第14号 平成21年6月10日(水曜日)
平成二十一年六月十日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 渡辺 具能君
理事 加藤 勝信君 理事 渡海紀三朗君
理事 西村 明宏君 理事 平井たくや君
理事 平田 耕一君 理事 泉 健太君
理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君
あかま二郎君 飯島 夕雁君
稲田 朋美君 宇野 治君
遠藤 宣彦君 大高 松男君
大塚 拓君 岡本 芳郎君
上川 陽子君 木原 誠二君
木挽 司君 河本 三郎君
佐藤 錬君 長島 忠美君
並木 正芳君 西本 勝子君
馬渡 龍治君 松浪 健太君
武藤 容治君 村田 吉隆君
山本ともひろ君 市村浩一郎君
枝野 幸男君 吉良 州司君
佐々木隆博君 西村智奈美君
平岡 秀夫君 山田 正彦君
笠 浩史君 池坊 保子君
高木美智代君 吉井 英勝君
重野 安正君
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国務大臣 小渕 優子君
内閣府副大臣 増原 義剛君
内閣府大臣政務官 宇野 治君
内閣府大臣政務官 岡本 芳郎君
内閣府大臣政務官 並木 正芳君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 山崎日出男君
内閣委員会専門員 島貫 孝敏君
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委員の異動
六月十日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 西本 勝子君
遠藤 武彦君 木挽 司君
遠藤 宣彦君 武藤 容治君
篠田 陽介君 飯島 夕雁君
中山 成彬君 稲田 朋美君
長島 忠美君 山本ともひろ君
楠田 大蔵君 枝野 幸男君
同日
辞任 補欠選任
飯島 夕雁君 篠田 陽介君
稲田 朋美君 中山 成彬君
木挽 司君 遠藤 武彦君
西本 勝子君 赤澤 亮正君
武藤 容治君 遠藤 宣彦君
山本ともひろ君 長島 忠美君
枝野 幸男君 楠田 大蔵君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公文書等の管理に関する法律案(内閣提出第四一号)
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○渡辺委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、公文書等の管理に関する法律案を議題といたします。
この際、本案に対し、上川陽子君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。上川陽子君。
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公文書等の管理に関する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○上川委員 ただいま議題となりました公文書等の管理に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派の提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び概要について御説明申し上げます。
本修正案は、これまでの当委員会における議論を踏まえ、国民の期待にこたえ得るよりよい公文書管理の法制度を実現するため、与野党を通じた立法府の意思をもって政府提出の法律案を修正しようとするもので、先般来、与野党において協議を行い、取りまとめたものであります。
その主な内容は、第一に、目的に、「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」を明記することとしております。
第二に、行政機関の職員は、この法律の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、または検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、法令の制定または改廃及びその経緯その他の事項について、文書を作成しなければならないこととしております。
第三に、行政機関の長は、行政文書ファイル等について、保存期間の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、国立公文書館等への移管の措置をとるか、廃棄の措置をとるかを定めなければならないこととしております。
第四に、行政機関の長は、その保存する行政文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならないこととしております。
第五に、行政文書ファイル管理簿及び法人文書ファイル管理簿の公表に関する措置は、公文書等の管理に関する法律において定めることとしております。
第六に、行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならないこととするとともに、内閣総理大臣は、行政文書ファイル等について特に保存の必要があると認める場合には、当該行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書ファイル等について、廃棄の措置をとらないように求めることができることとしております。
第七に、内閣総理大臣は、行政文書管理規則または利用等規則の制定または変更について同意をしようとするときは、公文書管理委員会に諮問しなければならないこととしております。
第八に、行政機関の長及び独立行政法人等は、それぞれ、当該行政機関または当該独立行政法人等の職員に対し、公文書等の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うこととするとともに、国立公文書館は、行政機関及び独立行政法人等の職員に対し、歴史公文書等の適切な保存及び移管を確保するために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うこととしております。
第九に、行政機関の長及び独立行政法人等は、統合、廃止等の組織の見直しが行われる場合において、見直し後における行政文書等の適切な管理のための措置を講じなければならないこととしております。
第十に、附則に行政文書及び法人文書の範囲その他の事項に係る検討条項を規定することとしております。
以上が、本修正案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○渡辺委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山崎日出男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬渡龍治君。
○馬渡委員 自由民主党の馬渡龍治でございます。
きょうは、副大臣、政務官、どうぞよろしくお願いいたします。主に質問はこちらにさせていただきます。大臣はごゆっくりしてください。
先ほど上川議員から、「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」、まさにそのとおりであると思います。
そして、しっかりと公文書を管理していただけば、まだはっきりと解明していない日本の国のいろいろな歴史上の問題、これに対しても、公文書が中立で公正な証人となってくれると私は思いますので、今回の法律ができて公文書がしっかりと管理されますように願っております。
そこで、質問いたしますが、公文書の管理を適正に行う、また効率的に行うということは、国が意思決定を適正かつ円滑に行うためにも、また国の説明責任を適切に果たすためにも必要不可欠であると思います。しかし、今の現状では、公文書の管理について各府省、役所がそれぞればらばらで対応していますので、ここのところは、適正でかつ効率的な公文書管理を実現するための体制は、残念ながら今は不十分だと思います。
こうした点を踏まえて、公文書管理を行うことの意義及び本法案を提出した趣旨についてお伺いしたいと思います。
