衆議院

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第4号 平成21年3月18日(水曜日)

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平成二十一年三月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 岡下 信子君 理事 加藤 勝信君

   理事 渡海紀三朗君 理事 西村 明宏君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      あかま二郎君    赤澤 亮正君

      宇野  治君    江崎 鐵磨君

      江渡 聡徳君    遠藤 宣彦君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      岡本 芳郎君    木原 誠二君

      佐藤  錬君    篠田 陽介君

      徳田  毅君    中森ふくよ君

      長島 忠美君    並木 正芳君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      村田 吉隆君    市村浩一郎君

      吉良 州司君    楠田 大蔵君

      佐々木隆博君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    山田 正彦君

      笠  浩史君    池坊 保子君

      高木美智代君    吉井 英勝君

      重野 安正君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   防衛大臣政務官      岸  信夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  江澤 岸生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青木 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       大庭 靖雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山崎日出男君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         金澤 和夫君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進担当室室長代理)      上西 康文君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        原  正之君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    池田 克彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   稲田 伸夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            別所 浩郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 宮内  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北村  彰君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     越智 隆雄君

  河本 三郎君     江渡 聡徳君

  佐藤  錬君     江崎 鐵磨君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     佐藤  錬君

  江渡 聡徳君     河本 三郎君

  越智 隆雄君     遠藤 宣彦君

    ―――――――――――――

三月十八日

 日本国憲法第九条を守り、日本と世界に生かし輝かすことに関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇〇七号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(保坂展人君紹介)(第一〇六八号)

 憲法改悪反対に関する請願(保坂展人君紹介)(第一〇六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、櫻井修一君、江澤岸生君、青木一郎君、総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君、内閣府大臣官房審議官山崎日出男君、地方分権改革推進室次長金澤和夫君、地域活性化推進担当室室長代理上西康文君、男女共同参画局長板東久美子君、公益認定等委員会事務局長原正之君、警察庁警備局長池田克彦君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、自治行政局長久元喜造君、法務省大臣官房長稲田伸夫君、大臣官房審議官團藤丈士君、外務省大臣官房審議官廣木重之君、大臣官房参事官小原雅博君、財務省大臣官房参事官宮内豊君、厚生労働省大臣官房審議官北村彰君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君、運用企画局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 おはようございます。民主党の西村智奈美です。

 鳩山大臣が所信表明の中で地方分権について非常に強い意欲を示しておられますけれども、私は、この間の定額給付金の政策策定の流れ、そして、今実際に実施段階に移っているわけですけれども、定額給付金の流れを見ておりまして、これはやはり地方分権の流れに逆行するのではないかと感じることが非常に多くございます。きょうは、特にその中で、DV被害者に対する定額給付金の支給問題について取り上げて、大臣の見解を伺いたいと思っています。

 DV被害者の方々は、非常に精神的にも、もちろん肉体的にもという方はおられますけれども、追い込まれた状況の中でその被害を訴え、また救済を求めるということになるわけですが、実際に被害を受けている方々などの状態は非常にシビアでございます。

 政府は、今回、この定額給付金のDV被害者への支給に際しては、いわゆる警察に相談するなどのことをやって、支援措置を受けて住民票を新しい住所に移している人に対しては、その措置をきちんとやるように、そしてまた、自治体にもそういったことを周知するようにということで対応をされたというふうに伺っておりますけれども、実際にその後も、当事者団体あるいは支援者の団体の方から、これではとてもDV被害者の方々に定額給付金は行き渡らないから、現住所で給付できるようにしてくれという要望があったというふうに承知をしております。

 それを受けて、鳩山大臣は、参議院の予算委員会、これは一月の二十六日でした、そしてまた一月二十九日の衆議院の本会議において、それぞれこのように御答弁されておられます。

 定額給付金、DV被害者で新しい居住地に住民登録をしていない方々についての救済措置についてでありますけれども、「一つの方法としては、どうしても住民登録ができないというケースの場合に、この補正で」、この補正でというのは第二次補正、「成立をいたします地域活性化・生活対策臨時交付金を充てなさいと、充ててくださいという要請はできると思います。」これが二十六日であります。

 二十九日の衆議院本会議では、ちょっと途中を省きますが、「二次補正に入っております六千億円の」、これは正確に言うと六千億円ではありませんが、「地域活性化・生活対策臨時交付金、これで同様の」、定額給付金と同様のということだと思います、その「お金をそういうお気の毒な方には給付していただくように、自治体に要請をしようと思っております。」と大臣は答弁をされました。

 その後どういうふうに要請を行ったのか、御答弁をお願いします。

鳩山国務大臣 御承知のように、今の住所地に住民登録をしても、加害者と言っていいのでしょうか、DV被害者に対して言えば。加害者には絶対わからないようにするという仕組みでございますから、そういう形で、二月一日付ということは二月の十六日ぐらいまでに住民登録をきちんとしていただければ、これは定額給付金がお配りできるわけでございます。

 ただ、私自身は想像がつかないぐらいの恐怖の中におありの方、心理的な部分は幾ら想像しても想像できるものではないと思いますが、そういう方は、どんなに、前の、加害者にはわからないようにするといってもやはり恐怖にさいなまれるということがあって、今住んでいるところには住民登録ができない、こういう方が多いのだろう、そう思いまして、そういう方には、定額給付金という極めて簡素な仕組みにしたものですから、定額給付金をお配りすることができないので、いわゆる六千億円の地域活性化・生活対策臨時交付金。

 従来、こういう交付金というのは、何かメニューを示して、どのメニューをやりますかという形だったんですが、今度は、全く自治体が自分でメニューをつくって交付金をお渡しするという仕組みでございますので、DV被害者で定額給付金の対象にならない方にそのお金を、定額給付金並みのお金を充てるということをやられたらどうですかという要請はいたしました。要請をしたのは、いわゆる自治体衛星通信機構によるテレビ。加入していない市町村がありますから、そういうようなところには個別の連絡等で、すべてにそうした事柄は漏れなく要請はしたわけでございます。

 実際、その要請を受けて、では六千億の生活対策臨時交付金を使ってやりましょうと言っておられるところが、五団体は報告を受けております。それぞれ、例えば、DV被害者支援事業とはっきりおっしゃったところもありますけれども、もう少しぼかした表現で、子育て応援特別手当とか、いろいろな名前で充てているところもあります。

 ただ、私の地元の久留米市は、この六千億のものは使わないけれども、単独事業としてDV被害者にお配りをするというようなことを決めたようでございまして、現在はそんなところでございます。

西村(智)委員 大臣は要請をされたというふうに今答弁されたんですけれども、私が聞いているところでは、要請はしていないんですよ。

 大臣がおっしゃったように、地域衛星通信ネットワークですか、通称LASCOMというのだそうですけれども、そこを通じて放送はされているんですけれども、きのうレクに来られた方は、そこで、この地域活性化・生活対策臨時交付金によって、DV被害者への同様のお金の給付、財源をそこから充てることができるというふうに説明をしましたと。これは、聞くと、要請じゃなくて単なる案内しかしていないんですよね。この交付金を充てることができますよという案内しかしていないんですよ。

 大臣がおっしゃっているように、これを本当に要請しているのかどうか。私がきのうレクで聞いたように、単なる案内にとどまっているのかどうか。この点については確認をされていらっしゃいますか。

鳩山国務大臣 私は、事務方からは要請をしたというふうに聞いておりますが、地方自治ですから、強制はできないし、命令もできません。要請とかいわゆる助言ということだと思いまして、私は要請をするように指示をいたしましたが、今の西村先生のお話を聞きますと、何か助言、広報に近いものにとどまっていたとしたら、それはちょっと問題があるなという感じもします。

西村(智)委員 大臣は、要請する、要請するつもりですと答弁をされておられます。ですけれども、きのうのレクで、私、確認しました。案内じゃないですかと言ったら、諾とおっしゃるんですよ、そうだと。これは案内ですよね、要請していませんよねと確認をいたしました。

 案内の仕方も、LASCOMで確かに放映している、放映といいますか、通信ですから、通信を行っているんですけれども、交付金の申請スケジュールにはとても間に合わないような日程でこれが通信をされているはずなんです。その日程についてどなたかお答えいただけますか。何日に交付金の概要を決めて、何日に自治体に対して説明を行い、そして、LASCOMの通信が何日に行われて、何日に締め切りを迎えているのか。

上西政府参考人 日程的なことについて事務方より御説明を申し上げます。

 この臨時交付金、生活対策に盛り込まれまして、第二次補正予算において措置をされましたので、この第二次補正予算の閣議決定、昨年の十二月の二十日でございますが、それを受けまして、昨年十二月の二十二日に都道府県を対象といたしましてその説明会を開催いたしました。そこで、実施計画の検討を進めることや説明内容の各管内市町村への周知をお願いしたところでございます。

 その後、第二次補正予算が一月の二十七日に成立をしましたので、これを受けまして、二月の十二日までに実施計画を提出するように地方公共団体に通知をいたしました。この間も、事前の実施計画の御相談には私ども対応していたところでございまして、提出の二月の十二日までに交付対象のすべての地方公共団体から実施計画を提出いただいたところでございます。

西村(智)委員 十二月の二十日にこの交付金が閣議決定をされて、その日のうちに各都道府県の窓口には、恐らく、そのため、それによる説明資料が配付をされているはずであります。十二月の二十二日に各担当者を集めての説明会が行われて、二月の十二日がその交付金の申請計画の締め切り日だという説明があった。

 では、LASCOMで初めて、その交付金がDV被害者へのいわゆる定額給付金と同様のお金に使うことができるという放映、通信がなされたのは何日ですか。

岡崎政府参考人 私どもの方のこのDV被害者、給付金の関係でございますけれども、これにつきましても、十二月以来数次にわたりまして、原則としての例の住所を移すやり方等については通知していたわけでありますが、大臣の御答弁もありましたので、自治体衛星通信機構で単独の給付につきまして言及いたしましたのは二月六日の放送でございます。

西村(智)委員 大臣、お聞きいただけましたか。二月の十二日が計画の締め切りなのに、二月の六日にようやくLASCOMで通信をされているんですよ。それまで全く何もなしです。では、どういうふうに要請を行ったのですかと聞いても、私には、案内のような内容で説明があり、大臣のそちらのお手持ちのペーパーには、要請をしたという説明がされているようでありますけれども、これは、この期間の短さからしても、極めて不十分な周知、要請だと言わざるを得ないと思います。

 また、先ほど大臣は、LASCOMに加盟していない自治体が少なからずあるということも含めて答弁をくださいました。つまり、このネットワークに加盟していない自治体には個別に連絡をしたというふうにもおっしゃっているんですけれども、私が調べたところでは、LASCOMの自治体カバー率は恐らく九〇%くらいなんですね。九〇%くらいで、ほかの自治体に全部個別に周知するといいますと、千八百自治体あるうちの百八十ですから、これは懇切丁寧に説明をしたとはとても思えませんし、どういう要請をしたか、とにかく情報が全く残っていないんですよ。これは大臣、どう思われますか。

鳩山国務大臣 私は、DV被害者の方に対して、要するに、住民登録を新しくできないという非常にお気の毒な方々に対して定額給付金は配れないから、生活対策臨時交付金で対応していただければありがたい、そういう方法がありますよということで要請をするように指示したところでございまして、確かに二月六日放送なんですね。これは、ほかのものよりは、テレビでございますからスピードがある。ただ、二月十二日までには生活対策のメニューを自治体側から示さなくちゃいけない、この期間が余りにも短かったなというふうには、正直、報告を受けたとき思いました。

 ただ、このときに、同じ放送でプレミアムつき商品券のプレミアム部分についてもやっていただいたらどうですかということで要請をいたしましたところ、そちらの方の反応は、約三百団体が、では、生活対策臨時交付金を使ってプレミアム振興券を、あるいは商品券を出そう、こういう反応があったわけでございますので、要請の仕方が多少通知に近いようなものであったとすれば、反省しなければならない部分はあると正直思います。

西村(智)委員 プレミアムつきのことについては、もうそれまでにかなり、先駆的な自治体がやるということで報道もありましたし、自治体の方でそれなりに機運はあったと思うんですよ。ところが、そういう要請があったから、逆に言えば、交付金の給付事務についてもそういう説明が盛り込まれたというのが流れだと私は思います。

 ですけれども、DV被害者への定額給付金と同様のお金として充てることができるということについては、何せ大臣が二回も、予算委員会と本会議で答弁をされておられることですから、ここはしっかりと大臣の責任でやらせるということがあってしかるべきだったのではないかというふうに思いますけれども、この点について大臣はどうお感じですか。

鳩山国務大臣 あなたの御指摘は確かに鋭いと思いますよ。つまり、プレミアムつき商品券というか振興券でしょうか、これは話題になっておったわけですね。宣言したというか、うちはやるぞというようなところが幾つか名乗り出て、新聞にも報道されたりしておりました。ですから、今回のこの本当にお気の毒なDV被害者の方々に関して、少なくとも私が答弁した日よりも、二月六日というのは随分遅いですよね。

 だから、今後、今後というか、こういうことについてはできるだけ早く、答弁したということは、ぜひ使っていただいたらどうですかということを私が言っているので、それは私がもっときちんと指示すればよかったということではありますが、そこから、自治体衛星通信でしょうか、それを使ったテレビ放送までに間があり過ぎるなという印象はあります。もっと早くやるべきではなかったかなと思います。

西村(智)委員 これは政府参考人に伺うことかもしれません。大臣はもっと早くやってほしかったと答弁をされています。この点について、政府参考人はどういうふうに考えていますか。

岡崎政府参考人 一月二十九日に大臣の御答弁がありまして、実は、この定額給付金についてのテレビでの説明というものは、一月二十九日、まさにその日の放映が第一回でございまして、そのビデオは既に撮ってあったものでございますから、次の放映機会であります二月六日に放送したということになったわけでございます。一月二十九日にはこの中身は別のことを解説いたしましたので、二月六日になってしまったということでございます。

西村(智)委員 一月二十九日には、確かに定額給付金解説シリーズ1というのが放映されています。ところが、二月三日にも放映のチャンスはありましたよね。一回目を再放送しているじゃないですか。チャンスはあったでしょう。チャンスがあったのにどうして放映しなかったんですか。何かいいかげんな答弁でごまかさないでくださいよ。チャンスはあったのに、どうしてやらなかったんですか。

岡崎政府参考人 衛星通信機構とのお話し合いで、週に一回、放映のビデオを撮りまして、それを二度放映する、つまり、二月三日はもともと再放送の予定だったものですから、次の新しい解説シリーズの第二回のときにこの説明をした。したがいまして、放映自体は二月六日に放映されたということでございます。

西村(智)委員 大臣、LASCOMのホームページに、番組をホームページでも見られるように時折アップしていくんです。これが、今回、定額給付金解説シリーズについては今までに何回放映されているのかわからない。今私が持っているので言いますと、第四回目までやられたことは確実なんですけれども、一回もアップされていないんですね。だから、どういう要請の仕方、どういう内容の放送であったのかということを確認できないんです。

 これは、外郭団体とはいえ、やはり総務省が大臣の指示を受けて放映する中身ですから、いわゆる行政情報、非常に大事な共有すべき情報として、やはりそこはきちんとみんなで見られる形にして、本当にこのやり方でよかったのかどうかということをチェックしていくべきだと思っています。

 この点については、もう時間も迫ってきておりますし、ほかにもやりたいことがありますけれども、私は、こういう本当にずさんなやり方、これについては本当に憤りを持っています。

 しかし、それ以上に考えるのは、やはり定額給付金という制度そのものが、非常に政策目的があいまいなまま、極めて中途半端な形でスタートしてしまったがゆえに、これほど事務も混乱しているということでもあると思っていますので、今でも私は定額給付金には反対ですし、二度とこういうめちゃくちゃな政策がないように、まあ、恐らくこの先は総選挙ということになってきますので、こういったおかしな政策がにわか仕立てで出てくるということはもうないと思いますけれども、ぜひ気をつけていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、次の質問に移ります。

 きょうは、小渕大臣にお越しいただいております。公文書管理について、小渕大臣が担当大臣となられたということでありますけれども、私たち民主党の中でも、今この公文書管理については作業チームをつくっておりまして、論点整理、どうしてもこの公文書管理に必要なポイントは何かということで論点整理をしている最中なんですけれども、率直に言いまして、私は、この公文書管理というのは、行政改革の中でも極めて重要な柱を占めるんだというふうに考えています。

 一方では公務員制度改革というのがありますけれども、この公文書管理のあり方そのものが、つまりは、最後の行政改革と言ったらいいのか、最初の行政改革と言ったらいいのか、本当に大事な柱を占めるんだと思いますけれども、小渕大臣は、公文書管理の要、ポイント、これは何だというふうにお考えになっておられますか。これから法案審議、法案が今月の上旬に閣議決定されていますので、その審議の際には大臣が答弁に立たれるわけですけれども、この公文書管理の本当の意味での要、ポイント、ここは何だというふうに小渕大臣はお考えになっていますか。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 委員が御指摘のとおり、本当に公文書の管理については大変重要なことであると考えております。国の意思決定に関して、しっかりとした公文書を作成し、管理をし、そして保存をしていく。そして、現在また将来の国民にしっかりと正確に伝えていくこと、これは本当に重要な国の責務であるというふうに考えております。そうした考えのもとで、今回国会に公文書管理法案を提出したところであります。

 具体的な内容でありますけれども、まず大事なのは、各府省において、今ばらばらな管理のルールになっていますので、そうしたことをしっかり統一するということと、内閣総理大臣が各府省における文書管理の状況をしっかりチェックをする、歴史的公文書を国立公文書館に移管することを原則とするなどを規定しております。

 国の公文書管理のあり方がこれによりまして抜本的に改善されるものと考えておりますので、一日も早い法案の成立に御理解と御協力をよろしくお願いしたいと考えております。

西村(智)委員 先ほど私、LASCOMの放映番組がどこにも記録が残っていないというお話をしました。これは、行政、要するに政府内部ではなくて外郭団体ですから、またちょっと問題は別なんですけれども、やはり行政情報、どこでどういうふうに意思決定がされたかということを見える形で文書を作成して残していく、そして、それを廃棄するときにも、省庁の中で判断するのではなくて、きちんと第三者の目でそれを責任を持ってやっていくという仕組みが私は大事なんだと思っています。細かい点については、これからももっともっといろいろ議論を審議の過程でさせていただきたいと思います。

 最後に一点、子育て応援特別手当について伺いたいと思います。

 きょう、厚労省の方から来ていただいておりますけれども、子育て応援特別手当、単年度、これは第二次補正、年間三万六千円分を支給するということなんですけれども、実は、厚労省が示した提示額と各自治体から交付申請をされている額が異なる。それで、少なくない自治体で厚労省が提示している額の方が市町村の交付申請額よりも少ないという実態があると思うんですけれども、この点についてはどういうふうに把握しているのか、またその理由は何か、伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 子育て応援特別手当の関係でございます。

 先般、各自治体からの申請に基づき交付決定を行ったところでございます。各自治体におきましては順次支給を行っていくところとなりますけれども、当初の補助金申請の前提となる対象者数よりも実際の対象者数、先ほどお話ありましたように、市町村における見積もり数から仮に増加したような場合、こういうふうな自治体につきましては、自治体からの申請に基づきまして追加で補助金を交付することとしております。

 いずれにいたしましても、各自治体におきまして子育て応援特別手当の支給が円滑に行われますように、各自治体個別に御相談をいたしまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 いや、何で額が異なるんですか。その理由と実態については調査していられますか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 各自治体によって、申請をしたときに用いた数字が、実際に抽出をして出した数字でございましたり、あるいは一定の、例えば児童手当などの支給児童数、そういったものに基づいて推計して出したものであったり……(西村(智)委員「それは自治体が」と呼ぶ)厚生労働省の方の積算がそういうふうなものでございまして、それよりも、自治体が実際に抽出をして、小さい自治体などではそういうこともできますので、そういう場合にはこちらの方の見込みの数字よりも少なかったというふうなケースもあるわけでございます。

 ただし、先ほど申し上げましたように、実際に数が、今後、支給対象者が見込みよりも増加した、そういうふうな自治体があった場合には、追加で補助金を交付するということにしております。

西村(智)委員 終わります。

渡辺委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。私も、地方分権とそれから公文書管理についてそれぞれお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 最初に地方分権についてお伺いをしたいというふうに思いますが、大臣が所信の中で重要課題というふうに地方分権について決意を述べられているわけであります。この質問をする前にちょっと幾つか確認をしておきたいんですが、一つは、今内閣府において、地方分権あるいはまた行政改革、そうしたプロジェクト的な取り組みをそれぞれ所管の大臣を置いてやっておられるわけであります。これは事務方の方にお伺いしたいというふうに思いますが、とりわけ地方分権それから行政改革、この二つが、私は、この前の質問のときも申し上げさせていただいたんですが、区分けが余り明確でないままに進んでいるのではないかというふうに思っているわけであります。

