衆議院

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第6号 平成22年4月14日(水曜日)

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平成二十二年四月十四日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      相原 史乃君    石毛えい子君

      泉  健太君    磯谷香代子君

      江端 貴子君    小原  舞君

      大島  敦君    大谷  啓君

      逢坂 誠二君    岸本 周平君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      笹木 竜三君    白石 洋一君

      瑞慶覧長敏君    菅川  洋君

      園田 康博君    空本 誠喜君

      田村 謙治君    高邑  勉君

      津村 啓介君    寺田  学君

      道休誠一郎君    中島 正純君

      萩原  仁君    橋本 博明君

      畑  浩治君    藤田 憲彦君

      古川 元久君    松岡 広隆君

      三村 和也君    向山 好一君

      村越 祐民君    山尾志桜里君

      山岡 達丸君    山田 良司君

      湯原 俊二君    和嶋 未希君

      渡辺 義彦君    甘利  明君

      江渡 聡徳君    小渕 優子君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           菅原 一秀君

   議員           山内 康一君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  仙谷 由人君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   総務副大臣        渡辺  周君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      階   猛君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     村越 祐民君

  市村浩一郎君     松岡 広隆君

  逢坂 誠二君     山岡 達丸君

  岡島 一正君     畑  浩治君

  園田 康博君     道休誠一郎君

  津村 啓介君     白石 洋一君

  寺田  学君     小原  舞君

  渡辺 義彦君     向山 好一君

  小泉進次郎君     江渡 聡徳君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     藤田 憲彦君

  白石 洋一君     瑞慶覧長敏君

  道休誠一郎君     園田 康博君

  畑  浩治君     大谷  啓君

  松岡 広隆君     湯原 俊二君

  向山 好一君     渡辺 義彦君

  村越 祐民君     高邑  勉君

  山岡 達丸君     小室 寿明君

  江渡 聡徳君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     萩原  仁君

  小室 寿明君     山尾志桜里君

  瑞慶覧長敏君     江端 貴子君

  高邑  勉君     菅川  洋君

  藤田 憲彦君     空本 誠喜君

  湯原 俊二君     三村 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     津村 啓介君

  菅川  洋君     荒井  聰君

  空本 誠喜君     寺田  学君

  萩原  仁君     和嶋 未希君

  三村 和也君     相原 史乃君

  山尾志桜里君     山田 良司君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     市村浩一郎君

  山田 良司君     逢坂 誠二君

  和嶋 未希君     岡島 一正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第九号)

 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 まず、きょう一番手に質問の機会をいただきましたこと、委員長、そして理事の皆様、また委員の皆様に感謝を申し上げます。

 法案の審議に入る前に、仙谷大臣にお伺いしたいことがあるんです。

 きのう、経済同友会そして経団連は、消費税の増税を含む成長戦略を発表されました。そして、大臣御自身も、閣議後の記者会見だと思いますが、そちらの方で、消費税の引き上げの可能性の発言、そして鳩山総理の四年間消費税は上げないという発言の見直しが必要じゃないか、そういった趣旨の御発言があったと新聞報道でありますが、そちらについての発言、具体的にこちらで御披露いただきたいと思います。

仙谷国務大臣 経済同友会や経団連の方々がどういう発言を、あるいはどういう発表をされているかは、私、新聞報道もほとんど見る余裕がございませんでしたので、存じ上げておりません。それはそれ、これはこれということだろうと思います。

 つまり、昨年末の税制改革大綱でも、やはり本格的な歳入の改革をしなければならないという前提に立って、昨年は多分、政権を引き受けてからまだ二カ月、三カ月という時間の中で行わなければならないということで、昨年の税調ではあそこまでしか書き切れなかったということでございましょう。

 ただ、一方では、中期財政フレームをつくる、あるいは財政運営戦略をつくるということでございますので、今の日本の経済の構造あるいは体質、あるいはこれからどう転換をしていこうとしているのか、そういうことをあわせて、私どもが消費税を含む税制改革に、これはいつからその実施をするかということは、何といいましても日本と世界の景気経済動向を注視しなければ、単に論理的にこれが正しいからこれをやろうということにはならないと思いますけれども、絶えず議論はして準備をしておかないと、片一方にマーケットという存在がございますので、マーケットもちゃんと見ながら、そして景気経済動向も注視をしながら、消費税を含む税制抜本改革の議論を絶えずやっておかなければいけない。

 こういうことをずっと、昨日の記者会見のみならず、この間私は、いわば国家戦略担当になって、税財政の骨格あるいは経済運営の基本方針、これを担務といいましょうか、この仕事を担当するようになってから、聞かれればすべてそういうふうにお答えしているところであります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 それでは、その引き上げる時期については、四年間はやらない、そういう決まり切ったことを言うのではなくて、その状況を見て四年以内でもあり得るというお考えでよろしいですか。

仙谷国務大臣 それは、内閣全体で、いろいろなリスクをとって、リスクを勘案しながら決めることでありますから、鳩山総理は四年間は上げない、つまり自分の在任中は上げるという実施はしないということでありますから、そこで考えたり政策を企画立案することは十二分にあると思いますけれども、鳩山総理自身は自分の在任中には消費税が上がるというような税制を執行する、実行するというつもりはない、こういう趣旨だと思いますので、これが内閣の基本方針であります。

小泉(進)委員 先日、代表質問では、谷垣総裁が鳩山総理に対して、消費税の引き上げも含めた社会保障の改革、こういったものを超党派で円卓会議みたいな形でやろうじゃないか、そういう提案をしたところ、鳩山総理は拒否をされたわけです。

 大臣は、盛んに、一貫して、状況によっては消費税の引き上げも避けるべきではない、それが国民に対する責任でもある、そういう御発言をされていますが、こういう議論を、民主党だけではない、また三党連立だけではなく、超党派で、自民党も含めた野党も含めて一緒に議論をしようか、そういう思いはおありではないですか。

仙谷国務大臣 思い返しますと、二〇〇四年の参議院選挙、その前がいわゆる年金国会と言われる国会でございまして、参議院選挙の直前に、今からまさに六年前ということになるわけでありますが、年金未納問題が起こって、当時の民主党の菅代表が、まあ、これは今から考えれば、社会保険庁のやり方あるいは計算が間違っていて、菅さんの部分的な未納部分というのが発覚したというか、発見された。これとても、なぜこんなことが外に出て社会的な問題になるのかというのは今から考えれば甚だけしからぬし、おかしいことでありますけれども、そういう事態になって、かわらざるを得なくなった。

 岡田代表になったわけでありますけれども、その国会の最終盤に、私の記憶では、多分民主党と自民党の国対委員長同士の、協議機関を設けるというような合意で、年金改正法案が通っていく。これは百年安心というふうにおっしゃった政党もあったわけでありますが、それで通っていくということになったわけであります。

 それで、その後の多分決算委員会だったと思いますが、その場で岡田代表と当時の小泉首相の議論が行われて、人生いろいろ、会社もいろいろだったかな、何かそういう発言があって、それをめぐって、年金問題をめぐって参議院選挙が戦われて、多分、民主党が五十議席とって自民党が四十九だったか七だったか、何かそういう結果になったんですね。

 その後の秋の国会が開かれて、年金合同会議をつくろうという成案が、つまり、参議院選挙前の協議機関をつくるというのが、衆参合同の、年金問題を改めて、保険料あるいは税の投入を含めて全般的に議論する年金合同会議というのがつくられました。これは、私が合同会議の会長代理だったと思いますが、会長は与謝野馨先生でございました。

 私はここで、当時行われておりました憲法調査会のような議員同士の自由な討論、あるいは、あらゆる角度から日本の年金制度のその時点での実態と、そして改めて、どうやれば国民の信頼をいただける年金制度がつくれるのか、このことは、政権交代があろうともなかろうとも、その都度年金制度が変わるということであってはいけない。

 これは多分、私はそのときに、我々は全額税の投入ということを言っておりましたので、さあ、その税をどういうふうな税としてつくるのかということは、当然その裏側といいましょうか、議論になる、そういう構えで臨んでおりましたけれども、なかなか深まらず、いや、民主党のこういう案は荒唐無稽だ、我々は公務員の共済年金と厚生年金の一元化、これでいくんだと、ここをほとんど譲ることなく、次の年の衆議院の郵政民営化の解散になって吹っ飛んでしまったということであります。

 一般論としては、私は、年金制度も、あるいは年金制度とか医療とか、これを裏打ちする税財源をどのようにするのか、どういう税で安定的な社会保障制度をつくるのかというふうなことに関しては、これは与野党が与党、野党の枠を超えて議論されることがいいといいましょうか、それしかないというふうに思っておりましたし、今も思っているところでございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣、おっしゃりたいことはいろいろあると思いますが、できる限り簡潔な答弁をいただければ幸いに存じます。

 超党派の議論は一般論としていいことだとおっしゃっていただきましたが、これから、消費税の増税、こういうものは、もう国民の皆さんも、これは上げる上げないじゃなくて、一体いつ、だれがやるんだ、そういう認識というのが広く広まっていると思います。民主党がばばを引くのか、自民党がばばを引くのか、こういった議論をしていては国民にとっては最終的には負担になってしまう、そういった思いで、大臣の懐の深い判断をこれから期待したいと思います。

 それでは、一言、これから法案の審議、また民主党の国家公務員の改革についてのマニフェストの項目にも触れていきたいんですが。

 民主党は、マニフェストで国家公務員の総人件費二割カットを掲げております。私は、このマニフェストも、また今までの今回の法案審議にかかわる議論も伺っていて、改めて基本的な質問をしたいと思うんです。

 マニフェストにある二割カットのこの二割、二割にしたこの根拠を教えてください。

仙谷国務大臣 マニフェストで二割削減というふうに目標を掲げておりますが、これは、そこにも記載されておりますように、地方分権推進に伴って事務を地方に移管する、あるいは各種の手当や退職金等の水準や定員を見直していく、労働基本権を付与することによって、労使交渉を通じて、交渉で給与水準を決める、そういう手法を組み合わせて、平成二十五年度に達成するように努力する、こういうのがマニフェストの内容であります。

 これは、例の、これも小泉内閣で行われた三位一体改革でありますが、そのときに、地方六団体、あるいは知事さん、市長さんの方から、地方分権といいましょうか、我々は地域主権と言っておるわけでありますが、分権が行われれば、今重複する事務費で一割や二割、目の子二割は確実に削減できるというのが、彼らも主張しておりましたし、私も実感としてそれを思っております。

 つまり、補助金つきの行政の仕組みを洗っていただければいいと思うんですが、事前協議から始まって、補助金が適正に使われているかどうかの最終報告まで、例えば農林水産省ですと、最も現場、これは多分、土地改良区とかなんとかというのがあれば、そういうところでしょう。それから、市町村を通る場合もあるし、都道府県に行きます、都道府県から地方農政局へ行きます、地方農政局から本省へ行きます。同じような書類が大体五、六回往復するんじゃないんでしょうか。

 私は、こういう仕事ぶりを見ていますと、ここにかかった人件費というのは相当なものに及ぶだろうな。もしこれがちゃんと、補助金じゃなくて、一括交付金になるか、あるいは完全に税財源まで地方に移譲されるというかつけられるということになれば、その補助金を交付する、あるいは事業認可を受けるという手間はなくなるわけでありますから。

 私は、当時、地方六団体の長がおっしゃっていたように、二割ぐらいは、そんなものはすぐカットできるんだということが、多分目の子で彼らも言っておったわけでありますが、四兆円の補助金を削減して三兆円の税源移譲でいいんだ、これは二割強ですよね。そういう話になってきたんだけれども、ふたをあけてみると、交付税まで減らされて、これはとんでもないことになったという大騒ぎがそれ以降続いている、私はこういうふうに理解しておりまして、補助金行政を変える、つまりこの事務を地方に移管するだけでも相当数人件費が浮いてくるはずだと思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 それでは、二割というのは、その根拠となったのは、自民党も分権改革の中で二割と言ったじゃないかと。つまりそこが二割の根拠ですか。

仙谷国務大臣 自民党のというよりも、小泉内閣下で行われた三位一体改革での議論の中で出てきておったお話が一つの参考にもなっております。

 さらに、やはり公務員制度、この問題を我々が抜本的に改革するとすれば、それはそのような方向に持っていけます。さらに、もう少し言えば、当時から明らかになっておりました日本の財政、ここからも押されるであろう、こういうことであります。

小泉(進)委員 伺っていて、非常にざっくりとした感覚での二割なんだなと思うんです。民主党は、無駄遣いを削減するという大きな、大目標のもとに、総予算、特別会計も一般会計も合わせて二百兆円の中から一割は生み出せるんだ、こういうざっくりしたことをおっしゃって、結果、生み出すことができなかった。今回のこの二割カットの二割の部分も、今、大臣のお話を伺っていると、非常にざっくりとした感覚しか伺えないんですよ。

 マニフェストにも書いてあります。総人件費は国家公務員五・三兆円、そして、そのうちの二割だから一・一兆円。

 しかし、この前、前回の内閣委員会での質疑のときに、自民党は橘議員が大臣と質疑を行いましたが、その中で、大串政務官に御答弁をいただきましたけれども、五・三兆円のうち三・八兆円は給与費、その他の約一・二兆円は国家公務員共済組合の負担金などで、余り削ることはできない。つまり、削ろうとしたら、給与費である三・八兆円の枠の部分からできる限り削っていかなきゃいけないというのがこの公務員の人件費二割カットの中身だと思うんです。

 そうだとすると、この三・八兆円から一・一兆円を削るというのは、ただでさえ、今も五・三兆円から削るのに、昨年度から今年度まで、結局減らしたのは一千四百億円ですよね。そう考えたらかなり厳しい。二割カットどころじゃないと思いますが、大臣、ここは具体的に答弁をお願いします。

仙谷国務大臣 そこの項目だけ取り出してきて、厳しい、厳しいとかおっしゃられても、これは先ほどから申し上げておりますように、国家公務員の担当すべき仕事及びそれに張りつける人員、そしてそれが効率的かどうか、これを上からも、あるいは、ボトムというか第一線からも見ていかなければいけないことは間違いありません。

 ただ、この種のものが、民間会社であろうと地方自治体であろうと、多分、下から積み上げてきてできるというような話ではないと私は思います。これはまさに政治的な意思で、これだけしかないんだからこの範囲で予算をちゃんと配分しようね、この全体的な政治的な意思があれば、私はできると思います。どこの民間会社でも自治体でも、目標値を定めてそれをどのように行うのかということは当然考えるわけでありますけれども、下から積み上げて、詳細な、ここを幾ら削って、それで合わせて一・一兆円というふうなことができるというようなたぐいのものではないと私は思っております。

小泉(進)委員 いや、私はそういう話をしているんじゃなくて、皆さんがマニフェストで書いたとおりのことを言っているんですよ。それを、下からそんな小さいことを言われたって、それは政治の決断です、いつかやりますと言われたって、これは平井先生がこの前本会議で言ったように、いつかやるというのは改革をやらない常套句と言われても仕方ないですよ。

 国家公務員の総人件費二割カット、つまり、この目的というのは行政のスリム化ですよね。行政のスリム化、ただ小さくすればいいという、それは結果的な目標ではないと思うんです。行政をスリム化した段階でどのような行政サービスを最低限の国民のコストで行っていくか、これが国家公務員改革に直結すると思うんです。

 私は、きのう、長野県の下條村の村長さんに電話をしてお話を伺いました。なぜかというと、これは三月の読売新聞の記事ですが、行政のスリム化を徹底的に進めている一つのシンボルというか、そういうところになっている村であります。

 住民は約四千人、そして、村長さんももう四期目ですが、その村長さんは伊藤さんといいますが、就任してからまず始めたことが、今、民主党がマニフェストで書いたような行政のスリム化。村の職員は五十九人、その五十九人だった村の職員を約三年間かけて三十五人にしたんです。四割以上のカットです。

 そして、四割以上カットした上で、その浮いた財源を、若者の夫婦の定住促進とか、また中学生に対する医療費の無料、そして、簡単な道路の修繕や工事などは、材料だけは村が支給する、あとの工事や労務は村民の皆さん、やってくださいよ。大変画期的なことをやられたんです。その結果、今、村の出生率は何と二・〇四。そして人口もふえてきた。そして財政状況もよくなって、実質公債費率は三・五%で、県内二位です。

 私は、この話を聞いたときに、民主党がなぜこの国家公務員改革を進めるかといったら、これだと思うんです。結局、行政をスリム化して、そこを、浮いた部分を、例えば子ども手当だったり、またその他の高校の実質無償化だったり、そういった社会保障や福祉の部分に充てていきたい、そして国民の生活を豊かにして、経済を活性化させ、税収を上げ、そして借金を返していき、財政の健全化を進める、この流れが、私は、規摸は違うかもしれないけれども、この長野県の下條村というのは同じ路線なんだろうなと思うんです。

 大臣、この村の取り組みとかは御存じでしたか。

仙谷国務大臣 この下條村のお取り組み、大変敬意を表しておりますが、私も現地に伺ったことはまだございません。ただ、ニュース報道等で耳に挟んだりしております。長野県には泰阜村という、公共事業について、みずからやることによって二割ぐらいにしたんでしょうか、つまり、中央省庁の補助金をもらわない、そのかわり自分たちの手でやるんだということで、公共工事の費用を約八割ぐらいカットしたというふうなお話もあったり。

 それぞれが、小さい村や町では工夫をしながら財政の健全化にも取り組み、かつまた、我々が言うところのいわば新しい公共というんでしょうか、従来税金あるいは役人で賄っていた分を、それぞれの共同体を構成する方々が担うことによって税金を使うことを減らしていこう、あるいは共同体の中の関係性を改めてつくっていこう。

 こういう試みは、我が徳島県でも、例の上勝町の彩などでも行われておりまして、ここでは、これは財政にも大いに寄与しているのは、お年寄りの医療費が大体三分の二ぐらいで済んでいる。つまり、ほかの町村は一人当たり九十三万ですけれども、ここは大体六十一万とか二万ぐらいで済んでいるというふうな好循環の財政に持っていった。

 そういうお話は全国津々浦々で聞きますけれども、それはすばらしいと思います。国にそれを一律に引き直す、つまりイメージとしては、民間会社あるいは小さな町や村で行われることを普遍化して、国でもそういうことをやらなければならない、おっしゃるとおりであります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 この村長がなぜ最初に職員のカットに手をつけたか、行政のスリム化をやったか。それは、まず隗より始めよ、改革に対する本気度を村民の皆さんにわかっていただかなければ、その後にやろうとすることは進まない、こういう思いからだったんです。

 実は、この村に、昨年十一月の八日、民主党の議員の集まりが視察を組みまして、村長にもお会いをしたそうです。その中で村長はこう指摘したそうです、最初に国家公務員人件費の二割カットで見本を示さぬと、マニフェストは机上の空論となる。

 この村長さんの御指摘に対して、大臣はどうお考えですか。

仙谷国務大臣 一つの卓見だと思いますが、これは結局のところ、定員の問題も含めて、あるいはお一人お一人の公務員の方々の賃金を初めとする労働条件あるいは業務内容について、では今までなぜできなかったのか、ここの原因をしっかり押さえないと、振りかざしても、そんなことは法律上も仕組み上もできないといえばできないということに今まではなってしまっていたのではないでしょうか。(発言する者あり)

田中委員長 ちゃんと言ってください。

小泉(進)委員 今までなぜやらなかったのかと大臣は再三おっしゃいますが、その今まで自民党がやらなかったことをやるのが民主党じゃないんですか。それを期待したから国民は民主党に政権交代させたんじゃないですか。だから、そういったことを言わずに、ぜひ、自分たちは自民党ができなかったことをやりますよ、それで、いいことはいい、やっていただきたいと思うんです。

 この法案の提出者の自民党、またみんなの党の皆さんにもお伺いしますが、この二割カットについての御見解をお聞かせください。

塩崎議員 まず隗より始めよ、まさにそのとおりだと思います。

 残念ながら、民主党のマニフェストを見る限りは、地方移管ということを言っておられるようなことで、先ほどの説明でも、ダブりがあるからそれで二割ぐらいカットできるよ、こういう話でありました。国民から見れば、国家公務員であろうと地方公務員であろうと、行政にかかるコストの負担は国民がするわけでありますから、地方であろうと国であろうと、やはりコストをカットしていくということを、まず隗より始めよは国だけではなくて地方もやらなきゃいけない。

 その際に、カットするとすれば、人を減らすか給与を減らすか、どっちかしかないわけであります。その両方をやるというのが本来やるべきことだろうと思いますし、今回我々が給与法に触れているのはまさにそのことであって、人を減らし、なおかつ給与についても、頑張る人はそれは評価しますけれども、そうじゃない人にはやはりそれなりの評価で下がっていくというような給与体系も新しくつくっていかなきゃいかぬ。民間はみんなそうしています。それでみんな頑張っているわけですから、国民にも一緒に頑張っていただくためには、公務員がやはり、民間でもやっている当たり前のことをやって、人も減らし、そして給与も必要に応じて下げられるようにしていく。

 まさに我々がやっているのはその体系をつくるべきだということを言っているわけで、残念ながら、政府案には給与については一言も触れていない、こういうことであります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 まさに、人件費を減らそうと思ったら、今答弁いただいたように、人を減らすか、金を減らすかしかないんですよ。

 人件費二割をカットする手段として、仙谷大臣はたびたび、地方移管、そして給与改定、また労使交渉、この三つを主におっしゃいますが、私は、この地方移管というものが一体何なのか、このイメージがつかめないんです。

 そして、この前は本会議場で、民主党の後藤議員も質問に立たれておっしゃいましたが、地方移管というものを、国から地方に持っていくんだったら確かに人は減るかもしれないけれども、実質カットにはつながらない、そんな甘い手法はやめてくれ、こう言ったんですよ。

 この地方移管というものが一体何を意味するのか、何を地方に持っていくから地方移管なのか、地方移管についてはっきりと具体的に教えてください。

仙谷国務大臣 今、主として事業官庁の出先で行っている仕事のうち相当部分が、もうそんな中央のお伺いを立てるような話ではなくて、地方自治とか地域主権の範囲内でできる事柄は多いんではないか。その事務を地方自治体、地方政府にちゃんと移管をする、こういうことですが、余り意味がわかりませんか。

 例えば、農業土木という世界があります、農業土木。これは、国直轄事業もありますが、ほとんどが、都道府県そして先ほど申し上げた土地改良区というところまで、補助金事業として行われているものが甚だ多いわけです。これを、農林水産省本省なり地方農政局がまだ事業計画をつくって、それをまた詳細な計画をつくらせて、査定をして、補助金を出すかどうか決めて、それまでには陳情がたび重なって、それを事業認可して、さらに補助金の使い方を査定して、一々毎年毎年それをやる必要があるのかと言われれば、私は全くないと思います。

 もし自治体でそういう事業が必要であるとするならば、みずからの財源で行えばいい。農業振興を最大の旗に掲げる市町村や都道府県というのもありましょう。それはそれにふさわしいような、中央の画一的な基準によるものではなくて、地域の実情に応じた事業をやればいい。それはちゃんと地域、地方の事務権限として、そういうふうに、中央はもう一切口出しもしないし金も出さない、そのかわり地方でやってくれ、移管するときに税財源はこれだけ移譲したということになれば、できるじゃないですか。

 それは地方の方の公務員人件費がかかるとおっしゃるかもわかりませんが、それは地域の住民の方々の監視のもとで、もっとスリムな地方政府をつくれということであればそういう議論がなされて、先ほどの下條村じゃございませんけれども、そういう地方政府がつくられるということが当然あってしかるべきなんじゃないんでしょうか。

小泉(進)委員 大臣、わかりにくいですよ。私は、地方移管は何ですか、具体的に答えてくださいと言ったんです。

 イメージとしては、今まで国家公務員だった人を地方公務員にするんですよというようなイメージですよ。でも、そうしたら国民負担は変わらないじゃないですか。公務員にかかる、行政にかかるコストをそのまますぱっと削減するんですよ。民主党が言っている議論というのは、国の方から地方に移管するんだったら、結局地方の負担もある、国民負担は変わらないじゃないですか。

 今大臣がおっしゃったことは、例えばそういう農業土木だったら、地方に任せた方がいいことがある、国がやっているのは無駄が出る、それを言って、今まで国家公務員だったものを地方公務員にするのであれば、地方からしたら、負担も一緒に来るわけですよ。そうしたら、権限も財源も全部そのままくれるんですね、それにかかわる補助金なりなんなり、それも全部見てもらわなかったら、地方だってそれは歓迎しませんよ。それで、結局、それを上げるんだったら、国がかけるコストは変わらなくなっちゃうじゃないですか。

 だから、この地方移管、これを国民の皆さんにわかりやすいように説明してください。これは国家公務員を地方公務員につけかえるということではない。それは違うんですね。

仙谷国務大臣 例えばそれを百人の国家公務員が行っている場合に、百人全員が地方政府の方に、自治体の方に移管されるというふうなことは、ほとんどの場合ないと思いますね。これは事業の質にもよると思いますが、ほとんどの場合、そういうケースはない。

 例えば、地方の出先で百人の公務員が行っているのを、そのうちの半分なり三分の一の方々は、地方の方からも、それじゃそのプロをくれということになる可能性もありますね。人材養成というのも、あなたが考えるほど単純じゃなくて、大変だと思うんです。だから、そのプロをぜひ引き受けたい、税源と権限と人材をあわせて引き受けたい、こういう話にも私はなろうかと思います。

 ただ、全員がそのまますぽっと移るということは、これはほとんどの場合ない。つまり、相手が、百なり二百なりの自治体が多分相手になるんだと思うんですね。その百なり二百なりの自治体を束ねた仕事が地方の出先機関の仕事ということになっているんじゃないんでしょうか。だから、それを、事務を渡せば、いやいや、私のところはそういう人は要りませんという自治体もあれば、いや、ぜひ下さいという自治体も出てくるんじゃないんでしょうか。

小泉(進)委員 大臣は、削らなきゃいけない額は一・一兆円ですよ。その一・一兆円を削る手段として、大臣は、地方移管、そして労使交渉、また給与改定等を挙げているんです。その議論、一・一兆円を削る議論をしているのに、それが、プロだからこっちは歓迎してくれます、そのちっちゃな議論をしたって一・一兆円も削れるとは私は到底思えませんよ。

 だから、私は、この地方移管という話を聞いたときに、恐らく一つの部局そっくりそのまま国から地方へ移すことを言っているのかな、こういうイメージを持つのが私は当然だと思うんです。この地方移管という言葉はまだまだわからないですよ、全然はっきりイメージがつかめませんよ。

 今まで自公政権の中で、この地方移管というものはやってきましたか。大臣の中で、今までやってきた中で具体的なイメージがおありだったら、それを話してください。

仙谷国務大臣 自民党、公明党の連立政権の中でやってきたかと言われても、私はそれを担当していないので、やってきたかどうかはわかりませんが、我々が見る限り、野党として横から見る限り、霞が関総体の、各省のお役人の抵抗と、それに絡まる、つまり事業に絡まっている族議員の皆さん方の後押しで、それができなかったというのが実情だったんじゃないかと私は見ております。

小泉(進)委員 自民党、公明党じゃそれができなかったから、やるのが民主党ですね。

 出先機関の改革、これは、麻生政権下で、三万五千人カット、このベースができて、これを枝野大臣も最低ラインだろうという話をしています。この三万五千人の中での地方移管と言われるものが大体二万二千人と言われている。それを大臣は一・一兆円削減の一つのやり方だととらえているということですが、この地方移管というやり方、そして労使交渉を通じるというやり方、また給与改定の見直しというこの三つを大臣は挙げますが、二割カットで一・一兆円カット、私は、後藤議員がおっしゃったことが一番シンプルでわかりやすいと思いますよ。

 人も減らす、金も減らす、これで二割をカットするんだ、地方に移すという甘い手法じゃなく、そういうやり方をやってくださいというのが民主党からの声じゃないですか。大臣にはぜひそういう声を真摯に、野党が言っているんじゃなくて与党から言っているんですから、ぜひそれを聞いていただきたいと思います。

 私は、この地方移管という言葉だけじゃなくて、まだまだわからない言葉があるんです。それは私の知識不足もありますが、大臣がよくお使いになる言葉で、横異動という言葉があります。横異動というのは、早期勧奨退職が一つの横異動だと大臣は答弁でおっしゃっております。横異動という言葉が私にはわからないんです。横異動は何を意味するのか、教えてください。

仙谷国務大臣 この数年、自民党、公明党政権下でも行われた横異動の最も大きなものは、多分、農林水産省の食糧庁職員を税務署の職員に移した、税務大学校での研修を間に挟んで、そういう職種転換、配置転換が行われたということが、つまり霞が関内部のというか、国家公務員内部での横異動の典型的な事例だったと思います。

 そういうのも横異動だし、官民人材交流ということで、民間からも霞が関に入っていただくけれども、こちらからも民間のところに出向するというのも横異動でしょう。あるいは、退職をお願いして、勧奨して、それに応じていただける方、こういう方に動いていただくのも横異動の一つだと思います。

 さまざまな手法があるわけでありますが、人事というのは、やはり年がら年じゅうくるくるかわっていいというものではありません。これは、公務員がある種のプロフェッショナルとして、行政のプロになっていただかなきゃいけないということもございます。ただ、同じところに長年滞留すると、これはコケが生えたりカビが生えたりするということもございます。

 そして、今、やはり国家公務員制度の中で最大の問題は、同期の入省者が同じように課長までは同時期に昇進していく、これは民間の会社ではあり得ない仕組みですね。果たしてそんなことでいいのかということが、これは労務人事管理の問題というか、ガバナンスの問題としても私は問われていると。そういうことをあわせて、どこまで民間的な、横異動を含めた人事の配置、ガバナンスができるのかということが、これからの霞が関の行政府を担当する政治家に問われているのではないか、あるいは、そういうのが制度化されなければならないというふうに考えているところです。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今の大臣の答弁ですと、横異動の横とは、配置転換、職種転換、民間出向、肩たたき、こういうことになりますが、最後の肩たたきを含めていること自体、民主党が当初から言ってきたことと矛盾しているじゃないですか。これはやめると言っていたんでしょう、早期勧奨退職を。それなのに、あたかも、いつの間にかそれを忘れたかのように、横異動のうちの一つに組み込まれちゃっている。これも私は全然わからないんです。

 ちょっとこの横異動についても、法案提出者の皆さんにもお伺いしたいので、見解を聞かせてください。

柴山議員 小泉議員にお答えいたします。

 今御指摘があったように、横異動については、仙谷大臣の見解ですと、ポストの横滑りあるいは民間出向、それから早期勧奨退職、この三つというような御指摘がありました。

 まず、最初のポストのつけかえ、横異動ということは、これはとりもなおさず、給与を維持したままで、例えば局長ポストの人が名誉職ということで移転をするということで、まさに人件費の削減には一切役立たない、そういう話となるかと思います。

 民間への出向、これは、明確な基準を設けた上で行うのであれば、官民人事交流として行う余地があるかなというように思います。

 そして、まさに議員御指摘の早期勧奨退職、これについては、民主党の従来の、これを廃止するという方針と、今の、もしかするとこれもあり得べしという答弁は、全く矛盾していると言うしかありません。

 とりもなおさず、これまでの給与水準を見直さない、だからこそ、結局のところ、役所から出ていってもらわなければいけない。しかも、仙谷大臣は否定していますが、これまでのような人事ピラミッド形システム、これから外れた者はやはり定期的に外に出していく、こういうことの温存の仕組みのために早期勧奨退職というものが使われてきたわけですから、そもそも、この早期勧奨退職という言葉を仙谷大臣の口から聞くことは私は極めて心外だということを、議員立法提出者として申し上げたいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。私も同感です。

 民主党は、肩たたきはしない、そしてマニフェストの中でも明確に、公務員が定年まで働ける環境をつくる、そういうふうにはっきり書いてあるわけですよ。それなのに、肩たたきは横異動のうちの一つですというのは、横異動という言葉も、国民からしたら全くなじみはありませんよ。それがどういうものを意味するのかイメージもできません。もっと言えば、縦異動か何かもわからないですよ、普通は。それでいきなり横異動と言われて、何となく肩たたきはしないようなイメージを持ちかねない。

 民主党のマニフェストどおり、定年まで働かせる環境をつくること、それが大臣の役割じゃないですか、この国家公務員改正法の本来の趣旨じゃないですか。

仙谷国務大臣 私が申し上げておるのは、制度的に定年まで働いていただくためにも横異動が必要だ、こういうことを申し上げているんです。

 つまり、先ほどから申し上げておりますように、時代とともにその部署の事業量は当然減る、あるいは政権がかわる、あるいは内閣がかわって、政策の基本的な、重点的に行うことが変わるとなれば、当然のことながら、今まで大量な事業をやっていた部署が事業量が減ってくる、あるいはなくなるということは予測できるはずじゃないですか。そこに、その部署に張りついた公務員が、いや、事業はないけれども給料だけもらっておるなんということが許されるはずがない。

 一方では、この数十年目立ってきたのは、例えば税関とかそういうところは、これだけの物流と人の流れが変わってきたときに、玄関口で担当する職員が追いつかない、夜寝ないでやっても追いつかないような事態になっている職場だって国家公務員の職場にもあるんですね。

 そうだとすると、これは片一方、すべて分限免職で、自民党さんは分限免職でたたき切るみたいなことを言う方が多いけれども、分限免職の制度で一方で免職をしながら、一方でこっちで新規採用をする、そんなことは民間の会社でもほとんど行われていないんですよ。やはり、ある部署からある部署へ、自分のそもそもの職種とかスキル、それを変えてでも移ったらどうですかというのが民間の会社でも普通じゃないですか。

 そういう横異動が日本の霞が関では縦割りの中でほとんどできなかったから、それをできる仕組みをつくろう、あるいはそういう意識を持とう、こうしない限り、霞が関の改革というのは絶対にできない。何よりも、局益、省益、課益の縦割り構造が公務員制度問題にも一番の問題じゃないですか。そのことをおわかりくださいよ。

小泉(進)委員 大臣は縦割りを変えるのがこの改革の主眼だとおっしゃいますが、柴山議員が言ったように、官民の人材交流が進むような民間出向とかだったら、それは国民の理解も得られると思いますよ。

