第21号 平成20年6月4日(水曜日)
平成二十年六月四日(水曜日)午後一時十分開議
出席委員
委員長 中野 清君
理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君
理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君
理事 村田 吉隆君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
遠藤 武彦君 遠藤 宣彦君
小野 次郎君 大塚 拓君
加藤 勝信君 木原 誠二君
戸井田とおる君 土井 亨君
中森ふくよ君 西村 明宏君
萩生田光一君 橋本 岳君
藤井 勇治君 御法川信英君
市村浩一郎君 吉良 州司君
楠田 大蔵君 佐々木隆博君
西村智奈美君 馬淵 澄夫君
大口 善徳君 吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 町村 信孝君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 泉 信也君
国務大臣
(国民生活担当) 岸田 文雄君
国務大臣
(経済財政政策担当) 大田 弘子君
農林水産副大臣 今村 雅弘君
内閣府大臣政務官 加藤 勝信君
内閣府大臣政務官 戸井田とおる君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 殿川 一郎君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 西 達男君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 戸塚 誠君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 片桐 裕君
政府参考人
(警察庁交通局長) 末井 誠史君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君
政府参考人
(財務省理財局次長) 中村 明雄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 中尾 昭弘君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 小風 茂君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 北川 慎介君
内閣委員会専門員 杉山 博之君
―――――――――――――
委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
遠藤 武彦君 石田 真敏君
木原 誠二君 宮澤 洋一君
中森ふくよ君 増原 義剛君
楠田 大蔵君 松本 剛明君
石井 啓一君 上田 勇君
同日
辞任 補欠選任
石田 真敏君 遠藤 武彦君
増原 義剛君 中森ふくよ君
宮澤 洋一君 木原 誠二君
松本 剛明君 楠田 大蔵君
上田 勇君 石井 啓一君
同月四日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 橋本 岳君
河本 三郎君 御法川信英君
石井 啓一君 大口 善徳君
同日
辞任 補欠選任
橋本 岳君 赤澤 亮正君
御法川信英君 小野 次郎君
大口 善徳君 石井 啓一君
同日
辞任 補欠選任
小野 次郎君 河本 三郎君
―――――――――――――
六月三日
戦時性的強制被害者問題解決促進法の制定を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四四三号)
同(石井郁子君紹介)(第三四四四号)
同(笠井亮君紹介)(第三四四五号)
同(穀田恵二君紹介)(第三四四六号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三四四七号)
同(志位和夫君紹介)(第三四四八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三四四九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三四五〇号)
同(吉井英勝君紹介)(第三四五一号)
同(辻元清美君紹介)(第三五二五号)
レッド・パージ犠牲者の名誉回復と国家賠償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四五二号)
同(石井郁子君紹介)(第三四五三号)
同(笠井亮君紹介)(第三四五四号)
同(穀田恵二君紹介)(第三四五五号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三四五六号)
同(志位和夫君紹介)(第三四五七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三四五八号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三四五九号)
同(吉井英勝君紹介)(第三四六〇号)
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(赤松広隆君紹介)(第三四六一号)
同(泉健太君紹介)(第三四六二号)
同(近藤昭一君紹介)(第三四六三号)
同(郡和子君紹介)(第三五二四号)
同月四日
憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(松本龍君紹介)(第三五六八号)
同(重野安正君紹介)(第三六五六号)
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第三五六九号)
同(佐々木隆博君紹介)(第三五七〇号)
同(西村智奈美君紹介)(第三五七一号)
同(岩屋毅君紹介)(第三六五七号)
同(市村浩一郎君紹介)(第三七五一号)
同(大畠章宏君紹介)(第三七五二号)
憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第三六五三号)
同(重野安正君紹介)(第三六五四号)
同(辻元清美君紹介)(第三六五五号)
同(日森文尋君紹介)(第三七五〇号)
平和憲法の改悪反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第三六五八号)
同(菅野哲雄君紹介)(第三六五九号)
同(重野安正君紹介)(第三六六〇号)
同(辻元清美君紹介)(第三六六一号)
同(照屋寛徳君紹介)(第三六六二号)
同(日森文尋君紹介)(第三六六三号)
同(保坂展人君紹介)(第三六六四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第三七五三号)
同(石井郁子君紹介)(第三七五四号)
同(笠井亮君紹介)(第三七五五号)
同(穀田恵二君紹介)(第三七五六号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三七五七号)
同(志位和夫君紹介)(第三七五八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三七五九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三七六〇号)
同(吉井英勝君紹介)(第三七六一号)
憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第三六六五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案起草の件
――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官殿川一郎君、国民生活局長西達男君、公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、警察庁生活安全局長片桐裕君、交通局長末井誠史君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、理財局次長中村明雄君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、農林水産省大臣官房審議官小風茂君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。
○高市委員 自民党の高市早苗でございます。
質疑の時間をちょうだいいたしまして、同僚委員の皆様に感謝申し上げます。また、今村副大臣には、御多用の中お出ましいただきまして、本当にありがとうございます。
ちょっと冒頭につかぬことを伺いますけれども、副大臣が私からの質疑通告内容を知ったのはいつでしょうか。また、副大臣の方から、私の質問に対して、自分は答弁したくないとか、部長に答弁させるようにといった指示を出されましたでしょうか。
○今村副大臣 昨夜、きのうの夕方伺いました。それで、ぜひお受けしますよということで言っておきました。
○高市委員 きのうは、午後の理事懇で本日の委員会開会が合意されましたことと、私の質問が決まりましたことで、その後質問を考えまして、通告をしたのはきのうの午後七時前後だったと思います。その後、農林水産省の企画官から電話がありまして、何とか副大臣答弁ではなく部長答弁でお願いしたいというお願いがありましたが、私の方からは、やはり政治家同士の話をしたいので、ぜひ副大臣でというお願いをしたところでございます。
ところが、同じ党の先輩議員にそういう質問をするのはどうかと思うと言われちゃいましたので、副大臣は私の先輩ではなく同期でございますので、その旨も申し上げたんですが、私が議員会館を出ました後も、農水省からうちの秘書の方に課長や部長から電話がありまして、実りある議論のためにも部長答弁でお願いしたい、それから、副大臣は同じ党の人からそんな質問をされることに驚いておられる、衆参ねじれの中で与党同士で議論すると不都合があるのではないかといった趣旨の、実に差し出がましい話がございました。
本委員会で審議いたしました国家公務員制度改革基本法案は、政治のリーダーシップ確立を目指す内容でございました。私は、今村副大臣御本人からぜひこれは部長答弁でということでお話がありましたら、もう快諾したのでございますけれども、農水省の事務方からそんな自民党内の人間関係とか衆参ねじれの話なんかを持ち出されるのは、甚だ心外でございます。
また、今村副大臣は大変農水行政に関して知識もあって優秀な方だと私は尊敬申し上げておりますのに、副大臣答弁では実りある答弁ができないような議論というのは、大変副大臣にも失礼なことだと思いますので、基本法案の議論を今参議院の方でやっている、そういう状態にあっても国家公務員の意識がついていっていないということについて、まずは抗議を申し上げさせていただきますので、副大臣からもよく言っておいてください。
では、質問に入ります。
林野庁に緑のオーナー制度というものがございます。この制度は、十五年から三十年程度の長期契約期間を設定した上で、育った樹木の販売時点で収益を分配する仕組みでございます。
私の選挙区に、昭和六十二年八月に国有林分収育林契約、つまり、緑のオーナー制度に一口五十万円で四口、合計二百万円分を出資された方がおられます。当時、地元営林署の職員から、国債並みの配当があり、森林維持によって国のためにもなるという説明を受けて、その方は、財産をふやせる上に国土保全に貢献できる制度だということに感心して、緑のオーナーになられたということです。
ちなみに、国債並みの配当という説明でしたので、昭和六十二年八月債の十年物国債の表面利率は四・六%でございました。平成十八年にその方の持っていた四口のうちの一つが満期になりましたため、一口売りましたところ、契約したときの半額以下の二十三万円にしかならず、国債並みの利益どころか、元本割れでございました。ことしはいよいよ別の三口についても満期が到来してしまうということで、真っ青になっておられます。
また、緑と触れ合える、自分がオーナーである森林と触れ合えるということでしたので、当該森林を見に行ったところ、ろくに維持管理もされていなかった。つまり、お国のためになるという説明もうそだとわかったということで、憤慨しての御相談がございました。
この方の御指摘についてまず事実関係を伺いたいんですが、既に満期が到来した緑のオーナーのうち、収益が出資金を下回った方は合計何人いらっしゃるか、それは全体の出資者の何割か、お伺いします。
○今村副大臣 まず、冒頭の件につきましては、大変不愉快な思いをさせてしまいまして、申しわけございません。私の能力を多分心配してのことだと思いますが、今後このようなことがないように、きちっと受けとめていくように指導していきたいというふうに思います。
さて、ただいま御指摘の件でございます。緑のオーナー制度につきましては、今委員の方から言われましたように、森との触れ合いとかそういったものを含め、あるいは森林が果たす公益的機能等を含めて、ぜひ、森林を育て、そしてまたそれを一つの資産として運用できるようにということも含めてスタートした制度でございます。
今、担当者の話等もあったと思いますが、結果として、非常に木材価格が低迷して、五十九年度から見ますと、一番低いときには八割から七割近く価格が下落してしまいました。そういったことがこういった結果を生みまして、大変そこは残念であったというふうに思っているところでございます。
今御質問の件でございますが、平成十八年度末までに満期に達して共有する樹木を販売したところは五百七カ所、契約者は九千七百人いらっしゃいます。この中で、負担額を下回った方が実は九千三百人ほどいらっしゃるということで、今申しましたように、大変大部分の方に残念な結果になったということでございます。
○高市委員 九千七百人中九千三百人が損をされたということですね。
平成十九年の十月二十六日に林野庁が発表されました緑のオーナー問題検討チームの取りまとめ結果には、分収育林の募集当時の担当者に聞き取り調査をできるだけ実施したが、個別の勧誘において不適切なものは確認されていないと書いてございます。私に相談された方がうそを言っていると考えておられるのか、絶対に国債並みの配当といった勧誘はなかったのかどうか、お伺いします。
○今村副大臣 そのような事実は、確認した限りではございません。
ただ、当時の国債並みという話がございましたが、大体それまでは、木材価格というものが、ほぼ物価の水準といいますか、そういったものと連動して動いてきたような傾向もございました。そういったことを含めて言ったかと思いますが、言われたような事実はないと承知しております。
○高市委員 それでは、現場の募集担当者に限らず、農林水産省・林野庁職員が国民に対して、利回りがよいとか子や孫に財産が残せるといった説明、また、そう解釈されかねない説明をされたことはありましたか、なかったですか。
○今村副大臣 子や孫に資産として残したい云々、これにつきましては勧誘の文書の中にもございます。
○高市委員 利回りについて、かなり収入になるといった趣旨の発言はなかったですか。
○今村副大臣 これにつきましては、この仕組み、分収して生じる収入といったものを勘案しますと、これが、予定どおりといいますか、従来のもくろみでいけばこのくらいの利回りになるはずだというようなことは恐らく言ったんじゃないかなというふうには想像はつきます。
○高市委員 言ったんじゃないかなじゃなくて、国民に対して言ったかどうかということを伺っておりますが。私たち国会議員は、主権者たる国民の代表でございます。そしてまた国民でございます。
昭和五十九年四月十一日、衆議院農林水産委員会で秋山林野庁長官が答弁されております。「杉、ヒノキによって違いますけれども、二・七ないし三%前後になるというふうにモデル計算ではなっております。」「従来ほどの木材価格の上昇は期待できなくても、ある程度の期待はできると思います」。
そしてまた、昭和五十九年四月二十四日、参議院農林水産委員会でも、秋山林野庁長官は、林野庁が行っているアンケート調査の結果について、子供や孫に資産として残してやりたいという人が二一%と述べました。つまり、国民の期待が資産をふやすことにもあるということを知っていたことになります。その上で、その委員会で、「具体的に利回りはどうかということになりますと、」「いわゆる価格の上昇を見ない場合には三%前後くらいだと思います。」とも答弁されています。
