第2号 平成20年11月12日(水曜日)
平成二十年十一月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 渡辺 具能君
理事 岡下 信子君 理事 加藤 勝信君
理事 渡海紀三朗君 理事 西村 明宏君
理事 平井たくや君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
赤澤 亮正君 宇野 治君
江渡 聡徳君 遠藤 宣彦君
大塚 拓君 木原 誠二君
中森ふくよ君 馬渡 龍治君
松浪 健太君 村田 吉隆君
市村浩一郎君 吉良 州司君
楠田 大蔵君 佐々木隆博君
西村智奈美君 福田 昭夫君
馬淵 澄夫君 池坊 保子君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(地方分権改革担当) 鳩山 邦夫君
国務大臣
(内閣官房長官) 河村 建夫君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 佐藤 勉君
国務大臣
(経済財政政策担当) 与謝野 馨君
国務大臣
(規制改革担当) 甘利 明君
国務大臣
(科学技術政策担当)
(食品安全担当) 野田 聖子君
国務大臣
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 小渕 優子君
内閣府大臣政務官 宇野 治君
内閣府大臣政務官 松浪 健太君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 青木 一郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 渕上 俊則君
政府参考人
(内閣官房消費者行政一元化準備室長) 松山 健士君
政府参考人
(内閣官房行政支出総点検会議担当室長) 安生 徹君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 丸山 剛司君
政府参考人
(国家公務員制度改革推進本部事務局次長) 岡本 義朗君
政府参考人
(人事院事務総局総括審議官) 菊地 敦子君
政府参考人
(人事院事務総局給与局長) 吉田 耕三君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 赤井 裕司君
政府参考人
(内閣府大臣官房政府広報室長) 阪本 和道君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室長) 私市 光生君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 藤田 明博君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 松田 敏明君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 田中 孝文君
政府参考人
(内閣府原子力安全委員会事務局長) 青山 伸君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 原 正之君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長) 金澤 和夫君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 片桐 裕君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 巽 高英君
政府参考人
(警察庁交通局長) 東川 一君
政府参考人
(総務省大臣官房長) 田中 順一君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 佐藤 文俊君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 門山 泰明君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 始関 正光君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君
政府参考人
(財務省主計局次長) 木下 康司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 北村 彰君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 石塚 正敏君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 広瀬 輝君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 鈴木 篤之君
内閣委員会専門員 島貫 孝敏君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十二日
辞任 補欠選任
河本 三郎君 江渡 聡徳君
佐々木隆博君 福田 昭夫君
同日
辞任 補欠選任
江渡 聡徳君 河本 三郎君
福田 昭夫君 佐々木隆博君
―――――――――――――
十一月十一日
銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官青木一郎君、渕上俊則君、消費者行政一元化準備室長松山健士君、行政支出総点検会議担当室長安生徹君、内閣審議官丸山剛司君、国家公務員制度改革推進本部事務局次長岡本義朗君、人事院事務総局総括審議官菊地敦子君、給与局長吉田耕三君、内閣府大臣官房審議官赤井裕司君、大臣官房政府広報室長阪本和道君、規制改革推進室長私市光生君、政策統括官藤田明博君、松田敏明君、国民生活局長田中孝文君、原子力安全委員会事務局長青山伸君、公益認定等委員会事務局長原正之君、地方分権改革推進委員会事務局次長金澤和夫君、警察庁長官官房長片桐裕君、生活安全局長巽高英君、交通局長東川一君、総務省大臣官房長田中順一君、大臣官房審議官佐藤文俊君、法務省大臣官房審議官始関正光君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、主計局次長木下康司君、厚生労働省大臣官房審議官北村彰君、医薬食品局食品安全部長石塚正敏君、国土交通省大臣官房審議官広瀬輝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。
○市村委員 おはようございます。民主党、市村でございます。
本日、四十分いただきまして、きょうは議論というよりも確認というのを中心にやってまいりたいと思います。
まず、十二月一日からいよいよ新公益法人制度がスタートするということでございまして、それに当たりまして、やはり具体的な手続のあり方とかそういうことにつきまして本日は具体的に、さまざまいろいろ確認させていただきたいと思います。
それで、まず、きょう甘利大臣にもお越しいただいていますが、というのも、実は、どうもこの麻生内閣から、この公益法人と特定非営利活動法人の所掌、担当が野田聖子大臣に一括されたということになっているんですが、それまではばらばらだったんですね。公益法人は公益法人担当、特定非営利活動法人は特定非営利活動法人ということだったんです。それで私は、いまだに分かれているのかと思いまして、きょうは甘利大臣にも出席を実は求めたわけでありますが、どうも一つになっていると。
本当は甘利大臣には出席を求めないという考え方もあったんですが、今、甘利大臣は規制緩和の担当ということであります。実は私は、この公益法人改革を含めたいわゆるNPO、つまり非営利法人のことというのは、まさに公の規制緩和だという観点からも議論をさせていただいておりまして、やはり公のことを官だけが行うのではなくて、民も担うんだという時代にしなくちゃいけない。
かつて、日本はそうでありました。ところが、戦後、高度経済成長期以後、税金を払っておけば何でも官がやってくれるんだ、役人がやってくれるんだ、どうもこういう世の中になってしまったような気がします。その弊害がかなり出てきているということでありまして、やはり、そもそも、公のことは私たち自身もやっていかなくちゃいけない、それが前提だと思います。
そして、それでも個人とかちっちゃな組織ではとても手に負えないことが出てきます。例えば、国防とか外交とか、特に国防などは個人とか一企業とか一組織の手に負えるものでもありません。また外交も、それは各個々人がばらばらに、もちろんそういう民間外交もありますけれども、やはり一つの国として、国と国とのつき合いというのがあると思います。
だから、それはやはり官がやるべきことだと思いますが、しかし、それ以外、例えば介護のこととか、今は特に社会保障のこととかありますが、その担い手というのはやはり官ではなくて、では、官でもなくて、いわゆる小泉改革のときにあったように、何でもかんでも株式会社に任せて、市場経済に任せてしまえばいいかというと、そうでもない。それも乱暴な議論なんですね。やはり、そこに民間の公の機関、組織、またはそういうセクターがあって、そこが引き受けていくということがこれからの社会の仕組みとしてあるべき姿だと私は思っています。
そういう意味では公の規制緩和なんですが、まず甘利大臣にお尋ねしたいんですが、その観点からの規制緩和ということについて大臣がどういう御見解をお持ちかということをお聞かせいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 税金を払いさえすればすべて官がやってくれるとすると、全部やってもらうためには相当べらぼうな税金を払わなきゃならない、大きな政府ができるわけですね。
私は規制改革担当大臣、規制改革というのは、緩和もあれば、もちろん場合によっては安全、安心で強化もある、両方を使い分けるということなんですが、官がすべて担おうとするとべらぼうなコストがかかります。官の高効率化、少ない予算で多くの政策が実行できるというのは、不断の見直しをしてやらなければならないのですが、官が担う部分を官以外も担ってくれる仕組みをつくるということは、極めて、効率的な政府、つまりコストを少なく質を落とさないということに資するわけであります。
そういう中で、もちろん規制緩和で民間がやる部分もありますけれども、民間というか営利団体がやる部分もありますけれども、中間的な存在である、官ではないけれども非営利である、公を担うに足るその資格があるという人たちに担ってもらうというのは、極めて有効な手法だと思っておりまして、それぞれ社会を構成するメンバーに適した担い方をしていただいて、コストを少なく効果を多くという社会ができ上がるんだと思っております。
○市村委員 今大臣、官が担うべきところを民間ということをおっしゃったんですが、実はそもそもは、本当は、私たちがやっていることの中でとても個人とか一組織では手に負えない、民間組織では手に負えない部分を、私たちが税金を出し合って、できない部分は官という形でやってもらおうというのが多分そもそも官僚の成り立ちといいますか、本当はそうあるべきだと思うんですね。特に日本の場合はちょっとそういう状況じゃなく、上から何か来たようなところがありますから、残念ながらそうなっていないところがあって、いろいろ問題が起きていると思うんですが、本来はそうあるべきだと私は思っているんです。
それで大臣、もう一点だけお聞かせいただきたいんです。
今回の公益法人改革があります。そもそも公益法人というのは、民法三十四条に規定された組織だったんですね。本来民法典にある組織だったんですから、私は、これは民の組織だという思いがあるんです。ところが、この公益法人改革が実は行政改革の特別委員会で議論されたという経緯があるんですね。私はそのときに、そのときの大臣全員に質問しているんですが、そもそも公益法人というのは官の組織なんでしょうか、民の組織なんでしょうかというところをお尋ねしているんですが、甘利大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 民であって、公的な部分を担うということではないでしょうか。
○市村委員 ありがとうございます。まさにそうなんです。
ですから、行政改革というのは、要するに官の世界をどう改革していくかという話ですよね。そこで公益法人改革も議論されるということは実はおかしいんです、そもそも。ところが現実としては公益法人はどうなってきたか。結局、民法三十四条がいわゆる許可主義に係らしたものですから、官の許可主義ですね、つまり官が認めたらオーケー、いいんだというふうにしたものですから、本来民の組織が官の組織になっちゃっていたんですね。
ですから、その意味では確かに行革でやるというのは意味があったのかもしれませんが、そもそも本来、民法典にある組織が行政改革で議論されること自体がおかしいということ。結局、それが今の天下り問題ともつながっているんです。根源なんです、これは。
すなわち、本来ならば公益法人もNPOなんですね。つまり、民間の公を担う存在のはずだったのが、民法典で官に係らしてしまったんです、官の許可主義に係らしてしまったことによって、結局、今日、それが百年以上たつと、官の天下り先に利用されてしまった。私は悪用されたとまで言いたいと思っていますが、悪用されてしまったんです。
ですから、それを根本的に変えていく。そういった意味では、この民法三十四条は削除されるということになっています。これは大きな改革だと思いますが、しかし、きょうこれから野田大臣と議論させていただきますけれども、今までの流れがありますから、それをしっかりと変えていくためには、これからやはりしっかりと哲学を持って、新公益法人改革も、やはり私たちがちゃんと国会でチェックをしながら進めていかないといけないと思いますので、ぜひとも、その点、甘利大臣には担当ではないと思いますけれども、実はこれは雇用先としても、このNPOセクターが発展すれば雇用という意味でも大変大きな意味を持つセクターになります。
月から金、九時から五時といういわゆる就労形態は無理だけれども、例えば週三日ぐらいだったら、お昼だけだったらいいよ、そのかわり給料は安くてもいいよと。例えば、退職された大先輩方とか、今子育て中のお母様方、お父様方とか、ちょっと月―金、九時―五時は無理だけれども、あいた時間なら何とかできるかな、そして少しでも収入があればいい、しかもそれが社会のために役立つんだったらいいだろうという方もいらっしゃるはずなんですね。
だから、まずは、特に今、これから日本の就労人口が一千万人足りないとかいっているわけですね。それで結局、海外から人を入れようとしていますけれども、その前に、まず日本に、日本人でそうした働き方の多様性をしっかり確保して、そして、そういう就職形態だったらやれるという方が働きやすいような、そういう職場としても私はNPOというのは大変重要なセクターだと思っておりますので、またその点はぜひとも甘利大臣にも御理解いただきたい。
そこを最後に一言、御見解をいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 労働力人口が減る、そういう中で、社会の活力、なかんずく経済的活力を維持発展させていかなければならない、そういう制約の中で成長しなければならない。
そこで、いわばどういうツールを使っていくか。これは、御指摘のように、あらゆる角度から有効なものを使って社会参加をしていただくということが極めて大事だというふうに思っております。
○市村委員 甘利大臣、もうお時間ですから、どうぞ。
それでは野田大臣、よろしくお願いいたします。
野田大臣にもまずお聞かせいただきたいのは、公益法人、これは野田大臣の中では民なのか官なのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○野田国務大臣 民でございます。
○市村委員 まさに民でありますので、民ということを前提に、これからぜひともこの新公益法人制度を、やはりしっかりといい制度になるように、またお願いしたいと思います。
それで、いろいろ確認させていただきたいと思います。
十二月一日から新公益法人制度が始まるわけでありますけれども、十二月一日、この新公益法人制度が、一般社団、一般財団として登記するところからまず始まります。この登記のあり方につきましてちょっと御質問させていただきたいんですが、まず、登記をした後に、公益認定等委員会に公益認定をしてくれと持っていくんですね。それで、その登記をした段階では、まだその登記されたという証明書は発行されません。証明書を出すのには、その日に発行されるところもあれば、場所によっては一日、二日かかるところもあるんですね。
そうすると、早く申請を出したいという人にとってみれば、ある登記所に行ったらその日に出してもらったからすぐ持っていけたんだけれども、ある登記所に行ったら一日二日かかって、結局、早く出したかったのに、その登記の結果、申請がおくれるということになってはならないと思いますが、その点、登記上はどうなっているんでしょうか、お聞かせください。
○始関政府参考人 お答え申し上げます。
一般社団法人、一般財団法人を含みます法人の登記でございますが、商業登記所で扱っているわけでございますけれども、これは委員も先ほどおっしゃいましたとおり、各登記所、いろいろ繁忙度が違います。それは登記所によっても違いますし、その日によっても変わるわけでございますが、その繁忙度によりまして、職員の数も限られておりますので、登記を受け付けてから実行するまでの期間に差が出るということはございます。
○市村委員 では、公益認定等委員会の方にお聞かせいただきたいんですが、その場合、公益認定等委員会に早く申請したいという人たちにばらつきが出てしまうわけですね、登記上の問題が。その場合の対策というのはどうとっていらっしゃるか、教えてください。
○原政府参考人 公益認定を受けることができる人は一般法人に限られております。このため、申請を受けた行政庁におきまして、申請者が一般法人であるということを確認する必要があることから、登記事項証明書、これを申請書に添付するということになっています。
一方、申請の際に必要な書類が添付されていないなど、法令に定められた形式上の要件に適合しない申請であっても申請は可能でありまして、この場合、行政庁としては、行政手続法によりまして、速やかに、申請をした人に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、あるいは当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならないとされております。
御質問のような、登記事項証明書の添付がない申請につきましては、行政庁からの補正の求めに応じて相当の期間内に必要な書類を提出することによりまして、法令に定められた形式上の要件に適合する申請になります。
したがいまして、新規設立の一般法人について、設立登記の申請がなされた段階で登記事項証明書の添付がない場合でありましても、公益認定の申請を行うことは可能であります。
○市村委員 ぜひともその点、せっかくこの大改革を行われて、私としてはこれからまだ注視をしなくちゃいけませんが、本当に今大臣もおっしゃったように、民の公の機関がもっとこれから増大していくようにする大切な仕組みでありますので、そのときに、いち早く新しい一般法人をつくって公益申請をしたいという人たちがたくさんいると私は思います。そういう人たちが混乱しないように、こうして事前にちょっと確認させていただいております。
今のお話を私なりにまとめますと、結局、登記をした段階で申請はできる、そのかわり、その登記証明書は後から提出をするということですから、登記所によってはその日、場所によっては一日後、二日後とあっても、登記をした段階で公益認定等委員会にはいわゆる申請ができるということであります。だから、これはぜひとも、また多くの方に知らせていただきたいと思います。
だから、登記証明書が出るまでは待たなければいかぬという話ではないということ。ただ、そのかわり、ちゃんと証明書が出たら、それをまた改めて持っていかなくちゃいけないということは当然でありますけれども、その意味で、しっかり確認をさせていただきました。ありがとうございます。
それから、登記についてはオンライン登記というのがあると聞いているんですが、それについてちょっと説明していただけますでしょうか。
○始関政府参考人 登記につきましても、オンラインということが行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律に基づいて認められておりまして、設立の登記につきましてもオンラインで申請していただくことは可能でございます。
○市村委員 ですから大臣、これは別に登記所へ行かなくていいんです。オンラインで今は登記ができるということであります。
ただ、オンライン登記の場合は、これは私から言いますけれども、普通、登記は六万円かかるらしいんですが、オンライン登記したら五千円安くなるということで、五万五千円ということでありますから、このことも、ぜひとも多くの方に知らせていただきたいと思います。
ただ、大切なのは、この登記をする前に実は公証人役場に行かなくちゃいけないんですが、公証人役場になぜ行かなくちゃいけないか、ちょっとそれを御説明いただきたいと思います。
○始関政府参考人 一般社団、財団法人は定款をおつくりいただかなければいけないわけでございまして、その定款には公証人の認証を受けていただかなければいけないということになってございます。これは、定款の作成とその内容の明確を期し、これに伴う紛争等不正行為を防止するためのものでございます。
そして、その定款認証につきましては、オンラインで申請をしていただくことがもちろんできるんですけれども、申請していただいた場合であっても、一度は公証人の面前に行っていただくということになってございます。これは、定款の認証というのは非常に重要な行為でございまして、定款というのは法人にとって最も基本的な文書でございますので、本当にその御本人がつくられたものなのかどうかということを公証人がみずから確認する必要があるということによるものでございます。
○市村委員 そうなんですね。今回、要するに定款の認証というのを受けなくちゃいけないんです。登記上はオンラインでもいいんですけれども、実は一度どうしても公証人役場に足を運んで、その定款の認証を受けなくちゃいけない。これは五万円かかるということであります。ですから、手続としては、まずは公証人役場に行って定款の認証を受ける、その段階でどうも電子認証もしていただけるそうなので、その電子認証を受けたものをそのままオンラインでいわゆる登記所に送ってオンライン登記ができる、これが一番早い方法だろうと思います。
ただ、大臣、ここで今申し上げたように、公証人に大体五万円、それから登録免許税、登記のときに登録免許税が六万円かかるんです、オンライン登記だと五万五千円になりますが。これで十一万円かかるんですね。やはりこれはこれから、こういう一般社団、一般財団の段階では、いわゆる株式会社と同じような残余財産が分配できるということになっていますから、これは確かに株式会社と同じ扱いをしなくちゃいけないということかもしれませんけれども、しかし、その先にあるものは、基本的には一般社団、一般財団にとどまる団体というのは余りいないと私は思うんですね。本来いちゃだめなんです。
やはり今回の仕組みの大きなところは何かというと、一般社団、一般財団になって公益認定等委員会に申請したら、今までと違って特増並みになる、つまり、私たちが寄附したらそれが寄附優遇される、いわゆる所得控除できる、企業だとか団体から見た場合はいわゆる損金算入できる、これはとても大きな制度なんですね。ですから、そういった組織になろうということを目的として、一般社団、一般財団をまず登記しようという感覚なんですね。そもそもの目的は、公益法人になりたいというのが目的であります。公益法人になりたいんですけれども、公益法人になるためには登録免許税を払わなくちゃいけないというのがあるんです。
ところが、別に特定非営利活動法人というのがあります。いわゆる一般的にNPO法人とか言われていますけれども、その特定非営利活動法人は、これは登録免許税が要らないんですね、認証にかかわっているということで。しかし、それよりも、特増並みになる公益法人の方がよっぽど公益性が高いと私は思うんですね。しかしながら、そこは登録免許税を払わなくちゃいけない。こういう状況になってしまっていまして、私は、ちょっとこれはやはり制度上何かバランスがとれていない、こう思っているんですが、ここもちょっと大臣の御意見をお聞かせいただけませんでしょうか。
その前に、では、まず財務省の方からこの辺について一遍お聞かせください。
○古谷政府参考人 お答えいたします。
登録免許税は、登記等によりまして発生します法的効果等の利益に着目して課税しておる税でございます。したがいまして、登記の時点で課税関係が完了するという仕組みをとらせていただいております。こうした税制、登録免許税の性格を踏まえますと、一般社団法人として一たん設立された法人がその後公益認定を受けた場合でありましても、一般社団法人自体は準則主義で、登記で自由に設立をされるということでございまして、一般社団法人の設立登記がされた時点で一般社団法人としての法人格の取得など、いわば法的な効果を有効に享受しておられますので、その登記につきましては登録免許税の課税関係がその時点で確定をするということでございます。
ただ一方で、公益認定法人の認定を受けられて一般社団法人から性格が変わりました時点での名称変更等の登記につきましては、非課税という扱いをとらせていただいております。
○市村委員 ここでちょっと、アメリカはどうなっているかといいますと、そもそもアメリカには登録免許税というのがあるのかどうか。諸外国の例をもし御存じだったらお聞かせいただけますか。
○古谷政府参考人 この場でつまびらかにいたしませんけれども、アメリカの連邦税制の中には登録免許税のような税はなかったかと記憶してございます。
○市村委員 そうなんですね。アメリカは多分ないと思います。アメリカの場合はどうなのかというと、いわゆるNPOが法人格を取る段階では税金を払わないんですね。ただ、日本と同じように、日本でいうところの法人住民税均等割みたいなものがあるんです、これはフランチャイズタックスということでありますが。
これは総務省さんから、このフランチャイズタックスというか法人住民税の均等割というのを一遍説明いただけますでしょうか。
○佐藤政府参考人 法人住民税は、当該の都道府県なり市町村に事務所、事業所を有する法人につきまして、その法人の資本金の額ですとかあるいは従業者の数に応じて一定の税率で課税されるものでございます。法人につきましては、これは均等割と申しておりますけれども、これとは別に法人税割というのがありまして、収益事業などを行い収益が上がっている団体についてはこちらの課税もされるということでございます。
○市村委員 この法人住民税均等割、これは大臣も御存じかもしれませんが、大体、都道府県は五万円、市町村は二万円ということで、赤字法人と関係ないんですね。要するにメンバーシップという感覚で取っているものですから、すべからく法人であれば払うべきものということなんです。
アメリカの場合、法人格を取った段階では、もちろん住民税とかいうものは後からかかってきますから、日本も多分、年度末か何月かに一斉に払うんだと思いますけれども、結局、法人格を取った段階ではまず課税されないんですけれども、ずっといわゆる単なるNPOというだけの存在だったら、これは払わなくちゃいけないんです、アメリカも。
ところが、アメリカのNPOがなぜ法人格を取るかというと、税制優遇に一番早道であるし、一番わかりやすい道だからなんですね。だから、アメリカは、別に法人格がなくたって、いいことをやっていれば税制優遇は認められているんです、認められる国なんです。ただ、それもやはりなかなか難しいんですね、それはやはり実績もないといけませんし。だから、法人格を取って、法人格は州政府で取りますけれども、それから連邦政府に行って連邦のタックスをリダクション、タックスの優遇を、税の優遇を下さいと。それが認められたら自動的に州政府の税も優遇されるという仕組みなんですね。だから、その段階では、いわゆる日本でいう法人住民税の均等割みたいなものは払わなくてよくなるんですね。
日本の場合はどうなっているかというと、まだこれは、例えば特活法人、特定非営利活動法人も払っていると思います。ただ、自治体によっては、いいですよというところはあると思います。これはいわゆる地方税ですから。だから、フランチャイズタックスといいますか、いわゆるメンバーシップは本当はいただきたいんだけれども、NPOというのはこれは公の組織ですから、民であるけれども公の組織ですから、世の中のために何かいいことをやってくれている、つまり地域のためにいいことをやってくれているわけだから、その意味では例えば役所と同じですね。役所も法人住民税の均等割は払っていませんから、だからそれはNPOも払わなくていいという考えで、それを免除しているところもあるというふうに聞いています。しかし、一般的には払っています。今払っていると思います。
今度の公益法人は、より公益性が高いと私は思っておりまして、そうなると、それが、先ほどから申し上げているような登録免許税も払わなくちゃいけないわ、法人住民税も払わなくちゃいけないわというのは、やはりちょっとこれは違うんじゃないかな、私はこう思うんですね。それでちょっと大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
○野田国務大臣 大変すばらしい御説明を賜りまして、勉強させていただきました。
確かに今、公益法人ではアメリカが随分進んでいて、それに倣う形で遅まきながら特定非営利法人という法律ができて、今日に至って、またさらに、本来ならば民であるはずのものが先ほどの先生の御説明のとおり官がコントロールしているような公益法人を、行政改革というか、官自身が心を入れかえなければならないということで、本当の意味で文字どおりの民としてのスタートを切るのは十二月一日ということになるわけであります。
ただ、今日はそこまでやってくるのが精いっぱいだったのかもしれませんで、今後、今先生がおっしゃった、より公に準じているのだからこそそこら辺のタックスリダクションについても検討するべきだということについては、しっかり受けとめさせていただきまして、今後の検討課題ということになってくると思います。
よろしくお願いします。
○市村委員 これは今まで大分議論させていただいて、もう本当に百八十度転換だと私は思います。
これまでは、国家公益独占主義と言ってもいいぐらいの状況だったと思います。公益は国家が独占しているというような状況だったんですね。それが、先ほどから申し上げているような状況、いわゆる天下り先に本来の民の組織が使われてしまったというわけでありまして、これを大転換を図る。これは財務省さんも、この委員会で議論して、そうなんだ、これからは大転換を図って、こういう公益法人、NPOをもっと世の中にふやしていくということなんだ、これからはそういう時代なんだということをこの場でも議論させていただいております。
そのためにも、よりよく使い勝手のいい制度にしていかなくちゃいけない。ちょっと五万円、六万円、十一万円もかかるのはなかなか厳しいな。いや、その先必ず公益法人になれるならそれぐらいの投資はいいかもしれませんけれども、これはやはり公益認定等委員会がしっかりと認定していただかないといけない。何でもかんでもというわけじゃいけないんですね、本当は。ただ、そこは本当は柔軟にやらなくちゃいけないということもあって、その辺のところのバランスをどうとっていくかということがこれから非常に難しいところなんです。
そこで大臣、私はこの場でも何度も議論しています一つの提案がありまして、寄附にかかわるとき、特に現金の寄附にかかわるときに、特定口座というのを設けてそこを通したものに限って税制優遇を与えるというふうにしたらどうかという提案を持っています。
どういうものかというと、これから公益法人に認定されますよね、認定された段階でその新公益法人は、どこかの金融機関に一つだけ特定口座を設けていただくんです。寄附受け入れの特定口座を設けていただきます。寄附をしたい方はそこの口座に振り込んでいただくということなんですね。そして、その金融機関に寄附証明書を、あなたは幾ら寄附しましたということの証明書を発行していただく。その寄附証明書を持って税務署に行ったら、税の確定申告のときにでも持っていっていただければ、税がその分、所得控除される。個人においては控除、組織においては、企業、団体においては損金算入されるというような仕組みなんです。
なぜこれが必要と私が思っているかといいますと、政治の世界でも私たちへの寄附は今税控除を受けられますよね。そうすると、お金を払ってもいないのに払ったことにして、領収書だけ発行して、何かその人が控除を受けられるということをやった、そういうような事件があったことがあると思います。それで何人もの議員がやめているんですけれども。
結局、今回もキャッシュにかかわらせると、いやいや、もらったと。例えばある団体が公益法人になって、これからはどんどんふえていきますから、なかなかチェックも行き届きません。今まで百年以上かかって、まだ千団体しかないんです。千団体もないんです。これから私は、アメリカの例を考えると三十万団体ぐらいにしておいてもいい。アメリカは百万団体ぐらいありますから、そういう団体が。百万団体を超えています。今、日本はたった千なんです。千もないんです、九百何ぼです。だから、私は将来的には日本も三十万団体ぐらいになるだろうなと。でも、これは大変なことなんですね。
つまり、三十万団体にふやそうと思ったら、三十年かかっても、一年一万団体ずつふやしていかなくちゃいけないんです。一年に一万ふやしても、三十年かかってやっと三十万になるんですね。今、日本は、百年かかって千しかないんです。これは大変なことなんですね。だから、どんどんどんどんスピードアップしていかなくちゃいけないんですが、しかし、そうするとチェックもなかなか行き届きません。それこそ今まで、暴力団がかかわってどうするんだといろいろ議論がありました。私は、暴力団でもいいことをやってくれたらいい、そのかわり、悪いことをしたらその段階でちゃんと裁けばいいんだという考え方です。指定暴力団はだめですよ。だから、これからそういう世の中にしていかなくちゃいけないんです。
しかし、そうはいっても、そうすると不正が行われやすくなるわけですね。そのときに、なるべく不正が行われないようにするための知恵として、現金での寄附については、いわゆる寄附しましたという、キャッシュではなくて特定口座を通す。そうすれば、だれが、いつ、どこで、幾ら振り込んだかわかるわけですね。記録が残るわけです、ここに。銀行というか金融機関に残るわけです。
もしこの制度を悪用しようとする人がいたとして、やはり一番怖いのは、資金がどう流れたかを把握されるのが一番嫌なんですね。多分、そうだと思います、悪用しようと思うと。ところが、特定口座を通さないかぬとなると、もう明らかなわけですね。税当局とか公益認定等委員会はその口座を注視していればいいわけです。何でこの団体はこんなお金が入ったのかなというのが明らかですね。それこそ今の時代だったら、端末を開けば出てくるわけですね。もちろん、だれもかれもが見られる状態じゃなくて、税当局と公益認定等委員会はそれを見られるというぐらいにしておけばいいと思います。そうすれば、未然に、どうしてこの団体はこれだけのお金が入ったのかな、寄附者はだれだということもわかるわけです。
これをやると言えば、おかしいじゃないか、寄附者のプライバシーがどうのこうのと言われるかもしれませんが、しかし、公益法人というのはまさに税金がまかるという制度なわけですから、私は、それぐらいの覚悟がないといけない。全部あからさまにして、資金の流れから全部あからさまにする覚悟でやらないと、こんなもの、税金をまかるわけにいかないわけですね。だから、やはり特定口座をつくって現金についてはやる。
もちろん、寄附というのは現金だけじゃありません。不動産とか有価証券とかもあるでしょう。しかし、不動産はなかなか、これはまさに不動産ですから、動かしがたいものですから、これはこれでチェックもしやすい。また有価証券についても、有価証券についてはチェック機関が別個にありますから、それもそれで、この組織にこれだけの有価証券が寄附されているのはなぜか、これもまたチェックしやすいわけですね。
一番チェックできないのがキャッシュです。お金には色がついていません、名前もついていません。だから、そういうものについては特定口座というところを通すことによってある意味で色づけするということについて、私はこういうものをやるべきだと思いますが、今のところないんですね。
そうなるとどうなるのかというと、悪用しようとする人は、払ったことにすればいいわけですね。つまり、寄附しましたと。こっちの方も、悪用しようとすれば、寄附を受けました、領収書を発行しましたとか、こういうふうにしていけば、悪用しようとすればできるんです。今までは、千団体ですから、しかもそれこそ官にかかわる組織が多かったんです、ほとんどですね。だから、それはそういう意味ではチェックがきいていたと思いますし、チェックがきいていたのかもっと大きな無駄があったのか、これはまたよくわからないところでありますけれども。
だから、そういうことではなくて、これからは民の組織としてどんどんふやしていこうという発想ですから、やはり不正防止についてもしっかりとしなくちゃいけない。もちろん、これは罰則も厳しくする。これを悪用した者は、当然、全財産没収から含めて牢屋に入っていただくというぐらいの覚悟でこれをやらないかぬと私は思っていますが、残念ながら今甘いです、はっきり言って。これは本当に、悪用しようとする人が出てきたら、できると思います。だから、そういった意味でも、特定口座というのを設けてしっかりと不正防止、これだけで全部なくなるとは思いません。思いませんが、しかし、大分効果があると思います。
これについて、まず財務省の見解をお聞かせいただいた上で、大臣から見解をいただきたいと思います。
○古谷政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、一般の寄附金と違いまして寄附優遇措置を措置いたします以上は、租税回避を初めとした不正な行為に寄附が利用されないことですとか、集められた寄附金が確実に公益的な活動に充てられるということが必要であろうと思います。
このため、現在のところは、御指摘もございましたが、寄附を受けた公益法人の側から証明書の交付をしていただいて、それを、寄附をされた方が保存していただいた上で、税金を納めるときに添付していただくという形で担保させていただいておるわけですけれども、御指摘のような特定口座をつくってそういうことに資していくやり方というのも、透明性の観点も踏まえますと、今後あるいは必要になってこようかと思います。
ただ、そこを税法で金融機関にお願いができるのかどうかといった点も含めまして、関係当局ともよくこの辺は協議をする必要があろうかと思いますが、今般の寄附優遇の拡大を契機に、恐らく寄附の優遇措置の乱用事例が今後出てくるような場合には、私どもとしても御指摘も踏まえて検討させていただきたいと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
ちょっと時間がないので、大臣、最後にまとめてお聞きしたいんですが、実は大臣は郵政民営化ではいろいろ疑問を呈した方ですね。これの見直しが今されようとしています。私が怖いのは、見直しをするときに何の理屈もなく見直しというと、これはまた、いわゆる旧制度に戻そうとしているのか、こういうふうな批判が出てくると思います。私は、このNPOの議論というのは実はこのことに大変深くかかわっていると思っているのです。
というのも、そもそも郵便局というのはもともと民の機関なんですね。民間の力をかりてあれだけネットワークをつくったわけです。それでいわゆるユニバーサルサービスを提供するということで、そういった意味では公の組織ということである。
ですから、私はこの委員会の議論でもやったんですが、いわゆる小泉民営化の問題、私は民営化論者です、基本的には。でも、小泉民営化の問題は、イコール株式会社化だったんですね。ここに問題がある。いわゆる民営化の方向には、株式会社と同時にNPO化があるんだということなんですね、民の公を担う機関であると。それで、当時の郵便局は一応公社になっていたんです、郵政公社に。あれでよかったと私は思っています。本気でそう思っています。
つまり、官でもないけれども民でもない。あるいは、官のように公を担う機関であるけれども民の性格を持っている。しかし、では郵政公社、郵政事業がイコールNPOかというと、それもなかなか、NPOが近いと思っていますが、NPOにかかわらせていいかどうかというのも、これは難しいかもしれない。そうすると、一番いいのはやはり公社なんですね。公社化というのは一番ベストな状況にあったと私は思います、郵便事業としては。あると思います。
だからこそ、やはりこれから見直しをするというときに、株式を発行していますけれども、これをいわゆる上場するかどうかというところでこれから議論になると思いますが、これを単にだめだ、だめだと言っていたら、抵抗勢力だ何だと、またそういう議論になってしまうんですね。そうじゃなくて、やはり民間の公というセクターがあるんだ、それで、どちらかというと郵便事業というのはそこの世界の住人なんだというしっかりとした哲学を持って見直しを言わないと、何か抵抗勢力が単に見直しだ、見直しだと言って、結局またもとに戻そうとしているというようなことになって、またそういう浅薄な議論になってしまうんですね、民営化か株式会社化という。これじゃだめなんです。