○並木大臣政務官 まさに先生御指摘いただいたとおりでございまして、公文書というのは、主権者たる国民が知的資源として活用して行政等への理解を深めていく、また行政も同時に、説明責任を果たしながら、国民にきちっと意思決定等のそうした面も理解していただく。相互に、そうした意味でお互いが力を合わせて国をつくっていく。そういった点で非常に貴重なものでありますし、また、過去とか歴史から学んでいって、それを将来にも生かしていく、それはずっと継続して、国民の中にそうしたものが受け継がれていくということが大変重要であろうかと思います。
そういった点から考えて、今御指摘いただいたとおり、これまで、ともすると管理が不十分というか、各省庁でそれぞれの判断によって廃棄されたりしてきたというところもあろうかと思います。そういった点で、これからますます適切な管理ということがまさに求められるわけでありますけれども、公文書等のライフサイクルを通じて統一的な管理ルールを決めていく、そして歴史公文書等の統一的な保存及び利用のルールについて定めていく、そういうことによって国の責任を果たしていかなければならない。まさに民主主義の基本的なインフラで、これをきちっとしなければ民主主義が支えられないんじゃないか。
そういった点において、今回は、国民目線に立って、そうした公文書の価値観というものをもう一度しっかりと考えながら体制を整備していく、そういうことで重要であるかというふうに考えております。
どうぞよろしくお願いします。
○馬渡委員 これからの、ずっと未来にわたっての日本の国の、日本の国民の知的資源であるわけでありますから、その重要性をぜひ担当する職員の方々にも認識していただきますようにお願いいたします。
続いて、修正案の提案者の方にお伺いしたいと思うんですけれども、この法案については与野党で修正の協議がなされましたが、今回の修正のポイントについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○上川委員 お答えをいたします。
今回、与野党の協議を通じまして、立法府の意思として修正案が取りまとめられたということに対して、本当に心から感謝したいというふうに存じます。
御質問の修正のポイントということでございますが、まず、第一条の目的規定の見直しであります。
先ほど指摘されました公文書の大変重要な役割、国の活動や歴史的な事実の正確な記録としての公文書の役割は大変大事なものがある、この民主主義の根幹を支える基本インフラであるという認識、また同時に、国民に対しての説明責任を果たす上でも大変大事な財産である、こういうことであります。このことをしっかりと目的規定の中に明確にしていくことは、国民の皆さんにとっても理解をしていただくことにもつながりますので、そういう意味で、ここにしっかりとその意図、意思というものを反映させるべく明記をしたものでございます。
第二点目は、作成すべき文書の範囲の具体化及び明確化であります。
どういう文書が行政文書であるかということにつきましても、国民の皆さんからの理解がなかなか得にくいということもありますので、先ほど申した一条の目的規定にしっかりとこたえ、それを達成するために、文書を適切に作成することの重要性ということを踏まえて、行政機関の意思決定のみならず、その経緯も含めた意思形成過程や事務事業の実績を合理的に跡づけることができるように文書を作成することが大事であるということについて明文化したものでございます。
それから三点目といたしましては、行政文書ファイルの廃棄ということが大変大きな課題になりました。ここにつきましては、それぞれの行政機関ではなく、やはり内閣総理大臣が統一的にその同意をすることによって担保していくという規定でございます。
行政機関の長が、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときには、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならないこととしておりまして、これは八条の二項の規定でございます。
さらに、八条の四項の規定におきまして、内閣総理大臣は、行政文書ファイル等について特に保存が必要であると認める場合には、当該行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書ファイル等についての廃棄の措置をとらないこととするよう求めるという規定を設けたものでございます。
また、四点目でありますが、やはり、公文書が適切に管理されるためには、何よりも職員の皆さんの意識改革が大変大事であります。そういうことも含めまして、行政機関等の職員の研修に係る規定というものを設けたものでございます。
主なポイントということで御説明を申し上げました。
○馬渡委員 今、上川議員からの答弁の中に、私が次に内閣総理大臣の権限についてお伺いしたいと思うんですけれども、今お話しをいただきましたので。
アメリカの公文書館は、館長の許可がなければ勝手に廃棄できないという強い権限を持っているようでありますが、日本においても、内閣総理大臣に強い権限を持っていただいて、本当に力強いリーダーシップで統一されたルールで管理がなされますように、よろしくお願いいたします。
同じく修正案の提案者にお伺いしたいんですけれども、この修正案の附則第十三条第二項の中に、国会及び裁判所の文書の管理のあり方については、この法律の趣旨、国会及び裁判所の地位並びに機能等を踏まえ、検討が行われるものとする旨の規定がありますけれども、それでは、この検討はだれが行うのか、そこのところをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○上川委員 御質問の修正案の附則の第十三条第二項というところでございますが、この規定につきましては、この法律の趣旨、国会及び裁判所の地位及び権能等を踏まえて、国会、裁判所それぞれにおいてなされるものであるというふうに理解しております。
立法府、司法府の文書につきましては、三権分立のもとでそれぞれ管理が行われているところでございます。国民の皆さんからとりましては、国家機関の意思決定に係る記録ということにつきましては、これは何も行政府だけではございません。立法府や司法府の中にも、公文書がたくさん作成されて、そして保管されているものでございます。
今回、行政府の公文書管理のあり方等の見直し、この機会にこれを参考にしていただいて、適切な措置が立法府にも司法府にも及んでほしい、こういう声が国民の皆さんから寄せられているということでありますので、それを踏まえて、附則第十三条第二項にこうした規定を設けたところでございます。
○馬渡委員 私からもぜひお願いしたいのは、きょうの質問じゃありませんけれども、例えば法務省の刑事事件の関係の文書というのが、明治十四年以降、公文書館に移管されていないんです。ですから、戦前、戦中、戦後の日本の国としての真実というものをある程度究明していくためにも、その中にひょっとしたらヒントとなる文書も、まだ出ていないものがあるかもしれない。そこのところは私個人の思いなんですけれども、大いに検証していただいて、まだあいまいになっている部分をそろそろもう、日本の国としてしっかりと検証して、間違ったところは間違っていますよというようにしていくためにも、その過去の文書というのが大変貴重なものとなりますから、そういったことで、ぜひこういった裁判所関係の文書も重要なものはしっかりと判断していただきたいな、そう思うわけであります。
今回のこの法律ができて、新しい枠組みができます。でも、国立公文書館の職員の方というのが四十二名ですか、それでこれだけの膨大な文書を取り扱っていくんでしょうから、そこを適切に処理していく能力というのが、処理能力というのが、だれが見たって、この人数でやれるわけがない、そう思うと思います。ですから、せっかく法律をつくっても、そういったところの処理能力を向上していくような環境整備をしていかなければ、それこそ、仏をつくって魂が入っていないということになろうかと思います。
ですから、本当に公文書館の専門的な知識を生かして、内閣総理大臣が政府全体の公文書管理に取り組んでいかなければならないんですけれども、そのためには、公文書館の人員の増強、それから各省庁の文書を扱う職員の方のスキルも向上していかなければ、やはり対応できないと思います。そういった人員の拡充や職員のスキルアップ、こういうことにまず初めに取り組まなきゃならないと思うんですけれども、そこのところはどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。
○増原副大臣 馬渡委員の御指摘でありますが、二つあると思います。
一つは、まさに行政組織そのもの、まさに公文書をつくるところがきちっとした形でそれを作成する、この能力が一体十分かどうか。私は、どうも十分ではないというふうに思っております。
