第10号 平成20年4月18日(金曜日)
平成二十年四月十八日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 萩生田光一君 理事 村田 吉隆君
理事 泉 健太君 理事 大畠 章宏君
理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 宣彦君
大塚 拓君 加藤 勝信君
木原 誠二君 河本 三郎君
高市 早苗君 戸井田とおる君
土井 亨君 中森ふくよ君
西村 明宏君 藤井 勇治君
市村浩一郎君 楠田 大蔵君
佐々木隆博君 西村智奈美君
馬淵 澄夫君 石井 啓一君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(地方分権改革担当) 増田 寛也君
国務大臣
(内閣官房長官) 町村 信孝君
国務大臣
(国民生活担当)
(科学技術政策担当) 岸田 文雄君
国務大臣 渡辺 喜美君
国務大臣
(男女共同参画担当) 上川 陽子君
内閣府副大臣 山本 明彦君
文部科学副大臣 松浪健四郎君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
外務大臣政務官 中山 泰秀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岸野 博之君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長) 茂田 忠良君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 山崎日出男君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 殿川 一郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房政府広報室長) 高井 康行君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 板東久美子君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 西 達男君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 米田 壯君
政府参考人
(警察庁交通局長) 末井 誠史君
政府参考人
(警察庁警備局長) 池田 克彦君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 岡山 淳君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局アフリカ審議官) 木寺 昌人君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 藤木 完治君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官) 石野 利和君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 木倉 敬之君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 藤崎 清道君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 伊藤 健一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 小風 茂君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 谷口 隆君
政府参考人
(農林水産省総合食料局次長) 平尾 豊徳君
政府参考人
(特許庁総務部長) 長尾 正彦君
政府参考人
(気象庁地震火山部長) 伊藤 秀美君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
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四月十四日
憲法九条改定に反対し、現行憲法第九条を守り、平和のために生かすことに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一五二二号)
同月十八日
憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第一八七八号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇二五号)
憲法改悪反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二一〇〇号)
憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一〇一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岸野博之君、内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長茂田忠良君、内閣府大臣官房審議官山崎日出男君、殿川一郎君、大臣官房政府広報室長高井康行君、男女共同参画局長板東久美子君、国民生活局長西達男君、警察庁刑事局長米田壯君、警備局長池田克彦君、消防庁国民保護・防災部長岡山淳君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官木寺昌人君、文部科学省大臣官房審議官藤木完治君、スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官石野利和君、厚生労働省大臣官房審議官木倉敬之君、医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、農林水産省大臣官房総括審議官伊藤健一君、大臣官房審議官小風茂君、谷口隆君、総合食料局次長平尾豊徳君、特許庁総務部長長尾正彦君、気象庁地震火山部長伊藤秀美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井勇治君。
○藤井(勇)委員 おはようございます。私は、自民党の藤井勇治でございます。
きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。私は地方出身の議員であるわけでございますが、きょうは、我が国の最重要課題であります地方再生について、担当の増田特命大臣にお伺いいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
現在、我が国の地方は、地域により若干の状況の違いはございますが、総じて大変疲弊した状況にあります。地方の再生はまさに急務でございます。
増田大臣は、先般のこの国会の所信表明の中で、「地方と都市の格差のこれ以上の拡大を防ぎ、地方の活力を取り戻すため、「地方の元気が日本の力」を基本理念として、地域の創意工夫を生かした自主的な取り組みを政府一体となって強力に後押ししてまいります。」と、力強くこの委員会で述べられました。
そこで、まず最初にお聞きしたいのでございますが、地方と都市の格差の現状を担当の大臣としてどのように認識されているのか、ここからお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○増田国務大臣 お答えを申し上げます。
今、例えば、地域間格差の象徴でございます経済動向をブロックごとに見ますと、やはり東海は力強く回復、これは内閣府の地域経済動向で、「力強く回復」、こういう判断になっているわけでございますが、一番足踏みをしております北海道は「持ち直しの動きに足踏み」ということでございまして、委員の地元でございます近畿は「緩やかに回復」ということで、ブロック間でも大変その動向に差があるわけでございます。
こうしたことは当然、産業構造ですとか人口動向の違いといったようなことに起因するところでもございますが、具体的な、鉱工業生産や完全失業率、有効求人倍率、あえて一つ一つ数字は申し上げませんけれども、こうしたところにおきましても大変数字のばらつきにつながっている。こういうことでございまして、総じて、地域にお住まいになっている皆さん方も、景気の回復を実感できない、むしろその地域の方が大変多くなっているということではないかというふうに思います。
したがいまして、今委員からお話がございました、昨今の最重要課題というような御指摘がございましたのですけれども、こうした地域間の格差問題に対応していくために、やはり、それにしても地域で必ずその地域の強みとか魅力というものがあるはずでありますので、それを一つ一つ丁寧に引き出していかに活力を高めていくことにつなげていくのか、これが私どもの大きな課題である、このように認識をしておるところでございます。
○藤井(勇)委員 大臣の現状認識をお答えいただいたわけでございますけれども、政府としてもきょうまでこうした状況に手をこまぬいていたわけではないわけでございます。地域活性化のための各種施策を講じられてきたわけでございますが、これまでの地域活性化の取り組みとして行ってきた、例えば構造改革特区やあるいは地域再生の制度について地域活性化に対する施策を講じてこられましたが、この効果はどのように上がってきているのか、二点目にこれをお伺いしたいと思います。
○増田国務大臣 今お尋ねの構造改革特区から申し上げますと、これは俗にどぶろく特区というふうなことが言われておりますが、このどぶろく特区に代表されますように、実は千件の特区計画というのを私どもは認定をしております。そして、六百二十三の項目の規制改革というのを実現してございまして、そのうち百二十三の特例は全国展開、特区で場所を限るんじゃなくて全国展開に結びつけていく。このようなことによりまして、例えばでございますが、これは十八年九月の私どもの調査なんですが、設備投資で約五千三百億円増加したり、それから年間売上高、取扱高で約五千二百億円増加したりということで、大変経済効果もあった、こういうふうに評価しております。
もう一つ、地域再生の方でございますが、これは、できるだけ、省庁の縦割りの補助金、そういった省庁ごとのものを、使い勝手のいい交付金のようなものに切りかえていく。そして、例えば補助対象施設の転用承認手続を簡素化していく、そんなことを主な内容にするものでございますが、こちらも千件を超える、最新の数値で千九件ですが、地域再生計画が認定をしておられまして、それぞれ各地域で大きな効果を上げてきている、こういうふうに私どもは判断をしております。
○藤井(勇)委員 構造改革特区が千件に及ぶということで、大変な数字も上がってまいりましたし、それらの取り組みの相当の効果は上げてきたということでございますが、依然格差は現に国内に現存しておるわけでございますので、一層の取り組みが必要だと思われます。
私自身は、今後の地方再生の取り組みの展開に当たっては、国が一方的に考え方を押しつけるというのではなく、住民や自治体の皆さんが自主的な取り組みで取り組んでいくというのが今後は大事なんだろうと思います。
ここで一つ、私の地元でございますが、滋賀県の米原市というのがございまして、実は、平成十七年に地元の伊吹町、山東町、米原町という町が合併をいたしました。その翌年に近江町という町が編入をいたしまして、新米原市が発足をいたしました。ちょうど三年目に入っております。
この町は、名神高速道路や北陸自動車道、また、東海道新幹線米原駅、そして東海道線、北陸線、国道八号、二十一号と大変な日本の大動脈が走る地域でございまして、近畿、東海、北陸の中間地点に位置しまして、これから大きな町づくりを非常に期待しているところでございます。四町のそれぞれの町が、いろいろな思いがある中で、垣根を越えて、新米原市を発足していただいたのでございます。
ここでいろいろな現象が起きておりますので、少し大臣に御報告申し上げて、また、御評価をいただきたいと思うのでございます。
四町の合併をして三年目、この米原市の市長さんや現場の第一線の市職員、市民の皆さんにいろいろお伺いをいたしました。市当局は、行財政基盤が強化されたこと以上に、従来、ややもすれば町づくりについて県や国にお伺いを立てて仕事をしてきた、ところが、市町村の合併を契機として、地域の課題にみずから目を向けて、みずからその解決策を考えていくという意識が職員の中やら市民の中に芽生えてきたということでございます。
要するに、市民の間でも、住民みずからが身近な町づくりの課題について説明を受け判断してきた結果として、自分たちの町に責任を持って町づくりをやっていくという意識が高まってきた。例えば、市内にはNPOを初めとして多くの新たな町づくりの担い手が登場してまいりました。この新米原市の誕生により、市民や市職員の意識改革が進んでいるのであります。
新米原市が具体的な三つの大きな目標を、標準目標を立てまして、完成をさせました。大変おもしろいのであります。
一つ目は、米原市自治基本条例の制定というものでございますが、町の憲法であります。合併によってできた町づくりの基本となるルール、この憲法を市民の手で手づくりでつくり、市民の皆さんとの協働による町づくりの推進を始めたということでございます。憲法の制定。
それから二つ目は、行財政改革の推進ということでございまして、行財政改革大綱、集中改革プランを策定いたしました。従来型の既存のシステム、サービスを見直し、改善することで、市民満足度を高める行政サービスや、成果重視の行政経営、そして民間活力の導入、健全な地方財政の運営、効率的な市役所組織の再編などを手がけてきております。
そして三番目は、発展する米原市総合計画の策定ということで、合併をしたからこそ厳しい行財政改革を行う。削減、再編が必要だからこそ、新市の一体感や新市の向かう方向、地域が整備されていく展望、将来像が必要であります。これを示し、実現していく、市民、民間と行政が協働でシナリオづくりをするという米原市総合計画の策定というもの。この三点をこの三年間でこつこつと仕上げております。
地域間格差を見直し、地方に活力を取り戻すためには、こうした市町村合併等を契機として高まっている、地域のことは地域みずからの手で解決するという動きをしっかりと国は後押しをしていくということが重要であると思います。今、具体的な米原市の例を挙げましたが、この後押しをしていくという点について、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○増田国務大臣 今、米原市の試みの御紹介がございましたのですが、今まさに委員お話しのとおり、大変交通の要衝でもございますし、そういう重要な地域で、合併に伴いまして大変いろいろな御苦労ですとか地域間での真摯な話し合いがあったんだろうと思いますけれども、それを乗り越えられて米原市になられて、そしてさまざまな場面で皆さん方の意識改革が進んでいるというお話でございましたので、今お聞きをしておりまして、大変心強い動きだなというふうに思っておりました。
三つの試み、自治基本条例、これはまさに委員お話しになったように憲法でございますし、それから、大変つらいことでございますが、どうしても行財政改革を行わなければいけない、それから総合計画、未来に向けていろいろその将来像をおつくりになっている。このことも、そういう形で結びついてきておるということ、大変すばらしいなと思っておりまして、まさにそこに地域の創意工夫ですとか、地域ならではの発想がいろいろ入っているのではないか。
これから我々が地方再生ですとか地方対策をやるときも、やはりその根っこ、原点のところは、そういう地域の皆さん方、NPOや市民の皆さん方の発想とか工夫があって、そして、そのことを国が後押しをしていく。後押しの点では力強くやるんですが、その最初の時点を、こういう考え方でとか、こういうやり方でと押しつけるのではなくて、そこはまさに、今お話ございましたとおり、大変多くの意識改革を経た上での市民の皆さん方の力というのがあるわけですから、まさに今の米原市がそうだと思いますけれども、そういう事例を見ても、発想、工夫を起点にして、それを我々が力強く後押しをしていく。その後押しの仕方を我々がしっかりと仕立て上げていけばいいのだなということを、今お聞きをして、改めてそのように認識をしたところでございます。
○藤井(勇)委員 御理解いただきましてありがとうございます。あちこちで合併が進みますが、国の後押しが大事でございますので、ぜひよろしくお願いいたします。したがって、今こそ、この自主的、主体的な地域活動の取り組みを国はしっかり後押しをしていくということで合併効果は出てくるんだろうと思います。
去年十一月に、政府は、地方再生戦略に基づき、これまで以上に地域の声に耳を傾けるために、地域ブロック別担当参事官と地域ブロックごとの地方連絡室というのを設けられました。このことについて、ちょっとお尋ねをいたします。
地域活性化のための相談を一元化するなどの取り組みを進めておられると聞いておりますが、この地域ブロック別担当参事官と地方連絡室のきょうまでの取り組み状況、成果、効果などについてお伺いいたします。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
