衆議院

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第7号 平成21年4月3日(金曜日)

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平成二十一年四月三日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 加藤 勝信君 理事 渡海紀三朗君

   理事 西村 明宏君 理事 平井たくや君

   理事 平田 耕一君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      あかま二郎君    赤澤 亮正君

      宇野  治君    遠藤 宣彦君

      大塚  拓君    岡本 芳郎君

      木原 誠二君    河本 三郎君

      佐藤  錬君    篠田 陽介君

      高鳥 修一君    徳田  毅君

      中森ふくよ君    中山 成彬君

      長島 忠美君    並木 正芳君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      村田 吉隆君    市村浩一郎君

      吉良 州司君    楠田 大蔵君

      佐々木隆博君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    山田 正彦君

      笠  浩史君    池坊 保子君

      高木美智代君    吉井 英勝君

      重野 安正君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣         甘利  明君

   国務大臣         野田 聖子君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 西川 正郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        青山  伸君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        原  正之君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    尾崎 道明君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸田 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           森川 正之君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     薦田 康久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   加藤 重治君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            数井  寛君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           稲葉 一雄君

   参考人

   (独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長)    立川 敬二君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            鈴木 篤之君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  近藤 駿介君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     高鳥 修一君

同日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     佐藤  錬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長近藤駿介君、原子力安全委員会委員長鈴木篤之君、独立行政法人宇宙航空研究開発機構理事長立川敬二君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、西川正郎君、湯元健治君、原子力安全委員会事務局長青山伸君、公益認定等委員会事務局長原正之君、警察庁生活安全局長巽高英君、刑事局長米田壯君、組織犯罪対策部長宮本和夫君、交通局長東川一君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、法務省大臣官房審議官團藤丈士君、矯正局長尾崎道明君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、主計局次長真砂靖君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、岸田修一君、職業安定局次長大槻勝啓君、経済産業省大臣官房審議官森川正之君、製造産業局次長立岡恒良君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、電力・ガス事業部長西山英彦君、原子力安全・保安院長薦田康久君、原子力安全・保安院審議官加藤重治君、中小企業庁経営支援部長数井寛君、国土交通省大臣官房審議官稲葉一雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

大塚(拓)委員 おはようございます。自由民主党の大塚拓でございます。

 きょうは、振り込め詐欺のことを中心に、最後にやみ金について少し触れさせていただきたいと思っております。

 振り込め詐欺というのは、あるときは親が子を思う気持ちにつけ込んで、またあるときは資金繰りに困った中小企業の経営者の状況というものにつけ込んで、とらの子の財産を巻き上げるという大変卑劣な犯罪でございます。

 かく言う私の母親も実は被害者でございまして、私が友人の会社の保証人になっていた、ところが、その友人が夜逃げをしてしまった、こういう電話がかかってきて、大切な子供のためということで、ひっかかってしまったわけでございますが、実は、これが……(発言する者あり)まあ、その辺はちょっとあれなんですけれども、結構な金員を巻き上げられたわけです。

 本人が、あ、ひっかかったと気づいた瞬間というもののショックというのははかり知れないものがあるわけでございます。せっかく自分の子供のためと思って何とかしなければと思ったものが、詐欺にひっかかって、実は子供のためどころか、むしろ迷惑をかけてしまったんではないかということで非常に自分を責める。こういう非常に卑劣な犯罪であることを私も身をもって実感をしているわけです。

 自由民主党におきましては、振り込め詐欺撲滅ワーキングチームというものをつくりまして、警察庁とも一緒になって、これまでこの卑劣な犯罪の撲滅ということに向けて一生懸命取り組んできておるわけでございます。

 特に、このワーキングチームにおいて、振り込め詐欺というのは、不正に取得をした携帯電話、それと銀行預金口座、この二つが犯罪者の二大ツールとなっているということがございまして、たび重なる議員立法であったり、あるいは各業界、関係省庁への働きかけということを通して、ここに重点を置いた対策をこれまでとってきております。

 お手元に配付をしている資料をごらんいただくとわかるわけですが、例えば、平成十六年の改正本人確認法、あるいは平成十九年一月のATM十万円規制、こういったところで大きく被害額、被害件数ともに減少しているということで、効果を上げる対策をたびたび打ってきているわけでございますけれども、ごらんいただくとわかるとおり、その直後からまた再び被害の増加を続ける。要するに、犯罪者が、何か規制をかけるたびに新たなやり口というものを見つけて、イタチごっこのような状況になってきているということがわかるわけでございます。

 その中で、昨年も、自民党では、金融機関それから携帯電話事業者の皆様と協議を繰り返しまして、業界からの多大なる御協力というものも得ながら、犯罪者がこうした携帯電話、銀行預金口座というツールを不正に入手することができないようにする対策というものを一年かけて取りまとめをしてまいりました。

 その結果は、警察庁が昨年また大変なキャンペーンを張られまして、強化推進月間というものを二度、ことしに入って一度でございますけれども、やった、こういうことの効果も相まって、昨年の後半からずっと被害が減少してきております。三分の一以下というような形にまで被害を抑え込むということに成功してきているという状況になってきております。

 ツールを不正に入手させないということのほかに、もう一つ重要なこととしては、結局、同じ犯人が犯行を繰り返している、しかも、組織立って犯行を繰り返しているということがございますので、こうした組織を根から絶たなければ、またイタチごっこの繰り返しになってしまうということがございますので、効果的に犯行グループを検挙していくという環境を整備していくことも実は大変重要なわけでございます。

 通常、振り込め詐欺においては、不正に取得された携帯電話を利用してコンタクトをとってくる。そこが唯一の犯人の足跡ということになることが多いものですから、携帯電話の通話履歴というものを手がかりにして捜査を進めるということが非常に重要な捜査手法になっているわけですが、その捜査環境をいろいろ整えようということで関係者と議論している中で、一点だけ、これはどうしても関係者の折り合いがつかないということで残されている課題があるわけでございます。

 それは、要は、携帯電話の通話履歴というものを参照しながら犯人の足跡をたどっていく、犯行グループにたどり着くという捜査手法なんですけれども、携帯電話の通話履歴の参照ということについて、これは、憲法二十一条で、通信の秘密を守らなければいけないということが規定をされているわけでございますから、非常に慎重に、すなわち裁判官による差し押さえ令状を取得しないと通話履歴が参照できない、こういうことになっているわけでございます。

 そこで、警察庁にちょっとお伺いしたいわけですが、差し押さえ令状というものを取得するのに、被害が発生してから大体どれぐらいの期間がかかっているものかということをまず教えてください。

米田政府参考人 被害に遭われた方が被害直後に申告をしてこられるということはなかなか少ないわけでございまして、場合によっては一月ぐらいかかることもございます。少なくとも数日はかかるというのが普通でございます。そして、それを受けてさまざまな基礎捜査をして、実際に犯行に使用された携帯電話の通話履歴を差し押さえるというのに大体一月ぐらいはかかってしまうということでございます。

 それから、その後捜査を進めまして、犯行に使われた携帯電話ではない、グループの仲間内同士の連絡に使う携帯電話、これは犯行に使う携帯電話とは全く別の携帯電話を使いますので、グループのメンバーの一端にたどり着いてからその連絡用の携帯電話を何とか割り出す、そしてそれの通話履歴を押さえるということになりますと、これは通常やはり四、五カ月ぐらいはかかってしまうということが多いということでございます。

大塚(拓)委員 要するに、捜査を進めるのには四、五カ月ぐらいかかってしまうということなわけでございます。

 では、引き続いて警察庁にお伺いをしたいんですが、そこにおいて、現状、捜査上どんな問題が起きているかということを教えていただきたいと思います。

米田政府参考人 先ほども申し上げましたように、連絡用の携帯電話を突きとめ、その通話履歴を差し押さえるまで四、五カ月がかかります。その連絡用の携帯電話の履歴がありますと、それを分析することによってグループの全貌を、これはかなり高度の手法を使わなければなりませんが、グループの全貌を解明するということができます。

 しかしながら、通話履歴は現在三カ月で消去されておりますので、そのような捜査まで至らないことが多いわけでございます。そうしますと、グループのメンバーの全貌をなかなか把握ができない。あるいは、グループの一部、特に下の方は検挙ができても、上の方、首魁、首謀者の方に及ばないということになってしまうわけでございまして、したがいまして、グループの中心部分は残ったままで、それがまた人を集めて新たな犯行を行うというようなことも起こっているところでございます。

大塚(拓)委員 そういうことなわけでございます。要するに、捜査をするのには四、五カ月かかるけれども、携帯電話事業者で通話履歴というものが保存されている期間が現在三カ月しかない。よって、最初、グループの末端の、かけ子と言われている電話をかけるだけの人間にたどり着いて、その後、犯罪組織を一網打尽にしようと思ってそこにたどり着いたころには、肝心な証拠がすべて消えている。よって、そこで捜査がストップをしてしまう。こういうことになっているわけでございます。

 こういったことも一因となりまして、検挙率というものがそれほど上がっていない。平成十九年で一七・二%、平成二十年度で二一・五%ということでございます。

 また、携帯電話の通話履歴をたどって捜査をするという観点からいうと、振り込め詐欺のみならず、例えば薬物取引あるいは銃器の取引といった、組織的にグループの存在を隠しながら進めていくこういった犯罪全般について、こういう捜査手法というものが非常に重要になってくるわけでございますから、この状況がいかに犯罪者にとって有利な状況になっているかということでございます。

 この通話履歴の保存期間というものを、少なくとも捜査が必要な期間、五カ月、六カ月ぐらいにまで延長できないかということをワーキングチームでも昨年ずっと議論していったわけでございます。しかしながら、この議論が、幾ら議論しても平行線をたどってしまう。

 どういうことかというと、要は、履歴の保存期間については、総務省の見解として、どれぐらいの期間履歴を保存しておくかということについては、一義的には事業者の判断ですよといいながら、一方で、憲法二十一条あるいは電気通信事業法四条などに規定している通信の秘密との関係から、電気通信役務を社会に提供するのに必要な範囲かどうかということが、妥当な履歴の保存期間かどうかということを判断する基準になります、こういうふうに言うわけでございます。

 それを聞いた携帯電話事業者というものは、そうすると、三カ月というのを六カ月に延ばして持っていたことによって、総務省から、それはちょっと妥当な期間じゃないんじゃないか、長過ぎるんじゃないか、本当に電気通信役務を社会に提供するのに必要な範囲なんですか、こう聞かれてしまうのではないか、こういう指導を受けるのではないかということを懸念して、非常に及び腰になっている。

 しかしながら、総務省としては、これがはっきりいいとも悪いとも言わない中で通信の秘密ということを強調されるという状況の中で、この話が進まなくなっている、こういうことになっているわけでございます。

 これを何とか打開したいと思っているわけですが、まず確認をさせていただきたいのは、通信履歴、通話履歴というものを三カ月持っているものを六カ月に延ばしたからといって、これは情報の開示基準を変えるという話ではございませんので、開示基準というのはこれまでどおり、裁判官による差し押さえ令状があるかないか、法にのっとって裁判官が妥当と判断するかどうかということでございますから、これまでだったら開示されなかった情報に新たに開示されるという道を開くものではないわけでございます。

 したがって、保存期間が三カ月であろうが六カ月であろうが十二カ月であろうが、第三者に開示されないという限りにおいて通信の秘密は侵されていないという点では同じなわけでございますけれども、では、この三カ月という期間には何か法的な根拠があるのかどうか、このことを総務省にお伺いしたいと思います。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話事業者が適法に保管する通話履歴の差し押さえにつきましては、裁判所が発付する令状に基づく捜査機関への提出が行われる場合、通話履歴の保存期間にかかわらず、通信の秘密の侵害となるものではないと考えてございます。

 他方、先生が御指摘になられましたように、万が一漏えいした際の被害が甚大になるなど、業務上必要のない通話履歴を保存することにより通信の秘密が侵される危険が存在しますということで、電気通信事業者の業務上必要な範囲の通話履歴に限り保存、記録することとしているところでございます。

大塚(拓)委員 今お伺いしたかったのは、三カ月という数字に何か根拠があるのかどうか、三という数字に根拠があるのかということなわけですけれども、これは、時間の関係もあるので私から言ってしまいますけれども、ないわけですね。

 要は、電気通信事業法にももちろんそういう具体的な数字が書いてあるわけではないし、その下に電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというものもあるわけですけれども、個人情報の取得という部分、それから利用、通信履歴の記録というところについてはある程度の規制があるわけですけれども、一たん取得したり記録したりした情報をどれぐらい保存しておくかということについての規定はまずない。

 三カ月という数字がどこにも出てきているわけではないということを、とりあえず確認していただけますか。

武内政府参考人 三カ月という数字を法律で決めているわけではございません。

大塚(拓)委員 そういうことなわけです。別に三カ月に何か根拠があってだめだということではないということがはっきり確認されるわけでございますが、そうすると、総務省さんがおっしゃっていることは、それが業務上必要かどうかということが判断基準ですねと。業務上必要なのが三カ月なのか六カ月なのかということを考えるということになるわけです。

 携帯電話というのは、もちろん重要な社会的インフラなわけですけれども、犯罪者が自由に利用するためのものではないということも、これまた同時に明らかなんだろうと思うんですね。

 携帯電話事業者というものは社会の重要なインフラを提供しているわけですけれども、事業者として、その提供するサービスを犯罪者にとって非常に自由に使える環境に置いておかない、犯罪者を携帯電話事業の上で野放しにしないということは、企業として一つ社会的責任になるのではないのかな、こんなふうに思っているわけでございます。

 当然、反社会的行動あるいは犯罪というものを野放しにしないということは、企業のみならず、一般市民にとっても一つの責務なわけでございますけれども、事業者の場合、特に犯罪者が自由にこの携帯電話会社のサービスを利用しているねということになりますと、広く一般社会からも、あの企業は非常に犯罪者に甘い、遵法意識とかそういうものが余り高くないのではないか、こういうことで、事業者の社会的信用そのものにつながっていく。事業者の社会的信用が低下すれば、当然、電気通信役務を提供していくということにも影響が及んでいく、さまざまな形で影響が及んでいくというふうに思うわけでございます。

 そういうことを考えたときに、総務省として、犯罪者を野放しにしないという意味で事業者が社会的責任を果たすということも、電気通信役務を社会に提供していく上で必要なことなのではないかなと思いますけれども、その辺の見解をお伺いしたい、こういうふうに思います。

武内政府参考人 先生御指摘のとおり、携帯電話事業者におきましても、その事業遂行に当たりまして、一定の社会的な責任を果たすということは非常に大事なことだと認識してございます。

 他方で、電気通信事業者の業務としましては、利用者の利益を保護する、あるいは電気通信役務の円滑な提供を確保するということで、専ら犯罪利用対策に取り組むこと自体を電気通信事業者の業務であると言うことは、難しいところがあるかと存じます。

 携帯電話事業者におきましても、社会的責任を果たすということで、振り込め詐欺の被害の増加を踏まえまして、二〇〇八年以来順次、例えば契約者確認ができなかった利用者のブラックリストの共用化ですとか、あるいは契約回線数の制限ですとか、そういうさまざまな取り組みを行ってございまして、効果を上げつつあるものというふうには承知してございます。

 総務省といたしましても、引き続き携帯事業者がこういうふうな社会的責任を果たしていくということを期待しているところでございます。

大塚(拓)委員 そうなんですね。もともと携帯電話会社というのは、そんなに歴史のあるわけでもない、割と最近成長してきた企業ということで、銀行などに比べて、犯罪対策とかそういうところにまで余り目が回っていなかったという実態があるわけでございますが、それについて、携帯電話事業者の方も大変いろいろ御協力をいただいて、今御指摘になったようなブラックリストの共用化とか回線数の制限といったようなことに取り組んでこられた。

