衆議院

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第3号 平成20年11月14日(金曜日)

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平成二十年十一月十四日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 岡下 信子君 理事 加藤 勝信君

   理事 渡海紀三朗君 理事 西村 明宏君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    宇野  治君

      遠藤 宣彦君    木原 誠二君

      河本 三郎君    中森ふくよ君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      市村浩一郎君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      西  博義君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     松浪 健太君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官)

   (内閣府犯罪被害者等施策推進室長)        殿川 一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    尾崎 道明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   高杉 重夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           立岡 恒良君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  池坊 保子君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  西  博義君     池坊 保子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府犯罪被害者等施策推進室長殿川一郎君、警察庁長官官房長片桐裕君、生活安全局長巽高英君、刑事局長米田壯君、法務省矯正局長尾崎道明君、外務省大臣官房審議官中島明彦君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、文化庁文化財部長高杉重夫君、経済産業省製造産業局次長立岡恒良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。どうぞよろしくお願いします。

 今回、ダガーナイフ等の大きな事件がありましたが、この問題がきっかけになって法改正ができるということは、私も非常に喜んでいるわけであります。

 実は、六月八日に秋葉原で起こったこの事件は、七人が死亡して十人が重軽傷という大変な無差別殺傷事件であったと思いますが、私にとっても、個人的にもこの日のショックは非常に大きかったのであります。

 実は、この日、当時総務局長だったと思いますが、二階さんと一緒に中国の四川省に日帰りで救援物資を持って行かせていただきまして、テント三百張りとかカップヌードル六千食とか筆記用具とかノート二千セットとかという、日本人として初めて中国の四川省の大地震に対しての救援物資を持っていって、日帰りして帰ってきたらこの事件が起こっていたわけでありまして、そういう意味では、私、ちょうどこの日のことが非常に思い出されるわけであります。

 そういう意味では、この事件は、私も党内の銃規制見直しプロジェクトチームの座長をしているものですから、即これは対応すべきだ、こういう決断をいたしまして、一週間後だったか、当時、町村官房長官にダガーナイフの所持禁止を柱とした再発防止策について申し入れをさせていただきました。官房長官も、これはぜひやろうと、そのときその場でもそうおっしゃっていただいたという意味で、今回、この法改正ができたということを非常に喜んでいる一人でございます。

 それで、実はこのダガーナイフ、刃渡り五・五センチ以上を所持禁止、つまり、刃渡りの寸法で十五センチ未満五・五センチ以上、こういうダガーナイフについては禁止する、こういう所持禁止ということになったわけです。

 大臣、まず早期に手を打っていただいたということは非常に評価しておりますが、これで犯罪を大きく防止するといいますか抑止することになると私は期待しておりますけれども、大臣の決意といいますか所信をぜひ冒頭お聞かせいただきたい、こう思います。

佐藤国務大臣 おはようございます。

 今回の改正によりまして、先生がおっしゃられますように、ダガーナイフについての所持が原則として禁止にされるわけであります。新たにダガーナイフを入手することは事実上困難になるというふうに思います。また、現在ダガーナイフを所持している方についても、改正法の広報を徹底するなどして、回収、廃棄をしっかりと進めていくこととしたいと思っております。

 また、もし違法にダガーナイフを製造、販売、購入、密造、密売するような者がいれば、徹底した取り締まりを行うことによって、ダガーナイフによる犯罪の絶無を期したいと思っておりますし、国民の皆様に安心して暮らしていただけるようになるように警察を督励してまいりたいというふうに思っております。

田端委員 それで、例えばダガーナイフによる犯罪というのは、この事件は非常に無差別で、しかも七人亡くなるという大変な事件であったわけだけれども、そのほかにも、今までどういう事件がダガーナイフで起こっているのか。あるいはまた、この刀剣類の所持禁止に抵触した事件というのはどういうたぐいのものが、あるいは件数でいってどのぐらいあるのか、何かわかっていましたら、お知らせいただきたいと思います。

巽政府参考人 お答えいたします。

 昨年、平成十九年の数でございますけれども、刀剣類の所持禁止の違反につきましては、送致件数が六百二十七件、送致人員が五百七十八人でありまして、ここ数年、増加傾向にございます。また、刃物の携帯禁止の違反につきましては、送致件数は四千六百七十七件、送致人員が三千七百四十一人でありまして、こちらも増加傾向にあるということでございます。

 それから、ダガーナイフを使用した犯罪の件数でございますけれども、これにつきましては、そういう形での統計は今までとっておりませんでした。そういう意味で、過去の数字については把握していないところでございますけれども、警察庁で特別に調査をいたしましたところ、平成十九年一月一日から本年二十年の六月三十日までの間におけるダガーナイフなどのもろ刃の刃物を使用した事件の検挙件数は六件でございまして、内訳は、殺人事件が二件、傷害事件が四件ということでございます。

田端委員 今伺っただけでも大変な数があるわけでありまして、これはぜひ厳格にきちっと対応していただきたい、こう思います。

 その上で伺いますが、現在、ダガーナイフを製造している業者が七社、それから輸入業者が六社というふうに聞いておりますけれども、この法改正で、国内での製造、販売あるいは輸入は禁止、だから輸出は除かれているんだろうと思いますが、しかし、国内で製造、販売、輸入ができないとなれば、このダガーナイフそのものが国内で動くということはないと思うんですけれども、そういう認識でいいんでしょうか。

巽政府参考人 ダガーナイフにつきましては、原則として所持が禁止されるということでございますので、国内での製造、販売、輸入、これは禁止されるということになります。

 ただ、先ほど委員から御指摘もございましたように、輸出のための刀剣類の製作を業とするもので、公安委員会に届け出たものにつきましては、例外的に所持が認められる場合があるということでございます。

田端委員 そうしますと、さっきも相当の件数が出ておりましたが、今持っている人、これはどう対応するんですか。私持っていますなんて、皆さん言わないんじゃないかと思いますね。そうすると、それがそのまま、やみに潜るといいますか、残ってしまうんではないかという心配が一点あります。

 それからもう一つは、ダガーナイフでも、装飾性といいますか美術性の非常に高いもの、何百万もするものがあるというふうに聞いておりますけれども、こういう文化的といいますか美術的といいますか、そういう価値のあるものを、刀でも一緒ですね、日本刀なんかでも大変高いものがたくさんあると思いますが、ダガーナイフでも、そういった形で美術品的なものとして眺めて自分で満足している、そういう人が、ダガーナイフ所持禁止になったからといって、その何百万もするようなものを出してくるわけはないんだろうと思うんです。これはやはり相当数あるんじゃないかと思いますけれども、そういうことはどうなるんですかね。そのままにほっておくんですか。

巽政府参考人 改正法におきましては、既にダガーナイフを所有している個人とか事業者に配慮いたしまして、一定の猶予期間を置きたいというふうに考えております。

 具体的には、剣に関する改正部分につきましては公布後一月の施行を予定しているところでございますけれども、既にダガーナイフを保有している方々については六カ月間の猶予期間を置く、この六カ月間の間に原則として輸出によって換価をしていただく、あるいは廃棄をしていただくという形で措置をしていただきたいというふうに考えているところでございます。そしてまた、そういった具体的な廃棄の方法とか手順等につきましては、インターネット等あるいは事業者の団体等を通じて広く周知を図ってまいりたいと考えております。

 それからまた、今御質問ございました高価なダガーナイフ、これは確かに、私どももパブリックコメントをやったときに、非常に高価なダガーナイフがあるということは、いろいろな意見を伺いました。しかしながら、ダガーナイフという性質、形状にかんがみますと、やはりこれは同様に、大変危険なものであるということは変わりがないわけでございますので、そういう観点で、高価なダガーナイフだけを例外扱いするということはできないだろうというふうに考えておりまして、これにつきましても、ただいま申し上げましたような、猶予期間の間に輸出によって換価をしていただく、場合によれば廃棄をしていただくということでお願いをしたいと考えております。

田端委員 いや、ちょっと、その辺のところがあいまいな感じがします。

 だから、まず一つは、国民に広く周知徹底をするということをぜひやっていただかないと、法律はできたけれども実際にはやみに隠れてしまう、こういうケースが十分考えられます。そして、場合によったら、そういう高価なものを多数持っている方とか、そういう方もいるんだろうと思いますけれども、何か別途の対応を考えなければ、廃棄してくれといったって、するわけはないと思うんですね。だから、そこはさらに実際の対応としてどうするかをもう少し検討していただかないと、私はこの法律ができたからといってなくなるというふうには思いませんので、その辺は確認させていただきたいと思います。

 それで、この所持禁止に関する広報活動というものを今後どうやっていくのか、そこのところをもう少し詰めていただかないと、なかなか皆さんわからないんじゃないか。今、この改正案ができてダガーナイフが禁止されるということはもう既に報道はいっぱいされているわけですから、そういう意味では、例えば在庫で持っている業者とか、こういうのはいっぱいあるんだと思うんですが、そういうのはどうなるんだろう。一番心配なのは、やみに隠れてしまうということが心配でありますので、そこをきちっとしなければならないということを申し上げているわけで、再度その辺のところを、広報活動も含めて御答弁いただきたいと思います。

巽政府参考人 まず、広報活動の点でございますが、たくさんの在庫を抱えている業者の方もいらっしゃると思いますが、先般の秋葉原の事件以降、この種のナイフの販売については自粛要請という形でお願いをしているところでございまして、今後、改正法が成立いたしましたときには、こういった在庫品につきましても、先ほど申し上げたような形で、輸出あるいは換価といったような手続をとっていただくように、幅広くインターネットでありますとか政府広報でありますとか、あるいは事業者団体等を通じて広報を徹底して周知を図ってまいりたいというふうに考えているところでございますし、また、一方で、やみで持っているという状態が今後も考えられるところでございますので、そういった点につきましては、私どもとしては徹底した取り締まりを実施してまいりたいというふうに思っております。

