衆議院

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第5号 平成20年12月12日(金曜日)

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平成二十年十二月十二日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 岡下 信子君 理事 加藤 勝信君

   理事 渡海紀三朗君 理事 西村 明宏君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    宇野  治君

      遠藤 武彦君    大塚  拓君

      亀井善太郎君    木原 誠二君

      河本 三郎君    中森ふくよ君

      並木 正芳君    馬渡 龍治君

      松浪 健太君    市村浩一郎君

      吉良 州司君    楠田 大蔵君

      佐々木隆博君    田名部匡代君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      三谷 光男君    池坊 保子君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         鳩山 邦夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣         甘利  明君

   国務大臣         野田 聖子君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   内閣府大臣政務官     松浪 健太君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局長)      立花  宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房官民人材交流センター及び再就職等監視委員会準備室長)   小林 廣之君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        青山  伸君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        原  正之君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (消防庁長官)      岡本  保君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人(文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸田 修一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   平岡 英治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   参考人

   (独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長)   岡崎 俊雄君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            鈴木 篤之君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     亀井善太郎君

  馬淵 澄夫君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  亀井善太郎君     木原 誠二君

  田名部匡代君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 光男君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七一号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七八号)

同月二十一日

 平和憲法の改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第五五三号)

同月二十五日

 憲法改悪に反対し、特に九条と二十五条を守り、平和と生活向上のために生かすことに関する請願(志位和夫君紹介)(第六三七号)

 憲法改悪反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六三八号)

 憲法九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六四〇号)

 憲法の改悪に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第六四一号)

 憲法を守る意思をあらわすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長鈴木篤之君、独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長岡崎俊雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国家公務員制度改革推進本部事務局長立花宏君、内閣府大臣官房官民人材交流センター及び再就職等監視委員会準備室長小林廣之君、国民生活局長田中孝文君、原子力安全委員会事務局長青山伸君、公益認定等委員会事務局長原正之君、警察庁生活安全局長巽高英君、刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、交通局長東川一君、総務省大臣官房審議官望月達史君、消防庁長官岡本保君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、尾崎春樹君、厚生労働省大臣官房審議官岸田修一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官平岡英治君、国土交通省大臣官房長増田優一君、大臣官房審議官小川富由君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 おはようございます。公明党の田端正広でございます。

 きょう、私は大麻事件についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 先般来、慶応大学の学生の大麻所持の事件から始まって、早稲田とか法政とか同志社あるいは関西大学等々、有名私立大学の中でこういう事件が相次いで、逮捕者が出た、こういうことで大きな話題になっています。それで、大学の構内で大麻に関することが、いろいろ情報なりそういうことが飛び交っているということについては大変ゆゆしき事態だと思うわけであります。

 この間、神戸では東灘区の女子高校生が逮捕されるという事件もありまして、この女子高校生も同じ、友達から紹介された、こういうことでありますが、たまたま財布の中に入れていた、その財布を落としたことから発覚したようであります。この高校生も、去年の夏ごろから好奇心で始めた、こういうことを供述しているようであります。

 つまり、こういう若い人の間でちょっとした好奇心あるいは遊び心といいますか、そんなことから始まったことが大変なことになり、本人の一生にとっても、また社会問題としても大きな影響をもたらすようなことに発展していくことはもう間違いないわけでありますから、薬物に対しての、しかもこういう若年層といいますか、大学、高校生の、しかも学内でそういうことの情報なり取引なりということになってきますと、これはもう大変なことだ、こう思います。

 したがって、この実態をぜひ早急に解明していただきたいことと、その実態に伴ってどういう対策を打ち立てていくのか、これはもう国家公安委員長、警察庁挙げてぜひ全力を尽くしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられるように、最近、大学生等の若年層による大麻事件が大きく報道されておるということは御承知のとおりだと思います。若者の間に薬物汚染が広がっているのではないかというふうに懸念せざるを得ない事件がたくさんございます。

 これらの事件では、先生がおっしゃられるように興味本位、またインターネット等々でいろいろな情報を得た中で薬物の乱用を始めた者も見られるものでございまして、広報啓発活動を適切に推進するとともに、乱用者の徹底的な検挙、薬物密売組織の壊滅を強力に進めるように警察を督励してまいりたいと思います。

 これだけの社会問題になっているわけでありますから、いろいろな観点からいろいろなこと等々を検討しなければいけないということではないかなというふうに私自身は考えておりますので、先生のおっしゃられるような趣旨を踏まえて指導してまいりたいというふうに思っております。

田端委員 警察関係は警察としてきちっと対応していただくということは大事でありますが、しかし、今回の状況は学校の中ということでありますから、これは文科省もぜひしっかりと対応していただかなきゃならない重要な事件だと思います。政府が八月に第三次薬物乱用防止五カ年戦略というものを策定されておりますが、この中でも初めて、大学生に対する対策を行うということも記されているわけでありまして、そういう意味では、今後、文科省がこの事件に対してどういうふうに指導していくかということが非常に大事だと思います。

 それで、文科省の方でも何か大量にリーフレットをつくって、大学等で指導に使っていただくような教材といいますか、そういうものをつくられたということでありますけれども、薬物というものが健康にどういう悪影響があるかということをしっかりとPRしていただく、そして、これがまた社会問題としてどういう重要な判断になっていくのかという、そこのところを二十代前後の若い世代にぜひこれは強く指導していただくことが大事だ、こう思います。

 だから、高校、大学の、特に入学したとき、入学時にこういった基本的な啓蒙運動といいますか啓発運動といいますか、これは文科省としてぜひやっていただきたいと思いますけれども、その辺はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありましたように、ことしの八月の政府の薬物乱用防止五カ年戦略の中で、新大学生に対する啓発の充実を図るという方針が示されたところでございまして、これを受けまして、九月の段階で各大学の方に啓発と指導の徹底をお願いしたところでございますけれども、その啓発の実を上げますために、これも御指摘のありましたように、すべての新入大学生に行き渡りますように啓発資料を作成する、その啓発資料作成経費を今概算要求しているところでございます。

 これとあわせまして、また個別の各大学における指導の徹底を図るために、警察庁、厚生労働省の御協力も得て、薬物対策の連絡会議というのも先月開催したところでございますけれども、こういった個別の指導の充実とあわせまして、今申し上げました啓発資料の充実といったものに取り組んでいきたいと思っております。

 それから、高校以下の場合ですと、例えば外部の専門家を招いた薬物乱用防止教室というのを従来からやってございますけれども、これもこの五カ年戦略の中で充実を図るようにという方針が示されておりまして、各教育委員会に対しまして、この教室をさらに充実するように今求めているところでございます。

田端委員 私は大阪市の西成区に住んでおりますが、西成区のあいりん地区というのは日本の中でも薬物の密売をしている一つの温床になっているということで、この問題について私はずっと一貫して今までも当委員会でも何回も取り上げてまいりました。しかし、これはなかなか根気の要るといいますか、本当に骨の折れることだと思います。

 何かのときにはぱっと対応していただくんですが、時間がたつとまた起こってくる、こういうことの繰り返しがずっと続いているわけでありまして、これは本当に内閣挙げてしっかりと取り組んでいただかないと、もうここまで広がって、大学の中までということになってきているわけですから、これはぜひひとつ、各省それぞれ連携をとりながらやっていただきたい、こう思います。

 例えば、これは先般来、相撲界でも大きな話題になりました。スポーツ選手の間とか芸能界でも大変大きな問題になっています。これが、大麻から始まって、次が覚せい剤あるいはコカインとか、そういうふうにだんだん深みにはまっていくという、その一つの大きなきっかけが大麻だろう、こう私は思うわけでありまして、そういう意味では、これら薬物全体の入り口に当たる大麻とかMDMAの合成麻薬等々はもうここからしっかりと対応していただく必要がある、こう思います。

 それで、おとついでしたか、俳優の加勢大周の第一回の公判がありました。彼も、大麻と覚せい剤、これは高校時代から経験したようでありますけれども、最初はやはりちょっとした好奇心といいますか、遊び心といいますか、そんなことから始まったようでありますけれども、しかし、今日あれだけ有名な俳優になってもなおかつ、やはり一人になって孤独なときに週に三回、四回やっていた、こういうことも供述されているようでありまして、若いときに手をつけてしまった、それがずっと続いていく、しかもだんだん深みにはまっていく、こういう流れの一つの典型的な例であるなというふうに私もニュースを見ながら思いました。

 したがって、これは厚生労働省が一番の薬物の取り締まりの所管になっていると思いますけれども、こういう実態に対してどういうキャンペーンを今張るべきか、そしてどういうふうに国民に意識を喚起してもらうか、ここのところをしっかりと踏まえていただいて、そういう形でどんどん今広がっているわけですから、ぜひこれは厚生労働省も大キャンペーンを展開していただきたい、こんな思いですけれども、いかがでしょうか。

岸田政府参考人 薬物に対して決して手を出さない、そういう安易な気持ちで好奇心でやらない、こういう規範意識といいますか、そういったものが非常に重要だ、こういうふうに先生と同様に思っておりまして、そういう観点から、これまで小中学校の段階からということで、中学一年生に対する予防啓発活動といいますか、リーフレットを配って、しっかりその害悪をわかってもらう、あるいは小学校六年生の保護者の方、親から子供さんにしっかりその害悪を理解してもらう、こういうことをやっております。

 また、全国展開というところでは、薬物乱用防止キャラバンカー、こういうものがありまして、これは財団法人の麻薬・覚せい剤乱用防止センターというところが全国の小中学校を回っているわけですけれども、昨年度には一千三百カ所ぐらい回っておりますけれども、そういった活動をしっかりとやっていきたいと思っております。

 また、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動、つまり安易に手を出さない、誘われたら断るんだ、「ダメ。ゼッタイ。」こういう普及運動も展開しているわけでございます。

 また、さらに強化するために、今月の政府広報ですけれども、テレビやFMラジオ、そういったものを通じて広報を実施したい、こう思っておりますし、また、来年度には別の情報媒体を通じた広報を検討していきたい、こう思っております。

 また、厚生労働省のホームページにおきましても、大麻の有害性、そういったもの、あるいは規制について注意を喚起する、こういったものを今掲示しておりまして、関係省庁にもこういった広報を活用していただくようにお願いをしているところであります。

 また、先ほど先生、高校生の話をされましたけれども、高校一年の段階、つまり、たばこに関心を持つといいますか、そういったような段階でやはりその害悪をしっかりわかってもらう、こういう意味で、高校一年生を対象にした啓発、そういったものを今予算要求しているところでございまして、そういった面からもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

田端委員 麻薬取締捜査官、麻取というのが一つの大きな役割を果たしていることはよくわかっております。麻薬というのは、つまり国際的な問題でもあり、密輸入の問題でもあり、また水際でどう防ぐかといったことも非常に大きな問題だと思います。だから、そういう意味では、もう本当にこれは挙げて取り組んでいただかなければならない大問題だと思いますので、その中核が厚労省だと思いますが、どうぞしっかりとお願いしたいと思います。

 それで、実は今回の事件でわかったといいますか、インターネットでいろいろと情報が流れ、インターネットでそういうことが行われているわけですが、大麻の種子は単に持っているだけでは犯罪といいますか、そこまでは至らない。しかし、大麻が簡単に自宅でも栽培できるということになってきますと、だから今回大きな問題になってきたんだと思うんですね。

 したがって、私は、大麻の種子を所持している、あるいは販売する、あるいは販売に関する情報を流す、こういったことに対してはもう厳重に取り締まるべきことだと思いますが、所持することに対して、例えば登録あるいは許可制度とか、何かきちっとしたものにしなければ、今のような状態でしておってはならない。

 例えば、大麻の種子というものは、乾燥させては七味の中に入るわけですから、我々も加工したものを使っているといいますか食べているわけでありますから、そういう意味では、大麻そのものの根源を絶つには種子の流れを食いとめるしかないんではないか、こう思います。

 したがって、そこのところをさらに一歩踏み込んで法改正を行うとか、そういったことまでする必要があるんではないかということを考えていますが、厚労省はどんなお考えでしょうか。

岸田政府参考人 不正な栽培目的で大麻を持っている、こういう場合には不正栽培の予備行為ということで処罰の対象になるわけでありますし、それから、不正な栽培目的での種子の譲り渡し、これも不正栽培の幇助罪、こういうことになります。また、種子の提供罪、こういった処罰規定もございます。こういったところから、不正な目的での流通というものをしっかりと食いとめている、こういうふうに考えております。

 また、インターネットで販売されている種子でありますけれども、これは輸入されてくるものでありますけれども、輸入については、外為法によって、発芽不能にするための加熱処理、こういったものの証明がなければ輸入できない、関税法の許可もその証明がなければ許可されない、こういうことになっておりますので、そういう証明がなしに、つまり不正に輸入してきた場合には罰則が設けられている。

 こういうことで、現在、インターネットを通じた種子の販売についても、厳にこれらの不正栽培の幇助罪あるいは関税法違反ということで摘発をして相当の効果を上げている、こういうふうに考えております。

 今後も、大麻取締法あるいは外為法、関税法、そういったものと相まって取り締まりをしっかりとやっていく必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。

田端委員 ぜひさらに踏み込んだ検討をひとつよろしくお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと話がかわりますが、一点、飲酒運転についてお尋ねいたします。

 警察にいろいろ御努力いただいて、相当件数は減ってきているということは事実だと思いますから、非常にいい流れだと思います。しかし、この間、十月、十一月と二件、大阪で変な事件が起こりまして、十月二十一日に大阪の梅田の駅前のところで、三キロにわたって飲酒運転により引きずられて死亡するという事件がありました。これは無免許、免停中であったようであります。それからもう一件は、富田林で十一月十六日、新聞のアルバイトの人が六キロ引っ張られて、これも亡くなるという事件がありました。