だから、やはりそういった意味でも、この民の公のセクターというもの、このNPOセクターというものについてもっと深い私は議論と考証が必要だというふうに思っていまして、ぜひともその観点から郵政の事業の見直しというのは進めるべきだという思いであります。
それについても含めて、ちょっと大臣の御見解をいただきたい。
○野田国務大臣 市村先生、本当にライフワークとして公益法人に取り組んでおられて、とりわけNPOについてもすばらしい示唆をこれまでもいただいてきたこと、十分承知しています。
私自身もあるNPOの仕事をしておりまして、これは少子化対策ということで、妊婦さんにお花の種をお配りして、ありがとう、頑張ってくださいという、そういう活動をやっているわけですけれども、これは当然官ができないことで、そういうNPOがあったればこそやはりそういうサービスができたんだなということで、そういう官とか民とか区別をするんじゃなくて、やはりその中で公というのがどちらが似合うかというと、やはり基本的には、民で柔軟性を持っていろいろな人がコミットしていくのがこれからの新しい日本のあり方の一つだろうと思っています。
郵政民営化に関しましては、これからさまざまな見直しが図られていくと思っています。今先生御指摘のとおり、官か民かのときの民が株式会社ということで想定されている。株式会社というもののやはり第一は利潤の追求ですから、とにかく利益を上げなきゃいけない、そして株主に配当しなきゃならないというのがどうしても最優先になる。そこで、利用者はどうかというのは、恐らく官だったら、まずはどんな会社でも利用者最優先というようなことになってくる。要するに、そこら辺のバランスをうまくとったパブリックというものをやはり築き上げていかなければならないということを思っています。
以上です。
○市村委員 済みません、最後に一点だけ。ちょっと公益法人の名称について聞くのを忘れていました。名称についてはどうか、それだけお聞きして、終わります。
○原政府参考人 同一名称の一般法人から公益認定の申請があった場合であっても、それぞれが一般法人として適法に設立されているものであれば、公益認定等委員会としては、いずれにしても認定基準に従って判断していくということになります。
ただし、同一の名称を用いることが、不正の目的をもってほかの公益法人と誤認されるおそれのある名称または商号を使用することに該当する場合には、公益認定法の規定に違反するということになりますので、その欠格事由に該当して、公益認定を受けることができないということになります。
○市村委員 どうもありがとうございました。終わります。
○渡辺委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。
一般質疑の機会をいただきました。先回の当委員会で大臣発言を受けまして、その大臣発言に対してのこちら一般質疑ということでございます。
まずは冒頭、河村官房長官の発言を受けまして質疑をさせていただきたいというふうに思います。
河村官房長官、大臣発言として、前回の当委員会ではさまざまな課題の解決についての取り組みを話されましたが、その中で「官民人材交流センター及び再就職等監視委員会の設立準備についても、適切に推進してまいります。」このように述べられております。これは、さきの通常国会で与野党協議で我々民主党の修正案を受けて成立をいたしました国家公務員制度改革基本法、また、これに先立って昨年の国公法の一部改正、これらトータルで進められています公務員制度改革、国家公務員制度改革の中で重要な位置づけとなるセンター並びに委員会の設置について、所管であられます官房長官がこれを適切に推進するという決意を述べられたと私も理解をしております。
この再就職等監視委員会、これにつきましては、前回の国会の中でも再三再四指摘をしてまいりました。実はこれは同意人事でございます。国会同意人事ということで、この春に、同意人事が否決されるといった場面が別の案件でございますがありました。同意人事が否決された場合には、参議院でねじれ現象、逆転現象ということで否決された場合には、これは設置できないということになる、人事が決定できなくなる。これをどのようにお考えになっているかということで、私は、渡辺大臣にお尋ねをし、さらには質問主意書でもお尋ねをしてまいりました。
その中で、この再就職等監視委員会の同意人事、これが仮に不同意になった場合、どういうことが起きるのか。総理大臣があっせんの権限を委員会に委任いたします。しかし、この委員会が、同意人事が不同意となって、設置はされているけれども委員が不在という状況になった場合に、総理大臣はこの委任する権限を果たして行使できるのか、このことについて、さきの国会の中では幾つかの議論がございました。
そこで、お尋ねをさせていただきたいんですが、私も質疑もいたしましたし、また私以外の方も質問されておられましたが、この同意人事について、不同意になった場合についてでございますが、一番象徴的にお答えいただいたのは、六月の五日の参議院の内閣委員会、松井孝治議員の質疑に対してではないかというふうに思います。松井孝治議員が、同意人事、これが不同意になった場合、就職あっせんはできないということになるんですかということ、これはすなわち、委員会が不在となりますからできないんですかということの問いに対しては、渡辺大臣は「まあ常識的にはそういうことだろうと思います。」と答えられました。
しかし、私も質疑の中でも、あるいは主意書などでも再三確認をしてまいりましたが、果たして総理にこの権限を行使することができるのか、総理がこれを権限行使可能かということについて、これを松井孝治議員が確認をしたところ、内閣総理大臣が個別によく見て審査をして再就職あっせんを認めます、こういう解釈はあるんでしょうかと尋ねられたときに、その当時の町村官房長官は明確に、「私はあると思っております。」このように述べられました。
町村官房長官のこの答弁を受けて渡辺大臣は、その前の質疑では常識的にはないとおっしゃっておられたんですが、法律が制定をされて成立した段階での、その所管となる、責任者である、有権解釈権者である官房長官があると思っているという発言を受け、これに対しては渡辺大臣もその次の答弁の中で「官房長官のおっしゃるとおりだと思います。」と追認をされているわけです。
そこで、官房長官にお尋ねをさせていただきたいと思います。
再就職等監視委員会の同意人事については既に不同意が一度なされておりますが、この同意人事について、仮に不同意となった場合に総理が権限行使できるということについて、町村官房長官がおっしゃった、それはあると思っているという、それは可能だということについて、河村官房長官、改めて、官房長官になられて、政府見解としての明確な答弁を求めます。
○河村国務大臣 お答えを申し上げます。
今委員御指摘のように、さきの通常国会は残念ながら国会の同意を得ることができなかった。しかし、政府としては、改正国公法の施行までの間に委員長等の任命について国会の同意が得られるということが、これは必要なことであるというふうに考えておるわけでございます。
御指摘のように、万一、法施行時において委員長等が任命されない、こういう事態が生じた場合でありますが、これについては、やはり再就職等の規制の実効性確保のために、内閣総理大臣がみずから権限を行使することも含めてどのような方策があり得るかということについて検討したい、このように考えております。町村前長官が考えを述べられた、そのことも含めて私は官房長官として改めて方策を考えたい、現時点ではそのようにお答えをしたいというふうに思います。
○馬淵委員 町村前官房長官のお答えが個人の見解である、このようにおっしゃるんですか。これは明確に、この六月五日の参議院の内閣委員会で官房長官が答弁をされ、さらにはそれを時の担当大臣である渡辺大臣、この段階では所管の大臣として、法案提出者の大臣として権限がございます。その渡辺大臣もこれを追認されているわけです。二名の大臣が確認をしたことを今、河村官房長官は、これは検討すべき余地があるというふうにおっしゃるんですか。前回の質疑の中でのお二方の答弁が認められないということでよろしいんですか。
○河村国務大臣 私は、前長官の述べられたことが官房長官としてお述べになったことであること、だから、いわゆる個人の考えとは申しておりません。
ただ、どのような方策があるかということを、これは、この制度を推進していく責任者として実効あらしめなきゃいけませんので、町村官房長官が発表されたことも踏まえて、その方向を一つ方向づけされておるわけでありますから、その中でどういうやり方でこの法律のもとでできるのか、そういうことを考えてまいりたい、このように申し上げておるわけであります。
○馬淵委員 国会のことではありますが、この同意人事、あすにも提示だと報道には上がっております。十三日にも提示する方針を決めた、これは本日の朝日新聞で報道に上がっております。
官房長官、これは国会がお決めになることという御答弁は結構です。あす仮にもこれは提示される可能性がある。その方向性を町村官房長官は出されたと言いますけれども、これは方向性じゃありませんよ。町村官房長官は総理大臣が権限行使できると思っているというのは、そういうことですよ、権限行使できる。そして、渡辺大臣もそれを追認されているわけです。これを、もうあす同意人事になるわけですね。これからそのプロセスとしては当然参議院にも移っていくわけですが、これは検討云々じゃないんじゃないでしょうか。今現時点において、政府は、二大臣が答弁したことについての、これに対しての明確な見解を示されることはなぜできないんでしょうか。もう一度確認します。あすですよ、あす提示されるそうですよ。
○河村国務大臣 私の方としては、提示させていただく以上、これを御同意いただけるという前提で事が進んでおるわけでございますので、この同意が得られないということについての仮定の、排除できない問題という御指摘もあろうと思いますが、今のねじれの中でそういうことはあり得るとおっしゃるでしょうが、我々としてはあくまでも同意をいただくという前提で今構築をしているわけでありますから、そのことで、万一の場合はどうするんだという御指摘でありますから、そのことについては町村長官の述べられたこと、これは政府の一つの方針として出された、それを踏まえた上で、どうすれば実効あらしめることができるかということを考えていく、こういうふうに御答弁を申し上げているわけであります。
○馬淵委員 町村官房長官の方向性は、これはもう確認はされたということですから、これについては受けとめていらっしゃるというふうに私も理解をいたします。
では、仮に、町村官房長官のおっしゃるように総理は権限行使できるんだとした場合に、国会の同意人事についてはまさに国会の形骸化ということにつながらないかということについての官房長官の見解はいかがですか。
○河村国務大臣 でありますから、我々としては、御理解をいただけるように、全力を尽くして御同意をいただくということが大前提であるということであります。
○馬淵委員 いや、そのことを私は、前官房長官はそれをあえてお答えいただいて、二大臣が確認をしたと申し上げているんですよ。お願いしたいという話も私はしていません。さっきおっしゃったじゃないですか、町村官房長官のその答弁を受けてと。受けてということであるならば、それは、その可能性として、総理の権限行使を認めることも今後の中に入ってくるんですよ。入ってくるということは、今後の同意人事に大きな影響を与えますよ。総理の権限行使を認めることの検討も十分に余地があるんだとすれば、国会法に定められたこの国会の同意人事というのはどういうことになるんでしょうか。官房長官、見解をお述べください。
○河村国務大臣 あくまでもこの法律に基づいてやらなきゃならぬということが大前提でありますから、そして、同意人事を求めるということは、この法律に基づいて同意人事を求めていくということであると私は考えておりますので、まず同意をいただく、ここに全力を尽くすということだろうと思います。
仮定の、こういう場合のケースはどうかと言われた場合に、法律的に可能であるという考え方をお述べになったと思うわけであります、可能性があるというふうにお述べになったと思いますが、やはり実効あらしめるためにどうしたらいいかということを、それは行政、政府としては次善の策を考えていくということで、その考え方で私は間違っていないというふうに思います。
○馬淵委員 いずれにしましても、あす提示されるということであれば、またその後の進展の中ではっきりすると思いますが、この問題につきましてはもうこれ以上お聞きはいたしませんが、今、極めて重要な御答弁をいただいたと私は認識しております。
さて、甘利公務員制度改革担当大臣にも御出席をいただいております。
甘利大臣の先般の発言、これには、「国家公務員制度改革基本法に基づき、内閣人事局の設置を初めとする改革をしっかりと推進してまいります。」このように発言をされました。甘利大臣も、当然ながら、この公務員制度改革基本法、この理念、信念というものをしっかりとお持ちいただいていると思います。
さてそこで、この改革基本法によりますと、推進本部というのが十三条で設置が定められておりまして、これが設置をされました。この推進本部の本部長は総理大臣であられます。また、事務局というのも改革基本法の中で二十条で定められておりますが、これも設置をされました。本部があり、事務局があり、今後制度を設計していくわけであります。そして、この制度設計を行っていく上においては、重要事項について審議し、公務員制度の改革推進本部長に意見を述べるという形で顧問会議というのが置かれました。
きょうは事務局、事務方に来ていただいておりますので、端的なお答えで結構です。この顧問会議というのは、これは総理大臣の諮問機関ということでよろしゅうございますか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
そのとおりでございます。
○馬淵委員 この顧問会議が設置をされた。この顧問会議が設置をされた上で、さまざまな、まさに甘利さんが先ほどおっしゃっている内閣人事局の設置を初めとする改革が詰められていくわけですが、顧問会議を運営していく中でワーキンググループという、いわゆるさらに中身を詰めていくという会議を設置されました。ワーキンググループ及び顧問会議、これが開かれていくわけですが、お手元に資料をお配りいたしました。これをごらんいただきたいと思うんです。
お手元の資料には顧問会議とワーキンググループの開催の日時が載っております。第一回顧問会議が九月の五日です。福田総理大臣が辞任表明をされて、その後、九月五日にこの顧問会議、第一回が開かれました。総理大臣初め官房長官、また担当大臣が出席をされておられます。
その後、第二回の顧問会議が九月の二十三日。いわゆる政治空白が起きたわけです。福田総理の辞任表明によって総裁選となり、自民党内では総裁選が中心となったということだと思いますが、二十二日の麻生総裁の誕生まではこれは開かれなかった。二十三日、その段階でようやく顧問会議の二回目が開かれたわけであります。
そしてその後、顧問会議の第三回が開かれまして、またワーキンググループの開催に進んでいくわけですが、この中で、甘利大臣に御答弁いただきたいんですが、甘利大臣はこの顧問会議、ワーキンググループ、合わせて何回、どれだけの時間、出席されましたですか。
○甘利国務大臣 顧問会議に第三回目に出席をいたしました。これはフルタイムで出席をしております。
ワーキンググループについては一度、私の考え方をしっかり把握していただきたいということで、冒頭、私の考えをワーキンググループのメンバーにお伝えをさせていただきました。
以上二回でございます。
○馬淵委員 甘利大臣は、これは二十三日は無理ですよね、まだ閣僚に任命されていないわけですから。十四日の第三回の顧問会議に、フルタイムとおっしゃっていますが、これは九十分間出席をされた。そして、その翌日からワーキンググループがスタートしました。第一回、十五日、第二回、二十四日ということで、十一月の九日、さきの日曜日まで既に第六回が開催されております。一度だけ出席されているんですね。甘利大臣は第四回に一度だけ出席されて、これは冒頭十分ということですね。
顧問会議並びにワーキンググループに対して、甘利大臣、私は、これは麻生総理も出席をなさっておられないということで、この国家公務員制度改革に対する意気込みというものをもう少し示していただけないかなと、これを見て思った次第なんです。
と申しますのは、こうした状況の顧問会議が一体どのような議論でスタートしたかということなんです。
この顧問会議の中で、第一回、九月五日に、顧問でおられる屋山太郎顧問からこのような資料が出されておりました。内閣人事局についてということで、これは皆さんにお配りしておりませんが、八月三十日の日経新聞夕刊で報道されているような中途半端な統合案、総務省二局を分離独立させるだけ、これは私の考えとは異なるということで御本人の考え方と違うということなんですが、ここでさらに、人事組織行政の全面的な再編と位置づけて、人事院や財務省の機能を抜本的に見直し、内閣人事局に持ってくることが重要と考える、屋山太郎顧問が一回目の顧問会議でこういった発言をされた。そしてさらには、会議の運営に対しては、隔月とか毎月といったレベルではなくて、週一回ぐらいのペースで集中討議が必要ということで、ワーキンググループをやるべきだという提言をされました。
ワーキンググループは、その後、第二回の顧問会議の中でこれが設置が決定されたわけでありますが、ここに書いてありますのは、八月三十日、日経新聞の夕刊で報道された、その中途半端な統合案ということに対しての懸念を顧問の方々が出されているわけです。中途半端な統合案。
どういうことかということでございますが、これはお手元資料の三にお配りをしておりますが、「内閣人事局、四百人規模 総務省の二局、母体に 政府原案」という形で日経新聞夕刊、八月三十日付で出ております。これを見ますと、「総務省にある行政管理、人事・恩給の二局を母体に人事院、財務省などの人員も移し、四百人規模で発足させる。」と書いてあるんですが、このことを指しておられるんです。
総務省の中にある行管局、人恩局、これはかつての総務庁の部分でありました。総務省に一たんは統合されたわけでありますが、ここをまた切り離して内閣人事局にしようとしているのではないかということが、この段階でメディアに多数上がったわけであります。顧問会議の中でも、こうしたことに対しては大変懸念を述べている顧問もおられる。
こうした状況の中で、この内閣人事局の設置については、それこそ一元管理で、政治主導で、しかも弾力的な能力・実績主義を実現できるような、幹部育成ができるような大変重要な機関であるということは、今般の修正協議の中でも確認をしてきたわけです。我々の意見をお取り入れいただいたその内閣人事局に対して、もう既に顧問会議で疑問が呈されているような状況だった。
これについては、増田総務大臣、当時これはインタビューに答えられているのがあります。海外出張中であった間にこの記事が出たと当時の増田総務大臣は話しておられます。アエラの中に載っておるんですが、これを少し引用させていただきますと、「議論もしていないのに、改革のメインテーマである内閣人事局の具体的な話が出た。官僚が裏で話を勝手に詰め、私たちがいないすきに、自分たちにとって都合のいい既定路線を作ろうとしてリークしたのだろう。相当悪質だと思った」、このように述べられております。
つまり、八月三十日、九月のこの冒頭で内閣人事局が既に骨抜きにされているのではないかということが巷間伝わっているわけです。
こうした状況の中で、甘利大臣、私は、ワーキンググループの議論ももっともっとしっかりと監視していただかねばならないんじゃないかと思うわけですが、大臣、この辺はどうですか。出席回数を、私は回数が多ければいいということを申し上げるつもりは毛頭ございませんが、大臣の言われる政治主導を実現するということについて、余りにもこのワーキンググループに対しても大臣の目が行き届いていないのではないかということを申し上げているんですが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 私が大臣に就任しましたときに国家公務員制度改革のスケジュールを聞きました。そのときに、二回顧問会議が開かれて、直ちにワーキンググループの議論に入りますと。
私の経験からしますと、今まで大臣を何回かやった経験からすると、顧問会議、その下に実務の会議があるときに、顧問会議には大臣は出席するけれども、実務の会議というのはどこの省でも出席をしていないんですね。
その顧問会議ももう開かれませんで、すぐワーキンググループに入りますと言いましたから、私が、それはだめだ、私が大臣として就任した以上、私の方針を伝えなければならない、顧問会議を無理無理でも招集せよという指示をいたしました。ですから、三回目は私の指示で招集されたわけであります。そこで私は明確に、政治主導で行いますということを申し上げました。そして、具体的に五項目を、私なりに考えている五項目を指示いたしました。この中には給与の弾力化というのも入っているわけであります。それで、この指示を受けてワーキンググループをスタートしてくれということでスタートしたわけであります。
それで、私への説明は、基本的にワーキンググループは実務部隊でありますから大臣の出席はありませんということでありましたが、その私の指示が明確に現場の作業部隊といいますか、失礼な話かもしれませんが、作業チームに伝わるように、私が出ますからということで現場に出て、逐一の議論に私は口を挟まない、信頼はしているけれども、私の方針、顧問会議に伝わった方針はワーキンググループでもちゃんと把握してほしいということで、そのために予定にないワーキンググループの会にも出席をして、私の方針を明確に伝えて、その方針に従ってやってほしいということを申し上げたところであります。
○馬淵委員 もし大臣が主導しようというお気持ちがあるならば、私は、ワーキンググループについてもかなり厳しい監視を向けられるべきではなかったかと思いますね。というのは、何度も申し上げるように、二局母体案などというものが出ているわけですよね。少なくとも出たという報道がなされて、またそうした方向に動いているということが巷間伝えられるようになっております。これはやはり大臣としては、いや、五つの基本方針を出したからいいんだということではないと思うんです。
というのは、このワーキンググループの議事録、これは十月十五日でありますが、ここでは、いつまでにやらなきゃいけないかということについて再三、事務局の方からの発言が出ています。これは何かというと、予算関連法案で出すために十一月の中旬くらいまでにということが事務局側からワーキンググループの方に出ているんですね。そして、これを十一月中旬までに要綱というか、中身の大きな方向性を固めておかなければならない、議論の方向性を十一月の中旬ぐらいまでに決めていただきたい、これは繰り返しおっしゃっているんですね。
ところが、このワーキンググループの委員の方々から、予算要求に縛られたのでは議論が十分に尽くせない、こういう発言も出ている。しかし、それに対して再三、希望としては十一月までにお願いしたいと。これはあたかも決まっているかのように、希望といってもこれだけ強く事務局が求められているわけです。事務方としては十一月までに何とかお願いできないかとお願い申し上げている、もうこれはお願いなんですね。議論じゃなくお願いになっています。十一月までだとしたらあと一カ月しかない、それではこの大事な問題の結論は出ないと思うというのは、これは委員の方からの発言です。しかし、それでも、そういう状況の中で十一月までにできる限りのことはしていただきたいという希望であると。
済みません、岡本次長、これはどなたの発言でしょうか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
私でございます。
○馬淵委員 これは、二局母体論が出て、そしてそれであたかも進むかのような流れの中で、一方、事務局としては十一月の期限を殊さらに言っているんですよ。こうした状況がワーキンググループで起きているわけです。大臣、これは単に基本方針を出したからという話じゃないんじゃないでしょうか。
この設置についてはもうもちろんよく御理解されていると思いますが、内閣人事局については十一条で、必要な法制上の措置は法律の施行後一年以内を目途として講ずるものということで、これは設置は決定されていないはずなんですよ。
大臣、端的で結構です、確認ですけれども、これは設置を一年以内に決定するものではないんですよね。
○甘利国務大臣 法制上の措置を講ずるということと設置するということは一〇〇%イコールではありません。
○馬淵委員 しかし、岡本次長は繰り返し、十一月までとおっしゃっていますね。これの意図はどういうことなんでしょうか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
内閣人事局の設置につきましては、特に時期でございますが、今、顧問会議あるいはワーキンググループにおきまして先生方に精力的に御検討いただいているわけでございます。ぎりぎりのタイミングで大臣が政治判断をされるというふうに私どもも理解しておるということでございます。したがいまして、私どもは、顧問会議あるいはワーキンググループでの検討が円滑に進むようにサポート業務に全力を尽くしているということでございまして、今先生御指摘の事務局の発言でございますけれども、先に二十一年度に設置をするというような結論を決めているわけではございませんで、そのような観点からリードしたということは全くございませんでした。
その趣旨と申し上げますのは、仮に内閣人事局を二十一年度に設置すべきとの結論に達した場合に、毎年度の予算編成等のスケジュールを勘案いたしますと、十一月中に予算ないしは組織要求を出さなければならないということがございますので、その段階までに予算規模に関連する大枠の結論を得ておく必要があるという事実関係を述べたということでございます。そういうのが私の発言の趣旨でございます。
○馬淵委員 岡本次長、そういった事実を述べただけだとおっしゃっていますが、これはこの議事録を読めば、事務局の発言として、十一月までということに対して大変拘泥されているというのが読めると思うんです。
では、改めて別の観点でお聞きしますが、内閣人事局、設置を決めたわけではないんだということでありますが、しかし、内閣人事局というのを決めていく上においては、当然ながら機能の議論をしなければなりません。ワーキンググループは既に六回行われたわけです。あと何回開かれる予定ですか。直近の予定を言ってください。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
本日、あすの二回でございます。
○馬淵委員 ワーキンググループで内閣人事局の機能について、そのことを詰めていくという作業は今日までに何回されましたか、岡本次長。
○岡本政府参考人 ワーキンググループの回数ということでいえば六回でございます。(馬淵委員「いやいや、そうじゃないですよ。私は、内閣人事局の機能、組織、業務のあり方について何回議論されましたかと聞いているんです」と呼ぶ)
内閣人事局、それから先ほど大臣が御答弁されましたいろいろなものを含めまして六回のワーキンググループの中で議論をさせていただいておるということでございます。
○馬淵委員 お手元の資料二をごらんいただきたいんですが、これまでの議論の経緯というのを見させていただいておりますが、内閣人事局の組織、業務のあり方については、本日の午後五時からとあすの一時半からのこの二回、合計四時間、実質は一時間半ですから合計三時間、これで決めるという工程表になっているんです。これを見れば、少なくとも、第四回の顧問会議、金曜日ですが、それまでにこのワーキンググループは本日含めてあと二回、実質の審議三時間ですよ、この三時間でこれを詰めるということになっているんじゃないですか。岡本次長、いかがですか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
今まで内閣人事局等に関する機能について議論させていただいたのが六回でございます。それを受けまして、組織等々について、先生御指摘のように、あと本日、あすということで議論を詰めていただきたいということでございます。
○馬淵委員 いやいや、これは機能についてまだ全然詰まっていないじゃないですか。今日までの論点の整理のところを見ても、まだまだこれは全然機能については何も決まっていませんよ。論点が出されているだけですよ。いいかげんなことを言わないでくださいよ。岡本次長、これは詰まっていないじゃないですか。これをあと二回、三時間でやるという話なんです。
大臣、ワーキンググループはこういう状況ですよ。これに対して大臣は、政治主導、本当になされているとお感じですか。
資料に目を通していただきたいのを指摘させていただきますが、五の資料をごらんください。これは人事院の事務総局企画法制課から事務局へ出された十月二十日発出の文書なんです。これは、人事院、総務省、そして財務省と、この三つの行政機関からそれぞれ人事の部分について重要なことが決まっていくということは、前回の国会の中でも相当議論されました。そして、このことを踏まえて、十一条の中には「総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、内閣官房に移管するものとする」となっているんです。総務省の二局だけではだめだ、人事院も、これも移管しなきゃだめだと法定しているんです。
しかし、人事院の方では、十月二十日の段階で、ごらんいただくとわかりますが、内閣人事局、これによる幹部職員等の任命権の一元管理、国家公務員人事管理等の説明責任については人事院の事務や機能とかかわるものではないと考えます、念のため申し添えますといって、こんな文書を出しているんですよ。大臣、もう人事院は既に私たち関係ないと言っているんですよ。
これは法定しているんです、我々は。まさにこの改革議論の中で一番重要なところだということで、法定したんです。これは渡辺大臣も明確に答弁されました。これについても議事録があります。もう細かく言いませんが、機構、定員関係事務や級別定数、これについては移管ないし事務の見直しの対象になると。これが法理念だったんです。にもかかわらず、人事院は、もうこれは私たちには関係ないと言っていますよ。そして、十一月までにという事務局の進め方、総務省二局母体、まだ実際には法的な措置というのは設置でも何でもないのに予算関連だとして進めているんです。
大臣は再三、政治判断ということをおっしゃってこられました。記者会見で十七日、政治判断をするとおっしゃっていました。また、この十一月の七日にも麻生総理との面談後に、政治判断をするとおっしゃっておられました。この政治判断、今求められるんですよ。
今、お手元の資料、お配りをしている中で六をごらんください。これは、人事行政に関する機関をまとめたものであります。事務局でまとめたものです。人事院の給与第二課というのは給与局の中にあります。この部署と、そして総務省の行政管理局の管理官、この部署と、そして財務省の給与共済課、この三つの機関がまさに、給与体系を含めて、級別定数、定員、そして予算上の給与措置、それぞれが持ち寄って決めていくということで、弾力的な人事ができない、硬直化してしまっている元凶になっているとも言われています。
人事院にお尋ねします。人事院の給与二課長、歴代、どこの出身の方ですか、端的にお答えください。
○菊地政府参考人 お答え申し上げます。
財務省からの出向者でお迎えしております。
○馬淵委員 総務省にお尋ねします。行政管理局の管理官、定員総括担当、歴代どこの出身の方ですか。
○田中(順)政府参考人 ただいま御指摘の総務省行政管理局の定員総括担当管理官、歴代と申されましたが、少なくともここ十年間は、現在の財務省、旧大蔵省。ちょっと原局から来ておりませんので記憶で申し上げて恐縮ですが、総定員法ができた以降は、歴代、大蔵省から来ているのじゃないかと思います。
○馬淵委員 財務省、済みません、給与共済課長の入省年次、端的にそれだけで結構です。
○木下政府参考人 財務省の現在の給与共済課長の入省年次は、たしか昭和六十一年度に入省したものと理解しております。
○馬淵委員 人事院の給与二課、ここが級別定数を決めるんです。そして、総務省の行管局の管理官、定員総括担当が定員を定め、そして、財務省給与共済課が当然ながら給与の調整を行う。それぞれの入省年次は、人事院は昭和六十年、総務省は昭和六十三年、財務省は昭和六十一年と非常に近いところです。つまり、大蔵支配はやはり今まで続いているんですよ。まさにここなんですよ。まさにこの部分に、この硬直化した人事制度というのが象徴的にあらわれているんですよ。
大臣、時間も余りありません。政治判断とおっしゃるならば、ぜひ政治主導を実現しなければならないんです。この法律は、我々と修正協議を重ねてつくったんです。そこに魂を込めたと私もそう思っています。大臣、十四日の顧問会議がありますが、来週早々には政治判断をされるとおっしゃっておられますが、まさに与野党協議が必要じゃないんでしょうか。今、官僚主導で進んでしまっている可能性が高いんですよ。顧問会議の結果を受けて判断されると言いますが、大臣、まさに政治主導であるならば、我々民主党にも呼びかけをしていただいて、与野党協議でこの問題をどうするかということを決めていく政治判断が必要なんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○甘利国務大臣 まず、内閣人事局というのは、法整備をするということになっておりますが、それも、最初から最終形態をつくるということでは基本法上なっていないわけですね。一年、三年の議論がありますから、その中身に応じて器をつくっていくということになろうかと思います。
私は、信賞必罰ということを考えれば、能力のある者は年次を越えて上がっていく、ない者は降格ということも当然あり得る。そうすると、それと給与というのはかかわってくるわけですね。その議論なしに公務員制度改革というのはできないと思っております。
ただし、基本法上も、一年の議論、三年の議論、そして最終的に五年に省令まで含めて行うということになっておりますから、一発で全部つくらなくてもいい。それを工程をちゃんと縛っておけばいいんだと思うんです。
そういう考え方に従って、ワーキンググループの議論が顧問会議に報告されたときに、まず、その第一段階での設置に足る議論が詰められているか、あるいは予算要求をするための後ろ盾にちゃんとなっているか、そこをしっかり検証したいと思っております。(馬淵委員「与野党協議」と呼ぶ)民主党さんとの協議で修正として出されたわけでありますから、御意見があれば、何らかの機会があれば、それは御参考にさせていただきたいと思っております。
○渡辺委員長 馬淵君、質疑時間が終了しておりますから、簡潔に。
○馬淵委員 はい、了解しております。
甘利大臣、参考にさせていただくじゃなくて与野党協議を、それこそ大臣、政治判断していただきたいと思います。それこそが真の政治主導の新たな制度設計になると私は信じております。時間もございませんので質疑はこの辺にさせていただきますが、どうか大臣の御判断を私は求めさせていただいて、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。
きょうは、事故米対策についてと、ずっと内閣委員会で質問させていただいております地方分権の関係について質問をさせていただきます。
最初に、事故米といいますか汚染米の対策について、食品とそれから消費行政を担当する内閣府の中にありますので、その点についてお伺いをさせていただきます。
最初に幾つか確認をさせていただきたいと思うんですが、農水省には農水大臣を本部長とする事故米対策本部がありまして、今、解明と対策というのを進めております。同時に、内閣府にも事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議というのが設置をされておりますが、これらの連携のもと進められているというふうに思いますし、大臣の過日の発言の中にもそのことがございました。
この有識者会議ではどのぐらいの審議を今進められているのか、まず事務方からその点をお願いいたします。
○田中(孝)政府参考人 お答え申し上げます。
事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議は、去る九月十六日、福田総理から、事故米穀の不正規流通問題の原因究明、責任及び今後の善後策について、野田内閣府特命担当大臣が関係大臣の協力のもとで法曹関係者、消費者問題の専門家等の第三者による徹底した検証、検討に着手するよう、そのように指示されたことを受けて、同十九日に野田大臣が設置したものでございます。
法曹関係者、消費者問題の専門家等八名で構成され、主たる任務として、一、事故米穀の不正規流通問題の原因究明、責任の所在の明確化、二、米穀の流通実態等の問題への対応を含めた、消費者の安全、安心確保のための抜本的解決策、以上を審議することを目的としております。
九月十九日の発足から昨日十一月十一日までに、十四回にわたり、主として農林水産省、厚生労働省、食品安全委員会からのヒアリングにより事実関係の検証作業を積み重ねてきたところでございます。
昨日の会合では、政府在庫から発生した事故米が食用として不正規流通したのはなぜか、福岡農政事務所が九十六回も検査を行ったのに不正規流通を見抜けなかったのはなぜか、平成十九年一、二月の不正規流通を示唆する情報を生かせなかったのはなぜか、輸入通関時点で食品衛生法違反となったMA米の食用への転用が防げなかったのはなぜか等の視点から検証事実の整理を行ったところでございます。
明日開催予定の会合で、検証の総括の議論を行い、原因究明、責任の所在について検証結果を取りまとめていく予定となってございます。
○佐々木(隆)委員 今二つの視点でお答えをいただきました。一つは、原因と責任の問題ですね。それからもう一つが、流通のシステムの問題ということです。流通システムについては、今お答えがなかったということはこれからの課題ということだというふうに解釈いたしますが、この原因や責任を追及していくについても、やはり米の流通システムそのものの原因というものをしっかり検証しなければ本当の解決にはなっていかないんだろうというふうに思います。常識的に考えて、政府米と言われるものが政府がわからないという話がおかしい話であります。では何のための政府米だという話になるわけですから。
それと、聞くところによると、事故米になった途端に農水省の所管から外れるというような話、要するに食料でなくなるので。ではどこが所管なんだというと、それもまだはっきりしていないとかいうようなお話も伺っているわけでありますが、この流通システムの見直しの点について、これからの論議になると思いますが、大臣、どんな視点で取り組もうとされているのか、お伺いをいたします。
○野田国務大臣 九月十九日にこの有識者会議を立ち上げていただいたときの第一番目が、現状の事故米穀の不正規流通事案についての今の話でありまして、二番目には、今まさに先生おっしゃいました米穀の流通経路そのものについて、やはり抜本的に調査をしたり検証することによって消費者がきちっと安全、安心にお米と接することができるようなことについても、今後お願いしたいと思っています。
今は、有識者会議の方は事故米穀の方の取りまとめというか、正確には調査報告書というんですか、それを取りまとめていただいているところなので、それが終わり次第、速やかに流通の方に議論を移していただきたいということをお願いしたいと思っています。
○佐々木(隆)委員 流通といっても、もちろん原因のところから始まるわけですけれども、今言われている、消費担当もされておられますから、トレーサビリティーの問題とか原産地の問題とか、この機会にぜひそこにきっちり踏み込んでいただきたいというふうに、そこのところはお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
今回のこの問題といいますか、ある種私は事件だというふうに思っているんですが、この中には、私は、一つの原因として米の流通の規制緩和があったのではないかというふうに思います、これがすべてとは言いませんが。
どういうことかというと、これは規制緩和全体の特徴として、いわゆる許認可、許可制から届け出制に変えていくというのがかなりいろいろな面で行われてきたわけですが、米もかなりの年数をかけて、もとは米穀業者というのは指定されていたわけでありますが、それでは余りにも使い勝手が悪いということで、これをどんどん緩和してきたわけですね。そして今は、ある種どこでも買えるしどこでも売れるというような状況になってきたわけであります。それをある意味で悪用したんではないかというふうに考えられるわけですね。それが、結果、だれでも売れる、だれでも買えるを繰り返して、いわゆるロンダリングをして責任の所在をわからなくしてしまって、今度のような事件になったというふうに考えられるんではないかと思うわけであります。
そこで、お伺いをしたいわけでありますが、内閣府の国民生活審議会消費者政策部会というところの論議の中で、これは〇二年の十月二十八日の会議でありますが、「我が国の安全規制に関する現状分析」というのが論議になりまして、その中で、行き過ぎた競争・効率主義に対する反省もあり、横割り行政の仕組みの導入を含め適正な規制のあり方を模索すべきだということ、それから消費者の権利という概念について検討すべきだというようなことがここでテーマになっているわけですね。
