の位置等を含めまして、これから建てる原子炉設備でございますので、先生の御意見等も十分参酌した上、安全性に十分配慮した審査あるいは許認可をしていくべきだ、こういうふうに思っております。
ありがとうございました。
○吉井委員 これからの新しいものは、当然、別段カリフォルニアの活断層法みたいな法律が日本にないからということじゃなくて、そもそも世界じゅう探したってないわけですから。活断層の真上に計画するような三、四号炉については、今踏まえて考えるというお話ですが、これはつくることそのものを、計画そのものをやめるというのが当たり前だと思うんです。
ところで、電力の方からは、重要な設備、機器の安全性は問題ないというふうにしていることなどが今度の中間報告の中で見られますし、マスコミとの記者発表のときの、質問されてのお考えなんかで言われております。だから、今度の活断層の再評価が随分たくさん出てきたわけですが、変えなきゃいけないんですが、安全委員会の方は、今度の報告を踏まえて大丈夫という評価はまだしておられないと思うんですね。さっきのお話からしてもそうだと思うんですが、これを確認しておきます。
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
中間報告の結果につきましては、報告を受けたばかりでございまして、これから専門家の先生方にも加わっていただいて、科学的な立場から、客観的に冷静に中間報告の結果については検討してまいりたいと思います。
○吉井委員 電力会社としては、中間報告を出すときに評価して、大丈夫ですと言いたいんでしょうけれども、実際には、原子力安全委員会の方で安全だ、大丈夫だという評価はまだ出ていないわけですから、余り電力会社が大丈夫だ、大丈夫だということを言い出すのは正しくないというふうに私は思います。
原子力安全・保安院の方に伺っておきますが、これまでは電力から出てきた申請図書を安全だとして、自分たちの方のチェックで第一次チェックは大丈夫だということで原子力安全委員会の方に送っておったわけですね、第二次チェックだということで。
しかし、これまでの電力会社の地質、地盤、断層調査は不備であったということは明らかに今回の報告を見て読み取れるんですが、保安院としては、これまでの地質、地盤、断層調査は不備なものであった、そういう見方をしておられるのか、いや、今までは十分やっておったんですという見方なのか、これは政府参考人に伺います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成十八年九月に改定されました耐震設計審査指針におきましては、活断層の評価期間の変更、これは従来五万年前以降としていたものを十二、三万年前以降とする範囲の拡大を行ってございます。また、調査に当たりましては、変動地形学的調査や海上音波探査などによる徹底した調査、さらには断層評価の不確かさの考慮などが求められているわけでございます。
このため、電気事業者は、新たな知見に基づいて、活断層と評価したり、また近接した活断層は連続した断層として評価するなど、安全側な評価を行っているところでございます。
いずれにいたしましても、保安院といたしましては、報告内容について専門家から成ります委員会に諮りながら厳正に確認してまいりたいと考えておるところでございます。
○吉井委員 いや、私が伺っておりますのは、これまで、出てきたものを大丈夫だとして安全委員会へ送っていたわけですよね。しかし、電力会社の地質、地盤、断層調査というのは、やはり不十分なものだった、そのことをきちんと考えていらっしゃるんですねということを伺っているんです。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
地震につきましては近年さまざまな知見が得られておりまして、これを踏まえますれば、設置許可当時の評価が現時点の知見から見れば不十分であったということについては否定できるものではございませんけれども、我々といたしましては、その時々の知見に基づき厳格な評価を行ってきたというふうに考えておるところでございます。
