第10号 平成21年4月22日(水曜日)
平成二十一年四月二十二日(水曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 渡辺 具能君
理事 加藤 勝信君 理事 渡海紀三朗君
理事 西村 明宏君 理事 平井たくや君
理事 平田 耕一君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
あかま二郎君 安次富 修君
赤澤 亮正君 飯島 夕雁君
宇野 治君 浮島 敏男君
遠藤 武彦君 遠藤 宣彦君
越智 隆雄君 大塚 拓君
岡本 芳郎君 鍵田忠兵衛君
木原 誠二君 河本 三郎君
杉田 元司君 徳田 毅君
中山 成彬君 長島 忠美君
並木 正芳君 西本 勝子君
原田 憲治君 馬渡 龍治君
松浪 健太君 松本 文明君
村田 吉隆君 市村浩一郎君
吉良 州司君 楠田 大蔵君
佐々木隆博君 田村 謙治君
西村智奈美君 山田 正彦君
笠 浩史君 高木美智代君
西 博義君 古屋 範子君
吉井 英勝君 重野 安正君
…………………………………
国務大臣 与謝野 馨君
国務大臣
(内閣官房長官) 河村 建夫君
国務大臣 佐藤 勉君
内閣府副大臣 谷本 龍哉君
内閣府副大臣 宮澤 洋一君
厚生労働副大臣 大村 秀章君
農林水産副大臣 石田 祝稔君
経済産業副大臣 高市 早苗君
内閣府大臣政務官 宇野 治君
内閣府大臣政務官 岡本 芳郎君
内閣府大臣政務官 並木 正芳君
総務大臣政務官 中村 博彦君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 勝則君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 井内 正敏君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 大内 秀彦君
政府参考人
(内閣官房地域活性化統合事務局長代理) 上西 康文君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 山崎 史郎君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 原田 正司君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 松田 敏明君
政府参考人
(内閣府原子力安全委員会事務局長) 青山 伸君
政府参考人
(内閣府公益認定等委員会事務局長) 原 正之君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 細田 隆君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 久元 喜造君
政府参考人
(法務省矯正局長) 尾崎 道明君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 徳久 治彦君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官) 惣脇 宏君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 杉浦 信平君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 針原 寿朗君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 西山 英彦君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官) 平岡 英治君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官) 加藤 重治君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官) 佐藤 均君
政府参考人
(中小企業庁次長) 高原 一郎君
参考人
(原子力安全委員会委員長) 鈴木 篤之君
参考人
(原子力委員会委員長) 近藤 駿介君
内閣委員会専門員 島貫 孝敏君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
あかま二郎君 浮島 敏男君
赤澤 亮正君 安次富 修君
佐藤 錬君 越智 隆雄君
篠田 陽介君 杉田 元司君
徳田 毅君 鍵田忠兵衛君
中森ふくよ君 西本 勝子君
長島 忠美君 飯島 夕雁君
平岡 秀夫君 田村 謙治君
池坊 保子君 古屋 範子君
高木美智代君 西 博義君
同日
辞任 補欠選任
安次富 修君 赤澤 亮正君
飯島 夕雁君 原田 憲治君
浮島 敏男君 あかま二郎君
越智 隆雄君 佐藤 錬君
鍵田忠兵衛君 徳田 毅君
杉田 元司君 篠田 陽介君
西本 勝子君 中森ふくよ君
田村 謙治君 平岡 秀夫君
西 博義君 高木美智代君
古屋 範子君 池坊 保子君
同日
辞任 補欠選任
原田 憲治君 松本 文明君
同日
辞任 補欠選任
松本 文明君 長島 忠美君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
株式会社地域力再生機構法案(内閣提出、第百六十九回国会閣法第一四号)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長近藤駿介君、原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官原勝則君、内閣参事官井内正敏君、大内秀彦君、地域活性化統合事務局長代理上西康文君、内閣府政策統括官原田正司君、松田敏明君、原子力安全委員会事務局長青山伸君、公益認定等委員会事務局長原正之君、総務省自治行政局長久元喜造君、法務省矯正局長尾崎道明君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、生涯学習政策局生涯学習総括官惣脇宏君、厚生労働省大臣官房審議官杉浦信平君、農林水産省大臣官房総括審議官針原寿朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、原子力安全・保安院審議官平岡英治君、加藤重治君、佐藤均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あかま二郎君。
○あかま委員 おはようございます。自民党のあかまでございます。
内閣委員会に移ってきてから最初の質問でございます。こうした質問をさせていただく機会を与えていただいた先輩、同僚に感謝を申し上げ、なお、政府参考人として御出席いただいた、また官房長官も含めて、ぜひ真摯な答弁、前向きな答弁をよろしくお願いし、質問に移らせていただきます。
今回、私の質問は、地方公共団体の議会から出てくるいわゆる意見書、この取り扱い、対応についてでございます。御案内、御承知のとおり、地方自治法で規定されておる意見書、これは地方議会という中でいわばオーソライズされたものとして出てくるものであり、大変重く、そしてそれらは、政府、国、各省庁とすれば、慎重に、そしてきちんと対処しなきゃならぬ話だというふうに思っております。
恐らく、全国都道府県議会、市町村議会、数多くございます。そして、数多く意見書というものが出されておりますが、きょう御出席の委員の中にも地方議会出身の方々がおられれば、その意見書の取りまとめというのが議会でどのようになされ、そして、いわゆる各会派との調整も踏まえながら意見書を国に提出するという運びになることは承知をしていらっしゃると思います。
しかしながら、残念なことに、せっかく取りまとめた地方議会としての重い意見、要望という形でありながら、それらに対する国のいわゆる回答、返答といったものがどうなっているんだろう、あの意見書は一体どうなったんだろうというのが率直な感想だろうと思いますし、私自身、地方議会出身者として当時そうでございましたし、今現在も、いわゆる当時の神奈川県議会議員の同僚から、あの件どうなっているんだ、国は何にもないよと、その無反応さに対してある種の憤りを覚えている部分があること、これをまずお話しさせていただき、含めて、地方議会から上がってきた、提出された意見書について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず、今、私の手元に、これは神奈川県議会の二月定例県議会で上げた意見書でございます。手元には三本ございます。北朝鮮による日本人拉致問題の解決のため経済制裁の延長等を求める意見書、これは内閣総理大臣、総務大臣、外務大臣、それから拉致問題担当大臣あてでございます。あわせて、受動喫煙防止のための法制度の充実強化を求める意見書、これも内閣総理大臣含む三大臣に出ております。同様に、肝炎対策基本法の制定を求める意見書、これは衆参議長、さらには内閣総理大臣含む三大臣あてに、神奈川県議会議長から出されております。
もう一本、今いろいろ議論がある診療報酬等のオンライン請求に関する意見書、これは、平成二十三年四月以降は原則として全医療機関に義務化されるオンライン請求について、地域医療の現場でこれは問題になっているよ、できれば、激変緩和措置や負担軽減策を検討するなど、取り組みを再検討してくれるよう強く要望をするというふうに出ております。
もちろん神奈川県議会に限らず、これら上がってきたいわゆる意見書といったものは、どのようなルートを通じながら上がって受理されて、これらに関してどのように対処もしくはいろいろな形でもむのか、お聞かせいただければと思います。
○原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。
地方公共団体の議会から地方自治法第九十九条の規定に基づきまして内閣総理大臣または内閣官房長官あてに提出されました意見書につきましては、議員御紹介がありましたようなものも含めて非常に膨大な数に上ることから、まずは内閣官房の担当室の方で受理をいたしまして、それを取りまとめた上で、適宜、総理秘書官等に報告をし、政策の参考にしているところでございます。
○あかま委員 地方自治法の九十九条に基づいて適宜対処という話でございます。それぞれの所管のところに、それら関係するところに送るという話でございます。
ただ、適宜、秘書官等を通じながらそれらに対処という話でございますけれども、では、個別の例で、神奈川県議会という話、議長という話であれば、上がってきた内容に対する、意見書に対する状況、これらは、各議会にいわゆる打ち返しという形でやっておるのかおらないのか、教えていただければと思います。
○原(勝)政府参考人 先ほど膨大な数に上ると申し上げました。ちょっと数字を御紹介させていただければと思いますが、平成二十年の昨年一年間におきまして、地方公共団体の議会から総理大臣に提出された意見書でございますが、一万五千百七十四件でございます。また、内閣官房長官あてに提出されました意見書は千六百七件ということでございまして、回答すれば、それが一番ベストなのかもしれませんが、なかなか数も多いということで、基本的には回答はしていないというのが現状でございます。
○あかま委員 今、数が膨大だ、一万五千を超える数の意見書が上がってくる、内閣官房長官あては一千六百上がってくる、膨大であるがゆえに、なかなかきちんとした回答、対応は地方議会に対してなし得ていないという話。もちろん数という意味では膨大なんでしょうけれども、恐らく、同趣旨の意見書といったものが各議会から上がっているんだろうと思います。そのことを踏まえれば、この一万五千という数字が、上がってきた数だけを言っておるのか、いわゆる大別する、種類にする、同趣旨のものをうまく数をならした後ならばもう少し少なくなるのか、この点について教えていただければと思います。
○原(勝)政府参考人 先ほど申し上げましたのはいわゆる総件数でございまして、議員御指摘のように、かなり内容的には重なるものが多うございます。
例えば、平成二十年で申し上げますと、道路特定財源の確保に関する意見書、こういうものは非常に数が多うございました。あるいは、新たな過疎対策法の制定に関する意見書といったものが、四半期で、例えば数百というような感じで来ております。
それで、これらをそういった内容ごとの種類数ということで数をカウントいたしますと、平成二十年におきましては、総理大臣あてのものが、先ほど一万五千百七十四件と申しましたが、種類数でいうと五百九十でございます。それから、内閣官房長官あてのもの、千六百七件について、種類数でいいますと百七十九ということになります。
○あかま委員 いわゆる種類数ですれば、単純には三十分の一、さらには内閣官房長官あてでいけば、その数の一割、二割に種類が大別できるという話でおるならば、余りにも膨大だ、だから地方議会に対して返答ができづらいというのは成り立たない部分もあるんだろうと思いますし、もちろん承知しております、意見書のたぐいの中には、即答し得ない、方向が見えない、さらには現状では何とも答えづらいという意見書があることは承知しております。ただ、冒頭申し上げたとおり、地方公共団体の議会という極めてオーソライズされた機関が上げた意見書というものに対する対応とすれば、国の対応は大変冷たいんじゃないかな、そんなふうに思うんです。
もちろん、実際に、例えば個別の案件の意見書に関しては、所管省庁のそれなりのセクションが、ある種の回答、お答え、これらをしておる向きもあるようには聞いておりますが、膨大だ、だからやり得ていないという一辺倒の話よりも、実際には、では、対応としてあり得る対応、してきた対応としては、幾つかありますでしょうか。
つまり、文書での対応は一切していないよという話なのか、これは所管省庁からそれなりの、いわゆる口頭でのという話なのか、それら対応は一切ないというのか、それなりにやっておるというのか、教えていただければと思います。
○久元政府参考人 制度に共通する話でございますので、所管をしております総務省の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、そもそもこの意見書は地方自治法九十九条に規定があるわけでございまして、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」ということで、その地方公共団体に関する事柄以外の広く公益に関する事柄について意見書を提出できるという権限が与えられている。それは、地方公共団体の議会が住民の代表であるということから、こういう意見書の権限が与えられているものと理解をしております。
その内容につきましては、先ほど内閣官房の方からお答えがありましたように、多数にわたっておりますし、また、この意見書に対する処理義務ということも地方自治法には規定されておりませんので、その対応につきましては、国会またそれぞれの関係行政庁にゆだねられているというところでありまして、私どもといたしましては、それぞれの省庁がどういうふうに対応しているのかということにつきましては把握をしていないという状況でございます。
○あかま委員 当該地方公共団体のいわゆる公益にかかわる話として意見書を提出できるという規定があり、それに基づいてやっておる。しかし、一方で、処理に関して、対応に関して、打ち返しに関して、これは国に対して特段定めがある話じゃないという話でございます。
今、古くて新しい話でございますが、いわゆる国と地方の関係といった議論の中では、地方議会から、少なくとも、地域住民の思い、意見というものが上がってきたときに、規定にいわゆる返す義務は特段ないからという、いわば聞きおくという姿勢でいるならば、相も変わらずの国と地方の上下の関係であるんじゃないか、意識的に。国と地方がいわゆる対等な関係とうたうならば、当然、地方議会から上がってきた重い重い意見書に関して、それなりの対応というものをすべきなんだろうと私は思っておるし、これから国と地方がさらにその対等な関係、パートナーシップをより深めていこう、そうした関係をより醸成していこうという話であれば、国の姿勢、また対応について、改めてこの機会にとらえ直す必要があるんじゃないか。
では、それらに関してどうお考えになるか、所見をお伺いできればと思います。
○久元政府参考人 この意見書の規定につきましては、現行の規定は今申し上げましたような事柄になっておりますので、それに対しまして、さまざまな、多岐にわたる意見書一つ一つについて、これに関係行政庁が対応していくということは、正直申しましてなかなか難しい面があるのではないかというふうに考えております。
ただ、今委員が御指摘になりましたように、国と地方との間の関係ということから見ますと、地方公共団体の意見というものを私ども関係省庁がきちんと受けとめて、これに対応していくということは重要であります。
そういうことから申しますと、地方公共団体がそれぞれ意見書を提出するというルートのほかに、地方公共団体の連合組織、知事会なら知事会、市長会なら市長会、議長会もそれぞれ三議長会がありまして、この六団体、地方自治法上は連合組織ということになりますが、必要な意見の申し出権がありまして、これが提出されましたときには遅滞なく回答するよう努めるというふうにされておりまして、地方六団体との間では、こういう規定に基づく意見の提出、またそれに対する回答といったやりとりが行われているというところでございます。
○あかま委員 相変わらず、膨大な数がある、しかしその重要性は認識していらっしゃる、地方議会おのおのそれぞれに回答することはかなり難しい、しかしながら地方六団体の意見に対しては回答という話。
では、お尋ねいたしますけれども、例えば、この意見書というものは、いわゆるそれぞれの地方議会の議長が差出人となってそれぞれに出しておられますが、全国議長会から、これまでの対応について何か意見、異論、いろいろな形で申し出があったかどうか、御確認させていただければと思います。
○久元政府参考人 この九十九条の意見書につきまして、ちょっと現時点で、特に議長会の方からどういうような意見をいただいたのかということについては、過去のいろいろな経緯がありますので、これは調べてみないとわかりませんけれども、近年の状況について見ますと、これにつきまして特段の意見が表明されたという記憶は私はございません。
○あかま委員 特段の意見が議長会からはなされたような記憶はないという話でございます。
しかしながら、少なくとも県議会からは、私どもに、意見書が全く音さたないんだよな、その対応について何らない、国に対する不信というのはこれでは募るよな、そんな感想が漏らされていることは十分に含んでおいていただきたい。
少し質問の切り口を変えます。
たまたま私は神奈川県の相模原市の選出でございます。相模原市が今政令市移行について準備をしております。当然、既に相模原の市議会からは政令市移行に関する意見書というのが出され、さきの二月の定例県議会で、神奈川県としても相模原市の政令市移行、これに関する意見書が出された。
もちろん、総務省とすれば、政令市移行に伴う諸事務の中で、これらの意見書というものは非常に重く受けとめておるし、過去の政令市移行においてもそれらはある種必須だったというふうに思いますが、そのような認識でよろしいんだろうか。
○久元政府参考人 政令指定都市の指定につきましては、地方自治法の規定でいいますと人口五十万人以上ということになりますけれども、個々の都市について政令で指定をしておりまして、これまでの例で見ますと、関係の府県また府県の議会、また関係市、市長及び市議会からの要請、また意見書の議決というものをいただいているというのがこれまでの前例でございます。
○あかま委員 こうしたそれら政令市移行に関する意見書というのはいただいていると。必ずしも必須ではないにせよ、これは重く受けとめなきゃならぬ話だという理解でおりますが、当然、政令市に関する意見書だから極めて重くといって、ほかのたぐいの意見書と分けておるわけではないというふうに思うし、先ほど御答弁があったように、いわゆる地域の住民の代表者たる議会の議決を経た意見書であるから大事だという話であれば、当然、ほかのたぐいの意見書についても同様に重く重く、より重く、そして、より真摯に対応すべきなんだろう、そう思っておるんです。
先ほど来話にある一万五千余件の意見書が出され、種類でいえば六百という意見書が出されておる。そして、その意見書は、いわば何らいわゆるリアクションなしにするならば、ある種それらの地方議会の思い、意見というものが、国において生かされているとはいいながらも、一方から見れば、何だ、たなざらしにされちゃっている、そう思われても仕方がなくなってくる。
ならばこそ、これから、地方六団体には回答をする話でなきゃならぬという話の中に含めて、ぜひ地方議会における意見書というものをかんがみる、そのような検討はなされるおつもりはございますでしょうか。
○久元政府参考人 意見書につきまして、委員からそのような御指摘をいただいたということも三議長会なりに伝えながら、相談をさせていただきたいというふうに思います。
○あかま委員 地方と国との関係は、非常にある種感情的な部分になりがちでございます。昨今の、この意見書にかかわらない別の案件、例えば国の直轄事業の負担金の話もそうでございます。ついつい国と地方の関係というものはそのようなたぐいになりがちな中であれば、国とすれば、ぜひ地方議会、その思いに対するきちんとした対応、真摯な対応、それら思い、感慨、意見書に対する丁寧な対応というものが求められるんだと思います。
今、御答弁という中で、そういう話があったことを踏まえて投げかけてみるというお話ございました。ぜひ地方議会、地方の思い、議会の思いというものを十分にしんしゃくしていただくことによって、これからの国と地方の関係というものがより円滑に、スムーズにいくものと思っております。
質問の切り口を変えますけれども、その際、極めて重要な話がございます。冒頭に私、さきの神奈川県議会で診療報酬等のオンライン請求に関する意見書というものが、総理含む総務大臣、厚労大臣、内閣府特命担当大臣に神奈川県議会議長から出されたという例を披瀝いたしました。内容は皆様方御承知だろう、推測できる話だろうというふうにも思っております。これらの意見書が出た。そして、昨日には、厚生労働省は、レセプトオンライン請求義務化、一年猶予しますよ、これを厚労省が省令案を出した。
これら意見書が複数の大臣に行っておる、省庁に行っておる中で、今後きちんと地方議会に打ち返しをする際に、いわゆる省庁間のすり合わせといったものも極めて肝要な話になってくるだろうと思っております。
変な言い方ですけれども、これら意見書に対して真摯に対応したい、するという話、方向に仮に進むとするならば、厚労省はこの件に関してぽんと打ち出した。しかし、総務もしくは規制改革担当大臣が同じような方向、足並みがそろっていなければ当然打ち返せない話だろうし、それらこうした複数省庁にまたがる意見書に関して、ぜひ省庁横断的にきちんとした取り組み、すり合わせ、調整ができなきゃならないし、それこそ、今省庁のいわゆる縦割りという話がいつでも問題の俎上に上がる中でいえば、そのことはぜひ理解もしなきゃならぬと思っております。
そのことをとらえてどういうふうにお考えになるのか、お聞かせいただければと思います。
○原(勝)政府参考人 地方に回答するというようなことになった場合には、当然、関係する省庁がよく連携をして、相談をして回答する、これは当然のことだろうと思います。
○あかま委員 意見書の打ち返しという話であれば、さきに神奈川県議会からこれら意見書、恐らくほかの都道府県議会でも同趣旨のものが出ているんだろうと思います。国、省庁からは何の話もない中で、新聞発表で、ああなるほど、こうなったのかと。先ほど来申し上げている国と地方の関係、今後、スムーズな、円滑化できる関係であるためには、新聞発表でもって知るなどということがあってはならないし、先ほど話の中で、地方六団体ではきちんと対応、回答をするんだと。
では、それを踏まえながら、地方議会に対する、意見書に関して、どのような形ならば現行のやり口の中で対応し切れるのか。全部が全部対応できるとは思わない。物によってはゼロ回答もあるんだと思う。しかしながら、その進捗を伝えるであるとか、ある程度の見込み、見通しといったものが固まった段階できちんと議会に伝えるといった、そういったおもんぱかる姿勢、これが必要なんだろう、そう思っております。
今、国と地方の関係をこれからさらにという話の中での意見書でございました。少なくとも地方議会は、住民の思い、意見を尊重しつつ、意見書を苦労に苦労を重ねながら会派間での調整を踏まえてまとめ上げたものでございます。ぜひそれらを軽視することなく、決してたなざらしすることなくそれらに対応をしていただきたい、そう思っております。
たまたま官房長官は地方議会経験者というふうに承知をしております。恐らく、議会時代に意見書の集約、いろいろされた御経験もあるし、それらをまとめ上げて国に出した、それ以来全く音さたがない、どうなっているのかな、あれという話も実体験としておありだと思っております。
内閣官房の方に出てきた意見書に関して、少なくとも官房長官として、これらに対してはこのようにしたい、率先してこのような形というものをとってみたいなどというような、ぜひこれは、今までの、きょうのこの三十分の議論を踏まえた形の所感をお聞かせいただければと思います。
○河村国務大臣 御指摘のように、私も県議会におりまして、実際にそういうことをやってまいりましたし、また、国会に出ましてからも、地方議会から意見書をこういうふうに出してやると。私あてにも来て、あなたあてにも来ているんじゃないかと思います。それは個々の議員がどのように対応するか、恐らく、あのままほうっておくわけにはいかないので、調べたりして返事をしたりということをなさっている。
やはり、おっしゃるように、これから特に地方を重視していこう、こういうときですし、当然、これから対等の関係に立っていくという姿勢が必要だと思います。これに対してもやはり丁寧な対応をしなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
そういう意味で、今、検討したいという答弁もありましたが、私の方も、これはかなり膨大な数ですから、これに一々答えようとすると、ある程度人員をそこに持ってきてやらないかぬとか、こういういろいろな問題もあろうと思います。そういう問題も含め、どのように対応するのが適切であるか。意見書が出てくることは、今国会で現実に問題になっておったり、もう既に解決したり、このとおりにできたものもある。しかし、現実に不可能なこともあるし、政府の方針と全然違う場合もある。
いろいろな問題がありますから、そういうことも含めて、私は、基本的に、あかま議員言われるように、やはり地方自治重視の視点からしても、丁寧な対応をする、対等の関係できちっと対応している、この考え方が非常に大事だと思いますので、そういうことも含めて検討いたしたい、このように思います。
○あかま委員 官房長官の御答弁をいただき、ちょうど時間となりました。これからの地方自治の発展、国と地方の関係、これらを踏まえて、ぜひ皆様方が今後前向きに検討いただくことをお願いして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
きょうは、公益法人制度、そしてまた今政府にさまざま置かれている政策会議の問題について少し触れたいと思います。
まず、時間の関係で、政策会議等の問題について少し触れさせていただきたいと思います。