また、この同じ委員会で公明党の鶴岡委員が、「分収益をどのぐらいと国の方では見込んでおられるのですか。」と尋ねたところ、後藤林野庁次長は、「標準的な試算をしますと、三%とか二・七%とか、そのくらいの数字がケースのとり方によって出てまいります。そこにあと材価の上昇が何%乗るかということでございます。仮に材価の上昇を三%とすれば六%、四%とすれば七%といったような利回りに最終的になるわけでございます。」と答弁されております。
私の選挙区の方が出資した昭和六十二年の年でございますが、この年の五月の参議院農林水産委員会でも、田中林野庁長官は「分収育林、これは文字のとおりでございまして、収益を分かち合う林でございまして、これが経済的に全くペイしないということでは我々も設計はできませんし、売るわけにもまいらぬわけでございます。」と答弁されています。
また、昭和五十九年十月発行の「あなたも緑のオーナー。」という募集パンフレットには、契約いただくときには若い森林ですが、二、三十年後には立派に成長して、例えば杉では、一口で、おおむね百平米の木造二階建ての住宅に使われる木材に相当する収益を受け取っていただけるものと思いますと書かれており、このパンフレットのキャッチコピーは、「ひと足先の大きな資産に」となっております。
つまり、国民に対する広報も、収益が得られると、どう考えてもそうとられる広報をされていましたし、国民の代表者である国会議員に対して、木材価格の上昇が期待できることや、木材価格は上昇しなくても三%程度の利回りが期待できるということを堂々と林野庁は答弁されています。
この答弁を信じて地元で説明をした国会議員がいたとしたら、国が国民を欺いたに等しいと思うんですけれども、副大臣はそうは考えないでしょうか。これが一つ目の質問。
そしてもう一つは、平成五年後期以降の募集につきましては、元本が保証されるものではない旨の記載がされております。しかし、制度が創設された昭和五十九年から九年間は、その旨はパンフレット類にも記載されておりません。少なくとも、パンフレットにこの元本保証がない旨が記載されていなかった平成五年前期までに募集した出資者に対しましては、費用負担額と分収額との差額を支払う必要があるんじゃないかと私は考えます。制度創設に向けてさきに紹介しましたような国会答弁をしていたことも考えると、国にはその責務があると思うんですが、副大臣の政治的な御判断、お考えはいかがでしょうか。政治家としての御答弁をお願いします。
○今村副大臣 先ほども答弁いたしましたが、やはり、これはある意味では、資産のポートフォリオをどのように持つかということはだれしも考えることでございます。インフレになれば、当然、インフレに強い資産を持っておいた方がいい、そういった観点からある意味では取り組んできたものというふうに思っております。
しかしながら、申しましたように、予想外の木材価格の下落ということで、当初もくろんでおりましたとおりの成果が上げられなかったということがこういった事態を招来したわけでございます。
それから、保証といいますかそういったものにつきましては、そうではないということ、これを平成五年度以降はきちんと皆様方にお知らせしていくということでしております。
以上でございます。
○高市委員 大変残念でございます。被害者の方は納得されておりません。
できましたら、最後に私が申し上げましたように、パンフレットに元本保証がない旨記載される以前の被害者について、救済策をもう一度、政治家として御検討いただけないか、これを強くお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○中野委員長 次に、田端正広君。
○田端委員 公明党の田端でございます。
きょうは私、自転車に関する質問をさせていただきたい、こう思っておりますが、道交法の関係でございます。
交通事故は減っているんですが、しかし、自転車の関係した事故というのがやはりふえているようでありまして、〇七年で十七万件発生しておりますが、九七年から比べて二割ぐらいふえているようであります。
自転車は、原則車道である、歩道は例外扱いである。そして、車道の場合は左側を通行する、歩道の場合は歩行者が優先である、そして歩道の中でも車道寄りを行く、こういう原則があるようでありますが、しかし、言われてみると、なかなかその原則を知っている人は少ないんじゃないか、あるいは守っている人は少ないんじゃないかというふうな気がいたします。
今回、こういう区分の見直しの中で、七十歳以上の高齢者、十三歳以下の子供に関しては歩道の通行を緩和した、こういうことも言われています。それはそれでいいのでありますが、私は、日本は自転車に対する交通ルールというのが今までどちらかというと、車規制とかそういうことはたくさんありました、あるいはそれに関する信号機の設置とか。しかし、自転車というものに対しての認識といいますか、ここが少し欠けていたのではないか、こう思います。
地球温暖化の問題、あるいは歩いて暮らせる町づくりといったような観点から、今、再び自転車が身近な移動手段として大変見直され、便利に使われ、例えば高校生なんかは通学に使っている学校がほとんどだと思いますし、都会における移動手段としては、主婦は全く自転車を離せない、こういう状況だと思います。
大臣、自転車と歩行者との接触とかあるいは車との接触事故とか、いろいろありますが、このルール、そして自転車道をどう拡大していくか、ここのところをどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
○泉国務大臣 委員御指摘のように、自転車に対する考え方が、やや今までは、それほど重きを置かれていなかったのではないかと思います。しかし、大変見直されておるということと、自動車社会、大都市というようなところ、特に、混雑をして交通事故の原因にもなっておるという実態からして、今回、先ほどおっしゃったようなルールを一応決めさせていただいて、この上で自転車の安全な社会をつくり上げていこうということを考えさせていただいたわけです。
今のところ、我々としては、モデル事業を決めさせていただいて、そのモデル事業の中で、問題あるいはこういうやり方がいいかどうかということを含めまして次の展開を考えていくという対応をさせていただいておるわけでございます。
また、モデル地区以外、事業以外のところでも、国土交通省等と相談をしながら、特に自転車と歩行者のふくそうすると考えられたところとか、そういう地区については、カラーで舗装するというような視覚に訴える安全の考え方をとらせていただく、こういうことを進めながら、自転車社会をもう一度我々の生活の中に取り込んでいこうということを、今、各都道府県警察と一緒に取り組ませていただいておるところでございます。
まだ具体的なモデル地区の数も少のうございますので、もう少し時間をかしていただいて、安全な自転車社会をつくり上げていきたいと考えております。
○田端委員 大臣が今おっしゃられたように、いろいろな形で今テストケースとして行われているということでありまして、それは大変結構だと思います。
例えば、亀戸の駅前、京葉道路、国道十四号線だそうでありますが、自転車道が〇・四キロですけれどもつくられた、それによって非常に歩行者との接触事故というのは減っているということでもありますし、それから渋谷の方でも、都道で一・二キロにわたって自転車専用通行帯というものが開通したということであります。
いずれも一・二メートルとか一・五メートルぐらいの幅ですけれども、しかし、そういうふうにすると安心だし、また歩行者の方もきちっと注意ができますから接触事故というのは減るのではないかと思いますから、ぜひこういったことを全国総点検していただいて、特に危険なところ、事故の多いところというのはあると思いますので、それは対応をぜひお願いしたいと思います。
また、駐輪場の整備とか歩行者通行のはっきりした認識の標示マークとか、あるいは、自転車が入ってはいけない、ここはだめですよ、こういったことが明確に利用者にわかるような仕組みをもっと積極的にやっていくべきだと思いますが、どうでしょうか。
○末井政府参考人 お答えいたします。
駐輪場の整備につきましては、地方公共団体、道路管理者、そして鉄道事業者等が行うこととなっておりまして、警察といたしましては、必要な交通規制あるいは自転車のネットワークに応じた対処といったものなどを行いながら、また見やすくわかりやすい道路標識、そして道路標示というものの整備に努めてまいることとしたいと存じます。
○田端委員 今回の教則の見直しの中で、六歳未満の児童を自転車で同乗させる、一人はいい、二人はだめだ、こういうことなんですが、つまり、若いママさんは前と後ろに乗せて幼稚園とか保育所の送り迎えとかこういうことをされる、これがよくないということであります。しかし、使っておられる現場のお母さん方からの声を聞きますと、これはもう生活上必要だということを切におっしゃっているわけでありますから、ここはもう少し緩和するといいますか見直すといいますか、余り厳しくする必要はないんじゃないかという感じもいたしますけれども、違反すれば二万円以下の罰金または科料、ちょっとこれは乱暴だなという感じがいたします。
この辺、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいと思いますが、これは都道府県の公安委員会によってまた対応が違うのかもわかりませんが、ぜひ警察庁の方でしっかりとした情報というものを全国に発していただきたい、こう思います。
それからもう一点伺いますが、大阪では「さすべえ」というんですけれども、日傘であれ雨の日であれ、お母さん方、婦人が傘を真ん中に差して、この「さすべえ」もいかぬ、こういうことであります。しかし、これはまあ便利な知恵で生まれたものでありますから、こういうことも、あれもいかぬこれもいかぬというのではどうか、こう思います。信号無視とか二人乗りとか、非常にマナーの悪いものは確かにいっぱいあります。例えば携帯電話、メールをしながらとか、たくさんそういうことがありますが、しかし、生活上の知恵から生まれたそんなことまでいけないということでやるということはどうなのかなという点について、答弁をお願いしたいと思います。
○末井政府参考人 自転車利用者の交通違反に対しましては、指導、警告を基本として対応しているところであります。したがいまして、自転車に幼児二人を同乗させるいわゆる三人乗りにつきましても、明らかに悪質、危険な違反のほかは、安全教育や危険性の周知をなお一層図りますとともに、幼児二人を同乗させても安全に走行できる自転車の開発普及の可能性を追求していくことが適切と考えているところでありまして、現在、本年四月三日に検討委員会を立ち上げております。ここで幼児二人同乗用自転車に求められる条件などについて議論をしていただいているところでありまして、速やかに結論を得るように努めてまいりたいと考えております。
続きまして、いわゆる「さすべえ」でございますが、自転車に傘を固定するための器具の使用ということだろうと存じますが、これにつきましては、直ちに道路交通法違反となるものではございませんが、その用い方、使い方によりましては自転車が不安定となったり、視野が妨げられたり、歩行者と接触するといった危険が生じますので、こういった場合には道路交通法違反となることがあります。
そこで、先般、交通の方法に関する教則を改正いたしまして、このような点も含めまして自転車に関するルールやマナーの明確化を図ることによりまして、その旨の注意喚起を図っているところでございます。
○田端委員 自転車というのは身近な移動手段として大変大事なものだと思いますから、そこのところはぜひ大臣もよく御認識いただいて、国民の理解、また国民の皆さんが喜んでいただけるようなルールというものに、今まで自転車に対するルール規制といいますか、積み上げをやってこなかったところに問題があるわけですから、ぜひひとつそういった意味でもこれはしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
ところで、六月一日から後部座席のシートベルトが義務化ということになりました。これはまだ三日ほどしかたっていませんが、どういう状況なのか、大臣はどういう御認識であるのかということ。これは、シートベルトの着用率が上がることによって事故が減ってきたというのはもう明確に出ていますから、私は後部座席のシートベルトも非常にこれからは大事だ、こう思っております。
その中で、ちょっと一点ひっかかるのは、妊婦のシートベルトについては、道交法の中で装着することを例外にしている、しなくてもいいということになっているんですが、しかし、実際問題は、妊婦であろうと、母子ともの体を守るためにはされた方がいいのではないか。実際には、おなかをうまく妊婦の方は自分の知恵でやるそうでありまして、この研究をやっておられる独協大学の一杉先生のお話をこの前も伺いましたけれども、ほとんどの妊婦のお母さんは、シートベルトはきちっと赤ちゃんに負担にならないようにやっているということでありますから、これも本当は、母子ともの事故を防ぐという意味においては逆にきちっとした方がいいのではないか、そう思っておりますが、大臣及び当局の回答をお願いしたいと思います。
○末井政府参考人 妊婦の方のシートベルトでございます。
現行の道路交通法令におきましては、妊婦の方にも原則としてシートベルトの装着義務がございまして、シートベルトを装着することが健康保持上適当でない方についてのみシートベルトを装着しなくてもよいこととされております。しかしながら、他方で、シートベルトの装着をより促進すべきであるという御意見もございまして、現在、諸外国の制度の調査や、妊娠中の方の死亡事故の実態などにつきまして調査を行っているところでございます。
今後、このような調査の結果や産科婦人科学会等の専門家の御意見を踏まえながら、妊娠中の方のシートベルトの正しい装着のあり方や、それを正しく御理解いただけるような広報啓発、安全教育のあり方を検討いたしまして、速やかに結論を得ることとしたいと考えております。
また、後部座席のシートベルトの装着の三日間の状況いかんという事実の関係で御答弁させていただきます。
三日間、当初、例えばタクシーの方あるいは高速道路のバスの方々といった不特定多数の方々についてどうかという御心配の向きがございましたが、少なくとも、私どもの方に都道府県警察の方からそういったことでトラブルがあったという報告は受けておりません。
ただ、現在、まだ装着率といいますのはそれほど上がっているわけではない、なお一層の広報啓発というものを推進していく必要がある、このように認識をしているところでございます。
○泉国務大臣 今局長から御答弁を申し上げたとおりでございまして、後部座席のシートベルト、委員御指摘のように、装着しておる場合としていない場合とでは随分事故の発生率が違う。特に、前の座席に座っておる方の死傷は五十倍も違うというようなデータが出ておりまして、そのことを国民の皆様方も御承知いただいて、この一日からの問題については大方の皆さん方に御理解をいただいておるのではないかというふうに思っております。
ただ、このことをなお一層周知する必要があると思っておりますので、運転免許の更新時等についても徹底したお話をさせていただきますし、今までキャンペーン等もやってまいりましたので、シートベルトをつけて安全を守るという教育等の徹底をやってきましたので、これをまたさらに続けていって、特に高速道路については厳重に対処していきたいと思っております。
それから、妊婦の話については、できるだけ早く研究会の結果を出していただいて、より安全な、妊婦自身それから胎児についても、交通事故の災難に遭われないような対処をしたいと思っております。
○田端委員 どちらにしても、交通ルールというのは国民の皆さんに対する周知徹底が大事だと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○中野委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
本日は、さまざまな問題について取り上げさせていただきますので、答弁も多種多様にわたると思いますが、どうか御協力のほどよろしくお願いをいたします。