 それで、その二つについての所掌範囲みたいなものについてお伺いをしたいというふうに思います。

金澤政府参考人 地方分権の所掌範囲からお答え申し上げます。

 地方分権改革推進法に地方分権の理念が定められておりますけれども、これによりますと、国と地方公共団体の役割分担を明確にして、地方公共団体の自主性、自立性を高める、これによりまして、地方公共団体がみずからの判断と責任において行政を運営することを促進して、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るというふうにされております。

江澤政府参考人 お答え申し上げます。

 行政改革推進本部の所掌事務ということで御説明をさせていただきますと、行政改革推進法に基づきまして、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革を総合的かつ集中的に推進するというのが任務でございます。

佐々木(隆)委員 これも確認になりますが、先日、これは新聞報道ですが、分権改革推進委員会と道州制ビジョン懇談会のトップ会談があったと。大臣はそのとき出席できなかったようでありますが、どういう内容だったのか、その点についてもお伺いします。

金澤政府参考人 委員からお話のございました地方分権改革推進委員会の丹羽委員長と道州制ビジョン懇談会の江口座長の懇談でございますが、本年の一月の十九日に行われております。

 この懇談におきましては、双方の事務局からそれぞれの検討状況について説明した後の意見交換が行われたわけでございますが、その中で、この両者の間で、一つは地方分権改革の取り組みを推進していくことが将来の道州制の実現に向けて確かな道筋をつけることになるということ、それからもう一つ、地方分権改革と道州制の議論は、地方がみずから責任を持って決定をしていく分権型社会、地域主権型社会の実現を目指すという点では同じ方向の議論をしているものであるということ、これらの点について認識が一致したところでございます。

佐々木(隆)委員 確認ばかりで申しわけございませんが、地方分権推進委員会の勧告のその後についてお伺いをしたいというふうに思います。

 一つは、第一次勧告を受けて推進要綱というものを策定したわけでありますが、要綱を確定したんですが、その後どのようになっているのかということ。それから、第二次勧告では、義務づけの削減というか見直しということと出先機関の統廃合ということが提言されたわけですが、これについて、その提言を受けてどのように今取り組んでいるのか、あわせて伺います。

金澤政府参考人 三点の御質問がございました。まず第一点の、第一次要綱を決定した後の取り組みでございます。

 政府が決定をいたしました第一次勧告に基づく地方分権改革推進要綱は昨年の六月二十日に決定されておりますけれども、その後、政府といたしましては、地方分権改革推進計画の閣議決定、これは後になりますけれども、これを待つことなく、可能なものはできるだけ速やかに実施することといたしまして、これまで約三回フォローアップを実施してまいりました。

 また、分権委員会の方におきましても、現在、今年度末までに結論を得るとされている事項、あるいは来年度から実施する予定とされている事項について、分権委員会としてのヒアリングも実施いたしております。

 この結果、一次勧告で申し上げますと、補助対象財産の処分の弾力化につきましてはおおむね措置済み、それから、重点行政分野の抜本的な見直し、これは多岐に及んでおりますけれども、これについては、逐次推進要綱に書かれたスケジュールに従って実施に移されているものもあるという状況でございます。

 それから、二点目にお尋ねのありました義務づけ、枠づけの見直しについてでございますが、昨年十二月の第二次勧告において、対象となる法律の約一万条項のうち、約半数につきまして、義務づけを廃止したり、条例制定の余地を認めるといった見直しが必要であるということが勧告されております。

 第二次勧告では、見直しが必要であるということは書かれておりますけれども、それを具体的にどのように対応するのかということにつきまして、委員会としては、第三次勧告に向けて、そうした見直しのために具体的に講ずべき措置についてさらなる調査審議を進めているところでございます。

 政府としましては、委員会の勧告を受けて、条例制定権を拡大して地方自治体の自主性、自立性、主体性を高めた上で、みずからの責任で行政を実施するような仕組みにつなげてまいりたいと考えております。

 それから三点目でございますが、出先機関改革の工程表の関係でございます。

 昨年十二月の第二次勧告を受けまして、現在、出先機関改革の実現に向けて、いつごろ何をするかというスケジュールを明らかにする工程表を取りまとめているところでございます。この工程表は、既定の政府方針に従いまして今年度内に取りまとめる必要がございますので、現在、政府において最終の調整を精力的に進めているところでございます。

佐々木(隆)委員 大臣の時間が余りないようですので、本当はここを聞きたいんですけれども、ちょっとその次に移らせていただきます。

 今示された、一次勧告の推進要綱、それから二次勧告の義務づけ、出先機関。一次勧告の推進要綱については、事務について一部、逐次やっていくというお話がありましたが、そのほかは、ほとんど三次勧告というか最終勧告待ちということであって、実質的には余り何もやっていないのではないかという印象を持つわけですね。工程表といったって、それは工程表をつくるだけの話ですから、やはり何をどう進めていくんだということを具体的にやっていかなければならないのではないかということについて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 私は、この分権というのは、先ほどもお話ありましたが、基本的に言うと、国の形をどうするかということだと思うんですね。その前提になるのは、国がまず国の、自分たちの責任と役割というものを示さなければならないんだというふうに思うんです。

 そういった意味で言うと、私は、さっき出てきました出先機関の統廃合というのは、これは分権のテーマなのかなと。なぜ所掌を聞いたかというと、先ほど行政改革の所掌は、簡素、効率な政府をつくって財政の健全化も図っていく、こういうことですね。どちらかというとそっちのテーマではないかという気がするんですね。それから、地方分権の方は自主自立ということを目指しているわけですから、この出先機関の改革と自主自立がどういうふうに結びつくんだということは、いま一つ鮮明でないというふうに思うわけです。

 そこで、地方分権の基本方針の中で、国が本来果たすべき役割というものを重点的に担って、住民に近い行政はできるだけ地方公共団体にゆだねると。四つ例示を挙げていまして、権限の移譲と義務づけの整理合理化、そして関与の整理合理化というこの三つに、その財政措置、こういうふうに言っているわけでありますが、これでもまだ基準としては私は明確でないというふうに思うんです。

 今後、具体的にこれを進めていく、秋までには最終報告もいただいてまとめていくということになれば、この基準というものをはっきり示さなければならないんではないかというふうに思うんですが、この基準というもの、今言ったこの四つだけでいいのか、あるいは、もっと明確に国の責任というものをどういうふうにするのかということについて、まず国側の責任を明確にしなければならないんではないかというふうに思うんですが、大臣のお考えを伺います。

鳩山国務大臣 地方分権については、地方分権改革推進法第五条に書いてあります点がある意味ではすべてでございまして、国の形を決めるわけですね。国が担うべき事柄、地方に任せるべき事柄をきちんと仕分けするというのが地方分権だと思うわけでございます。つまり、例えば直轄事業を例にとると、今は直轄事業が多過ぎるわけで、住民に身近であろうと思われるような例えば道路や河川は都道府県がつくる方向に移していけばいいと思うわけでございます。

 そういうようなことをやるのが真の地方分権であって、その後に、つまり、国がスリムになって、残った国の機関をどう統廃合するかというのは、私は二の次の問題だと思います。それは、どうしても話題になりやすい。振興局だ、工務局だ、権限を多く持ったままみんな合体したら強大なものになって、また焼け太りみたいになるぞなんという意見もあるわけでして、ただ、それは物事の本質だとは思わないわけでございますので、私は、地方分権というのは、あくまでも国が今やっている権限とか事務事業というものをどこまで都道府県に移すか、場合によっては都道府県から市町村に移るものもあるかもしれない、そういうふうに考えております。

 また、いわゆる国の義務づけ、枠づけという一万項目を六千ぐらいはやめた方がいいんではないかという内容になっておりますが、これも国の関与のし過ぎは地方分権を妨げますから、これは進めなければなりませんが、これも一つずつ全部精査していきませんと、例えば命にかかわる問題などは、私は、地方分権し過ぎてはいけない部分があるのではないか。例えば、幼稚園とか保育園のことが、よくこんなの地方に任せればいいんじゃないかと言うけれども、それは、保育園なんか、それこそ安全のためにこういう義務づけ、枠づけをしているというものは、逆に地方に任せ過ぎて事故が起きるということも考えられるわけですね。道州制だったら道州に任せてもいいかもしれませんけれども。

 そんなことで、いろいろな課題がある中で現在工程表をつくっておりますが、これは先生御指摘のとおりで、工程表というのはプログラムとスケジュールでございますから、実際本格的な議論というものはその後に始まるわけでございますし、そこでまた選挙が挟まりますので、秋に、つまり今年内に基本計画をつくるわけですが、その間に選挙が挟まりますので予断は許さない状況にありますが、とにかく、与野党を問わず、やはり国の役割を縮小して、権限を縮小して地方へという国の形を整えることが地方分権だと認識いたしております。

佐々木(隆)委員 時間がないようですから、ここは意見だけ申し上げさせていただきます。

 今直轄道路の話がありましたけれども、二重行政の排除というのは、これも私はそのとおりだというふうに思いますし、今大臣が言われたように、例えば命にかかわるというようなときに、医療の問題とか、そういったものの基準だとかというのは確かにそのとおりだというふうに思うんです。

 ただ、今回の出先機関の統廃合のところでいろいろ論議になって、振興局と工務局に分けるとかいう案が取りざたされているんですけれども、どちらかというと、二重行政と言うときに、ハード面だけが論じられるんですね。実は、ハード面というのは、地方でやれるものもあるということはあるかもしれぬけれども、二重行政になっているわけではないんですね、今。完全に分けられているんです、目に見えるだけに。むしろ、二重行政になっているのは、すべてではありませんけれども、ソフト部分。これは、本来地域づくりというのは地方の役割でありますので、ここのところがかぶっているところがかなりあるということについてぜひ留意をいただきたいということだけ申し上げて、時間のようですから、御退席されて結構でございます。

 次に、公文書についてお伺いします。

 先ほども若干お話、質疑がございましたが、所信で管理法について二行ほどで触れられてございましたけれども、先ほど大臣がおっしゃられていたように、これは、説明責任というものと、もう一つのポイントとして、一つはそこが大事なポイントですが、もう一つは、国が意思決定をしていくときの証拠的記録、要するに、同じ間違いを繰り返さないためにどうしていくのかということのためにも、私は公文書というのはしっかり管理をされなければならないというふうに思っておりまして、まだ本格論議でございませんので、少しきょうは何点かについて、確認の意味で触れさせていただきたいというふうに思います。

 まず、法的な位置づけなんですが、既存の国立公文書館法、それから情報公開法についてどのように考えられているのか、これは事務方で結構です。

 申しわけございません、ちょっと時間がありませんので、あわせてもう一つ。

 外務省とか宮内庁の文書は、またこれは独自に保管されているわけですけれども、これの扱いもどうなるのか、あわせてお願いをいたします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 この公文書管理法案でございますけれども、公文書の管理に関します基本的事項を定める法案でございまして、いわば公文書管理に関する一般法という性格を持つものでございます。したがいまして、この法案が仮に成立するとしますと、現在の国立公文書館法におきます公文書の保存に関します規定、また情報公開法におきます文書管理に関する規定は、この法律に移行することになるということでございます。

 次に、外務省、宮内庁のお尋ねがございましたけれども、この公文書管理法案というのは、すべての省庁において適用されるものでございまして、外交史料館、あるいは宮内庁書陵部に関しましても、国立公文書館と同じ扱いの施設ということになりますと、これらの施設が保管する文書につきましても、本法案の規定が適用されることになります。

佐々木(隆)委員 それから、次に少し具体なところをお聞きしたいんですが、先ほど申し上げました共有財産という視点と、もう一つは証拠的記録という視点との、この目的を達成していくわけですが、一つには、ではそのための文書は、どこまでの範囲をこの公文書館で管理をするのか。文書の範囲と、もう一つは、どうやって運用するのかというような点について少しお伺いをしたいというふうに思うんです。

 例えば、審議会などの記録、それから省庁を横断しているようなプロジェクトのようなものの文書、それから、ここは私は非常に大事だと思うんですが、意思決定のプロセスの部分の文書、最終場面だけではなくて。私は、政治の場面においては、最終責任、結果責任もありますが、むしろプロセス責任というのが問われるんだというふうに思うんですね。そこのところの文書。

 それから、決裁の程度といいますか範囲といいますか、例えば係長クラスの文書なのか、課長クラス以上の文書なのかとかいうようなものについて。それから、今は電子文書の方がかなり多くなっているんだというふうに思うんですが、それをわざわざ紙に落として保存するのかどうなのか。それから、民間の文書、民間の文書の中にも記録的には残した方がいいというような文書もたくさんあるわけで、これはお願いをするということになるのかもしれませんが、こうした範囲の部分。

 それから、移管までの文書を、だれがどのように管理をして、どのようにチェックをするのかというようなことについて、どのように厳格化を考えているのかについてお伺いをいたします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 初めに、公文書の範囲でございますけれども、この法案におきましては、行政機関のいわゆる行政文書、独立行政法人等の法人文書、そして国立公文書館等が保有する特定歴史公文書、この三つを総称いたしまして公文書等と定義しております。

 また、この国立公文書館等が保有する文書の中には、行政機関のみならず、立法府、司法府から移管された文書、また、民間から寄贈された文書も今後は含むような規定になっております。

 また、この一番根本であります行政文書の定義でございますけれども、これは現在の情報公開法の定義をそのまま引用しておりまして、行政機関の職員が作成または取得した文書、これが一つ目の要件。そして二つ目は、当該行政機関の職員が組織的に用いるもの。そして三つ目が、当該行政機関が保有しているものという要件を定めているところでございます。

 この法案の提出に先立ちまして、有識者会議でいろいろ御議論いただいたんですけれども、そのときに我々が調査いたしましたところ、現在は、範囲のお尋ねがございましたけれども、課長ぐらいで相談して、この方針でいきましょうといったようなものから保存されているという実態が多うございました。ただ、事務事業の内容によりましては、課長からでいいのかどうかという御指摘もございますので、これにつきましては、基準づくりのところで鋭意検討していきたいと考えております。

 また、チェックの問題でございますけれども、今までは、各府省が文書管理規則をそれぞれ独自に制定して、いわばばらばらで行われたわけでございます。これを、今回の法案におきましては、各府省共通のルールを策定して、そしてそれに各省も従っていただく。また、その共通ルールに基づきまして、各府省が独自の文書管理規則を設定する場合でも、内閣総理大臣に事前協議をしていく。そして、統一性の確保に努めてまいりたいと考えております。

 また、その後のチェックでございますけれども、従来は、保存期間満了間際になって、各省大臣と内閣総理大臣が相談いたしまして、協議いたしまして、この文書は保管、あるいはこの文書は廃棄というのを決めていたわけでございますけれども、保存期間満了間際でこういうことをやりますと誤廃棄の問題等も生じますので、この法案におきましては、文書作成のできるだけ早い段階から、統一基準に基づきまして、歴史的価値のある文書は保存、またそうでないものは廃棄といったようなものを定めていきたいと考えております。

 ただ、それも、各省任せにするのではなく、毎年一回、文書管理状況を各省から内閣総理大臣に報告していただきます。そこで、やや不適正らしい事例等がございましたら、実態調査を国立公文書館の職員に行わせることができることになっておりますし、また、問題が生じた場合には内閣総理大臣の勧告ができる、こういうような仕組みにしているところでございます。

渡辺委員長 手短に。

山崎政府参考人 そういうことで、政府といたしましては、格段に文書管理の実態が改善するものと考えております。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 大臣に、せっかくおいででございますので、一点か二点、できるだけ簡潔にお伺いしたいというふうに思います。

 文書管理の先進国はたくさんありますが、国内での先駆者と言われている神奈川県のお話を聞いたことがあるんですが、三つのポイントを提示していました。一つは、永年保存文書の撤廃。要するに、省庁に置かないということですね。永年保存させないということですね。だから、保存期間をすべて期限つきにしたということ。それから二つ目は、引き継ぎ、引き渡しの義務。条例によって義務化させたということですね。それから三つ目が、選別、廃棄の権限をすべて公文書館の方の責任でやるというふうにした。この三つがポイントだというふうに言っておられました。

 今ほどお答えをいただいたんですが、今までの文書管理というのは、満了までは各省庁が保管、それから満了すると移管文書の申し出、それから移管すべき文書は協議、そして合意した文書だけ移管、こういうふうになっているわけで、すべてここは協議とか合意とか申し出とかいうことが中心になっているわけです。

 今度の中でもちょっとそういうことが心配をされるんですが、本気でやろうとする場合に相当厳格なものが必要だというふうに思うんですが、その辺の大臣の決意を伺いたいと思います。もう一点ありますので、できるだけ簡潔にお願いします。

小渕国務大臣 今回の法案のポイントになる点でありますけれども、今委員が御指摘のように、どの期間保存するかということ、レコードスケジュールをしっかり導入していこうと考えております。それも、専門家のサポートのもとで移管か廃棄か、これも早いうちに検討することとなっております。

佐々木(隆)委員 もう一点だけお伺いをいたしたいと思います。

 それは、今後の体制ということにもかかわるというふうに思うんですが、先ほど申し上げたように、ポイントの引き渡しの義務とか、それから選別、廃棄を省庁に相談したりなんかするのではなくて、すべて公文書館の方の責任でやるというようなことをもし目指そうとするならば、まずはすべてを公文書館に一度持ってこいということになるわけですから、そうなれば、当然のことながら中間書庫という考え方が必要になってくるわけですね。そうでなければ省庁である程度整理をしない限り来ないことになりますから、このことが必要だというふうに思うんですが、そのことが一つ。

 もう一つは、公文書の管理というのは、一つには職員の意識改革でありますし、もう一つはプロをどう育成するかということだと思うんですね。ましてや中間書庫というものを目指してやっていこうとするならば相当な人数も要るわけですし、今の私たちの国の職員は四十二人程度ですが、アメリカの二千五百人、イギリス六百人、フランス四百六十人、韓国三百人と比較しても余りにも貧弱な状況であるわけであります。

 プロを育成するということになればそれは年月もかかるし、中間書庫をつくるということになってもそれは年月がかかりますが、そういうことを目指さなければ本当の意味での公文書管理というのはできないのではないかというふうに思うんですが、その辺の決意をあわせてお伺いいたします。

小渕国務大臣 御指摘の点はまさにおっしゃるとおりでありまして、まず、専門家につきましては、やはりこれは中長期的な視野に立って、しっかりとした人員を集めるということとともに、しっかりとした専門家を養成していく必要があると考えております。計画的に増員にしっかり努めていきたいと考えております。

 また、中間書庫の仕組みについてですけれども、こちらにつきましても、法的に整え、必要に応じて専門家が現物をチェックすることも可能となるような、そうした仕組みを考えていきたいと考えております。

佐々木(隆)委員 終わります。

渡辺委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、内閣委員会で初めての質問に立たせていただきますが、北朝鮮をめぐっての問題を二つ、官房長官と議論させていただきたいと思います。

 一点目は、拉致問題担当の大臣でございますので、昨今の状況、今後のことについて幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。

 昨年、ちょうど予算委員会でも長官ともお話しさせていただいたんですが、対策本部を開かれて、二年ぶりでしたかね、麻生総理も、これはとにかく急がなきゃならないということで、一刻の猶予も許されないというようなことをおっしゃっているわけですけれども、なかなか、相手のあることとはいえ、その後この問題については前進というものが見られないという状況。しかも、八月に、実務者協議の中で、再調査のための委員会等々を立ち上げるというような合意がなされておりますが、一向に何ら返答がないという、本当に許されない態度を北朝鮮はとっているわけですけれども、その点について、現状の認識をまず長官にお伺いいたしたいと思います。

河村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、拉致問題はもう三十年有余を経ておりまして、時間との競争であるというふうにも指摘をされております。急がなきゃいけない重要な課題だと認識しております。

 特に、今、北朝鮮との状況への認識でございますが、御案内のように、昨年の九月四日に、北朝鮮から、新政権が実務者協議の合意事項にどう対応するか見きわめたい、こういうことで、調査開始の約束に対して、見合わせるという報告があったところでございます。

 麻生内閣におきましては、これまでもいろいろな場で明らかにしておりますけれども、核、拉致、ミサイル、こういった諸案件を総括的に、包括的に解決をして、そして不幸な過去を清算して日朝の国交正常化にいきたいということ、この方針は何ら変更していないところでございます。昨年八月の日朝実務者協議の合意事項、これも実施する方向に何ら変わりはない、この点は明らかにしておるところでございます。そのことは、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に対しても伝達をしております。そして、いわゆる権限が与えられた調査委員会を立ち上げて、そして全面的な調査の開始を求めてきておるところでございます。

 しかし、残念ながら、これに対して北朝鮮側の調査は開始をされておらないという状況でございます。さはさりながら、北朝鮮も、日朝実務者協議の合意事項を履行する立場であるということは明らかにしておるところでございます。

 そういう状況下にございますので、日本といたしましても、北朝鮮による調査のやり直しが早期に開始されて、そして拉致被害者の方々の一刻も早い帰国につながるような成果が得られるように、これを強く求めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

笠委員 改めて長官に一つ確認をしておきたいんですが、今度、四月十三日に制裁についての期限が来るわけですけれども、当然これは延長されるということになると思いますが、そこで、一つ確認なんです。