それから、第二点目の公文書館の方の組織あるいは体制のあり方でありますが、御指摘のように四十名強の極めて少ない、一見効率的にやっているというふうに見えなくもないんですが、諸外国の例を見れば、とてもそれは十分とは言えないだろうというふうに思います。そして、スキルの方、管理の技術、能力、こういう点についても諸外国の例を見ながらさらにレベルアップを図っていかなくてはいけないというふうに思っております。
いずれにしましても、行財政改革厳しき折に、どういうふうに人的な資源を投入していくか、一律に独立行政法人だからこれだ、私も党の行政改革推進本部で、これでいいのかなと思いながらやったことがありますけれども、どうもそういうものであってはいけない。消費者庁のときも、国民生活センター充実せよという声が与野党問わずありました。そういう意味で、めり張りをつけたこれからの定員管理なり研修をしっかりやっていかなくてはいけないのではないか、そのように思っております。
○馬渡委員 ぜひ、国の基本にかかわることでありますから、そしてこの公文書の管理の最高責任者が内閣総理大臣ですから、この法律ができて、当然そういった予算のことについてもお考えいただけると思いますが、大臣初め副大臣、政務官の御活躍によって、そういった適正な管理ができる組織づくりに向けてまず御尽力いただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。
きょうは、公文書管理法案の修正案を中心に質問をしたいと考えております。
多くの方々の御協力やら思いやらがいろいろ詰まったこの公文書管理法とその修正案でありますけれども、私は、率直に言って、この修正案はかなりの程度評価できるところまで来たのではないかというふうに考えております。当然のこと、積み残しの課題もいろいろあるわけですけれども、しかし、この法案ができたからといって公文書管理の課題がすべて解決するわけではなく、これからも不断の見直しが必要、不断のチェックが必要なものでありますので、そういった意味では、ようやくきょうスタートラインに立てるのかなという思いがしております。
修正案のポイントについて、それぞれ確認的にお伺いをしていきたいと思います。
まず、第一条の修正でありますけれども、「主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ」、このように文言が追加をされました。かねてより私たちは、いわゆる知る権利を情報公開及び公文書管理の中にはきちんと打ち出すべきだと主張してまいっておりますけれども、この部分については、いわゆる知る権利のことであるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○枝野委員 御指摘の規定は、直接的には公文書の有している性格について規定をしているものでありますが、公文書に対して主権者が、国民が主体的に利用し得ると言っているということは、裏返せば、それを権利と呼ぶかどうかは立場によって、場合によっては提案者の中でも意見が違うかもしれませんが、国民の側は公の文書に対してアクセスできるものなのであるということの裏返しになっているわけですから、ある意味で知る権利を前提としているという理解をしていただいていいと私は認識をしています。
○西村(智)委員 次に、第四条でありますけれども、ここのところはいわゆる文書の作成の項目でありまして、修正の中でも非常に議論のあったところだと承知をしております。
この第四条の第一号から第五号まで項目が具体的に追加をされております。この第一号から第五号については具体的事項として列記しているものであり、そのほかの項目についても、この第四条で定めているとおり、「当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」にその他の項目についても作成しなければならないということを定めているというふうに理解してよろしいでしょうか。
○枝野委員 委員も御理解のとおり、実はここのところはなかなか難しく、つまり、すべてを列挙することは、行政の広範さ、それから多様性を考えると多分不可能であるけれども、実際に文書を作成する公務員の皆さんにとっても、あるいはそれをちゃんと記録してもらいたいという国民の立場からとっても、ある程度こういったものはちゃんと文書をつくるんですよということをできるだけ明確にしたいという中で一号から五号までを列挙いたしましたが、条文にもございますとおり、「次に掲げる事項その他の事項について」となっておりますので、この一から五の各号の規定に準じて、しっかりと必要なものは文書を作成していただく、そういう内容になっております。
○西村(智)委員 さらに、これはこの委員会の質疑の中でも論点として出てきた項目でありましたけれども、政府が何か政策決定をする際に、基礎的な調査を外部委託するケースが多々あると思います。その外部委託された調査結果は、最終報告は出てくるでしょうけれども、その本当に大もとのもととなるもとデータを取得することができずに、例えば道路計画の合理性を判断するときには、もとデータがないので問題になることが多々あったりいたしましたが、今回の法案では、この外部委託されたもとデータの取得については行政文書の定義あるいは整理でも規定をされておりません。しかし、今回の公文書管理法及び修正案の趣旨に照らせば、政府はその取得に努めるべきであるというふうに考えますが、この点、提案者はいかがお考えですか。
○枝野委員 御指摘のとおり、今回の規定の中は、修正案も含めて、取得ということについての規定はしておりません。しかしながら、外部委託して得られたデータや結論についても、それが官公庁に提出をされればそこの保持する文書になりますから、それぞれの内容に応じて管理をしていくということの中に当然入ってまいります。
そうしたときに、例えば先ほど御質問もありました四条の各号で、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程云々かんぬんを合理的に跡づけ、または検証できるように文書を作成してくださいという明文の規定がございますので、直接は適用になるわけではありませんけれども、それが重要な意思決定にかかわるデータの部分であるならば、当然役所の方に提出されるであろうし、提出された時点でしっかりと保存すべき文書の範囲に入るということが、こうした規定などから、当然に各行政官庁はしていただけるものだというふうに理解をしております。
○西村(智)委員 続いて、第六条の第二項であります。「当該行政文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならない。」という条文が新たにつけ加わりました。これはいわゆる中間書庫のことを指していると理解してよろしいのでしょうか。
○枝野委員 このこと自体が中間書庫をつくらなければならないというようなことを規定しているものではございません。実際に中間書庫をつくるとすれば、どこに、どういう形で、どういうルールでという詳細を決めなければなりませんが、しかしながら、中間書庫を必要とするということの物の考え方のベースとこの規定の物の考え方のベース、つまり、ファイル等の集中管理をしていかないと、それらをさらに廃棄するのか、公文書館に移すのかとか、そういう整理を含めて、いろいろなことの管理がうまくいかないだろう、だから、できるだけ一カ所に集めて集中管理した方がいいという物の考え方の中からは、それが物理的にも一カ所に集めた方が機能的、効率的であるし、その場所が十分に確保される等ということがあれば、この規定の中からでも、その運用において中間書庫をつくることは排除していないというふうに思いますし、なおかつ、可能であるならば、そういう方向に進んでいくことを期待している規定であるというふうに思っております。
これこそまさに、実際に運用を始めて、そうしたことの中で中間書庫という段階にどういうふうに進んでいけるのか、いくとすれば、それを改めて近い将来の法改正で行うのか、運用で行っていくのかということが、運用開始後の早い段階で多分議論をせざるを得ないというか、すべきテーマであろうというふうに理解をしております。
○西村(智)委員 続いて、第七条であります。第七条の第二項及び第十一条の第三項。
ここで、行政文書ファイル管理簿をいろいろな方法により公表しなければならないということになったわけで、この点はとかく、行政文書ファイル管理簿などがわかりにくいとか扱いにくいという指摘が多々あったところでありますので、この点については、修正は大変評価できるのではないかと考えております。