私は、一連の改革の中で、ずっと行政コストの削減という方が優先されてしまって、いわゆる安全面で何かしなければならないことを怠ってきたのではないかというふうに感じています。そういった意味で、事前緩和をするんであれば事後規制をきちっとするとか、何らかの対策というのは同時にやってこなければいけなかったというふうに思うんですが、いわゆる事後の監視とかチェックというもののシステムを、とりわけ命にかかわる問題ですから、システムとしてつくっていかなければならないのではないかというふうに私は思うんですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○野田国務大臣 規制緩和というのは競争の質を高める、結果としてそれは事業者のメリットになり、消費者にとっても、さまざまなサービスが生み出されたり、競争によって価格が下がる等、長期的に見てはいいということが一般論として言われてきているわけですが、当然その裏腹のデメリットというのがあってしかるべきで、私の立場としては、やはりそれが消費者にとってデメリットになるということをしっかり注視して、消費者の安全、安心のために、先生が御指摘のようなことを取り組んでいかなければならないなということは思っております。
○佐々木(隆)委員 きょう甘利大臣にも出席をいただいておりますので、同じようなことについてお伺いをしたいんですが、いわゆる規制緩和、途中から規制改革という名前に変わっているんですけれども、一九九五年、平成七年あたりから、行政改革委員会規制緩和小委員会というのがそのときに設置をされていて、そのときはまだ規制緩和という言い方だったんですが、規制緩和が行政上の重大なテーマとしてずっとそれ以来論議をされてきています。それはそれで、今野田大臣からもお答えいただいたように、経済の活力というような意味も、あるいはビジネスチャンスというような意味でも、私もそれを全面否定するものではありません。
ただ、特に〇一年から、いわゆる改革なくして成長なし、官から民へというようなことで、一気に構造改革という形で、この規制改革がどっと進んできたわけですね、そこから。特に重点六分野というような言い方をしたり、アクションプラン十七項目というような言い方をして、キャッチフレーズ的にどんどんどんどん規制緩和というのが行われてきたわけでありますが、ここで私は、基本的には、経済は規制緩和をして活力をつけるとすれば、今野田大臣からもいただいたように、同時に生活の側の規制を強化しないとバランスがとれない話だと思います。PL法はそのいい例だと思うんですね。
そういう意味でいうと、残念ながら今回進めてきた規制改革というのは、当初は経済的な側面だけだったんですが、途中からは社会的な問題、医療だとか教育だとか、そういうところにまでどんどん広がっていって、改革とはいいながら、いわゆる緩和の方向だけでずっと進んできたという経過を踏んでいるというふうに思うんですね。
ただ、そういう中で、行き過ぎたのではないのかということで見直しも実はしてきております。幾つか例を挙げますと、大店法ですね。大店法が大店立地法でより緩和をされて、そして今度は町づくり三法という形で少し戻したわけですよね。それから建築基準法は、これは逆ですけれども、強化し過ぎて少し緩和したというものもありますし、金融商品も、多様化をし過ぎたために取引法という形で少しまたきつめた。
それから、とりわけ運輸産業の参入の自由化というのがどんどん進んできて、そのことによって事故が発生したのではないかというような問題もあったり、あるいはバスやタクシーなんかのところでは、少し量的な規制が必要なのではないかというようなことが今論議をされている状況になっています。
それから派遣労働、これも緩和をし過ぎたということで今見直しが論議をされている。
それから、保育園の民営化のときに、これは横浜なんですが、たしか一年間に四カ所かそこらが一気に民営化をして、四カ所か七カ所かちょっと数は忘れたんですが、横浜の地裁がそれはやり過ぎだとした判例もあったりもしているわけですね。
こうした状況の中で、先ほどもお伺いしましたが、いわゆる事後規制、事後監視と言ったり事後チェックと言ったりしておりますが、このごろそういう提言が数多く出されるようになってまいりました。
さきの国民生活審議会でも、日本は、これまではアメリカや欧州以上に規制が厳しかったのに、少なくとも安全規制についてはアメリカ以上に市場依存型になったのではないかというようなことがその中で論議をされています。それから、総合規制改革会議の中間取りまとめの中でも、直接的に人の生命、安全にかかわる問題については、事前規制を維持するとともに事後規制を適切に行うべきケースも存在すると、これは甘利大臣が所管をする総合規制改革会議の中でも、事後チェックルールの整備というようなことを、その必要性を提言しているわけですね。
内閣府にある規制改革という部署が、実動部隊である省庁に任せるのではなくて、せっかくそういう担当大臣を置いて進めようとしているわけですから、統括する大臣として、今後この事後規制、事後チェックというルールづくりをする、そういう考えがあるか、あるいはその決意を含めてお伺いをしたいと思います。
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、私は、規制緩和担当大臣ではなくて規制改革担当大臣であります。規制改革というのは、いい方に変えていくということでありますから、緩和の方がもちろん多いのでしょうけれども、場合によっては安全、安心から強化するという部分だってあるはずであります。
そして、規制改革の法案を出した担当府省は、自己の行政の中で事後チェックの機能をきちんと個々に考えていただくという必要がある。その上で、規制改革担当大臣としてどうチェックをするかといいますと、出された法案につきましては見直し規定がありますから、見直し規定の際にそういう議論をきちんとしてもらうということが一つ。
それからもう一点、法律によらない部分、例えば省令を変えるとか通達で行うとかいうのがあります。これは、その省内で行われてしまっている限り、私のところでは把握しようがありませんから、規制改革に関して省令の改正を行うとか通達を行うというときには、担当大臣に報告してもらうということが必要だと思います。それを私は提案したいと思っております。
○佐々木(隆)委員 ちょっと今の確認をさせてください。担当大臣というのは、甘利大臣に報告しろということですね。(甘利国務大臣「そういうことです」と呼ぶ)わかりました。
今お話があった、いわゆる省庁による規定とかあるいは規制というものについても、実は行政処分というようなやり方とかでは甘過ぎるのではないかという提言も幾つかあります、事後チェックの中で。
ですから、私は、やはり先ほどちょっと例に挙げましたPL法のように、きちっと生活者を守るんだというようなメッセージと、時によっては、そうした法律というものできちっと縛っていかなければ、というか、それは国民、生活者に対して行政側からのメッセージとして、行政の中でやっていますというのはこれはなかなか見えない話ですし、一番やらなければいけないのは消費者の安心、安全をどう確保するかということですから、そのためには、消費者、生活者にもわかるような形にしていかなければならないというふうに思うんです。
野田大臣、申しわけございませんがもう一度、こういうことも踏まえて、今後の流通の見直し、米流通に限らず消費生活全般を預かる立場として、今後のいわゆる事後チェックのあり方についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○野田国務大臣 現在国会に提出しております消費者庁設置の関連三法案というのがございます。その中の趣旨が、今先生がおっしゃっていることとを形にしていくのではないかと信じているところです。
これまでの行政、省庁ですね、どうしても縦割りであったり、または明治以来の殖産政策というのですか、どちらかというと事業者の方を向いた設置のあり方で、結果として、今いみじくもおっしゃった、消費者が危険にさらされている状態がどんどん浮かび上がってくる中で、消費者庁というものをしっかり、消費者のカウンターパート、仲間としての消費者のためのそういう組織をつくることで、そういう縦割りで看過されている、または一つの省で完結しようとするとどうしても隠ぺいしたりとか先送りにしてしまうような消費者に対する安全対策というものをやはり浮き彫りにして、そこで解決していく、そういうことで取り組んでいくことになると思います。
ですから、消費者庁ができた暁には、今おっしゃった事後の問題というのもそこで議論されることになりますし、どういうやり方が生活者、消費者にとって最善かということについての受け皿になってくると私は信じています。
○佐々木(隆)委員 消費者庁の話はちょっとストレートに受け取るわけにはいかないのでありますが、ただ、横ぐしが必要だということは我々もそう思っておりますし、そのときに、先ほどの甘利大臣のお答えにもありましたように、結局、規制改革などでいろいろなことを号令をかけても、実施する省庁に実質的にはゆだねなければならないというようなところが出てくるわけですね。そのときに、どこまで権限を持ってやれるのかというところがこれからの一番大きなポイントになるというふうに私は思いますので、そのことの論議はまたいずれさせていただきたいというふうに思います。
次に、地方分権についてお伺いをいたします。お二人の大臣、もし都合がありましたら退席されても結構でございます。
地方分権について、私はこの前、五月八日のこの委員会で同じように質問させていただいてまいりましたし、このことについてはずっと折を見て質問させていただいてございます。
今の地方分権推進委員会の第一次勧告で、国道及び一級河川の都道府県への移管についてということが提言をされました。九月十六日に政府に対して意見を提出して、政府方針に基づいて今個別協議に入っているというふうに聞いているわけでありますが、まず、この進捗状況について事務方からお伺いをいたします。
○金澤政府参考人 委員会がことしの五月二十八日に行いました第一次勧告では、道路につきましては、一般国道の直轄区間の要件を見直して、主に地域内交通を分担する道路、同一都道府県内に起終点がある道路などでございますが、これを都道府県に移管する旨、また河川につきましては、都道府県内で完結する一級河川を原則として都道府県に移管する旨をそれぞれ勧告いたしまして、個別の移管対象については第二次勧告までに具体案を得ることとしたところでございます。
これを受けて、七月上旬から行われました全国知事会と国土交通省の道路や河川の移管に係る協議では、全国知事会から、移管の議論を行う前提として、必要な人員や財源の確保につきまして考え方が示されることが必要と主張がなされました。
このような状況を踏まえまして、委員会では、九月十六日に「道路・河川の移管に伴う財源等の取扱いに関する意見」を取りまとめて、総理大臣に対して意見を述べたところでございます。
その中で、国が管理する道路、河川の地方への移管に伴い地方自治体に移る事務、権限に係る経費については、その全額を当該自治体の財源として移譲することを原則とするものといたしまして、国直轄事業と同じ国費率の交付金を創設する方向で検討すべきであると述べたところでございます。
この意見を受けまして、翌日、政府では、国土交通省と総務省が中心となりまして、道路、河川の権限移譲に伴う財源措置等の基本的な考え方を取りまとめ、全国知事会にもその考え方を提示したところでございます。
これを受けまして、十月初旬以降現在まで、各都道府県と国土交通省との間で、個別の道路や河川の移管について協議が行われているものと認識しております。
○佐々木(隆)委員 その個別の協議がなかなか難航されておられるようでありますけれども。
今のちょっと確認なんですが、直轄事業並みの交付金という形を提言したということですね。
○金澤政府参考人 委員会の表現では、「国直轄事業と同じ国費率」、国費の比率でございますが、「国費率の交付金を創設する方向で検討すべきである。」というふうに提言いたしております。
○佐々木(隆)委員 そこで、今度の同委員会、いわゆる推進委員会のテーマというのは、出先機関の見直しというのが最大のテーマなわけでありますが、報道によりますと、十一月六日、首相とそれから委員長と大臣と何か同席をされた会議で、首相の方から地方農政局や地方整備局の統廃合を指示されたというふうに報じられているわけであります。その中には統合機関などという名前のものも出てきたやに聞いておりますが、現在、そのことについての論議はどうなっているのかということを含めて、大臣にお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 確かに、総理と地方分権改革推進委員会の丹羽委員長の会談に私も立ち会ったわけでございます。
そこで地方農政局あるいは農政事務所も含めて総理はおっしゃったと思いますが、それと整備局は、これはあくまでも例示であったとは思うわけでありますが、こうしたところについて、二重行政を排除するという観点、それから国民の目が行き届くかどうか、これは都道府県に権限を移管、移譲した方が目が行き届くというような観点、それらについて総理から指摘がございまして、私、統合機関という言葉があったかどうか記憶はしておりませんが、統廃合という言葉は使われたと思うのです。
出先機関の問題というのは、言葉の使い方が非常に難しくて、廃止とか統廃合とか整理合理化とか、いろいろありますね。今後のあるべき姿を申し上げたわけじゃありません。ただ、一つ例として申し上げれば、農政局というものがありますが、これを例えば都道府県に移す、これは私はそうあるべきだと思っていますけれども、移していくとしても、どうしても国がやらなければいけないものというのはやはり残ると思うのですね。それを、一つでも残ったら廃止でないかというとそうではなくて、やはりそういうのは廃止という言い方もできるし、残ったものをどこかとくっつければ統廃合ということになるわけでございます。
統合機関という言葉がその場で出たかどうかの記憶は定かではありませんが、例えば、先生が北海道であられて、北海道開発局というのが念頭にあられるとしますね。ところが、北海道開発局の場合は整備局と農政局の中の農業土木関係が一緒になっている。沖縄的な総合事務局であれば、これは内閣府にあって、いっぱいあるわけですが、これもさまざまな姿があり得ると思います。
私の頭の中でいえば、例えば、ある出先機関を整理したら、しかるべきものが国に残すべきと残った、またもう一つのものを、出先機関の権限を縮小して、二重行政を排除して、大部分を都道府県に移したんだけれども残った、そうしたものをくっつければ統廃合であり、統合機関という表現も使えるのかなとは思います。
○佐々木(隆)委員 これは事務方の方でと思うのですが、この委員会のテーマは、出先機関の見直しが最大のテーマなんですが、もう一つ、これは大臣がこの前の所信といいますか発言のときにもおっしゃっておられますが、第二次勧告の中に義務づけ、枠づけについて検討しているというような表現があったのです。
そもそも、この義務づけ、枠づけというのが何なのか。どのような論議がされて、また、これを二つ目のテーマとして取り上げるという意義といいますか、それはどういうことなのかについて、お願いをいたします。
○金澤政府参考人 地方分権改革の推進に当たりましては、法制的な観点から地方自治体の自主性を強化して、政策や制度の問題も含めて自由度を拡大いたしますとともに、みずからの判断と責任において行政を実施する仕組みの構築が必要であると認識いたしております。
こうした考え方に基づきまして、委員会におきましては、自治事務、自治体の事務の中で自治事務と整理されるものを対象といたしまして、国の法令の規定の中で事務の処理あるいはその実施方法を義務づけているもの、事務の処理を義務づけているものを義務づけ、その方法を義務づけているものを枠づけというふうに一応呼んでおりますが、そうしたもので条例で自主的に定める余地を認めていないものについて、それが許容される場合のメルクマールを設定して、これに該当しない場合にはそうした義務づけ、枠づけを原則として廃止することを求めるという方針で調査審議を行っているところでございます。
現在、委員会等の場で各府省からヒアリングも行いまして、対象法令について、そうしたメルクマールに該当するかどうかなど見直しの検討を進めているところでございまして、さらに二次勧告に向けて調査審議を進めてまいる予定でございます。
○佐々木(隆)委員 大臣にお伺いをいたします。
大臣も同席をされていたわけでありますが、首相が丹羽委員長にその指示をした際に、行政改革が大事だと言ったというふうに、これも報道で知る範囲でありますが、言われているのです。
私は、ぜひこれからの分権論議の中でしっかりと整理をしていただきたいのは、分権なのか行革なのか、全く今混同して論議がされているというふうに思うのですね。確かに、行革の中の分権であることは確かなんですが、行革が大事だと言って出先の統廃合を指示したというふうに報じられていたのです。ということは、これは行革のための単なる出先機関を整理するということの意味で先ほどの論議になったのだとすれば、私はちょっと違うのではないかと思うのですね、基本的には分権なんですから。でありますが、行政をスリム化するがゆえに出先を整理しようという話かのような話になってしまうわけですね。ここは、やはりきちっと整理をしてこれから取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。
現実にいろいろな改革が行われてきたわけですが、三位一体改革に伴う地方交付税、臨時財政対策債というものを含みますけれども、三位一体改革の中での削減というのは五兆一千二百四十四億円にもなっているんですね。平成十一年から平成十八年の国から地方に対する支出というのは、トータルで七兆六千四百十五億円削減されています。しかし、地方の総歳出額、地方自治体の歳出額は十二兆八百二十八億円減っているわけですね。国が九五%減らしたにもかかわらず、地方は八八%も減っちゃったんです。これが今の現状なんですね。
財源問題は第三次勧告のテーマだというふうには聞いているんですが、地方交付税というのは本来、地方固有の財産でありますから、そういった意味で、分権を所管する大臣として、地方交付税の本来の形というものに見直していくべきではないかと思うんですが、御意見を伺います。
○鳩山国務大臣 先生御指摘のとおり、数字が全く同じかどうかわかりませんけれども、この数年来、三位一体改革があってから地方の、これは私が知っている数字は特別会計を含んでいないかもしれませんが、一般歳出で見ても大変な減額が行われている。減額せざるを得なかった。その間に地方単独事業的なものは半減ぐらいの下がり方をしている。
私は、三位一体改革というものの意義は十分認めるわけでありますが、補助金を減らす、税源を移す、これにも実は差がありましたね。補助金を四・七兆円減額しながら税源は三兆円しか移しておりませんから、一・七兆円は行政のスリム化で対応しろ、あるいは自分で努力しろという部分があった。それに加えて、先生がおっしゃったように、五兆一千億と言われる交付税の改革というのか減があった。これが今明らかに地方には響いている、それが地方の疲弊に響いているわけでございますから、私は地方交付税を少しでも復活させるべきだと考えております。
それは本来、地方が税源だけで全部できればいいわけですけれども、できるだけそれに近づけたいとは思いますが、やはり地方交付税の持つ財政調整機能というものは、これは自治体を置く限り、仮に道州制になったとしたって、多少の財政調整機能はなければいけないのではないか。そう考えますと、私は、でき得るならば三位一体改革前の地方交付税の状況というものに戻したいと強く希望いたしておりますが、経済、景気状況もあり、ここが正念場で大変苦労の多いところだと思っております。
○佐々木(隆)委員 ぜひ、期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
時間が参りましたので、最後の質問にしたいと思います。
ちょっと誤解をされては困るんですが、誤解を恐れずに申し上げたいというふうに思いますが、先日、会計検査院が指摘をした地方自治体の不正経理といいますか、会計のプールといいますか、私的流用なんというのはこれは論外でありますけれども、このすべてを私は是とはしませんけれども、これも、地方の側から見ると使い勝手の悪い、いわゆるひもつき交付金とかひもつき助成金とかひもつき補助金とかいう形でそれぞれに縦におりてくる、あるいは三月ぎりぎりになってからおりてくるというような形で今行われているがゆえに、地方にとってみれば有効にそれを使おうとしたわけですよ、ある種。ちょっと誤解をされると困るんですが。
だから、やったことは今の適化法にも違反しているし、三月末という期限を越えたというようなことも違反なんです、確かに違反なんですが、それはやはり原因をちゃんと探っていかなければならない。とすると、それは今の出し方に問題があるのではないか。私は、総務省としてはぜひそういうこともお考えをいただきたいと思うんですね。あのことを決して是としているわけではないんですが、今の地方に対するお金の出し方の問題としてとらえるということも必要なのではないか。
そんな意味でのこれからの地方に対する交付の仕方について、我々は一括交付金制度ということを提言させていただいていますが、抜本的にやはり見直していく時期に来ているのではないかというふうに思いますが、大臣のお考えを伺います。
○渡辺委員長 鳩山大臣、時間を過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○鳩山国務大臣 はい。
全くおっしゃるとおりで、一括交付金という考え方は私はとっておりませんけれども、それ以外の点は全く同じでございまして、地方に自主性、自立性があって、使い勝手がいいお金が国から行くようにしなければいけない。そうすることによって首長さんたちが真の地域の経営者になれる、そう考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、遠藤宣彦君。
○遠藤(宣)委員 おはようございます。自由民主党の遠藤宣彦でございます。本日は、内閣委員会での質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
麻生内閣が発足いたしまして一カ月半ぐらい、私自身の認識から申し上げたいと思いますけれども、ある意味、保守政党としての自民党の必然的な流れなのかなという認識を持っております。私自身は、自分の主宰といいますか自分が代表で自民党研究会というのをやっていまして、自民党が今どういう立場にあって、どういう流れにあるのか、そんなことをよく議論して話を聞く機会があります。
保守政党としての自民党というのは、議員が地元をはいずり回って地元の生の声を聞いてくる、そしてもう一つ、巷間言われていますように、振り子の原理といいますか、前の政権の反省と総括に立ってずっと政権を維持してきた。
例えば、きょうお見えになっている鳩山大臣のおじい様、鳩山一郎元総理、初代総裁ですね。その前が麻生総理のおじいさんの吉田茂さん。例えば、日米安保条約を結んで、サンフランシスコ講和条約、アメリカとつき合うようになった。その後に国連加盟。そして日ソ国交回復をやった。
その間に石橋湛山さんがちょっといまして、次の岸内閣は日米安保の改定をやった。政治がぎくしゃくしてくると、次の総理大臣池田勇人、所得倍増を唱えた。所得倍増で高度成長を進めたら公害とかひずみが出てきた。次の佐藤内閣では、たしか昭和四十二年に公害対策基本法をつくる、あるいは環境庁を四十六年に設置する。そして佐藤内閣は、いわゆる台湾寄りだった。
そうしたら、次の田中内閣は日中国交回復をやった。しかし、金脈の問題が出てきて体質が批判をされて、クリーン三木というのが出てきた。三木さんがデフレの中で独禁法を非常に強化したり、こういったことをした。福田康夫前総理のお父様の福田赳夫総理は、ロンドン・サミットで日本機関車論というのを打ち出して景気をぐんぐん引っ張る役割をやった。
しかし、それで財政赤字がふえた。次の大平さんは、財政再建で一般消費税を打ち出した。しかし、それが五十四年の十月七日の選挙、麻生総理が初当選したときですけれども、負けた。その次の鈴木善幸内閣は、増税なき財政再建。そして、日米関係がちょっとこじれた。中曽根さんが、不沈空母発言というのもありましたけれども、日米同盟の強化をやりました。
つまり、保守政党たる自民党というのは、いい意味でも悪い意味でも、前の政権のいいところを残して悪いところを反省する、直していく、総括をしていく、こういった法則のもとに、草の根の民意を聞きながらいい政治をやってきたというふうに私は認識をしております。
さて、翻って、私どもも当選をさせていただいた小泉内閣。小泉内閣は、二〇〇一年のたしか四月二十四日に総裁選があって二十六日に成立した。不良債権処理を初めとしてバブルの後遺症が非常に大きかった中で、小泉内閣の登場というのもある意味で歴史の必然だったと思います。しかし、今るる申し上げてきたように、その時の政権がやったことが未来永劫妥当するということはあり得ない。必ず時代の変化、そして国民感情の変化に合わせながら変わっていくというのが、我々自民党の保守政党としてのいい意味での知恵であり、能力であったと思います。
しかしながら、これはマスコミにも問題があると思うんですけれども、私たちも当選させていただいたからなかなか言いにくいかもしれませんけれども、あれだけの小泉ブーム、そして小泉さんが大勝をもたらしたという雰囲気の中で、ある一定の固まりの方々は、小泉さんを唯一絶対神みたいな形で、小泉路線を否定することは神も恐れぬ不届き者みたいな雰囲気が確かに党内にあったんですね。しかし、二〇〇一年の時点とかあるいは小泉内閣のときにやったことというものが、その時点では正しかったけれども、今現在必ずしもそれがいいかどうかわからない。まず、こういった謙虚な立場に我々は立たなければならないというふうに思います。
そして、こういった中で、財政の問題あるいは景気の問題、そして小泉改革の痛みの部分の問題について、自民党はある部分、総括をしなければならないと思います。今、自民党の方がいろいろな意味で危機にあるということは、世の中で言われております。大事なことは、我々自民党研究会というところで言っているのは、小泉改革についての総括をどうするのか。どこがよくてどこが悪かったのかということをある部分言っていかなければ、自民党の伝統的に持っている知恵というものが生かされていないんじゃないか、こんなふうに言われておるわけであります。
小泉内閣の発足時と社会環境がどういうふうに変わったのか、そしてまた、ある意味で転換をしなければならない麻生内閣の成立というのは、自民党が民意を酌み取って、どの部分をどう変えていかなければならないか、これを今やる時期に来ているという歴史の法則に沿っていると思うのでありますけれども、まず、この視点から、与謝野大臣の御見解をお伺いできればなというふうに思います。
○与謝野国務大臣 小泉さんの政治は、将来、歴史において評価されるはずでございますが、現時点で私が感じておりますことを申し上げたいと思います。
一つは、ある種の精神革命でありまして、民間企業が国頼りではだめです、やはり自立した経済、自立した企業、こういうものを目指さなければならない、いわば突き放した形になっております。この結果、各企業とも持っていた過剰債務、過剰設備、過剰雇用というものをそれぞれ自分たちの責任で解消していったわけでございます。
もう一つは、有効需要の創出の手段として財政出動を行わない、特に公共事業を中心とした景気対策をやらない、こういうかたい決意のもとで財政運営をやってまいりました。
なるほど、不良債権問題等も解決を見ましたけれども、残った問題は、一つは地方の疲弊、これは明白であると思います。
それから、バブルの後始末の過程で、やむを得ないこととはいえ、いろいろな雇用形態を採用した。その結果、非正規雇用という、私の個人の感じでは大変受け入れがたい雇用がいわば日常化した。これはやはり、自民党は社会正義の実現としてこういうものの是正を図っていかなければならないと思います。
もう一つは、あれだけ支持率が高かった小泉政権ですから、そのときに、財政再建の方向性を骨太二〇〇六等で示すことはできましたけれども、やはり、大変人気があり支持率が高かったという政治的な資産を、実際の社会保障制度の持続可能性を図るための国民負担をお願いする、こういうことに小泉政権は自分の政治的な資産を使うことができなかったのか、そういう思いはあります。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。
その小泉政権が五年半ぐらい続きまして、歴史的な役割を終わった。果たして次の政権に移った。言ってみれば、外科手術で教授のもとで執刀の手伝いをしていた助教授が、恐らく大臣の中にもいっぱいいらっしゃると思うんですけれども、どこをもっと治療しなければいけないのか、あるいは、その結果どこに副作用があるのか一番知っている方々が今麻生内閣にもいっぱいいらっしゃると思います。そういった点で、小泉改革の意義を正面からいいところと悪いところを言っていくべきじゃないかなというふうに思います。
今、社会に不安が本当に広がっています。この社会不安を解消するためにいろいろなことが言われているんですけれども、なかなか国民のところに実感として届いていない。あっちも大事だ、あっちも大事だ、あっちも大事だみたいな形でいろいろな話がある。しかし、恐らくこの三つを考えなきゃいけないと思うんですね。
一つは、まず小泉改革の本質の一つでありました、今大臣もおっしゃられた競争原理、市場原理というものをどうとらえるのか。今周りを見ると、すべてが市場原理に巻き込まれちゃうんじゃないかという社会的な不安がある。簡単に申し上げますと三つ。
競争原理になじむものとなじまないものは何なのか、これが第一です。まずこの区別をはっきりしてあげなきゃいけない。結論から申し上げると、私は、国家の安全保障にかかわる問題と個人の安心、安全にかかわる問題というのは市場原理になじまないと思います。まずこれが一つ。
それから二番目。今、社会保障会議でもあると思いますけれども、負担がいいか悪いかという議論以前に、将来の見通しが立たないと動きがとれない。例えば、いっぱい、千何百兆円も個人の金融資産があっても消費とか投資に回らないのはなぜか。将来の不安が強過ぎればお金は使わない。
私は地元でこんな話をします。昔、何年か前に、きんさん、ぎんさんという百歳のおばあちゃんたちがいた。百歳になってブレークして、ギャラがいっぱい入ってきた。きんさん、ぎんさん、すごいですね、いっぱい入ったこのギャラは何に使うんですかと言ったら、いや、将来のために貯金しておきます、こういうような話があった。
つまり、先の見通しが立たないとお金を使いませんから、景気はよくなりようがない。これも後で御質問したいと思いますけれども、将来の見通しが立つような社会保障と雇用環境をつくらなければ、社会の不安というのは消えない。
そして三番目。一番目の、競争原理になじむものとなじまないものを区別する。そして二番目に、将来の見通しが立つような社会保障と雇用環境をつくる。そして三番目が、今話題になっておりますけれども、当面の可処分所得を上げて生活コストを下げるということをしないと、食料がこれだけ上がった、エネルギーがこれだけ上がった、とにかくあすの百よりきょうの五十なんだよという人が現実に世の中いっぱいいますから、この先々の視点と現在の視点と、両方を持ってやらなければならないと思います。
そして、今のことを敷衍して申し上げますけれども、まず一番目の、世の中に市場原理になじむものとなじまないものがある、あるいは、甘利大臣の担当でありますけれども、規制になじむものとなじまないものが私はあると思います。
例えば、バブル崩壊後の日本の改革が一段落をした、競争にもっとさらすべきものというのは公務員改革。あるいは、郵政もそうだったと思います、特殊法人改革。先ほどの鳩山大臣の、地方の出先機関もそうかもしれない。いろいろな部分で、競争になじませないとこれは効率が下がるという部分も必ずあります。
しかし、競争になじまないものは、繰り返しになりますけれども、まず、個人の安心や安全。例えば社会保障、社会的弱者というのは基本的には競争になじまないと思います。例えば障害者自立支援法、本当にこれは見直しをやらなければいけないんじゃないか。あるいは、お医者さんの分布の話もあります。患者が多いところだけ医者をいっぱい置けばいいのか、これは違う。子供がいっぱいいるところだけ保育園や幼稚園を置けばいいのか、これもちょっと違う。あるいは治安や食の安全。事故米の話も恐らくここの分野に属すると思うんですけれども、米の流通にいろいろな業者が参入した方が価格が安くなるじゃないか。しかし、そこのところにブローカー的なものが入ってくれば、かえって安全と安心が損なわれて社会的コストが上がる、つまり、これは競争になじまないんですね。
そして教育、とりわけ幼児期の教育というのは、後で少子化担当大臣にもお伺いをしたいと思いますけれども、安定した社会形成のためには絶対不可欠な投資でありますから、幼稚園とか保育園の問題、こういったものも、まず市場原理に基本的になじまないんじゃないか。
あるいは、二番目になじまないもののカテゴリーとして、国家の安全保障。例えば外交。自衛隊なんか四兆円も使わないで、兵隊がいっぱいいるところから傭兵を雇えばいいんじゃないか、そんなことはあり得ない。あるいは食料の確保。自動車や半導体をいっぱいつくって、稼いだお金で食料を売ってもらえばいいじゃないか、それもなじまない。あるいは資源もそうですね。いざというときに国家の安全保障にかかわるものは市場原理になじまないということ、これをやはり今、再認識しなければならない時期にあると思います。また、タクシーやトラックなんかも、もう過当競争で、だんだんきつくなってくる。
今回、オバマさんが次期大統領に選出されましたけれども、アメリカでよく言われているように、レッセフェール、市場放任主義の共和党三代が続いてフランクリン・ルーズベルトが登場したときと時代が似ているというふうに言われますけれども、今、市場原理になじむものとなじまないもの、ある程度分ける必要があると思います。そういった意味で、担当されています甘利大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 規制改革というのは、財政出動なしに社会を活性化する、なかんずく規制改革でも規制緩和は、お金をかけないで経済を活性化する。ですから、小泉内閣のときに、財政出動による需要の追加というのは経済効果の点からも財政再建の点からも甚だ疑問ではないか、そこで脚光を浴びたのが規制改革でありまして、これは、申し上げたようないわば魔法のツールでありますけれども、この魔法のツールには使用上の注意というのがありまして、国民の安全、安心を損なうことがあってはならない、そこはしっかり監視をする必要があると思います。
経済の分野でいえば、その規制があるために業が伸びない、どことどこがコラボレートすればこういう発展をするのに、しかしそれができない規制がある、そういうところは大胆に緩和をすべきだと思いますし、経済のパイを広げるということが見通せるのであれば大胆に行う。単なる過当競争しか起きず、パイの奪い合いで、そこに関係する者の生活の劣化しかないということについては、慎重な判断をすべきだということだと思います。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。
日本人は、規制緩和とか、一つキーワードが出てきて、それが絶対的な正義みたいな雰囲気になるとばっと走ってしまう傾向がありますので、やはり政府というのは、どこがよくてどこが悪いのか、ある程度メッセージを発しておかなければならないと思います。
日本の社会というのは、高度成長期、非常に安定をしていた。安定をしていたものは幾つかあります。一つは、だれもが学校を出れば就職できた、完全雇用。そして、一たん組織に入れば最後まで働けた、終身雇用。そして、その入った組織というのは最後までめったなことがない限りつぶれない、護送船団方式。つまり、言ってみれば、高度成長期は、だれもが働けて、最後まで働けて、そして組織は絶対つぶれなかった。組織の利益と個人の利益が基本的に同じ時代だった。
だから、米ソの東西冷戦の中で日本はアメリカについていけばよかった。逆に言えば、個人は会社についていけばよかった。会社は組織の団体についていけばよかった。組織団体は監督官庁の言うことを聞いていればよかった。そして監督官庁は、失礼ですけれども、自民党の言うことを聞いていればよかった。自民党はアメリカの言うことを聞いていればよかった。こういった中で、自分の属する組織とか団体の利益と個人の利益が同じだった。だから、消費者イコール生産者の関係ができていた。つまり、生産者であっても同時にその人たちは消費者ですから、生産者の所得が上がれば同時に消費も拡大するということ。
しかし、これが八九年にベルリンの壁が崩れて、今までアメリカというのは、日本を余りたたき過ぎると反米感情が大きくなってコントロールがきかなくなりますから、そこそこのところで手を打った。しかし、ソ連という国がなくなることがもう秒読みになってくると、容赦なく日本をたたき始めました。
八九年に構造協議が始まる。何が起きるか、市場開放。そして、その年に天安門事件で中国がああいうことはありましたけれども、資本主義化が進んでいますから、どんどん安い労働力や安い製品が入ってくる。そして、日本は規制ができない、護送船団方式ができない。何が起きるか、価格破壊が起きる。企業の競争が激しくなりますから、合併か倒産が起きる。その中でリストラが起きる。そして、採用を控える企業が出てくる。個人の利益と組織の利益が同じでなくなる時代になったということを、多分今、我々政治が認識をしなければいけない。組織さえまとめれば個人はついてくるという時代ではなくなった。だからこそ、今、消費者というものが非常に重要になってきていると私は思うんですね、消費者という観念。
ただ、これはまた冒頭申し上げたように、一つの観念が出るとばっと日本人は振れますから、今、消費者庁の設置を目指されている現在、消費者の視点というのはそういう認識に立ってすごく大事だと思います。生産者と必ずしも表裏一体でなくなった。しかし、そうはいっても一方において、やはり今までどおり生産者が同時に供給者あるいはサービスの提供者であるというところも否定できません。このあたりのバランスをどういうふうにとっていくのか。
一方で、消費者の利益という美名のもとに過度な規制緩和がされてしまうと、タクシー業界なんかそうだと思うんですね、本当にタクシー業界とか大変だ。こういった規制緩和が行き過ぎて生活できない。今までの終身雇用、完全雇用、護送船団方式が成り立っていたときよりも、恐らく政治家とか政府のかじ取りというのは非常に難しいと思うんです。
消費者の利益と、生産者であるけれども同時に消費者である人たちの双方のバランスをどのようにとっていくか、このあたりについて、野田大臣の御見解、認識をお伺いできればなと思います。よろしくお願いします。
○野田国務大臣 消費者という言葉は、とりわけ自民党にとっては極めて新しい言葉だと思います。私は当選して十五年たちますけれども、自民党内に消費者問題調査会ができたのは実は昨年、私が初代の会長ということで、今おっしゃっていたように、自民党は中央省庁と二人三脚でやってきた。その中央省庁の本来の役割というのは、どちらかというと、個人、国民、消費者というよりも、やはり事業者、組織、団体との協力体制の中で国を興してきたという、そういう流れの中で自民党の中にいると、どうしても視点がそっちに行ってしまう。
しかし、アメリカもそうですし、すべての国々が本当の意味で先進国になる中で、国民たる消費者をしっかり育て、そしてその厳しいチェックの中からグローバルに戦える企業をまた外に送り出そうというような動きが出ていることも確かだと思います。
そうした中で、消費者行政を一元化するということが、先ほど環境庁の話があったんですけれども、それ以来の極めて大きな、ある意味で行政改革、意識改革、哲学改革だと私は思っているんですが、それを通じて、やはり縦割り行政の限界とか、またはこれまでの設置法による限界というのを突き破ることで、ただ単に消費者を保護するという目的ではなく、そういう形の中で限定されていたアイデアが横断的になることによって、消費者の目線を持つことによってもう少し総合的に、または新しいアイデアを生むことが大切ではないか。
二つ目には、企業を信じてやってきましたけれども、今やインチキが横行している、当たり前のことができなくなっているモラル低下については、特に食に関してはきちっと国がお仕置きをしなければならない。しかし、残念ながら今はそういう状況にない中で、やはりきちっとしたものが残る国なんだ、だからこそグローバルに通用する国なんだというようなことを明らかにやっていく。むしろ、ここで、日本の厳しい消費者に合格したものが生き残る。
産業の透明化とか、そしてこれから何をやっていくべきかということの指針になるような、相互のウイン・ウインになるような消費者行政というのに取り組んでいきたいと思っています。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。
従来の自民党が、社会構造の変化に伴って、いわば歴史の必然として消費者の問題というのは出てきたと思いますので、ぜひとも複眼的な目でいい行政をつかさどっていただければなというふうに思います。
さて次に、先ほどの二番目の論点の、将来の安心と見通しを確保することがぜひとも必要だということを申し上げましたけれども、年金の問題も、私、非常に頭が単純なものですから、昭和三十三年とか三十四年に国民皆年金、国民皆保険ができて、そのときは上の世代が少ない、そして下の世代が多い。ですから、言ってみれば、現役世代が引退世代を支える。分母と分子、分母が大きくて分子が小さかった、単純に言うとそういう構造だったと思うんですが、将来不安が広がる、あるいは子供の数が別の意味で減ってくる、少子高齢化が進んでくれば、分母と分子が変わってきます。