 それから、高価なダガーナイフの扱いでございますが、今、日本刀でありますと美術刀剣の登録制度というものがございまして、これは文部科学省の所管ではございますけれども、こういった制度があるということでもございます。現在ではこの登録の対象になるのは日本刀というふうに限られているようでございますけれども、そういった制度もあるというふうに承知しておりますので、今後、そういった所管の省庁に対しても、検討の余地について、また御連絡を申し上げたいというふうに思っております。

田端委員 ぜひ、やみに隠れてしまうことのないよう、重ねて厳重な対応をお願いしたいと思います。

 それで、今回の法改正で、もう一つ大事な銃砲の規制、猟銃所持の問題でありますけれども、この猟銃所持で、今回の問題提起になっているわけですけれども、猟銃の所持許可をするということに対する規制と、今持っている人に対しての、状況の変化に対した対応と、私は両面があるんだろうと思っております。

 また、ちょうど一年前、長崎、佐世保で起こった猟銃事件、これは大変ショッキングなニュースでありまして、二人が亡くなって六人が重傷ということでした。そして、その亡くなった一人が自分の親友だ、こういうことでもあったわけで、本当に悲劇的な事件だったなと思います。

 大臣、今のダガーナイフ、もろ刃の剣もそうですけれども、猟銃も大変、殺傷能力といいますか、そういった意味では凶器になり得るわけでありますから、これに対しての犯罪をいかに抑止するか。所持を規制するということと、今持っている人に対してどういうふうに対応するか、この両面から、銃に対しての決意というものをお伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 私は、日本の治安を支える柱としてでありますけれども、やはり歴史的に厳格な銃規制というものが行われてきたところにあるというふうに考えております。

 今回の改正は、許可銃砲に関するものとしては昭和五十五年以来の大改正であるというふうに伺っておりますし、これによって、銃砲に関するしっかりとした、今先生がおっしゃられたような仕組みが構築をされ、将来にわたって日本の治安を支えていくという、先ほど申し上げましたような柱たるしっかりとした規制が必要ではないかなというふうに思っておりまして、それに期待をさせていただきたいというふうに思っております。

 また、今先生がおっしゃられたような両面のことについても、この機をスタートといたしまして充実をしていくことが大切ではないかなというふうに思っております。

田端委員 まず、所持の許可ですけれども、それは欠格事由ということをやはり厳格にする必要があると思います。

 そういった意味では、医師の診断というものも大変大事な要素になってくると思いますが、今回の改正案の中に医師の診断書を添付するということは入っていないと思います。ここのところはなかなか難しい問題で、お医者さんにすれば、何かあったときに責任を逆に負わされるのは嫌だみたいなものがあったりして、大変微妙な点もあろうかと思います。

 また、有害鳥獣等の駆除に当たっている地方においては、離島とかあるいは山間部とか、そういうところで猟銃を許可するに際して、現場ではお医者さんが少ないとかいないとか、そういったこともあったりして、なかなか地理的な問題もあろうかと思います。

 しかし、こういう大事な所持に対する許可ですから、ここのところをどう厳格化するかということは、これはもうまず一番の問題点だと思いますけれども、政府の方の認識はいかがですか。

巽政府参考人 現行法では、銃刀法施行規則におきまして、許可申請時の添付書類というのを定めておりまして、その中に、医師の診断書を添付すべきことを規定しているものでありますけれども、ただ、医師の診療科目等については特段の規定が現在はございません。したがいまして、近所のかかりつけの内科のお医者さんの診断書が提出されるということもあるわけでございます。

 この点につきましては、一定の、精神障害でありますとかあるいはアルコール中毒等に関する判断ということをするための診断書でございますので、そういう意味では、できる限り精神科とか神経科といった専門医の診断書を求めることが望ましいというふうに考えておりまして、今回、所要の規則改正を行いまして、原則として専門医の診断書の添付を求めるということにしたいというふうに考えているところでございます。

田端委員 やはり、それをもう一歩きちっとする必要があろうかと私は思っております。

 それで、一たん所持をした場合、今度、所持をした人が、例えば、運動能力が低下してくるとか、加齢によってそうなるとか、あるいは身体上の何かの障害によって欠格事由に当たるべきことに変わるとか、やはり変化はあるんだろうと思いますね。

 だから、今は三年ごとで更新の許可になっている、こう思いますけれども、ここのところはなかなか微妙な点もありますけれども、殺傷能力の高い銃の所持ということについては、やはりそこはもう少し厳重にする必要があろうか、こう思っております。

 特に、佐世保の事件で、いろいろなことが言われておりましたが、近隣住民が二〇〇五年の四月に、深夜にトイレを借りに来るなど言動がおかしいということで、銃所持許可の取り消しを駐在所に通報したということが事件の後でわかったわけですね。それで、その後、警察の方も調べた上で、欠格事由はないという判断はされたようですけれども、先台を、この部品を署の方に持ってこい、預かっておく、こういうやりとりもあったやに聞いておりますし、また本人も同意した、こういうことも言われておりますけれども、しかし、現実はそれもなされていなかったということから、結局、結果として非常に最悪の事態になってしまった、こういうことであります。

 そういう意味では、運用面でどうしていくか、ここが警察にとっても大変大事なことなのです。正直言って、私の家の隣の人が銃を持っているということがわかれば、おはようございますという朝の口のきき方から、やはり意識せざるを得ませんね。

 だから、そういう意味では、近隣でトラブルが起こるという、しかも、今回のこの人のように、既に素行上何かおかしいというような感じが察知されていたわけでありますから、こういう問題に対して、これは今所持している人に対するここの判断、これはなかなか難しいんだろうと思いますけれども、この点が一番住民にとれば問題だと思いますけれども、どう対応されますか。

巽政府参考人 御指摘のとおり、近隣トラブルを起こしているような人がいるという場合につきましては、その人に銃砲刀剣類を所持させることが不適当なケースがあるということは、まさに御指摘のとおりでございます。

 そのため、今回の改正法におきましては、都道府県公安委員会に対します付近住民からの申し出制度というものをつくりました。そして、住民の声を確実に行政の方に反映させることができるように措置することとしたところでございます。

 また、今回の改正案では、銃砲所持者に対する報告徴収、あるいは指定した医師による受診の命令、あるいは公務所等への照会、あるいは調査を行う場合の銃砲の保管、こういったような規定も整備しているところでございまして、こういった規定を活用いたしまして、不適格者の排除については厳格にやってまいりたいというふうに思っております。

田端委員 法律上で明文化できないということならば、これは警察の中で、やはり全国警察に対する指導をきちっとして、いろいろなガイドラインをつくっていただいてやっていかないと、後で、いや、そういえばこういうことがあったね、あのときにしておけばよかったね、これでは何にもならない、こう思いますから、これは現実面の対応としてぜひしっかりとやっていただきたいと思います。

 それから、秋葉原の事件で私は非常にびっくりしたのは、この犯人は事前に犯行を予告していたということであります。そういう意味では、最近、予告犯罪といいますか、そういったこともいろいろあるようでありますけれども、パソコンあるいは携帯等を通じて掲示板へ書き込むという形でいろいろなことが今起こっているわけでありますけれども、もしこういう犯罪に関する予告があった場合の何かシステム的な対応を、少し国として考えなければならないんじゃないかと思います。

 特に、技術開発も含めて、あるいは法務省とか経産省とか関係部局との対応を協議して、ネット上の監視システムといいますか、そういったものをすることによって、そしてまたプロバイダーとかサイト開設者等の協力も得て、何かあったときにはすぐに対応する、警察にも連絡が来る、そして書き込みを削除させるとか、何かそういうことをしないと、こういうことでみすみすそのままいってしまう、事件にはまってしまうということはとんでもないことだと思いますけれども、この辺の対応は進んでいますか。法律上とは別に、現実の問題に対してこれはやらなきゃならない大きなテーマだと思いますが、よろしくお願いします。

巽政府参考人 警察におきましては、秋葉原でのこの無差別殺傷事件の発生後、電気通信事業者等に対しまして、インターネット上の犯行予告を発見した場合には一一〇番通報するように求めたということがございますし、また、関係省庁とも連携して、その把握にも努めているところでございます。

 そして、事案を認知した場合には、必要に応じて警戒措置を講ずるということをやっているわけでございますし、また、刑罰法令に触れるような事案につきましては厳正に対処しております。

 この秋葉原事件の発生いたしました六月八日以降、昨日、十一月十三日までに七十五件、インターネット上の犯行予告事案につきまして検挙または補導を行っているということでございます。

 今後とも、あらゆる機会を通じてこの種の事案が犯罪に当たることについても広報啓発を進めるということと、犯行予告事案については厳正に対処してまいりたいというふうに思っております。

田端委員 それから、こういう凶悪犯罪に巻き込まれた本当にお気の毒な被害者、遺族の方々に対しての警察関係からの温かいサポートをしっかりやっていただく。例えば、犯罪被害者給付金とか、そのほか労災とか自賠責とかいろいろあると思いますから、その辺の対応も、ぜひきちっと丁寧に誠実にお願いしたいと思いますし、同時に、凶悪犯の矯正教育ということもまた大変大きな問題だと思います。

 そういった意味でも、それぞれ、これからもまたどんな事件が起こるかわかりませんけれども、ぜひこの辺のところの対応をしっかりしていただくことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民主党の吉良州司でございます。

 佐藤大臣に質問をさせていただきます。

 まず、きょう、私を含めて民主党の方から三名が質問をさせていただきますけれども、トップバッターでもありますので、再度、大臣の口から、今回の銃刀法改正案を提出される背景とそれから目的とするところ、決意も踏まえてお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 さまざまな事件がございまして、この事案についていかなる方法をとったらいいかということになれば、一つ一つ解決をしていかなければいけないということになろうかと思います。

 したがって、ダガーナイフ等々についても、そういう事案をなくすという観点から規制をさせていただいて、それを取り締まるということがまず一つだと思います。また、銃砲等についても、先ほど申し上げましたように、やはりその規制が日本の治安を守っているということは間違いないことでありますし、その運用について、時間がたったものですから、そういうことについてもそごを来さないようなことで、しっかりとした規制をした上で治安を維持していくということが大切ではないかということで、今回の法案の趣旨にのっとっているということでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