 そういう意味で、携帯電話事業者としては非常に、社会的責任を果たそう、こういうふうになってきているわけでございますが、その中で、総務省さんがなかなか、犯罪捜査に協力をしていこうということについて、いいのか悪いのかがはっきりしないということをずっとおっしゃっているもので、その部分について及び腰になっているという側面があるわけでございます。

 そういう観点からいうと、今の御答弁だと、専ら犯罪捜査に取り組むことが、協力していくことが電気通信、携帯電話事業者の責任じゃないということは、当然そうなわけでございますけれども、当然、電気通信事業を営んでいく上で、いろいろなことをやっているわけですね。広報宣伝活動もそうかもしれませんし、株主対策みたいなこともあるかもしれないし、組織の中でのいろいろな経営上の工夫もしなければいけない。

 そういうことが全部相まって携帯電話事業というものが円滑に遂行できる、サービスを滞りなく提供していくことができる、こういうことになっているわけですから、当然、社会的責任を果たしていくということも、企業の社会的信用というものを維持することを通じて業務上必要なことになるんじゃないかな、こういうことを申し上げているわけでございます。だから、例えば銀行にしても、これは一民間企業であるけれども、犯罪対策ということに非常に一生懸命取り組んでこられているわけでございます。

 また、このガイドラインを見ましても、「通信履歴」という項目の中に「不正利用の防止その他の業務の遂行上必要な場合に限り、記録することができる。」これは記録についてであって、保存ではありませんけれども、こういうことも書いてあるわけでございますから、いろいろ幅広くとらえて、業務上必要な場合はこういうものを保存していくことができるというふうに考えるべきではないかなと思うんですけれども、もう一度答弁をお願いできますか。

武内政府参考人 先生御指摘のとおり、携帯電話事業者も社会的な責任を果たすことが非常に大事なことだということで、いろいろな取り組みはしているところではございますが、こういう犯罪捜査というものを業務の中の一つとして取り上げることは、ちょっと難しいところがあるのではないかというふうに考えているところでございます。

大塚(拓)委員 その辺を余り詰めるとややこしくなってもいけないなという気もするんですけれども、必要だということはお認めになられている。業務の一環としてということなのかどうかという観点で多少留保が残っているのかなというふうに思うわけでございますけれども、これは間違いなく、必要なことは必要なわけですよね。

 ちょっと別の観点でもう一つお伺いしてみたいわけですけれども、最近、時代の変化というものがありまして、携帯電話を持って海外出張に長期に行かれるという方も多くなってきている。場合によると、三カ月ぐらい海外をずっと回っているということもあるわけでございます。そうすると、三カ月海外に出張している間には、自分のところに請求書が来て、その請求が妥当だったかどうかということを確認ができないということになるわけでございます。

 また、本人確認の厳格化ということを進めている中で、この二月から、各社そうだと思いますけれども、請求書ベースでの回線契約というのができなくなって、口座振替かクレジットカードというものに限定をされてきたということになっています。どういうことかというと、本人が幾らだねと確認して支払うという行為なく、毎月自動的に引き落とされていくので、ついついうっかり確認をしない。場合によっては、こんなに電話していないはずだよという過大な請求があっても、気づかずに見過ごしてしまうというリスクも、利用者側から見て高くなっているということもあると思います。

 こういったことをもろもろ考えると、利用者保護という観点から、これまでの通信、通話履歴の保存期間というものに再検討を加える余地が出てきているのかな、こんなふうに思うわけですけれども、この点についてどう思われるかを教えてください。

武内政府参考人 先生御指摘のとおり、最近ですと、クレジットカードによる決済を選択する利用者が増加しつつあることに加えまして、海外へ行った場合の国際ローミング等の料金体系や、提供するサービスの内容が非常に多様化しているというところがございます。携帯電話を取り巻く利用状況は日々変化しているところでございます。

 また、これも先生御指摘のとおり、昨今、利用者利益への一層の配慮というものが求められているところでございまして、携帯電話事業者におきましても、利用者からの問い合わせ等への対応等、充実が求められているところでございます。

 こういうことを踏まえまして、携帯電話事業者において、電気通信業務の遂行の必要最低限の範囲ではございますけれども、適切な履歴の保存ということを考えていくことが重要かと考えているところでございます。

大塚(拓)委員 そうすると、そういった利用者保護という観点、時代の変化、こういったこと、それから私企業として社会的責任を果たしていくかどうか、こういった観点を総合的に考えると、現在三カ月である通話履歴の保存期間というものを延長する方向で見直していくということには相応の妥当性がある、こういう状況なのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。総務省。

武内政府参考人 保存期間につきましては、先ほど申し上げましたように、個々の事業者の課金の業務の対応ですとか、それを取り巻く環境変化により判断されるべきものでございまして、このような携帯電話をめぐる利用環境の変化ですとか、あるいは利用者保護に対する社会的要請の増大ということを踏まえまして、その業務上必要な期間について、携帯電話事業者において必要な見直しを行うということが期待されるところでございます。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 現在三カ月である通話履歴の保存ですけれども、これを、状況を見て、現在の最新の社会情勢に合わせて延長していくという方向で見直しをかけていくことは総務省さんも期待をされているということがわかりましたので、これを踏まえて警察庁の方から、大臣の方からですか、所感をちょっとお伺いできれば、このように思います。

佐藤国務大臣 先生冒頭おっしゃられたように、振り込め詐欺におきましては、家族の愛情、情愛、人の善意につけ込む極めて卑劣な犯罪であるということは御承知のとおりであります。多額な被害も出ているということも、先ほど先生の表を示されたとおりであるというふうに思います。

 警察を初め関係省庁、業界の努力でさまざまな対策を講じているところでございますが、御指摘の通信履歴の保存期間の延長についても、犯人の検挙に大いに役立つという観点から、それが実現するならば大変喜ばしいものというふうに思っております。

 ただ、携帯電話の事業者等々にも大変な御負担をかけるということも踏まえて、慎重に対応してまいりたいというふうに思っております。

大塚(拓)委員 そうですね、携帯電話事業者さんも、履歴をさらに保存しておくということで御負担になる部分があるわけでございますから、これは事業者の判断というところが重要だ、こういうふうに思います。

 振り込め詐欺については以上でございますけれども、最後に、やみ金について一つだけ質問をさせていただきたいと思います。

 ちょうど、やみ金の犯罪集団というのがこの振り込め詐欺の犯罪集団と層が一致するというか、やみ金を絞り込むと、やみ金に対する取り締まりを強化すると振り込め詐欺に流れる、振り込め詐欺を取り締まるとやみ金に流れるといったような、こういう関連性がつとに指摘をされているところであるわけでございます。

 特に、ここで振り込め詐欺、ぐっと取り締まりの強化をしてきて、撲滅に向けて大変な効果が上がっている。さらに、貸金業法の改正ということをやったわけですけれども、実は来年の六月にこれの全面施行ということになるわけでございます。この中で、総量規制とか金利規制とか、貸金業者が一番対応に苦慮をする、これまで貸していた人に貸せなくなる、こういう状況が来年の六月に訪れる。

 もとより、今景気が非常に悪化をしていて、生活の資金に困っていらっしゃる、こういう方がふえてきている。こういう状況の中で、やみ金にとっては千載一遇の商売のチャンスというものが訪れるのではないか、こういうところが懸念をされているわけでございます。

 こういった状況を考えると、この先一年、二年という期間、来年の六月、貸金業法の最終施行というところを挟んだ期間、ここに、やみ金がそういう状況を悪用して荒稼ぎをしないために、警察として、この取り締まりを特に、これまで以上に体制を強化して徹底的に取り締まっていくということをしていくことが必要ではないかな、このように思っておりますけれども、どうお考えか、大臣からお伺いをしたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 警察におきましては、多重債務者対策本部で決定をされました多重債務問題改善プログラムを受けまして、すべての都道府県警察においてやみ金融事犯の集中取り締まり本部を設置するなどいたしまして、取り組みの強化を続けているところでもございます。

 先生御指摘の情勢を十分に踏まえまして、今後とも被害者からの相談に適切に対応するとともに、暴力団の関与する事犯を初め、悪質なやみ金融事犯の取り締まりを強力に推進していくつもりでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

大塚(拓)委員 警察の方でもこれまで大変取り締まりに尽力をされていただいていることはよくわかっているわけでございます。その中で、とりわけこの先一年、二年というところを、これまで以上に体制強化して頑張っていただきたい、このように思っておりますので、お願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、最初に宇宙の問題から伺いたいと思うんですが、もともと日本の宇宙研究開発というのは、国会の平和利用決議に基づいて、宇宙物理の分野でも、それからそれを活用した民生機器の研究開発やコストダウンなど、いろいろな分野で国際貢献をしてきたというふうに考えております。

 ただ、それが、昨年の宇宙基本法以降、かなり軍事利用に走ろうとする人たちが力を得てきているといいますか、元気づいてきて、きょうの東京新聞などでも伝えられておりますけれども、アメリカ、ロシアだけが持っている早期警戒衛星を日本でも持つようにしようじゃないかと。これに対して防衛省の幹部の方からは、早期警戒衛星のかなめである赤外線センサーは先行して研究開発を進めているんだという発言があったことなど伝えられております。

 そこで、きょうJAXAの理事長に来ていただいておりますのでお伺いしたいと思うんですが、理事長は、宇宙基本法ができる前から、宇宙の軍事利用を可能とすることについて、宇宙でできることの範囲を少し広げるということ、世界の常識に合わせるのでいいのではないかという発言をしておられたことが紹介されておりますが、昨年五月までの、国会の平和利用決議で軍事利用を禁止していたときも、今も、そういうお考えなのかどうかを最初に伺います。

立川参考人 お答え申し上げます。

 宇宙開発のあり方に関しての法解釈につきましては、政府の方針によるところであると考えております。

 具体的な事案がある場合につきましては、政府と御相談を申し上げて決めていくということでやってまいりたいと考えております。

吉井委員 そうじゃなくて、政府解釈も何も、国会決議があったんですよ。宇宙基本法の前の段階から、宇宙の軍事利用を可能とすることについて、宇宙でできることの範囲を少し広げるということ、世界の常識に合わせることでいいのではないかという、そんなことは政府としてまだ言っていないときなんですね。宇宙に関しては、政府見解でもこれは一般化理論の範囲だったんです。そのときからこういう御発言をされると、政府見解とさえ違っていたということになると思うんですが、もう一度伺いたいと思います。

立川参考人 当時の記者会見のお話だと思いますが、私が申し上げたのは、新しい議員立法によって宇宙基本法をつくって、範囲を少し広げ、国際的な標準にするというふうに聞いておりますと申し上げまして、それを、個人的見解としては結構なことではないかと申し上げたわけであります。

吉井委員 法律ができる前から、政府の一般化理論さえ踏み外した立場で物を言うというのは、これはJAXAの理事長として随分問題があると私は思うんです。

 あわせて、宇宙開発戦略本部や防衛省から、今度は軍事利用のための研究開発を求められたときに、JAXAが軍事開発の一端を担うのか、あるいは理事長としては拒否をするのかということが問われてまいります。

 この点については、これは法解釈だとか政府はどう言っているという話じゃなくて、理事長としてはどういうお考えで臨まれるのかを伺います。

立川参考人 お答え申し上げます。

 新しい法律のもとで、法解釈は政府の問題だと考えております。

 JAXAとしては、事案ごとに具体的なお話があれば、政府と御相談をしつつ、確定していくということにしたいと考えております。

吉井委員 理事長は、JAXA法に基づいて行動するべきである、その立場を踏み外すようでは、これは話にならないということを私ははっきり言わなければならないと思います。

 次に、原子力分野について伺っておきますが、一月に原子力安全委員会と保安院は、柏崎刈羽原発の安全性は妥当だとしたわけですね。しかし、七号機のタービン建屋の実は耐震強度計算は誤りだったということが明らかになってきたんじゃないですか。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 昨日でしたか、東京電力の方から、柏崎刈羽原子力発電所七号機のタービン建屋の地震応答解析におきまして、耐震壁及び耐震補助壁の取り扱いについて一部誤りがあったと報告を受けたところでございます。

 具体的には、これは本来、安全性……(吉井委員「わかりました。また詳しいことは後で聞きますから」と呼ぶ)そうですか。

吉井委員 要するに、原子力安全委員会とか保安院の方が安全だと言ったことが後で間違っていましたというふうになってくると、何だ、東京電力初め電力会社の言いなりかと。要するに、安全宣言というものについて信頼が揺らいでいるというのが非常に深刻な問題だというふうに思うわけです。

 そこで伺いますが、柏崎刈羽原発の一号機から四号機は、最初、四百五十ガルだったのが二千二百八十ガルに変わり、さらに二千三百ガルに変わりましたね。五号機から七号機は、四百五十ガルが千百五十六ガル、千二百九ガルへと、それぞれ四倍、三倍にと一遍に大きくなっているんですが、想定が次々変わるというのは一体なぜなんですか。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 この最初の地震の地震動、四百五十ガルというのは、昔の耐震設計審査指針に基づき設定されたものでございます。

 そして、今回、まさにおっしゃるように、新潟県の中越沖地震でこれを上回る地震動が観測されたわけでありますけれども、これについて、その以降、保安院の方で分析を行った結果、この地震の震源特性と柏崎刈羽原子力発電所の地下構造の特殊性によりまして、ここで大きな地震が起きたということが明らかになったわけでございます。

 また、保安院は、この新指針のもとでまたチェックを行いまして、こういう過程において、この地震動が、今先生がおっしゃいましたように、四百五十ガルから、今回、一号から四号であれば二千三百ガルという形で、地震動に変更があったということでございます。

吉井委員 要するに、当初わかっていなかったとしていたF―B断層によるものを取り入れて、四倍になる、三倍になるということになったのが、想定が次々変わった問題ですね。最初は考えずに、次に三十四キロにし、さらに三十六キロにした。ところが、これも変動地形学者らはもっと長いと言っていますが、その長いと言っている活断層は何キロぐらいと今言われているんですか。

加藤政府参考人 先生今御質問の断層でございますが、一部の専門家の間で、佐渡海盆の東のふちの急ながけ、この下に活断層があるんではないかという説を唱えられている学者がいらっしゃいます。その方などの論文を拝見しますと、長さが約五十キロというふうにその論文などでは述べられていると承知しております。

吉井委員 佐渡海盆もそうなんですけれども、F―B断層にしても、長さはそもそもこの言っている長さなのかという、これ自身が問題になっております。

 そこで、原子力安全委員長に伺いたいんです。

 二〇〇八年六月二十日に委員会として了承した「「活断層等に関する安全審査の手引き」について」という文書で、その四番目に、「耐震設計上考慮する活断層の認定について」というのがありますが、一つは、安全側に判断を行うというのがありますね。それから二つ目に、後期更新世以降の地殻変動が否定できず、適切な地殻変動モデルによっても断層運動が原因であることが否定できない場合には、これらの耐震設計上考慮する活断層を適切に想定すること、こういうふうに見解を示していると思うんですが、まず示しているかどうかという、この点だけ最初に伺っておきます。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 その点について、耐震指針におけるくだりをちょっと読ませていただきますと、「耐震設計上考慮する活断層としては、後期更新世以降の活動が否定できないものとする。なお、その認定に際しては最終間氷期の地層又は地形面に断層による変位・変形が認められるか否かによることができる。」「活断層の位置・形状・活動性等を明らかにするため、敷地からの距離に応じて、地形学・地質学・地球物理学的手法等を総合した十分な活断層調査を行うこと。」というふうにされております。(吉井委員「安全側の判断を行うというのもしていますね」と呼ぶ)はい。