内閣府の、内閣官房のですか、ホームページを見ましたら、政策会議等ということで、非常にたくさんの政策会議が置かれているんだなということを実感いたしました。幾つか実は、それを一つ一つクリックして見ていきますと、頻繁に開催されているものもあれば、一方で、全く最近は機能していないんじゃないのかなと言われるものも見受けられるというふうに感じました。
これは、一つ一つが法律に基づいてというものもございますので、だから、すぐになくすということができないものもたくさんあるとは思うんですが、現在、そのホームページに載っているものだけ、恐らくすべて載っていると思うんですが、これを数えたら、六十近く政策会議が存在しているという現状がございます。
そういったものについて、やはり一定整理をしていくことも考えるべきじゃないかというふうに思いますが、まず、どのようなルールのもとに政策会議等が設置をされ、あるいは運営をされているのか、あるいは整理の原理原則みたいなものが何か存在しているのか、お答えをいただきたいと思います。
○河村国務大臣 お答えいたします。
御指摘のように、今官邸の中に総理大臣、官房長官を構成員とする会議が六十四ございます。それから有識者会議が七、計七十一の会議が行われております。
この会議の設置につきましては、政府一体として施策を取り組むべきもの、それからもう一つは、総理、官房長官出席のもとで有識者の方々から意見を聴取する、こういうふうになっておりますが、御指摘のように、本当に必要なものに限定しなきゃいかぬ、こういうことで設置されておるというふうに私は理解をしております。
ただ、会議の運営については、これだけございますと、会議の性格、役割、多種多様でありまして、統一した客観的な基準というものは持っておりませんが、それぞれの目的において適切に開催をしている、このように考えております。
○泉委員 もちろん、それぞれ法律なりに基づいて設置をされてということでありますので、その運営等々が今具体的に何か大きな問題があるということではないんですが、例えば政府の審議会なんかに関しても、常勤委員、こういったものの、内閣としての申し合わせですとかを通じて整理をしていくという方向性がある。
それとは別に、こういったさまざまな政策会議についてはまだ余り手がつけられたような感じがない。各大臣だけで構成しているものもございますので、国民運動、政府一体となってという旗のもとで、ある意味、いろいろな機能が内閣府や内閣官房あるいは官邸に集中をしていく中で、こういったものもふえていくというのは一つの時代のあらわれではないかなというふうに思いますが、一方で、それも、時の内閣が中心になってつくられた以降、余り機能していないというものもあることはやはり否めないのではないかなというふうに思います。
そういった意味で、今、それぞれで適切に運営されているということでありましたけれども、私は、こういった政策会議についても、官房長官、ぜひ一度整理をしていただく、共通のルールというものをつくるのは難しいかもしれませんが、一つ一つの存在について見直していただくということもよいのではないかと思いますが、いかがですか。
○河村国務大臣 御指摘の点は大事な点で、私も、この会議がこれからも必要なことなのかどうなのかということについても指摘をいたしまして、昨年も暮れに十三の会議を削減させております。社会保障国民会議であるとかイノベーション推進本部とか、似たようなのがあるものを統合するようなものもございました。銃器対策推進本部は犯罪対策閣僚会議に統合させる、あるいは、薬物乱用対策本部というのがありました、これも犯罪対策閣僚会議に統合させる。
このような形のもので、絶えず見直しを頭に置きながらやっていく、これは大事なことだ、こう思いますので、今後とも、役割を終えたと思われるもの、ずっと開いていないようなものについては見直しをやる、そういう姿勢で臨みたい、このように思います。
○泉委員 少し具体例に踏み込んでいきたいと思いますけれども、例えば原子力立地会議。これは、私の認識だと、原子力立国計画だとか長期計画というものがあって、例えば〇六年には、今後十三基増設をしていくというようなものが記されていたと思いますけれども、そういった一方で、この原子力立地会議、恐らく、ホームページで見る限りでは五年ほど全く会議が開かれていないというような状況でありますけれども、この現状と今後の予定をお伺いしたいと思います。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
原子力立地会議は、平成十二年十二月に議員立法により成立いたしました原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法に基づき設置されております会議でございまして、総理を議長として、関係八大臣を議員として構成されております。
立地会議におきましては、都道府県知事からの申し出等に基づきまして総理大臣の行う原子力発電等立地地域の指定、それから振興計画の決定を前提といたしまして審議を行うこととされておりまして、基本的に都道府県知事からの申し出等なしに開催する性格のものでないということがございます。
十三年九月の第一回から平成十六年三月までの五回というところで、関係施設が所在いたします十四道府県全部につきまして、一通り立地地域の指定、あるいは振興計画に関しまして審議を一わたり終えているところでございます。
今後につきましては、都道府県知事から新たな立地地域の指定や振興計画の変更の申し出等があり次第対応することといたしたいと存じ上げております。
以上でございます。
○泉委員 そうすると、これは国の方で立国計画とかで増設の計画は持っておるけれども、あくまで都道府県知事からの申し出によって開催をされるものだということですね。わかりました。
もう一つ、さらには沖縄政策協議会、これも四年ほど会議が開催をされておりません。これはたしか官房長官がトップになるんですか、沖縄政策協議会。政府にはそもそも振興計画があり、かつて中川官房長官のときには経済振興二十一世紀プランというものが出されている。その後も沖縄に対してはさまざまな振興のプランですとか提言と、そして実際の予算の投下というものがずっと続けられていると思うんですが、この沖縄政策協議会の位置づけ、そして今後の予定、これまた伺いたいと思います。
○原田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの沖縄政策協議会は、平成八年九月の沖縄問題についての内閣総理大臣談話、橋本総理の時代でございますが、これに基づきまして設置されまして、総理以外の全閣僚及び沖縄県知事を構成員とするものでございます。政府と沖縄県が一体となって沖縄に関連する基本政策を協議するための会議でございます。
この沖縄政策協議会につきましては、御指摘のとおり、平成十七年四月以降開催をされておりませんけれども、沖縄政策において全閣僚が議論すべき重要な課題が生じた場合に開催するとの方針のもと、今後も沖縄政策の大きな方向性を定める場合や政策に影響を与える事案が生じた場合等に開催することを考えておるところでございます。
なお、具体的に現時点で申し上げることは難しいわけでございますが、例えば、現行の沖縄振興特別措置法が平成十四年に策定され、その際には同協議会において議論がされておるわけでございますが、今年度から総点検を開始し、二十三年度末で切れることになっておるわけでございますが、同特措法の期限到来後にどのような沖縄振興の枠組みがあり得るかを議論するような場合には、当然、同協議会を活用することが想定されるわけでございます。
以上でございます。
○泉委員 今の確認ですが、議論される場合にはということですけれども、この政策協議会は、そのことを議論する、ある意味政策協議会だけが唯一その場であるということであるのか。沖縄については本当にいろいろな会議体がございまして、同様の議論は幾らでもほかでできるような状況にあるのではないのかなと思います。
官房長官、例えば、知事も入っていられるという意味での政策協議会ですが、これがないと知事と意見交換ができないわけでは当然ないでしょうし、ではこの四年間、五年間、沖縄と没交渉だったのかといえば、全くそんなことはないですね。政策協議会が動いていない、重要案件がないから動いていないというふうに今おっしゃられた。しかし、そうだろうか。沖縄は日々重要案件の中で動いているというか、沖縄も政策を進めておられるというふうに思います。今回、普天間の問題もありますし。
そういったことを一つ一つとっても、今のお話でいくと、十年に一回、計画をもしかしたら議論する場合には政策協議会を開催していきますと。官房長官、これは見直していただいていいんじゃないでしょうか。
○河村国務大臣 現実に、普天間協議会も先般行っておりますし、これが一つの今大きな課題になっておりますから、これを進めております。
これはどうなんでしょう、いざというときに置いてあって、しかし、これがなくなった場合に大丈夫かという問題が提起されるかもわかりません。そういうような御指摘をいただきましたので、これはなくしていいのかどうか、これを含めてもう一度沖縄側とも協議しておきますが、ではこれにかわるべきものは何があるのか、沖縄に関する大きな問題が出たときに、全員で協議をしなきゃいけない課題が出たときの場があるのかとか、こういうことも含めて、私の方も、今の御指摘を踏まえてもう一度検討してみたいというふうに思います。
○泉委員 本当に、そういった意味で、沖縄県独自も例えば振興計画をつくる、そして政府も振興計画をつくる、またさらに細分化していけば北部の振興の協議会があったり、今のような普天間協議会があったり、いろいろな協議会がございますので、これはぜひ整理をしていただきたい。
内閣官房、答えられればですけれども、たしかこの協議会において調整費というのがあるんですね。この調整費というのは、たしか平成八年のときだったと思いますけれども、五十億円ぐらいの調整費があるということでありますけれども、最近の執行について、もしわかればお願いします。
○原田政府参考人 お答え申し上げます。
特別調整費につきましては、現在も、非公共五十億と公共五十億、百億円の予算を計上しております。
沖縄政策協議会におきましては、創設当初、沖縄経済振興二十一世紀プランなり、あるいは現在の沖振計画の執行上特に必要がある場合にこの特別調整費をこの政策協議会にかけて確定をさせていた経緯がございます。ただ、現実には、平成十七年まで運用いたしまして、特別調整費の配分の仕組み、実態につきまして、政府側も沖縄県側も制度が定着いたしておりますので、現在は通常の予算執行のもとで対応しておるところでございます。
○泉委員 そういったところも含めて、やはりあり方を再検討する時期が来ているのではないかなと思います。
続いて、さらには高齢社会対策会議、こちらの方に移りたいと思いますが、高齢社会対策会議、年次報告ですとかを出されているということですけれども、ホームページを見ると昨年の会議の結果が載っておりませんでしたが、昨年の開催状況はいかがだったでしょうか。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
高齢対策会議、平成七年の十一月に、これも議員立法で成立いたしました高齢社会対策基本法に基づきまして、高齢社会対策を総合的に推進するため設置されております。大綱の案あるいは年次報告の案の作成等を所掌しておりまして、総理がヘッド、全閣僚を委員として構成されております。
この会議、今先生おっしゃいました、大綱の見直し案を十三年十二月に作成しまして以降、平成十四年から毎年各一回、国会への年次報告、高齢社会白書でございますが、これを作成するために開催しております。
ホームページには一昨年までしか載っておりません。失礼しました。昨年は平成二十年の五月十六日に開催いたしております。ことしも来月開催する予定でございます。失礼いたしました。
○泉委員 載っていないですよね。載っていなかったですね。恐らく高齢社会対策会議、余りだれも注目しないのかもしれませんが、やはりちゃんと載せていただかなきゃいけないということ。
そして、高齢社会対策も、厚生労働省というしっかりとした省があり、もちろん政府一体として取り組むわけではありますが、そしてまた各省にまたがって一つ一つ拾っていけば、警察庁には高齢者の交通安全がありますね、国土交通省にも安全な道路なんというものがありますね、経済産業省も消費者庁も高齢者がだまされないようにさまざまな教育やら何やらできますね、文科省も生涯教育がございますねということで、総合的な高齢社会対策ということで言えなくもないんですが、多くの国民が、九〇%以上の国民が高齢社会対策に期待をしているのは、恐らく厚生労働の部門にまつわる問題だと思いますね。医療、介護、福祉、年金、こういったところについてやはり安心をつくっていただきたいということがあるわけで、こういった官邸の中に置かれる会議というものが果たしてどこまでの意味があるのか。
先ほどの原子力立地会議については議員立法でという話がありました。実は我々議員たちも少し気をつけなくてはいけなくて、新しい法律をつくるときの基本的な手法として、中央に何かを置くということをよくやってしまうんですね。重要性にかんがみて、各省庁だけでは縦割りになるからというふうに、そのときそのときにはそういった理由で新たな会議体なりをつくってしまうという傾向があって、ここは少し我々議員たちも気をつけなくてはいけないなと思います。
この高齢社会対策会議の年次報告についても、言ってみれば、対策会議を置いたから年次報告ぐらいはつくらせなきゃなという雰囲気が伝わってきて仕方がない。本来、ここがやらなければどうしようもないんだというものではないんじゃないのかなというふうに思います。
そういった意味で、きょうは大村副大臣にもお越しをいただきました。ぜひ率直な、ふだん切れのいい大村副大臣に、この高齢社会対策会議、そろそろ厚生労働省側からも、我々が責任を持ってやるんだという思いで見直すということを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大村副大臣 泉委員から、高齢社会対策、高齢者対策につきまして、厚生労働省への強い期待をいただきましたので、心から感謝を申し上げたいと思います。
まさに今、泉委員の御質問、御発言にありましたように、これは、平成七年の十一月に、参議院の方で議員立法で、たしか全会一致というふうに聞いておりますが、その高齢社会対策基本法というものに基づいてできたわけでございます。
この基本法は、まさに高齢社会対策の基本理念を定める、そして高齢社会対策を総合的に推進し、もって経済社会の健全な発展、国民生活の安定向上を図るということで、これは大変すばらしい法律だと思いますが、こういった法律をつくることによって、この会議をつくり、また白書をつくりという、まさに委員御指摘のとおりでございます。
私はこの会議は非常に意義があるというふうに思っておりまして、というのは、高齢社会対策の大綱をつくるということ、それから年次報告を毎年つくるということ、そういう中で、やはり厚生労働省だけではなくて各省にまたがるものがあるのは御案内のとおりでございます。
例えば、年次報告を見ますと、内容を見ますと、第一が「就業・所得」、二が「健康・福祉」、三が「学習・社会参加」、それから四が「生活環境」といったことで、やはり各省、政府全体にまたがるものということでございますから、そういった形で引き続きこれを進めていく必要があるというふうに思っております。
ただ、先ほど御指摘いただきましたように、ホームページに昨年のものが載っていないということ、これはやはり少し反省をしなきゃいけないというふうに思います。また委員の御指摘を踏まえて、高齢社会対策をしっかりと進めていきたいというふうに思っております。
○泉委員 年次報告もぜひ何年かのものを見ていただきたいと思いますが、いわゆる各省庁からの持ち寄りのホチキスどめになってしまってはいないだろうかということを反省すれば、それぞれ各省庁が、おっ、ことしは何を持ってきたんだろうかというわくわくするような中身が年次報告にあるわけではなくて、大体前年のものを踏襲している、時に、何か目新しいものというか、違った観点のものが出てくる程度であります。
そういった意味でも、これもまた、行政の方でさまざまな組織の見直しということがありますが、その一つの縛りとして、もし議員立法だからというものがあるのであれば、議会の方も、国会の方もまた、そういった観点からの見直しを図っていかなくてはいけない時期が来ているのではないかなと思います。
もう一つ、もうこれで最後の例にしますが、食料・農業・農村政策推進本部というものもございまして、これも、年一回閣僚たちがたった四十五分間だけ会合して、ずっと存続をしているというものであります。
きょうは農水省の方にお越しをいただいて、ちょっともう時間の関係で、大変恐縮で申しわけありません、答弁はお願いをしませんけれども、そういったものも含めて、本当に形式的に置かれてしまっているようなものがある。せっかくですから、答弁をお願いしましょうか。わかりました。
では、年一回四十五分の会合でこのような組織体が置かれているということについて、私は、食料・農業・農村政策推進本部が別に官邸に置かれなくても、農水省が、ある意味責任を持って、立派に農政を展開していくべきではないかというふうに思いますが、農水省、御見解をお願いします。
○針原政府参考人 答弁の機会を与えていただいて、ありがとうございます。
委員御指摘の食料・農業・農村政策推進本部は、これは、食料・農業・農村基本法を踏まえて、法律には基づきませんけれども、つくられた会議でございまして、農政に関して政府一体となった取り組みを検討し決定をするための唯一の機関となっております。
特に現在、我が国農業は、農業生産額の減少あるいは就業者の高齢化など、持続可能性が危うい状況にあります。スピード感を持って農政改革に取り組む必要がございます。
このため、先般、この推進本部のもとに、官房長官や農政改革担当大臣など六大臣による農政改革関係閣僚会議を設置いたしました。農政改革を内閣の重要課題として取り組んでいるところでございます。この会合では、今月十七日に農政改革の検討報告を決定いたしました。今後、この検討報告に沿って具体的な内容を詰め、夏をめどに中間取りまとめを策定する予定となっております。
このような枠組みのもと、私どもといたしましては、農林水産省だけでは進められないいろいろな問題について、政府一体となって、国民的な議論を喚起しながら農政を推進してまいりたいと考えております。
○泉委員 そういった今おっしゃられた食料の課題も、正直、この推進本部ができて何が変わったということでは残念ながらないと思いますし、さらに、閣僚会議までできるということであれば、今までの推進本部は何だったんだというような気もいたします。
これまた、たしか年に一回、何だかかんだか二〇〇八とか何だかかんだか二〇〇七というもの、報告書みたいなものを出されているわけですけれども、そういったものを、とにかくいろいろと見直しを官房長官、お願いをさせていただきたいというふうに思います。
といったことで、政策会議、なかなかふだん余り焦点が当たらないものですから、きょうは取り上げさせていただきました。官房長官と大村副大臣、これにて結構でございます。
続きまして、新しい公益法人制度についてでございます。
きょう、大臣あるいは最低でも副大臣と思ったら、参議院の消費者特にとられてしまったということで、その部分では大変残念でありますけれども、政務官にお答えをいただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
この公益法人制度、平成十八年に三法が成立をしまして、十九年の四月には公益認定等委員会が発足をいたしました。そういったことで、今、昨年の十二月からですか、いよいよ認定の申請、そしてまた手続が始まっているわけですけれども、現在のこの公益法人制度の申請状況と処理状況の説明をお願いします。
○原(正)政府参考人 お答えいたします。
平成二十年十二月一日に新たな公益法人制度が施行されましてから、昨日、四月の二十一日まででございますが、内閣府に対しまして、七十六法人から公益認定等の申請がございました。そのうち、これまでに八法人につきまして公益認定等を行っているところであります。
○泉委員 もちろん、申請の時期にもよるんでしょうけれども、非常に手続が難しいというような話も伝わってきております。さまざまな公益法人も今、そういった意味で、新たな公益社団、財団という形で申請をすべきかどうかも大変迷われているというお話も聞いておりますが、現在までに見えてきた課題、問題点、そういったものがもしあれば教えてください。
○原(正)政府参考人 新たな公益法人制度ですが、昨年十二月に全面施行されてから、先ほど申し上げましたように、もう既に認定等を行っているところでありまして、これまでのところ、特に大きな問題なく実施されているのではないかと考えております。
ただ、今委員御指摘のように、新制度は複雑で、申請手続が難しいのではないかという声も聞いております。やはり民による公益の増進という観点からの今回の法改正でございますので、この新制度への理解を広げて、実際に公益活動を実施している法人の申請に要する事務負担をできるだけ軽減していくということは、私どもとしても重要だと考えております。
そのために、これまでも、制度の中身あるいは申請手続の内容につきまして、電話や面接による相談、あるいは説明会などの開催に努めてきておりますし、パンフレットあるいは申請の手引などを作成、配布しまして、制度の普及啓発に努めております。
そして、新制度が施行されましたことから、今後ますます、法人関係者へのこの新制度あるいは申請手続の周知徹底が一層重要になってくると考えておりまして、電話や面接による相談、説明会への講師派遣など、申請者へのサポートを丁寧に行いまして、この制度の円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。
○泉委員 以前、ちょっとヒアリングを受けたときに、これはもう一回、改めて確認をしたいと思うんですが、現在二万五千の団体があって、国所管で七千あるわけですけれども、申請がされるだろうと一応事務局側が予想をしている、想定をしているものの数あるいは割合、さらに言えば、それを申請までの猶予期間ですか、移行期間の五年間で割ったときに、大体、一日何団体ではないけれども、一月何団体というか、そういった形で実は委員の数等々も決めた、あるいは事務局の人数も決めてきたんだというお話がございました。ただ、申請の方は平均ではやってこないわけでして、恐らく駆け込み申請的なものが数年後には非常にふえてくるんだろうなと思います。
そうなったときに、今のままでいくと、「従来の公益法人は、主に次の場合に解散となります。」という形での規定がなされていまして、平成二十年十二月から五年間の移行期間の終了までに移行申請を行わなかった場合、そして、移行申請を行ったが、移行期間終了後に認定または認可が受けられなかった場合ということで、不認定、不認可の場合は再申請をするわけですね。しかし、それがもし五年までに間に合わなければ、解散というところに追い込まれてしまう。しかし、恐らく駆け込みが大変多いだろう。事務手続で間に合わないということは、これは恐らく許されない話だと思います。
ということで、今想定をしますと、例えば、五年後の締め切りの期日の数カ月前までの申請を認めるという形になるのか、それとも、五年、このぎりぎりの締め切り日までの、消印有効ではないですが、そういう考え方で受け付けて、後は受け付けたことをもって、その審査には多少時間がかかるけれども、それは五年を超えた場合でも解散という形には持っていかないんだという認識なのか、そのどちらかをお聞かせください。
○原(正)政府参考人 今委員お話ございましたように、五年間の移行期間の間に、新しい公益法人にいくのか、一般法人になるのか、あるいは申請をしないまま解散するのか、そのことを法人みずからが決めなきゃいけないということになっております。
五年間の移行期間がございますから、仮に五年ぎりぎりに出てきた場合であっても、私どもはそれはもちろん受け付けまして、申請を受けて、その審査をしている間、結論を出すまでの間は、引き続き特例民法法人としての存在が認められるということになります。
○泉委員 その意味では、今の御見解であれば、五年後の移行期間の終了までに申請をしておればよいということを一つ明確にしておきたいというふうに思います。
次に、従来の公益法人の今後の行方として、一つは一般社団、財団へ移行する、これがベーシックなものですね。その中で、公益性の高いものについては一定の条件において公益社団、財団へ移行をしていく、もう一つが解散ということが想定をされるというわけでありますが、一つ、先日総務委員会の方でも問題点が指摘をされましたが、公益目的支出計画、これがございます。
この公益目的支出計画なんですが、あくまで、一般社団や財団に移行する場合についてはこれが必要となってくるということで、一定の公益財産の散逸を防ぐというか、そういったことになるのかなと思うわけですが、解散の場合であります。現在の、従来の公益法人が解散をする場合というのは、その財産の行方、どのような処分がなされることになるんでしょうか。
○原(正)政府参考人 制度上、公益目的支出計画の作成が求められておりますのは、従来の公益法人が一般法人に移行した場合でございます。
特例民法法人が解散をする場合には、その法人自体存在しなくなるということがございますから、公益目的支出計画を作成する必要はないということでありますが、旧民法の規定に基づきまして、当該特例民法法人は、残余財産を自分たちの目的であるものと類似する目的のために処分をする、あるいは国庫に帰属するということになっております。
○泉委員 その前に、解散した法人の財産は定款または寄附行為で指定したものに帰属するというものの前提の中でですね、今のお話は。ですから、類似の目的のために財産を処分する、あるいは国庫に帰属するというのは、まず、寄附行為で指定したものに帰属するというところからスタートする話だと思います。
その場合です。あくまでこれは性悪説に立った話かもしれませんが、現在の公益法人、特に財団法人が、社団法人の場合は社員の全体の合意というものも必要になってくるでしょうけれども、財団法人の場合などは、現在多くの資産を有している、財産を持っているその財団法人が類似の目的の新たな一般社団、財団を設立し、そしてみずからの、従来の財団法人を解散させるという形でいくと、その従来の財団法人の側の定款の方に、そういった新たな団体に対する寄附ができるような定款をつくっておけば、ある意味、公益目的支出計画を通らない形で財産の移転が可能になるのではないかというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
○原(正)政府参考人 特例民法法人が解散する場合におきまして、法令上、一般法人への残余財産の贈与を禁止する明文の規定はございません。
しかし、一般法人は、事業内容に特段の制限がなく、法人の任意で定款を変更することができ、解散した場合にはその残余財産を構成員に分配することが禁止されていない、こういったことを考慮しますと、一般法人に対して贈与を行った場合、一般論としては、当該財産が公益目的に使用されることが担保されているとは言いがたいのではないかと思います。
したがって、最終的にはもちろん主務官庁が判断すべき事柄ではありますが、特例民法法人が一般法人に残余財産を寄附することは、一般論としては不適切ではないかと考えております。
それから、先ほど定款の問題もございましたけれども、定款を変更するに当たっても、主務大臣が認可することとなっております。したがいまして、主務大臣の適切な判断を踏まえた上で帰属先が決定されるという仕組みになっておるということでございます。
