衆議院

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第5号 平成21年3月25日(水曜日)

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平成二十一年三月二十五日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 岡下 信子君 理事 加藤 勝信君

   理事 渡海紀三朗君 理事 西村 明宏君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      あかま二郎君    赤澤 亮正君

      宇野  治君    遠藤 宣彦君

      大塚  拓君    岡本 芳郎君

      木原 誠二君    河本 三郎君

      佐藤  錬君    篠田 陽介君

      徳田  毅君    中森ふくよ君

      中山 成彬君    長島 忠美君

      並木 正芳君    馬渡 龍治君

      松浪 健太君    村田 吉隆君

      市村浩一郎君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      西村智奈美君    平岡 秀夫君

      山田 正彦君    笠  浩史君

      池坊 保子君    高木美智代君

      吉井 英勝君    重野 安正君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣         甘利  明君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   文部科学副大臣      松野 博一君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   防衛大臣政務官      武田 良太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  山本 条太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  素川 富司君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)

   (内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長)    河内  隆君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          川村 卓雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局公平審査局長)          湖島 知高君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   浜野  潤君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長)    金澤 和夫君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    池田 克彦君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局次長)            笹島 誉行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           河村 正人君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

三月十九日

 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官山本条太君、内閣審議官素川富司君、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長・内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君、人事院事務総局職員福祉局長川村卓雄君、公平審査局長湖島知高君、内閣府大臣官房長浜野潤君、大臣官房審議官湯元健治君、堀田繁君、政策統括官松田敏明君、男女共同参画局長板東久美子君、地方分権改革推進委員会事務局次長金澤和夫君、警察庁生活安全局長巽高英君、交通局長東川一君、警備局長池田克彦君、総務省人事・恩給局次長笹島誉行君、国土交通省大臣官房審議官河村正人君、防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。

 きょうは、鳩山大臣にお出ましいただいて、道州制と地方分権についての議論をさせていただきたいと思っております。

 国会は、ある意味では、与野党攻防の場であると同時に、与野党が党派を超えて共通した方向性を持つ場合には、早急にその具体論について議論を深め、実行に移していくということが必要だというふうに思っております。

 その意味で、現在、地方分権、一歩踏み込んで地域主権という方向性については、これはもう与野党問わず、これからの日本の活力を増進していく、そして将来世代への責任を果たしていく、そういう観点も含めて、共通の方向性であろうというふうに思っております。それだからこそ、鳩山大臣が担当されておりますけれども、道州制担当大臣ということも具体的な形で示しておられる、このように理解をしておるところであります。

 質問に入る前に、私自身も実は六年前に大分県知事選に出まして、残念ながら次点であったわけでありますけれども、その際に、地域主権の国づくりと同時に、その地域主権下にあっての大分のあり方というものを訴えてまいりました。その意味で、今、道州制論議が行われているときに、その前にまくら言葉がついて、地域主権型道州制という形で論議されておりますけれども、その地域主権の国をつくっていく、こういう思いについては、私自身がだれよりも強く持っているつもりでございます。

 ただ、今、地域主権イコール即道州制ということで議論が進んでいるように思っておりますので、地域主権やよし、それから地域経営やよし、しかし、今の議論のままでもいいのか、道州制先にありきということでもいいのか、そういう問題意識を持ちながらきょうは議論をさせていただきたい、このように思っております。

 まず、鳩山大臣にお伺いしたいと思いますけれども、地域主権型国家、分権型国家に移行していくという必要性については鳩山大臣も共通の御認識をお持ちだというふうに思っておりますけれども、そのことの確認と、できれば、どうして今地域主権型の国、また分権型の国が必要かということについて鳩山大臣の御見解、そしてその理由について、できればある程度の優先順位を持ってお答えいただければなというふうに思っております。

鳩山国務大臣 吉良先生の御認識と私の認識は、基本的に違うところはないと思うんです。

 今、大畠先生と朝のごあいさつをいたしましたが、最初に民主党をつくったときのチャーターメンバーの一人は私でありまして、大畠先生ともそのころから毎日いろいろな議論をしたことがございます。

 そのころ、現在の菅代表代行と私は、比較的欲張りだったのかもしれませんが、早く政権をとれるような政党になりたいな、こう言ったら、兄がひどく怒りまして、ふざけたことを言わないでくれ、政権をとろうと思った瞬間から、要するに、国民全体にこびを売ろうとして不純な考え方を起こすようになるから、そういう考え方は絶対いけないんだ、とにかく、理想を持って時の政権に働きかけて、政策を実行させるんだ、我々の理想を実行させるのが今つくった民主党の役割である、こういうふうに言うわけであります。

 では、それは何だと。私はそのころに、環境重視の国家だ、こういうことを言ったわけです。そうしましたら、そのときに兄は、いや、おれが一生をかけてやりたいのは地方分権である、こういうふうに言ったのを今でも非常によく覚えているわけですね。地方分権、地方主権、いろいろな言葉遣いがありますが、いよいよそのときが来ている、こう思います。

 ただ、私は、あくまでも、日本という国家の中をきっちり分けてしまう、別の部屋に分けてしまうという発想は持つべきではないと。WBCでイチローが二点タイムリーを、あれは延長戦になってからですか、放ったというので、やはり国民が狂喜する。日本という国は一つで、いわゆる合衆国的な考え方ではない方がいい。それぞれちっちゃな国があって、それは日本でまとまっているという、旧ソ連邦なんかその典型ですが、そういうものではないだろう。国はあくまで一つだけれども、それぞれの地域が自主的な判断で自立的に物を考えていくことができるという意味で、私は地方分権というのを考えている。

 吉良先生、正直に申し上げて、私は、数年前までは、道州制をやれば、それまでは地方分権はほっておいてもいいんではないか、これが分権の理想の姿、あるいは、行政改革の理想の姿は道州制なんだから、それまではほっておいてもいいんではないか、こう思っておりましたけれども、やはりなかなか一気に物事ができるわけではないから、現在は、地方分権改革の先に地域主権型道州制を見出すというふうに考えは変えておりますけれども。

 実際、どこまで地方分権できるかというのは大変難しい課題ですが、それこそ省益とかそんなものは一切無視しなければならない。これは国の形を決める仕事なんだ。

 明治維新のときに、当時の、初めてできた明治政権というものが、やはり国の形では相当な議論をしている。この国の形の議論の中で、例えば、麻生太郎総理のひいひいおじい様の大久保利通さんが結局勝利するわけでしょうけれども、佐賀の乱とか神風連の乱とかというのは国の形をめぐる争いだったという見方もできる。もちろん士族の不平ということもあるでしょうけれども。

 そういった意味では、今とても重要なので、与野党の垣根を越えて、どういう国の形をつくるかを真剣に考えるときだ、こういうふうに考えております。

 やはり、身近な行政は身近な自治体がやる。身近な行政は身近な自治体がやるがゆえに、住民からよく見えるということが大事なんだろう。それが、国防とか裁判とかいうことであれば国に任せるという形になっていくんだろう。ですから、国の役割と地方の役割をどう分け合うか、分担するかということに一番大きな問題がある。

 きのう、地方分権改革推進委員会の第二次勧告を受けての工程表を、私の責任のもとで策定をして、本部で決めたわけです。ところが、どうしても、国交省はどうなるんですか、厚労省はどうなるんですか、農水省はどうなるんですかという関心ばかりマスコミから寄せられる。私は、それは違うと言ったんです。どこまで権限や事務を移せるか、うんと移せるところは移せばおのずからスリムになるんですと。

 だから、順番としては、地方分権改革というのは、権限を移す、いっぱい移せばおのずからスリムな出先機関になるんですよと説明しても、どうしても、いや、工務局ですか、振興局ですかという議論ばかり吹っかけられて非常に残念に思うわけで、やはり地方分権というのは、とにかくどこまで国の権限を移せるかが勝負で、そこで国の形が決まってくるんだと思っております。

吉良委員 私の質問が多少はっきりしなかったのか、優先順位というのが、ある種の手順の問題というような形で今答えられたわけなんですが。

 ちょっと私自身の簡単な歴史観を話させてもらうと、先ほど、地方分権、地域主権については与野党を超えた共通認識だという言い方をさせてもらいましたけれども、実は、与党の持っていき方、それから野党、我々が求めていく、やり方もそうですけれども、その先にあるものは多少違うのかなというふうに思っています。それは、キーワードは成功体験だと思っているんです。

 どういうことかといいますと、私は今民主党に属しておりますけれども、いつも言うのは、今、鳩山大臣からもありました、明治時代は明治時代の、当時の置かれた環境があって、とにかく欧米列強に植民地にされない、追いつけ追い越せということで、殖産興業、富国強兵ということで、中央集権が一番効率がいいということでスタートをした。

 同じように、敗戦直後の日本は、あの焼け野原と廃墟の中にあって、短期でどうやって復興するかというのが当時の国家の最大の課題でありますから、これまた中央集権にして、すべての権限、財源、人材を中央に集めて、そして効率よく戦後復興を果たしていく、そのときの時代要請があったというふうに思っております。

 そういう意味で、私自身は、戦後の中央集権のあり方も、そして、ある意味では中央に権限を集めて戦後復興を果たしていった、傾斜配分というような言葉にも象徴されるように、ある意味で霞が関が、また自民党がすべての意思決定を迅速にしていく、そして、そこで豊かになったその富を各地域、各個人に落ちこぼれがないように分配していく、このことは大変よく機能したというふうに思っていまして、そういう意味では、戦後復興の、ある意味では立役者であり、貢献したのは自民党さんであり、またそれを支えた官僚組織だと私自身は思っておるんです。

 逆に、それが成功体験であるがゆえに、今、これは釈迦に説法で恐縮なんですけれども、ある程度豊かになった国、地域というものを、先進国にふさわしい、一人一人に目を向けた政治をやっていくときに、かつての、いわば東南アジアではないですけれども開発経済的なシステム、その成功体験がどうしても郷愁としてあって、思い切った分権、思い切った地域主権型になかなか行けないんだろう。

 なぜならば、大変申しわけないですけれども、今までの与党議員の役割というのは、中央集権の仕組みを最大限利用して、中央からの予算をどう分配するかというところに活躍の場を見出していた。極端に言ったら、地域が自立して、地域が意思決定するようになれば、今までの与党の存在意義がなくなってしまう、私自身はこういうような問題意識を持っております。

 私たちは、ある意味では、とにかくある程度豊かになった国というのは、一人一人の生活が大事だという観点で政策立案、そして国の形を決めようということで成り立っている党でありますから、考え方の中心は一人一人の生活者、こういうことで、その生活者がどうやったら豊かになって、青臭い話ですが、幸せを感じられる社会、国をつくっていけるか、こういうことで、その延長にこの地域主権、地方分権そして道州制論議があるというふうに思っておるわけであります。

 私が今とうとうと申し上げたようなことを大臣に向かって言わせていただいたのは、なぜ地域主権なのか、地方分権なのか、私はある意味で、キーワードは依存から自立へだというふうに思っておるんです。

 あの戦後焼け野原の日本がどうしてここまで回復したのか。先ほど言いました、中央集権の効率のよさを最大限利用したというのはありますけれども、一番は、あの焼け野原の中にあって、国民がだれに頼ることなく、実際頼るものがなかったがゆえに、一人一人自立し、最大限努力した結果、自分の持てる力が一〇〇だとしたら、当時の人は一二〇、一五〇出して頑張った結果が今の日本だというふうに思っております。

 そういう中にあって、ある程度社会が安定してきて豊かになってくると、今度はどうしても依存というものが出てきてしまっている。地方はもう明らかに中央に依存している。けれども、同時に、最近の政治は、地方に対して、国に依存するような仕組みであり、また意識をそのように持っていった。その最大の象徴が陳情というものであろうかというふうに思っております。

 そういう意味で、私自身は、依存から自立へというこのキーワードに基づく国の形をつくっていかなければいけない。その依存から自立へという中で、道州制なり、私は正直言って二層制がベストだろうというふうに思っておるんですが、依存から自立へというキーワードのためには、私は、意思決定が見えるところ、そして受益と負担がきちんと見えるところ、ある意味で肌感覚での地域がある種の独立性を持つ。もうちょっと言うならば、経済圏、生活圏が一体化したような地域が一つの基礎自治体であり、かつ地域主権の、その主権の主体であるべきだというふうに思っておるわけであります。

 そういう問題意識を持ちながら聞かせていただきますけれども、なぜ地域主権イコール道州制になってしまうのか。今言いましたように、地域主権という方向性は全く一緒であっても、その形が、国と基礎自治体、それも、ある程度自立ができる基礎自治体、この二層制でも十分地域主権の目的が達成できるというふうに私は思っておりますが、それがなぜ、地域主権または地方分権イコールいきなり道州制、道州制政府なのかということについて、鳩山大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 大変重要な問題提起でありまして、二層制か三層制かというのは国の形に大きく影響することだと思います。これはよほど議論しなければいけない問題だと思います。非常に無責任かもしれませんけれども、やって、ある程度歴史を積み上げていかないと結果が見えにくいということなのかもしれません。

 ただ、道州制というものを、地域主権型道州制というのを目指してはおりますが、もちろん、ビジョン懇というのがあって、江口座長のもとで議論をしていただいております。

 ですが、道州制といっても、例えば分ける数によって全く違うかもしれないんです。十とか十一とかいろいろな説があります。しかし、川勝平太さんは四個だと言っています。私は、日本を道州制で四つに分けるという話を聞いたときに、これも一つの説得力はあると。つまり、北海道というと、今は北海道特区というのがありますけれども、北海道というのは必ず一つだと決めてかからないで、北海道から東北までを含めて一つでいいんだ、こういうのが川勝平太理論で、これも一つの考え方だと思うことがあります。

 そんな上で、道州制にもいろいろなパターンがあるというふうなことを前提とした上で申し上げれば、二層制か三層制かという場合、それこそ地域主権型都道府県でいいんだという方だっているわけです。ただ、都道府県よりもうちょっと広域なものをつくって、いわゆる圏域をつくって、少なくともヨーロッパの中規模ぐらいの国の大きさとか、あるいは経済力とか人口とかを持つようにしたという考え方を道州制はとっているんだと思います。それくらいの規模になるとやはり自立性が極めて高まるであろうというのが一つです。

 それからもう一つは、いわゆる道路とか河川など、私は直轄事業はどんどん減らせということばかり言い続けているわけですけれども、いわゆる今の国の直轄事業、道路、河川も、全部道州に一〇〇%譲ってもいいのではないか、その連携するところあたりはいろいろな話はあるかもしれませんけれども、そんなふうに、ほとんどの基盤整備は道州ならば単独でやってもらえる、こういうふうに思っております。

 問題は、これは今の制度と同じかもしれませんけれども、二層制にしますね、国がある、民主党さんがお考えなのは三百なのかあるいは千なのか、私はわかりませんけれども、国と基礎自治体だけだと、結局、国が自治体を補完する作業が大変だということが一つ。今でも地方交付税はそういう仕組みがありますけれども。それと、やはりそれぞれの、三百でも千でもいいんですが、その自治体のことを完全に国がわかってできるかという問題があるから、やはり、そこに、今の都道府県を大きく拡大した道州制というものを挟むことによって、三層制の方が結局は基礎自治体の自立性がより高まるのではないか、そういう考え方で進めていこうと考えております。

吉良委員 今のお話、特に規模、国と基礎自治体であれば、財政調整を含めていろいろな意味で調整が大変だということと、ある大きさ、規模を持たないとなかなか自主性、自立性が難しい、こういうお話だと思っています。

 その辺は一方で理解できなくもないんですけれども、やはり、十一、十二に分けようだとか四つだとかに分けようとかいう議論の前提は、どうしてもマクロの数字が先にありきだと思うんですよ。

 これはやはり、八〇年代半ばに、大前研一さんがある意味でオピニオンリーダーになったときに、九州の規模は人口からいってもGDPからいってもオランダと変わらないだとか、首都圏についてはカナダとかをしのいでいるとか、北海道についてはスイスの人口規模も変わらないとか、そういうことで随分議論を引っ張っていったと思っています。

 私自身は大前さんに非常に影響も受けたし、尊敬もしておるんですが、やはりマクロの、人口だGDPだが先にありきではなくて、どうやったらこの国の、私たちの国の活力を最大限に引き出せるのか、そして一人一人が、またその一人一人が一番身近に感じる地域がそれこそ自立をしていけるのか、この観点でもう一回議論をすべきだと私は思っています。

 私、きょう、なぜ質問に立たせていただいてこの議論をさせてもらうかと言いますと、繰り返しますけれども、地域主権ということに対しては全く異存がありません。どんどん進めていっていただきたいというふうに思っております。ただ、それがいきなり即道州制だ、道州制担当大臣がいて、道州制ビジョン懇談会があって、その先に道州制基本法が見えて、道州制先にありきということはもう一度見直していただきたい。ここに、三層制の議論、方向性と同時に、二層制についても同じ重さで議論をしていただきたいという思いがあるわけなんです。

 先ほど私は、依存から自立へというのが、この国全体が活力を取り戻すためのキーワードだということを申し上げました。その際に、これは、私自身が今大分選出、大分の議員でありながら、言いづらいことではありますけれども、例えば九州州ができたならば、残念ながら、大分、宮崎等、基本的なインフラが整っていなくてかつ財政的に弱いところは、今度は霞が関ではなくて福岡に、東京ではなくて福岡に依存し始めるんです。恐らく、これも失礼ながら、山形だとかそういうところは仙台、宮城に対しての依存が、東京から方向が変わるだけなんだろうと私は思っています。

 そういう意味で、肌で感じられる、経済圏と生活圏がある程度一体化したような地域が自立する、自立させるという方向に持っていかない限り、今言った、この百四十年間に、残念ながら、時の、世界的な環境、日本を取り巻く環境はあったにせよ、中央集権を徹底して、その間に、地方は中央に依存するというこの依存体質、地域も人の心も、残ってしまっているこの依存から抜けられないんだろうというふうに思っております。

 もう少し具体的に話をさせてもらいますが、鳩山大臣は、今、福岡、久留米は六区ですか、選挙区でありますので、隣の大分県についてもある程度御理解いただけると思うんですが、私が想定しております基礎自治体というのは、実はある意味で大分県全体が基礎自治体というイメージなんです。

