衆議院

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第7号 平成22年4月16日(金曜日)

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平成二十二年四月十六日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    泉  健太君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      小原  舞君    大島  敦君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    岡島 一正君

      奥野総一郎君    川島智太郎君

      岸本 周平君    後藤 英友君

      後藤 祐一君    笹木 竜三君

      園田 康博君    空本 誠喜君

      田村 謙治君    津村 啓介君

      寺田  学君    中島 正純君

      長島 一由君    仁木 博文君

      橋本 博明君    藤田 憲彦君

      古川 元久君   松木けんこう君

      森本 和義君    谷田川 元君

      若泉 征三君    渡辺 義彦君

      赤澤 亮正君    甘利  明君

      伊東 良孝君    小渕 優子君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      橘 慶一郎君    中川 秀直君

      長島 忠美君    漆原 良夫君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           菅原 一秀君

   議員           山内 康一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  仙谷 由人君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   総務副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      階   猛君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   衆議院管理部長      清野 宗広君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     松木けんこう君

  逢坂 誠二君     若泉 征三君

  津村 啓介君     仁木 博文君

  寺田  学君     小原  舞君

  中島 正純君     谷田川 元君

  橋本 博明君     空本 誠喜君

  古川 元久君     森本 和義君

  渡辺 義彦君     大西 孝典君

  橘 慶一郎君     赤澤 亮正君

  長島 忠美君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     寺田  学君

  大西 孝典君     大谷  啓君

  空本 誠喜君     後藤 英友君

  仁木 博文君     藤田 憲彦君

  松木けんこう君    川島智太郎君

  森本 和義君     古川 元久君

  谷田川 元君     中島 正純君

  若泉 征三君     長島 一由君

  赤澤 亮正君     橘 慶一郎君

  伊東 良孝君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     渡辺 義彦君

  川島智太郎君     奥野総一郎君

  後藤 英友君     橋本 博明君

  長島 一由君     逢坂 誠二君

  藤田 憲彦君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     荒井  聰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第九号)

 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十二日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君及び警察庁警備局長西村泰彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 仙谷さんにまずお尋ねをいたします。

 事務次官ポストを廃止して事務系副大臣を置くという考えを示されているといろいろなところで報道されておりますが、本当ですか。

仙谷国務大臣 報道よりも、議事録をお読みいただければすべておわかりいただけると思います。

赤澤委員 もう一度お尋ねをします。事務次官ポストを廃止して事務系副大臣を置くというお考えですか。

仙谷国務大臣 ちゃんと議事録をお読みいただければ、私の真意がおわかりいただけると思います。

赤澤委員 置くという考えかどうか聞いているんです。イエスかノーで答えてください。議事録を読めなんということを言ってもらいたくて聞いているんじゃないんですよ。質問に答えてください。

仙谷国務大臣 あなたが報道によるととおっしゃるから、議事録を読んでいただきたいと申し上げているんです。

 審議というのは、ちゃんと議論の場でどういう中身なのかということを確定していただかなければ議論にならないじゃないですか。断片的な報道をもとにして、ああだこうだ言われるんじゃ、まともな議論はできないじゃないですか。もうちょっとちゃんと議論をやりましょうよ。

 報道は私がそういうことを決めたかのように言うけれども、あなたはそのときにこの場にいたのかいないのか知りませんが、私が申し上げているのは、まさに、事務次官の問題というのは、政と官の関係の中で、ガバナンスを、今事務次官と言われる方々が各省においてどういうガバナンスの役割を果たしているのか、その機能から考えると、それが事務次官という名前であろうと、あるいは事務系副大臣であろうと、政務三役が果たす役割が異なってきているんだから、それは改めて定義づけをしなければいけませんね、そういうことをこの間ずっと申し上げている。そのことの真意を御理解いただかなければならない。

 それを、報道がああ言ったこう言った、断定的に切り取って報道したことを前提にレッテルを張られたり、固定的に、こうなったとかああなったとか言われても、私は論評のしようがありません。

赤澤委員 仙谷さん、悪いけれども、あなたは閣僚の器じゃないですよ、それは。報道が悪いと言わんばかりじゃないですか。なぜ、きちっと報道されるような説明責任を果たされないんですか。そのことがあなたの問題なんでしょう。国民が誤解をしないように。国民は報道ですべて知るんですよ。あなたは国民に議事録を読めと言うつもりですか。ちゃんと、誤解されないようにきちっと説明しないから、おかしな報道をされるんです。

 きちっと質問に答えてください。事務系副大臣、政治家以外の事務系副大臣を置くつもりですか。

仙谷国務大臣 私は地元へ帰っても、できる限り政治に興味を持っていただいて、できればビデオライブラリーを引いて、ちゃんとどういう議論のやりとりがあったのかをごらんいただきたい、そして議事録も引いてお読みいただければなおありがたい、こういうことを有権者の方々に申し上げているわけであります。(発言する者あり)

田中委員長 御静粛にしてください。

仙谷国務大臣 そして、別に私が確定的に、今、事務系のガバナンスの責任者を副大臣にすべきと、するというふうに申し上げたつもりは全くありません。

赤澤委員 自分の真意に反して報道されているということで言い張っておられるように私には聞こえますけれども、少なくとも、事実関係だけ申し上げておきます。私の俸給表の読み方が間違いでなければ、事務系、とにかく副大臣というものを置けば、事務次官の年俸が二千三百万円ちょっとであるときに、副大臣になれば二千八百万円ぐらいの年俸になります。五百万円給料が高くなる。

 行政改革の視点もあるでしょう。事務次官を廃止して仕事をやっていくといった上で、事務次官がどんな機能を果たしているかの検討を事前にきちっとやっていたのか、そして、その辺の給料の話も含めてきちっと検討された上でいろいろな発言をされているのかというのは、私には大いに疑問なんですよ。

 とにかく、今後このような、大臣に言わせれば報道機関が悪いかのような言い方だけれども、きちっと報道してもらえるようなまともな説明をちゃんとやってくださいよ。うなずいておられますけれども、その点、わかっておられますか。

仙谷国務大臣 そういうことを言われるとなると、ほとんど発言しないことがいいことになりますが。

 私自身も、国民にちゃんと説明ができるように、私の真意が伝わるように、みずからのメッセージを発することができるように、修養に努めたいと思います。

赤澤委員 できれば努めてから閣僚をやっていただきたかったというのが国民の本音だろうと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、今の問題も、本当にいろいろな観点から検討すべきことはあるんです。

 事務次官については、なくすと聞いて私がびっくりしたのは、少なくとも機能の点でいえば、諸外国においても、例えば外国と交渉をする場合に、必ず次官クラスというものは出てきますよ。局長クラスでなくて、そして政治家でもない人間が事務的な事前のさばきをする、当たり前のことです。そういう機能が必ず要るに決まっているんです。それを何と呼ぼうが、置かざるを得ないことは間違いない。その辺のことは当然のこととして念頭に置いて、きちっと行政機構が動くようにちゃんと結論を出していただきたい。そのことだけは強く申し上げておきます。

 そして、次にお尋ねをしたいのは、昨年の十二月だったかと思いますけれども、国家公務員制度改革で、公務員制度改革事務室ですか、事務局長ら十人を更迭されたということであります。私は、これを恣意的な人事と呼ぶかどうかはともかくとして、少なくとも大変主観的な人事であった、主観的な幹部の更迭を行われたというふうに理解をいたします。

 仙谷大臣は、国家公務員制度改革推進本部事務局の前の幹部を交代させた理由として、十四日の内閣委員会で、「自民党政権下の公務員制度改革」をいそしんで、これは公務員制度改革にいそしんでが正しい日本語だと思いますけれども、「その中で省庁間バトルを皆々さん繰り広げたわけですから、そういう方々はもうお引き取りいただかなければこれはどうにもならぬ。」というふうにおっしゃったわけであります。

 その意味を少し解説してください。

仙谷国務大臣 正確じゃないかもわかりませんが、大臣の名前をつけて、つまり、割と上位クラスの人でありますが、あの人は何々派であるとか、そういう話は飛び交っていましたね。あるいは、これは何々省の回し者であるとか、何々省だからこういうことをやっているんだとか、そういうのが飛び交っていましたね。

 内閣府は、そういう意味では寄せ集めといえば寄せ集めであることも間違いないわけですけれども、私は、優秀な方々が、それぞれ、そのときそのときのミッションに基づいて、あるいは従って、その方の持てる力を発揮していただいていると思っていますが、だれとだれがどうつながって、何々派であるなんという話になってくると、それが、僕に言わせれば多分一年以上続いている、一年半ぐらい続いている。この状況では、私がまさにマネジメントできる、そういうふうに思わなかったから、皆さんに、とりわけその幹部の方々には、一新をする、おかわりいただきたい、こういうことでありました。

赤澤委員 まず、私は、今の答弁を聞いて、こっけいだと思いました。私が報道によるとと言ったら、そんなものは当てにするなと言った仙谷大臣が、まさに今おっしゃっている説明なんか聞いていると、人事をやるには、そういう情報が飛び交っていたと。

 一体それはどこで飛び交っていたんですか。答えてください。

仙谷国務大臣 内閣府周り、あるいは霞が関周りで飛び交っていたと思います。

赤澤委員 週刊誌や月刊誌の記事を見たというような答弁もあったように私は記憶をしておりますけれども、一言言わせてもらえば、時の政権の政策を実現するために各省とも徹底的に議論を行って実現をした、そういう忠実な役人、これをつくっていくのがまさに大臣の仕事でないかと私は思っております。

 今までもとの政権のもとで、その政権の指示できちっと仕事をしていた、そういう役人が、政権がかわると更迭をされるということでは、これはだれもまじめに働かなくなるということを私は危惧をいたします。

 その辺のことは危惧されなかったですか。

仙谷国務大臣 そもそも公務員制度改革の問題というのは、政と官の関係からまずは位置づけられなければならない。

 今、赤澤議員がおっしゃったように、ボトムアップ型で持ち上げてくる、つまり、従来からの積み重ねの人事行政あるいは公務員の行政というのも当然踏まえなければなりませんけれども、ここは大きな改革をしようというわけでありますから、やはり総理大臣あるいは私どものトップダウンの方向性というものもなければならない。それは、政権交代が行われたわけですから、当然のことながらそういう観点で行う。

 それで、おっしゃいますけれども、これは実は、後から御質問なさるのかもわかりませんが、身分上は一般職でありますけれども、だけれども、当時の担当大臣がみずからの意向を呈して、ちゃんとやってくれるようにということで、事務局長も事務局次長も民間からおとりになって、そういう大臣の指揮のもとに行っていた、こういう事情があって、私は、これは実質的にポリティカルアポインティーだな、こういうふうに見ておりました。

 その最高幹部といいましょうか、上の、幹部と、それぞれの各省から来られた審議官級あるいは課長級の皆さん方までもが、だれとだれがどういう系列である、その系列がそれぞれリークしながら、私が報道によるとと言ったのは、リークをしたとおぼしきネタが報道に書かれている、そういうことが公務員の世界にあってはならないと私は思います。つまり、大臣が自分の言うことを聞かない、あるいは、大臣がちょっと方向性が違うということで、その大臣なり内閣の足を引っ張りかねないようなことをどんどん新聞記者さんにリークする。新聞記者さんも今度は、新聞記事本体に書くんじゃなくて、雑誌に持ち込みネタとしてどうも書いていらっしゃるような雰囲気がある。

 こういうことでは私のマネジメントが貫徹しないというふうに思ったわけであります。

赤澤委員 何かお話を聞いていると、雰囲気がある、疑わしきは全部まとめて更迭したという感じにも聞こえなくはありません。私は、大変それは残念なことだと思います。仙谷大臣のお人柄を私は知らないわけではありません。政権交代の意味をきちっと伝えて指導していくのが、私は上司たる大臣の役割だと思うんです。

 あえて伺いたいのは、指導してなお反発をしたという事実があったんですか。そして、あなたたちの中にリークをしている人がいる、そういったことについては一切やめて、きちっと私の指示のもとに国民のために仕事をしてほしい、そういうようなことを根気よくやられたということはあるんですか。それはなしで、私は、いきなり雰囲気で処分したように今の説明だと聞こえるように思います。

仙谷国務大臣 本来は丁寧にそこまで行うべきだと思いますが、当時の私には、そこまで丁寧に仕事をするほど時間がなかったということを率直に申し上げなければならないと思います。行政刷新の方で事業仕分けをしなければならない、あるいは規制改革との関係の調整をどうするのか、あるいは公益認定委員会との関係をどうするのか、あるいは市場化テストの官民競争入札監理委員会、これも私の所管ということになりました。さらに、独法改革あるいは政府公益法人改革。

 行政改革といいましょうか、行政、公務員制度改革全般の、それも、全般でかつ個別的問題が全部所管になりましたので、これは前任の甘利大臣大変だっただろうなと私思いましたけれども、事項として大変多くて、なかなか公務員制度改革推進本部事務局ですか、ここの方々と、一人一人時間をかけて面接して当人の御存念をお伺いするというほどの時間はなかったというのが実情でございます。

赤澤委員 私は、今大変な発言をされたと思うんですね。要は、時間がなかった、だから、この中にスパイがいると思えばその周辺皆殺しにしたと言わんばかりの答弁ですよ。私はその辺に、今の政府・政権与党の公務員制度に対する不信感、あるいはほとんど敵意むき出し、そういったものを感じるんですよ。そんなやり方で人はついてきませんよ。仙谷さんがきちっと人を使っていい仕事をしようと思ったら、そのやり方じゃ絶対だめですよ。物すごくこれから尾を引く問題だというふうに私は思います。

 そして、これから幹部について一元的に政治主導で人事をやっていく。大臣が忙しくなったら、幹部にろくに面接もしないで疑っている人間を全部切るようなことがある、そんなことできちっと幹部の人事を政治主導でできるんですか。今の話と全く矛盾していませんか。その点について自分で何か疑問は思われないですか。その点をお答えください。

仙谷国務大臣 御心配いただいてありがたいといえばありがたいのでありますが、今の内閣府、特に私のもとで仕事をされている内閣官房、内閣府の職員と私の関係をごらんいただければ、それは、今、赤澤委員がおっしゃった非難は全く当たらないと私は自信を持って言うことができます。

赤澤委員 仙谷さん、裸の王様という言葉を知っておられますか。私、本当に今の政府の閣僚全員に感じることなんですよ。

 赤松大臣、農水大臣が鳥取県に来た。土地改良の予算、三分の二を切ったけれども、その組合の人たちは拍手で迎えたから私は支持されていると。それは、逆らったら予算ぶった切るぞ、疑ったら全員首飛ばすぞ、そういう構えを見せている人に表づらがよくないなんて、そんな役人はいませんよ。みんな自分の人生があるんです。

 そのことをもって自分は信頼関係を築いている、私はそれは全く信じられませんね。そこについては猛烈に反省をしていただいて、本当にそういう手荒なまねはやめてほしいんですよ。役所の官僚機構もきちっと使っていただくことが、いい政治をするには絶対必要なことだと私は思っています。その点をぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、国家公務員制度改革基本法で内閣人事局が担うこととされた幹部候補の育成課程、不透明なキャリアシステムを廃止して、採用試験に関係なく、また一たん幹部候補になったからといって固定的に優遇され続けることもなく、すぐれた人材を登用していく仕組み、今回この法案には盛り込まれませんでした。盛り込むことに当たってどのような問題があったんでしょうか。労働基本権について議論が終わらなければ制度化できないようなものではないと思いますけれども、その点についてのお考えはいかがですか。

仙谷国務大臣 標準職務遂行能力というのを設定して適格性審査をするわけで、そこに至る育成の問題というのは、これは十二分にあると思います。ここは、先般から申し上げているように、多少、人事院の方でも、やはり今までの幹部候補の育成の問題というのはちょっと霞が関全体としても人事院としても手が抜けていたかな、こういう反省的な文書をおつくりになっておると思います。

 私は、ここは、実は民間の会社も含めて、日本が経営人材というものをどうやって養成するのか、これは、大学、大学院あるいは大学院のマスター、ドクターコースも含めて、そういう仕組みになっていない、あるいはそういう意識が非常に希薄なのが日本だ、こういうふうに思っております。

 これは、あえてもう少し突っ込んで言えば、今までの政党もそうであったと私は思いますけれども、いろいろなところがやはり、組織運営、組織経営というものについて、これを学として、あるいは術として、徒弟的に継承していくことだけではなくして、それを一つの体系として育成していくというのは、まあ公務員の世界と言わずどこと言わず余りなかったな、そこのところはこれから我々の大変大きな課題だなというふうには考えております。

赤澤委員 人材育成、それから、今いる職員をしっかりと、大臣がすぐれた人格をもって指導していくということが非常に重要だというふうに私は感じております。

 仙谷大臣、先ほどの更迭された審議官、これについてもう一つ聞いておきたいことがあるのは、数カ月後に行政改革推進本部事務局の次長に任用をしておられると思います。問題があったから、だからこそ交代させた、今の政権のもとでは仕事ができない人だという判断があったのではないかというふうに理解をいたしますけれども、その点は何か矛盾がありませんか。

仙谷国務大臣 私が国家公務員制度改革推進本部事務局のいわばマネジメント担当者として鳩山総理から就任といいましょうか担当を命ぜられて以降、おっしゃるような事務局の人事を行ったわけでありますが、多分、赤澤議員がおっしゃっておる方の人事、つまり、そこで公務員制度改革推進本部事務局のポジションから離れてもとの省に帰られた方が、今度、行政改革推進本部事務局の次長に就任されたという事実はあるようであります。

 そのときは、私は実はもう既に、行政改革推進本部事務局を所管するといいましょうか役目は解かれて、これは二月の十日の段階で私は行政刷新担当大臣を解かれております。どうも御指摘の審議官の方の人事は、その後に担当された枝野行政刷新担当大臣のもとで行政改革推進本部へ、一たん原省へお帰りになった方が行革本部の方に着任をされたということのようでございまして、ちょっと、赤澤議員の御指摘の事態がどのようなことを指しているのか私にはわかりません。

赤澤委員 名前を伏せてやっているからちょっともどかしいですけれども、今の話ですよ。まさに今おっしゃったことについて、私は、むしろ、戻したらおかしいと言っているんじゃないんです。先ほどからお話ししているように、仙谷さんが、時間がないから、いろいろなうわさがあった、リークもありそうだ、その辺の十人まとめて更迭をした、そういった中に、きちっと後で評価をされて、その分野で仕事をするに適しているとまさに今の政府が選ぶような人が入っていたということですよ。

 だから、そのことについては先ほどもお認めになっているので、ここであえてくどくどと繰り返したいとは思わないけれども、やはり公務員については一人一人、特に幹部は大事に見ていただいて、そしてその中にきちっと見るべきものを見つけて大臣が育てる、そういう考えでぜひ今後は指導に当たっていただきたいと強くお願いをするものであります。

 まさにそういうことが起きていることが、本当に、先ほど仙谷さんお認めになった、そのときの判断というのは必ずしもすべてがすべて、十人全部本当に更迭すべきだったかどうかわからぬということをもうおっしゃっているようなものですね、そのとおりのことだということの証拠になっているんだというふうに私はとらえております。

 その上で、私がもう一つお伺いをしたいのは、政権交代があったということで自由に幹部人事を行うことができるようになったというように、ある意味錯覚をされているように私は思うんですが、政治主導といっても、これには当然、一定の限度があるように私は思います。

 ただ、鳩山総理は、以前、各省庁の局長クラス以上には辞表を提出していただき、民主党が考えている政策を遂行してくれるかどうかを確かめたい、こう述べておられました。辞表とまではいかないまでも、政権交代があったら、一たん局長以上は審議官に落として、改めて政治的に次官や局長、幹部を決めるというようにもとれる発言であります。

 私は、政治主導といってもおのずと限界があるものと考えますけれども、その辺、仙谷さんはどのようにお考えでしょうか。

仙谷国務大臣 一般論として、おのずと限界があるというのはそのとおりでありましょう。

 ただ、先ほど赤澤議員は決めつけられましたけれども、公務員制度改革本部の事務局人事の話は、次官経験者で民間に一遍出た人を次長に持ってきたとか、民間団体のしかるべき人を、形は非常勤だけれども実質常勤で局長に持ってこられたという、これは私は、実質的にはその内閣の、あるいはその大臣の、ある種のポリティカルアポインティー的人事だ、実質的なポリティカルアポインティーに近いと思います。僕は、そういう方が、普通は、政権交代という事態が起こったら、私は以前の政権からこういう格好で特別に就任を求められているんだからこれはやめさせていただきます、むしろそういうふうな申し出がある方が常識的なケースだと思っておりました。

 そしてまた、公務員制度改革推進本部事務局というふうなのは、これはその都度編成されたチームであります。チームというのは、だれだれの能力はすばらしいからこいつは残して、その上のこの人だけを外そうとかかえようとかという話ではなくて、僕は、こういう仕事をするときにはやはりチーム編成として考えた方がより効果的、効率的に仕事ができるというふうに考えていたことが、私が十二月に行わせていただいた人事であります。

 内閣府というのは、事ほどさように、拠出を受けてチーム編成をして、その都度、ある法案をつくって、例えば制度をつくって、それが終わればまた帰っていく、内閣府とか内閣官房はこういう仕組みになっている部分がございますので、今、赤澤議員がおっしゃられているようなことは、幹部人事一般の話に通用する部分もありますけれども、そうじゃない部分もあるということを御理解いただきたいと思います。

赤澤委員 少なくとも幹部人事一般に通ずる部分、ぜひ、きょう私が申し上げたことを本当に肝に銘じて、次からは余り手荒なことをしないでいただきたい、そのことを御理解いただけたものだというふうに私は理解をいたします。

 提出者にお伺いをいたします。

 議員立法では、今の政府が昨年十二月十五日に、まさに今話題にしておりましたような主観的な人事、主観的な幹部の更迭といったようなものを想定しておりますか。

塩崎議員 今回の事務局長、次長は参与ということではありますけれども、一たん外に出た人がまた官に戻ってくるということは幾らでもあり得るわけであって、我々は、幹部職をポリティカルアポインティーと言っているわけでは全くないわけであります。

 いわゆる政治活動もできるポリティカルアポインティーの特別職というのは、それは政権にある人あるいは任命権者が自由にやってもいいことでありますけれども、我々がこの行政組織を担う幹部約六百人について考えているのは、これは民主党の松本剛明さんとか馬淵さんがずっと一貫して言っていたように、一般職の延長ではだめだ、ですから、能力・実績主義だけで判断をする一般職ではなくて、やはり内閣との一体性というものも判断の基準に加えるんだ、こういうことであります。