 でも、この横異動のうちの一つの、肩たたき、早期勧奨退職はやめるともともと言っていたんですよ。ですから、あたかも今までそういう縦割りでできなかったから横にやるんですというのは議論のすりかえですよ。もし横異動の中の一つに肩たたきを含めるのであれば、それは、今まで民主党が言っていた肩たたきはやりませんということはやめます、これはやりながら定年退職まで国家公務員が働ける環境をつくるんですと言い直して、国民に説明してくださいよ。でなかったら、横異動という言葉を使われたって、国民は決して理解できないですよ。

仙谷国務大臣 私どもは、再就職あっせんを伴う早期退職勧奨はやらない、こう申し上げてきたんです。これは今でもはっきりしています。それ以上でもそれ以下でもない。つまり、反対側からいいますと、自公政権下で行われている退職勧奨は、むしろ天下り、再就職先を提示しての早期退職勧奨ですね、つまりセットですね、こういう話です。

 私どもは、そういうセットになった退職勧奨をやって、それがうまくいって、ポストをあけて、次の人がそこへ来れる、このぐるぐる回しは余りよくないですねと。それで国家公務員の人件費が減ったように見えても、どこかに再就職あっせん、特に独法とか政府関連の公益法人に再就職をあっせんして、そこに、交付金の名前なのか、随意契約の名前なのか、あるいは助成金なのか補助金なのか委託費なのかわかりませんけれども、その方の人件費相当分を込めて予算をつけるんだったら、一見人件費が減っているように見えるけれども国民のコストは変わらないじゃないか、こういうことを申し上げてきたんじゃないですか。

小泉(進)委員 大臣がそこまで、肩たたきをしないとは言っていない、天下りのあっせんをしないと言っているんだ……(仙谷国務大臣「あっせんつきの」と呼ぶ)あっせんつきの肩たたきはしないと言っている。

 では、天下りの根絶をする、そこまで言っていますが、どうやってその根絶を担保するんですか。

 民主党が出した政府の答弁書、一般職があっせんするのは天下りだけれども、特別職がやるのは天下りじゃないと言っているんじゃないですか。そうしたら、大臣含め政務三役のあっせんによる再就職先のあっせんは天下りじゃないと言っているんですよ。でも、国民からすれば、それは天下りですよ。そして、かつて野党時代に民主党が言っていたことは、それも含めて天下りと言っていたんですよ。

 もし、天下りを本当に根絶する、そう言うのであれば、どの制度でどのようにそれを担保するのか、はっきりおっしゃってください。

仙谷国務大臣 今審議をお願いしてございます再就職等監視・適正化委員会で厳しくチェックをしていく、それと、内閣の閣議決定も踏まえた方針を徹底する、そのことによって、公務員の上から下までの皆さん方に、もうネギカモつきの天下りというのは上から見ても下から見てもやってはいかぬ、こういうことを徹底させていくということであります。

小泉(進)委員 横異動、私はこの横異動をなぜ伺いたいかと思ったら、まず言葉自体もわからないし、横というのがどこからどこへの横かがわからなかったんですよ。イメージとしては、縦割りをなくすというのが民主党の公務員改革の一つの柱ですから、最初イメージしたのは、省庁間の横断ですよ。他省庁にもそういう異動ができるということの横異動。

 しかし、さっき大臣が言った一つは、配置転換、つまりポストのつけかえ。実質的な権限はない、そして出世ルートからは外れるけれども、給与は、例えば部長職の方と同じとか、そういうことだとしたら、公務員の総人件費なんて、カットどころか、さらに膨れ上がっていくじゃないですか。それは横異動じゃないんですか。

仙谷国務大臣 余り固定的にそういうふうにお考えになるのは全く過ちだと思いますね。

 だって、いいですか、必要なところは必要なんですよ。税務署の職員、税関の職員というのは必要なんですよ。従来の、その他の事業官庁で、もう事業がなくなったような省庁で、まだそこに滞留している、そうするとふえ続けるじゃないですか、そういう人事をやったら。必要なところに必要のない人を横へも異動する、そして、なるべく従来百人でやっていた仕事を五十人、六十人でできるようにする、そういうガバナンスがない限り、人件費なんか減らせませんよ。

 そういうガバナンスを今までだれがやっていたんですかというのがこの国家公務員制度の大問題じゃないかというふうに私は提起しているんですよ。いいですか。(発言する者あり)そういう、甘利さんのおっしゃっているような話じゃないでしょう。

田中委員長 やじに答えないでください。

仙谷国務大臣 この人事労務管理をする責任者は内閣総理大臣なんだけれども、民間の会社のように、人事労務管理の担当部局と担当の大臣か副大臣かが日本の国はなぜいないのかということを、私はずっと声をからして言っているんですよ。

 つまり、人事労務管理の責任者がいないんですよ、この政府には。だから、各役所へ行って聞いてごらんなさいよ、各役所、各役所で、おたくは人事労務管理の責任者はだれなんだと。最近では、いや、それは事務次官だと言うかもわかりません。今までは少なくとも事務次官じゃなかったですよ。では官房長なのか。いや、うちは官房長じゃない、人事課長だ、うちは秘書課長だと。もうめいめいばらばらですよ、各省庁も。

 それで、政府全体としてはだれが一体全体当事者なんだ、人事労務管理の当事者、責任者はだれなんだ。これ、お答え、だれか教えてほしいんだけれども、まあ形式的には内閣総理大臣、だから官房長官ですねという、この程度の答えしか返ってきませんよ。

小泉(進)委員 今の大臣のお話を聞いていると、だったら内閣人事局に総務省、財務省、人事院、こういったところの機能を移管した方がよっぽどわかりやすいじゃないですか。それなのに、今回それをやっていない。自民党、みんなの党案の方はやっている。

 私は、話し合い、修正の余地が十分あるように聞こえるんですけれども、大臣、そういったお考えはありませんか。

仙谷国務大臣 抜本的にそれをやらなければ意味がないと思っておりますから、今回は幹部人事の問題だけですから、それをやっていない。あえて、むしろやらない方がいいということでやっていない。

 つまり、幹部人事と、大多数の一般の公務員といいましょうか、もっと言えば職員団体に所属する職員、この方々の勤務条件を果たしてそんなにすぱっと切れるのか切れないのかということが大問題なわけですよ。

 つまり、おっしゃるように、給与改定について書いていないと言うんだけれども、では自民党の案で、一体全体、人事院が今まで行ってきた作業を、一般の職員についての人事院の作業をどうするんですか、どうするんですか。そんなことを、何かミシン目がついているようなことで、ここから先はこれから政令でやるとおっしゃるのか、法律を新たにつくるとおっしゃるのか知りませんけれども、何にも具体的なことを書いていないじゃないですか。単にその権限が人事局に移るということしか書いていないじゃないですか。

 それは、基本的には、労働基本権を付与することによって全体として交渉を通じて、勤務条件については、変換とか、あるいは改善なら改善を行うということが基本にならない限り、全体の公務員の、例えば給与なら給与、あるいは何とか水準なら何とか水準を変える、そういうことにならない、かえって混乱するというふうに私は心配したものだから、あえて書かなかったんです。

田中委員長 もう時間です。

小泉(進)委員 もう時間だから終わりますが、この国家公務員改革基本法は、共産党以外の、自民党、民主党含めた各党の合意でできたものです。大臣にはその原点をお忘れいただかないように。そして民主党の中からも後藤議員のように、わかりやすく、すぱっと人も減らす、金も減らすでやった方がいいという声もあるんですから、まだまだ話し合いの余地はいっぱいあるんじゃないかなと思います。

 前向きな議論を期待して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、中島正純君。

中島(正)委員 民主党の中島正純でございます。よろしくお願いいたします。

 仙谷大臣並びに政務三役の皆様方におきましては、民主党のマニフェストの柱である国家公務員法等の一部を改正する法律案の成立を目指して多大なる尽力を傾注されていることに、心より敬意を表します。本当にお疲れさまでございます。

 仙谷大臣、私、実は先週の木曜日に、事業仕分けの調査員として、社団法人と財団法人にヒアリングに行ってまいりました。この質問をさせていただく前に、タイミングよく天下りの実態を目の当たりにしてまいりました。私の方から直接、法人に赴いてお話を聞きに行ったわけですが、出迎えていただいたのは、各法人とも役員の方でした。それぞれ経歴を聞いてみると、皆さん天下りの方でした。そして、話を聞けば聞くほど問題がたくさん出てまいりました。

 早期退職勧奨を受けて天下られた方、また定年退職されて天下ってこられた方の二通りのパターンがあったのですが、大体任期が定められており、二年というところが一番多かったです。しかし、実際は、任期が決められているにもかかわらず、二年でやめておられる方はほとんどおられませんでした。更新に更新を繰り返して、在籍五年であるとか十年という方が多くおられました。

 そして、一番驚いたのは、この天下りの方々の報酬でした。ある方は年収一千八百万円。一千六百万、一千二百万と、国民の方が聞けば激怒するような、まさに国民感情からかけ離れた高額な報酬を得ておられました。中には、週に二回だけの出勤で、勤務時間も明確に決まっていない、そして報酬を七百二十万円ももらっておられる方もおられました。国民の方々は、不景気で仕事もなく、きょう、あす、あさっての仕事もままならない状況で、仕事がある方でも、汗水垂らして早朝から深夜まで働いてやっと生活ができる、そんな状況であるのに、本当に私はこの現状を目の当たりにして驚きました。

 今回、私が調査した法人だけでなく、ほかの仕分け調査人が調査した結果報告を聞いていると、前政権のもとでつくられてきたこのような天下り問題に対して、本当に腐敗し切っているという感想を持ちました。

 そんな中で、民主党は、掲げたマニフェストを一歩一歩着実に実行しております。今指摘した天下り問題を一日も早く撲滅するためにも、今回の国家公務員法等の一部を改正する法律案の早期成立を願っているところであります。

 そこで、仙谷大臣に御質問をさせていただきます。

 先ほど申し上げた、社団法人や財団法人の公益法人におられる元国家公務員の天下りの方々が一千八百万や一千六百万の報酬をもらっておられます。私は、その御本人に対して、もらっておられる報酬は高いと思いませんかと聞いたのですが、御本人たちは、私は早期退職勧奨でこの法人に来ました、子供がまだ成人していないので養育費もかかるので高いとは思いませんとか、ほかの法人の天下りの方も同じぐらいの報酬をもらっているので高いと思いませんとか、総会の議決によって決められたことなので妥当だと思いますとか、まさに、天下りして一千八百万円や一千六百万円の報酬をもらって何が悪いんだと言わんばかりの口ぶりのように聞こえました。

 大臣は、この天下りの一千八百万円や一千六百万円、いや、ほかの議員が調べたほかの法人には二千万円を超える報酬をもらっておられる天下りの方もおられるようですが、この金額についてどのように思われますか。

仙谷国務大臣 一千八百万円や一千六百万円の金額をお示しされたわけでありますが、私は、公益法人問題の核は、天下りで行かれた方の給料というか報酬にあらわれていることはその一つの問題で、実は、この公益法人の提供するサービスが果たして国民の生活にとって有用なのかどうなのか。そのことに対して公益法人の役員になられた方が粉骨砕身、その金額にふさわしい働きをされているのかどうなのか。つまり、公益法人の理事とかなんとか、役員の数も含めて、勤務時間あるいは勤務の中身が、国民生活にとって、果たしてその一千八百万とか一千六百万にふさわしいのかと。

 あるいは、もう少し突っ込んで考えますと、その原資は、嫌がる業者や国民の方々から集めた会費とか賛助会費とか、あるいは、ひどいところは賦金といいましょうか、工事を受けたり契約をしたらその何%の割合で公益法人に戻すとか、あるいは、補助金、交付金、さっきも申し上げましたけれども随意契約、委託金というふうな形で税金そのものが流れ込んでおって、それを私自身は昔から、ついばむ集団が幅広く存在をしていると。

 そして、その行うサービス自身は民間でもできるとか、あるいはない方がいいとか、そういうものも多々あるので、そこのところをやはり総合的にちゃんと調査し、分析し、そしてこの法人自身をどうするのか、あるいはこの体制でいいのか、この報酬がふさわしいのか、そういうふうに議論を皆さん方にも詰めていっていただきたいな、こう思っております。

中島(正)委員 それでは、さらに階大臣政務官にお伺いいたします。

 今現在、既に公益法人に天下って役員に名前を連ねておられる元国家公務員の方は、全国で何名ぐらいおられるのでしょうか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 公益法人の役員として再就職している国家公務員出身者ということなんですが、公益法人、今は法律が変わりまして特例民法法人と言われていますけれども、その現況を調べた報告書がございまして、内閣府でつくっているものです。

 それによりますと、今、特例民法法人は全体で二万四千三百十七あるんだそうです。そのうち、国が所管している部分が六千六百二十五あるということで、この部分について調べました。国が所管する六千六百二十五の特例民法法人の中で、国家公務員出身の理事が八千五百十九人いるというのが平成二十年十二月一日時点のデータでございます。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 その先週の木曜日に私が仕分け調査人として各法人にヒアリングに行っている風景をテレビが取材に来てくれました。そしてニュースに放映されました。そのテレビを見ていた私の元同僚の現役の警察官たちから電話がかかってきました。中島、ニュース見たぞと。天下りの人たちは国民感情からずれている、おれたちは土曜日も日曜日も休みなしで早朝から深夜まで働いて年収が数百万円や、幾ら元上司であろうが大先輩であろうが道徳的におかしい、徹底的に天下りを根絶してくれというものでした。私も、道徳的におかしな話だと思います。

 今回、この法案によって民主党は天下りの根絶を目指しておりますが、しかし、私は、陰に隠されたもっと大きな問題がまだ残っていると思っております。今後はそれを改善しなければならないと思っております。

 それは何かと申しますと、既に公益法人に天下ってしまっている人たちの処遇です。この人たちが公益法人に居続ける以上、税金の無駄遣い、みかじめ料的な会社いじめの会員費徴収、国との有利な受注契約などは絶対になくなりません。だから、私は、今後の話なのですが、天下りシステムによって天下りされた方について、現時点で働いておられる方への退職勧告や退職命令ができる法整備も必要だと思っております。

 仙谷大臣にお尋ねいたします。

 昨年の秋から、また今回の法改正案によって、これからの天下りは根絶できるかもしれません。しかし、既に天下ってしまっている方がおられる以上、国民感情からはほど遠いような現状が今後も変わることなく続いていくと思います。何らかの法整備を行わなければ、これらの方々がみずからの意思で退職されるとも思いません。今回は無理といたしましても、次回からの法改正で、今私の申し述べた退職勧告や退職命令ということについて御検討の余地はありますでしょうか。

仙谷国務大臣 今、公益法人全般について、果たして公益性があるのかどうなのかという観点から、公益認定等委員会というのができまして、作業を進めております。その公益認定をとれない法人は一般社団法人とか一般財団法人という名前になって活動し続けていただくわけですが、あくまでもこれは民法上の法人で、本来の趣旨は、公益法人というのは、公益性のあることを、ある種の善意で、みずから財産を拠出して、あるいは自分の人力を拠出してやろうよ、こういう自主的、自発的な団体であるはずであります。

 これが、霞が関の役所の課長さんや課長補佐さんが、自分の在籍する部署に一年か二年いらっしゃるときに、一つ公益法人を、つまり政府関連の公益法人をつくるのがその人の業績になるというふうな、そういうならわしというか慣行によってどんどんつくられてきたというのが、多分、数年前までの歴史だった。つまり、霞が関が産み落とした公益法人というふうに言ってもいいかもわかりませんが、そういうのがあって、今、中島議員がおっしゃるような事態にまで立ち至っていると。

 だから、公益法人一般に退職勧告や退職命令をやるというのはちょっとした矛盾の法制度になるわけで、当面はやはり、まだ各省庁の所管といいましょうか監督下にある段階で、これは各省大臣の指導性によって、もうこの人はお引き取りいただけないだろうか、いただくように強く指導をしていただく。

 私は、この種の公益法人が国民生活にとってあるいは国民の皆さん方にとって必要なサービスを提供しているとするならば、これはもう相当数、プロパーといいましょうか生え抜きの人が育ってきていて、実際の仕事はその人たちがしているんだろうと思っているものですから、そういう生え抜きの人たちで、まさに民法上の公益法人として、公益性があるのか、公益性がなくても、そのサービスが国民生活にとって必要なサービスであれば政府の金を当てにしないで続けていただく、こういう体制に持っていっていただくように、各省大臣に指導をお願いしたい。

 ただ、政府の行政執行の一端を担うために必要不可欠な法人というのもあるかもわかりません。それはガバナンスをきかせて、おっしゃるようなこの一千六百万、一千八百万が妥当かどうかというような点も含めて、しっかりとした指導をしてもらいたいと思います。

 この一千六百万、一千八百万というのは、私の知る限りでは、どうも、退職勧奨をするときに、この人は本来は年功序列でいけば次は部長だから、だから部長さんと同じ一千六百万とか、あるいは、この人は局長さんに、同年齢というか同年入省の人は次はそのうちの何人か、あるいは一人かもわかりませんが、局長になる年次の人だから、だから一千八百万とか、ほかの団体に行くときも。むしろこれは役所の指し値というか役所の賃金体系で、それに連動しているような部分が随分あるように思います。

 いっとき、政府の審議会の同意人事の対象でも大体そういう序列で来ているものですから、余りこれはよくないなと。こういう決め方もよくないし、果たして転職した公益法人の仕事がその価額にふさわしい仕事であるのかどうなのか、甚だ疑問だなと思って見ております。

中島(正)委員 私も、今回いろいろと話を聞いておりまして、本当にいろいろなことがわかったんですが、大臣おっしゃるとおりに、退職の勧奨をした以上は、また次の部署に行けばどれぐらいの給料がもらえるのか、同じぐらいの給料を渡すというような流れになっているというようなことを感じました。

 しかし、国民の方々は、もし会社を途中で退職した場合、それがたとえ定年前の五十九歳の方で、役員の方であっても、次に新しい仕事を探すということであれば、十九歳や二十二歳の方々が会社に入るのと全く同じ給料から始めるというのが世の中の流れでございます。ですから、官僚だけが天下りという形で高額の給料をもらわれる。しかも、もう既に任期が決められている。そして、やめた場合、多額の退職金をもらわれるということ自体、私は本当におかしなシステムだと思いました。

 いずれにいたしましても、前政権のもとででき上がってしまった税金を食いつぶす現在の天下りシステム社会でございます。今、自民党の方、いろいろと質問をされておりますが、本当に、一体このシステムをどの政権の時代につくったんだ、なぜ今のそのシステムを、それが監視できなかったのかということに大きな問題があると私は思っております。これに今後は一つ一つメスを入れて、みんなでよい日本をつくっていかなければならないというふうに思います。

 それでは、法案の中身について御質問をさせていただきます。

 自衛隊員の再就職の援助関係についてお聞きいたします。

 本法律案では、一般職の国家公務員については、組織の改廃等により離職を余儀なくされる者に限って、内閣総理大臣の委任を受けた民間人材登用・再就職適正化センターが行うこととされております。

 一方、自衛隊員の再就職については、本法律案における自衛隊法の一部改正で、離職の際に若年定年等隊員であれば引き続き防衛大臣が、そして、一般定年等隊員については、一般職の国家公務員と同様に、組織の改廃等により離職を余儀なくされる者に限って、内閣総理大臣の委任を受けた民間人材登用・再就職適正化センターがそれぞれ再就職の援助を行うこととなっております。

 防衛大臣政務官にお伺いいたします。

 若年定年等隊員については、改正後においても引き続き防衛大臣が再就職の援助を行うこととされているのは、どのような理由からなのでしょうか。

 一方、一般定年等隊員では、組織の改廃等により離職を余儀なくされる者に限って、内閣総理大臣の委任を受けた民間人材登用・再就職適正化センターが行うこととされているのは、どのような理由からでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、今般の国家公務員法等の一部改正案に含まれている自衛隊法の改正につきましては、自衛隊員の退職管理について、特別職としての特殊性を十分考慮した上で一般職に準ずる措置を講ずることといたしております。

 つまりは、実力組織たる自衛隊の精強性を維持するため、一般に二十歳代で退職する任期制隊員という状況もあります。また、五十歳代半ばで退職をする若年定年隊員については、やはり、将来への不安を解消して、在職中に安んじて職務に精励できるようにするとともに、その士気を高めて、すぐれた資質を有する人材を確保するためにも、退職後の生活基盤というものの安定確保が重要であると我々は考えております。防衛大臣が引き続き退職時の再就職の援助を行うこととして、そうした理由から、再就職の援助については規制の対象とはしていないというところであります。

 一方、先ほど御指摘ありました、一般定年の隊員についてこの制度を適用するということは、定年年齢が一般定年隊員については六十歳以上でありますから、その退職管理については一般職国家公務員と同様の扱いとすることが妥当であると考えておる、そういう理由であります。

中島(正)委員 防衛大臣政務官に再びお尋ねをいたします。

 現在、自衛官に対しては就職援護施策を行っているとのことですが、具体的にどのような施策を行っているのでしょうか。そして、今回の防衛大臣による若年定年等隊員の再就職の援助では、具体的にどのような内容のことを行おうと考えていらっしゃるのでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど申しましたように、若年定年制及び任期制という特殊な制度から、生活基盤の確保のためにどのような援助を行っているかということでありますが、そもそも、雇用主たる国の責務として、就職援護は、これまで、職業訓練、例えば資格取得のための技能訓練であるとか自動車操縦訓練であるとか通信教育などを行っておりますし、また、財団法人自衛隊援護協会による無料職業紹介というものを行っております。

 本法案における若年定年等隊員の防衛大臣による再就職の援助の内容でありますが、従来の就職援護の内容と同様でありまして、今後とも、自衛官が退職後の生活を憂うることなく安んじて職務に精励できるように、就職援護施策の充実について引き続き検討の上、取り組んでまいりたいと考えております。

中島(正)委員 現行法上、一般職の国家公務員においては、府省庁による再就職のあっせんは禁止されており、また、官民人材交流センターによる再就職のあっせんも、鳩山内閣の天下りあっせんの根絶の方針に基づき、組織の改廃等により離職を余儀なくされる者だけしか行うことができないこととなっております。

 防衛大臣政務官にお伺いいたします。

 こうした鳩山内閣の天下りあっせんの根絶の方針のもとで、若年定年等隊員に限って防衛大臣による再就職の援助を行うことができることとするのはどのような理由からでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先ほどの二つの問いの中でもお答えをさせていただいた部分もありますが、我々といたしましては、今回、政府の中でさまざま意見交換もさせていただく中で、やはり自衛隊の任務の性格上、特殊性、特に、先ほど精強性を維持する必要と申しましたが、年齢を重ねる中で高齢化が進んでいった自衛隊というものが、その精強性という観点からはやはり問題があるのではないか。そうした中で、大多数の自衛官というのは五十歳代半ばで退職をするという制度をしいております。また、任期制の若い隊員は二十歳代で退職をするという制度でもございますので、一般の公務員と比較しても、若くして退職するという異例の制度になっているわけであります。

 その中で、この特殊性を考慮して、また、そうした特殊性がありながらも、隊員として国を憂う、そうした隊員のためにも、将来への不安を解消して、在職中に安んじて職務に精励できるようにするということがやはり重要だと考えております。

 こうした中で、我々も雇用主の責務として再就職の援助を行っているわけでありますが、これはいわゆる天下りのあっせんには当たらないと考えておるところであります。

中島(正)委員 それでは、防衛大臣政務官に再びお伺いしたいんですが、防衛大臣による若年定年等隊員の再就職の援助については、公務員の天下りに対する国民の厳しい批判を踏まえ、国民目線に立っていく必要があると思われますが、今後の決意と、具体的にどのように進めていかれるのかをお尋ねいたします。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 委員から御指摘いただきまして、そうした国民目線にさらに立つ努力をしていかなければならないと考えておりますが、先ほど申しました自衛隊援護協会、またハローワーク、地方公共団体等とも協力をして種々の援護施策を実施するとともに、こうした施策に広い理解と支援を得ていきたいと考えております。さまざまな組織とも連携をしていくということが重要だと考えております。

 同時に、その国民の厳しい批判も十分に認識をしているところでありまして、援護施策の実施に当たっては、公務の中立性に疑念を抱かれることのないように細心の注意を払ってまいりたい、そうした思いであります。

中島(正)委員 最近問題になりましたことを一つお伺いしたいと思うんです。航空自衛隊第一補給処オフィス家具などの事務用品談合事案についてお聞きいたします。

 航空自衛隊が発注したオフィス家具の入札をめぐり、メーカー各社の談合疑惑が報道されて、隊員の再就職問題が本件の動機の一つとされております。

 防衛大臣政務官にお伺いいたします。

 本件事案の経緯について御説明をお願いいたします。

 また、談合疑惑のメーカーに自衛官OBが在職しているとの報道がされていますが、当該自衛官OBは、離職時、今回の自衛隊法の改正で定義されている若年定年等隊員と一般定年等隊員のいずれに該当するのでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 今回の事案に関しましては、前政権下のことでありますけれども、今、政権交代後、同様のことが起こらないようにという思いで私も全力を尽くしております。御心配をかけておりますことに、大変申しわけなく思っております。

 今回の件の経緯であります。

 まず、防衛監察本部という防衛省の監察組織がございますが、この中で、まず内部的に談合の疑いがあるということを調査の中で発見いたしまして、公取の立入検査の前にみずから通報したというのがまず発端であります。

 今回、この航空自衛隊の調達に関して、いわゆる官製談合防止法に規定する入札談合等関与行為、いわゆる官製談合が認められまして、国民の不信を招いたことは大変遺憾であり、厳粛に受けとめているところであります。

 この件に関しては、三月三十日に正式な改善措置要求が公取から出されましたが、その前の事前通知の時点で、三月八日の時点で、正式通知の前に、私が長となりまして、部外有識者も参加する調査検討委員会を立ち上げて、内部調査を速やかに行っているところであります。今後、徹底的な調査を行い、再発防止に万全を期して、国民の信頼回復に取り組んでまいる所存であります。

 さらに、もう一点お聞きをされておりました。

 今回、この再就職でありますが、排除措置命令の対象となった五社にこれまで十名の隊員が再就職しているということを今認識しております。これは全員、若年定年等退職に該当しているというところであります。

中島(正)委員 その三月八日月曜日に開かれた第一回航空自衛隊第一補給処オフィス家具等の事務用品談合事案調査・検討委員会において、報道では、本件の動機の一つに隊員の再就職問題があるとされております。この点についてもしっかりと調査し、対外的に説明する必要があるとの議論があったようですが、防衛大臣政務官にお伺いいたします。この点について、現時点でどのような調査結果が出ているのでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先ほど申しましたように、本事案について、現在、私を長として、大臣の命によりまして調査検討委員会を設置して解明に取り組んでいるところでありますが、現時点においては、本委員会においては、取引実績、退職者の在籍状況を考慮して事業者別の目標を定めていた事実ということは確認をいたしております。

 いずれにしても、本件事案の解明に当たっては、背景に隊員の再就職問題が関連しているという公正取引委員会の指摘があったわけでありますから、経緯や背景についても十分に調べていく必要があると考えております。

 現時点では、先ほど指摘がありました具体的な関連については、まだつかめていないというところが現状であります。

中島(正)委員 特定の民間企業、団体などとの癒着や、行政の無駄などの原因となるような職員の再就職については、国民の厳しい批判があることから、本件事案の調査を進めて、早急に対応策を検討する必要があると考えられます。

 防衛大臣政務官にお伺いいたします。

 本件事案を今後の再就職の援助にどう生かしていこうと考えておられるのでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 我々といたしましても、先ほど申しました平成十七年から二十年に行われていたものでございますが、政権交代後、こうしたものが明るみに出てきた。まさに我々の今までの、野党時代から訴えてきたことも含めまして、国民の信頼を取り戻すべくどのように頑張っていくかということが大変重要だと考えております。

 先ほども申しましたように、指摘がされました取引実績やOBの在籍状況等との関係というものを、事業者別の目標を設定したと指摘をされておりますので、この点をより深く聞き込みを続けて、また、関係の民間の会社との関係においても、今調査を進めているところでありますから、この事実をまず解明する、そして、二度と起こらないように再発防止策を取りまとめるということが非常に重要だと考えておりますし、先ほど来御指摘がありましたように、今回、若年定年の再就職の援護について例外としていただいておりますから、この点においては、公務の公正性に疑いが抱かれないように、今まで以上に適正にとり行ってまいることが重要だと考えております。

中島(正)委員 楠田政務官、ありがとうございました。防衛省関係は以上でございますので、お忙しい中、ありがとうございました。

 続きまして、内閣の人事管理機能の強化についてお伺いいたします。

 本法律案では、内閣の人事管理機能を強化するため、幹部職員などについて、内閣官房長官による適格性審査の実施及び幹部候補者名簿の作成、任命権者と内閣総理大臣及び内閣官房長官との任免協議等の規定が設けられております。

 仙谷大臣にお伺いいたします。

 本法律案により内閣の人事管理機能を強化する目的について、改めて確認させてください。

仙谷国務大臣 この法律は、当然のことながら、国家公務員制度改革基本法を受けてのものでもございますが、国家公務員制度自身、私どもが改革をしようとすれば、何よりも縦割り行政の弊害というものを打破しなければならない。これからますます複雑かつ専門的にもなり、あるいは多様化する行政的な課題に迅速かつ的確に対応することができるように、霞が関といいましょうか、国家公務員制度をそういうことに対応することができるように変えていかなければならない。

 特に、幹部人事におきましては、官邸主導で適材適所の人材を、柔軟に行える、そういうガバナンスを確立するということを目的として、内閣の人事管理機能を強化するということが必要だと考えております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、この適格性審査について、内閣官房長官は、幹部職員、各任命権者が推薦した者、公募に応募した者などについて、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力の有無を判断するための適格性審査を行うこととされております。

 大臣政務官にお伺いいたします。

 適格性審査においては、恣意的な人事を排除するため、幹部職員としての能力があるかどうかを客観的な基準に基づいて審査する必要があると考えます。適格性審査はどのような基準に基づいて行われるのでしょうか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 適格性審査の基準ということでございますが、適格性審査とは、そもそも、委員がおっしゃったとおり、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を判断するための審査ですから、基準ということでいえば、標準職務遂行能力、これが基準になるわけです。

 ただ、その基準への当てはめが公正中立に行われるように、民間有識者等の意見も踏まえて、実際の当てはめの際にはそういった方たちにもかかわっていただきながら、公平中立なものになるように仕組みを整えていきたいと考えております。

中島(正)委員 それでは、その適格性審査を行う内閣人事局のスタッフについてお伺いをいたします。

 適格性審査は、実際には内閣人事局において行われることとなることから、同審査の中立公正性を確保するために、内閣人事局長を初めとした内閣人事局のスタッフの人選が重要と考えられます。

 そこで、仙谷大臣にお伺いいたします。

 内閣人事局長としてふさわしい人物像についてどのように考えていらっしゃるのか、政府の見解をお願いいたします。

仙谷国務大臣 私が任命権者ではなくて、内閣総理大臣が官房副長官または関係のある副大臣その他の職を占める者の中から指名する者をもって充てるという規定ぶりになっているわけでございます。

 ちょっと定性的に言うと、やはりその幹部たる人の能力を、余り霞が関村の評判というか張られたレッテルにとらわれずに、透徹したといいましょうか、特にバランス感覚があって公平な目で評価ができるといいましょうか、あるいはそういう情報を集めることのできる人、そしてまた、そういう偏りのない情報をお持ちの方がだれかということを鑑別できるといいましょうか、目ききできるといいましょうか、そういう方がやはり人事局長としてはふさわしいだろうな、そういうふうに考えているところであります。

中島(正)委員 それでは、その中のスタッフの方についてお伺いしたいんですが、仙谷大臣にお伺いいたします。

 内閣人事局のスタッフについて、縦割り行政の弊害の排除、内閣の人事管理機能の強化という立法趣旨からは、各府省からの影響を可能な限り排除する必要があると考えますが、どのような人材を確保される御予定なのでしょうか。

仙谷国務大臣 内閣人事局は、今度、次の段階の公務員制度改革、つまり、幹部人事を除くほかの方々の公務員制度を企画立案することも大きい仕事です。それから、幹部人事をまさに回していく、その基礎的データといいましょうか、仕組みづくりや、あるいは人事情報を日常的にも収集するというふうなことが必要でございますので、これは多分、官房長官のお仕事になると思いますが、余り偏りのない人、落ちついてそういう情報を常日ごろから収集できるような人を審議官、参事官あるいは企画官というふうなところにちゃんと張りつける、このことでこの人事局が内閣の中で有用な役割を果たせるかどうか決まってくるというふうに思います。

中島(正)委員 現任の幹部職員に対する適格性審査について、副大臣にお尋ねをいたします。

 本法律案の成立後、現在の幹部職員についても適格性審査が行われることとなるようですが、この際、現在の幹部職員が適格性審査で不合格となることも想定していらっしゃるのでしょうか。

 また、本法律案では、適格性審査に不合格となった職員については、その意に反して降任できることとされていますが、適格性審査に不合格となった幹部職員の処遇について、どのように対処される御予定なのでしょうか。

大島副大臣 中島議員にお答えをいたします。

 今回の法案においては、現在幹部職員である職員についても適格性審査を行うこととしております。

 適格性審査は、幹部職に係る標準職務遂行能力を有するかどうかについて内閣官房長官が全政府的な観点から客観的かつ一元的に審査を行うこととしておりまして、現在の幹部職員が不合格になることもあり得ます。

 ただ、現在の幹部職員として十分な勤務実績を残している者は、基本的には一定の水準は確保できているのかなとは思うんですけれども、今のは私見でございます。

 なお、適格性審査に不合格となった幹部職員については、課長級の官職への降任など、当該職員の能力に応じた任用を行うこととなるものと考えております。

中島(正)委員 それでは、幹部職への任用の際の判断方法についてお伺いをいたします。

 職員の幹部職への任用は、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であって、職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとされております。

 副大臣にお伺いをいたします。

 職員の適性の判断について、人事評価をどのように活用することとなるのでしょうか。

大島副大臣 ありがとうございます。

 個々の官職への任用に当たっては、人事評価等に基づき、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うこととされております。

 具体の人事については、任命しようとする官職にどのような能力が求められているのかを見きわめた上で、人事評価等により判断し得るその者の専門的な知識、技術、経験等の有無を考慮して行われるものと考えております。