 ただし、生活圏と経済圏が一体化しているという感覚からいきますと、これまた自分の地元の県の一部の地域、名指しで申しわけないんですが、福沢諭吉の生まれた中津だとか、その隣の宇佐だとか、この辺は、ある意味では、昔で言う豊前です。経済圏も生活圏も、ある意味では豊前との方が大分市よりも非常に近い。したがって、北九州豊前圏、これができると、恐らく大分の県北の方はそちらの基礎自治体につくんだろう。

 また、先生の御地元に近い、大分の中の日田という地域は、これもまた、文化圏も、ある意味ではもう福岡に近いんです。そういう、経済圏と生活圏が一体になった地域という感覚でいきますと、恐らく日田が福岡につき、まあ筑後圏につき、そして中津、宇佐が北九州豊前圏についていく、そうではない地域が、大分県というよりも、新しい基礎自治体、大分市というのか豊後市というのか、そういう存在になろうかというふうに思っているんです。

 今、何のかんの言いながらよく議論に出てくる、小選挙区三百でいいじゃないか、この議論は全く成り立ちません。なぜならば、一区というのは、大概が県都が一区であって、それ以外のところを人口で分けているわけですから、自立していこうと思えば、ある程度の中核都市が必ず必要であります。

 そういう意味で、中核都市を含んで、またそこを中心とした経済圏、生活圏というのが一つの基礎自治体になるような、そういう、新たな二層制における基礎自治体というのが私がイメージしている姿であります。

 ですから、先生の福岡というのは、福岡県民、またその周辺の人からしてみると、また大きな選択を迫られる。というのは、福岡県一帯が、周りの一部の大分だ、佐賀だ、場合によっては熊本の北部だを包含した形で一つの基礎自治体となるのか、それとも、福岡の中で北九州豊前圏、そして福岡県、久留米、大牟田を中心とした筑後圏、そういうのがある程度分かれて自立していくのか、こういう議論はあろうかと思うんです。

 いずれにしても、生活圏と経済圏、そこに住む人たちが肌でさわれる地域が一つの基礎自治体になるべきで、そこが自立をしていくような財政調整のあり方、権限、財源の分配をしていくというのが新しい時代の基礎自治体の、そして基礎自治体と国の二層制のあり方であろうか、このように思っているわけなんですけれども、このような考え方について、大臣はどうお感じになるでしょうか。

鳩山国務大臣 非常に精緻な議論をされて、しかも大分県、福岡県にわたることでございますから、私も土地カンがないわけではありません。

 正直言って、かんぽの宿問題で日田のかんぽの宿に参りましたけれども、私の選挙区であるうきは市からは本当に十分、十五分というところでございます。私の事務所にかつておりました岩屋毅君が、別府を中心とした選挙区におります。岩屋代議士のところに時々行きますから、別府、あるいは場合によっては大分市に行ったこともありますけれども、日田のかんぽの宿に泊まったときには、まあうちの地元の延長だなという意識を持っています。

 それは、今先生のおっしゃった筑後地域、筑後川のさらに上流へちょっと行っただけですから、ある意味でいうと、流域というのが一番まとまりとしてはいいんだろう。これは、安田喜憲先生という、国際日本文化研究センターの教授の方は、日本全国を、今先生のおっしゃるような意味での基礎的自治体あるいは基礎自治体に分ける場合には、流域単位で全部編さんしていけばいいんだということをおっしゃって、なるほどそうだ。やはり日田というのは私が生活している久留米の上流域に当たるわけですから、全くそういう感覚というのはある。

 ですから、今吉良先生がおっしゃったような形で基礎的な自治体ができていくというのも一つの考え方で、それを包摂する概念として九州州か九州道というのがある。今の都道府県の県境というものが取っ払われて、そして九州が一つになって、そして今先生がおっしゃったような形で基礎自治体がある、これも三層制になるわけですけれども、そんな考え方はどうなのかな、こう思います。

 ただ、私は、かつて東京の議員でした。今は福岡の議員でございます。それは、東京と福岡六区ではさまざまな行政事情が全然違うから、いい勉強をしているとは思うものではありますが、でも、やはり九州州か九州道ができると、多分州都はこの辺ではないか、うちのあたりではないかという、ややおごった気持ちがあるかもしれません。

 この間の日曜日の朝、たまたま御党の大久保勉議員と私と二人だけで大きなお祭りに行ったわけでございます。その際に、お祭りですから、私は普通にあいさつをしましたけれども、大久保勉参議院議員があいさつをして、私は実はこの近くで生まれました、鳩山総務大臣が今は久留米におられます、私は、道州制にして、道州制になったら必ず今我々が立っているここが州都ですからねという演説をされると、やはりそれは拍手がわく。こっちもうれしく思う。ちょっと、やはり九州の中で、福岡県なものだからそういうエゴがあるかもしれない。本当はそれを捨てて考えないと、どうせ州都はうちに来るだろうというおごりがあったら、もはや本当の道州制の議論はできないのではないか、そういう反省はします。

 ですから、私は、先生がおっしゃったような意味での基礎自治体の姿というのはすごく重要だと思う。それを包摂する道とか州があっていいのかなというふうに考えてしまうんですが。

吉良委員 先ほども名前を出されました、今の座長をやられている江口克彦先生、私も大変尊敬をさせてもらっていますし、先生の論には賛意を表するものなんですが、江口先生の本の中でも、そしてまたこの道州制ビジョン懇談会の中でも、やはりEUというものを一つのモデルとして議論をされております。

 私は、州政府が、道州政府が先にあって、その下に基礎自治体があるという形ではなくて、基本は国と基礎自治体、自立できる規模の基礎自治体があって、その基礎自治体が、ある程度の歴史的、文化的な共通性だとか、それからまさに地理的な共通性だとか、そういうものの中で広域連合というものをつくる。逆に、ドイツだフランスだというものはなくならない中でEUをつくっていく、そういう形の二・五層制とでもいいますか、それが最良の形なんだろうと。

 繰り返しますけれども、やはり道州制政府が先にあると、どうしても、今までおくれた地域は、その中で進んだところに依存をしてしまう。もう一つ言えば、大分の人たちが九州州で集めた税金が、鹿児島県の川内で使われています、指宿で使われていますとか、諫早で使われていますとか、この辺のところはやはり肌感覚ではないんですね。これは、中央集権の弊害ということで、さんざんこの懇談会の中でも、また江口さんの本の中でも言われている受益と負担の関係、この弊害を取り除くというときに、東北が一固まりになろうが九州が一固まりになろうが、やはり残ってくる問題だというふうに思っているんです。

 そういう意味で、繰り返しになりますが、地域で自立をしなければいけないという最小単位で、かつ経済的に自立できる地域を基礎自治体にする、そこにとにかく自立を促していく。そして、それを、ある意味では地域的なつながりで、おっしゃるように道路もそうですし、いろいろな社会インフラ、新しい基礎自治体の範囲ではとどまらないところもたくさんある、そこについては広域連合でEUみたいなものをつくっていく。そういう考え方で、ぜひ、繰り返しますけれども、私のきょうの唯一の趣旨は、先に道州制ありきではない、地方主権という国の形についてはいろいろな考え方がある、形がある、その中で、私自身は、二層制、そしてその中で、今言った広域連合をつくって、EUみたいな形を一つの道、州としていくべきだということを主張しているわけであります。

 そういう意味で、きょう鳩山大臣にぜひお願いをしたいし、かつお答えいただきたいことが、道州制ビジョン懇談会というより地域主権型国づくりのビジョン懇談会であり、地域主権型の国づくり、その担当であるということで、道州制と同時に、二層制についての比重を、同じ比重でもって検討いただきたい。私にしてみればこちらを優先してもらいたいぐらいですけれども、その辺についての見解を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 私は、今まで申し上げてきたようなことで仕事をいたしておりますが、初めに道州制ありきだ、目標にはしているわけですけれども、道州制というものに持っていく、もうこういう形にするんだというふうにすべて決めてかかって地方分権を考えるという態度はとっておりません。むしろ、地方分権改革推進委員会二次勧告、これだって実現するのは三年がかりで大変なことなので、そうしたものをやっていく中で、その先に道州制というのを見詰めているわけですけれども、その道州制だって、先ほど申し上げたように、いろいろな形があり得るわけですから、それはあくまでもフィードバック、フィードバックで物を考えていきたいと思っております。

 それから、ちょっと私の独特の考え方かもしれませんが、二重行政の無駄を排除するとかあるいは国のスリム化を図るということは大事でございますが、二層制にしても三層制にしても、国の形を考えて、まさに吉良先生おっしゃる依存から自立というか、地域地域のそれぞれの個性豊かな発展というものを考えた場合には、効率性だけで物を考えてはいけない。効率性だけで物を考えると、それは文明とかその地域の文化というものが破壊されるから、そこにまた非常に難しい問題がある。

 私があえて市町村合併について、これはもちろん自発的な平成の大合併であっても、基礎自治体が少なければ少ないほどいいんだ、まだまだ千七百というのは多いんだ、どんどん少なくしろという議論に簡単にうなずくことをしないのは、それぞれの町や村に風土がある、まさに和辻哲郎さんの言う風土論なんです。そこにある風土は人の心までもある程度決めているものだ、だから、喜び方もA村とB村では違うということもあり得るわけですから、それを大切にすることが本当は地方自治のもう根本の根本にあるんだろう。

 ただ、効率性も必要、行政のシステムも必要ということで、いろいろな形でまとめ方があるわけですから、基本には私は風土論ありと思って、一番小さな単位から考えて発想いたしておることを申し上げておきたいと思います。

吉良委員 地域経営についても話をしたかったんですが、もう時間を使ってしまいました。

 今の鳩山大臣の風土論ということについても全く異を唱えるものではない、むしろ私はそれに全く同感であります。今九州に偏った話をさせてもらいましたけれども、その風土の延長が、極端に言うと奈良時代の国にあるというふうに思っています。ですから、豊後だ豊前といった時代、武蔵といった時代、ある程度そこは、本当にその経済、文化が一体性を持ったところが国になっていたんです。ですから、私自身は、そういう、まさに大臣がおっしゃった、風土が共通性を持てるようなところが中心になって、あとは現代的な生活圏、経済圏をどう考慮していくか。

 昔の、奈良時代の国でいきますと、七十五、六、八十弱だったというふうに了解しています。ただ、出羽の国なんかというのは今の東北地方全体を包含しておりましたから、そこをもう少し小さくしていっても、恐らく八十から百ぐらいになるだろう。それとまた、この関東圏といいますか首都圏をどう扱うか、直轄州にするのか、そういう議論はありましょうけれども、基本的には、おっしゃった風土、その辺を大事にしながら、経済圏、生活圏が一体する地域が自立できる地域、ここを基礎的な自治体にして自立させることが、この国を繁栄させる、復活させる唯一の道だと私自身は信じて疑いません。

 最後になりますけれども、先日、東南アジアに行って、シンガポールのリー・クアンユー元首相に会ってまいりました。外国人を入れても四百数十万人しかいない国が、今やGDPでは日本を追い越して、アジアナンバーワンの国になっております。四百万そこそこの人口でもアジアナンバーワンになり得るということを強く感じました。

 そして、リー・クアンユー元首相が我々に言ってくれたことは、日本人に対して、ユー シュッド ハブ コンフィデンス イン フューチャー、将来に自信を持ちなさい、あなたたちはやれるというメッセージだったというふうに思っておりますけれども、私は、シンガポールというあの小さな国がアジアナンバーワンになっている、このシンガポールのような国が日本に二十、三十、四十、今言った八十、百集まった国になることが、日本が一番活力があり、幸せな国になる形だろうというふうに思っております。そのことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 きょう、松野文部科学副大臣がお越しですが、もう事前に聞いていらっしゃると思いますので、冒頭、年齢詐称問題について、若干、今の経緯とこれからの文部科学省の対応だけ簡潔に聞かせてください。

松野副大臣 先生御指摘の、実際の年齢と異なるセネガル人留学生を含むバスケットボールチームが平成十六年のインターハイに参加をした件についてでございますけれども、既に市村委員の方から、昨年の十一月十九日の文部科学委員会、十二月十二日の本委員会において質問をいただいております。

 その後、全国高体連は、当該学校に関して、当時の関係資料の提出を求める等厳重な調査を今行ったと聞いております。また、全国高体連では、従来、指導規定のルールが明確ではなかったという点がございましたので、そのルール、指導規定を定めるとともに、三月三日に、加盟校に対して、年齢等の大会参加資格の確認を改めて周知徹底したところであります。

 今後、今回の件につきましても、決められました指導規定に基づきまして、指導委員会で、当該学校への指導内容が審議をされるというふうに聞いております。

市村委員 この件につきましては、本当に子供たちの心の問題につながる問題でありますから、教育基本法改正というよりも、まさにこういうことをしっかり正していくということが大切だと思いますので、よろしくお願いします。

 副大臣はきょうはこれで。もしよかったら議論を聞いてください。

 それでは、官房長官、私はきょう、議論というよりも、一つ大変深刻な問題だと思うことをいろいろとお話をさせていただきたいと思います。

 というのも、一人の国家公務員が、今、三月いっぱいでこの国家公務員としての立場を去ろうとしています。もちろん、それは、人それぞれいろいろな都合がありますから、国家公務員、ずっと一生これの立場を続けるということよりも、ほかの道に行きたいということがあって国家公務員をやめていく方もたくさんいらっしゃいますし、やめて今政治の世界に入っていらっしゃる方もいらっしゃいます。

 しかし、きょうは、資料にもお配りさせていただいていますが、具体的なケースとして、いろいろお話をさせていただきたいと思っています。

 小越健二さんのケースでございます。小越さんは、今現在国家公務員でいらっしゃいますし、三月いっぱいで退職の予定ということでございますが、小越さんが何で退職に至ったのか、ここが問題なんです、退職に至らざるを得ない状況になったのかというのが問題なんですね。

 もちろん、自分の思いで国家公務員の道を去りたいというのであれば、これは別にここで私が議論する必要はありません。しかし、私がいろいろお聞きしていますと、これは余りにもちょっとないんじゃないかなというケースであると思いますし、私はこの内閣委員会にもう五年以上所属させていただいておりますが、この間公益通報者保護法という法律を議論させていただきまして、かつ、これはもういつだったかな、ちょっと忘れましたけれども、この法律が施行されております。

 今回のケースがこの公益通報者保護法にぴったり当てはまるかどうかというのはなかなか難しいかもしれません。しかし、この公益通報者保護法の精神にはかなっている、私はこう思うケースであります。ですので、きょうは、公益通報者保護法の精神にのっとって、私が外部通報を受けたという立場でこの話を議論させていただきたいと存じております。

 小越さんは、人事院がつくられた自己啓発等休業制度というものを利用しようとされました。十六年間国家公務員としてお勤めになられて、やはり自分のスキルアップを図りたい、こういうふうに思っていたところに、こうした自己啓発等休業制度というのを人事院さんがつくられた。

 この制度は大変いいと私は思います。やはり一度国家公務員になっても、例えば、今、学校の先生の世界でも、お医者さんの世界でも、いわゆる一回試験を通ったらいいのかという話が議論されています。この行方はどうなるかわかりませんが、国家公務員についても、そのまま一回通ったらそれでいいのかということも含めて、やはりそれは議論があると思います。

 その中で、みずから、スキルアップを図らなあかん、十六年勤めてきて、これでいいのか、そういう思いの中で、この人事院さんがつくった自己啓発等休業制度というのを利用して、三年間ロースクールに行きたいということで申請を出したわけであります。ところが、結果としては不承認ということで返ってまいりました。

 官房長官、実は、きょうの資料にもありますが、この不承認をされたときのお名前は官房長官のお名前になっております。ここでちょっと確認させていただきたいんですが、官房長官は、このケース、直筆のサインのようなものがありますけれども、これは官房長官のサインでいらっしゃるんでしょうか。まず教えてください。

河村国務大臣 これは内閣府の規定がございまして、このケースについては内閣府の専決規定がございます。これは、官房長が決裁をして、いわゆる任命権者はだれであるかということをここでは明確にする必要があるわけで、任命権者が官房長官ということで名前が書いてありますが、私みずからが署名したものではありません。

市村委員 私、初めてこういう文書を拝見させていただいたんですが、いかにも官房長官がサインしたかのようなサインなんですね。これはこれで、この問題はあると思います。これはきょうの課題ではありませんので、また改めて、後日機会があればこういうのも議論させていただきたいんですが、官房長官はお知りにならないということでございます。

 それで、官房長官、きょうの議論を聞いていただいて、ぜひとも最後に官房長官の御判断をいただきたいと思います。

 私は、こういう思いのある国家公務員がなぜ去らなくちゃいけないのか。この制度を使いたい、それだけの気持ちで申請したものが、なぜやめざるを得なくなってしまったのか、このことについて今から議論させていただきますので、ちょっとお聞きください。

 では、内閣府に問いますが、なぜ不承認なんでしょうか。なぜ不承認なのか、官房長官はお知りになりません。これは人事のことだからと言わないでくださいね。これは公益通報者保護法の精神にのっとって外部通報を受けたということですから、しかも、個別具体的な名前を出して議論をしていますから、個別具体的にお答えください。

浜野政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の自己啓発等休業制度につきましては、私どもも、国家公務員に自己啓発、国際協力の機会を提供する有意義な制度だというふうに認識をしてございます。

 しかしながら、本件につきましては、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律第三条の休業の承認の規定に基づきまして、内閣府におきまして慎重に検討を行った結果、公務の運営に支障があるということで不承認としたものでございます。

市村委員 その公務の運営に支障があるの中身を具体的に教えてください。特にこの小越さんのケースで、小越さんがどうなったらどう公務に支障があるのか、そのことを個別具体的に教えてください。

浜野政府参考人 御指摘でございますが、個別の人事案件でございますから、人事管理上、詳細について申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、人事院の事務総長の通知というのがございます。平成十九年七月二十日に通知されているものでございますけれども、これによりますと、請求をした職員の業務の内容及び業務量、業務分担の変更、職員の採用、昇任、転任または配置がえ、非常勤職員の採用等の措置の可否等を総合して判断すべきものとされております。

