第19号 平成20年5月23日(金曜日)
平成二十年五月二十三日(金曜日)午前九時三十二分開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君
理事 村田 吉隆君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 遠藤 宣彦君
大塚 拓君 加藤 勝信君
木原 誠二君 河本 三郎君
戸井田とおる君 土井 亨君
中森ふくよ君 西村 明宏君
萩生田光一君 藤井 勇治君
市村浩一郎君 吉良 州司君
楠田 大蔵君 佐々木隆博君
西村智奈美君 馬淵 澄夫君
石井 啓一君 塩川 鉄也君
…………………………………
議員 菅野 哲雄君
国務大臣 渡辺 喜美君
内閣府副大臣 山本 明彦君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 株丹 達也君
政府参考人
(内閣法制局第三部長) 外山 秀行君
政府参考人
(人事院事務総局人材局長) 尾西 雅博君
政府参考人
(人事院事務総局給与局長) 吉田 耕三君
政府参考人
(内閣府大臣官房官民人材交流センター及び再就職等監視委員会準備室長) 小林 廣之君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 宮島 守男君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 藤井 昭夫君
政府参考人
(財務省主計局次長) 木下 康司君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
吉井 英勝君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
塩川 鉄也君 吉井 英勝君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国家公務員制度改革基本法案(内閣提出第七五号)
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○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国家公務員制度改革基本法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、内閣法制局第三部長外山秀行君、人事院事務総局人材局長尾西雅博君、給与局長吉田耕三君、内閣府大臣官房官民人材交流センター及び再就職等監視委員会準備室長小林廣之君、総務省大臣官房審議官宮島守男君、人事・恩給局長藤井昭夫君、財務省主計局次長木下康司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。
○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。
国家公務員制度改革基本法案の審議、私、二度目の質疑の機会をいただきました。もう既に、同僚議員、また与党の皆さん方、大変活発な議論をしていただいていると私もこの委員会の一員として見ておりますが、きょうはまず、本法案では触れられていない天下りについて少しお尋ねをしたいと思っております。
これは既に私も代表質問でお尋ねをしてまいりましたし、また担当大臣からはたびたび、昨年の国公法の一部改正でこの問題は済んでいるんだ、ある意味もうこれは解決したんだ、そういう位置づけでとらえられているということは重々承知をしておりますが、私ども、過去を振り返りまして、行革推進法案そして天下り根絶法案、この二案を対案として出してまいりました。そして、民主党としては、天下り規制、根絶こそまずは国家公務員制度の抜本的改正の源である、このような位置づけをしてまいりましたゆえ、どうしてもこの点については私は避けて通れないと思っております。本法案に関係するという観点から、ぜひお答えをいただきたいというふうに思っております。
まず、昨年の国家公務員法等の一部改正で、官民人材交流センター、これの設置が定められました。そして同時に、センターは一元的に再就職を支援するということでありますが、その再就職支援について、当然ながら現状のような各省縦割り行政の中でのその権限などを背景にしたあっせんが行われてはならないとして、再就職等監視委員会の設置が定められております。つまり、センターと委員会、これが二つ同時につくられるということであります。まずお尋ねをさせていただきたいのは、この設置は、これはもう昨年の法案でございますので皆さん方のお手元にはないんですが、附則の一条には、ことしの十二月三十一日までに設置がされることというふうにされておりますが、この設置、すなわちこの施行期日というのは、現状ではいつだということで理解をすればよろしいでしょうか。
これは内閣府の担当だというふうにお聞きしておりますので、山本副大臣、済みません、お願いいたします。
○山本副大臣 馬淵委員の質問にお答えしたいと思いますが、官民人材交流センター、再就職等監視委員会の設置につきまして、今御指摘のように十二月三十一日までとなっておりますが、まだ決定をしておるところではございません。
○馬淵委員 年内に設置ということでございますから、まだ現時点においては未定ということでありますが、年内に設置される、すなわち施行期日が年内に定められるということは、これは疑いのないところであります。
さて、本年中にこれが設置される、内閣府に置かれるということでありますが、この官民人材交流センターが再就職支援を一元管理していくという中で、これは設置が年内ですから、そこから当然ながらある一定期間、センターが実質的に動くまでというのは一定の期間が想定されていると思います。もう事務的なことで結構なんですが、この一定期間というのはどれほどの期間を見ておられるんでしょうか。
○山本副大臣 法の施行日から三年を超えない範囲内において政令で定める日ということになっております。
○馬淵委員 三年を超えない間ということですから、ことしできれば、そこからセンターの整備を始めて、そして実行するのは三年を超えない期間ということになりますが、その間は移行期間ということで、移行期間の間はどのような対応になるかといいますと、先ほど申し上げている、同時に設置される再就職等監視委員会が承認をした場合、各府省等の職員による再就職あっせんができる、これは移行期間の経過措置的なものである、こう理解をしております。
二つの組織、これが内閣府に置かれて、そして三年以内にこれが効果を発生せしめるような形で動き出すが、それまでの移行期間においては、縦割り行政の排除といいながらも、現実的には再就職支援をする部隊が必要で、あるいは再就職支援に問題ないかという行為規制も含めてこれを監視する必要があるということで、移行期間の間、この委員会がその調査やあるいは承認を行うということになっている、そういうことで私も理解をしております。
ただし、この中で、もう施行されれば天下りは実際には禁止をしているということになると理解をしております。
これは附則の四条。お手元にお配りをしております資料の二枚目に国公法附則の四条というのを載せております。つらつらと書いておりますが、先ほどのお答えのとおり、まさに、三年を超えない範囲内において定める日まで、この移行期間の間、これはちょっと中略で読みますが、「職員は、離職前の在職機関と密接な関係にある営利企業として政令で定めるものの地位に就くことを承諾し、又は就いてはならない。」と明確に、この附則の四条で移行期間の間は当然ながら天下りは禁止しているわけであります。
また、この移行期間中においては、同法の百六条の二ということで、これはお配りをしておりませんけれども、移行期間中の各府省の天下りあっせん禁止。天下りを禁止し、そして百六条の二では移行期間中の天下りあっせんを禁止しております。
他方で、国公法一部改正の中で、その附則の五条でございますが、これはお手元の資料の2をごらんいただきますと、四条の下に第五条、これも長々と書いておりますが、ここに書いてあるのは、内閣総理大臣の承認がある場合には、先ほど私が口頭で申し上げた百六条の二の適用除外、つまり、天下りあっせんの禁止というものの適用除外。
さらに、この五条では、ごらんいただきますと、二ということで、アンダーラインを引いております。五条二項では、「内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会に委任する。」こう定められております。
つまり、これらの法文を整理いたしますと、ことし中にセンターと委員会が設置されます。そして、三年を超えない間に、移行期間としてこれはどんどんどんどん整備を進める。その間は天下りも禁止である、あっせんもしてはならないということでありますが、ただし、そこには例外規定を設けている。つまり、内閣総理大臣が承認する場合に限っては各府省は天下りをあっせんできるということになっております。そして、その権限は内閣総理大臣がこの再就職等監視委員会に委任する、こういう規定がこの五条の二項でございます。
そこで、私は一つ疑問に思うのが、この条文を読めば、内閣総理大臣の承認という権限がある、しかし、この権限は委員会に委任するんですね。この権限というのは内閣総理大臣みずからが行使できるのかという、この点でございます。
きょうは内閣法制局にも来ていただいておりますが、法制局が法案成立後に有権解釈の立場にないというのは十分理解をしておりますが、一般論としてお答えをいただきたいと思います。
この附則の五条の二項、また、昨年の国公法の一部改正のその趣旨に照らし合わせて、内閣総理大臣はこの承認する権限というのを行使することはできるんでしょうか。済みません、法制局、お願いいたします。
○外山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま権限の委任に関するお尋ねをいただきました。
一般論としてということでございますので、まず、権限の委任につきまして一般論を申し上げさせていただきますと、一般的に、権限の委任があったときは、その委任の範囲内において委任庁は当該権限を行使し得ず、受任機関が自己の名と責任においてこれを行使するものと解されております。
お尋ねの、各省が行うあっせんに対する内閣総理大臣の承認の権限につきましても、国家公務員法等の一部改正法附則第五条第二項の規定によりまして再就職等監視委員会に委任されておりますことから、同委員会が専らこれを行使することが予定されていると考えられるところでございます。
○馬淵委員 慎重にお答えをいただきましたが、今の法制局のお答えは、専らですから、この再就職監視委員会に権限があるのだ、すなわち内閣総理大臣にはこの承認の権限はないんだ、こういう御回答をいただいたということで、一般論で結構なんですが、こういった法体系の中ではこういう理解でいいんだということを一般論としてお答えをいただいたということを確認させていただきます。イエスかノーでお答えください。
○外山政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、一般論として先ほど申し上げたとおりでございます。
○馬淵委員 すなわち総理大臣には承認の権限はないんですね。これは内閣法制局が一般論としてということで、あくまで有権解釈は内閣府にあります。
そこで、内閣府にお尋ねをさせていただきたいと思います。私は同じ質問をさせていただきます。国公法の改正を行って、そしてこの附則五条の二項の解釈でございますが、内閣府の見解として、総理大臣に承認の権限はないという理解でよろしいですか。山本副大臣、お願いいたします。
○山本副大臣 再就職等監視委員会の委員につきましては、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」こういうふうになっております。委員の任命につきましては、国会の同意が得られないという事態は想定はしておりません。
○馬淵委員 済みません、山本副大臣、端的にお答えいただきたいんですが、内閣府の見解として、承認の権限は総理大臣にないということでよろしいですか。イエスかノーでお答えをいただきたいんです。
○山本副大臣 院の同意が得られるように私は努力していきたいというふうに考えております。
○馬淵委員 いいですか、山本副大臣、私の質問をよく聞いてくださいね。私は、内閣法制局にお尋ねをしているんですが、内閣府所管の、所掌の、あなた山本副大臣所管、担当の方なわけですから、お答えいただきたいんです。
私がお尋ねしているのは、内閣府の見解として、内閣総理大臣に承認の権限はないということでよろしいんですかと、こう聞いています。
○山本副大臣 先ほど法制局から話がございましたけれども、一般論としては委員会に対して内閣総理大臣がこれを行使することはできないというふうにお答えになったと承知をしております。
○馬淵委員 いや、副大臣、一般論は内閣法制局がやる。これは有権解釈の立場にないんですから。内閣府はまさに所管ですから。きょうは、内閣府の担当大臣にお越しいただくのは、また理事会等の協議で大変お手を煩わせるということで、副大臣でということで、私はきちっと御答弁いただける、そういう理解をしてまいりましたので、お答えください。一般論は内閣法制局ですよ。
所管ですからね。総理大臣に権限はあるのかないのかで、私はないんですねと聞いているんですよ。どちらでもいいですよ、あるかないでも結構ですよ。お答えいただけますか。
○山本副大臣 委員会が設置されるかどうかというお話かというふうに思います。(馬淵委員「それは違う」と呼ぶ)
○中野委員長 答弁、整理できますか。
では、ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕
○中野委員長 では、速記を開始してください。
内閣府山本副大臣。
○山本副大臣 各省が行うあっせんに対する内閣総理大臣の承認の権限につきましても、国家公務員法等の一部改正法附則第五条第二項の規定によりまして再就職等監視委員会に委任されておりますので、同委員会が専らこれを行使することが予定されておるというふうに考えております。
○馬淵委員 慎重なお答えになったということで理解いたします。
総理大臣にないんですね。今、そういうお答えです。総理大臣に権限はないと担当府省である内閣府の副大臣が今きちっとおっしゃっていただきました。つまり、専らこれは再就職等監視委員会にあるんだと。この法体系の中では、総理に権限があると書いて、そしてそれを委任するとなっていますから、総理の権限を委任する、これが同時に法文として成立をしていますので、総理にはこれはないんだということを今確認していただきました。(発言する者あり)いろいろ言っている方もいらっしゃるので、もう一度、私、確認させていただきましたけれども、どうぞ副大臣、与党の皆さん方にもきちっと説明した方がいいと思いますので、私が確認させていただきます、そうですねということで。イエスかノーかで結構ですよ。
○山本副大臣 繰り返しになります。内閣総理大臣の承認の権限につきまして、国家公務員法等の一部改正法附則第五条第二項の規定によりまして再就職等監視委員会に委任をされております。同委員会が専らこれを行使することが予定されておると考えられております。
○馬淵委員 行使できないということは、権限があっても行使できないんですよ。そのことを今確認させていただきました。もうとにかくこれは再就職等監視委員会でしかできないんです。