この地域ブロック別担当参事官制度といいますのは、全国を八つのブロックに分けます。私もかつて知事をしておりましたときに地方の視点から感じたことでありますが、中央省庁の方は出先の機関というのを、経産局であったり、財務局であったり、地方整備局であったり、農政局であったりと、別々に設けているわけであります。その間を、地方の方ではいろいろ相談をするときに駆け回らなければいけないということがございました。同じ国土交通省の中でさえも、整備局と運輸局というのは別の組織になっているということがございまして、これでは、地方の視点から見ますと大変不便でございますし、中央省庁のお互いの横の連絡にも欠けるところがあるのではないか。そこで、今申し上げましたように、全国八つの地域ブロックごとに担当参事官制度というものを設けて、そして、まず本省と出先との間での連携協議を密にする。
それから、ことしの二月、すなわち昨年度の末でありますが、地域ブロックごとに地方連絡室という常設のところを設けまして、そこに、それぞれの出先、地方整備局、経済産業局、農政局、運輸局など関係する支分部局の職員を出してもらって、そこで地域のそれぞれの問題を政府として総合的に見られるようにする。まさに先ほど委員がお話しになった後押しをする体制として、こういう体制をとらせていただきました。そして、今度は、そこでやります連絡会議というところに、関係都道府県、あるいは政令市がある場合は政令市の担当の部局長さんにも来ていただいて、地元の公共団体と連絡を密にしていく。
先ほどお話ございました地方再生戦略、目玉が地方の元気再生事業ということでございますけれども、この地方の元気再生事業を、年度がかわりましたのでスタートをして、今いろいろ案を募集してございますが、地方連絡室でお受けをして、そして各自治体のさまざまな提案にきちんと誠実に対応していきたい、こういう体制をとらせていただいているところでございます。
○藤井(勇)委員 新しくできましたこの担当参事官並びに連絡室の制度、せっかくの新しい制度でございますので、これが後押しをする具体的な手段だと思われますので、引き続いて、ぜひよろしくお願いをいたします。
次に、同じく地方再生戦略に基づきまして、平成二十年度の地域活性化の目玉事業ということで創設されました地方の元気再生事業について若干お伺いしたいと思います。
この事業は地域の意欲的な取り組みを構想段階から直接支援するものとして聞いております。地域の自主的な取り組みを後押しする観点からはまさに時宜を得た取り組みであると感じております。地域の創意工夫を生かした先進的な提案が数多く集まる、このことを強く期待していますが、一方で、これは、非常に貴重な税金を使って支援する制度でございます。何でもいいというわけにはいかないんだろうと思います。
政府としてどんな基準でこの事業を具体的に選定していくのか、その基準について、ぜひお伺いしたいと思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。
今お話がございました地方の元気再生事業でございますが、先ほど委員からお話がございましたとおり、地域でいろいろな試み、取り組みがあって、その創意工夫などが地域にはいろいろとあるわけでございます。しかし、それを具体的なプロジェクトとして進めていく上で、そのお金が、今自治体の財政が大変疲弊しておりますので、なかなかそちらの方に振り向ける余力がない。一方で、地域のNPO等はもちろん財政基盤が脆弱でございますのでなおさらそういった資金に事欠くということがございました。
そして、そういうものは大変もったいないわけでございますので、まさに立ち上がりの段階の地方の自主的、主体的な取り組みを十分の十で国費で措置をして、そして後押しをしていく、その初期の段階を我々としても何とか助けていきたい。
この選定の基準でございますが、これは予算の限度もございますので、やはり他の地域の参考となるようなものから手がけていきたいというふうに思っておりますので、事業の具体的な内容が他の地域に対してもいろいろと通用するような、先導性とかモデル性というものをぜひ持っていただきたいというふうに思っております。一過性の何かイベントをするというのは、地域にとってもその時点では大変元気の出る試みでありますが、持続性に欠けるので、やはり持続性を持つような内容になっているかということも重要でございますし、あと、できれば、地域にあるさまざまな課題を複合的に組み合わせて克服するような取り組みなのかどうか、あるいは相乗効果、波及効果が非常に多く見込まれるものかどうか、それから、地域の関係者がみずから判断して実行するような主体的な取り組みかどうか、計画性のある取り組みかどうか。
やはり透明性の高い手続でいろいろな観点から評価をしたいと思っておりますが、特に、あえて言えば先導性、モデル性、あるいは持続性といったところに重点を置いて中身を選んでいきたい、こういうふうに考えております。
○藤井(勇)委員 ぜひ、めり張りのある選定で、地方が文字どおり再生する選定をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
もう一点、この地方の元気再生事業についてお伺いしたいと思います。
地方公共団体に限らず、地域活性化に取り組むNPO法人や地方公共団体あるいは民間団体から成る協議会が応募することができると聞いております。この事業を真に地方再生に生かしていくには、こうした地域の担い手さんからのアイデアをどれだけうまく予算化につなげていくかということがポイントになってくると考えられます。そのために、これまでの役所だけの発想ではなくて、民間の知恵を生かした取り組みにしていくべきだと考えております。いかがでしょうか。
○増田国務大臣 今委員のお話のとおり、やはり官の発想だけですとどうしても定型的になりがちでございますので、民間の皆様方の力を生かしていくということは大事でございます。
したがいまして、応募していただきます主体の方も、もちろん公共団体から応募していただいても結構でございますが、それだけではなくて、地域活性化に取り組む法人、例えばNPOの皆様方にも自由に応募していただくということで、できるだけ発想の段階から民間の皆様方にかかわっていただきやすいようにしてございます。
もちろん、民間だけではなかなかうまくいかないところもあるので、その後は地元の公共団体ともよく連携を密にしていただきたいというふうに思っておりますし、そういうことでプロジェクトを練り上げていただいた後、具体的に採用するかどうかのところも、民間の有識者、専門家の皆様方の目から見て、これは先ほど言いましたような基準に照らして本当に有効なものなのかどうかというところも、民間の皆様方の判断も入れていきたい。
提案段階だけではなくて選ぶ段階でも民間の皆様方のお力をかりたいということで、事業の選定に際しては、民間の有識者から成る地域活性化戦略チームというものをもう既にお願いをして選んでございますので、そこでの検討と、それから、その人たちに、ただ、いい悪いだけではなくて、こうしたらもっとよくなるという助言もいただいて、今委員からお話がございました、民間の知恵を生かしたプロジェクトにしていく、そういう考え方でございます。
○藤井(勇)委員 ありがとうございます。
地方活性化に向けて官も民も総力戦でございますが、非常にユニークな、元気のあるNPO法人や民間団体もございますので、ぜひ積極的な採用をお願いいたします。
もう一点、地方分権の推進についてお尋ねをしたいと思います。
本当に真に豊かで活力に満ちた地域社会を実現するには、一方で、地方への一層の権限移譲や地方税財源の充実強化が必要であります。現在、地方分権改革推進委員会において地方分権改革に向けた調査審議が進められていますが、権限移譲や国の関与の見直しにかかわる各省庁の検討結果について、先日、福田総理から、現時点での対応は非常に不十分であると言わざるを得ないという発言がありました。そこで、近々増田大臣はみずから関係閣僚と個別折衝を行うという方針であるとお聞きいたしました。大変期待いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
もちろん、現実問題として、地方は疲弊しております、地方分権改革の進展を待っていられないという状況もありまして、その再生に向けた取り組みも国として早急に進めていく必要があると思っております。
今、地方自治体は地方自立のためにさまざまな国への要望を出しております。大切なのは、財政的また人的な支援もあります、補助金、交付税、税源移譲を含む税源配分等の検討と実施であります。市民に一番身近な地方自治体こそ地域のさまざまな問題の解決ができる。抜本的な権限の移譲、義務づけ等々国の関与の見直し、真に自立できる地方公共団体をつくるための地方分権改革への取り組みと、疲弊した地方を早急に再生するための国の支援等をどのように大臣は進めていくつもりなのか、お伺いしたいと思います。
○増田国務大臣 委員がおっしゃるとおり、喫緊の課題としては、何とか経済を活性化させなければいけませんので、地方再生戦略、地方の元気再生事業などを行ってまいりますが、究極的なこういう地方対策といえばやはり分権ではないかというふうに思うわけであります。ところが、これは、いろいろとこれまでの経緯もございますが、なかなか中央省庁の方もお持ちになっている権限を地方自治体の方に移すということに抵抗感がございます。したがって、今までの歩みも決して順調なものではございませんでした。その間に、今お話がございました交付税なども大分削減をされましたので、自治体の方の財政自立ということからも一層難しい局面が多くなってきている。
昨年の四月からでございますが、第二次分権改革ということで、地方分権改革推進委員会がスタートをして、きのうもその委員会で各省庁のヒアリングが行われましたが、局長レベルに上げて、今、精力的に役割分担について議論しているところでございます。
福田総理の方からも、今週火曜日に、各閣僚に大所高所からの政治家としての判断をということで指示がございました。局長レベルに折衝のレベルを上げるということは、逆に言いますと、大臣とよく相談して、大臣に政治的な判断をしていただいて、そして省庁ごとに対応してほしい、こういうことでもあるんですが、正直なところ、分権委員会が今なかなか苦戦をしてございますので、私も、来週から、個別に幾つかの省庁の大臣とお目にかかって具体的な詰めを行っていきたい。
やはり大事なことは、役割分担をきちんともう一度整理するということが、次に今度は出先機関の改革につながってくる。
それから、地方に仕事を移すということは、人もお金も必要なものは地方に移していかなければなりませんので、いわゆる自治体の財政自立、それは自治体にもいろいろと自覚を持っていただかなければなりませんけれども、そのことは、先ほどまさにお話ございました、身近な自治体が地域のことを一番よく知っております、責任を持つべきであります。そのことが地域の発想とか活力を引き出すことにつながってまいりますので、分権改革を後押しする担当大臣としても、これからの各省との、特に各大臣との折衝をしっかりと行って、そして、念願でございます地域の自立に向けて、さらにこの分権改革にしっかりと取り組んでいきたい、このように考えております。
○藤井(勇)委員 ぜひ強力に推進をお願いいたします。
私も、地方が活力を取り戻すには、地方再生を緊急に支援しつつ、一方で地方分権改革や地方税財政改革を着実に進めていくということが一番大切であるんだろうと思っております。
地方に生活する人が真に主役となる日本の国づくりを進めるために、その地域の住民がみずからまちづくりの担い手となって参加していく、そして選択していく、またチェックしていくということをぜひしていかなければならないと思っています。
そういう意味では、地方分権の改革は、今大臣お触れになりましたが、まさに政治主導でなければ実行できないと思います。増田大臣の強いリーダーシップで今後一層の取り組みをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。
前回に引き続き、一般質疑ということで、国家公務員の制度改革基本法案が政府から提出されました。また、我々民主党でも、この公務員制度改革については、後半国会の重要な課題として、対案あるいはまた修正等も含めて御協議をさせていただくという思いを持って、現在、中間報告を発表させていただいている運びでございます。
きょうは、前回の質疑の途中になりました、内閣の一元管理の部分、また政務専門官等につきまして質問させていただきたいというふうに思っております。
渡辺大臣にお越しをいただいておりますが、前回、私の質疑の中で、政府が出した国家公務員制度改革基本法案の概要という中に、これはもう法案で出されているわけでありますが、そこで、いわゆる幹部職員の所属の問題と、また、政務専門官と政務スタッフやあるいは課長その他の管理職員、これらの者が内閣人事庁に併任するという、この二つの整理についてお尋ねをしました。
前回、私の質問に対して、この併任ということについては、これは問題ないのか、このようにお尋ねしたところ、大臣は、懇談会の提言にのっとって内閣のDNAを埋め込むことが大事だということで、所属が併任に変わったのは後退だと私は指摘をしたんですが、そうではなくて、併任というのは、これは従たる所属というところで、きちっと大臣の威令のもとにコントロールをしていくんだ、こういう精神は守られている、このようにお答えをいただきました。
この併任に関しては、人事院規則の中で明確に規定をされております。これについては、大臣が、併任という形は決して後退ではないんだという強い意思を示されたということで、私も、そのお気持ちは十分酌み取るということをお答えさせていただいたと思うんです。
さて、この併任とはもう一つ別にある、幹部職員の所属についてお尋ねをしたい。
前回も、この所属というのは、府省、そして内閣人事庁、これらにまたがって両方の組織に所属するということ、これについてはどのような形になっているんでしょうかと。逆に言うと、制度としてこれは問題はないのかということをお尋ねさせていただきました。そこで、大臣は、具体的な制度設計はこれからだということで、ここは併任が所属にランクアップしたんだ、苦心の作だと。これは御苦労のその一端がうかがえる答弁だったというふうに思いますが、このようにお答えをいただいています。
ただし、所属というあいまいな形というのは、今後、もちろん制度設計で詰めていかねばならない点だと私は思うんですが、この考え方についてお尋ねをしていきたいと思います。
現在、国家公務員の所属に関しては、いわゆる総定員法、行政機関の職員の定員に関する法律、これによって定められており、定員そのものにつきましては、政令で、行政機関職員定員令というものが定められております。つまり、府省と内閣人事庁に所属するということは、いずれの所属で定員にカウントされるかというのが重要なポイントになってくるかと思います。少なくとも、総務省の行政管理局で管轄するこの法律やあるいは政省令に対していかなる対応をお考えなのかということ、これが前提になるかと思います。
苦心の作だというふうにお話をされましたが、私は、そもそも、大臣に何度もお伝えをしているように、一元管理であるならば、府省の所属というのは、これはやはり後退ではないのかとお伝えをしたところでありますが、苦心の作だとおっしゃるその部分について、では、所属と称するこれは法的にはどういう根拠に基づくのか、そして、今申し上げた総定員法並びにその政省令で定めた定員規則に対して、これはどのような制度設計の方向をお考えなのか。細かな制度設計を今お尋ねしているわけではありません。この二点について、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 この点、苦心の作だと申し上げましたのは、とにもかくにも、国会にこの法案を提出して御議論いただかないと先に進まないという観点から、苦心の作としてまとめさせていただいたものでございます。したがって、今お尋ねの具体的な制度設計というのは、まさにこれからの話であります。
所属という概念が不明確ではないか、また総定員法の政令では一体どんなぐあいになるのか。まさに、具体的な人事管理のあり方というのは、この基本法成立後に決めていくという位置づけになっております。
○馬淵委員 人事院規則では、一般職の国家公務員が、二つの職場というんでしょうか、二つのポストにつく場合には、これは併任しかないんですね。府省をまたがってポストについた場合、前回申し上げたように、人事院規則で定められた併任という形を受けて、そして任務に当たる。しかし、そのときの定員に関しては、本来業務のその人員としてカウントされます。
ですから、今大臣がお話しされるように、これは今後の議論にまつということでありますが、一方で、法律の条文で「所属する」と、今回、概要ではなく法文にも書いておられます。
つまり、これに関連する法律の改正並びに制度の改正ということが当然ながら伴わなければならないと考えるわけですが、これについては、大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 ここで、「幹部職員は、内閣人事庁及び各府省に所属するものとする」と規定してございますが、具体的な人事管理のあり方については、幹部職員を一元的に管理する観点と各府省大臣の幹部職員に対する十全な指揮監督権を担保する観点のバランスを考慮しつつ、基本法成立後、制度の具体化の中で検討していくという方針で、このような条文を取りまとめさせていただいたところでございます。