 これにのっとって判断をしたものでございます。

市村委員 また後ほど、個別具体的にもう少し教えていただけますか。

 人事院さん、きょうお越しだと思いますが、今のでいいんですか。この自己啓発等休業制度を入れた精神からして、今のような内閣府の対応で人事院は了とされるんでしょうか。

川村政府参考人 お答えさせていただきます。

 自己啓発等休業についてでございますけれども、この休業は、自己啓発等休業法におきまして、職員からの請求に基づきまして、公務の運営に支障がないと認められるときは、当該職員の勤務成績などを考慮しまして、任命権者が承認することができるというふうに法律上されているところでございます。

 それで、この公務の運営の支障の有無の判断でございますけれども、これは運用通知等で定めてございまして、自己啓発等休業の請求に係る期間につきまして、請求をした職員の業務の内容、それから業務量、業務分担の変更、それから職員の採用とか転任等、それから非常勤職員の採用など、請求をした職員の業務を処理するための措置の可否等を総合して行うということになっております。

 こうした事情を考慮して、業務の状況を最もよく承知しております各府省において承認について判断されるべきものではないかというふうに考えております。

市村委員 いや、一般論はいいんです。だから、こういう自己啓発等休業制度を入れた人事院の志というか思いは、今みたいな話、こんなことで一人の国家公務員がやめなくちゃいけないような状況に陥っているということになるようなことでいいんですかということをお聞きしているんです。人事院はそういう思いでこういう制度を入れたんですかと聞いているんです。その制度の内容よりも、その思いを聞いているんです、思いを。お願いします。

 これでいいんですか、こういうことが、事態が発生していいのかと聞いているんです。

川村政府参考人 自己啓発等休業でございますけれども、職員が、いろいろな勉強とか、それから国際関係のそういうような経験をされるということで、いろいろそういうような活動をされて有意義なことをされるということのために今つくられているわけですけれども、一方で、休業制度でございますので、長期間職員が職務を離れるというようなことになります。

 ですから、やはり、それが業務との関係で、公務の円滑な運営に影響がないかどうかということも考えなきゃなりませんので、やはりそれとの兼ね合いを、一番事情を承知されております任命権者の方において、その辺を総合的に判断していただくということだろうと思います。

市村委員 内閣府にまた聞きますが、やはりこれは個別具体的なケースを出しているわけですから、個別具体的に、どう支障があったのか、皆さんのわかるように答えてください。何でだめだったのか、皆さんが納得するように答えてください。

浜野政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたように、私どもとしては、人事院事務総長の通知にありますような諸条件を加味して総合的に判断をしたものでございます。

市村委員 ちゃんと答えてください。だから、何で、どういう支障か具体的に答えてください。個別具体的に私は名前まで出してお聞きしているわけですから、個別具体的に答えてください、どういうことだったか。お願いします。

浜野政府参考人 たびたび同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、今御指摘のケースは、私どもも、確かに、先生御指摘のように、本人が意欲を持って勉強したいということでありますから、そういう御本人の気持ちというのももちろんございます。

 他方で、先ほど来申し上げていますように、公務に支障がないかという意味で、彼の仕事をやるということについていろいろな可能性も検討いたしましたけれども、そういう意味で慎重に検討した結果、最終的に不承認ということになったということでございます。

市村委員 いや、その検討の経過を教えてくださいと言っているんです、検討の経過を。具体的に何がだめだったのか。

浜野政府参考人 例えば、先ほどの通知の中にもございますように、今御指摘のありましたケースについて、だれかほかの人を充てるとか非常勤職員を採用するとかといったようなことによって業務の支障が生じないというようなことにならないかということも検討いたしましたけれども、それは、なかなかそうもいかないというようなことでございました。

 いろいろな要素を勘案しておりますので、個別具体的にすべて申し上げることはできませんけれども、私どもとしては、誠意を持って検討したつもりでございます。

市村委員 その今おっしゃったいろいろなことを、中身を教えていただきたいんです。どういう検討経過を経て不承認になったのかということを教えていただきたいと私は言っているわけです。

 これは個別具体的な案件ですから。これは人事のことじゃないですよ。もちろん、人事のことに私が口を挟めるはずないじゃないですか、人事のことには。だから、私は、個別具体的な、公益通報者保護法の精神にのっとって、外部通報を受けた者としてお聞きしているんですよ、個別具体的に。だから、個別具体的にお答えください。どういういろいろな議論があったんですか。いろいろの中身を教えてください、いろいろの中身を。

浜野政府参考人 また一般論的で恐縮でございますけれども、ある人が長期の研修で仕事ができないということが発生しますと、結局、その仕事をだれかほかの人にやってもらうか、それ以外の人が分担して仕事をするとか、そういうようなことによって対応することにせざるを得ないわけでございます。

 人事当局としては常にそこは悩ましいところでございます。先生がおっしゃるように、その職員のスキルアップを図って、組織全体としての力を高めていくという要請がもちろんございますし、他方で、日々の業務、御案内のように内閣府も多様な業務を抱えておりますので、そういうものを総合的に勘案した結果、不承認とさせていただいたということでございます。

市村委員 官房長官、本当はもうちょっと議論を聞いていただいてから官房長官と少しお話しさせていただきたかったんですが、この制度は、実は給料は払わないでいいんです。二年ないし三年、要するに休業して、その間、一切国の給与負担はありません、ゼロです。しかも、定員も、一人抜けたら、二人抜けたら、その分は補充していいとなっているわけですね。だから、ある意味で言えば、今の全体的な国家公務員の中の働きについては、そういう影響を与えないように制度があるわけですね。人事院さん、そうですよね。しかも、内閣府で去年は申請が一人だけなんです。これ自体も、この休業制度がどこまで行き届いているかという問題にもつながるんですけれども、たった一人なんですね。

 このケースで、私、先ほどから公務の支障とかおっしゃっていますけれども、実は本当はもうちょっと、もっと言いたいことがありますが、ここで官房長官、率直に、一人の人として、一人の政治家として、官房長官のお立場もありますが、どう思われますでしょうか。

 こういうケースを認めない、しかも公務に支障があるとかいうあいまいな理由で認めないとすれば、そもそも自己啓発等休業制度自体が何のためにやるのかという話でありますし、私は、結果としてはとても罪つくりな制度になってしまったなと思うんです。この制度がなければ彼もこういう申請をしようという気にならなかったでしょうし、このまま国家公務員として道を歩んだかもしれません。しかし、ああ、いい制度ができた、ではこれを利用したいと申請してみたら、とてもあいまいな理由で不承認、しかも官房長官の名前まで使われて不承認となってしまったということなんですが、官房長官のここまでのことへの率直な思いをお聞かせいただけませんでしょうか。

河村国務大臣 これは私も伺っていて、この制度そのものは僕はいい制度だと思うんです。公務員の皆さん方も、みずからをスキルアップしたい、あるいは海外でボランティアをやってみたい、いろいろな夢がありましょうから、できるだけその夢を実現していただく、その方向で制度があると私も理解をいたします。

 ただ、個々のケースについて、これはなかなかいわく言いがたしの面もそれはあろうと思います。個人とのいろいろなやりとり、それから、これは一回だけでなく何回もずっと積み上げて議論をした結果の結論だと聞いておりますので。

 ただ、それは今は難しい、しかし、もうちょっと待って後の交代が用意できれば、その次の機会を見ようとか、いろいろなやり方はあるだろうと思うんです。

 どの時点からこれがスタートしたのか、ずっと前から言ってあってということなのか、もうちょっと、私も詳しいことは聞いておりませんが、少なくとも、この制度を運用するについての規定に沿っていろいろやりとりをした結果、今回は我慢してくれということになったんだというふうに私は理解をし、特に配置転換等もあって、余人をもってかえがたい。それから、この方の、今ありましたが、国会連絡室の担当ですから、これはなかなか向き不向きもありましょうから、いろいろなことも考えての結論だと思いますが、できるだけ本人の意向を十分踏まえて努力してあげるというのは、当然またそういうものだと私も思います。

 それから、これはこれでまた議論しなきゃいけませんが、市村先生がさっきから公益通報者保護法の精神に基づいて、あの法律の精神に基づいて、こうおっしゃっておりますので、私も、この保護法の考え方もどこまで適用するのかということもちょっと考えませんと、これは、私が知る限りは、公益通報の対象というのは、個人の生命、財産、身体、いろいろなことで、職場とかいろいろなところで問題がある、犯罪行為がまさに起きようとしている、これは犯罪行為だと思うようなことについて通報する、それについては保障されるというのがこの精神だと思っておりましたから、今のようなケースはちょっと拡大になっているんじゃないか。

 ただ、本人の、公務員の身分ですから、それを保護してあげる、それによって、そんなことをやったからそれで解雇するとか、そういうことはあってはならぬと思いますが、公益通報者保護法の精神、大きな精神かもしれないが、この対象というのはどこまでかというのは、やはりこれはきちっと押さえておかないとという感じはします。

市村委員 まさに公益通報者保護法のというより、私は、精神にのっとっていると。私はここの場で議論しましたから、こういうケースも含めなければならないと私は思っております。

 官房長官、本人はやめるという覚悟です。しかし、なぜやめるという覚悟に至らざるを得なくなってしまったかということが問題なんですね。だって、これだけ思いを持って、自分をスキルアップして、国家のためにまた戻ってきて尽くそうと、ロースクールへ行って資格を取って尽くそうと言っている人間というのは立派じゃないですか。こういう国家公務員が去らなくちゃいけなくなっているわけですよ。これが私は問題なんですね。

 それについて、官房長官、どう思われますか。これはいいんですか。こういうのは、こういうことで去らせていいんですか。こういういい制度を利用しようとしただけで、結果として去ることになってしまうというような結果になってしまう。これで本当に官房長官はよしとされるんでしょうか。

河村国務大臣 本人が去らなきゃいけなくなった決断については、そこまで私の方が言えませんが、どういう決断をされたのか、どうしてもそうせざるを得なくなったのか、また、さっき申し上げたように、もうちょっと待つことはできなかったかとか、その辺の判断は、どの程度相談に乗って、本人もいろいろ考えての決断ですから、それは個人の決断は尊重しなきゃいけませんが、有為な公務員が去っていくということはやはり残念に思いますよ。思いますが、最終的には、これは本人の決断、自己責任、そういうものでやっていただくしかないのではないかというふうに私自身は思います。

 しかし、その先、本人の決断が、今度はどう生きていくかということを、今の気持ちとしてはエールを送りながら、新しい道で、それは本人が決断されたなら頑張ってほしい、こういう気持ちでおります。

市村委員 もちろん御本人はそういう気持ちでおられると思います。ただ、結果としては、自分からやめていく形になってしまっているわけですね。

 でも、公益通報者保護法というのは、結局そういう形に追い込まれていくことも含めて、我々が守ってあげよう、外部で守ってあげようという話じゃなかったんですかね、その精神は。だから、やはり、それは直接やめろとは言いませんよ、多分。おまえがやめたんだよという形にするんですよ。だから、そういう問題が起こってきて、しかし、個々人は弱いわけですね。なかなかこうやって議論できる人間はそういません、はっきり言って。やはり、言われたら、だんだん、もうやめようかな、やめざるを得ないなと、そこに追い込まれていくんですね。しかし、本人は言えない。だから法律的に守ってあげようということじゃないんですか。そういうことが公益通報者保護法の精神であると私は議論していて思っています。

 だから、今回のケースも、それは今はもう本人はさばさばしていると思いますが、結局こうなってしまった経緯、きょうは時間ないですから言えませんが、彼は去年の七月九日から動いているんですね。本当は、これは制度的には一カ月前でいいんです、制度は一カ月前です。しかし、それは一カ月前じゃおかしいだろうといって、人事院の制度は一カ月前なんですよ、でも、もう八カ月も前から、やはりそれは後任のこともあるしということで、彼も彼なりにおもんぱかってやっているわけですね。

 しかも、人事院にも行く、内閣府の中のいろいろな部署にも行って、ちゃんと相談しているわけです。いわゆる公益通報者保護法で言う、まず内部に相談するということをちゃんとやっているわけですね。

 その上でこういうふうな結果になってしまっているということが問題で、国家としても、いい人材をこれで失うということで本当にいいのか。そんなためにこの自己啓発休業制度はあったのか。先ほど申し上げたように、罪つくりな制度になっちゃっているわけですね。私は、これ自体はいいと思っています。しかし、これを利用しようとした国家公務員が結局やめざるを得ないところに追い込まれる、私は追い込まれたと思っています。本人はそんな言いません。けれども、私がどう聞いてもそういうふうにとるしかない、とれないんですよ、そういうふうにしか。ああ、追い込まれたんだなと。御本人は、いやいやと、さばさばされていると思いますが、これもすばらしいと思いますけれどもね。

 でも、これでは、僕は、本当の意味でいい国家公務員を育てることにならないと思います。こんなことで、みんなが萎縮して、せっかくいい制度も利用できないような話で、それで何か、いい職場なんでしょう、これは。そういうことを含めて、官房長官のお立場であられる河村官房長官には、こういう問題点があるということをぜひとも御認識いただきたいんです。

 そして、実は、官房長官、サインのようなものが書いてあるんですね。これもいかがなものかというふうに思います。

 これでやめますが、一つ、これは申し上げておきますが、単に人手が足りないというだけじゃなくて、こういう発言も人事課長さんがされています。これは後で、もし異論があったらおっしゃってください。内閣府の職員に対しては法科大学院のような先端的な能力を求めていない、こういう理由づけをされています。内閣府の皆さん、怒った方がいいですよ。こんなことを言われたんですよ。内閣府の職員に対しては法科大学院のような先端的な能力を求めていないということを理由にしています。これはちゃんと彼が出している文書に載っていますから。こういうことも言っているんですね。言われていますよ。

 まず、でも反論があったら言ってください、反論があったら。そのことを最後に指摘して終わりますが、一言お願いします。

河村国務大臣 これは今度、内閣人事局、そういうものをつくっていきますが、やはり国家公務員、有為な人材づくりということは非常に大事なことでありますから、今のような御指摘も踏まえながら、今後の人事管理には十分配慮しなきゃいかぬ、このように思います。

市村委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、馬渡龍治君。

馬渡委員 自由民主党の馬渡龍治でございます。

 きょうは拉致問題を中心に質問させていただきますので、河村官房長官、よろしくお願いいたします。

 昨年十二月十三日、拉致問題を考えるみんなの集い、御一緒させていただきました。あそこにお越しいただいた方が本当に強い思いで拉致の問題の解決をと思っていただいたと思います。ああいったことが全国各地で行われて、すべての日本国民が拉致に対する正しい認識を持っていただいて、ともに解決のために行動していただく、こういった啓発活動をぜひ展開していただきたいと思います。

 実は、その一カ月前に、私は名古屋でありますが、十一月に、拉致問題の解決を願う名古屋市民の集いというのを開催させていただきました。私の事務所のすぐ近くに、横田めぐみさんがお生まれになった病院があって、それを一昨年にお聞きしたときにびっくりして、そして、その地域の方々にそのことをお伝えすると、ほとんどの方が知らなかった。

 では、ここでひとつ集会をやりましょうということで、実は、民間の、町内会だとか子供会の御父兄だとか各団体の地域の方々に実行委員会をつくっていただいて、横田めぐみさんのお母さん、早紀江さんにお越しいただいて、公会堂で集会をやったところ、千五百人の方が集まっていただいて、そして、そこではじっくりと横田早紀江さんにお話をしていただきました。

 皆さん、本当にしいんとして、涙を流して聞いていただいて、その中で、横田早紀江さんが、めぐみさんがいなくなった当時、毎日のように自転車で、あちらにいないか、こちらにいないか、本当に死に物狂いで捜して歩いて、警察にも相談した、でも、全く取り合ってくれなかった、そういったことがずっと続いてきて、とうとう三十年を過ぎてしまった。

 その講演の中で、もう随分長い月日が流れて、私たちも年をとりました、一体いつこれが解決するのやら、最後まであきらめません、この思い出の土地に来て、本当は涙があふれそうですけれども、泣いている暇はないんです。そういう話を聞いて、ああ、一日でも早く解決してほしいな、そんな思いをいたしました。

 拉致問題は、今まで十二件十七名、未遂事件が一件二人いますけれども、最初に政府認定の拉致問題として明らかになったのが、昭和五十二年の九月の久米裕さんの事件であります。実はその前に、昭和三十八年五月に、石川県の寺越事件、これは極めて拉致の可能性を排除できない事件ということですが、仮に政府としての認定の最初の五十二年に拉致問題があったとすれば、それでももう三十一年、二年が過ぎようとしています。

 この間、肉親の帰りを待ち続けた拉致被害者の御家族の方も、残念なことに相次いでお亡くなりになっていて、最近では、昨年の十一月に市川修一さんの御母堂が御逝去なされましたが、一体何でこんなに時間がかかるんだろう、それから、これから先、一体どれだけ待たなきゃならないんだろう、そういう思いが皆さんおありになろうかと思います。

 政府には、内閣総理大臣が本部長を務められておりまして全閣僚がメンバーである拉致問題対策本部があります。その拉致問題担当大臣として河村長官が今五代目でおられるわけでありますが、このように政府を挙げて拉致問題の救出をしていこう、そういう体制が組まれたのが、事件発生後二十九年、まだ三年にならないわけで、何でこんなにその体制づくりがおくれてしまったのか。

 昭和六十三年三月に、実は、参議院の予算委員会で、当時の梶山静六国家公安委員長は、昭和五十三年の三組六人のアベック失踪事件を北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚であるという、いわば歴史的な答弁をされています。本来であれば、この後すぐに、政府が今の対策本部のような体制づくりをして、その解決に向けて取り組んでいくべきだったと思います。こんなにおくれている現状を見て、今まで拉致被害者の家族の方々がそれこそ血のにじむような努力をしてきて、報われない、そんな悔しい思いもあるんじゃないか、そう思うわけであります。