山本副大臣、今、与党の中でも理解をなかなかいただけないようなことがあってはならぬですから、これ、有権解釈は内閣府ですからね、お願いいたします。
さてそこで、先ほどお答えの中にありましたように、再就職等監視委員会の委員の人事は、これは「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」となっております。これは先ほどの話にありましたが、委任をするという中で、委任するべき委員はいわゆる同意人事である。これはお手元の資料の1の百六条の八にも載っております。アンダーラインを引いております。つまり、国会同意人事案件、同意人事であるということになります。三月に日銀の総裁人事でクローズアップされた同意人事。民主党を初めとする野党が過半数を持つ参議院の中で、委員の同意人事というものが、これは日銀総裁、副総裁の件もございました、私はまさにその当日にこの委員会でも質問させていただいたわけでありますが、これが不同意となる可能性は排除できないと思われます。
そこで、この国会同意が不同意となった場合は、再就職等監視委員会の委員が任命されないということになるわけでありますが、これは、任命されないという状況でも、この委員会は設置されたということになるんでしょうか。山本副大臣、お願いします。
○山本副大臣 委員の任命について国会の同意が得られないという事態は想定はしておりません。想定しておりませんが、委員会自体は発足するというふうに考えております。
○馬淵委員 委員会は置かれるんですが、委員が存在しないという可能性は排除できないと思われると私は申し上げています。それについてはいかがですか。山本副大臣、責任持ってお答えいただきたいと思いますよ。
○山本副大臣 私どもは、委員を同意していただきたいということで努力をしておるところであります。今後も、私どもは、法に従って粛々と、法にのっとって進めていきたいというふうに考えております。
○馬淵委員 いいですか、副大臣、所管の副大臣でいらっしゃるんだから、さまざまなことをこれは検討しなきゃいかぬわけですよ。
私も申し上げていますよ。何も、同意する、しないなんて私に権限ありませんから。当委員会の中で、こうした問題について私は今整理をしているつもりなんです。その整理の中で、私は、不同意となって委員が任命されない可能性は排除できないと思われる、こう申し上げているんですよ。お願いされても私困るんですね。私にお願いじゃなくて、副大臣、責任持ってお答えくださいよ。
私は、可能性は排除できないと申し上げている。設置はされるんですね。確かに、この百六条の五に書いてあるように、委員会は置かれるんです。しかし、委員が任命されないという状況、そのこと自体は、可能性は排除できない、こう申し上げている。
置かれるのはわかっています。でも、委員が任命されない可能性は排除できません。では、委員が任命されない場合、委員会の議決を経て任命される監察官、これもいらっしゃらなくなるわけですね。そして、この監察官がいないということはどういうことかというと、まさに再就職あっせんというところで、各府省は、あっせんを禁止しているにもかかわらず、国公法でこれを禁止しているにもかかわらず、その規制に関する事項の調査というものが行えない、あるいは離職に関するさまざまな調査を行えないということが起きるのではないでしょうか。
これはお手元の資料の三枚目をごらんいただいたらわかりやすく書いてあると思いますが、調査室の資料なんですが、監視委員会の役割、所掌事務として、離職後の就職に関する規制、離職後の就職に関する規制の適用除外の承認、こういったことが、この委員あるいは委員会で任命される監察官によって調査や検討、承認まで行われるわけですが、これができないという理解でよろしいですか。副大臣、お答えいただけますか。
○山本副大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、同意が得られるよう最後まで私どもは努力をしていくということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
今、権限のお話がございました。委員の任命がされないということでありますと、委員会というものが設置はされておりますけれども、委員会が承認等の権利は行使ができないというふうに解釈をしております。
○馬淵委員 そうなんですね。つまり、機能しないんですよね。
先ほども、私冒頭申し上げたように、官民人材交流センターとこの監視委員会というのは車の両輪のようなものですよ。各府省の縦割りを排除するということで一元化をしていく、そして一方で、それは行為規制も含めてしっかりと監視するんだという、この一方が機能しないという状況になる。
私は、代表質問で福田総理にこの天下り問題についてお尋ねをしました。福田総理は私の質問に対する答弁として、各府省の再就職あっせんを禁止し、官民人材交流センターに一元化するなどの規制を導入しております、また、外部監視機関を設置し、厳格な監視を行うこととしており、改正法の施行に向けて所要の準備を進めてまいります、このように答弁をされたんですが、この外部監視機関である委員会が機能されなくなる可能性も排除できない。そういう環境下で、官民人材交流センターに天下りあっせんを一元化する制度というもの自体が、これは目的を果たせなくなるのではないか、こう思うわけですが、これはいかがでしょうか。副大臣。
○山本副大臣 私どもは、やはり、仮定の話ではなくて、法にのっとって実行できるように努力していくのが我々の責任であるというふうに考えております。
○馬淵委員 内閣の責任は、進めるということの責任のみならず、不測の事態も含めて、私が先ほど来申し上げているように、可能性を排除できないということを十分理解しながら、その対応は検討するのが責任じゃないでしょうか。副大臣、前に進める、進めるという話だけじゃないですよ。現実に起き得たことなんです。
私は、三月十九日の内閣委員会で、渡辺大臣がいらっしゃったので、会見でもお述べになっておられましたから、その会見で述べられた言葉の趣旨をお尋ねさせていただきました。渡辺大臣が担当外であるということも十分理解をしながら、しかし、そのときにどういうことが起き得るのか、これは責任ある立場の閣僚の一員としてお答えいただきたいというふうに申し上げたところ、渡辺大臣は、各省あっせんはできなくなると明言された。つまり、法の解釈であればそうなるんですよね。
改めてお尋ねしますよ。副大臣、これは各省あっせんできなくなるということでよろしいですね。
○山本副大臣 各省あっせんにつきましては、先ほどから申し上げておりますけれども、委員が任命ができないということになりますと、機能が発揮できなくなるということであります。
○馬淵委員 はっきり言っていただいた方がいいと思うんですがね、私は。各省あっせんできなくなるということでしょう、だから。もう一度お答えください。
○山本副大臣 再度でありますけれども、機能が発揮できなくなるということであります。
○馬淵委員 同じことですね。今うなずいていただきましたから結構ですが。
まさに内閣府としても、こういった状況、繰り返しになりますが、可能性を排除できないということに対して、リスクはやはり管理するのがお仕事ですよ。もちろん国会がお決めになることですから、私も一国会議員として国会の行く末というものについては責任の一端は負います。しかし、内閣、政府は、当然ながら、法に定められた所要の措置を進めていくんだという一方で、所要の措置が進められないことも視野に置いて考えられるべきです。お答えいただけないというのは、私は、制度そのものの根幹が崩れかねないということで大変、これは懸念とは申し上げませんが、こういう状況の中で、やはり官民人材交流センターと監視委員会という仕組みの中でそもそもの根本の問題解決というところに実は触れていないからじゃないかなという気がしてならないんです。
こうした今の一連のお話をさせていただく中で、どういうことを考えればよいかと振り返りますと、そもそもの天下りの根本原因となっている早期退職勧奨制度、いわゆる肩たたき、これの廃止というものが根本になければならないのではないか、そこに思い至るわけであります。
昨日も、参考人招致で、さまざまな参考人の方に意見公述をしていただきました。その中でも、田中一昭拓大名誉教授のお言葉の中にも、センターが要らなくなるのが一番いいといったお言葉もありましたが、私は、天下りの問題については、やはり肩たたきの部分について是正というものが最も重要ではないかと思っております。
そして、当委員会でも、先週の五月の十四日、これは田端委員が指摘をされた部分でありますが、肩たたきの関係、天下りということについて、これは早期退職勧奨ということと裏表の関係にある、このようにおっしゃっておられます。そして、そこについては一体どのような是正がなされているのかということのお尋ねの中で、平成十四年の閣僚懇の申し合わせについても指摘をされました。
平成十四年でありますから、もう古い話でありますが、五年間で、平成二十年度、つまり今年度に向けて肩たたきを是正していこうということで、在職日数を延ばしていただこうということで、これは平均三歳以上高くする、そうした閣僚の申し合わせで進めてきた。しかし実際は、この五年間で三歳以上にはなっていませんよね。
これは、数字をちょっと言っていただきたいので、事務方で結構ですから。三歳以上と言っていましたが、実際には何歳ということでしょうか。事務的な数字で結構ですから。数字だけでしたら参考人でも結構ですし、渡辺大臣がお答えいただけるんですか、どなたですか。
○藤井政府参考人 突然のお尋ねですが、先生の資料にも書いてございますとおり、平成十八年度の数値で五十五・八歳となっております。平成十四年前は五十四・四歳ということで、一・四歳の上昇ということになっております。
○馬淵委員 議事録に残したかったので政府側に言っていただきましたが、つまり、努力されている、前回、五月十四日の委員会の答弁でも、努力しているんだという話でありましたが、やはりこれは是正に対しての本気度というのは私は低いんじゃないかなという気がしてなりません。
そこで、肩たたきの部分については、政府の対応というのは私はちょっと弱いのではないかという気がいたします。渡辺大臣は、昨年の国公法の一部改正のときには、いわゆる官民人材交流センターを設置することによって早期退職勧奨制度というのはなくなるんだということを盛んにおっしゃっておられました。いや、むしろ自然になくなるんだという言葉もありましたが、一方で、主体的なお言葉も発せられていたというふうに私は理解をしております。
昨年の参議院での内閣委員会、これは十九年の六月二十八日、我が党の直嶋委員の質問に対して渡辺大臣は、これは国公法の一部改正なんですが、「この法案成立後においては早期退職勧奨制度はなくしていくという局面に入る」、こうおっしゃっておられます。すなわち、制度をつくるということは、立法趣旨として、なくすんだという強い意思をこの御答弁にいただいているというふうに私は理解をしているわけでありますが、残念ながら、現行ではほとんど実効が上がらない状況である。
そこで、これは今のお立場としてはかかわるものでないかもしれませんが、昨年、立法時に担当大臣としていらっしゃったそのお立場で、もう一度確認をさせていただきたいんです。これはやはりなくしていくんだという強い主体性を持って進めていくということでよろしいんでしょうか。それとも、これはもう制度に任せるのだということなんでしょうか。ここをちょっとはっきりと言っていただきたいんです。
○渡辺国務大臣 昨年の審議の中で私が申し上げましたのは、能力・実績主義を徹底することによって、現行の年次主義、年功序列人事慣行がなくなっていくはずである、またなくしていかなければならない、そう申し上げました。
年功序列があるがゆえに、五十何歳かになりますと、同期横並び、昇進のポストがなくなってしまうわけでありますから、外側に押し出す。それが肩たたきと天下りのメカニズムであります。
まさに、昨年、能力・実績主義の法改正を行っていただきました。そして、今回の基本法案では、定年まで勤務できる環境の整備を行おう、あるいは定年の引き上げ、また役職定年制の検討なども取り組むべきことを規定しております。
こうした制度的な改革を進めていくことによって、まさに今回、各省縦割り主義の打破ということも掲げております。そういたしますと、こういうワンセットの天下りの構造問題が解決をされていくわけでありまして、当然そうした中で従来型の肩たたき慣行というのはなくなっていくはずでありますし、またなくしていかなければならないと考えております。
○馬淵委員 私どもの対案は昨年お出しをしましたが、この肩たたきについて、まずこれが根源なんだということで、制度がありませんから廃止というのは変な話で、禁止といういうことで明確に我々の法案では示しました。その趣旨については御理解をいただきながら、能力・実績主義という方向で進めていくんだという御答弁だと理解をいたします。
ここの部分は、とにかく遅々として進まなかったわけですから、これが置き去りにならないように、ぜひしっかりと監視をしていただきたいと思うわけであります。
さて、この能力・実績主義という部分に入ります。
これについては、能力・実績主義を実現するために所要の措置を講ずるということで、例えば、昇任、降任等あるいは降格、降給等々、いわゆる人事の中で最も重要な成果主義、成果によって評価される。もちろん、頑張ったけれどもだめだった、その結果においては、時には厳しい人事の評価もなされる。これによって組織が活性化するという能力・実績主義という部分は、第十条という形で定められていると理解をしております。
この本法案の第十条については、私どもの松本委員が先週の質疑で大臣にお尋ねをしました。渡辺大臣はここでは、「基本法の成立後、降格、降給のあり方を含め、能力及び実績に応じた処遇が徹底されるような給与の見直しを行う」、こう答弁されているわけです。つまり、具体的には成立後ということであります。
そこで私は、基本法を成立させてから考えるとおっしゃっていますが、現行の人事制度とはどういうものかということをきちっと整理しておきたいと思うんです。
きょうは、現行の人事制度で、いわゆる降給、降格とかあるいは昇任も含めたものがどのような形で決まるかということについて、関係する行政機関にお越しをいただいております。それぞれに端的にお答えいただきたいと思うんですが、まず、総務省の行政管理局にお越しをいただいております。人事の組織なりを考える上で、行管局のかかわる所掌ということについて、端的で結構ですから、まずお答えいただけますか。そしてその後に、続けてで結構ですが、財務省主計局にお越しをいただいております。財務省も深くそこにかかわってくる、さらに人事院もかかわってくるということで、三つの行政機関にお越しをいただいておりますので、それぞれ端的にお答えをいただきたいと思います。
○宮島政府参考人 総務省の行政管理局では、行政組織の新設、改正及び廃止に関する審査を行っております。
具体的には、行政組織は予算措置と密接に関連するものでございますので、予算編成過程におきまして、予算編成とあわせまして作業しておりまして、各府省から提出された要求につきまして、スクラップ・アンド・ビルドあるいは簡素効率化、変化への対応など、いろいろな観点から審査を行っているところであります。
○木下政府参考人 お答えいたします。
行政機関の定員それから機構、組織でございますが、審査については、今ほどお答えございましたように行政管理局が行っているところでございますが、一方で、それが予算と密接に関連することから、財務省においても審査を行っております。