 やはり、この幹部職については、標準職務遂行能力というものもきちっと設けて、今回政府案では三ランクを審議官の職務能力でいいんだということでやっていますから、あとは何で判断されるかわからない、そういう世界をつくっちゃっているわけで、そうすると、いよいよもって何で判断しているかわからないままに、言ってみれば今回のような人事が政治の都合で行われるということが幾らでも起きてしまう。

 しかし、それはやはり行政の安定性という意味においてはよろしくないし、そういうことは、我々の幹部職においては、ポリティカルアポインティー的に自由自在に政権が根拠もなく人を動かすということは全く想定していないということだと思います。

赤澤委員 私は、今の提出者のお話の方がよっぽど合理的だというふうに理解をするものであります。

 次に、もう一つお伺いをしておきたかったのは、更迭された方の後任者として総務省、財務省から出向した審議官二名について、仙谷大臣は、内閣官房から提示されたという答弁をされたことがあります。提示されたから受けたということなのか。この二人が公務員制度改革事務局にふさわしい人材であるということはどのように確認をされたんですか。

仙谷国務大臣 今度の公務員改革推進本部事務局は、事務局長格は大島副大臣であります。事務局次長格の一人が階政務官であります。ここは政務三役で、むしろ政治主導で物事を決めていく体制である。それから、もう一人の次長の方は民間からお願いした方でございます。

 そのもとで、政治主導のもとで、的確な実務能力を発揮していただくということで審議官を内閣官房の方にも私の方からお願いし、内閣官房から推薦が来て、お会いして、この方々は大変な経験も知識も能力もあるな、こういう確認をしたわけであります。

赤澤委員 今のお話であれば、面接をしたというか、会って話を聞いたら大丈夫だと思った、こういうお話のようであります。

 私がやはり感じるのは、この点、大臣が一体、その人材を財務省、総務省から受け入れるときに、十分その人材の適否を見抜くだけの目を持って本当に判断をされたのか、それだけの時間をかけて判断されたのか、その点は非常に気になることであります。総務省と財務省が出してきた人材をそのまま受け入れたようにも見えるんです。

 今の御説明は、あらかじめその点について、いや、その人たちは政治主導のもとの、ある意味では歯車というか、政治主導のもとでその指示で動く人だから、余りその辺は色とかいうことは気にしなくていいんだというような御説明だったようにも聞こえますけれども、私は、その辺はきちっと、総務省や財務省から送り込まれてくるような人についてもしっかり大臣が目を光らせてやっていく。

 そのことでなければなかなか政治主導は徹底しませんし、私の感じるところでは、その辺が、今回、内閣人事局に総務省、財務省のそれぞれ持っています機構・定員の機能であるとかあるいは給与の機能を一元化という道が開けてこなかった、その辺の力関係と言うと言い方は変でありますけれども、にじみ出ているように感じられるんです。その辺については質問にはいたしませんけれども、コメントさせていただきます。

 次に、内閣一括採用のお話について伺いたいと思います。

 内閣一括採用についてはどのようにお考えでしょうか。どのように進めるのかという質問でも結構でございます。

階大臣政務官 内閣一括採用についてのお尋ねでございますけれども、御案内のとおり今回の私どもの法案には盛り込まれておりませんが、これは今までの経緯を踏まえたものでございます。

 と申しますのも、そもそも国家公務員制度改革基本法ができるときに、政府原案では、国益重視の公務員を育成する観点から、内閣人事庁が一括採用するということを盛り込んでいたわけでございますけれども、このような内閣一括採用は、総合職試験合格者のみを幹部候補として事実上固定化するなど、いわゆるキャリアシステムの継続につながりかねないという議論がございまして、法案審議における三党共同修正において、この内閣一括採用に関する規定を削除したものでございます。

 そういう国会審議の過程を踏まえますと、これらの経緯を尊重し、かつ、今回の法案で措置する幹部職員人事の一元管理等によって、これは縦割り行政の弊害を打破し、国益重視の公務員を育成するためのものでございますから、内閣一括採用を盛り込まなくても、そういった面での配慮は踏まえているということで、今回は盛り込まれておりません。

赤澤委員 菅副総理が昨年十二月に出版をされた「大臣」という本があります。増補版ですね。これでは、省庁の縦割りを是正していくためには、官僚の採用を各省ごとにするのではなく、一括して採用すべきというふうにされております。閣僚の一人ですよ。

 仙谷さんに伺いたい。閣議の中でこの点は当然議論があったと思いますけれども、どのような議論があったんですか。

仙谷国務大臣 閣議でそんな発言が菅大臣からなされたという記憶は全くございません。

赤澤委員 閣議で議論していないとすれば、この辺、次官会議を廃止はしたとはいえ、実質的な議論は何もやっていないということではないですか。公務員制度改革について、私はこれは非常に重要な論点だと思いますよ。そのように思われませんか。

仙谷国務大臣 ちょっと論理的な飛躍があるんじゃないんでしょうか。

 菅さんの持論で一括採用をかねてからおっしゃっていることは私も承知しております。ただ、先般から、これはある種の、公務員制度改革を行うに当たっての第一段階、スタートだと。こういう段階で、菅さんが、この問題を、最も抜本的、基本的な問題であるこの問題を、あえて閣議で出すまでもない、次の段階で出そうとお考えになったのか、しかしこれは現実的になかなか難しいというふうにお考えになったのか、それは私の知る由もないところでございます。

赤澤委員 今の答弁であれば、内閣一括採用については、公務員制度改革の第一歩に当たっては議論はしていないということだろうと理解をしました。菅さんの持論ではあるけれども、閣議でも議論をされていないし、その点については、議論もせず、今回は取り上げなかったという話であります。

 では、提出者に伺いますけれども、一括採用の問題についてはどのようにお考えですか。

山内議員 議員立法案では内閣一括採用の可能性を視野に入れております。このため、内閣人事局には、人事院が従来有していた採用試験の企画立案機能を移管するなど、採用段階からの機能、権限を持たせております。

 一方、政府案では、内閣人事局は幹部に関することだけを担うことになっており、採用の段階からの内閣一元化などは視野の外に置かれているというふうに考えております。

赤澤委員 今の答弁を聞いて、仙谷さんにお尋ねしたいんですね。提出者の方がよほど一括採用とかそういう改革について熱心に議論の上で結論を出してきていませんか。その辺について足りないところがあるとは思われませんか。

仙谷国務大臣 今、視野におさめている、こうおっしゃいましたよね。さあ、そこからが難しいんじゃないですか、この問題は。

 そういうことをおっしゃるのならば、視野におさめるんじゃなくて、日本の三十万人の公務員を対象にして一括採用するのかしないのか、あるいは当初の採用の段階でキャリアであるとか幹部であるということを固定して一括採用の対象にするのか、そういう大問題が出てくるんじゃないんでしょうか。そこが、権限的にいうと、採用にかかわる試験とかそういうもろもろの人事院の今の権限を移すとおっしゃるんだけれども、三十何万人対象なのか、あるいは将来の六百人が対象なのか、ここがこの公務員制度改革の割と複雑なというか、大変、いろいろ考えなければならない肝なんじゃないでしょうか。

 そして、ほとんどの方々については、御存じのように、基本権問題をどうするのかという、自民党政権下ではいわば五十年か六十年か知りませんけれども解決できなかった問題がここに潜在している、根っこにあるということが、この公務員制度改革の困難である問題の相当部分じゃないかと私は見ておりましたし、今もそう見ております。

赤澤委員 まず、今の話について言うと、いろいろ今おっしゃった、まさにそういう考えを閣議の中でも議論をし、今回、一定の結論を出しておく話だったんじゃないんですか。さっきの答弁で、閣議の中でも特にそこは議論はなかったとおっしゃるわけでありますから、今のような議論を今ここでやられても、やる気がないと断ぜざるを得ないと私は思います。

 この点について、今の仙谷大臣の答弁について、もし提出者の方で何かあるのであれば、どうぞ。

塩崎議員 仙谷大臣は大事なことを一つ忘れられていると思うんですね。それは、先ほどの採用の企画立案を移すというのは基本法に書いてあることであって、この基本法は、当時の野党民主党と一緒に修正をして成立した基本法であります。その基本法の中に、施行後一年以内をめどに講ずる点は二つある、一つは、幹部の制度について、もう一つは、総務省、人事院その他の行政機関が担っている機能を内閣人事局に移管をする、こういうふうに明確に書いてあるわけです。二つやるということを皆さんと一緒に、まだおられなかった方もおられるけれども、与野党で合意をしてつくった。

 その中で、採用のことについては内閣人事局で企画立案をやるようにするんだ、そうすると、その中に一括採用というものも当然出てき得るよということを言っているわけであって、これは、あの基本法をつくったときには与野党ともに同じ思いだったはずなのに、いつの間にか変わってしまったんです。おまけに、与野党で決めたものをひっくり返して、今度修正をしようということで、おかしなことをやって、言ってみれば政治の基本に反するようなことを今政府・与党はやっているということだというふうに思います。

 ですから、一括採用については、それはいろいろな意見がありますから、これは大問題ですから、みんなでやはり議論をしていくことだろうと思うんですけれども、大事なことは、これは仙谷大臣も言ったように、現状ではばらばらにいろいろなところにある人事の政策を一括してどこかでやらなきゃいかぬだろうというのは、多分思いは同じはずなのに、今回それを出してきていないというのはやはり政府の怠慢だと私は思っています。

赤澤委員 今のパターンは、本当に今の政府の通弊になりつつあると私は思うんですよ。きょう本会議にかかる独法についても全く同じことです。過去、自分たちが出された改革の内容を、政権交代後、現実に直面して、何か考えが変わったのか、できなくなったのか、何かに気兼ねが生じたのか、選挙があるからか、とにもかくにも政権交代前に言っていたものが全然出てこないんですよ、改革と名のつくものは。全く同じ問題だと思います。

 それで、今の塩崎提出者の話を聞いて、内閣の一括採用について仙谷さんは今後どういうふうに取り組む決意なのか、あるいはやらないのか、その辺を一言いただきたいと思います。

仙谷国務大臣 私と副大臣及び政務官でこの間議論をし、話し合ってきましたのは、余り骨格も定まらないような事柄について大ぶろしきを広げるような、そういう権限の移管等々をやるとかえって混乱をする、できるところから着実に、かたく、まずはスタートはこれだけをやる、次に、それこそさっきから問題になっておりますような公務員の労働基本権問題、これにも的確な政治判断をして決着をつけて、しかる後に抜本的な、全面的な改革に踏み込もう、こういう方針でやろうとしたわけでございます。

 つまり、調整の相手方というか、ある種の利害相反する相手方をできるだけ切り分けて少なくするということが、自民党内閣時代に、最後に大混乱をしてできなかった原因の一つだろう、私はそういう判断をしておりました。

 現に、一年、一年とおっしゃるけれども、基本法後一年とおっしゃるけれども、一年経過して解散してしまったんでしょう。言っておきますけれども、それは我々の責任でも何でもないですよ。

赤澤委員 とにもかくにも与野党合意して出した基本法というものの中に入っていた話であるという説明があるわけですから。

 仙谷さんについて言えば、少なくともほかの閣僚の皆さんと比べると余り大ぶろしきは広げない方だということは私は認めないでもないです。ただ、本当に今の政府は今までいろいろなところで大ぶろしきを広げてきているんですから、そういう意味では、これは大事な改革であって、官僚制度なんというのは百年の大計でなきゃいけないわけですから、長い視野を持ってしっかり今後取り組んでいただきたいというふうに私は思います。

 次に、法案の立案プロセスについてもぜひ聞いておきたいんです。

 まず冒頭、今回の法案について仙谷さんに伺います。政務三役が方針を決めたのか、役人が決めたのか、イエス、ノーでお答えください。

仙谷国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、政務三役で、今回の改正案として出す範囲、そしてその中身を、皆さん方には多分、ポンチ絵と言ったら語弊がございますが、図柄になっていると思いますけれども、あそこに書かれていることは政務三役で、こういうふうにこれでいこうねと、議論の末、そういうふうに確定をしたわけでございます。

 法案整備等々はもちろん事務方の方で、これはこれでいかがでしょうかと次から次に持ってこられて、それを我々も見ながら、ではこれでこういうふうにしましょうというふうに積み上げていった。

 こういうふうに御承知おきいただければありがたいと思います。

赤澤委員 今の答弁は、もちろん政務三役だというような言い方じゃなくて、役人と役割分担で仕事をしたということをおっしゃったと思うので、私には割と聞きやすい答弁だったというふうに思います。方針を決めて役割分担でやられたということだと私は理解しましたけれども、違いますか。まあ、そこはいいです。次の質問行きましょう。

 それで、かつて天下り根絶法案の提出者であった泉政務官、政務三役が決めたということであれば、法案制定プロセスにどう関与したのか。天下り根絶法案に盛り込まれていた早期退職勧奨の禁止というのは主張したんですか。それは、主張したとすれば、だれが反対をして結局この規定に入らなかったんですか。その点、お答えいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 だから、守備範囲を決めたときに、今回の法案については、鳩山内閣の九月二十九日の、天下りあっせんを根絶する、あっせんを伴う退職勧奨は、組織の改廃等に伴い離職をせざるを得ない場合、民間でいえば整理解雇のような場合を除いて禁止をした、まずこれが前提でございます。

 これに引き続きまして、十二月十五日に、総理より、幹部人事の一元化を実現すべく内閣人事局を設置するとともに、官民人材交流センター等を廃止する、再就職等規制違反行為の監視等を行う新たな組織を整備する法案の提出、今回の法案でありますが、御指示をいただいて、この法案を提出した。

 したがって、内閣人事局を初めとする新たな体制のもとで、公務員が天下りをしない、定年まで勤務できる環境を整備するということを次の段階で抜本的に行いますので、今回は早期退職勧奨を禁止するという文言を書かなかったということでございます。

赤澤委員 いろいろ説明していただいたけれども、私は、このような質問は、次のようなことをきちっとやっていただいておけばそもそもしなくて済んだものだと思うんです。

 それは何かというと、立案のプロセスですよ。政務三役のだれがどういう意見を言って、そしてそれが、外部からの意見で、あるいは役所からの事実関係の説明を受けてどう変わっていったのか。その辺のことをきちっと明らかにしながら今議論をされていないから、この辺のことが逆に言えば勘ぐられるわけですよ。何か役人からの御進講で泉政務官がかねてからの主張を変えたんじゃないかとか、そういうことが出てきちゃうのはまさにそこのところですよ。

 なので、私が指摘をしておきたいのは、従来ならば、法案を出す前には、審議会などのオープンな場でかなり議論をしています。公務員改革の分野なら顧問会議といったようなものも開かれていたわけであります。こういう場を全く設けずに、政務三役でブラックボックスの中で政策を決めてしまうから、今みたいな質問が出てくるわけですよ。議論の過程が全くわからない。

 このようなやり方、端的に言えば、政務三役がどれだけ政治主導しているのか国民が外から検証のしようがない、このようなやり方は不適切ではないかと思いますけれども、その点、仙谷さん、いかがですか。

仙谷国務大臣 泉健太政務官は、本法案を策定するについての政務三役では全くございませんので、政務三役の一人としてこの法案策定で議論をする立場にはなかった。内閣府の政務官でありますけれども、公務員制度改革担当ではないということをまず前提にしていただきたい、そういうことを前提にしていただきたいと思います。

 鳩山政権におきましては、国民の審判を受けた政治家が国民の視点で政府の運営に名実ともに責任を持つということにいたしておりまして、この法案の策定に当たっても、内閣府政策会議におきまして、四回、副大臣、政務官らが、政務官がみずから説明をして、議員と意見交換を行っておるところでございます。この会議はマスコミにもオープンにし、議論の模様を内閣府のホームページに掲載するなどして、透明性の確保にも気を使っているというところでございます。

階大臣政務官 若干補足させてください。

 今、仙谷大臣からは、公務員制度改革の担当で泉政務官は違うというお話でございましたけれども、正確に申しますと、もともと泉健太政務官がいらっしゃったわけですけれども、泉政務官が所管が非常に多種多様でございまして、そういったことも踏まえまして、物理的に対応が難しいだろうということで、二十二年の一月十九日の閣議における内閣総理大臣の発言によって、私がこの担当に加わって以降、私が主に公務員制度改革担当の政務官として働かせていただいているということでございます。

赤澤委員 まず、感想を述べれば、大臣が不正確なことを言ったときに補足すると言って間違いを正すというのは、昔は役人がやっていたんだけれども、政治主導のもとで政務官がやっていて、お疲れさまでございます。

 それで、その上で伺いますけれども、泉政務官は担当じゃないんですか。

仙谷国務大臣 形式的に、担当者であることを失念いたしておりましたが、今のように、泉政務官も多分、担当、五大臣以上にお仕えになって、あっち行ったりこっち行ったり大変忙しい毎日をされておりますので、階政務官に専従的にこの公務員制度改革の法案策定についての仕事を総理大臣から特命でお願いした、こういうことでございます。

赤澤委員 一番熱意を持って取り組んでいた政務官が外されたのが役人の入れ知恵だったかとかいうような言い方はしませんけれども、何かちょっと私は不透明でわからぬものを感じます。ただ、その話はちょっと不毛過ぎるので、この辺にさせていただきたいと思います。

 提出者に一言伺いたいのは、政務三役がブラックボックスの中で法律を立案しているような今のやり方についてどのような感想をお持ちかということを伺っておきたいと思います。

柴山議員 赤澤議員にお答えいたします。

 今委員が問題意識を示されたように、そもそも立案のプロセスも、また担当政務三役がだれかも知らずに、国民から見ると、どういう問題点があって、だれが、立案過程でどのように結論を出したのかということが全く見えない、そういう状況だと感じております。

 少なくとも、前政権、自公政権のときには、このような重要な法案を立案するときには、今御指摘のあったようなブラックボックスに陥ることがなるべくないように、国民に見える形で多くの方々の意見を聞いて、取り入れながら行っていくことが当然だったと思います。

 例えば、今回の国家公務員制度改革基本法の立案に至るまでは、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会という組織で約半年にわたって計十四回議論をし、そして、その議論の様子を今でも動画でホームページ上で公開をされているということでございます。

 こういった難しい問題は、従来以上に慎重に、時間をかけて、論点を一つ一つ明確にしていく必要があると確信をしております。

赤澤委員 政策決定過程をオープンにするということについて、私は本当に、自公連立政権の時代よりも悪化しているということを強く感じるものであります。

 それで、説明責任のところについて、今の話を聞いていて私は感じたので、ちょっとこれはまとめて述べておきます。機会があればまた別の機会にお伺いをしますし、担当が枝野さんだったりするのであれなんですけれども。

 要は、今の政府、国民に対する説明責任を軽んじ過ぎですよ。それは何かといえば、前に仙谷さんがやっていた事業仕分けもそうですけれども、無駄を指摘する方には、もう頻繁に、もう得意げに政治家が出てきますよ。その必要性を説明する方にほとんど政務三役が出てこない、出てこないですよ。国民への説明責任というのは、むしろ予算の必要性を説明する方がでかいんですよ。血税を何に使うのか、これは必要ですという説明は物すごい大事なんですよ。

 私は、事業仕分け、これから枝野さんがやると言っているけれども、政務三役がきちっとその必要性を説明しに、無駄を指摘されたら反論する側に出てこなきゃ、こんなものは政治主導でも何でもない。追及する方だけええ格好をして政治家が出てきて、そして、いざ予算の必要性の説明を求められたらこれは役人任せ、こんなやり方が政治主導なわけがないし、国民への説明責任を全く果たしていませんよ。そのことをきちっとやるのでなければ、事業仕分けなんてものも政治主導の看板からぜひ外してくださいよということを私は強く感じるんです。

 きょうの議論を聞いていても、明らかに自公連立政権の方が政策決定過程をオープンにすることに熱心じゃないですか。その辺については私は猛省を促しておきたいと思います。やっていることが、とにもかくにも、役人をぶざまに見せて自分たちがいい格好をして浮揚しようと、今や事業仕分け頼みじゃないですか。そんなやり方で国民の信頼は得られないんですよ。気づき始めていますよ、二匹目のドジョウはいない。そんなことをやったって、国民は二度はだまされませんね。その辺のことも厳しく申し上げておきたいというふうに思います。

仙谷国務大臣 事業仕分けの件について申し上げますと、当然、予算を要求し、そしてその必要性を主張できる政務官も事業仕分けの場に、昨年の事業仕分けでも存在をしておりましたし、その政務三役の中で、我々から見て、これはここまで族議員的になられたら困るなと思うようなことを主張された三役も相当数はいらっしゃったんじゃないかと思います。あながち、赤澤議員が言われるような、一方的に役人をたたいて喜んでいるような話ではなかったということを申し上げておかなければなりません。

 それから、自民党あるいは自公政権の方がずっと透明性が高かったというお話でありますが、何か私的懇談会とか審議会でいろいろやったからよかったというお話でありますが、それをしてオープンとおっしゃるのならば、我々野党から当時見ておりまして、皆さん方の法案が総務会を通るまでは、野党にも国民にとっても、どのような法案ができるのかなんということをオープンにされたことはほとんどないじゃないですか。

 それで、いいですか、いわゆる審議会政治、そして事務局をだれが握り、どのような人を審議会の委員にし、その審議会とか懇談会でどのような文書がつくられて、それを前提にして官僚が法律をつくる。ほとんど、いわば、自民党の政治家の方々はそこで政治判断をどうしたのかなんてことが野党とか国民には全くわからない状況で審議会政治が行われたというのが実態じゃないんでしょうか。

赤澤委員 今の二点について申し上げて終わりますけれども、公務員制度改革、今あなたたちが出した法案の方が後退しているんですよ。役人主導だと言ったものより後退したものを出しておいて言うせりふじゃないですよ、今のせりふは。

 そして、事業仕分けについても、あえて申し上げさせてもらえば、だったら、子ども手当とか高校授業料無償化とか、国民のばらまき批判が強いものについて、担当大臣が出てきて説明してくださいよ。何で大臣が逃げるんですか。一番大事な国民への説明責任は大臣が果たすのが当たり前でしょう。そのことを何で果たさないんですか。そのことをやらないでおいて、政治主導の看板なんか絶対守れないですよ。