 そこで、昨年、麻生総理が就任直後に家族会の方々とお会いになったときに、ここまでかかった理由は、政府が本格的に取り組む体制をつくらなかったためだと語ったと聞きました。拉致問題は、国家の主権と国民の人権侵害の重大な問題でありますから、これについては政府が最優先で取り組むべき国家的課題であると思いますが、これについて官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。

河村国務大臣 馬渡委員がこの拉致問題の解決に先頭を切って頑張っておられることに、心から敬意を表したいというふうに思います。

 御指摘のように、この問題がここまで時間がかかっておる、我々としても一日も早くという思いを強く持っておるところでございます。拉致そのものというのは、これはまさに国家的主権を侵すものであり、日本国民の生命とまさに安全にかかわる重大な問題だ、人権侵害の問題だという認識、これは共通のものであります。やはりこの問題を解決しない限りは日朝間の国交正常化もないんだという強い考え方、これはずっと歴代内閣が持ち続けて、麻生内閣も一段とこの思いを強めておるところでございます。

 確かに、時間との闘いでもございます。一刻の猶予もないという思いもございます。こういう認識のもとで、拉致された皆さん方を一刻も早く救い戻すこと、これに全力を挙げたい、こう思っております。

 対策本部ができた時期については、遅きに失したという御指摘、わからぬことでもないんですが、ともかく国を挙げての体制が必要だということで、これは平成十八年にできております。今おっしゃったように、総理が本部長、官房長官が副本部長、全閣僚がここに入っておるわけでございまして、その中でも、対話と、またその対話を求めるための強い圧力、こういう両方の姿勢でさらにこれに力を入れていきたい、このように思っておるところでございます。

馬渡委員 もちろん、日本国としても、政府としても一日も早い解決をという思いはあろうかと思いますが、それが形になるように、ぜひ官房長官のリーダーシップをお願いいたしたいと思います。

 ところで、三月十一日に、金賢姫元工作員と飯塚繁雄さん、そして飯塚耕一郎さんとの面会が実現しました。これは大変なことだったと思いますけれども、これに対して、日本国政府と韓国政府が協力して実現したことに対しては、心から敬意を表したいと思います。

 世間では、マスコミではいろいろ言われていますが、この面会そのもので何かがわかったわけではないでしょうが、進展したというものがあったわけではないでしょうが、一つのヒントがあるのかな、そういうことを私は感じました。それは、元工作員の証言によると、八五年一月に海外実習から帰ると、田口さんは横田めぐみさん、そして同僚の女性工作員である金淑姫の三人で暮らしていたと聞いた、この時期に田口さんが結婚していた事実はないという証言がありました。

 北朝鮮側の証言では、八四年十月に、同じく拉致被害者の原敕晁さんと結婚していたということがありましたが、このことによって矛盾が出てきて、田口さんは生きているんじゃないかという思いがさらに強く持てるようになったのかな、そして、北朝鮮の証言がまた一つうそだったかな、こういったことが明らかになったことでも、この会談の意味はあったんじゃないかと思います。

 ところが、韓国のメディアが報じた内容は、一部では意外と冷ややかなものがあって、大韓航空機爆破事件で亡くなった百十五人の関係者の方に先に元工作員が会って謝罪をすべきじゃなかったかとか、北朝鮮の内部では、大韓航空機爆破事件というのは実はなかった、そういう論調も強いものがありますから、そういったことで、意外とこの面会そのものが冷ややかに見られていました。

 ところが、同じく拉致の被害に遭った韓国の家族会の代表の方、崔成龍さんのコメントによると、北朝鮮に一言も要求できずにいるのではないか、これは韓国政府のことですけれども、自国の国民が五百人近く拉致されているのに、これまで手ぬるい対応だったことに対し反省すべきだと指摘しています。

 一方で、これは韓国の大学の教授のコメントだったんですけれども、今回の面会が、韓国では拉致問題解決に対する国民的関心の第一歩になったんじゃないか、日本国内ではさらに関心を持っていただくことになったんじゃないかという発言がありました。

 御承知のように、韓国内には脱北者の方々がかなり生活されていて、今後、いろいろな情報を収集するに当たって、韓国政府との連携というのは必要じゃないかと思うんです。だから、これを契機に、ぜひ日本国政府として、韓国政府との連携を一層強化して、情報収集に努めて、この問題の解決へ進展が見られるようにすべきだと考えているんですけれども、官房長官はどのようにお考えいただけますか。

河村国務大臣 金賢姫工作員と飯塚さん御家族の面会というのは、長年の念願がかなって本当によかったと思います。私も、馬渡委員がおっしゃるのと同感の気持ちでありまして、これが全面解決の第一歩になるようにという思い、また、それを抱かせるに十分なものであった、こう思っております。

 と同時に、これからのあり方については、御指摘のとおり、韓国との連携が非常に大事だと思います。ことしの一月の日韓首脳会談でも、李明博大統領は、韓国にも多くの拉致被害者がいるんだ、北朝鮮はこの問題の解決に協力しなきゃいかぬ、日本と韓国は同じ考え方でいこう、こういうことを表明されております。そういう点からしても、この拉致問題のことについては一体となってやっていく、この第一歩が生まれたというふうに思っております。

 確かに、韓国には脱北者もおられます。そういう方々の情報収集をさらに進める、こういう点もあろうと思いますので、日韓関係、今こういう、進めなきゃいけない大事な時期に来ておりますので、その中でこの拉致問題も重要課題として連携を深めていきたい、このように思っております。

馬渡委員 ぜひお願いいたします。

 この面会の中でちょっと気になった元工作員の証言があったんです。北朝鮮の自尊心を傷つけないように相手の心を動かす方法を考えるべきだ、努力をすれば奇跡も起きる、北では死んだとされる人も生きていることがあるということなんですけれども、実は、ここの部分が何回も日本のメディアで使われて報道されていたんですね。実は、日本の国会にも、圧力ではなくて対話でこの問題を解決すべきだという議員の方もおられますが、私は、そうじゃないと思ううちの一人なんです。こういったことによってそういった世論が形成されたら困るなという思いを持ったんです。

 それを飯塚繁雄さんに聞いたんですけれども、当時の面会の状況というのが、あちらの当局の方も同席されていて、一言で言えば、余計なことを言うな的な雰囲気があって、なかなか言葉を選んで話をされていた中の言葉なので、この真意はわからないということでありました。

 日本の国としては、北朝鮮から拉致被害者の方が死亡したということを受けても、それを裏づける証拠というものは一切まだ出てきていませんから、生存しているという立場に立ってこの問題の解決を進めていくんだと思うんですけれども、なぜ死亡したということに北朝鮮がしなきゃならないか。これは、大韓航空機爆破事件のことが絡んでいるんじゃないかと私は今回の面会を通じて推測をしているんです。

 それは、要するに、李恩恵と言われていた田口八重子さんが金賢姫元工作員に日本語を教えていた、それから、もう一人の同僚の工作員金淑姫にも日本語を教えていたのが横田めぐみさんであるという証言がありましたから、今、現時点では、北朝鮮はこれに対して関与していないという立場をとっていて、韓国国内でもそれを支持する人たちがいるようなんですけれども、そうなると、もし田口さんが帰ってきたらそのことも全容が明らかになってしまう、だからそれは死亡したということにしなきゃいけない、そういうことを推測するんです。

 そうなると、家族会とか救う会など、拉致問題を早く解決したいと願う皆さん方は、この元工作員を日本に招いて、そして本当に自由に証言が得られるような環境づくりをしてほしいという願いがあります。私もそれは大変重要なことだと思いますので、もしこの元工作員が来日するような意向があったとすれば、拉致問題の解決に向けての証言を得るために、政府としてこれを支援する気持ちがおありになるか、官房長官の御所見をお聞かせください。

河村国務大臣 金賢姫氏を日本に招いて、改めてもっと聞きたい、もっと真実を聞きたいとおっしゃる拉致被害者の家族の皆さんとか支援団体、救う会、また多くの皆さんがそう思っておられることは、これはやはりしっかり受けとめなきゃいかぬと思っておりますし、また、そのことによって拉致問題の真相究明が進むという思い、これは私も共通の認識がございます。

 ただ一方、御指摘ありましたように、金氏が例の大韓航空機事件にかかわっておられたというわけでありまして、そのために、韓国国内における特殊な事情がある、本人のそうした気持ちがまずあるということ、それから一方では、あの大韓航空機爆破事件の御遺族のお気持ちというのもある、韓国側にも国内事情がございます。そうしたものを踏まえての韓国政府の立場というものも、我々も考えていかなきゃならぬ、また見きわめていかなきゃならぬ、こうも思っております。

 その上で、我々としても、金氏本人の特殊事情に関係するさまざまな法的な側面もあるわけでございまして、そうしたものも検討しなきゃいかぬ、こんなことですから、今の時点で政府としてすぐどうするということについてはお答えは差し控えさせていただいておりますが、いずれにしても、所要の調整、検討の上、まさに皆さんの御希望に沿うような形のものがどういうものがあるか、どういう形で取り組んでいけばいいか、適切な対応を心がけていきたい、このように思っております。

馬渡委員 先ほど申し上げた韓国政府と日本政府との連携、この中に、お互いに航空機爆破事件と拉致問題、これを共同して解決していこうという意思を発信すれば、私は実現が不可能なことではないと思っておりますので、そこはぜひ前向きにお願いいたします。

 続いて、昨年十月十五日に政府拉致問題対策本部が確認した今後の対応方針によると、現在、政府としては、北朝鮮に対して、人道支援の凍結措置、それから、万景峰92号の入港禁止を含む措置、北朝鮮のミサイルなどに関連する資金の移転防止などの措置、すべての北朝鮮籍船の入港禁止やすべての品目の輸入禁止を含む措置などを講じているとされています。同じく対応方針では、今後の北朝鮮側の対応などを考慮しつつ、さらなる対応措置について検討すると追加措置についても言及をされているわけでありますが、被害者家族の皆さん方は、昨年来、輸入の全面禁止、北朝鮮がチャーターした船の入港禁止、在日朝鮮人及び日本人の北朝鮮への全面渡航禁止などの追加制裁を求めています。

 北朝鮮は、昨年八月に約束した拉致被害者に関する調査のやり直しを、内閣がかわったということも理由にこれを破棄してしまいましたけれども、これに対しては、私は毅然たる対応が必要だと思います。現に、過去、調査をしますと言ったときに、例えば平成の九年とか十二年とか十六年などに向こうが求めていたのは、米とか資金の提供をその見返りに求めていましたが、何と、今回は制裁の軽減ということを求めてきた。これは私は、今日本国政府が制裁をしているその効果が出てきたという証左ではないかと思っています。

 そこで、四月十三日には、この北朝鮮籍の船の入港を禁止する、輸入全面禁止等の措置の六カ月ごとの見直しの期限を迎えます。調査のやり直しを一方的に破棄したことを受けて、この機会に追加制裁をすべきだと思いますが、その準備はありますでしょうか。

河村国務大臣 日本の対北朝鮮の制裁措置等のあり方、対応の仕方、これは政府部内でも不断に検討を続けておるところでございます。

 いずれにいたしましても、実際の対応をどうするかということになると、実は六者協議の問題もあります。それから、国連安保理のいろいろな動き、国際社会の動きもある。それから、今御指摘の拉致、核、ミサイル、こうした諸懸案がございますものですから、これに対する北朝鮮の対応等も踏まえながら総合的に判断せざるを得ないというふうに考えております。

 御指摘のように、四月十三日には現行の制裁措置の期限も来ます。これにどう対応するかということで、実は自民党の特命委員会の皆さんからもいろいろな御指摘もいただいております、御助言もいただいている。こういうことも対応を考えながら、まさに総合的に判断をしたい、このように考えております。

馬渡委員 今、自民党の拉致問題対策特命委員会からの追加制裁、経済制裁についてのお話もいただきましたので、これは省きますけれども、今度の、人工衛星なのかミサイルなのかわかりませんけれども、それについて、もしそうした場合には制裁措置を講ずる準備をしておくべきだと思います。もしそれを実行しなきゃならない場合になったときに、ぜひその中の理由の一つとして、拉致問題において北朝鮮が著しく不誠実な対応をしている、こういったことも理由の一つとして明記していただきたい、そう思うんですけれども、どうお考えになりますか。

河村国務大臣 北朝鮮の拉致問題が、当然この課題に私も入ってこなきゃいかぬ、こう思っております。

 ただ、例のミサイル計画については、もうすべてのそうした活動を停止すべきであるという国連安保理の決議もございます。これに違反してでもやろうとしていることについては、やはりこれは、まずこのような事態にならないようにすることが前提でありますから、日米韓の間でも連携をしながら今努力いたしております。そうしたものに対しても、安保理で取り組むというきちっとした姿勢を強く求めていきたい、こう思っております。

 一方、御指摘のような点も踏まえて、これからの制裁のあり方の中には今御指摘あったようなことも含めながら、総合的に対応を考えたい、このように思っております。

馬渡委員 最後の質問なんですけれども、平成十四年三月に閣議決定された人権教育・啓発に関する基本計画というのがあって、その中に、実は北朝鮮による日本人拉致問題のことが明記されていないんです。一番女性、二番子供、三番高齢者等、こう書いているんですけれども、十二番にその他とあるんですけれども、これだけ重大な事件の被害に遭った方々の人権また家族の方々のことを考えると、十二番のその他というのは余りにも軽過ぎるんじゃないか、そう思うわけでありますから、ぜひこの基本計画に拉致被害者の方々を明記していただきたい。

 ところで、これは十七年三月十日の参議院内閣委員会で、当時の細田官房長官は、これからの社会経済情勢の変化、国際的潮流の動向を踏まえまして、検討課題の一つとしてきっちり盛り込んでいくことを検討しますと答弁されて、あれから三年過ぎておりますけれども、なぜこれが入らないのか、不思議なんですね。

 それから、学校教育でもっと拉致の問題というのを取り上げていただけるようにやっていただきたい。例えば、映画「めぐみ」の上映会を実施した学校が今どのぐらいあるのか。政府としては、これを何か、取り組んでいくと共催を呼びかけているんですけれども、どれだけあるのか。そういったところがもうちょっと拡大するように力を入れていただきたいと思います。

 そこで、この拉致問題を国家的課題として政府が力を入れていただきたいし、それを形にしていただきたい。それにはまず、基本計画に拉致問題のことを明記していただきたいんです。それによって日本国民が拉致問題の正しい認識を持っていただくように、十分な啓発活動が展開されるように取り組んでいただきたいと思います。

 これについての官房長官の御所見をお聞きします。

河村国務大臣 拉致被害者に係る人権課題、これは御指摘のとおり、平成十七年の三月十日の参議院の内閣委員会で、当時の細田官房長官が明確に盛り込む方針と答弁されております。

 拉致問題につきましては、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律及びその基本計画に基づいては、さまざまな取り組みをやっております。人権教育及び人権啓発の推進に関する法律第八条に基づく年次報告書、白書がございますが、この中にも盛り込まれておりますが、政府が取り組むべき人権課題であるとの位置づけも明確になっております。

 基本計画については中長期的な展望のもとで策定されておりますので、御指摘のように、もう既に七年たっている。それから、拉致問題のほかにも、年次報告書においては、新たな人権課題もたくさん出ております。それから、啓発活動については、費用対効果の観点から効果検証を行って、効率的、効果的に実施すべき、こういう意見も出ております。そういうこともありますので、来年度中に基本計画の見直しを検討して、その際は拉致問題についても基本計画に織り込んで、広く国民に、より一層の人権教育、啓発を推進していきたい、こう思っております。

 特に、この拉致問題の解決は、国民世論の盛り上げというのが非常に大事でございます、解決の機運。これは不断の努力が要るわけでありまして、政府もこの点は重視をいたしております。今御指摘がありましたように、めぐみさんの映画「引き裂かれた家族の三十年」、この制作、また学校への上映、そういうこと。それから、アニメ「めぐみ」の制作、配付。また、最近では、日本の政府の姿勢を示してあります啓発用のはがきをつくったりして、こういうものを発売する。こんなことで国民世論、啓発に一層努めてまいる所存であります。

 それから、政府として、拉致問題に関する国民の関心を喚起、持続するためにも、そういう活動を含めて広報啓発活動というのはもっと積極的にやるんだという強い姿勢を持っておりますので、この活動を通して、すべての拉致被害者を一刻も早く取り戻す、こういう国民、政府一体となって取り組める体制の努力にさらに邁進をしたい、ただいまの質問を受けながら、その決意を新たにしたところでございます。

馬渡委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 実は、朝鮮新報というものに、日本人の、これは前に外務省にいた方で、今、ある大学のところにいるんですけれども、こんなことを言っています。「宇宙条約に加盟した朝鮮が国際ルールに従って人工衛星を打ち上げることになれば、日本がいつまでも悪あがきを続けることは無理になるだろう。国際的に日本の異常さが際だつことになりかねない。 もっとも突き放してみれば、その方が客観的にはいいのかもしれない。国を挙げて「北朝鮮バッシング」にふけっていることの異常性を否応なしに気付かされたときにはじめて、国民的な反省が起こるかもしれない。とにかく「外圧」には弱い国民性だから。」ということを、ふざけたことを書いているんです。

 私は、もっともっと日本の国が毅然たる態度を表面に出して、拉致被害者の方及びそれをサポートする皆さん方、日本の国の国民すべてが胸のすくような、本当に日本国民でよかったと思うようなこれからの拉致問題解決に対しての外交及びいろいろな活動を、河村長官が拉致担当大臣として御在任中にぜひ一歩も二歩も先に進めていただきたい、このことを願って、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 河村官房長官が記者会見に出ていかれる前に、一問伺っておきたいと思います。

 二月二十三日の予算委員会で既に質問をいたしておりますが、既存の民家の屋根に太陽光パネルの設置をするとか耐震補強をする、それから介護設備等の設置を行うなどのリフォームをするとか、経産、国交、厚労というふうにそれぞれに補助金の制度はあるんですけれども、ばらばらで、なかなか使い勝手が悪い。施主の側からすると、施主は一人ですし、コーディネートする工務店も一社。ですから、こういうものを今、環境とか経済対策とか、こういうことで考えていくときには、やはり、工務店の役割もそうならば、需要が本当に伸びていくような、そういう仕掛けというのは物すごく大事なときで、それだけに、私は二十三日の予算委員会で、出口が各省ばらばらの補助金であっても、まとまった補助として、それぞれ選択して使い勝手がいいようなものにすべきじゃないかということを言いました。