このため、財務省においては、行政管理局と財政当局の立場で密接に連絡調整を行っております。
○吉田政府参考人 人事院では、給与法に基づきまして、職員の職務、職責に応じた適切な給与を支給することができるように役職ごとに給与上の評価を行いまして、級ごとに定数を設定しております。いわゆる級別定数と言われているものでございます。
○馬淵委員 今、三つの行政機関にお答えをいただきました。端的にわかりやすく御説明をいただきまして、ありがとうございます。
つまり、組織を改編あるいは新設していくときには、そのような所掌事務を行う組織の新設が必要かどうか、行政上の組織あるいは役割、役職などの設置については、行政管理局が組織肥大化を防ぐためにしっかりとそこは査定をする。これは、機構・定数要求というような形で当該府省から要求が出てきた場合に、その要求を受けて、総務省行管局においてこれを査定、ヒアリングをする。そこに、当然ながら財政当局は、予算がかかわってくる、組織をつくるということは人が発生します、当然経費も含まれてくるわけですから、財政当局としてもそれを全く無視するわけにはいかないということで、主計局もそこに連携をしながらこれを見ている。さらに、人事院は、今度は、そういう組織の中で課長だとかあるいは係員、係長とか、その役職の方々を給与上どういう級別にしていくべきなのかという評価、給与上の評価ですね。さらに、いわゆる号級制の中で、これでお給料が決まるわけですが、各級は何人置くかということの定数を設定する、いわゆる級別定数を設定する。こういう仕組みになっているんですね。
つまり、一府省がさまざまな、渡辺大臣がおっしゃるように、能力・実績主義でこういう形でやっていくんだとしても、この三つの行政機関による査定を受けることになるわけであります。
この三つの行政機関の査定、特に行政管理局の方はスクラップ・アンド・ビルドというふうにおっしゃっておられましたから、ただ単に所掌事務がふえたので、あるいは新たな行政サービスを展開するために組織を設置するというときには、単に純増はだめですよということで、そこは厳しく組織全体を見ているということでありました。また、総定員も当然ながら行管局で見ておられるわけでありますが、スクラップ・アンド・ビルドですから、単純にはふえるというところの要求は出てこない。出てくることもあるかもしれませんが、通常出てこないという前提になる。そうなりますと、では、一番硬直的になるのはどこなのかというところの疑問が私としては出てまいります。
そこで、お手元の資料、5、6とお配りをしましたが、5の部分は今、各行政機関から説明を受けたものでございますが、一枚めくって6のところ、級別定数の例ということで指し示しておりますが、人事院さんにお出しいただきました。
例えば、ある府省の局ですか、一般会計という形で、行政職の俸給表というものはこういう形でつくられる。一級から十級までありまして、十級、九級、八級、これはそれぞれ課長あるいは室長という形でその役職名が付されています。つまり、役職と俸給という部分は実は別でして、ただし、その役職の評価の中でこの俸給が当てはめられる。ここが人事院のお仕事としてされている部分である。これをごらんいただければ、つまり、八級の行政職の方は課長レベルですね、ここで見ますと。これは十五という総数が定められているということになります。
渡辺大臣、基本法成立後、所要の措置を講ずるとおっしゃっておられましたが、つまり、単純じゃないんですよ。行政管理局、あるいは財務省、これはお金のことですから一番重要でしょう、どっちが一番、上かどうかというのは別として、これは当然大もととなりますよ。
そして、この俸給表の中で、号級表の中で行政職の級別定数を設定していくということも、人事院としては、これはお配りの資料の5にありますように、重要な勤務条件の設定であり、また、昇格管理、単に管理職がついつい部下を、上げる分は楽ですよ、下げるのはきついねということで、上げるときに人件費の膨張、皆上げてしまうようなことのないようにということで、これもよく理解をいたします。こういう役割の上で級別定数を設定しているということであります。
しかし、これは民間はどうかということを考えますと、民間では、行政サービスを提供する機関と民間とは違うというのはよくわかっていますよ、しかし、民間の知恵ということで考えれば、これはまずは予算ありきですね。その予算の中で自分が抱える部署の人をふやしていこう、あるいはこの部門に特化していこうという中で、ただ単にやみくもに違う部署をつくっていこうとすると、それはほかの予算が厳しくなっていきますので、人件費だけでなくほかにも予算はありますので、その厳しい予算の中ではやはりスクラップ・アンド・ビルドは当然ながら自動的に行われますよ。さらに、そこで、厳しい人事管理の中で実績と能力に見合った評価というのを時にはこれは厳しくせざるを得なくなります。
私は、現状、この行政機構で、基本法を定めて、これから所要の措置を講ずるとおっしゃっておられても、この三つの行政機関の三つどもえの状態の中で、果たして当該府省が本当に能力と実績に見合った人事制度を構築することができるのかということは非常に懸念材料として持っております。
そこで、まず渡辺大臣にお尋ねしたいのは、このような三つどもえの煩雑な手続と言ったら怒られるかもしれませんが、大変ですよ、関係部署が三つあるわけですから。そこでこれは査定をしながら、交渉といいますか、議論しなきゃいけないわけですが、こういう実態というのを大臣は認識されておられるのかということと、そして、されておられるのであれば、私はこの級別定数だけとは言いませんよ、行政管理局、申しわけないが、ひょっとすると行政管理局の機能も、ある意味、一元化していくような形で、よりスリムな形に持っていく方がいいのかもしれません。このようなことも踏まえて、現状の認識をお持ちなのかということと、この現状認識の中では、この三つどもえの査定という仕組み、これをお変えになるという意思はおありなのかということについて、大臣にお答えいただきたいというふうに思います。
○渡辺国務大臣 専門調査会の議論をやっておりましたときに、責任の所在という観点からいろいろな御意見が出されました。一体だれが責任を持ってこの国の公務員制度を運営しているんだ、やはり、ばらばらに分かれている今の体系については相当問題があるではないかという議論でございました。
今回、内閣人事庁を設置いたします基本法成立後の制度設計にゆだねられている部分も相当多うございますけれども、まさにその具体化の中で、どこからどこまで権限を移行するか、そういう議論が集中的に行われるものと思います。
○馬淵委員 こういう、三つどもえと言ったらおしかりいただくのかもしれませんが、関係行政機関が三つあって、その中で人事制度が硬直化しているのではないかという私の問いかけに対して、そういう認識はおありですかということ、ひとつこれを端的にお答えをいただけませんか。
○渡辺国務大臣 今回の基本法では「内閣人事庁は、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負う」としております。その責任を実効的に果たすためには、人事管理に係る各制度を内閣人事庁が所管する必要がございます。
今、委員が御指摘になられました問題認識の中で、まさに人事庁を設置いたしますときに大いに議論をしていかなければならない問題がたくさんあるかと思います。
○馬淵委員 御認識をお持ちだという理解をいたします。
そして、これは本当に大変なことなんです、この三つの行政機関、今の仕組みを変えていくということは。きのうも私も何度もいろいろお話を伺うと、では業務プロセスはどうなっているんだ、行管局と財務省と、そしてさらには人事院、三つを連携しながらというのは大変ですよね、業務プロセスがあるでしょうとお聞きしたところ、いや、もう長年やってきたのでそれは連携しながらという、この言葉のみなんですね。実際、そうだと思います。恐らく、こちらに聞きながら、順番に当たって、これが済んだから次へというプロセス的な形には、余りきちっと明確には分けられないのかもしれません。
ただし、私はそれはやはり問題だと思う。能力・実績主義を実現していこうとするならば、よりシンプルな人事、組織の改廃なり設定ができるようにしなければならない、評価ができるようにしなければならない。現行のように、幾ら大臣が縦割り行政の弊害の排除とおっしゃっても、現実に査定権でかかわってくるわけですから、私は、ここは相当の覚悟を持って取り組まねばならないと思います。
そこについては、この今の現行制度、これを変えるんだという決意をお持ちなのかということで、もう時間も余りありませんが、お答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 基本法の第十一条二号においては「総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、内閣人事庁がその担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、内閣人事庁に移管する」と規定をいたしております。当然、現行の制度を見直しをしていくという決意がここに書かれているわけであります。
○馬淵委員 私はそこは大変な難関だとは思うんですが、ぜひこの級別定数等々、すべてこの三つの行政機関の査定というのが硬直化につながりかねない、もちろん当時のこの制度設立のときには、その趣旨、私はあったと思いますが、今のようにスピーディーな対応が求められる時代でありますから、そこをしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
残りのまだお聞きをしたい部分、この観点についてはございましたが、時間となりました。きょう私の方で質疑させていただきました十条の部分については、また機会があれば私もあるいは同僚議員からの質疑もさせていただくと思いますし、さらには、この基本法、国公法の改正の中で私が指摘をしてきた天下り問題については、これは関連する話ですから、担当でいらっしゃる山本内閣府副大臣、この問題については終わったということではなく、しっかりと不断の監視を続けていただきたいということを申し添えて、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、楠田大蔵君。
○楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。
本日、議題となりました国家公務員基本法の法案に関しまして、私自身は初めて質問をさせていただきます。
既に長く質疑も続いてきたところでございますが、かつて官僚出身の方々が内部を知った上での観点で質問をされておられる方も多くおられましたし、まさにならなかった方で民間で活躍をしてこられた方も多くおられたと思いますが、私はそのどちらでもない、なれなかった者でもありまして、実は、大学時代、試験に落ちた経験があるわけであります。大臣も司法試験に長く落ちられた経験もあるとお聞きしていますので、そうした観点というのはわかっていただけるんじゃないか。その分、ひときわ制度に対する思い入れというのも実はあるという思いも持っております。
それはそれとしまして、今回の基本法というのはいわゆるプログラム法という形であって、あくまで具体像はこれからということになっておりますが、先ほど馬淵委員からもお話がるるあったとおり、だからこそ、この改革にかける思いの強さ、ロマンといいますか、そういうものも試されますし、今後の方向性というものがしっかりしていないと、むしろ大変な中身のないものになってしまう可能性もある。全体像を敷衍していくということも非常に大事だと考えております。
また、正統性というのもこのプログラム法に関しては非常に重要な観点だと思っておりまして、レジティマシーといいますか、政治や世論の一時的な感情でやるものではないということも実は思っている一人でもあります。
そして何よりも、福田政権、そして渡辺大臣がこの大改革をやるにふさわしい内閣、そして大臣であるかということがまさに国民に問われている、官僚にも問われていると言っても過言ではないんじゃないかなと思っております。
そうした観点から質問に入りたいと思いますが、その中でまず、そもそも福田内閣の姿勢として、ふさわしさを疑わせると言っても過言ではないと思いますが、六月一日からヨーロッパ訪問を決められたということであります。この間、紆余曲折はありましたが、定例日以外も使って、予備日も使ってこれだけ審議をしてきた、修正協議をしてきた、そういう中で、なぜこの時期、総理が外国に行かれるのか、外遊されるのかということは、私はその姿勢を非常に疑わせる事態ではないかとも思っておりますが、大臣、この点に関してはまずどのようにお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 外交日程というのはこちらの都合だけでは決まらないんだろうと思います。相手のあることでございますから、そういったもろもろのことを勘案して御判断をされたものと思います。
○楠田委員 失礼ながら、もっと踏み込んで言えば、サミットというものは、そもそも、実際に会議の時点ではほぼみんなが反対しないことでまとまるということも慣例としてあるわけでもありますし、事前の顔合わせというのがどこまで必要であるのかなと。
やはり日本人としましては、明治以来連綿と続いてきた官僚制度ですから、これを根本から変えるということに対して、そうした、相手があるといえども、延長もしないという方針も少しあるようですから、総理自身がしっかりとこの国会で取り組んでいただきたかったなという思いもあるわけであります。大臣自身もそういう思いがあると思うんですが、もう一度、踏み込んでお答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 福田総理は、この法案をぜひ今国会で成立させていただきたいという強い思いを語っておられます。私も同様でございます。福田内閣を挙げて、この法案を国会にお示しし、そして今国会での成立を心よりお願いするものでございます。
○楠田委員 総理自身にこの姿勢を伺うということも当然やっていただきたいとも思っておりますので、そういう、日程がタイトな中で、ぜひ実現をしていただければと思います。
また、まず、そもそも今回の改革の一つの観点として、今、有為な若い世代、学生が官僚という仕事、国家公務員という仕事を目指す改正にもう一度なるかということも一つ重要な観点だとも思っておりますが、実際、今の現状認識としては、現状としては年々大幅に志望者が減り続けているわけであります。
そもそも、なぜこれだけ官僚志望者は近年減り続けて、また、私の同級生というのは大体平成十二年、二〇〇〇年に入省している人間が多いのですが、そうした中でもかなりの人間がやめていっております。なぜ若い官僚がやめていくのか、この点について、まず大臣の御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
○渡辺国務大臣 人事院が行ったアンケートによりますと、国家公務員を希望しない学生は、その理由として、保守的で、創造的な仕事ができそうにないといった仕事面に加え、残業が多く、私生活との両立が難しそうだといった点も挙げられているわけであります。
平成十三年に行革事務局で行った各府省の若手職員等に対するヒアリングの中で、早期退職者からも意見を聞いております。早期退職の理由として、仕事量に見合った人員が確保されておらず、過酷な超過勤務が続く中で健康面に不安を感じたといったことが挙げられております。