○泉委員 この内閣府から出ているパンフレットでは、「一般社団・財団法人も「民による公益の増進」の担い手として期待されています。」ということで、一般社団、財団のことを公益の増進の担い手であると。そういう位置づけをされているということで、この一般社団、財団に類似の目的が事業の目的として設定をされてしまったら、それは、今おっしゃったようなことは気持ちとしてはわかるんですが、可能性としてはやはり残ってしまう、財産が移転をしてしまう可能性があるのではないかなというふうに私は思うわけです。
そこが、今、主務大臣のそれぞれの判断ということでありましたけれども、まさにこの公益法人改革ということについては、これまで主務官庁がそれぞれの許可でこういった財団、社団を次々と設立させてきたことが問題なんだというところから、これを改革していこう、許可主義を改めようという観点がそもそもあったんだと思います。
そういった意味で、やはり監督官庁それぞれが果たしてどういうスタンスをとるのか。今、内閣府の方からは不適切という言葉がございましたけれども、内閣府だけが不適切と言って、結局は各監督官庁がそういった内閣府の意向と違う判断をしてしまっては、これはやはり趣旨に反すると思うんですね。
並木政務官、その点について、私は、強く各省庁にこの趣旨を伝えることと、できれば、これはやはり明文的にちゃんと趣旨の徹底を図るべきだと思いますが、いかがですか。
○並木大臣政務官 もう先生御指摘のとおりで、また、今、原事務局長がお答えしたとおりで、そういう隘路というのが、考えようによっては御指摘の点があることは事実でございます。
しかし、もともとが、今先生おっしゃったように、官主導の公益を担うというところから民による公益増進、これが今回の法改正のまさに主眼とするところでありますから、そうしたところにおいて、この過渡的なところの問題ですけれども、公益目的以外に、今まで公益という中で優遇税制を受けながら積み上げてきた財産が使われてしまう、これはまさに一定の制限が行われるべきだ、無制限に使われることは適当ではない、そういうふうに考えております。
今お話がありましたとおり、旧民法の七十二条で、主務官庁を関与させる、こういうことによって残余財産が公益目的のため使用される、そういうところを担保してきたところであります。
主務官庁の縦割りの裁量というような問題もあってのことでありますので、今の時点におきまして、しっかりと、先生御指摘のようなガイドラインというか、そういったものを検討いたしまして、そして、それをそれぞれの主務官庁ないし地方自治体も含めてですけれども、徹底させていきたい、そのように考えております。
○泉委員 今、民法七十二条の二項、三項について、内閣府の方も、また政務官の方も触れられましたけれども、前提にまず一項が存在しているということも私は忘れてはいけないと思うんですね。
何を言いたいかといいますと、財団法人等々によっては、定款の変更についても大臣の許可を必要とするというものがあるんだと思いますが、その大臣の許可の段階で、そういったものが予想されるような定款の変更であれば、それそのものも認めないという考え方がやはりあった方がいいのではないかなと思いますが、いかがですか。
○原(正)政府参考人 確かに、委員御指摘のように、旧民法七十二条では、まず定款等で指定した者に残余財産が帰属する、こういうふうになっております。
ただ、今ある定款というのは、恐らく一般法人に残余財産を贈与するという形には多分なっていないと思います、この制度ができたのは最近でございますから。ですから、仮にそういうことをしようとした場合には、定款の変更が必要になってまいりますが、定款の変更には主務官庁の認可が必要であるということになっておりますので、主務官庁の方できちんとした判断がなされる。そして、我々としては、一般論として、一般法人にこういう財産を贈与するのは不適切である、こういうことを言っていきたいと思っております。
○泉委員 今おっしゃっていただいたように、定款の変更も主務官庁の大臣の許可が要るということですから、並木政務官、そこもぜひ、各大臣、各官庁に押さえていただきたい。
ただ、実は、今、原さんがおっしゃった話は、ほかでいろいろな財団法人の定款を見ていくと、多少ばらつきがありまして、例えば多くの財団法人は、残余財産の処分、こういったところの書きぶりというのは、この法人の目的に類似の目的を有する公益団体に寄附するものとする、こういう書きぶりが一般的なんですね。一方では、幾つかの団体は、類似の目的を有する他の団体に寄附するものとするとか、いろいろな書きぶり、古くからの団体なんかも含めて、特に、それぞれ多少書きぶりが違っているところで、実は、公益団体じゃない他の団体で類似の目的であれば、残余財産の処分ができるという規定になっているものもあるんですね。
ですから、ある意味、今までも立入検査とかいろいろやっている。今回も漢検の問題があって、実は文科省はずっと立ち入りをしていたけれども、文科省にしてみれば実は権限は何もなかったんだということで、結局はずっと問題は放置をされてきたということについて、やはりどこかでしっかりと蛇口を閉めなくてはいけないわけですね。その意味で、今現在も定款というものはさまざま存在しているんだ、決してどの財団法人も一緒ではないということで、改めてのチェックをしていただきたいというふうに私は思います。
今、ちょっと漢検の話が出て、話題になっている団体ですから、名前を挙げてしまうのは少しかわいそうなところも感じるわけですが、例えばこの漢検が解散手続をして、所有する財産を、一般財団で同じような目的のものができてというふうになった場合に、定款を変えて、そこに財産を移すとなったときに、だれかがそれをとめなくてはいけないということだと思いますが、今のままいけば、それはとめられない可能性もあるわけですね、明文的にだめだというふうになっていませんので。
ですので、だからこそ、そこは監督官庁の腹一つということではなくて、何かしら明示的に文章なりであらわしていただくということが改めて重要だと思いますが、政務官、もう一度お願いします。
○並木大臣政務官 漢検というお話も出ましたけれども、もう御案内のとおり、これに関して、それぞれもちろん主務官庁はございますけれども、文部省の方からさまざまな指導で、その指導の結果としてのいろいろなものが返ってきているということであります。
主務官庁もそれぞれ、まさに公益というところで非常に神経を使っていると思いますし、今後とも、民によって公というものを判断して寄附文化ができていく、そして社会に厚みをつくっていく、こういった点では、しっかりとそれぞれの官庁もやっていかなければ今後につながっていかないと思いますので、その辺はやっていただけると思いますし、内閣府としても、そういったところを注視していきたいというふうに思っています。
○泉委員 これは都道府県に対しても同様の徹底をしていかなくてはいけないということでありますので、それをぜひお願いしたいと思います。
公務員制度改革でもわたりの問題があって、政令の見直しが話題になりましたが、結局、新たな制度をつくった一方で、旧の制度の中で問題点が放置をされたままになっているということは今回も同様のケースかなというふうに思いますので、そこをぜひしっかりと整備していただきたいと思います。
次の問題ですけれども、平成二十年度公益法人に関する年次報告というところについて触れたいと思います。
公益法人に関しては指導監督基準というものがあるわけですが、指導監督基準というのはどこまでのものなのかなというのが、正直、読ませていただいて余りはっきりしないというか、指導監督基準を守らなくても、指導監督しか行えないというか、私は限界を感じるわけですね。
実際に、指導監督基準に当てはまらないような団体も年次報告の中にはいっぱい数としては載っているということについて、もう一回、この指導監督基準というものは何なのかということについて、内閣府、御説明をいただけますか。
○原(正)政府参考人 指導監督基準は平成八年九月に閣議決定をされたものでございまして、正式には、公益法人の設立許可及び指導監督基準というものでございます。まさしく閣議決定でございますから、各省庁、これに基づいて指導監督を行っていくといういわば基準、同じ言葉の繰り返しになってしまいますが、よりどころ、基準であるというふうに考えております。
○泉委員 指導監督基準に従わなかった場合、あるいは合致しない場合、どのように対処なされるのでしたか。
○原(正)政府参考人 指導監督基準に基づいて、それぞれの主務官庁が旧公益法人を指導監督するということになるわけであります。そして、その指導監督基準に従わない公益法人につきましては、民法の規定に基づきまして、いろいろな措置命令等が可能ですし、ほかの措置によりがたい場合には、最終的には設立認可の取り消しということもあり得るものでございます。
○泉委員 例えば、先日明らかになった、埼玉県の財団法人、住宅検査センター。理事長と常務理事が多額の報酬をもらっていたということで、これが不当に高額な事例だというようなことで新聞報道がございましたけれども、これは、基準に照らすと不当に高額な事例と言えるんでしょうか。
○並木大臣政務官 不当に高額なというのは、実際に二十年度に四千四百万といろいろ報道されていますから、そういったものが出たのは、耐震偽装等の問題があってその後非常に仕事がふえた、その業績において、幹部で相談してというんですけれども、理事長と常務理事二人しかいないんですけれども、それで相談をされて、四千四百万と、常務理事は二千六百万ですか、そして千四百万の車を公用車として買った、こういうようなことであるわけです。
これについて、基本的には埼玉県の方での指導というか、そういうところによっていますので、内閣府が直接、高いとか安いとかコメントする立場にはないわけなんですけれども、今、原事務局長がおっしゃったとおり、社会的な批判を受けるようなものであってはならないと。業績云々については、ちょっと若干の疑問も、確かにその年において業績は上がったということはあるんですけれども、しかし、急激に給料を上げたということについては、埼玉県そのものが非常に不適切だということで、車ももう売るとか、給料等についても指導に従うというようなこともありますので、そういった点では適切な指導がされたというふうに思っています。
○泉委員 公益法人ですので、業績によって給与がアップするというのは随分すばらしい公益法人だなと、すばらしいと言うと変ですが、本来の公益法人という立場からするといかがなものかというふうに私は思います。
もう一つは、国の年次報告を見させていただくと、例えば公益法人で、国所管の公益法人でも、平均年間報酬額で二千万以上の団体が十存在をしているということであります。しかも、これは恐らく平均ということですので、千八百万の方と二千二百万の方がおられれば二千万が平均になるわけですし、もっと高い方がいる可能性もある。
その辺の給与の実態がなかなか私たちには伝わってこないわけですが、およそ公益法人という名前で、果たして、どんなに大きな規模の団体であっても、二千万以上の給与を受け取り続けるものなんであろうかと。これが二千万以上なのか千五百万以上なのかというところはやはり議論があると思うので、今一概には言えませんが、そもそも、公益法人、トップの方の顔で運営をされているのか、現場の方々が頑張っておられるのか、そういったことも含めて考えたときに、あるいは、では業績がよくなった場合、トップの方の仕事量がどれだけふえるのかということも含めて、本当に適切にこの給与が決められているんだろうかと。
今ほどもお話があったように、幹部だけで、理事の中だけで給与が決定をされてしまうということもやはりあるわけですので、そういったことからすれば、この国所管の法人の給与の点からも見直しをしていかなくてはいけないのではないかなと思います。
漢検の問題に少し触れたいと思います。
文部科学省にお越しをいただいておりますけれども、報道なんかでは、漢検の内部留保について、内部留保については一般的な指導監督基準では、一事業年度における事業費、管理費、事業に不可欠な固定資産取得費の合計の三〇%以下であることが望ましいと規定されているが、協会と四社の内部留保を連結させると三〇%を超えると。こういう中で、場合によっては公益法人指導監督基準の運用指針に適合せず、公益認定を妨げる要素になり得るというような発言も聞こえてきております。
これは、関連四社との連結した評価というものが、果たして評価の考え方としてあり得るのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○惣脇政府参考人 お答えいたします。
御指摘のありました内部留保に関する基準についてでございますけれども、この基準につきましては、公益事業を適切かつ継続的に行うために一定の資産を内部で留保する必要がある一方、その非営利性のある事業目的から税制上の優遇措置が認められているというために、内部留保は一定の範囲内にとどめるべきであるという基準が設けられているというふうに承知をしているところでございます。このため、制度上運営形態が異なる公益法人と株式会社の資産額を連結させて評価するということは想定されていないわけでございます。
しかしながら、今般、漢検協会におきまして、前理事長等が代表を務める関係四社との間で必要のない取引が行われ、本来同協会に留保されるべき資産が流出しているのではないかということが懸念されている状態にございます。
このため、文部科学省といたしましては、このような状態が是正されるよう、関係四社との取引の解消に向けた厳正な検証、検討を行い、適切な対応を図るよう指導しているところでございます。
○泉委員 その意味では、今後の取引関係についての見直しを求めていくということであって、現在の関連四社との連結というものについて、それを連結して判断するものでは恐らくないというようなことだと思います。私は、これは常に冷静また客観的にこういった指導監督基準というものは運用されていかなくてはいけないと思いますので、その点で今触れさせていただきました。
一方で、〇八年の検査では、評価がB評価だとかC評価だということであったけれども、実際には、検定料の額をああしろこうしろと言う権限もない、あくまで指導監督をする立場でしかないというような苦しさも伝わってきております。そういった意味で、この指導監督も、実効性が残念ながらまだないんじゃないかということもございます。
そういったことも含めて、この公益法人、多くの団体が今後、公益社団、財団に移行を図っていくという中で、さまざまな混乱が予想されますので、ぜひ、事務局とそして内閣府全体、また各省庁、しっかりと気持ちを入れて頑張っていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、山田正彦君。
○山田委員 私はきょう、無担保無保証の、中小企業に対する緊急融資、これについて、セーフティーネットについて質問させていただきたいと思っております。
実は私は、今でもちょっと、法律事務所で弁護士として実務の方も時々やらせていただいておりますが、先般、まだ二週間にもならないんですが、破産の申し立てに来ました。
よく話を聞いてみますと、私の知っている人でもあったんですが、仕事は、イチゴとかトマトとかの栽培の現場に行って、実際に葉っぱの葉脈みたいなのをとって、それを搾って、そして機械でもって窒素、燐、カリというものが幾ら足らないかというのを五分ぐらいで調べて、そういう一つの肥料を手当てして、ずっと行商みたいにしてやっていて、「現代農業」にも紹介された、親子二代でもう五十年ぐらいやっている大変立派な会社だったんですが、有限会社ですが、その社長がどうしても破産したいと。
どういうことでしょうと思って聞いてみましたら、保証協会とも話をして、銀行とも話をしたと。肥料が高くなっているんですね、現在。今まで、例えばオール14という肥料が一袋二千七百円だったのが、今三千七百円しているんです。物によっては倍近く上がっているんです。そんな中でどうしたって買えないのでだんだん滞ってきて、農家も今大変なんです。結局、卸商の方に払わなきゃいけない。これ以上もう物を出せなくなったのでだめだというわけですね。それで、結局、銀行に行って、保証協会に行って、無担保無保証の今回のセーフティーネットを頼んだわけです。
ところが、では、二千万出しましょう、そのかわり千五百万はこれまでの旧債に充ててくれ、実際に出すのは五百万しか出せませんと。五百万では、山田さん、これはどうしてもやっていけないので、五十年、親子二代やってきましたが、とうとう破産の決意をいたしましたという話なんです。
内容を見ましたら、ほかに借金はないんですね。銀行が四千万あるぐらいと取引先だけなんです。これはもったいないなと思いまして、特にイチゴ農家からは、どうしてもこの人が必要だという話は前から聞いていましたので、私、銀行に電話してみたんです。次長が出たんですが、実際、本当に、二千万貸して千五百万は自分のところの借金に返済しろと言っているのか。私の地元の銀行です。そうしたら、次長が、保証協会の指導でそうしていますと言うわけです、これは。
私も、もうその日は少し遅かったので、次の日の朝、長崎県の信用保証協会の会長に電話を入れたんです。そんなことをやっているのか、これは旧債振りかえ、いわゆる貸しはがしじゃないか、今度やっては絶対にならない、これは別枠で、しかも無担保無保証でやるのだから、どうなっているんだ、そういう話をしましたら、すぐ調べてみますと。もう一回電話しました。調べてどうでしたかと言ったら、調べましたが言えません、そういう話でした。それはわかるけれども、こういう場合のためのセーフティーネットだから何とかなりませんかと私の方でお話ししたんですが、保証協会の、副知事から天下りした理事長なんですが、私に、できませんと。これは問題じゃないですかと言ったら、勝手にしてくださいという電話なんです。
それで私怒ったんですが、いわゆる、そういうことが現在まかり通っている、ほかにもいろいろあるんですが、こういうことについて、中小企業庁担当大臣としては、どういう指導をしているのか、まずそれをお聞きしたい。
〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕
○高市副大臣 失礼いたします。
昨年の十月末にスタートいたしました緊急保証でございますけれども、きのうまでに約九兆七千億円に上る御利用をいただいております。これは、日本政策金融公庫や商工中金によるセーフティーネット貸し付けと合わせますと、十一兆円を超える利用となっております。
先生が相談を受けられたようなケース、それぞれ国会議員の皆様方、相談を受けられていると思うんですけれども、信用保証協会に対しましては、今回、赤字だとか債務超過だとかいった形式的な指標だけではなくて、中小・小規模企業の実態をよく見て判断することが重要である、そういった点については繰り返し周知徹底をいたしております。
ただ、一方で、現在抱えておられます債務の総額ですとか、それに比べました返済能力などを総合的に勘案して、それ以上の借り入れを行うことがかえってその企業のためにならないと判断されるようなケースも実はございます。
ただ、仮に新規の保証をお断りせざるを得ないようなケースにつきましても、既往の債務について、返済条件の緩和によって資金繰りを円滑化するといった方策もございますので、先ほど山田先生が御指摘になった点は、そういったことについてのアドバイスがあったことなんだろうと思います。
今後の事業計画も含めて十分に相談に乗るようにということは、もう二階大臣の方からも私からも、全国の信用保証協会の会長を集めての会議を累次繰り返しておりますので、何度も周知をいたしております。
○山田委員 私もいろいろ調べてみました。そうしますと、これまでの旧債について、保証協会は八〇%保証して、銀行が二〇%プロパーで出しておった。ところが、今回の保証は国が九六%ですよね。私もいろいろな事業を前からやっていたので、保証協会も何度も通わせていただいたんですが、保証料を前払いしますから、結局一〇〇%、保証協会に対しては国の保証なんです。
ところが、今まで八〇%で貸したものを今度の一〇〇%に保証協会が振りかえれば、保証協会のいわゆる自腹分二〇%がなくなるから、この際この制度を利用して保証協会も、銀行ならわかるんですが、いわゆる回収にかかっているということは考えられないですか。ちょっと端的に答えていただきたい。
○高市副大臣 信用保証協会と金融機関との間の契約によりまして、金融機関の損失を保証協会に転嫁するという目的でプロパー融資を保証つきの融資に振りかえるということは禁止されております。もしもそうした不正行為に協会職員が故意でかかわっているというような場合には、法的な手続も含めて厳しく対処することになります。
ただ、緊急のつなぎ資金ですとか大幅な債務削減、あと、金利減免を伴うケースなどでは、保証つき融資で借りかえるということが必要なこともございます。こうしたケースにありましては、信用保証協会では、一つずつ、借り手企業の御事情をよく伺いながら、関係金融機関の協力も得ながら、中小・小規模企業のためになるようにということで見きわめて対応することになっております。
ですから、借りかえはいいんですね。ただ、銀行のプロパー融資を保証協会に損失をつけかえるという目的で旧債振りかえをするということは禁止をされております。
○山田委員 それはわかってはいるんですが、今私が言っているように、保証協会みずからも、どんどんこれから代弁していくときに、かつてのいわゆる二〇%自己負担部分のそれを、損失を免れようとしているところは、私はあり得ると思っていますので、しっかり監督してほしい。それは、いわゆる中小企業者にとっては大変なことですから。
それからもう一点。実際にあったんですが、私の地元で、一千万の今回のセーフティーネットの借り入れをしたら、二千万借りてくれと銀行から言われた。あとのその一千万は旧債支払いなんですね。これは後で金融庁にこのことは厳しく聞きたいと思っているんですが。そのときに、これはもちろん保証つきなんです、セーフティーネットですから。保証協会の人にそのことをぽろっと話したとします、仮に。これは保証協会に話したかどうかは私確認していないんですよ。そうすると、保証協会の人はそれを聞いたらとめなきゃいけないんですよね。
ところが、実際には、その本人にしてみても、二千万もそれで借り入れれば、借金が少し繰り延べられればという気持ちがあるでしょうから、そういうことが現にどんどん行われている可能性があるんじゃないかと思うんです。そういう意味では、これも答えはもう要りませんが、ひとつ、中小企業庁としては、今回のせっかくのセーフティーネット保証ですから、しっかりとやっていただきたい、そう思っております。
一つは、金融担当副大臣にお聞きしたいと思っておりますが、こういったことは、平気でというか、今や物すごい量でと言ったらいいかわかりませんが、かなり頻繁に行われている。かつて、十年前の特別保証のときはどんどんどんどん貸していったけれども、今回は、ほとんど同じ規模の、同じような形でのセーフティーネットでありながら実効性を上げていない、そう思われますが、それについて、今回の、そのような、いわゆる旧債振りかえも含めて、金融担当副大臣、どうお考えか、端的に答えていただきたい。
○谷本副大臣 お答えいたします。
政府といたしましては、金融庁といたしましては、委員御指摘のとおり、緊急保証制度というのは、旧債振りかえのためではなくて、本当に今困っていらっしゃる中小企業を救うための制度として行っているものでございますので、万が一委員御指摘のような例があった場合には、それは厳しく監督をし、是正をしていきたいというふうに思っておりますし、その実態把握のために、さまざまな方法で今情報収集をしているところでございます。
○山田委員 質問通告しておったんですが、私が配りました資料一、去年の十月一日から十二月三十一日までに二百十三件、これは金融庁の金融円滑化ホットラインに寄せられていますね。融資を断られたり、いろいろな苦情があります。これが去年の十二月三十一日までです。それ以降、ことしになってから、かなりなお厳しいものがあるんじゃないかと思うんですが、一月から三月までの統計、一体どれぐらい苦情が寄せられていたのか教えていただきたい。数字だけで結構です。概算でもいい。
○谷本副大臣 委員御指摘のとおり、金融円滑化ホットラインは、昨年の第四・四半期は二百十三件となっております。
ことし一月から三月までの第一・四半期については、今受け付け件数を集計中でございまして、まだはっきりした細かな数字はありませんが、傾向として見れば、多少、昨年末よりは少し減少していますが、ほとんど同じような高い水準になっております。
○山田委員 私、金融庁はけしからぬと思うのが一つあるんですが、中小企業庁は、ことしの二月二十四日、金融庁監督局長に対して、緊急保証制度についてのいわゆる旧債振りかえ、こういったことをなさないようにという通知を出しているんですね。同じような通知を金融庁監督局長の方から、いいですか、各銀行、金融機関に出すのかと思ったら、今度は全然トーンが違うんです。どういうふうに書いているかというと、中小企業はもとより中堅・大企業も含め、企業に対する円滑な資金供給の確保に一層努めるよう周知徹底よろしくお願いします。これは、旧債振りかえはいかぬということは一切ないんです。
金融庁は、そういう、金融機関が自分の旧債を返済するために今度のセーフティーネットを利用しようとしていることをそのまま認めているんじゃないのか。
○谷本副大臣 金融庁といたしましても、もちろん旧債振りかえのようなことは断じて許されないという立場でございますし、金融庁からも同趣旨の内容の指導はしておりますし、また、通達も出しておる、二十五日に出しているところでございます。
○山田委員 二十五日に出している通達が、僕が今読み上げたように、旧債振りかえについては一切触れていないじゃないですか。どうですか。
○谷本副大臣 お答えします。
二十五日に通知書を出すときに、この中に書いているとおり、別添のとおりの中小企業庁からの要請があったということで、重複を避けてこちらには書いていませんが、これは二枚組セットで通知として出しているところでございます。
○山田委員 この二枚セットの二枚目のものを私は持っていますが、ここに旧債振りかえというのはないじゃないですか。ありますか。まあいいでしょう、それは。副大臣をいじめるつもりはありませんので。ただ、金融監督当局である金融庁は、その辺をもう少ししっかりしてもらわなきゃいけない。
例えば条件変更について。条件変更について、去年の十一月、金融庁が各銀行に出した通知を私は読ませていただいたが、あれは非常によかったと思うんです。実効性があると思うんです。
ただし、いいですか、副大臣、金融庁も聞いていただきたいんですが、実際に私のところに、条件変更に、お願いに行ったら、前に滞納があったと。それは滞納があるから、何回か滞納があるから条件変更に行くので、そういう滞納があるような場合の条件変更は認められないのか認められるのか。私は認められると聞いておったんだけれども、そこはどうなんですか。
○谷本副大臣 これは、滞納があるから絶対だめだということではございません。ただ、個々の個別の事案についてはそれぞれケース・バイ・ケースがありますので、一概にはお答えできないところでございます。
〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕
○山田委員 今回、滞納があるからとか、一回、二回ぐらいの滞納はどうしたってこういう時期だから出てくるので、そういう場合にも、せっかくいい制度をやったんだから、積極的に条件変更に応じるような指導をもう一回していただけるとありがたい。これは、口頭でもいいけれども。そうすると中小企業は随分助かります。