 今おっしゃったように、再調査、もし調査に入るとかあるいは調査の委員会を立ち上げますよというようなことが、後ほどのミサイルの問題ともちょっと絡むんですが、もしそういうことがあっても、あくまで再調査の中身でしっかりとした進展がなければ、日本として、我々が納得できるようなものでなければこの制裁を緩和するということはないということ、これはそれでよろしいですね。

河村国務大臣 御指摘の点につきましては、これまでも北朝鮮に対して、日朝協議の段階においても、いわゆる権限のある調査委員会が立ち上がって、我々の要望に対しての回答が必要であるということは明確に言っているところでございます。

 これに対する十分な対応が必要であるということは前提でございまして、その上できちっとした対応がとられるならば、我々の方も、まさに行動対行動といいますか、そういう形で臨もうというふうにいたしておりますので、我々の期待するものがきちっと得られるということが条件になっておるところでございます。

笠委員 確認をさせていただきました。

 もし再調査に入るとかそういう段階では、何らそれはまだ材料ではなく、しっかりとその調査結果を踏まえて対応していくということで確認をさせていただいたということで、次に……(河村国務大臣「ちょっと確認をさせていただきます」と呼ぶ)

 はい。

河村国務大臣 我々期待しているものがあることは事実でございます。

 ただ、日朝協議の段階においては、きちっとした権限のある調査委員会が立ち上がるならば、我々の方のあのときの条件になっておりますチャーター便の問題、人事往来、これは同時にスタートします。

 ただ、もちろんきちっと権限のある調査委員会であるということの確認は条件であります。そこまでは約束の条項になっているところでございます。

笠委員 約束といっても、この間の北朝鮮の対応というものは、本当にこれは許せないですよ。何ら誠意も感じられなければ、真摯に対応しようということもないわけですから。これは本当に、もう実務者協議の合意というのは白紙に戻すぐらいの検討をすべきだと私は思っております。

 そこで、十三日に現行の措置が切れるわけですけれども、実は、私ども民主党の拉致の対策本部においても、これは圧力をやはり強めていかなきゃならないということで、追加の経済制裁というものをしっかりとやっていこうということを、取りまとめをさせていただいておるんですが、やはりこの機会に、政府として、一段踏み込んだ追加の経済制裁措置、あるいはこの半年ごとのというところを一年間に期限を延長する、そういったお考えがあるのかどうか、検討をされる御意思があるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。

河村国務大臣 政府といたしましても、北朝鮮への措置に対しましてはふだんから内部でもずっと検討をいたしておるところでございます。

 いずれにいたしましても、実際の対応になりますと、これは、拉致と核とミサイルというこの諸懸案に対する北朝鮮の対応がございます。またさらに、六者会合、これはアメリカの新政権においてもここを重視すると言っておりますし、また国連の安保理における国際社会の動きもございます。そういうものを総合的に勘案して判断する、こういうことになると思います。

笠委員 この問題、解決へ向けて、私、韓国の李明博政権が盧武鉉政権にかわって誕生したことは、北朝鮮の拉致問題、拉致事件についての対応ということでは、百八十度、今までの北に対する融和路線から変わったというふうなことで、これは非常にいいことだと思っておりますし、日韓が連携をして、同様に抱えるこの拉致事件に対して対処していくということは、非常にこれは重要であろうと思っております。

 こうした中で、先般十一日の日に、拉致被害者の田口八重子さんのお兄さんの、家族会の会長の飯塚繁雄さんと長男の耕一郎さんが、金元工作員と、韓国の方で、釜山で面会をしたということで、実は、昨日、超党派の拉致議連に飯塚会長がおいでになりまして、そのときのお話を披露されておりました。

 その中で、韓国の情報機関の幹部が同席をしていたと。田口さんのことだけは話をしてくれるんだけれども、金元工作員は、それ以外のことにちょっと話題を向けると、なかなか答えられないなというような感じであったということをおっしゃっていました。

 そのときに、これは議連に対してもお話があったんですが、ぜひこの金元工作員を日本に招聘してほしいと。そのためにはやはりこれは韓国政府の理解が必要でございますので、ぜひ、担当大臣として長官にも、そうした働きかけあるいは協力の要請を韓国政府にお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

河村国務大臣 金賢姫氏の日本招聘につきましては、飯塚家を初めとする拉致被害者家族、またその支援団体である救う会の方からも要望をいただいておるところでございまして、それを踏まえる必要があると思っております。また、政府も、田口八重子さんについての重要な証言者である金賢姫氏、この方からいろいろな機会において証言していただくということは、拉致問題の真相解明にとっても大きな意味がある、こう考えております。

 ただ、一方では、御案内のように、金氏が大韓航空機爆破事件にかかわっておられる、こういう経緯もございますから、韓国国内においても特殊な状況下にあるということも考えなきゃなりません。それから、韓国政府の立場も十分勘案しなきゃいかぬ、こういうこともございます。

 そういうことも踏まえながら、日本においてもさまざまな法的な側面等検討すべき課題もあるわけでございまして、こういうことも踏まえながら、いずれにしても、韓国に対してもそうでありますが、所要の調整、検討の上、適切な対応を考えなきゃならぬ、このように考えております。

笠委員 ぜひ今のような形の、なかなか簡単ではないとは思いますが、そうした意思をやはり政府として公式に伝えていただき、そのための条件整備をしっかりとしていく。あるいは、国会としても、特別委員会等々の中で、どういう形で呼ぶことがいいのかということもまた我々も検討していかなきゃならぬと思っております。

 もう一点。こうした形で日韓がいずれにしても連携をしていくという姿勢を、やはり、これからその中で具体的な成果を得ていくためにも、韓国にはかなりの脱北者の人たちがおられます。我が国においても、在日の脱北者については警察当局等々がそれなりの情報収集に当たっているとは思いますけれども、韓国にいる脱北者からの情報を、いかにその聞き取りを含めてやっていくかということ、これも非常に重要でございますので、その点もあわせて、やはり韓国政府の協力を得るというようなことをぜひ御検討いただきたいと思います。

河村国務大臣 今の御指摘の点は非常に有意義な、大事な視点だと思っております。韓国政府も、新政権、李明博大統領のもとで、拉致問題に対しては共通の課題であるという認識をいただいております。そういう点で、韓国には確かに脱北者もたくさんいらっしゃることは事実でございますので、そういう意味で、これに対して、ぜひそういう機会をつくる必要があろうと考えております。

 これは今後、韓国政府の協力もいただいて、協力のもとでそういうことを進めていきたいと思っておりますし、国際的な連携も必要でございますので、これが拉致問題の早期解決につながる、こういうことで考えながら努力してまいりたい、このように考えております。

笠委員 あともう一点だけ。

 私、対策本部というのを、常に、頻繁にと。これは、総理が本部長で全閣僚の皆さんが参加している会議ですから、何か大きな動きがあるとか、あるいは大きな決断をしなければならないような場面で開かれるものだとは認識をしていますけれども、そのもとにある幹事会、各省庁の関係者がそこでいろいろな形での情報を共有し、また対応を協議している場なんでしょうけれども、これも余り開かれていないんですね。ですから、やはり、家族の皆さん方も含めて、どうなっているんだという気持ちが非常にありますので、その点はぜひしっかりと対応していただきたいということ。

 あと、特定失踪者の家族の皆さんが、切に、やはり長官、担当大臣とお会いしたいということをきのうもおっしゃっておりましたので、ぜひそこは、河村長官は前向きに対応していただけると思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次の話題に移らせていただきますけれども、北朝鮮が人工衛星を運ぶロケットの打ち上げを予告した、通知したというこの問題。まず、なぜこの時期にこの予告をしてきたのか。過去の長距離弾道ミサイル等々の発射においては、そうした事前通知なり予告というものはなかったわけですよね。ここには北朝鮮側の何らかの政治的なやはり意図というものがあるんじゃないか。その点について長官がどのように御認識をされているのか、簡潔にお答えをいただければと思います。

河村国務大臣 北朝鮮側の意図というものは必ずしも明らかではないわけでございますけれども、確かに北朝鮮は、今回については通告をしてきておりまして、いわゆる試験通信衛星を発射すると明らかにしております。そして、宇宙開発は我々の自主権利である、人工衛星発射問題について言うなら国際的に公認された自主的な権利である、こういうことを表明してきておるわけであります。

 しかし、北朝鮮がどのような主張をいたそうとも、北朝鮮が発射を行うということになりますと、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止を求めている国連安保理決議に違反するわけであります。そのことは明確に日本政府としても主張いたしております。したがいまして、こうした行動を慎むべきである、このことが非常に大事であると私は考えておるところであります。

笠委員 まずは、今の段階では、こうした打ち上げをやらせない、北側がやはりこれをやめる、断念をするというような、国際協調の中での、特に日米韓といった国々を中心とした働きかけ、あるいは、中国の出方というものがいま一つちょっと見えてこない部分もありますけれども、そうした、六カ国協議に参加をしている枠組みを中心として最善の努力をしていくということになると思うんですが、ただ、我が国としても、やはり先ほどの拉致の問題もありますし、強い警告のメッセージというのは伝える必要があると思うんです。

 その中で、先ほどの、この四月十三日に、これはあくまで拉致のあれですけれども、もしこの発射が行われたならば、必ず、この制裁について、拉致の問題の対応とあわせて強めていくんだというような方針というものは、やはりしっかりと私は打ち出すべきだと思っておりますけれども、政府として、長官としてのお考えをお聞かせください。

河村国務大臣 政府としては、北朝鮮が地域の安定と平和を損なうこと、これは厳に慎むべきである、こういうふうに発信をしてきておりますし、北朝鮮がこういう発射をするような事態にならないようにすること、これは大事でありますから、アメリカ、韓国とも、関係国とも連携をしながらこれをまとめておる、まずそういうことであります。

 そうした努力にもかかわりませず北朝鮮が発射を強行する、こういうことになりますと、まずは安保理においてしっかりと問題として取り上げる必要があると考えておりますし、これはやはり、発射ということになりますと当然新しい局面である、こういう事態に立って政府としても対応していかなきゃいかぬ、このように考えております。

笠委員 特に我が国の上空を飛んでいく、そしてまた、もし失敗をすれば落下してくる危険性だってこれはあるわけですよね。そういうことですから、もちろん国連の安保理に対してということ、これはもちろん大事で、当たり前の話ですけれども、やはり、それだけの強い何らかのメッセージというものをしっかりと、その決意というか意思というかそういったものを、事前に、もう一つ踏み込んで、経済制裁措置の強化、圧力の強化も含めて、私はやはりきちっとした形で政府として出すべきだと思っているんですけれども、改めてその点だけ長官の方にお伺いしたいと思います。

河村国務大臣 これは、先ほど答弁申し上げましたように、打ち上げということになりますと新しい局面を迎えたというふうに考えておりますが、ただ、いずれにしても、この実際の対応ということになりますと、発射の実際の状況、あるいは拉致、核、ミサイル、こういう諸懸案に対するこれまでの北朝鮮の対応、それから六者会合、国連安保理における国際社会の動き等も勘案しながら、やはり総合的に勘案する。この総合的に判断をする中に、御指摘の点も踏まえて、我々としても毅然とした対応をしなきゃいかぬ、このように考えております。

笠委員 相手が相手ですから、いたずらに我々が、私も大騒ぎをするつもりはございませんし、今は何よりも情報の収集そして監視体制あるいは警戒態勢等々、それをしっかりと行っていくということが大事かと思いますけれども、冷静に対応していかなきゃならない。

 ただ、現実に、もう北朝鮮の方は、四月四日から八日ということで、この五日間、時間帯まで指定して予告をしてきているわけですから、万が一があっちゃいけないわけですよね。ですから、そのことについて幾つか、最悪の事態に備えておくという観点から、危機管理についてちょっとお伺いをしてまいりたいと思っております。

 まず、今官邸の方で、これは内閣官房として、仮にロケットが一段目、二段目と、特に一段目は、秋田県から百三十キロぐらい離れたところあたりのエリアワンと言われる海域が危険水域であるということですけれども、これは打ち上げに失敗したりあるいはそれが航路を外れて、日本に、何らかの形で領海あるいは領土内に落下してくる可能性というものもあるわけですよね。そのとき、避難も含めてどういう形で行うような厳戒態勢あるいは連絡体制を、今、都道府県あるいは自治体通じてどういうふうにやっていくのかというところをちょっとまず御説明をいただければと思います。

河村国務大臣 御指摘のように、北朝鮮からは衛星の打ち上げということで事前通報があって、国際海事機関で連絡を受けたということでありましたので、政府は直ちに、これに対して官邸内に情報連絡室を立ち上げております。あらゆる北朝鮮の飛翔体関連動向について重大な関心を持って情報収集をしている、これに対する、個々の状況に応じた適切な対応をとるという考えをもとに立ち上げております。

 そこで、今御指摘のように、地方自治体との連携あるいは国民への周知等、これは、事前に得られた情報の内容等について適切に実施していかなきゃいかぬと考えております。今後の具体的な対応については、今、内閣官房を中心に検討いたしておるところでございます。

 いずれにしても、危機管理は、官邸のリーダーシップで各省庁一体となって国民の安全を守っていく、これはそういう強い視点でなければなりません。今御指摘のように、やはり危機管理というのは、最悪の場合をまず、ケースを想定してやらなきゃなりませんので、今御指摘の点も踏まえて、今鋭意検討しながら、みだりに不安を与えるという状況があってもいけませんが、できるだけ最悪の場合も想定しながらしっかりとした対応を立てるということで今鋭意検討いたしておるところでございます。

笠委員 そんなに時間ないんですよね。ですから、やはりこれは、何も事が起こらなければいいわけですけれども、何かあったときには、本当に、発射されてもう恐らく十分以内ぐらいのところで飛んでくるわけですから、時間が限られた中で万が一のときに何をやるのかということは、相当やはりしっかりと体制をとっておかなければ、これは本当に大変なことになりかねないし、その点は、ぜひ今おっしゃったようなリーダーシップをとっていただきたい。

 そして、もう一つは、仮にこのロケットや弾道が日本の領土や領海に落下するおそれがなければ、これは自衛隊法に基づいての迎撃というものはなかなか難しい。しかし、それは発射してみなければわからないわけですよね。そういう中において、仮に、やはりこの弾道ミサイルの航跡を追尾して落下地点を割り出して我が国に及ぶというときに、必ずこれを迎撃することができるのか。その点についての長官の今のお考えというものをぜひお話しいただければと思います。

河村国務大臣 まずは、北朝鮮が地域の平和と安定を損なうようなこの行動を慎むべきである、打ち上げをやめろ、こういうことが我が国の強い求めでございます。そのことは、申し上げましたように、直接北朝鮮側にも強く求めておるところでございます。

 ただ、おっしゃるように、弾道ミサイル等が日本の方へ向かって上空へ飛来をする、それによって、今おっしゃったように失敗する場合もある、その場合に落下をしてくる、こういうことによって日本の領土内における人命とか財産に影響が出る、被害が出る、これを防止するために、防衛大臣は、自衛隊法の第八十二条の二で、自衛隊の部隊に弾道ミサイル等の破壊を命令することが可能になっております。

 そういうことでありますから、これに対して今後政府としてどういう対応をとるか。今まだここで、どういう対応をするんだということを、確固たることを申し上げる段階ではございませんけれども、しかし、政府としては、今回の、北朝鮮が人工衛星を打ち上げるということを表明しておりますので、北朝鮮がこのような発射をする事態にならないように、まずは、我々としても関係国との連携のもとに強く求めていく。そして、いろいろなケースも想定して、事態に適切に対応できるように、これは万全の態勢を整えてまいりたい、このように考えております。

笠委員 今、弾道ミサイル等に対する破壊措置、八十二条の二の話を長官おっしゃいましたけれども、今検討中ということですが、事前にこれは自衛隊に対して破壊措置を私はやはり命令をしておく必要がどうしてもあるんじゃないか。実際に、いろいろなことを想定したときに、本当にわずかな時間の中で対応をしなければならないということ、これはだれが見ても明らかなことですから、やはりその点はしっかりと、そうした政府としての決断をぜひしていただきたいと思いますが、改めてその点についてお答えをいただければと思います。

河村国務大臣 今回のケースについては、やはり国民の生命財産を守るという大きな使命があるわけでございます。その不安を払拭するような形で、政府としてもきちっとした対応をとることが非常に大事だ、このように考えております。

笠委員 この点について、また防衛省も含めて、後ほど我が党の泉委員の方からもまた具体的にお話を、質疑をこの後またやらせていただくことになると思います。

 長官、改めてなんですけれども、この打ち上げを、例えば、仮に、中止する、あるいは、先ほどの拉致の問題、これとかなり絡めながら、何らかの前向きな対応を北朝鮮が示しながらこの経済制裁の緩和というものを迫ってくるしたたかさも私は持っていると思うんですよ。

 ただ、あくまで、今、本当にやっちゃいけないことを勝手に宣言して勝手にやろうとしているわけですから、そこは、譲歩する点というものが、やはり私は、政府がひとつ毅然とした姿勢を持った上で、もしそうした交渉というものがある場合には臨んでいただきたい。そして、あくまで、拉致の問題というものも含めて、やはり経済制裁、四月十三日というものをにらみながら、これを交渉の一つの、ある意味譲るような、何か譲歩するようなカードには絶対にしないようにしていただきたいんですけれども、その点について改めて確認をしておきたいと思います。

河村国務大臣 拉致被害者の皆さんは、もう一刻も早くという強い思いを持っておられます。そのための解決を図らなきゃいけない。これは政府としても大きな使命でございます。私も、拉致担当の大臣でございますから、そういう思いもございます。一方では、あらゆる過去を清算しながら、日朝の国交正常化に持っていきたいという思いもあります。そういうことも加味しながら、適時適切に対応していかなきゃいけない。

 政府としても、やはりこの問題は、きちっとした、日本の主権にかかわる大きな問題だという強い姿勢を持ち続ける、これも大切なことでございますので、あらゆる角度から、決断するときは決断するという強い姿勢が必要であろう。御指摘の点を十分踏まえながら対応してまいりたい、このように思います。

笠委員 時間が参りましたので終わらせていただきたいと思いますけれども、最後に一点だけ。

 もちろん、いたずらな不安を助長することは、これは本当にしっかりと頭の中に、そうならないようにしなければなりませんけれども、このまま最悪四月の三日、四日を迎えるとなったときに、やはり、国民の皆様方に対する周知、あるいは備え、徹底等々についてはぜひしっかりと取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局長別所浩郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。本日、内閣委員会におきまして初めて質問に立たせていただきます。

 まず、官房長官に質問をさせていただきます。

 官房長官におかれましては、未曾有の激動の中にありまして、国を支え、政権を支えていらっしゃる、誠実な、また堅実な政治姿勢に対しまして、私は心から敬意を表している次第でございます。

 まず、北朝鮮の問題につきまして、ただいまの質問とも重複いたしますが、質問をさせていただきます。

 まず、試験通信衛星の打ち上げの問題でございます。

 IMOからの通報によりますと、北朝鮮当局は、試験通信衛星の打ち上げのために、四月四日から八日までの毎日十一時から十六時まで、日本海及び太平洋の一部に危険区域を設定した。そこに、国民の皆様が今、毎日、大きな不安を抱えていらっしゃるわけで、既に官房長官からコメントも発表されておりますけれども、政府として、これに対してどのような対応を検討しておられるのか、伺わせていただきたいと思います。

 当然のことながら、私は、外交努力をしっかりやるべきであり、事態の取りまとめに対しましても全力を挙げるべきであるということをまず強く申し上げたいと思っております。当然、そうした打ち上げ中止への取り組み、また情報収集、そしてまた弾道ミサイル対処の流れをどのようにされるのか。また、安保理議長への働きかけ、特に中国、ロシアにどのように対応されるのか等々あると思いますけれども、いずれにしても、こうしたあらゆる場面を想定していただきながら、的確にまた対応することが求められていると思っております。官房長官の所見を求めます。

河村国務大臣 御指摘の点でございます、北朝鮮が人工衛星の打ち上げ、これも、通信衛星である、試験衛星である、こういう形で発表してまいりました。しかし、政府としては、北朝鮮がこのような行為をとるということは地域の平和と安定を損なう行動である、慎むべきであるということを強く思い、考え、表明しているところでございます。

 かかる立場におきまして、日本は、関係国と協議をやってきております。例えば、アメリカ、韓国、中国といった各国との間でミサイル問題を取り上げてまいりました。北朝鮮は緊張を高め、地域の平和と安全を脅かすような行動をとるべきでない、こういう点においてはアメリカ、韓国、中国とも一致しております。そして、そのことを対外的にも明確にいたしております。また、北朝鮮に対しても、直接、北京の大使館ルートを通じて、日本の立場を伝達してきておるところでございます。

 政府としては、三月十二日に、内閣官房長官のコメントとして発表をいたしております。北朝鮮に対して打ち上げの中止を強く求めておる。北朝鮮が発射を控えるように、引き続き、情勢を注視しつつ関係国と緊密に連携をとって取り組んでいく考えでおります。