吉井委員 安全側の判断も行うということをしているわけです。

 これも委員長に伺いますが、変動地形学の発展によって、なぜ原子炉基底部で観測された地震動に、震源での地震動より大きく増幅されるものとそうでないものがあるのか。そこには、褶曲構造によって、焦点に震動が集まるように波が複雑に構成されていることなど、今メカニズムがいろいろ研究されておりますが、東電が、新たな基準地震動の策定では、佐渡海盆を、柏崎刈羽原発七号機の設置変更許可申請書の海上音波探査記録を変動地形学的に検討して想定されたとする見解が学者の方からも提起されていると思うんですが、中越沖地震にかかわる主な活構造というのはこの断層であるという見解を尊重した場合に、安全側の判断がなされるということを含めて、やはり検討を深めるということが今大事じゃないかと思うんですが、安全委員長のお考えを伺います。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 安全側に評価するということは私ども非常に重要だと思っておりまして、今先生のお尋ねの件につきましては、F―B断層そのものの長さをより安全に、きちんと見込んで評価するということで、先生御承知のように、中越沖地震に関しまして地震本部が見解を示していますが、それによれば、私の記憶では、二十七キロと言われています。それを、申請者は、まず三十四キロと安全に評価し、これを保安院に示したわけですが、保安院の方で、専門家の意見がさらに反映され、さらに安全に三十六キロというふうに評価された。その指針のとおり議論がされているというふうに理解しております。

吉井委員 さらに五十キロと見るべきという考えが今のお話のさらに進んだものでありますし、そして佐渡海盆について検討するべきだということがありますから、ですから、やはりもっと検討を深めるということがまず大事だと思うんです。

 そこで、安全委員長にもう一つ伺っておきたいのは、なぜ柏崎刈羽原発が想定外の事故になったのかということですね。あの事故の直後、想定外、想定外という言葉がはやっておりましたけれども、そもそも想定とは何なのかということです。確定したものなのか、確定していないから、想定外を予定しているものなのか、この想定というのは何なのか、これを安全委員長に伺います。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃる意味においては、耐震設計上想定すべき地震動という際に使っております想定ということでございまして、これは、そこにまず実際に活断層が存在するか否かに関する科学的知見、これを最大限に活用いたしまして、そこには、しかしながら、科学といえどもわからない点があろうかと思いますので、それを、先生が先ほどおっしゃいましたように、安全性を重視した形で評価し、その結果として設計上どの程度のものを想定すべきかというその想定、そういう意味で使っております。

 したがって、今回、想定を超えたと申しておりますのは、当時の知見において、当時の耐震設計審査指針に基づいて想定したことからすると、今度起きた地震は、そこから実際に観測された地震動が想定を超えていた、そういうふうに我々は使っております。

吉井委員 要するに、これまでから想定してきたものというのは、別段確定したものじゃないわけなんですよ。

 それで、今度、新耐震指針に基づく地震動の新たな想定値というのが各原発で出ておりますが、震源を想定せず想定する地震というのがありますね。これは泊、東通、玄海、川内などですが、要するに、もう最初から震源も何も想定できない、しかし一応想定する、だから何も確定できない、これが実態だというふうになっています。

 東電の方は、柏崎刈羽原発の機器の内部損傷はないというふうにしておりますが、どのような振動実験によって確認したのか。とりわけ、原子力安全委員会にしても保安院にしても、コンピューター解析で大丈夫として、中越沖地震で大規模損傷を招いたわけですよ。多度津にかつてあったような大型起振台のような装置を使って、内部損傷をした機器、超音波診断等ではまだ大丈夫そうに見えても、実際には内部損傷というのはそんな簡単なものじゃありませんから、実際にそれを振動実験をやって、コンピューター解析した解析値と実際の振動実験によって得られたデータとを突き合わせるなど、きちんとした安全性の確認というものが必要だと思うんです。

 原子力安全・保安院の方に伺いますけれども、そういうきちんとした解明というものはやっているのかどうか、伺います。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 私どもの方では、この地震があって以来、各設備につきまして詳細な点検を行い、かつ、安全上重要な機器につきまして、まさに安全サイドにコンピューターで計算をし、塑性変形が生じているかどうかということを確認しているということでございまして、必ずしも今先生がおっしゃいましたようなものがなくても、ここのところにつきましては十分な安全性確認ができるというふうに考えております。

 また、一部の機器につきましては、分解点検、あるいは実際に組み込んだ後、漏えい試験であるとか、あるいは回転したときの音であるとか、そういうもののチェックを行っておりまして、いずれにしましても、この地震によって七号機につきましては大きな損傷がなかったというふうに考えているところでございます。

吉井委員 循環ポンプにしても、クリアランスが、本当にぎりぎりのところで一応オーケーを出してしまっているということもありますし、それからタービンの場合、高速回転体というのは、これは原子力安全委員長は御専門でよく、お詳しいと思いますけれども、高速回転するときというのは、クリティカルスピードを超えるかどうかということで、非常に破損しやすい状況のところもくぐり抜けなきゃいけないし、そして高速回転するものについて、もし地震等で、これはセンターが本当にきっちりしていなきゃいけないわけですから、これがぶれるとタービンミサイルのようなことも起こってしまう。

 ですから、ここで大臣に伺っておきたいんですけれども、やはり原子力安全ということをあなたは担当していただいているわけですけれども、本来だったら、多度津の起振台を残しておれば、柏崎なんかの壊れたものをそこへ持っていって実際に振動実験することができたんですよ。しかし、その振動もできない。コンピューター解析を万能とする発想に立ってしまっているんですね。こういうことでは、本当に国民の安全を守れるのかという深刻な問題を今問われていると思うんです。大臣のお考えを伺います。

佐藤国務大臣 先生の御指摘を踏まえまして、原子力の研究開発及び利用を進めるに当たりましては、安全の確保というのが大前提であるというふうに思います。原子力施設の安全対策に万全を期してまいりたいと思いますし、原子力安全委員会には専門的、中立的機関としての機能を十分に果たしてもらいたいと考えておりまして、私も、それを後押ししていきたいというふうに思います。

 また、実験等々の話の御指摘も踏まえ、検討してまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、本当に、安全の問題というのは極めて今深刻な事態にありますから、七号機の再開を簡単に進めるのではなくて、万全の安全確認というものを引き続きやってもらいたい、このことを申し上げて、終わります。

渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。四十分いただきまして、また本日も議論させていただきたいと思います。

 まず、私は、かねてより規制速度のことにつきまして、いろいろこの内閣委員会でも議論させていただいております。例えば、高速道路が六十キロ規制、その隣を走っている道路がくねくね道なのに五十キロ規制、生活道路が例えば五十キロ規制とか、非常に合理性を欠いた規制速度だったと私は思います。

 そこのところをこの内閣委員会を通じていろいろ議論させていただいておりましたところ、三年ほど前から警察庁の方でもいろいろ御検討いただいたということでありまして、その結果、ついこの間の三月に、規制速度決定の在り方に関する調査研究、報告書が出てきたわけであります。私もまだちゃんとしっかりと目を通していませんが、私はこれは極めていい報告書だというふうに評価をさせていただいております。

 少しかいつまんでお話ししますと、規制速度の決定のあり方に関しては、一般道路、生活道路、高速道路等と分けて分析をされておられまして、しかもこれからの規制のあり方については極めて合理的な判断をされようとしているというふうに私も評価しておりますが、私は非常にこれを高く評価させていただいております。

 国家公安委員長からもこれについて少し御説明いただきまして、今後どうされるか、これをもとにどういうふうなことを考えていらっしゃるか、やろうとされているのかということをまたお話しいただければと思います。

佐藤国務大臣 評価をいただきまして、ありがとうございます。本調査の研究は、平成十八年度から、先ほど先生がおっしゃられましたように、三カ年計画で実勢速度の調査を行いまして、より合理的な規制速度決定のあり方についての検討を行ってきたものと承知しております。

 近年でございますけれども、道路の整備の進展、そして自動車の性能の向上、道路交通を取り巻く環境が変化して、今回の見直しはまことに時宜を得たものというふうに考えております。先生の御評価をいただいたとおりだというふうに私も思っております。

 今回の報告書の内容を踏まえまして、都道府県警察の意見を聴取しつつ、規制速度が交通の安全性や快適性等を踏まえたより一層快適、適切なものとなるように警察庁を指導してまいりたいと思います。

 ここの速度はちょっと設定がおかしいのではないかという御感想はだれしもが持っていらっしゃると思いますし、実勢速度というのは大事なものでございますでしょうし、先ほど申し上げましたように、自動車の性能等々も非常によくなっているという点からしても、交通事故の死者数が減っているという点も踏まえて、そういうところに支障のないような見直しをしていきたいというふうに思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 標識というものが信じられるものにしなくちゃいけないというのが私の一つの大きな思いでありました。すなわち、標識が信じられないんですね。六十キロ規制なのにみんなほとんど八十キロ、九十キロで走っているわけです。だれ一人守っていないというか、守れないんですね。守れない標識を立てておいて、スピード違反で捕まると、その標識から何キロオーバーというようなことで罰金を科される。非常に納得のいかないことがあった、今もあるわけですね。

 ですから、標識をこれからは、つまり信じられない標識から信じられる標識にしてほしいんですね。ああ、なるほど、この道路ではこういう速度を超えると確かに危ないなというようなことになると、皆さんが標識を見て、ああ、ここはやはり危ないんだなということを認識してスピードを落としたり、かげんをするわけですね。スピードのかげんをされると思います。何せ自分の命ですから、また同乗者の命ですし、ひょっとしたら人を巻き込むかもしれないわけですから、当然、みんな安全に運転したいというのは当たり前の話でありまして、だから標識が信じられるようにしていただきたい。

 しかも、今の状況だと、現在の技術だと可変式ということになりますね。すなわち、ああいう固定のものではなくて、今、発光ダイオード等の技術が進んでいます。ああいうのだと非常に消費電力も低いし、ちっちゃいですね。消費電力も通常の十分の一。それからメンテナンスも、例えば電球とかだったら二年に一回取りかえないかぬのを十年に一回でいいとか、メンテナンスも非常にやりやすいということであると、非常にローコストでいわゆる可変式の標識も立てられる技術環境に今あると思います。

 だから、こういうものもぜひとも生かしていただいて、これからまさにこの報告書でうたっていらっしゃるように、合理的な規制速度のあり方をさらに追求し、かつ実行していただきたいと思う次第であります。本当にありがとうございます。

 では、この規制速度についてはきょうはこれで終わらせていただきます。

 また、きょうは野田大臣、それから高市副大臣にもいらっしゃっていただいておるわけでありますが、新公益法人制度がスタートしまして、この間、公益認定等委員会の方から第一号の新公益法人の認定及び一般法人への移行の一つの認定が出たわけであります。私は、新公益法人になられた三つの財団につきましては、これは大変それこそ合理性がある、こういう財団ならば新公益法人に当然移行できる、すべきものだというふうに判断しまして、これは問題ないわけでありますが、きょう私が問題にしたいのは、一般社団法人へ移行した法人について、少し時間をいただいて議論させていただきたいと思います。

 私は、公益法人が一般社団法人に移行することはあってはならないというふうに思っています。私は、実は、今の公益法人がとるべき道は二つしかないと思っておりまして、一つは、新公益法人制度に移行する、一つは、解散して、残余財産をシプレー原則に従いまして国庫に出すか、同種の目的を持った公益法人に対して寄附をするか、この二つしかないと思います。

 と申しますのも、公益法人というのはこれまでも税の優遇を受けている存在だったんですね。税の優遇を受けている存在で、それが内部留保を持っている、いろいろ資産を持っているわけです、今の公益法人が。それが一般法人に移るということは、これは財務省にちょっと御説明いただきたいんですが、すなわち税金さえ納めると、一般法人に移行した後は非分配原則が解かれますので、結局、内部留保の分、資産の分をある種自由に使えるわけです。一つには、いや、違うんだ、公益目的に支出するということで計画を立ててもらっているんだからそれでいいんじゃないですかという説明もされているんですが、どうやってチェックするのか。

 すなわち、今回の二法人につきまして、私は、今回の二法人が何か問題があるということを思っているわけじゃありません。今回、特にたまたま二法人とも経済産業省関連だったものですから、きょう高市副大臣にもお越しいただいているわけであります。別にこの法人が何か個別に悪いということではありませんで、たまたま経産省だったというだけの話なんですが、この法人が具体的にどれだけの残余財産を持って一般社団法人に移行したのか。それから、これからどういうことをされようとしているのか。これは実は大変重要な問題だと私は思っていますし、そもそも、本当は一般社団法人に移行するという道をつくるのはあり得ない、僕はこう思っています。

 まず財務省の方から、もとの公益法人が一般法人に移行する際に税の関係はどういうことになるのか、ちょっとそれを説明いただけたらと思います。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 残余財産の分配が可能な一般社団、財団は、法人税法上普通法人ということで、すべての収益に課税をさせていただくことになっております。

 特例民法法人という形で旧来の民法上の公益法人がこのような普通法人に移行する場合には、御承知のように、民法法人の間は収益事業課税という考え方でございますので、収益事業課税の対象になっていない非収益事業から生じた所得が累積をしておる場合がございまして、その累積額を益金の額に算入することによりまして、これまで課税を受けていなかった部分の所得について清算をする形で課税をして移行していただくという仕組みになってございます。

市村委員 すなわち、これまで、今の公益法人に残余財産があるとしますね。収益事業に係る部分は税金がかかっている、かかってきた。しかし、収益事業に係らない分に関しては税金がある種軽減されてきた、もしくは免税だったということですね。その分について、つまり、公益法人から一般法人に移行する際は、そこには新法人の所得とみなして税金をかける、法人税をかけるということでよろしいわけですね、こういう理解で。わかりました。

 となると、今回の一般法人の具体名は挙げません、別に具体名は挙げないんですが、例えば経産省が元主務官庁であった公益法人の一つの団体は、これは公益法人、NPOですが、約五億円の財産を持って一般法人になるわけです。一つは約五千万円の財産を持って一般法人になるわけですね。

 高市副大臣、済みません、元主務官庁として、公益法人であったときは経産省が監督権を持っていたわけでありますけれども、今度、一般法人になったときには監督権を失うわけですね。副大臣の御感想として、この五億円を持って一般法人化して、今後この法人がこの五億円なりをどうしていくかということについてはどういうふうに御判断されているのかということを、副大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

高市副大臣 失礼いたします。

 むしろ具体的に名前を挙げていただいた方がいいかと思うんですけれども、経済産業省では、二つの団体がございます。いずれも、従来の公益法人から移行した場合、一定期間、計画的に公益事業を行う義務があります。

 名前を申し上げてもいいでしょうか。(市村委員「はい。お願いします」と呼ぶ)二例挙げられたと思うんですが、後者の方は、一般社団法人日本鍛圧機械工業会であると承知しています。これは鍛圧機械工業の関連企業の業界団体で、鍛圧機械の安全性に関する調査、規格・基準の作成などを主な事業としておりまして、三月から一般社団法人に移行しました。ただ、この事業の性格は変わらないということでございます。

 その移行した理由というものが、内部留保をどうしていくかということに目下関係がありますのでちょっと御説明申し上げますと、一般社団法人に移行した理由について聞きましたら、公益社団法人という形になってしまった場合には、法律に基づいて不特定多数の利益に資する公益目的事業を常に全事業の五割以上行うということが義務づけられています。ところが、この社団法人は、従来からの公益事業は、これはきちっと継続しなければなりません。継続しつつも、会員たる業界企業のために行う事業も柔軟に行っていく必要があるという判断から一般社団法人に移行しました。

 ここは、内部留保なんですけれども、平成十九年度の決算で三千二百五万三千円ということなんですが、ここは、事業活動収入に占める会員さんからの会費収入の割合が八〇%以上。いわゆる業界団体です。それから、会員企業に占める中小企業の比率も約八〇%と非常に高くなっておりますので、不況などのときに非常に会員収入が減少するといったこと、もう既に過去にこの経験をしておりまして、こうやって中小企業が多い団体が事業を行っていく上で、事業を円滑に進めるために一定規模の備え、内部留保が必要だということであるようです。