もう一つ申し上げたいんですが、金融庁、特に今回は保証協会の保証、銀行から通して上げても保証協会がうんと言わない、却下される事例が非常に多い。なぜか。前の場合、いわゆる十年前の特別保証の場合とは違う。これはどうしてそういうことになっているのか。私の持ち時間も少ないので、端的にちょっと答えていただければ。
○高市副大臣 先生がおっしゃった、十年前の平成十年十月からの緊急安定化特別保証ですが、このときは金融機関が相次いで破綻するなどのことで、我が国の金融システムそのものの危機的な状況の中で、財務や経営に問題のない企業であっても借り入れが困難になった、そういう状況に対応して実施されたんです。このため、破産ですとか粉飾決算など、一定の外形的な事由に該当しない場合には原則保証を実施するという形でしたから、かなり幅広であったと理解しています。
一方で、このときには旧債振りかえ、それから、借り手側の不正利用といった問題が随分生じました。これはやはり国民の税金を投入することでもございますので、今回はこうした教訓をまずしっかり踏まえようということで、今回の緊急保証につきましては、国際的に景気が後退しているということで売り上げが減少している、そういった状況に直面する中小・小規模企業を救っていこうという資金繰り対策でございます。ですから、むしろ、赤字だとか債務超過だとかいった外形的な指標だけじゃなくて、一社一社の御相談に丁寧に応じるようにということ。
そして、さっき先生が御指摘になった条件変更、これも柔軟に相談に乗って、その方が非常に有効な場合がございますので、条件変更によって資金繰りがうまくいくという場合もありますので、これにも対応するようにということで、何度にもわたりまして信用保証協会の方にも指導をいたしております。
○山田委員 ということは、前回のときは特別だった。今回のときのやはり無担保無保証の緊急融資、これは規模は同じ。前回のときは二十九兆で、十年たって事故率は八%だった、国が傷んだのはわずか二兆三千億だ。とらえ方もあるかもしれませんが、これは一年に直したら二千三百億ぐらいなものだ、それであれだけみんなが助かった。今回、今の副大臣の話を聞いていると、前と同じような、いわゆる安全、安心なところじゃないとというか、ある程度の企業内容じゃないと貸し出せないということ、そのようにしか思えない、そのような審査をしているとしか思えない。
ところが、十年前、どういう基準でやったかというのをちょっと調べさせていただきました。皆さんに配付した資料によると、いわゆるネガティブリストと言われていますが、こういう場合には保証しちゃいけません、こういう場合には保証しちゃいけませんよと。これを読んでいくと、破産とか和議とか法的手続をとった場合とか、本当に限定的に書いてあるんですが、その中のこういうこと、これは副大臣、しっかり頭に入れていただきたいんですが、金融担当副大臣も入れておいていただきたいと思います。
「業績が極端に悪化し大幅な債務超過の状態に陥っており、事業好転が望めず事業継続が危ぶまれる場合」、いわゆる非常に厳しい場合を除いては、当面、今回は百年に一回の大不況だというんですよ、前回の比じゃないというんです。そうしたら、当然これぐらいのことが必要じゃないですか。金融担当大臣、どう思われますか。
○谷本副大臣 当然、今非常に苦しんでいらっしゃる中小・小規模企業の方々、もちろん、ここにあるようにどうやっても継続できないような場合というのは、それはしようがないかもしれませんけれども、そうじゃなくて、資金繰りさえつけば継続して仕事がしていける、そういうところに対してはできるだけ、金融機関に対して、そういうところにお金を貸して事業を支えていくのが金融機関の本来の仕事でございますので、そういう指導をこれからも引き続き行ってまいりたいと思います。
○山田委員 言葉じゃなく、金融担当副大臣も中小企業担当副大臣も、皆さんそろっておりますが、ここは、みんなが本当に真剣にここのところの不況対策は考えないかぬ。かけ声だけで、百年に一回の大不況だから経済危機対策として五十七兆円事業費かけますと。それならば、今回、前と同じ二兆三千億の損失を出すように思い切った融資をやったとしても、一年間に積み立てなきゃいけない、かかる費用というのは二千三百億ですから、これは。この中で、財政出動だけで、今度の緊急対策、補正を含めて十五兆円とありますから。ほんのわずかな金額でできるはずなんです。
もう一つ私はお聞きしたいんですが、長崎県の場合には、今回のセーフティーネットは県単独で二千万円を限度として無担保無保証でやる。だから、皆さん、今度のように八千万なんというのはだれも思っていないんです。しかも、いいですか、これがことしの三月で打ち切られたんです、県単独。だから、四月以降もこの全国のセーフティーネットがそのまま存続していることすら、皆さん、私も何人かに話してみたんですが、だれも知らないんです。またことしの十一月からできるんですね、それまでは仕方がないんですねとあきらめているわけです。限度額二千万なんです。
各都道府県がそれなりに金利のことも考えながらいろいろな制度を組むのは大変いいことだと思いますよ。しかし、国がやろうとしているセーフティーネットを長崎県民はほとんど知らない、こういうことがあっていいのか、そう思うんですが、その点について、これは中小企業庁担当副大臣にお答えいただけますか。
○高市副大臣 確かに、今地方自治体におきまして、この国の緊急保証制度を活用して、さまざまな制度融資が設けられております。
金融機関と連携して、少額の案件については、金利を引き下げていただいたり、あと、期間を限って保証料の補助を行うなどの対応をしていただいて、非常に地方のそれぞれの実情に応じた支援策として評価できると思っているのですが、今先生がお話しになったように、この地方の独自施策の対象範囲外にある中小企業は緊急保証が適用されないんじゃないかというふうな形で誤解を受けているとしたら、これは適切ではないと思います。
私自身も、非常に広報の重要性、できるだけ中小企業一社一社に届く広報の重要性ということを役所の中でも言い続けてまいりました。今はとにかく、中小企業団体を通じて数百万枚に上るビラを配布いたしました。あと、新聞広告やテレビなどの政府広報も先生御存じだと思いますので、ここは一層の充実をしていきたいと思います。
それから、先に先生がおっしゃっていました、前回に比べて今の方が非常に危機的な状況なのに何だという話ですが、前回の場合も、事業継続が危ぶまれる場合というのはネガティブリストに入っております。
今回も、いろいろな方法があると思うんです、緊急保証をしてさしあげるという方法もあるし、今回の制度を活用して条件を変更するための指導をその場で行ったり、事業計画の御相談に乗るということ、さまざまあると思うんですが、ただ、どう応援をしても事業継続そのものが難しい場合に、それでも保証つきの融資をしていただくかというと、これはやはり国民の血税を投入することですから、今回は業種を七百六十業種ということで拡大いたしましたし、企業数も八一%をカバーしていますので、なるたけまた御意見をいただきながら充実をしてまいります。
○山田委員 時間になったんですが、きょうは農水副大臣にわざわざ来ていただいておりまして、最後に一つ、一問だけさせていただきたいと思います。
これはもう副大臣御承知のように、農業者、漁業者は今非常に深刻です。その中で、今回中小企業はそういう無担保無保証の緊急融資があるけれども、農業、漁業者には全くない。全くないというが、えさ代が上がったので畜産については特別の融資がありました。しかし、今現在、漁業、農業、あれだけガソリンが上がって、みんな出漁できなくても、そういう緊急融資、いわゆる無担保無保証の融資がない。
私は、自分で農業をやっていたので、いわゆる農業基金協会に何度も行って保証を頼んだことがあるわけです。そのときに、保証協会は担保を要求する。ところが、漁業者も農業者も担保がないんですよ。そんな中で、どうしているかというと、みんな本当に事故率も多いんです。例えば、先ほど中小企業八%と言いましたが、畜産の場合は事故率二〇%を超えているんです、貸しても。
そんな中で、農業基金協会、漁業基金協会が別々にあって、それぞれが、七割は保険からおりるけれども、焦げついた場合、三割は自己負担なんです、三割は。ところが、今度のセーフティーネットは、九六%ですが、四%前払いで保証金行っておりますから、一〇〇%国の保証だと言っていいわけです。今回、農業、漁業に対してもぜひ、中小企業と同じような、いわゆる信用保証協会、漁業、農業の基金協会が傷まないように、思い切って、自己負担三割だから保証できないんですから。担保とらずに、無担保で無保証でやれるような制度は、農業、漁業者にこそ今必要なんです。
大臣、ぜひそれをお願いしたいと思って、近くそういうことも考えていると、担当の若い人たちからいろいろ相談も私もさせていただいていますが、ぜひお答えいただきたいと思います。
○渡辺委員長 質問時間が来ておりますので、簡潔に願います。
石田農林水産副大臣。
○石田(祝)副大臣 それでは、簡潔にお答え申し上げたいと思います。
中小企業の緊急保証制度は大変充実をいたしておりますことは、今質問等通しても私も再度認識をいたしまして、融資の形態というんでしょうか、中小企業と農林漁業者、若干制度は違うことはもうそのとおりなんでありますけれども、今回の経済危機対策においては、農業、漁業ともにしっかりと取り組みをしたいと思っております。
○渡辺委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、きょうは原発問題について伺っておきたいと思うんですが、最初に、原子力安全・保安院の方に伺います。日立製作所グループの原発配管の溶接部分における焼鈍記録の改ざんというのが何件あったのか、件数をまず最初に伺います。
○加藤政府参考人 原子力安全・保安院でございます。
先般四月十三日でございますが、中部電力浜岡原子力発電所五号機、これは現在定検で停止中でございます……(吉井委員「件数だけでいいです」と呼ぶ)それから中国の島根三号機の二件について改ざんがあった、それぞれで一件ずつ、合計二件についてあったという報告がございました。現在、他の発電所などについても確認をしているところでございます。
○吉井委員 実は、保安院からいただいている一覧では、ほかに「もんじゅ」ナトリウム関係の溶接部の焼鈍記録の改ざん、それから原研のHTTRのものとか、とりあえず四件がまず明らかにされております。これは残留応力を取り除いておくということが大事、だからこそ焼鈍作業をやるわけで、こういうのがあいまいになっていると、大規模地震なんかのときに、焼きなましがうまくされていないところなどはやはり弱い箇所といいますか問題箇所になるので、こういう改ざんについてはきちんとさせなきゃならぬというふうに思うわけです。
伺っておきたいのは、次に、高速増殖炉「もんじゅ」の九五年のあのナトリウム漏えい火災事故と情報改ざんがありました。それから、九七年には「もんじゅ」のナトリウム関係の配管溶接部のデータ改ざんが行われていたことは、いただいた一覧表の中にも載っております。その後も「もんじゅ」でトラブルがたくさんあるんですが、本日、経済産業省の方へ日本原子力研究開発機構が自己批判の報告書を出してくるというふうに言われていますね。
そこで、この自己批判の報告書を書かせるに当たって、原子力安全・保安院は一体どういうふうな指導をしてこられたのかを伺っておきます。
○平岡政府参考人 「もんじゅ」の御質問でございますが、本日、もんじゅ安全性確認検討会というのを開催しております。そこで原子力機構の方から、「もんじゅ」の組織、運営を含めました改善について報告があることになっております。
これは、昨年、「もんじゅ」のナトリウム警報の誤警報がございまして、そのときの対応が不適切であったということがございました。その後、保安院といたしましては、特別な保安検査というものを行ってまいりまして、そして、管理体制、組織体制その他、指摘をしてまいりました。それに対する改善を、根本原因分析も行いまして、そして機構の方からそういった報告がなされるという状況になっております。
○吉井委員 ナトリウム関係でも配管のデータ改ざんはあるわ、今おっしゃったようなトラブル等次々と起こっているわけですけれども、そこで、原子力安全委員長に伺っておきたいんですけれども、柏崎刈羽原発での想定していたものについての耐震設計の審査が、実は想定されていたもの自体が非常に小さなものであったために、その結果として大規模な事故が起こるという問題があったということなど、いわゆる想定外、想定外と言って、本来想定しなきゃいけないものが見逃されていたことを、前回のこの委員会で委員長に来ていただいて伺いました。
四月に入ってから、保安院の方からは、浜岡五号、島根三号、福島第二の四号、原電敦賀の一号、美浜三号、東電福島第一原発の一号ほか十基、さらに福島第一原発の一号機ほか十七基の合計三十四基の原発でのデータ改ざんの一覧というのを発表しています。きょうは相次ぐ「もんじゅ」トラブルについての自己批判報告書も出されるという日ですが、これは、TMIやチェルノブイリのようになる前に、事故が拡大しない間におさまって、そのこと自体は大きくならなくてよかったと思うんですが、しかし、そういう実態にあることについて、原子力安全委員会は安全対策の面で機能しているのかということが今問われているときだと思うんです。
委員長に伺っておきたいのは、やはり、原子力安全について、ちょっと喝を入れなきゃいけないときじゃないかと思うんですが、委員長に伺っておきます。
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、いろいろなトラブル等がございますので、そういうことにつきましては、原子炉等規制法の定める災害の防止上支障がないことという観点から、原子力の安全については万全を期さなきゃいけないと安全委員会も思っております。
それで、最近いろいろ、今委員がおっしゃったようなことについては、安全委員会といたしましても、規制行政庁から報告を受け、特に「もんじゅ」につきましてはこれからが大事だと思っておりますので、これまでも折に触れて安全委員会としての見解を示してきているところでございますが、今後もそのことについて真剣に考えてまいりたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
○吉井委員 私は、原子力安全委員会とそこを支える事務局にも本当に喝を入れなきゃいけない、そういう状況に来ているというふうに思うんです。
次に、六ケ所再処理工場について伺いますが、なぜ、ガラス固化するキャスクに流し込む前の装置で、いわゆるふん詰まり現象が起こったのかを簡潔に伺っておきたいと思います。
○平岡政府参考人 六ケ所再処理施設のガラス固化の状況でございますが、今試運転の最終段階にあるわけです。平成十九年十一月以降、ガラス固化の試運転が行われておりますが、安定的な連続運転ということがまだ確認できておらず、原燃におきましてそれに今取り組んでいるという状況でございます。
今の白金族の問題につきましては、これによりまして流下性の低下等が発生いたしまして、運転条件の確立ということを、今、日本原燃の方で取り組んでいる、この状況を我々といたしましてもしっかり確認をしておるところでございます。
○吉井委員 全体は、コジェマの技術で、今名前は変わっていますけれども、つくって、問題の箇所は、旧動燃東海工場で独自に開発したものをやっているわけですね。東海工場のときと今回の六ケ所の箇所では、高レベル放射性廃棄物の一日処理量とか、それから保持するガラス量が幾らになるのかとか、それから装置そのものの高さとかテーパー部の勾配とか上部の直径とふん詰まり部分の直径などディメンションがどうなっているのか、これも伺っておきたいと思います。
○平岡政府参考人 日本原燃のガラス固化施設と、それから原子力機構のガラス溶融炉の比較でございますが、ガラスの保持量という点につきましては、日本原燃が四千八百キログラム、東海の施設が八百八十キログラムでございます。
また、処理能力につきましては、一日当たりで見ますと、日本原燃が一・六八立方メートルでございます。東海が〇・三五立方メートル・パー・デーとなっております。
ケーシングの寸法につきましては、日本原燃の施設が約三メートル、三メートル、二・八メートルといった寸法でございまして、原子力機構、東海の施設は一・九メートル、一・九メートル、二・三メートルという径でございます。
なお、ノズルの径につきましては、事業者におきまして非公表、商業秘密ということで公表されておりませんので、お答えを差し控えさせていただきます。
○吉井委員 ノズルの径がどうなっているのかということがわからないことには、詰まりやすいものであったのかどうかとか、まず、それ自体がわかりません。
それで、装置の規模を、最初東海でやっていた場合の一日処理量〇・三五トンから一・六八トンへと、五倍ぐらいにふやしているわけですね。そうすると、本来だったら少しずつスケールアップしていって、電流とか電圧とか高周波の投入電力量などを変えながらデータをとって進めていったんだろうと思うんですが、これはどういうふうにやってきたのか、このスケールアップについてのテストはどこでやったのかを伺います。
○平岡政府参考人 どのような技術を使うかということにつきましては、日本原燃がさまざまな状況を勘案して選択をしたというものでございます。
基本的には、このガラス固化の施設につきましては、東海の施設での設計の経験を踏まえまして、日本原燃で、スケールアップをした場合の設計を行い、また事業者としての必要な検討もした上で決定されたものと承知しております。
○吉井委員 そのスケールアップするときのデータというのは、ちゃんと報告は受けているんですね。データを持っているわけですね。
○平岡政府参考人 日本原燃と原子力機構の間で、そのデータについては十分検討されたものと理解しております。
○吉井委員 スケールアップしてデータが十分交わされているだろうというお話ですけれども、保安院の場合は、装置の安全に対して責任を持つわけですね。ブラックボックスの状態で操作されて何もわかりませんでしたというのでは、保安院として責任を持てないと思うんです。ですから、今みたいに、多分、文部科学省の管轄のところですか、そこがデータを交換しているだろうぐらいな話では、これは、とてもじゃないが、責任ある対応とは言えないと思うんです。
原子力安全委員長に伺っておきたいんですけれども、技術的に六ケ所はうまくいくと考えて原子力安全委員会でゴーサインを出されただろうと思うんですが、現実には今行き詰まってしまっているわけですね。ふん詰まり状態なんです。ゴーサインを出した根拠がどこにあったのかを伺います。
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
原子力安全委員会においては、繰り返しますが、原子炉等規制法に基づく、災害の防止上支障がないという観点において審査を行いまして、その結果、事業者の申請内容は妥当である、こういう結論に至りました。
今委員がお尋ねの件は、まさに今後具体的な操業に入るに当たって実際のアクティブのホット試験をしている最中に、今そういう状況にあると理解しておりまして、これは今後の実際の操業を安定的かつ安全に行っていく上での重要な段階にある、こう思っております。したがって、ここの段階において、十分に事業者は、将来の安全、安定な操業に向けた運転条件等の設定をやってほしい、このように思っております。
○吉井委員 私は、原子力安全委員会としては、やはり技術的に確立しているかどうか、保安院自体が、原燃と機構との間で多分数字をやりとりしているであろうというぐらいのところで、つかんでいないのですから、本当に技術的に確立している、そのことを確認した上でのお墨つきを与えたとは、これは言いがたいんじゃないかというふうに思います。
エネ庁に伺っておきますが、四月二十日に、アメリカのDOEは、原発の使用済み核燃料の商業目的の再処理や高速増殖炉の建設を行わない決定を下したと思うんですが、この点について簡潔に伺っておきます。
○西山政府参考人 オバマ政権でアメリカのエネルギー省の長官となりましたチューさんは、本年一月の議会での公聴会におきまして、他国は再処理しているものの、より拡散抵抗性が高いものにするという課題があり、経済的実現性の観点もあるため、再処理は現時点では研究課題であると発言しております。現在の技術を使って再処理施設を建設することには慎重な立場を表明しております。
他方で、同じ長官が同じ場におきまして、先進的な再処理技術の研究開発の重要性を強調するとともに、研究開発における国際協力を進める考えも表明しております。また、再処理の実施についても、長期的には選択肢の一つであると述べております。
以上でございます。
○吉井委員 そこで、原子力委員長に伺っておきたいんですが、GNEP、これはもともと、MOX燃料を供給することなどを含めて、フィッションプロダクトを含むプルトニウム燃料ですと、それを供給するかわりに、原発後進国は核燃料の製造とか再処理施設の建設はやってはいけませんよ、この仕組みなんですね、全体としての。そのかわり、原発先進国の側で再処理とか高速増殖炉などはやっていきましょう。つまり、後進国に核燃料製造や再処理建設を認めないことで、核兵器開発の不拡散を実現する、これがGNEPの大きな枠組みですね。
しかし、この点で見てみますと、この間経産委員会でもやったんですけれども、アメリカは、ダブルスタンダードで、NPT体制に入らないインドに原発を輸出する。
世界各国に軽水炉を輸出していくことになりますと、そこにフィッションプロダクトを含まない普通の核燃料を売り込む、あるいは、そうすると逆に再処理施設を禁じ得ないことになってしまうと、原発と核兵器開発とが一体になって拡散していく、GNEPの枠組みとか考え方そのものが崩れていくという問題がありますね。
この点について、原子力委員長としてどういうお考えかを伺っておきたいと思います。
○近藤参考人 お答えいたします。
ブッシュ政権時代に開始されましたGNEP、国際原子力エネルギーパートナーシップには、国内の取り組みと、国際の取り組みの二つがあります。
国内の取り組みは、議会によって政府の責任とされています、原子力発電に伴って発生する使用済み燃料の管理について、ヤッカマウンテンに直接処分することを計画しているところ、この計画自体が難航している状況において、あるいはさらにこれがもし進むとしても、間もなく法定の貯蔵能力を超えてしまうということで、第二の処分場が必要になるところ、その抜本策として、使用済み燃料の再処理を行うことのフィージビリティーを探る観点から、短期的な取り組みとしては、まず、現在利用可能な技術を世界じゅうから探して、再処理や高速炉の実証施設を建設していく。それからもう一つ、長期的な観点から、よりすぐれた核燃料サイクル技術の研究開発を推進しようという内容になっております。
それから、お話のありました国際コンポーネントにつきましては、お話のような意図、つまり、人類が地球温暖化対策やエネルギーセキュリティーの確保の手段として原子力発電を、核拡散のおそれなく利用していくために国際的に協力していこう、そういう枠組みで現在二十二カ国が参加している、こういうものになっております。
国内のコンポーネントにつきましては、私、新政権発足間もなく、二月にワシントンでチュー長官とお会いいたしまして、このことについても議論したわけですが、長官は、この取り組みのうちの短期のプログラムは、議会で予算も削減されているところがあるので見直すことになるであろう、しかし、長期のコンポーネント、研究開発、先進的な技術の研究開発については継続することが重要ということでございまして、私からも、我が国としても現在の再処理の技術の先を見て、今、長期的観点から高速増殖炉と核燃料サイクルの技術の研究開発を推進しているので、日米がこの分野で協力することは有益ではないかと申し上げ、意見が一致したところでございます。
それから、後半の、国際のものにつきましては、現在その取り扱いについて、米国政府内部で取り扱いを協議中と伺っておりますけれども、今月の七日、八日に東京で、第四回のGNEPのステアリンググループの会合を開催いたしまして、そこには、二十二カ国・二機関から六十九名という方が参加して、従来と同様、大変高い関心、おっしゃるようなことも含めて今後の国際社会における原子力のあり方について率直な意見交換をする場としてこれをもっと引き続き運用していきたいということが、関係者から御発言をいただいているところでございます。
したがって、我が国としては、そういう意味で、このような国際的な取り組みに米国が積極的に今後とも参加していただけることを期待したいとしたところでございます。
○吉井委員 きょうの議論、短時間ですからあれですが、再処理工場の行き詰まりの問題、GNEPの枠組み自体が直面している問題などを見たときに、最後に、佐藤大臣、やはりプルトニウム循環型の原発推進路線からの転換と、思い切って再生可能エネルギーへの転換を図るということをやるべきだと思いますので、そのことだけ伺って、質問を終わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 今先生からお話を伺っておりまして、直接私の担当というわけにはまいりませんけれども、よく検討させていただいて、今後の糧とさせていただきたいというふうに思っております。
○吉井委員 質問を終わります。
○渡辺委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
前回の道交法審議に関連しまして厚労省に尋ねるんですが、前回の質疑の際に、山口県の県立山口養護学校での取り組みを紹介しました。この取り組みについて、佐藤大臣からは、二〇〇一年の道交法改正の趣旨に合致するもので適正なものだという答弁がありましたし、また、文科省からも、知的障害者の職業能力開発による就労自立支援の取り組みとして有意義との答弁がありました。
自立支援、就労支援という点に関しては、厚労省にも関係があることだと思いますので、この取り組みについての厚労省の見解をまずただしておきます。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
御指摘の知的障害者運転免許取得特別講座でございますけれども、この事業につきましては、山口県の労働者福祉協議会が自主的に取り組んでおる事業であるというふうに承知をしております。
各地域において、特別支援学校と関係機関あるいは団体等の連携のもとに、こうした障害者の方々の自立に向けた自主的な取り組みが行われるということは有意義なことであるというふうに考えておるところでございます。
○重野委員 山口の取り組みは、今お話にありましたように、現在のところ、労働者福祉協議会と自動車教習所の理解と努力によって行われている。こうした取り組みには本当に頭が下がる思いでありますが、前回の質疑の際には、文科省から、特色ある取り組みが進むことを期待し、普及していくという答弁がございました。もちろん、この制度の前進のために、関係機関の理解、連携が必要なことは言うまでもありません。
しかし、どうしても資金の問題が出てまいります。自動車教習所も一民間企業であります。しかも、少子高齢化や若者の車離れの中で、経営が苦しいところも少なくないと承知いたしております。こうした中で、有意義な取り組みであっても、財政の面から普及が進まないのではないかという懸念を抱かざるを得ません。前回の答弁では、警察庁が財政的な支援を行うのは困難という答弁でありました。