まず、一つ目でございますけれども、我が党は、ことしの二月十四日に、オウム真理教の犯罪被害者を救済するための給付金に関する法律というのを議員立法で提出させていただきました。我が党、枝野議員ですとか長島議員その他、私なども提案者になりながらこの法案の成立に取り組んできたわけですが、いよいよ、これはあくまで新聞ですとかあるいは与野党の協議の中身ですけれども、一つの修正案という形で、この内閣委員会において成立を迎えるという状況まで近づいてまいりました。
あのオウム真理教、特に地下鉄サリン事件でいえばもう十三年たっておるという状況の中で、ようやく一つのまた進展が見られる。ただ、これで決して被害者救済というのは終わりではないし、今もなお、御遺族の方々、そして関係者、被害に遭われて障害が残った方々も含めて、多くの方が心の傷を背負っているという状況はまだ引き続きあるということで、国民の皆様の御理解もお願いをしたいというふうに思いながら、この法案の中身について、あるいは今後の警察のオウム対策についてということで少し質問をさせていただきたいというふうに思います。
我が党が当初二月に出させていただいた法案の中では、例えば給付金の性質ということについては、こういった国家に対するテロリズムに対して国家がしっかりと国民に責任を負うんだというような立場から、できる限り国家の責任が明確になる給付金の性質というものを望んでおりました。そしてまた、損害賠償請求の中で、オウム真理教犯罪の被害者の方々が要求をしていた総額の中で、現在、まだ四割ほどしか損害賠償が行われていない、残り約二十五億円の賠償額について、何とかして全額を被害者の方々のお手元に届けていきたい、そういうこともできる限り求めていくというような法案を作成いたしました。そしてまた、後継団体に対しても、求償権を持って団体の監視をしっかりと行っていくということも盛り込みをさせていただいたところでございます。
そういう中で、さまざまな法の整合性、あるいは実際の政治の中での今できることというような中で与野党の修正協議が進んで、今回、一部給付額について増額、こういったものをかち取りながら、そしてまた、国による求償権の取得については規定を置くというような形をもって、私たちは修正に今応じさせていただいているという段階であります。
そういった状況を踏まえて、改めて国家公安委員長、今後の警察における対テロリズム、そしてまた、こういった対オウム真理教並びにその関連団体についての監視、そういったことについてどのようにお考えになられているか、覚悟と、そしてまた具体的中身があればお答えいただきたいと思います。
○泉国務大臣 オウム真理教犯罪被害者の救済につきましては、与野党を超えて御議論をしていただいておると承知をいたしております。この法案が成立をいたしました暁には、被害者の救済を図るというこの法律の目的に沿って、給付金が迅速に支給されるように、法の的確な運用に警察庁としては努めていきたいと思います。
特に、我々は今もなおオウム真理教の活動は注視をしておるわけでございまして、これからもそういう違法な活動を許さないという姿勢はとり続けてまいりたいと思っております。
○泉委員 修正の上、この法律案というものが今まとまって、今後この委員会にもかけられるということになるわけですが、その中で、給付の手続また事務に関しては、国家公安委員会、実際には警察庁という形で所管庁が定められるということになってまいるわけでございます。
そういったことでいいますと、今回の修正案の中には破産管財人という文言も入れさせていただきましたが、「給付金の支給を受けようとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請し、その裁定を受けなければならない。」この裁定について言えば、破産手続の中でさまざまな被害の認定を受けたというような方々がおられるわけですが、できる限りお一人お一人の被害者の方の負担を減らしていただくということは今回の法の中にも盛り込まれておりまして、やはり、手続が二重三重になるようなことは極力防いでいただきたいというふうに考えております。
そういったところで、ぜひ破産管財人ともしっかりと連携をして、申請者に対して過重な負担を課することのないようにというところについては御配慮を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○泉国務大臣 今御指摘のように、法律の中に、都道府県公安委員会は、申請者に過重な負担を課すことのないように、捜査記録等の各種の公的資料を用いるなど、事案の実情に即した適切な判断を行うようにという趣旨のことを記していただいておると承知をいたしております。
本規定を受けまして、都道府県公安委員会では、関係機関が保有する公的な資料を積極的に活用する、そして、公的資料で確認された事実については、申請者に対してその立証のために必要な資料の提出を求めることなく対応するということを想定いたしておりまして、御趣旨の線に沿って極力努力をしたいと考えております。
○泉委員 その他、先ほど申しました給付金の性質、今回は見舞金的な性格ということでございますが、今考えられている修正案の中には、あえて見舞金という書かれ方はされておりません。それは、この給付金そのものがさまざまな要素を持っているということもよく御理解をいただいて、こういった対テロリズムということで、国家のかわりに犠牲になられた方々に対してはやはり国が今後しっかりと責任を負っていかなくてはならないんだ、そういう考え方を持っていただくことが私は何より重要だというふうに思っております。
その意味では、修正案の中で、「検討」ということで「国は、テロリズムによる被害者の救済の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」ということが書かれてございます。
今後、こういったテロリズムによる被害者救済のあり方、これをぜひ積極的に御検討いただくということを改めて明言していただければ幸いでございます。
○泉国務大臣 いわゆるテロ対策一般法についてどういうふうに考えるかというお尋ねだと思いますが、犯罪被害者等基本計画に基づく経済的支援に関する検討会において検討された経緯を踏まえまして、また、国の対処方針の内容として想定される事項が大変多岐にわたっておるということから、内閣府において所要の対応がなされていくと認識をしておりまして、警察庁といたしましても、これに協力をしてまいりたいと考えております。
○泉委員 この修正、そして内閣委員会にこの修正案の提出というところに当たっては、本当に各党それぞれの御努力の中で、また合意の中でこの作業が進められてまいりました。そのことに敬意を表しながら、また、とはいえ、先ほど冒頭申しましたように、被害者の救済がすべて終わったということでは全くないということも改めて再確認をさせていただきたいというふうに思います。
続いて、きょう取り上げますのは、今段階的に全国で導入が進んでおります、たばこの自動販売機におけるタスポというカードの導入についてであります。
このタスポカード、タスポですけれども、まず地域限定的にスタートをしながら、成人の認証を自動販売機で行うという目的で、未成年の喫煙を防止するということが目的であるわけですが、今順次この導入が進んでおります。
財務省に改めて、現在の導入の状況、これが直近のものがあれば教えていただきたいと思います。
○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御存じのように、タスポカードは、平成十三年に業界の自主的な取り組みとして導入を決め、十六年五月に鹿児島県の種子島において実証実験を行ったところでございます。その結果を踏まえまして、ことしの三月から、まずパイロットエリアということで、鹿児島及び宮崎県でサービスを開始したところでございます。五月に第一次エリアということで、北海道、東北、中国、四国及び九州でサービスが開始されまして、六月に信越、北陸、中部及び関西でサービスが開始されたところでございます。二十年七月に残ります関東及び沖縄のエリアでサービスが開始されまして、全国でサービスが開始されるところでございます。
○泉委員 願わくば発行枚数等も教えていただきたかったわけですけれども。
このタスポ、公安委員長はおたばこを吸われるか吸われないか、以前運転免許の話をお伺いしたときは免許がないというお話でございましたが、タスポカードでございます。後ほど、喫煙をされて、またタスポカードを持たれているかどうかも御答弁をいただければと思います。
このタスポカード、やはりこれまでになかった枠組み、これまでは、当然未成年にはたばこを吸わせない、これは、国民の自主的な努力の中で、また業界のそれぞれの取り組みの中で、特段のこういったカードを作成するというような取り組みはなく、自主的にそれぞれ行われてきたわけです。もちろん、今回のタスポカードも自主的な取り組みの一つではありますが、その導入に当たって幾つか問題点が出てきておりまして、きょうはちょっとそのことを紹介させていただきたいと思います。
まず一つは、このタスポカード、「譲渡、貸与を禁止します。」ということがカードに書いてあるんですね。発行は社団法人日本たばこ協会でございます。一方で、タスポカードの普及率、先ほど財務省からできれば発行枚数をと言ったのはその辺なんですが、現在の喫煙者の数に比べると、まだ相当低い現状でございます。
そういうことを考えると、たばこの売り上げが各地で激減をしているという状況もあるわけですが、そういう中で、それぞれのたばこの自動販売機を置いている屋内施設等では、例えばリゾートホテルですとか、あるいは大型銭湯なんかを考えていただくと、その中にたばこの自動販売機がある、しかしタスポカードを持っていないお客さんが多数おられる、さてどうするかという中で、実はフロントでカードを貸しているというような状況が今起こってきているわけでございます。
そういうことについて、これは新聞の報道でございますけれども、日本たばこ協会、タスポの発行元では、書いてあるとおり、譲渡、貸与を禁止というふうになっていますので、協会の見解としては禁止だと。しかし、メーカーさんであるJT側は、これは成人を確認するカードであるわけだから、お貸しをするときに、フロントから貸すときにその人が成人だということが確認できれば、それは事実上成人確認ができているということじゃないかということをもってして、カードの貸与については、積極的に推進はしないけれども容認をしていると。
というのは、実際には、JTのそれぞれの営業担当の方々が、こういうことでやったらどうですか、お客さんはそのかわり受付なりフロントなりで成人確認をしていただいたら、あとは施設内のことですし、お貸ししたらいいですよというような形での営業を進めているということも伺っております。そういった見解の相違がある中で、しかし、カードの趣旨からいえばやはりちょっとおかしいんじゃないかという声もございます。
財務省、この両団体の見解について、財務省はどうお考えなのか。
○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
先生が今お話しされたような報道がなされたことは承知しております。これに対しまして、JTの方からは、報道にありましたようなタスポカードの貸し借りを容認するようなコメントをした事実はなく、その旨、その記事を書きました新聞社に対して、その記事におけるようなJTのコメントは事実誤認である旨の申し入れを行っているというふうに聞いております。
いずれにしろ、タスポカードの他人への貸与につきましては、タスポの運営主体であります日本たばこ協会とタスポカード申込者の間で締結されておりますタスポ会員規約によって禁止されているところでありまして、未成年者の喫煙防止の観点から、財務省としても会員規約を遵守していただきたいと考えております。
○泉委員 ここでもう一つ確認をしたいのは、財務省に確認すべきなのか警察庁に確認すべきなのかちょっとわからないので、どちらからでも結構なのですがお答えいただきたいんですが、要は、未成年者喫煙禁止法がございます。その中に、事業者の責務というんですかね、未成年者に対してたばこを勧めてはいけませんというような条項があったというふうに思うんですが、果たしてそれにこのタスポカードの貸与というものがかかってくる可能性があるのかどうかということだというふうに思うんです。
これは、どちらがこの未成年者喫煙禁止法の有権解釈を行う立場にあるのかということで御答弁をいただければというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○片桐政府参考人 所管は私どもでございますので、お答えを申し上げます。
法律では年齢確認を行いなさいということが規定されておりまして、何をもって年齢確認とするかということは個別具体的な事情に即して判断すべきものでございますので、一口に貸与と言っても、それに当たるケースもあれば当たらないケースもあるというふうに考えております。ケース・バイ・ケースであると考えております。
○泉委員 改めてですけれども、あえて残す意味で、カードの一般的な貸与であれば、一般的なというか成年に対する貸与であれば、法律上は、当たり前ですが何も問題ないということで、ちょっと確認でお願いできますか。
○片桐政府参考人 要するに、成年者であることの確認でございますから、タスポカードを他人に貸したとしても、貸した相手方が成年であるということが確認されれば、この法律の規定には違反をしないと思っております。
○泉委員 ありがとうございます。
システムが果たしてよかったのかということも含めて、今、愛煙家の方々の中でもいろいろな議論がございますし、その他周辺の方々の中でも相当議論があるこのタスポカードでございますが、もう一つお伺いをしたいことがございます。
福岡県警と福岡県警の中のある署が、タスポカードの導入後初めてとなるタスポカードの貸与による摘発を行ったという報道がありました。これは県警なのか署の方なのかで恐らく発表されたということが聞こえてきておりますが、その事実関係について警察の方からできましたらちょっと御説明をいただきたいのと、いわゆる未成年者喫煙禁止法違反容疑というような中で書類送検がなされる。書類送検というのは一般的に警察が事案を発表するようなものであるのかということも含めて、答弁をいただきたいと思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
まず、事案の概要でございますが、お尋ねの事案は福岡県警における事案でございますが、被疑者である母親が、中学三年生の被疑者の息子が平成十九年夏ごろから喫煙していることを知りながら、たばこを買い与えるなどして喫煙を制止することなく容認し、また、平成二十年五月十二日、自宅において、息子がたばこを購入し喫煙することを知りながら被疑者名義のタスポカードを貸与し、もって息子が喫煙することを制止しなかったという事案でございます。本件につきましては、福岡県警察が平成二十年六月二日、福岡地方検察庁に書類送致したものと承知しております。
それから、こういった任意捜査の事案で発表するのかどうかということでございますが、任意捜査の事案であるからといってすべて発表しないというわけではございませんで、事案について公益性があると申しますか、社会に警鐘を与えるとか、また、こういうことを発表することについて公益性があるというふうな判断をした場合には、被疑者等のプライバシーも考慮しながら事案を発表するということはあるということでございます。
○泉委員 そうしますと、任意捜査はすべて発表しないわけではないということではありますけれども、改めてお伺いすると、通常はこういった書類送検レベルで記者発表することはないということが一つ、そして、その判断をするのは果たしてどこになるのかということも重ねてお伺いをしたいというふうに思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
一般論として申し上げますと、若干今の繰り返しになりますが、警察が捜査に関して報道機関等に発表を行うに当たっては、被疑者、被害者を含め関係者の名誉やプライバシーの保護、捜査の遂行に及ぼす影響、そしてまた公表することによって得られる公益性の度合い等の諸事情を個別具体的な事案ごとに総合的に検討しまして、報道発表を行っているものと承知をしております。これを発表するかどうかについては、各都道府県警察ごとに個別の事案ごとに判断をしているということでございます。