 また、国民の不安解消について御指摘がありました。事前に得られた情報の内容等に応じて、これは適切に実施していくべきであると考えております。ただ、具体的な対応がどのようなものであるかについて、今、内閣官房中心に検討をいたしておるところでございます。

 いずれにしても、危機管理は、官邸のリーダーシップのもとで関係各省庁一体となって対応しなきゃなりません。国民生活の安全を確保するという観点から鋭意検討をし、適切に対応していく、またそれを、国民不安解消のためのあらゆる情報通知等々、適切にやってまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 ただいま官房長官のお話にございましたとおり、危機管理体制はまさに官邸のリーダーシップでございます。ぜひとも強いリーダーシップを発揮していただきながら、またあらゆるシミュレーションを想定していただきながら、その都度適切な対応がとられますように、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。

 続きまして、拉致問題につきまして質問をさせていただきます。

 先般、飯塚家と金賢姫氏との面会が実現をいたしました。私も、あのシーンを拝見していながら、耕一郎氏にとりましては、記憶にない母親の面影を求めて金賢姫さんに会われた、そしてまた金賢姫さんも涙で迎えたという大変胸詰まるシーンであったと思います。国境というものがどういうものか、人とのつながりがどういうものか、改めて深く感じた次第でございます。

 今回のことも、韓国政府の政権がかわった、新しい政府の強い後押しがあって実現したと承知をしております。このことにつきましては、私は一定の評価がされるべきであると思っております。

 官房長官のこれに対する評価につきまして伺いたいと思います。

 また、官房長官は、この内容を記者発表されたときに、これを次につなげてと御発言をされました。六者会合もまだ見通しが立っていない状況もあります。しかしながら、一方で、時間との闘いという厳しい設定がございます。特定失踪者の情報入手も含めまして、当然のことながら、日韓のさらなる連携強化を図りつつ、しっかりと取り組んでいくべきと考えております。

 その解決に向けまして、今後の取り組みにつきましてお伺いをいたします。

河村国務大臣 韓国政府の御協力もありまして、おかげさまで、金賢姫氏と、田口八重子さんの話を直接聞くという飯塚家の長年の思いが実現いたしました。このことは大変喜ばしく思っております。

 今回の面会が拉致問題の解決に直接つながるものではございませんけれども、田口さんについての重要な証言者であります金氏より直接話を聞く機会が持てたということ、それから、日本政府は韓国政府の協力を得て主催することができたという点、このような観点から、拉致問題の真相究明及びこの問題の解決に向けて、日韓の連携強化、こういう面において一定の意義があった、このように評価をいたしております。

 日本政府としても、今回のこの面会実現を受けて、特に金氏より得られた重要な参考情報については、今後の韓国政府の御協力もいただきながら、確認作業を進めていく考えでおります。

 いずれにしても、北朝鮮に対して、すべての被害者が一刻も早く帰国されるよう、この実現に向けて、まず第一点は、昨年八月の日朝間の合意によって早期に全面的な調査のやり直しを開始するように、また、第二点としては、これが生存者の帰国につながるような結果を出すように引き続き強く求めていく所存でございます。

 その際、今回の金氏との面談で協力いただいた韓国政府並びに関係の国際社会、この連携の強化というのが非常に大事だと考えておりますので、そういう考え方でこの拉致問題の解決に向けて全力投球していきたい、このように考えております。

高木(美)委員 続きまして、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准につきまして、官房長官に、そしてまた、御退席の後は小渕大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 女性差別撤廃条約につきましては、二〇〇九年、国連総会で採択されまして三十周年、また、個人通報制度などを定めました選択議定書の採択からことしは十周年に当たります。現在、この条約の締結国は百八十五カ国、また、その条約を実効あらしめるための選択議定書につきましては、個人通報制度と調査制度が内容となっておりますが、その締約国は九十六カ国に上ります。

 日本は、条約につきましては一九八五年に批准、また、一九八七年から現在まで、女性差別撤廃委員会に途切れることなく専門家委員を送り出しておりますが、選択議定書につきましては、いまだに署名も批准も行われていないという状況が続いております。

 既に締結しました九十六カ国には、欧州諸国はもちろん韓国やフィリピンも含まれておりますし、アメリカは、まだ条約の批准すらしていないということで国際社会の非難を浴びておりましたが、オバマ新大統領はそれの批准を公約として掲げておりまして、恐らく加速することが期待されております。

 日本は、何といいましても、国連人権理事会の理事国でありますし、安保理の非常任理事国でもあります。今後の取り組みを国際社会が注目していると言っても過言ではないと思います。

 ことしの七月には、女性差別撤廃委員会におきまして、政府が提出した第六次報告書の審査が行われます。六年前、前回のレポートに対する審査にもNGOから五十七人の方が駆けつけられまして、聞いた、そのときの委員会の最終コメントは、選択議定書の批准を日本政府が引き続き検討することを要請する、委員会は、選択議定書によって提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性に対する差別への理解を進める上において司法を補助するものであると強く確信している、これが最後のコメントだったわけです。

 六年たちまして、同じコメントがことしの七月、寄せられることのないように、政府といたしましても、取りまとめに向けて動きを加速し、推進していただきたいと強く要請をするものでございます。

 この選択議定書の批准に向けての政府の取り組みと御見解を官房長官にお伺いいたします。

河村国務大臣 女性の人権の保護を一層強化するという観点から、女子差別撤廃条約の選択議定書を早期に締結すべきである、この御意見、さまざまな方からちょうだいいたしました。

 本件の選択議定書で規定をされております個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えられます。一方では、個人情報を受理した委員会の見解と我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、我が国の司法制度との関連で問題が生ずるおそれもある、慎重に検討すべきであるという指摘もあります。

 そういう状況も踏まえながら、政府といたしましては、個人通報制度の受け入れの是非についてさらに検討を進めていく必要がある、このように考えておるところでございます。

高木(美)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 九十六カ国という、この持つ重みは大変大きいと言わざるを得ないと思っております。

 御承知のとおり、我が国のジェンダー・エンパワーメント指数も、二〇〇七年が五十四位、二〇〇八年はさらに下がって五十八位という大変憂慮すべき結果となっております。ことしは、我が国におきましても、男女共同参画社会基本法が制定されまして十周年になります。女性の人権後進国となりませんように、政府内を取りまとめていただきまして、一日も早い批准を切望するものでございます。

 この後の質問につきましては小渕大臣にお願いをしたいと思います。

 まず、外務省にお伺いをいたします。

 選択議定書批准に向けまして、外務省の取り組みと見解を伺います。また、今検討会を行っていらっしゃると聞いておりますが、その状況と課題につきましても説明を求めます。

別所政府参考人 女子差別撤廃条約選択議定書の批准の関係でございますけれども、既に官房長官から政府としての統一的な見解を述べていただいたところでございまして、そのとおりでございますが、若干補足しながら申し上げさせていただきたいと思います。

 官房長官御自身がおっしゃいましたとおり、この選択議定書の焦点でございます個人通報制度、これにつきましては、条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えております。

 一方で、これも官房長官がおっしゃいましたとおりに、個人通報を受理した委員会の見解と我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、我が国の司法制度との関係で問題が生じるおそれもある、慎重に検討すべきであるというところもございます。

 外務省といたしましては、個人通報制度の受け入れの是非につきまして、関係省庁とともに、真剣かつ慎重に検討を進めているところでございます。

 それから、具体的に先ほど先生から御指摘のございました検討会、研究会でございますけれども、何をやっているかということにつきましては、自由権規約委員会に対する個人の通報事例というのがあるわけでございまして、こういったものを可能な限り収集いたしまして、委員会や関係国の対応、実際、現実がどういうものであるかということを研究するということでございまして、個人通報制度関係省庁研究会ということで立ち上げているわけでございます。関係省庁に広く参加を呼びかけて検討を行ってきているというところでございます。

 委員御指摘のとおり、女子差別撤廃条約の採択から三十年でございますし、また、女子差別撤廃条約選択議定書の採択からも十年に当たっておりますので、我が国として早急にこの選択議定書を締結すべしという御要望がさまざまな方々から寄せられております。外務省としては、このような要望のことも踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 それでは、議定書批准に向けまして、法務省の取り組みと見解を伺います。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからお話の出ております個人通報制度は、女子差別撤廃条約を含めまして各人権条約に選択的に設けられているところでございますが、これら各人権条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えております。

 ただ、他方で、個人通報制度におけます見解等は、利用し得るすべての国内救済措置を尽くしたものについて出されるものであると承知しているところ、国内的な救済措置でありますところの我が国の裁判所による確定した判決と異なる内容の見解などを委員会がお出しになることも予想されます。

 このような見解等が出された場合に、確定した我が国の判決との関係をどのように整理し、どのように見解等の内容を実現すべきなのかなどの問題が生じるのではないかというふうに考えております。

 また、国内的な救済措置を尽くしたときということの判断いかんによりましては、まだ現在我が国の裁判所に係属している最中の事件につきましても見解等が出され得るものとも承知しているところでございまして、そのような場合には、その係属中の裁判との関係におきまして、この見解等をどのように取り扱うべきかという問題も生じると考えられます。

 このように、我が国の司法制度との関係で問題が生じるおそれがございますので、その場合の具体的な対応のあり方についても検討していく必要があると考えているところでございます。

 さらに、これまでの委員会のお出しになられた具体的な見解等によりますと、締約国に対しまして、通報者に対する損害賠償でありますとか補償を要請し、あるいは法律改正を必要とするという判断を示された事例があるとも承知しておりまして、このような、国費の支出でありますとか法律の改正を求める見解等が出された場合の具体的な対応のあり方についても検討していく必要があるのではないかと思います。

 しかしながら、先ほどからるるお話がございましたように、多方面からさまざまな御意見があることは法務省としてもよく承知しているところでございます。現在、先ほどからもお話がございました、外務省主催によります個人通報制度関係省庁研究会が継続的に開催されておりますところ、引き続き、法務省といたしましてもこれに参加して、外務省やその他省庁とも連携協力しながら、この制度の導入の可否につきまして真剣かつ慎重に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 それでは、小渕大臣に伺わせていただきます。

 男女共同参画を推進されるお立場から、この女性差別撤廃条約の果たしてきた役割と重要性につきましてどのようにお考えなのか。

 また、選択議定書の批准につきましては、何としても私は前に進めるべきと思っております。批准する意義につきましてどのように認識しておられるのか、お伺いをいたします。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 我が国は、この女子差別撤廃条約、一九八五年に批准をいたしましたが、批准するに当たりまして、男女雇用機会均等法を制定するなど、必要な法整備などが急速に進むなどの効果がありました。その後も、意思決定過程への女性の参画、女性に対する暴力の根絶に向けた取り組みなど、さまざまな面におきまして我が国の男女共同参画を後押しする役割を果たしてきたと認識しております。

 あわせまして、選択議定書を批准する意義についてという御質問でありました。

 先ほど委員からも御紹介がありましたけれども、既に九十六カ国が選択議定書を批准しており、先進国で批准していないのは日本と米国のみという状況になっています。このような状況のもと、本年はいろいろな節目の年でありますし、また、夏には、我が国の条約実施状況報告の審査も行われるということでありますので、選択議定書の批准に向けた姿勢を明確に示していくということは、我が国の男女共同参画への取り組み姿勢を世界に向けて発信していくという意義があるものと認識をしております。

高木(美)委員 大変に前向きな御発言をいただきまして、感謝いたします。

 そこで、もう一度外務省にお伺いをさせていただきます。

 この個人通報制度、先ほど官房長官からは、最高裁と異なる判決が出た場合に国内においてどのようにするかとした点が指摘をされました。また、先ほど法務省からも同様な指摘をいただきました。

 こうしたことを踏まえまして、当然、この個人通報制度、委員会が通報を受け付けるための条件として、利用し得るすべての国内救済手段が尽くされたことが確認されること、こうした五項目を付しているわけでございます。それに合致して通報が受理されたものについては、条約違反かどうか審査され、見解、勧告という形で当事者に通知をされる、それに対して締約国は六カ月以内に回答書を委員会に提出する、このようなスキームと聞いております。

 その件数ですけれども、この十年間で通報が実際に行われたのは約十九件と承知しておりまして、その中でも条約違反と認められたのは四件、しかも、まだこうした手続が終わっていないということで不受理が六件、こうしたことも聞いております。

 そこで、外務省は、この見解、勧告に対する位置づけをどのように考えていらっしゃるのか、またどのように考えていけばいいのか、その考え方につきまして外務省の答弁を求めます。

別所政府参考人 今御質問の勧告でございますが、女子差別撤廃委員会が選択議定書の締約国に対して行うということでございまして、既に委員御指摘のとおり、六カ月以内に、委員会に対して、委員会の見解及び勧告に照らしてとった措置に関する情報を含む書面の回答を送付するというふうに第七条の四項に書いてあるわけでございます。これにつきましては法的拘束力を有するものではないということでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ただいまの法的拘束力がないということが私は大変重要な点であると思っております。あくまでも国の主体性に任されているということでございます。

 日本は大変手がたい、堅実な国でございますので、また優秀な皆様でございますので、あらゆる場面を想定して検討をしていらっしゃるわけですけれども、はっきり申し上げて、やはりここの先はどのようにしていくかは、恐らく政治判断というところも大変大きなものがあるのではないかと思います。

 私は、個人といたしましては、例えば最高裁とそれから委員会の勧告が異なったという場合につきましては、最高裁でも対応できないというようなものは、それはしっかりと国として受けとめて、国民の皆様がどのようにお考えになるのか、むしろ議論をしていくいい機会というふうにとらえていきたいと思っております。その上で、もちろん、行政とそれから立法府である議院と、ここが協力をしまして議員立法なり法改正なり進めていく、こういうことが必要なのではないかと思います。

 いずれにしても、日本も人権国家としてこうした九十六カ国と同じ舞台に立つということが必要と思っておりまして、それがあってこそ初めて国際社会に対しても、人権の次元でも、またさまざまな、財政の面から含めまして、あらゆる次元からさらなる貢献を行うことができるのではないかと思っております。

 先ほど大臣が、こうした批准に向けて姿勢をはっきりと示すということは日本にとっても大変有用であるというお話をしていらっしゃいましたけれども、私も、今回各省庁の担当者の方からもさまざまなお話を伺いました。B規約と一くくりの審議になりますと、それはまたややこしい話が出てくると思いますが、そこのくくりを外して、その上で女性の人権をどのように考えていくのか、また、そうした人権国家として日本がどのような位置を今後占めていくのか、こういう点から考えていきますと、ほとんどの課題はクリアできるのではないかと思っております。

 研究会も進めてくださっているようですけれども、私は、むしろここは、研究会も随分長い間やっていらっしゃるという話もございまして、いつまで研究をするのだという話も届いているかと思います。そういう意味では、ぜひとも小渕大臣のもとで内閣府が調整役を果たしていただきまして、取りまとめに向けて、ここは大きく推進役を担っていただきたいと思っております。

 もしこの個人通報制度が実現したときには、選択議定書が批准された場合には受け皿をどこが担うのかとか、そういうことも当然課題と思いますけれども、いずれにしても、内閣府が男女共同参画のかなめであられるわけですし、国内法の整備がもしその先必要な場合は、やはり内閣府が中心になられて、そのセンター機能を担って進めていただくということがふさわしいのではないかと私は個人的に考えております。

 いずれにしても、今、この議定書の批准に向けまして、政府間の連携を図って一枚岩になっていただきまして、その上で、調整できるところはここまで、この先は、あとは政治判断だというところも明確に示していただいた上で、その先は、これは女性差別撤廃条約ですけれども、これは女性の問題ではなく、女性を支える、またそれぞれの個性を発揮する男性の議員の皆様のお力もしっかりといただかせていただきながら、国としてこの女性の差別をどのように考えていくかという大きな課題でございますので、これは立法府としても後押しをさせていただくということが当然であると私は思っております。また、大臣には、そうした意味で、政府の中だけではなく、自民党内の取りまとめもぜひお願いをさせていただきたいと思っております。

 以上の点につきまして大臣の御所感を伺わせていただきたいと思います。

小渕国務大臣 私どものところにも、早期にこの選択議定書を批准すべきという御意見、御要望が各方面から寄せられているところであります。やはりこうした声を重く受けとめていかなくてはならないと思っておりますし、男女共同参画の総合調整を担う内閣府といたしましても、批准に向けて各省庁としっかり調整を進めていきたいと思っております。引き続き、委員の御協力をよろしくお願いいたします。

高木(美)委員 全力で応援させていただきますので、どうぞ大臣中心のお取り組みを、また、外務省も法務省も一丸となっていただきまして、さらなる推進を心よりお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私は、先ほどから議論の中で出てまいりました北朝鮮の人工衛星打ち上げの問題について、まず最初に一点だけお聞かせを願いたいと思います。

 我が国は、拉致という手段によって北朝鮮によって主権を侵害されて、いまだに解決をしていない国家。そして、私のふるさと新潟は、万景峰号が入港して、非常に拉致あるいは北朝鮮の問題に敏感な地域であります。そこで、北朝鮮が人工衛星を打ち上げるという報道を受けとめたときに、国民、我が県民含めて、そのことに対する心配感はやはり日々募っているんだと思います。

 先ほどからの議論のように、国際圧力を強め、発射を見送らせるべきだ、あるいは、過激なものは、打ち上げられた瞬間に迎撃をすべきだ、いろいろな議論があることは承知をしておりますけれども、私は、国民の命と財産を守るという観点から、一点だけお聞かせを願いたいと思います。

 政府が発行している国民の保護に関する基本指針の中で、もちろん人工衛星ですから弾道ミサイルだと断定をしているわけではありませんけれども、ミサイル攻撃を想定した場合に、「発射の兆候を事前に察知した場合でも、発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難である。さらに、極めて短時間で我が国に着弾することが予想され、」ということを考えたときに、人工衛星が発射をされたときにその目的あるいは経緯を我が国がきちんと把握することは極めて困難だろうということを考えたときに、あらゆる場面を想定して、危険察知をする、そして国民の命を守る、国民に周知をするということは、私はとても重要なことだと思うんです。

 特に、北朝鮮の人工衛星が打ち上げられた場合に、我が国の国民一人にでも被害が及ぶようなことがあっては、国家の主権をさらに侵害されるということにつながると思いますので、ぜひこのこと、これから想定をされている、通告どおりだとすると、四月四日から八日の間、さらに緊張が高まるわけでありますけれども、政府としては、国民の命を守るために、どのようなことを想定し、どのような対策を今から打とうとしているかについて、お聞かせを願いたいと思います。

櫻井政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮の飛翔体の関連動向につきましては、まずは打ち上げの中止を強く求めるということでありますけれども、引き続き重大な関心を持って各種情報の収集に努めているところでありますが、引き続きその努力を継続いたします。また、個々の状況に応じてになりますけれども、適切な対応をとっていく考えではあります。

 飛翔体が打ち上げられた際の国民を守るための我が国の措置についてでありますけれども、これは、事前に得られた情報の内容等に応じまして適切に判断することになると考えておりますけれども、具体的には、現在各種検討を重ねているところであります。

 いずれにいたしましても、本飛翔体発射事案につきましては、重要な危機管理事案ということを認識しておりますので、国民生活の安全を確保するという観点から、内閣官房を中心に現在政府部内でしっかりと検討しているところであり、その検討を続けてまいりたいという所存でございます。

長島(忠)委員 先ほどからの議論の中でも、しっかりと検討を加えていくということを聞いておりますので。

 ただ、日本の国が、事故によって落下をするにしろ、あるいは故障によって落下をするにしろ、例えば日本の国土に落下をして被害があるようなことは絶対に防がなければいけないんだと私は思うんです。着弾をして初めて、それが攻撃であったのか、あるいは事故であったのか、それを判断して国民に周知をするようなことがあっては、私は国民から許していただけないのではないかなと思っています。

 国家として最大の責務は国民の命と財産を守ることだという観点の中で、これからきちんと検討を加えて、そして、できるだけ早く、想定をされる当該市町村あるいは当該国民に対して周知をしていただけることを切望、お願いをして、そのことはこれからも議論が進むことでありましょうから、とりあえずおいておかせていただきたいと思います。

 大臣所信の中でもありましたけれども、今、地方分権について、地方分権推進委員会あるいはいろいろなところで議論が実は進んでおります。さらに道州制という議論が進んでおる中で、あえて、私はきょう、村長として平成の大合併の中で市町村合併に取り組んできた者として、総務省が市町村合併を進めてきた立場で、合併特例法のもとで行われた平成の合併の現在の状況あるいは今後の見通し等についてまずお聞かせをいただいて、少し議論をさせていただきたいと思います。

 まず、合併の現在の状況、今後の見通しをお聞かせ願いたいと思います。

久元政府参考人 市町村合併につきましては、多くの市町村の関係者の御理解のもとにこれまで進められてまいりました。

 平成十一年三月には三千二百三十二の市町村があったわけでありますが、平成二十二年二月には千七百七十一になる予定でありまして、全体として見た場合には、相当程度市町村合併は進展をしてきたというふうに考えております。