これが、私の申し上げる苦心の作ということでございます。
○馬淵委員 内閣の一元管理のもとにということとまた各府省のという、両方の管理の部分での規則の設定というのはこれからだということでありますが、私がお尋ねしたのは、一方で、総務省の行政管理局所管の総定員法並びに政省令については、これに対してこの基本法制定後にもちろん議論を、今、法文では両方の所属となっていますから。しかし、両方の所属となると、総定員のカウントが〇・五ずつにはならないわけですよね、人間ですから。生身の人間は〇・五ずつにはならない。少なくとも現状の人事院規則の併任という仕組みにおいては、総定員法の中では、定員カウントは本来業務の方にカウントされるわけです。
つまり、私がお尋ねしたいのは、この改革基本法の中では「所属する」を両方に所属させることを可能としていますが、一方の総定員法並びに政省令の改正も、当然ながらこれは関連法案の整備として視野に入れるということでよろしゅうございますか。
○渡辺国務大臣 そういうあたりを、「所属する」という法的にはあいまいな表現で、今後の制度設計に任せていこうという御趣旨であることを御理解いただければと思います。
○馬淵委員 何かと大臣も御苦労されているという点を私も仄聞いたしておりますので、そうした苦心の作の法案を与党総務会の中でも通されたということですから、我々も、これをしっかりと敬意を持って受けとめたいというふうには考えるわけであります。
ただ、やはり一方で、法的なそごといいますか、法的な一方の改正も含めた部分を視野に入れなければならないということについては、当委員会の中でもやはり認識をしながら、またしっかりと議論を重ねなければならないというふうに思います。
これ以上私はお尋ねするつもりはございませんが、問題意識として、今申し上げたようなこの所属の部分について、併任は、前回おっしゃったように、ランクアップなんだとおっしゃられましたが、この所属についてはやはり重要な課題であるというふうに私も認識をしております。
それでは、所属については前回の質問の積み残しでございましたが、引き続きでお尋ねをさせていただきたいのは、前回、四月四日のときにも通告をさせていただきながら、時間がなかったものですから質問のできなかった部分で、政官接触についてお尋ねをしたいというふうに思います。
この政官接触については、政務専門官が政治家との接触を図るということで、これについては、さまざまなところで懇談会の議論も報道されておりました。
堺屋太一氏が、公務員制度改革懇の委員として、政官接触の部分について制限を盛り込む理由については新聞等のインタビューにもお答えされています。堺屋さんが一番おっしゃっていたところでは、これは先日大臣もお話ありましたが、いわゆるロビー活動等々、大臣の意にそぐわない行動が許されるべきではないんだということで、私もそのように思います。「現状では官僚が内閣の意向と違う根回しを国会議員にしたり、逆に国会議員が勝手に官僚を使ったりしている」、これは堺屋さんが二月の朝日新聞のインタビューにもお答えされている部分であります。
他方、こうした政官の接触の制限を図る上で、やはり官僚というのは中立であるべきだ、中立性をしっかりと維持しながら、例えば国会での質疑のための説明であったり、法案の趣旨の説明であったり、これは当然ながらに行われなければならないわけです。堺屋さんは、この中で、「官僚は中立であるべきだ。野党は大臣に質問や資料要求をすべきだ。資料を隠せば、大臣が責任を問われる」、このようにおっしゃっておられます。
これは堺屋委員御自身のお考えなのかもしれませんが、私ども野党側の立場に立てば、確かに、大臣おっしゃるように、与党の側では、官僚がそれこそ抵抗勢力となってロビー活動をする、国会議員に違った説明をして回る、大臣の意にそぐわないことをしてしまったり、あるいは逆に、そういった官僚を使って国会議員がとめる、加担をするというのもあるんでしょうが、我々野党側は、そのような法案を通そうとする立場にございません。あるいは、法案を審議するという立場から見れば、政官接触を制限されるということは、質問をするという上においては非常に大きな障害になりかねないという心配がございます。
そこで、この政官接触の制限について、我々野党側の質疑に対する官僚、政務専門官の方々の対応の仕方、あるいは政務専門官以外の方々の対応の仕方については、根本的な考え方として大臣はどのようにお考えかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは、国会議員からの官僚への接触を制限するものでは毛頭ございません。前回もたしか申し上げましたように、大臣の威令が行われないような形で役所サイドがいわゆる族議員と結託してロビーイング活動を行う、そういうようなことを規制していこうというのが本来の趣旨でございます。
したがって、ルールとプリンシプルを設けてこれを規律していこうということでございますから、現在、野党の皆様が情報収集等、役人と接触しておられることを妨げるようなものでは毛頭ございません。また、この法案が通って、規律を設ける段階にあっても、そのような国会議員サイドの情報収集を妨げるようなルールやプリンシプルをつくろうという趣旨でもないということを御承知いただければと思います。
○馬淵委員 今、大臣の方からも、あくまで与党側が、とにかく大臣の威令をもってコントロールできるようにすることが趣旨なんだという御答弁をいただきました。
重ね重ね恐縮なんですが、我々野党、少なくとも政府側ではない立場で質問を行おうとするときの、その質問の権限を制限するような形での接触を制限するものではないということだということで、再度、イエス・オア・ノーで結構ですから、確認ということで、国会の議事録に残していただきたいと思いますので。
○渡辺国務大臣 当然、国会議員、与党も野党もなく、国会の質問権を妨げるような、そういう規律を設けるという趣旨では全くございません。
○馬淵委員 ありがとうございます。ここは大臣が既に与党内でも問われた部分ではなかったかと思いますが、国会の中で明言いただきました。
さて、政務専門官のイメージなんです。
これも、規模のことに関してはこれから制度設計の中でやっていくんでしょうけれども、恐らく、担当の方々なんかからお話を伺うと、大臣のイメージもそうではないかということでありますが、指定職、管理職あるいは課長補佐クラスからの数名程度という規模だというふうに大臣もお考えではないかということもお聞きをしたりしております。現実には、ある程度の規模がそろわないことには、大臣の威令をもってということのコントロールは難しくはないか、そういう危惧がございます。
規模の規定というのはあらかじめ大臣の方では考えておられるのか、それとも、いや、全く白紙だということでいらっしゃるのか、これはいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 今回の法案では、規模については一切触れてございません。規定ぶりは、「国会議員への政策の説明その他の政務に関し、大臣を補佐する職を置く」これを「「政務専門官」という。」という規定になってございます。
一方、先ほど来御指摘の懇談会の議論の中では、例えば、指定職クラス、審議官、局長クラスが二、三名とか、課長クラスが五名から十名とか、そのもとに課長補佐クラスを置く、これは役所のサイズによっても規模は違ってこようかと思いますが、そういった議論が行われたのは事実でございます。
いずれにいたしましても、これは国会の御議論を踏まえて基本法成立後に制度設計をしていくことになろうかと思います。
○馬淵委員 先ほどの、制限するものではなく、また、規模に関しても法案では一切述べていないんだ、これからだということであります。
根本に戻りますと、我々はそのようなロビー活動のような官僚との接触というのは基本的には余りありませんし、また、我々は資料あるいは情報提供を、これは何も内々の話を聞かせろということではありません、行政文書なり公の議論を出してくれ、このように要求をしていくわけでありますが、そうした中で、大臣の意にそぐわないような言動があるということが懸念されるというのはよくわかるんです。
これは一点だけお尋ねしたいんですが、やはり大臣の御認識としては、全く違った行動をとる官僚というものが存在するという現状認識でよろしいんですか。
○渡辺国務大臣 そういうことが巷間言われているという話をよく耳にすることがございます。
○馬淵委員 現状認識もおありではないかなと私は思うわけでありますが、一方、巷間言われているというようなレベルであるならば、これは、制限ということよりも、むしろ情報公開という考え方も一つには成り立つのではないかというふうに思います。
他方、我々の民主党案、これは今まだ中間報告ということでありますが、既に我が党から記者発表もされておりますが、この接触制限を行うことよりも、むしろ、それこそ廊下の立ち話も含めて情報公開をしていく。つまり、大臣にすべての報告を上げていく。政治家との接触に関しては、電話一本、立ち話も含めてすべての情報を大臣に上げていくことによって、何ら制限する必要はないのではないかということを基本的な考え方として我々は持っておりますが、大臣、これについてはいかがお考えでしょうか。感想でも結構です。
○渡辺国務大臣 民主党案においては、情報公開という御提案でございます。政府案におきましては、具体的なルールとプリンシプルは基本法成立後に決めていくということになりますので、情報公開というのもその選択肢の一つではあろうかと思います。
いずれにしても、そこまで決め打ちの上でこの法案をつくっているわけではございません。
○馬淵委員 官房長官にお越しいただきましたので、お尋ねをしたいんです。
再度同じ質問で恐縮ですが、政官の接触の制限、こういう議論がある中で、大臣の意に沿わない、まさに威令をしっかりと受けとめない官僚の存在ということの現状認識、これは、官房長官、さまざまな閣僚経験がございます、大臣御自身の中で、仄聞する、いや、とんでもない、現状としてあるんだという認識はお持ちでしょうか。いかがでしょうか。
○町村国務大臣 それぞれの大臣でいろいろな仕事のやり方というのは個性の差が多分あるんだろうと思いますが、私の場合は、大臣の部屋に、関係する局長とか課長とか課長補佐、できるだけ数多く来てもらって、前で猛烈に議論をしてもらいます。そして、議論の中からお互いにそこは理解をしコンセンサスを得たところに従って、その政策を企画し、立案し、予算を要求し、法律をつくるというふうに入っていくわけであります。
したがって、私のささやかな経験で申し上げれば、私と全く違うことを外に行ってやっていた局長以下が、それは本当のところはわかりませんよ、わかりませんが、少なくともそういうようなことを見聞きすることは、個人的な経験でいえばございませんでした。それは、意思決定のプロセスが、そういう形でちゃんと役所の諸君も大臣と一緒になって議論をして決めていくという過程が重要であった、私はこう思っております。
では、かつて今までそういう人が全くなかったかというと、これもちょっと正確な知識ではございませんが、かつて小泉内閣のもとで、郵政民営化の方針にどうもそぐわない言動をして、某局長が配置転換になったかあるいは辞職をしたか、ちょっと覚えておりませんが、そういうことが巷間伝えられていたというような話は仄聞しておりますが、正確な実態は、そこのところは私にもわかりません。
○馬淵委員 法案を提出する所管の大臣と、そしてこの制度改革の中で非常に重要な位置となる内閣人事庁のトップにつかれる官房長官、お二方が、立法事実という部分については正確に把握していないというのは、私は非常にいかがなものかなという気がいたします。いずれにしても、法案の趣旨としてこのようなことが出てきたということは、私は、現実、十分にそうした状況を御承知の上だというふうに理解をしております。
いずれにしても、この制限というものが国会の審議を停滞させるものであってはならない。そして、おっしゃるように、法案を通していく、あるいは法案を審議していくという中で、官僚の方々が全く違う動きをしてはならない。これはよく理解をいたします。その上で、先ほど我々民主党の案というものもお伝えをさせていただきましたが、これは一刻も早い法案の審議を求めるわけでございまして、またそこで議論をさせていただきたいと思いますが、渡辺大臣の御所見もいただいたということで、理解をいたしました。
さて、そこで官房長官にお尋ねをしたいんですが、我々は、今回のような内閣人事庁一元管理ということも十分理解をしながら、一方で、やはり政治主導を強化していかねばならないということを考えております。そのためには、政治任用のような特別職の拡充というものが求められるのではないかというふうに考えておりますが、政治任用となりますと、またこれは大きな制度の問題ですので、なかなかに踏み込んで発言も難しいかと思うんです。
一方、政治任用ともう一つそろえて、政治主導という部分でいえば、国会議員の兼職制限という部分について、これは緩和ということを考えてもいいのではないかというこの民主党の対案について、私も、これは非常に意味があるなと思っております。現行は官房副長官等ですか、そこに加えて官房副長官補あるいは大臣補佐官等を追加する。いわゆる政治家の兼職の範囲を広げるということなんです。
官房長官御自身が今お仕事をされている中で、より政治主導を高めていくために、やはり政治家が機能的に動く兼職の緩和ということは非常に私は意味があるのではないかなという気がいたしますが、これについては、官房長官、どのようにお感じでしょうか。感想でも結構です。
○町村国務大臣 ちょっと申しわけありません、私は、民主党さんの御報告の中で、兼職を厳しくしろというんですか、あるいは兼職はどんどんしてもいいようにしろと……
○馬淵委員 国会議員の兼職制限緩和の方向なものですから。済みません、国会議員の兼職制限の緩和ということを申し上げたんです。
○町村国務大臣 緩和をした方がいいのかどうか、なかなかこれは難しい、両方の議論があり得るのかなと思います。一方で、幅広い人材を登用するためには、余り兼職規定を厳しくやったらいい人が集まらないという問題もあると思います。他方、やはり重要な責任ある立場の者が、もしかすると利害関係があるかもしれないいろいろな職業についてやっていること、李下に冠を正さずという、両方の側面があると思います。
したがって、現状のままでいいかどうかは私もちょっと突き詰めて考えたことは余りないのでありますが、今の現状でさほど大きな不都合が生じているとは必ずしも認識していないものですから、今の状態から、兼職規制を緩和しなければならないという積極的な理由が残念ながら私には余り思い浮かびません。
○馬淵委員 済みません、官房長官、私の質問の仕方が舌足らずだったかもしれません。私が尋ねさせていただきましたのは、国会議員が政府の役職を受けるという部分での、国会議員の兼職制限という部分です。
国会議員が、今例えば官房長官がおられます、そして官房副長官と、国会議員が任用を受けます。しかし、それ以外でいいますと、官房副長官補とか、こういった形では今任用することができないんですね。それこそ政治主導ということを考えた場合に、国会議員がより多く、重要な官房部門等々、あるいは各省でも構わないんですが、やはりもう少し厚く補充する必要があるのではないか、このように私ども考えるわけであります。
これについて、大臣の先ほどのお答えは、恐らく国家公務員の兼職という範囲でお答えいただいたと思うんですが、それは私の質問の仕方がまずかったということで、大変申しわけございません。
改めてお尋ねですが、国会議員が任用されるという部分で、今は制限がございます、これを緩和していく、より政治家が主導的な立場でかかわっていくということについてどのようなお考えをお持ちでしょうかということをお尋ねさせていただきました。済みません。お願いいたします。
○町村国務大臣 今ちょっと手元の資料を見ると、国会法第三十九条ですか、議員は、これこれこれこれの職、ここのところですね。
大臣、副長官、補佐官、副大臣、政務官、別途法律で定めた場合、これ以上にどういうポストに政治家がつくことが想定されるか。もし、こういうポストは政治家にぜひ当てるべきだという先生の御示唆があれば、よく考えたいと思います。
○馬淵委員 もう時間もありませんが、例えば、我が党の考え方としては、それこそ官房副長官補、あるいは大臣補佐官補等々、補充する、業務を周りからサポートするという立場の人間をもう少し厚くしてもいいのではないかという考え方を持っております。
これはもちろん、本当に必要かどうかというのはよく考えなければならないかもしれませんが、やはり政治主導ということを実現していくためには、大臣、そして一部の、政務官等々先ほど大臣のお話がありました、国会議員、政治家がかかわる部分が余りにも限定され過ぎはしないか、よりチームをもってやるためには、そこの厚みを増す必要があるのではないかという観点からの提言でございます。
これについてはなかなか簡単なお答えはいただけないかもしれませんが、最後に、官房長官から再度お考えをいただきたいというふうに思います。
