第14号 平成20年5月9日(金曜日)
平成二十年五月九日(金曜日)午前十時二十分開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君
理事 村田 吉隆君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 武彦君
遠藤 宣彦君 大塚 拓君
岡本 芳郎君 加藤 勝信君
河村 建夫君 木原 誠二君
河本 三郎君 戸井田とおる君
土井 亨君 中森ふくよ君
西村 明宏君 西村 康稔君
萩生田光一君 藤井 勇治君
安井潤一郎君 市村浩一郎君
吉良 州司君 楠田 大蔵君
近藤 洋介君 佐々木隆博君
西村智奈美君 野田 佳彦君
細野 豪志君 馬淵 澄夫君
石井 啓一君 西 博義君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 町村 信孝君
国務大臣 渡辺 喜美君
内閣府副大臣 山本 明彦君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 坪井 裕君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 丸山 剛司君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 水上 正史君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 中根 猛君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 青山 伸君
政府参考人
(経済産業省製造産業局次長) 内山 俊一君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
―――――――――――――
委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
加藤 勝信君 岡本 芳郎君
土井 亨君 西村 康稔君
中森ふくよ君 河村 建夫君
藤井 勇治君 安井潤一郎君
吉良 州司君 野田 佳彦君
楠田 大蔵君 細野 豪志君
西村智奈美君 近藤 洋介君
石井 啓一君 西 博義君
同日
辞任 補欠選任
岡本 芳郎君 加藤 勝信君
河村 建夫君 中森ふくよ君
西村 康稔君 土井 亨君
安井潤一郎君 藤井 勇治君
近藤 洋介君 西村智奈美君
野田 佳彦君 吉良 州司君
細野 豪志君 楠田 大蔵君
西 博義君 石井 啓一君
―――――――――――――
五月九日
国家公務員制度改革基本法案(内閣提出第七五号)
は本委員会に付託された。
五月九日
宇宙基本法案(河村建夫君外七名提出、第百六十六回国会衆法第五〇号)
は委員会の許可を得て撤回された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
宇宙基本法案(河村建夫君外七名提出、第百六十六回国会衆法第五〇号)の撤回許可に関する件
国家公務員制度改革基本法案(内閣提出第七五号)
内閣の重要政策に関する件
宇宙基本法案起草の件
宇宙の開発及び利用の推進に関する件
――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
第百六十六回国会、河村建夫君外七名提出、宇宙基本法案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○中野委員長 内閣の重要政策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官坪井裕君、内閣府政策統括官丸山剛司君、外務省大臣官房審議官水上正史君、文部科学省大臣官房審議官青山伸君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 宇宙基本法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、櫻田義孝君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの宇宙基本法案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。櫻田義孝君。
○櫻田委員 宇宙基本法案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。
まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。
宇宙開発及びその利用については、人工衛星を利用した位置情報サービス等や、宇宙用に開発された技術、素材等が我々の身近な生活においても重要な役割を果たすようになってきており、また、我が国をめぐる安全保障環境の変化や、中国を初めとするアジアや中東などにおいても積極的に宇宙開発利用が進められるなど、国際情勢の変化もあり、宇宙開発利用の重要性が世界的にも急速に増大していく傾向にあります。
我が国の宇宙開発利用は、これまで、宇宙科学の研究や宇宙技術の開発に限定、特化して進められてきましたが、本起草案は、このように宇宙開発利用の重要性が増大していることにかんがみ、我が国において宇宙開発のみならず、特に、利用の果たす役割を拡大するため、宇宙開発利用を国家戦略として位置づけ、我が国の日本国憲法の平和理念にのっとり、これを総合的かつ計画的に推進し、国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与するとともに、我が国の安全保障、世界の平和及び人類の福祉の向上に貢献しようとするものであります。具体的には、人工衛星を利用した位置情報サービスや通信・放送サービス、気象観測や災害監視、資源探査等の利用を進めるものであります。
次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。
本起草案は、我が国における宇宙開発利用に関する基本法となるものであり、具体的には、宇宙開発利用に関する基本理念を定めること、宇宙開発利用に関する国の責務等を明らかにすること、宇宙基本計画を作成すること、宇宙政策を総合的、一体的に進めるため、宇宙開発利用の司令塔となる宇宙開発戦略本部を設置し、戦略的な宇宙開発利用政策を実施していくこと、宇宙活動に関する法制を整備すること等としております。
その他、附則において、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することなどとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
―――――――――――――
宇宙基本法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。萩生田光一君。
○萩生田委員 おはようございます。自由民主党の萩生田光一でございます。自民党を代表して質疑をさせていただきたいと思います。
お恥ずかしい話なんですけれども、私も、宇宙開発、宇宙研究というのは、きっと大事なことなんだろうなというふうに子供のときから思いながらも、正直申し上げて余り興味がございませんでした。たまたま昨年一年間、党の文部科学部会の中で科学技術の専任部会長を務めることになりまして、改めて宇宙研究の大切さというのが、実は我々の生活の身の回りに大きな成果をもたらしているんだということの再確認をいたしました。
私は、そのときにもJAXAを初め日本を代表するような研究者の皆さんに恐れ多くも申し上げたのですけれども、せっかくいいこと、大事なことをやっているんだけれども、余りにも高い見地からの話でありまして、我々一般国民にとっては、何のために宇宙の研究をするんだろうか、何のために宇宙開発が必要なのかというのは非常にわかりづらいんじゃないかということを繰り返し申し上げてまいりました。あえて言うならば、生活必需政策ではなくて、どちらかというとぜいたく政策のように国民の皆さんには思われてしまうのがこの宇宙開発、研究の分野じゃないかというふうに思っております。
そこで、言うならば与野党の皆さんが力を合わせて今回この宇宙基本法をつくられて、これからの宇宙と我々国民との暮らしのあり方というものをどういう方向に導いていこうかという基本法をつくられる、これは非常に喜ばしいことだというふうに私も高く評価をしたいというふうに思いますが、大事なことは、国民の皆さんに関係ない法律なんというのは一つもないわけですから、この法律が国民の暮らしにどこまで深く関係があるんだ、そして皆さんの暮らしをどう前進させたり、あるいは我が国の平和のためにも活用ができるのかということを、間違いないようにメッセージとして発信することが私は必要だというふうに思っております。
一部先行して報道している新聞の中には、今回のこの法律によって宇宙開発利用があたかも軍事に拡大をされていくんじゃないかということを危惧される、そういう記事も目にしました。そのことは技術的には否定はできませんけれども、しかし、やはりここはきちんとした理念を持ってこの法律を定め、そして我が国の国益を考えていくことが必要だというふうに思っておりますので、今、櫻田先生の方から法案の趣旨については丁寧な説明がありましたけれども、せっかくトップバッターで質疑の機会をいただきましたので、改めて確認の意味で、この法案の趣旨及び具体的内容というのは何なのか、今御説明のあった中で特に強調したい点を含めて御答弁をいただければありがたいと思います。
○櫻田委員 お答えさせていただきます。
趣旨説明と若干重複をいたしますが、人工衛星を利用したGPSや放送サービス、災害監視、資源探査等が実用化され、宇宙用に開発された技術、素材等がさまざまな分野に活用されるなど、宇宙開発利用は我々の身近な生活においても重要な役割を果たすようになっております。
また、我が国をめぐる安全保障環境の変化や、中国を初めとするアジアや中東など、諸外国における積極的な宇宙開発利用の推進など、国際情勢の変化もあり、宇宙開発利用の重要性はさらに増大していくことが予想されるところでございます。
我が国の宇宙開発利用は、これまで宇宙科学の研究などに限定、特化して進められてきましたが、本起草案は、このような宇宙開発利用の重要性が増大していることにかんがみまして、我が国において宇宙開発利用の果たす役割を拡大するため、宇宙開発利用を国家戦略として位置づけ、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、これを総合的かつ計画的に推進し、国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与するとともに、世界の平和及び人類の福祉の向上に貢献しようとするものであります。
本起草案は、我が国における宇宙開発利用に関する基本法となるものであります。具体的には、宇宙開発利用に関する基本理念を定めること、宇宙開発利用に関する国の責任を明らかにすること、宇宙基本計画を作成すること、宇宙開発利用に関する施策を総合的、計画的に推進するため、宇宙開発利用の司令塔となる宇宙開発戦略本部を設置すること、宇宙活動に関する法制を整備すること等について定めております。
○萩生田委員 ありがとうございました。
今の御答弁の中にもございましたけれども、具体的に、第一条では、「科学技術の進展その他の内外の諸情勢の変化」という記述がございます。今の説明で十分理解をしているつもりでおりますけれども、確認の意味で、これは具体的にはどのようなことを指すのか、お示しをいただきたいと思います。
○西村(康)委員 お答え申し上げます。
例えば人工衛星を利用したGPS、これも、もう皆さん、国民の多くが今カーナビというものを使っていると思いますし、それから、携帯電話で子供たちが安全な位置にいるかどうかも確認できるようになってまいりました。
こうした人工衛星を利用したGPSのサービスあるいは放送、それから大津波のときの災害監視、あるいは地球温暖化をめぐるそういう地球的規模の環境の観測とか監視とか調査、こういったものにも人工衛星が使われるようになってきた。あるいは、資源の探査、非常に資源価格が上がっておりますけれども、そうした中で、世界じゅうのどこに資源があるのか、こういったことも宇宙の人工衛星を使って我々の身近なところで利用できるようになってきたということ。あるいは、我が国をめぐる安全保障環境の変化、これは、中国を初めとして世界じゅうが熱心に宇宙を利用していこうという、そんな動きも出てきております。
こうした科学技術の発展、進展、それと世界的な動き、こういったものを受けて、我々として新たな取り組みをすることがあるんじゃないか、こういう認識であります。
○萩生田委員 GPSの位置確認は、別に子供に限らず大人でも十分活用できますから、活用している家庭もあるかもしれませんけれども、さまざまな分野で、既に我々の生活の中に宇宙開発、研究の成果というものはその成果物として還元をされている、このことをこれを機会に、繰り返しになりますけれども、国民に広く啓蒙していただきたいなと私は思っております。
平和利用につきましては公明党の田端先生にその機会を譲りたいと思いますけれども、改めて、なぜ宇宙開発の戦略本部というものを設置する必要があるのか、この点を確認したいと思います。
あわせて、これまで宇宙開発関係といいますと、JAXAという独立行政法人が我が国の基幹的な役割を果たしてきたというふうに承知をしておりますけれども、JAXAについては、平成十五年十月に三機関を統合して発足をして、その後、H2Aロケット六号機の打ち上げの失敗がございました。私は国会議員になってすぐだったものですから、これで幾らのお金を失ったのかというようなことばかりがクローズアップされたんですけれども、実は、我が国のロケットの成功率というのは世界一と言っても過言ではない、九割以上の成功率を誇っているわけでありまして、こういった点もやはり国民に理解をしていただく必要があるんじゃないか。その後、八機連続で成功するなどの成果を上げてきている点は、ぜひ皆さんにも知っていただきたいと思います。
三機関を統合した後に現在に至るまで、統合の成果として、JAXAを所管している文部科学省はどのように考えているのか、確認をしておきたいと思います。
○青山政府参考人 御説明を申し上げます。
先生御指摘のとおり、宇宙航空研究開発機構は、我が国の宇宙開発の中核的な機関として、平成十五年十月に、特殊法人の宇宙開発事業団、それから大学共同利用機関の宇宙科学研究所、独立行政法人の航空宇宙技術研究所が統合し、設立されたものでございます。その三機関が統合されたということで、この三つの機関に分散していた人材が一体となって研究開発あるいは信頼性の向上といったことに取り組んでまいりました。