中島(正)委員 それでは、任免協議の実効性についてもお伺いしたいんです。

 内閣総理大臣及び内閣官房長官との任免協議については、内閣総理大臣及び内閣官房長官が幹部候補者全員の能力や適性を把握するのが困難であるため、任免協議が形骸化するのではないかと懸念されております。

 副大臣にお尋ねいたします。

 任免協議の形骸化を防ぎ、当該協議の実効性を高めるための方策として、どのようなことを想定されておられるのでしょうか。

大島副大臣 縦割り行政の弊害を排除し、官邸主導の適材適所の人材配置を行っていくため、本法案においては、幹部職員の任免を行う場合、内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者による協議を行うこととしております。

 適格性審査に際し得られる人事評価、職務履歴等に関する情報を活用し、任免協議を通じ官邸主導の適材適所の人事を行っていくことは可能と考えております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後になると思いますが、仙谷大臣にお伺いをいたします。

 職制上の段階のみなし規定についてお伺いをいたします。

 本法律案では、幹部職員について適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、事務次官級、局長級、部長級の官職は、同一の職制上の段階に属するものとみなすこととされております。

 事務次官から局長または部長に転任させる場合、本人が当該人事を受け入れず辞職を選ぶことも想定されます。すなわち、事実上の退職勧奨となる可能性もあると考えられます。

 仙谷大臣にお尋ねいたします。

 この点について、政府はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

仙谷国務大臣 具体的な人事につきましては、その官職について適性があると判断されることを前提としつつも、その時点その時点での重要課題への対応の必要性、あるいは職員全体の士気の維持向上、そして組織運営への影響などについても十分の考慮が払われた上で行われるということでありまして、本人がそういうふうに受けとめられる方がたまに出てくるかもわかりませんが、退職勧奨の意図を持ってそういうふうな異動、人事が行われるということは考えていないところでございます。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 冒頭申し上げたとおり、私は天下りを目の当たりにしてまいりました。一日も早い本法案の成立を願っております。本日はありがとうございました。

田中委員長 次に、中川秀直君。

中川(秀)委員 先週の金曜日に、内閣委員会でのいろいろなやりとりを受けまして、鳩山総理御自身が、国会でよりよい公務員制度改革の法律ができるのであるならば、そういう判断になれば修正されればいいと、六日の御自身の発言を撤回された。私は評価をいたしたいと思います。

 既に、理事会において、我が党理事からも与野党協議を正式に提案しております。これは与野党の協議ですから、政府が答えることではなくて与党が答えることでございますが、その与党民主党からの回答が、単純な強行採決などということにならないように私は期待をいたしたい、こう思います。

 今、午前中のやりとりを伺っていて、私、法律を読みながらちょっと気づいたことなんですが、先ほど来、仙谷大臣の御答弁それからまた副大臣の御答弁を聞いていますと、内閣人事局の事務、この事務は、例えば、言われている幹部職員の適格性審査とか、あるいは人事情報を集めるという意味で幹部候補者の名簿作成といったようなことが、この内閣法第十二条の内閣人事局の事務として必要となる企画及び立案及び調整に関する事務に当たるのかなと思うのでございますが、なぜ、適格性審査とかあるいは幹部候補者名簿作成とか明確に書かずに、必要となる企画、立案、調整などという不明瞭な書き方を条文上したのか、ちょっと教えていただきたいと思うんです。事務方でもいいですよ。

 質問の趣旨、わかりますか。

田中委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 大島内閣府副大臣。

大島副大臣 ありがとうございます。

 具体的な事務については国公法に規定されておりますので、このような条文になっているというところでございます。

中川(秀)委員 具体的な事務は国公法に規定されているという意味がよくわかりませんね。

 国公法にはどういうふうに書かれているんですか、この適格性審査とか、あるいは幹部候補者名簿の作成というのは。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 大島内閣府副大臣。

大島副大臣 国公法の中で先生が御指摘される今の事項については規定されている、そういう書きぶりになっております。

中川(秀)委員 国家公務員法の何条に規定されているんですか。

仙谷国務大臣 国公法上は六十一条の二に「適格性審査及び幹部候補者名簿」というふうに、今度の改正案で規定をしたところでございます。

中川(秀)委員 国家公務員法六十一条の二というのは、内閣総理大臣が、新たに制度化される適格性審査や幹部候補者名簿作成を行う、内閣総理大臣が行う事務、そういうふうにされておりますね。それは間違いないですね。

 さてそこで、一方で、総務省の設置法第四条、これは事務方でもいいですが、総務省設置法の第四条、これをちょっと読んでください。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 仙谷国務大臣。

仙谷国務大臣 四条の何をお聞きになりたいんでしょうか。

 四条の一項の一号には「国家公務員に関する制度の企画及び立案に関すること。」、それから二号には「国家公務員法に規定する中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐すること。」というふうに記載されておりますね。

中川(秀)委員 だんだんわかっていただけると思うが。

 先ほどの前段の御答弁と、今の読み上げていただいた総務省設置法第四条、「中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐すること。」が総務省の事務と書かれているわけですね。

 つまり、国家公務員法では、別のことは言いませんが、人事院の担う事務と、それから内閣総理大臣の担う事務を書き分けているんです、書き分けているんです。そして、後者の総理大臣の事務については、別に総理が自分で行うわけじゃないわけですから、事務ですから、総務省、つまり人事・恩給局が行う、こういうのが今の規定ですよ。実際上は、任務はそうなっている。今度政府が提出した法案は、ここは改正されていないんです。変更されていないんですね。

 つまり、何を言いたいかというと、当然、適格性審査や幹部候補者名簿の作成については、総務省が内閣総理大臣を補佐するのが条文上は正しいことになりますよ。つまり、先ほどの御答弁のように、新設される内閣人事局が適格性審査やあるいは幹部候補者名簿をつくるというのではなくて、総務省が行う。もしこれをやらなければ、補佐しないということになってしまいますから、法律上は任務怠慢ということになりますよ。大臣、わかりますね。

 それを、今度の条文で読んでいて、あれっと思ったんです。先ほどの御答弁とちょっと違うんじゃないのかと。そういうことです。いかがですか。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 仙谷国務大臣。

仙谷国務大臣 まあ、これは、こういう錯綜したややこしい規定ぶりで、私程度の法律知識ではわからないといえばわからない、読み込めばわかるといえばわかる。つまり、重複規定なのか、あるいは、内閣府と内閣官房を書き分けてあるけれども、表現としては内閣総理大臣として出てくる、こういう規定の仕方が素人さんにはわからないということになるんじゃないでしょうか。

 今、公権的な解釈では、総務省設置法第四条の「内閣総理大臣を補佐する」というのは、内閣府の主任たる大臣としての内閣総理大臣を補佐することであって、国家公務員法六十一条の四に書かれている内閣総理大臣は、内閣官房の長たる内閣総理大臣、こういうふうに読むべきだということになっておるようであります。

中川(秀)委員 そんな理屈は通りませんよ。総務省第四条では、国家公務員法に基づき、「中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐すること。」と、この義務を課せられているんですよ、人事・恩給局が。

 だから何を言いたいかというと、先ほどの答弁で……(仙谷大臣「何が言いたいんだ」と呼ぶ)あなたはわかっているはずですが、ともかく、新たにできる適格性審査やあるいは幹部候補者名簿の作成、これは総理大臣が行う事務と六十一条の二に書いた。その総理大臣を補佐するのが総務省の設置法では仕事とされている。では、人事局は何をやるんですか、条文上何をやるんですか。あるいは二重行政になってしまうじゃないですか、事務的には。

 だから、私は、先ほどの企画立案あるいは調整に関する事務と、なぜそんな不明瞭な書き方をしたのかということと、もう一つは、今回の法律を提出するに当たって、当然そんな、先ほど大臣が答弁したように、内閣人事局が実質はやるんでしょう。大臣も副大臣も、人事局がやるとおっしゃったじゃないですか。それだったら、内閣人事局も不明確な書き方でないようにして、そして総務省からこの権限を抜く、つまり、簡単に言えば総務省のこの条文を事務から抜く必要があった、そう思うんですよ、法律上。それが正しい書き方ですよ。はっきり言って、条文として体をなしていないんですよ。

 ちょっと、議員立法提出者、あなた方の、提出者ではその条文はどうなっていますか。

山内議員 お尋ねの点に関して、議員立法案ではこの点は明確になっております。

 まず、総務省設置法上の、「国家公務員法に規定する中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐すること。」の規定は、総務省の所掌事務からは削除し、内閣法上の内閣人事局の事務として移管することとしております。さらに、内閣人事局は、国家公務員の人事行政に関する事務を包括的に所掌することも定めております。

 よって、適格性審査も幹部候補者名簿作成も内閣人事局で行うことに疑いの余地はありません。法制的に明確な制度になっております。

中川(秀)委員 ということですね。

 私は、たしか議員立法の方はそうなっていたのに、何で政府の方はそうしていないのかなと思って、なっているんだろうなと思って見ましたら、今のことが条文を読んでいてわかりました。ある意味じゃ本当に条文としては体をなしていませんよ。事務的に二重行政ですよ、こんなことをしたら。(発言する者あり)法律のことを言っている。国家公務員法に基づく事務のことを言っているんだ。

 これは、いずれ与野党協議の中でも判断してもらわなきゃならないことだと思いますよ。ともかく、そんな理屈は通りません。では、これについて、与野党協議で対象にしてもらいたい。実態がわかればもう私は結構です。このままでいったら、本当に二重事務行政になる。何のための内閣人事局なのか、何を人事局はやるのか、役割がさっぱりわからなくなってしまう、そういうことであります。

 次の質問に移りますが、九日の仙谷大臣の御答弁の真意をちょっと確認したいんです。

 大臣、固定的、指定的ポストの天下り根絶ということについて、こう御答弁になりました。役所の管轄下にある機関について、役所の次官経験者あるいは長官経験者がつくといったようなことは原則として、ずっとそれが続くということはあってはならないと私は考えておりますし、多分、今の官邸はそういう人事はしないとおっしゃいました。

 事前通告において、この官邸の意向の確認をお願いしております。そういうことを官邸はしないということで確認をしていただいて、御答弁願いたいと事前通告しております。

 その際、私の質問書に対して答弁書が出ましたが、識見及び能力がないにもかかわらずそういうことになった場合と、何か限定したものを政府は答弁してきたんですね。しかし、そのあるなしにかかわらず、役所の管轄下にある機関について、役所の次官経験者あるいは長官経験者、これが歴代ずっとつくというようなことは原則としてあってはならないということが鳩山内閣の天下り根絶の方針ということでよろしいですね。

仙谷国務大臣 これは、官邸で私がいろいろ議論をしているときにそういう感触をつかんでおります。

 中川先生がおっしゃるように方針とまで言われると、確立した方針なのか、閣議決定はするのかあるのか、こういう話になりますけれども、人事というのは、やはり、柔軟性を持つとか、人事権者の裁量権でありますから、私は、先生が先ほど指摘されたように、今の官邸はそういう人事はしない、そういう感触を持っておるということであります。

中川(秀)委員 鳩山内閣、今の官邸はそういうことはしないと明確におっしゃった。そういう感触を得ていると。これは、担当大臣が総理とお話しになってそういう感触を得ているということは、鳩山内閣はそういうことをしない。まさに先ほど民主党の議員さんも御質問になりましたが、そういうことで国民は理解しますよ。

 役所の管轄下の機関へOBが行くという人事はずっと続いていますね、私のあの資料を出しました。そういうことは役所の人事と一体で行われているんですよ、順繰りに。それが現実ですね。ですから、これを変えるのは本当に大変なことなんです。それもよくわかっているんです。私たちもよく知っています。

 しかし、だからといって、そんなのがずっと続いているので国民が理解するわけがないということは、まさに大臣がおっしゃったとおりですよ。大変な圧力がかかるとは思うけれども、この感触とおっしゃる、大臣が総理とお話ししてそういう感触を得た、また内閣としてはそういうことをしない、こうおっしゃること、この方針をぜひ貫いて頑張っていただきたいと思いますよ。私は注目しています。

 二番目。九日の当委員会における仙谷大臣の答弁で、職員の退職管理に関する政令、平成二十年十二月二十五日の、麻生内閣のときの政令の附則二十一条で、「監視委員会の委員長等が任命されるまでの間、」、今任命されておりませんので、その間は「内閣総理大臣が権限を行使するための所要の読替えを行う経過措置」というのがあるんですが、これは今も有効であるということを大臣は御答弁になりました。つまり削除していないということをおっしゃいました。

 では、そこでお尋ねなんですが、いわゆる裏下りと疑われるケースに関して、この政令に基づく総理権限、総理権限は、人事の権限もありますが、調査や立入検査の権限も、総理は読みかえ規定で監視委員長の権限を経過措置で受け取っているわけです、現実には。これが現時点ですね。その権限、特に調査や立入検査の権限を鳩山総理は行使した例があるか、あれば具体的に教えていただきたい。

 もう一点、まとめて聞きますが、鳩山政権になってから明らかになった裏下りとして、日本郵政正副社長人事に伴う玉突き人事がございます。日本郵政社長の齋藤次郎氏の就任に伴いまして、齋藤さんが株式会社東京金融取引所社長を平成二十一年十月二十七日に退任した後任として、翌二十八日に元大蔵省印刷局長の太田省三さんが就任されました。そして、日本郵政副社長の坂篤郎氏の就任に伴いまして、同氏が社団法人日本損害保険協会副会長を平成二十一年十月二十八日に退任したその後任に、十一月六日に元国税庁長官の牧野治郎氏が就任しているわけであります。

 大臣、霞が関は前例踏襲の世界でして、だから先ほども言ったような代々みたいなのが続くんですが、こんな事例は裏下りではありませんと言っていたら、再就職等監視・適正化委員会を幾らつくったって、ことし六月、七月、この人事のシーズン、私たちが参議院選挙にかかりきりになっているとき、裏下りが全面開放になりますよ。だからこだわるわけです。

 もう一回聞きますが、先ほどの総理権限でそういうことを、権限を総理に委任しているんですが、これを具体的に行使した事例があるか。なければ、先ほども申し上げたような、特に坂さんの後に牧野さんが行ったケースについて、事実関係の確認は行っているが、府省庁のあっせんを受けてやったものではないから天下りには当たらぬ、事実関係の確認は行っているが裏下りの認定はしていない、また調査も行っていない、こうなっているんですが、それが私の質問主意書に対する答弁なんですけれども、なぜ事実関係の確認だけにとどめたのか、なぜ調査権限を発動しなかったのか。以上、二点について。

仙谷国務大臣 鳩山内閣が成立しまして現在まで、鳩山内閣におきましては、国家公務員法に基づく再就職規制違反行為の調査権限を行使した例はございません。国家公務員法に基づく再就職規制違反行為の調査は、法律上調査権限を行使することが本来想定されております中立公正な第三者機関において行うことが適当であると考えております。

 それから、損保協会副会長の人事でありますが、今回の法案で、中立公正の第三者機関でございます再就職等監視・適正化委員会が新たに設置された段階で、国公法に基づく再就職等規制違反行為の調査は、法律上調査権限を行使することが想定をされておりますこの再就職等監視・適正化委員会で行うことが適当であるというふうに考えております。

 さらに、先ほどからどういう調査をやったのかというようなお話でございますが、本件におきましては、内閣府臨時再就職等監視担当室という室がございまして、委員会はありませんが室があるということで、財務省及び金融庁並びに金融庁を通じて損保協会に対して質問等をいたしますことで、権限関係や再就職の経緯等、基本的な事実関係の確認をしたということでございます。書類の押収等は行っておりません。また、裏下りに該当するかどうか、これを認定するために行ったものでもありません。

 以上であります。

中川(秀)委員 つまり、確認をしたという答弁書でございますが、今の大臣の御答弁でも、ちゃんとした調査ではないんですね。書類も押収したわけでもない。つまり、裏下り認定のための調査でもない。ともかく、そういう人事があったかということを室で確認したというだけなんですね。だったら、何で、府省庁のあっせんはない、天下り、裏下りではないと認定できたんでしょうか。私は、そういうことが本当に今後の前例になってしまうんじゃないのかと思います。

 大臣は、この前、損保協会の人事でも、民間法人でもあるし、しかし、歴史的にここに、歴代の副会長に何とか長官がずっと行っていらっしゃるケースだ、こういうケースについては今後できる再就職監視・適正化委員会が調査する、こういう御答弁をなさった。だったら、これはちゃんと調査しなきゃいけないんですよ、鳩山内閣の姿勢としても。

 例えば、私が質問書を去年の十一月二十六日に出しているんですが、そのときに、同一府省庁の出身者が何代にもわたって占めている特定の団体等のポスト、これに再就職する場合はどうするんですかと言って、政府答弁書では、そういう場合は、「当該府省庁の当該団体等に対する行政上の権限、契約、補助金等の関係及び当該再就職の経緯について精査していく必要がある」と答弁されているんです。

 つまり、何を言いたいか、私が今言おうとしていることは。大臣、委員会がちゃんとできても、例えば民間法人である、そういうようなところへ歴代ずっと行く裏下りは、委員会は、行政上の権限や契約、補助金等の関係がないことの確認を繰り返すだけなんだ。それだけになってしまう。つまり、そんな調査権限がちゃんとないような委員会をつくったって裏下りの根絶なんかできないんですよ。

 もう一度確認しますが、全く政府からお金も出ず、いわば政策上、法律上の指定とかも何にもない完璧な民間法人に対して一体どんな調査をするのか。例えば、昨年十一月、指定的ポストに切れ目なく特定省庁OBが就任することを、政権としての確認作業の上容認した。確認して容認した。そういう人事こそが鳩山民主党政権の裏下りの基準になってしまうおそれがある、霞が関から見れば、裏下りの全面開放になってしまう。そんな委員会でいいのか、こういうことなんです。

 大臣、御見解、いかがですか。

仙谷国務大臣 御心配をしていただいて大変ありがたいと思っておりますが、再就職等監視・適正委員会は、調査権限に、証人喚問、書類の提出要求、それから調査対象である役職員への質問、立入検査、こういう権限を持っております。

 今申し上げました証人喚問等の権限は民間団体等にも及ぶ、そういう定め方になっておりますので、必要な場合にはこの権限を行使して調査を行うということになろうかと思っております。

中川(秀)委員 今の御答弁は非常に重要ですよ。

 つまり、政策上あるいは法律上の指定とか何もない完璧な民間法人に、単純に、行政上の権限やら契約や補助金等の関係がない、それだけの確認を繰り返す、そんな委員会だったら裏下りの根絶なんかできないんです。ちゃんと調査しなきゃいけないんです。立入調査もし、書類も押収してちゃんとやらなきゃいけない。大臣、それでなきゃ裏下りの根絶なんかできないじゃないですか。

 それを今おやりになるというふうに、私は、民間団体に関してだってやりますよ、国民からそんな歴代疑惑を持たれるようなケースはやりますよ、そういう御答弁に伺った。現実にこの七カ月間に行われた人事ではそれは行われていないから、それが基準になってしまったらこれは裏下りの根絶なんかできないから私は伺っているんです。

 そういうことをちゃんとやるという、今、大臣の御答弁でした。それでよろしいですね。

仙谷国務大臣 中立公正で独立性のある機関でございますから、私が、その時点で委員長になった方あるいは委員の方が、ある個別事案でその権限を発動するかどうか、これは独立性ある機関の組織の合議によって決まると思いますけれども、そういうことのできる制度的担保は今度の法改正で行われているということでございますので、どうかこの点御理解をいただいて、早く今回の法案が成立するように御協力をいただきたいと思います。

中川(秀)委員 では、次の質問に移ります。

 野党時代の民主党が、役人も民間と同様にハローワークに行けばよい、そういうふうに主張されたのは御案内のとおりです。多くの国民はこれにも共感をされたんだと思います。

 長妻さんなどは、「厚生労働省の役人もハローワークに行かないでスペシャル版の天下りバンクに行くわけでしょう、自分たちだけが。それはおかしいじゃないですか。」「この際、ハローワーク改革の絶好のチャンスだと私は思います。人材バンクをやめて、天下りバンクをやめれば、ハローワークに公務員がいっぱいお客さんとして来る、それをきっかけにハローワークを、きちっと仕事が見つかるさらにいい場所に変えましょうよ、お互い、与野党を超えて。」こういう御質問をなさっておられました。

 大臣、民主党政権になってから、多くの公務員がハローワークへ行ったんでしょうか、何人ぐらい行ったんでしょうか。私の知り合いで一人行ったのは事実ですが、確実ですが、何人でしょうか。

仙谷国務大臣 公務員でハローワークへ行かれた人数が何人だったのかは全く承知をしておりません。

中川(秀)委員 大臣は、先日の本会議で、いわゆる国家公務員の整理解雇の場合、分限処分の場合、解雇を回避する義務がある、センターで再就職支援を行うことはやむを得ない、もう少し近代労働法をよく勉強すべきだと。私も明確にその御答弁を拝聴しておりました。

 それでは、どういうケースでハローワークへ行くことになるんでしょうか。

 例えば、一般職員、幹部職員じゃなくて一般職員がハローワークに行く、例えば公務労協、公務公共サービス労働組合協議会、こんなところに所属しておられるような一般職員がハローワークに行くのはどういうケースでしょうか。

仙谷国務大臣 正規の公務員の場合であれば、例えば自己都合や定年で退職して再就職をどこかにしようという方などがハローワークを利用されるんじゃないかと思います。私の娘などは、非常勤で国立大学の教員をしておりましたが、大変今の国立大学法人は厳しいところで、三年で、順繰り人事か何かわかりませんが、やめて、ハローワークへ行っておりました。

中川(秀)委員 非正規、お嬢様のようなケースでない、一般常勤の職員、こういう場合は、自己都合とか、やめたときに、その後に行かれるというような今御答弁でしたね。

 別の聞き方で大臣に聞きますが、百歩譲って、政府として、整理解雇時、つまり分限処分のようなケース、そういう場合に再就職支援を行う必要があるとして、ハローワークも、今度政府案で新設する民間人材登用・再就職適正化センターも、どっちも政府の機関ですよ、どっちも政府の機関です。間違いありませんね。であるならば、何でハローワークでの再就職支援でいけないんでしょうか。民主党は、官尊民卑じゃいけない、民間と同じようにハローワークでやるべきではないかとあれだけ主張なさっておったじゃないですか。それがなぜ、どっちも政府なのに、適正化センターでやらなきゃいけないんでしょうか。

 私はまさに、民主党さんがおっしゃったことをそのまま繰り返しますよ、官尊民卑じゃないですか、これは。ハローワークでの再就職支援とセンターの再就職支援はどう違うんですか。

仙谷国務大臣 自公政権下の官民人材交流センターですか、これは、このセンターを通せば再就職のあっせんをして再就職させる、むしろそのためのセンターというか機関だったわけですね。

 私どもの場合は、いわゆる民間で言うと整理解雇、つまり集団的な解職、これが組織の改編、改廃に伴う分限免職という場合だろうというふうに考えております。

 民間であっても、そういう集団的な、事業所閉鎖、工場閉鎖に伴うような整理解雇を行うときでも、これは解雇を回避すべく、配置転換あるいは転職のあっせん、希望退職募集、あらゆる整理解雇を回避する努力が、あらゆる努力が必要とされるというのが私どもの理解する確立した判例であり、日本の労働行政の今までの慣行だと思います。

 そうだとすると、公務員の場合にも、分限免職を行わざるを得ないような事業所閉鎖や組織の改編ということがあって、ついに最後に分限免職をするといたしましても、そこに至るプロセスとしては分限免職回避の努力というものが必要だというふうに考えておりまして、したがって、今度の民間人材登用センター、ここでの仕事は、そういう場合に限って、つまり分限免職せざるを得ないような組織改編に際してのものに限っては、分限免職回避の努力の一つの姿としてここであっせんをできることにしたということであります。

 ただ、実態としては、それで全員うまくあっせんできて、あるいはみずからの御努力で新たな職を見つけることが全員できるということになる保証はございませんで、やはりやむなく分限免職という対象になってしまう方々もいる可能性があります。ただ、回避の努力として、そこは誠実に回避努力を行わなければならないということもまた間違いがないところだというふうに考えております。

中川(秀)委員 結局ここは、大臣、国民目線という御質問が先ほどからいろいろあったが、それでいいましても、民間だって整理解雇のケースはいっぱいあるんですよ、これだけの不況ですから。本当に、今までの労働法の体系というのも、実際、現実上はいろいろな面で崩れてきている、もう二千万人も非正規の方がいらっしゃる、時代の変化とともにいろいろな状況が変化してきていますよね。今雇用の状況は大変厳しいものがあるわけです。やはりそこは新しい感覚で、官尊民卑でないような、そういうやり方をしていかないと、これはやはり、国民からは、なかなか国民目線に立っていないと思われてしまうところもあるのではないかと思います。

 そういう意味で、やはりハローワークじゃ、仕事が見つかる可能性は、民間も一生懸命、一般の人もやっているんだけれども、仕事が見つからない場合もいっぱいあるんですよ。しかし、今度できるセンターだったら見つけてあげられるというようなことにしたら、場合によっては独立行政法人や関連公益法人、今我々が、最も国民から批判を受けて、これから仕分けもしなきゃならないところに、この人は整理解雇されて分限処分になった人だから何とか引き受けてほしい、そんなことを頼み込んで仕事を見つけてあげるなんということをしたら、まさにこれは逆行といいましょうか、センターは押しつけ的あっせんをするところだということになる。それだったらとんでもない話だということになるのではないでしょうか。

 ちょっと私の意見ばかり言って恐縮ですが、先ほど小泉委員もお尋ねになったけれども、横異動ということについても、民間へそれをお願いするということになれば、民間雇用の圧迫につながりかねませんよ。ハローワークにも行かせない、再就職あっせんもしない、ところが横異動ということになれば、公益法人やNPOや民間企業への現役出向でしょうか。もしそんなことをすれば、国が、身分だけ置いて、民間企業で下がる分を国費で補てんする、そういう規定もありますからできるんですが、人件費の削減なんかになりません。また、結果的に地方に押しつければ、これまた人件費もとても減らないわけです。という意味で、横異動というのは、役所の人事体系を守るために民間から雇用の場を奪うことにもなりかねないわけであります。私はその点も指摘をしておかなければならない。

 そこで、お尋ねなんですけれども、これはちょっと大きな話になりますが、仙谷大臣、公務員にハローワークに行ってもらうためには、まず公務員に失業保険に入ってもらったらどうでしょうか。失業保険に入っていれば、給付を受けにハローワークに行くわけです。そして、現役官僚はハローワークに行く必要が今はないわけです。

 なぜ民主党政権は公務員を失業保険に加入させる改革をしないのだろうか。要は、役人はハローワークに行けというのは今まで民主党が御主張になっておられたけれども、できもしないことを、やらせるつもりもないことを言っていたということになりかねないわけでありまして、その点、今までの主張は必ずしも十分ではなかったということをお認めになるのでしょうか。いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 ハローワークへ行かれるかどうかは、もちろん、公務員であろうとなかろうと、その方々の自由意思で行かれるということに制度としてはなっているんじゃないでしょうか。

 それから、公務員の失業保険問題でありますが、雇用保険制度の発足の時点から雇用保険法の適用が除外されているわけですね。これは、景気変動による失業が起こりにくいというようなことなどなどから、さらには、現時点では、国家公務員を雇用保険制度に、あるいは地方公務員も含めて、加入させる場合には、保険料の事業主負担分が必要になるわけでありますから、そういう面で国の一般会計等の人件費を増大させることにもつながる。そういうことで、鳩山政権としても、雇用保険法の適用を国家公務員に行うかどうかということについては現時点で考えておりません。

 ただ、今後、公務員法、公務員の労働基本権問題も含めて全体の制度を改革する中では、公務員の退職手当制度のあり方も含めて、この問題をもう一度考えなければならないなというふうに私自身は考えております。

中川(秀)委員 民主党のマニフェストに掲げた総人件費の二割削減、地方公務員は入っていませんが、地方の方が人件費は三十兆円ですから、これからの財政を考えたら、私は、地方公務員も含めて、そういう人件費の抑制をしなきゃ、少子社会に向かっていくわけですから、必ずそういう改革をしていかなきゃいかぬ。とすると、今言った雇用保険のところも本当に真剣に考えて改革をする必要が出てくる。大臣個人の意見として、いずれそういうことも必要だというふうに個人としては考えている、その答弁を重く受けとめますが、ぜひとも真剣に検討すべきだと思います。

 それからもう一つ、退職勧奨についてなんですが、早期退職勧奨の対象者はハローワークに行くのですか。早期退職勧奨を受け入れるかどうかは本人の自由ですよ。早期ですから、本人の自由ですね。そして、受諾したらハローワークに行かなければいけないと思ったら、退職勧奨は受諾しない、早期退職勧奨、肩たたきは。それが私は、家庭人としても、あるいは職業人としても、それだからって、その人はいけないなんて言えない、普通の姿ではないかと思いますよ。

 常識的に考えれば、行き先も提示せず、いきなりやめたらどうですかと言われて、ハローワークに行くことを覚悟して退職勧奨を受け入れる人なんてごくわずかですよ。階総務政務官が高木美智代議員の質問に対して、天下りあっせんとセットでなければ、退職勧奨をもしやるとしても、それに応じてやめられる人はごくごくわずかになる、そういう試算もしております、そういう答弁をなさっていることを知りました。

 しかし、三月二十三日に山内康一議員の質問主意書に対して政府が回答した答弁書だと、鳩山内閣発足以降ことしの三月十二日までの間に、課長、企画官相当職以上で八十四名の退職勧奨が行われた、これらの場合において退職勧奨が拒否された事例は存在しない、そういう答弁書になっています。

 もし退職勧奨というものが、本当に受けた側がみずからの意思で受け入れられるかどうかを決められる性格のものであれば、八十四名の退職勧奨を行いながら、その中で一件も退職勧奨の拒否が生じないなんということはあり得ないじゃないですか。仙谷大臣、これは退職勧奨といいながら、実際には退職を強要した、あるいは再就職あっせんが行われたということじゃないんでしょうか。

 もう一点聞きます。

 山内さんは、退職勧奨を受けて退職した人数を聞いたんじゃなくて、退職勧奨は何件なされて、その中で拒否されたケースがあったかを聞いている。ところが答弁書は、八十四名が退職勧奨を受けて退職した人数だ、八十四名だと答えてきた。その中には退職勧奨が拒否された事例は存在しない。当たり前じゃないですか。退職勧奨を受けて退職した人数を答えて、その中には拒否した事例はないというのは当たり前じゃないですか。国会からの真剣な質問主意書に対して、こんな、事実を隠ぺいするような答弁書を鳩山内閣は出しているんですよ。大臣、よく気がついてください。

 いいですか。退職勧奨を受けて退職した人数を聞いているんじゃないんです。退職勧奨はもっと多くの人に行っている、そういうことなんじゃないんですか。長いこと質問してしまいましたが、全体、いかがですか。

仙谷国務大臣 私もその質問主意書を確認いたしておりますが、数字は……(中川(秀)委員「八十四名と書いてあります、答弁書に」と呼ぶ)九十八名が退職勧奨に応じておやめになった、それから、そのうち十五名が特定地方警務官の方でありましたということで、その十五名を除くと、中川議員がおっしゃる八十四ではなくて八十三のようでありますが、いずれにしても、そういうふうに、勧奨をされて拒否をされないで退職した人が、その特定地方警務官を除くと八十三名あったということは事実のようであります。

 あと、そのほかに、退職勧奨を受けたけれども不同意、あるいは、私はやめないと言われて、何人の方が、おっしゃるように拒否されたか、それについては私どもの方には調査の報告はございません。また、それが各省庁で調査し得るのかどうなのか、それは私にも現時点ではわからないということであります。

中川(秀)委員 これは委員会や委員長にもお願いしますが、大臣、国会が事実を聞いているんです、質問主意書で。退職勧奨は何件なされて、その中で拒否されたケースがあったかと聞いている。答えは、退職勧奨を受けて退職した人数だけ答えてきている。そして、その中には拒否された事例はないと。退職しているんだから、拒否されてなんかいないんですよ、それは。そういう答え方をして事実を隠ぺいしている。そういう意味でこれもまた国会の権威にもかかわりますよ。正確に答えていないんだから。

 私は、この八十三名の早期退職勧奨において本当に再就職あっせんが行われていないということをまず確認してもらいたいと思います。これを総理の調査権限でやってください。そういう、再就職あっせんはしない早期退職勧奨はあるかもしれないと大臣は答えている。本当にそういうことはしていないのか、調べて、この委員会で、この法案審査の前提条件ですよ、これは。それの調査報告結果をこの当委員会に出してもらってください、委員長。

 そして、なおかつ、山内議員の聞いた、退職勧奨が何件なされて、その中で拒否された事例はどのぐらいあったのかということ、ちゃんとそれは答弁してください。委員会に報告してください。

 そういう確認報告をしていただかなければ、私は、これまで既に行われた退職勧奨の実態は正確に把握する必要があると思いますよ。その意味で、今、委員長、天下りあっせんがなされていたのかどうか、この八十三名、九十八名について。それから、今言った、山内さんの質問に対してしっかりした答え。

 それから、課長、企画官以上しか回答されていないんですが、課長補佐以下の人数だけなら報告できるはずなんです。そういうものでも、何件が受諾され、何件が拒否されたか、省庁ごとに詳細を明らかにする必要があると思いますが、もし時間がかかるというんなら、まず、政務三役が把握している範囲で直ちに回答して、追ってそれ以外のものも調査するようにしていただきたいと思います。

 これは政府案の審議や採決の前提だと思います。委員長、お取り計らいください。

田中委員長 この問題等について、委員会として、再度、質問の趣旨にこたえるように求めていきたいと思いますので、質問を続行してください。

中川(秀)委員 次に、事務次官の廃止についてお尋ねしたいと思います。

 霞が関の各省庁別の身内共同体のシンボルが事務次官。民主党議員も、国のために役立つ専門家の官僚を育成する突破口が事務次官の廃止である、いかがわしい官僚ばかりがはびこるのを阻止して、国のために役に立つ、そういう専門家を育成する、それが事務次官の廃止である、こう言っておられますが、全く私は同感です。

 やはり、公務員制度改革の目的として、何か利権とかそういうものを伴わなければ再就職できない、そんな幹部公務員のあり方を改めて、他の職業にも回転ドアのように行ったり出たりできるような、そういう、他の職業に転職する能力、技能、知識を公務員に与えるものでなければならないのが今度の公務員制度改革の目的だと私は思います。