○町村国務大臣 現行に加えて、官房副長官補、大臣補佐官等を追加、ここの部分でございますね。これは一つの御見識であって、私は検討には値するんだろうと思います。しかし逆に、今各省には副大臣あるいは大臣補佐官という方々が政治家で入っておられます。これは、今、副大臣、補佐官が政治家として役所の中に入ってもらって本当にうまく機能しているかどうだろうかという検証も実は必要なんじゃないかと思います。
実を言いますと、そもそも、副大臣制度をつくる、これは小沢自由党党首のときに自民党と合意をして、特に私は、たまたま外務大臣をやっていたものですから、関係する委員会が物すごく多いんです。だものですから、何とか副大臣答弁を認めていただかないと海外に行けません、外交ができないんですと申し上げたんですが、民主党さんからは、いやいや、どうぞ行ってください、その日は委員会を開きませんから、こういう御返事だったんですね。しかし、たしかあのとき、自由党党首の小沢さんは、何のために例えば外務副大臣をつくるかといえば、それは、大臣は海外に行って、副大臣がどんどん国会答弁できるようにするために副大臣というものを設置しようという御提案を、たしか当時の小渕総理・総裁がお受けになった。
しかし、残念ながら、民主党党首、代表になられると、いやいや、副大臣の答弁は認めないんじゃと。こうおっしゃられますと、幾ら政治家をそういうポストに任用しても、現実の機能が果たし得ないというごくごく身近な問題もあるということも、ぜひ賢明なる馬淵議員にはお考えを賜りたいと存じます。
○馬淵委員 時間が参りました。
官房長官からも、大変示唆に富んだ、我々の対案に対する御意見をいただきました。ぜひ早々に当委員会でこの法案の審議を始めていただくことをお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中野委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。四十分いただきまして、またきょうもいろいろ議論させていただきたいと思います。
まずは、ジェネリック医薬品をもっと普及させるために政府広報をもっと活用すべきだということで少し議論をさせていただきたいと存じますが、今現在、政府広報の中でこのジェネリック医薬品がどう扱われているか、教えていただきたいと思います。
○高井政府参考人 お答え申し上げます。
ジェネリック医薬品でございますけれども、平成十八年、厚生労働省から広報の希望がございまして、政府広報で取り上げております。
具体的には、テレビ定時番組の放送と政府広報オンラインへの動画掲載を行っているということでございます。以上でございます。
○市村委員 今、テレビも放映しているということをおっしゃったんでしょうか。もう一度お答えください。
○高井政府参考人 テレビの方でございますが、具体的には、平成十八年一月に一回放送しております。それから、政府広報オンラインの方は、平成十八年六月からスタートいたしまして、現在もホームページの方に載って、インターネットとして流しております。
○市村委員 今、平成十八年の一月にテレビでも政府広報されたという話がありました。それはそれで大変いいことだと思っておりますが、この四月一日から、ジェネリックに関しては大変大きな変化があったというふうに思います。
といいますのも、処方せんで、これまではあえて医師がジェネリックでもいいよと書かないとジェネリックにならなかったのが、四月一日からは、ジェネリックを不可とするようなチェック欄がありまして、ジェネリックを不可としない限り、いわゆる薬を出すところはジェネリックでもいい、ジェネリックを勧めることができる、こういうふうに変わっている。大転換がこの四月一日から図られているわけであります。
それで、政府としても、二〇一四年までに三〇%ということでありますが、私は、二〇一四年というとあと六年ぐらいありますから、五、六年かけて三〇%かなという思いがありまして、まだまだ足りないという気はしますが、目標としてはまだ低いと思いますが、しかし、大きな変化が今回起こったということの中で、これがどういう効果をあらわしているかということは、今統計も見ているところでありまして、これはまた別途議論させていただきたいと思います。
しかし、そういう大転換を図っているところで、やはり効率的に政府広報も打つべきでないかという意見を私は持っておりますが、官房長官、この点いかがお考えなのか、教えていただければ幸いです。
○町村国務大臣 市村委員御指摘のとおり、確かにこの四月から、大きな方針というか考え方の転換があった、そのとおりだろうと思います。
ジェネリック医薬品のメリットといいましょうか、負担の軽減、ひいては医療保険全体の改善にも資するという積極的な意味合いがあるものでございます。ただ、一人一人の患者さんがどこまでそのことを知っているかというと、選挙に例えれば、まだまだ知名度が低い状態なんだろうなと思います。
したがって、やはり積極的に知名度を高めていく、できるだけ活用してもらうという意味から、今お答えのとおり十八年のテレビということですから、最近余りテレビではやっていないということですので、二十年度予算の中で、少なくとも一回はこのことを取り上げて、政府広報に努めてまいりたいと思います。
○市村委員 大変前向きで、かつ具体的にやろうというお話を官房長官からいただいたわけでありまして、私は大変うれしく思います。
でも、やはりタイミングがあると思います。せっかく今、変わったタイミングの中で、本当はこのタイミングに、いよいよ変わりましたよということを広報することが一番いいんじゃないかなと思っております。しかしながら今現在ではまだやっていないということであれば、なるべく早い段階で、こういうふうに切りかわっていますよということを、もっと政府としても、せっかく今官房長官がおっしゃっていただいたように、まさにこれから医療費がどんどんふえていく中で、もちろん私は、医療費をほかの経済の活動と同じように一律に抑えていけばいいという考え方は持っていません、医療というのは別物だというふうに考えております。しかしながら、この薬代というのは、たとえ三割といえども、当然患者負担も高どまりしているわけでありまして、やはりジェネリックに変えられるものはジェネリックに変えていって薬価を下げる。それは、とりもなおさず政府の負担すなわち税金の負担も減る、税金また保険料の負担も減ると同時に、いわゆる患者さんの負担も減っていくということになると思います。ですから、そういう意味でも、今政府を挙げて取り組んでいらっしゃると思いますので、どんどん普及のPRに努めていただきたいと存じます。
ただ一方で、ジェネリックはこれまでいろいろな問題点も指摘されてきたわけでありまして、例えば、質の問題、本当に今の先発品と同じ質なのかとか、副作用はどうなのかとか、ジェネリックをたくさん求めた場合、その供給体制は本当にうまくいっているのかとかということですね。そういったこと等々のやはり課題があるわけでありまして、今、いわゆる医薬品業界を挙げて、こういった不安にもしっかりとこたえられるように、またその不安を払拭できるような、そういう体制づくりもこれは一方で求められる、こう思います。
だから、そういったことは、厚生労働省初め政府もしっかりと、安全という点にかかわります、また、お医者さんの側からしても、やはり安全性が確保されないものを処方するわけにいかないというお医者さん側の意見もこれまたあるわけでありまして、こういう安全面のところがきちっとうまくいくように厚生労働省も努めていただきたいと思うわけでありますが、一言、厚生労働省の決意を伺いたいと思います。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
後発医薬品、ジェネリック医薬品の普及促進は、今先生御指摘のように、患者の皆さんの負担の軽減、より効率的な医療資源の活用ということにつながるものと思いまして、積極的に推進していきたいと思います。その点で、やはり患者さん御自身の安全性、信頼性というもの、それから、お医者さんあるいは調剤薬局の薬剤師さんの不安というものを払拭していかなきゃいけないというふうに思っております。
このためにも、使用に関します、安心のためにこれだけのチェックをしていますということを徹底するためのプログラムも公表しまして推進しておりますし、こういうことをポスター等々で徹底していきたいというふうにも思っております。さらに、処方せんの様式の変更もさせていただきましたけれども、調剤薬局の皆さんの方にも、後発品を調剤された場合には調剤報酬の加算をするとか、患者さんに丁寧に御説明をいただく、それから後発品での使用をいただいた場合に報酬をさらに手当てするということも含めて対応しております。
今後とも、より安心に使っていただくための信頼性の確保に努めてまいりたいと思います。
○市村委員 ありがとうございます。ぜひ、また政府広報をテレビで見る日を楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、中国、まあ中国と言っちゃいけませんかもしれませんが、いわゆるギョーザ問題というものがありましたというか、今でも当然それがまだ解決できていないと思います。
そこで、今何が問題かといいますと、この問題は非常に平行線になっております。その結果、当時、一時期このギョーザ問題でテレビが一色になったぐらいの状況だったのが、最近ぱたっと、これについて報道されなくなったということであります。その結果何が起こっているかといいますと、やはり中国製品がなかなか売れない。多少戻っているようなところもあるようですけれども、二割ぐらいは落ちているということであります。そうなると、結局、風評被害ということになりますね。そうなってきますと、今、いわゆる関連の業者の方たちが大変お困りであるという声を聞いております。実際、その状況が今どうなっているか、少し整理をさせていただきたいと思います。
まず、警察の方でございますけれども、今、捜査状況といいますか、どうなっているのでしょうか、教えてください。
○米田政府参考人 中国製の冷凍ギョーザの事件につきましては、事件発生当初から、千葉それから兵庫、この両県で健康被害が生じたわけでございますが、この両県警察を中心に共同捜査本部を設置いたしまして、流通ルートの解明、関係者の事情聴取、そして、ギョーザとか袋とかの鑑定等を進めてまいっております。現在までのところ、国内における捜査項目というのはほぼ終了しつつあるところでございますけれども、私どもとしては、もちろん、早期解決を目指して全力で今後とも取り組んでいきたいと思っております。
ただ、この捜査は当初から、中国当局との緊密な連携がなければ成り立たないということで、中国との連絡窓口を設置いたしまして、そして、現在まで四回にわたって実務者同士の協議を重ねてまいりました。そして、提供できる資料、情報は相手に提供し、また相手からも提供を受け、緊密な連携を図っているところでございまして、今後とも、中国当局と緊密な連携を図りつつ、事案の早期解明に努めてまいりたいと考えております。
○市村委員 これは、予断を持っていろいろ話すことは、まだ捜査中でありますからできないと思いますし、私も、あえてだれが犯人なのかということを決めつけてきょう話をするつもりはありません。これは警察にゆだねておくべきことだと思います。
ただ、結果として、私が一番問題にしたいのは風評被害なんですね。解決しないがために、これは中国側の方も困ると思うんですね。というのも、結局、何が原因でああなったかわからないということになりますと、いわゆる中国製品全体に対して大変な不信感を持たざるを得ないということになります。
私も一人の消費者として、例えば子供たちに中国製品を食べさせようかという気には残念ながらなりません、個人的には。だから、ちゃんと解決していただいて、あれは特定された原因において特定されたところで起こった事案であるというふうになれば、これは中国全体ではなくて特定の事案だったということで、多少は安心して、もちろん残留農薬の問題とかもあるわけでありますが、少なくともこの事件については、中国製品全体を疑うような話にはならないということになるとは思います。
あれだけわあっと報道があって、今はもうほとんど報道されない段階で、結局みんなどうなったんだろうかと。報道によると、そのうちにどうせ忘れてまた戻るさというようなことも、そういうことになるんじゃないかという新聞記事も読んだことがありますけれども、しかし、そんなことでいいのか。恐らく、なかなかこれはそう簡単に戻らないんじゃないかというふうに私は思っております。
その意味で、この風評被害を今の段階でどう軽減していくかということについて、今の政府の取り組みをちょっと教えていただきたいと存じます。
○岸田国務大臣 今般の中国冷凍加工食品の薬物中毒事案につきましては、政府におきまして、一月三十日、この事案を把握してから後、まずは被害の拡大防止に努め、そして原因究明に努め、そして再発防止策の構築に努める、この三つを柱にしまして対策を講じてきました。そして今御指摘のような実情にあるわけですが、やはりこうした事態に対応する際に最も大切なこと、これは原因の究明だというふうに考えております。この原因究明につきまして、事案把握後はあらゆる可能性を排除せずさまざまなルートから原因究明に努めたわけでありますが、現状は、警察当局の捜査を中心に原因究明に努めているということでございます。
こうした風評被害というような御指摘もありましたが、これはいわば市場不信不況というような事案ではないかなというふうに考えております。こうした国民の不安、不信、これを排除するためにもまずは原因究明に努めなければいけないということで、今言った態勢で原因究明に努力する、これが政府としましてまずは取り組まなければいけない最大の課題だと認識をしております。
○市村委員 もちろんその原因究明、先ほど警察にまずお聞きしたのも、そういう意味でもお聞きしているんですが、残念ながら今まだ、協議を重ねておりますけれども、今現在、ではあれからどうなったか、多分、今の私の印象でも、先ほど申し上げたように、平行線をたどっているという状況なのかな、こう思わざるを得ないんです。
では、改めて警察にお聞きしますが、これは、中国とのそういう捜査協力はかなり進んでいるという認識でしょうか。具体的なことはおっしゃらないと思いますから、そういう前向きな認識なのか、それとも、やはり平行線なのか後ろ向きなのか、ちょっとそれだけぐらい教えていただけますでしょうか。
○米田政府参考人 委員も御承知のとおり、二月二十八日に中国側がその見解を発表いたしまして、中国国内で混入された可能性は極めて低いというようなことを向こうは言ったわけでございます。
しかしながら、その一方で、日本警察と一層協力を強化し、お互いを支持し、責任を持って共同して事案の真相を明らかにし、両国国民に対して責任ある説明を行うべきであるというようなことも言っておりまして、それ以後も実務者同士が、捜査の幹部あるいは鑑定の専門家が行き来をいたしまして、そしてさまざまな情報、資料等の交換も行って、認識が必ずしも一致したわけではございませんけれども、一致する部分も出てきているという状況でございます。
今後とも、中国当局とは緊密に連携して捜査を進めてまいりたいと考えております。
○市村委員 とにかく原因究明を図るのが当然一番いいわけであります。そうすれば、中国産全体ということへの不信感にはならないと思います。
では、今できることといえば、例えば、今現在、中国から入ってきたものに対してちゃんと検疫体制とかがしっかりしているというようなことも中国産に対する安心感を与えるということに、例えばBSEのときも全部検査してもらいましたよね、アメリカの方に。そういうことも含めて、全量ということはなかなか難しいのかもしれませんが、今の検疫体制がどうなのか、ちょっと厚生労働省さんからお聞きしたいと思います。
○藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
輸入食品の検査につきましては、年間計画に基づきまして、中国産食品も含め、そのリスクの程度に応じた検査を実施しているところでございます。
平成十八年度におきましては、中国産食品の輸入届け出数約五十七万八千件に対しまして、まず、多種多様な食品について食品衛生上の状況を幅広く確認することを目的としましたモニタリング検査を約一万五千件実施しております。また、法違反の可能性が高いと見込まれる食品につきまして、輸入の都度、検査の実施を命令する検査命令を約五万三千件実施しております。
そのほか、初回輸入時の現場検査ですとか輸入者による自主検査を含めまして約九万四千件の検査が実施されております。このうち五百二十九件につきまして、食品衛生法違反として廃棄、積み戻し等の措置を講じております。これは平成十八年でございます。
また、中国とその他の国から輸入される食品の検査件数に対する違反件数の割合でございますけれども、これを違反率というふうに呼んでおりますが、比較いたしますと、中国が〇・六%、その他の国が〇・九%という状況になってございます。
○市村委員 中国の違反率が低いということが一つのまた中国産品に対するプラスの要素なのかもしれません。
私は、この話というのは、中国側も大変困っているんじゃないかと思うんですね。例えば、日本の製品がどこかに輸出されていて、どこかのメーカーのどこかの工場の製品が輸出されて、何か問題を起こした、それが解決しないで日本製品全体に不信感を呼んでいるというような状況じゃないかと思うんですね。そうならば、日本側とすれば、いち早くこれは解決しなくちゃいけない、こう努力をするだろうと思うわけであります。