 そのことを申し上げて、あと加えて、仙谷さん、さっき私が指名していないのに答えたのは一つ貸しにしておきますから、それを申し上げて、私は質問を終わります。

 以上であります。

田中委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 それでは、まず仙谷大臣に、国家公務員の人件費等々についてお伺いをしてまいります。

 マニフェストの中で、国家公務員の人件費を二〇%削減してこれを財源に充てる、こう言われてきたところでありますけれども、審議中の本法案を初めといたしまして、どこにもその方策が示されていないわけであります。

 仙谷大臣は、この間の本会議の答弁の中で、私は国家公務員の給与を一千万以内にしたいという答弁を本会議場でされました。この二〇%の削減方策あるいは今後の給与体系のあるべき姿について、大臣のお考えをまずお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 もう重ね重ね申し上げてきておるわけですが、民主党のマニフェストの国家公務員の総人件費を二割削減という目標につきましては、さまざまな手法により四年間かけて達成するように努力をしたい、こういうことでございます。具体的な削減の方法及びスケジュールについては、今後検討をしていく。

 そしてまた、私のイメージでは、この話は、公務員制度改革を新たに制度設計するというところに書くような話ではないのではないかというふうに思っております。

 これは、別途、設計された制度のもとで、これを執行する担当の部署が、この二割削減という目標に向かってどういう手法で、つまり、ここまで言っておりますように、地方分権に伴う移管があって、そこで、こういうふうにこれを四年間の間にやっていくことによってどのぐらい減らせると。あるいは、今の退職金や手当やあるいは定員を見直すことによって、どういうふうに年次的に、あるいは一挙にかもわかりませんが、できると。あるいは、そのことも、これは幹部職員を除いた多くの職員の方々にとっては、一方的にどこかで行うということも容易ならざる話であります。現在は、人事院がそこまで大胆なことを行えば、勧告をやれば、できないことはないのかもわかりませんけれども。

 ただ、歴史的にはそうはなっていないというような実態からして、やはり、これは相手のあることでありますから、相手の御納得あるいは御理解を得て進まなければならない、そういう課題だ。その部局が担当して具体的に進めていくということになると思います。

伊東委員 まず、総人件費二〇%削減、まさに、国家公務員を減らすか給与を下げるかしかないわけであります。四年間でこれを実施するとなれば、一年目、もう既に半年以上過ぎて、そろそろその制度設計に入っていなければならないし、あるいはまた、その方策というものが、人件費を減らすということ、給与を削減するのか、あるいはまた人減らしをするのか。これが、ただ単に、地方に国家公務員の一部を移管し、そして給与のつけかえをするだけでは、私は国家公務員の人件費削減ということにはならないというふうに思うわけであります。

 そこで、一つお伺いしますが、国は、地方公務員の給与について、人事院勧告への準拠を求めているわけであります。しかし、自治体は、これは財政状況にもよりますけれども、自主的な給与カットはもう当たり前の時代に入っておりまして、これについては、国は、一方では黙認の姿勢をとっています。人事院勧告について、いわゆる国家公務員に準拠せよと言っておきながら、一方では、自治体がその町の財政状況に合わせて人件費カットをしている、これを黙認しているわけであります。

 ということは、我が国の財政が逼迫している、国としても国家公務員の給与カットということは当然検討されるべき状況にあるというふうに思います。これにつきまして、まず仙谷大臣、そして人事院の見解もお伺いをしたい、このように思います。

仙谷国務大臣 正確に申し上げると、先ほどからおっしゃられていることの、私が現在は所管ではありませんから、余り大胆なことを言うとまた物議を醸すので、なるべく言わないようにしたいと思いますけれども、基本的に、給与を初めとする勤務条件については、私は、私が育ってきた来し方からして、これは集団自治で決めるのが本筋だというふうに思っています。

 先生がおっしゃる、地方自治体におけるいわゆるありていに言えば給与カットのような話は、これは、私の見る限り、ほとんど労使の協議の末、不満は残ろうとも、実質上の、給与、労働条件の、支払い者はタックスペイヤー、国である、あるいは住民の皆さん方である。住民の皆さん方との関係において、職員の方々も、開かれた協議の中では、特にこれは、その自治体の財政がこうであって、こういうサービスにこれだけかかるんだから、では給与はこういうふうにしよう、あるいは、人員をこのように少なくしてもこれはやむを得ないという理解をされて、協議が成立をして、双方とも不満を残しながらでも、理解をして、そこで妥結をして、そういう人件費の削減というふうなものが行われていると私は承知をしております。

 給与とか賃金というのは、上がった方がいいに決まっていますけれども、これは何せ国民の税金あるいは住民の税金で賄うものでありますから、協議をしながらも、絶えず国民や住民の目線というものを痛いほど感じながら、理事者にしても、あるいは職員組合の方々にしても、目線を感じながら交渉しているというところで、そのことが、絶対的な、いいことなのか悪いことなのかというのは、その評価はさておいて、そういう結果に結びついているというふうに私は理解しております。

 国家公務員のレベルでも、やはり人事院勧告ということでは、今の時代、少々無理がある。右肩上がりの時代では、人事院勧告方式、つまり人事院にある種の丸投げをする方式、これでやってこれたと思いますけれども、これからの時代では、やはり国民の目線をひしひしと感じながら、タックスペイヤーの目線をひしひしと感じながら給与等の勤務条件が決められていくということを、これは理事者といいましょうか、当局を担う人々にとっても、職員の勤務条件に責任を持つ方にとっても、そのことが一番大事だと私は思っております。

尾西政府参考人 国家公務員に対しまして労働基本権が制約されている中で、その給与につきましては、労働基本権制約の代償機関であります人事院が、国家公務員法に定めております情勢適応の原則に基づきまして、国家公務員の給与水準と民間従業員の給与水準とを均衡させるという、これはプラス、マイナス両方ありますけれども、そういった必要な改定を随時国会及び内閣に対して勧告することとなっております。

 こういった現行制度のもとでは、人事院といたしましては、こういった民間準拠の考え方に従って国家公務員の給与水準を適切なものにするということが基本であると考えております。

伊東委員 仙谷大臣が、地方自治体の努力、それを国家公務員もこれまた見習うべきだというようなお話がございました。私は、全くそのとおりだと思っております。

 私は、自分で市長をしておりましたものですから、財政が厳しくなると、何としてもこれを克服するために、やはり人件費を含めたあらゆる経費の削減を目指すわけであります。しかし、国は赤字になっても国債を発行すれば何とかその年はもつものですから、自治体はこれが許されないから必死になって人件費を含めて財政の健全化を図る努力をするわけです。それがうまくいかないと、あの夕張市のような、いわゆる財政の再建団体に陥ってしまう。何としてもここを避けたいと思って、みんなが極端に言えば二〇%の人件費を削減しても頑張っているわけであります。

 国家公務員だけが人事院勧告のもとに守られていくという話ではもうないというふうに思うわけでありますので、どうか、全国の自治体の横並びというか、自治体は国家公務員の給与体系に準拠してということになっているわけでありますから、この範たる国家公務員の給与について、大臣のおっしゃられたように、ぜひ国が率先して、二割削減というのをうたっているわけでありますから、含めて、ぜひこれの検討をお願いしたい。

 これについての見解をお聞きします。

仙谷国務大臣 自治体の方々、自治体にはそれぞれの自治体のやり方があるわけでございますから、一般的に、伊東議員がおっしゃるようなことになっているのかどうなのか、そこまで私は調べがついておりませんが、相当厳しい給与の引き下げ等々が行われるところで、それでなおかつ、その後の役場の士気も落ちていないところは、やはりこれは、当局の側も、理事者の側も、誠意を持って、情報を公開した上で、職員組合と協議をしているという場合がほとんどというか、多いんじゃないんでしょうか。

 したがって、その自治体のひそみに倣うとすれば、もしその種のことを、人員の削減をしたり給与を低下させるということをやらなければならない事態に当局者がなるとすれば、これはやはり、協議、交渉というものなくしてたたき切るというふうな話にはならないんではないかというのが私が考えているところでございます。

 もう一つは、今、自治体の問題と国の問題、確かに、ある意味で、国家の財政というのは、マーケットに打たれてハイパーインフレになるまで野方図に、青天井で国債を発行できるという法制度でありますけれども、そこは今のマーケットが必ず打ってくるだろうというふうに私は思っておりまして、そこは大変神経質に、むしろ、より神経質に見た方がいいんではないか。

 ただ、私が見ておりますのは、この間、地方の方々も苦労しているけれども、しかし、今の日本の国家の財政が、GDP比約一八六%でございましたか、二〇〇%に近いという、世界各国の中で最高の、それも断トツの、群を抜いた赤字になっているというのは、これは地方の方々の分あるいは自治体の財政の分も相当引き受けた、いろいろなところのものを国家の財政で引き受けてきた、その結果が今のこの対GDP比の大変な大きな分になっている。

 したがいまして、現に、ことしの財政でも、地方自治体の財政全体、地方財政計画のレベルで見ますと、地方は、プライマリーバランスを、赤字ではなく、そこはレベルのところまで回復したというふうに私は見ております。

 だから、政府はプライマリーバランスですらむちゃくちゃな赤字になっておりますけれども、自治体は何とかそこはそうはならないように回復できているというのは、早い話が、政府が、ここ十数年か何か知りませんけれども、全部とは言いませんけれども、相当部分というか大部分をかぶってきたのが今の財政の姿だなというふうにも見ております。

伊東委員 全く私もそう思います。だからこそ、政府は人件費のところにまでやはり今後手をつけていかなければならないのではないかというお話をしているわけであります。

 さて、そこで、本法案の特徴的な項目の一つに、事務次官から部長まで降格ができるというのがあるわけでありますが、この年間給与額を比較してみますと、事務次官と局長では五百十六万の年収差があるわけであります。部長とはもっと大きな差が事務次官との間である。

 これが、降格できる、異動できるということになりますと、給与を下げることができるのであれば、これはそのとおりなんでありますけれども、残念ながら、今回、給与法の改正がなされていないわけでありまして、例えば、事務次官から、恐らく年収比七、八百万下であろう部長に降格になる、しかし、降格になった後も事務次官の給料をそのまま取るということになるのであれば、昇格した人は給与が上がる、降格した人は給与が下がらない。

 こんなことをやっていたら、幹部の総人件費はますますふえる話になるんじゃないでしょうか。この点についてお伺いします。

大島副大臣 御質問いただきまして、まことにありがとうございます。

 今回の制度は、部長、局長、事務次官とありまして、転任という制度でございます。

 例えば、事務次官から局長に転任しますと、給与については、事務次官の給与から局長の給与に下がるものですから、先生御指摘のあったとおり事務次官のままではなくて、給与も転任に合わせて下がる、そういう設計になっております。

伊東委員 ですから、給与を下げるためには給与法の改正が必要ではないですかというお話をしているわけであります。

 本当は、今回の国家公務員法の一部改正案と給与法の改正がセットでなされれば今お答えになったとおりのことであろうと思いますけれども、一方では給与法をさわらないで、それが実現可能なんですか。

大島副大臣 伊東先生、ありがとうございます。

 幹部職については、先生の御指摘のとおりでは残念ながらなくて、給与法を改正しなくても、転任によって給与が下がるということになっております。

 ありがとうございます。

伊東委員 私は、官庁関係の幹部の皆さんが、給与法を変えないでこれはできないのではないかという御心配を随分されていたものでありますから、こういうお話をさせていただくわけでありまして、これは間違いないですね。

大島副大臣 伊東先生、ありがとうございます。

 間違いございません。

伊東委員 それでは、間違いがないということでありますので。

 ただ、給料が年収で七、八百万も一気に下がるような話というのは、随分乱暴な話だなと。要するに、おまえはもうやめてしまえとまさに言わんばかりの仕打ちに映るのではないか、これは著しく士気の低下を招くものという思いがいたしております。

 さて、もう一つお伺いします。

 昨年の十一月、本会議で人事院総裁の同意人事案が承認されました。また、内閣府と厚生労働省の事務次官経験者であった江利川氏が総裁に就任したわけであります。

 この次の月、十二月四日でありました。国家公安委員や、あるいは公正取引委員会委員、運輸審議会委員など十二のいわゆる機関の常勤、非常勤の委員長、委員が選任をされ、これは国会同意人事でございますので、これが通ったところであります。

 私は、その資料を見て驚いたのは、その常勤委員の年間給与の高さでありました。人事院総裁と会計検査院の院長は年額二千八百九十万、大臣並みであります。公正取引委員会委員長と国家公務員倫理審査会の会長が二千七百六十万、そして、会計検査院の検査官、人事院の人事官、公害等調整委員会委員長、運輸安全委員会委員長が二千三百六十一万、そして、国家公安委員、公正取引委員会委員、国家公務員倫理審査会委員が二千三百十五万、これは国会議員並みですね。そのほか十一機関の委員長や委員が二千三十八万、二千万以上ですよ。さらに、十五機関の委員が千八百万の年間給与であったわけであります。

 仙谷大臣は、国家公務員の給与のお話のときに、この数字を見て、この給与を見て、どのような認識をお持ちでしょうか。

仙谷国務大臣 私のところにその質問が向けられるというふうに聞いておりませんでしたので、ちょっと雑駁な答弁になろうかと思いますが。

 私は、例えば、こういう言い方をすると非常に傲岸不遜に聞こえるかもわかりませんが、野党時代から、私の歳費を含む報酬が高いと思ったことは一度もありません。二十年前にこの仕事に来て、私の収入は半分になっております。私がやっている仕事は、今の私に課されている、歳費よりもはるかに私は仕事をしているというふうに思っています。皆さん方も、そうお思いの方も随分いらっしゃると思いますし、先般も、民間の銀行等々の取締役の給与というのも見てみました。

 というのは、これは、今先生がおっしゃられるような政府の関係の、ある種の権威を持って仕事に取り組めば、大変忙しい。それは本人の仕事の仕方ですけれども、そこに打ち込むというか取り組めば、大変忙しい仕事というのは多々あります。先生が先ほどからおっしゃられた会計検査院の検査官もそうでありましょう、公正取引委員会の委員もそうでありましょう、あるいは人事院の人事官もそうでありましょう。私は、そういう方々の給料というか報酬が決して高いとは思わないのであります。

 ただ、その方の仕事ぶりによっては、いわゆる独立行政法人その他、あるいは政府機関のいろいろな会社に、横並びで大量の、理事とかなんとかという名前でいらっしゃる方々の全部がその報酬にふさわしい業務遂行ができているかどうかというのは、私も保証の限りではありませんけれども、しかし、民間に比べて、今、この種の方々、この種の重要なポストについていただくのに、それは自民党さんが与党だったときにも、私も述懐を何回も聞いたことがあります。

 つまり、そうはいうけれども、この給料では、民間の立派な、仕事のできる特に脂の乗り切った世代、こういう方々には来てもらえるような給料じゃないんですよという説明を受けたことがあって、そんなものかな、こう思っておりましたが、現に、だから、民間の方々は非常勤で無理をしてお願いをして、本務をやりながらこっちの非常勤の何とか委員とかを夜も寝ずにやってくれみたいな話に一方ではなる。

 常勤はといえば、ああそうですね、やはり、お役人を定年退職的に、あるいはそれは勇退されたかもわかりません、あるいは、ひどいのは退職勧奨で常勤のそういう委員にする。だから、同意人事の中でも、その種の委員の方々が、この審議会の委員の常勤は局長クラスと同等とか、あるいはその上のクラスと同等とか、そういうランクづけまで行われてやられておったのが、どうもそのことと関係があるんじゃないか。

 常勤に我々が望むようなしっかりした方々を据えつけようとすると、ひょっとすれば、今の民間の大責任のあるポジションでマネジメントをし、ガバナンスを行い、あるいは重要な判断を行うという仕事は、先生がおっしゃるように、これは安いのかもわからないなというのが私の率直な今の気分であります。

伊東委員 あのとき、私はそれぞれの委員の皆さんの経歴などを見せていただきました。官僚のOBもいらっしゃいましたし、また大学の先生というのも随分たくさんいらっしゃったわけであります。年齢は大体六十三、四、五ぐらいでありまして、この方たちが本当に、その大学時代に得ていた報酬や、あるいは民間の皆さんの報酬と比べて、政府関係委員になって横並び的、先ほど言いましたように三、四段階あるわけでありますけれども、そして大半が二千万、安くても千八百万、これは、民間の感覚というか、あるいは世間の常識、感覚からいくと、これが果たして今大臣がおっしゃられたように高いか安いかという話になると、私は高いだろうと。

 私自身の印象がそうでありましたので、こういうところも、手つかずではなくて、その内容や、仕事の密度、あるいは重要性や、そういったものを勘案してやはり僕は見直すべきだというふうに、本心、率直な気持ちでそう思ったものですから、これはお伺いするわけであります。

 二割削減、一般公務員にこれをこの先四年かけて強いていく、あるいは各省庁の幹部には降格含めて、こういったことはあるわけでありますから、もう少し、私は、人件費というものについて、国として、つぶさに、細かく、そしてその内容に応じてという形をぜひおとりいただく改定を目指していただきたいというふうに思います。

仙谷国務大臣 またあえて嫌みなことを申し上げることになるのかもわかりませんが、日本人は、霞が関で働いてくださる方々も、先生が御指摘をされている委員、あるいは権威を持って裁断をしていただかなければならないような政府機関の委員についていただいている方も、もっと言えば、最高裁の判事から始まって、自分の仕事が全面的にお金で評価されなくても、自分の人生の喜びというか、生きることは、それでいいんだと。

 つまり、何億円も何十億円もアメリカのようにもらわなくてもそれでいいんだという麗しい日本人の美質というか質があると私は思います。きのうもどこかの夕刊紙のコラムで渋沢栄一の「論語と算盤」というのが出ておりましたし、会社経営とか資本主義の質そのものが、そういう部分が日本のいいところとしてあると思います。

 ただ、私が余りこれを強調すると、日本の医療みたいなのになってしまうと思います。つまり、アメリカが日本の医療制度を視察に来て書いた報告書は、これはアメリカの医療保険改革とか医療制度を改革するときの参考に全くならない、なぜならば、これは病院勤務の医師と看護師、その他スタッフの犠牲と奉仕の上に成り立つ制度である、したがってこれは参考にすることはできないというレポートを返されたようであります。

 責任あるポジションとか仕事とか、その技術に対してどのぐらいの報酬を与えるのかというのは、実は物すごく難しい話です。御存じのように、アメリカでは、例えばゴールドマン・サックスとかシティバンクの取締役をなさっている方は、その時代には、多分今でも年俸十億とか三十億とかそういうお金をもらっているんでしょう。ところが、財務長官に抜てきされた瞬間に、これが二千万になるわけであります。しかし、何年間かは、そのことによって自分の将来のためにもなるということで、そのある種の期間だけは二千万なら二千万で行う、こういうことであります。

 日本の場合は、それを永続的にやるということですから、まさに犠牲と奉仕になってしまう部分があって、私は、それはある意味で、ちょっとそれが極端に振れると、制度としても、社会全体としても、持続可能性がなくなるんではないかという心配もしておるところであります。

伊東委員 もちろん、国家公務員そして特に霞が関の幹部の皆さんは、給与でやっている話ではない、二十四時間寝ないで国のためだという意識をお持ちの話は、私は何人からも聞いているわけであります。

 さて、せっかく平野官房長官がお出ましでございますので、一つ二つお聞きしたいというふうに思うものでございます。

 内閣における大臣の責任、また、内閣としての危機管理ということについてお伺いするものであります。

 SP、警護の本来の目的についてお伺いします。

 鳩山内閣として、大臣の皆さん御就任のとき、警護のあり方についてどのような説明を受け、警護する側、される側の双方の了解と協力によって要人警護というのは成り立つわけであります。

 さて、過日も災害特別委員会でちょっとお話が出たところでありますが、中井国家公安委員長、災害担当、危機管理担当大臣でありますけれども、彼につきましては、どのような説明と了解のもとに、過日の週刊誌あるいはスポーツ紙の報道にあるような、SPのついていない、秘書官もついていない形の中でおひとりで、あるいは当該の女性とお歩きになって自由行動をとられていたのか、この事態についての内閣の見解をお伺いします。

平野国務大臣 議員にお答えをいたします。

 個別のことは別にいたしまして、警察は、内閣総理大臣を含め、身辺に危害等々が及ぶ、あるいは国の公安にかかわる、こういうところに対しての対象に、警護対象者としてその身辺の安全を確保しているというのが今の警護の考え方でございます。

 今先生御指摘のございました、その警護の中におきましても、実際、警護していく、こういう過程の中におきましても、警護対象者の意向、これも十分に考慮しながら、諸般の情勢等々をかんがみて必要な警護措置を講じている、これが今の現状でございます。

伊東委員 鳩山内閣として、大臣のいわゆる警護のあり方、あるいは警護を受ける心得というものをどのようにそれぞれ周知されているのか、これについてお伺いします。

平野国務大臣 当然、閣僚としての職務をしっかりと果たせるような環境に常に置いておくということが大事であろう、これが内閣としての、基本的、警護を受ける前提となっているのはそういうことだと私は認識をいたしております。

伊東委員 本人の一定程度の自由意思もあるやにお答えでありますけれども、警護対象者の大臣がみずから警護を断り、あるいは単独行動に出ているということは、一般的にもよくあることなのかどうか。また、警護対象者の自由意思あるいは選択制の部分はどこまであるのか。(発言する者あり)これは国家公務員の、まさに内閣中枢の国家公務員あるいは国家公安委員長の認識の問題でありますので、十二分に当委員会の質疑に関係がある、このように私は思います。

西村政府参考人 申しわけございません。御質問の趣旨がちょっとわかりかねて、答弁をしようがございませんで、恐れ入ります。

伊東委員 官房長官が言うように、警護対象者の自由意思と選択制の部分はどこまで許されるのか、それは内閣としてどのような理由で認めているのかをお聞きしたいと思います。

西村政府参考人 警護の実施に当たりましては、警護対象者の意向を考慮しながら、諸般の情勢やその時々の状況等を総合的に判断いたしまして、その時々、必要な警護措置を講じているところであります。

伊東委員 これは、その警護対象者がSPを帰した後、自由に行動できるという話になるわけであります。

 三月二十九日の参議院の災害対策特別委員会におきまして、我が党の佐藤正久委員の質問、これは、SPを帰して、それからプライベートで外に食事に行ったり映画に行ったことはあるか、このように中井大臣に問いました。SPを帰した後、近くのコンビニに行ったことが何回かある、それ以外は余り記憶にない、このように答弁しているわけでありますけれども、SPがついていないで不測の事態が起きたときに、あるいは襲撃や交通事故、緊急災害事態、こういったときに政府としてどのような対応をとることになるのか、担当のSP及び警察庁の責任はこのときどこにあるのか、これをお伺いします。(発言する者あり)