吉良委員 今回、いろいろ時代背景を考えてみたときに、一つは、先ほど田端委員の方からも御指摘ありましたけれども、悲惨な事件が起こっているということ。それから一方で、過疎化に伴って山間部において鳥獣による被害が出てきている。それは、裏を返せば銃砲使用の頻度、需要が増しているということであろうかと思います。山間部においては、特に、鳥獣をどう駆除していくかということ、それにかかわる銃砲の使用の問題。都市部においては、痛ましい事件を中心として、精神的にかなり追い込まれた人または突発的に異常な行動をするおそれのある人、この人たちの潜在的な加害に対する防止。このような二つの点があろうかというふうに思っております。

 今、私ども民主党は、基本的に、行政改革という中で、無駄を省け、省けということで大合唱させてもらっているわけでありますけれども、事この警察行政に関する限り、国民の了解が得られて、唯一、安全のためなら人員増とか場合によっては経費増も仕方がないと思われる分野は、この分野かというふうに思っております。

 そういう意味で、私、細かい点も幾つか聞かせていただきますけれども、同時に、今回のこの改正案、欠格事由の追加であるとか調査の徹底だとか、もろもろの追加修正がなされているわけでありますけれども、それをきちんと実行できる、そういう体制がなければ意味をなさないというふうに思っているわけであります。

 ちょっとその観点から、幾つか、大臣または政府参考人にお聞きしたいと思っております。

 今回、実包の所持状況、所持している実包また消費した実包等について記録化する、帳簿づけをしていくということが義務づけされているわけでありますけれども、まず第一点、お聞きしたいのは、この帳簿づけだけで、今言った実包の増減について、警察当局としてもきちんと把握できるというふうに考えておられるのかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。

巽政府参考人 実包の所持状況につきましては、これまでは、特段、帳簿等の記録をつけるという義務づけがなされていなかったものでございますので、そういう観点において、もちろん、警察に来て実包等の許可を得るというような場合には把握できるわけでございますが、その後、どのように消費したのかあるいは廃棄したのか、こういったことについては必ずしも把握はできていなかったということでございます。

 今回の法案は、長崎の事件等を踏まえまして、実包の所持状況についても帳簿を各人がつけることによりまして、具体的な譲り受けから消費からあるいは廃棄に至るまでの経緯をきちっと書いていただく。これによりまして、警察としては、それぞれの人の実包の所持状況を把握できると考えておりますし、また、実際に立入検査等をやる際に、銃砲のみならず、実包が現実にどのくらい保管されているのか、そしてそれが帳簿の記載と照合して適合しているのかどうかといった点についても確認することができるようになる、こういう意味で、この制度によりまして、実包の所持状況の把握が可能になるというふうに考えております。

吉良委員 まず、帳簿づけをさせることで個人的な、個人的にというかある意味では正確性を期するためのプレッシャーをかけることは評価をしておりますけれども、一方で、それだけで十分なのか、本当に実態と帳簿が一致しているのかというような問題ですね。

 ですから、私が考えるに、先ほど言いました、ある程度、体制、人員等が充実されるならば、届け出をさせる、または、今おっしゃいました立入検査ももう少し頻繁に、今どの程度やろうとしているのかちょっとお聞きはしていないんですけれども、今想定しているよりももっと立入検査等を頻繁に行えるのではないかというふうに思っております。

 ただし、さっき言いましたが、体制強化につきましては予算なりまた人員増の問題もありますので、一つ、大きな人員増なり予算増を伴わない形でやる方法として、届け出義務、帳簿づけとそれにあわせて届け出をさせるということが考えられると思うんですが、その辺について、銃砲行政の総点検のプロジェクトチームの中でもそういうことについて検討がなされたのか、検討がなされた中で今回届け出義務をこの改正案に入れていないことの理由は何なのか、それについてお伺いしたいと思います。

巽政府参考人 検討会におきましても、この実包の所持状況をいかにして把握するかということについては熱心な御議論をいただいたというふうに承知しているところでございます。

 そして、今回、届け出につきましてはあえて改正案には書いていないところでございますけれども、これにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、記載された帳簿の内容と実際に保管されている実包の保管状況、これを照らし合わせるということで確認をする、そして、そのために、改正案においては、警察職員が実包の保管場所に立ち入って、実物の、実包の現物や帳簿を検査できるように措置しているところでございます。

 また、この改正によりまして、実包等を保管する者に対し必要な報告を求めることができるということにしておりますので、そういう意味で、銃砲の検査等の機会に帳簿の提示を求め、閲覧し、確認できる、このような形のものができるというふうに考えているところでございます。

吉良委員 今おっしゃったように、確かに、行政検査、立入検査を頻繁に行うことで帳簿と実態とを当局として確認できるわけでありますけれども、その検査がどの程度の頻度でなされるかによって大きく違ってくると思いまして、ある意味で、警察の方に届け出をしてくれれば、仮に人員がそれほどの体制にならない場合であっても、ある程度網羅できる。それに加えて立入検査をすることによって、それをもっと確実なるものにできるというふうに思っているわけであります。

 その意味で、ちょっと体制の方にいきなり移らせていただきたいと思うんですが、報告書によっても、まず、県警の中でもこの銃砲を担当する方は非常に人員が限られている。限られた上に兼務をしている。ですから、ほかの大きな事件等入った場合に、なかなかこれに手が回らない。小規模の警察署は比較的郡部が多く、先ほど言いましたように、鳥獣被害があって銃砲を使用する頻度が非常に高まっているところが多い。したがって、所有者も、実際使用している人も多い。そういうところには、警察署自体の人員が少ない上に担当する人も少ないというふうに思われるんですが、今後、改正した後の、この法律の中で書かれていることを実効あらしめるための人員強化、または、今言った、少ない人員で今やっていることに関して、警察としてどう体制的に整えていこうとしているのか。現状の、例えば佐世保事件があった佐世保署でどのような陣容でやっているのか等含めて、お聞かせいただきたいと思います。

巽政府参考人 ただいま議員御指摘のとおり、各警察署における銃砲行政担当の職員は決して十分とは言えない状況でございます。

 今お話のありました、長崎県の佐世保警察署の人員でございますけれども、この佐世保警察署の生活安全課において猟銃等に関する許可事務を担当している職員、三名おりますが、これは銃刀法専従ということではございませんで、風営適正化法でありますとか、古物営業法とか、こういった事務もあわせて担当している、こういう状況でございます。

 それで、今御質問のありました、今後どのような体制で警察として銃砲行政の強化に臨んでいくのかという御質問でございますけれども、これは、平成十三年から平成十九年にかけて、全国で約二万三千人の増員をいただいているところでございます。それぞれの各都道府県警察において有効に活用されているところでございますが、こういった人員につきましては、その時々の事務等に応じまして、ある意味弾力的に運用をいたしまして、必要なところに必要なときには人を配置する、あるいはそちらの方で使うというような運用の仕方、これが必要になってくるんだろうというふうに思っております。

 そういう意味では、より一層効率的な人員の運用、それからまたさらに、それ以上に必要な体制につきましては、今後とも引き続き検討していく必要があるだろうというふうに思っておりますので、今回のこの改正法が成立いたしましたら、やはり、それに伴う事務を処理するための人員といったものについても、人事当局とも相談させていただきながら検討させていただきたいというふうに思っております。

吉良委員 交番があって、いわゆるお巡りさんが頻繁にパトロールをしているところは恐らく比較的犯罪が少ないと同じように、さっき言った、立入検査等含めて頻繁に調査に回ることができれば、帳簿と実態との把握を含め、また今回の欠格事由のおそれがあるような人を把握する、こういうこともできるようになると思っております。確かに、警察官自体の増員というのが、今、二万三千人ですか、認められたということでありますけれども、私も断言めいたことは言えませんが、例えば警察OB、警察事務員も含めたOBを、嘱託なのか、どういう形の雇用なのか、また契約なのか別にしまして、そういう方々をある意味ではこの銃砲刀剣取り締まりの専任として、さっき言いました、頻繁にパトロールできるような形で状況把握をしていく、立入検査をしていく、このようなことが考えられるんではないかというように思っていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

巽政府参考人 警察職員OBの活用につきましては、今、全国でトータル約一万人活用しておりまして、そのうち、内訳的に一番多いのは交番相談員というふうになっております。やはり、こういった生活安全部門においてもOBを活用しているということもございますので、そういう意味で、今先生御指摘のありましたように、猟銃等の所持者に対する監督強化というような観点で警察のOBを活用するということについても幅広く検討していきたいというように思っております。

吉良委員 次に、ちょっと細かくなりますけれども、調査を行う必要が出てきたと認められる場合に、当該銃砲を三十日間保管できるというふうに改正をされているわけでありますが、三十日ということで日数を区切った理由というのは何なんでしょうか。

巽政府参考人 これにつきましては、これまで具体的な条文はなかったわけでございますけれども、同種の事案が起きたときにも必要な調査というのはやったりしていたわけでございます。具体的な事案にもよりますけれども、現在の体制を考えてみますと、約三十日間程度の調査を行えば、銃砲所持者が他人の生命身体等を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者に該当するかどうか、ほぼ判断ができるんではないかというふうに考えているところでございます。

 そして、この改正案の十三条の三でございますけれども、この規定は、いまだ取り消し事由が発生しない段階において銃砲所持者に対して銃砲の提出を命ずるということで、銃砲所持者の権利を大きく制約する性格の規定でございますので、そういう観点から保管期間については必要最小限にとどめる、こういうことで考えまして三十日間にしたということでございます。

吉良委員 三十日にした理由ということはそれなりにわかりましたけれども、今回の場合は、もろもろ人の生命に危害を加える、または自殺をするおそれがある人たちも取り締まり強化の対象になっているわけで、なかなか目に見える人たちばかりではないということを考えますと、それからまた、さっき言った陣容にもよるというふうに思っていますので、三十日という原則を置くことはいいんですけれども、例えば、特別な事由、理由のある場合については六十日間さらに延長できるとか、というのは、その間保管できるわけですから。私も三十日という原則を設けることに異存はないんですけれども、特別な事由、それをどういう要件にするかというのは別にしまして、延長することができるとしてはどうかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