捜査の方向も、先ほどありましたように、前に行っているのか平行線をたどっているのかよくわからない状況であるということで、中国側も大変困っているんじゃないかと思いますが、この点は農林水産省さんの御見解はどうでしょうか。これは、いや、中国側は実は困らない、別に日本が買ってくれなくてもいいというような状況に今実はあるんでしょうか。ちょっとその辺教えていただければと思います。
○小風政府参考人 私の方から、中国からの食料品の輸入動向について、数字ですけれども、お答えさせていただきたいと思います。
財務省の貿易統計における、農産物と水産物を合わせた農水産物の輸入動向ということでございますけれども、中国から輸入金額というのは近年増加傾向にございます。平成十九年は約一兆円ということで、日本が輸入している国の相手国としては第二位ということになっております。
その動向を、事案の発生がございました一月三十日、この前後で見てみますと、輸入量で見ますと、生鮮野菜は一月は二万六千トンが二月には二万二千トン、一六%減。あるいは輸入の冷凍野菜の方で見ますと、一月は三万トン、二月が二万四千トンで一八%減ということになっています。鶏肉の例えば調製品で見ますと、一月が一万四千トンが二月には一万一千トン。金額ベースで見ますと、農水産物全体で、一月は八百四十億円ございましたけれども、二月は六百四十億円。月で比べますと二四%減、同じ二月の対前年の同月比で見ますと二六%。客観的にはこういうような数字になっております。
○市村委員 この問題、よく食料安全保障とも言われますが、これは将来に対して、今後に対して大変示唆を与える、示唆に富む事案ではないかと思うんですね。すなわち、日本の食料自給率は低いだろう、ということになると結局中国産に頼らざるを得ないんじゃないかともし中国が思っているとすると、焦る必要はない、どうせうちの製品を買わざるを得ないんじゃないのという話ですね。だから、別に捜査についてもそんなに焦らなくたっていいじゃないか、もしそういうふうな意識を中国の方が持っているとすれば、これは大変問題だと思います。つまり、日本のいわゆる自給率が低いということに由来をすることになると思います。
今、やはり自給率を高めていこう、安全保障上も自給率を高めなくちゃいけないという話があるわけでありまして、このことも含めてやはり日本は、これからの我が国の国民の食というもの、食の供給、また食の安全確保というものを真剣に考えるきっかけにしなくちゃいけないと私は思うわけでありますが、岸田大臣の方から一言お答えいただければと思います。
○岸田国務大臣 まず、今回の事案に対する対応としましては、この原因究明が大事だということ、先ほど申し上げたとおりでありますが、これとあわせて、原因究明の状況は先ほど警察庁等からあったとおりでありますが、こういった現状にあってもまずはできることはやらなければいけないということで、二月二十二日に関係閣僚会議で再発防止策を取りまとめまして、そしてその中で、食品危害情報総括官制度を新設するとか、在中国日本大使館に食品安全の専門官を配置するとか、緊急時の情報伝達のルールを見直すとか、あるいは検疫体制、人員においても、また装備においても見直すとか、そうした強化策を打ち出したところであります。
こういったこともあわせて行うことによって、ぜひ、食に対する国民の安心、安全を回復するために全力で取り組まなければいけないと考えております。ぜひ、こうした方針で今後ともやれることはしっかりとやっていかなければいけないと考えております。
そして、加えて、今、食の安全保障の点、御指摘がありました。これは大変重要な点だというふうに思います。日本国の食品自給率が三九%という状況についてどう考えるのか、これは関係府省、政府を挙げて考えなければいけないというふうに思いますが、国民生活担当大臣としましても、国民の食の安全ということを考えた場合に、やはり国民の目の行き届く範囲内で食品が生産される、流通していく、そして手元に届く、こういった体制というのは大変重要ではないか、国民の食の安心、安全という観点から重要な点ではないかというふうに考えておりますので、国民生活担当大臣としましても、食品自給率の問題は大変重要な点だというふうに考えており、関係省庁とも連携しながら自給率アップに努めていきたいと思いますし、こういった問題について取り組んでいきたい、このように考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
先進国はすべからく農業大国なんですね。日本だけだと思います、先進国でこんなに自給率が低いのは。やはりそこはしっかりと考えていかないと、オーストラリアも去年干ばつで小麦がとれなかった、結局日本の小麦の製品が上がる、結局日本はそうやって他国に頼っているという状況なんですね。もちろんそれは、これだけ国際社会ですから、ある程度関係、つながりというのは持たなくちゃいけないのかもしれませんが、しかし、事食に関しては基本中の基本ですので、それはやはり、日本政府を挙げて、食の安定供給ということ、今まさに岸田大臣がおっしゃっていたとおりだと思います、ぜひとも政府を挙げて取り組んでいただきたいと思うわけであります。よろしくお願いします。
それでは最後に、あと残りの時間で、かつて私は、三年以上も前から今から申し上げる問題に取り組んでおります。
というのも、セネガルから、バスケットボール、高校生として日本の高校に来た方がいらっしゃいました。どうもその方の年齢が、当時は十九歳だと言っていたんですが、実は二十三歳ではなかったかということで、以前も文部科学委員会で質問をさせていただいたことがあります。あれからももう三年近くたっているんですけれども、この間、私は外務省にもいろいろ話をしながら、また文科省とも話をしながら、どうなっているんだということなんですね。
というのも、これが例えばセミプロの世界で、お金を払って海外から選手を連れてきて活躍していただいて、そこが優勝した、これは別に問題ありません。ところが、事これは学校教育の現場で起こった事例なんですね。しかも、最もスポーツを通して何を教えるかといったら、フェアネスだ。これは松浪副大臣が一番怒られると思いますが、つまり、フェアネスな精神を教えなくちゃいけないのに極めてアンフェアなことが起こったのではないかということを、私は現地調査もし、かつどう考えてもおかしいということも、証拠まで示して御指摘しているにもかかわらず、三年以上放置されたままなんですね。放置したというか、放置とは言いませんが、残念ながら進んでいないという状況がありまして、私は、これはゆゆしき事態だと。やはりアンフェアなことが起こったら、それはちゃんとアンフェアだということがみんなに知らしめられて、しっかりそれは正されていかなくちゃいけない、正していかなくちゃいけないと思うわけでありますが、松浪副大臣からこの状況をお知らせいただきたいと思います。
○松浪副大臣 仰せのとおり、教育の場でのスポーツ大会、これは当然のことながらフェアでなければなりません。しかしながら、事は勝負事でございますので、どの学校も強い選手をスカウトして、そして自分の学校の名誉を高めようというような学校がたくさん出てくる、これは自然現象であるかもしれませんけれども、現在、この国には八種目、約三百名弱の外国人選手がスポーツ選手として登録されております。
問題になっておりますのは、高校駅伝、これなんかで選手の制限、また走る区間を限定するというようなこともございましたけれども、先生の御質問されておりますことに対して、これはインターハイでございましたから十九歳未満の選手でなければならない、そのチェックは結局パスポートで行った。現在もそうでしょうし、私自身も国際大会のコーチを経験しておりますけれども、結局は国際大会もパスポートでもってその年齢を知る、一つの出場資格のポイントになっておるわけであります。我が国も、高体連もあるいはバスケット連盟もそうしたんだろう、こういうふうに思っております。
それで、仰せの報道等についても私は接しましたけれども、これは非常に難しい問題である。ただすべきは、高体連がどういうふうな形でやるのか、恐らく高体連の力では及ばなかったんだろう、こういうふうに思っております。
それで、予選は福岡第一高校それから福岡大大濠高校との間で決勝戦が行われ大濠高校が勝ったけれども、全国大会では第一高等学校が勝ったというようなことだったと思っておりますけれども、いずれにいたしましても限界があろうかと思います。私たちは、大会の意義が損なわれないようルールを遵守した大会の運営に努めていただくということを強く高体連あるいはJOC、また各競技団体、それにお願いするしかないというのが現状でございます。
○市村委員 副大臣、今までこの議論を重ねてきて、パスポートのことについても大分議論させていただきました。それで多分高体連は、やはりパスポートだけを信じちゃいけないという状況になっていると私は信じています、今の段階では。特に日本ほど、諸外国、いろいろな国がありますけれども、日本のようにパスポートが確かだろうと思われる国ばかりじゃないということもあるわけでありまして、その辺の議論もさせていただいた上での今日なんですね。
今ちょっと具体的な高校名も挙げられましたけれども、私はあえて高校名とか具体的な選手名を挙げずに議論してきたわけでありますが、それは、やはりその高校の名誉があると思っていますから、そうだと思っています。
ですから、そういうことも含めていろいろ慎重に議論をしてきた上で、しかも現地調査もした上で、やはりどうもこれは年齢が間違っていた、違うということを証拠も示している。ただ、二つの証拠の名前が若干違っていますから、これが同一人物かどうかだけ確認できれば、これはもう明らかに年齢が詐称だったと断ぜざるを得ない状況までは一応来ているんですね。それを最後の一押しのところで今待っているところなんです。しかし、それがなかなか、ずるずるだらだらと、もう何年もたってしまったという状況なんです。だから、こういうところをいち早く。きょう中山副大臣がいらっしゃっていますけれども、ちょっと今の現状を教えていただけませんでしょうか。
○中山大臣政務官 副大臣と呼んでいただいてありがとうございます。政務官でございます。
委員の御質問に対して、在セネガル日本大使館よりセネガル外務省に対して、当該留学生のパスポート上の生年月日の本物かにせものかということ、それとあと、委員があえてお名前を出さずに御指摘なさっておられますその二つの名前が同一人物かということ、これをノートバーバルを発出して照会をし、そして早く回答してくださいということを再三、委員の御指摘どおり、外務省の方も責任を持って行っておりますが、いまだに回答が来ていないということが一点。
それから、セネガル外務省も、本件がこのように委員会で取り上げられ、国会での重要な問題になっているということ、これを深刻に受けとめておられるということを我々も承知をしております。
我々外務省としても、早期に回答が得られますように、セネガル外務省に対して引き続き要請をし、働きかけていく考えでございます。
○市村委員 この年齢詐称問題は、スポーツの世界では極めて大きな問題とされることです。この日本の場合は学校教育の現場で起こったということが特に私は許せないということですね。やはりアンフェアなことがあったのであれば、ないのならいいんです、あったのであれば、それはしっかり正されなければならない、こういうことだと私は思っています。
だから、私はあきらめずに最後までこれを検証し続けますので、どうぞこれからも、中山政務官、ぜひともセネガル政府にこれを強く求めていただきたいと思います。
また、松浪副大臣も、今まで議論がいろいろありましたので、なかなかお忙しいとは思いますが、この議論も少し御関心を持っていただいて、もっと見ていただいて、やはり学校教育の現場でこうしたアンフェアなことが二度と起こらないように、ぜひともお願いしたいと思います。そのことをお願いしまして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、楠田大蔵君。
○楠田委員 民主党の楠田大蔵です。
本日は、上川大臣、岸田大臣にお越しいただきまして、男女共同参画社会の形成に関する件とそして科学技術に関する件について、最後、時間があれば銃器対策についても少し触れさせていただければと思っております。
まず、男女共同参画関係についてお聞きをしたいと思います。
男女共同参画の視点と申しますと、大臣もみずからの所信の中で述べられておりました。その中で、具体的な事例を取り上げて、今回の場合は、離婚訴訟中の女性の国民健康保険の、交付にまつわる問題という具体的な例を挙げて、男女共同参画の理想と現実というのを考えてまいりたいと思っております。
まずは事実関係から確認をさせていただきたいと思いますが、そもそも国民健康保険法の目的というものを改めてお聞かせいただきたいと思います。
○木倉政府参考人 御説明申し上げます。
国民健康保険法の目的につきましては、この法律の第一条におきまして、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」とされているところでございます。
○楠田委員 社会保障及び国民保健の向上に寄与するというのが目的であるということであります。
また、この国民健康保険法第九条二項についてでありますが、「世帯主は、市町村に対し、その世帯に属するすべての被保険者に係る被保険者証の交付を求めることができる。」となっておりますが、この解釈というのはどのようなものでございますか。
○木倉政府参考人 今の御指摘の国民健康保険法の第九条でございますけれども、世帯主が交付を求められるというふうに、世帯主の名あてにしております。
この仕組みにつきましては、国民健康保険法は、未成年の方なども含めまして被保険者ということにされておるところでございまして、それぞれの資格取得の届け出あるいは保険料を納付いただく、そういうふうな手続の義務ということ、これを個々の被保険者それぞれに義務を課すことは適当でないという判断のもとに、世帯主の方にこれらの手続をお願いしておるということでございまして、被保険者証につきましても、世帯主が申請を行って、世帯主に交付をするという法律の仕組みがとられているところということでございます。
○楠田委員 次の質問まで少し触れられましたが、世帯主が手続をする役割を負っている、そして交付自体も世帯主に行うということでよろしいですか、もう一度。
○木倉政府参考人 失礼いたしました。
交付自体も、世帯主が求めて、世帯主に交付をするという仕組みでございます。
○楠田委員 もう一つ。世帯主が手続を行って、交付も世帯主に行くということですが、そもそも非世帯主自体も被保険者の一人になり得るかということをもう一度確認させていただきたいと思います。
○木倉政府参考人 国民健康保険では、世帯に属されている方、健康保険とか別な仕組みに入っていらっしゃらない方は、それぞれが国保の被保険者でございます。
○楠田委員 この点は、第五条においても、区域内に住所を有する者は国民健康保険の被保険者とするという条文でもあると思います。
以上を前提に、福岡での事例でありますが、離婚訴訟中の女性のケースというのを考えていきたいと思います。
このケースは、夫の方が離婚を求めてみずからが転居をした、実家を離れて、夫の方が転居をした、妻の方は離婚を望まずに、その家にまだとどまっているというケースであります。
夫の方が国民健康保険証を持って家を出ているため、この妻の方は、統合失調症という病気だとも聞いておりますが、病院に通うことが必要でありますけれども、全額負担で通わなければならない。生活がもたないという点もありますが、それ以上に、病院に行くたびにそうした事情、係争中であるということを説明しなければならない、この点が苦痛だということであります。この点は、三月三十日の毎日新聞の朝刊でも取り上げられたところであります。
そうした中で、当然、妻としては、これではもたないということで、単身赴任や大学進学などで別居した家族に許されるいわゆる遠隔地証というものがもともと可能でありましたので、この交付を求めたわけでありますが、夫の方はやはり、離婚を認めさせるためにもこの交付に反対をしているというケースであります。
そもそも、こうしたケースでも、先ほどの確認もありましたけれども、妻への交付というのは認められないものなのか、まず厚生労働省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、仕組みは、世帯主の方が交付を求めていただいて、世帯主の方に交付をするという仕組みをとっております。
今の個別の事例でございますけれども、訴訟中、離婚訴訟とともに、遠隔地証交付を求めて奥様の方が訴訟を起こされておるということで、個別の結論を申し上げることはなかなか難しいところがあるんですけれども、国保の主体であります福岡市の方から聞いている限りにおきましては、離婚訴訟になりましてから既に御夫婦の間に生計維持の関係がないということになりますと、世帯が違うということを、世帯分離と呼ばれるものですが、奥様の方が世帯分離を申請いただければ、奥様御自身が世帯主、一つの世帯として被保険者証交付もできるんですよということは御説明を申し上げておるということは伺ってはおります。