 そういう意味で、仙谷大臣も、去年の十二月七日、事務次官ポストの廃止を記者団に表明された。今度の公務員法に盛り込む方針をお話しになった。私は報道で読みまして、さすがだ、こう思いましたが、ところが、今回の法案ではこれに踏み切れなかったわけであります。

 結局断念されたわけですが、これは御自身で考えた結果、考えをお変えになったのか、だれにも相談、協議をしなかったのか。二番目に、だれか反対があったのか。結局、御自身は、やはりこれはもう無理だ、自分の考えは現状では無理だ、そうお考えになったのか。よいか悪いかよくわからないが、まあとりあえずもう少し先に延ばそうと御判断なされたのか。いかがですか。

仙谷国務大臣 今回の公務員制度改革法案というか公務員制度の改革というのはスタートでありまして、第二弾で抜本的に改革をしなければならないと私は考えております。

 ここは、今、政治主導確保法案をお願いしておりますが、この法案を通していただいて、政と官の関係を双方からいずれも再定義するということが必要になってくるんだろう。

 そのときに、現在事務次官と言われている職の、これは今、つぶさに見てみますと、各省において、機能あるいは職務というのが必ずしも同一範囲、同一の機能を果たしていない部分も大きかったり小さかったり、全然違うことをなさっておったりもしておるようであります。それは、別にその省のガバナンスがしっかりしておればそれほど問題のあることじゃないんですが。

 基本的に、この事務次官というものが、果たして官僚制のヒエラルヒーとしてどういう意味を持って存在しているのか、すべきなのか、このことを改めて中身の方から問い直すということが必要で、そういう議論をもう少ししないとちょっと、私自身のある種の理念型を主張しておったわけでありますが、まだ熟していないかな、こういう感じで、今回は法案までは盛り込んでいないわけであります。

 先般も別の委員会で私自身のその点についてのお話をいたしましたが、内閣官房には官房副長官という方が、いわば、従来は事務次官会議の主宰者であったり、他の省でいうと事務次官に相当する、こういうふうにイメージされておるわけでありますが、いらっしゃいます。これは内閣官房副長官ですね、事務系の方が今一人いらっしゃいます。そうだとすると、そのアナロジーで、各省の大臣、副大臣というふうに考えると、事務系副大臣という位置づけもあってもいいのかな、その場合、今の次官の方がなさっている、事務のある種の統括というふうなことをその事務系副大臣の方が担うのかな、そんなことを今考えているところであります。

中川(秀)委員 最後の御答弁はまた新たな論点を生みそうですが、時間がもうありません。

 今、民主党政権になって、大臣、副大臣、政務官、政務三役、政務がいる。大臣一人、副大臣二人、政務官三人、そして事務次官一人、局長複数。政務三役のもとの事務の責任者として、一体どんな役割、どんな責任をとるのか。次官会議もなくなりました、次官会見もなくなりました。政策決定は政務三役が中心になってやっているはずです。どういう仕事をやるのか。

 もし旧政権時代と同じような仕事をやっているのなら、副大臣、政務官は今ふやす必要もなければ、もし事務次官の仕事が減っているのであるならば、事務次官というものを、違う、筆頭局長か何かにする、そういうことが正しいのであって、いろいろな抵抗もあるんだと思いますけれども、私はやはり、民主党がかつて言っていた、これが突破口なんだという廃止というのは正しい考え方なんではないかと思います。

 議員立法提出者の方は、もう事務次官廃止を法案に盛り込みました。そういう発想で盛り込んだんではないかと思いますが、時間がないので、塩崎提出者がいらっしゃるんですが、申しわけないけれども、私も趣旨はわかっておるつもりでございますので、御答弁は不要でございます。

 大臣、ぜひそういうことは、今後の抜本改革の中でも、また事務系の新しい副大臣をつくるなんというんじゃなくて、今までおっしゃった主張で、政務三役を中心に回していくというならそれがそれで正しいのであって、そういう考え方でいくべきではないでしょうか。

 最後に、私は、平井議員が本会議で大臣に、公務労協、そういうものとの、労働基本権についていろいろお尋ねになったときにどういう打ち合わせをしたのかと言ったら、私はしていない、自分はしていないと大臣おっしゃいましたが、自分はしていないということは、だれか別の人がやったのかもしれませんね。

 そして、もう基本法のプログラムまで、民主党が、かつて与野党合意でつくった基本法まで変えちゃったわけですから、何かそこに公務労協あたりの圧力があるんじゃないのか。いろいろな公務労協が出している声明書なんかを読みますと、全くそのとおりになりましたので、そういう打ち合わせがあったんじゃないのか、こういうものに対して、一切隠しだてすることなく全面公開してくださいと言ったら、できる限りオープンにする、こう大臣はお答えになりました。

 だから、私は、自分はやっていないというのは、仙谷大臣以外の方々が労働組合あるいは労働組合の関係団体と相談されていたんじゃないかと思います。

 そういう意味で、これは委員長にも、委員会、理事会で諮っていただきたい。これも法案の採決の前提でございますけれども、政権発足からこの法案の提出の間になされた、公務員制度改革担当部局、政務三役、内閣官房、事務局、それと労組関係団体との間の公式、非公式のすべての協議について、日時、参加者、議事録、特に先方から法案内容に関する要望その他があった場合は漏れなく記載された議事録、その資料を提出することを求めます。

 委員長、大臣もそう御答弁になっているんですから、委員会として正式に政府に要求してください。いかがですか。

田中委員長 後刻理事会で検討します。

中川(秀)委員 もう時間が参りましたからこれでやめにしたいと思いますが、仙谷大臣、これは一方的な話を私はいたします。

 昭和二十二年に、斎藤隆夫という国務大臣が憲法十五条の解釈として、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」この条文をもとに、一部に、大臣が官僚の人事権を行使することは公正、中立性が侵される、そんな議論があるようですが、これは私は間違いであると思っております。

 斎藤隆夫大臣は、昭和二十二年に、この十五条の解釈として、国会によって総理大臣が選ばれてそれが政府をこしらえた、その政府の大もとが国民の意思によるのであって、この国民から選ばれた政府は官吏の任命権を握る、つまり、多数の公務員は、国民に基礎を置きますところの政府が国民にかわってこれを選定するんだ、及び罷免するのであるから、その方法は憲法十五条の趣旨に決して背反しないのみならず、憲法のこの趣旨は、この方法によって十分実現するものであると。

 つまり、国民から選ばれた政府が官吏の任命権を握ることこそ憲法十五条の趣旨である、こういうことを答弁されているわけですね。当然の答弁。

 ところが、最近の人事院の年次報告書なんかは違うことを書いているんですよ。公務員の公平、中立性に関して、恣意的な人事を通じて行政運営がゆがめられることがないよう、採用試験や研修に関する企画立案などの人事行政は、使用者である内閣から一定の独立性を持った機関が担うべきなどと書いているんです。

 おかしいと思いませんか。国民から選ばれた内閣が任命権を握る、いろいろな人事行政、そういうものは内閣がやる。内閣が官僚の人事に手を突っ込むとおかしなことになるなどという議論は、私は憲法十五条を根拠にすべきではない、このことを思います。

 もう時間が参りました。これは一方的な私の意見で、どうぞ、御答弁があるようでしたら。

仙谷国務大臣 斎藤隆夫さんは、反軍演説、粛軍演説のみならず、但馬出石、あれは仙石藩というのであります。私の親友が「評伝 斎藤隆夫」というすばらしい本を書いておりまして、私もかねてから尊敬をしておりまして、中川議員が今御指摘になった、当時の斎藤隆夫国務大臣の憲法十五条の解釈は、まさに公務員の選定、罷免権の解釈については私も同意をいたしますというか、そのとおりだと思います。

 人事院の御意見がどうのこうのということで、改めて、年次報告書にそういうくだりがあるかないかというふうに思って、もう一遍読んでみました。ちょっと私自身の読み方が悪いのかどうかわかりませんが、それは、年次報告書の流れの中で、先生がおっしゃるほど、人事院に何か人事に関して独特の権限がある、独自の権限があるとまではおっしゃっていないんじゃないか、そこまでは人事院の方も書いていないんじゃないかというのが読後の感想ではあります。

 別に人事院に味方をする必要も全くないわけで、人事院は、やはり抜本的な改革の中で、新たな任務規定といいましょうか存在理由をちゃんとつくらなければならないと私は思っているところです。

中川(秀)委員 気を緩めるとすぐ独走しますからね。

 質問を終わります。先ほどの調査の件、報告は頼みます。

田中委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 今回の委員会審議の中で、一つの大きなポイントは、公務員の人件費ということであります。もちろん法案そのものにはこれはかかわってこないところでありますが、私は、人件費といったときに、総額という考え方と同時に、一人当たりでどうなのか、他の民間の同じような職種と比べてどうかということを考えないといけないのではないかなというふうに思っておりまして、仙谷大臣には、当委員会あるいは予算委員会などで、さまざま、一人当たりの人件費についての議論もさせていただきました。

 きょうは、数字の方は私の方で申し上げますけれども、今、自衛隊の隊員を除くベースで国家公務員の一人当たりの人件費を計算すると一千四十七万円の数字になります。これは、自衛隊の隊員を入れると数字が下がるのは、自衛隊の隊員の中には、あるいはその多くは一期三年あるいは二期六年で退職される、もともと給与ベースの低い人が入っているので、そういう人を入れて割り算をするともう少し下がりますから、単純な比較でいえば、防衛省職員、自衛隊の隊員を入れないベースで比較をするのが妥当なのではないかと思いますが、一人当たりの人件費が一千四十七万円になっている。

 あるいは、これは直接的な形では国の予算とは関係いたしませんが、地方交付税という形で反映されている地方公務員ということを見ると、こちらの方が一人平均で九百三十三万円という数字になっております。

 なぜ高くなるかということについては、後ほど職域加算の話なども議論させていただきたいと思いますけれども、まずは仙谷大臣に、徳島のレベル感も含めて、一人平均一千四十七万円払える企業が御地元にあるかどうかということも含めて、この一千四十七万円という数字が大臣の感覚からして高いのか、いや高くないのか、難しい話はいいですから、そのレベル感を伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 平均で一千二十一万円というのは、この間の家計所得とか可処分所得とか、そういう観点からいえば高い方だというふうに感じます。

浅尾委員 今、高い方というふうにおっしゃっていただきました。

 私は、一番高いんじゃないかなというふうに思います。もちろん、民間の大企業で平均人件費が一千四十七万円を超えているところはあるかもしれませんが、産業別で比較したら、産業別の数字もありますけれども、圧倒的に一番高いわけでありまして、高い方ではなくて、一番高いという認識をお持ちかどうか、伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 他の産業と比較するのが妥当かどうかという点はありますけれども、一番かどうかはわかりませんが、高いというふうに思います。

 ただ、私もそれほど細かく公務員の人件費を精査しているわけではありませんが、どうも、平均額が高くなるのは、いわゆる指定職以上になると急カーブで上がっていくような、今、賃金体系と言うと語弊がありますが、給与の体系になっていることもその一因かな。初任給とか、若いうちはそれほど高いような感覚を持っていないというふうに思います。

浅尾委員 そこは私、恐縮ですが、ちょっと大臣とは認識を異にいたします。

 なぜかということを申し上げますと、指定職というのは全体のごくごくわずかな割合でありまして、ちょっと私も正確な数字を持っておりませんが、大体何%ぐらいですかね。仙谷大臣、もし、あらあらの、間違っても結構ですから、どれぐらいの認識だと思いますか。

仙谷国務大臣 私の理解では、多分、指定職以上は六百人というふうな認識をしておりますが。

浅尾委員 六百人というのは全体の国家公務員からいえば一けた%もないわけでありまして、その人たちが幾ら高くても一千四十七にならないというのは、単純に数字を計算すれば明らかなことだろうというふうに思います。

 加えまして、もう一つ、これは民間との比較でいうと、比較するのがいいのかどうかというふうにまた言われるかもしれませんが、私は決して、指定職、あるいは民間でいえば社長さんが普通の平社員と比べて高いからいかぬということを言う人は余りいないんじゃないか。もっと言うと、差がなく高いというのが公務員の人件費の特色だと思いますが、そういう認識はお持ちですか、差が余りなく高い。

仙谷国務大臣 賃金カーブの問題にしても、それから、先ほども申し上げましたように、級別定数で、民間の場合だとある年次から下がる方がいらっしゃるけれども、そうはなっていないとか、それから、これはいい悪いは別にしまして、指定職以外は個人差がほとんどなくて、年次によって相当程度決まっているというのが、これは現在の民間の給与体系と相当違う給与体系のもとで行われておりますから、浅尾議員がおっしゃるように、そのことが総体として、あるいは平均額として高どまりしているという原因の一つなのかもわからないなと思っております。

浅尾委員 実は、公務員の人件費について調べてみました。これは別にお答えいただかない、こちらで申し上げます。

 号俸というのがありますね。御案内のとおり、給与テーブルというのは、一級、二級、三級、四級、八級までいって、あとは指定職だったと思いますが、例えば三級というのはかつて三十二号までございました。今はその四倍ありますから、計算すると百二十八号まであるんでしょう。要するに、細かく分けるということで四倍になったということであります。

 かつて、三十二号まであるときは、定期昇給にあずかれる条件は、公務員法で勤務成績が良好な者というふうに書いてありますが、その良好の有権解釈をするのが人事院でありまして、人事院の解釈では勤務成績が良好というのはどういう者ですかと聞いたら、年間に四十日以上の欠勤がない人、有給休暇以外に三十九日まで欠勤があっても勤務成績が良好になると。それで毎年五千円から八千円上がっていくということが、ついおととし、去年までの仕組みでありました。

 制度を変える中で、先ほど申し上げましたように、一号俸を四つに分けて、ですから四倍になったんですが、御案内のとおり、普通に勤務している人は四号俸上がる。しかし、極めて勤務成績が良好の人は八号俸上がる、その次のBランクの方は六号俸上がる。上の八号俸上がる人が全体の五%、次のBの六号俸上がる人は全体の二〇%というところを決めて、そのときはたしか予算委員会に座っておられたから、その議論を聞いておられたと思います。

 しかし一方で、下がる方、下がる方というのは、上がらない人とか、二号俸しか上がらない、今までの半分しか上がらない方の人は、実はパーセンテージが決まっていないということなので、結局、どんどんどんどん人件費がふえる方向に今なっているというのが一番の根幹でありますし、六百人しかいない指定職の問題ではないということは私は強く思いますが、そういう認識を持っていただけるかどうか、仙谷大臣に伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 私自身はそこまで詳しく精査をしておりませんし、なぜそういうつけ方になるのか、私はわかりません。

浅尾委員 私はわかりませんと言われると、給与はこれから抜本改革をするというふうに先ほど来おっしゃっておられるので、そこはわかっていただかないといけないところだと思います。

 きょう、座っておられるので、大島副大臣に、その辺は一番お詳しいと思いますので、ぜひ今の認識、あるいは、そこを変えるべきだと私は思いますし、そういうものを入れていくべきだ、いわゆる昇給のところについて、信賞必罰ということであれば、全体よりも多く上がる人がいるということであれば下がる人もあるパーセンテージで決めていくべきじゃないかなというふうに思っておりますけれども、そういうことについて、もし御意見があれば、なければ結構でありますが、伺います。

大島副大臣 浅尾委員の質問にお答えをさせていただきます。

 多分一般職の方で、去年から一般職の方の人事考課のシステムが始まったということを聞いてびっくりしております。私も、会社に入ったのは今から三十年ぐらい前で、そのときから目標管理シートがあって、一年間こういう目標を立てて、上司が評価をして、課内でそれが順番をつけられて、多分、昇格、昇進及びボーナスの査定に、検討に付されていた。公務員の場合はこれが去年から始まったと聞いてびっくりしております。

 ですから、要は、その人事評価を踏まえて、今後は恐らく、同期が一律に一ランクずつ上がっていくのではなくて、昇進の幅がついてくることになるかなと承知をしております。

浅尾委員 ありがとうございます。

 まさに去年から始まった制度でありますが、その制度の中にも、先ほども申し上げましたように、上に上がる方は割合を最初から当てはめているんですね。繰り返し申し上げますけれども、今までの、通常の倍昇給する人は全体の五%、通常の一・五倍昇給する人が全体の二〇%というふうに、上に上がる方を割り振っているのであれば、本当は、正規分布で考えれば、全然昇給しない人は五%、通常の人の半分しか昇給しない人が全体の二〇%にしないといけないのですが、下の方は割り振っていないというのが実情だ。

 そのことについては予算委員会でも指摘をさせていただきましたが、きょうはいない人のことを言ったら欠席裁判になりますので言いませんが、ただ、答弁だけは引用させていただきたいと思います。人事院の江利川総裁は、公務員は試験で採用されているので、そもそもできない人はいないんだというような答弁をされたわけでありまして、それはちょっと制度上は問題があるんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の法案に給与法についても入れるべきだということを自民党、みんなの党で提案させていただいております。これも通告をしておりませんが、山内提案者に、やはり給与のところも法律に入れていかないと、なかなか本当の意味での人件費の改革につながらないんじゃないかというふうに思いますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。

山内議員 全く浅尾委員のお考えのとおりであります。

 恐らく、給与法の改革なくしては、公務員人件費二割カット、民主党政権が公約に掲げていることも難しいというふうに考えております。

仙谷国務大臣 一般論として、給与法を、新たにできる人事局プラスアルファ、つまり一般職の公務員の人事労務管理の基準を所掌事務とする部局が給与に関する企画立案といいましょうか、そういうことを扱うのは当たり前であります。

 今、自民党、みんなの党の皆さん方の修正案を見ましても、法施行後六カ月以内に法制上の措置をとるということで、これはこれでまた先送りをされているということでありますし、今、浅尾さんが随分問題にされていることは、幹部職員の給与の話よりもむしろ一般職の方の話であって、こういう格好で今度の自民党案のような規定をこちらに入れたんだ入れたんだと言うんだけれども、一般職の給与について、こういう格好で、級別定数になるんでしょうか、あるいは総人件費の基本方針の企画立案になるんでしょうか、所掌事務を機能移管したとおっしゃるんだけれども、本当に一般職の方々の給与に関する規定を人事院から完全に取り上げて、つまり、代償措置たる人事院制度を本則に戻すとすれば、本則なしにこんなことができるのかという疑問を私は持っていますけれども。

浅尾委員 もちろん、給与法の改正は六カ月以内にやるということです。

 改正に至るに当たっては、今仙谷大臣が言われたように、労働基本権を付与していかなければいけないとか、さまざまなそういう課題があるんだろう。ただし、労働基本権を付与するということについては、ことしの予算委員会で鳩山総理大臣が、来年の通常国会までには、そのことを含めた、労働基本権を付与した、そしてその結果人事院というものが要らなくなるわけでありましょうから、法案を出すというふうに言っておられて、私は、それができれば非常に抜本的な改正だろうというふうに思っていまして、今回の私どもが出した法案というのは、そのことを六カ月以内にやる。ですから、タイムテーブルが若干違うというだけの違いだというふうに思います。

 ちょっと質問の順番でいうと二番と三番が入れかわる形になりますが、続きでありますので、三番の方を先に質問させていただきたいと思います。

 労働基本権を付与するということについては、先般も連合の方と議論をさせていただく中で、一カ月ぐらいあればできるのではないかというふうに言っておられました。ですからあとは決意の問題だというような観点を言っておられましたけれども、その中で、そうはいってもなかなかいろいろな課題があるのではないかなというふうに思いますが、特に、労使紛争をどういう形で仲裁するのか。

 今の中労委、地労委を使うのか使わないのかということが一つの論点になるということを言っておられる方もいらっしゃいますが、私自身は、別に公務員であろうと民間であろうと今の現行のものを使えばいいんじゃないかと思いますが、まず、現行のそういうものが使えないとするなら、どういう理由で使えないのか、あるいはそこも含めてまだ判断されていないのかについて、これは仙谷大臣でも、あるいは大島副大臣が実はそこの御担当だというふうに聞いておりますが、どちらかお得意な方に答えていただければそれは結構です。

仙谷国務大臣 昔、公共企業体等労働関係法に基づいては、公共企業体等労働委員会ですか、公労委、公労委と言っておりましたが、そういうものがあって、仲裁調停をしていたというふうに私自身は記憶しております。

 そこで、仲裁なのか調停なのかあっせんなのか、要するにそういう間に立つ機関がなければ、そもそも双方が、会社が倒産するということがない、あるいは市場からの反応が出てこないという公務員特有の労使関係においてはそういう制度が必要なのではないか、こういう問題意識が先般の検討委員会の報告書でも指摘をされているところでございます。

 私自身は全く、現時点で、どういう、仲裁的というか仲介的というか、そういう機関をつくった方がいいのかという決断をまだしかねておりますが、中央労働委員会を使うにしても、中央労働委員会の中に公務員労働部会とか何かそういうものがないと、これは、民間の不当労働行為を中心とする労使関係の紛争処理を扱う中央労働委員会、現在の中央労働委員会そのものではなかなか対応できない。そうすると、公務員関係労働委員会というのを別個つくるか、こういう話にもなる可能性もありまして、そこはどういうあり方がいいのか、よく考えてみたいと思っております。

 もう一つは、多分、労働組合法の中にあったと記憶しておりますが、緊急命令とか緊急調整とか、やはり公務というものの持つ重さで、もし争議行為を認めるとするならば、争議行為の前段階でこれを回避する義務、努力、あるいは争議行為に入る条件といいましょうか、そういうものについても、職種によってということになるかもわかりませんが、制度的な担保をしておかなければならないだろうと思います。

 もう一つ、連合の方がもし一カ月でできるとおっしゃるならば、おつくりいただいて、我々も参考にしたいと思っております。

浅尾委員 では、鳩山総理が来年の通常国会までにはということを御発言されているわけでありますけれども、労働基本権を公務員に付与するについて、具体的に議論しなければいけない論点というのはどれぐらいあるんですか。

仙谷国務大臣 抽象的な御質問でありますので、どういうふうにお答えしていいのか、ちょっと戸惑いますけれども。

 検討委員会の報告書を見ても、こうすべきだという判断はほとんどされていませんけれども、選択肢で示されたのは、大きい項目で四つ、五つ。それから、系と言うと語弊がありますけれども、今度、項目から細目といいましょうか、具体的に検討しなければならないことを考えれば、百は優に超えるのではないかと私は思っていますけれども。

浅尾委員 細かいところを入れれば百を超えるかもしれませんが、しかし、この話は既にILOの勧告があったりなんかして長い間議論していますから、そこは、私は、論点自体はもう明らかになっているというふうに思います。あとは、その一つ一つの論点をクリアするに当たって、政治的な決断が必要なもの、それとも実務的に淡々とできるものというふうに分けていくということなんじゃないかな。

 少なくとも、ゴールを来年の通常国会というふうに置いておられるとするならば、それまでに、どういう形で、クリアするのにどれぐらい時間がかかるかということについて、今から準備されないと来年に間に合わないんじゃないかなというふうに思います。

 大島副大臣にお答えいただいた方が多分もう少し実務的な御答弁をいただけるんじゃないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

大島副大臣 先ほど仙谷大臣が答弁したとおりなんですけれども、労働基本権を付与するとして、その幅がありますね、スト権まで含むのか含まないのかから始まって、締結権をどうするのか。先ほど浅尾委員が御指摘になりました仲裁機関をどうするかというのも、基本権の幅によって多分、それがどういうあり方かというのが決まってくるかと思います。

 ただ、実務上考えますと、来年の通常国会に出すとなると、相当大きな法案になるかと思います。それは、関係する各省庁の法案を、関連するところが非常に多いものですから、ですから、できるだけ早急に労働基本権の付与のあり方については、今も検討しているんですけれども、検討させていただいて法案準備に入っていく、そのように考えております。確かに、一カ月もあればできるという発言も心強い発言とは思うんですけれども、これは相当大きな仕事であると認識をしております。

浅尾委員 確かに、法律の厚さ、物理的な厚さは結構厚いものになるんじゃないかなというふうには思います。思いますが、この間もう十数年、あるいはもっと長くかもしれません、議論しているので、論点自体はもう明らかになっているのではないかな、したがってあとは政治の決断ではないか。

 繰り返しになりますけれども、先ほど来の議論で、人件費が高いのは決して指定職が原因ではなくて、全体に高い。全体に高いということについては、きょうの仙谷大臣の答弁にもありますけれども、労務管理の責任者がいない、要は団体交渉する相手方がいないというのが多分全体に高くなっていることなので、団体交渉ができるようにしましょうということが多分労働基本権を付与するということでありますから、そこは決意を持ってやりますというふうに言っていただければと思いますが、ぜひ仙谷大臣、決意を持って、来年の通常国会までにやりますと言っていただければと思います。

仙谷国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、集団自治といいましょうか、集団的な関係の中で物事を決定していくという、この基本に立ち返ることが、自律的労使関係の創設といいましょうか、そういうものをつくるんだ、こういうことだと思います。

 そうだとすると、いわゆる使用者に該当する責任体制というか部局をどうつくるのかというのが労働基本権を付与するに際してのまずは前提的な問題で、ここのところを政治の意思で決断しない限り、このことはなし得ない。

 私は、そのことを部内でも力説しておりまして、つまり、そういう責任者と、さらにそれを事務的にも補佐する体制というものを、雑駁な感じで言えば、どうなるかわかりませんけれども、最終的には公務員庁なのか何なのか、その種のものがなければ、当事者性を持った使用者に該当する部署をつくることはできない。その担当大臣もしくは担当副大臣が責任を持ってこれに臨む、そして労働組合とも協議を重ね、あるいは団体交渉によって物事を決めていく、これが基本になるということだけは間違いないわけです。

 そのことについて、これは日本でなぜこの六十数年できてこなかったのかということを考えますと、やはり世紀の大事業になるだろう。つまり、人事院体制というものを、ある種、部分的か大部分かわかりませんけれども、これを変えるということでありますから、意識の中でもビヘービアの中でも、大体この世界の中では、それになれ切った仕組みで皆さんはお動きになっていますから、これはある種の革命的な、特に意識の面では、あるいは慣行というようなものの中では、やはり相当革命的な事柄になる。だから、なかなか容易ではないけれども、これは歴史的な政権交代をなし遂げた鳩山政権しかできないし、鳩山政権だからこそできる、そういうふうに考えているところであります。

浅尾委員 大変な法案になるだろうということは、私もそう思います。

 ただ、私の質問は、もう既に鳩山総理が来年までに出すというふうに言っておられるので、担当大臣としてもそれを出しますということをもう一度追認していただきたいという意味です。

仙谷国務大臣 この現在審議中の幹部職員の関係の法案、内閣の人事管理一元化の法案を成立させていただきましたら、早速この人事局を拠点に、労働基本権を付与するという方向での法案に取りかかって、この大仕事をやっていただいて、次の通常国会に出せるように督励をしたいと思いますし、私もそのことに全力を尽くすつもりでございます。

浅尾委員 一点確認ですが、今、人事局で基本権の法案の下準備をするというふうに御答弁いただいたんですが、それはその理解で間違いないですか。

仙谷国務大臣 事務局的には、今、公務員制度改革本部事務局というのが、これは内閣官房にございます。内閣府ではなくて、内閣官房の組織として存在をしております。これを、内閣人事局が発足した段階でこの公務員制度改革本部事務局も人事局の中に吸収される、こういう前提になっております。

浅尾委員 今回議論されている幹部公務員と、広く一般公務員とで、私は、これは御答弁要りません、もし感想があればお伺いしたいぐらいのことで聞いていただければと思いますけれども、今までのキャリア制度というのは、キャリア官僚に名誉を与えます、表向きの権限もあります、しかし、実際の実務はノンキャリの方も含めていろいろと動かしている、したがって処遇面においては余り差がないというのが今までの制度だったと思いますが、これを抜本的に変えて、名誉と権限も含む公務員全体の人事管理をするという方向性の改革だという理解で、今のは通告もしておりませんし、私の感想的な発言ですから、もし何かそれに対して答えられることがあれば伺いたいと思います。なければ結構です。

仙谷国務大臣 さっき、指定職の方々の給与について、現時点でそれほど浅尾議員と違いのない話が出ましたが、名誉と権限を指定職以上の方に与えて、しかし処遇は余り変わらないようにするとおっしゃられたけれども、果たしてそうなのかなという気もしないでもありません。

 それから、自民党、みんなの党の提案を拝見いたしますと、特別職にするということで、それを一層際立たせることにするということなのかなという感じがして、今こういうお話の仕方をしているわけでありますが、私は、今度行う幹部人事というのは、会社でいえば執行役員なのかなというふうに思っております。だから、取締役は政務三役なのかなというふうに考えておりまして、その下の、会社でいえば部課長さん、これが管理職、課長さん以上なのかなというふうに考えておるんです。必ずしもそういう類推が当たっている自信はありませんけれども。

 そういうことで、幹部の方々の処遇が果たして高過ぎるのか、まだ安いのかわかりませんけれども、その辺、全般的に、やはりガバナンスというか、マネジメントを改めて考えていかなければいかぬな、こういうふうに考えております。

浅尾委員 私の言った意味は、先ほど大島副大臣がまさに言われた、人事管理がない、ないということが、名誉はあるけれども権限はないということに近いわけですね。本当は、人事管理するということは結果として信賞必罰でやるということでありますから、それについて御答弁を求めるとまた延びちゃいますから、次の共済の質問の方に移らせていただきたいと思いますが、そういうふうに変えていかないといけないということだけは申し上げておきたいと思います。

 それで、申しわけございません、渡辺副大臣もお越しいただいております。

 公務員の人件費が高くなるもう一つの理由は、いわゆる民間にはない職域加算というのが退職後の年金にある、これはどういう理由であるんですかということを、かつて、当時の竹中総務大臣に質問したら、いや、公務員には守秘義務とか身分上の制約があるので、身分上の制約の代替措置として職域加算があるんだというふうに言われました。それに対して、私は、いや、それは民間企業だって就業規則で守秘義務は定めているんだということを言ったところ、当時の竹中総務大臣は、いや、法律で縛られているのと就業規則とは違う、したがって職域加算があるんだという答弁をしました。これは当時の竹中さんの話であります。

 今度、原口総務大臣になりまして、竹中大臣の答弁で引き継ぐものはほとんどありませんということで、その答弁を引き継ぐんですかという私の質問に対して、引き継ぐものはほとんどないという答弁をいただいて、私はよかったなと思ったんです。

 そこでもう一回聞けばよかったんですが、そのときは聞くことを失念いたしましたので、渡辺副大臣に、では、引き継がないとすると、今、職域加算はどういう理由で、法律上あるからということじゃなくて、どういう根拠でもって、民間にない制度が入れられているのか、お答えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 原口大臣と、昨年の十一月の委員会で委員とやりとりをしたときに、竹中大臣で引き継いでいるところはほとんどないと思っているというような発言をされました。

 それが、イコール、いわゆる比例報酬の二〇%が職域加算という形であるということを否定したというふうには我々は思っておりませんが、これは、一九八六年ですか、スト権の制約等のある意味では代償措置として、さまざま今御指摘のあったような公務員独特の理由があるから職域加算という、これは共済年金独自の、公務員独自の制度が設けられたということで理解をしております。

浅尾委員 労働基本権がないことの代替措置は、人事院が存在して、そして民間に遜色ない給与を払うという仕組みになっているはずでありまして、したがって竹中さんも、窮余の策として、守秘義務という基本権以外のことを言わざるを得なかったんだと思います。

 繰り返しになりますけれども、そうだとすると、私はもともとこの制度はおかしいと思うんですが、二者択一で、民間の退職金を調査に入るときに、企業年金を一時金支給した分を調査しなければ、職域加算があっても別にそれは民間の企業年金と一緒になるからいいんだと思いますが、調査に入る総務省として、企業年金分を一時金で支給したものを調査対象にしないという決意はとれないですか。渡辺総務副大臣。

渡辺副大臣 この原口大臣の答弁では言い尽くしておりませんけれども、給与水準の官民均衡が重要であるということは、その趣旨としてはありますし、また、委員が御指摘のことは、一年前まで同じ党でいたわけでございますので、思うところは一緒でございます。

 職域加算の存在については、いろいろ委員がかねてからずっと一貫して指摘をされていました。同じ思いを共有するところもございますけれども、三月から関係閣僚によって、今まで我々がマニフェストどおり言ってきました、いわゆる年金の一元化の中でいよいよ実務者検討チームで始まりましたので、この検討の中で、民間の企業年金及び退職金の実態を踏まえて、これは例外なき一元化という中で検討していくことになるというふうに思っております。

浅尾委員 きょうは、せっかく新たな発令を受けられた古川副大臣が政治家として憲法解釈をする初答弁をこれからお願いしたいと思います。

 私は、今の議論を聞いていただいても明らかだと思いますが、職域加算というのはかなり立法上の趣旨が不明確であるというふうに思います。要するに、民間にない。そうすると、憲法十四条の社会的身分による差別をしてはならないということと、この職域加算の存在というのが、非常に憲法との解釈で微妙なところにあるんじゃないかな。法制局に聞くと多分つまらない答弁になると思いますので、できれば古川副大臣の肉声の答弁をお願いしたいと思います。

古川副大臣 早速、発令早々に御指名をいただきまして、ありがとうございます。

 法令解釈担当の副大臣といたしましては、この職域部分というのは国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法に規定されておって、まさに、そういった意味では法律上の根拠があって支給されているというところだと思います。

 この立法は、では憲法の十四条の公平原則に通ずるかどうかということでございますが、先ほど来から、先日の原口大臣あるいは今の渡辺副大臣のお話にありましたように、それは、当然、立法をする際にそれなりの合理的な根拠を踏まえて立法をされて、そのもとで、政府としては、これは合理的な根拠がある範囲内での法律として定めておるものだと思います。

 最終的な憲法判断は、これは裁判所において、司法の場において行われることだというふうに認識をいたしております。

浅尾委員 ありがとうございます。

 時間の関係で、最後の質問に移らせていただきたいと思います。

 お手元の資料、出席の山内衆議院議員が質問主意書を出したことに対する答えのうちの別表になるんだと思いますが、鳩山内閣が成立して以降にここに出ておられる方が早期退職勧奨になっておりますが、再就職先が空欄になっているところがあるんですね。