そこで、文科省と厚労省に尋ねますが、この種の民間の取り組みに対する具体的な財政の支援について、検討すべき事項ではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
この事業につきましては、自動車免許の取得に向けた、本格的な教習の前の段階におきます準備的な事業だというふうに位置づけられるかと思います。
もちろん、運転免許を取得するということが職業に大きな役割を果たすということは十分承知をしておりますけれども、直接職務遂行に求められる職業能力を付与するということを目的とするものではないということから、公共職業訓練と申しますか、公的な職業訓練というような位置づけで考えるということはなかなか難しいのじゃないかというふうに考えておりまして、職業能力開発事業としての財政的な支援というのは困難ではないかというふうに考えております。
いずれにしましても、障害者の職業的自立に向けた職業訓練を初め取り組みに関しましては、今後とも関係機関と十分連携をとりながら進めてまいりたいと思っております。
○徳久政府参考人 先日もお答え申し上げましたけれども、文部科学省といたしましても、各地域におきまして、特別支援学校と関係機関、団体の連携協力のもと、おのおのの生徒の実態、ニーズに即しまして、必要な技能習得の支援に係る特色ある取り組みが進むことを期待しているところでございます。
御指摘のように文部科学省が直接的な財政的な支援を行うということは困難でございますけれども、文部科学省といたしましても、厚生労働省、他の関係省庁とも連携をとりつつ、こうした技能の習得の支援への取り組みの先進的事例につきまして、機会をとらえまして、その内容、成果を他の地域、学校に紹介すること等によりまして、その普及を図るなどの支援を行ってまいりたいと考えております。
○重野委員 非常に消極的な答弁だなという感じですね。
障害者の自立を促進する、これは、省庁のいかんを問わず国にとっても大きなテーマなんですね。今、そういうテーマに対する、地方の、しかも民間の企業の方が積極的なそういう取り組みをしているという、僕は、これは官の側から見たら恥ずかしいことだと。そういう事態があることすら、前回の質問の中で聞いてみますと、実は余り承知していないんですね。
だから、そういうせっかく先駆的な取り組みがあるということを官の側も受けとめて、国も受けとめて、これは普遍化していく、そういうやはり積極的な姿勢が私は求められると思いますよ。その点については、ぜひ今後の議論のテーマに据えていただいて、積極的な取り組みを要請しておきたいと思います。
次に、これも前回、何回か質問してきた経過があるんですが、刑務施設へのPFI方式の導入、そしてその全国展開についてお聞きいたします。
前回の質問で、私は、四つの施設で実際に信書などの保管及び複製が民間業者によって行われているのかという質問をいたしましたところ、美祢を除く三つの施設で業務をPFI事業者に委託しているが、実際に民間の事業者がやっているんではなくて、実際には国の職員がこれを実施している、こういう答弁がございました。
なぜ、委託しているのにもかかわらず、三つの施設では国の職員がこれをやっている、こういうことになるんでしょうか。
○尾崎政府参考人 委員のお尋ねは、禁止等の処分をいたしました信書等の保管あるいは複製、こういった業務についてのお尋ねというふうに理解いたしますけれども、御指摘のとおり、美祢を除く三つのPFI施設では、これも含めて委託業務としております。しかしながら、委員御指摘のとおり、実際、現状におきましてはなされておりません。
と申しますのは、信書等の検査の補助業務につきましては、民間事業者にとっては初めて実施する事務ということになります。そういった点から、実務経験を積み重ねながら習熟を図っていくという必要がございます。このため、運営開始から間もないということもありまして、まずは、信書等の内容等の確認の補助事務、これについて集中して業務を実施していただく、そういう実情にございました。
また、三施設ともに運営開始後間がなく、収容人員も次第にふえていく、そういった状況にございます。少しずつ収容人員をふやしながら運営を本格化させていく、こういった実情にあったわけでございます。そういう中で、保管、複製が必要となるケース、そういった例が当初少なかったこともございました。
こういった事情から、刑事施設の職員が、信書の発受を禁止し、あるいは差しとめる、こういった判断を行う際に、あわせて複製、保管といった事務を処理していた、こういった実情がございます。
今後につきましては、三つのPFI刑務所におきましても収容人員が増加してまいりますし、また、保管、複製が必要となる場合が増加することが見込まれるわけでございます。また、民間事業者におきましても業務に習熟していくことが考えられます。こういった点を勘案いたしまして、今後につきましては、契約内容どおり、民間事業者において実施していくよう指導してまいりたいと考えております。
○重野委員 美祢を除く三つの施設の業務要求水準書というのがございますが、それを見ますと、「信書検査支援」の項目があるんですね。この信書検査支援という項目、これをどう読むと保管及び複製も含まれると読めるのか、どう考えても私はわからないのでありますが、どう読むとこれが含まれると読めるのか。その点について、私は、要求水準の中にそれに該当するようなものはないんではないかというふうに思うんですが、どうですか。
○尾崎政府参考人 御指摘の運営業務要求水準書の「信書検査支援」の項目の「ア 業務内容」として記載されておりますのは、「受刑者が発受する信書の制限等の要否を検討するために行う検査を補助する。」という記載がございます。その業務の一環というふうに理解しております。その次にあります「イ 要求水準」の項目でございますが、ここにおきましても、当該業務に係る「訓令等に従って実施」すべき旨が記載されております。
ところで、発受を禁止した信書等の取り扱いとして、禁止等を行った信書の保管や抹消する箇所の複製の作成等を行うことにつきましては、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律や、それに関係する大臣訓令などに記載されております。これらの法や内規に従って委託業務を遂行することは、刑事施設等の職員、民間事業者、双方にも十分周知されているところでございます。
○重野委員 ここに、「信書検査支援」「業務内容」あるいは「要求水準」、ずっと書いているんですが、非常に事細かに具体的に書いているんですが、なぜ、こういう今問題になっているテーマについて、具体的にここに書かれていないんですか。書かれていないことがやられているという点について私は聞いているんですね。こういうふうに理解できますというんじゃなくて、非常にこの要求水準というのは具体的に書いていますよ。なぜこれがこの中に出てこないんですか。
○尾崎政府参考人 若干、要求水準書の書き方の問題が、委員御指摘のとおりあろうかと思うんですけれども、訓令の中には、そういった保管、複製も含めて細かく書いておりまして、それに従って行うということが記載されておりますので、それも含むという理解でございます。
これは何も我々だけがそういう理解をしているというわけではございませんで、民間事業者もそういう理解の上に立って、マニュアル等にもそういう記載をしているところでございます。
○重野委員 私は、皆さんその衝に当たっている専門の方は、それで御納得、理解できると思うんですが、我々第三者から見れば、であるならば、それを具体的に書いたらいいじゃないか。至極当然のことを言っているので、それはやはり、私は、足らざる部分は正していく、補っていく、こういう姿勢で、この問題についてももっともっと、今私が言っている点について受けとめていただいて、やはりそういうようなことにすべきである、このように特に要請しておきたいと思います。
以上、時間が来ましたので終わります。
○渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時二分開議
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
第百六十九回国会、内閣提出、株式会社地域力再生機構法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案につきましては、第百六十九回国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
株式会社地域力再生機構法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○渡辺委員長 この際、本案に対し、平井たくや君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。加藤勝信君。
―――――――――――――
株式会社地域力再生機構法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○加藤(勝)委員 ただいま議題となりました株式会社地域力再生機構法案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派の提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び概要について御説明申し上げます。
本修正案は、さきの通常国会における議論を踏まえ、また、地域力再生機構法案が提出された後の経済情勢の急激な変動に対応するため、一刻も早い地域における経済対策が必要な状況にかんがみ、有用な経営資源を有するが過大な債務を負っている事業者の再生を支援するものと改めることとし、先般来、与野党において協議を行い、取りまとめたものであります。
その主な内容は、第一に、機構の名称を株式会社企業再生支援機構に改めるとともに、この法律の題名を株式会社企業再生支援機構法に改めることとしております。
第二に、機構による再生支援の対象となる事業者の要件を「有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている」に改めるとともに、中堅事業者及び中小企業者を例示することとしております。
第三に、機構による再生支援の対象となる事業者から、いわゆる第三セクター、すなわち「国又は地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの四分の一以上を出資している法人」等を除外することとしております。
第四に、再生支援及び債権買い取り等の決定に当たって機構が従うべき基準の策定に係る規定等における主務大臣として、厚生労働大臣を追加することとしております。
第五に、中小企業者向けの再生支援について、産業活力再生特別措置法との関係の規定を追加することとしております。
第六に、この法律の施行期日を公布の日から起算して四月を超えない範囲内において政令で定める日に改めることとしております。
以上が、本案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官山崎史郎君、総務省大臣官房審議官細田隆君、中小企業庁次長高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。
○赤澤委員 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
与謝野大臣、三大臣を兼務されているということで、本当にありがとうございます。お疲れさまでございます。これからも大きなお力をこの国のために与えていただきたいという思いでありますけれども、ということでありますので、与謝野大臣のお顔を拝見すると、どうしても日本の経済全体について一言質問をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
少々釈迦に説法になりますけれども、平成二十年度第四・四半期について言えば、GDPギャップはマイナス四・一%、二十兆円を超える。さらには、本年度の第一・四半期についても、そう大きな回復は見込めない、ギャップはさらに拡大しているのではないかというようなことも言われております。
また、これもよく指摘されますけれども、先月末のOECDのアウトルック中間報告ということで、OECD諸国の実質GDP成長率、二十一年の見通しについて言えば、OECD平均マイナス四・三%にもかかわらず、我が日本はマイナス六・六%ということが言われているわけであります。
私は、この点は、日本は世界に冠たるものづくり国家でありますから、日本の優秀な製品を買ってくださる世界じゅうの皆様の懐ぐあいが一斉に悪くなれば、これは我が国で一番大きく在庫調整が起きる、あるいは設備増強投資は消えてなくなる、このあたりは即成長にきいてまいりますから、我が国が一番成長率が落ち込むというのは、ある程度やむを得ない面はあるだろうというふうには受けとめております。
しかしながら、やむを得ないからといって手をこまねいているわけにはいかない。我が国の技術優位、産業優位といったものを、この世界的な大調整の中で、しっかりと財政出動も兼ねて支えていくといったことが急務といったことだろうと思います。
そういった状況でございますから、経済の底割れ防止に加えて、未来に向けた成長力強化のための中長期戦略プログラムといったものはつくっていかなければならないというふうに思います。
そして一方で、地方に目を転じますと、自動車産業の落ち込みが激しいので東海地方などに注目が集まっておりますけれども、やはりリーマン・ショックの前から苦しかった地方、特に私の地元の鳥取県あるいは中国地方、そして地方全般ということでありますけれども、本当に苦しい状況に今ございます。地方に元気をもたらすような、そういう観点も大いに必要になってくる。
そこで、四月の十日に、経済危機対策を政府・与党会議、合同会議で取りまとめられたわけでありますけれども、その対策については、私個人はもちろん、大変大きな経済の底割れ防止の効果あるいは未来に向けた成長力強化の効果があると確信をいたしますが、改めて与謝野大臣から、緊急対策の効果や戦略プログラムの効果、特に成長率の押し上げ効果とか目標とか、あるいは雇用創出効果にも触れていただいて結構でありますし、さらには地方への配慮など、その辺を含めて、今般の経済危機対策、与謝野大臣にお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○与謝野国務大臣 先生からの御質問は三つに分けてお答えをいたしたいと思います。
まず、需給ギャップ等の御質問でございます。
今般つくりました経済危機対策、これは予算という形で近々国会の御承認をいただくことになるわけでございますが、まず第一は、先生御指摘のように、景気の底割れを防ぐ、それからもう一つは、やはり未来への投資により日本経済の成長力を高める観点、その二つの観点からあらゆる政策手段を総動員したものとなっていると思います。
これまでの総額約七十五兆円の経済対策によりまして、平成二十一年度の実質GDP成長率を一%程度押し上げ、さらにこの対策により二%程度押し上げることが期待をされます。実際は、政府経済見通しは一週間以内に新たなものとしてお出しすることができます。
こういう政策をやってまいりましたので、一体他の国と比べてどうかということでございますけれども、我が国の二十一年度の成長率を主要先進国と比べますと、主要先進国もそれぞれマイナスでございますけれども、少なくともマイナス幅を縮めることができて、主要先進国並み、すなわち欧米の水準並みのマイナス幅にとどめるようになると思っております。
なお、需給ギャップすべてを財政支出で埋め合わせることについては、一つは、過度に公需依存となり、必要な構造転換が阻害され、民間経済の自律的回復、成長をむしろおくらせるということも考えなければなりませんし、また財政の観点からは、大幅な赤字財政を何年も続けることは不可能であるという点、それから、今回の日本の景気後退は理由がはっきりしておりまして、これは外需の大きな減少ということが原因となっている、そういう中での経済対策であったわけでございます。
それから、地域経済にどういう配慮をしているかという点でございますけれども、経済危機対策において、まず、経済の底割れ防止を最優先し、雇用対策の拡充強化や企業の資金繰り対策において万全の措置を講じておるわけでございますけれども、やはりこれらの措置は、経済状況の厳しい地域における経済の下支えに資するものと考えております。
さらに、本対策における地方負担の軽減を図ること等を目的とした地域活性化・公共投資臨時交付金、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかな事業を積極的に実施できることを目的とした地域活性化・経済危機対策臨時交付金、この二つを盛り込んでおりまして、前者が一兆四千億程度、後者が一兆円程度ということで、地方に対しましては、我々、できる限りの措置を講じたつもりでございます。
○赤澤委員 ありがとうございました。
私は、今回の経済危機対策、本当に評価をしております。経済界あるいは民間からもいろいろな御要望があったと思いますけれども、今後ともしっかりと内容を詰めていただき、広報もしっかりとやっていただくことで、国民の皆様から、この対策ならば安心できる、未来に確信が持てる、ともにこの困難を克服できるという声が上がるように、しっかりと引き続きお力をかしていただきたいというふうに思うものでございます。
今、経済危機対策の中でも大変重要な課題ということで力を入れて取り組んでいただいている地域経済の下支えですが、本日質疑をしますこの法案そして修正案は、まさにこの部分にさらに手を当てるということになってまいります。
昨年から経済の状況、特に地域経済は急速な悪化をしておりまして、倒産件数あるいは失業率といったものは激増をしております。実力がありながら苦慮している、苦境にあえぐといった地域の企業がふえている中で、事業再生の支援は一刻の猶予もないという状態でございます。本日、三党の合意のもと修正案が提出されたことを、私は高く評価をしたいと思います。
そこで、修正案についてお伺いをいたしますけれども、従来からの修正点、そして修正の理由いかん、特に第三セクターを支援対象から外した理由について、簡潔に御説明を賜りたいと思います。
○加藤(勝)委員 本案修正点でありますけれども、一つは、今御指摘のありましたように、第三セクターを支援対象から除外していること、そしてもう一つは、あわせて組織の名称を企業再生支援機構としております。さらに、中小企業ということを意識しまして、中小企業を支援対象の例示として明文化をさせていただいたところであります。
修正協議におきましては、今お話にありましたように、大変厳しい経済情勢、特に、中堅企業も含めて倒産が発生している、そういう意味での認識を一にいたしまして、そうした中で、民主党・新緑風会、国民新党、日本が合同で参議院に株式会社中小企業再生支援機構法案、これを提出されたわけであります。
それに加えまして、第三セクターの関係で申し上げますと、地方財政法の改正によりまして、第三セクターの整理、再生のために特に必要となる一定の経費を地方債の対象とする、こういうような措置も別途ここで整備をされた、こうした状況を踏まえまして、今申し上げましたような第三セクターを除外する、あるいは中小企業をより一層意識した形での修正を行った、こういう経緯でございます。
○赤澤委員 ありがとうございます。ちょっと時間が押しているのを勘案して、次の質問も前向きに、先にお答えをいただいたような感じでありまして、ありがとうございました。
多くが非常に厳しい経営状況にある三セク、これも経営がおかしくなれば、地域経済あるいは地方公共団体の財務状況に大変大きな影響を与えるということでありますから、こちらも、先ほど申し上げた地方債などの制度が新たに工夫をされたということで、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
それでは、次にお尋ねをしたいのは、この厳しい経済状況の中で出資が十分に集まるのかということであります。
これは、国が預金保険機構を経由して出資を行うとか、あるいは金融機関からといったようなお話を伺っておりますけれども、出資の主体、それから、そこに出資を求める理由、あるいは、地方公共団体は前回の法案で想定されていたように出資するのかなど、簡単に御説明を賜りたいと思います。
○宮澤副大臣 政府がもともと提案をしておりましたところによりますと、政府、国が百億、また地方公共団体に百億、そして民間金融機関に百億、三百億という想定でございました。
今回、議員修正ということで、第三セクターが対象でなくなるということになりますと、これは地方公共団体にお願いするわけに恐らくいかないんだろうと思います。したがって、政府が百億、民間が百億という形を想定しておりますけれども、一方で、この金融状況の中で民間が出せるか出せないかということは、今後の交渉次第になってくるかと思います。
国としては、当然こういうことは進めていかなければいけない政策でありますし、一方で民間機関も、まさに彼らの債権がある程度保全されるという意味で、大変大事なものだろうと思っておりまして、できる限り民間にも協力をお願いしたい、こう考えております。
○赤澤委員 それでは、その観点で一つ、与謝野大臣にまた改めてお伺いをしたいと思うんですが、二十一年度の予算で、政府保証枠一兆六千億、それから、今宮澤副大臣が御説明になった政府出資百億という手当てをされているわけでありますが、地方公共団体が百億の出資ということは、今回、三セクを対象にしないので望めなくなった。あるいは、厳しい経済状況の中、金融機関から本当に百億集まるか。いろいろな意味で、今後、予算についても機動的に対応していかなきゃいけないと思います。
経済情勢がさらに悪化をして、事業規模、これをさらに拡充しなきゃいけないような必要が生じたときには、ぜひ機動的に、政府からの追加出資あるいは政府保証枠の拡充などに取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○与謝野国務大臣 機構の資本金は、機構が立ち上がる段階から円滑に業務を運営していくために必要なものであり、二百億円の資本金であっても債務超過に陥るものとは考えておりませんけれども、現下の地域経済情勢にかんがみ、今後の機構の運営状況によっては、追加出資等についても機動的に検討してまいりたいと考えております。
○赤澤委員 大変力強い御答弁をいただいて、ありがとうございます。
引き続き、経済状況をしっかりと見きわめて、経済は生き物でありますので、タイミングを失さない対応をぜひよろしくお願いしたいと思います。
それからもう一つ、ぜひこの場で御指摘をしたいのは、産業再生機構が非常に成功をおさめた、その教訓といいますか、よかった点は、ぜひ引き継いでいただきたいということです。
それは、時間の関係で非常に短く言いますと、産業再生委員会は、意思決定機関の中に役人もいない、金融機関も排除する。そして、事業再生の本当にプロフェッショナル、いわばもう死にかけているかもしれない、あるいは助かるかもしれないぎりぎりの状態の企業という患者さんを診る専門医の集まりだけで産業再生委員会をつくった。そこに裁量を与えて、専門医の判断で、この患者は救えるか、救える場合にはどういう処置を施すか、こういうことをやったので、本当にすばらしい成果で、国庫に四百三十二億を返納するという黒字を出した。さらには、税金も三百十二億だったか納めたという状態であります。そして、配当も五百億を超えていたと思います。そういうふうにできるには、やはり、事業再生のプロフェッショナル、専門医にしっかりと判断を任せる、役所や金融機関が茶々を入れない、こういったことが大事だと思います。
そういう意味で、もし今回の再生機構についても、万が一、立ち直ることのできない企業等を助ければ、将来の国民負担を招くことになるわけでありまして、十分採算性を確保する必要性というのは大いにあるということで、その辺の、再生委員会、意思決定機関の人選なども含め、しっかりと採算性を確保していく見通しについて、お考えを伺いたいと思います。
○宮澤副大臣 結論からすれば、議員のまさにおっしゃるとおりであろうと思っております。
御承知のとおり、これは株式会社でありますから、政府が委員を任命するわけではなくて、役員自体は株式会社として選ばれる。しかし、役員の認可は政府が行うという中で、役員が再生委員会委員を兼ねるという形でございますので、当然、政府の意思というものは相当色濃く反映できることだろうと思っております。
そういう中で、まさにプロにやっていただく、決して天下り機関というような批判を受けないように、きっちりプロにやっていただく形をとりたいと思っております。
○赤澤委員 今の点が非常に私は大事だというふうに思うわけでありますので、ぜひ、事業再生のプロフェッショナルをしっかりと選んで、そこに任せる。その一方では、本当にこの企業は再生が可能かどうか、この患者は命が助かるものかどうか、今大災害の状態で、本当に患者さんがもうみんな横になって、多数横たわっているといったような状態だと思いますので、その中で本当にきちっと助けられるものはどれか、その辺について、間違いのない判断で、機構にはしっかりとした事業の取り組みをやっていただきたいと強く願うものでございます。
そして、最後になりますけれども、この機構の立ち上げについては何よりも迅速性が求められるということだと思います。一刻一刻、厳しい状況に企業がなっていっている。特に今、実力がある、非常に貴重な資源を持ちながら、それを有効に生かす機会を今の経済情勢のために奪われているというような企業の救済は本当に急を要するということでありまして、先ほどの追加出資というようなこともありましたけれども、それには少々時間がかかるだろうと思われるわけです。
そんな中で、仮に、例えば当初は政府からの出資だけしかないような状態で、金融機関からの出資が整わないような場合であっても、機構の業務開始はとにかく急ぐ、政府出資だけでも始めてしまうというような考えも十分あり得ることだと思います。
そういった点も含めて、機構を立ち上げ、柔軟かつ迅速に企業再生に取り組んでいくということについて、与謝野大臣の御決意を承りたいと思います。
○与謝野国務大臣 先生が御指摘になったような経済情勢であり、また、地域経済も大変そのことで苦しんでいるわけでございますので、本法案を国会で御承認いただいた暁には、直ちに機構の創設準備を進め、可能な限り早期の事業開始に努めなければならないと考えております。
○赤澤委員 大変力強いお答え、ありがとうございました。
経済危機対策とあわせて本法案が少しでも早く成立をし、地域経済にしっかりと光が当たっていく、活性化することを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
三十分いただきまして、今回の修正案もしくは原案についていろいろと議論させていただきたいと思います。
まず、今回、中小企業ということが明文化をされたというところでありますが、そもそも中小企業とは何を想定しているのか、まず提案者からお答えいただきたいと思います。
○泉委員 ありがとうございます。
中小企業は定義がかなり細かく分かれておりますけれども、代表的なものでいいますと、製造業や建設業の場合は資本金三億以下、従業員三百人以下、卸売業の場合は資本金一億円以下、従業員百人以下、小売業の場合は資本金五千万以下、従業員五十人以下、サービス業の場合は資本金五千万以下、従業員百人以下、その他ゴムの産業ですとかそれぞれに規定はありますけれども、主にこういったことになっています。