○楠田委員 あくまで人事院のアンケートということでありましたが、それも大臣の、まさにそれが現実だという認識でよろしいでしょうか。
○渡辺国務大臣 若手の職員から時たま私が聞かされる話は、例えば、民間と非常に違うところに落差を感じたり、あるいは、公のために尽くす、そういう高い志を持って入ってきたのが、国会待機などによって徹夜徹夜に近い仕事を強いられるとか、あるいは今の時代に合った企画立案を行おうとしても、先輩が天下り先にいる事業は廃止することができないなどという理由で新しい政策の提言がけられてしまったりとか、そういったもろもろの、今の時代にふさわしくない実態について聞かされたことがございます。
○楠田委員 そうした、御自身のお言葉でお答えいただいて、ありがとうございます。
こうした現状に対して、対応策としては、まず十条で述べられているのかなという気もしますが、業務の簡素化計画であるとか、超過勤務を是正させるために管理職の方の評価に影響させるであるとか、初任給上げをさせるであるとか、能力給の導入等々、こうしたことも出ておりますが、先ほどのお話とも重なりますが、こうしたことで実際解消されてくると思われますか。
○渡辺国務大臣 今御指摘になられました今回の基本法案においては、業務の簡素化のための計画の策定、職員の超過勤務の状況を管理者の人事評価に反映させるための措置、優秀な人材の確保を図るため、職員の初任給の引き上げ、職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置を講ずることにいたしております。
まさに、こうした措置を講じていくことによって、さきに挙げましたいろいろな問題点、現実の不合理さというあたりが改善をされていくものと思います。若くして志を高く持って公務に入ってくる人たちが意欲と誇りを持って働けることを可能にする、そういうのが今回の基本法の理念でありますし、そうした仕掛けがちりばめられているものと考えます。
○楠田委員 実は私も久しぶりに、官僚をやめて外資系の金融機関に勤めている仲間に連絡をとったんですが、その彼も言っていたのが、自分の専門性、例えば留学等々して関心を覚えて、修士等々の資格も備えた、日本に戻ってきて、まさにそういう仕事につきたいという希望を言っても、行き過ぎたゼネラリズム、硬直的なゼネラリズムの中で、やはり全部署を回るべきだ、その中で適性を見るということをかたくなに思っておられる、そういう人事体系もあるようであります。また、年功序列で適材適所というのができない、そういうこともあるようであります。
今回、府省を超えた、もしくは採用区分を超えた流動性というのは非常に述べられておりますけれども、それ以前に、その省庁内部でもそうした仕事の意欲を伸ばしていく、先ほど意欲と誇りという話もありましたが、そうした観点自体が既に抜け落ちているのではないかという思いもいたしております。そうしたことに関しては、後々の質問でも触れていきたいと思っております。
先ほど、人事院のアンケートの中でもあったということでありますが、仕事量の割に人員が少ないということを述べられた早期退職の方もおられたということでありました。そもそも、やはり行政というものが肥大化し過ぎているといいますか、近代化が進むにつれて肥大化してきたというのは歴史の事実でありまして、そうした歴史の流れをどう見るかというのも非常に重要なことだと思っております。
本法案をつくるに当たって、そもそも、大きな政府を志向されるのか、それとも小さな政府を志向されるのか、どちらでもないのか、そうした方向性というのはどういうふうに大臣自体はお考えでしたでしょうか。
○渡辺国務大臣 行革推進法にのっとって我々はいろいろな行政改革を進めてきております。今回の公務員制度改革もまさにその一環であります。行革推進法においては、簡素で効率的な政府を目指すという理念が書かれておりまして、まさにその方向性を持った今回の改革でございます。
○楠田委員 簡素で効率ということでありましたが、諸外国等を見ましても、効率を追い求めるばかりで公正さがなかったということは非常に今指摘をされているところでありますが、それは一つの補足であります。
そうなってきますと、前々回でしたか、馬淵委員の方からも大分突っ込んで質問があったところ、簡素で効率、小さな政府を目指すということであったと思いますが、そうであるとすれば、適正の採用人数、特に総合職、今六百人ほどと言われておりますが、例えばきのうの参考人質疑の中では、堺屋太一参考人は、適正数というのは行政のニーズに応じてである、これから研究をしていくという話もありましたが、こうしたことに対しては、大臣、今の時点でどのように考えておられますか、適正な規模。
○渡辺国務大臣 今回の基本法においては、試験の種類についての規定はございますが、採用の規模については触れておりません。まさしく委員が御指摘になられたような問題認識も踏まえながら、基本法成立後に検討をしていくことになろうかと思います。
○楠田委員 この点は、馬淵委員の質問の中で、まずこの時点では変わらないということもあえて述べられておりましたが、先ほどの話で、簡素で効率ということを志向されていくのであれば、やはり流れとしては、トレンドとしては規模は縮小していく方向であるのかなということも考えますが、この点に関してはどうでしょうか。
○渡辺国務大臣 行革推進法では、簡素で効率的な政府を実現することが喫緊の課題であることにかんがみ、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革について定めております。まさにこの理念にのっとって、公務員制度改革が行革推進法の第六十三条においても規定をされているわけであります。総人件費改革やその他の重点分野における改革において実施される行政の組織及び運営の見直しとあわせて、これらを担う公務員に係る制度の改革を推進していこうという規定でございます。
○楠田委員 そういうことでありますので、恐らく今の話では、規模は縮小していくという大臣自身の思いだったのかなと判断させていただきます。
書生論ばかりで恐縮でありますが、そうした中で、そもそも行政の定義というのを御存じでしょうか。
○株丹政府参考人 適切なお答えになるかどうかでございますけれども、一般的には、御案内のとおりに三権でございますので、行政といいますのは、立法それから司法、それ以外の分野、非常に幅広いということでございますけれども、これを行政というふうに称しておりますし、またそういう認識であろうかというふうに存じております。
○楠田委員 済みません、意地悪な質問だったかもしれないんですが、私も久しぶりにちょっと教科書を見たものですから、そうした質問をさせていただきました。
立法、司法、行政とある中で、要はこの三権の中で立法と司法を控除した残余の部分を指すというのが、控除説というか消極説と言うみたいですが、これが多数説のようであります。
そう考えますと、近日問題となっております、年金の膨大な事務の量でさまざまなミスが重なっていた、福祉国家の中でそうした行政が追いついていない部分が数多くあったということもはっきり言えると思いますし、この委員会等でもたびたび問題になります治安の問題等々、警察の人員等々を考えましても、行政というのは非常に範囲としては広がっているということは間違いなく言えるんじゃないかとも思っております。
そうした中で、改めてお聞きをしますが、行政というものが年々広がっていく中で、先ほど申された簡素で効率ということ、そもそもの話でありますが、この官僚制度においても、国家公務員制度においても、本当にそうしたことが必要もしくは実現可能かということをもう一度お聞かせいただけますか、大臣。
○渡辺国務大臣 行政改革というのは不断の見直しが必要であろうかと思います。当面、我々は、行革推進法の規定に基づきましてさまざまな改革を進めているところでございます。今回の公務員改革もまさにその理念にのっとって行われるものでございます。
○楠田委員 私は決して改革に反対をするわけでも当然ありませんし、銀行出身でもありますので、そういう民間の観点からもこうした制度見直しというのは非常に重要であるなと思っておりますが、冒頭申しましたように、やはりこの官僚制度なり国家公務員制度、公務員制度自体をどのようにとらえていくか、全体としてとらえるということが改革において非常に重要なことであるなという思いがあるものですから、あえてこの点も確認をさせていただきました。
また、本法案と地方分権との関係でありますが、国と地方の役割分担で、特に現在は地方分権改革推進委員会というのが非常に物議を醸しているようですが、この会との協調体制等々、こうした国と地方の権限配分との関係、今回の基本法を出されるに当たって何か協力関係があったでしょうか、そうした話し合いはなされたでしょうか。
○渡辺国務大臣 平成の時代に行ってまいりました構造改革というのは、端的に申し上げれば、中央集権から地方分権へ、官僚主導から政治主導へという大きな流れを基本としているわけでございます。したがって、今回の公務員制度改革も、その大きな柱の一つが、各省割拠主義の打破を目指すものでございます。そのために内閣人事庁を設置し、職員の育成、採用を府省横断的に行うなどし、政府全体の立場に立った日の丸官僚を育成、活用していこう、内閣としての一体性を確保していこうとするものでございます。
今回の基本法に書かれました改革が実現をしていく過程で地方分権改革などが円滑に進んでいくものと考えております。
○楠田委員 私は、その順番は決定的に違うと思っていまして、国と地方の権限配分、法制的な仕組み、個別の行政分野、事務事業の見直し、国の出先機関の見直し等々、こうしたものが地方分権改革推進委員会でも議論をされ、間もなく第一次勧告が出されるということでありますが、そうした権限配分を考えて初めて国家公務員の官僚の適正な規模というのが見えてくるんではないかと思っております。そうした議論と非常に密接にかかわってくる問題ではないかと思っておるわけです。
もう一度この点、私の思いに関して、大臣から御見解をお聞かせいただけますか。
○渡辺国務大臣 どちらの立場から考えるかという説明の違いではないでしょうか。私は、担当大臣として、今回の公務員制度改革の方から分権改革を述べただけでございます。一方、分権改革の方から見れば、まさに今委員が御指摘になられたような発想もあり得るものと考えます。
○楠田委員 私が言っておりますのは、地方の権限を先に決める、もしくは国の権限を先に決める、その順番はそれぞれあると思うんですが、あくまで、官僚機構なり国家公務員機構を決めるというのであれば、国の役割をどういうものに置くのか、やはり巷間、我が方なり小沢代表等がかつて言われ続けているように、外交、防衛等々、そうしたものに特化した国の形を志向するのかどうか、そうした話が地方分権云々以前に、以前にといいますか、あわせて議論されることが必要ではないかなということであります。
この点、もう一回お答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 分権改革は、増田大臣が精力的に進めておられます。私も基本的に大賛成でございまして、増田総務大臣とは連携をとりながら、この公務員制度改革を進めてまいりたいと考えております。
○楠田委員 私としましては、国がやるべき部分というのをぜひお答えいただきたかったわけでありますが、時間も限られておりますので、次に進ませていただきます。
この点は既に触れた方も多かったんですが、本法案と政と官との関係ですが、国会議員の数と、議員スタッフであるとか政治任用職の拡充、ルール化であるとか、こうしたこととの本法案の関係は改めてどのようにお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 今回の公務員制度改革の目的は、国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員がその能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することであります。
今回の改革はまさに霞が関改革とでも言うべきものでございまして、政治主導を強化する次のステップ、例えば民主党が主張されておられる副大臣、大臣政務官などの増員については、大きな方向性は決して違っていないと考えております。
○楠田委員 今回も次のステップであるというお答えだったと思います。
共有をしていただいていることが確認できたことは有意義でありますけれども、ここまで、まさに少し書生論的な話でもありましたが、私自身は、この法案と、大きな政府か小さな政府か、そうした中で行政というのをどのようにとらえていくか、また、国と地方の権限配分をどう考えているか、また、政と官との関係をどう考えておられるか、この点に関してはやはりいささか心配といいますか、詰め切れていないんではないかなという印象を持ったところであります。
冒頭申しましたように、官、霞が関を考える際に、そうした全体的な中での霞が関の役割ということを考えることは我が国にとっての非常に重要な戦略だと思っておりますので、今後の議論にゆだねるということなのかもしれませんが、もっともっとそうした詰めた議論は必要じゃないかな、また、これを同時並行的に行うことが、そして一気に行うことが必要ではないかなということを私自身は思っております。
そうした思いを持ちながら、個別具体の部分についても触れさせていただきたいと思います。
これも既にるる出てまいりましたが、幹部職員の任免というところであります。五条一項、二項関係でありますが、幹部職員の適格性の審査ということ、この適格性をいかに審査するかということを、既に聞かれた点でもありますが、もう一度大臣からお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○渡辺国務大臣 幹部職員の適格性審査は、内閣人事庁が、これらの者が幹部職員としての能力、適性を有しているかという観点から行います。具体的な審査基準については基本法成立後に検討いたしますが、幹部職員には、常に国民の立場に立って職務を遂行する者、各府省の立場を超えて政府全体の立場に立った視野を持つ者が任用されるべきであります。
内閣人事庁による適格性審査は、候補者名簿の必要に応じた作成とともに、内閣としての一体性を確保できるよう、各大臣が幹部職員の人事を行うに当たっての支援の一つであります。
○楠田委員 国民の立場に立って、また、各府省の、省あって国なしではなくて、内閣の立場に立ってという話もありましたが、あくまで精神論的にこうしたことを述べさせても、宣誓をさせても決して変わらないものであると。
そうした中で、先ほど触れられました、内閣人事庁で必要に応じて人事案をまず出すことができる等々のことでこうした姿勢を保つことができるということだと思いますが、しかし、今までの質疑でもありましたように、既に閣議決定を要しているわけでありますし、結局は各省の名簿に沿ったものになる。時の政権、また官房長官の姿勢によってはそうなり得るということも指摘をされたところでありますので、この点については、もう改めて聞きませんが、精神論だけではない、そうした実際の担保を得るようなものにしていかなければならない。
そうした中で、では、少し視点を変えまして、第十条などにもありますが、また、これまでの改正、昨年の改正でも取り入れたと大臣がたびたび強調されている能力、実績の評価、各法律改正も絡む問題でもありますが、この能力、実績の評価というのは具体的にどのようなものでありましょうか。