 もう一件は、日本商事仲裁協会でございます。ここは、国際取引から生じる紛争、これを仲裁や調停で解決することを促進する公益事業を行ってきた団体で、同じく三月に一般社団法人に移行しました。

 一般社団法人という形にした理由ですけれども、ここも、公益社団法人として認められる認定基準では公益事業として認定される事業が限定されるということで、一般社団法人でも従来の事業は支障なく実施でき、なおかつ経営の自由度が高まるということを期待するということで一般社団法人への移行を申請したというふうに聞いています。

 こちらが、内部留保額は一億二千二百七十一万円、平成十九年度の数字でございます。

 こちらの方も、これをどうしてということであるかと思うんですが、先ほど説明申し上げましたような内容の公益目的に使う、つまり、公益目的支出計画に基づいた事業のためにのみ活用するということで、国際取引から生じる紛争を仲裁や調停により解決することの促進、これに活用するということでございます。

 以上です。ちょっと長くなって済みませんでした。

市村委員 ありがとうございます。

 いろいろ御説明いただいて、本当は、なぜ名前を挙げなかったかといいますと、別にこの組織が問題があるということを議論しているわけじゃないんですね。すなわち、元公益法人であったものが一般社団法人に移行するということについての選択肢、これはあるのかもしれません。しかし、ある場合は、一たん解散していただいて新たに一般社団法人をつくっていただく、この方が私は道にかなっているということなんですね。

 つまり、内部留保がなぜあるかというのは、もちろんそれは税だけの問題ではないと思いますけれども、公益法人としてためた財産につきましては、収益部分とかいわゆるそれ以外という部分で、先ほど財務省から説明があったような部分もあるのかもしれませんが、やはり公益法人として一体的な考え方を考えると、内部留保というのは公益のために内部留保したものでありますから、当然、新公益法人に移行する道しかないと私は思っています。

 もしそれをとれない、つまり、例えば五〇%以上の公益目的事業をやらないかぬというふうなことがあって、それが大変不都合だというんであれば、公益法人としては解散していただいて、また新たに一般社団法人をつくっていただく。今、簡単なんですね、まさに登記でできるわけですから。つまり十数万の登記料さえ払えばできるわけですね。司法書士さんとかに多少手数料も払わなあかんかもしれませんが、数十万のコストをかければ、また新たな組織がつくれるわけです。やはりそういう道をとるべきだと私は思います。

 公益法人としてためたものは、公益法人に移行するか、解散して国庫に渡すか、同種の目的を持ったところに渡すかしかないはずなんですね。実は、この組織はまだ五千万とか五億と。これも個人のレベルからしたら大変大きなお金です。世の中には内部留保を何百億とためている団体もあるんですね。

 となると、ここの部分で、こういうパス、つまりこういう道を選択できるということになってしまうと、すなわち、今の公益法人の中で多大な内部留保を持っているところは、なるほど、一般社団法人にしてしまえばいいなという道があるということを教えているようなものなんですね、これは。教えているようなものなんです。

 そうすると、支出計画を立てろということなんですね。つまり、一般社団法人になっても、公益法人としてためた内部留保は公益目的に使いましょうということで一応計画を出させるんです。出させるんです、一応は。でも、これはどうやってチェックするんですかということなんですね。

 一般社団法人になって、公益目的に使っています、例えば出版事業をやっています、研究調査事業をやっています、その他いろいろな、いわゆるこれまでやってきた、公益目的にそぐうということをいろいろやってきているわけですね。セミナー、フォーラム事業をやりますとか、法律相談をやりますとか、いろいろあります。いろいろこういうふうにつくっておけば、何でもできるんですね。そうすると、公益法人としてためたものを、一般法人化して、しかもそれを公益目的に使うということだけ提出しておけば、後、自由度はすごく増すんですね、増すんです。

 性善説に立てば、一般法人になってもこれは公益目的のために使ってくれているんですねと信じたいんですが、残念ながら、今、国会でも大きな議論をされています。結局今の公益法人、旧公益法人は、天下り先に使われている。民法三十四条、このことがあって、天下り先に使われてしまった。この内閣委員会でも大分議論しました。

 そうしてためた内部留保を、一般法人化することによって非常に使い勝手のよいものにしていくという道を、これは、ここまで疑うなと言われるかもしれませんが、私は、そういうふうな道をつくるものだというふうに認識をしています。これを許してしまったら、この新制度が一体何だったのかということ、また改めて大きな疑問をもたらす、わいてこさせる、生み出していくんだというふうに私は思っています。

 その意味で、きょうは少し時間をいただいて議論をしたいと思いますが、野田大臣、今まで私の話を聞いての御見解を少しお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 従来の公益法人が税制上の優遇措置を享受して蓄積してきた財産がある、そして、その残余の財産の分配が可能な一般社団、財団法人に移行することによって無制限に勝手に使われてしまうということは適当ではない、それはもう議員のおっしゃるとおりだと私も思っています。

 そんなことにならないようにということなんですけれども、公益法人整備法がございまして、そこにおいて、一般法人に移行する法人は、公益目的支出計画を作成し、移行時点の純資産に相当する金額を当該計画に基づいて公益の目的に支出することとしております。そして、その確実な履行を確保するために、ここからが多分お答えになると思うんですけれども、当該計画の実施に係る報告書を提出させます。そして、それを、行政庁が立入検査、命令等、かなり厳しく監督を行わせていただきます。

 この仕組みは決定しておりまして、一般法人に移ったとしても、従来の公益法人の財産が無制限に使われないような制度をきちっととっているところであります。

市村委員 制度的には今大臣がおっしゃったことだと思いますが、実は、私は、阪神・淡路大震災の復興関連のNPOを支援する基金の運営責任者としていろいろやってきた経験があります。確かに、制度的にはそうかもしれませんが、現実的に、これは今たまたま二つですね。これからどんどんふえてくるわけです。今、公益認定等委員会は百名ぐらいの体制だというふうにお聞きしていますが、とてもとても足りるものじゃないですし、何か不正なりちょっと疑いを持った動きを一件ある種固めていくだけでも、多分相当な努力をしなくちゃならないと私は思います。

 なぜならば、さっき財務省からあったように、これは移行する際に、いわゆる収益事業以外から生じた所得に関しての部分に法人税を払えば、合法的に残余財産は一般法人に移行できるわけですね。しかも、先ほどから申し上げているように、公益目的に使ったということさえあれば、このお金の使い方についてはすごく自由度が増すわけです。

 私がそういう立場に、例えば、ある一般法人に移行したところの事務長とかやっていたら、ある種、やりたい放題できますね。私だってできます。いや、これは出版事業ですから、いや、これはセミナーをやっていますから、これは例えば法律相談ですからとか、いろいろ、いかにも公益目的らしきことをして、それに、例えば弁護士料、年間に一億円払いましたとか、出版事業でも、これに五千万使いましたとか、セミナー一回につき二千万ぐらいかかりましたとか。

 でも、これはどうやってだめと言えますか。すべて合法ですよ。ちゃんと税金払っていますよ、移行先、ちゃんと税金払っていますから、もうその段階で我々のこの資産は一般法人がちゃんと使える資産になっています。しかも、内閣府の方に、公益認定等委員会にちゃんと公益目的に使うように届けていますから、その中にちゃんと出版事業とか法律相談とかセミナーとか書いているじゃないですか。だから、これはこれでちゃんと使っているんですから、何を文句言われるんですか。その単価が高かろうが安かろうが、いや、それは、私どもがどこと契約するかは、もうこれは一般法人ですから、何も皆さんから文句をとやかく言われる筋合いはございませんというふうに、私が事務長になったら、当然、平然と答えるでしょう。何も志もないような事務長で、その組織を守りたいだけの事務長だったら、当然そのように答えると思います。

 でも、そういう団体が一個、二個なら、まだ百人体制で何とか頑張れますよ。大丈夫か、ちゃんとやっているか、これはちょっと高過ぎはしないか、単価高過ぎるぞとか、一般から見てこんなのはちょっと理解されないぞというふうに、少ない段階は言えるかもしれません。しかし、これから、これを一回許してしまうと、いや、これはいい、いい道ができているということで、どんどんどんどん、今公益法人で内部留保を持っているところは、どう考えても僕だったら一般法人化する道を選びます。そして、内部留保をしばらくの間、十年、二十年、これでちょっと食べていけるな、そういうふうな発想になるだろうということが容易に予測できるんですね。だから、こういう道をつくっちゃだめだというのが私のきょうの議論なんです。

 ですから、先ほどから申し上げているように、今の公益法人、今、特例民法法人になっていますが、特例民法法人が選択できる道は二つしかないんです。新公益法人制度に移行するか、それか、解散して残余財産をシプレー原則に基づいて国庫に返すか、同種の団体に寄附するか、もうこれしかないはずなんですね。

 そのときに、この間もここで議論しています。つまり、公益社団法人ではないわけですから、例えば、先ほど高市副大臣も挙げていただいた日本商事仲裁協会、これはADRのことをやっていらっしゃるんですね。まさにこれから大変必要なことをやろうとされているわけです、ADRのことを。まさにこれなんかは新公益法人に移るのが適当だと僕は思います、この団体は。

 ところが、公益社団法人にはそぐわないんです。だから、前から議論しているように、公益事業団体とか公益事業法人というカテゴリーをつくって、そして、公益的な事業を行う団体について新公益法人として認めていくというカテゴライズをしないと、こういう団体の行き場がないんです。こういう日本商事仲裁協会のような団体の行き場がなくなっちゃっています。これは、公益社団法人と言われたら、多分、御本人たちも困ると思いますよ。いや、公益社団法人というのは、そうかなと。そうなると、五〇%以上のどうのこうのになってくるわけです。

 だから、私は、事業団体、事業型のNPOが新公益法人制度に基づいて公益法人になれるような、そうした道筋をつくらなきゃいかぬということを実はこの間からも議論させていただいておるんです。やはり、公益社団法人じゃなくて公益事業法人というカテゴリーをつくることによって、こうした日本商事仲裁協会のような団体も新公益法人に移行できると私は思っているわけであります。

 そういう制度にしなくちゃいけないと私は思いますが、大臣、改めて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。野田大臣、お願いします。

野田国務大臣 まず初めに、最初の質問で、ちゃんと監督ができるのか、今、一社、二社だからいいけれども、これがどんどんふえたときに事務局はちゃんとできるのかということについては、ちょっと事務局の方から先に、どういうふうなプロセスがあるのか聞いてもらいたいと思うので、よろしいですか。

原政府参考人 一般法人に移行した法人は、認可を受けた公益目的支出計画に従いまして、公益目的のために支出しなければならないという義務があります。そして、毎事業年度ごとにこの計画の実施報告書をつくって、行政庁に報告しなければならないとされているところであります。

 そして、この提出された実施計画書を、行政庁から委任されました公益認定等委員会、ここが確認をし、また、当該法人に対する報告徴収あるいは立入検査を実施することで、法人の実態をチェックするという仕組みが整えられているところであります。

 仮に、法人が正当な理由なく支出計画に従っていないことが明らかになった場合には、行政庁は勧告や命令を行うことができるということにされておりますし、そもそも、法人が偽りその他不正の手段によりまして一般法人への移行の認可を受けた場合は、これを取り消さなければならないとされているところであります。

 また、体制の問題でございますけれども、こうした手段を的確に活用するために、財務会計の専門家などの能力を活用するなど、実務の体制、担当者の能力の充実を図ってきているところでありまして、今後も、移行法人の監督の本格化に備えて一層の充実を図ることによって、移行法人による公益目的支出計画の着実な実施を担保してまいりたいと考えています。

市村委員 ですから、制度があるということは、それはわかっているんですね。しかし、その制度があったとしても、うまくいかないでしょうということを私は申し上げているんです。そもそも、こういう道をつくることはやめた方がいいということを申し上げているんですね。はっきり言って無理です。だって、今だって、ここまでなってしまったでしょう、公益法人は。旧公益法人だって、ここまで天下り先になったことをだれがちゃんとチェックできていたんですか、今まで。できていないじゃないですか。それで、今いろいろな問題が噴き出してきているわけでしょう。

 この間、私は、モグラたたきゲームをやめましょうと言いました。もう無数にあり過ぎて、一個一個たたいているうちに疲れちゃうんですね。だから、もう根こそぎ変えなくちゃいけない。だから、私は、官製土壌を民製土壌に変えるという議論をさせていただいているんですね。

 根こそぎ変えないと、一個一個の団体を見ていたって、幾らでも問題が出てくるんですよ、一個一個の団体で。こっちをやっている間にこっちのモグラが出てきて、またこっちをたたいている間にこっちが引っ込んでとかいう形になって、結局疲れちゃうんですよ。一個一個を何とか元気にすることもやってきましたけれども、私もやってきていますけれども、こういうことにエネルギーを使うよりは、やはりもとを絶たないとだめだし、もとをちゃんと正していかなくちゃだめなんですよ、もとの制度自体を。

 だから、先ほどから申し上げているように、やはり、旧公益法人、今の特例民法法人がとるべき道は、新公益法人になるか、それか解散して残余財産をシプレー原則に基づいて国庫に出すか同種の団体に出すかして、もし、それでなおかつこの目的を、今の法人目的を達したい、そのためには一般法人がやりやすいというのであれば、その段階で新たに一般社団法人を立ち上げる、一からスタートするというのがあるべき道であるということを申し上げているんです。

 きょうお話をいただいたこの二つの団体が問題だと言っているんじゃないんです。たまたまこの二つが最初に出てきたので、きょう具体的にこの二つの団体を挙げて、先ほど高市副大臣からも御説明いただいたわけでありますけれども、別にこの団体が問題であると言っているわけじゃないです。つまり、こういう道を用意しておくとどうなのかということを議論しているわけですね。

 もっと何百億と内部留保を持っている団体があるわけですね。では、この団体が一般法人化するときに、この道をつくっていたら、そっちも認めざるを得ないわけですよ。いや、ちゃんと税金を払いました、だから、一般法人化したときのこっちにある資産は、これは一般法人としての我々の資産であって、もう公益法人じゃないんですから、とやかく言われる必要はございません、しかも公益目的の支出計画もちゃんと立てていますし、そのとおり使っていますと言ったら、だれもこれをノーと言えないわけですね。ノーと言えないんです。

 書類上公益目的の支出計画を立てるのはそう難しいことじゃありません。それなりの言葉を並べればつくれます。書類上はつくれます。そして、その目的に従って、もう随意契約、何でもいいわけですね。公益法人の場合はいろいろ問題になっています。何でこんなのに随意契約でやっているんだという問題になっていますけれども、もう一般法人化したら、随意契約であろうと何であろうと関係ないわけです、一般法人ですから。

 そうすると、内部留保を持ったところがどんどん自分たちの知り合いのところに発注していくという道筋をつくることになりますよということを私は申し上げているだけでありまして、こういうことを許してしまったらば、この新しい法人制度の信用が問われるということなんです。

 だから、今のうちに、まだまだ始まったばかりですから、ここのところもしっかり改善されて、公益法人から一般社団法人に行く道はないんだ、一般法人に行く道はないんだということを、やはり制度的にしっかりともとを締めていく、もとでちゃんと縛っていくことを私はすべきだというふうに思っていますが、大臣の御見解をお聞かせください。

野田国務大臣 そもそも、今回の百十年ぶりの大改革というのは、今いみじくも先生がおっしゃったように、主務官庁の裁量的な指導監督のもとで、天下りの温床と疑われても仕方がないような環境にあったこういう公益法人をやめよう、もっと、トランスペアレンシーというのですか、透明性の高い、そういう監督のもとで、しっかりと公益事業を民による公益の増進ということでやっていこうという一つの大きな節目を迎えているところでございます。

 今、公益か、なくすか、どっちかだという話だったんですけれども、先ほど先生が、自分が事務局長だったら何でもかんでもやってしまうと。そんな悪人とは、私はとても思っていないわけですけれども。まずは、そもそもこういう法人の目的というのはそういうことにあったのではなく、やはり公益のために努力をしようということでできるのが法人の目的とするならば、今の新公益法人に移る際に、公益法人になるか一般になるかということでそもそもの目的が変わるということは念頭になく、今までどおりきちっとその事業を進めていきたいという気持ちは変わりありません。