 私は、まさか、早期退職勧奨に応じて翌日から無職の人というのはいないんだろうと思っていまして、これは取りまとめは総務省の方でされたということでありますので、この空欄になっているところがどういうところなのか。もし空欄になっているところが今わかっていないとするならば、なぜわかっていないのかということについて、渡辺総務副大臣に伺いたいと思います。

渡辺副大臣 今回、私も、この資料を、質問主意書とそして本日の浅尾委員の質問の要旨を見まして、まさに空欄、再就職先が書いていない、これはどういうわけなんだということを私も聞きました。本来ならば速やかに、速やかというのは一カ月をめどに、再就職先を見つけた人は、まさに自分の任命権者を経由して総務省に届け出るはずでございます。

 これを見ますと、再就職をしていないのか、それとも、しているけれども届け出をしていないのか、このどちらかだということになりますが、今の制度でいきますと、これはあくまでも本人からの届け出を待つという仕組みになっておりまして、本来ならば、ここに、本当は、例えば社会保険庁の組織の改廃に伴う再就職につきましては、これは今般の法律の中でも支援をすることになっているわけでございまして、それですら、厚生労働省ですら、社会保険庁にいた職員の方々が書いていない。一体どういうことなのかということは、先ほど私どもも総務省の事務方に対して意見を述べたところでございます。

浅尾委員 届け出をしていない人に届け出をさせるというのが当然だと思いますが、しない場合は罰金が十万円ですか、十万円払ってごまかしちゃおうという人がいるのかどうか。そうさせないことの決意はいかがですか。

渡辺副大臣 もちろん罰則もありまして、私、大臣ではありませんので、ここでこうであるべきだというふうにお答えすることはできませんが、ただ、こういう制度をつくって、届け出がされるまで待っている。速やかにと言いながらも、もう昨年の十二月に離職した方もいて、いまだに、五カ月たっても出てこない方もいるわけでございます。当然これは、できるものであれば、何らかの形でやはりやるべきなんだろうというふうに思いますが、今の現行の仕組みでそれができるのかどうかというふうには思うところでございます。

 今、罰金の額で、十万円という具体的な数字がありました。それが高いか低いかということには、私自身は大臣じゃありませんのでここでお答えできませんが、ただ、委員の御趣旨、思いは理解できるところでございます。

浅尾委員 これも、私、幾つか問題があると思うんですね。

 一つは、そもそも鳩山内閣ができた後に早期退職勧奨があったこと自体、本当はやらないということだったんですが、やられている。これは閣議で、再開しますよという議論は、仙谷大臣、された記憶はありますか。

仙谷国務大臣 閣議では、私の記憶では、あっせんつきの退職勧奨はしない、こういうことが決められたのみであります。

浅尾委員 あっせんつきじゃないということですけれども、間違いなく、私は、これは調べてくださいということですが、翌日から無職になった人はこの中に一人もいないと思います。翌日から無職になるのだったら、わざわざ早期退職勧奨に応じるはずがないので。今、渡辺副大臣が御答弁いただきましたように、届け出は、罰則はついているけれども、罰則は十万円だから、何らか届け出をしない理由がある人たちが出していない可能性もある。あるいは、単純に忘れているかもしれませんが。

 ということは、あっせんは政府としてはしていないけれども、いわゆる役所のOBがいるところに、OBに誘われて行っている形をとっているところがあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういうものについては別に黙認をされるということですか。仙谷大臣に伺います。

仙谷国務大臣 この整理された一覧表を見ますと、浅尾議員はそうおっしゃるけれども、そういう一方的な決めつけであってはいけないのではないかなという気がします。

 というのは、多分、ここに記載された方々、人数は、まあまあこれだけ積み重なったら相当になるわけでありますが、例えば、この法務省関係の退職勧奨というのは多いなというふうに僕は見ておったんですが、よくここを拝見しますと、これは検事さんの場合、やはり検事正とかなんとかというポジションですから、検察庁内部の独特の、何期修習生の方が大体今度はどのぐらいに行くべきだという人事で、多分、もうそろそろお引き取りくださいという勧奨があって、それでおやめになっている。

 こういう方々は、おやめになって、では、あしたから弁護士をやろうかという方もいらっしゃるから、弁護士法人ペガサスというところへ就職された方もいらっしゃるわけで、五十数年あるいは六十数年働いたので、ちょっと余裕を持ってこれからぼちぼち弁護士でもしようかとか、あるいはどこか誘ってくれる大会社でもあれば顧問弁護士にでもなろうかとか、まあまあそういう話の雰囲気がこの辺からはにおってくるんですね。

 厚生労働省の方は、これは社会保険庁の廃止に伴う方々のような気がします。だから、ここは、あっせんを受けて、その職が決まった方が就職されているのと、それと、社会保険庁長官も含めてこういう相当高位の方々は、次の日から直ちに就職するというよりも、一呼吸置いて、さあ、来し方、残りの二十年ぐらいをどう生きるか考えようか、こういう感じの方々も随分多いような感じを僕は受けておりまして、この表からは、浅尾議員がおっしゃるような話ではないのではないかという気がいたします。

 自衛隊の場合は、自衛隊に若年退職制度があって、むしろ援護協会ですか、そこの御紹介でどこかに行かれているという感じが強いんだろうと思います。

 今浅尾さんが問題にされているようなことの本当の深刻な問題はもうちょっと別のところにあるので、この中にもそういう問題はあるかもわかりませんが、この範囲は、期間が短いタイムスパンの中であることもあって、それほど、次の日からどこかへ再就職しなければいけないから、退職勧奨を受けてひそかに何かしたのではないかみたいな話でない部分の方が多いような感じで、今拝見して、見ております。

浅尾委員 先ほど渡辺副大臣が、これは本来全部埋まっていなきゃいけないわけですね、届け出があって。だから、速やかにこれを埋めていただいて、無職なら無職と書いていただければいいわけですよ、決まっていないと。それで全然隠すことも何もないわけですから。

 ですから、私はそのことをぜひやっていただきたいと思いますし、委員長に、ぜひこの資料を、総務副大臣もそうすべきだというふうに言っておりますので、速やかに埋められるように、委員会に提出していただくように要請をして、私の質問を終わりたいと思います。

田中委員長 後刻、理事会で検討させていただきます。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 それでは、前回の質問に引き続きまして、国家公務員法一部改正案、また衆法提出二法案ということで、順次御質問をさせていただきたいと思います。

 前回の続きで、総人件費二割削減あるいは行政改革といったところから始めまして、きょうは、幹部公務員制度のところについて、政府あるいは提出者、また人事院の方からいろいろお伺いをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最初は、本当に前回の続きでございまして、内閣人事局の設置場所について前回の最後にお伺いをしまして、仙谷大臣から、自分は直接それを決める立場ではない云々ということでお話がありました。

 ただ、後で、戻ってみまして、もう一度法律を見ますと、施行期日四月一日、これは、この後、成立してからということに変わるでしょうけれども、やはりそれですぐ施行していくということであれば、新年度でもありますし、大体の場所の見当というものもつけておかなければ内閣人事局は始められないんじゃないかな、そのように思うわけであります。

 再度、どういう予定にされているか、お伺いをさせてください。

仙谷国務大臣 先ほどもちょっと申しましたけれども、内閣総理大臣官房内に公務員制度改革本部の事務局はあるわけでありますが、例えば、人事局ができたときに、人事局をどこのオフィスにするかというのは、公務員制度改革本部事務局の所掌事務でないと言えば何か冷たい話でありますけれども、そういうことを考える余裕もなければ、そういうことを考えることのできる部署でもない、こういうことなのかなと思っております。

 現に、もうおっしゃるとおりのように、こういう仕事は内閣官房のできるだけ近いところに事務局もあった方がいいと私は思っておりますけれども、ただ、このかいわいが非常にスペースが払底しておりまして、私の担当しておる戦略局も、それから公務員制度改革本部事務局も、要するに、いろいろなところにばらばらで今おるような状態なんですね。これはよくないんですが、スペースがない、あるいは先住権を主張される部局があるというようなこともあって、場所の問題だけは我々はちょっと関与、介入することができないという残念な状況にあることをひとつ御理解いただきたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 先住権というのも出てまいりましたが、それこそ政治主導で、やはり大事なものを大事な場所へ入れられたらと思いますし、なるべくやはり、どうもこれから後の道行きが、前回の御答弁でもそうですが、これから、ある意味でより山道険しくなってくるという時期でありますから、できるだけいい場所を確保されることを望みたい、こういうふうに思います。

 二つ目であります。

 総人件費二割削減の方針の閣議決定、これはさすがに困難というのは私も理解いたします。ただ、一つの大きな方針として、今、政権の考え方としてお持ちになっていると。

 その中で、少なくとも、閣議決定は無理にしても、そういったことについては、今どうなっているかとか、どういうことが考えられるかとか、データはどうだとか、そういったことをやはりどこかで、仙谷大臣を支えるという意味においては、担当させた方が私はいいんじゃないかと。そうした方が、私どもも質問するにしても、私どもではないのでということがなくなるなという思いも込めて、やはりこの辺で、これから大事な局面ですから、人事局になるのか、どこかにそういうことを担当させてはどうかと思うのですけれども、お考えをお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

仙谷国務大臣 ここまでの霞が関体制といいましょうか、人事行政及びその費用といいましょうか、これにまつわる行政が、ある種、それぞれがちょっとずつ関係するというか、あるいは大きく関係するところもあるんでしょうけれども、区々に分かれておるわけでございます。

 先ほど、ちょっと思いつきみたいなことで申し上げて恐縮なんですが、行く行くは公務員庁みたいな格好で一元的な人事労務行政を全般的に仕切る部局ができた方がいいと思っておりますが、そうなった暁には、そこと財務省、両省のやりとりというか、あるいは、これが国家の戦略にかかわるというようなことであれば国家戦略局と財務省と公務員庁ですか、ここが協力連携しながら調整をして、例えば、今おっしゃられた二割削減に向けての工程表をつくるというふうなことも考えられるし、そういうのが望ましい姿じゃないかと思います。

 今の段階では、地方移管の話が出てきますと、これは内閣府の地域主権戦略室に深くかかわる、それから、各種手当、退職金等の水準や定員の見直しということになりますと、これは総務省の人事・恩給局、行政管理局、こういうことになるわけですね。

 それから、労使交渉を通じた給与改定というのは、現時点では、その企画立案をこれから行うということで、公務員改革推進本部の事務局ということになりますけれども、やはり、さらに財務大臣、財務省のところがかかわっていただかないと公務員人件費あるいは財政的な面というのは解決してこない。

 さらには、行政改革というような観点からも行政刷新会議の関係が必要だ、こういうことですから、今申し上げたような部局が少しずつ関係があるということですから、これが連携協力して、どこかで、この法案成立後は、具体的に、さあ二割削減に向けてどのような工程で、あるいはどのような戦略でそういう目標に到達していくのかということを考えなければならないというふうに思います。

橘(慶)委員 先ほど公務員庁というお話も出ましたけれども、そういったことを考えますと、もともと内閣人事庁から内閣人事局になって、やはりいろいろ考えたら公務員庁だったという、何か、考えてみれば、皆さん、認識が一つになってくると同じ方向へ行くのかな、そんなことも思わないわけでもありません。

 ただ、今ほどの御答弁をお伺いしていますと、それこそ仙谷大臣がよく言う、何度か私も申し上げますが、温泉旅館の離れみたいな話にやはりなって、それをだれか一人グリップされる方がいないと、これではやはり、本当にやるんですかと。

 朝、小泉議員さんともやりとりされていましたけれども、何かをやっていくためには、それはつかさつかさはあったにしても、やはりかけ声役ぐらいは内閣人事局あたりで、参事官さんなのか補佐さんかわかりませんけれども、大臣の懐刀も必要じゃないかと思いますが、ここはいま一度御答弁をいただけますか。

仙谷国務大臣 気合いの入ったというか、本気の公務員改革をするためには、おっしゃるとおり、できる限り一元化をして、指令を発する責任者と、それを支え、ちゃんと情報収集をし、あるいは一緒にその情報を分析し、それから、工程表といいましょうか、そういうものに基づいて柔軟かつ大胆にそれが進められる、そういう人と体制は、それはもう必ず必要だと思います。

 そして、この問題は、相手があることと言うと言い過ぎになるかもわかりませんが、当然のことながら、受益者といいましょうか、そのことによって利害関係が左右される職員の方々というのはいらっしゃるわけでありますから、そことの関係も良好で、しかし、かつ説得的な議論を展開して納得をいただいて、この人件費の二割削減という目標に向かって進むという体制を早くつくらなければならない、こう私は思っております。

橘(慶)委員 とどのつまりまでは行かなかったような気もしますけれども、ぜひ今度からは、また質問する際には、ここでやっていますと胸を張って答えていただけるキャッチャーを用意していただきたいなと思うわけであります。

 次に、これは鳩山総理の予算委員会での答弁の真意確認ということになるかと思います。

 国の出先機関を地方へ移管する際に、必要経費をすべて国から地方に移譲するとは限らないという、ちょっと聞きようによっては地方に負担をぶつけるようなふうにもとれるような御発言が一度ございました。

 午前中から、仙谷大臣の方からは、お互い重複を避ければそこは節約できる云々ということもありましたが、ここは、基本的な考え方として、決して国のツケを地方へ回すという意味ではないと、その辺をやはりちょっと確認を、いわゆる真意確認ですけれども。

 本当は、国から地方に例えば人を渡すのであれば、その分の人件費をつけて、財源をつけて渡すというのがやはり筋だと思いますので、この辺は、このとおりで、真意はここにはないよということの答弁確認をお願いしたいと思います。

仙谷国務大臣 この件は、それこそ、さっきも申し上げましたけれども、地域主権戦略会議において、現在も検討が始まっておりますし、これからも検討を進められると。だから、人員の地方移管等の取り扱いについてもその中で検討されるというふうに考えております。

 私なりに解釈しておりますのは、事業そのものを移管する、ただ、今までどおりの事業のあり方でいいかどうかというのはそこで検討されるということになろうかと思います。したがって、検討された範囲の事業費は、一括交付金なのか何なのか、とにかく事業費そのものはそこに相当程度か何かは移管をされると。

 それを支える公務員の人件費がもしその事業費の中に入っていないとすれば、適正規模の人員の給与、人件費相当分というのは当然見るという前提で移管ということが行われなければならないというふうに考えているところであります。

橘(慶)委員 今の答弁は、大変安心をさせていただきました。

 続きまして、新政権では、当然、国家公務員の純減ということをしていかなければ二割削減ということになっていかないと思っておるわけであります。現行は、二十二年度まで五年間、旧政権におきましての定員純減計画が実施されてまいりまして、ちょうど二十二年度当初ですから、これで五年間ということで、終わったわけであります。

 さて、この後、まさに仙谷大臣もよくおっしゃいます、四年後といいますか、私から言わせれば三年後ということでありますが、それまでの間に二割削減云々という目標に向かってということであれば、当然ここの純減計画というものが何らかの形で継承されなきゃいけないのではないかと思うわけであります。しかし、今、示されていないように思います。

 定員削減方針というのがどうもあるようでありますが、この辺、どのようになっていて、どうお考えなのか、お答えをお願いいたします。

大島副大臣 御承知のとおり、この場で仙谷大臣も御答弁しているとおり、国家公務員の人件費の二割ですから、一・一兆円を削減するという民主党の目標、それに向けては、地方移管、定員の見直し、給与改定でやっていくということで、二十三年度以降については、この目標を達成するために検討するということにしておりますので、具体についてはこれから検討するということにしております。

橘(慶)委員 ちょっとまた裏から聞くような話を聞きますけれども、ということは、今は確たる数値や確たる計画はないというふうに理解してよろしいんでしょうか。

大島副大臣 現状では、今検討しているということでございます。

橘(慶)委員 私はたまたま、階政務官もいらっしゃいますが、総務委員会の方で独法通則法の話も一緒にやっているんですが、全体に思うのは、ひょっとしたら時間がとまっているんじゃないかという危惧をするわけです。

 要するに、前へ進めていかなきゃいけないということであれば、やはり計画を持って、前政権のことで継承するものは継承する、それからまた見直すところは見直すというのが普通でしょうけれども、しかし、何か時間がとまって、実は検討しているというところから数字がなくて漂っているということになると、この一年間は大変もったいないことになってしまう、そういう危惧を実はするわけです。

 実は、また別のところでお聞きしたいんですが、減量・効率化方針というのを今までだと年末に必ずつくって、ことしの行革はこうなっていますというのを示しておられたわけですけれども、これも二十一年の年末はやられなかったということも、そういう状態だと思うんですね。

 そして、一つだけ言いますが、定員削減ということで、仮に一割定員削減をされたとして、今三十一万人の総数ですから、一割というのが大体三万人なんです。例えば五年計画で一割なら、それを五で割ると六千人ずつになるんです。

 しかし、昨年の総務省さんの定員審査結果というのをいただいているわけですが、これで見ますと、「定員合理化等」、いわゆる合理化関係で六千三百人の定員を減員するんですが、当然、仙谷大臣もよくおっしゃる税関とか警察とか、つけなきゃいけないところがあるので、増員が五千五百九十一人となっております。ですから、一割定員削減ということで査定しても、当然、増要員のところもあって、それはいいわけですけれども、これでは減っていかない。

 先ほどお話があったように、地方への移管など、要は、今までのカテゴリーでいいますと、「業務の大胆かつ構造的な見直し」ということがないと実は減っていかないシステムになっているんです。そういうふうに見えるわけです。よっぽど増員要求をかなり厳しく抑え込めば別ですが、それはまた、今申し上げたいろいろな行政需要あるいは国民のニーズからいって難しいと思うんです。

 ですから、やはりこの純減計画というものがないと、定員削減方針、いわゆる昔から言う定削、定削とやっていたやり方だけでは、要は、ふえていくということはないかもしれませんが、いわゆる二割削減という劇的なことにはならないという危惧を抱くわけです。

 もう一度、この辺について、どう取り組むのか、あるいは今申し上げたことについて感想があれば、大島副大臣、お願いいたします。

大島副大臣 今、橘委員が御指摘されましたとおり、新規の採用数をどうするか、仙谷大臣がたびたびこの場でも御答弁しているとおり、横異動ということで、要は、忙しいのか、あるいは余裕があるのかというのも全部検討しながら、その上で、どのくらいの人数を落としていくのかということを決めることになるかとは思います。

 これからは私の思うに、民間企業ですと、経営の判断として結構大胆な数字を、私も鉄鋼業でかつて鉄鋼不況のときに出された経験がありまして、それで、各関係部局が努力に努力を重ねて、要は定員を減らしていくという過程を経験しております。ですから、粗鋼規模が一定でも、多分ここ二十年ぐらいの間に定員は三分の一ぐらいに減っているかなとは思うんですよ。

 ですから、そこは積み上げと政治主導ということで、要は行政需要とサービスを確保しながらの二割削減、一・一兆円に向けての具体の取り組みを検討して、実行していくということになるかと思います。

橘(慶)委員 課題は非常に大きいものになってきていると思います。年末ぐらいまでには少なくとも方向性が見えてくるんだろう、また、そうでなければ本当に時計がとまっていることになるんじゃないかなと心配をするわけですが、いずれにしましても、この問題は、まだまだこれから道が険しいというところであります。

 そこで、仙谷大臣にお伺いするわけですが、やはり一大臣が一組織を一定期間担当する方が一つの個性が出る、当然、一つのチームとして仕事がしやすい、仙谷大臣も前回そうおっしゃっていました。それはそのとおりだと思います。

 しかし、いろいろな事情があったことは、そうは思うんですけれども、仙谷大臣自身が、私が最初にお会いしたときは行政刷新担当でいらっしゃったのが、いろいろな事情で国家戦略担当へおかわりになった。事情はわかるんですが、仙谷大臣が、おれは行政刷新でいいんだ、枝野君を国家戦略にしておいてくれと言えば、もしかしたら、行政刷新としてはかわらずに済んだのかななどと勘ぐってもしまうわけであります。

 そう思ったときに、公務員担当はぜひ、御自身でコントロールできない事情は別として、問題ない限り私が最後までしっかりやり遂げますという、やはりそういう決意はここでいただいておきたいと思います。

仙谷国務大臣 これだけは何とも言えないというか、私が自由にできない事柄であります。

 したがって、何とも言いがたいわけでありますが、公務員制度改革自身は、先ほど申し上げましたように、日本にとっては歴史的な問題だというふうに思っておりまして、これを担当することにある種の歴史的な使命感を持って臨んでいるつもりでございます。

橘(慶)委員 よろしくお願いしたいと思いますが、なかなか課題は山積、時間はないと思います。できるだけ、また私どもの出している案も含めてよく検討されて、進められるところは先へ進められた方がいいと私は思います。

 そこで、幹部公務員制度の項目の方へ移らせていただきます。

 最初は、非常に機械的な御質問ですが、幹部職員、内閣案の法第三十四条第一項第六号に規定されております。次官、局長、部長、これらの官職に準ずる官職であって政令で定めるものとあります。内容をお伺いいたします。

階大臣政務官 お答えいたします。

 これらの官職に準ずる官職としましては、国家行政組織法十八条四項に規定するいわゆる省名審議官、総務省であれば総務審議官、三人おりますけれども、そういった省名審議官等の官職、それから同法第二十条第一項に規定する政策統括官等の官職、それから同法第二十一条第三項に規定する局次長あるいは審議官等、こういったものが準ずる官職の例として挙げられておりまして、こういったものが政令に規定されることになろうかと思います。

橘(慶)委員 そこで、内閣案では、今お話がありましたが、事務次官からいって審議官に至るまでの、これだけのポストを一つの固まりとみなされて標準職務遂行能力というものを一つ設定されて審査をする、こういうスキームになっておるわけであります。

 先ほど、仙谷大臣からも執行役員と取締役というお話がございましたが、民間の会社でも、執行役員の中にも専務執行役員から平執行役員までいらっしゃるということですね。相撲の世界でいえば、大関がいたり、関脇がいたり、小結がいたりということのように思うんですが、これを一つの職務、一つの職務遂行能力というふうにとらえるということについては、常識的にはなかなかすとんと落ちないものがあると思うんですが、どうでしょう。

 本当にこれは、審議官さんと局長さんとか、省の審議官、総務審議官のような方まで同じ職務遂行能力と見立てられるのでしょうか。答弁をお願いします。

大島副大臣 今回の法案では、御承知のとおり、事務次官級、局長級、部長級、これは審議官だと思うんですけれども、同一の職制上の段階に属することとみなしているということは、委員の御指摘のとおりでございまして、事務次官、局長、部長の幹部職に共通の標準職務遂行能力を一つ定めることが必要だと考えておりまして、要は、これは一つであると考えております。

 倫理、構想、判断、説明・調整、業務運営、組織統率といった共通する項目について少しずつ書き分けている現行の事務次官、局長、部長の標準職務遂行能力の内容にかんがみますと、これらの官職の標準職務遂行能力を一つにすることは問題ないと判断しておりまして、個々の幹部職への任用に当たっては、人事評価等に基づいて、当該官職についての適性を有すると判断されることが必要になるだろう、そういう考え方をさせていただいております。

橘(慶)委員 ここは、常識から考えると、どうもにわかに納得いかない、言ってみれば、きょうの論点の焦点みたいなところかと思います。

 これは実は、転任ということに全部しちゃおうといったところが問題でありまして、幹部公務員法でいいますと降任ということでやっているわけで、そうしていれば職制が違っていてもそれは問題ないわけですが、あえて全部転任で扱おうという、そこから出てくる話のようにもお見受けするんです。

 それはそれとして、今、職務遂行能力ということで御答弁いただきました。大島副大臣は民間の御経験もあるというお話もありました。私はたまたま、執行役員には専務もあれば常務もあれば平もあると言いました。一緒ですかね。御経験上、そう思われますか。

 そしてまた、職務遂行能力というのをそう書くとすれば、普通、役所の流れでいいますと、課長から一番下の審議官にまず昇任されるわけですよね。その審議官のところの職務遂行能力に全部合わせるという趣旨ですか。

 二つお聞きしました。民間の感覚としてそうですか。そして、本当に、では一番下の審議官に合わせてそこでみんな合格ということにするんですか。二つ、お答えください。

大島副大臣 私の経験から、私も野党のときにこういう場で質問しているときには、課長の方までと審議官以上を分けておりまして、課長までの方はサラリーマンとしての仁義はあるのかなと思って質問したりあるいは対応させていただいて、審議官以上の方は国の執行部に属していますから、これは若干対応を変えて、きつ目のことを発言していたかと思っておりまして、課長クラスと審議官クラスは一つには違うと思っています。

 役所の皆さんとおつき合いというのか、今回初めて政府に入って、日々仕事をさせていただくと、極めて優秀な方が集っている集団であるなというのが私の認識でございます。

 一応、部長クラスの方の職務遂行能力については今回規定をさせていただくことにしておりまして、そこから上の、部長から局長、局長から事務次官というのは個々の成績、ですから、業績なりあるいは能力なり、人事評価を見ながら、恐らくこの方は局長クラスの任にたえる方かな、そういう判断をすることになるかと思いますので、一つのプール、一つの中に今回は適格性審査を通っておさめていく、そういう考え方をさせていただいております。よろしいでしょうか。

橘(慶)委員 ちょっと苦しいんだろうなと思いながら聞いているんですが、今ほどたまたまおっしゃった中で、任にたえるという言葉がありましたね。よく言いますね、大関にかなうとか小結にかなうと。

 任にたえるということは、つまり職務遂行能力じゃないですか。要するに、局長の任にたえるというのは、局長の職務遂行能力があるから局長ということになるんじゃないですか、いかがですか。

大島副大臣 このところは、一つには、今回、一つのプールというのにさせていただいたのは、柔軟な人事配置をしたいという思いがありまして、政府の中でその都度の、政権交代が起きたら政権交代が起きたその都度の政策の優先順位あるいは人材の配置が必要だという観点に立ちまして、その観点をより柔軟にするために一つのカテゴリーを設けて、その中で、会社でいうと役員の方について決めさせていただいているという考え方をしております。

 多分、会社の役員の中だと、大体、職務遂行能力というのは、ベースは同じであって、その中でそれぞれの役職に応じて、繰り返しになるんですけれども、業績、人事評価に応じてそこに配剤をしていくという考え方をとっておりますので、そんなに違和感は私としてはないんですけれども、いかがでしょうか。

橘(慶)委員 この辺は、やはり常識というところが出てくると思うんですね。

 後の質問でしようかと思ったんですが、前回の本会議の質問の中でも、局長から部長へ格下げ人事もあり、こういうお話が出ていたと思うんです。でも、これは、政府の公式見解では格下げではないはずなんです。全部転任だから、それこそ横異動なんですよね。全く格下げではないんです。

 だけれども、新聞見出しとかいろいろなことで、要するに物事の常識ですね。常識で考えたら、やはり次官から審議官になって、それは横滑りでした、転任でしたといって、それはちょっと、だれも、新聞でも転任されましたなんて書かなくなるんですよね。あるいは、審議官から次官になられました、転任ですかと。いや、それは昇進おめでとうなんですよね。

 だから、私が言いたいことは、今言われた柔軟な人事、そこはいいんですよ。しかし、そのやり方において、余り常識から外れたことをこの日本国の中枢でされるというのはどうかなという心配をするわけです。

 この辺はどうお考えになるか。よくまだまだ考えていただきたい。特に申し上げたい幹部公務員法というのもございますので、お考えいただきたいわけです。

 ここで、ちょっと観点を変えまして、これはまた、指定職の号俸でそれぞれ大分違うわけですね。

 人事院さんに来ていただいております。

 事務次官、局長、部長、審議官、全部職務遂行能力が一緒。職務遂行能力は内閣の権限のようでございますが、職制といいますか、これは全く一緒ということでよろしいのでしょうか。総裁、お願いいたします。

江利川政府特別補佐人 国家行政組織法上は、次官、局長、部長は、それぞれ職階も違いますし、職責も違います。ただ、国家公務員法上の扱いについて、その扱いの中の昇任とか降任とかというところについて、今回、法改正でこれを同一のものとみなすというふうにしたわけであります。ですから、そこの法律改正が通りますと、その異動は国家公務員法上は転任という形になる。

 ただ、国家行政組織法上の、職階が違う、職責に応じて給料が違う、こういう実態は依然として残るわけであります。

 これについては、今回の法改正の趣旨は、先ほども大島副大臣から御答弁がありましたけれども、能力、実績を踏まえた適材適所の人事を進めるための仕組みということでありまして、この改正の趣旨は有為な人材を活用するということでありますから、大変意義あるものというふうに思っております。

 ただ、実際の人事に当たりましては、一グループになりました幹部職員につきましても、国家公務員法三十三条に成績主義というのが書いてございますが、成績主義の原則にのっとって行われるべきである。

 その成績主義の原則は、今度の改正を踏まえますと、二つの視点で行われる。一つは、標準職務遂行能力についての評価である。今のはグループでの評価になりますが、もう一つは、それぞれの職についての適性の評価というものがあるわけであります。その適性の評価について、厳正な検証に基づいて公正な人事が担保される、これが肝要なことではないかというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 なかなか難しいですが、職務の遂行能力上は一緒で、国家公務員法上は一つの職でありまして、しかし職階上は違うものでありまして、基準的には二つの基準がありまして、職務遂行能力では一つの基準だけれども、成績主義ということでそれぞれまた判断がされる、そして、その判断がされたことは、昇任と呼ばずに、あるいは降任と呼ばずに、転任と呼ぼうと。非常にすっきりしないなという感じがするんですね。これで本当にいいのかどうか。

 要するに、これから将来に向かって、この法律をつくったら、それで走っていくわけですから、ここはやはり冷静にみんなで考えてみる必要があるんじゃないか。どうすればその目的を達成できるか、その目的達成のためにどうするかということは、もうちょっと考えてみるべきなんじゃないかなと思うわけであります。

 そこで、もう一つ、観点を変えます。

 総裁にはこれは通告していないんですが、例えば、総裁は、いわゆる審議官ということになられてから最初の次官になられるまで何年かかりましたか。済みません、これは通告していません。

江利川政府特別補佐人 私が審議官になりましたのは、ちょうど介護保険法をつくるころでありまして、平成八年のころだったと思います。次官になりましたのは、内閣府の次官が平成十六年だったと思います。ですから、八年ぐらい。

橘(慶)委員 これまた大島副大臣には通告外で済みません、ここですっかりとまってしまったんですが。やはり八年かかっているんですね。

 これは、実はそうだなと思ったのは、きょう、ここへ来る前に少し各省の皆さんを見ていましたら、今は大体、昭和四十九年とかぐらいの次官さんが多くて、五十四年、五十五年ぐらいから審議官ということで、大体、少ないところで五、六年、多いところだと七、八年ぐらいのギャップがあるんです。いわゆる課長から審議官ということになるときと、今次官ということでアポイントされている人と。六十とか六十三とか言っていますから、それは当然、大体そのくらいあるんでしょう。

 問題は、この間に人間というのは成長するんじゃないかと私は思うんですよ。課長のときのお仕事と、審議官になってから成長されて、それこそ、先ほどおっしゃった、局長の任に値するという、それはやはり人間の成長というものを見られて、そうか、こんな仕事ができるんだ、こいつはいいぞということで昇任させていく。全く経験がないけれどもこいつはなかなかよさそうだから上げちゃおう、そういうことは多分、仙谷さんみたいな方はされないと思うんですね。

 やはり、この人は、そうか、これぐらいやったらなかなかいいぞというふうに判断される、そのことは職務遂行能力じゃないのかなと思うんですが、大島副大臣、どうでしょうか。

大島副大臣 公務員の方あるいはサラリーマンの方が一番やる気を持って働ける環境というのは、人事評価というのが公正で公平であることだと考えています。

 これはなかなか難しい概念でして、公正公平な人事は、私の経験から、絶対的にはないと思っています。ある程度恣意性が、そこには好き嫌いが入るのが組織の人事であると思っていまして、ですから、組織の長となるべき方は、人事については、あくまで公正と公平をいつも気にしていないといけないなと考えております。

 それで、質問とは離れるんですけれども、適格性審査においての政治家の関与は排除をさせていただいておりますし、先生がおっしゃっているのは、多分、政治応答性と専門性の議論だと考えております。

 ですから、今回、一つのプールにしたとしても、そこにおいての専門性は、要は、それぞれの局長に応じての専門性があるかと思うので、それは、主税局長はやはり主税について詳しい知見を持たなければいけないし、厚生労働省の医政局長は医療についての見識が必要だと思いますように、それぞれの能力なりそれぞれの専門性というのは、それはそこに問われてくるかとは思うんです。

 ただ、先ほどおっしゃっておりました、課長までと、執行部隊に入ったときの、人が持っている能力は違うかもしれないなと思っておりまして、能力の違いというのは、ある程度上に立って高度な判断をするというのは、部長以上であれば一通りの部長クラスの仕事はできて、その中でさらに高い能力を身につける時間というのは、今までですと、恐らく先ほど総裁の述べた八年というのが、多分、皆さん八年ぐらいだと思うんですよ。

 それが柔軟に、より発揮しやすいような制度にすることも必要であると考えておりまして、そうすると、私たちとしては、この一つのプールにおいて、一つのくくりの中で、それぞれを見ながら、政治の恣意性というのを排除しながら、しかしながら専門性を生かした人事を行うことが、今の私たちの置かれている国の現状を見ると、よりいい政府、効率的な政府ができるのかなという観点に立って、制度設計をさせていただきました。

橘(慶)委員 幾つか論点を出していただいたんですが、きょうのところはこの辺にいたしまして、ちょっと先へ進みながら、またいつか時間があれば戻ってくるかもしれませんけれども、きょうは先へ進ませていただきたいと思います。

 基本法の第五条第二項第一号で、「幹部職員を対象とした新たな制度を設けるものとすること。」という一つのそういうプログラム規定がございまして、これを踏まえて、それぞれ提出者の皆さんも政府の方も、今回の案ということになっていったわけでありますが、この規定を踏まえられて、どういう観点で今回の案に至っているかということについて、先にまず提出者の方からお伺いをしたいと思います。

柴山議員 橘議員にお答えいたします。

 今、基本法に示していただきました条文の文言なんですけれども、どういう意味を持つものかということに関しては、これは、少なくとも幹部に関しては一般職とは区分をした新制度を設けるべきだというのが、かつて修正協議に直接携わった民主党側の議員の認識であったと理解しております。