長島(忠)委員 来年度末に千七百七十一の市町村になるという見通しを今お伺いさせていただきました。

 たしか当初、平成の合併が始まるときに、約三千ある市町村を千以下に何とか集約をしたいというところで合併の議論が始まったように実は記憶しております。私も当時村長として、合併特例法の中でみずからの地域のこれからのあり方について村民ときちんと議論をし、何回も何回も懇談会を設け、私のところは住民の意向調査を都合四回させていただいて、それで合併をさせていただいたという経緯があります。近くの市町村では、合併をすることを選択する、否の住民投票をされたところもありますし、また、そのことによって市町村長が非常に苦境に陥りながら合併の問題に取り組んできた。

 ただし、これは、国がこれからのあるべき姿の中で、地方分権を進めていくために受け皿としての基礎的自治体の姿のあり方を規模と財政状況の中できちんと受けとめていくべきだということで、最終的には合併を選択し、国家の中でみずからの地域を繁栄させていくという手段を選択してきたわけであります。

 今、来年度末の見通しが千七百七十一、そして、合併新法と言われる合併特例法の期限切れも同時に来年度末に迎える。その後の合併について、どんな形でということがあるんだったら、重ねて少しお聞かせを願いたいと思います。

久元政府参考人 今後の合併のあり方を考える際には、今まで進められてきた合併をどう評価するのかということが前提になろうかと思います。

 この点につきましては、多くの合併市町村において、組織の専門化など、一定の行財政基盤が充実強化をされてきたというふうに考えております。同時に、合併によって周辺地域が寂れたとか、あるいは役場との距離が遠くなったといったような批判もあるわけでありまして、こういうような課題に対してそれぞれの地域でいろいろな工夫を凝らしながら取り組んでおられるというふうに理解をしております。

 全体的な評価でありますけれども、確かに、千七百七十一ということで相当合併は進展をいたしました。ただ、その状況を見ますと、都道府県によって相当ばらつきがありますし、また、人口一万人未満の市町村もなお四百七十八、現在存在をしております。

 こういう状況をどういうふうに考えるのかということを含めて、現在、第二十九次地方制度調査会において、現行の合併特例法期限後の合併のあり方について議論がなされております。

 これにつきましては現在審議中でありますけれども、そこでの議論は、やはり、みずからなお合併を望む市町村に対しては、合併に伴ういろいろな障害となるような事由を除去するような仕組みが必要なのではないだろうかといったような御意見、また、合併以外に周辺の市町村との広域的な連携、例えば事務の共同処理のあり方をもう少し改善を加えていくとか、そういったようなことを含めていろいろな方法を考えるべきではないのかといったような議論がなされているところでありまして、地方制度調査会の答申をいただきながら、私どもといたしましては、今後の合併のあり方について検討を進めていきたいと考えております。

長島(忠)委員 では、一点。当時議論になって、地方分権を推進するために合併を推進するんだという法律もたしかあって、その受け皿としての自治体の規模あるいはあり方についても、合併を議論したときに我々はそのことを考えてきたつもりなんです。

 今、千七百七十一になった後は、地方制度調査会でそれからの市町村合併のあり方については今検討中である。とすると、国として当初目標としていた三千二百三十二から千以下の市町村におさめたいというところが千七百七十一、規模でいったら一万人以下のところが四百五十八ですか。そういったところを押しなべて、分権の受け皿として市町村の役割を果たして住民の福祉に努められるような市町村として対応していかなければいけないということが課題としてやはり残るわけだと思うんです。

 総務省として考える地方分権、これから考える、それは問題があって、地方制度調査会で合併を考えて、分権推進委員会で分権を考えるところがあって、そこは少し分かれている部分があるんだろうと思うんですが、総務省として、地方制度調査会、いわゆる合併だとか道州制を考える立場として、地方分権の受け皿としての自治体のあるべき姿というものを持っていらっしゃるんだったら、そのことを少しお聞かせを願いたいと思います。

久元政府参考人 市町村合併をなぜ国として進めてきたのかということについてはさまざまな経緯と論議があったと思いますけれども、基本的には、第一次の分権改革の議論の中で、分権時代にふさわしいしっかりとした行財政基盤を持った市町村を構築していくんだといったような考え方があったと思いますし、また、この点につきましては、現行の合併特例法を議論いたしました二十七次の地方制度調査会の答申でも確認をされております。

 そういう基本的な考え方は、なお今後も私どもは妥当していくというふうに考えておりまして、小規模な、現在残っている市町村がなお四百七十八あるといったこの状況も真正面から見据えながら、そういう団体も含めて、分権時代にふさわしい市町村がしっかりとした役割を果たしていくという観点から、どう今後の基礎自治体の姿を描くのかということが重要な課題であるというふうに考えているところでございます。

長島(忠)委員 局長にここまで求めるのは無理かもわかりませんけれども、分権の受け皿としてある程度の規模が必要だとかいう踏み込んだ発言は、やはり大臣じゃないとできないでしょうかね。

 では、ちょっと観点を変えて、ちょっとお聞きをいただいて、少しお答えをいただきたいと思うんですけれども、新潟県は合併推進県なんですよ。百十二あった市町村が今三十になりましたから、全国規模からいってもかなり進んでいる県だと思うんです。だから、新潟県の中で考えたときは、合併の問題というのは全く、今は何もない。ただ、今局長が言われたように、周辺の地域が寂れている問題をどうするんだとか、窓口が遠くなったという住民の声にどうこたえていくんだとかという問題を今は解決する段階に来ているんだと思うんです。

 ところが、県によって合併が進んでいないところは、分権の受け皿として、では、市町村合併をどう進めていくのか、それとも今のままの市町村できちんと分権の受け皿にできるようにしていくのかという二つの市町村の考え方をやはりこれから総務省が持っていかないといけないんじゃないかな、このまま市町村合併が千七百七十一でとどまるとしたらですよ。

 だから、そこのところを、例えば合併をしたところ、私のところは過疎地域なんですね。だから、合併をしないときは過疎地域の網がかかっていて、今、合併特例法の中で五年間は網をかけていただいているんですが、期限切れになると、合併をしなかった過疎地域には過疎法の網がかかる、合併をしたところの市町村には網がかからなくなってしまうという問題があって、逆に言うと、過疎債なんかを借りるというところでは、逆に差別感を受けてしまうような形が出てくるということなんですよ。

 だから、分権の受け皿として国にきちんと貢献できる地域になるために、住民の幸せを考えて合併を選択したところが逆な意識を持つような市町村合併の終結の仕方では、やはり私はちょっといけないんじゃないかな。正直、私が合併した市町村の立場からいうと、市町村合併というのが千七百七十一では、私はまだ未成熟の段階で終わってしまうのではないかな。そこで分権の受け皿をその未成熟な自治体に求めるということが本当に適当なのかどうかというところが私は残るんだと思うんです。だから、そこのところを踏み込んでお答えをいただきたいなというふうには思っているんですが、お答えいただけますでしょうか。

久元政府参考人 本格的な合併推進運動が始まりましたのは平成十一年でありまして、十年の歳月が経過をした。こういう中で、今、先ほど申し上げましたような今の合併の現況について、きちんと総括をして、どうあるべきかということを考える時期に来ていると思います。

 残ったこの四百七十八の状況を見ますと、かなり千差万別でありまして、離島の地域あるいは半島に残された地域、また合併を望みながらも周辺市町村との合併協議ができなかったというような地域も、非常に多様な実態がございます。

 そういうようないろいろな実態を見据えながら、そういう小規模な自治体であっても、そこに住む地域の住民の方がきちんとした基礎的な自治体サービスを受けられるようにするにはどういう方法がいいのか。それは、合併も含めて、先ほど申し上げましたような広域連携のあり方、場合によっては都道府県の役割ということも必要でありましょうし、そういうような議論を今まさに地方制度調査会でしていただいているところであります。

 そういう議論の状況を踏まえながら、総務省としての考え方をまとめまして、いずれにいたしましても、この今の現行合併特例法の期限は来年の三月に切れるわけでありますから、それまでに省としての考え方をまとめて、また御論議をいただきたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 ありがとうございました。

 ぜひその中で、住民がみずからの地域を考えた意見をきちんと反映できるように、分権のあり方を議論するときも、そこのところをきちんと市町村と協議をしてこれからの合併の姿を考えていってほしい。私も、合併をした市町村として、合併をしてやっと第二段階にこれから入る時期ですので、やはりそこのところはできるだけ公平に対処してほしいなと思います。

 ちょっと観点を変えて、内閣府の方に、地方分権改革を推進する観点から、市町村のあり方について少しお聞かせを願いたいと思うんです。

 地方制度調査会が市町村合併だとかを考えている、分権推進委員会は、内閣府の御担当で、これからの分権のあり方について協議をされているということでございますから、私は、分権改革を推進する内閣府から、権限移譲の受け皿として、基礎的自治体である市町村の姿をどのように考えていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思うんです。

金澤政府参考人 地方分権改革を推進していきます上では、住民に身近な行政はできる限り住民に近いところで行政体に担っていただくことが望ましいというのが基本的な考え方でございますので、このような観点からは、まず基礎自治体に事務事業を優先的に配分するということが重要と考えております。特に、近年の市町村合併の進展等もございまして、行政体制の整備も進んできていることを踏まえますと、基礎的自治体への優先的な権限移譲を進めることが重要と考えております。

 ただ、その際には、合併に関してのいろいろな御指摘もございました。合併せずに小規模なままでいる自治体もあることを踏まえまして、そうした個々の単独の基礎自治体だけではなく、基礎自治体が相互に連携や補完をしながら新たな権限移譲の受け皿として積極的に機能していくということも期待しているところでございます。

長島(忠)委員 分権を推進する立場からの市町村のあり方、分権を県に比重を置くのか、基礎自治体に置くのかという議論は別の場所でさせていただきたいと思うんですが、基礎自治体の住民に向き合う最前線の自治体が、できるだけ権限と、そしてできたら財源も移譲をしていただいて、ダイレクトにサービスをできるというのがこれからやはり一番望ましい分権の姿になってくるんだろう、私は実はそう思っている一人なんです。

 だから、そう考えたとき、自治体としての体力ですか、今おっしゃったように、例えば広域の消防の問題は、合併を選択すればかなり広域になりますから、一つの市町村でもそういったことがクリアできるのかもわからないけれども、合併を選択しない地域が密集しているところについては、広域の消防とか広域のごみ処理とかいうのを、今でもやっているんですが、さらに広域にやっていきながらやはり権限を移譲していくということを考えていかないと、分権をするときに、権限だけ移譲されても、お金がついてこないと住民サービスというのはできないんですよ。

 だから、最初に分権をされて税源を移譲されたときに、小さな市町村はマイナスになってしまった経緯があるので、今度はまた財務省も巻き込んでの議論になるんでしょうけれども、ぜひそこのところだけは注意をしながら、分権に努めていただきたいなと思います。

 そのために基礎的自治体の体力が必要だということは私も理解ができるので、ぜひそこのところで市町村合併、行き過ぎた市町村合併を進めるということではなくて、分権の受け皿になり得るべき市町村合併の進め方をやはりやっていってほしいなというふうに思いますので、そこのところで内閣府の方から何か一言コメントがあったらいただけますか。

金澤政府参考人 今委員から御指摘がございました点、私どもも、これからさらに分権の議論を進め、権限移譲も進めていく際に十分に心にとめて、総務省等の制度官庁とも、あるいは財務省等の制度官庁ともいろいろ相談をしながら、分権の推進に努めてまいりたいと存じます。

長島(忠)委員 私の質問は大臣所信に関する質問なんですが、なぜか大臣のいないところで質問をさせていただきまして、まことに申しわけございません。

 最後に、岡本政務官がおいでいただいておりますので、私は、これから国のあり方の中で道州制が議論をされ、地方分権が議論をされ、そして、よもやすると市町村合併が、来年合併新法が期限切れになったときに、その時点で終結をしてしまうみたいなイメージにとらえられる今の状況の中で、この国のあり方、分権のあり方について、ぜひ政務官からお考えの一端なりをお聞かせいただければありがたいと思います。

岡本大臣政務官 今長島先生のお話を聞いておりまして、まさにそのとおりだと思っております。生活に身近な仕事を基礎自治体に任せる、当然のことでございます。そのときに、基礎自治体の機能、格が余りにも違っていたのでは、分権はうまく進まない、これは明らかだと思っております。したがって、これからも合併等による、規模を充実していくことは必要なのではないかと思っているところでございます。

 また、仕事とともにお金とか権限、これも当然そういった基礎自治体にどんどん回していかなければ仕事は進まないと思っておりますし、道州制等におきましても、やはり今までの県の仕事をどれだけ基礎自治体に回せるかというようなことになりますので、そういう観点から、先生の御指摘のような方向で進めていきたいと思います。

長島(忠)委員 ありがとうございました。

 私は、日本の国に、どんなところに住んでいても、日本の国家に貢献をしたいと思わない地域はないと思うんです。

 私のところも、最終的には十三の市町村の合併議論が始まって、一市だけ合併の議論の中から抜けてしまいましたけれども、来年、後発で一町が合併をすることによって、十三市町村が合併をする大合併に実はなりました。一番大きな市が長岡市でございまして、当時約二十万人の人口。一番小さなところが私の村でございまして、人口が二千二百人。百倍の市に編入合併をすることに対する村民の不安は非常に大きなものが実はございました。

 でも、私は、村民と何回か話をしていく段階で、どんな合併を選択しようが、どんな生き方を選択しようが、自分たちの地域に誇りの持てる地域をつくっておいたら、合併の中で埋没することは絶対にないということを村民に訴えながら合併を選択してきた、私も責任が実はあるんです。ですから、この合併の中で周辺の市町村が寂れたということだけは絶対に許してはいけない、許されない立場に私はあるんだ、私はそういうふうに思いますので、ぜひそこのところをお受けとめいただきたいと思います。

 それこそ、自分たちの地域をなくすときに、百倍の市町村に行くときに、埋没をしてしまわないかと心配をしない人間は実は一人もいませんでした。でも、自分たちが本物であり続ける、光っている限りは、百倍の市町村でも乗っ取るつもりで合併をしようというつもりで、気概を持って実は合併をさせていただいたつもりでございます。ですから、全国、これからも合併があるかもわからないし、今まで合併をされたところでやはり問題意識があるのかもわからない。

 最後に、私は、お願いとして、市町村合併の中で問題点が浮き彫りにされたところについては、やはりきちんと十年間、検証をして、問題を解決していってあげる。そして、一方では、合併を選択しない市町村に対して、きちんと地方分権の受け皿になり得るような指導、あるいは広域連携のあり方について指導をしていくということをやっていってほしい。それで初めて、住民の一番近くにいる基礎的自治体が住民サービスの最前線に立てる。最前線に立って命と財産を守るということがやはりこの国のあるべき姿だと私は思っておりますので、そのことをぜひ各省庁、政務官からもお受けとめをいただきたいと思います。

 若干時間が早いんですが、これで質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは官房長官に大臣所信ということでありますけれども、他の委員からもございましたように、今、北朝鮮のミサイル問題ということが非常に関心を呼んでおります。そういった中で、私も、この北朝鮮のミサイル問題について質問をさせていただきたいと思います。

 大体、政府の公式見解的なものは、先ほど来の答弁の中で申されているのはお伺いをいたしましたので、なるべく本質また実態に即した具体的な動きを、私はもう少し明らかにしていきたいというふうに思います。

 といいますのは、四月四日から八日、もう北朝鮮からは既に海域も示された形で、何かしらの飛翔物というか、それが発射をされるということの手順が着々と整えられているというような状況であります。

 それも含めてブラフなのか、あるいは本当に行われるものなのか、これは最終的までわかりませんが、この危険区域というものが指定を、通告をされてくる中で、多くの国民も、まだもしかしたら不安も感じていられない方も多いぐらいに、実は中身が伝わっていないのではないかなというふうに思うわけです。関心を持たれている方は、ワイドショーですとか新聞、テレビ等で、情報はインターネット等で得られていると思うんですが、しかし、多くの国民がまだ不安すら実感できないような情報のもとに置かれているのではないのかなというふうに私は懸念をしております。

 その意味では、四月四日から八日、これがどんな時期かと申しますと、全国各地で入学式のシーズンでございます。子供たち、そして親たちが外に出て、まさに生活をしている真っ最中、年度初めの時期でございます。そういう時期に、もし上から何か落下物がある、あるいは降ってくるようなものがあるということであれば、これは国民に対する大きな影響を与えるものだというふうにも思っております。

 しかし、一方で、国民に情報が伝わっていると思えませんし、国民に心の準備ができているんだろうか。私は、そこについては非常に疑わしいというふうに思います。

 政府が鋭意検討されているのはよくよくわかります。さまざまな情報の中で、出すべき情報、出さない情報があるのもよくよくわかります。しかし、余りそれを一生懸命、中で隠しておくというか、内部の検討だけを先行させることによって、結局、国民に、緊急の場合に行動してくださいと言ったときに行動していただけるかどうか。そこは、決して国民と政府が切り離されてはいけない。そしてまた、国民は警報機が鳴れば動くだろうということでは決してない。事前にちゃんと情報を伝えなければいけないという観点で、私はきょうはお伺いをしたいというふうに思います。

 麻生総理は、他国の上を通過して弾道ミサイルを実験した国なんかない、あいさつもなく日本の上を通過するような話は、とてもじゃないけれども認めることはできないとおっしゃいました。わかりやすい表現なのかもしれませんが、あいさつがあったとしても、日本の上を通過することがどうかという問題も含めて、きょうはお伺いをしなければなりません。

 まず一つ、通告では、現在どのような状況にあるとお考えかというのがありますが、これは先ほど来の質問の中でお答えいただきましたので、もう少し具体的に話を進めたいと思います。

 やはり取りざたされているのが、自衛隊法の八十二の二の規定をどのように今後政府が使っていかれるのかということになるわけです。具体的には、幾つか、この文章を分解しますと要件がある。まず一つは、我が国に飛来するおそれがあり、そして、その落下による我が国領域における人命または財産に対する被害を防止する必要があると認めるときということでございます。

 現在の認識において、もっとさきに立ち戻れば、武力攻撃に当たると認められる場合と武力攻撃に当たると認めることができない場合、こういうことにもなるわけですけれども、これも含めて、政府としては、飛来のおそれがある段階なのか、あるいは被害を防止するため必要があると認める段階にあるのか、これをぜひ、きょうは防衛大臣政務官、岸さんにもお越しをいただいておりますので、見解は恐らく一緒だと思うんですが、まず官房長官、お答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

河村国務大臣 現在の現状認識はどうなのかという問題でございます。

 今、我々の方は、まず一義的には、このような事態が起こらないように、北朝鮮が地域の安定と平和を損なう行動は厳に慎むべきであるということを求めておる段階でございますし、それも直接伝達をしていること、これは先ほど来の答弁にも申し上げたとおりでございます。

 今後の状況について、今確たる、この時点で申し上げる段階ではございませんけれども、十分な情報収集を行って、事態の対応、万全の対応を今整えつつあるという段階でもございます。

 ただ、御指摘のような、自衛隊法第八十二条の二第三項に規定する弾道ミサイル等に対する破壊措置に関する緊急対処要領、これは既に防衛大臣がつくっておりまして、作成をしておって、平成十九年三月二十三日、総理が承認を行っております。その後、その要領についても変更されておりまして、同年の十二月二十四日に総理が承認を行っておる、こういう段階に今あるわけでございます。

泉委員 官房長官、お答えをいただきたいと思うんですが、私が今申しましたのは、八十二の二、これには、我が国に飛来するおそれがあり、そしてその後、人命または財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときということをもってして措置をとることを命ずることができるとなっておるわけですね。

 ですので、今現在の、官房長官の認識でも結構でありますけれども、官房長官も記者会見では、この法律では物体が日本に向けて落下する状況に限定するとか、まさにそういう見解を出されておられるんですね。官房長官も見解を出されておられる。日本の上空をただ通過して太平洋に落下する場合については法的に迎撃可能かとの問いには、法律上そうは読めないとも解釈をされている。

 その解釈はその解釈で今はおいておきますが、まず、この法に書いてある、八十二の二、現在飛来するおそれがある状況なのか、そしてまた、現在被害を防止する必要がある状況にあるのか。要は、この文章で言うところの、この法律で言うところの状況にあるのかないのか、それをお聞かせください。

河村国務大臣 あるのかないのか、この場合でございますが、まず、弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあるということは考えられるわけであります。ただ、もう一つ、この自衛隊法には第三項があって、おそれがあるとまでは認められない、こういうケースも考えられるわけでございます。したがって、現時点でどちらに断定をするかということについては、さらに我々としては検討しなきゃならない課題だ、このように考えておりますが、国民の皆さん方に、やはりいろいろな御心配をされることに対して、これを払拭しなきゃいかぬという立場に我々はございますので、そのことを踏まえながらこの対応を考えてまいりたい、このように考えております。