巽政府参考人 御指摘のように、確かに延長をするという選択肢もあるんだろうというふうには考えておりますけれども、逆に申しますと、この疑いのある段階でいろいろな調査を行うわけでありますが、今回のこの改正案で、いろいろな権限規定を定めさせていただいておりますので、そういった規定をフルに活用して、調査は三十日で終わるものだという原則にして各都道府県警察が運用をしていく、これがやはり必要なことじゃないんだろうかと。延長の規定を設けますと、往々にしてなかなか三十日で終わらない、延びてしまうというようなこともあり得ることでもございますので、逆の言い方になるかもしれませんけれども、三十日を区切ってその間できっちりと与えられた権限を使いながら調査をしていく、このように考えているところでございます。

吉良委員 ごもっともな答弁で、それはわかるんですけれども、一方で、その調査をする体制と先ほど来言っていますけれども、これとのバランスだというふうに思っておるんですね。ですから、ずるずると調査期間を設けさせないというか、その辺、各県警に縛りを設けるという意味では趣旨には賛成しますけれども、ただ、それも体制次第だろうというふうに思っておりますので、今後その体制と延長事由、その要件を厳格化することによって、ただずるずると延ばすことはさせないということにもできるかと思いますので、その辺の検討もお願いをしたいというふうに思っております。

 次に、インターネット等相対しない取引による銃砲の引き渡しについて、本人確認をどうやって担保していくのかということについてお聞きしたいと思うのですが、その前に現状、相対ではないインターネット等の取引でどの程度取引が行われているのか、その辺について、ちょっとまだ詳細についてまでの質問通告はしていなかったのですが、おわかりになれば。

巽政府参考人 経産省の調べでインターネットで販売をしている業者が数業者あるということは承知しておりますけれども、具体的に何丁というところについては私どもとしても把握はしておりません。

吉良委員 この前、インターネットでの取引については、売り手、銃砲店が許可証をきちんと提示を求めて、許可証を確認した上で発送するというふうになっていると承知しておりますが、ただ今度、受け取るときに確実に、その許可証を持っている、許可証対象者に渡るかどうかという保証が現在ないということが一点。

 それからもう一点は、中古銃砲等で個人から個人へインターネットで取引をされるという事例があるやに聞いております。その際はなおのこと本人確認が難しくなる。この点について、確実に許可証を持っている本人に渡る、銃砲店での相対ではなくてネット経由で販売する場合の本人確認について、今警察庁の方でどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

巽政府参考人 インターネットを通じての銃砲の売買の関係でございますが、私どもで今指導しておりますのは、まずその猟銃等を譲り受けたい旨の申し込みがあった場合に、氏名、住所、猟銃等の種類等を確認して許可証のコピーを作成しておくように依頼をする。それで、購入者にその許可証の原本を売る人のところに送付させる、そしてその申し込みの際の確認事項とそごとか矛盾がないかを確認していただく。

 それから、実際に売る人が送るわけでありますが、猟銃等を引き渡す際には、運送事業者の配送担当者が購入者から、あらかじめ作成を依頼しておきましたけれども、その許可証のコピーとともに、運転免許証の原本の提示を受けまして、これによって本人確認をする、本人確認ができなければ商品の引き渡しはしない、こういうようなサービスを利用していただくということで、このような措置をとることによりまして購入者が許可所持者であるかを確認していただく。そして、このことにつきましては、業者と個人、あるいは業者と業者間だけでなくて個人間の取引についても同様の方法をとるように指導をしているところでございます。

吉良委員 これも規定はわかるんですけれども、本当に現場で必ずそういう照合が行われて引き渡しが行われているのか、その辺について、正直どこまでつかまれているのかというのはわかりませんし、ここに本当に悪意があった場合、それこそ、長芋か何かですと書いて、別に特別な引き渡し時の確認がなくても譲り渡したりするようなおそれもあるというふうに思っていますので、最後に引き渡すときは必ず相対にしていくという方法が一つあろうかと思っているんですね。

 では、相対して直接本人確認をして目の前で引き渡すという方法として、一つ考えられるのは銃砲店でありましょうし、もう一つは今回の猟銃安全指導委員制度を設けましたけれども、この人格者、人望のある方のところに送ってその方からというようなことが考えられると思っているのですが、まず一番確実なのは銃砲店かと思っております。その意味で、現在、銃砲店が全国にどれぐらいの数があるのか、また、一つ一つの都道府県の大方の分布状況がどれほどなのか、お聞きしたいと思います。

立岡政府参考人 お答えいたします。

 まず、数でございますけれども、全国の猟銃等販売許可事業者数、これは六百八十六でございます。それで、分布でございますけれども、すべての都道府県に所在してございますが、便宜ブロックごとにイメージを申し上げますと、事業者数は北海道で五十二、東北で八十七、関東二百四十七、中部五十二、近畿七十一、中国五十二、四国四十五、九州七十八、沖縄二というような分布になっているところでございます。

吉良委員 この辺は先ほど言いました、今数字を伺いますと、一県当たり十から二十ぐらいだと思いますけれども、山間部で鳥獣対策での使用頻度が増していくことを考えたら、郡部に需要が多くて銃砲店はそれほど分布していないということになると、負担をかけることになるかもしれませんけれども、通常は、銃砲店に行って購入するのが普通。インターネット等特別な取引をする人は、それなりの意図を持って、最初の申し込みが直接相対でない場合はそういう御足労をお願いするということで、先ほど言いました、最後の引き渡しは必ず本人を目の前で確認しての引き渡しにするという方法が必要ではないかというふうに思っております。その意味では、インターネット等の取引でも、必ず拠点、その代表格として銃砲店で引き渡させるというような取り組みも必要かというふうに思っております。

 もう時間が参りましたけれども、私ども民主党としては、この法案については、とにかく、人の生命を守るということについては、多少ハードルを高くしてでも、多少不便をお願いしてでも安全を確保していくということを考えておりますので、この委員会での質疑、それからまた与野党での協議を通じて、人の安全を守る、それをどう担保していくかということを、議論、修正しながら進めていきたいというふうに思っていますので、そのことをお願いして、質問を終わります。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官殿川一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 三十分いただきまして、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、さまざま議論をさせていただきたいと存じます。

 まず、私は、原則としましては、俗に何とかとはさみは使いようという言葉もありますけれども、こういうものというのは人によるんだと本当は思っています。ただ、昨今、こうした無差別、通り魔殺人的なことが起こっている。それに結局刃物や散弾銃等が使用されているという状況があって、本当は人によるんですが、その人が誤った使い方をするケースがどんどん昨今ふえてきているような感覚を持たざるを得ないような状況になってきているわけであります。

 実態上、ちょっと今、少し数字をお聞かせいただきたいんですが、この十年間の殺人事件の認知数を教えていただきたいと思います。

米田政府参考人 警察で把握しておりますこの十年間の殺人事件の認知件数、この殺人には、未遂、予備を含みますが、それから、強盗に伴う殺人は含みません。そういう数字でございますが、平成十年、一千三百八十八件でございました。以後、千二百六十五件、千三百九十一件、千三百四十件、千三百九十六件、千四百五十二件、千四百十九件、千三百九十二件、千三百九件、そして昨年は千百九十九件、これは戦後最少の数字でございます。

 以上でございます。

市村委員 現実には、今おっしゃっていただいたように減少傾向にあるというのはそうでありますし、この内閣委員会でも大分議論させていただいて、実際よりも、そういう犯罪がふえているかという感覚、感じ方があるということもこの内閣委員会でも議論されているところであります。

 だから、実際は減っている。ただしかし、この十年間の状況を見ると、いわゆる通り魔殺人というものがふえてきているような感覚があるんですが、この件についての数字を教えていただきたいと思います。

米田政府参考人 通り魔殺人事件、人の自由に出入りできる場所において、確たる動機がなく、通りすがりに不特定多数の者に対し凶器を使用するなどして殺傷等の危害を加える、罪名としては殺人と殺人未遂が入りますが、これは、過去十年間を見ますと、非常に増減がその年によってございます。

 平成十年には十件でございました。十一年六件、十二年七件、十三年六件、十四年八件、十五年九件、十六年三件、十七年六件、十八年四件、十九年は八件でございます。ただ、本年は、現在までに既に十三件の事件が発生をしているところでございます。

市村委員 今おっしゃっていただいたように、この十年、いろいろ推移があって、減っているといいますか、総体的に減った年、ふえた年とありながら来たわけですね。

 しかし、通り魔殺人的なものというのは、一件でも起こるというのは、安全に安心に社会で暮らしていきたいという私たちにとってみれば、本当にあってはならない、一件でもあってはならないことであると思っておりますし、そして、今おっしゃっていただいた、ことし、平成二十年は、今十三件ということであります。記憶に新しいところでは、さきの秋葉原での無差別殺人でありますし、昨年佐世保で、いわゆるフィットネスクラブに猟銃を持って入って殺人を起こすというようなことも起こっているわけであります。

 ですから、こうした事件があるからこそ、そういった背景があるからこそ、今回の改正案の議論が行われているという時代背景があるんだと思っています。

 先ほどからこの委員会でも議論になっているように、本当にこれでなくなるのかということは後からゆっくり議論させていただきたいと思いますが、その前に、そもそも、先ほど冒頭にも申し上げましたように、人によるということであれば、その人がおかしくなってきているんじゃないかということもやはりしっかりと考えておかなきゃならないことであります。

 きょうは、文部科学省からも来ていただいておるわけであります。私は、学校教育でそれを教えたからなくなるという話でもないような気がしますが、ただ、現在、学校の現場で、または恐らく警察ともいろいろ協力関係の中で、こうした銃砲等に関する取り扱いについてのいろいろな教育機会もあるんだと思いますが、その現状をちょっと教えていただきたいと思います。

徳久政府参考人 今お尋ねのございました、小中学校、学校における刃物の取り扱いということでございますけれども、学習指導要領等におきまして、小学校では図画工作科、中学校では美術科でございますけれども、そちらで、はさみ、カッターナイフ、小刀、糸のこぎり等につきまして、児童生徒が適切に扱うことができるよう指導することとしております。また、小学校の家庭科、中学校の技術・家庭科でも、調理に使用する包丁、布を用いた製作に使用するはさみ、木材や金属の加工に使用する工具等につきまして、児童生徒が適切に扱うことができるよう指導することとしております。