○泉委員 そうすると、今回は福岡県警としてその発表をするという判断をしたということですか。
○片桐政府参考人 そのとおりでございます。
○泉委員 確かに、今、事例というか事案の紹介がございましたので、その中身については当然これは許されるべきものではないというような前提でございますが、私ちょっと過去数年調べてみましたら、時々この未成年者の喫煙禁止法違反容疑で事案が発表されているわけですね。ですけれども、ではそれが全件かといえば、例えば、平成十七年においては、未成年者喫煙禁止法、総数五十六件、被疑事件の受理という形で件数があります。そしてまた、平成十八年では七十二件受理件数があるという状況の中で、新聞で発表された件数なんかを見ていくと、これまで、過去を含めても十件に満たないぐらいだけが発表されているという状況であります。
確かに、公益性、社会的影響、そういったものが皆さんの中で判断はなされているというふうに思うんですが、どの時点で発表されるかというのは、もちろんわかるわけのないことかもしれませんが、公平性というところからいうと、初めて摘発したということで発表なされるということもわかるような気もするんですが、国民からすると多少わかりづらい状況に今なっているのではないのかなということも気にしております。どういう事件が発表されるのか、そしてまた、どの時点で発表されるのか。
例えば、この未成年者喫煙禁止法についても、書類送検の後はほとんどが不起訴処分というような形にもなっておるわけでして、そういう中では法の中で配慮はなされているとは思うんですけれども、やはりこういった新聞記事に出てしまうということでの、法を犯した人たちの、何というか、その辺も配慮されているということでありますが、プライバシーということからしても難しい部分があるんじゃないかということも考えております。
その辺ぜひ、警察の方では今後考えていただきながら、気をつけていただきながら、何を公表するのか、何を公表しないのか、これはできる限りわかりやすい形で国民に御説明をいただきたいということをきょうはお願いさせていただきたいというふうに思います。
続きまして、次は、岸田大臣にこれまでも何度かお伺いをしようとしていましてなかなか進まなかったことでありますけれども、交通死亡事故ゼロを目指す日ということについて、国民運動として展開をされてまいりました。これは恐らく、これまでの交通安全行政の中では、対策の中では初のこういった目指す日ということでの設定かというふうに思います。
この取り組み、どのような趣旨で今回初めて行われたのか、そして、実際にことしは、たしか年二回ということで既に二月と四月に行われておりますが、その結果がどのようなものであったのかも含めて御説明をいただきたいというふうに思います。
○岸田国務大臣 国民生活の安心、安全を守るために政府が全力で取り組まなければいけない、これは当然のことであります。ただ、国民生活の安心、安全というのは、政府だけの取り組みで実現できるものではなく、やはり国民の皆さん一人一人に意識を持っていただき、またこうした取り組みに参加していただく、こうしたことが大切だと考えております。
このように、生活の安心、安全を守るために、国民の皆さんに広く意識を持っていただく、また取り組みに参加していただく、こういった趣旨から、福田内閣が進める生活安心プロジェクトの一環としまして、交通事故死ゼロを目指す日という国民運動をことしスタートさせたわけであります。そして、二月の二十日、四月の十日、この二日間を交通事故死ゼロを目指す日と定めまして、運動を展開いたしました。
そして、二月二十日は交通事故死者数十名、四月十日も十名と、残念ながら交通事故死者数ゼロを達成することはかなわなかったわけでありますが、ただ、昨年一年間の一日当たりの交通事故死者数を見てみますと十五・七名でありますので、二月二十日、四月十日、この二つの日とも、昨年一年間の平均の死者数と比べました場合に、交通事故死者数は大幅に減少したということは言えると思います。
また、四月の十日はことしの春の全国交通安全運動期間中であったわけですが、ことしの春の全国交通安全運動期間は交通事故死者数が過去最少でありました。百二十五人ということで、前年と比べましても三十七名減少した、過去の記録の中で最も交通事故死者数の少ない全国交通安全運動期間でありました。そして、その運動期間の中でも四月十日は最も死者数が少なかったということであります。
こういった運動、そして結果を通じまして、多くの国民の皆さんに改めて交通安全について考えていただく、また行動していただくきっかけになったものと認識をしております。
○泉委員 交通事故死ゼロを目指す日、この政策目標というか取り組みが決定をしたのはいつであったのか、そして、なぜ二月二十日と四月十日が選ばれたのか、これを改めてお伺いしたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、この交通事故死ゼロを目指す日という国民運動は、生活安心プロジェクトの一環として四つの国民運動を定め、その中の一つとして実施するということを決定いたしました。そして、プロジェクトの中に盛り込むということでこの実施が決まったわけですが、さらに具体的には、一月十一日の交通対策本部におきまして実施を決定するということになりました。
そして、二月二十日、四月十日、こうした日を定めた理由でありますが、まずは、二月二十日につきましては、交通対策本部での決定が一月十一日ですので、周知期間等を考えますと、やはり一カ月程度が必要であったこと。さらには、昨年の月別交通事故死者数を見ますと、二月のみ前年と比べて増加しているという結果が出ております。ぜひこの二月に積極的な交通安全運動を実施する必要があるということを感じたこと。さらに言いますと、全国の地方自治体におきまして、毎月十日ですとか二十日ですとか、ゼロのつく日に積極的な交通安全運動を実施しているという実例が存在いたします。国民運動として展開する際にも、このゼロのつく日は、なじみやすい、地方公共団体とも連携しやすい、こういった理由も勘案いたしました。
こういったことから二月二十日を決定し、そして、四月十日につきましては、春の全国交通安全運動期間でもあり、より積極的な交通安全運動の展開が期待される、こういったことから四月十日を定めたということでありました。
こういったことから、二月二十日、四月十日、二日間をこの交通事故死ゼロを目指す日と定め、運動を展開した次第でございます。
○泉委員 こういう運動というのは、その日だけゼロを目指すという話ではもちろんありませんし、それは三百六十五日、当然、交通安全のために御努力をされている全国の警察の方がおられる、また地域住民の方々がおられるということでありますので、何もこの日だけをクローズアップするということはないんですが。
恐らく国家公安委員長のもとにはなかなかこういう情報は入ってこないと思うんですが、幾つかの県警の知っている方々などに話を聞きますと、特に、今、岸田大臣からお話がありました、一月十一日に政策決定をなされて、それから各都道府県に文書が発出をされて、そして一カ月の間に、とにかくこの日に運動をやってくれという形で設定がされたというのは大変きつかったというような言葉もいただいております。そしてまた、二月と四月に運動をやるんであれば、どうして四月以降がないのかと。今年度は、私も確認しましたが、今のところ予定はないというふうにお伺いをしているわけでして、その二点はちょっと解せないなという気がいたしております、秋の交通安全運動もございますし。
そういった意味では、本部として、今後本当にことし一年間、一年間というか二十年中にこのゼロを目指す日ということをされないのか。そしてまた、今後は、なされる場合はなるべく早く全国にその旨は通知をすべきだ、やはり十分な準備期間を設けて、そして国民の意識も高めてというようなことを思うわけですが、これはできましたら警察の側からも御答弁いただきたいというふうに思いますので、この目指す日を実際に活動する側として取り組まれた国家公安委員長と、そして岸田大臣の方にお伺いをしたいと思います。
○泉国務大臣 先ほど岸田大臣からお答えございましたように、一月十一日の交通対策本部決定に基づいて、警察庁としては、同日付で交通局長が各都道府県警察本部に通知を出したところでございます。
確かに、一月十一日から二月の二十日というのはショートノーティスだったかもしれません。しかし、警察としては、例えば、三重県では、各団体が協力して、通勤時間帯の駅前において啓発物品の配布などの啓発活動を実施する、福岡県は、二万四千人の体制で一斉取り締まりをやる、そういうことで、短かったとはいいながら全力で取り組ませていただきました。
四月は、春の交通安全週間の中でもございましたし、より一層の取り組みをさせていただいたわけでございます。茨城、栃木、群馬、埼玉といったところでは、合同で出発式を開催した後、関係団体も参加した街頭キャンペーンを実施する、こういうことでゼロを目指させていただいたわけでございますが、残念ながらゼロには至りませんでした。
しかし、委員御指摘のように、三百六十五日これは取り組まなきゃならないわけでございますから、そういう意味では、これからもこういうゼロを目指した日を設けていただいて、国民への啓発を一層進めていくということは意味のあることではないかと思っております。
○岸田国務大臣 今回のこの交通事故死ゼロを目指す日は、警察を初め、関係機関の取り組みももちろん大切ではありますが、それだけでは安心、安全を確保することはできない。やはり国民の皆さんに参加していただく、ここがこの国民運動のポイントであります。従来の交通安全運動との違いはそこに大きくあるというふうに認識をしております。
確かに、準備期間の不足等御指摘は謙虚に受けとめなければいけないと思っていますが、やはり、今言ったその目的に関しまして、先ほど申し上げましたように、少なからぬ成果が上がったと認識をしております。そして、依然、昭和四十三年に記録をとり始めてから、我が国においては、交通事故死者数ゼロだった日というのは一日たりともないわけであります。ぜひこの取り組みはこれからも続けていきたいと思っています。
ただ、その際に、ぜひ都道府県等にアンケートを行いたいと思って、今準備をしております。各都道府県に今回の実施についてのアンケート調査を行わせていただき、そういった意見もしっかりと参考にさせていただいて、いつやるべきなのか、何回やるべきなのか、どうやるべきなのか、しっかりと確認をして実施したいと思っています。
○泉委員 二月、四月になされて、今後まだ予定がない。確かに、検証ということを今なされているということなんでしょうけれども、ぜひ今後取り組みをしていただきたいということと、今、岸田大臣、従来と違うところですというふうにおっしゃいましたが、やはり交通安全運動、これも多くの交通安全関連の団体が市民の立場から協力をしている。今回のこのゼロを目指す日についても、やはり一番最初に声がかかるのはそういった団体でございまして、そこからさらに広げようということでも、これはなかなか難しいところもございます。そういった意味で、ぜひ今後、これまでの交通安全運動と違うということであればなおのこと、国民全体に対する周知、認知度を上げるということが必要だと思います。
その意味で、二月、四月になされたというのは、国民全体がまだ盛り上がる状況に至る前に、とりあえずまず取り組みからスタートをしたのかなという印象はございますが、でも、これは批判されるべきものではなくて、あくまでスタートだったということでございますので、今後ぜひ、それぞれ、都道府県や警察に無理がないような状況で、十分と準備期間を持ちながら、この取り組みは引き続き進めていっていただきたいということをお願いしたいと思います。
もう一つ、最後になります。いわゆる偽装ラブホテル、警察用語では類似ラブホテルという言い方をされるそうですが、これまでもこの内閣委員会で吉井委員がずっと取り上げてまいりました。私のところにも地元の団体から要望が来ておりまして、きょうはこのことについて取り上げたいというふうに思います。
いわゆる類似ラブホテル、これは風営法の規制に入らない、事実上のラブホテルというようなことで、今全国で約三千六百。これはあくまで警察が全国各地を津々浦々調査して、そして外見上の判断として、例えばホテルの入り口に遮へい物が設けられて客の出入りが見えないようになっている構造、あるいは外形、デザイン、外観等が非常に派手であったり奇異であったり、そしてまた施設の外部に空室の表示があったり休憩料金の表示があったりということをもってして、外から見て判断をした。中に入って判断までは、警察には立ち入り権限はそういった意味ではございませんので、風営法にかからないホテルについては立ち入り権限がございませんので、そういった形で確認をしただけでも、いわゆる類似ラブホテルというのは三千六百あったという状況でございます。
きょうは厚生労働省にお越しをいただいております。やはり確認をしたいのは、こういった、こういったという表現になってしまうのは恐縮なんですけれども、実質ラブホテル、類似ラブホテルは、旅館業法の中で果たして本当に常々検査がなされているのであろうか。例えば、旅館業法の第六条、「宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。」という項目がございますが、果たしてそういったものの提出を求めるようなことがこれまでなされてきたのかということをやはり疑わなくてはならないという状況でございます。
これまでの旅館業法によったいわゆる旅館、ホテル、こういったものの検査、これがどのように行われているかを御答弁ください。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
御指摘のラブホテルと言われるものでございますけれども、旅館業法上はビジネスホテルなどと同じようにその規制を受けるというものでございますが、これらの施設の中には、例えば宿泊者名簿を備えていないでありますとか、それから泊まる方と顔を合わせるような玄関帳場を備えていないという旅館業法違反の事実というものが見られるという事実はございます。
このようなことがございますので、私どもといたしましては、地方自治体に対しまして、定期的に一斉監視指導で行いますとか、それから重点施設を定めて監視指導を行うというような形で監視指導を徹底するようにという指導を従来から行っているところでございます。また、最近の国会での御指摘も踏まえまして、関係の自治体と連絡をとり、助言を行うというふうな対応を行っているところでございます。
○泉委員 これまでも行ってきたという話を聞けば聞くほど、逆に不安になるわけですが、これまで行ってきて、この状況があるということになるわけですよね。では、果たして本当に厚生労働省としてこういった類似ラブホテル、偽装ラブホテルをしっかりと見詰めていくつもりがあるのかということであります。
もう少し、より具体的に進めていきたいと思うんですが、過日の国会答弁の中で、警察庁の方からは、旅館業法とかには別途関係当局の立ち入り権限が認められておりますので、警察庁としては、そういった関係当局と連携しながら、さらに実態把握を深めるように努めていきたいというふうになっております。そういった違反形態があるのであれば、関係当局に対して、きちんと所要の行政命令等の発出を促すようにしてまいりたいと思いますというふうにも警察庁の方からは答弁がありました。
そういったことを踏まえると、今住民の皆さんからは、いろいろな形で、ここのホテルはどうやら法律に違反をしているんじゃないかというような指摘が相次いでいるという現状がございます。警察庁、御答弁をいただければと思うんですが、そういった住民からの通報に対しては、例えば厚生労働省なりに対して、各都道府県を通じて地元のしかるべき厚生労働関係の役所、保健所に対して、何かしらの形でこういった連絡、連携をとられているのか、一般の国民の皆さんから通報があるたびに、ちゃんとそれを情報として伝えているのか、そのことを確認したいと思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