泉委員 いや、まさに心配だから質問をしているわけです。私は、国民の代表として、政府という機関に対して質問をしているわけです。もう時期は迫っているわけです。何だか、報道ではいろいろな伝わり方はするけれども、一向に今政府がどう考えているのかがわからないんです。

 これだけ、もう四月の四日から八日、危険区域まで通告がある状況の中で、まだおそれがないとしていたら、それもまた国民からすれば不思議な話だし、おそれがあれば、日本の国土をまたいで危険区域が設定されている以上は、当然、まさか日本の国土を避けて通って太平洋上の危険区域に到達するということは考えにくいというふうに思うわけです。そうなれば、落下に対しての被害を防止する必要があると早く認めるべきじゃないのか。

 あるいは、それとも政府の方針として、それはどうしても何かの理由で認められないんだ、だから緊急対処要領の方でやるんだ、そういうおつもりなんだというのであれば、はっきりしていただきたい。もう一回お願いします。

河村国務大臣 法律に二つほどそういう考え方があるということを申し上げたわけでありますが、いずれにしても、日本の領土内に落下のおそれがある、またそのことが国民に被害をもたらすおそれがある、これに対しては政府としては迎撃する、こういうことを既に総理も申し上げておる、その姿勢には変わりはないわけでございます。

泉委員 いや、ですから、先ほどから申していますとおり、迎撃すればいいというものじゃないんですよ。迎撃が正しいかどうかも含めて、当然検討はされると思います。場合によっては、洋上に、迎撃せずに落とした方がいいという判断もあるかもしれませんし、あるいは、やはり落下物ですと、迎撃すれば、当然それが破片として飛び散ってくるわけです。それが一発も国民に当たらない、一片も国民に当たらない、そんな保証がどこにあるのか。あり得ないですね。当然国民に危険が及ぶわけです。ですから、そのとき国民はどう行動するべきなのか、これは早くメッセージとして出していただかなくてはいけないというふうに思います。

 今までの官房長官の答弁を聞いていられて、政務官、何か防衛省として、今、結局は八十二の二というのは防衛大臣がしっかりと措置を命ずることができる、内閣総理大臣の承認を受けてというところも入ってきますが、主には防衛大臣だと思うんですね。防衛省の考え方としては、どのようなお考えなんでしょうか。

岸大臣政務官 お答え申し上げます。

 現在は、委員おっしゃられたとおり、北朝鮮からああいう通告があり、それぞれ危険地域が設定されたところでございますけれども、今の時点では、まず、この人工衛星であれ発射された場合には、国連安保理決議に違反するものでありますから、我が国としては、北朝鮮に対して改めて打ち上げの中止を強く求めていくということであると思います。

 北朝鮮の言うことをどこまで信用するかということもあるかもしれませんけれども、現時点において、北朝鮮が具体的に何をいつ打ち上げるかということを断定的に申し上げることは、なかなか困難なところがあると思います。

 ただ、いずれにいたしましても、今、さまざまな情報を収集いたしまして、これに対してきちんと状況の推移を調べていく、こういうことが何より必要なわけでございます。詳細については、なかなかお答え申し上げにくいところもございます。また、これが第一項、第三項に当たるかということも含めて、それも今後状況を注視していきたい、こういうふうに思っております。

泉委員 官房長官そして政務官、お二人とももちろん先輩の政治家の方でございますので、敬意を払い、あえて申し上げますけれども、私は、こういう事態において、もちろん、さまざまな高度な御判断をなされているのは重々承知の上でありますが、防衛省なり内閣官房なり行政機関が、日常的にはさまざまな活動を続けられている中で、機能を維持していただいている中で、いわゆる政治家から政府に入った方というのは、その中でどこまでを国民にお伝えできるのかということを真剣に考え、ある意味、時に、どちらかといえば対立的に、行政と対峙をしながら物事を考え、国民の立場に立って行動されるということが大変大事じゃないかなと私は思うんですね。

 今、どうしても、御答弁を聞いていますと、いわゆる組織と一体となった御答弁というふうに言わざるを得ない。やはり、これはどうも納得いかないんですね。先ほど申しましたように、政府は緊急に即応できるかもしれません。警報は、それは装置として鳴るかもしれません。しかし、国民にいつ情報を伝達するのかが全く見えてこない。この状況はやはりいかがなものかなと思います。

 状況の推移を見守ると言って、四月三日まで見守られていたら国民は困るわけですよ。変な話ですが、予定もあります。一人一人の国民にとっては予定は大事です。では、四月五日、外に出ようかどうかなんという小さい話になりますが、それが国民生活なんですよ。そういうところにまで思いをはせて今情報を発信されているのかというのは、私は全く見えてこない。

 もう一回この件についてお伺いしますが、せめて、いつぐらいまでにはしっかりと方針を出しますということは明確にすべきじゃないかと思いますが、官房長官、いかがですか。

河村国務大臣 国民の皆さんの不安、これを払拭するということは、御指摘のとおり大事なことだと思います。この問題については、先ほど来お答え申し上げておりますように、鋭意検討させておると言っていいと思いますが、そういう状況下にございます。

 おっしゃるように、この状況をどういうふうに判断するかによって、国がどうするか、あるいは国は県に対してどうするか、県は市町村に対してどうするか、こういうシミュレーションが必要になってくるわけでございます。これがある程度の形で確定すれば、国民に対して明らかにする必要がある、私もそう考えております。

 これは余談でありますけれども、事態対処法等あるいは国民保護法等、こういうものは法律ができておりまして、その場合にどうするということがあるわけであります。知事がきちっと命令して、市町村がそれに対応するケース、あるいは一般的な災害というようなケース、いろいろなケースが考えられます。

 今回のケースをどういうふうにとらえて国民の皆さんにこれを明らかにしていくか、また、それによって、こうした仕組みがきちっと機能しているかどうか、こういうこともやはり確認をしなきゃならぬ、こういう問題も起きてくるであろう、このようにも考えておりますので、今の御指摘の点は十分踏まえて、国民の皆さんに安心していただけるような行動をとるなり、そういうことは非常に大事なことだと私も思っておりますので、しっかり対応したいと思います。

泉委員 これは、八十二の二にこういう規定があり、それが今なされていないということそのものが政府のメッセージとなってしまうということをぜひ御認識ください。

 今現在では飛来するおそれもないというふうにみなされているから、要は、判断がつかない状態があるということはみなされているということですからね、飛来のおそれがないというふうな。明確な決定をなされていないということですから、そのこと自体が国民にはそういうメッセージとして伝わっているということ、これをぜひ忘れずに認識していただきたいと思います。

 そこで、具体的なことにさらに進んでいきますが、やはりその迎撃体制でございます。

 日本にもイージス艦がある。米軍にもイージス艦がある。あるいは、さまざまなミサイル防衛設備がありますけれども、どういった迎撃体制というのはいろいろな選択肢があって、日本が主に迎撃をするのか、あるいは相互の分担の中で、日本の領土、領海内においても両方でミサイルを発射するケースもあるのか、あるいは、アメリカが基本的にはミサイルを発射して、日本はそのサポート、護衛に回るのか、いろいろな考え方があると思います。

 これは官房長官よりも防衛政務官かもしれません。政務官の方にお伺いしますが、現在、このミサイル防衛、もしこういった非常時の際にはどのように対応されることが考えられているのか、お答えください。

岸大臣政務官 委員御指摘のとおり、今、ミサイル防衛につきましては日米で統合運用、こういう形になると思いますけれども、我が国のものでまいりますと、我が国が有しておりますセンサーでありますFPS3改、それから、FPS5というレーダーに加えまして、米側の早期警戒情報、また、Xバンドレーダーの情報の提供を受けるということになります。

 また、日米のイージス艦でございますけれども、状況によってはデータリンクシステムで相互に連接するなど、弾道ミサイルの追尾、探知についての情報の確度や同時追尾能力を向上させ、そして、我が国の弾道ミサイル防衛をより効率的なものにしていこうというものでございます。

 我が国のBMDシステムにつきましては、我が国全体を二、三隻で防護し得るSM3搭載のイージス艦をまず配備して、SM3で上層の防衛を行う。そして、その後……(泉委員「短く。分担の話です」と呼ぶ)日米ですね。

 その細かい分担については、なかなかここで申し上げるわけにもいかないわけですけれども、あらゆる状況に対応できるように、実効的に対処できるように日米間の連携を強めてまいっておるところでございます。

泉委員 恐らく、答弁書に書いてあることは、私も答弁経験が何度かありますので、前段に大分説明が来るんですね。ですので、それはちょっと飛ばしていただいて、お答えの部分をぜひお願いしたいと思うんです。

 もう一回聞きますが、いろいろなことが想定されるのはよくわかります。しかし、原則というものが同時にあるというふうにも私は認識をしておりますので、その原則が何かということをただお伺いしたいだけなんです。

 もう一回お伺いしますが、日本の領土、領海内においては、日本が主に迎撃をされるのか、それとも日米共同で、どちらも発射の可能性があるのか、それとも米軍が主に発射をされるのか、これはいかがですか。

岸大臣政務官 基本的には、日本の防衛ということでございますけれども、日米で共同して対処をしていく、こういうことでございます。

泉委員 そうしますと、ミサイル防衛を全体として統合運用されているものですから、日本の領土、領海内においても最適な選択肢をとるということでありますね。

 では、場合によっては、日本の自衛艦が撃つよりも米軍のイージス艦、艦艇が撃った方がいい場合であれば、そういう運用もあり得るということでよろしいですか。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

岸大臣政務官 そういうことで、繰り返しになりますけれども、最適な運用をしていかなければいけないわけですので、最初に日本が対処する、あるいは米国側からも対処する、そういうこともあわせて共同で対処をしていくということでございます。

泉委員 もう一回聞きます。そこはもう一回聞きます。

 共同で対処するのはわかりました。しかし、共同対処というものの中には三つあって、日本側のみが行動する場合と、実際には発射する場合ですね、共同で発射する場合と、アメリカだけが発射する場合、この三つのオプションすべてがあり得るということでよろしいですね。

岸大臣政務官 それぞれ個別具体的な対処の方法につきましては、事柄の性質上なかなか、お控え……(泉委員「一般論として三つがあり得るかということです」と呼ぶ)

 一般論として相互に有効な組み合わせというものが考えられる、こういうことでございます。

泉委員 今の御答弁が正しければ、三つとも状況によってはあり得るというような御答弁ではないかというふうに思います。それは、現在は事実として了解をしたいと思います。

 続いて、きょう、資料をお配りしております。ポンチ絵の方でございますが、先ほど御説明ありましたように、イージス艦、そしてペトリオットPAC3、この二つによって迎撃体制を構築されるわけですが、このきょうの資料の裏側には、一番最初にこの緊急対処要領ができたときのものが書いてあります。このときは、下線が引いてありますが、まだ整備数が少なかったものですから「首都圏における」という表現も入っておりますが、現在は整備数がふえたということで、対処がさまざまなところで可能だということであります。

 もう一度。先ほどの危険区域というものが通告される中で、そういう意味では、おおよその日本の国土を通過する軌道というものもその部分では予想できる、もちろんそれ以外ということもあり得なくはないわけですから、それだけに頼って部隊の配備を行うわけにはいきませんが、しかし、今、東北にこのPAC3が配備されておりますでしょうか、政務官。

岸大臣政務官 現在は配備されておりません。

泉委員 そこだと思うんですね。恐らく新聞とかにこの危険区域が表示をされて報道される中で、この軌跡を見れば、やはり東北の方々は心配をされているということであると思うんですね。しかし、配備はされていない。さて、この状況を国民保護という観点からしてもどう考えるのかということであると思うんです。

 私は、ぜひ東北への配備ということも、配備というか、今回緊急的な措置かもしれませんが、移動していただくということも考えていただかなきゃならないと思いますが、その辺は政務官、いかがでしょう。

岸大臣政務官 委員からお配りがございました文書については当初のものでございますけれども、今、状況がその時点よりも進展をしておるわけでございます。そういうことで、今のPAC3の部隊が最大の効果を発揮できるように、その時々の状況に応じて適切な展開をできるような体制を今整えておるわけでございます。

 具体的には、これからの情報を収集しまして慎重に見きわめる必要もあるわけですけれども、そういうことでなかなか具体的にはお答えをしかねるわけでございますけれども、北朝鮮の弾道ミサイルの問題については万全の態勢を整えてまいりたいと思います。

泉委員 万全の態勢を整えたいという、御答弁としてはわかりますけれども、それは市民、国民の皆さんには何にも伝わってこないですね。全く見えてこないですね。私たちの空をどう守るんだということで、まさに期待をして配備されているこのPAC3が、今もなおどうなるかはわかりませんという答弁を国民にされるわけですよ、これは。国会内の話じゃないんです。国民にそういう答弁をされているわけですよ、今。

 だから、私は、出せるべき情報と出さざるべき情報が何なのかというのをもっと整理してほしいと思うんです。やはり、ちょっとこの御答弁では何にもわからない、一国民の側からすると。いつまであなたたちは検討を続けていられるんですか。そのことは、ぜひ、いずれなるべく早い時期にしっかり表明をしていただきたいというふうに私は思います。

 もう一つ、時間も少ないので、技術論ですが、このポンチ絵の、艦船から発射をされるSM3でございます。これは、大気圏外での要撃ということを想定しているわけですが、現在、我が国における領空というものは、官房長官、これは何キロまでなんでしょうか。官房長官が難しければ、政務官でも構いませんが。

岸大臣政務官 領空につきましては、国際法上、国家の主権が及ばない宇宙空間との関係においては、領空がどこまでかということは明確にはなっていない、このように了解をしておるところでございます。

泉委員 官房長官が記者会見で、日本の上空を通過して太平洋上に落下する場合については法的に迎撃可能かとの問いには、法律上そうは読めないというふうに表現をされた。そうすると、このSM3での要撃というものはどんな場合に可能なんですか。領空外でこの場合は要撃をする、落下をする場合であればそれは可能だ、そういう整理なんでしょうか。通過はだめだけれども落下である場合においてのみ大丈夫だということですね。

 そうすると、排他的経済水域はその落下の範囲には入るんでしたでしょうか。

河村国務大臣 自衛隊法の第八十二条の二でいきますと「我が国領域における」、こうなっておりますから、排他的水域は入らないと考えます。

泉委員 わかりました。ありがとうございます。

 次に、先ほどちらっと冒頭申しましたが、もし迎撃をされるとなると、さまざまな破片が散乱をしてそれが落下をしてくる。市民生活に大きな影響を与える可能性もございます。そういった意味で、国民への事前周知はされるとおっしゃるでしょうから、事前訓練ですとか、あるいは、先ほど国民保護法のお話をされましたが、実はこれは、武力攻撃に当たると認められる場合のみ、たしか国民保護法が動いてくるわけですね。

 私も、国民保護のポータルサイトですか、これを見て警報音を鳴らしましたが、恐らく今回想定されるのは、この警報音が鳴らない、国民保護のスキームではないからこうならないということになるわけですね。多くの国民はこれまた恐らく勘違いをされていて、きっと国民保護のスキームでやってくださるんだろうと思っていたら、実はいわゆる一般災害のスキームで今回避難等々をさせるということになるんだという話をお伺いしました。

 どんな相違点があるのか、それとも、サイレン音も含めて全く相違点がないのか、これをお伺いしたいと思います。

河村国務大臣 今の御指摘の点でありますが、まず、武力攻撃事態等の認定がされた場合は、国民保護法に基づいて、まず、住民の避難について、国が都道府県知事に避難措置の指示をすることになります。都道府県知事は、住民に避難の指示をして、これは市町村長が避難誘導を実施する、こうなっております。避難住民の救援につきましても、国が都道府県知事に救援の指示を出す、原則、都道府県知事が救援を実施する、こうなっております。

 一方、武力攻撃事態等の認定がされない場合には、なされるまでの間の対応として、通常の災害対応と同様に、市町村の消防等による救急救助活動が行われる、こういうふうになるわけでございます。(泉委員「相違点はないんですね。国民保護と一般の災害の場合の、通報だとか救助だとかということについての具体的な相違点があるかないかという話です」と呼ぶ)これは、具体的には国がきちっと指示をして、都道府県知事がそれに対応するということと、それから、一般の市町村の消防が出る災害のようなケース、これと明らかに指示の出し方等は違ってくると思います。

泉委員 恐らく官房長官もそこまで把握をされるのは難しいと思いますが、もし相違点があるようであるならば、さっき言ったようにサイレン音が一緒なのか違うのか、そういうことも含めてなるべく早く国民に提示をしていただきたい。でなければ、我々は動きようがございません。ですので、それはなるべく早く出していただきたいというふうに思います。

 そしてまた、最後に、いわゆる二百海里でいうと、海洋汚染の防止義務というものもその国々に発生しておりますので、そういった飛翔物があって、破片が散乱するようなことがあれば、そういったことも含めて我が国は義務を負っているということ、これも忘れずにいていただきたいと思います。

 以上です。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房審議官古谷一之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。また三十分いただきまして、議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは、先週の金曜日に引き続きまして、NPOの議論をまたさせていただきたいと思いますが、大臣がちょっとおくれられるということでありますので、前回のことでもう一度だけ具体的に、きょうはもうちょっと大きな議論をします。だから、前回のような細かい議論は余りしたくありませんが、ちょっとまとめてお答えをいただきたいんですが、特にきょうは、古谷審議官がお越しでありますけれども、私は、やはり公益社団法人がすべて特定公益増進法人であるということの制度上の問題があるということを指摘しておりますが、これについて改めての御見解をお願いしたいと思います。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 税制上の寄附優遇の対象となる法人には、御指摘の公益社団法人、公益財団法人だけではございませんで、認定特定非営利活動法人ですとか学校法人、社会福祉法人などがございます。

 税制上、特定の法人に対する寄附について優遇措置を講ずる場合には、私ども課税当局といたしましては、剰余金が分配されないといった非営利性を前提といたしました上で、公益性の高い事業が行われているとか、受領した寄附金が公益事業に確実に充当されるといったことが制度上担保されているということをいわばおおむねの共通の判断要素といたしまして、寄附優遇の対象としているところでございます。

 したがいまして、公益社団法人につきましても、新公益法人制度におきまして、第三者委員会の関与のもとで公益認定を受けた公益認定法人ということでございますれば、こうした点が制度的にも担保されておりますことから、公益財団法人と区別せずに寄附の対象とするということにさせていただいているところでございます。

市村委員 こういう議論は何度もしていますから、それはわかっています。だから、それがわかった上で、やはり公益社団法人がすべて特増であるのはおかしいということを言っているわけですから、それについての御見解をいただければいいんです。だから、私は、公益社団法人がイコールすべて特増であるというこの制度はどうですか、いかがですかということを言っています。それだけを簡潔にお答えください。

古谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました、非営利性と公益性という観点から税制上の優遇対象を決めさせていただいておりますので、社団でございましても、公益性の高い事業を行うために志を有する方々が集まっておられまして、ここについて、第三者が関与する公益認定が行われたものでございますれば、私どもとしては、寄附優遇の対象として、民間が担う公益の増進という観点で御支援をさせていただきたいという考えでございます。

市村委員 大臣、どうもありがとうございます。よろしくお願いします。きょうはちょっと大臣と議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 大臣、大臣の中で、例えば介護事業を行うNPOがあったとした場合、これは大臣だったら財団としますか、社団と考えますか。介護事業を行う団体は財団なのか社団なのかということについて、大臣、これは素直な気持ちでいいんです、財団なんでしょうか、社団なんでしょうか、介護事業団体というのは。

原政府参考人 介護事業を行っている団体を社団と考えるか財団と考えるかということでございますけれども、私ども、公益認定を行う場合には、公益目的事業の比率がその団体におきまして二分の一以上あるなど、主にその法人がどんな事業をやっているか、そこに着目をして公益性の判断をする仕組みになっておりまして、社団か財団かという形態とは直接関係はないと考えております。

 ちなみに、介護事業をやっている現在の民法法人でございますけれども、それで調べてみますと、財団形態と社団形態、どうも両方あるようでございます。

市村委員 もうちょっと本当は議論したいんですけれども、結論だけ言うと、では何で社団と財団を分けているんですかという話なんですよ。一般社団、一般財団とあえて分ける必要、どこに意味があるんでしょうか。

團藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般社団法人それから一般財団法人という二類型を予定してございます。

 この点でございますが、社団形態の法人につきましては、一定の目的のために結合いたしました人の集団に対しまして法人格を付与するというものでございまして、財団形態の法人につきましては、一定の目的のために結合された財産に対しまして法人格を付与するというものであって、法人格を付与する対象が異なります。それに伴いまして、法人の設立、組織、運営及び管理に関する規律がいずれも異なってまいりますことから、それぞれの類型に応じた格別の規律が必要となり、それを反映いたしましてこの二類型が設けられているものと承知しております。

市村委員 私はそういう講学上の議論をしているんじゃないんですよ。皆さんが言う講学上、講学上というのも何かよく聞きなれない言葉ですけれども、皆さんが言う講学上の議論としては当然法人は社団形式か財団形式か分かれるという、こんなのは当たり前の議論なんです。私はそんなことを議論していないじゃないですか。