 さらに、学習指導要領におきましては、これらの刃物類の扱いについて、事故防止のための安全指導の徹底についてもあわせて規定しておりまして、各学校におきましては、刃物類の安全でかつ正しい使い方、手入れや保管の仕方などの指導が行われているところでございます。

市村委員 もう一点具体的に、聞いているところによりますと、警察とも何かそういう、今のは学校教育、児童生徒に対する教育ですけれども、いわゆるそういう銃砲等を所持されている方への取り扱いに対する教育というか、この場合注意というか、そういうことについての取り組みは文科省としてはされているんでしょうか。

徳久政府参考人 私ども文部省といたしましては、少年等の非行の防止とか犯罪の予防とかいうことにつきましても、やはり学校教育でしっかり取り組んでいくということをしております。

 具体的に申しますと、まず、学校では道徳教育というところがございまして、そちらで、生命のとうとさを理解し、かけがえのない自他の生命を尊重するなどといたしまして命の大切さを学ばせるための指導を行っておりまして、文部科学省といたしましても、道徳の内容をわかりやすくあらわしました心のノートというものを配付いたしまして、それらの指導の充実に努めているということがございます。

 それから、生徒指導面でございますけれども、今御指摘もございましたように、警察等とも連携をいたしまして非行防止教室というものを実施するなどいたしまして、少年の規範意識の育成と犯罪防止の指導の徹底を図っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、少年による犯罪等の問題行動の防止に向けまして、関係省庁と連携しながら、より一層の取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。

市村委員 今いろいろ取り組みをされているということがありまして、もちろんそれは必要だと私は思いますが、ただ、現実、ではやったから、この場合効果というよりも、本当にそれで、それをもとに気づくのか、そもそも気づく以前の問題として、そういう心がちゃんとあるのかというところがありますね。

 つまり、聞く耳持たずじゃだめなわけですね。やはり、幾らいい話を聞いても、受けとめる心がなければだめ。では、その心を本当につくっているのか、この社会はということにもなるわけでありますが、そういったところというのは、本当は国が、役所が一律的に指導要領をつくってやっていくことじゃない、こういうふうにも思うわけであります。

 しかし、現実、どうなんでしょうか。現場では、そうした指導要領があるからということよりも、もっと、例えば学校現場で、経験のある方を呼んでお話を聞くとか、つらい思いをされている方のお話を聞くとか、そういうことも実際やられているんでしょうか。

徳久政府参考人 先ほどちょっと御答弁申し上げたところでございますけれども、非行防止教室というのを実施してございます。

 非行防止教室は、例えば少年補導の方とか少年警察の方、実際に警察官の方を外部の講師として学校に招きまして、そういう中で、犯罪の防止ということに向けまして、例えば非行の誘いをどうやったら具体的に断れるのかとか、そういうような具体的な非行事例とか被害防止の事例を題材といたしましてそういう教室を開いて、児童生徒にしっかり教育をしているという取り組みがございます。

市村委員 もちろん、今おっしゃっていただいたように、あと、先ほど私も申し上げましたけれども、受けとめる心が養われているかどうか、これは大切なことなんです。

 それと同時に、やはりそれをしっかりと周りで受けとめてくれる人がいるのかということも大切であって、どうもやはりこうした犯罪性向を持っている方の特徴としては、周りにだれも聞いてあげる人がいないということが、だれも頼れる人がいない、信頼できる人がいない、結局、一人で悩んでいるうちに、もうどうにもならなくなって、自暴自棄になって、最後は人を巻き込んでということになっていくということがあるわけであります。

 本来であれば家族、家庭、身近な人ということになるんでしょうけれども、そういう人がなかなかいない場合もある。または、そういうところが余計に言いづらいところもある。昔は、地域がしっかりしていて、近所のおじちゃん、おばちゃんがいろいろ注意もしてくれたし、話も聞いてくれた。友達も話を聞いてくれた。しかし、今、友達もいないというような形になってくると、一人で思い悩んで、最後はと。

 傾向としては、大体そういう人というのは人のせいにするという形ですね。社会が悪い、あれが悪い、これが悪いという形にして、自分の反省もできないというか、それは、先ほど申し上げた、自分の心が養われていないということにつながってくるんですが。

 こういうところがまず根本にないと、結局、この場合、今、銃とか刀の規制をしようということになるわけです。もちろん、そういう犯罪を起こそうとする人は、目の前に銃があれば銃を使うかもしれませんし、刀があれば刀を使うかもしれませんが、それをここで規制を強化して、目の前に、銃は今もほとんどないわけですけれども、刀もなくす。しかし、つい先日、むしゃくしゃして軽トラで人をはねて殺したということがあった。今度は、ある意味で、その気になれば何でも凶器になり得る、こういうことになるわけですね。

 だから、後ほど今回の法改正について議論を細かくしたいんですが、根本的にそういうところをどう考えていくのかということがやはり必要であって、これは銃や刀の問題じゃなくて、我々全員が、本当にこういう社会をどうしていくのかというところに思い至らないかぬ。

 そういった意味では、文科省の役割も大きいんだなと思いますが、ちょっと文科省さんばかりに聞いてあれなんですけれども、この辺、どうとらえていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

徳久政府参考人 ただいま委員御指摘の点、非常に大事だと思っております。

 そういう犯罪を犯す子供、青年、それはやはりかなり学校教育期におきましてもいろいろ悩みを抱えておったりとか、いろいろなそんな経験上、それがストレスになってそういう犯罪行為に及ぶような子供も少なくなかろうと思っております。

 そういう観点も含めまして、当然のことながら、子供たちに先生方が、そういう温かい気持ちを持って、いろいろ悩みとか相談に応じるということも大事でございますけれども、なかなかやはり教師と子供たちという上下関係の立場ですとうまくいかないようなこともございますので、文部科学省といたしましては、スクールカウンセラーという、臨床心理士の方なんでございますけれども、そういう専門家の方に、学校現場に非常勤でございますけれども入っていただいて、子供たちの悩みの相談に応じるとか保護者の悩みの相談に応じる、また場合によっては、学校の先生方のいろいろな子供に対する接し方の相談に応じる。そういうふうな方を学校に配置いたしまして、いろいろ心の育成に努めているという施策を講じているところでございます。

市村委員 もちろん、今学校ということでありますし、ぜひとも、そういう感覚、観点というのは必要だと思います。

 道徳教育というのも、いろいろと議論があるところでありますけれども、もちろん私は必要だと思っていますよ。ただ、やはりちゃんと聞く準備がない人に幾ら一方的に話をしても、これはだめなんだと思いますね。それから、一律に教室でしゃべるということだけでは本当はだめなんだと私は思います。ですから、やはり、身近にそういう人がいてほしい、いるべきだと。

 ただ、では学校を出た後どうするのかという話でありますよね。今犯罪を犯しているような人たちというのは、学校にいる人もいるでしょうけれども、学校にいない人が多いわけであります。そうすると、学校時代に周りにいた友達もいなくなったとかいうことで、つき合いも浅くなって、新しい友達もできない、職場でもなかなかうまく溶け込めない等々となると、だんだんだんだん心がすさんでいくということになっていって、最後にということになるんでしょう。だから、そういう部分をしっかりと社会が踏まえて対処していくということになるだろうと思います。

 今回、欠格事由ということで、何かちょっと危険性がある方だというんですけれども、危険性があるといえば危険性があるんですけれども、やはりだれも聞いてあげないと余計危険性向が増すわけでありまして、こういうところだと思うんですね。

 いつも私は、この場でも何度もNPO、NPOと言い続けていますが、海外の例でいくと、そういうところがしっかりと組織的に、そういう専門的な知識を持って、ボランティアで、どうも問題がありそうだというところについては、日ごろから気にかけている仕組みがちゃんとあるんですね。

 この国は、やはり警察や文科省とか、そういった今ある組織で一生懸命回そうとしているわけですけれども、やはり、昨今の財政赤字等を見ると限界もあるわけでして、今の仕組み自体が行き詰まっていると私は思っていますので、いつも申し上げて申しわけないんですが、NPO等々も活用していくというか、NPO等に頑張ってもらうという社会の仕組みにしていかなければならないと私は思うわけであります。

 今からきょうの法案の中身にちょっと入っていきたいと思いますが、まず具体的に、今度取り締まろうとするダガーナイフのことをおっしゃっていましたが、大体どれぐらい世の中には今度取り締まり対象になるダガーナイフがあるのか、それは把握されていますでしょうか。

巽政府参考人 今度のこの改正法で新たに所持禁止の対象となる刃物がこれまでどの程度市中に出回っているかという点については、統計がございませんで、また推計することも困難と考えております。

 ただ、経済産業省が実施した調査によりますと、平成十九年のダガーナイフの国内向けの販売数は三千四百八十七本であったというふうに聞いているところでございます。

市村委員 これは、今銃がどれだけあるのかという議論をこの場でしたこともありますが、それもわからないというわけでありまして、そういうので取り締まるというのは本当に難しいなというのも多少同情申し上げますが、しかし、年間でも三千五百本近い数が売れているんですね、販売数ですね。ということは、これまでどれだけたまっているのかという話であります。

 では、これを、先ほどから議論もありますけれども、具体的にどのように回収していくのかということについて、半年以内とかいう話もあるわけでありますが、本当に半年でやれるのか。半年で回収して廃棄する、もしくは輸出してほしいという話でありますが、まず、期間も半年間でいいのかどうかも含めて、回収方法についてちょっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。

巽政府参考人 ただいま議員御指摘のとおり、改正法の施行時に現にダガーナイフを所持している人につきましては、施行日から六カ月が経過する日までに、その所持するダガーナイフについては原則として廃棄または輸出による換価という手続をとっていただくということで考えております。

 警察としては、この回収を促進するために、所持者から廃棄依頼を受けた場合には無償で引き取るということで考えているところでございますので、そういう意味で、警察署に持ち込んでいただくということで回収がかなり進むのではないかというふうに思っているところでございます。