具体的には、先生御指摘いただきましたH2ロケット八機連続の成功、また成功率においても全体で九三%というような世界的に見ても非常に高い水準が獲得できたわけですけれども、これにつきましては、宇宙開発事業団が開発を進めてまいりましたロケット技術に、さらに、航空宇宙技術研究所において培いました数値シミュレーション技術を初めとした航空宇宙の基礎、基盤的な技術力、あるいは、宇宙科学研究所で学術的な知見が蓄積されておりましたけれども、特に固体ロケットの技術に係る知見というものを活用いたしまして、この信頼性の向上というのが図られてきたところでございます。
それから、宇宙科学、宇宙探査の分野におきましても、宇宙科学研究所の学術的な知見のみならず、宇宙開発事業団の資源探査衛星の開発あるいは技術試験衛星の開発といったことを通じて涵養してきました技術力等を活用して、より信頼性の高い科学ミッションというものが実現してきております。具体的には、月周回衛星「かぐや」、あるいは小惑星に着陸しました「はやぶさ」といった世界的な成果を生み出してきているところでございます。さまざまな実績が上がってきているものと認識をいたしております。
私ども文部科学省といたしましては、今後とも、三機関の人材、技術、能力を結集して着実に宇宙開発利用を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○西村(康)委員 宇宙開発戦略本部の設置の必要性についてお答えをしたいと思います。
委員御案内のとおり、宇宙の開発利用につきましては、今答弁のありました文部科学省が研究開発については中心的な役割を果たしてきておりますけれども、それ以外にも、総務省、経済産業省、国土交通省を初めとして数多くの省庁、行政機関が関係をしておりまして、これらの行政機関の総合調整を行ったり、あるいは戦略的に宇宙の開発利用をやっていく、こういう司令塔となるべき機関がこれまでなかったわけであります。そのために、この司令塔となる本部をつくろうという趣旨であります。
これまで、宇宙開発委員会あるいは総合科学技術会議など、特に宇宙開発委員会はJAXAの活動等について調査審議をするということでありましたけれども、政策を調整する機能は有しておりませんし、総合科学技術会議は、科学技術の総合的、計画的な振興を図るという基本的な政策について調査審議をするということでありますけれども、例えば外交あるいは安全保障を含めた宇宙開発利用の総合的な、立案的な機能は有していなかったということでありますので、こういったことも含めて、宇宙開発利用に関する施策を戦略的に、総合的に、かつ一体的に、計画的にやっていくということで、今回この本部の設置を条文に記したわけであります。
○萩生田委員 JAXAや文部科学省を中心に行ってきた宇宙研究を、他の省庁にもまたがるものが幾つもあって、総括的に司令塔的な役割を果たす意味での本部を設置する、そのことは私はいいことだと思います。
他方、例えば海洋基本法などが成立をしましたけれども、研究というのは、さまざまな分野で専門性を高めていく必要があるんですが、時にその枠を超えて、新たな発見ですとか新たな共同研究というものが必要になってくるんだと思いますね。今までは、ばらけていたがゆえに使いにくかったというマイナスの面もあったと同時に、一つの省庁じゃなかったがゆえにさまざまな切り口から宇宙の有効性というものを探求し続けてきたという利点もきっとあったんだと思うんですよ。ですから、その辺が、統合したことによって、あるいは司令塔を一つ構えたことによって、何か塀が高くなってしまって狭い範囲での宇宙開発、研究になることのないように注意をしていただきたいなと私は思っております。
余談なんですけれども、私の地元に串田嘉男さんという方が出身者でいらっしゃいまして、今、山梨県の八ヶ岳で子供たちに天文台を開放して星の勉強会みたいなことをやっているんですね。その方は別に、別にと言ったら怒られるかもしれませんけれども、日本を代表する宇宙科学者なわけではないんですが、子供のときからとにかく星が好きで、その趣味が高じて、今奥さんと二人で八ヶ岳にこもって自前の天文台をつくって、そして多分、この連休中にも多くの子供たちが親子連れでそこに泊まりがけで行って、初めて自分の目で星の輝きを見て大変な感激をしたんだと思います。
私はたまたまその方と古いおつき合いがあるもので、実は、その方は、星のことが大好きなだけで、ただ好きなだけでは人間は食べていけませんから、基本的な研究として流れ星の観測というのを委託事業で、当時の科学技術庁だったんでしょうか、あるいはさまざまな、もしかすると気象庁なんかからも委託を受けていたのかもしれません。本来、流れ星というのは目でカウントできるものもあれば目で見えないものもあって、どうやってカウントするかというと、古典的な手法として非常にシンプルなやり方で、FMの電波の基地点を二つつないで、そこで、本来だったら届くはずのないFM電波がある一瞬届く。それはなぜかというと、流れ星に反射をして、届くわけのない場所まで届くという観測方法が昔からあって、これを奥様と二人で、ある意味では生活のために、受託をしてずっとやってきたんですね。
そうしましたら、御本人は全く興味がなかったので、きっと地震予知というのはこうやってやるんだなというふうに思っていたんですけれども、ある日から、数日後ある地域で一定規模の地震が発生するという周期を発見したんです。
その方は、別にそのことを世間に知らせるまでもなく、自分たちで、今度はあの地域でこのくらいの規模になる、大変だねと。奥尻島も事前にある程度わかってしまったし、あるいは兵庫の地震につきましてもその直前から大きな数字を確認して、そして地震予知というのはこうやってきっとやっているんだなと自分で勝手に思い込んでいたら、あの悲惨な、淡路も含めてですけれども、あの阪神大震災を目の当たりにして、なぜ政府はもう少し早目に地震の予知を公表できないのかということに憤りを感じて、初めてその研究成果を世に出したんですね。
そうしたら、地震予知の研究者にしてみれば、要するに、自分たちは地べたの下をずっと見ていて、専門的な、各大学を代表される教授陣がチームを組んで研究していて、失礼ながらただの一度も予知をしたことがないのに、空を見ていた人にそんなことわかるわけないだろうということで、意見の食い違いがございました。
実はこの後、非常に悩ましいんですけれども、当時の科学技術庁は、その天文台を委託研究施設として一定の金額をお支払いして、研究成果を外に出さないということをいまだにやっております。
私は、これはKT法という特許を取って既に実用段階に来ているんだと思いますけれども、要は、畑違いの人たちが見つけたことは認めぬという日本の学術的な塀を越えていくことが宇宙開発にとって非常に大事なことだというふうに思っております。これからさまざまな分野で、もしかしたら、海の研究をしている人たちから宇宙についての新たな発見や情報があるかもしれない。地質の研究をしている人たちから宇宙についてのさまざまな提案があるかもしれない。あるいは、宇宙の専門家の皆さんからさまざまな環境についての提案があるかもしれない。こういったものを日本は国家戦略としてきちんと幅広にまとめて、国民の皆さんのために還元をしていくことが今回の基本法を制定する上で非常に大事だというふうに私は思っておりまして、ぜひその精神、理念を忘れずにこの法律が実用されることを高く期待したいというふうに思います。
そこで、本当はいろいろなことを聞きたかったのですけれども時間が参りましたので、一点は、政府に対して、宇宙基本法が成立した場合、これを受けて政府として戦略的に宇宙政策を推進していくことが重要だ、これは言うまでもございませんけれども、その決意を確認したいと思います。
それから最後に、研究開発の成果。冒頭申し上げましたけれども、やはり国民にわかりづらい。この啓蒙と、将来の科学者を育てるのは、やはり義務教育期間にどれだけ子供たちが日本の科学技術のすばらしさ、あるいは、その奥の深さというものに興味を持ってもらうことにきっかけがあるんじゃないかと私は思っています。
そういう意味では、今回指導要領の改訂もございますけれども、残念ながら、科学技術の分野については目が覚めるような記述があるわけでもありませんし、とりわけ宇宙につきましては、宇宙のことを教えてあげる教員の方の数も少ないですし、また宇宙についてのさまざまなプログラムというのもなかなか整備をされていない状況にございます。
この基本法の制定をきっかけに宇宙教育の必要性についてどうお考えになっているか、お尋ねをしたいと思います。
○坪井政府参考人 政府といたしましては、本法の成立、施行を受けまして、内閣総理大臣を本部長といたします宇宙開発戦略本部のもとで、本法に規定されております内容が適切に行われるよう、宇宙開発利用の推進に努めてまいりたいと思っております。
○青山政府参考人 宇宙教育の必要性についてのお尋ねでございます。
もちろん、知的創造力というものが我が国の最大の資源でございます。宇宙開発を初めとする科学技術の振興、発展は極めて重要でございます。その前提として、すぐれた研究者あるいは技術者の養成、それから宇宙開発利用に対する国民の支持が不可欠でございます。
こういった観点から、宇宙開発の成果について積極的な広報、普及活動を実施することや、学校教育を含め児童生徒に対し宇宙に関する学習機会の充実を図るということが極めて大切なことと考えております。
このため、宇宙航空研究開発機構、JAXAにおきまして、ホームページやパンフレット等による広報、あるいは施設の公開、シンポジウムの開催等に加えまして、対話型、交流型のアウトリーチ活動、あるいは博物館、科学館等の社会教育施設との連携、マスメディアを通じた広報など、効果的な手法を通じ広報、普及の活動を実施いたしますとともに、JAXAの研究者あるいは技術者が学校の教育現場に派遣され、現場で授業支援を行ったり、青少年が体験、参加できるさまざまなプログラムを実施してきているところでございます。
特に、最近の月周回衛星「かぐや」によります地球の出などの美しい映像というものは、青少年を初めとする国民に夢を与える、宇宙開発ひいては科学技術への国民の関心を高めるのに効果的な素材である。これを希望する各地の科学館等に配付して、活用いただいているところでございます。
今後とも、これらの取り組み、教育を含め、一層充実させてまいりたいと考えているところでございます。
○萩生田委員 JAXAの皆さんがいろいろな場面で学校へ出向いたりして努力していることは評価をしたいと思いますけれども、マンパワーからしたってとても足りないわけですよね。そういう授業を受けた経験のある子供たちにとってはいいことだと思うんですけれども。
私が申し上げているのは、せっかく基本法ができるわけですから、もっとすそ野を広げる、文部科学省として宇宙教育というのは何たるかというものを、今回改訂には間に合いませんでしたけれども、指導要領の中にもきちんと書き込みをして、そして、何も専門的な人たちばかりの話じゃなくていいんですよ。宇宙を身近に感じてもらう、そして、宇宙研究というのは自分たちの暮らしに直結しているんだということを子供のうちから身につけることができるプログラムをぜひこれを機会に検討していただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
○中野委員長 次に、田端正広君。
○田端委員 公明党の田端でございます。
提出者の先生方、大変に御苦労さまでございます。
今回、宇宙開発ということでありますが、この宇宙開発という言葉には大変夢がある、私はこう思っています。
先般宇宙ステーションで建設作業にかかわった土井隆雄さんが今日本に帰ってこられて、きょう国会にも来るということなので私も楽しみにしているんですけれども、けさ、NHKのテレビに土井さんが出られていました。宇宙でブーメランを投げて戻ってくる映像も流れていまして、ああいう映像を見ますと、宇宙開発利用というのは本当に大事なんだなということが見た目で伝わってくるわけであります。
特に、土井隆雄さんは、スペースシャトルのロボットアームの操作とか、あるいは船外活動で大変な貢献をされました。前回に引き続いて、今回そういう形で、日本人の宇宙飛行士としては本当にすばらしい活躍をされている、こう思っています。
実は私、個人的には高等学校が土井さんの先輩でありまして、そういった意味では非常に身近に感じ、我々の母校からもこの間の打ち上げのときには五十人近くがNASAの方まで行ったということもありまして、今回の帰国を大変に喜んでいるわけでございます。
そういう中で、きょうこの法律が審議されるということは、私は、タイミングとしても非常にまた不思議な思いを抱いている一人でございまして、非常によかった、こう思っています。
そこで、まず確認しておきたいことでありますが、この法律の目的、趣旨でありますけれども、先般出されていた法案を取り下げて、今回新しい法律にかわりました。その中で、第一条の「目的」のところに「日本国憲法の平和主義の理念を踏まえ、」ということが加わったことは、大変重要な点ではないかというふうに思います。
宇宙開発利用という言葉だけでいきますと、何か軍事的に利用するのではないかというふうな誤解も招きかねないわけでありますから、そういうことでは、この「日本国憲法の平和主義の理念」ということを一条でも入れ、また二条の基本理念のところでも「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。」と、二重三重に平和利用ということの大事さをおっしゃっているわけでありますが、私は、これはもう大変に大事な改正点であった、こう思っておりますが、提案者の西先生の御意見を伺いたいと思います。
○西委員 お答え申し上げます。
田端委員から、土井宇宙飛行士のお話を通して大変印象深いお話を伺いましたけれども、先ほど萩生田先生の方も、やはり宇宙に対する魅力、興味というのは、これは子供たちに対する教育だけではなくて、本当にすべての日本人が夢を持つという意味では大変すばらしい快挙でありますし、また今後とも活躍をしていただきたい、こういうふうに私は思っております。