○市村委員 今回、この中小企業を支援対象の例示として明文化したわけですが、この趣旨はどういうものかということも、提案者の方からちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○泉委員 やはり、日本の企業の中の九九%が中小企業、中堅企業であって、特にこういった地方の経済において非常に影響が大きいという中で、そういった方々をしっかりと支援していくということを重点的に今回の法案の修正の中で取り入れるということをもって、私たちはこういった文言を入れさせていただきました。
○市村委員 さらに今回、中小企業と並んで中堅事業者その他の事業者等が規定されているわけですが、この中堅事業者そしてその他の事業者というものはそれぞれどのような事業者を想定しているのか、これについても提出者の方からお聞かせいただきたいと存じます。
○泉委員 今回、企業再生支援ということでこの法案ができていくわけですけれども、中堅事業者については、ほかの法律でいいますところの、例えば破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法というものがあって、この中では、資本金五億円未満の事業者ということで位置づけがなされております。
その他の事業者についてなんですが、主にはこういった中小企業、中堅企業を想定しながらも、地域の中での主要企業、中には、場合によっては大企業というところも一応読み込めるという形で、そういった意味でその他の事業者ということを書かせていただいております。
○市村委員 今のところをちょっと一点確認しておきますが、ということは、大企業も別に想定外ではないということですね。これだけ確認。
○泉委員 さようでございます。
○市村委員 それでは、きょう大臣にお越しいただいております。ありがとうございます。
今、こうして中小・中堅企業の事業再生に対する、政府として、政治としてできることは何かということでこの法律、修正案があると思いますが、この今定義されている中小・中堅企業に対する事業再生もしくは支援の取り組み状況、政府としての取り組み状況というのを、大臣の方から教えていただければと思います。
○与謝野国務大臣 現時点でどういうことをしているのかという御質問だと思いますが、中小・中堅企業が事業の再生を図る上で、民事再生法等によるほか、民間ファンドの活用、各都道府県ごとの中小企業再生支援協議会などの相談事業、これらいろいろな方法がございます。
しかしながら、昨今の経済情勢のもとにあっては、民間ファンドの動きも鈍くなっているほか、特に中小の企業の再生では、債権の買い取りや出資に困難を伴いやすい等の問題があると認識をしております。
現在、中小企業再生支援協議会においては、経営相談や債権者調整などを行って事業再生を支援しているところであると承知しておりますけれども、こうした現状を踏まえると、さらに債権の買い取りや出資を通じた強力な事業再生を支援する施策が必要である、そのように考えております。
○市村委員 今、大臣から民間の動きも鈍いというような話があって、私もいろいろな上場企業の方ともお話をすると、上場企業ですら大変な状況に今なっている、貸し渋りというのがすさまじい状況であるということであります。ですから、今回、そういった大企業もしくは上場企業ですら苦しい中で、ましてや今大臣もおっしゃったように中小・中堅企業というのは大変厳しい状況に置かれている。
しかも、もう経営がだめなら仕方ないんですけれども、実は黒字であると。たまたま過去の負債が大き過ぎて、今では黒字なんだけれども、フローでは黒字だけれども、過去の負債が大き過ぎるということで、もうこのままでは黒字倒産だと悲鳴を上げているところ、資金繰りがつかずに黒字倒産するということが不安でいらっしゃる方は、たくさんいらっしゃると思います。
もし、今回のこの法律また修正案が、そこに対して明るいメッセージを送るのであれば、私はとてもこれは有効だと思っておりますが、大臣のお考えもお聞かせいただきたいと思います。
○与謝野国務大臣 こういう状況になってきますと、今先生が御指摘になったように、会社の仕事自体は社会的な有用性を持っていて、なおかつ、つくれば売れる。しかし、先生がまさに御指摘になったように、過去の負債とか、過去の問題が解決できないと、いい部分も悪い部分も一遍に破綻ということになる。
しかし、よく考えれば、やはりそういう中小企業のいい部分を生かす、また雇用を維持する、経営資源を散逸させない、そういう意味では、今回のこの法案は、修正を経て社会的、経済的に大変意味のあるものに仕上がっているというふうに私は考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
今現在も中小企業再生支援協議会というのがあって、ここも大分、いろいろ問題点も指摘されながらも頑張っている、また頑張ってもらわなくちゃいけないというところだと思いますが、この協議会との連携というのはどういう状況でありますか、現状におきまして。
○泉委員 今回、修正案をつくる中で、現在では中小企業再生支援協議会との連携ということについてはまだまだであるという部分もありまして、修正案では、その指導助言を求められた事案で機構による再生支援を受けることがこの企業の再生を行うために有効だと認められるときには、協議会が機構に対して案件を紹介するという手続を規定しているわけであります。
この規定における、中小企業の事業再生を行うために有効であると認めるときというのは、具体的には、中小企業再生支援協議会では対応が困難なケース、例えば債権の買い取りや出資などの手法を伴う事業再生ですとか、こういったことによることが適当であって、それが可能だと認められるときということを想定しているということでございます。
○市村委員 ありがとうございます。
今回、実はこの法律名までが、あと組織名が変わっているんですね。なぜ、この企業再生支援機構という名称に変更するのか、これも提案者からお答えいただければと思います。
○大畠委員 お答えさせていただきます。
今回の修正案によって企業再生支援機構という名前に変更させていただきますが、実は、もともとの法律案、振り返りますと、昨年の五月十四日に大田弘子国務大臣から趣旨説明を受けた後、質疑をし、参考人の質疑までしたわけであります。
当時の村田自由民主党の筆頭理事もきょう会場におられますけれども、私どもとしても、この法律案、大変大事な法律案だとは思うわけでありますけれども、しかし、どうもこの法律案を編成する過程において、経済産業省所管の中小企業、中堅企業でしょうか、そしてまた総務省所管の第三セクターというものが一緒に対象になっておりまして、一体これはだれが責任をとるんだと。対象の中に第三セクターもありますけれども、全国的に各地で第三セクターが非常に危機的状況にあることも事実であります。単に救援をするだけであると、無責任な対応になってしまうんじゃないかということで、私たち民主党の中でもかなりの論議を呼びました。
そういうことから、一つは、第三セクターについては総務省の責任でこれは対応をすべきだ、こういうことになりまして、私ども民主党としては、委員も御存じのとおり、参議院の方に中小企業再生支援機構法案というものを、先ほど趣旨説明にもありましたとおり、民主党、国民新党さん、新党日本等の皆さんと一緒に提出をさせていただいたところでありますが、基本的に、企業に的を絞った法律案にしよう、中堅あるいは中小企業を加え、そういうもので今日の経済の危機的状況の中で必死に地域経済を支えている企業に的を当てた機構にしようということで、組織の名前まで変更させていただいたところでございます。
以上です。
○市村委員 先ほどの、我が民主党が提案したのは中小企業と入っていたのが、今回、企業になっているということでありますので、その辺のところが、中小企業というものをターゲットに絞ったということの意味合いがどうもあいまいになったという感想を率直に持つわけでありますけれども、しかし、先ほど提出者からの、これは大企業を排除するわけではないということも含めて、あくまでもこれは企業全体を対象にするという認識でよろしいわけでしょうか。提出者の方からお答え願います。
○大畠委員 そのとおりでございます。
○市村委員 ありがとうございます。
実は、第五十八条の主務大臣の項にこのたび厚生労働大臣が加わっておるわけでありますけれども、なぜ厚生労働大臣を追加したのか、この趣旨について、提出者の方からお答えいただきたいと思います。
○泉委員 先ほど来お話がありますけれども、大変雇用の現状が厳しいということがございます。ちょうどこの三月末で非正規失業が十九万人を超えるですとか、あるいは雇用調整助成金の申請が急増しているという現状があります。
恐らく、企業再生をするに当たっては、当然、従業員の解雇ですとか、そういった雇用の問題がやはり出てくるということが考えられますので、そういった意味で厚生労働大臣を主務大臣に加えさせていただいて、特に支援の基準の決定だとか支援の内容の決定手続、機構の監督、そういったところについて厚生労働大臣の意見も聞けるというようにしておくことが雇用を守っていく上でも大変重要だという意味で、今回つけ加えさせていただきました。
○市村委員 今度は六十二条二項について少しお尋ねしたいと思います。
これは、「産業活力再生特別措置法との関係」のところの二項でありますけれども、この中に、「機構による再生支援を受けることが当該中小企業者の事業の再生を行うために有効であると認めるときは、」その趣旨を云々とありますが、この中の「当該中小企業者の事業の再生を行うために有効であると認めるとき」、この「認めるとき」の意味、どのときかということを教えていただきたいと思います。
○泉委員 先ほど私、ちょっと間違いもございまして、大変失礼をいたしました。
この「認めるとき」というのが、先ほど少し話が出ましたが、具体的には、再生支援協議会の中で対応が困難な債権の買い取りや出資などの手法を伴う事業再生によるところが適当であって、それが可能だと見込まれるときだということで、訂正を含めて答弁をさせていただきたいと思います。
○市村委員 先ほどから、今回、企業再生ということで大企業をも排除しないということであったんですが、これは大臣にお尋ねしたいんですが、この機構の事業運営に当たりましては、やはり中小企業が劣位に置かれないように特段の配慮をすべきだというふうに私は考えます。
これはやはり、中小・中堅企業を、特に地域の中小・中堅企業をいかに守っていくか、救っていくか。そして、それは単に中堅・中小企業を救うということが目的ではなくて、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、やはりまさに地域の活力ということ、ひいては地域の文化力をも守る大切なことだと私は思っておりまして、ぜひとも、その地域におけるかなめとなっているような企業者がいわゆる黒字倒産というような事態にならないように、貸し渋りで今大変な状況だということを伺っていますから、そういった意味で、できたら中小企業に的を絞る、劣位にならないということが大切だと思いますが、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○与謝野国務大臣 有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者であって、再生の見込みのあるものであれば、企業規模の大小によって差別されることなく、ひとしく支援対象とすべきであるのは当然のことであると思っております。この点については、本法案においても第二十五条第五項において、「企業規模が小さいことのみを理由として不利益な取扱いをしてはならない。」という旨明記しているところでございます。
本案を成立させていただき、機構が業務を開始する際には、こうした考え方に基づき、適切に業務運営がなされるよう努めてまいる考えでございます。
○市村委員 よく言われますように、日本は、本当に中小企業が頑張っているから日本経済は支えられている、こう言われます。私も本当にそうだと思っています。もちろん大企業の存在も当然必要なわけでありますけれども、そうした大中小、いろいろな規模の企業が、それぞれの特性を生かしながら一つの日本の産業を支えていくという姿が、やはり一番バランスがとれて強いということだと思っています。大企業ばかりに集中してもそれは大変足腰の弱い産業形態になりますので、そういう日本のこれまでのよさ、これはこれからもしっかりと守っていかなくちゃいけないという思いでありますので、ぜひとも地域の中小企業を支えていくということについて特段の配慮をいただきたいと思うわけであります。
そして今度は、こういう制度がせっかくできたけれども、この制度だけじゃありませんが、大体、知らない人というのは多いんですね。ああ、そんな制度があったのということです。実際、日々自分の企業経営で努力されている経営者の方とかは、どんな法律ができたのかということはなかなか知る時間もない、余裕もないということが私は現実だと思います。
ですから、今回は、さっき提案者からも紹介方式もあるということもありましたし、こちらから、要するに機構の方から、どうですか、こういうのを利用しませんかという呼びかけもできるということも書いてあるわけであります。やはり客観的にこちらが、機構側が判断して、これはせっかくいい企業だ、しかし、どうやらいろいろ聞くと何か苦しんでいるようだ、こういうことがあった場合、ぜひともそういうところに、もちろん、申請しませんかというお声かけをするのも一つなんですが、やはりもっと幅広く、こういう制度ができましたから、これを利用してくださいと。
今、新聞報道によりますと、何百かという、幾つかの何か想定された数字も出ているようでありますけれども、もちろんそこはそこでいいんですが、ひょっとしたらもっとそれ以外にも、本当に必要としているのにかかわらず、知らないというだけでいつの間にか、悪徳な人もいますから、そういうのに巻き込まれながら結局会社を乗っ取られる、つぶされるというようなことになってしまっては、やはり元も子もない。本当に地域にとって大変損失だと思います。
だから、そういった意味で、中小企業の皆さんにこうした制度があるということをやはり周知徹底することが必要だと思いますが、大臣から政府としての決意をお聞かせいただけたらと思います。
○与謝野国務大臣 この制度だけでなく、累次の経済対策また新しい経済対策の中には、中小企業が利用していただけるいろいろな金融支援等々も入っております。これを知らないでおいてしまうというのは大変残念なことでございますし、この法案が成立をいたしましたら、いろいろな方法で周知徹底に努めたいと思いますし、各地で業務説明会等も開かなければならない。そして、金融制度初めこういう企業再生のための制度、こういうあらゆる制度を利用しやすい、また利用していただけるような状況を我々が積極的につくっていかなければならないと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
かつて、私のところにPRを専門とされている方が来られて、実は皆さんは広報とPRは一緒だと思っているけれども違うんだと、大変力説されて帰られた方がいらっしゃいます。
だから、例えば事業説明会というのは多分、恐らくPRに近いのかもしれませんが、例えばパンフレットとかをつくって配るのは広報だ。だから、PRというのはもっと積極的に、単にこういうのがありますよというだけじゃなくて、もっと相手の心にしみるような方向で何かを伝えていく。要するに、ああ、なるほど、そういうものがあるんだなということで、相手も納得し、ではそれを使いたい、利用したい、やはりこう思ってもらうようにするのがPRなんだというふうなことであります。
ですから、広報というのは、幅広くパンフレットをつくったりして、やっています、やっていますということなんですが、ぜひともPRをしていただきたいな、こういう思いでございます。よろしくお願いします。
それから次に、今回、第三セクターを支援対象から除外するということでございますが、この趣旨につきまして、修正案の提出者の方からお答えいただきたいと思います。
○大畠委員 先ほど、一部御答弁も申し上げましたが、私ども、第三セクターについては、いわゆる総務省管轄でもございますし、きちっとした責任を明らかにしながら対策をする、こういうことで区分けをいたしまして、総務省主導でそのような第三セクターの再建、あるいはさまざまな形で整理をすることが必要だと思います。
内閣委員会でも、青森県の第三セクターの施設を視察させていただきましたが、非常に荒れ果てた状態がございまして、これを放置しておくことはできないだろうという認識は一致しておりますが、これはあくまでも総務省管轄で再建なりあるいは整理をする、あるいは、自治体も大変財政的に困っている状態もつぶさに見てまいりましたから、それは総務省管轄で適切な対応をしていただく。こういうことで、第三セクターを取り払って、私たちは、中小企業というものに特化した形の再生機構をつくるべきだろうということで、このような形の修正案を提出させていただきました。
○市村委員 ありがとうございます。
二十五条の第一項第二号の中に「政令で定める法人」という言葉が出てきます。「(国又は地方公共団体がその経営を実質的に支配することができないものとして政令で定める法人を除く。)」の、この「政令で定める法人」とはいかなるものを想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
○大畠委員 非常にわかりにくい部分かもしれませんし、また、大事な部分でありますから、きちっと御回答申し上げたいと思います。
修正法案の二十五条の第一項第二号の「政令で定める法人」というものについては、例えば、国または地方公共団体が出資していますが、その保有している株式が議決権のない株式である場合である法人など、国または地方公共団体がその経営を実質的に支配することができない法人が定められることになると想定しております。
○市村委員 続きまして、その次の第三号に「政令で定める割合」とか「政令で定める法人」という言葉が出てきます。この「政令で定める割合」及び「政令で定める法人」につきましても、何を想定しているのか御説明いただきたいと存じます。
○大畠委員 この点につきましても、まず、修正法案第二十五条第一項第三号の「政令で定める割合」というものについては、国または地方公共団体の出資が四分の一未満であっても、地方公共団体からの派遣職員、退職派遣者がどの程度役員になればその法人の経営を実質的に支配することができるかを勘案しながら、例えば二分の一や三分の一のように定めることになると想定をしております。
次に、「政令で定める法人」は何を想定しているかという御質問でございますが、このことについては、同項の第二号や第三号で法文上明記されている場合以外に、国または地方公共団体がその経営を実質的に支配することが可能な関係にある法人が定められることになりますけれども、例えば、その法人の収入に占める地方公共団体からの委託費の割合が相当高い場合である場合などが定められることになると現在想定をしております。
○市村委員 ありがとうございます。
中村政務官、お待たせしました。今現在、結局、今提出者からもありましたように、第三セクターについてはこれから総務省でやってもらうんだ、自治体が責任をとればいいんだということでありますが、第三セクターに対する、現状に対する基本認識をまずお聞かせいただきたいと思います。
○中村大臣政務官 第三セクターが支援対象外になりましただけに、総務省は責任を持ってこれはやらなくてはいけないなという認識がまず第一の認識でございます。
そして、第三セクターは本当に大変な状況でございます。出資割合が二五%以上、また財政支援を受けている法人のうち、三四%が赤字になっております。平成十九年度においては、先ほど青森県のお話が出ましたけれども、法的整理申し立て法人が二十法人になってございます。また、地方公共団体が第三セクターに対して行っている損失補償契約債務残高は約二兆円となっておるのが現状でございます。
○市村委員 仄聞しますところ、第三セクターについては地方債を発行できるということで一つは対応しようということであるとお聞きしています。
実は三セクというのは、私はいつもこの内閣委員会でやっておりますが、アメリカでは、三セクというのはNPOのセクターのことでありまして、私としては、本来、NPOセクターのことを第三セクターとこれからちゃんと正しく呼んでもらえるような世の中にしなくちゃいけない、こういう思いであります。
なぜこうなったかというと、結局、いつも申し上げているように、行政か営利企業かという二者択一しかないところが問題でありまして、やはりもう一つの柱としてNPOセクターという柱をつくる、これが第三セクターだという思いでありまして、最後に大臣から、私の今のこの思いにつきまして一言、つまり、営利企業か行政かという二つの選択肢しかないから、そのジョイントベンチャーみたいなのが第三セクターになって、こうやって悪用、利用されてしまった部分も、まあ、こんなことを言っちゃいけませんけれども、そういう部分もあるということであります。
だから、私としては、やはりこれからは、社会の三権分立と私は呼んでおりますが、行政セクター、営利企業セクター、それに非営利セクターというものがしっかりとバランスのとれたものとなって財・サービスの提供を行う、こういう経済社会体制、国の形がいいと思っておりますが、最後に大臣から御見解をいただきまして、終わりたいと思います。
○与謝野国務大臣 私、第三セクターという言葉を極めて漠然としか考えておりませんでして、地方自治体が直接やるよりは民間の資本を入れてやった方がいい、そういう事業かなというふうに考えておりましたけれども、先生のような分類の仕方があるというのは、今後の勉強の対象にさせていただきたいと思います。
○市村委員 どうもありがとうございます。終わります。
○渡辺委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
政府案とそして修正案、両方に対して質問をさせていただきたいと思います。
まず、正直なところ、私は、当初の地域力再生機構法案については一貫して反対をしてまいりました。今回、地域再生、そしてまた地域に根づく、今は大きな債務を抱えているけれども潜在的に優良企業である、そういう企業を何とか支援していく、特にこの未曾有の経済危機と言われるような中にあって、その地域で重きをなす企業を再生することの重要性、そのことを各会派で重要性を再認識して修正をしたということで、私自身もやむなし「賛」という立場で臨みますけれども、そのやむなしというところの背景にある疑問、また、そこを努力してほしいというようなことも踏まえまして質問をさせていただきたいと思っています。
反対してきた理由というのは山ほどあるんですけれども、その中でも、そもそも論として、まず二点、大臣に御見解を伺いたいと思っています。
その第一は、今回の支援をする対象は、主に地域、地方の中堅、今言いました、本来なら地域にとって大変重要な役割を担っている企業ながら、今現在を見れば経営的に厳しい、特に大きな負債を抱えているという企業の支援ということであるわけですが、地域を支援していくときに、私は、大事なキーワードは、依存ではなくて自立だというふうに思っているんです。日本を復活させるための一番のキーワードは、地方であれ民間であれ、依存させずに、まずは自立を、みずから考えてくれ、自分の二本足で立ってほしい、こういうところから始まると思うんです。
地域を元気づける、企業を支援するのに、なぜ中央がただ一つの機構をつくって、そしてまた全国あまねく支援をしようとするのか、なぜ地域に任せないのか。そもそも論として、なぜ、地域の活性化、再生なのにそれを中央でやろうとするのか、それについての御見解をお伺いしたいと思います。
○与謝野国務大臣 まず、今の経済情勢を考えますと、これは通常の日本の経済の不振とはちょっと違っているんだろうと思います。また、そういう中で地域経済をどうやって立て直していくのかということは、我々日本に課せられた最重要課題の一つであると思います。
したがいまして、少し借金が多くて大変だなという会社でも、その会社が有用な経営資源を持っている場合というのは、やはりその有用な経営資源を活用するということは、雇用を守る意味からも、日本経済全体からも、あるいは地域経済からも、私は大事なことだろうと思っております。
こうした機構というものを設立したのは、時限的な設立でございまして、いつまでもそこがおんぶをします、だっこをしますということではなくて、やはり活動の期限は五年だということでございますから、機構の設立と地方分権の流れというものは別に考えていいのではないか、そのように思っております。
○吉良委員 大臣の御答弁の中身自体は理解いたしますけれども、私はそれでも、確かに地方に全部任せたときにいろいろな意味で心配がある、そもそもこの機構が考案されたことも、地方だけの関係者での利害調整その他というのは非常に難しいというところが根本にありますが、それでも、やはりみずから解決していけという姿勢がないと、少々混乱があっても、それでも現場に、地域に任せていくということでなければ、私は地域の再生、復活はあり得ないと思っていますし、ひいては日本の復活はあり得ないと思っておりまして、さっき言いました、やむなし「賛」ではありますけれども、できるだけ地域に任せていくという姿勢を国として貫いていただきたい、このように思っています。
そして、そもそも論のその二でありますが、これまた大臣にお聞きしたいことであります。
今回は、先ほど来質問者の中に、また答弁の中にも出てきたかと思いますが、産業再生機構を一つの成功モデルとして、ある意味では、機構そのものの体制それから運営方法は、この産業再生機構の焼き直しといった部分が強いわけでありますが、私が思うに、ある成功モデルというのは、時代背景があって環境があって初めてつくられ、かつ成功したものだというふうに思っているわけです。ところが、何年置いて、時代環境が変わっても、また同じ焼き直しをしてくる。私は、大変失礼ながら、優秀な官僚がおり、ずっと長年与党におられる方々の創意工夫がやはり足りないんじゃないかというふうに思っておるんです。
産業再生機構が成功した背景、時代背景というのはいろいろあろうかと思いますけれども、私、一番大きいのは、あの当時は、社会全体、国全体として、不良債権の一掃、金融機関については自己資本比率を高める、言うならば金融秩序を回復しながら企業を支援していこう、こういう時代背景があって、金融秩序の回復というものと、今苦しんでいる企業、これを救うというのがほとんど同じぐらいの重さがあった。したがって、金融機関にもいろいろ支援がお願いをしやすかった、また、金融機関の株主を含め、社会全体がそれを容認するという時代背景があったというふうに思っております。
ところが、今回は、確かに百年に一度の危機と言われながら、それこそ麻生総理も言っておられるように、日本の金融機関は欧米に比べてそれほど傷んでいない。今我々が対象としているのは、例えば黒字倒産のおそれがある等々、本来なら、この危機に直面して倒産しなくてもいい、資金繰りに困らなくてもいいところまでが経営危機に陥っている、黒字倒産の危機に陥っている、こういうところが問題で、金融秩序の回復と企業の支援というところをてんびんにかけたならば、どっちも大事なんですが、あえて言うならば、やはり企業支援の方がよりまさっているというふうに思っているわけです。
そういう中にあって、産業再生機構という、あの当時両方が同じ重さを持っていた、場合によっては金融秩序回復の方が重かったぐらいの時代背景と同じ焼き直しで果たしていいものなのか。