いずれにしろ、今回、事業者から報告のありました評価結果につきましては、保安院として、先ほども申しましたが、専門家から成ります委員会に諮りながら厳正に確認してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉井委員 実は、そのころ、知見に基づいて評価しておったから問題なかったような考えだったら、これはとんでもないと思うんです。その時代にあっても、専門の学者の皆さん方からも随分指摘はあったんだけれども、しかし、いや大丈夫なんです、大丈夫なんですということではねのけて、謙虚に耳を傾けるといいますか、そうじゃなくて、電力の側が大丈夫だと言ったら大丈夫だ、こういうふうになっていたわけです。それは今回、そうじゃないんだということが具体的に出てきましたから、これからの態度、姿勢としても、電力がどう言おうと、保安院の方は保安院として、それこそさまざまな分野の専門の学者の方たちの御意見をよく聞いて、厳しく対処していくということが必要だと私は思います。
原子力安全委員長に、きょうはもう一言伺っておきたいんです。老朽化原発の話というのは、委員長とも私、これまでからよくやらせていただいておりますが、これは、新品の評価と違って、さらに厳しいものをやっていきますね。
二〇〇四年十月二十三日の中越地震では、最大二千五百ガルを超える記録も出ていますし、昨年七月十六日の中越沖地震のときは一千ガルを超えると。このとき、昨年、タービン建屋では二千ガルを超えるものもありました。ですから、もちろん場所その他によって加速度の値はいろいろ違うのはわかるんですが。
そういうところへ、今回、連続した活断層で考えた場合には、最大マグニチュード八・一で考えなきゃいけないという場合も出てきますと、老朽化した原発でどれだけ傷みが出るのかということを、コンピューター解析も私は大事だと思っているんですけれども、コンピューターだけじゃなしに、本当は老朽化したもので、取り外して、それはもう使わないから実証実験に使えるというものなどは、実際に振動台にかけて実証実験をやってきちんと検証するということをこれからやはり本当に真剣に考えていかないと、老朽化原発と巨大地震の重なった問題というのは極めて深刻な問題ですから、どのようにそれを実現していくのか、このことを伺います。
○鈴木参考人 吉井先生には、以前から、原子力の安全、特に耐震安全性については実証試験が大事だということで、いろいろ応援していただいているところでございますが、残念ながら、予算の制約等のために、多度津にございました大型の設備、施設が、現在は使わないということになっております。
そういう中で、では、どうやって今後のことに対応するのかというのが先生の御質問かと思いますが、確かに原子力発電設備は古くなってまいりますので、それなりに機械的な性質等が劣化することはやむを得ないところで、そういうことを十分勘案した上、耐震安全性の評価をしなければいけない。事業者はそういうことを当然前提に今回の中間報告も出ているはずだと私どもは思っております。
なお、確かめる上からいろいろ試験等もやるべきではないかという御指摘でございますが、大型のものは、実規模でできるようなものは現在残念ながらなくなりましたけれども、二分の一規模であるとか三分の一規模程度のものであれば、なお今できる可能性はございますし、また、コンピューター等の解析技術も大変進んでおりますので、そういう解析技術の精度をさらに上げていって、また、わからないところにつきましては、これは安全余裕を十分見るということを徹底して、今後、さらにこの耐震安全については万全を期してまいりたいと思っております。
ありがとうございました。
○吉井委員 多度津のあの大型振動台は、売り飛ばしてしまって、もうスクラップにして、ないんですね。E―ディフェンスとかを使おうといったって、老朽化した原発は放射化していますから、一度振動実験に使ってしまったら、そのE―ディフェンスそのものを管理区域にしなければいけませんから、使えないんですね。
だから、今、コンピューター解析も大事なんですけれども、同時に、それは実証値でもって確認されるかということをやらないと、基準をつくることは非常に難しいんですね。おおよその当て推量はいけても、やはり科学の世界は実証の世界ですから、そういう点では、大型振動台をつぶしてしまって大変なことになっている。
こういうことについて、改めて新しい機械といっても、本当にその管理区域にできるものかとか、そういう問題からしてありますから、これは、大臣、後ほど固めてお答えいただくように考えておりますが、そういうことを含めて、やはり本当にちゃんと実証できるようなものをきちんと準備していくということについても、これは政治の側が考えていかなきゃいけないというふうに思いますので、これは後ほどあわせてお答えをいただきます。