平野国務大臣 具体的なところは当局にお聞きをいただきたいと思いますが、私も赤坂宿舎に住まいをさせていただいておりまして、ちょうど宿舎から百メートルぐらいのところにコンビニがございますが、そこにはSPを帯同せずに買い物に行っておりますから、宿舎から出たところからついていくという、これはなかなか難しゅうございますが、百メートルぐらいだったらいいのかなと私は思って、私自身の実生活をちょっと申し上げましたが、そういう対応であります。

 しかし、いずれにいたしましても、各閣僚が、常に警護員初め警察と十分に、横にいなくとも連携をし、みずからの身辺の安全と、職務、危機管理、このところについて間違いのないようにするということが基本でございますので、そういうふうにしっかりと対応してまいりたい、このようにまた指導をしていく決意でございます。

伊東委員 これは法案と関係ないようなお話が外野から聞こえてきますけれども、そうじゃないんです。国家公務員としてのあり方、この根本にかかわる問題だと私は思うわけであります。

 さて、国家公安委員長という仕事は、極めて重い仕事でもありますし、いわゆる警察行政のトップという話にもなるわけでありますし、加えて、拉致担当あるいは災害担当ということになるわけでありまして、他の大臣と危険度が違うわけであります。特に、拉致担当というお話になるわけでありますので、対外的にも大きな職責を担っているわけであります。

 その大臣が、しばしばSPを帰して赤坂周辺あるいはその他の地域を知り合いの女性と飲食をともにしながらふらふらしているというのは非常にまずいわけでございまして、私は、万が一のときそれでは一体どうするんだというお話を今お伺いしているわけであります。

 このとき、これは中井大臣御本人の責任に帰するだけの話で済むのか、あるいは警察庁やSPや内閣としての責任はここにないのか、これをお伺いしているわけでありますので、この点についてお答えいただきたいと思います。

西村政府参考人 個別の場面でSPがついているかどうかの点につきましては、これは、今後の警察活動に大きな支障が生じますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

 今、仮に要人がテロ被害に遭った場合の警察なりあるいはSPの責任はどうかという点のお尋ねでございますが、これは、個別具体的な事案の内容に即して判断されるべきであると考えておりまして、ここで一般的にお答えすることは困難でありますので、御理解をいただきたいと思います。

伊東委員 私は、SPの皆さん方からお話を聞く機会があるんですけれども、万が一、暴漢に襲われる、あるいはねらわれる、狙撃される、暴漢が寄ってきたら、彼らは、防弾の入ったかばんを持ち、彼らもけん銃を所持して、命がけで、自分が盾になって要人を警護する、そういうふうに教えられているわけであります。その彼らが命がけでそこまで頑張っているとき、帰して自分はひとりで遊んで歩いているなんという話にはならないと思うわけでありまして、この点、私は、内閣としてのやはり矜持が問われるというふうに思うわけであります。

 特に、何回も言いますけれども、警察官僚のトップにある国家公安委員長、拉致担当、災害担当でありますので、この点、平野官房長官の御見解をぜひお伺いしたいと思います。

平野国務大臣 今、中井担当大臣のお話がございました。

 国家公安委員会委員長並びに拉致担当、災害担当、極めて重い、危機管理を含めた担当大臣でございます。したがって、ひとりで報道で言われるようなことというのは決して好ましいことではない、私はこのように思いまして、過日、そういう報道があったときに、御本人に官邸に来ていただきまして、事実関係と、二度とこういうことのないようにということは、私の方から中井大臣に注意、要請をしたところでございます。

伊東委員 この中で、今後、我々にもかかわる話でありますけれども、当該女性にカードキーを持たせていたという話であります。

 さて、カードキーを持っていても、あの部屋の中にまでは入れません。会館の中にはもちろん入れますけれども、不在時にはルームキーを持っていなければ入れない。(発言する者あり)これは皆さんに関係あるんですよ。部外者の人がマスターキーを持っていて、カードキーを持っていて、あの宿舎の中に自由に出入りできるなどということになれば、これは私たちの安全の問題になってくるわけであります。

 ましてや、守秘義務意識のない人が国家公安委員長の部屋に出入りして、ここに恐らく機密文書あるいは重要文書というものがファクスで来たりその他で来るわけでありましょう。ですから、私たちは、しっかり国家公安委員長の危機意識というものを持っていただかなければならないというふうに思います。

 しかし、記者会見で、何も問題ないという話を彼はしているわけであります。何も問題ない話じゃないんです。これは、彼が一人、カードキーをどこかに渡したら、残りの二百九十九人の安全が脅かされる可能性もあるからお話をしているわけでございます。

 平野官房長官、御注意されたようでありますけれども、中井大臣の何ら問題ないというこの発言について、どのようにお考えであるか、お聞きします。

平野国務大臣 大臣がどういうところで問題ないという、その前後の状況は私は承知いたしておりませんが、大臣の職務を執行していく上において問題ない、こういうふうに申されたのではないかと推測をいたします。

伊東委員 問題だらけでありますけれども、これは衆議院事務局にお伺いしますが、宿舎の管理、この中で、厳格なる入居あるいは使用規則の適用を今後求めたい、このように思いますが、これについての御答弁をお願いします。

清野参事 お答えいたします。

 赤坂議員宿舎は、御存じのようにPFI事業ですので、その維持管理につきましては民間事業者が行っておるわけでございます。

 基本的には、議運の理事会の決定事項とか宿舎の世話人会の申し合わせとかに基づいて行われておりますので、それは、御懸念とか御提案がありましたら、そのような場で協議されていくものではないかと思っております。

伊東委員 確かに、PFI事業で建てて運営するのを国から請け負っていても、しかし、それを管理する責任は衆議院の事務局にあるというふうに思うわけでありますし、これはもちろん当たり前の話でありましょう。事業者に請け負わせているからそちらに責任があるなんていう話にはならぬわけでありまして、この点につきましてももう少し厳格なる対応を求めたい、私はこのように思う次第であります。

 さて、もう一つ行きます。

 三月十四日、福島沖を震源とする震度五弱の地震が発生しました。このとき、中井大臣は映画館でその当該女性と映画を見ていた。この震度五弱の地震のとき緊急連絡を受けたと彼は言っているんです。受けて、しかし、そのままそこで一時間半も映画を見続けている。

 この震度五弱というのは、日本全国、どの自治体でも、都道府県でも市町村でも、みんなが、当該役場に駆けつける、市役所に駆けつけて災害対策本部を立ち上げる、この基準が震度五弱以上であります。私も何度かそういう経験があります。

 だから、私は、このときに、大臣のこの危機感のなさ、この人が災害担当でなければいいんですよ、ほかの大臣であれば。しかし、災害担当大臣が、日本全国が災害対策本部をつくらなきゃならないというこの震度五弱のときに、そのまま映画を見続けていたなどということは、本当に許されないことだというふうに私は思うわけでありまして、恐らく、全国の知事、市町村長、自治体の首長、みんなこれはあきれていることだというふうに思うわけであります。

 内閣としてどうお考えか、お伺いします。

泉大臣政務官 防災担当の政務官としてお答えをさせていただきたいと思います。

 震度五弱、恐らく、当該地域においては、やはりそういった本部ですとか参集ということがあるかと思います。

 一方で、これは、全国どの地域で起こるということもあり得るわけでして、その都度、政府の中で五弱ということでどう対応しているかということの問題で考えますと、東京二十三区内で震度五強以上の地震が発生した場合には参集チームが集まらなければいけない、そして、その他の地域においては、震度六弱以上の地震が発生した場合には参集チームが参集をする、政府の中ではそういうつくりになってございます。

 そして、その時間に例えば政務三役がどのような過ごし方をしていたかということ、どこにいたのかということが問題ではなくて、すぐ連絡をとれるかどうか、そして状況の把握ができているかどうか、これが恐らく問題なんだというふうに思います。

 その意味では、大臣に、どの場所におられようとも、第一報が入って、そして状況の報告があったということがございますので、政府の対応としては問題なかったものというふうに認識をしております。

伊東委員 映画館の中で、最近は電波を遮断する映画館もあるやに聞いているところでありまして、SP、秘書官なしで映画を見に行っている。そして、これは連絡がついたかつかないかは私はわかりませんよ。その当該の状況の中で、大臣は、サイレントで連絡を受けた、大したことがなかったから私はまだ映画を見続けた、こういうお話でありますけれども、本来あってはならないスタイルであろう、このように思うところであります。

 それでは、せっかくでありますので、平野官房長官に、普天間問題のニュースがきのう、きょう大騒ぎで出ておりますので、お伺いをしたいと思います。

 昨年の総選挙の際には……

田中委員長 伊東良孝君に申し上げます。

 本日、国家公務員法の議題を、審査を進めておりますので、範囲内での質疑をお願いいたします。

伊東委員 それも重大でありますけれども、これはさらに重大なお話でありますので、お聞きいたしたいと思います。

 政府は迷走している、このように言われる中、平野官房長官の御発言も、きのう、そしておとついと、大分お変わりになっているようであります。

 五月末決着と言われる普天間問題について、今、平野官房長官、きのう、きょうの発言について、変わってきている、あるいは総理と違うというお話もありますけれども、この点についてお答えいただきたい。(発言する者あり)

田中委員長 伊東君、先ほど申し上げたように、公務員法の審議をさせていただいておりますので、その範囲内での質疑をお願いしたいと思います。

 伊東君、どうぞ。

伊東委員 しかし、これは極めて重大なお話であります。もちろん、国家公務員法も重要な案件であります。きょうの場はそのお話でもありますが、しかし、これは我が国の国家にとって極めて重大なる御発言の話であります。

 それでは、官房長官が議会の中で、あるいは委員会の中で、何度出てくるんでしょうか。今まで、何回も何回も要求しても、お忙しくて出てこられなかったのが実情ではないですか。ですから、今ここで、せっかくいらっしゃったわけでありますから、きのう、きょうの発言についてぜひ私はお伺いしたい、このように思う。これは、公務員制度であろうとなかろうと、ぜひお願いをいたしたい、このように思います。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 それでは、速記を起こしてください。

 伊東君、再度、確認のために質問をしてください。

伊東委員 これは、まさに我が国の重要なる、最重要なる話であって、きのう、きょう、おとついからの話でありますから、ここは平野官房長官にしっかりと普天間についての御見解をお伺いしたい、このようなことであります。

平野国務大臣 議員にお答えいたします。

 議事の進行は委員長、理事の采配でございますので、それに従いをいたします。

 普天間の問題で、決して私は、きのう、おとついの発言がぶれているとか、そういうことではありません。政府としては、五月末にこの普天間問題については政府としての結論を出す、こういうことを申し上げている中であります。

 その中で、記者さんからの質問に対しての表現の問題とかそういうところは多少総理と私との考え方は違うかもわかりませんが、あくまでも五月末に決着をする、こういうことでございます。

伊東委員 普天間のことにつきましては、安全保障委員会あるいはまた沖縄北方特別委員会等々、官房長官、これは御出席いただかなければ、もちろん官房長官が中心となって今これを進められてきた経緯がありますので、ですから、ほかの大臣ではなかなかこれをお聞きできなくて、せっかく、久しぶりというか、ここの場にお出ましいただいたのでお伺いしましたけれども。

 五月末決着を目指して、また、過日の核軍縮サミットのときに、十分間だけの夕食時の会談というお話であります。鳩山総理の、オバマ大統領の発言は言えないというお話でありましたが、一方で、アメリカから伝わってきたお話では、五月末決着について強い要請があったというお話もこれあり、全国民、これを注視しているわけであります。

 官房長官がハードルを下げたとか上げたとか、そういう報道も、けさなされているところでありますけれども、これは官房長官が中心になってぜひお進めいただきたい、このように思う次第であります。

 以上で私の質問を終わります。

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、御多忙の中、私どもの要請に対しまして官房長官の御出席を賜り、心より感謝申し上げます。

 まず、平成二十年の六月に、国家公務員制度改革につきまして基本法が成立をいたしました。この審議に当たりましては、共産党を除く当時の三党で合意をし、成立をしたわけでございます。その過程におきましてはそれぞれ譲り、そしてまた主張もし、最終的には民主党案も取り下げられ、合意によりましてでき上がったこの基本法でございます。

 まず、官房長官は、この基本法につきましてどのように認識をしておられるのか、御見解を伺います。

平野国務大臣 高木先生につきましては、いつも御質問をちょうだいいたしまして、大変うれしく思っております。

 今先生からもお話ございましたように、平成二十年六月に、その当時の自民、民主、公明の合意による修正を経て基本法が成立をした、こういうふうに認識をいたしております。また、その基本法のもとに、平成二十一年三月に、自公政権におきましては国家公務員法改正法案を国会に提出した、しかし、解散に伴って廃案になっている、こういうことでございます。

 私は、特にこの基本法について、そういう成立の過程で、十分にこの基本法を踏まえてこれから議論をしていかなきゃならない、この考え方で今法案をやっている、こういうふうに認識をいたしております。

高木(美)委員 このとき、三党の合意で成立しましたときに、これは我が党の田端議員の当時の発言でございますけれども、「きょうは本当に、記念すべきといいますか、我が国における歴史的な第一歩である、こういうふうに思っております。今回の与野党修正協議というものが合意された、相調ったということについては、本当に私も喜んでいる一人であり、また、関係の皆さん方、努力されたこの提案者の皆さんには大変敬意を表したいと、心から喜んでいる次第でございます。」「政治力というものがここで発揮された一つの大きな実績だ、そういう意味で、今回の修正協議というものを国民の一人として喜んでいきたい、」大変何度も喜びという言葉が出てまいります。というぐらいに、この公務員制度改革につきましては、国民の皆様の、このままでいいのか、こうした思いに対しまして、志を一つに合わせて成立を見たという、まさに画期的な第一歩でございました。

 ここに盛り込まれた基本方針にのっとってこれから公務員制度改革をこのように推進していこうという合意をした、いわばプログラム法であると私は考えております。ただいまも、官房長官より、この基本法を踏まえて今後議論していかなければならないとした趣旨の御答弁をいただいたところでございます。

 そこで、きょうお配りをしました資料をごらんいただきたいと思います。

 私は、昨晩、官房長官に質問をさせていただくということで、再度整理をしてみました。これまでも二時間余り、本会議も含めまして質問にも立たせていただきましたが、この整理をしまして、実は私はもう愕然といたしました。

 この内容につきましては、「法施行後一年以内を目途に法制上の措置を講ずるとされているもの」、これがこの基本法に盛り込まれた内容でございます。この中に約十一項目、ずっと書いてございます。

 この十一項目のうち、例えば最初の、第四条第一項、この規定にかかわらずこの法律の施行後一年以内をめどとして講ずる、これは内閣人事局についての規定でございますが、今回の改正案におきまして、目標時期の部分を削除されております。そしてまた、官房長官が政府全体を通ずるこうした人事管理について説明する責任を負う等々の内容、またさらには、総務省、人事院その他の行政機関が公務員の人事行政に関して担っている機能について、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で内閣官房に移管するものとすること、これは今回の法案では措置されておりません。

 またあわせて、第五条の第四項にあります、幹部職員等に係る府省ごとの定数の設定及び改定、これも措置されていない。また、幹部候補育成課程に関する統一的な基準の作成及び運用の管理、これも措置がない。課程対象者に対する研修のうち政府全体を通ずるものの企画立案及び実施、これも措置がない。第四の、課程対象者の府省横断的な配置がえに係る調整、これも措置されておりません。また、管理職員を任用する場合の選考に関する統一的な基準の作成及び運用の管理、これも措置がない。管理職員の府省横断的な配置がえに係る調整、これも措置がない。幹部職員等以外の職員の府省横断的な配置に関する指針の作成、これも措置がない。

 あるのは、適格性の審査及び候補者名簿の作成、これだけでございます。

 そしてその先の、幹部職員及び課程対象者の人事に関する情報の管理、これも措置がない。公募に付する幹部職員等の職の数についての目標の設定等を通じた公募による任用の推進、これも措置がありません。官民の人材交流の推進についても措置されておりません。

 私は、これを見ながら、もう本当に驚きました。

 官房長官は、この資料をごらんになった感想をどのようにお持ちでしょうか。

平野国務大臣 高木先生の思い、今日までの取り組みの部分についての思いは今聞かせていただきました。

 私どもの今回の法案、この意義は、まず公務員制度を抜本的に変えていくための第一歩なんだ、こういう考え方に立っております。したがいまして、新たに設置をいたします内閣人事局において、政治主導により、引き続き、労働基本権のあり方の問題、定年までしっかり働ける環境等々を含めて、公務員制度全体をしっかりと見直していこう、いわゆる抜本的に変えていく、こういう流れのもとにある、今この法案は第一歩である、こういうふうに私どもは認識をし、進めておるところでございます。

高木(美)委員 もう少し述べさせていただきたいと思いますが、今回のこの改正案の中で、例えば先ほどありました内閣人事局、そしてまた適格性の審査及び候補者名簿の作成、いわば幹部人事の一元化の部分でございますが、今回の改正案の中に、附則の第九条、「検討」としての項目がございます。この中に、「自律的労使関係」とあわせまして、もう一つ盛り込まれているのが、「事務次官その他の幹部職員の位置付け及び役割について検討するものとする。」これは検討項目でございます。やっと入っている幹部人事の一元化も、幹部職員の位置づけ、役割、それもこれから検討します。

 要するに、幹部職員の位置づけと役割が明確になっていないのに人事だけはやらせてください、次官、局長、部長等を同一職階とみなして、飛び級昇格もやる、降格もできるようにする。これは、官房長官、おかしいとお思いになりませんか。そのほかの書かれているセンター等については、ほとんど看板のかけかえだけではありませんか。こんな中身のない法律でいいんでしょうか。

 さらに私が驚いたのは、十項目について、これは検討事項にきちんと盛り込むのが政府の誠意ではないのでしょうか。入れるべきではありませんか。官房長官、どうでしょうか。

平野国務大臣 今、担当の仙谷大臣のもとで、先ほど私申し上げましたように、まず人事局を設置し、その中におきまして、今先生御指摘されているようなところも含めて抜本的に改めていくということで、附則のところに、そういう思いを含めて書かせていただいているんではないでしょうか。

高木(美)委員 仙谷大臣から、今回の法案提出が第一段階、また、今官房長官から同様の御発言がございました。私は、恐らくこれからの展望をお持ちなのだろうと、二日前、仙谷大臣に同様の質問をさせていただき、スケジュールを伺いました。

 そのときの大臣の答弁は、「基本的には国家公務員の労働基本権を付与するという前提で、これは戦後始まって以来の大改革案、公務員制度におきましては大改革案ということになりましょうが、この法案を成立させていただければ、そういう大改革案を準備して、そしてそれを、できればというよりも必ずと言っていいほど次の通常国会に提起をしたいというのが公務員制度改革の最も中核的な部分であります。」このように大臣は答弁をされております。

 私は、全体像がちっとも見えない、わからない、しかも工程も明確ではない、一つ一つの基本方針にのっとって具体の事項をどのように処理をしていくのか、この工程が見えない。前政権では、昨年の二月、甘利大臣のときに工程表が示され、何をいつまでに実現をするのか明確にされておりました。それを、仙谷大臣は、これも確かかどうかはわかりませんが、報道によりますと、昨年の十二月五日の新聞でございます、「政権交代した段階である意味白紙だ。」このようにお述べになっていると承知しております。

 基本法を踏まえてこれからどのようにされるのか。官房長官、現政権が考える公務員改革の全体像そして工程表を直ちに提出をしていただきたいと思います。出していただかない限り、これ以上私は審議できない。いかがでしょうか。おかしいとお思いになりませんか。展望もないのに、工程表もないのに、この中身だけ審議しなさい、法案を通させてください、道理に合わないとお思いになりませんか。

平野国務大臣 仙谷大臣が御答弁されていると思いますが、先ほど何回も先生に私申し上げましたように、まず第一歩なんだと、その上で、今先生御指摘のところも含めて、基本法にのっとって私どもは進めていく、このことの法体系を一つ一つ出していくんだ、こういうことであります。

 それを大きく変えていくためには、基本権の問題は必ず解決しなければ大きな改革は進められない、そういうことですから、多分、年内もしくは来年に向けて、そのことを抜本的に提出をしたい、こういうことを考えておると私は思います。

高木(美)委員 全体像もない、工程表もない、これでは私は法案審議の責任はとれないと申し上げさせていただきます。

 先ほど来、第一歩というお話でございますが、第一歩であれば第二歩はどうなるのか。しかも、今申し上げたように、一年以内に措置を講ずるものとされているこうした項目にしても、何の記載も今回の改正案にない。これからの第二歩、三歩を信じてくれと言われても、余りにそれは虫のいい話ではありませんか。私は、これでは法案審議の責任はとれません。後世に恥を残すような法案は私は通すことはできませんし、この論議の経過におきましても、こんな穴のあいたような法案審査、私たちがやったということ自体恥ずかしいと私は申し上げさせていただきます。

 日本の官僚制の大改革を進めようというのが基本法の流れではありませんか。それを今官房長官は大事にするとおっしゃっていらっしゃる。だったら、全部まとめて、工程表も全体的なスケジュールも全体像もはっきりと示していただいて、その後審議にかけるべきではないのでしょうか。私は、これ以降、この審議につきまして、こんな法律の意味のない審議を続けられないと申し上げさせていただきます。これ以上審議できません。

平野国務大臣 審議できませんと言われて答弁をどうしていいのかというのは非常に困りますが、私ども政府としては、まず第一歩としての法案を出したわけですから、ぜひ審議に御協力をいただきたい、このように思います。

高木(美)委員 私が申し上げておりますのは、全体像そして工程表を直ちに示してくださいと申し上げているのです。それが審議をする大前提だと思いますが、官房長官、そうはお思いになりませんか。おかしいじゃないですか。

仙谷国務大臣 基本法の中で大枠が決まっているわけですね。四条で、基本法の「施行後五年以内を目途として」必要な措置を「講ずるものとする。」と。「この場合において、必要となる法制上の措置」、つまり法律でできる限りつくるものについては「この法律の施行後三年以内を目途として講ずるものとする。」ということになっていたはずであります。それに基づいて前政権では工程表がつくられて、この年限を、一年間前倒しをされた年限の工程表がつくられた、これは私も承知いたしております。