 等々、飲酒運転については今頑張ってやっていただいているんですが、これらの人、この二つの例を見ますと、いずれも再犯といいますか、過去に経験しているんですね、飲酒運転で事故を起こしたり、何らかのことを。

 そして、そういう意味では、飲酒運転の罰則というものは非常に厳しくなっているんですけれども、例えば、免停が六十日とか九十日とかありますけれども、それを講習を受けることによって、九十日の免停が一日講習を受けることによって四十五日で済むとか、そういうふうに特典を設けられている、それによってまた復活する。こういうことが果たしていいんだろうか、こういう悪質な事件を見ますと、この特典を、軽減するということはどうなんだろう、もっと厳しくあってもいいのではないかという感じが私はしておりますけれども、警察関係では今どういうふうにお考えになっているのか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 停止処分者講習につきましては、単に違反者を、例えば三十日とか九十日とか、それだけを排除するという消極的な措置だけではなくて、再教育をしようということで、運転者の危険性を改善しようということでやっております。その効果に着目して停止期間というものを短縮していることでありまして、また、そのことが違反者に受講を促す効果を持っているというふうに思っております。

 特に飲酒運転につきましては、特別に学級を設けて飲酒の危険性等をその講習の中で行っておりますので、短縮の制度自体はその受講効果を高めるためにも必要なものではないかというふうに考えております。

田端委員 年末年始、お酒を飲む機会がふえるわけでありますから、ぜひ警察当局もこれら飲酒運転に対しては厳重にひとつ対応していただきたい、こう思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 本日は、鳩山大臣、御出席ありがとうございます。内閣府特命担当大臣でいらっしゃるとともに地域活性化の担当大臣でいらっしゃいますので、第二次補正予算の中の地域活性化・生活対策臨時交付金、たしか六千億だったのではないかと思いますが、生活者の暮らしの安心の中にぜひ高校生の支援を入れていただきたい、この要望も込めて私は質問してまいりたいと思っております。

 鳩山大臣は旧文部省の大臣でもいらっしゃいましたからよく御存じのように、授業料が払えない学生に対しては、昭和十八年に奨学金制度というのが創設されました。現在は学生支援機構が、大学生に対しては、無利子四十八万人、有利子七十五万人、計百二十三万人の人たちに貸与をいたしております。

 私ども公明党は、今までは優秀な学生にだけ無利子ということで貸与いたしておりましたが、大切なのは勉強をしたいと思っている普通の成績の子供たちではないか、その子供たちに有利子であっても奨学金制度を創設したいということで、一九九九年にきぼう21というのをつくりました。大学生は、望むならば全学生に、希望する学生たちがすべて奨学金が受けられるようにというのが現状でございます。

 ところが、高校生はどうなっているかと申しますと、平成十五年の行政改革の一環として、高校というのは都道府県の認可でございますので、地域の事情に沿った事業をするようにということで、平成十七年度の入学から随時都道府県に移管されてまいりました。

 私どもは、大丈夫なんだろうか、それぞれの地方自治体に任せて学生たちが守られるのかという心配がございましたので、衆議院の文部科学委員会での附帯決議として、「高校奨学金の地方移管に当たっては、都道府県の実情や自主性を尊重しつつ、奨学事業の縮小を招かないよう、適切な財源措置を行うとともに、その事務の遂行に支障が生ずることのないよう万全の措置を講ずること。」ということを記しました。これは、衆議院の文部科学委員会だけでなくて、参議院でも同じような附帯決議をいたしております。

 では、今高校生はどれぐらい奨学金を受けているかといいますと、家計の困窮から授業料が減免されております公立高校の生徒の数は、二〇〇六年度に全国で二十二万四千三百八十五人なんですね。これは生徒総数の九・四%を占めております。十年前の一九九六年度には十万九千六百六十二人で三・四%でございましたから、この十年間で倍になった。来年はもっともっとこの数がふえるのではないかと思います。

 そして、公立学校だけでなくて、私立は富裕層が行くというのは昔のことでございまして、今では、私立学校で授業料の減免の対象になっておりますのは、二〇〇七年度で約十七万一千人、私立高校全生徒の一五・五%に上っております。これに対して、都道府県が私立高校には平成十九年度で約二百五十八億円という補助をいたしておりますが、国庫というのは五億五千万なんですね。

 こういう現状を大臣は初めてお知りになったのではないかと思いますけれども、率直にどのようにお考えでいらっしゃいますか。

鳩山国務大臣 池坊先生は教育のことの専門家であられますから、私よりもはるかにお詳しいと思いますが、私は、文部大臣をやっておりましたのは随分前のことでございますが、一番大事なのは、十五の春を泣かせてはならない、こう思っておりまして、高校入試というものをなくせばいいというのが私の主張でございまして、つまり、ある意味でいえば、高校まで義務化、国が全部責任を持てばいいとさえ思っておったわけでございます。あるいは、中高一貫という考え方も強力に進めたわけでございます。

 ところが、そのころに高校中退が十万人以上いるなんという大問題がございまして、それは、勉強がうまくいかないから中退するということもあるでしょうけれども、要するに、親の収入等の関係で、経済的困窮のために学校に行けなくて中退するなどということは絶対にあってはならないことだ、こう思っておりまして、今先生からいろいろな数字を伺って、奨学金を受けているお子さんが随分多いんだなというふうにつくづく思いましたし、それに対して国庫の補助がすごく少ないんだな、極端に少ないなと思いました。

池坊委員 十五の春を泣かせちゃいけないという大変いいお言葉を伺って、私も同じ思いでございます。

 十五歳前後というのは非常に多感でございます。一生懸命勉強していても、アルバイトをしなければいけないというと時間も限られていく、勉強に対する意欲がだんだん薄れていって中退するというのが多いんですね。中退いたしますと、雇用のときになかなか雇ってくれるところがないといって、またニート、引きこもり、フリーター、いろいろな社会的な問題を生じてくるのではないかと私は思います。

 生活対策といいますと、すぐに介護、医療というお年寄りのことに目が向きます。日本もお年寄りに優しい国になりつつあることを私は大変いいとは思いますが、同時に、それとともに、先進諸国の中で、子供にお金を使わない最大の国が日本ではないかと私は思います。やはり、子供に優しい、本当の意味でお金も使う国でなくてはならないと思います。

 これから、ぜひ、地域活性化・生活対策臨時交付金というすばらしいものをおつくりになったわけでございますから、子供たちが安心して勉学に励むことができるよう、公立及び私立校の高校生に対する授業料減免の拡充のための助成を、積極的に教育費負担軽減に向けてお力をいただきたい、独自の取り組みを支援していただきたいと思っております。いかがでございましょうか。

鳩山国務大臣 年内に概算閣議を行うと思いますが、二次補正に入っておりますのが六千億のお金でございまして、これは、実は旧公営企業金融公庫のお金等も入っておりまして、何とか六千億を捻出して地域活性化・生活対策臨時交付金というものが設計されているわけでございます。

 今後、まだ制度設計の詰めはあるかと思いますけれども、地方にできるだけ自由に使っていただきたいと思いまして、今池坊先生がおっしゃっておられますような人の問題、とりわけ高校生の授業料減免のようなことに地方が使っていただければ、大変有効な使い方になるのではないか。私は、六千億の、内数で幾ら使うかわかりませんが、非常に有効な使い道だと考えております。

池坊委員 心強い大臣の御答弁、ありがとうございます。

 私たちはネットワーク政党でございますから、地域からそのような声が出るようにも努力してまいりたいと思いますが、高校生に大きな光となることを願っております。

 きょうは、ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、思い起こしてみますと、一九九五年の十二月八日、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい火災事故以降、九五年、六年、七年、八年のころは、動燃事業団の大石理事長などにもたびたび出席をしていただき、当時岡崎さんは原子力安全局長さんか原子力局長さんか、いずれにしても御答弁をいただいたのを今思い返しているんですが、あれからの十三年間に、「もんじゅ」を、要するに温度を下げたらナトリウムは固まりますから、それを維持する等だけでも既に二千三百億円からの予算を使っております。それから、ナトリウム技術そのものだけでも二百三十億円ぐらい使っておりますから、合わせて二千五百億円を超えるぐらいの予算を「もんじゅ」に投じてきているわけです。

 しかし、省庁再編とか独法化とかいろいろあって、機構としてきちんと国会に報告する、科学技術委員会がなくなってしまったということもありますが、そういうことがないままずるずる来ているわけですね。

 ですから、私は改めてこの機会に伺っておきたいと思うんですが、「もんじゅ」にナトリウムを注入して以降、事故で一度抜いておりますけれども、タンクにはあるわけですけれども、昨年、ナトリウムを再注入しました。ずっと見てみると、もともと九五年の事故までに、接触型のリークディテクター、CLDの警報器発報だけでも五回あり、「もんじゅ」事故があり、これはナトリウムがはっきり漏れたわけですが、そしてそれ以降、再注入までに警報器の発報が合わせて十一回あり、昨年の五月、ナトリウムを二次系に再注入して以降九回の発報があり、発報だけでも二十五回。

 そして、ナトリウム漏れ事故がもちろん九五年にあったわけですけれども、そのほかにもいろいろな形でナトリウムの事故というのはあったと思うんですが、漏れとか警報器の発報などはどれぐらいあったのか、まずこれを最初に理事長に伺っておきたいと思います。

岡崎参考人 御説明申し上げます。

 現在私どもが把握しております一九九一年以降の「もんじゅ」のナトリウム漏えい検出器のふぐあい等による警報は、一九九五年のナトリウム漏えい事故の一回を含めまして二十三回でございます。

 その主な内訳は、今先生も御指摘をいただきました接触型の漏えい検出器、CLDと呼んでおりますけれども、その絶縁低下やあるいは取りつけ不良によりますものが十五回、そしてガスサンプリング型のイオン化検出器、RIDと呼んでおりますけれども、これによる、検出器の例えばトランジスタの断線やあるいはプリント基板の接触不良等によりますものが七回でございます。

 したがいまして、発報の回数としては二十三回、このように認識をしておるところでございます。

吉井委員 実は、九六年から二〇〇〇年の間には四回発生しているんですね。これを一回とカウントしているから二十三回なんですが、四回で見れば合計二十六回ということになってきますね。ですから、私は、回数からしてきちんとしなきゃいけないと思うんです。

 このCLD、コンタクトリークディテクターというんですか、あるいはコンタクトタイプというのがつくのか知りませんが、やはり検査機器が軽く見られているんじゃないかと思うんです。

 実は、CLDが正常に働かない場合、何が起こるかといったら、ナトリウムが漏れても検出できないわけですね。そうすると、ナトリウム漏えい火災事故などが起こってしまう。だから、この検知器の問題というのは極めて大事な問題だと思うんです。

 まず、ナトリウムを取り扱う技術そのものが難しい技術なんですが、ナトリウム技術の中で検出器という問題は、重要な機器なんだというお考えをお持ちかどうかを伺っておきます。

岡崎参考人 高速増殖炉の開発においてナトリウムの取り扱い技術というのは大変重要な課題でありますし、安全上、大変重要な課題である、こう思っています。

 その際に、やはりナトリウムの漏えい検出器というものは、その安全を確認するための大変大事な機器でございます。安全総点検におきましても、このナトリウム漏えい検出器が確実に作動するかどうかということの点検を進めてまいりました。

 ただし、残念ながら、取りつけ不良やあるいは幾つかの原因によってこういう誤警報が発生しているということを我々も重大に受けとめまして、現在、その原因究明、特に問題のある漏えい検出器についてはすべてこれからも取りかえていく、このような厳しい態度で臨んでいきたい、こう思っています。

吉井委員 そういう重要な役割が期待される機器が、随分破損しておったり、あるいは誤発報というのが起こっているということが明らかになったと思うんです。

 私、原子力安全・保安院に伺っておきたいんですが、一九九一年七月以降の発報のたびに、きちんと原子力安全・保安院の方には報告がその都度あったのかどうか。実は、報告を受けて、そのたびにきちんと保安院としても検査しなきゃいけないんですね。この点はどうなっていますか。

平岡政府参考人 御説明申し上げます。

 原子力保安院におきましても、ナトリウム漏えい検出器というのは非常に重要な機器だという認識は持っております。

 事故の報告という観点で申し上げますと、ナトリウム漏えい警報の発報につきましては、ナトリウム漏えいが実際にない、つまり誤警報であるといった場合、あるいはふぐあいであるというような場合でありますれば、法令に基づく報告事案に該当するものとしては扱っておりません。したがいまして、国といたしましては、平成三年以降の誤警報や検出器のふぐあいにつきましては、原子力機構から法令に基づく報告は受けておりません。

吉井委員 私、そこが非常に気になるところなんですね。

 九五年十二月の事故というのは、もともと、ビデオ隠し、ビデオ改ざんなど、さまざまな中身が隠されてきたというのが大問題になったんですね。一回一回報告を受けて、原子力安全・保安院として、動燃、今の機構とは別に、別の角度から一件一件について、それが本当に誤発報であったのか、あるいは絶縁不良その他の機器のふぐあいであったのかどうか、これを調べるのがあなたのところの仕事じゃないんですか。報告がゼロということは、一件も調べていないということですね。

平岡政府参考人 今の御指摘につきましては、法令に基づく報告ということでは、そういう取り扱いになってございます。

 平成十九年七月以降でございますが、原子力機構の方で、誤警報であっても地元あるいは国に自主的に通報連絡をするという決めをいたしておりまして、それ以降、国には原子力機構から誤警報についても連絡を受けております。その連絡がございました場合には、保安院といたしまして、現地の保安検査官がその現場の確認を行う、あるいは原因究明等について聴取をするといったことに取り組んでおります。