分母と分子が変わってくるというのはどういうことか。国家権力で決められないことが二つあると私は思います。おまえは何人子供を産めという話と、おまえは何歳で死ねという話は決められませんから。そうすると、分母と分子が永遠に安定しないということはどういうことか。社会保障制度が安定しないということだと思います、非常に単純化して申し上げますけれども。
とすれば、だれもが人間平等に年をとっていく、すべての人が年をとっていきますから、すべての人がすべての人を支えるやり方というのは、いろいろな細かい論点は省くとしても、消費税の福祉目的税化なんじゃないかなということがある。そして、社会保障カードを持たせて住基ネットに載せるというのが最後の解答じゃないかなというふうに私自身は思うんです。
今、麻生総理が言っているように、本格回復するまで消費税を上げないとか、あるいは引き上げる前に徹底して無駄を省く、そして生活必需品の税率というのは二段階税率か低率に抑える。あるいは、既に年金を払い終えた人は、消費税を通じてもう一回年金を払い込むことになりますから、二重払いにならないように還付金をする。あるいは、生活保護と同じようにならないように、働くインセンティブ、払い込むインセンティブを保つ、こんなような論点があると思います。
ですから、福祉についても、将来的に見通しが立つようにするためにどうすればいいのかというのが一つ。
それからもう一つ、労働力の提供面を市場原理の中で見ていったからこそ、雇用がどうもおかしくなってきた。むしろ、今までの日本というのは、終身雇用の中で労働の提供面プラス生活の保障面というものを強調していたと思います。こんな中で仕事が続く保証がない、先々が見通せない、こういった中でどうすればいいのかという思いが若者の中に広がる。これが私、少子高齢化の一つの原因ではないかなというふうに思います。
私自身も、初めの選挙におっこちた二〇〇〇年の六月二十五日の三日後に子供が生まれて、どうしようかなと思いました。それから、今五カ月になろうかという男の子がいますけれども、政治家の立場を離れて個人に戻ったときに、この子供が大きくなったときどうするんだろう。例えば、この前生まれた子供は二〇〇八年生まれですから、九十三まで生きたら二十二世紀まで生きることになるんですね。二十二世紀の日本というのはどうなっているのかな、そういう心配を本当にしてしまう。
こんな中で、まず、少子化担当大臣、小渕大臣の、将来不安と少子化の関係、この御認識をちょっとお伺いができればなというふうに思います。そしてまた、あわせて与謝野大臣の御認識を伺えればなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小渕国務大臣 委員が今お話しされたように、少子化の問題を考えるときに、ただ単に子育ての部分だけを考えるのではなく、働く環境であるとか、また結婚、妊娠、出産そして子育て、それを総合的に考えていかなければならないと考えています。
また、そうした経済的不安などから、結婚をしたいけれどもなかなかできない、あるいは子供を二人、三人と持ちたいけれどもなかなかできない。そうした希望はあるけれども、現実とその希望との間に乖離がある、これをどう解消していくか。それを総合的に施策を進めていかなくては少子化というのは解決できないのではないかと考えています。
その中で、具体的に何をしていくかということでありますけれども、まず第一に、妊娠して出産していく中で、安心して妊娠、出産ができるための支援としては、妊婦健診の十四回を無料化していくということ、また、出産育児一時金を充実させていく、産科医療体制の確保をきちんとしていくということ。そして、その後の安心してまた仕事、子育てを両立するための環境整備としては、安心こども基金の創設による新待機児童ゼロ作戦の前倒し、また、仕事と育児を両立させていくための生活と仕事のバランス、ワーク・ライフ・バランスの実現。そしてその次の段階としては、教育費負担軽減のための奨学金の充実や、幼稚園等の保育料の軽減などの経済的支援。そしてまた次の段階としては、フリーター等の不安定就業者対策を含めた、若年者の就業的な自立に向けた総合的支援などを幅広く推進していかなくてはならないと考えています。
しかし、そうはいいましても、我が国の家族関係給付水準は諸外国と比べて大変低いものがありますので、思い切った規模の拡充が必要だと考えており、そうした財源の確保についての合意形成に向けては、幅広い国民的な議論が必要だと考えています。
今後、関係省庁とも連携し、また経済界や産業界、そうしたところにも働きかけていきながら、総合的に考えていきたいと思っています。
○与謝野国務大臣 まず、日本はこれからどうやって生きていくのか。この問題は、恐らく国民が潜在的に持っている不安だろうと私は思っております。
戦争に負けた後、日本の平和は維持をされ、その中で、他の国に見ない経済成長を遂げてまいりましたけれども、やはり国としては一つの天井にぶつかっているというふうに私は思っております。そういう中で、一時期は、日本は金融大国になって生きろというふうな議論もございましたけれども、今の世界の金融情勢を見ますと、そんなことはもともと可能でないことを言っていたということがよくわかります。やはり日本人は、愚直に物やサービスをつくり出す物づくり大国を目指していくしか、多分生きる道がないんだろう。
そういう中で心配なのは、やはり他国のそれぞれの国民が、よく働き、よく学び、非常に新しい技術も取得をして、大変競争力のある商品をどんどん世界に供給しております。そういう中で私は、多分キーワードは、日本の経済の国際競争力をどうやって維持していくのか、これが国民生活を守る最大のキーワードであり、また最近では、やはり農業もそれにつけ加えた方がいいのではないかというふうに今思っております。
社会保障制度というのは、しょせん所得の再分配を行うという行為であって、その所得がないと再分配もできないわけでございますので、社会保障制度を維持していくためには経済そのものがしっかりしていないと、将来の社会保障制度の持続可能性というものは図っていけない。
そういう中で、どう社会保障制度の財源を確保していくのか。若い人にとって、自分たちが年金をもらうころには社会保障制度が崩壊しているんじゃないか、年金をかけるだけばかばかしいというような考え方が生まれてくるということは非常に残念なことでして、社会保障制度は避けることのできない問題として、すべての国民に薄く広く財源を負担していただく、このことをやはりはっきりと国民の間で確認をしておかなければならないことだと思います。
というのは、経済の見通しは立ちませんし、社会の見通しは立ちませんけれども、ある年度に年齢構成がどうなっていくのかということだけはもうはっきりわかってしまうわけで、その年齢構成に対して、社会保障制度をどう構築していくのかということは今からでも考えられる話なので、この問題を避けて通るというのは、政治としてはやってはいけないことだ、そのように思っております。
○渡辺委員長 遠藤君、時間が過ぎておりますので簡潔に。
○遠藤(宣)委員 そういった堂々たる政治をやっていくことが自民党の責務だと思います。
そういった将来的な負担がふえる中で、行政改革あるいは地方分権を進めなきゃいけない。行政の肩がわりを地方の自治体、あるいはもっと草の根の、例えば自治会とか消防団とか民生委員とか保護司とか、そういったボランティア的な、公務員以上に公務員をやっている方々の力をかりなければなりません。
こういったものを生かしていくために、今地方分権というのをしていかなきゃいけない中で、どうしても個人情報保護法で地域が把握できないとか、あるいは歳出圧力が逆に、地方に権限をおろしたために非常に強まる。だから自治省なんかはキャリアを財政課長で送るんですけれども。この地方分権をやるときに、委託をする地域の方々に対してしっかり情報が持てるような、個人情報保護法のきちっとしたいい運用の仕方、寝たきり老人がどこにいて、だれが助けを求めているか、あるいはこういうことをしなきゃいけないということを把握させないと、動かないんですね。その一方で、歳出圧力が強くならないようにしなきゃいけない。
今回地方分権を預かられている鳩山大臣、最後に御見解をお伺いして、終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回話題になっております定額給付金の件についても、個人情報、税務情報という壁があるということが明らかになって、なかなかそこは難しい問題がいろいろあるんだなと思っております。
また、地方分権は、これはもう進めていかなければなりませんが、歳出圧力が高まるとの御指摘でございますが、地方財源という意味では、地方税源が充実して、そして自前で経営できるような形を本来は求めていくものだろうと思っております。
○遠藤(宣)委員 ぜひとも、明るくて強い日本をつくられますことを閣僚の皆様方にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、木原誠二君。
○木原(誠)委員 自民党の木原誠二でございます。よろしくお願いいたします。
きょうは、前半はマクロ的な経済運営について与謝野大臣に、そしてまた後半は公務員制度改革について甘利大臣に、それぞれお伺いをしてまいりたい、このように思っております。
まず、与謝野大臣、今大変厳しい経済財政運営を強いられているんだろう、こう思います。短期的な景気対策、二度にわたっておまとめをいただいて、そして当然これは財政出動を伴っていく。他方で、中長期的には財政再建をやっていかなければいけない。各国とも、きょうも、けさ新聞を見ましたら、イギリスのブラウン首相が、世界的に財政的な政策を協調するように求めていくんだといったような記事もございました。したがいまして、当面はそういう短期的な財政政策とそして中長期的な財政再建、一つの大きなテーマだろうというふうに思います。
とかく、これが相反するかのように議論されることがありますけれども、私自身は、やはり景気の悪いときは財政出動をする、景気がよくなったら締める、これは王道だろうというふうに思っております。ただ、まさに与謝野大臣は先ほど、これは本当に含蓄あるお言葉だな、こう思ったわけですけれども、小泉総理がまさに政治的な資産を有効活用できなかったということをおっしゃったわけで、なかなか景気のいいときに締めるということが難しいというのが一つの大きな命題だろうと思います。
そのときに各国とも注意をしていることは、やはり中長期的な経済運営の指針を持っておくということだろうと思いまして、そういう意味では小泉政権も、二〇一一年のPB目標というものをしっかり設定した、この点では私は一つの大きな成果だっただろうというふうに思います。
そういう意味で、まず最初に確認をしたいことは、大臣に、ぜひこの二〇一一年の中期目標をしっかり堅持していくんだ、そして短期的な財政運営としっかり調和させていくということについての御見解をお伺いいたしたいと存じます。
○与謝野国務大臣 二〇〇六のいわゆる骨太方針の後、自民党の財政改革研究会のとりまとめの中には、最終到達点として、二〇二〇年代には財政収支の均衡ということを目標にしております。その途中段階として、二〇一五年代には国債残高対GDP比、一定の水準に到達して、そこからは対GDP比公債残高をふやさない、これは二つの大きな目標でございます。
その途中の通過点として、プライマリーバランス、基礎的財政収支と訳しておりますけれども、プライマリーバランスというのはもともと財政学の教科書にはない概念であって、だれが言い出したのか知りませんけれども、プライマリーバランスという言葉を聞くと何かバランスするように錯覚に陥るんですけれども、基礎的財政収支というのは、あくまでも物事を達成する一つの通過点でしかすぎない。マラソンでいえば、四十二キロ走るときの、まあ十キロ地点ぐらいかなと思っております。
しかし、冒頭に申し上げましたような、二〇二〇年代の財政収支の均衡、二〇一五年の対GDP比、安定的な国債残高、こういうことを考えますと、やはり通過点は通過しなければならない。二〇一一年が通過点として可能かどうか。一応この目標を達成できるのかどうか、あるいは到達目標として放棄するのかどうか、この問題は、いずれ皆様方に真剣に議論していただかなきゃいけないわけです。
現在の法人税の減収等々を見まして、それから世界の経済の、来年の例えばIMFの予想などを見ますと、それぞれ厳しい予想が出ております。現在の段階で、このプライマリーバランスの目標を変更するということは申し上げられませんし、また努力目標として置いておく価値はあると思いますけれども、いずれ客観的な情勢に基づいた冷静な議論をする必要がある。しかしながら、二〇年代の財政収支の均衡というのは、将来世代に対する我々の責任である、このことは私は確信をしております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
二〇二〇年代の財政収支の均衡、そして通過点としてのPBバランスということで御議論いただいたわけであります。
これだけの厳しい財政状況にあっても、依然として国債のスプレッドがこれだけ低いというのは、私はやはりこの二〇一一年のPB目標、相当の意義があると思っていますので、できる限りの努力をしていただきたいな、このことは申し上げておきたい、こんなふうに思っております。
そういう中で、もう一つ、大臣が非常に厳しいハードルを越えなきゃいけないのが、恐らくこの中期プログラムというものであろうというふうに思います。短期的な景気刺激策というより短期的な生活対策と同時に、中長期的に消費を活性化するというその大前提は、やはり安心ということであろうと思いますから、そういう意味で、社会保障制度について二つのこと、機能の拡充、充実と同時に持続可能性の追求、こういうことが命題としてあるわけであります。
年末に向けて税制改正と社会保障制度改革を一体でやられる、こういうことでありますから、今ここで、どういう日程でとか工程表はどうですかということをお聞きするのはまだ時期尚早かなと思いますので、その質問は控えたい、こう思いますけれども、社会保障国民会議の議論の中で、初めて明示的に消費税率に換算をしてどうなるのかということが議論になったことは非常に大きな前進だったな、このように私は思っております。
与謝野大臣はまさに税制そしてまた財政の大専門家でありますから、私は、消費税について三点ほどお伺いをいたしたい、こう思っております。
一つは、この社会保障の議論との関連でまさに消費税というものが議論をされている、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、あたかも目的税のような議論をされているわけでありますけれども、この点についてどのように評価をされるのかということが一点。もう一点は、ごめんなさい、三点と申し上げましたが二点です、もう一点は、消費税をこれからいじる、あるいは上げていくというときの前提条件、どういったものを置いておられるか。この二点について御見解をお伺いいたしたいと存じます。
○与謝野国務大臣 中期プログラムは、来月、予算編成が終わるころまでにはちゃんと出さなきゃいけない問題で、今作業を始めたところでございますが、やはり、国の予算を二つに分けて考えた方がいいんではないかと私は思っております。それは、社会保障部門と非社会保障部門。これを明確に分けて物事を論じませんと、負担と給付の関係がはっきりしないという問題があります。かてて加えまして、税の増収をしますときに、国民にきれいな説明を提供できないという問題があります。したがいまして、中期プログラムはやはり社会保障部門、非社会保障部門、別々の考え方をしなければならないと思っております。
そういう中で、目的税をつくるということは財政学の基本の教科書には財政を硬直化させるということが書いてありますけれども、そんなことを言う段階ではありません。道路と社会保障は全く違う様相を呈しているんだろうと私は思っております。したがいまして、次に消費税をお願いするときには、目的税という名前を使うかどうか、あるいは法律上目的税であるということを書くかどうかということは別にして、増収になった分はすべて社会保障に使うということでないと、なかなか国民の御理解はいただけないんではないかと思っております。
それから、税を仮に上げますときの前提条件ですけれども、経済が一定水準の回復を見せていること、これが一つです。それからもう一つは、無駄の排除ということは完全には終わっていません。いませんけれども、無駄の排除について間断なき努力が継続されているということが一つの条件。それからもう一つは、増収分がすべて国民に還元されるということを国民に理解していただくことが一つの条件。それから、財政再建それ自体、非社会保障部門における財政再建は、やはり行政改革、無駄の排除、それから税収の自然増によって行う、そういう二つの考え方を持たなければだめなんだろう。そういう前提で今中期プログラムの原案の原案のまた原案を書いているところでございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
幾つかの前提を教えていただいた、こういうことでありますけれども、その中で無駄の排除という議論がございました。これはずっとやっていかなければいけない議論、こういうことでありますけれども、まさに今政府の方で行政支出の総点検会議ということをやっていらっしゃる、こういうことでありますので、検討状況、そして、しっかり年内にまとめて来年度予算に反映してもらえるんだな、これを一体でやってもらえるかということを簡潔に確認しておきたいと存じます。
○安生政府参考人 お答えいたします。
現在、国の支出における無駄を徹底して排除するというために、内閣官房長官のもとに行政支出総点検会議を開催いたしまして、公益法人への支出など行政支出全般にわたって集中的な点検を行っているというところでございます。今後、十二月上旬をめどに会議として行政の無駄の削減に向けた指摘事項を取りまとめ、平成二十一年度予算案に反映させることとしたいというふうに考えております。
以上でございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。ぜひ適切にやっていただきたいな、こう思っております。
実は今、与謝野大臣が、無駄の排除というのは継続的にやっていかなければいけない、重要だ、こういうことであります。ちょっと時間がないので質問にはしませんが、ぜひお願いしておきたいことが一つございまして、税制改革、社会保障制度改革を一体でやられる、そして無駄の削減もやられる、こういうことでありますが、私はもう一つ、ぜひ予算制度の改革を経済財政諮問会議でしっかりやっていただきたいなと思っております。
各国の、イギリスもそうですし、ニュージーランドもオーストラリアもみんなそうですが、最終的に行き着くところは予算制度改革であろうと思います。今無駄がなかなか排除できないのは、予算が事前統制型になっていて、事後にチェックする機関が必ずしも十分じゃない。会計検査院はその任を十分に満たしていないんだろうというふうに思います。したがって、私は、財務省出身者としてこういうことを言うのはなかなかちょっとあれですが、それこそ主計局を廃止して監査局のようなものを財務省につけるぐらいの大胆な予算制度改革をぜひやっていただきたい。
私が仕事をしたイギリスは、事前統制を基本的にやめて、事後チェック型の機能を財務省に付与した。それは非常に成功しているというふうに思っております。それをするためには、予算も複数年度にしていかなければいけない。改革を完結させるためには最終的に予算制度改革が必要だ、こう思っておりますので、その点、ぜひ今後取り組んでいただければ、このことをお願いいたしまして、大臣、お時間であろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
よろしいですか、では。
○与謝野国務大臣 それは木原議員御指摘のとおり、予算はみんな熱心なんですけれども決算は余り熱心でないというのは、国会もそういうことは少しずつ変わってきましたけれども、従来はややそういう傾向がありました。
それから、やはり予算の使い道は会計検査院だけで全国すべてを追っかけるというのはなかなか難しい、そういう問題もあります。
ただ、会計検査院的な無駄と、それから政策上価値判断が分かれる無駄、無駄でないという問題と、両方あるんだろうと思います。やはり、予算の使い方というのはまさに国会議員に課せられた重大な職責でございますので、木原先生初め皆様方の御尽力をお願い申し上げます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
事前統制というのも非常に重要なことであります、民意を反映するという意味で。したがって、バランスをとりながら、ぜひ予算制度改革も取り組んでいただくようお願いをしたいと思います。
時間だろうと思いますので、どうぞ、結構でございます。
それで、甘利大臣に公務員制度改革についてお伺いをしたいと思いますが、先ほどの議論の中で、顧問会議を開催しないでワーキンググループにすぐ行こうとしたのを甘利大臣がおとめになった、そして、一回ちゃんと新しい大臣のもとで顧問会議をしっかりやれというまさに御指示をいただいたと。私、そのお話、答弁を伺っておりまして、非常に安心をしたというか、政治の主導というか政治の監視が行き届くシステムが今ちゃんとなされているなということを感じました。そして、その中で、中身の議論をしっかりやってくれということを明確に大臣から御指示をいただいているわけであります。
この公務員の問題というのは、大臣が今回その指示の中でもおっしゃっているように、今、大学生がほとんど公務員になりたがらないという問題がございます。いろいろ考えてみますと当たり前のことで、これほど信頼をされていない、これほどリスペクトされていない公務にわざわざ入ってくる大学生がいるわけがないと思います。そういう意味で、やはり信頼の回復というのはこれは大前提でございまして、不信感を生んだ一つの原因がまた、政治が役所に余りにいろいろなことを押しつけ過ぎた、政治の方の原因もあると思います。したがって、政治の責任で公務員に対する不信感を我々は取り除いていかなければいけないんだろうというふうに思います。
最初の試金石が、内閣人事局、あるいは人事管理の一元化について必要な法制上の措置を来年の通常国会に提出する。これを不信の除去ということに本当につなげていけるかどうか、最初の試金石だろうと思います。
私は、国民は、内閣人事局ができ、あるいは内閣による一元管理ということで一体何が変わるのか、今までの縦割りの人事が変わり、年功序列の人事が変わり、そして民からもちゃんとした人が入ってくる、本当にそうなるのかどうかと。そうならなければ不信の解消にはつながっていかないんだろうと私は思います。したがって、大臣がまさに御指摘されているように、中身の議論こそ重要だ、こう認識しておりますけれども、もう一度大臣のお口から、中身の議論が重要だということの意味と、そして現状、中身の議論がどの程度進んでいると御認識されているか、お伺いをいたしたいと存じます。
○甘利国務大臣 従来、各省ごとに行われた人事であるならば、どうしても、その省に関することには意欲を持つけれども、それ以外は無関心になる。もちろん、入省年次がまだ浅い時点では自分の所管官庁のことをまさに国家的意義として取り組んでもらう、それはもちろん結構なことであります。次第に幹部職員になってきますと、国家的観点から自分の入省した官庁の経験を生かして他省の行政もしっかり見ていくという複眼思考を養っていかなければならないわけであります。そこには省を超えた一元的な人事管理が必要でありますし、能力主義、能力のある者は民間であれば年次を越えて出世していくわけでありますし、能力のないのは降格をしていくというのも民間ではなされている、それが年次主義で年次の壁を越えられないということになると、活力が落ちてくるということもあるわけであります。
私自身は、三高公務員を育てようと。もちろんモラルが高くて、そしてモチベーションが高くて、能力が高い、そういう人が集まってくる、あるいはそういう人が育つという組織にしていかなければならないし、そうしなければ、今、大学生が公務員を目指すという倍率が半分に落ちています。魅力的な職場でないからであります。尊敬されないからです。家族が、公務員を目指すというと、お父さん、やめてと必ず言うはずであります。そうじゃなくて、公的セクターで頑張って日本を支えている、家族がその父親を尊敬できる職場の人間である、そう思えるような職場にしていかなければならない、そのための大改革であるというふうにとらえておりまして、これは政治主導で行う。
顧問会議も臨時に招集をしてもらいましたし、ワーキンググループ、本来は大臣は出ませんということでありましたけれども、私の思いはしっかり伝えさせてもらうということで出させていただいたわけであります。その際、とかく内閣人事局は器をどうするかという議論に陥りがちですけれども、その器は、中身の議論をしてそれを支え得るに足る器にしなきゃならない、中身ができていないのに器だけつくるのはおかしいじゃないかという注文をつけまして、私から五項目の指示をして、それをしっかりと反映したものにしてもらっている最中であります。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
先ほど来からの大臣の御答弁の中にヒントをいただいているというふうに思いますが、一元管理をやるためには当然、給与そして任用に関する弾力化、これは絶対に必要なことであります。同時に、幹部職員に限ってかどうかわかりませんけれども、身分保障についてもある程度緩和をしていかなければ一元管理ができないということは、大臣の御認識をまさに今御披瀝いただいているわけであります。
したがいまして、私としては、五点を御指示いただいたわけですけれども、その中でも特にこの二つ、任用と給与の弾力化、そして身分保障の問題、この問題は来年必要な法制上の措置を講ずる。その必要な法制上の措置の中に入っていないと、人事管理の一元化そのものが機能しない、したがって信頼回復にもつながっていかない、このように認識をしておりますけれども、この二点、法制上の措置として講じていただけるかどうか、御答弁いただければと存じます。
○甘利国務大臣 御指摘にありますとおり、弾力的に運用していかなきゃならない、それには、能力のある者は年次を飛び越える、あるいはない者は逆の現象が起きる、それに給与が当然絡んでくる、全体図として構築していかなければならないと思います。
それで、基本法はいわゆる二段階方式になっています。すぐに措置できるものと、それから議論を三年間の以内に詰めていかなきゃならない部分があります。全体像としてそれを担うだけの内閣人事局ができるんだと思います。ですから、私自身としては、最初から最終形の完成形ではなくて、スタート時にその議論に足るものをつくって、それから、三年後の議論の問題もありますから、それは例えば労使関係検討委員会というものを識者の方につくっていただいておりまして、そこで議論を始めたばかりでありますから、その結論も織り込めるようなそういう工程表をしっかりつくって、その工程表をオーソライズする。そして、いわゆるいろいろな方面から言われている食い逃げ方式とか、どことどこだけくっつけて、あとはやらないというようなことがないように、工程表をつくってそれを縛りをかけるということが必要だと思っております。
○木原(誠)委員 もう時間が来ておりますので質問はこれで終わりにいたしますけれども、ぜひ、私は多段階でも構わないと思います。しかし、最初の段階が、少なくとも人事管理の一元化という一番小さな人事庁の役割だけはしっかり担えるものになっておってもらわなければ困る。そういう意味で、最初の段階に、やはり給与法の改正なり身分保障、少なくとも幹部職員に関する身分保障の見直しについては織り込んでいただきたい、そのことをお願いいたしまして、質問を終わりにいたします。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――◇―――――
午後一時四分開議
○西村(明)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長門山泰明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村(明)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○西村(明)委員長代理 質疑を続行いたします。楠田大蔵君。
○楠田委員 民主党の楠田大蔵であります。
選挙はまず行われそうだということで、恒例の委員会変更も我が党ではありませんで、少し違和感のある国会でありますが、新しい大臣のもと新たに所信をお聞かせいただきましたので、この際質問をさせていただきたいと思います。
今回、選挙の件もそうですが、いわゆる生活支援給付金、ちょっとこれは通告をしていなかったんですが、きょう正式に方針が決まったと先ほどニュースでも聞いておりました。むしろ官房長官自身も、郷土の先輩であります麻生総理に振り回されているような感じもありますけれども、正直、今回の生活支援給付金なるものについては、長官自身としてそもそもどのようにお考えがあって、今回の決定に対してどう思われているのか、まず率直にお聞かせをいただきたいと思います。
○河村国務大臣 御指摘の給付金でございますが、これにつきましては、御案内のように、麻生総理から新経済対策といいます総合対策の中で大方針が打ち出されたわけでございます。できるだけ全世帯に渡るような形、それから、こういう経済情勢もあって、生活対策としても必要な面もある、そういうことから発表されたわけでございます。
それ以降いろいろな御議論があったことは我々も承知をいたしておりますが、結果として、いろいろな議論を踏まえてできるだけよりよき方法を見出していくという、これは麻生総理の一つの方針でもございまして、そして最終方針が出された。御案内のように、基本として一万二千円、それに対して加算をして、お年寄りの方、六十五歳以上の方と、子供といいますか十八歳以下に加算を八千円ずつつけるという形のものが発表されたわけでございます。
しかし、これの実施主体は各市町村でございますから、いわゆる所得制限の問題等についても、一つの基準はいわゆる所得金額一千八百万というものがございますが、それについては各市町村にゆだねるということでございます。
今、総務省において、給付金に対する対策本部ができたところでございまして、ここにおいてこれからの具体的な事務等の手続、市町村との連携を図って進めていく、こういうことになったわけでございます。
私は、基本的に、麻生総理の大方針のもとで、いろいろな意見はあったけれどもその方向で最終的にまとまった、こう思っておりますので、特に、振り回されたとかそういう思いはございません。こういう国民の生活にかかわる問題だから、いろいろな方がいろいろな議論を大いにやっていただいて結構ではないか。その上で、最終的にいい方向に決まればいいので、決まって後にいろいろ出てきたら、それは閣内不一致とかなんとか批判を受けるかもしれないけれども、そういうことではないんだということを私も総理からも聞いており、私もそういう思いでこの問題を一緒に、よりよき方向にという思いでやってきたわけでございます。
○楠田委員 言葉の端々に苦しさもお伺いできたと思いますが、大方針なるものが余りにも大きな方針過ぎて、正直、我々にはわかりにくかったわけであります。
そもそも生活支援という名前も、正式名称には外すわけでしょうが、名前から、所得制限というものが本来であれば必要であったのかという点と、あと、自治体の判断に任せる。一千八百万円ということは出ておりますが、自治体の判断に最終的には任せると。大方針といいながら、最後の方針は現場に任せるということになっておりますので、この二点についてだけ、もう一度、ちょっと無通告で恐縮でありますが、見解をお聞かせいただければと思います。
○河村国務大臣 御質問の趣旨は、所得制限の問題と……(楠田委員「自治体の判断に任せるということ」と呼ぶ)自治体の判断に任す。
所得制限についてはいろいろ議論があったところでありますが、やはり最初のこの趣旨というのが、もちろん経済政策の一環でありますから、当然そういうものが出れば内需拡大にもつながるけれども、最大のねらいはやはり生活者の支援だというところからスタートいたしております。
そうすると、高額所得者にも皆行く、何か、ばらまきではないかとか、こういう議論もあったわけであります。それを特に意識したわけではありませんけれども、生活者ということになると、中低所得者に行き渡るという趣旨を考えたら、そういう方々については御辞退をいただくといいますか、そういう形はとれないだろうかという方向が打ち出されて、一つの基準として出されたわけであります。
そして、これは、実際にこのことを実施する部隊は市町村でございますから、地方自治体の意見を十分踏まえなければなりません。地方にはそれぞれの事情もあります。事務経費というのは国の予算で持つわけでございますが、高額所得者がおられる方、そうでない方、地域、いろいろなことがありましょうから、それの判断は、一応基準は示すわけでありますが、あとの具体的なやり方については、これはやはり地方が自主的におやりになることが一番いいという結論に達しましたものでありますから、そのように我々は理解をして、できるだけ瑕疵なく、できるだけ早く、年度内にということでありますが、これが実行できるようにという思いでおるわけであります。
○楠田委員 私自身としましては、やはり生活支援という名のつく目標、目的があったからには、できるだけ早くというのは、まさに選挙に向けてということにも感じますし、この所得制限というのはやはり考えるべきであったろうということと、自治体の判断ということでありますが、最近の後期高齢者の件等も含めて、最終的にはむしろ現場にすべて混乱を押しつけてしまうということが最近多々ありますので、この点についてはぜひ御留意をいただきたいということを申し上げまして、本題に移ってまいりたいと思います。
改めて今回所信を読んでおりますと、政府広報についても「適切に推進してまいります。」という一文が少し、目立たないところでありますが書いてありました。身近なところで言えば、例えば私も携帯のニュースサイトを開きますと、まず最初に政府広報というものにつながるようになっておりますし、また先日も、地元紙にも、事故米は二度と流通させないという政府広報、全面広告、十五段の広告というらしいですが、出ておりました。やはりその影響力は絶大であると考えております。
その中で、まず、この政府広報のそもそもの定義、目的と種類というものをお尋ねしたいと思います。
○河村国務大臣 政府の広報活動、各府省においてそれぞれ実施しておるところでありますけれども、これは、内閣府設置法におきまして「政府の重要な施策に関する広報に関すること。」これは第四条第三項第四十号となっておりますが、そこで内閣の所掌事務として政府広報として実施をしておるところでございます。
そういうわけでございまして、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、各種媒体を通じて行っておるわけでございまして、細かく種類をこの法律においては明示しておりませんが、政府の重要な任務を達成するため次の事務をつかさどるという中で、政府の重要な施策に関する広報、それから世論の調査に関すること、こういう形で法律で定義をしておるところでございます。
○楠田委員 それでは、予算の近年の推移と効果についてお聞かせいただけますか。
○阪本政府参考人 予算の推移につきまして、まず私の方から答弁させていただきます。
内閣府の政府広報予算でございますけれども、十年前の平成十一年度には約百十二億円でございましたが、平成二十年度は約九十二億円と、約一八%の減少になっているところでございます。各省においてもそれぞれの施策の実施のために各種広報を実施しているところでございますけれども、その経費につきましては、各省の施策に関する予算の一部として計上されていることが多いわけでございまして、広報に限った予算の把握は現在行っていないところでございます。
また、事項別の予算の推移でございますけれども、放送、出版、対外広報などの媒体につきましては、競争入札の導入などによりまして効率化を図りまして、予算額を削減してきているところでございます。一方、インターネットにつきましては、政府インターネットテレビの開始あるいは民間サイトへの広告の拡大などによりまして予算額を増加させてきているところでございます。
国民生活の変化に対応して、効果的な媒体を活用した広報の実施に今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○楠田委員 それで、今お手元にもお配りさせていただいていますが、資料一の中で、やはり出版の部分というのが事項別では非常に大きい。その中では新聞、雑誌広告等ということでありますが、特に、新聞折り込み広告に使われた予算というのは幾らであるかをお聞かせいただけますか。
○阪本政府参考人 お答えいたします。
今まで十九年度、二十年度と折り込み広告は六回実施してきているところでございます。それぞれごとに申し上げますと、まず十九年の第一号でございますけれども、一億六百五十七万五千円。それから第二号、平成十九年七月でございますけれども、二億一千四十九万三千五百円。それから第三号、平成十九年十二月でございますけれども、二億四百五十四万円。それから、平成二十年一月にC型肝炎ウイルス検査につきまして、これは厚生労働省と共同で実施をしたものでございますけれども、同額を折半で実施してございまして、私どもで負担したものが二億七千五百五十四万六千二百五十円でございます。それから第四号、平成二十年三月の実施でございますが、二億四千九百七十二万一千五百円でございます。それから、今年度の第一号、ことしの九月に実施したものでございますけれども、二億五千百五十一万五千九百五十円となってございます。
○楠田委員 この新聞広告というのは昨年から始められたようでありますが、むしろ古い手法と思いきや、新しく昨年から始められているということであります。
まず、その前提条件として、こういうもの、それぞれ方法を選んで予算をかけながらやっておられますが、この効果の評価方法というのはどのようになされているかもお答えいただけますか。
○河村国務大臣 この効果のあり方をどのように把握するかということでございます。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、媒体ごとに効果を把握するように努めておるところでございます。
先ほど新聞折り込みのこともございましたが、昨年度からこれまで六回実施した新聞折り込みについては、五回について実施後にインターネットによる調査を行っております。その結果は、各回若干の違いはあるんでありますが、広報を認知した方の割合はおおむね四分の一程度に達している。それから、広報の理解度については、広報の内容等によるものの、おおむね八割の方は、理解できた、まあ理解できた、これを合算いたしますと五割から八割に達するということから、一定の効果は上げておるというふうに考えております。
今後、さらに効果測定のための手段に工夫を重ねることなどによって、その効果を踏まえたわかりやすい広報に努めてまいりたい、このように考えておるところであります。
○楠田委員 その効果の中で、最近では、たしか広報の政策評価委員会でしたか、かつては政府広報評価委員会ということでありましたが、今では政府広報事業評価基準等検討会というものに移っているようですが、何かこれの変遷の理由なり、その役割づけが変わったということはありますか。
○阪本政府参考人 お答えいたします。
政府広報評価委員会でございますけれども、広報に関する各分野の有識者にお集まりいただいて毎年度一回程度開催していたものでございます。広報の評価のための御意見をいただいてきたものでございますが、同委員会は、平成十八年四月に最後の会合を行ったものでございます。
その後でございますけれども、今先生から御指摘のように、政府広報事業評価基準等検討会を平成十八年から設けまして、この検討会におきましては、広報業務に関する入札の総合評価落札方式による一般競争入札等を導入するに際しての評価方法の策定、あるいは落札業者の選定段階における審査等を実施しているところでございます。これは、内閣府副大臣の主宰で平成十八年十二月から開催してございます。
この検討会におきましては、入札方法等に関する御議論をいただいてきたほか、これまでも政府広報の実施状況を御報告して、広報効果等につきましても御意見をいただいてきたところでございます。さらに、本年十月には会議の開催要領を改正いたしまして、広報の実績や効果等を検討事項として明確に位置づけたところでございます。
今後、この政府広報事業評価基準等検討会におきまして、政府広報の評価につきまして有識者の御意見、御議論をいただいていきたいというふうに考えているところでございます。
〔西村(明)委員長代理退席、加藤(勝)委員長代理着席〕
○楠田委員 こうした広報の評価が行われているということで、入札について、一時期、この政府広報の中でタウンミーティングがよく取り上げられておりまして、予算の推移を見ますと、やはりこの部分は非常に削られてきているということはまさに実感をいたすところであります。「国民との対話」という部分であります。けた違いに減っている。これはその後、非常に努力をされたのであろうと思っておりますが、世論調査の部分、また先ほど大臣からも申されました制作効果、効果の評価ですね、インターネットで調査をするということでありましたが、この部分についてはまだまだ多額の資金がかけられているのではないか、そうした認識をいたしております。
その中で、かつて参議院でも指摘があったということでありますが、世論調査の入札方法なり、この効果調査の入札方法なり、こうしたものでまとめて調達をするなり、そうした御努力をしっかりとなされているかどうか、その点の検証について報告いただけますか。