○渡辺国務大臣 昨年御議論をいただきました改正国家公務員法において、新たな人事評価は、職務を遂行するに当たり発揮した能力及び上げた業績を把握して行うこととしております。
具体的には、まず、能力の評価については、職務の種類及び課長、課長補佐等の職制上の段階に応じて標準職務遂行能力を定めた上で、実際にとられた職務行動の状況に基づき評価をいたします。また、業績の評価については、個々の職員ごとに組織の目標を踏まえた目標を設定し、その達成度を評価いたします。現在、この制度設計を進めているところであります。
○楠田委員 その中で、今、既に試行されている段階として、それぞれの目標をコミットメントさせる、それぞれのミッションを挙げさせてコミットメントさせるということは既に始まっているようでありますが、ただ、当然、私も民間での経験からしますと、計数的に何か利益等々で数字を出すということとは恐らく全く違う世界だろうなと。
先ほど、標準職務遂行能力等々、組織の達成度等という話もありましたが、その標準職務遂行能力であるとか組織の達成度というのは具体的にどういうふうにあらわしていくのかということについてまでお述べいただけますでしょうか。
○株丹政府参考人 今御指摘いただきましたように、また大臣が御答弁申し上げましたように、昨年の法改正で新たな人事評価というものを導入することとしてございます。
御案内のように、これにつきましては、それ以前から関係方面の協力も得ながら試行を続けてきてございます。法改正をいたしましてからさらにその試行を続けておりまして、現在、法律的に言いますと、来年の夏までの間に新しい人事評価というのを完全に実施していくということでやってございます。
そういう中で、お尋ねがございました標準職務遂行能力でございます。これにつきましては、法の中でもそのことに触れてございますけれども、その前提としまして、今回の新しい人事評価につきましては、能力の評価というものと業績の評価というのをやってもらう。その際、能力の評価につきましては、まずは職制上の段階について標準的なものというのを定めていく。その職制上の段階に応じまして、どういうような能力があればその職制上の段階にふさわしい職務を遂行できるのかということを定めてまいりまして、具体的には課長であるとか課長補佐ごとに詳細なものを定めてまいりまして、それを、これまでトライアルの形で実際にチェックをしながら進めてきておるということでございます。
○楠田委員 ちょっと、時間も限られておりますので、それでは、こうしたことをすべて決めていく中で、私は、官僚の政治との関係、官僚の中立性をいかに保っていくかということも非常に問われてくるんであろうなと思っております。
既に、官僚が上の方を見てといいますか政治家の顔色をうかがいながら行動している、そうした人が重用されるということは出ているようでありますが、内閣人事庁という巨大人事権限を持った官庁が生まれれば、むしろ政治に非常に近くなり過ぎる、中立性が保たれないということも可能性としてあると思いますが、それでもよいとお考えであるのかも含めて、大臣から御見解を伺えますでしょうか。
○渡辺国務大臣 今回の改革プランの基本は、真の議院内閣制のもとでのあるべき国家公務員像を目指しているものでございます。議院内閣制という言葉自体が、我が国の法律の中には今まで一度も出てきたことがございませんでした。今回、まさに本邦初出場という形でこの議院内閣制が本法案の中に登場したわけでございます。
そうした理念に基づいて、内閣人事庁の仕事の一つとして適格性審査が行われます。幹部候補者の名簿を必要に応じて作成することもいたします。まさに内閣としての一体性を確保し、各省縦割り、割拠主義の弊害を打破していこうとするものでございます。内閣の一員たる各大臣が幹部職員の人事を行うに当たっての支援の一つでございます。
したがって、こうした観点からの仕組みでございますから、まさに国会が内閣をつくり、その内閣が各省をコントロールするということであって、この理念、方向性は間違っていないものと考えております。
○楠田委員 時間が参りましたので、まだ、採用、研修等もお聞きしたかったわけでありますが、るるお話をお聞きしておりまして、国家公務員改革、官僚改革、さまざまな要素が絡んで、それらすべてをやはりセットで一気に行うべき、しかも、我田引水ですが、政権交代という大変革と同時に一気に行うべきものだという思いを私は持っておりますので、そういう思いを披瀝しまして、これからも徹底審議に努めることをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木隆博でございます。
この国家公務員制度改革基本法も、何度か質問に立たせていただいております。論点もかなり整理をされてきているのではないかというふうに思っております。
一つには、入り口の選別をどうするかという問題があって、ここには、学歴、キャリア、横並びというような課題があるのかな。その反対側にある出口の、あえて言わせていただければ保護についてどうするのかなというところで言えば、定年制の問題と天下りの問題というのがこれまたセットであるのではないか。その入り口と出口の中にあるこのプロセスの中で言うと、一つは、能力・実績評価という制度、これの仕組みをどうするのか、あるいは、評価する側、される側にとってわかりやすいものであって、同時に、公開性が保たれるのか。
もう一つは、やはり私は労働基本権の問題がどうしてもこれは大きな課題としてこのプロセスの中できちっと整理をしなければならない課題ではないかというふうに思っているわけでありまして、その労働基本権と、大きなことで言えば、今大臣からもお話がありましたが、官僚から議院内閣へ、あるいはそこの官僚のコントロールの仕組みなどについてもあるわけであります。
きょうは、その労働基本権にかかわって、この前も質問並びに答弁もいただいておりますが、何点か確認をさせていただきたいというふうに思っております。
先日、二十一日の委員会において、法案の二条に協約締結権を付与することを検討するに当たっての理念、方向性を明記すべきだという私の質問に対して、大臣は、大変貴重な意見であり、前向きに検討すべき課題であると考えていると答弁をいただきました。また、大臣からは、専門調査会の報告内容について、その趣旨を丁寧に御説明いただいたわけでありますが、この報告書の趣旨というのは、昨年の骨太方針二〇〇七において「改革の方向で見直す。」と明記されていたことも紹介されていたとおりであります。
非現業公務員の労使関係、労働基本権のあり方を見直す、改革する、変えていくということはここの時点で方向としてははっきりしているわけでありますが、調査会の報告では、骨太方針から少し後退をしたと言ってもいいのかもしれませんが、慎重に決断する必要があるとか、国民の理解を得る必要があるというふうに書いているわけであります。改革するというふうに言うからには、労使関係を自律的なものにしていく、そのためには協約締結権を新たに付与する、そういったことが実現をされなければいけないわけであります。
問題は、実際にそれが付与できるかどうかということにあるわけでありまして、付与をしなければこれまでと何も変わりがないわけでありまして、公務能率の改善は当然期待できないし、コスト意識も高まらない、行政の諸課題への対応能力も向上しない、この流れからすると、そういうことになっていくのではないかというふうに思います。
専門調査会の細かい内容についてはこの前お伺いをいたしました。この際お伺いをしたいんですが、労働基本権見直しの基本理念、方向は、労使関係を透明で自律的なものにしていく、そのために新たに非現業公務員に協約締結権を付与することだということでいいですね。
○渡辺国務大臣 専門調査会の最終答申において、一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与するとともに第三者機関の勧告制度を廃止して、政府が主体的に勤務条件を考え、職員の意見を聞いて決定できる機動的かつ柔軟なシステムを確立すべきとしております。一方において、改革に伴うコスト等に十分留意しつつ慎重に決断をする必要があること、また、改革の全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であるという記述もございます。そうした専門調査会の報告の趣旨を踏まえて基本法案第十二条が書かれたわけでございます。
○佐々木(隆)委員 いや、そこはこの前も何度も答弁をいただいておりまして、大変丁寧にお答えをいただいているんですが、それは要するに協約締結権を付与するという前提でなければならないということですよねということを私はお伺いしているわけでありまして、そこについて端的にお答えをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 縮めて申し上げますと、一定の非現業職員について協約締結権を新たに付与する、一方で、改革に伴うコスト等に十分留意して慎重に決断する必要がある、改革の全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠である、これらを一つのセンテンスにしたものが第十二条でございます。
○佐々木(隆)委員 これは水かけ論になるんですが、前段、付与しなければならないということを言っているわけで、大臣の今のお答えもそう言っていて、そのためのプロセスとして国民の理解を得なければならないというふうになっているわけですよね。今の答えも、そういうふうに理解していいですよね。
○渡辺国務大臣 センテンスを分ければもっとはっきりしたのかもしれませんが、さまざまな政府の調整の結果、ワンセンテンスになったものでございます。
○佐々木(隆)委員 水かけ論になりますので、今の大臣の答えは、そういう方向だということは明白だと思うんです。その方向、これは骨太方針でもそう書いてあるわけでありますから、これは閣議決定でありますので、その中で、専門調査会は、国民の理解を得なさいということをあえて言っているんだというふうに理解をさせていただきたいというふうに思います。
労使関係をつくっていくということは、国民の期待にこたえるということ、それから公務能率を改善するということ、コスト意識を高めていくということ、そして、そのためには自律的な労使関係を確立する、そのためには協約締結権を付与しなければならない、こういうことになるんだというふうに思っております。
よく民間と比べられるわけでありますが、民間企業は、まさに合理化、血のにじむような努力をされているわけでありますが、そのことによって生産向上というものをつくってきたわけであります。それに比べて公務員は親方日の丸ではないかというようなことがよく言われているわけでありますが、それは、民間が直面している経済的な行為のさまざまな課題にまさに労使一体となって、対等な立場で取り組んでいるということが前提にあるから、そこがあるから意識改革というものが同時に進んでいって、能率の向上というところに結びついていくんだと思うんですね。
よく交渉のコストなどということが言われるんですが、交渉のコストというのは、それはその後の能率の向上、能力の向上ということによって吸収されるべきものでなければならないというふうに思うわけであります。そこで、人事院勧告など第三者に労働条件の決定を任せるというような仕組みでは、今言ったような、労使ともに国民に対する責任というものをなかなか自覚できないというのが、私は逆に今の状況ではないかというふうに思っているわけであります。
行政や公務員が国民の立場に立ってその職務を遂行するためには、労使双方に責任を持たせる、公務においても自律的な労使関係、いわゆる第三者ではなくて自律的な労使関係に変えていく、あるいは確立するということが重要であるというふうに考えておりますが、こうした考えについて、大臣はどうお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 先ほど来話を申し上げております専門調査会の最終報告書では、「責任ある労使関係を構築するためには、透明性の高い労使間の交渉に基づき、労使が自律的に勤務条件を決定するシステムへの変革を行わなければならない。しかし、現行のシステムは、非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する。このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」という問題認識のもとに、先ほど来申し上げている報告書の内容となったものでございます。
まさにこの報告書を踏まえて基本法の枠組みはつくられておりまして、それをワンセンテンスにしたものが第十二条でございます。
○佐々木(隆)委員 今、大臣からお答えをいただきました。透明性の確保された労使関係、自律的な労使関係をつくっていく。ですから、今の制度ではやはり労使ともに権限が制約されているということを今大臣からお答えをいただきました。
そういうことだというふうに思っておりまして、ということになれば、これはこの前もちょっとお伺いしたんですが、第二条に労使関係や労働基本権のあり方を検討する場合の理念、方向性を明示することについて、この前、大臣は、前向きに検討すべき課題であると御認識を示されたわけでありますが、労使関係を透明で自律的なものにしていく、そのために新たに非現業公務員に協約締結権を付与する方向で検討すると今大臣がお答えになられましたが、その理念、方向性を第二条に明記すべきであるというふうに、繰り返しになりますが、これは修正をするお考えがあるか。前向きにとお答えになっていただいておりますので、そういうことではないかというふうに思うんですが、お伺いをいたします。
○渡辺国務大臣 修正するか否かについては、まさに当委員会において協議が行われているものと認識をいたしております。
第十二条に対応する基本理念を第二条に設けるべきとの御提言については、大変貴重な御提言として承らせていただいております。前向きに検討すべき課題だと考えております。
○佐々木(隆)委員 委員会においての修正ということにも言及をいただきましたので、これは委員会の理事の皆さん方にもまた御検討いただきたいというふうに思っているところであります。
今御答弁をいただきました、初めの一歩であります協約締結権、これが付与されることによって初めて公務員の労使関係、あるいは労働基本権のあり方ということを変えていく、それを変えていくことによって初めて国民の期待にこたえられるのではないかというふうに思いますので、今の大臣の言葉をそのように受けとめさせていただきます。
次に、どのように検討していくかということについてでありますけれども、先日の私の質問に対して大臣は、有識者懇談会、これは公務員制度の総合的な改革に関する懇談会のことをおっしゃられたんだというふうに思いますが、有識者懇談会の場の検討ですね、その答申は既に出されているので、次の検討メンバーは当然関係当事者の意見を聞くことになろうと思うとの答弁をいただきました。
そこで、この点についてもう少しお伺いをしたいんです。関係当事者というのは、使用者と労働者、つまり政府と公務員の労働組合が関係当事者になるというふうに思うのですが、これで間違いありませんか。
○渡辺国務大臣 検討体制については基本法成立後の課題でございます。引き続き、関係当事者の意見を十分聞いて検討をしてまいります。
なお、御指摘の職員団体は、当然関係当事者でございます。