この辺は、個別の具体の事例に合わせて判断をしていかなきゃいけないんではないかというふうに思っております。
○楠田委員 要は、この例で申しますと、まず、奥様が生計を自分自身で維持するということはなかなか、病気もあって難しいというのが一点ありますし、また、離婚を認めたくない妻の方が、みずからが世帯主であるということを自分の方から宣言することによって、離婚訴訟自体が不利になってしまうということもあるというわけであります。
そうした中で、もちろん、簡単な割り切りとしては、別々の世帯で別に世帯主になれというのが机の上では簡単なことであるのは私も理解しておりますが、そもそも個々人が被保険者となる話でもありますし、本来、そうした事情がある場合に、遠隔地証ということで別々に出すということもありますし、そもそも、最近の改正によって、基本的には家族の中でも個人にそれぞれ交付をされるということもふえてきている。たまたま福岡市では、今なお家族全体に、家族に一つだけ交付をされるということを続けていることから生じている問題でもある。
そうしたいろいろな条件を考えてもやはり先ほどのような解釈でおられるのか、もう一度確認させていただきたい。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の国保の法の改正、これは、世帯主が求めた場合に個々人のものについても出せる、これはそれぞれの国保の自治体ごとの仕組みの中でやっていただく。福岡市の場合はそれがまだ採用されていないということは事実でございます。
その中で、国保におきまして、世帯主の方にいろいろ手続を求めている。例えば家族の方のどういう方が資格を得られたか、失われたか、勤めに出られたかとか、ほかの制度に入られたかとかいうこと、あるいは保険料を世帯の方皆さんのものをきちんと納付していただくというふうなこと、それをそれぞれの方に個別にということはなかなか手続が難しいということで、世帯主の方にお願いする。仮に、個々の保険証を出す自治体、その方式を選んだ場合でも、世帯主の方に、うちにはこういう人間がいるということをきちんと言っていただいて、それに交付をする、こういう仕組みをとっておるところでございまして、その交付の手続そのものだけを切り離して、どなたからでもというのは、なかなか今の仕組み上は難しいというふうに考えております。
○楠田委員 先ほど申しましたように、それぞれが被保険者でありますし、当然、進学等で別に暮らすことになったというケースにおいて別々に交付することも認められる。たまたま、たまたまといいますか、そこの解釈で、手続上の問題として、世帯主が求めることが行政上、より都合がいいということだと思いますから、この点においては、各事情において、こうした訴訟中に奥様が求めるというのは当然のことだと思いますから、この点をぜひ、これから、自治体に単に任せるというのではなくて、運用の面でも工夫をしていくということをまず示していただきたいんですが、この点はどうでしょうか。
○木倉政府参考人 先ほど申し上げました世帯主の方にお願いしている手続、資格取得もそうなんですが、保険料の納付も含めまして、これはきちんと納めていただく、それで罰則等も含めて担保をしておるところもございます。
そういうことになりますと、やはり、世帯主の方がきちんとその家族全体を把握して手続をとっていただく、その義務と裏腹の手続ということになっておりますので、世帯が同じ、分離はされていないよという前提のもとで個々の方からの申請手続というのを一律に認めることはなかなか困難であろうというふうに考えております。
○楠田委員 この点においては、ちょっと委員会も異なるということもありますので、これからも求めてまいりたいと思います。
以上のような具体的な話を聞かれまして、上川大臣、御自身の所信の中でも、女性も男性も、すべての個人が個性と能力を十分に発揮することができ、ともに責任を分かち合う、お互いに認め合う等々、もちろん述べられているわけでありますが、実際に、やはり女性であるがゆえに、特別なケースでもあるかもしれませんが、こうした状況に追いやられてしまう、なかなか御自身で生活も成り立たないという方もおられる中で、まだまだこうした溝が、溝といいますかすき間があるということに対して、こうした議論を聞きながらどのように感じられたか、これを最後にお聞きしたいと思います。
○上川国務大臣 男女共同参画社会の形成に当たりましては、社会における制度または慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をでき得る限り中立なものにするように配慮されなければならないというふうに思っております。
近年、女性のライフスタイルあるいは家族のあり方が大きく変化をしているということでございまして、従来の制度または慣行が男女の生活に及ぼす影響について十分なる注意をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○楠田委員 そもそも、家族制度が厳格に前提になっているということもこの中の法律上の問題としてもありますので、ぜひここの点は注目をしていただきたいと思います。
それでは、時間も限りがありますので、科学技術の関係について話を進めたいと思います。
上川大臣、もしよろしければ、もう中座していただいていいです。
さきの一般質問でも少し取り上げましたが、iPS細胞研究支援についてお聞きをしてまいりたいと思います。
先日の一般質疑のときからまた事情が少し変わってまいりまして、まず、超党派でこうした幹細胞研究支援の議員連盟が設立をされてきました。また、我が党でも、研究開発環境整備プロジェクトチームというものが立ち上がっております。我々が私的勉強会の先端科学研究会というのを立ち上げたのが半年余り前でありますから、まさしくそれから環境が激変してきた、国民の関心も高まってきたと改めて感じています。
そうした中で、最近、気になる報道がありまして、バイエル薬品の研究チームが京都大学の山中教授より早くヒトiPS細胞の作成に成功していたのではないか、このような報道があったわけでありますが、この点について、事実関係はいかがなものでしょうか。お答えください。
○長尾政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のiPS細胞に関する点でございますけれども、これに関しましては、バイエル薬品の研究チームの論文がオランダの科学誌に掲載されましたこと、それから、こうしたチームが特許出願を行った可能性があること等々につきまして、四月十一日より報道がなされているものと認識しておるところでございます。
特許出願につきましては、出願後一年六カ月を経過した時点で出願公開されるということになっておりますけれども、報道にありましたような特許出願の出願公開につきましては、現時点におきましては確認されていない状況でございます。
○楠田委員 改めて私も勉強して知りましたが、十八カ月間出願の有無というのが公表されない中で、どちらが先かわからないというのが実際のところであるのかと思っております。しかし、それだけの公表されない期間の中で、どれだけ戦略を持っているかというのも非常に重要であるなと改めて感じております。
そもそも、特許庁の特許体制について確認をしておきたいと思います。日本の特許体制の中で、審査官の数、全体の数であるとか、今回のiPS細胞の出願のケースでどれぐらいの担当者が審査を行うのか、どれほど時間をかけてどのような審査を行うのか、また、欧米に比べて充実しているかどうか等も含めてお答えをいただけますでしょうか。
○長尾政府参考人 経済のグローバル化が進展しております中で、知的財産権を早期に権利化するための環境を整備することは、先生御指摘のとおり、私どもも非常に重要な課題だと思っております。
まず、審査期間の関係でございます。昨年五月に知的財産戦略本部におきまして決定されました知的財産推進計画二〇〇七におきましては、二〇〇八年の審査順番待ち期間を二十九カ月台にとどめる、そしてさらに、二〇一三年にはこれを十一カ月に短縮するという中期目標が掲げられております。
私ども特許庁としましては、こうした目標を達成するための具体的な取り組みといたしまして、例えば任期つきの審査官の増員など、必要な審査官の体制を確保することによりまして、世界最高水準の迅速的確な特許審査を実現することに努力しているところでございます。
具体的に申し上げますと、二〇〇三年度一千百名程度でございました審査官の数を今年度には千六百八十名に増員するなど、まず、審査体制の強化を図っております。
それから、御質問いただきましたiPS細胞等を含めまして、ライフサイエンス分野、こういった分野を担当する審査官の数も、二〇〇三年度の三十五名程度から今年度は八十名程度に増加させるなど、体制を整備したところでございます。
○楠田委員 そのような方針というのはこれからさらに重要になっていくということでありますが、その中で、二〇〇五年十二月十三日が優先日とされています山中教授の出願については、マウスiPS細胞だけではなくて、動物種を特定せず幅広い範囲で出願していて、かなり強い内容との指摘もありますけれども、この点については実際どのような状況でしょうか。
○長尾政府参考人 先生御指摘の山中教授のiPS細胞関連出願のうち、公開されたことが確認されているのは現在計二件ございます。このうち、後に出願されたものにつきましてはヒトiPS細胞に関する記載がございますけれども、現時点では、審査の開始に必要な次のステップでございます審査請求という手続がまだなされておりません。したがいまして、御質問の、出願に対しましてどのような権利範囲が設定されているかを現時点で申し上げることはできないわけでございます。
今後、出願人の方から審査請求がなされた場合には、審査官が、先行技術の有無、出願書類の記載内容等につきまして迅速かつ厳正な審査を行いまして、適切な権利の付与に努めてまいる所存でございます。
○楠田委員 まさしく、先ほど増強しているという話もありましたが、これだけ世界的に注目を受ける研究成果に見合った、広く生かされる確かな審査を、しかも迅速に、強く要望させていただきたいと思います。
今回の報道について、また、やはりその前提として、企業の知財戦略に比べて大学の知財戦略が著しく劣っているんではないか、そういう点からこうした報道がなされたのではないか、そういうふうにも考えておりますが、この点は、実際、今の時点でいかがでしょうか。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は、国際競争力を維持し、あるいは持続的な成長を維持していくために、イノベーションの創出が大変大事なことであると思っております。このため、大学には、研究者の自由な発想に基づきまして、企業では生まれにくい先進的な技術あるいは独創的な知見、そういったものを創出いたしまして、それを知的財産として適切に確保し、そして有効な活用を図っていくといった、知の拠点としての役割を果たすことが求められているというふうに認識しております。
このような大学における知的財産の管理や活用の取り組みでございますが、これは国立大学の法人化等を契機といたしまして、最近になって本格化しつつあるものと認識しております。このため、文部科学省におきましては、そうした取り組みを後押しすべく、大学における知的財産本部の設立等の体制整備、あるいはそれらを支える専門的人材の育成、確保、そういったことを支援するための政策に取り組みをしているところでございます。
また、iPS細胞のような先端科学技術に関する国際競争が大変激化しているというふうに認識しておりまして、そういった先端技術に関するさまざまな知的財産を確保し、そして国際競争力を高めていくということのために、国内だけを視野に入れるのではなくて、国外、海外も視野に入れて知的財産を適切に確保していくということがとても大事であるというふうに考えておりまして、そのため、大学が効果的に国際的な基本特許等を取得できるように、すぐれた海外特許出願につきましても、科学技術振興機構といった法人を活用いたしまして、その経費支援あるいは出願内容の改善を図るための指導助言、そういったことに幅広い支援策を実施しているところでございます。
今後も、イノベーション創出の原動力である大学の知的財産戦略が持続的に、そしてより高い質で行われますよう、文部科学省としてもしっかり支援してまいりたいと思っております。
特に、先生御指摘のありましたiPS細胞につきましては、その樹立あるいは研究から、大変広範な応用展開の可能性を秘めた研究成果が出てくるというふうに考えておりますので、それらに関する知的財産を確実に確保していくということがとても大事であるというふうに認識しております。
文部科学省におきましても、述べさせていただきましたようなさまざまな支援の手段を十分に活用いたしまして、また、関係府省もこれに一生懸命取り組んでおられると認識しておりますので、関係府省とも密接に連携いたしまして、我が国が、我が国発のすばらしい研究成果であるiPS細胞が知的財産の面で諸外国に先駆けていけるように、これからも努力してまいりたいと思っております。
○楠田委員 今回の騒動の中で、やはり、基礎研究で先んじた成果が出たとしても、その後の知財戦略を間違えれば、関連研究のために巨額のライセンス料を支払う必要があるとか、今せっかくつくろうとしているオール・ジャパンでの全体の戦略が阻害される可能性が出てくる、そうした不安が頭をもたげてきたわけであります。
特に、大学が中心となってこうした発明をしていけば、当然、無償使用であるとか手続の簡素化であるとか、より迅速に、協力をしながら体制を立てることができる、そうしたことが可能であるのに、こうした企業等々がさらに強い知財戦略を出してくると、これが根本から崩れる可能性もあるということが明らかになってきたわけであります。
そうした中で、先日の一般質疑の中でも、「ライセンスの一括管理等の知的財産権を戦略的に管理する体制を整備する、」という答弁も大臣からあったところでありますが、今回の騒動から何か学ぶことがあったかどうか、また方針に何か変更があるのかどうか、この点を最後に確認させていただきたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、今回のiPS細胞の特許出願問題につきましては、先ほど来特許庁等からも御説明がありましたとおり、特許の出願の公開につきましては出願後一年六カ月後ということもあり、現状では、特許出願の時期ですとか、それからiPS細胞の作成に成功した時期そのものもまだわからない点が多いというふうに認識をしております。
ただ、このiPS細胞研究につきましては、将来の再生医療に新たな可能性を開く画期的な技術だと認識をしております。政府としましても、平成二十年度の予算においても大幅に予算を増額するなど、研究の加速に努めているところでありますが、この特許出願問題には今後とも注目はしていきたいというふうに思いますが、このいかんに左右されることなく研究は推進していかなければいけない、このように認識をしております。
先日もお答えしましたように、総合科学技術会議におきましてiPS細胞研究ワーキンググループを設置し、先日、その中間取りまとめを発表したところでありますが、その中に、研究者の英知をオール・ジャパンで結集するしっかりとした研究体制をつくるとともに、知的財産権を戦略的に管理する体制をつくるというような内容を盛り込んでいるところでございます。
六月に最終取りまとめを行うということで、引き続き努力をしているところでありますが、こういった体制をしっかりとつくることによって、iPS細胞の研究加速に努めていきたいというふうに思っています。
○楠田委員 ありがとうございます。
実は、銃器対策についてお聞きしたいと思ってまたお呼びしていたんですが、次の機会に回させていただきたいと思います。伊藤一長前長崎市長の銃撃からきのうでちょうど一年たったということで、その後の戦略等も、これから我が方も対案を出していきたいと思いますので、今後の議論にゆだねてまいりたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
―――――――――――――
○中野委員長 この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁交通局長末井誠史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
本日も、岸田大臣、本当に御答弁ありがとうございます。
それでは、早速私も質問させていただきますが、私は、まさに福田総理そしてまた岸田大臣のもとで、タッグを組んでという表現をあえてさせていただきますが、取り組まれているこの生活、消費者重視路線、大変すばらしいことだ、ようやく政府も変わってきたか、我々はあえてこう言いたいというふうに思いますけれども、大変すばらしいことだというふうに思っております。
そういう中で、昨年の十二月十七日に、生活安心プロジェクトということで関係閣僚会合が持たれまして、そこでさまざまな具体的施策、そしてまた四つの国民運動とか四つのプラン、五つの分野ということが提示をなされました。一方で、行政のあり方がこれまで、その会合の資料にも書いてありますが、「政府の仕事のやり方は、生産第一の視点から作られてきた」、そして「国民生活の安全・安心の確保という視点が、政策立案の中心に置かれていなかった。」明確にこう述べられているということは、意識の転換として大変すばらしいことではないかなというふうに思っております。