○阪本政府参考人 世論調査の契約方法でございますけれども、平成十二年度から一般競争入札を導入しているところでございます。従来、一件ずつの契約ということでございましたけれども、参議院決算委員会での御指摘も踏まえまして、今年度第四・四半期には、一括して契約をする方式で実施することとしているところでございます。
また、新聞折り込みの効果測定のための調査の入札方法でございますけれども、これにつきましては、今まで五回実施しているわけでございます。最初の一回目、二回目は少額随契に該当するということで随意契約で実施してございますが、三回目以降につきましては、一般競争入札により調査会社を選定しているところでございます。
あわせて、今まで五回実施した契約金額でございますけれども、平均で約百十九万円となっているところでございます。
○楠田委員 世論調査の部分については、この表にもありますように、これで見ますと二億円ほどかかっているわけでありますから、やはりこの点については、先ほども申されましたが、これから行っていく方針ということでありますが、その推移というものはこれからも逐次御報告いただきたいと思います。
あわせまして、先ほどの新聞折り込みについてでございますが、資料二にもありますように、かなり予算がかかってきている。昨年、五回行われて十億円以上、この点で使われている。今、全体で百億弱ということでありますから、十分の一がこの新聞折り込みということであります。部数も、当初は一千五百万部ということでありましたが、今では三千六百万部ということで、まさに各家庭に行き渡るほどの部数が折り込まれるようになっている。
そもそも、新聞折り込みというのは、まさしく最も手元に届く可能性も高いでしょうし、よく行われる手法であります。選挙についてもよく行っておられる手法でありますが、これがやはり昨年から始められた。昨年の六月、七月にまず二度行って、そして十二月、一月、三月と昨年度で五回、しかし、今年度は九月の一回だけということになっております。
逆に、十五段広告、一面全面使った新聞広告というのが去年はなかった。しかし、ことしは四回既に行われているということでありますが、こうした内容、形態、種類の選択というのをそもそもどこで決定しているのか、どうした過程をたどって、時期等、中身等が検討されていくのか、この点について大臣からぜひお聞かせいただきたいと思います。
○河村国務大臣 政府広報で扱うテーマあるいは媒体でございますけれども、まず、各府省から政府広報室に対しまして、毎月、政府広報の希望テーマあるいは希望媒体が提出されます。この各府省の要望を踏まえて、政府広報室において各府省と協議、調整を行う、そして、おおむね広報実施の二カ月前に政府広報室において決定しているところでございます。
なお、先ほど御指摘ありましたが、政府広報事業評価等検討会、これも、政府広報に対してはこの開催をいたしまして、政府広報を実施させる事業者の選定あるいは広報の実績や効果等についても有識者から意見を伺っておりまして、それらをあわせて効果的な広報実施に努めておる、こういうことであります。
○楠田委員 各府省から要望が出るということでありましたが、こう見ますと、新聞折り込み、ほとんどが厚生労働分野であります。六回中五回がそうですね。
各府省要望がありながら、こうしたことになっているということと、率直に申しまして、昨年の六月、七月というのは参議院選の直前であるということであります。そのときに、いわゆる税源移譲、所得税と住民税の部分の変更、そして七月には、一番論点でありました年金記録問題への対策というのがこれだけの規模でなされているということであります。
先ほどの給付金の件もそうでありましたが、やはりどうしても選挙前に、選挙が見えてくるとこうしたことが巨額の税金を使ってなされているという指摘もよく出されるところでありますが、この点について大臣、率直にどのようにお考えでございましょうか。
○河村国務大臣 御指摘の点でございますが、先ほど申し上げましたように、各府省から上がってきたものを調整する。やはり政府広報でありますから、できるだけ国民の皆さんが詳しく知りたい、またわかりにくい、それから非常に話題性もあって関心も高くて、政府側としてももっともっと理解をいただく必要もある、こういうテーマを選ぶわけでありますから、どうしてもそのときの大きなテーマが入ってくる可能性はあるわけでございます。
特に選挙を意識して、これは党広報じゃございませんから、政府広報でありますから、そういうことを意識してやるということはあり得ないわけでありまして、公平に、各府省の意見も聞きながら、国民が一番知りたがる、関心の高いこと、そしてまた政府としても十分御理解をいただく必要があること、国民の有益、益につながるようなこと、そういうことを考えて決定されているものだと私は承知をしております。
○楠田委員 もちろんお答えとしてはそういうお答えでありましょうが、特に七月の部分の年金記録問題への対策というところで、「最後のお一人まで正しく年金をお支払いできるよう着実に対策を進めています。」というのが最初の項目に来ている。まさに当時の与党の思いとして言っていた部分でもありますし、また、こうした新聞折り込みの手法というのがこの時期に改めてとられたということもございます。
そして、我が方が仮に政府側に立ったときにこういうことを行えば、やはり今の与党の側からはそういう批判が出るであろう。これはまさに、権力の正当性といいますか、信頼性を担保するためには、そうした時期はあえてこうしたことを行うべきでないということは私の認識でありますし、それがまさしく、何といいますか、正義ではないか、そうした思いがあります。
ぜひ、そうした指摘の上で、これから衆議院総選挙というのは少なくとも近い将来行われていくわけでありますから、莫大な税金を使って直前にそうした広報を行うということは厳に慎んでいただきたい、そうした要望をさせていただきますが、この点、お答えいただきたいと思います。
○河村国務大臣 御指摘の点も踏まえながら、公平な、そして国民の益になるような広報をしっかりやっていきたい、このように思います。
○楠田委員 それでは、次の国家公安関係の分野に進ませていただきたいと思います。
官房長官、お忙しいでしょうから、中座されても結構であります。
最近の事件の中で目を引くのが、学生や主婦を巻き込んだ薬物汚染の広がりの件、また、若い世代の青年がひき逃げ、死ぬのをわかっていながらあれほど長い距離を引きずり続けた大阪のひき逃げ事件等、ごく間近で、どこにでもいるといいますか、近くにいる若年層や女性が犯罪を犯しているケースがふえているように感じています。
まず、こうした事態に対する大臣の率直な認識をお聞かせいただけますか。
○佐藤国務大臣 先生おっしゃられたように、最近、大学生による大麻の事件が大きく報道されておりまして、若者の間で薬物汚染が広がっているのではないかということを大変懸念させていただいております。
これらの事件では、興味本位の薬物の乱用を始めた者も見られるところでもありまして、広報啓発活動を適切に推進するとともに、乱用者を徹底的に検挙する、また、薬物密売組織の壊滅を強力に進めるよう警察を督励してまいりたいというふうに思っております。
また、無免許の被疑者が交通事故の被害者を三キロメートルにわたって引きずることによって死亡させたというひき逃げ事件であろうかと思いますが、極めて悪質で許しがたい犯罪と考えておりまして、被害者及び遺族の方々に心からお悔やみを申し上げます。
ひき逃げ事件、一般的に極めて悪質性が高い犯罪でありまして、国家公安委員会といたしましては、引き続き捜査を徹底いたしまして、犯人の逃げ得を許さないように警察庁を指導してまいりたいと思います。
○楠田委員 今回の所信の中にも、「総合的な交通事故防止対策の推進」というのが挙げられているわけであります。さきのおぞましい事件などは特異なケースかもしれませんが、最近の交通事故数、死亡者数、また、これは通告していませんでしたが、ひき逃げの件数も含めて、ここ十年の推移とその分析というものをお聞かせいただければと思います。ひき逃げの件数は後でも結構です。
○佐藤国務大臣 交通事故の件数は、平成十六年に九十五万件と過去最悪を記録いたしましたが、その後、三年連続して減少しております。昨年は約八十三万件となっておりまして、十年前の約八十万件から約三万件の増加となっております。
また、交通事故による死亡者数は、平成十三年から七年間連続して減少しておりまして、昨年は五千七百四十四人となっておりまして、十年前の九千二百十一人から約三千五百人の減少となっております。
死亡者数の大幅な減少については、まずは交通安全教育の推進、交通安全施設の整備拡充、交通指導取り締まりの推進など従来からの対策に加えまして、大きく影響したのは、飲酒運転の厳罰化などの対策が功を奏しているものと考えておりますが、一方、高齢者の交通事故の割合が増加しているほか、事故、事件についても依然高い水準にあるなど、さらなる安全対策を講じていくことが必要であるというふうに思います。
ひき逃げの件については、後で先生のところに御報告を申し上げたいと思います。
○楠田委員 先ほどの悪質な運転者等もいるわけでありますし、こうした取り締まりを強くしていかなければならないということであると思います。この点について、再犯、犯罪というのか、犯罪ではないかもしれませんが、免停、取り消し等々があった、こうした運転者に対してどうした防止策をとっていくのか。また、取り締まり方法をどのように考えていくのか。
まさに痛ましい事件でありまして、二度とこうした事件が起こらないようにこれだけはしなければならないという観点で、この点について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○東川政府参考人 お答えいたします。
いわゆる悪質運転者の再犯防止策あるいは取り締まりということのお尋ねだと思いますが、免許の取り消し処分あるいは停止処分を受けた者に対しては、取り消し処分者講習あるいは停止処分者講習におきまして、交通事故の悲惨さあるいは飲酒運転の危険性、これを認識させるなど、処分を受けた者が再び違反を行わないようにさまざまな教育を行っているところであります。
また、交通取り締まりに当たりましても、検問あるいは一斉取り締まりを集中的に実施するなどして、無免許運転や飲酒運転を初めといたします悪質性、危険性の高い違反に重点を置いた取り締まりを行っているところであり、さらに、ひき逃げ事件等の悪質な事案については早期に被疑者を検挙するべく捜査を徹底しているところであります。
さらに、平成十九年九月から飲酒運転や救護義務違反に対する罰則が強化され、また、二十一年六月までには、悪質、危険運転者が免許を取り消された場合に免許を取得することができない期間を延長する改正道路交通法が施行される予定であり、制度面でも悪質、危険運転者に対する措置を講じてきたところであります。
悪質、危険運転者に対する再犯を防止するためには、こうした対策を総合的に推進することが必要であるというふうに考えてございます。
以上でございます。
○楠田委員 その中で、やはり悪質運転者の欠格期間、取り消しをされた後に従来は五年間これが再交付ができないということであったと思いますが、それを十年に延ばしたということであります。今回のケースのような運転者であれば、取り消し後もう一度免許を取るということは、非常に、もちろん殺人犯として問われればそうした事態でもないかもしれませんが、やはり欠格期間というのは枠をなくすぐらいの強い対応が必要ではないか、そうしたことも率直に感じておるところであります。
先ほど、分析の中でも一つありました、高齢ドライバーによる交通事故等もふえているという中でありますが、今、運転免許証の自主返納制度というのが、実は九八年からもう既に十年たっているということであります。
時間も限られておりますので、趣旨、沿革というのも含めまして、こうした自主返納制度というのを交通事故防止対策上どのようにこれから位置づけていかれるのか、今位置づけておられるのか、この点についてお聞かせをいただけますでしょうか。
○東川政府参考人 お答えいたします。
まず、自主返納制度の趣旨あるいは沿革でございますけれども、高齢運転者の中には、身体機能の低下を自覚されて、みずから、安全とそれから道路交通に与える影響、これを考慮して免許を失効させたいと考えておられる方がおられましたが、従前は、このような方々が申請によりまして免許の効力を失わせる手続、これは定められておりませんでした。
そこで、平成九年の道路交通法の改正によりまして申請によります免許の取り消し制度が整備され、平成十年四月から施行されております。その後、申請によります取り消しの件数ですけれども、平成十九年中に約一万九千四百五十七件、このうち七十歳以上の高齢者に係るものが一万六千五十三件で、約八二%ほどとなっております。
この制度は、自主的に免許を失効させたいという高齢者の要望を踏まえて設けられた制度でありますけれども、結果として交通事故の発生の防止に資するものではないかというふうに考えております。
以上です。
○楠田委員 今最後に、結果としてということでありましたが、最近の新聞記事等でも、この取り組みというのは結構出ております。
例えば、関西の方では路線バスの運賃が半額であるとか、東京でもデパートが配送料を無料にするとか、タクシー代金を一〇%割引するであるとか、こういうのは、まさに運転ができなくなるわけですから非常に効果的なインセンティブだと思っておりますが、定期預金の〇・三%上乗せとか、一見直接関係がないものもあるような気がしております。
私、考えますのは、こうしたインセンティブをやはり全国展開するべきであろうし、また、直接にかかわりのあるインセンティブをつけるべきであろう、そうした思いがいたすわけです。
先ほど、これが返納がふえて、結果として事故防止につながっているという話でもありましたが、せっかくの返納制度でありますから、もう少し前向きにこれを位置づけていくという必要があるんじゃないかと思っています。この点について、どうでしょうか。大臣から、ぜひ。
○佐藤国務大臣 先生おっしゃられるように、高齢者の運転免許の保有者数はこれから大変ふえるということが見込まれます。申請者による免許の取り消し制度についての広報啓発を図っていくことが重要だというふうに考えております。
また一方、免許の返納者に対する移動手段の確保も重要であるというふうに思いますし、さまざまな取り組みが、地域の実情に応じて、今先生がおっしゃられたようなことで行われているということも把握をさせていただいております。これらを支援するということも重要であるかというふうに思っておりますので、今後とも、高齢者の安全対策を初めといたしまして、交通事故防止のための総合的交通事故防止対策を推進する所存でございまして、この支援も含めて、しっかりと勉強させていただきたいというふうに思っております。
○楠田委員 時間も参りましたので、ですから、地域的なばらつきは非常にあるという認識でして、協力をされた民間企業さんだけが身銭を切ってということにならないように、ぜひ全国的な展開にしていただきたいと要望させていただきまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○加藤(勝)委員長代理 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
きょうは、官房長官並びに公安委員長、そして鳩山大臣に質問をさせていただきたいと思います。ちょっと順番の関係がありまして、まず最初に公安委員長の方に質問をさせていただきたいと思います。
毎度、この内閣委員会は、警察行政、こういったことについて審議をしてまいりました。佐藤公安委員長におかれましても、ぜひ高い御見識でまた我々への答弁をよろしくお願いいたします。
まずは、公安委員長の方にお伺いをしたいと思います。妊婦さん、この方はシートベルトをした方がいいんでしょうか。
○佐藤国務大臣 妊娠中であっても、座席ベルトを正しく着用することによりまして、交通事故に遭った際の被害から母体と胎児を守ることができるものであるというふうに思います。御指摘の点は大変重要だと思いますし、今後、日本産科婦人科学会等の関係機関、団体と連携したものを考えさせていただきながら研究をしていきたいというふうに思いますが、基本的には、した方がいいというふうに私は思っております。
○泉委員 これは実は、今公安委員長からも話がありましたが、これまではあいまいにされてきたわけですね。体調によっては免除というような形で書かれていたわけですが、ことしの春に、今おっしゃられた産科婦人科学会が見解を出されて、その中では、やはり事故防止に役立つということで、もちろん例外もあるが、これはした方がよいというような話がありました。
実はこれは、これまでもずっと、約十年弱ぐらい、妊婦のシートベルト着用を推進する会というのもありまして、交通ジャーナリストの方やお医者さんの方々がこつこつとこの取り組みをしてまいりました。ようやく日の目を見たという形でありまして、警察の方もそれに倣って、今回は教則の方で、今まで免除だったものを指導に変えていくということで、大変よかったなというふうに思います。
かつては、シートベルト、特に後部座席なんかは腰の両側を締める二点式というものだけだった。最近は、車は大体が後部座席でも三点式、肩からかけていくベルトになってきたということで、こういったことがやはり安全に役立つ。
アメリカの調査ではありますけれども、胎児の死亡率が、シートベルトをしていない場合だと四倍近く上がるというようなデータもありました。日本ではまだこういった大がかりな調査というものは恐らくされていないと思います。きょう、そういったことを初めて聞いたという委員の皆さんもおられると思うんですね。まだまだこれは伝わっておりません。
その意味で、私は、ぜひ、広報活動の徹底をお願いしたいということをまず一点、公安委員長の方にお願いをしたいと思いますが、今のところ、産科婦人科学会の方でポスターをつくられる、そして交通安全協会の方で何か取り組みがあるというふうにおっしゃられていましたが、そういうふうに認識をしておりますけれども、警察の方として直接どのような広報を考えていられるのか。
例えば、今、警察庁のホームページを見ると、ちょうど後部座席のシートベルトが普及をするときに、女優の安めぐみさんと、男性の、歌のお兄さんをやっていた佐藤弘道さんでしたか、お二人、イメージキャラクターとして選ばれて啓発活動をしているということがございました。
今回もシートベルトにまつわることですので、そういった中に一緒につけ加えていただいてもいいかなというふうに思いますし、何らか、こういったホームページなりキャラクターを使われてやってきた過去の経緯からしても、そういったものと同様の扱いをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤国務大臣 妊娠中の方の座席ベルトの着用につきましては、今先生がおっしゃられたように、交通の方法に関する教則を改正いたしまして、妊娠中の方の座席ベルト着用の必要性や新しい着用方法についての記述を新たに盛り込んだところでございます。
今後、今おっしゃられたように、日本産科婦人科学会等の関係機関、団体と連携をさせていただきまして、妊娠中の方のシートベルト着用に関するポスターを全国の産婦人科医院、市町村の母子健康手帳交付窓口等に配布するとともに、都道府県の警察に対しましても通達を発出いたしまして、関係機関と連携した効果的な広報活動、安全教育を推進するよう指示することによりまして、妊娠中の方の座席ベルトの必要性や正しい着用方法について周知を図ってまいりたいと思いますし、今おっしゃられたようなアイデア等々も含めまして、しっかりと対応してまいりたいと思いますので、わかりやすく指導してまいりたいと思います。
ありがとうございました。
○泉委員 続いて、やはり国民の生活、特に運転をする中には大変大きくかかわってまいりますもみじマークの問題について取り上げたいと思います。
これは、ことしの六月一日から七十五歳以上の方のもみじマークが義務化をされた。しかし、さまざまな経緯の中で、罰則の適用は一年間見合わせるというような御決断をいただきました。このことは大変御英断だったというふうに思います。
ただ、その一年というのは、もう来年のまた六月に迫ってまいるわけでございます。そういった意味で、当時、委員会質疑の中では、やはりこのもみじマークの普及率がまだまだであるというような観点、あるいは高齢者の方にいきなり罰則適用というのはいかがなものか、こういったところから一年間の適用見送りということになったわけですが、また来年六月はもうすぐやってまいります。私は、ぜひこれは公安委員長に、今後も、七十五歳以上の方が自分を保護してもらうためのもみじマークをつけるのに、つけなければ罰則がかかる、これはやはりちょっと解せないんですね。何のためにつけているのかといえば、それは御自身が保護されるためであって、それに罰則を適用するというのはちょっとなじまない。
ましてや、今、初心者マークとわざわざ分ける必要もないんじゃないかと。これは、高齢者を高齢者というふうにわざわざ周辺の方々に知らせる、あるいはお宅に帰ってその車が置いてあれば、そこの家が高齢者世帯だとわかってしまう。以前は警察の方では、いや、それは家に帰ったらマークをはがせばいいんじゃないですかなんていう答弁もあったようですけれども、それはちょっとやはり現場の生活実態を見損なっているんじゃないのかなという気がしております。
そういった意味で、今後も罰則の適用ではなくて、やはり地道な啓発をしていく、あるいは初心者マークとの統合というものも含めて考えていくべきではないかと私は思いますが、公安委員長、いかがお考えでしょうか。
〔加藤(勝)委員長代理退席、委員長着席〕
○佐藤国務大臣 先生おっしゃられた事々、私も現場を回っていろいろお話を聞くことがございます。したがいまして、一年間は指導にとどめるよう通達したという報告を受けております。
これまでの広報啓発によりまして、非常にこの状況は改善をされておりまして、約七〇%の高齢者の方々が標識を表示していただいたという結果も出ておりまして、今先生がおっしゃられたようなこと等につきましては、今までの経緯もございますので、高齢運転者標識の表示率の状況、国民各層の御意見を総合的に判断して検討してまいりたいというふうに思います。
また、これを決めるに当たっての経緯もございました。そういうものも含めて少し考えさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
○泉委員 今、七〇%までこの装着状況が上がってきたと。そのままであれば、わざわざはがしてそれ以降運転しようなんていう人も恐らく普通はいないと考えれば、罰則を適用しなくても十分普及啓発が実を結んできているのではないかというふうに思いますので、ぜひ私は、これは申し入れとして、やはり罰則適用という考え方ではなくて、高齢者の方をあくまで保護するんだというような立場からの政策をしっかりと行っていただきたいなというふうに思います。
今、その状況も見て、そしてまた国民各層の御意見も聞いてというようなお言葉がございましたので、しっかりとその御意見を聞いていただいた上で御判断をいただきたいというふうに思います。
公安委員長はこれで結構でございます。
続きまして、余り愉快ではない話をさせていただきたいことをお許しください。
河村官房長官、事務所費の問題についてでございます。
十月一日に、官房長官の政治団体、現在は解散しておりますが、三団体、この事務所費が合計で二千三百万円に上るのではないかということが発覚をいたしました。翌日、事務所の実体はあるというようなコメントを出されてきたり、あるいは十月三日の記者会見では、電話対応のスタッフがおられた、実体はあるんだというようなコメントもございました。また、十月七日の衆議院予算委員会、十月十六日の参議院予算委員会では、事務所の方で今処理を急がせている、そして、首相の指示もあるのでしっかりと説明をしたいということをおっしゃられております。あるいは書類をそろえて説明をしたいということで、恐らく衆議院の予算委員会の中では理事会の方で要求が出されているのではないかというふうに思います。
こういった状況で、今現在、領収書はもう公開はなされたんでしょうか。
○河村国務大臣 御答弁申し上げます。
領収書の公開につきましては、さきの参議院の外交防衛委員会において、理事会にゆだねておるところでございます。
あとの問題があれば、御指摘あれば、逐次御説明を申し上げたいというふうに思います。
○泉委員 ありがとうございます。
改めてですが、これまで御自身が会見などでなされた説明について、現在のところ間違いや誤りがあったということはございますでしょうか。
○河村国務大臣 せっかくの御質問でございます。改めて若干説明をさせていただきますが、一部の報道で、事務所費疑惑として、私の元公設秘書が自宅マンションを事務所として架空の事務所費を、昨年で五百万、過去三年間で二千二百万支出している、このような形で伝えられたところであります。
後ほどにもまた説明を申し上げたいと思いますが、今委員御指摘のように三団体ありますが、既に本年三月三十一日付で解散をいたしております。
それから、一部報道では、私の元公設秘書の自宅マンションを事務所として架空の事務所費を流用したとされている。これはまず全くの間違いでありまして、事実ではありません。あたかも私の公設秘書宅と書いてございます。これも実は事実誤認でありまして、当該マンションの所有者は、後ほど説明をさせていただきたいと思いますが、私の恩師であります故田中龍夫先生の御長男が所有されている。元公設秘書は別に自宅を持っておるわけでございます。
また、私の政治団体を支援する目的で御寄附をいただいた浄財は、純粋に私の政治活動を支援する目的で、私を支援する目的で寄附をいただいておるのでありますが、あたかもそれを、事務所費を流用しているごとく一部報道があった。これも事実無根で、私は極めて遺憾であると思っております。
このように、事実誤認に基づく報道が一部されたことは遺憾に思っておりますけれども、これまでの私の説明は間違いないわけでございまして、国民の皆さんにも、当該政治団体は事務所費の架空計上等ではなく適切に処理していること、このことを御理解いただけておる、このように思っております。
ただ、これからも、政治資金については疑念を抱かれることのないように、きちっとした管理は努めていかなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。
○泉委員 さまざま細かいこともお伺いをしなければなりませんので、少しお伺いをしますけれども、例えば人件費、〇五年で五百五万、〇六年で四百三十八万、〇七年で二百三十一万だとか二万だとかというようなことが伝わっておりますが、これは、先月の記者会見でおっしゃられていた電話対応の方の人件費であると。それとも、何か複数の方の人件費がここにまざっているということなんでしょうか。
○河村国務大臣 これはもうちょっと説明しないとあれかもしれませんが、御指摘をいただいたマンション、これは事務所として使わせていただいたものでありますが、これは、さっき申し上げました、私の恩師であります田中龍夫先生、私は平成二年に、一九九〇年に当選したものでありますが、それまで田中龍夫先生は、文部大臣、通産大臣、総務庁長官等を歴任された。田中先生は私に後継指名をされて私が出てきたわけでありますが、その故田中龍夫先生の御尊父は故田中義一首相であって、いずれも私の郷里の萩市の大政治家、先輩であります。
そういった関係で、私は、田中龍夫先生のお住まいに学生時代からずっと出入りをしておりまして、要人やマスコミと対応される、東京の政治活動を見てきたわけでございます。その後継者として、この事務所を後どうぞ使うようにと言われたものでありますから、そこを使うことになったわけで、田中先生が亡くなった後も使うことになったわけでございます。
平成十七年にこの届け出をしたということでありますから、ここでそうした政治活動が行われていることを、私も同じように使わせていただいて、議員会館の方とそれからこの団体の代表者、ここを拠点とする私の支援者、後援者、そういう方々にこの広報をするとか、そういういろいろな経費、必要であったものでありますから、そこへ担当の方を呼んで、そこでいろいろやっていただいた、その経費を計上させていただいた、こういうことであります。
○泉委員 随分長い御答弁でしたが、今言ったのは、人件費、三年間で約一千七十六万、これがお一方に対する人件費なのか、複数の人件費なのか、それをお答えください。
○河村国務大臣 失礼しました。複数でございます。
○泉委員 きょうは総務省の選挙部長にもお越しをいただいております。
その主たる事務所の定義でございますが、これはどのような要件を満たすと事務所としての実体があったというふうに一般的に考えればよろしいでしょうか。
○門山政府参考人 お答え申し上げます。
政治資金規正法上の主たる事務所についてのお尋ねでございますが、主たる事務所の所在地につきましては、政治資金規正法上は特段の定義規定というものはございません。一般的には、政治活動の中心となる場所のことだというふうに解されているところでございます。事務所が複数あるときには、中心となるところが主たる事務所というふうに解されているわけでございます。
○泉委員 官房長官、そうしますと、かつても政治団体の連絡先、電話番号そのものは議員会館の電話番号だったというようなことも言われておりますが、この三つの団体の主たる事務所は、このマンションであったんでしょうか、それとも議員会館であったんでしょうか。
○河村国務大臣 この三団体の主たる事務所は、このマンションの一部を使わせていただいた、こういうことであります。
○泉委員 ちなみに、看板というのは掲げていられましたか。
○河村国務大臣 このマンションの所持者との契約があって、そういうものは出さないような契約になっておりましたので、そうしたものは出しておりません。しかし、地元の方々は皆、田中龍夫先生から長い後援会の方々も、あそこにそういうものがあるということはよく御存じでありました。だから、特にそうした看板は出しておりませんでした。
○泉委員 先ほど御説明が少しありましたけれども、その元公設秘書の方が、別なところに御自宅があって、そして仕事が遅くなったときなんかはそこに泊まっておられたということでございましたが、私、マンションの広さが何部屋あってというのはちょっと存じ上げませんけれども、このマンションの一部は、例えば三年間スタッフが常駐をして事務所として使用をされていたのか、あるいは、仕事が遅くなったときに泊まるとしても、マンションのあくまで事務所として使っていたのは一部で、それ以外は居住用として使われていて、ちょうど職住一致じゃありませんが、使っている人は別ですけれども、そういう状態でこの物件が存在をしていたのかというと、どういう形になるでしょうか。
○河村国務大臣 居住性はもちろんマンションでございますからあるわけで、所有者の御親族あたりもそこへ泊まっておられる、そういうことでありましたから、元公設秘書は、今御指摘のような遅くなったようなケースとか、そういう場合にはあそこに泊まるということはあった、それは事実でございます。
しかし、常時、原則として、仕事をやるとき、いろいろなこと、必要なときには、こちらからお願いした方が来ておられて、そして電話番をされたりとか、時にはそれは出たり入ったり、必要ないときにはお休みをいただくということもあったかもしれませんが、そういう形で事務所の実体を持っておったわけでございます。
○泉委員 再度の確認になりますが、そうすると、議員会館の連絡先とは別な独立の電話番号を公表なされて、そこを事務所として、その電話を事務所の電話としてこの三年間は使用されてきたということでよろしいですか。
○河村国務大臣 マンションにはずっと前から田中先生が置いておられた電話もありますし、連絡はとれるようになっておったものでありますから、特に事務所で届け出た電話はなかったのかもしれません。私、その点ちょっと今、いつもそこへ電話すると出ていましたから、昔からそこの電話は、今でも覚えている電話番号ですから、かければ出られるようにつないでおりましたから、それで管理費等も全部払っておったということもございます。
○泉委員 その管理費でありますけれども、これはどのような考え方で元公設秘書の方が、年間ベースでいえば総額百四十万ぐらいの中で、半分をその方がお支払いになられていて、あとは三つの政治団体からということでありますけれども、あと、家賃をそもそも払われていなかったというところについては報告書を訂正なさるというふうにお伺いをしておりますが、これはもう訂正が終わったんでしょうか。
○河村国務大臣 これは訂正ということも含めて、税理士、公認会計士の方々とも相談をしたのでありますが、これは既に三団体はないものでありますから、そこで、管理費は払っておるのでありますが、その分については公定の価格はございますので、三カ年分、私の方で、その団体は既に今ある私の政治資金管理団体に全部合併して中へ入っておりますから、そこの資金団体から持ち主に三カ年分をお支払いした、このように報告を受けたばかりであります。
○泉委員 ありがとうございます。
こういった問題がさまざまな政治家の中で数多く出てきているということで、参議院の外交防衛委員会の理事会に出されたというものも踏まえて、我々は今後も調査をしていかなくてはいけないと思っておりますが、ぜひ、やはりわかりやすい説明を国民に対して今後も行っていただきたいというふうに思います。
ちょっと官房長官にはそのままお残りいただいて、一問だけございますので、よろしくお願いをいたします。
続いて、地方分権についてであります。
この地方分権について、十一月六日、麻生総理が地方分権改革推進委員会の丹羽委員長に対して、国交省の地方整備局、また農水省の地方農政局など、国の出先機関を原則全廃をしていくというようなことをお話しになられました。このことについて、その後もさまざまな与党の中での混乱というか議論の分かれで、今相当、一悶着起こっておりますけれども、一方できょう取り上げたいのは、淀川水系というところで、これは四府県、大阪、京都、滋賀、三重の四府県の知事が、国交省が計画をする中での大戸川ダムというものについては計画を見直すべきだという共同意見を出しました。
官房長官、きょうちょっと質問の予定、最初それは通告していなかったんですけれども、ちょうどきのうの午前の記者会見で、四知事の事実上の建設中止要請について、地方の声をきちっと受けとめなければ行政はできない、地方の振興計画なども十分協議しながら進めていく課題だと述べ、四知事の意向を重視する考えを明らかにしたということでございます。
この考え方にその後変わりはなく、そしてまた私は、ぜひこれは国交省に対して、先取りの形になるかもしれませんが、やはり各地元の知事の、この知事というのはそれぞれが選挙に当選をして、県民、府民の負託を受けてこうした仕事をしている。また、この近畿四府県の知事はお互いに連携をして、忌憚ない意見交換をしていく中で共同意見を出された。私もこれは大変重いことだというふうに思っておりまして、その意味では、政府としても、国土交通省なりにぜひしっかりと方針というものを出して伝えていくべきではないかというふうに考えますが、官房長官、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 私も、今御指摘のように記者会見で申し上げたこと、やはり地方の声をしっかり受けとめる必要があると思います。
これまで、国土交通省はダム計画等々、治水の面あるいは環境の面、あらゆる面から総合的に立てたものであるということは私も理解しております。ただ、詳細を私も承知しているわけじゃございませんが、御案内のように、関係知事さんがいろいろ御協議をなさっておるということでありますから、その意向は十分踏まえた上での対応を図るべきであろう、私もそのように考えております。
○泉委員 ありがとうございます。官房長官、それでは結構でございます。
この内閣委員会は大臣の数が大変多くて、また、鳩山大臣も内閣委員会にまで来なくてはいけないというちょっと複雑な関係になっておりますけれども、大臣所信の中でもおっしゃられました、恐らく二〇〇九年秋の国会に新分権一括法案、これが提出されていく方向だろうということでありまして、その次の年、二〇一〇年ぐらいにはいわゆる出先機関の姿は大きく変わっていくということが想定をされるわけです。
そういった中で、今お話しした国土交通省の近畿地方整備局、こちらの方が、そもそも河川法の改正の中で、やはり河川法の大転換という形でさまざまな意見を取り入れていこうということで、その中で定められたのが、整備局長のもとでの諮問機関である淀川水系流域委員会、主に有識者の方々が集まられて淀川水系の整備について局長に諮問をする、こういう体制ができたわけです。
しかし、この流域委員会が一貫して主張していたのは、ダム計画は見直すべきではないか、こういう提言を続けてまいりまして、二〇〇三年には、幾つかダムがあるんですが、そのうちの一つである大戸川ダムというものは原則建設をしないということで考え方をあらわし、それに対して国交省も、二〇〇五年に一度計画の中止を表明したわけですが、昨年の夏にまた推進をするという形で転換がなされた。そして、ことしの六月には国交省が淀川河川整備計画というものを出されて、この国交省の計画では、また大戸川ダムというのが計画に盛り込まれたということになりました。
それに対して、この流域委員会はもちろんのこと、各府県の知事はそれぞれが、例えば京都府なんかでいえば技術検討会、これまた専門家を集めて京都府独自の検討を行い、また大阪府、滋賀県、三重県、それぞれが同じように検討を行ってきた中で、今回この流域の四知事が共同意見を出すということになりました。そういった中で、この計画の凍結を要請していこうということで来ているわけですが、国土交通省の近畿整備局の方では、今のところ全く計画を中止するつもりはないというような見解でございます。
鳩山大臣、率直に、この状態を見られてどのようにお考えでしょうか。
○鳩山国務大臣 御指摘の件は、淀川水系の河川整備計画の策定に当たって、国交省が案を作成し、関係自治体の意見を求めてまいったところ、京都、滋賀、大阪、三重の四府県の知事等が昨日共同意見をまとめて公表された、こういうことなんだろうと思っております。私は詳細を把握してはおりません、主に報道によるところでございますが、大戸川ダムについては河川整備計画に位置づける必要はないという意見を四知事がまとめられたということだと思います。
私は、国交省と関係自治体の協議の間に割って入るような資格を持っているとは思っておりません。また、河川というのは道路以上に難しい問題があるんだろう。それは上流から中流から下流があって、各都道府県に相当またがって流れるものであって、治水とか利水とか、あるいはまた災害の問題とかその被害額をどう算定するかとか、さまざまに複雑な問題があることはよく理解をいたしております。
ですが、委員が冒頭お触れになりましたように、この間、地方分権改革推進委員会の委員長と総理の会談に私は立ち会わせていただいた。その中で、例示として整備局と農政局、農政事務所の話が出て、総理から、きちんとやってもらいたいということでありました。その理由は、もちろん二重行政は排さなければなりませんが、それ以上に総理が強調されましたのは、住民の目線が届くかどうかという観点だろうと思うんですね。
私は、実は事故米の問題の後、福岡の農政事務所へ行ったんですね。こういう食の安全のようなものを住民と同じような目で国の出先機関が見ることができるだろうか、これが都道府県の組織だったらもっと住民に近い目線で見られるのではないか、そういうふうに私は考えましたから、総理が農政局等あるいは農政事務所等をきちんとやれということは十分受けとめたわけですね。
要するに、このダムの問題も、各府県にまたがるから難しい問題だとは思いますが、少なくとも四知事の方が住民目線であることは間違いがない。住民目線に近いというのか、まさに住民の目が行き届かないような行政はだめよと総理がおっしゃっていることと絡み合わせて言えば、四知事連合というのは、やはりかなり住民の目が一生懸命にらんで行き届かせようとしている姿と見えますので、そういう観点でこの問題を私は見ております。
○泉委員 よく言われることですが、地方分権といったときに、どういう勘違いをするとそうなるのかと思いますが、各省庁が支分局により権限をおろすということをもってして分権だ、このように考えられてはやはり困るわけですね。
確かに、私も地元で活動している中で、例えば河川事務所が地域の方々にイベントを打ったりということで、全く現場を知らないとは思いません。しかし、役割として、今大臣がおっしゃったように、地方の自治体と別個な形で同様の事業、業務を行うような地方の支分局が多数存在をしているというのもやはり事実だというふうに思います。
そういった意味では、今回この農政局あるいは整備局の廃止というものを勧告していこうというような流れは大変大きな変革であるというふうに思いますが、率直に、鳩山大臣、これはやっていける、特に農政局、整備局の廃止、これは実現は可能であるというふうに、現在、覚悟も決意もそういった認識もお持ちでしょうか。
○鳩山国務大臣 正直申し上げて、相当な決意と覚悟あるいは戦う意思がないと成就できない、そう思っております。
ただ、総理大臣が所信表明演説の中で、自分が決断する、そういうケースがあり得ることを強く訴えておられますから、内閣一体で厳しく事に臨んでいきたい、こう考えております。
○泉委員 それこそ大阪の橋下知事が、大阪の方では幾らでも今すぐにでも地方整備局を受け入れる気持ちがあるということをおっしゃいました。もちろん、では河川ですから淀川全体を、今こうして京都、大阪、滋賀、三重の四知事が連携をして話をしているように、それをすべて大阪で受け入れることができるかどうかというところは確かに今後詰めていく課題だとは思いますが、やはり地方の意見を今後ともよく聞いていただいて、そしてあるべき徹底した大がかりな分権というものに取り組んでいただきたいというふうに思います。