さて、先ほどの平和主義の理念ということでございますが、我が国は、第二次世界大戦後、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう決意をして、平和国家の建設を目指して努力を重ねてまいりました。恒久の平和は日本国民の念願であり、日本国憲法は、その前文及び第九条において平和主義の理念を明らかにしているところでございます。宇宙開発利用はこの憲法の平和主義の理念にのっとり行われるべきことは当然であり、我々起草案の動議提出者としては、法案を起草するに当たっては、そうした趣旨を明確にするよう、とりわけ意を用いさせていただいたところでございます。
先ほど田端委員御指摘のとおり、第百六十六回国会に自民党と公明党で提出しておりました宇宙基本法におきましても、実は、自民党と公明党の間で議論をした結果、公明党の意見を反映していただいて、第二条で基本理念において平和主義の理念にのっとることを既に規定いたしておりました。しかし、さらに今回の起草案において、日本国憲法の平和主義の理念を第一条にも重ねて入れるということに決定をさせていただきました。
宇宙開発利用に関するさまざまな取り組みを日本国憲法の平和主義の理念に沿ったものにしていくという重い決意を、私ども提案者としてこういうふうに二重に入れたということでございまして、その趣旨に沿った運用が今後行われるように期待をしているところでございます。
○田端委員 そこで、この宇宙基本法が国民生活にどういう利便性をもたらすかということがまた大きな問題点だと思います。
この第一条では、「国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与する」ということが触れられ、そしてまた「世界の平和及び人類の福祉の向上に貢献すること」、これが第一条で「目的」の中に明記されているわけでありますけれども、具体的に、例えば、GPSの利用によってカーナビ等が我々の生活には大変役立っているわけでありますし、気象衛星が我々の毎日の天気予報等にも大変に利用されているわけでありますし、また通信衛星で、例えば衛星放送なんかも行われているわけでありますから、いろいろな意味で我々の生活の周りには宇宙との関係というものが実際はあるんだということを具体的にお述べいただくことで、国民により理解が深まるんではないか、こういうふうに思いますので、具体的な国民生活との関係について、西提出者の御意見を伺いたいと思います。
○西委員 ありがとうございます。
実は私、最近感動したことがあるんですが、先月、例の月周回衛星の「かぐや」が、先ほどちょっと議論に出てまいりましたけれども、満地球というんだそうですが、真ん丸い地球の姿、これがいわば地球で言う日の出ですけれども、その姿をハイビジョンで撮影したということが報じられました。
これはJAXAとNHKのインターネットですが、こういう形で、次第に月から地球が上がってくる、こういう映像ですが、非常に貴重な映像だそうで、この「かぐや」の軌道と、それから月、地球、太陽とが一直線になったときに初めてこういうものが映される、年に二回しかそのタイミングがないというお話でございます。一つ一つの情報を通して、やはり我々が地球以外のところから見た地球の視点というのか、そういうものがあることによって、やはり大きなまた心の広がりが出てくるんじゃないかというふうに感動いたしました。
また、最近のミャンマーにおけるこの大水害の被害も、本当にもう目の当たりから、我々自身が宇宙から見ているかのごとく、その前と、災害が起こった後の写真が明確に出ておりまして、大災害であるということがひしひしと感じられるところでございます。
そんな意味で、今回、人工衛星を利用したGPS、先ほどもありました放送サービス、災害の監視、それから資源探査、そういうものが次々と実用化されて、宇宙用に本来開発された技術それから素材、そういうものがさまざまな分野に既に活用されている。これは意外に国民の皆さん、まだ自覚されていないことが多いかと思いますが、そういう実態でございます。
そんな具体的な例として、先ほどもありましたカーナビ、子供の居場所をきちっと時々刻々と把握をするというGPS、地球観測衛星による津波の被害状況の把握、そのデータの提供というような災害の監視、それから、実はロケットの断熱材、これは非常にすぐれた技術のようですが、これが我々の建築用の断熱材として製品化をされる、そのことによって環境においても非常に有益である。それから無重力状態における新薬の開発とかいうことも行われているというふうに聞いております。
そのほかにも、地球環境そのものを、宇宙上から例えば森林破壊とかいう状況を把握する、それから農林水産におきましても、それぞれの作物の生育状況等についてきちっと把握をして将来の予測をする、こういうさまざまなものが既に我々の身近な問題として、気づかないうちに身の回りの利便性に寄与しているということは事実でございます。
国民生活の向上や、安全で安心して暮らせる社会の形成、いわゆる人間の安全保障という考え方にも、このことについては十分に資するものであるというふうに考えているところでございます。
○田端委員 ありがとうございました。
もう一点だけ。私は、今後の問題として、宇宙開発利用が宇宙の環境、地球環境、これに悪い意味の影響をもたらしてはならないんではないかと。だから心配しておりましたが、第七条にそのことが、「宇宙開発利用が環境に及ぼす影響に配慮して行われなければならない。」こういうことが一条、こういうふうにきちっと入っているということは大変大事な視点だ、こう思っております。これはまあ意見として述べさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。本日は、議員立法の宇宙基本法の質疑、発言の機会をいただき、委員長、理事の皆様に感謝をいたします。
既に同僚議員からも御発言がございましたが、宇宙開発そして利用というのは、人類の大きなフロンティアであり、また、私たちの身近な生活にも非常にかかわってきております。我が国にとって、宇宙航空分野、エネルギー・環境分野、そしてライフサイエンス、この三分野というのはとりわけ重要な、平たい言葉で言えば、将来の飯の種にもなる大事な戦略分野だろう、こう思いますし、この分野で宇宙開発利用について国家の重要戦略と位置づけたこの基本法が与野党の合意の上で提出されたということは、大変意義のあることだろうと思います。アームストロング船長流に言えば、一本の法律かもしれませんが、大変大きな一歩であった、こう思うわけであります。
そういう認識に立って、法案について質問をしてまいりたいと思います。
まず、民主党の法案提出者に伺いますが、現在の宇宙開発利用体制につきましては、これは委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、この下の図にもございますとおり、各省庁大変多岐にわたり、結果として、意思統一がなかなかうまく進まなかった、統一的な国家戦略が立案できなかったと認識をしております。
その点において、今回の基本法で、総理大臣を本部長とする宇宙開発戦略本部が設けられ、一元化の基軸ができたということは、大変よかった、よいことだろう、こう思うわけでありますが、この宇宙開発戦略本部において宇宙基本計画というものを制定するということが法律に盛り込まれております。
そこでお伺いしたいのですが、宇宙基本計画を策定するのは、本部は総理を長として閣僚が集まるわけですが、事務方として、具体的にどのような事務局のもとでどのように策定作業が行われるのか。また、この宇宙基本計画というのは、ある意味で行政の組織再編にもかかわるような部分もあるわけであります。したがいますと、何も官僚の方々が悪だと言うつもりはありませんが、官僚の方々が下書きした意見だけでは、本来の国家としての目的が達成できない部分もあろうかと思うわけであります。
したがって、策定に当たっては、幅広い意見、専門家を関与させる必要があろうかと思います。特に、実務を担う産業界、学識経験者をこの策定作業にきっちり組み込む必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただけますか。
○野田(佳)委員 お答えをさせていただきます。
近藤委員におかれましては、民主党の宇宙基本法検討PTの主力メンバーでございますので、ある意味釈迦に説法みたいな話になるかもしれませんけれども、御指摘のとおり、特に資料でお配りをいただいたように、これまでの日本の宇宙開発利用というのは、文科省、経産省、総務省、国土交通省等々、各省がばらばらにやってきた。サッカーでいうとミッドフィールダーがいなかったという感じなんですね。それをしっかりと司令塔をつくっていこうというところがこの法案の肝でございまして、宇宙開発戦略本部を置く。
それで、その宇宙開発戦略本部が宇宙基本計画を策定するわけですが、御質問の事務局の問題なんです。これも特に大事なことだと思っていまして、閣僚は大所高所から議論ができますが、そのしっかりとした舞台回しが、特に各省との総合調整をどう事務局がやるかというのが大事なところだと思うんです。
当初は、「内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。」という法案の第三十二条、これに基づいて事務局を置くことになりますけれども、大事なことは、附則の第二条で「政府は、この法律の施行後一年を目途として、本部に関する事務の処理を内閣府に行わせるために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとする。」ということで、内閣府にその事務局を置いて、今申し上げたような司令塔の中の司令塔としての事務局機能を担わせるということで基本計画の策定に当たるということになります。
続いて、御指摘をいただきました、官僚が下書きした意見では目的を達成できない、これはもう、ごもっともというか、御意でございます。
それで、どうするか。御指摘があったように、宇宙開発利用というのは専門性の高い分野でありますので、民間事業者による宇宙開発利用を促進することも重要でございますので、有識者や産業界の知見を活用するために、政令において有識者等を加えた専門調査会を設置することなど工夫をして、その知見を取り入れていくことが肝要だと思っております。
以上です。
○近藤(洋)委員 ぜひ幅広い意見を、今、野田委員に御答弁いただいたように、法律に基づいてのこの基本計画、まさに司令塔がつくる大事な基本計画でありますから、そのように専門家の意見も幅広く聞いていただきたい、こう思うわけであります。
今御答弁いただきました附則の二条で、内閣府に事務局を置く、こういうことが附則に書かれていますが、あわせて、まさにこの資料にございますように、ばらばらになっている司令塔は一つできた、司令塔はできて、かつ、野田委員の言うところのミッドフィールダーはできたけれども、やはりストライカーも必要なわけでありまして、そのストライカーをつくるという意味では、この第四条、政府は、宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための行政組織のあり方について検討を加え、必要な検討をするとこの四条に書かれておりますが、まさに行政機関の見直しというのもこの基本法の中に入っておるわけであります。
司令塔ができた以上は、この企画立案を担う、実質的に持たせる事務局を、ある意味で各省庁の部分、文部科学省、経済産業省、総務省等の企画部局を一つにまとめて、宇宙局的なものも視野に置くべきか、こう思うのですが、立法者の意思をお伺いしたいと思います。
○野田(佳)委員 先ほどの附則のところでも御説明をしたところと若干重なりますけれども、本部に関する事務の処理を内閣に行わせるに当たりましては、その本部の事務処理を行う組織のあり方について、委員が御指摘のような、特に民主党は宇宙局をずっと指摘してきましたが、そのことも含めまして、宇宙開発利用に関する政策を戦略的、総合的かつ一体的に推進するための将来の推進体制を見据えた検討を行った上で、必要な法制の整備その他の措置を講ずるということでございまして、宇宙局という言い方がいいのか、日本版NASAということを想定することもあり得るでしょうが、いずれにしても、そういう推進体制をしっかりと構築していくということが大事だと思っております。
○近藤(洋)委員 あわせてお伺いしたいんですが、こうした企画部門を見直してくると、当然、実施部隊の独立行政法人宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAの位置づけも変化してくると思うんですね。
私は、旧宇宙開発事業団、NASDA、東大宇宙研、そしてそれを引き継いだJAXA、宇宙航空研究開発機構のこれまでの業績については多としたいと思います。日本の宇宙開発をリードしてこられた、こう思います。しかし、そのこれまでの功績は多とした上で、やはり企画部門が新しくできますと、JAXAはより実施に近いところを担う、こういう役割になってこざるを得ないのではないか、こう思うわけでありますが、この点についてどうかということと、次の質問もあわせてお答えいただければと思うんです。
そうしますと、司令塔ができてきますと、この表にあります、今までやや司令塔的な役割をしてきた宇宙開発委員会、この宇宙開発委員会自体は果たして必要なのかどうか、こういうこともあろうかと思います。宇宙開発委員会は文部科学大臣の諮問機関でありますが、これは果たして、こうなってくると、組織は、この宇宙開発委員会自体の位置づけも相当なくなってくるのではないか。
行政組織を新たにつくる以上は、やはりスクラップ・アンド・ビルドということも、そういう観点も必要かと思いますので、そういう観点からも含めてお答えをいただきたいと思います。
○野田(佳)委員 今、まとめて二つの御質問をいただきましたが、ちょっと役割分担が違っておりますので、前段のJAXAの位置づけの方を私が、宇宙開発委員会については細野議員から御説明をさせていただきたいというふうに思います。
委員の御指摘のとおり、本法制定の趣旨及び宇宙基本計画に照らすと、我が国の宇宙開発利用の実施を担う機関としてどのようなものがふさわしいかということを検討しなければならないと思うんですが、独立行政法人であるJAXAを初め宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態のあり方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、必要な見直しを行うということを、これは附則の第三条に書かせていただいておりますので、必ずその見直しを行う、当初の与党案では、必要に応じて見直すというようなたしか文言だったと思うんですが、これは附則に明記したように必ず見直すということにさせていただいておりまして、これもこの法律の施行後一年をめどにしています。