○佐々木(隆)委員 労使関係の改革を目指すところは、繰り返し論議になっております自律的な労使関係というものが何よりでありますので、ここでは双方、とりわけ労使という中の当事者が責任を持って話し合っていくということが、第三者機関に今までゆだねていたものから、当事者同士で話し合うということは大変重要でありますので、ぜひそのような場を設けていただくよう指摘をさせていただきます。
次に、このたびの公務員制度改革の出発点というのは〇一年の公務員制度改革大綱にあるというふうに思っています。実は、その内容が公務員の労働基本権を制約したままで使用者の権利だけを強めるものであったために、労働組合の連合がILOに提訴をしたという事実があります。ILOからは日本の政府に対して三度にわたって勧告がなされております。その勧告の中身ですが、ILOの原則にのっとって公務員に労働基本権を付与すべきであるということと、関係労働組合と有意義な話し合いを行うようということを求めているわけでありますが、この勧告に対して日本政府は、関係当事者と話し合っていくとの回答を行っています。
大臣もこのような経緯は御承知のことと思いますけれども、ILOの国際労働基準に合致した仕組みにしていくためには、まず初めの一歩として協約締結権の付与は避けて通れない課題ではないかというふうに思うのでありますが、そういうことで政府と関係労働組合が話し合っていくことが重要だと思いますけれども、検討に当たって、ぜひとも労使が改革の方向で話し合う場にしていただくように、大臣にぜひそこはお約束をいただきたいというふうに思いますが、お答えをお願いします。
○渡辺国務大臣 福田総理が、衆議院本会議で五月九日にお答えをしておりますように、組合を初め関係各方面と十分話し合うようにILOの勧告は要請したものと認識しておりますと述べておられます。まさに私も同様でございますが、過去三回にわたるILO勧告は、基本的に、公務員制度改革について政府に対し組合を初め各方面と十分話し合うよう要請をしたものと認識をいたしております。政労協議などを通じながら、こちらの考えも申し上げ、また職員団体の皆様のお考えも聞かせていただきながら、今回の公務員制度改革基本法の立案をしてまいったところでございます。
基本法成立後の検討についても、関係当事者の意見を十分聞きながら進めてまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 ありがとうございます。
先ほどの当事者の中に当然公務員の労働組合も入るということでありまして、その検討の場で、ぜひそのことも含めて、そういう場面にしていただきますように、ここは御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
与えられた時間が三十分でありますので、きょうは労働基本権についてだけ論議をさせていただきましたが、私は、この前も申し上げましたが、できるだけ早く結論を得て実施していくという必要があるというふうに思いまして、とりわけこの公務員制度改革に取り組まなければならなかった場面においても、あるいは途中の段階においても、さまざまな公務員あるいは政府における公務員の不祥事などが続いているわけでありまして、片や新しいニーズもどんどんとふえているという中で、公務員改革というのは極めて急がなければならない課題だというふうに思っております。
専門調査会の報告を改めて読ませていただいて、公務員の公務能率の向上、それからコスト意識、行政諸課題への対応能力、これらについて今すぐにでも抜本的に改善されなければならない、そのためには自律的な労使関係が求められているということを繰り返しこの報告書の中でも述べられております。
いつまでに検討するかということについて、先日、私や川内委員の質問に対して大臣は、専門調査会の議論が一年半で結論が出たので当然そのあたりの時間感覚を考えながら検討するという、すばらしい言い回しで答えられているわけであります。
繰り返しになりますが、私は、課題が山積していることを踏まえて、一年で結論を出して、直ちに自律的な労使関係を確立するべきであるというふうに考えております。大臣は、この問題の重要性、緊急性を踏まえ、長くても一年半くらいで協約締結権の結論を出し、改革に踏み出したいという考えを示されたものかというふうに理解をしております。そこで、法案成立後直ちに検討に着手し、関係する労働組合と話し合って、新たに非現業国家公務員に協約締結権を付与し、労使関係を改革し、国民の行政に対する期待、信頼の回復にこたえるとの決意であることを改めて確認させていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 基本法案が通る前から、いつまでに結論を出すということを私は申し上げるつもりはございません。しかし、基本法成立後速やかに検討に入るべきだと考えております。
御指摘の専門調査会の議論は、私が大臣に着任をいたしましたときには、延々と出口のない議論をやっているかのように思えました。これではいけないと考えまして、佐々木座長にお願いし、昨年の四月を目途に中間取りまとめを出してください、そしてその中間取りまとめを骨太基本方針に反映させたいということを申し上げました。また、秋口には最終答申を出していただきたいということをお願いし、延々とやっていた出口なき議論は、結果として最初から一年半で結論を出していただいたわけでございます。
私が大臣になりましたときから数えますと十カ月で結論を出していただいたわけでございまして、この基本法をこの内閣委員会でお認めいただき国会で成立をさせていただいた暁には、当然そういったかつての時間感覚を考えながらこの十二条の検討は進めていくべきものと考えております。
○佐々木(隆)委員 熱意あふれるといいますか、バイタリティーあふれる答弁をいただきました。ぜひそのバイタリティーで、これは国民に対してどういう行政をやるかということの改革でありますので、そういった意味で、大臣のバイタリティーに期待をして、私の質問は終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中野委員長 この際、議員菅野哲雄君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
菅野哲雄君。
○菅野議員 社会民主党の菅野哲雄です。
本日、このような形で質問の機会を与えていただきました各委員の御配慮に心から感謝を申し上げたいと思います。
最初に、本法案の提出に至った経過についてお伺いします。
公務員制度改革の流れをひもとくと、二〇〇〇年十二月の行政改革大綱の閣議決定にまでさかのぼるのではないかと思います。そこでは、信賞必罰の人事制度など六項目の改革方針が示されているのですが、この閣議決定から七年近くが経過しております。渡辺大臣が今回奮闘されているのはよく理解できるのでありますが、基本法案提出までなぜこのように長い期間を必要としたのか、改めてその理由並びに大臣の認識を率直にお聞かせ願いたいと思います。
〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕
○渡辺国務大臣 御指摘のように、公務員制度改革については、平成十二年の閣議決定や平成十三年の閣議決定、すなわち公務員制度改革大綱の趣旨を踏まえて検討を進めてまいりました。
平成十六年には与党から今後の公務員制度改革の取り組みについての申し入れを受けまして、関係者、すなわち組合、人事院、各省との間で幅広く意見交換を行い、法案の取りまとめ作業を行ったわけであります。残念ながら、当時、関係者間の調整が十分に進まなかったのも事実でございます。
こうした状況にかんがみて、政府としては、まず平成十六年十二月の閣議決定、すなわち今後の行政改革の方針に基づき、評価の試行を行い、現行制度の枠内でも実施可能なものについては改革の着実な推進を図ってきたところでございます。
昨年、国家公務員法改正案が国会で成立をいたしまして、能力・実績主義の人事管理の徹底、また天下り規制の導入を内容とする改正が実現をしたわけでございます。そして、これにとどまることなく、今回、国家公務員の人事制度全般の課題についてパッケージとして改革を進めるという基本方針のもとで、基本法案を御提出させていただいたところでございます。
○菅野議員 るる時系列的には答弁いただきましたけれども、なぜ七年半近くもかかったかという問題、その部分の答弁はなかったというふうに私は思うんです。時系列的には理解しているつもりでございます。
ただ、法案の第四条は、五年以内をめどに改革に必要な措置を講ずるとしています。もし五年後だとすると、改革のスタートからゴールまで実に十二年以上もかかるわけです。なぜ今後五年間もの期間が必要なのか、その理由をお答えいただきたいと思います。
そうではなく、法案成立後はとんとんと改革を進めるのだとすれば、改革終了時期、具体的な目安をどの辺に持っておられるのか、大臣としての見解をお聞きしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 御案内のように、今回の改革については、国家公務員の採用から退職に至るまでの人事制度全般にわたって総合的なプランを推進するための基本方針が盛り込まれております。それらの具体的内容の検討や必要な法令の整備などには相当時間を要することが想定されます。
しかしながら、国家公務員制度改革は喫緊の課題であり、できる限り早くかつ集中的に実現する必要がございます。そうした観点から、改革に必要な時間を確保しつつ、その期限は基本法施行後五年以内を目途と設定をしたものでございます。
この場合、国家公務員法や一般職給与法の改正等、必要となる法制上の措置については、基本法施行後三年以内を目途に講ずるものとしておるところでございます。
○菅野議員 大臣、やはり答弁が食い違っているんですけれども、五年以内という形で法律上はなっているんですけれども、私は、やはり基本法成立後できるだけ早期に進めるべきだ、そういう決意がなければ公務員制度改革というのは進んでいかないんだという立場から今質問しているわけでございます。
先ほども申し上げましたけれども、具体的に今日まで推し進めてこられた大臣でありますから、法成立後、本当に速やかに改革を実現していただきたいという強い思いを込めて質問しております。もう一度という形はよろしいですけれども、ぜひそういう立場で進めていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
次に、現行の試験制度を変えることでキャリアシステムが廃止されると言われています。しかし、幹部候補育成課程の対象者、これには総合職試験合格者が対象となる可能性が高いと大臣も答弁されています。よほどのことがない限り、総合職試験合格者は優先的、自動的に課程対象者になるものと理解していいのでしょうか。だとするならば、現行制度を変えると言いながら、新たなキャリアシステムをつくることになりかねません。お答えください。
○渡辺国務大臣 今回の改革プランは、現行のキャリア制度を廃止するものでございます。
御案内のように、1種試験合格者が身分固定的に幹部候補になるという現行の弊害を抜本的に改めていこうとするものでございます。
幹部候補育成課程の対象者の選定については、採用後、一定期間の勤務経験を経た者の中から、本人の希望及び人事評価に基づいて随時行うものといたしております。また、昨年の改正によりまして、職員の採用後の人事管理は、採用試験の種類にとらわれてはならず、人事評価に基づいて適切に行われなければならないという原則が明記されたところであります。
今回の改革プランで言っております総合職の試験の合格者からの採用は内閣人事庁が行いますが、このことだけで自動的に幹部ルートに乗ることは保証されておりません。採用後、一定期間の勤務における人事評価が悪ければ、幹部候補育成課程に選定されないということがあるわけであります。また、一度、幹部候補育成課程の対象者になった者であっても、人事評価次第に基づいてふるい落とされることもあるわけでございます。
したがって、そうしたことから、現行の身分固定的キャリア制度とは根本的に異なるものでございます。
○菅野議員 公平公正に課程対象者を選抜する基準を設けたとしても、今大臣がおっしゃってきたことから推察すると、やはり幹部候補育成課程の対象者の大半が総合職試験合格者で占められるような気がしてなりません。
そこで伺いますが、もし、一般職、専門職からも一定の割合で課程対象者を選抜するような考えがあるのであれば、お聞かせ願いたいというふうに思うんです。
○渡辺国務大臣 一般職、専門職あるいは民間中途採用者からも、当然、課長級の管理職員にはなれます。また、幹部候補育成課程に入ってくることも可能でございます。
幹部候補育成課程の対象者の選定については、採用後、一定期間の勤務経験を経た者の中から、本人の希望及び人事評価に基づいて随時行うわけでございます。したがって、その選定に当たっては採用試験の種類は関係ございません。採用後の本人の能力と実績に基づいて行われるものでございます。
あらかじめ、どの試験からどの程度の割合で選抜されるかという想定はいたしておりません。また、そのようないわばアファーマティブアクションを今回基本法の中で定めているものでもございません。
○菅野議員 やはり、今回の公務員制度改革においてここが大きな争点になっていると私は思います。
それで、幹部候補の課程対象者の選抜が毎年終了した際に、総合職、一般職、専門職試験それぞれの合格者から何名が選抜されたかについても公表する考えはありますか。今大臣の答弁では、一定程度経過した段階での選抜というふうに答弁されていますけれども、私はそうではないんじゃないのかなというふうに思うんですね。
なぜこのことを申し上げるかというと、国民が知らない間に、やはり総合職試験の合格者がエレベーター式に幹部になっていく、こういうふうに私は思えてならないんです。このことを排除するためにも、今申し上げた考えは私は取り入れるべきだというふうに思うんですが、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 まず、総合職試験から何名採るかという規模の議論は、まさに基本法成立後の検討課題でございます。また、具体的な幹部候補育成課程の内容についても、基本法成立後の検討になります。
幹部候補育成課程の対象者の選定は、採用試験の種類に関係なく、採用後の本人の能力と実績に基づいて行われます。また、一度、幹部候補育成課程の対象者になった者であっても、人事評価に基づいてふるい落とされる可能性もあるということであります。
○菅野議員 どうも大臣、質問と答弁が食い違っているんですが、私が言っているのは、総合職、一般職、専門職の試験それぞれの合格者から何名選抜されたかということについて公表する意思があるのかどうかということを聞いているわけです。
というのは、今までの人材登用のあり方について変えていくんだ、国民に明らかにしていくんだということであれば、やはりそのことまで踏み切る必要があるんじゃないか、こう思っているわけですね。だから、そのことに対してどうお考えなのか、答弁願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 試験ごとの課程対象者を公表するか否かについて、基本法では触れておりません。まさしく、国会の議論を踏まえ、基本法を成立させていただいた後の検討課題であろうかと思います。
○菅野議員 強くこのことは申し上げておきたいというふうに思っています。