 ですから、公益であろうと一般であろうと、今までどおり多くの組織の人たちが公益の増進に取り組んでいただく、それぞれの創意工夫のもとで取り組んでいただくということは極めて重要なので、そういう前向きな部分を生かしていかなければならないと思っています。

 指導監督につきましても、さらっと言ってしまうとそれまでかと思われるかもしれませんけれども、やはり法令に反することがあれば厳しく処分されるわけでありますし、大変な不正があった場合には当然取り消しされて没収されるわけであります。

 そういうことも踏まえて、今、行政府だけではなく、役所だけではなく、ずっと認定している公益認定等委員会というのがきちっと監督の立場にあるわけですから、今までの主務官庁の裁量的につくられたものに関しては、やはり、隠ぺいがあったり外に見えない部分というのが、不透明なところがどうしてもできやすい状況にあったと思うけれども、この新公益法人制度に移行したことによって、むしろ、そうやって見えなかったものが第三者の機関によってしっかりと明らかになるということでも大変大きな進歩だと思っています。

 ですから、いろいろと、未来永劫この制度を変えないなんていうことは言いません。けれども、百十年にわたる、ある意味問題が多く発生してしまったこれまでの裁量的な公益法人のあり方から、ここで一つ区切りをつけて、第三者による、国民の目線によってジャッジされる公益法人と一般法人というのをつくり上げること、そして、それぞれがこれまでどおりの公益目的でしっかりと事業をしていただくということをやはり最優先に置いて、御理解いただければと思っております。

市村委員 理念の部分とか思いの部分は私は大臣がおっしゃっていることでいいと思うんですね。だけれども、実態上、こういう一般社団法人、一般法人に向かう道をつくらせると、きょう、先ほど申し上げたようなことが起こるということなんです。起こります、これは。

 つまり、起こっているけれどもチェックできないというだけの話なんです。チェックしても、それをちゃんと取り締まることができないわけですよ、警察でも何でもないわけですから。だって、検察でも警察でも、大変ですよね、一つの事案をやっていくというのは。証拠固めからしていかなくちゃいけない。それは違法ですよ。違法捜査ですよ。違法捜査ですらそんなに大変なのに、これは違法でも何でもないんですよ。つまり倫理上とかですね。

 ということで、さっき大臣が国民のチェックということをおっしゃっていますが、まさにそうなんですね。国民のチェックを働かすようにするべきなんです。だから、もちろん徹底した情報公開をしなくちゃなりません。しかし、別に私がするということじゃないんです。できるということを言っているわけですね、私がそういうことをするんじゃなくて。だから、そうさせないように今ここで議論しているわけですね。

 しかし、それは個々の団体に任せるというよりも、やはり、もとをしっかりと締めておかなくちゃだめだという議論でありまして、もう時間が来てしまいましたのできょうは終わりますが、ただ、本当にこれは将来、十年後とか、ああ、あのときにだれか言っていたなと思うことにならないようにしていかなくちゃいけないんです。

 だから、できれば公益認定等委員会の方でも、一般社団に行く道については、これはやはりやめるべきだと思いますし、少なくとも、制度改正するまでは慎重であってほしいと思います、一般社団法人化させる道については。

 特に内部留保を大きく抱えている団体については、これはやはり新公益法人に向かうか解散していただくか、どっちかを選択する方向の指導をしていただきたい、このことを御指摘申し上げて、きょうの質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

渡辺委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは、これまでに扱った問題を改めて振り返りながら、現在の状況をお伺いしたいと思います。

 まず、麻薬対策からお伺いをしたいと思いますが、佐藤国家公安委員長が、非常に高い御見識の中で、麻取法を見直すべきだということを記者会見でもおっしゃられました。その前段では、国会の審議の中でも、やはりこれは検討していかなくてはいけないというようなこともあったというふうに今認識をしております。そういう中で、これはもうかつてから、私も一度取り上げたことがありましたが、厚生労働省がこの麻取法を所管されていて、そして、所持はだめだけれども吸引は法に触れない、こういうような状況になっているということについて見直していかなければならないということを公安委員長がおっしゃられたということでありますけれども、薬物乱用対策推進本部長、そういった御見解に対してどのようにお考えになりますでしょうか。本部長は野田大臣でしたね、薬物の対策本部。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

野田国務大臣 私、薬物乱用対策推進会議の議長をさせていただいておりますので、その立場から発言させていただきます。

 昨年の薬物の情勢を見ますと、全体の検挙人員というのは減少しておりますが、今御指摘の大麻事犯の検挙というのは過去最高を記録しております。依然として厳しい状況にあると認識をしているところです。

 政府におきましては、第三次薬物乱用防止五カ年戦略がございますので、それに基づいて、大麻対策も含め、関係省庁においてこの戦略に沿った取り組みを強力に行っているところです。

 大麻事犯につきましては、今話がありました、厚生労働省と関係取り締まり機関が十分連携を図りつつ、現行法の規定を最大限活用して徹底した取り締まりを推進しているところだと承っております。薬物乱用対策推進会議の議長として、今後とも皆さんと連携しまして、根絶に向けた対策を一丸となって積極的に推進してまいりたい。

 一言私の立場から追加させていただくと、取り締まりというのは、今麻取の方で、いろいろ現場で努力をしていただいていることは事実ですけれども、議長としての目標は根絶ということなので、やはりそこまで、これから厚労省や警察の方と議論していかなきゃならないなという状況にあると考えております。

泉委員 野田大臣、もう一度お伺いしますが、公安委員長がこういった見直しをするべきだということをおっしゃられたわけですね。そのことについての御見解をもう一度お願いします。

野田国務大臣 どの法律も見直しをしてはならないということはありませんので。

 ただ、今、厚生労働省の所管の法律ですから、私どももしっかりと厚生労働省と話をさせていただいた上でお答えしたいと思います。

泉委員 ということで、きょうは厚生労働副大臣をお呼びいたしました。

 特に国家公安委員長が、一つの御決断を持ってというか、高い見識の中で麻取法は見直すべきと。もちろん厚生労働省もそうですし、国家公安委員長も、そしてまた野田大臣もそうですけれども、薬物乱用対策の推進本部の一員でもあるわけですね。ですので、各省庁ばらばらということではなくて、一体としたこの対策本部というものの中で、厚生労働省がこういった構成メンバーの意見を踏まえてどのような考えを持たれているのかお聞かせください。

渡辺副大臣 大麻の乱用を防止するということは大変重要な課題だと認識をしております。

 大麻取締法を所管する厚生労働省としましては、現行法において既に必要な規定が整備されているものと考えておりまして、今後とも関係取り締まり機関と十分に連携を図りながら、現行法の規定を最大限に活用して対応してまいりたいと考えております。

 厚生労働省としましては、大麻の乱用防止に関しましては、青少年の規範意識の維持向上を図ることが何よりも重要である、そのように認識しておりまして、教育等の関係機関と緊密な連携を図りながら、若年層を中心とした啓発活動を進めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

泉委員 今おっしゃられたのは、現行法で十分対応できているということでしたね。

 しかし、公安委員長が現行法は見直しをするべきではないかということをおっしゃられたわけですね。これはやはり見直すことも、もちろん、さっき野田大臣おっしゃったように、法律はすべて見直しをしないものではないということではありますけれども、しかし、世の中もこうして随分と状況が変わってくる中で、ずっとかつてからの定義のままで進んでいかれるのが果たしていいかというと、やはり対応を変えていかなくてはいけないんではないかなと思うわけですね。ですから、特に、この構成メンバー、対策本部の中の主要メンバーがこうした発言をされたことをぜひ踏まえた対応をしていただきたいと思うんですね。もう一度厚生労働副大臣、お願いします。

渡辺副大臣 さまざまな御意見がございますので、検討することそのものはやみくもに否定するものではありませんので、これからも関係省庁と連携をとりながら対応していきたいと思っておりますが、重ねて申し上げますけれども、厚生労働省としては、現行法を最大限に活用して成果を上げていきたいと考えております。

泉委員 厚生労働省、もう一回お伺いをしたいんですが、角界も含めて、あるいは大学の中で、こういったさまざまな薬物の使用が社会問題化をしている中で、どうしてそこまでかたくなに麻取法を変えないという御姿勢なのか、理由をお聞かせいただけますか。

岸田政府参考人 今、現行法のことの御質問がございましたので。大麻取締法全般の話でございますけれども、国際的に遜色のない法律ということは誇れるかと思います。

 御指摘の使用のところについては、必ず所持というものがあるわけでございますので、所持罪を設けております。そして、現に今取り締まりをしている、送致しているものの中には、所持罪というものが圧倒的に多いわけでございまして、そこをしっかりとやることによって、乱用問題というのは取り締まりの方からはいけるんだろう、こういうふうに考えております。

泉委員 申しわけありませんが、それは今の法律上そういった形での取り締まりしかできないからそれを一生懸命やっておられるということであって、恐らく多くの国民は納得をされている状況ではないということはぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

 ともあれ、公安委員長がこのような御発言をされたということについては、私、高く評価をしたいというふうに思います。これは、きょうこうしておそろいになられておりますけれども、やはり、この対策推進会議の中で、野田大臣、ぜひ主導権を握っていただいて、その調整を積極的に行っていただきたい、そしてまた、答えを国民の納得する形で出していただきたいということをお願いしたいと思います。

 野田大臣、もうここで結構です。

 続いて、二点目であります。

 自動車の運転代行業、このことについて触れたいと思います。

 運転代行業、これはいわゆる飲酒運転の防止の観点からもということで、特に、私の知っている範囲で恐縮ですけれども、例えば高知県なんかでは当初から随分盛んに行われていて、それがもう今や全国に広がったものでありますけれども、基本的な形としては、運転代行業者が運転席と助手席に二人最初乗っておいて、お客さんが見つかったら、お客さんの車を運転して御自宅まで送るというようなことを業務とされているわけですが、この運転代行業の法律ができております。

 改めてですけれども、国家公安委員長、この運転代行業の果たす役割、これをどのようにお考えになられていますか。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 自動車の運転代行業ということに関しまして、先生がおっしゃられたように、飲酒した客にかわって客の自動車を運転し、客とその自動車を自宅まで送り届けるサービスでございまして、飲酒時の代替交通手段として活用されることが期待されておりまして、特に飲酒運転根絶の受け皿として、安全で良質な運転代行サービスが普及することが望ましいというふうに思っております。

泉委員 この運転代行業の適正化法ができた背景を教えていただけますでしょうか。

東川政府参考人 お答えいたします。

 運転代行業の意義につきましては先ほど大臣の答弁にありましたとおりでございますが、しかしながら、一方で、運転者に対する最高速度違反等の下命、容認、あるいは白タク行為、料金の不正収受、損害賠償保険の未加入、暴力団関係者による被害、あるいは交通事故の発生率が高いといった問題点が指摘されていたところでございます。

 そこで、このような自動車運転代行業の実情にかんがみまして、その業務の適正な運営を確保することにより交通の安全及び利用者の保護を図ることを目的として、平成十三年にこの法律が制定されたというふうに承知しております。

泉委員 今、速度違反だとか交通違反、交通事故等の問題、白タク行為、そしてまた保険への未加入、そういったものが問題になったという御説明がありました。

 多少結果を知っている中でお伺いするのは恐縮なんですが、特に交通違反、交通事故の点で、法を制定後、法を制定したことの効果はございましたでしょうか。

東川政府参考人 交通事故の関係から見ますと、一千万走行台キロ当たりの件数については横ばいの状態ということでございます。

 以上でございます。

泉委員 横ばいということは、残念ながらその部分については、もちろん業者数が非常にふえたということはあるわけですけれども、交通安全あるいは交通違反防止ということについては、この法を制定した目的がまだ果たされてはいないのではないかなというふうに私は思います。引き続きここは、こういった事業者の適正化、監督に向けて、ぜひ頑張っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 先ほどおっしゃられた、そういった速度だとか交通事故ということについてはそれはそれなんですが、当時、白タクですとかあるいは保険の未加入ということが問題になっていてこの代行業というものの法律ができたわけですね。

 しかし、今、実は新しい業態が出てきている。公安委員長にももうお話が伝わっているかもしれませんが、この適正化法の中では、随伴自動車、これがある者が代行業者であるということが一つの要件になっているわけですね、随伴自動車。確かにそうです。冒頭説明したように、業者さんがお客さんの車を運転するわけですから、そのお客さんの車を運転した業者さんが戻ってくるためには何かの交通機関を使わなくてはいけない。そうすれば、もう一台車を後ろに走らせて、あるいは前に走らせて、そして、その車で一緒に帰ってくるというような形をとることが基本形ではあるんですが、やはりこの世の中、さまざまないいお知恵というか、ベンチャー的な知恵を持たれる方が大変あって、これこそまさに日本の活力でもあると思うんですが、いわゆるお客様の車のトランクに折り畳みバイクを積んで、そしてお客様の家に送り届ける。帰りは、その車から、トランクからバイクを出して、折り畳みバイクで帰ってくる、こういった新たな業態も出てきておるわけです。

 これは、いわゆる自動車運転代行業に当たりますでしょうか。

東川政府参考人 現行の運転代行業法につきましては、随伴自動車が常態として使用されているということが定義でございますので、今議員がおっしゃられたような形態は、現行の運転代行業法の中には入ってきておりません。

泉委員 先ほど、保険の未加入の問題とかがあったということが法の制定の背景にあったわけですけれども、実は、バイクを使った業者さんからいろいろとお話を聞いていますと、保険になかなか入れないんだ、契約を結べないんだということでした。これはもちろん、保険会社との民民の関係ではあるんですけれども、その一つとして、この法の対象外、代行業者というふうにみなされないから事実上保険に入ることができないんだと。保険会社さんの方は、いわゆる代行業についての保険であればそれは認めるけれども、あなたは代行業者ではないでしょう、こういうことになってしまっている現状があるということです。

 改めて警察庁にお伺いしますが、この法律をつくられるときに、どうしてこの随伴自動車というものが要件になければいけなかったのか、まずそこから聞きましょう。

東川政府参考人 お答えいたします。

 自動車の運転代行業の定義を定めるに当たりましては、必要な範囲で規制を行っていくという観点から、交通事故や道路交通法違反、白タク行為といった問題点、これが現に顕在化している業態をとらえて、これを自動車運転代行業として定義し、これに対して必要な規制を行っていくという考え方のもとに実施したものでございます。

 特に自動車運転代行業の定義のうち、「常態として、」「営業の用に供する自動車が随伴するもの」であること、これが要件の一つとされているのは、自動車の随伴を伴う運転代行サービスにつきましては、繁華街や客待ちのための駐車違反、タクシーと誤認されることによる白タク行為、当該自動車に係る交通事故等の問題が指摘されていたことから、このような自動車についての規制を設ける必要があるということでこのようにされたものでございます。

泉委員 そうですね、今おっしゃったように、白タク行為あるいは繁華街での客待ち、また随伴自動車による交通事故、そういったものがこういった自動車を使った場合にはあり得るので、それを法の中に入れたと。

 先ほど、必要な範囲でとおっしゃいましたが、この法ができた当初は、まさにこういった折り畳み、バイクと言いますけれども、実際には原付自転車でございます、原付バイク、こういったものは当時は業態としてはなかったということがまず挙げられると思うんですね。しかし、事実、業態として出てきたわけなんです。

 警察庁、こういった二輪の、折り畳みの原付自転車を使った業態というものは把握されていますでしょうか。

東川政府参考人 御指摘の、折り畳み式の原動機付自転車を使用する形態を含めまして、いわゆる随伴用自動車が随伴しない形態による運転代行サービスというものにつきまして、平成十九年十月に、都道府県警察を通じて全国調査を実施しましたけれども、把握できたのは、当時は四業者でございます。このうち、折り畳み式の原動機付自転車を使用する形態のものは一業者しか把握できませんでした。