ただ、その際、やはりファイル名のわかりやすさについては同時に配慮していかなければ、せっかく管理簿を公表しても役に立つとは言えないのではないかと思っておりまして、ファイル名のわかりやすさについて配慮すべきといういろいろな方面からの指摘について、提案者のお考えはいかがでしょうか。
○枝野委員 従来の政府案でも「名称を付する」ということにはなっておりましたが、今回の修正で、そのファイル管理簿を一般の閲覧に供し、公表するということになって、一般の皆さんがそれを見て参考にするといいますか、その情報を得るということになりますから、役所の内側の人たちがその名称を見てわかりますということだけでは、この条文が入ったことによっての意味がないということになっている。つまり、情報公開等に資するために、その管理簿をごらんになる一般国民の皆さんがわかるような名称を付するんだということが、私は必然的に、この修正が入ったことによって、内閣には、各行政官庁には付されていると。
問題は、具体的にその付し方というのは、なかなかそれぞれ、いろいろな行政の種類によって、文書の種類によって、一律に決めることはできませんが、わかりやすく最大限、例えばキーワードを幾つか並べたような名称にするというような努力をするということは、これによって法的に裏づけられているというふうに理解しています。
○西村(智)委員 次に、この公文書管理全体についての課題でありますけれども、例えば、第六条について中間書庫についての検討が進むことを期待されており、また、行政文書ファイル管理簿の公表などについても取り組むなどということになりますと、全部ではありませんが一部から、公文書管理をすることは、逆に面倒だし、行政の仕事をかえって煩雑にするし、また、費用もかかっちゃうんじゃないか、こういう批判があるようであります。
しかし、本来の公文書管理というのは、それを適切に行うことで究極の行政改革にもなるわけですし、ある意味、国民の皆さんにわかりやすく政策、事務事業などの形成過程をお知らせする、見ていただくという点でいえば、まさに必要な民主主義のコストであるというふうにも考えますけれども、この点について提案者はどういう御見解でしょうか。
○上川委員 今回の公文書管理法が制定されますと、文書が作成されたところから移管、廃棄の長い時間のプロセスの中で、それぞれ、作成者から、整理をしたり、また、保存や保管をしていくというさまざまなかかわりが生じます。それを統一的、一体的に進めるという制度になっておりますので、そのことを進めることによって、逆に、行政のある意味では非効率さというものを是正する、大変大事な財産になるというふうに思います。
先ほど他の委員からの御指摘がありました、現在の体制というのは、人員面でも、また予算面でも、施設面でも、他国と比べても大変貧しい状況であるということでありますので、この文書管理の法律がしっかりと対応していくべく、そのための基盤を整備していくということをしっかりやっていけば、逆に、初期投資は高いとは思いますけれども、うまく進むことによって、その後のメンテナンスはコストがむしろ削減するというような効果も期待できるというふうに思っておりまして、そのことをこの法案が後押ししていくということにつながるというふうに思っております。
○西村(智)委員 ありがとうございます。
続いて、第三十三条でありますけれども、これは、行政機関ないし独立行政法人等が組織の見直しを行う場合の行政文書等の管理についての規定であるわけですけれども、第二項で、独立行政法人等も適正な文書管理を行いなさいという対象に加わっております。
そこで、お伺いなんですけれども、第二項で言うところの、独立行政法人等が民営化等される場合の、記載されておりますところの「この法律の規定に準じた適正な管理」が行われなければならない、この「適正な管理」というのは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。
○枝野委員 独立行政法人等が民営化等される場合にはいろいろなケースがありまして、例えば、既存の組織が廃止をされて、新組織が民間でつくられて、そこに引き継がれるというようなケースもあり得ます。
例えば、こういった場合に、組織がなくなっちゃうんだからということで、その独立行政法人が持っていた文書を全部破棄されるということでは困ります。あるいは、民営化をされますと、この法律による公文書としての管理の対象ではなくなってしまいます。そこから先、もうどう捨ててもいいんだとか、そういうことになってしまったのでは、少なくとも行政の一翼を担っていた時代の記録がそこで途切れてしまうということになっては困ります。
したがいまして、廃止をする場合であっても、そうではなくて組織引き継ぎで民営化される場合であっても、これはもう民間になるんだからということで、一たん関係する省庁にその文書を移していただくとか、あるいは、引き継ぎ民間団体においてこれはちゃんと管理をしてくださいということを決めて、そのことを引き継ぐとか、もちろん、それぞれの文書の種類と民営化の性質等によって、組織変更の形態によって、具体的なものはケース・バイ・ケースで違ってきていますが、それまで独立行政法人としてしっかりと管理をしなければいけなかったということの趣旨に照らして、必要なものはしっかりとしかるべきところに残すということをやっていただかないといけない。
この規定がないと、最初に申し上げましたとおり、組織がなくなるんだから全部捨てちゃうということは、さすがに現実にはされないとは思いますけれども、そういうことが間違ってもないようにきちっとやってくださいという規定を置いたということでございます。
○西村(智)委員 続いて、ちょっと一つ抜かしてしまいました、第八条の第二項と第四項でありますけれども、これは、廃棄について内閣総理大臣の同意を必要とするという条文であります。結果として、行政機関の長の、言ってみれば恣意性が排除されるので、大変評価できる項目だと思いますが、この立法趣旨について伺いたいと思います。
公文書管理は、当面はやはり政治のリーダーシップで行われるべきことでありますけれども、将来的に、人材育成がきちんと行われ、公文書館の位置づけももっと明確になったときには、政治的中立性に配慮してこれは行われるべき性格のものであろうと考えます。この点について提案者に伺います。
○枝野委員 御指摘のとおり、本来、公文書の管理については、専門家が専門的、中立的な観点から行うのが望ましいというふうに思います。ただ、現状では、日本の国内においてそうした専門家の方が必ずしも多くない。ですから、そこをしっかりと育てようという規定も置いております。
それと同時に、もう一つは、日本の行政システムが、現行憲法の現行解釈上、各省庁の分担管理ということで、役所ごとにルール、基準が全然違うという中で進んできておりますので、これをしっかりとどの役所においても、もちろん、行政の性質上、いろいろな違いはあるとしても、基本的な基準や考え方、ルール、ベースは一緒ですよということで、おかしな捨て方はしないでくださいねということをやるに当たっては、これは内閣総理大臣という内閣の長、首相たる内閣総理大臣のところで強い政治的リーダーシップを持って行いませんと、各役所の横並びで官の役所をつくっても指揮命令監督権がございませんから、現状までの歴史的な経緯というもの、それを、基準をしっかりと横並びさせていくという段階、そして、それが専門家が育っていくプロセスとちょうど重なってくるということで、現状においてはこういう形をとった。
できるだけ早い段階で、より中立的、専門的な機関で判断をしていくというところに進んでいければいい、これは個人的に思っております。
○西村(智)委員 続いて、附則について、二点ほど伺いたいと思います。
附則の第十三条第一項において、「行政文書及び法人文書の範囲その他の事項について検討を加え、」というふうに記載をされております。公文書管理法は行政情報公開法とやはり車の両輪であると言われますし、行政文書の定義については不断の見直しが必要と思いますけれども、ここで言うところの「行政文書及び法人文書の範囲その他の事項」は、そういったものを含むというふうに理解してよろしいでしょうか。
○枝野委員 これはもう端的、率直に申し上げますが、ここは政党間の協議の中でも、行政文書の定義の余計な限定は要らないのではないかということで、議論、意見が分かれました。
これは、私どもとしては、組織的に用いるというような限定は要らないのではないかというふうに考えておりますが、ただ、従来の情報公開法と横並びであるべきだろう、あるいは、もしこの限定を外すとしたときに、では、外すだけでいいのかとかという議論が、必ずしも各政党間で一致した結論を出せる状況ではなかったということの中で、きちっとこういうことも含めて、範囲という以上は定義も含んでいる、定義より広い概念だと思いますので、そうしたこともこれからも議論の対象として、何が行政文書としての定義、範囲としてふさわしいのかを検討していこうということで、こういう規定を置いていただいたということでございます。