吉井委員 先ほど報告はゼロだったということと、今、連絡はある時期以降は一応あるということですけれども、これは本当にナトリウムが漏れていて発報したのか、漏れていたんじゃなくて機器の故障等によるものか、きちんとそこは明らかにされないと、実際に漏れて大きな事故になってから問題にしたって遅いんですよ、この問題というのは。

 理事長にこの機会に改めて伺っておきますが、九五年十二月の「もんじゅ」事故調査で、動燃改革検討委員会報告書というのが出されておりますが、その中には附属資料として、アーサーアンダーセン、コンサルタントの調査結果も示されております。例えば、事故発生時の対応や危機時における情報の開示状況を見る限り、国、自治体、地域住民に対し情報を十分に開示しているとは言えない。国、自治体への報告要否について、事故か否かにかかわらず積極的に開示するといった考え方がないために、例えば開示すべきか否か判断に戸惑うような場合において通報がおくれる。動燃には、異常兆候への対処について考え方が整理されていない。こういう指摘があったと思うんですが、この指摘は間違いないですね。

岡崎参考人 御指摘のとおり、九五年のナトリウム漏えい事故以降、国並びに今御指摘があった外部機関による厳しい原因究明あるいは今後の動燃のあり方について御審議をいただきまして、今先生御指摘の、そういった経営だとかあるいは緊急時対応についての御指摘をいただいたというのはそのとおりでございます。

吉井委員 そういう指摘が当時あったんですが、再注入してから、ことしの三月二十六日二十三時〇七分に、一次系メンテナンスの冷却系CLDからの警報発報がありました。これは、実際に一一九番に通報したのは翌日の零時五十六分と、消防への連絡は一時間四十九分後になってしまっている、地元自治体には二時〇八分ですから二時間一分後、こういう事態になっていたということを事実として確認しておきます。

岡崎参考人 御指摘のとおり、本年の三月二十六日に一次系メンテナンス系の冷却系のナトリウム漏えい検出器が発報いたしました。これが二十三時〇七分でございましたけれども、その後、翌三月二十七日の零時四十八分に、原子炉等規制法の運転上の制限の逸脱、こういうことに当たるということの宣言をいたしまして、その後、直ちに零時五十六分に消防に連絡をいたしたところでございます。

吉井委員 ナトリウムを検出したという警報器、それは確かに真実の情報かどうかわからないわけです。しかし、まず伝えるということが必要だと思うんですよ。伝えながら調べて、これはこうでしたということがわかればいいわけです。

 九五年十二月八日の「もんじゅ」事故、今、私、あのころのものを少し繰ってみたんですけれども、十九時四十七分に火災報知器が発報した、一分後にCLD、今の検出器が警報を発報したわけですね。ところが、福井県に連絡したのは四十八分後ですね。科学技術庁に連絡は五十六分後。敦賀美方消防本部への連絡は一時間〇三分後。ですから、九五年の「もんじゅ」事故の教訓や指摘が生かされていないだけでなくて、連絡に至ってはもっと悪いというのが今の事態じゃないですか。

岡崎参考人 御指摘の今回の三月二十六日の連絡の件については、昨年の七月に、二次系ではございましたけれども、誤警報であったとしても直ちに公表する、関係機関に連絡をする、こういうことにいたしたわけであります。残念ながら、現場で二次系と一次系の取り扱いについての若干の理解の不足というものがあって、結果的に、ことしの三月の警報が発報したときに直ちに連絡すべきところが時間を要してしまったということは、大いに反省すべき点だと思います。直ちに連絡体制をもう一度立て直しをし、訓練をし、二度とこういう、誤警報であったとしても直ちに連絡をし、公表する、このように努めていきたい、こう思っています。

吉井委員 実は、あれは七月の十日ぐらいですか、二十日過ぎでしたか、保安院が文書を出される直前に、七月四日にも警報が発報しているのに、ところが、これの報告が地元には非常におくれてしまった。だから、これは本当に、たまたまナトリウム漏れ事故でなかったからよかったんですよ。しかし、警報器は鳴ったけれども、連絡がもたもたしている間に事故として拡大してしまう、こういうことになると、地元の行政体にしても消防本部にしても全く対応ができない、地域の人たちは逃げ出すこともできない、今そういう深刻な事態にあると思うんですが、この点、どうなんですか。

岡崎参考人 昨年の七月に、二次系の誤警報に関連をして、誤警報であったとしても直ちに公表し、連絡をする、こういう体制を築きました。

 ただ、先生も御承知のとおり、二次系の漏えい検出器の主たる部分であるRIDというのは大変感度の高い、例えば電圧の変動等によっても警報を発するということがある、あるいは点検を行っているときに、その点検を開始するに当たって、恐らくこれは誤警報が出るかもしれないというケースもございます。

 そういった、事前に警報の発報が予測されるものについてはあらかじめ私どもの週報でその旨御連絡を申し上げ、そしてその結果については事後にわたっても週報で御連絡をするということで、したがって、場合によっては、警報が起こったから直ちに発報するのではなくて、事前にそういうことがありますということを御連絡した後に週報でまとめて御報告をするというケースも、これは地元の方々とも御相談をして、そういうケースもあるということを御了解いただいているところでございます。

 いずれにしても、そういうことで誤解があったりあるいは情報漏れがあったりしてはなりませんので、そこはさらに徹底をして、迅速な情報連絡に努めていきたい、こう思っています。

吉井委員 九一年にナトリウムを入れてから、何度も何度も警報器の発報というのはありました。精度を上げることは大事なことなんです。精度を上げれば当然ノイズを拾うことももちろんあるんですけれども、そのときにどういうふうに対応するかというのが国民の安全を守る上では一番大事なことなんですが、しかし、原子力安全・保安院には報告はなかったというのが先ほどのお話でした。

 この機会に原子力安全委員長に伺っておきたいんですけれども、原子力安全委員会としては、毎回毎回こういう報告はあったんでしょうか。いつこういう報告を受けられたのかを安全委員長に伺います。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 事故についての報告は、法令に基づく報告があったことについては安全委員会に対し保安院から報告を受けることになっておりまして、それが私どもにあったのがことしの四月の十日だったと記憶しております。

 この報告を受けて、私どもとしても、今吉井先生が御指摘のように、このようなことが今後はないようにしてほしいということで、早速機構の人にも来てもらいまして、翌週、機構からその点について説明を受け、委員会として、特に委員長としての見解を示したところでございます。

吉井委員 保安院にもともと報告はなかったんです。保安院からことし四月にようやく、原子力安全委員長のもとにも報告があった。ですから、私は、これはなかなか深刻な事態だと思うんです。

 少し振り返ってみますと、大きな事故、国際的に見ても、一九六六年十月のフランスの実験炉ラプソディー、それから一九七六年の七月と十一月に原型炉フェニックスの中間熱交換器でのナトリウム漏れ事故がありましたし、一九八七年には実証炉スーパーフェニックスで、燃料貯蔵タンクの容量は七百トンですが、二十トンのナトリウムが漏れた事故とか、深刻な事故が次々続いていて、ソ連では、旧ソ連時代の高速増殖炉BN350が十四回、BN600が二十七回事故。

 ですから、高速増殖炉を進めたフランスもロシアも、何度もナトリウム漏えい事故が発生していて、やはり高速増殖炉というのは、プルトニウムを扱うという非常に難しい問題と、同時にナトリウム技術そのものが極めて難しい問題だ、この両方を持っている技術なんですが、だからこそ、何度も事故をやって、各国は高速増殖炉から撤退という方向に行っているというふうに思います。

 私は、高速増殖炉のそういう難しい問題について、やはり一つ一つの事象、事故とかトラブルが、九五年に事故をやりながら、十三年たつと余りにもあいまいにされてしまっているのではないか。この点については、もう時間が迫ってまいりましたから、原子力安全委員長には、今後これをどのようにきちんと報告させ対応をさせていくのか、その点についてのお考えを伺っておきたいと思いますし、最後に、せっかく大臣に来ていただきましたので、今お聞きいただいたように、海外でも、ナトリウム事故例から、廃炉へ行っているというのが多いんです。

 プルトニウムと取り扱いの難しいナトリウム技術という大問題にぶつかっているわけですから、高速増殖炉「もんじゅ」からは撤退して、国際的にも今改めて研究されておりますが、トリウム溶融塩炉など、これは私、九八年、九九年のころに国会でも取り上げたんですが、そういったものを含めて、原子力の平和利用の原点に返った基礎研究からきちんと始め直していく、そういう取り組みをやっていかないと、既に「もんじゅ」関連だけでも、旧動燃以来、五兆円の金を投じてきて、いまだにめどが立たない。

 こういうことをずるずるやっているのがいいのかどうかという根本問題がありますから、日本の原子力の安全を守るという点でも、「もんじゅ」に固執しない、そして軽水炉、プルトニウム循環型の原発から撤退して、やはり新しいさまざまな基礎研究からやり直しをやっていくという原点に戻った研究が必要だと思いますが、こちらは大臣に。

 お二人から伺って、質問を終わりたいと思います。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 まず、今回、一連のこういうトラブルが発生したことにつきましては安全委員会も深刻に受けとめておりまして、先ほど申し上げましたように、四月には、委員長見解ということで、「もんじゅ」ナトリウム事故以降、総点検をしてもらっていたんですが、もう一度総点検のやり直しをするぐらいの意気込みで安全については真剣に取り組んでほしいということを要請しているところでございます。

 それに基づいて、保安院の方では、特別な保安検査等において事業者の取り組みを今確認中ということで、今まさに、さらなる安全確保に向けた取り組みに、事業者及び規制行政庁において真剣に取り組んでもらっているものだ、こういうふうに考えております。

 よろしくお願いいたします。

佐藤国務大臣 先生に申し上げるのは釈迦に説法みたいな話になって大変恐縮でございますけれども、安全の確保というのは、今委員長が申されたようなことで私も指導してまいりたいというふうに思っておりますし、最大限にそれを、今までの経験を生かしたようなことも含めて指導してまいりたいというふうに思います。

 また、「もんじゅ」でございますけれども、長期的なエネルギー安定供給とか放射性廃棄物の潜在的有害度の低減に貢献できるという面では、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の中核施設であります。限りある資源をリサイクルして有効利用するものであるというふうに伺っておりまして、資源に乏しい我が国にとって、原子力政策上重要なものであるというふうに認識をしております。

 したがって、私の所管事項ではないわけでありますけれども、「もんじゅ」の研究開発については、安全研究と並んで着実に進めていきたいというふうに思いますし、必要だというふうに思っております。

 また、安心、安全についてはしっかりと先生の御意向を踏まえてやっていくということを確認させていただきたいというふうに思います。

吉井委員 終わります。

渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。

 二十五分いただきまして、質疑をさせていただきたいと存じます。

 まず、野田大臣にお尋ねしたいと思います。

 十二月一日から新公益法人制度が始まっておりますが、今日現在における状況と、また、今後に向けての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 おかげさまで、十二月一日の制度の全面施行、無事にスタートを切ることができまして、公益認定等の申請の受け付けを開始しております。内閣府に対しましては、きのうまでに十四件の申請が到達しているところです。

 これからは、これらの申請について、公益認定等委員会において実質的な審査を行うことになりますけれども、私としても、制度の円滑な施行の確保に向けて今後とも努力をしてまいります。

市村委員 新制度、本当にこれは大事業だと私は思っていますので、ぜひとも公益認定等委員会で、新たな公益法人が、これまでとは全然違う考え方で、より開かれた形で、透明性の高い形でどんどん審査が進み、新公益財団、社団が生まれてくること、これを願っておりますので、大臣、ぜひともよろしくお願いします。

 それでは大臣、きょうはありがとうございました。政府参考人の方もありがとうございました。済みません、きょうは時間が二十五分しかないので、またじっくりやらせてください。また通常国会での議論を楽しみにしております。

 二番目に参りますが、先日、文部科学委員会の方で、留学生の年齢詐称問題というのを取り上げさせていただきました。四年九カ月、年齢をサバを読んで日本に来て、そしてその高校が優勝したという問題を取り上げて、その後は関係各位いろいろと今、不正をどう正すか、また今後不正をどう防止するかについてお話をしていただいていると思いますが、その後の状況について教えていただきたいと存じます。

尾崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 実際と年齢の異なる外国人留学生を含む高校のバスケットボールチームが平成十六年のインターハイなどで好成績を上げたという件につきまして、先月十九日の文部科学委員会で、お話ございましたとおり、委員から御質問をちょうだいいたしました。

 その後でございますけれども、全国高体連の方で、各県、高体連の支部がございますけれども、県の高体連を通じまして、当該学校に対しまして、留学生の入学を許可した当時の資料の提出などにつきまして、その厳重な調査を進めるということで、これまで二回、三回にわたり、やりとりを今継続しているところでございます。残念ながら、その留学生の入学を許可した時点の書類が原文のままであったりというようなことで、まだちょっと調査が意を尽くしていない点もございますので、今進行中という状況でございます。

 また、ちょうど一週間前になりますけれども、五日の全国高体連の理事会におきまして、これまで余りはっきりしておりませんでした、例えば大会のときの事故ですとか不祥事についてのルールにつきまして、指導規定ということで新たに策定をしたということで、これが明確にされたという状況にあるわけでございます。

 この調査の返事を今待っている状況でございますので、これを踏まえて、今後また、高体連の方できちんとした対応をしてくれるものというふうに思っております。

市村委員 バスケットに関して見れば、今、ウインターカップも迫っています。これは一高校、一バスケットだけの問題ではないと私は思っておりますが、やはり一罰百戒であります。このことをしっかりとしないと、ほかも、ああ、この程度で済むんだということになってはいけませんので、しっかりと、もちろん高校の責任、またはその留学生の責任等々ありますが、やはりこれは高体連の責任、または、僕は文部科学省さんのやはり責任、けじめというのもあるべきだと思っておりますので、ぜひともそれについては今後もしっかり調査していただいて、お進めいただきたいと思います。