 そこで、このような形態の運転代行サービスにつきましては、これからその実態を見きわめながら検討する必要があるのではないかというふうに考えております。

泉委員 今の御答弁をお伺いしていますと、こういった業態がふえてくれば、ある意味、今後さらに検討も早くしなければならない、そんなようなニュアンスでお伺いをしましたけれども、それでよろしいですか。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤国務大臣 このお話を聞いて私も初めて知ったという、大変申しわけない話なんですけれども、御指摘の、随伴自動車を伴わない業態の実態についてまずは把握をさせていただきたいというふうに思います。

 それで、全国的にどういう状況になっているかということを把握した上で、その実態に即して、交通の安全や利用者の保護の観点からどのような対応をすべきか、警察庁だけで判断できないところもございますので、国土交通省とも連携をしながら適切に検討してまいりたいというふうに思っております。

泉委員 その国土交通省にきょうはお越しをいただいておりますが、国土交通省は、こういった折り畳み式の原動機付自転車を用いた実質的な自動車運転代行が行われていることについて御認識をされているかどうか、そしてまた、そういうことについての現在の見解を教えてください。

稲葉政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、先ほど交通局長から御説明がありましたような調査の結果については警察庁から伺っております。そのような限りで現状について承知しております。

 また、先ほど交通局長から御説明がありましたとおりでございまして、今後、その実態を確認した上で、必要があればその規制について検討していく、こういうことであると承知しております。

泉委員 問題を改めて整理しますと、この運転代行業が普及をしてきて、そして平成十三年ですか、国の方で法律を制定するに至った、その経緯には、大きく分けて、交通事故だとか交通違反の問題点、もう一つは、保険に入る入らない、お客様に対する利用者の保護の観点、こういった両方があったというふうに私は思っております。その両方がある中で、随伴自動車があるものということについてこういった規制の網をかけることによって、白タク行為だとか駐車の禁止だとか、あるいは速度、交通事故、そういったものの予防というものをやっていこうと。

 しかし、保険に入らない業態があるということであれば、これはやはり利用者の保護には私はなっていかないと思うんですね。

 先ほど言ったように、実は、法が制定されてから事故の件数ですとか死亡事故の件数は減っておらない、残念ながら。減っておらない。全国的に交通死亡事故件数が減っているということでありますけれども、そういう中でありながら、この運転代行の業界というのはまだまだそういった交通事故が減っている現状にはないということもあります。そういう中で、やはり保険というものが非常に大事なわけですね、保険が大事。この保険が大事なのにもかかわらず、新しい業態にこの法律が対応できないような状況になりつつあるんだということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 そういった意味で、この法律にも見直し規定がございますので、公安委員長、今後ぜひ検討していただいて、先ほどおっしゃったように、まずは実態把握、そしてその実態を踏まえた上での検討ということにぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

佐藤国務大臣 なるべく早く対応できるように努力してまいりたいというふうに思っております。

泉委員 実は、次に触れる偽装ラブホテル問題、類似ラブホテル問題もそうなんですが、群馬県の老人ホームの今回の火災、多数の方が亡くなられました。あのことを思い出していただきたいと思うんですが、今やはり全国で問題になっているのは、無届けの業者、無届けの施設、こういったものが全く網の目から落ちてしまって、逆に言うと、届け出をした事業者は、法の規制の中で、時に不自由さを感じながら一生懸命その法の範囲の中で事業を展開されている一方で、無届け業者には、例えば立ち入りもほとんど行われてこなかったですとか、ほとんど法の網もひっかからずに、運営がずさんであっただとか、いろいろなケースが今問題になっていると思うんですね。

 ですから、この無届けということについて、私は、各省庁、もう全政府的に、無届けのものに対する、これは都道府県の立ち入り権限というものも絡んできますけれども、そういったものに対する考え方をぜひやはり持っていただきたいなというふうに思うわけです。そういった意味で、まずこの代行業のことを取り上げさせていただきました。

 続きまして、類似ラブホテル、市民団体からすると偽装ラブホテルという呼び方で、今まだ統一はされておりませんけれども、この問題について取り上げていきたいというふうに思います。

 まず、今回警察庁が、風俗行政研究会というところで、まさにこれまで我々が取り上げてきた、私も平成十七年に質問をして以降何度か取り上げさせていただきましたけれども、この問題について検討を開始されることになったということについては大変感謝を申し上げたいというふうに思います。

 質問でお伺いしようと思ったんですが、もういろいろと御説明いただいて理解をしておりますので、今回のこの風俗行政研究会の中では、主に出会い系喫茶の問題、そしていわゆるラブホテルの要件の見直し、この二つが今後研究をなされて、五月上旬までを目途として議論の結果をまとめるというような御説明をいただいております。

 これまで問題になっていたように、今現在も、教育施設の至近な距離のところにこういったラブホテルに類似した建物が、実質的なラブホテルが建ってしまっているという現状がある。やはりこれを何とか正していかなくてはいけない。もちろん、ラブホテルそのものを否定するわけではありません。しかし、やはり脱法行為的なことというのは、これは許してはいけないよということで、今訴えをしているわけです。

 警察庁にまずお伺いをしたいと思います。

 改めて、こういったラブホテルに立地規制を設けている理由をお聞かせいただけますか。

巽政府参考人 お答えいたします。

 ラブホテルを含む店舗型性風俗特殊営業につきましては、善良な風俗に多大な影響を及ぼす可能性があるということ、特に学校等の保護対象施設を有する区域において営まれる場合には、当該区域の清浄な風俗環境を害し、少年の健全育成に障害を及ぼすおそれがある、こういうことで、風営法では、学校等の保護対象施設の周囲二百メートルの区域内においては、ラブホテルを含む店舗型性風俗特殊営業を原則として営んではならないということとしているところでございます。

泉委員 これは四年前ぐらいの質問でもしたことなんですけれども、実際には、風適法の中で、専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。)の用に供する施設ということでラブホテルやモーテルが定められておりまして、さらにその要件については政令で定められております。施設設備、構造ということであります。

 以前も問題で取り上げましたけれども、例えば、「政令で定める設備」というところで、「動力により振動し又は回転するベッド」だとか、「横臥している人の姿態を映すために設けられた鏡」、特定用途鏡で「面積が一平方メートル以上のもの」、要は大きい鏡、こういうものがあるものがラブホテルですよという話だったり、「専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備」、こういうものが備わっているものをラブホテルとしますよといいますが、これは、このいずれかが備わっていればということの解釈でよろしいですね。

巽政府参考人 お答えいたします。

 ラブホテルというのは、政令で定める施設であり、かつ政令で定める設備を持つものということでありまして、政令で定める設備ということで七項目あると思いますが、そのいずれかがあるものということでございます。

泉委員 ちょっと細かい話で恐縮ですが、その3番の「専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備」とは何を指すんでしょうか。

巽政府参考人 例えばSMプレーのための道具、こういったようなものでございます。

泉委員 これはまた後で少し取り上げたいと思いますけれども、全国偽装ラブホテルをなくす会、こちらから、二〇〇八年三月二十六日に厚生労働省の方にも要望が届いていると思うんですが、この要望は確認をされていますでしょうか。そしてまた、御対応は現在どのように考えられていますでしょうか。

渡辺副大臣 御指摘の要望書につきましては、担当課において三月二十六日に受け取りまして、直接、全国偽装ラブホテルをなくす会からお話も承ったと承知しております。

 旅館業法は、「旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」ものでありまして、旅館業法上の指導監督は、委員先ほどもお話がありましたが、自治事務として都道府県知事等が行うこととなっております。

 厚生労働省としましては、いわゆる類似ラブホテルの営業につきましては、地域住民との間で問題となっている事例もあることから、営業者が宿泊者名簿を備えつけること、それから玄関帳場を設けることといった一定の構造設備を有することなど、適正な営業が確保されるように、全国健康関係主管課長会議におきまして地方公共団体に周知をしておるところでございます。

泉委員 副大臣にこういったことを言ってしまうのは大変申しわけないのかもしれませんが、例えば世間一般にラブホテルと言われるものは約三万軒ぐらいあると言われているわけですね。これはラブホテルと言われているものだけでですよ。そういう中で、果たして都道府県にそんなに手があるんだろうか。通知を出されて、宿帳があるかどうかを確認しなさいといったところで、例えば全軒立ち入りをして確認をするようなことを厚生労働省からは流しているわけですか。

渡辺副大臣 自治事務ということでございますので、こちらからは、いろいろな国民の皆様からの要望を受けた場合は、それをきちんとお伝えして、実施をしていただけるようにお話をしているところでございます。

泉委員 厚生労働副大臣にもう一問お伺いしますが、やはり旅館業法で、今おっしゃられたように、立ち入りをして、例えば、では宿帳はちゃんと置いてくださいねだとか、いろいろと改善指導を行うわけですね。

 しかし、実際には、こういった改善指導、改善命令をしても、そのいっときだけ、はい、わかりましたということで少し仕組みを変えられて、実際にはまたすぐ戻ってしまう、そのたびに立ち入りをするということもこれはまたなかなか大変なことでありまして、イタチごっこの状態が続いているというのがやはり現状だと思うんですね。

 せめて罰則の適用というものをもう少し厳格にやっていただく方がいいんではないのかなと思うわけです。特に、改善指導を何度も繰り返し破っているようなケースですね。これについてはやはり罰則をもう少し適用していくべきではないかと考えますが、いかがお考えですか。

渡辺副大臣 旅館業法上、必要がある場合には、都道府県等の職員が立入検査を行ったり報告徴収を行うことができます。旅館業法違反が認められた場合には、改善命令を行う、そしてまたさらに営業許可の取り消しといった措置を講ずることができるわけです。

 先ほどお話がありましたけれども、これに従わない場合は罰則を適用することができる、そのような規定になっておりまして、旅館業法上の指導監督は自治事務として都道府県知事等が行うことになっておりまして、都道府県によりましては条例等で定める基準もありますので、厚生労働省としましては、それぞれの地方公共団体において、具体的な事案に照らしまして、これらの規定を踏まえた対応が必要であると考えております。

 もちろん、類似ラブホテルに関しての違法なものがあればしっかり対応していきたいと考えております。

泉委員 公安委員長も副大臣も、このラブホテルの業界というのは、特に若い世代を中心になのかもしれませんが、どんどんどんどん新しい業態が出てきております。また呼び名も変わってきておりまして、恐らく御存じないかもしれませんが、最近はハッピーホテルという言い方もするんですね。ぜひ覚えておいていただければと思いますけれども、皆さん、はあっと首をかしげるような、恐らく官庁の皆さんもそういう状況でおられるんじゃないかなと、本当にそれぐらいやはりいろいろと動きがある世界なんですね。

 そういう中で、例えば建築基準法なんかでも、技術的助言ということで、ラブホテルではないけれども「その他これらに類するもの」ということで、例えば「共有の玄関を有しない」だとか「玄関帳場を有しない」だとか「ロビー、応接室等を有しない」というようなことで、これをラブホテルに類するものとしようというような新しい取り組みをされている。これは平成十七年に出されたものですが、実は最近、それすらも乗り越えるようないわゆるラブホテルみたいなものも出てきている。

 もう昔のようにこそこそと二人連れがそそくさと部屋に入っていくようなものではなくて、一階が遊べるような、ビリヤードが置いてあったりダーツが置いてあったりみたいな、そういう施設も出てきている。これは別に距離の規制、立地規制に違反しているわけではありませんので、それはそれであり得るわけですが、いろいろな形のものが出てきているということはどうか御認識をいただいた上でこういった法をつくっていくことがやはり大事じゃないかなというふうに思います。

 そういった中でいいますと、この国土交通省から出ているものでもそうですけれども、「建築物の構造、形態、意匠等から「ラブホテル」と認められるもの」、「形態、意匠、色彩、照明その他の外観が著しく派手又は奇異であるもの」、こういったものも条件に入っております。

 そして、警察庁が平成十八年に出された「地域において問題になっているラブホテル等への対応について」という文書の中で、類似ラブホテルというものが何かということについては、ラブホテルと「同様の外観を備えるなど、」というふうに書いてあります。そのような「特異な外観や営業方法、広告・宣伝等から」ということで、問題を取り上げられているわけですね。

 そういった意味からいきますと、これはかなり広くとらえた考え方かもしれませんが、例えば、先ほど出てきた政令の中身、この政令の中身の3番、「専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備」というものがあるわけですが、これは先ほどおっしゃったように、室内の設備のことを挙げられたと思うんですね。ただ一方で、いわゆるラブホテルといえば、料金の表示があったり、空、満という表示があったり、あるいは駐車場に入るまでの垂れ下がっている目隠しみたいなものがあったり、あるいは上に大きな派手な動物の形をした意匠があったりだとか、いろいろなそういったものを見て、世の中の人間は、これはラブホテルだよね、あるいはライトアップの仕方等々も含めてかもしれませんが、やはりそういうふうに外形的に見て、これはラブホテルだよねというふうに認識をするわけですね。そういったものが目の前にあることについての拒絶感というか抵抗感、これがあるんだと思います。

 そういった意味で、私は、この政令の改正の中で、ぜひ、読み込もうとすれば、客の性的好奇心に応ずるために設けられた設備というものには、どれか一つということではありませんが、全体をもって、そういった見方をしたときにもこの中に当てはめていくという考え方もあってもいいのかなと思いますし、もう少し、政令で細かく定めるものではない形で、偽装ラブホテルということにならないようにしていただきたいなというふうに思います。

 これも先ほど申しましたけれども、やはり無届け施設問題ということで、以前、ある研究機関の調査では、届け出をしたけれども全くメリットを感じられなかったというのが約八割、そして、届け出をしたことによって、届け出をしていない業者に比べて不利を感じたというのも約八割ということで、逆にいわゆる類似ラブホテルの方は伸び伸びと自由に営業をされているという状況については、これはやはり改めていかなくてはいけないというふうに思います。

 そういった意味で、最後に公安委員長の御決意をお願いします。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられたように、風営法施行令において具体的に定められているラブホテルの要件に該当しないためにいろいろな規制がかからず、問題になっているということなのではないかなというふうに思いますし、ラブホテルの要件が長年見直されてこなかったというところにも間違いなく問題があったのではないかなというふうに思います。

 自治体からも類似ラブホテルの規制強化に向けた要望がなされ、先ほど先生のお話にございましたように、住民からもあり、いろいろな方々からそういう話が出ていること等々につきまして、しっかりと検討しなければいけないというふうに思います。見直しを含めた検討ということだというふうに思いますし、先ほどおっしゃられた風俗行政研究会という研究会においての論議をしっかりと受けとめさせていただいて、その御意見を踏まえて、実態を把握した上で検討してまいりたいというふうに思います。

泉委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは、内閣委員会で宮澤副大臣に質問するというので、緊張感を持って参りました。

 まずは朝起きて皇居の周りを一周してきまして、桜の花も、まあ五分咲き、六分咲きですかね、大変きれいな状況なんですが、帰ってきてニュースを見ると、ロンドンのG20の金融サミットで、数千人が銀行の周りに来て、一人は亡くなる、百二十二人が逮捕される、そういうデモがあったというニュース。そういう意味では大変な状況に至っておりまして、さて日本はどうかというと、けさ、私の秘書からメールが参りまして、電車がとまっている、また人身事故だというんですね。きのう、警察庁の方から自殺者数の統計を見せていただきましたけれども、相変わらず月二千五百人ぐらいのペースで自殺者がずっと続いております。