 今回の、例えば介護事業NPOは一体どっちなのかといったときに、どちらもあるというのならば、つまり、結局、社団、財団ということは余り重きがないわけですよ、意味としては。

 私がここで議論しているのは、別に法人の議論をしているんじゃないんです。非分配原則を持った組織であるNPO、別の言葉で言えば剰余金を分配しない組織であるNPOに対してどういう制度をつくるかという議論をずっとしてきているつもりなんです、この議論は。だから、法人一般として社団、財団形式があります、講学上あります、それはわかりました。そうじゃなくて、剰余金を分配しない組織であるNPOが社会的にどういう意味を持って、これからそれに対してどういう優遇を与えて頑張ってもらうのか、私は税制が大切だと思っていますが、そういう議論をしているんです。

 その中で、今回、あえて一般社団、一般財団ということをうたった法律が出てきたわけですよ。私はこれを非営利法人というふうに一本化した方がいいと言っているわけです、ずっと。法務省さん、そうですよね、法務省さんのパンフレットは新しい非営利法人制度と書いていますよね。何であえて、パンフレットに非営利法人と書きながら、法律は、意味のない社団、財団に分けなくちゃいけないんですか。

 結局介護団体は社団でも財団でもいいというんなら、別に非営利法人というふうに、つまりこれはNPOですから、そうすればいいじゃないですか。なぜあえて、意味のない財団、社団と分ける意味があったのか。例えば、この国では医療機関も、財団の医療機関もあれば社団の医療機関もあれば株式会社の医療機関もあればとなっているわけですよ。どういう意味があるんですか。さっきから聞けば、つまり社団も財団も余り意味がないということでしょうね。どういうことなんでしょうか。

團藤政府参考人 内容的には繰り返しになることを恐れますが、私ども法務省の関係の法制は民事基本法制でございます。そこで意図しておりますのは、自然人以外のどういった組織体に対して権利能力を付与するのか、そのための要件、手続等はどうなのかというところが一番重要な点でございまして、先ほど御説明申し上げましたように、社団と財団とではその組織のありようが異なってございますので、そういったものに対してどういう要件でもって法人格を付与するのか、そういった観点から規律されているものが一般社団法人及び一般財団法人に関する法律と理解しております。

市村委員 そういう議論をしているんじゃないと言っているんです。

 だから、なぜあえてここにこだわっているのかというと、その結果、あえて分けた結果、意味がないのに分けた結果、公益社団法人というのができちゃったわけですよ。あえて一般財団、一般社団と分けた結果、公益性を持ったものとしての公益社団という制度ができているんですよ。

 公益性を持った社団法人があるのはいいんです、大臣。ところが、それが今回は、公益社団法人となると、全部、寄附優遇を持つ団体になっちゃうんですよ。なっちゃうんですよ。でも、社団というと、恐らく一般的に、いろいろ考えるには、人の集まりと考えたときに、本当に、それは公益性を持つだけの団体じゃない。それを結局公益認定等委員会が判断するんでしょうけれども、でも、やはり介護団体はではどうするんですかという話ですよ。介護団体の場合はどっちでもいいとなるんですか。

 だから、どっちでもいいならば、そもそも一本化しておいて非営利法人ですと、非営利法人制度をつくって、まさに法務省がパンフレットにうたうように、非営利法人だと。一般財団とか一般社団とか、わかりにくい。一般というような言葉も、これは何だか意味がわからないじゃないですか。

 だから、非営利法人、まさにこれがNPOなんです。NPOをどうするかということで、では、そのNPOの中でも公益性が高いNPOには寄附優遇を与えましょう、これが一番素直じゃないですか。一番素直な考え方ですね。なぜあえて社団、財団と分ける必要があったのかというのは、やはりこれは疑問なんですね。あえて分ける必要はないと私は思います。だって、講学上の議論なんて言っているんだから。だから、そうなると、結局非常におかしな話になってくるわけですよ。社団でも財団でもどっちでもいいし、社団になったら税制優遇措置もあるという話で。

 この間申し上げた、アメリカはちゃんと、社団は、五〇一(C)(3)、すなわち寄附優遇の団体じゃないんですよ。つまりアソシエーションは違うんですよね。五〇一(C)(3)に属するのは、財団もしくは、百万団体ありますけれども、多くの場合、ほとんど、約八十五万団体は公共慈善団体ですよ。社団じゃありません。だから、公共慈善団体というと、介護団体も入ってきますね、素直に入ってきますよね。ああ、なるほど、公共慈善団体は確かに介護団体も入るなと、素直に入ってきますよね、素直に。財団、例えばファウンデーション、ファンド、あとはトラスト、これは財団ですよ。これは素直ですよね。素直に、ああ、なるほど、これはファウンデーションですねと。

 ところが、日本の場合、この間ありましたように、日本漢字能力検定協会、これは財団なんですよ。何でこれは財団なんですか。アメリカだったら、ああいう組織は、早く株式会社へ移れという指導があるんです。ああいう、もうけるんだったら株式会社へ移ってくださいという指導が入るんですよ。NPOじゃありません、あなたたちはもう既にと。

 もしくは、NPOでいたいならば、例えば無料で、内部留保がたくさんあるから無料でやりますとか、本当に廉価でやりますとか、あと、そういう何かファミリー企業はつくらないで、ちゃんと内部留保して、もっと漢字の普及のために何かやりますとか、こうだったらまだNPOでいいですよ。でも、ファミリー企業をつくって、つくりまくって、そこに何十億と入れて、検定料は下げずに、こんなのは当然株式会社へ移ってくれという指導を本来はすべきだったんです。だから、これが財団法人であることも言語道断ですが、これ以上はこの議論はしませんが。

 とにかく、一般財団、一般社団と分けていることに余り意味がないのであれば、これはやはり、私がずっと主張しているように、非営利法人とすべきです。そもそも、内閣官房が最初にこの制度を考えようとしたときの発想は、一般的な非営利法人制度をつくるという発想だったんです、大臣、もともとこれは。一般的な非営利法人制度をつくるという発想だったのに、いつの間にか、何か一般社団、一般財団という話に、わけのわからない話になっちゃったんです。私は、せっかく、内閣官房はいい議論ですねと、一般的な非営利法人制度をつくるというのは大賛成でした。

 かつ、私は、そこに一般的かつ包括的と入れた方がいいということで議論をしていました。この議論はきょうはしません。包括的というのは何かというと、例えば学校法人とか社会福祉法人とか、そうしたいわゆる一般的にNPOと言われているものを含めて、すべてを包括的にくくる制度をつくって、その上で、このNPOにはこういう税制優遇措置を与えましょうという議論を、大きく分ければ公益と共益に分かれますが、では、公益団体にはこれだけの税制優遇を与えましょう、共益団体にはこれだけの税制優遇を与えましょうという議論をすべきだということをずっと議論してきたんですね。

 ところが、出てきたものは、一般社団、一般財団という制度です。しかし、今聞いていただいたように、財団、社団には余り意味がないんですよ。では、あえて分ける必要はないんですよ。あえて分けた結果、公益社団法人という、何かわけがわからぬ存在が出てきちゃって、しかも、それが特増ですよ。つまり寄附優遇があるという制度になっちゃったということで、これはやはり制度的な欠陥だということを指摘します。

 大臣、せっかく来ていただいていますので、もう細かい議論はしません。なぜ私がこの議論をしているかということを、実はずっと、もう各大臣でやってきているんです。でも、大臣が、申しわけないけれども、ちょっと表現が悪いかもしれないけれども、ころころかわるものですから、全部一からやり直さなくちゃいけないんです、私。とても、これは本当につらいです、はっきり言って。でも、私、もう一回やらせてください。

 なぜ私がこのNPOの議論をやっているかというと、今、この国は官製土壌なんです。土が官製なんです。すなわち官僚の、官僚と言いません、官僚と言うと個人を指しますから、官僚機構と言いましょう、官僚機構の問題。個々人はとても優秀で心温かい方がいらっしゃると思います。しかし、これが組織になるとなぜかおかしくなるんですね。これは、多分、民主党機構の問題もあれば自民党機構の問題もあると思いますから、別に官僚の問題だけじゃありません。なぜか、組織になるとどうしてこうなっちゃうんだなんてことが起こるんですね、これが。なっちゃうんですよ。それぞれはいいんですよ。

 だから、この国は官製土壌なんです。だから、その土に例えば種をまいたり木を植えたりすると、官僚の都合のいいものはだんだん育ってくれるんですね。ところが、どうも官僚機構に都合のよくないものはだんだん枯れちゃうんですね。余り影響を与えないうちはかわいがってくれますけれども、余り大きくなり過ぎると摘まれちゃうんですよね。花は摘まれるし、木はもう切り倒されちゃうんですね。結局、何か変わらない。

 結局、土台から変えなくちゃいけない、土台から。土壌づくりからしなくちゃいけないんです。私は、官製土壌を民製土壌に変えないかぬと思っているんですね。すなわち、民間のNPOとかがしっかり育つような土づくりをしなくちゃいけない、こういう思いなんです。

 結局どうなったか。官製土壌だからどうなるかというと、例えば、なぜそうなったかというのは、多分これは与党の皆さんからすればそうじゃないとおっしゃるかもしれないけれども、やはり政権交代がなかったことによって政治家がちゃんとチェック機能を果たしていないわけですよ。本来であれば、政治家がチェックをしなくちゃいけないんです。チェック機能を果たして、官僚機構の不備をちゃんと指摘していかなくちゃいけなかったんです。ところが、それができていない。

 それで、どうなったか。例えば民法三十四条、この公益法人制度の根幹をなしていたもの。結局、民法三十四条は民法なんだから、民法典に書かれた法人ですから、もともとNPO、民間の組織なんですよ。ですよね。だから、もともと公益法人というのは民間の組織なんです、もともとは。ところが、その公益法人がなぜか官僚組織になっちゃっていますよね。なっていますよね、天下り先に使われて。

 それで、結局、この間公益法人改革は、内閣委員会で議論されずに行政改革委員会で議論されちゃったんです。でも、よく考えてください。いや、よく考えなくても、民法の組織ですから、公益法人というのは。そもそも、これは行政改革で語られること自体が矛盾しているんです。行革じゃないんですよ。ということは、実態上、民法法人、すなわち民間の組織であったものが行政の組織になっていた。すなわち官製土壌ですから。

 民法三十四条は何を書いてあったかというと、主務官庁がいいと言ったらいいというんですよ。この国では、公益活動は、法人格をとってやりたいなら主務官庁の許可を得なさいと書いてあったんです。許可というのは、原則禁止なんです。だから、原則禁止だけれども、主務官庁がいいと言ったらいいといって、結局、主務官庁の都合のいいような公益法人がだらだらあとできて、結局それが天下り先に利用されたということになるわけです。これは官製土壌だからなんです。結局、この官製土壌を変えない限り、今回の新しい新法人制度も、このままいくとまたそういうところに使われますよ。多分使われると僕は思っています。

 今、いろいろな問題のある公益法人が指摘されていますよね。さっきの日本漢字能力検定協会も含めて、たくさん指摘されています。私は、きょうはそういう議論は本当は余り、むなしいんですね。なぜむなしいかというと、モグラたたきゲームをやらされているからなんです。モグラが出てきて、たたいて、ほら、たたいたぞと言ってこっちは喜んでいるわけですよ。そのうちダミーも出てきて、それでも快感ですよね、たたいているうちは。でも、何にも変わらないんですよ。

 私は、このゲームを変えなくちゃいけないと思っています。今は我々もモグラたたきゲームをさせられていますが、我々政治家がやることは、政治家がリーダーシップをとって国づくりゲームをやらなきゃいけないんです、国づくりゲームを。どういう国をつくるのかという国づくりゲームに、ゲームを変えなくちゃならないんです。その国づくりゲームをやろうと思ったら、例えば土壌をどうするか、基盤をどこに持っていくのかという議論を当然しなくちゃいけないわけです。

 ですから、私は、この国づくりゲームの中で官製土壌を民製土壌に変える、その民製土壌に変える一番の核は、NPOをちゃんと育てることなんですよ。民間で公の組織であるNPOをしっかりとこの国で育てていく、そのためにどういう制度をつくらないかぬかということをずっとこの内閣委員会を通して議論させていただいているということを、また改めて御理解いただいた上で、今の私の思いについて、少し大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 まさに委員おっしゃるとおりで、今回の、私の知る範囲ですけれども、公益法人制度の改革のポイントというのは、これまではそれぞれの役所がつくってきた、そういうものではなくそう、今おっしゃったような、そういう天下りの温床になってしまうからそういうことを改めようということと、もう一つは、民による公益の増進を求めていこうということが、今回の新公益法人制度のやはり抜本的な改革だったと思います。

 当然、官から民へという流れも必要ですし、ただ、麻生総理大臣も必ずしもそれがすべてではないということをおっしゃっている中、百十年ぶりに抜本的な大改革をようやく、官製土壌から、少しひびが入ったかどうかわかりませんけれども、でも、抜本的な改革をしたんだと思いますね。それぞれが、役所が牛耳っていたものを、それを取っ払って、そして第三者の、公平中立な有識者の人たちによってそれが公益かどうかという判断をするという、全く画期的な、今までとつくりが違う一つの新公益法人ができてくる。

 社団、財団とかいろいろな形態が昔からあることは確かですけれども、それよりも以前に、やはり、冒頭おっしゃったようなことがまず排除されるということはとても大事、その次には、官から民へというラジカルな話ではなく、官も民もそれぞれが公益にやはり資していこうという中でこういう制度をつくることも大事ということで、まずはその第一歩としてこのプロセスが始まったことをやはり率直に受けとめていただいて、御理解をいただければありがたいと思います。

市村委員 大臣、私は、この委員会でも、この制度は八合目まで来たという評価をしているんです。決して全く評価をしていないわけじゃなくて、八合目まで来たとまで評価をさせていただいております。でも、これは八割じゃないんです。なぜ八合目かというと、山登りは最後のファイナルアプローチが一番大切なんですね。そこで命を落とすんですね。だから、あえて八割とは言っていません、八合目に来たんだと。

 しかし、これからが大切なんですね。これからが大切なときに、今の、その大切なところの、細かいけれども、さっきの社団、財団の議論というのは、実はこれは結構重要なことなんです。これはやっておかないかぬことなんですね。というのも、新しい組織、制度の中で、結局どんどんモデルが出てくるんでしょうけれども、何でこんなのがというのも出てくるはずなんです、今のままいくと。ちゃんとカテゴライズしなくちゃいけないんです。

 そもそもこれは、今おかしくなっているのは何かというと、一つに、大きなものがあるのは、そもそも法人格の議論から始めるからおかしいんです。私の問題意識は、いわゆる剰余金を分配しない組織のためのどういう制度をつくるかということが大切なんですね。つまり、そういう組織、つまりこれがNPOなんです、剰余金を分配しない組織というのがNPOなんです。このNPOが、別に法人格があろうがなかろうが、それは実は大した問題じゃないんです、これは。本質的な問題じゃないんです。すなわち、このNPOが社会でどれだけ活躍してくれるかというのが大切な問題なはずですよね。

 そのためには、当然のごとくお金が要るんです、簡単に言えば。ですよね。つまり、事業資金もないのに、NPOだって事業をするから評価されるわけです。NPOだからって評価されるわけじゃないんです。NPOがどういう事業をしたからと評価されるわけです。そして、事業をするためにはお金が要るんです。今、そのお金をどこに頼らないかぬかというと結局税金に頼っているわけです、NPOですらが。すなわち、ないんですよ、NPOを支える民間資金がないんですよ、ないんです。だから、NPOを支える民間の資金をストック、フローともに増大させるということが一番大きな課題なんです、これは。

 だから、法人格があろうがなかろうが、実は余り本質的な問題じゃないです。法人格はあった方がいいんです、自然人よりは法人格があった方が、それはいいに決まっています。でも、なくたって、いい活動をしているところに税制優遇を与えるということはできるんですよ。あるんです、アメリカなんかはそういうのをやっているんですよ。

 だから、大切なのは、NPOが使えるお金をどうやってふやすかということなんですね。そのための一つの柱が税制なんです。だから、本来は税から議論しなくちゃいけないんです。税から議論した上で、その税のカテゴライズの中で、法人格があるかないかというのは、それはあってもなくてもいいんですね。そもそも法人格の議論から始めるからこの話はおかしくなるんです。まずは税から始めていただいて、税から、こういう法人、まさに最初に審議官がおっしゃったように、そこで審議官の話が生きてくるわけですよ。すなわち、社団、財団は関係ないんだ、すなわち、いいことをやっているところにこれだけの税制優遇を与えるんだというところからの発想があればいいんですよね。そこから制度をつくるとやはりいいんです。それを判断するのが公益認定等委員会ということで。だから、シンプルに言えば、やはり非営利法人制度をつくって、その非営利法人を税制上分類して。

 アメリカはそうです。IRSコードで、つまり税コードで、内国歳入庁ですから、あそこ、アメリカは。いわゆる内国歳入庁の法典の中で、こういう組織には寄附優遇まで与えましょう、こういう組織には寄附優遇はだめだけれども法人税の軽減をしましょうとか、こういう法人には寄附、会費収入は免税しましょうとか、僕の記憶では大体二十七、八項目に分かれていたと思います。税法で分かれているんです、税法で。ですから、さっきの議論、その中では五〇一(C)(3)というカテゴリーがその寄附優遇があるカテゴリーなんですけれども、そこには社団は入っていないんですよ、いわゆるアソシエーションは入っていないんですよ。入っているのは財団か公共慈善団体なんですよ。

 だから、この国は社団と財団の意味が余りないんだとおっしゃっているわけですね。おっしゃっているわけですよ。ならば、やはり、公益社団法人というのがすべからく税制優遇がある特増はおかしいという私の議論につながっていく。ちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、こういう議論につながっていくんです。

 だから、やはりそもそもの制度的には、まず非営利法人があって、その非営利法人を税法上二十八なのか二十七なのか、幾つでもいいですよ、日本に合わせればいいわけですから。日本の、日本なりのカテゴリーをつくって、この非営利法人、NPOには、こういうNPOにはこういう税制優遇を与えますという制度であれば、シンプルでしょう、とても。とてもシンプルですよね。そうすればいいんですよ。

 ところが、何か一般財団とか一般社団とか出てくるものだから、何のこっちゃとなって、それでしかも、公益社団法人がすべからく特増とかなるものだからそれも何だというふうに素直に考えるとなるということで、これが問題なんです。

 だから、ぜひとも担当大臣として、制度をもう一回、百十年ぶりの制度だからやはり最初のスタートが肝心なんです。最初のスタートでしっかりとわかりやすく、そして皆さんが使い勝手のいいものにしないと結局またおかしくなるんですよ。この間も最後に指摘したように、何でこれがこうなの、何でこんなものができているのとなっちゃうんですね。だからそうならないように、せっかくスタートするんですから、もう一度部内で議論していただいて、私は、このNPOの制度をしっかりしたものにしていただきたいと思っているんですが、大臣の御見解をいただければと思います。

野田国務大臣 まさに、主務官庁のもとにいるところでは透明性が担保されないから、何だかなというのが幾つでもできたのかもしれませんけれども、それはもうやめて、本当に、国民に向けた委員会です、国民が見ている委員会のもとで審査されるわけですから、それなりにやはり、同じような名前であっても、みずから衣をかえていかないと、もう役所にぶら下がってお金をもらえるような法人ではすべてがなくなる、それはすごく大事。

 今NPOの話とか寄附の話が出ましたけれども、まだまだやはりそれ自体が日本の国にとってなじみの薄いところもあり、いろいろなNPOがお金がなくて困っていることもよくわかっております。それはやはり、我々が逆に寄附をする、税金を納めるという行為はもう自然に、やらされているというかやっているわけですけれども、自分がみずから寄附をするという習慣にまだまだすべての国民がすべからくなれていない中に、委員のおっしゃっていることは次のステップとしてやはり大事なことだと思うけれども、まずは、まずは今の制度の中でそういう悪の温床を断ち切って、日本にある公益法人がしっかりと国民の関心にさらされる中で活動しているというところからやはり次に進んでいただきたいなということを願っております。

市村委員 また議論をさせてください。ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、大きく分けて三つの問題ですけれども、いずれもそれぞれの大臣が所信表明で触れている点に関連してでございますけれども、させていただきたいと思います。

 まず最初に、海賊対策ということでございます。

 ソマリア沖への自衛隊の派遣というのが、三月十三日に海上警備行動ということで発令をされました。これを見ていますと、どうも、新聞報道等でも、初めに自衛隊派遣ありきという印象が非常に強いんですね。私、その点について非常に疑問に思っておりまして、その点を伺いたいというふうに思っているんです。

 まず最初に、原則の話として、海賊対策、海賊抑止とか海賊取り締まりといったようなものについては、政府の中でいけば、これはどこが所管する事項というふうに考えているんでしょうか。

河村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の点でありますけれども、海賊行為というのは海上における犯罪行為でありますから、我が国における海賊行為の対処、これは、一義的には、海上の法の執行機関でもあります海上保安庁の責務である、このように考えております。