以上です。
○細野委員 宇宙開発委員会については私の方から答弁をさせていただきます。
近藤委員が配られた資料でも示していただいておりますとおり、これまで文部科学省そしてJAXA、それを監督する機関としての宇宙開発委員会というのがある種一体となって宇宙開発に関する政策を推し進めてきたという面がございます。法文上の規定として申し上げると、宇宙開発委員会の役割というのは、JAXAの役員人事への同意及び意見の申し出、そしてJAXAの中期目標の指針となる宇宙開発に関する長期的な計画の議決を行うことを所掌事務とする機関というふうにされております。
おわかりいただけるかと思うんですが、今回、宇宙開発戦略本部が新たに設置をされ、その戦略本部の中で宇宙基本計画を策定するということになりますので、二点目に指摘をしました役割については今後宇宙開発委員会が担う必要性は必ずしもなくなるということになってまいります。この提出をさせていただいております法律案の中では、附則の第三条そして四条の規定で、宇宙開発利用に関する機関のあり方に関しては検討を行うものというふうにされておりまして、当然にして宇宙開発委員会についてもその見直しの対象になってまいります。
したがいまして、前段の部分で申し上げた部分については宇宙基本計画の中でやる。では、残りの部分で宇宙開発委員会がやるべきものは何か。例えば、事故が起こった場合の調査委員会などのようなものは第三者機関として残す必要があるかもしれません。そういった部分に限定をする組織としての何らかのあり方を検討していくことになるのではないかというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。
法律はできたけれども、魂を入れなきゃいけないわけでありまして、魂を入れるためにはきちっとした制度、体制が必要なんだろうということで質問させていただきました。
そこで、この法律が成立した場合、担当大臣が置かれることになろうかと思うわけですが、初代の宇宙担当大臣、これは大変大事な役割を担うと思うんですね。どういう大臣がふさわしいのか、これはどういう人物というよりも、本日は、どういう職責を持った方がふさわしいのか、こういう観点からお伺いしたいと思うのです。
もちろん、専任の大臣であればこしたことはないわけですけれども、これは総理がお選びになることでありましょうが、兼任の場合は、制度設計をいずれにしろ初代の大臣は担うわけであります。そうすると、先ほどお答えをいただいたように、さまざまな行政機関の見直しをしなければいけない立場に立つわけでありまして、そうだとすると、できるだけ、まないたのコイになる役所の所管大臣は当然避けた方がよいというのが一つ常識だろうと思います。とりわけ多くの所管を持つ文部科学大臣はちょっと外した方が望ましいのではないかなと個人的には思いますが、立法者はどのようにお考えになるか、お答えいただけますか。
○細野委員 非常に微妙な、かつ、一方で非常に重要な御質問をいただいたというふうに思っております。
宇宙開発担当大臣に関しましては、今委員が御指摘のとおり、総理大臣が選任をするということになっておりまして、当然諸般の事情を総合的に考慮して最も適切な方を任命されるものというふうに期待をしております。
ただ、民主党の法案提出者としての所見を一言申し上げるとすれば、これまでばらばらに行われてきた宇宙政策を今回一元化して、しっかりと総理大臣のもとに総合調整機能を持たすというのがこの法案の趣旨でございます。さらに、戦略的に宇宙開発を進めていくということももう一つの大きな方向性ということになってまいりますので、これまでの弊害を考え、そして今後の宇宙政策のあり方を考えれば、これまでやってきた体制に準ずる形で文部科学大臣がそのまま兼任をするというのは必ずしも望ましいことではない、特に現職の場合にはそういうことについては必ずしも望ましいことではないというふうに、民主党の提出者としては申し上げたいと思っております。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。
これはもちろん総理がお決めになることでありますから、当然総理がお決めになる、こういうことだと思いますが、この法を実行する観点から、立法者としての、これはまた各党それぞれお考えがあろうかと思いますが、民主党立法者のお考えを聞いたということでございます。お答えいただき、ありがとうございます。
官房長官、大変お忙しいところ来ていただきまして、ありがとうございます。
今、宇宙基本法の意義と、あわせて、その実施体制について組織の見直し等が必要ではないかということ、またそうしたお考えを法案提出者の方から御答弁いただきました。
内閣を代表するお立場で、今の立法者の御答弁を受けて、行政機構の見直し等が当然この法律の範囲に入っておる、私としては、宇宙戦略本部だけではなくて、実務を担う宇宙局的なものも当然必要になってくるであろうし、あわせて宇宙開発委員会も見直しの対象になるだろうと考えております。御答弁者からもそうした趣旨の御答弁がございましたが、内閣を預かるお立場として、今の御答弁を受けて内閣としてどのように法律成立後対処するか、お答えいただけますでしょうか。
○町村国務大臣 法案が成立をされた暁には、この法案に規定をされています内容が適切に実現できますような努力を政府としてやっていくことは当然のことだと思っております。
○近藤(洋)委員 ぜひ官房長官、やはり立法者の意思というのは大事だ、こう思っておりますので、その今回の答弁等も含めて、またさまざまな決議が行われるところかと思いますが、立法者の趣旨を体して内閣を取りまとめていただきたい、こう思うわけであります。
続きまして、日本の宇宙開発にかかわる大事な点についてお伺いしたいと思います。
それは、いわゆる日米における政府調達の、衛星調達の合意の件でございますが、本法の第十六条には、まさに、日本の宇宙開発を進める上で、宇宙産業の技術力及び国際競争力を強化するということが明確にうたわれております。この十六条では、国は民間事業者の能力を活用し、物品及び役務の調達を計画的に行うよう配慮するとともに、研究開発の成果の企業化の促進、また民間事業者による投資を容易にするための税制及び金融上の措置等必要な措置を講ずるものとすると明記されておるわけであります。この法律は大変意義のある条文だろう、こう思うわけでありますが、この法の趣旨にかんがみますと、いわゆる日米貿易摩擦、一九八〇年代後半でありますが、一九九〇年に結ばれました日米間の衛星調達合意、これは極めて日本の宇宙産業にとってマイナスの影響を与えた、産業育成にとっては甚大な影響を与えたと考えております。
委員長のお許しを得て、その日米合意、九〇年の合意につきましては資料の二に書かせていただいておりますが、要は、日本国政府及びNTT等の機関の研究開発以外の衛星の調達については、オープン、透明かつ内外無差別の手続による、このことを規定したわけであります。通常の公共調達でいえば、オープンで透明で無差別、これはいいんですが、およそ宇宙開発については自国の産業を優先するというのが世界常識の中で、日本をねらい撃ちにした合意が行われたわけであります。
まず最初に事実関係を伺いたいんですが、経済産業省、来ていただいていますが、我が国の宇宙産業は、この十数年間、この合意により大変大きな打撃を受けたと私は考えますが、産業を所管する経済産業省はこの日米合意が日本の宇宙産業にどのような影響を与えたと認識されているか、お答えいただけますか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員より御指摘のございましたいわゆる日米衛星合意によります国内衛星メーカーへの影響についてでございますけれども、その前後の国内衛星メーカーの日本政府などからの受注実績に基づき御説明をいたします。
一九七〇年代の後半から九〇年までの間に、国内の衛星メーカーは、政府及び関係機関から、気象衛星、通信衛星、放送衛星を合計十三基受注した実績がございます。一方、日米衛星合意のございました九〇年以降、政府及び関係機関は、同様の衛星につきまして十三基を国際競争入札に付しておりますけれども、国内衛星メーカーの受注は国土交通省の運輸多目的衛星一基のみであると承知をしております。
ただし、最近の状況を見ますと、国内衛星メーカーが、政府等が調達する衛星を受注するのみならず、商業衛星の受注に成功した事例も出てきております。これは、価格面、性能面で国内衛星メーカーが国際競争力をつけつつあることを示していると認識をしております。さらに、国内衛星メーカーが海外の衛星の受注に向けてさまざまな努力を積み重ねているということも承知をしております。
経済産業省としては、このような状況を踏まえて、関係省庁やJAXAと連携しながら、先進的な小型衛星システムの研究開発に取り組むなど、今後とも引き続き衛星等の宇宙産業の国際競争力の強化に努めてまいりたいと考えております。
○近藤(洋)委員 甚大な影響があったということは御答弁でおわかりいただけるかと思うんですが、委員長にお許しを得て、資料の三枚目をごらんいただければと思うんですが、我が国の宇宙産業の現状でございます。
一番右側下の棒グラフが宇宙工業の売上高の推移でありますが、一九九八年に約三千八百億円あったものが、二〇〇五年ベースでは二千二百億円に減っておるわけですね。三分の二に減っておるんです。これは、日米合意のためだけとは言いませんが、多くの部分はこの日米合意により、日本のマーケットが、市場がとられてしまったということかと思います。
あわせて、国内宇宙産業の従業員数も右肩、最近やや上がっていますが、下がっておる、こういうことであります。
では、日本の宇宙予算が多いかといえば、これは上の表にもありますけれども、各国と比べて、これは軍事を除く予算でありますから、軍事予算を入れれば、日本の宇宙予算というのは極めて少ない。そういう限られたパイの中で日米合意がなされてしまったということであります。
官房長官、これは、スーパー三〇一条が行われた八〇年代後半というのは、確かに日本の巨額な貿易黒字があり、アメリカの赤字があり、こういう中での合意でありました。しかし、今や経済構造も変わっておるわけでありまして、こうした自国の調達について、無理くり門をこじあけているこの合意というのは、宇宙産業の観点から見ると不平等な、不平等というか我が国にとって大変マイナスであり、異例の合意だと思いますが、是正すべき内容と考えますけれども、官房長官、政府の御認識はいかがでしょうか。
○町村国務大臣 委員の御指摘のような、確かに日米貿易不均衡のもとで行われた、その一環としての、一つの契機としてこうしたものができたという御指摘は多分当たっているのだろう、こう思っております。
ただ、今この時点で、この調達問題というのは、これは当時のガット、今のWTOの中で、透明、公開、無差別という原則があり、そうした国際ルールとの整合性のとれたものでなければならないということは、今やある種確立した議論なんだろうと思います。
安全保障にかかわる分野については例外を認める、それ以外の商業的な分野での調達についてはそうした国際ルールということになってこざるを得ない、こう思いますので、今後、この手続につきましては、必ずしも不平等というわけではなくて、国際ルールにのっとった形で非研究開発衛星の調達を行っていくということは今の時点では正しい判断だろうと私は思っておりますし、したがって、今直ちにこのルールを変えなければならないとは考えておりません。
○近藤(洋)委員 官房長官、確かに今の時点の御答弁としてはそれが御答弁であろうかと思いますが、お伺いしたいのは、では、いよいよこの宇宙基本法が成立をしたらということです。まさに日本の宇宙開発利用について国家戦略と位置づけた、自民、公明、民主提案によるこの法律ができた。宇宙開発を国家戦略と位置づけるこの法律が成立した後はどうかということなんですね。
まさに十六条の、国は競争力の強化を図るため、物品及び役務の調達を計画的に行うよう配慮する、そして、産業の育成を法律に明文化した以上は、この日米合意は国内法と矛盾するのではないか、こう思うわけであります。
この点について、民主党法案提出者はいかがお考えなのか。法案を提出した後は、やはり政府は速やかにこの合意を見直すべく働きかけるのがこの法の趣旨を体した国としての当然の動きかと私は思いますが、いかがお考えでしょうか。
○細野委員 昨年、地理空間の法案が審議をされたときに、私、全く同趣旨の質問をそちら側に立ってやらせていただいたものですから、非常に重要な御指摘であるというふうに認識をしております。
今回、改めて提出をしました宇宙基本法の十六条の中で先ほど近藤委員が指摘をされた部分というのは、まさに民主党が主張して入れた部分でございまして、その意味で、これからさまざまな宇宙政策のあり方が再検討されることを望んでおるところでございます。
基本認識として、日米の衛星調達合意というのが我が国の宇宙産業に深刻な影響を与えた側面はあるというふうに私は提出者として考えておりますし、今後の検討の中において、果たしてこの衛星調達合意そのものが日米双方にとって合理的なものなのかどうか、我が国がこれから実用化に向けて大きく踏み出す中で、そういう技術を積極的に獲得しないということが日本にとってどうなのか、また米国にとってどうなのかということについての再検討が、あり方についての再検討が行われることを希望したいというふうに思っておりますし、十六条はその趣旨の条文である、そのように考えております。
○近藤(洋)委員 全くおっしゃるとおりだと思うんですね。先ほど官房長官は、安全保障上はともかくとして、ほかのものはWTOのルールがある、こういうお話でありましたが、衛星は、先ほど自民党の答弁者の方もお答えいただいたように、GPSだけでなくて、災害の問題対応、さらには資源探査、そして、将来的には農作物のチェック、環境問題、まさに国民の生活、安全に直結する基軸のものなんですね。その中心でありますから、この調達を国内に縛るというのは、国民の生活、安全を守るという観点から何らおかしいものではないと思うわけでありますし、各国はそうやっているということだと思っておりますので、この法律が施行されれば、当然見直されてしかるべきだと思うんです。
そこで、外務省、来ていただいておりますが、先ほど細野議員からもありました、新しい日米間の宇宙協力のあり方等も含めた観点から、日米宇宙協定等のようなものが必要になるのかどうか、これもこれから政府におかれて検討すべきかと思いますけれども、この法律を受けて、そしてこの法の立法者の意思を受けて、今言った日米合意の問題は何も民主党の我々だけが言っているわけじゃないわけであります。自民党の先生方の方がむしろ強くおっしゃっている論点でもあろうかと思いますね、今うなずいていただいている議員もおりましたけれども。これは何も民主党だけが言っているわけじゃないわけでありまして、これはやはり政府としてはそういった思いを受けて行動に移すべきかと、法律が成立後、速やかに具体的な交渉等に外務省としては入るべきかと思いますが、外務省、いかがですか。