 かつて民主党行政改革調査会長だった松本剛明議員は、これまでも本会議場を含め、たびたび申し上げているとおり、昨年二月の衆議院の予算委員会では、政権のニーズにこたえるためにということでは、今までの一般職の基準の延長線では結局骨抜きになる、区分して新たな制度を設けるべき、従来の一般職に置いたままであれば、能力、実績の範囲から逃れることはできないと発言をしていたことからも明らかだと思っております。

 そして、私どもの議員立法案では、まさしく、幹部職員を対象とした新たな、区分された制度として、幹部職という制度を設けて、一般職といわゆる政治任用職の中間的な制度を設けることとしたわけです。具体的に言えば、中間的というのは、第一に、能力・業績評価は客観的に厳密に行うということです。

 先ほど大島副大臣の方から、ちょっと、なかなかよくわからない御答弁をいただいておりまして、また、政府側からも、標準職務遂行能力に基づく評価が余り現実的にできないですとか、キャリアだったら全員幹部の適格性を満たすといったような評価がなされていますけれども、そんなことを言えば、やはり、橘議員がさっき御質問になられた、人事の客観性というものをどう担保するかということが非常に、よくわからなくなってしまうわけです。

 ですので、今申し上げたように、能力・業績評価というのは、能力にせよ業績にせよ、しっかりと、客観的に厳密に行っていくということであります。

 そして、第二に、その一方で、そうした評価を基礎としつつ、内閣との一体性の確保にも配慮した人事管理を行うということなんです。

 つまり、これはどういうことかといえば、行政目的に応じて、その能力、業績の枠を乗り越えた人事を行う。当然、その行政目的に応じた正当性というものが、そういった乗り越えた人事を行うために求められてくるわけなんですけれども、そういうことを正面から私たちは受けとめた形で抜てきあるいは降格ということを行っていくために、そういった特別の仕組みをつくっていく、そういうことでございます。

橘(慶)委員 同じ質問になりますが、内閣提案の方は、この制度、プログラム規定に対して、どのような観点で臨んでおられますか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 これは、先ほど来、何度も申し上げておりますけれども、私どもの幹部職員を対象とした新たな制度というものは、縦割り行政の弊害を排除するということと、複雑多様化する行政課題に迅速かつ的確に対応するということが主眼にあります。

 そういった中で、幹部職員人事の一元管理の仕組みと、事務次官、局長、部長、各級の官職について同一の職制上の段階に属するとみなして、この間では自由自在に異動できる、こういう仕組みにしているわけでございます。私どもの制度は、まさに斜め異動もできますし、将棋でいうと、金とか銀とかのように一個ずつこまが進むわけじゃなくて、角とか飛車のように二つ進んだりとかできる、そういうイメージでございます。

 それから、私どもの幹部職員を対象とする制度というのは、これで終わりということではございません。附則の方に規定も設けてございますけれども、議院内閣制のもとで国家公務員がその役割をより適切に果たす体制を整備する観点から、事務次官その他の幹部職員の位置づけ及び役割について引き続き検討していくものでございます。

橘(慶)委員 それぞれ考え方は理解したわけで、多分、大きくは違っていないんでしょうけれども、ここでやはり、降任、昇任があるかどうかとか、それをどうして全部転任にしなきゃいけないのかとか、その辺が違っているのかなと。そしてまた、別制度にするか、同じ制度にするか、それも昇任、降任ということと絡んでいるような気もいたします。

 そういうふうに、両方比べさせていただくとだんだんわかってくる部分があるわけですが、続きまして、済みません、もうしばらくそれぞれにお聞きしていきますけれども、先ほどから話題になっております標準職務遂行能力という文言でございます。

 見識もある、職歴もありますけれども、先ほど少し大島副大臣からもお話ありましたように、現在書かれているものも七つ、八つの項目がありますが、どうやら、どちらかというと人間力のようなものに最後は行き着くような感じがしております。

 そのあたりについての標準職務遂行能力というものをどのようにとらえておられるか、まず提出者の方にお伺いいたします。

山内議員 人間力の定義にもよるかもしれませんが、例えば、現行の標準職務遂行能力で、局長の場合は、「指導力を発揮し、部下の志気を高め、組織を牽引し、成果を挙げることができる。」といったことが書いてあります。こういったこと自体も人間力といえばそのとおりだというふうに思います。

橘(慶)委員 同じ質問を、階政務官になりますか、お願いします。

階大臣政務官 幹部職の標準職務遂行能力に限ってお話ししますと、幹部職というものは、まさに、政と官の部下との間に立って、人間力がなければ成り立たない仕事であるなと感じております。

 私どもの標準職務遂行能力では、倫理、構想、判断、説明・調整、業務運営、組織統率という六つの項目についてそれぞれ職務遂行能力を定めるわけでございますけれども、とりわけ倫理とか組織統率といった分野が人間力にかかわるものではないかというふうに思います。

橘(慶)委員 では、ちょっとまた大島副大臣、申しわけないですが、大島副大臣が最初答えていますからお願いしたいわけですけれども、そういうふうに考えたときに、先ほど八年という年限もちょっと申し上げましたが、そういう人間力というのは、やはりその職位を務めながら徐々に、ワインが熟成するようによくなっていくものではないか、こんな感じがするわけです。

 何か、すぐに課長からぱんと次官ということもないわけでしょうし、やはりその後、審議官などをやられながら、おおそうか、こいつはなかなか、じゃ飛び越してというのは、そこに何か一つの判断というのは、やはり職務遂行能力のような気がするんですが、いかがでしょうか。

大島副大臣 ありがとうございます。

 役所の皆さんと仕事をさせていただいて、民間と大きく違うなと思うのが、役所の皆さんは、国の企画立案が私たちの仕事のコアな部分であって、マネジメントは違うのかなという気持ちを持たれている方が多いんですよ。民間だと、預かった課なり預かった局をしっかり統率して仕事をやり抜くということで部下のやる気を喚起するということも評価ポイントに入っているというのが民間のあり方かなと思っております。

 ですから、今回、標準職務遂行能力というのは、今後は多分、その評価点というのが、コアな部分と組織のマネジメントの部分も、幹部職員も、あるいはマネジメント以下の職員も入ってくるかとは思うんですけれども、ここのくくりにおいては標準職務遂行能力で、今先生がおっしゃったとおり、年限を徐々に経ながら局長に到達される方と年限を経なくても到達される方、それは比べられないのかというお話だと思うんです。

 皆さんを見ておりますと、多分、仙谷大臣も答弁されたかとは思うんですけれども、部長になった時点でほぼ多くの能力は持たれている方が多いかなとも思うんですよ、役所の方と接していまして。

 それは、例えば、福田赳夫さんですか、何か役所の方に聞くと、四十二歳で局長になられたということですから、年と標準職務遂行能力というのは余りイコールではなくて、標準的なものはあるかもしれないけれども、能力を一定判断した上でどこにつけるかというのは人事評価でいいのかなというのが私たちの考え方で、より柔軟に幹部職員を配剤した方がより効率的かなという観点に立って、このような制度をつくらせていただいているんです。

 以上です。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

橘(慶)委員 それでは、この標準職務遂行能力を、要するに適格であるかどうかという適格性審査をするということになるわけですね。これはなるべく客観的に、政治的な恣意を排して、こういうお話がございました。

 「政令で定めるところにより、」ということで、具体的にどういうふうにやるかというイメージについてはこれからの制度設計にゆだねられるということでありますが、ここで、提出者、また内閣の皆さんに対して、それぞれ、どういうふうな形で審査をするというイメージをお持ちであるかということについてお伺いをしておきたいと思います。まず提出者からお願いいたします。

山内議員 これは、後に、政令で定めるところということですけれども、恐らく、民間企業の例、あるいは他国の公務員の例等を参考にしながら検討していくということになると思います。

 例えば、定期的に何人ぐらいまとめて適格性の審査を行うかとか、あるいは、民間企業でやっているような三百六十度評価といった手法、いろいろな要素を検討した上で政令で定めていくということになると思います。

橘(慶)委員 同じ質問であります。階政務官、お願いします。

階大臣政務官 適格性審査については、標準職務遂行能力という基準にどのように当てはめていくかということで、ここが客観的かつ公正に行われなくてはいけないということで、こちらには、先ほど別な答弁にもありましたとおり、政治家の関与は排除して、必要に応じて民間有識者等の意見も聞きながら、公平かつ客観的に実施していきたいと思います。

橘(慶)委員 また、審査の方法とか、いろいろ逐次お伺いをしたいところはあるわけですが、そろそろきょうの部分でのまとめに入らざるを得ない時間になってまいりました。

 少し質問が飛びます。

 きょう、私、こうやってお話をしながらひっかかる部分は、内閣案で、事務次官から部長あるいは審議官ということに異動させることを転任と扱うというところ、それを降任としなかった、あるいは昇任としなかったというところがやはりすべての本質のような気がいたします。

 これは本当に給与面、職務面でも、給与は、今の職階というものの格付でいけば大幅ダウン、何十万円も変わるわけですけれども、やはりこれを降任と言わずに転任であるというふうに扱うということの、なぜそうなのかという部分ですね、よかったらお願いします。

大島副大臣 お答えいたします。

 今回の法案においては、国家公務員の人事管理について定めた国家公務員法上、事務次官級、局長級、部長級の官職は同一の職制上の段階に属するものとみなし、これらの官職の間の異動を転任とする幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入するということと規定いたしておりますので、法施行後は転任ということになると考えております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 何か、法で決まればそうなんだと言われればそのとおりなんですが、ちょっと寂しい答弁だったかなと思いますが、後でもう一度。

 ちょっと観点を変えることとして、人事院総裁からも、先ほどちょっと御答弁いただいたような気もしますが、改めて、これを降任と言わずに転任ということでいいのかということの見解についてお伺いいたします。

江利川政府特別補佐人 今回の法改正でそういう仕組みをつくるとなれば、これは法律上はそういうことになるわけでありますが、ただ、現実問題として、例えば局長から審議官に異動された人が、転任だとすっきり落ちつくのか、昔ならこれは降格人事だなというふうに思うのか、それは受け取る人に、そう思う可能性というのは、本人の受け取り方ですから、可能性としてはあるわけでございます。

 それで、この法律の趣旨を生かしながら的確な人事をやるということは大変大事なことだと私は思いまして、人事については、これは、適材適所の人事をやりまして、課題対応型の体制をつくるということだと思うんです。そういう中では、組織の活性化であるとか、士気の向上であるとか、そういうことも考えなきゃいけません。

 そして、こういう仕組みの中で今言ったようなことを達成するためには、私は、二つのポイントがあるというふうに思っております。

 一つは、任命権者は内閣、各大臣でございますが、今回は、幹部につきましては総理大臣、官房長官と相談をしながらということになっておりますが、この人事というものが各省ばらばらではなくて、やはり一つの考え方のもとにきちんと運用されるということが、人事評価の公正性が担保されるというんでしょうか、そういうことが大事ではないかというふうに思います。

 それから、もう一点は、どうかなと思う人がいるということは、組織の士気が下がるわけでありますので、そういう人事が行われる場合には、十分、本人の納得性というんでしょうか、その理由というのでしょうか考え方というんでしょうか、そういうことが本人に伝わって、全体としての納得性がある、それによって組織全体の活性化が保たれるということが大事ではないかというふうに思います。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 多分、今の、本人の納得性ということは、これまた別の問題、これは、不利益処分に当たらないという例の問題とも関連する大事な論点だと思うわけであります。

 この辺について、まとめてまたお伺いする機会があればお伺いさせていただくとして、あと二つにさせてください。

 一つは、実は通告の関係で給与局長さんに参考人でお越しいただいているわけであります。そこで、全然、質問がぽんと飛びますが、これは私、自分の持論で、一つだけお伺いしておきたい問題なんですけれども、賃金カーブの問題であります。

 国家公務員の賃金カーブは、低いところから始まりまして、だんだん上がって、ずっと、最後、六十代のところで到達、そういう右肩上がりになっていると思うんですが、実際、生活感からしますと、いわゆる子供の扶養に出費がかさむ中堅層のところがやはり手厚いという考え方も民間なんかではあるわけであります。

 例えば、中堅層、四十代から五十代の前半ぐらいを手厚くし、五十代後半あたりからは賃金を抑制する構造というのは考えられないのかなと私は個人的には思うんですが、給与局長さん、お願いします。

尾西政府参考人 一般職の国家公務員の給与につきましては、平成十八年度から実施しております給与構造改革の一環としまして、俸給表の水準を全体として四・八%引き下げる、そういった中で、年功的な俸給構造の見直しということも行っておりまして、係長以上の中高年齢層につきましては七%の引き下げを行ったところでございます。

 また、現在、民間企業におきましては、大企業を中心に管理職層の子会社への転籍などといったことも行われておりまして、そういった中で、五十歳代後半の平均給与が下がるといった傾向も見られるところでございまして、今後、公務員におきましても、御指摘の五十歳代後半層の給与カーブといったところにつきまして、官民の給与の状況も踏まえながら、世代間の給与配分という視点に立って検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。何とか滑り込みました。

 仙谷大臣、ずっと聞き役に回ってもらったのはちょっと申しわけなかったような気もしますが、最後に、多分、これはやはり降任じゃなくて転任にしたというところ、なぜ降任ではだめだったのかなという気もしますし、職務遂行能力のいろいろな議論をいたしました。

 最後に、ちょっとまとめて答弁をいただければ幸いです。お願いします。

田中委員長 時間でありますので、簡単にお願いします。

仙谷国務大臣 自民党、みんなの党の皆さん方の法案では特別降任ということになっていらっしゃるわけですが、つまり、降任理由がなくても、ちょっとどいてもらう必要があるときには、特別降任という規定を使ってのいてもらって他の人を抜てきする、こういうことでございます。

 私どもの法案も、マイナス要素というか、比較して、今回の場合はこの人の方が例えば局長なり審議官なりはふさわしい、あるいは次官もふさわしいという場合には、やはり転任という、つまり、事実上給料が下がったりすることもあるんでしょうけれども、その時点でのより適正な方がこちらだという判断を、すべての人が適格性審査に合格しておるわけでありますから、それを入れかえるとか、そういうことは転任という概念で十二分に対応できるのではないか、こういう考え方で、今回、転任という概念でそういう人事を行おうというふうに考えているところでございます。

橘(慶)委員 委員長、ありがとうございました。

田中委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 仙谷大臣、どうも、お疲れでございます。

 本会議のときには大分お疲れのようだったですけれども、体調もよくなられたようで、答弁、非常に長くて丁寧な答弁が続いておりますが、国家公務員法に関して言えば、長くて丁寧なのも結構なんですが、はっきり答弁をしていただくということもお願いをさせていただきたいと思います。

 これはちょっと法案とは関係ない話なんですが、ここ数日の新聞を見ておりまして、さすが仙谷大臣だなと思われることが幾つかありました。それは、瀬戸大橋の料金に関する問題です。

 塩崎議員も私もたまたま四国の議員なんですよね。さすがに、やはりいきなり瀬戸大橋が千円から三千円に上がってしまうのは、えっというような声が多数寄せられていて、それで、民主党の多くの議員も、何か十人程度、見直すように申し入れをするというような話もされました。

 これは全然通告していなかったんですけれども、たまたま、私も前にいた国土交通省の副大臣もおられるので、馬淵副大臣は答えられたらで結構ですよ、仙谷大臣の気持ちと私の気持ちは同じだと思いますので、この瀬戸大橋の料金に関しての御発言に関して、今後とも一緒に四国の議員として行動をともにしていただく可能性はあるかどうか、お聞きしたいと思います。

仙谷国務大臣 内閣で国務大臣のポストを占めておりますので、国務大臣として発言を求められれば、それは、よくて沈黙を守るしかないかなと思っておるのでありますが、一議員としての発言は、先般から申し上げているとおりであります。

 私自身は、あえて申し上げると、本土から四国に渡ることについては、我々の先輩議員が五十年間も夢のかけ橋一本で議席を守ったというような話もあるくらい、ある種の悲しみとつらさの中で、四国という島でいろいろな事柄に遭いながら、これが橋でつながったらどんなにいいだろうかという願望で暮らしてきたわけですね。

 ところが、そもそも別途料金が設定をされた、十五年前だったか二十年前だったかわかりませんが、そういうところからも私自身はこれは問題があるなと思っておりまして、これはある種の宿願として、本土から我々が、我々にしてみれば帰るということでありますが、この瞬間に別の木戸銭を払わなければ四国へ帰れない、あるいは四国から本土へ上がるときにも別の木戸銭が必要だ、私は、これはあってはならない、そういう仕組みだなというのが考え方でございまして、こういうことをなくするのが宿願です。せっかくここまで整備したわけですから、全国一気通貫で走れるような仕組みでなければならない。

 これはあくまでも個人的な宿願であります。

平井委員 国務大臣としては内閣不一致になるようなことは言えないということだと思いますが、街頭演説で、幾ら前原大臣が親しい同志でも、こんなことは許してはならない、四国に来る人がどんどん減るような政策は絶対許さないとおっしゃっています。この言やよしで、私は、やはりこういう議員個人としての立場は常に明確にされるべきだと思います。

 これは答弁しづらいでしょうけれども、もし何か、このような議員個人としての仙谷議員の心意気に副大臣としてお答えすることがありますか。

馬淵副大臣 国土交通副大臣としてお答えさせていただきます。

 今回の料金改定、新しい上限制度の料金でございますが、本四の料金のみならずすべての料金体系につきましては広く皆様方の御意見をお聞きしてまいりたいというふうに考えておりますし、また、この二十二年度においては試行ということで進めさせていただきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、しっかりと皆さんの御意見を賜りながら検討させていただきたいというふうに考えております。

平井委員 私が副大臣でも同じような答弁をしたと思いますが、これはぜひまたお考えをいただきたいし、きょうおいでの皆さん方にもこういう問題をぜひ認識していただきたかったということでお話をさせていただきました。

 法案の条文に関して、先ほど、中川秀直先生の質問に対して、大臣は、法文の条文はよく知らないとかわからないとか、さっきの総務省設置法の問題等々についてなんですが、あれは、私、横で聞いておりまして、やはりちょっとおかしいなと。

 つまり、どういうことかといいますと、適格性審査と幹部候補者名簿作成を内閣人事局で担うことにしたいのであれば、内閣法で事務を規定した上で、総務省の事務からやはり抜くべきだ。技術的な話で申しわけないんですが、これは何かのミスではないかなと私は思っているんです。そうじゃないとやはりおかしいと思うんですが、この話は法案修正の中で御検討いただける話なのか、そうではないのか、その辺について御意見をいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 私から言わせれば、中川先生も平井先生もちょっと混同されていらっしゃるのではないか、こういうふうに思います。

 今回の法案で新たな事務として加わる幹部職員の適格性審査、任免協議、それから公募、これは、内閣官房の主任の大臣たる内閣総理大臣及びその委任を受けた内閣官房長官の事務として新たに加わるものであります。これは中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務ではないため、総務省が補佐することとされている事務にも含まれるものではありません。

 したがって、内閣人事局と総務省の事務に、重複はこの点に限ってはないということでございまして、間違ったわけでも修正が必要なわけでもないと私は考えております。

 以上です。

平井委員 ということは、総務省は、適格性審査とか幹部候補者名簿作成等々に関してはやらないということですか。

仙谷国務大臣 今回の国家公務員法改正案で規定された適格性審査、それから、例えば公募の手続、任免協議、これについて、総務省が補佐をするという事務には全く含まれません。やりません。

平井委員 これは、法文上はやはりおかしいと思うんですね。

 衆法の方もここの方は議論をされたと思うんですね。そしてそこのところを除外したということなんですが、今の我々の議論について、衆法の方、御意見はありますでしょうか。

柴山議員 お答えいたします。

 いろいろと理屈を唱えられて、総務省の所掌から外れるというようなことを御答弁されましたけれども、やはり、条文を一読してその点が明確になってこなければいけないというように思っております。午前中、山内議員の方からもお答えをさせていただいたとおり、私どもの議員立法案では、この点をしっかりと明確にするということを主眼として立案をさせていただいております。

 繰り返しになりますが、総務省設置法上の「国家公務員法に規定する中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐すること。」という規定は明確に総務省の所掌事務からは削除しておりまして、内閣法上の内閣人事局の事務として移管することとしております。さらに、内閣人事局は「国家公務員の人事行政に関する事務」を包括的に所掌するということも定めているわけでございます。

平井委員 この問題は、やはりどう読んでも、総務省設置法には「内閣総理大臣の所掌する事務について、内閣総理大臣を補佐する」と書いてある以上、総務省も並行して補佐を行わないと、これは総務省の任務を懈怠したことになるんですよ。ですから、ここはやはりどう考えてもちょっと無理筋の説明だと思うんです。これは変えられることを我々はぜひ要望しますが、このことを私は本来きょう質問する予定じゃなかったので、別の質問に移らせていただきたいと思います。

 政治主導の人事というのは大変聞こえはいいんですね。鳩山内閣になられて、もう既に政治主導でいろいろな人事を行っていると思います。新聞報道等々でも私もいろいろ見聞きをしているわけでありますが、まず、そういう状況の中で、仙谷大臣御自身の人事についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨年十二月、公務員制度改革事務局の事務局長ら十人を更迭して、人事刷新を行われましたね。これは、仙谷大臣がお決めになって人事を刷新したということでよろしいんですか。

仙谷国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、形式的には、国家公務員制度改革推進本部事務局は内閣官房の部局ということでございますので、任命権者は官房長官になるんだろうと私は思っております。

 内閣官房長官に、私の方から、この事務局人事を一新してほしいということをお願いいたしまして、一新するについては、ここにこういう方がいらっしゃる、民間からはこういう方においでいただこう、あるいは、この間民間からおいでいただいた方について引き続き残ってもらおう、そういうふうに人事を内閣官房と私の方で詰めまして、現在の事務局人事ができ上がっているというふうに御理解をいただければ結構でございます。

平井委員 この事務局の人事刷新に関して仙谷大臣はいろいろなことも言われておりまして、事務局の官僚を公募したいとおっしゃっておりました。

 さっき、民間からも、いろいろな方々の名簿等々を用意してということでございましたが、この公募というのはおやりになったんですか、やっていないんですか、そのことをお聞きしたいと思います。

仙谷国務大臣 現在独立行政法人の役員の人事に関してやっているような公募は行っておりません。

平井委員 政権発足直後、本当にずばっと、公募したいということをおっしゃっておって、なぜ今回、この非常に重要な事務局に対してその公募をなさらなかったのか、理由があったら教えていただきたいです。

仙谷国務大臣 時間がなかったことと、その種の方法では事務局でいい人が集まる可能性がないというふうにその時点で私が判断したことでございます。

平井委員 それでは、だれがどのように人選してその名簿をつくり、どうやって、最終的に官房長官等々に説明をしということになるんですが、具体的な、あとの事務局の幹部の体制、これはだれがどのように人選されたのでしょうか。

仙谷国務大臣 私と官房長官というふうにお考えいただければいいわけですが、まずは、事務局長さんは、以前は、経団連から来られた方が、これは大臣クラスのような位置づけで座っておりました。事務局次長には二人いらっしゃいまして、これは次官経験者がお二人だったと思います。(平井委員「一人ですよね」と呼ぶ)一人ですか。次長さんが次官経験者、つまり次官のもう一つ上のポストであるかのような、偉いというか、高位の方が座っていた。その下に、審議官クラスの方々が、局長クラスの方々が数人いらっしゃったように思います。そしてさらに顧問会議があって、顧問会議の中でも、もう一つ専門家会議みたいな、分科会みたいなものも、こういう陣容でこの国家公務員制度改革が行われていたわけであります。

 私が国家公務員制度改革担当大臣を命ぜられて、いろいろな事情を聞き始めたときには、もう既に、この公務員は何々派である、この公務員は何々派である、両方からなのかどこからなのかわかりませんが、そのようなある種怪奇な、私にとっては非常に怪奇な情報が霞が関を乱れ飛んでいるのが耳に続々と入ってきました。あの次長はこうだ、この次長はこうだみたいな話もあわせて入ってきたわけであります。これでは仕事にならない。

 つまり、私から見れば、例の人事院総裁がおやめになるに至る、人事院と総務省なのか、あるいはこの改革事務局なのか、あるいはそこに総務省も絡むのか、あるいはほかの省庁も絡むのかわかりませんけれども、とにかく非常にややこしい、少なくとも情報と雰囲気だけはあったことは間違いありません。

 そういう偉い人の多い体制をやめて、すっきりしたものでこの事務局を組んでいただきたいということを私は官房に申し上げて、官房の方からもこれはどうだあれはどうだと、私の方からもこの人はどうですかというふうな、自分の得た情報をもとに提案をして今の事務局ができ上がっている、こういうことであります。

平井委員 このあたりがもう既に政治主導の人事というものの危うさで、雰囲気とか、だれかの、そのあたりの、大臣がいろいろお話をお聞きになる、かわいがっている官僚の方とかそういうのがいらっしゃるんでしょう。そういうところで判断するというのは、能力を見きわめるという意味では非常に危ないと思います。

 もし、そこまで一新するというような覚悟をお決めになるのであれば、もともと事務局におられた方々に個別に面談されたりとか、直接ヒアリングをされたり、そういうことはおやりになったんですか。

仙谷国務大臣 かえることを前提にして話をしたわけではありませんが、少なくとも私がおかわりいただきたいというふうに思った方々は、まずは政権交代の意味が全くわかっていなかった方々が大変多うございましたね。これは、今度のこの人事に当たって、政権交代の意味、したがって、公務員制度改革についてもある意味で歴史的な意味を持っているということをおわかりいただかないと、これは仕事にならない。ここがまずは原則でありました。

 そういう観点も含めて、それは偏差値の試験をすれば、その方々でも優秀な方々はいらっしゃったのかもわかりませんけれども、少なくとも私が話した限りでは、民主党政権の公務員制度改革をちゃんと支えてくれる人材であるのかどうなのかというのは、私の直観力では、これはまことに困ったことだなという感じがある方にはお引き取りいただくと。

 特に、平井先生も御存じのように、昨年の人事院総裁がやめるに至るあの抗争は、まさに抗争は、これはやはり事務局が少なくとも一新するぐらいのことじゃないと、改めてそれを一つ一つ我々が修復していくというか、ほころびを繕いながら、まあまあ、そんなこと言わないでみたいな、その程度の話で公務員制度改革なんてことはできようはずがないというのが私の判断でございます。

平井委員 今大臣から非常に危険な言葉が出されたと思いますが、政権交代の見せしめとして刷新したというようなことに近いニュアンス。(発言する者あり)でも、今の話の文脈からとりますと、政権交代するたびに政治主導でそのあたりのことを全部入れかえるというのが常態化するような気がいたします。

 さっき言った、政権交代をしたという意味がわかっていないという意味はどういう意味ですか。

仙谷国務大臣 ただ、私が申し上げたところにいらっしゃった局長さんにしても次長さんにしても、これはポリティカルアポインティーですね。一般職として人事されて来ている方々ではないですね、まずそこは。これは、政権が交代したらかわるのが当たり前だと私は思います。つまり、自民党政権下の公務員制度改革にいそしんで、その中で省庁間バトルを皆々さん繰り広げたわけですから、そういう方々はもうお引き取りいただかなければこれはどうにもならぬ。

 それで、たまたまでありますけれども、その事務局を構成していた若き優秀な方々は、これは若い優秀な方々なんでしょう、だけれども、各省庁から抜かれてここに寄せ集められたという構成であったわけですから、残っていただく方、あるいはもともとのところへお帰りいただく方ということで、まさに横異動していただいて、新たな構成に一新した体制にするということが、なぜそんな見せしめとかなんとかになるんでしょうか。

 私は、見せしめとか報復とか、そんなことを考えたことは一切ありません、だって私は被害を受けていないわけですから。被害を受けたのは国民であって、我々は当時の事務局から被害なんか全然受けていませんから、見せしめをする必要も全くありません。

平井委員 この人選に当たって、恐らく総務省、財務省等々から、これでどうでしょうか、こういう方でどうでしょうかという名簿が来たというふうに、私は常識的に考えて判断するんですが、総務省、財務省の推薦する方々の中から検討したということでよろしいですか。

仙谷国務大臣 少なくとも、そういう省庁から直接私のところへ来たわけではありません。そういう方は、私の知っている限りはほとんどおりません。むしろ、私のところへは経済団体等々から、私の方が要請をいたしましたら、こういう人がいますよ、この人であれば何とかなるかもわかりませんという程度の情報は、これは民間の方からの方についてはそういうことはございました。

 霞が関の方々については、これは総務省、財務省含めて内閣官房の方に出されたんじゃないかと私は推測しますが、内閣官房の方から、こういう構成でいったらどうだ、この人はこういう人だという説明をお受けしたというのが実情でございます。

平井委員 民間から来られていた立花さんですね、それとさっきお話しになっていた松田さんですか、元総務事務次官ですね、この両名はどういう形でおやめになったのか。自発的にやめるように大臣から話したのか、それとも、やめてくださいというふうに大臣が求めたのか、どちらですか。

仙谷国務大臣 私の方から、政権交代もあって、今までの方針と違う方針で、つまり、労働基本権を与えるという前提で、付与するということを前提にした新しい公務員制度をつくるつもりなので、したがって、ここで体制を一新したいのでおかわりいただけませんかということをお願いいたしました。

平井委員 いや、ここは非常に、我々、要するに今回の政府案が大きく後退したというのがその人事あたりから全部つながっているんではないかというふうに思っているんですね。これはもう明らかに、どう考えても、財務省の権限も総務省の権限も、人事院もそうですけれども、一切移管しないと。この一切移管しない、労働基本権の話とかいろいろされて、後ろに送るということなんですが、そう見られてもおかしくないと我々は思っているんですよ。

 そういう意味で、この法案に関して、衆法の方ではそのあたりのところを、政治主導の人事に関してどのようにお考えになっているか、御答弁できたら答弁していただきたいんですが。政治主導の人事。

塩崎議員 今回出てきた政府案、そしてまた我々が出している法律案は、これは、かつての与党と野党が一緒になってつくった基本法に基づいてつくってきたものであります。

 幹部の人事の評価、それは、もう先ほど来申し上げているように、一つは能力・実績主義、そして今回幹部公務員法で、別の世界、一般職とは離してつくることによって内閣との一体性、この二つの観点から判断をするということで新しい評価をやろうということで、この人事をやっていこうということであります。

 したがって、政治主導ということで、勝手な、恣意性を持ってやるのではなくて、それなりに、能力・実績主義と、それから内閣との一体性ということで判断をしていくということでございます。

平井委員 本来やらなきゃいけないのは、やはり、適格性のある人材とそうでない人材を冷静に客観的に見きわめて、外すべきは外すというところが非常に重要だと思います。

 そういう意味で、前回九日の甘利大臣の質疑で、幹部同士が刺し合ったり、改革を進められる体制でなかった、これは何かざっくりしているというか、何か非常に、幹部同士が刺し合ったというのは一体具体的にはどういうことですか。

仙谷国務大臣 その後に週刊誌とかなんとかに出た記事を、あるいは月刊的な、そういう政治の裏側をレポートしたようなものに出たような記事をごらんになってもよろしいかと思いますし、私どもが担当する前に、その種の記事が相当出ていますね。

 これを私どもから見れば、つまり、揣摩憶測を含めた、事実とは違うことも含めて、あることないことをおもしろおかしい記事にして出す。つまり、これは取材の能力があるんでしょうけれども、やはりお互いに、何々派と何々派がニュースを出し合って刺し合いをしたということもおっしゃるし、そういうことは多々あったんじゃないんですか。具体的に、あいつがこうだ、こいつがああだみたいな話は私の代になってからも聞きましたからね。

平井委員 ですから、揣摩憶測とか週刊誌の記事とか、そういうもので判断をするようなことがあっちゃいけないし、これはやはり、ちゃんと冷静に客観的に人材を見きわめるというのがポイントだと思います。

 大臣が、そういう刺し合いとかがあったということで、私は週刊誌の記事等を読んでお話ししているのではないんですよ。ですから、御自分の目で、広く、手間がかかってもそれぞれの方々にちゃんと面談して、御自分が納得できるような人事がベースにないと、政権交代したからといって、いろいろな、その場の雰囲気が悪いから一掃するというようなところまでやっちゃうと、政治主導といっても、やはり限度を超えていくのではないかなというふうに思うんです。

 これは今、別途調査をしていただいているんですが、民主党の、党の職員を、今、内閣官房で一回預かって、それで各省に送っているんだと思うんです。これに対する考え方なんですが、民主党の職員等々を今後内閣そして各省でどのように使っていこうとお考えなのか、お考えをお知らせいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 各省あるいは内閣で民主党の職員をそのまま使うというのは、一つは、だれがその給与等々を補てんするのかというか、賄うのかという問題があります。片方では、権限と、公務員としての秘密保持義務というふうなものとの兼ね合いをどう考えるのか、その関係があるんだろうな、なかなか難しいなと思います。さらには、任期つきの公務員として張りつけるということを考えましても、そこには総定員法といいましょうか定数管理の問題もございまして、そうそうできない。

 ただ、党の関係、党の職員でありますから、半ば、与党の職員ということになりますと、政策形成にはそれなりの力を持って参画してもらわなければならないということであります。したがって、これからも、政治主導確保法案の中では、政務参事とか、そういうできる限りの枠をつくって、そこに張りつけができる人についてはそこで張りつける、あるいは大臣の秘書官として使える者についてはそういうふうに使うという工夫を、今の日本の法制度のもとでは行わなければできないな、こういうふうに考えております。

平井委員 この問題は、今、常勤、非常勤を問わずすべて、役職、雇用した日、雇用形態等の資料を要求させていただいておりますし、本来、政治主導の法案を先に出してくるとこの問題を先に議論できたんですが、民主党さんの御都合で順番を入れかえられたので、この議論は、この法案審議の中で、また別の日に、資料をいただいて詳しくさせていただきたいと思うんです。

 さっき言ったような、雰囲気を変えるために、がらっと、民主党の職員を、今は非常勤ということで直接給与を払っていないかもわかりませんが、どんどこ国に給与をつけかえるというようなことをやられますと、これは国民はたまったものじゃないというふうに思いますので、どのような形でそういう民主党の職員の方々を使っていかれるかということについてはまた別途詳しくお聞きをさせていただきたいと思います。