 先般閣議決定をいたしました海賊対処法案においては、総合海洋政策本部が中心になって関係府省がこれを検討したものでありますが、政府としては、この法案を速やかに成立させていただいて、海賊に適切かつ効果的に対応してまいりたい、このように思っておりまして、おっしゃったように自衛隊ありきという発想でスタートしたものではありません。

 一義的にはこれは海上保安庁の業務である、必要な仕事であるという前提に立って、万々やむを得ない、海上保安庁では十分対応できないということでありましたので、海賊の状況を勘案して、自衛隊の海上警備行動を発して派遣をした、こういうことでございます。

平岡委員 海上保安庁で対応できるかできないかという話はまた法案の審議の際にしっかりとやりたいと思います。私は、決してそんな、海上保安庁が対応できないような話ではないというふうに思います。

 そこで、今、海上保安庁そして海上自衛隊という話が出たわけでありますけれども、海賊対策について言えば、どういう場合は海上保安庁で、どういう場合は海上自衛隊なのか、この基準を、政府としての基準を示していただきたい。今までの説明ではただ単に、自衛隊法とかあるいは今回の新法では、特別の必要があると認める場合というような、非常に抽象的なことでしか表現がされていない。そんな抽象的な話で自衛隊の派遣が政府で勝手に決められるというのは私はおかしいと思うんですね。

 まず、その基準を、政府としての基準を示してください。

河村国務大臣 さきに答弁申し上げましたように、まず一義的には海上保安庁が対処するんだ、こういうことを申し上げました。

 そこで、現行の自衛隊法の第八十二条で、防衛大臣は、特別の必要がある場合に、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊に海上警備行動を命ずることができるが、これは、海上保安庁のみでは対処が不可能もしくは著しく困難な場合を想定している。また、海上対処法案においても、現行の海上警備行動の仕組みと同じように、防衛大臣は、特別の必要がある場合は、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊に海賊対処行動を命ずることができる、こうなっておるわけでございます。

 これは、警察権の行使ということで発令をしたものでありますから、自衛隊法第三条に、公共の秩序維持という役割がございます、これは警察権に当たる、こういうことで、今回の自衛隊、自衛艦の発動、こうなったわけでございます。

平岡委員 詳しくはまた法案審議のときにやりたいと思いますけれども、今言われた、対応が著しく困難だとか、そういう抽象的な話じゃなくて、もっと具体的に、こういうことで対応ができないとか、そういう基準をしっかりと示していただくということを法案審議のときまでにちゃんと用意をしておいていただくことを要請しておきたいと思います。いいでしょうか。

河村国務大臣 今回の海賊行為に対する対処については、現実に海賊のあり方というものが、ロケット砲を持っているとか、自衛艦でないと対応できないような状況にあるということ、それから航行距離の問題、それから、現実問題として、今、日本にそれに対応できる巡視艇は「しきしま」一隻である、こういうような国内の諸要件も反映して、特別な場合であるというふうに基準を考えたものでございます。

 御指摘のように、これからまた法案を実際に審議いたしますので、そのときにもきちっとお答えをする、こういうふうに思います。

平岡委員 今の説明は、私たちの部門会議の場でも政府の関係者からそういう説明がありましたけれども、すべて論破できます。だから、ちゃんとその具体的な基準を示して国会で審議をしていただきたいということであります。

 そもそも論として言えば、海賊対策の対象となる海賊というのは一体何なのかというのが、この法律の中にも、あるいは国際的にもどうもはっきりしないような気がするんですね。どういうことかというと、海賊行為というのは定義がされているんです。しかし、その行為を行う海賊というのは一体何なのかというのはどこにも書いていない。そういう状況なんですね。

 そこで、端的に御質問いたしますけれども、例えば、内戦状態にある国の、一方の当事者が、その内戦を遂行していくために必要な資金を得るために人質をとったりあるいは船を略取したりするという行為をしている、その場合の一方の当事者というのは、これは海賊ですか、どうですか。

河村国務大臣 どのような場合に海賊行為に含まれるかということ、これは個別具体的な事実関係に基づいて判断をされるべきものだろうと思います。

 おっしゃるように、国連海洋法においては、いわゆる海賊という定義はありませんが、海賊行為という定義はきちっとされておる。だから、一概に判断することは難しいと私は思いますけれども、しかし、海賊対処法に規定をする海賊行為に該当する場合には法案の対処の対象になる、こういうふうに考えております。

 今、事例を挙げてお話になりましたけれども、我々はそういうことを想定しておりませんで、今の、仮定の事実について海賊行為に当たるかどうかということについて答えることは私は難しいと思います。これはやはり、今申し上げましたように、個別の事態によって対応できる。現実にもう被害が起きているという状況の中で、これに対応しなきゃいかぬ、こういうことで対処法を考えておる、こういうことであります。

平岡委員 私は何も根拠がなくて言っているんじゃなくて、海賊行為の中の定義で、軍艦とか、各国政府が所有し、または運航する船舶を除いた船舶に乗り込んだ人が、私的目的で、さっき言ったような行為を行う、そういう限定があるんですね。もしその海賊が、私が先ほど言ったような人であるならば、これは私的目的でもないし、この船舶も、国に準ずる組織が持っている船舶であるという可能性がある。そうしたら、この法律も全く役に立たない法律になる、その可能性すらあるわけですね。

 私はそういう方向で聞いているわけじゃなくて、むしろ、ソマリア沖の海賊というのは、反政府組織が組織している集団であって、国に準ずる集団であるという可能性すらあるということが指摘されているんです。ソマリア海軍だというふうに名乗っている海賊もいるというふうにも聞いています。

 そういう意味では、今回のソマリアの問題について言えば、少なくとも政府は、ソマリア沖の海賊というのはどういうものであるのかということについてしっかりと説明をする責任があるというふうに私は思うんです。河村官房長官、どうですか。ソマリア沖の海賊はどういうものであるかということをしっかりと説明をする責任を果たしていただけますか。

河村国務大臣 ソマリア沖、アデン湾、この海賊行為については、国連の報告書によりますと、かつて、外国による違法操業やソマリア領海における有害物質の不法投棄等の影響を受けて経済状況が悪化する中で、地元漁民によって行われるようになったという側面もあって、最近では、高額の身の代金を目当てにしたものが急増している、こういうふうに聞いておるわけでございます。

 今御指摘のようなことは、実際の軍だったのではないかとか、そういうことは我々としては承知をしておりません。

 いずれにしても、現実にソマリア沖でこのような凶悪犯罪が起きている、日本人が被害を受けている、こういう現状が起きておるわけでありますから、この海賊問題の現状等については国民に対してもきちっと説明をして、理解を求めて、この法案の早期成立を期したい、このように考えておるわけであります。

平岡委員 私が質問主意書で同じようなことを聞いたんですよね、ソマリア沖、アデン湾の海賊というのはどういう人たちの集団ですか、組織ですかと。そのときの政府の答弁というのは、今官房長官が言われたような答弁は全くなかったですね。

 例えば、ここに書いてあるんですね。「ソマリア沖の海賊について、実態の詳細は把握していないが、例えば、母船と小型ボートを使用し、自動小銃やロケットランチャーを保有しているものがあることは、報道等により承知している。」この程度の回答しか返ってこないのに、もう既にこの時点では海上警備行動の準備をする指示が出されているという状況ですよ。先ほどの国連の報告書は、多分国連決議を出すに当たって調べられたものかもしれませんけれども、私はその点についても聞いていますけれども、今のような説明はきょう初めてですね、私は。それだけ政府は今までサボっていたということではないでしょうか。

 この問題についてもしっかりと法案審議のときに私はやっていきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 時間がないので次の問題に移ります。

 国策捜査と言われている問題でありますけれども、皆さん御案内のとおり、小沢民主党代表の公設第一秘書の逮捕に関連して、漆間官房副長官が、五日の記者との懇談の中で、これは報道等によれば、自民党の方まで波及することはないというふうに語ったというふうに伝えられておりまして、この点については官房長官が既に八日に厳重注意をされたというふうに聞いているんですけれども、その厳重注意の根拠となった事実関係ですね、どういう発言をしたのかということについては、これは、同席していた秘書官とかあるいは報道した新聞記者とか、そういう人たちもいると思うんですけれども、どこまで事実関係を調べましたか。

河村国務大臣 委員御指摘の漆間官房副長官の発言につきましては、一部の報道等を受けまして、私から漆間副長官に確認をしたわけであります。

 三月五日の夕刻でありますが、記者との懇談の場において、西松建設の不正献金事件に関連して、記者の質問に答えて、刑事事件に関する手続や運用等について一般的な説明をしたということでありましたが、報道にあるような特定の政党の議員への捜査の帰趨について判断をしたことはないということでありました。

 そこで、私としても、同席した記者に個人的に確認をした。いたしますと、これは記者側としては、自民党に捜査が及ぶのではないかという趣旨の質問に対しての答えであった、だから我々はそのように報道したんだという回答がありました。

 私は、これを受けまして、漆間副長官にも、一般論として答えたつもりであろうが、記者は自民党に及ぶかどうかという見方で受けとめられておる、これについては大きなずれが生じておる、この点についてきちっとみずから説明責任を果たす必要があるではないかということを私は副長官に言い、やはり誤解を受ける会見については、たとえオフレコで行われたものであろうと、やはり公人としての立場、影響がある、そういうことをしっかり考えて対応していかなければということについて注意をした、こういうことであります。

平岡委員 漆間副長官の言葉をある程度信じて、一般的なことしか言いませんでした、誤解を招くような発言をしたかもしれません、そこだけで官房長官の処分が決まってしまうというのはおかしいと思うんですね。もしかしたらもっと率直に語っているかもしれませんよね。もし語っているとしたら厳重注意じゃ済まされない話じゃないですか、内閣として。そういう意味で、私は、官房長官のその調査、確認というのが非常に不十分であったというふうに言わざるを得ません。

 ちょっとこの問題に入ると時間がなくなっちゃうので、そこで、ちょっと視点を変えて、漆間副長官のこの発言について言えば何が問題だというふうに官房長官は認識されているんでしょうか。

河村国務大臣 これは、検察当局は、当然、法と証拠に基づいてきちっとやっている、また不偏不党、厳正公正を旨としてやっている、そして、その調査対象がだれだって刑事事件としてちゃんと取り上げるんだ、これが法治国家の検察のあり方ということは当然のことであろうと私は思っておりますから、漆間副長官が一般的な説明をしたといえども、漆間副長官は、これは検察ではありませんけれども、警察のトップにおられた方でありますから、発言は重い、そういう誤解を招くおそれがある、このことを私は問題にしたわけでありまして、その指摘をした、こういうことであります。

平岡委員 誤解を招くような発言をしたということがけしからぬというんじゃなくて、やはり発言の中身そのものが、捜査の中立性とか公正性とか、そういうものを疑わせるというような中身であったということなんじゃないかと思うんですよ。そして、そういうことを言ってはいけないということは、つまり、捜査は中立であり公正でなければならないということがまず大原則としてあるということだと思うんですけれども、それを疑わせるような発言だったということだと思うんです。そういうものであったということで確認したいんですけれども、よろしいでしょうか。

河村国務大臣 御指摘の点でございます、西松建設の不正献金事件について一般的な説明をしたということであるけれども、検察による捜査の中立性、独立性に関して懸念を抱かせるような発言である、私も、そういう点が不適切だということで、漆間副長官に対して厳重に注意をした、こういうことであります。

平岡委員 官房長官、もう結構です。

 そこで、漆間副長官について言えば、何も今回だけじゃないんですよね、こんなことが起こっているのは。

 私はおととしにちょっと質問したことがあるんですけれども、漆間副長官は警察庁長官時代に、例えば、二〇〇六年の十月三十日には、北朝鮮への圧力を担うのが警察の仕事なんだと。あるいは、二〇〇七年の一月十八日の記者会見では、北朝鮮に日本と交渉する気にさせるのが警察庁の仕事だ、あるいは、北朝鮮が困る事件の摘発が拉致問題を解決に近づける、そのような捜査に全力を挙げるというふうに発言したというふうに、これは報道で出ているんです。

 これは事実ですか、こういう発言をしたことは事実ですか。

佐藤国務大臣 今おっしゃられたような発言があったというふうに伺っております。

平岡委員 今現在、あるいはそのときも含めてですけれども、警察庁は、漆間副長官がそういうふうに発言をしていることを踏まえた方針で捜査を行っているんですか。

佐藤国務大臣 当時の漆間警察庁長官の発言でございますけれども、警察庁長官という立場において、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた強い決意を示したものというふうに考えております。

 警察におきましては、これまでも、北朝鮮やその関連団体の動向について、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から、重大な関心を払っておりまして、違法行為があれば法と証拠に基づいて厳正に対処してきたものと考えております。

 今後とも、違法行為があれば法と証拠に基づいて厳正に対処するよう、国家公安委員会といたしましては警察庁を指導してまいる所存でございます。

平岡委員 拉致問題の解決に向けて強い決意を示したというような表現だったと思うんですけれども、拉致問題の解決って一体何なんですか。捜査当局が犯人を挙げるということですか。私は素直に、これはオフレコではなくてオンレコでやった記者会見ですよね、それを見れば、もうまるで捜査を厳しくすることによって北朝鮮に外交交渉に応じさせる、そういう意図のもとで捜査が行われている。

 これはまさに、警察庁に与えられた権限、これは「警察の責務」というのは第二条に書いてありますけれども、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」二項が「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」こう書いてあるんですけれども、まさに漆間副長官が言ってきたことは、これはこの警察法の第二条にも反することであると私は思います。

 先ほどの強い決意を示したというのは、それは、拉致問題ではなくて、いろいろな犯罪捜査においてしっかりと対応しなきゃいけないという決意を示したというなら、それはそれでいいんですけれども、この拉致問題の解決というのはまさに外交交渉の問題ですよね。その問題について警察がこういう気持ちを持ってやるというのは私はおかしい。これはまさに、今回問題となっている政治資金規正法違反ということを挙げることによって何らかの国策的意図を持ってやっているというふうに疑われても仕方がない、漆間副長官のこういうこれまでの言動を見たら、そう疑われても仕方がないことじゃなかったんでしょうか。どうでしょうか。

佐藤国務大臣 今お話ございましたように、決意、そして結果として拉致問題につながり得るという認識に基づくものと考えておりますし、いずれにいたしましても、警察権力を外交に活用するとの意図によって発言されたものではないというふうに私は考えております。

平岡委員 それで、ちょっとついでに聞きますけれども、在日朝鮮商工会に対して税理士法違反とかというのはかなり摘発されているんですよね。去年の一月ぐらいまでかなり多くて、それから少し途切れて、去年の十月の二十九日、十一月の二十七日にまた摘発が行われているんですけれども、この件については漆間副長官は何らかの関与をしているんですか。

佐藤国務大臣 警察におきましては、何人に対しても、違法行為があれば法と証拠に基づいて厳正に対処しているところでございまして、御指摘のような関与の事実は全くないというふうに思います。捜査権の濫用であるとは考えておりません。

 なお、警察におきましては、これまでも、朝鮮総連やその関連団体の動向について、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から、重大な関心を払っておりまして、違法行為があれば法と証拠に基づいて厳正に対処してきたものというふうに考えております。

平岡委員 実は、この最初の捜査が入った昨年の十月の二十九日、このときに拉致問題対策本部の関係省庁対策会議というのが首相官邸で開かれていまして、そのときに、漆間副長官はこういうふうに言っているんですよね、北朝鮮が本当に困る形の圧力を検討する必要がある。

 くしくも同じ日にこういうことを言っているということは、まさに、漆間副長官からこの捜査についての指示があり、そして、それに基づいてこういう発言が対策会議で行われているんじゃないですか。どうですか。

佐藤国務大臣 漆間副長官からそういう指示があって捜査等々をしたという事実は私はないというふうに考えておりますし、そんな報告は受けておりません。

平岡委員 思いますし、報告を受けていないというんじゃ、それは全然、大臣を信用するかしないかだけの問題になってしまいますから、ちゃんとこれは部内を確認してください、調査してください。それがない限りは、これまでの一連の漆間副長官の言動、この前の話、三月五日の記者に対して話した話も含めて、私は、非常に意図的な捜査が行われているというふうに受けとめざるを得ないというふうに思います。これはまた調べた上で聞きたいと思います。

 時間がないので、甘利大臣に来ていただいているので、ちょっと質問したいと思いますけれども、せんだって与謝野大臣が、政策金融機関の改革について、簡単に言えば、あれは不況のときのことは余り考えていなくて間違いだったというような発言を国会でされているわけですけれども、甘利大臣は、政策金融機関の改革についてはどういうふうに認識しておられますか。間違いだったと思っておられますか。どうでしょうか。

甘利国務大臣 方向性は間違いではないと思いますが、有事の際にどうするかを平時の際に設計をしてあります。これが、民営化したときに本当に完全に機能するか。まだ民営化されていませんから。民営化されたときに、有事はこういう設計だ、民間機関に対してこういう要請をする、それがきちんと機能するかどうかはしっかり検証しておくべきだと思います。

 というのは、私は、当時、党の方で政調会長代理をやっておりました。民営化に際して、相当短時間に行うという提案が当初出まして、これは私は、十分にシミュレーションすべきだということを強く主張した一人であります。有事のときの設計を平時に行うわけでありますから、相当綿密な設計が必要であるということを主張した一人でありまして、今、大有事であります。

 民営化になったときに、その設計がちゃんと完全民営化のときに作動するかはしっかり今検証すべきである。今は完全民営化でないから打つ手はいろいろあるわけでありますから、完全に民営化したときにちゃんと機能するかどうかはしっかり検証しておくべきだと思います。

平岡委員 まさに当時言われていたのはいろいろなことがあったわけでありますけれども、その中で一つだけ取り上げていきますと、特に大企業とか中堅企業向けの資金供与の問題についてちょっと聞きたいと思うんですね。中小企業金融については、大臣の所信表明の中にも、しっかり対応しているということがありましたから、それはそれとしておいておいて。

 今回の経済危機の中で、政策金融公庫から、政策投資銀行を通じて、大企業、中堅企業の方に資金が流れるという仕組みがとられているんですけれども、その政策投資銀行が担うべき役割については、民間の金融機関も手を挙げることができる仕組みになっているはずなんですよね。しかしながら、聞いてみますと、民間銀行は一切手を挙げていない、指定金融機関になっていないという状況がある。

 一体これはどういうことだというふうに考えられますか。そういう、民間が出てこられないような仕組みをつくっているということに何か問題はないんですか。どうですか。

甘利国務大臣 現状では、自動的に商中と政投銀を指定金融機関に指定しています。これが、完全民営化になったときにはそれらも一般金融機関になるわけであります。そのときに、主務大臣が危機認定をする、三大臣になるわけでありますが、そのときに手を挙げてくれるかどうかという問題があるわけであります。

 現状で、先生御指摘のとおり、他の純粋民間金融機関は手を挙げていません。今、政投銀等自動指定されているものも、完全民営化された場合、ほぼ同列の立場になる。そのときにどうなるかということは今しっかり検証すべきだと思っております。

 特に、私は、政投銀について、どういうビジネスモデルを構築するんだということで、当時、党の立場から質問したことがあります。政府の後ろ盾があっていわゆる金融債で調達する、政府の後ろ盾がなくなったときに、信用力が落ちてくると調達金利が上がってくるわけです。一方で、その私の疑問に対しては、預金ができるようになるんだと。しかし、支店網がないじゃないか、そういう点はどうするんだ、機関投資家がそういう資金提供をするということが本当にそのとおりにいくんだろうかと。それらの議論をしていましたときに、政投銀の関係者が、自分たちも腹をくくって、この期間、つまり五年から七年の期間にきちんとしたビジネスモデルを構築してみせるという覚悟を決められたようであります。では、それをしっかり見守ろうと。

 ただし、御指摘のとおり、民営化までの期間の間に大金融経済危機が来たわけでありますから、この期間が極めて重要な期間だと思います。この期間の間にいろいろな問題を検証して、完全民営化後も期待された機能を発揮できるように、しっかり事態を検証していくべきだと思っております。

平岡委員 時間がなくなったのでやめますけれども、まさに甘利大臣が言われるように、この政策金融機関の改革というのは、将来の姿が見えないままに見切り発車したという部分が相当大きいんだと私は思うんですね。特に、政策投資銀行の人たちの話を聞いても、自分たちがビジネスモデルをつくってみせるというような、そんな決意も、それはどこかであったかもしれませんけれども、それは無理やり皆さんから言わされたのであって、どうしたらいいのかわからないというのがその当時の正直な気持ちだったというふうに私は思うんですね。

 ここはやはり、政策投資銀行を生かしていくためにということじゃなくて、日本の国民のためにある財産をどう活用していくか、生かしていくかという視点で、もう一度政策金融機関のあり方というものを、やはりしっかりと将来を見通せる形で、ビジネスモデルもできるような形でやっていかなければ大変なことになってしまう、私はそんな気がします。ぜひ、その点も問題意識を共通させていただいて考えていっていただきたいというふうに思います。

 以上、終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十九分散会


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