 ただ、その年限のうち、工程表の、一年で行うという、この基本法十一条に基づくものが、解散前に一年経過をして、もう既に、その工程表も実質的には工程表どおり事が運ばれないということが確定して、さらにそこから解散・総選挙、政権交代、こういうことになったわけです。我々も、与野党修正協議の上つくり上げられた国家公務員制度改革基本法を、当然のことながら、私どもも参加してつくったわけでありますから、これを尊重しつつ、しかし、一年以内にやることというのが、我々が政権をとったときにはもう一年四、五カ月ぐらいたっておったんじゃないんでしょうか。

 そして、工程表どおりなさろうとしたけれども、思わぬ事態もあったんでしょう。いろいろやはり、これにはこれの、公務員制度改革には公務員制度改革のいろいろなバリアやハードルが、ここから先、つまり基本法から先はあるんだなということを踏まえまして、そして私どもとしては、まずは今回提出した国家公務員法等の一部を改正する法律案、これで、幹部人事の内閣一元管理、ここだけをまずは出発点としてこの公務員法を改正する。

 さらには、次には、当然のことながら、この幹部職員以外の職員について、労働基本権の付与いかん、あるいは付与するとすればどういう体系になるのか、あるいは、きょうも問題になっておりました給与その他の勤務条件についてどうするのかという観点からの、これはやはり相当腰を据えた検討、分析が必要でございますので、それをやろうということにしております。

 工程表が出ないから質問できないというふうにおっしゃるわけでありますが、まあ、工程表というふうに文書があるかないかはともかく、基本法の中で大枠はこういうふうに、今説明申し上げましたようにくくられておるわけでありまして、私どもは、来通常国会に労働基本権の付与を含む国家公務員制度改革の抜本的な法案を用意する、こういうふうに申し上げているわけであります。

高木(美)委員 大臣、私は、きょう官房長官に質問させていただくつもりでおります。大変恐縮でございますが、大臣の御発言は長過ぎます。

 ただいまの大臣の発言からもよくわかりましたが、要するに、だから全体像を示してください、工程表を示してください、それを私は何度も申し上げているんです。

 私は、この国家公務員法、政治主導確立法案と逆転をして先に審議をすると言われたそのときから、本当に真剣に一つ一つ研さんをしてまいりました。国民の皆様の天下りに対する懸念、一つ一つ払拭をしたい、その思いで真剣に取り組んできました。

 だけれども、この中身を見てみたら、措置なし、こんな中身では果たして、それから第二弾、三弾、信用してくださいと言われても、信用できない。だから、全体像そして工程表を示してくださいと要求をしているのです。重ねて要求をさせていただきます。

平野国務大臣 審議の中で先生の御懸念のあるところについて深めていただく、その上でこの法案を通していただきたい、また御理解をいただきたいと思います。

高木(美)委員 この全体像、工程表、お出しになるつもりがあるのかどうか。答弁、いかがでしょう。

平野国務大臣 我々は、今先生冒頭にお話ありましたように、三党で合意をしてつくり上げた基本法をベースにしながら今新しい仕組みづくりをやっている、こういうことであります。

 大きな枠の流れはその基本法に沿って今の政権で具体的に進める、その第一歩として、まず内閣の官房に人事局を置いて幹部公務員の人事をまずやっていこう、そういうことでございます。

高木(美)委員 重ねて私は、この全体像、工程表の提出を求めます。理事会でぜひ協議をしてください。

田中委員長 今、高木さんの御要望については理事会で検討させていただきます。

高木(美)委員 官房長官、全体像それから工程表、基本法に基づいて新政権はこうするというものを明確に出してください。出さなければ国民だれも信用しません。

 例えば、事務次官の問題についても検討すると言われていますけれども、もう、仙谷大臣が一昨日事務系副大臣もあり得るかもしれないという答弁をされたら、大臣は、労働管理部門の責任者、交渉部門の責任者としての事務次官はあるかもしれない、全くそれぞれ発言がばらばらではないですか。

 そうしたことをいつまで、どのように結論を出していくのか、この検討事項もどういうふうに考えていくのか。当然そこにはスケジュール、工程表があってしかるべきではありませんか。

平野国務大臣 それは進め方の、やり方の一つだと私は思っております。先ほども、何回も言っておりますが、基本法の考え方をベースにしながら私どもの政権としてはしっかりやる、こういうことであります。

高木(美)委員 だったら、基本法にのっとった新政権の考え方を明確に出せばいいではないですか。本当にこれは議論にならないですよ。出してください、きちんと、期限を決めて。どうですか。

 官房長官ですよ、官房長官です。大臣は結構です。

仙谷国務大臣 ただ、高木議員、工程表、工程表とおっしゃるけれども、例えば、あと、今から八カ月後に、あるいは九カ月後に始まる通常国会に提起したいと言っていて、その間、何カ月後に何をする、何カ月後に何をするというふうな工程表をお求めなんでしょうか。ちょっと、工程表というイメージから、例えば二十年間でこうするんだというところに、工程として大体三年をめどにこうするんだ、五年をめどにこうするんだというんだったら、工程表という話は、僕はわからぬわけではないけれども、次の通常国会に出す、こう申し上げているのに、それを細切れにして工程表をやれなんて言われても、ちょっと困ってしまうという感じがいたします。

高木(美)委員 要するに、仙谷大臣、来年の通常国会にどういう項目を出すのか、それすらだってはっきりされていないじゃないですか。それも工程表の中にきちんと入れて、ここまではこのように結論を出して出します、これが工程表じゃないですか。

 しかも、その先もあります。この基本法の中には、三年の措置、五年以内の措置、明確に書かれているじゃないですか。大臣、それを御存じないですか。

 大臣の答弁はもう結構です。官房長官、いかがでしょうか。

平野国務大臣 やりとりをしている中におきまして今先生からもありましたが、私は何回も言いますが、基本法をベースにやる、こういうことを前提として来年の通常国会に法案を提出する、まずその前に内閣に人事局を置かせていただきたい、こういうことを国会に出しているわけでございます。(発言する者あり)

田中委員長 官房長官、今、高木さんの質問は、基本法並びに具体的な工程表ということでございます。そういう点では、この中身の問題とあわせて、先ほど来、次の通常国会ということ等々述べられておりますけれども、その返答について、しっかりとした、何を次はやりたいというような問題も含めて答弁をしてください。

平野国務大臣 先生にお答えをいたしますが、少なくとも、この基本法にある中身をベースに、何回も言いますが、それをベースに人事局をつくらせていただいて、その中で、来年の通常国会に向けて、この中の部分について盛り込んだ法案を出させていただく、こういうことでございます。

田中委員長 高木さん、どうぞ。高木さん、質問を続行してください。(発言する者あり)

 平野内閣官房長官。

平野国務大臣 少し整理をさせていただきますと、先ほど仙谷大臣からもお答えをしておりますが、第十一条の部分で「第四条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行後一年以内を目途として講ずる」、これが先ほどの理由で難しいということから、ここは削除いたしましたが、基本的な考え方では、「この法律の施行後三年以内を目途として」というところにつきましては、あと残すところ一年ということですから、一年以内にやり切る、こういうことでございます。

高木(美)委員 ただ、先ほど仙谷大臣は、基本法はここまで固まった、成立をした、しかし、その先はなかなか困難をきわめるという御発言がありました。私は、そうであるならばなおさら、どこの部分をどのようにしていくのか、この基本法にのっとってとおっしゃるのであれば、その基本法にのっとった新政権の方針、そしてまた工程表、全体像、これをしっかりと出していただくことを再度求めさせていただきます。

仙谷国務大臣 今後困難をきわめるというのは、今からも困難な状況は多々あろうかと思いますけれども、しかし、昨年の、要するに、解散前に一年が経過して、そこまでに審議が進まなかった状況も、その前の法案作成過程を拝見しても、困難をきわめておりましたでしょう。私はそう見ておりました。

 さらに、戦後初めて、いわば労働基本権を付与するという前提であれば相当困難な状況はあるかと思いますけれども、我々は、先生がおっしゃったように、三年の期間内に法制上の措置を全体的に仕上げる、基本的に労働基本権を付与するという方向で制度設計を改めてする。これは、検討委員会等々で、前政権の中でいろいろ作業をしていただいておるわけですから、ある意味では、改めてゼロから審議会を再度立ち上げるとかなんとかは必要ないのかもわかりません。もう多様な意見が、相当数議論が出ておって、ただ、それの選択、判断、これが政治的な選択、判断ができれば法案策定作業というのは順次進んでいく、こういうふうに考えておるところでございます。

田中委員長 高木さん、質問を続行してください。

高木(美)委員 何度も申し上げておりますが、基本法にのっとってという答弁はいただきました。しかし、基本法にのっとって、新政権がどのようにお考えになるのか、来年の法案提出を目指してどの部分をどのようにされるのか、こうした全体像そしてまたこれからの工程表、その先のこともあります、これを総合的にお示しいただきたい。それが全く見えない。これを見せていただきたいということをお願いしております。

平野国務大臣 何回も言いますが、基本法をさわっているとかさわっていないかということよりも、時間軸でその部分が非常に困難になったということですから、私は、あと三年以内というのがもう来年に迫っていますから一年以内ということで、その三年も崩しているわけではありません、あと残すところ一年ですから、一年以内にしっかりしたものをお出しする、こういうことを申し上げているわけであります。

 中身についてはどういうことかということは、これは二十一年の十二月の十五日に、内閣総理大臣の発言として、こういう考え方で進めていきなさい、こういうことが確認をされておりまして、これに基づいて、先ほど申し上げました基本法に基づいてこれを処理していく、こういうことでございます。

高木(美)委員 ですから、基本法に基づいて一覧表をつくればいいではないですか。新政権はこれをやります、総理からの御指示はこうです、そこをちゃんとやればいいじゃないですか。こんな抜け抜けの内容、私は整理をしながら、これじゃとてもこの後、その先が見えないものをどうやって法案審議しろとおっしゃるのですか。来年やるからそこまで待ちなさい、ただこれだけはやりなさいと。全体像があって、その中で、ではまずこれですね、それを与野党間で確認しながら進めていくのが委員会審議ではないのでしょうか。

 再度提出を求めます。

平野国務大臣 ぜひ先生に御理解いただきたいんですが、何回も言いますが、私どもは、今回、人事局を先行してつくらせていただきたい、その中で、基本法に基づいて具体的なものを来年の通常国会に提出すべく、そこできちっと詰めさせていただきます、法体系をつくります、こういうことであります。

 その上で、仙谷大臣が申し上げたところは、やはり一番大変なところというのは基本権の問題があるわけでありますし、また人事院との関係の整理もやはりしなきゃなりませんし、そういうところをしっかりと踏まえてやらなきゃならない、こういうことであります。(発言する者あり)

田中委員長 官房長官の答弁はさっきからずっと繰り返しておりますから、今、質問者から求められているのは、具体的な内容についてタイムスケジュールを出してほしい、こういうようなことであろうと思います。細部にわたってそういう問題にしっかりと対応できるように、その項目を明確にしてやっていただきたいと思います。

 官房長官。

平野国務大臣 基本法の中の具体的なところを含めて、来年の通常国会に法律として担保して出す、こういうことでございます。

高木(美)委員 出すのか出さないのか、明確に御答弁をお願いします。

平野国務大臣 来年の通常国会に提出する法律の中身でありますから、今出せと言われても、今、出しようがございません。

 それと、先ほど委員長が采配されたのは、後、理事会でどういう協議がされるかというところを私どもは見守っている、こういうことでございます。

高木(美)委員 それでは、後刻理事会で適切な処置を求めます。

 私は、もう一つ、事務次官の廃止につきまして質問したいと思っておりました。

 先ほども、この事務次官、幹部職をどうするのかということを申し上げましたが、昨年の十二月、仙谷大臣は、社長のほかに事務のトップがいるような組織は見たことがないと御発言されていると聞いております。それに続いて、他の閣僚の方たちも、直嶋大臣は、廃止に反対ではないが、もう少し議論をすべき、大臣が頻繁にかわると継続的な補佐役が要る。小沢環境大臣は、官僚のモチベーションや若い世代の官僚志向を下げてはいけない。廃止に反対の姿勢のようでございます。官房長官は、現時点で次官は必要、事務の総括責任者という役割は要るという気がする。これが、報道された範囲でございますが、昨年十二月の話でございます。

 さらに、二日前の中川秀直議員の質問に対して、仙谷大臣は、事務系副大臣という位置づけもあっていい。そうしましたら、官房長官は、その日のうちに、議論は煮詰まっていない、公務員に労働権を付与した後の労使交渉担当者となるということもあり得るとした御発言を聞いております。

 一体これはどういうことなのか。事務次官の位置づけ、役割、後に検討すると検討項目には入っておりますけれども、検討もされないまま、閣内の発言がばらばらのまま、この法案を提出されている。統一見解を閣内で明確につくるべきでありますし、お示しいただきたいと思います。

平野国務大臣 事務次官の役職についての議論がさまざま各閣僚においてされているということでございますが、現段階で、私としては、事務を統括する役職、名前の呼び方はどうあれ、そういう方々は必要である、そういうことを前提として私は認識をいたしております。

 しかし、今後、大きく公務員制度改革を、大きく変えていく中で、その機能、役割というのは当然変わってくる、このように私は思います。

高木(美)委員 しかし、この検討項目には盛り込まれているものの、幹部職員の人事を一元化するとおっしゃっているのですから、位置づけ、役割、これをまず明確にするということがこの法案成立の条件なのではないかと私は思っております。

 検討項目に入っていること自体、法案提出の準備ができていないのではないか、このように私は申し上げさせていただきたいと思います。

 今、お述べいただきましたのは官房長官の見解でございます。閣内の統一見解を明確に示していただきたい。このことを私はただいまお願いをいたしました。いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 今、平野官房長官がここでお話ししたことが、現時点での内閣の統一的な見解でございます。

高木(美)委員 内閣の統一見解はどのような形で決定されるのですか。閣議決定ではないのですか。

平野国務大臣 それぞれの担当しておる閣僚並びに関係閣僚がある意味で合意しているものが基本的な見解だと私は思います。

高木(美)委員 それでは、ぜひとも、ある程度の合意をおとりいただきまして、統一見解をお示しいただくことを重ねて要望いたします。

 提出していただけるかどうか、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 そうがちがちのことを言われても、行政というのは、そうたびたび閣議決定を一つの項目についてするというわけにもいきませんから、これは、現時点で高木議員がおっしゃられたようなものを提出するということにはならないと思います。つまり、事務次官の職務あるいは意義、役割、機能というふうなものを今から固定的に定めるというような状況ではないと私は考えております。

高木(美)委員 私は、幹部職員人事の一元化と言いながら、位置づけ、役割が明確になっていない、明らかに矛盾をしているということを重ねて指摘させていただきます。

 本来、役職の持つ位置づけ、役割がはっきりして、そこのポストにだれがふさわしいのか、その人事が行われるのが、それが常識ではありませんか。逆だと思います。そこが、恣意的人事そしてまた情実的人事が行われるのではないか、こうした懸念を生むところではないかと思います。

 重ねて統一見解をお出しいただきますことをお願いいたしまして、終わらせていただきます。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 一昨日の質疑に続いて、自衛隊の再就職規制の問題についてお尋ねをいたします。

 今回の自衛隊法の改定によって、これまでの事前規制が行為規制に変わります。現行の事前規制でも、若年定年隊員については防衛大臣が再就職あっせんを行っておりますが、原則天下り禁止のもとで、営利企業への再就職には事前承認が必要とされております。

 そこで、防衛省にお尋ねをいたしますが、この営利企業への再就職に当たっての事前承認の基準はどのようなものとなっているのか、この点についてお答えください。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

長島大臣政務官 塩川委員にお答え申し上げます。

 大きく分けて三つございます。

 一つは、本人が職務を通じての企業への影響力を不正に行使して再就職することを防止する観点から、本人がかかわった契約額が当該企業の年間総売上額に占める割合または契約額そのものが一定の水準以下であること、これが第一点。

 二番目は、本人以外の者が有する企業への影響力、つまり、組織全体が影響力を不正に利用した再就職を防止する観点から、本人が所属している機関と企業との間の年間契約総額が企業の年間総売上額に占める割合、つまり企業の在職機関への依存度、これが一定の水準以下であること、これが二番目。

 三点目は、離職前の人的なつながりなどを利用して再就職後に防衛省に対し影響力を行使することを防止する観点から、再就職先での地位が防衛省との契約の折衝等を行う地位でないことなどを承認の基準とし、これらを満たし、かつ公務の公正性の確保に支障が生じない場合において承認することとされております。

塩川委員 今述べていただきましたように、いわば一定の基準に基づいての利害関係先を除いて事前承認を行うということでありますけれども、この事前承認の基準というのは、今回の法改正でどうなるんでしょうか。

長島大臣政務官 これは、事前規制から事後規制ということになります。

塩川委員 事後規制になるということで、なくなるということでよろしいですか。その点、確認してください。

長島大臣政務官 そのとおりであります。

塩川委員 ですから、もともと、若年定年隊員の場合には、防衛省による天下りのあっせんが行われてきたわけですが、原則天下り禁止のもとで事前承認の基準が設けられておりました。しかしながら、直接利害関係先の基準は極めて狭い範囲であったわけであります。でも、今回の改正によって、その事前承認の基準さえ取り払われてしまうことになります。

 こういうことで、利害関係先への再就職、いわゆる天下りの押しつけというのを本当に排除できるのか、重大な懸念を覚えますが、いかがですか。

長島大臣政務官 塩川議員にお答え申し上げます。

 天下りという言葉をお使いになられましたけれども、これは、一般の公務員にこれまで見られたようないわゆる天下りとは全く趣旨を異にしておりまして、自衛隊という組織の性格上、精強性というものを維持しなければならない、そういうことで六十歳の定年制を、あえて若年の定年制をしいて、将官あるいは内局の事務官以外の、二十五万になんなんとする、ほとんどすべての自衛隊員の皆さんは、これを若年、五十六歳とか五十五歳とか五十四歳とか、強制的に定年として、離職しなければならない。

 したがいまして、防衛省としては、雇用者としての責任を果たすという意味合いから再就職の援助を行っているということでありまして、天下りのあっせん、そういう認識はぜひ改めていただきたい、これが一点です。

 それから、お尋ねの件ですけれども、その点につきましては、新たに審議会というものを防衛大臣のもとにつくらせていただきます。この審議会は防衛大臣から調査権限の委任を受けており、その調査のための権限は、罰則を伴う再就職監視・適正化委員会による調査と同等のものとなっております。

 また、審議会の委員は、隊員としての経歴のない者から任命することになっており、お尋ねのような調査の中立性、公正性というものは問題ないというふうに認識しております。

塩川委員 予算と権限を背景とした再就職あっせんは天下りのあっせん、押しつけにつながるのではないのか、この点が問われているわけで、これは一昨日も議論しましたように、空自の官製談合の問題、公正取引委員会からも、こういったやり方について、過去の取引実績とか航空自衛隊の退職者の在籍状況等を考慮して調達要求目標を定める、こういう疑念があったわけですから、この点についてきちっと、起こらないというような対応ができているのかということが問われているわけであります。

 その点で、審議会のお話をされましたけれども、仙谷大臣にこの点を伺いたいわけですが、行為規制の違反行為に対する監視機能の強化を主張されておられるわけですけれども、若年定年隊員による行為規制の違反行為については防衛省に置かれる審議会により監視を行うという今の答弁にも明らかなように、そうはいっても防衛省の内部の機関でございます。身内に甘い防衛省・自衛隊、この点は北澤大臣自身もおっしゃっておられるわけですから、まともな監視が行われるかどうか、極めて疑わしい。

 その点で、一般職公務員などについては、再就職等監視・適正化委員会が監視機能を担います。適正化委員会の委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命をする。これが本当に機能するかどうかはともかく、独立機関の体裁があります。

 一方で、防衛人事審議会、先ほどおっしゃった審議会が想定しているのは防衛人事審議会ですけれども、この委員は防衛大臣が任命をする、防衛省内の組織ということで。この点では、一般職公務員に対応する再就職等監視・適正化委員会と、この防衛省若年定年隊員に対しての防衛人事審議会の権能と、大きな違いがあると思うんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

仙谷国務大臣 長島政務官の答弁もお聞きいただいたと思いますが、そもそも、一般的に、再就職のあっせんというふうなことが根本から禁止といいましょうか、してはならないこととされている一般の公務員の世界の話と、職務の特殊性から、あるいは特異性と言った方がいいんでしょうか、若年退職者についてはむしろあっせんをしてお世話する、再就職をお世話するということなくしては、自衛隊という、公務員ではありますけれども、この部隊を精強に、本来の目的に従った集団として維持することが困難だという場合は、相当違うと思います。

 ただ、問題は、この間、防衛省で種々問題になっておりますような癒着の関係といいましょうか、ちょっと、ちょっとだけではなくて、大いに嫌らしい関係が発生したり増殖したりしてはいけませんので、これはやはり独自に、そういう観点からは厳しく監視をしてもらわなければならない、こういうふうに思います。

 したがって、私は、今、防衛省の審議会がそれにふさわしい独自の調査権能を持って、自律的にその任務に従った監視機能が果たせるように万般の準備をしてもらいたいというか、万般の制度設計をしてもらいたい、こういうふうに考えております。

塩川委員 この間、予算と権限を背景とした天下りの押しつけがあってはならない、この若年自衛隊員の問題であれ、この点でのけじめをきちっとつけられないようでは、信頼を得られないのは当然であります。そういう点でも、行為規制に切りかえる以上は、やはりしっかりとした監視機能が働かなくちゃいかぬ。

 そういう点だからこそ、独立した中立公正の第三者機関をということをおっしゃってこられたわけで、この防衛人事審議会、ここで規定されている審議会というのは、防衛省から独立した中立公正の第三者機関だと大臣はお考えなんですか。

仙谷国務大臣 私自身は、さっき申し上げておりますような、自衛隊、特に、若年退職という制度があるそういう特異な組織の再就職あっせん、むしろ再就職あっせんをすることが認められている組織の再就職あっせんの癒着と、もう少し進めば腐敗ということになるんでしょうけれども、そのことについて厳しく目を光らせていただく、そういう審議会になっているかどうか、それは今までのこともありますので、実績を見てみなければわからないのかなというふうに考えております。