 それでは、まず、きょう私の方から資料を配付させていただきました。上の方に、公務員制度改革に関する民主党の変節と、ここだけは私がタイトルをつけさせていただきましたが、あとはすべて、議事録の抜粋、そしてその要約を書いたものであります。全部で四枚紙になっておりますが、これは民主党の先生方にもぜひ、かつて二〇〇七年、八年、九年、ずっと続いてきた公務員制度改革の今までの流れがよくわかると思いますし、きょうたまたま馬淵副大臣そして泉政務官、天下り根絶法案の法案提出者でもあったわけですから、このあたりのことはよくわかっておられると思います。

 まず、馬淵副大臣には、かつての主張のところ、馬淵議員がこのように主張したということはこのとおりかどうか、そのことについてイエスかノーでお答えいただきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 議事録記載のとおりでございます。

平井委員 これを読んでいただいて、まず、その一の方からいきますか。

 かつての主張は、「天下りに起因する数々の諸問題の抜本的解決を図るには、この肩たたきの禁止が不可欠であります。」「肩たたきがなくなると組織の活性化が維持できないなどとするのは、組織みずからが自己変革のマネジメントを放棄しているのに等しいものではありませんか。国民の理解を到底得るものではありません。」

 四月九日の衆議院内閣委員会での仙谷大臣の答弁は、早期退職勧奨がいわゆる再就職あっせんとセットになっているケースは絶対にやってはならない、幹部人事の回転、張りつけのため席をあけていただくというときに、再就職のあっせんをしない退職勧奨というものはあり得るかなと思っております。

 この二つの主張は、つまり、時間が経過して考え方が変わった、方針が変わったということでよろしいんですか、お二人にお聞きいたします。

仙谷国務大臣 先ほど、先生はこの委員会の席上にいらっしゃらなかったんですが……(平井委員「ちょっと抜けていたかもしれません」と呼ぶ)ちょっとと、大分抜けていらっしゃったけれども。浅尾先生の御質問のときに資料を示されて、ことしというか、鳩山内閣ができてからここまでの早期退職勧奨に応じて退職された方というのを、資料を整理されて浅尾先生が出されました。

 私、それを見て感想を申し上げたんですが、法務省が早期退職勧奨というのは多いんですね。これはどうしてなのかなと思ったら、わかったのは、一つは、検事さんやその他の、ある種の資格を持ち得る方々で、その場合に、現在何とか部長、あるいは地検の検事正、あるいは高検の検事長というふうになっているときに、ちょっともうそろそろお引き取りいただけませんかという退職勧奨でどうもおやめになったのかなと私はそれを見て感じたのであります。

 やはり、必ずしも、早期退職勧奨ということでも、私が申し上げているように、ちょっとおかわりくださいということで、再就職のあっせんつきでない早期退職勧奨はあり得るし、そのことで組織が活性されればこれにまさることはない、こう考えております。

平井委員 いや、私がお聞きしているのは、二〇〇七年五月、民主党の天下り根絶法案というのは、政府によるあっせんの禁止だけでなく、これとあわせて、あっせんがあろうがなかろうが早期退職勧奨の禁止を規定しているんですよ。それは、そこにいる馬淵さんも泉さんも、本人たちが提出しているんですよ。ですから、この時点と今回の法案は変わったということを明確に言ってもらわないと。方針が変わったかどうかということを明確にお答えください。まず、馬淵副大臣。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 現政権において、天下りのあっせん、これは根絶することとしておりまして、あっせんを伴う退職勧奨に関しましては、組織の改廃等に伴い離職せざるを得ない場合を除き、既に禁止しているということでございます。

 早期退職勧奨については、この取り扱いを含めて、政府全体で、定年まで勤務できる環境等の整備の具体的なあり方、これらについて検討することとしておりまして、その検討結果を踏まえて私ども国土交通省としても的確に対応していくということでございます。

平井委員 もう青雲の志はなくなっちゃったんだな、二人とも。

 これは通告していないんだけれども、泉政務官がちょうどいらっしゃるので、本当に、この天下り根絶法案を皆さんが出したときには、要するにあっせんがあろうがなかろうが早期退職勧奨を禁止する、これが皆さんの物すごく強い、明確な主張だったでしょう。そのことをお答えください。イエスかノーか。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 関係府省が現在この天下り禁止そして早期退職勧奨についても、定年まで勤務できる環境等の整備を含めて政府全体として検討させていただいているということでございますので、私どもとしてはそれに従うということでございます。

平井委員 これは、もっとはっきり答弁してもらわないと、我々はこの審議を続けられません。

 つまり、まず、早期退職勧奨の禁止というかつての方針は撤回する、それを言えばいいんですよ。撤回しないで、今の仙谷大臣の話をそのまま受け取ること、これは民主党が変わった。変わるのもいいんですよ。変わったら変わったと明確に答えてください。そうじゃないと、この答弁は、かつての法案に対して全く責任を持たないような答弁を続けられたのでは、これははっきり言って、審議はこのまま続けられません。イエスかノーかをお答えください、馬淵副大臣。

馬淵副大臣 現政権において所管をする内閣府の担当府省においてこれを検討しているということでございます。

平井委員 いや、要するに、そういう答弁をして恥ずかしくないですか。かつて出した法案ということに対して全く責任をとらないんですか。これは、私は政治家の良心に問いたい。そんな答弁をして本当に、今までの政治活動、恥ずかしくないのかどうか。もっと議員として、今は副大臣かもわかりませんが、一人の議員として、泉政務官、お話ししたそうな顔をされておりますが、もしよかったら、委員長の許可があれば答弁していただければ。(発言する者あり)登録されてない。

 では、馬淵副大臣、本当にその答弁を最後までやると、みんながっかりしますよ、今まで馬淵副大臣を支援していた方々が。あのときの自分の法案は、今の政府では方針を変えたからこうなったんだ、これを明確にしてもらわないと。お答えください。

馬淵副大臣 繰り返しになりますが、担当府省において検討してこの法案を提出させていただいているということでございます。

平井委員 議事録も残っているし、法案提出者だったんだし、今の法律との、仙谷大臣との意見が全く違うということも、当時の馬淵議員、変わったということですから。方針が変わったんだ、民主党の方針が変わったんだと。

 根絶法案というのは、当時、非常に注目を浴びて記者会見までされて、このことは皆さん明確に世の中に言われているから、みんな覚えているんですよ。ですから、変わったということを明確にしてもらわないと、この先の質問は続けられません。

馬淵副大臣 繰り返し申し上げますが、今法案に関しましては、担当府省である内閣府において検討した結果、提出させていただいているということであります。したがいまして、私どもとしては、その内閣府において定められる法案の決定に従って的確に対応していくということでございます。

平井委員 この天下り根絶法案というのは、要するに、過去に出したものだから、もうなかったことにしてくれという主張ですか。今やっている法案を検討してくれということですか。

 過去に出した、これは党としてお出しになった法律に責任をとらない、そのことに対して、変わったか変わらないかも議論をせずに、要するに、今まで積み上げたものがゼロになっちゃうんですよ。それはないですよ、幾ら何でも。ですから、変わったか変わらないか、明確に答弁していただかないと、この先の質問が続けられません。よろしくお願いします。

馬淵副大臣 委員御指摘の部分は、私どもが野党時代に提出させていただいた法案ということでございます。議事録に記載のとおり発言させていただいております。

 その後、私どもは政権交代によって政府となり、そして現在、担当府省において検討した結果が提出させていただいた法案だということでございます。

平井委員 方針が変わった、要するに、かつての主張は間違っていたということをお認めになったんですね。イエスかノーかでお答えください。

馬淵副大臣 提出させていただいている現法案につきましては、担当府省である国務大臣が責任を持って出されたものだというふうに承知しております。

平井委員 いや、そんなことを言っていて、本当に政治主導でやれるんですか。

 今までお出しになった法案に対しては全然責任を持たないというと、法案というのはその場限りのものになっちゃうじゃないですか。自分で提出した法案は自分の子供みたいなものじゃないですか。そのことに対して、全く責任を持たず、責任ある発言をせず、今内閣でやっているこの法案に勝手に乗りかえるというようなことをやってしまうと、幾ら政権交代したから過去のことは水に流して、言ったことを全部否定して調子のいいことをやろうとしたって、国民は忘れませんよ、これは幾ら何でも。

 では、この根絶法案というのは、当時は現状がよくわからなかったからこんなふうに書いちゃったけれども、我々はやはり現実を知ったらこの早期退職勧奨というのはやめることはできないということですか。

仙谷国務大臣 私自身は、当時の国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化のための国家公務員法等の一部を改正する法律案という法案の提出者でもございませんし、詳しい議論に参加したという記憶もないので、多分に推測の域を出ないかもわかりませんけれども、当時は、実態として、再就職あっせん、つまり天下りつきの退職勧奨が常態化していた。そういう実態のもとで、これをやめさせるために、八十一条の二の二という項目でありますが、「任命権者は、次に掲げる事由により退職を勧奨する場合を除き、職員に対して、定年退職日前に退職することを勧奨してはならない。」こういう規定をつくったということでありましょう。そのように私も理解をいたします。

 そこで、現時点では、閣議決定におきまして、すべての人は天下りのあっせんをしてはならないということを決めておりますので、まずそこで、要するに天下りあっせんつき退職勧奨の、天下りあっせんをしてはならないわけでありますから、そういう退職勧奨もしてはならない、これはもう当たり前の話であります。

 私が申し上げているのは、人事の流動化、とりわけ今回提出しております法案は、幹部人事の話だけでありますから、ここは当然のことながら、あっせんつき退職勧奨も、退職勧奨をしながら天下りをあっせんすることも内閣として禁止をしております。そして、そのことを再就職監視・適正化委員会でしっかりと監視するということにしております。あるいは、調査権限を発揮して調査をするということにしておりますから、御懸念のような事態はないだろう。

 そしてさらに、その上で私が申し上げておりますのは、これは法案のどこにも書いてありませんけれども、そろそろお引き取りいただきたいということを言わなければ人事が滞留する部分もあるのではないか、それは主要には幹部の方でありますが、幹部の方でそういうことがあるのではないかというふうに考えていると、聞かれることに対するお答えとしてそう申し上げているということであります。

 以上です。

平井委員 私は全く納得できていないので、過去の根絶法案と今の法案、この流れ、方針、明らかに変わっているんですよ。ですから、そのことを文章で明確に一回つくっていただきたいと思います。

 もう一つ、今回通告していたのに聞いていないという問題で、最後に一つ。

田中委員長 時間が来ておりますから、簡潔に。

平井委員 二十一年度の国土交通省における早期退職勧奨は五百二十名というふうに聞いておりますが、九月の鳩山内閣発足以後、要するに何人退職勧奨の対象になったか教えていただきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 政権交代以降、国土交通省において早期勧奨退職した者、平成二十一年度一名でございます。

平井委員 これは中川委員の方からも、要するに、早期退職勧奨が何人なのか、断った人が何人かという質問もあったんですが、一方で、三千名というような話も報道されています、二十一年度、早期退職勧奨。これは、各府省別に一体何人退職勧奨したか等々の資料をぜひ提出いただきたいと思います。

 そういうことで、私自身、今回こんなに一つのところで突っかかってほかの質問ができなくなると思わなかったんですが、要するに、民主党は変わってしまったんですよ、変わってしまったんです。

 これは本当に、どういうふうに変わったと一口で説明するのは難しいんですが、私、ずっと内閣委員会におりましたから、泉委員も馬淵委員も、皆さんの考えていたこと、やりたかったことはわかっているんですよ。それが今回こうなってしまったということは、本当は内心物すごく寂しい思いをしているし、このままの流れでいくと、自民党、みんなの党案に賛成してくれるのではないかとさえ私は思います。

 そういうことで、変わったということを認めていただけるまでしつこくこの問題に対しては取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いをして、本日の質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 ただいま平井議員から天下り根絶法案につきましてお話がありました。私も前回のときに仙谷大臣にその質問をさせていただきました。

 要するに、平成十九年、その当時は天下り根絶法案を提出され、そして、こんな事後規制ではとても天下りは根絶できない、事前規制が必要だと主張されたのは民主党でございます。そして翌年、平成二十年の改正のときに、基本法をつくるときに、そのときに既にこの路線を転換されたと承知しております。議事録の中に、当時の松井議員が、松本議員に対する、提出者に対する質問をされまして、その議事録が残っております。読ませていただきました。理由は、官民人材交流を促進しなければならない、そして職業選択の自由があるという答弁でございました。

 なぜそれをここで明確におっしゃらないのか、私はそれがおかしいと思うものでございます。本来であれば、そういう堂々とした党の路線は堂々とこうしたところで答弁されればいいと思います。しかし、その上で私は、問題は、前回も申し上げましたが、マニフェストには、定年まで働ける環境をつくり、総人件費を二割削減します、こうしたことをおわかりの上でこのようなマニフェストをつくられた。

 そして、前回、仙谷大臣に対する質問の際には、大臣は、いやいや、早期退職勧奨については、あっせんとセットになったものはやめます、それはしません、早期退職勧奨されても残りたい人は残ればいいじゃないですか、そういう趣旨の答弁でございました。

 私は、こうしたことを、ただいま平井議員からもありましたので多くは申し上げませんが、やはりこうした一つ一つの路線変更、まさに路線が揺れ動いている、このことを指摘させていただきたいと思います。

 私は、まず仙谷大臣に、済みません、きょうこれは質疑通告していないのですが、先般も、この国家公務員制度改革について、今回の法案提出は第一回目である、この後順次やらせていただきたいといったような趣旨のお話を承りました。今後どのような作業内容、また今後どのようなスケジュールをお考えなのか、大臣にお伺いをいたします。

仙谷国務大臣 先ほどからお答えを申し上げておりますように、基本的には国家公務員の労働基本権を付与するという前提で、これは戦後始まって以来の大改革案、公務員制度におきましては大改革案ということになりましょうが、この法案を成立させていただければ、そういう大改革案を準備して、そしてそれを、できればというよりも必ずと言っていいほど次の通常国会に提起をしたいというのが公務員制度改革の最も中核的な部分であります。

高木(美)委員 それであれば、公務員労働組合につきまして、今回、内閣法案附則の第九条の検討項目の中に、自律的な労使関係に関する規定のみ記載されております。これもさることながら、大臣は、ただいまの、先般からの御答弁にもありましたとおり、労使交渉によって総人件費の抑制等もこれで期待できるといった趣旨でございます。

 そうしましたら、この検討項目の中に、当然、優先順位としまして、給与法の改正、そしてまた退職手当法等の改正、総人件費抑制策の方をきっちりと盛り込むべきではないかと考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 そこまで書かれる法律もあるのかもわかりませんけれども、私の法律感覚は、そういう政策目標は、それは法律に書くというよりも、まさに労使協議なら労使協議。労働組合を法定化し、そして労働基本権を付与する、協議は、当然のことながら、今勤務条件と言われているものが、勤務条件という言葉になるのかどうかわかりませんが、それが協議の対象になると。

 それで、まさに総人件費の問題は、これは管理運営事項ということでありますから、そういう労働法関連の法律に書くことはいかがなものか、こういうふうに考えております。

高木(美)委員 マニフェストには総人件費を二割削減するとお書きなのですから、その検討項目の中に盛り込まれるのは、それは大臣の法律感覚は違うかもしれませんが、マニフェストにある内容ですから、当然それはそのような形で担保されるのが通常ではないのでしょうか。

仙谷国務大臣 だから、それは、その種の法律を、財務省の所管かあるいは内閣府の所管か官房の所管かわかりませんけれども、別途おつくりになられることを高木先生がお進めいただくというのはある意味ではありがたいのかもわかりませんが、しかし、国家公務員法にその総人件費の話を書くというのは、ちょっとレベルが違うのではないか、私の感覚ではそれはちょっと違うのではないかと思うものですから、先ほど申し上げた次第です。

高木(美)委員 前回の基本法によりますと、当然、機能の移管、そしてまた総人件費の抑制等につきましても盛り込まれている内容でございます。その基本法にある内容が、今回それがなされていないわけですから、それの中で、労働基本権の話だけそこに検討項目として載る、私は、むしろこちらの法律感覚の方がいかがかと思うものでございます。

 これ以上論議いたしましても、ほかの質問もございますので、これぐらいにさせていただきたいと思いますが、当然、そうした総合的なことを、内閣人事局として設置をされるわけですから、総合的な目配りというのも必要ですし、まさに、省庁縦割りではなくて、総合的な人事行政が必要なのではないかと思いますが、重ねて大臣の答弁を求めます。

仙谷国務大臣 人事行政は、まことにそのとおり必要だと思います。

 給与の問題というのは、確かに人事労務行政そのものの問題でもありますが、総人件費というような話になりますと、これはむしろ財務的な方針といいましょうか、財務問題の方の様相が強くなる。だから、公務員の法制にそれを何らかの格好で書き込むというようなことは、私は余り、私のセンスとしては考えられない、そう考えております。

高木(美)委員 なぜそう申し上げますかといいますと、そもそも総務省の、今、人恩局と言われるところがありますが、これはもう御承知のとおり、私が申し上げるまでもなく、もともと総理府が人事局という形で持っておりました。そのときの人事の総責任者は内閣総理大臣です。内閣総理大臣がその責任者である。したがって、内閣総理大臣がそこで持っているその権限も含めて、それを官房長官にすべて委任をする、これが今回のたしか六十一条の二の五項であると思っております。

 こういうたてつけの中にあって、これは総務省が所管するものだから、おっしゃる筋はそうかもしれませんが、法律のたてつけからいきますと、私は、十分にこうしたことを盛り込むということはあり得るのではないかと思います。今、その総理大臣が持っている権限を支えるのが総務省であると承知をしております。そのような内容でございますので、法律的に決してここで何か違和感があるという筋のものではないと思います。

 まして、今お話ありましたので重ねて申し上げますが、内閣人事局が内閣法の中に書かれております。しかし、これは、例えば人事院と業の分担をどのようにしていくのか、このことを考えますと、本来、国家公務員法の中で人事院の業務との分担につきましても明記をされるべきではないかと思いますが、大臣、その点はいかがでしょうか。

仙谷国務大臣 当然のことながら、人事院の関係を書かなければならないわけでありますが、今回は、人事院が今までなさっていたことの範囲の外の新しい幹部人事というのをつくるということでありますから、今回は人事院との関係はそれほど矛盾、そごはないと。

 ここで級別定数とかなんとか言い出すと、そのことが、では人事院の権限のうちの半分を持って出るのか、三分の一を持って出るのかとか、そういうややこしい話になりますので、それは、私がさっきから申し上げております抜本改革のところで、人事院から、ちゃんと内閣人事局なり、あるいはもう少し内閣人事局が幹部人事のみならず一般の職員の人事まで扱う部局になるのであれば、そのときには、人事院の特に勤務条件の決定というふうな職掌というのは、当然のことながらそちらに移す、まさに全面的に移管する、そういうことになろうかと思います。

高木(美)委員 それでは、今またさらに質問させていただきたいのですが、ほかの項目のところで質問をさせていただきます。

 今、労働基本権の話がありましたので、それにつけ加えまして一点申し上げたいのですが、私は、労働基本権の検討をされる際に、ぜひ、やみ専従撲滅の法整備を進めるべきではないか、このことを法律に明記すべきではないかと考えます。むしろ、検討項目に入れていただきたいくらいでございます。

 恐らく、国民の皆様は、許せないのは天下り、ここでやはり税金が無駄に使われる。あわせて、自分たちが雇用した公務員であるにもかかわらず、当然、短期間については従事できる、こういう制度もございます。しかし、その枠を外れて、さらに政治活動をしているという、これについてはちょっと違うんじゃないか、違和感があるところではないかと思います。

 先般も、三月の下旬ですが、北海道開発局でやみ専従など勤務時間中に違法な労働組合活動をしていた職員四千百十九人を処分したということでございます。その中に、昨年総選挙を前に、支援者カードの記入など違法な選挙活動も含まれていると承知しております。減給などの懲戒処分は百五十六名だけで、残りの三千九百六十三人は訓告また厳重注意ということで、この訓告、厳重注意ですと勤務評価にも影響をしないと聞いております。

 以前、社会保険庁や農水省でもやみ専従などの事態が明らかになっております。親方日の丸的な体質を改革していく、これも大事な改革ではないでしょうか。

 したがいまして、やみ専従防止法案等含めまして、今も短時間従事できる制度がございますが、これは国家公務員法の第百八条の五第八項の次に文章を入れていけば終わる話であると思っております。例えば、各大臣、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長は、職員団体と当局との交渉が行われたときは速やかにその内容を公表するものとする。まさに透明性を担保する。そしてまた、人事管理の透明性及び公正性を一層高めるために必要な措置をとるものとする。私は、短期間従事できるというこの規定も外していいのではないかと考えております。

 このように考えておりますが、大臣の御所見を伺います。

仙谷国務大臣 私の理解では、いわゆるやみ専従と言われるような行き過ぎた便宜供与というのは、労働組合のためにもあってはならない、これは厳密に言いますと、労働組合法の多分七条だったと思いますが、不当労働行為になるのではないかと。つまり、労働組合法のレベルでは、不当労働行為の一つの形態として便宜供与、つまり、あめ玉をしゃぶらせるのも組合に対する介入である、こういうのは歴史的に定まった解釈であります。

 労働組合というのは、歴史的にも、やはり誓約集団として自律をして、みずからがみずから助け合う、みずからの持ち寄りで組合運営がなされるというのが当然の基本でありますから、そこのけじめをつけてもらわなければならない。

 ただ、労働組合法の事例の中でも、こういう場合は許される、つまり、勤務時間中にむしろ会社が団体交渉をしたい、あるいは、そういうことについての協約がちゃんとある場合には、それは、その時間を有給とするか無給とするかは別にして、そのように取り扱うというようなことは許されるということでありますから、先ほど短期従事の話が出ましたけれども、これは国民の前にちゃんと提示をして、そのことが国民の皆さん方にも納得していただける、そういう便宜供与の範囲を透明化した形で定めるべきであると思います。

 いわゆる新聞報道等にありますようなやみ専従というようなことは、こういうものはあってはならない、当然のことであります。

高木(美)委員 大臣、一つお伺いしたいのですが、今、国民が納得する便宜供与のあり方というお話でございました。具体的にもう少しお話しいただけますでしょうか。

仙谷国務大臣 例えば、組合事務所を提供する、この会社であればこの程度のスペースを例えばこの賃料で労働組合に貸す、あるいは、賃料は無償、使用貸借にしてお貸しするということが、ケース・バイ・ケースによってやはり異なってくるんだろうと思いますね。

 今度は、時間の使い方でありますが、組合の役員さんというのはやはりある種のお世話役でありますから、賃金は保障しないけれども職務免除というような格好で、一週間に何時間かはどうぞ届け出だけで職務から離れていただいて結構ですというふうな時間的な専従というのも、特に小さい職場なんかであればそういうことが必要になってくるかもわかりません。

 それから、大きい、強い組合であれば、専従役員というのを現職の従業員、あるいは職員を休職扱いに労使の交渉の中で決まって、そして休職で専従行為をする、あるいは外から全く労働組合に通暁した人を専従として雇い込むというようなことは、当然あっていいわけであります。

 つまり、会社と裏約束みたいなことがあって、賃金をもらいながらほとんど会社の仕事をしないで、あるいは役所でもそういうことがあったのかもわかりません、賃金はもらいながら、やっていることは組合活動の仕事。組合から見れば、それはお世話役活動を一生懸命やってくれるものだからまことにいいということになるのかもわかりませんけれども、それはやはり、国民の目から見たら、最低限、労使の協議があって、それから、そういう職場を離れて、仕事を離れて組合活動に専従する、半ば専従しているというのであれば、それは賃金はその分についてはお支払いしないのが常識じゃないでしょうかというのが、これが国民の目だと私は思います。

高木(美)委員 かなり幅広いお話をいただきました。

 拡大することには私は反対でございます。

 当然のことながら、先ほど大臣が、いわゆる隠れて、そしてそのような形でのいわゆるやみ専従というようなものはすべきではないという話がございましたが、私はむしろ、国民の皆様から見て、やはり今、公務員に対しては、身分も保障されている、しかも、国民の皆様が経済的に厳しい中で、ある程度安定した収入も得られる、そういう中で、それを踏み台にしながら、果たして政治活動、組合活動をどこまでしていいのかという、そこのところにつきましては慎重に検討を進めるべきであると思っております。私は、短期間の従事につきましても廃止をしていいのではないか、むしろ強くしていく方向に進むべきではないかと考えております。

 いずれにしましても、労働基本権をどのような形で付与していくのか、そうした組合活動を今後どのように見ていくのか、これは、国民の皆様にはっきりと、透明性を高めて、政策論議が見える形で論議をお願いしたいと思っております。第二弾がそれであるということはよくわかりました。

 そこで、大臣、少し話がかわるのですが、この国家公務員制度改革、先般の本会議におきましても、歴史的な第一歩であるとか、さまざまなお話がありました。でも、それだけ重要な法案であるなら、なぜパブコメ等にかけなかったのか。国民の皆様が、まさに天下りについて本当に撲滅してくれるのかどうか、多くの懸念を持っていらっしゃるところです。本来であればそれを進めるべきではないかと思いますが、これは手続されたのでしょうか。

仙谷国務大臣 いいか悪いかは別にしまして、法律はパブリックコメントの対象になっていないということでございます。まさに、我々が国会に提出して、国会で議論をされて、そのことに国民の皆さん方から注視をいただいて、そして御批判や御意見がここに収れんしてくる、こういうことを国会の役目として期待しているというふうに考えればいいのではないかと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。それでは、十分な審議を心よりお願い申し上げます。

 それで、きょうは総務省の階政務官にお越しいただきました。先般、総人件費の抑制につきまして、いろいろこちらも申し上げさせていただきました。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律の見直しにつきまして、先般も少し申し上げましたが、今私が考えております案につきまして申し上げさせていただきたいと思います。

 例えば、先ほど来出ておりますが、一つは、定年まで就労可能とするため、在職期間の長期化に伴う年功的な給与カーブをさらに見直す。また、指定職俸給表のあり方、内容を見直す。

 また、幹部職員について、役職定年制を導入するとともに、役職段階から離れた場合の職域として専門スタッフ職制を拡大強化し、例えば、役職定年を迎えた事務次官から部長級の専門スタッフ職への異動を可能とする。その際、異動に伴う給与の引き下げが可能となるよう、指定職俸給表から専門スタッフ職俸給表への移行のあり方を今後検討する。また、内閣及び国会の調査研究などシンクタンク的な業務につくなどの制度を整備することもあるかと思います。

 また、部長以上の幹部職員及び課長その他の管理職員については、専門スタッフ職制の拡大にあわせて、俸給表の適用のあり方を抜本的に見直す。

 さらに、これは留意事項でございますが、国家公務員の定年勤務、定年の延長等の検討に当たりましては、人件費の抑制に十分留意することとする。

 一つ一つ当然のことであると思いますが、それぞれにつきまして、階政務官の見解を求めます。

階大臣政務官 お答えいたします。

 全体をフォローできているかどうかあれなんですけれども、まず、高齢者の給与カーブの引き下げ、幹部の俸給表の見直し、あるいは幹部について専門スタッフ制度の導入、こういったことについては、まさに定年まで勤務できる環境の整備を今検討しているところでございますけれども、その中の論点として当然入ってくるのかなと思っております。

 済みません、そのほかについては、もう一回お願いできますか。

高木(美)委員 それでは、例えば、指定職俸給表のあり方、内容を見直す。また、幹部職員については、専門スタッフ職制を拡大強化し、役職定年を迎えた事務次官から部長級の専門スタッフ職への異動も可能とする。その際、当然、指定職俸給表から専門スタッフ職俸給表への移行のあり方も検討されなければなりません。また、シンクタンク的業務につくなどの制度を整備する。

 ここまで、いかがでしょうか。

階大臣政務官 失礼しました。

 専門スタッフ職制度の活用ということを前半の方ではおっしゃられたと思うんですが、まだ、そこまで具体的なところまでは検討しておりませんけれども、専門スタッフ職制度は今後必要ではないかということで今検討を進めているところでございます。

 そして、もう一つの、最後におっしゃられたのは何でしたか。

高木(美)委員 指定職俸給表から専門スタッフ職俸給表への移行のあり方。事務次官がいわゆる部長級の専門スタッフ職へ移行できるように、このあり方も検討すべきではないかということです。

階大臣政務官 そちらについても今後検討させていただきます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 続きまして、重ねて政務官にお伺いいたします。

 退職手当の見直しについてでございます。先ほど来もお話があったかと思いますが、退職手当制度の検討も必要かと思います。民間からは、どうも民間よりもかなり高いよという御指摘もいただいております。

 私は、この検討に当たりましては、第三者機関を関与させるということも大事だと思いますし、また、常時民間企業の退職金の実態調査をするという根拠規定をここに置いてはいかがかと考えます。

 退職手当制度のほかに、またさらに、大変優遇されていると言われる共済年金制度につきましても、第三者機関を関与させるということを検討してはいかがかと思います。当然、一たん公務を退職して公益法人等に出向した場合でも、退職金を支給せずに、この法人での勤務期間を公務での在職期間として通算するということも可能にできるのではないかと思います。

 幾つか提案をさせていただきましたが、政務官、いかがでしょうか。

階大臣政務官 退職手当の水準につきましては、今のところ、直近では平成十八年に人事院が実施した調査におきまして、官民の退職給付水準がほぼ均衡しているという結果が出たところから、格差の是正といった問題は生じていないということでございます。

 しかしながら、それからもう三、四年たつわけでございまして、かつ、この間、リーマン・ショックなど経済環境が激変したという中で、再度、官民の退職給付水準の格差というものが生じていないかということを調査する必要があるのではないかというふうにも考えております。

 今委員から御指摘があった事項なども含めて、退職手当の水準については今後検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

高木(美)委員 前向きに、どうぞよろしくお願いいたします。

 あわせまして、行革推進法が平成十八年にスタートいたしました。この第四十二条、四十三条、四十四条、ここで総人件費改革につきまして書かれているところでございます。

 この進捗状況につきまして、行革担当の大島副大臣に伺います。

大島副大臣 高木委員にお答えをさせていただきます。

 行革推進法第四十二条は、国家公務員等の人件費の総額の削減を図るという総人件費改革の趣旨について規定しており、その具体的な内容は四十三条以降に規定されております。

 法第四十三条は、平成十八年から五年間で国家公務員の総数を五%以上純減することとしております。その措置状況については、十七年度の約六十八万四千人から、二十二年度、これは当初予算ベースなんですけれども、六十四万一千人となっており、六・四%の純減を達成しております。

 法第四十四条第一項は、平成十八年から五年間で国の行政機関の定員を五%以上純減することとしております。その措置状況については、十七年度の約三十三万二千人から、二十二年度、これも当初予算ベースでございますが、三十万二千人となっており、九%の純減を達成しております。

 法第四十四条第二項は、自衛官について、国の行政機関の定員に準じて純減することとしております。その措置状況については、十七年度の二十三万七千人から、二十二年度には二十三万人となっており、三%の純減を達成しておるところでございます。

 以上です。

高木(美)委員 恐れ入ります。大変簡潔に御答弁いただきました。

 副大臣、総人件費はどのような推移でしょうか。

大島副大臣 ちょっとおくれてしまって申しわけありません。

 国家公務員の人件費の推移としては、平成二十二年度においては対十七年度比で九五・二%ですから、マイナス四・八%の減となっております。

 以上です。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 こうした流れの中で、五年間かけて、今、総人件費四・八%削減というお話でございます。

 したがいまして、これから四年間というお話なのでしょうか、二割削減ということはかなり厳しい目標であると考えております。その点だけ指摘をさせていただきます。

 続きまして、また階政務官に質問を戻らせていただきますが、退職管理の指針につきまして先般質問させていただき、四月いっぱいにまとまるという答弁でございました。概要のポイントをお示しいただきたいことと、あと、あわせまして、これが何日にまとまるのか。まとまり次第、この委員会への提出を求めたいと思います。

階大臣政務官 お答えいたします。

 まず、退職管理基本方針の検討項目ということですが、大きく三つぐらい指針があります。

 一つは、職員の再就職に関する指針というもので、いわゆる天下り問題の根絶を図るための国家公務員法の再就職規制の遵守や情報公開等を進めるということ。

 それから、二つ目としては、定年まで勤務できる環境の整備に関する指針というもので、今後、職員の在職期間が延びることが想定されますので、中高年期の職員の知識経験の活用やキャリアパスの多様化、組織活力の維持等の観点による多様な分野への積極的な人材活用について記していきたいと考えております。

 それから、三点目は、雇用と年金の接続に留意した再任用制度に関する指針というものでございます。

 退職管理基本方針そのものがいつできるかということなんですが、前回もお答えしました、四月中をめどに今鋭意検討しておりますけれども、いろいろこれは詰めなくてはいけない項目もあるものですから、引き続き、四月中をめどに努力してまいります。

高木(美)委員 恐れ入ります。それでは、まとまり次第、この委員会への提出を求めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでよろしいでしょうか。まとまり次第、この委員会への提出を求めたいと思います。

階大臣政務官 四月中ということになりますと、この委員会での審議の進捗状況等もあるかと思いますけれども、可能な限り、委員会の御判断があれば、対応したいと思います。

高木(美)委員 前回も申し上げましたが、採用から退職まで一貫した公務員制度を考えていかなければいけないと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、事後規制による天下り禁止という話でございます。

 先ほど来、事前規制、これが天下り根絶法案の内容でございました。私は、事前規制はむしろ復活すべきじゃないかと考えている一人でございます。しかしながら、今回、閣法におきましては、事後規制による禁止を入れるということでございます。

 そこで、先般も大臣の答弁の中に、これを進めるので恐らく大変大きく変わるだろうというような答弁がございました。しかし、では、これをどのようにして監視していくのか、また、そのチェックのあり方等々につきましてどのような強化策をお考えなのか、答弁を求めたいと思います。仙谷大臣、お願いいたします。

仙谷国務大臣 今回の公務員法の改正におきましては、再就職監視・適正化委員会を改めて設置いたします。この委員会は、調査権を持っております。あるいは、証人喚問をする権利も持っております。そういう強力な権限を持った、行政から独立をした中立公正な第三者機関としてこの再就職監視・適正化委員会を設置いたしておりますので、この五人の委員、これも国会同意人事にしてございます。