時間が迫ってまいりましたので、高レベル放射性廃棄物問題で、昨年、高知県東洋町の問題などを私やったんですけれども、一九九四年十一月十九日に、科学技術庁長官だった田中眞紀子さんの名で青森の知事さんに、青森県が高レベル放射性廃棄物の処分地に選定されることはありませんという文書を出しておられます。一九九五年四月二十五日も、同じように、確約しますと。
二〇〇〇年五月の商工委員会で高レベル放射性廃棄物処分に関する法律を審議したときに、この五月十日の委員会では、斉藤鉄夫さん、科学技術政務次官が、青森の六ケ所が処分地にしないと言っているところだと。興政府参考人は、青森県知事と科学技術庁長官とでお約束がございますと。さらに斉藤政務次官からは、地元とのお約束は厳格に守ってまいりますという答弁があり、五月三十日の参議院では、当時の深谷通産大臣が、青森については現在も最終処分地にしないというその方針には変更は全くありません、こういう答弁がありました。
こうした国会答弁で、科学技術庁長官の処分地となることはないという方針は変更ないと国会答弁でもされているんですが、まず、科学技術庁長官からそういう文書が出されていたという事実と、こういう国会答弁があったという事実、これを確認の上、泉大臣には、原子力安全委員会を担当してもらっていますから、最後に伺っておきたいのは、福田内閣にかわっても、これまでの大臣の約束や答弁、政務次官答弁など、これは変わってしまったりすると、あるいは無視するようなことをしますと、内閣が信頼を失うようなことになってしまいますから、従来の大臣答弁とか、あるいはお約束とか確認したこととか、そういうことはこれからもきちっと続けていくことによって内閣が政府としての信頼を失うことがないようにする、そういうお考えを持っておられるんだろうと思いますが、その点だけ確認をしておきたいと思います。
○泉国務大臣 吉井委員の今の御指摘は、私、大変申しわけないんですが、初めてお聞きすることで、かつてそういうお約束をした、あるいは文書が出たということを一度確認しなければならない、その上で御返事を申し上げなければならないと思います。
ただ、一般論として申し上げれば、大臣あるいは内閣がお答えしたことは、よほどの事情がない限り、継続して遵守するということが行政の信頼の上に大変重要なことだと思います。
後ほどまた、御指摘の文書等確認をさせていただきまして、御返事を申し上げたいと思います。
○吉井委員 もう時間が参りましたが、最後に一言だけ。
さっきの、老朽化してくる原発の、随分ちびてきたり、脆性破壊が起こってきたりいろいろしているものを、やはり実際の大型の振動台に乗せてデータをきちんととって、コンピューター解析と実証実験値と突き合わせて検証するということが安全基準その他をつくる上でも大事なことなんです。現在は、装置が破壊されてもうないんです。だから、原子力安全委員長さん、困ってはるわけですよ。もう委員長とは大分長い議論をずっとこれまでからやっているんですが。
だから、そういうものをきちんと、やはり新たにその方途を考えていくということをしないと、安全委員長一人で安全行政をやれるわけじゃなくて、やはりそれをサポートする政治の力が必要ですから、その点についての大臣のお考えを伺って、質問を終わりにしたいと思います。
○泉国務大臣 先ほど鈴木委員長からお答えを申し上げましたように、実証実験の重要性というものは、これは科学者として当然のことだと思います。ただし、必ずその実証実験を行わなければならないということではなくて、二分の一、三分の一の縮小モデルで行う、あるいはコンピューター解析を行うということでカバーできる実態もまた否定できないと私は思います。
したがって、委員の御指摘の点については、大変重要な点であることはお説のとおりでございますので、また委員長ともよく御相談をし、お知恵をおかりし、政治として働く場所があれば、その役割を果たさせていただきたいと思います。
○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
○中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十分散会