各論についてはこれからまた議論をさせていただきますけれども、まず、こういう政府から出てくるいろいろな事業のアイデアが余りにも、さっき言いました時代背景が異なっているにもかかわらず焼き直しが多い。私は、こういう政府のあり方が、いろいろな意味で、迅速性というか、その時代が求める解決策を提示できていない、このような問題意識を持っておるんですが、与謝野大臣の御見解を承りたいと思います。
○与謝野国務大臣 先生の仰せのとおりだと私は思っております。日本の金融機関は、その内容からいって、余りデリバティブにも手を出しておりませんし、金融機関の自己資本に比べまして、証券化商品等から受ける損失というのは、額にすれば相当なものですけれども、資本に比べれば小さいものですから、その健全性は大変高いものと思っております。
ただし、日本の金融機関は、健全なんですけれども、必要なところにお金を貸さない。特に自分の庭先だけはきれいにしておこうということに偏りがちでございまして、民間金融機関が金融仲介機能、本来彼らの仕事であり、社会的使命である金融仲介機能を発揮しているのか。これは、これからよく見ていかなきゃいけないんですが、私は大いに疑問を持っているところでございます。
したがいまして、大中小問わず、いい仕事をしているのに資金繰りで黒字倒産、こういう社会的な悲劇はやはり断固として防がなきゃいけないということで、来週になりますと提案されます経済対策の中では、金融関係だけでも、大中小で恐らく四十兆近い金融対策が出てまいります。我々が考えましたのは、中小企業の信用保証や日本政策公庫だけでなく、やはり政投銀、商工中金等、国が動員できるあらゆる機関を通じて大中小の企業に支援をする。支援をするというのは、だめになりそうなのを支援するというのではなくて、きちんと仕事をやっているのに資金繰りが苦しくなって経営が行き詰まる、こういうことがないようにしようという政策も入っております。
しかし、今回、今御審議をいただいているものは、やはりいいものを持っている企業、そのいいもの、いい経営資源というものを散逸させないで再生しよう、それが雇用の確保につながるし、また地域経済のためにもなる、そういう思想で法案を御審議いただいているものと、私は、これらの二つのことは合わせわざとして企業再生に役に立つものと思っております。
○吉良委員 今回の答弁についても、大臣のおっしゃったことについては理解はいたします。ただ、これから各論に少し入っていかせてもらおうと思っていますが、二番目の、なぜ産業再生機構の焼き直しだと申し上げたのは、あの当時と違って、金融機関の、今回も出資を金融機関に求めていくということでありますが、その要請を受ける金融機関の出資インセンティブがあの当時と随分違うんだろうという問題意識があって、その点について、ちょっと各論についてお聞きさせてもらいたいと思っていますが、まず、金融機関、支援、出資を要請する金融機関というのはどこを想定しているんでしょうか、どのような金融機関を。これはもう副大臣でも事務方でも結構です。
○宮澤副大臣 この法律をつくる、用意をしている段階で、前の大田大臣を初めとして、全銀協等々というところを随分回ってこられたという話は承っております。
今回、できた後ということになりますと、もちろんお願いに回らなければいけないとは思っておりますが、なかなか一年前と今の金融状況で、どういう反応があるかというのは少し心配をしているところであります。
○吉良委員 金融機関、もちろん政策金融機関もあればメガバンク、それから地銀、第一、第二地銀、信金、信組等々を想定しているんだろうと思いますが、今回、特に修正によって地方自治体がなくなりました。これは、私は、三セクについて問題意識を持っていますので、この修正については賛成するところではあるんですが、一方で思っていたのは、例えばその地域において重きをなす、または支援しようとする企業と関係を持つであろう地方の金融機関、ここは、出資までしろと言われれば、恐らく、そこの県だとか市だとかそういう地方公共団体が出すから、おつき合いで入れざるを得ないという要素が非常に強かったと思うんですね。今回、地方公共団体の出資がなくなったときに、果たしてその地域の金融機関が出資をするインセンティブがあるんだろうかという問題意識を持っております。どういうインセンティブがあると思っておられるか、それを一つお聞きしたいと思います。
もう一点指摘をしておきたいと思いますが、これは一般的に言われることですけれども、出資者と融資者とでは当然利害が相反するわけですね。コンフリクト・オブ・インタレストと言われますけれども、今回の場合も、金融機関が出資をする、その金融機関が、場合によっては再生しようとする企業の債権者、融資者である場合がある。この利益相反、コンフリクト・オブ・インタレスト、この問題がある中で金融機関に出資を要請するというその背景は何なのかということについてお聞きしたいと思います。
○宮澤副大臣 出資の仕組みだけまず申し上げますと、預金保険機構に出資をしていただいて、そこから株式会社に行くということでありまして、まず、出資をする金融機関側のメリットということになりますと、恐らく今おっしゃったような一対一の個別の対応は全くないものだと思います、出資をしたから自分の融資が救われるということではない。したがって、この支援機構が活動することによりまして、地域にとってかなり重要な中小企業なり中堅企業がかなり再生をされるということ自体が、その地銀なりが活躍する地域にとってプラスの影響が出てくる、全体の経済の状況といったものがプラスになると考えていただかざるを得なくて、出資したから自分の融資先が助かるという関係ではないということはしっかりしておかなければいけない話だと思っています。
○吉良委員 ちょっとその関係で、これも各論、実務の部分に入るんですが、政府保証を一兆六千億つけるということでありますが、この政府保証というのは、この機構が市中から借り入れを行う、出資であったり債権の買い取りであったり時には融資であったり、その必要な資金を市中から借り入れる際にここに政府保証がつく、こういうスキームだと了解しておりますが、この市中と言われる金融機関の対象は、今言いました、地域の、例えば地銀、第二地銀等も含まれるんでしょうか。
○宮澤副大臣 政府保証による資金の調達でありますから、資金の出し手を限定する必要は全くないんだろうと思います。出し手側からいえば、国債を買うのか政府保証債を買うのか、また政府保証のついた機構の債権なり、融資をするのかというような判断になろうかと思っております。
○吉良委員 この件については、私が想定する、ある意味では唯一の、特に地方の、地域の金融機関のメリットというのは、今現在、ある会社に対して債権を持っております、これはリスクを伴う、もう既にリスクが具現化している債権なわけですね。ところが、その政府保証がついた借り入れというか、金融機関から見れば貸し出しを行う、機構に対して貸し出しを行います、ここには政府保証がついております、これに基づいてこの企業の支援をしていきます、同時に債権放棄とかを求めていきますと。金融機関からしてみると、一方でリスク債権が軽減されて、そして貸し出しという形で政府保証のついた優良資産に入れかえることができるわけですよね。
ですから、ある意味で、このところが唯一のメリットで、直接貸し出していないメガバンク等々というのは純粋な政府保証がついた貸し出しをするということですけれども、地域の金融機関については今言ったようなメリットがあるのかな、このように思っておるんです。
そういう意味で、私、地域の金融機関から借りるなとは言っていないんですが、ある意味、そういう資産の入れかえが実際起こり得る可能性があるんですね。その辺についてはどうお考えでしょうか。
○宮澤副大臣 結局、支援をするのか、どういう形で支援をするのかというのは再生委員会で決定をするわけでありまして、問題は、この判断に、政府保証債を大量に購入しているところは優先的にしてやるかというような判断があれば問題だろうかと思いますが、そういう判断は一切しなくて、中正、公平、透明性を持って再生委員会にやっていただくということでありますので、委員の御指摘のような問題点はないと私は考えております。
○吉良委員 今の答弁の中で出てきました意思決定、特に企業再生支援委員会の意思決定についての公平性、中立性そして透明性ということについて、政府、修正、両方にお答えをいただきたいと思っているんですが、今言った公平、中立、透明性をどう担保するか、二つの視点でお答えをいただきたいと思っています。
一つは、委員の選定、この委員がだれになるかが一番大きい要素だというふうに思っています。それと、今度は、実際に意思決定をしていく際に、このスキームで一番悩むであろうことは、公共性と、それから株式会社ということによる経済性、まあ収益の追求、この二つというのが一番判断に悩むところだろうと思うんです。この委員の選定と、公共性と企業性といいますか経済性といいますか、このことに関連して、先ほど言いました、公平、中立、透明性をどう担保していこうとしているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○宮澤副大臣 おっしゃいますように、委員の選定というのは大変大事な要素だと思っております。産業再生委員会でも、七人でございますが、委員の方を選定いたしまして、随分しっかりやっていただいたと思っております。そういった意味で、もちろん、どなたにどう、委員をお願いするということを全く決めているわけではございませんし、白紙でございますけれども、専門性にすぐれた、しかも中立的立場をとれる方をしっかり選んでいかなければならないんだろうというふうに考えております。
もう一つございましたか。(吉良委員「公共性と経済性」と呼ぶ)公共性と経済性というのも、これまた、この再生委員会の委員の方にお願いをしなければいけない一番大変なところでありまして、要するに、案件が来る、機構自体がやらなくても民でできる案件は、機構が入る必要はないんだろうと思います。一方で、機構が入ってもどうしようもない案件というものに入るわけにはいかない。やはり、公の色彩のある機構、株式会社でありますけれども公の色彩のある機構というところが、利益は度外視できる、損害は出さない方がいいという中で、民にできるものは民にする、拾ってはいけないものは拾わない。
その中の灰色の領域、恐らく、この経済状況の中でそういう状況がかなり広がってきているのかなという気がいたします。そういう案件をしっかり見つけていただける、そして再生の支援ができる方を委員に選んでいくということに努力したいと思っております。
○大畠委員 基本的には同じ考えでございますが、御指摘のように大変大事なポイントですから、私たちこの修正案を提出している者としても、今御答弁があった基準に従って、明確な判断ができる、こういう体制をつくるようにしたいと思っております。
○吉良委員 この部分は本当に、言うはやすくで、行う、判断する場合は極めて難しい問題だというふうに思っています。
私も民間企業で、いろいろ投資とか融資とか、自分自身でプロジェクトに対してやってきたんですが、よく言われたことが、五〇対五〇の出資は絶対だめだ、意思決定があいまいになると。特に、パートナーとの間で優先順位に対する考え方が違えば、五〇対五〇という出資比率の場合は、これはもうそれこそ経営判断ができなくなるわけでありますね。
同じ意味で、先ほど言いました、この機構にとって、地域全体を見て、地域の活力を活性化させる、再生する、そのための中核の企業を支援していくという公共的な要素と、それから、絶対に赤字は出しちゃいけない、最後は国民負担になる、この経済性、このてんびんのかけ方というのは極めて難しいことなんですね。
特に、地方で今後予想される難しい経営判断は、雇用という意味で、例えば、ある地域において何百人と雇用している、この雇用というのは大変重要でありますが、その大きな雇用を抱えている企業が資金繰りに大変苦しんでいる、しかも、少々機構がてこ入れしたからといって本当に再生できるんだろうか。ただ、公共性を重視すれば、何百人という単位の雇用をしていれば、少々のことは目をつぶってでもてこ入れしてくれとなるに決まっているんですよ。
こうしたときに、本当に、経済性と、今言いました公共性、どちらをより重視するんだという、機構にとっての優先順位をある意味では明確にしておかなければ、どっちも大事だと言うのは楽です、どっちも大事だというのはわかるんですけれども、そこのところは明確にしていただきたいということを申し述べておきます。
最後になりますが、今回、三セクを対象から排除するという中で、公共団体等が二五%以上出資しているところ、または実質的にその経営を支配していると思われる対象事業を外すということで、いわゆる我々が言う第三セクターを外すことになっているんです。
これはちょっと意地悪な質問で恐縮ですが、例えば、三セクを何とかしてもらいたいと思っている自治体があれば、そしてその自治体が、仮にそれまで四〇%出資していました、そして、そこに常勤役員を一人派遣し、または非常勤で一人派遣していました、実質的に経営をコントロールしていましたというような状況があったときに、この新しい機構に何とか助けてもらいたいということで、出資率を二四%に落としました、少なくとも常勤役員を引き揚げました、したがって筆頭株主は、自分、自治体ではなくなりました、そして常勤もいなくなったので実質的な支配はしておりません、こういうような対応に出てきた場合に、一体どう判断をするのか。
これについても、特に三セクを排除するために修正案は非常に苦労されたと思いますし、それには敬意を払いますけれども、どう対応するおつもりなのか、お聞きしたいと思います。
○泉委員 ありがとうございます。
確かに、要件に適合する以上は、申し込みを除外するというのは恐らくできないのではないのかなと思います。しかし、一方で、やはり今回法を修正していく中でその修正の趣旨というものは大事にされなければいけないと思いますので、やはりそういった意味では、基本的には、そういったものに対してはよく見詰めていかなくてはいけない。
例えば、支援決定の二十五条の中では、「債権者その他の者と協力してその事業の再生を図ろうとするもの」という文言であったり、あるいは、当然、「事業の再生の計画を添付して行わなければならない。」ということで、仮にでも一時的に比率を落として、その後また比率が上がったりという形で関与が続くということが見えるようであれば、これは当然計画を認めていかないということになるでしょうし、ただ、確かに、今後関与を一定薄めていく中で、本当の意味で自立をしていくということが見えるものであれば、よく審査をした上で判断をしていくということになろうかと思います。
いずれにしても、法の趣旨というものを大事にして判断をしたいというふうに考えています。
○吉良委員 ありがとうございます。
各論の質問はもうこれで終わりますけれども、大臣それから政府関係者、また、今回は、修正提案者にお願いをしたいことですが、冒頭申し上げましたように、私としては、これから大事なことは、人であれ企業であれ地域であれ、やはり依存から自立へということを促していくことが本当の日本の、日本人の、また日本企業の力を増進させ、将来につながるということで、この経済危機に直面して、まずは中央が音頭をとりながら地域の活力を何とかしよう、この意図はわかりますけれども、どんなによちよち歩きであっても自分で歩いていけということを今後地域再生の基本にしていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
この法案は、ちょうど昨年の国会に提出されたままかなり放置されてきたというものですが、昨年の審議の中でも、一度引っ込めて、三セク部分は総務省で処理をするように、地域経済に関しては、経済産業省でさまざまな仕組みがもう既にありますから、そういったものとよく整理をして考えていくべきだということを言ってまいりました。
ところで、最初に与謝野大臣に幾つかお聞きしておきたいと思うんですが、昨年の内閣委員会で、当時の大田弘子担当大臣は、「なぜ今なのかということですけれども、一つは、全国的な金融システム不安は落ちついてきております。メガバンクの金融不安は落ちついてきているということです。それからもう一つ、三セクに関しましては、財政健全化法が今年度から施行ということになります。」また、「全国の金融システム不安は落ちついている、」「タイミングとしては今しかない、今ならできるということでこの機構を御提案いたしました次第です。」という答弁がありました。
そこで、与謝野大臣に、大臣はかわられたわけですが、今日の経済情勢について、全国の金融システム不安は落ちついてきているというふうに見ていらっしゃるかどうかを伺います。
○与謝野国務大臣 日本の金融システム自体は、例えば、欧米の金融機関に比べてはるかに健全性が高い、これは、幾つかのストレステストをやってもそのようなことがわかりますし、各行の自己資本比率等々あらゆる観点から見て、日本の金融はシステムとしては極めて健全であると思っております。
○吉井委員 よそとの比較でおっしゃったんですけれども、しかし、昨年のあの金融危機以来、そんな簡単なものでないということは大臣よく御存じのとおりです。
それで、昨年提出したときは、全国の金融システム不安は落ちついているとして、今ならできるということでこの機構を提案するんだという話だったんですね。しかし、今まさに百年に一度という金融危機の真っ最中なんですね。金融システム不安の情勢から見れば、実際には設立してはいけないタイミングといいますか、適切なタイミングではないということになるのではないかと昨年の答弁からすれば思うんですが、どうですか。
○与謝野国務大臣 やはり、この問題は金融システムの問題だけで論じるのではなくて、こういう、極めて経験したことのない不況下において、企業をどうやって再生させるのか、特に、雇用や地域経済に大きな意味を持っている企業の再生をどう考えるか、やはり公が出動する必要がある、こういう判断がこの法律の根底、また修正案を含めた法律全体の根底にあると思います。
ただ、もう一つは、一昔前であれば、金融機関が積極的に企業の再生とか金融仲介機能とか、本来果たすべき社会的使命を果たしていただろうと思いますけれども、今の金融機関は極めて萎縮した行動しかとらない。自分の庭先だけきれいであればいいというような風潮が一部に見られる。
そういう状況のもとで、やはり中小企業あるいはもう少し大きな企業の再生を考えていく場合にこういう手段もまた必要になってきたと私は思っております。
○吉井委員 今大臣おっしゃったように、やはり、金融機関の、再生とか仲介機能において社会的に果たすべき役割をきちんと果たさせる、そのためにしりをひっぱたくといいますか、それが今大事なときだと思うんですよ。
地域力再生機構研究会で、産業再生機構を担った高木弁護士が、産業再生機構がエグジットできたのはなぜかということで、「産業再生機構がイクジットできたのは何故かというと、景気が上向きの時だったということ」「資料には「五年後に廃止」とあるが、五年では長過ぎるので、五年以内でなければならない。というのは、やはりこういう景気の状態が長く続くうちにできるだけ早くイクジットすることが必要。」だというふうに高木さんは言っておられたわけです。
機構が行おうとしている外科的手法の再生というのは、景気のいいときは成功の確率は高いわけですね。不況下で行えば、手術を受けた企業自体が死に至る場合があるし、そして、手術を行った機構自体が赤字となって、出資した公的資金が毀損する、こういう問題がやはり出てくると思うんですが、この点についての与謝野大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○与謝野国務大臣 助けを出すとみんな助かって、損は一文もしないというようなうまい話ばかりではないと思っております。
○吉井委員 これまでずっとこの間、金融機関も含めて、官から民へ、規制緩和だ、間接金融から直接金融へ、自己責任原則だとずっと言ってきた人たちが、今度は百年に一度を口実にして、最後は税金で面倒を見ろという発想というのは、これはやはりおかしい。やはり、それぞれのところが社会的責任をきちんと果たすという立場に立ってやらなきゃいけないと思うんですが、この点についても大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○与謝野国務大臣 官から民への流れが当たり前だなどという話は私は聞いたことがないので、官から民がいい場合も、官から民がいけない場合も私はあると。そこはやはり、単純に、官から民がすべて善であるというような単純な考え方は私は間違いだと思っております。
そこで、税金を投入して企業を助けるというのは極めて例外的な場合でして、やはりその企業を助けないと悪い影響が地域社会あるいは日本経済全体に大きく広がっていくというような場合であります。
例えば北海道拓殖銀行が倒れましたときには、これぞ金融ビッグバンだと言って誇らしげに語った方がおられるようですけれども、北海道拓殖銀行を倒した後の北海道経済に残したいろいろな後遺症というのは今なお語り継がれているくらいでございまして、やはりなかなか大きなものを倒すということはできない。そのときには公のお金を使って、民間企業といえども、てこ入れするということは許されるんだろうと私は思っております。
○吉井委員 私は、そういうときに、銀行業界として応援するとか、あるいは日銀特融のような形で応援するとか、いろいろなやり方はあると思うんですけれども、やはり、民間のそういうところがきちんと責任を果たすということが大事で、それを公的資金にというふうに簡単にいくのは、これは感心した話じゃないというふうに思っています。
次に、今度、中小企業関係で少し伺っておきたいんですが、これは政府参考人に伺いますが、中小企業の再生については既に中小企業再生支援協議会があるわけですね。新たに機構をつくる必要があるのかどうかという問題がやはり出てくるわけです。当時、大田大臣は、「中小企業再生支援協議会にこれまでできなかったことは、金融機関に債権放棄を要請するような、いわばハードな再生手段というものが」なかったということでございますというふうに答弁しておりました。
そこで、参考人に伺っておきたいんですが、中小企業再生支援協議会は金融機関に債権放棄を要請できるし、実績はあると思うんですが、実績は何件ぐらいありますか。
○高原政府参考人 お答えを申し上げます。
中小企業再生支援協議会の活動実績でございますけれども、平成十五年に各都道府県にこの協議会が設置されて以来、昨年末までに、全国で一万六千五百二十六社からの御相談に応じてきております。このうち、金融機関との調整が必要な千九百七十一社につきまして、再生計画の策定支援を完了しております。また、これら再生計画の策定を完了した企業のうち、金融機関からの債権放棄を受け、抜本的な債務処理を行ったものは、およそ四分の一に当たります四百六十七社となってございます。
以上でございます。
○吉井委員 ですから、債権放棄の要請が約二千あって、その中で四百六十七の実績があるというのが現実なんですね。ですから、中小企業再生支援協議会を使ってもできるという、これは中小企業分野については大事な点だと思うんです。
要するに、当時大田大臣は、機構の対象として三セクを主眼に置いていて、中小企業の再生については余りきちんと考えていらっしゃらなかったんじゃないかというふうになってくると思うんですが、ではなぜ、中小企業再生支援協議会があるのに新たに機構をつくるのかという、この問題が出てまいります。これはなぜなのかを伺っておきます。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
まず、この機構でございますが、確かに中小企業はもちろん入ってございますが、それ以外にも中堅企業を当然想定してございます。第三セクターもその中の一つと考えているわけでございますが、それ以外に関しましても、地域における重要な中堅企業等についても当然、事業再生の必要な場合についてはこれも対象にしていくということで法案を検討した次第でございます。
また、中小企業の関係でございますが、確かに、中小企業再生支援協議会等においていろいろな活動がなされてございますが、今回の機構におきましては、さらに多数の金融機関等が絡むケース等を含め、債権調整を強力に進めていくケース、さらには経営人材等を派遣するケース、さまざまなケースがございますので、いわば新たな選択肢の一つとしてということも考えていた、こういう次第でございます。
したがいまして、第三セクターのみという形ではございませんで、それ以外の中堅企業等を含めた地域の企業の再生支援そのものを対象にするということでございました。
○吉井委員 三セクは今度外して出てきているわけですが、中小企業再生支援協議会にない機能というのは、機構自体がファンドとなって、リスクをかぶって再生を行うという手法ですね。その際支援対象となるのは支援してもうけが期待できる企業だけとなるのではないかというこの問題があります。
当時の大田大臣答弁でも、「事業再生できるものだけを再生するというのが地域力再生機構の趣旨です。企業価値を高めるというところが地域力再生機構のまさに使命」です、「採算がとれるものだけを扱っていくということになります。」という答弁でした。
それで、伺っておきたいんですが、支援して赤字になるような企業も対象として考えていくんですか。
○宮澤副大臣 始める前からこれはもう確実に赤字になるというような企業を対象にするわけにはいかないと思うわけでございます。これは再生でございまして、別段生命維持装置をつけるということではないと思っております。ですから、始めてみなければわからないといったところはたくさんあると思いますし、また、民間との違いは、利益はゼロでもいいというところがこの機構の大きなメリットだろうと考えております。
○吉井委員 今度の場合、MアンドA的手法でもうけが期待できるのは大体どれぐらいの規模の企業を考えているのかを伺っておきます。
○宮澤副大臣 もうけが期待できるといいますか、出資なり融資なりを、対象とする企業が再生できれば、もちろん融資には金利がつきますし、出資にはある程度のリターンがついてくる。一方で、これが失敗すれば、それは赤字になるということ。
また、恐らく、この機構は相当コンサルタントの機能も強化いたしますので、コンサルタントだけするという場合もこれは出てくるだろうと思います。その場合にはそれなりのコンサルタント料というものが、もちろん、いわゆる民間の一般水準よりははるかに低いことになろうと思いますけれども、収入として入ってくる。
したがって、対象の企業の大きさによるものではないんだろうなと思っております。
○吉井委員 本来、中小企業の支援機構で、再生支援協議会の方でやれる、その分野であれば、別に機構はなくてもいいわけですよ。機構をつくるということは、赤字になるか黒字になるかはやってみなきゃわからないというのは、それはあなたのおっしゃるとおりだけれども、今度はかなり大きなところで、MアンドA的手法で考えていくわけですから、そうすると、もうけが期待できるのはどれぐらいの規模なのか、逆にそこは失敗したら非常に大きな赤字が出るわけですが、大体どれぐらいの規模を考えてやっていくのか。つまり、今ある仕組みとは違うものをやろうというわけですから、そこをやはりはっきりさせておかなきゃいけないと思うんです。
経産省の望月次官が、対象は中堅企業というふうに言っておりますが、先ほどのやりとりを聞いていましても、機構の支援対象としては大企業が別に外れるわけじゃないということでいいですね。