○西村(智)委員 最後に一点、附則の第十三条第二項でありますけれども、いわゆる有識者最終報告で言うところの国立公文書館を特別の法人とするということに向けて、提案者はどのような形でこの検討が行われるべきであるというふうに考えていますか。
○枝野委員 国立公文書館には、行政文書だけではなくて、司法関係の文書や立法関係の文書もしっかりと保存していくということが本来の姿であるというふうに思います。
そうした場合においては、行政文書については、行政の内閣提出法案で、行政の一機関としての独立行政法人として国立公文書館が管理をするということで全然問題はないわけですけれども、これが立法関係や司法関係の文書に関与するということになると、まさに三権分立の観点から、行政の一機関が最高裁判所や国会に対して何らかの権限行使ということはできません。
そうすると、では、行政文書だけではない、司法や国会の文書をどうするのかということについての、先ほど上川提案者からもありました議論と並行しながら、そうした文書も包括して公文書の全体管理をする機関というのは、私自身は、特別の機関ということは現行憲法上も可能である、講学上は、よく中学や高校の憲法の教科書では三権分立と書いてありますけれども、大学レベルの憲法の教科書は三権分立だなんてどこにも書いていなくて、権力分立としか書いてありませんので、三権である必要はない、特別な機関として、現行憲法上も国立公文書館を置いて、そこが司法や立法についても一種中立的に文書管理をできるようなことを将来的に議論の中で合意形成ができていけばいいな、こんなふうに思っております。
○西村(智)委員 ありがとうございました。
時間ですので、終わります。
○渡辺委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
前回の委員会の質疑の中で、防衛省の宇宙開発利用推進委員会の議事録が作成されていないことが改めて明らかになりましたが、小渕大臣からは、意思決定過程における文書が残っていないという事実が明らかになっているのだと思うという答弁がありました。
平和な宇宙開発の一つに、例えば宇宙太陽光発電とマイクロウエーブを使った伝送システムの研究開発というのがあるんですが、しかし、これはキラー衛星技術と結びつく問題も持っているわけなんですよ。それだけに、日本のこれまでの宇宙開発の成果や国際的信頼を損なわないように、そして行政の文書主義をきちんと守っていくように、やはり大臣として、防衛省に、この宇宙開発利用推進委員会のまず会議録をきちんと作成しなさいということと、この間御紹介したように、会議録の、メモ書き程度の、名前だけぴゅっぴゅっと載っているような、これは議事要旨とも言えないものですね。やはりそういうものはもう少しきちんとしたものにして公開をしなさいと、そういうふうにさせていくことが法律を生かしていく上で大事だと思うんですが、まず最初にこのことを伺います。
○小渕国務大臣 お答えをいたします。
委員が御指摘のように、意思決定過程も含めて文書を作成、保存することの重要性につきましては、私どもも全く同じ意識を持っておるところであります。
これを踏まえて、政府案では、第四条におきまして、意思決定並びに事務及び事業の実績について文書を作成しなければならないという形で、その趣旨を盛り込んだところであります。
しかしながら、この規定ぶりでは、経緯も含めた意思決定の過程や事務事業の実績を合理的に跡づけることができる文書を作成、保存するようにするという趣旨が必ずしも明確ではないという御懸念から、今回の修正案におきまして、そのことを条文上明記する形の修正がなされているものと認識をしております。
○吉井委員 今おっしゃった政府案四条にかかわるところなんですが、この点では、さきの防衛省の宇宙開発利用推進委員会は、宇宙の軍事利用をどういう分野で進めていくのかというのを具体的に記述した宇宙開発利用の基本方針というのをことし一月十五日に決定していますが、その宇宙開発利用の基本方針を決定するに当たっての文書がどのように作成されているかの資料を出していただきたいと求めても、宇宙開発利用に関する基本方針について決定するという決裁文書だけ出てくるんですね。方針決定までの議論の過程、つまり意思決定に至るまでの過程についての資料というのは一切出てこない、こういう問題がありました。
これは防衛省だけの話じゃないです。私はずっと宇宙の関係をやっているものですからあれなんですけれども、内閣の方の宇宙開発戦略本部、あそこの専門調査会の議事録も、六月二日に決定された政府の宇宙基本計画の会議録も作成されていなくて、宇宙基本計画の作成に至るまでの過程に関する文書もないわけですよ。
だから、議事録を作成していないという不適切な問題に加えて、行政の意思決定が密室議論でされているというかなり典型的な事例だと思うんですが、大臣の方に、やはり意思決定過程も文書化をきちんと義務づけ、公開するべきだ、簡単に軽微なものとは扱わない、そういう立場で臨んでいただくことが大事じゃないかと思うんですが、伺います。
○小渕国務大臣 委員御指摘の点はまさにそのとおりでありまして、ただ単に意思決定のみならず、その意思決定に至るまで、どのような経緯でその決定がなされたかということもしっかりと残し、また管理をしていくべきではないかと考えております。
○吉井委員 実は、次に文化庁にかかわる問題で伺っておきたいんですが、ユネスコ世界遺産への登録が検討されている大阪府の百舌鳥古墳群と古市古墳群、巨大前方後円墳がたくさん築かれている地域なんです。私は百舌鳥古墳群のところにかつて住んでいたこともありますから毎日のように見ていたんですが、古市古墳群の中で最初に築かれたと考えられているのが、藤井寺市の津堂城山古墳というのがあります。この古墳は周濠が二重にめぐっていることがわかっているんですけれども、国指定の史跡にされているのは内側の堀だけなんです。また、史跡の範囲の中を府道大阪羽曳野線というのが通っておりまして、なぜ外側の堀の部分を史跡にしていないのか、そういう問題がやはりあるわけなんですね。
せっかくユネスコ登録を考えているときなんですが、何で外側の堀は史跡に指定されていないのか、なぜ府道が走っているのか、そういういろいろな問題がありますから、実は文化庁の方に、史跡指定の経緯を示してもらいたいと求めたわけですよ。そうしたら、三十年から五十年以上たっておって資料がなかなか見つからなくて、詳細がわからないという話なんですね。
ユネスコ登録を考えるという大事なときに、文化庁の意思決定の過程すらわからない、こういうことではなかなか、国際的にもちょっと恥ずかしい話ですから、やはり、行政の意思決定の過程をきちんと文書化するのはもとより、まず保管をする、そのことが非常に大事なことだと思うんですが、保管について伺っておきます。
○山崎政府参考人 適切な文書の保管についてのお尋ねでございますけれども、この法案が成立した場合には、この法案の趣旨に沿って適切な保管がなされ、また、意思決定の途中も適切に保存できるように努めてまいりたいと考えております。
○吉井委員 これからの話はこれからにしても、本来だったら、捜しまくればと言ったら変ですけれども、きちんと捜して、あいまいになっているものもきちんと管理しないと、ユネスコ登録だといったって国際的に笑われてしまうような話になりますから、そこをまずきちんとやってもらいたいと思います。
次に、先日の参考人質疑のときの意見陳述で福井参考人が言っておられましたけれども、情報公開や公文書の保存、提供形態は、それを必要とする人の利便に最もかなう形式でなければならないという陳述がありました。また、今はデジタル化している時代だというお話もあったんですが、国会の側から、資料として作成している電子媒体を提供されたいと求められたときに、従来、大体文書にこだわって文書でお出しなんですが、電子媒体の形でも出すというふうにするべきではないかと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
いわゆるデジタル化された文書についてのお尋ねでございますけれども、本法案におきまして、行政文書には電磁的記録も含まれております。これは第二条第四項でございます。
したがいまして、デジタル化された文書につきましても、紙の文書と同様に、適正な管理及び提供が行われるものと考えております。