塩川委員 結局、独立した第三者機関とは認めることができないということを裏でおっしゃっておられるわけで、そういう点でも、現行におきまして一般職では禁止されている天下りあっせんは、防衛省においては、若年定年制を理由に合法化をされて、利害関係先への天下りの規制基準はなくなる、その上、行為規制の監視機関は、第三者機関どころか、わざわざ身内の組織となっております。

 航空自衛隊の官製談合事件を初めとして、利害関係先の企業との間で数々の不祥事を起こしている防衛省・自衛隊なのに、今回の法改正では、かえって防衛省・自衛隊にとって焼け太りだと言われても仕方がない。こんな防衛省に都合のいい法改正をそのまま受け入れた政治家の責任も問われているわけで、これは、防衛省・自衛隊の注文にこたえた官僚主導じゃないかと言われても仕方がないというものであります。

 こういった防衛省・自衛隊の天下り推進法案と言わざるを得ないということを述べ、官房長官もおいでいただいていますので、今回の法案について、適格性審査への政治家の関与の問題に関連して質問いたします。

 今回の法改正によって、内閣官房長官が幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を適格性審査において判定し、審査の合格者について幹部候補者名簿を作成し、その名簿に記載されている者の中から幹部職への任用を行うこととなります。適格性審査を行うのは、総理大臣から委任を受けた官房長官だと承知をしております。

 そこで、先日の質疑の中での大島副大臣の御答弁との関係でお尋ねしたいんですが、大島副大臣は、適格性審査において政治家の関与は排除をしていると述べておられます。これは当然の見識だと思うわけですが、その理由は何なのか、お答えいただけますか。

大島副大臣 塩川委員にお答えをさせていただきます。

 一般論として政治家の関与は排除させていただくということで、制度設計等は政治の側がするとして、適格性審査に関しての一般論としての政治家の関与というのは私のこれまでの経験から排除をした方がいいという趣旨での答弁でございまして、適格性審査は、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を判断するための審査でありまして、客観的かつ公正に行われることがまず必要だと私は考えております。

 それで、先ほどの私の答弁は、適格性審査は客観的かつ公正に行われるべきものであり、審査が恣意的に行われるようなことがあってはならないという趣旨で申し上げたものでございまして、いずれにしても、適格性審査は内閣官房長官が行うとの法案の規定どおり、内閣官房長官が最終的な判断を行うことになると考えております。

 以上です。

塩川委員 内閣官房長官が最終的には判断を行うけれども、審査そのものは客観かつ公正に行われなきゃいけない、審査が恣意的に行われてはいけないということでありますが、そこをどういうふうに担保するのかということであります。その点の制度設計、仕組みというのはどのようにお考えなのか。

 では、大島副大臣にお答えいただいて、その後、官房長官にぜひお聞きしたいと思います。

大島副大臣 ありがとうございます。

 適格性審査は、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を判定するための審査でございまして、客観的かつ公正に行われることが必要と考えており、適格性審査の進め方についても、必要に応じて民間有識者等の意見を聞いてまいりたいと考えております。

 具体的には、例えば人事評価、職務履歴等に関する書類や面接の結果をもとに、必要に応じて民間有識者等からも意見を伺いながら審査を行うことを想定しております。

塩川委員 その辺について、官房長官にお尋ねしたいんですけれども、公務の中立性、公正性の確保のためには政治家の恣意性を排除しなければいけない、しかし、最後の審査は当然のことながら官房長官が行うということになって、その辺のけじめといいますか仕組みの問題で、適格性審査の進め方について、恣意性を排除するという制度設計について、具体的なイメージの話をぜひもう少ししっかりお示ししていただきたいと思っているんですが。御説明と同時に、何らかのものをお示ししていただきたいということをお願いいたします。

平野国務大臣 今大島副大臣が答弁をいたしましたけれども、特に人事というのは恣意性というものが入るとよろしくないという、これは民間、国を含めて、すべてやはり人事というのはそういうものだと私は思います。

 しかし、だれかが決めていくわけでありますから、当然、決めるということは一つの判断をするわけですから、プログラムでこれを入れて、これに合格したからこの人事はいいとか云々ではありません。人が決めていくわけですから、それをもって恣意性というのかどうかということは、また議論はあるわけであります。

 しかしながら、今先生御指摘のように、この審査というのは、やはり客観的に、公正にやらなきゃいけない。そのセクションの責任者は官房長官がやるということでありますが、特にポイントは、適格性審査をしていく過程において政治家の関与、これは多分大島さんがおっしゃったんですが、私の認識では、やはり政治性を排除する、政治性を排除して客観的に公正な審査を行う、こういうことが私の認識をしているところでございます。

塩川委員 適格性審査そのものが、その際の基準となるのが標準職務遂行能力ですけれども、これ自身が非常に抽象的な中身だというのはこの委員会でもずっと議論してきて、そういう点でも恣意性が入るんじゃないのかということになってきているわけです。その点での政治家の関与があってはならない、排除しなければいけない。

 その際に、政治性を排除するということを官房長官はおっしゃったわけですが、それをどうやって行うのかという仕組み、制度設計をお出しいただきたいということなんですけれども、いかがですか。

平野国務大臣 何回も申し上げますが、やはりそれは、固定した人の考え方ではなくて、その時々に応じて客観的に第三者、民間のそういう方々の御意見も伺う、こういうことがより客観的、より公正なステージになるのではないかと私は思います。

塩川委員 どういう制度設計にするのか、政治家の恣意性を排除するという目的が達成できるのかという検証も必要ですから、関連するそういう制度設計の中身について、具体的な案をお示ししていただきたい、この委員会にお出しいただきたい。この点について、委員長としてお取り計らいをいただきたい。

田中委員長 後刻理事会で検討させてもらいます。

塩川委員 終わります。

田中委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 まず、午前中の赤澤委員と仙谷大臣との議論について、一点だけ伺わせていただきたいと思います。

 事務局の人事について、いろいろと大臣もお忙しいということで、よくその中身を御検討されていなかったという答弁があったというふうに思います。そういうふうに私も聞いたんですが、忙しかった理由というのもおかしいんですが、どういうところでお忙しかったか、その辺をまず伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 担当部署が多くて、そして、例えば行政刷新という部局は、私、新聞のインタビューなんかをぶら下がりで受けたときも、とにかく部屋もなければ何もないんだと。現に、本当に大臣室もなかったですし、事務局をどこへ置くのかというのも決まっていません。だれが事務局を構成するのかも。この一からの作業があったわけでございます。

 既存の規制改革や公益法人の認定は、事務局がもちろんあります。あるいは、市場化テストというんですか、官民競争入札、これも、事務局も、それから同意人事で選ばれた委員の方もいらっしゃる。種々雑多な業務を聞き取りながら、これを我々の政権としては、どう構成し、活用できるのか、あるいは、もうやめるのか、再編成するのかということもやらなければならない。公務員制度改革の問題も、その中の大変大きい作業でございました。

 先ほどの話は、おやめいただく前に一人一人に理を尽くして時間をかけて説得したか、こうおっしゃるから、そこまではできていません、こういうお話をしたわけであります。

 これは、大変なことをおっしゃっているというか、例えば、今適格性審査が問題になっていましたけれども、まず、今回この仕事をスタートして、官房長官がでは六百人なら六百人、八百人なら八百人の候補者一人一人に何分かけて面接できるかというようなことを考えたら、先ほどの質問は、私は率直に、そこまで、やめていただく可能性のある方に理を尽くして説得までできていなかったという意味のことを申し上げたわけであります。

浅尾委員 やめていただく方に理を尽くす必要性があるかどうかということについては、大臣の御答弁も、私はそれはそうだと思います。

 ただ、問題は、新たに事務局に採用される方について、そこを見ていないとなると、それが果たして本当に政治主導というか、大方針を示して、そしてその大方針に合う人を事務局に選んでいくというのがまさに政治主導なんですが、新たになられる方も含めて忙しくて見ていなかったというように少なくとも聞き取れる答弁でありました。

 そして、まさにこの国家公務員法を読みますと、第二十七条の二に、人事評価に基づいて人事は適切に行わなければいけないということですから、新たに任命する人は人事評価に基づいて適切に行わなければいけない。その任命権者が見ていないとなれば、これは国家公務員法の第二十七条の二に違反することになるわけです。

 その点について、新たに任命した人についてはちゃんと見ていたのかどうか、お答えいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 それは、議事録をもう一遍ひっくり返して確認していただきたいと思うんですが、私は、新たな事務局構成をするについては、大島副大臣が事務局長、階政務官を事務局次長格にし、もう一人の事務局次長には民間から来ていただいた、さらには、審議官はこうしたと。これは、もちろん内閣官房からの御推薦をいただいた、特に審議官以下は、御推薦もいただきましたけれども、私もお会いして、これなら心配ない、優秀な方々だということで新しい事務局を構成した、そういうふうに答弁した記憶があるのでございますが。

浅尾委員 確認ですが、事務局の人事権者は官房長官ということになりますか。

仙谷国務大臣 これは担当大臣の宿命みたいなもので、形式的な人事権の流れは、官房長官に事務局の人事権もある、こういうふうに考えておりますし、運用されております。

浅尾委員 そうすると、この国家公務員法の第二十七条の二で言うところの人事評価に基づいて適切に行う義務を負っているのは官房長官ということでよろしいですね。

平野国務大臣 浅尾さんにお答えします。

 ルールどおりということでいきますと、主務大臣が総理ですから総理ということになるんですが、そういうことを聞きたいわけではないですね。いいんですか、それで。

浅尾委員 私が申し上げたいのは、ルールどおりでいけば主務大臣は総理ということでしょうけれども、国家公務員法で規定する人事評価の責任者、そこの責任者をはっきりさせないとしっかりとした体制ができない、まさに政治主導で政治家が全部やるわけじゃないわけですから。

 そうだとすると、だれの責任においてそういう人たちを選んでいるのかということを、形式的には総理大臣だけれども、総理大臣から実際的に委任されている人はだれで、その人がどうやっているのかということを伺っています。

平野国務大臣 内閣官房長官だと私は思います。

浅尾委員 しかし、官房長官も、その事務局になられた方について、実際、こういう人はこうだということをおわかりになって任命をされたわけでは正直言ってないだろうなというふうに思います。そうすると、どなたがどういう基準で選んでおられるのかということは、これは結構、根幹をなす部局ですから、大事なのではないかなと。選ばれた方が、その人をしっかりと人事評価を聞いた上で選んでいるのか、まあ、聞いた上で選んでいるんだと思いますが。

 要するに、政務三役の趣旨に沿った形で選ばれているのか。しかも、一番のポイントは、だれがどういう理由でその人を選んだのかというのが明らかにならないと、責任の所在も明らかにならないのではないかということで質問させていただきました。

平野国務大臣 これも、浅尾さんも御案内のとおり、それぞれの立場、それぞれのレベル、それによって人事は決まっていくわけでありますし、そこで決裁をする、それが上がってきて最後の責任者が了承する、こういうプロセスで決まっていくものだと思います。

浅尾委員 具体的に申し上げた方がいいと思うんです。

 大島副大臣が事務局長をやっているところの残りの人事について、どなたが責任を持って人事評価を下して選ばれたんですかということです。

仙谷国務大臣 これは、形式的には先ほどから官房長官がお答えになっているとおりでありますが、実質的には私が責任を持って、政務三役でももちろん協議をいたしましたし、官房とも協議をして、私が責任を持ってこうしようというふうに決めた。これを形式的にオーソライズしたというのが官房長官、これもまあ実質かもわかりません。それで、形式的には総理大臣の名のもとに任命された、こういうことになると思います。

浅尾委員 では、確認いたしますが、仙谷大臣は、新たに任命した人については人事評価に基づいて適切に御自身で判断したというふうに自信を持って言えますね。

仙谷国務大臣 詳しく言うと、人事評価というのはこれからの話だと思います。したがって、もろもろの情報に加えて、私がお会いして、ああ、この人ならば心配ない、あるいは、もう少し言えば、こういう方がこういうふうに紹介してきているんだから心配ない、こういうふうに判断したということでございます。

大島副大臣 多分、先般も答弁したと思うんですけれども、人事評価、能力評価と業績評価は去年から始まっているので、まだ現時点においての人事評価は具体的にはないと思って、今は経過措置で動いているかと承知をしております。

浅尾委員 確かに、平成十九年に成立した法律に基づいて人事評価ということですから。

 いずれにしても、それのもとになることをベースに選んでおられるという理解でよろしいですね。

大島副大臣 もとになる人事評価が具体にはどういう内容かというのはあるんですけれども、皆さん優秀な方が公務員の部局にいらっしゃるということで、それは協議をして決めさせていただいているということになるかと思います。

浅尾委員 時間ですから、終わります。

田中委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時五分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小渕優子さん。

小渕委員 自由民主党の小渕優子でございます。

 金曜日の夕方近くなってまいりましたが、最後まで張り切って元気よく、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、特に、国家公務員の政治的中立性、そして優秀な人材の確保、この二点に絞って、政府提出法案の問題点について質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、仙谷大臣にお伺いをさせていただきます。

 国家公務員、特に幹部公務員の政治的中立性の重要性について大臣の認識をお伺いしたいと思います。あわせて、具体的に、政府提出法案において、幹部公務員の政治的中立性、それと内閣主導の人事登用について、どのようにバランスを図っていくのか、質問させていただきます。

仙谷国務大臣 この問題、言うはやすく行うはかたしといいましょうか、言葉で言えば何かわかったような気になるわけですが、現実にはなかなか難しい問題だろうなと思います。

 小渕議員も大臣をお務めになっていらっしゃるので、部下というと語弊がありますが、幹部公務員、それからスタッフとしての力を持った公務員、いろいろおつき合いされたと思いますが、今私がこの手に持っておりますのは、人事院が、「新しい時代の職業公務員の育成 政治主導を支える「全体の奉仕者」像」という、むしろどういう研修をすればいいかという観点でつくった冊子でありますが、これを見ておるんですが、そこにこういう言い方が出てきます。

 国民全体の奉仕者たる公務員のあるべき姿に向けた研さんをしてもらわなければならない、それから次が、使命感や健全な誇り、気概が必要だ、その次に、政治と節度のある距離の確保ができる公務員でなければならない、さらには、縦割りを超え、現実的課題を解決する能力が必要である、その次は、失敗も含めた過去の行政事例の分析を通じた問題解決能力、さらには、古典教育等を通じた人格、倫理観の形成というのが必要だ。こういうことであります。

 中立性に限って言えば、幹部公務員の場合にはとりわけ、政権交代が起こるということを一つの前提にして、政治に従い、政治を支えるための意識や能力、これは、政治に従うということが、果たして、日本的な、今まで中立性と言ってきたものとどう関係するのか、あるいは感覚的にそのことがどう納得されるのだという、まことに今日的な、つまり、公務員制度改革基本法以降政と官の関係というのが意識して論じられているわけでありますが、その場合に、政治に従う、そして政治を支える、この二つの要素が改めて、全く政治とは関係のないという建前のもとでの政治的中立性ということとはやはり様相が違ってきているのではないかと私は思っております。

 これは、先ほどの、どういう公務員になってもらいたいかという研修の中での、使命感や、あるいは、やはり政治との節度ある距離をどう確保するのか、緊張感を持ちながらどう行うのか、これは政治の側も、あるいは官僚の皆様方にもそういう意識を持ってもらわなければなりません。反対に言えば、政治と節度のある距離感を持っていらっしゃる幹部を幹部として登用できるかどうか。

 余り、手のひらを返したように、べちゃべちゃ、ごまをすりながらついてくるような、そういう公務員というか官僚、幹部の方を、政治家の方はよく見きわめて、そういう人は高い評価はしないとか、そういうことが必要なのではないかな、そういうふうに考えております。

小渕委員 ありがとうございます。大変長い御答弁をいただきまして、丁寧に、ありがとうございます。

 そこで、結論としてはどういうことかなと今考えておりましたところ、難しい問題だという大臣のお言葉なのでしょうか。ただ、やはり政治的な中立性というものは大事である、しっかりこの辺は担保していかなければならないということではないかと思っておるんです。

 今回のこの政府提出法案のように、内閣主導で人事を行ってくる、その面について強化をしていくということになると、厳密に、客観的に各人の能力、実績を評価し、公平公正な人事が行われる、その仕組みを制度として盛り込んでおかなければ、大臣の主観に基づく情実人事が横行するおそれがあるのではないか、そのように思っております。

 そこで、ことしに入ってから二度にわたりまして、総務省において、その懸念を裏づけるような人事が行われたのではないかと疑わせるような報道がありました。大々的に報道されたにもかかわらず、いまだに、大臣であります原口総務大臣から、それらの人事の意図、判断理由など、疑念を払拭するための説明はなされていないのではないかと思います。きょうは総務省の副大臣にお越しをいただいておりますが、ちょっとその点について質問させていただきたいと思います。

 報道によりますと、四月一日付で、大臣官房総務課長、国会連絡室長と室員二人が、原口大臣が国会審議に二度遅刻をした問題の責任をとらされて更迭されたとのことですが、これは事実でしょうか。

渡辺副大臣 小渕委員の御質問にお答えいたします。

 四月八日の総務委員会におきまして、石田真敏委員からの質問で同様の質問がございました。

 そこで原口大臣は、四月一日の人事は、三月の二十四日に予算並びに地方税関連法案、交付税法が成立をしたこと、あるいは二十六日に合併の特例法が、市町村合併の法律が成立したことを受けて、四月一日に、地方との人事交流を行う、例年の大規模な異動を契機に行ったものでございます。その中で、原口大臣は、そのような人事について、更迭やそういう意図があったわけではないということを明確に言っておりまして、これは降格でもなく同格の人事でございますので、その点は明確に、もう既に総務委員会で御党の石田委員の質問に総務大臣がお答えをしております。

小渕委員 報道によりますと、これは更迭なのではないかということが何紙にもわたって報道されているわけであります。

 とするのであると、こうした情報というのは政務三役の方から話が出ているんですか。それとも、官僚の方からこうした情報というのは出ているんですか。もしそうだとすると問題だと思います。その辺の事実確認はされているんでしょうか。

 また、これは特に問題のない人事異動だということをおっしゃるんですが、国会開会中に国会対応のかなめである存在の課長さんを異動させるということ、これはそんなに頻繁に起こることなんでしょうか。極めて異例なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺副大臣 四月一日付の人事につきましては、これまでも大規模な異動を行っておりました。ですので、今回異動になった官房総務課長がこの異動のお一人であったということにつきましても、これは従来の人事交流を含めた四月一日の異動の中の一つであるということでございます。

 また、今申し上げましたように、予算が成立したこと、あるいは日切れ法案の処理が終了した、また懸案の法案が成立をしたということで、これは、国会に提出をしております放送法等の一部改正法律案等今後のさまざまな総合調整事務において重責を担っていただくということで適所に異動したということでございます。

 報道等では更迭ではないかと言われていますが、どのような意図で報道が書いたのかは、これはもちろん、私もかつて新聞記者を、委員もTBSにいらっしゃいましたので、報道にてどのような意図で、記者がどう取材をしてどのように書いたかは報道の裁量だと思いますが、少なくとも更迭と言われるようなことではないということは、大臣がもう繰り返し否定をしております。

小渕委員 それでは、あわせてお伺いをしたいと思います。

 また報道によるとでありますが、一月にも、在任半年の前事務次官を交代させるという、これも異例の人事を行っています。前事務次官が前政権寄りだったからなどの憶測がなされている中でありますけれども、原口大臣から、この人事の意図、判断理由などについて具体的な説明がなされていないのではないかと思います。能力、実績に基づく公平公正な人事を行っていると主張されるのであれば、やはりこうした疑念に対して真摯にお答えをしていく、みずから進んで説明をしていく、その姿勢が必要なのではないかと思います。

 一月の事務次官交代人事の意図、判断理由、特に、例年の夏の異動まで待てず、一月でならなければならなかったその具体的な理由、それについてお伺いしたいと思います。

渡辺副大臣 今の、当時の鈴木次官の人事異動につきましては、実は総務委員会でも石田委員から、これは異例ではないかと言われました。

 ただ、異例という言葉は、これは恐らく官の世界から見たら異例なんでしょうけれども、現実問題として、任命権者である大臣と、そしてまた御本人から辞任の申し出があったということで、円満に事務次官の座を譲られたわけでございまして、そういう意味におきましては、これは当然、新体制の中でやっていくという中で一区切りがついたということで、双方の思いのもとでこうした交代があったということでございます。

 決して前政権寄りだから生首を切るようなことをしているわけではございませんし、この鈴木前次官は今も総務省の顧問という形で大所高所から原口ビジョンの実現に向かって連携をしているというところでございます。当然、決して前政権寄りだから懲罰的な意味を込めて生首を切ったということではございませんので、その点についても、我々は三役の中でも、また総務省の中でも認識を共有しているところでございます。

小渕委員 今御説明があったわけですけれども、なぜ夏ではなく一月の時期でなければならなかったのか、その具体的な説明ということに対して十分ではない。今、当の総務省の職員の皆さん、また国民の皆さんがこうしたことについて納得できるのか。私は、それは説明として不十分ではないかというふうに思っております。やはり、これまでと違うことを行うのであれば、だれもが納得のいく説明をしっかりすべきではないかと思います。

 結局、本当に客観的な能力とか業績とかを評価した結果に基づく人事であったのか、その疑念というものは晴れないわけで、こうしたことが鳩山内閣において一回だけでなく二回、三回と、いろいろなところでこういうことが起こってくるわけで、こういうことが何度も続いてくると、やはりそれはそんなに単純な異動ではないのではないかというふうに、皆さん方も、そして国民も思うわけであります。

 申し上げるまでもなく、公平公正な人事に対する信頼が揺らげば職員の士気は著しく低下をしていきます。組織の存続すら脅かしかねないということは、これは人材マネジメントの基本ではないかと思います。これは国民にとっても大きな損失になるということは言うまでもないことであります。

 今後さらに内閣主導の人事を強化する今回のこの政府提出法案における国家公務員制度のもとでは、厳格に政治的な中立性を担保するための措置をしっかり盛り込んでいくべきではないかと思います。そうしていかないと、やはり、幹部公務員として重用されるには、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、大臣にとって耳ざわりのいい話をする人、あるいは大臣や政権に迎合的な行動をする人、そういう人の集まりになってしまうことであって、これは本当に、国の将来を考えたときに大変大きな問題になってくると思います。

 仙谷大臣にお伺いをいたします。今回のこの総務大臣における一連の人事についてどのようにお考えになりますでしょうか。この政府提出法案は、こうしたことがさらに強化をされ、いろいろなところで疑念を生むことにならないのでしょうか。質問させていただきます。