 あのときは官房長官の方からは、使い勝手のいいもの、相談窓口の一本化などを徹底する、検討するという趣旨の御答弁がありました。その後、経済状況はますます悪いわけですから、実際に中小企業に仕事が回るとか地域経済を発展させる上で、そのことが非常に大事なことだと思いますので、この間の取り組み、それから、これからどのように進めていかれるかをお伺いしたいと思います。

河村国務大臣 御指摘の点を踏まえて今対応いたしておるところでございます。

 住宅改修においても、施主や工務店にとって一層使いやすいものになるようにという視点で、耐震改修、太陽光発電設備の導入、あるいはバリアフリー改修等の補助金の一体的な活用等、これにつきましては、まず、国土交通省において一元的な情報提供をやるためのテキストをつくっておりまして、経済産業省、厚生労働省と連携して、講習テキストにおいてそのことがきちっと統一されるようにという方向で今取り組んでおります。

 また一方、その一元的な情報提供に向けて、今度は情報をお受けになる皆さん方、これは全国で、都道府県、市町村、リフォーム相談窓口を、今設置を急がせております。これもかなり進んでまいりました。ほとんど全国の市町村が対応できるようになりつつございます。それから、工務店等の団体に対しても、国土交通省が助成をして、住宅改修等の情報を工務店に的確に提供できるような工務店サポートセンター、今これの整備を進めておるわけでございます。

 そういうことで、各省との連携で補助金が効果的に使えるようにということにさらに努めてまいりたい、このように思っております。

吉井委員 今は、中小企業それから地域経済をどれだけ前進させるかという非常に大事な時期でありますから、仕事をつくる、そして需要が生まれる、そういう使いやすい仕掛けというものを徹底されるように、このことを求めて、ちょうど記者会見の時間が迫ってきておりますので、官房長官は結構です。

 それでは、次に、国家公安委員長の方にお伺いしたいと思いますが、最初に政府参考人の方から伺っておきます。

 かねてから、兵庫県や大阪府などのビジネスホテルを装ったいわゆる偽装ビジネスホテル、実態ラブホテル、この問題について質問してきました。小学校の真ん前に三カ所もの偽装ビジネスホテルといいますか、実態ラブホテルができてしまうとか、こういう問題は、警察が関係する行政機関と連携して、あらゆる方法を使って悪徳業者の取り締まりを行わない、これをやっていかない、やっているところもないとは言いませんよ、これが不十分だからこういうことが起こっておるんだということを指摘しました。

 また、これは、暴力団が風営法や旅館業法のすき間をついて、ビジネスホテルを偽装してラブホテルを経営して、風営法関連の業を、なりわいを資金源とするおそれがあるということも指摘してまいりました。

 その後、警察も調査されて、昨年五月に、類似ラブホテルと届け出ラブホテルの営業所数について結果をまとめられたので、その中で、類似ラブホテルというのはいわゆる偽装ビジネスホテルというものに当たるというふうにまず認識していいと思うんですが、これを最初に確認しておきます。

巽政府参考人 私どもとしては、昨年の四月に、いわゆる類似ラブホテルということで調査をいたしました。

 この類似ラブホテルというものにつきましては、明確な定義はないわけでございまして、私どもといたしましては、風営法上の届け出はないものの、同法のラブホテル営業を営む施設と同様の外観を備えるなど、ラブホテル営業に類似した形態の営業をいうというふうに考えているところでございます。

 そういう意味で、昨年の調査を行ったわけでございますが、その中には、各県警によってとり方について若干の幅があるというようなこともあろうかと思います。そしてまた、この類似ラブホテルの中には、まさに風営法上のラブホテルに該当するけれども公安委員会に届け出がなされていないという風営法違反のものというのがあるわけでございますし、それからまた一方で、旅館業法や建築基準法といった関係法令に違反する、こういうものもございます。それからまた、必ずしも法令に違反しないというふうに言える営業もあるのではないかというふうに考えているところでございます。

吉井委員 それで、お手元に、偽装ビジネスホテル、実態ラブホテルの、これは警察庁から出していただいた資料にこちらの方で割合を出したものも配らせていただきました。

 最初に大臣に伺っておきたいんですけれども、泉信也元国家公安委員長は、この内閣委員会で、法のすき間を縫って悪行を働くことは本当にあってはならないと明言されました。偽装ビジネスホテル、偽装ラブホテルとは、文字どおり法のすき間を縫った悪行と言っていいんではないかと思いますが、泉大臣と同じように、法のすき間を縫ってこういうことを働くことは許さないという立場を貫いていかれるだろうと思うんですが、これを最初に確認しておきたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 類似ラブホテルの問題に限りませんが、泉元国家公安委員会委員長も答弁されたように、法のすき間をつくような行為があってはならないと私も考えております。

 このたび、国家公安委員会及び警察庁として、風営法上のラブホテル等の要件を見直すということにいたしまして、かかる問題意識を踏まえたものというふうに思いますし、悪質な業者に対しまして対応できるような検討をしてまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 お配りしたこの表を見て驚きますのは、偽装ビジネスホテルの件数と割合が非常に多い、高いことですね。全国合計で偽装ビジネスホテルの件数は三千五百九十三件、割合はラブホテル営業全体の約四八%、半分が違法、脱法行為になっていることです。とりわけ割合が高いのは、長崎の八六%、東京八〇%、神奈川七五%、兵庫七四%というこの無法ぶりなんですが、実はこれは、実際に警察の方の評価によって、厳しく見ているところと割と緩やかに見ているところで違いますから、この数字はもっとふえてくると思うんです。

 重ねて大臣に伺っておきたいんですが、全国平均で見ても約半数が違法、脱法状態、そういうところが五〇%を超えるところが十六都府県もある、これはかなり異常なことだと思うんですが、この数字をどう見られるかを伺います。

佐藤国務大臣 今おっしゃられたように、いわゆる類似ラブホテルにつきましては、何をもって類似ラブホテルとするかについて、先ほど局長が申し上げましたように具体的な定義がないことでありますことから、警察庁が昨年、各都道府県警察に調査をさせるに当たっては、風営法上の届け出はないものの、同法のラブホテル営業を営む施設と同様の外観を備えるなど、ラブホテル営業に類似していると各都道府県警において認める形態の営業の数を集計したところであります。とらえ方によって若干の変動はあるという数字であるかと思います。

 しかしながら、二十年の四月十日現在で警察庁が集計をした類似ラブホテルの営業所の数は届け出ラブホテルの数に匹敵しておりまして、その意味で、数多くの類似ラブホテルが存在していると認識をしております。

 こうした実態を踏まえまして、風営法上のラブホテル等の要件の見直しについて検討してまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 この違法、脱法営業の中には暴力団が関係するものがなかったのかどうかとか、適切に対応したのかどうかということが警察庁の方には求められてくると思うんです。先日もテレビを見ていると、外国女性を複数狭い部屋に拘束して、そして夜になるとスナックとかそういうところへ連れていって相手をあっせんして売春を強要し、その場所に偽装ラブホテルなどが使われる、こういうものなども紹介されておりましたけれども、調査したというだけでは警察庁としても意味をなさないと思うんです。

 そういう無法地帯の一掃のためにどう取り組んでいくのか、実態調査の後どれだけ改善をさせてきたのかということを伺います。

巽政府参考人 偽装ラブホテルの問題につきましては、各地でいろいろと住民の皆さんの反対運動等も起きているというようなこともございまして、昨年の四月の段階で調査をいたしまして、その後、この調査結果に基づきまして各都道府県警察において対応をしてもらっているという状況でございます。

 とりわけ、兵庫県警察は、兵庫県においては大変これは大きな問題になっているわけでございますけれども、かなり熱心に、新しい組織もつくりながら、また関係当局とも連携をしながらこの問題に取り組んでいるというような状況でございます。

 各県の取り組みの状況につきましては、それぞれ地域の状況に応じましていろいろな差もあるところでございますけれども、平成十八年に私どもがお出しいたしました通達に基づきまして適切に対応してもらっているというふうに考えているところでございます。

 具体的に申し上げますと、風営法違反が確認された場合には営業者に対して指導、警告を行う、それから、これに従わない悪質な営業者については厳正な取り締まりを行うということをやっているほかに、旅館業法等の他法令の違反が確認されたという場合には、関係機関に対する通報を行い、措置命令などの的確な執行について働きかけを行うということとしているところでございます。

吉井委員 ことしの三月十二日に、警察庁生活安全局は、生活安全研究会のサブグループとして、部外有識者から成る風俗行政研究会を置いていますね。風営法上のラブホテルの要件を見直すとのことですが、これによって現状の無法ぶりを一掃できるのかどうか。つまり、法のすき間をつくようなことをやってくるんですね。イタチごっこになっては意味がないので、大臣として、今後どのように取り組みを強化していくのか、これを伺います。

佐藤国務大臣 具体的な要件につきましては、先生がおっしゃられましたように、風俗行政研究会の議論や関係機関、団体からの御意見を踏まえまして、よく実態を把握した上で検討していきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、今おっしゃられたように、その際には容易に潜脱されることのないように留意しつつ、風営法上、規定が可能な要件を検討してまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 私、この生活安全局長名のお手紙というのも見せていただきましたが、各地で建築反対運動等住民運動が展開され、自治体からも規制要望がなされているいわゆる類似ラブホテルについて、その規制のあり方を検討するため、風俗行政研究会を開催することといたしましたと書いていますね。

 私、この委員会でも、実際に各地の住民団体、地域の方たちが、生活環境を守ろう、子供の教育環境を守ろうということで、随分頑張っていらっしゃる例を紹介もしてまいりました。そういう点では、住民運動の声とか、それから自治体も随分条例をつくったりして、いろいろつくりながらも苦労もしているんですが、自治体の要望に対してようやく重い腰を上げ出したなということは一定評価をするんですが、やはり今後は、実態を正しくつかんで、そして住民の要望に適切に対応するかどうか、この法のすき間を縫うような悪行を本気で許さない取り組みというのが求められていると思います。

 実際に、全国でどんな反対運動が起こっていて、自治体からどんな規制要望が出されているかというのをよくつかんで、今後開催される風俗行政研究会を含めて、政府として行う政令の改正、さらには風営法の改正を行うときには、やはり住民運動の代表とか来てもらって生の声を反映させる、そのことが大事だと思いますが、そのことについて、最後に大臣にお伺いをします。

佐藤国務大臣 先生の長い間の取り組みについて、まず敬意を表したいというふうに思っております。

 御指摘のとおり、ラブホテル等の要件の見直しに当たりましては、自治体からの規制の要望、そして国民の意見を反映させるということが大前提だというふうに考えております。

 警察庁では、今月十八日に第一回の会合を開催した風俗行政研究会において、類似ラブホテルに関する問題に取り組んでいる民間団体からの御意見をいただいたほか、今後の研究会において、自治体と関係団体からの御意見をいただくことを予定していると伺っております。

 いずれにいたしましても、先生の御指摘等々を踏まえてしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 全然住民の住んでいるところと関係ないところとか、子供たちの教育環境と関係ないところで、業者の方が法律の範囲内でどういう業をなさろうと、そのことを言っているんじゃないんです。やはり、町のど真ん中で、小学校の真ん前とか、余りにも異常な、生活環境、教育環境を壊すような、そういうことは断じて許さない、この立場で臨んでいただきたい、このことを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、松浪健太君。

松浪(健太)委員 自由民主党の松浪健太でございます。

 内閣を罷免されたにもかかわらず、こうして早々とこの場に復帰をさせていただきましたことに、理事の皆様の寛大な御処置に感謝を申し上げるものであります。

 我々政治家は、弱者のために働くというのが何よりの喜びであろうと思います。以前は、日本も、仮面ライダー、そしてまた月光仮面と、オートバイに乗ってさっそうとあらわれるヒーローがおりました。しかしながら、今、このオートバイが最大の弱者になっておりまして、オートバイが非常に今、国の中でも、昭和五十七年には三百二十八万台売れたんですよ。もうここ最近が大変なことになっていまして、七十万台をずっと横ばいで来たんですけれども、二〇〇七年から七十万台を切りまして、去年は五十二万台、ことしの不況ではどうなるんだと。オートバイに関する制度整備というのが非常に置き去りにされてきたなというのが実際であります。

 月光仮面が乗っているスーパーカブ、五十ccとしても、現状が大変大きく変わりつつあるなというふうに思うわけであります。五十ccというのは、最高速度が三十キロであります。大臣、もし今政府が、よし、ではこの東京で百人の月光仮面に働いていただこうということで、スーパーカブで東京都じゅうを走っていただきます。そして、もう環七から何から、そういうところをもし、それだけではなくて、百人というのはあれなので、一万人、月光仮面に三十キロで走っていただいたら、交通というのは今どういうふうになるんでしょうか。大臣、どう思われますか、率直に。

佐藤国務大臣 あの月光仮面の格好をして乗ること自体、ちょっと大変なパニックになるんではないかなというふうに思いますし、交通渋滞を招くという点では間違いないというふうに思います。

松浪(健太)委員 今おっしゃったように、恐らくは、交通ルールに従いますと、大変な渋滞を招く可能性があるというのが現実であります。

 これもいろいろな矛盾があると思うんですね。原付というものができた経緯と現状が大きく違うということがあると思われますけれども、ちょっと、政府の方に、原動機付自転車の定義と歴史的背景、どのようにできてきたのかということをまずお聞きいたします。

東川政府参考人 お答えいたします。

 昭和三十五年、これは道路交通法の制定された年でありますけれども、総排気量が百二十五cc以下の二輪車がいわゆる原動機付自転車とされました。このうち、総排気量が五十cc以下のものが第一種原動機付自転車、総排気量が五十ccを超え、百二十五cc以下のものが第二種原動機付自転車とされたという経緯でございます。

 また、このような区分に応じまして、第一種原付免許と第二種原付免許、これが二つ設けられまして、第二種原付免許につきましては技能試験が必要とされているというふうになっております。

 その後、昭和四十年の道路交通法令の改正によりまして、総排気量が五十cc以下の二輪車、これが原動機付自転車とされまして、先ほど申し上げました、五十ccを超えて百二十五cc以下の二輪車、これにつきましては、道路交通法上は自動二輪車というふうに区分されたわけでありまして、現在もそのままになっておるということでございます。

 この四十年の改正のときに、総排気量が五十ccを超えて百二十五cc以下の第二種原付が自動二輪車に区分されることになった理由でございますけれども、これは第二種原付の性能の向上に伴いまして、自動二輪車と第二種の原動機付自転車との間に運転方法なりの差が少なくなってきたことから、これに係る免許の資格要件を強化して、交通事故の防止を図ろうとしたものというふうに認識しております。

松浪(健太)委員 細々と説明をいただいても、普通に聞いている分にはなかなか理解をしづらいんですけれども、私たちが子供のころは、家におじいちゃんが乗っていた原付がありまして、その当時、まだ足で回す、まさに原動機付自転車だったんですね。足を互い違いに乗せて走るようなもので、当時のスピードメーターも三十キロまでしかありませんで、まさに三十キロまでのスピードで走る原動機付自転車であったわけであります。

 それが、時代が変わりまして、今オートバイの性能は大変向上しております。原付といいましても、ちょっと改造すればもう本当に百キロ近くまで変わるような、いろいろなパーツも出ていまして、子供たちもすぐやれるというところまで、当時一馬力なかったものが、今は七馬力を簡単に超えるということであります。

 状況は大きく変わっているわけでありまして、三十キロに規制しておく意味があるのかなというのは多くの方が非常に疑問を持っているところ。先ほど大臣がおっしゃったように、交通ルールを月光仮面が守れば交通渋滞を招いてしまう。ルールも変わっていますから、月光仮面ももうヘルメットをかぶっていただかなければならない時代になっておるわけであります。

 それに加えて、それにかわるものとして、本当に最近は電動自転車というものがどんどん出ているんですね。原付というのは今、年間三十万台も売れなくなりました。実は、電動自転車というのは三十万台を超えて売れているらしいですね。もう逆転しているんですね。

 原付で三十キロを超えて走ったらこれはスピード違反になります。では、電動自転車で、最近は、普通に自転車で走っても簡単に六十キロ、七十キロ出るわけですから、電動自転車で六十キロで走った場合に罰則というのはどうなっているんでしょうか。

東川政府参考人 いわゆる電動アシスト自転車のことの御質問であれば、これは基本的に自分で踏んでやりますので、競技用のスピードのようなものは別ですけれども、通常ですと六十キロは出ないというふうに思いますし、罰則については、特にスピードの規制がございませんので、それについての罰則はないというふうに承知しております。

松浪(健太)委員 ですから、昭和三十五年、原付、原動機付自転車というものができた当時の役割を、既に十二分に今電動自転車というものが果たしていただいているというのが現実なわけであります。

 そこで、自転車であれば、ヘルメットもかぶっていない、免許もない、スピード違反をしても捕まらない、罰金もないという現状と、それから原付は、ヘルメットをかぶって、免許を持って、そして走って、これで罰金を取られてしまうという実態について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられたようなこと等々、時代が変わっているということと、技術の革新がそれをもたらしているということになれば、当然いろいろな意味で現状を把握しなければいけないという行為を警察庁としてもしなければいけないかなというふうに思います。

松浪(健太)委員 あと、原付というのは、実は右折ができないというところで、特に二段階右折というもの、非常に面倒くさいことをしなければいけないということがあるんです。この二段階右折、車線の数によって、右折しなければならないとか、そういうことが決まっているんですけれども、五十ccというのは実地試験がないということでありまして、車の免許を取っただけでもこれができる。普通に中型免許を取るよりも非常にややこしいんですね。右折するのにわざわざ、ここは二段階右折かなというのを考えないといけない。