○吉井委員 現在の公文書館への移管率が〇・七%。法律が施行されたら公文書館への移管がふえると思うんですが、この点は参考人に伺っておきますが、今後の移管率を大体どれぐらいに考えておられますか。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、歴史公文書等はすべて移管される仕組みになっております。これによりまして、行政文書全体のうち移管される文書の割合は現在よりもかなり上昇するものと予想しております。
具体的にどの程度増大するかにつきましてはなかなか難しいところはございますけれども、諸外国における移管率はおよそ二%から五%だというふうに承知をしております。
政府といたしましては、歴史公文書等の適切な移管を進めまして、移管率の上昇に努めてまいりたいと考えております。
○吉井委員 実は、移管率をふやすということは体制をどう強化するかということにもかかわるわけですね。
そのことに入る前に、もう一つ伺っておきたいんですが、実は五月二十五日付の毎日新聞の「みんなの広場」というところに投書されたものがあって、これはなかなかやはり移管に当たって大事な問題だなと思ったのは、行政庁から別な行政庁、あるいは行政庁から公文書館にしても、文書が移っていくときの個人情報の扱いの問題なんです。
これは、この日、和歌山の、ある七十歳の方から、大手証券会社で情報が流出した問題がありましたね、それにかかわっての話なんですが、
私が今一番、気がかりなのは定額給付金の申請書類に記入する自宅の住所、電話番号や振込先の金融機関の口座番号などの個人情報である。
この申請書類の管理責任者は誰なのか。書類の原本や電子化された情報は何年、保存され、廃棄されるのか。国民には全く知らされていない。
大手企業でも流出するくらいだから、「お役所仕事」と言われる自治体の情報管理は大丈夫だろうか。
これは、普通の国民の感覚からすると当然そういうことになってくるので、文書あるいは電子媒体にしろ、移管ということは、これから、公文書館へということもありますが、自治体から国へ来て国から公文書館へ来るもの、いろいろあると思うんですが、まず、こうした情報管理というものについてどのように取り組んでいかれるのか、そのお考えを伺っておきたいと思います。
○山崎政府参考人 行政機関の長は、行政文書に記載された保有個人情報につきまして適切な管理のための措置を講じる義務がございます。
また、今回公文書管理法が制定されれば、行政文書につきましては適切な保存と利用を確保するための保存義務の明確化、これは法第六条でございます。また、保存期間満了前にあらかじめ移管または廃棄の措置を設定、いわゆるレコードスケジュールでございますけれども、こういうようなものが規定されております。
このような措置は、行政機関におきます個人情報の誤廃棄あるいは紛失などの防止に大きく寄与するものと考えております。
○吉井委員 建前はそうなんですよ。しかし、いろいろなところでじゃじゃ漏れなんですね。それが実態なんです。
アメリカの公文書館は、アメリカ公文書館が大統領府に属する独立機関として設置されているということとともに、公文書管理についてアメリカ公文書館長官が一元的権限を持っており、公文書の移管や廃棄についての長官の権限が非常に大きいわけですね。いかなる記録も長官の許可なく廃棄したり移管したりしてはならないということになっております。違反には罰則もあるわけです。
簡単に廃棄させない基準づくりというものがまず必要だと思うんですが、この点についてのお考えを伺っておきます。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
御指摘の基準づくりにつきましては、まさに最も肝要な問題でございまして、この公文書管理法案におきましては、適切な基準を設定するということが定められております。
そういうことで、今後は、その基準づくり、あるいは政令を制定するときには公文書管理委員会への諮問も行うことになってございますので、この点、大幅に改善するものと考えております。
○吉井委員 次に、公文書館というのは独立行政法人ですが、公文書の管理は国が責任を持って直接行うべきものだと思うわけです。なぜ独立行政法人でなければならないのかが問われてくると思います。
独法通則法では、「「独立行政法人」とは、」「国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの」となっておりますが、これは、本来は国が直接運営するということをやはり考えていくべきではないかと思いますが、大臣のお考えを伺っておきます。
○小渕国務大臣 公文書館のあり方については有識者会議でもさまざまな議論がなされていたところでありまして、また、立法府、司法府からの公文書を移管するに当たりましてもしっかりとした組織が必要だということで、「「特別な法人」とすることが適当である」という最終報告も受けたところであります。
こうしたことを受けまして政府内で検討した結果、三権分立の観点から、内閣提出の法案において、協議機関の設置、及び、立法府及び司法府の参画を義務づける規定を盛り込むことは困難と判断をしたところであります。そのため、本法案では、特別の法人とすることではなく、独立行政法人のままとしたところであります。
したがいまして、まずは独立行政法人という形で本法を施行させていただきたいと思っておりますけれども、国立公文書館がその役割、機能を十分に果たせるようにするため、現行状況も踏まえつつ、必要に応じて、その法的位置づけにつきましてもさらに検討してまいりたいと考えております。
また、そのような趣旨から、修正案におきましても五年後の見直し規定も盛り込んでいただいたものと認識をしております。
○吉井委員 今おっしゃった有識者会議の方でその点は指摘されていて、国に戻して内部部局、外局にする案と、権限を持つ特別の法人とするという両案があったわけですね。最終的に、「現在の独立行政法人から権限と体制を拡充した」「「特別の法人」とすることが適当」となっているわけですが、有識者会議の報告書、有識者の意見を取り入れるということをもっと考えていくべきだと思います。
次に、職員の数の問題などについて伺っていきたいんですが、参考人も述べられましたが、職員の数の上でも、諸外国の国立公文書館とは比較にならないもので、日本は四十二人、アメリカの公文書館二千五百人、カナダ公文書館六百六十人、イギリス公文書館六百人、フランスの公文書館四百四十人、ドイツ公文書館が八百人と、大体一けたから二けた違うわけですね。
この数で、先ほど移管率をお伺いしましたけれども、移管率を上げるのは、上げなきゃいけないんです、大事なことなんです。しかし、それで受け入れた場合に公文書館が機能するのか。公文書を国民が活用する組織としてはやはり余りにも貧弱と言わざるを得ませんから、どう強化していくか、このことについて伺いたいと思います。
○小渕国務大臣 まさに委員御指摘のとおりでありまして、人員も含めた体制の強化をしていくことは新たな公文書管理制度の必要不可欠な要素であると考えております。
有識者会議の最終報告につきましても、将来的に数百人規模の体制を実現すべきであるという御提言をいただいたところであります。しかし、直ちに数百人規模ということにはなかなかまいりませんので、将来のあるべき体制を見据えて、今後、順次国立公文書館の人員の拡充を図っていきたいと考えております。まずは、本年度におきまして、通常の増員に加えて、専門家十名を非常勤職員として採用するなど、柔軟な形での人員の拡充に取り組んでいるところであります。
また、専門家の確保、養成についても、「専門家が十分に養成・活用されていない。」「専門家に求められる資質や具体的な職務内容、養成方法」が明確にされていないなどの御指摘がありますので、中長期的な視点に立って、計画的な人員の確保、各種研修による養成、資質の向上などに努めてまいりたいと考えております。
○吉井委員 多分、時間からすると一番最後の質問になろうかと思います。
これは、ただ職員をふやしただけでは本当にだめなわけで、専門的実務を行える職員をふやさなければならないんです。
今年度ふやしたというお話などもあるんですけれども、やはり一つは、行革推進法により一律削減した定数枠にとらわれることなく、必要な職員をきちんと確保するということ。それから、現在、公文書館には司書資格者が六人ですが、常勤は一人なんですね。学芸員資格保有者十人のうち、常勤が二人なんですね。だから、常勤の専門職員を確保して、公文書館をスタッフの面でもきちんと充実させるという、大きな気概を持ったといいますか、決意を持って取り組む必要がやはりあると思いますが、最後にそれを伺って質問を終わりたいと思います。