類似ラブホテルは、今委員からもお話ございましたように、風営法上のラブホテルであるものもあれば、ないものもある。ないものについては私どもは立ち入り権限を持っておりませんから、その場合には任意で、同意を得て、中に入って見せてもらうとか、それができない場合には、関係当局にお伝えをして、それで立ち入っていただいて状況をお知らせいただくという形をとっております。
したがって、住民の方からそういったお話があった場合にどういう方法をとっているかということは、いろいろなパターンがあるかと思いますけれども、また、全件そういうふうにやっているかどうかも、ちょっと私、まだここで申し上げる自信はございませんけれども、基本的には、やはり連携をとりながら実態を調べていくということがなされているというふうに考えております。
○泉委員 ラブホテルが日本国内から全部なくなるなんということは、これはあり得ない話だというふうに思います。形態を変えながらも、恐らくこれは日本の社会に根づいているものの一つでもあるというふうに私は思います。ですからこそ、風営法の中でラブホテルというものが定められておるわけですね。
だけれども、今問題なのは、それを脱法というか、事実上、法のすき間になっている部分が生じているということが問題でありまして、過日からの内閣委員会でも実態が報告されているように、学校の数メートル隣にこういったホテルができているという状況について、これが果たして子供たちの教育環境にふさわしいのか、あるいは地域の風紀ということからしてふさわしいのかというようなところで、法のすき間の話をあくまでしているわけであります。
そういった意味では、私は、枠組みづくりはぜひしていただきたいというふうに思うわけですが、警察の方に対しては、やはりラブホテルの定義そのものが風営法の中では随分古い状況のままになっているということ、それを踏まえて、現在の社会実態に合わせた形に風営法の改正をしていただきたいということが一点。
そして、住民の方々から通報があれば、やはり通報という性質からいけば、それは本来保健所に行くべき通報も警察の方に来る可能性も十分ございます。そういったものもあわせて、双方、どちらかに対して通報があった場合には、やはり基本的には必ず事実確認をする、検査に入る、検査に入るのは恐らく保健所だということになると思います。そういったことはフレームとしてぜひつくっていただきたいというふうに思うわけです。現在は実態を把握しておりますということで、なかなかその状況が進んでいない。皆さんも恐らく、なかなか現場が今どうなっているかというのがわからない状況がございますので、ぜひそのフレームだけはつくっていただきたいということをお願いしたいと思います。
大臣、そのことは、ぜひ政治決断として、今後検討するというようなことを御答弁いただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○泉国務大臣 本委員会でもこの類似ラブホテルの問題については再三取り上げていただいておりまして、我々としても、この状況を打破すべく、特に学校の近くにあるホテルについては何とかならないかというのが正直な思いでございます。
これまでも、ことしに入ってから、どういうふうにラブホテルの状態、捜査の状況等のきっかけを見ますと、いわゆるホテルの屋外の広告物条例違反から起こしたもの、あるいは保健所からの情報提供によるもの、風評によるもの、あるいは別件検査によるもの、そういうものが各県で行われておりまして、警察として、こうした情報をいただいたならば、できるだけ現場に入って実態を見きわめていくということをやっていきたいと思います。
風営法の問題については、やはり時代に合わないところは改正に向けての努力をやっていくべきではないかと考える次第でございます。
○泉委員 厚生労働省と警察庁、ぜひ連携をいただいて、一つの枠組みをつくっていただきたい。国民の皆さんからの声が上がっているという実態を踏まえて、それにどう対応していくのかということについては枠組みをつくっていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。
○中野委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党、市村でございます。
四十五分いただきまして、本日もまた非営利組織、いわゆるNPOについての議論を進めてまいりたいと思っております。
この委員会でも何度か大臣とも議論をさせていただいております。特定非営利活動法人、いわゆる特活法人と私は呼んでおりますが、特活法人をとにかく今度の、今政府が進めていらっしゃる公益法人改革の中に取り込んでいくべきだという主張を私はしております。
その中で、確かに、今現在の特活法人制度をすぐにということではなかなか、大きな混乱があるかもしれないということで、慎重にということも大臣はおっしゃっていただいたと思いますが、例えば、今回の公益法人改革で議論されたことで極めて重要なことが一点、まあ何点かあるんですが、そのうちの一つが、これまで法人格と税制が一体だったものを、法人格は法人格、税制は税制と、これを分離したんです、今度の公益法人制度で、新しい法制度は。
このことは、私はあるべき方向に向かっている、いいことだというふうに大変評価をしておるんですが、せっかくここで分離したということをもって、例えば、特定非営利活動法人の制度はそのままにしまして、かつ、認定特活法人制度、いわゆるパブリック・サポート・テストということに基づいて特増、いわゆる特定公益増進法人になる、こういう道が特活法人にはあるんですが、それはそれで残したまま、今度の新しい公益法人改革における、きょうお越しいただいていますが、公益認定等委員会のガイドラインに沿って、今後、例えば一般社団、一般財団と言われるものが今度はそのガイドラインに従って特増、特定公益増進法人となるという制度が開かれているわけですね。
一般社団、一般財団というのは、登記で法人格を取得できるという制度です。これが今度の公益認定等委員会のガイドラインに従うと特増になる道があるということなんですね。登記で法人格を取った団体が特増になる道が開かれた。これは私、画期的なことだと思います。すばらしいことだと思います。
であれば、特定非営利活動法人、これは、いいか悪いかは別として、認証なんですね。これはいろいろ議論がありました。当時は、これは登記ですべきだという議論がありました、準則主義的に。しかし、結果としては認証という形になっています。しかも、特定非営利活動法人でありますから、公益性が担保されている法人として、これはあるわけですね。
すなわち、今度、準則主義的につくれる一般財団、一般社団ですら特増になる道が開かれて、しかも、今度のガイドラインというのは、後で議論したいと思いますが、私からすれば、ある種当たり前のことが書かれている。いわゆるガバナンスをしっかりした団体を特増並みにしてあげましょう、あげましょうというか、しましょうという話なんですね。
だから、この特定非営利活動法人の制度はそのままにしながらも、例えば、特定非営利活動法人を一般社団と法律的にみなしてあげると、すなわち、特定非営利活動法人も公益認定等委員会のガイドラインに従って特増になるという道がつくれるんではないか、私はこう思っています。こうすることによりまして、今政府が進めている、民間の公益の活動を増進するという施策にこれは資すると私は思います。
すなわち、今の財団、社団と言われる、いわゆる民法法人でありますけれども、これは民法三十四条が廃止されて、しかし、特例民法法人として五年間残った上でいろいろ考えていくわけです。私も、特定非営利活動法人にそのようにしてと思っていましたけれども、そうしなくても、特定非営利活動法人の制度を残したまま今度のガイドラインにつなげていく方法があると私は思っていますが、これについて、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
○岸田国務大臣 公益法人改革につきましてまた新しい御提案をいただきまして、今、大変参考にさせていただきました。
市村委員との議論も、この委員会に限らずさまざまな委員会でやらせていただいて、きょうで五回目ぐらいになるかと思いますが、本当にいろいろな御提案をいただき、我々も勉強させていただいていること、感謝を申し上げます。
そこで、今新しい御提案、一つの御提案をいただいたわけですが、まず考え方として、今進めようとしているこの新しい公益法人制度、十二月から具体的に動こうとしている公益法人制度をつくり上げる議論の過程において、本当にさまざまな関係者の皆様方から御議論をいただきました。その際に、これは何度か申し上げていますが、特定非営利活動法人制度と新しくスタートさせようとする公益法人制度の関係につきまして御議論もいただきました。
そして、その過程においては、多くの特定非営利活動法人の関係者の皆様方御自身から、とりあえず、今の特定非営利活動法人制度と新しい公益法人制度、これは別のものにしていただきたいという意見が強かったということを私は聞いておりますし、そのように認識をしております。ですから、これはあくまでも、今スタートしようとしている新しい公益法人制度と特定非営利活動法人制度、この二つの制度は独立した制度として話を進めてもらいたいということだったわけです。
ですから、その前提のもとに今制度づくりをし、そして制度をスタートさせようとしているわけです。そして、それに備えて、政令ですとか内閣府令ですとか、あるいはガイドラインですとか、こうした準備を進めているわけです。ここで、この二つを今おっしゃったように絡めるということになりますと、大前提がちょっと狂うということになってしまう。これは混乱につながってしまうんではないかというふうに考えています。
もちろん、この制度改革については、今回スタートしようとする制度、これが完璧なものであって、もう変える余地はないと申し上げているわけではなくして、これはとりあえず、今申し上げましたような考え方のもとにこの制度づくりを今日までやってきた。別個の制度としてスタートさせようという哲学のもとに今日までやってきたこの制度ですから、その哲学のまま、まずスタートはさせていただく、そして議論は引き続きさせていただく、そして関係者の合意を得たならば改善することは考えられる、こういったことは言うまでもないことだと思っています。
○市村委員 この議論も、何度もさせていただかなくちゃいけないのはなぜかというと、わかりにくいんだと思います。ただ、わかりにくいということは、私たちにとってもわかりにくいと同時に、その当事者である特定非営利活動法人の皆さんも、制度のことを考えながらやっているということよりも、やはり社会のために何か尽くしたい、やりたいということでありまして、制度のことを考えながらやっているということではないと思うんです。
ですから、制度のことを言われても、正直なところわからないなと。とにかく自分たちが組織をつくって、それを維持していって、発展させていって、社会に貢献できて、社会がもっとよくなればいいなということだと思うんですね、当事者の皆さんたちは。
だから、今回の制度をつくる過程でいろいろヒアリングをされているんでしょうけれども、必ずしも本当に現場の声を反映した声ではないと私は思っているんですね、今大臣がおっしゃったことは。
私ももちろん幾つかの特定非営利活動法人の皆さんとのお話もしています。むしろ皆さんは、先ほどの制度のことよりも、とにかくお金をどうするんだという問題、次に人の問題とか、それから場所がないとか、そういう悩みは抱えられていますが、それが皆さんとしては悩みでありまして、それを解決していただければいいわけですね。それを受けとめながら、では、それをよりよくしていこうとするのがこの国会の役目であったり霞が関の皆さんの役目である、私はそう任じておるんですね。
その中でもいろいろ聞くと、例えば、特活法人の制度ができて十年たっても、やはりいまだにお金に困っている。お金をどうしよう、資金をどうしよう、人をどうしよう、場所をどうしようという議論が続いているわけです。だからこそ、それを何とかしようという思いで私はいろいろ提案しているわけであります。
その提案をちゃんと説明すると、少なくとも、皆さんわかると、ああ、そうでしたかと。制度はある意味どうでもいい、制度はどうでもいいというのは、制度はとにかくよくなればいいわけです。彼らだって、市村さん、それならばぜひともやってくださいという思いの方が私は圧倒的に多いと思っているんですね。
その中で、今回、特活法人制度が十年続いてきて、ちゃんとこれがうまくいっていればいいんですけれども、この間も議論をしていますように、この制度は立ち枯れ状態になっていると私は認識しております。
この間ヒアリングしましたら、特活法人の方が、我々はワーキングプア再生産装置だとか言って、自虐的なことをおっしゃっていたんですね。すなわち、例えば平均年収が百三十万ぐらいだ、こういう話なんです。これでは生活できないです。
実質はどうなっているかといったら、介護の現場なんかでも、介護保険の制度も変わって、今、特活法人がやってきたところはもう成り立たないと。例えば、在宅介護を請け負う場所がないから、幾ら介護保険でお金を取っても、そのサービスを提供してくれる人がいないものだから、結局地域で困っている人がどんどんふえているという状況になってきているんですね。だから、こういう状況を放置してはいけない、こう思っています。
しかしながら一方で、今岸田大臣もおっしゃるように、公益法人制度については、確かに、公益法人制度の流れでやってきているから、特活法人と絡ませるのはなかなか難しいという御議論はあって、私もそれは難しいかなと思っていましたから、特例民法法人と同じようにやってはどうかという提案をしていましたが、それよりももっと、考えてみれば、今回は法人格と税を切り離したわけですから。
もちろん、これまでのいわゆる寄附性に基づいたパブリック・サポート・テストによって特増に行く道というのも、これは残してもいい。しかし、これはどうしても、二年間の活動実績が要ったり、寄附性に注目して特増にするという話なんですね。そうすると、事業団体とか、いわゆる事業収益で組織を維持している団体というのは、寄附要件に行くというのはなかなか難しくて、特増になかなかなれないんですね。こういうところはなかなか行けないんです。
今回の公益認定等委員会のガイドラインというのは、むしろ、寄附というよりも、まずガバナンス。この組織がしっかりと運営されているかということに注目して特増にするというふうに、私は、ガイドラインを読んだりいろいろお聞きしていると、そういう認識なんですね。
だから、私は二つあってもいいと思います、違いますから。同じものだったら一つにした方がいいという考え方ですけれども、寄附性に注目して特増に行く道と、ガバナンスに注目して特増に行く道、そのほか、今、自治体によっては、この間もここで議論しましたけれども、自治体の、地域再生という認識で特増に行く道というのもあるわけですね。
だから、いろいろあってもいいと思うんです、特増に行く道は。その一つの中に、特定非営利活動法人が、ガイドラインに沿って、ガバナンスに基づいて特増になる道は開かれてもいいと私は思います。これは多分混乱しないと思います。
ただ、これまで二万六千の公益法人プラス中間法人が、今回幾つだったか、ちょっと私も今数字が定かじゃありませんが、さらにここに三万五千ほどの特活法人が含まれてくることになると、確かに公益認定等委員会の現場は大変かもしれません。しかし、政府は、ここで何回も議論させていただいたように、民間の公益を増進するという方向性をもう打ち出しているわけですから、当然、人が足りなければそこに人を投入して、そういうものをちゃんとさばいて、それで特増をどんどんふやしていくということ。岸田大臣も、少なくとも今みたいな千程度の団体じゃないでしょう、ふえるのは間違いない、数は言えないけれどもということで、間違いないということをおっしゃっているわけです。
だから、私は、今の特活法人の制度が全く変わってしまう、一部でも変わるというのであれば、これはまた、現場の方からすると、今そんな突然言われてもというふうになると思いますが、これは一切変えないんです。一切変えずに、特定非営利活動法人の制度はそのまま、認定特活法人の制度もそのまま、それで一つの道をまたつないであげるということが、これが私は、あっていい、しかるべきだと。これをノーと言う人は余りいないんじゃないかな、私はこう思いますが、また大臣の御見解をお聞かせいただきます。
〔委員長退席、櫻田委員長代理着席〕