先ほど、国交省と地方の間に入って私が何か言うものではないというふうにおっしゃられはしましたが、やはり地方分権の担当大臣として、私は今までの御答弁の中でも大変な決意を感じましたし、ぜひ、そういった意味で、今回の淀川水系の流域四知事の動きについては、側面的に支援をしてくださいというのはおかしいかもしれませんが、私は、時代の流れをしっかりと認識して、それぞれの現場に近い、現場の住民に近い、そういう立場である方々がしかるべき手続を経て判断を行った、それをやはり尊重していただきたいという意味で、ぜひ、国の方で地方分権を行っている鳩山大臣、特命大臣なわけですから、鳩山大臣には、国交省なり国土交通大臣に対してはやはり現場の意見を尊重するよう申し入れなどを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 この淀川水系の大戸川ダム、個別の事柄について私はまだ詳しく承知しているわけではありませんが、一般論として、先ほど申し上げておりますように、住民の目線に非常に近い立場にある、しかも選挙で選ばれた四人の知事さんの意見というものは非常に重いということは、私は、場合によっては各方面に伝えていかなければならないかと思いますし、こういうことがあるから、やはり出先機関の問題は大胆にやらなければいけないなと改めて決意を新たにいたします。
○泉委員 ぜひ、その大臣の御決意に期待をして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
五人の大臣の皆さんにおいでいただきまして、大臣所信に対する質疑をさせていただきます。
過日、十一月七日、先週の金曜日ですが、大臣諸氏から大臣所信の内容についての演説があったわけでありますが、いろいろと聞かせていただきました。それぞれ問題認識を持ちながら、その課題を乗り越えようということもわかるわけであります。
実は、この問題に入る前に、私もこの委員会で取り上げるのはどうかなと思ったんですが、新聞で最近、総理は踏襲というものをフシュウと発言しているという記事がありまして、日本語というのはなかなか難しいものですから私も時々読み間違ったりなんかするんですが、しかし、やはり日本国を代表する首相が日本語を正しく発音されないというのもなんでありますから、これは甘利大臣にぜひ、お友達だと聞いておりますから、さりげなく閣議の前か後ろにでも、総理、この字はトウシュウと読むんですよというぐらいはちょっと言っていただいて、以降、このような記事が載らないように御配慮を冒頭にお願いしておきたいと思います。
この大臣の所信の原稿を事前にお配りいただいて、いろいろと私も拝読させていただきました。大臣の皆さんには、重複するところはカットをして、当然これは大臣所信の演説ですから原稿どおりにする必要はありませんが、この内容をお伺いして、私は、先ほど与謝野大臣がるるお話をされておられました件について、本当に麻生内閣全体として危機意識を持っておられるのかどうか、ここら辺がちょっと何となく寂しい思いもありましたので、その件について冒頭に、五人の大臣の皆さんにそれぞれ御見解をお伺いしたいと思います。
というのは、先ほど自民党の遠藤議員からも、小泉改革の課題といいますか内容について検証する必要があると。自民党研究会というんですか、何かそういうものをつくられて、いろいろ論議をされているというのですが、非常に中身的に理路整然とされていたようにも感じました。
実は、既に与謝野大臣もお読みになったかもしれませんが、ジョージ・ソロスさんの「アメリカの時代は終わった」という論文が一部出ております。このジョージ・ソロスさんは、「ソロスは警告する」という本を去年の十二月に出版されたんですが、おおよそ今の現状を去年の段階から言い当てているんですね。
それは何かというと、市場原理主義というものについての認識ですが、市場原理主義への信奉が強過ぎるのです、市場は常に平均値に戻るという論理に固執してこれまで来ました、この考え方をもう少しわかりやすく語れば、市場は自己修正できるので市場に任せておけばいい、政府が介入する必要はないということですが、これはやはり誤りだと思いますというのがジョージ・ソロスさんの一つの考え方です。
さらに、金融技術が加速度的に発達したからです、政府がこの技術の本質を理解せずに幾つかの金融規制を撤廃したこともその原因として挙げられます、銀行はきちんとしたリスク管理の技術を持っているからリスク計算は銀行に任せておけばいいという考え方で来たところに問題があったのでしょう、こういう指摘もしております。
さらには、アメリカ政府の方針が間違えているので、間違ったことをしてきたということで指名すればブッシュ大統領も今までずっとそうでした、だから私は政権がかわることを心待ちにしていました、こういう指摘もございます。
さらに、ジョージ・ソロスさんは、この二十五年間、世界経済を動かし押し上げてきたモーターはアメリカの消費者による消費です、彼らは蓄える以上に使ってきました、生産する以上に使ってきました、今そのモーターのスイッチが切られたのです、世界経済には新しいモーターが必要です、人々は、これまでのように消費するばかりでなく、エネルギーを余り使わないライフスタイルにしなければなりません、痛みを感じるでしょうが、そうしないと生き延びることはできないと思いますという趣旨の話もありました。
さらには、これから、アメリカというよりも、中国やインドがこのアメリカにかわって世界経済を引っ張るんじゃないですかという趣旨のお話がございました。
東京大学の神野先生も、「終わりのドラマ」という文章を載せておりまして、この中の話をちょっと要約しますと、農業を初めとして赤裸々な市場原理を適用してはならない領域にまで無原則に導入した新自由主義は、日本ではいざ知らず世界史の表舞台から降壇しようとしています、これは同時に、世界が米国の独壇場でなくなることを意味している、とはいえ、新しい世界経済秩序はいまだにその姿をあらわしていない、恐らく新しい世界経済秩序の形成は十年の歳月を要するだろう云々ということで、拝金の新自由主義にかわる新たな経済秩序を形成できなければ世界は再び破局的悲劇に見舞われるんじゃないかという趣旨のお話がございます。
私も、ずっと見ておりまして、そういう感じがするわけですね。私は、麻生内閣というのは、まさにこういう問題に対してかじを切るということが今、日本の政治の中で大事なんだと思うんです。
そこで、これは事前に通告はしておりませんが、それぞれの大臣の皆さんから、この世界的な、いわゆるアメリカを中心とした新自由主義経済というのですか、それの転換期に当たって、どのような御認識で今麻生内閣のもとでお仕事をされようとするのか、お一人ずつちょっとお伺いしたいと思います。
○与謝野国務大臣 市場原理主義というのは、市場で決まることはすべて正しくて、物事は市場で決めればいいんだという主義だというふうに私は理解しておりますけれども、実は、市場というのは欲望と欲望がぶつかり合うところでございまして、市場で決めるのがふさわしい問題と市場で決めてはいけない問題と、やはり二種類あるんだろうと思います。そういう意味では、市場に全部任せておけばいいという放任的な考え方というのは必ずしも国民の幸せにはつながらない、そのように思っております。
戦後の世界経済の体制は、基軸通貨がドルである、決済手段もドルであるというところからスタートしておりますから、アメリカの立場というものは当然強い立場を維持してきたと思っておりますが、やはり現在では、ソロスさんが指摘されているように、例えばアメリカの家計なんかは借り入れ過剰であって、平均的な家計で三十年も四十年分もの借り入れを行っているということで、こういうものをやはり正常な姿に少しずつ戻していかないと世界経済も正常な姿には戻らないだろう、そう思っております。
ただ、考えなければならないのは、世界は今、人の動きも物の動きもお金の動きも無制限になっているわけでして、そういう中で、他国が経験している危機というのは、やはり日本も必然的にそういう危機に連動してしまう可能性があるわけでして、そういう意味では、やはりこういう難しい局面では国際的な協調というものが一層私は必要になってきた、そのような認識でおります。
○佐藤国務大臣 大変大きな話で、なかなかうまく答えられるかどうかわかりませんけれども、今麻生先生がおっしゃられたように、世界の動向をしっかりと見据えた上で、いろいろな面で頑張っていかなければいけないというふうに思いますし、日本が果たす役割というものをしっかりと麻生総理のもとで検証しながら、日本の役割を果たしていくということが大事ではないかなというふうに思っております。
○鳩山国務大臣 若干思い出話をいたしますと、大畠先生も私も民主党という政党が生まれたときのチャーターメンバーでございまして、当時、毎晩というか朝から晩まで、何日間もかけて、民主党設立の最初の文書をどう書き上げるかというので大変な議論をいたしました。
先生は当時から今のようなお話をされておられましたし、私は環境派という観点から、経済成長というもの、あるいは資源の使い方というものについて、新しくつくる政党はいろいろ言うべきである、こう申し上げましたが、意外と反対論が強くて、経済は大事だと。そういう中で、先生の御支援をいただいて、私が無理やりにみんなを説得して入れた一文が、民主党は経済成長至上主義を排しという文章であった。私は、政党はいろいろなところへお邪魔しましたけれども、その考え方は全く変わっていないわけでございまして、そういう意味で、先生と私の共通の思想というものは今なお生きていると思っております。
例えばですが、地産地消という言葉がありますが、地産地消ということはいろいろな表現で使われますが、本当は、貿易をしないでその国が生きていければ地球人類の繁栄は長引かせることができるわけで、それは科学技術とかを考えたらそう簡単なことではありませんが、理屈の上ではそういうふうなことになる。
シーア・コルボーンさんたちが「奪われし未来 アワー・ストールン・フューチャー」を書かれました。その改訂版の中では、WTOというのは、今農業問題でもめておりますが、諸悪の根源と書かれております。なぜならば、自由貿易体制というものによって怪しげな物質があっという間に世界じゅう回ってしまうから、WTOのために人類の健康は侵されているんだという文章もあるわけでございまして、それらすべてを考えて、人類が、細く長くとは言いませんが、この繁栄を少しでも長引かせることができるように、抑えるべきものは今から抑えていくべきだ、こう考えております。
○甘利国務大臣 麻生総理は、みずからが経営者として、斜陽産業を時代の変化を読む目を持って変革をして、発展産業にみずからがされてきた方であります。
そういった目で今の時代を見ますと、金融と実体経済との関係で、実体経済、つまり、具体的に付加価値を生む経済を円滑に動かすための金融が経済の主体になってしまっていて、金融工学を駆使してお金を右から左に回すだけで付加価値が生まれてきたような錯覚を世界じゅうが持ったということから、今日の危機は起きているんであろうと思います。
我々は、やはり実体経済にかかわるものがあくまでも主役であって、具体的に現場で付加価値を生んでいくことを助けるのが金融である、リスクをヘッジするのが金融である、その主役とわき役の関係をしっかり見据えた市場のルールというものをつくっていくべきときだというふうに考えております。
○野田国務大臣 五年ほど前は市場原理というのが大変格好いい言葉でございまして、官から民へという言葉と相まって、市場は正義である、だから、すべてそこにゆだねることでグローバルな、日本としても世界先進国並みになるみたいな話がありました。
あの当時は、まさか今のように市場が壊れるということはだれも想像していなく、市場は万能だ、そういう前提に立ってお話が進められたと思っています。ですから、今、この金融危機で市場がどんどん壊れていく、壊れていく中で結局は全世界が国を挙げて公的資金等々で支えていかなきゃならないという事態を見ると、市場は万能ではないということが今の私たちにとっては明らかになったわけです。
もう一つ、市場原理の中によく言われてきたことは、市場の中の勝った者が弱い者を救済できるということで、やはり強い者がどんどん正当に強くなる場所が必要だということが市場だと言われました。ところが、今現在の日本国内の結果を見ますと、やはり弱い人はますます弱い。例えば都市と地方を比べると、地方はますます疲弊してくるということで、必ずしも当初予想していたようなことにはならない。
私自身は、今消費者行政とか食品安全を担当していて思うのは、市場が健全なプレーヤーで運営されていればいいんですけれども、やはり、単に利潤追求とかそういう、さっき与謝野大臣、欲望の、何かそこだけに特化してしまうと、安全な食品を国民に届けようとかそういう責務を忘れてしまって、結果的に大きなツケを国民または国が支払わなければならないということが起きるんだと思っています。
○大畠委員 それぞれの大臣から基本的な御認識を伺ったわけですが、私たちは余りにも小泉改革の残滓というものに少しとらわれ過ぎているんじゃないかという感じがいたしまして、今回の大臣所信をいろいろ伺いましたけれども、そこら辺をもうちょっと冒頭に、これまでの総括といいますか、そういうものも一文ずつ入っていてもよかったのかなと思いました。
そこで、改めて各大臣から、所信に述べられた内容について、今度は部分的にお伺いをしたいと思います。なお、質問を通告して、お答えいただいた方には執務に戻っていただいて結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
最初に、甘利大臣にお伺いをしたいと思います。
甘利大臣は経済産業関係でも非常に広範な活躍をされておりますが、私も経済産業の知り合いの官僚の皆さんもおられますが、どうも最近、官僚の皆さんも元気がありません。
甘利大臣の所信の中にも、国家に奉職するという高いモラルを持ち、みずからの職務への高いモチベーションを持つ能力の高い公務員を育てていかなければなりません、近年、国家公務員を志望する大学生が大幅に減少しており、このままでは優秀な人材が集まらなくなる懸念があります、こういう認識を示しておられますが、企業でも行政でもそうですが、まずは人材なんですね。
そこで、大臣がこういうふうにおっしゃっておられるわけでありますが、大臣として、ここら辺、どのように優秀な人材を確保しよう、その環境を整えようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、大学生が公務員を目指す倍率はかつての半分になりました。公務員という職場が魅力的な職場には映っていないですし、民間から人材交流で来られる方の話を聞きますと、子供から、お父さん、何でそんな悪いところに行くのと言われるのが一番つらいと。公的セクターに従事して国家、社会、国民のためにという志でやっても、周りがそういう目で見てくれないというつらさがあるという話をよく聞きます。
私は、三高公務員と言っておりますけれども、高いモラルと高いモチベーション、そして高い能力、そういう公務員が集まるような、あるいはそういう公務員が育つような組織にしていかなければならないというふうに思っております。公務員は国民が税金を払って雇い上げている従業員でありますから、優秀な従業員であればあるほどその組織体は機能を効果的に発揮するわけであります。
今、大学生が公務員を目指さなくなる理由の一番大きいものは、保守的で、創造的な仕事ができそうにないとか、あるいは社会的なイメージがよくないとか、後ろ向きになっている。もっと公的セクターとして世の中のために働くことの意義というのが、本人も自覚でき、あるいは周りにそれが伝わるような、そういう公務員制度にしていかなければならないと思っておりまして、その視点で今改革に取り組んでいるところであります。
○大畠委員 甘利大臣、今の御指摘もそうですが、全体的に、ぜひ、まさに公務員になろうという志を持った若い方々が多く官僚として入ってこれるように、さらに一層努力をいただきたいと思います。御退出いただいて結構でございます。
次に、鳩山大臣が、何かおれには聞かないのかというような話もございますので、鳩山大臣にちょっと順番を変更してお伺いしたいのです。
実は私の友人で市長さんをやっている方がおられまして、正直なところ、大畠さん、市民のことはおれたちに任せてくれ、国は余り口を出さなくても、お金だけ渡してくれれば責任持ってやるよと。ところが実際は、鳩山大臣は地方分権担当大臣というのですが、責任だけ負わせてお金を渡してくれない、これじゃひどいじゃないかという実例をお聞きしました。
これは、大きな湖がありまして、この湖の管理は市に任せるよといって任せてもらったのですが、実は近所の人から、その湖の周りの人から、草を刈ってくれ、ひどいじゃないかというので市長さんのところに要請があったのです。それで、草ぐらい刈ったらいいじゃないかと言ったら、お金がありませんと。草刈るのにそんなにお金がかかるのかと言ったら、二千万かかると。かなり大きな湖で、気候変動かどうかわかりませんが、水がなくなっちゃいまして空堀みたいになっちゃって、そこに草が生えて大変らしいのですね。
ですから、今回、七千億なのか一兆なのか一兆七千億なのか、鳩山大臣、ここら辺はどういうふうに考えておられるのか。要するに、地方としては、五兆円のいわゆる交付金が減らされたというのは非常にきいているのですね。
改めて、地方分権もいいのですが、分権と同時にその予算も、がっちりとそれに見合う予算を確保することが大事だと思いますが、ここら辺についての決意をお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 大畠先生とは基本的に全く同じ考え方でこの仕事をやっていきたいと思っております。
三位一体改革というのがあったときに、国も行政改革をやってスリム化する、地方も行政改革をやってスリム化する、それはよろしいのですけれども、いわゆる補助金を減らす、補助金を減らして税源を移譲するというときにも、いろいろあったと思いますけれども、四兆七千億ぐらい補助金を削って、税源移譲は三兆円で、あとは、交付税で面倒見る部分もあるのでしょうけれども地方の努力でスリム化しなさい、こういうことでありました。
そして、それに加えて三位一体でもう一つが何であるかというのが、地方交付税の改革であって、それが今大畠先生がおっしゃった五兆円の減額になりまして、これが今非常に地方にボディーブロー、あるいはもっとはっきりきいてきてしまっているという状態だと思います。
私は、先生と初めてお会いしたころは確かに東京の議員でありました。いろいろ事情があって、東京の議員を二十何年かやってから、今いわゆる地方中核都市を中心とする地方の議員をやっておりまして、両方経験して、地方に対する考え方というものはがらっと変わりました。
確かに、将来負担みたいな財政の地方団体の基準がありますよね。そうすると、二十三区なんというのはみんなプラスだ、地方の方は大マイナスだ、大変大きな違いがあるわけでございまして、そういうような中であの五兆円はきいてしまっているわけですから、私は、あの五兆円の交付税の復活というものはやはり徐々にでもやっていきたい、そういうふうに考えておりまして、一兆と七千億の問題は、これは総理が、七千億とは別に一兆だ、こういうふうにおっしゃっていただいているわけでございます。それが私のとらえ方です。
ただ、正確には、六千八百二十五億円というのは揮発油税の四分の一で、自動的に地方に来ておりますけれども、道路目的税あるいは財源という定義が消えたときにはこれも一たん消えるのかもしれない。一たん消えたけれども、やはり地方を助けるという意味で、道路をつくれというのではなくて、同額のものが別途地方へ与えられるように努力をしてまいりたいと思っております。
また、先生が冒頭におっしゃいました、池の管理、権限を任されたら草刈れと言っても市には金がなかったという話、それは残念なお話ですが、非常に象徴的ないい例でございまして、やはり権限を渡したときにはきちんと財源をできれば税源で渡せるような、そういう国にしていきたいと考えております。
○大畠委員 今の御答弁は、七千億のほかに一兆円を追加して地方に渡せる、そういう御認識だということで受けとめさせていただきました。地方の自治体の首長さんも、五兆円減らされて一兆円ですから、あと四兆円足らないよという意見はあるでしょうけれども、まあ、ないよりはましだというのでしょうかね。ぜひそういう視点でさらに一層努力を重ねていただきたいということだけ申し上げまして、御退出いただいて結構でございます。
次に、野田大臣にお伺いしたいと思うのです。
野田大臣は、この大臣所信をお伺いしますと、今回、科学技術政策、食品安全、お米の問題から高齢社会あるいは交通安全、犯罪被害者対策、それから宇宙開発、科学技術、それから原子力政策大綱も出てきましたし、電子政府や医療、社会保障分野のIT化を推進しと、盛りだくさんに入っているわけですが、文部科学大臣というのもおられまして、文部科学大臣との所掌というのはどういう形になっておられるのか。
あるいは、特に今注目されています食品安全担当として、現在の日本における国民の食の安全確保のためにどういう決意で取り組まれようとしているのか。特に、消費者庁の設置法案が今政府の方から上がってきておりますが、私は、現在ある自治体の消費生活センターというものを活用して、ここのところに力を入れなきゃだめだと思うんですね。
これは、前にも委員会でいろいろ論議しましたが、一番のセンサーというのは電話相談する人なんです。この人たち、いわゆる期限を切られたパートタイマーといいますか非正規社員の方々にそういう仕事をさせておいて、その方々が非常に少なくなっている。その方々の身分の保障も非常に不安定ということなので、ベテランの方々もおられますが、その方々を、本当に日本の国の生活の安全を考えるのであれば、あの電話相談の方々を正規の職員として採用し、身分の保障をする。来年再採用されるかどうかわからないなんという立場では、私は、消費者庁というものをつくったとしてもセンサーが不十分であればとてもだめなんじゃないかと思うんですが、ここら辺も含めて、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○野田国務大臣 私が今般お預かりしている仕事は二十一担当がございます。ですから、演説では随分つらつらとメニューを読み上げるような形になってしまってわかりづらかったと思いますが、とりわけ今大畠先生御指摘の科学技術政策というのは、その中でも最重要な政策の一つとして位置づけられています。
これは、これまでの日本も科学技術政策で先進国の地位を築いてきたという自負がありますし、これから先々、不安な要素がある中でも、やはり日本の底力の大きな柱の一つは科学技術政策であろう。ことしはノーベル賞に四名の方が選ばれたということもあり、力強く推進していくことが大事だと思っています。物づくりの国ではありますけれども、やはり物づくりをよくしていくその原点というのが科学技術政策、科学技術の高さであろうと信じています。
ところが、先生も御承知のように、以前は科学技術政策といっても、それぞれの役所がそれぞれに予算を持って、ばらばらにそれぞれの役所がしたいことに取り組んでいた。科学技術庁というのはあったけれども、残念ながら、そこでは力不足で総合調整みたいなことができなかった。
最近では、御承知のように、総理のもとで総合科学技術会議というのを民間の専門家の先生たちに集まっていただいて、日本のすぐれた科学技術をこれからどのように歩ませるかとか、何に特化させていくとか、選択と集中とか、そういう大きな道を決めていただいて、それを、各省勝手ばらばらにやらないようにということで監督のような形を務めさせていただいているのが私の務めだと思っています。それを受けて、文部科学大臣なり経済産業大臣なりが御理解いただいて、現場でそれに沿った科学技術に対する予算づけをしていただく、こういう役割をいただいていると思っています。
また、消費者行政並びに食品安全のことですけれども、言うまでもなく、あり得ない不祥事、事案が続いています。偽装とか偽造とか、そもそも本当のプロの食品事業者であれば絶対してはならないことが堂々と、そして漫然と行われていることに、もう怒りを通り越して、本当にこの国はどうなってしまうのかという思いが強いわけです。その犠牲者であるのが国民、消費者であり、消費者にとってそういう何かがあったときの一番の相談相手というのが、国ではなく、地元にある地方の消費生活センターの窓口だということは間違いありません。
ですから、消費者庁を国会提出させていただいておりますけれども、そこで強く主張しているのは、まずは、これまで設置の義務を持っていなかった都道府県の地方消費生活センターを必置にする、義務づけるというところから始まって、そこをヘッドクオーターとして、そこを通じて細かく各市町村で住民に身近な消費生活センターをつくっていただこうということで取り組んでいます。ですから、消費者庁ありきではなく、今まさにおっしゃったように、地方のセンサーたる相談員の方たちの拡充とか、また、その技術をもっともっとよくしていただくとかいうことと、やはり地方自治体の取り組み、やる気というのがとても大切ではないか。
現状は大変悲惨であります。地方は財政難ということで、恐らく真っ先に削られてきたのが地方の消費者行政でありまして、ピークのときから比べると半減であったり、設置数はふえているんですけれども、予算は減っていたり、そこに働いている人は少なくなっていたりというのが現在の状況なので、それを下がっているのをV字回復させるためには、国としては、消費者庁ができてからではなくて、今現在、生活対策ということで、例えば、地方で消費生活センターをつくるとか増設するとか、または地方の消費生活相談員の人たちのレベルアップのためにということで基金をつくりまして、それにひもつきでなく好きなように使ってくれという形でオファーをしていきたいということを今取り組んでいるところです。
○大畠委員 趣旨はわかりました。具体的には、やはり予算なんですよね。
先ほど鳩山大臣にも申し上げたんですが、五兆円のいわゆる交付金が減らされて、非常に自治体が悲鳴を上げて、結局どこを切るかというと、そういうところから切っていくんです。だから、地方自治体の消費者センターみたいなものが次々と弱体化され、人数も減らされ、どこに訴えたらいいかわからないような、センサー機能が麻痺し始めているんですね。
ですから、大臣には、鳩山大臣とタッグを組んで、国が、三位一体改革みたいな格好いいキャッチフレーズじゃなくて、実態がどうなのかという観点から予算の確保をしてもらいたいと思うんですが、その件について、もう一度決意のほどを。
○野田国務大臣 応援ありがとうございます。
もう少し細かく申し上げますと、地方にどれだけ手当てをしていくかということで、私が今全力を尽くしている二つの事業を申し上げると、消費者行政活性化基金というのを創設して、地方の負担がどうのとかけちくさいことを言わずに、一〇〇%全部使っていただけるような基金の創設、そしてもう一つは、国民生活センターがありますので、そこからの直轄事業を拡充して、直接地方の、お給料そのものに手をつけるわけにはいきませんので、それ以外の研修とかさまざまなものに使っていただくように予算をとっていきたいと思います。よろしくお願いします。
○大畠委員 ありがとうございました。それでは、野田大臣もお戻りいただいて結構でございます。
さて、与謝野大臣にお残りいただいているわけですが、先ほど大臣からもるるお話をいただいたところでありますが、結局、市場原理主義の路線から大転換を図るということになりますが、先ほどいろいろな論議の中で、やはり経済というのがしっかりしないと最終的には国民生活もしっかりしないというお話がありました。経済をしっかりさせるということは、大臣の所信の中にも入っておりますけれども、景気対策だということですが、この景気対策というのは一体どういうふうにやろうとしておるのか。
また、先ほど基礎的財政収支の黒字化というもの、二〇一一年ですとか二〇二〇年あるいは二〇一五年というお話も出ておりましたけれども、ここら辺をあわせて、基本的なお考えをもうちょっといただきたいと思います。
○与謝野国務大臣 まず、当面の経済対策、それから中長期的な日本の経済のあり方、これは便宜的ですけれども分けて考えたいと思っております。
九月に経済対策をつくりましたのは、これは専ら、資源高、食料高、こういうことに対して何らかの対策をとらなければならないだろうというので、パッケージとしては国の予算で一兆八千億という規模でございました。
まだ予算としては提出されておりませんけれども、今度の経済対策というのは、直接的に、アメリカの経済危機に端を発した世界的な金融不安、また金融不安がもたらす実体経済への影響、こういうものを考えていろいろな施策を盛り込んだわけでございます。
政府が景気対策、経済対策をやるときの手段というのは一体何なんだろうかといいますと、一つは財政出動、一つは税制、それから、これは日本の中央銀行である日本銀行がとる金融政策、それと、やや時間はかかりますけれども規制緩和、この四つぐらいが恐らく政府がとり得る景気に対するいわば刺激策だろうと思います。
残念なことに、金融政策は、もう短期金利も非常に低いところまで来てしまっていて、金利を通じての経済対策というのはなかなか実効が上がらないということ。規制緩和は、短期的にはなかなかきいてまいりません。それから財政出動も、財政が豊かな時代であればこれは非常に大型のものができますけれども、財政規律を守りながら一定の経済効果を出すということはなかなか難しい。ましてや、赤字国債を出したくない、出さない、こういう限定がついております。あともう一つは税制ですけれども、税制も、実際に税制を決めて、税法として国会にお願いをして、それを実際実現するためには時間がかかる。こういうことで、いずれにしても、当面の景気対策、経済対策にしましても、与野党の皆様方にお願いをしてやっていただくということで時間がかかります。これが一つであります。
それから、長期的には、先ほども申し上げたんですけれども、物とかサービスをつくっていく、やはり物づくり大国という基本的な考え方を忘れてはいけない。やはり国際競争力、随分の分野で、例えばブラウン管テレビとか白物家電とかというものは日本国内ではなかなか生産できない、そういう中で、どの分野で国際競争力を持った製品を我々は見つけていくのかというのが、企業の経営者も国会議員も、みんなが考えていかなきゃいけない長期的な課題であると思っております。
十分な御答弁をさせていただけたかどうか自信はないんですけれども、先生の御質問に対して感じましたことを申し述べさせていただきました。
○大畠委員 ありがとうございました。
私も、景気対策というのは内需拡大をしっかりとやらなきゃいかぬということが中心になるかなと思いますが、ぜひ大臣におかれましても力を入れてやっていただきたいということを申し上げさせていただきます。ありがとうございました。御退出していただいて結構でございます。
質問時間が来ましたよという紙が渡されました。しかし、同僚議員にちょっとだけ御協力いただいて割り込みます。
国家公安委員長にも質問をする予定でございましたが、時間がなくなってしまいました。
一問だけ、国家公安委員長と同時に原子力安全委員会も範疇でございますので、きょうは鈴木委員長にも来ていただきましたが発言の時間がなくなってきてしまったようでございますので大変恐縮ですが、大臣に、原子力安全委員会の役割。私も原子力についてずっと論議しておりましたけれども、原子力安全委員会というものの位置づけ、あるいは原子力政策全体の安全性についてさらに私たちはブラッシュアップすることが今時代的に必要なんじゃないか。新潟の原子力発電所が七基とまっておりますし、他のところでも一生懸命頑張っておりますが、国民からの信頼を失った場合には原子力政策は進みません。
そういう意味で、大臣として、原子力安全政策についてはどういうふうに取り組もうとしておられるのか、このことについて御質問をして終わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 その前に、先ほどの質問に対しまして、与謝野大臣と申し上げようとしたところを麻生大臣と申し上げたことをおわび申し上げたいと思います。申しわけありません。
今、先生がおっしゃられたように、原子力という理解が国民の中になかなか進まない、それは、やはり目に見えるものではないということだろうというふうに思います。したがって、そういうものがもっと啓蒙、啓発を通じてしっかりと国民の皆様方に御理解をしていただくということ等々、また、どうしても必要なものだということも含めて、まず理解をしていただく。そして、安全には、絶対にこれが必要なんだということをもうちょっと国民の皆様方にわかるような啓蒙、啓発をしっかりとしていただく中で、安心、安全というものを、私どもはもっと理解をいただくような施策をとってまいりたいというふうに思っております。よろしくどうぞお願いいたします。
○大畠委員 終わります。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。
大臣所信に対する質疑ということで、きょうは時間をいただきました。まず冒頭、官房長官に要請したいことがございます。
私の選挙区は実は新潟市でございまして、拉致被害者である横田めぐみさんがまさに拉致された現場が選挙区なんですけれども、先日アメリカの北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除のニュースは本当に突然という印象でありましたし、麻生総理のもとにその連絡が来たのが解除のたった三十分前ということで、これは軽視されているのではないかという思いがいたしました。
とにもかくにも、これは政府一丸となって解決に向かって努力をしていただくべき課題でありますので、この国家的犯罪に対して毅然とした態度で解決に向かって努力をいただけるように、強く要請を冒頭いたします。
そこで、質問に入らせていただきます。
まず最初の質問は、十月三十日に総理が発表されたいわゆる生活対策についてでございますが、今まで余り質問が出てこなかったんですけれども、私はこれは大変大きな問題があると思っております。そのことについて、順次質問していきたいと思います。
まず、きょう午前中ですか、定額給付金というものについて、その概要がほぼまとまったというふうに伺っております。
ちょっと時間をさかのぼりまして、官房長官にお伺いしたいんですけれども、まず、十月の三十日、この生活対策の記者発表を麻生総理御自身がされました。これは、私見ていて、総理自身が自分がやるんだということの決意を示す、その意気込みのあらわれかとも思ったんですけれども、本来だったら、この手の記者会見というのは官房長官がされるものではないかと思うんですね。なぜこれは総理が行ったのでしょうか。
○河村国務大臣 麻生総理は、今回の金融危機を非常に厳しいものだ、これまでの経験からしても、恐らく歴史上にも残るような、百年に一度と言われる危機の中にある、こういう中で、国民生活の暮らしを守るために政府としても難しいかじ取りが必要であるし、やはり政府のリーダーシップが必要であるという思いがあったと思います。こうした思いでみずから記者会見を行ったものでありまして、この生活対策について国民に直接自分で訴えたいという強い思いだったと思います。特に、自分の考え方、内容を理解いただくことがまず大事だ、このように考えてああいう形で記者発表された、このように考えております。
○西村(智)委員 その記者会見が行われたのがちょうど二週間くらい前ということになりますでしょうか。この二週間というものを外野から見させていただきましたが、政府・与党内は大変な混乱だったようでございます。制度設計がきちんとされていないうちに、この定額給付金をやる、しかも全世帯に対して行うということだけが先に出てしまったので、では一体その中身は何なのかということの議論で大変混乱をいたしました。
これは外から見ておりますと、総理が、そういう意味では全く制度設計もできていないうちに、しかも閣内の大臣の意見集約もできていないうちに発表してしまったということで、一体本当に総理の指導力というのはあるのかということで大変疑わしく見られた、これは事実だと思いますし、それに対して国民も、世論調査で各社明らかにしておりますように、大変さめた見方をしている。
この点について、官房長官はどうお感じになりますか。総理にそのような指導力がないということを明らかにしてしまったことについて責任があるとお感じにはなりませんか。
○河村国務大臣 今御指摘をお伺いしながら、外で見るのと内で見るのとそんなに違うのかと思いながら伺いましたが、確かに、いろいろな意見が出たことも事実でありますが、麻生総理は、この定額減税をやるんだという大方針をまず立てたわけであります。それに沿って具体的な方策については詰めていくという段階をとったわけでございまして、確かに、制度設計が細かく決まった後に総理がそれに乗っかって発表するというのじゃなくて、大方針を立てたということでやったわけです。
そして、現場、市町村の声もしっかり聞いた上で一番いい方法にまとまっていくのが望ましいことだという、特にこれは生活者にかかわる問題でありますから、いろいろな意見が出るのは当然であって、その中でやはり一番いい方法を選んでいく、その方向を目指そうというのが方針だったと思いますので、私は、総理の意向は一貫しておって、決して指導力がどうであったとか、あるいは閣内が不一致であったとか、全くそういうことではないわけでありまして、いろいろな意見をまとめて、最終的に一番いい方向で決定していこうということです。ましてや、官邸の方がすべてを決めて、そのとおりというわけにはいきません。そういうプロセスはとりません。
だから、まさに今回のプロセスは、適切なプロセスを経て一番いい方法で決まっていった、私はこのように考えております。
○西村(智)委員 では、その一番いい方法で決まってきたという定額給付金の中身について、きょうの午前中に決まった内容をここで明らかにしていただきたいと思います。
○河村国務大臣 これにつきましては、まず、国民一人当たり一万二千円を定額として、その上に加算が、六十五歳以上のお年寄り、それから十八歳以下の子供といいますか、この方々に八千円をプラスするというものであります。これに要する全額を全国それぞれの市町村に交付するというものであります。
所得制限を設けるかどうかは、各市町村がそれぞれの実情に応じて交付要領において決定する。所得制限を設ける場合の下限は所得一千八百万とする。この所得とは、収入から必要経費を控除した後の金額ということになっています。所得制限を設定した市町村において支給された給付金が返還請求に基づき返還された場合は、当該返還された給付金は返還に関する事務費の一部に充てることができる。
これが生活給付金の概要でございます。
○西村(智)委員 所得制限を課すかどうかについても自治体の判断にゆだねるということですか。ちょっと確認をさせてください。
○河村国務大臣 自治体の判断にゆだねるということであります。
○西村(智)委員 個人単位の所得制限になるのでしょうか、それとも世帯単位の所得制限になるのでしょうか。また、どのくらいの額にするかも含めて、全部市町村の設定する交付要領にゆだねるということになるんでしょうか。
○河村国務大臣 これは個人単位でございます。
それから、下限は一千八百万という方針、この所得制限を設けるかどうかは各市町村がそれぞれの実情に応じて交付要項によって決定する、こういうことであります。
○西村(智)委員 この所得制限の有無については随分いろいろな議論がありまして、私たちも、いろいろな政策、例えば手当などについて検討するときにこの所得制限の有無についてはいろいろ検討するんですけれども、今回は、とにかく総理が全世帯に対してやるというふうに明言をしておりました。それが二転三転してきて、こうやって最後は自治体の判断にゆだねるということは、余りにも無責任なやり方ではないか、国の政策としてやるにしては余りに無責任なやり方ではないかと私は思います。
与謝野担当大臣にお伺いをしたいんですけれども、与謝野大臣は、この間、高額所得者は給付金を辞退するということではどうかという案が出てきたときに、それに対して、そういったやり方というのは制度ではないというふうに発言をしておられました。
結局、辞退するという仕組みになるのかどうか、これは自治体の判断ですので、それもわかりませんね。自治体によっては、やはり高額所得者からは辞退してもらうという方式にしましょうというところも恐らく出てくると思います。出てくる可能性はあると思います。
与謝野大臣から見て、きょう午前中決まったこの定額給付金の方法というのは、これは制度だというふうにお認めになりますか。
○与謝野国務大臣 この制度の原則は、全員に支給するという制度でございます。例外的に、各市町村が自分たちの町では所得制限を設けた方がいいと考えた場合には設けられるという、地方自治体の御判断に任せる、地方自治体に主体性を持って御判断をいただく、そういう制度でございます。
○西村(智)委員 市町村が主体性を持って所得制限をするかどうかを判断する、しかし、その結果として辞退する人が出てくる、こういうことになったときに、では、その当該市町村の中で行われている定額給付金は、これは制度でしょうか、制度ではないでしょうか。
○与謝野国務大臣 所得制限を設けましたら、それは制度でございます。
辞退を促すというのは、あなたにはもらう権利があるけれども遠慮してくださいと。これは制度ではないということを申し上げております。
○西村(智)委員 そうしますと、辞退してくださいということを交付要領で決めた自治体で行われている、その市町村の中でのものは、制度ではないということですか。
○与謝野国務大臣 高額所得者は遠慮してほしいという場合には、きちんと制度としてその線引きを決めなければ、極めて不透明な制度になると私は思っております。
○西村(智)委員 ちょっと待ってください。不透明な線引きであるから制度ではないということですね。