 実際、原付にふだん乗っている方々の中で、この二段階右折について正しく理解していると。私もオートバイ議員連盟の事務局長とかをやっているんですけれども、それでも、あれっ、どうやったかなと思うんですけれども、私のような大型免許を持っている者ですらわからないこのルールを、原付のユーザー全体がどれぐらい、この右折をしなければならない、どういう状況でやらなければいけないということを理解されているのか。どのように認識されているでしょうか。

東川政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる原動機付自転車の二段階右折につきましては、広幅員な道路を安全に原付の方に右折をしていただこう、ウイービングして中央まで行くのが非常に危険だという声も当時ありまして、それを踏まえて、安全な右折方法ということで決めたということでございます。

 それぞれ、原付免許取得者については、二段階右折の方法について講習を行っておりますし、普通免許を取得した場合は、先生おっしゃられましたように原付が乗れますので、そういう場面でもいろいろ講習はしております。

 ただ、今どの程度の人が認識しているかというのは我々も数字を持っていませんのでわかりませんが、いずれにしても、やはり安全な通行方法をしていただくのがベストでありますので、そういうことにつきましては、今後とも一層広報に力を入れていきたいというふうに考えております。

松浪(健太)委員 安全な方法であればいいんですけれども、私もかつて、まだ限定解除の時代に、一発試験で限定解除をやった組なんですけれども、その私ですらどうやったかなと思ってしまうぐらいですので、恐らくは、ふだん皆様方は余りそれを活用せずに乗っているのが現実ではないかな。これはまた今の交通ルールに合っていないのではないかなというふうに思うわけであります。

 この原付なんですけれども、またエコロジーの面から見ましても、我々スクーターに乗っていますと、燃費は余りいいとは言えないんですね。なぜか。今の交通のスピードによると、五十ccで今のスピードで走るには燃焼効率から見ても余りよくない。ですから、アジアに行きまして五十ccは走っているのか。走っていないです。大体百ぐらいで走っているわけですね。おっしゃった原動機付二種というのが大体、燃焼効率から見ても、やはりみんなガソリンは余り使いたくないし、ある程度のスピードも要るというところで、落としどころとしていいところかなと。

 また、国内メーカーにとっても、日本独自の基準というのを残しておくというのは、今、日本のオートバイメーカーはすごいと思っていますけれども、日本国内で売っているのなんか三%なんですよ。そこで日本独自の基準を置いておくというのも非常に現実離れした話だなと。来年、この不況ではもう五十万台を切るのは当然の帰結ではないかなというふうに思うわけであります。

 今、やはりエコロジーの面からもスペースの面からも車よりはいいわけでありますから、そろそろこれはあり方というのを抜本的に見直していけばいいのではないかなというふうに思うわけであります。

 この原付ということについても、事運送車両法と道路交通法で原付の認識についてちょっと違うのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、この二つの法律の間での原付についての考え方をちょっと伺いたいなと思います。

東川政府参考人 道路交通法では、交通の安全と円滑というふうな観点から、先ほど申し上げましたように、五十cc未満のところを原動機付自転車というふうに言っております。運送車両法上は、百二十五cc以下がいわゆる原付という部類に属しておりますが、これは、道路交通法上は交通の安全と円滑、つまり免許の取得あるいは交通規制の対象という観点から、一方で、道路運送車両法は道路運送車両の安全性の確保の観点からそれぞれ規定を設けているものでございまして、必ずしも二つの種別が同一であるということは必要ではないのではないかというふうに思っております。

松浪(健太)委員 原動機付自転車なんですけれども、国交省所管の法律とそれからまた警察庁所管の法律で原動機付自転車の定義がちょっと違うわけでありますね。

 これからプラスしてまた自転車法という法律がありまして、自転車法の中では「自転車等」という表現がありまして、これが原付を含むというふうにされまして、地方の自治体なんかで駐車場をつくるときに、五十ccはとめられるけれども、百二十五は原動機付二種ですけれどもとめられないということが多々起こっているわけであります。

 これは国の方で、原付とかそれから通勤に使うような簡易なものについての一貫したルールづけというか、法律がちぐはぐだから自治体がどっちかなと思って迷うというようなことは、やはり今後改善をすべきではないかなというふうに思うわけであります。

 燃焼効率の面から見ても、それからユーザーの面から見ても、原付というのは実は私らが車に乗っていても一番危ないんですよね。おばちゃんがどうのと言うたら悪いですけれども、本当に傍若無人な原動機付自転車の、事故の数も多いと思いますけれども、運転が非常に目につくわけであります。

 これは何で目につくか。やはり講習とかをもっとしっかりとしていくべきではないかなというふうに思いますし、この際、原付制度もばっと見直して、本当にスピードが安全で、そして燃焼効率もエコで、そしてまた皆さんがオートバイに乗ってよかったなと思われるようなそういう形に、新原付制度なんというのを私は以前から提唱しているんですね。

 新原付制度、例えば、車の免許を取るときに、オプションで百二十五までを乗れるようにする。昔と違って、こんなクラッチを握ってどうしてというものもなくなってきて、最近はオートバイもオートマになってきていますから、そういうものも含めた上で、ヨーロッパそれからアジアと同じように、本当に燃焼効率とスピードにおいて現状の交通規制に合った制度を新しくつくっていく。

 そのために、サラリーマンの皆さんはなかなか大変なので、土日なんかにも、講習を受けに行ったら、丸二日間頑張ったから何とか最後の検定まで行けたなというような仕組みをつくるべきではないか。自動車の免許を取る際にも、これからは原付を与えずに、そのかわり、オプションとしてこういう新原付、百二十五か百までは拡張するかわりに、今までの小型免許よりももうちょっと簡易に免許を取れるようなそういう仕組みにする方が、私は、すべての皆さんに納得がいく、そしてまた、より安全な制度になるのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、今後、こうした改善の動きというのは政府の方でやるおつもりがあるのかどうか、まず伺いたいなと思います。

東川政府参考人 先ほど申し上げましたように、原動機付自転車は、現在技能試験はなくていわゆる学科試験のみで免許が取れる、それから普通自動車の免許を取ればそれで運転できるということでありまして、先生が冒頭の質問でおっしゃられましたように、要するに自転車のちょっと上を行くようなものである、ただし、それは自動車である、自動車に分類されるということでありまして、そういういろいろな意味の中で原付をどう扱うか。

 あるいは、今先生言われました百二十五cc以下については、今はこれは自動二輪免許であります。原付よりもかなり厳格な免許、厳格というかハードルが高い免許になっております。これを易しくするかどうかということについては、交通の安全がどうやって確保できるかどうか、それが安全な運転者を生み出すものになるのかどうか、そういうものをいろいろ、今よりも簡易にできるかどうか、それらについては課題もたくさんあるというふうに考えておりますけれども、慎重に検討していくべきではないかというふうには思っております。

松浪(健太)委員 大臣、先ほど申し上げたように、原付というのはこれほどまでに矛盾した状況がある。免許の要らない電動アシストの自転車では、ヘルメットも要らずに、何十キロ出しても規制が大丈夫だ。もはやこっちがもともとの原付の役割を果たしていると思われるので、私は、五十ccについてはそろそろ歴史的使命を終えているのではないかな。

 そしてまた、安全性。どんどんと交通の流れが激しくなっている中で、原付と電動自転車の逆転現象というものまで起きてきている中で、今後、これについて大臣としては改善していくべきであると思われるのかどうか、伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生から御指摘をいただきました。そして、社会情勢の変化、また諸外国の動向等を踏まえた御指摘もいただきまして、警察庁だけではちょっと判断をいたしかねるところもございますので、国土交通省とよく連携をさせていただきながら、指導していきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、かなり、原付の部分については、歴史的な話もありますし、時間もたって技術の革新もあるということになれば、当然考えるべきではないかなというふうに思います。

 私も、正直、先生の御質問で今回よく勉強させていただいて、現状を把握させていただいたということもございますので、おっしゃられた趣旨を踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。

松浪(健太)委員 大臣、まことにありがとうございます。まさに国交省の基準と非常にずれた部分が多いというのが現状でありますので、そろそろこうした一貫性というものをつくるべきではないか。その時期に我々はまさに今来ているわけでありまして、この不況、それからこれからの安全性、エコロジー、そういうものも考えて我々は対応すべきだというふうに思います。

 ちょっと原付の話に集中してしまったんですが、事こうした矛盾は原付だけにとどまるものではありません。例えば、高速道路を走れる車というのは、いわゆる小型を超えると、百二十六ccからは乗れるわけですね。一方、車検というのは二百五十一cc以上なわけであります。

 ここに、高速道路を走れる車両と、それからまた車検を義務づけられている車両というのは食い違いがあるわけでありますけれども、このあたりの認識についてちょっと警察庁に伺いたいと思います。

東川政府参考人 先生御指摘のように、高速自動車国道法十七条第一項で自動車以外は通行できないというふうになっていまして、この自動車というのが道路運送車両法に規定する自動車ということで、自動車の検査については道路運送車両法で規定されております。

 いずれも当庁の所管ではありませんので、それがどうして車検がないのかどうかというのを我々の口から説明できませんけれども、ただ、交通の実態ということでありますと、高速自動車国道における交通事故の発生状況を見た場合に、特に他の車両と比較して安全性上の問題があるというふうには現状では認識しておりません。

松浪(健太)委員 現状で認識ないということでありますけれども、先ほど大臣おっしゃっていただいたように、やはり国交省と十分話し合いをして、高速道路もこの間から二人乗りも許していただけるようになりました。そうした面で非常に規制を緩和していただいているわけでありますから、私は、やはり車検ぐらいは通して、高速道路を通れるから車検があるというふうにした方が、国民の皆さんにははっきりいって理解を得やすいんじゃないか。何のための車検なのかというところは、やはりその辺はちょっと認識を変えていただいた方がいいのではないかなというふうに思います。

 車検にしても、中型免許、四百ccというカテゴリーなんですけれども、四百ccというのは実は日本だけでしかつくっておりません。海外で四百ccは乗れません。今海外で主流になるのは、二百五十はあります、そしてまた、レースなんかの関係で六百ccというのは割と最近メジャーになっているんですけれども、これもまた、四百一cc以上が大型免許ということで、非常に乗りにくい現状があります。

 私は、これは車検制度と加えて、やはり今後は二百五十、六百、どちらかで中型免許なんというのも区切っていったりとか、そういうことをした方がより実態に合うというようになってくるのではないかなというふうに思っているわけであります。

 また、現状、トライクとか三輪バイクというのがありまして、こんなごつい三輪のバイクなんですけれども、これについて安全上問題が僕はあると思っているんですけれども、政府の見解では今どのようにお考えでしょうか。

東川政府参考人 先生おっしゃいました外国製のいわゆる三輪のバイクでありますけれども、道路交通法上は三輪の自動車ということで、側車つきでない限りいわゆる普通自動車に分類されています。

 ただ、御指摘がありましたピアジオ社製ですか、これにつきましては、その運転特性等にかんがみて、やはり二輪に区分する方が妥当ではないかというふうに考えておりまして、現在、その改正を検討しているところであります。

 一方、トライクというようなものにつきましては、同一線上の二個の車輪の間隔が非常に広いということ、それから特性上もちょっと二輪とは違うというようなことを考えておりますので、その分については、現状、四輪と考えております。

松浪(健太)委員 ピアジオと三輪バイクのことを言っていただきましたけれども、むき出しで、アクセルで乗る以上は車と違うわけでありますから、ヘルメットは要らないとかそういうところを早目に、私は、アクセルで乗るんだったら二輪免許の方が、ヨーロッパの規制のように、四十六センチ以内は二輪であれば一輪とみなすとか、そういう縦割りなことを考えるのではなくて、実際の安全性にかんがみた対応を今後していくべきではないかというふうに思っております。

 ピアジオ製についても、ヘルメットと免許の問題とかいろいろありますけれども、これについては柔軟にやっていただいて、大変感謝をする次第であります。

 ちょっとオートバイの話ばかりになりましたけれども、きょうは、我々も地元を回る政治家として、最近、自治会とかそれから学校名簿、緊急連絡網ができないということを地元を回っていてもいまだに非常によく聞くわけです。私の家内も地元の一番単位自治会の副会長をやっているんですけれども、ことしから名簿がなくなったのよという話を先日もしておりました。こうした実態について、並木政務官、どのようにお考えでしょうか。

並木大臣政務官 先生おっしゃるとおり、もともと個人情報保護法というのは、五千件以上の情報を取り扱う事業者に対して、DMがあふれたり、名簿が売買されるとか、そういう営業的に使われていることにかんがみて、取り扱いのルールを決める、こういうところだったんです。

 実際には、それが、今おっしゃったように、うちの自治会でもそうなんですけれども、一々断らなきゃならないのかなとか、そういうことなら面倒だからやめようとか、もっと肝心な役員さんの、体育係だとか街頭係だとかあるんですけれども、そういう人の電話まで入れていないということになると、実際何の機能も、連絡がとれないというような、そんな弊害が生じている。

 これは、政府も、もちろん個人のプライバシー感情の高まりということもあるんですけれども、そういった中で、混乱が生じているというか、過剰保護が起きているということは認識しているところであります。

松浪(健太)委員 薬の副作用というのは本当に厳しくチェックをされるわけでありますけれども、こうした法律による副作用というものは、当初個人情報保護法が目指したものとは全く違う形で、副作用が余りにも大きく我々の心の中に忍び込んでいる。私も、かつては店なんかへ行きますとアンケートとかいって名前と住所を書きましたけれども、最近、個人情報が過保護だと言っている私ですら、何か書くのを、こんなの書いていいのかなと思ってしまうぐらいでして、社会の威圧感というか閉塞感というのはこういうところにまで進んでいるなと思うんですけれども、政府のこうした個人情報過保護に対する今の対応、広報体制等も含めて伺いたいと思います。

並木大臣政務官 現在、十九年度、二十年度にかけて研修会等を開きまして、これには一万三千人ほどの方が参加していただいているんですけれども、そういったところで、今そこにお持ちのパンフレットのようなもので研修材料として説明をさせていただいたり、また、自治体に対しても、これは自治体が個人情報保護条例というのを定めておりますけれども、そういったところでも、過剰な保護にならないように自治体からも広報していくように、こういうような働きかけをしております。

松浪(健太)委員 ありがとうございます。

 ただ、このパンフレットなんかも、二十二ページあるんですけれども、私、一ページ目から見たら目がくらむような内容でありまして、政務官おっしゃるように五千件というものを超える名簿というのがまずの一線でありますから、それが一般に浸透していない。だから、こういうものも、こんなものが要らなくて、チラシ一枚で、ここに、個人情報過保護、ノー五千、五千だけマークでばっと書いておいたら、五千以下は違うんですよと皆さんに言うだけで、その方が結局こんな二十二ページをつくるより私は効果があると思うんですが、今後のわかりやすい広報への御決意を伺いまして、私の質問を終わります。

並木大臣政務官 おっしゃるとおり二十二ページに及ぶものでありますので、研修の材料とかとしてはよろしいんですけれども、それを渡してすぐに読んでいただけるかというものもあると思いますので、ただ、いろいろ法の説明上は簡単にいかない面もあるわけですけれども、わかりやすくということは重要でございますので、検討させていただきたいというふうに思います。

松浪(健太)委員 積極的な改善をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、甘利大臣に最初にお伺いいたします。

 公務員制度改革に関する工程表が出ておりますけれども、その関係について、名称やあるいは局長人事をめぐって、官僚、官庁の縄張り争いが激しさを増しているという新聞報道でありますが、それはさておきまして、本日は、具体的に、級別定数について伺います。

 まず、人事院は、級別定数について、勤務条件であるとの立場をとられております。これについて、甘利大臣、どのような認識をお持ちでしょうか。

甘利国務大臣 時代や社会の変化によりまして、各ポストの重要性、そして格付というのは変化をしていくわけであります。重要性の低下したそういうポストを旧態依然のまま存続させていく、これは民間企業では倒産してしまうことになるわけでありまして、変化に機動的に対応しまして各ポストに適切な人材を充てていくことができるようにするためには、内閣官房が級別定数管理機能を担って、ポストの格付を弾力的かつ府省横断的に見直していくということが不可欠であると思いますし、これが基本法の目的の趣旨だと思っております。

 このような事項は、企業においていいますとまさに経営者の判断事項でありまして、級別定数は組織管理と密接に関連した人事管理に関する事項であります。その上で、級別定数が結果として職員の昇格枠として機能する面もあることから、級別定数は勤務条件に関連する側面も有するというふうに考えております。

重野委員 勤務条件がないとは言えない級別定数ですね、その部分もあると。これも、過去にも大臣はそのような答弁をされておるんですね。他方では、今前段の部分で言いましたように、経営判断であり、組織、人事管理の問題だ、そういうふうな認識を持っておられる。つまり、両方の側面があるんだということですね。まず、その点についてはもう一度確認しておきたいと思います。

 次に、大臣、民間の賃金交渉の際に配分交渉というのが行われているということについては御存じでしょうか。その二点について。

甘利国務大臣 まず、前段でありますが、両方の面があるというお話ですが、組織管理と密接に関連した人事管理である、結果として後段の面も出てくるという答弁でございます。

 それから、配分交渉が民間で行われるということは承知しております。

重野委員 今、春闘という言葉も、昔僕らが現役でやっていた当時の春闘と、響き、またその厚みも随分変わったように感じるのでありますが、労働組合は労働三権に基づいて賃上げ交渉をやるわけです。同時に、獲得した賃金原資、原資をどこに回すかとか、基本給に回すか、手当に回すか、さらには、賃金カーブを見ながらどの部分にそれを回すか、こういう交渉が現場では行われるんです。これが賃金交渉なんですね。

 大臣もそういう民間での勤務の経験もおありと聞いておりますが、そうしたことが行われているということについては当然知っておられると思います。つまり、賃上げ額だけではなしに、それをどのように配分するのか、それが労使の間で話し合われ、その結果、個々の労働者の賃金が最終的に決まっていく、こういう仕組みです。そのときに、もちろん、使用者側は経営判断を持ち出すでしょうし、労働側は労働者の賃金、生活を守るということで、そこで議論が対立をする、ちょうちょうはっしのやりとりがなされるわけです。