大臣にこの運動の意義はとまずお伺いをして、少し御答弁もいただきたいところでありますが、早速中身に入らせていただきたいというふうに思います。
まず、この生活安心プロジェクト、具体的な施策ということでありますけれども、国民の声を多くの国民から集めるということで、政府が新聞ですとか雑誌に広告を打ったわけですね。生活安心プロジェクト、食べる、暮らす、つくる、働く、守る、この五つの分野について質問、御意見をお寄せくださいというふうになっておりますが、国民の中で、今まさにこの生活安心プロジェクトの冒頭に書かれている、「国民生活の安全・安心の確保」という視点が第一なんだということであれば、先にこういう形で五つの分野に国民の意見を限るというのはどういう考え方なのかなというふうに思います。
端的に申せば、国民の大きな関心事の一つには、例えば年金、年金記録のミスについてどうするんだ、そういう大きな大きな不安もあるはずなんですね。だけれども、それがこの生活安心プロジェクトの中には全く入ってございません。あくまで、行政が行うもの以外の国民生活における不安事を並べているのかなというふうにすら思うわけですね。
しかし、国民は、まさに行政に対して今信頼を失っている、そういう状況にある中で、その第一とも言える年金の問題が、今回、意見募集の中にも、そして生活安心プロジェクトの中にも入っていない、これはどういうことか御説明いただけますでしょうか。
〔委員長退席、岡下委員長代理着席〕
○岸田国務大臣 政府として、さまざまな課題に取り組むに当たって国民の声をしっかりと聞かなければいけない、これは大変重要な点だというふうに認識をしております。
そして、国民の意見を聞かせていただく、さまざまな意見を集めていく際に、それぞれの仕組み、形をつくらなければいけないわけですが、年金につきましては、政府としましては、国民会議を別途立ち上げるという形で、特に大きな国民の関心事だということで、特化した形の仕掛けをつくり、多くの方々の意見を参考にさせていただいているというふうに認識をしております。
私の担当としましては、国民の安心、安全ということから、最近報じられております具体的な事件、事案の中で特に国民の関心の高い部分に焦点を絞って、国民生活、消費者、生活者の視点ということで取りまとめさせていただいたということであります。
対象範囲ということでは、そういった形でそれぞれ分担したというふうに御理解いただきたいと存じます。
○泉委員 しかし、この生活安心プロジェクトの、例えば「一 消費者や生活者の視点に立った行政へ」「(三)行政のあり方の総点検」「各府省庁等で取り組んでいる政策(法律、制度、事業等)を消費者・生活者の目線に立って総点検し、被害を防止し、国民に安全・安心をもたらすものとなるよう根本から見直す、」ということが必要であると。これは、国民がそういう文章を読んで一番先に思い当たるのは、まさに年金問題じゃないでしょうか。
今、国民会議でというふうにおっしゃられましたが、しかし一方で、この生活安心プロジェクト、これだけ国民運動をやっていこうというような位置づけがありながら、その中に、国民の一番の関心事である年金問題が入っていないというのは、何ともいびつだなと。それ以上の位置づけだというようなことで考えてよろしいんですか。年金については国民会議があるから、この生活安心プロジェクト、四つの国民運動よりも上なんだ、そういう位置づけですか。
○岸田国務大臣 国民の安心、安全にかかわる分野は大変幅広いものがあるというふうに認識をしております。それぞれしっかりとした対応を考えていかなければいけないわけでありますが、その中で、御指摘のように、年金の問題は、国民にとって大変大きな関心事だというふうに思っています。
どっちが上か下かということはなかなか判断が難しいと思いますが、年金については特出しで、特化する形で対応をしている、これが政府のありようだというふうに認識をしております。
○泉委員 特出しの割には、社保庁の体制の充実も含めて、ここは厚労委員会じゃありませんから余りこれ以上詳しいことは言いませんが、私は、体制の強化というのはやはり随分おくれてきているんじゃないのかなというふうに思います。果たして本当に特出しでやれているのかというような思いを今持っております。
一方で、まさに国民の声ということでありましたが、私は、この年金の問題というのは、先ほど大臣がおっしゃったように事件の一つだと思うんですね。これは事件ですよ、国民にとっては。自分たちが払った年金が来ない、記録が消えている、これは事件ですよ。これを、行政の課題だとか、そういうような何となくやわらかい表現でおさめていてはいけない、一つの事件である、そういう認識をまず持っていただきたいということを私は思うわけです。
では、この生活安心プロジェクトの中で、先ほどのチラシで掲げましたように、国民の皆さんから意見を募集しておるわけですね。この生活安心意見募集、昨年の十一月十三日ぐらいから始まったと思うんですが、これはいつまで続けられて、そして現在、その集計結果、またどのような分類が行われたのか、その点について大臣、お答えください。
○岸田国務大臣 国民の声につきましては、このプロジェクト立ち上げからも、改めて多くの皆さんの声を聞かせていただきました。インターネット等を通じて、約千件を超える国民の皆さんの声をいただきました。
しかし、国民の声ということを考えますと、今回のプロジェクトの以前にも、いろいろな形、いろいろな部門で国民の声を聞かせていただく機会があったというふうに認識いたしましたので、そういった過去の国民の声も参考にさせていただく、こんなこともさせていただきました。
その上で、国民の皆さんの声を整理させていただいた。それに応じて、昨年年末に、緊急に講ずべき具体的な施策六十一項目をまとめさせていただきましたが、国民の皆さんの声を整理する形で政策も整理するという形で、このプロジェクトに反映するということをさせていただいたということでありました。
○泉委員 ちょっともう一回確認ですが、この生活安心プロジェクトという形で、内閣府大臣官房「安心で質の高い暮らし」特命室というところがお問い合わせ先になっている、この意見募集はいつからいつまで行われましたか。
○西政府参考人 お答え申し上げます。
この意見募集につきましては、先ほど大臣が申されましたように、緊急に講ずるべき施策を取りまとめるに際して、まず意見を募集しております。これは正確な時期はちょっと今申し述べられませんけれども、十一月から始めたものでございまして……(泉委員「だから、いつまでですか」と呼ぶ)これは、実はその後も、今度は国民生活審議会の行政のあり方総点検をまとめるに際しましても、継続して国民の声は受け付けておりまして、年を越しても継続してやってきておりました。
そして現在も、実は国民生活審議会の取りまとめについての意見募集をまた改めてやっておるというところで、継続的に、段階に応じて国民の声を募集してきたというところでございます。
○泉委員 委員長、これは意味がわかりますか、今の。答弁になっていますか、これは。ほかの委員も笑っていますよ。わかりやすく、何も前置きは要りませんから、大臣、それをはっきり答えてください。
○岸田国務大臣 国民の意見につきましてはプロジェクト全体に反映させなければいけないということで、十一月立ち上げから意見募集を行いました。
そして、このプロジェクトは、全体の流れとしまして、まず年末に、緊急に講ずべき具体的な施策六十一項目を取りまとめ、そして年明けから、四つの国民運動ということで、多くの国民の皆さんに参加をしていただき、そして行政の総点検ということで、国民生活審議会において御議論いただくという形で進めてまいりました。
ですから、その間ずっと国民の皆さんの意見はお伺いしてきたわけですが、その最初の部分におきましては緊急に講ずべき施策に反映させていただく、そしてその後は主に国民生活審議会での行政の総点検の議論に反映させていただく、こういったことで国民の皆さんの意見を活用させていただいたということであります。
そういったことから、十一月から年明け、そして国民生活審議会の議論が続いている間、ずっと国民の皆さんの意見は聞かせていただき続けてきたということでございます。
○泉委員 それはわかっているんです。ですから、それは今も続けているんですか、そして現在何件来ているんですか、それをお答えください。
○岸田国務大臣 国民生活審議会で取りまとめた意見につきましての御意見を聞いておりますので、現在も、こうした国民の皆さんからの意見を伺い続けております。
件数につきましては、ちょっと今数字を把握しておりませんで、事務方がもし数字を把握していたら、つけ加えさせていただきたいと存じます。
○西政府参考人 お答え申し上げます。
現在のところ、約千件を超える国民の声が寄せられております。
○泉委員 ですから、非常に不思議なのは、私は実は、このチラシをインターネットで見つけて、特命室に電話をしたんですね。そうしたら、もう特命室はございません、四月九日で解散いたしましたという話だったんです。既に、それぞれの分野にまた戻って、それぞれの分野で国民の声を反映させて活動しておるんですというようなお答えでございました。そして、この生活安心プロジェクトにおいては、インターネット上の意見募集は四月九日をもって終わりました、こういうふうにおっしゃっていられるんです。
確かに、政府ですから、どこかで国民の声を聞いているのは当たり前ですよ。官邸にもいろいろなメールも来るでしょう、電話も。だけれども、そんな話じゃなくて、それぞれ、意見募集の項目というか、その都度その都度呼びかけ方は違うわけですから、一回呼びかけたものは、いつ終わるというのはあるはずじゃないですか。
本当はこんなことで答弁を詳しく求めるまでもなかったんです、ただ事実を確認したかったんです。どうなっているんですか。どういう把握の仕方をしているんですか。この生活安心プロジェクトはいつ終わって、その数が千件なのか、途中から国生審の意見までまざってしまってわからないのか、どっちなんですか。
○西政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、生活安心プロジェクトにつきましては、これは現在、今でも国民の声の募集をしております。しかしながら、その募集の仕方でございますけれども、先ほど大臣からもおっしゃいましたように、当初は、いわゆる緊急に講ずべき具体的施策についての意見募集、それからその次の段階では、国民生活審議会で審議をお願いしている行政のあり方総点検についての意見募集、それから現在は、その意見が出されまして、それについて今度はアクションプランを取りまとめるという予定で進めておりますけれども、今度は、審議会で出されました意見についての御意見をまた募集するという形で、継続してやっておるところでございます。
○泉委員 それは、一回整理して、また部屋に持ってきてください。
では、最後に聞きますけれども、この「安心で質の高い暮らし」特命室は現在も存在していますか。私が電話で聞いたことが間違いだったんでしょうか。
○西政府参考人 現在も存在しております。ただし、これはプロジェクトチームでございますので、要するに、忙しいときは部屋を設けて設置してやっておりますけれども、今、国民運動をそれぞれの部署でやっておりますので、現在は専属の係員がいないかもしれませんが、ただし、この国民の声の募集とかそういうものについては、ちゃんと担当者がやっております。それで、必要に応じて集まる、そういう体制で進めておるところでございます。
○泉委員 私が、各自治体に配られた、国民の意見を募集、その問い合わせ先として、この「安心で質の高い暮らし」特命室、そしてそこの電話番号が書いてありまして、そこに電話をかけさせていただきましたら、はい、総務課ですというようなお答えが返ってまいりました。そこの担当者の方に聞きましたら、いや、特命室としての電話番号はもうなくなったんですというようなことでございました。では、その辺も、一度確認をしていただきたい。おかしな、特命室があるのかどうかわからない状態にある。大臣、私は電話番号をかけ間違えしていませんからね。それだけはお伝えをしておきたいというふうに思います。
では、ようやくですが、具体的な中身に入りたいと思います。
今、食の安全、そしてまた子供の施設の安全、交通事故死ゼロ、青少年を有害情報から守るための国民運動、この四つがなされておりますけれども、まず、子供の施設の安全点検でありますけれども、これはどの主体がどのように行ったのか。そしてまた、私は、今の時代、遊具の安全ということはもちろんなんですが、いわゆる公園における犯罪、そういったものにも大変心を配らなければならない時代だというふうに思っておりまして、今回、この内閣府の国民運動の中で、公園の防犯対策、防犯設計に基づいた公園の点検、こういったものまでちゃんとやれているのかということを大変心配しているわけなんです。まず、この子供の施設の安全点検についてお聞かせください。
○西政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の子供の施設の安全全国一斉総点検に当たりましては、関係省庁を通じまして、各施設の管理者に対して点検を呼びかける、それとともに、幅広い周知、広報を通じて、多くの国民がみずから点検に参加できるようにということで、国民的な安全意識の高揚を図ってきたというところでございます。
今回の点検は、先生も御指摘のとおり、都市公園とかあるいは公共住宅団地、小学校、保育所などにおける遊具などを対象として、点検内容としては、点検の実施状況についてきちんと確認をするということと、必要に応じて当該施設の安全の観点からの点検、それから実施状況確認書の掲示ということで点検を行っております。
ただし、今回の安全点検については、施設の構造や部品等に関するものでございまして、先生が言われた防犯という観点からの点検については、今回の目的とは必ずしもしていないところでございます。
○泉委員 その点検も、子供の遊びをする施設、ふと皆さんが思いつくのは滑り台やブランコだと思うかもしれませんが、例えば砂場における衛生状態ですとか、そういったこともあるわけですね。ですから、実は公園というもので言うと、遊具の安全といったって、もし国交省中心に行われているのであれば、それは完全なものではないということであります。ですから、警察ですとか厚生労働省、そういった視点からも、この公園の総合点検をぜひしていただきたかったなと。大臣には、ぜひこれは追加で。国民運動ですから。
私も小さい子供がおりまして、家の前に公園があります。こんな国民運動をされているというのは全く知りませんでした。個別に私は、自分の家の前の公園を初め、都市公園における子供の安全ということについては大変関心を持っておりますが、このような国民運動が行われているとは全く知りませんでした。
そして先ほど、国民が参加をして自主的に点検できるというようなことがございましたが、その成果、件数はどれほどになったんでしょうか。把握をしている範囲でお答えください。そしてまた、点検の結果による改善事業、これにどのように取り組んでいくべきと考えられているのか。そしてまた、たしか、この国民運動の中では、点検後に、大臣、管理者、保護者、利用者等で意見交換というふうに書かれておりますが、これはいつ御予定をされているか。この三つをお願いします。
○岸田国務大臣 まず、この四つの国民運動につきましては、国民の安心、安全を考えた場合に、やはり消費者、生活者の視点に立った行政へ発想を転換しなければいけないということで取り組みが始まったわけですが、こうした国民の安心、安全を考える際には、行政が一方的に何か管理をする、点検をするというだけでは十分とは言えない。やはり多くの国民の皆さんにも参加していただいて、国民の目線、例えば保護者ですとかあるいは子供たちの目線でも、こうした安全について考えてもらわなければいけない、こういったことで、四つの国民運動という形で、このプロジェクトの中に位置づけて進めてきたということであります。
ですから、この子供の施設の安心、安全につきましても、管理者がしっかりと点検する、これは当たり前のことであります。ぜひ多くの国民の皆さんに参加していただこうということで、保護者の皆さんあるいは子供たち自身にも参加していただくという形をとったわけであります。
この運動につきましては、全国二十万カ所で、学校、幼稚園、遊園地等々、子供たちの遊具施設のある場所を点検させていただいたということであります。二十万カ所で点検を行って、そして安全が確認できた場合には、この安全書を交付するという形で、その施設に安全書を掲げるという形をとらせていただきました。そして、万が一問題が発生した場合には関係者と連絡をとって対応していただくということで、この成果につなげていきたいというふうに考えております。
そして、関係者との意見交換でありますが、この意見交換につきましては、私自身、この運動の中で参加いたしましたのが、日本橋幼稚園、東京都中央区でありますが、そしてもう一つ、国営昭和記念公園、東京都立川市でありますが、この二つの施設における安全点検に参加をさせていただきました。その際に、その点検が終わった後に、管理者はもちろんでありますが、近隣の、園児の保護者の皆さん、あるいは関係するNPOの皆さん方、こういった皆さん方に参加をしていただき、意見交換をやらせていただきました。