○与謝野国務大臣 全員に支給するというのが原則で、自治体が所得制限は設けないという場合には、すべての方に受け取りの権利が生ずる。生じた権利に対して遠慮してくれということは言えないと私は思っております。
○西村(智)委員 ですから、そこの中でのやり方というのは制度ではないと。権利が生じているにもかかわらずそれを辞退してくれというのは、これは制度ではありませんね。
ということは、与謝野大臣の考え方からすると、つまりは、考え方として、全国的にどの市町村もそういった辞退する仕組みをつくってはいけない、そうあるべきではないという考え方でよろしいんですね。
○与謝野国務大臣 辞退するのであれば、はっきり、ここから上は辞退してください、すなわち所得制限を設けるということであります。
○西村(智)委員 ちょっとなかなかあれですね、はっきりと、与謝野大臣が考えておられることが制度、制度になるのかどうかですけれども、私は、このように定額給付金を政府がまさに生活対策の本当に目玉として打ち出してきて、それを二兆円規模で給付しますと言いながらも、そのやり方について市町村にお任せをしますというのは、やはり余りに無責任なやり方であるし、官房長官は先ほど、自治体が主体的に何でも決めることができるはずだからというようなことをおっしゃいましたけれども、だったら、もっと別のやり方があると私は思うんですね。
例えば地方六団体、少なくとも首長などのつくっている団体などは、この提案について同意はされているんですか。
○与謝野国務大臣 世帯単位でお金を給付する、これは秋田市の例をとりますと、秋田市で十三万世帯ある。秋田市の市長様の記者会見を見ますと、窓口で処理できる件数は一日四百件ぐらいだろう、これらの十三万世帯の人たちが仮に一遍に窓口に押し寄せたということになると大変なことになる、かてて加えて、所得制限なぞを設けて納税証明書とかいろいろな手続とかそういうものをやったら、支給事務自体が物すごく煩雑になって大混乱が起きる、だから所得制限は実務上難しいというのが地方団体の御意見でございました。
そこで、一方では、今回発表された制度は、原則全員に給付する、そういう制度になっています。自治体の中では、やはりそれでもうちの村、うちの町の実情に応じて事を考えると所得制限をした方がいいと考える自治体が仮にあるとすれば、それは自主的に、主体的に所得制限を設けていただいても結構でございますという制度で、原則は全員に給付するという制度になっています。
○西村(智)委員 いや、答弁してくださいよ。地方団体の同意は得ているんですか。例えば自治体ごとに交付要領をつくって、所得制限を設けるとか設けないとか、辞退するとかしないとか、それはそこで決めてくださいということについてです。
○与謝野国務大臣 これは総務大臣に聞いていただかなければならない質問なんですけれども、私が聞いているところでは、総務省はきちんと地方団体と話し合いをしながら、地方団体が可能であるような方法を検討しながらやってきた案だと思っております。
○西村(智)委員 つまりは、まだそういった意味では、この交付要領というやり方でいいですねと確認がとれているわけではないんですね。
非常に急いでこの定額給付金のスタートを切りたいと考えておられるのはわかるんですけれども、逆に、急ぐがゆえに制度設計が非常に混乱をしてしまって、なおのこと混乱が大きくなってしまうのではないか。これはまた地方団体とのすり合わせが仮にうまくいかなかったりすれば、また先に延びていってしまうことになりますし、とても年度内ということでは手当てができなくなってしまう。ここは非常に大きな問題のある制度であると思いますので、やはり考え直す必要があると私は思います。
官房長官にもう一点伺いたいんですけれども、きのう記者会見で麻生総理が消費税の引き上げについて、当初、十月三十日の段階では三年後の引き上げというふうに言っていたのを、昨日は二年後の、うまくいけば二年後に法案を提出する。消費税の引き上げというようなことが、二年後の法案で三年後ごろの引き上げということになりますと、本当に定額給付金は、生活対策なのか経済対策なのか、そこもはっきりしないんですけれども、本当に消費に回ってほしいと思われていると思いますけれども、消費税が引き上げになるということが見えれば、消費者の心理としては使わないでとっておこうということになってしまうのではないか。
実際に、地域振興券のときには、地域振興券という形で配られたものであったにもかかわらず消費に回った分は約三割ぐらいではないかと当時の経済企画庁長官が話しておられますし、そういったことは非常に懸念をされるんですけれども、これで本当に消費に回る、経済の刺激策になるというふうに官房長官は断言できるんでしょうか。
○河村国務大臣 二年云々の前段の話からでございますが、御案内のように、総理は今の日本経済は全治三年はかかるということを言っておるわけであります。したがいまして、まず三年、全治した段階で、経済の状況、環境が整った時点にはお願いをしたいという言い方をしておるわけでございまして、今回二年というのは、全治三年の見込みがついて、経済情勢がよくなったときに法案を出せば、それが通ってそれから実施ということになるとやはり三年になりますので、何か、二年たったらすぐというふうにとられるとしたらこれは大きな間違いで、総理がかねてから言っていることと別にそごを来しておるわけではないわけであります。
ただ、おっしゃるように、この定額給付金がそのまま貯金に回るのではないかという御心配もありますけれども、しかし、これはスタートは生活対策ということでスタートしたものでありますから、国民にとって少しでもそれが役に立つようにという思いでございます。したがって、これには当然、内需効果をあらわす、経済対策にもつながるであろうということも踏まえてこの設計をしていったわけでございますから、これがすべて消費に回らないということにはならないと私ども思っております。
これはこれから、それが給付された段階で国民の皆さんがどうお使いになるか、それぞれの皆さんのお考えでありますけれども、我々としては、生活者のためにという思いと、あわせて、それがまた内需にもつながっていくことも期待をしていることも事実であります。
○西村(智)委員 今のお話を聞いていると、ますます社会政策なのか経済政策なのかわからなくなってくるんですね。ここはきちんと政策目的を明確にしておくべきだったと思いますし、お話を伺っていると、本当にどちらを主眼に、目的に置いてつくられているものなのかはっきりしない、こういう目的のあいまいな政策は恐らく成果は生み出さないだろうと思いますので、非常に大きな問題があると思います。ぜひ考え直していただきたいと私は思います。
この生活対策の中では、子育てに関する手当について含まれておりまして、子育て応援特別手当というんだそうですが、これは資料といいますか、資料といっても抜き刷りなんですが、生活対策の八ページにあります「出産・子育て支援の拡充」というところの黒ポツの二つ目、「子育て応援特別手当(仮称)の支給」というところですけれども、これについて伺いたいと思います。
小渕大臣の所信表明の中で、この「出産・子育て支援の拡充」の四つの黒ポツのうち、一つの黒ポツの「安心こども基金(仮称)」、これについてはかなり具体的な内容も含めて言及があったんですけれども、この子育て応援特別手当については触れられていなかったんです。これはなぜ触れなかったんでしょうか。
○小渕国務大臣 ただいま御指摘ありましたように、生活対策におきましては、出産・子育て支援の拡充として四点、安心こども基金創設による子育て支援サービスの緊急整備、子育て応援特別手当(仮称)の支給、安心・安全な出産の確保、中小企業の子育て支援促進等の四つの項目を盛り込んでおります。
先日の委員会におきましては、その一つ目の安心こども基金(仮称)を例示として言及いたしましたが、安心こども基金の創設などの施策を講ずることとしているとして、すべてを含めた形で少子化対策の推進について述べたところです。
○西村(智)委員 この文章の末尾は、「など」ということで、例示があって、「など」として、それによって「子育てを支える社会的基盤の整備に取り組んでまいります。」こう大臣は結んでおられるんですよ。そうしますと、子育てを支える社会的基盤の整備ということに子育て応援特別手当が含まれているという理解でよろしいんですかね。
○小渕国務大臣 この四つの対策について含んでおります。
○西村(智)委員 さてそこで、この子育て応援特別手当についてでありますけれども、先日、民主党の調査会でこの制度についてのヒアリングを行いました。この制度といいますか、ここに書かれている四つの項目についてヒアリングを行いました。その際に提示された資料は、きょう、一枚目の生活対策の中の抜粋、まさに「出産・子育て支援の拡充」と書いてある、ここの項目を、紙を縦のものから横にしたような、ちょっと組みかえたような資料が示されたんですね。
そこで、これしか出ていなかったものですから、具体的な中身についていろいろと質問をいたしました。幼児教育期というのは何歳から何歳までか。そうしたら、三歳から六歳まで、そういう答弁が厚労省から返ってまいりました。あと、そのほかの具体的な中身については検討中とかいうことで、まだ答弁がなかったんです。
あらあら、こうやって生活対策で緊急にやるという政策項目なのに、まだ検討中とは、これは間に合うというか、本当にこれで時間的に大丈夫なのかなと思っておりましたら、官邸のホームページに、この生活対策よりも詳しい中身が子育て応援特別手当についてありまして、それが二枚目の1の2の黒ポツの二番目です。「第二子から、年間三・六万円の「子育て応援特別手当」」。厚労省の資料になかった項目がどうしてここに出ているんだろう、厚労省と官邸の間で一体どういう情報のやりとりになっているのかなと思ったんですけれども、この官邸のホームページに書いてある項目というのは、一体どこでどなたがお決めになったものですか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の内容でございます。これは、政府・与党として決定されたものでございます。
○西村(智)委員 政府・与党ということは、与党も入って、厚労省も入って官邸も入って、両者が合意のもとで決められたということですか。
○北村政府参考人 ただいま申し上げましたように、政府・与党として決定されたものでございますので、政府の中には厚生労働省も当然入っております。
いずれにいたしましても、政府・与党として決定されたものでございます。
○西村(智)委員 そうしますと、別に細かいことを重箱の隅をつくつくとつっつくようなことはしたくないんですけれども、例えば、幼児教育期、三歳から六歳とか、第二子から行うとか、年間三・六万円とかというのは、まさに子育て応援特別手当の基本的な項目事項ですよね。それが官邸のホームページに出ていたり、厚労省からの説明にはなかったりというようなことというのは、これはちょっとやり方としては非常にまずいと思います。これを見まして、本当に一体実現可能なのかということを改めて感じましたし、こうやっていろいろなところでいろいろな資料が勝手につくられるというのは、やはりよくないんじゃないかなというふうに思っております。
そこで、厚労省が政府・与党として一体でどちらの項目も確認をしている、決めたということですので、では、子育て応援特別手当の現時点での検討状況、具体的な中身をお答えいただきたいと思います。目的と、この三・六万円という根拠と、所得制限は課すのか、支給方法はどうするのか、必要経費など、具体的なことすべてお答えください。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の子育て応援特別手当でございます。これは、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、特に幼児教育期における子育てを支援するために、単年度の緊急措置として実施するものでございます。
支給額につきましては、先ほどお話がございましたけれども、第二子以降の児童につきましては一人当たり三・六万円ということでございますが、そのほかの詳細な内容あるいは実務的な取り扱いなどにつきましては現在鋭意検討しているところでございます。手当の支給が円滑に行われるよう、具体化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○西村(智)委員 何も決まっていないんですよね。何も決まっていないのに、支給だけは円滑にやりたいと言われましても、はい、そうですかと言うことはできないわけでございまして、厚労省にもう一点伺いますけれども、同じような子育て期の監護している親などに対して支給されている児童手当がありますけれども、これは児童手当との関係はどうなるんですか。児童手当法の改正で三歳から六歳まで一時的に加算するというのが私は法的根拠もしっかりしてよいのではないかというふうに思うんですけれども、その点についてどうですか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
子育て応援特別手当でございます。先ほど申し上げさせていただきましたとおり、これは、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、特に幼児教育期における子育てを支援するために、単年度の緊急措置ということで実施するものでございます。一方で、児童手当でございます。こちらの方は、広く子育て家庭における生活の安定、また児童の健全育成、資質の向上に資するということを目的として支給しているものでございます。各種の子育てに対する基本的な支援策の一環ということで実施しているものでございます。
そういう意味で、この二つ、両者は、子育てに対する支援という意味では、ある意味、委員がおっしゃられておられるような意味で同じという面もあるかもしれませんが、その趣旨は異なっているものというふうに考えておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○西村(智)委員 同じだということも認めてくださっていますよね。
私は、児童手当について、私たち民主党の方からは子ども手当法案を提出しておりますので、そちらの方で考え方はきちんと示しておりますけれども、本来、やはり子育てというのは、政府・与党の都合に合わせて単年度限りで終わるものではありません。今年度限りの特別な手当ということで支払われるということなんですけれども、来年度からゼロになってしまうということについては、一人の子供の育ちとかそういったものを支えるものではなく、やはりこれは、単に政府の、為政者の都合でやっているというふうに見られても仕方がないのではないかというふうに思います。
厚労省にこの点について伺いますが、逆に、来年度からも同程度の支援はきちんとするんですということであればこれはまた話は別なんですけれども、そういう予定はあるんですか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
子育てに対する支援につきましては、児童手当などの経済的支援に加えまして、働き方の改革による仕事と生活の調和、すなわちワーク・ライフ・バランスの実現、あるいはまた多様な保育サービスの充実などを含めた各種の支援策、こういったものを総合的に推進していくことが重要であるというふうに私ども考えてございます。
今般の子育て応援特別手当につきましては、先ほどから申し上げましたように、現下の厳しい経済状況にかんがみ、単年度の緊急措置として、幼児教育期における子育てを支援するために実施するものでございます。総合的な取り組み、先ほど私が申し上げましたような子育て支援のための総合的な取り組みを一方で進めつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみて、単年度の緊急措置ということで、趣旨などが違うということで御理解を賜りたいというふうに思います。
○西村(智)委員 結局のところ、子育て支援、あるいは小渕担当大臣の方から社会的な基盤の整備が大事だというようなお話がありましたけれども、やはり一人の子供の育ちという点で、子供のライフサイクルといいますか、そういったもので見ていけば、やはり単年度限りというのは、これはおかしいと思うんですよ。そこのところはよくよく、厚労省は今後の検討でよく含んで考えていただきたいと思います。
ちょっと時間がなくなってきまして、最後に一点、甘利大臣に公務員制度改革について伺いたいと思いますが、まず最初に、先ほど甘利大臣の答弁の中で、あたかもお父さんとか、何か公務員が、お父さんが公務員だとされると、お父さん、そういうことを言わないでというような御発言がちょっと答弁の中であったんですけれども、公務員はお父さんとか父親ばかりではないと思います。つまり、前回の通常国会で与野党の修正協議で成立した基本法には、「男女共同参画社会の形成に資する」ということがちゃんと第二条に書かれておりますので、女性の職員の登用や任用にも取り組んでいくということも重要であると思いますので、その点御留意をいただいて、先ほどの答弁でちょっと気になりましたので一言申し上げて。
それで質問は、先ほど馬淵委員の質問の最後の方に、内閣人事局の制度設計について、いろいろなスケジュールも含めたお話がありました。
私も、顧問会議それからワーキンググループの議事録、大体目を通しましたけれども、やはりワーキンググループの日程が非常に窮屈で、きょうの夜、関係省庁からヒアリングを行って、あしたもう一回議論をやって、あさって、第四回の顧問会議でワーキンググループからの報告ということですから、非常に日程がタイト。しかも、その中で検討されている案は、各省庁にまたがっている機能の中から総務省の二つの局でつくるという案が出ており、それに対して顧問会議のメンバーからは異論が出されということであります。
私たちが懸念していますのは、この内閣人事局というのは、与野党の修正協議の中で特に民主党の修正要求で、政治による人事の一元化ということを強力に打ち出して盛り込んだ条文だと思うんですね。そこが、ある意味今まさに骨抜きになろうとしているのではないかという心配があるわけであります。
この条文そのものは、やはり与野党で修正をして一緒に成立をさせたものでありますから、まさにこのぎりぎりの段階になってからでありますけれども、ここは大臣の政治判断として、これからでも遅くはないと思います、与野党協議でこの内閣人事局の制度設計について話し合う場をつくっていただきたい。それは甘利大臣から先ほど明確な答弁がいただけませんでしたが、このことについて、やるつもりがあるか、あるいはつもりはないか、そのことはお答えをいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 まず、その前に冒頭のお話ですが、正確に私の話が伝わっていなかったのかもしれません。官民人材交流で、民間企業の人が役所に入っています。その人は男の人なんです。その人が民間企業を離れて役所に行くんだといったときに、子供から、お父さん、どうして民間を離れてわざわざそんな悪い人のところに行くのと言われた、それがつまり子供が持っている役所の印象なんですね。そうであってはいけない、お父さんがいいところに行って私も鼻が高いわと言われるような役所にしなきゃならないという意味で申し上げたのでありまして、その来ている人が女性だったらお母さんになっているわけでございます。
それから、基本法が最終的に修正されたときに、与野党協議で修正をされたということは承知をいたしております。そして、顧問会議でも、あるいはワーキンググループでも、その修正を踏まえて議論をしていただいています。
私は、冒頭、顧問会議に出ましたときに、立法府の意思を超えるようなことは顧問会議もワーキンググループもできませんからねというお話はいたしました。つまり、与野党の修正の趣旨をしっかり受けとめて、その範囲内できちんと議論してくださいと。立法趣旨を超える、立法府が決めたことを超えるようなことを総理の諮問する有識者会議で結論を出すことはできませんからねと言っていることでありますから、民主党さんの趣旨に沿って、今議論をさせていただいているところであります。
そういう契機にありますから、さらに御意見があれば伺いたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 御意見があれば伺いたい、そう思っていただいているのはそれは大変いいんですけれども、そういう場を設けて、改めてこの内閣人事局の設計について協議する場を、では、大臣御自身は設けるおつもりがある、言ってもいいよということは、それは大臣が主催してそういった場を設けることも考えるというふうに理解してよろしいんですか。
○甘利国務大臣 今までも事務方はそうさせていただいていると思いますが、民主党の政調会のところに説明に今までも行っているはずなんですが、そこで御意見があればいただきますということであります。
○西村(智)委員 事務局ではなくて、行っていただきたいのは与野党協議でございます。この制度設計は、本当にこの基本法のまさに核となるところでありますので、甘利大臣、近日中にいわゆる政治判断、これをされるということでありますけれども、与野党協議についてもぜひ大臣の政治力で判断をしていただきたい、そして開催をしていただきたいというふうに思います。
それについて要望をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
きょうは、先日の大臣の発言を受けて、そしてまた十月三十日に麻生総理が発表された緊急経済対策について、与謝野大臣それから鳩山大臣、甘利大臣に質問させていただきたいと思います。
冒頭から緊急経済対策について入るつもりでおったんですが、先ほど自民党の遠藤委員から幾つか見解を大臣にお聞きした際に与謝野大臣から答弁のあったことについて、ある意味で認識のすり合わせをしたいという思いからちょっと質問を、また私の見解を申し述べたいと思っておるんです。
先ほど、小泉改革に対する評価のところで与謝野大臣は、一つは精神革命であったということ、それから、有効需要創出に財政出動はしないという方針を貫いたということ、ここのところは高く評価をされておる。一方、地方が疲弊してしまった、非正規の雇用が蔓延してしまった、それから、人気、支持率が高い、いわば政治的な資産があったときに国民負担をお願いするような財政再建をすべきであった、ここについては批判的またはこうすべきであったという要望だというふうに思っております。
実は私自身も、先ほど来の議論の中で頻繁に出ております、市場原理に任せていい部分、分野と、それから任せてはならない分とあると。与謝野大臣がおっしゃったことは、ある意味では市場原理に任せてはいけない部分についての配慮が足りなかったと。一方、有効需要創出に財政出動させない、しないということを評価されておる。実は私もこの部分は非常に評価をしております。
一言で言うならば、小泉改革というのは、セーフティーネットをきちっと張る、地方それから生活者に対するセーフティーネットをきちっと構築しながらの改革であれば、私は、今の日本が直面している一番の問題は、実は依存から自立へということだったんだろうと思うんです。
二十一世紀に入ってからの我が国の課題は、個人であれ地方であれ企業であれ、依存から自立へというのがやはりキーワードであったというふうに思っています。そういう意味では、これまでのように、ちょっと景気が悪くなる、企業業績が悪くなればすぐ政府に頼んで、財政出動によって回復をしていた、まさにその依存経済体質というものを排して、どんなにたたかれようと、さっき言いました競争原理、市場原理に任せていい分野について、財政出動をしない中での有効需要創出を図ったことについては私自身も高く評価をしているところであります。先ほど来与謝野大臣が見解を述べられておりますこと、ある意味で共通認識が多いというふうに思っております。
と同時に、これも大臣が答弁されておりましたけれども、社会保障は所得の再配分である、ただし、所得がなければ配分もできない。そういう意味で、やはり経済成長を、先ほど言いましたけれども、依存しない形で成長する力を我が国としてつけていくことが必要だというふうに思っております。
私自身は、ある意味では見解をかなり共有するという言い方で今発言をさせていただいていますけれども、私が申し上げた依存から自立へという大きな流れがあるんだということについての与謝野大臣の見解をひとつお聞きしたいと思います。
○与謝野国務大臣 自立できる方には自立をしていただかなければならない、自立できるのに依存症にかかっていただいては困る。ただし、自分の責任でなく立場の弱い方というものは社会におられるわけですから、そういう方々にはやはり、依存という言葉は余り使いたくはないのですけれども、他の人間が、社会保障という言葉で全体まとめていいと思うのですけれども、そういう制度を通じて手を差し伸べるというのが近代社会のいいところなんだろうと私は思っております。
○吉良委員 今大臣が発言された部分については私も同感でありまして、私もよく地元でも言い続けておることが、頑張りたくても頑張れない状況にある方々、例えば身体障害者の方々、この方々に手を差し伸べるのは政治として当然のことだと。ただし、頑張れるのに頑張らない、それで結果的に弱者だ、政治を何とかしてくれ、国をしてくれ、ここの人たちについては、頑張れ、頑張れと。頑張る環境をつくっていくことが政治の役割で、結果的に弱者だからといって、頑張れるのに頑張らない人までいたずらに支援をし続けたならば、本当の弱者、真の弱者に厚く配分ができないということで、頑張れる人には頑張れと言うのが政治の責任だということを言っています。
その意味を含めての依存から自立へということでありました。この部分をちょっと確認させていただいた上で緊急経済対策についての話に移りたいと思っているんです。
麻生総理が記者会見をしたときに、幾つか冒頭で述べておられる発言があります。
米国のサブプライムローン問題に端を発した今回の金融危機は、百年に一度の危機だ、それから、日本の金融システムは、欧米に比べ相対的に安定しております、土台はしっかりしているということだ、しかしながら、全世界的な金融システムの動揺というものは、株式とか債券市場を経て、世界の、また日本の実物経済、実体経済にも影響を及ぼしてくるのは確実であろうと存じます、こういうようなことをおっしゃっておられます。
私、実は気になっておりますのが、世界的に、また日本の中でも、また政府の中でも、サブプライムローンが発端となって、また、それが現実化したリーマン・ブラザーズの破綻が発端となってという言い方をよくされておりますけれども、それは、充満していたガスの中に火をつけたということであって、ガスが充満していったということについてはそれだけではないというふうに思っているんです。
その中で、私は、日本がずっと低金利を続けている状況、それからもう一つは、やはりどうしてもこれまでの経済成長が輸出頼り、輸出企業頼り、したがって、政府としてどうしても円高に振れさせるわけにはいかない。この二つの要素が、円キャリー取引と言われる形で、ある意味ではそのガスの一端を担ったのではないかというふうに思っているんですね。
ですから、一方的にアメリカの問題だった、今いい迷惑をこうむっているんだと言わんばかりの発言については、私はいかがなものかというふうに思っておるんですが、この辺、与謝野大臣の見解はいかがでしょうか。
○与謝野国務大臣 今回の金融危機は、先生がおっしゃるとおり、サブプライム問題が事の発端だったんですけれども、実際はさまざまな、金融工学というのはどういうものかわかりませんけれども、証券化商品、あるいはギャンブルにも似た証券化商品、CDSとか、信じられないようなものが日常的に取引をされていた。それが無理な水準まで行っていたのが、昨年、フランスのパリバがサブプライムの問題から手を引くというところから始まったんだろうと思います。
私も先生と同じ質問を、実は日銀総裁をやめられた福井さんと会って、やめられた後ですけれども、日本の低金利政策がその一端を担ったんじゃないかという質問をしたことがあります。福井さんのお答えは詳細に覚えていませんけれども、決してそうではありませんというのがお答えでした。そういうものかなと思っておりました。
ただ、日本銀行の低金利政策、バブルの後始末の結果発生した低金利時代、これが長く続き過ぎている、やはり低金利が資源の最適配分にはマイナスの影響を持っているというふうに私個人は思っております。しかし、金利を上げるということに対しては非常に経済社会的に抵抗が強い。日銀も、中立性を持ち、独立性を持っているんですけれども、なかなか思うような金融政策がとれない、そういうことはあったと思います。
円キャリートレードが盛んであったことも事実ですし、今はその円キャリートレードが逆の方向に動いていて、いわば兜町では円キャリートレードをやっていた人たちの売り越しとか取引の解消とか、そういうことが非常に行われている、これが円相場にも株式市場にも影響が出ている、そういうふうに思っておりますが、ただ、全体で見れば、低金利政策をとったということが、やはりバブルからの脱却に貢献していた側面というのは大変大きいんじゃないかという正の評価も私はしているわけでございます。
○吉良委員 資料を見ていただきたいと思っておりますが、二枚ついています。
福井総裁の話として、円キャリー取引が必ずしも原因ではないという発言だったということではありますけれども、この資料で見ていただけるように、上に出ている薄い線は価格です。その下のちょっと濃いグラフはまさに円売り・ドル買いのグラフ、下の色がついている部分が円買い・ドル売りということであります。この面積を見れば、明らかにここ数年はまさに円キャリー取引と言われることが続いていたし、ことしの三月に一時急激な円高になったときから、よく言われているように、対ドルに関してはその巻き戻しが起こってきた。今回は、ドルプラス、ユーロも含めてあらゆる通貨の巻き戻しが入ってここまでの円高になっている、こういう了解をしておるわけであります。
私も、経済の学者でも専門家でもないんですけれども、私がこの問題を取り上げようとしているのはなぜかというと、ある意味で与謝野大臣にエールを送りたいからなんですが、二つあります。
一つは、先ほど言いました、低金利政策とはいいながら、国債残高五百三十四兆円ですか、それから七百七十八兆円と言われる長期債務、これを抱えて、八百兆円とすれば、一%金利が上がれば八兆円という金利負担になる。今はそれを主に国内のお金で賄っているからまだいいようなものの、国内で移転するからいいようなものの、ただ、政府から見れば、一%上げるだけで八兆円もの金利負担になるわけですから、これは上げようがないというのが実情だと思うんですね。これが第一点。
それから二点目は、これもよく専門家から言われていることですけれども、我々、一ドルは百二十円と百三十円ぐらいが正常な為替レートだというイメージを何となく持っていますから、ここしばらくの百五円―百八円というようなレンジの為替相場というのは、ずっと円高というような錯覚に陥っている。
ただ、御承知のとおり、釈迦に説法になりますけれども、この十年のアメリカの平均的な物価上昇率は二・一%、ここ十年でいえば約二五%弱の上昇になって、それを今の円相場から逆算していくと、実はちょうど十年前の十一月の最高値が百十四円、一番安値が百二十四円なんですけれども、それを今言った物価上昇率で換算しますと、八十六円から九十四円でもおかしくないという状況なんですね。ということは、百五円前後でもずっと円安だったということだと思っているんです。
なぜ円安なのか。先ほど言いましたように、日本の産業構造自体が常に輸出依存しているがゆえに、円高に振れさせたくない。だから、投資家から見れば、一方で金利差がこんなに米国とヨーロッパとあって、しかも、通常であればこの金利差は円高に振れることによって解消されるはずが、円高にできないわけですから、それは借りたい放題借りて、それをドルに投資、ユーロに投資、豪ドルに投資して、これは普通、当たり前の行動だというふうに思うんですね。
私は、低金利を余儀なくされる、または常に円安に誘導せざるを得ない、この日本の経済体質をやはり変えていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう意味での財政再建路線というのを私は支持するわけなんです。
自民党さんの内部でも、上げ潮路線を唱える方が大勢いらっしゃるというように承知しておりますが、ある意味で、今回のリーマン・ブラザーズ、サブプライムローン以降の一連の国際的な金融不安、危機、経済不安、経済危機は、上げ潮路線というのは美しいですよ、ただ、現実問題として二つある。いつもいつも上昇というか、幾ら政府が経済成長と言っても現実が動かないときもあるというのが一点。もう一つは、さっきも大臣おっしゃった、これだけ人、物、金という国境がなくなって、特にお金の国境がなくなっている今、日本だけで経済政策だ、金融政策だと打っても、日本だけでは完結できないという時代になってしまったというふうに思っているんですね。
そういう意味で、私自身は、上げ潮というと聞こえはいいけれども、やはりきちっといかなる場合でも財政再建をしていく、債務の返済をしていって、金利、金融政策も発動できるような国にしていかなければいけない。それからもう一つは、やはり内需主導の、ほかがどれだけくしゃみしようが日本は風邪を引かなくていいような内需中心の経済にしていかなければいけない、このように思っております。
そういう意味で、もちろん財政再建と経済成長というのは車の両輪だというのは、これは国会議員である以上だれしもがそう思っているわけですけれども、どちらにより比重を置くかということについては、私は、それこそ将来世代への責任を感じるときに、やはり財政再建は待ったなしだというふうに思っております。
同じような考えだと思うんですが、大臣の見解を。
○与謝野国務大臣 先生の御指摘のとおりだと私は思います。
なかなか気がつかないんですけれども、八百兆も超えた借金を持っていると、金利に対する脆弱性というのが非常に強い。一たび国債が消化できなくなると、長期金利を上げざるを得ない、上がらざるを得ない。これはやはり経済にも非常に悪い影響を与えますし、また財政にも極めて厳しいことになる。
そういう意味では、財政再建というのは、やはり将来の世代のためにもやらなければならないし、近い将来の経済のためにも、財政規律を守るという姿勢を持たないと、経済も財政も両方もたない。これは先生の御主張のとおりだと思っております。
○吉良委員 先ほど大臣が、小泉さんが政治的資産、すなわち人気、支持率が高かったときに思い切ったことを言うべきであったということでありますけれども、私は、米国でオバマ大統領が誕生したと同じように、今回やはり日本にとって、ある意味ではもう戦後、終戦直後に匹敵するぐらいの一番の困難な時期であるというような位置づけで、政府として国民に対して一緒にこの苦難を乗り越えていこう、ただ単にばらまきをしていくんじゃなくて苦難を乗り越えていこうというメッセージを発する必要があるというふうに思っています。
そういう意味で、今回、緊急経済対策という名のもとに発表されたメニューは、もちろん足元を見たときに必要なことはたくさんあるというふうに思っています。例えば、信用保証協会の枠だとか政府系金融機関の融資枠の拡大だとか、その辺のところは私も評価をしておるんですけれども、総じて言えることは、やはり、申しわけないですけれども、選挙を前にして総花的、かつ、ばらまき的な要素が極めて高い、こう言わざるを得ないと私自身は思っております。
その中で私は非常に気になることは、高速道路料金の値下げというものを打ち出しております。
御承知のとおり、私ども民主党は、値下げではなくて無料化ということをずっと主張しております。時間がないので多くは申しませんけれども、私どももばらまきとか耳に聞こえのいいことを言っているのではなくて、債務保有機構が持つ四十兆円を今のまま返済、今少しは安くなっていますけれども、四%近い金利で返済すると、総元利返済額が百兆円近くなる。これはある人のアイデアでありますけれども、今安い例えば二%の国債に借りかえると、一時的には国債残高がふえますけれども、総元利返済額は、例えば二%の場合でも五十六兆円で済む、それでいて一方ではただになるということでありまして、単に私どもは聞こえがいいから言っているのではなくて、現在、将来の国民の負担、利便性を考えて無料化を主張しているわけです。
無料化と値下げというのは全く似て非なるものなんですが、地方再生、活性化にも役立つと思うんですけれども、この高速道路料金の無料化と値下げの違いについて、与謝野大臣の意見を伺いたいと思います。
○与謝野国務大臣 簡単に申し上げますと、高速道路を維持していくためには、償還という名の借金返し、それから維持費、それから借入金の金利負担、この三つが必要なわけでございます。
民主党の案は、二兆一千億の収入がまるっきりなくなるわけですから、償還財源も、払うべき金利も、あるいは維持費も、どこからお金を持ってくるんでしょうかという問題が多分残るんだろうと思います。
今回の政府・与党が決めました案は、少なくとも償還財源、金利負担、維持費、こういうものは辛うじて賄っていけるという、その範囲内での一部の引き下げでございまして、そこは民主党のようになかなか大胆になれない悲しさでございます。
○吉良委員 皮肉たっぷりに言われましたけれども、民主党案と私自身の個人的な考えと、私自身は実は、個人的な話をちょっとさせてもらいますけれども、今の特定財源、本則分は一般財源化で、暫定税率の部分を、私はさっき言った無料化をする際に、あたかも住宅ローンを借りかえるように、今の四十兆円を一括返済して安い金利にかえる。これは十年物だ、二十年物だ、三十年、ミックスでもいいです。最長三十年物に全部二%でかえたとしても二十四兆円ですから、今よりもはるかに総元利返済金は少なくなる。おまけに利用料がなくなるということですので、私はその方がより現実的だと思っています。
鳩山大臣にぜひ頑張っていただきたいのは、これは地域活性化のまさに起爆剤になるというふうに思っているんですね。料金所があるなし、なくなれば高速道路も、たまたま自動車専用で高速で走れるという国道に違いないわけですから、いわば生活道路として使える。今のように料金所があるがゆえにインターでぐるぐる回って、出入り口をつくるのもお金がかかりますけれども、米国のようになくなれば、簡単に上がり下がりで安くつくれます。
それから、一番大きいのは、やはり経済圏と生活圏が大幅に広がるということであります。ですから、今、地方でも、実は私の大分でもそうですけれども、大分市に大分県の郡部から一極集中が起こっているんですけれども、郡部で生活をしながら、住居を営みながら大分で働くこともできるというのは、経済圏、生活圏がぐっと広がるというメリットがあります。
だから、そういう意味で、無料化するということは、料金を下げるというようなレベルではなくて、もうまるっきり変わってくるということを御理解いただきたいと思うんですが、鳩山大臣。
○鳩山国務大臣 おたくの幹事長がアメリカに留学しておるときに遊びに来いというので、私は初めて海外へ行った。それで、スタンフォード大学でしたからサンフランシスコの近くでありまして、フリーウエーというんですね。
あのころ兄弟でよく議論したのは、フリーウエーというのは何がフリーなんだろうと。シグナルから信号がないという意味でフリーなんだろうか、それともただという意味なんだろうかというような議論を随分しましたし、まあ、あれだけのフリーウエーがあるというのはすごい国だなということは驚いた、もう今から考えると四十年近く前の話でございます。
先生がおっしゃっている地方の活性化に役立つということは、それは高速料金が安ければ安いほど、ただであればそれはどんどん利用できるわけでありますから、物流という意味ではコストも下がりますし、大変地域に活気をもたらすということはあり得るでしょう。しかし、私も与謝野大臣と同じ考えを持っているわけでございまして、実際、年間二・一兆円の料金収入がなくなって、今は六社が合わせて、大体機構へ二兆円払い、管理費も六千億近くある。これが一体どうなるのかなということを考えますと、無料というわけにはいかないというふうに思っております。
それと、もう一つ。私は環境派でございまして、もちろんそれは、自動車がハイブリッドになり電気自動車になっていけば、あるいは燃料電池ですべての自動車が走れば別でございますが、高速道路を無料化した場合に、何でもかんでも高速道路を走って、また渋滞も起きるということで、二酸化炭素がどんどん出るのはいかがなものかという観点も私は考えております。
○吉良委員 ちょっと時間の関係で、それに対してまたいろいろ反論したいことと、それから、今回の経済対策で思うのは、本来、法律上は、新しくできた道路会社が計画を立てて、国土交通大臣の認可を得て料金の値下げをするということなんですが、今回は、だれがどう見たってもともと国の圧力先にありきで、何のために民営化したんだという疑問を私自身は持っていますが、きょうはもう時間がないし、また場所も少し違うかもしれませんので、これは問題提起だけにさせてもらいます。
甘利大臣にお聞きしたいと思っていますが、日本政策金融公庫、新しく発足をいたしました。
甘利大臣には二つのことをお聞きしたいと思っているんですが、今回、緊急経済対策の中に、レアメタルとか鉄鉱石の開発というのが入っています。これ自身は、私も、甘利大臣に前言いましたけれども、四年前からレアメタルの安定確保とかいうようなことは経済産業委員会でも訴えておるので、その重要性はわかるんですが、なぜ今回緊急対策に載っているんだ。これは、平時、日常やるべきことであって、まさに甘利大臣が経産大臣のときに南アまで行かれてやられておって、これをまた今回緊急経済対策に出してくる。正直言って、先ほど言いましたように、中身は異存ないんですけれども、どうしてもこれは選挙目当ての一種のPRメニューとしか思えないということであります。その点についての御見解を一つ。