 これがまさに労働三権に沿った交渉なのであって、この点について大臣はどういう認識を持っておられますか。

甘利国務大臣 今お話しの配分交渉でありますが、一般的に、配分交渉というのは、賃上げ水準の交渉とは別に、賃金原資、まさに原資の範囲内で、例えば、初任給はより高目に、その他はより低目にといったように具体的な配分についての交渉をするものであるというふうに理解をしております。こうした配分交渉は、労働条件に関する交渉として、労働基本権の一つである団体交渉権に基づく交渉として行われていると認識をいたしております。

 いずれにしても、配分交渉は級別定数の設定、改廃とは異なるものであると承知しておりまして、配分交渉が団体交渉権に基づく交渉となるということと級別定数の性格等とは関連性が、これは異なるものであるというふうに私は理解をしております。

重野委員 次に、先ほど私が問題意識を持っているという点で言いました級別定数の問題に移りますが、級別定数が人事院からいわゆる執行部の側に移っても、人事院勧告で給与改定は行われると思うんですね。しかし、この人事院による給与改定だけでは個々の労働者の賃金は決まらない、そういう仕組みになっている。そういう点についての大臣の認識はいかがなものでしょうか。

甘利国務大臣 内閣は、人事院勧告を踏まえまして給与法に定める俸給表の改定等を行っているところでありますけれども、御指摘のとおり、実際に各職員の給与を決定するに当たっては、まず、個々の職員について俸給表における級とそれから号俸を定める必要があるわけです。具体的にそれぞれの職員を何級とするかは、人事院規則の定める基準に基づいて任命権者たる大臣が決定することとなりますけれども、この基準については、労働基本権制約のもとでは、引き続き人事院が担うべきものというふうに考えております。

 なお、申し上げたように、級別定数は組織管理と密接に関連した人事管理に関する事項でありますけれども、個々の職員の給与を設定する際の上限として機能する面があるために、勤務条件に関連する側面もある。このため、級別定数機能を移管した後も、級別定数を設定する際には事前に人事院の意見を聞くということといたしております。

重野委員 実際に個々の労働者の賃金がどう決まるかといえば、各労働者がどの級にいるのか、そこで決まっていくんですね、そういう仕組みですね。その点についてはそういうことでいいですか。

甘利国務大臣 いわゆるマトリックスといいますか、人事院がつくります級別が横軸にあるとすると、号俸が縦軸にあります。一から十まで、それから一号俸から、あれは二百幾つまでありましたか、そのマトリックスの表、そこのどこに位置するかでもちろん給与は決まるということであります。

重野委員 個々の労働者の賃金は、人事院勧告だけでは決まらないんですね。いうところの級別定数が大きく関与しています。

 先ほど、労働三権を持つ民間の組合では、賃上げ交渉の際、全体の賃上げ額だけではなくて配分交渉も行っているということを申し上げました。それによって個別の賃金が決まっていくんだということです。つまり、賃上げと配分によって賃金が決まる。

 それに対して、人事院の行う給与改定と、そして現在人事院が持っています級別定数、そういうふうなものが民間におけると同じように機能を果たす、これはセットで果たすということになるのじゃないかというふうに思うんですが、その点についてはどうですか。

甘利国務大臣 人事院には、この職に何年どうすると次の級に上がっていくというような規則はありますけれども、要は、級別定数管理機能というのは、御案内のとおり、その前段として、総務省の、全体の級の数、つまり、例えば課長なら課長のポストの数を全体で査定します。その中で、重要度に沿って、任務の困難性とか責任の重さとか複雑性に沿って、重要課長それから一般課長というような仕分けをする。そうすると、それによって級が違うわけであります。これは、私はまさに経営判断に属するものだと思います。どこのポジションを重要とするか、どこを重要としないかというのは、時の政策課題によって変わってくるわけであります。

 そうすると、給与とどこが関連してくるかといいますと、昇格可能性が、今いるところのポストの上のポストが、つまり級が幾つあるか。たくさんあれば可能性が高いし、少なければ可能性が少ない。そういうことで昇格可能性にかかわってくるということで、給与の面も結果として出てくると申し上げたのでありまして、組織管理機能と密接に関連する人事管理機能というのが主体であって、その主体を実行していく際に、それに関連するものとして、結果として処遇に関する面が出てくるというふうな理解であります。

 そして、そういう面が結果として出てくるから、人事院が意見を言ったり、あるいは改善勧告をしたり、そういう機能を引き続き人事院が持つということでありまして、主は組織管理に関連する人事管理機能だと思います。そして、従として出てくる勤務条件に関する部分を全面否定しているわけではありません。従として出てくる、結果として出てくる部分について、人事院がきちんと意見を言う、あるいは、どうも客観的に理不尽であるとお思いになるんだったら改善勧告をできるという仕組みにしてあるわけであります。

重野委員 民間のように労働三権が完全に保障されているという条件のもとでの賃金決定。公務員の場合には、随分長い間労働基本権を求めていろいろな国際機関への提訴等々をやって、その部分についてもILOからたび重なる勧告がなされる。それを受けとめて、政府の方も今それについて議論を始めた、緒についたという状況があります。

 ですから、私は、労働基本権が完全に保障されているという状態の中での甘利大臣の発言であれば、それはそれとして議論の価値はあると思います。しかし、依然として労働基本権、三権が完全に保障されていないという状況の中においては、私は、その級別定数の問題についてもやはり人事院にゆだねる、将来的に、労働三権が担保されるという状態の中で、政府と国家公務員の皆さんとの話し合いで決まっていくという双方向になっていくんだろうと思うんですが、それがやはり担保されるまでは、今の甘利大臣の言っていることについて同意できないんですね。

 そこについて、人勧、いわゆる人事院勧告体制がなお続いているという前提の中において、そこ辺は私は考慮する余地は十分あるというふうに思うんですが、その点についてはいかがですか。

甘利国務大臣 私が今詳細設計をしておりますことは、成立させていただいた基本法を具体的にしていくための作業であります。その基本法の中では、労働三権が制約されている現状下、つまり、人事院体制、人事院がそれにかわって対応していくという体制の中で、まず何ができるか、その後に労働基本権制約について検討して結論を出しなさいということが書いてあるわけでありますから、基本権に結論が出た後の対応と、現状の中でできる対応と、これは二段階構成になっていると思っておりまして、そこは私も慎重に設計しているつもりであります。

 でありますから、級別定数の移管についても、それは内閣法制局の判断を慎重に仰ぎました。現状の制約の中で級別定数管理機能が内閣人事局に移管されても、それは直ちに憲法並びに他の法律に抵触するものではないという判断をいただいた中で作業させていただいているところであります。

重野委員 この問題については、今後とも、いつ意見が一致するときが来るのかどうかわかりませんが、私たちはそういう主張を続けてまいります。

 次に、小渕大臣、きょうは御出席ありがとうございました。

 まず、三月十六日に厚労省から、妊娠、出産、産前産後休業、育児休業の取得を理由とした解雇その他の不利益扱いについての発表が行われました。これについて大臣はどのように受けとめておられますか。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 育児休業の取得を理由とした解雇等のいわゆる育休切りの問題が大変大きく報じられておりますので、今、子供を持つ、また持ちたいと願う雇用者の間に大変な不安が広がっておるところであります。こうしたことは、言うまでもないことですけれども、法律で禁止されていることでありまして、決してあってはならないことだと考えております。

 この件につきましては、先日、厚生労働省が、各都道府県労働局あてに厳正に対処するよう通達を出して、指導の徹底を図っているということなので、私としても、しっかりとした対応が図られるように、引き続き注視していきたいと考えています。

重野委員 今、少子高齢化社会ということが非常に大きなテーマになっております。子供を産み育てる、そのために休業する、私は、女性としてごくごく当たり前のことだと。それが、ある企業だとか、あるいは集合体に行くと当たり前でないという現実が一方にある。そこ辺をどう行政が対応していくのか。その現実をとらえてどういう対処をしていくのか。その決意について。

小渕国務大臣 やはりこうしたことが続きますと、今、少子化の時代でありますけれども、安心して皆さんが出産し、子育てができる環境が整っていないということになりまして、女性に対して大変ネガティブなメッセージを送ってしまうということになり、出産をためらってしまうのではないかという大変な危機感を持っています。

 こうした経済情勢だからこそ、私は、人材の大切さですとか、あるいはワーク・ライフ・バランスに取り組むことのメリットなどを経済団体や個別企業に対して強力に訴えていきたいと思っておりますし、仕事や出産、子育てを両立しやすい環境をしっかり整えていけるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

重野委員 少子化担当大臣として、ひとつ全力を挙げて頑張っていただきたい、そのことを申しまして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 最初に、前回、十八日の内閣委員会で質問をし、宿題といいますか、お願いをしておった件について確認をさせていただきたいというふうに思います。

 前回、漆間官房副長官の国策捜査の問題について取り上げました。東京地検の問題しかり、そして警察庁、警視庁の問題しかりということでありまして、昨年の十月の二十九日、そして十一月の二十七日、警視庁が強制捜査をしました在日朝鮮商工会の税理士法違反事件に関して、私の方から、漆間副長官から指示があって捜査等をしたということなのかということについて、佐藤大臣の方から、指示があって捜査等々をしたという事実は私はないというふうに考えておりますし、そんな報告は受けておりませんということでありましたので、ちゃんと確認をした上で報告をしてほしいということで申し上げました。

 その後の話として、どのような確認、調査を行われたのか。まず、その方法についてお伺いいたしたいと思います。

佐藤国務大臣 先日の委員会の後、念のため警察庁に確認をいたしました。御指摘の事件に関しまして、漆間官房副長官から警察庁に対する指示は一切なかったとの報告を受けております。警察庁が、御指摘の捜査を行った警視庁に対し確認したところ、警視庁もそのような指示は一切受けていないとの回答を得たと報告を受けております。

平岡委員 それでは、逆に、その十月二十九日、十一月二十七日の強制捜査を行ったことについて、今度は警察側から漆間官房副長官に対して何らかの報告等を行ったということはあるんでしょうか。どうでしょうか。

佐藤国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 一般論として、社会的反響が大きく、官邸による報道対応が予想されるような事案につきましては、事後において官邸に連絡することがあると伺っております。

 本件についても、強制捜査が行われた後に、警察庁の担当者から漆間副長官の秘書官に対しまして、捜査を行った事実等について連絡したとの報告を受けております。

平岡委員 この前も指摘しましたけれども、十月の二十九日の強制捜査を行った日と同じ日に行われた拉致問題対策本部の関係省庁対策会議の場で、漆間官房副長官が、北朝鮮が本当に困る形の圧力を検討する必要があるんだというふうなことを指摘したというのは、まさに偶然ということではなくて、そういう意図が警察庁長官の時代から脈々と続いてきているというふうに私は指摘せざるを得ないという状況であります。

 検察庁の捜査であれ、警察当局の捜査であれ、本来の法と証拠に照らして適切に対処していくことは必要でありますけれども、仮にもそれが他の意図に基づいて、国策と言われるようなものに基づいて行われるということはあってはならないことだということをここで改めて私は指摘させていただきたいというふうに思います。

 それでは、佐藤大臣、結構でございますので、どうぞ。

 続きまして、公務員制度改革について質問させていただきたいというふうに思います。

 今はもう公務員制度改革の問題についてはいろいろなところで話題になっているということでございまして、いろいろな角度での問題があるというふうに私も思っているわけでありますけれども、ただ、これまでの公務員制度改革の議論が十分であったかということについては、私もちょっと疑問に思っている点があります。きょうはその点についての幾つかを指摘して、大臣の御意見を賜りたいというふうに思います。

 一つは、公務員の政治的行為の制限の問題ということであります。

 今回、法案として提出しようとしている国家公務員法一部改正法案には、特に公務員の政治的行為の制限について何らかの改正を行うということになっていないというふうにとりあえずは聞いております。そういうことだろうと思いますけれども、これまでの公務員制度改革の中で、公務員の政治的行為の制限についてどういう議論が行われてきているのか、あるいは行われてきていないのか、その点についてちょっと大臣の方から教えてもらえますでしょうか。

甘利国務大臣 今般の公務員制度改革というのは、昨年の通常国会、二十年の六月に成立した国家公務員制度改革基本法、これに基づく改革を具体化するためのものでありまして、御指摘の政治的行為について、政と官の接触の適正化という点の議論はありましたけれども、それ以外の議論については特段なかったというふうに承知をしております。

平岡委員 議論はなかったということは、余り問題がないという認識が根底にあるからなんだろうと思いますけれども、果たして本当にそういう状況なんだろうかという点で指摘させていただきたいと思います。

 きょう、お手元に一枚紙で資料を配らせていただいております。

 これは私が決算委員会の方でもちょっと問題にさせていただいた案件でありますけれども、佐藤正久参議院議員、もともと自衛隊の出身の方でありますけれども、一昨年の七月に参議院議員になられた方でございます。この方は、一昨年の一月の十一日に自衛隊を退職されて、七月の二十九日の選挙で当選されたということでありますけれども、退職された後、ここは、下に書いてあるように、わかっているだけということでありますけれども、六十回を超える講演を自衛隊の基地の中で、自衛隊の部隊の司令官等の主催によって講話を行っている、こういう事実があるわけであります。

 これについて、私も決算委員会で聞いておりますから、多分、防衛大臣政務官もこれがどういうことになるのかということについては聞いておられると思うんですけれども、これについて防衛省としては問題がないというふうに考えているのかどうか、その点についてまず確認をさせていただきたいというふうに思います。

武田大臣政務官 今委員の方から御指摘ございました隊員の政治的行為については、かなり厳しく自衛隊法六十一条一項の方で制限をされております。

 我々も、そうした、きちっとした法令を遵守するという立場で、これがその域を出ていないか出ておるのかということについては、個別具体的な案件はさまざまでございますので、そこのところをしっかりと見きわめて、自衛隊法またそうした施行令、法に基づいてしっかりと判断していきたいというふうに考えておるところでございます。

平岡委員 一般論としての答えであるから、私が質問したことについては必ずしも答えていないので、ちょっと事務方でも結構ですけれども、この佐藤正久当時の自民党参議院全国比例区総支部長が講演を行ったこと、このこと自体というよりは、むしろ、これを自衛隊の施設内で、自衛隊の司令官の招集に基づいて行わせた、そこに自衛隊員を招集させて聞かせたということについては、これは国家公務員の政治的行為の問題、あるいは公職選挙法上の問題というのはないのか、この点について一度確認をさせてください。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊員の政治行為の制限につきましては、ただいま政務官の方からあった基本的な考え方に基づいて制約されているわけでございまして、今御指摘の講演につきましては、自衛隊法施行令第八十六条で、「政治的目的」といたしまして、その一つに、「衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の長、地方公共団体の議会の議員、農業委員会の委員又は海区漁業調整委員会の委員の選挙において、特定の候補者を支持し、又はこれに反対すること。」という規定がございます。

 この場合の候補者と申しますのは、法令の規定に基づきまして正式の立候補届または推薦届け出により候補者としての地位を有するに至った者ということで解釈いたしておりまして、この参議院の比例代表選出議員の選挙の場合におきましては、名簿の届け出が受理された時点の前であれば、今申し上げました候補者には該当しないということでございますので、自衛隊法第六十一条において制限されている政治的行為には該当しないというふうに考えております。

平岡委員 これは、前に、防衛省さんの人事教育局長から出されているものとしていただいたものでありますけれども、公示前の行為として、部隊長として容認されない行為という中に、これは根拠法令として公職選挙法の百三十六条の二の第二項というふうになっていますけれども、立候補予定者に政治的内容を含む部外講話をさせることというようなことは容認されない行為だというふうになっているんですけれども、これには該当しないんですか。

渡部政府参考人 今申し上げましたとおり、それには該当しないということでございます。

平岡委員 ここは細かいところはちょっと通告していないので、どこがどうして該当しないと言えるのか、全然答弁になっていないので、これはちょっと私は、また後日、しっかりと答弁をいただきたいというふうに思います。

 もう一つ、これは私も部外情報としてもらったので確認をしたいんですけれども、佐藤正久氏の後援会申込書、それから、多分後援会に入るに当たっては会費の振り込みのための振り込み用紙というのが自衛隊施設の会計課の窓口に置かれていたという情報が寄せられているんですけれども、これは事実ですか。どうですか。

武田大臣政務官 昨日、先生から御指摘いただきました、佐藤正久後援会申込書及び振り込み用紙が自衛隊施設の会計課の窓口に置かれていたということでございます。

 早速、御指摘の事実確認をすべての部隊、機関にいたしましたところ、全国の駐屯地、基地に会計課が存在するもので、しばし時間がかかったわけでございますけれども、そうした事実確認は現時点ではなされませんでした。

 以上でございます。

平岡委員 現時点ではできないとはどういうことですか。まだ回答は返ってきていないところがあるということですか。どういうことですか。

武田大臣政務官 先ほど申しましたように、昨日から早速取り組ませていただいておるんですけれども、すべての機関、部隊ということになれば何百という件数になってまいりますので、今、随時、すべて確認をさせていただいておりますけれども、それがわかり次第、また先生の方に御説明に上がらせていただきたいと思います。

平岡委員 それじゃ、調査結果が出たところでまた報告を求めたいと思います。

 甘利大臣、今議論を聞いていていただいたと思うんですけれども、形式的に立候補者になっていないから、自民党の全国比例の総支部長であっても、部隊の隊長が部隊の施設の中に呼んで彼の話を聞かせてあげるということが、調査して出してもらっただけでも六十数回、彼が退職してから選挙告示までの間に行われているんですよね。私は、特に自衛隊なんかの場合は実力部隊ですから、政治との関係においては極めて中立的、そして一定の距離を置いておかなければいけない、そういう組織だというふうに思うんですよ。

 こういう問題について、このままほうっておいていいですか。これからも自衛隊出身者の人がこういう同じようなことを繰り返すということについて、何か問題があると思いませんか。どうですか。