○小渕国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、体制を強化させていくためにまず必要となってくるのは、人員の確保、そして専門的な人員の養成であるかと思っております。その点を十分に踏まえて施行してまいりたいと考えております。
○吉井委員 時間が参りましたので終わります。
○渡辺委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
早速質問に入ります。
昨年一月の本会議で、私は、米軍では永久保存する航海日誌を自衛隊では四年で廃棄してしまう、防衛調達は複数年にわたることが多いにもかかわらず、防衛行政の文書保存期間も三年とか五年、防衛機密と称すれば一切を秘匿できるという発想を改め、保存期間を長くするとともに、せめて事後的に検証できるような体制を整えるべきだ、こういう質問をいたしました。
当時の福田総理は、防衛行政についてはできる限り情報を公開して国民の理解を得ることが重要であるにもかかわらず、防衛省・自衛隊において不適切な文書管理がなされていた、この点については遺憾である、防衛省においては、行政文書の管理状況調査の結果を踏まえて、文書管理に関する教育の徹底、実効的なチェック体制の確立、規則の見直しなど、文書管理のあり方の根本的な見直しに取り組んでいる、これらの取り組みを通じて、行政文書を適切に保存するとともに、可能な限りの情報公開に努め、国民に対する説明責任をしっかり果たすことが必要、このように福田総理は答弁をされました。
そこで、具体的に伺いたいと思いますけれども、米軍では航海日誌を永久保存することになっていますが、公文書管理法ができることでどうなるのか。この点についてまず最初にお伺いいたします。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
御指摘のように、これまでの不適切な文書管理の事案を踏まえまして、本法案では、保存期間の問題も含めまして、再発防止のための措置を盛り込んでおります。
具体的には、統一的な保存期間基準につきまして、公文書管理委員会の御意見を伺いながら策定することとしております。また、適切な保存と利用を確保するために、保存義務の明確化でありますとか、あるいは文書管理状況の内閣総理大臣への定期的な報告、また内閣総理大臣によります実地調査を実施することとしております。さらに、保存期間満了前にあらかじめ移管または廃棄の措置を設定させ、その状況を、定期的な内閣総理大臣への報告でありますとか実地調査により確認することとしております。
これらの仕組みによりまして、行政機関の文書管理は抜本的に改善するものと思われます。
○重野委員 次に、第一条の「目的」についてであります。「国及び独立行政法人等の有するその諸活動」という言葉が出てくるんですが、この「等」という中にどういったものが入るのか。
政策や計画や事業が決定されるまでには、その根拠となる調査業務を外部の民間企業や公益法人に委託することが多い。そうしたものの存在なしには事務及び事業も成り立たない、これが現実だろうというふうに考えます。したがって、政府が決定する政策、計画、事業に関して外部に業務を委託する場合には、当然文書によって委託内容が明記されなければならないし、その結果作成される文書もまた行政文書である、このようにみなすことが重要だろうというふうに考えますが、その点についてはいかがでしょう。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
御指摘の点につきましては、委託元であります各省庁が、委託事業の成果物の活用あるいは適切な事業の遂行、執行が行われたかどうかを確認するためなど、その必要性を的確に判断して文書等を取得することが適当であると考えます。
このため、政令等の文書管理ルール上の、委託事業に係りますもとデータの取り扱い等につきましては、有識者で構成いたします公文書管理委員会の御意見も伺いつつ、そのあり方につきまして今後検討してまいる所存でございます。
○重野委員 そこで、今回の法律の最も重要な柱の一つは、意図的な情報隠しをなくしていくということだろうと思います。
自衛隊で行われた、航海日誌を、保存期間を無視して廃棄したという事件がございました。これはもう論外。
保存期間を短くする、あるいは先ほどの質問とも関連いたしますけれども、民間企業の文書だからという理由で不存在とするといった行為が行われれば、事実上情報を隠すことが可能になってしまう。これは法律の精神とも合致しない事柄だと考えますが、この点について確認しておきたいと思います。
また、そうならないために、すべての文書の作成時点から国民にその存在を明らかにすべきだと思います。書誌情報、タイトルや分類、キーワード、作成日、保存期間などは、文書作成後直ちにつけて行政文書ファイル管理簿に登録をすることが必要ではないでしょうか。そうすれば、国民が早く目にして、文書の存在に気づくことができます。
そこで、行政文書ファイル管理簿への登録を直ちに行うというふうに政令で明記すべきではないかというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。
○山崎政府参考人 本法案におきましては、文書名、保存期間、保存期間満了日、そして保存期間満了時の措置、さらには保存場所等の書誌情報につきましては行政文書ファイル管理簿に記載し、定期的に内閣総理大臣への報告を行いますとともに、公表も行うことになっております。
御指摘の管理簿への書誌情報の登録時期につきましては、各行政機関の業務実態なども踏まえつつ、公文書管理委員会の御意見も伺った上でルール化を図ってまいりたいと考えております。
○重野委員 それと関連しまして、意図はしないんだけれども結果的に文書が捨てられるという懸念があります。例えば、情報公開法の施行令に基づいて作成された行政文書ファイル管理簿の検索ページというのがあります。最近はかなり改善されているというふうに聞いておりますが、登録がまだまだ不十分、先ほども質問がございましたけれども。また、使いにくい、こういう苦情もあるんだというふうに聞いております。
その中で、一つの例でありますけれども、八ツ場ダムというのがあります。八ツ場ダムを検索して「八ツ場ダムの建設に関する基本計画の作成に対する関係農業用水利水者等の意見聴取について」という項目を見るわけですね。そうすると、その中で、保存期間満了時期として二〇一〇年というふうになっております。ところが、ダム自体の完成は、二〇一〇年どころかもっとずれるんですね、二〇一五年、こういうふうに聞いています。そうすると、保存期間満了は二〇一〇年で、ダムができ上がるのは二〇一五年。だれが考えてもこれはおかしい、こういうことになるわけです。
やはり、物によっての保存期間の設定等々、これは十分考えなければならぬテーマだと思います。巨額で、かつ長期にわたる公共事業です。さまざまな事情から完成がおくれるというのは、もうこれは常識なんですね。工期内にでき上がるなんという例の方が少ない。そういうことが現実にあるという点において、私は、この保存期間については今後政令やあるいは文書管理規則で定めることになると思うんですが、こうした公共事業などについての保存期間は完成後何年というふうに具体的にすべきだと思うんですが、その点についてはいかがでしょう。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、文書の類型に応じました保存期間や業務の性格等に応じた起算日の考え方につきましては政令で定めることを予定しておりまして、今後、現在の行政文書の保存期間のルールとなっております行政機関情報公開法施行令の規定も参考にしつつ、公文書管理委員会の御意見を伺いながら検討していく予定でございます。
御指摘の点につきましては、有識者会議の最終報告におきましても、「業務遂行上の必要性を十分検討することなく、」「最低保存期間をそのまま保存期間として設定している場合がある。」ことが問題点として指摘されておりまして、業務遂行上必要な文書が廃棄されることのないように検討を進めてまいりたいと考えております。
○重野委員 次に、文書管理の適正化あるいは効率化のために、保存期間などについて国民からの提案や意見を受け付けて適切に対応するための項目を政令に設ける、そういうことをやったらどうでしょうか。提案をいたします。
そのことによって、短い保存期間満了による廃棄という形で結果的に情報隠しをしているという批判を避けることができると思うんですね。また、結果的に実際そうなる事態を防げるのではないか、その点が第一であります。