 また、さっきもちょっと申し上げましたが、ウインターカップも迫っておりますので、やはりこれは何らかのけじめをここでも示す必要があると私は思いますので、どうぞその点についても御検討いただきたいと存じます。

 ありがとうございました。審議官、どうぞ御退席ください。

 それでは、きょう私があと残りの時間をいただきまして議論したいことは、十月一日未明の個室ビデオ店で起きました火災について、いろいろ議論を進めてまいりたいと存じております。

 十月一日といいますと、政治の世界、国会の世界は、ひょっとしたら解散・総選挙もあるかもしれない、近いということもありまして、えらい事故が起きているなと思いながらも、なかなかそれについて私も思いをいたすことが、残念ながらなかったわけであります。特に昨今、いろいろな悲惨な事件が起きているということもありまして、こうした大事件、大事故が本当にすぐに忘れ去られてしまうということ、これも本当に戒めていかなくちゃいけないというふうに思っております。

 その中で、偶然この事故について詳しく御存じの方とお話しすることがありまして、そのときに何点かいろいろ問題点を御指摘いただいたということを受けて、私も、これはしっかりとやはり検証し、かつ今後に向けて対応するべきものではないかという思いで、きょう、こうして時間をいただいて、質問をさせていただくといいますか議論させていただきたいと思っています。

 この事件は、実は十六人もの方が亡くなられている。しかも、私が一番驚いたのは、一階で起きた事故で十六人もの方が亡くなられているんです。私はこれは二階か三階だと思い込んでいました。ところが、同じビルの二階や三階の方は一人も犠牲者は出ていないし、軽度のことで済んでいるということでありまして、何と一階で事故が、まあ事件なのか、これは実は後で国家公安委員長にちょっとお聞きしたいと思っていますが、起きまして、そして十六人の方が亡くなられているということです。何でこんなことになってしまったのか。

 そのときにいろいろ議論を聞いていますと、まず、国土交通省さんいらっしゃっていますが、どうも一階部分については建築基準法上、何か甘いのではないかという指摘もいただいたんですね。というのも、このビル、出入り口は一つしかなかったんです。実はあったんだけれども、ふさいじゃったんですね。ふさいでおりました。改めてこの間議論して聞きますと、建築基準法上は別に、一階には出入り口は実は一つでいいんだということであるようであります。しかし、たとえ一階といえども、このような事件が起きて、事故が起きて、そして十六人もの方が亡くなっているということを受けますと、本当に出入り口が一つでいいのかというのは、やはり私は大変疑問であると思いますが、これについての御見解を賜りたいと存じます。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 建築基準法でございますが、一階の場合には一般には窓などから屋外に脱出をできる、それから逆に一階については、上の方の階から逃げてくる方が最後に避難をするということで、排煙設備とかそれから主要構造部、いわゆる防火的な基準が強化をされているということを前提にいたしまして、二カ所以上の出入り口を設けるというところまでは今のところ求めてはいないというようなことでございます。

市村委員 私のこの間聞いたところによりますと、避難器具も、もちろん一階は避難器具もない。二階以上は避難器具の設置義務があるんですが、一階はないということであります。通常、今おっしゃったように、一階でまさかということですね。窓もあるし、逃げられるだろうという思いですね。ところが、それで十六人が亡くなられたということです。

 もちろん、建物上はあったけれどもそれをふさいでしまったということでありますから、これは建築基準法だけの問題じゃないということかもしれませんが、特に日本は鉛筆ビルといいますか、ああいう細長いちっちゃいビルがたくさん建っている国でもありますから、やはりこれからは検討の中で、少なくとも二カ所ぐらい出入り口があるということも義務づけるべきではないかと私は思っていますが、御見解をいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 現行の建築基準法令では二カ所以上の出入り口を設けることというふうには求めておらないんですが、今回の事案を見ますと、例えば、これは昭和四十八年に建てられた七階建てのビルでございますが、ここの一階の部分だけを後に改造しているというようなことがございます。

 建築基準法上は、一定のビルについて、重要性が高ければ、一定の定期的な期間で、建った後も維持管理状況を報告していただくという制度がございます。そういった制度がうまく機能したのかどうか。あるいは、今の建築基準法ですと、大規模な増改築、修繕、模様がえ、そうでなければ役所にそういう届けをしなくてもいいということになっております。今回は七階建てのうち一階だけをああいう形で改造してきたということでございますが、そういうことですと役所の方に一切手続はない、そういうことでもいいのかどうかというような、いろいろな論点がございます。

 今後、まだ調査は継続中でございますけれども、火災原因の調査結果など、また今の御指摘の点なども含めて、私ども、こういう事故、事件に対して対応する審議会の中に事故・災害対策部会というものを常設で持っておりまして、いろいろな事件に機動的に対応しているというようなことでございますので、そういった場で御議論をいただいて適切に対応していきたいというふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 今回、お聞きしますと、結局、構造上は出入り口があったけれどもふさいでしまった。そして、パーティションで区切られていたというんですが、そのパーティションが燃えにくい素材だったということらしいんですね。どうなったかというと、火が出ますよね、そうすると、パーティションは燃えにくいですから、火がどっと天井に上がるということになったらしいんですね。そして天井が燃えたらしいんです。そうすると、天井裏にいろいろな配線があって、突然電気が消える、ショートを起こして消えるということが起こって、真っ暗になったらしいですね、一瞬にして。というか、一瞬なのかそれが何秒後なのか、ここはまだ私もつぶさに知りませんが、とにかくすぐに真っ暗になってしまった。

 大きな問題は、何とここに非常の誘導灯が設置されていなかったということで、真っ暗になってしまいまして、結局そのパーティションで、私も行ったことはありませんけれどもテレビで見た限りでは狭いということで、どっちに逃げていいかわからなくなっちゃったということなわけですね。そして、間違った方向に逃げちゃって亡くなられた方がお二人ほどいらっしゃる。出入り口と逆の方向に逃げてしまって、そこでもう袋小路になって、真っ暗ですから、出入り口も全くわからなくなって亡くなられた方もお二人いらっしゃるということもお聞きしています。要するに、何が問題かというときに、結局、非常灯がなかったということが一つ問題になるんです。

 ただ、新聞記事等を見ますと、これは消防庁さん、きょう長官もお見えになっていらっしゃいますが、いろいろと調査をされていると結局六割ぐらいでふぐあいがあるということも出ています。これについては消防庁さんの調査で、今こういった個室ビデオとかネットカフェとかさまざま、簡易宿泊所みたいな形でつくられている場所についていろいろ調査をされていると思いますが、ちょっと状況を教えていただければと思います。

岡本政府参考人 今委員御指摘のように、今回の火災を踏まえまして、全国の個室ビデオ店あるいはカラオケルームなどいわゆる閉鎖的な空間になっている、それから、夜間、実態として宿泊をする、そういうような実態のところにつきまして緊急の調査を行いまして、いろいろな実態を調査いたしました。

 全国で約八千六百ほど調べましたが、例えば個室のビデオ店、全国で七百六十八ほどございますが、このうち自動火災報知設備の違反でございますとかスプリンクラーの違反などが約三割あるというような、今御指摘の状況もございます。

 そういうものにつきまして、一斉の点検をするということで、また厳しく設置の指導をしているという今状況にございます。

市村委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、この個室ビデオ店とかネットカフェ、ネットカフェ難民という言葉が本当に社会の一般語のようになってしまった昨今でありますけれども、本当にこういうところで寝泊まりをする、寝泊まりどころか、まさにここを住まいにしているという方も今いる。

 もちろん、政治の世界というのは、我々の責任は、こうした人が一人でもいなくなる、本当はゼロにしなくちゃいけない、これが根本的な解決でありまして、それを目指さなくちゃいけないわけですが、しかし、昨今のこうした景気の状況を受けまして、むしろそういう人が一時的にはふえてくるだろうということになってきます。

 そういったときに、またこうした同じような事案が起きて、しかも、聞いたら、禁煙じゃないということらしいので、寝たばこで火がついて燃え上がった。同じようなことがまた起きた場合、一階部分でこれだけであれば、これが二階三階、もっと上層階の場合はどうなるのかということも考えられます。

 しかも、私の地元の宝塚で起きたカラオケボックスの火災を受けて、実はいろいろな形で対策がとられているはずなのに、今回十月一日にこのような事件がまた起きて十六人もの方が亡くなられているということでありますれば、これは本当に真剣に対策を講じていかなくちゃならない、こう思っております。

 もちろん、火災を起こさないということが大切だと私は思いますが、しかし、万が一火災が起きた場合、そのときに今回のように真っ暗になってしまう、非常用設備もない、またあったとしても、いや非常用設備があれば二十分間非常電源がつきますというんですが、それだってもし燃えてしまったらどうなのかという疑問も私はぬぐい去れないところであります。しかも、ひょっとしたらその設置費用が高くて敬遠されているのかもしれないということになりますと、何か一案を講じなくちゃいけないというふうに私もかねがね思っておったわけであります。

 そこで、実はきょう、理事会の方でも諮っていただきましてお許しをいただいたわけですが、こういうものがあるんです。これは何かというと、蓄光材と言われるものです。光をためる素材なんですが、こうした蛍光灯の光でもいいんですけれども、これだと電源が要らないんですね。本当は真っ暗にしていただいて光るかどうかをお見せしたいところなんですが、真っ暗になるとこれが光ってくれるんですね。しかも八時間ぐらいもつんです。

 まあ、これも燃えたらどうなのかという話もありますから、将来的にはこれをセラミックにするとかいろいろ課題はあると思いますが、例えば下の方だったら、火は余り下の方に行かないんですね。だから、みんな火事になったらはいはいしろ、タオルで口をふさいで煙の下の方をはいはいして行けという話で、飛行機なんかも誘導灯は足の下にあります。足の下に置くかどうかは別として、低いところにこうしたもの、これはシールになっていますから、これを張りつけておけば、真っ暗になってもぼわんとこれが光っているわけですね。それで、こっちだというふうに、あと、これは「非常口」というのもあるみたいですから、こういったものを張っておけば、ああ、こっちかということで、少なくとも今回みたいに真っ暗になって逃げ惑うことはないということだと思っています。

 と思っていましたら、消防庁の方でも、もうこうしたものをしっかりと認識されて取り入れようとされているということもこの間お聞きしました。消防庁長官、それについてまたお話しいただきたいと思います。

岡本政府参考人 今委員御指摘ございましたように、今回の火災を踏まえまして、先ほど申し上げました徹底した調査と査察ということに加えまして、現在でも個室ビデオ店あるいはインターネットカフェ等でそういう実態があるわけでございますので、二つの面、当然、ハードの面といたしまして、先ほど申し上げましたような違反をなくすということ、さらには、この十月から施行されました自動火災報知設備の設置義務対象を広げておりますので、これを徹底するということ。

 それから、今まさに委員御指摘ございましたように、避難経路の表示として、暗所で、暗いところで光るような誘導標識をつけて、それとあわせて、今回の火災の場合にやはり従業員等が、寝泊まりしている方について適切な誘導が行われたか、そういう意味でのソフトの対策も非常に大事でございますので、ハード、ソフトの両面についてそういう対策を徹底するようにということで、現在、各消防機関を指導しているところでございます。

市村委員 先ほども申し上げましたように、宝塚のカラオケボックスの件もありながら、今回一階ではこういう事故が起きてしまったということです。だから、ぜひとも消防庁も、私は消防庁の皆さんというか消防士の皆さんというのは、命がけの消火活動等をしていただいているということに関しては本当に頭が下がるし、心から敬意を表しているところであります。ただ、こうした悲惨なことが繰り返されないように、また特段の、一段の御検討といいますか議論をしていただいて、しかも、こうしたものを即刻普及させていく。もちろん、非常のときの電源を備えた装置も、それは一つあると思います。だから、そんなところがそぐう場合もあると思いますし、しかし、そうしたものがすぐ設置できない、形状上無理らしいという場合は、先ほどお示ししたようなああいうものでも、とにかく当座何か対策をとっておくべきだと思うんですね。

 なぜ私がこういうことを考えてきたかというと、私は阪神・淡路大震災の震災復興の事業に三年携わっていた経験があって、そのとき実はそういう話を聞いていたんです。もう十何年前かな。つまり、地震が起きた瞬間に真っ暗になっちゃったというわけですね。例えば、夜に大きな工場とかが真っ暗になっちゃうと、本当にどこが逃げ場所かわからないわけです。そのときに、たまたまかつてこういう蓄光材の話を聞いたときに、ドアノブに蓄光材を、丸いものをこうしておくと、そこがぼわんと光っているから、そっちがドアだということでわかるんだということも教えていただいて、これはいいアイデアだなというふうに、これをお聞きしたのがもう何年前でしょうかね、七、八年前だったような気がするんですね。そういう話。

 あと、これがいいのは、この間お聞きしたのは、ガスの元栓とかありますよね。真っ暗になっちゃうと、ガスを消せ、ガスの元栓を閉めろと言われても、ガスの元栓がどこにあるかわからない。そうすると、ガスの元栓のひねるところがありますよね、あそこに蓄光材を使っておくと、それがまたぼわんと光ってくれているから、あっ、これだといってガスの元栓を閉められる。結局、ガスの元栓をあけたままにしておくと、地震の後、そこからガスが漏れて、そこに火がついて二次災害を引き起こすということも、震災のときにいろいろ教訓として私も教えていただいています。

 だから、そういった意味では、この蓄光材という話は、私はいろいろな用途があるというか応用がきく話ではないかなと思っておりまして、まさにこれは日本の技術だというふうに思っていますので、こうしたこともしっかりと取り入れていきながら、もちろん、先ほど長官がおっしゃったようなソフト面において、あらゆる意味で対策を進めていく。