○宮澤副大臣 恐らくこれは、私よりは修正案の提案者の方がお答えをしていただく必要があろうかと思いますけれども、私が先ほどのやりとりを伺っている限りでは、大企業も入る可能性があるというお話でございました。
○吉井委員 結局、もともとの案で入っているわけですが、修正によっても、「中堅事業者、中小企業者その他の事業者」となっておりますが、「その他」は、法律上は大企業も支援の対象となると。その一方、再生利益が期待できない中小企業というのは、実際には、支援協議会の場合とは違ってその対象から外れてくるものになると思われます。
中堅、大企業の再生でもうけが期待できるのであれば、本来これは民間の方で、もともとリターンが期待できるんだったら民間がやるわけですから、民間の方でやればいいことではないんですか。
○宮澤副大臣 再生委員会でどういう企業を再生支援するかという判断をすることになるわけですけれども、まず、例えば中小企業ということになりますと中小企業の再生支援協議会という、ある意味ではスクリーニングをしていただいて、そこで対応できるもの、また、対応できずに、この機構が非常にうまく対応できる可能性があるものはこちらに回ってくるということであろうかと思っております。
そういう中で、支援することによって利益云々ということの御質問でございましたけれども、結果的に利益に結びつくことになろうかと思いますが、あくまでも再生ができるかできないかということが恐らく一番の、この再生委員会でいろいろ検討する際の基準になろうかと思います。
どんなにいろいろ知恵を出しても、いろいろな道具を使っても再生し切れないと判断したところは対象にできませんし、また、そこの再生支援委員会じゃなくて、本当に純粋に民間でできるところがあるのであれば、そちらでやっていただければいい。そういう間、例えば利回りでいえば、一〇%の利回りがなければ対応できない民間と、ゼロであれば何とか対応できる支援機構との違いが、相当幅が広くて、その間の企業が対象になってくるものと考えております。
○吉井委員 政府の方でも大企業向けの再生の仕組みというのはあるわけです。一方、中小企業の方の支援の協議会とか仕組みはあるわけです。なぜそういう中でこれを出してくるのかということがやはり問題になってくると思うんですが、一番大事なことは、本来は、中小企業向けであれば、地域向けであればこれは融資等をきちんと、かつてのようにネガティブなものはだめよと、しかし、この大変な金融経済危機の中では中小企業がきちんと生き残ってやれるまで応援しようという仕組みをつくるということが大事なのであって、出資となりますと、損が出たときには税金の負担となりますから、こういうやり方については、私は根本的にやはり考えなきゃならぬということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。
○渡辺委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
まず最初に、修正について三点ほどお尋ねいたします。
第一条には「有用な経営資源」と書いております。これは具体的にはどのようなものを指しているのでしょうか。
例え話でありますが、地方に行けば、人口の高齢化と過疎化によって売り上げが伸びない地場のスーパーがあります、しかし、そのスーパーが地域ではただ一つの小売店だ、別の店に行くためには車で何十分もかけて移動しなければならない、こういう場面があるわけですね。こうした地場のスーパーはどうなるのか。あるいは、再生できたとしても、再生できたんだけれども店がなくなるということだってあるわけですね。その地域に住む住民は、結果として重大な影響を受けることになる。
「有用な経営資源」とは一体どういうものを指しているのか、まずお伺いいたします。
○大畠委員 重野委員から、現実の地域の状況も踏まえての御質問を賜りました。
私たちも、そういうところに視点を置いて「有用な経営資源」という文言を入れさせていただきましたが、基本的には、その企業の主力の事業によって利益を生み出すことができる状態にあるということを考えておりますけれども、単に過大な債務を負っているというだけでなく再生する見込みのある事業者を対象にするという考えも持っております。
当然、私も、地域の実態の中で、市場原理主義という考え方でいえば、この企業はなかなか現状、例えば、今自動車産業、自動車の製造というのが非常に下になってしまいまして、減少してしまって、その地域の経済というのも今低調になっています。ここのところを、例えばこれから五月、十二月、年末、浮上してくるだろう、そういうことを想定したときには、その企業もまた生き返っていく、そういう見込みがある、そういう状況の場合にはこの対象にしよう。ただ単に現在採算が合っていないからこれは対象にしないということじゃなくて、まさに地域にとって大事なものであるということであればそれを対象にするかということで、その対象を広げるために「有用な経営資源」という言葉をつくらせていただきました。
当然、今スーパーマーケットの話がありましたが、雇用の問題もございます。さらには、その地域にとってその企業が有力なる技術を持っている、あるいは技能を持っている、しかし、今の経済の状況の中で非常に苦しんでいる、しかし、将来といいますか、年末あたりにはまた浮上する可能性が高い、そんなものについては支援対象にしてもいいんじゃないかということで、この「有用な経営資源」という言葉を使わせていただきました。
以上です。
○重野委員 つまり、その存在が地域において価値ある存在である、だけれども経営の面で大変厳しい、そのとき、この仕組みがそこに力を注入することを排除するものではないというふうに受けとめていいと思うんですね。
そういう受けとめをしながら、次に、労働者保護についてお伺いいたします。
企業再建というのは、これはもちろん労使双方の願いである、これはもう十分承知いたします。今回の修正で主務大臣に厚労大臣が含まれたことというのは、そういう背景があってそうしたんだろうというふうに思うし、私は評価いたします。
しかし、そうはいっても、不安もあるわけです。民間の企業再生ファンド等が行った企業再生では、しばしば労使の話し合いというものは全く無視をされて、劇的なリストラが横行しがちなんですね。企業再生というときにリストラというのが一体的に語られる、そういう状況があります。会社がつぶれれば元も子もないという思いは、これは、そこで働く労働者にとってより一層重要なテーマなんですね。
その中で、行き過ぎはきちんとチェックしなければならぬということは言うまでもありませんが、今回、厚生労働大臣が主務大臣に含まれたことで、雇用という問題についてどのような配慮が図られるということを期待していいのか、そこについてお伺いいたします。
○泉委員 ありがとうございます。
先ほど来お話がありますように、やはり、再生には常に雇用の危機がつきまとうということについて、多くの皆様が不安を感じられていたと思います。
そういう中で、今回の修正案で厚生労働大臣を主務大臣に入れるということ一つでいっても、さまざまな厚生労働関係、雇用関係の制度をどのように活用するかですとか、あるいは再就職先のあっせんについてどのように対処するですとか、さまざまな形の雇用に対する配慮をやはり安定的に行っていくことができるんではないかというふうに思っておりまして、そういった意味での労働者保護という観点で今回入れさせていただきました。
もしこれが、修正案の中に厚生労働大臣が入っていなければ、雇用ということについては、残念ながら、やはりもっと重視をされない状況にあったんではないかということを踏まえて入れさせていただいたということでございます。
○重野委員 とかく企業再生というときに、そこで働く労働者ということよりも、株主にいかにいい配当をするか、そのことが経営者の評価の重要なテーマなんだということがよく語られるんですけれども、やはりこの法の精神は、今出されている方向というのは、もちろんそれもあるだろうけれども、しかし、企業にとっては、雇用している何千という労働者の家計を、生活と命を守っているんだという役割と存在感、そのことを私は主張しているんだろうというふうに受けとめておりますし、これは、そういう意味では非常に重要なテーマであるという点を強調しておきたいと思います。
修正に関する最後の質問は施行期日です。政府原案では六カ月を超えない範囲ということなんですが、四カ月というふうになっています。二カ月近く短くしているんですね。その理由をまずお尋ねしたい。
その上で、機構設立の準備は四カ月ですね。十分間に合うんでしょうかということも心配になる。やはり、人も含めた準備にはそれなりの時間がかかると思うんですが、その点について説明してください。
○大畠委員 四カ月ということでありますが、二カ月短くした理由は何かということでございますけれども、実は、私ども民主党が中小企業の再生支援機構法案というものを参議院の方に提出させていただきましたが、この発端は何かというと、昨年の十月のアメリカのサブプライムローン問題を中心として大変な状況になった、こういうことで、民主党の増子輝彦ネクスト経済産業大臣を中心として、急遽、地域の状況を踏まえてこの法律案を提出させていただきました。私どもは、この法律案が成立してから二カ月ぐらいでやれるだろう、こういうことで、法律案には二カ月ということを明記させていただきましたが、政府の方は六カ月、こういうことで、できるだけ早急にこの機構をスタートさせるべきだということで、話し合いの結果、四カ月ということになりました。
もともと、昨年の五月ぐらいから政府の方はこの機構の法律案も出しておりましたし、ほぼ一年ぐらいたっているわけですから、十分な準備期間といいますか、精神的にも事務方的にも準備をしているんじゃないか、そういうことで、この法律案では四カ月で十分できるものと思いますが、さらに短縮するように私は期待したいと考えております。
○重野委員 それでは次に、修正箇所以外の法案の内容について政府にお伺いいたします。
今回のスキームは産業再生機構をモデルとしたというふうに聞いております。世間では、産業再生機構が国民負担を発生させず成果をおさめたと言われています。同時に、産業再生機構が発足したのは〇三年の四月、景気はほぼ底を打った中でのスタートでした。その後、経済は回復局面に向かい、機構が解散した〇七年の三月は景気拡大局面の真っただ中にあった。時間的に見れば、これが産業再生機構の状況だったと思うんです。
したがって、産業再生機構の評価は、こうした経済環境を抜きにはできないのでありまして、この点についてどのように考えておられるか、お伺いいたします。
○宮澤副大臣 委員おっしゃいましたように、産業再生機構というのは大変うまくいった例だと思っております。
今回の機構でございますけれども、やはり産業再生機構で既にある程度ノウハウを蓄積したとかそういったこともございますので、そういう専門家にお集まりいただいて、厳正な審査、計画的な支援実施ということでしっかりやっていきたいと考えております。
時代がよかったというお話がございました。恐らく、産業再生機構、本当にいい、時宜を得た時代だったんだろうというふうに私自身も思っております。一方、今、経済の状況は悪いという御指摘でありますけれども、逆に言えば、ある意味では底から始めるわけでありまして、五年間を見れば、やはりこれもまたうまく成功してくれるのではないかなと期待をしております。
○重野委員 状況が全然違うわけでありまして、したがってどういう現象が出てくるのかということについては予断を許さないと思います。そこのところはしっかり、前がうまくいったから今度もうまくいくんだ、そんなものじゃないという点は共通の認識としてまた持っていかなければならないんじゃないかと思います。
今回の企業再生機構は、早くて秋口には発足すると思うんですね。しかし、経済の状況は、本年はマイナス成長というふうに政府も明らかにしておりますけれども、次年度以降もどうなるのか。一部では、金融市場の不安が一時期ほどではなくなり、秋以降に回復するのではないか、そういう見通しもある一方、また、そうじゃなくて底割れの懸念も依然として強いという状況です。この法案の骨格は、最初の提案がちょうど一年前、サブプライム問題がささやかれながらも経済は依然として拡大局面にある中で、経済回復がおくれている地域を念頭に提案されたものですね。経済状況が全く違う中で、果たして一年前に考えた手法が通用するものなのかどうか、どうもそこのところには疑問を持たざるを得ない。その点、どのように考えておるのか、お聞かせください。
○宮澤副大臣 一年前に提案した時点のことを考えてみますと、まさにバブルが崩壊した後暗黒の十年というのがありました。その間何とか生き延びてきた、しかしその後の景気回復局面でもなかなか事業がうまくいかない、こういう企業が地域にいろいろある、何とかこの企業を再生させなきゃいけない、こういうことだったんだろうと思っております。
その後、おっしゃるとおり、去年の秋以降経済の状況は大きく変わって、それらの企業も、大変厳しい状況がさらに厳しくなっている、さらには、新たな状況の中で厳しくなった中小企業もいる、こういう状況でございまして、この機構の必要性といった意味では、また緊急に、早く設立しなきゃいけないといった意味はますます増してきているんだろうというふうに考えております。
一方、そういった意味で、その手法というのも、恐らくそういう厳しい経済の状況に合わせて再生委員会でどういう支援の形をするのか、また、職員の方にまたいろいろな新しい知恵を出していただきながら尽力をしていかなければいけないものだと考えております。
○重野委員 この法律、スキームの骨格といいますか、それはあくまでも、よく経済を語るときにバランスシートということが言われますけれども、まずその健全化だというところに尽きるんだろうと思うんです。
しかし、現下の経済状況は、蒸発だとかやゆされる急激な外需の落ち込み、これが一方にあります。外需依存の製造業が直撃を受けた、その結果、内需の落ち込みが今後拡大していくという可能性もまだまだ大きいというふうに言えるのではないかと思うんです。もちろん、この機構が万能薬であるとは思いませんが、現在の経済状況の中でバランスシートの改善が、この策を打つことによってどの程度有効に作用するのか、そこ辺の見通しはどういうふうに持っておられるか、お伺いします。
○宮澤副大臣 バランスシートの改善というのが当然のことながら大変大事なことになってまいります。その場合に、将来の売り上げをどう見込むかといったものが、おっしゃるように、一年前と比べて将来の売り上げの見通しというのは当然かなり悪くなってきている。
そういう中で、再生計画を立てるということは大変厳しい状況だろうと思う一方で、これまでやっていた産業再生機構と少し違いますのは、やはり、中小企業、中堅企業といいますと、ある意味で、ノウハウといったレベルで随分大企業とは違っているんだろうと思います。そういった意味では、教えがいがあるというか、コンサルタントしがいがあるというか、そういう知恵を大いに発揮して、しっかりした、まさに債権者の調整を行って、将来心配のないような財務面の改善を図る、その基礎となるのがまさに将来の経営ビジョンといいますか、経営のやり方、その辺のコンサルというのをしっかりやっていかなければいけないと考えております。
○重野委員 最後に、こういうケースが出てくると思うんですが、地方の中小企業などでは、オーナー企業というのが結構多いんですね。個人的な人間関係や、あるいは経営者のカリスマ性とか、そういうふうなものが前面に出て、結果としてその企業が成功したという話もよく耳にいたします。
その中で、そういう方たちに事態が発生をして経営責任が問われる、そういう局面が出てくるケースもあると思うんですね。その際に、例えば債権の株式化であるとか、あるいはその売却、これはオーナー社長の身分に極めて大きな影響を与えること、これは当然予見できるんですね。その結果、いや、それは嫌だと言ってしり込みをする企業も出てくるのではないかと思うんですが、その点はどのような見通しを持っておられるか、お伺いします。
○宮澤副大臣 私の地元でもそうですが、やはり中小企業、中堅企業、地域の企業というのは、個人商店から伸びてきたようなところが多いわけでありまして、そういうオーナーの方がこういう支援機構に入ることを希望するかどうかということですけれども、まず基本的に、再生が必要になる、そういう状況になったということでありますから、経営者としての責任という問題は当然免れないんだろうと思います。
ただ、おっしゃるように、すべての人がでは責任をとってやめるということになるかといいますと、その債権者なりいろいろな方の判断で、この人がいなければちょっと再建は難しいなという場合も当然あり得るんだろうと考えておりまして、一般論で申し上げれば、経営者の責任というものは当然とっていただくだろうと思いますが、ではすべてそれでいくかといえば、やはりケース・バイ・ケースといったことは当然考えなければいけないんだろうと思っております。
○重野委員 時間が来ましたので終わりますけれども、この法律の実際の運用に当たっては、今私が質問してきました、経営をする側と、そこで働いて経営を支えている側と、二つの側面があります。やはりそこのところをしっかり踏まえた対処法というものを念頭に置いてこの法の運用に努めていただきたい、そのことをお願いして、質問を終わります。
○渡辺委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。
○泉委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案のありました株式会社地域力再生機構法案に対して、修正部分を含む原案について、賛成の立場から討論を行います。
まず、このたびの各党協議において、民主党が参議院に提出している通称中小企業の再生・活性化等支援法案を多分に取り入れ、またさらには、極めて異例のことながら、法案の名称、目的等の、そもそもの意義、内容の修正も行い、修正案ができたことを高く評価いたします。
我が国における中小企業、中堅企業は、企業の約九九%を占め、雇用の安定や地域経済に対し極めて大きな役割を果たしている一方で、昨今の経済危機により大変厳しい経営状況に置かれております。そのため、有用な経営資源を有しながらも過大な債務を負っている企業について、事業の再生を支援するスキームを構築することは緊急の課題でした。この観点から、法案の名称変更を初めとする抜本的な内容の変更を行った修正部分を含む本法律案を早急に可決する運びに至ったことは、大変意義深いことです。
以下、賛成の理由を述べます。
第一の理由は、機構の目的、支援対象を、明確に中堅事業者、中小事業者等の再生としたことです。
原案では、支援対象を地域経済において重要な役割を果たしている事業者等としていましたが、法案検討の中で、支援対象はほぼ第三セクターが中心となると想定されていました。しかし、修正によって第三セクターが除外され、再生対象を明確に中堅事業者、中小事業者等にしたことにより、民間事業者の再生支援が進むと思われます。
第二の理由は、中小企業再生支援協議会との連携を明文化したことです。
本法案により設立される株式会社企業再生支援機構だけでは、多数の申し込みを受けた場合、受け付け、検討、支援決定等に時間がかかることも予想されます。このため、中小企業再生協議会との連携を明文化することにより、多くの企業再生が速やかに進むことができます。
第三の理由は、主務大臣に厚生労働大臣を加えたことです。
企業再生に当たっては、当然、従業員の解雇等の雇用問題が発生しますが、厚生労働大臣を主務大臣に加えることにより、雇用問題に配慮した企業再生計画が行われると思われます。
また、施行期日について、公布後四カ月以内としていますが、法案成立後可及的速やかに実施することを求めたいと思います。
以上、賛成の理由を述べ、私の討論を終わります。(拍手)
○渡辺委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、地域力再生機構法案及び修正案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、機構の行う支援が、地域力を再生するどころか、反対に地域力を弱体化させかねないことであります。
昨年、法案を提出した大田担当大臣は、なぜこの時期に機構をつくるのかと問われて、全国の金融システム不安は落ちついている、タイミングとしては今しかない、今できるということでこの機構を御提案した次第でありますと答弁しましたが、一昨年の自動車や住宅のサブプライム問題を注視していなければならない、当時の経済財政担当大臣として、リーマン・ブラザーズ破綻直前の国会でも、金融情勢についての見通しを完全に間違っていたことは明白です。
百年に一度ともいう金融経済不況のもとで、債権買い取りなどいわゆる外科的手法による再生事業を強行すれば、手術を受けた企業もそれに耐え切れず悪化し、機構の方も、弱った企業を抱えたまま立ち往生することになりかねません。
第二に、本来民間がみずから負うべき再生事業のリスクを、機構が、国民の税金を担保にして負うべきではありません。
当時の大田担当大臣は、企業価値を高めるというところが地域力再生機構のまさに使命でありますので、採算がとれるものだけを扱っていくということになりますと答弁していました。採算をとれるもの、利益の上がるものだけを対象とするのであれば、それは、官から民へと言ってきた民間の領域であり、新たに機構をつくり、税金による後始末という保証を担保にして事業に乗り出す必要はありません。
修正案についても、原案のこの本質問題を修正するものになっておりませんので、反対いたします。
以上で討論を終わります。
○渡辺委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました株式会社地域力再生機構法案及び修正案に対し、賛成の立場で討論を行います。
社民党は、政府原案について、経営責任や国の責任、金融機関の責任について触れていないこと、新銀行東京や大阪市の大阪ワールドトレードセンタービルディングなど問題の多い案件が紛れ込む懸念があること、本当に住民にとって必要な事業が切り捨てられ、公営企業の安易な縮小、廃止につながる心配があること、金融機関の損失を税金によって肩がわりすることになりかねないおそれがあること、中小企業再生支援協議会に屋上屋を重ねることになること、機構の再生対象となる事業のリストラを誘発する危惧があることなどから、慎重な姿勢を示してまいりました。
今回の修正によって、支援対象から三セクが除かれ、名称も企業再生支援機構に変更され、中堅事業者、中小企業者の再生を優先するものとなりました。また、新しい機構と中小企業再生支援協議会との連携も盛り込まれることになりました。
百年に一度の危機は、地域経済にも深刻な影響を与えており、この間の経済情勢の激変からも、地域で頑張っている中小企業、地場産業の再生を支援することは不可欠です。人材派遣のニーズにもこたえることになり、本法案を必要としている企業や事業体も少なくないことから、賛成するものであります。
しかし、幾つかの課題も残されています。主務大臣に厚生労働大臣が追加され、雇用への配慮も一定うかがえるものとなっていますが、機構の再生対象となる事業のリストラ促進につながることのないような運用を図るべきであります。また、機構が手がけるのは、民間ファンドがちゅうちょする案件が多くなると思われがちですが、再生失敗による損失リスクが高い案件ばかりを手がけることになると、安易な税金投入、国民へのツケ回しになりかねません。そもそも本案の背景である地域経済の格差拡大や地域経済そのものの疲弊は、この間の構造改革路線によってもたらされたものであり、政府の施策に大きな問題があったことも認識すべきであります。
最後に、新たな機構が、本当に地域や住民にとって必要な事業を維持し、地域経済の真の再生につながるものとなることを期待して、討論を終わります。(拍手)
○渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○渡辺委員長 これより採決に入ります。
第百六十九回国会、内閣提出、株式会社地域力再生機構法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、平井たくや君外七名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○渡辺委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○渡辺委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、加藤勝信君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。
○泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
株式会社地域力再生機構法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 事業の再生は、市場における自主的な取組の尊重を原則とすべきものであることにかんがみ、株式会社企業再生支援機構(以下「機構」という。)が事業の再生支援の決定を行うに当たっては、安易に企業の延命を図ることのないよう、公正かつ中立的な観点から判断を行うものとすること。
二 機構は、事業再生計画の策定及び実施についての労働者の理解及び協力の有無等、事業者と労働者との協議の状況について、十分な確認を行うものとすること。また、再生支援の実施に当たっては、現下の雇用情勢にかんがみ、雇用の安定に十分配慮するものとすること。
三 中小企業の健全な経営が我が国産業の発展の重要な基礎であることにかんがみ、機構は、各都道府県の中小企業再生支援協議会との緊密な連携を図るとともに、機構が中小企業の再生支援を行う場合には、その協力関係の下で、積極的な支援に努めるものとすること。
四 機構は、中小企業者等の事業の実態等を勘案して支援基準の運用を行うものとする等、機構による再生支援を中小企業者等が十分活用し得るよう努めるものとすること。
五 機構による事業者の再生支援に当たっては、支援基準に基づき厳正に判断する等により事業者のモラルハザードを招かないよう努めるとともに、機構の損失拡大により国民負担が生じることがないよう、適正に事業を実施するものとすること。
六 政府は、現下の地域経済情勢が特に緊急な対処を不可欠とする状況にあることを踏まえ、可能な限り早急な機構の設立及び再生支援業務の開始が実現するよう努めるものとすること。
七 政府は、現下の地域経済情勢にかんがみ、再生支援のための事業規模の拡充が必要かつ適当である場合には、政府による追加出資、政府保証枠の拡充等に機動的に努めるものとすること。
八 本法律案の施行期日について、公布の日から四月を超えない範囲内において施行すると定めているが、諸般の経済状況を考慮し、公布後、三箇月程度を目標に施行すること。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○渡辺委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。与謝野国務大臣。
○与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
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○渡辺委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十四分散会