次に、幹部候補者の選定についてですが、各府省が候補者名簿を作成して、内閣人事庁は適格性を審査するにとどまっています。結局、各府省が幹部候補選定の主体となっているのであれば、内閣による一元的な人事管理とは言えないのではないですか。あと、内閣人事庁が独自で名簿を作成するケース、これはどのような場合なのか、お答え願いたいと思います。
〔江崎(洋)委員長代理退席、岡下委員長代理着席〕
○渡辺国務大臣 幹部職員の任免については、内閣人事庁は、各府省から幹部職員の候補者名簿の原案が提示された場合に、これらの者が幹部職員としての能力、適性を有しているかどうかという観点から適格性審査を行います。また、内閣人事庁は、必要に応じて、みずから幹部職員の候補者名簿を作成いたします。各大臣は、各府省及び内閣人事庁の提示する候補者名簿を検討して、人事案を作成いたします。当該人事案について、内閣総理大臣の承認を受けた上で、幹部職員の任用を行うものでございます。
内閣人事庁が幹部名簿を作成する場合には、各大臣からの依頼があった場合、また内閣人事庁みずからが必要と判断する場合の両方があると考えられます。内閣人事庁が行う幹部職員の候補者名簿の作成は、大臣が人事を行うに当たっての選択肢をふやすものであります。例えば、各府省から示された幹部候補者名簿以外にも能力、適性を有する者はいるという場合に、内閣人事庁も候補者名簿を追加作成することになるわけでございます。
○菅野議員 次に、労働基本権の関係についてお聞きします。
まず、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会報告書では、労働基本権の付与について、専門調査会報告を尊重するとともに、国における使用者機関のあり方について検討するとされています。しかし、本法案のどこを見ても、該当する条文がありません。その理由について、大臣御自身は、使用者機関について具体的にどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 先ほど来議論をいただいております第十二条については、基本法成立後に協約締結権のあり方について検討する際に、交渉における使用者代表のあり方についても検討がなされるものと考えております。
国における使用者機関の確立という課題については、昨年十月に取りまとめられました専門調査会の報告において、改革の方向性の三つの柱のうちの一つの柱とされております。このことを十分踏まえて検討をしてまいりたいと考えます。
○菅野議員 基本法だからということで大臣は今答弁されて、基本法が成立した以降具体的に検討していきますという答弁と私は理解するんですけれども、そうじゃないと思います。十二条を具体化していくためにも、これからの進め方においても、使用者機関というものを明確にする必要がある、これは基本法に盛り込むべき大きな課題だというふうに私は思うんですね。
そういうことも踏まえて、現時点において大臣が使用者機関についてどう考えておられるのか、明確にしていただきたいというふうに私は思うんです。今後の検討課題ということで許される問題ではないというふうに私は思うんですが、大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 この基本法を立案する際に、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会の報告書をいただいております。その報告書の中で「労働基本権の付与については、専門調査会の報告を尊重する。あわせて、国における使用者機関のあり方について検討する。」とされているところでございます。
まさに、専門調査会の報告書、また今申し上げた懇談会の報告書、あわせて改革の方向性の中で重要課題の一つでございますので、まさにこのことを十分踏まえて、基本法成立後に検討をしてまいります。
〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕
○菅野議員 大臣として具体的な答弁をいただけなかったんですが、内閣による一元的な人事管理の柱が内閣人事庁であるとすれば、ここに使用者機関としての役割を与えることが適当だと私は考えているんです。大臣にそういうふうに私は答弁いただけるものというふうに思っていたんですが、なかなかそういうことにはなりませんでした。この点を欠落させた法案は、私はやはり不十分だと指摘せざるを得ません。
そこで、一昨年に成立した行革推進法の六十三条二号では、労働基本権のあり方について「国民の意見に十分配慮して、幅広く検討を行う」とされています。これに基づいて、行革推進本部に専門調査会が設置され、一定の非現業部門に協約締結権を付与するという結論を得たわけです。昨年の骨太方針でも、労働基本権に関しては「改革の方向で見直す。」と明記されています。この点については多くの議論がされていますが、法案ではまた検討に後戻りしています。これでは堂々めぐりであると私は思えてなりません。
法案と行革推進法六十三条、骨太方針二〇〇七との整合性について、大臣の答弁をお願いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 行革推進法においては、公務員の労働基本権のあり方について検討を行うこととされたわけであります。それに基づいて設置されました専門調査会の検討が開始されまして、昨年の四月二十四日、中間報告をいただきました。「労働基本権を含む公務員の労使関係の問題についても、改革の方向で見直すべきである。」というものでありました。
これを踏まえ、昨年六月十九日の閣議決定、いわゆる骨太基本方針において、労働基本権のあり方の検討について「改革の方向で見直す。」としたところでございます。
その後、引き続き専門調査会において検討をしていただき、最終的に十月十九日に報告が取りまとめられ、その報告に基づいて、今回、基本法の策定作業を行ったところでございます。
○菅野議員 また大臣と質問のすれ違いがあるんですけれども、一方では改革の方向で見直す、でも基本法ではまだ検討ということですよね。これまで、行革推進本部に専門調査会が設置されて議論してきているわけです。それで、政府の閣議決定された骨太方針でも、改革の方向で見直すと。だから、この検討ということが後戻りしているというとらえ方なのかどうかということを議論しています。
それでは、私は、別な観点から質問していきたいと思うんです。
昨年の五月十八日の本委員会で、自民党の平井委員に対して、「能力・実績主義を導入するということであれば、当然これは労働基本権の問題が出てまいります」と答弁しています。能力・実績主義に基づく人事管理、人事評価と労働基本権の付与をセットで渡辺大臣が考えておられたというふうに私は思うんですね。そして、昨年の国家公務員法の改正で、新たな人事評価について、かなり広範囲に試験実施がされています。能力・実績主義が導入されて、先行しているわけです。
そういう状況において、肝心の労働基本権の付与が置いてきぼりにされているという認識に私は立っているんですけれども、昨年の五月十八日の本委員会での答弁と今日の状況というものを大臣はどうとらえているのですか。答弁願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 新たな人事評価制度の導入を核とする能力・実績主義の人事管理は、既に昨年の法改正によって導入が決定をされております。民間で行われているように能力・実績主義を徹底していくわけでありますから、労使関係のあり方についても、民間を参考に専門調査会で御検討をいただくことが重要であるということを昨年申し上げたところでございます。
その後、専門調査会の最終答申が出され、「一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与する」、一方で、「改革に伴うコスト等に十分留意しつつ、慎重に決断する必要がある。」「改革の全体像を国民に提示して、その理解を得ることが必要不可欠である。」という指摘でございました。
基本法案は、まさにこの専門調査会の報告の趣旨を踏まえて、ワンセンテンスとして十二条でお示しをしたものでございます。
○菅野議員 大臣、やはり私は、能力・実績主義に基づく人事管理、人事評価制度と労働基本権の問題というのは、大臣が言うように車の両輪、セットであるべきだというふうに思うんですね。そのことが具体的に示されていないところに、今回の基本法の大きな問題点が存在するんだということを指摘しておきたいというふうに私は思います。
そして、最後になりますが、本法案十二条にある労働基本権のあり方についての検討とは、非現業部門への協約締結権付与を前提として、その条件整備を子細に検討するという理解でよろしいのでしょうか。
なぜなら、十四日の本委員会で、民主党の松本委員の質問に対して大臣は、専門調査会のミッションは終了しているのだから、法の成立後は速やかに次のステージでの検討が始まるべきと答弁されているからです。この点、大臣に確認しておきたいというふうに思います。
○渡辺国務大臣 本基本法案成立後、速やかに検討を開始すべきものと考えます。その際、専門調査会の有識者というよりは当事者、職員団体も含めた当事者の話を聞くということが大事なことであると考えております。
○菅野議員 専門調査会や懇談会などで繰り返し議論されてきた公務員制度改革、法案の内容のままでいいとは思っていませんが、冒頭指摘しましたように、これ以上引き延ばすことも許されないと思います。専門調査会、懇談会での経過を尊重して改革が実行に移されることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
きょうは、議院内閣制のもとでの国家公務員の役割等に関する条文、特に政務専門官、政官接触制限に関連して御質問いたします。
ここに、各府省に、国会議員への政策の説明その他の政務に関し大臣を補佐する職として政務専門官を置くとあります。この政務専門官は何人ぐらい配置をされるお考えなのか、その点をまずお聞かせください。
○渡辺国務大臣 今回の基本法案では、各府省に、国会議員への政策の説明その他の政務に関し大臣を補佐する職として政務専門官を置くことにいたしております。政務専門官は、国会議員に対して法案の説明を含む政策の説明を行うほか、その他の政務として、国会、政党との連絡、交渉を初めとする政治と行政の調整に関することを行うものであります。政務専門官の人数については、基本法成立後、具体化をしていくことになります。
○塩川委員 まず、政務専門官の人数の点については、この前、本委員会の質疑の中でも、渡辺大臣が堺屋氏の懇談会での議論を紹介しまして、局長、審議官クラスが二、三名、課長クラスが五ないし十名、補佐クラス若干名と例示をされておられる、そのように紹介されています。それが一つのイメージかと思いますけれども、そういう点でいえば各省に数十人程度ということになるわけで、いずれにせよ、制度設計はこれからということです。
その上で、今お話にもございましたが、国会議員への政策の説明とは何を指すのかという点についても、法案の説明を含むとおっしゃっておられましたが、もう少し、法案の説明以外に例えばどんなことが政策の説明に含まれるのか、その点についてお答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 政務専門官の仕事の中身でございますが、法案の説明を含む政策の説明のほか、その他の政務として考えておりますことは、国会や政党との連絡、交渉を初めとする政治、行政との調整に関することを行うものでございます。
○塩川委員 その他の政務という部分で、国会や政党との連絡、交渉を初めとする政治、行政との調整を行うということです。その前にあります国会議員への政策の説明の中には、法案の説明とともに、例えば行政の業務の執行状況についての説明を行う、いわば国会の監視機能を果たす上で、行政がどのようになっているのかという国会議員の問いに対しても政務専門官が答えるという仕組みになっているということでよろしいんでしょうか。
○株丹政府参考人 この政務専門官でございますけれども、基本法にありますように、国会議員への政策の説明もそうでございますけれども、その他の政務も含めて所掌、担当するということでございますので、行政が担っております内容につきまして、幅広く国会議員に対しまして説明等を行っていくという考えでございます。
○塩川委員 そうしますと、業務の執行状況の説明についても入っているということでよろしいですよね。
○株丹政府参考人 具体の政務専門官の行いますことにつきましては、基本法成立後に詳細をということになりましょうけれども、基本的な考え方として、政務専門官が行いますことにつきまして限定的に考えているわけではございません。
○塩川委員 限定的に考えていないということですから、幅広くということを含めて、法案の説明もそうですし、業務の執行状況の説明なども含んでいるということであります。
その上でお聞きしたいんですが、国会議員の仕事の一つは行政に対するチェック機能を果たすことにあります。行政の業務の執行状況について、その説明を国会議員が求める場合があるわけですが、その場合、政務専門官がそういう業務の執行状況の説明も行うということになるわけですけれども、行政の業務執行の全般にわたって、各省数十人という政務専門官が国会議員の質問に全部答えることが可能なんでしょうか。
○渡辺国務大臣 政務専門官において説明の困難な、より専門的な問題については、政務専門官以外の職員が国会議員に接触することになります。その際、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けることといたしております。
○塩川委員 実際に行政の業務の執行全般に携わっていない政務専門官の説明だけでは足りないということですから、担当部局の職員が必要になる、その点での規律を設けるという話でありました。いずれにしても、政務専門官だけでは足りないということです。
あわせて、法案につきましても、この間、年間百本ぐらいの閣法が出され、各省ごとにでこぼこがあったとしても十本前後ぐらいの法案が提出をされているわけですけれども、当然、この法案の審議に当たって、国会議員が、法案のスキームがどうなっているのか、その法案を提出する背景や、また、これが具体的にどういう影響を与えるのか、こういう問題についてただす必要があるわけです。この政務専門官に法案の説明も含まれるということですけれども、政務専門官は法案に係る専門的な知見をすべて持ち合わせているわけではないと思いますけれども、その場合でも、当然、直接担当の職員の方が足を運ぶということになると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 政務専門官を置く理由は、国会議員と公務員との関係について必ずしも明確なルールが現在ございません、本来大臣を支えるべき公務員が、大臣の方針とは関係なく国会議員等との折衝を行い、結果として政策決定における政治主導を損ない、官僚主導とも言われる状況を生み出しているという指摘がございます。そうした弊害を除去するために政務専門官を置くものでございます。
先ほどの御議論のように、政務専門官において説明の困難な、より専門的な事案につきましては、それ以外の職員が接触することになります。その際、大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けることといたしております。
○塩川委員 政務専門官だけでは足りない、その他の職員が国会議員と接触をすることになる、その場合に規律を設けるということになります。