○水上政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘のありました手続そのものにつきましては、もう既にこの委員会でも説明されていることで、くどくど申し上げませんけれども、その手続そのものは、非研究開発衛星を調達するための透明、公開かつ無差別を原則とした競争的手続を定めておりまして、WTO政府調達協定の要件との整合性も確保してやっております。米国政府側も本手続と同様の措置をとるという形をしておりまして、現段階で本手続は世界各国の常識から大きく逸脱した不平等なものであるというふうな認識はとっておりません。
政府といたしましては、引き続きこれらの原則に沿って非研究開発衛星の調達を行うことが適切だと考えております。
○近藤(洋)委員 要は、見直す考えは外務省はないというお考えですか、もう一回確認させていただきたいんですが。もう一度、ちょっと済みません、よくわからなかった。要するに、法律が施行されても、この法律が成立した後でも外務省は何もしない、この調達日米合意については見直しの作業について動き出さないという御答弁なんでしょうか。もう一度確認させてください。
○水上政府参考人 本宇宙基本法案ができましたときに、その条文そのものの解釈は政府として今つまびらかではありませんけれども、当然のことながら、それを受けて検討するということは考えるべきだと思っております。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。ぜひ検討をし、行動していただきたいと思うんですね。
せっかくなので、官房長官、この発言で私の質問は終わりますが、もう一度、この点、町村先生はもう外務大臣も御経験されて、かつ産業政策も御精通されて、見識のある政治家であられるかと思っておりますが、スーパー三〇一条の時代と今の日米関係は、先ほど御答弁いただいたように、違うわけですね。
せっかく、いわゆる対決国会という中で、自民、民主、それぞれ、公明党の先生も含めてこの立法にこぎつけているわけであります。その趣旨は、やはり宇宙開発を何とかしたい、宇宙開発利用を国家の最重要課題だというふうに位置づけてこの立法にこぎつけておるわけでありまして、その中で、実は実質的には大変大きな一つの足かせとなっているのが日米衛星調達の問題なんだということも十分官房長官は御存じかと思います。
この法律ができたことを踏まえて、ぜひ内閣において、何もこれは米国と対決をしろというわけではなくて、宇宙分野において成熟した関係を築くという契機にこの法律の施行をされたらいいのではないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
○町村国務大臣 今般、宇宙問題に関心のある議員の方々が与野党を超えてこうした提案で一致をされ、議員立法をし、成立が間近であるというその皆さん方の御努力また情熱には心から敬意をあらわしたいと存じます。また、宇宙開発利用というのはそれだけ重要な政策分野であるということにつきましては、今、近藤委員御指摘のとおりであろうと思います。
ただし、ちょっと恐縮ですが、今の話を伺っておりますと、私もかつて経済産業省に十三年在職した者として、ちょっと一時代前の通産省の政策を伺っているのかな、そんな思いすらいたしました。率直なことを言って申しわけありません。
それは、確かにターゲティングポリシーというのは通産省の伝統的なやり方でありました。しかし、今、この国際競争の時代、特にこのWTOの政府調達コードというのがあるわけであります。ここでは、第十五条あるいは二十三条の一項ということで、国際的な入札に、よほどのことがない限り全部かけるんですよと。一定の金額以上とか、あるいは安全保障上どうしても不可欠な場合を除いて世界の国々は皆これは原則として公開入札にかけるんだということを合意して、今私どもの、日本のみならず、世界の政府調達というのが動いている中にあって、日本がこういう法律を通したから、したがって、宇宙関係は一切入札の手続から外しますということを世界に向かって言うことになりますと、これは今まさにWTOの新しいドーハ・ラウンドが終結するかどうかという瀬戸際の折でございます。こういう折に日本が、いやいや、この分野は重要だから、これはちょっと別なんですよということをもし言うとすると、それはやはり世界の貿易秩序というものを相当変えることになってしまう。
そういうことを日本が発信するということになりますので、私は、この法律の重要性、あるいは日本の企業がこの分野でもっと育ってもらいたいという思いはありますけれども、この調達の分野について日米間のこの協定を変えるということが、果たしてそれは目的と手段が合致しているのかどうかということにつきましては、いささか慎重な検討を要するのではなかろうか、こう思わざるを得ないのであります。
しかし、法案が通りましたらば、改めて貴重な御指摘として受けとめつつ、政府として今後いかに対応するか、よく考えてまいりたいと思います。
○近藤(洋)委員 丁寧な御答弁ありがとうございます。
官房長官、それは二十年前のMITIの政策だという御指摘でございましたが、私はまさにターゲティングポリシーありだと思っております。すべてがすべてターゲティングポリシーをしろとは言いません。自動車産業、家電、こんなのはもうどんどん自由にやってほしい、こう思うわけでありますが、世界の常識で、航空宇宙分野はまさに軍事予算と裏表で、究極のターゲティングポリシーをしておるわけですね。そういう分野なんだろうという認識を私はこの分野については持っている、こういうことと、また、あわせてWTOについてあえて申し上げれば、これこそまさに国益のぶつかり合いで、農業の分野にしろ、それは自国の国益をかけて闘うわけでありまして、もちろん日本は自由貿易を享受してきているということは十分承知しておりますが、その上に立って、なお国益のぶつかり合いなんだろうなという、さまざまな観点からこの分野の調達合意というのは今や動き出す時期ではないか、これは多少の見解の相違もあろうかと思います。申し上げるだけにさせていただきたいと思います。
最後の質問でありますが、今回の基本法の制定により、宇宙開発におけるいわゆる非軍事の考え方が変わったのではないかという一部指摘も見られますが、私は、平和憲法のもとで専守防衛の考え方は当然のごとく宇宙開発利用においても堅持されるものと考えますが、民主党法案提出者の御見解を伺いたいと思います。
○細野委員 本法案は、日本国憲法の精神にのっとりというのは再三書かせていただいておりまして、近藤委員御指摘のとおり、その部分については十分その趣旨を踏まえた運用がなされるものと承知をしております。
○近藤(洋)委員 明快な御答弁ありがとうございます。
時間ですので、終わります。きっちりこの法案が成立することを望みまして、発言を終えたいと思います。
終わります。
―――――――――――――
○中野委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
本日、この議員立法の提出に至るまで、この審議、発言に至るまで、本当に多くの民間の方々、そしてまた政治家の方々の御尽力があったことに、心から敬意を表したいというふうに思います。
この法律は、先ほども我が党の近藤委員からお話がありましたけれども、まさに宇宙というのは人類共通のフロンティアであると。私は、一方で、今回、開発利用ということが主眼に置かれており、中にはもちろん環境への配慮というものもありますけれども、フロンティアである一方でサンクチュアリーでもあるというふうに思っておりまして、そういった意味では、やはり宇宙の保全、宇宙というものはどうあるべきなのか、また、環境というものを考えたときに、それは宇宙が地上にもたらす環境のみを考えるのか、あるいは、地上の人類にもたらす環境以外にも、宇宙そのものの環境というものをどのように考えるのか、こういった観点も私はやはり必要ではないのかなというふうに思っております。
いずれにしましても、日本が、これまで戦後、平和国家として、そして先端技術を持った国として担ってきた役割を十二分に世界の中で発揮するためには、やはりこのような時代の変化に伴う法律の制定というものは欠かせないだろうというふうに考えております。そういった中で、ぜひ、日本の特性を発揮しながらこの法律が運用されるということを私は心から望む一人でもございます。
そういった中で、きょうは幾つか質問をさせていただきますけれども、まず、この法律の条文の第三条というところに「災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威」ということが書いてございます。これがどのようなものを指すのかということについて、一度提案者から御説明いただきたいというふうに思います。
○細野委員 本法の三条に書いてございます「災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威」というものが何かという御質問でございますけれども、いわゆる人間の安全保障という考え方をベースにしたものでございまして、具体的に指摘をいたしますと、災害、貧困、環境破壊、感染症等の人間の生存及び生活に及ぼすあらゆる脅威を指すというふうに考えております。その除去について宇宙開発利用が大いに役立つ部分があるのではないか。すなわち、人工衛星を利用した災害の監視、これはもう随分と進んでおりますし、気象の観測、あとは農作物の作付の予測、さらに、宇宙の無重力環境における新薬の開発なども進められておりまして、それらが国際協力のもとで推進されることを期待するものとして、この条文が作成をされているということでございます。
○泉委員 そうしますと、その第三条の後段、「国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資するよう行われなければならない。」ここに「国際社会の平和」というものが入っている。私は、これがある意味重要だと思っておりまして、宇宙開発利用というものが、ともすればいろいろな懸念の中で、これは必ずしも事実だとは思いませんけれども、軍拡の流れの一つになるのではないかというような言われ方までしている。私は、決してそれはそうではないという意味も込めて、ここに「国際社会の平和」ということが書いてあるということは、やはり日本自身が、この宇宙開発利用の中でいえば、それは宇宙の平和利用ということも大前提であるし、そしてまた国際的な宇宙軍縮ということについても、日本はその宇宙軍縮を推進する立場にあるんだということが立法者の趣旨にも入っているのかというふうに私は考えるわけですが、その点、改めていかがでしょうか。
○細野委員 国際社会のこれからのあり方を考えたときに、宇宙をできる限り平和的に利用することの重要性については、先ほど泉委員が御指摘をされたところと全く思いを同じくするものでございます。
また、その一方で、先ほど私が指摘しましたようなさまざまな、例えば農作物の作付であるとか災害など、そういったことをしっかりと宇宙から見ていくということに関しましては、例えば高解像度の情報収集衛星、これをできる限り活用していくということを考えるわけでございまして、そういう中において、いわゆる防衛の問題ですね、その部分だけ除去をするというよりは、むしろ総合的に、我が国の平和憲法の精神のもとで、宇宙を積極的に利用、活用する、そういう視点もまた重要なのではないかというふうに考えるところでございます。
○泉委員 私は、今御答弁もありましたけれども、先ほど申し上げたこの第三条の中の「国際社会の平和」という文言が入っているというところは、ぜひ宇宙軍縮に対しても日本はより強力な推進役となっていただきたいということもあわせて、これは各省庁に対してかもしれませんが、お願いをしたいというふうに思っております。
そういう中で、きょうは外務省にもお越しをいただいておりまして、二〇〇八年、ことしの冬から春にかけて、二月ころですが、ジュネーブで軍縮会議が開かれております。その中で、中国とロシアが、宇宙兵器配備を禁止する条約案としての、宇宙兵器の配備、宇宙設備に兵器使用、威嚇することを防止する条約の草案というものを共同で提出されておるわけですね。これに対する日本の対応はどのようなものになっているのかを御説明ください。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、ことし二月十二日に、ジュネーブの軍縮会議に出席をいたしましたロシアのラブロフ外相は、中国と共同で、宇宙における兵器の配置の防止等を目的とする条約案を提出しております。
この条約案は、宇宙空間におけるあらゆる種類の兵器の配置及び宇宙空間物体への武力による威嚇または武力の行使などを禁止する内容となっております。
我が国としましては、宇宙空間における軍備競争は防止されるべきであるとの観点から、さまざまな国際的な場での議論に参加をしてきております。我が国としては、今後、この条約案も含めまして、宇宙における軍備競争の問題に関するさまざまな論点につき、総合的に検討し、議論を行っていきたいと考えております。
○泉委員 外務省さん、もう一度お願いします。
この条約を含むではなくて、この条約に対して日本がどのような態度、対応をとっておられるんですかということを私は聞いているんです、総合的なものではなくて。この条約に対して、ジュネーブ軍縮会議の場でなのか、あるいはほかの場でなのかわかりませんが、その対応がどうなのかをお聞かせください。
○中根政府参考人 委員の御質問に対しまして、まず大きな流れとしまして、このジュネーブの軍縮会議、この宇宙の話以外にも……(泉委員「条約に対して」と呼ぶ)はい。核兵器用の核物質生産禁止条約についての交渉であるとか、いろいろな議題を抱えております。
その中で、この宇宙についても一つの議題になっているということですが、今、現段階におきましては、この条約が提出されて以降、本格的議論が始まったという段階ではございません。この会議の場以外で、もちろんロシアとか中国とかと個別に議論する機会もございました。そのときにはまだ必ずしも、条約案の中に書かれている問題について、例えば衛星破壊攻撃用のシステムについてはこの条約案がどういう規定をしているのかとか、内容的にいろいろ疑問点がございますので、そういうものをまずは明らかにしていきたいというふうに考えております。