それから、日本政策金融公庫が統合する際に、経済界からも、JBICだけは別扱いしてくれと。当初は独立を維持することをかなり主張したと了解していますけれども、最後統合されるに当たっても、これまでのネームバリューだとか、まさに日本の経済外交の実施機関、実行部隊であるというようなこと、それから、今のレアメタルや鉄鉱石とも絡めますけれども、まさに日本の経済安全保障に直結する実行部隊であることを考えると、このJBICが、これだけ日本の、ある意味では経済安全保障が脅かされているときに、ほかの中小企業金融公庫とかと一緒になっていること自体、私は今でも理解ができないんですね。
これは、今後の日本の経済安全保障を考えたときに、やはり、独立性を持たせるというよりも、独立組織にすべきだと。ただし、これまでのように大蔵省のトップが必ず総裁につくのではなくて、生え抜きだったり、民間からトップを出すようにすれば、当初合体しなければいけなかった理由はないというふうに思っていますが、この二点について、甘利大臣。
○甘利国務大臣 まず前段の、レアメタルの探査、調達ですね、これを経済対策の中に入れた理由。おっしゃるように、恒常的な政策として取り組んでいくべきもの、それはそのとおりであります。私もそう思いますが、これから金融が非常にタイトになってくる。そういう中にあって、民間企業がリスクの高いこういう資源調達をする際に、政府系が支援をするというのはどうしても必要なことだと思いますし、特に金融情勢がタイトになってくる状況であるだけに、そこの部分をしっかりとカバーするという意味合いがあるんだと思っております。
それからもう一点。政府系金融機関の一本化をする、特殊会社でありますが株式会社日本政策金融公庫ができる。その中で、外に向けてはJBICというのは極めてブランドが、ネームバリューがあるんですね。全く別の名前で、日本政策公庫というような名刺を英文でして持っていっても、どこの方が来られましたかということになると思います。そこでは、JBICという名刺はそのまま通用するようにする、その名刺でいいと。そして、事業本部制でありますから、従来の専門チームが、持ち株会社の下に会社がつながっているような感じで、一つの事業体として外に向けては行動できるということで、何とかぎりぎり、先生が御指摘の部分については確保したんではないかというふうに思っております。
○渡辺委員長 吉良君、持ち時間が来ておりますので簡潔に願います。
○吉良委員 わかりました。
資料二枚目のところにつけさせてもらったんですけれども、今甘利大臣がおっしゃいましたように、JBICは非常に対外的に名も通っていて、独立性をある程度国として保障していかなきゃいけない。経済危機も含めて、まさにこういう緊急時にこそ、またリスクの高い案件に民間が挑戦する際に一番大事な機能を持った機関でありました。
ところが、新しい政策金融公庫の役員をずらっと見ると、まずは半分が官僚の天下り。もちろん、その前の公庫時代に理事をやっていた方々がほとんどなんですけれども、どっちかというと国内派が上位を占めて、JBIC出身者は二人しかおられない。もちろん、渡辺副総裁が国際金融についてはプロではありましょうけれども、それにしても余りにも少ない。また、意思決定の際に、こういう国内の金融と国際金融とはもうまるっきり違うということで、ぜひ、より強い独立性、私は、これからも言い続けていきたいのは、独立すべきだというふうに思っております。
ちょっと時間がないので、きょうはもう言いっ放しになりますけれども、またここのことについて的を絞って意見交換、議論をさせていただきたいと思います。
鳩山大臣には、本当は道州制についてじっくり聞きたかったんですが、もう委員長からもあれですので、次回、ぜひこの道州制について突っ込んだ議論をさせていただきたいと思います。
終わります。
○渡辺委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
きょうは最初に、ちょうど官房長官が提案者になられた、ことし五月九日の当委員会での宇宙基本法審議のときに、あのとき私の質問に、宇宙基本法により平和利用決議を否定したり無効にするようなものではありませんと、これは繰り返し言ってこられたことですが、六九年の平和利用決議の政府解釈というのは、あれは非軍事であったんですね。今度、宇宙基本法によって、その解釈は非軍事から非侵略に変えたわけですが、だから軍事利用できるようになったわけですね。
それで、自衛隊が公然と自衛隊の手で宇宙開発もできる、利用もできる、こういう解釈になっているというふうに思うんですが、この点、まず伺います。
○河村国務大臣 御指摘のとおり、さきの法案の審議の段階において、法案提出者といたしまして、同法が平和利用決議を否定するものではないという答弁をしたところでございます。
吉井委員御指摘のように、ただ、考え方の中に、非軍事、非侵略、この議論はその中でいたしたわけでございます。
○吉井委員 それで、宇宙基本計画をまとめるということで、宇宙開発戦略本部の専門調査会が既に始まっておりますが、十一月四日に開かれたときの事務局資料に沿って少し伺っておきたいんです。
そこに、「(早期警戒機能、通信手段の強化など)について検討を促進していく必要があるのではないか。」という問題提起があります。実は法案審議のときに、あのとき河村長官は、当時は提案者としてですが、早期警戒衛星を導入するかどうかについては別途考える問題であると答えておられました。法律が施行されると、すぐに早期警戒衛星が飛び出してきていますから、そういう点では、やはり宇宙基本法のねらいというのが早速あらわれてきたんじゃないかというふうに思います。
そこで伺っておきたいのは、早期警戒機能を持った防衛利用の人工衛星と言われているものは、これは早期警戒衛星のことですね。そして、そもそも早期警戒衛星とは、どういう目的を持った衛星なのかということを伺います。
○丸山政府参考人 十一月四日の専門調査会の資料に関するお尋ねでございます。
早期警戒衛星というのは、一般的に、その衛星に設置いたしましたセンサーによってミサイルの発射を探知する衛星、こういうものをいうと考えておりまして、これによってミサイル発射の事実を知らせる早期警戒情報を発出したり、あるいはミサイル防衛による対処を行うものであると理解しております。
○吉井委員 ですから、早期警戒衛星というのは、ミサイル防衛システムにおいてミサイル発射を、今おっしゃったように、赤外線によって探知する衛星なんですね。ミサイル防衛の重要な構成要素なんですよ。
何度か取り上げたんですが、官房長官も顧問として入っていらっしゃる自民党の日本の安全保障に関する宇宙利用を考える会では、わが国の防衛宇宙ビジョンをまとめたわけですが、その中で、ミサイル発射直後のブーストの段階では早期警戒衛星でなければ発射の探知はできないと、あれはカラーの図入りで説明しておられるので私もぱっと見てようわかるんですけれども、強調しています。
しかし、北朝鮮から七百キロぐらいの日本では、これは探知しても間に合わないものであって、例えばアラスカぐらいの三千キロとか、もっと長い射程の大陸間弾道弾のような長距離ミサイルには、この早期警戒衛星というのは意味を持ってくるわけですね。後は追尾監視衛星などを組み合わせてやっていくわけですね。
ということは、今言われている早期警戒衛星というのは日本の防衛のためというんですが、実際には早期警戒衛星、ミサイル防衛システム、これはアメリカのためのものではないのか。アメリカ本土まで届くミサイルへ対抗する早期警戒機能を持った人工衛星の検討の推進というのは、アメリカのミサイル防衛構想へ日本が一層深く協力をするということになっていくものではないのか。これは、どうも提案理由の説明で言ってはったことと大分違うのではないか。伺います。
○河村国務大臣 御指摘の点でございますが、宇宙基本法にうたっているように、日本国憲法の平和主義の理念にのっとって宇宙開発、宇宙平和利用をやる、この基本原則の中であらゆる角度から考えていく。そして、今御指摘のように、安全保障面から宇宙利用を考える会というのは確かにあって、いろいろな議論をいたしましたが、今、吉井委員御指摘のように、偵察衛星等々が、アメリカの今の仕組みの中に日本が組み込まれるというような議論をした覚えはありませんし、そういう考え方でこの問題を取り上げたとは思いません。
ただ、専門調査会においてもいろいろな議論があるわけでありまして、いろいろな議論の中の一つとして、今、吉井委員御指摘のようなことがあったわけで、このことは事実ではございますけれども、御懸念のようなことをこれから具体的にやるということはありませんし、また、まだ今の時点で何か方向性が決まったかという段階でも全くないので、いろいろなテーマについて議論をしてもらう、考えてもらう、いろいろな議論の中の一つとして提示してある、こういうふうに私どもは理解をしておるところでございます。
○吉井委員 日本の専守防衛ということでいけば、要するに、さっき言いましたように発射直後の、レーダー機能によって発射を確認する、しかし、これは日本にとって別にそれが必要なものというわけでもないわけですから、そういう点では、この早期警戒衛星に進んでいくということは、これはやはりアメリカのためのものということにならざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
「防衛利用にかかる今後の研究開発活動において、宇宙機関との連携の方策について検討していく必要がある」ということも提起しておりますが、ここで言う「宇宙機関」というのは、日本ではJAXA以外には宇宙機関というのはないと思うんですが、宇宙機関というのはJAXAのことを想定した表現ですね。
○丸山政府参考人 先ほど官房長官からも御答弁申し上げましたように、今の宇宙基本計画の検討におきましては、非常に幅広い問題についていろいろな角度から検討をしていくというのがまず基本的な考え方でございます。
今先生御指摘がありました宇宙研究開発機関というのは主としてJAXAでございまして、こういうものが専守防衛の宇宙開発利用を促進していく中で、そことの関係についても整理をしていく必要があるのではないかという問題意識でございます。
○吉井委員 そうなりますと、結局、JAXAは軍事利用のための宇宙開発を担当して、軍事開発機関ということになっていくのではないかということに今のお話はなってくるんですね。
それから、種子島とか内之浦にあるロケット打ち上げ射場は、これは自衛隊基地と共有になるのかどうかは別として、軍事基地としての性格を持ってくるのではないかという問題が出てくると思いますし、それからJAXA法四条、ここでは、JAXAの業務は「平和の目的に限り、」と定められていて、従来、これは国会決議に伴う政府解釈と連動して、非軍事ということで来ているんですね。
ですから、JAXAが軍事利用のための宇宙開発を進めるということは、JAXA法にも合わないし、憲法九条を踏みにじるということになってくると思うんですが、これは官房長官に伺っておきます。
○河村国務大臣 冒頭にも申し上げましたように、この宇宙基本法の精神は遵守しなきゃいかぬ、これは大前提であります。したがって、日本国憲法の平和主義の理念にのっとるということでありますから、今吉井委員御指摘のあったような御懸念は私は杞憂に属する部分になっていくのではないか。吉井委員はこの道に大変お詳しいものでありますから、いろいろな角度からおっしゃることは私も理解をいたします。
日本の平和憲法の専守防衛の中で考えていかなきゃいけない、これは大原則でありますから、それを踏み越えてということにはならない、このように思っております。
○吉井委員 今のお話なんですけれども、やはりそれはおかしいんですよね。
もともとJAXAというのは、JAXA法で平和目的をきちんと掲げて、それは国会決議のこれまでの政府解釈と連動し、憲法九条を踏まえてやってきたわけですね。そこへ、今ありましたように、軍事利用について、その研究開発活動において今までは全くその分野にかかわりのなかったJAXAをその機関として想定してやっていくというわけですね。
JAXAにかかわる施設といったら、今までは全部、宇宙物理を初めとして国際貢献を非常によくやってきた平和目的の機関だったんです。それが、射場その他が自衛隊の施設の一部にも共管であれ何であれなってくるということで、これはJAXA法に照らしてもずっと性格が変わっていくものになるということを、提案者は提案したときからもともとそれがねらいですということであったのかどうか知りませんが、やはり現実の動きというのは、彼は検討中だというお話ですけれども、その検討の内容が、JAXA法そのものを、あるいはJAXAの取り組んできた内容を変えていくものになるとすれば、これは日本の宇宙研究開発にとって重大な問題になってくるので、これはもう一度官房長官に伺っておきます。
○河村国務大臣 御指摘のとおり、JAXA法の第四条が平和目的の限り、こうなっておることは私も承知をいたしております。しかし、このたびの宇宙基本法によって、先ほど御指摘のように、非軍事から非侵略という考え方もとり得るという判断に立っておるわけでございます。だからといって、日本の平和憲法の枠を出るということにはならないわけであります。
したがって、これはこれからの検討課題だと思いますけれども、やはり、我が国の安全保障に資する宇宙開発利用をJAXAが担うべきか否か、これはまた別の問題として考えていかなきゃならぬと思いますし、今後、JAXA等の宇宙開発利用機関、ほかにもございますが、これは、今回の宇宙基本計画等々も今からつくっていくわけでございますが、そうした中でJAXAのあり方についても見直しの検討になっております。それをどのような形で見直すかというのはこれからの本当の課題でございまして、まさに日本は平和憲法の専守防衛の中でやるということでありますから、それを当然踏み越えることにはならない。
しかし、JAXAの見直しの方向あるいは宇宙開発委員会の見直しの方向は既に打ち出されて、今から検討に入るということになっておる、こういうことは申し上げておきたいと思います。
○吉井委員 ですから、結局、宇宙基本法というのは国会決議をなきものにする。国会決議の段階では政府解釈でもこれは非軍事だったんですね。しかし、それを非侵略へと拡大することによってJAXAそのものを変えてしまうところへ今行こうとしているという大変危ないものに、やはり宇宙基本法はそれを生み出してきたということを指摘しておきまして、これはまだ引き続きの議論ですから、GXロケットについても聞いておきたいと思うんです。
宇宙戦略本部の専門調査会では、IHIが「GXロケットの現状・課題及び展望」という資料を提出して、GXロケットのアピールをやっています。GXロケットというのは、開発費用が当初の数倍に膨れ上がって、宇宙開発委員会として開発中止を勧告する方向というふうに聞いてきておりますが、事務局資料にも、GXロケットの位置づけは大きいけれども、開発が暗礁に乗りかけているGXロケットの開発はあくまでも宇宙基本計画に織り込もうとしている、そういうふうにうかがわれるんですが、これはそういう方針で臨むということですか。
○丸山政府参考人 GXロケットにつきましても現在検討中でありまして、十一月四日、ただいま先生から御指摘のありました宇宙開発戦略本部のもとに設置された専門調査会の会合におきまして、人工衛星とロケットの問題をどういうふうに考えるかという検討をいたしました。その際、実際に民間でこれを行っておりますIHIから、GXロケットについての開発経緯を含む現状、それからGXロケットプログラムの完成に向けての課題というものについての御説明を伺いました。
以上でございます。
○吉井委員 IHIが出しているこの資料を見ると、GXロケットというのはもう最初から軍事ロケットとして開発されているのではないかというふうに考えざるを得ない内容ですね。
この資料の中にありますが、三ページ目に、実証試験機の打ち上げ射場にはアメリカのバンデンバーグ空軍基地を使い、日本の安保目的の打ち上げ手段とする、こう記されていますね。
四ページ目には、GXロケットの将来展望、我が国の宇宙利用は従来の通信や放送の分野から災害、環境の監視機能、防衛目的の偵察機能の強化等に比重が移され、国民の安全と安心に資するいわゆる広義の安保目的に沿った中型の地球周回型低軌道衛星の需要が大幅に増大していくことは自明である、現在運用されている情報収集衛星システムのさらなる強化や防衛省による新しい企画が求められるものと考えられていると、わざわざ太いアンダーラインを引いて強調していますね。
さらに、GXロケットは、安全保障に係る中小型低軌道周回衛星の打ち上げに際し極めて実用性の高い輸送手段であるとも提案して、安全保障に係る中小型低軌道周回衛星とは情報収集衛星と考えられますが、この情報収集衛星の打ち上げロケットにする、要するに偵察衛星の打ち上げに使うというのがこのGXロケットのねらいなのかどうか。伺います。
○丸山政府参考人 GXロケットにつきましては、先生よく御承知のとおり、H2Aロケットという大型のいわば基幹ロケットが既にございます。ただ、日本としてこの大型のロケットだけでいいのかどうかというようなことで、私どもの問題意識としては、大型、中型、小型というラインナップを持つ必要があるのかないのか、そういった問題意識でこのロケットの問題について検討をしたいというふうに考えております。
いろいろ御指摘のあった、米軍基地を利用するとか、あるいはその安全保障目的衛星を上げたいというのは、このIHIという会社のいわば御意見ということで私ども承りましたので、こういうものを参考としながら、今後GXロケットの問題について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○吉井委員 石播のこの資料の六ページ目には、GXロケットの実証試験の打ち上げについて、米国空軍のバンデンバーグ射場を借用して行うことになれば、日米が協力して行う安保にかかわる、特に防衛分野のアクティビティーの中で最も重要とされる相互運用性を確保する上で極めて効率的であると、非常に太いアンダーラインを引いて強調しているんですね。だから、これは日米共同して軍事ロケットの開発ということになってくるのがGXロケットの目指しているものだ、そういうふうに読み取られてもしようのないものだと思うんです。
これは長官、あなたは提案されたときに繰り返し繰り返し、何かちょっぴり軍事利用も可能にするだけで、基本は非軍事で、ちょっと非侵略に拡大するぐらいのお話で、あくまで平和目的だということで言っておられたと思うんですよ、提案理由のときには。しかし、現実に進行していることはかなり違うんじゃないですか。
○河村国務大臣 あの議論の中で、GXロケットの問題については、今日本が開発しておりますいわゆるLNGエンジン、世界最新の技術であります。これと、世界的に多くの実績を有する最高水準を持っているアメリカの技術を組み合わせたいわば日米協力開発のシンボル的プロジェクトであるというふうに我々は考えておるわけでございます。
もちろん、宇宙を安全保障の面からもやはり考えていかなきゃいかぬ、これは日本だけの問題ではなくて世界各国がそういうことを考えておりますから、そういう意味で、宇宙基本法の中で非侵略という言葉を使ってきたのもそういうことであります。
しかし、それが日本の攻撃型の軍事利用に変わっていくということは、日本の平和憲法下では考えられないことです。きちっとした歯どめがあるということ。その前提に立ちませんと、吉井先生が心配されるような話へ広がっていくわけでありますから、そこの歯どめを持ちながらいろいろな角度からこういう問題を考えていこうということで、その方針は、あの当時の議論と今も変わっていない、こういうふうに考えております。
○吉井委員 米空軍の基地で日米共同して打ち上げるわけですよ。そして、当然、軍事基地の中でやることですから、軍事機密で科学技術情報は随分囲われてしまうわけですね。結局、これは日米共同しての軍事ロケットとしての開発という道に行き着かざるを得ないという点で、私は最初から国会決議を破るための基本法だということを言っていましたけれども、しかし、提案者の当初の御答弁ではそうじゃないんだということをかなり言っておられたけれども、今現実に進んでいるものは、やはり宇宙基本法というのは国会決議をなきものにするというのが一番のねらいであったということが浮き彫りになってきたというふうに言わなきゃならぬと思います。
官房長官は御予定がおありと思いますので、あとは消費者問題に移りますので、どうぞ。
次に、消費者問題なんですが、食の安全と検査体制の問題について。最近、この間もファミレスのサイゼリヤの輸入冷凍ピザから有機化合物メラミンが検出された問題とか、こういう事故が随分多発しています、この間。この根底にあるのは、やはり輸入手続の迅速化、簡素化をうたって、水際チェックの機能をきちんと果たさない輸入食品の規制緩和が食の安全を非常に脅かしてしまったという、この現実をしっかり見なきゃならぬと思うんです。
ですから、そういう点では、輸入食品の検査率の引き上げをやらないと、消費者庁をつくるとか何をつくるとかいったって、消費者行政の一元化とともに消費者行政の中身をどう強化するかということなしには、これはほとんど言葉だけが躍ることになってしまうということを私は非常に懸念しております。
きょうは私、質問主意書で取り上げましたコーヒー豆の輸入について最初に伺っておきたいと思うんですが、実は、名古屋市の衛生研究所の坪内春夫さんという方が二十年前に既に発表された論文の中で出ておりますが、生のコーヒー豆から経口発がん性の強いアフラトキシンB1、オクラトキシンなどが検出されているということが報告されておりますし、これは、コーヒーのことだから焙煎すれば熱処理によって毒素の分解で低レベルの汚染量になるのではないかという議論なんかもあったんですが、実は実験してみたら違うということが明らかになっております。そこで私は質問書を出したんですが、政府の答弁書では、コーヒー豆の残留農薬やカビ毒性について、平均的濃度は把握していない、基準値を定めていないという回答でした。
そこで、きょう、皆さんのお手元に配らせていただいております表をごらんいただきたいんですが、この大量の汚染がわかったのは、要するに、食品衛生法違反件数が急に出たというのは、もともと検査していなかったんですよ、輸入検査を。だから、食品輸入全体で見ても、一九八九年の一八・一%が、二〇〇二年の段階で八・四%と半分に減ってしまっておったんですけれども、それと比べてもコーヒー豆の輸入の検査というのは、一%、二%、三%というところで低かったんです。二〇〇三年に二七%に検査率を高めたら、これは件数の方でですが、食品衛生法違反件数が重量で見て三百七十六トンへと一遍に、それまで毎年ゼロだと言っておったのがふえたんですね。
仮に、これを一〇〇%検査しておったらどうなるか。これは必ずしも簡単に当てはまる数字じゃないんですけれども、仮にという仮定を置いてですが、千六百トン汚染豆があった。つまり、十トンダンプで百六十台分、それだけの汚染コーヒー豆が出てきたということなんです。
翌年を見れば、検査率は結構あるのに逆に減っているなという感じ。これは、コロンビア政府の方で検査して大丈夫ですという証明書を発行したら、輸入検査をしないということにしてしまったから数が減っただけなんです。二〇〇五年は、ブラジル政府の方も同じように、輸出の検査証明書を出したら日本では輸入しても命令検査をやらないと。だから、検査しないものだから数が減っただけなんです。二〇〇六年にはゼロになっていますけれども。
やはりこの事態を見たときに、もともとコーヒー豆のカビというのは、船で長旅している間に赤道直下のところを航行するわけですから、そういうところで蒸れてくる。そういう条件の中でカビというのは繁殖するわけですね。だから、幾ら輸出国の証明書があっても、輸入時点で検査しなかったら、これはだめだと思うんですね。
やはりこの点で、これまでから三笠フーズだ何だといっぱい出てきましたけれども、これは食料品の、食品の輸入というものは、たとえ輸出国側で検査証明書がついておったとしても、それは尊重するにしても、輸入時点できちんと検査をする。これをやらないことには、数字の上では何か違反事項が減って安全になったかのように見えますけれども、全然実態はそうじゃない。
やはりそういうことをきちんとつかんだ上での食品安全行政というものを、私はこれは厚生省だ、農水省だという話じゃないと思うんです。それを政府として、国としてやはりやっていく。ずっと長い間、基準・認証の規制緩和というのをわあわあやっていましたけれども、そうじゃなくて、食の安全に関するものはきちんとやらなきゃいけない、これは政府として貫くということが必要だと思うんです。大臣に伺います。
○野田国務大臣 吉井先生はもう私以上にこういう問題について熟知されておられるわけで、まさにおっしゃるとおりであります。
私自身も、つたないながら、今、日本の食料事情、これは自給率が低い中、海外からの食料、食材に依存しなければならない現実があるとするならば、外から来る輸入食品も、国内の食品も、やはり同じ検査体制で、同じ人員でしっかりと取り組まなければならないということを持論としておりました。
ところが、現実にふたをあけてみますと、実態は、九月三十日に横浜の検疫所に行って私も愕然としたんですけれども、まず第一に、食物を海外から依存している日本でありますけれども、世界じゅうのほぼすべての国から食べ物を輸入しているという事実、かつ、人が足りないということなので、いわゆる水際の検疫には限界があり、御指摘の、例えば輸入品の中でもまだ生ものはいいんですけれども、加工食品に至っては、人手不足ゆえ全体の一%から二%ぐらいしか通常検疫ができないという事実等々ございました。
国会議員をやっていますと、地元でやはり市場があります。よく年の初めに初競りとかいって、青果市場を見ると、ほとんどの国会議員が気がついていると思いますけれども、日本の野菜と思っているものが意外と海外からたくさん運ばれているということは、ほとんどの国会議員の方が自覚があるんですけれども、ではこれまで、輸入食品に対してこれだけ無関心というか安心し切ってきた理由には、やはり一つには、海外の政府がきちっとやってくれるだろうという、そういう性善説的な、女性の私が言うんですけれども、紳士協定をしっかりとある意味うのみにしていた。
しかしながら、最近、吉井先生からお話があったように、中国でメラミンというのが乳製品の中に混入されていた。実は、横浜検疫所で聞きましたところ、そもそもメラミンが食物に混入されるということ自体が日本の社会では想定外であったと。ですから、メラミン検出で、初めは粉ミルクは来ていないから安心してくれということを情報で流したけれども、その後、乳そのものは来ていないけれども、乳製品を加工して使われたものが多数輸入食品として来ていたということが明らかになりました。
それを受けて、私たちは、輸入食品に係る事案が発生しているということで、政府全体で取り組もうということを申し合わせを早速させていただいたところです。今先生御指摘の検疫所における人員の拡充や検査機器の整備などは労働省が今は所管しておりますけれども、全体の中で強化をするということを確認している、または、輸入食品の国内への流通チャンネルの実態把握等もやはり緊急調査を実施するということで、全体的に政府全体で取り組むということを約束させていただいているところで、しっかり頑張ってまいりたいと思います。
以上です。
○吉井委員 それで、実はさっきのコーヒーの件ですけれども、私は事故が見つかった分をちゃんと処分したかどうかということなども聞いておったんですが、積み戻しとか廃棄処分とかいうんですけれども、しかし、答弁書にありますが、処分したという報告書を業者から検疫所長が受け取っていますというだけで、どこで処分したか、どう処理したかというのは全然国はつかんでいないんですよ。
これは、三笠フーズと類似の事件はどこであっても全然おかしくないんです。既に、それは真実はきちんと確かめなきゃいけない話ですからあれですけれども、いわゆる二級品という言葉があるんですね、コーヒーなんかでも。二級品というのは、事故、つまり汚染されたコーヒー等ですね、それはどこできちんと処分したのか何もつかんでいないんですから。そういうのが割安のコーヒーとして出回るとか、私もコーヒー愛飲者ですから、大変危ないことになってきているというのが実態です。
ですから、大事なことは、やはり、総務省もそういうところをきちんとこの間も勧告しているんですけれども、実際にきちんと調べられていない、それが実態なんです。輸入検査は一例で、いわゆるペケものについて本当に処分されたのかどうか。千六百トンもそんな積み戻して輸出国へ返すわけがないんですから、どこでどう蒸発してしまったのか、それをやはりきちっとやることが必要だということを言わなきゃならぬと思うんです。
この点だけは一点、簡潔でいいですから伺っておきたいのは、ことし、この問題で検査官のことを私聞きました。岸田さんがちょうど大臣で、食品衛生監視員の増員も含めて、体制強化が重要とお答えいただいたんですが、具体的に監視員を何名にふやして、輸入食品の監視体制をどう強めるかということ、これは簡潔で結構ですから、伺います。
○石塚政府参考人 検疫体制についてのお尋ねでございます。
食品衛生監視員の数でございますが、現在、三百四十一名ということでございます。これは、平成二十年の当初に七名の増員というものを行いました。そして、二十一年度につきましては、五十五名の増員ということで、例年にも増して大幅な増員を現在要求しているというところでございます。
○吉井委員 要するに、輸入物、ペケものの処分も含めてきちんとした監視体制を強めないと、三笠フーズの問題は三笠だけじゃないんだ、そのことをどれだけ強く受けとめて考えるかが今ポイントだということを言っておきたいと思います。
次に、マルチの問題について質問をします。
PIO―NETで九八年の一万六千件が昨年は一・五倍の二万四千件と、マルチの苦情が非常にふえているわけですね。
マルチの仕組みというのは、会員なり特約店なりをふやして商品販売をふやすと昇格して利益がふえるか、あるいはマージン率が大きくなって利益が出るというやり方で、大体これは計算しても、仕組み上、一人の人が一カ月に二人の会員なり特約店なりをふやしていったとして計算したら、二のn乗という、そんな難しい話じゃないですから、nが三十一になったら、つまり三十一乗になったら、これは一カ月に二人ふやすという計算ですが、二年と七カ月後か、日本の人口を突破するんですよ。一億三千八百四十一万人を超えるぐらいのふえ方をするのがこのマルチというものですから、仕組みそのものがもともと問題だし、社長とか初めのうちの幹部だけはもうけるんですが、圧倒的に一般会員は被害を受けるというのが仕組みなんです。その結果として、サラ金、やみ金被害に追い込まれる人が多いし、家庭、親族、友人関係など人間関係の破綻の被害が多数出ているというのが問題です。
それで、九六年に、四月の国会で悪徳商法の審議をやったときに、対策委員会の堺次夫さんが出席されて、私も質問しましたが、野田さんもあのとき委員で質問されて、よいマルチと悪いマルチという話をされたんですが、よいマルチというのは、無害なコレラ、安全なペストと言うに等しいと、これはこのときの堺さんのお話だったので私もよく覚えているんです。
ただ問題は、やはりマルチの問題について、最近の新聞でも議員を利用する業者の話もありましたけれども、実は私が伺ったのは、マルチ商法のバイワールド社というのを御存じですね。神戸市内のパーティーに参加した人から聞いたんですが、野田議員も参加しておられるのを見て安心して、昇格キャンペーンで百万円以上の商品を一度に買って、その支払いに生命保険を担保に金を借りて百万円振り込んだ、最終的に二百万から三百万の損失となったとバイワールド社のマルチ商法被害者が語っているんです。
資料を私預かってきましたが、この特集号にはここの社長と野田さんも一緒に出て、これがまた会員さんに配られて、ああ、国会議員さんも一緒にやっているんだから安心なんだなということだったんですが、そのときにバイワールド社が配っている資料を見ていまして、本社から販社、代理店、特約店、会員と、文字どおりマルチの仕組みなんですね。
売っているものも私見たんですけれども、何とか還元水の話もありましたけれども、やはり同じように浄水器というのも売っていまして、ミョンパワーの浄水器とかいうて、これが価格十三万円、浄水器、取りつけ工事費、部品込み三万円(別途)、取りつけ費要ります、消費税は含まれていませんなどとカタログに載っているんです。ボトル入りのスーパーミョンパワー水については、家庭の常備薬として一本お備えくださいと、水が薬だといって、こちらは百八十ccが六千円で売っているということですが、この組織構成図を見ても典型的なマルチ商法なんですね。
そこに、あなた自身が、利用されてしまったのかどうかはわかりませんけれども、やはりそこにかかわっていたということは、私は今、政治家として、非常に大きな被害がやはり出ているわけですから、そういう被害者の方について、消費者庁設置に先立って、まずマルチ商法の徹底追及、それから、マルチ被害をなくす取り組みはもとより、このバイワールド社のマルチ商法の被害者に被害金を返済させるなど、やはり被害者の救済。
つまり、これからの新しい被害の話じゃないんですよ。被害者が生まれているんだから、被害者の救済に立ち向かうということが、まず政治家としての大きな責任じゃないかというふうに思いますが、これを伺います。
○野田国務大臣 今のお話についてはちょっと通告をいただいていなかったので、きちっと正確な記憶がないものですから御答弁しづらいんですけれども、事実、そういう会社との、何年か前に国会議員としておつき合いがあった事実を踏まえ、今まさに、当時恐らくマルチのことをわからず、恐らく、今私が消費者行政に携わっているからこそ、通常はそういう企業というのは、自分たちはマルチ業者ですといってごあいさつにいらっしゃらず、例えば化粧品販売をしています、例えばこういう健康食品を売っていますということでのアプローチをいただく中で、その物のよさとかそういうことをおっしゃって、実際に自分が試したりなんとか、そういう中で、ああ、間違いないというような流れをつくってしまったのだと思います。その時点で、やはり私は、いわゆるマルチ業界ということに対して理解も浅くて、そういう被害者が出ていることも、その当時は本当に不勉強でわからなかったと思います。
ただ、今、吉井委員がおっしゃったように、実際に今、私自身がそういう皆さんからの、反省を踏まえてしっかりやれということをいただく中で、私が今できることは、まず国センとタッグを組みまして、内閣府の中にマルチ商法に対する特命チームをつくりました。これまでは国センでは苦情を聞くというだけでとどまっていて、抜本的なこれの取り組みをしていなかったことがわかりました。
ですから、これからはきちっと精査をして、何をして差し上げるか、クーリングオフなのか、それとも被害金を返すことなのか、それぞれ、やはり二万四千苦情がある中でさまざまな御要望があります。そういうのをしっかり精査した上で、今先生がおっしゃったような被害救済に向けて第一歩を踏み出していきたいということ。
実はきょう、議員の質問の答弁に立たせていただく前に、マルチ商法ネットワークビジネス被害者の会、そして被害者の家族の会というのが本日立ち上がられまして、まさに被害者である女性の方と直接お目にかかって、その被害の実態についてじかにお話を聞かせていただきました。
ここの代表は、よく被害者の御相談に乗っていらっしゃる紀藤先生という有名な弁護士さんですけれども、その先生と、やはりきちっと救済に向けて何ができるかというのを抜本的に取り組もうということで、いろいろ、一消費者としてその物にばかり目が行ってしまった自分もございましたけれども、今や、やはりそういう立ち位置を変えて、被害を出さない、そして被害を一日も早く救済できるような立場、立ち位置の中でしっかり取り組んでいきたいと思います。
どうぞ御指導よろしくお願いいたします。
○吉井委員 私、当時既に竹内先生の論文なんかは、これは一九七七年に出ていたんです。ですから、野田さんと私があの委員会で質問したときというのは、もう既にそれから二十年ぐらいたってからの話なんですよ。当時知らなかったというのは、今さら知らなかったことを責めるわけじゃないけれども、マルチの被害が既に出ていたときなんです。
あなたが、利用されたにしろ何にしろ、ミョンパワーとかいっていろいろなものを売って被害者が出ていることは事実ですから、これからの問題にどう取り組むかということはもちろんあるんですけれども、そういう被害を、あなた自身もかかわってこのバイワールド社などから被害を受けた方については、やはり被害者の被害を取り戻すとか、本当にそれをやることが私は政治家として最も大事なことだ、このことを申し上げまして、委員長、時間が参りましたので終わります。
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○渡辺委員長 次に、内閣提出、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。佐藤国家公安委員会委員長。
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銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○佐藤国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近の銃砲刀剣類等を使用した凶悪犯罪の発生状況等にかんがみ、所持の禁止の対象となる剣の範囲を拡大するとともに、銃砲刀剣類の所持許可の要件の厳格化、実包等の所持に関する規制の強化、銃砲刀剣類の所持者に対する監督の強化等の措置を講ずることをその内容としております。
以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、所持の禁止の対象となる剣の範囲の拡大についてであります。これは、刃渡り五・五センチメートル以上十五センチメートル未満の剣を新たに所持の禁止の対象とするものであります。
第二は、銃砲刀剣類の所持許可の要件の厳格化についてであります。
その一は、破産手続開始の決定を受けたこと、禁錮以上の刑に処せられたこと、ストーカー行為をしたこと、配偶者に対する暴力行為をして裁判所から命令を受けたこと、自殺をするおそれがあること等を銃砲刀剣類の所持許可に係る欠格事由に追加するものであります。
その二は、人の生命または身体を害する罪に当たる違法な行為等を行い、これにより銃砲刀剣類の所持許可を取り消された者の欠格期間を五年から十年に延長するものであります。
その三は、銃砲刀剣類の所持許可またはその更新を受けようとする者で七十五歳以上のものは、都道府県公安委員会が行う認知機能検査を受けなければならないこととするものであります。
その四は、猟銃の所持許可の更新を受けようとする者は、都道府県公安委員会が行う射撃技能に関する講習を受け、その課程を修了しなければならないこととするものであります。
その五は、十四歳以上十八歳未満の者で所持許可を受けて空気銃を所持することができるものの範囲を、国際的な規模で開催される一定の空気銃射撃競技に参加する選手等に限定するとともに、十四歳以上十八歳未満の者で一定の空気銃射撃競技に参加する選手等であるものが、射撃指導を受けるために、射撃指導員が所持許可を受けて所持する空気銃を所持することができる制度を導入するものであります。
第三は、実包等の所持に関する規制の強化についてであります。
その一は、猟銃の所持許可を受けた者は、帳簿を備え、当該猟銃に適合する実包を製造し、譲り渡し、譲り受け、交付し、交付され、消費し、または廃棄したときは、これに所定の事項を記載しなければならないこととするものであります。
その二は、銃砲を保管する者は、同一の建物内に当該銃砲に適合する実包等を保管しないよう努めなければならないこととするものであります。
第四は、銃砲刀剣類の所持者に対する監督の強化についてであります。
その一は、都道府県公安委員会は、銃砲刀剣類の所持許可を受けた者が当該所持許可を受けた後も引き続き所持許可の基準に適合しているかどうか等を調査するため必要があると認めるときは、その者に対し必要な報告を求め、もしくはその指定する医師の診断を受けるべきことを命じ、または関係者に照会して必要な事項の報告を求めることができることとするものであります。
その二は、都道府県公安委員会は、銃砲の所持許可を受けた者が人に暴行を加える等の行為をし、かつ、その粗暴な言動等から判断して、欠格事由に該当する疑いがあると認められる場合において、その者に当該許可に係る銃砲を保管させておくことが適当でないと認めるときは、当該銃砲の提出を命じ、調査を行う間、提出された銃砲を保管することができることとするものであります。
その三は、何人も、付近に居住する者等で銃砲刀剣類を所持するものが、その言動等から当該銃砲刀剣類により人の生命、身体等を害するおそれがあると認めるときは、都道府県公安委員会に対し、その旨を申し出ることができることとするものであります。
第五は、猟銃安全指導委員制度の新設についてであります。これは、都道府県公安委員会は猟銃の所持許可を受けた者であって人格識見にすぐれたもののうちから猟銃安全指導委員を委嘱することができることとし、猟銃安全指導委員は猟銃の所持及び使用による危害を防止するための猟銃所持者に対する助言、民間団体の活動への協力等の職務を行うこととするものであります。
なお、この法律の施行日は、所持の禁止の対象となる剣の範囲の拡大に係る規定については公布の日から起算して一月を経過した日、銃砲刀剣類の所持者に対する監督の強化に係る規定については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
○渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十二分散会