 まあ、これはあくまでも対処療法的というか、対処の方の話でありますから、根本的にこういうことがないように、先ほどこの話の前段で議論しましたように、そもそも一階だから安心かというところ。しかも、一階で安心だから、パーティションで区切って出入り口をふさいじゃった。窓をふさぐと排煙もできないということで、排煙設備としての窓も使えなくしちゃった。そもそも、このあり方自体が問題じゃないか、こう思うわけです。

 それも、ちょっとお聞きしたら、つまり、一階は甘いから一階でやっているんだという話もお聞きしたんですね。一階では規制が甘いから一階でやるんだという話もちょっとお聞きしたことがあるんです、今回のことを受けていろいろな議論を聞いていますと。要するに、規制が甘かったことの盲点をついて、あえて一階でやったという部分ですね。一階ならパーティションで区切ってもそう言われないだろう、こういう話です。

 だから、これではやはり根本的解決にはならないわけでありますから、ここは特段また御指導いただいて、やはり一階でもこういう事件が起きているということがあるんだから、一階だったから安心じゃないんだ、一階でもきちっとそういった排煙、窓は閉じるなとか、ドアをちゃんとあけておくとか、当たり前だと思うんですが、その当たり前のことが当たり前に行われていないことがありますから、ぜひともその辺の御配慮を賜りたいと思う次第でございます。

 最後に国家公安委員長にお聞きしたいんですが、実はこの事件は、最初はつけ火という話だったのが、何か供述を変えて、いやいやあれは失火だと今話を変えているというふうにお聞きしていますが、この辺の捜査状況というか、これは警察というか、裁判に行っていますから国家公安委員長にお聞きする話じゃないかもしれませんけれども、ちょっとこの辺についてと、きょうの議論を含めて全体的に御見解をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

佐藤国務大臣 今御質問のございました捜査上の話についてはちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思いますし、私自身まだ聞いておりませんので、申しわけありませんけれども、もしわかる範囲でありましたら、また御報告させていただきたいと思います。

 全体的にというお話がございましたけれども、警察庁といたしましては、風俗営業店とか店舗型性風俗特殊営業の営業所等については、平成十三年度の新宿区の歌舞伎町での雑居ビル火災を受けまして、消防関係行政機関との間で火災防止に向けた必要な連携を行うよう都道府県警察を指導しているというふうに伺っております。これらの機関との連携を通じて、重大な事件の防止に努めてまいりたいというふうに思います。

 また、こうした連携を図る中で、消防法等の関係法令に違反する事犯が判明をすれば、警察として、法と証拠に基づきまして厳正に対処しているものと承知をしておりまして、今後とも指導してまいりたいと思います。

市村委員 本当に多くの人の命がまた今回も失われています。先ほど申し上げたように、ここを宿泊施設として使う、本当はそれはいけないのかもしれませんが、しかし、そういうニーズで使っていた人もいらっしゃる。本当に、人生をよくしていこうということで、特に今一生懸命働いてお金をためよう、安いところがありがたいということで泊まられていた方が亡くなられているというのもこの事件でありまして、二度とこういう悲劇が繰り返されないように、またぜひともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 本日は二十五分をいただきまして、今国会では最後になると思いますが、質疑をさせていただきたいと思います。

 先日の大臣所信でもありましたが、消費者行政推進において、また食品安全に関しては、国民が泣き寝入りしなくて済むよう、消費者、生活者が主役となる社会の実現に向けて取り組んでまいりますということをおっしゃっておりました。まさしくその消費者行政の中で、まず個人情報の保護というものについて、さらにその重要性が高まってまいるという問題意識から、本日の質問をさせていただきたいと思います。

 その中で、まず事実確認からさせていただきたいと思いますが、個人情報保護に関する法律というものが、施行以来三年半余りたったわけでありますが、この法律のそもそもの目的と、そしてこの三年半、施行されてからどのような効果があったかをまず大臣からお聞かせください。

野田国務大臣 この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、個人情報の適正な取り扱いを確保するための仕組みを定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。

 この三年の効果につきましては、事務方から報告させます。

田中政府参考人 今大臣が御説明しましたように、この法律の目的は、個人情報の利用と保護のバランスを図っていくということでございます。

 特に保護に関しましては、全く規制を加えないということですといろいろ不都合が生じるということで、この法律の中では、苦情を申し立てていただいて、それに対して、基本的には民民間で解決をしていただくということでございますけれども、それがもし公権力の行使が必要であるとした場合には、主務大臣が情報の聴取とかあるいは勧告をすることができるということでございまして、そうしたものの案件も出てきているということが一つの効果であると考えてございます。

楠田委員 効果というものはなかなか見えにくいというのがさっきのお答えだったと思うんですが、もう一つ二つ、十五条、十六条に利用目的についての規定があるわけでありますが、目的の内容で制限されることはそもそもないのか。例えば、純粋に名簿の売買を目的としていても、この法律の中では許されるんでしょうか。

田中政府参考人 お答えします。

 十六条で、個人情報を扱うに当たってのその利用目的を特定することは、個々の処理ごとの目的を特定することではなく、あくまで個人情報取扱事業者において最終的にどのような目的で個人情報が利用されるかを特定するという趣旨でございます。

 したがいまして、個人情報事業者が顧客リストの売買など個人情報を第三者に提供することも、その利用目的に含まれてございます。

楠田委員 それでは、次の十七条における取得方法の規定がありますが、「偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。」とありますけれども、この「偽りその他不正の手段」とはどういうものが考えられますでしょうか。

田中政府参考人 個人情報保護法第十七条にある不正な手段とは、社会的に相当性を欠く手段を指し、偽りによるほか、不適法または適正性を欠く方法や手続も含まれると解されており、例えば、正当な権限なく、他人が管理する個人情報を取得する場合などが考えられてございます。例えば、本人の同意がなく名簿が流通している場合については、法第二十三条に規定する第三者提供の制限に違反しているという場合が考えられるところで、この規定に違反していることを知りながら個人情報を取得することは不適正な取得に当たると考えられます。

楠田委員 そこで、今の答えの確認なんですが、例えば、売買業者が本人の同意なく売買をする、渡す上で、二十三条において規定があると思うんですが、これは事業者、まあ企業等ですね、企業等がそうした売買業者に渡す、そうした際にもこの二十三条というのは適用されるんでしょうか。

田中政府参考人 二十三条は、個人情報保護法の義務規定の対象となる個人情報取扱事業者が、原則として個人の同意を得た場合でなければその個人データを第三者には提供してはならないということになっていて、だれに渡すかということを特定しているわけではございませんので、本人の同意を得た場合でなければならないということになります。

楠田委員 ですから、この後ちょっと聞きますけれども、そうした企業なりしかるべき立場の方が売買業者に、金銭のやりとりがあるにしろないにしろ、これを渡すという上において二十三条が当てはまるとすれば、オプトアウトの規定というものも、この事業者というか企業も適用されるということでいいですか。

田中政府参考人 ただいま言及がありました、オプトアウトの規定とはこういうものでございます。

 先ほど申し述べましたように、二十三条においては、原則として、まず「あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」という原則を決めております。その一項の中では、今申しませんでしたけれども、公益に資する場合及び緊急の場合等の例外措置を設けてございますが、今御指摘のあったのは、第二項で一種の例外措置を、個人の同意を得なければならないということに対する例外措置を設けていることを、オプトアウトと指してございます。

 これは、卑近な例で言えば、電話帳のように非常に多数に上る場合に個々人すべての同意を得るということが現実的に難しい場合に、次のような要件を満たしている場合には、本人の同意を得るのではなくて、あらかじめ本人に通知するか、または本人が容易に知り得る状態に置く、例えばホームページの正面に掲げておくとかそういうことだと思いますが、その場合には、本人の了解というのを、御返事をあらかじめ得ておく必要がない。

 そのときの要件というのが四つございまして、一つは、第三者への提供を利用目的とするということを本人に通知している、先ほど言いましたように、知らせていること、それから、第三者に提供される、何が提供されるかという個人データの項目も知らせていること、それから、提供の手段または方法も知らせる、それから一番大事なところは、本人の求めに応じて、本人がその掲載をやめてもらいたいということを言った場合に第三者への提供を停止する。これらの条件を満たした場合には、本人の、先ほどの原則でありますあらかじめの同意というのではなくて、通知等の方法によって第三者に提供することができる、こういう規定でございます。

楠田委員 先ほどの、本人が容易に知り得る状態の中で、ホームページに掲載されていることも当てはまるという答えもありました。

 それでは、具体的な事案でお聞きをしてまいりたいと思います。

 お手元に資料をお配りさせていただいていますが、まず資料一の方をごらんいただければと思います。

 あるホームページの中で、名簿売買の目次のようなもの、検索のようなものでこうしたページがあります。一覧が羅列されて、その項目から年齢層や地域などを絞り込んで一件十五円から三十円ほどで購入できるというのが相場のようであります。もう一枚、二枚目はちょっと黒塗りばかりで恐縮でありますが、実際にはこういうような形態で手に入ってくる。この場合は、東京の五十代以上の女性で、契約商品名も隠していますが、高額の美容商品のようなものを買った方のリストというのを手に入れようと思えば簡単に手に入るということが、この表でわかっていただけると思うんです。

 こうしたもので、先ほどの資料一の中でも、基礎化粧品の通販購入者なんかはまだ出回っても、許されないと思いますが、許されるかもしれませんが、六百九十三番のバストアップ食品の通販とかショークラブ利用者とか、こうしたものまで売られている。携帯なんかも載っていたりするわけですよね。

 こうしたもの、本人が明らかに知られたくない情報でもありますし、その名簿の取得方法で、先ほど原則として、権限なく、本人の同意なく提供してはならないということでありますが、十七条に照らして、例えば、こうした状況であることは、恐らく、もともと持っていた業者の方、販売業者の方がこの名簿売買業者に渡す上で、漏えいの推測がやはり成り立つのではないか、そうした思いがあるわけですが、この点はどうでしょうか。

田中政府参考人 今拝見いたしました資料一が、こういう形でネットのサイトに出ていた場合、その中で、どういう資料が現実にあるかということをこのものからは知ることができません。

 先ほど言いましたように、法の中では本人の同意があらかじめ得られているかどうかということが基本的な尺度になってございます。今、こういうものは本来は知られたくない情報なのではないかという御認識で、したがってそこから推定できるのではないかということなのでございますけれども、そこのところは、どちらかということは一概には言えないというところだと思います。それは、中を見てみないとわからないところもあるのかもしれませんし、あるいは、こういうもので何が得られるかということに関しての情報がこれだけで判断できるかというところがあるかと思います。

楠田委員 中を見てみないと一概に言えないという答えでありました。大臣もお聞きいただいたと思います。

 ただ、これの中はやはり買い取りをしないと当然見られないわけですね、ネット上ではさすがに名簿までは載っていないということでありますので。まず、本人が同意しているかどうかの確認も非常に難しいでしょうし、また本人が、載っているのでとめてくれと言うことも、この目次を見る、資料一を見るだけでは非常に難しいと思うわけであります。

 そうした中で、なぜこういうことを取り上げるかと申しますと、やはりお年寄りの方なんかが、さまざまなこうしたセールスの中で、もちろん御自身で判断される方もあるでしょうが、実は今、社会問題の中で、こうした名簿が出回って、同じ、いわば引っかかりやすい、だまされやすいお年寄りのような方に、何件もこうしたセールスが次から次に行き交って、そして何件も買わされて生活が窮地に追いやられる、そうした社会状況も起きているわけであります。

 ネット上でオプトアウトを説明していても、先ほどホームページでもいいということでありましたが、お年寄りの方がホームページを見るわけがないわけでありますし、それが本当に容易に知り得る状態と言えるのかどうかという観点があると思います。

 この点はもう一度確認ですが、そうしたお年寄り等にとっても、このホームページ、こうした状況であっても容易に知り得る状態と言えるんでしょうか。

田中政府参考人 この法律は、個人情報の保護に関して、基本的な、利用と保護のバランスという観点から、過剰な規制にならないということで、いわば最低限の基準を設けております。したがいまして、そこに書かれている規定に関しましても、法そのものの中では細かく定めておらない。今、本人が容易に知り得る状態というのについても、法の中ではさらに詳しく説明しているわけではございません。

 これは、いわゆる横断法として、さまざまな領域での個人情報保護の共通のルールということで定められていることで、したがいまして、その運用に当たりましては、主務大臣というのを定めて、それぞれの業種、業態、領域において必要な規制を定めるということで、より詳細な規制に関しては主務大臣のもとでのガイドライン等の運用にゆだねられているところでございます。

 しかしながら、これらについてはやはり一種の反省がございまして、共通なガイドラインを定めるべきではないかということで、ガイドラインの共通化ということについて関係各省の間で議論をしてきまして、本年の七月にその案となるものを提示いたしました。その中では、本人が容易に知り得る状態については、このように記してございます。

 事務所の窓口への書面の提示、備えつけやホームページへの掲載その他の継続的方法により、本人が知ろうと思えば、時間的にも、その手段においても、簡単に知ることができ得る状態をいい、事業の性質及び個人の情報の取り扱い状況に応じ、内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法による必要がある、一回限りの公表では取り組みの程度が足りないとしてございます。

 したがいまして、先ほどの、このホームページそのものは、当然のことながら、今お示しいただきました資料一に関しては、提供内容についてどうだということは記されておりませんので、今の要件は満たしてはいないわけでございます。だけれども、逆に言うと、これは、個人情報そのものを知らせる、個人情報を開示する画面ではございませんので、もっと別の、売るというところで、その内容に関して通知するときにするのかなと思います。