○泉委員 今の説明、ちょっと私も、この件について質問をするということについては、きょう外務省さんにお伝えをしたものですから、答弁がまだ完成されていないという状況も多少ありますけれども、二月にこの条約草案が提出をされて、きょうまで目立った日本の態度表明というのがなされていないのではないかというふうにも思っております。
きょうこうしてお越しいただいております提案者の皆様も、やはり主眼は民生利用、宇宙の健全な開発ということがメーンであって、逆に言えば、それがおかしな形で制約も受けちゃいけないし、曲がった方向に行ってはいけないというような考え方を持っておられるというふうに思います。その意味では、ひとつやはり、この宇宙軍縮の中で民生部門をどう育てていくか、そういったことをぜひ考え方の中に含んでいただきながら、外務省の方にもぜひ積極的な御提言を行っていっていただきたいというふうに考えております。
今回ロシアと中国から提案があったこの条約は、確かに、条約の名前あるいは中身を見れば、一応それは表向きには宇宙軍縮の先鞭になるのではないかという考え方もありますが、一方で、こういった軍縮会議の場というものも当然さまざまな戦略の場としてとらえられているわけでして、一年前の軍縮会議のときには、ちょうど中国がまさに衛星の爆破を行って、スペースデブリを相当宇宙に拡散させてしまったということもあるわけでして、その辺はいろいろな意図があるというふうに思います。しかし、やはり、そういういろいろな意図の中で、宇宙軍縮という考え方、日本はその先頭に立って歩んでいく国であるんだということは、私は強調をしていきたいというふうに思います。
先ほど細野委員からもお話がありましたが、災害については、直近でいうと、あのミャンマーのサイクロンの際の沿岸部の映像が明確に出てきたことによって、日本の中でも恐らく、あの映像を見て、大変な被害が起こっている、これは募金活動なりNGOに協力をしようということでの国民の世論というのは大分盛り上がってきているのではないかなというふうに思いますし、そういった意味での衛星技術というのは大変大きいというふうに思います。
また、つい先日、ゴールデンウイーク中ですけれども、岩手県では、JAXAと一緒になって、空から、衛星から、いわゆる産業廃棄物の不法投棄を防ぐということで、地球観測衛星「だいち」は四十六日ごとに同じ場所を通過して、そして不法投棄がないかをチェックする。森林の多いああいった岩手県のような場所では、一つ一つの山に入って開発ですとか不法投棄を確かめることが大変難しいけれども、こういったことが衛星によって可能になるというのは大変すばらしいことだというふうに思っております。
ついでに申せば、私の地元の京都では、この秋、十月末に、京都の円山公園というところに育っている桜の種がアメリカのスペースシャトルで運ばれるということになっております。子供たちがこの種を採取して、全国十カ所ほどの桜が採取をされて、宇宙で、宇宙桜の種として半年ほどそこに置かれて、そしてまた日本に帰ってきて各地に植えられる。
こういった、先ほどから再三話があるように、人材の育成の根本、大もとにはやはり子供たちの関心を高めていくということもあるわけでして、こういったことも、本当に宇宙というのはすばらしい夢とロマンを与えてくれる場所でもあるというふうに思います。
そういったことと、一方での宇宙軍縮の考え方、和やかなお話と、一方で本当に生死にかかわる問題、両方抱えているというのが宇宙であるというふうに認識をしております。
そういう中で、先ほど近藤委員から最後にお話がありましたけれども、宇宙の平和利用について、私も改めて見解を伺いたいというふうに思います。
宇宙の平和利用についてなんですが、昭和四十四年に平和利用決議というものがあった。これは、「平和の目的に限り、」というのは、当時の答弁では、非軍事という形でスタートをいたしました。しかし一方で、加藤紘一防衛庁長官の時代の一般化理論というものもあり、そういった中で、例えば、一九八五年であれば海上自衛隊の衛星受信設備、こういったものであるとか、あるいは九八年の偵察衛星の導入、こういった中においても、常にこの一般化理論というものを踏まえながら現実的な対応は行ってきたというふうに私は解釈をしております。
ですから、その意味では、平和の利用に限りということそのものは、日本が平和利用決議を行って以降は、常に専守防衛という枠の中で、判断を現実的になされてきたのかなというふうに考えております。
ただ、ひっかかるのは確かにこの一般化理論のところでありまして、一般化理論というのは、朝日新聞のちょうどけさの報道によると、民生部門において一般化されたものに利用を限ってきたということでありましたが、確かに、この一般化理論についても、今技術の進展が非常に速いということ、また一度開発をされれば拡散が非常に速いということ、ともすれば国家よりもテロ組織ですとか小グループの方がその運用が早い可能性もあるということ、こういったことからいうと、この一般化理論についてはやはり多少検討しなければならないのかなというふうに思います。
いずれにしても、専守防衛の枠をしっかりと守っていくということについては何も揺らぎがないというふうに考えておりますが、改めて提案者の御答弁をお願いしたいというふうに思います。
○細野委員 御指摘の昭和四十四年の平和利用決議、宇宙の開発及び利用に関しては平和目的に限り、非軍事ということで、このときのものがずっとここまで生きてきたという経緯がございます。
ただ、その一方で、昭和四十四年と比較をいたしますと、GPSに代表されるように、宇宙の衛星によるさまざまな情報というのが非常に幅広い範囲で活用されている中で、今どのようにこの問題を考えるのかというのが、ちょうどまさにこの時期に問われているということでございます。
本法案では、宇宙開発利用を我が国の安全保障に資するように行うものと位置づけておりまして、憲法の平和主義の理念にのっとり、今、泉委員おっしゃったような、専守防衛の範囲内で防衛目的での宇宙開発利用は行えるというのが本起草案の動議提出者の趣旨でございます。
憲法の平和主義の理念にのっとり我が国の防衛のための宇宙開発利用を行うというのは決議の文言及びその趣旨に反するものではない、その思いというのは昭和四十四年から変わっていないと私どもは考えておりまして、本法案により、平和利用決議を否定したり、またこれを無効にするようなものではないというふうに考えているところでございます。
○泉委員 ありがとうございます。
次に、先ほども近藤委員の方から質問がございました、初代のいわゆる宇宙戦略本部における宇宙開発担当大臣、この方はだれになるべきなのかということがございました。文部科学大臣は余り望ましくないという答弁もありましたけれども、これはあくまで、一方で内閣総理大臣が判断をされることというのがございます。
確かに、そういった文部科学大臣が望ましくないというところまで言ってよいものかどうかというのも多少あるわけですけれども、もう一つは、そもそも、この基本法が今こうして審議されているに当たって、第二条「宇宙の平和的利用」という観点もそうですし、第三条「国民生活の向上等」というところもそうですが、やはり、今回の法律の趣旨というのは、基本的には民生利用、適切な宇宙の開発利用を行っていこうということが一番の趣旨であるということで考えておるわけです。
そういった意味では、私は、あえてこの場で発言させていただければ、初代の大臣あるいは平時における大臣というものは防衛大臣ということではないのではないかというふうに思うんですね。やはりそれは内閣の中に置かれる担当大臣、例えば総合科学技術会議、こういったことの運営にも主体的になっている科学技術担当大臣だとか、そういったものが来る話ではないかというふうに思うわけですが、提案者、いかがでしょうか。
○野田(佳)委員 これは、大臣は基本的には内閣総理大臣がふさわしい人を適切に選ぶということに尽きるんですが、今具体的に出てきた防衛大臣が初代大臣として望ましいか望ましくないかといえば、当然のことながら望ましくないというふうに思います。
○泉委員 ありがとうございます。
残り三点ほど、少しスピードを上げて質問したいと思います。
まず、専門家の皆さんからは話が再三ありますけれども、日本には種子島の宇宙センター、そしてまた打ち上げ場所としての種子島があるわけですが、従来から、打ち上げ射場に関しては一カ所ではなかなか運用が難しいというような声も聞こえております。とはいえ、国内で第二の打ち上げ射場というものが現実的に可能かどうか、そういったものも私は詳しくはよくわかりませんが、今後、打ち上げ射場の整備ということが書いてあるわけでして、この射場整備の計画を国内外において日本がどのように考えているか、このことについて御質問したいと思います。
○細野委員 射場の問題も、非常に宇宙開発において大事な問題でございまして、非常にその意味ではいい御指摘をいただいたというふうに思っております。
現在、主に活用されております種子島の宇宙センターにつきましては、実際に打ち上げが行える日時であるとか日数にかなり制限がございまして、今後、射場についての整備は十分検討に値するというふうに思っております。
そのことを考えたときに、一つアイデアとしてあり得るのは、内之浦にも射場が存在をしておりまして、JAXAが運用しておるんですが、H2Aロケットであるとか、今開発が検討されておりますGXロケットであるとか、そういう大規模なものは、この射場から打ち上げることは実質的には難しいわけでございますけれども、例えば中小型のロケットの打ち上げについては、さらに内之浦を積極的に活用するというのは十分考え得るというふうに思っておりまして、そういうことについての推進を我々としても図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
○泉委員 ありがとうございます。
やはり民生利用を進めていく日本が世界の中で最先端になっていくためには、そういった衛星打ち上げ環境の向上というものも欠かせないというふうに思っております。
次に、宇宙開発戦略本部というものが内閣の中に置かれるという中で、さまざまな他の機関との調整をどのようにしていくのかということが問題だと思います。
総合科学技術会議というのが現在内閣府にありますけれども、こことの関係をどのように考えるのかということなんですね。
例えば、昨年の十一月、総合科学技術会議が、それぞれの科学技術予算の優先度順位というのでランクづけをされているんですね。その中で、何と、固体ロケット技術の維持は減速していくべきと、いわゆる最低ランクの位置づけをされて、予算を削減されるというか後回しにされるというような判断すら総合科学技術会議の中で出ておる。全否定で宇宙のことがだめだと言っているのではなくて、固体ロケットについてということではあるんですが、こういったものにどのようにこの宇宙開発戦略本部なり宇宙基本計画が拘束をされていくのかというのはやはり気になるところなんですね。
やはり宇宙開発戦略本部も、たしか内閣に置かれるとなっております。これは、当初は内閣官房が事務をやり、そして一年後には内閣府が行っていくというようなイメージでありますが、同じ内閣府の中にある総合科学技術会議と、一概に上下関係と言わないかもしれませんが、しかし、やはり重複するところが多数ある。そして、かつては、私はちょっとこれ以降は存じ上げないんですが、平成十六年なんかには、総合科学技術会議の中で「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」みたいなものも、こうして文書として出されている。
今後、宇宙開発戦略本部ができ、宇宙基本計画ができていく中での総合科学技術会議との役割分担、これをどのように考えるか、お答えください。
○細野委員 泉委員御指摘のとおり、総合科学技術会議は、我が国の科学技術に関する総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行うために設置をされた機関でございまして、宇宙開発利用にかかわらず、あらゆる分野の科学技術についての検討を行っている機関ということでございます。
今回新たに宇宙開発戦略本部が設置をされ、そしてその中では、科学技術分野のみならず、我が国の産業振興や外交、安全保障などに十分配慮した上で総合的な宇宙開発利用についての戦略をつくるということでございますので、その部分で特化をし、しかも戦略的につくるという意味で総合科学技術会議とは役割を異にしているということでございます。
若干個人的な感想も含めて申し上げれば、総合科学技術会議での議論というのは、さまざまな分野にかかわるがゆえに、若干専門性を欠いた部分、さらには焦点が定まらない散漫な部分、一部そういう批判があるやに承知をしておりまして、今後は、今回設置をされる宇宙開発戦略本部、そこで宇宙についての基本的な方針が出されるわけでございますから、その内容に基づいてと言うと少し言い過ぎになるかもしれませんね、その内容に十分に配慮をした上で、総合科学技術会議で宇宙開発についての検討が行われるものというふうに期待をしているところでございます。
○泉委員 もう一方で、宇宙開発委員会、この宇宙開発委員会もまた宇宙開発戦略本部とどのような関係性になっていくのか、これもあわせてお答えください。
○細野委員 先ほど近藤委員のときにも答弁をさせていただきましたが、宇宙開発委員会の中で宇宙のさまざまな戦略について検討した部分については、これは開発本部及びそのもとで事務局がやっていくということになりますので、おのずと宇宙開発委員会そのものの役割は縮小されるものというふうに考えております。
今、文科省のもとにこの委員会は存在するわけでございますが、その位置づけも検討対象になるでしょうし、どういう役割を担うのか、具体的にはさまざまな事故調査などは第三者的にここでやるということは十分考えられるわけでございますので、その役割を限定した上でどういう存在として存続し得るのか、それは今後の検討課題ということになってまいるというふうに思います。
○泉委員 こういった宇宙開発委員会、そして総合科学技術会議、特に私は、やはり総合科学技術会議との関係というものは今後一つの論点になっていくんだろうなというふうに思います。そういった意味で、ぜひ、国民にその姿が伝わりやすいように、今後も開かれた形でこういった議論が進むことを、特に内閣府、内閣官房には私はお願いをしておきたいというふうに思います。