○岸田国務大臣 特定非営利活動法人、特活法人というものが、さまざまな分野で活動し、そして、行政でも、あるいは企業でもない、新しい社会づくりの担い手として活躍しているということ、これはしっかりと認識をしております。
そして、特活法人における財政基盤の強化が大切だという御指摘、これは御指摘のとおりだというふうに思います。こうした財政面からもしっかりとした基盤が構築されるということは大変重要だというふうに認識をしております。だからこそ認定特定非営利活動法人制度も導入したわけでありますし、また、平成二十年度の税制改正においてもさまざまな改定を行い、認定要件の緩和ですとか、認定の有効期間の延長ですとか、こうした改正を盛り込んだ、大幅な改善措置が盛り込まれたということであります。
ぜひ、こうした特定非営利活動法人制度において、財政的な基盤の充実のために一層努力をしなければいけない、このことは強く感じています。そして、新しい公益法人制度においても、やはり財政的な基盤というのは大変大切な点でありましょうから、しっかりと充実しなければいけない。それぞれ独自の充実を図らなければいけないと我々は考えております。
これを今御指摘のような絡め方をすると、これは法律の改正もここで必要になってくるということになると思いますし、そして何よりも、先ほどさらに申し上げましたように、ことし十二月、制度をスタートさせるまでに、長年にわたって多くの皆さん方に御議論いただき、そして制度を具体的につくり上げて、それに基づく政令ですとか、内閣府令ですとか、ガイドラインですとか、こうしたものを明らかにして、それに基づいて多くの関係者の皆様方が十二月を目指して今努力をしている最中ですので、ここでこの二つの制度をくっつけるということは、基本がそれぞれ独自の制度で頑張りたいということであったことを考え合わせましても、ちょっといかがかなと私は思っております。
○市村委員 大臣がおっしゃる基本というところに私は大変な疑問を持っておるところでありまして、私は、それが本当に基本だったのかな、本当にちゃんとした声だったのかな、その基本のところを形づくった声が本当の声だったのかなと。私は、違う、このように思っています。
先ほどの繰り返しになりますが、この話は非常にわかりにくい。わかりにくいがゆえに、なかなかしっかりした理解に基づいて話が進んでいくということは難しいと思います。でも、その中でもやはりなるべくわかった上で議論をして、目標は、制度を分離していくということが目標じゃないわけですから、とにかくこの国で民間の公益活動を増進するということが目的なはずなんですね。それに向かっていろいろ創意工夫、いろいろ知恵を出し合っているはずだ、出し合えばいいと私は思うんですね。
ですから、私としては、今申し上げているように、特定非営利活動法人の制度をつなぐという言い方よりも、特増にたどり着く道は別に一本じゃなくてもいいわけです。ほかの制度でもそうなんですね、いろいろあって特増並みになっている制度はあるわけですから、ほかに地域再生法とか見てもあるわけですから。しかも今、地域再生法なんか見ると、私企業から私企業への寄附が、いわゆる特増というのじゃないですけれども寄附優遇されるとか、こういう道まで、この間渡辺大臣は苦肉の作だとおっしゃっていますけれども、要するにそういう制度まで今政府はつくっちゃっているんですね、地域再生法の再チャレンジ支援という考えで。
結局そういうふうにして、苦肉の作で今やっているわけですよ。本当は私は、私企業から私企業への寄附に寄附控除を与えるなんてことはあり得ないと思っていますが、しかしあり得ないことまでやっているのが今の現状なんです。そこまで何とかしなくちゃいけないというところでやっているわけですね。それもやはり民間の公益活動を増進しようという目的だと私は思います。
今回、特定非営利活動法人の制度に何か手をつけるならば、それはなかなか大変だな、そう簡単にいかないかなというのもありながら、しかし五年間存置できるなと私も思っていました。また、大臣がおっしゃっていただいたように、例えばパブリック・サポート・テストの認定要件を緩和しているということ、これはこれでいいんです。これはまたこっちの道のものを緩和する、こっちでやりたい人はこっちでやればいい。寄附に注目して特増になる道ですから、今の段階では。だけれども、こっちはガバナンス、今度のガイドラインはガバナンスに注目して特増に行く道ですから、これはこれでいいと思うんです。
だから、二つの道というか、もっと道はあると思いますが、とにかく、この道にも特定非営利活動法人をつないであげる。しかも、これはみなしてあげればいいわけです。法律的には簡単です。特定非営利活動法人を一般財団とみなせばいいわけです。みなすとそんなに法律をいじくらなくてもできるんですね。そうすると三万四千団体が、別にこれは選択制ですから、絶対なれという話じゃないですよ。なりたかったらどうぞということなんですから、絶対、全部なれという話じゃないですよ。特定非営利活動法人も一般財団とみなしてあげて、ガイドラインで、よければどうぞこっちにも行ったらどうですかということでやるわけです。そうすると、特増に行く道がまた一つ開ける。
だから、これまで寄附要件ではちょっとなかなか自分たちに合わないなと思っていた団体にも特増になる道、特活法人の中でも、ちょっと寄附要件は自分たちの実態には合わないけれども何とか特増になりたいから何とかしなくちゃいけないなという議論がなくなって、ああ、それならガイドラインでいこうという話になるんだろうなと私は思います。これはそう混乱も引き起こさないと私は思いますし、かつ、さらに特増への道を今よりもっと開いていくということで、今の段階で、十二月一日を前にとり得る施策としてはこれはあるんだろうなと私は思っています。
改めて大臣に、御見解をいただけますでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、民による公益活動の増進が大きな目的であるということ、これは私もそのように思います。民による公益の増進のためにどのような制度が望ましいのか、こうした大きな目的のために、多くの関係者の皆様方が御議論いただき、御努力いただいているというふうに認識をしております。
そして今回、新しい公益法人制度は、主務官庁の許可制による裁量判断から脱して、明確な基準に基づいて民間の有識者によって構成される合議制の機関において客観的かつ公正に判断していく、これが新しい制度の特徴であり、メリットであるというふうに思っています。
ですから、この基準自体が今この時点でぶれるということは、まさに大きな新しい制度の目的を損なうことになってしまうというふうに思っています。ですから、基準あるいは手続の明確化、公正性等はしっかりと大事にしながら制度の移行に結びつけていかなければいけない、そのように思っています。
そういったことから、原点は別々の制度にするべきだという意見が多くの関係者から寄せられたかどうかということについて、市村委員と私はちょっと意見が食い違っているわけですが、私の方は、別々の制度でスタートさせるべきだという意見が特定非営利活動法人の関係者から多く寄せられた、そこからスタートして制度設計を行い、今申し上げました制度をスタートしているわけです。ぜひこれをしっかりと混乱なくスタートさせたいと思っているところです。
しかし、いずれにしましても、今後とも多くの関係者の皆様方の意見をしっかりと尊重しなければいけない。今後ともこうした意見をしっかりと謙虚に聞かせていただいた上で、さまざまな議論が行われ、新しい結論がもし導き出されたならばその制度について考え直すということ、これはやぶさかではないと思っています。
○市村委員 今、大臣のお話の中で、新しい手続、基準というのは変えちゃいけないということです。私もそうだと思います。だから、私は一切、今政府で御議論されている公益法人改革の認定の手続について、これを変えてくれという話は言っていないんですね。
例えば、これから一般社団、一般財団は登記でできます。登記で簡便にできます。それで、私も幾つかの団体をつくろうと思っています。登記でいって、それでガイドラインに持っていって、そして特増並みにしていただこう、こういう道です。
この間からの議論の中では、これがいいと思ったら特活法人の皆さんもこっちに来ればいいじゃないかという議論もあったんです。私がそこで思うのは、来ればいいじゃないかといって、認証を得るためにせっかく一生懸命手続をとって特活法人になって、こっちでいい制度ができたから、ではあなた来なさいよというのは失礼じゃないかと僕は思っているんですね。前もここで議論しました。それはやはり、この制度でよくこれだけ我慢していただきましたね、皆さんが求めている制度ができましたからと、私は自動的にでもと思っていたんですが、まあそういうことなんです。
だから、わざわざまた改めて登記の手続をしていただかなくても、選択制ですから、嫌なら特活法人のままでいいわけです。ただ、また一から手続をして、特活法人じゃなくて一般財団、一般社団になって、ガイドラインに基づいて同じことをやるのに、こっちがいいからといって、登記から、また最初からやり直してくださいということは、やはり、これはかわいそうというか失礼だなと思っているんですね。それならば選択で、別に絶対に特活法人からこっちに来なさいという話じゃなくて、特活法人でいたければ特活法人でいていいので、ただ、税制だけはこっちも使えるようにしようということなんです、提案していることは。
私は、これまでこの特活法人制度で御苦労していただいた皆さんに対しては、これぐらいの心遣いはしてもいいんじゃないかな、こう思っているんです。
今の制度の取り組みとかは何も、変えてほしいとかいうつもりは一切ありません。このままでいいんです。たまたま、登記からやるということに関しては、同じことをやっているのはいいけれども、こっちの制度の方がいいな、自分たちにはこのパブリック・サポート・テストはなかなか合わないな、ではもう一回一般社団になってこっちに行こうという考え方の団体も出てくるかもしれません。そのときに、こっちは特活法人の制度があったのにこれはおいておいてというよりも、特活法人であり続けながら、しかし新しい道、税制上の優遇措置の道はこっちでやるということは何の混乱もない。
ただ、最初から三万四千プラスになりますから、どっと来ますから、まあ、これも選択制ですからどっと来るかどうかわかりませんが、登記で三万四千できたと考えていただければいいわけですね。その登記の手続を特活法人の皆さんについては省いてあげる、登記の手続を省きましょう、みなしましょうと。だって、こっちは登記であっちは認証なんですから、特定非営利活動法人制度は、そもそも公益性があるとされている団体なんですから。
私は、特定非営利活動法人制度の議論をしているときは、そもそも公益性じゃなくて非営利性でやろうといっていたのに、結局、制度的には公益性をどうしても入れなくちゃいけないということになっているわけです。ですから、やってきているわけです。それを変えないまま、新しく税制優遇の道をもう一個ふやしてあげるというのは、どう考えても混乱もしないし、今まで特定非営利活動法人制度で御苦労された方に対して、一つの思いやりといいますか気遣いといいますか、そういうことにつながると私は思いますが、大臣、また改めてよろしくお願いします。
○岸田国務大臣 まず、今回の制度改革の原点は、特定非営利活動法人の関係者の多くの方々から、新しい公益法人制度に組み込まれることに対して反対の意見が強かったというところから議論が始まっているというふうに思っています。そして、それに基づいて制度設計が行われてきて今日に至っております。
そして、今日の状況を見ましても、確かに具体的にちょっと検討はしていませんが、今市村委員の御提案になったような方式、特定非営利活動法人制度としては変わらなくていいんだという御指摘でありますが、新しい公益法人制度の側から立ってみますと、こうして特定非営利活動法人を制度に組み込むということになりますと、やはり法改正が必要になってくるんではないかというふうに認識をしております。ですから、この時点で組み込むということについてはなかなか難しいんではないかというふうに思います。
また、特定非営利活動法人の皆様方、おっしゃるように本当に各分野で頑張っていただいております。そして、頑張っている皆様方に報いるためにも新しい制度に組み込むことを考えたらどうかということをおっしゃるわけですが、それぞれの活動の中身とか現状によりまして、特定非営利活動法人制度を活用するのがいいのか、新しい公益法人制度の方が望ましいのか、これは事情はさまざまだと思っています。報いるために新しい法人制度に組み込むということになりますと、何か新しい公益法人制度の方がすべてまさっている、上にあるというような誤解をちょっと招くんではないかな、そんなことも感じております。
あくまでも、それぞれの制度、それぞれの特徴があります。それぞれの特徴を生かしていただくべく関係者の皆様方に知恵を絞っていただく、これがあるべき姿ではないかなと思っています。
〔櫻田委員長代理退席、委員長着席〕
○市村委員 そうなんです。だから、私は基本的には大臣の認識と一致しているんです。それぞれの制度があっていいというのを前提に私も議論をしています。
ただ、ようやく一つの論点が絞られてきたと思うのは、結局、公益法人制度改革をやるに当たっていろいろヒアリングされたときの基盤というか前提となる話が多分問題になっているんだと思いますね。しかし、私は、大切なのは、何度も繰り返しになりますが、民間の公益活動を増進させるというところで何をすべきかということを国会は議論すべきだ、そういうところだと思っています。
いろいろな声があります。当然いろいろな声があります。何事にも賛否があるわけですね。だから、決して特定非営利活動法人の皆さんの声が、分離してくれという声だけじゃなかったと私は思います。もちろん分離してくれという声もあったと思います。だから、それはそれで受けとめるべきだと思いますが、しかし国会での議論は、それはそれとして、いろいろ議論していく中で、ああ、そっちの方がやはりいいなと思えば、そうすればいいはずなんですね。その段階でまたヒアリングをかけていただければ、今の段階で、私がきょう提案しているような話を特定非営利活動法人の方にちゃんと説明した上で御提示いただければ、私は、ノーと言う人はいないと思いますね。というのは、今と何も変わらないんですから。新しい道をつけ加えるというだけの話。あっちが上下だとかそういうことじゃなくて、今の現状をなるべく受け入れたまま、しかし新しい道を開くということにすぎませんので。
もし、その方たちが、例えば特活法人制度は使い勝手が悪いから、ではこっちの制度がいいと考えたとき、結局また一から登記をし直していかなくちゃいけないわけですね。せっかくこっちで認証を得る努力をしてきたものが水泡に帰しちゃうんですよ。だから、それならばこっちで公益性の高いものとして認証された特活法人も新しい流れにつないであげるというのは、どっちが上とかそういう話じゃなくて、当然あっていいと私は思います。
きょうは財務省からも審議官に来ていただいていますが、いかがでしょうか。税の立場からいって、この議論、今私が大臣とさせていただいた議論というのはどうお考えなのか。
それから、NPOの資金、活動資金がないというのがやはり一番大きな問題なんですね。ファンドレージングという言葉がありますが、ファンドをレーズする、ところがそのレーズするファンドがないのが日本だと私は思っています。つまり、ファンドがないのにレーズできないんですね。もともと資金がないから資金集めできないんです。ということを考えると、例えば今、ふるさと納税は住民税においての税額控除を認めていますけれども、日本において、いわゆる今度の新しい公益法人制度のもとで特増となったもの、また認定特活法人に対する寄附について、例えば十万円を限度に国税を税額控除するという考え方を提案したいんですが、これについてのお考え。
あと、そういう場合は不正防止というのが必要になってきますから、私は特定口座を通じた寄附に限って寄附控除を認めていくということを提案したいと思いますが、財務省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○古谷政府参考人 お答えをいたします。
三つ御質問いただいたと思います。
最初の、特活法人につきまして公益認定を受けられるようにしてはどうかという御指摘でございます。