 また、そういった、六カ月以内に今申し上げたような措置をとっていただくという点については、やはり幅広く広報することによりまして、インターネット、政府広報等を通じて国民の間に周知徹底させていくことが必要であろうというふうに思いますし、また、経産省等とも連携して、関係業界団体を通じての周知にも努めたいというふうに思っております。

 それで、この六カ月の根拠でございますが、これは一応、廃棄または輸出をする上で、六カ月ぐらいあればおおむね可能ではないかというふうに考えているということでございますが、さきの銃刀法の改正において定めた準空気銃というのがございましたけれども、これにつきましても同様の六カ月間を猶予期間というふうに設けたということでございますので、そういった例も参考にしながら定めた、こういうことでございます。

市村委員 例えば銃なんというのは、ないものが実はあるということで問題になっているわけでありますが、この場合は、あるもの、あってよかったものをなくすという話でありまして、先ほどから議論があるように、結局、そうなると、例えば銃みたいにやみに潜るのではないかというおそれがあるということなんですが、その辺についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

巽政府参考人 私どもとして最も懸念しておりますのは、この猶予期間中に先ほど申し上げたような廃棄あるいは輸出等の措置がとられないで、まさにやみに潜って、違法な、危険なダガーナイフが社会にあるという状態になることが一番懸念されるところでございますので、やはりそこの点につきましては、今後とも、私どもの方も体制を強化しつつ取り締まりに全力を挙げて、違法なものについての回収をしていきたいというふうに思っております。

市村委員 もちろん全力を挙げてやっていただきたいと思いますし、それが当たり前だと思うんですが、先ほど巽局長がおっしゃったんですけれども、いわゆる空気銃の件、つい最近、私も記憶があります、ここで議論した覚えがあります。あれも、六カ月と今おっしゃったんですが、どうなっているかというと、これは昨年、平成十九年三月三十日の読売新聞夕刊で、「法改正を知らない所有者をすぐに摘発しないよう全国の警察に異例の要請を始めた。」ということでありまして、結局、空気銃の件でも知らないという人も多かった、結果としては。半年ではとても周知できなかったということが、実態、もう明らかになっているわけですね。それが明らかになっているのに今回も半年ということにされているわけですが、この辺の判断の基準がどこにあったのか。もしくは、本当に半年でいいのかということについて、やはり私はもう一段、見直すべきだと。やれないことを最初からやると言ってもあれだと思います。

 ただ、なるべくせかすことによってできる限り回収したいというお気持ちだというのはわかるんですが、できないことをやると言うよりも、やはりどのようにしてできるようにしていくかというところに考えを持っていって、そしてそのための対策をどうとるかとした方が実のある議論だと思いますが、いかがでございましょうか。

巽政府参考人 準空気銃の場合につきましては、そのような問題があったということは聞いているところでございます。

 そういう意味で、準空気銃の改修に当たっての周知、広報、啓発、これがどこに問題があったのか、十分だったのかどうか、方法として適切だったのかどうか、こういった点をもう一度私どもとしてはよく検証した上で、その反省を踏まえた上で、この六カ月間という間にどのような形で広報をしていくか、周知をしていくかということを真剣に考えてまいりたい、かように考えております。

市村委員 最初に戻って、やはりこれは使いようということであります。

 実際、例えば銃は鳥獣駆除ということでいろいろと役立てていただいている部分もあるということもありますし、また、趣味の世界の話もあるわけでありまして、本当にちゃんと健全にやっている方もいらっしゃるという中で、社会のためにこれを理解してほしい、我慢してほしい、こういうことになっているわけであります。

 一方で、猟友会の方を初め社会のためにそれを使ってくださっている方もいらっしゃる。そういう方に対しての余計な負担にならないような措置というのも必要かと存じておりますが、これについての御見解、いかがでございましょうか。もしよかったら国家公安委員長、ずっとお座りですけれども、お聞かせいただければと思います。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられる趣旨はよく理解をさせていただきます。

 ただ、先ほど来先生がおっしゃられるように、佐世保や秋葉原の事件を考えてみれば、どうしてもこの規制は私ども必要だというふうな思いから立てさせていただいたものだというふうに思いますし、やはり国民の安心、安全というものを前提に考えていただいて、理解していただくところは御理解をいただく。

 今おっしゃられたように、鳥獣の関係等々のこともあろうかとは思いますけれども、そういう方々はきっと間違いない運用をされているというふうに思いますし、こういうことに対しては理解をしていただける方々かなというふうな思いをしながら、ぜひこの法案を通させていただければありがたいというふうに思っております。よろしくどうぞお願いいたします。

市村委員 もちろん今委員長がおっしゃったことは重々理解しておるつもりなんですが、ただ、本当に社会で使いようだと。

 これも何度もこの場でも申し上げたんですが、結局、法の網を幾らつくっても、やはりできないことはできないんだと思います。だから、銃なんというのも、本当はあっちゃならないものがはびこっているからこそ、ここでも銃の規制について何度も議論を重ねなくちゃいけないというのが現実でありまして、やはり、そうした犯罪を起こすようなことにならないような、人という部分を考えていかなければいかぬという思いであります。

 あと、そういった意味では、これは今、使う方の話をしましたが、例えば美術品としても、例えば日本刀なんて、すばらしい美術品がたくさん日本にはあって、まあ日本刀については美術品として、それこそ文化庁が指定すれば持てるというか保管できるということなんですが、今回は結局、ダガーナイフについてもかなり高価なものが、美術的な価値があるものもあるというふうにされておるんですが、それはだめだということになっております。これについては、日本刀はよくて西洋刀はだめだというこの判断はどこにあるか、また教えていただければと思います。

高杉政府参考人 今先生御指摘のように、銃刀法十四条の美術品としての価値のあるものというものにつきましては、現在、日本刀ということになっております。これは、先生が先ほどもおっしゃられましたように、日本刀が我が国の文化財の保存それから継承という観点から必要だということで、この規定が設けられているということがございます。

 したがいまして、この我が国古来の製法でつくられている日本刀、そして姿、刃文、彫り物、銘文、由緒、伝来、そういうものが非常に美しい、工芸品として我が国が誇る文化財という観点から、銃刀法十四条の対象としておるということになっておりまして、そういう観点からいくと、ほかのダガーナイフ等というのは現状ではなかなか困難なのではなかろうかなと思っております。

市村委員 では、最後に国家公安委員長に、やはりこうした無差別殺人事件が起きないような社会にしなくちゃいけない、これに対する決意をお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 やはり私どもだけでは、この規制を加えてこういう犯罪がなくなるとは思いません。したがって、社会全体がそういう人をつくらないという観点から物を考えていかなければ、この犯罪はいつまでたってもなくならないと思いますから、各省庁にまたがって、もちろん先生方にも御協力をいただいて、社会全体を、やはりそういうものがない、そして悪だということが浸透するような社会をつくり上げなければいけないという観点で、とりあえず今回規制をさせていただいて、そういうものを一つでもなくす方向に向けたいというのが基本であるかなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

市村委員 終わります。

渡辺委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日のこの政府案の銃刀法改正に関しては、私が最後の質問者になりますけれども、今現在も与野党を通じて、この銃刀法をよりよい銃刀法、国民の期待にこたえられる、特に被害者、御遺族の皆さんの期待にこたえられる銃刀法にしようということで、今その修正協議がなされているところでございます。それも含めて、ぜひ私たち国会の総意でいい案をつくっていきたいと考えておりますので、きょうの質疑もよろしくお願いをいたします。

 政府案の中で出されてきた修正のポイントが幾つかございます。私も、その幾つかについてまずはお伺いをしたいと思います。

 今回の銃刀法の改正の中では、猟銃安全指導委員制度というものがございます。これは今回初めて導入をされる制度です。

 私も、昨年、ちょうど銃砲の一斉点検がございましたときに、その実態をぜひやはり現場へ見に行くべきだというふうに思いまして、ある警察署で視察をさせていただきました。その際に、猟友会の方ですとか、あるいは、ちょっと正式名称は忘れましたが、銃砲の安全を一緒に守っていく協会のような方が、この警察官による点検の協力をされておりました。これは大変いい姿だなと思います。

 今、実際には、警察の各署の生活安全課の方々、これはもちろん人事異動でいろいろかわる部分もありますので、長く銃に携わる、もちろん御自身のけん銃、警察官自身のけん銃については携わる、もちろん管理はしっかりされていると思いますけれども、猟銃の検査ということについては、やはりふだんから使っておられる方々に一日の長があるというような考え方からこういった協力がなされているということで、大変すばらしいというふうに思っております。

 今回、そういう中で、佐世保の事件でもそうですが、これまでは猟友会の中でも、ベテランの方々が、銃の資格を持った方々に、上と下が一緒になって一つの猟友会をつくり上げていく中で、さまざまな技術を伝えたり、あるいはルールを伝えたりということがなされてきたわけですが、最近のこうした殺伐とした世の中で、必ずしも猟友会に入っていればすべての情報が、また知識や経験が伝達をされるという状況ではなくなってきたということもあると思います。

 そういう意味で、今回、政府の方は猟銃安全指導委員制度というものをつくって、恐らく一つは有資格者の中での教育啓発、そういったものがあると思います。そしてまた、実際の警察の点検に対する協力、そういったものが職務に挙げられていると思いますけれども、その指定方法ですね、一応委嘱をするということでありますが、例えば猟友会の推薦をもって指定されるのか、あるいは警察の方で選任をされて委嘱を行うのか。その辺の詳しいプロセスがわかりましたら教えていただきたいのと、あと、全国的に大体どれぐらいの人数を想定されているのか、これもお願いをいたします。

佐藤国務大臣 人数については後で御報告させますが、今先生御指摘の猟銃安全指導委員の指定方法については、長年猟銃の所持許可を受けて適正に猟銃を所持してきておりまして、かつ猟銃所持者のリーダーとなるにふさわしい社会的信望のある方に都道府県公安委員会が委嘱をするということになっているようです。