甘利国務大臣 御承知のとおり、私は、国家公務員制度改革基本法にのっとって今制度改正をしている、制度改正官庁でございます。国公法自体の所管というのは総務大臣であります。加えて、国公法が対象としている公務員というのはいわゆる行政公務員でありまして、ですから、国会の職員は国公法の所管ではないんですね。自衛隊も、これは自衛隊法で行っておりますから、国家公務員法の所管外の職員ということになりますので、これは第一義的に防衛大臣がきちんと管理監督をしていく問題だと思います。

平岡委員 そういう答弁をされるというのは、行革担当大臣として私はふさわしくないと思いますね。もともと、自衛隊法の政治的行為の制限についても、国家公務員法に準じてつくられている制度ですよね。だから、もともとは国家公務員法でどういうふうになっているか、国家公務員制度としてどうなっているかというところから発生している話ですから、やはりそれについての同じような問題意識を持たなければ、私は大臣としての資格はないと思いますよ。

 ここでそれ以上議論しても仕方ないかもしれないので、次の問題として、もう一つを問題として取り上げたいと思うんです。

 公務員、特に問題がよく発生しているのはキャリア公務員だと思いますけれども、そのキャリア、高級公務員の政策決定への関与、例えば、その公務員が、所掌していない政策に対して影響力を行使することについては、今回の、これまでの公務員制度改革の中でどのような議論がされていますか。

甘利国務大臣 キャリア官僚の政策決定への関与、そういうような論点を直接議論したことはないんですけれども、今回の改革におきましては、国家公務員が内閣、内閣総理大臣及び各大臣を補佐する役割を適切に果たすべきという観点から、幹部人事の一元管理を行うということによって、政治主導の確立を目指すということとしたわけであります。

 制度論を論じる担当大臣でありますし、国家公務員法自身、特に公務員のそうした関与と法律の関係については総務省、総務大臣が所管をしているところでございますが、最初に返りますけれども、御指摘のような論点というのは直接に議論をしたことはございません。

平岡委員 私も、これはやはり、公務員として本来あるべき姿はどうなのかという意味において議論をしてほしいテーマだと思っているんですよ。

 ちょっと具体例を挙げますと、前内閣官房地域活性化統合事務局長であり、現在、ある地区の自民党の総支部長をしている山本繁太郎さんの後援会報の中に、「山本しげたろう実績あれこれ」というので写真入りで出ておりましたけれども、岩国港臨港道路事業、二番目が国道百八十八号バイパス事業、三番目がJR和木駅の新設、四番目がJR岩国駅舎の改築の四つの事業というのが自分の実績として挙げられているというふうになっているんですね。

 この方は高級官僚であったわけでありますけれども、四番目の分は除いて、それぞれの事業の採択当時、この山本繁太郎さんは政府においてどういう役職についておられたんですか。

西銘大臣政務官 どの時点をもって事業採択とするか、それぞれの事業によって異なりますが、まず一点目、岩国港臨港道路事業について、測量に着手した平成十六年度を事業採択とすると、その当時の山本氏の官職は、平成十六年六月三十日以前が国土交通省政策統括官、同年七月一日以降が国土交通省住宅局長であります。

 また、二点目の国道百八十八号バイパス事業について、用地取得に着手した平成三年度を事業採択とすると、その当時の山本氏の官職は、平成三年六月十三日以前が建設省大臣官房文書課企画官、同年六月十四日以降が建設省近畿地方建設局総務部長であります。

 三点目、JR和木駅の新駅について、事業基本計画の変更の認可が行われた平成十八年十月二十七日及び鉄道施設の変更の認可が行われた平成十九年六月十一日当時の山本氏の官職は、国土交通審議官であります。

 なお、JR岩国駅舎の改築については、調査費の国庫補助の内示が行われた平成二十年九月八日当時には、山本氏は既に退官をしております。

 以上です。

平岡委員 今聞いた限りにおいては、直接この事業を担当する役職についていたというふうにはちょっと思えないですよね。

 それでは、お伺いしますけれども、各事業の事業採択の時期をどうするのかというのがよくわからないという答弁もありましたけれども、この事業の事業採択に至るまで、どの段階でこの山本繁太郎氏がどういう関与をしたのか、それがどういう影響をもたらしたのか。これについて、国土交通省として把握している限りにおいて答弁してください。

西銘大臣政務官 一般に、国は、事業の実施に当たってさまざまな調整等を行っております。そのため、個々の職員が個々の事業にどのようにかかわったかを網羅的に調査、把握することは事実上不可能であると考えておりますが、先ほどお答えいたしました官職は、それぞれの事業の採択に関する権限を直接行使するポストではないことから、山本氏が事業採択に際して権限を直接行使したことはあり得ないものと考えております。

平岡委員 これはちょっとどこになるのか、総務省なのか人事院なのかわかりませんけれども、一般論で答えてもらって結構ですけれども、ある役職にある人が、その役職と直接関係のない政策とか事業に対して関与する、あるいは影響力を行使するということは、国家公務員法あるいは国家公務員倫理規程などなどに照らして問題があるんじゃないか、違反しているんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。

川村政府参考人 お答えをさせていただきます。

 国家公務員には、国家公務員法等によりまして、種々の服務義務が課せられておるわけでございますけれども、御指摘のような行為が何らかのそういう服務義務違反に当たるか否かにつきましては、個別事案で、やはり具体的な事実関係に基づきまして判断する必要があるというふうに考えております。

平岡委員 だから、私は一般論で結構だと言っているじゃないですか。ある役職にある公務員が、自分の役職と関係のない事業、政策について影響力を行使する、関与するということは、公務員法その他の関係法令に照らして問題はないのか。

 では、どんどんやっていいんですか。どうですか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも一般論としてお答えを申し上げますけれども、もちろん、個別事案の事実関係につきまして判断する必要があるわけでございますけれども、一般論として、例えば、仮に御指摘のような行為が、職務と関係のない行為であり、それが勤務時間中に行われたというようなものであれば、それは職務専念義務に違反するというようなことになろうかと思います。

 また、その官職の信用を傷つけるとか、あるいは官職全体の不名誉となるような行為に当たるということになれば、それは信用失墜行為になるということではないかというふうに考えております。

平岡委員 現行法に照らしても何らかの問題がある行為だというふうには思うんですけれども、なかなか事実関係をつかまえることは難しい。先ほども西銘大臣政務官からも、なかなかつかまえにくいというようなことがありました。

 甘利大臣、こういう問題について、公務員制度改革の中でしっかりと対応しなければいけない問題ではないですか。どうですか。

甘利国務大臣 国家公務員として法律に抵触するかしないか、これは、国公法は総務大臣の所管であります。ですから、所管外のことでありますから余りうかつなことは言えないんですが、自分の所管する以外のことにいろいろ参考意見を言うということについて縛られることではないと思いますが、それが政策決定にどう関与したか云々ということについて、それは個別事案でいろいろ変わるでしょうし、そこは所管する総務大臣に見解をお述べいただきたいというふうに思っております。

 私のところでは、国家公務員制度改革基本法にのっとりまして、組織、人事が時代の変化に対応した課題に果断に取り組んでいけるように、府省を超えて、機動的な組織と人材の再配置をするということを中心に今取り組んでいるところでございます。

 公務員と個々の案件のかかわり方については、ぜひ総務省を中心に議論をしていただければと思っております。

平岡委員 公務員のあり方の問題について議論をしているわけですから、甘利さんもそんなに逃げないでくださいよ。やはり、本来あるべき公務員制度というのはどういうものなのか、このことの枠の中で、今私が具体的に指摘したような問題、これはまさに本人が「実績あれこれ」と言って、自分の実績だとして、こういう事業は自分の力で実現させたんだと言っているんですよ。そんな問題をこのまま制度的に放置しておくということは私はよくないことだというふうに思いますよ。

 甘利さん、そう思われませんか。

甘利国務大臣 個々の公務員が国家公務員法の中でそれぞれの政策とどうかかわり合うかということは、公務員法を所管するところで、かかわり方を議論していただきたいと思います。

 私のところは、制度論、法律対個々の公務員のかかわり方ではなくて、制度論を議論していっているところでございますので、基本的には所管外のことになろうかと思います。

 ぜひ、所管する大臣のもとで、しっかりと議論をいただければというふうに思っております。

平岡委員 甘利大臣の所管というのは、公務員制度改革基本法の枠の中の話しかしません、その枠以外の話は、公務員制度の改革にかかわる話でも私には関係ありませんというふうに聞こえますね。

 きょうは総務大臣もいませんから、これ以上議論しても押し問答になると思いますからやめますけれども、そういう姿勢じゃ、僕は本当に公務員制度改革なんかできないんじゃないかというふうに思います。

 その点を指摘して、せっかく与謝野大臣が貴重な時間を割いて今来ていただいたので、次の話に移りたいというふうに思います。

 無利子非課税国債の問題についてちょっと取り上げてみたいと思うんです。

 これは自民党も含めて、経済政策の問題として、例えば政府紙幣の問題であるとか、無利子非課税国債の問題であるとか、贈与税の減免の話であるとか、いろいろな話が起こってきていまして、政府紙幣については、与謝野大臣は、もうこんなのは話にならないよというような感じの答弁もされてきておられて、私もそうだろうなと思っているんですけれども、無利子非課税国債については、いろいろ新聞報道等によっても、何か、同じような問題意識を持っているというふうに言ってみたり、あるいは記者会見でも、検討に値することであって、肯定するにせよ否定するにせよ、相当の研究を要すると思っておりますということで、かなり含みを残している、そんな感じが私はするんです。

 かつて、二〇〇〇年のときに、宮澤当時の大蔵大臣が、このような無利子非課税国債を出そうとしている動きに対して、こんなのは絶対認められないんだということで否定をされたという経緯もある話だということでありまして、この無利子非課税国債というのは、財政節度というか、皆の遵法精神を失わせるような話だとか、とにかく非常に大きな問題が潜んでいるというふうに私は思っていて、私自身はこれは非常に否定的なんですよ。ある意味では、与謝野大臣がそういう含みを持たせた発言をしていることについて、これはしっかりとただしておかなきゃいけないなと思うので、きょう質問するんです。

 まず一つ。お金を使う、経済政策にしても、必要なものについても、お金を使うというときに、私は、一つは、まず必要性があってお金を使う、それに必要なお金をどう調達するかというのが考え方の順番だと思うんですけれども、大臣はそういうふうには思われませんか。

与謝野国務大臣 必要があってお金を使うという場合もあるし、お金を持っている方に使っていただくというのも大事なことだと思っています。

平岡委員 そういう意味で考えると、例えば、国債の消化に大変困難を来している状況で、どうしてもお金を集めたいけれども集まらないというような状況のときはどうやって国債を消化するかという、国債管理政策というものがあると思うんですけれども、今、国債の消化について大変困っている、消化できなくて困っているという事情は何かあるんですか。どうですか。

与謝野国務大臣 国債の発行環境は、長期金利からいっても、また応募倍率からいっても、私は、発行環境は大変良好であると思っております。

平岡委員 そういう状況にあるにもかかわらず、この無利子非課税国債を検討するに値するといいますか、同じような問題意識でというふうに言われるのは、どこが同じような問題意識なんですか。何がメリットというふうに考えておられるんですか。

与謝野国務大臣 まず、我々はもう既にわかっておりますことは、国債の購入者も勝つ、国側も勝つ、両方がいわばいいことが起きる関係というのはなかなかつくり出せないんじゃないか、いわばゼロサムゲームになっているんではないかと私は思っておりますが、この発想の中には、やはり、たんす預金で眠っているお金とか、いわば隠匿、退蔵というのは大げさな言葉ですけれども、その種の金品が大いに消費に回れば経済に資することになるんではないか。

 普通の国債を出したときの支払い利息、そのまま財産を持っていて払う相続税、いろいろなことを考えるんですけれども、そのほかの効果もあるんではないですかという問題があって、一応検討はいたしますけれども、そんな結論を急いでやっている作業ではないということも一方であるわけです。

平岡委員 緊急経済対策として自民党の議連の人たちが提案をし、麻生総理も、それを受けて何か前向きな発言もされているというふうに報道では承知しているんですけれども、そんな急ぐ話じゃないというふうに理解されているというのはちょっとよくわからなかったんですけれども。

 今回の緊急経済対策の中で、この問題について何かそれなりに結論を出すということじゃないんですか。どうですか。

与謝野国務大臣 次に仮に経済対策があるとしても、この問題は、その中では全く取り上げられないと考えております。

平岡委員 すぐには取り上げられない話だということになると、ここで余り議論をしていても仕方がないのかもしれませんけれども、せっかく時間がまだあと六分程度ありますので、将来のことに備えて少し質問もしておきたいというふうに思うんです。

 私は、この問題について言うと、とにかくこういう財産を持っていればそれには税金がかかりませんよというような形で、ある意味では国民の人心を惑わすようなこんな政策というのは、品格ある国として、そんなことはすべきじゃない。やはり課税の公平性ということを考えてみても、そうすべきではないというふうに思いますし、さらに言えば、私は、何か国が、悪いことをするのを奨励するような、要するに税金を払わない方がいいんですよというようなことを奨励するような、そんな政策もとるべきじゃないというふうに思うんですね。

 大臣、どうですか、そんな点についてはどう考えられますか。

与謝野国務大臣 当然、国民の公平感、それから、実際こういうものを出して本当に買う人がいるのかどうか、長期的な後遺症はどうなのか、あらゆる観点から検討をするということで、にわかに、お金がないからこういうものを出すんだなんという発想は全くございませんし、経済対策の財源にこれを使っていこうなどという考え方も一切ありませんので、多分、御懸念は無用であると思っております。

平岡委員 そこで、経済政策といいますか景気対策といいますか、どうあるべきかということについてちょっとだけ議論をさせていただきたいと思うんです。

 私もかつて大蔵省におりまして、その当時に隠れ借金というのが随分はやったんですね。つまり、国債発行高を見た目抑えるために、いろいろなところから借りてきて、調達してきて、とりあえず国債発行高を抑えていくということが行われていたんです。それはそれで一つのやり方かもしれませんけれども、私は、そのやり方というのは、国民に財政の現状を透明性を持って説明することになっていない、むしろごまかしてきているんじゃないか、それが結局どんどんどんどん積もりに積もっていって、財政状況を非常に悪化させた原因にもなったんじゃないかというふうにも思うんですね。

 私が申し上げたいのは、どんな経済政策をとるにせよ、やはり財政的にはこれだけの負担があるんだ、将来の負担はこうなんだということを明確に国民に示した上で、透明性を持ってやっていくこと、これが大事だと思うんですね。そうしない限りは、今本当に求められている経済政策というのは、短期的に消費を拡大させればそれでいいというんじゃなくて、国民が将来の日本を見たときに、あっ、この日本のこの政策なら、私は今これだけ使っても大丈夫だし、これだけのものを、例えば家を買っても大丈夫だというふうにして、国民が将来に対する不安をなくしていくことによって消費の拡大あるいはいろいろな投資につながっていくというふうに思うんですよ。そのためのまず最低限の前提というのは、やはり財政については透明性を持った政策をとっていくこと、こんなふうに私は思っているんです。

 そういう意味では、この無利子非課税国債というのは、ある意味では、将来の負担も非常にわかりにくい問題でありますし、国債の流通がどうなるのかということも非常に問題がありますし、とにかく多くの方々にとってみれば、政府に対する信認を失わせる、あるいは財政の透明性を失わせるという観点からいって、とるべきではないというふうに思っています。

 無利子国債の話はともかくとして、本来あるべき経済政策の前提として、私が今申し上げたことについては、大臣、どう思われますか。

与謝野国務大臣 支出と収入の時間差というものがあるので、財政を運営していくときに、とりあえずお金を借りるということは将来もあり得る話でございます。やはり、仕事をしなければならないけれどもお金がないというときには、ストレートに建設国債か赤字国債か、それをきちんと出して、なおかつそれをどう将来取り戻していくのかということもあわせて御説明するというのが責任ある財政の運営だと私は思っております。

平岡委員 与謝野大臣に対する期待は与野党問わずいろいろあるようでございますけれども、いずれまた、経済政策についても政府の方から追加的なものが出てくるというタイミングもあろうかと思いますので、そのときにまたいろいろと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうはこれでおしまいにします。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。鳩山国務大臣。

    ―――――――――――――

 構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山国務大臣 このたび政府から提出いたしました構造改革特別区域法及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 構造改革特区は、地方や民間が自発的に構想を立案し、それぞれの地域の特性に応じた規制の特例を導入することにより、構造改革をさらに加速させるための突破口となるものであり、同時に、地域の活性化の手段となるものです。

 これまで、構造改革特別区域推進本部においては、全国から提案募集を行い、規制の特例措置を決定してまいりました。これまでの提案募集を踏まえ、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の特例を構造改革特別区域法に追加することを通じ、経済社会の構造改革を推進するとともに、地域の活性化を図ろうとするものであります。

 また、構造改革特別区域において実施してきた特定刑事施設における収容及び処遇に関する事務の委託促進事業に係る特例措置につきましては、これを競争の導入による公共サービスの改革の一環として位置づけ、全国展開を図りたいと考えております。

 これに関し、政府においては、刑事施設の運営に関する業務の一部を官民競争入札等の対象とするとともに、民間事業者の参入を可能とするため、所要の法律の特例規定を整備すること等を内容とする公共サービス改革基本方針を昨年末に閣議決定しております。これを受け、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の特例を競争の導入による公共サービスの改革に関する法律に追加することにより、競争の導入による公共サービスの改革を推進しようとするものであります。

 このため、今般、この法律案を提出する次第であります。

 次に、この法律案の概要を申し上げます。

 第一に、構造改革特別区域法の一部改正であります。地方教育行政の組織及び運営に関する法律の特例として、内閣総理大臣の認定を受けた構造改革特区においては、地方公共団体の教育委員会が管理し、及び執行している社会教育施設の管理及び整備に関する事務を、地方公共団体の長が行うことができることとする措置の追加を行うこととしております。

 第二に、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部改正であります。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の特例として、刑事施設における被収容者に対する健康診断の実施等に関する業務について、民間事業者に対する委託を可能とするため、官民競争入札等の対象とする業務の範囲、民間事業者に必要とされる資格、民間事業者の遵守すべき義務、法務大臣による監督上の措置その他の事項を定めるものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十分散会


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