 ちょっと混乱しているかもしれません。

楠田委員 時間に限りもありますので、今までの議論をお聞きいただいて、野田大臣からお答えいただきたいと思います。

 これから消費者行政の視点を劇的に変転させていくという中で、消費者庁の議論であるとか我が方の権利擁護官の議論などが出てきているわけでありますが、その中で、先ほどありました、何度も言われていますが、利用と保護のバランスとよく言われますけれども、利用しているこういう売買業者なんかは当然相当利益が上がるものであろう。ただ、実際に載せられている側の保護の方が、明らかにバランスはとれていないと私は思っております。そうしたバランスを適正なものにしていくのがこれからの議論の流れ、目的でもあると思っていますが、やはり事前に、未然に、こうした被害のおそれがある、こうしたものを取り締まっていくのもこれからの流れの中で重要じゃないか。

 例えば、せめて、こうしたネットの中のさまざまいかがわしいものについてはサンプル調査などもする。本当に本人からこうした同意を得ているのか、とめられたくないのか、そうしたものをするようなことは考えられますか。大臣からお願いします。

野田国務大臣 私も、この個人情報保護制度の担当大臣になって、さまざま勉強させていただいたわけです。そもそもこの法律の前提になっている個人情報というのがはっきりわかりづらいなと思っていたんですけれども、法律によると、二条に出ていますけれども、個人情報というのは、生存する個人に関する情報で特定の個人を識別できるものということで、明らかにプライバシーとは異なるというふうに書き分けているところがあります。

 では一体プライバシーとは何ぞやというと、一般的には、他人の干渉を許さない、知られたくない、各個人の私生活上の自由というふうな考え方であると言われているわけですが、この個人情報というのも、今の日本においてこれだけICTが社会の基盤になっている中、その活用によって、大量また多様な個人情報というのが発出され、またそれの利用というのは個人のニーズを、これは裏腹だと思うんですね。そういうところの名簿のニーズによって事業等へ的確に反映されるものであり、また迅速なサービスなんかを提供することにつながるという利便の部分もあるわけです。ですから、事業活動等の面でも国民生活の面でも、実は欠かせないものになっている。

 一方、今先生御指摘のように、仮に、いろいろ出ている個人情報が不適正に取り扱われてしまった場合は、これはもう本当に個人にとっては取り返しのつかない深刻な損害を与えかねないということになります。

 ですから、個人情報の利用というのが、利便性の高い、本当に豊かな国民生活の実現に資するという側面に十分配慮することが大切ですし、そういった意味で、今も話がありましたけれども、個人情報の保護と利用の適切なバランスというのは大変重要だと思っています。

 今、消費者行政の話を冒頭にされましたけれども、では消費者利益の擁護と増進という観点からはどうあるべきかというならば、事業者において適切な個人情報の取り扱いがなされることが一番重要なわけであります。ですから、消費者行政の一元化を実現すべく、今、実は国会に九月から提出している消費者庁というのはそこを踏まえておりまして、その三法案の中には、消費者目線で個人情報をどうとらえていくかということで、個人情報保護法というのは実は消費者庁に移管しようということになっています。それ以外には、電話勧誘等に対応している特商法、特定商取引法や、また、迷惑メールに、これもそうですけれども、対応する特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、こういうものも個人情報というジャンルの中であわせて消費者庁が所管しようということで、今提出させていただいているわけですね。

 こういう法律をともに所管する消費者庁の中で、相乗効果というのを生かして、個人情報の問題を含む消費者のトラブルについては、今おっしゃったようにトラブルを未然に防ぐことも大事ですけれども、やはり発生したときに迅速に対応できる受け皿というのも両方相まって、未然防止、拡大防止をすることができるというふうに私は考えています。

 ですから、くどいようですけれども、御異論あると思いますが、消費者庁というのが一日も早く成立するとよろしいのではないかということを申し上げたいと思います。

楠田委員 済みません。ちょっと時間に限りがあるものですから。

 最後、食の安全についてもちょっと触れたかったんですが、資料もお配りしていますが、ちょっと一点だけ。

 三笠フーズの九州支店というのは我が地元でもありまして、大きな動揺が走ったわけでありますが、この点においては、ミニマムアクセス米の点、WTOの交渉にも消費者行政の視点からぜひ発言をしていただきたいと思いますし、また、不正を助長する時代の不透明感自体もあるわけでありますが、ちょっと一点だけ。

 この資料の中で、お問い合わせ先というのが一番下に書いてあるわけでありますが、このお問い合わせ先自体が、内閣府も二つ局があって、農林水産省もあって、厚生労働省もある。四つも書かれていれば、「どの窓口でも丁寧にお答えいたします。」と書かれても、では、どの点がどこに聞けばいいかと、むしろこれ自体が丁寧じゃない、そうした思いがあるわけであります。

 一点だけ、消費者行政を強化していく中で、こうした窓口なんかは当然一本化するべきだと思いますが、これは約束していただけますか。

野田国務大臣 この事故米というのは本当に前代未聞の出来事でありまして、そもそもは農林水産省が食の安全ということで管理をしていた米に不正が起きたわけですね。ですから、犯人と言ったら言い方は悪いですけれども、あるべき農林水産省に総括ができないということで、急遽、食品安全や消費者行政を担当している私の方で、内閣府の方で有識者会議を開いて、ここまで取り組みをしてきたわけでありますが、現実はまだ、食の安全ということは、縦割り行政の中でこれだけのセクションがあるわけですね。ですから、幸い、有識者会議で取りまとめをした結果、コンセンサスというのはできていますから、こうあるべき、こう対処すべきということはできていますので、どこにかけても、これは正直、同じようにきちっと対応できることは今は間違いありません。

 ただ、できればこれは一元化するべきだという先生のお話を、前々から思っているので、消費者庁というのをつくれば、これで一元管理ができて、一元窓口の中で迅速に消費者被害に対しての対応はできるということは明らかだと私は信じています。

楠田委員 どういう形であれ、消費者目線に沿って一元化していただきたいと思います。

 終わります。

渡辺委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは二点について質問をさせていただきたいと思いますが、公安委員長、まず、ふとしたことをお伺いしたいんですが、公安委員長御自身や身近な方で、空き巣ですとかに入られたという覚えはございますか。

佐藤国務大臣 うちの近所で、私の家を除いてみんな入られたなんという話がございまして、しょっちゅうそういうお話は聞かせていただいております。

泉委員 公安委員長の家が避けられたのは、防犯体制がしっかりしていたのか、まあ以前だと思いますけれども、たまたまなのかよくわかりませんけれども、きょうは、防犯性能の高い住宅の普及促進ということについて質問させていただきたいと思います。

 というのは、どうして今回この質問をさせていただこうと思ったかというと、政府は、与党の税制改正の中で、どちらかというと住宅改修の中でのリフォーム減税というのをやっていこうという流れがある。私はそれ自体を全く否定しません。環境問題も大変重要ですから、いわゆるエコ住宅というか、そういったものに対するリフォーム減税というのはあってしかるべきだとは思うんですが、一方で、国民の多くが身近なところで不安を感じていることは何だろう、あるいは社会的なニーズは何だろうということを考えると、やはり防犯性能を高めていくということも、住宅の改修というものに焦点を当てれば非常に重要じゃないかというふうに思ったわけですね。

 正直言いまして、こういう中で税制改正の中なんかでも、もうちょっとこの防犯住宅のことについて深くお考えをいただいて、あるいはそういったことも盛り込んでいただく。我々は野党ですし、他党のことですから余り我々が言うべきことではありませんけれども、しかし、こういった与党の方針がいずれ政府の方針ともなっていくわけですので、やはりそういうところで、政府自身にも防犯住宅、防犯性能の強化というものをぜひよく考えていただきたいなと思っております。

 そういったことで質問させていただきますけれども、まず、現在は、防犯性能の高い建物部品についてはCPマークというものがございまして、これは、防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議というところで、その部品の目録掲載ということをされている。一定の試験合格品を目録に掲載するということになっておりますけれども、この防犯性能の高い住宅、さまざまな部品があるわけですが、こういったものの目録の掲載品の数、これは出ているんですが、実際に世の中にどれくらい防犯住宅というものが普及をしているのか、ちょっと今よくわからない状況であります。

 ということで、まず、この普及状況を、国交省さんの方ですか、お願いをしたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 安全、安心な暮らしの実現ということを考えますと、住宅侵入犯罪の防止を図るということで、防犯性の高い住宅というものは対応すべき課題があるというふうに考えております。

 こういう性能が必要かどうかということについて、これは平成十五年でございますが、住宅の居住者に対して実施をしたアンケートの調査によりますと、住宅の性能、これは耐久性とかあるいは防火性、いろいろございますが、その中の一つとして重視したい項目として防犯性、これが七割を超える、高い関心があるものというふうに認識をしております。

 国土交通省におきましては、十八年四月から、住宅性能の表示制度、この中に防犯性能を追加いたしまして、住宅の持つ防犯性能の高さについて評価をしているところでございます。この住宅性能表示制度に基づく住宅性能評価を受けた住宅、これは平成十九年の統計によりますと、新築住宅着工の約二割ということでございます。ただ、これはその中でいろいろな項目がございまして、この防犯性能についてどうかということについて今ちょっとデータは整理されていないということでございまして、これについては、私どもの方でさらに詳しく調べていきたいというふうに考えております。今のところ、だから、二割という中でどの程度だということはちょっとわからないという状況でございます。

泉委員 今、国土交通省の方からお話があったのは、きょうの資料の一枚目の上の表を見ていただくとわかります。国交省が平成十五年にアンケートをとりまして、そのときに住宅で重視したい性能というところで防犯性が非常に高くなりました。これを踏まえて、十八年の四月にこの防犯性能というものが追加をされたわけですね。合計十項目になりました。そのほかには採光、光の関係だとか、防音ですとか温熱、空気あるいは火災、構造、そういったさまざまな項目があるわけですが、そういうものも含めて実施率が二一%ぐらいだというお話でありました。

 今、御答弁をお伺いすると、今後詳しく調べていきたいということでありました。物品の試験合格品の登録ということはやっているけれども、防犯住宅そのものというのは、この国にどれぐらい広がっているのか、まだ調査がしっかりなされていないという状況でしたので、公安委員長もこの状況をよく理解していただいて、今国交省が調べるということについてはぜひ協力もしていただきたいなということをまずお願いしたいと思います。

 一方で、普及の目標、これも設定されているんだろうかということが疑問でありまして、というのは、やはりこの上の表を見ていただいても、非常に国民が注目をしている。これは国交省の調査です。恐らく警察庁では余りデータは見られていないと思いますけれども。

 一方で、内閣府の治安に関する世論調査、こちらの方で、公安委員長、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪、何でしょうかということで十数項目ずらっと列挙されている調査があるんですが、自宅に入る空き巣などの犯罪、これについての被害に遭うかもしれないと不安に感じているというのがトップなんですね。やはりそれぐらい国民の皆さんは、住宅侵入、住居侵入、あるいはそれにさらに窃盗ですとか殺人がくっついたりするわけですけれども、そういったものについては非常に強い関心を持っている。ただ、家に空き巣に入るというのは、直接犯罪に遭うということとはまたちょっと違って、犯罪被害に遭うという、世論調査でもそういう分け方をされているわけですね。

 そういった意味で、直接犯罪に遭うところには警察も目が届くけれども、犯罪被害ということについては、もちろん常に取り組んではおりますけれども、犯罪被害の予防というところについてもう少し力を入れていただきたいなと思っております。

 国交省に改めて聞きますけれども、防犯住宅については特段の調査はされていないということですが、では、住宅性能表示制度全体、それの普及目標というのは、数値目標的なもの、これは何か設定はありますでしょうか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 こういった住宅性能表示制度、つまり、消費者の方が住宅の内容などをはっきりわかって流通あるいは購入される、そういうことが住宅の質を高めることに非常に重要だろうということで、住生活基本法、そういった形でこれからの住まいのあり方など基本的な考え方を示していただいております。

 そういうことも踏まえて、私ども、この制度、任意の制度ではございますが、国民の皆様方が約五割ぐらいはお使いいただきたいなというふうなことを考えておりまして、その方向で推進をしておるところでございます。

泉委員 ところで、そういった形で国土交通省が具体的にどのような政策をしているかというところの一つに、地域住宅交付金というのがございまして、この中の提案事業例として、例えば、地域防犯、安心、安全にかかわる事業ということについて地方公共団体が主体となって行う事業があれば、それに交付金を出しますよというメニューがございます。この交付状況ですとか、あるいは、防犯目的でそういった事業の提案があった件数、これがどれぐらいあるのか、お答えいただけますでしょうか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 地域住宅交付金制度でございますけれども、平成十七年から、いわゆる住宅あるいは住環境に関連をして、地方公共団体が独自の発想あるいは提案によって事業が推進できるよう、一括して交付をするという事業でございます。

 今回、事業として、防犯に関する事業など、地方でどのようなものが行われているかということで調べましたところ、大体二十八件ほど数が上がっておりますが、一つは、まさに防犯住宅を進めるために、改修の方法あるいはどういったところがポイントか、そういったことを周知する、あるいは勉強する、そういったことについて助成をする、あるいは改良工事について一部を助成するというようなものが一つございます。

 もう一つは、居住環境、いわゆる住宅に取りつくまでに周囲の方々の目がしっかり働くように、例えば防犯灯などを設置して環境の向上を図る、そういった事業に使われております。

泉委員 今、二十八件、そのうち防犯目的は一件ということでありまして、だからこそ、最初の話に戻りますが、与党の方の税制改正の中でリフォーム減税、このリフォームの中にもっと防犯という視点を政府としても考えていっていいんではないか。

 公安委員長の方は、今まで余りこういった種の御提言というのはなされたことがないと思うんですね。粛々と治安業務に当たるというようなことで、余り他の省庁に対して、もっともっと防犯に対する関心を持ってください、あるいはもっとこういったことにお金をかけて取り組みましょうよということを、余りこの種の御提言をなされたことがないと思うんですが、やはりそれをぜひしていただきたいというふうに思いますが、公安委員長、いかがでございますか。