あわせて、政務専門官が行うその他の政務について、先ほどの御答弁で、国会や政党との連絡、交渉を初めとする政治、行政との調整ということが挙げられておりました。これは、現在国会対応などを担ういわゆる大臣政務官の仕事と重複しているんじゃないかと思うんですが、その辺の違い、整理というのはどうなっているんでしょうか。
○渡辺国務大臣 今回の基本法案では、議院内閣制のもとで、公務員が内閣、内閣総理大臣及び各大臣を補佐する役割を適切に果たすために、大臣の指揮監督のもとで、政と官の接触の集中管理を行うものでございます。
すなわち、各府省に国会議員への政策の説明その他の政務に関して大臣を補佐する政務専門官を置くとともに、先ほど申し上げました、それ以外の職員が国会議員に接触することに関して大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けるものでございます。
御指摘の、大臣政務官制度と同じではないかということでございますが、大臣政務官制度も踏まえた上で、この制度を導入しようというものでございます。
○塩川委員 国会議員、特に、行政をチェックする、あるいは閣法に対してその法案をただす立場にいる野党の国会議員にとりまして、こういう政務専門官というのは、要するに余計なものといいますか、もともと、法案のチェックにしてみても行政の監視機能を果たす上でも、必要な人は呼ばなくちゃいけないわけで、それに加えて政務専門官がいるというのは非常に中途半端でありますし、先ほど言った大臣政務官の業務と政務専門官のその他の政務というのがダブっているという点では、実態として、政務専門官というのは現行の制度の上にお荷物として乗っかっているだけじゃないのか、こういうのが私の率直な受けとめであります。
そういう点で、大臣に伺いますが、国会議員が内閣提出法案の検討ですとか行政監視の職務を果たす上で政務専門官は本当に必要なのか、必要ないんじゃないのか、このように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○渡辺国務大臣 まさに今回の改革プランは、真の議院内閣制のもとでの国家公務員像を追求するものでございます。官僚内閣制ともやゆされる官僚主導型の体制を根本的に改めていこうというものでございます。
国会議員と公務員との関係について、現在、必ずしも明確なルールがございません。本来大臣を支えるべき公務員が、大臣の方針とは関係なく国会議員等との折衝を行い、結果として政策決定における政治主導を損ない、官僚主導と言われる状況を生み出しているという指摘がございます。こういった弊害を改めていくための仕掛けとして政務専門官は設けられるものでございます。
○塩川委員 法案では、政務専門官以外の職員が国会議員に接触することも大臣の指示を必要とするなど、大臣による指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けるとあるわけで、そういう点では、我々が政府をただす場合に、こういう規律というのが、法案のチェックをしたり行政に対するチェック機能を果たす上での障害、制約となり得る、そういう懸念というのはぬぐえません。
そういう点でも、国会議員の活動を制約する政務専門官、政官接触規制の規定というのは取り除くべきだということを思いますが、大臣、その点、改めてお答えください。
○渡辺国務大臣 今回の政官接触の集中管理に関する規律については、基本法成立後に具体化していくことになります。その際、国会議員の側からの情報収集等には支障を生じないよう十分配慮をしながら検討してまいります。
○塩川委員 そういう点について、もちろん法文上にもありませんし、あった場合であっても、もともと規律を設けるという形での、制約を設けるという点での新たな障害をつくることになりかねないということを改めて指摘するものであります。
もともと、この政官接触の規制、政務専門官を設けようというその意義として大臣が強調されておられるのが、大臣の意見はさておきなどといってロビーイング活動を行う、こういうことを許してしまう、そういう危うさを持っているのが現行の官僚主導制などとやゆされるシステムなんだということを述べておられます。この官僚主導のロビーイング活動を根本的に規制していこうという趣旨でこの規定を設けたと述べております。
そこで、大臣に伺いますが、官僚のロビーイング活動が問題になるとすれば、そのロビーイングを受ける国会議員もいるわけであります。いわば官僚に説得をされる国会議員がいるから官僚主導ということが問題になるのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 ロビーイング活動で説得されてしまう国会議員がいるのが問題だとの御指摘でございますが、これはまさしく次の課題として、国会改革、政治改革の中で御議論をいただきたいと思います。
○塩川委員 課題があるということでありました。
そこで、重ねてお聞きしますが、大臣は、郵政民営化のときに政府の方針に反した根回しをした官僚がいたという話は聞いたことがあるということで、官僚のロビーイング活動の具体的な例として紹介をしておられます。ですから、大臣のこの答弁によれば、郵政民営化反対というのは官僚主導であって、郵政民営化に反対した国会議員というのは、国民の利益の立場に立つのではなくて、官僚の利益の立場に立って郵政民営化に反対した、それが郵政民営化に反対した国会議員だということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○渡辺国務大臣 一般論として私が申し上げたかったことは、まず、政治の最終決定というのは選挙で行われます。各政党がマニフェストを国民に提示し、その中でどの政党を国民に選んでいただくかという競争が行われるわけであります。そして、選挙の結果、国会の多数派を形成した勢力が内閣を組織するわけでございます。その内閣は、まさに選挙において提示したマニフェストを実現するためにさまざまな政策を具体化していくことになるわけでございます。
したがって、そうした内閣の基本方針に反したロビーイング活動というのは真の議院内閣制のもとではあってはならないことでございまして、そういった行為について規制をし規律を設けるという趣旨でございます。
○塩川委員 官僚から国会議員の側の問題として今回出されるわけですけれども、国会議員から官僚との関係で現状はどうなっているのかということを前提にきちっとこの議論は進めなければいかぬ。そういう点で、官僚のロビーイングの具体例として、政府の方針に反して郵政民営化反対ということで根回しをした官僚がいるということですから、それを受けた国会議員もいるんだ、そこの事実関係を具体的に明らかにして、そういう具体の事実を前提にこの議論は行われなければいけないのではないかということを申し上げているわけです。
一般論と言いましたけれども、大臣は郵政民営化という具体のお話をされているものですから、その具体の話に沿って、その事実をもとにこの法案の議論をしたいと思っているわけで、そういう意味でも、では、郵政民営化反対で根回しをした官僚というのは具体的にだれだったのか、それに応じた国会議員というのはだれだったのか。こういう具体の事実をもとにこの問題を深めていく必要があると思うんですが、具体的に根回しをした官僚がだれで、それを受けた国会議員はだれなのか、その点についてお答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 我々がこの法案の中で基本として考えている理念というのは、まさに官僚主導から政治主導への流れを確実なものにするということでございます。そして、政治主導というのは、真の議院内閣制を実現していくということであります。
国会の多数派というのは選挙で決められるわけであります。そして、その多数派が内閣をつくります。内閣総理大臣も国会が選ぶわけでございます。その内閣総理大臣と内閣の一員たる大臣が各省官僚機構をコントロールしていく必要がございます。各省の官僚、公務員は、まさに内閣の方針にのっとって政策の具体化、企画立案を行っていく必要があるわけでございます。
したがって、そういう国会議員と官僚、公務員との接触の規律が現在全くございません。そうしたことから、まさに真の議院内閣制をつくっていく、政治主導の体制をつくるためには、こうした規律を設けることが必要ではないかというのが基本法の精神でございます。
○塩川委員 ですから、政官接触制限を設けるその理由として、具体の事案として郵政民営化の話があり、政府の方針に反してロビーイング活動を行った官僚がいるということでしたから、であるならば、そういう具体の事実を明らかにしていただきたい。それを示していただいて、それを前提に議論を行うことが必要ではないですかと申し上げているわけです。
郵政民営化に限らず、例えば堺屋さんは、高速道路の議論の際にもそういうのがあったということを懇談会で申しておられたようですから、そういう具体の事実について、官僚がロビーイング活動を行っている、問題だという事実について具体的にこの委員会に示していただけませんか。
○渡辺国務大臣 そういった話が巷間あるわけでございますから、まさにそういうちまたで言われていることを念頭に置いて、やはりこの国のあるべき姿を追求していこう、官僚内閣制などと言われない体制をつくっていこうということでございます。
○塩川委員 ちまたで言われているといううわさ話で我々は法案の議論をしているわけではないわけですから。では、うわさ話で法案を出されたということなんですか。
○渡辺国務大臣 まさに我々は、こうした官僚内閣制から真の議院内閣制への転換を図っていくという理念に基づいて今回の基本法案の策定を行い、今国会に提出をしたところでございます。
この法案が実現をいたしますと、官僚のロビーイング活動、つまり、私が再三申し上げるように、大臣の意見はさておきなどといってロビーイング活動をすることは許されなくなるわけでございます。ぜひそうした理念に御賛同をいただきたいと思います。
○塩川委員 ですから、官僚内閣制、官僚主導制というのを是正するということであれば、そういう事実がどうなのかということを提示していただきたいということを申し上げているわけです。うわさ話で、それに踊らされて法案を出したという話ではないんでしょう。そういう点でも、具体的な事実を前提に我々は議論をしたい。官僚のロビーイング活動、政府の方針に反したことをやっているという具体的な事例というのを紹介していただきたい。
今お答えがありませんでしたので、委員長、この点につきまして、政府の方針に反した官僚のロビーイング活動について、具体的な事実はどういうものがあるのか、こういう点についての事実関係の提示、その資料の提供、このことを求めたいと思います。
○中野委員長 塩川委員の御発言については、理事会で協議いたします。
○塩川委員 よろしくお取り計らいください。
官僚主導制の問題というのは、もちろん官僚の問題もあります。同時に、それに応ずる国会議員の側の問題がある。特に、実態は、官僚と与党の政治家との関係、癒着の問題というのがまさに問われているんじゃないでしょうか。
昨日の参考人質疑におきましても、私の方から堺屋参考人に、官僚主導制、官僚内閣制の話に関連して、ロビーイング活動を行う官僚がいる、しかし、それに応ずる国会議員の側も問題ではないのか、特に与党の国会議員の問題があるのではないかという質問に対し、堺屋参考人も、官僚と親しくして影響を受けやすい議員が与党にいるのは確かだと述べておりました。単に影響を受けやすいだけではなくて、いわばあうんの呼吸で官僚と与党の政治家が行っている、ここがやはり問われているんじゃないでしょうか。
ですから、お聞きしますけれども、官僚と与党議員の関係、癒着がやはり問われている。巷間言われているのは、まさにここの点が問われているわけですから。この問題について是正するのであれば、それは政府と与党との関係の問題であります。その間での適切なルールを設定すればいいのではありませんか。それなのに、野党の国会議員としての活動を制約することになりかねない仕組みをつくるというのは、そもそも筋違いじゃないでしょうか。政府・与党の慣行を正すということであるべきだ、そのように考えますが、大臣はいかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 国会議員の側から情報を収集することについて支障を生じないよう、基本法成立後に規律を具体化してまいりたいと考えます。
○塩川委員 官僚と与党との関係でいえば、今国会で官僚の代弁者として一番名をはせたのは冬柴国土交通大臣じゃないでしょうか。道路特定財源の問題について、福田総理も一般財源化を言い出さざるを得ない、そういう状況に対して、冬柴大臣は最後まで撤回、修正を行わなかったという姿勢で、予算委員会の議論を通じても、冬柴大臣は国交省の弁護人だとか、官僚の代弁者では困る、与党の公明党の議員からもそういう指摘があったというわけです。ですから、官僚と与党の癒着にまともにメスを入れないままで、野党議員などの行政チェック機能を制限するようなやり方は認められないわけで、政官接触の透明化を図ることこそ必要だということを申し上げておきたいと思います。
あと、残りの時間で何点か確認をさせていただきたいんですが、国家戦略スタッフ、それから政務スタッフ、それについて、それぞれ何人ぐらいを考えているのか。あわせて、国家戦略スタッフと首相補佐官の関係はどうなるのか。また、政務専門官と政務スタッフ及び大臣政務官の違いは何なのか。この点についてお答えいただけますか。
○渡辺国務大臣 国家戦略スタッフは、戦略的かつ機動的な政策判断や迅速な意思決定の必要性が増大する中で、総理大臣による政治主導の強化を図る必要がございます。そのために、国家の重要な政策の企画立案に関して、総理大臣を補佐する職として設置をするものでございます。規模や現存する職との関係等、具体的な制度化の内容については、基本法成立後に検討をしていくことになります。
また、政務スタッフについては、特定の政策の企画立案及び政務に関し、大臣を補佐する職として設置をするものでございます。その規模や現存する職との関係等、具体的な制度化の内容については、基本法成立後に検討をしていく課題となります。
○塩川委員 国家戦略スタッフと首相補佐官の関係、違いについての具体的な御説明はありませんでした。
いずれにせよ、政策の企画立案などで補佐をするという立場では同じような組織だというふうに我々としては受けとめておりますけれども、実際、この首相補佐官自体、五名の定員なのに、今の福田内閣では使い切っていないわけですよね。三名しかいないわけです。ですから、実際、今の首相補佐官でさえ使い切っていないのに、国家戦略スタッフを設けて本当に機能するのか、この点について最後にお答えいただければと思います。
○渡辺国務大臣 真の議院内閣制のもとで政治主導を実現するためには、裏方が必要となります。まさに、その裏方部隊というのを担うのが国家戦略スタッフであり、政務スタッフでございます。戦略は細部に宿るという格言がございますが、まさに細部にわたる戦略の企画立案を行うのがこれらのスタッフでございます。
○塩川委員 現行の首相補佐官も特定の分野についての戦略を立てるということで置かれているわけで、それすら十分に活用できなくて、こういうのがそもそも機能するのかという点について申し上げて、質問を終わります。
○中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十五分散会