○泉委員 なるほど、よくわかりました。公園の点検が終わった後に意見交換をしたという意味なんですね、わかりました。
今言ったように、公園の安全というのは必ずしも遊具の問題だけではないということをどうか大臣、改めて御認識いただいて、先ほど言ったような、例えば公園の衛生環境、最近はペットに砂場でおしっこをさせるというようなこともありますので、そういった問題。あるいは、これはある大学の防犯の教授がおっしゃられていますけれども、公園の周りに緑がたくさんあるばかりに大変死角が多い、死角が多くて犯罪が起きやすい、そういう公園も多数ございます。そういったものをやはり今後改善していく。あるいは、交通安全の観点でいけば、大きな道路に向かって出入り口が設定されている、しかも飛び出したらすぐそこは道路だというような設計の公園もたくさんございます。そういったところの出入り口の配置も含めて、公園全体を考えていかなければならないんだということであると思います。
ほかにもいっぱいやりたいことがあるんですが、ちょっと冒頭の特命室の問題で随分と時間がかかってしまいましたので、全部はできないかもしれません。副大臣も申しわけございません。そういうことで、では、ちょっと選んで、せっかくですから、副大臣に最後、お願いをしたいと思います。
そういう四つの国民運動がそれぞれ広報媒体による広報という形で行われておりますが、先日も我が党から質問があったCabiネット、このCabiネットについて、現在の発行部数がどうなっているのか。そして、現在フリーペーパーだというふうなことを聞いておりますが、どの場所に置いてあるCabiネットについても本当に勝手に持っていってよいものなのか。学校や病院や銀行やさまざまな場所に置いてあるらしいですが、それはフリーペーパーだということで持っていっても構わないのか。改めて確認をしたいと思います。
○山本副大臣 政府広報誌のCabiネットについて、私のわかる範囲をお答え申し上げたいと思います。
十九年度の広報誌Cabiネットは、一回当たり十六万八千五百部を発行しております。配布方法はどうかといいますと、市区町村の行政窓口だとか図書館、新幹線駅、空港ロビー等に据え置きまして、フリーマガジンとして配布しておるところであります。(泉委員「いや、持っていっていいのかどうか」と呼ぶ)それは持っていっていただいて結構でございます。
○泉委員 終わります。
○岡下委員長代理 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
きょうは、国会で決議しております宇宙の平和利用に関する決議、これが自然災害とかから守る防災などにどういうふうに使われているのかということを伺っていきたいと思うんです。
雲仙・普賢岳の噴火、火砕流の発生で大規模な犠牲者が、当初四十三名でしたか、被害者を出したのは一九九一年の六月三日でしたから、あれからもう十七年ぐらいになるんですね。このとき、最初の大きな異常というのは、実は橘湾の群発地震、これが一九八九年にあって、一年ほどたった九〇年十一月十七日に噴火が起こって、さらに、小康状態を保っておったんですが、翌年の九一年二月十二日に再噴火、そして四月三日ごろから噴火規模がだんだんだんだん大きくなってきて、五月には土石流が発生することになり、その中で六月三日の大規模な災害、火砕流、こういうものが出たわけです。
気象庁の方では、活火山百八を持つ日本は火山国だ、そういうことで火山災害と隣り合わせですから、火山の噴火の監視をする仕事をやってもらっております。この雲仙・普賢岳、阿蘇とか桜島、富士山、浅間山など、活火山について常時監視が必要と思うんですが、GPSを使った地殻変動、地盤の移動、変位の測定、それから情報収集衛星を使った噴煙の監視、噴煙の出る場所がどこなのか、その噴煙の量的変化、そういうのをきちっと毎日定時監視・観測することが大事だと思うんですが、どういうふうに進めているのか、最初に気象庁に伺っておきます。
○伊藤(秀)政府参考人 気象庁からお答え申し上げます。
気象庁における火山監視への衛星の利用につきましては、GPSを地殻変動観測へ、ひまわり六号を噴煙の広がり状況の監視に活用しておりますほか、地球観測衛星「だいち」の火山防災への利用のための実証実験を宇宙航空研究開発機構、JAXAと共同で進めております。
情報収集衛星の具体的な利用につきましては、情報収集衛星の性格上、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○吉井委員 噴火の予測には、噴火可能性の高い場所を早くつかむことと、噴煙の量からあらかじめ噴火の規模を予測するとか、そういうことが大事だと思うんです。最初に挙げられた衛星というのは高いところにありますから、十分な情報という点では、情報収集衛星というのはもっと低いところにあって解像度も高い。ですから、そういう点では、毎日のように、常時どこから噴火が起こっているか、その噴煙の量はどうかとか、色その他によって状況をきちんとつかむということは、対策上物すごく大事なことだと思うんです。
気象庁にもう一遍伺っておくんですけれども、情報収集衛星から撮影した情報、撮像は常時送られてきているのかどうか、伺います。
○伊藤(秀)政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほども申し上げましたとおり、情報収集衛星の性格上、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○吉井委員 では、内閣官房の方に伺っておきますけれども、情報収集衛星に関して、実は、私は質問主意書を出しましたけれども、二〇〇五年十一月十一日の内閣から私への答弁書の方では、二つの目的を挙げていますね。
どういう目的がこの情報収集衛星のものなのか、伺います。
○茂田政府参考人 お答えいたします。
情報収集衛星に関しましては、平成十年十二月の閣議決定で導入が決定されておりまして、その閣議決定によれば、「外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的」としております。
○吉井委員 ですから、情報収集衛星というのは二つの性格があって、その大事な一つの中には、衛星で収集するものというのは、今のような、大規模災害につながっていくようなものについてきちんと解像度の高い映像で常時観測を行って、そして災害対策に備えるというのは大事な役割だと思うんです。
今おっしゃった大規模災害の中には、火山の噴火、それによる災害、火砕流の発生とかいろいろなものを本来含めて導入するというふうにされたと私は思うんですが、大規模災害の中には噴火とか火砕流とかそういった災害というのは入っていないと理解しなければいけないんですか。
○茂田政府参考人 お答え申し上げます。
まさに大規模災害等への対応等の危機管理のためでございまして、問題は大規模災害等に当たるか否かということであると考えております。したがいまして、一義的に火山活動あるいは火砕流が入らないとか入るとかということではないと考えております。
○吉井委員 大規模災害だから、小さいものは入らないかもしれぬけれども大きいものであれば入るという意味なんでしょうけれども、どうもお役所用語でよくわからない。だからもう一遍聞いておきますが、雲仙・普賢岳で起こったような、大きな噴火と火砕流で数十名の方が犠牲になったという、ああいうものは大規模災害の中に入るんですね。
〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕
○茂田政府参考人 お答え申し上げます。
雲仙・普賢岳のときには当センターはまだ発足しておりませんけれども、あのような大きな災害は大規模災害に該当すると考えております。
○吉井委員 内閣官房の方はああいうものは大規模災害に入るということなんですけれども、大規模災害というのは、起こってから幾ら観測データをもらっても仕方がないんですね。起こる前に、早く、どれだけ対応できるかということが大事なわけです。ですから、活火山などについて、解像度の高い、いい情報を提供するというのは一番大事な役割の一つだと思うんですね。
気象庁は情報収集衛星を活用しているのではないかと思うんですが、一日一回同じところを通る、例えば光学衛星ですと分解能は一メートルよりもっといいわけですね。レーダー衛星の方だったら、雲があっても地上の状況はわかるし、雲で見えないときでもわかるし、夜間でも撮影、撮像できるわけですね。
ですから、そういう点で、気象庁は何か、情報収集衛星からの情報をちゃんと提供してもらって活用しているのかどうか、さっぱりわからないんですが、ちゃんと情報提供を受けて活用はできているんですね。
○伊藤(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどと同じでございまして、情報収集衛星の性格上、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○吉井委員 非常に不思議なんですね。情報収集衛星というのは、外交、安保その他というのを一つ挙げておられた。もう一つは、大規模災害に備えて活用するんだと言っているんだけれども、しかし、実態は本当に活用しているかどうかさえわからない。どうも情報提供されていないんじゃないかということがあります。
それで、大規模災害に活用していないというのがどうも実態のようなんですが、衛星本体に今年度予算までで六千二百億円使っているんでしょう。ロケット打ち上げ経費に一回当たり大体百億円の税金を使っているんですね。その情報収集衛星導入の説明に大規模災害だと言いながら、その内容も明らかにできない、どうも実態としては余り使っているようなことになっていないというのは、私は非常におかしいと思うんです。
日本の宇宙開発というのは、平和利用目的を国会決議で決定しているわけなんです。民生利用ということで国際的に大きく貢献しています。技術的にも長足の進歩を遂げてきました。火山噴火、火砕流などという大規模災害にあらかじめずっと備えて活用するということは、宇宙の研究開発は平和目的に限定するとした一九六九年五月の国会決議の精神に、私はこれは合っていると思うんですけれども、これは国会決議の精神に反しているから使われていないんですか、使わないんですか、使わせないんですか。どうなんですか。
○岸野政府参考人 利用サイドからお答え申し上げます。
まず、情報収集衛星をどのように活用するか、どう運用するかに関しまして、内閣官房の中に情報収集衛星運営委員会という組織がございます。これは、運用に関する基本的な考え方を定めて、実際の運用を監督する組織でございます。その長は官房副長官が務めております。
そのもとで幹事会という組織がございまして、そこが実際に、利用省庁からこういう情報が欲しいという要求があったのを受けて、いつ、どこを撮像するか、あるいは競合する要求があるときにどう調整するか、あるいは報告の配付範囲をどうするか、そういったことを調整し、月単位で決めております。
利用省庁なんですが、内閣官房のほかに、警察庁、公安調査庁、外務、防衛両省、これ以外に消防庁、経産省、海上保安庁、それから国土地理院というのが利用省庁に入っております。
○吉井委員 利用省庁に入っているんだったら、気象庁の方はちゃんと情報をもらっているんだとはっきり答えたらいいんじゃないですか。その情報が入っているのか入っていないのか、来るのか来ないのかさえ答えられないというのは、日本の科学技術というのは自主、民主、公開なんですよ。原子力にしても何にしても、平和目的ということを掲げてやってきているんですよ。
ところが、情報収集衛星については、答弁書の中でも、外交、安保上の役割と、もう一つは大規模災害等だということをうたっているのに、大規模災害に備えての解像度の高い、いい情報が得られるんだから、それで、火山であれば、火山といったって噴火する場所はいろいろ移動することもあれば違うわけだし、噴煙だって量も違えばいろいろな性質が違いますから、それを、詳しいデータを、GPS等を使った地殻変動などの測定とともにそういうものをきちっとつかんでこそ災害対策はとれるんですよ。
情報を得て活用して災害に備えているんだという、そんな簡単なことが何で答えられないのかということを聞いているんですよ。これは大臣、おかしいと思いませんか。
○伊藤(秀)政府参考人 お答えを申し上げます。
やはり情報収集衛星の性格上、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○吉井委員 気象庁がなぜそういう答弁をずっと繰り返すかといったら、実は二〇〇六年四月二十四日に、参議院行政監視委員会で、当時の消防庁次長は、情報収集衛星の利用について質問されて、消防庁においては地震災害の際の情報収集衛星による画像の提供を受けています、具体的には福岡県西方沖地震の際に画像提供を受けていますということを答えたんだけれども、その後、異動ですね。そういうことをやるから、知っているから気象庁も答えられないということなんでしょう。
つまり、国会決議では平和利用をうたっているんですよ。しかし、それだったら、万一の大災害で、衛星情報を気象庁に送って、そしてきちっとした観測をし態勢をとればいいのに、当たり前の話なのにそれができなくなっている。結局、多目的衛星ということで始めているわけですが、多目的衛星で大規模災害に使いますといった情報収集衛星というのは、今実態としては軍事偵察衛星の偽装工作、言ってみればミートホープの牛肉偽装みたいなものですね、そんなふうに見られても仕方のない実態になっているんじゃないですか。
だから、岸田大臣、この前、私が三月二十六日に聞いたときには、町村官房長官がきちんと答弁しておられるんですが、自民党の中には日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会があって、石破防衛大臣が座長になって、国防族と軍需産業と防衛省幹部が一体となって、今、国会の平和利用決議の骨抜きを図ろうというお考えもあります。既に、大規模災害対策が目的のはずの情報収集衛星でさえ、これは実態として軍事偵察衛星になっているというふうな状況になって、中身が明らかにできないというようでは、日本の宇宙科学や技術、宇宙物理学は大きな国際貢献をしてきていると私は誇りを持っているんですが、しかも今、アメリカ、中国の衛星破壊実験以降、宇宙の軍事開発、研究はやめよ、そういう方向へゆがめちゃならないというのは世界の大きな流れになってきているわけですよ。だから、それだけに日本の国会決議は物すごく値打ちを持ってきているときなんですよ。
そういうときに、今の問題もそうだけれども、政府は国会決議をきちんと守る立場で貫いていくんだということを明確にされるかどうか。何か、守りますと言いながら、消防庁や気象庁が使おうとしたら、口にしたら異動させられるようなことになったら、この国会の平和利用決議というのは本当に、実態としてなきものになってしまいますから、ここは科学技術担当大臣として、日本の宇宙科学のあり方について、きちんとした態度、国会決議に基づいてそういう立場を貫くのかどうか、伺いたいと思うんです。
○岸田国務大臣 まず、情報収集衛星の運用とか取り扱いにつきましては、私自身十分把握していない点がありますが、ただ、軌道を明らかにするような情報を公開することが適当なのかどうか、ちょっと一度その辺は自分自身勉強してみたいというふうに思います。
その上で、国会決議の御指摘がございました。一九六九年、「わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」、この国会決議につきましては、我が国の宇宙開発に関する現在の施策は、この決議を尊重する形で進めているところであります。この政府の施策というのは、やはりその時点における法にのっとり、また国会決議があれば、それを尊重して行うべきであるということ、これは当然のことだというふうに思っております。
○吉井委員 前段のお答えというのは、やはり国会の平和利用決議をなきものにしよう、そういう意味を持った宇宙基本法という考え方が今出てきておりますが、本当に国会決議の立場で臨むならば、私は、そういう点は大臣としてもっときちっとしたことを言わなきゃいかぬと思うんです。
それで、軌道がどうだこうだ言うけれども、もう地球の周りに人工衛星がいっぱい飛んでいるんですよ。軌道は無数にありますよ。解像度の高いものは生まれていいんですよ。問題は、災害対策とか、あるいは宇宙物理とか、そういう平和な利用でこれをもっと公開してやっていかないと、結局、秘密主義でいきますと、戦前の軍事科学はゆがんだだけじゃなしに、そのために民生用の機器開発もおくれてしまっているんですよ。
アメリカがなぜ民生機器でおくれをとったか、日本が進んだかといったら、軍事機密に縛られずに公開して、そしてそれが民生用にどんどん使われることによってコストダウンを図り、発展していったんです。やはりそういう立場に立って物を考えていくべきだということを申し上げまして、時間が参りましたから質問を終わります。
○中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十六分散会