こうして質問をさせていただきましたけれども、先ほど細野委員から御答弁がありましたが、例えば高解像度の衛星、こういったものも軍事的には認められているけれども、民生分野では認められていない。これは世の常なのかもしれませんが、私は今や民生部門の開発が軍事部門を上回るということも本当によくあることだというふうにも思っておりまして、かつてのような、非常に閉鎖的な中で軍事技術が開発されるというような時代でもなくなってきたということも言えますし、また両方の壁が薄くなってきたという言い方もできるわけですが、やはり民生部門を盛り上げていくのが今回の法律なんだということで、今後もぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕
○江崎(洋)委員長代理 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
「はやぶさ」とかそれから「かぐや」の成果を見ても、一般的に言えば、宇宙の研究開発を推進する法律であれば、これは普通のことだというふうに考えます。ただ、問題は、今度の場合、軍事に道を開くというところに大きな問題があるものですから。
そこで、私は思うんですけれども、一九六〇年に例えば安全保障について議論したとき、極東条項だけでも物すごい時間をかけて審議しているんですね。それは、賛成、反対は別にして、やはり重要な内容なんです。それを今度、安全保障を地球上から宇宙に拡大しようというわけですから、これを二時間の審議で短時間で終わらせようということについては、これは私は異議ありと申し上げておかなきゃならぬと思うんです。
今回の法案というのは、ずばり言って、我が国の宇宙研究開発というのは平和利用に限るとした一九六九年の国会決議をなきものにしようと、宇宙政策を百八十度転換する非常に重要な内容を持っているというふうに思うんです。
そこで、これからの質問は簡潔に、あらかじめ簡潔に質問内容をお伝えしてありますので、お答えも簡潔にお願いしたいと思うんですが、宇宙基本法の制定というのは、本来、第一条の「目的」に、宇宙開発利用は平和目的に限ると定めた六九年の国会決議が明記されるべきだと思うんですね。これが入っていると、日本の宇宙開発と利用にどういう支障があるとお考えなのか、それを伺いたいと思います。
○櫻田委員 本法案では、宇宙開発利用を我が国の安全保障に資するよう行うものと位置づけておりまして、憲法の平和主義の理念にのっとりまして、専守防衛の範囲内で防衛目的での宇宙開発利用は行うことができるというのが本起草案の動議提出者の趣旨でございます。
憲法の平和主義の理念にのっとりまして、専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、決議の文言及びその趣旨に反するものではなく、本法案により、平和利用決議を否定したり、これを無効にするようなものではないと考えております。
〔江崎(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
○吉井委員 先ほど一般化理論の話がありましたけれども、六九年の国会決議というのは平和利用目的に限るとしていたんです。当初の与党案と比べてみて、民主党を含む今回の修正提案では、安全保障に資する宇宙開発利用をするため、必要な施策を講じるものとすると。今のお答えからしても、軍事利用については修正がされていないと考えていいですね。
○野田(佳)委員 昨年の通常国会で提出をされた自民党、公明党案に加えて、今回は、第一条の「目的」において「憲法の平和主義の理念を踏まえ、」と文言を加えておりまして、宇宙開発利用は憲法の平和主義の理念にのっとり行われるべきことを強調していますし、この審議の後に御提起があります委員会決議案の一番最初にも、同様に、「日本国憲法の平和主義の理念を基調」ということで、重ねて強調させていただいております。
○吉井委員 ほかの条項を入れても、三条と十四条で入っているということは事実の問題としてあります。
それで、次に伺っておきたいのは、自民党の国防族というんですか自衛族というんですか、提案者の河村さんも顧問に入っていらっしゃる、それから防衛省幹部が委員に入って、航空宇宙工業会加盟企業が専門委員となっていて、石破茂さんが座長となっていた日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会、この勉強会がまとめたわが国の防衛宇宙ビジョン、これを読ませていただいたら載っておりますが、日米共同で進めるミサイル防衛システムにおける宇宙利用の必要性を指摘しています。具体的に、ミサイルは、遠距離になればなるほど、自律的な宇宙インフラを利用しなければ、ミサイルの発射探知時間の短縮、追尾監視が困難になることを強調し、早期警戒衛星と宇宙追尾監視衛星の必要性というのを説いていますが、これまで国会決議ではこれはできなかったわけですね。
この法案では、ミサイル防衛において宇宙開発と利用を進めることはできるのかどうか、これを提案者に伺います。
○河村(建)委員 日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会のお話がございました。自民党内には、さまざまな課題のさまざまな研究会や勉強会がございます。この私的な勉強会の一つがそれであるというふうに思っております。
今御指摘の点でございますが、この法案、先ほど来お話に出ておりますように、宇宙開発利用は、宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束に従って、日本国憲法の平和主義の理念にのっとる、そして、我が国の安全保障に資するように行う、こうなっておるわけでございまして、あくまでも専守防衛の範囲内で防衛目的での利用は可能になるというふうに考えておるところでございます。
防衛目的での宇宙開発利用、何が可能であるかということになりますと、科学技術の水準あるいは国際情勢等に照らし合わせまして、その都度判断されるべきものと考えております。
特に、御指摘の早期警戒衛星等を導入するかについて、こういうことにつきましても、我が国の防衛のあり方等を踏まえながら、日本国憲法の平和主義の理念にのっとって別途考えるべき課題であろう、このように思っておるところであります。
○吉井委員 わが国の防衛宇宙ビジョンを読ませていただくと、自衛隊の海外活動を支える通信インフラの必要性について研究しておられて、今後ますます重要となる国際活動に際しては、防衛目的と同様に、即時開通、即時利用が求められ、つまり、通信衛星の通常のものじゃだめだというわけですね。セキュリティー、抗堪性にすぐれた防衛専用通信衛星の保有が不可欠と。ほかのものが撃ち落とされて、あるいは戦闘機の格納庫がつぶされたとしても、抗堪性にすぐれた防衛専用通信衛星の保有が不可欠だと。これは、イラク戦争の経験からしても、必要と経験したということですが、国際活動に際しては、即時利用開始でセキュリティー、抗堪性がすぐれた大容量通信が必須であり、実現には防衛専用通信衛星の保有が不可欠と主張しておられますね。
法案は、このことを可能とするのか、そういうことは否定するという立場なのか、可能か、否定するかということを伺いたいと思うんです。
○河村(建)委員 国際社会の平和、安全の確保並びに我が国の安全保障に資するように行うというのがこの法案の宇宙開発利用の理念でございますから、その観点に立ちますと、国際平和協力あるいは我が国の防衛のための宇宙開発利用は可能になるというふうに考えます。
○吉井委員 経団連や日本航空宇宙工業会などは、平和利用に限ると定めた国会決議、日本の宇宙産業の発展にとって足かせである決議の見直しを主張してきました。
自民党の「新たな宇宙開発利用制度の構築に向けて」という政策提言の中では、一つは新たな国会決議の採択、二つ目に新たな政府統一見解の表明、三つ目に議員立法による宇宙基本法の制定、この三つの方法があるということを言っておられたんですね。法案は、この三番目の方法を具体化したものと見ていいんですね。
○西村(康)委員 お答え申し上げます。
経団連や航空宇宙工業会、いろいろヒアリングをしたり意見交換もしておりますが、経団連の報告書をよくごらんいただきますと、確かに国会の決議の見直しのことも触れておりますけれども、よく読んでいただきますと、中に、宇宙技術によって外国を侵略することは当然許されないが、テロや海賊対策、もろもろの分野で非侵略の目的で宇宙を活用することは必要である、あるいは、憲法や国際的な枠組みの範囲内で我が国のすぐれた宇宙技術を最大限に活用すべきである、こういうことも指摘をされております。ぜひ御理解をいただければと思います。
それと、それも踏まえつつ我々政治家として、自民党内でも議論を重ねてまいりましたし、今回、自民、公明、民主の三党で合意を得たのがこの法案であります。
いずれにしましても、憲法の平和主義の理念にのっとって、専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うということは、決議の文言及びその趣旨に反するものではありませんし、本法案により、平和利用決議を否定したり、これを無効にするようなものではないというふうに考えております。
○吉井委員 六九年の国会決議にかわって、要するに新しい法案をつくるわけですから。
民主党提案者に伺いますけれども、修正法案十六条に、民主党の意向を酌んで、「我が国の宇宙産業その他の産業の技術力及び国際競争力の強化を図るため、」と文言が追加されていますね。この文言は、日本経団連が「宇宙新時代の幕開けと宇宙産業の国際競争力強化を目指して」という題名で昨年七月十七日に出した提言にある内容と基本的なところは同じと考えていいんですか。
○細野委員 十六条を書き改めさせていただいたのは、もともと自民党・公明党案にあった四条の趣旨をしっかりと書きあらわしたものでございまして、経団連の意向を踏まえてやったということでは全くないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
先ほど来ずっとさまざま議論をしておりますけれども、宇宙というものが災害対策であるとか食料問題、環境問題、さまざまな分野に利用可能になっている中で、我が国として、もちろん国民のためでもありますけれども、国際的にもきちっと貢献をしていく意味でも、そうした技術についてはしっかりと国として育てていく必要があるという趣旨で十六条については定めたものということで御理解をいただければというふうに思います。
○吉井委員 自民党の方でも、国会決議見直しに当たっては、宇宙基本法によって平和利用イコール非侵略と今日的定義に改めるということが挙げられておりますが、そこで文部科学省の政府参考人に伺いますが、文部科学省研究開発局の池原さん、前参事官が研修会で、宇宙基本法案のポイントとしてよくまとめていらっしゃいますが、平和利用原則の解釈の見直しというのを挙げております。
それで、その中には、解釈として非軍事であるという平和利用原則解釈の見直しをやるのが基本法のポイントだと、なかなかポイントをよくついておられると思うんです。その解釈を非軍事から非侵略に見直すことが今検討中だということでありますし、具体的に我が国が宇宙開発利用を行う目的として国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障を明記することにより、現行の非軍事とする解釈から、これを非侵略イコール安全保障目的の軍事利用を認めるように変更するものと述べているんですが、このように解釈している、こういう理解でいいんですね。
○青山政府参考人 御指摘の研修でございますけれども、昨年の三月、宇宙の平和利用について、平和利用原則の解釈をめぐる状況につきまして、過去から現在に至る事実関係を説明したものというふうに承知をいたしております。
御指摘の宇宙基本法案の点でございますけれども、当時、与党において検討が行われ、法案の骨子草案が取りまとめ公表されていたということについて、我が国の将来の宇宙開発動向に影響を及ぼし得る客観的な社会情勢の一つとして紹介したものであるというふうに聞いております。
したがって、研修の内容につきましては、当時の宇宙基本法案の検討に対する文部科学省の考えを述べたものではございません。
○吉井委員 引き続いて文部科学省の政府参考人に伺っておきますが、同じ研修会で、平和利用の見直しの論点という項目では、許容されるべき軍事衛星の範囲として具体的に挙げられております。要するに、解釈が非軍事から非侵略へと変わった場合にどうなるかということですね。
認められる軍事衛星の部分について、偵察衛星、早期警戒衛星、電波傍受衛星、軍事用通信衛星、軍事用気象衛星を挙げています。認められないものとしては、地上用攻撃兵器を挙げています。
それで、グレーゾーン、境界領域としては、他国の軍事衛星を宇宙空間で破壊するための衛星、すなわち、具体的にはキラー衛星というのを挙げておりますが、文部科学省の方では、境界領域としてキラー衛星の保有も考えている、考えに入り得るという考え方なのかどうか、伺います。
○青山政府参考人 御指摘の研修内容につきましてですけれども、宇宙の平和利用原則をめぐり国際法などの専門家が国内外で行っている議論について把握した情報、これについて、専門の法令制度の解釈の一例として当省職員に紹介したものというふうに聞いております。
したがいまして、御指摘の研修内容につきましては、文部科学省としてキラー衛星の保有を考えたことを示しているものではございません。また、そもそも文部科学省においてはこれまでキラー衛星の保有を計画した事実はございません。
○吉井委員 そこで、官房長官に今度は伺いますけれども、私は何度か宇宙の問題についてはこの委員会で質問をしてまいりましたけれども、これまで私の質問に対する官房長官のお考えというのは、国会決議の範囲で政府として対処していく、対処しているというものでありましたが、今後、この法案ができたときに、要するにこういう今のようなグレーゾーンに当たるところですね、キラー衛星の開発を含む軍事衛星の開発は認められるということで、偵察衛星、早期警戒衛星等々の衛星はもとより、これの開発を進めていく、そういうお考えかどうか。それから、機密保護の名で宇宙情報の公開に制約をかけるということを考えていくのか。これは官房長官に伺います。
○町村国務大臣 具体のことはこの法案が成立をいたしまして施行された後、当然のことですが、今の決議を初め、この国会においてさまざまな御議論をいただいておりますので、その御議論を踏まえまして、必要な政策を政府としてどのようにやっていくか、これは検討を進めていくことになるわけでございまして、今、幾つかの御指摘のあったような特定の政策についてお答えをできる段階にはございませんが、いずれにしても、新しく制定されるであろう宇宙基本法の目的や趣旨に沿った政策を実現していく、実施をしていくということになろうかと思います。