 桜の花は季節ごとにめぐりめぐってきますけれども、今日の日本の経済ですとか、あるいは世界経済もどこかかなりおかしくなっておりまして、百年に一度という話を聞いておりますけれども、では、この日本の経済をどこがコントロールしているのか。まあコントロールできないというのかもしれませんが、どこかで冷静に分析をして指針を示すところがあったはずだと思ったんですが、かつて経済企画庁がありまして、いつ景気がよくなるんですかといったら、桜の花が咲くころはよくなるでしょうという迷言を吐いた大臣もおられました。

 いずれにしても、担当部署がなくなっちゃって、よく探してきたら、経済財政も含めての宮澤副大臣の顔が思い浮かべられまして、きょうはそういうことを質問させていただきます。

 そこで最初に、現在の経済の状況を改めてどう見ているのか、どういうふうに考えて、今日G20に総理が行かれ、いろいろ活発な発言をされたり、ドイツとの間でチャンチャンバラバラも始まったようでございますけれども、どういうふうに見ているのか。

 それから、平成二十一年度予算成立直後に総理は補正予算編成を指示された、こういうニュースも伺っております。その補正予算の財源は赤字国債もいとわない、こういう勇ましい声も聞こえてくるわけでありますが、それじゃ二〇一一年の財政再建のめどというものは一たん棚上げにして、それでもやるんだというようなことになってしまったのか、ここについて、まず最初に宮澤副大臣の御所見を伺いたいと思います。

宮澤副大臣 大変お世話になっております大畠先生にこうやって答弁できるのは大変ありがたいなと思っておりますが、一方で、今の御質問は与謝野大臣のような大物の方がお答えをしなければいけないのかなと思いながらこの場に立たせていただいております。

 今の経済をどう見ているかということから申し上げますと、アメリカ発の金融危機から、世界経済、昨年の九月、十月以降本当につるべ落としという状況で悪くなってきている。正直言いまして、昨年夏まで、我が国にそれほど大きな影響が来るのかなというところまでは考えていなかったということも事実でありますけれども、やはり、自動車産業であり、メーカーだけではなくて部品または工作機械といったところ、本当に自動車が中心の経済構造がここまで日本に浸透していたというのは、逆に言えば気がつかなかったし、起こってみて実感したなというのが今の状況だと思っております。十月、十一月、十二月、一月、二月、本当につるべ落としで悪くなってきている。輸出が減る、生産が落ちる、さらに消費にまで影響が出てくる。こういう状況だと思います。

 では、いつごろ回復するかというのは、正直言ってなかなか難しくて、これから内需振興等々をやるにしても、やはり外需というものに頼らざるを得ない経済の体制というのは日本にあると思いますし、また、日本の自動車であり、家電であり、鉄鋼であり、本当に世界に誇るべきすばらしい製品をつくっている。そういう以上、やはり内需が回復しなければ本格的な回復はないんだろうと思います。

 ただ、それを、手をこまねいているわけにもいかないというのが今の状況だと思っております。例えば鉱工業生産指数も、先月末、つい最近二月の分が出ましたけれども、一月、二月と一〇%近いマイナスですが、一方で、三月、四月という見通しが若干前月比プラスになってきている。ですから、つるべ落としという状況から、少し底が見えつつあるというのが今の状況なのかなというのを、期待しながら見ているというのが今の状況だろうと思っております。

 そういった意味では、補正予算の話がございましたけれども、本予算を先週末通していただきましたけれども、これは十二月の編成ですから、経済指標でいえば基本的には十一月までの指標であり、その見通しに立ってつくったものであって、一月、二月、ここまで落ちてきた以上、やはり早急な補正予算といったものがどうしても必要なんだろうと私自身も思っております。

 財源は赤字国債かということでございましたけれども、総理の指示でも、赤字国債、国債発行ももちろんいとわないということでありまして、これが、財政再建を放棄するかといいますと、私も麻生総理がおっしゃっていることは大賛成なんですけれども、当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には改革に伴う成長強化、こういう図式を何とかやっていきたいという意味で、国債自体は出さざるを得ないと思いますが、そういう中で、やはり財政再建というんでしょうか、今の日本の財政の状況は相当深刻なものがありますから、これは中期的にはしっかり見ていかなきゃいけない。そう頭の中で思いながら、今度の補正予算をどうつくっていくか、こういうことになるのかなというふうに思っております。

大畠委員 宮澤副大臣から御答弁いただきましたけれども、とにかく、このG20でも五兆ドル、五百兆の財政投資をすることになったということでございますけれども、ロンドンでのあのデモの方々の主張は、金融で我々は生活を破綻させられた、だから、金融を救うだけでいいのか、こういう不満なんだろうと思うんですね。したがって、お金を投資してそれぞれの国の内需拡大を図る、これは必要なんだと思うんですが、どこに投資をするのかというところが今問われているんだと思います。

 二兆円の定額給付金というのも一つの経済手段かもしれません。でも、やはり今求めているのは、国民の生活上の不安というものをどう解消してくれるのか。

 確かに、自動車産業に余りにも過度に依存した日本の経済になってしまっていたということに改めて気づいたわけでございますけれども、自動車産業が五割の減産、六割減産、地方の方では、部品工場なんかも受注が五割減った、七割減った、ある企業は全くなくなったというところもあるんですよね。そういうところの状況を見ると、解雇をされる、あるいは帰休を出す。では、解雇された人たち、帰休を出された人は何で食べていくのか、ここのところがめどが立たない。そして、失業した人あるいは帰休を出された人は、ハローワークで、雇用調整金の申請者が今百八十万人を超えている、事業所数では三万事業所を超えているということでありますが、そこに押しかけている。ハローワークの方でも受け付けが大変だというので、過労で倒れている人も出る始末。

 では、そういうときに、本当は国がサポートしてくれる、失業したり、あるいはそういうときでも、ちゃんと国というものが、安全なセーフティーネットがあるんだ、あるいは、医療機関に行けばお医者さんがいてちゃんと面倒を見てくれるんだ、そういう安心感があれば、将来に、何とか頑張っていこうというんですが、病院に行ってもお医者さんがいないとか、産科のお医者さんがいなくなっちゃった。私は、今やるべきことは、そういう国民の不安解消のためにお金を投入するというのが必要なんだと思うんです。

 そこで、副大臣に、こういうところ、いわゆる国民の生活を守るというところに重点的にてこ入れをしていくということがなければならないのであって、何となく、この際やっちゃおうというので赤字国債を出して、まあ、九月までに選挙がありますから、選挙の支援団体の顔もちらちら見えるものですから、そういうところに手厚くやって選挙を乗り越えちゃおうというようなことはまさか考えておられないとは思うんです。宮澤副大臣は考えておられないと思うんですが、どうもそういうものがちらちら見えまして、本当に国民の生活を下支えする、あるいは不安解消のために使うんだ、そういう形に私はやるべきだと思うんですが、宮澤副大臣の高い見地からの御所見を伺いたいと思います。

宮澤副大臣 今の経済の状況を見ていますと、できることは何でもやらなきゃいけないと実は思っております。それは、内需の拡大というのも大事であります。また、企業をつぶしてはいけない、企業の資金繰りをどう確保するか、これは恐らく一番大事な雇用対策だろうと思いますし、また、もちろん雇用対策というのも必要であるし、また、今おっしゃったように、家計といいますか、家庭といいますか、国民個人個人の安心感をどうやって維持していくかということも大事でありまして、いろいろな政策を、ポリシーミックスといいますか、やっていく必要があるということは間違いないと思います。

 そういう中で、経済財政諮問会議の吉川先生の話でありますと、ワイズスペンディング、賢い消費といいますか、賢い投資といいますか、そういうお金の使い方というのが最も求められておりまして、将来的にどう役に立つかということも考えながら景気対策を打っていくことが大変大事なことだろうと思います。

 先ほど、ロンドンのデモの話、私、実はニュースを見ていなくて、今初めて伺ったんですけれども、グローバル化というのが、特にここ二十年間本当に進んだ結果何が起こってきたかというと、やはり、マルクスではありませんけれども、資本と労働のグローバル化が最も進んでしまったのかなと。

 資本については、金融機関をどう救うかというようなことを今やっていますけれども、ある程度いろいろな政策で、資本の余りにも過激なやりとりというのは規制をしていくということは恐らく必要になってきますが、問題は、労働のグローバル化というのが、極端な話をすれば、中国の労賃に世界じゅうが引きずられているみたいな状況というものをこのまま本当にほっておいていいのかどうか。恐らく、いろいろな知恵を出しながら、この問題を解決するのがこれから五年ぐらいの我々の大きな務めかなという気がしております。

大畠委員 やるのであれば、ぜひ、一円たりとも、国民の提供していただいている税金ですから、そういう国民の不安解消のために全力でやっていただきたいなということを申し上げさせていただきます。

 そこで、関連する質問を二つさせていただきます。

 今、宮澤副大臣からもお話ありましたが、自動車産業の部品工場、これはおとといも関連する質問をさせていただいているんですが、さらに、L字型回復といって、底を打って上がるところまでいかないけれども、どうも底についた、これから五月ぐらいにかけて多少戻ってくるでしょうというような話なんです。

 部品工場の方でも、部品の注文がなくなって経営が大変だというので、今、結局はこういう状況で赤字なわけですね。従業員にはお金を払わなきゃならない。従業員、できるだけ帰休とか何かでしのいでおりますけれども、そのつなぎ資金を銀行が貸してくれないという話がありまして、きょう、経済産業省来ていると思うんですが、中小企業庁、金融課の方に、この状況について、中小企業庁のまさに存在をかけたものをやらないと、来年あたりよくなったとしても、部品工場が倒産してつくれないという話でも困りますから、ここら辺はどうするのかということ。

 それから、厚生労働省に、ハローワークに押しかけているんだけれども、おとといも聞きましたが、具体的な、ハローワークの窓口の、それも雇用調整金、事業者の資料を扱うところ、社会保険労務士の方々の知恵も借りたらということを言ったんですが、内々のお話では六十人ぐらい臨時にと言うけれども、五百五十カ所もあるハローワークで六十人ぐらい追加したってまさに焼け石に水、二人ぐらいずつ、千百人ぐらい投入しなきゃだめじゃないかという話をしているんですが、この二つを、関連として関係部署からそれぞれ御答弁いただきたいと思います。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 内外の景気が悪化する中で、自動車産業においては、昨年の秋以来、輸出及び国内販売は大変に落ち込みまして、部品産業も含めまして厳しい状況であるということは先生御指摘のとおりでございます。このような状況で、この状況を放置いたしますと、中小企業の基盤が大変難しい状況になりますし、国として、資金対策を中心としていろいろと対策を講じているところでございます。

 まず、資金対策につきましては、二度の補正予算と本年度の予算で一兆円の額を確保いたしまして、三兆円規模の資金繰り対策をとっているところでございます。具体的には、信用保証あるいはセーフティーネット貸し付け、こういったものを拡充しているところでございまして、四月二日までのセーフティーネット保証、貸し付けの合計で約九兆二千億円の実績ということになってございます。

 また、今御指摘のありました雇用調整助成金との関係におきますつなぎ資金でございます。

 雇用調整助成金につきましては、厚生労働省で手続の迅速化の措置がとられているというふうに承知しておりますが、休業計画の提出段階から実際に助成金が支給されるまで平均二カ月、場合によると三カ月かかると聞いております。このため、私ども中小企業庁といたしまして、このつなぎ資金の融資につきまして、経済産業省から日本政策金融公庫などの政府系金融機関につきまして、また、民間金融機関につきましては金融庁から、つなぎ融資につきましての協力をするよう既に依頼をしております。今後、中小企業者に対しまして、このようなことについて広く周知をさせていただきまして、認識を広めていきたいと思います。

 いずれにせよ、こういった施策を総合的に講じまして、ものづくり対策、中小企業につきまして万全の対策を講じていきたいと考えております。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用調整助成金についてのお尋ねでございます。

 この助成金につきましては、利用が急増する中で、厚生労働省といたしまして、支給事務を迅速かつ円滑に行うために支給申請手続を簡素化していく、また、事業主団体等と連携いたしました集団説明会等の実施等に取り組んできたところでございます。

 また、ハローワークの窓口体制の問題でございますけれども、これにつきましては、この強化を図るために、総務部門等から助成金部門への応援をする、また、労働局からハローワークへの応援も行うといった、部門を超えた形での応援体制を確立いたしますとともに、既存の予算の範囲内でございますけれども、賃金職員、事務補助体制、これを、全国に二百六十三名配置し、当たらせるというような緊急的な対応を行っているところでございます。

 さらに、今般、御指摘もございましたけれども、これらの賃金職員に加えまして、社会保険労務士等の資格を有する者などを充てることとしております助成金支給申請アドバイザーといったものを全国の労働局に配置いたしまして、助成金の利用を希望する事業主に対する相談、援助、あるいは助成金申請窓口における申請受け付けを行っているという体制をつくっているところでございます。

 また、これに加えまして、既に配置している職業相談員につきまして、本来業務はもちろんあるわけでございますが、そのほかに、適宜状況に応じまして雇用調整助成金の支給決定業務への応援も行えるようにするといった、弾力的な措置も講じることとしているところでございます。

 このように、雇用調整助成金につきましては、利用が急増している中で、当面の緊急対策という形で、今申し上げたような対策につきまして努めているところでございますけれども、これに加えまして、今後はできるだけ早い時期に、機会をとらえまして、十分な体制の確保に向けて取り組んでまいる考えでございます。

大畠委員 最後に十分な体制という話がありましたが、後でまたどういう十分な体制なのかよく聞きますので、十分な体制をお願いします。

 それでは、宮澤副大臣、結構でございますので、どうぞ。関係者の皆さんも戻っていただいて結構です。

 最後に、残った時間はエネルギー問題についてお伺いします。

 地球環境、エネルギー問題ですが、一つは、二日ほど前、鳩山大臣から、エネルギー特区、水素エネルギー特区で、いいじゃないかという御答弁をいただきましたが、担当部署である経済産業省も準備していたんだけれども答弁の機会がなかったというので、ここで答弁の機会をつくりますので、経済産業省から、その裏打ちをする答弁をお願いしたいということが一つ。

 それからもう一つ、後で原子力の核燃料サイクル問題について原子力委員長に伺いますが、まず経済産業省の方から御答弁をお願いします。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の水素でございますけれども、これは都市ガスなどの化石燃料あるいは製鉄所で発生する副生水素、そして、先般この場で御指摘がございましたけれども、風力あるいは太陽光といった再生可能エネルギーから製造することが可能である、利用段階で二酸化炭素を排出しないという特性を持つ重要なエネルギーである、そういう基本的な認識を持っております。

 そして、経済産業省といたしましては、その実用化を進めるために、水素の製造技術を含む研究開発、各地域における実証事業、人材育成に取り組んでおるところでございます。

 具体的には、これは福岡県の前原市でございますけれども、百五十戸の家庭に燃料電池を設置いたしまして環境性能などを評価する、こういった実証運転事業を行っておる。あるいは、首都圏、中部圏、関西圏において合わせて十二カ所の水素ステーションの設置と、約六十台の水素・燃料電池自動車による公道での走行といった実証事業を支援しておるところでございます。北海道室蘭市について先般御指摘ございましたけれども、ここでは風力発電、そして副生水素を活用した水素の製造、その上での水素自動車の走行といったことでの構想があるということについても承知をしております。

 このような各地域の産業の実情あるいは自然条件といった固有の事情に応じまして、その地域社会の活性化あるいは新規産業の育成といったような観点から、総合的な取り組みを進めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。

大畠委員 ひとつしっかりやっていただきたいということも申し上げておきます。

 あと、最後になりましたが、きょうは近藤原子力委員長にも来ていただいておりまして、お伺いします。

 核燃料サイクルの中で最も重要な高レベル廃棄物処理について、全くめどが今立っておりません。基本認識としては、廃棄物処理処分という認識ではなく、廃棄物の長期管理という視点に立って百年間保管するという、研究を兼ねた施設をつくるという認識に転換しないと、なかなか最終管理地というのが定まらないんじゃないかと私は考えておりますが、近藤原子力委員長の御見解をお伺いしたいと思います。最近のお話を含めてお願いします。