仙谷国務大臣 総務省でそのような、新聞で報道されておりますような人事がなされるときに、どういう事情があったのか、どういう評価がされたのか、それはわかりません。私はわかりませんのでコメントのしようもございません。

 ただ、自民党、みんなの党さんが提出されている法案でも、幹部人事をある程度、政治との適切な関係の中で、好き嫌いとか、党派的にいいとか悪いとか、右とか左とか、そういうことじゃなくて、しかし、にもかかわらず、例えばこの局面でこの政策を遂行するためにここで人事を行いたいというときには幹部人事をかえる、そのことができるような体系にしたいというのは、やはり、自民党、みんなの党さんの法律案もそういう趣旨が含まれているのではないかと私は見ておりますというか解釈をしておりまして、やはりそれはある種の時代の要請なのではないか。

 五五年体制が終わった後の、そして現時点での我々の、ある種の、失われた十年なのか二十年なのか、私は決して失われたと思っていませんが、しかし、経済成長やその他のいろいろな面から見て、どちらかというと、やはり閉塞とか窒息とか、そういう感覚で言われている事態が今の日本でまだまだ続いていることもまた間違いがないわけで、そうだとすると、キャリアの方々あるいは政策の企画立案をされる方々に我々が期待するところも、従来よりも、政治との関係において適切な距離感と、適切な専門家としての政策選択肢の提示ということが求められている。

 つまり、優秀と言われた、例えば、金丸さんは昔、八九年、九〇年の選挙のときには、いやまあ、自民党から社会党の政権にかわっても大丈夫なんだよ、役人が優秀だから大丈夫なんだ、自民党の政治なんてもうそんなものだみたいなことを当時の金丸さんは言っていましたけれども。そうだったのかどうかは知りませんよ。それは知りませんけれども、そういうところからはやはり一歩進んだ段階で政と官の関係をつくらなければならないということだけは間違いがない。

 総務省の人事は、まことに申しわけございませんが、全く事情がわかりませんのでコメントをする立場にないと思います。

大島副大臣 答弁をさせていただきます。ありがとうございます。

 今回の法案においては、幹部職員人事の弾力化のほか、幹部職員人事の一元管理を実現するために、一つは、官房長官が、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を適格性審査において判定して、審査の合格者について、まず幹部候補者名簿を作成する。任命者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、人事評価等に基づき、任命しようとする幹部職員についての適格性を判断して任用を行う。幹部職員の任命を行う場合に、内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者により協議を行うこととしております。内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者により協議を行うこととしておりまして、このような基本的な仕組みを法定して、内閣総理大臣、内閣官房長官及び任命権者が幹部職員の人事について責任を負う体制をまず確立させていただいております。

 個々の官職への任用の際の官職についての適性の判断に当たっては、人事評価等に基づき、個々の官職ごとに求められる専門的な知識、技術、経験等の有無を考慮して行われる必要があり、これに反する恣意的な人事は許されないと考えております。

 また、幹部職員の任命については、内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議が必要になっており、複数の視点によるチェックが働く仕組みとなっております。このような仕組みは、任命される職員の国民全体の奉仕者としての性格には影響を与えるものではなく、公務員の中立性は確保されるものと考えております。

 いずれにしても、具体的な人事については、官職についての適性があると判断されることを前提としつつ、重要課題への対応の必要性、職員全体の士気の維持向上、さらには組織運営への影響などについても十分に考慮の上行われることが必要であると考えております。

 私も、福島大臣の下で、小渕先生が大臣をされていたときの部下の皆さんとも仕事をさせていただいておりまして、ほかの部局も含めて、極めて誠実に仕事をしていただいているという認識を持たせていただいております。

小渕委員 先ほど大臣から、自民党、みんなの党が出している対案についても同じような考えではないかというようなお話がありましたが、それについては、この後、対案提出者に質問させていただきたいと思いますが、その前に、今、副大臣からのお話の中で、法案第六十一条の四において内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議が定められていると。

 仮に、ある省の大臣が公平公正性に問題のあるような幹部人事を行った場合、先ほどの情実人事ではありませんが、その場合、内閣総理大臣及び内閣官房長官、これはどのような責任を負っていくのでしょうか。

大島副大臣 情実人事であるかどうかというのは、これはなかなか主観的な判断で、私が語るところではないんですけれども、幹部人事については、大臣だけで決められるものではなくて、総理大臣及び官房長官だけで決められるものではなくて、この両者が協議をすることによって、複眼的に見ていただいて人事を行う、そういうたてつけにさせていただいております。

小渕委員 済みません、何かちょっとわかったようなわからないようなという感じなのですが。

 心配をされるのが、やはり客観的な評価というものをどのように担保していくのかということなんだと思うんです。

 それで、先ほどもお話ありましたように、私も大臣をやっていましたときに、いろいろとやっていただいた役所の皆さん、本当に誠実にやっていただいたと思っておりますし、そのあたりはしっかりとした距離を持ちながらも、やはり国家のためにというか国民のために仕事をさせていただいたと思うのですが、そうした方々が考えても、公平公正である人事というのは、これはなかなか難しいことであると思うんですけれども、そのあたりはしっかり担保していかなければならないと思うんです。

 そこで、議員立法の提出者にお伺いをさせていただきたいと思います。

 対案について、このあたりは、内閣との一体性ということを記述しているとともに、やはり政治的な中立性の担保、客観的評価についてもしっかり残していくということが示されているかと思うんですけれども、その、今の政府案と対案との違いについて御説明いただきたいと思います。

塩崎議員 お答え申し上げます。

 最大の違いは、政府案は、幹部について一般職のままでいきましょう、こういうことになっているわけであります。これは、公務員制度改革をずっと議論してきた中で、基本法の中で、新しい幹部職というものをちゃんとつくりましょうということになって、これは与野党合意の基本法の中に書いてある。

 ということで、我々は、一般職ではなくて、政治任用と一般職との言ってみれば中間的な幹部職というものを新たに設けた。今までは一般職でありますから、能力・実績主義でいくということで、標準職務遂行能力を見て大丈夫ならば、そういうことでいくんですけれども、我々は、三十万人余りの公務員の中で六百人が幹部ということで、取締役という話がさっきから出ていますが、こういう人たちについては、やはり内閣との一体性が政治主導の政策決定をするためには必要だろうということで設けたわけであります。

 しかしながら、今お話しのように、政治的中立というか、国民全体への奉仕者という観点を忘れない、憲法には政治的中立ではなくて国民への、全体の奉仕者ということでありますので、我々としては、やはりできる限り客観的な評価というものもやっていかなければいけない。

 政府案との最大の違いは、標準職務遂行能力が、彼ら幹部では、結局、次官、局長、審議官、これが一つになっているから、何の基準で客観的に評価されて、上に行った、下に行ったということがわからない。これではやはりいけないんじゃないかというところが最大の違いだと思います。我々は、むやみやたらと、好みで、あるいは印象で、主観で大臣が幹部を動かすようなことはいけないということを強く思っているがゆえに、標準職務遂行能力がちゃんと、我々は今度次官級はなくしますけれども、局長そして審議官はちゃんと定めて客観的な評価をしていこうということでありますので、決して大臣の主観で人事が行われることがないようにしていくようにしているわけであります。

小渕委員 ありがとうございました。それを聞いて大変安心をいたしました。

 やはり公平公正な形で、客観的な視点というものもしっかり含めながら人事というものは行っていかなければならないですし、組織で働く方々はやはりそういう視点というものが大切であると思いますし、そうした思いによって士気が高まっていくのではないかと思っております。

 もう一つの懸念であります、では優秀な人材をどうやって確保していくのか、この点について御質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもないですけれども、やはり国家公務員は、真に優秀な人材がみずから進んで志望する、そんな魅力的な職業でなければならないと考えています。今、組織や器を変えていく、その中に入ってくる人材というものも、やはり効率性や創造力が求められる、優秀な人材をしっかり確保していかなければならない、その思いは同じものがあると思います。

 しかし、近年の公務員バッシングの中で優秀な人材の公務員離れが進んでいること、これについては否定し得ない事実であり、その上さらに今回の国家公務員制度が現実のものとなっていきますと、優秀な人材というのはなかなか集まってこないのではないかというふうに心配をしております。私は、内閣主導の名のもとにそうした情実人事が横行するような仕組みではなくて、やはり信賞必罰を徹底し、客観的で公平公正な人事と処遇を徹底することこそ、職業としての公務員の魅力が増し、多くの優秀な人材を引きつける、そうしたことこそが公務員制度改革の目指すべき方向性であると確信をしております。

 大臣にお伺いをします。どのような人材に国家公務員を志望してほしいと考えておられますか。そして、今回のこの政府提出法案は、どのような点でそうした人材を引きつけられると考えておられますか。

仙谷国務大臣 人材論というのは、基本的に、偏差値が高い人、もう少し言えば、従来のように国家公務員試験の成績上位の人、あるいは、さらに司法試験まで合格している人、外交官試験も合格している人、いろいろな指標があったわけでありますが、そんなことはもうほとんど意味がない時代になったというのが私の一つの考えです。

 そして、私の時代なんかには少なかったわけでありますが、今の中堅以下といいましょうか、あるいは定年間近の方も含めて、ほとんどの方が外国語がおできになる、つまり、議論ができる外国語を持っていらっしゃったり、あるいは、そういう人脈の中で情報をちゃんととる能力をお持ちだということから考えますと、私は、そういう意欲と可能性、それから責任意識と使命感がある人ならば、あとは、公務員なら公務員になられてからの自己研さんと、あるいは組織の中での上司に恵まれるかどうかとか切磋琢磨のいい機会があるかとか、こういうことが要素としては一番大きいと思います。

 だから、極論すれば、何人お受けになるのか、そこまで知りませんが、公務員試験一番の方と百番の方と三百番の方と五百番の方と、五百人まで合格するのかどうか知りませんけれども、そういうペーパーテストを基本にした試験の成績よりも、もう少し、入ってからの御本人の立ち位置とか目線が、絶えず、やはり国民の全体の奉仕者というか、国民目線で謙虚に考えられる人。組織を維持する、保全するよりも、国民の権利とか国民の生活ということを大事に考えられる、そういう修練を積めるような可能性というか素質がある。これはだから、採用側の方でそれを見抜かなければいけない。従来のように成績のいい人から採っていくということがもしあったとすれば、それはそろそろ変わってもらわなければならないな、こういうふうに思います。

小渕委員 もう一つ質問があったのですが、今のを大体まとめると、成績優秀ということだけでなく意欲と可能性、責任感と使命感がある人ということでありますが、今回の制度改正によって、どういう点でそういう人材が集められるとお思いでしょうか。

 例えば、政府提出法案のもとで幹部公務員の処遇、年収、実際の勤務日数、時間など、これはどの程度になるんでしょうか。標準ケースの試算で構いませんので、具体的にお答えいただきたいと思います。

階大臣政務官 今私が覚えておりますのは年収の点でございます。

 事務次官級は二千三百万円が標準的な年収になります。それから、局長級は千八百万円が標準的な年収であります。それから、部長級は千六百万円が標準的な年収になります。

小渕委員 これは、今回の制度改正によって変わってくるということでよろしいですか。

大島副大臣 今回は変わりません。それは、事務次官級は事務次官級の給与、あるいは局長級は局長級、部長級は部長級の給与が支払われるということになっております。

 若干補足させていただきますと、小渕委員おっしゃっていました、有為な民間の人材を登用するということだと思うんですけれども、これについては、今回の幹部職の適格性審査あるいは登用に当たっては公募というシステムを導入しておりまして、民間人材も、公に尽くしたいという方、民間で働いていらっしゃる方も、ある程度の年限が来ますと、私と同じぐらいの年になりますと、やはり民間よりも公のために尽くしたいと希望される方が出てくることも確かなんです。給与よりも公に尽くしたい、そういう方たちが応募できるシステムも今回の政府案の中には取り入れさせていただいております。

小渕委員 今回の公務員制度改革で、昇任や降格について、やはり不安定な状況になっていくんだと思うんですね。それで、処遇に関してもそんなに変わらないということを今おっしゃった。

 公務員だけでなく普通の民間企業もそうですけれども、やはり優秀なというか、先ほど大臣のお答えにあったような、可能性があって、責任感があって、使命感があってという人材には、普通の民間の企業も集まってほしいわけですね。そういう方々にチャレンジをしていただいて、中で御活躍をいただきたい、その思いはあるのですけれども、一方で、今回の法改正によって、処遇の面で決してしっかりとした提示がなされていないのではないかと思うんです。

 というのは、民主党マニフェストによって、総人件費の二割削減ということをおっしゃっています。一方で、在職期間の長期化も掲げている。これは何度も議論に出てきていることなんですけれども、一方で優秀な人材が欲しい、変わらない処遇をしていくんだと言いながら、ここで人件費二割削減をする、退職については、定年まで在職してもらうということで、そうなってくると、この二つを両立させていくというのは極めて困難なことで、これは、職員の大幅な賃金カット以外その答えはないのではないかと思うんですね。

 そうしたときに、優秀な人材は欲しい、処遇は変わらないといっても、このマニフェストが出されている以上、公務員になりたいという人たちは、未来に対して決して安定的ではない、役職もそうだしお金についても決して安定的ではない、これはどうなってしまうんだろうというふうに思うと思うんですが、大臣、人件費二割削減と定年まで在職させること、これはどのように両立をさせるんですか。職員の給与を二割削減していくんでしょうか。

仙谷国務大臣 私どもは、おててつないで同期が同時期に昇進していく、これは民間会社ではあり得ない、今後はこの種のことは少なくしていかなければならない。幹部人事、六百なら六百の間でも、名簿に登載された方でも、スタッフとしての仕事にとどまるという方も出てくるであろう。

 さらには、若い人には特に、同時期で課長さんぐらいまでは昇進をして、その後は、悪くても天下りを何回して退職金が何回か出る、独法、公益法人を渡っていく、こういうことを期待される方々は応募することをやめていただいて結構だと思いますし、その種のお気持ちになられた瞬間にそろそろお引き取りをいただくということだろうと思います。

 それから、高年齢者の賃金についても、これはできる限り民間並みに、やはりある種の年齢で、民間の場合には、執行役にならない、あるいは取締役候補にならない方はどうしても賃金が低減していくということをお受け入れいただくということになっておるようでありますから、そういう賃金カーブの給与体系をつくらなければならないのではないか、私はそう思っております。したがって、今は、級数ですか、そういうものについて、段階的に、経年的に上昇することに事実上運用されておりますけれども、そういうことは、私どもが政権をとって全般的な公務員制度改革を行うときには、そういう賃金の体系にもされなければならない、こういうふうに考えております。

小渕委員 何かわかったようなわからないようなお答えだと思います。

 やはり大きな志を持って公務員になる方々がおられる中で、今回私たちは公務員の制度をどうしていくかについて話をしているわけなんですけれども、役職に関してもどうなるのかわからなくて、好き嫌いというものが入ってくるのではないかという不安もあり、処遇も、今の大臣のお話を聞いていると、今後全くどうなってくるのかわからないという中で、優秀な人材を確保していこうということ自体がかなり難しいことではないかと思うんです。

 マニフェストで二割削減ということをおっしゃっていて、現実的になかなかこれが達成できるめどがついていないと思うんですが、できないことを余り口ばかりで言っていてもだめなんだと思うんですね。

 例えば、新しい人を何人採っていいのかもわからないという状況にあるんだと思うんです。優秀な人材は欲しい、だけれども入る枠さえない、組織の新陳代謝もとまってしまうのではないかという中で、これまでもそうですし、これからも、国のために働いてもらう公務員のあり方というものが、根本的にどういう公務員が欲しいのかというあたりがちょっと、随分とその姿というものがはっきりしていないのではないかというふうに思うんですが、その辺の、人事のというか、組織の新陳代謝はきちんと回っていくんでしょうか。そして、この条件で優秀な人材というのは本当にちゃんと確保していけるんでしょうか。

仙谷国務大臣 御心配いただいてまことにありがたいのでありますが、私は、具体的に申し上げれば、この後ろに座っている我が党の、今一年生議員という名前でありますが、若い方々のビへービアをごらんいただければ、日本をよくしたい、自分の能力を政治に使いたい、あるいはそのことが、政治ではなく、政治になる前なのか、それとは別の話かわかりませんが、日本の、公務員になって、キャリア官僚として自分の能力を磨いて、そのことを使ってこの国をよくしたい、そういう日本人は、女性も男性もまだまだ多く存在する、そういうふうに私は期待をしておりますし、信頼しております。そういうもともと優秀な人が、課長になる前に、天下り法人をつくらされてそこに行くような仕組みの中でみんな嫌になってやめて、我が党の議員となって、やろうとしているんじゃないですか。

 そういう、今までのような順繰り人事とか玉押し人事とかいうことで、地位が課長になり、審議官になり、局長になって何がおもしろいのかというのが私の発想であります。

小渕委員 時間が来てしまったんですけれども、随分と大臣の今の御意見は話が飛んでしまったのではないかと思います。

 こちらが申し上げたいのは、選挙前にマニフェストをつくった、実際政権を運営してみるとそれが全然実現できない。やはり、できないことばかり口にして結論は先送りというような状況でありまして、これは余りにも無責任であるかと思います。

 選挙目当てのスタンドプレーではなくて、党派を超えてしっかりと議論して、真に国民のためになる改革を実現すべきであることを強く申し上げまして、時間が参りましたので以上とさせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 いよいよ、きょうの最後の質問になります。皆さん、お疲れだと思いますけれども、もうしばらくおつき合いをいただきたい、そのように思います。

 今、私も、内閣委員会、新人議員として、この間、質疑をずうっと聞かせていただきました。率直な印象として、好き放題、勝手なことばかり言うなという思いもいたします。

 政権交代をしてもう七カ月余りということでございますけれども、民主党政権の課せられた宿命というのは、やはり何といっても、今までのさまざまな行政やあるいは政治の掃除であり、また改革であると思います。

 そういう中で、我々も改革を進めていくわけでありますけれども、どうしても時間が足らない、物理的に無理だということもたくさん出てきます。本来、もう少しましではないかなと思いながらも、開腹手術をしてみたら癒着がひどくて、とても簡単にはいかないな、それが今の実感だと思います。

 そういう面では、改革というのは、もちろんスピードは必要だと思いますけれども、焦って拙速をすることはやはり避けなければならないと思います。そういう面では、着実に改革につなげていく、そういう形、基本的な姿勢が、今、我々与党にも求められている、そのように思っています。

 そういう面で、今回の国家公務員の改正法案、政府提出の法案でございますけれども、まさに、そういう厳しい状況の中で、環境の中で、一歩前に進めていく、その気負い、また気概というものを感じますし、それをぜひ成立させていきたい、我々もそのように思っています。

 私の見解に対して、通告をしておりませんけれども、大臣の御見解、印象をお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

仙谷国務大臣 どうもありがとうございます。村上議員とほとんど考え方を一にします。

 法律にしても制度にしても、つまり、公務員に関する法律、制度にしても、要するところ、最終的には、その法律、制度が体系的ですばらしいということも一つ重要なことかもわかりませんが、何よりも、国民にとっての公務員、国民にとってのいいガバナンスがそこで行われるかどうかということでありますから、純粋論理的にいいとか悪いとかということだけではないというふうには思います。

村上(史)委員 私も全くそのとおりだと思いますし、本当に、例えば今の質疑を聞いていて、ふふんというような、鼻であしらうような、そういうことではあかんと思うんですよ。やはりみんな真剣にやっているんですから、当然、前向きな姿勢で臨まなければならないと思います。

 今回、特に、政府提出法案と同時に、衆法提出もなされております。きょうは、衆法提出者の皆様方にも質問をさせていただきたいと思います。

 今回、自民党の皆さん、そしてみんなの党の皆さん、共同提案ということでございますけれども、今回の提案をされている塩崎議員、そしてみんなの党の代表である渡辺議員、お両方は平成十九年に公務員制度改革を手がけられたお二人だと聞いております。安倍内閣のときだったと思いますけれども、塩崎議員は官房長官、そして渡辺議員は国家公務員制度改革担当大臣という形でこの法案を成立させたという経緯を伺っておりますけれども、その法案そのものに対して、当時、両大臣は、これほどの改革は初めてだ、官民人材交流センター、これは完全に天下りを禁止することができる画期的なセンターだ、そのように豪語をされておられました。

 ところが、今回、その法案を提出するわけではなくて、全く違う法案を出してこられる。一体、あのときの法案の皆さん方の自信、そして、その法案を自信を持って出しておられたお二人がどうして今回こういう形で新たな法案を出されたのか、その御見解をお伺いしたいと思います。御説明ください。

塩崎議員 村上議員にお答えを申し上げます。

 安倍内閣で渡辺大臣と一緒にやりました公務員制度改革、大きな法律改正としては初めてのものでありました。

 何をやったかというと、二つ大きなことがありました。

 一つは、いわゆる年功序列の人事をやめる、つまり能力・実績主義に変えるということでありました。これは、やる気を起こすという意味においては一番大事な、やはり、頑張っても頑張らなくても同じペースで上がっていくという、この年功序列はもうやめましょうということでありました。それが一つであります。

 もう一つは、これもやはり画期的でありますけれども、各省の再就職あっせんをやめる。それをやみでやる、裏でやるということについては監視委員会がきちっと見ていくということを決めたわけであります。同時に、そのときには、今御指摘のように、官民人材交流センターというのをつくって一括で再就職のあっせんをするということを考えていたわけであります。

 そのときに、実は、これからの公務員制度改革のあり方全体を考えようという政府・与党合意、そして、それを閣議にかけて閣議決定いたしました。それに基づいて実は基本法というのはできたんですね。これは、そのときは与野党で一緒にやらせていただいたということで、その基本法に基づいて去年法律が出て、それならば一年以内ということで、一年以内に出したわけであります。そして、今回、政府が出してきて、それに対して我々はまた別の、セットのものを出している、こういうことであるわけであります。

 では、なぜ官民人材交流センターをサンセットするのか、こういう御疑問だと思います。

 これは、まず、そもそも安倍内閣で制定した天下り規制でこのセンターを、位置づけたかといいますと、その当時、現行の給与体系、今もそうですけれども、給与をなかなか下げることができないというのが今の給与体系でありまして、先ほど仙谷大臣が、民間ではだんだん下がっていくというカーブを持っているんだから公務においてもそうしたらどうだという話を、法律に書いてもいないことをおっしゃっておりましたけれども。