先生の方からも、寄附の優遇にたどり着く経路は幾つかあっていいというお話がございましたけれども、税の立場から申し上げますと、特定の公益的な団体に対する寄附につきまして優遇措置を講じます場合には、課税の公平性を確保するという観点から、公益性の高い事業活動が行われることですとか、受領した寄附金が公益事業に確実に充当されているといったことが担保される必要があるというふうに考えております。こういった観点から、公益認定を受けられた公益社団、財団であれば特増にする、あるいは認証特活法人のうち認定を受けられたものは特増にするといったような仕組みになっておるわけでございます。
御指摘の点自体は、特定非営利活動促進法、あるいは一般社団・財団法、公益認定法といった団体に関します法律の間の関係にかかわる事項であろうかと考えておりますので、税制当局の側からそれに対してコメントすることは控えさせていただきたいと考えております。
それから、税額控除に寄附金優遇をしてはどうかという御指摘がございました。
地方税の方は、いわゆるふるさと納税制度の導入に伴いまして、二十年度の税制改正で寄附金控除を税額控除に変えられました。御承知のように、住民税の場合には一〇%の比例税率でございますので、所得控除でも税額控除でも効果が同じだという事情がございますことに加えまして、今回は、都道府県、市町村それぞれの団体が認定をされた先に寄附金控除の対象を決められるというような、それぞれ条例で団体が判断をされるということになりましたので、所得控除ですと、都道府県税、市町村民税両方に寄附金控除の効果が及ぶ可能性がございますので、税額控除の方が、それぞれの団体の条例で判断されるということに沿っているという事情もあって、税額控除に変えられたというふうに伺っております。
国の所得税の場合には、昭和三十年代までは税額控除の方式をとってございましたけれども、寄附の促進といった見地から所得控除に変えられた経緯がございます。これは、所得税は累進税率をとっておりますので、所得税の場合には、相対的に所得の多い人に控除のメリットが大きくきくといったような事情も踏まえまして、なるべく寄附をしてもらいたいといった趣旨もあって所得控除に変わったという経緯がございます。
こういう中で、所得控除の控除額自体、このところ連年拡大をしてきておりますので、そういったものの活用状況を見た上で検討をさせていただきたいというふうに考えております。
それから、三つ目の特定口座の問題でございますけれども、租税回避に寄附が当たらないといったようなことのために、寄附金が公益的な活動に充てられることが確実であるということを担保する一つの手段としての御提案だと考えておりますけれども、そうしたことを踏まえて、そうした検討を私どももしていきたいと思いますが、やや実務的には幾つか検討すべき点があろうかと思っております。
例えば、寄附は金銭だけではありませんで、現物で寄附が行われる場合もございます。それから、金融機関に対しまして、その特定口座を前提に証明書の発行をさせることなどについて、税法で義務づけることが可能かどうかといった点も詰めなければいけないと思います。
いずれにしましても、寄附を受けた法人が寄附金を寄附の目的である事業にちゃんと使っているということについては、寄附を受けた法人から何らかの証明はしていただかざるを得ないといった面もございますので、そういった点も踏まえて検討させていただければと考えております。
○市村委員 済みません、時間がなくなりまして、西国民生活局長と戸塚事務局長には大変申しわけございません、きょうはせっかく来ていただいたのに、ちょっとなかなか御答弁が。
それでは、最後に大臣。十二月一日までには臨時国会もあります。私は、やはりきょう提案させていただいたことを、ぜひとも一度これは政府部内で御議論いただきたいと思います。
また、特活法人の皆さんに対して、ぜひともヒアリングをしていただきたいと思います。しっかりとこの制度について、これは説明するのもなかなか難しいんですけれども、でも、きちっと説明していただければ、ああ、それならいいんじゃないかなとなると私は思っています。しかし、これは私の思い込みだけではいけませんので、やはり、ぜひとも政府の方でも特活法人の皆さんにヒアリングをしていただいて、そして十二月一日までに一つの道をつなげる、それで様子を見ていくということがあってもいいと思いますので、最後に大臣に一言御答弁いただいて、私は終わりたいと思います。
○岸田国務大臣 我々の立場からしますと、この新しい公益法人制度、十二月のスタート、混乱なくぜひスタートさせたいというふうに思っていますが、関係者の皆様方の声は、やはり謙虚に聞かせていただかなければいけないとも思っています。具体的な形はともかくとして、いろいろな関係者の皆様方の声には謙虚に耳を傾けていきたい、そのように思っています。
○市村委員 終わります。
○中野委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
きょうは、私は、オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金に関する法律については、これは後ほど提案されますし、それからまた、逐条的にこういうふうに解釈を明らかにした方がいいということは、理事会での議論が、これは公開されるということになっておりますので、きょうはオウムの方はおいておいて、大田大臣と、それから後ほど官房長官に来ていただいて、主に投機資金の問題などについて質問をしていきたいというふうに思います。
四月十一日から三日間のワシントンでの、G7と、それからIMFとか世銀の一連の国際会議の中で、今世界が直面している経済問題が議論されております。きのうからまたFAOが、シンポジウムといいますか食料サミットですね、開かれておりますが、焦点は今、世界の食料問題が非常に重要な問題になってきております。
そこで、私は最初に農水省に伺っておきたいんですが、食料の国際価格の高騰の実態はどうなっているのかということについて、この点で、シカゴの商品取引所の二〇〇四年一月一日の指数を一〇〇としたときに、ことしの六月一日で、米で二一八・八、トウモロコシで二四三・六、小麦で二〇二・〇と、いずれも四年間で二倍。そして、これは二〇〇七年と比べてみても、二〇〇七年は一度指数が下がっていますから、二・五倍近くになったりとか、二・一倍近くになっているものとか、非常に大きな価格高騰がまず見られると思うんですが、最初に、そういう動きだけ、まず確認しておきたいと思います。
○小風政府参考人 お答えいたします。
最近の穀物、食料需給の現状と動向ということでございます。
世界の食料需給につきましては、中国、インドなどの途上国の経済発展による食料需要の増大、あるいは世界的なバイオ燃料の原料という食料以外の需要の増大でありますとか、あるいは豪州の二年連続の干ばつ、地球温暖化等の地球規模の気候変動の影響などの要因がございまして、その逼迫の度合いを強めてございます。二〇〇八年―二〇〇九年度の期末在庫水準は一五・五%と、食料危機を言われました一九七〇年代初めの水準まで低下しているという状況にございます。
こうした需要要因に加えまして、投機資金の流入でありますとか、輸出国によります輸出規制の広がり、こういうものもございまして、穀物の国際価格は高騰しております。
先ほど委員ちょっとお話しになりましたけれども、本年二月には小麦が、あるいは三月には大豆、五月にはトウモロコシと米がそれぞれ市場最高値を更新する、こういうような状況になっておるところでございます。
○吉井委員 それで、FAOの食料安保サミットの中で、潘基文国連事務総長の方から、国連の食料危機ハイレベル作業部会でのまとめの中では、八億五千万人が今食料不足、危機の状態に置かれているというお話があったやに思いますが、今世界が直面している実態、国連のこの作業部会報告のとおりかと思うんですけれども、日本政府としてはどれぐらい深刻な事態というふうにとらえているのか、これを次に伺っておきます。
○小風政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘ございましたように、国連の人道委員会あるいはFAO、国連食糧農業機関、こういうものでも、現在直面しておる食料価格高騰問題について議論しておるわけでございます。
これにつきましては、昨日から開かれました、六月三日から五日まで、FAOにおきまして、世界の食料安全保障に関するハイレベル会合、これが開催されております。ここに若林農林水産大臣が福田総理とともに出席しております。
農林水産省といたしましては、各国の農業生産の強化、こういうものを基本としました食料安全保障の確立を基本原則といたしまして、食料の緊急及び短期的な対応といたしましては、約一億ドルの緊急食料援助の七月までの実施、あるいは約五千万ドルの食料……(吉井委員「危機の現状をお聞きしたいんですけれども。八億五千万人ぐらいの人たちが食料不足とか危機に直面しているという、こういう認識なんですね」と呼ぶ)はい、わかりました。
今御指摘ございましたけれども、FAOの資料によりますと、食料危機に直面しておりまして外部的な支援を必要としている国というものが本年五月現在では三十六カ国、いろいろ中に要因はございますけれども、食料の生産、供給が著しく不足している国でありますとか、あるいは広範囲にわたって食料の入手が困難な国でありますとか、局地的な食料不足に陥っている国、いろいろございますけれども、現在三十六カ国程度が外部からの支援を必要としている国というふうに承知しております。
○吉井委員 国連の食料危機ハイレベル作業部会では、今八億五千万人の人が危機に直面しているということですが、そういうふうに農水省も国連の取り組みというものを受けとめていらっしゃるのかどうかの確認と、今三十六カ国と言われましたけれども、多くのところで、暴動とか、政権がかわってしまったとか、非常に深刻な事態が起こっていようかと思うんですが、それはそういう状況なんですね。
○小風政府参考人 委員今御指摘ございましたが、世界で、食料に関して暴動、あるいは食料価格の上昇などを原因といたしまして抗議行動、運動が行われているということでございますけれども、その国の数、あるいは状況の詳細というのを承知しているわけではございませんけれども、報道などによりますと、昨年から本年にかけまして、アジア、アフリカ、ラテンアメリカを中心に、約二十カ国程度でデモでありますとか労働者のストライキ、こういうものが発生しておるというふうに承知しております。
○吉井委員 ゼーリック世銀総裁が、エンゲル係数が五〇%から七五%に上る国々が社会不安に直面している、それから、過去三年間の食料高騰で新たに一億人が貧困に陥ったというふうに、これは世銀グループの調査に基づいて言っているわけでありますが、ですから、食料問題というのは今国際的な政治の大問題になってきていると思うんです。
そこで、FAOのサミットで、昨日、福田総理の演説の中で、食料支援とともに、食料危機を生み出している問題について、これは、地球温暖化によって干ばつが進み、出てきたとか、いろいろなことがあるんですけれども、あわせて、投機資金あるいは食料投機をどう規制するのかということについて、どんな演説を行うということを政府として話し合ってまとめてこられたのか、それを大臣に伺っておきたいと思います。
○大田国務大臣 福田総理の演説では、この投機的な側面について、実需から乖離した面があるとすれば、それを監視するという強い政治的な意思を示さなくてはならない、そしてこの政治的意思を担保する何らかのメカニズムも構築していかなくてはならないという演説がなされました。
この投機的資金の監視というのはそれほど簡単なことではありませんけれども、国際社会が協調してそのためのメカニズムを構築していく、ともに監視していくということがまずは大事だろうと私も考えます。
○吉井委員 現段階では食料支援とそれから食料投機の監視というところまでなんですね。新興国の台頭による需要の増加もあります。それから、地球温暖化による干ばつでオーストラリアなどの小麦の凶作とか、これは大きな原因の一つですが、ヒマラヤの氷河の大規模な減少というのはアジアの穀倉地帯の水不足を今生み出していますし、実はこれは将来の一層深刻な穀物不足を生み出す可能性が大きいということはIPCCの第四次評価報告書でも示されているところです。
既に、地球温暖化によるサイクロンなどがこの間ずっとふえてきておりますが、例えば八八年にはバングラデシュを巨大なサイクロンが襲って、河川の大規模なはんらんにより国土の三分の一が水没した、五千万人が住居を失いました。最近もミャンマーでサイクロンによる大規模な被害が生じておりますが、こうした水害とそれから土壌流失が農業にとってはさらに深刻な問題となります。
水不足は、温暖化に伴うものが地中海地方の農業地帯でも起こっておりますが、だから、地球温暖化対策のためにCO2の排出量を、数値目標を持って真剣に削減する、これに取り組まなければ対応できなくなるのは当然のことですが、何といってももう一つが、やはり重要な、投機資金の規制だと思うんです。
原油価格を高騰させる、原油価格が高騰したからエネルギー作物でもうかるということで、エネルギー作物面積が拡大していく、さらに穀物価格を高騰させる、そこへまた投機資金が流れるという悪循環の中で、世界の多くの人たちが危機に今直面しているわけですから。
そこで、資源エネルギー庁に伺っておきたいんですが、二〇〇七年の一月とそれから二〇〇八年の一月、そして今、最近の五月ですね、それから最大値で見たときに、原油高騰の実態、一月というのは月平均でいいんですけれども、どういうふうに動いているのか、これを伺いたいと思います。
○北川政府参考人 お答えいたします。
最近のWTI原油価格の動向を見ますと、二〇〇五年一月には約四十七ドル、二〇〇六年一月には六十五・五ドル、二〇〇七年一月には五十四・四ドル、二〇〇八年一月には九十二・九ドル、直近の五月におきましては百二十五・四ドルとなってございます。
○吉井委員 直近の五月の百二十五ドルもありましたけれども、マックス、最大値では百三十五ドルをつけているんですね、バレル当たり。ですから、本当に深刻な事態が進んでいると思うんです。
資源エネルギー庁にあわせて伺いますが、エネルギー白書の中で、原油価格高騰の中で、ファンダメンタルな価格は幾らでプレミアムは幾らと見ているか。これは少し分析の時期が古いですから、今はプレミアムは幾らと見ているかを伺っておきます。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございましたエネルギー白書でございますが、五月二十七日に閣議決定され、国会に報告されてございます。その中で、最近の原油価格の高騰が、中長期的な石油需給の逼迫傾向に加えまして、投資資金、投機資金の先物市場への流入、これによって生じているということを分析してまいりました。
具体的には、二〇〇七年後半の原油価格一バレル九十ドルのうち、需給のファンダメンタルな要因による価格は五十から六十ドル程度であると試算してございます。
直近百二十五ドル、また今下がってございまして百二十五ドルぐらいでございますけれども、その中で六十ドルから七十ドルぐらいがやはりファンダメンタルな部分であろうと考えてございます。(吉井委員「プレミアム」と呼ぶ)プレミアムは、その差額の六十ぐらいになろうかと思います。
○吉井委員 ですから、〇七年分で見たときに大体三十ドルと見ていたんですね。今おっしゃったように、直近では六十ドル台になってきている、二倍なんですね。本当に短期間に投機資金によって原油価格が高騰しているということが見えると思うんです。
原油生産は、供給不足というよりも、アメリカの精製装置の老朽化と、設備更新に投資しない、金さえもうければいいという発想が根底にあって、だから、原油価格高騰だけでなくて、そういった流れの中で実は原材料費が随分高騰してきて、国内の中小企業は大きな打撃を受けています。
エネ庁は投機資金というのを挙げておりますが、大田大臣は原油価格高騰と投機資金についてどういうふうに見ておられるかを伺います。
○大田国務大臣 原油価格の高騰には、今議論にありましたように需給の逼迫というのは当然ございます。ございますけれども、さらに、足元での急激な上昇というのは、サブプライムローン問題を契機としまして、投資家の資金がリスクの高い金融資産からリスクを回避して実物資産に流れている、また、金融資本市場の安定のためにアメリカが金融緩和を進めたことによって、さらにマネーが原油市場に流れているという背景がございます。そういう資金が流入したところに加えて、アメリカの在庫水準が低水準になった場合、あるいは中東やアフリカで地政学的リスクが発生した場合に、原油の高騰に結びついていくという動向にあります。