 猟銃安全指導委員の人数については、猟銃安全指導委員が猟銃所持者の状況を適切に把握でき、猟銃安全指導委員を中心としたコミュニティーをつくるに適したものとなるように委嘱することを予定しております。具体的な人数につきましては、地域ごとの事情も異なると思うので一概には申し上げられませんけれども、十分な数の方々に御協力をいただけるように、今後、関係団体と調整を進めてまいりたいと思います。

 ちょっと人数については御報告させます。

巽政府参考人 具体的な人数につきましては、ただいま国家公安委員長から御答弁を申し上げたとおりでございまして、地域ごとの事情とか、そこにおける猟銃所持者の数でありますとか、あるいは地域的な広がりでありますとか、さまざまな要素も勘案しながら今後検討していくというふうに考えておりますので、この段階では一概に申し上げることはできないかなというふうに考えております。

泉委員 ただ、制度設計として、例えば十年以上猟銃の所持の許可を受けている者というものであったりするわけです。

 例えば、十年以上持たれている方というのは全体のどれぐらい、割合なのか人数なのかはお任せをしますが、ございますか。

巽政府参考人 まことに申しわけありませんが、十年以上の方が何人いるかということについての統計は持っておりません。

泉委員 それはちょっと意外でしたね。今回の法律案の中で、概要はということで、継続して十年以上猟銃の所持の許可を持たれている方を一つの要件とされていたので、それは把握をされているのかなと思ったんですが。それもぜひ、政策秘書でも年数というのが決まっている部分がありますが、それはそれとして。

 今、特に、都道府県公安委員会が委嘱をするということですが、私がさらにお伺いしたいのは、そういった猟友会なり銃を持たれている方々の中からの推薦を要するものとしていくのかどうか、そういう団体の推薦を要するものとしていくかどうか、それが一つ。

 もう一つは、一定の要件を満たした人を、ある意味、要件をクリアすればどんどんどんどん認定、委嘱をしていくのか。それとも、大体必要な人数というものは限られているので、この地域の猟友会では大体これぐらい、警察署のこの管内では二名ですとか三名ですとか、そういった形の委嘱になっていくのか。イメージとしてはどちらになりますか。

巽政府参考人 まず、この委員の人選につきましては、やはり地元の猟友会ともいろいろと御相談をさせていただきながら考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、人数につきましては、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、地域ごとで違うわけでございますが、基本的には、ある程度その地域地域でおおむねの数というものを決めて、それに沿って委嘱をしていく、こういう形で考えているところでございます。

泉委員 今まで、私もその視察で見させていただいたときに協力をしていただいた方々がおられると思うんですが、現在、警察署における点検があると思いますが、その中で、所持資格者ですとか団体が具体的にどんな協力を行っているというふうに考えればよろしいでしょうか。現在、警察の職員に対してどのような協力を行っているか。

巽政府参考人 猟友会などの団体の方々には、現在も事故防止のための活動ということで協力をしていただいておるところでございます。

 それで、今度の改正でもこういった方々を猟銃安全指導委員として委嘱をするということもあろうかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、そういった警察の行う銃砲行政の各般にわたり、いろいろな面での御協力をいただいている。例えば、銃砲一斉点検の際などでの御協力等も含めまして、いただいているというところでございまして、今後は、この指導委員という制度ができますと、まさに地域のそういう猟銃所持者のコミュニティーの中心として活動していただくことを期待しているところでございます。

泉委員 これは今回、新法二十八条の二の中で、さまざまな項目でこの指導委員の中身が決められているわけですが、第五項に「名誉職」というのがしっかりと入っていられて、これは無償で頑張ってくださいということを指すのかなと思うんです。できればと思いながら、しかし、いたし方ない、恐らく警察の方も財政状況があるでしょうし、猟友会の皆さんにお話を聞いても、なかなか資金的にも大変なんだよなという話でしたので、これは仕方がないかなとは思いますが、職務が第二項で規定をされている一方で、しかし、第五項で「名誉職」と書かれているというのは、改めてですが、これは無償での活動ということで考えてよろしいんでしょうか。

巽政府参考人 あくまでも委員の方々については無償で働いていただく、いわゆるボランティアのような形でやっていただくということを考えているところでございます。

泉委員 私も行ってびっくりしたんですが、実際には、猟銃の点検もさることながら、建築に使うパンチのガンというか、あれの検査が非常に多かったんですね。ですから、そういったことも含めて、これからもさまざまな形で猟銃安全指導委員の方には活躍をしていただくと思うんですが、そういったところも、全く違う分野の銃も出てくるのがこの一斉点検であるというのは、私も新鮮な驚きでもありました。

 続いて、時間もありませんので、次のことに移りたいと思います。

 数年前、バタフライナイフで殺人事件があって社会問題となった。これは特に少年犯罪だったということもあって大きな議論を呼び起こしまして、その結果、いわゆる飛び出しナイフが規制をされたというふうに私は解釈をしているんですが、間違っていたらごめんなさい。そういったこともありました。今回、秋葉原の事件では、ダガーナイフということが急遽クローズアップをされてきたわけであります。

 私は、この銃刀法を見るにおいて、もちろん、被害があって、だから規制をしなければならないというのは当然の成り立ちだとは思うんですが、しかし、これはやはり後追いではないだろうかというところも、恐らく公安委員長も感じられるところではないのかなと思うんですね。刃物というものはさまざまある中で、ダガーナイフによる事件が起こったからダガーナイフを規制していくということ、これは果たしてどうなんだろうかと。

 きょうは時間もありませんから少しスピードを速めながら話をしますけれども、まず言いたいのは、今回の規制の中で、剣の形状を有するダガーナイフは、刃渡り十五センチ未満は所持が禁止されていないので、刃渡りのもっと短いものも刀剣類として所持禁止の対象に追加をする。「剣とは、」というところに、「柄を付けて用いる左右均整の」、左右対称という意味ですね、「形状をした諸刃の鋼質性の刃物であって、先端がとがっており、本来殺傷の用具としての機能を有するもの。」と、かなりいっぱい定義が細かくされておるわけですね。これで事実上は、さまざまなナイフがある中で、ダガーナイフのみを取り出してきたというような状況だと思うんですが、ただ、これが果たして本当にあるべき姿なのかなというふうに思うんですね。

 ここで公安委員長に答弁を求めるのはちょっと漠然としていると思うので、もう少し具体的に言いますと、例えば、あの秋葉原の事件が起こって以降、全国の都道府県の条例の中では、さまざまなナイフについて規制が行われるようになりました。

 例えば、少年に販売をしてはいけないということで、これは三重県の例ですが、通称ダガーナイフなど五種のナイフを有害な刃物に指定をしますということで、通称ダガーナイフ、通称サバイバルナイフ、通称ファイティングナイフ、このファイティングナイフというのは、軍事目的で製造され、または軍事目的で製造されたことをうかがわせる名称で、コンバットナイフ、アタックナイフ、タクティカルナイフ、コマンダーナイフ、ミリタリーナイフ等と呼ばれる。あるいは、グルカナイフ、ククリナイフと言われるもの。これは、よくインドなんかで見るような、ちょっと流線形のナイフですね。ぐっと引くことによって切ることができるようなナイフですか。あるいはスローイングナイフ、これは投げナイフですけれども、こういったものが都道府県では指定が始まっているということで、私は、この五種すべてについてとは言わないわけですが、今回もさまざま、ナイフを規制する規制しないの線引きの中で、社会的有用性ですとか、殺傷に適していて危険性が高いとか、いろいろな条件があると思うんです。

 私は、軍事目的で、あるいは武器の目的で生まれたもの、そういうものについては、やはり社会的有用性が高いか低いかといえば、これは本来低いというふうに判断をすべきだと思うんですね。ですから、もろ刃か片刃かというようなことではなくて、ここは、やはり何をもって今警察庁がこの指定を行おうとしているのかという、その線引きの哲学が見えない、こう思うんです。ですから、問題が起こってから規制をしますということに帰結をしてしまう。これはぜひ考え方を改めていただけないかなというふうに思うんですね。

 公安委員長、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 正直、私も先生と同じ疑問を持たせていただきました。

 いろいろ理由を私も問いましたが、ダガーナイフを見たときに、それ以外に目的になるものはないんですね。したがって、刺すだけのナイフということに関しますと、とりあえずといいますか、ダガーナイフを規制することが、まずは、秋葉原の事件等々をとっても、これはやはり国民に対する意思表示になるのではないかなという思いがあるということは御理解を賜りたいというふうに思います。

 先生がおっしゃられること等々、全く私も同じ考えを持っていますが、なかなか組織上それを言うわけにいかないところもございまして、御理解を賜りたい。

泉委員 非常に本音の、ある種政治的発言というか、これは国民の思いと恐らく一緒だと思うんですよ、私は。国民の思いと一緒だと思いますし、大臣は、もちろん秋葉原の事件が起きた後に、またこの銃刀法の議論を検討会なんかで続けてきた後に、こうして公安委員長になられて、まさにそれを外から、国民の目線で今見られているんだと思うんですね。多くの国民も多分そういう御意見だと思います。

 ぜひ、ちょっと事務方に、これまた改めてお伺いしたいんですが、ダガーナイフ以外、例えばサバイバルナイフですとか、今言ったようなタクティカルナイフだとか、いろいろある。こういうものをなぜ規制しないのか、事務方なりの現在の論法で結構でございますので、教えていただけますか。

巽政府参考人 今回の秋葉原の事件を受けまして、規制のあり方についていろいろ検討してまいったところでございますが、ナイフ、刃物というのは実に多種多様でございまして、例えば、ミリタリーナイフと呼ばれているようなものであっても現実にはキャンプのときに使われているとか、あるいは、サバイバルナイフと言われても物を切ったり木を切ったりということに使われているとか、名称と実際の用途は必ずしも一致するものでもないということはあろうかと思います。

 そういう中にあって、一方で、刃物といえば、例えば包丁のようなものも全部入るわけでございますけれども、その刃物の中のどこをどう規制するのか、どこで線を引くのかというのを考えたときに、やはりもろ刃のものというのは、まさにダガーナイフに見られますように、人を殺傷する、刺すという目的以外にほかの目的は考えられない。これは、いろいろな刃物の業界団体なんかに聞いても、そのように皆さんおっしゃっているわけでございます。