○吉井委員 キラー衛星等については、提案者の一人である河村議員を含めて、これは研究をしてこられたものでありますから、私は、今後の話ということだけで済む問題じゃなくて、本来は、そういうことはしないんだとか、明確な答弁というものが必要だと思うんです。
宇宙基本法案に対する修正意見というのを皆さんのお手元にお配りいたしました。時間が参りましたから簡潔にいたしますが、第一条の目的規定に、一九六九年の国会決議及び宇宙開発事業団法、現独立行政法人宇宙航空研究開発機構法に基づいて、要するに宇宙研究開発は平和目的に限るというのをきちんと目的に入れること。
二つ目、第三条、第十四条の「国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する」の中から「安全の確保並びに我が国の安全保障に資する」を削除して、かわりに、国際社会の平和及び国際社会が共同して宇宙科学の発展に資するという表現とすること。
第二十三条の「宇宙開発利用に関する情報の適切な管理のために必要な施策を講ずる」から、関する「適切な管理のために必要な施策を講ずる」を削除して、かわりに、情報については、自主、民主、公開の原則を踏まえて積極的に公開することにより、宇宙科学の発展及び災害対策に資するよう努めるものとするという表現を入れること。
四番目に、その他必要な字句の修正を行うということを私は修正意見として述べて、提案者のお考えを最後に伺いたいと思います。
特に、公開という問題は、先ほど来議論がありましたが、各国が情報収集衛星なりスパイ衛星の情報をすべて公開すれば、ミサイル発射も核開発も即時に、解像度十五センチとか四十センチとか、わかってしまい、これは結局、無謀な国が無謀なことを考え出したとしても直ちにわかってしまうことですから、非常に情報公開というのは世界平和に貢献する力になります。それから、災害対策についても大きな国際的貢献をすることになるし、日本の災害対策の上でも大事なことですから、情報公開ということは非常に大事だ、このことを重ねて申し上げて、最後に提案者にこの点についての御意見だけ伺っておきます。
○河村(建)委員 第一点につきましては、本法案におきましても、第二条に「宇宙の平和的利用」、基本理念ということでありますから、御趣旨の点については当然この中に含まれておる、このように考えておるところであります。
第二点につきましては、国際社会の平和及び安全の確保ということは、PKO等、国際平和協力にも関した全体的、まとまった概念でございまして、そこから安全の確保だけを切り離すことは適当でないというふうに考えておるところであります。
また、憲法の平和主義の理念にのっとりまして、我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、決議の文言またその趣旨に反するものではございません。本法案によって、平和利用決議を否定したり、これを無効にするようなものではないと考えておるところでございます。日本国憲法の平和主義の理念にのっとりまして、専守防衛の範囲内で防衛目的の宇宙開発利用を行う、この趣旨を御理解いただきたい、このように考えます。
第三点につきまして、情報の適切な管理ということについて御指摘がございましたが、これは、情報を公開しないということではなくて、公開すべきことはまさに御指摘のように適切に公開しなきゃならぬ、こういう趣旨でございます。
特に、宇宙開発利用は高度で高付加価値を有する技術を要するものでございますから、また、ロケット技術というものも軍事転用も可能になります。一方では、科学技術の発展のために、その成果が公開等によって活用されることは極めて重要であると思います。こうした特性を踏まえて、公開すべき情報については適切に公開し、守るべき情報についてはしっかり死守が行われなきゃならぬと考えております。
また、宇宙科学コミュニティーはボトムアップ文化を持っておると言われております。そういう面から考えましても、理学中心の純粋な宇宙科学、こういうものは積極的に公開しなければならぬとも考えておりまして、そうした総合的な考え方に立って、公開すべき情報を適切に公開する、守るべき情報は守るという理念であるということを御理解いただきたい、このように思います。
○吉井委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
○中野委員長 これにて発言は終わりました。
お諮りいたします。
本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 この際、櫻田義孝君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による宇宙の開発及び利用の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。泉健太君。
○泉委員 ただいま議題となりました宇宙の開発及び利用の推進に関する件につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
宇宙の開発及び利用の推進に関する件(案)
政府は、宇宙基本法の施行に当たり、次の事項に万全を期すべきである。
一 宇宙開発利用は日本国憲法の平和主義の理念を基調とし、宇宙環境との調和・共生を図りつつ、国民生活の向上のみならず、地球全体の利益向上に資するよう配慮して行うこと。
二 内閣に宇宙開発戦略本部を設置し、中枢機関として我が国の宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するに当たっては、宇宙科学の振興に携わる有識者の意見を十分に取り入れ、施策に反映させるよう努めること。
三 宇宙開発戦略本部に関する事務の処理を行う組織を整備するに当たっては、宇宙基本計画の作成、宇宙開発利用に係る関連法案の整備、宇宙開発利用に係る予算の管理等について、宇宙開発利用に関する政策を戦略的、総合的かつ一体的に推進するよう努めること。
また、その組織の長には特定の省益にとらわれない、大局的な判断ができる者を充てるよう努めることとし、その組織の職員については、特定の省庁から偏った登用をすることなく、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他宇宙開発利用に関係する機関、あるいは宇宙開発利用に携わる民間企業から幅広く登用するよう努めること。
四 本法の施行後一年を目途に、内閣府に宇宙開発戦略本部に関する事務の処理を行わせるに当たっては、宇宙開発戦略本部に関する事務の処理を行う組織の在り方について、宇宙開発利用に関する政策を戦略的、総合的かつ一体的に推進するための、将来の推進体制を見据えて検討した上で、必要な法制の準備その他の措置を講じること。
また、内閣府において宇宙開発戦略本部に関する事務を処理するに当たっては、関係府省と緊密な連携をとり、一体的かつ戦略的に行うこと。
五 独立行政法人宇宙航空研究開発機構については、本法に掲げる宇宙開発に関する基本理念を実現するため、宇宙基本計画に従って運営するとともに、目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、所管する行政機関等について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構法の見直しも含め、本法の施行後一年を目途に検討すること。
その他の宇宙開発利用に関係する機関の統合等についても、本法の施行後一年を目途に検討すること。
なお、宇宙開発委員会については、宇宙開発戦略本部との関係において、その在り方について検討すること。
六 本法の施行後二年以内を目途に、宇宙開発利用に関する条約等に従い、宇宙活動に係る規制などに関する法制を整備するよう努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。
この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。町村内閣官房長官。
○町村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、宇宙開発利用の推進に努めてまいります。
○中野委員長 お諮りいたします。
本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
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午後二時五十二分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま付託になりました内閣提出、国家公務員制度改革基本法案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。渡辺国務大臣。
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国家公務員制度改革基本法案
〔本号末尾に掲載〕
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○渡辺国務大臣 このたび、政府から提出いたしました国家公務員制度改革基本法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
行政に対する信頼を回復し、行政の運営を担う国家公務員が常に国民の立場に立ってその職務を遂行することを徹底するためには、国家公務員に関する制度のあり方を原点に立ち返って見直し、国家公務員の意識を改革することが必要であります。
このため、政府は、国家公務員一人一人が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できるよう、国家公務員制度改革を総合的に推進するため、ここに本法律案を提出する次第であります。
次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、国家公務員制度改革に係る基本理念を定め、国はこの基本理念にのっとり改革を推進する責務を有することとしております。また、政府は、本法律案に定める基本方針に基づき改革を行うこととし、このために必要な措置については、本法律の施行後五年以内を目途として、この場合において必要となる法制上の措置については、本法律の施行後三年以内を目途として講ずることとしております。
第二に、議院内閣制のもと、国家公務員がその役割を適切に果たすため、国会議員への政策の説明等の政務に関し、大臣を補佐する職を設けるとともに、これ以外の職員が国会議員に接触することに関し、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けること、事務次官、局長、部長等の幹部職員の任免について、内閣総理大臣の承認を要するものとし、内閣人事庁は、各大臣が人事を行うに当たって、情報提供、助言等の支援を行うものとすること、幹部職員は、内閣人事庁及び各府省に所属するものとすること等の措置を講ずることとしております。
また、職員の育成及び活用を各府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するため、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整、幹部職員の任用に係る適格性の審査及び候補者名簿の必要に応じた作成その他の大臣が人事を行うに当たっての情報提供、助言等の支援等の事務を内閣人事庁において一元的に行うための措置を講ずることとしております。
第三に、多様な能力及び経験を有する人材を登用し、及び育成するため、現行の採用試験の種類と内容を抜本的に見直し、新たな採用試験の種類を設けること、課長等の管理職員の職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するための仕組みを整備すること等の措置を講ずることとしております。
第四に、官民の人材交流を推進するとともに、官民の人材の流動性を高めるため、人事交流について、その透明性を確保しつつ、手続の簡素化及び対象の拡大等を行うこと等の措置を講ずることとしております。
第五に、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、及び育成するため、国際対応に重点を置いた採用を行うための措置等を講ずることとしております。
第六に、職員の倫理の確立及び信賞必罰の徹底のため、人事評価について、職業倫理を評価の基準として定めること等の措置、懲戒処分について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置等を講ずることとしております。
第七に、職員が意欲と誇りを持って働くことを可能とするため、業務の簡素化のための計画を策定するとともに、職員の超過勤務の状況を管理者の人事評価に反映させるための措置、優秀な人材の国の行政機関への確保を図るため、職員の初任給の引き上げ、職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置等を講ずることとしております。
第八に、政府全体を通じる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負うとともに、総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整等の事務を一元的に行う内閣人事庁を設置することとし、必要な法制上の措置をこの法律の施行後一年以内を目途として講ずるとともに、総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、必要な範囲で、内閣人事庁に移管することとしております。
第九に、国家公務員の労働基本権のあり方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討することとしております。また、これにあわせて、地方公務員の労働基本権のあり方についても検討することとしております。
第十に、国家公務員制度改革推進本部を設置し、これらの改革を総合的に推進することとしております。
以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十七分散会