したがいまして、投機マネーの存在というのは否定できませんし、やはり足元ではそれが原油価格を押し上げていると私も見ております。
○吉井委員 現実を踏まえて日本経済の安定のために何をするかということ、それはまた同時に、世界経済の安定のためにどうするかということが今の最大の問題だと思うんです。
実は最近、アメリカの連邦議会の証言で、マスターズ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャーであるミカエル・W・マスターズ氏がこういうことを言っていますね。議会は指標投機家の行動を規制するべきである、本当の現物のリスクヘッジを行っている業者と投機家に分類されるべきであるとして、この瞬間にも何千億ドルという投機資金が商品先物市場に向かおうとしています、もし迅速な行動が行われないならば、食料とエネルギー価格は一層高騰するでしょう、このことは何百万人もの世界の貧しい人々の飢餓を意味しかねませんと証言をしております。
もともと先物取引そのものは、江戸時代の大阪の堂島で、米とか木材とか実需と結びついた商品先物、要するにリスクヘッジですね、そういうもので発明されたという点では非常に知恵の産物だと思うんです。ただ、当時から金融ばくちのようなばくち打ちとは違う世界なんですね。
日本の国内措置としては、いわば金融ばくちとでも言える投機資金規制をどういうふうにやっていくのかということをやはり考えなきゃいけないし、それがまた国際的にも、飢餓の問題、食料問題を解決する上でも大事なことだと思うんですが、大田大臣のお考えを伺っておきたいと思うのです。
○大田国務大臣 御指摘の問題はそのとおりだと思いますが、大変難しい御質問です。産油国を初め、余りに動いているマネーが巨額であるということがございます。
この投機マネーをどういうぐあいにコントロールしていくのかというのは、今多くの先進国で、何とかしなければと思う一方で、どう具体化していくのかというところに直面しております。先物価格も、先生がおっしゃったように、これは現物価格をむしろ安定させるための仕掛けであったのが、今、先物価格が現物価格を振り回しているような状態が起こってきております。こういう初めて遭遇するような非常に難しい状況の中で何をしていくのか。
例えば、サブプライムローンの証券化商品のときは、せめて情報だけは全面的に開示するような規制はできないかということで議論は進んでおりますけれども、国際商品市場は、必ずしもそのことは情報という問題がそれほど大きいわけではありませんので、そこでどう規制していくのかというのは、実は私も考えあぐねているような問題です。
まずは国際的に協調体制をとり、構造的に取り組んでいくということが必要なんだろうと考えております。
○吉井委員 経済財政諮問会議を担当して、あなたが日本の経済財政の司令塔のところのいわば事務局長格といいますか、専務の役割をしてもらっているんでしょう。そこがうまい知恵を出してもらわぬと、やはり困ると思うんですよ。
ジョージ・ソロスさんという例の有名な方が最近語っておりますが、過去二、三十年のトレンドを加速させたのは、市場が行き過ぎをみずから修正するという誤解だ、そのせいで規制緩和と自由化が進められた、市場には自動調整機能があるという信仰を強めてしまった、しかし実際には、この二十年間で数多くの金融危機が発生し、いずれも解決には当局の介入が必要だと。
大田大臣に伺っておきたいのは、やはり投機資金が世界と日本に深刻な影響を及ぼしているというのは事実ですから、そうすると、世界経済と人類の生存の危機につながりかねない、この認識を持って、どう投機資金の規制というものをやっていくのか。
複雑に見えても、複雑だと言っているだけじゃ物事は解決しませんから、やはり、実需と結びついたもの、それから実需と結びつかない、いわば金融ばくちに相当するもの、そういうものをきちんと仕分けをして解決していく、それにどう取り組んでいくのかということを、それは大臣の方でお考えいただくところだろう。そうでなきゃ、日本の政府の中でどこも考えるところがないということになりますから、この点について大臣のお考えを伺います。
○大田国務大臣 投機マネーが非常に深刻な影響を及ぼしているという認識は、そのとおりです。しかし、投資と投機の間というのはそれほど明確に分けられるものではありません。それから、一部を規制することによってマネーが別の流れを起こすということもございます。したがいまして、私も投機マネーについてどうあればいいのかというのはずっと考え続けて、これからも考え続けてまいります。真剣に考えてまいりたいと思います。
○吉井委員 現段階では答えなしというところなんですが。
町村官房長官、記者会見に行かれる時間が迫ってきているから伺っておきたいと思うんです。
昨年のハイリゲンダム・サミットでは、議長国のドイツは国際的に共同して投機規制を行おうということを提案して、フランス政府は賛成しましたが、日本政府は、当時はアメリカと同一歩調で反対したわけですね。これは予算委員会でも財務省の方などに、経産委員会でもそうでしたし、出てきてもらってそのお話はしてもらっています。食料とエネルギーというのはやはり実需取引が原則で、その裏打ちのあるものでないと経済全体がおかしくなってしまうと思うんですね。
今日の食料危機や原油高騰による経済危機の中で、アメリカ議会の中でも投機資金規制が議論されているわけですが、今度の洞爺湖サミット、日本政府として投機資金規制を議題に上げるのか。昨年のドイツは国際社会共同して規制をやろうということを提起したわけですが、FAOの段階では、官房長官が来られる前に議論していましたように、福田総理は、食料投機の監視をやろうということまでは言っているんですね。しかし、食料に流れている投機資金、これをどのように規制していくのかということについては、お話があったように私はまだ伺っていないんです。
やはりこの問題については、国際社会共同して投機資金規制をやっていく、このことを洞爺湖サミットは環境、原油高騰、食料問題とあわせて大事な議題に上せて、突っ込んだ議論というものが今国際的に必要だと思うんですが、この点について官房長官に伺っておきます。
○町村国務大臣 今の世界経済の下振れリスク、混乱の原因の一つが、この大規模になった大変な投機的なマネーの動きによって起こされている、あるいは増幅されているという事実はみんな多分わかっているんだろうと思います。
問題は、先ほど一つ大田大臣が言われたように、投資と投機の境目というものがなかなか見分けがたいものがある。したがって、何らかのコントロール、規制が必要かなと思っても、そこに境目がはっきりしないものだから、何とかしたいという思いが世界じゅうの人にあったとしても、それに対抗するというか、それをコントロールする有効な手段を実はだれも持っていないという、これは大変な難しい問題なんだろうと思うんです。
IMF等の国際金融の場でも、まさにプロ中のプロが集まって議論は行われるけれども、何とかしなきゃいけないかなというような議論が出ても、では、こうしようという答えが今まで出されたことはないというような状況でございますから、必ずサミットで話題にはなると思います、食料という形であるかエネルギーという形であるかは別にして、その背景にあるとてつもない資金の動きのことが話題にはなると思いますが、それじゃ、それに対して何をこのG8としてやるべきであるかということについて、果たしていいコンセンサスが得られるかどうか。国際的な協調の必要性というようなことは当然出てきてもいいのかもしれませんが、では、協調して何をやるのか。
透明度を高める、何か国際的な報告システムをつくるとかいうようなことになるのかもしれません、そこはちょっと私もまだ、専門外のことで、よくわかりませんけれども、問題意識があっても手段がなかなか見当たらないというのがこの投機資金のコントロールの一番難しい点なのではなかろうかと考えております。
○吉井委員 大臣に最後に一問だけ、記者会見に行かれるのを私が妨げちゃいけませんから。
重ねて伺っておきたいのは、関東の知事会で長野県の村井知事の方から、投機資金を洞爺湖サミットでぜひやってほしいという声も伝えられております。これはマスコミで紹介されておりますけれども、そういうふうにやはり現実に自治体の首長からも、かつては自民党の国会議員として頑張ってこられた方ですが、現場の声としても、これだけ原油価格高騰に伴う、ガソリンが今や大阪で百七十円を超えたりとか、それはもう中小企業の経営にとっても大変だし、穀物価格、小麦の政府売り渡し価格の四月一日からの三割アップも、これはパンもケーキも、たこ焼きからお好み焼きから、全部大変なんですよね。
ですから、それは本当に全国の声としても、当然話題になるでしょうじゃなくて、やはりそれまでの準備、それから、その場で確認した上で今後引き続いて、そういうワーキンググループをつくるにしても何にしても、やはり日本政府としても、この投機資金規制の問題は議題に上げて真剣に取り組んでいく、真剣に議論をしていく、そういうことが今求められているんじゃないかと思うんですが、これは官房長官への最後の質問にしておきたいと思います。
○町村国務大臣 世界的な問題であると同時に一人一人の国民あるいはそれぞれの国の国民にとっても大きな影響を与えている、それはまさに委員の御指摘のとおりだろう、私もそう思っております。だからこそ、今度G8でそのことが議論をされるということは間違いがないでしょうし、当然そうした問題提起も福田総理の方から議長としてしていくことになろう、こう私も考えますし、政府としても、そのために必要な、例えばどういうような共同文書をつくるのかということについて、今寄り寄り案をつくっているという段階でございます。
したがって、ぜひこれは本当に各界のお知恵のある方々から、こうやればいいんだよということを、お知恵があれば本当に教えていただきたいのがこの投機資金のコントロールという問題だろう、こう思っておりまして、まことに悩ましい問題であります。何とかしたい、こういう思いでございます。
G8という各国首脳がその問題を真剣に議論し、今、例えば専門家が集まって議論する場をつくるかというようなお話もありましたが、そんなことも含めて、ありとあらゆる可能性を探って、国際社会に決意を示していくということは大切なことだと考えております。
○吉井委員 どうぞ記者会見へ行ってください。
金融ばくちの世界といいますか、例えば池波正太郎の世界でしたら、もともと旗本の下屋敷の中間部屋みたいなところで、あるいは住職もいなくなった荒れた古寺の本堂で開いておったばくちが、今や、世界的に有名な有数の証券市場とか商品取引市場と六本木ヒルズのような上層階とをコンピューターで結んで、それで金融ばくち。賭場が随分変わってきたなと思うんですけれども、やはりそういうことじゃだめなんだということを、かつてはそれをやってきたジョージ・ソロスさんも、ことしのダボスで、新しい保安官が必要だと、規制の道は必要だということを彼も訴えているんですね。
五月十七日付の日経の「大機小機」のコラムで、金融技術もギャンブルも確率を土台にする点では同じだ、ただ、ギャンブルはその参加者に勝敗が下るだけで、参加しない一般の人々の生活とは隔絶されている、マネーゲームも参加者の淘汰を生むだけならまだましだが、物価に直結する商品相場を限度を超えてつり上げ、実物経済に多大の影響を与えることは許されない、次の十年、またギャンブルが繰り返されては、今度こそ本当に世界経済は崩壊すると、ギャンブルの場にするなということを書いておりましたが、これは銘ずべきことだと思うんです。
きょうは時間が参りましたから終わりますが、まだ大田大臣も町村官房長官もうまい知恵なしというお話ですが、これはやはり国際社会共同して本当に投機資金の規制に当たるということをやらないと、人類の将来が地球温暖化問題と同じように深刻な問題に直面してしまうということを申し上げて、またこの続きは別な機会にやるとして、きょうはこれで質問を終わります。
――――◇―――――
○中野委員長 引き続き、警察に関する件について調査を進めます。
オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案起草の件について議事を進めます。
この際、一言申し上げます。
本委員会にオウム真理教の犯罪による被害者の方がお見えになっております。
犠牲になられた方々とその御遺族に対し心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々とその御家族に心からお見舞いを申し上げます。
本委員会は、被害者の方々の長い間にわたる苦痛に思いをいたし、本法律案を起草することといたしました。
本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。
この際、本起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。
まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。
平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件等は、暴力で国の統治機構を破壊するなどの主義のもとに行われた、無差別大量の殺傷行為であり、悪質重大な国家的テロリズムであります。また、これらテロ行為に至る過程でも、坂本弁護士事件に見られるように、教団に立ち向かった者やその家族が、教団の発展を阻害する者として、殺傷行為の犠牲となっております。すなわち、これらの被害者は、いわば国の身がわりとして犠牲となったもので、これらの被害者の救済を図ることは、テロリズムと闘う我が国の姿勢を明らかにするものでもあります。本起草案は、このような趣旨から、オウム真理教による犯罪の被害者等に対し、給付金を支給するものであります。
次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。
まず、給付金の支給対象者につきましては、以上のような趣旨を踏まえ、オウム真理教によるテロリズム等の犯罪として八つの対象事件を掲げた上で、それらの事件の被害者や遺族の方を対象としております。
給付金の性質については、見舞金的性格の給付とされております。これにかんがみ、給付額につきましても、被害の程度と金額を、六段階に類型的に定めております。具体的には、死亡された方や重度の後遺障害を負った方について二千万円とする一方、介護を要する後遺障害を負った方については、介護の負担などを考慮して特に手厚い給付を行うべく、三千万円とするなどとしております。
給付の手続及び事務については、被害者や遺族の方が、提出資料について、過重な手続負担を負わないようにするなどの観点を踏まえ、所要の規定を置いております。このような観点からの措置として、裁定に必要な記録等の分類、整理、提出については、公務所のみならず、オウム真理教に対する破産申し立て事件の破産管財人等にも求めることができることとしております。
また、国による求償権の取得について規定を置き、国が、給付を行った額の限度において、損害賠償請求権を取得することとしております。なお、この国が取得した求償権については、被害者の残存損害賠償請求権と競合する場合、その行使に当たり、本件給付金の支給が被害者救済の趣旨によるものであることを踏まえ、慎重かつ適切になされることを要望するものであります。
最後に、テロリズムによる被害者の救済のあり方について、検討規定を置いております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
―――――――――――――
オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中野委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。泉国家公安委員会委員長。
○泉国務大臣 政府としては、特に異議はございません。
○中野委員長 お諮りいたします。
本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十五分散会