 そういう意味で、もろ刃か片刃。片刃で、例えばサバイバルナイフ等は片刃でございますが、これについては、もちろんミリタリー的な使い方もあるんだろうとは思いますけれども、一方で、やはり社会的にも、例えばキャンプ等で使われているといったような実態もあるというようなこともございますので、どこで線を引くかということを考えたときに、今申し上げたような、もろ刃あるいは片刃というところで区切りをつけたということでございます。

泉委員 今のような区切りが現在の状況。公安委員長と私は思いを一にして、しかしながらというふうに思っていると思いますが。

 今のお話の中でも、例えば銃砲規制のあり方に関する懇談会の中で、「刃物には、一般に、社会的に有用に使われている実態があるが、少なくともダガーナイフに代表されるような両刃の刃物については、本来的に突き刺すためのものであって殺傷に適していて危険性が高い一方、道具としての有用性が希薄であることから、凶悪犯罪に使用されることを未然に防ぐためにも、所持を禁止すべきである。」と今回なっている。

 この文章を正確に読むと、両刃の刃物については、本来突き刺すためのものであって、だから殺傷に適していて危険性が高い一方、道具としての有用性が希薄である。殺傷に適していて危険性が高いということと、道具としての有用性が希薄であること、この二点が私は特に重要だと思うんですね。ですから、もろ刃か片刃かということではなくて、今言ったような、殺傷に適していて危険性が高い、道具としての有用性が希薄である、この二つが特に重要だと思うんです。

 そう考えたときに、今おっしゃった例えばサバイバルナイフ、これは確かに難しいんです。ただ、三重県でも、サバイバルナイフとファイティングナイフというものは通称で区別をしている。その区別というのは、先ほどファイティングナイフの中で話がありましたが、軍事目的で製造されたかどうか、由来がそこにあるかどうかというのが一つですね。もう一つは、それをうかがわせるものかどうかということでありますが、現在何々軍で武器として使用されているとか、あるいはさまざまな、インターネットでもそうです、お店でもそうですが、販売をするときの宣伝の仕方だと思うんですね。

 私もミリタリーは嫌いではありません。ミリタリーファンの皆さんには大変恐縮なことになるかもしれませんが、そういったものを引き金にというか、そういったところで関心を持たせて、武器だ、あるいは軍で使われている、こういうところの関心を持たせたナイフというものは、やはりキャンプで使うものとは私は違うと思うんですね。そこは線引きができるんじゃないかなと思うんです。やはり、軍で使われているとか武器として宣伝をされているとか、そういうところをもってして、社会的有用性を私は判断はしていただけるんではないかなというふうに思います。

 恐らくこれは、検討しますというようなお答えをいただけることだと思いますので、とはいえ、やはりあえて答弁を求めましょう。局長、お願いします。

巽政府参考人 ただいま委員のおっしゃったように、武器としてつくられたものである、もちろんそういうものもあると思います。ただ、武器としてつくられたものに似せてつくられた同様の形状をしたものというのもこれまたたくさんあるんだろう。しかし一方で、宣伝では、これは武器ですよと言って売っているというようなものもあろうかと思います。

 ですから、そういう意味で、これは武器としてつくられたのか、あるいはそれに似せてつくられたものなのか、そういったようなことを一つ一つ検討して区分けをする、線引きをするというのは、これは極めて難しいことじゃないかというふうには思っているところです。

泉委員 しかし、これはぜひ、私は今後さらに検討していただきたい。これは、警察のためと言うと変ですが、やはり捜査機関も、新たに犯罪が起こるたびに、その凶器が何であったかで、それが指定をされていなかった、指定されていたと、特にされていなかった場合に批判をまた受けるということの繰り返しでは、これは被害者も浮かばれないし、組織も、どうして前回の銃刀法の改正で指定をしなかったのか、このそしりはやはり免れないと思うんですね。こういうことを繰り返すというのは、私は正直、だれにとってもいいことではないというふうに思いますので、どうか御検討いただきたい。

 それで言うと、もう一つあるんです。これは矢です。洋弓、ボーガン、クロスボー、こういうものなんですね。

 過去数年間、警察で把握、理解されているデータで結構ですので、洋弓を使った犯罪で件数などわかるものがあれば教えてください。

巽政府参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどのサバイバルナイフ等につきましてでありますが、こういったナイフにつきましては、まさに剣としての所持の規制がかかっているわけではございませんが、刃物として、刃体の長さ六センチ以上のものを携帯すれば、これは罰則がかかる。罰則も、二年以下、三十万円以下の罰金ということで、これは先般の改正で引き上げられたところでございます。そういう意味で、全く野放しになっている、こういう状態ではないということをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、ボーガン、クロスボーの関係の事件の数でございますが、ボーガンが使われた事件の数、平成十四年はゼロ、十五年が四件、十六年がゼロ、十七年ゼロ、十八年が二件、こういう状況でございます。

 ちなみに、平成十八年の二件は、傷害一件、器物損壊一件ということでございます。

泉委員 ことしも、二〇〇八年二月に一人がけが。実は、新聞記事を取り寄せたら、一つ一つの事例が余りに無残な事件でありまして、余り言いたくないんですが、頭を撃ち抜かれたとか、本当にひどいものが幾つかあります。二月に一人けがされている事件が一件。もう一つは死亡事件、二月に一件。ことしのつい三日前には、洋弓で信金の職員がおどされて現金が三百万円奪われる。こういうものも含めると、幾つも事件はある。

 あるいは、二〇〇〇年には、猫が八匹、矢で刺されて動物虐待という形、あるいは〇三年には、奈良公園のシカがボーガンでやられた。こんな事例も含めて、いろいろある。いろいろある中で、先ほど田端委員の質問では、ダガーナイフによる事件が幾つあったんだと。十九年から今日まで六件ということで、これは、ダガーナイフ、たくさんの事件の件数がありましたという話で、先ほどの質疑でもありましたけれども、洋弓も十分事件がたくさん起こっているというふうに思うんですね。

 これは、確かに刃物ではないんです。銃でもないんですけれども、やはりこういったものもこの銃刀法の枠内におさめていかないと、どこでどうおさめるんだという話になると思うんですね。犯罪が起こってからは、それはもちろん取り締まりができますし、これを車に積んでいれば、その状況によっては凶器ということにもなるんでしょうけれども、しかし、全く野放しでいいんだろうかというのが私は非常に不思議であります。

 この件について、現在の警察の考え方を教えてください。

巽政府参考人 クロスボー等の弓矢の規制については、今後といいましょうか、これを使用した犯罪の発生状況などをよく踏まえた上で、必要性を慎重に検討する必要はあるというふうには考えております。

 なお、現行法でもクロスボーは何らの制限もなく所持できるわけではなくて、隠して携帯するという場合には軽犯罪法に違反する。それから、十一の県におきましては、青少年保護育成条例によりまして、十八歳未満の青少年に対してクロスボーの販売が禁止されていると承知しているところでございます。

泉委員 今、ちょっと聞いただけなので、幾つの県か、十一ですね。公安委員長、ということは、残りの三十六では販売も行われているわけです。委員長、先ほどのさまざまな片刃のナイフも含めて、こういったクロスボーも、簡単にインターネットでだあっと情報が出てきます、写真つきで。一万五千円で販売しますとか、一万三千九百円ですとか。そういうものがいっぱいあって、もう世の中、今こういう状況なわけですね。

 先ほど犯罪の状況を見てと言いましたが、もうここに新聞記事全部ありますから、何だったら後で差し上げます。ぜひ一件一件の事件を見ていただいて、もう既にダガーナイフを上回るほどの事件が起きているんだということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 そういう意味でいうと、先ほどから哲学というふうに言っていますけれども、やはり、社会的有用性、あるいは殺傷に適していて危険性が高いのか低いのか、こういうことでもう一回さまざまなものを洗い直しをしていただく必要がある。これは私は大変大事なことだと思いますが、公安委員長の御見解をお聞かせください。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃられたとおりだと思います。よく指導してまいりたいと思いますし、細かく検証するように指導してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

泉委員 もう質問時間終了でありますが、きょうは、済みません、委員長、ちょっと御理解をいただきまして、外務省、経産省にもお越しいただいておりますので、最後の質問ということで二点、答弁は引き続き入れかわりでお願いできたらと思うんです。

 これはちょっと猟銃の件とは違うんですが、政府の銃器対策本部、これはけん銃による犯罪とかの問題で、これがありまして、新しい内閣になられてからはまだ開かれていないと承知をしておりまして、銃器対策推進本部が今後どのような開催予定になっているかをお聞かせいただきたいのと、銃器議定書、これが、署名をしたわけですが、締結はたしかまだでしたか。その辺の進捗状況を教えていただいて、質問を終わりたいと思います。

中島政府参考人 外務省の方から、先生御指摘いただきました銃器議定書の批准の状況について御説明申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、二〇〇二年の十二月に本議定書を署名しております。この議定書におきましては、銃器の製造時、輸入時の刻印といった新しい制度の創設が求められておるところでございまして、これまで、本議定書の条文を詳細に検討するとともに、関係省庁とも協力しながら、担保法といったものを漏れなく整備することを目指して、鋭意検討を進めておるところでございます。

 外務省といたしましては、銃器議定書を早期に締結すべく、可及的速やかな国会提出を目指して、今後とも関係省庁とともに、引き続き所要の作業を進めていく所存でございます。

殿川政府参考人 政府の銃器対策推進本部につきましては、本年は五月一日に開催をいたしております。

 今後の開催の予定につきましては、銃器情勢によりまして、必要に応じて開催をしていきたいと考えております。

立岡政府参考人 私どもも、国内担保法の観点から、武器等製造法を含む関係法令の改正案を詰めておりまして、外務省から御答弁ございましたように、議定書とともに改正案を提出できるように、今関係省庁と連携をとっているところでございます。

泉委員 どうもありがとうございました。終わらせていただきます。

渡辺委員長 次回は、来る十九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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