次に、廃棄されてしまえば、国民の共有財産は二度と取り戻すことができないわけです。ですから、そのような予防策が必要だと考えますが、その点についてはいかがでしょう。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
文書の保存期間などの書誌情報につきましては、行政ファイル管理簿に記載いたしまして公表することとしております。本法案におきまして明示的な規定を置いているわけではございませんけれども、この管理簿を見た国民から、行政機関や総理大臣に対しまして、文書管理に関する意見や提案が行われることは当然あり得るものと考えております。また、各種ルールにつきまして政令で定めることになっておりますけれども、政令を定める場合には、いわゆるパブコメ、パブリックコメントを行うことになっているところでございます。そういうことで確保できるのではないかと考えております。
また、誤廃棄の防止につきましては、レコードスケジュールの適切な設定、また、内閣総理大臣への定期報告、場合によっては実地調査、勧告、こういう手段を総動員いたしますと、誤廃棄等の従来ありました不適切な事例は相当程度改善されるものと考えております。
○重野委員 次に、廃棄の問題について、公文書管理機関の長の承認なしには行えない仕組みが必要だ、まず私の結論ですが。そこで、修正案で、内閣総理大臣の同意という文言が入りました。これは原案よりは前進している。評価をいたします。
時の政権が廃棄したいと考える文書を廃棄することは依然可能です。この点は、有識者会議が述べていました、特別の法人がこの役割を果たすべきだという点について、我々もやはりそうだというふうに思います。そこで、公文書管理の先進国である米国では、先ほども述べましたけれども、国立公文書記録管理局長官の承認なしには廃棄できない、こういう仕組みになっています。
修正いたしましたけれども、その前の原案では、行政機関の長が廃棄を決定するということになっていた、その点について、なぜそういうふうな原案となったのかという点が一つ。
それから、公文書管理について、とりわけ重要な位置を占めるのが国立公文書館です。この法的位置づけ、先ほども質問がありましたけれども、他国に比べて極めて貧弱だという点が指摘をされているわけですが、そこ辺をどう強化していくのか。まさにこの法律が制定されるということに合わせて、国立公文書館の質、量を高めていくということが私は絶対的に重要だと思うんですが、その点についてお聞きしたいと思います。
○山崎政府参考人 お答えいたします。
まず、最初の御質問でございますけれども、政府案におきましては、歴史資料として重要な公文書につきましてすべて移管することとしておりまして、これを適切に行うために、文書ごとに保存期間満了時の移管、廃棄の措置をあらかじめ定めるという、いわゆるレコードスケジュールを導入することにいたしました。この移管、廃棄の措置につきましては、行政文書ファイル管理簿に記載し、定期的に内閣総理大臣への報告を行いますとともに公表も行うこととされております。さらに、この報告等によりまして、移管、廃棄の設定に問題があると考えられる場合には、内閣総理大臣が実地調査や勧告を行い、改善を図る仕組みとしたところでございます。
このように、文書の作成、取得から移管、廃棄に至るまでの間に内閣総理大臣による適切なチェックを制度化いたしましたことから、政府案におきましては、文書の廃棄の権限につきましては、その文書を保有する行政機関の長の権限にゆだねることとしたものでございます。
次に、二つ目の御質問でございます。
国立公文書館の位置づけでございますけれども、国立公文書館が行政文書を含む歴史公文書の保存に関し専門的な助言を行えるようにするためには、内閣総理大臣の責任とリーダーシップのもとで、内閣府と国立公文書館とが連携して公文書管理に当たることが適切だと考えております。そのため、国立公文書館につきましては、内閣府の所管する独立行政法人の形態のままとしたところでございます。
もちろん、この修正案におきまして五年後の見直し等が定められておりますので、今後、実施状況に応じまして適切に対応したいと考えております。
○重野委員 以上で終わります。
○渡辺委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、公文書等の管理に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、上川陽子君外四名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○渡辺委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○渡辺委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、加藤勝信君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。
○泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
公文書等の管理に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 公文書管理の改革は究極の行政改革であるとの認識のもと、公文書管理の適正な運用を着実に実施していくこと。
二 公文書等の管理に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための公文書管理担当機関の在り方について検討を行うこと。
三 行政文書の管理が適正に行われることを確保するため、一定の期間が経過した行政文書に関しその保存期間満了前に一括して保管等の管理を行う制度(いわゆる中間書庫の制度)を各行政機関に導入することについて検討を行うこと。
四 国民に対する説明責任を果たすため、行政の文書主義の徹底を図るという本法の趣旨にかんがみ、軽微性を理由とした恣意的な運用のなされることのないよう、万全を期すること。
五 公文書管理と情報公開が車の両輪関係にあるものであることを踏まえ、両者の適切な連携が確保されるよう万全を期すること。
六 公文書の適正な管理が、国民主権の観点から極めて重要であることにかんがみ、公文書管理に関する職員の意識改革及び能力向上のための研修並びに専門職員の育成を計画的に実施すること。また、必要な人員、施設及び予算を適正に確保すること。
七 既に民営化された行政機関や独立行政法人等が保有する歴史資料として重要な文書について、適切に国立公文書館等に移管されるよう積極的に対応すること。
八 国立公文書館等へ移管された特定歴史公文書等に対する利用制限については、利用制限は原則として三十年を超えないものとすべきとする「三十年原則」等の国際的動向・慣行を踏まえ、必要最小限のものとすること。
九 本法に基づく政令等の制定・改廃の過程及び公文書の管理・利活用に関して、十分に公開し、多くの専門的知見及び国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
十 特定歴史公文書等の利用請求及びその取扱いにおける除外規定である本法第十六条に規定する「行政機関の長が認めることにつき相当の理由」の有無の判断に関しては、恣意性を排し、客観性を担保する方策を検討すること。
十一 特定歴史公文書等の適切なデジタルアーカイブ化を推進し、一般の利用を促進すること。
十二 公文書の電子化の在り方を含め、電子公文書の長期保存のための十分な検討を行うこと。
十三 刑事訴訟に関する書類については、本法の規定の適用の在り方を引き続き検討すること。
十四 一部の地方公共団体において公文書館と公立図書館との併設を行っていることを踏まえ、これを可能とするための支援を検討すること。
十五 宮内庁書陵部及び外務省外交史料館においても、公文書等について国立公文書館と共通のルールで適切な保存、利活用が行われるよう本法の趣旨を徹底すること。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○渡辺委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小渕国務大臣。
○小渕国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。
―――――――――――――
○渡辺委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会