 単に、いわゆる、早期退職勧奨、天下り、これを全廃すれば、結局、給与を変えなければ高い給料の人がずうっと最後まで、天下りまで残っている。さっき小渕議員が、天下りはやめる、肩たたきもやめる、そして定年までいられる、そして優秀な人は欲しい、だけれども給料はいじらない、これじゃ、ふん詰まりになって高い給料の人がいっぱいになってしまって二割削減ができるわけないじゃないか、こうおっしゃっていました。

 今申し上げているのは、給与体系を変えなければだめだということで、二割削減と言っているけれども、結局、高い給料の人が大量にたまって人件費が爆発的にふえるということになるんです。そういうことが起きないように、あの当時の給与であればやはり再就職を勧めるということをやらなきゃいけないねと。

 今、実は皆様方の内閣で多くの大臣が、やはり早期退職勧奨をやらないといけないんじゃないか、こう言い出しているのは、まさに我々がやっていたことを、今、ああ、やはりそういうことなのかということがわかったというふうに我々は思っています。

 要は、今回この法律を出したのは、新しいステージに公務員制度改革は移ってきているということであって、給与制度の改革を含めて、この改革の全体像を定める基本法を与野党で一緒につくった。それで、センターの扱いも今回新しいステージに移るべきで、この基本法に基づいた給与の体系の抜本的な改革を実行して、それにあわせてセンターのサンセットをすべきだということを我々は言っているわけです。

 本当に、我々から見ると、鳩山内閣は何周おくれか、三周おくれぐらいのことをおっしゃっているのではないかなというふうに思っているわけでありますので、給与体系について何も触れていないこの政府案、これはやはり欠陥法案だと私たちは思っています。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

仙谷国務大臣 官民人材交流センターは、鳴り物入りで、各省のあっせんはさせない、つまり、この交流センターであっせんさせるから透明度の高い、客観性の高い、そういうあっせんができるんだ、こういうふうなふれ込みでつくられて、そのとおり実施されたわけでありますが、ことしの三月三十一日まで、これは前政権のときからことしの三月三十一日まで、合計四百八十三人のあっせんが行われたという実態があるわけですね。

 その中で、個別の事例を見れば、依然として、各府省の指定席のような、あるいは世の中的に見て少なくともひんしゅくを買うような事例が多々あったというのは、この間の独法や公益法人仕分けやそういうところで問題視されるようなケースが、安倍内閣で官民人材交流センターがつくられた以降の、我々の政権ができるまでの間の実態でもあったということであります。

 この実態と、塩崎先生も含めて、当時の審議の過程でおっしゃったことの相違なり合致なりを検証して言っていただかないと、単に政府案を非難していただいても説得力はないということじゃないでしょうか。

村上(史)委員 まさに、今大臣がおっしゃったことを私は次の質問でしようと思っていたんですよ。

 初日でしたか、橋本議員が質問した中で、はっきり、そのときに三百八十何人、あれは、分限の分を差し引いた分は全くの天下りであったというのが実態なんですよ。あのときに、十九年度のときに、民主党が、これは天下りを公に認めるセンターだということで問題を指摘したのは御承知のとおりだと思います。現実にそうであったということなんですね。だから、そのことをきちっと認めるべきだ、そのように思います。

 それと同時に、今回、共同提案ということですけれども、渡辺代表は当時自民党でございました。時の麻生内閣のときに、いわゆるわたりを認める政令を出して、改革に逆行する、こういう政党にはおれないということで離党をされたはずでございます。今までの自民党ではとても改革はできないというので渡辺代表は離党をされた。そして、今回、どういうわけか、そのみんなの党の皆さんと自民党は一緒になって、去年の解散のときに廃案になった案とは全く違う形で提出をしてくる。その間の経緯というものが全く見えてこない。

 先ほど来、与党に対しては、中身が見えない、見えないと言いながら、野党の皆さんの法案の中身も全く見えてこない、国民にはわからない。そういう面で、全く説明責任が果たされていない、そのように思いますけれども、御見解ください。

菅原議員 村上委員が質問の冒頭で、やはり政治の掃除をしなけりゃいけない、あるいは霞が関の長年のうみを出すと。これはもうお互い共通のことであります。

 十九年の改正から二十年の基本法を制定したときには、自民党と公明党と民主党は、今後の改革について合意をしていたわけでございます。したがって、このセンターのあり方についても、私は、当然それは認識があった上での合意であったのではないかな、こう思っております。

 今のお尋ねでございますが、渡辺さんがみんなの党の代表になって、今回私どもと大方合意をしてこれを進めているわけでございますが、基本法の第二条の基本理念、ここをぜひ読んでいただきたいんです。そこに、議院内閣制のもと、国家公務員がその役割を適切に果たす、多様な能力及び経験を持つ人材を登用し、育成する、三つ目として、官民の人材交流を推進し、官民の人材の流動性を高める、国民全体の奉仕者として職業倫理の確立、そして最後に、能力及び実績に応じた処遇の徹底、このことを基本として私どもは合意をして今回の提出に至った、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

村上(史)委員 基本法に基づいて出されているというのは、政府も同じなんですよ。政府もそうなんです。そういう中で、今の説明では全く説明になっていないわけですね。

 なぜ、今まで公務員制度改革に対して違う見解を持っている両党がどうして共同提案したんですか、そのことをお尋ねしている。結局、参議院選挙を前にした単なる反民主の野合じゃないか、そのように指摘されても仕方がないほど説得力がない、そのことは明確にしておきたいと思います。

塩崎議員 我々は、新しい公務員制度改革をつくろうということで、先ほど申し上げたように、新しいステージに移るということで、給与も含めて全体系を変えていこうじゃないか、こういうことを言っているわけであって、渡辺さんが一緒にやろうと言っているのは、別に野合とか選挙前のどうのこうのなんてことは全くなくて、全く同じ理念で公務員制度改革を進めるということであるからこそ、そして、やる気のある人はどんどん来られるようにしようじゃないかと。さっき小渕議員からお話が出たように。

 なぜ本当にいい人が来ないかといえば、それは、年功序列で、外から来ようと思ったって、下から上がろうと思ったって、上にいる人がつっかえているからだめなんですね。だから、我々は、特別降任という制度も設けて、そして、外からも、下からでも行けるようにして、幹部になった人でも、幹部から一つはランクが落ちることがありますよというような、今までに全くない制度をつくろうじゃないかと。それも、幹部職は、今までとは違う、一般職じゃないものにしてやるぞ、そういう新しい制度を基本法の哲学にのっとってやろうと言っているわけですから。渡辺大臣も、ああ、それは同じなんだねと。

 そして、彼らは、次官級ポストを廃止してくれという話であったものですから、我々はその案は持ち合わせなかったけれども、協議をした結果、一緒にやれるように、我々も、では、それはいい、のもうということで入れたからのめるわけであって、私たちから見れば、皆さん方というか政府案の方が二周、三周おくれのことをやって、おまけに基本法違反だということを強く主張しておきたいと思います。(発言する者あり)

村上(史)委員 いや、もういいです、時間がございませんので。もうわかりました。何度言ってもその本当の理由はわからないんですけれども。

 まず、この公務員制度改革の基本となる今後の大きな課題として、いわゆるILOから指摘をされている基本権の付与の問題、これがございます。

 御承知のように、二〇〇二年から五回ですか、勧告が出されております。この間は自民党政権です。そして、ことしの六月にはまた総会が行われて、勧告が出るかもしれないということでございます。

 この労働基本権の問題は後ほどの質問の中にも出してきますけれども、この問題に対しては、政府、そしてまた自民党、そしてみんなの党さんのそれぞれの御見解をお伺いしたいと思います。

大島副大臣 村上委員にお答えをさせていただきます。

 平成十四年以降、ILO結社の自由委員会から、公務員制度改革に関して、一、関係者と協議を行うこと、二、特に労働基本権の付与等の論点について協議すべき等の勧告がなされているところでございます。

 今後、ILOの勧告も参考にいたしまして、基本権を付与する方向で検討を加速いたしまして、来年の通常国会に法案を提出できるように努力してまいりたいと考えております。

塩崎議員 ILOの勧告につきましては、公務員制度改革に関して、政府に対して、この勧告を見ても、要は、関係各方面と十分話し合えということが書かれているわけであります。

 御案内のように、基本法では、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と規定しておるわけでありますので、これに沿って早急に改革を進めるべきだというふうに我々も考えていますし、幹部公務員法の中でも、幹部職員、今回、人勧の対象にしませんから、幹部職員の労働基本権のあり方について速やかに検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするというふうに明確に定めているところでございます。

山内議員 先ほどの御質問もあわせてお答えさせていただきます。

 自民党とみんなの党が選挙目当てでくっついているみたいなお話でしたが、私どもとしては、別段、自民党にすり寄ったつもりは全くございません。たまたま、この法案に関して、私どもみんなの党から、事務次官の廃止まで含めた案を提示して、それに自民党側が乗っかってきてくれたというふうに我々は認識しております。

 来るべき参議院選挙で自民党と選挙協力するつもりも全くございません。むしろ、いい案であれば民主党とも、自民党であろうと民主党であろうと、同じ考えであれば連携してやっていきたい、是々非々でやっていきたいというふうに考えております。

 ILO勧告に対する見解についてお答えします。

 ILOの勧告は、公務員制度改革に関して、政府に対して、組合を初め関係各方面と十分話し合うよう要請したものと認識しております。

 基本法では、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と規定しております。これに沿って早急に改革を進めていくべきものと認識しております。

 さらに、私どもの党では、協約締結権だけではなくて争議権も与えるべきであるというふうに考えております。

村上(史)委員 政府の方は、付与に向けて検討をしていく、そして、来年の通常国会を目途にそれを法制化していくという道筋がはっきりあらわれてきました。

 自民党さんの場合は、結局、付与されるんですか。

塩崎議員 それはもう基本法に書いてあるとおり、「付与する職員の範囲の拡大」ということでありますから、付与する人の拡大ですので、付与するという方向性で議論をしていこうということであります。

村上(史)委員 議論ではなくて、もう方向性を示さないと間に合わないと思います。

 それで、先ほど来、政府の案は……(発言する者あり)失礼なこと言うたらあかんで。

 今申し上げた中で、まだ認めない、認めるかもしれないという程度の話で、結局、人件費の総額を削減していくためには、どうしてもこの基本権の問題は避けて通れないはずなんです。

 といいますのは、衆法の法案を見ますと、いわゆる人事局の方に各権限を、例えば人勧の権限を移譲するというようになっております。その結果、いわゆる基本権が認められていない代替措置として人勧が今機能しているわけですので、その機能を剥奪して内閣人事局に移譲することによって、逆にそれができなくなるということは御承知ですか。

菅原議員 人事院の級別の定数管理の移管に関しての御質問だと思います。

 基本法の十一条の第二項の規定に沿って、総務省と人事院、財務省も含めたその他の人事行政に関して担っている機能を内閣官房、人事局の方に移管をする、このことと、今のお尋ねの労働基本権の制約にかかわる部分だと思うんですけれども、この部分に関しては、やはり通常の民間企業では労使交渉の対象になっていないわけでありまして、結果的に制約がされるという前提でこれを内閣の人事局に移管するということについては、特に問題はないと認識をいたしております。

村上(史)委員 麻生内閣の時代の国公法案、廃止になったものですね。あのときも、同じように内閣人事局に権限を移譲するという内容になっておりました。そのときに、内閣法制局長官の見解、法的な見解、そして、谷人事院総裁の見解、それぞれ述べておられます。

 もう一度申し上げますが、谷人事院総裁は、俸給表の何級を職員に適用するかの基準を使用者が決定することは、労働基本権制約のもとで給与制度の運営に全責任を持つ人事院の代償機能が損なわれるおそれが強いという強い懸念を示されております。

 そこで、きょうお越しいただいております江利川総裁に、今の谷前総裁の見解に対してどのように認識をされておられますか。お尋ねをいたします。

江利川政府特別補佐人 級別定数の御質問でございますが、具体的な例で言った方がわかりやすいと思うんです。

 例えば、課長を何人置くかという、その課長の数は組織定員で決まっているわけでございまして、ここは総務省の方で決めているわけでございます。課長でも、責任の重たい課長とか、特に重たい課長とか、重要な課長とかさまざまあるわけでございまして、その職責、責任の程度において級別定数で何人何人と決まっているわけであります。

 例えば、課長が百人いて、重たい課長は二十人、中堅の課長が五十人、その他の課長は三十人とか決まっているわけでありまして、こういう配分を前提に、民間の同等の仕事をしている人の給料を調べて官民比較をしているわけであります。もし仮に、これを別の角度から、例えば四十、四十、二十に変えようというふうに変えますと、今、現実には、官民の給料を比較しますと、今給与構造改善の途中ではありますが、少し官の方が課長クラスは民間より給料が高いんです。これを下げなくちゃいかぬということで給与構造改革をやっておりますけれども。

 そうすると、高いところの人数がふえますと、総人件費がふえてしまうわけですね。官民格差が大きく広がってしまう。そうすると、人事院勧告としては、それを前提にすると、今度は給料を下げなきゃいかぬ。下げるときは、課長だけじゃなくて、課長補佐も係長も下げなきゃいかぬということになってしまいます。ですから、人事院勧告の機能のあり方と級別定数のあり方は非常に密接不可分なんです。

 そういう意味で、現在のような、労働基本権を制約されて、人事院勧告でそれを代償措置として果たすということを前提にしますと、級別定数も一緒に管理させていただくことが適当であるというふうに考えております。

村上(史)委員 今の総裁の御答弁のように、結局のところ、代替措置がなければだめですよということで御理解いただいたということなんですね。

 ところが、衆法提出法案では、労働基本権にかかわる条文というのは全くないんです。附則にもない。将来に向けての方向性も示されていない。しかし、一方では、権限だけは剥奪をして内閣人事局に集約をする。それでは人件費そのものをいらうにいらえないのではないですかということをお尋ねしているんです。

塩崎議員 さっき申し上げたように、幹部公務員法を読んでいただいたら、ちゃんと基本権について書いてありますから、それを読んでいただいたらわかるとおりであって、時限を切って結論を出すというふうに書いてあります。

 これは一般職じゃないからそういうことなんであって、一般職の方々については、当然、それは基本法に基づいて基本権について答えを出すということであります。

村上(史)委員 ところが、野党の法案の中で、今までの指定職をいわゆる特別職と一般職に分けると明確に示されています。ちゃんと御認識されていると思いますが。

 ただ、その法案の中には、本来特別職というのはいわゆる国公法を適用しないということになっているはずです。ですから、我々議員も特別職ですよね。定年はありません。そして、給与のあれも等級で決まるわけではない。だから一年生も三年生もみんな同じ給料ですよね。定年もない。(発言する者あり)歳費です。

 というように、特別職は、いわゆる公務員法には抵触しない、外されている。ところが、衆法提出者の方では、国家公務員法を一部準用するというふうな法文になっているはずです。結局、何のために特別職をつくるのかという論理そのものがおかしくなっている。

 だから、一般職でやろうと思えば、給料もすべて、削減をしたり、あるいは降格をしたりすることができるのも、まさに、最終的には、その国家公務員法を準拠するならば、先ほど来申し上げているように、皆さんの法律ではどうしても無理なんですよということはやはり認識される必要があると思うんですが、いかがですか。

塩崎議員 よく我々の法律を読んでいただきたいと思うんですが、特別職という、今先生がおっしゃっているのは、政治任用で、政治活動もできる、先生や我々のような人たちや例えば総理秘書官とか、そういう人たちのことをおっしゃっているんだろうと思うんですね。官房副長官なんかもそうですけれども。

 我々は、そういうことを言っているわけではなくて、一般職といわゆる政治任用の特別職の中間的なものとして新しい、特別職というのは、例えば自衛官でも特別職ですから、一般職じゃない者は全部特別職なんです。皆さんもそれはわかっていらっしゃる。特にお役所出身の方はよくわかっているはずです。

 何か、特別職だとみんな政治活動ができて、政治任用だ、それは全く違う話であって、我々が言っているのは、選ばれ方も、先ほど副大臣からかな、御説明のあったとおり、政府案と同じ。それはもともと、我々の去年の政府案と同じ選ばれ方で選ばれる人たちでありますから。

 どこが違うかというと、一般職じゃない幹部職という新しいジャンルをつくって、これについては人勧の対象にはしません、しかし基本権についてはちゃんと時限を切って答えを出しますということだし、級別定数管理の機能を移すことで、それで不利益をこうむることはないということは、皆さんの、この間いた馬淵議員も、「機構、定員関係事務や級別定数、これについては移管ないし事務の見直しの対象になると。これが法理念だ」と。「法理念だ」と言ったんですから。基本法をつくった人たちですよ、この馬淵さんというのは。そう言っている。

 そして、仙谷大臣が、残念ながら、今回こういうようなものを、人事院の言いなりになるような法案を出されてきたというのは、我々としては、基本法を一緒につくってきた者として非常に残念で、がっかりしているというのが実際のところであるわけであります。

 去年、馬淵さんは、その人事院の給与二課長、そして総務省の管理官、これは定数ですね、それから財務省の給与共済課長、これは全部財務省がやっている、財務省が支配している世界だというところまで指摘をしていて、だから内閣人事局にこの機能を移してこないとだめじゃないかということを徹底的に彼は言ったわけでありまして、そこで基本権の問題というのは、幹部の問題については、先ほど言ったように、我々のところにはちゃんと書いてありますので、よく読んでいただきたいと思います。

村上(史)委員 私も読みましたよ。そういうのは書いていません。本当に、におわす程度もないと私は思いましたので、これは法文にはないとはっきり断言をさせていただきたいと思います。

 それと……(発言する者あり)うそじゃない。今のお話でもわかるように、結局……(塩崎議員「答弁させてよ」と呼ぶ)どうぞ答弁してください。

塩崎議員 書いていないだの、事実に全く反することを言ってもらっちゃ困るので、これは幹部公務員法の附則の第四条、「政府は、速やかに、幹部職員に係る制度への移行に伴い必要な措置を含め、幹部職員の労働基本権の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と明確に書いてあります。

村上(史)委員 それは国家公務員法ではなくて……(発言する者あり)幹部公務員法。

 しかし、先ほど来言っていますように、皆さん、はっきりと基本権については認めるとはおっしゃっていないんですよ。だから、過去五回にわたってずっと無視をしてきたではありませんか。もっと早く決めておればこの問題はもっと早く解決できたかもしれない。

 そういうことをまず皆さんはしんしゃくをして、そして、今の政府案で十分それは対応できますから、それはきちっと、政府案とともに、この法案を通すべきだ、そのように思います。

田中委員長 塩崎君。(村上(史)委員「委員長、いいです。もう時間がありませんので」と呼ぶ)

塩崎議員 委員長の指名ですから。

 基本権を与えると言わないから悪いんだとおっしゃるけれども、いいですか、与野党でできた基本法に何と書いてあるか。第十二条、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と書いてあるんだ。では、これを政府は提示しましたか。していないじゃないですか。

 だから、したがって、これに協約締結権を……(村上(史)委員「いや、基本権はあるんですよ」と呼ぶ)指名されていませんよ。協約締結権を付与すると言い切っているわけではないわけです、この法律では。法律に基づいて我々はやっているわけですから。それを、あなたの個人のお考えは結構ですよ、付与するというお考えは結構です。しかし、それは法律にして初めてできることですから。

 ここに十二条、ほとんどこれは民主党の皆さんの主張を入れた修正文ですから、そこのところを忘れてもらっちゃ困る。歴史あるこの基本法は与野党で一緒につくったんですから、これを大事にして、ここから発展させていきましょうということなのにもかかわらず、何も今回、それについてももちろん、出ていないじゃないですか、政府案だって。

 では、政府案のどこに基本権を与えると書いてあるんですか。

仙谷国務大臣 大変ややこしいわけですが、まずは、自民党とみんなの党の方では、幹部職員を特別職と位置づけてある、まずこれが前提ですね。だけれども、その特別職は、今我々国会議員が特別職であるような特別職ではない。どういう特別職なのかは、これは村上先生にとってはおわかりにならないんでしょう。私も余りイメージがわきません。

 さらに、一般職国家公務員の条項が、今私手に持っておりますが、これだけ引用されているわけですね。つまり、全部で、ほとんど勤務条件というか労働条件に関する部分に関するものが、これは幹部であっても、引用されているわけですね、引用というか準用されている。

 そこが先ほどからの村上議員の一つの疑問で、せっかく特別職とおっしゃるんだったら、どういう特別職なのかちゃんと法律で規定してもらわないと、一般職の規定をこんなに引用されるんだったら、どこがどう違うんですか、こういう話をされていた。私もそう思います。

 それと、もう一つは、先ほどの機能移管の話でございますが、これは、例えば、人事院から級別定数と任用試験、研修の企画等を内閣人事局に現段階で移管しましょうと。移管はできるんでしょう。移管するときに、では、級別定数の対象になっておる特別職じゃない一般職の公務員についての級別定数の取り扱い、所管は人事院から内閣人事局に移管をされたとすれば、代償措置たる人事院から権限を移管するんだから、一般職の国家公務員の級別定数に表現される勤務条件についての代償措置がなくなるんじゃありませんか、こうおっしゃっているんですよね。

 私も、その点は、人事院から移管をするこの機能というか権限の中にちゃんと幹部職員なら幹部職員、自民党、みんなの党の皆さん方が言う特別職の方と、そうじゃない一般職の方が切り分けられて、内閣人事局には切り分けられた幹部職の級別定数だけが移管されて、一般職の国家公務員の部分は人事院に残っている、こういう構成なのかどうなのか、私には見きわめがつきません。

 だから、そうなると、ここで労働基本権問題と再び、つまり、代償措置が、果たして、ないにもかかわらず、内閣人事局にその権限、機能を移管されておるのではないんでしょうかと。それで、さっきからちょっと不規則発言も出ていましたけれども、もしそうだとすると、憲法上あるいは憲法判例上、全農林警職法事件等々との関係で問題が出てくるのではありませんか、こういう話になると思います。

田中委員長 時間が参りましたから。

村上(史)委員 はい、時間が参りました。

 私も本当にエキサイトし過ぎまして、ちょっとその辺を混乱させてしまったというので、申しわけないですけれども、今大臣が述べられたように、私が申し上げたかったのはまさにそのことであって、決して政府の案が人件費削減に向けて全く道筋がついていないということはないということをはっきり御理解いただいて、今後の議論を進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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