佐藤国務大臣 私も今、先生の御質問によってこの話を結構勉強させていただいたということがございまして、本当にありがとうございました。

 御提言をいただきまして、先生御指摘のように、直接に景気対策等々に私どもが口を出すというわけにはまいりませんけれども、防犯という観点から考えれば、例えばドア等々の工夫をすれば、この間の殺傷事件なんというのは、もしかしたら防げたのかなというふうな思いもございます。

 そういうことも含めて、各省庁とよく連携をさせていただいて、そういう観点から何ができるかということをちょっと検討させていただきたいと思いますし、私どもで申し上げられるノウハウがございましたら、それを提供させていただいて、国交省等々とよく連携を組んで、防犯につながる住宅というのは本当に先生おっしゃるとおりいいことだというふうに思いますし、そのCPというマークがあれば、それでなかなか入りづらいというのが一目でわかるようなこと等々もあるでしょうから、そういうことも含めて、何が効果を生むかということも含めて、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

泉委員 今の時点で、今から言うことが一概にいいと言えるかどうかはわかりませんけれども、例えば今、日本全国で、きょうお配りしている表の下の方を見ていただくと、「侵入窃盗の認知・検挙状況の推移」という表がございます。一番上の認知件数を見ていただくと、一時期の治安崩壊から比べれば件数は減っておりますが、認知件数十七万五千七百二十八件、平成十九年ですね、うち住宅が約十万件を超えているという状況であります。一方で、全国で火災の件数がどれぐらいか、これを調べますと、大体五万件前後、五、六万件という形で推移をしております。

 一方、火災の方は、たしか平成十八年から、新築住宅については火災報知器の設置が義務づけになっているわけですね。ただ、防犯に関しては、義務づけというものは住宅にまだ一つもございません。これだけ住宅侵入、窃盗が多いにもかかわらず、今公安委員長がおっしゃられたかぎすら、恐らく昭和二十年、十年、それ以降から何も別に規定はないわけですね。

 ですから、この時代、いろいろな人間が家に入ろうと思ったら、かぎ壊し、かぎをあける技術をたくさん持って、それを犯罪組織の中で広げている。サムターン回しだとかカム送りだとか、いろいろな名前のものが出てきましたね。ああいうもの以降も、自主的に取り組んでいる方々はおられるけれども、一向に国として取り組んでいるという状況には、予算なり広報なり、そういうものを積極的にやっているという状況にはまだないというふうに私は思っておりまして、義務化までいくにはこれは相当大変なことだとは思うんですが、ぜひやはりこういったものの普及についてもっともっとよく考えていただければ、治安大国日本、世界からねらわれない日本という形で再生をしていけるのではないかというふうに思っております。

 その意味で、今、全国公益法人である財団法人ベターリビング、社団法人日本防犯設備協会あるいは全国防犯協会連合会、この団体は共同で防犯優良マンション認定制度というのを実施されているわけですが、これは今、警察や国土交通省との連携はどのようになっていますでしょうか。

巽政府参考人 お答えいたします。

 防犯優良マンション認定制度というのは、御指摘のとおり、三つの全国公益法人が定める防犯優良マンション標準認定基準をもとにいたしまして、各都道府県の住宅関係公益法人、それから防犯関係公益法人で共同設置する判定委員会が、各都道府県の状況を踏まえて制定されました認定基準に基づいて、申請のあったマンションを審査、認定する、こういう制度であるわけでございます。そしてまた、防犯優良マンションと認定されますと、認定マークの表示が認められる、こういうことになっているわけでございます。

 防犯優良マンション標準認定基準というものがつくられているわけでございますが、このベースになりました共同住宅に係る防犯上の留意事項というものがございまして、これにつきましては、警察庁とそれから国土交通省で共同して中身をいろいろと改正していくなどして適切な連携を図っている、こういう状況でございます。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 制度の内容については先ほど警察庁の方からお答えをしたとおりでございますが、建物の防犯性をどういうふうに考えるか、そういう認定基準というふうなことになりますので、例えば、建物の死角、つまり犯罪者が近寄ってきたときに陰へ隠れてドアのところまで来てしまう、そういった死角がないかどうか、そういった観点、これは建築の専門家の方に見ていただくということでございますので、そういう基準づくりに支援をしているというところでございます。

泉委員 これは今はそれぞれの全国団体の支部組織、下部組織と各都道府県が主体となってということなんですが、正直言いまして、都道府県においてかなりばらつきがございます。それぞれの全国公益法人も、各都道府県でそんなに全部押しなべて組織体制がしっかりしているわけではありませんので、正直言いますと、各都道府県、まだまだおくれているという状況でございますので、ぜひとも警察の方としても、あるいは国交省の方としても、今後取り組みをより進めていただきたいということまできょうはまず申し上げたいというふうに思います。

 続いて、時間が残り少なくなりましたが、もう一点、高齢ドライバーの運転免許についてでございます。

 新聞にもまた載っておりまして、検討委員会の中で話し合われてきたことも含めて、さまざまな今修正というか考えられているということを聞いておりますけれども、その中で、かつて指摘をさせていただいたもみじマークについての罰則も今検討中であるということでありまして、大変国民の目線に立った御検討をなされているということで、私も評価をしたいと思います。

 一方で、きょう質問したいのは、現在、運転免許の高齢者講習に六千百五十円という受講料がかかっております。これは、もちろん全体の経費との勘案をしながら値段設定、価格設定されていると思うんですが、現在、座学あるいは実技、そして検査料あるいは諸経費というものがあると思うんですが、この受講料をどういう考え方で六千百五十円という設定をされているのか。できれば座学で幾らあるいは検査料で幾らという形で少し説明をいただきたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 現在の高齢者講習は、先生御指摘のように、座学、運転適性診断、実車指導、この三つの指導から成っておりまして、それぞれ各一時間で計三時間ということになっています。

 その手数料六千百五十円の内訳でありますけれども、座学に関するものが、人件費、会場借り上げ費、資料費等の合計で約千七百六十三円、運転適性診断に関するものが、人件費、会場借り上げ費、適性検査器材費の合計約千五百十六円。それから実車指導に関するものが、人件費及び車両借り上げ費等の合計で二千六百八十九円。このほかに、講習通知に関する経費等の諸経費で約百三十七円ということになっております。

泉委員 その資料はまたぜひ後ほどいただければと思いますけれども、実は、ちょっと聞くところの話によりますと、ただ、高齢者の皆さん全員にこの御負担をいただいてすべての検査をするのはちょっと負担だろうというような話の中で、今軽減を考えられているというふうにお伺いをしておりますが、一方で、その軽減は恐らく六千円から微妙に少ない額ぐらいになりそうだというふうに聞いております。

 今のお話の座学、実技、検査料、その中で例えば実技試験などが免除されるようなことであれば、恐らくもう少し大幅な料金引き下げが可能なんだろうなというふうに思っておりまして、そこはぜひ今後御検討をいただきたいということをきょうは申し上げたいというふうに思います。

 最後に、もう一つ高齢者の問題で検討されていますのは、高齢者が優先的に駐車できる区画を設置することを検討すると。現在、スーパーなんかに行くと車いすのマークがついた優先駐車場というのがございますが、これも検討されるというんですが、ただ、障害者の方の数、こういった手帳を持って車を運転されてというような方たちというのは大体二十万ぐらいだというふうに聞いているわけですが、もみじマークをつけた方というのは相当な数でありまして、その方々の優先駐車場をつくるといっても、それは半端な数では済まされない話になると思うんですね。

 ですから、趣旨、思いはよくわかるんですが、どの場所に行っても駐車場の前には車いすのマークと高齢者のマーク、もみじマークかわかりませんが、それのついた駐車場がずらっと並んでいるとなると、もともと駐車場、これはよく不正利用の問題なんかもさまざま各自治体では議論になっていたり、それによるトラブルなんかも多発をしている。あるいは、一時的な歩行困難者としては妊産婦という方もおられて、お気持ちはわかるんですが、これは余り安易に指定をしてしまうと現場では大変な混乱になるのではないかというふうに思っておりますので、ここはちょっと慎重に御対応いただきたいなというふうに思っておりますが、現在のところの御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

佐藤国務大臣 先生の御指摘、ごもっともだと思います。

 警察庁において開催をさせていただいております有識者等から成る高齢運転者の支援に関する検討委員会というところがございまして、高齢者が専用に駐車できる区間の設置も含めまして、慎重に検討させていただきたいというふうに思っております。先生がおっしゃるとおりだと思いますし、そこは、高齢者をないがしろにしないという観点で物を考えるようなことでお願いをしているつもりでございますので、いましばらく時間をいただきたいと思います。

泉委員 終わります。

渡辺委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 質疑の機会をいただきました。

 まず冒頭に、私は、再三こちらでも質疑をさせていただいております国家公務員制度改革ということで、再就職等監視委員会の設置につきましてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 昨年の国公法の一部改正の法律、附則の一条で定められた法律の施行期日は「平成二十年十二月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。」このようになっております。この施行とは、再就職等監視委員会並びに官民人材交流センターの設置ということで理解をいたします。

 さて、本年の十二月三十一日までということでございます。もう十二月に入りまして、国会の会期も二十五日までということでございますが、施行期日、これはいつになるのでしょうか。官房長官、お答えいただけますでしょうか。

河村国務大臣 お答え申し上げます。

 先般御提示を申し上げました人事案件につきまして、残念ながら御同意を得ることができませんでした。その結果、いわゆる改正国家公務員法、今御指摘のように、施行期限がこの十二月いっぱい、こうなっているわけでございます。現実的に、委員会の委員長等の人選が物理的にもう困難な状況であることであります。

 その場合に、国家公務員法の施行日において、再就職等監視委員会が機能しないということになってしまうわけでございますので、この再就職等の規制の実効性を確保する、この方策は考えていかなきゃならぬわけでございます。

 さきの御質問にもお答えしましたが、内閣総理大臣の行使も含めて、今まさにそのことを検討いたしておるところでございまして、御指摘のように十二月三十一日と、もう日にちがございません。三十一日まであるわけでございますが、今まさに、検討したいということでこの前御答弁申し上げて、今検討中でございますが、この国会が二十五日まであるわけでございます。この国会中に結論を出したい、このように考えております。

馬淵委員 閣議決定を行って政令を定めるということでありますから、今官房長官からは、今国会中に、二十五日までにということで明確な御答弁をいただきました。ここで、これは政令で定めるわけですから、施行日自体は今国会中に定めても、施行日はまた、当然閉会後になるのか、それはまだ決まらないことだというふうに理解をいたします。

 今、総理の権限行使についても、これは検討をしているんだということでありました。私の前回の質問からも日にちもたっております。当然ながら、前官房長官である町村官房長官、行使できる可能性があると思っているという趣旨の答弁をいただいておりますが、検討を進めておられる中で、これはゼロから百に動くわけではありませんから、検討の経緯の中で今どのように官房長官はお考えでしょうか。

河村国務大臣 今御指摘のように、前町村官房長官の御答弁もありました。現時点では、そのことも含めて、やはり実効性を確保するということは、さらにほかに方法があるのか、これしかないのか、ぎりぎりの判断をしなきゃならぬ、このように考えております。

馬淵委員 重ねてお尋ねなんですが、ほかにあるとお考えなのか、今ぎりぎりの判断とおっしゃったわけですから、総理が権限を行使できる、もはやその方向で考える以外にはないということなんでしょうか。

 今お話ではそれも含めてということでありますが、幾つも方策があるとは考えられないんですね。であるならば、一に総理の権限行使という一点、それだけだということで、その方向で今検討を進められている、そういう理解でよろしいんでしょうか、いかがでしょうか。

河村国務大臣 それを含めてということを申し上げておるわけでございますが、今馬淵委員御指摘のように、それでは、総理の権限を授権した委員会がなくなった、それをもう一度戻すことになります。その場合にどういう点をどうしたらいいのかということも、当然そういうことも含めて、あわせて今検討している、こういうことであります。

馬淵委員 大変苦しい御答弁だなというふうに私も感じます。

 同意人事、先ほど、同意が得られなかったということでありますが、私どもとしては、昨年の国公法の一部改正案のときにも申し上げたように、天下り根絶ということを党の大きな大方針として掲げています。官民人材交流センターの設置は、言いかえれば、これは国ぐるみの天下りあっせんであるということを強く申し上げてまいりました。

 したがいまして、この同意人事については、民主党が同意をしなかったという話ではなくて、我々が求めているのは、天下りの根絶であり、いわゆる官僚主導である現行の政治状況を変えていくということでありますから、今回の御判断というのは私は極めて大きな局面になると思っておりますので、国民が見ておりますから、しっかりとこれを御判断いただきたいというふうに思います。

 そこで、では重ねてお尋ねです。

 官民人材交流センター、これは官房長官がセンター長となられるわけでありますが、官民人材交流センターの準備を今されていると思うんですが、現状はどうなっているか。これは事務方でも結構です、端的にお答えいただけますでしょうか。

小林政府参考人 官民人材交流センターの準備状況についてのお尋ねでございますが、交流センターにつきましては、今御答弁がありました、年内の設置に向けまして、昨年十二月に取りまとめられております官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会の報告書、これを踏まえまして、公正かつ透明な仕組みのもとで職員の能力、適性を踏まえた再就職が実現できるようにということで準備を進めております。

 具体的には、懇談会でも指摘されておりますが、公正性、効率性確保のためのルールの策定、それからカウンセリング等を委託する民間企業の選定、それから能力、適性を踏まえた再就職支援の基盤となります各府省職員の人材情報の登録などの準備作業を進めているというところでございます。