近藤参考人 お答えいたします。

 高レベル放射性廃棄物につきましては、放射能が高く、半減期が極めて長い放射性物質を含むということから、地下深い場所に埋設処分をする、いわゆる地層処分というのが適切であると原子力委員会は従来から判断してきております。

 処分というのは、埋設したものを再び取り出さないということ、貯蔵というのは取り出すというニュアンスがあるんですが、処分というのは取り出さないということがポイントです。

 ただ、しかし、それに至るまで、あるいはその後もその安全性を確かにするということが地元の皆さんあるいは国民の皆さんにとって非常に重要ですから、長期間にわたって段階的な意思決定、ワン・ステップ・アット・ア・タイムと言いますけれども、段階的に適切なリスク管理を行うということが重要だ、これも原子力委員会が申し上げているところでございます。

 具体的には、埋設から処分場の閉鎖に至るまでの間は廃棄体の回収可能性を維持することを要請しておりますし、また、処分場の閉鎖に至るまで、さまざまな段階において、その時期、その時代の最も新しい知見を踏まえて安全の確認をすることを求めていますし、さらに、閉鎖した後も三百年間は適切にモニタリングをするということにしているわけです。ですから、これは処分とか貯蔵の上の概念として、トータルとしてはきちんとしたリスク管理を行うということが我々の基本的な方針でございます。

 御承知かと思いますけれども、皆様方の御協力によりまして、日本原子力研究機構の瑞浪超深地層研究所では、ようやく、深度三百メートルにおいて進めていた調査研究用の水平坑、百メートル掘削されましたし、また、深度二百メートルの場所については既に一般の皆様にも見学していただけるようになってきていると理解しております。

 ですから、原子力委員会としては、関係者がこうした施設を用いて、高レベル放射性廃棄物の処分に至る長期間にわたるリスク管理の考え方について国民の皆様に十分な御説明をしていただくことをお願いしておりますし、また、原子力委員会みずからとしても、そういう活動を今後とも進めていきたいというふうに考えております。

大畠委員 時間が来ましたのでおしまいにいたしますが、国民に理解できる高レベル廃棄物の処理というのを考える上では、フランス方式の、千年とか一万年のものじゃなくて、まず百年間、人間の英知を結集して安全に管理します、そして、その後、いろいろあれば取り出すこともできますという方式に切りかえることをぜひ検討していただきたいことを付言しまして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、先般の特区法の折に質問をした部分も含めて、重複する部分もありますが、明快な答弁をお願いいたします。

 一昨日の質問で、公共サービス改革法と特区法の関係について尋ねました。当委員会での法案審議は終わっておりますが、気になった部分もまだまだたくさんございますので、今後随時質問をしてまいりたいと思っております。

 一昨日の委員会で、公共サービス改革法の第三十三条の三一項十三号、発受を禁止した信書等の保管及び複製に係る業務が特区法の何条に該当するのかという質問に対して、特区法十一条一項七号という答弁がなされました。

 そこで、まずお尋ねしますけれども、PFI手法を取り入れた四つの施設で、実際に信書などの保管及び複製が民間業者によって行われているのかどうか、まずこの点についてお尋ねいたします。

尾崎政府参考人 四つのPFI刑務所のうち、美祢社会復帰促進センターを除く、島根あさひ、喜連川及び播磨の三つの社会復帰促進センターのPFI事業におきましては、発受を禁止し、または差しとめた信書等の保管及び複製、委員御指摘の業務を含む信書等の検査補助に関する業務をPFI事業者に委託しておりますけれども、実際には、保管及び複製に係る業務につきましては、国の職員がこれを実施しているという実情にございます。

重野委員 もっと深めていきたいと思うんですが、特区法十一条の一の七に含まれていると言われる信書などの保管及び複製、特区法ではあくまで「発受の許否の処分をするために必要な検査の補助」、このようになっております。この条文を読む限り、検査の補助であって、保管、複製とは直接に関係ないと私は思います。この特区法十一条の一の七でもって、保管、複製を行うことができるという解釈は可能なのでしょうか。

尾崎政府参考人 構造改革特別区域法第十一条第一項第七号の解釈につきましては、委員ただいま御指摘のとおり、「被収容者に係る信書の発受の許否の処分をするために必要な検査の補助」の中には、信書の発受を禁止し、または差しとめた場合等におきます信書等の保管、並びに信書等の記述の一部を抹消する場合の、その部分の複製の作成及び保管に係る業務が含まれているというふうに解しております。

重野委員 特区法第十一条の一の七、これを見ますと、「被収容者に係る信書の発受の許否の処分をするために必要な検査の補助(信書の内容に触れる者には当該信書の発受に係る個人を識別することができないようにすることその他の個人情報の適正な取扱いを確保するための方法として法務大臣が定める方法によるものに限る。)」こう書いていますが、「法務大臣が定める方法による」という、この部分を具体的に説明してください。

尾崎政府参考人 法務大臣が定めております内容を申し上げますと、具体的には検査の補助の業務につきましてこのようなことをするというふうに定めております。

 まず、信書の外形の検査の補助といたしまして、受け取った信書につきまして、受取人が当該施設に収容されているのかどうか、発信する信書につきましては、制限された通数、これは通数制限がございますけれども、それを上回っていないかどうか、それから、信書以外のもの、もしくは書類、第三者あての信書もしくは第三者からの信書、または危険物もしくは持ち込み制限物品が混入していないかどうか、これらのことを確認するということでございます。

 信書の内容の検査の補助につきましては、暗号の使用その他の理由によって、理解できない内容がないかどうか、それから、発受によって刑罰法令に触れることとなり、または刑罰法令に触れる結果を生ずるおそれがある記述があるかどうかなどの確認を行うものであります。

 民間事業者の職員は、これらの発受を制限すべき事由の有無について、事前に下調べ的に確認を行うということでございます。そして、その上で、不許可事由に当たる可能性のあるものにつきましては、国の職員に当該信書を提出するとともに、その旨の報告を行いまして、これを受けた国の職員は、みずからその信書の内容を改めて検査、確認いたしまして、許可、不許可を検討し、決定することになる、こういう手続でございます。

重野委員 一昨日の答弁で、不許可処分などの不利益処分を行うのは刑事施設の長の権限と責任、こういう説明でしたね。その前段に当たる部分で民間業者が行うということを説明されたわけですけれども、その中に、内容を見て不許可相当の事由があればその報告をする、それを受けて、長の権限と責任で処分の決定を行うと。

 ということは、最初に不許可かどうかの振り分けを行う、それは、いわゆる委託を受けた民間の業者が一義的にやるわけですね。そういうことでいいのかなという疑問を私は持つわけです。その点について説明してください。

尾崎政府参考人 問題は、被収容者等に不利益な処分を行うこと、これをやはり刑事施設の長の権限と責任においてきちんとやらなきゃいけないということだろうと思います。

 そこで、民間事業者は、先ほど申し上げたような委託業務を行うわけでございますけれども、その中で、不許可事由に該当する、そういう可能性が少しでもあるというような場合は、国の職員にその信書を提出するとともに、その旨を報告いたしまして、国の職員は改めてその内容を確認して検査し、不許可、許可の判断を行うということであります。

重野委員 その現場を想像したときに、民間業者がいて、その横に国の刑務所の職員がいる、そういう絵になるのかどうかわかりませんけれども、いわゆる許可、不許可の基準というのはあらかじめ民間業者に示されているんでしょうか。

 私は、手紙というのは、これはやはり出した人と受ける人との関係において、実際言葉で言うことのできない条件の中では、そういう文書でやりとりをするという方法しかないわけで、非常に微妙なものがあると思うんですね。そういう微妙なものをいわゆる非正規の、民間の方にやらせる場合に、その訓練も含めて、私はやはり正規の職員に比してそこ辺の能力は落ちているんだろうと思いますよ、率直に言って。

 そういうふうなものを含めて今やっていることをそういう形でやろうとしておるのかどうか、決定する段階において、そういうことがどういうふうな形で考慮されたのか、そこ辺を説明してください。

尾崎政府参考人 当然、そういった信書の検査の補助にかかわる民間事業者の従業員につきましては、どういった場合に信書の発受を制限することが法律上許されているのか、その運用は実際どうされているのか、これにつきましては十分研修訓練を行うこととしております。

 その上で、判断が微妙なものも含めまして、少しでも、不許可、すなわち制限すべき事由があるのではないかと思われるものにつきましては報告をいただいて、改めて国の職員がその内容を検査して許可、不許可の判断を行うということでございまして、その意味で、不許可という不利益処分がいいかげんに行われるのではないか、そういう御懸念は当たらないのではないかというふうに考えております。

重野委員 そういうことを懸念するから質問しているわけであって。

 私は、検査と呼ぶのかどうかよくわかりませんが、することという、これも間違いなく公権力の行使ですね、刑務所という一つの中における公権力の行使。

 また、今、繰り返し申し上げますが、決定するのは刑事施設の長、こういうふうになっています。そこに行き着く最初の重要な過程を民間業者が行う。民間業者が行う検査の補助と、公権力の行使、そしてこの処分の区別、見せるか見せないか、そこ辺の境界というのは、僕は非常にあいまいだと思うんですね、あいまいだと思うんです。なぜそういうふうな形にしたかというのが一つはわからない。

 もし、そこで、本来許可すべきものが、結果として、そのものをまた返して再検討させて再検査させるという仕組みになっているのかどうかわかりませんけれども、そこで見過ごされて、本来はその当事者間の意思疎通に欠くことのできない文書が、手紙が、相手方に届かなかった、その行程において却下されて届かなかった、そういうことだって起こり得る。

 だから、そこ辺は、今回のこの法律、そのほかいろいろな内容はあるんですが、開かれた刑務所というふうな見方からすれば、そのことと、今までは直接刑務所職員がやっておったことを、民間の職員にかませるということを通して、この入っている方々に不利益を生ずるということが起こり得る可能性がある。それをまたやり返して、正規の職員が、刑務所の職員がやり返して検査する、検査というか取捨選択をする、その過程が入るというのであればそれはまた別の話ですけれども、そうでなくて、一度民間の方が見て正規の方に行ったものは、そこでもう通るということになったら、私は問題が起こる可能性が大きいと思うんですね。その点についてはどうですか。

尾崎政府参考人 まさに、発信を差しとめるとか、あるいは信書の一部を削除するとか、あるいは送られてきた手紙を受け取らせない、要するに信書の発受を制限するような、そういった不利益な処分につきましては、あくまでもこれは国の職員が改めてその信書を見て検査し、その許可、不許可を判断するということでございます。

重野委員 今、専ら信書のことを質問いたしましたけれども、そうではなくて、監視する部分も、いわゆる法務省の職員がやるケースと民間の方がやるケースがあるんですね。民間の方がやるときに、もしそこで不祥事が起こったというときに、その仕事をやっているのは民間の会社がやっているわけで、責任者がいなかった、そのときに、正規の国の刑務所の職員が一義的に手を出すことはできないですね。それは、その会社の派遣しておるパートのトップの方、それを指揮命令する方が別にいると思うんですが、その方が一義的にやるわけで、その人がいないときに一体どうなるのか。直接、刑務所職員が手を出すことはできるのかというあたりの決め、話というのはどうなってるんですか。

尾崎政府参考人 委員御指摘の不祥事と申しますのは、例えば逃走とかそういった事故のことをおっしゃっているんでしょうか。そういう場合にはこれはマニュアルを定めておりまして、その民間事業者の従業員は、そういった非常事態があれば、非常ベルなり、非常発報と申しておりますけれども、非常発報して、国の職員が当然周囲におりますので、国の職員において実力を行使する、必要ならば実力を行使する、そういった措置をとるということになります。

 いずれにいたしましても、現在PFI事業で委託しております刑務所は、犯罪的傾向が余り進んでいない、そういった受刑者を収容するところでございますし、配置上も無理のない形にしておりますので、そういった事態は例外的にしか起こり得ないのではないかというふうに考えております。

重野委員 それは、運用のいかんによっては、問題になりました偽装請負という懸念も当然出てまいりますので、今後、この問題についてはまたじっくりやらせていただきます。

 次に、この前の質問でも、級別定数問題、私質問いたしましたが、まず、公務員には労働基本権三権が保障されておりません。そこで人事院があって、今までは人事院が、この級別定数を含めて公務員の給与全体について、ずっとその任に当たってきた。

 これは、労働基本権を付与するか付与しないかということで分かれ目になるんですが、労働基本権が付与されているという関係において、直接的に、任命権者であります政府と、あるいは雇用されている職員の団体との直接交渉で話が決まるということを、ずっと公務員の組合の方はそれを要求しているんですけれども、話し合いではあるけれども交渉というのはなかなか今までやられていない、その話し合いはやられている。つまり、スト権というものが担保をされない中での話し合いということで、公務員の側はずっと長年要求してきた。その間に、労働三権を付与していない代償機関として人事院がその機能を果たしてきた。そのことは今でも変わっていない。

 変わっていないのに、この級別定数だけ抜き取って政府の方でそれをやるということについては、私はちょっと奇異な感じを持っておるんです。その点についても重ねて大臣の答弁を求めます。

甘利国務大臣 基本法が二段階法になっているということは御案内のとおりであります。

 それは、基本法をそのまま読みますと、法的整備というのを三年以内に行うとなっています。しかし、その中で、内閣人事局の設置だけは一年以内に、それとは切り離して行えと書いてあるんですね。内閣人事局のやる仕事の中に、総務省から機構、定員管理機能、それから人事院から級別定数機能を移管するということが総合的に読み取れるわけであります。

 ということは、一年以内に行わない、つまり三年以内に行うというその他の法的な作業、それは、基本権制約の問題を十一条でしたかで議論することも一年以内ではないことでありますから、つまり、基本権が現状のままであっても内閣人事局は設置ができる、その内閣人事局の仕事についてはかくかくしかじかである、そういう仕分けによって行われているわけであります。

 その際には、私どもかなり注意を払っているつもりでありまして、これは内閣法制局とも綿密にすり合わせをしました。内閣法制局がノーと言うことを出すわけには政府としていかないわけでありますから、現状の基本権制約の中においても可能な範囲はどうかということを慎重に議論して提出をさせていただいたわけであります。

 もとより、給与自身を決める、いわゆる給与表のマトリックスをつくるというのは今後とも人事院の仕事でありますし、それに、級別定数管理機能に関して、その政令に対して人事院が意見を言うことももちろん担保されておりますし、あるいは、内閣がなした内閣人事局の手当てに関して、従来人事院がかかわっていたと人事院が主張していらっしゃる手当てについて、人事院として不備があるともし感じるのであるならば改善勧告もできるということの担保もされていますから、現行の制約の中でできる範囲、その中でも懸念があればそれについて人事院が意見なりなんなりを言う、あるいは改善勧告をする、それも担保した上で慎重に進めさせていただいておりますので、委員御指摘の御心配は払拭をされているかというふうに思っております。

重野委員 時間がありませんから終わりますけれども、いわゆる級別定数、級別の問題というのは、人件費総額に密接にかかわってくるんですね、人件費総額に。人勧で出る総額、そして、それを政府が実施するかしないかの判断をするんですね。今度の形になっていくと、それは政府が級別定数を決めるわけですから、したがって、人件費総額もそこで固められてくるわけですね。そのことと、人事院が従前の形で勧告した場合の給与総額というのは私は違ってくるんじゃないかと思うんです。

 そこのところは大きな懸念がありますから、つまり、労働者にとってみれば、労働組合の側にとってみれば、話し合いの内容が結果に反映されるというんじゃなくて、政府の、内閣によって級別定数というものが決められてくるということになると、それはそうはならない。政府の意思がその級別定数決定に非常に強く反映されてくる。そこ辺でのずれが生じてくるというふうに私は受けとめておりますから、そこ辺の見解は違いますけれども、私の主張を申し上げて、質問を終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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