 そういう独立性の強いところで、いろいろな情報をつかんだら、あるいは、私どもは今、行政刷新大臣のもとには職員の声、国民の声という部局を設けておりまして、ここへ公務職場あるいは公務そのものの無駄やいかがわしいものについては相当、直接声が入ってくるようになっておりますので、いろいろなルートでの、水面下のいかがわしい天下り等があって通報がなされれば連携をして、この監視委員会に行政刷新部局から連絡をし、あるいは通報して、そこでこの監視委員会が動き出す、立ち入り権もありますし、質問権もあるということでございますので、それで調査を遂げ、報告をしていただく、そういう段取りになるんではないかというふうに考えております。

高木(美)委員 これは私もたしか前回提案をさせていただいたかと思いますが、一つは、倫理審査会、これをたしか天下り根絶法案で民主党は主張していらっしゃいました。これは私はいい提案だと思っておりまして、むしろ中立的なところに置いた方がより効率が上がるのではないかという思いがあります。今、例えば内部通報につきましても、各省庁に通報するとなっておりますが、それでは当然だれもやらないという、またそこで氏名の秘匿というところも今行われておりませんので、不利益処分だけは受けないということが盛り込まれているのが状況でございます。

 ということから、一つは、今申し上げました、新たに委員会をつくるのではなく、人事院の国家公務員倫理審査会、ここにはもちろん、当然、調査機能も既にありますので、ここを強化して、むしろここに置くべきではないか。その上で、これについては、不利益取り扱いにつきましても人事院に申し立てすることもできますので、一貫してできるのではないかという提案を一つさせていただきます。

 あわせまして、公益通報者保護法ですが、これもやはり改正をしなければなりません。今大臣は、職員の声、国民の声というお話がございましたけれども、そのようなシステムをつくるのであれば、そのときに犯人捜しのような、こんなことを言ったのはだれだということが行われるのではなく、やはり、そういう事後規制を強化するという流れであれば、内部通報を、アメリカのようにきっちりと氏名の秘匿を保障する、そして安心して通報できるようにする、このような制度の整備も必要ではないかと思います。

 二つ提案をさせていただきましたが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

仙谷国務大臣 公益通報者の問題は、残念というか、公益通報者保護法を改正する必要が、高木委員の説ですと出てきます。というのは、公益通報の対象に公務員関係の事柄はどうも今の時点では入っていないようでございます。

 ただ、一般の会社のコンプライアンスの考え方もそうでありますが、やはり、できる限り、法律すれすれとか、あるいは形式的に合法であっても実態として世間の目というか国民の目から見ておかしいというふうなことがある場合に、通報を受け付ける専門の社外の機関というかそういうのを置くというのが、そのことによって会社の改革が進むというのが今の常識的な考え方です。

 公務職場も、今先生おっしゃったように、私どもは、これは、職員の声、あるいは国民からも、公務員の働き方あるいは公務サービスそのもの、天下りやそういうことにまつわること、お金の使い方というふうなもの、何でも寄せてほしいというので、この間、随分成果が上がっております。公務員の同僚の皆さん方からも、あの職場でこういうおかしいことが行われている、ここでこういうことが行われているというのも上がってきておりますが、国民の現場からも上がってきております。それを、ある意味で、こういう国民や職員の健全な意識による公益通報のようなことを改めて制度化する必要があるとすれば、これを何らかの格好でする。

 しかし、この問題は、やってみますと、割と、見きわめるのに手間暇というか、職員の力が、大変なエネルギーを要するんですが、しかし、例えば一〇%とか二〇%は珠玉のような指摘があるというのが経験上大体わかってきましたので、そういうことを制度化するというのも一つの方法で、先生がおっしゃった、人事院にある国家公務員倫理審査会の機能あるいは公益通報者保護法の機能、今それぞれ守備範囲が違っていて、それで私が今申し上げた内部告発的、内部指摘的な指摘から始まるような事柄についても一元化するというような観点が、ある意味で、よければというか、その方が効果的、効率的であればそういうことも行く行くは考えなければならないのかなと、今高木先生の御指摘をいただいて考えておりました。

田中委員長 ちょっと待ってください。

 十分な審議をする意味で、皆さんにお願い申し上げたいと思います。

 現実には定数を確保しておりますけれども、自分たちの主張を繰り返し行うためには、議員の皆さんは委員会のメンバーとして十分な出席をしてください。これでは本当に主張とやっていることが違っていると思う。まして、自分たちの仲間が質問している最中ぐらい全員出るぐらいにお互いに連絡をとってあげてください。

 高木さん、どうぞ。

高木(美)委員 仲間といいましても、それぞれ党派で全部違いますので、それは委員長、野党だからといって一つにくくられるというのは、これはやはり、ちょっと御発言としていかがなものかと思います。各党派があり、現実、この公務員制度改革につきましても、主張は全く違います。

 という状況がございますので、当然うちも……

田中委員長 済みません。

 公務員改革を求めるんだったら、やはり委員の人たちも十分そのことを含めてやっていかないと、一方的に公務員改革ということになるだけではしようがないと思いますから申し上げました。

 どうぞ。

高木(美)委員 済みません。今の委員長の発言のお時間は、私の質問時間をプラスしてくださるのでしょうか。

田中委員長 外してください。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 では、大島副大臣、答弁をお願いいたします。

大島副大臣 委員のおっしゃったとおり、人事院の倫理審査会についても同様の機能があるということはよく承知をしておりまして、委員のお考えもよく理解はさせていただいております。

 ただ、今回については、仙谷大臣が御答弁したとおり、再就職適正化委員会において再就職適正化の監査官を配置しまして積極的に再就職について調査を事後的にしていこうということにしておりますので、そのような考え方で制度を設計させていただいております。

高木(美)委員 私がこのような提案をさせていただきますのは、やはりこうした通報については、特に、中立性、公正性が担保されているという意識づけというのは当然内部通報を促すことにもなりますし、その際、法的な整備があり、氏名の秘匿がなされるという安心感があれば、やはり公務員としての正義感の上から、これはやはりおかしいのではないかということが、かえって情報も集まりますし、事後規制をしやすくなるのではないか、こうした意味からの提案でございます。当然、事後規制においては、こういう通報をどうキャッチしていくか、ここがまず入り口だと思います。

 当然、各省庁に対して、だれがどこに再就職をしたのか、すべてその情報を提出させるというのであれば、これもまた別の話かもしれませんが、ただ、先ほど来懸念されております裏下りがどうなっているのか。この裏下りルートの根絶、ここから考えていきますと、やはりこれは公務員の方たちの良識にゆだねるところもあってしかるべきではないかと思っております。

 それが、このセンターは、また委員会は内閣府に置かれるということでございますが、ともすれば、政権におもねるという意思はないとは思いますが、そのような嫌いから通報が行われるとか、もしそうした中立性が阻害されるようなことがあってはなりませんし、まさに恣意的な情報があった場合にそれをどのように排除していくかというシステムをきちんと法的に持っていませんと、正確な、またいい意味での事後規制に係る内部通報を得られないかと思っておりますので、そのように提案をさせていただきました。

 大臣からも先ほど前向きな御答弁もいただきましたので、ぜひ引き続き検討をお願いしたいと思います。

 私の持ち時間もあと少しになってまいりました。

 きょう、私は、いわゆる政治任用と一般職のあり方の考え方について質問をさせていただきたいという、ここからが実は本題なのでございますが、ここまで参りましたので、簡潔に、最初のところだけ質問をさせていただきたいと思います。

 本会議のときにも申し上げましたが、憲法十五条に、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と明記されております。また、公務員法の第九十六条には、「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」という強い規定がございます。こういう点から、私は、これを公正中立性を確保すべきその根拠であると思っております。

 先ほど、中川先生からまた違った解釈がございましたけれども、やはり、特に人事につきましては、情実人事が行われるのではないか、また恣意的な人事があるのではないか、この懸念に十分にこたえ得る制度が必要と思っております。

 そこで、一つは、今回、次官また局長、部長等を同一職階とみなすということになっております。同一職階とみなすことにつきまして、本会議における答弁では、不利益処分について私が伺いましたところ、大臣は、基本的に、著しく不利益な処分には該当しないものと考えております、しかしながら、人事異動が著しく合理性を欠くものである場合には、不服申し立ての対象となることはあり得るという理解をしております、このような大臣の大変微妙な御答弁でございました。当然、次官、局長、部長、指揮系統もあり、またそれぞれ身分保障という示されたものもございます。

 この著しく不利益というここのところですが、例えば大臣はどのようなことを想定していらっしゃるのか、お示しいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 法律用語で、例えば上告理由と控訴理由の違いは、破棄されなければ正義に反する内容かどうか、破棄されなければ著しく正義に反する内容かというような書き方があって、著しいというのはやはり著しいということで、なかなかこれは、先例というか判例を積み重ねていかないと、著しいものと、著しいとまでは言えないけれども、今高木議員がおっしゃっていることとの関係でいえば、公平性を欠くとか、そこそこの不利益はある、しかし著しい不利益とまでは言わなくてもいいのではないか、そういう境界領域はそういうことがあるのではないかなと思います。

 私は、例えば、何々職につくかどうかというのは、これは国会議員の方、特に与党の方なんかは、大臣になるかどうかが利益であるかどうかということと考えれば、それは利益とも言えるけれども利益という概念ではおかしいなとか、では大臣の首をすげかえられた場合には不利益なのかといえば、不利益であるとしても、そういうことがあるという前提で政治家をやっているんだから利益、不利益の観念で分けられないですね。

 そうすると、今度、会社でいえば取締役かもしくは執行役というふうなポジションについた幹部職の方々が、その時々の政権の重点政策によって、同じ幹部職ではあるけれども、ちょっと横に、何とか局長からは一たん外れて何とか部長になってくださいと言われるような場合に、これをもって著しく不利益と言えるのかどうなのか。

 私は、そこを、ちょっと日本的というか、もうちょっと言えば人事院的に、がちがちに考えて今まで人事がなされてきておって、それは、人事の体系が硬直し、そして、年次でいくしかないとか、それとも、政治がどうあろうとも一たん決めたらてこでも動かないとか、それから、もうこれは我が省の人事の序列としてこう決まっているから、だれが何と言おうとこの順番で、来年はこの人が何とか局長になって、その次の年は何とかが局長になって次官はだれになるとか、もうすべてこれは我が省で決まっておることで、政治なんか関係ないと言わんばかりのことが今までは行われてきた。

 これをやはりどこかで、柔軟性を持たせるといいましょうか、幹部人事について政治の側で一元管理をしたいというのが今度の肝でございまして、そこで、御心配になっておるような恣意性とか、あるいは極端な公正さを行うような、好き嫌いでやるような人事とか、そういうことがなされないように、これは、官房長官あるいは総理大臣にも、それをある種、心して協議する、そういう責任があるんだろうと私は思っております。

高木(美)委員 私もおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、やはりそこに透明性がどのように確保されるかということが必要ではないかと思います。

 例えば、政治主導を確立するための幹部公務員の任免ですけれども、飛び級昇格とか、また降格とか、柔軟に行えるようにするということは妥当ではないかと思います。しかし、やはり、あくまで能力、実績に基づく措置であるということを明確にすべきではないでしょうか。民主党政権になられてから、例えば郵政の社長人事、また観光庁長官の人事、また、先般は原口大臣の二回にわたる遅刻のために課長等が処分をされたという、いろいろ伺いますと、ちょっと妥当性に欠けるような雰囲気も受けとめております。

 ということから、例えば、飛び級昇格、降格については、客観的な妥当性を担保するために、内閣から距離を置いた第三者機関によるチェック制度を導入する、何かここできちっとチェックを受けているという、そのようなことをお示しいただくのも大事ではないかと思います。

 ただいまの提案は、仙谷大臣と、また遅くなって申しわけありません、衆法提出者と、両方にさせていただきたいと思います。それぞれ答弁を求めます。

仙谷国務大臣 人事の透明化というのは、日本的な雰囲気の中ではなかなか難しい。要するに、議員は選挙という透明手続で選ばれますが、その人事が本人の名誉を傷つけるのではないかとか、人事で本当のことを言ったらそれぞれが困るのではないか、そんなウエットな気分が日本人というのはありますから、なかなか難しいと思います。

 幹部人事については、おっしゃるように、透明化ということも一つの大きな目標というか基準にして、幹部になられる方がこれになれる、つまり、ドライになって、ああそうか、今回はこういうことになったけれども、次はそうじゃなくてこういうふうになれるだろうとか、かもしれないと、それを励みとしてこれからエネルギーを燃やしてやっていこうと言ってくれるような、そういうことに日本の霞が関の世界が、特に幹部の世界がなっていただけたらなと思っているところであります。

塩崎議員 今、高木委員から、第三者的な委員会がチェックをする仕組みを残しておいたらどうだろうかというお話でありますが、今回、我々が、幹部を一般職と離して別に管理をしようということは、先ほど、これは仙谷大臣も同じ考えで、三十万余りの人たちの中の六百人、これは言ってみれば取締役会みたいなもので、約〇・二%ですけれども、その人たちはやはり一般職とはちょっと違う扱いでいくべきだというのが今回の我々の提案であります。

 それは、やはり能力・実績主義だけではなくて、先ほど申し上げましたけれども、内閣との一体性というものが大事だということで、政治主導をどう考えるかというときに、我々としては、こういうふうにいくべきじゃないかと思っています。

 しかし、先生御指摘のように、余りにも恣意的なことが、あるいは情実人事が行われるのはやはりよくない話でありますが、そうは言いながら、選挙の結果を受けて政権交代が起きて、その内閣が一緒にやる、幹部が全く反対の方向を向いているというのが往々にして今まで起きてきたことでありますから、これはやはりないようにしようねということです。

 情実人事、恣意的なものにならないためには、今回、政府案が出している、次官、局長、審議官、これが同一職階だというのは、そして標準職務遂行能力において審議官でそろえるという、その中で、では、給料も物すごく変わるのに、何だかわけがわからないけれども、何か次官から審議官になったね、あるいは審議官から局長になったね、それではやはりおかしいわけです。

 これはやはり、見ればそれなりに、例えば、事務次官の判断でも「部局を横断する課題や」という言葉が入ってきますが、局長だって「局の責任者として、」という言葉になっていますし、組織統率も、次官の場合には「強い指導力を発揮し、部局及び機関の統率を」ということであり、局長の場合には、言ってみれば局だけで完結する。

 しかし、局だけで頑張れる人が、では全体を見られるのかというと、これはまた別なので、我々は、階層をきちっとして、職務遂行能力を、三ランク全部同じでいくというようなことをやったら情実人事が起きてしまう、こういうことをやはり排除しなければいけないんじゃないかと思っています。

 ということで、我々は、特別降任というのが確かにございますけれども、しかし、これは抜てき人事をするために一ランクだけ幹部から下がるということだけでありますし、それから、みだりに免職されるとかそういうことは、一般公務員と同じように扱うということでありますので、我々は身分の保障もきちっとしているということでございます。

 いずれにしても、政治主導ということでありますので、少し一般職とは違う、内閣との一体性というものを大事にしながら、政権が遂行したい政策をきちっとやれるような、そういう公務員制度にすべきだということを我々は主張しておるところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 それでは、本日は、以上で終わらせていただきます。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、天下り問題について質問をいたします。

 最初に、民主党の二〇〇七年の国公法、閣法に対する対案に関係して、仙谷大臣にお尋ねいたします。

 今回の国公法の天下り規制の関係は、事前規制から行為規制に転換した〇七年の国公法の枠組みを継承しております。

 民主党は、二〇〇七年に国公法の議論をしたときには、事前規制を強化する対案を提出しておりました。そのときの法案を見ると、営利企業に対する就職を禁止した国公法百三条第二項について、就職の禁止期間を離職後二年間から五年間に延長し、さらに、就職を禁止する団体の範囲を営利企業以外の法人にも拡大して抜け道をなくすという、事前規制の強化を求めておりました。

 ところが、現在では、天下り禁止の期間を離職後二年から五年間に拡大することをやめただけではなく、天下りの事前規制そのものをとらないということになったわけですけれども、その理由は何なのかをお答えいただけますか。

仙谷国務大臣 従来から問題とされてまいったのは、府省庁の職員があっせんに関与して、そうして行われてきた再就職であって、その根絶を図ることが重要であるというふうに考えているわけでありまして、今回の法案におきましては、再就職のあっせんは、一般的な離職者に対する再就職あっせんは一切行わない、官民人材交流センターを廃止するということであります。

 それから、再就職等監視・適正化委員会において、規制の遵守に関する指導助言の権限を付与する等、監視機能を強化することとしておりまして、これによって、問題とされる退職公務員の再就職あっせんをめぐる状況は大幅に変化するということになろうかと思います。

 問題のある再就職の適正化を図るためには、まずは、既に施行されているあっせん規制等の違反または脱法的な行為を厳格に監視し、行為規制の実効性を高める、行為規制に重点を置く、こういうことで今度の法案を提出しているということでございます。

塩川委員 行為規制に転換をして、監視機能の強化によって担保するんだという話でございます。

 天下りのあっせん禁止というやり方については、OBのあっせんを規制できないなど、現実には多くの抜け道があります。民主党自身も批判をしてきましたように、その典型例が五代続けてのポストを継承している天下り法人で、私も質問主意書でこの点をただしましたけれども、答弁書では、四百十のポストで、五代続けて天下った二千五十人のうち、天下りあっせんが確認できたのはわずか一六・六%だったと。そういう点でも非常に問題があったわけです。

 ですから、私は、大臣に伺いますけれども、こういう行政をゆがめる天下りを根絶するには、そもそもあっせん禁止規定でふさぐというのには限界があるんじゃないのかと率直に思っているんですけれども、大臣のお考えはいかがですか。

仙谷国務大臣 モグラたたきのような話をこれまでの政権はなさってきたということで、それから、一方では、刑事罰を重くすればなくなるだろうという意見もあるようであります。

 ただ、この種のものは、やはり人間が飯を食っていくという、必死になること。それから、人のお世話をすること自身は、これはある意味では個々人にとってみれば、別に天下りのあっせんじゃないんですよ、一般的なお世話という意味ですが、これは人間にとってそれほど許されざることではない、むしろそういうお世話とお世話で人間関係というのは成り立っているという部分も相当多いわけですね。そういうことで、それが一つの組織的常態化したのが、今塩川議員が指摘された、霞が関と外の世界との関係が構造化し、ルール化していた、こういう実態だろうと思います。

 だから、おっしゃるように、平成十九年の公務員制度改革法ですか、これができた後も、依然としてずるずると、あっせんがあるかないかはともかくとして、いわゆる俗に言う天下りというのが続いてきたということじゃないでしょうか。

 これを、少なくとも、省庁がお世話して省庁の人事としてやる、あるいはそれに類するというふうなことは絶対にやってはならない。そのことを、事後的に、行為規制のもとで監視をして調査をする、調査権能を与える。ここで、これからこの種のことが裏側で行われることも含めて、禁止を実質的に担保していこう、こういうことを考えているわけであります。

塩川委員 行き着くところは監視機能の強化というところになるわけですけれども、私は、やはり天下り自体に行政をゆがめるという問題があるわけですから、自民党と同じあっせん禁止という間接的な手法ではなくて、直接禁止をして、民主党としても、二〇〇七年に対案で出していたように、公益法人への天下りも禁止するなどの規制強化をするのが天下り解決の基本的な道筋だと思っております。

 その点で、さらに言いますと、民主党は、事前規制、天下りの禁止という本道だけではなくて、行為規制の強化も二〇〇七年のときには求めておったわけであります。二〇〇七年の対案では、OBによる働きかけを禁止する期間が、安倍内閣の政府案の二年間に対して、五倍の十年間となっておりました。

 そこで、お尋ねしますが、なぜ働きかけを禁止する期間を二〇〇七年のときに十年ということで提案をしておられたんでしょうか、お聞かせください。

仙谷国務大臣 この時点では、働きかけの規制というものが、元職員が現職の職員に対して持っていらっしゃる影響力を行使して契約あるいは処分に関する事務の、処分というのは行政処分でしょうけれども、働きかけを行うということをOBはやってはいかぬということを規制したということであります。

 働きかけが規制される期間につきましては、公務の公正性を確保する観点から適切に設定される必要があると思っておるのでありますが、御指摘の平成十九年の民主党案では、当時、役所において組織的な再就職のあっせんが常態として行われていた状況も踏まえて、より厳しく、十年間禁止をしたいという法案を提出したというふうに聞いております。

塩川委員 そういう点では、その後においても続いているこういう天下りの実態があるわけですから、これは、十年にしようという姿勢というのは、基本的に現状としては変わっていないんじゃないかなと思うんですけれども、今回閣法で出された改正案では、こうした行為規制の強化というのは盛り込まれておりません。

 二〇〇七年の改正以前は、禁止規定がある二年間は公益法人に腰かけて天下っていたわけですけれども、二〇〇七年の改正後は、最初から民間へ天下って、離職後二年後からは以前と同じように働きかけが自由ということにもなっております。ですから、もちろんその二年間は、既に二年前に天下った官僚の天下りもあるわけですから、働きかけも行われているわけで、ずっと続くような状況になっている。

 私は、やはりこういう現状では、天下り官僚による働きかけは事実上野放しになるのではないのかと。なぜその十年というのを改めて今回、行為規制として出されなかったのか、お聞かせいただけますか。

大島副大臣 私も、この天下りの法案の提出者じゃないものですから、事実関係を今確認させていただいておりまして、私たちの二〇〇八年の次の内閣において、これはまだ確認中なんですけれども、この事前規制については、一たん、これについては書かない、要は取り上げないという判断をさせていただいたと聞いておりますので……(塩川委員「行為規制の方、離職後二年を十年間に」と呼ぶ)

 行為規制については、今回は、当時の状況とは大分変わってきたので、現行法で改めさせていただいているということにしております。

塩川委員 いや、当時の状況よりもよくなっているということではないというのは、それはおかしいんじゃないですか。人間関係は続くから、二年間じゃなくて十年ぐらい人間関係が続くんだ、そういう理屈でそもそも提案されていると承知をしているわけであります。

 その趣旨というのは重要なわけで、事前規制についても、天下りの直接の禁止から、自民党と同じあっせん禁止に実際には後退をしてしまった。行為規制についても、十年間の働きかけ禁止から、自民党と同じ二年間の働きかけ禁止へと後退をした。二〇〇七年の対案の立場からの後退というのは否めない。天下り根絶という公務員改革の最重要課題において、民主党の政策は、天下りに甘い、かつての自民党の政策と同じになってしまったということを指摘せざるを得ません。

 それに関連して、自衛隊の天下り問題について質問をいたします。

 今回の法改正では、防衛省・自衛隊員の天下り規制を変更する自衛隊法の改定が含まれております。

 そこで、お尋ねしますが、今回の自衛隊法改正の天下り規制の中で、再就職の規制についてどのような改正を行おうとしているのかについて御説明いただけますか。

楠田大臣政務官 塩川委員にお答えをさせていただきます。

 自衛隊法の改正の再就職規制関連部分でありますが、まず、今般の国家公務員法等の一部改正案に含まれているその趣旨を踏まえまして、公務員制度改革の一環として、内閣による人事の一元管理及び公務員の退職管理の一層の適正化が図られておりますので、それを踏まえた上で、自衛隊についても、特別職としての特殊性を十分考慮した上で、一般職に準ずる措置を講ずるものとしております。

 具体的に言えば、他の隊員についての再就職の依頼、利害関係企業に対する自己求職、OBによる現職隊員に対する働きかけについて行為規制を導入し、不正な行為に関しては罰則を科すことといたしております。

 また、こうした規制に関しては、隊員歴のない者から成る監視機関において厳格な監視が行われることとなっております。

 また、一般職国家公務員とは異なり、一般に二十歳代で退職する任期制の隊員及び五十代半ばで退職する若年定年隊員につきましては、その特殊性を考慮し、引き続き防衛大臣が退職時の再就職の援助を行うことといたしております。

塩川委員 今回、二〇〇七年の国公法の改正と同じ並びでということで、特別職の自衛隊員についても適用するという御説明でした。

 御答弁にもありましたけれども、要は、若年制隊員あるいは任期制の隊員については、これは防衛大臣が引き続き再就職のあっせんを行う、援助を行うということでありました。ですから、これまでも行っていたわけですけれども、今後も引き続き再就職のあっせんを行うということになっているわけです。

 その点で、この間の防衛省・自衛隊員の天下り問題には、他府省の天下りに比べて際立った特徴があります。それは、防衛省が戦車ですとか潜水艦や戦闘機などという軍需用品の購入を初めとした多額の物品調達を行っている官庁であり、そのことに関連をして、この巨額の物品調達の軍事費の支出先となっている軍需企業に数多くの天下りが行われているということでございます。

 そこで、お尋ねしますが、防衛省・自衛隊のOBでこういう武器などの調達先である営利企業に天下っている人数について、この天下り数の上位五社がどこで、何人が天下っているのかをお示しいただけますか。

楠田大臣政務官 お答えをいたします。

 防衛省において把握できる二〇〇〇年から二〇〇八年の間における防衛大臣の承認を得た隊員の再就職について申し上げますと、隊員が再就職した上位五社には百七十二名が再就職をいたしております。このうち、官によるあっせんを受けずに再就職をした者として把握している人数は六十一名であります。

塩川委員 上位五社の企業名と、それぞれ人数、何人なのか、その点、お答えいただけますか。

楠田大臣政務官 失礼いたしました。

 企業名を申し上げます。

 第一位が三菱重工業でございまして、再就職者数が四十八名、うち、あっせんなしが十三名でございます。二番目が三菱電機でございまして、再就職者数が四十四名、あっせんなしが十七名であります。三番目が日本電気でありまして、三十一名の再就職者数で、あっせんなしが十四名であります。四番目が川崎重工業でありまして、再就職者数が二十五名、あっせんなしが八名であります。五番目がIHIでございまして、再就職者数が二十四名、あっせんなしが九名で、先ほど申しました合計数であります。

塩川委員 非常に多い人数がそれぞれの軍需企業に天下っているというのが現状であります。

 ほかの省庁では禁止されている再就職のあっせんが、自衛隊の場合には、若年定年制等の隊員には今回の改正で要は容認をされる、法律で認められることになります。若年定年制といっても、任期制の二十代、三十代の自衛隊員だけではなくて、一佐クラスなど五十代の幹部隊員もあっせんの対象になっております。こうした幹部隊員を利害関係先にあっせんすることになれば、天下りのあっせんそのものになるんじゃないのか。

 楠田政務官に伺いますけれども、こうした幹部隊員を利害関係先にあっせんすることになれば、まさに批判をされている天下りのあっせんそのものじゃないのか、これが国民の声だと思いますが、お考えをお聞かせください。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 午前中の委員会の討議でも申し上げたところでありますが、先ほど委員御指摘ありました、まず、任期制で二十代で退職をするという者もおりますし、また、若年制退職というのが五十三歳から五十六歳の、率直に申しまして、働き盛りの中で、自衛隊の精強性の観点から退職せざるを得ないということがございます。

 そうした中で、やめていく隊員に対しまして我々は雇用の責任としてこの点を援助していくということは、やはり、自衛隊の今後のあり方、募集する際の、有能な人材を獲得するためにも、また、任務に専念をしてもらうためにも、こうした制度が必要ではないか。この点は、内閣の中でも、政府の中でもお話をいただいて、今回、この点は例外とさせていただいているところであります。

塩川委員 いや、問題なのは、企業との癒着の問題であります。

 天下り先の企業との癒着が問題となった事件の一つが、午前中も議論がありましたけれども、航空自衛隊における官製談合事件であります。公正取引委員会が、関係の製造業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行い、また、防衛大臣に対する改善措置要求を行っております。

 公正取引委員会は、三月三十日に、航空自衛隊が発注するオフィス家具などの事務用品の納入にかかわって、製造業者ら六社による官製談合を認定し、そのうち五つの業者に対して排除措置命令及び三億七千五百十六万円の課徴金の納付命令を出しました。これは、六社のうちの五社となっているのは、一社が、みずから、問題がありました、談合をやっていたということを申告するリーニエンシー制度に基づいて対象外となっているだけでありまして、談合そのものはこの六社で行われていたわけであります。

 さらに、談合への自衛隊職員の関与について防衛大臣への改善措置要求を行った。その中身においては、公正取引委員会として、過去の取引実績や防衛省・航空自衛隊の退職者の在籍状況等を考慮して調達を行っていた、こういう指摘が行われているわけであります。

 そこで、実際に行われたのが航空自衛隊の事務用品を扱う第一補給処と言われるところですけれども、お尋ねしますが、この談合六社への自衛隊からの再就職状況、天下りの状況はどうなっておりますか。

楠田大臣政務官 今回の談合の事実でありますが、平成十七年から二十年までの間、前政権下での事件でありますが、今、私を長といたしまして、調査委員会を立ち上げて、調査をしております。

 その中で、この五社に対して、これまで、自衛隊法の第六十二条の規定でございますが、防衛大臣等の承認を得て、十名の隊員が再就職をしております。具体的には、イトーキに三名、ライオン事務器並びに内田洋行並びに岡村製作所に各二名、プラスに一名であります。

 先ほど御指摘がありました、我々といたしましても、かつてのことでもありますが、こうした再就職を援助する際に承認基準というものを設けまして、直接的に当人が契約をしていた、そうした部署の人間をこの先に再就職させるということは、当然、承認基準の中で認めないということにはいたしております。付言させていただきます。

塩川委員 でも、実際には、この第一補給処の勤務歴のある隊員というのが複数いるわけですね。離職前五年間における第一補給処での勤務歴というのは、今言った十人の天下りの人数のうち航空自衛隊については八人ですから、その八人のうち三人が第一補給処の役職者についていて、天下っている。さらに言えば、この第一補給処の統括組織であります補給本部を含めれば、八人中五人が実際に天下りをしているわけです。まさに、直接かかわる部署の人間が天下りにかかわっているという点で、そういう点でも極めて問題であります。

 ですから、調達業務を背景にした利害関係先への再就職のあっせんはやはり天下りのあっせんそのものじゃないのか、こういう指摘、批判というのはぬぐえないというのが現状であります。

 先ほどもお答えいただきましたけれども、防衛省の背広組ですとか、六十歳定年の将補以上の幹部隊員には、ほかの府省同様にあっせんが禁止されることになりますけれども、実際には、これまでもあっせんなしで多くの防衛省・自衛隊員が天下っています。

 先ほどお答えいただきましたように、さきのトップ五企業でも、三菱重工十三、三菱電機十七、日本電気十四、川崎重工八、IHI、石播が九という形で、あっせんなしで天下りをしているわけです。いわば、防衛省・自衛隊の天下り先というのは、防衛省から巨額の受注を請け負う企業であり、あっせんがなくても、あうんの呼吸で天下りを受け入れる土壌が存在するということになります。

 これは、政務官が担当しておられます、例の調査検討委員会がございますね。あそこの第二回の会合の中でも、議事概要を拝見しますと、「OB問題については、会社におけるOBの指定席が代々引き継がれるとの話もある」というふうに掲げられております。こういう状況というのを放置していいのかという問題があります。

 その点で、先ほどお話ありましたけれども、現行法上では離職後二年間たてば後輩職員へ働きかけ放題になりますし、継続的に天下りを確保しておけば、いつでも継続的に役所に働きかけられる天下りチームを企業の中につくることができます。これでは行為規制も完全に骨抜きになるんじゃないのか。

 その点で、これは先ほどの政務官の答弁の中でも、こういったことに対して、隊員歴のない者による監視機関をつくるというお話がございました。これは、現状ではどういう組織を想定しておられるんでしょうか。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先ほど指摘がありました事件の内容につきましては、今後しっかりと調査を進めて再発防止に生かしてまいりたいということを、まず冒頭申し上げさせていただきます。

 今回、我々の中の、自衛隊員の天下りの行為規制違反を監視する組織についてでありますが、定年年齢が六十歳以上とされている一般定年等隊員の行為規制の違反行為については、この法律と同様、民間人材登用・再就職適正化センターに置かれる再就職等監視・適正化委員会により監視をされるということになっております。

 また、防衛大臣が引き続き再就職の援助を実施する若年定年等隊員による行為規制の違反行為につきましては、防衛省に置かれる審議会により監視をしていくということになっております。

 同審議会についてでありますが、隊員歴のない学識経験者で構成することといたしておりまして、防衛大臣の委任を受けて調査を行い、違反行為に対する防衛大臣による処分は、当該審議会の意見を聞いて行うことといたしております。

塩川委員 審議会を置くということですけれども、仙谷大臣に伺いたいのですが、先ほど大臣の答弁の中でも、再就職等監視・適正化委員会、これは行政から独立した第三者委員会なんだというお話がございました。

 現に、お話がありましたように、その独立性を担保するために、在任中その意に反して罷免されないとする身分保障の規定が設けられているとか、委員は両議院の同意を得て総理大臣が任命するという、いわば独立機関としての体裁をとっているわけですけれども、この若年定年隊員の行為規制違反を監視する組織、これは、こういった防衛省から独立をした第三者機関なんですか。

仙谷国務大臣 現時点での守備範囲は、この再就職等監視・適正化委員会は防衛省職員を対象とはしていないわけであります。

 したがって、防衛省の方で守備範囲の中に入ってくる、この若年の問題を含めて入ってくるということならば、それはこちらの方で考えなければならないと思っております。

塩川委員 どうですか、防衛省から独立した第三者機関と言えるのですか。そこだけはっきりお答えください。防衛大臣が任命する組織なんじゃないですか。

楠田大臣政務官 先ほど申されたように、外部にあるかと申せば、この点、先ほど申しましたように、防衛大臣が引き続き再就職の援助を実施するということでありますから、この審議会につきましても、防衛省の内部にあるという認識であります。

塩川委員 この事件について、北澤防衛大臣自身も、間違いなく身内に甘い構造があるという答弁をしているのですよ。身内に甘い組織が、その身内の中に監視機関があって、どうしてこういった監視機能を果たすことができるのか。そういう点でも、まさに骨抜きとなるような現状というのがこの法律で新たにつくられているのですよ。

 現状で、こういう官製談合の背景に天下りの実態があるということを公正取引委員会も指摘をしているわけで、この〇七年に天下りバンクという抜け穴があいていたわけですけれども、今回、若年定年制のあっせんという抜け穴をあけたわけで……

田中委員長 塩川君、時間が来ていますので、簡単にしてください。

塩川委員 はい。

 天下り禁止は民主党の一枚看板でしたけれども、私たちは、今回の法案は、最大の天下り組織である防衛省・自衛隊の天下り推進法となっているということを言わざるを得ない。このことを厳しく指摘をして、質問を終わります。

田中委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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