馬淵委員 もう少し具体的なところをお聞きしたいんですが、各省の人材登録、これはどういう形でしょうか。これも端的に、そこだけで結構ですから、事務方にお願いします。

小林政府参考人 人材情報の登録でございますが、これは、各府省の職員、一応、五十歳以上または本府省の課長相当職以上の職員を対象にということで、センターのシステムの方に人事情報を登録していただくという作業を各府省を通じて今進めていただいているというところでございます。

 具体的には、職員の氏名あるいは所属府省といった基本的な情報を登録する作業、それとあわせまして、今度さらに、個人の経歴あるいは自己PRとか再就職希望等の詳細な情報を登録していただくということで進めていただいているところでございます。

馬淵委員 まず、五十歳以上、そして課長相当職の登録を各省で行う、これは一般情報であるから各省で行っていく、その上で個人の情報を登録していくということで、個人の情報というのは御本人がされるということだというふうに理解をしております。

 このような二段階の仕組みで現在準備中であるというこの状況で、今、各省それぞれ振っておられると思うんですが、何件ほどの、どの程度の登録が行われているんでしょうか、お答えください。

小林政府参考人 きのう現在の登録状況でございますが、基本情報の登録は約一万五千六百件ほど、それから詳細な人事情報につきましては今千三百件ほどが登録が済んでいるという状況でございます。

馬淵委員 そこで、これは官民人材交流センターが設置をされ、そして向こう三年間においては、その経過期間の中で官民人材交流センターが十分に機能を発揮できない場合において、再就職等監視委員会で、総理の権限を受けて委任を受けた委員会で認めた場合には各省あっせんを可能とする、こういった法の組み立てでございました。

 しかし、先ほどお尋ねしたように、再就職等監視委員会は同意されておりません。空の委員会が設置されることになる。この状況の中で、今既に一万五千六百名の基本情報の登録が終わり、そして千三百名の個人登録が終了している。

 ただし、これは同意人事がなされなかったわけですから、実際に、先ほど官房長官がおっしゃったように、総理の権限行使が可能かどうか、ぎりぎりの判断とおっしゃっている。これがなされない、もしぎりぎりの判断ができないという状況になった場合には、当然、各省あっせんができないわけですから、これは今まででいうと早期退職勧奨の方々は行くところがなくなるわけですね。どうするかということ、これは各省で大変な問題になる。

 この状況で、今、官民人材交流センターの準備状況をお尋ねいたしたわけでありますが、実は、私のもとに寄せられている情報の中で、いわゆる駆け込み天下りと称されるものの情報が寄せられております。これは、私は実態を全く把握しておりませんので、だから改めてこの委員会の場でお尋ねをしたいと思っているんです。

 済みません、きょうは官房長にお越しいただいていると思うんですが、国土交通省の関係で情報を得ました。私は、これは純粋にお尋ねです。国土交通省では十二月に入って、寄せられた情報ということで表現はお許しをいただきたいんですが、抜け駆け的に下部機関に五十七歳前後の職員を、公益法人、業界等への天下りあっせんを全国的に開始する指示を出したとの情報が寄せられております。

 確かに、現状では各省あっせんは可能ですから、何も問題はございません。しかし、同意人事がなされなかった、再就職等監視委員会が設置されなかったという状況において、ある意味、国土交通省本省が、地方支分部局も含めて、さあ一斉に天下りさせようという指示が出されているというのであれば、これは本来の立法趣旨からかんがみて、あるいは国民の不断の監視の中から見て問題視されないかという懸念を私は感じます。

 そこで、私は全然存じ上げませんので事実関係の確認なんですが、このような指示を国土交通省としてされておられますでしょうか、端的にお答えください。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、各地方機関におきましては、現在、適切な人事管理を行っていると考えておりまして、そのような指示をしている事実というものは認識してございません。

馬淵委員 ありがとうございます。そのような指示の事実は認識していないということを明確に答弁いただきました。

 済みません、甘利大臣、今、私もこれは純粋に、情報を得ながら、そんなことがあるのかということで尋ねさせていただいたんですが、大臣の方にもそのような事実あるいはそういった情報ということで寄せられていることはございませんか。

甘利国務大臣 現時点で私、事務方に確認しましたが、把握はしておりません。

馬淵委員 こうした状況、いろいろなことがやゆされる部分があると思いますので、私としては国会の中で明らかにしていけばいいと思っておりますが、今の段階では全くないんだということでございました。

 このように、再就職等監視委員会の設置がどうなるかということで、官僚の皆さん、あるいは国民も含めて、この天下り問題というのがどのような方向に向くのかというのは非常に注目を浴びているところでございますので、こうした状況を今後も注視してまいりたいというふうに思っております。

 さて、それでは同じく公務員制度改革について尋ねさせていただきますが、これも私はこの委員会でたびたび質疑をさせていただいております、内閣人事局の設置についてということであります。

 十一月十四日、内閣人事局だけではありません、いわゆる一元管理を初めとして、国家公務員制度改革基本法に基づいた基本の考え方を進めていくということで顧問会議が開かれ、そしてワーキンググループも設置され、それが議論をされて、十四日に顧問会議の報告書としてこれが上がりました。

 まずお尋ねしますが、事務方でも結構です、すべて細かにということではありません、この顧問会議報告書についての結論というのはどういったものかということを端的にお答えいただけますでしょうか。

立花政府参考人 御説明申し上げます。

 十月十四日に、甘利大臣が第三回の顧問会議にお越しいただきまして、ともかく、とかく器の議論に走りがちだけれども、どういう器かは、そこに盛り込むべき中身を詰めてから、その議論を先にやってもらいたいということで、以降八回にわたるワーキンググループの会合を、毎回議論の時間を延長するぐらいの精力さでやっていただきました。

 その結果、十一月十四日にこの顧問会議から大臣に御報告が出されたわけでございますが、基本的な中身としましては、今回の公務員制度改革の理念、人事局の設置の目的、それから具体的な論点の整理事項としましては、一元管理のあり方、国家戦略スタッフ、政務スタッフのあり方及び定年まで勤務できる環境の整備、定年延長及びこれに伴う給与体系の整備の問題、それから幹部職員の任用、給与の弾力化の問題等々でございます。

 それにあわせまして、こういった内閣人事局の果たすべき機能に応じて、人事局が担うべき機能に応じた組織のあり方につきまして、基本的な役割、機能、それから具体的な所掌事務、組織のあり方等々について大臣に御報告があった次第でございます。

 以上でございます。

馬淵委員 この顧問会議の報告を受けて、私も質疑させていただきましたが、甘利大臣が政治判断をされるということで、そして、これは麻生総理と懇談をされて、そして甘利大臣は、この内閣人事局の設置に関しては平成二十二年度ということを決断された、いわゆる政治判断をされたわけであります。

 これについては、先送りだという意見もありますし、一方で、拙速な議論をとめる時間を十分につくることができたといった、この両方の意見があると思うんです。甘利大臣がこうした政治判断をしていただいたことについては、私は非常に高く評価をさせていただいている、よかったなとは思っているんですが、一方でこの顧問会議の中での報告、ここについては、私は、まだまだ予断を許さない部分があるのではないかという気がいたしております。

 顧問会議では、先ほどの十四日の中では、顧問の方々からの意見書というものが出されておりました。顧問のメンバーの方、いらっしゃる六名の方が、それぞれ意見書というものを全員ではなきにせよ出されたということだと思いますが、この顧問会議の意見書の中に、屋山顧問が、この意見書では「顧問会議として政府に対し、自信を持って提言できる段階とは思えない。」という、非常にこれは慎重な意見を述べられております。「軽々に方向性を打ち出すことには慎重であるべきだ。」こう述べられております。また、高木顧問も「意見」という形の中で、「拙速な対応をはかるのでなく、国家公務員制度改革基本法に定められた期限のもと、」ちょっと略しますが、「顧問全員が参加する機会を設定し、慎重かつ十分な審議・検討の確保をはかることが最低限必要である。」こう述べられている。

 つまり、顧問会議の報告書を見る限り、どうもこれは合意には至っていないのではないか、このように理解をするわけですが、これはどう御判断されていますでしょうか、大臣。

甘利国務大臣 まず、私が本職につきましたときに、まだ具体的な作業ができておりませんでした。その一方で、法律には、この内閣人事局の設置に関する法的措置ということを六月までに行う、つまり来年度通常国会に出すと。

 そうしますと、予算措置を考えると、もう一カ月しか時間がなかったわけですね。最初から予算措置をあきらめますというわけにもいきませんので、日曜返上でやってもらいました。ワーキンググループが日曜返上でやるという例もほとんどなかったと思いますが、これは私からもどうしても、拙速でもなし、先送りでもないということからすると、もう徹底的にやってもらいたいと。

 それで、顧問会議から私に報告がなされました。その際に、私も顧問会議に出ましたけれども、全員がこれに一致するということではないんだ、大多数の人がそういう方向でということですが、それ以外、ペーパーも出されました。これは、全部が一致して私に対する報告となるという制約があったわけではありませんので、一定期間の中に詰められることは最大に詰めてくださいということで出されましたので、御意見がついている方のペーパーも読ませていただきましたし、その場でもお話を伺いました。

 それらも加味しながら、報告は大変短時間のうちによくやっていただいたというふうに受けとめて、それを中心に、もちろんそれ以外の方の御意見にもちゃんと耳を傾けつつ、制度設計をしていきたいというふうに思っております。

馬淵委員 結論ではないんだという状況の中で御判断をいただいたということであるかとは思うんですが、私が危惧するのは、顧問会議、非常に短い時間の中で、大臣は最初から、器の話じゃない、中身の話をしてくれとおっしゃった。しかし、実際の日程から見れば、これはほとんど機能の話ができていない。これは顧問の方々が指摘されているわけです。

 そして、きょうお手元にお配りしました資料でございますが、これはワーキンググループの方の意見書でございます。十一月十四日、顧問会議の日付で出されているわけでありますが、金丸ワーキンググループ委員から出された意見書でありますが、これについては、十四日提出なのですが、これが実は十九日の夕刻まで一切公表されておりませんでした。

 実は、私がこれを金丸氏に、十八日の段階でこれが出ていないんだということをお伝えしたところ、大変驚かれて、そして十一月の十九日午前八時五十九分、私が明確に伝えたんですが、すぐに金丸委員は事務局に抗議をして、慌ててホームページ上にアップしたと。午後六時二分にこれがアップされたわけであります。金丸委員から私の方にも連絡がありました。本来あり得ない状況であり、大いに問題ありとの指摘をいたしましたと。

 こうしたいわゆる反対意見が、これはつまり、ここに載っているのをごらんいただいたらわかりますように、合意に至っていないんだと、責任持って提出できるレベルに達していないという、こうした状況の報告があたかもまとまったかのように出されていくことに危機感をお持ちである。この意見が、ある意味これは隠されたと言われても仕方がない部分ではないかと思います。

 立花局長がお越しですので、これについての弁明なりお答えをいただけますでしょうか。端的で結構です。

立花政府参考人 事務局の立場から御説明申し上げます。(馬淵委員「短く」と呼ぶ)はい。

 ただいま先生御指摘の金丸委員のペーパーにつきましては、御指摘のとおり十一月十四日の第四回の顧問会議、これは午後六時から官邸で開かれたわけですが、その直前の夕方の五時に事務局に提出されました。そこで、私ども事務局としては、このペーパーが私ども事務局に出されたこと及びその内容につきましては、顧問会議が始まる直前でございましたが、時間もごく限られていた中で、取り急ぎ私ども事務局より、このワーキンググループの主査をお願いしております桜井顧問の方に御報告申し上げました。そこで、事務局としては、桜井主査は、この御意見も踏まえた上で、その夕方六時からの顧問会議での報告が行われたというふうに私ども受けとめております。

 それからもう一つは、この十一月十四日の顧問会議が終わった後、実はペーパーを出されたワーキンググループのメンバーは金丸先生だけじゃなかったものですから、それ以外の扱いも含めまして、御意見をどういうふうに処理するかということで、公表の方法などにつきまして事務局で検討いたしました。

 その後、先生御指摘のとおり十一月の十九日に金丸先生から、ぜひ公表してもらいたいというお申し出がありましたので、ワーキンググループの桜井主査にも御相談の上で、同日の夕刻にこのホームページに掲載させていただいた次第でございます。

 したがいまして、私ども事務局としては、御指摘のように、このペーパーを私ども事務局がもみ消したとか、あるいは反対意見であるから放置したというのは、私ども事務局からしますと、ちょっと事実に反するのではないかなと思っております。

 いずれにしましても、事務局としましては、甘利大臣の御指示のもとに、今後とも、顧問会議の有識者の方々の御意見もきちっと受けとめて、制度改革の企画立案に生かしていくように努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

馬淵委員 もう時間がございませんが、大臣、今事務局からこのような、事務的な問題だということで説明がありましたが、先ほど申し上げたように、国民の不断の監視の中で、これは、ともすれば骨抜きじゃないかということで大変注視されているものです。ぜひ厳格に対応していただいて、このようなこと、遺漏なきような対応をお願いしたいということと、そして改革後退にはならないように、大臣には、私がかねてより申し上げてまいりました顧問会議等々、今後、工程表作成、さらには各省折衝、こういった場面はオープンに、かつ、与野党の修正によってできた法案ですから、ぜひ与野党協議も含めたオープンな場での議論ということをお願い申し上げたいと思います。

 これを一言だけ、最後に答弁いただけますでしょうか。

甘利国務大臣 顧問会議の御意見も伺い、そしてもちろん与野党協議、もともとの基本法が与野党間の修正でできたものでありますから、そこもきちんと尊重して取り運んでいきたいと思っております。

馬淵委員 終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 この際、御報告申し上げます。

 去る十一月十八日、議長より本委員会に送付されました、議員長妻昭君外百十二名からの国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る十一月十九日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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